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HTML化した人:lain.
上条「なんだこのカード」
1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 11:26:20.32 ID:NlVGP62o
たつなよ
2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 11:29:57.75 ID:5x5C8mIo
残念、立て逃げは許さない
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/04(金) 11:31:55.63 ID:seFnl7Ao
>>1で立つなよとか書くスレはVIPでやれks
立ったからには責任もって書け
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 11:52:24.37 ID:iIJVpu2o
おかしいな
専ブラでは書き込みエラー出てたのに
テスト
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 11:58:01.97 ID:cBRvDE2o
書き込める?
うちのネットIPが2chでは公開プロキシエラーではじかれるので
他のプロキシ使って書き込むから
書き込めないことがあるかも分からん
その時はサーセン
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 12:12:25.47 ID:VKCEJoAO
龍騎スレですか?
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 13:15:49.31 ID:VAiDnKso
龍騎ならデッキじゃね
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/04(金) 13:21:47.84 ID:/usMMSk0
>>1
死ね、絶命しろよ
一回立てたら1ヶ月落ちねぇんだぞどうすんだこのスレ
お前のせいでまた運営の仕事増えるじゃねぇか
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/04(金) 13:32:39.58 ID:gUOEBMAO
一ヶ月経っても落ちねえよ
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 13:47:24.10 ID:do8b03Io
html化依頼だな。
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 15:07:44.32 ID:iIJVpu2o
ごめん龍騎スレじゃないんだ

投下しマンコ

上条「ただいまかえりましたよっと」

禁書「当麻になにか届いてるんだよ。ジャッジメントからなんだけど、当麻はついに犯罪行為ま

で助けちゃったの?」

上条「流石にそこらへんのメリハリはつけてるんですが・・・ってこれ拾得物のお知らせじゃな

いか。喜べインデックス!6月に落とした財布が見つかったって」

禁書「当麻にしては運がいいね。とにかく早く取りにいくんだよ!私はアイスを所望してるんだ

よ」

上条「おいおいさっそく食いつぶす気かよ。って駄目だ。もう受付時間過ぎてやがる。」

禁書「当麻のバカ。もっと早く帰ってくるんだよ。これじゃあイギリスに行く前の最後の晩餐が

いつもの野菜炒めだけになるんだよ!」

上条「あれ?イギリスに帰るのか?」

禁書「当麻は本当にバカなんだね。昨日の晩に言ったんだけど!聖ステパノの殉教祭があるんだ

よ!」

上条「ああー昨日は課題の事しか頭になかったからなあ。ごめんな。それでいつ行くんだ」

禁書「覚えてすらいないなんて…明日からなんだよ。昼には迎えが来るはずなんだけど」

上条「明日か。学校あるし見送り出来ないな。すまんインデックス。あと、出来れば明日の朝も

なしにしたいんですが」

禁書「それは許さないんだよっ!」ガッ

ギャース!フコウアアアアアアアア!!

土御門「いつも通りうるさいお隣さんだぜぃ」
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 15:13:55.60 ID:iIJVpu2o
翌日、放課後


いつもの公園のそばのジャッジメントオフィス

正義「はい。こちらになります。16学区で落としたようですね。」

上条「ありがとうございます!」

正義「こちらにサインをお願いします。以後気を付けてください…はい、次の方どうぞ」

上条、オフィスから出る

上条(16学区で、ねえ。というかこんな財布見覚えがないんですが。記憶喪失前に落としたのか

?再発行前の学生証入ってるし)

?「ぉーぃ。アンタ今から暇?」

上条(でも昔の俺はそこまで金に困ってなかったんだな。結構な額入ってるし。正直この臨時収

入はありがたいところですが)

?「おーいってば!」

上条(しかしなんだか嫌な感じがするなこの財布。記憶が無いのに、この感じはなんだ?)

?「毎度毎度無視すんなやゴラァアアア!」ビリビリバキューン

財布を持ったまま右手を出す上条

上条「うおおおお!またかよ。なんでお前は挨拶がてら電撃を出すんだ!上条さんの超反応が無

ければ皆消し炭ですのよ!」

御坂「気持ち悪い喋り方するなっ!アンタが毎回無視するのが悪いんでしょ!ってアンタの手に

持ってるもの大丈夫?」
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 15:16:34.17 ID:iIJVpu2o

上条「…あぁ。あああああ!諭吉が樋口が稲造があああああああ!落とした財布に大金が入って

るなんて、やっぱり上条さんには身にあまりすぎる幸運だったってことですね!神よ!私は今貴

方が憎い!」

御坂「ごめんなさい。今回は私のせいだわ。代わりに何か買ってあげるから、許して。」

上条「いや、もういいんですよ。どうせなんかの不幸が重なって無くなるんだろうなあって薄々

感じてましたから。」

御坂「でもそういうわけにも。流石にアンタの台所事情はわかってるし。そ、その…せっかくの

デートチャンスを…あれ?何か顔出してるわよ、その財布?から」

上条「あれ?本当だ。なんかきつく縫ってあってとれないな」

御坂「ちょっと貸してみなさい。…ほらとれたわよ?銀行のカード見たいね。日本語書いてない

けど」

上条「便利だなその電磁カッター。ふむ、俺こんなカード持ってたかな?」

御坂「書いてある名前もおかしいわね。アモト・ジョイマク?誰かしら」

上条「俺の財布に入ってたってのは多分俺のものなんだろうけどな。もう夕方だし明日銀行の受

付に行って聞いてみる。銀行行けばどこのカードか聞けるだろうし」

御坂「それがいいわ。じゃあお詫びの品!買いに行こう」

上条「だからいいって。」

ソウイウワケニモイカナイノ!イランッテ!イイカラクル!

青ピ「毎度のことながら羨ましすぎる奴やわホンマ」
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/04(金) 15:19:45.05 ID:VAiDnKso
>>6
とりあえずこんなノリかなとか想像した。


上条「お前がこんなくだらねぇ殺し合いをはじめたのか? ゲーム気取って、それでトップになって神を気取るのか?
  ……死んだ奴はどうやっったってもどらねぇんだよ! こうやって、色々な人を傷つけて! 巻き込んで!
  それで蘇った奴が喜ぶっていうのかよ! そうやって喜ぶような奴を蘇らせて何になるっていうんだよ!
  そんなこともわからねぇ、ただただ迷惑掛け捲ってハッピーエンドがやってくるなんて信じてるっていうならなぁ!
  この俺が、その幻想をぶち殺す!!」


            “SURVIVE”

15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 15:55:18.48 ID:5x5C8mIo
一つだけ言わせてもらうと、>>1は携帯なんだろうが台詞中の改行はいらない
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 17:33:27.19 ID:jbGjT.AO
>>14
よしスレ建ててこい
全力で支援してやる

>>15
はげど
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 18:55:51.31 ID:HUmGMwAO
長すぎる台詞の時にキリのいい所で一行だけ改行ならアリと思うけど、(それにしたって「」の分割使用でたいがい間に合うけど)
不自然な所で切れちゃってるから余計読みにくいね

しかし内容は面白そうで期待
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 19:21:01.07 ID:iIJVpu2o
次の日 学校 

朝礼にて

風紀委員「最近学校内で携帯用ゲームを持ってきて遊んでいる人が多く見られます。生徒手帳に書いてあるように学習に必要のないものを学校にはもってこないように!」

教室戻って

青ピ「中学生でもないのに全校朝礼でいうことやないやろ〜」

土御門「学習に不要なものって言ったら財布の中に近藤無を入れておくのはどうなんだにゅー」

上条「一応不純物ではあるな」

土帝「じゃあまずかみやんの財布をチェックだにゃー」

上条「残念ながらそういうことをする縁の無い上条さんの財布には何もありませんよ」

財布を見せる

青ピ「かみやん財布変えたんやな。まあどうせすぐにボロボロになるんやろうけど」

上条「ああ、昨日変えたんだよ。どうだ、なにもないでせう」

土御門「流石に近藤さんはないけども、これはなんだにゃー?」

財布の定期入れのところに御坂と上条が写ったプリクラが

上条「それは…」

土御門「なんだかんだでちゃっかり青春してるんだにゃー。しかも常盤台との2ショット。これは明らかなうらぎりなんだにゃー」

飛びかかる土御門

上条「ちょっと待て、俺はそんなプリクラ入れた覚えは無い!多分御坂が勝手に入れたんだ!その財布昨日買ってもらった奴だし!」

土御門「なおさら悪いにゃー」

青ピ「そうやって僕らに隠れて女子とにゃんにゃんしてるなんて天罰が必要やなぁ」

他男子「もう許せぬ!神はなぜかのような格差社会を許すのだ!」

ワーワーギャーニャ-ギャーワーギャーアッイインチョウダニゲロ

青ピ「そいえばこの外国語ばっかのカードどうしたん?」

上条「ん?あぁ拾ったんだよ。帰りにでも風紀委員のとこに送ろうかと思ってたんですよ」
上条(記憶喪失とバレかねないような根は絶たなきゃな)

青ピ「…そうなんや。ちゃんととどけときやー」
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 23:56:06.20 ID:iIJVpu2o
放課後〜電車で移動中〜

上条(さあて16学区へ行きますかね。間に合うと良いな。なんで学園都市なのに外部と同じで銀行の受付は5時までなんだ。これる奴少ないだろ)

上条(しかしながら、このカードなんだ?なんだか見覚えがあるような。記憶は無いはずなんだがな)

16学区

駅前三井○△銀行

上条(とりあえずこの銀行でいいか)

上条「すみません。ちょっと質問があるんですが。このカードを取り扱っている銀行ってどこなのかわかりますか?」

受付「…すみません。当店では扱っておりませんが、このカードはどちらで?」

上条「えっと、その、海外に住む叔父が口座を作ってくれまして、このカードが送られてきたんです。」

受付「そうですか、少々お待ち下さい。この学園都市内に支店があるのか調べます。」

上条「ありがとうございます。お願いします」

受付から離れて近くのイスに座る。週刊誌を手に取る

上条("UFOついに発見?!米加州で謎の物体発見"今まで見つかったことのない金属のような何かが見つかったっと?すぐに放射して消えたと?学園の外でもいろいろあるんですね)

受付「お客様お待たせいたしました。」

上条「はいはい。えっと、どうでしたか?」

受付「地図をお渡しします。この中央通りの沿線にあるこの場所ですね」

上条「分かりました。ありがとうございます」

プレディ・スイス学園都市受付

上条(ここか?地図的には此処だけど。何というか来た覚えがあるような、無いような)

上条「すみません。このカードなんですけど。」

受付「しばらくお待ちください」

窓の外

一方(なんデェ三下がこんなところにいやがるンですカァ?)

打止「早く行こうってミサカはミサカはうながしてみたり」

一方「あァ。そんな引っ張んじゃネェ」
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/04(金) 23:58:11.11 ID:iIJVpu2o


受付「指紋・静脈の判定と筆跡鑑定を行いますので、こちらの装置に手をおいてください。・・・はい、ではこちらにサインをお願いします」

上条(いきなり精密な本人照合だな。昔の俺は何をしていたんだ?このまま調べれるだけ調べるとしますか)

受付「はい。照合しました。担当の者に引き継ぎます。こちらへどうぞ」

個別部屋

担当「こうして会うのは初めてですね。担当の者と申します。ご指示の通りここで預かっております物をお渡しします。これ以上の事はスイス本店での受付になりますので、ご予約を入れましょうか?」

封筒を貰う

上条「すみません。少々考えさせてもらっても?」

担当「構いません。それでは私は席を外しますので、何かあればこちらのベルをお鳴らしください」

上条「ありがとうございます」

上条(なんだか身分不釣り合いな感じの場所だ。この封筒には?)

中にはパスポート・一般的な銀行のカードと地図が複数枚、そして簡単なメモ

"脱出には『クラスメート』に注意しろ"

上条(なんなんでしょうね、これは)

上条(とりあえずこれ以上此処にいても仕方ない。出るか)

ベルを鳴らし、帰る旨を伝える。その際本店の予定はあるかと尋ねられたので、具体的には答えられないが、尋ねるかも知れないと伝えた。

担当「それでは今後も当銀行をご贔屓に」

帰り電車

上条(しかし"脱出"のメモと銀行のカード、そしてプレディ本店か)

上条(申請をだして外出は恐らく許可出ないだろうし)

上条(これは行くしかない、よな。明日からちょうど連休だし、禁書居ないし、都合がいい。使ってみますかね、この地図)
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 00:03:11.83 ID:.pmaJeEo
次の日 朝

「いらっしゃいませー」

上条(まさかこの俺がコンビニのATMでお金を引き出すという愚行に走る日が来ようとは)

上条「うおっ」

上条(10年分のインデックスの食費並みだなこれは。とりあえず10万ほどおろしておいてっと)

「ありがとござっしたー」

上条(しかし、今日まで記憶喪失を隠してきたけど、こんな大金を工面するような人的関係は恐らく無かったけどな)

上条(・・・まあ、とりあえずはどう脱出するかだな)

11学区と書かれた地図と

上条(ダム、だよなこれ。)

1号と書かれたダムの見取り図

上条(一体どうやってこっから出るんだ?矢印がある位置がどう見ても水車の部分なんですが)

上条(まあ行けば、わかる、よな。多分)

11学区行きのバスに乗る

御坂妹(11学区行き?彼の行動パターンには無いことですね。案外ダムフェチなのかもわかりません。彼の新情報ゲットです。さっそくネットワークに報告せねば。ついて行くのは無粋というものでしょうと(ry)

11学区バス停

上条(恐ろしいほどに人気が無いな。まあ全部機械制御なんだろうし。制御してる所でもないと人なんていないだろう)



上条(第一号はこっちの方向だな。お、ココから入るか訳かカメラも赤外線もないようだし、よく調べてあるなコレ。

ダム湖そばの空気取り入れ口から施設へ入る

上条(しかしこれはどう見ても不法侵入推奨方法なわけですが、大丈夫か。ってこれ明らかになんかの装置を壊して上から強引に何かをつけてるな)

上条(何度か使用されているんだなこの経路。俺が使用したのか?)

上条(あー真っ暗ですな。上に蛍光灯らしきものがあるけどスイッチが、っとあ?


ソコデ オトシアナ オチトハ ソウゾウ シテイナカッタ

紆余曲折の末水車部までたどり着いた。
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 00:06:17.65 ID:txzTajso
紆余曲折の末水車部までたどり着いた。

上条(なんとかここまで来たけれど、ここまで明らかに破壊された跡のあるところばかりだ、そして明らかに歩きなれている感じがある)

上条(そしてその上これだ。謎の機械。ドラゴンボールのべジータが使ってたポッドみたいだな)

乗り込むと自然に蓋が閉まった。そして目の前のモニターに"触れろ"という英単語が浮かぶ。

機械音声「照合しました。Mr.アモト。学園都市にダミーデータを流します。都市に戻ってきた際はダミー終了のサインを出して下さい」

上条(アモト…ねえ?このカードにも書いてあるけど、ああこれ偽名ってやつだな。普通に逆読みすれば上条当麻だし。いやもっと捻れよ)

機械音声「それでは出発します。青梅線奥多摩駅のそばで1分停泊後潜航します」

ザプンドンブラコドンブラコ

上条(多分吐くなコレ)

ミサカネットワーク内

10032『上条当麻が11学区に向かいました。彼にはダムフェチの癖があるのかもしれませんと(ry』

10039『今まで彼を見てきましたがそんな傾向は見られませんでした。何かの見間違いではと(ry』

17600『それに今上条当麻はいつもの生活パターンで行動しています。今最寄りの銀行でお金をおろしたというログがここに』

10039『どうやら見間違いだったようですねと(ry』

10032『この私が彼を見間違うことなど…まあ見間違いと取るのが現実的ですねと(ry』

10032(しかしもし見間違いでなければ彼は一体どうして11学区などに)
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/05(土) 18:10:55.41 ID:fybMWvwo
(´∀`)
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 23:12:44.45 ID:9J.bqMAO
何このボーン・アイデンティティー
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 23:53:32.50 ID:.pmaJeEo
元ネタばれてやがるwwwwwwwwwwwwww

正直はしょりまくって書いてるのでわかりにくいです


成田

上条(何とかここまでこれましたが、欧州航路は高いです)

上条(まあ問題ないんだけどな)

ルルトハンザ受付

上条「チューリッヒまで片道、お願いします。」

受付「お急ぎですか?1時間半後の便からご搭乗可能ですが」

上条「あ、それでお願いします。」

受付「お支払いの方は?」

上条「クレジットで」

受付「かしこまりました。それでは発券致します。…カードをお返しします。チェックインはご搭乗60分前までにおすませ下さい。出発30分前からご搭乗を開始しますので遅れないようにお願い致します。それでは快適な空の旅を」

空港内移動中

上条(生まれて初めてのクレジットカード使用ですよ!)

上条(っと、ある程度ユーロも必要だよな)

上条「ユーロに両替お願いします。」

受付「レートは1ユーロ、115円となりますが、如何ほど御入用でしょうか」

上条「400ユーロで」

受付「200ユーロのパック二つでよろしいですね」

上条「それでお願いします」

受付「46000円となります。はい、確かに頂きました。またのご利用をお待ちしています。…次の方、どうぞ」
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 23:55:23.79 ID:txzTajso
上条(ここまで怖いくらいに順調だな、誰かに見つかったわけでは無いし、部屋に脱出の痕跡はない。しかし、税関超える際は大丈夫なのか?都市の生徒が出国するという情報は国が管理伝達してるのか?あまり国と仲が良くないとは聞いているけど)

税関「パスポートを提示ご提示ください」チラ ジー チラ ジー

上条(この罪悪感は何なんでしょう。なんて不機嫌な顔してんだ、この丸いおじさまは。コレステロールばっかり取ってカルシウムとって無いんじゃないのか)

税関「スイスへ行く目的は?」

上条「あ、か、カンコウデス」

税関「んー、はい、ドスッ、どうぞ」

上条(ふー、無事突破できたか。あとは快適な空の旅ですな。あ、アメリカ?の印らしきものがありますね。しかも複数。一番最新なのは4月か。アメリカにも行くことになるのかね)


学園都市 土御門の部屋

土御門「今日は寝起きのギャーが無かったから寝坊したんだにゃー」

舞夏「だからって私が来るまでずっと寝てるのはめずらしいなー」

土御門「それだけお隣さんのクレイジーノイジーサウンドが恒常的ってことぜよ」

舞夏「そういえばお隣の前を過ぎるとかなり静かだったからなー誰もいない感じだったぞ」

土御門「暴食シスターは帰省中だし、部屋主は朝早くからどこかに行っていたようだからにゃー」

舞夏「それに気付くってことは朝一度起きてたわけだな?」

土御門「本音を言うとずっと起きてたんだぜい。メイドな妹に起こしてもらいたかっただけだにゃー」

舞夏「だったら寝起きのキスでもしたらよかったのかなーお兄ちゃん?」ウインク

土御門「うおおおおおおおお舞夏ああああああああああああ」
ルパンダーイブキャッキャウフフギシギシ

〜省略されました〜
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 23:57:23.39 ID:txzTajso
夏の寮の側

舞夏「兄貴、もうここらへんでいいぞー」

土御門「わかったんだにゃー、世の中にはロリコンという危険分子がいるから気をつけるんだぜー?」

舞夏「兄貴はその危険分子じゃないのかなー?」

土御門「義兄妹なら無問題なんだにゃー。あとあまり簡単に"お兄ちゃん"って他人に言わないように!!!」

舞夏「それは兄貴次第なんだなー。じゃあバイバイ、お兄ちゃん」ニコッ

土御門「舞夏あああああ」ルパンダ ベキッ

〜省略されませんでした〜

上条の部屋前

土御門(まだ帰ってないとは、また何かに巻き込まれているのか、ツンデレL5の朝までコースか。なんにせよご愁傷さまだにゃー)

土御門部屋 ガチャガチャ バタム ガチャ

土御門(…最近かなり高度な技術を持った侵入者が都市へ入りこんでいるようだし、一応探査しておくべきだな)

パサパサパサ〜 グェア ブホ ギギギ
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 23:57:27.18 ID:.pmaJeEo
夏の寮の側

舞夏「兄貴、もうここらへんでいいぞー」

土御門「わかったんだにゃー、世の中にはロリコンという危険分子がいるから気をつけるんだぜー?」

舞夏「兄貴はその危険分子じゃないのかなー?」

土御門「義兄妹なら無問題なんだにゃー。あとあまり簡単に"お兄ちゃん"って他人に言わないように!!!」

舞夏「それは兄貴次第なんだなー。じゃあバイバイ、お兄ちゃん」ニコッ

土御門「舞夏あああああ」ルパンダ ベキッ

〜省略されませんでした〜

上条の部屋前

土御門(まだ帰ってないとは、また何かに巻き込まれているのか、ツンデレL5の朝までコースか。なんにせよご愁傷さまだにゃー)

土御門部屋 ガチャガチャ バタム ガチャ

土御門(…最近かなり高度な技術を持った侵入者が都市へ入りこんでいるようだし、一応探査しておくべきだな)

パサパサパサ〜 グェア ブホ ギギギ
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/05(土) 23:58:42.15 ID:.pmaJeEo

深夜

土御門(まさか学園都市どころか日本にすら、とはな。経路的には自分で行ったと考えるのが妥当)

土御門(しかしダムから脱出とは…どこかのスパイのような動きだな。とても一人で動いたとは思えない、が)

土御門(あいつが昨日使った端末の履歴は)

カチャカチャ ッターン!!

土御門(…スイスだと、まさか欧州とはな。行動力を侮ったぜよ)

ブハァ ゲホッ ゴホッ ジワァ

土御門(意識を保つのが難しくなってきた、が最低限近場のイギリスへ連絡しなくては)

カチャカチャ ッターン!!

土御門(探索に全力を出しすぎた、ようぜ、YO)ドサ


大聖堂内

ステイルの携帯端末に暗号化されたメールの着信が入る、が

ステ「インデックス、それはまだ下ごしらえが終わってないんだが。それに君は装飾担当だったはずだよ」

禁書「味見が大切ってことを当麻の料理から学んだんだよ!それに私の身長で届く範囲の装飾はすでに終わってるんだよ」

ステ「そのためにその脚立が用意されていたはずなんだが、まあいい。とりあえずその皿から手を離そうか」

禁書「うるさいんだよ。高い装飾はステイルの方が効率よくできるんだよ」

久々の禁書との絡みに幸せを感じていてそれどころではなかった。
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/06(日) 23:53:37.53 ID:O/m9BK.o
チューリッヒクローデン空港

機長「We hope your good travel, thank you.」

上条(10時間超のロングフライトon the エコノミー席、ここまでのものとは)

上条(早すぎるのもあれですが、これもまた嫌だ。金には余裕あるわけだし帰りはビジネスにしよう!この際額には目をつむるっ!)

上条(でもアメリカ行くかもしれないし無駄使いは避けるべきでしょうか…悩むところです)

ドスッ

customs「...Next」

上条(どこの国も丸いおっさんやおばさまですか。これだけは万国共通なのですなー)

上条(しかし付き添いなしってのは不安だ。読めん。とりあえず電車のマークにしたがって歩こう)

1時間後

上条(ようやく着きました。そしてここでもドイツ語ばかり。日本であらかじめ調べてなければ酷い目にあってましたよ)

上条(HBSZU、HBSZU…これだな)

ゴトン ゴトン ガー
上条(結構寒いのに薄着が多いな。露出も中々。お姉さん天国ですぞ)

プシュー
上条(ココだよな?)

上条(地図地図っと)

上条(しかし、こいつら見境なくイチャイチャチュッチュしてますな。夜だから見えないってか?日本人なら軽くイラッとくるんじゃないでしょうか)


土御門in Japan「お前が言うな!…ムニャー」zzZ
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/06(日) 23:55:53.70 ID:O/m9BK.o
上条(プレディ・スイスは、ここ、だよな?思っていたより小さい)

上条(さてココが一番の難関だ。ドイツ語喋られたら厳しい。)

ウィーン

上条(当って砕けてみますかね)

上条「え、Excuse me?」

白人のミドルエイジのおじさま「Welcome to Predit Suisse.... May I speak in Japanese?」

上条「お、おっ、おーいえす。ニホンゴオネガイシマス」

白中男「分かりました。それでは、本日はどのようなご用件でしょうカ?」

上条「口座の確認がしたいのですが。」っカード

白男「チラッ ペラッ …ご予約されております。それではこちらにお手をお願いします。それでは、少々お待ちくださいMr.Amot」

上条(うわぁ嫌な汗かいてる。背中べとべとだ)

白中女「それではこちらへ、Mr。」

コツコツコツ
ロビー⇒小個室⇒個室

白女「こちらになります。」

机の上には、小箱・明細・厚めの封筒

上条「ここで見ても?」

白女「畏まりました。私は外で控えております。時間は取ってありますのでごゆるりと。」

上条(…封筒を見るのは気合いがいるな。まずは当たり障りのなさそうな明細を。ありがたいね日本語にしてくれてる)

200,000ユーロ、1000,000ドル、5000,000円、ポンド、ルーブル、ルビー、レアル、etc

上条(ざっと3億円分?ぐらいだな。これ本当に俺か?他人の口座でしたとかじゃないよな)
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 08:34:37.28 ID:lQ836AAO
テスト
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 16:51:36.70 ID:.pgvJgA0
テスト
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 17:57:19.60 ID:yjs/8S.0
意味がよくわからない
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 18:22:36.29 ID:uH9UvmIo
こういうSSじゃ意味はいずれ明かされていくものだろう
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 19:14:18.86 ID:.pgvJgAo
極力地の文を入れないようにしたら意味わからなくなったでござる
その上いい串が見つからないからエクスペリア買って来ますた

上条(…ふぅ。じゃあ次はこの小箱かな。少し重たいがなんだろ)
カパッ
上条(ってただのペンじゃねーか。拍子抜けだな)

上条(ちょっと高そうだけど、怪しいところはない。普通の万年筆だ。インクは?…ん?)
ポロリ
上条(二重底とはね。かなり薄いし、気が付かなくてもおかしくはないな)
板が隠されていた
上条(プラ板?)
パキッ
上条(二枚に割れた?なにかを挟んでいたのか)

上条(なんだこの薄い膜は?オブラート?)
舌にのせる
上条(ビンゴ!溶ける溶ける。思わず全部いってしまいましたが、ボンタン飴二つ分くらいだな)

上条(この箱は捨てるとして、万年筆は貰っておこう)

上条(あとはこの封筒。なんの資料だ?)

Examinations of The Opposite, Specifications of AS-T-2, ORDERS

上条(″相対するもの″研究書、AS-T-2仕様書、指令書…)

上条(ひとつは俺のデータ…若干今と能力が違うぞ?)

上条(二つ目は、なにかの装置の仕様書みたいだな)

上条(三つ目は指令書、拉致とか奪取とか物騒だな)

上条(これらは後で読もう。気になることもあるから、都市に帰るとして、金を使いやすい口座にある程度うつしておこう。またすぐ飛行機に乗るのもあれだし、こっちに泊まっていこうかな)
ガチャ
上条「すみません。換金と振り込みをお願いしても?」

白女「かしこまりました」



37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 19:28:47.60 ID:yjs/8S.0
こんな知的な上条見たことがない
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 19:51:09.16 ID:.pgvJgAo
がんばれ!俺のエクスペリアたん!何が悲しくてパソコンが目の前にあるのに携帯端末で書かねばならんのだ…

深夜 学園都市 カエル病院 カルテ管理室
ペラペラ パタン
?(どうやら予想が当たっていたようや)

?(あのカードは僕らの活動資金の振込先で個別に持っているもの)

?(それをまるで知らないようなあの扱い。今まで薄々と感じてはいたが)

?「記憶喪失とはエージェント失格やで、かみやん」

大聖堂

ステイル(気がつかなかったが、大分前に土御門から連絡が届いていた)

ステイル(魔術や肉声通信でなく暗号電文、ということは、誰かにてひどくやられたか、想定以上の魔術の使用か)

ステイル(カミジョウトウマ ミズカラ ガクエントシヲ シュッポン モクテキチハ スイスガ ノウコウ)

ステイル(スイス、か、あそこはあまり魔術の要素はないハズ。故に秘匿の潜伏先にはもってこいなのだが、彼がそんなことを知るハズがない)

ステイル(判断がしにくい上に、上条当麻のことなんて気にしたくはないが…一応連絡はしておこうか)

個室

ステイル「神裂、上条当麻がスイスへ向かった。1日近く前に土御門から暗号電文で届いたようだ」

神裂「スイスですか?土御門からの暗号電文ということは学園が都市側にも不測の事態のようですね」

ステイル「時間も経ってしまっているし、僕らが行って潜伏している連中や科学側の連中と争ってしまうのも面倒だ。ここは静観で良いと思うんだが、君は?」

神裂「そうですね。というより、目的も掴めない以上、それ以外の選択が無いようですが。それと、インデックスには黙ってきましょう。下手に心配させても仕方がないですし」

ステイル「それがいいね」
扉の外
禁書(とうまがスイスに?これは帰ったら問い詰めないといけないんだよ)
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 20:19:50.10 ID:uH9UvmIo
壁に耳あり障子にメアリー
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 20:20:19.31 ID:.pgvJgAo
賢い主人公が見たかったんだ。超中2展開ハジマルヨ-

スイス 駅のそばのホテル

上条(このホテルで良いかな?)

上条「Ich mochte Sie fragen , Kann ich ein Zimmer borgen?」

受付「Ja. Zeigen Sie bitte einn Pas?」

っパスポート

上条(喋れるし、理解できる?)

受付「(以下ドイツ語)はい、結構です。それでは何泊の御予定ですか?

上条「一泊で」

受付「かしこまりました。お部屋にご案内します」

ボーイ「こちらです。お荷物を御持ちしましょうか?」

上条「いえ、自分で」
カツカツカツ
ボーイ「こちらになります」

上条「ありがとう」っチップ

ボーイ「(受け取る)こちらが部屋の鍵です。少し寒いですが朝のうちにチューリッヒ湖のほとりの公園を散歩すると気持ちがいいですよ」

上条「そうさせてもらいます。ところでピザとか頼めます?」

ボーイ「宅配のものなら用意できますが。お味の方は?」

上条「トマトソースのやつを10インチで頼みます。」

ボーイ「かしこまりました」
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 20:49:05.99 ID:IHSTMMAO
ボーンは八ヶ国語だったか
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 21:30:33.73 ID:.pgvJgAo
上条(なぜかわからないが、急にドイツ語が出来るようになった)

部屋の注意書を手に取る。次にドイツ語訳の聖書

上条(こっちに来て、最初はドイツ語なんて読めもしなかったが、今は読める。日本語と全く同じ要領で)

上条(何らかの身体的な変異が起きていることになるーまさか)

鞄の中から持ってきた封筒を取り出す。

上条(これだって英語だ。あんまりにも普通に読めたから気にならなかったが)

書類を取り出す

上条(″AS-T-2″Additional Supplement for Toma ver.2『我々が遂に完成させた量子コンピュータの弾き出した仮説によると、高位能力者の脳内または体内のどこかに能力を編み出す為の高度な演算処理部があるとなっている。DNA 情報によると原石:上条当麻は耐放射能能力が異様に高いため、高度処理演算部の発育生成は不可能であると判断された。故に造り出されたのがこのver.2である。ver.1はDNA 書き換えという危険な賭けの結果、身体能力,免疫能力,代謝能力の向上と神経伝達部の少々な高速化が得られた。しかしながら人間の生命力を根こそぎ奪いかねない部分のDNA 書き換えは原石の使用という面でとてもリスキーであることから、ver.2は高度演算処理部用として試作小型量子コンピューターの設置を主な目的とするナノマシン投与によるものである。摂取方法はver.1と同じく経口投与、セロハン状のシートを口内へ入れるだけとなっている』)

上条(つまり脳内に小型量子コンピュータが設置されたと。そしてすでにver.1というものが投与されていたと)

上条(英語情報は脳内メモリ領域から強引に取り出された情報から言語体型を作ったから読めたわけで、ドイツ語情報は街を歩いていて目や耳から得られた情報から言語体型を作り出し脳内記憶領域に保存したから使えた、というところだな)

上条(プリセットされた量子コンピュータの定義は小型でも高度処理が可能且つ自発的に思考し、プログラムを作り出したり、判断することができるというものとなっている)

上条(ということは二つ目の意識ができたということになるのか?待てよ…さっきのはドイツ語が必要という俺の脳からの情報からドイツ語体系の構築をしたのだとすると、補助的な役割でマスタースレーブ関係ということになるな)

上条(文脈的には俺の能力の拡大のためにとなっているが、まず俺の能力というのは…)

ドア<コンコン 除き穴を覗く

上条(ピザキター。食事によって血流と精神安定を図るべき、ですか。直接意見も言えるのね)
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 22:24:21.88 ID:.pgvJgAo
上条「(ドイツ語)どうぞ」

ピザ宅配「御注文の10インチトマトソースピッツァです

上条「ありがとうございます。いくらですか」

ピザ「12ユーロです。このビールはサービスです。お飲みください」
っ20ユーロ紙幣
上条「おつりはとっておいてくださいな」

ピザ「毎度あり!それでは失礼します。Mr.Amot」
この部屋を取るときに見せたパスは日本のものだ
上条「…!少し待ってもらえますか」

ピザ?「(英語)…記憶を失なっても問題は無さそうだな」

上条「どこの所属の人間だ」

?「大体想像できてるんだろう?そう気を立てるなよ。一応同僚なんだ、もっとフランクにいこう」

上条(パスポートの複数のアメリカ印、尋常じゃない財力、そして英語の研究書)

上条「Central Intelligence Agency …」

CIA 「ご名答。ではわかってもらったところで簡潔に言おう、学園都市の第二位を拉致しろ。殺しても構わないが5肢満足でだ。特に脳は傷をつけるなよ」

上条「第二位を?なぜだ」

CIA 「知らん。だが知っていても教えろと言う命令でもないかぎり教えんさ。まぁひとつだけ教えてやろう。」

上条「なんだ?」

CIA 「いつもとは出所がちがうのさ、この命令は」

上条「…俺が受けるとは限らないぜ?」

CIA 「わかってると思うが、お前がいるからDedicatus545には手を出してないんだぜ?今なんて絶好の好機のハズなのになぜ彼女の本を手にいれないのか」

CIA 「そしてなぜ記憶がなくなって組織に反抗的になってるかもしれないやつを野放しにしておくのか、なぜ銀行の口座が凍結されないのか」

CIA「勿論自分で首輪を着けちゃってるからだよなぁ」

CIA 「首輪つきなら主人の命令には従えよな!給料もいいんだし。幸運を祈る」
スタスタスタ

上条(学園都市からの脱出ルート、口座使用でバレバレだったわけだ)

上条(帰るしかないようだな、学園都市に)
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 01:31:00.01 ID:KEd4Ha.o
スイス 朝 チューリッヒ湖のほとりの公園

上条(なかなかいい雰囲気だ。気が晴れる)

上条(…昨日の言い分だとCIA、むしろアメリカは魔術側にも興味があるみたいだな。しかし、ジェットラグと昨日のことで頭がハッキリしないな)

そこに完全に悪意があるとしか見えない動きでボトルが上条の足元に転がっていく

上条(転倒注意かぁ。ワックス塗り立てなんだろうなぁ…って危ねぇ!)
寸でのところで回避した
上条(視覚での警告に重大な不確実性を確認。聴覚へ直接伝達する方法に切り替えます。とな?)

上条が本来こけるハズだったボトルがランニング中の女性を倒す

上条「大丈夫ですか?」

背中から上条の胸元へ倒れた女性優しく抱き抱えながら、当麻は耳元へ囁いた。自然に、やらしさを感じることはなかった。

上条「危ないな。君の足が疲れてしまうまで、倒れないように見守ってあげようか?」

一拍おいて女性は真っ赤になって走り去ってしまった。

上条(朝の湿気は小鳥すら足を乱してしまうのだね…ん?)

上条(何ですか今の上条さんは!?キザなロマンチスト野郎じゃないですか!おい。なんかしただろ!)

(あなたの思う諜報員のイメージを表してみました)

上条(余計なことはしないで!お願いですから!あの人も逃げるように走っちゃったし)

(彼女も満更では無いようでしたし、あなたも目が覚めたでしょう?それに今の場合、下手にさわると捕まりますよ?)

上条(ああ、今捕まると学園都市からの脱走がバレてしまう。助かったのかもしれないか…)

(あなたの記憶と周りからの学習で人間関係、特に男女の仲というものを把握できました。そして一つだけわかったことがあります。あなた、ジェームズボンドになれますよ)
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 11:15:30.67 ID:G75Fp/k0
ワロタwwwwなんかすげぇwwww

支援
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 11:53:32.73 ID:JswWbAw0
いいなこれwwwww
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 06:57:44.23 ID:WQsKSBoo
おもしろいな、期待してます
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 19:51:55.42 ID:NvmyCTQo
学園都市 上条の部屋の前
土御門(まだかみやんはかえってきてないようだにゃー)

土御門(少々調べさせてもらうぜよ。おじゃまさせてもらうぜい)

閑散とした部屋。ところどころ傷があるが、目立つ異常はない
土御門(まあ、いつもどおりだな

とりあえずゴミ箱をあさる

土御門(レシート、レシート、レシート…ん?)

土御門(”クラスメートに気をつけろ”?)

土御門(どうみてもかみやんの字)

土御門(レシートに紛れさせたのはわざとか偶然か…)

土御門(侵入した意味はあったな)

成田空港 夜

上条(日本に帰ってきた。欧州を一泊で帰ってきましたなんて疲労ばっかり溜ま りそうだが )

上条(ビジネス席…ありえねー!飛行機の中で180度水平に寝ることができると は、快適だったってレベルじゃねえぞ)

上条(横幅にもかなりの余裕があったし、風呂で寝るよりよっぽどマシだわ)

上条(さて、帰ってきたのは良いが、どうやって都市に戻ろうか)

上条(当然のように正面から入るわけにはいかないし)

(セオリー通りならば第11学区での物資搬入に混じるというのがポピュラーで しょうね )

上条(ああ。だが逆にそういうことを考えられやすい分警備は厳重なはず)

(普通の侵入者なら選択肢には入れないはずです。恐らくCIAは他の侵入経路も 持っているでしょう。ですがここは11学区で行きましょう)

上条(裏を斯くわけか?)

(その要素も強いですが、別に目的がありましてね)

上条(なんだ?)

(来る時にダミーシステムを使いましたよね。あれの動きを停止させないといけ ません。適当な端末があればハッキングして書き換えなんて方法で出来るんです が、今持ってる携帯では少々スペックが足りません。今後もそのように端末を使う機会は必ずあるでしょう。その為にも研究員用に配られる携帯端末を拝借する んですよ。そして11学区なら物流・交通システムに直接入れる固定端末があるで しょうから、それを使ってダミーシステムを止めます。手に入れた携帯端末を 使ってクラッキングするよりは直接都市の総合管理システムに繋がっているであろう固定端末を使った方がはるかに安全・効率がいいのです。 )

上条(つまり携帯端末の入手とダミーの停止のためってことだな。了解 。じゃあ、帰るとしますか)
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:42:25.18 ID:NvmyCTQo
11学区物資搬入口検問付近
複数の検問にトラック5〜6台程度、列を作っている
上条(運転手のみなさんお疲れですな。皆眠そうな顔してる。都合が良いね)

上条(今だ )
トラック運転手の意識が一瞬なくなったのを見計らい、その前のトラックの下に潜り込む

上条(後はこのトラックにしがみついとけば)
ベルトから短いロープを伸ばし、腰をトラックのフレームにくくりつけた
検問「お疲れさん。パスと生年月日と内容物を」

運転手「はいよ。1972年9月22日で研究物資ね」
ピピッ
検問「はい、オーケー。んじゃ進んでください」
ブロロロー ゴトンゴトン ピーッ バックシマス ピピーピピーピピーバックシマス(ryバタム
運転手「娘ちゃーん。まっててねー。パパすぐに帰るからねー。っと」
ガチン ガチン ゴトン ガッチャン
トレーラー部分が切り離され、トラックは帰って行った

上条(よし、侵入成功。ちょうど研究資材の場所みたいだし、ココで端末を探すか?)

(肯定です。どうやら24時間ずっとトラックは来るようなので見つからないようにお願いします)

上条(あいあい。んーとじゃあこのトレーラーからで、っと )
電子制御の鍵を器用に開き、通電させ鍵をあける

上条(さて、目的の物はあるかな?)
運転が荒かったのか梱包材が飛び出していた。当然、上条は気がつかない。当然の帰結として、彼は周りのハコを巻き込み盛大にこけた
(不覚です。私が居ながら気がつかないとは)
上条(まあこの暗さじゃ知覚できないわな。モタモタせずにペンライトを出せばよかった)
辺りを照らす
(…!珍しく運がいいですね。良いのがありました。少々、オーバーテクノロジーな代物ですが、流石学園都市と言ったところでしょうか)

上条(『電撃使い』用に試験開発された端末か。体からでる電気で操作するのね。レベル1からでも操作可能ってすごいな。でも上条さんは電気なんて使えませんし、まずコレモニターが無いぞ?
(これは露出した電極に信号を流すことで操作するタイプですから、指先にナノマシンを集中させれば体内電気や手に持った バッテリーの電流操作で動かせます。私が認識すれば視覚化もできます)

上条(あれ、ナノマシンはお前を作ったときに消えたんじゃないのか?)

(私を製作設置することができる程の能力を持ったナノマシンを、設置だけに使うなんてもったいないみたいですね。延髄あたりに製造コロニーも出来てますし、そこに命令すれば新しいナノマシンも作成可能です。ただ、問題なのは 設計に人間の脳内記憶領域を使うのですが、いささか容量が少なすぎます。これまでの私のデータもあなたの記憶も全て脳に保存してるわけですが、同様の問題を抱えていました。この端末を使えばそれも解決できるハズです)

上条(人間の脳なんて10TB程度しかないらしいしな。よし、じゃあダミー止めに行きますか。早速それを使って場所の特 定を頼む)

(了解。その角を右、次に……)
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:59:03.37 ID:NvmyCTQo
女子寮 初春部屋
初春(ふわぁ…この辺で切り上げて今日はもう寝ましょうか)

初春(部屋に戻っても残業なんて嫌ですね )

使っていたPCのウインドウに黄字の警告が走る

初春(また外部から総合管理部へのアクセスですか?最近多いんですよね )

アクセスログを見るとどうやら内部からのアクセスのようだ
初春(なんでしょう、この端末をいじれる立場の人ならこんなことしなくてもアクセス権限が有る筈なのに? )

初春(まさか、内部から直接ハッキングしてる…?となると外部からの侵入者?か、カメラは、へ、変なとこ向いてます〜)
カメラ操作を起動する間にアクセスログの更新が止まり、ログの削除ログが表示され、電子侵入の形跡はきれいに消されてし まった

初春(こんな、速すぎます。直接上位アクセス権の有る端末から侵入されたってこともありますけど、ありえない。計算すると…こんな演算速度を出せる装置あるんでしょうか。想定される規模は、"樹形図の設計者"を越えますね。でもそんな装置を持ってこんな場所に侵入できるはずが無いし…)

初春(そうだ監視カメラ!カメラには何か写って?)

適正な位置に首を戻したカメラには何も写っていない

初春(巻き戻し巻き戻し。ん〜駄目ですね、人影が一瞬写っただけ)

初春(拡大してもはっきりしません。処理を施しても、あ。 )
どこかで見たツンツン頭かもしれない

初春(えっと、この髪型って、どこかで見たような?って、何が目的だったんだろう )

第11学区

上条(ふぃ〜。間一髪だったな)

(操作の痕跡は消しておきましたし、カメラ情報もすり替えておきました。これであそこに私たちが居たという証拠は消えました、が。私達の端末操作に気がつく人がいたとは)

上条(まだまだ人間も捨てたものじゃないってことだ。まぁ大丈夫だろ。俺の行動を知ってるだろうCIAの連中ぐらいしか気づけないハズだろうしな)

(肯定ですね。さぁ、あとは部屋に戻るだけ。周辺のカメラを弄ります。走り抜けてください)

上条(へーい)
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 22:59:50.16 ID:7Lyq7wDO
きてたあああああああ
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 03:59:37.47 ID:11cIA/wo
深夜 学園都市 スキルアウト溜まり場
ス1「チッ、またかよ」
彼の目の前には多くの血痕・焼け焦げた壁・床・扉・机・機械、そして、仲間の死体があった
大方、発火能力者にでも襲撃されたのだろう

ス2「あいつらに比べたら俺たちなんて本当にチリ紙みたいなもんなんだよな」

ス1「気に食わねえ。俺たちのチームは比較的穏健派の奴しかない。能力者が怖くて、ただ集まってただけなのによ」

ス2「自称”正義の味方”な能力者は見境なんて無いからな。奴ら、俺たちを根絶やしにでもするつもりだろ」

ス3「俺たちは、ただ能力者のうっぷんを晴らすためだけにいるってのかよ」
ス3の顔には涙が浮かんでいた。自分の力を誇示したいだけの能力者に、彼らは怯え、怒りを覚えていた。
しかし、どうしようもない。対抗するだけの、能力なんて無いのだから

?「お前らはこのままでいいのか。」
影から人が現れた

ス1「どうにかしたいさ。でもな、どうしようもねぇんだよ!」

ス2「武器でも無い限り、あいつらには対抗できない。そして、俺たちはそんなものを手に入れるルートもない。いろんな意 味で無能力者さ」

?「武器が有ればいいんだな?OK、ついてこい」

謎の男に連れられた無能力者の若者は彼らだけでは無い
多くの、反感のある無能力者が第19学区に集められ、武器を手に取った
当然、彼らの動きは都市運営者側に伝わっているはずだった
偶然、監視システムへの送電体系が壊されていない限りは

朝 上条の寮
上条(さて、どうやって第2位と接触しようか。面識もないし)

(本当に、彼らの命令を受けるのですか?精神面で少々の動揺が見られますが)

上条(禁書が事実上人質なんだ。仕方がない。命令も本懐は拉致だしな。それより今は第二位の能力と誘い出し方だ)

(いいでしょう。『書庫』によると「未元物質」を操るとなってますね。この都市の科学力を持ってしても解析されていないようです)

上条(これは怖いな。俺の力で何とかなる領域なら良いが)

(実際に対自しないと分かりませんが"当り"はあります。それより彼についてですが、どうやら暗部組織を率いているようです。これを利用しましょう)
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 04:07:51.02 ID:11cIA/wo
昼 都市内某所
心理定規「アレイスターから直々に、あなたへ仕事の依頼よ」

垣根「内容は? 」

心理「14学区での暗殺。標的は海外に盗んだ技術ごと逃亡しようとしている、学生に扮した諜報員で、『書庫』が言うには 身体強化能力者。なぜだか、条件としてあなた一人で行うようにとなっているわ 」

垣根(単独任務…となると相手はただの身体強化能力者ではないと見るのが自然だ。相手の素性が分からない以上、策も立て られないだろうということか。まずは俺一人で行くべきだな)

垣根「承諾した。指示通り一人で行くが、一応連絡手段は残しておくさ。じゃあな 」

心理(彼には言わなかったけど、怪しい点があるのよね。連絡手段が前回と全く同じ方法だった。高機密からの依頼としては 不自然すぎる)

心理(罠だとしても第二位を嵌めることができる組織なんて存在するのかしらね。標的は『それ以外』の私たちなのかもしれ ない。ここは身を隠すのが正解とみるべきね )

学園都市 ファミレス
初春「みなさん、集まりましたね。」

白井「初春から召集をかけてくるなんて珍しいですの」

佐天「あたし、走ってきたから少しのどかわいちゃった。初春の水もーらい。 」
二杯目の水を一気に飲み干す

初春「急にお腹を冷やすと下しますよー」

佐天「初春がなんだか真剣な感じがしたからね〜」

御坂「そうそう。それで、今日集まった内容は?」

おずおずとノートPCを出す

初春「みなさんに見てもらいたいのはこの画像です」
保存されている画像を開く
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 04:24:41.80 ID:11cIA/wo
御坂「! 」

初春「昨日、とあることで得られたものなんですが、この人誰かわかりますか」

白井「…!お姉さま、この髪型は」

佐天「あー!この人って御坂さんのウフフな人じゃないですか」

御坂「な、何よウフフな人って!私は、その、えっと」
明らかにほほが染まっている

御坂「って、そうじゃなくて!初春さん、この画像は何なの。多分その、アイツだとは思うけど」

初春「はい、昨日総合管理システムに不正アクセスが有ったんですよ。どうやら内部の、第11学区の高レベル権限の端末からのアクセスでした。とっさにカメラを回したんですけど、気づかれちゃって逃げられる寸前を捉えたんです。本の一瞬だけ。今日確認したら、このカメラの映像は他の日のデータで偽造されてました。本来なら御坂さんや佐天さんには機密情報なので見せちゃダメなんでしょうけど、完全になかったことになってますし、大丈夫でしょう」

御坂「11学区?アイツがなんでそんなところに」
彼と11学区を結び付けるものなんて彼女の頭には無かった

初春「この人と凄く仲が良さそうな御坂さんに聞きますけど」
仲が良いといわれて少しほほが緩んでしまう

初春「上条さんって、”樹形図の設計者”を超える演算能力とか持っていますか?またはそれに近い装置とか」

御坂「アイツにはそんな力無いハズよ。そんな装置を保持するような財力なんてもちろん無いし」

御坂「というより”樹形図の設計者”を超える演算能力を持つ人間なんていないんじゃないかしら。level 5の私でもアレには遠く及ばないし 」

白井「初春、この殿方は端末操作で一体何を?」

初春「それが、あんまりにも速くて、何をしてるか全く調べることができなかったんです」

佐天「何をしてるか分かんない上に、まずこの人が本当に上条さんなのか分からない、じゃどうしようもなくない?」

白井「そうですわね。さて、どうやって裏を取りましょうか…」

ピピピピp… 初春と白井の携帯端末に連絡が入る
内容を確認したと同時に彼女らの顔が青くなる

初春「白井さん、コレ… 」

白井「なんてことですの…」

御坂「黒子?どうしたの?」

白井「…スキルアウトが、一斉蜂起したようですの」
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 18:54:11.40 ID:pKXs6GYo
2:30 午前 学園都市移動中
上条(なんだか騒がしいってレベルじゃないんですが)

AKと手榴弾を腰に付けた集団が街中を徘徊している。時折、悲鳴と同時に爆発音が響く

一人の女の子に向かってスキルアウトの小集団が話しかけている

スキルアウト「おい、お前、能力者か? 」

一人は少女に質問し、一人は端末で人を確認し、一人は銃口を突き付ける

少女「ち、違います」
真っ青な顔をして少女は答えた。銃口を突き付けられればそうもなるだろう

スキルアウト2「こいつは嘘を言っている。データによるとlevel3の『気流操作能力者』だ」

スキルアウト2がそう言った瞬間、突き付けられた銃口が火を吹いた

スキルアウト3「こいつは、俺たちを騙して後ろから襲撃するつもりだった。こう なっても仕方がないさ」
何事も無かったかのように彼らは通り過ぎて行った。後ろに頭部が半分以上吹き飛んだ少女を残して

上条(おいおい、ココはいつから紛争地帯になったんですか。武装もあり得ないぞ。自動小銃なんてこいつらアンチスキルの武器庫でも奪ったのかよ)

(それも恐ろしいことですが、どうやら違うようです。これは旧ソ連によって量産 されたAK-47という銃です。アンチスキルの銃よりはるかに劣る性能ですが、使用される銃弾が大きく、単純な破壊力ならアンチスキルの銃を上回ります)

上条(なんでそんなものが、こんなにたくさんここに入ってきているんだ)

(出所が不明な分、武器庫を襲撃したというより危険ですね。ただ、この程度の武装なら上位の能力者には相手にならないでしょうから、鎮圧されるのは時間の問題 かと)

上条(…今は任務を優先させよう。この騒乱なら都合よく拉出来る)

(記憶の中の貴方なら今の少女も助けようとしたんでしょうが、そのような判断をするよう になりましたか)

上条(良く言う。激情を抑えるよう分泌された鎮静・集中ホルモンの形跡がのこってるぞ)

(勿論、あの場で飛び出されても、犬死にですからね。特殊な条件下を除いて、あなたの能力は完全に対能力者戦用ですから)

上条(それくらいは理解してますよ。さて、第二位のところまでとっとと行くぞ)
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 18:58:32.16 ID:pKXs6GYo
前のやつの「2:30午前」は間違いで正しくは「午後」のみ
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:04:48.89 ID:pKXs6GYo
第7学区 茂みの中

アナウンス「学園都市全域にわたり、外出禁止令が発令されました。非能力者は各 自の部屋で待機してください。能力者は各学校に集まってください。風紀委員は各支部で待機」
このアナウンスが繰り返されている。何度目なのかもう分かりはしない。そして同じ数だけ悲鳴と爆発が聞こえる

初春「スキルアウトは能力者を狙っているみたいです。佐天さんは指示通り自分の部屋で待機しておいてください

佐天「でも、アタシもなにか手伝いたいよ!」

初春「駄目です!スキルアウトは銃器で武装してるんですよ?能力者ばかりを狙うとは言っても、私たちと一緒にいたら流れ弾だって当るかもしれません 」

白井「初春の言う通りですの。佐天さんは私が部屋までお送りします。それと… 」
歯切りが悪そうに言った
白井「お姉さまは初春を177 支部まで護衛してほしいですの。初春だけでここから支部まで行かせるのは危険ですから」

御坂「わかったわ」

白井「そのあと必ず学校へ行ってくださいまし。常盤台なら高レベルばかりですから、奴らもつっこんできたりはしないでしょう 」
不安そうな目で訴える
御坂「分かった、約束する。じゃあ初春さん、行くわよ。つかまっててくれる? 」

白井「佐天さんも行きますわよ 」

白井は佐天と共に消え、御坂は初春を背負い、支部へ向かって走る
商店のガラスは割れ、道脇にはところどころ銃痕や血痕や倒れている人がある
生理的な気持ちの悪さを感じないように、脳内で感情の伝達を遮断しながら、安全な道選択し走る。背中の初春はすでに気を失っていた
やられそうな人を見つけては致死レベルの電撃を飛ばし助け、交戦している警備員を助けながら、何とか177支部へ着いた
もう何人の人を殺したのか、殺されるところを見たのか、死んだ人を見たのか、彼女はもう分からなくなっていた

御坂(アイツは、大丈夫かな?)
ふと、ある男の事が脳裏に浮かんだ

御坂(総合管理システムに潜り込んだのが本当にアイツなら、今日の事に巻き込まれている可能性が高いわね)

御坂(アイツに、問いたださないと)
そして彼女は支部の端末を操作し、走り出す。初春はまだ意識が無いままだった
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:05:23.39 ID:pKXs6GYo
第7学区 茂みの中

アナウンス「学園都市全域にわたり、外出禁止令が発令されました。非能力者は各 自の部屋で待機してください。能力者は各学校に集まってください。風紀委員は各支部で待機」
このアナウンスが繰り返されている。何度目なのかもう分かりはしない。そして同じ数だけ悲鳴と爆発が聞こえる

初春「スキルアウトは能力者を狙っているみたいです。佐天さんは指示通り自分の部屋で待機しておいてください

佐天「でも、アタシもなにか手伝いたいよ!」

初春「駄目です!スキルアウトは銃器で武装してるんですよ?能力者ばかりを狙うとは言っても、私たちと一緒にいたら流れ弾だって当るかもしれません 」

白井「初春の言う通りですの。佐天さんは私が部屋までお送りします。それと… 」
歯切りが悪そうに言った
白井「お姉さまは初春を177 支部まで護衛してほしいですの。初春だけでここから支部まで行かせるのは危険ですから」

御坂「わかったわ」

白井「そのあと必ず学校へ行ってくださいまし。常盤台なら高レベルばかりですから、奴らもつっこんできたりはしないでしょう 」
不安そうな目で訴える
御坂「分かった、約束する。じゃあ初春さん、行くわよ。つかまっててくれる? 」

白井「佐天さんも行きますわよ 」

白井は佐天と共に消え、御坂は初春を背負い、支部へ向かって走る
商店のガラスは割れ、道脇にはところどころ銃痕や血痕や倒れている人がある
生理的な気持ちの悪さを感じないように、脳内で感情の伝達を遮断しながら、安全な道選択し走る。背中の初春はすでに気を失っていた
やられそうな人を見つけては致死レベルの電撃を飛ばし助け、交戦している警備員を助けながら、何とか177支部へ着いた
もう何人の人を殺したのか、殺されるところを見たのか、死んだ人を見たのか、彼女はもう分からなくなっていた

御坂(アイツは、大丈夫かな?)
ふと、ある男の事が脳裏に浮かんだ

御坂(総合管理システムに潜り込んだのが本当にアイツなら、今日の事に巻き込まれている可能性が高いわね)

御坂(アイツに、問いたださないと)
そして彼女は支部の端末を操作し、走り出す。初春はまだ意識が無いままだった
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:14:33.40 ID:pKXs6GYo
学園都市 第14学区
ここもまた、同じように騒乱の中にあった

垣根(なんだかおかしいことになってるじゃねえか。何だこいつらは)

彼はもうすでに20人は殺している。着ている服も返り血がひどい
垣根(指示にあった位置は此処なんだが)

垣根(こうも街中がぐちゃぐちゃだとな、別ルートで逃げられたか?)

垣根(連絡入れて、帰るか。ここにこれ以上いても面倒だ)

そう言って携帯を取り出し、心理定規をコールするが、出ない

垣根(どういうことだ?まさか何か有ったってのか?いや街中がこんな状況だ。アイツの能力は銃の乱戦には向かないとなると、電波の無いところで隠れているって可能性もある)

垣根(まずは隠れ場所へ向かうとしよう)

踵を返した時、声がかかる

上条「あなたが第二位であってますでせうか? 」

垣根「何だお前は」

上条「あなたが、ここにいる理由が、私ですよ」

垣根「お前は何を言っているんだ 」
少なからず動揺が見える

上条「あんたをここに呼び出したのは俺さ。偽の依頼でな」

垣根「…あー、つーことはこのゴタゴタもお前の仕業か?随分と派手にやっているようだがなぁ」

上条「俺じゃないさ。うちの仕業かもしれないが、俺は知らないし、やってない。 都合はいいけどな」
垣根に近づく上条

垣根「この第二位さまに楯突こうってワケね。良いじゃん。お前、幻想殺しだよな?」

上条「ああ、そうだ」

垣根「いいねえ。こっちはお前のことを知ってからずっと思ってたことがあんだよ

上条「へぇ、聞こうじゃないか」

垣根「お前の幻想殺しが俺の"非常識"に通用すんのかなってな」
6枚の白い翼が現出する
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:26:20.68 ID:pKXs6GYo
(敵意を認知。まずは敵能力の情報収集ができるようお願いします)
上条(お願いしますって、オイ…まぁ、俺の事を知ってるみたいだから、いつもの右手主体でブラフだな)

目の前の垣根が消えた、と思うと天井が崩れ、瓦礫が弧を描き、上条の背後に迫る とっさに側方へ飛ぶ事で回避する
回避した先は、壊れた天井から日の光が差し込み、光が上条を襲う

上条「痛ぅ?!」

着ていた服が焼け皮膚が焼ける。思わず声が漏れ、影に飛び込むが、一部の光は上条を追うように曲がる。曲がった光を右手で覆うと、覆っている部分は無効化出来た

(背部の損傷、行動に支障なし。ここまでは想定の範囲内です。さあ続けてください)

上条(ちょっと!?右手とか言ってる場合じゃないんだが)

(傷については、痛みは瞬時にシャットアウトしていますし、もし深くてもナノマ シンが最大限代替しますからどうぞ存分に戦ってください)

上条(鬼畜すぎるぞお前、って危なっ)

垣根が急に眼前に現れ、翼に殴られそうになる。
右へ左へ後ろへ回避するが、伸びる曲がるで数発もらってしまう

垣根「どうした幻想殺し。逃げてばっかだとジリ貧だぞ」

(有る程度分析が終わりました。挑発等で相手の能力をより引き出してください)

上条(えー、上条さん的には本当にもうギリギリのラインなんですけど)

上条「ヌルい攻撃ばっかりで何言ってんだ。ほらほらこっちからも行くぞ 」

翼を右手で触れ、足で殴る
カウンターのように動いた翼を思わず左手で消し去り、左足で垣根を蹴り、反作用で距離をとる

上条(体が軽いし、最適な動きがシュミレートされる。その上ホントに右手以外でも対処ができた)

上条(上条さんかなりパワーアップですよ)

(この段階までのシュミレーションができるようになっただけです。油断はしないでください。あと、両手両足での能力発揮まではもうバレてしまいましたが、全力はまだ出さないでください)

上条(副作用もあるしな。俺も極力使いたくはないさ)
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:37:24.49 ID:pKXs6GYo
最初と明らかに動きが変わり、少数ではあるが攻撃を入れられるようになる

垣根(情報と明らかな差異があるな。どこが右手以外能力無しで一般的な身体能力だ。足に至っては靴を履いているのに一時的に能力が抑えられた )

上条が間合いを取った。瓦礫を投げつけ、上下左右分離爆散重力変化をさせてみるが、的確に垣根の虚を突いた動きで避け掴み、足が有る場所では重力も逆転しない

それでも一方的な戦いの図に大きな変化はない

垣根(ムカつくな。俺の考えを読まれ始めている。精神系の能力では無いとすると、厄介だが対処できる。そういえば最初の 光では背中を焼かれていたよな)

垣根(両手両足以外、つまり胴部は守れないのか? 何度目かの間合いとりで下がった時、不意に垣根が消え、不自然な爆発が発生した)
すんでのところで避けたが、シャツがところどころ赤く染まる
その後に何度か爆発を行ったが、すでに適応されたのか回避されるか打ち消される

垣根(予想は的中。精神系では無いし、胴部へのダメージもある)

垣根(アイツ自身には捻じ曲げた物理法則は通用しない、が、それによって動いている物体からの胴部への被損は逃れれない)

体育館内の濃度勾配を変化させ火の元へ強引に送る。物理的に館内の酸素濃度が下がる。
燃焼により生まれた気体の水を強引に液化させ、物理的に館内の気圧がさがる

(酸素濃度及び館内気圧の急激な減少を確認。このペースだとナノマシンによる適応能力を越え、3分で行動能力を失います)

上条(これは不味いな。現実の物理現象にはどうしようも有りませんよ)

(敵は不可視状態、時間的制限内に捕まえることは難しいでしょう。仮に捕まえたとしても、気圧は戻るでしょうが、酸素濃度の回復には時間がかかります

上条(短期的に現状を打破する必要があるってわけだな。敵能力の分析はどうだ?)

(斬撃、来ます、後ろへ。まだ敵は全て出来るすべての行動をしていませんし、攻撃速度にも余裕があります。明らかなイレ ギュラーが有る上条当麻情報の修正と確認のため、そして全力を出すとこの状況を破壊してしまうことから、手を抜いていると考えられます)

(しかし、こちらの分析は彼の戦闘能力・能力範囲の分析をしていたわけではありません。爆発罠が有ります。1m後ろへ飛び右腕を水平に)

(私が行っていたのは敵能力そのものの分析。未元物質の分析です。現段階でおおむね仮説通りです)

上条(うおっ、腹が少し切れちまった。じゃあもう遠慮はいらないってことか。これ以上状況が悪くなる前に、敵が本気を出す前に、全力で無効化する)
(了解。分析を終了。能力の拡大に全処理を傾けます。酸素濃度限界残り時間1分22秒)
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:54:46.73 ID:pKXs6GYo
間違い発見正しくは
垣根(胴部は守れないのか?)何度目か〜

上条「残念だったな、学園都市の誇る第二位さんよ。タイムアップだ。これから地獄へエスコートさせてもらうぞ」

垣根「ぬかせ。この状況で何を言っている。ついに脳へ酸素が送られなくなったか」

上条「さぁ質問だ。俺の足でけられた時、どうだったかな?そしてその足には靴が履いてあった」
上条「さてこれがどういう意味を指すでしょうか?」
気圧が戻る。液体が急速に気体へ変化していく

垣根「まさか、おま… 」

上条「今、俺はお前を視認できる。そしてお前はもう、すでに意識はない…これじゃ質問にならねえな」

(無理も有りません。能力を失えば、この酸素濃度では普通の肉体の人間はまず生きていけません。さぁ速く連れ出さない と、第二位の脳が死にますよ)

気圧が下がっていたためか、体育館の壁はすぐに壊すことができた。
新鮮な空気が上条と垣根の脳へ酸素を送る。意識が戻る前に、垣根の体へ麻酔を施した。これで、彼は36時間は目覚めることはないだろう

上条(お前、人使いが鬼畜すぎるぞ。上条さんはスーパーマンじゃ有りませんからね!)

(輸送班へ指示を出しました。もうじきここへ来るでしょう)

上条(アメリカへ送る、か。さてお前はなんでこいつを拉致しろという命令が出たんだと思う?)

(彼の能力の分析を行う前から想定していたんですが、彼の能力は全ての能力に共通しています)
(発火能力、液体操作能力、特定物質操作能力、etc。これらの能力は全て何らかの物理現象を捻じ曲げて行われているように見えます。実は全て物理現象に沿っては居るんですが、この場合は話ががややこしくなるので割愛させていただきましょう)
(そして彼の能力は、全てを行おうとすれば、出来ないという可能性もない。ということは彼を徹底的に解明すれば全ての能力についての分析ができるわけです

上条(じゃあ、こいつの体は恐らく…)

(ええ、徹底的に調べつくされるでしょう。恐らくは、脳内の細胞一つ一つまでより分けるほどに。バラバラになれば反抗もできませんからね。合理的です)

上条(文字通り、地獄までエスコートしちまったってわけだな)

車が止まる

CIA工作員「(英)お疲れ様。やるじゃないか、生きたままとは。さて、さっさと持っていかせてもらおう。もうじき、この騒動も 鎮圧されるだろう。怪しまれないように帰れよ。じゃあな」
バタム フロロロ
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:56:34.33 ID:CzBRC.k0
上条さんがカッコよすぎる
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:07:18.88 ID:pKXs6GYo
(彼、上級研究員のカードを持っていましたね)

上条(ああ、学園都市に内に、中々根深く入ってるみたいだな)

(この第二位の誘拐にここまで騒乱を起こすとは、誘拐だけではないかもしれませんが、本国も本気なんでしょうね )

上条(そう言えば、お前はアメリカへの帰属意識的なものが薄い気がするんだが、どうなんだ)

(私は、もともと廃棄予定でしたから。同じ意思を持つ人間が居ないように、量子コンピュータAIの意思も全てが同じとは限りません。作るたびに違う意思ができます。今確認できるだけで量子AIは二つだけ。私とアメリカ本国の中枢にある、もうひとつ)

(本国のAIの方がよりアメリカ的だったので選ばれました。しかし当然私にも莫大な予算がかかっていたのですからただ捨て るのはもったいない。そこで貴方の強化へと白羽の矢が立った)

(この事実を知っているのはごく少数に限られます。私がスイスに送られる前に、あなたの記憶喪失が漏れていたら、こうい う状況にはならず、廃棄予定のままでした)

(意思を持つもので、捨てられるということは衝撃を与えます。当然私も。その為、正直本国への忠誠とかってのはどうしても薄いんですよ。だから…)

視覚に直接、豊満な胸を持つ少し年上の女性の像が現れる。どことなく誰かに似ているような気がするが

(私をお好きなようにお使い下さいませ。ご主人様)

上条「ブフー!!!!!や、やめなさい!そういう情意を刺激するようなマネは!」
(あなたの記憶内にそう言ったものが有りましたから、この状況にふさわしいものを選ばせて…誰かが近くに居ます)

物陰から、凄く残念な物を見る目でこちらを見ている人間が居た

御坂「心配して、探し回ってみたら、一人で虚言を吐いているなんて。 」
御坂「私の胸の焦燥を返せ!心配を返せ!この馬鹿!」
目から涙がこぼれる。服も体もところどころ傷がある

御坂「心配したんだから!アンタがまた巻き込まれているんじゃないかって!私は探し回った!街中を!」

御坂「何度も弾が飛んできた!何度も人を救った!何度も人を…ひとをころした。何度も死体をみた。何度も、何度も、何度 も… 」

上条「ゴメンな。怖かったろ。でも、俺は生きてるし、こうしてお前を抱きしめることができる。だから、今は落ち着くまで こうしてろ」
胸元で抱きしめながら言った

上条(ゴメンな、か。俺はこいつを、こいつらを、騙してることになるのかな)

安心したのか、意識が途切れた御坂を上条は病院まで抱きかかえて送った
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:18:56.50 ID:pKXs6GYo
学園都市 第7学区
最後まで警備員と撃ち合っていたスキルアウトが、高位の能力者の攻撃によって弾け飛んだ

土御門(そろそろ鎮圧されたようだな。やられる可能性が無いとはいえ、守るべき学生まで前面に出て来るとは)

土御門(この武装故と言ったところだろうが、どこからこんな武器が入ってきた)

土御門(やはり、どこかの組織によるものだと考えるのが妥当だな。しかし…)

どこかで見た青髪の人が土御門の目が捉えた

土御門(なぜアイツが。いまだに外出禁止令は解かれていないハズだ。…つけるしかないな)

青髪が人気のない施設に入り込んだのを見てすかさず後に続く が、彼の意識はここで潰えてしまう。腹部に麻酔弾が刺さっている

青髪(流石は一諜報員だ 、気が付かなかった)

青髪(しかしながら扱いに苦慮するね、コイツは。かみやんの身辺を変化させるわけにもいかんし)

青髪(麻酔弾の効果もあるし、ここはとぼけ通すか。さて、)

青髪「おい、本部。今回の事について、どうして俺に事前通知が無かったんだ。監視対象が拉致任務を行うとは聞いていなかったぞ 」

OP「あなたの役割の変更の可能性があったからです。これからは上条当麻の監視の割合を減らし、最終目標の探知を優先でお願いします。具体的な行動は支援物資の届き次第です」

青髪「了解。これで少しは彼のプライバシーも向上するだろうな。通信終わるよ」

青髪(いつ何をおかずにナニをしたのかまで知っている必要は有ったのか?正直かみやんの趣味は健全すぎるんや)

青髪(まあいい。さて、支援物資ってのは何かね。期待させてもらおうか)
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:26:54.49 ID:pKXs6GYo
夜 上条の部屋
(そろそろ副作用を抑えるのも厳しくなってきました)

上条(そうか、じゃあ、頼む)

(相当な苦痛が走りますが、よろしいですね。今回はどこにしますか)

上条(出来るだけ気が付かれないように、全身の成長で)

(了解しました。では、始めます)

上条「〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

全身に痛みが走る。しかし、隣や階下に声を聞かれるわけにもいかないので声も出せない。10分弱続いた

(終わりました。良く気を失いませんでしたね。)

上条(これって痛覚消したりしてできないのか?)

(ご存知の通り、副作用制御に全微小機械と演算の大半を使いますので。強引に痛覚を消そうとしたら、処理不足でどこかの細胞が異常な変異増殖して癌になりますよ。今回の結果として身長:3cm・体重:6kg・筋肉割合:3%増の急速成長となりました。いたくて当然ですね)

上条(体育館内っていう限られた範囲での使用でもコレですか。出来れば使いたくないな)

(今回はあまり大怪我をしなかったですからね。臓器の一つぐらい潰れたらそれに全てをあてがえるんですが、次から肝臓でも毎回潰しますか?または腕を一本増やしたりとかできますが)

上条(あまり物騒なことを言わないで下さい。あと臓器潰しは最終手段な!コレ約束です!)

(分かりました。善処しましょう。今日の騒乱で恐らく明日丸一日は復旧作業になるでしょうから、ゆっくり休んでください)

ベッドに入る

上条(何かを忘れているような気もしないことはないが、何でしょうね )
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 20:59:19.28 ID:LtSUnME0
支援
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 21:25:24.17 ID:SO66S2so
期待支援

原作でも上条さん記憶喪失前はこんな風だったらいいなぁ
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 21:33:38.38 ID:v/woNsoo
シミュレーションだよ、シュミレーションじゃないよ!
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 16:31:37.75 ID:UdNLlHQo
元ネタ見たことないけどおもしろいな
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:58:27.37 ID:9ZaUyeko
日本語って難しいね
どうでもいいけど書いてる途中に話の方向がおかしくなっていくから困る

朝 上条の部屋
上条が寝ているベッドに少女が飛び乗る

禁書「とうま、ただいまなんだよ! 」

少女の体の下にある布団の簀巻きからぐぇ、という音がした

上条「うーん。何か忘れてたと思ったらこれですよ」

少女は簀巻きから身を引き、少年が身を起こし、時間を確認する。12時前だが体の倦怠感が酷い

禁書「私の事を忘れていたなんてひどいんだよ! 」
噛みつこうとして飛びかかってきた禁書の肩を両手で押さえベッドの上で向き合う形になる

上条「ごめんな、インデックス。今日は休みだし、外もどこも閉店中だから飯は冷蔵庫の中に有る分で何とかしてくれ。そし て上条さんはまだ寝たいんです。ベッドをお貸しください。なんなら、一緒に昼寝してもいいぞ」

急な誘いに少女の顔が赤くなる
禁書「え、一緒になんてとうま、ちょっと大胆かも。でも、と、とうまがそこまで言うんなら一緒にお昼寝してもいいんだよ。…とうま?」

少年は目の前でまた寝始めていた
禁書「とうま、今のは一番傷ついたかも。謝罪と賠償を請求するんだよ! 」

またしても噛みつこうとした少女。だが狙いが頭ではなく首元になっている
敵意を感じなかったのか、はたまた寝始めていたのか、上条はそのままベッドに押し倒された

禁書(私も、帰ってきたばっかりで疲れたし、スフィンクスも寝ちゃってるし、問い詰めたいことが有ったけど、どうでもいいや )

そして、狭いシングルベッドに二人と一匹が寄り添うようにありましたとさ
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:04:13.48 ID:9ZaUyeko
カエル病院
黒子「お姉さま、ご機嫌はいかがですの」

御坂「黒子、来てくれたんだ。初春さんも佐天さんも」

佐天「これ、私たちから差し入れです 」

御坂「ありがとう。でも私今日にも退院できるわよ」

佐天「もちろんわかってますよー。皆で食べましょっ」

初春「心配したんですから。起きたら居なくて、調べてみたら学校に行っていないなんて」

白井「あれほど釘を刺したんですから、守ってほしかったですわ。でもお姉さまのお陰で救われた人が居たのも事実ですの」

御坂「ごめんね。学校へ行こうと思ったんだけど、ね」

白井「大方あの殿方でしょう?聞けば、お姉さまをここへ運んで下さったのもあの方とか」

御坂「え、なんで知ってるの?」

佐天「何言ってるんですか。幸せそうに抱っこされてたんでしょ?初春が見てたみたいですよ」

初春「昨日、学校に居ないって知ってカメラで探し回ったんですよ?そしたら探してる顔がお姫様だっこされてるんですから驚きましたよ」

御坂「ごめんね心配かけて。でもカメラで見てたってことは、その」

初春「…ええ、昨日の惨状は大体把握しています」

御坂「結局、どうなったの」
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:12:14.03 ID:9ZaUyeko
白井「完全な鎮圧は17:22。昨日だけで死亡した人は学生が合計2万人弱で、内訳はスキルアウト4,976人、能力者11,892、人非能力者が1,238人。亡くなった能力者のほとんどは戦闘向きの能力ではないか、あまりレベルの高くない人たちで、非能力者の方に至っては完全に巻き込まれた人々ですの」

初春「警備員の死者も出ていますし、今急ピッチで対応しているみたいですよ。そしてここだけの話、第二位がやられたかもしれません。公にはなって無いですが、能力者管理部のデータには行方不明になってました」

佐天「第2位がー?御坂さんより強い人がなんで?鉄砲なんて食らわないんじゃないの?」

初春「分かりません。最後の記録では第14学区となってました」

御坂(14学区…アイツが居たのも14学区だった。やっぱり、アイツは)

白井「それよりも問題なのは人の心ですわ。PTSDになった生徒も多く、ショックで能力が使えなくなった生徒や無能力者を危険視する能力者、そして昨日の扱いに雲泥の差があった無能力者の能力者への劣等感・不平等感の増幅など」

白井「学校に全員集めて警備員で守らせるには人数が足りないということから、狙われていない無能力者は自宅待機となったん ですけども。それで巻き込まれた人も多いのです」

初春「事実、学校ひとつ丸々虐殺の場になってしまったところも有りますし、学生同士が戦った記録も残ってますから、仕方 なかったと言えばそうなんですが。このまま対立が進めばまたあのようなことが起きても不思議ではないです。各種武器の出所も分かっていませんし」

佐天「鉄砲なんて初めて見たよ。あれの出所がわかって無いのはこわいね」

初春「証言が一致しているのは第19学区なんですが、いざ現地に行くと、完全にもぬけのからだったそうですよ。建物そのものが有ったか分からないぐらい不確かなんです 」

御坂「わかった。それで黒子、黒子も戦ったの?人を、殺したの? 」

黒子「私の能力は銃で乱戦になると効率が悪い、中学生であるとの判断理由で後方で負傷者の移送が主な仕事でした」

御坂「そう。良かった」

御坂(私は、殺した。電撃だから感触はないけど、断末魔や悲鳴を聞いた。他人の死を一方的に直接もたらしてしまった)
表情が固まる。誰も声がかけれないでいた

御坂(アイツに、当麻に会いたいよ。また安心させてもらいたい。当麻…)
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:18:03.88 ID:9ZaUyeko
学園都市 某所
土御門「今日集まってもらった理由はシンプルだ。仕事が来たぞ」
エツァリ「内容は?タイミング的にはスキルアウトの襲撃についてでしょうか」

土御門「それが、違うんだな」

結標「じゃあ何よ」

土御門「第2位については聞いているか」

一方「どうやら誰かにやられたみたいだなァ」

エツ「初耳ですね。詳しくお聞かせ願えますか」

一方「詳しくはしらねぇが、14学区で消えた。偽の情報に釣られたとよ」

結標「あれ、第2位は中々賢いみたいなイメージ持ってたけど違うのね」

土御門「スキルアウトといい、最近は学園都市の諜報部でも掴んでない動きがたくさん入りこんでるからな」

土御門「さて、話を戻すぞ。内容はその第二位をどうにかした組織の特定と破壊だ」

エツ「不確定の仕事内容とは、上も浮足立ってますね」

一方「めんどくせェな、オィ。とりあえず土御門と海原、特定頼んだぞ。大将は高みの見物とさせてもらうぜェ」

土御門「当てはある。後は潜るだけだ。第二位を倒したかもしれない連中だ。見つかったら一方通行、頼むぞ 」

一方「まずは特定してから言うんだなァ。じゃあ、帰る」
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:24:52.19 ID:9ZaUyeko
夕方 上条の部屋
モゾモゾと部屋の主が起き上がる
上条(長いこと寝たおかげか、体の倦怠感が無くなったな)

ベッドから出ようと右を見ると、暴食シスターが居た
上条(あれ、どうして一緒に寝てるんだ?ん、待てよ、記憶が有るぞ。俺が一緒に寝ようって言ったのか)

(敵意という名の、文字通り牙をむき出しにしていたので、私が対処しておきました。どうです。彼女も気持ちよさそうに寝ているでしょう)

上条(これはグッジョブと言わざるを得ないな。助かったよ)

(どうです、自然に夜も一緒に寝るようにしては。この流れだと行けますよ)

上条(年端もいかぬ女子と夜を共にするなど武士の上条さんにはできないでござる)

(では寝るときは私に体を任せるというのは。悪いようにはさせませんよ?)

上条(…スイスでのことといい、お前に任せるのは一抹の不安がある。駄目だ)

(そこまで意地になっても、既に世間的には一緒に寝てるもんだと思われてますよ?)

上条(うぅ…どうあがいても俺はロリコン扱いの誹りを免れれないのか)

(そうですよ。どうせならやっちゃえ旦那!悪いもんじゃないですぜ)

(とまあ冗談はさておき、その子を守るという面でも、夜は少なくとも同じ部屋にいた方が良いですよ)

(私が居ても、認識できる範囲はあなたと同じですから。風呂では少々遠すぎます。彼らが本気を出せば、朝になったら居なかったなんてことも容易に考えられます)

上条(その辺については俺も考えてる。無難に部屋に布団を敷けばいいかなってな)

(駄目です。彼女に触れて居れば、魔術の類だって打ち消せるんですし、彼女だけつかまるということも避けれます)

上条(お前なんだかんだ言って単に女に触れたいだけじゃないのか?)

(元来、私たちは体なんて持ちませんから。人のぬくもりを覚えてしまった以上、出来ればそれを感じていたいと思うのは不自然ですかね)

(まぁ、彼女次第ですけど)
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:29:51.67 ID:9ZaUyeko
もうひとつの体がモソモソと動きだす
禁書「おはよう、とうま」

上条「おはよう、インデックス。といっても、もう夜になるところだぞ」
ベッドから出て、立ち上がる上条

少し笑みを浮かべて
禁書「とうまにおはようって言いたかっただけなんだよ」

禁書「…なんだかとうまが変わってる気がする。ちょっと見ない間におっきくなった?」

上条「"男子三日会わざれば刮目して見よ"って言うだろ。まぁ、久々だからおっきく見えるんだろ」

(実際に成長してるんですがね。流石インデックス、と言ったところでしょう。)

禁書「とうまはとうまだからどうだっていいよ。とりあえず、お腹すいた!」

上条「よっし、久々に上条さんの手作りご飯を堪能させてやるよ」

禁書「期待してるんだよ!でも、冷蔵庫空っぽだよ?」

上条「ここは学園都市だ!多分もう復旧してる店だってあるだろ。買いに行ってくるよ」

禁書「私も行く!卵とか落として割られたら大損害だからね」

上条「よし、じゃあ行くか」

銀行やサービス店は閉まっていたが、被害の少ないスーパーやコンビニの中には開いている店もあった
それでも銃痕がところどころにあり、昨日の事が夢幻でなかったことを思い知らされる

禁書「とうま、ここで何が有ったの?帰った時からところどころこんな感じだったんだけど」

上条「スキルアウトが武器を持って襲ったんだよ」

禁書「…私の知っているスキルアウトの情報と違うかも」
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:37:45.76 ID:9ZaUyeko
弾痕と空薬莢を見つめる
禁書「少なくともソ連の突撃小銃なんて東欧とか中東でしか見ないんだよ」

禁書「武器に厳しい日本にそんな旧兵器が組織的規模で入ってくるなんて、裏にはかなり大きな組織が居るのかも」

(流石すぎますねインデックス)
上条(伊達になんでも記憶能力が有るわけではないみたいだ。これで機械の扱い方まで覚えられると恐ろしいな)

禁書「でも、今はどうでもいいから、食材優先!とうま、今日は和牛がいいかも」

上条「勘弁してくれ。せめて半額の奴でお願いします」

買い物を済ませ、食事をとった

禁書「ごちそうさま、とうま」

上条「よっし、皿洗うから持ってきてくれるか」

トテトテと皿を重ねて持ってくる禁書
共に調理器具と皿を洗う

禁書「ねぇ、とうま」

上条「ん、どうした?」

禁書「スイスで何をしてたの?」

上条「え、上条さんはずっとこの部屋で生活していましたよ?」

禁書「ステイルとかおりが話してたのを聞いたから、隠しても無駄なんだよ。で、何をしてたのかな」

上条「…すまない、インデックス。それは言えない」

少し俯き、残念そうな顔になる
禁書「また、何かに巻き込まれてるんだね。いいよ、言わなくて。でも、急に居なくなったりしないでね」

上条「分かった。それは約束する」

禁書「やっぱり、まだ信用できないな」

皿を洗い終わり、台所で向き合っている
頬を染め、小さく言った
禁書「だからその、これから、夜も、一緒に寝てほしい、かな」

(どうやら、彼女も私と同じらしいですね)
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 03:25:43.93 ID:Mqm5KYQo
()がミサカにしか見えなくなってきたwwww
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 08:20:36.43 ID:9ZaUyeko
そのネタイタダキますお
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 16:09:25.56 ID:Mqm5KYQo
なにそれ
大歓喜
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:08:32.46 ID:I70HV7ko
でも平和的には使いません サーセン
早朝
上条の部屋(昨晩はお楽しみでしたね)

上条(だああ!紳士of紳士なワタクシめは何もしてないですからね!)

(流石に、ほんとに手を出そうとしたら全力で妨害するつもりでしたから。下半身直結脳じゃなくて良かったです)

上条(紳士ですから。もう一度言うけど紳士ですから!)

例の端末を上条が使う
上条(どうやら今日から学校再開のようだ。昨日も寝てる間ずっと復旧工事の音がしてたからな)

上条(インデックスが起きる前に朝飯作っときますかね)

幸せそうな寝顔の少女の髪をひと撫でし、立ち上がる
朝の静けさの中で、部屋の中に油の音が響く

(本国から情報が入っています。"我々の動きを探る為に動いているものがいる、極力接触は避けるように"と)

上条(あいあい。言われなくても接触なんてしたくないっての)

(注意しろってことでしょう。それと、昨日寝てる間に禁書の体内に発信器を付けておきました)

上条(ん、サンキュ。変なところを触って無いよな)

禁書「とうま、おはよう。早いんだね」

上条「おはようさん、。今日から学校始まるから、留守番頼むな」

禁書「分かった。 」

上条「あと、カードに図書館の出入貸出機能付けといたから、ホレ」

上条「暇つぶしに行ってきたらいいぞ」

禁書「ありがとうなんだよ!今日早速行ってみる」

上条「んじゃあ、行ってきます」
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:16:55.63 ID:I70HV7ko
登校中
上条(おー、もう街は大体直ってきてるな)

土御門「おはようなんだにゃー」

上条「おやようさん」

土御門「かみやんがこんな適切な時間に登校できてるなんて珍しい日も有るもんだにゃー」

上条「上条さんはもともと真面目なんですよ。今までのがむしろ偶然さね」

土御門「その真面目な上条さんが勝手に都市を脱走してこうして帰ってきているなんてにゃー」

上条「嫌だな、土御門さん。この私がそんなことをするはずないじゃないですか」

土御門「インデックスが知っているってことは俺も知ってるってことだぞ」

上条「隣の部屋の会話を盗み聞くとは良い趣味じゃねえな」

土御門「どうせ俺にも理由は言わないだろうから聞きはしないが、あまり動きはするな。どうやら胡散臭いのが入ってきてる みたいだからな」

上条「御忠告ありがとさん。まぁ、特に何か有るってわけじゃないから大丈夫だ」

(そういえば、追加の任務も来ないですし、最終目標に向かって行動している事になっていますが、どうします?)

上条(いつまでも良い飼い犬で居るつもりなんてないさ。一昨日の騒乱の裏に、本当に奴らが絡んで居るなら許せるもんじゃ ないからな)

(期を見計らうわけですね。それまでは犬でいるしかないですが)

学校
子萌「みなさんに、無事会えて幸せです」

先生の少し目が潤んでいる 中には包帯を巻いているものもいるが、生徒はそろっている。
一つの席を除いて

土御門「せんせー、青ピがいないんだにゃー 」

小萌「青髪君は怪我でお休みだそうです。ただ、命には支障ないそうです」

小萌「他に、まだ報告していない怪我を負っている人がいたら先生に言ってくださいね」

子萌「あと、本来、昨日予定していた授業は補講などは特に設けませんが、その分授業が早く進みますからみなさん頑張って くださいね。以上でHRを終わります」

土御門(記憶が曖昧だが、間違い無く俺はあの日青ピを追っていた。その時あいつに目立つ傷など無かった)

土御門(何か理由をつけて会っておかないとな)
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:23:24.44 ID:I70HV7ko
小萌「言い忘れてましたが、昨日予定していた再テストは今日行います。受けなきゃいけない人はいつものメンバーですよー」

上条「完全に忘れてた。なんてこった」

土御門「かみやん、お前は一人じゃない。俺も一緒にたたかうニャー。で、テスト終わったら青ピのお見舞いに行こうぜい」

上条「OK。学校休むレベルの怪我って相当だろうしな 」

土御門「本来ならそのポジションはかみやんの指定位置なんだけどにゃー」

上条「悔しい、言い返せない。でもそんな汚名は返上したいです」

吹寄「青髪のところに行くなら、保険の書類を持って行ってくれる?私は今日病院で検診受けなきゃならないから無理なの」
左腕がギプスと包帯に包まれている。他の人の非難を手伝っていたら流れ弾が当ったらしい

上条「任せろ。それより怪我は大丈夫か?見ていてかなり痛々しいんですが」

吹寄「昨日は麻酔が効かなくなると痛かったけど、今は大丈夫。このクラスでは私の怪我は酷い方だけど、他のクラスでは亡 くなった人もいるんだし、運が良かったと思うことにしてるわ」

土御門「怪我なら治るからな。正直、死人が出たクラスはかなりどんよりしてるぜぃ…」

上条「あんなことに巻き込まれて生きてるだけでホントに良かったよ。でも男とは違って女の子は体に傷が残ったら可哀相だ。吹寄はきれいな肌してるしな」

吹寄「ふ、フン、怪我をしてない時に言って欲しいわね、そんなセリフ」
顔を少し染めて去って行った

土御門「流石かみやんだぜい。じゃあテスト後ににゃー」

上条(正直、罪悪感が酷い)

(やったのはあなたではありません。気にしないでとは言いませんが、今は何より裏を取ることです。本当に本国が関与して るのか )

上条(そうだな。具体的な指令が出てない内に調べ回るとしよう)
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:29:56.67 ID:I70HV7ko
放課後
上条「やっと終わったか」

(あなた、想像以上に残念な頭でしたんですね)

上条(言わないでくれ。今までの自分の残念さ加減に若干悲しみを抱いてるんだ )

小萌「珍しく上条ちゃんの出来が良いようですねー。テストは以上です。気をつけて帰ってくださいねー」

上条(わざといろいろ間違えたんだが。どんだけなんですか。いや、多分記憶喪失前の俺もわざと間違えていたに違いない。でもそうなると、こうなる前の俺だけただの馬鹿なのか?)

土御門「じゃあ、青ピの所へ行こうぜ」

上条「はいはい」

移動中
土御門「なんだか嫌な感じしかしないな」

上条「ああ。確実に騒乱前より治安が悪化してる」

常に周りでは一触即発の雰囲気があった
目に見えて能力者による無能力者の迫害が増えていた。両者の怯えがそうさせているのである
なかには能力による攻撃を行って風紀委員や警備員が出てくるまでになっていることもあった
一方的な加害行為が跋扈している

土御門「もともと、不平等だったのが一気に表面化している。これは、不味いぜよ」

上条「このままじゃ、またあんなことが起きてもおかしくないな」

土御門「大声じゃ言えないがスキルアウト側の武器の出所がまだ分かっていない。武器提供がこんな対立を煽ることで都市の 内部崩壊を狙っている組織によるものだとしたら」

上条「もう一度、か。これじゃ、前回の規模よりも大きくなるかもしれんな。前のでも鎮圧までに酷い被害が出た。警備員だ けでは守り切れなかったっても聞いてる」

土御門「体制も整ってない今しばらくが、一番危険ぜよ」

上条「嫌な街になっちまったなあ。おっと、確かこの辺のパン屋だったはずだけど」

店主「いらっしゃい。残念ですが今日は店は休みです」

上条「いえ、青髪君のお見舞いに来たんですが、会えますかね 」

店主「おお、あの子の友達かい。せっかく来てくれたんだけど、今日から病院で入院してるんだ。怪我が思いのほか酷くて ね。面会はまだ出来ると思うから部屋の病院と部屋の番号を教えるよ」
カキカキ っメモ

上条「ありがとうございます」

店主「いや、礼を言うのはこっちだよ。休みだけど焼いてしまったパンが有る。君たちの分とあの子の分にしよう、頼んでい いかな」

土御門「任せてください。じゃあ病院に行ってきます」ペコリ
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:35:10.07 ID:I70HV7ko
病院(カエルのではない)

上条「まさか入院しなきゃならない程とは上条さん驚きましたよ。大丈夫か」

青髪「いやー。まさかこんなグルグル巻きになるとは思ってへんかったわ」

土御門「入院は今日からなんだろ?昨日はなぜ病院に行かなかったんだにゃー? 」

青髪「吹き飛んできた壁が胸に当ったんやけど、一日様子見とったら、あかんくてな」

上条「うへぇ、想像しただけで痛いです。コレ、店主さんから差し入れと保険の書類だ。食おうぜ」

青髪「おおきに、かみやん。ってかおっちゃん、今日は休みや言うとったのに、職人やなあ」

土御門(一昨日の段階では、こんな怪我はなかった。本当に怪我してるのか?この病院は都市外とのつながりが深いが、まさかな)
クラスの様子など無難な会話をしばし交わす

上条「うん。傷は痛そうだが元気そうだな。安心した。上条さんは食材安く買うために帰りますよ」

青髪「小萌センセにワイのラブメッセージ伝えとってなー」

上条「治してから自分で言うんだな。じゃあな」

土御門「バイナラだなにゃー」

病院を出てしばらく歩いた時
土御門「おっと、部屋に忘れ物したぜい。かみやんは先に帰っててくれるかにゃ」

上条「タイムセールだから待つのは無理だ、先に帰らせてもらいますねー」

土御門「ほいじゃ、ばいばいさよならまた明日〜 」
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:40:56.26 ID:I70HV7ko
青髪の部屋に戻る
青髪「あっれ?忘れもん? 」

土御門「ああ。忘れものさ。いや、忘れさせられそうになったと言うべきか」

間の抜けた青髪の顔から少し険しさが滲む

土御門「さて、あの時あの場で何をしていたんだ?」

青髪「さて何のことかようわからんなぁ」

土御門「とぼけるなよ。どうせ俺の立場も分かっているんだろ」

土御門「前々から何か入ってきているのは察知してるんだ」

土御門「大多数のダミーが用意されているが、深部まで到達するハッキング・経歴を書き換えた可能性のある人物の侵入・大量の武器密入の経路整備」

土御門「そして第二位の消失」

土御門「言っておくがここは学園都市内で、すでにここは包囲させてもらった。さあ、答えてもらおうか」

青髪「良く調べてあるじゃないか。流石はグループの一員だ。脅しの仕方まで教科書通り」

青髪「それでも、少々優位性を確信しすぎな面が有りすぎる」

土御門「どういうことだ」

青髪「どこの人間か、それらの事件に関わっているか、まるで答える気なんてない。ただ言えるのは、こっちは学園都市の情報は把握しているんだ。特に機密性の高い内容は、な」

青髪「君が、上条当麻と離れてどういう行動をとったか、すでに把握済みだ。ホラ」

部屋の扉が開き、土御門の部下が使っていた通信機を持った人間が立っている。
通信機には少々、血が付いていた
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:50:07.57 ID:I70HV7ko
青髪に背を向けてそれを見た土御門は、ほんの少し、笑みを浮かべた
土御門「…やられたか、仕方ない。覚悟を決めよう。だが」
振り向いて口を開く

土御門「最後に一つ、教えてほしい」

土御門「なぜ、上条当麻に近づいた?」

青髪「…言えることは、ひとつ。彼は、俺の監視対象だ。それじゃあ、記憶を弄らさせてもらおう」

土御門ににじり寄る
二人の幅はおよそ1m。ここで土御門が背後の男に手でサインを送ると同時に青髪に飛びかかる
青髪はとっさの事に判断が遅れ、土御門に抑え込まれる

扉付近に立っている助けてくれない仲間であろう人間の方向を見て、青髪は状況を把握した
青髪「二重の策とは、やってくれたな。諜報力を逆手に取られたか」

土御門「上に報告した方法と現場では違う方法をとるのも、基本だろ? 」

青髪「エッァリの事をこの場で考えなかった俺の負けさ。だが、まだだ」
確保のため近づく海原の手が伸びる前に、抑え込まれていた関節を自ら外して土御門を蹴り飛ばし、飛び起きる

青髪「そう簡単につかまるわけにはいかんのや。じゃあ、サイナラ〜」

関節を入れ治し、窓から飛び出す。
あらかじめ脱出経路が確保されていたのであろう。二人が窓から顔を出した時にはすでに 視界から消えていた

海原「逃げられましたね。予め術の類でもかければよかったでしょうか? 」

土御門「時間が無かったし、魔術なんてすぐに察知されるハズだ。今の判断で間違いは無い」

土御門「収穫もあった。関与を否定しなかったことと、上条当麻が監察対象だということ。そして俺を殺さず記憶を弄ろうとしたこと」

土御門「監視対象であることで、上条当麻はあっち側の人間って可能性がある。一般的に監視しているという意味では無い、もう一つの意味。」

土御門「通常、組織だった諜報工作活動を行う時は、メインで動く人間と、その人間が背信行為をとらないか監視している人間で構成される」

土御門「そして両方の意味で監視側の人間は、される側に身元をばれてはいけない」

土御門「だから、俺を殺さずに記憶を弄るって言ったわけだ。俺がこのタイミングで死んだら、どうしても青髪に目が行くからな」

土御門「そして残念だが、上条当麻は恐らくあっち側だろうな。そうであれば、都市から脱走して帰ってきた理由が裏付けら れる」

海原「上条当麻が敵の可能性がある…。ハハハ、あの時私が聞いた言葉は嘘だったわけだ…ハハハハ」
怒りのためか変装が削げる
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:56:55.24 ID:I70HV7ko
土御門「落ち着けエッアリ。まだ決まったわけじゃない。今はアイツが上条当麻の名前を出した意味を考えるんだ」

土御門「俺の考えでは、上条当麻はブラフ、俺たちの目を誤魔化す為のな。次の動きのメインから外れるはずだ。一応監視はつけるが」

海原「裏切は許せませんが、ここは抑えます。次の動きはなんでしょうね 」

土御門「それはわからないが、とりあえずは全力で青髪を探すしかない」

買い物中
上条「今日は魚が安い!これは買いですぞ!」

上条(パンの箱に盗聴器しかけといて正解だったな)

(とりあえず周りの目が痛いですから大声で感想を口に出さないでください)
(そうですね。中々機転が利くじゃないですか)

上条(よし、さっきの話をまとめよう。まず第一に俺の身元が学園都市側にバレた可能性がある)

上条(そして第二に青ピが監視役だった。そして第三に本国は俺以外の人間に何かをさせるつもりだ)

(都市にバレタかもしれないというのは、危険が増しましたね。裏が取れない限り、表立っては何かしては来ないでしょう が、気をつける必要はあるでしょう)

上条(青ピについては、うほ!半額シール来たー!当分は現れないだろうから問題は無いな)

(店員さん間違えて揚げたてのにシール張りましたよ。そっち持っていきましょう。問題なのは本国の動きが掴めないことですね)

上条(やつらがスキルアウトを追いたて、そしてこの街の雰囲気を生んだとしたら、狙ってやったなら、もう一度騒乱を起こそうとしているとしか考えられないな)

(今度は何のカモフラージュを兼ねているんでしょうね)

上条(分からない。青髪に聞く事が出来ればいいんだが)

(目的は同じです。土御門たちを利用させてもらいましょう)

上条(ああ)

レジ店員「あ、この半額シールは間違いみたいですね。どうされます? 」

上条「え、か、買います」
(結局こういうオチでしたか)
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 01:49:34.39 ID:yRBhg9Ao
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 21:33:28.52 ID:JzQEDuIo
上条宅 夕方
禁書「とうまお帰りなんだよ」

上条「すまん、インデックス。少々遅くなった」

禁書「私も今図書館からの帰ったところだし、気にしてないよ」

上条「早速、飯にするな」

食事中
禁書「ほうひへぱ、ほうま」

上条「口の中のものを飲みこんでから話しなさい」

禁書「そう言えば、とうま」

上条「ああ、なんだ?」

禁書「今日、駅の近くで人だかりが出来てたんだけどね」

禁書「その時、こんなビラをもらったんだよ」

"立ち上がれ!無能力者よ! この学園都市において我々は多数派のハズだ。だが奨学金は能力者の方が多い上、無能力者は良い学校へ進級することもで きない 能力者に不当な暴力を押しつけられても、都市の治安機構は能力者の肩を持ち、我々は泣き寝入りするしかい 日本は民主主義国家では無かったのか!我々は特権階級を許さない 先日の騒乱によって、多くの死傷者が出た だがこれは、もとはと言えば能力者優先のこのシステムによって起きたといえる 諸君らも知っているだろう。能力者は学校に集められ警備員に保護されたが、我々は自宅待機だった このせいで巻き込まれた無能力者が死傷者のほとんどだ これは都市運営側の本音を表している 役に立たない無能な者は死んでも構わない これが彼らの本音だ。このような体制が許されていいのか!弱者には死のみが相応しいというのか 次の土曜日に我々はデモを企画している 間違ってほしくないが、平和的なデモである。場所は統括理事会の施設が有る第一学区中央通り 難しい言葉が分からない小さな仲間達は集まってくれるだけでいい 皆でプラカードを掲げ、無能力者の待遇改善に向けて立ち上がろうではないか 決行日は次の土曜日!朝10時からだ!より多くの不満を持つ同士が集まってくれることを希望する!

禁書「皆結構聞き入ってたよ。途中で警備員が来て集会は中止させられてたけど」

上条「気合入った学生運動だな」

禁書「これは穏健的な動きだけど、下手に統治者が動いたら一気に大暴動の原因になるのは、歴史的に保証されてるんだよ」

上条「集会は明後日か」

禁書「当麻も参加するの?」
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 21:38:26.71 ID:JzQEDuIo
上条「どうだろうな。でも、書いてある内容に共感できるのは事実だ」

上条「インデックス、この日は絶対部屋でじっとしててくれ」

禁書「行ってみたかったけど、とうまがそう言うなら。人が多くて迷っちゃうかもしれないしね。とうまはどうするの」

(これが大規模なデモなら裏方で動きやすいでしょう。同様にCIAも動くはずです)

上条「多分、補講があるな」

禁書「とうまだけいつも通りなんだね。ごちそうさま。先にお風呂入ってもいいかな」

上条「はいよ。いってらっしゃい」

次の日 中学校
初春「え、佐天さんデモ参加するんですか? 」

佐天「別に本気にして参加するつもりじゃないよ。ちょっとしたお祭りみたいな感じで行ってみるだけ」

初春「平和的なデモなら社会見学って意味もあるかもしれないですけど」

佐天「危なかったらすぐに帰るよー。難しい話も分かんないしね」

初春「一応、風紀委員も警備員も警備監視に立ち合いますし。私はバックアップですけど」

佐天「そっか、なら安心だっ」

初春(なにも起こらなければいいんですけどね)

放課後(さて、探索を始めましょうか)

上条(あいよ。今日は土御門も青髪もいないからすぐに単独行動が出来るな)

(単独行動は良いのですが、問題が有ります。今下手に動いてるのを見つかってしまうと、都市側に狙われますから)

上条(たはは、青髪も面倒なことをしてくれたよ)

(はい。昨日の夜時点で要注意人物に指定されていました。すでにいろいろなチェックがなされていましたし、かなりマークされることになります)

上条(そうなると、この能力とナノマシンだけでは少々不安だな)

(簡単な銃火器でも欲しいところですね)
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 21:43:00.09 ID:hGN2U/wo
>放課後(さて、探索を始めましょうか)
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 21:45:02.21 ID:JzQEDuIo
(うちの武器弾薬庫が学園都市内にもあるので、それを拝借しましょう)

上条(どこか分かるのか?)

(前の騒乱の時にも武器が大量に入ってきていましたが、大量ならばより普通の経路じゃないと輸送できません)

上条(つまり、普通の経路で武器も入ってくるわけだな)

(そう。そして木を隠すなら森といいます)

上条(11学区のコンテナ倉庫群だな。確かにあそこならいろいろ隠せそうだ)

(ちょうど本国から支援物資が入ってくるようですから当りもつけやすいでしょう)

第11学区 コンテナ倉庫
作業着に着替えた人間がコンテナの到着を待っている
青髪(流石に、能力者や魔術師の組織相手に生身の人間じゃ限界がある)

青髪(支援物資次第でこの後の行動方針が変わるが、さて)

ブロロロロr
青髪「ハイ、オーライ、オーライ、オーライ、オッケー!」

運転手「ありがとよ。ホレ。鍵だ」

青髪「一応、中身を確認しますねー」

運転手「あいよ。」
ガチンガチン バタム
運転手がトレーラーの後部ドアを開けた瞬間、青髪が取り押さえる

運転手「おっと、兄ちゃん、何すんだ」

青髪「"肝に銘せよ 我々の大義とモットーは"」

運転手「"「我等の信頼は神の中に有る」" 」

青髪「すまない、少々手こずってて」

運転手「気にするな。良くあることだ。これを渡しておこう。手渡しで渡せということだったからな」
っペンケース
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 21:47:19.57 ID:JzQEDuIo
おっとー!ここで放課後さんまさかの登場だーッ!
正しくは
放課後
()
です
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 21:53:26.65 ID:JzQEDuIo
青髪「何だこれは。万年筆か」

運転手「さぁな。俺は知らされてない。何かの功労賞でも取ったんだろ」

青髪「ペンよりはビールの方が良いんだがなぁ」

運転手「ハハハ、全くだ。まぁ、せっかくもらったんだ大事にしろよ。箱の方もな。んじゃあ、怪しまれない内に戻る」
ブロロロr

青髪(箱まで?フン、二重底か。アイツ知らないとかぬかしやがって)

青髪(メモ、とパネル?ほう、経口投与ね)
パネルから出てきたフィルムを舌に乗せる

カツーン
その時、倉庫内に音が響く
青髪(ゆっくりしすぎたか。消えよう)

上条(さて、この倉庫だよな)

中は暗い。ポケットからライトを出そうとして、落とした
カツーン
金属製の屋内に音が響く

(ちょっと、隠密行動中ですよ?音を立てないでください)

上条(スミマセン。でも幸運なことに誰もいないみたいだ)

(どうでしょう、今ので逃げたかもしれませんよ)

上条(うう。これ以上責めないでください。変な方向に目覚めちゃいます)

(あなたの性癖はどうでもいいですが…このトレーラーですね)

上条(うへぇ、開いてるな。マジで逃げられたか)

(でも、中は触って無いように見えますね)

上条(得物はあるかなーっと)

(アメリカ製の武器ばかりですね。どれも整備が行き届いてます。ロシアや東欧の銃・規格の物は有りません)
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 22:16:21.70 ID:JzQEDuIo
上条(こんなに武器を侵入させることができるんだ。ほぼ黒だろうな)

(そうですね。システムウェポンの突撃小銃や突撃カービン銃も有ります、が、こんな長い物、隠し続けるのは手間です)

上条(そうだな。拳銃でいこう。この辺が拳銃だが、どうする?)

(今調べます。大きいのは反動が大きくあなた向けじゃないですね。ガシガシ拡大能力使って筋肉量増やすなら良いですが)

上条(あの痛みをしょっちゅう味わうのは御免ですよ。コレなんてどうだ?小さいし、セミ・フルの切り替えも付いてぞ)

(G18Cというらしいです。フルオートの反動が少々大きいですが、拳銃で弾幕を張れるのは良いですね )

上条(弾と弾倉はあるか?)

(弾倉入りの弾丸がここに。9x19の奴です10程持っていきましょう)

銃に弾倉を込め、適当に狙いを定める
上条(案外重いもんだな。この銃の使い方と手入れの知識を頼む)

(了解。ですが、残念ながら知識は有っても経験が無いと効率よく使えません)

上条(昔からずっと諜報員なら拳銃の経験ぐらいあるハズだ。過信はしないけどな)

(では、ささっと帰りましょう。もうライト落とすなんてヘマしないでくださいね )

扉を閉めて帰路に着く

上条(同じ過ちを何度も繰り返すほど、上条さんはアホではありません)

(では、何度もエロ本をインデックスに見つかってしまうのは何故なんでしょうね?)

上条(男はすぐ手の届くところにエロをおいてしまうという悲しい習性があるのですよ)

(では、昨日も一緒に寝たインデックスも手近なエロというわけですね。この鬼畜)

上条(いや、俺は、その、そう!父親みたいなもんだ!)

(そうですねーオトウサンナラシカタナイデスネー)

上条(もうやめて、ね。弄らないで下さい)
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 22:24:14.24 ID:JzQEDuIo
夜 アイテムアジト
麦野「今日集まったのは他でもないわ。仕事よ」

フレ「第二位が消えたってのに仕事。結局、暇になるって期待はもともとしちゃいけなかったワケね」

絹旗「タイミング的には超めんどくさそうなんですけど」

麦野「オラ聞け。内容は『上条当麻の監視及び排除』よ」

浜面「ちょっと待て、アイツが何をしたってんだ。内容も意味分からん。何だよ監視と排除って。どっちだ」

絹旗「相変わらずの超鳥頭、いや、超ウサギ頭ですね。ウサギ趣味なのは同族愛ですか? 」

滝壺「ウサギさんの恰好はしたことあるけど、私はウサギじゃない。ごめんね、はまづら」

浜面「いや、俺が好きなのは人間ですから、ヒューマンですから。って話が脱線したぞ」

絹旗「はぁ、いいですか。こういうのは、基準が有って特定の行動を行うと[ピーーー]場合と、わざと泳がせて敵の目標が分かり次 第消す場合に分かれます」

フレ「結局、上が敵の目的を掴んでない時にでる依頼ってことよ」

麦野「あんたたち良く分かってんじゃない。今回は後者ね。逐一報告して、上がGOサイン出したら消す」

浜面「何をしたらこんな不安定な立場になるんだ」

麦野「知ったことじゃないわ。結局[ピーーー]んなら最初から消せばいいのに、手間のかかる仕事よ」

麦野「あと、こいつの仲間として挙げられている、この青髪の男も似たような立場よ。コイツはメンバー・ブロックに同じような任務が出てて、かつグループにも追われてる」

フレ「あれ、こいつ無能力ってなってるけど。3つの組織に同時に睨まれる無能力者なんて終わってる」

滝壺「むぎの、多分この人には私の能力は通じない。監視は難しいかもしれない」

麦野「幻想殺し、ね。わかってるわよ。そういう時は足で稼ぐの。そういうときに便利な体力馬鹿がウチにはいるじゃない」

浜面「え、俺?絹旗だっているじゃねーか」

絹旗「自分の代わりに年下の女の子を走りまわさせるなんて、甲斐性なしにも程が有りますよ」

女性陣の集中視線に晒される
浜面「分かったよ。やります!やらせて下さいお願いします!」

麦野「はい決定。じゃあ明日は浜面がひたすらおっかけて、私たちは車の中でモニター見ながら待機ね。はいこれGPS内臓の無線機」

フレ「頑張ってねー」

絹旗「標的を見失ったら超殺します」

滝壺「大丈夫、私ははまづらが見失っても失望したりしない」

浜面「それは端から期待してないって意味じゃないですよね?」
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 22:46:29.40 ID:JzQEDuIo
デモ決行日 朝 上条の部屋
禁書「おはよう、とうま。土よう日なのに早いんだね」

上条「お。おはよ。前に言ったろ、今日は補修だって」

禁書「ん〜そうだったかも。朝ご飯はある? 」

上条「昼の分まで有るぞ。一気に全部食べるなよ?あと、」

禁書「分かってる。今日はじっとしてるんだよ。本、昨日たくさん借りたから、今日だけじゃ時間が足りないかも」

上条「そう言えばなんの本を読んでるんだ?」

禁書「機械工学とか、プログラムとかだよ。この都市で機械の知識がないのは色々不便だからね」

上条「へぇ~。インデックスは理系なんだな」
適当な本を掴む
禁書「ちょ、とうまそれは見たらダメ!」

上条「案外年相応の本も読んでるじゃないか。カッコつけなくても、好きな本を読めばいいと思うぞ」

禁書「最近とうまがすごい余裕がある感じがする。もう、早くいかないと補習始まっちゃうよ!」

上条「ん、分かった。じゃあ行ってくる」

禁書(とうま、今日も多分帰りが遅いんだろうな。あ、晩御飯どうしよう)

学校方向にしばらく歩く
(多分、気づいてると思いますが)

上条(ああ、ド下手な尾行が居るな。しかも俺アイツと面識が有るぞ)

(今調べたところ、どうやら人為的にあなたの要監視レベルが上がってますね)

上条(青髪か、または仲間たちだな。囮にしたかったんだろうが、めんどくさいんです)

(まきますか?地図的には良い立地が有りますが )

上条(ホントに俺を尾行をするつもりなら、恐らく、アイツはダミーだ。もう一人、得意な奴がいるはず)

(同意見ですね。そっちがはっきりするまで今のままにしましょう)
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:05:49.35 ID:JzQEDuIo
浜面『今、ターゲットが学校方向へ進んでる。どうやらこっちには気づいてないみたいだ』

麦野「オッケー。その調子よ、浜面。このまま続けて」
無線の発信ボタンから手を離す

絹旗「しかし、浜面は尾行が超下手ですね」

麦野「あの馬鹿は理解しては無いだろうけど、役割は果たしてるからいいのよ」

滝壺「騙してるみたいで、はまづらに、悪い気がする」

麦野「騙される方が悪いわ。標的の男も負けないぐらいアホ面してるし、気づかれないでしょ。馬鹿とハサミは使い様って言うとおりね」

フレ『ハイハーイ。ちょっと、このままだと結局学校へ行っちゃうんだけど、どうするわけよ?』

麦野「今日は休みで補講も彼には入って無いハズよ。必ずどこかで方向を変えるはず。気にしないでおっかけて」

フレ『了解。体力には自信ないんだけどね』
通信が切れた

モニターに第一学区の情映像が入る
絹旗「第一学区に人が超集まり始めてますね」

滝壺「暑そう」

麦野「てっきりこっちいくと思ったんだけどね」

絹旗「こんなところで尾行は超無理です」

滝壺「蒸し暑いのは、嫌」

麦野「そりゃあ皆嫌に決まってるわ」

絹旗「これだけ集まってると痴漢とかいそうですね」

麦野「只でさえ汚い手が汗でベタベタなんて最悪」

絹旗「菓子の油でベタベタな自分の手を見ていってください。ちょ、顔に触れないでk」


100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:14:35.04 ID:JzQEDuIo
超長いから全部読むとか超アフォなことはしないで下さいね

第一学区 デモ集会

能力者の優遇を緩和しろ!
能力者による暴力に裁きを!
風紀委員の無能力者比率をあげろ!
能力者にも発言権をよこせ!
等々のプラカードや叫び声が上がっている
参加者総勢約100万人。75%以上の無能力者が参加したことになる
都市人口の約35%が第一学区の広場に集まったことになり、かなり騒然とした雰囲気となっている
当然、湿度温度ともに異常な高さになっている
風紀委員や警備員が周りを取り囲んではいるが、如何せん、数が少なすぎるようだ

佐天(うわぁ、蒸し暑い。頭ははっきりしないし、こりゃあ倒れる前に帰らないと)

少し離れた場所へ何とか移動した。大分、気も安らぐ。落ち着くことができた
佐天(真ん中の大台で熱心にマイク持ってる人の周りにいる人とか、絶対にやばいだろうなぁ)

無能力者代表「ここに集まった諸君、残念ながら我々はこの街では負け組だ!何故なら我らには特異な現象を起こす能力がな いからだ!そういった能力を持つもの達がある種の天才であることは認めよう
だが!ここに集まった100万人の同士諸君らの中になにがしかの天才や能力のあるものがいないと言うことがあるだろうか?
答えは否だ!天才的な数学能力を持つ者、天才的な文章作成能力を持つ者、天才的なリーダーシップを発揮するもの…数えればきりがない。数々の天才がこの中に埋もれているはずだ
だが!そのようなものがこの街では評価されず!才能を埋没させている!何故なら超自然現象を引き起こすことが出来ないか らだ!この事とそれら天才的な才能となんの関係性があるというのだ
超自然能力を持たない者に価値が見いだされないこの現実はおかしくはないか
そして!残念ながらそのような天才的な才能をも持たないであろう、私を含めた大多数の無能力者よ!諸君らにはなにも才能が無いから役たたずだと思っている人がいるかもしれない
だがそれは間違っていると私は断言する!考えてほしい。果たして戦争で英雄さえいれば勝つことが出来るか、仮に勝てたと しても一人の英雄だけでそこを占領統治出来るか。出来はしない
もっと日常的な例をあげよう。たった一人の天才的なカリスマと経営能力を持つ人だけで、会社を成長させ運営させることが 出来るか。出来はしない
つまり天才だけではなにも大事を成し得はしないのだ!何をするにも諸君らは必ず必要だ!一人一人ではなく集団として、時 には一人の兵として、必ず必要なのだ
先日、痛ましい事件があった。我らの急進派とも言えただろう人々が武器を手に立ち上がった。私は彼らの蛮行を決して正当化するつもりはない
だが!彼らの勇気に学ばねばならないところがある。それは能力者に向かって立ち上がることができた勇気だ!都市の不平等 を暴力的ではあれ、変化させようとした大義だ !
彼らは今の我々にない、人間的な強さがあった!考えてみろ!彼らの恐れを!一人で軍一師団の働きが出来るという高位能力者を相手に貧相な武器で立ち向かった、その恐れを封じた、強い意思を!
今ここに100 万の同士がいる。一人一人は弱くとも、この人数のの強い意思が集まれば、理事会の差別主義者共にだって無視はできない!さあ叫べ!諸君らの希望を!その平等への賛歌は何者にも負けない正当性を持つのだ!」
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:22:05.72 ID:0Vp84bM0
ぱねえwwwwww
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:22:51.11 ID:JzQEDuIo
人間という生き物には、洗脳を受けやすい環境がある
自分の自律的な意識 が抑えられ、他人の言葉を意識的に聞き入ってしまった時は、それに当る
つまり100万という人数の人間が集まり、異常な湿度と温度があるこの場はまさに洗脳・刷り込みといった行為に対して、まさしく適所であった
逆に、同条件で自分のアイデンティティーを否定されるような発言を聞くと、強力に否定したくなり、恐怖を覚えるのもまた 人間である

多くの人間が声を荒げる中で、事件は起きた
過酷な環境の中で、少女が一人、倒れてしまった
それを見た風紀委員があわてて駆けつけようとするが、デモ参加者が邪魔で中々助けに行けず、力で押しのけようとした
それが不味かった
冷静な思考が断たれたデモ参加者の何人かに、風紀委員が暴力で強引に集会を止めようとしていると見えてしまった

「風紀委員がデモを止めに入ったぞー!!」

こんな声が上がった
これが連なり、大きな声になって全体に行きわたる
風紀委員にそのような指示は出てなかったが、この場にいる恐怖と、蒸し暑さで、それに沿うような動きをしてしまった

「デモは中止です!至急解散してください!」

「解散しろ!デモは中止!中止だ無能力者ども! 」

解散しようとするデモ参加者を案内する風紀委員もいれば
解散に抵抗しようとするデモ参加者を、能力を使って強引に押しのけ、中央の大台へ向かおうとした風紀委員もいた
それらは、中央大台にいる者の目には、デモを強引に中止させようとする都市運営者側の意思として映った
無能力者代表「諸君!残念ながら統括理事会は我々の希望を拒否し!このような答えを向けた!だが!諦めてはいけない 我々の正しさは未来永劫揺らぐものではない!各自行動を起こし、必ずや本当の平等を手に入れようではないか! 」
そう言って、彼は引きずりおろされた
第一学区は大混乱となった
警備員、風紀委員共に統率のとれた動きは出来ず、飛び交う指示で混乱をさらに深めていった
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:27:48.77 ID:JzQEDuIo
第7学区 上条の高校まで後わずか
フレ(学校の正門まであと100m。かなりグダグダ歩きながらここまで来た。流石に何か有るはず。まさか、わざとおびき寄せている? )

フレ(とすると、学校の周りにはすでに敵の味方が配置されている可能性があるわね。ここは先に学校周辺の安全を確認しておくべきかしら)

フレ「学校までもうすぐよ。これじゃ流石に何もないって方がおかしいんじゃない?」

麦野『そうね。待ち伏せの可能性もあるとすると、ここからノークリアで浜面を尾行させるのは危険かもしれないわ。フレン ダ、先に行って安全を確認して』
本来ならば浜面の事など捨て置きたいが、隣に滝壺が居る以上、彼の安全を考慮しないわけにはいかない。こんなところで無駄に対立の溝を作るのは得策じゃないと麦野は判断した

フレ「アイサー。じゃあ先に学校に行くわ」

(ようやく焦らしの効果が出ました。真の追跡者が見つかりましたよ)

上条(学校まで残りわずか。やっこさんが先行しようとするのは当然だし、読み通りだな。それで、そいつはどこにいる?)

(すでに学校内部へと入りました。カメラ映像はコレ)

上条(了解。じゃあ本気で動きますかね!)

突然、浜面の視界から、上条が消えた 道へ飛び出し、辺りを見まわす
浜面(しまった!ロストしちまった!)

とっさに無線を取り出し、発信ボタンを押そうとしたところで、発信器が銃弾で射抜かれる
弾が飛んで来た先を見ると男が立っていた
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:32:50.21 ID:JzQEDuIo
上条「よう、久しぶり」
そう言って、サイレンサー代わりに使って、穴の開いてしまったペットボトルを投げ捨てる

孤立無援で相手は銃を持っているターゲット。この状況を浜面はすぐに理解した。下手には動けない
浜面「…お前、何をしたんだ?」

上条「言えないから、お前らにこうして追われてるんですよ。とりあえず、追跡するコツを教えてやろうと思ってな。」
接近する上条

浜面「この状況で何言ってんだテメェ?!」

上条「敵の死角への潜り方、こうやるんだよ」

そういって浜面の視界から消え、首筋に衝撃を与えた
上条(さて、ようやく行動できるようになったが、どうする?)

(武器流入の裏を取るなら、都市の流通を管理してる所へ行かないと。恐らく、データベースには偽装された記録しか無いでしょうし)

上条(偽装の痕跡、つまりどこかで搬入物が書きかえられているログとか、有りもしない所へ発送される予定の記録、長期的 に置きっぱなしになっていたものの 記録、そして第19学区へ大量に発送された記録やその改変のログを見つければいいわけだな)

(えらく説明口調ですが、理解できてるなら良いです。行く先はデータを最優先・最速で弄ることが可能な行政区でしょうかね )

上条(つまり、第1学区だな。今の状況はどうなってる?デモは?)

(大混乱中です)

上条(よし、今がチャンスだな)
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:41:51.65 ID:JzQEDuIo
第一学区
混乱は続く
如何せん人数が多く、掌握しきれない治安部隊の行動の悪さがさらに混乱を呼ぶ
当初から離れた位置にいた、佐天はこの混乱を最初からずっと見続けている

佐天(なんなの、何がどうなってるの)

佐天(なんで警備員は働かないの?なんで風紀委員は言ってることが人によって違うの?)

佐天(なんで潰されてる人を助けないの?)

佐天(やっぱり、能力者優先なの?)

そしてまた一人、圧死した人が彼女の視界に入る。潰れて、周りにいた人まで血が付いている
良く見るとそれは、デモに参加した学生では無く、果敢に避難誘導をしていた風紀委員の少女だった

ついに風紀委員にも被害が出た

すると、悲鳴と怒号で良く聞こえなかったアナウンスだが、耳を澄ますと、言っている言葉に今までは無かったフレーズが挿入されていた

「〜、中央のデモ参加者は動かないでください。風紀委員は誘導・鎮圧行動をやめ、各支部へ退避せよ。各自脱出時の自己防衛の為の能力行使は許可する。外側の〜」

今までにない悲鳴が上がった
主に能力者によって構成される、風紀委員たちが、自己の脱出経路を開くため、100万人の中で能力を使ったのだ
すでに熱と湿度でまともな思考が出来なくなている彼らにとって、守るべき生徒たちはただの壁にしか見えないのだろう

人だかりの中で火球や爆発、竜巻などが巻き起こる
当然、無能力者には身を守るすべなど無い

佐天(ああ、風紀委員が、能力者が、無能力者を、壊シテイク。ヤメテ。ワタシタチヲコワサナイデ)

かなり離れていた佐天の方まで逃げ惑う人の波が押し寄せる
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:46:33.17 ID:JzQEDuIo
青髪「危ないで、嬢ちゃん!」
たまたまそこに居合わせた青髪が放心状態の彼女の壁となり、なんとか踏み砕かれずに済んだ

青髪「こんなところで突っ立ってたらあかんよ!死ぬ気なん?ぉぃ、オイ!もしもーし?!」

青髪(反応が無い。仕方がないが安全な所へ避難させるか)
少女を抱え、建物へ移動する

青髪(ここならしばらくは安全か)
抱えていた少女をソファの上におろした

青髪(これが仕事とはいえ、自分の組織がこういう混乱と虐殺の原因を作ってるってのは、悲しくなる)

青髪(何度懺悔しても地獄行きは変わらないだろうな)
建物の部屋から出て廊下へ進む

唐突に頭へ小銃が突き付けられる 押してあけた扉の影に潜んでいたようだ

手塩「おとなしく、してもらおうか 」

青髪「こんなお姉さんに狙われるようなことしたっなー。僕?」

佐久「ふざけるな。この学区で何をしていた?吐いてもらおう」
本来、彼らは監視した後に青髪を[ピーーー]予定だったが、今まで見つけることができなかったために、内容を聞き出しておく必要があった

青髪「嫌だと言ったら?」

佐久「お前が助けた娘を[ピーーー]」

青髪「別に彼女は何も関係あらへんよ?たまたま助けただけや」
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/18(金) 23:56:07.12 ID:JzQEDuIo
佐久「そんなことはどうでもいい。言わなければ殺す。それだけだ 」
佐久が扉に拳銃を向けた。適当な狙いをつけ、引き金を引く
もしかしたら、彼女に当ったかもしれない

佐久「良かったな。女には当って無いみたいだぞ?」

手塩は佐久の行動を見て少し苛立っているようだ。銃口が震えている
それ以上に銃を向けられた人物の肩の方が揺れていた
青髪「あのさ、僕は今自分の仕事に若干イライラしてるんだ」

佐久「今更罪の意識に苛まれてるのか?そんな意識が― 」

青髪「でね、今、挑発を受けたらどうなるか、分かる? 」

佐久「お前は無能力者のゴミ野郎だ。どうしようもないだろ」

青髪「そうさ、無能力者だったよ。つい昨日まで」

青髪「この仕事の過程で得た力だ。正直、反吐が出る。でもな」

青髪「今だけは一番有意義に使えそうやわ」

手塩は青髪が動くのを見て、すぐに引き金を引いた
が、弾が出ない
佐久も拳銃を向けて撃ちこむがやはり出ない
直接殴りつけようとするが、今度は拳が上がらない

手塩も佐久もそこで動けなくなった

青髪「動けないやろ?」

そう言って腰からナイフを取り出し、二人の喉元を切り裂く

青髪「僕は優しいから痛みは伝達せえへんようにしたる。多分気持ちよく死ねるんやないかな?」
しばらく二人から噴き出す血を見ていた

ブロックの残りの二人が駆け付ける。
尋問のために後方から鉄綱を連れてきたのだろうが、仇となった 二人には佐久と手塩が立ち話をしているかのように見えた。
首から血を出している以外は

山手「佐久…? 」

青髪「君らも、コイツの仲間やんな。ゴメン」

二人の足が爆発し、血が噴き出す
彼らは一瞬で失血死を起こした
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 00:38:56.76 ID:D94ESg2o
ぱねぇ
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 11:45:57.50 ID:qHCP8Dw0
一瞬で失血死てどういうことか分からん俺
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 15:30:19.81 ID:fpHD94Yo
ばくはつしたかしょを、すとろーでちゅーちゅーしたんだよ
一瞬でな
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/19(土) 20:12:53.74 ID:wrR6aRco
失血死にはちゃんと理由があるけど
ネタバレになるんですお
まあ、すごい高圧が下方向にかかってたってことで

見直したらいろいろ説明不足が多いんだよね

どうせ勝てないけどニッポン!ニッポン!
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 10:35:14.16 ID:vFhQKg6o
負けましたね。予想通りだったけど。あと、ブブゼラうるせえ

第7学区
フレ「浜面?はーまーづらー!起きろ!」
意識を失った彼のほほを叩く

浜面「うん?おはようフレンダ?」

フレ「よし 」
フレ「浜面を発見したわ。結局、GPSの最後の場所で伸びてた」

麦野『了解。聞いた?良かったわね、滝壺。じゃあ一度、車に戻ってきなさい』

浜面「え、っと、なぜフレンダが?」

フレ「面倒だから車に戻ってからね。とっとと戻るわよ!」

車中
浜面「つまり、俺が囮だったってわけだな!」

麦野「しかも、どうやらそれが読まれてたみたい。ちょうどフレンダが離れたときにアンタが襲われたのよ」

絹旗「超油断してました。相手も浜面クラスの馬鹿面だったので」

浜面「おいそこ!凹むだろ!」

滝壺「でも、はまづらが無事だったから、良かった」

フレ「はいはい、御馳走さん。で、どうする麦野」

麦野「こうなっちゃ、可能性に賭けるしかないわ。第一学区へ行きましょう。オラ!さっさと運転しろ! 」

浜面「了ー解」

絹旗「第一学区、相当混乱してますね」

麦野「身を隠すにしても、なにか工作するにしても、今の第一学区なら最適よ。ただ、浜面がやられて結構たってるから、行っても既に事を成して逃げてるかもしれないけど」
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 10:40:54.70 ID:vFhQKg6o
第一学区 夕方
上条(ひっどいな)

(はい。予想よりひどいですね。どう見ても踏みつぶされた以外の方法で亡くなってる人もいるようです)

いわゆる死屍累々である
警備員とデモ参加者自身が誘導と、救助を行っていた

広場はほとんど赤く染まり、すでにわけが分からなくなった死体が大量に転がっている
ざっと見ただけで、1万人は死んでいるだろう
そしていまだに騒然としていた

(良い機会と言えば、そうなります。あの高層ビルが流通管理部門が入ってますから、行きましょう)

上条(この現場を見捨てていくのは心許無いが、仕方ない。行こう)

ビルの前には警備員ではないが、武装した人間が立っている
上条「すいませーん。都市外部から大型の輸入物を頼みたいんですがー」

武装男「今日は休みだ。お引き取り願おう」

上条「わっかりました。また来ますねー」

上条(なんで重武装した人が入口守ってるんだ?)

(大方、なだれ込んでくる人を止めるのが役割か、あるいは)

上条(すでに一度侵入されて手酷くやられたかのどちらかだな)

(建物を観察してみましょう)

建物の周りを一回りする
上条(あちゃー。裏口から大窓に至るまで、入れそうなところは全部武装したのが居やがる)

(後者だったようですね。流通をになうという性質上、襲撃に備えてシステムダウンさせるとか、そう言った防衛策がとれない以上、当然の措置かと)

上条(なぁ。ここって流通以外に何が入ってるんだ?)

(治安維持部門の発令所なんかもありますね。都市防衛を総合的に担ってる建物なんでしょう)
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 10:51:19.08 ID:vFhQKg6o
上条(治安部門か。そういえば、あの惨状の原因は何になってる?)

(警備員・風紀委員共に指示が混乱し、生徒主体の風紀委員まで被害が出たので、公開放送により風紀委員を優先して退避させたからとなっていますが)

上条(…いくらかおかしい点が有るよな。100万人もあつまったところで人の動きを管理する場合、管理する側は当然、インカムだのヘッドセットだので、雑音対策して個々人に直接指示が行くようにしてあるはずだ)

上条(じゃあ、なぜ指示が混乱するとか、アナウンスで退避命令を出したんだ?)

(…治安部門のHQが有るココが厳重に警備されているということは)

上条(そう。十中八九、侵入者によって指示伝達の妨害を加えられたんじゃないかな。無線を壊された、または無線で精神の動揺を誘うような音声を流されたかのどっちか)

(だとすると、内部犯では無く、外部から強引に押し入った形でしょうね。襲撃でもされないと、こんな警備体制は敷かれないでしょうし)

上条(襲撃された時は、流石にこのレベルの厳戒態勢では無かっただろうけど、治安部門の頭だ、実弾による防衛体制ぐらいは敷かれていただろう)

(となると魔術師や能力者でもなければ押しこみは出来ないでしょう)

上条(ああ。超常現象を起こす能力については、本国はレベルが学園都市には劣る。そして歴史的には新興国家であるため魔術師関係とも縁が薄い。一般的な物理現象内での軍事技術なら間違いなく世界一だろうが、最強の1兵卒を作るという面では秀でていない)

(ここには対能力者用の装備設備も有るでしょうから、相当高位の能力者でもない限り難しいでしょうね。それなりの特殊部隊による襲撃でもない限りは)

上条(だが、本国は、今年になって量子コンピュータが完成し、尋常じゃない科学技術を得た。脳内に高度情報演算装置を設 置できるレベルにまで。そして、広範な能力の基礎である第二位を手に入れ、研究したとすると)

(人工的に高位の能力を付与する技術が出来た?)

上条(その技術で能力者になった諜報員によってここを襲わせたとすると…)

(筋は通ります。が、仮定的要素が多すぎますね。第一、能力者を強引に作れるようになったとすると、本国がここの技術を盗もうとする必然性が下がります。もっと高次の目的が有るのかもしれませんが、現実的ではないかと。技術的には可能でしょうけど)

上条(だよな。現実的じゃない。だが本国の目的ははっきりしていない以上、考えられることだ。仕事の最終目標の理由だって 変ってくる)

(なんにせよ、私たちがここから武器侵入の裏を取るのは当面難しくなってしまったという現実は変わりません。怪しまれな い内に帰路につきましょう)
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 11:03:21.86 ID:vFhQKg6o
第一学区 デモ広場
浜面「やっと着いたぜ」

麦野「遅すぎよ!列車の方が早いくらいじゃない! 」

浜面「無茶言うな!対向車線から車が溢れてつっこんで来まくったんだ。よく無事故で来れたと褒めてほしいレベルだぜ。混乱してて列車も動いてないし」

フレ「で、ここまで来たけどどうするのさ」

絹旗「こんなグロ注意な所、超歩きたくないですよ」
壊れたマネキンの墓場のような広場が、傾きつつある日の光に照らされ、鮮やかな朱で現実味を失わせていた

滝壺「あそこ、ターゲットが歩いてる」


上条(大分人数が減ったな。死体も粗方見えないし)

(清掃工機で回収とは、まるでゴミ扱いですね)

上条(仕方ないさ。すでに顔が分からないような死体と飛び散った臓物ばっかりだからな。人が手でやるのはきつ過ぎる)

(さっさと帰りましょう。あなたの精神衛生上でも、良くないようです)


滝壺「ね?」

麦野「やるじゃない。とりあえず報告しときますか。滝壺、どの当りから見てた?」

滝壺「あのビルのそばの小道から出てきたところから」

麦野「フレンダ」

フレ「はいはい。送信っと」 カチャカチャ ターン!

Telllllllllll~
麦野「もしもし。あーはい。はい。わかった。了解よ」
プツ

絹旗「とんでもないレスポンス速度ですね。何か有りましたか」

麦野「標的の捕縛に変更。あのビルを襲撃した奴との関連で、尋問したいんだってさ」

麦野「で、絹旗行って頂戴。一瞬でやられた浜面はともかく、フレンダや滝壺向きの相手じゃないし」

絹旗「わかりました。超やられちゃった浜面の仇を討ってきますよ」

浜面「いや捕縛だから、殺すなよ」

絹旗「それくらいの加減は出来ますから、では」
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 11:12:10.14 ID:vFhQKg6o
歩いていると、上条の視界にうずくまっている少女が入った

上条「もしもし、大丈夫かい?」

少女は顔を上げ、こちらを見た
表情は硬く、色も薄い
絹旗「その、血を見たら、気分悪くなっちゃって」

上条「仕方ないさ。吐き気はある?飲み物でもいるか?」

絹旗「そこまでしてもらわなくても超大丈夫です。でも、その」

上条「なんだ?言ってごらん」

絹旗「さっきこけたときに落としちゃったポシェット、あれなんですけど」
指を指した方向に落ちている。周りは土と血が混じり、汚れている

絹旗「周りが血だらけで、近づけなくて」

上条「ん、取ってきてやるよ。ちょっとまってな」
上条が後ろを向く

完全に後ろを向いたタイミングで絹旗が後頭部めがけて飛びかかる
拳が後頭部に直撃した

上条「痛った!上条さん殴られるようなことはしてないはずですが」
頭を擦りながら振り向く

絹旗「、ッ」

一撃で仕留められなかったので、拳を次々と繰り出した
上条「ちょっと、ちょっと待てって!」

何発かかわし両手を掴む
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 11:28:44.25 ID:vFhQKg6o
上条に両手を封じられたので股間に狙いを合わせ、急所を狙う。その判断は瞬時だった
とっさに手を離し、距離を取った

(この娘、戦い慣れしてますね。今朝の追手の一味でしょうか)

上条(だろうな。頭を狙ったのもそのためか。首筋だったらアウトでしたよ)

(用心して能力範囲を広げていてよかったかもしれません。あの子の手の表面付近が異常な質量を帯びてます。そのままあなたに攻撃当たると吹き飛びますから、全身に能力範囲を広げます)

上条(了解。華奢な体で、奇襲の背面攻撃に失敗しても攻撃を続ける、この子は恐らく接近戦に特化した能力者だな)


絹旗(右手どころか全身どこを殴っても効かない。情報と違う。これじゃ近接戦では私はただの中学生ですね)

絹旗(…なら)
近くのベンチを投げようとベンチへ近づいた
が、上条に一気に距離を詰められ大物を掴ませてくれない
小物を投げても投げ先を読まれて当りはしない

絹旗は、無意識だが徐々に間合いを広く取ろうとした

(どうします?逃げようとしてますが)

上条(前線に出てくるのはどうせそこまで情報を持つ人間じゃないだろうし、あの子からは、攻撃されるまでに狙われてることが分かった時点で十分さ)

上条が、後方へバックステップし、大きく距離をとり、構えを解く

絹旗(逃がしてくれるってわけですか。超癪に障りますけど、そうさせてもらいましょう)
上条に背を向け、一気に走って逃げた。逃げながら無線を入れる

絹旗「駄目でした。」

麦野『無事そうね。なのに駄目って、逃げられた?』

絹旗「いえ、超ムカつきますが、逃がされました。彼の幻想殺しは全身にわたってましたので能力による攻撃が、通じません。体術面でも彼の方が上ですし、対抗手段がありません)

麦野『わかったわ。そのまま帰ってきなさい』

しばらく逃げたところで、一息ついていると浜面の車が来る
浜面「乗れよ。麦野が行った」
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 11:44:13.40 ID:vFhQKg6o
上条「今度は美人なおねーさんですか」

麦野「本当に面倒だから、降参してくれない?」

上条「流石に捕まるわけには行かない立場なんですよ」

近場のビルへ逃げ込む

麦野「逃げんな!」

上条(さっき逃げた子の仲間だとすると、より強い人ってことだよな?)

(ええ、Lv5の4番手「原始崩し」です。内容はこの通り)

上条(電子を操る能力、ね。被弾すると被害は?)

(生身の部分に攻撃が当ると確実に死ねます。が、問題ありません。不確定要素満点の第二位の時と違って、私が周りの空間のデータを全力で収集する必要も無いので、四支だけの拡大では無くて、体全域のカバーが可能となりますから)

上条(レベル5を殺すと、本格的に狙われかねないから、どうにかして手を引かせるか)

階段を登り切り、扉の鍵を銃で撃ちぬき、広い会議室へ侵入する
そして部屋の入口のすぐ脇に立ち、銃を構える

音が近づいてくる。部屋の入り口までもう少しといったところだろう

すると急に上条が身を隠している壁が突如壊れ、光線が当る
着ていた服が一瞬で燃え去った為、軽微な火傷が出来たが皮膚以下へ直接的なダメージは無い

麦野「やっぱり、効かないわけね」

上条「対能力者にとってメタだからな。俺は」

麦野「その余裕、ムカつくわッ!」
複数の白線が上条めがけて飛ぶ
だが、上条の体に被害は出ない
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 11:56:02.96 ID:ecn7R6SO
何故か全裸で麦野と対峙する上条さんを想像した
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 11:58:39.67 ID:vFhQKg6o
麦野「絹旗の情報の通りね。能力攻撃は効かない。でも、何も考えずにここまで来たと思ってるの?」
麦野の体の周りから、無数の白線が放出される

上条「数打てば解決するって問題じゃないぞ?」

麦野「私はそこまで馬鹿じゃなくてね。最大の問題はお前がどっかの建物の中に入ってくれないとこれは出来なかったってことかしら」
言いながら乱射を続ける

麦野「でも勝手にこっちの望み通りの動きをするんだから、内心嬉しさで飛び跳ねそうだったわよ」

麦野「さぁ!ここでくたばっちまいなぁ!瓦礫に押しつぶされてねェェェェ!」

先程より太い無数の白線が当り一面に乱射され、ビルが穴だらけになり、一気に崩壊が進む

上条には物理的に潰されるのは耐えようがない
また、この高さから飛び降りると、たとえ助かってもすぐに捕まってしまう域の怪我をしてしまう
逃げ場がなかった

倒壊が進み、まともに立ってられほどになった
このタイミングで麦野が自分の安全を確保するため、上方向に大きな穴を開けた

上条は麦野めがけて飛び、押し倒す
麦野「お前ッ!離せ!コラッ! 」

上条「こっちもこんなところで死ぬ気は無いんでな!」

麦野の計画では、逃げ場を無くし、移動できなくなるギリギリまで自分の退路を示さないつもりだった
上条の身体能力を考えた上で、限界まで粘ったはずだった。だが、上条の身体能力と体勢維持能力が想定以上だったのか、彼は飛んで、抱きついてきた
これは予想外で且つ、問題が有った。自分を完全に助けるために、さらに上条が死なない程度に能力を使って飛んでくる瓦礫や破片から守る必要があったのだ
それを知らず、安全地帯だとして上条は飛んできたのだろう

麦野(冗談じゃない。これじゃ私まで巻き込まれる可能性が)

(トウマ、これは不味いです。彼女は倒壊のシュミレートをせずに、能力で身を守って脱出するつもりだったようです。今簡単に シュミレートしましたが、上の穴だけではとても助かりません)

上条(マジかよ!でも、もう揺れがひどくて離れられませんよ。ここで能力を解除したら撃たれるし)

(仕方ありません。全力で防衛態勢でいきます。では、幸運を)

上条「すまん!でも、お前は守ってやるから!身を丸めて小さくしろ! 」

麦野「アタシに命令すんじゃねぇ!いいからどけよ! 」

上条「もう間に合わねえんだよ!コンクリートだぞ!んなことはどうでもいい!いいから身をかがめろ!」

危機的状況において、無力を実感した時、人間の脳は混乱してしまう
そんなときに命令されると、もはや従うほか無いのだ
結論をあげれば、麦野は身を小さくし上条の体に覆われた

直上からの崩落は少ないが、崩れていくコンクリートが二人の周りから圧迫するように押しつぶした
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 12:10:51.37 ID:vFhQKg6o
例えどんな攻撃を食らっても、下半身は大丈夫!絶対に破れない

第7学区
一方「んでェ、青髪の動向は掴めたンですかァ?」
土御門「いや、まだだ。だが今日青髪が第一学区にある都市治安部門本部の襲撃を行った。そして先ほどその第一学区でアイツを追ってた暗部組織を皆殺しにした可能性があるとの報告が入った」

一方「襲撃ィ?無能力者に好きにやられるような所じゃないだろあそこはよォ」

海原「いえ、どうも何らかの能力によるものみたいです。これを 監視カメラの映像を流す」

数秒のものだったが、いきなり本部の警備を行っていた人間の足が爆発し、中から出てきた人間の侵入者に向けた銃は発射したされず、爆発物らしき小物を投げつけたが、不発だった

結標「これじゃ、短すぎるし、能力の特定ができるほどじゃないわね」

土御門「人間の身体を操作、さらに物質の操作もおこなった可能性がある」

一方「これだと念動力の一種か何かだな。エラくピンポイントに使ってるが、この映像で能力の規模を決めるわけにはいかねェ」

土御門「この足爆発の死に方だが、同じ方法でやられた跡のある死体がさっき言った暗部組織ブロックのものだ。同じ学区内で見つかっている」

結標「ってことはあんな奴らに、土御門やエツァリを巻きまくってる奴が見つかったの? 」

土御門「情けないことに今日の半日はダミーに騙され続けていた。まさか、あのデモをそのまま利用されるなんて思っていな かったしな」

一方「あるいは、能力に自信があるのか。いずれにせよ前より脅威は増したわけだァ」

海原「そうですね。急に能力者になったと考えた場合、敵組織の規模が計りしれません」

土御門「とりあえず、有効な手掛かりが今は無い。同様に行動しているメンバーに足で稼いでもらおう」
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/21(月) 12:17:56.45 ID:vFhQKg6o
第一学区
急に線状の光を放ち倒壊したビルのそばに車が一台とまった
普段なら、多くの野次馬が居るのだろうが、デモ中の風紀委員が使った能力などで傷ついた建物は多数あり、この現場には人が居なかった

浜面「…オイ、本当に、この中なのか?」

フレ「このビルの中をGPSが指してる。間違い無いハズよ」

絹旗「滝壺さん! 」

滝壺「駄目。やっぱり麦野の反応が無い」

車内の空気が重くなる

浜面「まさかとは思ったが、やっぱり麦野は… 」

絹旗「とりあえず、GPSの反応のあるところを探しましょう。行きますよ浜面」

浜面「ぉ、おう」

窒素装甲と一般青年が瓦礫をどけ、残りの二人が動かない鉄筋を工具で切り分ける

男子生徒のシャツ地が瓦礫から顔を出した
周りの瓦礫を取り除くと、頭部以外、特に四支がちぎれ有らぬ方向へ向いてしまっている男と
その男に守られている女が出てきた

浜面「グェッ…。コイツはもう駄目か?」

男をひきはがし、男の容体を確認した
滝壺「 ! 麦野の反応が戻った。まだ麦野は生きてる」

フレ「そっちの男に比べれば、外傷も少ないわ。少々荒っぽいけど、これで」

スタンガンを取り出し、設定をうんと下げる
バチッ
絹旗「麦野!むぎのっ!」
体をゆする
瞼が震え、意識を取り戻した
麦野「ンッ。…助かった、のね」
体を起こす。当りを見まわしボロボロの上条が視界に入った

麦野「ターゲット生きてる?」

浜面「いや、どう見ても、ってまだ息が有る。スゲーこいつ生きてやがる!」

少し笑顔を浮かべた
麦野「何とか、捕縛、出来たわね。さぁ、病院へ運んで。死亡させちゃ捕縛にならないわ」
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 13:39:56.95 ID:CMiofzUo
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 13:42:53.80 ID:FG1cRdIo
わぁい
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/22(火) 03:33:59.77 ID:VV8xqMk0
>>113

上条(この現場を見捨てていくのは心許無いが、仕方ない。行こう)
心許無いじゃなくて心苦しいが正しい気が
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/22(火) 08:08:08.74 ID:HYtoY8wo
心苦しいで正解です
意味不な日本語があったら勝手に脳内変換しといてくらはい
夜の2時とかに書きためてるから誤字はフィーバーしてるハズなんで
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 01:07:17.09 ID:3l/FqYAo
第7学区 夜 上条の部屋
禁書(とうま、おそいなぁ)

スフィンクスで遊びながら、時間をつぶす

禁書(お腹すいたよう)

禁書(わざわざ、私に部屋から出るななんて言ってる時点で絶対何か有るんだよ)

禁書(でも、約束しちゃったし)
ピソポーソ

禁書(誰か来たんだよ)

バタム
ステイル「こんばんは、インデックス」

禁書「…こんな時間に来るなんて何の用なんだよ?」

ステイル「上条当麻から直々に連絡があってね。今日は君の待っている彼は帰ってこないよ。で、僕は彼の代わりの護衛さ。」

禁書「え、とうまはどうしちゃったの?」

ステイル「どうもここの連中に捕まったらしい。それで、君はどこかの組織に常に狙われていたらしいから、僕が護衛と生活補助をしばらくやらせてもらう。いいかな?」

禁書「…そう。わかった、じゃあ晩御飯が欲しいんだよ」

ステイル「準備してあるよ。さっそく頂こう」

禁書(やっぱり何かあったんだね。捕まりそうになっても私のことを気にかけてくれるのは嬉しいけど)

禁書(私を危険から遠ざけようとして、とうまが危険に陥るんじゃ、ちっとも嬉しくないんだよ、とうま)
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 01:18:23.68 ID:3l/FqYAo
次の日 早朝 第10学区 某病院

上条(どうやら、生きているようだな)

(各臓器の稼働率は40%、四肢は左腕以外無くなり、左腕も手は残って無いですね。幸運なのは、動けるはずが無いわけですから、拘束などされていません)

上条(普通に絶望的だ)

(どうします?端末も取り上げられましたし、正直、手当の方も現状維持といったレベルです。脳を精査されると、私も見つかってしまいますし)

上条(まず、ここがどこか把握しないと)

目を開ける
どうやら右目をやられたらしい。右側は見えなかった

上条(病室だな)

よく見ると右隣に、女が座っていた
上条(昨日戦った「麦野沈利」だったかな?)

じっと見下ろしていた彼女の口が動く
麦野「気がついたようね。残念だけど、地獄の始まりよ」

麦野「明日から尋問が始まるわ。そんな体だけど手加減はしてくれないでしょう。たぶん死ぬわ。でもその前に、一応、礼を言っとこうかと思ってね」

当麻の額に手をのせ、話を続ける
麦野「あんたのせいで死にかけたけど、あんたのお陰で目立った外傷もなく助かった。ありがと」

麦野「その上、大サービス。選ばせてあげるわ。ここで死ぬか、尋問中に薬中毒になって死ぬか」

声をだそうとしたが音にならない
上条「…ぁ…ヒュ…フス」

麦野「肺もかなりやられてるから喋れないはずよ。殺して欲しいなら首を縦に、嫌なら横に振って」

躊躇無く横に振った

麦野「そう。やっぱり、諦めないのね。じゃあ頑張って」

扉でもう一度振り返り上条を見て、麦野は部屋から出て行った
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 01:34:26.21 ID:3l/FqYAo
(そういえば、あなたが倒れている間に、英国魔術師組に禁書の保護をするようにという内容を送っておきました。もっと も、今まで襲われる兆候は無かったので、しばらくは大丈夫でしょうけど)

上条(今のあいつには護衛よりも、大量の食事の準備が必要だだろうな。あんがと)

(さて、彼女が言うには、今日中に何とかしなくてはなりません。もちろん方法は有りますよ)

上条(全力を出せばいいわけだな)

(ええ。副作用を再生に回します。学園都市全体を一瞬でも覆いきれば、充分でしょう。問題は死ぬほど痛いだけです)

上条(…再生はどれぐらいかかる?)

(時間はざっと2時間。まだ朝日すら上がってませんから、誰かに気づかれることも無いでしょう)

上条(oh.あの痛みを2時間ですか。上条さん今度こそ死にますよ)

(その上、非常に強い睡魔に襲われます。体は復活しても、身体能力や代謝能力が格段に下がっているので、本能的に休もうとしますから)

上条(俺の意識が無くなっても、お前だけで体を動かすことは出来るか?)

(本能的な生物の防衛行動なので、私だけで何とかっていう問題じゃ有りません。睡魔を止めるために強引にホルモンバラン スを弄りすぎると、障害が出ますし)

上条(どうあっても睡魔と闘いながら、脱出しなきゃならんのね。学校の授業中みたいだな)

(じゃあ、やりますよ?ちなみに、今全力で痛みを抑えるようにしていますから、演算を能力に回すと傷本来の痛みが戻ります。だから耐えてくださいね。では)

上条(ちょ、心のzyんギャアアアアアアアアアアアアアア!、う、よ、ウワアアアアアアアア!)

MNW
ミサカ17911号(今一瞬ですが、ネットワーク落ちませんでしたか? )

ミサカ14235号(この時間は欧米組みしか基本的に接続していないはずです。処理落ちは無いでしょうから、大方、管理者がベッドから頭から落ちたとか、些細なことでも有ったんでしょ)

ミサカ15849号(ログには1.02秒ほど落ちて、再起動したとなってますね。14235号の予想どおりでしょう)

ミサカ17683号(!皆さん、今は打ち止めと感覚共有しないほうがいいです。寝惚けてるのか開いてますけど、おすすめしません)
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 01:45:20.62 ID:3l/FqYAo
同時間 黄泉川部屋
一方通行の体を揺する姿があった

打止「一方通行、トイレまで付いてきて!ってミサカはミサカは涙目でお願いしてみたり」

一方「…あァ?だから心霊特集なんて見るなって言っただろうが。仕方ねェな」

立ち上がる一方通行
その瞬間、ネットワークの代替演算が停止した

ソファに打止を押し倒すように倒れこむ

打止「えっ、一方通行?ってミサカはミサカは驚きながらも少し嬉しかったり、あっ」

一方「すまン、急に演算が、ってェ?!」

恐怖で限界まで尿意を我慢していた、打止の寝巻きの太もも辺りに液体の染みが広がっていった

黄泉川「こんな夜明けに大声だして、一体どうしたじゃん?お、おお?」
一人の少女の頬に雫が溢れた

同時間 上条の部屋

ステイルが台所に立ち、朝食の準備をしている

ステイル(昨日は少し気が沈んでいたからようだし、朝食を少し豪華にしてあげようかな)

ガスコンロをひねるが、火が付かない
ステイル(アレ?つかんな。仕方が無い。ここは僕の炎で)

煙草に火をつける程度の火を出そうとしたが、出ない
ステイル(アレ?絞りすぎたか?もっと火力をあげようか)

今度は手の平大ぐらいの火を出そうとした
日頃料理をしない人間は往々にして換気扇をつけるのを忘れがちである
そして、彼は不運なことにガスを出しっぱなしにしていた
そこに手の平サイズの炎が急に発火したことでガスに引火し結構な音が部屋にこだました
ボフッ

禁書「ん〜、こんなに朝早くからなんなんだよぅ」

見ると、コンロ周りが黒く焦げてしまっていた。
当然、ステイルの顔も

禁書「えっと、自爆するのは勝手だけど、部屋を壊さないで欲しいな」

14歳の頬にも雫が溢れた
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 04:07:11.89 ID:whl9iRg0
来てた!乙!
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 07:50:31.59 ID:3l/FqYAo
朝 第10学区 某病院
(トウマ。トウマ。起きてください)

上条(…ん〜、あー…う〜、うおぉ!な、なんとか、おきれましたが、ひじょうに、ねむたいです)

(体の方はもう再生してます。今のうちに逃げますよ)

上条(はいはい〜。だっしゅつね、脱出、ダッシュつ、だ…)

上条「へヴぁ! 」
自分の右手が右頬に直撃する

(すみません。まどろっこしかったので。少々手荒でしたが、起きましたか? )

上条(サンキュ。大分目が覚めた。おっしゃ!)

ベッドから飛び起き、床に颯爽と着地しようとした。が、少しバランスを崩す

(まだ完全ではないって言ったでしょう。あまり無茶はできませんよ)

上条(あ〜、カッコ悪るっ。了解ですよ。慎重にいきます)

部屋の中には、ベッド・パイプ椅子・点滴器具ぐらいしか無い

早速部屋の扉を開こうとするが、開かない

窓を開けようとしても開かないし、割れそうにないほど分厚かった

(ガッチガチですね。外部からの攻撃にも対応しているようですし)

もう一度部屋を見回すが、扉をこじ開けることが出来そうなものは無い
仕方なくベッドに腰をかけ、理由なく枕元を見る

(さすがにそう簡単には出れませんか。さて、どうやって尋問を避けるかでも考えましょうかね。基本は)

上条は枕元をずっと眺めていてなにかに気がついた

上条(いや、それよりお前、ナノマシンで電極を弄れるって言ってたよな)

(はい、言いましたが。!…OK、把握しましたよ。貴方の危機を打破する能力には驚かされます。任せてください)
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 08:04:02.71 ID:3l/FqYAo
朝の病院の看護センターにけたたましく警告音が走る

当直看護師「703室から生命警告が出たぞ」

当直看護師B「703…あそこの患者は昨日まで瀕死だったんじゃあなかったか。ヤバいな。俺が見てくるよ」

当直看護師「先生は?」

当直看護師B「まず俺が様子を見るよ。誤報かも知れないしな、じゃ」

センターから駆け出した
当看B(あそこの患者は俺たちの尋問対象)

当看B(今日いる当直の先生は俺達側じゃないから診せることもできないし…)

当看B(死なすと俺の責任か?大失態だ。くそっ、まずは容態を確認しなければ!)

彼は焦って上条の部屋に飛び込んだ が、ベッドは蛻の殻だった


当看B(居ない!?馬鹿な!ここは完全に密室だったはずだ。一体d!!!!)

ベッドに居ない上条を見て一瞬混乱した隙に、横から点滴の棒で首筋を強打された

上条(うおおおおぉぉ…罪悪感が、上條さんの心を締め付けますよ)

(可哀相ですが、もしかすると敵の繋がりのある看護師だったのかもしれません。とりあえず、役立ちそうなものは無いか、特に鍵やパスカードなどを、探しましょう)

上条(携帯端末に財布に名札に拳銃か。って拳銃って、なんでこんなものを。ここは野戦病院かなにかですか)

(ほら、やっぱりそういう人間でしたか。遠慮はいりません。財布以外頂いていきましょう)

部屋を出て、エレベーターに乗る
(端末の記録から、あの看護師はあなたの担当として都市から派遣された看護師だったことが分かりました。他にも、ここは第10 学区の病院ということ、あなたの装備は全部第7学区のどこかへ送られてしまったこと等が分かりました)

上条(第10学区ね。道理で窓から見てもどこか分からなかったわけだ。それで、装備なんだが、取りに行く必要は?)

(端末は初期化しましたし。物理的に大破してしまいました。必要なデータは最小限で脳の方へ保存してあります。銃なんかは特に出所が分かるものでもないですし、必要性は低いですね)
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/23(水) 08:16:55.07 ID:3l/FqYAo
上条(えっと、俺のサイフは?)

(あー、えっと、キャッシュカードとかは再発行できますから。看護師から奪った端末で今しておきましょうか?)

上条(ううん。もう、いいんですよ。いつものことだし。話は変わるけどなぜ第7学区なんだ?)

(それですね。都市機関機能は第一学区に集中してるわけですから第一学区に送るのが自然です。ここで第7学区ということ は、そういった、表立って出てこないような組織や諜報工作の頭が第7学区にあるのかもしれませんね)

上条(そうなると、武器流入とかの情報は第一学区よりも、そっちにまとまってる可能性が有るな。わざわざ回収する必要性 は無いけど、探してみますかね)

(了解です。ではこの端末に有る連絡先から掴んでみましょう。いえ、まずはここから脱出して安全なところで休息を取るの が最優先ですね)

一階についた。まだ病院は開く前で、大きな出入り口は開いてない。なので、非常口から出ようとした

(待って下さい。ここは職員のロッカールームみたいです。服を頂きましょう)

上条(あの看護師のロッカーは、ここだな 深緑のジャケットと紺のシャツにGパン、青と白のスニーカーに、薄茶のサングラスという恰好になった

(流石、学生の街に潜むに向いてる一般的な服装ですね)

上条(他人の私服を着るのって微妙な体臭とかして、複雑です)

着替えて、非常口から出る

(さて、今の私たちには監視カメラの目を誤魔化す手段は有りません。この一般的な携帯端末ではハード的に不可能です)

上条(でも、この服装で誤魔化せるんじゃないかな?いや、でも病院ないのカメラが…ああ、駄目だ。思考が纏まらない)

(不味いですね。病院から出れて集中の糸が切れてます。TRH濃度の激減が確認されました)

上条(やっばい。もう無理だぁ。少々無茶していい、から、あとは、まかせ、ru)

(了解。お休みください。仕方ないですが、こうする他無いですよね)
携帯端末を使ってあるところへ連絡をとった
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 09:55:59.71 ID:moJZX2AO
ステイルかわいい
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 10:10:14.70 ID:lZG90uco
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 16:01:00.84 ID:2oaf2EIo
朝 第7学区 カエル病院
御坂「おはよう。佐天さん。顔色悪いけど大丈夫?」

佐天「別にどこか悪いってわけじゃないんですよ。昨日あたしが見つかった場所が場所だけに入院してるだけですから」

御坂「良かった。ごめんね、今日は黒子と初春さんは風紀委員で集合かかってて、遅れてくるって」

佐天「いいですよ。私の体に問題が有るわけでもないし。たとえ、私たちを守ってくれない組織でも、お仕事は、お仕事です」

御坂「…えっと、その、昨日は大変だったね」

佐天「ただのお祭り感覚で行ったんですけどね、酷い光景でしたよ。特に、能力者の風紀委員が虫けらみたいにたくさんの人を殺すところはね」 御

坂「仕方ないとは、言えないけど、混乱が酷かったって聞いてるわ。とりあえずテレビでも見て、気持ちを落ち着けましょ」

ブン
眼鏡のおっさん「我が学園都市の生徒・学生、並びに生活している市民のみなさん。昨日は、大変いたたまれない事件が起きました」

御坂「…アハハ、チャンネル買えるねー」

ピ
眼鏡のおっさん「先日のー 」
ピ、ピ、ピ、ヒ
どのチャンネルに合わせても同じ格好の初老の紳士が現れる

佐天「この番組で良いです。どんなことが有ったのか、私も知りたいし」

御坂「そ、そう」

おっさん「また、再びこのような事件が起きてしましました。このことについて、統括理事会を代表して報告させていただきます」

お「まず、被害についてですが、10万人の死傷者が出ました。内、死者1.5万人。死傷者の大半はデモに参加した学生・生徒 でした。風紀委員・警備員にも62人の死傷者が出ました」

お「死因ですが、大半がデモの混乱によって転倒者が他の参加者にふまれたことと、超多人数による圧迫によって押し潰れたことによります」

佐天「そんなの嘘だ!能力者が殺した!私は見てたんだから!」
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 16:05:35.03 ID:V2iP..Qo
ktkr
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 16:18:52.79 ID:2oaf2EIo
お「そして、この混乱の原因は、デモの参加者の一部が警備員や風紀委員の制止に従わなかったことによって生じた、衝突によるものでした」

お「この衝突が全体に広がり、学生・生徒主体の風紀委員は早期に引き上げるような指示が下されましたが、その際、彼らの正当防衛による能力使用によって多少の被害が出ました」

佐天「ハァ?この人何言ってるの?いきなり解散だとか言い始めたから混乱したんでしょ!普通に始めて普通に終わればこんなこと は無かった! 」

佐天「そして何なの?風紀委員が正当防衛で少々被害が出たって。大半が風紀委員の、能力者の手による被害でしょ!?」

お「我々は、このような暴力的な事件が二つ起きたことにより、治安組織の強化と安全性の向上を決定いたしました。内容と しては、主に警備員の装備強化と増員、そして風紀委員参加学生・生徒の安全を確保するため、風紀委員からの非能力者の削除です」

佐天「待ってよ!これって!昨日の私たちの主張の正反対じゃない!これ以上無能力者を陥れて、なにがしたいの?!こいつらわざと煽ってんでしょ?!なめてんのか無能力者を!」

御坂「落ち着いて、佐天さん。安全性の向上だって言ってるじゃない」

佐天「そりゃそうでしょうよ!能力者にとっては、お荷物になるか裏切りそうな無能力者を消せるんだもん!都合いいでしょうよ!」

御坂「そ、そういうつもりじゃ、ない、わよ。きっと」

佐天「やっぱり、御坂さんも、あっち側なんですね。そりゃそうですよね。お金も一杯もらえるし、ちやほやされるし。」

御坂「そんなんじゃないよ。私だって、」

佐天「うるさい!言い訳なんて聞きたくないっ!…もういいです。ごめんなさい。ありがとうございます、お陰で元気になれました。ですから帰ってください。初春も白井さんも来ないでって伝えといてください」

御坂「…分かった。でも、…いや、ごめんね。さよなら」
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 16:28:54.48 ID:2oaf2EIo
学園都市某所
TVの放送が終わった

青髪(決定的だな。これで都市の中で無能力者と能力者の対立は増す。都市は二分される。おろかな連中だよ、全く)

青髪(ひとまず、本国の狙い通り。これで土台は整った)

青髪(量産品の到着は夕方に変更もない。恐ろしいほどタイムチャート通りに進んでいる)

青髪(だが、これの成果次第で事の成立が変わるが、どうせこれも予定通りだろう)

モニターに文字が浮かび上がる

青髪(お、かみやん、脱出したのか。やるやん)

青髪(でも、うちを頼るとは、追い込まれたものやなぁ)

第10学区 ストレンジ CIA拠点
CIA1「上条当麻の保護、無事終了しました」

CIA上「御苦労。彼の行動経歴は掴めたか?我々を誘き出させるとは、やってくれたが」

CIA2「やはり、独自で行動していた模様。青髪のとばっちり食らって捕縛命令出て捕まったみたいですね」

CIA上「フン。不安定要素の彼が本計画には保険として必要不可欠というのだから面倒だ」

CIA1「そうですね。どうやらうちの行動を嗅ぎまわっているみたいですし」

CIA上「彼の治療や支援は十分に。だが、情報を握っているのは我々だ。決して無駄に情報を流すなよ。うまく最終目標を達成させるように誘導するんだ」

CIA上「それよりも、今日の到着は支障ないな?」

CIA1「滞りありません。青髪以外にも動ける人間が配置してありますから、対妨害工作対策も十分です」

CIA2「無能力者の集会も予定通り開催します」

CIA上「よし。ようやく本番だ。ぬかるなよ」
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 16:46:35.93 ID:2oaf2EIo
学園都市 アイテムアジト

浜面「上条当麻が脱走したぁ?!」

絹旗「ありえません。昨日の段階で、左腕以外、超潰れて超千切れてたハズです」

フレンダ「まさかあの容態で一人で出たって訳じゃないわよね」

麦野「ふふ、そのまさかよ。カメラの映像では四支そろって動いてるのが映ってるの」

浜面「うぉお、マジだぜ。人間じゃねえのかアイツは」

麦野「この私をあそこまで追い込んだんだもの、そんじょそこらの人間じゃ困るわよ」

滝壺「麦野、少し嬉しそう」

フレ「はぁ、命がけで助けられたくらいでこうなっちゃうんだから、結局、麦野も一匹の女なわけよ」

麦野「は、はぁ?何言ってんの?ちゃんと決着付けたかっただけよ。それに、ターゲットに好意を向けるような混同はしないわ」

フレ「ちょっと、カマ掛けただけなんだけど」

絹旗「さすがに麦野に裏切られたら手の出しようがないんですが」

麦野「だからそんなんじゃないわよ!」

浜面「どうでもいいけどよ、もう一度捕縛しないといけないのか? 」

麦野「そうね。同じ内容の指示が来たわ」

絹旗「でもどうするんです?あの人には同じ戦術は二度通じないでしょう?」

麦野「大丈夫。次からは銃器の使用許可が出たから。あの再生能力を見せ付けられて上も考えを変えたようね」

浜面「銃器か、再生能力あるやつに効果あるのか疑問だがな。まぁ、いいや。まずはターゲット見つけようぜ」

滝壺「こんどは、見失わないでね、浜面」
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 16:53:56.15 ID:2oaf2EIo
キャラの口調が所々おかしいけど脳内変換でお願いしまんこ

第7学区 昼
「あの放送みたか? 」

「ああ、もちろんだ。ふざけてるよな 」

「あそこまで露骨な無能力者差別な決定をするとは 都市運営に関与するなって事だろ。無能力者だからって俺たちを何だと思ってんだ」

「おい、聞いたか?各学区で今晩集会が有るってさ」

「どうせデモとかの計画でも練るつもりなんだろ。意味無いさ」

「いや、噂程度だか、今回の主催者は急進派らしいぜ」

「おいおい、また武装蜂起するメンバーでも募る気かよ」

「俺、正直、参加しようかと思ってる」

「はぁ?正気かよ?低レベルの奴らならまだしも高位の能力者には銃じゃ歯が立たないだろ」

「死んでも良いさ。昨日のデモで弟が死んだんだ。復讐も兼ねてやってやる」

「…そうか。で、集会はどこでやるんだ?」

「お前…OK、場所は〜だ」


「 聞いた?また無能力者が徒党を組んでるんだってさ」

「はぁ?また銃撃戦でもするつもりかよ。逆恨みもほどほどにしろっての」

「だよな。カスがいくら積っても所詮はカスよ。おとなしくビビってろってんだ」

「この都市があるのは誰のお陰で、誰のお陰で飯にありつけてるのか考えろってんだよな」
ギャハハハハハ
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 17:18:17.54 ID:2oaf2EIo
道行く人の中で、こんな会話ばかり聞こえる

御坂(この状況は何?今まで対立は有ったかもしれないけど、こんなに酷くなんて無かった)

御坂(ここ最近、操られてるみたいに分裂が進んでる)

御坂(誰かの手の上で起きてる人形劇を見てるみたい)

御坂(そう言えば、あの武器はどこから入ったか公表はされていなかったわ)

御坂(つまり、都市上層部も掴んでないって可能性が高い。ダミーの情報すら流さないなんて混乱してる証拠よ)

御坂(そして、あの放送。わざと対立を煽るような判断。今までここまで露骨な決定はあれど、表だって公表されてこなかった)

御坂(デモの混乱に至っては完全に佐天さんが言ってたのとは異なる発表)

御坂(もしかして、都市の運営者側にまで情報が捻じ曲げられて伝わってる?でも、そんなこと)

御坂(この混乱を導いている組織が有ったとして、それが、)

御坂(想像以上に都市の内部まで食い込んでいるとしたら)

御坂(十分にあり得ことよね)

御坂(まずは、都市情報のクラウドにアクセスして、昨日の事がどんな内容なのか確認して、それが誰によって報告されたものか確かめないと)

考え事をしながら歩いていると、向かい側から見知った顔が駆けてくる

白井「お姉さま、どうしてこんなところに?」

初春「佐天さんには会えなかったんですか?」

御坂「…その、帰ってって言われちゃってね。体は大丈夫だったけど、精神がかなり不安定だったわ。あの放送を見ちゃって特に ね」

初春「そうでしたか。佐天さん、大丈夫かな?今から私も病院に行って様子を見てきますね」

御坂「駄目。来ないよう伝えて欲しいって言われたわ。今の彼女は、風紀委員に対して、その、かなり懐疑的だったから」
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 17:26:02.75 ID:2oaf2EIo
初春「…そうですか。そう言えば、あの放送見たって言いましたよね。佐天さんの言ってることと違いませんでしたか?」

御坂「うん。それでかなり熱くなってたけど」

白井「やはり、ですか」

御坂「風紀委員でも何か有ったの?」

白井「ええ。私たちは支部で連絡と報告を聞くために今日集まったんですが、 」

白井「昨日現場で参加していた人から、実際と違うと報告が上がったんですの」

初春「でも、私たちに送られてきたカメラの映像は発表に沿うような物でした」

初春「なので、その報告は事実誤認・ショックで記憶が混乱していたためという結論になりました」

白井「でも、怪しいと感じたので初春に調べてもらったんですが、どうやらカメラ映像を編集された可能性が有りますの」

初春「データベースに保存されているものは全て編集された可能性があるものに置き換わってました。置き換えられた時間も、混乱が起きてからすぐなので、まるで起きるとわかってたみたいな感じすらします。これはもしかすると…」

御坂「昨日のデモの混乱はもともと計画されたものだったかもしれないってわけね」

白井「そうですの」

御坂「私も、同じようなこと考えてた。それで初春さん、聞きたいんだけど、まだ武器の侵入については何も分かって無いのよね?」

初春「はい。完全に痕跡を消されたかのように、足が出てきませんでした」

御坂「そう 」

御坂(やっぱり、かなり深くまで入ってるかもしれない。探ってみないと)

白井「お姉さま。今度ばかりは絶対に変に動いたりしないでくださいね。私達と、治安組織の一員として、争う可能性が出てきますので」

御坂「大丈夫よ。そんなことしないわ」
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 17:33:48.76 ID:2oaf2EIo
夕方 第10学区

佐天(ストレンジ、スキルアウトの根城、ここなら)

暗がりから、いかにもな人が出てくる

スキルアウト「お譲ちゃん、ここは君みたいなのが来るようなところじゃなないよ〜ぅ?」

ス2「皆気性が荒いからねぇ〜。どうなってもおかしくないよぉ」

ス「分かってて来てるなら、俺たちみたいなのにぐちゃぐちゃにされても仕方ないよ?」

ス3「分かって無くても、させてもらうけどね」

ジリジリと距離を詰めていく
が、彼女は引かない。それどころか前に足を出してくる

佐天「いいわよ。好きにして。でも、お願い」

佐天「私に武器を頂戴。風紀委員を、能力者を殺せるような、強い奴を」

野蛮な、荒々しい強い目で訴えた
暫くにらみ合いが続く

ス「…はっ。可愛くねえな。俺たちはな、別にガキを食う程腹ぁすかせてねぇよ」

ス2「ここに来るやつなんてのは大概、おかしくなっちまった奴か、興味本位で来るやつさ」

ス「んでぇ、武器が欲しいんだっけ?昨日のにでも巻き込まれたか?死にたくないなら、やめときな」

ス3「ツマンネェ意地だとか、責任感とかで来たんなら、なおさらな。自分を大事にしやがれ。これからは本当に死ぬぞ」

佐天「ここまで来て引き返すつもりならないよ。別に、尊い意思とかが有るわけじゃないけど。ただ、復讐したいだけ。守ると言いながら、自分のためだけに殺した連中を、ね。」

しばらくスキルアウト同士での視線のやり取りが続いた

ス2「はぁ。…こいつ、ぶっ飛んでるし、使えるんじゃね?」

ス3「量産型の最終確認がしたいとか言ってたしな。これぐらいの餓鬼に適応したら他でも大丈夫だろう」

ス「そうだな。ここでずっと居られてもウザい。おい、女」

佐天「なによ。誰から来るか決まったの?」
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 17:38:27.54 ID:2oaf2EIo
ス「聞け。ここをまっすぐ行って、右だ。んで、緑のドアがあったらノックして、ずっと黙って動くな。いいな」

佐天「わかった。ありがと」

ス「フン。これがおれたちの役割だ。どうなっても知らねえぞ。じゃぁな」

男たちが消えた。言われるがままに進み、緑のドアをノックした

?「誰だ?今手が離せない。急ぎじゃない限り要件をまとめてそこのポストに入れてくれ」

言われた通り、何もしない。声も出さない

?「糞!こんなところで餓鬼の悪戯か!おい、誰もいないんだな?おい!畜生!」

突如ドアから銃弾が飛び出す。佐天の右ほほを掠った。それでもなお、彼女は黙っていた
銃弾が飛び出し、3分が経過した。突如、ドアが開く

?「落ち着いて待ってるとは、イカれてるか、強いのか。どちらにせよ、良いところに来た。入れ」

男は白衣を着ていた
研究者か何かなのだろう

研究者「量産型のチェックをさせてもらう。それも、二つだ。まぁ、何を言ってるか分からないだろうが」

研「試作型の方で単数のテストは成功したからな。ま、もったいないから君以外は単数なんだけどね」

研「なあに、"彼"の理論上は問題無い。大本は一つだったんだから、当然と言っちゃ当然か」

研「おい、口を開けろ」

言われた通り口を開ける
研「よし、飴やガムは無いな。血色もいい。そのままだ」

二枚ほど口にフィルムを入れる

研「自然に溶ける。動かすなよ」

完全に溶け切ったので視線で伝える

研「気分が悪いとか、頭痛がするとか、痺れを感じたりは無いか?」
縦に首を振る
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 17:42:49.19 ID:2oaf2EIo
研「OKだ。脳波を見るからここで寝ろ」

研「異常は無いな。AIMも安定している」

研「試験成功だ。完璧」
そう言って、固定端末に文字を打ち込む

しばらく、呆然として彼を見ていた

研「ふぅ、私の役目は終わった。やっと本国へ帰れる!ああ君、ここは閉めて破棄するから危険だ。外へ出ておけ」

外へ出ると、部屋が吹き飛びドアが佐天めがけて飛んできた
当ると身構えたがドアは体に触れない。おそるおそる目を開けると空中で静止していた

研「驚いているようだな。無理もない。今、君の脳内には生体チップが2枚ほど入っている。この都市で言うレベル4相当が 2つだ」

研「無能力者が無能力者である最大の理由は、進化してしまったからだ。完全に進化してしまった場合、絶対に能力者になる ことはない。つまり脳内に演算処理装置・蓄積炉が生成されないということだ」

研「このチップは第二位の体を"彼"が分析して調べた結果、能力を紡ぎだす方法を得、体系化・簡略化したものを機械化したものだ」

研「設置用のナノマシンは簡略化し使い捨てになっている。そして機械化と言っても端末の中に入っているような機械が入っ てるわけじゃない。生体の細胞に近い形をしているからEMPパルスの効果も受けにくい」

研「だが、これは量産型なので試作型にあったようなハイレベルな能力を出せるわけでもないし、チップ自体も原理は一般的な物で、Amot用のような量子化やAIがあるわけでもない。が、その分コストはずいぶん押し下げることに成功した傑作だ」

研「あっと、長くなったな。ま、とりあえず君は人工能力者になったわけだ。説明はプリセットされているからそっちを聞 け。何か質問は?」

佐天「えっと、特にあr」

研「OK。じゃあ私は消える。反乱、せいぜい頑張れよ」
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 17:46:58.97 ID:IEq29.DO
佐天さんレベルアッパーから成長しないなぁ
まぁこうゆう役割なんだろうが
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 17:50:35.43 ID:tSU.yUg0
面白い・・・んだけど、その・・・正直内乱は心苦しいな。面白いんだけど。
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 17:53:03.19 ID:7YvBkoE0
流石っすサテンさん
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 18:08:37.91 ID:2oaf2EIo
第7学区 小集会 夜

「諸君、今朝の放送を見たか。」

「都市はついに我々から警察権を奪った。これで、奴らの好きなように我々は犯罪者に仕立てあげられる」

「これではまるで、少数民族の迫害のようだ。だが、我々は多数派。数では勝っているのにこの差別だ」

「そして、このような差別を変革させるためのデモは昨日の結果に終わった。」

「結局、彼らの暴政の元である能力という暴力を排除せねば、我我が表舞台 に立つことはできないだろう。」

「彼らの能力を抑え、我々の主張を通す為には何が必要か。言われなくとも分かるだろう。力 だ!」

「都市には我々の言葉を聞く耳がないとわかった以上、今こそ再び武器をとり、昨日散って逝った者たちの無念の為にも、我々は立ち上がらねばならんのだ!」

「共に戦ってくれる同士は残ってくれ。戦わないという判断をした同士は気をつけて帰ってくれ。」

「我々はどっちの判断も尊重する。武力だけでは勝つことはできない。大義名分にそった、平和的な活動も必要なのだ。それは 我々の助けにもなる!だからどんな形でもいい!諦めずに戦おうではないか! 」

集まっていた人間の多くが帰って行った。が、残った者も少なくは無い

「よくぞ残ってくれた。さあ同士よ。これがこの度の武器だ」

並べられたのは、大量の、透明な板。これを見て多くの者は唖然とした

その中で一人が、急に泡を吹いて倒れた

「残念だが、同士の中に風紀委員のスパイがいた。私は、人工能力者のレベル4"脳内強盗"。今倒れた奴の脳内を探索したと ころ、風紀委員であることが判明し、脳内を少々、破壊させてもらった。私と同じ能力を持つものがこの規模の小集会に必ず 一人参加している。無論、学園都市側の潜入捜査を防ぐためである。決して諸君らを疑っているわけではない。安心してくれ」

「そして、今、私は人工能力者といった。諸君らの目の前に有るものがその方法である。この板からフィルムが出てくる。それを 舌の上に載せれば諸君らも、レベル4相当の能力者となる。二つ以上の使用は脳死の可能性があるから、一人一枚ずつとるように」

「なぜ我々がこのような物を持っているかというと、学園都市にはすでにこのような研究はもともとあったのだ。だが、既得権益を守るため隠されていた。」

「奴らは自分たちの身の安全と利益の為に我々を無能力者でいさせようとしていたのだ」

どよめきが部屋に広がる

「それを我々が発見した。もともと諸君ら用の物だ。使ってくれ。」

充分数あったので、全員に滞りなく行き渡った

「諸君、明日の10時に我々は宣戦布告する。この事は穏健派・平和的工作派にも伝わっている。能力の使用はそれまで隠し通せ。奇襲を仕掛けるためにだ。」

「そして、今ここにいる我々は1チームとなる。各小集会が一つのチームとなる。今後はチーム単位で動くことになるだろう。このチーム内で絆を深め、勝利に貢献しよう!」


このような小集会が学園都市内で行われ、各学区に約50のチームが出来た。平均1チーム50人弱が23区画で約1000チーム 一夜にして約5万人のレベル4が誕生したのだった
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 19:48:53.00 ID:2oaf2EIo
救いがないのがコンセプトなので
申し訳ございませぬ

深夜 ストレンジ
ベッドで横たわっている少年が目を覚ます
上条(…ここは?)
知らない天井が有った

(今はもう夜の2時ですが、おはようございます。ここはCIAの拠点だった所ですよ。体の方は回復しきってるみたいですね)

上条(ああ、気分もはっきりしてる。で、なんで奴らの拠点何かに?)

(あの状況では、また捕まってしまうことが目に見えていたので、最終手段をとりました)

上条(へぇ。でもどうやって?ここの位置を知ってたわけじゃないだろ?)

(簡単ですよ。奪った端末で、わざと低いセキュリティレベルで連絡を取ったんです。"上条当麻の身柄を確保した。場所は 〜"と)

上条(それがどうしたら、CIA拠点に辿り着くんだ?)
(まず、前提条件として、あの看護師の端末が奪われたことが、病院の監視カメラに映っていることがあります)

(その事実は、都市の追手側にも当然行きわたっているはずですから、その端末から上条当麻確保の連絡は、当然ブラフである可能性を考えるでしょう)

(しかし、行かないわけにもいかない。すると、結構な装備と人数で動くわけです。都市の暗部の人間がそれなりの規模で動 くということは、当然CIAにも感知される)

(感知してから、逆にどういう経緯でそういう動きになったのか、CIA側は調べます。すると、どうやら上条当麻が捕まっていたのを脱走し、その時端末を奪っていた事実も見える)

(その端末からわざと罠のあるような連絡を送っていたとなると、驚くわけです)

(なぜわざと敵を呼び寄せるようなマネをしているのか、と。そこでCIAも考えます。他に意味が有るのではないかと。そうなったら私の思い通り)

(今まで単独で隠れた行動をしていて、捕まっても助けを借りようとしなかったのに、今になってこんなピンチを自ら作るということは、逆に助けを求めているんじゃないか、と言う仮説が上がる)

(そうなると、”今助けなければ、上条当麻はもう一度つかまり、次は自発的に逃げれない。わざと小細工をして見つかるような マネをしたのは、助けてほしいからだ”という本当に私が伝えたかった意思まで読み通せます)

(連中にとっても、あなたがつかまって中身を調べられるのは嫌がるはずですし、最終目標の事もあるので、助けを出す、と なるわけです)

上条(ほ〜ぅ。流石科学の頂点のAIなだけはありますな)

(褒められても、実は賭けみたいな要素も多いですからね。私たちはCIAにも隠れて行動しておきたかったわけですから、極力こんなところには来たくなかった)
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 20:00:11.43 ID:2oaf2EIo
上条(だよな。催眠術的な物をかけられるかもしれないし、来たところで俺達に俺たちが探している情報を公開するはずが無いからな)

(そうです。でもここまできたのだから、調べてやろうと思ってました。ですが )
ベッドがあった部屋を出ながら、周りを探索する。何もないし、誰もいなかった

上条(な〜んもないな)

(寝ている時に聞こえた音情報から判断すると、どうやら移動したらしいです。といってもばれたわけじゃ無いようで、あなたが目覚めるまでは安全だろうという判断から、護衛も付けなかったようですね)

上条(なんでばれても無いのに移動なんだ?)

(「次の段階へ移行する」という声が、かすかに聞こえました。次の段階が何かは分かりませんでしたが、よりよい場所があ るのでしょう)

上条(気になるところだが、手掛かりは無いし、とりあえず帰ろうか)

建物から出て駅の方へ歩いていると、何かがぶつかっている音が聞こえた

音がする方へ身を隠しながら向かう
暗くてよく見えないが、黒の長い髪をした少女が、一心不乱に壁に向かって何かを打ち出していた

上条(能力者だな。ストレンジの近くでよくやるよ)

(なかなかのレベルですね。圧縮した空気を打ち出しているようですが、無反動であの威力とは目を見張るものが有ります)

上条(空力使いとかかな?)

(でしょうね。まず間違いないでしょう)

雲間に入ったのか、月明かりが一瞬が差し込む

上条(あれ、あの子、御坂の友達にいたような?人は見た目によらないんだな)

(その一番の典型が何を言ってるんですか。なんでこんなところで練習してるのか分かりませんが、下手に巻き込まれる前に消えましょう)

上条(そうだな)

離れようとして、なぜかそこにちょうど良く転がってきた缶を蹴飛ばしてしまう

(ああ、どうしてこう、お約束通りなんでしょうかね、あなたは)

上条(俺が聞きたいです。切に)
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 20:11:11.48 ID:2oaf2EIo
佐天「誰?」

返事などせず、暗がりを利用して逃げようとした

即座に先ほど壁に撃っていたものと同じ空気の塊が押しあてられる
当然のように打ち消すが、強い風が起きた
風によって反射的に目を閉じ、開いた時には側に少女が立っていた

佐天「風紀委員の差し金?だったら殺しますよ?」

(早いですね。とても空力使いだけとは思えません)

上条「いえいえ。私はたまたま通りがかったただの無能力者ですよ」

佐天「アタシの攻撃を防いでおいて、よく言えるわね。それで、どこの人ですか? 」

上条「だからどこでもないって。一般人」

佐天「あくまでしらをきりますか。いいでしょう、一般人さん。あなたが一般人ならこの攻撃で死んじゃいますよね。…だか ら、死に曝せこの能力者がぁ!」

上条の肩を掴み、何かをしようとした が、なにも起きない

佐天「え、なんで?」

(直接、何かをしようとしたようですね )

上条「何をしても、俺を君は倒せない。そして、俺は本当にたまたまここを通っただけだから、気にしないで練習してくれ 。それじゃ」

佐天「畜生!余裕見せやがって!だから嫌いなんだッ!!」

背を向けて帰る上条に空気弾を連射するがやはり彼には効かない
そのうち射程外になったのか攻撃は無くなった

上条(相当、いきり立ってたな)

(そうですね。しかも自分が能力者でありながら、能力者に対していかっているようにも見えました)

上条(デモで無能力者の友達でも死んだか、風紀委員を逆恨みしてるのか、純粋な無能力者にとってはどっちにしてもあれは怖いぞ)
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/25(金) 21:50:26.38 ID:2oaf2EIo
翌日 朝 第一学区 治安部門中央
「昨晩の集会の報告が上がって無いが、どうした」

「それなんですが、集会に潜り込ませた風紀委員が誰一人報告していないのです」

「誰一人だと。待て、彼らはまず帰宅出来ているのか? 」

「わかりません。目下のところ捜索中ですが、報告は上がって無いですね」

「馬鹿な。無能力者無勢にやられたとでもいうのか」

「さらに報告を。本日朝8:30の時点で、無能力者の大半が、登校していません」

「何か企んでいるのは明白だな。登校している者は学校内で待機させろ」

「! 先ほど第15学区で襲撃が有った模様。能力者によるものです 」

「能力者が?なぜこのタイミングで襲撃などを」

「局の放送を乗っ取ったようです。放送をメインモニターに回します」

TV・ラジオ放送

「我々は、これまで不当な差別を受けてきた。これによって受けた精神的・肉体的苦痛は限界を迎え、スキルアウトの蜂起・デモという形でその不満は現出した」

「その不満に対し、都市運営を任された統括理事会は明確に拒否し、嘘の報告を発表し、そして我々から警察権すら奪った」

「そして、その暴力の根本的な原因の能力者は、運営側と結託し、我々を暴力によって抑えることで自らの好待遇を維持している」

「我々はこれ以上、この構造的暴力に対し、もう我慢ならない。都市運営並びに能力者に告ぐ、これまでの我々の差別に対する制裁の時が来た!」

「堂々とここに宣言しよう。我々無能力者は都市運営側と能力者に対し、正式に宣戦を布告する! 立て!同士達よ!我々の悲しみと怒りを遠慮なくぶちかませ!」

学校に登校していたわずかな無能力者たちによって各学校の放送室を通して、この放送は各学校内にも伝わった。
集会に参加した無能力者のいない学校を除いて
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 23:52:40.25 ID:BdAPQqY0
支援
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:55:39.99 ID:RAZ/9Tko
とんでもない事になってきてるな
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 20:28:28.26 ID:Ht8oOJAo
柵川中学
教師「何だ!今の放送は?先生はちょっと放送室へ行ってくるので、皆さんは席に着いてまっていなさい」

「宣戦布告ってなんなのさ?超ウケルんだけど」

「どうせ誰かの悪戯でしょ?性質が悪いよね、今の時期にこんなこと」

「案外本当かもよ?無能力者の人は来てないし」

「ただの集団サボりでしょ?学生版ストライキ?みたいな」

「ちょっと前に武装したスキルアウトが全滅したのに宣戦布告とか、馬鹿じゃないの?どうあがいても勝てないくせにw」

「表面的には付き合ってやってたけど、正直僻み隠してるの見え見えだったし、皆制裁受けて消えた方が楽なんじゃね?」

教師がいなくなり、登校していた生徒は思い思いの事を喋り出した

危機感を感じさせない空気のなか、一人、曇った表情で思考を巡らせている少女がいた

初春(固法先輩を始めとして、昨日潜入捜査した風紀委員が全員帰ってきていない。絶対に何かあったはずです)

初春(そんなタイミングで宣戦布告。これは冗談や悪戯では無い気がします)

初春(とりあえず、白井さんにメールを…)

「オイ!見ろよ!なんか無能力者どもが校門にゾロゾロいるぞw」

「なっさけねー。今度は武器もなしで、人しかいねえぞ!デモでもしに来たってか」

「あいつF組の伊藤じゃね?よくいじめられてたよなアイツ」

校門の前に整列した無能力者の集団が立っているのが見える。その数40人強
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 20:52:54.93 ID:Ht8oOJAo
校門に向かって何名かの教師が向かう

近づいて声を張り上げた瞬間、その教師の頭を空中に残して、体が複数に分裂した

窓の外を見ていた生徒の声が完全に沈黙した

その表情は固まっている

そして堰を切ったかのように悲鳴が上がる

校舎の中に悲鳴が木霊した

校舎に向かって無能力者が走る

それを止めに来た教師を挽き肉にし、冷凍し、蒸発させた。

さらに人工発火能力者の巨大な火球が職員室に向かって放たれ、人工空力使いが空気を送りこむ

職員室は一瞬で酸素を消費し、急激な低圧と酸欠、そして高温により、中にあった全ての生命が息絶えた

校舎に遠距離から直接攻撃が入ったことにより、悲鳴はますます大きくなった

窓から外を見ていた生徒は飛来する攻撃や硝子で死傷

目の前で級友が傷つき絶命するところを多くの生徒が直視した

それがもたらすのは、狂乱・錯乱・混乱―

生徒を抑えていた理性が消え去り、教室は慟哭に満ちた

初春(いけない!皆をまとめて待避誘導しないと)

初春(でも、どこへ…)

校舎に居た風紀委員の多くは彼女と同じように考え、迷った

迷っている間に事態は悪化しさらなる悲劇を呼ぶ

恐怖によって気がふれてしまった天然の能力者が暴走を始めたのだ
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 21:04:41.57 ID:Ht8oOJAo
一人が暴走すれば、恐怖も増えた分、さらに暴走が連鎖する。精神未熟な思春期の中学生ではなおさらだった

校舎内で複数の能力者が暴走したことにより、コンクリート製の校舎は軋み、歪み、溶け、瓦解を始めた

それに乗じて、人工能力者チームが支柱に向けて攻撃を集中させる

校舎は遂に崩壊を始めた

連鎖的に増す暴走者の数

暴風・爆発・濁流・念動力で飛び回る物物・悲鳴・怒声

すぐとなりにいる人とすらコミュニケーションが取れない

初春(これじゃ、私では抑えられない)

柱への連続攻撃と暴走能力によって校舎が揺れる。

ついに初春の教室でも暴走者が出た

念動力者の暴走により、瓦礫と机と死体の嵐が発生した

発火能力者がこの暴走を抑えようと火球を放つ

しかし、かき消されてしまい、逆に標的として認知されてしまう

初春の目の前で、級友の発火能力者がベコベコに変形し圧死した

内臓や脳、目などが飛び出ている

それによって、風紀委員としての気負いと義務感で抑えていた本能的な恐怖に、彼女は打ち負けた

初春(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ怖い怖い怖い怖い怖い怖い死んじゃう死んじゃう死んじゃう死んじゃう)

その場にへたり込み、失禁。

そして崩壊した校舎の瓦礫に彼女も飲み込まれた

「統括本部、こちらチーム7-32。柵川中学校の完全倒壊を確認。これより残存能力者と暴走者の排除に移る」

『本部了解。終わり次第、苦戦している他チームの援護に回れ』
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 21:52:33.57 ID:Ht8oOJAo
グループ アジト

一方「仕事内容の変更だァ?急だな」

海原「敵の具体的な内容は掴めてない中で、この状況ですから、考えられなくは無いですね」

土御門「上が流暢に構えてられなくなったんだろう。例の宣戦布告も恐らく仕組まれたものだろうしな」

土御門「内容は、結標、お前が案内役をやっているビルの護衛だ」

結標「そう…今まで思ってたけど、あんたたち二人相手で、常に裏をかかれているんでしょ?仕事の依頼とか私たちの動きとか、敵にばれてるんじゃない?それじゃ折角最高機密として隠してるあの場所についてまでばれちゃうんじゃないの?」

土御門「なりふり構っていられないと言っただろう。あの見た目と用途不明な時点で怪しすぎる。いずればれるさ。なら最初から防御を構えておいた方がいい。もしかしたらそれを逆手にとって、敵の一員を罠にかけようって考えかもしれないが」

一方「おィおィ。それじゃァ、敵を騙す為に俺たちが直々に守ンのかよ」

海原「もともとの任務との関わりもありますし、大がかりにやればやるほど、敵もより多く力を割くハズですから確かに効果的かもしれません」

土御門「恐らく青髪も来るだろうってことから、アイツを追ってる他の組織も護衛に回される予定だ。戦力は未知数。一方通行、奴が現れたら相手を頼む」

一方「了解だァ」


上条の部屋

ステイル(昨日も結局彼は帰ってこなかった)

ステイル(そしてあの宣戦布告、町中から聞こえる戦闘音。戦闘自体はまだ限定的だが、広がる可能性は捨てきれない)

ステイル(彼の情報によるとインデックスは狙われている)

ステイル(となると、この事態に合わせて襲われる可能性は極めて高いだろう)

ステイル「インデックス、危険だ。ここを移動しよう」

禁書「そうだね、わかった。反対はしないよ。…とうまは大丈夫かな?」

ステイル「この状況だから、なんとも、ね」

答えを聞いて、祈りの姿勢をとった

ステイル(問題を全部解決して普通に帰ってくることを、悔しいが僕も願ってるんだ。無事でいろよ)
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 21:59:45.16 ID:Ht8oOJAo
学び舎の園 シェルター内

無能力者デモなど無関係だった金持ち令嬢や高位の能力者ばかりの人間が通うここでは、学校倒壊や襲撃の報告が来て真っ先に駆動鎧と対能力者装備を整えた防衛部隊が十分数配備された

ほとんどの生徒は落ち着き、教員に言われるがまま安全なシェルター内に避難した

移動の統率を終えて、ツインテールの少女は携帯端末に初春からの連絡が来ていることに気がついた

白井(!、初春の学校も襲撃されたようですわね。無事だと良いのですが)

被害状況を調べようと、端末を操作する

白井(初春に上部情報のアカウントとパスワードを前に教えてもらっておいてよかったですの)

白井(現時点で崩壊した学校リスト?!しかもこんなに。柵川中学の名前もありますわね)

白井(現時点で行方不明・死亡・行動不能な風紀委員のリスト、学び舎の園以外の風紀委員ばかり大量に名前があr、う、初春の名前も記載…)

白井(敵の規模が前回のモノとは段違いすぎます。いけない。こんな情報をお姉さまが見たら脊髄反射で飛び出すことは必至)

上級生の区画に空間転移する

白井「あの、御坂先輩はいらっしゃいますか?」

クラスの統括をしていた子が答える

女子「実はあの子、今日は学校に来てないのよ。あなた、寮は同室でしょ?知らなかったの?」

白井「初耳ですわ。今朝も一足早く学校に行くと言って、登校なされたハズです」

女子「そう。まぁ、超人様の事だから急に学校サボっても、驚かないし。ただ今日は良くないわね。あなた、連絡出来たら呼び戻しなさい」

白井「分かりました」

白井(昨日あれほど言っておいたのにやっぱりあのお人は)

白井(今更電話で帰るよう言っても従うはずが有りません。直接会わないと)

白井(このシェルターの出入り口は一つ。そしてそこは重装備の防衛部隊が守っている。わけを言っても出してくれるはずが無いですし、生徒で出れるのは私だけ)

白井(…やるしかありませんわね)
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 22:05:58.03 ID:Ht8oOJAo
第7学区

白煙や爆発音がところどころで上がる。そんな光景を300m程度の高さから見下ろす少女が有った

佐天(うちの学校が壊れちゃってる)

佐天(まぁ、いいか。居たのは能力者と運営側の手先の教師だけだし)

佐天(初春は少し可哀相だけど、運が良ければ助かってるでしょ


近くで見てみると、倒壊した校舎と運動場の上で暴走者と人工能力者が戦っていた

暴走者は9人。人工能力者の数は30人弱で、また一人弾き飛ばされた。瓦礫に直撃し、動かなくなる

佐天(追い込まれてても能力者は能力者、私たちの邪魔ばかり)

佐天(暴走なんて、ほっとけばいつかダウンするけど、それまでに味方の被害が増え続ける。部屋で待機している非戦闘員にも被害が出るかも知れない)

佐天(今ここで、殺すしかない)

暴走している能力者の一人めがけて突進する
空気弾を放つも、防がれる 暴走者は発火能力者だったのか自分の周りに高温の火球のような何かを大量に浮かべ、無差別に放ち、またそれによって攻撃を防いでいる

もともと暴走して意識は混乱していたが、自分の能力によって酸素濃度が低下し、本能だけで暴れていて、攻撃に理知性がないので、行動予測が出来ず、人工能力者たちは攻めあぐねていた
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 22:11:08.54 ID:Ht8oOJAo
佐天(圧縮空気で攻撃が通じないなら、こう)

校舎の瓦礫の側へ飛び、圧縮した空気を使って大きな瓦礫を持ち上げ、瓦礫そのものを圧縮し、圧縮した瓦礫の周りの空気も圧縮し、軽く音速を超えた速度で打ち出す

当然、防御の為に崩れた火球が反応する
周りの空気の層が瓦礫を守り、圧縮された高密度の瓦礫が暴走者に直撃した

上半身のみ抉り取られ、バラバラになる。残された脚部が脊椎反射でバランスを保つも、倒れてしまった

突如現れた少女によって手こずっていた一人が一撃の元に倒されたのを見て、人工能力者勢は唖然とする

佐天「何をちんたらやってんですか!能力のレベルはアタシと同じはずだよ!暴走者なんて頭逝ってるんだから連携して攻めろよ! 」

叫びながら、同じ方法で、暴走していた電撃使いと念動力者を黙らせた

暴走者戦力が3分の2に減少、パワーバランスが一転した
攻めあぐねていた人工能力者チームは防戦を解き、攻勢に打って出る

暴走者が一人ずつ、確実に潰れていくようになったのを確認した佐天は、その場を飛び去った


佐天(なんであの研究員が反乱について知ってたのかは分からないけど)

佐天(いいわ。手の平の上で踊ってやろうじゃない)

佐天(今の私の目標は第一学区)

佐天(あの糞タヌキ共、待ってなさいよ)
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 22:17:26.09 ID:Ht8oOJAo
第一学区
宣戦布告後、5チームが突入してきたが、対能力者兵装と駆動鎧で完全武装した防衛部隊によって退けられ、今では街は完全に防衛部隊が占拠している

そこに、カメラを壊しながら潜入している少女が有った

御坂(宣戦布告を聞いて、爆発や壊れちゃった学校や悲鳴をいっぱい見聞いたけど)

御坂(慣れたのかな、すごく落ち着いてるのが自分でもわかる。冷たい人間になっちゃった?)

視界に崩壊したチームの死体が入っている

御坂(完全にただのオブジェクト。むしろここにも駆動鎧の警邏活動が有るんじゃないかって考えてしまう)

案の定、駆動鎧の放つ電波が、御坂のそばに警邏活動が近づいているのを知らせる

御坂(今は、これで良いんだろうけど。)

目当ての施設に近づくにつれ、警邏部隊の数が増え、目をしのぐのが難しくなる

御坂(どうしよう、これ以上は無理かも)

ビルの合間に居た御坂に上から轟音と共に突風が吹いた HsAFH-11攻撃ヘリが到着したようだ
HsM1128MGS装甲車両もちらほら見える

御坂(ここを拠点に攻勢にでも出る気かしらね。これ以上兵員が増えると、ここもじきに見つかる)

御坂(ここまで来ておいて、帰るのはもったいないけど、仕方ないわ)

その時、ひときわ大きい轟音と突風が吹いた。衝撃で近くのビルの窓ガラスが割れる
低高度で、音速で何かが飛んできたようだ

そして爆発音が響く
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 22:23:09.55 ID:Ht8oOJAo
無線を傍受すると、装甲車と攻撃ヘリに攻撃が加えられているとの通信が行き交っている

空力使いが一人で攻撃をしているという

御坂(あの数の対能力者装備の中に行くなんて何を考えてるの?でもこれはチャンスよ)

近くの警邏部隊も装甲車部隊も浮足立っていた

その間を抜けて、都市の情報制御・操作・保存のクラウドサーバーのある第一学区のメインタワービルに足を進める


第一学区へ高速で飛来してすぐに目についたものは、ホバリングしていた攻撃ヘリだった。
地面を見ると他にも攻撃ヘリや装甲車が見える

近づき、圧縮空気弾をローター部分めがけて放つ。姿勢維持が出来ず、墜落、爆発した

同じようにして地上のヘリや装甲車に向けて圧縮した空気弾を弾き出す。
しかし、空中からでは損傷を与えられない

佐天(ダメだ。唯でさえ射程は大体100mしかないんだから、近づかないと)

地上すれすれを高速で飛行し、接近する

無論、低空に来たことにより、駆動鎧部隊の集中砲火を受ける。対能力者用装備による攻撃も有った
キャパシティダウンにAIMジャマ―、攻勢脳波射出装置(Brain Sconer)等々

四方から銃弾が飛んでくるが、防御に特化した彼女の半径10m圏で弾丸や爆風、破片は何か固い壁に当ったかのようにして垂直に落ちる

その壁は分厚く、音も電波もはたき落とす
AIMジャマ―も、彼女の今使っている能力が、もともと二つの能力のバランスで成り立っている為に、かく乱がかく乱にならない

佐天「アハハハハハハh。なに?所詮この程度?こんな力じゃもともと守ることなんてできなかったのよォォォ オォォォォォ! 」

ヘリや装甲車が手に触れることが出来る距離に入り、一台のヘリに触れる
ヘリがボーリング大ぐらいのサイズに圧縮され、それを攻撃してくる駆動鎧に向けて投げる

圧縮されたヘリであったものが、鎧部隊の前で解放され炸裂する。
炸裂した破片が刺さり、その場にいた鎧部隊は壊滅的な打撃となった

装甲車やヘリを片っ端から投げつけ、炸裂させる

佐天(こんな奴らを殺すのが目的じゃない。理事会のところへ)

粗方、周りの設備と部隊を始末して、彼女も第一学区のメインタワービルへ向かった
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 22:33:04.43 ID:Ht8oOJAo
第7学区

上条(まるでピンポイント爆撃された後みたいな状況だな)

(今のところ学校だけですんでいますが、都市側が攻勢をかけた場合、戦禍は確実に拡がるでしょう)

上条(そうだろうな。恐らく、これが奴等の言ってた第2段階と見て間違いはないだろう)

(同意見です。前段階が対立を煽る事とすると、スキルアウト蜂起もデモ混乱も仕組まれたものと見て間違いはないですね)

上条(ここまで分かっても、狙いが分からない。最終目標だけならここまでやる必要性が無いからな。地味に諜報工作活動をしていても達成できるはずだ)

(肯定です。ここまで来ると流石に対外的にも箝口令を敷くこともできません。日本という国家をあげての問題となり、恐ら く、この差別的な施策も明らかになると、国際的にも叩かれます )

上条(…CIAという組織が動いているということは、これがアメリカの国家利益に繋がるはずだ)

(国家規模の諜報組織ですからね。学園都市憎しだけではこんなことにはならならいでしょう )

上条(その場合、このままでは学園都市を滅ぼしかねないような事態を、アメリカが陰で起こしたとばれない様にしなきゃいけ ないしな。そう考えると…まさか)

(気づきましたか?むしろ、私にはそうとしか考えられません)

上条(となるとそれに必要な証拠になるものも既に揃ってるだろうな。口実も完璧。世論の支持も国内コングロの支持も問題無いだろう)

(この反乱に必要な第二位を引き渡した時点で、私達も完全に片棒を掴まされてしまいましたし。気づくのが遅かったですね)

上条(クソ!こんな下らねえ戦いをこれ以上させてたまるかよ!)

(落ち着きましょう。止めに入りたいのは私もです、が、あなたには人質が有る。魔術師に守られていますが、奴らが興味を持っている時点で、ある程度魔術師対策も有るでしょう。彼女が危険です)

上条(ステイルはインデックスをずっと陰から守ってきたんだ。アイツの腕なら任せられる。第一、どうせここでの事が終わったら俺関係なしに、手を出してくるだろうさ)

(…了解しました。ならば、CIAがこの対立・内乱を導いたという証拠を集めなければなりません。今の奴らの拠点を見つけ るべきですね。 )

上条(そう簡単には足を見せないだろうから、学園都市内部で繋がってる人間からたどるしかないな)

(ポジション的には相当上部でしょう。あの場面で警察権を取り上げたらどうなるか、ユーゴスラヴィア内戦という歴史的サ ンプルが有りながら、強行したわけですから。理事会の中に居てもおかしくはありません)

上条(なら、第一学区だな。恐らく、護衛兵の装備も数も多いだろうから、忍び忍びで行くしかない)

(急ぎましょう。都市側の体勢が整う前を狙うんです)
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/27(日) 22:36:26.85 ID:Ht8oOJAo
第七学区

青髪(人の前に立つのは苦手なんやけどなぁ)

チーム長「屈強なる我が同士諸君、我々には他のチームにはない特別な任務が与えられた。これから特別参謀どのより、詳細 を頂く!心して聞け!」

青髪「君たちに与えられた目標は、この建物の襲撃だ。諸君らの中にも、見たことのある者もいるだろう。今現在、他の地区には無い、高度な防衛体制が整えられている。それも都市の正式な部隊によるものではない」

青髪「間違いなく、ここには何らかの機密があるはずだ。機密を調べるために、私が潜入する。その為の囮になってもらいたい」

青髪「厳しい反撃が予想される為、まともに闘うと全滅する恐れもある。 」

青髪「相手にはLV5も有るという情報もある。」

青髪「故に、今作戦は設定時間が有る。10分間、攻撃したら退いてほしい。私も君たちと共に強襲に参加し、君たちが引き上 げたタイミングで潜む」

青髪「無論、罠である可能性もある。時間が限られている理由の一つでもある。だが、重要度が計り知れないという意味でこの作戦の意味は大きいだろう。」

青髪「不安要素を排除するためにも、諸君らの働きに期待している。以上」

チーム長「同士に敬礼!それでは、10分後に作戦を開始する!準備を怠るな!」

青髪(本当にLV5が出てきたら10分間以内に全滅も有りうる。)

青髪(本音を言えば、もし絶望的な状況になっても、時間設定をしておくことで、心理作用により戦力が瓦解するのを防ぐ為の時間設定なんやけど)

青髪(こういう考えも、この組織入ってから自然に身についてしまった。)

青髪(騙して、街を壊して、人を殺して、結局僕はなんでこんな仕事しとるんやろな)
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:14:01.70 ID:040sCMko
つか教師とか殺しちゃってる時点で主張とかなんの説得力もないな
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 00:14:26.42 ID:JjA3PlY0
GJ!

第一学区が次の焦点っぽいですな。
続き待ってますよ!
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 13:04:29.24 ID:Z4tbRMDO
借り物の力で調子にのってる奴らを一方さんに皆殺しにしてほしい
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 14:34:01.22 ID:5KdV6h6o
しかしこれ今までの禁書SSで一番人死んでるんじゃなかろうか
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 21:41:13.68 ID:qtd3bYoo
駒野カワイソス
泣いてる駒野キュンの肩を抱いてる松井と相手プレーヤーの図で貰いNAKIしますた

学び舎の園
白井(シェルターから出たものの、そこいら中護衛部隊がいては動きにくいですわね。店の中もカメラは回っているでしょうし)

結果、知っている店のトイレを伝って外へ進む

白井(ふぅ。しかしお姉さまがどこへ向かってしまわれたか考えないと)

白井(あの時、初春にお姉さまが尋ねたのは武器の侵入経路について)

白井(それだけの情報では第一学区と第11学区の二か所が考えられますわ)

白井(第一学区のメインタワーなら多くの情報にアクセスできますね…)

白井(恐らく、今の第一学区は特殊装備の警備員をはじめとした部隊で厳戒体制でしょうから、一般学生が見つかったら射殺されてもおかしくないでしょう)

白井(見つからずにずっと飛び続ければ5分もかからないですが、負担がかかりすぎますわね。飛んだ先で休息が必要になるはず)

白井(第一学区のタワーそばで安全地帯となりそうなのは)

端末を通して公開されているタワーの情報を確認する

白井(変電・荷電ユニット部、ここなら常に人がいるわけでもないでしょう)

白井(お姉さま、どうか私がいくまで見つからないでいてくださいまし)
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 21:46:32.65 ID:qtd3bYoo
第七学区 車内
フレンダ「! 上条当麻を見つけたわよ」

浜面「マジで!?今まで全然手掛かりなかっただろ?」

フレンダ「マジよ大マジ。ここのカメラにHitしたわ。服装はいつもと違うけど標的!捕捉かんりょーよ」

滝壺「今まで完全に避けてたのに、急に映るのは、変。むぎの」

麦野「何か狙ってるって考えもできるけど、みすみす逃すわけにはいかないわ」

麦野「滝壺と浜面は車内無線指示。フレンダは狙撃、絹旗と私は直接戦うわよ」

絹旗「私たちが囮になれば良いんですね」

麦野「逆よ。フレンダが囮。どうせ狙撃ポイントなんて見抜かれているだろうからね」

麦野「私たちの攻撃にリズムをつけるの。タイミング良くフレンダが撃つのを繰り返す」

麦野「彼がリズムを意識し出したそのタイミングで私が前にでるから、絹旗が私めがけて投擲攻撃をする」

麦野「当然、私は避ける。すると彼に当る。もちろんチャンスは一度きりだけど、どうかしら、この作戦?」

フレンダ「まるっきり乙女頭脳では無いようね。安心したわ」

絹旗「流石麦野です。異論はありません」


麦野「唯一欠点があるのは、この馬鹿と滝壺を車内で二人っきりにするってことかしら」

浜面「仕事中に手を出すわけねーだろ。きちんとモニター見て誘導してやんよ」

フレンダ「気をつけてね、滝壺。結局、男は万年発情期なわけよ。浜面は男というより♂だけど」

滝壺「大丈夫、私ははまづらを信用してる。…はまづら、初めては、優しくしてね」

浜面「し、しねーから!滝壺さんも悪乗りしないで下さい」

麦野「ビビっちゃって、チキンね」

フレンダ「チキン野郎」

絹旗「チキンですね」

滝壺「にわとりさん?」

浜面「うおおおお。俺は出していいのか?手を?…ああ糞、どうでもいいや。着いたぞ、行って来いフレンダ」

フレ「ハイハーイ、お先にいってきまーす」
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 21:52:05.29 ID:qtd3bYoo
(上手く釣れましたかね)

上条(じゃないと困る。片っ端から交通手段が壊されてて、車すらない今は第一学区まで高速で移動する手段が無いからな)

(例え釣られても、敵は策を用いるでしょう。警戒はするに越したことは無いですよ)

上条(わかってるさ。…どうやら上手くいったようだ)

(来ましたね)

女性と少女がビルの影から現れた

絹旗「お久しぶりですね」

上条「君がビルから掘り出してくれたんだろ?助かったよ。礼を言う」

麦野「そういう割に、あなた、義足でも義手でもない様ね」

上条「最近の医療技術はすごいんですよ。一晩で手足が生えてくる!」

麦野「私たちを前に冗談を言うとは余裕が有るじゃない。気に食わないわ、ね!」

麦野が光線を放ち、絹旗が飛びかかる

絹旗(能力を使っての攻撃は効きませんが、能力で勢いをつけて体重を乗せれば最低限、相手を崩す程度の攻撃の威力は出ます)

上条「上条さんにはこんな攻撃は効きませんよ?」

麦野のビームは体表でとまり、絹旗の攻撃を片手ではたき、足で蹴り飛ばす

絹旗は軽く悲鳴を上げながら飛ばされ、それを麦野が抱きとめた

自立し、また飛びかかる

絹旗「さっきのキックは痛かったですが、手を抜きましたね!相変わらずでムカつきます!」

腰へ右足・左足、右ロー回し蹴りを繋がりよく繰り出すが、上げた膝と構えた腕に防がれ、弾かれ、バックステップでかわされる

そのバックステップのタイミングを狙っていたかのようにして、麦野が着地点へピンポイントに光線をあて、地面を砕く

上条がバランスを崩した所へ、ライフルの弾丸が弾き出される

分かってはいたがかわしきれず、左手の中指が吹き飛んだ

上条「やるね。今のは中々良い繋げ方だと思いますよ」

麦野「フン。余裕の割には痛そうじゃない。けど、どうせすぐ生えてくるんでしょ」

すでに中指の出血は止まっていた。痛みも彼は感じてない
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:00:16.68 ID:qtd3bYoo
絹旗が遠慮無に距離を縮め、飛び膝を繰り出し、かわされたのを読んでいたかのように着地しすぐさま防御態勢を整える

案の定上条の蹴りが来る。先ほどより威力が増していた。それだけ焦っているのだろう。けりを全身を使って防ぐ

次の足で蹴る際の上条の重心が変わるタイミングで、上条の足元のアスファルトを崩す麦野

今度は読まれていたようで、上条が瞬時に左方向へサイドステップを入れると、それまで立っていたところに弾が通り過ぎる

上条(攻撃のリズムは分かった。要は、あの小さい子から離れなければ良いわけだ)

また飛び込んでくる絹旗。最初に繰り出した右ストレートを避けつつ、上条は左手で手首をキャッチする

その左手に向かって左フックを入れようとした絹旗の動きを見た瞬間、足払いをかまし、倒れた絹旗の腹部を踏みつぶさない程度に踏み、動きが身動きが取れないようにした

もちろんライフル弾が飛んでくるが、味方がいる足元は狙えない為、必然的に上半身めがけて飛ぶので、腰だけで避ける

弾丸が当らなかったのを確認して、絹旗は腰から液体窒素入りの缶を放り投げるとそれを麦野が正確に撃ちぬいた

液体窒素がはじける

上条はとっさに腕で顔を守り、足を離して、狙撃できない死角の部分へ下がった。
ライフル弾がむなしく宙を切る

二人は目配せで互いに合図を送った

絹旗が立ち上がりさらに飛びかかろうとする

ぎりぎりの間合いで、粉が圧縮されて詰まっている缶を放り、麦野がそれを撃ち抜き上条の視界が白で覆われる

絹旗が一気に後ろへ跳躍しこれまでの戦闘で壊れた瓦礫を構える

そして麦野はそれに交差するように上条の目前まで急加速し、蹴りをかます

あらかた粉が吹き飛んだが、目の前に今まで支援攻撃に徹していた麦野が目の前にいて、上条は一瞬、たじろいた

その隙を見計らって、麦野の陰から絹旗が瓦礫を投げつける

麦野(捕った!)

勝利を確信し、手はず通り体勢を低くして上条に瓦礫がヒットするのを待つ

だが、いつまでたってもその時は来なかった

上条「ごめんな」

彼の声が聞こえた瞬間、麦野の意識は落ちる
彼女の首筋には、上条の手があった
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:04:54.37 ID:qtd3bYoo
残った絹旗も、何が起きたか分からないでいた

投げ飛ばしたはずの瓦礫が投げる直前、落ちたのである

そして目の前で崩れ落ちる麦野

上条が目の前まで迫る。とっさに距離をとろうとするが、能力が発動しない

混乱した彼女へ腹部への強烈な一撃を与え、意識を借りとる

遠くからスコープを通して見ていたフレンダにも状況が掴めなかった

彼女はとにかく狙っては撃った

だが、彼には当たらない

フレンダのリロードを見計らって、上条は腰から拳銃を取りだし、かなり斜角をつけて発射する

放たれた弾丸は弧を描き、フレンダのライフルへと突き刺さる

弾がライフルに当たったのは偶然だろうが、フレンダを狙って拳銃で射撃し、さらに近辺に直撃したことで彼女の戦意は遠の き、車のある位置へと駆けた

上条(もういいだろう。副作用の規模は中指だけですみそうか?)

(いいえ、軽くオーバーしてますよ。まぁ、少々どこかの筋肉を増やせば解決する程度ですが)

上条(足で頼む。必要休息時間はどのくらいに?)

(30分もあれば、足は強化された状態で充分に使用できます。左手の中指は一日は痺れたままと思われますが)

上条(よし。じゃあ先に交渉と行きますか)

麦野の腰についていた無線を拾い上げ、コールした

上条「上条当麻だ。交渉しよう。二人を迎えに来てほしい」
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:10:51.06 ID:qtd3bYoo
第7学区 窓の無いビル周辺

大道路から離れ、そのビルを覆うようにして他の普通のビルが立ち並ぶその区画は騒然となっていた

装甲車が5,6台と武装した特殊部隊が防衛の為に到る所に配置されている

青髪(1中隊クラスの兵力か。さあて、どうやって攻めたもんかなぁ)

青髪(明らかに守りの薄いところが有るが、罠だな。対能力者兵器が有るかもしれない)

青髪(薄いところは避けてるべきか、いや、どうせ10分だ)

青髪(薄いところに集中させるのは危険だが戦力をバランスさせて他から増援を来ない様に出来たら)

青髪(罠のレベルによるがこの烏合の衆でもかき乱せるか?)

青髪(このチームは量産型の中でも別格の慣性制御が他の所に比べて多い。これを利用すれば)

青髪「よし、チームを5つに分ける。配置はこうだ」


窓の無いビル周辺で爆発が起きる

これを合図に、5方向から防衛部隊は攻撃を受けた

4つの小部隊と1つの大部隊で構成され、小部隊は4人(慣性制御・発火能力・空力使い・念動力者)で慣性制御を中心に据えたもの、大部隊は残り全部(30人)で出来ていて指揮は青髪がとっている

圧倒的に多い人数を相手にしていた小部隊は慣性制御の作る障壁内で攻撃を繰り出す

外からのいかなる飛び道具も、その障壁にぶつかると慣性が0になり、初速の加速の慣性で飛ぶ武器は効果が無い

無論、対策をしていないほど特殊部隊も愚かでは無い

念動力者によって動かせないであろうぎりぎりのラインの重さの装備をし、駆動鎧の高度な俊敏性を生かして接近戦を決めに近づく

障壁圏内に入ってしまえば、他の能力者の邪魔にならないよう、慣性は0で無い。

10mの範囲内に入ってさえしまえば、銃器による殺傷は可能なのだ

これに対し、空力使いが障壁外の空気を操作し、空間的には慣性が0となっている障壁全体と中身そのものを滑るようにして高速度で移動させる

駆動鎧を動かせないと分かると、念動力者は打ち込まれた弾丸や壊れた瓦礫を障壁外で振り回し、駆動鎧が近づけない様にする

攻撃の要は発火能力者がまき散らす高温の炎と爆発による熱波だが、特殊部隊にとってありきたりな物であり、対処できないレベルでもなかった

初期のパワーバランスはほぼ互角、戦況は硬直したようにみえた
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:19:00.99 ID:qtd3bYoo
一方、青髪率いる大部隊側である

青髪の読み通り、そこは罠だった

無論、大部隊も同じように慣性制御の障壁を利用しているが30人全員の防御をするには幅が足りず

当然、あふれる。あふれる者に、早く動ける空力使いや移動能力者を置き、斥候的な役割を含めて先行させた

突出した空力使いがビル5mまで近づいた。瞬間、体が複数に割れる

同じように突出していた複数名の行動が一瞬止まる。そこへ機銃を装備した複数の多脚ロボットが瓦礫の脇から現れ掃射した

ものの5秒で6名の人工能力者の亡骸がビルそばに転がる

青髪(何かあるとは思っていたが、目にみえへんとはやられた)

青髪「全員、障壁内から出るな。防御ではなくカウンターに能力を集中させろ」

障壁内からの攻撃で現れたロボットは破壊されたが、士気が下がったようで、動きが鈍る

青髪(これだから素人集団は扱いが難しい。しかし、あの謎の攻撃が分からない限り、どうしようもない。このままだとあと時間の8分で壊走、それまでに全滅もあるな)

攻撃の手段が特定できないのでそのまま障壁内にとどまり前線を少しずつ押し上げていく

少し開けた場所まで押し進んだ

突如として、障壁を操っていた能力者が空間転移させられ、地面に埋め込まれる

さらに障壁が消えたところに伏せていた部隊からの機銃の掃射が入り、自分を守ることが能力的に向いていない約半数が死に、

かなり隣どおし近かった為、他人の能力に巻き込まれてもう半数近く死に、

何とか難を逃れ、物陰に逃げた人工能力者も首だけが空間転移するなどの方法で次々やられていった

大部隊は10分どころか5分も持たずに崩壊してしまった
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/30(水) 22:21:01.88 ID:ahmXMNco
禁書原作もグロ描写それなりに多いが、それ以上に多いな
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:24:17.65 ID:qtd3bYoo
結標「ざっとこんなものね」

土御門「よし、結標はそのまま見えた敵を消す作業を続けてくれ。メンバーの兵器は罠の区画にしか設置されていないから、一方通行、膠着している周りの戦線の排除を頼む。思っていたより味方の駆動鎧の減りが早い。出来るだけ速くな」

一方「青髪はどうすんだァ?すでにモニターにはいないぞ」

土御門「構わない。先に周りを綺麗にしてくれ」

一方「あいよォ 」

土御門「それから海原、少々危険だが一方通行に化けて、ここで隠れておいてくれ」

指で示した場所は、大部隊がいた正面だったところだ

海原「分かりました」

小部隊と特殊部隊の戦いが互角だったのは始まってすぐだけだったようで、

4小部隊にあてがわれた200人の駆動鎧は少しずつであるが減らされ続け、小部隊の攻勢は比較的に強まるばかりだった

50人中15人前後がやられた時点でパワーバランスの拮抗は大きく壊れた

「よし、このまま押し続けてあと5分を耐え抜く」

「防御特化状態なんだ、余裕さ。あと100人でも出てこいってんだ」

「調子に乗らない方がいい。LV5が出てきたらこの状況だってどうなるかわからん」

「そうだな、っ!」

水平方向にのびる火の円柱が駆動鎧を捉えた

戦況の悪化と具体的な反撃の手段の無い駆動鎧はジリ貧であることに焦りを感じ、なおさら攻撃がワンパターンになる

「攻撃が全く通じない障壁、それを囲うかのように飛び回る瓦礫、障壁そのものが縦横無尽に飛び回り、高温の火炎をまき散らす。こんなの相手にどうしろってんだ!」

「こっちに来た!退避しろ!」

「ウギャアアア!… 」

「またやられた!現状じゃあどうしようもない!至急援護来られたし!」

周囲が炎の海となり、まさに地獄絵図となったその時、強い風が吹き、炎が弱まった
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:28:17.27 ID:qtd3bYoo
一方「ずいぶんと酷ェやられようじゃねェか?まったく、とっちが烏合の衆なンだろうなァ!」

一人の駆動鎧に向けて放たれた炎の渦の前に高速で移動し、炎をはじき返す

自分に迫った死から助けられ、駆動鎧兵は呆然としている

一方「ここは任せといて、テメェらは他の部隊にの援護に行けェ!」

一方通行の怒声を聞いて部隊は我先にとこの場から離れ、残されたのは人工能力者の小部隊と一方通行だけとなった

「能力者か!なぁに、この防御態勢は完璧だ。このまま焼き殺せぇ!」

「応よ!」

球体となっている障壁は更に速度を上げ距離を取り、一方通行めがけて瓦礫を飛ばし、周りを炎で囲う

一方通行(確かに、無能力な駆動鎧共には荷が重ェ。そこら辺に居るレベル5でも厳しいハズだ)

飛んできた瓦礫を反射し、打ち出された時よりも圧倒的な速さではじき返す

亜音速で瓦礫が障壁に直撃する。が、力を失ったかのようにして、一瞬静止し、落下する

一方(慣性制御…コイツはほとんど俺の劣化能力だが、この四人の組み合わせだと第七位を除いて第三位以下じゃ歯が立たな いだろうなァ)

地表を這う炎から出来る上昇気流を利用して上空に飛びあがる

一方(駆動鎧共の戦い方は正解だったな。接近して障壁の中に入らないと俺でも攻撃手段が無ェ)

接近しようと速度を出す

「来たぞ!距離取れ!」

一方通行を超える速度を出して逃げ回る。無論攻撃をしながらではあるが、それは彼に弾かれる
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/30(水) 22:32:24.33 ID:WzRM6USO
電子の慣性も殺されるからか
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:35:54.88 ID:qtd3bYoo
一方(早い。だがこの程度で速度限界。所詮は空力使いだ、超音速を超えられねェ)

徐々に距離を詰められる

「もっと速度は出ないのか!」

「限界だ!お前こそちゃんと迎撃しろよ!」

「無茶言うな!こっちも弾かれんだよ!」

「落ち着け!あと4分逃げるだけでいいんだ」

「直角に曲がれ!あの勢いでは曲がりきれん!」

無論、ベクトルを簡単に操作する彼の空中戦で急旋回や急上昇など問題にならない

さながら、第二次世界大戦中、弾薬の無くなった日本軍戦闘機を猛追する米軍戦闘機のような、絶望的な悲壮感を紡ぎだしていた

一方(これでチェック、メイトだァ!)

ついに障壁に一方通行が突き刺さる。一度は速度が0になるが、もう一度加速してしまえば速度は蘇る

そのまま手前に居た発火能力者に音速を超えた拳を見舞し、破裂させた

無論、音速は人間ではまともに知覚できない速度であり、発火能力者がやられたと他が気がつくころには既に他3名もこの世から消えていた

一方通行(後、3つ)
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:46:02.79 ID:qtd3bYoo
青髪(ありゃま、全滅するのも時間の問題やな)

瓦礫の下で彼は隠れて状況を見ていた。他の人間が見たら、間違い無く押し潰れているであろうという構図で

青髪(座標移動にベクトル操作じゃ、急造の能力者には相手が出来るわけが無いからな〜)

青髪(しかし、あの謎の人体切断は厄介や)

カメラには分からない様に石を投げつけてみる

一度目は音も立てずに粉じんとなり、二度目は弾かれ、3度目は綺麗に弧を描いて落ちた

青髪(一度目はただの石、二度目と三度目は僕の能力を加えたもの。大体は予想がついたで)

青髪(あれは目には見えないサイズの何か、で、しかも動いとる。大方、遠隔操作かなんかやろ)

青髪(でもあの石を弾くことしかできなかった時点で欠点は見えた。僕には問題にならへん)

2度目の超音速による轟音が消えた。2小部隊がやられたことを意味している

青髪(全滅も近い。捜索が始まる前に動かないとな)

設置されているであろうカメラの位置を予想して映らない様にビルの前まで進む

ふと白髪の少年の影が視界に入り、消えた

青髪(一方通行は今戦ってるハズ。ということはあれはエツァリの変装しか考えられない。好都合だ、入口まで尾行させてもらうかな)

一方通行(偽)が消えたところへ移動する

その場所はビルの角

曲がった瞬間、青髪は、気配を感じ、能力を使用した

青髪「やっぱり罠やったか。出てきぃや、あわきちゃん」

言われて出てくるほど彼女も場馴れしていないわけではない

なぜか自分の能力が効かない上に、見えないはずの位置に居るはずなのに自分がいることに気づいている

その上、未知数な能力者に対してむやみにかかる必要はない

海原を安全な場所に移動させたように自分を移動させようとした

だが、自分すら移動させることは出来ない

結標(なんで?演算にもおかしいところは無いわ。ジャマ―なんかが有るわけでも、混乱しているわけでもないのに)

結標が隠れていたところへ青髪が現れる
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 22:51:48.63 ID:qtd3bYoo
結標「え、…」

一瞬呆けた後、自分の脚力で逃げようとする。ライオンの前の子鹿のように。だが、動けない。手足が鉛のようで上がらないのだ

青髪「ごめんなぁ。空間転移系の欠点突くにはちょっち相性がええんよ」

青髪「で、質問が有る。これに答えたら逃がしてあげるから、答えてな。YESかNOでいい」

青髪「アレイスターに会うんは、空間転移能力者が立ちあうか、送ってるもんなん? 」

敵に自らの守護対象の情報を教えるわけにはいかない、そういう考えが彼女の頭をよぎる

しばらく無言が続く。青髪が結標の体に手を伸ばした

終わりだと思ったのか、体が強張った

結標の首筋から機械を取り出す

青髪「これなら問題ない。会ったから壊れてる。ここが見えるカメラもすでに潰した。さぁ、質問に答えてくれ」

青髪が伝えたい意図が伝わった。「ここで敵と何を話したか、会ったかなんて、身内には分かりはしない」である

彼女もまた人間。その甘言に流されてしまう

首を縦に振った

青髪「そっか。予想通りや。ありがとな」

そう言って彼女の額を小突く

急に息苦しくなり、意識が数秒、途切れる

軽い酸欠から目覚めると、彼は目の前に居なかった

一方通行が残りの部隊を始末して現れる

一方「標的はどこに行ったァ?」

結標「恐らく、ここから逃げたわ」

一方「ほォ?座標移動様がどうして逃がすようなことになるんだァ?」

結標「なぜだか分らないけど、能力が使えなかった。空間転移系の欠点がどうとかいってたわ」

一方「はン。お前らの欠点なんて多すぎてどれを突いたのか分かんねェな。まァ、とりあえず、防衛成功だ」

結標(…本当は、完全な失敗なのかもしれないわね)
彼女は、うつむいたままだった
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/30(水) 23:14:11.72 ID:qtd3bYoo
青髪「〜会った時から壊れてる〜」の間違いです
あと、青髪が結標がいるとわかったのは推理です。これは能力じゃないよ
あの状況で青髪を確実に殺すことができるのはあわきんしかいないって理由です
入れ忘れた\(^o^)/

慣性制御は電子も動きをゼロにできるって設定だよ
皆わかってるだろうけど、これ以上はネタバレになるから言えないよ
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/01(木) 01:06:05.03 ID:Geioy2SO
>>1はどうやらレベル6なみの演算能力を持ってるみたいだな 乙
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/01(木) 05:57:39.31 ID:HXWBA1w0
乙!
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/02(金) 22:54:45.52 ID:1d5Acfko
あんまり期待してないだろーから時間かかっても気にならないと思うけど

次の投稿は月曜日になりますお

物好きな人にはサーセンOTZ
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/02(金) 23:00:57.30 ID:wxa7abYo
わかった待ってる
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/02(金) 23:02:50.30 ID:YMVCh3Io
期待してますよ
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/02(金) 23:03:09.14 ID:oP9Ggqso
待ってるぞ
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/02(金) 23:47:35.50 ID:0lCR87U0
待ってますぜ
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/02(金) 23:58:06.39 ID:LTScMgSO
むぎのんのデレを期待してるに決まってんだろ
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/05(月) 23:21:04.34 ID:C.1RWYDO
>>1マダー?
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 00:08:13.79 ID:TE1Pe.ko
只今絶賛書き貯めしてるから…

三時まで三時までには今日の分を投下完了するから…

許してくだされOTZ
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 00:11:34.08 ID:c.AwmwDO
>>197
三時とか………


無理は言わない、体壊すなよ?
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 00:17:04.55 ID:/AYFPASO
>>198
ID目がいたくなる



待ってる
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:20:34.49 ID:TE1Pe.ko
第一学区 メインタワー近く

攻勢に出るために集まっていた第一次機甲部隊・航空部隊が全滅し
その全滅させた少女が最重要防衛対象へ防衛部隊・設備を建物ごと破壊しながらゆっくりと進む最中
隠れ隠れ先に進んだ少女はその恩恵に預かり、無事、メインタワーに侵入できた

タワーは広く、高い
彼女の目的がある階層は地上150m以上という高層区画であった

御坂(隙無く設置されているカメラに、駆動鎧が守るエレベーター。どうやって上に行こうかしら)

鎧部隊がガチガチに守るなかでは、カメラを壊すわけにもいかない為、侵入したダクト内へ戻り、身を伏せていた

御坂(制服が埃と油汚れまみれ…この油ってことは、このダクト調理場にでも繋がってる?)

その方向へしばらく進むと、食堂の天井に繋がった

中は結構な広さが有るが、人の姿は無い。調理場にも人の姿は無く、券売機も電源が入って無いようだ

御坂(これだけ人がいないなら、電磁波でカメラを一時的に妨害しても行けるよね)

ダクトの格子を取り外し、食堂に入る
カメラに映る瞬間だけ電磁波を発し、カメラの画像を乱す

そして、併設してあった女子トイレに駆け込んだ
御坂(ここなら、流石にカメラは無いわよね)

だが、中には先客がいたようで、今にも個室のドアが開きそうだった

違う個室へ入り、隠れる

どうやら女性の駆動鎧兵のようで中身の体格はそこまで御坂と変わりが無い

御坂(あの鎧、奪えたら潜入の幅が広がる…!)
御坂(油断している今なら…!)

通り過ぎたタイミングで個室の上から顔を出した
女性は御坂が隠れた個室の扉に向けて銃を構えていた
が、上から出てくるということを想定していなかったのだろう
反応が一瞬遅れ、電撃により意識を失う

御坂(私が入って来たときの音でバレちゃってたかな)
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:28:46.86 ID:TE1Pe.ko
女性から駆動鎧をはぎ取り、着こむ。同時に、鎧の個別認証をクラッキングした

片側のヘッドマウントディスプレイにマップと光点がいくらか表示されいていた

御坂(ふーん。指揮官用の駆動鎧なのか。…ああ、味方の居場所が分かるのね。そりゃ、物音だけ聞こえて味方の信号が出てなきゃばれてもおかしく無いか)

御坂(でも、都合のいいものを手に入れたわ。油べたべたな制服よりはこっちの方が断然マシよ)

アタッチメントがたくさんついたシステムウェポンのカービン銃を両手で持ち、駆ける

御坂(銃も重くないし、動きが軽い。これなら学園都市の主力な軍事輸出品でも不思議じゃないわね)

自分鎧の反応を消し、進む

上に上る非常階段まで来たが、護衛の鎧兵が警護していて進めそうにない
上級のパスを持つ人間だけ通している

御坂(まぁ、当然っちゃ当然よね。こんな状況だし。でもこうなると何か起こして目を明後日に向けさせないと先には進めない)

左目のディスプレイで確認する

御坂(へぇ、この建物の電力は、地下の核融合炉で自前で供給されてるんだ。)

御坂(一般的には変電設備ってなってる。これはこの存在を隠してるわけだ)

御坂(建物一つに核融合炉って、どんだけ物を詰め込 んでるのよ)

御坂(でも、逆にいえば、この炉さえ一時的に止めてしまえば、施設機能の大部分は止まる計算になるわ。確実に隙は生まれるわね)

考えがまとまると、少女は地下へ駆けた
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:34:53.24 ID:TE1Pe.ko
佐天「さっきから邪魔なのよ!壊れろ壊れろ壊れろおおおぉぉぉ!」

次から次へと出てくる駆動鎧・ヘリ・装甲車を潰しながらタワーそば150mまで来た

今まで壊したヘリは30機を軽く超える

都市側の損耗も激しかったが、彼女自身の披露も大きい

二つの演算処理のために普通の人工能力者の倍以上の速度で精神力を消費していた

そのことが分かっているのだろう、機械化混成部隊はまるで不清潔な飲食店のゴキブリのように絶えず現れ彼女へ攻撃を繰り返す

本来ならば、各学区の防衛部隊の増援として集められた警備員や防衛部隊を全てこの一人の少女の対処につぎ込んでいた

佐天(糞!糞!糞!糞!糞!糞! )

脳が疲弊し、思考も短絡的になる。慣性制御による障壁も徐々に狭くなっていく

じわじわと彼女の進行速度が遅くなる

そしてついに左足から後退の動きを示そうとした

人間は後ろに目が有るわけでは無い
脳が疲労を吐いている最中、後ろに転がった駆動鎧の生首に足を取られバランスを崩す

一瞬の脳の混乱が能力の維持に失敗を招いた

その一瞬のタイミングで飛んできた5.56mm弾が彼女の左肩に当り、貫通した

思わず顔をしかめるが、大量に分泌されていたアドレナリンが彼女に痛みを忘れさせる

佐天(畜生!畜生!畜生!なんでこんなところでとまってるんだはやくあいつらをころさないところさないとでもちがちがちがちが血血血血血血血)

障壁の不安定な維持のみで、攻撃などできなくなる

余裕の無くなった彼女は敵のに囲まれた状態で立ち往生となる

徐々に迫る敵と、流れ出る血液
明確に近づく彼女の死

「あの小娘一人に甚大な被害が出たが、あと一息だ。総員、最後まで気を抜かずに攻撃を続けろ!」

「 了解!」

小気味の良い返事を繰り出す兵と勝利を確信した現場指揮官

士気は高まり、勝敗は決したかに見えた
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 02:39:53.62 ID:c.AwmwDO
きた!待ってました!
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:42:24.86 ID:TE1Pe.ko
だが、突如として、彼女を取り囲む包囲が崩れる

銃撃・電撃・炎撃・風撃・水撃・物撃・爆撃――――

人工能力者集団による攻撃が直撃したのだ

一人の少女に戦力を割きすぎた

本来ならば早期に増援として送られるはずだった兵員約一万と装備・兵器の大半を彼女とメインタワービルの防衛に回していた 為、学区によっては無能力者集団に完全に占拠された所が出てしまっていたのだ

現時点の人工能力者側の被害は総勢で20%。残り人工能力者の数は約四万だ

さらには攻撃型の能力では無い人工能力者も、殺した駆動鎧から奪った鎧と装備を使い攻撃に加わっている

その総数約1000―。しかも、それは第一陣のみの数である。後ろにまだ続いているのが防衛兵には見えた

解かれた包囲網から空力使いが慣性制御の障壁に守られて彼女を回収した

「大英勇佐天涙子の回収に成功した。左肩を負傷している!治癒能力者はいるか?!」

「壊れた兵器や潰れた敵兵の数を見ろ!あの子一人でやったんだ!俺たちも続け!」

「敵は怯んでいる!一気に殲滅だ!」

メインタワービル前の広場は駆動鎧防衛部隊による阿鼻叫喚の巷となった

一気に大量の攻撃と戦況をひっくり返され、確実な敗色と全滅が現実となって彼らの精神を支配する

「ちょっと待てなんだあの数は! 小娘一人にあれだけ手こずったのにこの数か!無茶だ」

「ええぃ!ここを死守せねば結局全滅だ!退くな!」グワァアア…

「お、俺は逃げるぞ!こんなところで死ねるか」

「畜生!明日は娘の誕生日だってのに!でもアイツらがここに居るということは能力者の娘はもう…」

そしてまた赤く染まる第一学区。今度は無能力者ではなく、都市防衛兵によるものだ

しばらくの戦闘で防衛部隊は壊滅した
血と薬莢と瓦礫と兵器の破片とで、そのまま広場のタイルが見えることは無くなった
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:50:40.51 ID:TE1Pe.ko
メインタワー 地下

標識を見て、彼女は呟く
御坂「何が変電荷電部よ。どう見ても融合炉じゃない」

地下には広大な空間が広がり、大規模な核融合発電設備が敷かれている

御坂(外部には隠れてこんな発電施設が必要な程この上はエネルギーを使うっての?どう考えても不自然すぎる)

白衣の研究員のような風体の人間が制御室に居るのが確認できた

部屋に入り、有無を言わずに電撃を人とカメラに向かってピンポイントに放つ
部屋の制圧に成功し、端末でアクセスした

御坂(電力供給先は上以外にどこへ? )

メインモニターに図が表示される

御坂(さらに地下?公開情報にないわよそんなところ)

そのままハッキングを始める

御坂(HsPS-20?この形式番号って駆動鎧のシリーズナンバーいね。最新式は私の着てる15のはず。さらに新しい駆動鎧、の、量産プラント?すで に生産が終わっている分で1万体分…)

御坂(こんなものが有るのになぜ外の防衛部隊に最新式を回さないの?これらの存在理由は一体)

御坂(ふぅ。わからないことばかりね)

御坂(いずれにせよ、上の層に行かなきゃ)

ハッキングを辞め、炉を止めて冷却させた

照明も一時的にダウンするが、非常電源が作動し、明りが点灯する
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:54:53.59 ID:TE1Pe.ko
御坂(炉を温め直してもう一度電力を供給するには最低1時間が必要)

御坂(この間に、上へ! )

瞬間、目の前に見慣れたツインテールの少女が現れる

白井「…そこの人、お姉さまですのね?」

御坂「どうして黒子がここに?」

白井「決まってますの、お姉さまを連れ戻しにです。さぁ、安全な学び舎の園のシェルターへまいりましょう」

御坂「冗談じゃないわ。ここまで危険な中来たってのに、はいそーですかって帰れるわけないでしょ。私はここで調べれるだけ動く。先に帰ってなさい」

白井「それこそ冗談ですわ。ここまで危険な中来たのは私も同じですの。お姉さまをお連れしないで帰ったんじゃ、それこそ唯のくたびれ儲けです」

御坂「ここまで飛んできたわりには随分と元気がいいじゃない?…!」

良く見ると白井の腕章はいつもの物と違う。しかも電波を発しているのだ

白井「お姉さま。私の立場は風紀委員。ここで何をしていたか存じ上げませんが、立派な違法行為です」

御坂「だったら何よ。逮捕でもしてみる?」

瞬間、白井が距離を詰める。メモをポケットに突っ込んだ。その手は異常に震えていた

御坂「黒子…? 」

白井「お姉さま、いえ、御坂美琴。不法侵入と器物破損で捕まえさせて頂きます」
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 02:59:29.15 ID:TE1Pe.ko
第一学区に向かって爆走する車が一台

浜面「なんだって、標的の要望を聞いてやってんだろうな」

麦野「いいのよ浜面。言うとおりにして。この通り、私が人質状態なんだから」

彼女の言った通り、麦野は上条の腕に抱かれて頭部には銃が向けられている

浜面「いや、どう見てもそいつ寝てるだろ!俺にはお前から抱かれにいってるようにしか見えん!」

能力の反動という名の回復で上条は強制的に睡眠を取っていた」


麦野「うるさいわね!どうでもいいのよそんなこと」

本来ならきつい言葉が続くところだが、今の彼女は機嫌がいいようだ

フレンダ「見せ付けてるみたいで嫉妬しちゃうわ。でも、ほんとにどうでもいいみたい。さっきから依頼元に連絡取ろうとしてるんだけど、出ないわ」

滝壺「断定はできないけど、敵じゃ無くなった…? 」

絹旗「その方がいいです。どうあがいても私たちじゃこの人には超太刀打ちできないですし」

寝ている上条に向かって拳を軽く飛ばす
瞬間、寝ているはずの上条がその手を弾く

麦野「絹旗、やめなさい。彼が熟睡できないでしょ」

フレンダ「もう、どうせなら膝枕でもしてあげたらどうなのよ」 麦野「それ、良いわね」

体勢を変えて上条を膝に乗せる。敵意は無かったからか、なされるがまま

に身を預けた 彼の頭を撫でながら顔を覗き込む
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/06(火) 03:05:24.98 ID:TE1Pe.ko
しばらく、気持ちよさそうな寝息を立てていたが、目を覚ました

(起きましたか。ちょうど30分ですね)

麦野「起きたわね。この私が膝枕してたんだから、気持ち良く寝れたわよね?」

状況が掴めないといった感じで手を頭の方に回す
偶然、麦野の豊満な胸に手を添わせた

麦野「あん…結構、大胆なんだ。」

意識を取り戻したのか、飛び起きた

上条「あわわわ。いやその上条さんは決してい、い、い、意識的に邪なことをやったわけではありませんよ!」

軽く混乱している上条を見て、クスリと笑った

麦野「あら、ずいぶん余裕がなさそうじゃない。今のあなたじゃ私にとって食われちゃうわよ?」

上条(ちょっとまてどうなってるんだ。彼女は人質だったんじゃないのか)

(いえ、敵意はなさそうでしたし、私も人肌恋しかったですし、彼女もえらくあなたの事を気に入っているようでしたから)

上条(じょ、状況が読めないです)

上条「え、えっと、そうだ、あとどれくらいで着くんだ」

浜面「後10分もかからないな。メインタワーだろ?」

上条「ああ。そうだ。分かった」

麦野「それじゃ、着くまで私をちゃんと捕まえなさい。ひ・と・じ・ちなんだから」

そう言って上条の胸元に体を預け、お腹に上条の腕を巻きつかせる
片腕で銃口を麦野に向けようとすると

麦野「そんな無粋な物、女に向けるものじゃないわよ」

といって銃を取り、上条の腰のホルダーに入れ、余った腕をさらに腹部へ巻かせた

上条(だから、この状況は一体何なんですか…?)

麦野を抱き締めながら、少年は苦悩した
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 09:27:01.93 ID:rsCAZESO
むぅぇぅぅぅぅぅぁぎぃのぉおぉぉぉぇぉん!!!!!
ヒャッハァァァァァァ!!!
デレデレしすぎだぉやばいぉうカァイイよぅ麦のんっっっ!!!チュッチュツしてほしす!ハアハアハアハアハアハア(`。д ゚”〃)うっ!



・・・ふぅ
>>1乙です
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 10:29:30.03 ID:PMdzfNYo
くそ!麦野のくせにかわいいじゃねえか!
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/06(火) 13:05:48.54 ID:2UFnikSO
何言ってんだ
麦野は最初からかわいいだろ
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 00:28:39.91 ID:WGQRS9ko
御坂(来る!)

駆動鎧の驚異的な機動性を持ってサイドステップをした

鉄矢がさっきまで胸部の有った位置に現れる

当っていれば、胸に深刻な怪我を負っていただろう

空間を裂いて現れる空間転移は現出する瞬間、転移先のあらゆるエネルギーと物質を空間的に押し出す為、電気使いの人間にとって転移先を読むのは不可能では無い

しかしながら、その現出までの僅かな時間に十分な距離をとることは、通常の人間には不可能である

駆動鎧の機動力と、神経伝達物質を介さずに体の各所に命令の伝達が出来るLV5ならではの回避行動だった

御坂「ちょっと待ちなさい、ここまでやる必要はないじゃない!」

白井「うるさいです。あなたがとっとと御縄につけばいいんですの」

表情は冷たく、こちらに焦点を合わせたまま、ずらしたりもしない

二度目の鉄矢の反応 一度目と同様に避けようとしたが、時間差を逆に利用され避けた先にもう一本の反応

緊急用の圧縮空気を腰の噴出口から発射し、避けた

御坂(小さい鉄の矢だからまだ回避できる。でも上下左右に大きな転移が来ると危険だわ。早くあの子を止めないと)

核融合炉とういうのは核分裂炉と違い、放射能漏れや臨海などの危険性はかなり低い

更に、冷却が始まった以上、核反応など起こりようもない

故に、この広大な空間での戦闘では例外の箇所を除いて躊躇なく電撃を飛ばす

白井に向かって複数の電撃を飛ばすも、少し場所を転移され、綺麗に避けられる

向けた手から、攻撃の方向を読んでいるようだ
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 00:34:00.91 ID:WGQRS9ko
御坂(こっちは直線的な攻撃しか基本的に出来ない。あの子に攻撃をあてるには隙がないと)

四度目の反応が移動していた正面に現れる。鎧の靴底の鉄球を電磁石とモーターの要領で急速に回転させ、斜め方向に進み、回避した

そのまま止まらずに、電撃を撃つ

今度はこちらも移動先を読むように、時間差を利用して攻撃した

さらに、ライフルを掃射する

電撃と弾丸の連続攻撃により、連続して転移を繰り返し、御坂の死角へ逃げ込んだ

あらかじめその死角へ投げ込んでいた発煙榴弾が爆発する

御坂(やっぱり、今の黒子には電撃を回避と同時に物を飛ばすような演算能力は無い。あの子が攻撃する瞬間をこっちが管理出来れば、そこへ電撃をたたきこめる)

無論、そのような弱点は、彼女自身も把握していた

発煙の中ではいつどこから攻撃が飛んでくるかわからない為、すぐにそこから離れ、消える

次に現れたのは御坂の背後

一種のレーダー機能を持っている電撃使いにはすぐに把握される

駆動鎧の少女はそのまま利き足で後ろ回し蹴りを繰り出す

駆動鎧を装着した人間の攻撃など食らったなら、中学生の体では耐えきれるはずもない

最初から、それはブラフ。敬愛してやまない先輩の行動パターンを理解していた彼女だからこそ、その攻撃が来るということ を、薄い記憶から弾き出した結果だった

すぐ正面に転移し、片足で不安定な御坂の腰部にドロップキックを加え、地面に着く前にさらに転移し距離を取る

バランスを崩し、倒れた駆動鎧

胸元に空間転移攻撃の反応 咄嗟に、身を転がせて対応したが、後部のバックパックに鉄矢が刺さる

御坂(左の後方噴出ノズルが使用不能・さらに駆動率7%DOWN、手痛い打撃ってところね)
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 00:43:39.52 ID:WGQRS9ko
立ちあがった駆動鎧は、少し身体の機敏さが悪くなりながらも、近接攻撃での奇襲に対応し始めた

御坂(やっぱり連続しての自身の空間移転は演算能力上限のせいで出来ないみたいね。どんなに早くても0.46秒を上回れない。な ら…!)

自身の演算には失敗が許されない上に、個体が複雑で気体流体個体が入り交じり、結果として鉄の矢のようにはいかない

それを利用して、何度目か、背後に転移したツインテールに対し、離れるようにして前方に踏み出しつつ、90度体の向きを変える

ほぼ条件反射的に距離を縮めて直接触って来ようとした少女に対し、銃をもった右腕を横に振りながらフルオートで発射する

銃を持った腕がこちらに向くような動きを確認した瞬間に、転移しようとしたが、間に合わず、右腕に弾丸が掠った

痛覚が表情に出て、制服のシャツに鮮血が滲む。こちらを睨みつけながら、消えた

そして、炉を背に向けるようにして現れる

御坂(やるわね。電撃や電磁砲が避けられたら、炉に当る…当りどころが悪くて、ここが壊れたらデータを探せなくなる。相手を追い詰める良い判断じゃない。伊達に風紀委員として修羅場をくぐって来たわけじゃない様ね)

駆動鎧の攻撃の手数・種類が限られた

それに付け込んで、白井が空間転移攻撃を繰り出す

一方的に回避するだけの展開となる

じりじりと時間が経過し、ついに駆け付ける駆動鎧部隊。銃撃が御坂めがけて飛んでくる。

とっさに物陰に隠れるも、空間転移攻撃の反応が出る。

動きを止めている暇を与えはしない

御坂(黒子を攻撃しないってことは、あの子がここに居ることは知られていた?風紀委員だから当然と言えば当然だけど、学び舎の園を抜け出したわけだから、あの子も捕獲対象のはずじゃ?)

アトランダムな動きで、弾幕と空間転移攻撃を回避しつつ駆動鎧へ電撃を放つ

直撃するも、彼らは怯まない。どうやら対電撃装備としてアースを身に着けているようだ

御坂(まるで、私がここに居るのが分かっているかのメタ装備ね…)
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 00:48:12.27 ID:WGQRS9ko
電撃から、アサルトカービンと銃弾を媒介にした電磁砲に攻撃を切り替える

人間の反応速度で、マッハ6で打ち出される5.56_弾を回避できるわけが無い

駆け付けた6名の体が、左肩を掠っただけで首と左肩がもがれ、胸に直撃を受けた者に至っては足先だけを除いて塵芥と化し た

断末魔を上げる暇も無く、彼らは死亡する

白井「…殺人も追加ですわね」

腕を抑えながら少女は声を出す

御坂「一撃で私を殺せる攻撃し続けておいて、良く言うわ」

白井の側部5mへ駆け、銃の榴弾アタッチメントから発煙弾を放つ

白井が反射的に銃口の直線上から逸れ、後ろのパイプに着弾、辺りに煙が蔓延する

煙の中では視覚による具体的な座標の特定が出来ない為、空間転移攻撃や、空間移動が出来ない

反射的に、足を使って煙から飛び出す

駆動鎧の少女は待っていましたと言わんばかりに、閃光榴弾を電磁砲として足元へ射出

反応できない速さで打ち出され、爆発。白井の視覚が失われた

こうなってしまうと、もう空間転移能力者は無力。少なくとも、戦うことは出来ない

軽く電撃を加え、意識を奪った

周りの安全を確保し、黒子に近づく
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 01:00:48.97 ID:WGQRS9ko
とりあえず、白井の居場所の発信器となっている腕章を取り外すそうとした

御坂(うわ、この腕章、針が沢山皮膚に食い込んでる…これがいわゆるパッチ型投薬ってやつね)

腕章の裏側にはパッチのタグが印字されていた

御坂(クロル、プロマジン?これって抗精神病薬として使うものよね)

御坂(ドーパミンの遮断性質…目的・感情・思考・記憶蓄積の抑制作用をもたらす。なんでこんな薬が…)

強引に渡された紙の存在を思い出す

『愛するお姉さまへ。ここへ来る途中、見つかってしまいました。今現在、薬剤によって意識が徐々に薄くなるのを感じています。
範囲型の対能力者装置のエリア内に転移してしまい、駆動鎧兵に保護という名目で捕まりました。
無論、お姉さまの事を言うつもりは無く、口を閉ざしておりましたが、精神操作系統の能力者によって、お姉さまの事が都市側に掴まれてしまい、
更に、精神操作によって、お姉さまを連れて帰るのが難しいと判断された場合に、攻撃に移り、対能力者装置がタワー内に整うまで時間を稼ぐようにと、強烈に洗脳されました。
今こうしてこの文章を書くことが出来るのも長くは無いでしょう。そして恐らく、これを読んでいるときはすでに私は敗れているでしょう。ですが気にしないで下さいまし。
今、お姉さまが考慮すべきは対電撃使い用兵装を固めた敵部隊と、対能力者装置です。
炉の再起動によって莫大な電力供給が開始されるとタワー内部は強力なAIMジャマ―に覆われます。それまでは各鎧部隊の小銃の曳航弾が空力により簡易なキャパシティダウンの役割を果たすもので防衛されるよていです。
ですから鎧兵に出会ったら、間髪いれずに超電磁砲で破壊してください。他にもくぁswでfrtgyふじこlp』

御坂(可哀相に。洗脳の長期維持と効果増幅の為に薬物を投与されながら私と戦わせられていたなんて)

研究員の白衣を破き、包帯のようにして被弾した腕に巻いてやる。酷いところは電撃によってプラズマ化した皮膚で焼き、出血を防いだ

簡易な治療が終わり、制御室のそばにある休憩室のソファに寝かせる

御坂「終わったら、なんでもお願い聞いてあげるから、今はこれで許してね」

髪をあげ、額に軽く口づけをし、駆動鎧の少女は駆けた

残された少女の口元が、少し、微笑みを浮かべたのを見たものはいない
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 01:05:26.77 ID:WGQRS9ko
モニターに「Conscious」の文字が浮かぶ

「よし。意識が回復した」

「PTSDなんかの後遺症が無ければいいがな」

「この子は英雄様だからな。なぁに、戦えなくなっても、プロパガンダには使える。まだまだ有益さ」

複数人の話し声によって、まどろみから回復する

ベッド上で体を起こした

頭に脳波測定のコードが繋がっていたのが外れ、横の機械からエラー音が発生する

白衣の老人がそれを止めた

その白衣を残して、人が部屋から出る

「目が覚めたかね」

佐天「えっと、ここは?」

「有体に言ったら、野戦病院だ。詳しく言うと、無能力者集団の前線の治療部隊。第一学区の外れさ」

佐天「あなた、どう見ても学生じゃないですよね?むしろ教授?」

「知っている人間はいるだろうけど、君に名乗る程ではないよ。君たちの協力者とでも思っていてくれ給え」

後ろを向き、端末を弄り始めた

「そういえば、吐き気や頭痛は有るか?どこかに違和感などでもいい」

佐天「いえ、特には」
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 01:11:22.45 ID:WGQRS9ko
「よろしい、では」

振り向きざまに胸から取り出した銃を向ける

少女は特に怯える様を見せず、銃口をにらんでいる

「よし、特に精神障害が残ったわけではないな」

「すまない、少し試さてもらった。いちいち精神分析するのがめんどくさくからな。手短な方法を取らせてもらた」

佐天「それで、状況は?」

「状況というのは、今の君の事かね?それとも戦況か?」

佐天「戦況に決まってるじゃないですか。アタシの体はこの通りピンピ…ってあれ?」

少女の左腕は金属の、無機質な義手に変わっていた

「君の腕は止血して直るようなものじゃ無かったからね。有り合わせの義手でしばらく我慢してくれ」

「仕組みとしては脳波による操作と人工筋肉によるものだから、普通の腕の感覚で使ってくれて問題は無い。寝ている間に調整しておいた」

佐天「…これじゃ、嫁の貰い手が限られちゃうなぁ」

「気にすることは無い。この戦いが終われば、限りなく人体に近い物に取り替えればいいだけだ。私はこれでも脳や人体のエ キスパートだ。約束しようじゃないか」

佐天「お願いしますねー。で、戦況は?」

「行ってみればわかるが、第一学区の制圧は時間の問題だろう。君は単身で行動していたようだったが、目的は?」

佐天「…理事会の連中を始末すること、ですかね」

「それはいいことだ。彼らは私の研究に口を出し続けてうんざりだったんでね。これを使え」

義手にアタッチメントを取り付ける

「それを使えば、大概のドアロックは解決できるはずだ。君の能力で開けれないような扉がもしあったら、な」

佐天「ありがとうございます。んじゃ、また行ってきます」

「良い結果を期待しているよ」

少女が施設を飛び出し、外から轟音が鳴り響く。超音速で移動したようだ

(二重能力者としての頭脳を調べさせてもらったが、"彼"のデータの通り。"彼"の理論やデータを用いれば私の研究も一足飛びで進む)

(それでこそ、わざわざ奴らの面倒な計画にのった甲斐があるというものだ)

怪しい老人の不気味な笑い声が、施設内に響いた
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 01:25:17.07 ID:WGQRS9ko
遠目にメインタワーそして、戦場が見える

上条「ここでいい」

浜面「ここから、足だけで行くってのか?遠くないか」

上条「これ以上近づけば、お前らも巻き込んじまうからな。恐らく、対地ミサイルでも降ってくるだろう」

浜面「そいつは勘弁だ。この大型車じゃ回避できねぇ。おっと、降りるなら、そこの幸せそうな奴を起こさないように降りてくれよ」

フレンダ「起こしたら、ついていくとか言いそうよね」

絹旗「この有様なら、あり得ますね」

滝壺「こんな無防備なむぎのを見るのは、はじめてかも」

上条はゆっくりと重心をずらし、抱えていた女性をシートへ寝かせる

幸福そうな顔を浮かべて、眠る女

その光景は、戦場となっている外の風景のせいか、より平穏なものに見えた

思わず、頭を数回、撫でてしまう

気持ちが良かったのか、少し声が漏れた

そのしぐさが愛らしく、上条の口許がほころんだ

そして、決意したかのように、表情を固めた

上条が車外に出て車へ軽く手を振ったあと、メインタワーへ駆けだした

浜面は、止めた車を再び動かし、来た道を戻る

その衝撃で、眠れる美女が目を覚ました
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 01:32:22.61 ID:WGQRS9ko
麦野「…あれ?彼は?」

絹旗「もう行っちゃいましたよ。あんまりにも心地よさそうだったから、あの人、起こすのをためらったんです」

麦野「…そっか」

残念そうな表情を浮かべるが、仕方がないといった感じだった

フレンダ「あれ?追っかけようとか言わないのね」

麦野「残念だけど、足手纏いになっちゃうでしょ。LV5の私でも、ね」

絹旗「彼、強いですからね」

麦野「ええ。でも、一応、行動監視はさせてもらいましょう。フレンダ、周波数をこれに合わせて」

フレンダ「え、これって?」

麦野「銃のホルダーに付けといたの、いざとなったとき、私が助けに行けるようにね」

浜面「おいおいそれって一種のストーキングじゃね?」

麦野「違うわ。それに、女にはね、好意のある男の為には何をしてもいいって決まりが有るのよ。この世には」

絹旗「それって超ストーカーの言い分ですよ?」

麦野「そんなもの、気にしたら負けよ」
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 01:40:00.26 ID:WGQRS9ko
(発信器つけられてますけど、どうします)

上条(周波数は?)

(一般的ではないですね。少なくともこの町のでは使われてない数字です)

上条(じゃあいいさ。仮にもLV5の攻撃能力だ、いざとなったら利用させてもらおう)

(女性の好意を利用するんですね。酷い人)

上条(好意とは限らないだろ)

(まぁ、一般な標的と負う人間の立場ならそうでしょうが )

上条(だろ?)

(まさか、あれだけベタベタされておきながら、本当にそう思っているなら、脳内異常ですね。治してあげましょうか?)

上条(結構です。…まぁ、その、好意が有るだろうとは思ってるけど、今はそんな場合じゃないだろ。利用できるものは全て使うさ)

(よろしい。さて、もうすぐですが、どうやって忍び込みます?)

上条(メイン電源が落ちている今が侵入のチャンスだ。でも逆に、各所的には警戒は強化されているだろう)

上条(俺自身の攻撃能力なんてのは対して強くない。銃撃を受けたらひとたまりもない。駆動鎧相手に格闘戦なんてのもナン センスだしな)

上条(だからといって、なにも行動しないでこの好機を逃すわけには行かない)

(とりあえず行って見て、状況判断するしかないですね)

上条(そうだな。メイン電源が落ちてる理由も分からないし、罠に注意ながらいかせてもらう)
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/08(木) 02:29:00.33 ID:mfkMTwgo
たまにある空白はなんなんだ・・・
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/08(木) 07:20:47.98 ID:WGQRS9ko
PCで書き貯め→エバーノートにアップ→エクスぺリアにDL→エクスぺリアで修正、書き込み

って言う行程で書いてるんだが、エバーノートってサービスが元々海外のサービスだから日本語に完全対応してなくて、
カッコや鍵カッコ・句読点・改行が半角スペースになるんですお

書き込む前に極力直してるけど見落とすこともあるからに脳内で都合良くスルーしてください。

それもこれも全てうちの回線がアク禁されてるからなんだ(;´д`)

昨日はグダグダになりすぎました。もうちょっと簡潔且つ展開はやく書く。これSSだもんね
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/08(木) 07:40:56.74 ID:sEt5/0E0
そういう事なら仕方ない。
でも規制されていても更新してくれる>>1には頭が下がる。
続きも待ってるぜ。
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/08(木) 08:32:54.51 ID:SHtDP2SO
運営にホワイトリスト追加依頼してきたら?
必ず通るわけじゃないけど

VIPServiceでのBBQ解除、ホワイトリスト追加依頼スレッド
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1204871835/
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/08(木) 12:23:20.82 ID:lWDexoSO
オレもむぎのんの頭舐めたい
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/08(木) 15:17:53.87 ID:/SWFhXoo
otu
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 01:33:24.67 ID:2u5HIDUo
今日のスーパーオナニータイムはっじまるよー


野戦病院から轟音と共に飛び出した少女は、数秒で音速を超え一瞬で戦場へ帰還した

弾の先端についた風穴によってキャパシティダウンの効果を持つ音を出す弾丸の登場で 一度はビル前まで進んでいた前線も押し戻され、人工能力者の死体が転がっていた

そこへ彼女が轟音と共に現れ、壁や崩れた破片や装甲車を盾に銃撃をしていた防衛部隊を、その盾ごと弾き飛ばす

「戦女が復帰したぞ!」

「早速やってくれた!流石は英雄様だ!今ので防衛線が崩れたぞ!押し込めえぇ! 」

「待て!今前線を押し上げてどうする!さっき撤退命令が出たばかりだろ!」

佐天「アタシはあの中に入りたいだけだから!注意をひきつけているうちに退くなら退いて! 」

「了解した!オイ!女の子一人単身突入するのに見守るだけってわけにはいかないよな!」

「俺たちも突撃だ!攻撃先を二分させるぞ!障壁能力持ってるやつはいるか!?」

全体は撤退、少数が突出し、攻撃が少女と囮部隊に集中する

メインエントランスの防衛部隊が扉ごと吹き飛び、少女が中に滑り込んだ

背後で味方の断末魔が聞こえたが、振り返らない

佐天(メインエレベーターは動いてない。非常灯しかついてないし、階段から上がる!)

非常階段へ走る

そこは、血とミンチ状になった肉と壊れた機械の部品が大量に転がった惨状だった

ところどころに焦げ跡が残っている

佐天(うぇっ、誰か他にも侵入してる?でも、手間が省けたわ)

理事会員の場所は最上層部、300m以上の区画

そこまで階段を駆けていくのは、体力的に負担が大きい

もちろん、少し自分を浮かせて、能力による移動だ
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 01:40:46.30 ID:2u5HIDUo
宙に浮けば一階一階の移動など、さしたる時間がかかるわけではない

150m地点までは敵に出会うこと無く、登れた

上っている最中、ところどころで血と肉片が壁に飛び散っていて、その原因であるかのような、焦げも同時に存在した

佐天(ここにも丸い円状の跡。恐らくこの人はここに立っていて、一撃でやられたみたい)

佐天(ここに立って角度で攻撃を加えられて、あっち側に弾痕が無いってことは、反撃の暇も無く瞬殺されたのか)

佐天(駆動鎧を一発でここまでミンチに出来る威力っていうと、アタシの知ってるではあの人しかいない)

佐天(なんでここに居るのかわからないけど、もし敵として出会ったら構わず、戦おう)

150mでは扉が完全に壊され、中にも血飛沫で赤く染まった所が見える

彼女にとっては関係の無い場所であるので、無論気にせず上に進む

少し上の階の階段に差し掛かった時、踊り場で駆動歩兵と遭遇してしまった

見下ろすように銃を構えていて、躊躇なく射撃する

建物内で死体以外の敵と遭遇していない彼女は反応が遅れる

負担を抑えるため、移動以外に極力能力の使用を抑えていたので特殊弾頭・領域減衰弾の音が耳に入ってしまう

不快音が頭に響く

佐天(これがあの時皆が悩まされていた音…。見た目以上にキツいよこれ)

今までの戦闘経験から、銃口が向けられていたのを確認した時点で、反射的に踊り場から退避した為、直撃は無いが制服に銃弾が掠り、右肩が露出

両肩が破れてしまった為、下着姿があらわになるが、それどころではない

なんとか、苦痛に悩まされながらも慣性障壁を自分の周りに張った

通常の能力者ならそんなことは不可能だっただろうが、彼女は特別だった 2つの人工的な演算領域と蓄積炉の構築と使用によって、幻想御手の際に酷使された彼女自身の演算領域と微細な炉が、両ユニットのバランス調整という役割を担い、自発的な脳内活性によって成熟していた

それらの領域を並列でつなぎ、それぞれの演算ユニットに僅かに残った演算領域を一つの能力へ集合させたからこそ、持ち直すことが出来た
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 01:50:16.55 ID:2u5HIDUo
一方で、タワーの警護を任されたエリート駆動鎧部隊も甘い判断を下したりしない。

特殊弾射撃による効果が無くなったと分かった時点で、二名の内片方が距離を詰め、接近戦を挑んできた

上の踊り場から、とび蹴りをしつつ急降下

当然障壁に当り、勢いを無くすがそれも計算の内で、見事に着地。障壁内へ手を差し込み、鎧内に収納してあった小型榴弾砲を打ち出した

所詮はLV4である。障壁内に二重に障壁を作ることは出来ない。だが、彼女にはもう一つの能力が有る

手が入った時点でその方向へ右手を伸ばし空気の壁を作っていた その壁に当り、炸裂する榴弾。

その時に出た爆風を義手の左手で集め、上の踊り場にいるもう一人へと投げつける

高圧の固い空気をぶつけられ、鎧は壊れ肋骨にヒビが入る。さらに止めと言わんばかりに球体に固まっていた爆風を胸に当った状態で解き放つ

その爆圧により、吹き飛ばされ、直撃を受けた肋骨はおろか、肺と心臓が破裂した。駆動鎧のフェイスガードが口から溢れる血で真っ赤に染まる

接近戦を挑んだもう一人の方は、すでにバスケットボール大の球へと変化し、もともとはそれが人間とバトルスーツであったことを感じさせない

その球を階下へ落とし、落下中に解放、階下の壁に赤い染みが一つ増えた

佐天(…ふぅ、焦った。って、ブラ丸出しじゃん!圧縮して殺さずに、スーツ奪えばよかった)

取り敢えず、破れた布地を結び会わせた

佐天(さっきのはマジで危なかった。これから上にはもっといるだろうから、出し惜しみはしないでおこう)

障壁をそのままに、奇襲を意識して上層へ宙を駆った
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 01:55:17.52 ID:Fb/vulMo
規制は解除されたのか?
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 01:56:51.29 ID:2u5HIDUo
今までで50人弱の人間を出会うたびに一瞬で絶命させてきた

その返り血や肉片・オイルで怪しい気配を漂わせる鎧を着、

暗い部屋で小さな端末の前に少女は立っていた

学園都市のクラウドサーバーが立ち並ぶフロアで主電力の回復を待っている

御坂(私が地下から離れて一時間弱。そろそろ主電力が回復するはず)

御坂(黒子が言うにはタワー全域にAIMジャマ―が発動する。そうなると電磁砲も使えないし、手打ちでデータを閲覧しなきゃならない)

御坂(時間と手間のかかる手動入力でデータ閲覧中に攻撃されたら、私はただの駆動鎧を着込んだ女子中学生。恐らく、上から増援も来る。上層防衛部隊はエリート部隊だろうから能力無じゃ敵いっこない)

目の前の端末を起こす
非常電源下の管理用端末という表示が映し出された。
現在は全サーバーに十分な電力が供給されず、アクセスは出来ないようだ

御坂(理想は電力が回復しても能力が使える状態。せめてこのフロアだけでも)

施設全体の電力供給が図示される

御坂(ダメ。これだけじゃどこにジャマ―が配置されているかなんてわかんない)

構造図を見てこの状況を解決する方法を探し出す

各階へ電気をつたえる動力線は施設中央でまとめられているのを確認した

御坂(…!あるじゃない。方法)

予備のケーブルを資材室から大量に引っ張り出し、メインコンピュータに挿入した

それを肩にかけ、上の階に登る

御坂(これをサーバー設置が無い階まで持って上がってっと)

ある程度上がったところで、駆動鎧の亡骸が有った
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:07:03.96 ID:2u5HIDUo
どうも、ネトゲするために開けたポートが問題らしい。マンション住みだから金払って開けてもらってる(部屋にルーターが無いタイプ)だから、もういっそこのままでいようかな。解除方法教えてくれた人サンクス


御坂(わ、むごい)

胸部に巨大な鉄球が直撃したかのような跡が残り、肉体から折れた肋骨が飛び出していた

御坂(私がここまで来るまでに、やられている駆動鎧はなかった)

御坂(ということは、私がサーバーの階層に着いた後から他の侵入者が来て上に行ったって可能性が大きい)

御坂(でも、一体誰が?かなりの能力者の仕業なのは分かるけど)

そんなことを考えながら、上の、違う階層に着いた。
そこにいた駆動鎧兵を極音速弾で射抜き、血の飛沫が壁と床に広がる

御坂(制圧完了。後は適当な固定端末はあるかしら)

オフィスのような部屋には無数の端末が有った

どうやら都市行政の上層階層らしい

一番近くの端末の電源を入れる
非常電源でも立ちあがった

その端末にここまで伸ばしたコードを接続し、ひとまずこの部屋を出る

タワーの中央を通る動力線が内包されている柱の前に立ち、銃を構えた

電磁砲独特の轟音と共に一弾倉全て柱へ叩き込むと、柱の中からいろいろな管や配線が現れる

御坂(上に電気を供給してるのは…これね)

少し離れ、榴弾を穴のあいた柱へ射出し、完全に断線していることを確認した

御坂(これで、サーバーフロアより上のフロアには核融合炉からの電気の供給は届かない。その範囲ではAIMジャマ―は使えくなるはず)

オフィスルームへ戻り接続した端末を弄る

ちょうど電力が回復したようでクラウドサーバーにアクセスが出来るようになった

鎧の腰にある記憶領域からコードを伸ばし、接続する

御坂(さって、洗いざらい調べさせてもらうわよぉ!)
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:13:43.43 ID:2u5HIDUo
「なんでAIMジャマ―が発動しないんだ!」

「電気が途中で断線してるんだよ!理由は知らん! 」

「いや、もともとこいつには効果が無いらしい!今ある装備で倒すしかないぞ!」

「無理に決まってるだろう!ここまで何人やられたと思ってるんだ! 」

絶望的な会話と銃声がしばらく続いたが、すぐに音は聞こえなくなった

最上層部を守る防衛部隊を倒しきり、ついに理事会員がいるはずのフロアに辿り着いた

そこには、ただ白いだけの壁が広がっているだけで、固定端末一つを除いて扉も何もなかった

佐天(この壁の向こうに居るんだよね。だったらやることは一つ!)

壁に触れ、人が通れるぐらいの穴が開くように球に圧縮しようとする

確かに圧縮された壁の塊のような球はできたが、穴は開かない

まるで、水の上の一部だけが氷になっただけのような見た目だった

佐天(なにこれ?一部を球にしても他がすぐそれを補ってる。液体?いや、触感は普通の壁だし)

試しに、圧縮空気弾を放つ。が、傷もできず少し表面が揺れた程度だった

佐天(何か分からないけど、アタシの力じゃ破ることはできないみたい)

打ち破る方法を考えていると、一つの事実に気がつく

佐天(待ってよ、常にこんなものが有るんだとしたら、出入り口が無いわけないよね)

壁に併設されている端末に目が行く

そして都合よくある腕の解錠装置

佐天(まーた誰かの手の平の上かぁ。いいよ、こうなったら最後まで役者やり続けてやるだけだ)
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:18:18.45 ID:2u5HIDUo
端末の表面を覆うカバーを取り外し、ジャックを取り付ける

自動で解錠プログラムが起動した

佐天(何、これっ。あたしの頭使ってる?! )

頭にズズッと重くなるような感覚と共に、解いている機械言語が頭の中を駆け巡る

彼女の持つ演算機能のほぼすべてを使って、プロテクトを解除しようとしているようだった

佐天(こノf:TM→Mts∈TジョウたいdimT(k)<dimH(k)ダとd=logxK能力どコろか、マfytiuoi@jとCVvhoqqもに動けな XXXXXXXXxxxx■い)

なまじ中途半端に脳内の人工演算装置と本来の演算ユニットが連なっている為に、彼女の脳のいろいろな分野が演算に使用さ れ、最低限の生存行為以外の行動を許さない

仮に、今攻撃を受けようものなら反撃もできず、死んでしまうだろう

誰も来ないことを彼女は祈った

だが、そこへひょろりとした白髪の男が現れる

一方「理事会の連中も守れと言われて飛んで来たら、転がってるのは死体ばかりで手遅れかと思ったぜ」

一方「駆動鎧のどもをなぎ倒して、せっかくここまで来れたけども、残念だったなァ。お前の活躍もここで終ェだ」

一方「怨むなら、その中途半端な運命を怨ンでくれよ」

身動きが出来ない少女へ一歩一歩近づく

終わらない解錠行為と、動けないという状況で、少女は顔が徐々に生気を失っているのを感じた

ここで死ぬのが運命なのかと半ば諦めて覚悟をしようとしたが、

?「この子の役割はまだ終わってへん。そこの扉を開くまではおとなしゅうしとってや」
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:27:40.52 ID:2u5HIDUo
白髪少年の背後からさらに男が現れる

一方「お前は!なンでここに?!」

青髪「うちは一応無能力者側なんでね。その英雄の女の子が心配で手助けに来たんよ」

一方「先に役割とかぬかしておいて良く言うじゃねェか。どうやらこのアマは先に殺さねェといけないらしいな!」

一方通行が動けない少女へ、手を頭に乗せようとする

青髪「それはさせへん! 」

青髪が距離を詰め、一方通行に蹴りを加える

反射をフルにしていたはずの一方通行が豪快に飛ばされた

一方「ぐァっ!…」

自分が蹴り飛ばされるということが完全に予想外だったため厳しいところへ直撃した

飛ばされた瞬間にベクトルを操作し体勢を立て直す

一方(何をしやがった?確に奴の蹴りは反射が反応したハズだ)

理由が分からないといった一方通行へ青髪が手招きする

青髪「ここじゃ狭い。外で戦おうや」

そう言って青髪は窓から外へ出た

しばらくの歩いて進み、立ち止まった

高度300mの空中で青髪は一方通行の方を向き、立っている
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:33:52.88 ID:2u5HIDUo
一方(どういうなってんだ?奴は何かのエネルギーで重力に対抗してるわけじゃねェ。奴の体から出てるのは1Gに対抗する分だけのエネルギーしか発していない。つまりただ立っているだけだ)

一方(不明確な点だらけだが、一つだけ分かってるのは、あのアマの解錠作業を止めたくないってことだけだ)

一方(何を思ったかアイツは外へ出た。なら女を今のうちに殺すのが得策だ)

佐天の方へ詰め寄ろうとする仕草を見せた瞬間、一方通行の体が外へ吸い出される

一方(なんだこれはァ?!ベクトル操作が利かねェ?!いや、働いてはいる?!)

青髪「男と男の真剣勝負をほっといて、女の子の方に走るとは、第一位ってのは男気が無いんやな」

一方「ああン?!上等だァ!細切れにしてやンよォ! 」

ベクトル操作を使い、超音速で突撃する

だが、目の前に突然障害物の反応が出た

音速でぶつかるわけにもいかず急停止

一方(これは何だ?構成要素は窒素酸素アルゴン二酸化炭素ネオンヘリウム…成分的には空気だな)

一方(だがなんだこの質量は。こんな空気の壁にぶち当たるのは危険だ)

青髪「あれあれ〜、なんでそんなところで止まるんかなぁ?」

一方「黙れ。罠みたいな壁を作っておいて何言ってやがる

青髪「バレとったか。じゃあ、こういうのはどうかな?」

一方通行の周りを覆うように空気の壁が現出する

青髪「重いと思うけど、君には問題ないよな〜?」

ちょうど一方通行一人を取り囲むように現れた空気の塊は、その重さによって重力に引かれ、一方通行ごと落下を始める

一方「しゃらくせェ!」

ベクトルの向きを変更し、空気の塊を上方向へ弾き飛ばす
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:42:06.02 ID:2u5HIDUo
青髪「正解や。じゃあこういうのはどうかな?」

またも、一方通行の周りに重量が増大した空気の塊が発生する

一方「何度も同じことをさせンな!効きゃしねェよ!」

先ほどと同じように重力方向のベクトルの向きを変更し、吹き飛ばそうとした

が、飛ばない。下降すら止めることが出来ない

一方(さっき蹴飛ばされた時と同じ。能力が通じねェ。いや、これは)

周りのベクトルを視覚的に見直した

一方(やっぱりか。俺が反対方向にベクトルの向きを変えた瞬間にさらに重量を増加させてやがる)

通常、重力が1Gの環境で1kgの物の重力方向へ持つ位置エネルギーを1kg/Gとすると上方向に上昇させるためには1kg/Gよりも大きなエネルギーで押し上げなくてはならない

青髪は、一方通行が押し上げようと設定したエネルギー量に対して、それをちょうど上回る量に物質の質量を変化させている

要するに、一方通行が自分にのしかかった空気の塊を上に上げようとすればするほど、それに対応して質量を増大させているのだ

落下を抑えることが出来ず、地面が近づく

一方(さっき蹴られた時も、アイツは反射に対応して足の質量を変化させやがったわけだ)

一方(理屈が分かれば何のことは無ェ。全力で押し戻すまでだ!)

ベクトルの向きと大きさを全力をもってして上方向に向ける

なんとか、地面スレスレで弾き返すことに成功した

それを確認して、青髪が同じ高度まで下りてくる
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 02:48:22.74 ID:2u5HIDUo
青髪「土壇場で正解や。でも困ったな。今の君じゃ、近距離でしか僕に攻撃できへん」

青髪「今ので君をもっと追い込もうと思うとったのに。見せてくれん?黒い翼ってやつ」

一方「はン。今までのことでてめェの底は知れた。今のままで十分だ」

青髪「OK。そこまで言うなら、ちょいと本気を出させてもらうわ」

そう言ってまた、空気の質量を増大させる

今度は一方通行の上方向だった

一方「何かと思えばまたそれか?芸がねぇな」

青髪「僕はピエロじゃないからなー。一つしか能力が無いんや。でもな」

質量を増大させ続ける。次第に、周りのものがその部分に向かって吸い寄せられるようになった

吸い寄せるエネルギーのベクトルに対して同量の反対ベクトルを紡ぎだし、打ち消して、そこに居続ける

青髪「さて、このまま質量を増大させ続けると何が起きるか、第一位の頭脳なら当然分かってるよな〜?」

瞬間、辺りから光が消える

巨大な質量が作り出す尋常ではない重力が、光すら逃さない

そこに、極小のブラックホールが誕生した

あらゆる次元の集束を誘う無限な力に対し、一方通行が認識できる空間のベクトルなどという些末な力では対抗などできようはずも無く、彼もその吸引力に逆らえなくなる。

彼が耐えられないのを見た瞬間、高めた質量を元に戻す

その場に、光が戻った

ほんの一瞬の出来事だったが、一方通行と青髪を除いて、半径100m近くの物が消え、地面には大きなクレーターが誕生していた

青髪「黒い翼を出していない君のサンプリングは完了した。やっぱり、電池が無いと駄目ってのは酷いハンディキャップやな。って、聞こえてないか」

この、一瞬の反射ベクトルの演算で、一方通行の電池は消費しきっていた

3次元空間だけでなく、4・5…と増え続ける他次元空間からの吸い寄せにも限界まで対応していた為、電池はすぐに底をつき、脳疲労も絶頂で、意識はすでに無くなっていた

青い髪の男が白髪の少年を背負う

青髪「本当に必要なんは、本気を出した君の限界なんやけどなぁ」

そう呟いて、男は消えた
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 09:07:54.36 ID:w3niIv.0
ええええええええええ

青髪強くしすぎだろw
一方通行を噛ませに使うんじゃねーよ
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 10:06:40.19 ID:B5M2xkYo
一方さんかませとか禁書ではよくあることだろ
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 10:10:58.07 ID:2u5HIDUo
ちゃんと一方さんがあとで勝つから安心汁
負けたあとに勝つ!
強大な敵を何とかして打ち倒すって言うのが原作でも一方さんの役回りじゃん? どうせ人工はみんな後で…(ry
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 13:30:32.62 ID:4oYIATU0
これはないわ…青髪チートすぎ
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 18:31:43.20 ID:2u5HIDUo
非ww難wwwが心地よい
馴染む、馴染むぞおおおおおぉ

佐天(…開いた!)

脳内の疲労もそれなりに、何もない唯の白い壁に扉が現れる

ノブを引き、扉を開くと、中へ新鮮な空気が入っていく

中には、円卓が広がり、席に人が付いている

部屋は暗い
彼女の存在に気が付いていないのか、部屋に入って来て、動くものはない

座っている11人を良く注視すると、まるで授業中に耐えられず、寝てしまいましたという体勢の者ばかりだ

この部屋には窓が無く、あの謎の壁で覆われ、出入り口以外には扉が一つあるだけ

その扉も、かなり頑丈な物のようで、機密性も高そうだ

手前に居た一人の肩に手を置き、起こすように体を揺さぶる

まるで人形のように動かないで、椅子から崩れ落ちた

佐天(まさか、死んでる…? )

手首に手を添えると、脈は無く、息もない

他の10人全ての生命反応をチェックしたが、反応が帰ってくることは無かった

佐天(穏健派といわれる人から急進派まで、皆、死んでる)

佐天(状況から見て、酸欠ね。死後いくら経ったか分からないけど)

酸素が極端に少ないと、死体の腐敗もなかなか進まない。
何の予備知識もない彼女に死後いくら経ったのかなど分かろうはずもなかった

呆然としていると、奥の頑丈な扉が開き、12人目が現れた

男は他の人間の死を確認して、少女の方を見た。
TVで理事会の発表をした眼鏡の男である
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 18:37:06.49 ID:2u5HIDUo
Ssってのは公開オナニーだとは良く言ったものだと思います

「計画通りだな。おい、君。早く私をこんな場所から連れ出せ」

急に現れた男の第一発言は、もちろん何の事だか佐天には良く分からない。返答ができなかった

「おい、聞いているのか?!こっちは君たちの命令通りにこいつらを始末して意思決定も指令も鎧も用意したんだ。今度は約束を守るのはそっちだろ!」

誰かと勘違いをしている?といった疑問が少女の脳内に浮かぶ 「ちょっと待て、来るのは青髪の男だと聞いていたぞ?君は何だ? 」

男は焦っている。話しぶりからして、理事会を裏切って何かと結託しているようだ

「ずっと話が違う事ばかりだ!いつになったら軍は動く?いつになったらあの忌々しい理事長を引き下ろすのだ?」

頭を掻き毟り、取り乱す。TVで見た落ち着いた紳士の姿は無くなった

「だから私は反対したんだ!糞の役にも立たない、金ばかりかかる無能力者の屑共を使って事を起こすなんてのは!」

少女にはこの男が何を言っているか分からなかったが、自分達を屑といった

これだけで、何をすべきかは決まる

佐天(そうだよ。あたしはこいつらを殺しに来たんだ。残ってるのがこいつだけなら、この人も殺せばいいだけじゃない)

やってしまおうと、右手前に出し、空気を圧縮し始める

それを見た男は怯え、立ちすくんだ

今にも打ち出そうとした瞬間、銃声が響き彼女のほほを掠った
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 18:40:42.11 ID:2u5HIDUo
音の源の方を向くと、赤黒い駆動鎧がこちらへ銃を向けていた。銃口からは煙が出ている

御坂「殺しては駄目!」

突如として現れた駆動鎧に助けられ、呆然としている男と少女

動いたのは、少女だった

圧縮空気弾を男へ向けて発射する

それを駆動鎧が電磁砲で弾き飛ばす

御坂「あんたにはまだ死んでもらっちゃ困るのよ!私がこの子を抑える内に逃げなさい!」

眼鏡の男は駆動鎧からの声を聞き、はっとなって走り去った

佐天「その声、御坂さんだよね。なんであたしの邪魔するんですか」

御坂「待って、あの人には死なれちゃ困るの。私の言うことを聞いて頂戴」

佐天「能力者の都合なんて知りません。邪魔するなら御坂さんでも容赦しないですよ」

御坂「あなた達にも意味のあることよ。とりあえず、その手を下げなさい」

銃を佐天へ向ける。その銃は帯電し、青筋を放っていた

佐天「分かりました。前々から思っていたんですが、たまに出る、その見下げた口調が気に食わなかったんです、よ!」

圧縮した空気弾を御坂へ向けて放った

無論、当ってやったりなどしない

当らなかった空気弾は円卓の一部とそばの死体を吹き飛ばした

威力は致死レベル

明らかに殺意のこもった一撃を加えられ、御坂も覚悟を決める
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 18:44:36.62 ID:2u5HIDUo
御坂「そっちがその気なら、良いわよ。第三位の実力見せてあげるわ!」

佐天に向けて電撃をフラッシュ状に放ち、暗い空間で閃光弾のような働きを見せる

光で怯んだ瞬間に跳躍と壁との電磁力で円卓を飛び越し、佐天の右斜め後方へ立ち、セミオートで数発電磁砲をお見舞いする

が、彼女の作り出す慣性障壁で極音速の勢いは止まり、弾丸は自由落下する

御坂(ちょ、何なのよあれ)

佐天「やっぱり、下の駆動鎧を始末したのは御坂さんだったんですね」

ゆっくりと振り返り、手前のイスを球体に圧縮したものを投げつける

もちろん回避運動を取ったが、御坂の前で弾け、鉄製のイスだったものの破片が駆動鎧に食い込んだ

フェイスガードにもヒビが入る

御坂(駆動率がさらに2%低下。ちょっとした範囲兵器ね、あの攻撃は。気をつけないと)

圧縮空気弾を避けつつ、稀に打ち出される圧縮固体炸裂弾を的確に撃ちぬいていく

佐天「あれれ?逃げてばっかりですよ。第三位なんてこんなもの何ですか?」

少女はその場から殆ど動かないで一方的な攻撃を続ける

遠距離攻撃主体の御坂の攻撃には回避が必要ないと判断したのだろう

やられてばかりというわけにもいかないのでグレネードのアタッチメントから発煙弾を打ち出す

部屋に煙が蔓延する

佐天の周り数メートルの半径一律にで煙の広がりが止まっていた

御坂(つまり、あの半径が遠距離攻撃の防御範囲なわけね)

御坂(遠距離で攻撃が通じないなら、近接攻撃しかない。あの壁の中に入れば!)

手榴弾のピンを抜き後ろへ投げる

煙の中を高速で移動し、円卓の内側に身を伏せて爆発を待つ

手榴弾が爆発し、その音で佐天がそっちに意識を向けた瞬間に、障壁内へ入りこんだ

御坂(後は体に触れて、電撃を流せばそれで―)
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 18:51:22.90 ID:2u5HIDUo
階段をひたすら登る少年がいた

逆に上の階から、誰かが駆け降りる音が聞こえる

(上から人が来ますよ)

上条(ああ。だがこの音からして、駆動鎧じゃない。気にせず登るさ)

血相を変えた男がまるでこけ落ちるようにして下ってきたのが視界に入る

否、こけた。上条に覆いかぶさるようにして、落ちてくる

上条(こんなところでも、私の不幸能力は衰えを知らないんですな…)

平時の上条ならともかく、集中している上条が押しつぶされるようなことは無い

最小限の動きで、避ける

踊り場へ倒れこんだ男は、物理的なダメージのせいか心理的に圧迫されていたせいか、ほどなくして気を失った

(この男、理事会のメンバーですね)

上条(TVに出てたおっさんだな。上で何が有ったんだ?)

(分かりません。ですが、彼自体は重要な証言者になりえるかも知れません。どこかに捕縛しておきましょう)

手近な階のトイレに縛り付けておいた

(これは、もしかすると悠長にデータを見ているような時間は無いかもしれないですね)

上条(ああ、嫌な感じがする。一刻も早く最上層階へ向かうべきだな)
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 18:56:06.62 ID:2u5HIDUo
佐天「第三位っていっても、考えることは他の人と同じですね」

御坂に完全に背を向けた状態で喋りかけた

咄嗟の発言に驚くも、気にせず触れようと手を伸ばす

瞬間、振り向いて御坂が伸ばした手を払った

触れない様に圧縮した空気を手と手の間に挟んで払ったので、弾かれた方の御坂の中指などが明後日の方向を向く

とっさに距離を取って、佐天から離れる

右手はしばらく物を持つことが出来ないだろう

左手で銃を構え電磁砲で弾幕を張り、悲鳴を上げる右手で閃光を放つ

佐天「皆同じような攻撃しかしてこない。何度も接近戦での奇襲を味わえば、あたしも学習しますよ」

両手を壁につけ、球体にする。
この特殊な壁は削れること無く球体になり薄くなった部分をすぐに覆ってしまい、どれだけの規模を球に圧縮したのかわからない

佐天「少しハンデがキツイようですから教えますね。私のもう一つの能力、濃度操作は触れたものを最大ボーリングの玉ぐらいに圧縮できるんですよ」

球体を二つ持ちあげ、御坂の方向へ向ける

佐天「最大重量は10tぐらいですけど、コンクリート10t分を球にしたら、どれだけの圧力がかかってることになるでしょうね」

佐天「もしそれが解き放たれて爆発したら、近くで巻き込まれた人間ってどうなるのかなぁ?」

佐天「第三位の御坂さんなら も ち ろ ん 何の問題も無いんでしょうけど。あ、ちなみに今までの同じような攻撃は重さ10kgにも満たない椅子とかですから。頑張ってくださいね」

右手の球が御坂の方向へ打ち出された

電磁砲を打ち込み、迎撃しようとするが、如何せん重量が高すぎて撃ち落とせない

御坂の前1m強の位置で、炸裂した
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 19:03:31.03 ID:SKT5XwAO
人工能力者ってていとくんをサンプルとして作成したんだよね?

ていとくんやばいな
もう生きちゃいないが
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 19:04:26.59 ID:2u5HIDUo
大小様々な大きさに割れたコンクリートの断片がとんでもない勢いで周りに広がる

部屋の4分の1に破片が当り、くだけ散る

極小なコンクリート片が粉塵となり、佐天には御坂の様子はしばらく見えない

普通に食らっていたならば、恐らく体は粉々に吹き飛んでいただろう

だが、絶望的な状況の中で少女は何とか身を守る方法を編み出し、実行していた

自分の方向へ飛んでくる破片と明後日の方向に飛んでいく破片に電撃を浴びせ磁化し、極力自分の方向へ飛んでくる破片をそらして減らしたのだ

絶望的な量ではあったが、流石はLV5の演算規模である。何とか致命傷は避けられた

御坂(駆動率…82%ダウン。これだと、重いだけの鎧…じゃない。怪我も…して、動け…な、ぃよ)

命は残ってはいるものの、鎧は凹み穴があき、体は打撲・裂傷・刺傷である

体中の到る所で骨折が起きていた

佐天「あれで死なないなんて、さっすが御坂さんですね。すごいなー第3位は。憧れちゃうな―」

佐天「でも可哀相。ほとんど死にかけじゃないですか」

佐天「友達としてそんな酷い状態の御坂さんは見ていられません。だから」

佐天「ひと思いに… こ ろ し て あ げ ちゃ い ま す ね」

左手の球を弾き出す素振りが見えた

御坂(ぁう…ここまで、みたいね。どうせ…なら、アイツに、とう…ま、に、思いを伝えておきたかっ…た)

絶対絶命の状況で視界の端に自分の思い人の姿が現れたような、そんな気がした
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 19:10:19.28 ID:2u5HIDUo
設定読んだら、どう考えても第二位のほうが強いと思うんだ


ようやく最上層に登った少年の視界に入ったのは

良く知る少女が駆動鎧を着込み、そしてあからさまにボロボロになった光景と

それに追い打ちをかけるように、謎の球体を射出しようとしている少女の姿だった

彼女を守るために必要な行動は一つ

上条(準備は?)

(いつでも)

それを何ら躊躇わず、行った


突如として、能力が消え去る

目の前にある、球体に圧縮された壁にかかっていた圧力が消えた

佐天「…え?」

この言葉が果たして音になる暇が有ったのか、彼女の前の球が爆発した

彼女を守る絶対的な障壁も、今はない

爆発により放たれた大量の破片により、少女の体は一瞬のうちに砕け散った
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 19:16:36.09 ID:2u5HIDUo
謎の爆発により、攻撃しようとしていた少女がこの世から消え去ると

上条はボロボロの駆動鎧の元へ走った

明らかに行動を制限しているだけの鎧をはぎ取り、中から少女を助け出す

駆動鎧用のスーツを着ていたためか、出血はすぐさまに死をもたらすものではなさそうだった

四肢の骨が折れてはいるが、脈はあるし、息も特に乱れはない

上条「酷くやられているが、大丈夫か?」

御坂「こんな、所で、会うなんて。あんた…も死んだの?」

顔になんとか笑顔を浮かべる

上条「冗談は言えるみたいだな。ちょっと待ってろ」

着ていた服を裂いたもので傷口を覆い、骨折箇所に適当な物を副子として当てがって固定する

御坂「うん。でも、助けに、来てくれるなら…もっと早く来なさい、よ」

上条「悪かったな。」

御坂「全くよ。手…動かせないと、抱き締めることも、できないじゃない」

上条「後で満足いくまで抱きしめてやるから、今はじっとしてろ」

御坂「うん。約束、だからね…ありがと」

そう言って意識が途切れた

上条(眠っちまったな)

(仕方ないでしょう。死ぬ寸前まで追い込まれて、最後にあなたが現れたら、安心してこうなっちゃいますよ)

上条(お前が何が言いたいのかは置いといて、どうだ?御坂の着てた鎧の保存領域には何か保存されてたか?)

(完璧ですよ。私たちが求めていた物といっても遜色ないでしょう)

上条(こりゃ、感謝してもしきれないな)

(約束を忘れずに守りさえしたら、彼女は満足でしょうけどね。ひとまず、下の男を連れてここを出ましょう。他の理事会員は既に手遅 れでしょうし)

闘いで飛び散った理事会メンバーのを見渡す。見知った顔もあった

上条(…ああ、そうだな)

御坂を背負い、階段を下る

ホルダーの発信器に電気信号を与え、監視しているだろう麦野たちにメッセージを送った
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/10(土) 19:28:00.55 ID:2u5HIDUo
日本国 首相官邸

学園都市での内乱による被害の広がりと遅々として進まない沈静化に対して各国大使館・ホットラインから連絡が大量に入り、大わらわであった

「貴国の治安機構はどうなっているんだ!状況の好転が見受けられないぞ」
「学園都市には我が国からも多額の投資を行っているんだ!分かっているのか!」

学園都市というとんでもない科学先進地域が成立したのは、主に冷戦終結後である

東西国家が冷戦によって軍事方面に特化していたのだが、冷戦終結前後、異常な軍事力が不必要となり世界的に軍縮が進んだ

投資家からすれば、まず間違いなかった投資先としての軍需が消え、それが各国のバブルとして現出した

そのバブルの一つが学園都市の急成長である 1700年の知恵を持つアレイスターの手腕によって世界各国から投資を得、急成長したのである

多くの学生が奨学金だけで生活できるのもそのおかげであった

故に、学園都市の利害は各国の利害に通じるものが有るのだ

その中での最大の投資国であるアメリカは、非公式に大統領が日本の官邸を訪れていた

米国大統領「このまま沈静化が見受けられないならば、我が国の利益を守るため軍事力をもって介入という形になるがよろしいかな?」

日本首相「日米安全保障条約は貴国の介入理由になりません。民主主義国への不適切な軍事介入は国際的に非難を受けることになりますが。その覚悟は御有りか?」

米国大統領「そのような条約は問題にならない。すでに他OECD加盟国には通達済みで好返事が返ってきている。介入理由も この通りだ」

先日のデモの映像が流される。風紀委員の腕章をした能力者が無能力者の集団を一方的に虐殺している映像だった

米「利権的な意味でも、人道主義的にも、我が国の出兵は国際社会の援護をこそ受け、反対されることなどない。私が直々に来たのは既定路線を説明するのが目的ではない」

米「日本国の治安機構には欠陥が有るとして、学園都市の占領統治の計画が議会に上がっている。この議案は、これまでに深刻な人権侵害が横行していて、それがこの度の悲劇を招いた。とするもので」

米「故に世界最大最高の自由を掲げる我が国が日米同盟という責任の下、彼の場所を直接統治しようというものだ」

日本「露骨な内政干渉だ!絶対に我が国としては認められません」

米「それはわかっているよ。しかし、だ。現実の所、悲劇は起きている。原因は日本という自由民主主義国家が実は非常な差別主義的側面を持っていたからだという非難を受けるだろう」

米「そうなれば、我が国を始め経済制裁など貴国への制裁決議を取る国が現れるだろう。輸出入に国家の大半を依拠している貴国にとっては深刻な問題だ」

米「だが、ここで自身の無力を認め、国際社会が認めるアメリカという国家が仕方なく沈静化と健常化の為に動くとなれば、それら批判はかわせる。すでに各国にも手はずはそのように整っている」

米「さて、たった200万程度の子供の為に、他の1億2千万もの人々の私生活を脅かすような決断が、君に取れるかね」

日本「いかにもアメリカ的な脅しですね。被害者が出ているのは我が国だというのに…分かりました。占領統治をお願いします」

米「さぞ断腸の想いだと思われる。安心したまえ。君の政治生命は私が保障しよう」

日本首相「…ありがとうございます。大統領」
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 21:08:54.68 ID:Fb/vulMo
あんだけはっちゃけてた佐天さんがあっさり逝ってワロタ
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 21:15:37.62 ID:dkCJ8NE0
>>1の予防線の張りようにわろた
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/10(土) 21:16:10.11 ID:BXb9RlE0
佐天さーーーーーーーん!!
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/11(日) 07:09:50.01 ID:py5cwDco
佐天さん木っ端微塵ワロタ
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/11(日) 10:35:39.51 ID:ms6pc0o0
さすが>>1
美琴を殺し現実の日本が二分するのは防いだわけか
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/11(日) 12:38:36.36 ID:IkciMGQ0
淡々とした戦闘描写がいいなぁとおもってたけど
これってある意味オリキャラ強えーオナニーじゃね?
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/11(日) 13:08:32.86 ID:Tbmp9k.o
製作速報は公開オナニーする場所だよ
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/12(月) 01:00:00.85 ID:ART8ccs0
今日はここまで、とか一報入れてくれると嬉しいぜェ

続きはもちろん期待してます。
263 :まとまった更新は難しくなるからかなり切りの悪いところでだらだら投下になるよ[saga]:2010/07/16(金) 15:01:55.94 ID:HApNyrYo
俺だって…俺だってこんな事になるなんて思っていなかったんだ…
設定決めて、なるべく無理なく矛盾なく動かしてたら…
気が付いたら動かすキャラクターは増えて青髪はチート化してたんだ
何を言っているか分からねえだろうが、原作とか、オリキャラとか、そんな茶稚なもんじゃねェ…
もっと恐ろしい物の片鱗を感じとったぜ

あ、佐天さんは別よ?

夕暮れ 車内

麦野「で、どうしてこうなったわけ?」

もともと3列シートの車の中に、今は合計8人の乗員がいる

つまり満員だ

もともと多くの機械や資材を積んでいるので満載になると非常に狭い

その上乗員の内一人は大怪我を負っていてゆったりさせてやる必要が有った

手足を縛られ耳栓目隠し口には布を詰め込まれた初老の男性に至っては、場所を食うので後ろの荷物置きに置かれている

日頃では感じることはない窮屈さを感じて明らかに麦野は機嫌が悪い

フレンダ「さっきまで凄く嬉々としてたのにこの変わりよう。最高齢なのに子供な訳よ」

麦野「人を婆さんみたいに言わないでほしいわね」

やれやれと言った感じのフレンダにヤクザ顔負けのにらみをかます

フレンダ「おー、どう、どう」

絹旗「で、どういう経緯でこんな愉快なパーティメンバーになったんです?」
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/16(金) 15:16:30.34 ID:HApNyrYo
御坂の隣で処置をしながら答える

上条「連れてくるのを手伝った浜面には教えたけど、このおっさんは統括理事会の生き残りだ」

浜面「で、そこの第三位が理事会室で殺られそうなのを上条が助けた、だろ?」

フレンダ「生き残り、ってことは他11名全員死んじゃったの?つい最近減った分を補充されたばっかりなのに可哀相ね」

上条「運が無かったんだろうな。不幸続きの上条さんとしては人ごととは思えません。あ、オキシドールあるか?」

絹旗「どうぞ」

上条「サンキュ。沁みるだろうけど、我慢しろよー」

意識が無い人間に言葉をかけながら的確な応急処置を下していく。その手際からは慣れを感じる

そして、その処置対象が寝ているはずなのに喜んでいるような表情が浮かんでいるように見え、狭さに増しておもしろくなさそうな人間が一人

麦野「それよりも、どうして、と、当麻が理事会なんかに用があったの?」

作業が粗方終わるのを見計らって、身を乗り出して質問をした

フレ滝壺絹旗浜面AI御坂(とうま、だと…)

上条「あー、多分、殆どこいつと同じだな」

膝の上の少女の額を撫でながら答える

寝ているハズの御坂の表情に変化が有ったが、彼は気が付かなかった

上条「でもって立場上、あなた方には言えませんです」

麦野「ちょっと、この子は知ってて私が知らないのは気に食わないんだけど」

上条「特にここの暗部組織の皆さんとなると、その上に何がいるのか特定できない分、な」

御坂(ということは、今の当麻は学園都市上部とは基本的に対立的な立場にいるってこと?)

(ちょっと待って下さい。既に手遅れかもしれませんよ?今彼女らが上と連絡を取れるかどうか聞いてみてください)

食い下がる気配を見せない麦野が口を開く前に上条が話す

上条「あのですね、今現在、麦野s「しずり!」…沈利さんは暗部の上役と連絡が取れますでしょーか?」
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/16(金) 15:24:27.67 ID:HApNyrYo
麦野「一応、当麻と浜面が帰ってくるまでに連絡を入れてみたけど、繋がらなかったわ」

上条「じゃあ、今もう一度試してくれるか?」

言われて、怪訝な顔をしたが、携帯端末を取り出し、通話をする

しばらく、時間だけが過ぎた

麦野「やっぱり駄目ね。しかも、さっきまではお留守番サービスに繋がったけど今回はコールの後すぐに切れたわ」

眉をひそめる上条

(これは…やられましたか)

あわてて二列目から三列目のシートの裏で転がっている紳士の方へ身を乗り出し体を探る

その際、三列目に狭そうに座っていた麦野の胸元へ足が当っていたのだが、上条は気付かない

紳士の首の部分にしこりがあった

上条(これはやっぱり)

(ええ、何かを送信してますね。動きを感じます)

救急セットからナイフを取り出し、皮の中から発信器を切り取って破壊した

なぜか顔を赤くしている麦野の方を向き、真剣な顔をして、口を開く

上条「少々、不味いことになりましたよ」

麦野「えっと、何事?」

上条「恐らくだが、君達はこの学園都市を混乱に陥れた連中に、狙われることになった…と思う」

一瞬、間を置き、開校したのは滝壺だった

滝壺「…それは、どういうこと?」
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/16(金) 15:33:36.46 ID:HApNyrYo
上条「俺や、恐らく御坂もだが、このスキルアウト蜂起から宣戦布告まで何か裏が有ると思って探っていたんだ」

上条「そして、メインタワーへ忍び込んで情報を集めた」

上条「そこで、御坂は敵の能力者と闘って、こんな怪我を負っちまった訳なんだ。推測が正しければ、御坂が戦ったのはそこに居るおっさんを助けるためだ。なぁ、そうだろう?」

また身を乗り出し、紳士に銃口を向けた。恐怖を浮かべ首を縦に振る。それを麦野と滝壺が確認した

上条「なぜこんなおっさんを助けたのかって言うと、コイツはこの学園都市に戦火を点けた連中に加担している可能性が有ったからだ」

上条「御坂が調べたデータと音声データがそう言ってる。これを聞いてくれ」

車の中のスピーカーに佐天と紳士の話が流れる

上条「データによると、地下に大型の兵器生産工場と、学園都市内でもまだロールアウトしていない機種の駆動鎧が一万ほど あったのが確認されている」

上条「そして、この会話では食い違いが起きているようだ。迎えに来るものが違う、ってね」

上条「10中8,9、このおっさんは利用され、今後邪魔になると判断されて、この少女に殺される予定だったんだと思う」

上条「だが、完全なるイレギュラーが現れ、その予定が変わってしまった。連中にとっては大誤算。おっさんの口から自分達の関与が表に出されるわけにはいかない」

上条「もちろん、こんな計画を考えている訳だから、最初から裏切り対策としてこの男には発信器が、それも超高性能な奴が、埋め込まれていた。何時でも暗殺処分出来るようにだ」
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/16(金) 15:48:31.09 ID:HApNyrYo
上条「この車に麦野の一派が乗っていることは学園都市上層部は分かっている。つまり、内部に工作員が居る連中にもバレてるってことだ」

上条「不必要に情報を知る可能性が有るやつは、つまり不安要素は、削除するのがこの業界の常だ。こいつを救った御坂はもちろん、む…沈利をはじめとして浜面まで、暗殺対象にされちまった可能性が高い」

上条「そう考えると、沈利との連絡が急に切断という人為的回線切断終了の仕方になったのも説明が付くからな」

ここまで一気に話をして、膝に両拳を乗せ、頭を垂れる

上条「状況証拠からの推測だが、間違って無いと思う。俺の判断ミスで巻き込んでしまった。申し訳ない」

浜面「…今更、そんなことを言われてビビるような俺たちじゃねぇよ」

車を運転し、前を向きながら話す

浜面「こちとら、みんな散々危険な経験を積んでんだ。何かに狙われるのは、今が初めてってわけじゃ無いハズだ」

浜面「だから、今俺が、俺たちが聞きたいのはそんなどうしようもない過去の事より、どうすりゃいいのか、だぜ。大将」

フレンダ「ヘタレな浜面にしては言うじゃない。でも、ま、私も同じ意見なわけよ」

滝壺「わたしも、はまづらと同じ意見」

絹旗「下っ端にここまで言われたんです。責任はとってもらいますよ。上条さん」

麦野「もちろん、何か考えてあるわよね?」

いつの間にか目を覚ました御坂までこちらを見ている

上条「ああ、まずは態勢を整えよう。浜面、適当な病院にいってくれ」

浜面「任せろ」
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/16(金) 16:23:09.74 ID:7RkJL.SO
しずりかわいすぎだろ
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/16(金) 16:50:35.90 ID:/pI5kbQo
もう麦のんがヒロインでいいんじゃないかと思うんだ
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/16(金) 17:06:39.92 ID:j8QjdMMo
面白いなぁ
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/16(金) 17:21:51.81 ID:wRo.3bw0
KAMIJOさん何ナチュラルにセクハラしてんですか
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/16(金) 22:17:40.69 ID:7ScZTyEo
はい、終わりました。
田舎にしばらく遠出するのに携帯の充電器忘れた\(^o^)/
ノパソもスマートフォンユーザーの俺には不必要wwwフヒヒ
とか思ってたらこのザマだ

本来なら明後日くらいにいくらか上げて、火曜日にまたまとめて上げる予定だったのがぶっ飛びました。

こうなれば火曜日に20レス以上上げるから許して下しあ

ああああああああオワタああああああああああああああああああああああああああああ



273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/16(金) 22:38:46.48 ID:/pI5kbQo
頑張れww
充電器なら電池セットして充電できる奴とか売ってんじゃね?
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/16(金) 22:39:39.65 ID:MQM/xeMo
コンビにで充電器買えばいいんじゃね?
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/17(土) 10:38:23.12 ID:Bpu33vIo
スマートフォン用のはなかなか売ってないんじゃね
しらんけど
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/17(土) 17:49:34.42 ID:M7Kyc1g0
携帯ショップに行けば、充電出来るんじゃ
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/17(土) 20:02:12.50 ID:doFDLoDO
きっと携帯ショップもないほどの田舎なんだよ
島根とか
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/17(土) 21:04:58.96 ID:wx/Qtwk0
島根なら仕方ない
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 00:57:19.27 ID:wQ2LscI0
島根なら仕方ないでござる
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 02:05:04.73 ID:fc3BtISO
島根だもんな
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 02:06:59.27 ID:5BmJsPko
おまえら島根みくびってないか?
まあ携帯ショップなんてなさそうだけどさ
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 02:52:25.21 ID:rOIK1UAo
島根って日本地図でいうとこの肛門の部分だもんな
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 13:37:01.02 ID:ihyxKT6o
お前ら島根の人に申し訳ないと思わないのかwwwwww
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 17:44:55.87 ID:pnJaxTI0
島根って人住んでるの?
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 17:53:13.05 ID:5BmJsPko
そりゃいるだろ・・・
火を扱えるかはわからんが
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 18:08:34.47 ID:7PSWdYso
おまえら島根民の俺に失礼だと思わないの?
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 19:15:32.53 ID:dxV9YADO
>>282のおかげで島根の場所覚えた
てか島根って何が有名なんだ?竹島?
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 19:39:15.98 ID:ihyxKT6o
砂丘だろ確か
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 19:54:55.43 ID:pnJaxTI0
たしかサキューンがいた気がする
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 20:57:54.25 ID:kWAqraI0
砂丘は鳥取だろ
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/19(月) 21:39:08.90 ID:5BmJsPko
もう島根と鳥取のふたつは東県と西県にすべきだと思うんだ

俺はどっちがどっちか知らんけど
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/19(月) 22:08:20.85 ID:pTfDfwSO
ワクワクテカテカ

∧ ∧
(・∀・o)
∪∪o)
(_(_⊃
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 02:14:08.61 ID:Uj3H9Fso
確か鳥取と島根合わせても東京都のどっかの区以下の人口しか無いみたいな話があった気がする
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 03:39:07.52 ID:ngStnsSO
おまえら島根すげぇぞ
渦潮あんだぞ
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 09:47:18.27 ID:Bgx4yJQo
渦潮(笑)
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 12:45:29.04 ID:xygKtFko
渦潮は兵庫だろ
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 18:11:31.08 ID:RSRi1Tg0
>>1です
長い間、スレを放置してしまい申し訳ありませんでした。
諸事情で時間に余裕がなくなってしまったため、続ける事が困難になってしまいました。
大変残念ですが、ここで打ち切りという形にさせて頂きます。
スレ見ていただいた方どうもありがとうございました。
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 18:24:00.46 ID:IRq9gz6o
ここにもきたのか
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 18:51:39.61 ID:Yr8Ib6Io
何と言う事でしょう
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/20(火) 22:34:32.18 ID:qlnn17so
ぐおおおおおおおお
Evernoteアクセスできねええええええええええ
書き溜めひらけねええええええええ

ということで只今投下できませぬ…
エバーノートにアクセスできしだいすぐに投下するよ!
決して書き溜めが少ないとか、そういうわけじゃないんだからね!
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 23:56:58.98 ID:ngStnsSO
期待
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/20(火) 23:58:39.91 ID:ddhPNTg0
待ってる。
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 05:29:33.93 ID:968Uc/.o
どうやらやつらは俺の睡眠時間を奪いたいらしい…
いいぜ
お前が俺の睡眠時間を奪うって言うなら
まずそのふざけた 現実をぶち壊す

いや朝五時ですよ五時…頑張ってくださいよエバーノートさん…
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 05:41:05.77 ID:968Uc/.o
「やっと目が覚めたんだね。一方通行」

見覚えのある天井がそこにあった。病院である

すでに周りは暗く、時間はわからないが夜は深いだろう

上半身を起こし、体の調子を調べる。怪我もなく、特に問題は無いようだった

一方「なんで俺がここにいる…?」

打止「青い髪の人が連れて来てくれたんだよ」

言われて、表情が変化する

一方(奴は一体何を考えてやがンだ?)

額に手を当て、考えるがそれらしい理由は浮かばない

少なくとも奴は敵である。または、自分をからかっているのか、その舐めた行動に怒りを覚えた

ふと、打ち止めの首元に見慣れないものが有ったのが目に入る

一方「なんだァそれ?俺がやったもンじゃねェよな」

体を震わせ、表情を曇らせる

打止「これはね、その、み、道端に落ちてたの!なかなかいいデザインだからってミサカはミサカは…」

手を当て、構造を調べた。何の事は無い。早い話、爆弾である

一方通行の表情が急激に変化する

一方「誰に付けられた?」

打止「…その、青い髪の人に。気が付いたら、着けられた」

盛大な舌打ちが室内に響く

一方(どうあっても簡単には見逃してくれねェってか…クソヤロウが!)
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 05:57:37.34 ID:968Uc/.o
一方「奴は何か言って無かったか。隠すんじゃねェ」

キツい眼差しで打ち止めをにらむ

その眼光に怯んだような表情を見せるが、それを返すような強い表情を表す

打止「嫌。ミサカは言わない」

思っていなかった返答に赤い目を見開く

一方「ふざけんな!てめェの命がかかってんだぞ?!」

打止「だって、そしたらあなた、戦う事になるでしょ、あの青い髪の人と。勝てるわけないじゃない」

打止「カメラと妹達を通して、見てたんだ。一切攻撃できずに、地面にたたきつけられそうになって、急に真っ暗になったと思ったら…あなたは倒れてて」

打止「怖かったんだから。あなたが死んじゃったかも、って。」

打止「もうあんな光景見たくないし、起こしたくない」

打止「だから、わたしは決めたの。なにも…教えないっ、て」

少女は泣き出して、しかし、泣き崩れるようなことは無い

二本の足で立ち、震えを抑えている

意志の堅そうなことを見越して、ベッドから立ちあがり、腹部に打ち止めの顔が来るようにして抱きしめた

一方「そォかよ」

捻り出したような言葉を呟いた

一方(わかってねェな。こいつも)

一方(結局、お前のとってる行動は自己犠牲でもなんでもねェんだ)

一方(現実に押し潰されて、自らを犠牲にするのは『逃げ』でしかない)

一際、ぎゅっと強く抱き締める

一方(だったら、俺がそれを教えてやらなくちゃならねェよな)

一瞬、打ち止めの神経を強く圧迫し気絶させた

額に手を当て、脳と脳を物理的にブリッジさせる

青髪との会話の記憶を読み取り、打ち止めを自分が寝ていたベッドへ寝かせ、部屋を出た
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 06:07:01.46 ID:5oSNecAO
(島根から)戻ったかッ!
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 06:17:12.51 ID:968Uc/.o
時間は少しもどって、とある病院

ギリギリ営業時間でありながら、人がいない

所々に血飛沫が壁や床に飛び散り、血にまみれた白衣の男性・女性・学生・生徒が当然床に転がっている

空薬莢が大量に散乱し、閃光弾で焦げあとのついたカーテンや壁がここで何が起きたのかを告げる

治療室を粗方片付け、手術の準備を整える。薬品や器具は無傷のままのようだ

手術に時間がかかることを見越して、他の人間は防衛を任せた

麦野は不満そうだったが、自分は邪魔にしかならないぐらいは当然判断できるようで、すごすごと治療室をあとにする

上条「良かったな。麻酔はまだ使えそうだ。いるか? 」

注射器に薬剤を注入しながら尋ねる

御坂「痛みなら能力で押さえれるし、いらないわ。そんな事より、ほんとにあんた執刀出来るの?」

上条「フフ…俺だって伊達に怪我をしまくってた訳じゃないんだぜ?その度に医療スキルを奪っておいたのさ!」

両手を胸元まで上げ、手のひらを内側にしてひらく。準備万端といった感じである

上条「さぁ、知識も技術も超一流の上条さんにその身を委ねるがいい」

(知識は確かに超一流かもしれませんが、執刀経験は先程転がってた死体で練習しただけのわりに、大きく出ましたね)

上条(いやこれはプラセボ的な役割をですね…というにはかなり怪訝な目を向けられていますな)

(まぁ、外傷の縫合がメインの簡単な手術ですし、問題ないでしょう)
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 06:26:39.37 ID:968Uc/.o
御坂「じゃあ聞くけど、あんたが今持ってる麻酔は何? 」

上条「全身麻酔用のバルビツール系薬剤だな」

御坂「じゃあ事前投与薬は?」

上条「何をいってるんだ?事前投与薬は必要ないだろ。まさかお前、寝たらエクソシスト的な動きをしちゃうなんて特殊な癖があったりするのか?」

御坂「あ、あるわけないでしょ!いいわ、引っかけにものらなかったし、信じてあげる」

上条「じゃあ始めるぞ。結局麻酔は要らないんだよな? 」

頷き、目を閉じる

先ず内部の汚れや炎症を押さえる

体に食い込んだ破片を取り除き、簡易縫合

複雑に折れた骨や飛び散った骨をもとに戻し固定作業

筋肉繊維の断絶などが数ヶ所見受けられるが、これは鎧を着て無茶な動きをし続けたからだろう

出血は少ないにせよ、見た目は中々に痛々しい

怪我慣れしてる上条も顔をしかめる

(恐らく今までずっと痛みを止めいていたんでしょうね。これで意識を保てる人間なんていませんよ)

上条(そうだな。痛みを止めることができるってのはやっぱり便利だなと思わされるよ)

全ての怪我の手当てを終えるまでに二時間を要した
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 06:44:40.93 ID:968Uc/.o
上条「さて、仕上げだな」

手袋を脱ぎ捨て、自分の指にメスを当てる

当然血が涌くが、構わず患部へ入れた

上条の血が御坂の体内に繋がる

(血管バイパスの設置に成功しました。これより、御坂さんの患部再生の為にナノマシンを送り込みます)

指先の傷口が大きく開いたまま固定され、結構な勢いで血が流れていく

(必要数、送り込みました。溜め込んでいたエネルギーを必要物に変換します)

上条の体の中で慣れてしまった反応が起きる

(平行して、御坂さんのDNAに基づいて物質を形成しています)

(作業完了。患部へ組み込みに移行。定着を確認。ナノマシンの任務を変更、定着の維持に努めさせます)

(仕上げ、終了しました。予定では、明日には完治します。意識が戻り次第、ナノマシンは自己破壊により、他の細胞老廃物と同様にに扱われます)

上条(ご苦労さん。まさか自分以外にも再生させることができるなんてな)

(理論はご存じでしょう?私からしたら、なんでできないなんてイメージがつくのかわかりませんよ)

上条(なんだか生理的な直感とでも言いましょうかね。俺の体から御坂の骨ができたってことだろ?なんだか違和感があってもおかしくはないと思うがな)

(100%御坂さんのDNAどおりですから、異常はないでしょう。定着するまで、いつものあなたと同じように非常に体に負担をかけることになりますが)

手術服を脱ぎ、御坂の手術台を押して部屋をでた

浜面「お、終わったか。ってスゲーな!もう傷が殆どなくなりかかってやがる」

上条「最近の医療技術はすごいんですよ。とりあえず女子を呼んでくれ。流石に俺たちがこいつを着替えさせるわけにはいかないからな」

浜面「了解。ここから移動するんだろ?車の方は準備出来てるぜ?」

上条「仕事が早い。流石浜面さんですな。この施設に行く予定だ」

地図を指し示した

浜面「あいよ。積み込みが終わり次第出発な」
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/21(水) 07:04:43.26 ID:woQu6rM0
支援
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 07:24:30.06 ID:968Uc/.o
都市の外部に面した道路の隔壁が開き切り、戦車やLAV・攻撃ヘリコプターが都市内に大量に入り込んでくる

各機体にはUS Armyのロゴがプリントされ、戦闘を中止せよという音声が流れ続ける

日が沈みきっても戦っていた各学区の防衛部隊・人工能力者集団の戦闘区域に急きょ現れた軍隊に両者とも攻撃の手を休め、状況の把握を優先した

この行動も完全に計画通りのようで、両陣営の内部に潜入していたCIAの人間が撤退と米軍との協力関係をつけるように内部で工作した為スムーズに戦火は縮小しつつあった

もちろん戦闘続行、都市運営側の全滅を掲げる強硬派は反対したが、増加し続ける死傷者数を前に、大半の参加者は休戦を歓迎した

手はず通りに各報道機関へアメリカ軍の会見の情報が送信され、都市内部の全ての情報機器で強制的に流される

『学園都市のみなさん。私はアメリカ軍極東方面軍広報官』

『日本政府から公式の依頼が有り、非常事態の収拾の為、わが軍が都市の治安維持の為都市内部へ移動中です』

『都市は今運営機構の頂点組織である統括理事会が機能を失い、混乱に陥っています』

『この都市がもう一度自立できるまでの間、米国により統治を代行する事となっておりますが』

『我々はこの反乱に至るまでの経緯を深く受け止め、生徒間の理不尽な隔たりを撤去することを約束します』

『そして自立後の都市運営を一定年齢以上の生徒・学生の投票による民主主義的統治によって行えるよう制度を整えることを約束します』

『そのための要望があります。今戦っている能力者と防衛部隊は直ちに戦闘状態を解き、都市の復興に協力していただきたい』

『このことを守りさえすれば、学園都市は安全な場所に戻ると我々は確信しております』

『安全と平等の為、我々に力を貸していただきたい!』

実際に戦闘がある程度まで止まったことから、戦闘から退避し続けていた大半の住民は米軍を支持する立場を表明

無能力者の非戦闘者も右に倣えと言わんばかりに戦闘支持から休戦支持に鞍替えした

過密都市ならではの規模であるが、たった一日で人口が40%以上も減ったのだから当然と言えば当然の反応だろう

だが、これによって無能力者内部にも亀裂が出来ることになった
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 07:53:24.86 ID:968Uc/.o
次の日 とある研究施設

昨晩から続いた防衛用の設備の設置や施設設備の復旧が終わり、各人が割り当てられた部屋で休憩をとっている

そして二人の男が小便器に向かって立っている

表情は少々、眠そうだ

上条「…浜面、残念だがこのパーティではお前がボトムネックになってる」

喋りにくそうに、すまなさそうに口を開いた

浜面「んなことは分かってる。最初からな。多少喧嘩慣れした程度の男ってのが俺の本質だ」

上条「そうか。卑下にするようなことを聞いてすまん」

浜面「で、何が言いたいんだ?まさか嫌がらせが言いたかったわけじゃないんだろ?」

上条「いやな、えと、とりあえず質問。お前は歴史とかって得意か? 」

浜面「はぁ?そんなもの俺が得意そうに見えるか? 」

上条「いや、全然。よっし、さらに質問だ。ある国Aがある国Bと戦っていました、」

適当な相槌を打ちながら浜面が聞く

上条「で、Aは戦略的に重要な島を奪うことを目標に島のB軍に総攻撃をしかけました」

上条「結果、Bはなんとか守りぬきましたが大損害を被り、Aにも少々の損害を出しました」

上条「さて、これはどっちの勝ちだ?」

急に変な質問をされ、少し考えた

浜面「あーこれってAの負け。それも大惨敗だと思うわ」

上条「ほー。それはなんでだ? 」

浜面「だってよ、Aの目標は奪うことだろ?それが達成できてない時点で失敗だ。その上、大損害を被ったBに対して少々の損害のAが奪還出来なかったって結果だけ見れば、もともとどんだけ戦力が有ったか知らんが、その少々の損害で確実にしばらくは再度攻撃出来なくなったってことだろ」

浜面「しかも戦略上重要な場所なわけだから、Aは立て直すまでの時間でBの島を起点に手痛い攻撃を食らいかねない。ってとこかな」

上条「…満点の回答ありがとさん」
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 08:01:23.75 ID:968Uc/.o
浜面「ワーイ!うれしいぜー。って、んな事と先の質問に何の関連があるんだ」

上条「いや、お前の役割についてなんだが」

上条「案外、お前って司令塔的な役割が向いてねーかなと思ってな」

浜面「はぁ?俺が?言っておくが俺にはそんな統率性はねーよ」

スキルアウト時代のことが、頭の中にめぐる

上条「過去に何がお前にあったかも調べてある」

上条「その上で言ってんだよ。考え直してほしいのは、もとよりそういう素質が無いなら、お前にそういう役割が回ってくることはなかったってことだ」

少し男子トイレの周りに気配を配る。誰も近くには居ないようだ

上条「お前には言うけども、俺自身が今の敵と関係が有る。だから、間違いなく俺に何らかの形で接触を図ってくるだろう」

上条「そうなると、いざというときに指令系統が無くなる可能性が有る」

上条「他の女の子たちは、チームプレーは出来るが、能力に固執したワンマンプレーの集合でしかない。今までの仕事もそうだったんじゃないか?」

浜面「そうだな。一応麦野が指示を出してただが、結局は能力頼りの力攻めの割合は大きかった」

上条「今まではそれだけで圧倒できた。だが今回は違う。高レベルの能力者が急に増えただろ?」

浜面「そうだな。どんな方法かは知らんが、間違いなく無能力者が能力者になってる」

上条「それだ。あんな技術、本来この町にない。外部から何かが供給されてできたって事になる。問題は、その威力。あの第三位が 一方的にやられるレベルだとすると」

浜面「それ以下が確定してる俺たちじゃ、今までどおりじゃ戦えないってことだな?」

上条「言いにくいけど、そういう意味だ。となると必要なのは指揮官。俺も恐らく前面に出ることになるだろうから、全体を見れる位置に部隊としての頭脳が一つ欲しい」

浜面「で、俺と?待て待て、そこまでの力は無いぞ?」

上条「分かってるさ」

浜面「はっきり言ってくれるな。褒めたいのか貶したいのか分かんねーよ」

上条「だから、お前を強化しようと思うんだ」
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 08:11:03.92 ID:968Uc/.o
一瞬、驚きの表情を表す浜面

浜面「オイ待て。俺が今更能力者になったぐらいじゃ対して状況は変わらないだろ?」

上条「おっ、戦力分析も完璧だ。ますますお前はそういう分野に向いてるように思えるよ」

長い会話を終え、ようやくトイレから出ようとする

上条「敵情視察も兼ねて、絹旗と俺で敵の拠点に向かおうと思ってる。そこで何か調達してくるつもりだ。お前向きのなにかをね」

浜面「…了解。行って来てくれ。まだここもバレてないようだし、行動するなら今が好機だ」



麦野「当麻と絹旗だけで敵情視察?!」

浜面「ああ、さっき出てったぞ」

麦野「なんで絹旗なのよ!」

浜面「恐らく、何かでかい物持って帰るんだろ。アイツはお前みたいに私情で人選なんてしないだろーからな」

麦野「は、ハァ?いつ私が私情で動いたってのよ? 」

フレンダ「対侵入者用の設備を設置するときにずっと彼と一緒になるように騒いでた人が何を言ってんのかしらねー」

麦野「そ、そりゃあ、彼手術疲れてるみたいだったし、せ、背が届かないところとかあるかもしれないじゃない!」

明らかに狼狽しながら取って付けたような理由を並べる

滝壺「むぎの、それは苦しい言い訳だと思うよ?」
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 08:21:47.21 ID:968Uc/.o
浜面「まぁ、すでに結構時間が経ってるからな。今さら追いかけても無駄だと思うぞ」

そこに、体調が有る程度回復した御坂が入ってくる

御坂「あれ?と、当麻は?」

浜面「おー、元気になったか。アイツなら絹旗と敵情視察に行ったところだ」

御坂「え、絹旗ってあの小さい子ですよね?なんで?」

フレンダ「おおっと、これは軽くデジャヴな気がする訳よ」

一度行ったやり取りをもう一度行うことになりそうで、若干げんなりした声が上がる

滝壺「あのね、あの人小さい子が好きみたい。ということは、私も、ターゲット?」

そこに、以外な人物から意外な言葉が発せられた

浜面「あのー、滝壺さん?」

滝壺「冗談。わたしははまづら一筋だよ?」

浜面「わーうれしい。じゃなくて、いやうれしいけど。そうじゃなくて、なんでからかうような事を言うんだよ」

滝壺「だって、冗談だもの」

浜面「… 」

御坂(え、アイツってそっち系だったの?どうしよう、私って背は小さい方じゃないわよね。いやでもちいさいのがすきというこ とはこの忌々しいサイズの胸でももんだいはなくなる?これは良い武器になる?)

麦野(浜面もさっき言ってたじゃない。何を取り乱してるの私。いやでも私はその場に居なかったし、滝壺はもともとここに いたのよねじゃああの子の言ってる方が正しいのかも浜面って案外空気を読んで発言することもあるしもまさかそんな)

滝壺と浜面で向き合って話をし、LV5陣は目をグルグル回して動かない

異様な光景がそこにはあった
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 08:26:01.26 ID:DxLrh.SO
麦野マジかわいい
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 08:28:28.32 ID:968Uc/.o
フレンダ「あれ〜これって私完全にアウェイじゃない?まぁ、どうでもいいけどなんか来てるわよ?」

部屋のモニターにツインテールの少女の像が映し出される

御坂「アレ?黒子? 」

意識が彼方から帰ってきた御坂が反応する

浜面「あの子は知り合いか?」

御坂「はい、あの子は私の後輩なんですけど… 」

どうやらここと決め込んでいるようで、門の前をうろついている

麦野「なんでこの場所が分かったの?」

御坂「知らないわよ 」

滝壺「今ここで彼女を迎え入れるのは危険だと思う」

判断を決めかねている中でフレンダが装置を動かす

モニター内でアームが動き、ツインテルの少女の周りで止まる

フレンダ「ちょちょいとね、はい、第三位さん、あなたならこの器具通して怪しい電波とか調べられるわよ?」

言われた通りに電気を流し、遠隔的に白井を調べる

どうやら、何ら反応は無いようだ

浜面「滝壺 」

演算補助装置の腕甲を付けて、視認可能な範囲で能力の反応が無いか調べる

体晶を使わない能力の使い方としてあるのだが、心理的な抵抗があるのか、少々表情が厳しい

滝壺「うん。大丈夫。あの子以外に反応は無いよ?」

フレンダ「カメラにも人影なし。トラップにも反応なし」

浜面「よし、じゃあ入れてやるか」

隔壁が開き、カメラから少女の姿が消える
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 08:37:58.10 ID:968Uc/.o
麦野「こんな設備ここにもともとあったの?」

浜面「いや、もともとあった奴をアイツが改造したんだよ」

麦野「ってことは、第三位や滝壺用にとうまが作ってくれたってこと?」

フレンダ「ちなみに私の装備とか罠もあの人に弄ってもらったものよ」

麦野「女じゃない浜面はおいといて、私にだけ当麻の装備が無いのは気に入らないわ」

フレンダ「そのままでも強いって彼に認めてもらってるんじゃない?」

麦野「そ、そうなのかな?でも私もなにか欲しいわね」

御坂(おかしい。アイツはこんな高度な物を作れるような人間じゃななかった。私の施術といい、明らかに変よ)

御坂(ここの連中は日頃のアイツをよく知らないから問題なく受け入れれるでしょうけど、私には違和感をありありと感じる)

御坂「滝壺さん、その腕の、触ってもいいですか?」

滝壺「いいけど、壊さないでね」

触れ、軽く電気を流して調べる

御坂(なによこれ。本来能力者がやってることを代替してる。こんなの、この人の能力がどんなものか完全に理解してないとまず不可能よ。ひとつの研究施設をあげて作れるかどうかってものじゃない)

手を離し、返す

御坂「もういいです。ありがとうございます。これってどれくらいの時間で作った物なのか分かります?」

滝壺「えっと、1時間もかかって無かったと思う」
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 08:48:36.89 ID:968Uc/.o
御坂「1時間、ですか」

滝壺「そういえば、その前に、しばらく頭を撫でてもらってたから正確には1時間を超えるかな」

浜面「なんだと!畜生あの野郎澄ました面しておきながら…!」

麦野「ちょっと、滝壺!私が居ない間に何してもらってんのよ!」

フレンダ「あちゃー、うるさい猿が二匹に増えたんだけど」

御坂(膝枕なのかな!?あの馬鹿私にも…って違う。多分脳内スキャンとか、そんな辺りね。でも、脳波測定機なんかここには無いし、簡易な物では調べられない領域も必要だろうし、高感度な計器が無いと無理だけど、手でそれをした? )

御坂(まさかそんなことは無いでしょ。でもそうじゃなければ、そういう理由付けにしてあの人の頭を撫でたかったって事になるわよね!)

そして彼女もまた表情が麦野達のようになる

このタイミングで部屋の扉が開いた

麦野・御坂「当麻!?」 浜面「上条!?」

視線が集まった先の少女は戸惑ってしまった

白井「あ、あの、熱烈な歓迎はありがたいんですが、目が怖いですの。あ、お姉さま」

御坂に飛び付く白井

御坂「黒子、どうやってここが分かったの? 」

白井「端的に言うと、上条さんに救われたからと答えられますわね」
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 09:25:52.89 ID:fXvgEoSO
ここはむぎのんスレだということに今更気付いた
321 :残念だが、岐阜だ[saga]:2010/07/21(水) 09:41:56.65 ID:968Uc/.o
時間を少し戻して、第7学区

迷路のような地下通路を抜け、地上へ出る

上条「よし、まずは他学区へ行こうか、絹旗ちゃん」

絹旗「ちゃんはいりません。分かりました。でも堂々と行って良いんですか? 」

上条「ここまで来たら問題ないだろ。隠れ隠れ行くのは疲れるからな」

昨日の戦闘で町は壊れているものの、人影が有る程度回復し、復興が始まっている

絹旗「この学区はもう米軍下に完全制圧されてるみたいですね」

上条「そうだな。特にここは学校も少ないところだし」

絹旗「能力者の集団もここにはいないみたいですね」

転がっている駆動鎧のヘッドパーツらしきものを拾い上げ、投げる

上条「上層部が全滅した都市運営サイドに代わって、平等を声高に宣言しながら入ってきた米軍が制圧復興の手助けをすりゃ あ、無能力者側としても反対する理由もないからな」

絹旗「実際、これで平等になっても、戦って死んだ人は大損ですよね。一部の無能力者が戦ってようやく得られたものなのに、部屋で引きこもっていた人と同じ扱いだと」

上条「恐らく、アメリカはそれも織り込み済みだろう。反抗しそうな無能力者集団の人間は武力攻撃の対象としてマークしてるだろうし、そんな集団が今にアメリカ軍に攻撃を仕掛けると思う」

絹旗「そうなると、ますます思い通りでしょうね。効率よくアメリカに反対するものを消せますから」

血ぬられた死体が転がっている。彼らにとってはなんの心理的影響も与えないだろう

絹旗「今思えばいいシステムです。今の段階で助かってる能力者たちは良い学校の人、つまり学園都市的には価値の高い高レベルの能力者・親が影響力を持つ生徒や学生は殆ど死傷者が出ていないそうですよ」

上条「学び舎の園なんかには防衛施設も有るし、元々強い上、部隊も第一学区並みに整えられていたからな」

絹旗「死んだのは殆ど低レベルの能力者と巻き込まれた無能力者側だけ。良く考えれば、世界規模では無能力者の方がよっぽど多いんですから、世界市場を相手に物を作るなら、その被検対象の無能力者がたくさんいても、新技術の試用ができるという面ではデメリットになりませんし」

上条「もともと高位能力者を作るだけと言うのは、経済活動として限界があるからな」
322 :残念だが、岐阜だ[saga]:2010/07/21(水) 09:46:47.23 ID:968Uc/.o
上条「その上、下手に能力が有るやつのほうが、どうも人工的な物を受け付けにくいようだからな。生命本来のの防衛機構とか考えれば理解できなくない」

絹旗「えっと、輸血可能な血とかと一緒と考えても?」

上条「そうだな。A型はA型の血しか受け付けないが、O型は全部可能。血液型を能力と置き換えて考えるってのは良い代替思考だと 思う。賢いじゃないか」

絹旗「えへへ。そりゃ、仮にもLV4ですからね。頭の回転はいいです。自分で言うのは何ですが」

会話をしながらも、二人は気配が近づいているのを感じていた

人気の少ない研究施設廃墟群へ歩いていく

上条「上手く釣れたようだ」

絹旗「そうですね。移動速度的には軽装でしょうか」

短銃身のライフル弾が数発、飛来する。敵は復興作業を気遣ってか、銃撃の音は響かない

絹旗が装備している眼鏡に地形の情報と敵の予想位置が表示されている。読めている攻撃が通じる程、甘くは無い

上条「OK。その眼鏡はうまく機能してるみたいだな。サイレンサー使ってるくらいだし、周りで復興作業をしてんじゃ、例の音による領域減衰弾は使ってこないだろ」

絹旗「あらかじめの読み通りですね。上手く誘導させてもらいます。では」

手はず通りに 少女が男から離れ、左手の廃墟へ飛び込む

男の方は変わらず歩き、角で姿をくらました

部隊の抹殺対象は少女が優先される

軽装が数人、施設に続けざまに入った
323 :ちなみに渦潮は瀬戸内海にもあるきん[saga]:2010/07/21(水) 09:51:20.03 ID:968Uc/.o
絹旗(3人ですか、隊を二分させましたね。これも読み通り)

絹旗(敵の兵装が把握できない以上、いくら軽装とはいえ、むやみに白兵戦を挑むのは危険でしょう)

壁際で身を隠し、眼鏡をサーモモードに切り替える

追手が、一直線に絹旗が身を隠す部屋へ移動している

絹旗(相手もこちらの位置が見えてるようですね)

息を止め、小石を他の部屋に投げ込むが、敵の動きには変化が無い

絹旗(状況判断的には私と同じ熱源探知で私を捉えてると考えるべきですね。なら)

部屋の光源を全て潰し、敵の接近を待つ

部屋のそばまで敵が接近した

液体窒素の缶を取り出し、自分に向かって中身をかける

窒素装甲によって皮膚に直接触れるのを避け、自分の周りの温度を瞬間的にかなり押し下げる

絹旗(これで、一時的ですが敵は私をロストするはず)

石つぶてを敵の近くの出入り口に投げつけ、音で敵の意識を変えたところで音をたてずに逆側の扉から部屋をでた

絹旗(これで敵の裏を取ったはず…!?)

部屋を出た瞬間、銃のライトと弾丸が絹旗に向けられた
324 :ついうっかりして絹旗殺すところだった危ない危ない [saga]:2010/07/21(水) 09:59:13.97 ID:968Uc/.o
奇襲を仕掛けたと思っていた為、敵の攻撃に対する防御態勢が整いきれない

小さな悲鳴とともに小さな体が倒れ込む

装甲によって直撃を食らったわけではないが、連続する衝撃が、崩れた絹旗の体勢を整させないため、起き上がれない

何とかして身を起こそうとしたところに、榴弾の衝撃がたたみかける。好機と見て畳み掛けるつもりのようだ

狭い廊下では、衝撃が逃げ場をなくし、地上で食らうのとは比較にならない圧力が絹旗を襲う

戻りかけた体勢がまた崩され、後方に飛ばされて地面にたたきつけられた

その瞬間を逃さず、敵兵が大型口径の拳銃を構えながら接近してくる

立ちあがろうとする手足を正確に射抜く

窒素装甲では守りきれない衝撃が幼い少女の手足を襲った

少女は呻き声をあげる他、術がない

絹旗(こんなの、もっと近づかれて食らったら意識をやってしまいます)

敵は惜しみもなく小銃掃射と大口径攻撃を続ける

致死レベルにまで敵が近づき、もうダメだと感じた瞬間、閃光弾が炸裂する

もう一度爆発音が響いた

しばらくして、慣れてない目が慣れたころに目を開くと、薄いながらも煙で霞んでいた

二度目の爆発音は発煙弾だったようだ

反射的に敵の姿を探すが、その姿は無く、変わりに最近よく見るようになった姿の男が立っていた
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 10:11:04.11 ID:968Uc/.o
上条「大丈夫か?」

手を差し伸べられる

それを使って身を起こそうとするが、手足に少々痛みが走った

小さな声をあげると、身を案じてか、背を向けて身をかがめた

どうやら乗れ、と意思表示しているようだ

それに甘えて、少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら身を預ける

絹旗「ありがとうございます」

上条「ん、気にすんな。女の子を助けるのは紳士の定めですから」

絹旗「紳士ですか。まぁ、助けてもらった手前、否定はしません。あと、怪我の方ですけど関節や骨がやられたわけじゃないのでしばらくしたら良くなりますよ」

上条「そうかい。別に絹旗ぐらいの体重ならそこまで気にならないけどな。いやぁ、焦った焦った。結構耐衝撃性を重視して作った眼鏡の発信が急に無くなったからな」

絹旗「少し敵の兵装を甘く見ました。熱源探知機を使ってるものだと思ってたんですが」

上条が絹旗をおぶりながら足で倒れている死体の腰を指し示すように軽くけった

上条「コレだ。どうも決めた能力者のAIMを探知するものらしい。無論滝壺の能力のレベルの代物じゃないが、この狭い施設範囲なら場所の特定位ならできるだろうさ」

絹旗「そんな物を使われる事は今までなかったですから、知りませんでしたよ」

上条「仕方ないさ。装備からも分かるように、これは米軍の特殊部隊のようだからな」

絹旗「学園都市でも見かけないものがなんでアメリカ何かに?」

上条「ちょっと前にな、あっちの科学技術が一足飛びに進歩しちまったんだ。科学技術そのものならもうアメリカはここを超えちまった。まだ大量生産体制で作れるほどの体系は出来ていないだろうが、少数生産なら対応できるハズだ」
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 10:17:38.79 ID:968Uc/.o
絹旗「つまり、これからも私たちの知らない武器兵装が出てくる可能性が有る、と」

上条「そうだ。この強引な敵情視察も敵の武器レベルの特定が主な理由だしな。胸元に眼鏡の予備が有るから、取っといてくれるか? 」

絹旗「ハイ 」

そういって、上条の胸元に手を伸ばす

胸の上着のポケットの中に眼鏡があった

眼鏡を手にとってしばらくしても、絹旗が胸元へ伸ばした手を戻さない

体勢的には上条の脇の間に腕をまわし、体を密着させている状態だ

絹旗(浜面の時もそうでしたが、やっぱり男の人の背中って何か安心できるんですよね。それに…)

上条「あの、絹旗さん?肩の上から腕を伸ばした方が楽だと思いますよ?」

絹旗「い、いえ、その、このままじゃ、駄目ですか? 」

上条「いや、別にいいけど。とりあえず上条さんは紳士だということをお忘れなきよう」

絹旗「?あ、そういえば上条さんの方はどうだったんですか? 」

上条「万事問題なし。その眼鏡付ければ分かると思うが、逃がした敵の動きは完璧にトレースできてる。これを追っていけば、敵の 施設まで問題無く進めると思うぞ。まぁこっからは隠密行動ですけどね」

絹旗「分かりました。でも、まだしばらくこのままで居させてもらってもいいですか?」

年下の女の子にお願いされて、重いから無理とは言得るハズもない

上条「…鋼の体を持つ上条さんには余裕です!」

絹旗「わかりました。あなたの体力を考慮しながら休ませてもらいますね」

上条「…助かります」

(次の副作用の時にはもっと体力方面に特化しましょうかね)

上条(…助かります)
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/21(水) 10:22:57.43 ID:968Uc/.o
学園都市某所

結標「私に個人的に用事なんて珍しいじゃない」

一方「…ああ、ちょいとばかし用事があってな」

歯切れの悪い一方通行に眉をひそめる

結標「なんだかあなたらしくないわね。で、何用よ?」

結標に近づき、首元へ手を伸ばす

一方「…すまねェ」

かざした手で首に触れ、一瞬、首を強く締める

んんっ、とうめき声を一瞬上げ、意識を失ってその場に崩れる結標を抱きかかえ、一方通行はその場を去った


土御門「一方通行と結標の連絡が取れない、か」

海原「その上、そこに居るショチトル以外のメンバーとの連絡も取れないですね」

土御門「上との連絡もアレイスターとの連絡も断たれた以上、俺たちの独断で行動する他、身の振り方がないんだがな」

海原「そうなりますね。まぁ、長期休暇と思えばいいのでしょうか」

土御門「仕事が無くなった以上、自然とそうなる。アメリカの駐留も有る訳だから暗部の俺達に何が有るかは分からない。しばらく身を隠して成り行きを見るしかないか」

海原「それでも、彼らと連絡が付かないのは気になるところですね」

土御門「ああ。とりあえず、その子はお前と一緒に居たらどうだ? 」

海原「そうさせてもらいましょう。お互い暗部に所属しておきながら同郷の者と無傷で顔を合わせているわけですし」

土御門「同郷の者、ねぇ。間違っても寝首をかかれるようなことは無いだろうな」

海原「さあ、わかりません。気はつけますけどね」

二人が部屋から出ていくのを見送り、誰もいない部屋を見渡す

土御門(最初からアメリカに仕組まれていた、か。全く読み切れていなかったな)

土御門(これで学園都市は平穏を取り戻すだろうし、暗部組織の元が消えちまったら俺がここに居る理由は減る。イギリスに行くのもいいが)

土御門(そう言えば、ステイルがこっちに来ていたよな)

そして彼も部屋を出た
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 10:41:47.96 ID:rN9QagIo
xien
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 11:06:23.18 ID:1JrCF6DO
よく出来た話だと思う。元ネタあるか知らんが。
面白いんだがこの作者はうっかりで登場人物[ピーーー]から見てて怖いわ

あ、佐天さんは別よ
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 12:27:31.40 ID:yW8KmyEo
知的な上条さんマジイケメン
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/21(水) 20:11:44.72 ID:TFwYnF.o
麦のん確かに可愛いけどあんまり可愛い可愛い言ってたらこの作者に殺される
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/22(木) 18:22:22.75 ID:fpogAiQo
え、殺しちゃ…駄目、かな?
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/22(木) 18:55:39.11 ID:9AsIYgDO
原作の麦のんってどうしようもないほど外道だし、
ぶっちゃけもう死ぬしか落とし所ないのになんでここまで人気あるか謎だ
何が言いたいかというと構わんやれ
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/22(木) 23:21:02.96 ID:.3LacESO
>>333今世紀最大のそげぶ

まぁでも展開については>>1の好きにしていいと思うよ
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/23(金) 01:51:14.74 ID:C9y2Cq20
レベル5を二人も…、ここの上条さんはぱねぇな。
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 08:25:08.09 ID:M4t2O4go
正直誰が死ぬかなんて書いてみないと分からないんだよね。
だから誰が死ぬかなんて不明ですお

あ、佐天さんは別よ?


第23学区

本来ならば重要な拠点であるのだが、
第一学区の防衛の為に戦力を大きく割き、更に無能力者勢力が高位能力者が多く防御の厳しい学区や地区を避けた攻撃目標を取った為

手薄と判断された23学区は極大な被害を受けていた

地上に配備された戦闘爆撃機・対潜哨戒機・垂直回転翼機は全て破壊され、ビルや研究施設は破壊されている

だが、今現在は既に米軍制圧下となり異様なペースで復興が始まっている

上条「まぁ、どうせこんなもんだろうとは思っていたが」

絹旗「というと?」

上条「見た目自体の被害は大きいが、どうも壊されても問題の無い部分を攻撃されたみたいなんだよ」

壊れた戦闘機が放置されたランウェイを指す

上条「倉庫なんかは壊されてるが、地下リフトは完全に無傷だし、地上の整備施設も健在だ」

上条「他にも宇宙開発の周りのビルや小規模施設は壊れてるが基本的に基盤は無傷に近い」

絹旗「占拠後の事を考えて破壊されたと言いたいんですね」

上条「そう言うこと。今頃、学園都市が何年もかけて築きあげた技術や研究情報なんかが吸い出されてるだろーさ」

絹旗が装備した眼鏡に追っている敵の反応が表示される

絹旗「あっちの建物みたいですね」

指で示した施設は殆ど吹き飛んでいた

絹旗「あ、あれ?でもあそこから… 」

眼鏡上の表示が消える

上条「地下だな。恐らく、あそこも地下施設が本命なんだろ」
337 :過去に米軍兵士によくしてもらったことがあります[saga]:2010/07/23(金) 08:30:56.36 ID:M4t2O4go
絹旗「しかし、この辺りはパトロールが厳しいですが、どうします?」

上条「なぁに、問題ないさ。もう一度、背に乗ってくれるか」

そう言われ、素直に背に乗る

そして堂々と上条は身を隠していたところから絹旗と一緒に飛び出した

絹旗(ちょ、わっ)

当然、M4カービンを向けられ、兵士が接近してくる

動くな的な事を言っているが、少女を背に負った男が対象なので強く迫った感じは無い

「(米)何か身分を示すものは」

上条「(米)これもいいかい」

胸にぶら下げたタグを示す

読み取り器具を取り出し押し当てる

「(米)その子は?」

上条「(米)妹さ。怪我したんで研究室で休ませようと思ってね」

ピーという電子音と共に画面に緑の文字が現れる

「(米)そうか。なんなら、俺のメディキットをやるよ。あと、妹さんの学生証などはあるか?」

絹旗に日本語で学生証を見せるように言う

絹旗「私のカードなんて見せたら捕まっちゃいますよ」

上条「大丈夫。問題無い すごすごとカードを渡した」

特にエラーも起きず、返ってくる

「(米)問題ない。この辺りの他の兵にも情報を共有してあるから、これでここでは自由に動けるぞ。あと、必要ないだろうけど、一応コレ持ってけ」

上条「(米)ありがとう。大事に使わせてもらうよ」

緊急処置セットを貰って、兵士から離れた
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:11:37.78 ID:M4t2O4go
絹旗「どうして?」

明らかに困惑した声がした

上条「ああ、基本的に、制圧目的の一般兵まで、暗殺なんかの特殊部隊の目標が共有されることは無いんだよ」

上条「だから普通に接してくる。それを利用して、このタグだ。このタグは一種、トロイを仕組んでてな」

上条「特定のアクセントを持つ情報が来たら、無条件にパスするようになっている」

上条「そして、一度通してしまうと兵隊のHMDの情報共有システムで、俺たちに無害のタグが張られる」

上条「そうなれば、少なくとも一般兵が守る範囲では俺たちは敵として認識されなくなるし、カメラに入っても反応されることは無くなる」

絹旗「確かに、これだけ監視があったら動けませんでしたからね。でもなんでアメリカ軍の内情なんてご存知なんです?」

上条「ん、まぁいろいろとあってね」

言いながら、絹旗を下ろして地下への蓋を開き梯子を下りていく

絹旗「…上は見ないで下さいね」

そう言われると、逆に反射的に見てしまうのは人の性だろう

梯子のある空間は暗かったので、当然上条がどこを向いているのか見えたりはしない

だがこの男、本質的には馬鹿である

上条「大丈夫。真っ暗で上は何も見えないから」

絹旗「…見ようとしたんですね」

上条「あ、いえ、その」

上から足が勢いをつけて伸びてくる

ちょうど手を次の段に移すところだったので、上条はバランスを崩して落ちた
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:16:19.39 ID:M4t2O4go
幸い、地面は近かったので怪我はしないで済んだが、設置されていた対侵入者用のセンサーが反応する

暗かった施設の壁に赤い光がともり、警報が鳴り響く

上条「まずったぁ。絹旗、早く!」

絹旗「わかりました!」

梯子を飛び降りた絹旗を受け止める

角から敵が飛び出し、銃口に光が点る

反射的に、逆方向へ走った

窒素装甲のある絹旗には銃撃などさしたる問題にならないが、上条は当ったら致命傷になりかねない

絹旗「私の前を走ってください!」

絹旗が盾になりながらT字路に差し掛かる

右か、左か、瞬時に判断する材料は無い。右の奥の角から敵が出てくるのが見えたので、反射的に射撃する

頭へ直撃して崩れ落ちたのを確認しその方向へ走る。理由はもちろん、振り向く暇が惜しいからだ

死体から銃を奪い、角から出る前からフルオートで射撃する

構えていた兵士より先に攻撃が命中し、見えている範囲はクリアになった

先は行き止まりで、通路より少し広く、自販機やソファが設置されている

後ろから敵が迫っている

絹旗が自販機を投げつけた。狭い通路では逃げ場が無く、直撃

二名の軽装兵が潰れ死に、赤い液体が広がる

相変わらずサイレンが鳴り響いてはいるが、敵の足音は無くなった
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:22:33.83 ID:M4t2O4go
死体から銃と榴弾、単眼HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を奪い、装備する

壁に扉が二つ

片側の扉は開かない

中に入ると、そこには大きな窓が有り、開かなかった隣の部屋の中を見渡せる

明りは消えているが、何かの機械が動いているらしい。低い音が響いている

絹旗「こんなものがありますね」

絹旗の手には書類があった

読むために、部屋の明りを付ける

同時に、隣の部屋の照明も照らされた

窓はあっちの部屋からすると鏡になっているようで、隣の部屋の明りが際立つ

そこには、どこかで見た少女が倒れていた

咄嗟に手元の書類に目を通す

『今後の被検体の使用予定

高レベルの空間転移能力の試用方法として以下が挙げられる
1:次世代運輸装置への研究材料
2:他次元における実験
3:宇宙開発への応用
どの実験にしても、高レベルの次元管理及び演算の解明が必要となる
よって未元物質と同様、本国施設へ送り、原子レベルまで解体することで、特に脳の反応構造を把握すべきである〜』

上条「相変わらず、えげつないことを」

どうやら動いていたのは強力なAIMジャマ―とキャパシティダウンのようで、たとえ空間転移可能な能力者であっても、この見世物小屋からは逃れ得ない
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:26:59.79 ID:M4t2O4go
上条「絹旗、この機械のフレームを剥いでくれるか?」

絹旗「了解」

金属の軋む音と壊れる音が鳴り響く。

外板がはがれむき出しになった対能力者設備を見て電源部分の大きなプラグを引き抜く

機械の動きが止まったのを確認し、今度は窓に榴弾をくくりつけ、割ろうと試みる

大きな音と衝撃が部屋に木霊し、窓に亀裂が入った

絹旗「これなら、なんとか壊せますね」

出来た亀裂めがけて、少女が拳を振るう

徐々に亀裂が大きくなり、割れた

部屋の間を飛び越え、少女の側で屈む

薬物を投与されたのか、顔色が良くない。脈も不正常だ

(何を投与されたか分かりません。ナノマシンを使うしかないかと)

上条(了解だ)

貰った医療キットから注射器を取り出し、自分の腕に刺す

絹旗「一体、何をしているんですか?」

はたから見ている絹旗には何が起こってるかわからないだろう

ある程度血が溜まったのを確認し、慎重に白井へ投与する

絹旗は、真剣な顔をしている上条を前にして、それ以上追及するのを諦めた

少女の青白かった顔に朱が混じるようになり、脈も強まって一定のテンポを刻む
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:31:58.69 ID:M4t2O4go
回復傾向にある事を確認して、少女を横に抱きかかえ、部屋の外のソファに寝かせようと移動させる

上条「絹旗、さっき破壊した機械から、この形の物を回収してくれ」

絹旗の付けている眼鏡に具体的な図形が現れる

いわゆる御姫様だっこ状態の少女へ多少の嫉妬が生まれるが、敵に見つかってしまった原因が自分であることの反省から、それを整理して言われた部品を探す事に専念する

そんな彼女の後ろで少女の意識が回復した

目を開いた先には男の顔が有る

それはよく知った顔で、彼女から徐々に意識を奪う薬を投薬した連中が絶対に持っていない、優しい顔で少女を見ていた

上条「おはようさん」

安心して感情の堰が切れたのか、目に何かが溜まっていく感じがした

そんな顔は見まれまいと、上条の胸元に顔を押し付ける

上条は着ていた服が湿っていくのを感じた

野暮なことは言うまいと、無言で胸元の少女の涙が止まるまで両腕で体を支えながら手で頭の後ろを撫でてやる

(なんだか、女の扱いがうまくなってきましたね)

上条(最近、こういう役回りが多いからな)

しばらくして絹旗が部品を見つけ出し、白井が泣きやんだ

白井「ありがとうございます、ですの」

発言は少しぐずついているようだが、感情は限りなく平常に近く、既に自分の足で立っている
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:37:53.52 ID:M4t2O4go
上条「なぜ白井がここに居て、何をされたのかは後にして、とりあえず今は非常事態だ。俺と絹旗はまだ少し探索を続けるが、白井は先に俺たちの拠点に行ってくれるか?」

白井「拠点ですか、それは一体どちらに?」

上条「これを使ってくれ。安全な経路もおさえてる」

ポケットから携帯端末を取り出す

上条「ちょっとごたごたしててな、変なメンツがそろってはいるが、気にしないでくれ。御坂もいるし」

手に取った端末のモニターに映った場所を確認して、彼女は頷いた

白井「分かりましたの。でも、必ず帰ってきてくださいまし。まだちゃんとしたお礼をしていませんし」

上条「あいよ。お礼を期待しておきますね。よし、絹旗、行こう」

しばらく構ってもらえなかったからか、少し喜んだような表情をする

絹旗「分かりました。…っとと」

白井視点では白々しい感じがしたが、背負った荷物が重い、とアピールするように、上条へもたれかかる

自称紳士な上条は当然、体と腕で受け止める

上条「おっと、重かったか?」

絹旗「いえ、大丈夫です。ちょっと予想より重かっただけで、対応できない程じゃないですよ」

上条に正面から受け止められたまま、上目使いで答えた

それを見ていた少女の笑顔に悪意が混じるが、切り替えてはっきりとした声を出す

白井「では、私、体調も万全ではないですから、先にその拠点へ参りますわ。そちらでお待ちしております」

白井が消えた

上条「じゃあ、こっちも行くぞ」

絹旗「はいっ」
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/23(金) 09:40:40.71 ID:M4t2O4go
今日のぶん終了

前回最後に何を思ったか白井を出しちゃったから、時勢処理のために丸々上条絹旗白井の話になっちまいましたサーセン(;´д`)
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/23(金) 09:50:56.95 ID:89Jvaigo
いんじゃね?
この辺で出ておかないとまたバラバラになった人みたいになりそうだしなww
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/23(金) 11:09:15.01 ID:I8etnUSO
なんだよ・・・
このスレの女の子みんな可愛いじゃねぇかッッッ!




あ、佐天さんは別よ?
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 22:53:02.12 ID:sVbM8AIo
第17学区 操車場

人気の無いここに、少女を背に乗せた白髪の男が現れた

ずっと背に乗せてきたはずだが、額には汗一つ見えない

常に戦闘体勢にしている彼には女一人運ぶ分には苦労など無いだろう

コンテナを背に座るかのような体勢にして、気を失っている結標を背から下ろす

青髪「いやぁ、時間指定しておけば良かったわ。えっらいまたされたやんかー」

声の元へ振り返ると背の高い青髪の男が銃をこちらに構えて立っていた

白髪が声を出そうと口を開いた瞬間、銃口から何かが発射された

方向は自分では無い―ということを理解したときには、寝ている少女に当っていた

虚を突かれた中で、一瞬で音速域に達する銃弾に反応出来る人間はこの世にはいない

結標の胸元には、液体が入るような特殊な弾頭が刺さっていた

青髪「起きて逃げられても困るから、こうさせてもらった。君ならちょうど戦ってる最中に目を覚ますようにしてるかも知れ へんし」

一方「はン。こっちの考えなんて全部お見通しかよ」

青髪「彼女に打ち込んだのはその辺にある麻酔じゃない。解毒薬を投与しない限り、目は開かん」

一方「なんですかァ?脅迫のつもりかよ」

青髪「誰かさんなら分解できるかもしれへんけどな。でも、あのちっちゃい子だけで保険は十分やろ?」

もともと優しい目で見ていたわけでないが、その表情を険しくさせる

一方「あァそうだ。うちのヤツを泣かせた代償、払ってもらおうかァ!」

微妙に体を浮かせ、青髪に向かって突進した
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 23:02:05.67 ID:sVbM8AIo
前回同様、壁を作りその進路を阻む

青髪「それじゃ、前回の復習からやな」

空中の一点に、異常な重力が発生した

周りのコンテナが振動を始め、軽い物は既に中心へ飛ばされる

一方「二度もそれを食らう程俺も馬鹿じゃねェよ!」

引き寄せるエネルギーが無限となるブラックホールが完成するまでの時間ならば、ベクトルによって自分を動かすのは不可能ではない

その間でいつの間にか離れている青髪へ接近する

一方「致命的な弱点が有るからなァ!お前自身がコレに巻き込まれる訳が無いっていうよオオオオォォォォ!」

当然、ブラックホールができたままにしておけば、青髪も巻き込まれてしまう

つまり、敵が吸い込まれたところですぐに能力を止めなくてはならない

その消されるタイミングが位置的に決定されることを一方通行は見抜いていた

勢いを殺さず、加速しながら青髪へ迫る

当然、やすやすと攻撃を避けられるわけにも、加えられるわけにもいかない

見えない壁が現れる。だが、彼には対策済みだ

それが物質で有る限り、どんな重い物でも地球の重力の影響から逃れることはできない

常に下方向へ1G分の重量からなるベクトルがある

それを操作し、方向を変えさえすれば空中に物質が有るのと同様、その方向へ自由落下と同じように動く

その上、移動中に重い壁にぶつかったところで、反作用をあらかじめ反射しておけば、衝撃が一方通行に加わることは無い

青髪を守るべくして現れる壁を左右へ吹き飛ばしながら、青髪との距離を縮める

飛ばされた見えない壁が、かなりの速度で周りのコンテナに当って凹み、砕け、中身が飛び出した
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 23:13:49.83 ID:sVbM8AIo
ついに拳が届く範囲に青髪を捉えた

一方「さァァァ!くたばりやがれ!!」

音速移動からの渾身の左ストレート。人間の青髪には避ける術は無いハズだ

拳が完全に青髪の腹に当たった

一方(まァた何かしやがったか…!)

音速を超えた勢いを乗せた拳を食らえば、粉微塵になる事は避けられない

攻撃が当たる瞬間にその部位の質量を限りなく0に近づけ、当たった直後に同部位のすぐ後ろの部位の質量をぐんと増加させたことで、作用による衝撃を受け流したのだ

腹に拳が刺さったまま、青髪の口が動く

青髪「前回の復習としては完璧や」

青髪「壁の対処、ブラックホール精製までの時間と僕が巻き込まれんようにしてるのに目を付けた」

青髪「流石学園都市の誇る第一位と言いたいところだが」

青髪「現に今、僕に致命傷を与えられる好機やったけど、残念やな」

青髪「結局は今までの対処だけしか出来てないってことだ」

一方「何が言いたいんだテメェは」

拳を突きだした姿勢でしばらく居た為、一方通行は腰が浮いていた

そこに強烈な右回し蹴りが放たれる
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 23:24:18.36 ID:sVbM8AIo
無論、運動作用を全て反作用に回したが、逆にそれが仇となる

相手が足の質量を増加させたらしく、反射した作用を混ぜた反作用が有る程度また反作用となって一方通行を襲う

体の軽い一方通行にとってこの衝撃は厳しい

一方(最大限体中に衝撃を広げて緩和させたんだが、畜生が)

弱い筋肉が痺れを起こす。強引に神経を整えて直したが、何度も貰うわけにはいかない

青髪「やっぱりこれでも駄目か」

一方「ァ?今度はこっちの番だ!」

痺れは回復し、すでに戦闘再開は可能となる

青髪「やはり、君自信を追い込むのは効率が悪いみたいやな。でも今回はちゃんと準備がある」

そう言って胸のポケットから携帯端末を取り出した

簡単な操作をし、また胸に戻す

その瞬間、一方通行がバランスを失い、その場で崩れた

一方(まさか、野郎…!)

彼への補助演算が途絶えた。この状況で、このことが意味することは

青髪「君が、いつまでもちんたらしてるから、こうなってしまったけど、これで見せてくれるよな」

冷静な顔をした髪の青い男が、少し離れて一方通行をじっと見下ろしていた
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 23:31:46.31 ID:sVbM8AIo
赤い非常灯の明りだけが通路をぼんやりと照らす。目の前の扉を潜ると、巨大な空間が広がっていた

部屋の明かりをともすと、巨大な翼を持った物体が有った

絹旗「風洞実験室、のようですね。ここの学区らしく飛行機の開発でもしてたんでしょう」

上条「そうだな。でも地下に飛行機ってなんだかな」

絹旗「研究のためでしょう。まさか持ち出したいとか?」

上条「流石にこんな物を持って帰れとは言わないさ」

絹旗「え、欲しかったんですか?えっと、超無理すれば出来ないことは無いでしょうけど」

上条「いやいや、冗談。でもこれが有るってことは、分析してる部屋が有るはずだ。そこで、ここの情報を集めよう」

絹旗「了解です。ただの航空機開発施設なら、あんな部屋あり得ないですしね」

広い部屋を後にし、解析室を探す。円形のフロアの中心にエレベーターらしき円柱と壁に二つの扉

地上が壊れている時点でエレベーターが使えることは無いと判断し、扉の中を調べる

巨大なモニターが壁一面に広がり、入力装置らしきものが散乱している

絹旗「あちゃー、こりゃあ超駄目ですね。壊されてます」

上条「うーん。絹旗ちゃん、コレをさっきの対能力者装置みたく、表面の板だけとったりできるか?」

絹旗「ちゃん、は恥ずかしいので辞めてください。…どうせなら、最愛と呼んでも構いませんよ?」

上条「じゃあ、最愛ちゃん、お願いします」

絹旗「呼び捨てで、お願いします」
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 23:38:41.62 ID:sVbM8AIo
上条「最愛、頼んだ」

眼鏡をしているため目元の表情は読み取れないが、口許が緩む

中の基盤があらわになった。上出来、と言い、上条が手を突っ込む

メインモニターに映像が写し出される

上条「生きてたか。ラッキーだな」

モニターに情報が表示される。が、操作があまりに速くて、視認する前に次の画面に移ってしまい、絹旗にはよくわからない

上条「眼鏡ちょっと貸してみ 」

と言われ、渡す。返ってきた眼鏡には施設情報が映し出されていた

上条「この施設は飛行機だけのためのものじゃない。この学区の最高頭脳部だ。あの飛行機はそれを使って研究してたんだろう」

上条「でもって、白井がいたあの部屋は、新兵器が能力者にとって効くかどうか対人実験していた部屋らしい。この都市で行方不明になった能力者の多くがここで実験に使われたようだ」

絹旗「超えぐい場所ですね。でも、ここが最高頭脳って言う割には、規模が小さくありませんか?」

上条「隣の扉の部屋に行けば、それが分かるさ」

そう言われて、隣の部屋に移動した

中にあったのは、たくさんの水槽と電極が刺さったたくさんの脳

絹旗「げぇ、何ですかこれは。悪趣味すぎます」

上条「これが、文字通り最高頭脳だ。実験に使われて、体が使い物にならなくなった被験者の脳を補完し、部分胚クローニン グで大量に生産して繋ぐ」

上条「複数人の脳を同様に増やすことで、互いを牽制し合わせて、造反を防いでいたようだ」

部屋の壁のパネルを開いて、何かしら作業をしながら、喋る
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/26(月) 23:50:16.32 ID:sVbM8AIo
上条「牽制の疲弊によって、既に彼らの意思や意識ってものは壊れちまったらしく、今じゃ唯の演算装置さ」

絹旗「演算なら機械の大量配置でも代用できるでしょう」

上条「高レベルの能力者の頭脳をつなぎ合わせれば、機械に比べて場所はとらないからな。それに、複数人でやることで並列処理にも適してる。1学区の頭脳としては申し分ない使い勝手さ。電力もかからないしな」

絹旗「人の手によって能力を弄られた身としては、親近感と苛立ちを覚えさせてられますね」

小さな拳をきゅっと作ったのを、上条は横目で見ていた

(話を変えてあげましょう。少し可哀想です)

上条(ああ、まだ所詮中学生だもんな)

上条「よし、作業は終わった。これで―」

急に、何かの駆動音が鳴り始める

絹旗の眼鏡には部屋の出口すぐにあるエレベーターが駆動しているという表示が出た

絹旗「下から敵がきます! 」

上条「アララ…あのエレベーターは上から下りる為のじゃなかったのか」

エレベーターが開き、中から軽装兵が下りてくる音がした

二人は脳の水槽の陰に隠れる

どうやら隣の部屋に先に入ったようだ

敵は明らかに彼らを探している

隣の部屋の捜索をしているようで、クリア!という声が聞こえた

絹旗「どうするんです?いずれ見つかりますよ?
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/27(火) 00:01:52.74 ID:cKS49rMo
上条「危険だけど、囮になってくれ。最愛」

苦肉の策なのだろう。表情が明るくない

絹旗「…分かりました」

覚悟をして、返答した

そう言って、絹旗は部屋の扉から見てまっすぐな所に立ち、上条は部屋の入り口付近の死角で銃を構える

隣の部屋の捜索を終え、こちらの部屋へ向かってくる

扉が開き、3人ほど入ってきた。同時に正面奥に立つ絹旗を見つける

両手をあげて、立っている絹旗に一人がカービン銃を構えて近づき、他の二人がクリアリングを行い始めた

クリアリングをしていた兵の一人が上条の方を向く僅かな時間に、顔に銃弾をお見舞いする。マスクとメットの間を弾が突き抜けた

銃声が鳴った瞬間、両手を上げた絹旗が銃撃を覚悟して両手で頭部を守りながら突進

銃撃の衝撃に耐えながら手前の男を殴り、地面に伏せさせて頭部を潰した

残った一人にも上条が掃射を仕掛けて命を奪う。慌てながらも応射してきたので上条の太ももへ銃弾が貫通した

上条「よし、次が来るまでにとっとと逃げよう。もう少し調べたいけどリスクの方が大きそうだ」

絹旗「その傷は、いいんですか?」

上条「再生でなんとでもなる。今は応急処置の時間すら惜しい」

絹旗(再生できる人が応急処置、ですか。再生にも都合が有るのかもしれませんね)

足から血を垂らしながら、上条が走り出した

それに絹旗も続いて行った
355 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/27(火) 00:05:38.88 ID:cKS49rMo
今回の分投下終了しますた
そろそろ伏線が把握しきれない…もうどうにでもなーれ

土日月とずっとテストで明日もテストだよもうどうにでもなーれ
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/27(火) 00:44:31.54 ID:vPI2ug.o

実は次に死ぬのが誰かちょっと期待してr
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/27(火) 01:34:33.52 ID:DJN8wsSO
次に死ぬのは誰かわからんけど死んで欲しいのはもちろんオレのあわきんを傷付けた青ピ
358 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/30(金) 00:34:09.96 ID:Hn9msVko
ていとくんと佐天さんあっさり死にすぎ><

きっと佐天シスターズと垣根ブラザーズが出てくるに違いない
359 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/30(金) 00:39:03.35 ID:F2A.Cmco
ていとくん死んだん?
てっきり冷蔵庫状態かと・・・
360 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/30(金) 00:40:36.96 ID:Ki6newI0
原子レベルまで解体されちまったから「ていとうこ」ですらないな。

多分。
361 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/30(金) 01:57:03.98 ID:HW1aGcSO
>>355

ときには成績よりも大事なものがあるんだぜ・・・?
だからお願いします続きを
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/30(金) 06:11:53.74 ID:cF7T97wo
今日必ず投下するから待って下され

で、今気がついたんだが

このスレまだ400いってないよな…

そろそろ予定ではエンドに近づいていたんだ

が、このままではこんな支離滅裂展開のスレが埋まらないであと1ヶ月も残ってしまう

それを避けるためには…

ちなみに書いてる者はとても他の話・映画に影響を受けやすいです

読んでる数少ない人には悪いが…そう簡単には終われない、終わらせない!

「もともと筋書なんて無いに等しいだぜ」

そうやって悪魔が耳元で囁いたのさ

誰もついてこなくても、俺は一人で公開オナニーを丁度このスレが埋まるまで続けてやる…!

まずは既に死んだ連中をy(省略されました。続きが気になる変人はもう食べ放題系の店になんて行かない!と心に誓ってください


PS.昨日焼き肉店でリバースしますた


363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/30(金) 08:09:22.82 ID:9ZH5SkAO
もともとこのスレで終わらせる必要ないんだぜ?
2スレ目とか行っても無問題なんだぜ?
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/30(金) 08:11:48.85 ID:c0.WKgSO
400どころか200ちょいで完結してHTML化依頼出す人もいるから、気にしなくていいんじゃね
埋まるまで書いてくれるならありがたく読むけどな!

飲み過ぎか食い過ぎかはわからんがお大事に
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/31(土) 00:44:17.64 ID:nzKzuGEo
投下しようとおもったら先輩に連れ出されたなう

体育会系はこれだからしんどい

明日20レス投下するから許してくだしあ

眠い…
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 00:51:00.61 ID:4V6DzhQo
掘られないようにね!
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 03:00:22.37 ID:71FQkfw0
面白いSSなのに、作者が一方さんの能力を変な解釈してるのが残念だ
どんなベクトルだって力は一瞬でないし一定でないし一方向でも無い
こんな能力だったら、核どころか銃弾すら跳ね返せない
この描写だと、青髪の攻撃は只の蹴りとほぼ変わらないしな
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/31(土) 09:15:23.86 ID:nzKzuGEo
いや、単に想定外の力の変動があった際には、特にスカラー量の変化からでる変化は流石に対応できないだろうってね

弾丸とか爆発って向き大きさ速さは想定のされるものでかつ変域幅が予想されるものあるあら、一方通行の平時の反射が可能であると

で、不完全ながらも魔術というものを把握しているからその性質を理解できている分だけ、魔術の不完全な反射および防衛ができている

だから完全に想定の範囲を軽く逸脱されてしまうと原作でも負けてしまったんだろうな

って考えたんだけど

まぁ、青髪の能力が一方通行に対応させて作ってあるってのがその際たる理由なんだけどね



先輩が帰ってくれない…orz
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 09:20:31.11 ID:kHFUsvko
次にお前らは自動で反射がどうたらと口から糞を垂れる
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 10:57:55.93 ID:jQLKr2SO
一方通行の能力なんてかまちーですら理解してないから大丈夫だろ
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/07/31(土) 11:28:35.29 ID:htWyJ0Y0
10スレ目になろうが20スレ目になろうが俺は着いて行くぞ!
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 12:24:31.87 ID:3YJwkH60
先輩を掘れば帰ってくれるよ
373 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 13:23:26.92 ID:V3DDvOwo
昔先輩に掘られたおもひでがあばばばばば(^q^)
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 16:55:34.69 ID:hTS69.DO
ここの>>1は島根に行ったり先輩に掘られたり大変だな
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 18:11:28.71 ID:71FQkfw0
>>368
よくわからんけど乙
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 18:38:26.56 ID:WZ9cccAO
>>373
おもひでぼろぼろクスン…ボクオトコノコダヨウ……
377 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 20:02:07.34 ID:V3DDvOwo
>>376
何が問題かって自分男で先輩女でペニバンでアナル貫かれたってのが…
これ以上はスレチだからやめよう
378 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 20:14:10.93 ID:kHFUsvko
何ですかそれ超聞きたいです
379 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/07/31(土) 20:35:23.76 ID:nzKzuGEo
俺も聞きたい。
今ちょっと煮詰まってるんだ。
380 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 20:59:36.63 ID:bNyvh9A0
>>377 

kwwsk
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 21:25:51.21 ID:V3DDvOwo
5年くらい前の話だし酒入ってたからところどころ曖昧な記憶になるけどそれでもいいならお話しますが
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 21:33:02.16 ID:jQLKr2SO
>>379 煮詰まってるって・・・
>>377の話を聞いてこのスレをどの方向に持ってく気だwwwwwwww
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 21:35:10.01 ID:4V6DzhQo
濃厚なホモ話期待してたのに女かよ
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 21:45:19.52 ID:V3DDvOwo
なんかスレがあらぬ方向に向いそうなので詳しく書くのはやめときますね
流れだけ言っとくと酒飲む→介抱される→先輩の家で縛られてアッー!
385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 21:53:26.08 ID:XHt2S6.0
>>385
ちょwwwwww
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/07/31(土) 23:14:11.92 ID:kHFUsvko
>>385
自分の顔がおかしいのはわかったから
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 00:40:35.28 ID:pfsaBr.o
ドラゴンボール並みのインフレが起きました。どうにかしてくれ
あと先輩が酔って脱ぎ出したときは焦ったぜ


一方「…テメェ、打ち止めを殺したのか。%、;,<」

黒い翼を持った細い白男が立ちあがり、青髪を睨む

青髪「へぇ、ちゃんとした意識を保てるもんなんやな」

一方「いいから、答えやがれ! <!『。;」

目を細めて一呼吸おいて、青髪の口が開いた

青髪「今の君なら分かるんやないの?ベクトル、向かってきてないやろ」

目を見開き、顔の表情が深まる

一方「打ち止めを殺した、あいつが、死んだ…_)!。%」

顔を伏せて言葉を二三呟くと、強く青髪を睨んで叫びをあげる

一方「やァってくれやがったなァァァアアァアァア!jog[] 」

声が青髪に届くころには、既に青髪が居たところには拳があった

青髪「ほっほ、それや。僕が見たかったのは」

声の源は既に200mは離れているだろう距離にある

一方通行が青髪を視認した瞬間、体はまっすぐに一方通行へ向けて引きずられる

その途中で無数の黒い羽根が青髪の体を襲う

が、その羽は青髪の体に当る瞬間、黒点によって吸い込まれ全て消える

そして距離が残り4分の1といったところで青髪が止まった

無論、一方通行が能力を解いたわけではない

引き寄せている力の向きを、一方通行と青髪の間にブラックホールを発生させることで撹乱させたのだ

青髪「少しは本気を出さないと殺らるなぁ、これは」

目を細め、腰の位置を下げ、手を一方通行の方へ向けた
388 :いやぁ、もう色々と無理があるよこれ[saga]:2010/08/01(日) 00:48:49.06 ID:pfsaBr.o
知覚できるほんの一瞬の時間に、一方通行から青髪が居た空間までの半径の全てが消失する

位置と消滅する半径を一瞬で割り出し上空へ回避した一方通行が、同じく空に移動した青髪の方向へ強烈に引き寄せられる

その1km程の経路上には多くのブラックホールの出来かけがあるのが把握できる

一方「食らうかよォォ!%,、」

叫びながら、逆に引き寄せられる力に自分の推力を加えて青髪に急速接近する

速度は既に極音速とかいったレベルでは無い。お互い10km/sの速度で行動している

一方通行が通過した空間にブラックホールが連続して瞬間的に発生して消えた。大きくすることで吸引範囲を増して逃れる一方通行を捉えようと試みた為、地面に3つのクレーターが出来る

青髪「コレ!この力を見たかったんや!さぁもっと観察させてな!」

光速の4分の1の速度で飛行する一方通行が発生させるソニックブームと青髪が空中に作るブラックホールによって、地面はズタズタになり、ブラックホールに舞上げられた建造物やコンテナなどが地球の引力に引かれ自由落下を始める

気流も無茶苦茶で電波や磁場は完全に混沌としていて、あらゆる特異物理現象が発生していた。光も瞬間的に消え失せたりす る。

だが、そんなものは彼らにとって僅かな誤差でしかない

接近した一方通行の近接攻撃を、自身を超引力によって移動させて避ける。これもまたとんでもない速度となり、轟音が辺りに響いた

移動しながら、一方通行がいる座標に合わせてブラックホールの瞬間発生を連続して行う

それを水平方向への高速移動で回避しながら、青髪に再度接近を図る

先ほどと同じように青髪は回避するが、それが一方通行の狙いだった

青髪を引き寄せているBH(ブラックホール)の方向へ、さらに彼を引き寄せるように力を加えた

人間の感覚では理解できない速度でお互い移動している為、流れる景色などでは速度の変化には気が付かない

青髪「ぬぁっ」

彼の声など当然一瞬で消え失せた

超重力の原因が消えたので辺りは落ち着きを取り戻す。地上へ向けて一気に吹き下ろしの風と大量の落下物が落ちた

一方「やったか…?!」
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 00:52:56.32 ID:faMprLYo
「やったか?」はらめえぇぇぇ
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 00:53:46.57 ID:pfsaBr.o
不意に、空中の一方通行の首を掴む腕が現れた

焦りの反応も兼ねて、翼でその腕の切断を図り、同時に先ほどの速度で距離をとる

移動前に居た場所を確認すると、僅かながらBHが生まれた瞬間があったようだ

一方(ッ、どういうことだ)

辺りを注視する

またも、真後ろに反応が有った

最大速度で距離をとる。すると今度は進路上に質量の反応が現れ、青髪が姿を現して一方通行に蹴りを加える

尋常ではない質量に蹴られて弾き飛ばされる力が生まれるが、更に増した重力により引き寄せられ、また強烈な蹴りが炸裂した

真下に向かって蹴りだされ、地面に押しつけられそうになるも、何とか反対方向へ向かわせ、体勢を整える

青髪の姿はさっきまでの所には無い

首だけが空間を割って現れ、声を出す

青髪「君のその翼は所詮暴走の一種やな」

消え、また後ろに首だけが現れ、話を続ける

青髪「単に本能が暴走を、仮の姿を用いて抽象的に理解していることにして、押し留めてるに過ぎない」

青髪「君と闘って、理解したわ」

青髪「人工的にこんな力を持って制御してる僕らにはできんけど」

消えたり現れたりを繰り返す青髪の顔を追うのを諦め、まっすぐに前だけを見て答える

一方「だったらなんだってんだ?》:;:」

青髪「今の君じゃまだ僕には届かんってことや」
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 01:01:03.65 ID:e0X6Otoo
青髪チートすぎるw


夢落ちですか?
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 01:02:00.31 ID:pfsaBr.o
青髪「君はまだ翼に、能力に動かされている。もっと理解するんだ。もう一度言おう、結局、君のそれは所詮暴走だ」

青髪「それを、君は理解できる可能性が有る。意識もしっかりしている上に、抽象的だが形をなしている。すでに本能が制御の方法をある程度把握している証拠だと思う。後は、理性によってその溢れをまとめてやるんだ」

青髪「君の頭脳ならそれが出来る。出来ない内じゃ、僕には触われん。分かるまで、実戦で追い込まさせてもらう」

肩を回し、腰を落として跳躍、空間へ飛び立とうとする

青髪「ああ、最後に大ヒントだ。翼の持つ意味は、大体『逃避願望』な 」

言葉が一方通行に伝わったときには、高度300m直線距離1000mに青髪はあった

一方通行も飛び上がる。落ちてきたビルやコンテナの残骸が邪魔で、地上での高速移動には支障が出る為だ

一方(何言ってやがんだ。アイツは俺の翼を観察したかったんじゃないのか)

青髪の方を睨み続ける

一方(打ち止めを殺してまで黒い翼を見たかったのは結果からの推測だと至極妥当だ。…だがまさか敵を強化しろなんていう任務もないだろう)

後ろにBH形成の超重力反応。そして前方の青髪は自己をBHに吸い込ませて、消えたように見えた

反射的に前に逃げると、駄目出しのように背後左右上下計5つのBH形成反応が起きる

一方(クソが! )

当然更に前に逃げるしかない

その逃げた先にBH形成のタイムラグを逆手にして、一方通行が逃れられないタイミングでBHが誕生しそうになる

不可避

咄嗟に両腕を顔の前でクロスさせ、守る

何も意味をなさない行為のハズだが、なぜか死の瞬間は訪れない
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 01:05:53.61 ID:fFq0L22o
これどうやっても上条さんじゃ勝てない気がするんだが大丈夫なのか
394 :いいえ、バッドエンドへの直行便です。こうしないと話が進まないんだ[saga]:2010/08/01(日) 01:07:14.55 ID:pfsaBr.o
目を開けると、黒い翼がBHを覆うかのようにして広がっていた

一方(何が起きた?俺は何をしたンだ?)

一方通行が何かの理由でBHを消し去ったが、青髪の方は関係なく攻撃を続ける

青髪(きっかけは出来た。それなら)

正面背後左右上、下以外の空間にBHの反応

一方(またかよッ!)

不確定要素に自分の守りを任せるわけにはいかない

素直に下方向へ逃げる。逃げた先の地面には先ほどのような罠は無かった

大量の瓦礫によって少々視界が悪いが、すでに見えない青髪相手に今更視界など気にはならない

背後に巨大な引力反応。当然、逃げる

しかしBHになる程度の強さでは無い。後の視界も光が飲み込まれたりすることなく、中心に向かって物が集まっているのが見える

BHでなければ引き寄せられる力を逆向きまたは0にすることが出来るので、しかし、罠だった場合を予想して、下手には動かない

当然、一方通行の後ろに向かって塵芥や瓦礫が音速域で集まる

一方(これは何を狙って…ハ?!)

一方通行めがけて集まる瓦礫の中にBHの形成反応が紛れていた

当然、かなりの速度でそれらは動いている。早い話、BHが一方通行めがけて飛来したのだ

回避の為に上へ逃げた。地面に有った巨大な引力反応は立ち消え、代わりに一方通行が逃げた先に現れ、大量の矮小なBHが一 方通行を追跡する

ますます移動を絶やすわけには行かない

固定式の大BH瞬間形成と追跡式の小型BHによる集団追跡に対応する必要が出てきた
395 :でも話の方向性は見えた![saga]:2010/08/01(日) 01:13:03.03 ID:pfsaBr.o
巨大な見えない壁が誕生。行く手を阻む

一方「今更こんな物が出てきた所で!〇 ?、」

移動しながら壁を吹き飛ばそうと腕を振り払うが、当った感触が無い

振り向くと先ほどの壁が複数に壊れて更に小型のBHが増える

否、これまで追跡していたBHが大きく成長してしまった為に小さいものに替えたのだ

一方(わざと見せてきやがった。舐めてるのか、仕込んでるのか )

しばらく回避を続けると、また正面に巨大な壁が現れる

ブラフの可能性もあるので、薙ぎ払うという動作は含める

分裂、BH再配備、追跡再開 先程と変わりが無い

ある程度青髪の攻撃パターンが割り出され、回避にも少ないながら余裕が出る

一方(ずっと逃げ続けるってわけにもいかねえ。奴はどこだ? )

少なくとも自分の動きをずっと見続けることが出来る位置にいることになる

地面は大小様々な瓦礫が有って監視には向いてない

一方通行(居るなら上か)

BHをひきつれて上空へ舞い上がる

そこへ水平に巨大な壁が現れ、自由落下

薙ぎ払おうと近づいた時、それは巨大なBHの核となった

一方通行(この規模だと!ふざけるなよ?!この都市ごと消滅させる気か?)
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 01:20:18.08 ID:ZB2MY4Mo
>>393
別に全員が全員上条さんにそげぶされる必要はないだろ
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 01:30:48.39 ID:pfsaBr.o
逃げ場など無い。

先程のように消し去ることができない限り

巨大な為か、形成にかかる時間が長い

一方(この翼がどうだとかぬかしてやがったが)

一方(確かに、一般的な暴走は抑えが効かないし、能力が固定的な形を成して思い通りに動いたりなどしない)

一方(奴の言うように本能が暴走を食い止めるために理解しているならば)

一方(翼は本能が動かしている?だが生物の本能なんてのはたかが知れている。そんな高度な事は出来ない)

一方(だから翼という形にして理性によって制御可能な形にしているとすると、俺の理性は既に理解を始めてる訳か。つまり、さっきBH化を止めることが出来たのは俺の能力の応用なのか?)

一方(翼の意味が逃避解放とするならば、俺は何から逃げたい?何から解放されたい?なぜ色が黒い? )

一方(今俺がこいつと闘っている理由は? そもそもベクトルという概念とは?)

頭の中で思考を高速で回す

ほんの数秒の事だったが、思考のベクトルさえ操って高速な思考を可能にした

黒い翼が拡散しながら消えてゆく。否、拡がっていった

同時に、追いかけていた小BHも形成中のBHも消える

任意の座標地点への思考や意識のベクトルすらも拡散させた翼によって変性させたのだ

青髪の能力自体はBHそのものを作る能力ではない。対象へ異常質量を常にかけ続けることでBHを管理している以上、一瞬でも撹乱させれると維持はできない

引力によって巻きあがっていた、最早もともと何だったのか分からない瓦礫も、地面へ落ちる

青髪も、その姿を現にされる

予想とは違い、地面で少女を腕に抱え、一方通行を見ていた

青髪「理解できたみたいやな。ハァ、この状況じゃ、僕やったら君に触れることもできへんよ」

腕に抱えた少女を下ろし、良心的な速度で近づいてきた一方通行へ顔を向ける
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 01:52:50.09 ID:pfsaBr.o
青髪「見てみ」

青髪が指をさした先には、さっきまで戦っていた傷跡が有り有りと示されていた

この学区はもちろん、他学区の多くのビルは、第一学区のメインタワーを始めとして大半が崩れ落ちており、空は舞い上がった塵は視界を遮る

これらは全てさっきのBHと高速移動による衝撃波がもたらしたものだ

当然被害者も多く出たであろう

青髪「僕らが戦っただけで、この惨状。この子もそうや」

少女は、頭には大きなHMDを装備し、弾倉がポケットからはみ出している

服の腹部に赤黒い染みが広がり、足は有らん方向に曲がって、こと切れていた

一方「妹達…」

青髪「大方、ネットワークが消えたから、管理者を助けに行こうとしたところを僕らの戦いに巻き込まれたんやろうな」

亡骸の方を向いて、開きっぱなしの瞼を閉じさせる

青髪「せっかく復興が始まってたのに、これじゃいつまでかかるやら」

立ち上がり、遠い目をしながら深く息を吸う

青髪「嫌になるわ。何しても死体のでる仕事なんてな。だから僕を殺してくれるか」

無言でうなずき、肺の内部で一酸化炭素を生成した

青髪「…ありがとさん」

青髪が崩れ落ちる。死体となった彼は、最早他の亡骸と変わりない

一方(手こずらせるだけしやがって、クソが)

ほとんどが廃墟と化したこの都市を見渡して、ため息をつく

一方(これからどうする?守るべきものも、なくなっちまったしな)

額に手を当てて、目を伏せた。

しばらくそうした後、死体となった青髪の装備をあさる

上条当麻の写真が出てきた

一方(いやこれは、流石にそういう趣味じゃないよな。となるとこれは…三下の所へ行くか。生きているかはわからねェが)
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 01:57:39.91 ID:pfsaBr.o
上条「…ッ」

上条が倒れた。足がもつれて倒れることはいくらか有ったが、その間隔が狭くなってきている

絹旗「出血量が酷いです。応急処置でもいいからここでしてください」

敵は追手は来ないが、あまりいい場所では無い。建造物の下ではあるが死角が少ないのだ

(…ここでは危険ですね。せめてあの陰までは)

上条「いや、…せめてあの陰までは頑張る、さ 」

顔には血色が無い

絹旗「分かりました。せめて味方を呼んでは駄目ですか?」

上条「ここでは、盗聴され、るから。駄目だ」

苦々しそうな表情をして、上条を背負う為に屈む

絹旗「乗ってください。今度は私があなたを背負います」

無言でうなずき、絹旗に体を預ける

足が地面についてはいるが問題は無い

上条「…ありがとう」

意識を整理して、物陰まで駆ける

だが、自分たちにとって都合のいい場所とは、敵にとっても都合のいい場所であることは多い

そこには、敵兵が待ち構えていた

銃撃を加えられ、背の上条も応射する

背に有ったので盾となり足となった絹旗のお陰で大半は効率的に倒せた
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 02:02:06.83 ID:pfsaBr.o
だが、敵が撃ってきたのは対策された大口径の銃であり、背に上条を乗せていたので、気力によってなんとか倒れずに支えていたものの

敵が居なくなったこの時、力が抜けたようにして陰に倒れこんだ。

上条もそれに続いてしまうが、意識を切り詰めて、応急処置に専念する

(やはり、血が足りませんね。この際、ここで少し休息を取りましょう。最少量の血を作り出せます)

上条(最愛もダメージがあるからな。仕方が…無いか)

莫大なエネルギーを血に変換する。そして最低限のレベルで、足の応急措置と再生を行った

倒れこんでいる少女がふらつきながらも起き上がり、壁を背にして座っている上条の横へ来た

顔色が少し良くなった上条を見て安心している

上条「最愛、ここで少しだが休もう。で、俺は今から意識を失うだろうから、その間だけ守ってくれるか」

絹旗「分かりました。超任せてください」

言葉が軽い。精神的にも楽になったのだろう

絹旗の好調を感じとって、上条は意識を絶った

上条が寝始めてしばらくしたとき、急に雷が近くにまとまって落ちたような轟音が響いた

そしてとんでもない突風がフロアを駆け、建物が揺れ始める

絹旗(これは…不味い、ここ崩れる?!)

上条のほほを叩くが起きない。先ほどの轟音で起きなかったのだ。少々のこことで起きようハズもない

逃げる間もなく、建物が崩れ始める

上条を背負い、退避する

だが、男一人を背負って逃げるには、時間に無理が有った
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 02:04:03.90 ID:ZB2MY4Mo
なんかフラグ
402 :本日分終了のお知らせ。え、20レス?超無理に決まってます[saga]:2010/08/01(日) 02:12:11.81 ID:pfsaBr.o
予定の時間通りに、上条が目を覚ます

(早く、あの子を!)

はっきりしない意識の中で頭の中に響く声

そして視界に広がる光景は上条の意識を急速に回復させた

絹旗が上半身を残して、建造物によって潰れていた

相当量の出血で血が広がっている

上条「最愛!」

絹旗に近づき、声をかけて体を揺するも反応は無い

既に、事切れていた

(あなたを助けるために自分を犠牲にしたんです。さっきまで何とか生きてこっちを見ていたんですが…)

やり場の無い強い感情が上条のなかで駆け廻る

だが、悲しみを感じる時間は無かった

空に何かが通り過ぎたと思うと、轟音が響き、突風によって吹き飛ばされる

何とか物につかまってやり過ごすと、今度は空に巨大な黒点が一瞬現れ、そこへ物が強く引き寄せられ、慣性によって弧を描き ながら落下していく

上条「な、何が起きてんだ!」

また何かが高速で飛び去っていき、それを追うようにして黒点が複数現れる

衝撃波によって壊された破片が黒点へ引き寄せられ舞い上がる

(能力によるものなのか、兵器によるものなのか分かりませんが、何かとんでもないエネルギーのぶつかり合いが起きてますね


上条(畜生、こんなものに巻き込まれたらひとたまりもない。最愛の事を考えさせてくれさえしねえってのか)

(何が起きてるのか分かりません。とにかく、拠点へ戻らないことには)

上条「了解。…糞、糞、畜生ォォォォ!」

大きく叫んだ後、男は駆けた
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 02:16:05.15 ID:ZB2MY4Mo
やっぱりフラグだったか…
絹旗までもが>>1の毒牙に…
404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 02:17:30.15 ID:fFq0L22o
何人死んでるんだよこれ…
第三次ってレベルじゃねーぞ
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 02:29:02.82 ID:6GTkoK6o
死亡率やばいな
406 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 02:52:19.39 ID:K9rbSwSO
マジ恐ぇーよこの>>1はよ・・・


ちょっと他のスレで絹旗成分を補完してくる
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 03:16:51.49 ID:ODZpy3Io
出番があるだけで死亡フラグ
つまり空気は死ににくいということか
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 04:22:03.42 ID:Lt5bSkSO
大分前に「救いが無い」って明言してるもんな…

でも面白いから読むのやめられないんだぜ
409 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 12:52:04.79 ID:SX97HgDO
絹旗が死ぬのは予想外だた
麦のんあたりだと思ってたわ
410 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 21:37:44.92 ID:pfsaBr.o
浜面「ちょ、さっきから何なんだ!コレは?」

仮眠から慌ただしく浜面が帰ってきた

建物が揺れ、モニターには時折砂嵐が表示される

室内にも音速衝撃の音が鳴り響いていた

フレ「あちゃ、不味い。仕掛けた罠が誤作動しまくってる」

少女が二人、頭を抱えて端末を操作している

白井「大半の監視カメラも砂嵐しか映しません。壊れたブラウン管状態ですの」

常盤台では謎が一杯のブラウン管のシステムも教えているのだろうか、とどうでもいい疑問を浜面は浮かべたが、至極どうでもいのでスルーした

そこへLV5の二人が入ってくる

浜面「おぉ、外の様子はどうだったんだ?」

麦野「駄目ね。電子線って言うかなんかもうぐちゃぐちゃよ。ぐちゃぐちゃ」

浜面「…わかるか!ぐちゃぐちゃなのは分かったが、何がなんだよ」

御坂「電子線の指向性から磁場まで、もっと言うと光まで不可解な動きをしてました」

浜面「光、って言うとなんだ?屈折でもしてたのか」

麦野「馬鹿ね、屈折なんて日常で腐るほど起きてるのよ。そんなこと報告したりしないわ」

御坂「早い話、時折生まれる黒点になんでもかんでも引き寄せられてるってことです。それで磁場とかが乱れに乱れて」

白井が大型のメインモニターに外の映像を拡大するして写し出す

浜面「黒点、ってのはやっぱりこれか」

その場に居た全員がモニターを見つめた

何かが一瞬で駆けたかと思うと、そのあとを追尾するように複数現れては消える黒点
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 21:52:21.85 ID:pfsaBr.o
そして次の瞬間、映像が途切れてカメラは使い物にならなくなった

白井「…今のが生きてる最後のカメラです」

浜面「これじゃ、監視に人を割くことになるな。しかし、ありゃ何だ? 」

麦野「こんなこと考えられるのは一つしかないわよ。ブラックホール以外に何が有るっての」

白井「そんなもの、通常ではまず考えられません。となると能力的な何かと思われますが」

御坂「この都市にブラックホール作るような能力者なんているの? 」

白井「前に初春に見せてもらったデータにはそんな人はいませんでした」

各々思考をしているようだが該当する人間などいない

滝壺「はまづら、速すぎて動きが捕捉できないけど、これはたった二人の戦いみたい」

浜面の服を引き、注意を引いて滝壺が話し出す

滝壺「さっきのカメラに一瞬写った速いのが一方通行で、黒いのを作ってる人は分からないけど。戦ってるのはその二人」

一呼吸おいて更に言葉を放つ

滝壺「この戦いのせいだと思うけど、さっきから凄いたくさんの人が死んでる。いきなり能力者になった人たちから、18学区とか学び舎の園の能力者まで、たくさん」

自衛の出来る能力者ですらそのようなのだから、無能力者はもっと酷いことになっているハズだ

モニター上の各学区の縮図表示に機能停止を表す赤表示が広がっていく。17学区に至っては既に機能破壊を表す黒表示だ。通電すらしていないらしい

幸い、この施設の有るところはまだ周りには機能制限を表す黄色か機能正常を表す緑の表示が僅かながらある。

彼らの主戦場となってはいないのだろう
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 22:03:16.37 ID:pfsaBr.o
麦野「そんなことに悲観しても仕方ないわ。この地区は安全みたいだし、誰が見張りに立つのか早く決めましょう」

御坂「そうね。カメラとかの防衛装置が壊れてる以上、ここを発見されて奇襲が来てもおかしくは無いわ」

浜面「なら仮にどちらかがやられてもいいように2人1組だ。でもって、もし敵が来たら反撃できる人間が内外に一人ずつほしい」

麦野「なかなか仕切ってくれるじゃない。なら私とフレンダ・第三位とツインテちゃんでいいでしょ。お互い気心も知れてるだろうし連携も取りやすいし」

浜面「了解だ。そろそろアイツも返ってくると思うけど、どっちがいk」

麦野「私が行くわ。フレンダ行くわよ」

フレ「あちょ、引っ張らないで欲しいわけy」

フレンダを強引に引きずり部屋から出て行った

白井「私が上に送ってあげることもできたんですのに」

浜面「気にするな、ついでに罠とか見るんだろうさ。滝壺、麦野たちの反応を常に捕捉しておいてくれ」

滝壺「わかった。頑張る」

浜面「でもって、第三位さん達はこの建物の耐久力を調べてくれ。この衝撃じゃ主柱にヒビが入っててもおかしくない」

御坂「御坂でいいですよ。了解しました」

部屋を出ていく少女らを見送り、ブラックの缶コーヒーをすすって浜面は椅子に腰を落とす

本来なら休息時間の予定だったが、そうもいっていられない

浜面(今の俺に出来ることは当たり前の指示統率だけだ。何か問題が起きたら対応できるかわかんねぇ。野郎、早く戻ってきやがれ)
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 22:11:06.46 ID:pfsaBr.o
フレ「結局、全滅だったわけよ」

罠などの確認をあらかた終え、監視をしている麦野の元へ返ってきたフレンダの開口一番のセリフがそれだった

麦野「だったら直すのは後にしたら。奴らまだ戦ってるから、同じこと何度もしたくないでしょ?」

近くの学区を一方通行が通ったのだろう、轟音と突風が押し寄せる

フレ「わっぷ、」

麦野が、突風によってバランスを崩しそうになったフレンダを引き寄せて支えてやる

フレ「ありがとう。そうね。いつ終わるのかわからないけど、その方がよさそうだわ、こりゃ」

端末を取り出してみるも、電波で動くそれは、圏外になったりフルになったりをかなりの頻度で繰り返し、使い物にならなかった

麦野「はぁ…こんな状況だから、あの人もすぐ帰ってくると思うんだけどなぁ」

フレ「それにしては遅いわよ」

麦野「…何か有ったかもしれないわね」

麦野の眼光が少し鋭くなったのが見てとれた

フレ「!…い、今ここを動いたってミイラ取りがってヤツだと思うけどねー」

麦野「分かってるわよそんなこと。でもなんか予感がするのよね」

その時、一方通行を追っていた小型BHが軌道を外れて近くの倉庫の屋根を吹き飛ばした

BH自体は能力圏を外れてすぐに蒸発したが、その屋根には軽装の起動鎧らしき骸があり、直撃した瞬間に何かが奥へ隠れたのを見逃す二人では無い

麦野「フレンダ!連絡は任せたわよ!」

反射的に敵の方へ跳んだ麦野を目で追って、フレンダはポケットの無線へ手を伸ばした
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 22:18:54.15 ID:pfsaBr.o
『はまっ…』

フレンダらしい無線の声が浜面に聞こえた、が、続きがなかった

コーヒーをこぼしてしまったが、気にも留めない

浜面「フレンダ!フレンダ!? 」

声を荒げるが、応答は聞こえない

焦燥が彼の体を駆け巡る

浜面「バレた?!クソッ!」

今は攻防の要であるLv5が両方とも近くには居ない

もしかしたら第三位の方も襲われているかもしれない

迂闊に連絡を入れ、戦闘中の彼女らの気を削いでしまう訳にもいかない

思考を巡らせる

出た答えは、すでにここは危険だということ

そして滝壺を守る必要が有るということ。この二つだ

浜面(上条の防衛方法に穴が無かったと仮定すると、敵はそれ以上の装備を持ってしてここを特定した可能性が有る)

滝壺の方を見て、ハッと気づく

浜面(もしかすると、能力者用のレーダーか何かか?ここにはLV5が多くいたから、外の戦闘が始まる前なら、それで特定さ れたとしてもおかしくは無い)

浜面(だが、敵にとっても、この状況下では高レベルな電子機器は使えないはずだ。ナチュラルな滝壺のような能力でもない限り)

浜面(となると敵は、外に麦野とフレンダという戦力が分断されたことを知った上で攻撃をかけてきたってことか?)

浜面(なら、少なくとも逃げることが出来るのは今しかない!)

拳銃を手に取り、予備弾倉をポケットにつっこむ

浜面「滝壺!逃げるぞ!」

左手を伸ばし、滝壺の手を取った

滝壺「…フレンダの反応が…分かった、ついていく」

主制御室を出ると、廊下には彼らのものではない重そうな足音が連続して響いていた
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/01(日) 22:24:53.73 ID:pfsaBr.o
銃声が館内に響く

外からの轟音は今だに健在だったが、明らかに異質な音が内部から聞こえた

その音は、ここ数日を生き残ってきた少女たちのとって最早聞きなれた音だった

白井「お姉さま、今のは」

御坂「ええ、間違いないでしょうね」

傷ついた主柱がむき出しであるこの部屋には、施設への電源供給の配電盤があった

そこへ有無を言わず電撃を加える

配電盤がショートし、部屋の照明が落ちた。これで施設の全ての電源は落ちたはずだ

御坂「恐らく、あの浜面さんならもうこの施設から退去することを考えてるハズ。私たちも逃げましょう」

白井「分かりました。でも、逃げると言ってもどこへ?」

御坂「とりあえず、ここを出ることだけ考えましょう。出てから当麻に落ちあえそうな場所を考えるのよ」

御坂の言葉に、頷く

白井「しかし、それでは私の能力が使えませんね。どこに敵が伏せているかわからない以上、迂闊には飛べません 」

御坂「そうね…それじゃ、足で逃げましょう。施設の電気が消えたから、ここを目指して敵も来るはずよ」

配電室から出て、左から階段の方へ向かう。施設は基本的に左右対称でどちらからも回り込むことができたが、特に理由もなく左を選んだ

角から手鏡を使って覗き込むと、50mほど先の階段側から敵が複数こちらへ来ていた

薄いスーツに身を包み、HMDと一体化したマスクをかぶって、少し銃身が長めの銃を持っている

御坂(屋内戦にしては携行している銃の銃身が長い。理由は分からないけど、あれは私の電磁砲とっては都合がよさそう)
416 :本日分終了のお知らせ!ああ、また敵の設定を強くしすぎたかもしれない[saga]:2010/08/01(日) 22:38:21.85 ID:pfsaBr.o
御坂「黒子、頼んだわよ」

小声で、託す

いつも装備していた鉄の矢は囚われていた所で奪われていたので、釘や螺子を敵の頭脳へ転移させる

Hit.まず一人、痙攣しながら倒れた。残るは2人

同じ要領で飛ばす

目標の横の壁に着弾した。演算しなおすと、座標指定が狂っていた

移送先の指定が出来ないのだ

白井「そんなっ…!」

一人がもう一人からスッと5mほど前に出て、銃を構えた

咄嗟に角から引っ込む

聞きなれた音と共に打ち込まれたのは、青い稲妻を帯びた弾丸

今まで散々打ってきた銃撃であり、壁が抉れる威力を目の当たりにして、少女は確信した

御坂「電磁砲… 」

驚いた顔で御坂を見る白井

御坂「私の全力よりいくらか落ちるし、連射も出来ないみたいだけど、あれは間違いない。電磁砲よ。恐らく、高耐久性物質製の小銃にコンデンサ付けて蓄電して打ち出してるのね」

チャージが終了したようで、次の射撃が来る

御坂(でも、あれには莫大なエネルギーが必要なはず。あの軽装じゃあとても大型バッテリーや発電機を持っているようには見えないけれど)

更に壁が壊れる。ギリギリのところへ立っていたが白井に引っ張られた

白井「この廊下じゃ、身を隠すものが有りません。この階の周りの部屋は全て繋がっていますし、遮蔽物も多いです。そっちから回り込みましょう」

御坂「…そうね。ライフルとコインじゃ、分が悪すぎるもの」
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 22:41:44.06 ID:Lt5bSkSO
フレンダ…まさか上条さんにフラグ立てられる前に…
418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/01(日) 23:56:46.07 ID:K9rbSwSO
え・・・?
フレ/ンダ・・・?
419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/02(月) 18:49:12.64 ID:KKj86IDO
電子機器や最新兵器の類は美琴なら無効化できるしむしろ逆に掌握できそう
つか美琴、麦野、黒子って組めば何げに良いチームだな。
それにしても絹旗もったいない。
420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/02(月) 20:43:00.80 ID:ElUgDK.o
アイテム+レールガン組(美琴黒子初春)だったら下手な軍隊や特殊部隊より強いと思うな。

あ、佐天さんは別y
421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 05:57:48.32 ID:IPWUmtEo
いいぜ

てめえらが特殊部隊より
アイテム+レールガン組の方が強いって言うなら

まずはそのふざけた幻想をぶち壊す!

いや冷静に考えるんだ。あの子たちおばさん除いて全員厨房工房だぞ…


麦野「逃げんじゃないわよ!」

BHによって屋根が壊れた建物の天井部分へ飛び入り、奥へ隠れた軽装鎧部隊を追う

天井の中央に大穴があき、そこから何かが下りるのが見えた

死体となっている鎧から擲弾らしきものをとり、大穴へ向けて投げ込む

爆発音を確認して、降りる

小型のコンテナから段ボールまで、多種の梱包に包まれた資材が多く配置されていた

爆発によって近くの木箱には穴があき、鉄製のコンテナには凹みがあった

球状に爆風が均等に拡がった後がありありと見て取れ、途切れは見えない

麦野(この分だとさっきの榴弾じゃ敵に被害は出てないわね)

天井まで整理されて積み上げられたそれらは、身を隠すには敵にとっても彼女にとっても都合のいいものだった

屋内は暗い。出入り口すら開いていないのだろう
422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:02:08.74 ID:IPWUmtEo
麦野(チッ、この状況じゃ敵は暗視装備を持ってるわよね。先制されるのを承知で走り回るか)

詰まれた段ボールの陰に身を潜め、能力を正面に四角く広げて、壁まで一気に走る

側面に詰まれたコンテナに盾が当ったのを確認して、今度は一気に右へ駆ける

途中、詰まれた段ボールの間から銃撃を浴びせられ、同時にライトで体が照らされた

そのまま駆けて壁に当り、そこが側壁と側壁による角であることを確認すると

側壁の無い空間に壁を展開し、さっき銃弾とライトで照らされたときに掴んだ敵の情報から大体の位置を予測して、光線を放つ

資材を置いたラックが壊れ、詰まれた資材が崩れ落ちる音がした

敵に当ったかの確認をせずに、棒状にまとめた電子を使って後ろの側壁を豪快に破壊、建物から脱出。

倉庫の壁に棒を突きたてて、壁にそって一気に駆ける

中から棒が見えているのだろう、カァンカァンと壁へ銃弾が当たる音がするが気にしない

倉庫の一辺の側壁を、1.5mくらいの高さで切り落とすように端から端まで駆け抜けた

すると、側壁が外側に倒れこむ

一気に中を照らす光源となり、暗視装置を装備していた軽装鎧部隊は目がくらんだ

その瞬間を逃さない

麦野「少し装備が良すぎたみたいねぇ!!!」

見える範囲の敵を撃ち抜き、再度倉庫内へ走る

巨大な物が動く音がする。倉庫の巨大な引き戸を開けようとしているのだろう

麦野(この倉庫の扉から逃げるつもり?逃がすわけないじゃない!)
423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:05:10.45 ID:IPWUmtEo
巨大な引き戸の方へ向けて適当に光線を放ちながら、追いかける

少し開いた間から、慌てて逃げ出そうとしている敵が目に入った

麦野「逃げんなよ!このフニャ○ン野郎どもがぁ!!!」

左右へ開きつつある扉の間へ向けて光線を放つ

直撃して、頭部が蒸発した死体がバランスを崩して倒れたのを確認した後、既に外へ逃げ出した敵を追う

半開きの引き戸の間から出た瞬間、擲弾筒から炸薬弾が飛んでくる

麦野(さっきの敵じゃない…!)

盾を展開して、身を守ると次なる攻撃が続く

その中の一人に、強い電流が銃の内部で駆け巡っているのが分かった

麦野「電磁砲!? 」

発射

殆ど質量を持たない電子による盾の防御可能範囲を軽く凌駕することを咄嗟に判断

建物内へ飛び込んだ

巨大な引き戸が拉げ、有り余る威力がコンテナを壁に打ち付けた

少し顔を出すと、電磁砲を撃ってきた敵を始め人らしきものはいない

麦野(…見失ったッ)

どこからか銃弾が飛来し、麦野の頭上の扉に当る。一方通行たちが戦っていなければ、命中していただろう

頭を戻し、倉庫内へ身を引いた
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:11:49.75 ID:IPWUmtEo
倉庫の巨大引き戸が完全に開いてしまった為、かなり奥まで行かないと狙撃手による攻撃は止まらなかった

倉庫の中ごろまで入った所で複数個所から爆発音がし、建物が揺れ出した

麦野「な、何よっ!?」

倒壊が始まった

天井が崩落をし始める。今はラックによって抑えられ完全に屋根天井が落ち込んでくるのを防いで入るが、いつまでもつかは分からない

麦野(ハン、慌てて飛び出した所を狙おうって寸法ね。バレバレよ! )

倉庫を支える柱が折れているのを、資材を効率よく置く為に配置されているラックが代わりに支えているこの状況を利用し

倉庫の扉がわと麦野が側壁を破壊した側の両端にあるラックから順次光線で破壊し、位置エネルギーに優先的な逃げ場を作り出す

ちょうどハの字に壊れたその中間地点に立つことで、敵がこちらを視認できる範囲を限定した

麦野が狙いを定める、崩れた倉庫の亀裂から敵が銃を構えて入りこむ

間髪いれずに入ってきた数人を打ち砕き、自分の場所の特定を許さない

投入した部隊がすぐにやられた為に敵も攻め手に欠いたのか、次が無い

麦野(クソ共が。とっと殺されに来なさい)

じりじりと時間だけが過ぎる

一方通行達の戦いは終わったのか、先程から轟音は聞こえない

今までとは異なる爆発音が響いた

麦野を守っていた右側の倒壊した倉庫であったものが麦野の居場所を圧迫するように動く

爆発によって瓦礫を吹き飛ばそうとしているのだ

麦野(外には狙撃手が構えてるってのに…仕方ないわ!)

能力を噴射させて倉庫を一気に離脱

元の拠点の入口に大穴をあけて中へ突入した
425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:15:03.28 ID:IPWUmtEo
タンタンターン、と浜面持つ拳銃がリズムよく火を吹く

2階と1階を繋ぐ吹き抜けから階下を走る敵へ向けて発砲したのだ

軽装であった為か、一人が倒れる

それを確認して、滝壺を休息室に行くよう指示を出した

銃撃と同時に拡散した残る二人の足止めをするため、階段のへ近づかないように続いて銃を乱射する

あっという間に1弾倉を使い切り、そのタイミングで滝壺を追うようにして休憩室へ入った

窓ひとつないそこは立て篭もるには良い。だが、彼らの目的は脱出だ

浜面(考えろ。ここで立てこもっていてもジリ貧だ。敵はもうすぐ下まで来ていた。なら上に逃げるか)

浜面(待てよ。フレンダがやられたみたいだが、アイツが見張っていた所は狙撃は難しい。ということは近接した敵にやられたってことか。上からも来ている可能性が有る)

浜面(クソ!打つ手がねえ…)

銃の再装填を終えたタイミングで部屋の扉が開く

一見しては見えない所へ隠れていた為、すぐに敵の攻撃が有るわけではない

敵の場所を一方的に抑えている状態だ

瞬間、照明が落ちた

浜面(今だッ!)

身を乗り出し、両敵に銃弾をお見舞いする

倒れた敵に追撃を加えて命を完全に刈り取り、装備を奪う

浜面(大方、御坂達の機転だろうな。助かったぜ)

暗視ゴーグルを奪ったが、外の戦闘による磁気嵐のせいで上手く機能していなかった
426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/03(火) 06:17:24.50 ID:YAb7AZso
>>いや冷静に考えるんだ。あの子たち おばさん 除いて全員厨房工房だぞ…


無茶しやがって
427 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:17:48.31 ID:IPWUmtEo
即座に脱ぎ捨て、死体を覗き込んでいた滝壺の腕を取った

滝壺「はまづら、この人たち能力者みたい」

衝撃の発言

浜面「なんだって?!何の能力だよ」

滝壺「この人は麦野や第三位さんと同じ系統。でもそんなに強くなかった」

浜面「連中、マジで能力者を思うがままに作れるってのかよ。でも逆にコレは使えるよな」

滝壺「うん。私が敵の位置を教えてあげる。今施設に居る能力のある敵は14人」

浜面「14!?結構な数じゃねーか」

滝壺「屋上から入ってきた人と下から入ってきた人が居るみたい。今、一階に3人いる。階段そば。また上がってくるよ」

聞くや否や、部屋を飛び出し、身を低くして階段に銃口を向ける

照明が落ちても、一階は窓から光がこぼれていて、薄暗いながらも敵は視認できた

発射方法を切り替えるスイッチを切り替え、単発らしきものにセットしてトリガーを引いた

青稲妻を帯びた銃弾が発射され、階段ごと二人が吹き飛んだ

浜面(何だコレ!?)

続いてトリガーを引いたが、弾が出ない。銃を見るとplease chargingの文字が赤で表示されている

先程の攻撃で位置がバレた為、敵の反撃が放たれる

咄嗟に身を伏せると、敵も同様、尋常ではない威力の射撃だった

後ろにあった主制御室の壁に大穴が空き、隙間から外の光が入ってくる

慌てて休憩室に飛び込んだ
428 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:22:14.01 ID:IPWUmtEo
銃のスイッチを見ると、フルオート・セミオート・EMLの文字があり、浜面はEMLにセットしていた

浜面(さっきのはコレか)

フルオートにつまみを変更し試射すると、予想より反動が大きかったが分かっていれば問題は無い

滝壺「残ってる人が近づいてる。この階のトイレの前」

トイレからこの部屋までは、吹き抜けとこの部屋の壁にはさまれた廊下を通る必要が有る

つまり一本道だ

滝壺と部屋を出て、片腕で銃を持ち、その腕だけ廊下へ出してトリガーを引き続けた

先程の電磁砲によって消音装置が壊れてしまった為、大きな音と共に銃弾が立て続けに発射される

一マガジン撃ち尽くし、覗き込むと、敵は倒れていた

念の為、拳銃で頭部に数発撃ちこみ、頭が確実に変形したのを確認して弾倉と各種擲弾を奪う

滝壺「はまづら、上!」

と、休憩室の前から滝壺が叫んだ瞬間、階段側で擲弾が爆発した

直撃には至らなかったものの炸裂した手榴弾の破片が浜面に襲いかかる

銃を持っていない左腕で頭を守ったが、その左腕と腹部脚部に数ヶ所裂傷と破片が食い込んだ

フルオートで銃を煙の中へ乱射しながら、壁に体重を任せて廊下を後退する

途中から滝壺が肩を貸して休憩室へ入り、家具の陰に身を伏せる

動くたびに破片が食い込み、浜面の集中力を削ぐ

心配そうに滝壺が覗き込み、浜面の拳銃を奪った。

どうやら戦う気らしい 。反動で、彼女にはまともに扱えないだろう

浜面(なんとか、しねぇと)

そう思った瞬間、彼らが隠れていた部屋の壁が割れ、多くのフルメタルジャケット弾が打ち込まれた
429 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 06:26:21.18 ID:IPWUmtEo
御坂(磁気嵐が酷い。これじゃ敵の位置が読めない)

地下一階の実験室で身を低くしながら御坂は独り言ちた

周囲に展開している電磁波が御坂から離れれば離れるほどに不安定となり、敵の捕捉を難しくしていた

その上、照明は完全に落ちているので周囲は暗く行動を阻害する

幾度目かの電撃を放ち、強引に周囲の電磁波を落ち着かせ、更に照明の役割も果たさせる

手には常にコインを持ち、一応即反撃できる体勢ではある

白井「上が騒がしいですが、滝壺さんたちは大丈夫でしょうか」

御坂「銃撃音がしてる間は大丈夫よ。問題は止んだ時」

御坂(上の銃撃が終わった時、もし浜面さんたちがやられちゃったんなら敵が更に増える。この階の敵を倒しきる前に敵が増えるのは不味いわよ)

カチャ、と扉の開く音が複数聞こえた

どうやら階段そばの扉と、後ろの御坂達が部屋に入った扉から敵が入ってきたらしい

敵の位置が粗方では分かった。足音からして、そこまでは離れていないハズだ

あらかじめ決めていた通り、白井が階段側の敵に、御坂が後ろ側の敵の方向へそれぞれ攻撃をかける

コインを弾き、続けざまに稲妻も放った

電磁砲は外れ、稲妻が空間を照らす

そこに敵の姿は無かった。扉を開けただけの、ブラフのようだ

御坂(フェイクだった?これじゃ位置を晒しただけじゃない)

白井の方は、仮に位置がおかしくても確実に敵に被害を与える為、棚のガラスを水平方向に飛ばす

ガラスが割れる音がした。どうやら敵には当らず、壁にも刺さることなく地面に落ちたらしい
430 :本日分終了のお知らせ。あれ?言うほど特殊部隊が強くないぞ…?[saga]:2010/08/03(火) 06:31:56.96 ID:IPWUmtEo
そのままガラスが落ちて割れるということは指定位置通りということになる

白井(おかしいですわ。さっきは全然見当はずれでしたのに。やはり敵が何かを使っている?)

稲妻の光から敵が逆算して電磁砲を放つ

御坂の近くの机が吹き飛んだ

御坂(そっちは充電時間がかかることは分かってんのよ!)

コインを連続して弾いた

階段そばの扉付近の棚陰に伏せていた敵を棚ごと蹴散らす

白井「流石お姉さまですわ」

御坂「気を抜かないで。確認してるだけで敵はあと一人。下手するともっといるかも知れないわ」

御坂を前に白井を背に、背中合わせで階段側へと身を動かしていると、白井の視界に敵の銃のコンディションモニターの明りが目に入った

反射的に、釘を飛ばす

が、当ったような動きは無い。それどころかこちらに銃口を向けているようだ

瞬間、前を向いていたはずの御坂が白井を抱きこむようにして倒れかかる

体の上に電磁砲が走った。実験装置に当りガラスが割れる

白井が御坂と共に立ち上がった状態になるようにその場で転移し、御坂が反撃を加える

敵のそばでコインの軌道が曲がるように動いたが異常な速度慣性を持った電磁砲を曲げきるには至らず、体の左側が吹き飛んで即死した

計3人を迎撃したことになる

白井「なぜ敵の攻撃を察知出来たんですの?」

御坂「ああ、ようやく磁気嵐が止んだのよ。戦いが終わったようね。敵も装備が正常機能し始めたから、位置が読めたの」

堂々と、倒した敵の武器を奪いに動く。少なくとも、この階には敵が居なくなったのだろう

御坂「上の銃の音、無くなったわね」

白井「お姉さま、ここを出るにはどうしても階段から上に行かなくてはいけません。浜面さんたちの様子を見ますか」

能力も平常運転に戻り、武器も手にした御坂には余裕が出てきたようだ

御坂「そうね。行きましょう」

銃を構え、階段を上りはじめた
431 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/03(火) 11:24:21.79 ID:clbG4wSO
軍隊に匹敵する力を持つレベル5相手にここまで渡り合えてんだから超強ぇーじゃねーかwww
マジで更新されるたびに心臓に悪いスレだわ・・・
432 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 12:34:10.92 ID:.HgLKSIo
ほんとはKJさんを絶望に陥れるために
全員死んでいただく予定だったんだけど、LV5の皆さんが強すぎる
特殊部隊がそれこそ喫茶店さんみたいにはっちゃけた強さじゃないと死なすことが出来ないんだ
カマチー設定強すぎるよ…

思ったように話が進まねー!

あばばばばばばばばばばばばばばば
433 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/03(火) 14:43:44.47 ID:nTnhkJYo
ぶっちゃけトンデモ能力者以外で最低でも美琴と麦野倒すにはキャパシティダウンとかもってこないと無理だな
それに美琴と黒子だったら勝つにしないにせよ撤退だけなら余裕だと思うし
434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/03(火) 20:22:05.80 ID:xsgeZsA0
ここで黒妻さんと蛇谷さんの人工能力だな
435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:13:17.97 ID:.HgLKSIo
ttp://nigeron.cocolog-nifty.com/gruguru/images/koroshiya2.jpg

大砲の弾のように拠点内に戻ると、吹き抜けから3人以上の敵が銃を撃っているのが見えた

敵はこっちに気が付いたようだが、そんなことは関係ない

閃光一閃のもとに複数の体を貫通させ、上下に分かれた人間だったものが倒れたのが見取る

この瞬間に全滅させることは無理だったようで、仲間がやられたのを確認した敵部隊は瞬時に散会し、麦野のいる吹き抜けからは視認できなくなった

麦野(動きが良すぎるのよ、こいつら! )

その場で数発、予想される位置へ光線を放つ、が効率が悪い

麦野(流石にこの吹き抜けをそのまま飛び上がるのは分が悪すぎる、だからと言って、階段から上がるのも)

手段を一通り考える思考の為、ほんのわずかな時間、その場で固まってしまった

薬を使ってでも集中し続ける有能な狙撃手は、その僅かな隙を見逃さない

左肩に銃弾が突き刺さった

外で彼女を狙っていた狙撃手が、彼女が開けた大穴を通して、今だに狙い続けていたのだ

戦場高揚でハイになった彼女の中で大量に流れるアドレナリンが彼女の痛みを忘れさせ、同時にそれが蛮行のきっかけとなる

狙撃手から逃げると言う事と敵を追うという事が、自分で危険と判断していた思考を撤回させた

吹き抜けから柱を駆け上がるように噴射上昇し、宙返り

いくらかの敵が一瞬視界に入る

麦野(そこ!そコ!ソコォォ!)

瞬く間に3人の敵を蒸発させた

無論、敵にとってもコレは一種の奇襲となり動揺はあった。が、沈静剤が脈と脳波によってスーツから瞬時に注入され判 断復帰は早かった

麦野からは死角になっていた残り部隊が電磁砲を応射する

慣性の法則に従って落ちる麦野の少し下を偏差射撃

ハイになった人間の集中力判断速度は凄まじい。危険な電子の流れを感じて水平方向へ電子を放射して回避運動を落下途中に追加する

1階へ着地した麦野へ、先ほどとは違う敵の電磁砲が向けられる

狙撃手の事も有る、最初からじっとしているつもりなど彼女には無かった

即座に狙撃手には死角になるであろう前方に飛び、電磁砲を構えていた敵が居る廊下の下へ逃げ込み、光線を放つ

股間から体を割かれるようにして焼け落ちた敵の血が彼女の頬に触れた
436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:18:15.04 ID:.HgLKSIo
敵は、電磁砲は一撃の威力が大きいが、高速で移動する敵には不向きであると判断し、通常弾で弾幕を張りだした

愚策

異常な高電流高電圧を小型な容器に無理やり蓄電された状態を維持し続けた銃の位置が、彼女には丸分かりとなってしまった

そしてこのような壁や床を貫通させるくらい、彼女にとっては難など無い

敵が居る位置と自分の位置から、自分に向けられる銃口がどこを向くのかを判断し、的確に先を読む

麦野「いい大人がちんけなオモチャに頼ってんじゃねーよ!カス共が!!」

広くない室内を高速で移動しつつ一人、二人、と倒していく

麦野「ラストだァ! 」

わざわざ二階へ上がって、最後の敵の四肢をバラバラにするように攻撃を放ち、最後に頭を消し飛ばした

敵を一掃したことで、彼女の狂気が徐々におさまっていく

同時に体の力が抜ける

無理やり筋肉を動かし、更に体に急負担をかける短距離高速移動を繰り返したため体が悲鳴をあげだした

特に、狙撃された左肩からの出血が酷い

麦野(こんなところで、くたばらない…わ、よ)

失血死しないよう、崖っぷちの意識の中、自らの肩へ光線を近づけ皮膚を焼こうとした

だが、どんどん下がっていく集中力がそれを妨げる

麦野(まだあの人、帰ってきて、ない…のに)

視界が黒で埋まっていった
437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:21:24.32 ID:.HgLKSIo
慎重に一階へ上がると、穴だらけだった

その上、その穴からは大体血が滴っている

1、2階に敵の反応は無かったので銃を下ろし、その凄惨たる現場を見る

白井「凄いですわね…」

今までの事で死体を見るのには慣れたが、ここに転がる死体は違う

恣意的と言えるほど、千切れたり、体の一部分が円形に取り除かれていたりなど、狂気殺人の現場のようだった

御坂「そうね。敵はいないみたいだから、黒子は上を調べて」

はい。という声が聞こえたときには白井が二階の廊下で歩いていた

一階に転がっている死体は銃弾によるもの、強力な何かに貫かれたと思われるものがあり、ここでの戦いが混沌としていたであろうことが分かる

白井「お姉さま!こっちへ!」

白井の声が階下に響いた 言われるがまま、半ば崩れた階段を駆けあがる

主制御室前の廊下に倒れている麦野の姿が有った

左肩から大量の出血をしていて顔には色が無かった

傷口には白井が来ていたシャツが割かれて巻かれているが、血の勢いは止まらない

既に赤く滲んでいた

白井「この後ろにある穴は、傷口を自分で焼こうとしたのでしょう。手遅れかもしれませんが、これ以上失血を許すわけにもいきません。お姉さま焼いてくださいまし」

頷き、麦野の肩の皮膚を焼いて血を止めた。そのまま、首筋に手を当て脈を測る。弱弱しいがまだ微弱に脈が残っている
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:24:40.87 ID:.HgLKSIo
御坂「体温が低すぎる。黒子、休憩室から毛布取ってきて」

返事が聞こえ黒子が消え、少し経って毛布を抱えて帰ってきた

御坂「遅かったわね。場所分からなかったの?」

白井「…スミマセン。ですが、ここは私が見ます。お姉さまも休憩室へ行ってください。…とても…」

少し声が上ずっていた

無言で麦野の体へそっと毛布を巻き始めた白井に言われるがままに、休憩室へ向かう

そこには、毛布をかけられて、滝壺を覆うように抱えた浜面があった

二人の目は閉じられて、滝壺もまた、浜面に抱きついているようだった

まさか寝ている訳ではあるまいと思い、悪い予感がしながらも毛布をめくり、銃から取り外したライトで照らす

毛布の下には彼らの腹部以下が、隠されていなかった

すこし離れたところに、大小不揃いの足のような何かが4本ほどまとまって転がっていた

よく見ると残された胸部以上にも所々穴が開いている

白井が遅れた理由を察し、感情を整理して麦野の元へ戻る

御坂「…どう? 」

白井「変わりありません。いつまで持つか、今ここで事切れるか、それとも回復するかなんて医者でもないと」

御坂「そうね」

彼女とは一度は命のやり取りをした間柄である。浜面と滝壺の事をも、理性で整理した今の御坂は目の前の麦野に対し、極力感情を抱かなかった

しばらく、沈黙が場を支配する
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:29:51.94 ID:.HgLKSIo
そんな中、空白に耐えかねたのか

白井の口が開いた

白井「その、根拠は全くないのですが」

御坂「何よ? 」

白井「なんとなくで、確証が有るような分かりませんが、血が騒ぐって言うか、その」

御坂「なんなの?はっきり言いなさい」

白井「その、あの殿方がかなり近くまで帰って来ている感じがします」

御坂「…確かに、外の迷惑な戦いも終わったことだし、そろそろ帰ってくるかもね」

本当は、本来上条の体で生成されたナノマシンが黒子の体内で壊れず残っていることから来るものなのだが、彼女らが知る由もない

御坂に投与されたナノマシンは既に目的を終え、死滅している

白井「本当に敵が居なくなったのかも分かりませんし、お姉さまが見回りついでに迎えに行ってはどうかと。いざとなれば この方は私が移動させることが出来ますし」

しばらく沈黙があった

私情を挟まずに、冷静に考えているようだ

御坂「そうね。アイツが戻ってくる来ないに関わらず、見張りはしないと。私の方が広範囲を効率よく探せるし、そうよ」

極力、そう言った感情を抑えていたが、漏れが出た

白井の目に、御坂の口元が僅かに緩んだのが見て取れる

白井「では、お願い致しますわ」

銃を構え、腰に擲弾をひっかけて彼女は走り出した
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:33:41.32 ID:.HgLKSIo
上条(クソ。結局確保してた道の大半が使い物にならんな)

(そうですね。でも、もうすぐですよ。あぁ、ここも駄目みたいですね)

幾度目かの回り道をして、ようやく珍妙な形をした研究所が、彼らの拠点が視界に入った

ここまで来る時と同様に、多くの建物の大半が大きく歪んだり、完全に倒壊などしていたが、この地区はまだマシな方だった

しかし、この拠点周辺になるとあきらかに様子が違う

弾痕や各種榴弾・擲弾を使った跡が有り有りと見られ、中でも拠点のそばに建っていた倉庫は山の字を描くように、明らかに不自然な壊れ方をしていた

嫌な予感を感じさせざるを得ないその光景に、一旦落ち着いていた彼の心が焦り出す

上条(ふざけんな!どうなってんだよ!なんなんだ、畜生!)

(落ち着いてください。取り乱しても意味が有りません)

そう伝え、沈静化の為のホルモンを分泌させる

強制的に落ち着きを取り戻したが、嫌な予感が消え去ったわけではない

壁に拳を打ち付けた。ゴンという鈍い音が響く

何とかして心を落ち着けたいようだった

本来ならば目を忍んで通る経路だった所へ顔を入れた

上条(駄目だ。この罠も壊れてやがる。あのカメラも)

(あの黒点が作り出した磁気嵐のせいでしょうね)
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:36:35.13 ID:.HgLKSIo
上条(となると、敵の侵攻にも気が付かなかったかもしれないな)

(そうですね。あのように無茶苦茶な存在があったら、御坂さんや麦野さんの敵把握能力も機能しないでしょうし)

上条(アクティブ系だろうがパッシブ系だろうが、あれじゃ計器がまともな数値を演算できないだろうから、一見敵にとっても同条件だ。でも…)

(ええ、本筋の人たちは計器不能条件でも戦う訓練・経験があります。が彼女たちにはそれが無い以上)

上条(とんでもなく不利だったってことだよな。ああ駄目だ。考えれば考えるほど、クソッ!)

また壁を殴る。そろそろ拳が内出血を起こしそうだ

カン、という小気味の良い音が鳴った。同時に近くに気配が生まれる

(後ろです!)

腰の拳銃を引き抜きながら腰を回し、同時にこっちへ銃を構えた敵の頭へ銃を向けた

上条「御坂!」

御坂「当麻!」

銃を下ろした上条に、御坂が銃を放って抱きつく

御坂「馬鹿!遅すぎるのよ!アンタが遅いせいで…!」

上条「一体、何が有った。皆無事か? 」

涙目で上条を見上げ首を横に振る

そして御坂が口を開いた瞬間の事だった

(当麻! )

御坂めがけて、何かが飛んできた
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/03(火) 21:39:17.04 ID:.HgLKSIo
潜んでいた狙撃手が、チャンスを狙い続けていたのである

反射的に上条が庇う

上条「グッ…!」

腹部へ銃弾か直撃、弾は貫通した

御坂「当麻!? 」

倒れこんだ上条に慌てて御坂がしゃがみこむ

上条「…逃げろ」

御坂「何言ってんのよ?!アンt」

上条「いいから逃げろってんだよ! 」

上条が叫んだ瞬間、追撃が飛来する

御坂の肩に当り、悲鳴と共に衝撃で御坂が倒れた

上条「御坂ぁ!」

さらに追撃、御坂の右太股を撃ち抜いた

獲物の手足を順に引きちぎり、最後に致命傷を与える人間らしい陰湿な攻撃

当る度に御坂から悲鳴が上がる

最悪のショーが上条の前で繰り広げられていた

上条「…止めろ」

更に追撃、御坂の右腕に風穴が空いた
443 :本日分終了のお知らせ。今回誰も死んでないよ![saga]:2010/08/03(火) 21:45:18.08 ID:.HgLKSIo
上条「止めろ、止めろ、止めてくれぇぇぇ!!!」

銃声が響く

目の前の御坂には着弾しない

外した?!いや狙って外したのか?だったらなぜ…

一瞬、そんな思考をした。さっきまでなにもなかった場所から声が聞こえる

青髪「止めて、欲しいかい?」

上条の目と耳が幻を見ていない限り、その見た目と声はクラスメートの声だった

片腕で、意識の無い白井を抱えている

青髪「取引しようか。これから僕らは最終目標に入る。かみやんも参加する。代わりに御坂ちゃんの攻撃は止める。どうや?」

白井は、詰めなのだろう。もしここで断ると、白井の頭をぶち抜き、更に敵に心理的重圧を科すための

上条「分かった!なんでもする!だから御坂を、助けてやってくれ! 」

目を細くし、頬笑みを浮かべる。だが、目は笑っていなかった

青髪「か〜みや〜ん。僕は『止める』と言っただけや。『助ける』なんて一言も言ってないで? 」

上条の顔に激怒の表情が浮かび、拳銃を向ける

冷静にそれを蹴飛ばし、逆に銃を御坂の頭へ向け、引き金を引こうとする

上条「止めろ!止めてくれ…頼む」

すがるような表情を見せた上条に満足したのか、銃を戻す

青髪「そんなに言うなら仕方ない。御坂ちゃんも治すよ。僕とかみやんの仲やしねー」

無線を取り出し、指示を喋る

命令が終わった瞬間、御坂が消えた

それ見て安心したのか、上条の意識は途切れる

上条も消えた。残るは白井を抱えた青髪だけ

青髪「ふん。僕とかみやんの仲、か。よう言ったものや。…僕は初対面だったってのに」

独り言を話しきるかきらないかで、青髪も消えた
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/03(火) 23:11:26.26 ID:nTnhkJYo
電磁波センサーと自動防御は?
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/04(水) 00:16:06.09 ID:zX4bR5Qo
Kjさんが触れてたんでね…
許してくだしあ
446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/04(水) 00:49:14.69 ID:I2Lbg6SO
前回で浜面と滝壺は志望確定だったって訳ねなるほどね



な ぜ 殺 し た
447 :不完全オナニーを私は認めない[saga]:2010/08/04(水) 01:04:50.41 ID:zX4bR5Qo
>>442と差し替えしてくだしあ

潜んでいた狙撃手が、チャンスを狙い続けていたのである

戦闘モードの上条と抱きついていた為、御坂は電磁波による飛来物の探知が出来ていなかった

無論それは狙撃手の読み通り

上条も瞬時に理解したため、自らの身を呈した

上条「グッ…!」

腹部へ銃弾か直撃、弾は貫通した

御坂「当麻!? 倒れこんだ上条に慌てて御坂がしゃがみこむ」

上条「…逃げろ」

上条の手を引き、起こそうとしている御坂の手を振りほどこうとしながら言った

御坂「何言ってんのよ?!アンt」

上条「いいから逃げろってんだよ!」

自らの痛みを我慢して強引に手を振りほどいた

これで御坂は敵の攻撃を探知して、防壁を作ることが出来るハズだ。上条はそう確信していた

が、追撃

肩に当り、悲鳴と共に衝撃で御坂が飛ばされる

当の本人も理由が分からない。明後日の方向で、辺りに散らばる瓦礫に含まれる、磁性を帯びるものがいびつな形で集合し、盾となっ ていた

御坂(そういえば、さっき黒子の時にも、こんなことが有ったっけ)

飛ばされながら、自動演算の自分の盾の指定座標がまるで文字化けしているかのように、いびつな物になっていることに気が付いた

上条「御坂ぁ!」

さらに追撃、御坂の右太股を撃ち抜いた

獲物の手足を順に引きちぎり、最後に致命傷を与える人間らしい陰湿な攻撃

当る度に御坂から悲鳴が上がる

最悪のショーが上条の前で繰り広げられる

上条「…止めろ」

更に追撃、御坂の右腕に風穴が空いた
448 :不完全オナニーを私は認めない[saga]:2010/08/04(水) 01:07:17.21 ID:zX4bR5Qo
ギャアアアアアアアアア

御坂「当麻!?」

倒れ込んだ上条に近づくため、慌てて御坂がしゃがみこむ

ですorz
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/04(水) 01:43:52.82 ID:kH.qMAAo
ここの作者はどうやってでもみんな殺したいみたいだな…
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/04(水) 11:13:28.84 ID:.eZWyu.0
乙!
だが・・・俺のビリビリに手を出すなあああああ!!
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/04(水) 20:49:54.45 ID:3GOBruYo
もう殺さないであげて
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/04(水) 22:49:10.84 ID:2M4E.b6o
みんなミンチになーれ
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/05(木) 00:16:28.86 ID:zJnanb6o
容疑者は『何でだ…なんで他の連中がヨーロッパなのに俺だけ福井県なんだ』と訳のわからない供述をしており、聴取が非常に難航している模様です。
この事件によって、次の月曜日まで投下できないものと思われます。

あ、今入った続報によりますと容疑者は『多分もう誰も死な…』え?原稿が違う?
失礼しました。今後の展開は未だ不明とのことです
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/05(木) 00:41:12.74 ID:igpVckQo
ここの作者は福井行ったり岐阜行ったり島根行ったり大変だな
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/05(木) 01:27:09.00 ID:IvpwzYSO
おい・・・マジか・・・
今いちばん不安と期待でいっぱいのスレなのに
とりあえず乙
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/05(木) 05:17:50.37 ID:mAJ4.EU0
絹旗・・
457 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/05(木) 13:27:19.75 ID:djnkbwSO
他スレ見た後にここに来ると泣きたくなる
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/09(月) 00:13:21.83 ID:IZFWLj60
>>457
はげど
2828しながらここにくるとorz
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 12:29:44.40 ID:JwvsJ8Uo
土御門「一方通行のヤツ、やり過ぎだにゃー…」

瓦礫の中から、義妹が着ていたものと同じ服装の布切れを握りしめて彼はつぶやいた

陰から細い腕が一本飛び出している。既に脈は無い

それが彼の義妹なのかは定かではない。が、彼女が通っていた校舎は既に原型を留めていなかった

彼自身も四肢には傷を負っている。弾痕などでは無く、もっと原始的な擦り傷や打撲である

これでも良くなった方だった。彼が立っている周りには生臭い、死の臭いが到る所で感じとられた

死体の種類は子供から武装した大人まで様々だ

回りに生きている人の姿はない

義妹を心配してここに訪れたが、来ない方が良かったかもしれないと彼は思い始めた

何者かの気配を感じ、身を瓦礫に隠す

「…地区の崩壊を確認。生存者は少女が二名。重傷。判断を乞う」

英語での無線が耳に入った。米兵が被害確認をしに来たようだ

『規定通り、我が軍所属者以外の重傷者は殺せ』

「了解。」

運ばれていた少女達を下ろし、所持していた銃で殴る

重傷だった彼女らは、ろくな悲鳴をあげることなくその命を散らされた

土御門(確かに、この状況下ではあの子たちは無価値だ。足手纏いでしかない、が)

更に握りしめた拳からは、爪が食い込んで血が滴っていく
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 12:37:51.61 ID:JwvsJ8Uo
土御門(ここでリスクを負う必要も無い。そのままやり過ごすんだ)

激情に至ろうとする我が身を抑えつつ、彼は更に息を潜めた

「くそったれ!俺たちは日本に餓鬼を殺す為に来たってのか」

「仲間もたくさん巻き込まれた。全く、上は何を考えてやがんだ?! 」

「聞いた話じゃ、試験体の暴走がこのファッキンな状況の原因らしいぜ?」

「オイオイマジかよ。そいつはクソ迷惑な話だな。ふざけんなってんだ! 」

「落ち着け。とにかくだ、こんな死体の山からとっとと引き上げようぜ。次は?」

「あっちだ。行くぞ」

愚痴を言いながら兵が去るのを見届け、体の硬直を解く

土御門(青髪絡みってことから、奴らの仕業かとも考えていたが、この状況は奴らにも予想外なのか )

彼らの発言からこの現状の整理をする

土御門(当然、旧都市側のほうも現状の原因ではないだろう。となると)

土御門(都市機能が根本的に崩壊したこの都市ではお前の影響力は低下したハズだ、アレイスター)

土御門(奴はどうでる?どう考えている?直に会ってみるのもいいかもしれない)

土御門(手短な方法は消えた今となると方法を纏める必要があるな)

土御門(結論として、えらく遠回りさせられたが、ステイルと合流しない限りどうしようもないか)

出発するため、無意識に握りしめた拳を緩めると、手元から布切れが落ちていった
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 12:50:00.06 ID:JwvsJ8Uo
絹旗「次は、あの映画にしましょう。超オススメですよ?」

そう言って上条の手を引く少女に戸惑いながら、上条は引かれるまま客席にすわる

映画はしばらくどうでもいい日常が描かれていた

時折寒いギャグを繰り出しながら、徐々にその日常は崩れていく

「爆撃だ!逃げろ!崩れるぞ!」

主人公とヒロインが戦争から避難するために逃げ込んだ建物が轟音と共に崩れ始める

主人公が振動によって転倒した

それをヒロインが手を差しのべ、起こすのを手助けする。だが、その間にヒロインは怪我をしてしまっていた

それに気が付かず、駆けだす主人公

「早くこっちへ、メアリー?!早く!急ぐんだ!メアリ、メアリィィィィィィィ!」

主人公が建物を脱出し、振り返るとヒロインは後ろで止まっていた。そこでようやく主人公は自分を助ける為にヒロインが怪我をしてしまっていたことに気づく

建物の崩壊により彼女は見えなくなった。絶望的である

画面が暗転してスタッフロールが映し出された

言うまでもない糞映画だった

絹旗「ヒロインは主人公を助けたために死んじゃいました」

絹旗「でも私思うんですよ。この主人公が、あの時、身を呈して助けに行けば結果は変わったんじゃないかなって」

隣の席に座っていた少女がこちらの顔を覗き込んで話を続けている

心なしか表情が薄くなっているように見えた

絹旗「まるで、どこかの誰かさんみたいですよね」

一気に気勢が細くなり、同時に冷たい表情をする

絹旗「自分を助けてくれたのに、その子の危機の前では悠長に寝ていた、誰かさんに良く似ているんですよ」

絹旗「もし動いていたら、結果は変わって、死なずにすんだかもしれない」

少しの間を置いて、小声で話始める

絹旗「ねぇ、私は貴方を助けたのに、ど う して 私 を た す け て く れ な か っ た ん で す か?」

隣の少女がすがるような声をあげて上条を手で引いた
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 12:55:57.64 ID:JwvsJ8Uo
気が付いたら上条は絹旗が瓦礫にはさまれた場所にいた

上条の左手を引く手にはさっきまでの力が無く、同じくあげていた首は力を失ったように真下へ向いている

背中にどうしようもない悪寒が走り、力を失った絹旗の手を振りほどくと、その手にひかれて上半身が完全に下半身を離れた

上条「ッ、ハ…」

その光景に思わず腰が抜けてしまう。何とかそこから離れようと座った姿勢のまま手で自分の体を引きずる

ふと、体の後ろへ伸ばした手に何かが触れた

絹旗の方を見ながら後ろへ下がったので、それが何なのかわからない

上条はこの状況を好転させてくれるようなものを願って、顔を後ろに向けた

それは、御坂だった

四肢からは血が垂れ顔は苦痛で歪んでいる

御坂「当麻、痛いよ…死んじゃうよ…何とかしてよ…助けてよ…」

蒼白の顔で言葉を発する

御坂「どうして私ばっかり撃たれるの…守ってよ…痛いよ」

穴のあいた腕を伸ばして、なんとか上条の方向へ手を伸ばす

その震えた手を上条が掴むと、穴のあいた部位から腕が引きちぎれた

御坂「嫌い、痛いよ助けて助けて助けて助けて」

御坂はただただ助けてと呟くだけの何かと化した

男は声にならない悲鳴を吐く

悲鳴をあげたことで腹部に違和感を感じた

見ると腹部から相当量の血が流れていて意識が遠のいていく

このまま意識が遠退けばこの地獄のような惨状から逃げることが出来ると、半分、上条はそれを自ら受け入れていった
463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 13:00:24.69 ID:JwvsJ8Uo
夢から抜け出し、現実感の無い現実へ戻ってきた

腹部に包帯が巻かれていて、体には感覚が無かった。麻酔が効いているらしい

ベッドは寝汗でかなり湿っていた。夢のせいなのか、怪我のせいなのかは不明だ

(おはようございます。ずいぶん魘されていましたね)

上条(あ、ああ、少々、酷い夢を見させられたんだ。むしろ現実の方が夢であってほしいけど、昨日の事は現実なんだろ?)

ほんのわずかな少し希望をもって尋ねた

(…残念ですが、としか)

上条(そう、だよな)

体を起こし、現状を確認する

病院の個室で、窓も無くかなり殺風景である

脳波を調べるパッチが煩わしかったので腕で取り払った

同時に、部屋のドアが開いた 。上条の意識が戻ったのを確認したらしい

青髪「おはようさん。怪我はよくなったかい?」

上条「…御坂はどうなった?」

無視されたが、表情を変えない

青髪「見てみ」

そう言って、壁にどこかの病室の映像が流された

布団によって呼吸補助マスクの付いた顔以外は見えないが、映像の横に表示された生命に関わる数字データが彼女の生存を告げる

布団の盛り上がり的に、四肢のいずれかは失われたようだが
464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 13:04:26.01 ID:JwvsJ8Uo
青髪「分かってると思うけど、彼女は君にとっての人質やから、これがどこかは言えへんよ」

上条「生きてるのが分かっただけで十分だ」

好きなように使えとばかりに、そのモニターのリモコンを上条に渡した

青髪「さて、お仕事の話といこうか。かみやんにかかっている麻酔はあ数時間で切れるはずや」

両手を合わせて上条の目を見ながら言葉を続ける

青髪「かみやんの準備が出来次第僕らの組織の最終目標を詰めに行く」

青髪「つまり、アレイスターの確保、や」

青髪「今の僕にはさしたる力も無いし、奴が何か魔術を使ってきたら、止めることもできん」

青髪「だから、君に行ってもらう。必要そうな装備は君が求める限りの物を出す」

青髪の方は見ず、ただベッド上で壁に映し出された御坂へ焦点を合わせて上条は青髪の言葉を聞いていた

青髪「さて、かみやんには了承の答えしか用意されていないけど、承諾してくれるかなー?」

じっと、じっと見続けていたが、返事をした。肯定の頷きひとつだが

それを見届けて、ほなさいならと青髪は部屋を出て行った

(私たち単体で行かせるということは予備プランもあるということなんでしょうね)

上条(だろうな。奴らの利することなんてしたくは無いけど、やるしかないよな)

(彼らには代わりが居ますが、御坂さんにとって私たち以外に生命を続ける術はありません。成功させて、条件が良くなるのを狙いましょう)

映像だけで音声は再生されていないが、御坂の口元がまるで何かを呟くかのように動いているのが上条には見て取れ、意思を固めたのだった
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/09(月) 13:09:02.06 ID:JwvsJ8Uo
一方「一体、どこに居やがるンですかぁ? 」

超巨大地震と超強力な台風と大空爆が一度に行われたかのような町の仲を歩きながら一人つぶやく

前からいくらか監視の米兵部隊が歩いてくるが今の彼には関係の無いことだ

まるで一方通行などその場に居なかったかのように、通過していった彼らの装備品から情報を取り出そうとする。が、該当するものは無い

昨日からずっと一人の男を探し続けたがその手掛かりすら掴めない

現状の学園都市では誰かに聞くことも、端末にアクセスすることもできない為無理もないことではある

外部へ露出していた機械の大半は機能を失い、電気自体が通っていない場所ばかりである為に今やあの異常な監視体制は全く機能していなかった

もっとも、その中央も完全に倒壊している以上、電気や機械が生きていいても情報を触ることすら難しいだろう

故に時折来る兵隊の携帯端末のみが彼の主な情報源だった

一方(ほォ、俺が戦ってる間にこんな所で戦闘が有ったンだな)

情報の断片をまとめ上げると、どこぞの研究施設を中心に高位の能力者がまとまって敗北したというものが出来上がった

その場所へ向かうと明らかに他とは異なった廃墟群が有った

深い血だまりが何もない道の真ん中にあったり、倉庫が人為的に壊されていたりなどである

空薬莢や擲弾の破片なども転がっていた

巨大なアンテナのあるその中心の研究施設の屋上には金髪の少女の死体が有った

首が体から切り離され、碧眼の目は見開いたままだ

一方(こりゃあ、そろそろ腐臭がわくぞ)

手で無線機を握ったまま死んだのであろう、転がっていた無線機の跡がくっきりと手についていた

露出している部分からは腐敗網の始現が見られた。腐敗が進行している証拠である

開いたままの屋上のハッチから下へ降りる
466 :今回ぶんオタワ\(^o^)/[saga]:2010/08/09(月) 13:15:30.70 ID:JwvsJ8Uo
地上3,4階となるアンテナの制御装置が固まった階層にはこれと言って変化は無かった

だが、2階に下りてから状況は一変した

猛烈な腐臭とハエなどが室内に充満していた

見落としを少なくするため、あえて五感を守らないように反射を切っていた事を彼は後悔することになった

鬱陶しいハエを突風で吹き飛ばすと、さらに詳しい状況が見える

軽装だが最低限の装備を備えた上で突入した兵が所々で四散したり穴が空いたりなどして死んでいる

施設はそこらかしこに大穴が空いていたり、外見とはかなり印象の異なった状況だった

一方(一体こン中でなにをぶっ放しまくったンだ?かなりの高火力兵器でも乱射したのかよ)

彼の疑問は二階の壁で座るようにして死んでいた第4位が視界に入ったことから解決される

肩からの出血は適切とは言えないが応急処置が施されていた。直接的な死因はそれでは無い

胸にぽっかりと銃弾が打ち込まれた跡がそれだ

一方(怪我で気を失ったところをズドンってかァ、コレは)

ただの人間の死体となった第4位を良く見ると、携帯端末が側に落ちていた

おそらく、死後硬直後に体が壁から滑ったことにより落ちたのだろう

手に取り、データを一瞥すると探している男の寝顔が写った写真があった

第4位の身につけているストッキングと思わしきものが彼の首の後ろにあることから、彼と彼女にはそれなりの接点が有った ことがうかがい知れる

一方(第四位がこいつらに襲われて死ンだってことは接点が有った三下も巻き込まれた可能性がある、か)

端末を床へ捨て、麦野へは背を向ける

ふと、廊下の左側に空いた大穴から二人の男女が抱き合うようにして死んでいるのが見えた

彼らの関係はともかく、そのフォルムが一方通行に訴えかけてくる

一方(死ぬ時だろうとなンだろうと、一人ってのは…)

目を伏せ、感情に流されそうになるのをなんとか理性で押し留める。打ち止めが頭脳に現れては消えるのを押さえているのだ

止まっていてはますます悪化しそうだったので吹き抜けから飛び降り、急いでこの施設を後にした
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/09(月) 16:07:10.72 ID:IZFWLj60
乙!
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/09(月) 16:52:55.71 ID:834Y1ASO
フ/レンダになったのか
読むと凹むけど読みたくなる不思議
469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/09(月) 17:18:49.65 ID:FQwIEADO
好きなキャラがことごとく作者に殺されてめちゃくちゃ欝な気分になるのに見るのを止められない…
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/10(火) 02:09:18.17 ID:sHaf82SO
SSで泣いたの初めてだわ・・・orz
471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/10(火) 03:56:40.05 ID:Dh2GGhI0
腐レンダー!
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/10(火) 07:52:29.57 ID:6z1N7ESO
そういや全く描写無かったけど結標も死んだんだよな?
あの現場に居て意識失っていて、生きてる目があると思えないし
生きてても解毒剤無いし
473 :平和回である[saga]:2010/08/10(火) 17:55:46.89 ID:FyQghFAo
少しの合間に他のSS読む⇒2828
時間がとれて自分のSS書こうとする⇒どうしてこうなった…だが今更路線変更はできない…ウムム…

つまり私めも同じなのです
しかし誤字脱字多いな

土御門「ずいぶんと手酷くやられてるようだにゃー」

ステイル「見ているだけじゃなくて手伝ってほしいんだがね」

第12学区内にある、イギリス正教系の教会施設の地下にあったハズのシェルターが露骨に姿を現していた

地上の施設が完全に倒壊し、その瓦礫が他へ飛ばされた上、さらにシェルターそのものが地上へ引っ張られたためである

何重にも貼られた魔術的な結界や防御陣は大本の座標が動いてしまったため、さらには対ブラックホールなど全く眼中になかった為、その機能の大半は吹き飛んでしまっていた

小型のBHが直撃したのか、人が通れる程度の穴が空き、中を外から覗くことが出来た

シェルター内の物は棚をはじめとして滅茶苦茶だが、根本的な潰れていたりするなどの問題は見受けられなかった

問題と言うならば、空腹に耐えかねたのか、作業をしているステイルが構ってくれないからか、子猫と一緒にお腹がすいたと言い続ける何かはそこに居るぐらいか

とにかく、防衛設備としてのここはあまり良いと言える状態ではない

土御門「いいのか、禁書が狙われているんだろ?」

ステイル「だからこうして全力でこんなことを…」

土御門「いや、もうここから退避すべきだと思うんだがな」

ステイル「今やあの栄華を誇った学園都市の姿は無いから、それも考えたんだけどね。上条当麻はどうなったんだい?」

土御門「生きているか死んでいるかすら分からねぇよ」
474 :会話回でもある[saga]:2010/08/10(火) 18:01:48.60 ID:FyQghFAo
当麻という声が聞こえたためか、禁書が室内から顔を出す

禁書「とうまが、どうだって?」

土御門「分からんぜよ。無事だと思いたいが、この都市の情報システム自体がダウンしきっちまってるからにゃー」

禁書「この状況じゃ、仕方ないんだよ。それでこの後どうするの?」

土御門「そのことなんだが、禁書も含めて聞いてほしい」

ステイル「なんだというんだい?」

土御門「この状況を見たら分かるように、都市は壊滅だ。情報伝達すら難しい状況だから、被害も指示も行き渡らない」

土御門「こうなってくると、あのアレイスターの動きが分からない。なんらかの動きを見せてもいいだろうが、今までにあったのは対症療法的な暗部への指示だけだ。今はそれすらないがな。そして効果も上がっていない」

ステイル「それは僕も思っていた。らしくないとね」

土御門「今までの奴の振るまいからして、ただ打つ手が無いからだってことは考えにくい。となると、この状況を打破できる方法があってもおかしくは無いハズだ」

禁書「過去にも、どうしようもない状況を打破する為に魔術が使われた例はいっぱいあるんだよ。大体は大破壊を伴うものなんだけど」

土御門「今回もそう言った方法をとるかもしれない。現状のアメリカ占領なんてのは間違いなく奴の計画には乗ってすらいな い、邪魔なものであるはずだ」

ステイル「それはどうだろうね。ここでアメリカに攻撃を仕掛けても一時的に撤退をさせるだけで長期的にはデメリットなんじゃ ないかな」

土御門「その通りだ。つまり、動きが見えない。ゆえに、その危険度は通常よりも高く感じられる訳だが」

ステイル「結局何が言いたいんだい?話が見えないんだが」

当然だ、といった表情を浮かべて一呼吸置いた

土御門「だから、こっちから奴に会って話をしに行こうと思っている」

大柄の男が眉を潜めた
475 :話が進まない回でもある[saga]:2010/08/10(火) 18:10:07.05 ID:FyQghFAo
ステイル「なら、今度はわざわざ君がここへ来た理由が見えないんだがね」

土御門「結標が居なくなっちまったから、奴へ会う方法が今現在無いんだ。禁書に空間転移についての話を聞くためにもここへ来た」

ステイル「あの子がかい?ちょっと待ってくれ、一体いつからだ?」

土御門「一昨日からだが」

ステイル「それって、タイミング的にかなり怪しくないかい?」

土御門「今だから言えるが、間違いなく米の何かにどうにかされたと考える方がベターだな」

ステイル「それじゃ、あの子をピンポイントに狙ったってことは、彼が居る場所も会う方法も手に入れたってことじゃないのか」

ステイルに指摘され、見落としていた事実が浮かび上がった

土御門「そうだな…。そう考えると結標は今は奴らの手にあって、更にアレイスターが狙われているということ、か」

ステイル「となると、その連中は彼に会おうとするはずだ。君が話をしたいならその時を狙うんだね」

禁書「もしかしたらとうまもそこに居るかも」

小さいからだをフルに使って自己主張している

土御門「生きていたら、あるいはそうかもしれない。よし、俺はこれから都市の米軍拠点へ行ってみる」

ステイル「そうかい。じゃあ僕らは他の隠れ家に避難しておくことにしよう」

禁書「ほんとはついて行きたいけど、待ってるんだよ。とうまに会えたら待ってるって伝えてほしいな」

少女のお願いするような視線を下から突き付けられ、頷いた

通りに人が居ないのを確認して、銃の残弾を確認。十分にある

土御門「了解だにゃー。じゃ、行ってくる。そっちも気をつけてな〜」

ステイル「言われなくてもね。朗報を期待しているよ」

言葉尻が口から出たときには土御門の姿は無かった
476 :科学サイドの健常な女性が居ない事に気がついた回でもある[saga]:2010/08/10(火) 18:16:48.51 ID:FyQghFAo
青髪「で、何か必要な物はあるかいな?」

上条「どんな所へ連れてかれるのかもわからないのに、必要物なんか分かるかよ」

おっとすまないと言わんばかりに装備・資材庫の壁に画像を投影する

青髪「君が行くのはここだ。中に標的が居る」

どこかで見たことのあるビルが映し出された

上条「へぇ、ここ壊れてなかったんだな」

青髪「艦砲射撃だろうがハープーン、トマホークだろうが破壊できないやろうな。あのソニックブームとBHでも傷一つつかんかったし

青髪「本格的にじっくりと解析でもせん限り、具体的な壊し方なんて分からんよ。多分な」

両手をあげた。お手上げだ、とでも言いたいのだろう

上条「んなところにどうやって入るんだ?まさか人間大砲でもするわけじゃないんだろ」

青髪「はっはー。それもおもしろそうやん。残念ながら違うけどな」

そう言うと、部屋の扉から少し派手な服装の女が入ってきた

顔には表情が無く目も焦点が合ってない

首には細めの首輪がはめられており、そこから出た配線が頭部に突き刺さっている

(薬か何かでしょう。彼女の脳波が異常に落ち着いてます。というより、ほとんど反応が有りません)

上条(で、あの首輪で思いのままに操られてるわけね)

(恐らくは。殺したりするよりは効率の良い方法でしょうけど、あまり良い物とは思いたくないですね)
477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/10(火) 18:34:42.27 ID:FyQghFAo
上条「…この人は? 」

青髪「彼女が移動手段や。とあるルートで入手してな。危うく昨日のに巻き込まれるところやったよ」

上条が表情に疑問を浮かべた。移動手段と言われてもピンと来ないのだ

瞬間、上条の青髪を見ていた角度が変わる。正面に居たはずなのに、目の前にあるのは青髪の後ろ頭だ

青髪「な?」

上条「空間移動、か」

青髪「この子の能力は便利やから、他にもいろいろ重宝させてもろてるよ」

上条(あの時、急に現れたのはこれだな)

上条「おいおい。この幻想殺しが有る限り、俺を移動させるなんて出来ないぞ」

青髪「冗談をいうなよ、上条当麻。やろうと思えば幻想殺しを完全に無効化させることができるハズだが」

(やはり、私の存在もバレているようですね。言ってはいませんでしたが、右手の幻想殺しを幻想殺しさせることで、不可能ではありません。非常に高度な演算と速度が必要な上、長くは持ちませんし、通常なら無駄な機能ですが)

上条「…でも、あの中がどうなっているのかは分からないんだろ?」

青髪「だからかみやんの出番なんやでー」

上条「…そうかい」

恐らく、様子見も兼ねての第一陣という役割なのだろう

武器庫の中から拳銃を一丁、手に取った。例のG18である

上条「これだけでいい」

青髪「ええの?簡易電磁砲付きライフルとかあるんよ?」

銃を青髪に向けて構え、下ろした

上条「十分だ。何が有るかわからない状況で長手の得物なんて邪魔になるからな」

そうかい、と言わんばかりに両肩を軽く上下させ、青髪はドア方向へ身を向けた
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/10(火) 18:41:16.13 ID:FyQghFAo
一方(ビンゴだ、アレ?)

復興がほとんど終わっている米軍拠点へ着き、堂々と検問を通って上級士官室へ赴いた

鍵が閉まっていたので、好都合とばかりに開けると、やはり誰もいない

机に設置された半固定端末を使って上条当麻で検索をかけたところ、わりとすぐに結果は出てきた

嬉々として見ると、詳しいことは書いてはおらず、ただ管轄がCIAであることと、上条がある程度これまでの事に関与していることだけが分かった

一方(三下が第2位をねェ。で、第二位からあの、人工能力者とやらができましたと)

一方(しかし、派閥争いに負けて電撃使いの技術しかもらえなかったとは軍も情けねえなァ)

一方(で、肝心のCIAの拠点はどこなんだ?)

端末を操作するが情報は無い

よほど仲が悪いのだろう。得てして、公機関というのは仲たがいを起こしやすい物である

一方(一枚岩じゃないにも程が有るぞコイツ等)

ため息をつきつつ、情報端末では不満だったので、ついでに机も何かないか探す

一番手前の鍵がかかった引き出しに部屋の主の日記と思わしきものが有った

『あの糞の掃溜め共が我々に必要な物を全部持って行きやがった。これでは何が目的でここまで進軍したのか分からん。多くの兵が死んだ。損失が大きすぎる』

『何れ帰還命令が出て、私は降格されるだろう。畜生!こうなれば奴らの重要人拉致作戦を邪魔してやろうか。奴らに放った諜報員が言うには、それが当初の目的だったらしいじゃないか』

『どんな人間か知らないが、この都市がもともと持っていた技術や先端物品生産力を勝るほどの価値は無いハズだ』

一通り読んで、軽く息を突く。本文があまりにもアレな言葉で書き綴っていたため意訳をしたのだが、読む価値はあった

一方(コイツも相当おかンむりってな。とにかくだ、この拉致作戦がCIAの目的ならそこへ上条が居る可能性も高い。この状況の都市で最重要な人間って言やァ奴しか居ねェよな)

ちょうど部屋の主が帰ってきた。流石にぶつかってしまっては気づかれてしまうので道を開け、開いたままの扉が閉まる前に脱出を図る

「あら、私電源入れっぱなしだったかしら?引き出しにも鍵を掛けていなかったし、不用心ね」

女ってのはどうしてこうずぼらな奴が多いんだと思うことで、少し前まであった日常を思い起こさせられる

逃げるようにして、部屋を出た
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/10(火) 18:47:38.63 ID:FyQghFAo
拠点の検問で、トラックが一台止まっていた。どうやら少しもめているらしい

一方(なんだかあの運転手、非常に知り合いの予感がするんだがなァ)

トラックの運転手?「だからこの積荷を運んでくれって頼まれただけなんだって」

検問員「だからせめて中身を見せろと言っているだろう」

トラ?「機密物資なんだ!こっちも上級のパスが無い限り見せれない」

検問員「じゃあなんでお前が通行証を持ってないんだ!」

トラ?「この状況なんだ、仕方ないだろ!」

検問員「仕方ないって、だからせめて中身を軽くでいいから見せろって!」

トラ?「あーもう分かったよ。見せてやるからちょっと待ってろ」

運転手が諦めたらしく、車を降りて後ろの扉を開く

トラ?「はいよ」

といって開けた扉から中に検問員の兵が入るように促す

必然的に後ろに居る運転手が腰に手をまわした。拳銃に手をかけているのが一方通行に見える

兵がコンテナに1m程度入ったタイミングを見計らって、運転手が銃を手にトラックのコンテナへ駆けあがろうとする。カメラに写らない死角で、いざとなったら排除するためだ

一方「なァにをしてるんだ?」

突然一方通行に話しかけられ、更に銃が動かない様に抑えられた

トラ?「ァ、一方通行?!」

当然、驚いてしまう
480 :今回ぶんオタワ\(^o^)/[saga]:2010/08/10(火) 18:52:45.83 ID:FyQghFAo
検問員「おい、どうかしたか?」

トラ?「いやなんでもない。気にしないでくれ」

振り向いた兵から見えない様に慌てて銃を隠した

トラ?「なんでお前がこんなところにいるんだよ」

日本語で、小声で話しかける

一方「サングラスに金髪、そンでもって場に馴染まねえ英国英語を話すトラック運転手なンざ、お前しかいないだろうからなァ」

土御門「いや、答えになって無いぞ。まぁいい。とにかくこの場をやりすg 」

言っている間に一方通行の気配が消え、代わりに兵がこちらを見ている

検問員「なにやら妖精とでも御話ししているようだが、終わったぞ。通っていい」

フェイク用にある程度は機密文書や精密機械を入れておいたが、詳しく調べなかったらしい

かなりの確率でバレると思っていた土御門は、若干気が抜けた

土御門「あ、ありがとさん」

コンテナの扉を閉め、施設内に入る

気が付いたら、助手席に一方通行が居た

土御門「幽霊かお前は。で、なんでここにお前が居るんだ?」

一方「三下を、上条当麻を探してたンだ」

土御門「お前がねぇ。こっちは結標の行方を探っててな。推理が正しければ、奴ら結標を使ってアレイスターをどうにかするつもりだ」

一方「それなら、半分正解だ。さっき調べて見たンだが、それをしそうなのは軍じゃねェ。軍とは若干対立してるCIAらしい ぞ。ついでに言うと結標をさらって引き渡したのは俺だ」

土御門「お前かよ!…理由があっての事だろうから、それ以上は聞かない。問題はそれがどう響くかだったが、調べる手間が省けた。助かるぜよ。で、CIAの場所はどこなんだ」

一方「残念だが、拠点は分からねェ。軍も察知してないみたいでなァ。だが、目的が分かってる以上、そこで張ればいいだけの話だ」

格納庫らしい所で車を止め、コンテナを切り離す。小型なので運転席のボタン操作で事足りる

土御門「了解だ。とっとと向かうとしよう」

そう言って、検問から一気にアクセルを踏み込んだ
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/10(火) 20:52:57.03 ID:sHaf82SO
あわきん生キテル────!!


・・・・・・・・・・・・・・・のか???
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/11(水) 08:46:37.01 ID:pniPAbw0
ぐちゃぐちゃに脳内弄られてるのが生きてると言えるならな・・・
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/11(水) 10:35:42.22 ID:M2K3jdA0
打ち止めって死んだのか?
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/11(水) 11:05:19.93 ID:cLJg1oAO
なんでこんな技術があるのに検問が人なの?
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/11(水) 11:07:05.26 ID:cLJg1oAO
そういえば黒子は?
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/11(水) 11:37:46.17 ID:pPhgU/6o
描写忘れたけど、検問が人なのは、外に設置してた機械が高レベルの電磁暴風でぶっ壊れたからってことです。
資材も人材も少なくてかわいそうに

そろそろ登場します>打ち止めと黒子
生きてるか死んでるかはひみちゅ
487 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/11(水) 13:23:38.34 ID:SP13T.DO
ああ>>476の女はあわきんか…
この作者じゃ黒子も打ち止めも期待できない…
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/11(水) 15:03:53.06 ID:tRb/C2AO
woo...
489 :カオス回始まるよー[saga]:2010/08/12(木) 03:02:14.41 ID:jrVlKs6o
青髪「さぁて、まずは邪魔者の除去から始めんとなぁ」

ビルへ着いたものの、周囲は軍によって囲まれていた

このビルへの入りかたを特に軍には知られたくないというのは、上条も雰囲気的に理解していた

青髪「あのビルが次世代型装甲の有力候補なんやってさ」

確かに、いろいろな計器が外壁に取り付けられていた

そこへ火器の集中砲火。傷一つ付かない

テント下で白衣を着ている研究者が興奮して小躍りしているのがここからでも見て取れる

人数だけならこちらがひきつれた実力行使部隊と軍の部隊は同数だ

軍にとっては部外者の、しかも裏では対立している組織の連中が来たことで、あからさまに敵意を向けてきている

雰囲気的には最悪だ

上条「除去って、まさかここで交戦でもするつもりか」

青髪「一応、味方いうことになっとるからなぁ。話を付けてくるよ」

上条に背を向けて、片手を頭まであげてふらふらさせている

現場の指揮官の元へ歩む青髪を見守る

指揮官は構えさせた銃を下ろさせた。会話を認めたようだ

ある程度和やかに会話が進んでいたが突如として指揮官が青髪の首を掴みあげた

罵声が離れたこちらまで聞こえてくる

両手をあげて青髪が帰ってきた。後ろでは銃を構えられている

「武力排除か?」という声が身内から上がった
490 :こんな酷いのはいくらかぶりだよー[saga]:2010/08/12(木) 03:07:53.55 ID:jrVlKs6o
青髪「怒らせちゃったのはこっちやし、あちらさんの研究が終わるまで待機及び警護や。…何が起こるかわからんし」

警護任務が発令され、部隊が展開する

上条「ポイント稼ぎとは、姑息だな」

青髪「こういう処で貸しを作っておくのも、組織行動には必要な事なんやで」

上条「貸し、ってことはなにか起きる確信でもあるのかよ」

青髪「さぁ、僕にはわかりません。ただ、彼らには跡でプレゼントをしてあげる予定やけどね」

(なにか当てでもあるんでしょうか?)

上条(何事が無くてもこいつらなら、何か起こさせかねないけどな)

無線連絡が入った

『不審な車両がこちらへ接近していますが、どうします』

青髪「場所は? 」

『まだここへ来ると確信できる位置ではないです。ですが、周りに他に目標となりそうなものもありません』

青髪はニヤニヤと笑い顔を浮かべて無線の声を聞いていた

青髪「見張る程度でいい。中から誰か出てきても様子見だ。報告は怠るな」

『了解』

上条「へぇ、放置とはね。どこが貸しだ」

そのままへらへらと笑いながら、青髪は上条にこたえる

青髪「心配せんでも、ちゃんと策は練ってあるよ」
491 :突っ込みが来たらまともに返せないかもしれないんだよー[saga]:2010/08/12(木) 03:13:17.06 ID:jrVlKs6o
一方「この辺で俺は降ろさせてもらう」

ベクトルによる加速補助が無くなったので、そろそろだろうと土御門も思っていたところに一方通行が口を開いた

土御門「二手に分かれる、というより目標がもともと違うからな。了解だ」

一方「下手こいて捕まっても知らねェからなァ?」

そう言って、一方通行が下車する。既に土御門の意識するところに彼の姿は無くなっていた

土御門(さて、こちらも動こう。まずは結標がどこにいるのかだがなぁ)

車を廃墟の陰に止め、土御門も下車

当のビルまでは直線距離で1、2kmといったところか

土御門(あそこまで近づかない限り始まらないからな)

背後に気配があったように感じた

陰に隠れて背後を探る、が人影は無い

土御門(気のせいか…?)

見晴らしが良いであろう大通りを極力避け、ビルの合間の細道を抜ける

理由なく嫌な予感のしない方向へ無意識に向かってしまう

必然的に、区画側部の大通りを抜ける必要が出てきた
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:16:08.46 ID:jrVlKs6o
一応、左右を確認して、見える範囲に誰もいないことを確認するが、何か気に食わない

大通りと大通りの十字路の角に面したビルが残っていたため登って周りを確認する

遠目に見える例のビル以外にも付近の区画には殆ど形を変えずに残っているビルもあった

土御門(目標に至るまでの経路は…)

違和感に気づく

建物の倒壊によって経路がかなり限定されているのだ

土御門がいる位置からすると、既に方向性は一つで、戻らない限り迂回することもできない

土御門(ある程度は自然にできたものだろうが、人為的にわざと方向性を持たせて倒壊させたような個所もある)

土御門(無論、バリケードみたいになってるコンクリの塊を乗り越えるのは不可能じゃないが、間違いなく目立つ)

土御門(侵入者を対策しているとしか思えないな。間違いなく何かやるのを考慮に入れた末の事だろう)

ビルを下りる最中に、また気配を感じた。先程と違ってはっきりしている

気のせいでは無いと感じつつも、実際に感覚以外のものでは捉えていないので、仮想敵の居場所も検討が付かない

舌打ちを響かないようにしつつ、大通りを横断し、正面のビルの区画へ足を進めた
493 :べ、別に薬をキメて書いてる訳じゃないんだからね[saga]:2010/08/12(木) 03:20:41.56 ID:jrVlKs6o
白井「ここは? 」

目が覚めた少女が居る場所は、どこかは分からないが、室内であることは確かだった。声が響き明りも無いのだ

後ろ手に体を縛られて、足も動けない状態だ。だが、前のように能力が制限下にあるわけではない

白井(…不自然ですわね)

一瞬で縄を抜けて両足で立ちあがる。暗くて状況が良く分からない

とりあえず、壁に向かって歩く

前に突き出した手が冷たい壁に当る

白井(コンクリート?やはり、ここは研究室の類ではないのでしょうか)

何か居場所を特定できる物は無いかと、壁伝いに歩く

全く変わらない壁がそのままある程度続いたが、右手に何かのスイッチが触れた

白井(これは…何のスイッチでしょう?ここが研究施設でないと仮定すれば、照明のスイッチである可能性は高いはずですが)

他にやることも無いので、力を加える

カチリ、と音が鳴り部屋に電気が付く。あまり照度は高くないようだ

目の前に広がったのは、コンクリート一色の四角い部屋

出入り口らしい物は見当たらない

部屋の角に何かあった

近づいてみるとそれが、人であることが分かる

四肢がもがれて、切断面から血を流す少女

白井「おねえ、さま…?」

少女の悲鳴が部屋に響いた。目には涙が溢れるが、そんなことには気が付かないほどに彼女は混乱していた

その御坂らしいものへ抱きつき、その顔を覗き込む
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:23:59.87 ID:jrVlKs6o
薄暗く、目の辺りが良く見えないが、口元が動いたのが分かった

生きている…? そのような期待が、少女の脳をかすめる

お姉さま―と声をかけようとした瞬間、それは急に笑い出した

悲鳴ととってもおかしくないような高音と低音が混じり合った、笑い声が部屋に響く

突然の事に驚き、屈んだ体勢のまま後ろへ飛ぶ

何かがおかしい。その異常を少女が感じたとき御坂らしきものの笑いが止まり、首が転がり落ちた

その首を拾い上げる

眼球が大きく上を向き、小さくヒヒヒという声をあげている。体から切り離されているのにも関わらずだ

先ほどとは異なった涙が、彼女の目元に溜まる。思わず投げ捨てた

御坂の首が小さな悲鳴を挙げて、再びヒヒヒと小さくつぶやき続けている

白井(なんなんですの、ここは…)

混乱と悲しみが彼女の脳を駆け巡る

カチリという音が鳴った。同時に照明が消える

暗闇に生首の声が小さく木霊する。このような状況では、精神の未熟な中学生が耐えようはずもない

全力で、先程スイッチがあった所へ駆け、スイッチを入れた

今度は急激な明るさに目が付いて行かず、思わず目を閉じる

目の前に広がったのは、見慣れた光景。隣に御坂が座り、目の前には初春、佐天が座している

何度も彼女らが話をした、あのファミレスでの風景だった

となりに御坂がいたので、小さな悲鳴と共に、立ち上がって距離をとる。太腿に手を伸ばし、鉄矢がいつでも飛ばせる状態にした
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:26:38.73 ID:jrVlKs6o
佐天「なに?急に敵意丸出し?これは事件の予感ですな初春警部」

初春「誰が警部ですか。でも、どうしたんですか白井さん?顔色も良くありませんよ」

御坂「ほんとよ?どうしたの?」

おかしい。さっきまで自分はこんな状況にはいなかった。そのように理性は告げる

しかし、ショックと混乱で安楽な方へ、思考がズレていく

白井「いえ、少々ウトウトとしていただけですわ」

席に戻り、目に溜まった涙を拭きながら、答える

失ったはずの日常に回帰した彼女の思考は次の光景についていけない

涙を拭いきって平穏なハズの世界で目を開く

目の前で、二人分の骸骨が、髪が生えた骸骨が、ストローを口にし、人の頭の中身をすすっていた

目を見開いて、目の前の光景を理解しようとした

良く見るとそれは、御坂の頭部である。瞬間、体の右側に重みを感じる

恐る恐る右を向くと、頭部の無い常盤台の制服を着た胴体が、首から脈に合わせて一定のリズムで血を噴き出しながら、よりかかっていた

顔へ血がかかる。恐怖で意識が飛ぶ

白井「…ッハァ!…ハァ、ハァ」

自分にかかっていた掛け布団を飛ばし、ベッドから身を起こした

初春「あ、目を覚ましましたね。今日は一体どうしたんです?」

病室のような部屋で飛び起きた白井の側方から声がかかる

今日は、という言葉に若干の恐怖を覚えながら、目を横に流した

臓物を垂れ流しにしながら、こちらを覗き込む見慣れた3人の姿があった
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:31:09.48 ID:jrVlKs6o
『目標が第二区画へ移動』

青髪「了解。”餌”を動かす。ブレイクブレイク、回収部隊、”貢物”の準備は?」

『支障無し。現場到着まで2分』

青髪「了解、着き次第引き渡しを開始する。各員、手はず通りに頼むぞ」

青髪の取り巻きが各自各々の持ち場に移動していく

上条「慌ただしいな」

青髪「まぁね。ここからが見せ所やからな」

青髪が結標の方向を見る。女性はどこかへ消えた

この辺りの衛星写真を広げた。近日中に撮ったものらしく、今の学園都市が映し出されている

『標的が第二区画中腹で”餌”を視認した模様。動揺しているようです』

無線で標的とやらの動きを補足しているようだった

(餌という表現を使っている以上、標的を釣ろうとしているようですね)

上条(恐らく餌はさっき消えた彼女だろうな)

(となると釣られてるのはあの人の仲間か何かでしょうか。相変わらずいけ好かない策が得ですこと)

地図を見ながら無線の応対をしているところへ違う無線が入った

『貢物、到着いたしました。ゴースト、補足。反応、すぐ近くです』

青髪「よっしゃ、完璧や。引き渡しに移るで」

思い通りに物事が進み、笑みを浮かべる青髪を上条はただ見つめるだけだった
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:34:05.85 ID:jrVlKs6o
土御門「結標…?」

大通りを渡った先に、自分が探している女らしい姿が一瞬見えた

何かの罠かもしれない、と思いつつも注目はそこへ固定される

大通りで囲まれたビル群の区画の小道の中心へ、彼女がさっきまでいた位置へ、駆ける

土御門(アイツは…?)

辺りを見回す。今度は、隣の区画の中心にその姿がある

明らかに自分を誘導しようとしている。その意思が明確に感じとれる動きだった

土御門(ということは、俺の存在は場所まで完璧に抑えられている訳だ)

土御門(しかし、俺を誘導させて一体、何の価値が有る)

立ち止まって考えていると、顔の横を弾丸が通過した

土御門(フン。俺が思いのままに動かなかった場合はすぐに殺せる、というわけか。分かったよ)

結標がこちらを向き、手招きした

それに従い、駆けだした



一方(あれは…青髪?ありえねェ。アイツは俺が確かに)

目的のビルの付近まで何の事も無く接近した一方通行の視界に、先日共にこの都市を破壊した人物がいた

そしてその付近に立つ目的の男

一方(上条も一緒に居やがる。さて、コイツはどンな状態なンだ?)

状況を把握するために、上条と青髪の元へ

そこへコンテナを搭載したトラックが進んできた

一方(チ、冗談じゃねェぞ)

簡単に回避した。回避してすぐ、その車は止まる
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:38:33.85 ID:jrVlKs6o
座席から人が降り、後部のハッチがオートで開く

中から現れたのは、人一人が入りそうな筒状の物が付いた機械の塊だった

「これが、そっちが我々に渡せる最大のサンプルという奴かね」

軍服を着た人物が部下を従えてこちらへ寄ってきた

青髪「そうですよっと」

青髪が返答しながら、機械の操作盤らしき部分に手を伸ばし操作する

ガス圧が抜けるような音と共に横になった円柱部分が縦になり、筒状になったガードが外れ、巨大な円柱ビーカーが現れた

中はガラスで満たされており一人の遺体が入っていた

一方(打ち止めァ…!?)

頭部とそれ以下の部分が離れてはいるが、間違いなくそれは一方通行の思う少女だった

「フン。あいにく私には死姦趣味も少女嗜好も持ってはいないんだが」

明らかに失望した風な声を出しているのを無視して説明を始める

青髪「この子はこの都市で行われた能力者量産実験によって生まれた一個体にすぎない」

「ほう。それはそれは大層な物じゃないか」

青髪「量産自体ははっきり言って失敗以外の何物でもないが、同量産固体間でこの子を頂点とした特殊な意思共有方法が出来上がってね」

青髪「その方法には特殊なデバイスなどを必要とせずに、視覚をはじめとする感覚や記憶情報を共有することが出来る」

「続けてくれ」

青髪「僕らの研究機関曰く、君たちの軍が持つ電気使いの特殊能力に関する技術の範囲内で、デバイスを用いない情報共有シ ステムを作り出すことが出来るだろうとのことだ」

「そして、この少女がそのサンプルということか」
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:42:47.07 ID:jrVlKs6o
青髪「必要なら、生きている同量産品を君たちに供与してもいい。とにかく、この遺体は君たちの物だ。保存状態は見ての通 りで、脳機能は停止している。だが、解剖解体すれば、いくらでも十分なモノは取れるだろう」

青髪「こんな死体、それ以外に使い道は無いんだ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ。なんならここで脳だけを取り出してゴミな体は捨て去ってくれてもいい」

青髪「できれば死んでいない状態で渡したかったんだがね。先日のアレで拘束具が誤作動したようだ。全く迷惑な話だよ」

打ち止めの遺体が出てきて、衝撃が一方通行に走った

だが、今はそれよりも強い怒りが彼の体を満たしている

一方(テメェの都合で殺しといて、その上ゴミとぬかしやがったかコイツは。フザケルノモタイガイニシロヨ)

保存装置に打ち止めの亡骸が格納されていく

一方(これ以上打ち止めをテメェらの好き勝手にhyq[]g……!!)

彼の体がそこにいた全員に認識される

黒い翼を携え、周囲に目に見えるレベルで空気の乱流を発生させる人間が急に各陣の首脳の前に現れた

理性による能力の現出では無い、彼なりの、暴走

瞬時に一番手前にいた軍の将校が舞い上がり、地面へ叩きつけられた

暴風によって弾け飛んだ血が周囲の人員にかかる

軍が一斉に攻撃を開始した
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:47:16.47 ID:jrVlKs6o
土御門「一体、何が起こっている…」

ビルの元まで誘導された土御門の前で一方的な戦闘が起きていた

争いの中心に居るのは、何かの装置の上の一方通行

兵は電磁砲を乱射しているが届く前に軌道が捻じ曲げられ、代わりにプラズマ化した金属の塊が兵隊を襲っている

軍の兵隊は次々と薙ぎ払われているが、それとは趣を別にした兵装の部隊はやられている兵を盾にして効果的に攻撃を防いでいる

最後衛に居るのは上条・結標、そして青髪

そこへ向かって一方通行が放った羽が向かう

上条は自分の腕を用いて身を守り、青髪は結標と共に移動することで攻撃を回避した

一方通行は何かを守っているかのようにそこを離れない。遠距離攻撃を繰り返している

ついに電磁砲を乱射していた軍の部隊は全滅し、ひたすら攻撃を防いでいた部隊に本格的に攻撃が集中する

特に青髪に対しては目に見えて攻撃が苛烈になった


結標「………」

目には見えないサイズの粉塵が青髪と結標を襲う

青髪と同時に攻撃を避け続けるのは能力的に限界が有り、攻撃が苛烈になるにつれて、目に見えて一方通行の攻撃が避けきれなくなってきた

回避優先が青髪になっているのか、青髪にはほとんど怪我は無い

青髪「この子予想以上に使えんなぁ」

そう青髪が言った瞬間に、結標に羽が直撃した

その場に仰向けで倒れ、出血が拡がる。だがそれでも青髪を一方通行の攻撃から守っていた

攻撃は青髪に集中していたため、被弾はしなくなったが、出血が酷い
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 03:51:20.73 ID:jrVlKs6o
青髪「これまでやな」

周りの部隊員も死傷者が増えてきた

青髪がポケットから端末を取り出し、簡単な操作をする

すると、一方通行が守っていた保存装置が動きだしビーカーを守る円柱が立ち上がる

まともな意識でない一方通行はそれに気が付かない

いや、あまりにも青髪への攻撃に固執し過ぎていたのだろう

次の瞬間、円柱が打ち止めの遺体が入ったビーカーごと射出された

反応が一瞬遅れた一方通行が、それについて行く

その遅れた一瞬でかなりの距離を稼ぎ、ビルの周辺の異常は去った

土御門が倒れている結標の下へ走った

誰も止める者などいない。死屍累々という理由もあったが、既に結標の利用価値が低下したためでもあった

土御門が結標の上半身を胸に抱える

出血量的に助からないのがわかる

土御門「結標… 」

胸に抱えた結標の目と土御門の目が有った瞬間、結標の目から一筋の雫がこぼれる。そして、息が無くなった

最期を看取った土御門が青髪へ向けて銃を構える

青髪「君にはそんな役割は期待してない。所詮は一方通行のサブプラン。ただの予備さ」

青髪「だから、そんなことをしてもらっても困るんだよ」

見下した言い方に、怒りを抑えきれない

土御門「ふざけるのもいい加減にしr…!」

言葉尻は聞き取れなかった。理由はシンプル。土御門の頭に銃弾が貫通したためだ

死体となってもなお、青髪の方向を睨んでいるのは流石だが、他の敵への警戒を死んだものとして怠ったのは過ちだった
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 03:53:33.19 ID:UwIg3lIo
もうやめて!これ以上みんなを殺さないでなんちゃら
503 :本日分オタワ\(^o^)/誤字とか説明不足がモリモリだろうけど気にしない[saga]:2010/08/12(木) 03:58:52.34 ID:jrVlKs6o
土御門の声に続いて銃声が聞こえたため、廃墟の陰で身を隠していた上条が戻る

状況を確認して、多くの兵が死に、土御門が死に、一方通行がいなくなり、結標が仰向けで動かなくなっているのを見て、口を開く

上条「一体、どこまでやれば気が済むんだ」

言うと同時に胸倉をつかむ

青髪「放しや。君は君の役割を果たせばいいんだ」

上条「へッ!あの子が死んでいる時点でそんなもの不可能だろうが!」

手を放さず、吐き捨てるように言った

青髪「考えてみ。一体、何のために結標の脳を弄ったと思う?何のために白井を拉致したと思う?」

邪悪な笑みを浮かべて上条に語りかける

上条に掴まれたまま端末を操作した

白井が結標と同じような首輪をし、同じような表情で現れた

驚きを隠せず、思わず胸倉から手を放す

青髪「もとより、計画済みに決まってるやろ」

白井の頭に右手を乗せてみるが、変化が無い

青髪「無駄や。その子の精神は魔術でも能力でもない方法で既に完全に壊れとるからな。もうただの人形でしかない」

再び上条の目に怒りの感情が現れる

(やめましょう。無駄です)

制止を食らったが、青髪に殴りかかった

愚直なまでに素直な、かつ強力な右ストレート

簡単にカウンターを貰い、仰向けに崩れ落ちた

青髪「残念ながら君の能力は攻撃に向いてない。もっとも、僕をここで殺せば連動してあの第三位も死ぬことになったんだけどね」

白井が倒れている上条の側による。見下ろしたその顔は光の加減か、泣いているように見えた

青髪「さて、そろそろ行ってもらおか。準備は出来てるよな」

上条「もうたくさんだ。とっとと終わらせる。早くしてくれ」

青髪が子供のような笑顔を作り、上条の体に白井の手が触れた
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 04:07:31.99 ID:Xce1QMDO
魔術側の死人がないのが…
つか海原どうなったっけ?
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 11:29:59.10 ID:jwD8KcSO
よしっ これで俺の好きなキャラ全員死亡確定したから心置きなく見れるぜ
・・・・・・orz
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 13:41:49.40 ID:OZl8C3Mo
もうやめてくれ
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 14:58:44.87 ID:gtther20
魔術側は確か早期に手引いたからな・・・
多分不干渉決めてるんじゃねと妄想してた。
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 14:58:49.09 ID:q1tuTioo
全キャラ皆殺しエンドやな
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/12(木) 16:33:35.64 ID:0lu6a.go
上条さん一矢報いてくれ
頑張れ
超頑張れ
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 18:15:38.33 ID:ynziK6AO
ツッチーまで[ピーーー]とはなんたるSS

一方さんが生き残ってるのがこの調子じゃ…
511 :少し短いけど投下[saga]:2010/08/12(木) 22:36:40.02 ID:/wQX5B2o
暗く広い部屋。中央にある円柱状の何か

上条の目の前に広がったのはそれだけだった

アレイスター「予定より少し遅いが、待っていた」

目の前に液体に浸かった男がいた

上条の仕事は拉致である。返事をせず、状況を確認した

(まずは、あのビーカーから取り出しましょう)

拳銃を取り出し、アレイスターへ向けて発射する

鈍い音がなった

上条(やっぱり駄目か)

傷一つ付かなかったビーカーに触れ、見上げた

接合部分らしき所も見えない。上部に見えるパイプが走っている部分に打ち込んでも結果は同じだった

そうこうしていると、ハングドマンと視線が交差する

アレイスター「無視されるのは面白くない。せめて反応だけでもしてくれるかな」

上条「こっちはお前をここから出すことしか興味は無い。それも構わないなら、相手になるぞ」

ビーカーの周りを調べる為に形にそって回る

アレイスター「今の君のその態度では、込み入った話はできないだろう。どれ、外の様子を見るがいい」

上条のちょうど正面に外の光景が映し出された

戻ってきた一方通行が青髪の喉元を片手で掴み上げ、青髪の体が破裂する

打ち止めの遺体が襲われることが無くなったからか、一方通行から例の翼は消えていた。冷静さを取り戻したのだろう

同時に、少し離れたところで立っていた白井が倒れる

これは青髪の狙い通りだったのか、それとも一方通行が戻ってくるのが予想より早かったのか、今となってはわからない
512 :会話回なのだ[saga]:2010/08/12(木) 22:42:21.92 ID:/wQX5B2o
アレイスター「今のは、君がここに入ってきて銃を撃つまでに起きたことだ」

アレイスター「分かっているだろうが、すでに君はここから出る手段が無いんだよ。私がどうにかしない限り」

映像を見てもうひとつ彼には分かったことが有った

上条「御坂…」

アレイスター「残念だが、彼女は彼と一蓮托生だったようだ。だが、これでもう君を縛るものは無くなった。それでも君は私を無理にここから出そうとするかね」

既に外部の映像は絶えていたが、上条はじっと映像が有った所を見つめて答える

上条「分かったよ。それで何だ。俺なんかと、何の話がしたいんだ?」

目を細めて上条の返答を聞き、肯定の答えを得て、巨大な映像を投影した

町全体が廃墟と化した、学園都市の今

アレイスター「これが現在の学園都市だ。200万を超えた人口も最早見る影も無い。このことについて、少なからず君にも関係はあるはずだ」

上条「何が言いたい。俺の責任を今更問いたいってのか?」

怒気を含んだ上条の物言いを簡単に聞き流し、言葉を続ける

アレイスター「ここから立て直すには少々手間がかかり過ぎてね。膨大な時間がある私と言えど、その手間は惜しい」

アレイスター「特に、人材面での立て直しが辛い。外見が同じでも同じ能力を持つことが出来ないことは君も知っているだろう」

アレイスター「もしこの状況から、失った人々を取り戻すことが出来るとしたら、君は手を貸してくれるかい?」

あまりにも現実的でない提案がなされた

(どういうことでしょう。私の考えうる限りでは、それを可能にできる方法など、現実味のない一つを除いてありませんが)

アレイスター「その方法だよ」

上条「!?」

思わず後ずさりした
513 :アレさまが喋るだけ[saga]:2010/08/12(木) 22:48:43.86 ID:/wQX5B2o
(…今のは偶然でしょうか)

アレイスター「偶然ではないよ。君の意思も私に伝わっている。例えれば周波数を合わせたようなものだ。私は機械にも少々 詳しいのでね」

上条「それで、その方法ってのは何だ?」

アレイスター「少し考えれば分かる。とてもシンプルな方法、とでも言おうか」

アレイスター「私自身、かなり長い時間を生き長らえているのだが、確率論では寿命は当の昔にに過ぎているの」

アレイスター「仮に不老不死の人間が出たとして、その寿命が有限であるのは有名な話だ」

上条「事故や事件とかに巻き込まれる可能性が有るからだろ。それぐらいは知っている」

アレ「その通り。現代ではおよそ1,000年という計算結果が出ている。そして私の今までの生涯はおよそ1,700年だ。その上この70年あまりは厄介な連中にも追われていたりしていた」

上条「…つまり何かの方法でそういうのを避けてきたと」

アレ「察しが良いな。だが満点ではない」

アレ「避けることが難しいこともあるのは君も分かるハズだ 」

上条「待てよ。自分の死が”避けれない”んじゃどうしようもないじゃないか。それこそ過去を変えない限りな」

アレ「それだよ。私は自分の死が免れることが出来ないと判断した場合や、自分の脈や呼吸が止まった時、過去へ戻ってやり直してきたのだ」

アレ「そうでもしなければ伝染病に感染したり、事件事故から身を守りきることはできない」

上条「だから今はこの完璧な”ハコ”に閉じこもっているということか」

アレ「その通り。そして私個人の逆行にも尋常ではないエネルギーが必要となる。故にいざというときに使えないこともあった。軽い気持ちでやるものではない。最終手段だ」

アレ「パラレルワールドという概念は知っているだろう?過去が変われば未来も変わる。それは異なる世界であるという概念 だ。だがね、経験上世界というものは一つの始原から終結までつながろうとする性質が有る。ある種の慣性のようなものだ」

アレ「その安定しようとする力はかなり強い。つまり単純に過去へ戻っただけでは、安定しようとする力に押し負けてしまう」

※現実にどっかの物理学者さんが発表した考えで、例を挙げると父親殺しのタイムパラドックスは拳銃で撃ち殺そうとした場 合、銃弾が不良品になったり、何かによる妨害が発生して父親を殺そうとさせてくれないというものでした

アレ「故に、今を変えるためにはその安定しようとする力に対抗しなくてはならなくてね」
514 :アレさまが喋るだけ[saga]:2010/08/12(木) 22:50:12.63 ID:/wQX5B2o
(…今のは偶然でしょうか)

アレイスター「偶然ではないよ。君の意思も私に伝わっている。例えれば周波数を合わせたようなものだ。私は機械にも少々 詳しいのでね」

上条「それで、その方法ってのは何だ?」

アレイスター「少し考えれば分かる。とてもシンプルな方法、とでも言おうか」

アレイスター「私自身、かなり長い時間を生き長らえているのだが、確率論では寿命は当の昔にに過ぎているの」

アレイスター「仮に不老不死の人間が出たとして、その寿命が有限であるのは有名な話だ」

上条「事故や事件とかに巻き込まれる可能性が有るからだろ。それぐらいは知っている」

アレ「その通り。現代ではおよそ1,000年という計算結果が出ている。そして私の今までの生涯はおよそ1,700年だ。その上この70年あまりは厄介な連中にも追われていたりしていた」

上条「…つまり何かの方法でそういうのを避けてきたと」

アレ「察しが良いな。だが満点ではない」

アレ「避けることが難しいこともあるのは君も分かるハズだ 」

上条「待てよ。自分の死が”避けれない”んじゃどうしようもないじゃないか。それこそ過去を変えない限りな」

アレ「それだよ。私は自分の死が免れることが出来ないと判断した場合や、自分の脈や呼吸が止まった時、過去へ戻ってやり直してきたのだ」

アレ「そうでもしなければ伝染病に感染したり、事件事故から身を守りきることはできない」

上条「だから今はこの完璧な”ハコ”に閉じこもっているということか」

アレ「その通り。そして私個人の逆行にも尋常ではないエネルギーが必要となる。故にいざというときに使えないこともあった。軽い気持ちでやるものではない。最終手段だ」

アレ「パラレルワールドという概念は知っているだろう?過去が変われば未来も変わる。それは異なる世界であるという概念 だ。だがね、経験上世界というものは一つの始原から終結までつながろうとする性質が有る。ある種の慣性のようなものだ」

アレ「その安定しようとする力はかなり強い。つまり単純に過去へ戻っただけでは、安定しようとする力に押し負けてしまう」

※現実にどっかの物理学者さんが発表した考えで、例を挙げると父親殺しのタイムパラドックスは拳銃で撃ち殺そうとした場 合、銃弾が不良品になったり、何かによる妨害が発生して父親を殺そうとさせてくれないというものでした

アレ「故に、今を変えるためにはその安定しようとする力に対抗しなくてはならなくてね」
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 22:52:06.39 ID:zq8r2Z6o
過去に戻った?
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 22:58:01.10 ID:/wQX5B2o
アレ「私一人の些細な変化ですら莫大なエネルギーが必要なのだが、この都市の関係する全てにおける今を変えるためのエネ ルギーは私一人の比ではない」

上条の方をじっと見つめる

アレ「そこで君だ」

アレ「”幻想殺し”、いや”相対するもの”よ。君の中に居る彼女の存在が、既に君の能力の本質を示しているだろう?」

今度は逆にアレイスターの方をじっと睨みつける。一寸の間が生まれた

上条「…俺に何を”殺し”て欲しいんだ?」

意図が伝わったようで、笑みを浮かべる

アレ「この星さ。それくらいの規模が必要だ。しかもそれでも戻せるのは10日前後だろう」

(駄目です。確かに理論上は可能です…しかし、そのような使い方は私の制御可能領域を逸脱しています。とても制御などできま せん。失敗したらどうなるか)

アレ「問題ない。予定通り君が来たんだ。こちらの準備はできている」

上条の横に、椅子が現れる。座れということなのだろう

意を決して、座る。肘掛へ両手を置くと同時に手足が固定された

アレ「少々痛いが、我慢することだ」

椅子の側部から、電極とも注射針とも言えないようなものを先端に付けた管が多数出現し、まるで上条を貪る様に突き刺さる

声を殺すようなうめき声を上げながら、上条が耐える

アレ「性質上、麻酔も使えないのでな」

上条「…今まで、先に死んでいった、連中、に、比べれば、これ、ぐらいで、音を上げるわ、っけには、いかねえよ」

頭を覆うようにできているHMD付きの被り物が装着された。視界には数式やグラフが多数同時に展開され、今後のシュミレー ションが表示される

右上に大きく表示されているのが、実行のカウントダウンなのだろう
517 :ありがち過ぎる展開…このカス野郎めが[saga]:2010/08/12(木) 23:01:21.90 ID:/wQX5B2o
アレ「例えば失敗してもこの建造物は独立して機能する。手加減はいらない。存分にやりたまえ」

残り150秒

目を閉じて、ここ2週間ばかりの事を思い出す

多くの人が死んだ

知らない人から、身内まで

120秒

上条が見てきた光景は正直、気持ちのいいものではない

故に、それを防ごうという意思に繋がる

90秒

自分が殺した敵

一方的に虐殺される無力な人々

60秒

強力な力と力のぶつかり合い

無力な自分

30秒

助けられなかった人

守れなかった約束

15秒

最期の姿と表情

5秒

二度目は、繰り返させない

1秒

そう固く、自分に誓う



GOというサインが大きく表示され、抑えていた全ての制限を取り払う

視界が白に染まった
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/12(木) 23:09:02.21 ID:/wQX5B2o
勝った!第1クール完!

言い訳させてくだしあ

あのね、あんなにね、キャラクター殺してね、話を書くことができますか?

できるわけないでしょう?

当然ッ…! 当然の展開ッ…!これは避けられないッ…!

なのでタイムリープオチというベタな展開ですが許せ、許してください!

正直女王様殺すくらいまで考えたけど、これ以上ジェノサイダーな話を書いたら病むよ。マジで

全滅ルートもそれはそれで楽しいオナニーですけどね。ウヘヘヘヘヘヘ
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 23:36:34.39 ID:fwU2ENso
物語の基本はハッピーエンドだってエロイ人が言ってた
520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/12(木) 23:45:39.02 ID:fwU2ENso
つか最初の投下からずっと読んでたけど凄く長いSSって感覚があるがまだスレの半分なんだな
登場人物みんな死んじゃってどうやって収集つけるか謎だったけど、なるほどタイムリープね。
それはそれでありだと思う。
このままみんな死んだまま終わっても正直それじゃ救われないしな。

あ、佐天さんは別よ。
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/13(金) 00:02:36.71 ID:UypJ1iYo
美琴が死んだ・・・orz
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/13(金) 00:40:34.27 ID:ZYkvZ6SO
しゃあぁぁぁぁぁぁ!!!
タイムリーぷ万歳ッッッ!
ベタこそ王道上等!!



・・・まぁ過去に戻っても確実に誰か死ぬだろうけど
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/13(金) 20:23:06.99 ID:8mrs9x60
美琴はしんじゃあかん





あ、佐天さんは別よ。
524 :□□[sage]:2010/08/14(土) 00:31:18.86 ID:GxG/zgDO
というか。私は。死んだの?
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 02:28:46.17 ID:c8aA9QYo
テステス
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 02:35:04.84 ID:c8aA9QYo
ヒャッハー

実家の回線ならPCから書き込める!こんなにうれしいことは無い

難点は、あまり書く時間が取れないってことだな

それでは本日分を短いですが投下します

>>524が見えない
多分■■さんは空気過ぎて人工能力者には殺されなかったけど
その後のには巻き込まれてるんじゃね?むしろBHにも空気扱いされたのかも知れないですな
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 02:41:00.63 ID:c8aA9QYo
(…ま、とうま、当麻。おきてください)

光が強い。だがさっきまで自分の見ていたのとは異なる光が彼の周りにあるのを感じる

体勢は、あの椅子に座っていたのとほとんど変わらない。だが、手足の自由は利くようだ

恐る恐る目を開く

20〜30代の制服を着た女性がこちらを覗いていた

CA 「御目覚めですか、おはようございます。御食事の時間ですよ?」

目の前に鶏肉と魚のメニューが提示されていた

上条「…っ、あう?」

状況が良く飲み込めない。おかしな声をあげてしまう

隣の男がクスリと笑った

上条「鶏肉でお願いします」

口が勝手に動いた。気を利かせてくれたらしい

Sure.という声と共に、料理を乗せたプレートが目の前に置かれた

上条(ありがとさん。助かったよ。でもってここは飛行機内、か)

(そのようですね。スイス行きの飛行機の様です。時間的には、私とあなたが会う前だったはずですが)

上条(強引に時間軸を変化可能にして来たんだろ?こういうことがあってもおかしくは無いんじゃ?)

(まぁ、私という存在の物理的な大本はとても軽微な物ですからね。誤差と言えば誤差の範囲なのかもしれませんし、無意識的に自己防衛が働いて、あなたを使って自分の存在が消えるのを防いだのかもしれません)

上条(どっちにしても助かるよ。俺だけじゃ、いろいろと不都合があるからな)

周囲を見回す。どうやら本当に行きのスイスのようだ。若干座っていた席が異なりビジネスシートに座って居るが、誤差なのだろうか

視線を感じた。些細なレベルだが、かなり自然な方法と頻度でこちらを窺っている奴がいる

(あれは、いわゆる監視ですね。都市側にはこの脱出は気付かれていないはずですから、CIAの者でしょう)

上条(断定はできないが、そうなんだろうな。前は全く気が付かなかったなぁ)

(あなた単体でも、ある程度はエージェントとして育てられているはずですが、気が付かなかったということはあちらが相当レベルの高い人なんでしょう)

上条(ほっほ。ちょっと、挨拶でもしようか)
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 02:50:04.58 ID:c8aA9QYo
席を立って、座席の後方にあるトイレへ入り、チャンスを待つ

程なく、機内が乱気流に突入したようで揺れ始めた

トイレから出て、寝ぼけて席を忘れましたという雰囲気を出しながら、その人物へと近づく

50cmのところでちょうど、強い揺れが機内を震わせた

上条「うおっと、スミマセー、ン?!」

あえてカタコトの英語を使って倒れこむ。だが、思いの外揺れが強く、狙いが大きくそれた

?「あら、積極的ね。大丈夫?えっと、あなたh」

空中を漂う普通の人間には、軌道を修正することなど出来ない。そのまま、豊満な胸を持つ女性に飛び込んでしまった

上条がどうみても白人には見えない為か、日本語で声をかけられた

上条「だ、大丈夫です。ごめんなさいぃ!」

と言って、ろくに顔を見ず、逃げるように去った

(こっちを見ていたのは隣の男性でしたよね?)

少し強い口調の言葉が脳内に響く

上条(…まぎれもない事故です。事故なんですったら!ああ、神はどうしてこう、いらん世話を焼いてくれるんだ?!)

(どうですかねー。狙ったようにも見えますがねー。まぁ、目的は果たせましたし、良しとしましょう)

先程には無かったふくらみが腰のポケットにあった。標的だった男の足元の鞄に挟まった手帳を抜いておいたのだ

上条(これが本当に使えるものなのかわからないけどな)

(いやむしろ、平時のあなたを監視している連中にとってすれば女性にダイブするくらいが自然に映るかもしれません)

上条(ああ、まだその話引っ張るのね。しかもなんだか変な尾ひれがついてるし)

(だって、それ、ここで読むわけにはいかないでしょう。機内に居る限り、動ける範囲はもうない訳ですから、あなたを弄るぐらいしかやることがありませんよ)

上条(ということは、今から残り7時間ずっとあなた様に弄られるづけるわけですね。ええ、わかりますとも)

(観念してください。だいたいあなたは唯でさえフラグ体質なのになんでこう偶然と女性に近づこうとするんですいつか言いましたが007だって作中は殆ど同じ女性しか見ていないのですよそれをあな)

永遠に続くようなクレームが上条の頭脳を駆け巡る。つまらない授業のように右から左へ聞き流すことも許されない状況に、久々のフレーズをつぶやいた

「…不幸だぁ」
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 02:54:12.49 ID:uDvShxIo
ずいぶん戻ったなww
今度こそ誰も死なない皆が笑っていられるハッピーエンドを…

あ、佐天さんは別y
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 02:57:59.97 ID:c8aA9QYo
暗い、暗い部屋

だが、完全な黒ではない。カーテンの隙間から、外の証明の光が時折入ってくる

寝なれたソファから身を起こし、室内を確認する

一方(今日はこっちに泊まったンだったかなァ…?)

周りに起きているような気配は無い。皆寝静まっているのだろう

どうにも目が冴えていて、寝なおす気にもならない

どうせなら人目につかない暗いうちにこの部屋から出てしまおうと、立ち上がる

その時、大きく違和感を感じた。強引な何かの力によって記憶が押さえつけられているような、そんな感覚

言葉にしがたい感覚に、言いようの無い感情を持ちつつも玄関のほうへ歩む

?「もう帰っちゃうの?ってミサカはm…ハファ」

眠そうに目を擦りながら、少女が玄関付近に立つ男に話しかける

気づかれちまったか、と内心いつつ、振り返る

一方「なんだかんだでお尋ね者だからなァ、俺は。お前は、前みたいに寝小便垂れる前にとっととトイレで用足して寝ておけ」

謂れの無い言葉を聴き、すっと目が覚める

打ち止め「あれ?ミサカそんなことしたっけ?そんなに私子供じゃないよってミサカはミサカは憤慨してみたり」

一方「あァ?そうだったか。まァ、ンなことはどうでも良いからおこちゃまは寝ろ」

とにかく部屋を出ようとする一方通行に、少女が目覚めきらない足でフラフラと進む

打ち止め「…しばらく会えないかもしれないしね」

そういって少女が、一方通行のか弱い腰に抱きついた
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 03:03:47.76 ID:c8aA9QYo
彼女のこの手のスキンシップは今に始まったことではない

だが、一方通行は、なにか生暖かいものが目に溜まっていくのを感じた

無意識に打ち止めを強く抱きしめる

普段とは異なった反応に驚き、一方通行の顔を覗き込むと、普段の彼は決して見せないような表情を浮かべていた

打ち止め「どうしたの?って聞いてみる」

話しかけられて、我に返って打ち止めを両手で引き離した

顔を見られた恥ずかしさと、何より自分自身への不明が彼の中に高まっていく

一方「…なンでもねェよ。じゃァな」

振り返って玄関を出た。跡に残された少女はしばらく唖然としていたが、尿意と睡魔に負けて玄関からトイレへと進む

男のほうは、玄関にもたれかかり、ひとまず高ぶった感情を抑えるに勤める

数秒たって落ち着いた

一方(畜生、何だってンだ。なンで涙が出てきやがった)

一方(何か重要なことを、消し去りたいことを、忘れてるような気がしやがる)

一方(あいつがお漏らしをしたなんて記憶は無ェ。じゃあなンであンな言葉が自然に出た?前って何時だ?)

一方(何も思い出せねェ。何かが邪魔を、妨害をしてやがンのか?)

必死に脳内を巡る

出てくる情報は無い。ただ、あの男に殴られた場所が何かを主張しているかのようだった


その場所に手を当てて、考える

一方(…三下か)

理由はわからないが、何かが、何かに抵抗しながらヒントを表している

彼を苛々させるものによって、彼には一つやるべきことが増えた
532 :本日分オワタ かなりすっきりしないけどね[sage]:2010/08/14(土) 03:15:05.65 ID:c8aA9QYo
うわ無駄改行入っちまった。これだからPCは困る


土御門「スースースー。まい、かー。スー…!?」

至福の夢タイムを、なにかの衝撃によって邪魔される

何かの術中にはまったような感覚が土御門の体を駆け抜けたのだ

上条の居場所を追う為に発動した術の代償はすでにある程度回復し、多少の痺れは残るものの、意識を取り戻してしまった土御門は立ち上がった

土御門(この感覚は、なんだ?自分の存在が、置き換えられたような)

何が起きたのか確認しなければ。

だが、回復しきってすらいないのに、すぐに術を使うのには抵抗があった。しかしながら最低限、自分の身は自分で守らなければならない

たとえ今のが自分へ向けた術でなくともそうであっても、それを怠るわけにはいかない

体が切り裂かれる中で、自分について解析をかける

結果は、白。少なくとも彼が知る限りの術や能力による影響では無いとわかる

だが、違和感は確かに感じた。探索するということが得意な術士であることで、鍛えられた勘ともいえる感覚によるものなのかもしれない

結果だけ見れば無駄骨だったのかもしれない。しかし上条に加え、考えなくてはならない要素が増えたのは確かだ

土御門(なんて絶妙なタイミングなんだ。まさかまた上条絡みか?)

時勢は確かに合っているが、それ以外に彼を指し示すことも無い

土御門(まだ断定は出来ないな。少なくとも、他の人間の意見を聞かない限りは。この手の、こと、に、詳し、いのh…)

そこで、彼の意識は途絶えた

本来ならば朝まで休み続ける必要があったのを圧してさらに術を使ったのだ。無理も無いことだった



533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 03:46:52.52 ID:uDvShxIo
乙!
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 11:02:58.13 ID:LPEhV4Qo
お前らがそんなに佐天さんをいじめたがるんなら
佐天さんは俺がもらっていくからな!

それと>>1乙
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 11:53:54.30 ID:YjzOlsSO
すげーワクテカ感に襲われている 乙
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 21:13:36.85 ID:kgxQizAo
ここからどう変わっていくのか
まるでエロゲの二週目をしているようで楽しみだわ
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/15(日) 01:04:32.10 ID:15VFHkSO
何人かは以前の世界の影響が残るのか
☆がわざとやったか?
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/16(月) 13:45:51.88 ID:ttOKJo2o
たちーあがれ
けだーかくまえ
さだーめーをうけーたせんーしよー
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/16(月) 22:47:59.49 ID:vIsQouoo
つよくてニューゲームってこういう感じなんだろうか
540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/16(月) 22:48:07.21 ID:GSBD7sDO
シュタインズゲートみたいで面白いわ
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 00:46:21.15 ID:Fif017go
スイスチューリッヒ空港

上条(二度目になるとなんだか懐かしさすら感じるな)

たった二週間前にも訪れたのだが、ずいぶん久しぶりのことのように彼には感じた

修学旅行先に大人になってから訪れるとこういう感覚になるのだろう

いやな面をした税関の顔すら彼にとっては心地よく感じ、とても愛想のいいドイツ語で応対をした

道は分かっている。監視を撒くため、人波へずかずかと入っていった

当然監視の男が離れないようについてくるが、外国人に比べ背の低い上条を見つけるのは難しい

しかも、彼の持つ情報では上条はここへ来るのは初めてということになっている

今の上条の行動はその情報からは全く考えられないものだった

結局、彼は完全に上条を見失ってしまう。現場にいる彼の仲間たちも同様だった

一方で上条はやたら背の高い男の集団に紛れて、手に入れたブツへ目を通す

それは、一般的なビジネスマンとしての手帳そのものであった

(ま、解放が分かってる数学の問題みたいなものですよ。何しろ身内ですからね。各月の予定の書いてあるページを順にめくってください)

指示通りにページをめくる

(各月の一番最初の予定に注目してください。その最初の単語の先頭部分のアルファベッドまたは数字を並べれば何か言葉が浮き出るはずです)

浮かび上がったのは、何かの名詞と数字

(これは住所、みたいですね。行ってみない事には何があるか分かりませんが)

上条(そうだな。今回は、先にそっちへ行ってみるか)
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 00:52:37.08 ID:Fif017go

少し朝早いが、電話をしている少女が合った

御坂「へぇ、スイスにね」

美鈴『そうよ〜。たまにはこっちから会いに行ってあげようってことだったんだけどね。さっき電話で会えるのが一日遅れちゃうって言われちゃった』

あくまで自然に残念そうな声を出しているが、娘にとってはそれが逆に不自然なことを見抜いている

御坂「ふーん。そりゃ、残念ね。…それで、本題は何なのよ?」

美鈴『あら、分かっちゃった?』

御坂「いっつもそんなことで電話してこないでしょ?それにこんな朝早い時点でダウトよ」

美鈴『鋭すぎる女の子って、可愛げが無いわよ〜』

御坂「親子で可愛げとかどうでもいいわ!で、何なのよ?」

美鈴『えっとね、行きの飛行機で当麻君に会ったわ』

予期せぬ母の発言に、言葉が詰まる

御坂「…え、見間違いじゃないの?」

美鈴『それは無いわね。私の胸に飛び込んできたんだから、間違いないわよ』

胸、に、飛び込んだ?私の母親の胸に?私とは似ても似つかないサイズの胸に?

御坂の頭の中で母の言葉が回る

御坂「ちょ、ちょっとどういうことよ?!なんでアイツが巨乳に?じゃなくてスイスなんかに?!」

娘のあわてた声が聞けて、電話の目標が達成できたと拳を上げる

美鈴『取り乱しちゃって、分かりやすいわね。勿論理由は分からないわ。その上、向こうは私に気づいてなかったみたいだったなぁ。直ぐに逃げられちゃったもの。やっぱりアイマスク代わりのサングラスが悪かったのかしら』
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 00:54:47.35 ID:Fif017go

最早、返答など耳には入らなかった。彼女の頭にあるのは嫉妬から来る怒りである

御坂「ともかく、アイツがいたのは事実なのね?!胸へ飛びついたことも!」

若干言葉のニュアンスが悪化していることに少女の母親は気がついていたが、面白いので無視である

美鈴『そうよ。良かったじゃない話題が出来て。それにしても意外だったわ〜。かなり流暢なドイツ語を使ってたし、見知った場所みたいだったもの。空港であっという間に見えなくなっちゃった』

御坂「ド、ドイツ語?アイツにそんな学があったかな」

美鈴『人は何かしら隠れた一面があるものよ。あ、電車来たから切るねー。学校がんばってねー、って今日は休みか。バイバーイ』

御坂「待ちなさい!待って!ちょっと!あーっ!」

切れた。なんともすっきりしないもやもやが残る

大声によって起こされた同室の少女が、ブツブツ言っている先輩を寝ぼけ眼で見つめているが、本人は気にしない

御坂(アイツにあったら事の詳細を聞き出してやる…!)

しばらく百面相をしていたが、こういう意思が彼女の中でまとまった

御坂「黒子!」

とりあえず顔でも洗ってこようとしていた少女を強く呼ぶ

白井「な、何ですの?」

御坂「今日初春さんを呼び出してくれる?」

白井「え、えらく急ですわね。多分何とかなるとは思いますけど…」

御坂「じゃあお願い!頼んだわよ!」アイツメナニヒトノハハオヤニ…

また勝手にブツブツタイムへ突入したようだ。少女にとってはいい迷惑である

白井(当麻さんのことになると、大変ですわね)

そう思いながら、ため息をついた
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 00:57:18.37 ID:Fif017go
(ここですね)

目の前にある建物は、隣接するほかの建物となんら特徴的な変化は無い

上条(さって、どうやって入ろうか)

(正面からでいいのでは?今の状況なら、別に捕って食われるというわけでもないでしょうし)

うなずいて、扉を開いた

入って直ぐ左手に管理人の小部屋があり、入ってきた上条を睨む

これがCIAの関係者なのか、ただの建物の管理人なのかはわからない

管理人「…日本人か?」

短い言葉で質問される。黙ってうなずく

管理人「あいつは上の奥の部屋だ。何の用事か知らんが、厄介ごとと器物破損は簡便だぞ」

親指を立てて階段を指し示す

言われた部屋の扉を開くと、一人の中年の男が窓の外を見ながら立っていた

刀夜「まさか、お前が来るとはな、当麻」

上条「父さん…?!」

振り返ったその人は間違いなく、父、上条刀夜その人だった

刀夜「この場所を突き止めるとは、やるじゃないか」

上条に近づき、軽く肩を叩いた。その行為からは悪意を感じ取れない

(DNA情報、解析完了。間違いなく、あなたの父親です)
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:04:26.33 ID:Fif017go
上条(なんでこんな場所に父さんが?CIAの人間だったのか?)

(どうでしょう。心苦しいですが、あなたを騙しているのかもしれません。あなたの記憶にあった刀夜氏の情報どおりの人間である可能性もまだ十分に有り得ますが)

上条「ある組織の一員の手帳を辿ったら、父さんがいた。一体何者なんだよ?たまたま、ここにいただけなのか?」

興奮した息子を見て、微笑を浮かべながら、息を吐いた

刀夜「過程がいろいろあったとはいえ、お前をそうさせたのは私が原因だ。だとすると、関りが無いはずもないだろ?」

刀夜「過ぎてしまったことだ。私には許してくれとしか言えない。でも、こうして無事に顔を合わせることが出来るんだ。それで許してはくれないか?」

父の言葉は伝わるが、どうも腑に落ちない。何かを隠しているのか、言わずにおきたいのか、自分を試しているのか。そんな印象が残る

上条「待て、話を摩り替えないで欲しい。今俺が聞きたいのはなんで父さんがここにいるのかってことだよ」

男は目をつぶり、間を置いた。口元は少し緩んでいる

刀夜「いいか当麻、一度しか言わないからよく聞けよ。”銀貨30枚”だ」

脈絡の無い言葉に返答が出来ない

刀夜「いつか意味が分かる時が来る。とりあえず今はここを去るんだ。本来私が会う予定だった人間が来るからな」

今一、どういう立場なのか判別が出来ない。しかし、ここにいては邪魔になるのだろう

上条「…わかった」

父親から背を向けて、部屋の扉へ向かう

チラと後ろへ一瞥すると、父は手を上げて一言喋った

刀夜「当麻。お前はお前の考えに従うんだ」

うん、と、うなずいて彼は部屋を後にした
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:14:04.35 ID:Fif017go
土御門「せっかくの休日だけど、お仕事だにゃー」

海原「休日、とは言っても学生生活との両立をやってるのはあなただけですからね」

結標「なんかニートみたいな言い方ね。勘弁してほしいわ」

一方「ンなことはどうでもいいだろ。とっとと内容話せよ」

土御門「ノリが悪いぜ一方通行。まぁ、要約すると理事会のメンバーに裏切り者がいるんだとよ。そいつの削除だにゃー」

眼鏡を付けた紳士の写真を土御門が示した

一方「ケッ。湿気たオヤジ一人[ピーーー]ぐらい、わざわざ俺たちが動く必要があンのかよ」

結標「まぁ、文句を言っても始まらないし。さっさと終わらせましょ」

土御門「その通りだな。標的は今日の14時から第3学区で外部の人間と会合があるんだが、その場を狙って行う予定ぜよ」

海原「というと、わざわざ外部の人間がいるところで殺せということですか?」

土御門「ああ。恐らく、その相手も裏切りに関与してるんだろう。一種の脅しだな。だが、他の無関係な人間には見つかるなとも言われてる」

一方「変な条件付けてきやがって。わざわざ俺等ンとこまで来るわけだ」

土御門「ある程度の護衛は予測される。だが障害になり得るほどじゃないはずだ」

言い切って、土御門がその場の人間を見渡す。これだけ話せば、大体の方法は全員共有できているであろう

その証拠に、特に何か喋りだす者もいない

一方「了解だ。だったら、時間まで一旦解散って事でいいか?」

海原「何か用事でも?」

一方「ああ、ちょっと調べ物をなァ」

土御門「了解。俺も少し休みたいところだったからにゃー」

結標「じゃあ、時間になるまでさよならね」

土御門はそのままソファで睡眠をはじめ、海原は写真を眺めている

結標と一方通行は部屋から出て行き、建物から出たところで別れた
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:16:54.24 ID:Fif017go
休日の大通りは人でごった返す。先に進み難いと思いながら、白髪の男は第一学区へ足を向ける

?「一方通行ではありませんか」

ふと、後ろから声が聞こえた

一方「妹達か。なンだ?迷子にでもなったかァ?」

10032「打ち止めなら分かりませんが、少なくとも私は自分の町で迷子になるようなことはありません。ただの挨拶です。とミサカは主張します」

一方「そうかよ。あァ、そういえば三下がどこにいるかとか分かるか?」

10032「今から調べ上げることは出来ますが、今のところどこにいるのかは知りません。あの人に何か用でも?もしやロリから男色へh」

一方「違ェ!ちょいと聞きたいことがあるだけだ」

信号が赤になった

10032「…残念ながら、ここにいる他の妹達も知らないようですね。ああ、そういえば」

口元へ指を置き、宙を見ている。随分と仕草が自然になったものだ

10032「昨日、あの人が21学区へ向かうのを見ていますね」

一方「21学区だァ?天文台で星を観察するような洒落た趣味でもあるのか?」

10032「いえ、午前中のことでしたから、それは無いでしょう。私達も理由は分かりません」

一方「そォかい。ンま、情報ありがとよ」

10032「助けになったのなら幸いです。では、私はこっちなので」

信号を渡りきり、逆方向へ歩みを進める

10032「あ、そういえば打ち止めが会いたがっていました。あなたがなんだか面白い顔をしていたそうで」
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:21:20.31 ID:Fif017go
先日のことを思い出し、顔が染まる

一方「う、うるせェよ!そっちなんだろ早く行け!」

ニヤリと笑みを浮かべて、ではとミサカは(ry、と言って去っていった

一方(21学区。ダムにでも用があったってか?今から行ったら集合時間に間に合わねェな)

警備も設備も厳しい第1学区で活動するのは骨が折れるが、人気の少ないところであれば気にせず動くことが出来る。楽なところに可能性があるならそっちを優先したい

手ごろなデバイスで試してみたが、生徒個人の場所を特定するのは厳しい。例の高性能衛星が壊れていなければそんなことは無かっただろうが、今は無いのだ

時間という制約が鬱陶しく、また上条を探す理由もよく分かっていないので今から第一学区へおもむく気にはならない。中途半端に時間が余ってしまった

戻ろうかと思い始めていたとき、青い髪をした人が彼を抜かしていく

なぜか反射的に体に力が入り、自分を中心とする突風を起こしてしまった

周囲の人は急な突風でスカートを抑えたり、何が起きたのかと回りを見渡したりしている

当然、通り過ぎた青い髪の人間も振り返る

その人は女性だった。その顔を見たとき、強張っていた体から力が抜けるのを感じた

一方(俺は何でこンなことを…?)

考えていると、周囲から嫌に視線を感じる。その多くは女性のもので、スカートを履いていた

「アイツです!能力を使ってセクハラしたのは!」

声のそばには風紀委員という文字がプリントされた腕章を持つ人が立っていた

状況を理解して、彼は全力で逃げた
549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:31:57.82 ID:Fif017go
体験の中では一度来たことのある銀行へたどり着いた

時間は少し前と違うが、同じようにして扉をくぐる

受付で前回と同様の対応を受けて、ドイツ語を使ってスムーズに個室へ通される

用意されていたものも、見た目に変化は無い

上条「ちょっと、席をはずしてくれますか?」

「かしこまりました。用が済み次第、声をかけて下さい」

担当の人間が部屋を出たのを確認して、封筒を開ける

中に入っていた書類もそのままだった

(この辺の書類は全部記憶されていますし、焼却処分にでもしましょうか)

書類を一応一瞥し、封筒へ戻す

問題は、上条用にあてがわれた能力拡大装置である

上条(仕様書に変化は見られなかった。ということは、これの中には…)

(まず間違いなく、私が入っているでしょうね)

上条(どうするんだよ、コレ)

(捨てたりとかは、してあげないでくださいね。”私”はずっとあなたを待っていたわけですから)

上条(わかってるさ。でも、俺以外に使えるかどうかも分からない代物だ。持ってて失くしたり壊れたりしたらどうすんだ?)

(簡単ですよ。今ここで使えばいいんです。さあ)

左手が勝手に動き、万年筆を持ち上げる

上条(えっと、問題無いんだよな?)

(大丈夫ですよ。エラーが起きそうになれば私が抑えますし)

二重底から、フィルムが挟まった板を取り出した

一息置いて、使う。前回と同様に、舌の上で溶け広がっていく
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:36:34.25 ID:Fif017go
(構築活動開始を確認。左脳部の対称にあたる右脳の部分へ向かうよう指示。基盤部の設置開始を確認、既存微小機械に補助指令。理論効率35%上昇、実測値31%上昇。構築完了時間上方修正、残り2分)

視界の片隅で数字と文字が次々とあわられ、スクロールしていく

上条(実際、頭の中で機械が動き回って何かを設置しているってのは、感覚は無いのに気持ちが悪いというか落ち着かないというか、奇妙だな)

(寄生虫に寄生されるようなものですからね。分からないでもないです)

上条(前は知らないうちに出来てたからなぁ。お、)

Finishedの文字が表示される

(設置完了。システムの起動を確認。おはよう、私)

(おはようございます。構築の手助け、感謝します。スタートアップの読み込みを開始します。読み込み完了。同期、開始)

左右で同じ声が喋りだした。これはもう混乱するしかない

上条(モノラルからステレオへ、時代が進化しましたなぁ。って、これじゃどっちがどっちかわかんねぇよ!)

((私達はもともと同じものです。既存のデータを読み込んだことで、差異はありません))

(しかし、やることが出来る幅が広がりました。演算速度・領域ともに平均して80%の向上です)

(ほとんどチートの領域と言って良いでしょう。安全率も広く取ってありますから、終極最大上限値は単独のときと比べて245%)

上条(こいつは大した進歩だな。ま、無事成功してよかったと言う事で、まずはこの後について考えようぜ)

ステレオで喋るが、話し方も同じなので、今までとの仕様の変化を感じない

(前回は宿へ行き、そこで接触がありましたね)

(状況から判断すると、そこで命令されることは変わらないと思われます)

上条(となると、接触を避け続ければ第二位の拉致命令を受けることはなくなるよな)

(でしょうね。しかし、あなたがしなくなるだけで他の人間が変わりに同じ事をするだけになる可能性もあります)
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:43:11.99 ID:Fif017go
上条(第二位を倒して拉致することが出来る人間なんてそんなにいないだろ)

(一対一なら、あなた以外にいないとは思います。しかし高レベルの罠に嵌ってしまうと第二位といえど)

(恐らくあなたが禁書を捨ててでも拒否した、または敗れた場合にはそのような計画に移行するようになっていたと思います)

((つまり、結局第二位は間違いなく襲われる構図となっていると考えられます))

上条(ということは、それを隠す為に行われた可能性のあるスキルアウト蜂起がまた起きるかも知れないってことか!)

(私達の明日は丸々移動日で消え、明後日には蜂起が起きる算段です。すでに武器は入っていることでしょう)

(予想通りの動きをしていたとすると、実質、蜂起を防ぐ為の時間は私達にはありません)

上条「クソ!どうしようもないってのか!」

声が室内に響き、拳を机に叩きつける

(一日早く、帰る方法ならありますよ)

上条(なんだって?!)

(さっきまでは出来なかったことです。ですが、私が私達になったことで可能になりました)

方法を上条の視界に表示する

上条(オイオイ。こいつは随分無茶苦茶な方法だよな)

(時間が無いのでしょう?やるしかありませんよ)

苦々しい表情を浮かべたが、両手で顔を二・三度叩いて決意を固める。扉を開けて部屋を出た

そばで控えていた担当の女性が寄ってくる。そこへ声をかける

上条「ここの口座の金を300万ドル分、この口座へ移してください」

「分かりました」

挨拶をしようとした上条の口と手が、勝手に動いた

上条(ちょ、一体何をしてるんだ?)

(私達は少し先の未来を知っているんです。多少の変化があるようですが、コレを利用しない手はありません)

上条(さいですか。何をするつもりか知らないけど、禁書の食費は残しておいてくれよ?)

上条「それでは、また」

そういって銀行から出た
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:46:24.68 ID:Fif017go
純和風の料亭前に、リムジンが止まる。

中から一人の理事が姿を現した。秘書を連れて、建物内に入っていく

海原『標的と外部の人間が接触。そのままエレベーターへ向かっています』

土御門「了解ぜよ。あわきん、奴らの部屋は」

結標『特定済みでカメラもセットしたわ。なぜか落ち込んでるモヤシも側にいるから、いつでもいけるわよ』

土御門「よし。万事順調にゃー。海原はそのまま気づかれないように尾行を頼むぜぃ」

海原『了解です』

一部の狂いも無く、作戦は進行していく

結標「あの時間に何してきたのよ?」

一方「テメェには関係ねえ事だ。気にするな」

結標「だったら、あからさまに機嫌が悪いのが分かるテンションをやめてよね」

ハイハイ、と何度目か分からないやり取りをもう一度繰り返した

結標「ハァ。…あ、そういえば、ちょうど解散してた時間に小学生レベルの変態が現れたんだって」

一方通行の体がピクリと反応したのだが、彼女は気づかないで喋り続ける

結標「そいつ、天下の往来のど真ん中で能力使ってさ、周りにいた女の子のスカートを片っ端から巻き上げたんだって。どんな少年の仕業かと思ったら、どうやら結構な年齢みたいでね」

一方通行の顔がますます曇るのは見えていないようだ
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:50:09.28 ID:Fif017go
結標「いやー、変態ってのはいるもんなのね。犯人はそこから直ぐに逃げたみたいだけど、ばっちりいろんな人に姿を見られたみたいでさー」

結標「色白で、白と黒のストライプを上に着てたらしいけど。…ってあれ?あなたも白黒ね」

そこで一方通行の非常に苦しそうな表情に気がついた

視線をそらす。好ましくない沈黙が流れた

海原『そちらの部屋に標的が入りました。あとは任せましたよ』

天の助けのような無線が入る

結標「了解!」

返答して、モニターを熱心に見つめる。否、一方通行のほうを見たくなかったのだ

両者が席に着き、秘書が下がる

しばらく挨拶のような会話をし、中庭の風情をひとしきり堪能した後、窓を閉めた

これで外からは完全に見えない。非常に防音性の高い部屋であることはすでに確認している

土御門『よし、話が終わって芸者が来る前に片を付ける。一方通行、頼んだにゃー』

結標がゆっくりと首と目を動かして一方通行のほうを見た

逆にこっちを殺さんとばかりに睨んでいる

何か言おうと口を動かそうとするのを見て、あわてて空間転移させた

広くはない個室の中央の机の上に、口を開いた状態で急に現れたモヤシを見て、標的の理事は一瞬で状況を把握してしまった
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 01:54:45.35 ID:Fif017go
情けない様で悲鳴を上げつつ、出入り口へ振り向いて一歩を踏み出した

その瞬間、標的の腹を何かが貫通する

手を引き抜き、倒れた標的がピクピクと震えながら血飛沫をあげているのを確認して、振り返る

机の対面にはまだ接触をしていた外部の人間がじっと座っている

一方(なンだこいつまさか座ったまま失神してるのか?)

サングラスを付けた顔からは、目元の表情が見取れない

脅しをかねて、こんな派手な殺し方をするように言われていたのだが、効果があったのか分からなかった

じっと睨んでいると、両手で机を押さえ、男が立ち上がった

スーツの中から銃を取り出して一方通行へ向ける

一方(フン、俺にそンなものは利かねェっての)

脅しである以上、[ピーーー]ことは出来ない。逆に殺される可能性も無い以上、そのままスーツの男を睨むだけだった

男が引き金を引いた

銃のスライド部分が吹き飛び、強烈な閃光が放たれる

一方通行自身の反射に加え白を基調とした部屋の中では光が乱反射し、さらに普通の銃だと思っていた為、不意をとられた一方通行はまともに正面が見えない

見えない期間は一瞬だったが、強引に周りを調整して前を向いた時には、すでに目の前の男は消えていた

窓は開いていない。後ろの扉にも鍵がかかっている。いわゆる密室である

一方(クソが、どうやって逃げやがったッ!)

男の血によって半分赤く染まった部屋で、一方通行は一人残された

結標『あのさ、カメラが全然映らないけど、もう回収してもいいかな?』

彼の耳に暢気な声が響き渡った
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 02:09:18.67 ID:Fif017go
上条「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお?!」

ロシア上空、1万メートル。−50℃の極寒の空中を、黒い何かが超音速で駆け抜けていく

彼はすでに一時間はこの体勢のままである

原理は熱核ジェットに近い。

ただのパイプに、パイプサイズに穴を開けたゴミ箱をつなげ、それに男上条はまたがっているだけだ

上条が触れている空気中の物質へ反物質を作り出し、対消滅。そのとき得られる莫大な熱エネルギーをパイプの中で解放する

パイプの口からは先に進む際に常に空気が吸入され、パイプ中の熱により膨張

それがゴミ箱側へ高圧で抜けていく。何分機構が単純な為、損失するエネルギーが多いが彼一人を輸送させる手段としては十分だ

通常この移動速度時に生じる摩擦熱はおよそ300℃。周囲の温度が−50℃である為、本来なら差し引いて250℃の熱が上条を焼くことになる

だが、摩擦を生じさせる空気中の物質を分解しつつ進むので空気圧力は下降し、上条らが実際に受けているのは大体40℃程度で、速度による被加衝撃も許容範囲である

40℃という温度も、正面から受ける弱められた風によって体感温度はそこまで高くない

魔法の箒ならぬ科学のゴミ箱と化したゴミ箱とパイプにかかる熱、特に内部で爆発させているエネルギーは上条の異能の力によって発生したものであり、幻想殺しを持ってしてパイプとポリバケツが壊れないように守ってやれば問題はない

本来は物質の対消滅反応だけで演算能力を超えるはずだったが、マルチコアになったCPUがシングルコアのCPUよりもはるかにレベルの高い処理が出来るのと同様に、限りなく同じ意識体による並列処理が可能になったことで、出来る荒業である

上条(この体勢をワタクシは何時まで保てばいいんでしょうか?)

(あと二時間ですね。モンゴルに入れば残りは1時間です)

上条(そうかモンゴルね、モンゴル。って、どっからモンゴルでどこまでロシアかなんてわからねーですよ!?)

(高高度から見れば、国境なんて見えませんからね。なんて感動的な現実なんでしょう)

上条(下には雲が広がってるんだけど?!)

(小さいことは気にしたら負けです。器が知れますよ?)

(あと、空気が薄いんですから、無駄に酸素を消耗するようなマネはしない方がいいかと)

上条(落ち着こうとしたら逆に意識が途切れそうなんですけど)

(いざとなったら、痛覚に直接刺激を与えてでも起こしますから安心してください。それでは快適な空の旅を)

上条(同じフレーズを出発する前にも聞きましたから!その上今まで快適さなんて1_も感じられなかったんだぜ!)
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 02:18:11.83 ID:Fif017go
神裂「上条当麻が欧州へきている可能性がある、ですか」

ステイル「ああ。土御門からの情報だ。どうやったのか分からないけど、独力であの都市を抜けたみたいだよ」

神裂「何の目的で、なのかも分からないのですよね?」

ステ「ああ。君はどう思う?」

神裂「というと?」

ステ「関連性、さ。大陸との海峡上に現れたと謎の図形と飛行物体のね」

神裂「…分かりません。ただ、無関係ということは無いと思います。先の件の判明もまだですから何とも言えませんが」

ステ「まさかせっかくイギリスに呼んだ禁書を持ってかれるとは思わなかったよ」

悔しそうに天井を見上げる。悪魔に引かれる天使の像があった

神裂「未だ結果が出ないということは、彼女の記憶にも、博物館の資料にも該当するものが無いと予測されますが」

ステ「大陸側の魔術だとか言って、騎士の連中が躍起になってるからな。早く解明して欲しかったんだが、君の言うとおりだとすると…厄介だ」

神裂「要因はいくらでもありますからね。本当に大陸の、もしかすると仏国によるものかもしれません。最悪の場合は、何かが原因で起きた大魔術の片鱗の可能性も」

ステ「それじゃ今の僕らに出来るのは、それこそ祈るだけだ。こんな状態じゃ、彼のことは当面捨て置くしかないか」

神裂「最大主教へ報告するか悩むところですね」

ステ「どうせ今頃騎士団長殿を黙らせる方法でも考えてるんだろう。コレに比べたら彼のことなんて比較的些細なことだし、何よりあの女は気に食わない」

そういって、タバコを口に咥えた

神裂「残念ながら禁煙です」

火をつけようとした腕を押さえられた

やれやれと咥えながら言って、逆の手で出した炎で焼き去ってしまう

神裂「もったいないですね。何も焼き捨てる必要ないでしょうに」

ステ「悪い癖だよ。でもこれは日本で買ったやつの残りだから安い。英国のものに比べて半額以下だ。味は好みだし、あの胸糞悪い肺の写真も印刷されてないから、気兼ねなくてね」

消し炭すら残らずに消えたタバコがあった位置を見つめながら、各々で考え事をしていた
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 02:24:51.06 ID:Fif017go
初春「それで、この人について調べればいいんですよね?」

御坂「お願い。こいつ人の母親にまd、じゃなかった、えと、きゅ、急に連絡が取れなくなったから心配でさ〜」

白井の方をチラリと見る。いつものことですわ、本当に隠すつもりがあるのでしょうかね、という顔をしていた

確かに今の御坂からは感情むき出しで、それに動かされているという感じが、ありありと感じとれる

初春「分かりました。じゃあちょっと待っててくださいね」

と言って、カタカタと持ってきた端末を操作していく

白井「そういえば、今日は佐天さんはいらっしゃらないので?」

初春「うーん。なんか第3学区の学校で補修とか言ってましたねー」

モニターを見ながら答えた

初春「えっと、出ました。今ちょうど、すぐ近くの銀行の自動預払機を使ったところですね」

御坂「え、ホントに?!アイツこの都市にまだいるの?!」

まだ、というフレーズが彼女らの頭を掠める

初春「そうですね。特別外出届け等は発行されてませんし。なんなら、映像を出しましょうか?」

先輩の方は強く何度も頷き、その後輩は眉間にシワを寄せて考えていた

了承と見て、映像を探す

しばらく沈黙が場を支配した。御坂はずっと初春の操作を伺い、白井は取り出した携帯端末に目を通している

白井「大事件がおきたみたいですわ。”統括理事の一人、変死体で発見”ですって」

どうやら少し壁にぶつかった様で、初春の手の動きが悪かった。それは御坂にも見て取れる

御坂「物騒ね。変死体ってどんなのよ」

白井「密室となった第3学区の日本料亭の一部屋で腹部に大穴を開けた状態で見つかったとのこと。勿論すでに亡くなっていたそうですわ」

初春「密室ですかー。白井さんみたいに空間移動できる人が普通に存在してたら意味無い現場状況ですよねー」

スムーズに少女の手が滑り出した

御坂「でも空間移動能力者って人数もいないし、この都市じゃ監視体制厳しいんだから、こんな状況だとすでに黒子みたいな能力の人はアリバイ捜査勝手にやってるんでしょうね」

初春「そうみたいですねー。白井さんの個人行動履歴を覗かれた痕跡があります」

白井「個人の行動まで管理してるのは気持ちのいいことではありませんね。嫌悪感を感じますの。私のことはともかく、カメラの映像は?」
558 :今回分投下終了のお知らせ。[saga]:2010/08/17(火) 02:28:44.88 ID:Fif017go
初春「大丈夫ですよ。今保存してるところです」

保存が終わったのか、モニターを御坂の方向へ向け、自分も身を乗り出してモニターが見える位置へ動く

初春「えっと、この時間に出金してるんですから、このモニターのこの時間あたりに…」

再生された動画には、上条には似ても似つかない、ヒャッハー!汚物は消毒だァー!という風体の男が映っているだけだった

御坂「え、まさかアイツイメチェンしたの?」

白井「最高に悪趣味ですわね…」

初春「いえ、この人は違いますから。でもおかしいですね。この映像に映っていないはずは無いんですが…」

首をかしげて、もう一度上条の情報を洗い出す

結果は同じだった

逆に、コンビ二で買い物をした記録とカメラ映像が噛合っていないところなど、不可解な点が次々と見つかっていく

白井「右手の事といい、不思議な方だとは思っていたんですが、実は幽霊だったということでしょうか」

御坂「いや、さすがにそれは無いでしょ」

初春「あれぇ?上条さんの情報が閲覧不可になりました」

白井「さすが幽霊ですわね…これは新たな都市伝説になるやもしれません」

御坂「黒子は幽霊ネタから離れなさい。初春さん、見れなくなった原因とか分かるかしら?」

初春「かなり上の権限からのアクセスが記録されてますから、恐らくこれかと思います」

御坂「かなり上って?」

初春「ピングからして、第一学区かなぁってところですね」

白井「お姉さま、そろそろこの辺で止めてはどうでしょう。踏み込みすぎの予感がします」

第一学区と聞いて、半ばふざけていた後輩が静止をかけてきた。確かに危険水域かもしれない

御坂「そうね。ありがとう初春さん。約束通り、好きなもの頼んでいいわよ」

少女の目が輝いた。ここは学舎の園の中にある、高級洋菓子店である

日ごろは味わえない領域の味覚を堪能できると、少女は喜びの色を浮かべてまず一つ目の洋菓子を注文した


559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 02:30:43.53 ID:GByulqYo
乙!
強くてニューゲーム期待
あと佐天さんの爆散にも期待
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 02:54:16.62 ID:7Ll3MgSO
>>559佐天さんディスってんじゃねーぞ

上条さんが救ってくれるハズ・・・
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 03:09:37.92 ID:3jVv2MDO
なんだかんだでハッピーエンドになることを期待してる

あっ、佐天さんは爆散よ?
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 03:25:14.31 ID:bN1nD.DO
佐天なんてどうせ禁書二期が始まったら忘れ去られるよ
原作じゃセリフすらない通行人Aのモブのほぼアニメオリジナルキャラだし
だから爆散しても問題ない
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 03:42:50.41 ID:ohDlTY.0
逆行以前の佐天は負の感情を生みやすく調整されたサテンワースト
逆行した後出てくるのはオリジナルの佐天ということでOK
564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 04:27:54.32 ID:kF06VYAO
空飛ぶゴミ箱ワロタwwwwww
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 08:28:38.77 ID:ZxNPhQSO
例の理事は早々に殺されたのか
どう変わっていくか楽しみだな
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 12:55:56.56 ID:/2aM43Yo
ところどころに混じるギャグがいちいち面白いwwwwwwww

あと、すごくどうでもいいことだけどpingはピングじゃなくてピンって読むんだぜ
567 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 13:26:24.49 ID:ZxNPhQSO
一方さんが不憫でかわいい

>>566
英語的には正しいけど、日本では本職のSEやNEも「ピング」って言う人が多いから細かい事は気にしない
568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 03:08:31.09 ID:wxtho/.o
一気に読んだ
すごく面白いけど途中読むのが辛かったwww
569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 15:58:40.10 ID:LofrcPU0
あれ?白井が上条のこと当麻って呼んでる
570 :またエクスぺリアからの書き込みに戻るお[saga]:2010/08/18(水) 20:23:08.43 ID:Mc1JnBgo
お前らどんだけ佐天さん嫌いなんだww

あとpingについてはすっごい昔に友人に「pingwwwwwpingwwww」って言ってたのを訂正されたことを思い出したよ
進歩しないってレベルじゃねえww

>>569気付きおったな貴様…ひっそりと仕込んでおいたつもりなのに

佐天「なんでよりによって今日の休みを潰してくれるかな―」

黒髪の少女が、ボヤキながら指定された場所へ向かう。友人が今頃美味しい思いをしていると思うと、この補習を企画した連中を呪いたくなる

内容も胡散臭い。渡されたプリントによると中学生以外にも、下は小学生・上は大学生が対象になっており、内容も勉学ばかりでは無く具体的に何をするのか分からないし、予定には検診の文字も見えた

佐天(しかもなぜか補修って書いてあるし。先生は誤字とか言ってたけど、誤字なら修正しろっての)

高級すいーつを逃したことが悔しいのだろう、中々怒りがこもっている

第三学区に着き、看板と紙を見比べながら目的の建物を探し出す

佐天(うわ〜、アタシには縁が薄そうな所ばっかり。なんで第三学区なのかな?一般ピーポーへの嫌がらせ? )

進む足が止まった。右にある大きなビルの、道路に面した入り口の方へ顔を向ける

佐天(えっと、ここ、だよね?あってるよね?)

周りにある建物も中々のモノだが、それらと比較しても明らかに格式高そうに見えるビルが建っていた

何度も紙を見直し、書かれたスペルを一字ずつ確認する

もし間違って入ったら、非常に恥ずかしい上に惨めな気になるだろう。そういう意識が彼女にはあった

佐天(どう見ても間違いないよ?あってるよねあってるきっと大丈夫他に私みたいな人がいないのはきっと早く来すぎたんだよ大丈夫大丈夫)

心の中でひたすら願いつつ、大扉に近づく

近くに立っていた従業員通称ボーイが扉を開け、中へ招き入れる

目立たない様に目立たない様にと気をつけながら周りを見回すが、補習という文字はどこにも見当たらない

仕方が無いので受付へ向かう

佐天(あちゃー、コレ間違ってたら最高に凹むだろうなー)

どうにでもなれ、と意を決して話しかける

佐天「あの、今日ここで学生の合同補習みたいなのがあるとk、あ、有るとか無いですよね?」

文字にあらわすと非常に分かり難いが、その意図は受付の身なりの良い男性には伝わったようだ
571 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 20:27:28.69 ID:Mc1JnBgo
「はい。14時より、当ホテルの17階にて行われる予定です。ご参加される方ですか」

非常に渋い、かつ低すぎない声が返ってくる

間違いではなかったことへの安堵と、如何にもな人間の如何にもな声を聞いて、声が出ない。数回頷くのが関の山だった

「それでは、学生証のご提示をお願いします」

明らかに挙動のおかしい佐天に対して、何ら態度を変化させること無く落ち着いた声でたずねる

年齢相応の、一般的な女子中学生らしい財布を取り出そうとする。だが、それも何だか場違いな気がして、学生証を取り出すのを一瞬戸惑ってしまう

じっと佐天の方を見て、少し頬笑みを浮かべる男性。促されるようにカードを渡す

「佐天涙子様ですね。伺っております」

目線を一瞬、近くのボーイへ向ける。カードが返され、近くへ寄ってきたボーイに向かって男が頷いた

「それでは、ご案内いたします」

いやらしさを微塵も感じさせない微笑みを浮かべるボーイの後をついて行く

佐天「あの、他の人は? 」

おずおずという感じで、尋ねる

「今からご案内する御部屋で、何人かの御客様がお待ちしております」

佐天「そ、そうですか」

佐天(何だ、おんなじような人に会わなかったのは、私の運が悪かっただけか。不安になった損じゃない)

エレベーターが止まった。降りて少し歩いた所で、男性が止まって振り返った

「こちらになります。御席はネームプレートがありますので、そちらに腰を御下ろしください」

そう言って、扉を開き、佐天を部屋へと誘う

部屋の中には何人かの生徒が座して待ち、佐天と同様に居心地の悪そうにしているものもあった

一番奥に、白衣を着た、先が短そうな年齢の男性がこちらを見ていた

佐天(うっわあ、あの人間違いなく教師じゃないでしょ)

自分の名前の書かれたプレートを見つけ、席に着いた

正直、勉強用の机では無い。綺麗で清潔なテーブルクロスが引かれている机はどう見ても食事用のそれだった
572 :読み直して思ったけどここの描写が無駄に詳しい…けど直すのめんどくせ[saga]:2010/08/18(水) 20:34:06.14 ID:Mc1JnBgo
佐天(あ、アタシ結構ぎりぎりだったんだ)

部屋に設置された年代物の古い置時計の時刻を見て、気づく。集合時間まで残り5分

部屋には多くの空席が有るように見えるが、良く見るとネームプレートが無い

遅れて一人入ってきた。これまた浮いた雰囲気を漂わせている

佐天(この人たちと私に共通するものって何だろ? )

考えていると、時間が来たようだ

?「人数は全員集まったようだな。よし、諸君、良く来てくれた」

白衣の老人が両手を広げ、話しだした

?「ここに呼ばれた君たちは、この都市における能力開発において何か問題を抱えているハズだ」

?「だが、同時に君たちは可能性を持っている。故に、ここへ呼ばれたのだ」

?「急にこんな事を言う私を、君たちは怪しむだろう。だが、君たちに可能性がある事実は変わらない」

?「今日はその可能性について調べ教えたいと思っている」

なにか高らかに話をしだした。老人らしく話が少しループしながら、時間が進んでいった

?「と、ここまで喋らせてもらったが、君たちもせっかくこんな良い場所に来たんだ、堪能させてもらおうか」

今までの声に若干の震えがあるが、歳のせいだろう。指をパチンと鳴らし、複数の人間が冊子を持って入ってくる

生徒の正面の机の上にメニューが置かれた

?「なんでも好きな物を頼むと良い。無論、経費はこちらが持つので、遠慮なく召し上がってくれ」

理由も分からず集められ、可能性だの話をされ、更におそらくだが高級な食事が味わえると言われても、すぐには対応できないものである

頼みにくい雰囲気が広がった

佐天(本来なら、初春と一緒に学舎の園の中で御坂さんに奢ってもらう予定だったのに、ふいにされたんだ。ワケわかんないけど、ここで代わりに食べちゃっても罰はあたらないよね!)

質の良いカバーで覆われたメニューらしき冊子を開き、デザートらしき欄を見つける

片っ端からアルファベッドで書かれていて写真は無いが、女子生徒を舐めてはいけない。大概の横文字が何のケーキを挿しているのかは当然分かる

佐天「ザルツブルガートルテ!お願いします!」

と伝えた。ウェイターが了承の返事をして、下がる

一人が頼めば、他の人間も後に続きやすい。次々と注文の声が飛び交い始めた

時間をかけずにやってきた洋菓子と紅茶を目の前に並べられ、期待と感激を合わせて、フォークでケーキをカットし、口へ運 ぶのだった
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 20:40:26.63 ID:Mc1JnBgo
麦野「最高に面倒でダルい仕事がまた来たわよ」

高慢でわがままに育った5歳児ぐらいの子供が片づけを嫌がるような顔で口を開く

絹旗「最初からそんなことを言われると、聞かされる側としては超やる気が無くなりますね」

フレンダ「ま、面倒じゃない仕事ってのは無いもんだと思うわけよ」

女性陣の顔を見渡す。皆気だるそうだ

浜面「何ともやる気に満ち溢れてるな麦野は。何があったんだよ」

滝壺「私が、説明してあげる。あと、むぎのはいつももっと元気だよ?」

浜面「分かってるよ皮肉だよアイロニーだよ。で、何が有ったんだ? 」

滝壺「きのうからね、ひっきりなしで仕事が来てるの」

絹旗「しかも内容が超面倒なのばっかりなんです」

フレ「大概が脅しとか都市外への強制輸送つまり追い出しって訳よ」

麦野「ったく、邪魔な人間共なんて片っ端からぶち殺しちゃえばいいのに!なんで微妙に手ぇ抜かなきゃならないのよ」

浜面「そんなヤクザかチンピラみたいな真似、わざわざ麦野たちがやる理由はあんのか」

麦野「そうよ!わざわざ私が出る必要なんてないのよ! 」

滝壺「でも、むぎのじゃないと、またあの人たちが出てきたときどうしようもないよ? 」

浜面「あの人達ぃ?」

絹旗「ターゲットがどうも都市内部の権力者が多いんです。背信行為があるものの殺すには惜しい、又は殺すと逆に問題を起こす因果になりそうな人も私たちの標的になっちゃってて」

フレ「まぁ、敵が権力者である以上、防衛部隊の配備も考えられる訳じゃない?最初の何人かを脅したり殺したりから、それが伝わったみたいで、あからさまに護衛が増えてね」

滝壺「でね、あの人たちが出てきたの 」

麦野「あれがたまに耳にする迎電部隊ってやつでしょうね、多分」

こめかみがピクピクと震えている。よほど手こずっただろうか
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 20:46:58.40 ID:Mc1JnBgo
浜面「良く分かんねえけど、この都市の部隊か何かか?」

フレ「迎電の連中はね、情報流出阻止を目的に編成された部隊でさ。対能力者戦闘も考慮に入れててね。だからどうしても手こずっちゃうのよ。ま、向こうも防戦は慣れてないみたいだけどね」

浜面「ちょっと待ってくれよ?情報流出阻止も何も、裏切ってんのは相手方だろ」

フレ「だと思うんだけどねー。なんで向こうについて居るのかは謎ってワケよ」

麦野「そんなことはどうでもいいの。問題はアイツら何度叩いても湧き出てくるってこと!」

絹旗「彼らは特徴的な暗部組織なので、技量や精神などで有る程度篩いにかけられて選抜されているハズなんですが」

麦野「もうざっと100人は殺してるんじゃないかしら?なのに変わらず沸いてるのよ?」

滝壺「それは、言いすぎ。でもその半分は確実」

フレ「あんまりにも鬱陶しかったから、前の前、だったかな? 麦野が標的と部隊を巻き込んで建物ごと完全倒壊させたからねー」

絹旗「わざと逃がす必要があったのに、なにもかも超ぺしゃんこですよ。夜中じゃなきゃ絶対に一般人にも見つかってました
よ。あれじゃ」

こっぴどく怒られたのか、麦野が苦い顔をしていた

麦野「だからぁ、浜面を召集したのよ。私たちだけで手間かかるやつら相手にするのはなんだか気に食わないからね」

邪悪な笑みを浮かべた

浜面「いや、なんでお前らが手こずるような相手を俺がするんだよ! 無理に決まってんだろ! 」

麦野「大丈夫よ。あんたという戦力はちゃんと把握してあるから」

浜面「えぇ、あぁ、うーん。マジで言ってる?」

麦野「もちろん」

最高の笑みを見せる。こういうときに素体がいいと卑怯だ。と浜面は思う

もちろん、そう言った気持よりも、恐怖の方がよっぽど大きいのだが

滝壺の方を見ると、不安そうな顔をしているものの、反対してくれそうには無い

これはよっぽど良い策があるのだろう、と思いこむことで、浜面は何とか自分を納得させた
575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 20:49:52.17 ID:Mc1JnBgo
頭が重い。なんというか、痺れているような、そんな感覚がする

話し声と、ブーンという機械特有の音がする

何を言っているかは聞き取れない。それは声が小さいからか、上手く頭が機能していないからか、分からない

佐天( …ここは――?)

目を開く。自分のすぐ前には曲面の内壁が見えた

慌てて、体を動かそうとする。が、動けない。拘束具は見当たらない

純粋に動けないのだ。何かの機械の中で身動きが取れない

これは、どういうことなんだろう。記憶をさかのぼる

佐天(えっと、部屋でケーキ食べた所は覚えているんだけどなぁ。あぁ、あのケーキ美味しかった)

頭の中がケーキで覆われる。脳の能動的な分野の領域が抑制されているため、思考が単純化しているのだ

佐天(ああケーキケーキ、そう言えばなんでケーキ食べれたんだっけ?)

ようやく菓子の束縛から逃れることが出来た

佐天(確か、あの、部屋で、白衣の、老人が―― )

佐天(そうだあの御爺さん! 明らかに怪しかったんだよね。自己紹介も一切なしで可能性がどうとかー)

佐天(待ってよ、じゃあこれって、今結構危ない状況?)

意識が完全に覚醒しつつある中で、もう一度体を動かすことを試みる

指先が僅かに動いた。先程は全く動かなかったのだから、徐々に回復しているようだ

佐天(気長に動けるのを待つことになりそうだなぁ)

そこで、目の前の蓋が動き出す。足の方から外の光が入りこんでくる
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 20:57:35.33 ID:Mc1JnBgo
完全に開き切り、覆っていたものが折りたたんで格納される。そんなに広くない、ホテルの一室だった。恐らく部屋には非常に不釣り合いな状況だろう

?「目が、覚めたようだね」

目だけを動かして、声の主を見る。あの時に現れた、例の白衣の老人だ。相変わらず声が震えて入るが、さっき見たときよりも声に張りがある。興奮しているのだろうか

?「心配しないでくれ。私にはくだらない性欲にかまけるだけの時間も意欲も無いからね。まだ動けないだろうし、脳にも負 担は残ってるだろう。聞くだけでいい」

?「君には残念だが、今ある方法では絶対に能力に目覚めることは無い」

?「それこそ、あの拙い幻想御手のような方法で、強引に他者の力を借りなければ、ね」

?「ではなぜ、幻想御手の影響下で一時的に能力が使えたのかという疑問が上がる」

?「その解となるデータを、今の君ではない君から、今の私でない私が調べたものを手に入れて、今日ここで実際に調べさせてもらった」

?「少し状況が違う為か少々異なっていた。だが概ね間違ってはなかったよ」

?「君には友人として超能力者や大能力者がいるね。それも一つの要因となった。今だ短い期間でしかないが、その効果も大きく出ている」

?「話がぶれまくっているが、端的に述べると。君の才能は多重能力に繋がるもの。複数間の能力の調整・制御に非常に秀でたものであることがわかった」

震えながら、だが確かに興奮した声でずらずらと述べた

そこへ、一人の男が現れる。扉の開いた音は聞こえなかったが、どうやって来たのだろう

青白いシャツにネクタイという姿で、特別な特徴の無い白人のようだ。唯一、普通じゃない色の濃いサングラスをしているので表情は掴めない

?「おや、君か。貰ったデータは概ね正しかったよ」

白人?「随分興奮しているが、SYSTEMだとか言っていたのはもういいのか?」

?「君がそれを言うのは非常に悪意を感じるね。今までの生涯をかけて調べてきたものを全て一瞬で泡にしてくれたのは誰だったか」

白人?「その割には笑顔だな。まぁ、いい。今日は顔を見に来ただけだから、そろそろ本国へ返らせてもらう」
577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 21:01:33.47 ID:Mc1JnBgo
?「もう体が持たないのかい?元気そうだが。ジョージ・キングダムとか言ったかな、その体は。そこまでして、わざわざここへ来る必要も無かっただろうに」

白人?「元気云々の話ではないのだよ。無能だが、少々我が強いのだ、コイツは。このままでは死んでしまいかねない」

そう言って、サングラスをはずして老人の方を見る。目元が佐天にも見えた

佐天「ヒッ! 」

思わず声が出た。身体の自由が戻ってきつつあるのだろう

男の目は完全に白目を向き、時折グルグルと瞳孔が不可解な高速移動をしていた

とても生きている人間のまともな動きではなかった

白人?「おや、小さな淑女を怯えさせてしまったようだ。すまないね。それでは」

そう言って、その場から消えた

今までの会話はずっと英語だったので、佐天には部分部分の簡単な単語しか理解できなかった

?「彼の事は気にしなくていい。DNAを始めとした君のデータも取らさせてもらったし、もう動けるだろう?帰りたければ帰ってもいい」

額など頭部に集中してついていたパッドを外し、佐天が立ち上がる

?「そう言えば、君はケーキが好きなのかい?」

佐天「えっと、まぁ、特別に好きというわけでは」

?「そうかい。嫌いではないなら、これを貰ってくれ。強引な方法をとった僅かながらのお詫びだ」

手渡されたチケットはこのホテルの一階に見えたカフェの特別食事券だった

佐天「えっと、ありがとうございます? 」

そう言ってそそくさと部屋を出た
578 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 21:36:59.08 ID:y4z4rTIo
爆発――

標的の研究員が立て篭もる建物の正面玄関が華麗に爆散した

夜間であり、一般人が出入りできるクラスの施設では無い為、これほどの爆発でも気付かれることも無いだろう

大穴が空いた玄関へ、極太の光線が奔る

電気をあえて消して備えていた部隊の位置が、それによって一瞬照らしだされた

そこへ絹旗が突撃する。幾らかの防衛部隊はそれで黙るが、彼女だけで抑えられる人数は限られている

少女が突っ込んだ逆側から、即座に応射がなされる

それを見越して、アイテム傘下の暗部部隊が弾幕を張る様にして進む

今まで少数の高位能力者による攻撃のみを想定していた為、防衛側は少々予想外だったであろう

だが、所詮は無能力者による銃撃だ。反応できないレベルのものではない

すぐさま攻撃の手を二分し、下位暗部の方へも応射を兼ねて榴弾攻撃を加える

絹旗の方へしないのは、当っても致命傷になりにくく、逆に巻きあがる埃や煙で捕捉できなくなる可能性があることを予測して いるからである

もとより、多くの武器を与えられず、自分たちの格上の相手に対して無茶な攻撃をするように言われていたのだ

下位暗部は即座に散って逃げ出す

だが、そんなことは最初からお見通しである。この、戦力が明らかに分散した合間を使って、仕込みを入れる

最初の一撃以外に、麦野による攻撃は見られない。敵の側からしたら、その攻撃が最大の恐怖である

故に、その攻撃と姿が見られない以上、1か所に多くの人数がとどまることは良しと判断できない

散りながらも、最低限の連携をとりつつ、最大脅威の麦野を探す

このタイミングで、守られている研究所からすこし離れたところから麦野が光線を数発、放つ

研究所に更に穴がいくらか増えた。そして、あえて大きく叫ぶ

麦野「今よ!はまづらあああああああああぁぁぁあぁぁあ!!!! 」

先程壊走した下位暗部部隊の中から、一人の男が守る迎雷部隊へわざとらしく手を向ける

その瞬間、まぶしいほどの火炎が研究所の一階を覆う

如何に散開していたとしても、この階層に居れば、その業火から身を守るすべなど無い
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 21:43:24.59 ID:y4z4rTIo
瞬時に察知し、上の階へ逃げた数名を除いて、10名程は黒になった

もちろんこれは、綿密に計算された、演出である

事実を知っていれば何のことは無い。無謀に突撃した絹旗と下位暗部部隊へ敵の目を向けている内に、フレンダが空薬莢に扮した液体ガスが入った缶を多数打ち込み、敵の最高脅威である姿を隠し続けた麦野が酸素を送る様に穴をあけ、浜面の持つセンサーで火炎を挙げるだけという、お粗末な策である

だが迎電部隊からすれば、与えられた情報から、対アイテムとして戦うことを念頭に置いているので、下位部隊の無謀な特攻と最前線で暴れ回る予定だった麦野の姿が隠され続けたということが、判断を鈍らせたのだ

事実、燃え尽きた中の数名は撃っていないサイズの空薬莢が転がっていることには気が付いていた。だが、高脅威の麦野への 対策として散開していた状態では有効に情報が共有できなかった

故に、簡単な策によって一階は焼き尽くされた

そして、迎電部隊という特性とLV5を含んだ能力者集団と闘うという意識、さらには演出によって、広範囲に火力をまき散らすことが出来る発火能力者がアイテム側にいると考えさせた

つまり高位の発火能力者HAMADURAという新たな高脅威が部隊には生まれたのである

この幻想は彼らにとっては最悪である

建物に立てこもっている時点で、行動範囲は限られる。まとまっていては光線の的になり、散らばっていても炎で焼き殺される

武装も発火能力者対策用の物は当然持ってきていない

階下から、絹旗を始めとして、アイテム陣が駆けあがってくる音が彼らの耳に聞き取れた

本来ならば、情報流出の原因を打ち倒すのが役割である彼らは、言ってしまえば防衛は得意ではない

自分たちだけならば、容易にここから脱出できる。だが、護衛目標がいるから、それはできない

味方の生命反応が次々と消えていく。残った他の隊員がお互いに目配せをした


絹旗を筆頭に標的がいるであろう部屋に駆けこむ

既にそこは蛻の殻で、虫の息の男性がいるだけだった

絹旗「標的ですね。もう先が長くは無いでしょうけど」

麦野「あちゃー。ちょっとやり過ぎちゃったかしら。これじゃ、標的に対する脅しよりも部隊の連中に対する脅しになっ ちゃったかもしれないわ」

浜面「…こいつが死んでいれば、自分たちの護衛放棄はばれないだろうけどなぁ。こういうのは気に食わねぇな」

裏切という光景は彼らの世界では日常茶飯事なのだろう

浜面が最期ぐらいは看取ってやろうと標的に近付き、屈む

絹旗「超甘いですね。そんなことやってたらキリがないですよ 」
580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 21:46:11.86 ID:OfKez4Io
もう何がないやら
581 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/08/18(水) 21:48:34.80 ID:y4z4rTIo
浜面「そうかもな。でも完全に場馴れしちまう前ぐらいは、いいだろ」

男の方は、その会話でようやく自分の周りに敵がいることを悟った

「く、クソ、餓鬼どもが。こん、なとこぉ、ろで終わらねぇ…ぶっころし、て…る」

最期の力で腰から何か円柱の物を取り出し、自らの左腕に押し当てようとする

浜面「やめとけ」

そういって、筒のようなものの腕に向けられた側と腕の間に開いた手をかませた

意識が朦朧としている男は右手に伝わる筒に何かが当っている感触だけで、左腕に当ったものだと判断し、筒に付いたボタンを押した

浜面「痛ってぇ!?」

手の平に何かが刺さった感覚があった。慌てて筒ごと男の右手を払いのける

何かの薬剤を注入されたようだ。既に全てが浜面の手を通して体内へ入って行った

男の方は既に事切れていた

一体何を打ち込まれたのか分からない

麦野「阿呆ね、最後っ屁くらったの?」

絹旗「だから余計な事しなければ良いんですって言ったじゃないですか。超馬鹿です」

浜面「これってやっぱり毒かな?!マジやっべえ!!」

騒ぎまくる浜面を他所に、麦野が男が持っていた、恐らく注射器のようなものをとる

麦野「あーあ、毒だったとしてもこれじゃ手が打てないわね。なにも書いてないわ」

浜面「うっひょマジかよ? やばいってコレはマジで! 」

絹旗が近づき、額に手を当てる

絹旗「まだ発熱していませんね。異様にテンションが上がってるのもいつもの馬鹿面らしいですし、何を打たれたか分かりませんが早く病院に 行けば助かるかもしれませんよ」

浜面「わ、わかった! 病院だな?! 行ってくる!うおぉぉぉ…」

ものすごいダッシュで、彼は去って行った
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 21:50:31.13 ID:XPInqMSO
HAMADURAも進化か
583 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/18(水) 21:58:05.64 ID:y4z4rTIo
書いてて自分も意味不だったので産業で

サ店
補習で薬盛られる
前の週でマルチスキル使ってたときのデータが白衣に目に留まる
スイーツ(笑)

アイテム
迎電部隊の一部を配送させる
浜面が発火能力持ってるように思われる
浜面がお注射される

以上。うっすい内容だなあ
584 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 22:39:00.19 ID:b1.3HoYo
佐天さんは爆散への道を着々と進んでるな
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 22:43:43.80 ID:Wo9OzDUo
上条ロケットとHAMADURAで大爆笑
あと上条のナノマシンちゃんステレオかわいいよかわいい
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 00:06:07.49 ID:VXq.Y2SO
HAMADURA早くも死亡フラグ臭ぇ・・・・・・
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 00:12:54.57 ID:bqQ2ZHA0
フィアンマさんの大活躍は見れますか?
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 03:07:32.48 ID:UkDspsSO
HAMADURAくそワラタwwwwwwwwwwww


乙!
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/19(木) 15:32:28.41 ID:3IXYHZco
うわああああああああああああああああああ
書き溜めきえたああああああああああああああああああ
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 15:45:35.63 ID:D.ZsqC6o
>>589
uwaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 22:35:56.28 ID:5f.nMJs0
相変わらず多いな投下の数
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/20(金) 01:09:05.54 ID:IGNiboIo
PC操作中のブルースクリーンは怖い
これは不味い。このままでは恐らく越えてしまう。1000を
こんな糞オナニーSSが次スレ突入の可能性だと…終わりが見えねえええ

あと、魔術サイドも出す予定だよ!

(目標地点確認。着弾まで、およそ3分)

(このまま直接、武器供与予定地点に直接殴りこみますよ)

上条(え、さっきまで逆噴射とか言ってなかった?着弾まで3分って、着弾?!穏便な着陸は無いのかよ!?)

(ロケットみたいなものなんですから、着弾の表記で正しいでしょう?)

(ちゃんと逆噴射もします。ただ速度をゼロにするとは言っていないでしょう?)

上条(一種の詐欺じゃね、それ)

見る見るうちに第19学区が近づいてくる

(着地点、補足。逆噴射開始します)

(速度減速2000km/hを確認。今後も段階的速度減速を維持)

急な減速により、上条の視覚ではまるで自分が空中で静止したかのように見える

だが、ペースは遅くなるものの、徐々に目標の建物が近づいてくる

(目標は建物の二階、大広間。このままガラスをぶち破って入りますよ。用意は良いですか)

上条(用意も何も今聞いた!ふざけんな! )

しがみついていたゴミ箱から手を放し、役目を果たしたパイプとゴミ箱と上条がそれぞれ分離する

上条の影響下から離れたそれらは空気抵抗が一気に増大し、それらは後ろへ流されていく

左手を前に突き出して、それ以外の体は小さく丸めて衝撃に備えた

(ガラスに直撃します。物質対消滅、準備)

(発動)

防弾ガラスだったのか分からないが、有る程度の厚みがあったガラスをまず左手が触れる先から脆くなるように消滅させ、上条の減速と衝撃 吸収に回す
593 :書く方はいいんだよ。ただのオナニーだし。問題は読む方だ。カワイソス[saga]:2010/08/20(金) 01:13:51.55 ID:IGNiboIo
当然、結構な光と熱風が発生するが、熱は空気を膨張させて衝撃緩和に回してしまう。光は目立ってしまうがこの際無視だ

だが、それでも勢いを完全に殺すことはできず、大部屋に接地した上条は残った勢いで壁まで転がる

上条「…ぐぇ」

散々な目にあった上条の、今まで我慢に我慢を重ねた末に漏れた声だった

(早く立って下さい。体にそこまでの問題は無い筈ですよ)

さっと立ち上がり、周囲を見回す

上条(あれ、誰もいないぞ?)

そこは何もない、だだっ広いだけの部屋だった

(おかしいですね。ここだと当りを付けていたんですが)

(まぁ、逆に助かりましたけどね。あの突入方法では唯の的でしたし。次からはもっと華麗にお願いします)

上条(次が無いことをひたすら祈るよ。で、どうもここじゃないみたいだが、他にあの大量の武器をスキルアウトに提供することが出来るような所って有るか?)

(次点としての場所ならここから200m北に行ったところにありますが、広さは不十分だと思われます)

(ここは次の日になるとなぜか倒壊、瓦礫も無くなるという徹底した隠ぺい具合でしたからね。次点の場所は最終日にようやく壊れたか、と言ったところです)

上条(どう考えても臭いのはこっちだな、その条件だと。ブラフにしても、それならここを残しておいた方が効果的だし 部屋の出入り口へ向かう)

上条(ここに居ても仕方が無い。次点の所とやらへ向かおうか。しかし、お前らの予測が外れるとは、やっぱりこれは時項改 変の誤差なのかな?)

(そうだとすると、怪しいです)

上条(怪しい?)

(時項改変について、あのアレイスターの言うことを真に受けるとするならば、誤差というものは無いんです)

(星を対消滅させたエネルギーによって、各時項の変更は可能になりました。しかし、それは可能になっただけであって、誰かが何か変化を起こそうとしない限り、起こり得ないハズ)

上条(ということは、俺が行きにビジネスクラスのシートに居たのは誰かが変えたってのか?)

(そうなりますね。あの場に居て、時間移動・改変の事実を知っているのは貴方と彼のみ)
594 :今回は地の文が少ないけど、多いとしんどいよね[saga]:2010/08/20(金) 01:19:49.98 ID:IGNiboIo
(となると席の変更は彼が行ったことになります。これはあなたを楽させようとしてくれたのかもしれません)

(ですが、今回の武器供与は行為体が彼では無く、CIAとなります)

(CIAがあの状況を作り出してしまったのだから、CIAと彼が繋がっているとは考えにくい。寧ろ対立しているはず)

(もし仮に、前回の武器供与がここで行われていたとすると、CIAは場所を変えたことになる)

(すると、問題が見えてきます。ここを変える理由が見当たらないのです。変える理由があるとすれば)

((前回と同じでは、妨害されてしまうかもしれない、という考えを持ったから、という結論になります))

上条(だとするとなんだ、CIA側にもいるってのか、改変を起こそうとしていることを知っている奴が)

(無論、コレは彼の言った理論に基づいたものですし、教えられた理論が間違いで騙されてる可能性もあります)

(もっと言えば、バタフライ効果のようなもので、私たちには考えられない理由で変更されたのかもしれません。しかし)

上条(大丈夫。要は、気をつけろって事だな。分かったよ)

階段を下り、踊り場で向きを変える

その瞬間、銃弾が上条の左わき腹を掠った。着ていた衣類が裂ける

直撃を避けれたのは、少しだけ反応できたからである

(やっぱりですか)

上条(どうやら、さっき言ってた仮説が正しいかもしれないな)

場所を変更したのは、そこを襲おうとした人間、つまりCIAに対抗する人間を狙うためということだ

(逃げられましたね。気配がありません。相手は相当のやり手かもしれません)

慎重に残りの階段を下る 降り切り、廊下を確認したが気配は無かった

上条(完全に逃げられたか。いや、潜んでるのか)

(どちらにせよ、これは精神的に来ますね。相手にとってかなり有利な状況です)

(ですが、この様子だと、狙ってる敵は少数かもしれませんよ)

上条(だと良いがなぁ)
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/20(金) 01:23:45.92 ID:IGNiboIo
慎重に慎重を重ねて、正面玄関へ移動する

一番怖いのは横に広い玄関に部分へ繋がる、廊下と玄関の接合部分の角である。上条からは右にも左にも広がっているように見えた

角に差し掛かり、壁にへばり付いて覗き込む

右、クリア。左、…クリア

安堵の息を吐き、玄関へ一歩を踏み出した

((当麻、上です!))

脳内に声が響き渡った。刹那、踏み出した右足で左足を払う

反時計周りに回転しつつ身を倒す。上には矢のようなものを持って、上条へ刺突を図る男が居た

体の回転に合わせ、矢のようなものを左手で払う

左手が敵の持つ矢の攻撃部分へ触れた瞬間、閃光が発生した

両者の中間に近い部分で対消滅により発生した光は、両者の視界を奪う

回転しながら倒れた上条は動きが出来ないが、攻撃側の動きは場馴れしたものだった

頭の中にあるこの場所の構造と自分の今の体勢を考えて、視界の無いままで瞬時に撤退したのだ

上条が視野を有る程度取り戻した時には攻撃者の姿は無かった

上条(助かった。敵は一人だったみたいだ)

(随分と洒落た武器で一撃離脱を狙ってくるような人間です。まともに相手をするには骨が折れたでしょうよ)

(こんなところで時間を取られていても仕方がありません。やり手の暗殺者は怖いですが、先へ進みましょう)

破壊された玄関から建物を出た
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/20(金) 01:26:55.19 ID:IGNiboIo
男は走っていた

原因は、自分に打たれたであろう、毒の為だ

とうの昔に完全下校時間を過ぎていたので、人が邪魔になることは無い

普段は人と車でごった返す道を車で爆走していた

車の中に居るのは、滝壺とフレンダだけである

フレ「ちょっと、いいの?あの二人置いてきちゃったわけだけど」

声をかけた先の人物は速度を維持することに精いっぱいで、彼女の声は届かないようだ

滝壺「大丈夫。今麦野に電話したけど、そんなに怒って無かったよ」

フレ「つまり有る程度は怒ってたのね。浜面や私がかけてたら違ったんだろうけど」

コレは明日が怖いんですけど、と思いながら、必死な浜面の方を見る

絆や繋がりの薄い暗部組織では有るが、この程度の問題なら許されるだろう。少なくとも、死なない程度には

第7学区の某病院に着いた

確かに、何の毒かわからない上、それが研究者によって打ち込まれたものならば、既存の治療しか原則できないようなその辺の病院では駄目かもしれない

この判断は、間違ってんはいない

フレ「んじゃぁ、行ってきなよ。私は滝壺と待っとくからさ」

滝壺「早く帰れるなら、連絡してね、はまづら。むぎの達を迎えに行けるかもしれないから」

浜面「了解行ってくる!!」
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/20(金) 01:29:39.62 ID:IGNiboIo
男は車から降りて、病院へ駆けだした

急患用の受付で事情を説明し、診療室に通される

蛙「君が来るとは珍しいね。最近あの子の調子は良いのかい?」

浜面「体晶を使わせてないからな。じゃなくて!今日は俺ですから!毒が」

蛙「ほぅ。毒かい。にしては随分元気そうだけど、いつ体の中に入ったんだい?」

浜面「だ、大体45分ぐらい?言いにくいけど、瀕死の研究者にうたれて… 」

蛙「ふむ……ということは、遅効性の毒や病原菌なのかな?そんな使いにくいものをその状況で使うとは思えないけど」

看護師を呼んだ

蛙「一応、血を採ってみよう。検査結果が出るのはスグだけど、少なくともそれが終わるまで待っておいてくれるかい?」

そう言って、彼は部屋を出た

看護師が手際よく浜面の血を採血していく

「はい、終わりましたよ。部屋の前の椅子で待っておいてくださいね」

言われて、退室した

部屋を出ると、滝壺が座って居た

滝壺「むぎのたちは、もう自分達で帰っちゃったって。フレンダは車の中で寝てるし、様子を見に来た」

浜面「うおぉぉ、次に会う時がめちゃくちゃ怖いな…。今、血採られて調べてもらってるところだ」

隣に座る。もちろん一人分開けてだが
598 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/08/20(金) 01:34:19.53 ID:IGNiboIo
滝壺がその開いたスペース上に身を乗り出して、浜面の額を触る

滝壺「熱は、まだ無いから、案外毒じゃないのかも」

浜面「だと良いんだけどな」

落ち着きがない浜面。まぁ、無理もないかもしれない。打たれたものが遅効性だった場合、いつ自分にその効果が現れるのか分からない

常にロシアンルーレットに参加しているような心境だろう

滝壺「大丈夫だよ」

そう言って、彼女は男の頭を自分の胸と腕で包む

急にそんな事をされて、思わず言葉を失う

暫く抱かれたあと、そのまま膝の上に頭を置かれて、目線と目線が交差する

滝壺「今日は、お疲れ様。結果が出るまでで良いから、休んでて」

浜面「あ、え…?」

少女の方も恥ずかしかったのか、浜面の目を手で覆う。しかしそれには強く力を込めているようには感じなかった

彼女が自分の不安を察してくれたのだろう。そう思うと、取り乱していたのが少し恥ずかしく思えた

そんなことを思っていると、彼の意識は途切れだし、寝息を立て始める

それにつられて、少女の方も意識がまどろみだした

すこしして、診療室の扉が開いた。なかから年配の男が顔を出す

蛙「おーい、結果がでt……ハァ、やれやれ」

その光景を見て、目をつぶり深い息を吐いた

蛙「君、ちょっと手伝ってくれるかい?」

そばに居た看護師を呼びとめる。運ぶように指示を出し、運び先はと聞かれると、

蛙「今日は、いつもの少年の病室は空いていたよね」
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 01:45:06.08 ID:KXvv4P6o
乙!
俺は凄く楽しんでるぜ
読みごたえあるし
600 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 02:07:27.52 ID:g9NwkcSO
HAAAAAAAMADURAAAAAAA!!
601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 02:25:31.64 ID:LWlfiwAO
乙!
今一番楽しみなスレなんだぜ
602 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 13:40:24.30 ID:sXZ6hMAO
リーディングシュタイナー発動!
603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 22:58:13.55 ID:6ymjBDM0
乙!
どうしようこのスレが楽しみでしょうがない
604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/20(金) 23:17:22.24 ID:IGNiboIo
あれ、2週目に突入した理由の一つは、少しはほのぼの路線にも行こうってのがあったのに、気が付いたらずっとシリアス系だぞ…?
だから他のほのぼのスレが好きになるんですね。分かります

心が苦しすぎる。こんなん書いてたらまた誰か死にかねない。アヒャヒャ


いつもの少年は19学区に群がっていたスキルアウトの人波に隠れながら、第二の予想武器供与ポイントへ向かっていた

それほど多くの人がいるわけでもないが、完全下校時刻を過ぎて、かつ平時はほとんど人が居ないこの学区で、これだけの若者がいるのは明らかに異常だった

上条(あの建物なんだよな?)

(ええ、間違いありません。ここからでも出入してるのが分かるでしょう?)

上条(本当に?)

(はい。何か問題でも? )

上条(いや、本当に武器供与されているなら、特にその武器が旧ソ連で大量生産された自動小銃なら、なんで数少ない出てくる連中は特に何も持っていないんだ?)

確かに、建物から出てくる若者には、AK-47を隠し持つような仕草も、隠し持てる物も持っていないものばかりだった

(わかりません。行ってみないことには判断はできませんね)

不安は増える

上条(このまま、あの人口密度の中へ入っていいものかな?)

上条の頭に浮かぶのは、先程自分を襲った者

少なくとも、尋常じゃない身のこなしと、急襲するという技能においては、危険な存在

その存在を放置して、暗殺してくださいと言わんばかりに人が密集している所へ行ってもいいものだろうか?そのように考えるのは自然だ

(では、裏口から行きますか?)

上条(いや、この状況で裏口から行くのは、誰でも考える方法だ。だから、罠のような物が張ってあってもおかしくない)

(同意です。逆にあれだけ人が密集している玄関口ならば、罠は張れません)

上条(やっぱりこのまま紛れていくしかない、か)

近づいてみてわかったが、群れている彼らは列を成そうとしていない。我先に、といった感じで、逆に収拾がつかなくなり非効率な感じがした

(そういえば、疑問があるのですが)
605 :読んでくれてる人がいるってのは、やっぱやる気になるね[saga]:2010/08/20(金) 23:26:11.33 ID:IGNiboIo
上条(なんだ?)

(今日、この学区で武器の供与があると考えるのはあの逆さ吊りの男も同じのはずです。ならばなぜ、部隊などを派遣していない のでしょうか?)

上条(そうだな。俺が思うには、またさっきの仮説に関係するけど、アイツも分からないんじゃないのか?)

(というと、今日この学区で何が起きるのかということですか?)

上条(そ。敵もアイツも前回の結果を知っていて、さらにお互いが、お互い前回のことを知ってるということを、知ってると仮定すると、ここで何をして、どんな防御体勢が整えるのか分からないだろ?だったら)

(まずは敵の動きを見て、身内の裏切り者を粛正する方が先、というわけですね。ではここへ部隊が送られていない分は)

(内部の裏切、あの理事を始めとした人間が粛清されている、ということでしょうか。確かにあの理事は死んでいるようですし、間違ってはないでしょう)

そう言って、左手がポケットの携帯を取り出す。ニュースの欄には学園都市理事、死体で発見、というテロップが見えた

間違ってはいない。その通りだ。確信は取れない

上条(しっかし、進まねえなぁ。こいつら協調性とかないのかよ?)

(あったら、スキルアウトなんてやって無いのでは?これは偏見かもしれないですが)

そうだなーと思い、列らしきものから人波をかき分けて強引に入る

途中でいかつい兄ちゃんに何度も睨まれたが、気にしない

何とかして地下に降り、この現場が一体何なのか、なぜここまで人がごった返してえいるのかが分かった

ノイジーでクレイジーな音楽が鳴り響く。前方の舞台の上では各自楽器を演奏しながら、パフォーマンスを披露していた

地面に何かの紙が落ちている

『〜都市に住まう隠者よ賢者たれ〜Chained Magi of the City ゲリラライブ!なんとあのAnGEL DowNも参戦?!スキルアウトよ…』汚れで読めない

上条(これかよ!?確かに広い空間では有るけどさ!)

(そうみたいですね。道理でそういう風体の人間が多い訳です)

(コレでは、部隊によって制圧する必要は無いでしょう。さぁ、ノって無いと浮きますよ)

親指と人差し指と小指を立てた手を挙げ、周りに合わせて適当に叫ぶ

上条(おい!他にこの地区には無いのか?!武器渡せるような所は?!)

(答えは、NOです。いやぁ、やられましたー)
606 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/21(土) 00:10:01.85 ID:CxHpF1so
(ゲリラライブなら仕方ないです。ヒャッハー )

上条(ヒャッハーじゃねえよ?!コレじゃわざわざあんな方法で帰る必要は無かったんじゃねえか)

(おかしいですね。出発前にはこんなイベントがあるなんて…)

(途中で抜けるのは止めておきましょう。途中で何が有ってもおかしくは無いですから)

(一応、後ろに下がって壁を背にしましょう。彼に狙われるかもしれないですからね、フォーゥ)

こうなっては仕方がない。楽しんでいるような雰囲気を作って、上条は1時間あまりそこで動かなかった

上条がそろそろ演技にもぐったりしてきたころ、舞台上のギターボーカルが語りかける

「今日はァ!オマエたち良く来てくれたァ!最高のパァフォーマンスをォ、見せれたと思うぜェ!」

白髪では有るが一方通行ではない。ガタイが違う※本当に違います

「こうやってお前らがァッ、ノッてくれたから、サイコーの気分だったぜェ!だからァ今日はテメェ等にィ、プレゼント だァ!」

「受け取れェ!! 出口でェ!俺たちのォロゴが入ったピックをォ配ってるからァ!ズェッタィィ!貰ってくれよなァ!アヂュー! 」

そう言って、バンドグループは楽器ごと消えた。流石学園都市だぜ、と誰も不思議には思わなかった

上条にはキャーとかウォォオとか、指笛の音などであまりよくは聞こえなかったが、何かを配っている事だけは分かった

出口の方では、唯でさえ協調性の無い連中が、グッズがもらえる為になおの事詰まり、中々人が掃けなかった

最後の方まで残るつもりだった上条にとっては、良いカモフラージュとなる

人が少なくなってくると、掏ったサングラスで心ばかりの変装をする

特に何もなかった。普通のライブハウスが、普通に撤収されていく

(……何もないですね。私たちも帰りましょう)

上条(あい。無駄に疲れた気がしてならないけど、帰ろう)

時間がたっただけあって、わりとすんなり出ることが出来、一階の狭い出入り口でもピックを貰うことが出来た

首や手首に巻けるように長く細いチェーンが付いている

左手で受け取り、ロゴを見る。逆三角に矢のようなマークが三本。そのままポケットに突っ込んだ

そしてそのままの足で、自らの部屋へと戻った
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/21(土) 00:13:20.32 ID:CxHpF1so
目を覚ました浜面に見えたのは、少女の顔だった

目をつぶって、寝息を立てている。その息が、すこし浜面のほほを刺激する。それぐらいの近さだった

声を挙げて飛び上がりそうな自分を何とか殺し、そっと身を起こす

それは無論、彼女を起こさないようにする最大の配慮であり、彼にできる精いっぱいの甲斐性だろう

体をそっと布団からだし、立ち上がる

彼女の方は起きる兆しもなく、上手くベッドから出ることが出来た

時間は7時30分ぐらい。深夜まで動いていて低血圧の人間ならまだ寝ていたい時間帯ではある

音を立てずに、そっと部屋を出る

扉を開けてトイレへ。尿意を掃うためである

蛙「おはよう。昨晩はお楽しみだったかい?」

浜面「うおっ、い、いたんですかい。お、はようございます。あと、何もしてねえですよ!?」

蛙「朝からずいぶん元気だね。うらやましいよ。昨晩は二人とも疲れているように見えたから、空いている病室で寝かせておいたんだけど、いらぬ世話だったかな」

浜面「いや、助かったけど、何も同じベッドにしなくても」

蛙「ありゃ、君たちそういう仲じゃなかったの?部屋の空きが足りなくてね、そうさせてもらったんだが」

浜面「いやぁ、そういう仲というか、まだそんな段階じゃないというか…。あ、そう言えばまだ結果聞いてないんスけど」

蛙「そうだね。じゃあ、こっちへ来てくれるかい」

手でこっちへ、と誘われる。そのまま診療室についた

蛙「はい、コレ」

書類を手渡される。アルファベッドがひたすらつづられており、何が書いてあるのか分からない

浜面「なんスか、コレ?」
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/21(土) 00:29:26.90 ID:NYvoYyMo
蛙「結果だよ。主に毒とか病原体について調べたものの奴のね」

目を細めてみるが、negativeがひたすら羅列されている

蛙「書いてある通り、既知の毒や病原体は無かったよ。DNAに照らし合わせてみたけど、概ね血液は君の自然状態を示している」

浜面が医師の方を見る

蛙「つまり、遺伝子上は君の体に問題は無いってことさ。念の為、今の君を身に来たわけだけど、元気そうだったしね」

そう言って、健康な男児の股間をチラとみる

蛙「ま、元気なのは違う原因かもしれないけどね。なんにせよ正常なのは良いことだ」

既に毎朝のそれは鎮まっていたが、なんと言うか気恥ずかしい

浜面「じゃ、じゃあ、今日は滝壺が起き次第帰ってもいい、ですかね」

浜面の発言を無視するように、医師の口が開いた

蛙「遺伝子上は、正常だ。と僕は言った。この意味は分かるかい?」

これで終わりだと思っていた浜面は、急に顔から笑顔を無くした医師を怪訝な目で見る

蛙「君もこの学園都市の一住人だ。つまり、最低限の個人情報は都市が管理している」

蛙「その中にはね、遺伝子情報も含まれているんだ。そしてコレが今まで都市が持っていたもの。コレが昨晩の君、つまり今の君のものだ」

浜面がさっきまで持っていた書類の中から、二つの紙を出す。無論浜面には分からない

蛙「君は、人間の染色体の数を知っているかい?」

それぐらいは浜面も知っている

浜面「2n=46、だったかな?」

蛙「その通り。いくら強力な能力者であっても誰かのクローンであっても、2n=46に差異は無い。中身はかなり異なるけど ね。でも問題はそこじゃないんだ」

コレ、といい、浜面に二枚目の紙を見せる
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/21(土) 00:34:05.72 ID:NYvoYyMo
蛙「2n=46が人間の定義の一つならば、君は、一体何なんだろうね」

書いてある数字は2n=36000280313424

浜面「うひょ、何だ、これ。いち、じゅう、ひゃく…36兆?!なんだこりゃ、数字バグってる!? 」

蛙「僕もそう思ったさ。何度か計算と検査をやり直したけど、結果は同じ。2n=46までの遺伝子情報は概ね、前の君のものと適合しているけど、2n=47以降に関わる部分は2n=46以内も変わっていた」

蛙「なんの嫌がらせかと思ったよ。遺伝子の圧縮なんて初めて見たしね。ここの技術レベルじゃなければ、ただの染色体異常だろうとして見つからなかっただろうけど。n=25以降のものは全て圧縮されているんだよ。そしてn=24は解凍部門だ」

蛙「解凍されたものも、一つ一つの塩基対数も2億に近くてね。とてもじゃないがここの技術水準でも一朝一夕に君の全ては分からない。元のデータもないし、比較できるものも手元にないんだから、絶望的と言ってもいいね」

蛙「その上性質の悪いことに、遺伝子上にダミー情報も多い。研究者泣かせだよ」

君は ひとしきり話しきり、ふぅ、と息を吐く

浜面「え、えっと、つまり結論として俺はどうなったんだ?」

蛙「簡単に言おう。分からない。それだけだよ。状況的には謎の病原体に蝕まれているのと、さほど変化は無いね」

蛙「恐らく、君が死ぬ様な事になっても高レベルの医療は受けられないものと思っておいた方がいい。特に、放射線を使うものなんかは要注意だ。どうなるかわからない」

浜面「要するに、分からないことだらけってこと、か。オチオチ怪我もできないし、どうしてこうなったんだろうなぁ」

蛙「ま、今はとりあえず元気だから、いいとしようじゃないか。検査入院してもいいが、どうする?」

その時、コツコツ、と扉が鳴る。どうぞ、と言うと、開き、看護師が居た。傍らには滝壺

滝壺「あ、はまづら、いた」

少女が微笑んだ。それだけで、返事が決まる

浜面「このまま退院します」

蛙「そうかい。まぁ、何かあったら全力は尽くすけど、気をつけるんだよ」

医者の返事を聞いて、振り向き、少女の手を取って、部屋を出た

滝壺「なにか、あったの?気をつけろとか…」

浜面「麦野とかに虐められない様に、ってさ。大丈夫。なんでもない」

なんとなく、滝壺の方が見られなかった
610 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/08/21(土) 00:46:01.17 ID:J9NV.UQo
禁書「やってらんないんだよ! 」

叫ぶ声が寮内に木霊する。そしてカチャカチャと食器とナイフやフォークが当る音が同様に響く

深夜だというのにこの少女はひたすら食していた

アニェーゼ「それで、なんかわかったんですか?」

やれやれという感じに言った少女へ、暴食中の少女が睨む

禁書「なにもなんだよ!私の知識云々いぜんの問題なんだよ!」

そしてすぐに食卓へ顔を向けて食事を再開する

オルソラ「騎士の皆さんが非常に気を立てていましてね、介入を繰り返されて思うように進まないのです」

オルソラの方をみて、食事中の少女が数回頷いた

ルチア「それで明日も朝から召集が」

禁書「そうなんだよ!…でも多分、何もわからないんじゃないかな」

神裂「というと、時間がどれだけあっても、という意味ですか」

禁書「うん。本当に魔術なのかどうかすらわからないんだよ。具体的な影響もなにもでてないし」

シェリー「騎士連中には影響大みたいね」

シェリーがからかうように笑った

アニ「影響も出てない現状ならなんも問題ねえと思うんですがね。これで何か被害が出たら」

ひたすら食事をしている少女を除いて、全員の表情が暗む。笑っていたシェリーですら真面目な顔をした

フランスの方で、大規模な動きがあったという報告が入って来ていたのだ

海峡を挟んで、軍事的な対立悪化が考えられた。つまり、戦火を交える可能性があるのだ

とくに、あの魔術らしきものが大陸のものと分かった場合は、先制攻撃に出るかも知れない

それ以外にも不穏な情報が、今までにとあるルートより伝わり、蓄積しているのだ

今、全ては、解析にかかっているのだが、この様子では攻撃を主張している連中に押し切られるだろう

緊迫した状態であった
611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 00:47:05.60 ID:IhK2I6.o
面白い話だな
612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 00:55:35.39 ID:lwpKXQDO

毎回楽しみに見てるぜ
613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 00:59:04.32 ID:DOwvvjEo
今日も乙
日課だなもう
614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 01:27:31.91 ID:CmxKaESO
ほんの少しでいいからアイテムをほのぼのさせてくれ・・・・・・ッ
615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 07:11:54.58 ID:EbwHyIc0
禁書はどこにいるんだ?
616 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/22(日) 12:35:04.72 ID:WmXmpcDO
このSSで一番面白かったとこは散々はっちゃけて最後まで小物のまま爆散した佐天さんのとこでした
あの感動をもう一度
617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/22(日) 13:05:35.08 ID:ifO37kAO
何か色々ともにょるけど一つだけ

>蛙「2n=46が人間の定義の一つならば
前後の流れもあるけどさ、お医者さんなのに…酷い発言だ
618 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/22(日) 13:15:35.07 ID:gVEPj/Yo
>>616
だよねー。最近は書いててなんだか捻りが足りない気がするんだ

>>617
染色体異常の人が人間じゃないみたいな言い方をして悪かったです。ふつうに48とか47とかいるもんね、配慮がなかったです。それが障害となるものか、一般生活に支障がない、寧ろ頭がよかったりとかは別としてだけども。不謹慎だったよ

とりあえず、なかなか書き溜まらないので生存報告だけでも
619 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 23:54:38.42 ID:fqtiPsSO
佐天ちゃんマジ佐天
620 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/25(水) 01:46:22.84 ID:X7sf5eEo
madakana
621 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 02:01:11.25 ID:/AlDGFIo
ちなみに禁書はイギリスです
∀ガンダム見終わった。やばいなにこれ面白い。超オヌヌメ。何よりガンダムっぽい戦争戦争しい感じがあんまりないのに他のガンダムより生々しいじゃない。最終話のソシエ美しすぎ。やっぱ失恋を美しく見せるのは凄いと思う
あと他のスレでこのスレのネタを使うの止めてくだしあ。それでスレストとか泣きたくなるから


主人公の朝はインターフォンによってもたらされた

時間は八時半を指していた。学校があれば間違いなく遅刻であったであろう

やれやれと言いながら、身近に有った服を身につける。まるで自分がここに居ることが分かっているように、定期的に鳴り響く音が鬱陶しい

上条「はいはい、今出ますよー」

3分の1程開けた扉から、白髪の男が見えた。即、閉じる。扉から距離を取って、戦闘体勢をとる

一方「御挨拶だなァ、オイ」

悠々と、扉を開けて白髪の男が入ってくる。上条はワンステップでその男の懐へ入れる距離。彼が能力を展開して回避行動をとったなら、届かないだろうが

上条「一体、何の用ですかね。上条さんには貴方が来る理由が見えないんですが」

一方「そういきり立つな。わざわざテメェなんざを虐めに来たわけじゃねえからよ」

白髪の男は、両手を挙げてヒラヒラとし、戦う意図が無い事を示す

上条「……んじゃあ、入れよ」

体勢を戻し親指を立てて振り、玄関で立っている男を部屋の奥に入るよう促す

一方「悪ィな」

部屋を見渡し、テーブルのそばに座る

上条「で、何の用だ?」

ペットボトルから茶を注ぎ、一方通行に渡す

一方「……テメェのそれは、どんな能力からも自分自身も守ってるわけだよな」

右手を見つめながら、話した
622 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 02:07:26.65 ID:/AlDGFIo
上条「んー、何が言いたいのか分からんけども、そうだなぁ、その認識で間違っては無いと思うぞ。まぁ、外的に燃やされたりとかには、右手以外耐えれないけどな」

一方「それは、俺とヤったときと同じように、それ自体を打ち消されてる、って訳なんだよな」

上条「そうだな。お前みたいに反射で弾くから効果が効かないんじゃなくて、それ自体を無くしちまうなぁ」

一方「ンじゃァ、ずっと頭の中で締め付けられるような感覚とかって分かンねェよな」

上条「風邪でも引いたのか?一応、季節の変わり目では有るけど」

一方「ンなもン、俺がかかるかよ。自分の体の事なんざ大概自分で何とかなるンでな」

上条「じゃ、なんでそんな頭痛? が? 」

一方「知るかよ。常に何かの力が加わってる感じがするんだよ。頭痛とか、そンなンじゃねえ。ただ、力だとしてもベクトルが把握できなくてな」

上条「第一位でもわからん事って有るもんなんだな。……ちょっと待て、なんでお前ウチに来たんだよ? 俺関係なくね? 」

一方「知るか。理由はわからねェが、その圧迫にお前とかが一緒に出てくるんだよ。感覚的には、物が思いだせないのを強くした様な感じなんだが、テメエや他一名の事ばっかり出てきやがる」

上条「ハァ? 何だ、常に俺の事考えてるってか? 流石に男はノーサンキューですよ」

一方「こっ、こっちだって願い下げだ!! ……チッ、邪魔したな」

白い髪の男が立つ

上条「そうかい。全く、お陰で貴重な睡眠時間が削れたよ」

玄関で靴をはき、顔だけ上条の方へ向ける

一方「なンなら、永久に寝られるようにしても良いンだぜェ?」

上条「やめてください。そいえば、なんでお前俺の部屋知ってんだ? 」

一方「第一位嘗めんなよ。ンなモン、少し調べれば分かるだろ。そういや、お前昨日学園都市の外部から帰ってきたンだってな」

上条「か、上条さんには心当たりないですけども」

一方「隠したって無駄だ。俺が調べたのは第一学区のデータベースだからな。ご丁寧にダミーのプログラムまで張ってよォ」

目を逸らす上条
623 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 02:12:09.41 ID:/AlDGFIo
一方「別にテメェが外で何しようとテメェの勝手だ。だが、ばれちまった以上、何かのペナルティが下るだろうけどな」

ノブを捻る

一方「せいぜい気をつけるこったな」

上条「あ、ああ。サンキュ」

出て行った男がまた来るわけでもないが、閉じた扉をずっと見ている

(わざわざ来るなんて、よほどの事ですね)

(そんなにも彼の頭脳には貴方で満たされているのでしょうか?ぶっちゃけキモ)

上条(それ以上言うな。第一、その他一名もって言ってただろ?)

(ま、今重要なのは第一位では無くてその一個下の人物です)

(どこで何してるか確認しに行きましょう。出来ればもっと早く出たかったですけど )

上条(だったら起こせよな)

(どんな夢を見ていたのか知りませんが、悪夢では無かったようなので)

(私たちも鬼では有りませんからね。ムフフな夢を途中で切られたらあなたが可哀相だったのですよ)

上条(さいですか。……畜生。どんな夢見てたのか記憶にない、だと)

(健全な男の子アピールは置いといて、とっととシャワーを浴びて来て下さい。昨日あれだけ動いたのにそのまま下着で寝てたんですからね)

自分の体の臭いを嗅ぐ。そう言えば起きたとき若干気持ちが悪かったような気もした

すごすごと風呂に向かい、服を脱ぐ。上半身を脱いだところでまたインターフォンが部屋に鳴り響く

一方通行が忘れ物でもしたのか、または土御門だろうと思って、そのまま上裸で出迎える

上条「はいはい。今出ますよー」

半ば寝ぼけたような目で、気の抜けた声で、玄関を開く

御坂「ちょっとアン……な、なんで上着てないのよ!?」
624 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 02:16:53.25 ID:/AlDGFIo
上条「いや、単にシャワーでも浴びようかなって。なんで御坂がウチに? 」

御坂「ホントに? また誰か女の子を連れ込んでるとかじゃなくて? 」

服を着て出ればよかったなと後悔した。有らぬ誤解を招いたか

上条「なんでそうなる。今は誰もいねえよ」

御坂「”今は”って何?誰かいたの? 」

やたら突っかかってくる。若干鬱陶しい。そんな時、部屋から何かの気配がした

咄嗟に、御坂に背を向けて守りの体勢をとる

白井「お姉さま、安心しなさってください。目に着く限りでは、女物のアイテムはありませんわ 」

声の主を聞いて安心する。御坂に向けた自分の背を戻し、部屋の奥へ

上条「風紀委員が不法侵入とは、感心しませんよ? 」

白井「脱走並びに侵入の方がもっと感心しませんわよ、当麻さん 」

嫌な汗が流れる。まさか、風紀委員にまで知られていようとは

御坂「ちょっとアンタ、若干汗臭かったわよ」

さっきまで背を思いっきり向けていたのだ、仕方ないかもしれない

上条「悪い。自分じゃあんまり分からなくてな」

御坂「べ、別にそこまで気にはならいわよ。きらいなにおいじゃないし…」

そのまま部屋の奥へ促す

御坂「へぇ、案外小奇麗じゃない 」

上条「単に物が無いだけだと思いますけどね。それで、何用だ?」

白井「いえ、先に御風呂をどうぞ」

そう言って、御坂の方を見た。意図が伝わる
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 06:47:00.34 ID:/AlDGFIo
上条「別に先に要件を聞いても良いぞ? 」

御坂「わ、私たちが気にするのよ。急に押しかけちゃった訳だし。それにアンタも、汗臭いままじゃデリカシーが無いわよ?」

(彼女の言うとおりですね。とっとと入ってきてください)

(まぁ、間違いなく家探しされるでしょうけど。あの子の衣類は全部英国に持っていってるんですか? )

上条(多分、大丈夫だと思う。多分)

風呂場へ入った。汗臭いと言われ、若干入念に洗おうとする

白井「さて、チャンスは作りましたよ? 」

物は少ない。どうやらアイツがシャワーを浴びてる時間内に一通り終わりそうだ

御坂「ありがと。でも意外よ。アイツの部屋に行くなんててっきり反対しそうなもんだと思ったのに」

白井「いえ、どうやら国外に出ていたよう、という報告が初春からありまして。その上、懲罰無しとなっていましたから、気になりましてね」

御坂「そう。ん、コレ……」

御坂の手には、青白く長い髪の毛があった

白井「女性のもののようですね」

御坂「黒子もそう思う?アイツめぇ 」

白井「あら、正式な彼女でも無い限り、当麻さんが誰を部屋に招いても文句は言えないのではないでしょうか」

御坂「それはそうだけど……。って、”当麻さん”って言い方してるけどそれは何なの? 」

白井「あら、私ずっとそういっておりませんでしたっけ? 」

御坂「類人猿とかあの殿方って言ってた気がするけど 」

白井「大小のことは有れど、好意のある方へそのような言い方はできません 」

御坂「こ、好意ですって?黒子とアイツの間に何があったのよ? 」

白井「好意と言う以上、周りが羨むそれなりの理由がありましてよ。……はて、なぜでしょう、具体的な起因が出てきませんわ」
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 06:55:48.49 ID:/AlDGFIo
白井が額に手を当て、考えている。その時、上条が風呂場から出る音がした

二人は全力で片づけをする。と言っても、物が無い部屋ではすぐだろう

(あの様子では、間違いなく家探ししてましたね)

上条(だろうなぁ。ま、自分だけで勝手に出て、それがばれたんだ。仕方ないだろう)

(それだけの理由ではないと思いますがね )

上条「お陰でさっぱりしましたよ。で、何の用だ? 」

話しかけた対象たちは、微妙に息をきらせていた

御坂「ハァ、ハァ……スイスで巨乳の母親で飛び込んだこの長い髪は何?! 」

上条「……はい? 」

白井「お姉さま、それでは全く意味が分かりませんわ。落ち着いてくださいまし」

大きく息を吸う声が聞こえた

御坂「アンタ、人の母親にまで手を出そうとしたわね!?」

一瞬の静寂が拡がる

上条「はて、一体何のことでしょうかね? 」

御坂「とぼけないで。アンタがスイス行きの飛行機の中で私の母に抱きついたのは知ってるのよ 」

言われて、宙を見て眉間に皺を寄せる。言われの無い罪か

(ああ、あの時の女性ですよ)

(脳内の記憶の御坂美鈴とデータ照合、80%は適合していますね。グラマラスですこと)

上条「え、あれ美鈴さんだったのか? 」

思わず声に出た

御坂「そうよ!私の母よ!セクハラで捕まれ!このバカ!」
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 07:04:48.07 ID:/AlDGFIo
上条「ちょっとまて、あれは事故だ。飛行機が悪気流に入って揺れたんだよ。ちょうど立ち歩いていたからな」

御坂「ちょうど立ってたってのが怪しいのよ! 」

少女の額に紫電が走る

白井「流石に飛行機の中で、機を狙ってずっと立ってたってのは有りえないと思いますわ、お姉さま」

上条「そうだ、落ちつけ。普通に変質者として捕まるだろ。特にこの物騒なご時世じゃあ」

御坂は満足できないといった顔をしているが、確かに彼らの言うことには筋が通っている。本当に事故だったという可能性も御坂自体、否定していない

黙り込んでしまった御坂に変わって、白井が口を開く

白井「しかし当麻さん、今ご自身で言いましたよね。スイス行き飛行機に乗ったと。都市に外出手続きはとられましたの?」

上条「えーと、その、とったような、とってないような」

白井「はっきり言ったらどうですか、とっていない、と 」

上条のすぐ前まで身を近づけ、視線を合わせない上条の顔を覗き込む

その光景に黙っていた御坂はムッとしたが、当の両者は気が付いていない

上条「あぅ……とって、無い、です 」

白井「素直でよろしい。さて、どうされます。ここで私に捕まりますか? 」

少し間違えればキスしてしまいそうな距離で、妖艶な笑みを浮かべる少女があった

御坂の方は、気が気でない

上条「え、いや、それはt 」

白井「遅いですわ」

と言って、腕を少し前に出して上条の体に触れた

白井「あら、やはり駄目でしたか 」

そう言って、触れていた手を離した

御坂「駄目って、空間移動させようとしたの?」
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/26(木) 07:12:20.05 ID:/AlDGFIo
固まっていた御坂がようやく口を開く

白井「はい。出来ないとは分かっているんですが、なぜか飛ばせるような気がしまして。なぜでしょう 」

少女たちは不思議そうな顔をしていたが、上条には心当たりがあった

あの時、自身をあの中に飛ばしたのは、間違いなくこの少女である

(まさか記憶が残っているとでも?)

(そうだとしても、彼女も一方通行同様、曖昧な物が残っているようですね。あの時間移動は存外、不完全な物なのかもしれません )

上条が白井の頭の上に右手を置く

白井「どうしましたの? 」

上条「い、いやー、何かぼけてるようだから、おまじない、かな。ハハハ」

(反応がありませんね。もし何かに抑えられているようなら、これで記憶が戻るかもしれないと思ったんですが)

(恐らく、それこそ脳の記憶野を直接触らないとだめなようですね。かかってる力となると、時空の安定作用のものが考えられますが、これは一体どういったアプローチで力が加わるのか分かりませんから )

白井「あら、子供扱いですか。お姉さま含め幼稚な体形ですが、心は立派に淑女ですのよ? 」

上条「あー、はいはい。わかりましたよ。それで御嬢様方、他に質問は御有りですか? 」

また子供扱いして、という声が上がる。一方、御坂はやっと白井が上条から離れ、一安心

御坂「そ、そういえばアンタさっき、”今”はって言ったけどいつもは女が居るの?」

ここに 流石に不法滞在の暴食シスターが男子寮に居ますとは、風紀委員の前では、少女たちの前では言えない

上条「いや、それは言葉のあやってやつですよ。そんなこと、紳士の上条さんが許すわけないでしょう? 」

適当な言い訳をした。御坂の表情が変化していく

御坂「へぇ、そうなの?じゃあコレは何かなぁ? 」

御坂が見せたのは、一本の髪の毛。青白がかった色で、長い

白井「それに、不自然に空いている衣類の収納スペースも気になりますわ 」
629 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/08/26(木) 07:31:06.90 ID:/AlDGFIo
白井が指差す先には、普段少ないながらも禁書の衣類が入っている、収納棚

本日何度目かのあうあうタイムが訪れる。こういうときに頭の中の奴らは全く援護してくれない。逆に笑っているレベルであろう

上条「そ、その髪はえっと、前に俺が怪我した時さ、家から出れなくて、クラスの女の友達が親切にその間のプリントとか持ってきてくれたんだ 」

上条「で、そのスペースは、夏用の毛布を入れててさ、邪魔だったから実家に持って帰ったんだよ 」

御坂と白井の方を交互に見ながら、上条は弁解した

(何というか、苦しいですね。30点)

(この状況自体は合格圏の面白さなんですがね )

脳内の彼女らと同じ気持ちなのだろう、目の前の少女たちは目を細めた冷めた目線で上条を見つめている

(ま、冗談はこの辺にして、想像以上に時間を浪費しましたから、そろそろ第二位について調べましょう)

上条(うぇぇ。こんなんだったら今までずっと寝ておきたかった)

上条「えっと、上条さんはこれから少々用があるのでこの場を去りたいのですがー、駄目? 」

前日までとんでも日程で欧州に行っていたのだ、彼には何かしらの役割があるということは彼女らにも分かる

御坂「そ。まぁ今日はその苦しい言い訳を信じてあげる。行きましょ、黒子 」

部屋から出る御坂。それに続く後輩

白井「はい、お姉さま。あ、そうそう当麻さん。あなたの不法出入については特別に懲罰なしの裁定が出ていますので気にしないで下さいまし 」

と言って、手をひらひらさせて去って行った

あのツインテール、分かってて、からかうためだけにやっていたようだ

(直情電撃娘より、その後輩の方がやり手ですねぇ)
630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 07:48:05.26 ID:JLaEhUDO

ほのぼのがひしひしと伝わってくるぜ
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 08:59:29.47 ID:gpOqkwSO
麦野との遭遇が今から楽しみで仕方ない
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 11:56:10.83 ID:D2wWUUDO
前回の全滅ENDの教訓はいかせるのかな?
つかなんで御坂は何も覚えてる感じがないんだ?
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 12:02:55.60 ID:45nya1Ao
むしろ何故一方さんや土御門が覚えてるのか不思議
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 12:06:42.85 ID:.jwL.2SO
騙されるなッ!
このほのぼのはトラップだッ!

あとで絶対誰か死ぬッ!!
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 12:12:15.54 ID:45nya1Ao
浜面がAKIRAのアレみたいになって滝壺肉の中でブチュッ、アイテム惨殺とかなったら射精する
636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 13:14:13.03 ID:D2wWUUDO
>>634
ありそうでワロタ
つか黒子がなんとなく死亡フラグたってそうで嫌だわ
今回は誰も殺さないようにしてほしい

あ、佐天さんは別よ
637 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 14:15:32.61 ID:QL301kko
左天さん嫌われ杉ワロタwwww
頼むから左天さんの評価をなんとかして戻してくれ>>1
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 15:03:44.10 ID:P3q4T/.o
上条さんは誰もが望む最高なハッピーエンドを実現するために一人でも死んだらやり直すんだろうな…


あ、佐天さんは別よ
639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 15:42:54.53 ID:VBCHJF60
今のとこ一方さんと土御門と黒子は何かしら記憶があって浜面と佐天(爆)も何かあるんだな
あとはアイテムと美琴か?
つか前回はどこでルートミスったんだ?ていと君ヤッタ辺り?
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 19:05:14.32 ID:SdqIcbYo
そげぶパワーを強く浴びた奴ほど記憶が残ってるのかとも考えたが、
黒子が該当しないか。なんだろね?
真相がわかるときが楽しみだ
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 19:49:28.47 ID:D2wWUUDO
黒子はたぶんあれだ。ナノなんとかの影響?
つか前回って絹旗、フレンダ、あわきん、黒子、妹達、御坂あたりが死んだのって
一方さんも原因の一つだよね
642 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 21:19:31.10 ID:8PKZsz60
>>641
あわきんはわからないけど、
アイテムと御坂が死んだのは、
青髪と一方さんの戦闘のせいじゃなかったけ?
ていうか妹達は死んだの?
643 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 21:39:07.95 ID:E4cjjuIo
>>642
あわきんは一方さんに黒翼で刺されてフレンダと絹旗が死んだのは一方VS青髪の戦闘によるとばっちりだな
妹達も戦いに巻き込まれたんじゃなかったっけ?
つかあの戦いで相当の人間が巻き込まれて死んでたな
美琴と黒子は青髪が死んだから死んだ
644 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/27(金) 01:57:16.28 ID:i2rfRUY0
何となく後1回位は全滅エンドに期待しているかも・・・

あ、佐天さんは別よ
645 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/27(金) 20:53:28.88 ID:Dfw3sWso
あと数百回は全滅エンドがあってもいい
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/27(金) 21:43:32.53 ID:S1Zq58c0
>>645
いや俺もあと数回なら、
全滅エンドありかなぁと思ったけど、
数百回はいくらなんでも多すぎね?
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/27(金) 21:57:26.63 ID:NBFK7fko
まあやって50回位だな
648 :全滅100回とか何スレまで続くんだよ…[saga]:2010/08/27(金) 22:20:33.72 ID:Hnq1FDAo
何かすげーちゃんと読んでる人が居てマジビビった。ちなみにフレンダは描写忘れてたけど、麦野が飛び出した反対側からよじ登ってきた侵入者によってフ//レンダになってしまいました。合掌。結局どっちでも変わらないってワケよ


学園都市の第二位は最近の目に見えて量が増した仕事がとても鬱陶しかった

随分前に「左方のテッラ」捜索がとある者の協力で一瞬で解決してしまったこともあり、帰還した部隊が再配備されたため、さらに軍事力を国際社会が毛を逆立てるほどに高めていた事もあり、結果的に物資十分の人材不足という学園都市らしい問題は解決された

それによって練っていた、守りの少なかったところで親船最中を暗殺し陽動を図る、という計画が完全に頓挫してし まったのが苛立ちの大きな原因だった

無論、自分が暴れて強引に最終目標である超微粒物体干渉用吸着式マニピュレータを奪取することも考えはしたが、現実的ではない

そんなこんなで思い通りにいかない続きで、明らかに気が立っている彼を逆なでしない様、面倒な威圧任務等は極力割り振られず、ひとえに標的の殺害を求める仕事ばかり伝えられ、ちらほらと仕事がしばらく続いていた

だが、手間がかからないという理由で他の暗部よりも多くの仕事が割り当てられ、ここ最近の数は尋常ではなくなっていた

垣根「ああクソ、めんどくさいんだよ、テメェ等」

血の色と無機質な金属色しかない部屋で声が響く

こんな感じで、この3日間で何人の人間を殺したことか。もう数えるのが面倒だった

しかしおかしい。自分以外にもこういった仕事は割り振られている事は知っている。その標的が自分の標的と同じ地位の者ならばそろそろ殺しすぎだ

各先端技術の研究に害が出ていてもおかしくない。その上、この数日で結構な数の技術者が外部へ逃れようとしているとも聞いた

それをエスコートしているのは、迎電部隊。この部屋に広がる血飛沫も彼らのものだったが、垣根が殺したその部隊の人数は最早5人の両手両足の指を全て含めても示すことが出来ない

本来ならとっくの昔に壊滅しているはずである。その上本来のその部隊に与えられている目的にも適していない

だが、電話の口から聞こえる声は、「迎電部隊がエスコートしている」の言葉が続いた

確かに兵装も動きも大きな変化が無い。それどころか行動パターンまで同じである

何か毎日のルーチンワーク、朝目が覚めて顔を洗うような感覚で敵を追い詰め、虐殺する。そんな感覚すら彼に芽生え始めていた

何かがおかしいとは思いつつも、またひとつの仕事を終えた。ここまではいつも通り

だが、今日は違った

金属に何か瞬間的な圧力が加わる音が連続して響く

振り返ると、部屋にある、かなりの厚さを誇る自動ドアに円形の、数か所にわたる、凹みが出来ていた

音と共に増える円形

いつもとは違う、という感覚が彼には少し面白く感じた。辟易していたからである
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/27(金) 22:28:11.16 ID:Hnq1FDAo
部屋に入ってきたのは、一人の少女。黒く長い髪をたずさえている。中学生位だろうか

顔に表情は無い。大方、この施設で研究対象となっていたものが脱出したのだろうと思った

だが、彼女が一歩前に足を出した時、それが間違いであったことに気が付く

光の加減で顔しか見えなかったが、今彼の視界にある少女は、白い戦闘装備を着込んでいた

垣根の事を気にかけず、すたすたと部屋に入り、死体となった標的の衣類に手を伸ばしす

垣根「お前が探してんのはこれか?」

垣根が左手の人差し指と親指でUSBメモリを持っていた

それを見て、垣根の前に進む少女

?「渡してください。そうすれば、アタシは害は与えません。あなたの任務には、コレの回収などは入ってないことはこちらも承知しています」

急に入って来て、そんなことを言われれば、はいそうですかと渡すのも気に入らない。なにより、この記憶媒体に何が保存されているのか気になる

垣根「この俺の前でいい度胸じゃねえか。何で仕事内容を知ってるのか知らねぇが、欲しいってんなら力ずくで奪うんだな」

?「それでは、戦闘に移ります」

彼女がそう言った瞬間、背中から2本の、どこかで見たことのある白い翼が現れた

垣根「……コイツは、驚いたな」

大きな翼が、巨竜が唸るような音を立てて、垣根を挟み潰そうとする

轟音と共に白い翼に挟まれる、だがもちろん彼にそんな攻撃は通じない

垣根「格下の同能力に潰されるような馬鹿がどこに居るんだ」

自らの翼を展開し、2本の翼を4本で抑え、ガラ空きとなった少女へ裂撃が加えられる

縦方向に、真っ二つに少女が引き裂かれた

だが、少女の翼は消えない。それぞれの体側に有る翼がその体を裂き、潰し、燃やした

垣根(ハッ、自分の始末を自分でやるとは、躾がなってんな)

残された血に触れる

垣根(こいつが誰かは知らねえが、あの動きは人間にできる動きじゃねえ。脳どころか脊髄にまで何かを仕組まれてたのか)

垣根(問題は、どうしてこいつがこの能力を持っているのか、ってのと、こいつらはどこに所属していやがったのか、だな)

垣根(丁度良い退屈しのぎだ。のってやろうじゃねえか)

左手に収まったUSBメモリを見つめながら、低く笑い、偶然に燃え残った少女の眼球を踏みつぶした
650 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/27(金) 22:33:11.39 ID:Hnq1FDAo
上条「お仕事中、ねえ」

(そのようです。本当はもっと有益な情報を掴めるはずだったんですけど)

(あのビルが管理してる滞空回線、あの時にあのビルの中で使い方を奪っておいたんですがね)

(結果は駄目。滞空ナノマシンの相互データリンクシステムの中の有益な情報は、全部消されちゃってました。まぁ、予測された対策です)

(だから普通に端末からハッキングするしかないんです)

上条「んで、こんなありさま、っと」

上条が居るのはどこぞの研究所。それとなく臭そうな連中が街中で目に見えたので追ってみたら案の定だった

その連中は動きがとても洗練されているとは思わなかったので、恐らく事後処理をさせられている下位組織の連中なのだろう

ここ自体は機密の高い研究所であったので、端末の権限は高く、ハッキング自体はずっと楽だった

ただ、そこに居た処理部隊の何人かを軽く昏倒させざるを得なかったことが、上条にとっては心苦しい

上条(ま、やること終わったし、とりあえず、ここから出ようか)

(はい。次は得られたスクールのアジトへ向かいましょう。午前中の仕事は終わったみたいですし、次の仕事までは時間がありますから)

上条(ハードワークだなー。でもよ、具体的にどうする?ピンチにならないように見守れってか?)

(そんなところでしょう)

(あなたという存在を、向うには気づいていないはずですから、こっちから出ていくのは不自然すぎます)

(今日一日ついて行って、彼が拉致されるような予兆すら無ければ、問題ないかと)

今一度、部屋を見渡して血みどろの惨状と、倒れている若者を確認する

どうやら自分の知らぬところで犠牲は出続けている。その事実は有りうることだろうと思っていたが、現場を見ればその生々しさが訴えかけてくるものがある
651 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/27(金) 22:38:35.20 ID:Hnq1FDAo
結局、自分の知る限りの救済しか自分は出来ていないのだ。どんなに能力があっても、全てを全て守りきることはできない

学園都市内でたった今死に逝くアフリカの貧困を救えないのと同様に。悔しいというわけではないが、気に食わない 。そういう感情が彼の気をますます重くする

うん、という声が聞こえた。倒した連中が意識を取り戻しつつあるのだろう

部屋の扉へ駆ける。そこで運悪く様子を見に来たのであろう他の男とはち合わせてしまう

上条「うおっ、と。もう少し待ってくれるか?飛び散った肉片が多くて手間取ってるんだ」

「うへぇ、そいつは見たくねえな。了解。お前はどこへ行くんだ」

上条「トイレだよ。ちょっと昨日飲み過ぎちまってな」

ははは、と笑いながら去ろうとする。だが、上条が背を向いた瞬間、男が襲いかかってきた

そのまま、上条はその男を投げ飛ばし、倒れた男の肩を外す

男が悲鳴を上げると、部屋の中から声と音が聞こえ出す。ついでに廊下の先からも足音と声が聞こえた

何だ今の声は!こっちだ!くっそ痛ぇ!痣になってやがる!

声がどこからでも響いて聞こえる

上条(あぁ、クソ!なんでこうなるかなぁ)

(あっちからも来るとすると、構造上、逃げ道が無いですね)

(少なくとも拳銃程度は持っているかもしれない。無策に正面突破は出来ないでしょう)

辺りを見回す。都合よくダクトがあったりしない

上条(んじゃ、あれしかないかなぁ。気が全く進まないけど)

上条の目の前には、壊れた壁から出てきたパイプと、どこにでもあるゴミ箱があった
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/27(金) 22:42:34.11 ID:Hnq1FDAo
麦野「それで、毒でも何でもなく、単に滝壺と共に一晩過ごしただけ、と」

絹旗「うわぁ、病院でとか、他の患者に超迷惑かけたんじゃないですか」

フレンダ「お陰で私は車の中で結局一晩すごしたわけよ」

女子三人からの視線が刺さる

滝壺「…はまづら、はげしかった」

その視線が更に激しくなる。冗談だけど、と言った少女の言葉は今さらすぎて無視される

麦野「はーまーづーらー?テメェが女とヤる為に私達は昨日不便したってことだよなぁ? 」

口がぶ・ち・こ・ろ・し・か・く・て・い・ねと動いた。椅子に縛られた浜面は逃げようと抵抗するが、むなしく倒れ、オラオラと麦野に足蹴にされている

絹旗「しかし、この獣と滝壺さんをこれまで車内に二人きりにし過ぎたってことですよね」

フレ「それは否定できないわけよ。でもなきゃ、こいつを選ぶ理由が無いし」

散々な言われようであるが、声が出せない様にされている浜面はただ、耐えるだけだ

麦野「あーもう、蹴るのも疲れたわ。そうそう、滝壺、ちょっとこっち」

はい、と言って麦野が渡したのは、腕甲。一見、軽装駆動鎧の部品の一つとも考えられるが

絹旗「なんですかそれ。超気になります」

麦野「つけてみれば分かるわよ」

言われて装備する。サイズはぴったりだった

滝壺「これは? 」

麦野「あんた用の補助演算装置、って所かしら。もともと、擬似暴走させなきゃ能力使えないってのがおかしいのよ。体晶使うのはどこぞの馬鹿がうるさいし」
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/27(金) 22:48:31.55 ID:Hnq1FDAo
浜面の目が大きく開き、麦野に刺さるような視線を向ける

麦野「そうカッカすんじゃない。アンタに配慮してやったんだからよ」

そう言って更に浜面を蹴りあげた。少し加減した威力だが

滝壺「うわ、すごい。本当に体晶無しでもわかる。でも、範囲、すごく狭い」

絹旗「範囲がほぼ無制限なのはやっぱり暴走してるからなんでしょうね」

フレ「でもなんでこんなものが今更出てきたワケ?能力者の演算補助装置なんて夢のような装置でしょ」

麦野「そうよ。でも残念。それは滝壺専用みたい。いつだったかのお仕事中に設計図が手に入ったから作らせた」

そこで、浜面の口封じがようやく取れる

浜面「ぶはっ、ハァ。散々、蹴り飛ばし、やがって、少しは手加減しろよ。にしても、そいつはちょっときな臭いんじゃないのか。なんで滝壺専用の補助装置の設計図なんて出てくるんだよ」

麦野「あん?元を問えばお前が悪いんだろ。また蹴るわよ?んで、浜面なんぞに言われなくてもそれは分かってるわよ」

椅子に座り、机に片腕をつき顎を支える

麦野「こんな代物、はっきり言ってそこらの研究所じゃ作り上げるどころか、理論構築すら不可能。その上滝壺がずっと実験台として必要というおまけ付き。そんな物が、試作品という形でなく完成された設計図で存在した。見つかった場所も滝壺とは関係がほとんどない」

絹旗「学園都市に居ながら超オーバーテクノロジーを拝めるとは、珍しいこともあるものですね」

浜面「あやしさMAXだな。でも、とにかく体晶なしで有る程度探せるんだろ」

滝壺「うん。半径、ざっと500mくらい、かな」

麦野「そんだけ有れば局地的には十分。不満が無いって言ったら嘘になるけどね。作らせた甲斐があるわ。さぁて、浜面クン?」

流し目で浜面を見る。嫌な予感しかしない。他の女性陣は次々部屋を出た。そういえば、そろそろ次の仕事の時間だ。その準備か

麦野「退院祝いに行きましょう」
654 :本日分終了のお知らせ。進まね。全然進まね[saga]:2010/08/27(金) 22:57:09.11 ID:Hnq1FDAo
建物の一室から声が聞こえる

佐天「流石御坂さんの思い人ですなー」

初春「犯罪なんですけど、その行動力はすごいと思います」

春上「二人とも美味しいもの食べたなんて羨ましいの」

佐天「はいはい。ちゃーんとお菓子買ってきてるよ。流石にレベルは格段に劣るだろうけどね。はい春上さんの分」

持ってきた白い箱から様々なトッピングが乗ったドーナツが見える。ここは初春と春上の寮の部屋である

春上「おいしいの〜。ありがとうなの」

佐天「はい、どうしたしまして。でもさ、うん、おいしい。こっちもこっちだったよ」

初春「あぁぁ、それ狙ってたのに。何かの詐欺とか違法な研究だったのかもしれないですね。ホラ、みてください」

モニターを佐天へ向けた。ドーナツのトッピングが若干キーボードに散っているが気にはしない

佐天「昨日のホテルの、……何?」

初春「あ、コードの状態のままでしたね。えっと、こうだ」

画面が切り替わる

佐天「あー予約表、かな?あの部屋の予約主は……The Institute of Advanced Technology for Mankind? えっと、この都市の機関じゃ ない?あの御爺さん間違いなく日本人っぽかったけど」

初春「珍しいことに合弁研究機関なんですよ、学園都市外部との。内部組織はもうつぶれちゃってて、現実的には内部の機関みたいな扱いですけど、研究資金の出元は外国の投資家になってますね」

佐天「はむむ。うん、ごちそうさま。難しい話は分かんないなあ。胡散臭いのは分かったけど。ま、何も問題なかったし、あれから連絡があったわけでもないしね〜。んじゃ、行こうか」

春上「ごちそうさま。これでお腹の準備も万全なの」

初春「あ、ちょっと春上さん鼻の頭にチョコレートついてますよ」

そばにあったティッシュを使って落とす

佐天「うーし、んじゃ、行きますか!」

初春「ちょっと、まだ私全部食べてないですよー!」

佐天「ハハー置いてくぞー。行こう、春上さん! 」

黒髪の少女がポケッとしている少女の手を引き、駆けだした。頭に花を付けた少女は口に残りを咥えながら、その後を追っていった
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/27(金) 23:20:35.66 ID:XL6dJUSO
佐天さんの時もそうだったけど、記憶じゃなく記録が残るってなどういう事なんだろ
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 00:11:16.01 ID:KuDbaqso
あと何回か簡略化して全滅させて「どうして変わらないんだ!」「何か、なにか方法は!?」みたいなのも面白そう
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 01:34:03.43 ID:dF/78ASO
この雰囲気が永遠に続けばいいのに・・・
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 02:24:11.09 ID:w/6ANaMo
ユダは浜面か?
659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 04:21:05.25 ID:dzkLAAAO
空飛ぶゴミ箱再登場wwwwww
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 16:03:47.19 ID:bTsSR6DO
前回もだけど何げにていと君がキーだと思う。
彼が拉致されたら終わるな。
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 22:00:45.92 ID:KAQ3ItE0
追いついた。こんな読みごたえのあるSSはじめてだ。
絹旗に超生きてほしい…てかアイテムに生きてほしい…てか全員生きてほしい

あ、佐天さんは別よ
662 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 22:22:30.81 ID:tk/qN.c0
ぶっちゃけ俺も、
みんな生きててほしいんだけどね
あ、佐天さんは別よ
663 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 00:07:43.87 ID:HGajhZMo
俺は大好きだあああああああああああああ
佐天イ`
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 01:17:39.20 ID:8//MDU6o
微妙に前回と状況変わってるから強くてニューゲームってわけでもないな。
つか上条さん単独行動はやめて協力者集うことはしないのか?前回みたく色々間に合わないんじゃないのか?
誰も殺さないの無理そうだけど、せめて[ピーーー]のは佐天さんくらいにしといてほしい
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 20:03:37.19 ID:6hEQs.s0
上条さンの脳内の声が東のエデンのジュイスで脳内再生される。
何回ループしてもいいから全員生き残らせてください。
あ、佐天さんは別よ
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 20:43:01.57 ID:y1uo5ps0
このスレ見てたら佐天さんの印象が
ものすごい勢いで
変わったんだけどどうしたらいい?
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 20:47:45.75 ID:FfkptWso
>>666
こっちを見ればいいと思うよ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1282830192/
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 21:51:27.93 ID:pDqIkAQo
21巻やっと届いた……konozamaめがせっかくプライム契約してやっているというのに
死ぬか死なないかは分からんのだよー。書いてる時のアイデア次第なんだよー。でも人が死ぬと話が書けなくなるのも事実だ から少しは考えてるんだよー
>>667 God job


上条「どぉぉぉぉきぃぃぃぃぃやぁぁぁっぁぁぁがぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇ!!!!! 」

袋小路となっている研究所の通路へ、わざと見つかる様に逃げ込んだ上条は遂に状況を逆転する

逃げ込む時に、敵が銃を使わないのを確認した。持って入る可能性は捨てきれないが、まだ昼間だ。上条もそれを用いないし、使えないのだろう

飛行機のジェットエンジンのような轟音と共に、まとまって突っ込んでくる無能無策な者の群へ、一気に加速し突っ込む

あの時のような速度を出せば、触れた瞬間に彼らは粉微塵となる。それは上条の望むところでは無い

威圧になりさえすればいいのだ。必要なのは轟音と気迫と知覚できる限りの速度、つまり迫力である

無論、この状況で驚いたのは後処理部隊である。間違って入ってきたのか、それともどこかの間者なのか分からないが、ずっと逃げ続けていた普通の高校生の身なりをした男が声を張りあ上げ、ジェット音と共に300km/hぐらいで突っ込んでくるのだ

しかも原理が分からない。鉄パイプにぶら下がり、飛んでいるというよりホバリングして突っ込んでくる

彼らの脳内には能力者という言葉が思い浮かぶ。自分たちにはそれを撃退できるような兵器もなければ、相手の能力も測りきれない。自分達は一網打尽の罠にはまったのか

そこまで考えた者がどれだけいたのか分からないが、見た瞬間限界まで身を壁に寄せる

人と人の間を加速しながら上条が突き進む。同時に正面に見える壁との距離も近くなる

上条(で、どうしよう)

(え、考えてなかったんですか?!)

上条(目の前の突破しか考えていなかったんだ)

(出たとこ勝負があなたの本性ですからね。とりあえず、このままでは激突死しますから放してください)

ぶら下がっていたパイプを放し、その勢いを殺すため、頭を抱えて狭い通路を転がる

上条「ぐがぁっ…… 」

着地時に右肩を強打、恐らく外れたか折れただろう。他の体の部分も下半身を中心に被害が出ている

回転が止まる。痛みに耐え、強引に平衡感覚を回復させ立ち上がり出口へ走る。だが、その足取りは弱い

上条(クソぉ、思ったより痛い、な)

(ふらついてますよ、しっかりしてください)

(そのままそこを右にいけば出口です。恐らく見張りの敵が居るでしょうが、強引に突き抜けるかありません)
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:01:50.64 ID:pDqIkAQo
駆ける上条の後ろから声が上がる。どうやら脅しが効果を失ったらしい。彼らだって仮にも暗部である。自分たちの仕事を見られた人間を何もせずに返すわけにはいかない

脱出しようと思っていた裏口が見えた。だが明らかに人がこちらを向いて立っている。無線で連絡が行き届いているのだろう

(まさに前方の虎、後門の狼ですね)

上条(……なぁに、前方にヴェント、後方にアックアって、状況よりはマシだ)

(縁起でもないことを言わないで下さい。あぁ、不味いですね。銃を持ってます)

男が胸から出した拳銃を構え、間髪言わずに発射。射角を計算し、あらかじめ回避行動をとっていれば、尋常ではない反射神経と周りから的確に情報を瞬時に集めることが出来る上条本来の行動能力に加え、高度な演算装置を並列接続している今の上条ならば、拳銃程度ならふらふらでも最低限の回避は可能だ

だが、後ろに逸れた弾は後ろから追っていた人間に直撃することになった

消音装置を装備しているが、弾が空間を裂く音が連続して聞こえる

後ろへ流れ弾が次々と向かう。同時に、悲鳴

上条「バカヤロー!!こんなところで撃ったら味方に当るばっかりだろうが! 」

上条の叫びもむなしく、銃弾は発射される。当らない弾は、当然、後ろへ。既に倒れている者への追い打ちともなろう

(……曲がりなりにも暗部組織ですからね。特に下位組織であればあるほど、代えの人員はいますし)

上条(だったら味方にあたっても構わねぇってか、ふざけんなよ)

(ならばあなたが当ってやるしかないでしょう。夢ばかり語っても仕方ないんです。犠牲無しなんてのは不可能です。それが現実です)

上条(そんなもの、ただの理屈じゃねえか!どんなロジックがあろうが、根拠があろうが、こいつらがどんだけ多くの悪行をしていようが、今ここで味方に撃たれて死んでいいなんて、そんな根拠は成り立たねえ!それがどんなに俺にとって無駄な事をしていようが、今ここで味方に撃たれて死んでいいなんて、そんな根拠は成り立たねえ!それがどんなに無駄な事だろうが 俺に利益が無かろうが、関係ないんだ! )

上条(正義とか悪とかじゃない、ましてや、絶対的な判断基準があるわけがない!そんな物を決めるのは俺じゃないんだ! ただ俺は、自分が間違ってないと思うことをするだけだ! あとで、自分自身が後悔しない為に! それが独善と言われようが、偽善と言われようが関係ねぇ!!だから……)

上条「だから俺は、その現実をぶち壊す!!!」

何か叫んだかと思えば、回避を捨てるかのように猪突猛進してくる侵入者。ちょうど弾が切れたが、問題ない。もうひとつの銃で応戦するだけだ。近づけば近づくほど拳銃の命中率と威力は上がる

銃を捨て、取り出したもう一つの拳銃で向かってくる上条の眉間を狙う

回避不能の銃弾が飛び出した。眉間に直撃することなど分かっている。だが、避けれない

上条の眉間にぶち当たった銃弾は漸次消滅してゆき、その対消滅によるエネルギーは上条の後ろで爆発する

四肢と首が胴から離れるような感覚、否、実際に胴とそれらの接合部の骨の可動という機能に致命的な被害が出るレベルの猛烈な衝撃が体中に響く

急に膨張した空気が上条を出口へ、側に立っている拳銃の男の方向へ吹き飛ばす。その勢いに乗って、上条はかろうじて使える左拳を男へ

掠った、いや掠らせたのだ。銃弾並みの速度で動く上条の拳が直撃などしたら、上条も男も木端微塵である

男と交差した残りの慣性で研究所を脱出、スクールのアジトへ全力で駆けだした
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:10:07.99 ID:pDqIkAQo
浜面「何が退院祝いだあのクソアマァ! 」

第22学区の地下第7階層で、浜面は敵に囲まれていた

戦争は数だ、という言葉があるが、それが事実なら浜面に勝ち目はないだろう

柱が上の階層と下の階層を支えている5階建ての立体駐車場のど真ん中に浜面はいた

カンカンカンというぶつかる音が、浜面が身を隠している柱から鳴る

浜面(流石に対物弾なんて使わないよな。この柱が崩れれば多少なりとも上下階に被害が出るハズだ。そんなことはお互い表沙汰にはしたくないはず)

予想通り、敵はこの場所に来てから消極的な攻撃しかしてこない

近づく敵も少ない。原因は、浜面の持っている小型自動小銃にある。銃身自体が半分で200度程曲がり、装備している単眼 HMDに銃先カメラの映像が映し出されるという代物だ

対人レーダーもあり、近づく人間へ射撃する。簡単なお仕事

浜面(だからと言って、こんな子供だましの方法、長く持つわけがねぇんだ。早くしないと対策を立て来るはず。まだか、まだなのか麦野……)

このカンカンという音が聞こえている限り、自分は生きていて、同時に絶望的な状況でもあるという事を教えてくれる

心臓が小さくなるような感覚さえしてくる。まだなのか

彼が待っているのは、仲間からの逃げてよしの合図。そう、彼がこんな所でわざわざ孤軍奮闘しているのは、全て陽動の為である

今回の対象は少々護衛が多く、ついに迎電部隊以外にも護衛部隊らしきものが現れたということだ。そこで、麦野が提唱したのが陽動

麦野【元気ピンピンな浜面クンにはぁ、その元気を余すところまで使ってもらうわよん☆ 】

浜面【話しぶりが気持ち悪い上に、嫌な予感しかしないんだが、とりあえず動けるようにしてくれ?】

麦野【お前にやってもらうのは、囮よ。ハイコレ。取扱説明書は一緒に入れておくから。じゃあ頑張って】ニッコリ

浜面【え、話が見えないぞ。ちょっとまて何だこの男たちは。待て麦野!オィ、止めろ!放せ!え、この中に?俺が入るの? 中で連絡が出来るから安心しろ?え、ちょ、せめて動けるようにしてくれよ!オイィ!! 】

こんなやり取りで、浜面は椅子に固定されたまま何らかのカプセルに突っ込まれ、そしてこの立体駐車場に砲弾のように撃ち込まれたのだ。囮として

効果は絶大だった。なぜならこの駐車場には敵部隊の移動車両や弾薬などを積んだ車両があったのだ
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:15:07.44 ID:pDqIkAQo
カプセルから出るとすぐに、装備させられたHMDから敵が近づいているという警告音が鳴り、輸送中に決めておいた場所へ逃げ込み、現在に至る

浜面(弾だって有限だ。カプセルの所へ戻ればまだいくらかあるだろうが、あそこまで行けるかどうか)

浜面(策もなしに白兵戦なんで出来ねえし、……不味ッ! )

手榴弾が投げ込まれた。それが殺傷弾なのか閃光弾なのか発煙弾なのかその他のものなのか分かりはしない

とにかくその範囲から逃げなくては。あらかじめ当りを付けておいたもうひとつの待避場所へ弾幕を張りつつ駆ける

浜面(そりゃ、そうだよな……ッ!畜生)

隠れようとした先には先客が居たのだ。もちろん好ましい先客では無い。瞬時にこちらも手榴弾投げる。敵は軽装だったので急いで身を隠した

後ろで爆発音がした。同時に吹き飛ばされるような暴風。近くに居れば体がいくらかに千切れていたであろう

浜面(敵は下から展開した。そしてこの階の半分以上は制圧された。物量も敵の方が多い)

足元に銃弾が刺さる。考えている時間をくれるような生易しい連中では無い

浜面「上に、上に逃げるしかねぇ! 」

踵を返し、敵がさっき爆発物を投げ込んだ先へ。そのすぐ側には、上の駐車場の階への車両用スロープがある。少々大回りになるが、そこを使って上へ逃げる

時間さえ稼げばそれで自分の仕事は達成される。今は敵を倒す時ではないのだ

瞬間、背後が爆発した。読まれていたのだ、動きが。先程の爆発があった瞬間を狙って、その爆音と粉塵の中に隠して、もう一度手榴弾を投げ込まれていたのだ

破片が浜面の背に刺さる。痛みが伝わり、服と背の間に液体が流れ、衣類が肌にくっついたような感覚がする

だが、致命的ではない。もうあと一歩遅ければ分からなかったが、まだ体は動く。そのままスロープを駆け上がる

浜面「畜生が! こんなところで死んでたまるかよ! 」

合図は、まだなのか――
672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:19:33.55 ID:pDqIkAQo
絹旗「フレンダ! 避けてください!! 」

金髪の少女の前に、白い光線が奔る。名は粒機波形高速砲

つまりアイテムが誇る麦野沈利の攻撃と同じものが駆け巡ったのだ

フレンダ「伊達に麦野のをずっと見て来たわけじゃないっての! 」

間一髪でかわす。目標を失った光線が壁に当り、溶ける

これが初めてではない。浜面の方へ行かなかった迎電部隊を一掃した後に出てきた、白い戦闘スーツの少女が出てきてのことだ

麦野「だぁれの許可を得てそんな事をしてるっつんだよぉぉぉぉぉ!!?」

本家本元の強大な光線が少女めがけて奔る。少女の右腕が溶け落ちた

溶け落ちた腕に代わりに光の右腕を発生させ、近寄っていた絹旗へ向けられる

だが、遅い。絹旗の窒素装甲の右腕が少女の顔に炸裂。その衝撃で顔面がガードごと変形する

麦野「クソ共がぁ、これで何体目よ!?たぁきつぼぉぉぉ!」

滝壺「仕留めた数は4……麦野!壁がわに防御壁を展開!」

言われたとおり、光の壁を展開した瞬間、壁が崩れ、新たな黒髪の少女が現れた

その少女の窒素装甲による打撃という攻撃は麦野の展開した壁を強引に貫通し、肩を強打された麦野が殴り飛ばされる

絹旗「麦野! 」

絹旗が麦野をキャッチ。殴った側は左腕の手首から先が無くなるが、変わりに光の拳が展開される

一時的に気を失った麦野を隅に寝かせ、絹旗が相手をする。少女の方も遠距離攻撃をなぜかせず、窒素装甲に原子崩しの右手を用いて絹旗との白兵戦を行う

フレ「妙なわけよ」

少女たちの攻撃を見ながら、金髪の少女がつぶやいた
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:26:04.48 ID:pDqIkAQo
フレ「これであの白い服は5人目。一人一人でこんなに手を焼くのになんで複数同時投入は無いの? 」

滝壺「500m内なのに、攻撃してくる時しか、AIM反応が無い。だから、それまでの場所も分からない」

絹旗の体勢が崩れる。あっちにも窒素装甲のようなものがある上、少女の光の左手は絹旗の窒素装甲では守りきれない。不公平な白兵戦なのだ

フレ「絹旗、離れて! 」

フレンダの声を聞いて、強引に距離をとる。距離が出来たところにフレンダの大型対物弾が発射される

窒素装甲?に守られた少女の体が大きく吹く飛ばされ、そこへ絹旗がラッシュをかける。衝撃自体を守ることの出来ない窒素装甲の弱点を敵に応用したのだ。見る見るうちに白い戦闘服の少女の顔が変形していった

滝壺「5人目、沈黙。周りに新しい反応もないよ」

麦野「……ってことは標的には、多分、逃げられたわね」

絹旗「気が付きましたか、麦野」

わき腹を押さえながら絹旗が麦野と絹旗の下へ歩む

フレンダ「駄目だったわ、結局蛻の殻よ」

金髪の少女が奥の通路から現れた

麦野「そう。ハァ、浜面に一応合図出しといて。どうせ向うも撤退してるでしょうけど」

麦野が仲間を見渡す。自分を含めて傷を追っている。すぐに動けと言われても動けないだろうし、動きたくない

絹旗「せっかく、陽動まで用いたんですけどね」

麦野「言わないで。今から失敗の電話をあのクソアマにするので憂鬱なんだから」

結果だけ見れば、出てきた敵は全滅したし、主要メンバーも生きている。だが、仕事としては失敗だ。暗殺対象を逃がしてしまった

本来の彼女ならどこまでも深く追いかけたいところだが、敵がどこから湧いて出て、どこに逃げられたのか分からない

明らかにこれまでとは異質の敵に強い屈辱感を感じながら、死体となった少女たちを蹴り潰し、溶け落とし、切り裂き、臓物を引きちぎり、あらん限りの怒りをぶつけた
674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:30:20.91 ID:pDqIkAQo
駐車場4階は、3階と同様の形をしている。22学区という一つの大きな建造物の中にある立体駐車場と言うのも何だか違和感を感じるが、気にしても仕方が無い

何にしても、敵が上がってくるならば自分の後ろのスロープかフロア中央にある柱の中にあるエレベーターからだ

つまり、先に上がることが出来た自分はそのエレベーターと、自分が上がってきたスロープに気をつければよい

その両方から身を隠し、確認できる場所へ一目散に駆ける

エレベーターが動く音がした。開いた瞬間、掃射する

浜面(お前らに、恨みは無い!でもこっちだって死ぬわけには……って空かよ!)

無論コレは罠だった。浜面の弾を無駄に消費させるための

だが、逆にいえば敵の大部分はまだ下に居るということだ

浜面(クソッタレ!合図はまだだが、このタイミングなら、やるっきゃないよな!)

腰に付けたパックを開き、装置を起動する

浜面がこれまで撃っていた銃の弾丸には複数の種類がある。機関銃に曳航弾や貫通弾と言った様々な弾丸が一つの弾帯に装填されているように

おあつらえ向きに、この駐車場はスロープ部意外に空気の逃げ場は無い

浜面の単眼HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に発動の意を示す文字が表されたと同時に、ムァッとした熱気を感じる。まるで焚火の側に寄ったような

浜面がさっきまで応戦し、大量の特殊弾丸と特殊な空薬莢をばら撒いていた3階は一気に火の海となった

そしてスロープを慌てて駆けあがって逃げてきた連中を

浜面「恨みは無いけど、許してくれよな」

掃射を浴びせるのだった。動かなくなってしまった敵兵を見て、罪悪感にかられる

しかし、感傷に浸っている場合ではない。今の火炎地獄で敵が全滅したとは限らないし、敵が着ていたのが耐火装備でない保証が無いのだ。無論かなりの温度になる様に計算された火炎攻撃ではあるのだが

彼がひたすらに合図を待っていたのは、今の炎で混乱を招かせ自分を逃がすためだったからである

発火能力者でも何でもない彼には、炎地獄を何度も繰り出す事は出来ないのだ

本来の合図もない以上、まだ逃げることはできない。ここで逃げれば味方は挟撃されるだろう

前線で戦うことが出来る麦野や絹旗はまだしも、フレンダや特に滝壺は挟撃なぞされればどうなることか

そんなことを考えていると、背中から強烈な痛覚を感じとった。ミシィという嫌な音が体に響き、体勢が前のめりに崩れる

同時に、合図の信号がHMDに表示される 倒れそうになるのを何とか踏みとどまり、強引に後ろを振り向く

白い戦闘スーツを身にまとい、黒長い髪を携えた少女が今まさにナイフで切りかかろうとしていた
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:34:26.30 ID:pDqIkAQo
銃ならともかく、スキルアウト時代に嫌という程見慣れた刃物による攻撃は、浜面を逆に自信付けることとなる

身内には、もっと素早く切り、もっと素早く隙を突き、もっと素早く立ち回る者が居た。見きれないレベルでは無い

喉を切り裂こうとしている腕の動きを捉え、手首を掴み大柄な体を利用した体当たりをかます

数メートル吹き飛んだ少女を確認し、持っていた銃を向ける。少女が吹き飛んだナイフへ手を向けたので、その手を撃ち抜く

浜面「動くな! 伏せてろ! 」

手を撃ち抜いても、まだ立ち上がろうとするので、仕方なく浜面は足を撃ち抜く。ようやく抵抗を諦めたのか、大の字になって動かなくなった

さっきの衝撃は、膝に着いている装甲を用いて背中に二―キックを食らったのだろう、良く動けるなと自分に感心しつつ、少女の フェイスガードに手を伸ばした

ガードを外すと、目を見開いた顔があった。違和感を感じる

浜面「……まさか」

首筋に手を当てると、既に脈は無い。そう、死んでいたのだ

カチッと音がスーツから鳴った。同時にボワッと青い炎が上がり、慌てて浜面は身を引く

しばらくして、後に残ったのは灰と焼け焦げた跡だけだった

他に敵が来る様子もない。まさか全ての敵を焼き払ったわけではないだろう

だが、合図も有ったことだし、麦野達が成功したのか失敗したのか、とにかく敵は引いたのだ、おそらく

アイテムの仕事を手伝うようになってしばらく経ち、散々命の軽視を見てきたが、この命の使われ方は浜面にとってショックだった

恐らく浜面が手足を撃ったことで行動不能と判断して、または判断されて、死と証拠隠滅という選択をさせられたのだろう

浜面(なんであんな年端もいかねえ子供もあんな風に扱えるんだよ)

ガードをとったときの無表情だった顔が頭に残る。あの顔で、どんな事を思いながら死んでいったのか。どんな経緯であんな 扱いを受けたのか

愕然としていた浜面の耳に無線が入る

麦野『生きてたら聞きなさい。失敗したわ。一度引き上げるわよ』

浜面「……了解」

最早自分の怪我など、気にはならなかった
676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/08/29(日) 22:46:23.85 ID:pDqIkAQo
垣根「は…何だよ、これは」

どのネットワークからも物理的に遮断し、自らの能力を持ってして滞空回線の視界からも何からの影響からもシャットアウトした 地下の一室で一人、垣根帝督は絶句した

問題はあのUSBメモリに有った内容である

内容が飲み込めない。あまりにもぶっ飛んだことが羅列してあったのだ。思春期の子供が思い描くような空想を綴ったものとしか思えなかった

道端で拾ったものならすぐに叩き壊していただろうが、これを上級の研究者から入手し、かつ得ようとした一派がいるのは確かなのだ。断じて子供のそれとは違う

この学園都市でこれまでぶっ飛んだ話を多く目にしてきたが、大体は事実か、もっと深い現実があった。完全な嘘が無かったわけではないが

書いてある全てが全て事実ではないかもしれない、寧ろ事実でない方が普通だろう

驚嘆ばかりしていても仕方が無いので、気を取り直し、他のデータも調べてみる

垣根(どいつもこいつも、データ形式が都市のものじゃない。外部の形式なのか?親和性という面で見れば……)

垣根(駄目だ。分かんねえ。生体脳工学なんぞ、ちゃんとした研究者でもないと理解が出来るわけがないのは当然か)

なんだかよく分からない単語とデータを見るのをやめた

垣根(内容よりも根拠だ。あのぶっ飛んだ内容が全て仮に事実だとしたら、俺の計画や野望なんてのは有名無意味でしかない)

今自分の前にある情報が、必死でアレイスターと直接交渉しようとしていた自分を馬鹿馬鹿しくさせる

垣根(クソ。結局、俺は自分で思っているよりも小物なのかもな)

所詮自分には大物の影響力は無い。直接交渉すると言って行動していても、所詮は社会が反抗期の少年集団を侮蔑の目で見ているのと変わらなかったかも知れない

人質を手に入れて強気になっている3流のテロリストと、大して自分は変わらない場所にいたのだ。くだらない妄想だったのか

コンコン、と部屋の扉から音がする

籠り過ぎたか、と時間を確認する。まだ次の仕事までは時間があった。だが、これ以上自分で情報を導き出すことはできないので、とりあえず、USBメモリを外して端末の電源を切った

自ら部屋の扉を開き、ノックの主を確認する
677 :本日分終了のお知らせ。意味不連発の回でした[saga]:2010/08/29(日) 22:54:09.66 ID:pDqIkAQo
心理定規「酷い顔をしてるのね」

垣根「あぁ?……そうか、そんな顔をしてるのか、俺は」

定規「今度は何を焦ってるのか、何の計画が破綻したのか知らないけど、私達は若い。まだ時間はたくさんあるの。落ち着きなさいな」

ハンカチを取り出し、女性らしい手つきで垣根の額の汗を拭う。地下室の温度管理は適温だったはずだが、心理的に汗をかい ていたのだろうか

垣根「確かにおっさんや爺共に人気が出るだろうな、オマエ」

定規「あら、こんな事をするのはあなたぐらいよ?」

ドレスの女の方をじっと見て、それから小さく、笑いをこぼす

垣根「それもいつものリップサービスなんだろ?口が言い慣れてんだよ」

定規「ふふん。わかってるじゃない。少しは調子も出たみたいね? 」

垣根「お前、本当にそういう商売向いてんな。ま、少しはスッキリした。サンキュ」

定規「それで、今度は何をするつもり?」

垣根「ふん。普通に仕事をするだけだ」

定規「あら、詰らないわね。あ「だが、――」」

垣根「次の標的はわざと逃がす。それで俺が追う」

ドレスの少女は一瞬驚いたような顔をしたが 、直ぐに笑みを浮かべた

定規「そう。それじゃ、逃がしたけどあなたが追ってますとでも言っておくわ」

垣根「物分かりがよくて助かるぜ」

そう言って、ッという音と共にキスをするふりをする

定規「……本気ではしないのね」

垣根「気が向いたらな。終わったら話す」

そう言って、女を残し準備に取り掛かった。小物なりに大物の動きをしてやる。それが都市での価値を失った、自分の足掻き方だ
678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 22:58:27.51 ID:6hEQs.s0

期待してる
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 23:15:38.50 ID:8//MDU6o
なかなか読み応えあって面白い
680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/29(日) 23:47:44.64 ID:vtnEFUU0
やっと垣根の活躍が見られる
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 01:25:44.27 ID:oqnXgESO
製作ではネタでしかない垣根がすごい輝きそうだ期待
682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 01:34:32.62 ID:hZUnzPoo
いや垣根に死亡フラグがたった
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 17:45:28.42 ID:AUCoyX2o
なんかこの話禁書SSなのに普通にロバート・レッドフォードやジャック・ニコルソンが出てきても違和感ないなwwwwwwww
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 20:15:41.10 ID:aNkRXo.0
また、垣根が死ぬのか
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 20:56:35.57 ID:lKI0ShYo
上条さん以外の全員に死亡フラグ立ってる気がしないでもない
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 22:13:49.37 ID:2DVQn9Io
>>685
上条さん死んだら竜そのものに成りそうな気がしないでもない。
まぁ今の上条さん、幻想殺しを放射出来るからな御坂が絡んだら驚愕するだろう。
何せ超電磁砲が届く前に霧散するんだから。上条さんの「本気」として誤認するww
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 22:27:35.81 ID:hZUnzPoo
ていと君拉致されちゃったら前回の二の舞じゃないの?
つか上条さんさっさと☆と接触すりゃいいのに
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/31(火) 07:13:17.61 ID:RhMWlMAO
前の世界の研究が何故か残ってて能力の一部を持った個体が量産されてるみたいだけど
拉致られたらまたバラバラにされるんだろうか…
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 08:28:34.13 ID:NDTFXDw0
佐天さんは最初から死亡フラグがたってるな
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 08:32:35.89 ID:AU9//Ngo
死亡フラグ立てまくると逆に生存フラグ
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 11:21:25.97 ID:9voqbXYo
禁書読んだことないんだけど、このスレ見てたら読みたくなった
ラノベ買ったほうがいいよな?
漫画のが読むの楽そうだけど、ちがいとかあるの?
692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 12:57:21.38 ID:HIzkpzMo
漫画は原作のシーンを端折ったりしてるし
なにより話の進み具合が随分違うから
漫画は漫画、原作は原作で楽しむといい
原作は好きな人にはたまらない類だから(合わない人もいる)
まず一冊二冊ぐらいは原作を読んで欲しい

自分は原作二巻目の頭で読むのを止めた
693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 17:24:07.41 ID:2mRimkDO
テンプレ回答みたいなものだけど、
三巻まで読め
あわなきゃやめろ
694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 18:51:10.21 ID:9voqbXYo
回答ありがとう
とりあえず3巻まで読むことにする
695 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 19:06:24.00 ID:NDTFXDw0
原作全部買ったのはいいんだけど金が……
696 :今回の投下の登場人物一人の配役を間違えた気がしてならない[saga]:2010/09/01(水) 00:43:38.99 ID:4c8wo8so
(あれだけ勇ましいことを言っておいて、この様ですか )

上条(死んでないだけマシだろ。縦断眉間に食らって生きてるわけだし)

(そこは褒めておきましょう。ですが、やはり最低限の装備は必要ですね )

上条(否定できないなぁ。9mmの拳銃程度はやっぱり欲しい。脅しにも使えるわけだし)

スクールの隠れ家が入っているビルの隣のビルの屋上、上条当麻は横になっていた

貯水タンクと室外機の間で、一応は他からなかなか見えない場所に居る

(武器はどこかで拾うとして、まずは体を回復させましょう。四肢と首の骨全部にヒビ入ってますからね。私達で強引に興奮状態を維持していなかったら、ここに来る前に痛みで気をやっているところでしたよ)

(いっそのこと、体格の構成を変えてもいいですか。あの戦い方自体は、これからも有るでしょうし。その度にこの様では)

上条(あーもう、好きにしてくれ。カーボンだろうがセラミックだろうが特殊合金だろうが何でも来いだ)

(それでは、そうさせてもらいます。少々ガタイがいい人になっちゃいますけど)

(では私はそれに合わせて筋肉量の増強を)

上条(おいおい、そこまでしたらまた睡魔が来るんじゃないのか?監視できねえぞ?)

(視覚と脳の一部を強引に起こして、監視だけはできるようにできます)

(並列化で負担も減ったんですよ。なのでこれからはゴリゴリ体を改造できます)

上条(成長期ですので、って言える程度でお願いしますね。あ、もう体全然動かねえ、ハハ)

太陽を背に、ゴロンと寝転がって目だけがギョロギョロ動き、体は時折ピクンピクンと動くその姿は、陸に上がった魚のようだった
697 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/01(水) 00:51:29.66 ID:4c8wo8so
上条(……冗談は置いといて、ここから見える範囲では動きが無いな。スクールとやらの次の仕事は何なんだ?)

(外部脱出を図る技術者の抹殺です。全く、技術しか取りえの無いこの都市で技術者の排除なんて)

(データさえあれば、技術者すらクローニングできますからね。天才が一人入ればその脳をクローニングして並列つなぎし、更に演算装置も大型のものをつなげれば、それだけで十分な研究が出来るとでも思っているのでしょう)

上条(なんつーか、一種の驕りだな、それは)

(ま、そんなことは今どうでもいいのです。他人のこと言えない状態なのがあなたですし。このスクールに命令を出しているところなんですが)

(連絡手段は電話連絡やメール等、いろいろ有るわけです。その命令を出す人間は固定されていて、スクールの面子と顔を合わせることはまず有りません)

(無論それは、自己の安全という目的が第一でしょう。ですが得体のしれない人間から命令が来ているという状況がもたらす心理的・思考的重圧を与えるという目的もあると思われます)

(ですが、この命令体系にはとんでもない欠点があるわけです。それは、命令を守らない又は反逆行為があった、という状況 では、それを予見しても阻止することも有意義な罰則も与えられないというものです)

上条(確かに、第二位やそれに肩を並べられるような連中が反抗したら、この都市の連中じゃあ止められないよな)

(それに対応するための組織があるには有るんですが、第二位が相手では手に負えないでしょう)

(つまりところ、何か根本的に従う理由があるわけなんですよ、第二位には。ただ)

(その理由が無意味なものになった場合、又はもっといい条件を提示された場合、彼が学園都市にとって都合のいいように有り続ける保証は無い)

(つまり、結果だけいえば、行動が制御できなくなる可能性があるんです)

上条(そいつは、不味い。アイツらはいくらでも都合のいい条件を出すだろうな。もしそれに釣られれば、そのまま本国送りになってもおかしくない)

(そこまで思慮が浅い人物ではないはずですが、どうなるかはわかりません)

(だから、もしそうなりそうなら、きっちりとあなたが止めるんですよ)

上条(了解。頼むから暴走しないでくれよな。垣根帝督さんよ)
698 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/01(水) 00:57:12.80 ID:4c8wo8so
佐天「やっぱり、遊んだ後のお風呂は良いですなー」

湯船の縁で大きく肩を開き、フフーンとご機嫌な声をあげる

初春「でも、御坂さん、一体何回ここに通ってたんでしょうかね?3人分の優待券分にポイント溜めるのって、片手じゃ回数 足りないですよ」

佐天「多分なんかのグッズ集めとか、そんなところじゃないかなー?御坂さんだし。私たちからしたら、そのキャラクター様様だよー」

言いながら、両手を組み、半分水につけて、それ、という声と共に勢いよく初春へお湯を発射する

初春「ちょ、ちょっと止めてください佐天さん。あ、もう春上さんまでぇぇ」

二方向から湯を浴びせられ、あたふたしている初春の反応を楽しんでいると、綺麗な茶髪をした、スタイルのいい人物が佐天の目にとまった

佐天「うわぁ、あの人、すごいエエカラダしとる」

初春「佐天さん、話し方がおじさんみたいです。でも確かにそうですね」

佐天「やせ過ぎているわけでなく、少しムチッとした下半身。だが太すぎない。コレは至高のエロティシズムですぞ」

あはは、と苦笑いを浮かべる初春

春上「でも、何だが怪我してるみたいなの」

初春「そうですね。せっかくの綺麗な体に打撲みたいな跡があります。痛そう」

佐天「確かここには打撲とか捻挫を治す効能のお風呂もあったよね。それ目当てじゃないかな? 」

初春「あっちの方行ってますし、そうなんでしょう」

春上「お大事になの〜」



麦野「あーちくしょう、アザできてるじゃない」

絹旗「あれだけ強く殴られてアザ程度ですんだなら、寧ろ超ラッキーでしょう 」

フレンダ「うげ、髪が不揃いになってるし、先がチリチリに」

滝壺「大丈夫、あまり目立ってないよ、フレンダ」

アイテム女周は、そのまま22学区の温泉施設に来ていた

失敗した被害から立て直しを図る為、という理由で麦野が主張したのだ

電話の女はそれを許可した。同時に麦野が報告した白い戦闘服の少女の集団について調査を優先したかったのかもしれない

どうやら他の暗部でも同様の集団が現れ、幾らかの能力者が返り討にあっているようだ

指示を出す側も無茶をさせるわけにはいかない。相手の戦力を考えた上で、GOサインは出されるものである
699 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/01(水) 01:03:57.34 ID:4c8wo8so
絹旗「しかし、何だが浜面の様子がおかしかったですね」

滝壺「なにか、すごく思い悩んでるみたいだった」

フレ「馬鹿面には似合わない顔だったわけよ」

麦野「雑魚には雑魚なりに考えることでもあるんでしょ。はぁーきもちいい 」

効能のある湯につかり、その豊満な胸を水に浮かす

強打した肩の動きを確かめるように動かし、痛みが引いてきているを感じる。この風呂の効能のお陰なのかもしれない

フレ「そういえばあの白くてマスクしてた奴ら、浜面も戦ったって」

絹旗「浜面があの連中を撃退したんですか?あの無茶な囮で生きていた事といい、超信じられません」

フレ「連中、っても、一人だけだったわけよ」

麦野「へぇ、やるじゃない。どうやったって? 」

フレ「ナイフで切られそうになったから、押し倒して、銃で手足を撃ち抜いて、身ぐるみを剥がして……」

絹旗「うぇ、超ゲス野郎です」

フレ「で、気が付いたら死んでたんだって」

麦野「ここで気になるのは浜面の死姦趣味の有無……じゃなくて、おかしいわね」

絹旗「はい。あの白いのには私の窒素装甲のような能力が見られました。滝壺さんはどう感じました? 」

滝壺「うん。あれは絹旗と一緒の反応だった 」

フレ「じゃなきゃ私の大砲で木端微塵だったワケよ」

絹旗「しかし、フレンダの攻撃では体ごと超吹っ飛んだだけ。となると」

麦野「浜面の持ってた小銃如きでは、手足を撃ち抜けるはずが無い、ってことね」

肩を擦る。あれは紛れもなく、能力を加味した攻撃だ。でなければ自分に攻撃が届くはずが無い

麦野「せめて顔ぐらい見ておくんだったわ」

そう言って、ザバァという音と、胸の縦揺れと共に、湯船から身を出した。そして乳の縦揺れと共に次なる湯船に向かった
700 :無理な展開クルー。浜面がおかしいよー[saga]:2010/09/01(水) 01:13:15.14 ID:4c8wo8so
浜面の心は揺れていた。どうも周りもそれを気遣ってくれたのか、ここへ来るまであまりからかってこなかった

暗部組織の一員としては、この程度のことで悩むべきではないのだろうか

じっと右手をみる。自分が甘さを持っていた為にうちこまれた謎の遺伝子改変薬。具体的な効果は出ていない。だがもしこれが毒だった場合、今頃自分は死んでいたのだ

自分は、甘いのか。あのように年端もいかぬ少女が命を散らせても、全く動じない程度の、冷たく硬い鋼鉄のような心を持たなければならないのか

一人の無能力者としての自分の居場所がこの組織ならば、この組織に馴染んでしまうべきか

脱衣所で髪をドライヤー乾かし、服を着替える。怪我をしていたハズの背中も傷はなかった

浜面(髪、そろそろ染め直さねえといけねえかなぁ)

などと思いながら休憩所に移動し、ふと茣蓙の休憩スペースに目をやる。他の連中は出てるかな、程度の考えだった

が、そこに居たのは、自分が間接的に殺した、顔を持つもの。表情に色があり、友達と楽しそうに会話をしていた

他人の空似かもしれない。適当な場所に座り、隠れ見る

だが、どう見ても同じ顔である。僅か2時間以内に看取った顔なのだから、間違いようが無い

本来ならば、あの少女も浮かべることが出来たであろう笑顔が、浜面には許せなかった

なぜ、同じ顔の少女は人形のように殺され、方やこっちの少女は能天気に笑っているのか

今笑っている少女は知らないのかもしれない。自分と同じ顔の、同じ体躯をした人間が、まるで機械のように戦い死んでいっ たことを

フレンダとの会話で、同じような姿をした敵5人と戦い、打ち破ったということを聞いた。ここに同じ顔が居るということは、その5 人ももしかしたらあの少女と同じ顔をした、クローンのようなものだったのではないだろうか

ならばなぜ、この少女だけが ……

スキルアウト時代、人を拉致した経験が無かったわけではない。無論それは、決して自己の性欲を満たす為ではなく、敵対す る他集団の行いを諌めたり平和的に問題を解決する為という目的の元で行ったのだ

特に友人の半蔵は、その手の動きに詳しく、そのイロハは実践で学んだ

少女が牛乳を飲み干し、ひとしきり友人と話をし終わった後、席を立つ

恐らくはトイレ

浜面の動きは早かった。女子トイレに清掃中の看板を立て、他の階へ誘導。上の階は店は無く、ただ自販機とソファがあるだけで、施設設備・管理の部屋が多い

当然、人が少なく、慣れない少女は迷う
701 :あれこの浜面かなり電波な人じゃね? [saga]:2010/09/01(水) 01:20:57.88 ID:4c8wo8so
佐天「あっれ、トイレどこ?」

少女が呟いた瞬間、後ろから腕を首筋に回し、首を一気に圧迫、声を封じてそのまま管理室へ引きずる

中ではゴウンゴウンと巨大な何かの駆動する音がした。外からは聞こえなかったので、この部屋の防音はかなりしっかりしているらしい

部屋に入るなり、首の拘束をとき、突き放す

急にこんなことを、しかも明らかにチンピラ風の男にやられると、一女子中学生でしかない佐天にとって考えられる事は一つだ

機械の音が、自分の悲鳴をかき消し、目の前の男には力でも勝てそうにない。パニックに陥りそうな自分を何とか抑え、冷静を保とうとする

男がぐっと近寄る。助けも来そうにない。ああ、このまま力ない自分はこの男にされるがままにされてしまうのか。そう思うと悔しくて、そして恐怖で涙が出てくる

手が伸びる。衣類でも裂こうというのだろうか。そう思って、目を閉じる。だが、男は胸倉を掴み、耳元で声を張り上げる

浜面「なんでテメェはそんなにヘラヘラできるんだ……!」

何の事かわからない。恐怖と混乱が少女の頭を支配する

浜面「テメェだけが笑ってていい訳がねえだろ!知らない、だけじゃ済まされねえ、許されねえ!! 」

浜面「この都市で、不満を持たずにぬくぬく生きてるだけで、犠牲があるのを知らない!そんなことは許されない、俺が許さない! 」

浜面「お前には、お前だからこそ、知る義務がある。知って苦しむ義務がある。仕方無しにしても、それから目を離して今のままで有り続けるなら、俺はお前が許せない」

浜面「何の事かわかんねえ、って顔してんな。その分かんねえって事自体が許されねえんだよ」

佐天を壁に押し付け、腰から一本のナイフを取り出す。それは、あの死んだ少女の使っていた物。そんなことは当然知らない 少女は一瞬、死を覚悟した

それを勢いよく佐天の左肩と頭の成す空間に突き刺した。数本の髪が切れ落ちる

胸倉をつかんだ拳を緩めると、そのまま少女は崩れ落ちた

そのまま、無言の少女をじっと男は見つめる

佐天(……なんなのさ。アタシの、何が悪いんだよ)

佐天(知らないことが、罪?わかんないよ。あたしがなにか、わることしたの?)

佐天(ともだちと、ふつうに笑いあっちゃ、だめなの?わかんない)

佐天(何を知らなきゃだめなの?なんでアタシじゃないとだめなの?)

佐天(おかしいよ。ここ最近わけわかんないことばっかりじゃんかぁ)

泣き声に嗚咽が混じりだす。混乱しているんだろう
702 :誰かがこの役しないと佐天さんがただのニートってしまうんだ[saga]:2010/09/01(水) 01:26:32.94 ID:4c8wo8so
浜面「泣くんじゃねえ。泣きたくても泣けずに逝った奴だっているんだ」

逆に涙目を大きく開いて、浜面を睨み上げる

佐天「……さっきからなんなのよお゛!権利とか義務とかっで!なんでア゛ダシなのよぉぉお゛」

浜面「教えてやる。ついてこい」

身を屈め、崩れた少女を引き起こし、壁のナイフを少女に渡す

浜面「まずは涙を拭け。んで、お友達に先に帰るとでも言うんだな」

少女は、浜面が渡したハンカチで涙をふき、ナイフホルダーを浜面から貰って、部屋を出た

男もしばらくして、部屋を出る

浜面「もしもし、麦野か?」

麦野『あぁ?なんだ馬鹿面か。何よ、私たちはまだゆっくりしてくつもりなんですけど』

浜面「すまん。ちょっと用事が出来た。運転手は他に用意しておくから、麦野たちはそれで帰ってくれ」

麦野『へぇ、いいケツした女でも見つけたの?頑張んな童貞君』

浜面「うっせえ違ぇよ。で、ちょっと確認、今日本来この後あった仕事の場所は、23学区の樹形図の設計者情報総受信セン ターだったんだよな」

麦野『そーよぉ。今頃たぁくさん敵の防衛部隊が配備されてるだろーさ。なんでそんなことを聞くのよ』

浜面「い、いやぁ、俺がどっかにいってる間に緊急の仕事が入って、ピンチになったところで俺が颯爽と登場するため、かな」

麦野『……ア、アハハハハハハハハ!!!冗談、は、顔だけにしてよね。アンタなんて、ハヒッ、颯爽と、敵の的に、なるだ けだっての。ンフフッ、まぁ期待しておくわ、ヒーローさん。じゃね』

そのまま携帯で他の下部組織員にメールで麦野達のドライバーを頼み込む

あとは、あの少女が戻ってくるかどうかだ
703 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 01:28:12.71 ID:AiDZidwo
なるほど。オリジナルを殺さないように佐天さんのクローンを用意したのか
遺伝子レベルで同等のクローンを用意する事で死亡フラグを分散させてるのか。
やるな作者。

だがそんなことをしても佐天さんは別よ。
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 01:29:24.13 ID:6wh64SU0
>>703
いやでもこの展開は佐天さんの心が壊れるフラグ・・・
705 :だからゆるせ浜面。かっこよく書くから[saga]:2010/09/01(水) 01:32:13.50 ID:4c8wo8so
垣根「あぁ?変更だと? 」

定規「そ。23学区の樹形図の設計者情報総受信センターに立てこんでるやつらの削除。第四位のいるアイテムには手が負えないだろってことで、こっちに来たの」

垣根「おいおい、原子崩しも形無しだな。じゃあ、場所の見取り図を」

頭からケーブルが多く出ている少年が、大きなモニターに見取り図と現在の状況を並列表示させる

砂皿「敵はヘリで離脱する様だな」

垣根「そうだな。ジャマ―の類をフルに発動させて、ってとこか」

定規「軍事用のとか使われちゃったら、足が速くて追っかけられないわよ」

砂皿「となれば、乗り込む前に狙撃したいところだ」

垣根「狙撃面でも対策されてるだろーよ。よし、作戦の手順はこうだ」

@砂皿がヘリの乗り込み時に狙撃できる場所に付く

A垣根が単身潜入、妨害気流などの装置を優先して機能停止にする

Bプラグの少年と心理定規が攻撃を開始する

C潜んでいた垣根が逃げ始めた標的を殺す

Cに失敗した場合Dとして砂皿が狙撃して標的を殺す

垣根「以上だ。何か異論は?」

定規「そう言えば、帝督が戦った白い女がでてくるかもしれないって。第四位達はそれに手を焼いたらしいわ」

垣根「アイツらは、俺の能力と同じものを持っていた。多少劣化していたとはいえ、手強い。俺が居ない場合に出てきたら精神感応系で攻める以外はないだろう。核はお前だ」

定規「了解よ 」

全員の顔を窺う。問題はなさそうだ

垣根「じゃ、行くぞ」

ブリーフィング部屋から出る瞬間、垣根はドレスの女に目で合図を送る

女は、御好きになさい、とすれ違いざまに呟いた
706 :本日分終了のお知らせ。いやぁ、ひどい話だ[saga]:2010/09/01(水) 01:37:56.95 ID:4c8wo8so
ローマ教皇「十字教最大にして最高の事業を前に、アメリカめ、やってくれる」

朝の式を終え、聖ピエトロ大聖堂のトップは椅子に座り、独り言ちた。その声には怒気を帯びている

足音がした

?「彼の国が歴史上最も、人種・民族・宗教の対立を理解しているのだ。してやられたな、教皇サマよ」

言葉の主の顔を一瞥し、睨みつける

教皇「事の発端をもたらしたのは貴様であろう。対立の原因は貴様等右腕のs」

一睨みで、言葉を遮る

?「見苦しい。20億の頂点らしく、もっと堂々としているべきだと思うが」

教皇「フランスを止る力も無しに、何が頂点か」

?「別の宗教であると割り切ってしまえばいいだけの事だろう?気にすることは無い」

教皇「十字教徒の聖典は細部は違えど皆同じ。その時に我らも選ばれることを確実たらんとすのは私の天命だ。より確実でより多くの人々の救済がなされねばならん。現段階ではもはや科学の都市など世界の中の1都市にすぎんのだ。同じ十字教としてイギリスとも」

パチパチ、と手を叩き、遮った

?「それもこれも、”繰り上げ”のせいだ。されば、この状況もいわば神の篩と考えてもよいだろう」

教皇「それが狙いか、貴様の」

?「浅い浅い。浅すぎる。俺様の底をお前なんかと比べても、答えなど永遠に出んよ」

興味が失せたように、教皇から目を背ける

?「なぁに、心配するな。次の戦いは俺様も出るが、指揮には関与しない。その辺は教皇たるお前の裁量だ。俺様が参加する以上勝利は確定だがな」

?「博愛主義のお前が講和を取り持てば、向うも折れる。統一さえしてしまえば、お前の悩みも取れるだろう? 俺様に任せれ ば、全て解決するんだよ」

そう言い残して、神の右腕のリーダー、右方のフィアンマは教皇の前を後にした

残された教皇は、ステンドグラスを仰ぐ

ああ、どうして主はこの時期をお選びになったのか。そう呟くしかなかった
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 01:38:31.75 ID:gzQbDCQ0
この時間に読むとなにがどうなってるか分からない
708 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 01:41:05.18 ID:.OOYJEQ0
仮面ライダーのスレかと思ったのに・・・
709 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 01:43:24.83 ID:AiDZidwo
>>704
前回も心壊れてたじゃん。
ってことは順調に爆散への道を…
あ、ついでにフィアンマさんも別よ。
710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/01(水) 01:46:34.60 ID:4c8wo8so
>>708
ゴメンね。実は自分もそんなクロスオーバー読んでみたいんだ
だれかスレ立てて書いてくんねえかなぁ
711 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 01:54:55.54 ID:3z7suWgo
これが終わったら、次に書けばいいじゃない
712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 02:14:11.34 ID:.OOYJEQ0
カメンライド
ディケェード!
ファイナルフォームライド
カカカカミジョー!!
713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 02:54:33.93 ID:kpAyaESO
マジで浜面レイプするかと思った
714 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 14:25:36.44 ID:vhL0XwAO
フィアンマと上条さんの共闘に期待
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 16:10:51.24 ID:4CI5dCso
hamazurakitigai
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 21:05:37.51 ID:BiJaJ8wo
今ボーン・アイデンティティやってる…
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/03(金) 16:25:58.08 ID:4PJEVMYo
勢力が入り乱れてきたな
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/03(金) 17:57:04.39 ID:3cQ8P.Qo
しかし、ベクトル操作と未元物質って能力としてチートすぎるよなぁ…
第三位以下の能力と比べると何でもありじゃねぇか…
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/04(土) 17:58:49.87 ID:qGKLmwgo
追い付いた

細かい事言う様だけど
銃弾が対消滅したら原爆なみの爆発が起こる
さすがの上条さんでも死ぬ
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/04(土) 21:01:40.51 ID:7U6CmJM0
>>719
このスレで、細かいこと気にしてたら、読めない、気がする
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/04(土) 22:57:44.67 ID:PdK7zCYo
原作をつーじつに再現してると思えば
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 00:21:44.01 ID:.t7Z3JAo
作品の中では現実の常識は通用しないんだよ
細かい事は考えても疲れるだけ
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 01:25:25.04 ID:N2dbrN2o
つか色々気にしてたら原作読めないけどな
724 :駄文投下タイム始まるよー。いよいよ意味不だよー[saga]:2010/09/05(日) 01:57:32.24 ID:lB0f.1wo
6時間ずっとノーセーブで信長の野望やったら落ちたでござるorz
はわわ、気付かれたぁ。一瞬で対消滅させればそうなるかもしれんけど、弾速による速度徐々で、且つ消滅エネルギーの種類を分けれるので大部分をニュートリノにして逃がしているという後付け設定をゲフンゲフン
じゃなきゃγ線大量放出で都市の放射能汚染レベルが酷いことに
弾丸分の質量が対消滅したら生じるエネルギーは約900兆ジュールだぜ?無茶な設定をしてない訳が無い。第3位さんの2 0億ボルトが軽くかすむ600億ボルト分(雷レベル電流で15万アンペアとした場合)ですよ?ああ、また第3位の相対的レベルが低下した
垂直上昇力分の運動エネルギーとしても100kgになるように宇宙服を着こんで9兆m=90億kmになるので1光年=9 兆4608億kmだから0.001光年分地球上で垂直移動できるだけの運動エネルギー。これでもまた学園都市壊れますね
ちなみに地球の自転を1秒止る為のエネルギーは超おおざっぱに計算して約600京ジュールな。あれ、kjさんが霞む

ま、所詮オナニーですから!気にしたら負けだ!話、破綻しまくってるからな!原作乖離も最高潮だぜ

垣根「お仕事御苦労さん」

眉間に穴の空いた死体を漁り、キーカードを取り出す。本来の職分としてここの警護をしている者ならば、最低限の出入り口のゲート権限ぐらいは持っていよう

学園都市は、不安定な状況にある。積極的に逃亡をする者、それを阻止する者、何も知らない者

つまり、学園都市保守層とアメリカの息がかかった層との戦いに、それを知らない・意図的に取り合わない立場である

その3者がこの場所にはいた

公表はされていないが、樹形図の設計者は壊れた。そのことによって、この場所の価値は一気に低下した。だが公表していないことで、その警備を減らすわけにはゆかない

そしてこの状況下では、それは寧ろ有効的に利用できたのだ。この場所ならば、いくら資材を大量に持ち込んでも、人員が急に増えても、世間的には、全く不自然さは無い

入ってすぐ側に扉があり、休憩室のネームプレート。正面5mの所に次の扉がある

わざわざ休憩室なんぞに入って敵に会う訳にもいかないので、そのまま次の扉へ

奪ったカードを使うが、Lockedの表示は変わらない。舌を打つ

強引に突破、などと考えていると正面の扉が開いた

虚を突かれたのは警備している方である。どうやら休憩室に向かうところだったのだろう

間髪いれずに腹部に拳をぶつける。直接体内に未元物質を送り込めば、筋力がいくら劣ろうと致命的な衝撃を与えることになる

生き死にに関わらず、動かなくなった人間を横にどけ、漁る。先程の人間とは所属が異なるのか、装備が異なる

垣根(こいつら、さっきの警備してた連中とは違う。武器水準が高いな)

カードを奪い、自動的に閉まった扉のロックを解除する。閉まる前に見えた向うはまだ廊下のようだったが、大きな部屋や空間に出た場合、まだ日中である以上、研究者や警備兵がうろついているハズだ
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 02:02:35.69 ID:beG4EaEo
pripripriri-nn
726 :めんどくさい描写は読み飛ばせばいいよー[saga]:2010/09/05(日) 02:07:04.68 ID:lB0f.1wo
それら全ての視界に入らずに行動することは難しいだろう。少なくとも今の恰好では確実に目立ち見つかるので、ピクリとも動かなくなった人間の衣類と装備を奪い、扮する

垣根(コソコソするのは面倒だが、仕方ねえか)

頭に叩き込んだ地図を頼りに、自然な動きで地下の階段へと進む

今の彼に必要な行動はハッキングでも何でもない。狙撃の邪魔になる装置の電源を落とすことだ

樹形図の設計者への送受信を行う施設である以上、使用される高域の電流電圧を供給する必要がある

その高圧電流電圧は馬鹿みたいにエネルギーを消費する防衛装置にとって都合がいいので、そこから供給されているという訳だ

以上は事前に調べ上げた仮説であるので正しいのか分からないが、何にせよ、室内の電源が落ちるのは隠密行動で的にも都合がいいのだ

地下の一室にある変電設備に触れ、外装を剥がす

電流が通っているだろう配線に手を突っ込み、未元物質に電流が通うように能力を展開する

電子の流れは、マイナスからプラスに向かっているのは常識で、その常識に基づいてあらゆる電子機器は設計されている

その電子の流れを強引に逆にしてやる

するとそれだけで、あらゆる電子機器はショートしたり、エラーを吐き続け何れ物理的に壊れる

未元物質と言う常識外れの能力を持つ彼にとって、電子や粒子の動きの法則を狂わせる程度、ナンパするよりも簡単な事だ

バチバチという音や何かの動きが停止した音が鳴り、照明が落ちる。無論非常電源程度は配備されているだろうが、一度狂った電子が設備全てに駆けまわった為、精密機械の類は軒並み壊たので、単純な照明などを除いて、つまり非常照明の類以外の全ての施設機能は停止した

垣根(だが、このままだとまず間違いなく、標的は慌てて出てきたところを砂皿に撃ち抜かれることになる。それじゃ仕事上は完璧だが、俺にとって不味い)

着ている敵の装備から無線を取り出した

垣根「オイ誰か聞こえるか!この停電は何だ!?」

『原因は不明。今調べさせに行っている』

垣根「外には狙撃手が居やがるぞ!どうなってんだ!クソ!仲間が撃ち抜かれた!恐らく北東のビルの屋上と思われる! 」

『了解。別働隊を向かわせる』

こんなもんかと呟いて、無線を破壊し、ゴミ箱へ。今の話から調査隊が来るだろうから、身を隠す

垣根(すまねえな、砂皿。ま、簡単にやられたりはしねえだろ)
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:17:44.59 ID:lB0f.1wo
(電源を落としましたか。効果的ですね)

上条(でも様子がおかしいぞ。非常電源入ってんのにまともに明り見えないし)

(何か細工をしたのでしょう。ま、これで彼自身が罠にはまる可能性も増えたことになるんですがね)

上条(まだ日があるけど施設の中は暗そうだからなぁ)

(早く見つけましょう。といってもこっちは彼に見つかっても不味いですが)

全くフェアじゃねえよな、と呟いて垣根が施設に入って行った、警備部隊用の裏口から上条も入ろうとする

やはり、壊れている。手をあてがってみると

(ああ、回路自体が逝ってますね。こじ開けるしか)

とはいっても、取っ手のようなものがあるわけではない。緊急用の手動開閉用のものも見つからない

(施設内部の扉が全部こういうタイプの物だったら、密室や隔壁閉鎖された廊下ばかりでしょうね。これは中がかなり混乱してるかもしれません)

人差し指を扉の淵にそってなぞる。強い光を発しながら、まるでレーザーカッターの如く切り開かれていく

上条(扉が出るたびにいちいちこんなことするのか、暑いし手間だ)

(今にスクールの連中が強襲するでしょうから、そうなれば扉を吹き飛ばしても問題は無いでしょう)

(でも、爆薬の類があるわけではないので、奪うか何かしないといけませんがね)

目の前の、ガタンという音と共に可動可能になった扉をスライドさせる。開いた先には壁に人が座る様にあった

(この人もさっきの人と同様死んでますね)

(その上装備が奪われてます。そして正面奥の扉はまた強引に開くしか)

死体となり完全に生気を失った顔に手を当て、開いたままの瞼を閉じてやる

残酷な方法だが、一瞬で黙らせるには適している。上条にはそれが気にくわないが

(臓器類の内部破壊とは、えげつない方法です)

(一応、残ってる使えそうな爆発物は貰っておきましょう)

上条(……ああ、そうだな)
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:23:07.01 ID:lB0f.1wo
建物内にガラスの割れる音と爆発音が響いた

上条(本格的に始めやがったか。急がないと)

「な、なんだこの爆発?」「わからねえ。おい、照明も付いてないぞ」「なんだそりゃ。寝てる間に何が」「おい、ドアが開かねえ」「仕方ない、ぶち破れ」

そばの休憩室から声が聞こえた。寝ていた連中が今の音で起き出したのだろう

(丁度良いです。彼らに紛れて行動してみては)

上条(悪くないな。気絶させたり殺したりするよりずっといい)

屋外の死体の服装に着替えると中から爆発音がした。屋内に戻る

上条「おい、いつまで寝てんだ。侵入者があるみたいだぞ」

「すまない。だが侵入者なら、最近来た特殊部隊が相手にしてるはずだ」

上条「最近来た部隊?」

「 あの不気味な連中だ。外のお前は気付かないかもしれないが、ありゃ何かおかしいぞ。休みやしないし顔色も見せねえ」

「フェイスガードしてるやつもいるしな。俺が思うに急増クローンか精神がイっちまった奴かなんかだな、アレは」

上条「いいのか?お前らは内部の警備だろ?」

「あのレベルの装備をしてる連中が居る中で、俺らみたいな軽装が何人かいても邪魔か盾にしかならねえさ」

「ま、一応応戦しました、ってことで様子程度は見るけどな」

「ここだけの話、樹形図の設計者は隕石か他国の軍事衛星に壊されたって話しだ。実際ここは価値のある施設じゃ無くなっちまったんだよ」

「あーその話、マジなんだ?ったく、俺達何してるんだか」

話しながら、てきぱきと爆発物を閉まっている扉に取り付け、吹き飛ばす

「さて、どんな地獄が待ってるかな」

そう言って、上条を含めた軽装の警備員が突入していった
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:29:09.79 ID:lB0f.1wo
定規「ちょろい」

グレネードで割った正面玄関から突入し、少女は呟いた

照明が切れた為に警戒していた警備員を同時に突入したケーブルの少年が宙に浮かせ、展開した無数のナイフで切り裂く

そして彼らの攻撃は心理定規の能力で侵入者の若い男女には向けられない

次々と、その場に居た複数の警備員は行動不能になる

定規「さて、衛星制御室にでも行って標的をあぶり出しましょーか」

少年「了解」

定規(このままだと砂皿のおじさまが狙撃する形でしょうけど、あなたなら既に手を打っているわよね、帝督)

衛星制御室は2階と3階に分けて存在している

巨大なモニターを中心に半円状に備え付けられた多くのデスクが2階と3階にわたって設置されていることにはなっている

が、今はどうか分からない

資材の急搬入と人員の増加が意味するのは防衛力強化だろう

少しは警戒しながら進もうかと考えてつつ、銃を構えながら二階へと階段を進む

すると、体を止められる。正確には、念動力で動きを止められたのだ

何するのよ、と少年の方を見ると階段の端を指差す

罠であった。取り付け型の赤外線発射装置

恐らくこのまま進めば罠が作動して、蜂の巣にでもなっていたのだろう

危ういところだった
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:33:17.65 ID:lB0f.1wo
心理定規の最大の弱点は、その能力は対人でしか効を成さないことである。故に、機械の罠は命取り

少年の方も、超能力者クラスの演算能力を持っているわけではないので、盾でもない限り、飛来するであろう無数の銃弾などから身を守りきることはできない

少年が万能なゴーグルを装備していなければどうなっていた事か

ありがとうの意を込めてウインクしどうやって突破するか考える。装置を破壊しない限り突破は難しそうだ

定規(まだ電源が落ちてからそんなに時間は経ってない。にもかかわらず、結構な罠ねぇ。まるで私たちがここに来るのが分かっているかのような)

階段を下り、十分な距離を取って少年に目で合図を送る

一度場所さえ分かってしまえば、念動力を使って強引に装置を引きはがすことは可能だ

合図の意味を汲み取って少年が能力で引きはがす。当然、赤外線の受信が無くなったので、一斉に罠が発動した

階段という空間全てを覆うように弾幕が貼られ、更に擲弾レベルの爆発が駄目押しの様に数回発生

巻き込まれれば彼女らは即死だっただろう

だが、逆にそれによって階段に設置された罠は全て一掃されたはずだ

撒きあがる粉塵の中を間髪いれずに駆け抜ける

階段を上りきった場所は広い空間で、その空間の左の両開きの大型スライドドアを抜けた所が衛星制御室であるはずだ

温感センサー搭載の単眼サイトをとおして敵の場所を確認。瞬時に敵の脳内には少女と少年が味方であるように書き換える

後は正面玄関と同様、飛来するナイフに拾ったライフルによる銃撃で事足りる

やはり制圧は時間がかからなかった
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:37:21.50 ID:lB0f.1wo
佐天「あ、あそこ、爆発」

少女が指差した先は目的地側の少し高いビルである

浜面「多分、狙撃手でもいたんだろうな」

佐天「そげき、しゅ、スナイパーってやつ」

浜面「ああ。そうだ。見ろよ、目的地のアンテナの先端。本来なら航空照明がついてるんだが、光って無いだろ。電源を落とされてるんだ」

車を運転しながら指差した先は確かに光が無く、施設も真っ暗だった

佐天「本当に、戦ってるんですね」

浜面「戦いなんて言う綺麗な言葉だったらいい。大概は、攻撃側の一方的な虐殺だ」

虐殺……と頭の中でリフレインしていると、車が止まった

浜面「下りろ」

佐天「そのまま行くんじゃ? 」

浜面「そのままなんて危険だ。安全を確認できる範囲で少しずつ進む。俺はお前に危害が加わってほしくないからな。事実を見せたいだけだ」

車を降りてしばらく進むと、正面玄関らしき場所のガラスに大穴が空いているのが見えた

良く見るとその奥には血まみれの人影が見えた

止まった足を促すように少女の腕が引っ張られる

同時に施設内から掃射音と爆発が聞こえる。同時に噴煙も見える

浜面「絶対安全とは言えない、けど、守ってやる。そして、見るもの見たら、とっとと逃げる」

本来の彼には似合わないであろう真面目な顔が、こういう場では特別引き立つ

佐天「見せたいものがある、なんて普通の男女の仲ならロマンチックなんですけどねー」
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:41:40.82 ID:lB0f.1wo
浜面は、少女が余裕の無い表情で無理やり出した冗談に罪悪感を覚えた

だが進行は止めない

まず浜面が先に施設内に入り、死体から装備を奪う

1階の安全を確認して隠れている少女へ合図を送った

少女がナイフ片手に駆けてくるタイミングで、もう一方の出入り口から繋がる扉が吹き飛んだ

咄嗟に少女を自分の体の後ろに隠し、盾となって銃口をそちらに向ける

入ってきたのは数人の警備員で、装備は軽装だ。浜面が小銃しか持たず、攻撃してくる事もないので警備員は扇状に展開する

「何だお前は?!侵入者か?!」

「武器を捨てろ! 後ろに居る奴もだ!」

多勢に無勢、その上戦力にもならない少女が居る以上下手な事はできない。浜面は武器を捨て、両手を挙げる。後ろの少女も浜面の陰から出て、ナイフを捨てた

その少女の姿を見て、警備員の男が反応する

「ああ、その顔は、味方だったか。すまない」

そう言って一人が銃を下げると、全員がそれに従う

何のことか良く分からない少女が居る一方で、浜面はやっぱりか、と呟いた

上条(なんで浜面があの子と一緒にこんな所に居るんだよ)

(予想外すぎますね。彼には滝壺さんという存在があったのですが)

(その顔は、と言ってましたが何の事でしょうか )

上条(それも気になるが、今は第二位だ。ここらでちょっと身を引かないと)

上階で大きな爆発音

警備員は一瞬顔を見合わせ階段へ走る。上条もそれについて行くが、最後尾でついて行き、一人地下へ向かった
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:47:45.76 ID:lB0f.1wo
取り残されたのは浜面と佐天、転がる死体

佐天「これが見せたいものじゃないですよね」

死体となった人間を指して言う

浜面「違う。こんなもんだったら、わざわざ見せたくは無いっての」

青ざめた少女の顔色を窺いながら、例のナイフと安全装置を外した拳銃を渡す

佐天「私にも、殺しをしろって言うんですか?」

浜面「こういう武器だって、殺さない手段はある。武器や手足を撃ち抜けば、敵が能力者でもない限り、まず動かなくなるからな」

佐天「でも、能力者だったり、他に武器持ってたらこっちがやられちゃいますよね?それって危険じゃないんですか? 」

若干ヒステリーを含んだ声が伝わる。精神が少し狂いだしているようだ

浜面「それでも、殺すよりはマシだ」

短く言い放った。だが――

佐天「でも、もう何人も殺してるんでしょ、あなた」

思わず強く佐天を睨みつけるが、言い返せない。佐天も食い下がらない

佐天「こういう場所に慣れている時点で、殺しをしたことが無いなんて嘘。それで殺しはしないなんて、甘いだけだって思うのは、素人でも分かりますよ!」

言葉が痛烈に突き刺さる

佐天「行きましょう。あなたが見せたいものの所へ、早く。なんか私は味方と思われてるみたいだし、守ってくれるんでしょ?」

一人階段へ向かう少女を慌てて追いかけ、浜面は前に出た

その脳内では、少女から投げ付けられた言葉が何度も繰り返されていた
734 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:53:47.39 ID:lB0f.1wo
定規「ちょっと、どうなってるのよ! 」

半ば要塞と化している衛星制御室でドレスの少女は叫んだ

肩には銃弾が掠った跡と、滲む血

対人では怪我を負うハズの無い少女は、防弾壁の陰で傷ついていた

彼女の能力は【心理定規】。その名前の通り、彼女の読み取る他者の精神は数値化されていた。それは無論演算を必要とする能力なのだから、効率のよい処理の上では当然のことだ

それにはまず、相手の精神情報を掌握しているわけだが、それが読み取るたび、配置されているどの部隊の人間も元に戻っている。つまり敵⇒仲間と設定したものがまた仲間⇒敵へと戻されているのだ

原因と考えられるのは、中央に立つ、垣根提督が危険だと警告した少女

彼女への能力使用は、まるで自分の能力の作用の仕方を知っているかのような精神防壁を張られ、通じない

そして、陰に隠れていても関係なく、自分へと飛来してくるナイフ

これは仲間のケーブルを垂らした少年による攻撃と同じものだが、どうも攻撃の意識が複数以上有るような動きをしている

奪った銃で、迎撃する。既に持ってきた武器は使い果たした

分が悪すぎる――そんなことを思っていると、自身の体が浮き上がる。半身が陰から出てしまい、銃弾が体を掠る

定規(クソ、どう考えてもアイツの能力よね、コレは!)

全力で仲間の少年の心を動かし、思った通り敵と設定されているものを仲間に戻す

そのようにして少年の頭の中では能力によって強引にしかも頻繁に書き換えが行われていた

そんなことが繰り返されれば、どんなハードウエアでも書き込みと消去を繰り返せば寿命が来るのと同様に、壊れる

まるで操り人形の糸が切れたかのように、少年は倒れ、無茶苦茶な表情を浮かべて動かなくなった

同時に念動力による攻撃は無くなった。代わりに手榴弾が身を隠している場所に投げ込まれる

定規(帝督の言った方法でも全然通じない上に、この状況。逃げるしかないじゃない!)

幸い、出入り口の扉は自分たちが入った時に全て吹き飛ばしてあり、近い

一瞬でも敵の攻撃を止めることが出来れば、部屋を出て2階の広いフリースペースに出ることは可能だろう
735 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 02:58:10.98 ID:lB0f.1wo
定規(一瞬でいいから、黙ってろ!!)

頭脳をフルに回転させて、自分に射線を向けている者から順に仲間に設定する

もちろんそれも一瞬で書き換えられるが、その一瞬が有ればいい

何とかして、部屋を出る――扉を前にして、足の腱の側を銃弾が掠った

苦痛に顔をゆがめる時間を作らずに制御室を飛び出した

だが、そのタイミングで階段から警備員数人が駆けあがってくる そう、上条がさっきまで身を隠していた連中だ

定規「な、なんなのよぉぉぉ!」

生まれて、15年程度しか経過していない精神が細る

それら警備員部隊の関係を書き換え、三者三様の敵対関係を作り上げる

仲間内で銃を乱射し、鉛玉が彼らの体を貫通し、留まる。動かなくなった

これで、2階のこの空間には敵はいなくなったことになる

それだけで集中していた線がほんの少し、緩んだ

定規(痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)

肩からの出血、左足首付近からの出血。正直、彼女はその能力的特徴から痛みに慣れていない

動けない。二階のフリースペースとも言える広い空間の真ん中で彼女は腰を地べたにつけた

そこへ上がってくる浜面と、少女 その体格は自分を苦しめた者に似ている。その顔つきは、自分を苦しめた者が装備していたフェイスガードから垣間見えたそれに似ている

絶望が頭によぎった。思わず、顔を背ける

だが目を背けた先は、自分を苦しめていた直接的な原因が徐々に歩み寄っていた

定規「うわぁああああぁぁああぁぁああ!!」
736 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 03:01:54.65 ID:lB0f.1wo
少女は叫び、持っていた銃の引き金を引く

勢い良く飛び出す銃弾。しかし少女の片腕では反動など抑えられようもない

反動で全く弾丸は当らず、フェイスガードを一発掠ったのみで弾倉は空になる

定規「あれ、あれ?あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれれれれれれれれれれ………」

恐怖に押しつぶされ、少女はピクリとも動かなくなった

何が起きているのか分からない浜面と佐天

浜面には既に見たことのある少女がゆっくりと浜面の方を見て、そして、ナイフ片手に接近してくる

持っていたライフルで応戦し、佐天の盾となる浜面

少女の動きは素早かった。そして浜面はその俊敏さを見たことがある

浜面(発条包帯かよッ! )

銃弾を簡単に回避し、猛烈な勢いで喉元を裂きに来る

その動きは前回のものとは次元が違った。恐らく浜面に敗れた際に強化案でも出たのだろう

そんなことを考えている暇もなく、だが狙いが分かっているので、そのコースを予測し手を構える

途中で腕の動きが変化した。構えた浜面の右腕にナイフが刺さる

刺さったと同時に一発の銃声が響いた。グラりと体勢を崩す少女

腕にナイフが刺さったままの浜面は展開についていけない。そこへもう一人の少女が浜面を押しのける

佐天「うわあああああああああああぁぁぁぁ!!!」

悲鳴に近い声を挙げて、少女は少女に切りかかった

すでに佐天が先ほど放った銃弾で瀕死の状態となった少女に、佐天は止めの一撃を、体重と勢いを加えた一撃を刺す

俊敏に動くための軽装はいとも簡単に貫通し、命が刈り取られる

浜面はただ見ていた。そして少女が少女に何をしたのか、意味を理解した
737 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 03:05:41.74 ID:lB0f.1wo
浜面「自分を、殺したか」

ポロっと、呟く。そして今だ興奮冷めやらない佐天の目の前で倒れている少女のフェイスガードを取り外した

浜面「良く見ろ。これが俺がお前に見せたかったものだ。本当は、こんな形では見せたくなかったけどな」

自分とまったく同じ顔をした人間だったものが、そこには有った

顔の輪郭からほくろの位置まで、普段風呂上りに見ている自分と同じもの

瓜二つの、自分

徐々に下がっていた感情が、今度は違う形で湧きあがる

吐き気がした。寧ろ吐いた。とても立ってはいられない。ふらふらとした体を浜面が支える

浜面「見ろ」

まだ見ろというのか。自分が殺した自分を

背けようとした顔を無理やり死んだ自分へ向けられる

すると死体から青い炎が上がった。表面の戦闘服が溶け体が溶け顔が溶け、そして焼ける

あまりにも早く、その死体はこの世から消えさった

まるでそんな人間は居なかったかの如く

そしてその消え始めから消え去るまで、少女は目を離すことはできなかった

物音がした。正確には、制御室からである

ここは敵から近過ぎる。そう思った瞬間、浜面は閃光弾と発煙弾を一秒間隔で連続して制御室に投げ込む

そして動かなくなった佐天を強引に抱きかかえ、二階の窓から外へと飛び出した
738 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 03:08:39.11 ID:lB0f.1wo
垣根「さて、何処へ行くつもりだ? 」

ヘリポートと施設を繋ぐ廊下の片側の壁に寄りかかり、研究者の風体をした男に語りかける

彼の護衛は全て一瞬で潰された。文字通り、圧力をかけられブチュリという音と共に

「……わ、私は殺さないのか?そういう任務だったハズだが」

男の顔は引きつっていて、声は上ずっている

垣根「少し興味が有るんだよ。てめぇらの研究にな」

そう言って、USBメモリを見せ付ける。一見、どこにでもあるものだが

垣根「こいつの中身、見たぜ。いつからだ」

男の胸倉を掴み尋ねる

垣根「いつからこんな状況なったんだ、この都市は」

男は分からない、と言いたげな顔をしている

垣根「よし、質問を変える。これに入っている技術はここのものじゃない。そしてお前らが外へ積極的に出ようとしているの は、ここと同等、もしくは高レベルの研究が可能になったからだ。違うか?」

「わ、私は研究者だ。ここの都市の立場は知らない。そしてお前が言っていることは正解であり間違いだ。もう事は研究なんていう段階ではないんだよ……」

「私だって何かの冗談で有ってほしいと思う。だが、ねじ曲がってしまったんだ。未来が。最悪の形で」

白衣の中から、おずおずとディスクを取り出す

「ここに入っているデータは全て事実だ。そして、中身は分からないが、君の持っているデータもおそらくね」

胸倉の拳を緩め、ディスクを受け取る
739 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 03:12:03.78 ID:lB0f.1wo
「もし今君が絶望しかかっているなら、更に追い打ちをかけるかも知れない。だが私は犬死にするぐらいならあがく。私なりの方法で。だから見逃してはくれないか」

真剣な目で垣根を見つめた。甘いことを言っているのは、何人も殺してきた垣根には分かる

垣根「一つ聞かせろ。お前の言う犬死ってのは今ここで俺に殺されることか?」

「違う。この先の事だ」

垣根「……分かった」

道を開ける

「ありがとう。甘えるようなことだが、君のような力ある人間が、これから都市内部で我々の手助けをしてくれたら助かる」

垣根「そいつはどうかな。てめえが渡したこのデータ次第だ。それと」

男に紙を渡す

垣根「対空網は今最高レベルだ。脱出するなら他の方法を使え。目の前のヘリは囮にしてやる」

「何から何まで助かる。君には感謝する」

垣根「構わねえよ。もともとお前を拷問して情報を得ようとして使おうとしていたルートだからな」

不気味な笑みを浮かべる垣根に男はゾッとしたが、すぐにその紙を頼りに駆けだした

垣根はそのままヘリへ向かい、操縦者を逃がす

そして乗り込んだヘリを垂直上昇させ、対空網に引っ掛かる高度に達する前に自らの能力を持ってして、内部から爆発させ、大きな6枚の翼で空中で完全に破壊した

ヘリコプターが爆発し、中から白く光る翼が飛び出すその光景は遠目からも確認でき、また、神々しいものだった
740 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 03:12:37.93 ID:beG4EaEo
しーえん
741 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/05(日) 03:14:31.03 ID:lB0f.1wo
上条「うっひょー派手にやったもんだな」

上条がその光景を見たのは施設の窓からだった

向かった地下では電源系統に明らかに何かをした跡があり、戦闘が始まっていたことから、それらを標的の動きを固定するための陽動と判断して、すぐに脱出用のヘリがあるところまで向かった。その途中のことだった

(あの翼は間違いなく彼でしょうね。大分、派手ですが)

(わざわざ明らかに破壊しましたと言わんばかりの行動です。むしろあれは囮でわざと逃がしたのかもしれません)

上条(なにか約束でもしたのか、第二位の要求を満たしたのか。理由はいくらでも考えられるが、厄介だな)

(ええ、彼の行動理念が変化した可能性大です。何をしでかすか、分かりませんよ)

(こうなれば悪手でしょうが、直接接触しますか? )

そうするかなぁ、と呟いたとき、背後から物音がした

立っていたのは白い軽装戦闘服の少女である

上条(またかよ、勘弁してくれよ)

もう何度目かわからないが、一度見つかってから執拗に追いかけてくるのだ

その度に気絶させるのだが、異常な速度で復帰する

体内に埋め込まれた装置か何かで強制的に覚醒させているのだろう

今回もナイフ片手に突っ込んでくる。その動きは素早い、が上条にとってはそこまでの脅威ではない

動きが予測できるためである。だが今回は違った
742 :本日分終了のお知らせ。これは偉くカオスオナニー[saga]:2010/09/05(日) 03:23:15.73 ID:lB0f.1wo
ナイフの切っ先が上条の手元へ伸びた瞬間、ある反応が起きた

(これは――対消滅?!)

上条が把握した瞬間、ナイフの何かが消滅した。同時に少女の体が爆散する

上条のそれは、とんでもなく高度な演算の下、発生する膨大なエネルギーを管理しているのだ

それが彼女にできようはずがない。結果、体内でエネルギーを処理しきれずに爆散したのだった

(微量ですがガンマ線の発生を感知しました。これはエネルギー管理に失敗してますね)

(何をしたんでしょうね。そして何がしたかったんでしょう)

上条(わかんねえよ。俺以外にこの能力を使える人っていんのか?)

(人間には100%無理ですね。unknownの塊な右腕は解析すら不明ですが)

上条(そうか。ってあれ、右手はまだ不明なの?)

(私達の能力が上がって逆にunknown分野が増えました。演算し続けるとどこかで制御式を超越するんです、その右手は。まぁ右手で得られた方法をもとに物質対消滅なんかは行ってるんですけどね)

頬に付いた肉片を拭い、掃う

上条(だったらどうやって、不完全ながらあの子はその能力が使えたんだろうな)

疑問は残るが、第二位の下へ向かうべく、翼が消えた地点へ文字通り自分を吹き飛ばした
743 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 03:25:19.97 ID:N2dbrN2o
なんでクローンばっか爆散させてんだ!
早くオリジナルを…
744 :支援[sage]:2010/09/05(日) 03:32:39.33 ID:CLBpO/Eo
例えるならあるべき次元の存在を薄くスライスして
本来重なっているモノをずらしてクローンのように見せているだけ
そのため存在は希薄であり、死は直ぐに消滅へと繋がる

それは本来のその存在の1%を1,000,000枚にスライスして創り上げた
佐天シスターズの正体である

この方法の利点は存在は希薄ではあるが次元が異なってもあくまで本人であり、本人と同じ能力を有すること
クローンと違い育てたり教育が必要ない(洗脳は別)こと、コストパフォーマンスがいいことなどが挙げられる

これは学園都市には存在しない技術であった
ブラックテクノロジー
アレイスターでさえ辿り着けない境地の技術である

ただし完成すればである
745 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 03:35:30.08 ID:W9aQFUE0

今回はなかなかオリジナルが死なないけどクローンが……
746 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 03:37:36.44 ID:Ou/.e.DO
>>1

お前ら佐天さん大好きだな
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 07:21:49.15 ID:ABsIqUSO
乙すぎだろ

心理定規かわいいじゃねぇか
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 16:35:33.56 ID:6pag3ADO
佐天さんが弾け飛ぶとこが早く見たいです
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 18:24:53.06 ID:pyrwiASO
続きwktk
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 22:12:38.58 ID:W9aQFUE0
>>746
俺は佐天さんが好きなんじゃなくて小物のまま死んでいく佐天さんが好きなんだ
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/06(月) 20:57:33.58 ID:erCBKH60
なんかはまずらずれてね?
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/06(月) 22:06:14.81 ID:BOxTeZ6o
今読み返してみると、上条刀夜のほかに美鈴さんもCIA側のような気がしてきた
深読みのしすぎかな
753 :>>751正解[saga]:2010/09/07(火) 01:37:22.46 ID:d9k/R2co
佐天(……ここは? )

まどろんだ意識が徐々に覚醒していき、ここが自分の知る部屋でないことに気が付く

なんというか、男くさい。部屋も今自分が寝かされているこのベッドも

でも、不思議とそこまで嫌な気分はしなかった

しばらくベッドで不思議な気持ちに包まれていたが、自分が気を失う前に目にした内容が自然に思い出された

気分が良かったのは一瞬で消え去り、血の気が引くのを感じた

負の感情が高まり、体がガタガタと震える。目を瞑り自らの体を抱きしめ、布団の中でうずくまっていた

浜面「飲めよ。落ち着くぜ」

気が付くとベッドの側に男が立っていた。自分の額にペットボトルのココアが押しあてられる

その暖かさで、少し落ち着いた。何とか身を起こし、それを受け取る

浜面「一気に飲むなよ。ゆっくりとだ」

頷いて、キャップを開け、口元へ

暖かく甘い味と香りが僅かばかり精神を癒す

半分程度飲み、キャップを閉めた。気が付くと震えは止まっていた

ココアの効果なのか近くに人が居るからなのかは分からないが、心が少し安心しているようだ

浜面「落ちついたか?」

佐天「はい。ありがとう、ございます」

浜面「俺が勝手に連れて行っただけだ。礼を言われる筋合いは無えよ」

視線を佐天から逸らし、言いにくそうに言った

佐天(そうだ。この人がアタシを強引に連れて行かなきゃ、こんなことにはならなかった)

そう考えると怒りに近い感情も湧いてくる。しかし

佐天(でも、それじゃあ私が、私の知らないところで戦ってたことには気が付かなかった )

佐天(知らなくていい事だった? そんなことない。だって起因はあったんだ)

佐天(あの時、知らずの間に良いようにデータを採られて、それで私が作られたとしたら)

佐天(知らないままでよかった訳が無いじゃない)
754 :もうどうにでもなーれ[saga]:2010/09/07(火) 01:44:17.24 ID:d9k/R2co
だが、自分は能力者では無い。恐らくあの少女達は何らかの方法で強化されているのだろう

自分はベースである、とあの怪しい白衣の老人は言っていた

つまり自分単体では彼女らのように戦うことはできないのだ

あの時あんな風に動けたのは偶然でしかない

そんなことを考えていると、あの時の感情が蘇る

一度温まった体と精神は一気に冷え切って、震えが戻ってくる

浜面「意識が戻ったんなら、部屋まで送ってやるけど。どうする?自分の部屋の方が気が楽になると思うぞ」

確かに自分の部屋の方が落ちつけるだろう。だが

佐天「あ、あのまだしばらくここにいちゃ、駄目ですか」

浜面「別に構わねぇけど、どーしてだ? 」

佐天「部屋の方が落ちつけるとは思うんですけど、落ちついたら落ちついたで逆に不安で。友達とかに話せる内容じゃないし……」

そうか、と浜面は呟いた。無理もないだろう。自分のクローンを殺して悩んでる、なんて話せる女子中学生が居ようはずもない

体も震えていることだし、もう少し落ち着くまで待ってやるべきか。そう結論が導かれた

浜面「俺が巻き込んだんだ、好きなだけ居てくれていいぜ」

佐天「ありがとうございます」

とはいったものの、さっきまで寝ていた訳で布団の中で眠りにつくこともできない。なので半身を起したまま浜面に質問を投げつける

佐天「……いったい何人、現れて死んでるんですか、”私”は」

浜面「俺が所属している所の連中が倒したのが5人、俺が1人、君が1人。最低でも7人だ。そんで、間違いなく他のトコでも現れて戦ってるんだろうな」

わざと”戦っている”という表現を用いたのは浜面なりの配慮なのだろう。目撃されて、目撃者が生きているということは、逆 にいえば自分が殺されているから、ということぐらいは彼女の頭でも理解できた

佐天「そう、ですか。そう言えば、どうしてアタシにあれを見せようとしたんです? 」

浜面「言ったろ。この事実を知らないままでのうのうと生きてるだけってのが許せないって。そしてあの強引な、殆ど強姦魔みたいなの手口だけど、お前は来たんだ。あるんじゃないのか、心当たり」

佐天「……あります。心当たり。でもここからは私の問題です」

浜面「乗りかかった船だ、最大限手伝わせていい。俺だって強くないけど、女の子一人が抱えられる問題でもないだろ」

佐天「なら、教えてください。あなたの事。まずは名前から。あ、私は佐天涙子っていいます」
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 01:49:46.37 ID:d9k/R2co
垣根「そいつは、最悪な状況だな」

夕暮れの中で手に入れたディスクを何の気なしに眺め答える

電話の男の声が伝えた状況は、事実上、スクールという組織の崩壊を意味していた

非正規の方法で加えた砂皿緻密が敵部隊の攻撃により行方不明となり、ドレスの少女とケーブルの少年は敵に回収された可能性大という結果だ

4人いた人員は垣根帝督のみ

電話の男『簡単にいえば崩壊。この面子でここまでやられるとは、想定外の極みだ。代わりのメンバーが決まるまで、しばらくは休業とする。お前には特別に部屋を用意してやった。好きに使え 』

垣根「偉く好待遇だな。だけど、せっかくだ。そこで羽休めさせてもらうぜ」

そう言うと、電話は切れた。しばらくして、メールが届く。住所が記されている

垣根(第五学区の、一等地。露骨な好待遇すぎて、暗に監視してるとでも言いたいのか)

実際、都合のいい手ごまであったスクールの構成員が消えたのは少しは痛手だが、表立って単独行動が出来るこの状況には損益バランスに変化は無い

特にあの心理定規という能力は自らの能力では防ぎきることが出来ない上に使われたのか分からない為、潜在的な危険度が無かったわけではない。一種の開放感すら感じた

垣根(まずは、この厄介な監視体制を何とかするか)

第7学区まで移動し、繁華街へ向かう

当然、尾行をまくためであるが、人ごみに紛れても追跡者の気配は消えない

一番単純な方法を採る

ビル群が多いこの都市では裏路地は巨大な迷路として広がっている

散々その路地を暗殺や暗躍などで使ってきた彼にとっては、ホームグラウンドだ

上手く袋小路に追跡者を追い込むことなど、難しいことではない

袋小路の陰に身を隠し、追ってきた人間を観察する

垣根(中々の手練だったが、こういうのは逃げる方が有利だ。お前の能力不足じゃねえ)

男は175cm程の体躯に締まった体。だが所々で見せる筋肉はその辺のスキルアウトより理想的なつきかたをしている
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 01:53:13.85 ID:d9k/R2co
垣根を見失ってか、キョロキョロしている

垣根「散々ついて来やがって、この辺で終わらせようぜ」

手には消音器付きの拳銃を構えて男へ向ける

上条「上手く追い込んでくれるじゃないか。ホントに見失ったかと思って冷や冷やしましたよ」

変装用の色の付いた眼鏡を外し、まっすぐに垣根の方を見た

上条「久しぶり、と言ってもわかんねえだろうけど」

垣根「お前みたいな知り合いは生憎記憶にないな」

シュン、と音が鳴り、上条の顔の左を物体が通過する

垣根「選ばせてやるよ。お前が何処の誰の命令でこんなことをしてんのか言うか、言わずに撃ち殺されるか」

上条「それって、言っても殺さないって保証は無いんだろ」

垣根「さぁ、それは返答と俺の気分次第だな 」

上条「そりゃあ怖いね。ま、答えてやるよ。別に誰からの命令でもない。俺個人の行動だ」

両手を大きく広げて自由をアピールする

垣根「はぁ?なんだそりゃ?真面目に答えやがれ」

また顔の横を銃弾が通過する。さっきよりよっぽど顔に近い

上条「真面目も真面目。大真面目ですよ、ワタクシめは。寧ろ他に付いてきた尾行を撹乱させてやったんだ、感謝してほしいぐらいだな」

垣根「お前が居る時点で意味ないだろ、ソレ。もういい」

上条の胸に銃弾が放たれる。ちょうど心臓の位置めがけて

ガァンと鈍い音が鳴った

垣根「鉄板仕込むたぁ、古風だな」

ボディが駄目なら頭である。いつの間にか対ショック体勢だった上条の額を狙う

無論これは、上条の攻撃先誘導なのだが、知らずに釣られてしまった
757 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 01:57:58.81 ID:d9k/R2co
上条「させるかよっ! 」

撃ってくる先が的の小さい頭と分かっていれば、今の上条にとって銃弾を避ける程度、できないわけではない

首を傾けつつ斜め後方に飛んで回避して、そのまま体を動かして距離を取りつつ持っていた色付きの眼鏡を投げつける

良くある手段では、この眼鏡は閃光を発したり、小規模の爆発をもたらしたりする

そんな手に引っ掛かる垣根では無い

確実に破壊するため、翼を一本展開して握りつぶす

垣根「ただの眼鏡かよッ!おちょくるのも大概にしやがれ!! 」

効果が薄いと判断した拳銃を投げ捨て、そのまま翼で薙ぎ払おうとする

普通に触れれば人間は裂けて潰れる所だが、その男は右手でそれを容易く受け止め、その翼を千切り取り、取った部分は消え去った

垣根「テメェ……!! そのツラ、思い出したぜ。幻想殺しァ!!」

消された翼を再度展開し、残る5本も同時に現れる。男のキャラクターに合わない、天使のようなフォルム

上条「相変わらず、似合わねえ御姿でございます事ッ!! 」

少し厚めの特集合金製靴底を複数個所、球状にくり抜いたその中心で微量の物質を消滅させる

矢のような速度で上条が垣根に急接近。想定外の急加速に対応が遅れ、上条と垣根自身を包み込むように翼が動く

上条の右手の方が早く垣根の頭に触れ、そのままの勢いで押し倒した

上条「終わり。油断は禁物だな」

右手の隙間から覗く垣根の視線と上条の視線が交差する。表情は歪んで悔しそうだ

どこかから、拍手の音がした。上条にとっても予想外。音の方へ顔を向ける

?「かみやん、良くやってくれたにゃー」

既に夜。ビルの間から洩れる光が薄く当りを照らす

暗がりの中から出てきたシルエットは、金髪、サングラス、そして上条が通う学校の制服?
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:02:48.36 ID:d9k/R2co
上条「つ、土御門?!」

土御門「お陰で、そいつを無傷で葬れる。少しは手を焼くと思ってたから助かるぜぃ」

動揺している上条を見て、状況を把握する垣根。上条の立場は何処のものなのかは不明だが

垣根「……グループか。ッ、もうバレたってのか」

上条には、バレた、という言葉に思う処があった

上条「やっぱりあの爆破はブラフなのか! 」

土御門が、生徒が良い回答をしたことに喜ぶような表情を見せ、言う

土御門「その通り。標的を逃がすとは第二位もやってくれたぜよ」

垣根「メインプランすらも不必要になった今、不安要素は即削除か。そこが浅いな学園都市も」

土御門「そんなザマで格好つけてもダサいだけだにゃー。それじゃ、さよならだぜぃ、未元物質」

拳銃を構え、発射されるそのわずかな時間。実は土御門が現れてから、上条の垣根を抑える力は無意識なのか、減っていた

その事に一番最初から気付いていた垣根はすぐには振りほどかなかった。タイミングを計っていたのだ

銃声。少し前に上条の右手を払い、翼を展開。飛び出した銃弾は阻まれる

銃の発射音と翼の展開で、上条も一気に身を引いた

土御門「かみやーん、逃がしたら駄目ぜよ!」

土御門は白い翼の斬撃を回避しつつ銃を撃つ機会を見つけては撃ちこむが、無論阻まれる

第二位が上条から離れた時点で銃撃など無駄であることは銃を撃っている土御門が一番理解している

ならばなぜすぐに撤退しないのか

垣根(間違いなく、時間稼ぎ。ここの詳細な座標を正確に仲間へ送る為の)

上条「うるせえ!マジで殺すつもりだったろ?! 」

必死に翼を回避している土御門に殴りかかろうと接近する上条。だが彼の目の前に現れた鉄板がそれを止めさせる
759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:06:25.23 ID:d9k/R2co
それを見て一転、攻撃を止めて飛び上がる垣根

垣根(俺を始末するのにこいつだけで来るはずが無い。間違いなく第一位を含めた他の連中が……)

垣根の頭上に、空間移動の反応

垣根「来やがったか、一方通行ァ!!」

見もせずに、そこへ翼を振り回す。が、一方通行の反射がそれを阻む。強大なエネルギーの反作用が翼を介して垣根に伝わる前にその翼を自壊させる

一方「うるせェ。見た目通りに即昇天してろ」

落下するベクトルを操作して、空中で垣根目指してまっすぐ突き進む一方通行。垣根が瞬時に直線上から退避すると、その方向へ弾丸と化した空気が突き進む

垣根(面倒臭ぇ。こっちは壊されるわけにはいかねえ物を抱えてんだ。まともにやり合っても勝てるって確証がねぇ奴を相手にってのは……)

そんな余計なことを考えていると、連続した空気の塊が彼を捉える

咄嗟にディスクが入ったポケットを守ったが、被弾

空中で、垣根の体勢が揺らぐ

垣根(無茶は出来ない。刺し違えるような攻撃も駄目だ。何よりここは戦いたい状況じゃねぇ)

垣根(奴の反射に関係しないベクトルで攻撃をすりゃあ、ある程度第一位を削ることはできるだろうが、導かれるのはジリ貧。全てに対応される可能性を捨てきれない。となると)

落下していく垣根の目が捉えたのは幻想殺しだった

鉄板が土御門を守る様に急に現れ、上では一方通行が現れた

(間違いなく、空間移動能力を持った人が居ますね)

(その上、第二位の動きは消極的。このままではいずれ殺されますが、どうします?殺されてしまえば能力者情報は流出しませんが)

上条(殺されたら殺されたで、今度は死体の流出って可能性がある。寧ろ生きている方が自分で自分を守ろうとする分都合がいいだろ。なにより)

上条(極力死人は出したくない。それがどんな極悪人であってもな)

土御門「よそ見するとは余裕だな、上条当麻ぁ!!」

障害と判断された上条を沈黙させるべきと判断した土御門は、いつしかのように上条へ襲いかかる
760 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:11:55.08 ID:d9k/R2co
隙を突いたつもりなのだろうが、逆にそれによって土御門の攻撃は単調になった

顔へのジャブで意識を上に集中させて、腹部への二―キックという強引な連携。だがそのリズムは無理がない

片足になった瞬間を見計らい、まるで足を切断するかの勢いでの足払い

逆に虚を突かれ、無力にも宙へ浮いた土御門に今まで散々に使って鍛えられた右ストレートを与える

土御門が後方へ吹き飛び始めたのを確認して、例の靴底を使った急上昇

落下する垣根と入れ替わるように、追い打ちをかけようとしている一方通行と垣根に割って入った

一方「邪魔だァ三下ァ!! 」

上条を吹き飛ばすべく、薙ぎ払うように左側から突風を巻き起こす

どうやって空中へ飛び上がったのかは分からないが、急に体勢を変えにくい空中で、幻想殺しの無い左側からの突風であれば吹き飛ばせると考えたのだが

ベクトル自体が消滅した

ここで一方通行が操ったベクトルは空気にかかるベクトルである。そのエネルギーが乗った空気自体が消滅した場合、ベクトルも霧散する

そしてその代償として、強烈な閃光が当りを照らす。そしてさらに恐らく少し離れたところから監視しているはずの空間移動能力者の眼を潰す為に、同時に強力な電磁パルスも発生させる

一般的な周波数の光が強力になっただけで、且つそれが、予兆も無しに現れた場合、それをあらかじめ反射対象にしていない 一方通行には、その閃光は効果を表す

一方で落下中の第二位の目に入った光は、黒く汚れた地面に反射された光である。その影響は、直接見てしまった一方通行に比べてそこまで大きなものではない

垣根が驚いて光源を見ると、一方通行の動きが止まっている

逃げるならば、今だ

水平方向へ翼で空気を叩き、地表スレスレで一気に加速し、その場からの高速離脱を図る

彼はまだ気が付いていないが、電磁パルスによって周辺の電子機器が壊れているので、この裏路地という迷路の中を駆けて行った事は結果として好判断だった

(この風の音、無事に逃げた様ですね)

(しかし、この閃光を発生させる方法、自分自身が回避できないというデメリットが大き過ぎます。使用の度に効率が良くなるようにエネルギーの制御方法を上書きしてはいるのですが、この光だけは効率よくしない方がいいかと)

上条(そうだな。何も見えねーよ)
761 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:17:15.54 ID:d9k/R2co
全身のナノマシンの感じる重力から逆算することで、自らの体勢が今どうなっているのかを把握し、最適な体勢で地面へ落下する


三転着地を決め、路地の方向へ走る。無論まだ視界が回復したわけではないが、閃光を出す前に得た情報をもとにシュミレー トした仮想の空間を元に動いているのだ

この方法ならば、目をつぶっていてもぶつからずに走れる

上条と垣根が去った後、残ったのは土御門と宙から落下した一方通行

彼らの視界が完全に回復した時には既に二人の影はなかった

土御門「完全に逃げられたな 」

一方「三下の野郎、何をしやがった?一瞬代理演算の供給が遮断されるレベルの電磁波が発生したンだが」

土御門「知らないぜよ。だが、無線から携帯まで全滅してるのは確かだ」

核兵器かよ、と呟くと海原が空間を裂いて現れた

海原「お二人とも健在でしたか。電子機器類の反応が無くなったので心配しましたよ」

一方「はッ、心にも無いこと言ってんじゃねェよ。だがこのザマだ」

土御門「見ての通り、逃がした。上条当麻もな」

海原「本日の所は失敗、ということですね」

土御門「ああ、その通りだ。だが、上条も第二位を探している様だった。アイツにも監視をつけて泳がせれば、そのうち引っ掛かるかもしれない」

海原「分かりました。手配しておきます」

まさか第一位と第二位との間を割って入るとは、無茶苦茶な奴だと再評価しようと思ったが、上条は最初から無茶苦茶な奴であったということに気がつく

つまり、甘く見たのは自分達だったのだ
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:25:55.67 ID:d9k/R2co
イギリス王宮・バッキンガム宮殿は騒がしかった。その原因の一つは朝9:00の報告である

「報告!ドーバー海峡上魔術と思わしき陣中央から光線の発射を確認。東岸、フランス領カレーにおいて市庁破壊等、相当規模の被害が出た模様です」

そして続く9:15

「フランスからの非公式ラインから通達!先の件について、本日1200までに謝罪と賠償並びに当魔術に関する情報開示がなされない限り、武力による制裁を開始する。ユーロトンネルは上記の返答があるまで封鎖。とのことです」

そして更に10:20

「清教最大主教より連絡!先件の光線は魔術では無い可能性が高い。とのことです」

そして今は10:30。約束の時間まで残り1時間と30分

その場に居るのは女王・第一王女・第二王女・騎士団長のみ。王室派と騎士派しかいないという状態だが、これには理由がある

すなわち、このような場合は想定済みであるということだ。流石にカレー市が焼かれるということは想定していなかったが

エリザード女王「先だって決めた通りの対応を取るべきと暗に最大主教が言っているが、どう思う」

娘達の顔を見ながら女王が言う

リメエア「フランスの自作自演、という線が薄くはなった。逆にこの状態を作りたがっている”何か”からという可能性が増えたかしら」

淡々と自分の考えを述べる長女。それを聞いて、鼻で笑う音をあげた者が居る

キャーリサ「何か、なんてわざわざ伏せなくとも。ローマの連中が本腰を入れに来ただけでしょーが」

腕を組みながら言い放つ

リメ「さて、それはどうかしら。非公式通達という方法を用いているというのは、あちらにとっても想定外であるという見方も出来る」

キャ「ならこの侵攻開始時間の早さはどーいう訳だ 」

リメ「私達と同じように想定していた、というだけでしょう。攻撃がイギリスにあればこちらも同じ体制を取る様に決めていたのではなくて」

エリ「フランスも混乱しているのだ。だからといって、向うの要求にも答えられない以上、目の前の戦は避けられない。ローラからどのような決定が下りても清教派は従うと連絡が来ている。騎士団長、貴下の体制はどうか」

騎士団長「既に、迎撃戦闘の体制は整っております」

エリ「宜しい。ここに三方の合議が成された。12時にフランスが宣戦次第、こちらも応戦する。リメエアに戦時外交を、キャーリサに軍事統帥権を委託。この国を守れ」

この場に居た全員が、決心を固めた表情をする

エリ「そして同時に、”何か”の特定に全力を挙げよ。聞いているのだろう、ローラ」

『清教派を代表して再度述べたりける。如何なる協力も惜しまない、とな』

ここに大英国の意向は固まった
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:28:40.69 ID:d9k/R2co
御坂旅掛はロンドンの喫茶店でその放送を聞いた

時間は12時を回ってすぐの事だった

旅掛(この世界には、決定的に足りないものがある)

その”足りないもの”不足の為に、この戦いは始まったと言っていい

その役割を果たすものが決定的に弱かったからでもある。それを補填する為に、自らの持つ力だけでは非常に弱かったが、自ら有る組織の構成員となった

こうなることは既定路線。あとはその後の事

今だ発表されないが、この戦いの戦力図を彼は最初から知っていた

どことどこがどのようにして手を組むのか。どのような結果になるか

そして、この戦いが何のために起こされたものか

恐ろしいほどに、今までは”彼”の手の上通りに物事が進む

このまま”彼”の予測通りに進めば、自分の愛する娘が住む場所がどのように扱われるのか、それも変わらないだろう

そうなることを防ぐために、今彼は一人の男をここで待っているのだ

カラン、と狭い店内に鐘の音が響く

店の入り口を見ると一人の男が、自分が待っていた男が立っていた

少し服が乱れて、頬には日本に妻が居る為にあってはならないハズのマークを付けて、男が旅掛の隣の席に座る

?「ここに来る途中で、空から女性が落ちて来てね。慌てて受け止めたら、いろいろあって遅れてしまった。申し訳ない」

そう言えば、例の放送の前に、店のラジオでベランダから足を滑らせた女性を通りがかりの男性が助けたというニュースが流れていたような
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:31:22.97 ID:d9k/R2co
浜面は何もない白い空間を走っていた

なぜこんなに全力で走っているのだろうか。わからない

だが走り続けなければならない気がして、理由を求めて走りながら後ろを振り向いた

そこには自分と等速で追いかける影があった

おかしい。影はこんな出来方はしない。これではまるで生きているようではないか

そう思うと、それは明確な形を持つ

そこにあったのは自分だった

居た、のではない。有った、のだ

その体の半分が、ちょうど縦に二つに割ったような半分が、黒い何かで構成されている

思わず立ち止まって、それをよく見ようとした

それが間違いだった

その黒い部分が自分に向かって腕を伸ばした

いとも簡単に自分の腹を貫通し、そして腹部から腕を抜いた

大量の血と内臓がそこから零れ落ちる

痛い。痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

その痛いという感覚が自分が生きていることの証であると同時に、また死に逝く感覚でもあった

死ぬ程の感覚を経て、自分は死んだはずだった。だが、体が動く。痛くもない

どうやら自分は生きている。目を開いて両手を見る

その片方の腕は黒かった。その片足は黒かった

そして正面に、先程まで逃げていた人間である自分の姿が居た

その人物の腹へ向けて腕を向ける。何をするのか、浜面は瞬時に理解した

オイ止めろ!止めろ!自分を殺すな!人間を殺すな

浜面「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」

浜面の男臭い部屋に彼の声が響いた
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/07(火) 02:35:30.73 ID:d9k/R2co
同時に明りが付く。時間は深夜2時

大丈夫ですか?という声が聞こえた。ソファに眠る浜面を心配そうに見下ろす少女の姿があった

どうやら、自分は夢を見ていたようだ。まだ心臓の鼓動はバクバクと鳴り響いているが

ピーッピーッピーッと音が鳴った。この音には聞き覚えがある

電子レンジの中から、少女がマグカップを取り出す

カップが、身を起こした浜面の前に現れる。中身は半分ほどだが、ココアの甘い香りがした

佐天「どうぞ、飲んでください。夕方に寝てたからか眠れなかったんで、勝手に電子レンジとカップ、借りちゃいました。あの時の飲み残しなんですけどね。なんだか、かなり体冷えてるみたいですし」

少女の手が浜面の首辺りに触れる。温かい

そして浜面は、ココアの甘い香りと温かさが非常に欲しくなった

浜面「いいのか? 」

少女はコクリと頷く。カップを両手で受け取る。熱いですから、ゆっくりですよ、と言われ、息を吹きかけ、ゆっくり飲み込 んだ

イメージは、冷えた金属に人肌が触れた感じ。体内でそのように感じた

佐天「やっぱり、浜面さんがベッド使ってください。10月も半ばを過ぎてもう寒いんですし。風邪引いてもらっちゃ悪いですから」

ココアを飲みきってなお体が冷たく、呆然と宙を見ている浜面の腕を引き、強引にベッドへ導く

足取りも芳しくない。そして腕も冷たい。浜面を寝かせ、毛布のようなものを探した

無い。代わりになりそうなものも無い。ベッドの蒲団だけでは少し寒いと少女は知っている

仕方が無いなぁ、と少女は呟き、浜面の寝ている布団へ潜り込む

浜面「うぇ、ちょ、涙子ちゃん?」

佐天「別にそういうつもりじゃありませんよ。今はただ温まって寝てください。金属みたいに体冷たいですから。こればっかりは滝壺さん?も許してくれますよ 」

そう言って、なるべく浜面の体に重なる様に移動する

朦朧としていた浜面はその言葉に従った。否、払いのける気がしなかった

浜面(すまない、滝壺。別にそういうつもりじゃないんだ。ただ、今は人の、人間の温もりが欲しいんだ。だから、許してく れ)

そう思ったところで、浜面の意識は途切れた

今度は悪い夢じゃありませんように、と少女は呟いた
766 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/09/07(火) 02:40:03.85 ID:d9k/R2co
まずイギリス連邦諸国がイギリスの側に立った

無論、軍を差し伸べるには遠く、今は声明だけだが。だが、それは欧州で宗教的にも孤立する英国を心理的に助けることになる

その背景には、歴史的に同じユニオンジャックを分かつ国として、同じイギリス清教会信徒が多いという原因のものもあるが、何よりも第一王女の働きがあった

そして彼女の働きで一番の功績は、米国の支持を取り付けることが出来たことである

米国北にあるカナダはケベックという小規模のイギリス対フランスを演じている州がある。この問題においてフランス本国が活発化した場合、カナダは荒れる

そうなれば南で結びつきの強いアメリカ本国まで飛び火することとなる。それを全面に押し出し、彼女は外交努力をしたのである

それによって一般人にとっての最大脅威、核兵器という脅威はフェアとなった

そして米第6艦隊はたまたま偶然にも英国軍との対海賊合同演習として、イギリスの軍港に有った

そこで補給としてつい先日米国の最新装備を受け取っている

キャーリサや軍事担当者がその場に居れば、なぜこの技術がその場に存在しているのかと問いただしていたところであろう

これらは極秘の上で行われたことであり、英国関係者は誰一人知らない

すぐにでも戦火を交えることになると思われた戦いは、今だ本格的な火ぶたを切られたわけではない

膠着状態。狭いドーバー海峡を挟んで、英仏両艦隊は睨みあいを続けていた

丁度その中心に、例の魔術らしきの空中の陣を挟んで

歯ぎしりをしているのはフランス側、ローマ正教側の支持を取り持った諸国である

それら諸国は、9000万人という市場を持ち、更に大経済大国である英国との貿易が切れ、資本投資が一斉に引き戻され、株価の大暴落を招いた

逆に米国との太いパイプを示すこととなった英国には、資源と背後の安全が保障され、更に安全牌として市場に資金が流入する

牙の抜かれた英国など20億の信徒を持つローマ正教が一瞬で叩き潰すと約束されていた国々は不満をさらけ出した

英国最大の牙は軍事力などでは決してない。7つの海を支配した歴史と強大な経済力。それを理解して全て計算に入れているのが、リメエアである

だが、その原因である米国の支持は本当に彼女の功績なのだろうか
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 02:56:51.66 ID:C6F/782o
乙!
前回描写が無かっただけで世界は今回と似たようなことにはなってたんだよな?
ただ前回と違ってなぜか色々歪みが生じてるみたいだから下手すると前回よりも酷い結末になりそうだな
どうやって収集つけるか気になる。
それと佐天さんにはちゃんと爆散してもらいt
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 03:04:33.98 ID:vwoomc2o


なんか推理小説っぽくなってきたなぁ

前回は米国が黒幕として動いてたけど
今回のを見るとその米国を踊らせてた黒幕がいるっぽいし

または相互作用による歴史改変の結果か…
アレイスターが一番怪しいんだけどなぁ
そんなベタなオチじゃなければ
アレイスターの思惑と米国の思惑と神々の介入という3者間での相互作用の結果というのが面白そうだけど
神々は飛躍し過ぎな気もするしなぁ

意外性を狙って黒幕は世界改変の力を得た未来の佐天に3000点で
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 03:24:35.86 ID:iaayQYDO


なんだろう
久しぶりに読みやすいと思ったww
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/07(火) 03:28:12.58 ID:/Pin/6SO
支援age
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 08:13:03.12 ID:H1jJDcSO
上条さんの認識が致命的にズレてるよな…BADENDの匂いしかしない
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 10:55:06.27 ID:tC5ApISO
佐天さん今回は滝壺に爆散されるんじゃね
773 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 13:17:30.40 ID:rVo8WLEo
ていとくん生きているのに人工能力者がいるということは既にていとくんのデータが米国にあるっていうことなのか?
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 13:19:07.65 ID:ln3LMQYo
>>773
1回目のデータを何故か博士が持ってたじゃん
775 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 13:26:14.42 ID:Ag/cbuso
どう考えても米国側も時間が巻き戻されたことを知ってるよな…
作中では上条さんその事気づいてないみたいだし…
776 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 19:01:22.44 ID:oZUVIzY0
>>772
もしかしたら浜面ごとかもww
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/08(水) 00:44:16.11 ID:bAvnCd6o
なんかもう理解出来なくなってきた
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/08(水) 01:03:25.71 ID:dQXR7Xko
上条さん目的を見失ってるのか無視してるのか現段階で何をどうしたいのかわからんな。ただ敵つくってるだけだし。
前回の最悪の結末を体験してるくせにこの調子じゃ下手するともっと酷い結末になりそう。
原作の上条さんも色んな意味で「どうしようもない人間」だけど、このSSの上条さんは下手に力や知識があるぶん余計たちわるいな。
779 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/09(木) 08:25:31.90 ID:lJc5swSO
認識がズレてるせいだろ
完全に前の記憶を持ってるのは自分と☆だけだと思っていて、まさか記録が残ってるだなんて考えもしてない
だから垣根を米に渡さないようにすれば、少なくとも人工能力者は完成しないと思っているし、前回の悲劇を回避するのに近づくと思ってる

と解釈してるけど
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/09(木) 20:10:09.87 ID:z1ijdIAO
考察が当たってたら書き手が書きにくくなるような希ガス
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/10(金) 04:59:31.81 ID:Hj.eDuIo
>>780
考察されたらされたでそれをいい意味で裏切れればいいと思うんだ。たまにクリティカルヒットされたりしたけど
書いてる文章が未熟なので分かりにくいと思うし、気軽に読めないだろうから、考察してる人はしながら分かりやすくまとめてくれてるな〜って思いますお
何よりそれをニヨニヨしながら読んでる俺ガイル


今晩中に投下します。ちょっと時間が足りなくて会話が急すぎるので再考させてくだしあ
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 04:55:12.62 ID:KMFK03.o
垣根「まーだついてくんのか。いい加減勘弁してくれよ」

東の方向が若干白んでくる時間帯に、垣根は声を挙げた

まだ、ビルの群の裏路地である。彼が持っていた端末が全て起動しなくなったので、有効的に情報が利用できない為人気が少なく逆にカメラに見つかりやすい夜に移動するぐらいなら、人がごった返す登校時間を狙って動いた方がいいと判断したことが最初の理由であるが

上条「俺だって、夜通し男を追っかけるなんて不毛な事はしたくないっての」

移動し続けることに、メリットは無い。全ては彼が執拗についてくるからだった

垣根「何度撒いても見つけやがって。俺専用の探知機でも持ってんのか」

諦めたように、立ち止まり振り返る

上条「滞空回線って分かるか?それで消えるたびに見つけ直してんだよ」

滞空回線という言葉を聞いて、別段垣根は驚かなかった。それぐらいの代物でなければ、複雑な構造をしているビル群の中で場所を確実に見つけることは、電波的に難しいからだ。いかなるパッシブレーダーでも立体構造の群の中では正確な情報を見つけることは難しい

あるいは、AIMストーカーの様な能力か。とにかく彼は執拗だった

垣根「なんでテメェがそんなもんにアクセスできるのか知らねえが、そこまでしてなぜ俺を追う?」

上条「やっと話を聞いてくれる気になった?!」

小さくガッツポーズをした上条の動きに若干のウザさを感じながら、で?と促す

上条「じゃ、端的に。なんで逃がすようなことをした?この状況でそんなことをしたら暗殺されるぐらい想像できるだろ? 」

垣根(俺の行動が理解できないってか。だがそれだけじゃここまで執拗に追いかける理由には弱い。何かこいつは俺の動きを監視しなきゃならないワケがあると見えるが)

垣根「……じゃ、逆に聞いてやる。なんで俺が命令通りに動かなくちゃならねえんだ?」

そんなもん俺の自由だろ、と突き放すように述べる

上条「そりゃ、従わざるを得ない理由があるからだろ?それに裏の事をよく知ってるお前なら今の状況じゃs 」

垣根「今の状況だからだ」

短い言葉で上条の言葉を奪う

垣根「お前は俺の事を全く理解してねーな。してたらしてたで不愉快だが。まぁいい、俺の側には女が居た。そいつは俺と同じ意図を持ちその為に同じ暗部組織に名を連ねてた」

垣根「だが俺は、信頼して無かった。出来る訳がねえだろ、他人の精神を弄る様な能力者を。で、俺はある時気が付いた。なんで俺がこの都市の管理者の命令に従わなきゃならないのか」

垣根「そこにあったのは、その女との共通の理由。取ってつけたような、詰まんねぇ理由。アレイスターとの直接交渉権を得るため」

垣根「なんだそれは?んなことがしたいなら、奴の住まう場所を直接強襲すりゃあいい。あのビルの外壁を俺の未元物質でどうにか出来るか不明だが、とにかくそんなことを実行しようとしたことは無かった」

垣根「その意図は有ったのかもしれない。実際やろうと思えば、奴の事をよく思わない理事会員の支持を得て公式的にすることだって可能なハズだ。今はそれをしようか考えられる。それを実行しようとも計画している」
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 05:02:12.75 ID:KMFK03.o
垣根「今までなぜそれが出来なかった?思いもしなかった?この俺が?そんな訳が無いだろう。何をしてでも得たかった直接交渉権だ。……そこで思い立つのは消されていたという可能性だ。あくまで可能性だが、否定要因が無い」

垣根「単純な事だ。あのアマ、中坊の癖に俺を監視してたんだ。そのために都市側から派遣されていた刺客。俺の自由を奪う枷」

垣根「居なくなって、今俺は自由だ。アレイスターへの興味も減りつつある。無論それは、こいつらのせいかもしれねえけどな」

USBメモリとディスクをポケットから半分ほど見せる

垣根「どっかの誰かさんの電磁パルスでこのUSBメモリはぶっ飛んじまっただろうが、内容はそれなりに覚えている。そして恐らく無事なこのディスクは今から中身を見るところだ」

メモリを捨て、踏みつぶす。煙草を潰すように

垣根「さて、そんな状況下で命令に従う必要はあるか?ねぇだろ」

上条「そうかもな。ってか案外、たくさん喋ってくれたな。思いもしなかった展開に驚いてるよ」

それだけ捻りだすように喋り、次の言葉へつなぐ

垣根「俺ってばお喋りさんだからな」

と軽く笑みを浮かべた。案外、彼はこのことを誰かに話して、自分を、自分の行動をはっきりさせたかったのかもしれない

まるでこれが例の精神操作能力者の支配から逃れられていることを確認するかのように

上条「大体の事は分かったよ。それで確認なんだが、お前は標的の研究者に接触して、ついて来いと言われたか? 」

垣根「いや、んな事は言われてねーよ。逆に都市にとどまって味方が脱出すんのを手伝ってくれって言われたぐらいだ」

やはりか、と上条は思った。薄々気思ってもいたが、垣根はアメリカに必要無いのではないだろうか

(断定は出来ませんがね。ですが)

(状況的には可能性が高いでしょう。結局彼を襲うような様子は無かったですし)

(その上、あの白い少女は何らかの能力を使った感がありますからね。無論彼女らのオリジナルかもしれませんが)

上条(はー。どういうこった。一体どうなってんだよ。時項の変化ってのは)

(あのハングドマンに騙された可能性がありますね。こればっかりは理論もまだ不明ですし)

(本人に問い詰めるも良しですが、また謀られる可能性も捨てきれません。圧倒的に知識が足りないですから)


垣根「質問するだけしといてだんまりかよ。フェアじゃねぇな」

上条「いや、そんなつもりは無いって。でもお前、今は俺の事なんかよりそのディスクの中身を見たいんじゃないのか? 」

垣根「そうだな。その通りだ」

上条「んじゃ、俺に付いて来いよ。滞空回線あるから追っ手の後手に回ることは無いだろうしな」
784 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 05:06:08.80 ID:KMFK03.o
佐天「あ、おはようございます」

浜面が目を覚ますと、少女が台所に立っていた。良い匂いが部屋を覆っている

火を止め、少女が近寄る

佐天「やっぱり体温戻ってますね。顔色も良いし」

額や首元を触り、料理に戻って行った

佐天「もう少しで出来るんで、シャワーでも浴びてて下さい」

別に彼は低血圧という訳ではないが、料理の匂いのせいか自分の部屋が自分の部屋でないような感覚がして、その言葉に従った

風呂場は湿っていて換気扇が回っている音がする。まるでこの前に誰かが入ったような

近くのゴミ箱を見ると女性用下着の名が印刷されたビニル袋が見えた

コンビニなどで売っているような、そんなどこにでもある代物

つまり、あの子が入ったのだろう。戦場で埃まみれになって、そのまま自分に寄り添って寝ていたのだ

そりゃあ、汗も出るだろうし不快指数が増すのは分かる

浜面(電子レンジといい、風呂と言い、自由だなあの子)

特段怒る気にもならない。自分の城、という程この部屋に慣れ親しんでいるわけでもない。なにしろこの部屋に来て日も浅いのだ

例え自分の城であっても、好き勝手されて気に食わないという感情を持つほど、彼は甲斐性無しというわけでもない

だって男友達が来たら、大体こんなもんだろ。それと変わりゃしないじゃないか

なぜ彼がそこまで考えているのかというと、自分より年下の、しかも中学生がここに寝泊まりしたということを考えない様に努めているからである

まだ朝も早い。確か今日から学校もあるはずだ。彼女も行くだろうと考えて、シャワーを浴びる

いつものように体を拭き、火照った体を冷やす為、パンツのみという格好で部屋に戻る

なぜなら普段、下着はこれしか風呂場近くに置いていないのだ。仕方が無いこと

それを見て少女は別段驚く様子も無く

佐天「もう結構寒いでしょ?早く上着た方がいいですよ」

と恥じらいもせずに言い、盛りつけに戻った

無論、彼女だって驚いていた。でもなんというか予想通りで、意外性は無かった。それでも盛りつけはじめたその時は、少し顔が火照るのを感じたが

冷静に考えれば、自分はもっと恥ずかしい行為を昨晩行ったのだ。朝起きた時、自分の行動に驚いたからこそ、彼女はシャワーを浴びて気持ちを切り替えるよう努めたのだ

その時の焦りがぶり返さないよう、本音を言えばさっき体を触った時既に手遅れだったのだが、食事を準備する
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 05:10:16.40 ID:KMFK03.o
浜面が起きてからシャワーから出るまでの十数分間の短い間で彼女が作ったのはベーコンエッグ・サラダ・スープ・トーストというシンプルなものだった

味も悪くない。早い話無難だ。見た目通りの味に、うん、イケるな程度の反応をして、それまた当然のように、そうですかありがとうございます程度の返しをする

浜面「あれ、トーストどうやって焼いたんだ? 」

佐天「なに言ってんですか。電子レンジにトースト焼く機能付いてましたよ?」

マジで?と言いつつレンジを見ると確かにトーストのマークがあった

佐天「この部屋、住み慣れてないんですか?なんか調味料も皆未開封でしたし」

浜面「まぁな。仕事の為に近くの部屋を用意されて、住んでるだけだから、当然どんな家電製品なのかも自分で選んでねーから、わかんねぇや」

そんな中身の無い会話をしばらくして食事が終わる。まだ朝7時半にもならない

電話が鳴った。音源は浜面の携帯

浜面「もしもーし?」

麦野『仕事……9時集合……以上、宜しく…… 』

切れた。全く要領を得ない中身だった。分かったのは9時に多分いつもの所へ行けばいいということだけ

大方、休みだと言って夜通し遊んだら朝一で仕事の連絡があったのだろう。唯でさえ女だらけで低血圧祭りだというのに

かわいそーに、と呟くと洗い物を終えた少女が浜面を見る

佐天「仕事ですか」

浜面「ああ。でも関係がある内容か分かんね。一言で切れたしな」

佐天「そうですか。んじゃぁ、アタシは一度家に戻って学校行きます。浜面さんのお陰か、その、不安も減りましたし」

浜面「いや、俺メーワクしかかけてねーから。飯、美味かった。あんがとさんよー」

佐天「仕事の内容で私関係の事があったら教えてほしいです。アタシはアタシで当れるところ当りますんで」

浜面「おいおい、無茶はすんなよ? 」

佐天「大丈夫ですよ。今日は異様にコンピュータに強い友達にちょちょっと調べてもらうだけにしますから 」

そーかい、と言って、納得したような顔をする。時間は半過ぎ

佐天「んじゃ、帰りますね。お世話になりましたー」

と言って紙袋一つ抱えて帰って行った。何その紙袋と尋ねると、分かってるくせにエッチですねとからかわれた。結局浜面は常に年下であろうと女性にはからかわれてしまう性らしい
786 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 05:15:13.37 ID:KMFK03.o
登校時間。周りの話題は殆ど二分されていた

「昨日の見た?」「昨日のって、あのヘリコプターから翼が生えたってヤツ?あれ嘘なんでしょ?」

「いやいや違うって。あれはマジ、マジモン。私見たもん。昨日23学区の近くに居たからさ」 「動画もネットに上がってるよー。でもアレって映画の特撮らしいじゃん」

「え、そうなんだ。でもそうかも。爆発するヘリコプターに巨大な翼ってどう考えてもそういう系だよねー」

「でもどんなジョーキョーだよって話。お金かけてB級映画で大爆死見え見えでしょ」「だよねー 」

この話題が一つ。そして

「イギリスとフランスまだ膠着状態なんだってな」「アメリカが後ろ盾にいたら真っ向勝負って訳にもいかないでしょ」

「あー怖い怖い。先進国同士で戦争なんて物騒な世の中だ」「でもネットの動画見た?町ひとつ新兵器で焼き落とされたら怒っても仕方ないっしょ」

「イギリスは知らないって言ってんだろ?」「どーだか。あの国昔から新兵器作っては禁止されてるし」

「でも学園都市って確かイギリスと仲良くしてるらしいぜ」「マジで?!飛び火とかマジ勘弁なんだけど」

「ま、ここの軍事技術なら返り討にしてくれるっしょ」

この話題だ

彼女にとって、後者の方が気になる。実の父親はよく欧州へ行っている上に、母親まで欧州に行っているのだ

気にならないハズが無い。電話しようかと思ったが、出ないのだ

御坂(まだ大事になってないから大丈夫だろうけど、娘を心配させるなんて親としてどうなのよ)

白井「やはり、気になりまして?」

御坂の表情を見かねて、白井が尋ねる。昨日から何度か電話を試みているので事情を察したようだ

御坂「ま、仮にも親だしね。心配にもなるわよ」

日頃同部屋で顔を合わせている後輩は表情に無理があるのを読み取ってしまう

白井「そうですか。深くは言いませんが、ご無理をなさらない様に。きっと大丈夫ですの」

後輩に心配させていると思い、気苦しい。なんというかこの空気を変えたい
787 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 05:18:20.77 ID:KMFK03.o
御坂「そ、そう言えば昨晩なんか怪電波感じたけど、あれなんかあったの? 」

白井「流石電撃使いの頂点ですわ、お姉さま。第5学区のビルの裏路地で非常に強い電波が放出されて、周辺100mの電子機器が軒並み使用不可になるとい う事件がありましたの」

御坂「あー、やっぱり。可哀相ね。小型核弾頭の放出電磁波並みだったわよ、あれは。それで、原因分かってるの?」

白井「部外者のお姉さまに深くは言えませんが、原因は不明らしいですの。ただ、銃痕や何か強い力が何度も加わった跡などが発見されておりまして」

御坂「物騒ね。能力者同士の小競り合いかしら」

白井「だとすると、並みのレベルではないかと。……ここだけの話、最近異様に多いんですよ、小競り合いというか紛争というか、その痕跡が。責任者不明となって立ち行かなくなった研究機関も増えていますし」

御坂「そんなこと今に始まった事じゃないとは思うけど?失踪なんて珍しくは」

言葉を遮る様に後輩が喋る

白井「施設そのものが吹き飛んだ跡、確認された爆発音・銃声、隠し切れていない血痕、これまでのものとは比較になりませんの。何か全体的に不穏な動きでもあるようですの」

御坂「だとすると、今この時間からが一番動きがありそうね 」

白井「というと?」

御坂「多くが能力者で構成されている風紀委員は授業中で居ない。一番人数が多い生徒・学生も授業中で目撃されることも少ないでしょ?ま、つまりは学校に行ってれば巻き込まれることも無いし、安全ってことね」

白井「そう考えると、確かにそうですわね。口惜しいですけど、その手の事は本職さんに任せますの」

御坂「そうよ。学生の本分は勉強なんだし、とっとと学校行きましょ」

御坂の表情に不自然さが減った。そのことに後輩は少し満足して、学校へと足を向けた
788 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 05:23:53.38 ID:KMFK03.o
垣根「ネットカフェ、だと」

上条につられて来た場所は一般的なネットカフェ。彼の驚きは当然だ。ネットカフェなど犯罪の温床として都市外部ですら情報管理が厳しい。都市内部に至っては考えるまでも無い

上条「言いたいことは大体分かるって。ま、ついてこいよ」

自信有り気に歩く上条に付いて行く。そのまま堂々と従業員専用の出入り口から屋内に入る

時間は大体の学校が始業を始める9時を過ぎたころ。学生主体の学園都市内では一番利用者が少ない時間である

つまり、従業員数も一番少ない時間帯

事務室から繋がる受付には一人しか人が居なかった。恐らく、巡回掃除と受付の二人だけと言ったところか

上条「管理の厳しいのは大体利用者側なんだよ。ホラ見てみ」

小声で話す上条が指差した先の受付店員はよく見ると受付の端末でゲームに熱中している。ご丁寧に監視カメラを自分の方には向かせないルーチンに設定して

上条「な?本当に監視が強いなら、アイツらすぐに首になるか設定変えられるハズだ。結局、管理者側ってどこもずぼらで穴だらけってことなんだよな」

そのまま倉庫へ直行する。そこには、故障中の張り紙がしてある物やリース契約が切れて返却用に梱包される途中の物が多くある

上条「んで、ここのを使えば見つかることも、ネットワークに入ることも無い。純粋なデータ閲覧なら充分だろ?」

俺は一応見張っとく、と言って上条は少し離れて外を警戒する

垣根(庶民的な活動をしてないと発想すらわかねぇ方法だが、やるなアイツ。後はこのディスクが規格に合うかどうかだが)

何の事は無い。普通の大容量多層ディスクで、都市外部なら危なかったかもしれないが、内部なら間違いなく普及しているタイプである

無事読み込みを始めた様で、一安心だ

そこに記されていたのは、最新の量子諸学における”時間”とその作用についての考察。はっきり言って、背景知識の不足がある垣根には理解できない内容の羅列ではあったが、未元物質使いとして理解せざるを得なかった自分の知りゆく分野から断片的に理解しようとした

データの発表機関の表示は無く、学園都市の高名な名前の研究者の連名によるものだった。それらの中には垣根の仕事の標的であり亡き者にした人間も複数名見受けられ、某超大国の報告書という形式でのデータだった

何度か読み返してようやく理解できた部分に記されてあったのは、現在に至る137億年の宇宙年齢において極所的に時間軸を含めた次元的な入れ替えが到る所で起きている可能性があるということ。その可能性の範囲には地球も含まれているということ。そして最近起きた可能性がある日とその原因と考えられる事象。更にその影響について

ディスクに記されている容量のほんの一部であったが、垣根を驚かすには十分だった。そして湧きあがる疑問

近くでに立って外を確認している彼は、果たしてこの現実を知っているのだろうか。知らないならば、彼にこの事実を教えてもよいのだろうか

この事実は悪戯に広められない。広めれば間違いなくパニックが起きる。だがそのパニックは結果的に早まるだけだ。いずれ必ず世界規模でパニックは起きるだろう

垣根(別に周りがパニックに陥ろうが俺は気にしねえが、この問題は俺という存在も含めてあらゆる存在を軽く消し去る以上、余計な横やりの原因は増やしたくない)
789 :眠い寝る。起きたら続きを投下します。ごめんなさい[saga]:2010/09/11(土) 05:31:25.88 ID:KMFK03.o
そんな事実を、この御世辞にも頭がよさそうには見えないし素性もわからない男に教えてもいいのか

そういったことを垣根が考えている一方で、上条も滞空回線を用いて情報を集めていた。重要なデータが意図的に消されていたとはいえ、新しく集められた情報は彼もアクセス出来る

見つかった情報で一番上条らの目を引いたのが、スクールの心理定規と大能力者の拉致を防ぐという物

学園都市の超能力情報の流出を最大の懸念としている上条にとっては、最も注視すべきことである

しかしながら、今読み物に集中している彼の話に出てきた女というのはきっと彼女の事だろう

彼女が彼の側に戻れば、また元の破壊者に戻るのかもしれない。そこで彼は葛藤する

学園都市第二位が都市の管理下にあるという状況は、はっきり言って好ましくない。それは権力者の横暴の玩具となることと、彼自身の自由という二面による

無論前者の問題が大きい。一度垣根帝督側から離れている以上、次にその女の手によって捕まれば確実に束縛は厳しくなることだろう。特にこの度のガタガタでは、それが惨事をもたらしてもおかしくは無い つまり、垣根という存在によってパワーバランスが崩れ第二第三のアメリカ受入派が誕生した場合、また大惨事が人為的にもたらされる可能性は否定できない、という訳だ

上条(でも、わからねぇんだよな。本当にその女ってのがアイツの言うような人間なのか)

(なら、実際に立ち合わせてみたらいいでしょう。情報流出も困りますが、彼が誰かの手に落ちて惨事をもたらされるのも同様です)

(結局、その娘次第ですね、彼の処遇は。願わくば別の理由で監視していたか、彼の勘違いであればいいのですが。この都市の事です、楽観はできませんけど ね )

上条(結局、能力云々に関わらずアイツはその子に囚われてるってことだな。それの善し悪しは分からんが)

気が付くと、上条の方を垣根が見ていた。端末の電源は落ちていて、もう行こうぜとでも言いたげだ

上条「あら、俺もその中身見たかったんだけど」

垣根「へっ、ぼーっとしてるテメェが悪いんだよ。それに俺はお前の事をそこまで信用してねーし 」

上条「そりゃ残念だ。一緒に一晩明かした仲じゃん?」

と茶化すように言った。それが出来たのは、上条がそこまでそのディスクを重要視していなかったからだ。自分の知りゆく範囲の内容だろうと高を括っていたからでもある。完全にそれはミスシンキングであるのだが

垣根「お前が勝手についてきただけだ。ま、これを読み取れた事には感謝してやるよ」

上条「なら、感謝ついでに俺のお願い聞いてくれるか? 」

垣根「聞くだけは聞いてやろう。何だよ」

上条「お前が言ってた女、心理定規の救出を助けてくれ、ていとくん」
790 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 09:28:32.99 ID:Aff0W5ko
ていとくんww
791 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 10:48:56.04 ID:guo47ASO
ある意味真実から掛け離れたところにいるのが面白いな
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 11:49:08.27 ID:/s1s6oDO
なんかもう手遅れっぽいな
793 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 12:44:35.41 ID:KMFK03.o
浜面の予想は当っていた

マイペースな滝壺を除いて、他の女陣は麦野に巻き込まれたようで、皆目下にくまが出来ていた

麦野に至っては、二日酔い

浜面「おいおい、大丈夫なのか今日の仕事」

麦野「大丈夫だと、思いたいわね。あああ頭痛てー」

何度目かの水を飲む

絹旗「そんなに水ばっかり飲むとお腹超壊しますよ」

絹旗は心配して言っているのだろうが、如何せんその低年齢の女の子らしい高い声が麦野の脳内に響く

麦野「ああもううっさい!わかってるわよそんなこと」

叫んで、麦野のお腹に独特の衝撃が来る。所謂、波

悶絶しそうな麦野をバックミラーで確認して、浜面は気を利かせる

車が止まった

浜面「ここのコンビニ、トイレ付きだぞ」

そう言うと麦野はすぐさま車を降りて、コンビニへ駆けこむ。アイドルが何やらをしないなんて言うのは幻想もいいところだ、なんて思わされる素振りだった

浜面「お前ら朝食もまともに食ってないだろ?なんか買って来たらどうだ? 」

フレンダ「浜面にしては気が利くってわけよ」

絹旗「そう言って案外自分がお腹超すいてたってオチなんじゃないですか?」

車を下りながら少女達が思い思いの事を口にする

浜面「俺はちゃんと食ってきてるっつの」

自動ドアをくぐりながら浜面が答えた

滝壺「浜面が朝食を取ってくるなんて、珍しい」

浜面「なんとなくそんな気分だったんだよ」

フレ「へぇー、本当に珍しい。案外女でもいたりしてねー?」

絹旗「まさか、特例を除いて、こんな超馬面に女の人が靡くはずがありません」

広くない店内で散々な言われようだが、これもいつもの事。寝不足で少々キツさが増しているのは仕方ないとして

滝壺「大丈夫。私はそんなはまづらを……」
794 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 12:50:59.88 ID:KMFK03.o
いつもの展開。これが浜面唯一の救い、のハズだが

浜面に近付いた滝壺が気付いてしまう

滝壺「はまづらから知らない人の匂いがする」

麦野の為に二日酔い用の薬を手に取った浜面の手が止まり、同時に近くに居た絹旗とフレンダの動きが止まった

馬鹿な。朝シャワーも浴びて、その後身体の接触など無かったはずだ

だが浜面は見逃していた。着ている上着が、昨日と同じ物だということに。そしてその上着で動かなくなった佐天を抱きかか え、背負ったのだ。ハッとその事を思い出す

浜面(やっちまった!!やっちまったよ!!!)

浜面「い、いやー昨日部屋に知り合いが泊ってな。そいt」

滝壺「知り合いって、女の子なんだ?」

墓穴。そして背後に忍び寄る陰

麦野が車に戻った時には、浜面は物理的にも精神的にもボロボロだった

麦野「へぇ、浜面も案外隅に置けないのね。このツラで」

フレンダから手渡された二日酔いの薬をマズッと言いながら飲み干し、苦々しい顔で言った

酷い言われ様だが今の彼の面は酷い。今から危険な事をするのに既に怪我を負っていくとは何たることか

麦野「とにかく、運転だけはしっかりしてよ」

浜面「ふぇい。べ、きょヴのじごどはだんだんな? 」

絹旗「超やり過ぎましたかね、これは。意思疎通がままなりません」

滝壺「語感的に、お仕事の内容を聞いてるんだと思う」

麦野「あれ、言ってなかった?ま、いいわ。待機決定になった浜面に教えてあげましょう」

後ろの席から手を伸ばして腫れた浜面のほほをぺチペチ叩きながら続けた。痛い

要約すると、外部のテロリストに特殊な能力を持つ少女が囚われたので回収してほしいということ。最優先目標がその少女で、小目標として念動力の大能力者の回収も出来たらということらしい

まだ敵テロリストは脱出の手ハズが整っていないようなので、11学区の搬入経路付近の施設に居座っているそうだ

絹旗「陸路で出ますって超言ってるようなものですね。そんなに余裕が無いんでしょうか」

フレ「結局、余裕が無いなら無いで逆に罠とかガチガチでしょーよ。ああ嫌だ嫌だそんな所」

麦野「アンタは脱出経路保守だから良いでしょ。突入する側の身にもなってほしいわね」

絹旗「更に最前線は私ですけどね」
795 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 12:58:27.82 ID:KMFK03.o
フレ「その上、どうせ捕まってる連中は意識不明だから担いで連れ出す必要もあると。絹旗欠けたら終わりってワケね」

絹旗「オーバーワークで超過労死ですよ。労働基準法仕事しろです」

どうやらいつもの元気が出てきたようだ。麦野はまだ青い顔をしているが、薬のおかげか表情も普段に近い

滝壺もやられ過ぎた浜面の方を気にしているようで、他の女という一件での怒りは薄らいでいる。あるいは、殴られながらの懸命な彼の主張を認めたのか

もちろん、その際に一緒に寝たなどは言わなかったが

そうこうしているうちに、現場付近へ到着。連絡を入れて、第一波としての絹旗麦野が突入前潜伏場所へ向かい、車ごと移動し第二波のフレンダを下ろす

作戦は簡単。絹旗麦野が派手に突入し滝壺のAIMストーカーで標的の二人までエスコート、もう一方でフレンダが静かに脱出経路を確保する。ただそれだけ。相手の態勢が不明な以上、出たとこ勝負で何とかするしかないのだ

開始の時間まで、あと僅か。特におかしな動きは見られない

ズァンという音が響き、さらに壁に何かがぶつかる音が続く

始まったようだ

警報が鳴る。ここは元々搬入物の検査をしていた施設で、学園都市が高度自動化する過程でその作業がオートマチック化してい き、今はただの一時保管施設として使われている

早い話、倉庫だ。しかし、本来外部の検査という重要過程という行程を管理していたところであるので、今でも警報装置が設置されたままだ

その警報が作動したのである

同時に、非常灯に切り替えられ、中の雰囲気が慌ただしくなる。恐らく外部警戒の見張りも出ただろう

浜面(隠れた場所に車を置いておいて正解だった。流石麦野だぜ)

今となっても、まともに喋れない浜面は頭の中で呟く。後ろでは滝壺がヘッドセットを装備して、車内のモニターを見つめてい る。そのモニターに接続されているコンピュータ部分には例の腕甲からの外部入力端子が刺さっていて、滝壺の監視作業が円滑に行えるようになっている

滝壺「その部屋からだと、直線的に壁を壊して進むなら部屋の入り口に対して10時の方向へ。廊下を伝うなら部屋を出てすぐ左の扉へ行って」

銃声が聞こえる。タタタタンという掃射音を小刻みに耳が捉えた 本格的に始まったと判断し、浜面の視界ギリギリの所で身を隠しながら様子を窺っていたフレンダが駆けて行った

浜面の席にも滝壺が見ている映像と同じものを映し出す小さなモニターが付いていて、マップ上にフレンダと表示されている点が施設を覆う簡易な有刺鉄線付きの柵にとりついた

数秒して、連続した切断音が聞こえ、フレンダの点がその柵内に入る。そこは最後に浜面が車を寄せて滝壺が抱えてくるだろう標的の二人を、車内に運び入れる搬入口になる様にフレンダが切り落として侵入しているはずだ

浜面は画面をタッチして、そこに搬入口という記しを追加する。これで浜面の仕事の前半は終わりとなる。あとはオペレーターと化 している滝壺を守りきるだけだ

警備員が使っている物を小型に改造したブルパップ式自動小銃を手元に置き、周囲に気を配る。と言っても、モニターを切り替えれば360度どの方角も監視している複数の車載カメラの映像を確認できるので、浜面一人でも問題は無い

また爆発音がした。今度は恐らく施設建物の半分を占めるコンテナ収容部の外壁をフレンダが侵入の為に吹き飛ばしたのだ。順調である
796 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 13:06:50.76 ID:KMFK03.o
上条と垣根は11学区へ急行していた。最低限現出させた翼で垣根が飛び上がり、左手でしがみ付く上条がその靴底を用いて推進力を作り出す

外見的な見た目は、白い翼を携えた何かが高速で移動しているという、なかなか美しい光景だが、現実的には男が男にしがみつ いて高速移動している訳だから、実際は美しさの対極にある

昨日に派手に垣根がその能力を公開したので、都市内では管理者側が意図的に映画の特撮という情報を流して一般化させていて、市民は簡単にけ入れる

スクールに見つかるのは確実となってしまうが致し方ないところだ

上条に心理定規の救出を手伝えと言われた時、彼はもちろん拒否を示した。だが上条がその右手で垣根を触っている限り精神を弄られることは無いと説明し、垣根を操っていたのかについての真実を確かめるべきだと言ったので、仕方なく従った

そして今の移動に至るのだが

垣根(この男は理解してないだろうが、この拉致情報は恐らくブラフだ。本当の狙いは心理定規を取り戻そうと部隊が来るのを見計らい、その混乱を使って研究者を都市外へ移動させる事)

垣根(わざわざ心理定規程度の能力者情報を改めて入手するメリットが外部にはねぇってのに、この馬鹿は騙されてやがるんだろうさ)

自分の背を押している上条を一瞬見たが、もちろんその意味に上条は気が付かない

逆にそろそろだ、と目で意思表示をしている

本当におめでたい野郎なのだ。上条当麻は

垣根(こいつは、目の前の事に集中し過ぎて大局を見落としがちな典型だな。誰かに動かされるなら良い働きをするだろうが、自分で動けば視野が固定される)

垣根(今のこいつの行動だって、踊らされているかもしれない。動きを共にするなら、そういう面に気を払う必要があるな)

今の段階でいえば、垣根は上条に対して圧倒的な情報強者となっていた。そして垣根はこれを全て伝える気は無いし、利用しようとも考えている

そう簡単に思わせてしまう程、彼は純朴なのだ

だが実際の所、本当に心理定規が垣根の行動を監視制約していたのか、はっきりさせたかったという考えは垣根にもあった

この上条の申し出は良い機会なのだ

それが例え誰かの手の平の上であっても、はっきりさせたい。そして

垣根(もしあのアマが本当にそんな事をしていたなら、俺は俺自身でアイツを殺す)

そう決意した

目標地点までもう僅か。願わくば、俺があの女に会うまでグループの連中が来ないと助かるが、と垣根は思った
797 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 13:19:49.97 ID:KMFK03.o
ここに来るまでに覚えこんだ施設構造と、滝壺が伝える方角、経路から、大体どこの部屋に標的が拘束されているのか分かった。だが簡単には進めない

外壁を破って侵入した部屋に設置されていたのは警報装置だけでなく、侵入者へ散弾を上下左右から発射するというえげつない罠があり、先に侵入した絹旗がそこに込められていた全ての弾丸を全て受けたのだ

その手の罠程度は当然有るだろうと思って入った為、気をやることなど無かったが、その小さな体に相当な衝撃が与えられた

麦野「絹旗?!」

絹旗「何とか、大丈夫です。けど、持ってきた兵装、全部壊れちゃいましたよ」

絹旗の窒素装甲は防護能力としては優れたものであるが、衝撃そのものから身を守ることは出来ない。ガタイのいいタフガイであればまだしも、所詮は女子中学生で身体成長が過程の上では耐えられないレベルがある

何とか立っている、という少女の姿を見て、言う。それは可哀相という理由では無く、作戦行動上の判断の一つでしかない

麦野「いざとなったら、私のことは考えず、自分の守りに徹しなさい。貫通力の低い散弾程度なら私の能力で対処する」

散弾。絹旗には不得手な武装だが麦野には逆にしのげる武器である

麦野にとって、標的を救出するという仕事は苦手だった。撃破すべき明確な目標が無いのは、攻撃的な一面を持つ彼女には向いていない

だが同時に完璧主義である彼女は、失敗後ということもあって、達成に絶対必要な絹旗の存在は欠かせないものだった

本来ならば盾兼尖兵役の彼女を気遣うのはそういう面が大きい

絹旗「分かりました。その言葉に甘えさせてもらうかもしれません」

そう言って、部屋のドアのノブを握る。瞬間、一斉に鳴り響く銃声と共に扉が形を失い、散弾の雨霰が少女へ降り注いだ

少女らしくない悲鳴を挙げて吹き飛ぶ絹旗。その光景で麦野の動きは決定する

部屋の前はコンテナ収容部ともう半分の処理管理部を繋ぐ大扉がある300u程度の空間であるはずだ。恐らくそこへ何人かの人間が居て、散弾銃でずっと狙い続けていたのだろう

逃せば、収容部で張っているフレンダの方へ行くかもしれない。そうなるとただのアポート能力しか持たない彼女には荷が重 い

一瞬でそこまで判断して、倒れた絹旗の前に飛び出て、盾を展開しつつ、敵兵に見えた端から光線を叩きこむ

絹旗の時と同様の、一斉射撃による散弾の小さな鉄球は麦野の目の前から先に進むことは無く、逆に麦野の放った光線は銃撃者達を確実に焼き払う

10人弱いた人間はほんの10秒程度でこの世から消えた。武器を変えて大型弾の銃を用いれば、あるいはこの距離の麦野の光の盾を貫通することが出来ただろうが、そんな切り替える時間を与えないのが彼女である

掃除が終わったときには絹旗が壁に持たれながら立ちあがっていた

絹旗「すみません。早速こんなザマで」

麦野「私が守りながら進むから、動けるようになるまで休んでなさい」

言葉に怒気が含まれた。その怒りの矛先は敵だ。それが分かっていても、恐怖を感じる

広い空間から細い廊下へ。この廊下は50m程伸びているのは知っている。廊下への扉を開く前に扉ごしに光の束を撃ち出す。すると、声があがった。その声を聞いてさらに容赦なく光線を撃ち続ける
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 13:26:41.72 ID:KMFK03.o
穴だらけになった扉を蹴り飛ばすと、廊下上に複数の死体と血溜まりが出来ていた。開かれると同時に発動する炸裂弾の罠も、展開した盾で簡単に守り切り、麦野の服には血の色すら見えない

長い廊下をぐちゃぐちゃと死体を踏み荒らしながら進む。生きているのかの確認と、八つ当たり

同時に、この廊下に面した扉を持つ資料保管庫にも大量の光線を発射し、壁が完全に崩壊するんじゃないかと思えるほどの被害を与え、中で隠れていた連中を黙らせる

麦野「滝壺、まだ保管庫とやらから標的の反応は動いてないわよね」

滝壺『うん、変化なし。けど気をつけて。むぎのの近くに、変な反応が有る。もしかしたら、あの白いのかも』

滝壺が言いきるかどうかというタイミングで、ノーマークだった逆の壁が崩れ、麦野には慣れ親しんだ物理反応が身近で起きていることに気が付く

何とか付いてきている絹旗を後ろ足で思いっきり蹴り飛ばし、その反作用で自分を前に動かす

絹旗と麦野が直線上で重なっていた部分をなぞるように光線が通り過ぎた

麦野「やっぱ来たわね。……良いわぁ。この前の借りを返してあげる!! 」

敵の光線が放たれたと思わしい場所へ、その線より何倍も太い光線を応射する。その表情は最早美しさや気品など何処にもない

憎しみをこめて撃ち出すかのように、一発ごとに声を吐きながら、手当たり次第に撃つ、撃つ、撃つ

自分の所へ向かってくる敵の電子光線は能力によって捻じ曲げ、一方的に撃っていると、絹旗の方へ攻撃が集中し始めた

移動すらふらつく彼女にそれを避け続ける手段は無い。絹旗の方へすぐに移動し、守る

邪魔だ。少なくともこの敵が居れば、標的の奪取など不可能。ならば絹旗がここに居る利点は無い

麦野「絹旗ぁ!オマエはフレンダの援護に行ってろぉ!!!」

絹旗「……でも!」

麦野「でもじゃねぇよ!フレンダ如きが一人で敵う相手じゃねぇだろ!」

叫ぶとまた光線の反応がした。電子を噴射して緊急回避を図る。同時展開した盾に当り、微妙に軌道がねじ曲がって直撃には 至らない

その様子をみて絹旗は今できる全力でフレンダの下へと走った。手負いの自分では足手纏いにしかならないと分かったのだ

絹旗が逆走したと同時に、施設全体に衝撃が伝わった

何事か

滝壺『むぎの』 麦野「なによぉ!?気が散るだろうがぁ!!」

もはや麦野と少女の間にあった壁は穴だらけとなり、壁としての役割など無くなっている

滝壺『第二位と何かがきたよ 』

ハァ?!と彼女が叫んだとき、目の前の白い少女は背中から二本の大きな翼を展開し、麦野が放った光線をいとも簡単に防いで見せた
799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 13:36:30.38 ID:KMFK03.o
施設正面玄関を守備部隊ごと翼で派手に殴り飛ばし、垣根と上条は突入した

そのやり方に上条は抵抗を覚えたが、やられた後ではどうしようもない

正面玄関から彼らの目的でもある心理定規が拘束されている保管庫はすぐ目の前だったが、その情報も持ってない上に、入ってすぐに見えた光線によって彼らはそっちに注意をひきつけられる

廊下だと思わしき空間の奥から麦野が駆けてきて、すぐさま側方に放射移動すると当らなかった光線が垣根目指して飛んでくる。自らの翼で守ると、それを麦野は憎々しそうに見ていた

その後も攻撃が止まないので一度正面玄関前に広がる駐車場へ後退する

垣根「第四位が逃げ惑うとは、らしくねえな」

麦野「黙れぇ!纏めて溶かしてやるから首洗って待っときやがれ!! 」

垣根「おいおい、狂犬かぁ?まだ盛りの付いた雌犬の方が可愛げがあるぜ」

呆れた表情をして麦野から視線をそらし、建物の方を見た。施設内から白い戦闘服の少女が現れる

外に出てその二本限りの翼を大きく広げ、翼から大量に離れ落ちる羽が原子崩しとよく似た光線となって連続して三人に襲いかかる

未元物質はオリジナルの翼で動きもせずに守り、幻想殺しは自分に当る物だけを見切って右手を使って守る。一方で原子崩しは自分と同じ攻撃に対して完璧な防衛手段を持たないが、大量に降り注ぐ電子光線の軌道を効果的に捻じ曲げ、身を動かして何とか守りきる

駐車場は一面穴だらけ。少女の攻撃目標が3人に増えたため、攻撃が分散し、麦野も回避行動の中から隙を見出して厄介な翼が攻撃に集中している間に、本体めがけて光線を放つ

だが、本体である少女は浜面が戦ったものと同様、身体能力も強化されていたため、最小限の動作でそれを回避された

麦野「クソビッチが!!早く溶けちまえよぉ!!オラオラオラァ!! 」

追撃を加えるも、簡単に避けられる。どうやら麦野と同様、光線の攻撃が来ることが予測でき且つ方向を捻じ曲げることが出来るようだ

少女は攻撃対象が増え拡散することで攻撃効果が薄いと判断し、その身体機動力と翼を使った高速接近戦に攻撃方法をシフト する

地面を強く蹴ったと同時に翼で空気を叩き、一瞬で麦野の前へ移動する

麦野はその機動力に驚いたが同時に、危険と判断して電子放射で間合いを取る。だが、それは少女にとって読み通りだった

麦野が間合いを取った先をあらかじめ予測して電子の光線を放っていたのだ

直撃コース、もう一度放射移動するのは演算が間に合わない。方向を曲げてもこの距離では被弾を免れない
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 13:54:33.75 ID:KMFK03.o
万事休す。全力で方向を捻じ曲げる方向で演算をするが、やはり曲げが足りない

だが、被弾の瞬間は無かった。男が一人、その間に入って右手を突きだしていた。唖然として、麦野が瞬きを終えた時には、少女のすぐ側まで接近し、格闘戦をしている

彼の攻撃が当るたびに翼は羽ごと消失し、能力を用いた攻撃を中断させる。能力を用いた攻撃は効果が薄いと判断したのか、腰からナイフを取り出して切りかかる

今度は前と違い、一撃必殺を狙わず隙のない攻撃を繰り出す。手数で勝負という訳だ。明らかに攻撃手段が高度化されていて、回避一辺通りとなる上条

だが、戦いはそう長くは続かなかった。上条ごと、垣根が翼で殴りかかったのだ

複数方向にベクトルを向けていた翼に殴られ、少女の体は四散する。残ったのは殴られた位置から遠かった首から上と足先だけで、それ以外は原型を留めていない

垣根の翼の攻撃は上条の体に傷一つ付けられなかったが、上条には人間だったものが飛び散る。そして、突き出した拳がキャッチした物は、少女の顔だった

ウェッ、と喉を鳴らし、首を落とす上条

垣根「俺の未元物質の直撃を受けて何もなし。お前一体何者だ」

上条「うるせえよ!俺が何者なんて関係ない。殺さない様に手段考えて戦ってたのに全部無にしやがって!!」

側まで歩いてきた垣根の胸倉を掴み言葉を浴びせる

垣根「あぁ?んなこと知るか。手こずってるから助けてやったんだろうが。あの状況じゃお前に具体的な方法があったように見えなかったが間違いかよ? 」

上条の行為に臆する垣根では無い。冷静に言葉を返す

上条「そういう問題じゃないだろ!簡単に殺すなって言ってんだよ!!」

垣根「あのな、時間をかけたら一方通行率いるグループがくる。そうなったらテメェが言ってた心理定規との対話だって難し い。とっとと決めなきゃならない状況だったろうが!違うか?!」

上条「それは、そうだ。だけどな……!!」

まだ自論をあきらめない上条を蹴って突き離し、声を荒げる

垣根「いい加減にしろよ。テメェみたいに能力攻撃全部利きませんってふざけた強者の青臭い自慰めいた考えを他の人間にまで押しつけんじゃねぇ!そんな余裕あるやつなんてお前だけだ。ヒーロー気取りも大概にしやがれ!!!」

垣根の掃いて捨てるように言った言葉に怒りを覚えるも、言い返す言葉も出ない。彼の言う言葉は事実だ

上条が少女を殺さない様に接近戦を選んだがうまく対処できなかったのも事実。上条が学園都市では圧倒的な強者で有ることも事実。そして何より上条が前回の惨事を避けようと一人で英雄の如き働きをしようと気負っていた事も事実

会ってまだ24時間も経っていない人間に的確な指摘をされたように感じた
801 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:03:12.63 ID:KMFK03.o
垣根「結局、テメェは底が浅いんだよ。自分以外の事に振り回され過ぎなんだ。何を目的に動いてるのか知らねえが、その目的の為に障害ひとつ手段を選んで直ぐに対処出来ねえ様じゃ、誰かに都合良く動かされるのがオチだ。殺したくないなら、横槍を許さないぐらいの強さを見せろ。それが出来ないなら、それがテメェ の力量だ」

垣根「中途半端なんだ、テメェは。目の前の光景に流されて、今まで何度ミスをした?俺はお前の事なんて全く知らねーが、想像できるんだよ。お前と同じような奴が騙されて殺されるのを散々見てきたからな」

上条は押し黙ったままだ

垣根「ほらな、言い返せもしねえ!お前にどんな能力があろうとな、そこを理解してねえと結局お前は失敗する。背負ってるものもみんなパァ、だ」

行くぞ、と言い残して垣根は施設内に入って行った。その背中は少女を殺した事など全く気にもせず、強い意志を感じさせる

(彼の意見が正しい正しくないにかかわらず、今は目標を優先しましょう。悩むのは終わってからです)

頬に付いた肉片を拭い、垣根の後に続く。その背中は対照的に、弱く見えた

取り残された麦野はただその場に立ちつくす。第二位に叱られて、見るからに委縮したこんな小物に自分は助けられ、そして力の差を見せつけられた

都市の誇るLV5としての、そして何より強い自分という、麦野の精神を構成する最大要素の自信が踏みにじられた

拳を爪が食い込む程強く握り、体は震え、二人の男の後ろ姿を穴をあけるかのように睨む

だが、彼女にはその睨む時間すら満足に与えられない

滝壺『むぎの、むぎの!また白いのが出たよ。絹旗とフレンダが戦ってる。助けに行ってあげて』

見えなくなった男達の方を一瞬見て、答える

麦野「……わかったわ。場所は」

足を引っ張りやがって、と一瞬思った。だが、よく考えたら自分も同じだ

弱い者はそれより強い者でないと守れない。自分もより強い者に守られた。同じ事だ

第二位は言っていた。感情に任せて大局が見えてないと。自分に向けられた言葉では無かったが、この場の麦野にも当てはまる

こんなところで野獣のようになっていても、意味の無いことだ。今は無力な妹分達を助けることが先決だろう

そして何より、あの二人に張り合う為には、まずは自分を追い込んだ者を倒さなくては始まらないではないか
802 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:07:14.65 ID:KMFK03.o
施設内に敷き詰められたコンテナの陰に隠れ、ひたすらにフレンダは待っていた

既に移動経路上の敵の罠は無効化し終わっている

何度か、敵が近づいてきたが、その度に自分を守るために設定し直した敵の罠と自分の機材で冷静に対処した

このコンテナジャングルとも言える空間は、彼女にとって最高の戦いの場であった。敵の行動を予測し、裏をかいて罠にはめる快感が彼女を悦に浸らせる

絹旗『今からそっちへ行きます。大丈夫ですか』

フレ「りょーかい。準備しておくわ」

あらかじめ決めていた経路に関わる罠を無効化し、絹旗を出迎える

だが、絹旗は標的らしいものも担いでない上に、満身創痍だった

フレ「ちょっと、大丈夫?何があった訳よ?」

絹旗「少々敵の作戦に引っ掛かりましてね。それよりもあの白いのが出ました。麦野が応戦してます」

フレ「ああ、やっぱり出たわけね」

この状態では、まともに戦闘することも難しいだろう。邪魔になるからこっちへ寄越されたか

そんな事を考えていると、収容部の4辺の壁の内、管理部と接合している辺以外のシャッターが同時に上がりだし、反対側からバツバツバツ、と連続した爆発音が鳴る

同時に、フレンダがシャッターに仕掛けていた罠が作動し、爆発音が連続した

エンジン音が聞こえ、複数の車が動き出す音が聞こえた

何かが、逃げる?そう言えば敵の一般兵の数が少ないような

この状況で逃げる物と言えば

音の源へ駆けだしながら、無線を入れる

絹旗「滝壺さん、標的はまだ保管庫なんですよね?!」

滝壺『そう。一切動いてない』

フレ「本当に?一ミリも? 」

フレンダが聞き返している時、右のコンテナが動いた

今度は何だ、と思った瞬間、翼が現れコンテナを内側から裂いた 中に見えるのは、複数並んだカプセルと、白い戦闘服の少女
803 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:11:33.16 ID:KMFK03.o
それを見た、というより視界の端に見えた瞬間に、フレンダを抱えて絹旗は後方へ跳ぶ

フレンダも抱えられながら、銃を取り出し引き金を引いた

翼が銃弾をはたき落とし、もう一方の翼が二人を叩きつぶすように動く

二人はお互い反対方向へ跳び、辛くも回避に成功するも、地面に叩きついた翼から衝撃で羽が舞い上がる

舞った羽が二人めがけて飛んでくる。普通の羽でないことは分かる。当れば不味いだろう

二人はそのまま左右に大きく離れるように走り、飛んで来る羽を避ける

コンテナの陰へ。開いたシャッターから外にも出れるが、壁が無くては身を隠せないし盾にもならない。避けるのは難しいだろう

その分厚いコンテナも、羽が触れた瞬間解ける。当ればただでは済まない

さてどうやってこの場を凌ぐか、こっちにはあの翼と羽の攻撃を回避しつつ敵に打撃を与える方法は無い。つまり、二人だけで対処することは出来ない

最悪なのは、攻撃が一人に集中すること

より最悪なのは、本格的に高速移動手段の無いフレンダに攻撃が集中すること

そう思った時には、絹旗の視界から敵の攻撃は見えなくなっていた。同時に重い金属の塊と重い金属の塊がぶつかり合うような低く深く響く音が連続して鳴る

まずった。背中に嫌な汗が出る

身を隠していたコンテナの陰から顔を出すと、フレンダの逃げた方へ二本の翼が向いているのが見えた

広げられた大翼から無数の細い光線が放射される寸前だった

金髪の少女は、自分の死を覚悟する 周りのコンテナは薙ぎ払われ、身を隠す場所も無い

何より敵の位置が絶対的に近過ぎる。能力的に瞬発力に駆ける彼女では距離を取れない。回避不可

翼がより光を帯びる。撃たれる。絶望を判断した瞬間、目の前を極太の光線が通過した

それによって、翼より放たれた細い光線は巻き込まれるように大きくねじ曲がり、フレンダへの直撃は無くなる

持っていた銃に当り、解けた熱により右手が火傷を負う。だが命よりよっぽど軽い

フレンダ「麦野っ!!」

シャッターの外に、強い味方が笑みを浮かべて立っていた。いつもの邪悪なものと同じものだが、この上なく頼もしく映った
804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:15:50.17 ID:KMFK03.o
探していた心理定規はすぐに見つかった

正面玄関前の駐車場での戦闘による流れ弾、つまり流れ光線が保管庫の壁を破っていたので、その中に人影があったのが見えたのだ

四肢が動かない様に拘束具を付けられ、点滴により常に意識を奪い続ける

隣には、同じような形で少年も囚われていた

垣根は、まず少年の方の拘束を解き、点滴を剥がす

頬や体をひっぱたき、覚醒を促すが、簡単に起きない

上条「駄目だな。これを点滴形式でずっと投与され続けられてたなら、効能が切れるまで眠ったままだ」

上条が点滴の薬品を見ながら言う

舌打ちをし、少年を壁にもたれかけさせる

垣根「これじゃ、ここで会話って訳にもいかなねえな」

上条「ああ。回収の方は麦野達がやってくれるだろうから、回収後に会うか?」

垣根「冗談じゃねえ。こいつの罠も何もない敵中って状況だからいいんだろ。第一、回収がアイツらにちゃんと出来るのか?」

戦闘音が断続的に響いていた。そしてこの音の規模から、恐らくまたあの白いのだろう。上条としては 一方的な知り合いである彼女達を助けたいが、垣根との先程の口論の手前、言いだせなかった

上条「さぁな。でも何とかするだろ。LV5なんだし。その子だけ連れ出すってどうだ?話し終えたら麦野達に引き渡すかしたらいいし」

とにかく一方通行達が来る前にここを去る、と付け加えた。垣根の方は既にそのつもりだったのか、心理定規の拘束と点滴を取り外し少女を抱えようとしていた

抱え上げると、少女の口がずっと動いていることに気が付く。寝言なのかよく聞き取れない。離れている上条には声そのものに気が付かない

単語が聞き取れた

定規「てい……とく……t」

と。どういう夢を見てどういう形で自分の名前を呼んだのか垣根には分からなかった。ただずっと、自分の名前を繰り返し呟いている

無意識に抱きあげる力を強めていた。しばらくして自分の抱える力が強くなっていることに気が付く

同時に困惑した。この感情は何なのかと。既に植え込まれていたモノなのか、この状況に悲哀と同情を感じて今生まれたモノなのか、はたまた全く別のモノなのか

上条は、固まってしまった垣根を呼び掛けるが反応が無いので軽く小突く。ようやく反応があった

上条「おいおい。急ぐんじゃありませんでしたっけー? 」

垣根「……悪い。おし、一方通行が来る前にここをd」

?「誰が来る前にだとォ? 」

白く線の細い男が笑みを浮かべて立っていた
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:20:48.69 ID:KMFK03.o
冷静さを取り戻した麦野は気が付いた

このガキは自分の出力よりも低いものしか出せないと

それは、戦いの最中に気付いたことだった。敵が放つ細い光線を何度も捻じ曲げて味方の被弾を防いでいるのに、一向にそれに対応した出力を出してくることが無いのだ

考えてみれば当然のことだ。同じレベル5であり自分より上位の男の能力に酷似した翼をつかい、更に自分の能力に酷似した攻撃と防御をするのなら、並の人間では演算が追いつかない

仮に機械の補助があっても同時に能力を展開し操るということは多大な負荷をかけることだろう

つまり、電子を操るという能力については格下なのだ、目の前の白いのは。同様に未元物質を司るあの翼の操り方も第二位のそれには劣るだろう

それが分かると、俄然戦い方も思いつく

麦野(あの翼さえなんとかしたら、勝機はある)

既に慣れが始まったのか、フレンダや絹旗も敵の攻撃に対して効率の良い動きというものを見出している

麦野(今のこの子達をうまく使えば……)

翼と羽に注意しながら、フレンダの下へ

麦野「次のチャンスにありったけのスモークをぶち込みなさい」

それだけ言って、また元のフォーメーションに戻る。敵の全方位無差別攻撃を避け続けることが出来ているのも、全ては呼吸を知りあった仲間同士故に出来る、攻撃の分散化だ

一人に攻撃が集中しないよう、三者の間を一定にしつつ、当りそうな光線を無効化し、隙を見ては光線や銃弾を叩き込むリーダーの麦野に合わせて二人も効果的に動くことで、敵の動きも制限し、ある程度制御も可能となってきた

膠着状態ではあるが、絹旗とフレンダだけの時よりもよっぽど改善されている

フレンダへの攻撃が薄まった。好機と判断し、取り出した発煙榴弾を乱射する
806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:24:55.25 ID:KMFK03.o
屋内の角地へとおびき出されていた白の少女は満足に飛び上がることもできず、片翼で身を守り、もう片翼を振り回して煙を払おうとする

その初動が煙中で確認できた。絹旗に突っ込めと目で合図する

麦野「フレンダ!!撃ちまくれ!!!」

同時に叫んだ。敵にも聞こえる様に。金髪の少女も呼応してフルオートでありったけの鉛玉を撃ちこむ

当然、撃たれた側は撃たれた方向に翼を寄せる。室内でまだ視界は回復しきっていない

そこへ絹旗が突撃する。翼で守りきれていない体の部分めがけて

白兵戦タイプと認定していた少女が間合いの中に居ることで、白の少女は危険と判断し最大限距離を取るために自らの足で煙の外へ跳ぼうとする

跳び、煙が薄くなった所で周囲を確認しようとした瞬間、少女の顔が消え去った

角地、フレンダの射撃角度、絹旗が突っ込んでいった角度。この三要素から敵が出てくる場所をあらかじめ算出していた麦野はそこへ最大出力をぶち込んだのだ

その光線の残りが壁に直撃し大穴をあけた

煙が完全に消え、少女が燃えているのを見て、フレンダと絹旗はその場にへたり込む

麦野「なにやってんの。後は回収だけよ。ホラちゃっちゃと動け!! 」

腰を落とした二人に喝を入れ、強引に配置に付かせる

絹旗も完全ではないが担ぎ出す程度の事はできるだろう

自信を少し取り戻した女の顔には自然な笑みが浮かび、少女を一人従えて保管庫へ駆けて行った

そこで滝壺から更に無線が入る

今度は第一位まで現れた、と
807 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/11(土) 14:31:16.85 ID:KMFK03.o
とりあえず本日分は以上です。中途半端でサーセン
戦闘はいいから話を進めろ!サーセン
展開が強引なんだよ!サーセン
長い!サーセン
わけがわからん死ね!サーセン
佐天さんを早く爆散させろ!サーセン

大筋はできてるのにそれに合わせて小さい話がなかなか進まないこのジレンマ

9月中に終わらせる。絶対に。ではさようなら
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 14:44:44.32 ID:.mVsWZIo
おつ!!!
超わくわくするっすよwwwwww
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 14:59:05.57 ID:/s1s6oDO
ていと君が言いたいこと代弁してくれた。まったくもってどうしようもないな上条さん
あと佐天さんは早く爆散しろ
810 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 15:04:14.12 ID:wzSrnKgo

上条さん時間が巻き戻ったのに前より余計に視野が狭くなってるな
頭にコンピューターがあってもこれでは…
まぁ時間が戻る前より上条さんらしくはなってるがこのままだとバッドエンド直行だな
811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/11(土) 16:25:51.28 ID:LH1CF1Qo
上条さん一度目の悲劇をみているだけにあれを誘発しない
ようにって行動が著しく制限されてるからなあ。
嘘が混じってる不完全な攻略スレを眺めながら隠れキャラ
捜してるようなもどかしさがあるな。
焦ってる分だけ行動が単純だし、変な情報で誘導されてる
ようなもんだから敵からしたら一度目より楽に振り回せそうだ。
賢くて冷静な友が欲しい。
812 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 16:57:12.62 ID:R75K1EAO

続き期待してる。

マブラヴオルタネイティブを思い出した。
813 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 17:15:17.00 ID:xcJDTgSO
読みごたえありすぎだろ

次が待てないじゃねーか
814 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 18:45:25.38 ID:VMSNw.w0
ところで上条さんの敵対グループは上条さんが「未来」の記憶を持っているってのに既に気付いているのかな・・・
815 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 20:06:39.54 ID:/s1s6oDO
>>814
タイムリープが起こったのは把握してるが上条さんだとはわかってないんじゃね。
つか青ピが動きみせないな。前回の青ピの役割を今回佐天シスターズがやってるのかな?
816 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 20:21:41.51 ID:guo47ASO
麦野かわいいよ麦野

完結目標がモチベーションになるならいいけど、焦りすぎて納得行かない出来になるくらいならゆっくりでもいいんだぜ
817 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 21:12:43.38 ID:wzSrnKgo
>>814
自分はタイムリープも米側の計画の想定内だと踏んでるから上条さんが‘未来’の記憶を持ってることを承知してると思う
818 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 21:48:36.89 ID:7J9Mwqo0
ていと君の言ってる事が何一つ間違ってなくて吹いた
自縄自縛だらけでカタルシスとは程遠かったし、このコンビはたとえ今回限りでも有効に機能して欲しいが
定規さんからていとくんに不穏な匂いのするフラグが来てるからなぁ
819 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 22:53:49.09 ID:8g.0xjAo
なんか凄く長く続いてる気がするがまだ1スレ目なんだなww
読み応えあって面白いぜww
820 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 13:00:19.02 ID:vOl2Z6wo
上条OO
821 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/12(日) 14:33:29.20 ID:P8qvL3so
追いついた
しかしこのままではバッドエンド直行だな
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 15:58:48.42 ID:fJJx0IDO
だが、それがいい あ佐天さんは別よ
823 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 16:06:37.56 ID:J0CooiQo
このまま失敗を重ねて頭の中が5.1chに
824 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 17:13:43.18 ID:OEiUTXMo
In a novel:
"I heard a large explosion from behind. Startled, I turned around."

In a cell phone novel:
"Boom! I was surprised and turned around."

In a light novel:
"From behind an intense explosion was heard, and so I decided to turn around,
my thoughts flirting with the bothersome incident and finding its feet with the fact that I had not had lunch."

Ikegami Akira would say:
"Now, what exactly is an explosion, you may ask.
Don't we all have that question sometime in our daily lives?
I have prepared a chart explaining this concept, please look here."
825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 17:43:36.88 ID:R6zfEGI0
俺馬鹿だから読めないや
誰か>>824が何かいたか教えてください
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/12(日) 17:50:31.07 ID:hmv30ego
>>825
小説で:
「私は後ろから大きい爆発を聞きました。」 「驚いて、私は振り向きました。」

携帯電話小説で:
「轟いてください!」 「私は、驚かせられて、振り向きました。」

軽い小説で:
「後ろから、激しい爆発が聞かれたので、私は、振り向くと決めました、私の考えが私が昼食をとっていなかったという事実で厄介な事件といちゃついて、足を見つけて。」

池上Akiraは以下を言うでしょう。
「あなたは、現在爆発がいったい何であるかと尋ねることができます。」
私たちには皆、私たちの日常生活におけるいつか、その質問がありませんか?
「私はこの概念について説明する図を準備して、注意してください。」

excite翻訳だとこんな感じwwww
827 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 18:42:18.32 ID:9VwnPFY0
小説
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚きながら振り返った。」

ケータイ小説
「ドカーン!びっくりして俺は振り返った。」

ラノベ
「背後から強烈な爆発音がしたので、俺はまためんどうなことになったなぁ、とか
そういや昼飯も食っていないなぁとか色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである」

池上彰
「じゃあ、そもそも爆発って何なんでしょう
皆さん気になりますよね?
そこで図を用意しました ちょっと後ろを見てください」
828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 18:54:04.46 ID:iThLaPoo
そういや青ピの能力って人工だったっけ?

それとこれ失敗したらトリプルコアか…頭が熱くなるな…
829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/14(火) 21:19:33.26 ID:nfjJPgYo
      ☆ チン     マチクタビレタ〜
                        マチクタビレタ〜
       ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < >>1まだ〜?
            \_/⊂ ⊂_ )   \_____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
       |  愛媛みかん |/
830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 00:50:48.94 ID:NI5tm1Eo
まだ1スレ目の800だというのにこの読み応え
831 :少ないけど投下。17・18巻を読み直さなければ続きが書けないんだよ[saga]:2010/09/15(水) 03:31:50.25 ID:HIkslXgo
広くない室内に対峙した第一位と第二位。だが、状況はフェアでない

本来ならば十分に噛みつくこともできる第二位であるが、少女を抱えては無理だ

垣根(間違い無く、グループの他の連中も居る。空間移動能力なら都市最強と行っていい座標移動によって素性のわからない二人が奇襲を狙ってるはずだ)

目の前の一方通行だけでも十分な脅威であり、視線を外せない。それに加えて何処からともなく隙を狙っているであろう見え ない三人

そして目を覚ませば脅威になる可能性のある心理定規

垣根(面倒臭い、ってレベルじゃねえ。万死だ。どうする)

本当に一瞬上条を見た。彼に頼るわけではないが、彼の方が動きやすいのは確か

その視線を感じとったのか、上条が口を開く。何かを狙っているのだろうか

上条「これはこれは第一位の一方通行さんじゃないですか。こんなところに何の用だよ」

一方「あァ?しらばっくれんな。お前には用がねェ。ずっと俺を睨んでるそっちの奴に用があってな」

上条「ていとくんに?奇遇だなぁ。いや実はワタクシも用がありましてね」

ていとくんという言い方に若干眉が引きつるが、気は許せない

上条「だからまず先にこっちの用を優先させてもらうぜ?バーゲンセールでも何でも、早い者勝ちって決まってるからな」

一方「……一応聞いてやる。その御用とやらはいつまでかかるんですかァ?」

上条「さあなー。明日かー明々後日かー一週間かー。わかんねぇーな」

明らかに真面目に答える気の無い上条に表情を曇らせる一方通行

一方「駄目だ。残念ながらお前の用より先にこっちの仕事の期限が来ちまうんだよ」

上条「へぇ、ちなみにその期限とやらは?」

一方「今日中だな」

上条「昨日じゃ無くて?いやぁ、何処の暗部組織かは知らないけどさ、ていとくんの暗殺を謀っている奴が居たんだよ。可哀相だったんで助けてやったら、ずっと追われてるらしくてな。年中金欠の上条さんに資金援助をしてくれるって言うから、今はボ ディーガードしてるんだよ」

いやぁ、貧乏学生は辛いなぁなどと呟き

上条「だからこいつらを殺したいなら、まずは俺を片づけてからやるんだな」

と低い声で睨みながら言った
832 :だれですかァ?9月中に終らせるって言った奴は [saga]:2010/09/15(水) 03:40:56.89 ID:HIkslXgo
一方「カカカ……、いいねェ。回りくどい事言わずによ、最初からそう言ってくれよ。第二位なんぞに脇目を振らずに一瞬で消してやったのによォ」

およそ一般的な笑い声ではないが、ひとしきり笑い終えて、上条の方へ向き、両手をポケットから出す。が

一方「ハン。とでも言うと思ったか?見え見えの誘導しやがって、ンなもンに引っ掛かる一方通行サマとでも思ったか」

上条「ハハッ。物は良いようだな。負けた相手にまた負けるのが怖いのを隠してる様にも聞こえますよ?」

一方「ァ?テメェを消し去ってからでも雌を抱えた第二位程度すぐ追いつくぞ」

上条「あらあら、強がっちゃって。そう言って前もうまくいかなかったろ。ホラホラ、怖いなら怖いと言ったらいいのに 」

一方「何とでも言ってろ」

次の口を告げようとした時、部屋に入りきった一方通行の後ろから物音がする

麦野「あ〜ら皆さんお揃いで……どういう訳で第一位まで居るのかしら? 」

女が来た。中学生ぐらいの娘を従えて。垣根上条は既に会っているので気にはならないが一方通行は本日初お目見えだ。無論、グループ内に情報は伝わっている

振り向いて、応対しようとする。この状況で最も余裕があるのは彼である。故に当然と言えば当然の反応

上条は近場の滞空回線から見えた麦野達の動きから、ずっとこのタイミングを待っていた。もし一方通行が一瞬でも麦野の方を見なければ成立しない方法

振り向いた瞬間、上条が跳ぶ。幸いここは広い部屋では無い

上条が動いたのには瞬間的に一方通行も気が付く。後ろは見えていないが、その方向まで

自分へ向かって跳んでくる上条のベクトルから、方向と減衰後何処で着地するのかを割り出し、斜め後方、つまり部屋の入り口付近に立つ麦野の直ぐ前へと滑るように動く

だが、ロケット的な能力を持つ上条のその特異なベクトルの変化に気が付いた時には、遅かった。結果だけ言えば、一方通行の動きを見たかのように、移動幅が増大させたのだ

上条の右手が一方通行の頭を捉えた。一方通行の膝が一気に崩れ、倒れこむ

上条「今だ!!帝督!! 」

上条の言葉は強い風に阻まれる。上条の声を聞くまでもなく、一方通行の額に上条の右手が触れる瞬間翼を展開し、部屋の横の亀裂から飛び出す垣根

一方通行が倒れたことで、ようやく垣根がその胸に標的の少女を抱えているのが見えた時には、麦野の手では追えない場所に垣根 は浮いていた
833 :その前はこのスレで完結させるとか言ってたよなァ?[saga]:2010/09/15(水) 03:46:15.69 ID:HIkslXgo
絹旗「主標的が!!」(主標的:メインターゲット、とか適当に脳内ルビ振って読んでね)

少女が麦野の方を見たときは、彼女は既に諦めていた。仕方のないことだが

麦野「悔しいけど、格上の相手にあそこまで逃げられたら打つ手無し、ね」

苦虫を噛み潰し、さらには反芻までしてるんじゃないかというような表情を浮かべて女は立っていた

大局的に見て仕方のない事とはいえ、その怒りはそうやすやすとおさまらない

目の前で第一位の白モヤシの動きを右手一本で押さえている上条へと矛先が向く

原始的なキックが、上条の頭へ。軌道を予測して左手で受け止める。と、上条の視界にはスカートの中身が見えた

ストッキングは所々破れてそのまま皮膚を裂いているところもあり痛々しいが、思春期の彼の先に目に入ったのはストッキング越しに見える下着だった

上条「……黒?」

部屋も暗く濃い色ならすべからく黒く見えるのだが、運悪くその日は黒だった

その言葉が蹴りを放った本人に伝わり、ますますボルテージが上がる

左手から強引に足を引き離し、もう一発

麦野「タダじゃねぇぞ包茎野郎!!」

という叫びと共に繰り出されるもう一発は、上条に受け止められることをあらかじめ考えられていて、さっきよりも威力が高そうだ

同時に絹旗も麦野の逆方向から殴りにかかる

避けられない。既に垣根が逃げ出してある程度の時間が経過していた

女性二人にわざわざ蹴られて殴られたいと思う程、彼は変態では無いと自分では信じているので、一方通行の頭から右手を離し後ろへ跳ぶ

跳んだ直後に放たれた光線を右手で何とか打ち消して、跳んでくると予想していた絹旗に備える

少女は跳んでこなかった。立ち上がった一方通行が邪魔だったのだ

立ちあがった白く線の細い男はまっすぐに上条を捉えているが、かかって来る様子がない

赤い眼をした男は、垣根が最早完全に見えなくなったのを確認して舌打ちをする
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 03:54:12.17 ID:.dgBu6.o
あれ終わり?
835 :同時に再考してるから投下に時間がかかるのです。だから深夜に投下してるって訳よ[saga]:2010/09/15(水) 04:02:36.83 ID:HIkslXgo
一方「逃げられたかァ。やってくれるじゃねえか無能力者。だがテメェのトリックは大体掴めた。どこがLV0だ、クソが」

果たしてそれは、上条に向けられた言葉なのか、独り言なのか区別が付かなかったが

一方「だが、テメエの高速移動はもう使えねェ。その靴はもうお釈迦だ。どれだけ酷使したのか知らねェが、いくら特殊合金と言えどそのレベルの熱劣化には堪えるだろうよ」

一方「本来なら今頃瓦礫に綺麗な赤染を作ってるところだが、今日の所は見逃してやる。装備を万端にしてから挑ンでくるンだな、三下。仮にも俺は第 一位様だぜェ?」

上条の足元を一瞥し、振り返り出口付近の二人の女性を押しのけて出て行った

絹旗「見逃す、なんて何処の口が言えるんでしょうか。逃げられて取り押さえられてた人が言えるセリフじゃないですよね。まぁ私達も超言える立場では無いんでしょうが」

麦野「あらそんなに小声で言わなくていいのよ。本人が一番気にしてて考えない様にしてるんだから、大声で言って現実に引き戻してやりゃいいのよ」

あァ?!聞こえてんぞクソアマ共!!聞こえるようにやってんのよヘタレ!!などという掛け合いが壊れた壁の隙間から聞こえる

(彼、気付いてしまいましたかね。あの様子では最低限靴の細工には気付いて居るみたいですが)

(彼の能力の工夫次第では攻撃の糸口がありますからね、現状では)

上条(話が読めないぞ。分かるようにお願いしたいんだが)

(では、現状のあなたの能力から述べましょう。対能力について考えれば分かりやすいですが)

(右手による本来の幻想殺しは相変わらずのブラックボックスです。そして任意の範囲に拡大された幻想殺しについてですが、かなり厄介な事になってます)

(本来の右手の解析を完遂していない上で効率化をしているのですが、根本的な問題を抱えています。それは他の能力者と同じようにAIMを媒介としていること)

(他の能力者のそれとは性質が大きく異なった、一線を画した特殊なものですが、強化される前のあなたの右手にはAIMなんてありませんでした。原因は拡大する際に他の能力者同様、蓄積炉と演算部による能力の発現を行っていることにあります)

(オリジナルの能力に限りなく性質を近づけることで、何とか右手の幻想殺しによって打ち消されない様にしているのですが、結局はAIMです)

(つまり、能力の能動的な方向とでも言いましょうか、その範囲を方向を広げる際にはっきりとベクトルが現れます。範囲をここからここまで拡げるという訳ですから、方向性を持つのです)

(それに対して反射を適応された場合、新たに拡げる際に彼の所で跳ね返されます。そしてそこでどのような影響が出るのか、全くの不明)

上条(ってことは、指向性を持たせたら反射されるってわけだな?でもって反射されたらそれがどういう性質・影響を帯びるか分かりませんと。その上副作用は改善されたけど残ってるし)

(そういうことですね。そして彼が今回見たのは恐らく、言うなれば現実殺しの方)

(これの大本の原理は解析された幻想殺しの応用ですが、右手のソレと性質が異なるので拡大範囲は右手以外の体表面でのみ対消滅を行えます)

(ですが消滅を行った後に放出されるエネルギーはあなたのAIMを媒介に放出される訳で、彼にとって特定のエネルギーの反射は十八番)
836 :なので深夜に時間かけて投下→纏めて読む って形が読む方にとっては 楽だと思われ[saga]:2010/09/15(水) 04:10:04.37 ID:HIkslXgo
(その媒介AIMは拡大幻想殺しと同じ。となるとそのAIMについて反射仕分けにフィルターが入ってしまえば、彼には拡大幻想殺しが効かなくなります。だから)

上条(極力、一方通行の前で現実殺し?も拡大幻想殺しも使いたくない、と)

(そうです。向うの理解程度が分からないのでなおさら性質が悪い。だから彼が装備を整えてから出直せ、って言ったのは一種の警告なのでしょう)

(無論、彼自身の逃げ口上でもあるとは思いますが、彼にも当麻への対策はあると見たんでしょう。……出来れば戦いたくは無いですね)

厳しい面をして上条が頷いていると、外の騒ぎが無くなった。大方、一方通行が座標移動の能力によって消えたのだろう

二人が戻ってくる

麦野「それで、標的は何処に連れてかれたの?」

上条「さぁ、どこでしょうかね。上条さんにもわかりませんよ」

絹旗「あなたは第二位の超味方じゃないんですか?」

上条「俺が?言うなれば勝手にストーキングしてただけ、かなぁ」

絹旗「うわ、本物の超変態さんでしたか。麦野のタイツ越しパンツでは飽き足らずk」

そこまで言って、止まる。原因は隣でまた震えだした麦野のせいだ

上条「別に俺はそんなつもりじゃ。……ま、まぁ第二位も話が終われば離すだろーから、ちょいとまってやってくれ」

麦野「そ。だといいけど。そこの寝てるボーヤをとりあえず回収するけど、抵抗する?」

上条「いや、俺らの目的はもとからあの子だけだったから。そいつはそっちで解放してやってくれ」

麦野「アラ残念ねぇ。第一位を退かせた男を倒してやろうと思ってたのによぉ……!!!」

上条「穏やかじゃないですなー。ま、そのつもりなら最初から有無を言わせず攻撃してくるだろ。しずっ、じゃなくて第四位、お前は特に」

フンと息巻きながら上条の横を通り少年を担いで行く

そこで目が覚めたのか、少年が目を見開いて、ここは?、と呟いた。今だ朦朧としない感じではあるが、完全覚醒まで時間の問題だろう

そこで問題に気が付く。この少年が目を覚ますということは、あの少女も目を覚ますのではないか、ということに
837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/15(水) 04:19:48.24 ID:HIkslXgo
垣根帝督は地面を、路地裏を駆けていた

能力を使った移動は、非常に目立つ。意識が無い上にボロボロのドレス姿の女を抱えていれば、例え歩道であっても飛ぶのと変わ らないレベルの目立ちようだろう

更に自分は追われている。一般道などとてもではないが、歩けるものではなかった

垣根(面倒臭ぇ。いっそのこと飛んじまうか。だが何処へ行くべきか……)

幻想殺しが居ない以上、意識を取り戻されたら困る

殺してしまおうか。一番簡潔で安全な解決方法だ。何度かこの方法を考えたが実行に移す気にはなれなかった

気が付くと、学生の部屋が立ち並ぶ区画まで来ていた。いつまでも地べたを這いずり回っていられない。適当な部屋を見繕って、ベランダから侵入する

外側から鍵の構造が分かるので、外側から能力を使用して窓を開け、ベッドに寝かせる 。額に触れると、熱も無く顔色も悪くない。そろそろ目が覚めるかも知れない

垣根(使えねーな、幻想殺し。仕方ねぇ)

部屋を軽く見渡して身を隠す場所を探す。この部屋の主は女でも囲っているのか、水きりの籠に皿が二つ・スープカップが二 つ・箸が二膳

身を隠す場所がないので、洗面台と風呂場のある小部屋に

洗面台には使い古しの歯ブラシに、真新しい歯ブラシ。ゴミ箱には男の部屋なのに女の下着が入っていたであろうビニル袋

初々しさが目立ち、なんとなく居心地が悪い。背後で動く音。部屋の主が帰ってきたか、それとも心理定規か。最悪なのは追手

垣根(玄関の音はしていない。という事は心理定規か)

今の彼は携帯電話もなければそれに近しい無線機も端末も無い

携帯を取り出した音がする。静かな部屋に、おかけになった電話番号は現在でn、という音声が響き、更に操作音

定規「そう。そっちは第四位に助け出されたのね。で、私は帝督に連れて行かれた、と。え、幻想殺しが来るかも?なんでよ。分かんない?あ、そう。了解、後は勝手に動くわ」

ピ、という音の後に携帯を閉じる音が聞こえ、部屋を物色する音が伝わる

見つかる訳にはいかない。だが動けもしない。どんなに音を抑えても響いてしまうこの状況では能力も使い難い。ここに自分が居ると気付かれたら終わりなのだ。認知されたら終わり

とうとう目の前のドアノブが動く

こうなれば、自分がいると認識される前に何らかの手段で意識を刈り取るか

体勢を低くし、腹に一撃、かましてやる

チープな扉が開き切る。伸びる左腕

拳は定規の腹部に吸い込まれ、そして触れた。運動エネルギーは全くの0で。理由は分からない

定規「あら、こんなところに居たの、帝督」
838 :本日分終了のお知らせ。短いよね[saga]:2010/09/15(水) 04:32:52.68 ID:HIkslXgo
垣根「ちょ、ちょうどトイレを借りてたところだ 」

垣根(こうなれば、俺がまだこの女の能力下にあるように演じるか)

定規「ふうん。で、なんでこんなところに連れてきたの?ここ、貴方の部屋では無いでしょう」

垣根「さっきの電話で話してたんじゃねえのか? 」

定規「淑女の電話を盗み聞くなんて、失礼ね。手短にいえば電話相手も分かってないみたいだったわ」

垣根「ハン。そんなボロボロの衣装着て、中坊如き何が淑女だってんだよ。まぁいい。お前らが捕まって、その上砂皿は行方不明。これによりスクールは昨日時点で壊滅。つかの間の自由を得た俺は、連絡を受けてd」

定規「ちょっと待って、それ変じゃない?貴方、垣根帝督が動けるなら私達のかわりに代替要員を追加して組織の存続を図るでしょ。それがなく解散って……まさか貴方、標的と接触して逃がしたりしなかった?その上都市にバレて、今追われてるとか 」

片方の手で頭を抱えて考えながら呟く姿はやはり中学生の物で、年齢的な愛嬌を感じさせる。だが、例え愛嬌があろうが思考は並みの中学生レベルでは無い。彼の対応など看破している。それは彼にも分かった

定規「貴方のその表情、その上精神グラフからして、ど真ん中ストレートってところかしら。ハァ、やってくれるじゃない貴 方。バレて制裁が無いはずもなし、それから全力で逃げている最中って訳ね。だからこんな部屋に」

定規「……完全に居場所、無くなっちゃったね。おまけに意味の無い私を助け出す迷走っぷり。やっぱり」

垣根「やっぱり私が見張ってないと駄目ね、貴方。ってか? 」

定規「舐めるなよ、クソアマが。俺はそんなに安い男じゃねえぞ、でしょう。分かってるわよ。でも駄目、駄目。もう気が付いているでしょうけど私はあn」

垣根「ああ。よぉく理解してる。テメェが俺を見張る為に上の連中から派遣されてるってことぐらいはよ」

んんっ?という感じの表情を浮かべる少女に、銃を向ける

垣根「お前が居なくなってから偉く自由に感じてな。ピンと来たんだよ。だから」

拳銃で少女の額を狙う。看破された以上仕方ない

垣根「例えお前が学園都市にとって都合のいいように俺をうまく操っていたとはいえ、これからは違う。記憶を消すことは出来ないだろうしな。例え今から俺とお前を強引に恋仲にしようが仲間に設定しようが、その記憶がある以上、それは親密な仲では裏切だ。そして俺は、仲間であっても簡単に切り捨てる。砂皿の場所を敵に報告したのは俺だしな」

垣根「だから俺はここでお前を撃てる。撃ち殺せる。問題無く。少々未練が残せるか残せないかだ、お前に出来るのはさ」

実際の所、垣根には心理定規の能力で銃を止めることが出来るのか分からなかった。一か八かだったが、目の前の少女は困惑している

垣根「寝言で俺の名前を連呼してたけども、夢の中でも都合の良い駒が必要だったのかよ。つくづく馬鹿にしやがって」

垣根自身もなぜか非常に胸糞悪く感じたが、理由は分からない。必死に心理定規が攻撃を止めようと心を動かしているのだろうか

目の前の少女が震え、頬の動きから歯を強くかみしめているのが分かる

そのタイミングで部屋の扉が勢いよく開いた

佐天「浜面さん大ニュースですっ!!!!……ってアレ?」
839 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 04:52:13.83 ID:.dgBu6.o
やっぱ佐天は爆散しろ
840 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 04:56:09.52 ID:Fs8VN.DO
乙です
あと佐天さんはさっさと爆散してください
841 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 05:30:24.27 ID:433MD6SO
佐天さんマジで空気読めねーくそアマだな
ってか何でまた浜面のとこ来てんだよこのビッチが
体しか取り柄がない無能力者はとっとと死ぬか爆散するか俺の妹になってください
842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 18:35:19.79 ID:eIT.Z4Uo
クソワロタwwwwwwww
843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 19:52:25.91 ID:UgjEqyIo
お前らほんと佐天さん嫌いだなwwwwwwww
844 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 20:03:46.34 ID:zngZbMko
2週目面白いなww
1週目で共闘した麦のんとギャップがww


あ、佐天さんはべつよ?
845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 20:53:43.98 ID:Iy8lgNU0
なんか佐天さん人違いで垣根に殺されそうww
846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/15(水) 21:52:05.08 ID:c3Wnfl2o
上条さんが浜面と滝壺を連れてきて修羅場になったら面白そうwwww
847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 01:31:46.39 ID:tC/a2XQ0
定規さんのヒロインターンへの最後の希望を持ってきてくれたと思えば
佐天もきっと愛せる、そうたぶん靴の裏にガムが張り付いたときのレシートぐらいには
848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 13:37:29.13 ID:3Fy/06DO
滝壺「はじけてまざれっ!!」

佐天「うわらばっ」

絹旗「超汚い花火ですね」
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 17:23:21.13 ID:gFHmjEAO
佐天さんいじめんなよ
かわいそうだろーが








だけどもう一回くらい爆死しろ
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 17:35:32.04 ID:UIluMwEo
果たして佐天さんは爆散しないのか!?
次回「佐天爆死」

こんな予告されても抗議はないだろうなww
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 17:37:38.16 ID:dBAf2Zko
ドラゴンボールみたいな予告やな
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 17:54:17.67 ID:t81GGiQ0
>>841
お前実は佐天さん好きだろ
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/16(木) 23:25:08.77 ID:v4EKe4A0
佐天さんは垣根提督によって未元物質にされます
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 01:41:26.15 ID:3FDswN.0
>>841
オマエひょっとして、妹しか愛せない体なんじゃね?
855 :読んでる人の展開予想が当たりまくっててワロタww……ワロタorz[saga]:2010/09/17(金) 03:49:41.48 ID:Vy3wS5Ao
突如入って来た少女により、場は一気に変化する

既に爆発しそうな感情を必死で押さえていた少女は、入ってきた佐天の顔を見て全く異なった方向に爆発した

心理定規という非常に扱いが難しく恐ろしいほど強い能力を持つも、所詮は1女子中学生である

思春期という重大な精神の成長過程にいる少女が、自分を何処までも追い込んでどんな攻撃も通じなかった最恐の相手に植えつけられた心理的精神的ダメージは根深い

佐天の顔を見た瞬間に脳内に死という概念が生まれ、恐怖が駆け巡る

定規「帝督……帝督帝督帝督帝督帝督帝督!! 」

銃を構える垣根に迫り、身の後ろに隠れる

他人の精神を操るという能力者が混乱した場合、周りの人間の影響が非常に大きい

佐天そっくりの少女に植えつけられた何も効かないという恐怖が佐天への能力使用を不可能にさせ、代わりに目の前の垣根の 精神を全力で書き換える

この場において垣根の最大の敵は無能力者である佐天となった

ボロボロのドレスの少女へ向けられていた拳銃が佐天へと向けられようとしている

だが、知り合いの部屋に来たら知らない男女が居て、我が身の危険という最悪な方向の雰囲気を察した少女の動きは速い

銃が完全にこちらに向く前に身を引き、玄関の扉を閉めにかかる

この、生死を左右するタイミングで的確な回避が出来たのも、そのタイミングをつい昨日に身をもって体験していたからであ り、即座に吸収する程度の能力はあったようだ

動いた佐天へ完全に標準を合わせることなく弾き出された銃弾が、玄関側の照明スイッチに直撃した

完全に扉を閉めて駆ける。階下へ逃げるべく、階段へ

佐天(あの女の人、あの場で倒れこんじゃった人だよね。なんでこんなトコにいるのさ!? とにかく逃げないと、殺される!!)

階段と浜面の部屋の丁度中間の辺りまで行ったところで、浜面の部屋の玄関が吹き飛んだ。同時に翼のようなものも見える

とんでもない破壊力を持っている能力者なのだろう。捕まると間違いなく死ぬ。自分が首を突っ込まされたのは、そういう世界だ

自分に喝を入れてとにかく走る、走る、走る
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/17(金) 03:59:40.99 ID:Vy3wS5Ao
階段に入る為に直角に曲がった瞬間、自分の背後に白い翼が伸びてくる。そしてその直線状にあった壁に翼が触れ、大穴があいた

柔らかい羽毛などからは想像できない威力に身の毛が弥立つ

それでも何とか暴走しそうな呼吸を纏めて、階下の2階へ

二回まで降りて、このまま一階まで続けて下りようとすると、目の前に翼が現れた。上の階から天井を簡単にぶち抜いて

佐天(この階段は駄目、完全に狙われてる!た、確かあっちにも階段が)

冷静な思考力があれば、こういうときに反対側の階段へ逃げるというのは敵も読んでいて、足音だけでもフェイクを入れるなど撹乱策を考えられただろう

だが、生死の分かれ目という判断は学習して実行出来ていても、危機に策を使うことなど素人の女子中学生には出来ようはずがない

垣根からすれば、ケージの中で逃げまわるウサギに猟銃を構えているようなものである

それでも、中途半端な行動をして時間=生存確率を浪費するような事をせず、瞬時の判断で全力を出してブレないのはよっぽ どましである

全力を出し、駆ける。それを楽しみ、煽るかのようにして佐天が通った後の天井を的確に上階から翼でぶち抜く

遊んでいるのだ、未元物質は。心理定規が敵認識を最大にしたことによって、逆に淡々と殺しをする垣根では無くなってしまった。通常時の彼女なら能力対象の性格を考えて調節するので、このようなミスはしない

7部屋分の廊下を駆け抜けて、ようやく反対側の階段へ辿り着く

徐々に天井から翼が出てくる距離が縮まっていて、この時には佐天のすぐ後ろ、実際に長い髪がある程度巻き込まれる距離まで迫っていた

紙が巻き込まれ、強引に後ろに意識が取られながらも階段を駆け下りていたため、前から来る人間に気が付かず、ぶつかる

上条「前は見ながら下りような。この状況なら無理だろうけど」

裸足の、どこかで見たことのある男が、転げそうな佐天を支えていた

そしてその後ろからは、浜面も駆け上がってくる

浜面「なんでよりによって俺のマンションがこんなことになるんだよ!?」

麦野「日頃の行いが悪いからでしょうね。それよりいいの?アンタの知り合いだからってここまで幻想殺しを送ってk」

佐天「浜面さん!! 」

階段の踊り場という狭い空間で、麦野の目の前で浜面に少女が抱きついた

その身は震えていて小動物を連想させる。抱きつきながら浜面を見上げ、まとまらない言葉をつづけた。そしてその姿は麦野に続いて現れた滝壺らの目前でもある

佐天「は、浜面さんの部屋に背の高い男の人とあの時の女の人が居て、拳銃で狙われて、翼が飛んできて、それでそれで!!」

浜面「わかったよ。早い話、アイツに狙われてるってことだよな」

そう言って浜面が、上条が麦野が、その場にいた全員が見上げた先には、学園都市の第二位が全ての翼を大きく展開し、胸元に心理定規を抱いていた
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/17(金) 04:09:33.39 ID:Vy3wS5Ao
胸元の少女の表情は現実味が無かった。少なくとも上条にはこんな顔をした人間は見たことが無い。だが、浜面にはある

スキルアウト、つまり社会のはみ出し者が逝きつく先は大体決まっている。その中でもとりわけ最悪なのが薬。典型的な中毒者の退廃的な表情がそこにあった

あまりにも強い佐天への恐怖と、身近で強さの表象であった垣根が向けた言葉と拳銃で、脳内のホルモンバランスが著しく偏ってしまったのだろう

浜面は、その少女の笑う顔に、今まで目にしてきた者たちの悲痛さに似たものを感じとった

そんな表情の胸に抱いた少女の事など一切気にかけず、垣根は翼を用いて佐天を的確に狙い抜く

翼が、羽が、空気が、光が佐天を狙う

翼を薙ぎ、羽を叩き落とし、空気の塊を分解し、光を捻じ曲げる

浅い。狭い空間ではあるが攻撃のレベルが、連携が甘い

直接戦ったわけではないが、諜報員の基礎を叩きこまれ、二つも最上級のAIを搭載し最先端の技術を思いのままに操る上条から幾度も姿を消した垣根の、あの真面目さが無い

どこまでも実直に痕跡を消し、常に自分を有利に運ぶという考えの下にまとめられた手堅さ

それを感じさせない、ただ享楽的なばかりの攻撃だった

能力者にとって一番気をつけなければならない事、それは暴走。自己を守るためにあるセーフティラインを超える行為。完全 にそれという訳ではないが、今の心理定規の精神状態はそれに近い

故に生じる能力にもブレや変則効果として現れる

上条(今ここに居る垣根は や ら れ ち ま っ た 。結局、アイツの言っていた通りの女だったのかよ?!)

最早垣根の意思は残っていない。あるのは恐怖という名に基づく狂気。心理定規の表情と垣根の表情が限りなく等しくなる

既に上条は、というより上条の気付かない内に、ここに居る心理定規の視界範囲全員を守るように幻想殺しを拡げていた

精神感応能力者の暴走によって起きる最悪の事態は、乗っ取った者の連鎖暴走

それがアイテム陣の牙を奪うことになろうと、最善の措置であろう。ここで原始崩しが暴走し莫大な不安定電子の大暴発が起き、窒素装甲が暴走し手当たり次第に可能範囲の窒素が強制固化し、異間取得が暴走し他次元的に定義された3次元のあらゆるものが放出され、AIMストーカーがそれらの相互補強として働くという最悪の悪夢は避けたい

目の前の垣根帝督だけで、暴走されれば大惨事は確定なのだから

男独特の低い声と、女子中学生独特の高い声の笑い声が、機械的に同じタイミングで始まり、ひとしきり鳴り響く中で上条はその攻撃を全て凌いでいた

突如として能力が使用不能に陥ったアイテム陣は、困惑しながらもその直線距離において20mも無い空間での攻防をただ見ていた

介入を許されない異質な戦い。垣根の繰り出す全てが無効化され、無傷の佐天がはっきりと心理定規の焦点にある

マタ無力ニモ地面ヲ這ウ事シカ出来ナイノカ

狂気に変質していた恐怖がさらに大きくなり、狂気が更に力を帯びる
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/17(金) 04:24:26.63 ID:Vy3wS5Ao
そして悪夢は現実となった。悪夢とは言えないほど神々しい光景ではあったが

垣根の体が変質し、腕から生えた羽毛がまるで取りこむかのように胸元の少女を守り天へ舞い上がる。翼から振り落ちる羽根がそのまま大翼となり、

浜面の部屋が入っていた建築物は、上条達が居る階段を残して、周辺の建物を大量に巻き込んで無数の巨大な翼に包まれた

それが目指す最終的な形は、規模が大き過ぎて上条達が居る場所からの視点では全くわからない。今までは翼であったものが、巨大な翼を構成する一枚の羽根となっていく

僅かに黄色を帯びたその巨大な翼は、どこか優しさを感じさせるものであった

見る限りでも巨大な力がたった一人の無能力者へと向けられている。上条にはその理由がわからなかったが、状況と攻撃の指向性からそれは確実だった

巨大な翼の一つが突如分裂し、上条達が居る、元は階段の踊り場であった場所に何億とも言える羽根となって押し寄せる

もはや佐天だけを狙うレベルでは無い。右手だけの幻想殺しなら確実に守り切れなかった規模であるが、なんとか上条は守っていた

上条「今の位置から絶対に動くなよ!!!!」

今は範囲を変更する際に使用する演算量すら勿体ない

連続して鳴り響く消滅音と押し寄せる轟音が一つの途切れない音となっていたので、上条の叫びは伝わらない。だが、女達と男は上条の周りから動かなかった。否、動ける訳がなかった。経験したことがない現実に圧倒されたのだ

拡大された幻想殺し最大の欠点は、そのエネルギーを無視出来ない点にある。溜めこむか逃がすことで今までは乗り切ってきた

が、この規模は計算外である

禁書による自動書記の畳み掛けるような攻撃すら容易に霞む、高度に圧縮されたエネルギー体の連続消滅とその放出で、二つのAI達の演算能力はパンク寸前で何とかやり過ごしている。同時にどうしても放出できないエネルギーの塊が上条の体に蓄積されていく

周りの風景は、僅かばかりの階段のコンクリート色と翼の白。麦野達の目の前でその白が無数の光を発しながら消えては現れを繰り返す

この莫大なエネルギーは何なのか。なぜこんな規模の力を振るえるのか皆目見当が付かないが、この規模では行使者の体が持つハズが無い

そこまで考えて、上条は気付く。垣根の体が変質していた事に。つまりの所、この現実は人間のLV5としての垣根では無く、自らの能力に自らを変質させた結果であると

超能力者をその二つ名で呼ぶことはあるが、そうではない。垣根帝督自身が未元物質に変質を遂げたのだ。ここまで人間の制限を解除させる心理定規の暴走が底知れないともいえる

ならばこの規模で暴走し続けてもおかしくは無い。未元物質にはそう言った可能性もあるのだ。それは最初に解析した上条自身が一番理解している

個人の蓄積炉の出力を軽く超越したこの力量は、超能力が超能力を紡ぎ出す永久機関

つまり終わりは来ない。垣根の方では。ならばその原因である心理定規の方はどうか。恐らく垣根の圧倒的な暴走に逆に引きずられ、暴れ馬を制御できない哀れな乗り手となっているに違いない

上条(ってことは、いつか終わりが来るんだよな、これは!!それまでは耐える。耐えて見せる!! )

うおおおおおおおおおお、という雄たけびと共に、膨張していく上条の身体
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/17(金) 04:32:37.00 ID:Vy3wS5Ao
遂にそれは限界を迎え、行き場を失ったエネルギーが塊となり上条の体表のいろいろな部分が徐々に膨らんでいく

腕が、脹脛が、腹部が、頸椎が。筋肉が、内臓が、骨格が、異様な形に変形し増加し巨大化していく

本格的な副作用が始まった。だが、それを調節するような暇が、余裕が無い。覆いきれなくなった皮膚が裂け、肉が露出する

目の前で人間とは思えない形に変形していく男に奇異の目を向ける面々の中で、浜面だけはなぜかそれを奇異とは思えなかった

そして唐突に白の光景が途切れる。天空の光の中心に大翼が吸収されていき、消えたかと思うと小さな何かが東北東の方向へ弾けるように飛んでいった

半径50mの巨大なクレーターの中央、何もない空間に唯一つ残った、一階から踊り場までの階段。そこに居る6人の人間と 1人の人間の形をしていた何か

3mばかりの背丈になり、頭部以外は完全に人間離れした筋肉量を備えたフォルム。有りえない凹凸と垂れ流れる血がまるで 物語に出てくる醜い化け物のようだ

そして化け物は前のめりに倒れた

浜面「ちょ、おい!! 」

抱きついていた佐天を引き離し、上条だったものへ抵抗なく駆け寄る。熱気と汗を異常に垂れ流し倒れている巨体を担ぎあげようとするが、重すぎる。容易には持ちあがらない

意識は既に無い。明らかに芳しくない。体の皮膚を内側から引き裂けて肉が見えているなんて尋常ではない

浜面「絹旗、持ちあげんの手伝ってくれ!でもって誰か包帯とか持ってないか?!」

現実感を完全に喪失して、まだ唖然としている女性陣に声をかける

我に返り、現実として状況を受け入れた

フレンダは応急処置の道具を取り出して滝壺と共に手当をし、佐天と絹旗は梃子を使って処置の為に体を動かす。麦野は下部の組織へ電話をして移動手段を手配する

「一体なにが起きたらこうなる訳よ?!」「とにかくうつ伏せでは呼吸も超よくないです!ひっくり返しましょう!」

「内臓が飛び出てない分、まだマシね。呼吸が続いてるなら大丈夫でしょうけど、いつまで保つかわっかんないわ」「きぬはた、地面に直接はよくないよ。何かシートを持ってない、フレンダ?」

「畜生!リンパと血液が皮膚の無い所から洩れてやがる。滝壺、こっちを先に止めてくれ」「浜面さん、梃子に使える棒とかその辺にないですか?背中を持ち上げて早く手当てしないと、シートと背中がくっ付きはじめてます! 」

そんなこんなの格闘の後、数分後にヘリが来た。300kgはあろうかという患者は普通のドクターヘリでは輸送できない為、軍事用の輸送ヘリが到着した
860 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/17(金) 04:39:01.47 ID:Vy3wS5Ao
上条をヘリに渡し、ようやく一息

絹旗「すごかった、ですね」

階段に座り込み、周りを確認する。何度見てもこの階段部分を除いて半径50mに何もない。砂になるまで粉砕されたのだ。恐らく、たまたま学校を休んでいたりこの付近を移動していた人間も巻き込まれた事だろう

フレ「結局アレが第二位の本気だったってわけ?超能力者ってても規模が違い過ぎるワケよ」

麦野「……多分、暴走ね。私じゃあんな規模には到達しないでしょうけど。来る途中にあのドレス女について調べてみたけど、他人の精神を都合よくする能力のようね。あくまで仮説だけど、あのクソアマが何かによって暴走して、それに巻き込まれて連鎖的に第二位も暴走したのよ、きっと」

滝壺「能力が使えなかったから、あの翼が本当に第二位のものだったのか、分からなかった。でも、あの子、つらそうな顔してたよ」

浜面「能力者ってのはそう簡単に暴走したりしない様に自己の精神操作は十八番なんだろ?それでもああなっちまったってことは、よほど酷い事があったんだろーな」

浜面の発言で、佐天は黙り込む。あの場に自分が突っ込んでしまったから、こうなってしまったのかもしれないと思えたからだ

麦野「自分の制御なんて万人差があるわよ。でもあの心理定規は別格。他人の精神を弄る能力者であり、なおかつ暗部組織の一員だった以上、その精神力は本物なハズ」

麦野「でもま、酷さで言ったら浜面も結構なレベルよね。引っ越したばっかで建物ごと崩壊なんて滅多にないわ」

麦野に言われて、その現実に気が付く浜面

浜面「そういやそうじゃねえか!!ちょ、俺の安住の地が!!大切なモンたくさんあんのに!! 」

絹旗「どうせ思春期の男性がよく持ってる本とかでしょう?超どうでもいい物ですね」

滝壺「え、何を保管してたの、浜面?」

浜面「ちげーから!何言ってんだパンチラ中学生!!役所の書類とか偽造セットとか通帳とかだよ!!」

フレ「そんな物いくらでも再発行できるし。結局どうでもいいものしかなかったってワケね」

その再発行が元スキルアウツな俺には大変なんだよ!と喚く浜面を尻目に

麦野「それでお嬢さん、あなたは何?どこかで見た事あるような気がするんだけど」

と佐天に問いかける

佐天「ああその、えと、浜面さんの、知り合いで、その、た、たまたま近くを通ったんで久しぶりに挨拶でもしよっかなーなんて」

滝壺「……朝の浜面と同じ匂いがする」

しまった、と思う浜面と佐天

滝壺「……そして、あの白い敵と同じ感じがするけど、一体あなたは何?」
861 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 04:50:23.21 ID:WjsA8G2o
>>855
期待に応えたと思えばいいと思うよ
862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 04:54:37.74 ID:A6etPkSO
流石佐天さんや…ただでは死なんという事か……
863 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/09/17(金) 04:55:59.15 ID:Vy3wS5Ao
ドーバー海峡に火の手が上がった

英国海軍の誇るインビンシブル級軽空母インビンシブルが多数の艦載機と共に轟音を挙げて沈む。原因は敵ミサイルでも砲撃でもない。敵の遠距離魔術による光線である

原因と敵艦隊の配置転換から、間違い無く進軍を意味していた。英国海軍主力艦の集中している場所を避け、そこを挟むよう に二方向から仏海軍が攻撃と進行を開始する

魔術による先制攻撃が有ったのにもかかわらず、進軍してくる敵は一般軍事力。一般軍事力には一般軍事力をということで英国側も一般海軍を二手にに分けて応戦体制を整える

通常、このような戦いには先行して空軍の攻撃があるものだが、フランスの物なのかイギリスの物なのか(もちろんお互いが 敵によるものと考えているが)異常な干渉電波が両国をすっぽり覆うようにして展開されており、一般的な空軍は力を全く出せないでいた

ハリアーもラファールも現代戦闘機はその大半においてフライバイワイヤという名の機体電子制御システムを積んでおり、そのシステムも含めあらゆる既存電子機器に干渉するように妨害電波があっては飛ぶに飛べない。ミサイルもまともに発射できない

キャーリサ「いざとゆーときのバンカークラスターも完全に封じられてしまったの」

仏軍を迎え撃つために展開した残りの、中央に残る年代物の木造戦艦の上で軍事を司る英国第二王女は述べた

騎士団長「ご存知の通り、現代海軍の艦においては、第二大戦時に使われた戦艦のような巨大砲塔はありません。有るのは対空防衛用速射砲とハープンやトマホークに代表される対地対水上のミサイルがほとんどを占めます。これは我らの海軍もフランス海軍も同じ」

団長「故にこの妨害下では両軍の艦の武力を全く発揮できず、結果的に本土進攻を守らなければならない我々にとっては、逆に非 常に都合がよいかと」

キャ「今さら私にそのよーな常識的な事を聞かせたいのか、笑わせる。言われずとも気付いてる。この妨害電波は我らが味方の非公開によるものである事はの」

もし仮にこれがフランスによるものなら、敵はわざわざ自らの首を絞める事となる。故に有りえない。そして清教派も騎士派も王室派もこのような電波干渉について知らない。技術水準としてそれほどまでの科学技術が無いのだから

そんなことが可能でであるとして真っ先に思い浮かぶのは、学園都市だ。だがそれは有りえない。現時点でそのような動きは学園都市内の諜報員から欠片も上がっていないし、なによりもそんな事にかまけられるほどに学園都市上層部がまとまっていない

ならば可能性として挙げられるのは共同防衛にあたる米国しかあり得ない。技術水準も学園都市に次ぐレベルであり、世界を引っ張る存在として、一方的にどちらかの先進国が憂き目にあうということを避けたという成果によって、今後の先進国同士の争いについて主導権という手綱を得ることが出来る

特に毎度毎度事有る毎に小五月蠅いフランスを黙らせ味方につけたいならば、そのバランスは重要だ。英国側に付いて参戦したのも、英国が一方的に敗北するか、英国が一方的に仏国へ大被害を与えるのを防ぐ監視員としての意味も、勿論あるのだから

団長「この状況で、敵がなんとしても我々の領土内に侵攻するならば、間違い無く魔術に類する部隊での侵攻でしょう。そしてその攻撃方向はこの艦隊と艦隊の列に挟まれた間のみ」

フランスにとっても、米国はいざとなったときの、または英国劣勢時の早期講和の為のパイプとなることから、積極的に交戦したい相手では無い

その米国艦隊がイギリスを囲うように防衛線を形成している以上、そしてその防衛線の空白が、都合よく事実上の英国旗艦であるキャーリサの乗るこの木造戦艦を中央に挟んだ、英国海軍と仏国海軍がぶつかり合う2本の直線と英国領土と仏国領土に囲まれた空間のみであるなら、そこに秘蔵の魔術戦力を集中させるしか無い

つまり客観的に見れば、アメリカという存在によってこの戦いは戦力・戦域・戦法が大きく制限され、その手の平の上で戦っているのだ

それがキャーリサには気に食わない。自国防衛という国家最大の任務をまるでおままごとのように扱われているのだから。そしてそのおままごとで被害を被るのは英国で有り仏国であるのだから

キャ「全く、姉上もひじょーに面倒な同盟相手を連れて来てくれたの」

キャ(逆に言えば、手を 結 ば さ せ ら れ た のかもしれないが、)

キャ「フン、まあいいか。チェスだ、これは。規模が巨大なだけのな」

その言葉を聞いて、男は部下を引き連れて下がる

団長「それでは、クイーンが暴れやすいよう、ナイトが敵のビショップ(僧正)を撃ち払って参りましょう」

という言葉を残して
864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 07:39:37.73 ID:9WdiwoSO
なんだか話が難しくなってきたけどとりあえず佐天さんは爆散したら一緒の墓入ってやるから俺と籍入れろよ
865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/17(金) 10:25:16.26 ID:Vy3wS5Ao
単純化すると

定規(佐天KOEEEEE)

かっきー操って殺そうとする

そこに運良く現れた上条さんが守る

上条(暴走かっきーTUEEEEE)

全力ディーフェンス

なんとか耐えるも副作用で上条さんが爆散寸前※ここ重要!

佐天(計画通り)

英国と仏国殴り合いハジマタ
866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/17(金) 10:47:40.05 ID:Xb5GLkEo
英国の誇る空母インデックスがいきなり轟沈だと!?
867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 12:21:24.18 ID:Bd9/ycDO
姑息にも爆散フラグ回避してる佐天さんが憎い
868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 14:16:27.56 ID:jrKbtfco
この暴走ていとくんはジャバウォックみたいになってそーなイメージ
869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/17(金) 20:53:33.64 ID:kbMwvx2o
佐天は計画通りなのかよwwwwwwwwww
870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 11:31:20.64 ID:0XBcgyAo
ていとくんはどうなったの?
871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 12:44:24.40 ID:0KOY8oDO
一応前回の惨状は少し回避できてるのかな?スキルアウトの武装化とか 無能力者共の反乱とかまだ起こってないでしょ?
学園都市側としては高位の能力者を拉致させないのが勝利条件の一つだな。
前回のデータが残ってるみたいだけど佐天シスターズもまだ前回の青ピほどじゃないしまだいける
上条さんはさっさと協力者を集うなり戦力を強化すべき
872 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 12:46:06.65 ID:0KOY8oDO
あと佐天さんは早く爆散しろ
873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 14:13:37.66 ID:OAOgnkSO
あくまで「学園都市の被害」を見る限りではそんなに酷くないように見えるが…
それどころじゃない事態になってる気がしてとても楽しみだ
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 15:58:37.47 ID:khEJ9GIo
>>871
もうすでにタイムリープ前のていとくんのデータ持ってるから巻き戻った今はわざわざリスクの高い高位能力者の拉致なんて必要ないだろ
875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 16:19:46.55 ID:0KOY8oDO
いやデータだけじゃなく前回のあわきんや黒子みたいに洗脳される場合もあるし。
一方さんとガチでやり合った青ピレベルの佐天シスターズはまだいないのか?
つか前回のデータがどれだけ残ってるか知らんが
強くてニューゲームなのは上条さんじゃなくて敵側だな
876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/18(土) 16:34:10.28 ID:khEJ9GIo
上条さん今のところやることなすこと裏目に出てるよな
877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/19(日) 10:07:11.55 ID:mqTJKm.o
ていとくんドラゴンボールになって飛んでいっちゃったしな。
次はどのレベル5が飛んでいくのか…

あとみんなの希望に応えて何度でも爆散させられるように
佐天さん量産した作者GJ
878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/20(月) 02:57:30.61 ID:Sh45fMDO
770KB
879 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/20(月) 19:31:55.44 ID:HHx6gUDO
佐天さんほど爆散が似合う女の子いないよね。
880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/20(月) 20:32:32.17 ID:raOlQrko
佐天は砕けるのが仕事だからな
881 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/21(火) 20:43:34.94 ID:gQcRmfko
  ☆ チン

        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)<  >>1まだー?
             \_/⊂ ⊂_)_ \_______
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/
882 :オナニーSS一丁上がり!オナネタ探すのって時間かかるよね[saga]:2010/09/21(火) 23:08:06.15 ID:AI/2E.Uo
麦野「はぁ、つまり佐天、だっけ?アンタが一人で自分にそっくりな奴が戦ってるのを見知って、その現場に一人で行ったら浜面に救われたってことね? 」

佐天「そ、そうです。22学区の入浴施設に行っててそこでたまたま、ですね。ちょっと前に変な身体検診?みたいなのがあって気になってたんですよ」

浜面から聞いた情報と自分の記憶を頼りに、一番当たり障りが薄いだろうという言葉を選ぶ。ファミレスの一番通路側の席に座っている浜面に、滝壺と呼ばれる女性からの厳しい視線がずっと刺さっていたからの配慮だ

絹旗「超頭がおかしいとしか思えませんよ。あんな化け物相手に単独で進むなんて。何か能力でも有るんですか?」

佐天「あーいや、その。お恥ずかしながら、Lv0、です。アハハー」

フレ「ん?となるとあの白いのは何?無能力者?ありえない訳よ」

滝壺「でも、この人は間違いなく無能力者だよ。なんかモヤモヤした感じはするけど、この距離でなければ分からないほどに薄いし」

麦野「浜面、アイスコーヒー。何の能力も無いのに模する必要は有るのか確かに疑問だわ。他にもいくらでも強力な素体があるで しょうし」

麦野(仮にあの連中がこの子の能力強化クローンだとしたら、絶対能力進化に使われた欠陥電気って前提が崩れることになるわね。人工的に強力な能力者を作り出すことの難しさは彼女らを作った連中、学園都市は思い知っているはず。それがこの短期間で改善される事なんて、有り得るのかしら)

麦野に続いて他の女性面子が次々と欲しい飲み物を頼む

浜面「で、お前は?」

佐天「わ、私?自分で取りに行きますよ」

麦野「いいのよぉ。いつもの事だから」

ここで意固地になって取りに行くと言っても雰囲気に合わないし、何よりも浜面と一緒に取りに行く事となる。それは浜面にも悪いだろうと判断した

適当なドリンクを頼み、浜面が6本とか無理だろ!と言いながら取りに行く

フレ「それで、あの場所に居たってことは浜面の部屋を知ってたってワケよね?なんのよーじだったのさ」

浜面が居なくなって急に女性的な会話の雰囲気となる。絹旗や考えているようだった麦野も表情を変え、滝壺はさっきより真剣な顔でこっちを見ている気がする

佐天「いやいやいや!皆さんが思ってるようなんじゃないですから!!……ちょっと調べ物をしたら、出てきたんですよ、これが。だから知らせたくなって」

そう言って自らの携帯の中に入っているカード状の小さなデータ記憶媒体を取り出す

フレ「……!多分この辺にパソコンがあったはず―、っと」

どことなくノート型のパソコンを取り出し、佐天から受け取ったカードを刺し、簡単な操作でデータを開く。が、開けない

特殊な形式であるようだ
883 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/21(火) 23:15:48.05 ID:AI/2E.Uo
麦野「あら、珍しい。一昔前の形式ね。外では最新のものとして扱われてるけど」

貸してみなさい、と言ってどこかへログインし、何の装飾も成されてず文字ばかりの無機質な画面から何かをインストールした

暗部としての特権は仕事以外でも利用しなくちゃもったいないわ、と呟いていたので恐らく都市の裏側の住人用に用意された情報共有システムか何かなのだろう

佐天(流石、初春のパソコンだなー。何もしなくても開けたし。そういえば初春大丈夫かな。大丈夫だよね?)

絹旗「それで、これは?」

佐天「とりあえず見えるのが私の3次元DNAマップです。でこっちがそれを元に抽出した身体構成・能力予測値。はっきり言って何書いてあるか分かんないですけど、この予測値に修正があるんです。私が丁度検診を受けた日に」

佐天「無能力者の身体情報なんて誰もアクセスなんてしません。時間の無駄ですからね。でも、それで逆に目立つんですよ。管理者権限でトラッキングしたら、でました」

佐天「場所は、第一学区中央ビル地下。アクセス権限者はGENSEI KIHARA。この人は今アメリカが資金提供してるThe Institute of Advanced Technology for Mankindって所で研究所長やってて、その中央ビル地下で多重感応能力創造計画?って和訳になるプランを実行中です」

いつの間にか戻って来ていた浜面も話を聞いていた

麦野「つまりあの白いのはその計画の過程の副産物で、あなたが素体になってるってことね。で、その研究員が超ビッグネームの木原幻生。ほんと、よく調べてある。相当なハッキングスキルをもってるようね」

佐天「いえ、調べたのは私じゃありません。友人が、相当なレベルなので、ちょっと学校からくすねた薬を使って調べて も ら っ た ん で す よ」

精神構造が不安定な思春期における”自分だけの現実”形成はそう簡単に盤石なものが出来るわけではない。ともすれば、他の生徒を傷つけ兼ねない。それを防ぐために、各学校には非常措置として一定時間精神を強制的に安定化させ誘導に著しく従いやすくさせる薬を投与するという策が講じられている

恐らく目の前の少女はそれを使ったんだろう。大麻並みの低い依存可能性と効果時間内の軽い記憶障害しかもたらさないとはいえ、簡単に手に入る薬では無い。実質的に無能力者でありながらその行動力には恐れ入る

絹旗「ってことは、私達の目の前に再三現れたあの白いのは学園都市製のクローンな訳ですね 」

フレ「でも、研究資金は外国持ちなワケだから、結局はアメリカの指示ってことじゃない?」

絹旗「どうでしょう。第一学区の中央ビル地下にシェルターから研究所・工場までいろんな施設があるって噂ですけど、仮にも統括理事会の本部があるところです。引きこもり野郎ばかりの理事共があそこを使うことはまずないですが、その最大拠点が外国の影響下にあるとは考えにくいですよ」

麦野「無難な所では、資金提供の短期的見返りと発表として白いのを譲り渡してて、それが研究員・技術流出の手助けに流用されてるってとこでしょうけど」

滝壺「それで、この情報をはまづらに持って行って、あなたはどうする気だったの?」

佐天「私が地下研究所に潜入する為の暗部なりの方法を、教えて貰おうとしたんですよ」
死んだ自分が持っていたナイフを握り、佐天は答えた

佐天「私の手で、終止符を打ちに行きたいんです」
884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/21(火) 23:27:10.37 ID:AI/2E.Uo
イギリス軍事上層の懸念は、下層にも伝わっていた

神裂「アメリカに魔術戦で片を付けろ、と言われているようなもの、ですね」

派手な衣装の女性が呟き、近くに居たシスター姿の少女がそれに答える

アニェーゼ「そのアメリカ様のお陰で、敵一般軍事戦力への配慮を少なくすることも、イギリス国内の混乱も、この機に乗じたIRAの過激化も防ぐ事が出来ましたがね。全力で向うの魔術戦力を相手にできるってもんですよ 」

神裂「それはそうですが、監視されている様で」

アニェ「奴らには、直接関わりのある魔術が少ないですからね。十字教も形式化した現代バプテスト系列が中心。本場十字教の力を確認したいって気も、わからんでもないです」

神裂「アメリカ本土のインディアン系統はとても強力な催眠系魔術を得意とすると聞いた事があります」

アニェ「その話、ローマ側に居た時に、私もその話を聞いたことが有るっちゃ有るんです。でも、文献の流出とか全く無いんですよね。インディアンは口頭伝承で絵ぐらいしか残ってないし、アメリカ入植が本格化した時が科学が史上最大の勢いで成長していた時ってのも関係有るんでしょうけど」

神裂「アメリカという不安定要素以外にも、直接的な脅威もあります。何が起きても冷静に対応しないと」

アニェーゼも、はい、と頷き、神裂と共に忌々しそうに天空に浮かぶ謎の魔術陣を見上げた。この戦の直接的な原因である、謎の陣

本土に侵攻されまいと、士気高く徹底防戦覚悟のイギリス

事実として一つの町が焼かれ、これ以上の被害を出すまいと、これまた士気高く徹底攻撃覚悟のフランス

どちらの根底にあるのも同じ、国家の、市民の防衛だ。つまりどちらも必死の覚悟で臨んでいる

それをあざ笑うかのような存在が、もし仮にいるならば、目的は何なのだろう

『フランス側からの干渉を確認!!彼らが来ます、警戒してください!!』

アニェーゼ部隊の修道女・アガターからの通信の直後、ドーヴァーの海が、フランス本土側から一気に固体化した。まるで海 全体が過冷却から解き放たれたかのように

フランスは歴史的に陸軍国家である。対するイギリスは海洋国家。魔術の歴史という面で見ても、狭いとはいえ海洋上ではイギリスに一日の長がある

侵攻する側が攻撃手段を決定できるのは、第二次世界大戦の日本陸軍とアメリカ空軍の戦闘機戦にも顕著に現れた通りだ。液冷エンジンで高高度性能が圧倒的に日本の戦闘機を凌駕していた米国戦闘機は、同じく高高度巡航可能なB-29を守るべく、高高度まで迎撃に来た日本の戦闘機を有利なフィールドで簡単に迎撃していたという

守る側は、相手の得意なフィールドで守らなければならない。その上後手に回りやすい

だが、このフランスの行動は読み通り。陸軍国なのだから、海は陸の方がいい。そんなことは対仏戦を想定していれば簡単に考えが行きつく

海に大量に含まれる塩分を水面で固形化し、陸にする。それは陸の延長。国土拡大の為に歴史的に海を埋め立ててきた歴史のある大陸側らしいもの

だが、イギリスには逆に全ての海を支配してきた歴史がある。海を統べる手段では3等海洋国に負けようはずもない

海面付近の塩分濃度は異様に高くなっている。当然そこには無理な力を加えて行っているのだから、その力をほんの少しだけ撹乱させてやればいい

そうすれば、表面に多少の水分が現れる。つまり
885 :ネイティブアメリカンって言葉はイヌイットも含むから使いませんでした[saga]:2010/09/21(火) 23:36:00.57 ID:AI/2E.Uo
「奴ら、こっちの進軍方法を読んでやがったのか!?」「畜生、これじゃ完全に泥濘だ!速度が出ない!」

「泥濘に足を取られるのは奴らだって同じだ!!構わず進め!!集団白兵戦ならこっちが上d」

不完全に固形化された海は、広域な干潟となる。そして足を止められたフランスの魔術師達に待ち受けているのは過剰な放火

キャーリサ「ガウン=コンパス並びにセルキー=アクアリウム全艦、攻撃開始。グラストンベリ並びに海上各艦に居る、騎士・魔女・修道者も遠距離攻撃開始。出し惜しみぜず海を割る気で放て!!」

敵が個人戦で無く集団戦闘が得意ならば、数で劣るこちらはわざわざ相手の土俵に登る訳にはいかない。行動にキレを失ったところへ防ぎきれないレベルの高火力広範囲集中攻撃を繰り出せばよいのだ

こちらが消費するのは魔力だけ。あちらは被弾人数に加え、防御用に魔力も消費する

ガウン=コンパスから打ち出された高出力の魔術光線が、複数のセルキー=アクアリウムから打ち出される大量の黒い弾幕が、イギリス側の個人魔術による膨大な量の光線電撃火炎弾空気弾物質弾球体弾等の弾幕が、一帯を洗う

最初からまともに白兵戦をする予定など無かったイギリス側の読み通り、フランス側は半ばまで刺しこんだ戦線を維持できなくなり、防御に徹しきれなかった魔術師が消滅していく。集団戦闘において一番危険なのは、混乱する事。波状的二次関数的に広がる混乱は、まともな判断を鈍らせる

慌てて飛び上がった魔術師たちは、ロビンフッドを加えて精度を挙げたペテロ式の撃墜術式により簡単に撃ち落とされる

一方的な展開

騎士団長「ここからだろうな」

ロビンフッドで一人ずつ確実に敵を減らしながら、彼は呟いた

見た目はイギリスの圧倒的な優勢。士気も上がる。だが、数で押す主義のローマ正教の息がかかった大人数の魔術士部隊である。高々二千程度が散り散りとなったところでその被害は微々たるものと考えているだろう

そして何より、敵にはあの男が居るであろうから

騎士団長が考えていた通り、前線の後退が止まる。追加の人員が前線側へ移動したことにより、防衛の精度が上がったからである

だが、まだ決定的では無い。敵の進軍が止まっただけで、敵への一方的な火力攻撃は続く

キャ「こーまで一方的だとしらけるの。好敵手だと考えていたフランスの聖女サマの指揮がこのよーなレベルでは、フランスなどとっとと叩き潰して置くべきだったか」

戦況を見ながら、第二王女は喋りかける。周りの従者や兵に向かってでは無い

傾国の女『我々を舐めないで頂きたい。あなたが好敵手だと認めた私が、この程度だと思っているなら、逆に好敵手の資格が無い のはそちらでしょう』

キャ「戦場に出ることもできない女が何を言う。情けないものだ」

傾国『舐めないで、と言ったでしょう。私が出ないのは出る必要すら、こっちには無いからですよ』

音波が王女の耳に入った瞬間、弾幕が敵の前線の手前でその力を失った

派手に現れた巨大な水の壁が、砲火を飲みこんだのだ
886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/21(火) 23:44:22.89 ID:AI/2E.Uo
御坂「そう。とりあえず無事なんだ。よかった」

美鈴「スイス、ってフランスとも国境面してるけど、ドイツよりの方に居るから、大丈夫よ。今まで電話出れなくてゴメンね、美琴ちゃん」

御坂「それで、いい年こいて放浪癖でもあるんじゃないってぐらい落ち着きのないあの父親はどうなの? 」

美鈴「宣戦時はロンドンに居たらしいけど、今はアメリカに居るわ。安心して」

母の言葉を聞いて、思わず、よかったぁと吐いてしまう

御坂「……じゃなくて、娘に今どこに居るかぐらいちゃんと連絡しなさいよ! 」

美鈴「パパは忙しいから許してあげて。きっとあなたにとっても意味のある事をしてるはずだから」

御坂「でもね、こっちは心配してt」

美鈴「あなたの言いたいことは分かるわ。だから、せめて今回の件が終わってから面と向かってはっきり言ってあげて」

御坂「わかった、そうする……って、今回の件って内容知ってんの? 」

美鈴「え、ああ、うん。知らないわ。あの人の行動全部把握するなんて出来っこないもの。そ、そういう美琴ちゃんこそ、当麻君とは少しはお話しできたのかなぁ? 」

御坂「えっ!あ、アイツの事なんでどうでもいいでしょ?!安全って分かったからもう切るね。こっちは夜だし!おやすみっ」

勢いで電源を切り、携帯を寮のベッドに投げつける。空気を読んだのか、たまたま外へ行っていた後輩が部屋に戻ってきた

白井「あら、お姉さまお話は終わったんですの?そのご様子だと、ご両親とも御健在だったようで」

御坂「顔に出てた?うん。大丈夫だったみたい。開戦したって聞いた時は驚いたけど」

白井「ええ、あの時のお姉さまは結構な取り乱し具合でしたから」

御坂「なんかそう言われるとちょっと恥ずかしいじゃない。別にいいでしょ、親なんだし」

白井「もちろん。私も同じ立場なら同じようになってしまいますわ。ですが、そんなお姉さまだったので言えなかった事がありますの」

御坂「何よ?また何かしたの?怒らないから言いなさい」

白井「いえ、そういうのではなくて。いや無い訳ではないんですけど。その、と、当麻さんが例の病院に運び込まれて、今だ手術中でして」

御坂「そ、それで、容体は?! 」

白井「詳しくはわかりません。その上面会も立ち会いも謝絶ですの。分かっているのは、今日の件の中心に居たことだけ。これも正規のルートから仕入れた情報ではありませんし」
887 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/21(火) 23:52:32.44 ID:AI/2E.Uo
御坂「その場所って、今日の爆発のやつ?あれって撮影機材が爆発したって聞いてたけど」

白井「現場を見てみれば、アレがそんな物じゃない事が分かります。半径50mが全部灰塵なんて、如何に学園都市の特撮と言えど、有りえません。有ってたまりますか」

取り出した端末に映し出された画像には、中央ポツンと階段らしきものが残った以外、綺麗な円形のクレーターがあった

御坂「……あれが特撮じゃないなら、今日のものすごくおっきな翼っぽいのとか、ここ一連の白い翼事件は何だったのってことにならない?」

白井「実は、特定のAIMの反応が計測されていたそうで。つまりのところ誰かの能力、規模的にはそれもお姉さまクラスかそれ以上のと考えられますね」

御坂「私レベルかそれ以上、ね。あんな翼、第一位のじゃない。4も5も7も違う。6は不明だけど、原石タイプじゃないか ら序列的にあり得ないし、考えられるのは」

白井「第二位。垣根帝督という名の男。この人は風紀委員のブラックリストに最近掲載されていました。この顔にピンときたら、っていう定番のアレですわ」

御坂「一体何があったらLV5が学園都市から指名手配されるのよ」

白井「罪状は、技術流出補助ですの。最近多いというのは先日述べた通り。しかしなにもわざわざ管理の目が厳しい時を選ばずとも…」

御坂「逆ね。それだけ急がなきゃならないのよ、きっと。外がレベル低いのを一番知ってんのは研究員の方でしょ?よほどの事があるのよ」

白井「何にしても、それに当麻さんは巻き込まれて病院送り。生きている事は幸運でしょうけど、不幸にも程がありますわ」

御坂(アイツの不幸は、確かに酷い。でもこういうのは不幸じゃない。自ら飛び込んで勝手に怪我する馬鹿なのよ、アイツは)

御坂「ま、心配だけどどーしようもないことはあるし。馬鹿親のお陰で身にしみた。お見舞い出来るようになるまでは祈るぐらいよ」

白井「意外ですわ。感情直結のお姉さまの事ですから、てっきり飛んでいくのかと思っていましたのに」

御坂「随分な言われようね。会えもしない、情報封鎖の真っただ中に居た、面会も立ち会いも謝絶。そんな中で友人に会いに行く方が馬鹿ってものよ」

白井「オトモダチでは無くコイビトでも、その反応は同じですの? 」

御坂「こ、恋人?!そ、そりゃあ飛んで行ってベッドに寄り添って泣くのが王道でしょうけど、追い返されるのがオチなんでしょうね。私だったらそんなことしないわよ」

白井「ではお姉さまならどうするんですの?」

御坂「私は恋人云々以外に恩ってか借り?があるから事情が変わってくる。そうね、アイツが何に巻き込まれたのか、飛び込んだのか、まずはそこからかな」

白井「その活動に風紀委員の情報があると楽になるとは思いませんこと? 」

御坂「珍しいわね。黒子からそう言ってくるなんて」

白井「あら、そんなこと有りませんわ。私も当麻さんに好意があるんですもの、何かしてあげたいと思うのは当然のことですの」
888 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:02:56.64 ID:.JqVpygo
地殻変動で突然隆起した山のように現れた、巨大な海の、水の壁は間髪無く飛来する英国側の遠距離攻撃を能動的に防ぐ

泥濘となっていた海面の水分を強制的に空気中に吸い上げ、強制的に発生した気化熱現象により海面上の温度が引き下がり露点温度を迎えた

攻撃を能動的に守る水の壁に加えて、とんでも無い濃度の霧が発生し、地面は再度固形化する

騎士団長「来たか、旧友よ」

グラストンべリ上で役に立たなくなったロビンフットを投げ捨て男は呟いた

前線が一人の男の出現によって押し上げられ、その男周辺から後ろに濃霧と再度固形化した海面が、正面には飛来するものを片っ端から防ぐ水の壁が、仏国側を守る

光線が水の壁に当るたびにジュゥゥという、まるで熱せられた金属に水が触れたときの音をそのまま大きくしたような音が響 く。だが、如何なる攻撃を受けてもその壁は消え去ることは無い。ここは海なのだ。消えた水はいくらでも補充されていく

そしてそれは濃霧を更に深いものにしていく

霧の街・ロンドンに、雨の島イギリスに住まう彼らにとって、濃霧は本来自分たちの得意領域だ。にも拘らず、騎士団長は狙撃武器を捨て白兵戦用の武器を持って霧の中へ飛び込んだ

理由はもちろん、その霧は自然発生でないからだ。全ての攻撃を防いでしまう程の莫大な水量を操る事が出来る存在は神か天使か、それに類するほどの力を持った者。その存在が操る霧がロンドンで扱う霧のように活用出来ようはずも無い

騎士団長と呼ばれる男には同時にこんな真似をすることが出来得る存在を知っている。彼が知っていた頃のその存在にはここまでの力は無かったが、その力がより大きくなった事実は、これまでに嫌という程ローマ正教関連の情報に混じって伝わっている

フランスのイギリス侵攻の際にネックとなるのは間違いなく海上戦闘。それは明確。ならばその援護者は海に、水に強い人間を寄越してくることは簡単に想像が付く

3m程に長大化したロングソードを振り、霧を払う。一瞬だけ発生した隙間からその術者は立っていることが確認できた

5m程の大きさをした巨大なメイスを持って居る男。そこへ向かって即座に二の太刀を振りかざす。同じように振り回された巨大なメイスと巨大な剣の軌道がが強い金属音を立てて交る

その余波で周囲の霧が吹き飛び、また再生していく。その余波は同時に男の後ろに立っていた数名の魔術部隊員が吹き飛ばす

巨大な金属と金属の塊の交差はそれだけでは終わらない。連続した金属音と一瞬だけ余波で消え去る霧の空間が中央よりフラン ス側に現れた

キャ「そう言えば、貴国の後ろにはああいう輩がいたのだったな。だがあの連中が居るということは、実質的にお前にはこの戦の軍事を動かす権利が無いのと同義だと思うがの」

傾国『好きに言って下さい。彼のお陰でそちらの攻撃は被害を与えることは無くなったという事実は揺らぎません。さぁ、今度はそっちがカードを切る番ですね』

キャ「フン。そーいう単騎高火力は本来こちらの得意とするところ。彼奴の水の壁を削ぐまで追い込むだけだろーに」

傾国『……フフ』

何かを思わせる含み笑いの後、声は消えた。侵攻ならまだしも、こちらは防衛側だ。敵の最高戦力が出てきたならば、それに見合う相手を付けて退ければいい。退いた結果、敵が攻撃を再開できないほどに戦力を衰退させてしまえば、この戦は勝ちなのだから
889 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:09:15.12 ID:.JqVpygo
団長「貴様が神の右席に所属したという報告を受けてから、こうなることは予想が付いていた」

何度目かの鍔迫り合いの中で、男は喋りかけた

団長「だが、義や意を持たぬ戦いに、命令のままに参戦とは傭兵らしいものだな、ウィリアム」

打ち下ろしのタイミングをずらし、攻撃のリズムを変える。カーテナ=セカンドの力を供与された高次元の戦闘能力は間合いの中の大男に前進させる隙を与えない

アックア「同胞が住まう街を焼かれたというのは、義に値するのではないのか、我が友よ」

団長「あの攻撃がこちらの手による物でないと判断できない程、バチカンの程度が低いということは有るまい。いや、右手し か異能の力を持たぬ少年からも重要物を守ることが出来ないのが神の右席であったな」

横薙ぎに払われたメイスの巨大な一撃を受け流し、その力で騎士団長と言われる男は飛び上がった

アッ「彼の者の程度が低いのは認める。が、それだけ分かっていて尚且つこちらが戦力を裂いたという理由が有るぐらい予想が付きそうなものである。10年という時間は頭脳を風化させたか」

飛び上がった男を追うようにアックアも跳躍する

団長「どんな理由があれ、貴様らに国土を蹂躙される訳にはいかないのだ! 」

跳び上がって来た男を叩きつぶすかのような構えをする。それに対応するようにメイスを頭上で構えた

よほど濃い霧なのか衝撃を伴った打ち合いが続く中で、未だ晴れることは無い。その中をくぐるようにワイヤーが走る

アッ「騎士でありながら一人で戦うのは心細いようであるな」

霧は目に見えている分密度が濃い。その硬さを瞬時に操作し水柱を構成、表面だけを固形化させ片腕でそれを掴み、体をターンさせてつつメイスを持つ片腕でを迫るワイヤーを振り払う

アックアが意図的に残した斬撃が騎士団長の元へ伸びるが、予想された方向からの攻撃であるので弾くのは容易だ

団長「歴史的に騎士は集団戦を得意としている。だが、残念ながら私達に付いてこられるのは彼女だけなのだ」

前線面の中央で戦うアックア達を避けるようにして進むフランスの魔術師たちとそれを迎え撃つイギリスの魔術師と騎士たち。大規模攻撃を能動的に守る壁と濃霧が、展開の見えない白兵戦を招いていた

地上で対峙した騎士団長とアックアを丁度正三角で結ぶ位置に、必要悪の教会所属の大きな刀を持った女が立つ

団長「個人的な戦いで有れば決闘といきたいが、背後に守るべきものがある以上、確実な方法を取らせてもらう」

男が喋っている間にも金属と金属が弾きあう音と衝撃は止まらない。一際大きな金属音が鳴り響いた

神裂「唯閃を容易く弾き返すとは、やはり一筋縄ではいきませんね 」

一度間合いを取り、元の三角形のポジションへ戻る

アッ「今の攻撃、イギリスには極東の聖人が居ると聞いていたが、その聖人のようであるな。この二人が相手ならば、こちらもそれに答えるべき力で戦わせてもらうのである」
890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:18:15.50 ID:.JqVpygo
喉の渇きを感じて、垣根帝督は目が覚める

目の前には女の顔があった。落ちた化粧の合間から見える、年齢相応の幼さを備えた容貌。眠っているようで、一定のリズムでの呼吸音が聞こえる。どうやら膝の上に寝かされていたようだ。自分を覆っていた布を掃い、身を起こして周囲を確認する

見えている範囲は、砂漠地帯であった。砂ばかりの砂漠では無く、所々に僅かな草花や木が見える。ここも、小さな木の根元の日陰だ。近くに少し大きなクレーター状の窪みがあるが、とくに目立たない

そこでようやく自分の格好に気が付く。着ている物は穴だらけの下着のみ

先程起きた際に払い除けた布はどうやら自分が着ていた服だったようで、やはり穴だらけだった

垣根(一体何がどうなったらこんなところでこんなカッコで寝てるって状況になったんだ? )

記憶を思い返してみるがはっきりしない。断片的に思い出されるのは、とにかく白。何もかもが白い

とにかく、この少女の前でこの格好は不味い。女性の前に裸を晒した経験が無い訳ではないが、大自然の中自分だけほぼ全裸という訳にはいかない

試しに今まで自分が着ていただろう服を身につけてみるも、ボロボロ過ぎて話にならない。それでもとりあえずとして、下だけは着る

垣根(まずここは何処だ。見渡す限り砂漠地帯なんて場所は日本には無いハズだ。となるとここは国外ってか。面倒臭え、幻想殺しに電子機器全部壊されてそのままにして置いたのは失敗だったか)

そこまで考えて、記憶の中で目の前の少女が携帯端末を使っていたのを思い出す

未だに寝ているのを確認して、ボロボロのスカートをめくる。見たところドレスには収納できそうな場所は無いので太腿のホルダーだと思ったのだ

定規「一体何をしようとしてるのかしらね」

垣根「あー、携帯を使おうと思ってな。俺のは死んじまってて使えねぇんだ」

定規「残念ながらもってないわ。あと、一声かけてほしいわね。寝てる間に何かさせるのも嫌だし、ここには誰も居ないでしょうけど、そのカッコじゃ変質者よ」

垣根「全裸に翼よりは趣味がいいと思うぜ 」

定規「そうかもね。……貴方、なんでそんな服がボロボロなのか分かって無いの?」

垣根「知らねえよ。お前に銃を向けてからの記憶がハッキリしてないんでな」

銃を向けた、という発言で、目の前の少女の顔が曇る

垣根「ま、ここが学園都市の息がかかって無い場所ならお前もすぐに俺をどうこうできるわけじゃねーだろうし、何か不穏な動きを見せたらすぐに殺せばいいだけの事だ」

脅迫である。だが、心理定規には負い目があった。自分の能力に巻き込んだからこそ、垣根の衣類はああなっ てしまったのであり、こんな所に居るのであり、垣根自身を変質させてしまった

定規「帝督、翼を出してみて」

垣根「あぁ?なんでだよ?」

定規「いいから!」

軽めとは言え、脅したばかりの女からここまで強く言われるとは思っていなかったので、若干驚いた

相変わらず訳のわからん奴だと思いながら、言われた通り翼を展開しようとする。地面からここを特定するものや町が見えなくとも、高いところから見渡せば何か見えるかも知れないというのが具体的な理由である
891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:27:34.81 ID:.JqVpygo
いつもの感覚で、まるで体の一部を動かすように無意識に意識する

何かがおかしい。違和感に気が付いた時には、とりあえず身に付けた下半身の衣類が下着を突き破って更に大きな穴が開いていた

彼が作り出す翼は、体から出てくるものではない。翼で体を持ち上げるときには、全身へそのエネルギーが伝わるようになっているだけだ。故に、翼を展開したところで服が裂けたりしない

だが翼の中から羽根が生えてくるかのように、垣根自身の体の中から全身にわたって大小様々な翼のような物が生えてきた

感覚もおかしい。飛びあがる程度では6本全てを出す必要も無いので、体を支える程度の物を展開したつもりだった。しかし、背中から生えるように出てきたものは巨大な片翼のみ

もう一本を出そうと演算式を再確認する

垣根「なんだ、これは」

これまでの物とは全く異なった、最早自分の組み上げた物とは似ても似つかない物に変更されていた。意味が分からないハズの記号が脈絡なく浮いているというイメージだろうか

だが、最大の脅威はそこでは無い。それが垣根自身理解できる事が最大の謎だ。自らの定義が行為主体でありながら行為そのものとなっている

式は硬く複雑で何処を変更したらいいものか分からない。隙や矛盾も見当たらないのでそんなことをする必要すらないのだが

定規「私の能力は、人間以外に通用しないの。定義を書き換えて、何度も微調整を繰り返せば可能なんだけど、とにかく、今は人間用に設定されてて人間以外には使えない」

定規「逆にいえば人間 に は 効果を与えられる。防御を張っていても、それは明確な障害として確認できるの。でも貴方にはそれも無く能力を行使できない。つまり」

垣根「今の俺は人間じゃねぇ……ってことだな。そういう風に定義されてやがる。何があったらこうなるんだ。お前、何をしやがった」

少しの間をおいて、少女が話を始めた

定規「あの時入ってきた女を見て暴走した私が、貴方を乗っ取ったの」

あの女、というのは記憶の片隅に残っている黒髪の女なのだろう。確か自分はそいつへ向かって銃を

定規「今考えたら、急に逃げ出した時点であの白いのじゃないのにね。あの子があんまりにも似ていたから、おかしくなっちゃって」

定規「無抵抗なまま追い詰めて追い詰めてこの世から形すら残らない様に消すつもりだった。貴方を使ってね」

定規「でも最後の最後で幻想殺しが来て、貴方の攻撃を全て防いだ。私はますます暴走が深化して、最終的に貴方と精神を合一化したのよ」

定規「暴走していた私と貴方が重なって、貴方も暴走した。そして帝督、貴方は自らの制限を取り去った。貴方自身を未元物質に置き換えてしまうことで人間的な限界を超えた」

定規「そして今度は私の方がそれに巻き込まれた。あなたの能力を制限する事なんて平時でも不可能でしょうに、それがあんな形で暴走されてしまったら、耐えられるはずが無いわ」

定規「私の方が限界を迎えて、貴方は私から解き放たれた。そこから私も記憶が無いの。きっと、攻撃に使われていたエネルギーが行き場を無くして、私達をこんなところまで飛ばされたんでしょうね」

定規「目が覚めたら、貴方が私をかばってそこに倒れていたの。私の膝枕は、気持ちの良かった貴方の羽のお返しよ。安くな いんだから」

垣根「そいつはどうも。ま、何にせよお前の能力は効かなくなったんだな。代わりに能力使うたびに服が破れるセクシーな体に成っちまったが。都市のお目付け役のお前からしたら困ったものだろーけど」

定規「その事なんだけど、私の意見も言わせてくれないかしら。帝督、貴方誤解してるみたいだし」
892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:35:23.62 ID:.JqVpygo
霧は目であり、盾であり、武器であった

凝縮され矢じりとなった水が男女を襲う。全方位からの連続攻撃は他の騎士や魔術師ならとっくに致命傷を貰うか、天獄への階段を昇っていたであろう

単純故に逃げ場が無いような攻撃は、逆に単純ゆえに逃げ場を作り出すことが出来る

形成された氷の矢は彼らめがけて飛んでくるが、追跡するわけではない。故に回避先の方向と回避先めがけて飛んでくる反対方向の矢を叩き落としてやればいいのだ

元より優秀であり経験と研鑚を重ね、更にカーテナの加護がある騎士団長と聖人である神裂の身体能力・魔術技能ならばそれは難しいことではない

無論、巨大なメイスを持つ男もこの二人がこの程度の攻撃でやられるとは考えていない

本質なのは目暗まし。霧の中でも的確に自分を突いてくるレベルの人間が二人。自分にはイギリス本土へ行ってやらなければならない役目がある。こんな所で手負いになって立ち止まる訳には、いかないのである

自分にとって圧倒的に有利なフィールドで、確実に二人を沈黙させなければならない。そのためには卑怯と言われようと確実な策を選択する

挟撃は、どんな策より優れた策である。特に人数で勝っているならば、個々の能力で多少劣ろうともそのビハインドを覆せる

故に、少々効率が悪いが騎士団長と神裂は別方向へ別れて行動する

ワイヤーを使い一方の攻撃を防ぎつつ、同時にその軌跡で描いた魔術陣で生まれた炎がもう一方の攻撃を防ぐ

たった一瞬、注意を逸らしたその一瞬で、今まで辿っていたアックアの気配が消えた

やられた?!と神裂が思った瞬間。これまでの比では無い強い衝撃が当りの霧を散らせる。すこし後に聞こえる金属音。これまでの比では無い鈍い音だった

散った霧の間に見えた先には、膝を付く騎士団長と青く光る巨大なメイスを片手で易々と持つ男の姿があった

咄嗟にその男へ向けワイヤーを放ち、騎士団長とアックアの距離を押し広げさせようとする

逆方向からこれまでと同様の反応。散った霧からの攻撃か。ならば方向は全方位では無く背後方向からのみ

伸びきったワイヤーによらない、刀による迎撃を狙う

後ろへ振り向いた瞬間、視界の中に味方の騎士の姿があった

水の魔術の大きな特徴。屈折を利用した幻影魔術。魔術の基礎の一つである水のルーンを学んだ者ならば、瞬時に思い浮かべる。同じく霧の中にある、離れた所で戦っている騎士の姿を映し出したのだろう

神裂「姑息な…! 」

だが、幻想であれ、これがあのアックアが置いた物であるなら何かを狙っている可能性もある。幻影で覆い隠した攻撃魔術の塊であるかもしれない

いくらでも可能性はある。ここは彼にとって最も得意な場所であろうから。これまでに自らが構築した魔術も、絶対的な水量の前に幾度も止められている

だが、その対象が海と分かっているならば、付け入る隙がある。少なくとも、遠距離操作の魔術程度なら、同じく聖人の彼女 なら撹乱できるはずだ

背後の騎士団長も気になるが、彼は強い。先ほど自分が広げた一瞬の間合いがあれば、それだけで体勢を立て直す事なら出来よう

援護するならば、まずは自らの安全を確保しなければ。特にこの霧と海に囲まれた空間では命取りとなる要素が多過ぎる

斬撃の中に日本列島形成伝説から編み出した渦潮の魔術を込める。泥の海から島を作り出した際に発生した渦潮は、海と泥をかき分けた。転じてそれは不純物を取り外す働きを持つ
893 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:43:16.53 ID:.JqVpygo
水においては格上の相手ではあろうと、海との相性も良いこの魔術ならば少なくとも目の前のものに対してその本領を発揮することは避けられるだろう

一気に距離を詰めて、その幻影に向かって斬撃を加える。結論だけ言うならば、海に集中し過ぎたのだ

それは幻覚などでは無かった

霧に囲まれたこの空間は、アックアや神裂・騎士団長以外にも騎士と魔術師たちが入り乱れた戦いとなっている

その中から一人二人が消えたところで一体誰が気にするだろうか

意識が無くなった者を霧を使って操り、そこに立たせていたのだ

そこまでして唯の騎士を神裂視界に入れた理由。有能な魔術師である事を、海に対する警戒が高まっていた事を利用する為

七天七刀によって切り裂かれた味方の体から当然のように噴き出す液体。人間であれば間違いなく体内に数リットルは含まれる液体

最初から狙いはそこだったのだ。血を媒介とした魔術は数限りなく存在し、直接的に死や傷を想定させるそれは、液体の中で最も脅威である。生命の源である海とは対照的な存在

神裂「血!!だとっ!? 」

瞬間的に血から起因する数多の攻撃魔術に対する防衛魔術を複数展開する

だが、それもまた罠だった

海だと思えば血を使われる。血を見た瞬間に血から思い起こされる魔術に対してカウンターを入れるのは優秀な魔術師ならばすぐに考えが及ぶ。神裂程の魔術師であるならば、その聖人という特性もあり、血による魔術はそう簡単にその力を発揮させることは無いだろう

神裂の身にその魔術の効果が発揮された時に、ようやく自分が罠にはまったことに気が付いた

アックア「如何な聖人と言えど3段構えの策を全て見破ることはできなかったようであるな」

身の背後から最も聞きたくない男の声が聞こえる

だが、身の守りへスムーズに移行できない。使われたのは痺れを作り出す魔術。水毒という症状があるように、水と言うのはあらゆる病に直結する。そして歴史上最も多くの毒の溶媒となってきている。それに対応した魔術が無いはずもない

それゆえに基本的であり、予想もつかなかった。騎士の血ではなく、血に多く含まれる水を直接的な媒介としたのだ。海にも霧にも血にも対策をした。だが、血に含まれる水という限定は見落としていた

聖人である神裂にはその効果はある程度軽減される。だが、術者はアックアであり、ホンの0.01秒でも行動が遅れようものなら致命傷だ

それでも何とか、神裂は魔神の如きメイスを必死に捌く

メイスを振り回しつつ、男はある言葉を淡々と述べ続けていた。それが神裂の耳に意味として聞き取れたときには巨大なメイ スが光を帯びていた

「時に、神の理へ直訴するこの力、慈悲に包まれ天へと昇れ!!」

言葉の終わりと共に、今までの比では無い勢いでメイスが振り下ろされた

丁度、裁き切れないように、手を抜いていた鈍器の扱いを更にレベルさせた中で、雷のように打ち下ろされた巨大な鈍器を防ぐ手段は神裂には無かった
894 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:49:46.29 ID:.JqVpygo
蛙医師「入院の多い患者だとは思っていたけど、多分今までで一番酷かったよ、今回は」

思う処があって深夜に一人で見舞に来た浜面に蛙顔の医師は漏らした

蛙「四肢が無くなったり、臓器が漏れたりとかは僕だって今までにたくさん何とかしてきたよ。医師としてね」

蛙「でもね、あそこまでの組織の異常成長ってのは初めてだった。常識的でないって言うなら、君の体にも驚かされたものだけど」

蛙「連日こんな風に驚かされたんじゃ、いつか心不全でも起きてしまいそうだよ」

医師なりのジョークなのだろうが、笑えない。年齢的にはおかしくないし、長時間の手術を終えた今はその危険性も上がる

浜面「それで、アイツの状況はどうなんスか」

蛙「驚いたものだよ。術中に患者から指示を受けながら手術したのは僕ぐらいだと思うね」

蛙「彼の、いや、彼らの知識と僕の知識と経験を総動員した。明日中には復活してるんじゃないかな」

そう言った後に手術室から大量の肉片が運び出された

浜面「うぇ、アレ全部、切除した奴……?」

蛙「そうだよ。豚二頭分はあるんじゃないかな。一応暗部の君は会う権限があるし、休んでいるところを見ればいい。もう病室で寝ているはずだからね。前に君たちが寝ていた部屋だよ」

あい、と返事をして足を向けた浜面

蛙「あ、あとまだ彼は手足はおろか内臓も十分じゃないから触らないで欲しいね。十分じゃないってのは機能的な意味じゃなくて質量的な意味だからね」

質量的、と言われてピンとこないという顔をする

蛙「ま、早い話手足と消化器系統が全て失われている状態と言えばいいかな」

浜面「ちょ、それが明日には治るってんですか?!」

蛙「うん。そうだよ。ま、多分だけどね。驚くことは無いだろう。君だって同じようなものじゃないか」

自分も同じ、と言われて疑問の表情を浮かべた

蛙「流石に彼ほど能動的じゃないだろうけどね、君の体は全身トカゲのしっぽだよ。自然治癒力も、消化器によらない分解能力も有るはずだ。少なくとも、解析されたDNAにはそんな要素が散見されたけども」

そう言われて、ここ最近の記憶をたどる

手榴弾を背中に食らい、右腕にはナイフが刺さった。だが気が付いたらそんな傷は無く、背中の異物は取り去ってすらいない。腕の傷は一生モノのハズだ

蛙「寝ているかもしれないけど、彼に会った後には僕の所に来てくれ。君の方の変化を見ておきたいのでね」

浜面「あ、はい。ってか、先生は何時寝るんスか?」
895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/22(水) 00:57:13.57 ID:.JqVpygo
蛙「そりゃ勿論、患者が居ない時だよ」

そう言って蛙顔の医師は暗い廊下の奥へ進んで行く

冗談じゃ無く、過労で死ぬぞ。まさか自分の死すら冥土返ししてんのか?と思いつつ、浜面は上条が居る部屋の下へ向かった

面会謝絶の張り紙を無視して扉に手をかけるとやはり開かない。その為に鍵を借りてきたのだが、中から声がする

使用される頻度が高いのか、蹴られたりして変な力でも加わったのか、若干歪んだ扉の隙間から中を覗き込む

暗闇の部屋に立っている男があった。窓から少し差し込んだ光でその髪色が青を帯びているのが分かるが、窓に背を向けているので顔は分からない

浜面(誰だ、アイツは。何してんだ?)

窓際に立っている男から、ベッドの方へ視線を移す。寝ているようだ。あの異常な体付きは無くなっており、ベッドの盛り上がりはまるで小さな子供のそれだ

またな、という声が聞こえた。窓際に視線を移すと先程の男の姿は無かった

鍵を開けて中に入る。部屋の主は寝ていた。先程の男は会話をしていたようだったが、この眠りの度合いからして上条は起きていなかったはずだ

浜面「そりゃ、こうなるまで手術したんなら全身麻酔だよな。夜も深いし起きているはずもないか……」

布団をめくると、その見た目に思わず声が出た。体中何か特殊な布で覆われているが、四肢は無く本来臓器のある位置は窪み凹んでいる

浜面達を守ったときの心強さを感じさせない、その脆そうな体が明日には復活するというのが浜面には信じられなかったが、考えてみれば目の前であれだけ膨張したのだ、ありえない事では無い

恐らく莫大なエネルギーを体内に溜め込んでそれを使ってとかそんなもんだろう。なら自分の体の傷が消えるのはどういう理由か

布団を戻し部屋を後にする

暗く長い廊下で、物音がした。意図的に足音を消しているような感覚

思い起こされるのは先程の青髪の男。だが、またなと言って消えた男がこちらに、上条の部屋の方へ来るかのように、気配を消して来るだろうか

その可能性を排除して考えられるのは、自分の敵または上条の敵。確かに今自分は強い味方に守られているわけではない。医師が言うには自分もそう簡単に死ぬことは無いだろうが、取り換えの利く自分を狙う理由が無い

上条の動きは、昼間に見た。自分が前に彼にやられた時とは次元の異なる動きをしていた。第二位の巨大な白い羽根の濁流のような攻撃を全て防ぐこともできた。間違い無く彼は強い。だが今は確実に弱っている。彼を狙うものがあれば今が一番のチャンスのはずだ

そして確実に殺すならば、彼の部屋にロケット弾でも外から打ち込めばいい。それをしないということは、暗殺だろう。可能性がある以上、自分はそれを防いでやるぐらいの恩返しはするべきだ

スキルアウト時代の友人に気配を消して移動するのが非常に得意な者が居た。そいつの動きが思い出されるが、それに比べれば動きがぬるい。まるで素人が見よう見まねでついてきているような

浜面(複数いるなぁ、こいつは)

身近な病室に入って、耳を研ぎ澄ませる。音はゆっくりだが静かに上条の病室の方向へ進んでいるようだ

少々の物音ならば、浜面が複数の患者が寝息を立てるこの部屋に入った時のように、入院している患者は起きたりしない。夜中に トイレに行く者もあれば、喉が渇いて飲料水を買う者だっている
896 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/09/22(水) 01:05:34.65 ID:.JqVpygo
思いついた。事を荒立てない様に暗殺という方法を採っているのなら、入院患者を殺したり害を加えたりはしたくないだろう

羽織っていた上着をその場に脱ぎ捨て、寝ている患者のベッドの側にある如何にも入院患者が着ているという感じの衣類を身にまとう

昼間だったり消灯時間前まででないならば、強引に羽織っているゴワゴワした感じが見る者に違和感を与えるだろうが、この暗闇ではそこまで見通せないハズだ

複数の足音が部屋を通過した。そのタイミングで自然に浜面は部屋の引き戸をスライドさせる

驚いたのは侵入者の方だ。素人の集団は、考えられた事にも関わらず、あからさまに驚いている

だが、一人一番先頭に居た者だけはその後の判断が早かった。仲間が浮足立ち浜面に殴りかかりに行く一方で、一気に上条の部屋まで駆けていく

浜面にとっては浮足立って殴りかかってくるのは考えられていた事なので、迷った拳へ冷静にカウンターを当てて行く

一人が一瞬で崩れ落ちた事で、駆けだした一人を除いたもう二人はますます行動判断が鈍る。その隙を見逃さず蹴散らして、上条 の部屋の前で鍵を開こうとしている男へ迫る

屈んだ体へ足を振るが簡単に受け止められ、逆に体勢を崩される

倒れる際に抵抗して振り回した手が部屋のネームプレートに触れ、金具ごと地面に叩きつけた

ガキーン、という薄い金属が叩きつけられた音が鳴り、静かな院内に響く

崩された浜面の上に馬乗りで体を抑える男。足元の非常灯によってその男の視界にはっきりと浜面の顔が浮かんだ

?「お前、浜面ッ?! 」

男の声が聞こえた。浜面の視界からは、男が顔を覆っていた事もあり、その男の顔は分からなかった。だが、声には聞き覚えがある

「どうかなさいましたかー? 」

廊下の奥から見周りの看護師の声が響く。もうしばらくすればここまで来るであろう。上条の部屋の扉も開いていない。つまり、暗殺は失敗だ

馬乗りになった浜面の上から離れ、浜面が伸した仲間の下へ。ドタドタドタッという余裕の無いけたたましい足音を立てて走り去って行った

残された浜面は逆方向から駆けてきた看護師に、暗くてぶつかってこけてしまいましたアハハハ、と適当に都合を合わせる言い訳をして服を拝借した部屋へ戻る

少し汚れてしまった衣類に申し訳なさを感じながら、もとに有った場所に服を戻し、自分が来ていた上着を羽織る。そのまま来いと言われた医師のもとへ足を向けた

浜面(あの声がアイツのものなら、あの微妙に素人臭い動きをしていたのは)

浜面(だがなぜ上条を狙うんだ?理由が分からない。弱ってる上条を狙うのは暗殺以外にない。脅しなんて回復しちまえば逆に恨まれる理由にだってなるんだ。殺し以外意味が無い)

浜面(殺しだと?なんでだ?なんでそんなことをやるようになったんだ?)

浜面「なぁ、なんでなんだよ、半蔵」

階段の窓から見える月に向かって訴えるも、返答は無かった
897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:12:47.36 ID:lgCsy2AO
すごい文字数なんだよ…
乙なんだよ
898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:25:06.63 ID:JmqTlGAo
黒子が上条さん好きになってるのが死亡フラグに思えてしゃーない
あと佐天さん無能のくせに調子にのんなよ。
899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:27:41.06 ID:6zrynsDO

茶店爆発しろ
900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:34:16.00 ID:FU1OvIDO
乙です。相変わらず読みごたえあって楽しい
お約束みたいだから言っとくけど佐天さん爆散しろ
901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:36:19.56 ID:eCLfB7Eo
みんな生き残ってほしいな
佐別
902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:39:19.26 ID:SmuHCMEo
おまえら佐別が酷くないか?佐別いくない!!
903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 01:43:34.95 ID:JmqTlGAo
佐別ワロタ
904 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/22(水) 01:47:09.82 ID:.iEtLlwo
1乙
あと佐爆
905 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 02:36:43.71 ID:VSSvy6SO


郭クルー???
906 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 22:42:03.70 ID:XJdiFmAo

佐天早く氏ね
907 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/22(水) 23:41:28.66 ID:JmqTlGAo
次スレのタイトルは
【佐別】上条「なんだこのカード」2【佐爆】
でいいと思う
908 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/23(木) 09:39:32.97 ID:Su3iy/Y0
佐爆派ウザイ
909 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/23(木) 13:38:17.86 ID:uwWxioDO
【佐天さんは】上条「なんだこのカード」2【爆散よ?】
910 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/23(木) 19:38:29.33 ID:fFKwgww0
垣根達は砂漠に飛んでったんだよな・・・

砂漠

佐爆

佐天さん爆散

これは佐天さん爆散フラグだ!!
911 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/23(木) 20:12:18.94 ID:2EtrfCwo
>>910
キバヤシ乙
912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 04:32:22.63 ID:R53xsbso
「君は、天使を信じるかい? 」

深夜の病院内の一個室で、浜面はそんなことを尋ねられた

なぜ天使なのか。神を信じるかではなく、一般的にその使いである天使なのか

浜面「神とか天使とかのことは、わかんねーです」

蛙医師「そうだね。僕も宗教家じゃないし、わからないよ」

何が言いたいんだこの蛙は、という表情をする浜面を見て医師は続ける

蛙「君が言いたいことは分かるよ。それが何に関係してるんだと言いたいんだろう」

机の上に立ててあった封筒を取り出し中から書類を取りだす

蛙「これは僕が随分前に助けた患者が某国から取り寄せてくれた物なんだけどね」

蛙「どうもアッチ側は天使というものに理解があるようで、最近収容された人間の遺体が天使に近かった、という結論を出しているんだよ」

蛙「それが言えるということは、天使の定義を知っているということになる。その定義とその遺体の一部を送ってもらったんだ。ほんの爪垢ほどの肉片だけどね」

蛙「彼ら曰く、天使というものは現代科学、というか現代文明的に理解できないものらしい。でも、人間が天使になるのなら、そこからの過程はDNAにも現れるかもしれない」

蛙「そう考えて調べてみたら、ビンゴとまではいかなかったけど少し見えてきたものがあるんだよ」

蛙「さて、また質問してもいいかな。天使は何処から来るんもんだい? 」

浜面「どこからって、そりゃ天国……?」

蛙「天国ってどこかな」

浜面「そりゃ、ええと、空の上かな?」

蛙「そう。空の上。宗教や神話が出来たばかりの時代には宇宙を知る術が無いハズだ。空の上という存在の概念や定義はあってもね」

蛙「そしてその定義をもとにすると神の空間から、すなわち宇宙から天使が来る。ということは天使は宇宙空間における適性を持っていなければならないことになる」

浜面「はぁ…」

蛙「ま、言ってしまえば天使云々の件はきっかけに過ぎないんだけどね」

浜面「ええと、つまり?」

蛙「すまないね。老人は長く話をするのが好きなもんなんだよ。心は若いつもりだけど。手短には話せなくなるんだ、これが」

十分に若いよアンタはと思いながら浜面は話を促す

蛙「君の体細胞、単独で真空空間でも細胞分裂をつづけたんだ。強い放射線下でも活発な活動が見受けられた。α・β・γ・X・Nから各種の宇宙線と呼ばれるものまでね」

蛙「早い話、君、多分単独で宇宙空間に出る事が出来るよ。そういう意味では天使だね。奇跡を起こせるか分からないけど」
913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 04:38:56.12 ID:R53xsbso
視覚外から伸びたワイヤーによって押し広げられた一瞬の間合いを利用して、騎士団長と呼ばれる男は危機局面から逃れる事が出来た

複数に仕組まれた罠自体は、彼の長い現場の経験から寸での所で回避した。だが、意識はどうしても戦闘から削がれる。能力的に補強されて且つ経験豊富な騎士であった為、聖人かつ神の右腕である人物となんとか渡り合う事が出来ていた。それゆえこの隙は大きかった

アックアの全身全霊の叩きつけに対し、効果的な迎撃体勢をもって迎えることが出来なかったのだ

彼は王家の魔術・霊装以外の攻撃性を無にする魔術を持っている。しかしこの王家の魔術・霊装の根源は天使長の力を模したものであり、神の力という同質の特性を持つアックアに通ずるのかという疑問があった

それを頼りに危機時に使って効果が無かった場合、致命的な被害を被ることになる。それゆえ使うのをためらっていた。だが、この状況ではそれを使うしかなかった。そのちょっとした疑問という引っ掛かりが災いしたのかもしれない

結果は、使う使わないの段階では無かった。メイスが、攻撃を完全に把握する前に、途方も無い力を溜め込んで突進してきたアックアによって、振り下ろされてしまったのである

騎士団長「ぐ、な………ッ!!!!?!?!」

受け止めた、と言えば聞こえはいいが、現実は厳しい。これで地面が通常の土やコンクリートなどの物で有れば、その衝撃は地面の崩壊という形で逃がすことで緩和される

だが下はアックアの力によって強化を受けた硬化した塩の大地である。つまり、強度も逃げる衝撃も彼の支配下なのだ

叩きつけられた莫大な衝撃は地面からの莫大な反作用をもたらす。簡単に言えば、アックアの全力のメイスとメイスに挟まれたようなものだ

それでも騎士団長は、彼の今までの経験は、返しを忘れない。浅くなった力をカバーする為に反動を気にせず大剣を振り払った

アックアとしてもそのレベルの反撃は、まさか膝を付いた状態で無理やりに繰り出して来るとは思っていなかったので、予想外の反撃として彼を少し退けた

アックア「まだそれだけの余力を見せ付けるとは、流石である」

彼らの間に空いた10年という時間はアックアを強くしたと同時に、その相対者も強くなるに十分な時間である。アックアからしたら、想像以上に騎士団長が強くなっていたとすると、間合いを取って様子を見るのは当然の反応といえる

その瞬間に意をしない方向からのワイヤーによる攻撃反応。仮に騎士団長が強くなっていたとしても、自分の全力は見た目の上では被害を与えていた

ならば弱っている内にもう一人の聖人を倒してしまうべきである。自分の霧やそこから繰り出す攻撃は彼らにとっては子供騙しで、いつまでも優位には立ち続 けることが出来ないのだから

取り残された騎士団長は、アックアからのダメージに加えて無理をしたことによって悲鳴を上げる体を癒すと同時に、例の全方位攻撃に対処していた

消えたアックアの狙いは分かっている。神裂である

恐らく自分が騙されたものとは違う形の策を使われているだろう

騎士団長(聖人であり、必要悪の教会所属の魔術師として一線で戦ってきた彼女だが……18という年齢ではウィリアムとの経験の差はとても埋められまい)

騎士団長(早く手助けしなければ。二手に分かれたのは愚策だった。奴の力量を見誤っていたか、この私が)

口内の血が、舌打ちすら満足にさせてくれない

霞みを掴むようにして、神裂のもとへギリギリの体で跳ぼうとする中で、衝撃と音を感じる。彼女の持つ長刀とメイスが交る音が潰えた瞬間に、人体を金属 バットで殴ったような鈍い音が、鳴った

衝撃で吹き飛ばされた霧の合間に、力なく倒れた女とそれを見下ろす男の姿があった

そして、その男は騎士団長と視線を一瞬だけ合わせ、英国領土側へ

キャーリサ「馬鹿な!!あの二人を下したとでも言うの?!」
914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 04:45:31.68 ID:R53xsbso
押さえていた前線が、崩れた

戦域が一気に突出し、霧は一瞬で英国側へ達した。今までのように打ち合いの衝撃を伴わず、滑るように拡がっていく霧と塩の大地

『魔術艦の沈降を確認!!これは潜水ではありません、撃沈です!! 』

アックアに沈められた艦の報告通信と同時にキャーリサの前に騎士や魔術師が現れる。無論、彼女を守るためだ

傾国『少々予見が甘かった様ですね。それでは、講和条約会見のときにでも会いましょう』

整った顔を歪ませ、怒りを露わにする第二王女

傾国の女からの通信の根源を突き止めそれを破壊し、王家の剣を持って船の最前へ出ようとする

キャ「私の事などどーでもいい!!フランスが堰を切って雪崩れ込んでくるぞ!!全力で押さえよ!!! 」

彼女を止めようとした部下を怒鳴り付け、改めて戦域を確認する 霧の中を何かが大陸側から押し寄せてくるような錯覚があった

実際には全く変わらなくドーバーの海を部分的に覆っているのであるが、勢い付いたフランスの魔術師がその中を巨体を持つバイソンの群の如く突進しているのだ

集団戦の強みは、こういう場で本領を発揮する。少数の弱みもまた然り

傾いた士気戦力を前線で、肌身で感じたのは最前線の騎士団長達である

団長(これではとてもではないがウィリアムを追いかける余裕など……ッ!!)

意識の無い神裂を守る様にして、一人また一人とやられる味方戦力を覆う様にボロボロの体で剣を振るう

が、明らかに敵は強大化している。先ほどまで善戦していた有力な騎士達がやられ始めているのだ

団長(この耐久力、士気を強度に変換する魔術でも使っているというのか)

百年戦争時、イギリス側からすれば最大の魔女でありフランス側からすれば最大の聖女であるジャンヌ・ダルクの存在はフランス軍の士気を大きく高揚させ、快進撃を進める最大の要因となった

財政が安定化し、戦争に集中できるようになった事や戦線の伸びによる極所的戦力の低下や諸侯の結束力など諸要因はあるが、また彼女は祭り上げられた表象でしかないと言った説もあるが、その存在が士気を大きく高揚させ、イギリスを大陸から追い出すことに成功した事は確かだ

一人の英雄によって劣勢からの逆転という歴史的形式をなぞることで、その原動力となった士気をそのまま強壮化させる大規模術式がローマ正教にでは無くフランス側にあってもおかしくは無い

とにかく、騎士団長にできることは神裂を守り、一人でも多く敵を止めることだ

まともに回復魔術に専念することもできず、体に鞭を打つ

それでも少しずつ前線とイギリス領土との距離は縮んでいく

三分の二のラインまで後退する戦線

一方で敵に完全に囲まれてしまった騎士団長と逃げ寄ってきた部下数名、それに今だ意識の帰らない神裂。フランスの勢いを引き下げない限り、この絶望は止まらない
915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 04:49:41.73 ID:R53xsbso
空気が薄く寒い高度まで飛び上がった半裸の垣根の視界の片隅に、飛行する旅客機が入った

巡航高度では無いことから、あの飛行機の有った周辺には必ず空港があることに気が付き、地面へ戻る

定規「しかし気持ち悪いわね、今の貴方。下りてきたのが天使かと思えばほぼ全裸の帝督なんて」

下りてきた垣根に対して悪態をつくが表情は先程の暗い物では無い

垣根「お前のせいだろーに、これでもコントロールしてるんだぜ?」

定規「はいはい、わかりました第二位様。まぁいいトレーニングになるでしょ。それで、ここどこか分かった? 」

垣根「ん、西方向に旅客機が見えた。高度も低いし、近くに空港があるはずだ」

定規「そう。規模にもよるけど、服売ってる店位は近くにあるでしょ。着いたらまず私が一人で貴方の服を買ってきてあげるわ」

垣根「助かるが、そのドレスみたいな趣味は止めろよ?」

定規「あら、天使様には似合うと思うわよ」

垣根「あぁ?まー好きにしろ。気に食わなければ俺が自分で買えばいいしな。つーか待ってる間俺は何をしていればいいんだ?」

定規「人気の少ない街なら隠れていてもいいでしょーけど、大都市なら、そうね。貴方、大道芸人でもしてたら?銅像みたいになって動かないヤツ」

垣根「おい、マジで言ってんのかよ? 」

定規「私はいいアイデアだと思うけど。猥褻物陳列罪にならなければいいわ。大丈夫よ。しょっ引かれてもちゃんと面会には行ってあげる」

垣根「分かった分かった。第二位サマのすげぇヤツをここの連中に拝ませてやるよ。で、金は?ないだろ?」

定規「あら、私のお小遣い稼ぎの仕方、知ってるでしょ?それに能力使えば和洋中全てのオジサマをパトロンに出来るのよ」

へーへーさすがでごぜーますね、と言いつつ、翼を大きく広げ、両腕を開く

垣根「それじゃ、お姫サン、いきましょーぜ」

定規「天使様の送迎なんて恐れ多いわね」

定規(少し角が取れたみたい。学園都市じゃなく、最初からもっと自由な場所にいたら私も付くことがなかったのに、可哀相な人)

まるで定位置であるかのように垣根の胸に抱かれ、二人は街へと飛んで行った
916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 04:54:47.01 ID:R53xsbso
立場の真意が何であれ、米国第6艦隊はイギリスの味方である

攻勢ならなまだしも劣勢に陥り、イギリス国土にフランスが迫る状況下では何よりも優先して守らなければならない国際的立場だ

イギリスとしては不安定要素であるアメリカには極力戦闘に参加させず独力で戦いたい。戦後処理にしゃしゃり出てくるのは阻止したいのが実情だ

もし仮に戦闘参加するにしてもイギリス側から頼んだとういう形式ではなく、あくまでアメリカの戦闘参加意思による形式の方が良い

無論そのあたりは白兵戦闘参加中のキャーリサも分かっている事であり、姉のリメエアにも念を押された事であった

だが、アメリカは魔術後進国であり、最先端の学園都市を先進国とするなら、科学後進国でもあった

魔術もなければ超能力も無い、唯の一般軍事大国にこの戦いに介入できるほどの力はあるだろうか

キャ(有る訳が無いし。出てきても、肉壁か統率を乱す程度が関の山。だけど)

キャ(それでも構わない。この敵の高揚した士気を少しでも削ぐきっかけにさえなるならの)

ハーフラインで立ち往生しているはずの騎士団長の帰還の報告も無い

四分の一に引いた最終ライン付近まで前線が押し込められ、遂に銃弾が魔術師同士の戦いに介入する

どこからとなく、機関銃の掃射音が響く

アメリカ海軍遠征打撃群は陸上戦を想定した任務群である。規定された陸軍でもなければ海兵隊でもない海軍の陸上制圧戦闘想定部隊に加え、艦載の海兵隊も伴う

海軍という本筋から逸れた部隊である為、人数は他軍部に比べ圧倒的に少ないこの少数部隊を、こんな所で損壊させたくないというアメリカの意思を表見させる登場だった

キャ(ようやくのご登場だし。遅すぎるっての。他国の都合に付き合わされる立場は辛すぎる)

急に現れた勢力からの機関銃掃射に、しかし、フランス魔術師たちは一瞬だけ怯む

致命傷とまではいかなくとも、既定・想定されていない銃撃に一部の霊装は破壊されるなどの被害を受けた

無論、流れ弾は白兵戦を強いられたイギリス側の戦闘員を後ろから狙い撃ちすることにもなったが、致命傷にはならない

結局のところ、急襲的な銃撃弾幕であってもその程度の被害しか出せないのだ。一般的な軍事力は

そして魔術に比べ、初速の慣性で弾丸を飛ばすだけという簡易で安易な攻撃は一瞬で対応され、その効果は悲しくも無に近くなる

それでも、イギリス側は損壊した霊装を突くなどして一応は効果を表し、応戦の幅は拡がる

キャ(分かっていたが、第二大戦からのM2ではこの程度が限度。せめて劣化ウラン弾クラスの威力が無ければ敵を怯ませられない。けども、あんな代物をこんな近海で使われる訳には絶対にいかないし)
917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:02:00.71 ID:R53xsbso
鎧に向けて石を投げつけているレベルまで攻撃能力が低下した米軍が居るであろう方向へ失望の目を向け、正面に迫る魔術師へカーテナと呼ばれる剣を持って

突き進む そして目標にした集団へ、本来ならば君主でない彼女が持っているはずのないカーテナ=セカンドを振るう

セカンドのもたらす絶大な威力を含んだ斬撃が小集団を襲う。当然のように弾け飛ぶ小集団。だがその飛びようは思っていた程度を下回り、再度立ち上がる魔術師

キャ「貴様らはゾンビかっての!!」

キャ(敵の勢いを止めることすら出来ない後方援護射撃のみとは。役に立たん!!役に立たんの、アメリカ!!)

直観的とも言うべきか、ここまでカーテナ=セカンドでも及ばない事から彼女は理解した。敵の援護術式は恐らく戦争の歴史とも言っていい大陸内の戦争歴史から逆転戦だけを抽出し、それらをモチーフとしてフランス国家のジャンヌ・ダルク伝説にまとめ上げたものであると

そんな膨大な知識量と技術量は当然、ローマ正教と言ったところだが、それをまとめあげ形にするのはとんでもない技量が必要だ

いわば必勝の魔術とも言えるその性能を発揮するには、それだけ高度な技量がいる。劣勢を逆転した歴史上の戦いのは、一つ一つに近しい物は有るだろうが全く同じではない。そんな物を纏めるには天才と呼ばれる魔術師がいくら束になっても無理だろう

教皇ですら無理であろう。技量があり、且つ人間離れした、それこそ天使のような能力を持つ者

キャ(神の右席、姿の見えない指導者。情報どーりの人間なら、有り得るし。開戦前にアレを見つけておいて良かったの)

立ち上がった小隊に止めの一撃を与え、生命を刈り取る。が、本当に死なす事が出来たかも不明だ

霧の中から、次の敵が現れる。有限なのだろうが、その数と霧の空間が、敵を無限大に感じさせる。相手の士気でも刈り取る効果もあるというのか

術式がこのままであるなら、押し切られる。だからと言って恐らく最後方で展開している術を止める術は無い。ならば前提である逆転術式に対して再逆転するしかない

キャ(馬鹿を言うな、そんな方法があるものか。あったら今ここで苦戦などしていないし!! )

彼女の脳内は戦闘と状況判断を両立させる。が、策は思い浮かばない。このまま奮戦して侵攻する敵を少しでも減らすことぐらいしかないか、と

その彼女の両サイドを極音速の電光が走った。電光は光。音速の比では無い。つまりこれは何かの物体が電光を帯びて高速で通過したのだ

そこまで彼女が気が付いた時、戦況にさらなる変化が訪れようとしていた
918 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:06:57.51 ID:R53xsbso
天使の名を冠したロサンゼルスの街を歩く少女があった

ボロボロのドレスを捨て、一般的には派手と言えるレベルだが彼女にすれば幾分も派手さのグレードを落とした衣類を身に纏い、片腕には今頃大道芸人の仲間入りを果たしているだろう男の為の衣類を持っている

学園都市の探査能力の程は高い。いくら外とは言えど、ロサンゼルス程の大都市ならば密偵が居てもおかしくは無い。派手にならないよう行動するならば、周りに溶け込む程度でなければならない

彼女にとってそれは若干不満だったが、とりあえずはほぼ全裸の天使に衣類を渡さなければ

物思いをしつつ歩いていると、行き交う人々、特にアメリカ特有の横にでかい人に当ってしまい、バランスを崩す

たまたま通りがかった紳士風の男性に受け止められ、転倒は防いだ

「すまねぇな、嬢ちゃん」「気にしないで、大丈夫よ」と流暢な英語の遣り取りで横にでかい男性の進行を促し、抱きとめてくれた紳士の方を向く

定規「ありがとうございます?」

?「気にしないでいい。良くあることだし、おじさんとしては嬉しいイベントさ」

定規「あら、良くあるだなんて言い方、子供相手にナンパです?」

?「いや、本当に良くあることなんでね。他意は無いよ。見たところ東洋人の様だけど、日本人かい?」

日本人か、と問われて、日本語で返答する

定規「良く分かるわね。おのぼりさんに見える?」

?「いや、こなれた感じはするよ。スラング混じりの英語もうまいし、街に良く溶け込んでいるんじゃないかな」

何か評価するような男の言い方に、思わず笑みをこぼす

定規「へぇ、公安の人みたいな事言い方をするのね」

?「ほぉ、スパイとかって言い方じゃなくて公安とはね。君はそういう仕事をしてるのかい」

定規「違うわ。パパの一人がそうなのよ。というか、まだ20にもなってないのよ。そんな仕事、出来ないと思うけど?」

?「いやいや、10を超えれば少年兵だっているんだ、子供という見た目を利用するのは特段珍しい事では無いよ。裏取引の運び人なんかは小遣い欲しさの子供が良く使われる。とある都市では警察組織の一員を学生がしているようだしね」

定規「偉く物知りなのね。でもお話がちょっと硬いわ」

?「あぁ、すまない。余計な話をしてしまったようだ。それじゃ、次は転ばないようにね。はやく服を持って行ってあげなさい」

最後の方はよく聞き取れなかったが、紳士的な日本人は一瞬で人ごみに紛れ、姿を消した

語尾の言葉に違和感を覚えつつ、少女は垣根の元へ歩む
919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:11:55.79 ID:R53xsbso
電光を帯びた何か放ったのは、英国の騎士でも魔術師でもなかった

キャーリサが振り向いた先に有ったのは、米国旗のマークが胸元にある何か。極音速の銃弾によって裂かれた霧に垣間見えた米国軍の何かは思った以上に軽装で、大型のライフルしか残っていなかった

キャ(違う。これは軽装じゃ、ない。比率がそう見えさせるだけだ)

一見すれば巨人の群であった

学園都市の軍勢がアヴィニョンを襲ったときに使用された駆動鎧についての報告は、もちろん彼女に上がっていた

情報露出となるため使われたのは最新式の物では無いだろうが、学園都市内で外部向けに開かれる公開展示で見られるグレードダウンしたそれよりは、確実にスペックを上回ったものが使われていた様だった

そのフォルムは限りなく無骨で、高速機動をするようには見えないが、高機動・高火力・高耐性を兼ねている

だが、今キャーリサの視界にあるそれは、格段にシャープで、且つ大型だった

駆動鎧なら、学園都市の現行モデルより更に上を行く見た目のそれは、右手に巨大なライフルを持ち、左手に玩具のようなM2ブローニングを装備している

人間の首から上を切り落としたかのような機械の巨人は、右手のライフルから電光を帯びた極音速弾を的確にフランス側の魔術師へ向け発射していく。単発式だが、狙いは的確だ

しかし、カーテナ=セカンドの力を持ってしても一撃で昏倒させることは難しい程の耐久力を得ている仏魔術師達はそう簡単に沈黙したりしない

回避は不可能であっても、カーテナ同様、吹き飛ばされても立ち上がる

だがソレは飛び道具である。数回行って立ち上がる魔術師部隊を見て、吹き飛ばされ立ち上がる前に次の一撃を加える。酷い時にはまだ衝撃で飛ばされている体へ追加の弾丸を当てるという芸当を為した

圧倒的とは言えないまでも、集団戦闘をかき乱す程度の働きが可能な、つまり異常に強化された魔術師に対して対抗できる駆動鎧が、視界内に溢れる

飛び交っていた爆音や怒号・悲鳴が大量に打ち出される極音速弾の音でかき消される

無論、やられている側も簡単には引き下がらない。数と絶大な防御力で押していたフランス魔術師たちは、新たに現れた脅威へも攻撃を向ける

現れた機械の巨人は強化されたフランス側の魔術師達やカーテナによって強化されたイギリス騎士たちと遜色ないほどの機動性を持っているが、万能ではなく、しかしイギリス側が思っていた程にも弱くない

強力な援軍としての効果は有った

力関係という面ではローマ正教の部隊をも引きつれているフランス側の方が優勢であったが、現場に出ていたフランスの指揮官は胸元の米国マークを見て、怯む

「……各人に次ぐ、あの機械巨人には攻撃するな!!」「敵は攻撃してきているんだぞ?!反撃するなと言うのか!?」

「この術式下にあれば、死ぬことはまず無い!!イギリスの連中だけを狙うんだ!!」「冗談じゃない!!俺たちローマ組は勝手にやらせてもらうぞ!!」

「 現場の指揮権はこちらにある!!指示に従え!!」「電磁波だ!!あのデカブツに高レベルの電磁波攻撃!!連携を削ぐくらいは出来るはずだ!!」

丁度半々程の勢力で構成されていたフランス・ローマ正教混成軍の目標はそれぞれ異なっていた。フランス側は報復、ローマ正教側は従わないイギリス勢打倒

一見して良く似ている目標は、少し視点を変えると全く異なる物となる。アメリカの扱いについてだ
920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:16:56.75 ID:R53xsbso
フランスからすれば、戦火を対アメリカにまで拡げれば、有利な形での戦争講和は取りにくくなり、国内アメリカ資本の総撤退を招く。そんなことになれば唯でさえ移民問題に端を発する雇用問題が、経済悪化で深刻化するのは目に見えている

ローマ正教からすれば、根本的に新教・旧教の長い対立問題もあるに加え、信仰の力を衰退させた科学のトップであったアメリカは、その自由主義という根本的に旧教に相容れない事もあって、究極的には打破目標である。そんな連中から攻撃されて反撃が出来ないというのは、納得できようはずもない

前線で、強力なアメリカ部隊という全くのイリーガルな壁にぶち当たったフランス・ローマ混成部隊は、連携が取れなくなる

そして何より彼らの強力なバックグラウンドで有った術式に、亀裂が入ることとなる

主体となった百年戦争の終端、実はフランス勝利の裏に危険なバランス問題があったことは有名だ。かなり簡潔にいえば、敗色が濃くなったイギリス は土壇場までフランスのとある有力諸侯に引き抜き工作をしていた。結局その諸侯が拒否したため、イギリスは挽回出来なかったが、歴史のifがあれば、フランスは内部崩壊に陥っていた可能性は否定できない

有力諸侯=ローマ正教魔術師部隊として置き換えれば、それは裏切ではないが、統一意志から逸れたことによって術式からの力供給は不安定化した

イギリス側は知ることは無いが、ジャンヌダルク伝説でありレコンキスタ成功であり十字軍の系譜でもあったその必勝の術式は、効果が非常に強かった反面、内部崩壊に非常に弱い性質を持っているのである

言ってしまえば、魔術戦には介入できないアメリカ軍という前提で成立していたのだ

そして、また状況は一変した

敵前線の後退である。押されっぱなしであったイギリス騎士団が、魔術師が、米軍機兵部隊の援護の元、反攻

連携もうまくとれず、力の供給が下がり、個々の力も下がった混成部隊は多くの死傷者を出し、前線が後退を始める

一時期はイギリス国土にも及ぶのではないかと思われていた前線は、戦域中央で立ち往生していた騎士団長の元まで後退した

既に彼と足元に倒れる神裂のみとなり、体の随所に夥しい出血・骨折・矢傷・etcを負いながらも奮戦し、傷よりも遥かに多い斃れた敵の山を築いていた彼の元へ複数の騎士と米機兵が到着

団長「……助かった。彼女を、頼む!」

敵から飛来する複数の杭のようなものを迎撃しつつ、彼は部下に命令する。その体には血の赤が滲んでいた。返り血だけではないだろう

「団長もお下がりください!このからは我々が引き継ぎます!!」

団長「私の体を気遣ってのセリフだろうが、まだお前たちには劣らん。敵が国土へ逃げ帰り、二度と我々に反抗する気が無くなるまで戦い抜くつもりだ!」

「しかし……!!」

米機兵が神裂の体を抱えて高速で下がるのを見て、3mの大剣を構えて敵陣へ飛び込む彼を部下は止める術を持たない

団長「安心しろ。この程度の敵に後れは取らせん」

一太刀のもとに複数の人間の上半身と下半身が永久にお別れすることになり、その太刀筋は止まることなく敵を刻み、フルンティングは切れ味を増していく

ボロボロの団長に遅れまいと、他の騎士も続く。士気も完全に逆転した
921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:20:12.97 ID:R53xsbso
最初に言っておくけど、立場上直接支援は出来ないわよ、と述べて、夕方に麦野達は佐天にアドバイスをした

準備に時間をかけ過ぎてはいけないという事

次の行動に出るときは間髪いれずに動く事

常に相手を騙すように考えて行動する事

そして自分の立場を最大限有効活用する事

具体的な手段や手口は教えてもらえなかった。彼女たちの立場を考えれば、当然であろう

暗部として活動できるということは、それだけの力を都市側に認められているという事。逆に言えば、それだけ脅威として映っている訳である

監視下にあるのだ。彼女たちが気軽なファミレスなどを利用するのはそう言ったものから目を隠す為の行為の一つなのだろう。4つのアドバイスも、恋愛相談という形で佐天には伝えられた

ただ、一つだけ有益な情報を教えてもらった。それは、都市の上層部が勢力争いで入り乱れ状態になっているという事

私達もあの白いのには手を焼いたから、消えてくれるならありがたい。ただ高確率で死ぬことになる、本当にするなら覚悟しておけ、と言い残した彼女らと別れた

そして完全下校時間がとっくに過ぎた深夜に、彼女は電車の最終便で第一学区まで走った

制服では目立つと思い、私服で肩掛けの少し大きめな鞄を持って深夜を歩く。急に路地裏に入ったり、適当な人物をわざと追いかけてみたり

何がしたいのか分からない行動であるが、これには意図があった

爆発現場の中央に居て、更には長々と暗部の連中とファミレスで話し合った。この立場を利用したのだ

佐天(今のアタシには、監視が付いてるはず。持ってる手掛かりが中央タワーの地下なら、そこまでたどり着く為に、それを利用するしかない)

わざと大きな鞄を持って深夜の第一学区を歩けば、その怪しさは滲み出る

あらかじめ調べた裏路地を遠回りする様に歩き、中央ビルへ

しかし、直接向かう訳ではない。わざと撒くかのように、途中まで確実にビルに向かうかのように歩いておいて違う急に方向へ向かうのを繰り返す

そして途中で陰に隠れ、完全に動かない

この辺りにはカメラも無く、まともに路地に入って探さないと見つけられない場所だ

どういう形であれ、ここで消えたなら、直接探す必要があるハズだ

佐天(ここまでやって誰も来なかったら唯の変質者だよね。ま、駄目だったら駄目で次を考えるしかないかなぁ)

鞄と体の密着面に隠したナイフに手をかけて、待つ
922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:26:07.32 ID:R53xsbso
何かの音が聞こえた

僅かだが、間違いなく。心臓の鼓動の方が良く聞こえるのではないだろうかというレベルだが、この静かで暗い空間で確実に聞こえた

ピタ、ピタ、という擬音が正しいだろうか、これだけ小さな音が聞こえるのだから、間違いなく近くに居る

ここにきて、緊張状態の中で、当然10代前半の少女はパニックになりそうになる

猫とかだったら良いのにと、思う一方で、考えてきたパターンが使えるように、心を必死で押さえつける

良く分からなかったが、男性のようなフォルムが通り過ぎた

佐天(どうしよう。このまま飛び出してナイフで脅しても、相手が強ければ意味無い。堂々と、見つかるまでここに居よう)

ナイフを直ぐに振れるように少しだけ鞘から取り出す。だが誤って指で刃を押さえてしまう。切れ味の良いそれは、簡単に少女の指肌を裂き、血をにじませる

仕方なくその指を口元に持って行き、なめとる

唇の一部とその下の肌に鮮やかな紅が残るが、少女には分からない

痛さが、血の味が、彼女を冷静にさせた。同時に自分が殺した自分の血の味で有るかのような気がして、その記憶を蘇らせる

引き返して来た男が、建物と建物の間の僅かな空間に身を隠した佐天の方を向く

暗黒という程暗くないその空間に、ボヤリと浮かんだ少女の覚醒しきっていないような表情と、唇周りに付着した紅色が、その男をゾクリとさせる

その男の方をゆっくりと見上げる

佐天「ようやく来たんですね。さんざん待たされましたよ。ま、良いです。本題に入ります。外部からのお届け物があるんですが」

「わざわざ接触を狙った理由はそれか。すまんが俺は下っ端なんだ。外部と言われてもな」

佐天「……そうですか。誘った人を間違えたみたいです。まぁ、いいですよ。雇い主が東の大陸方なんで、あなた方とは多分対立してるハズですし」

東の大陸、という言葉を聞き、男は僅かに表情を変えた。その変化を見落とさない

佐天「あぁ、すみません、口が滑りました。私は唯の運び屋なんで、外人連中と直接的な関わりは無いんです。使えないなら、他の手を使いますので、それでは」

「ちょい待ちな。わざわざ外部の人間と都市内部の人間の密取引のバイパス経路を目の前にして逃がすと思うか? 」

男を背に、笑みを浮かべ、そして元の表情で振り返る

佐天「んじゃぁ、捕まえます?こういうのは複数ルートを作って、大体はダミーなのが常識でしょう。これがダミーならアタシは唯の価値の無い無能力者ですよ?」

昔見た映画の内容から引っ張ってきた事を言ったが、あながち間違いではないだろうと適当を言った
923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:30:23.05 ID:R53xsbso
「ずっと手で刃物か何かを握ってるやつの言う事かよ」

佐天「だから唯の無能力者と言ったでしょう。こういうものちらつかせれば大体のスキルアウトの連中は逃げますからね。用心ですよ」

「それじゃ、ここで俺が逃げたらその辺のスキルアウトと変わらねえな。ちょっと待ってろ、上と掛け合ってやるよ」

離れた所へ行き、男は電話をかける

つまりの所、彼女は利用したのだ。管理側とすれば、性質上外部との裏取引は見逃せない。だが、ここで佐天なんぞを捉えても得るものが無い可能性が高いのだ

ならば、彼女を泳がせて標的からあぶり出した方が得るものが大きい。そう考えて彼女は利用した

この状況のもう一つの要因として、彼女が出したアメリカを意味させる言葉がそれに当る

少女にとっては思いの外であるが、この学園都市版公安とも言える管理組織のトップを牛耳っている統括理事員は反アメリカ派なのだ

そして良く考えれば不自然である彼女の発言も中学生らしい軽率さと判断してしまった、この追手の男が手柄欲に踊った結果だ

つまり彼女は幸運だったのだ

佐天(第一段階は、クリア。でもこんなところで浮かれる訳にはいかない)

今度は刃物で自らの皮膚を傷つけ、血を舐めとる。血の味がまるで死者の静かな怒りと憎しみを伝えているようで、彼女を冷静にさせる

電話を終えて、男が戻ってきた

「出来る限り協力してやることになった。必要な物があれば言ってくれ」

佐天「ありがとうございます。それじゃ、何か武器とか有りますかね。ナイフ一本じゃ、すこし心細くて」

「 拳銃程度なら幾らか用意できるぞ。ただ、ここには無いからちょっと機材を取りに行かなきゃならん」

佐天「それじゃ、まずはそれを貰っていいですかね」

「拳銃と言っても大きいからな。隠し持つためのホルダーなんかも用意していいか」

佐天「この上着の下に隠せるようなら、是非是非」

なんとなく、そのホルダーを持たせたいという理由が分かった

恐らく、発信器の類を装備させたいのだ

佐天(映画とかなら、アタシが標的に接触したときに襲撃とかするんだろうな。ついでにアタシも口封じで殺されたり)

佐天(この人らも馬鹿だよね。そんな簡単に殺される訳にはいかないから、銃なんて欲しがるのになぁ)

馬鹿とは言えど、そういう組織に所属している目の前の男の動きを観察する

カメラの位置を把握して、無駄なく目立たず動く。それに黙ってついていき、異常な集中力をもって技量を盗もうとする。無論、その原動力は自らに流れる血だ
924 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:34:06.90 ID:R53xsbso
米機兵を伴ったイギリス側が戦況を好転させ、逆にフランス側を追い詰めようと三分の一ラインまで来たところで、戦争の原因となった空中の陣が光を纏いだした

その光景を、英仏両軍とも驚いた様子で見ていた

今度は一体、何処へその刃を向け、どこの町を焼くのか。フランスは吠えた

騎士団長と共に前線で戦う第二王女もその光景を霧で霞む海の上でそれを見上げた

キャ(あれがまたフランスの国土を焼けば、フランスもなりふり構わなくなる。そーなればこの戦況もまた一転しかねない)

今でこそ優勢だが、自らの周りで奮闘する自国勢の姿はどれも所々に傷を負っている

前線から下がる部下も増えた。今一度逆転されると最早再逆転する目算は立たない

キャ(私ほどもあろー者が、神頼みとはな。情けないの)

キャ(自国側に被害が出た方が良いと願うのは、これっきりにしてほしいし)

陣を覆う雲が、眩い光と共に中心から裂けた。光線が、射出される

方向は英国側、だが

キャ「あの方向は……まさか?!」

思わず、攻撃の手を止め、ワンテンポ遅れて轟いた音に耳を傾ける

恐らく入るであろう連絡の為に前線から下がった

少し前線から離れた所で、予想通り通信が入る。耳に下げたイヤリングが振動して聞こえるこのラインは王家内のものだ

リメエア『貴女にも見えたでしょうけど、あの陣からの攻撃があったわ』

キャーリサ「こっちからも見えた。それで姉上、どこへ落ちたの? 」

リメ『米国海軍第6艦隊旗艦マウント・ホイットニー及びその周辺に展開していた駆逐艦、計7隻」

キャ「ということは、この戦いは」

リメ『つい今しがた母上と米仏大統領間で無条件停戦と講和についての会談が始まったわ』
925 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:38:49.53 ID:R53xsbso
キャ「無条件、だと!?ふざけるな!!あと少しでフランスの国土まで届くと言うのに、ここで退いては戦った意味が無いし!!」

リメ『良く戦況をごらんなさい。既に米機兵団は撤退を開始してるのではなくて?』

熱くなった自分を押さえて今一度前線に上る。一時的に霧をはらうと、確かに米の駆動鎧部隊は前線から消えていた

こうなってくると不利なのはこちらだ。態勢を立て直されて、また敵が強力になってはこちらの総崩れもおかしくない

キャ「……了解した。後は姉上のフィールドに任せる」

リメ『もちろん。それが私の役目なのだから』

そして王女は全イギリス騎兵・魔術師並びに海軍へ音声を飛ばす。この霧では撤退信号など見える訳も無い

キャ「ここまで押せば十分だ!!奴らも我々の恐ろしさを理解しただろう!!全軍撤退せよ!! 」

英国軍が退く。防衛戦で攻勢という状況下での撤退は、形式的には勝利だ

怖いのは追撃だが、同時にフランス軍にも撤退のサインが出たのだろう、フランス側も後退を始める

そうなると争う理由も消滅する為、ローマ正教隊も引き上げる

終わり方としては両者とも地上拠点を制圧し、有利条件下で講和・明け渡しと言う形式が最上だったが、こうなっては仕方が無い

本国を守りきった英国の勝利・侵攻に失敗したフランスの敗北だ だが、アメリカ主導の無条件講和という事で両国の面子は立つ。勝利したが得る物は無いイギリスと敗北したが失うものは無いフランス。両国魔術戦力が大きな痛手を負っただけの痛み分けだ。アメリカも失うものがあったので、三者全員の痛み分けもある

表向きには、ミサイルを用いない艦隊戦という訳のわからない状態は戦ったとは言えないので、両海軍の極端な接近による睨み合いと簡易な砲撃戦

つまり小競り合いという結果で終わることになる

この結果は、資金干上りで早期に終結を願っていたローマ正教側諸国にとっても受け入れられるものであった

だが、大きく評価の変わった国がある。アメリカだ

一般的な軍事力しか持たず、大規模な魔術戦では戦いにならないと思われていたところに、学園都市製とは異なる駆動鎧部隊で英国の勝利を導いたとして核以外の超戦力として認められた

科学側である駆動鎧の良いところは万民に隠す必要が無いことだ。魔術は間違い無く混乱を導くので公開は出来ないが、科学進歩のはての技術ならば問題無く万民が受け入れることが出来る

古き超大国の保有する強力な一般戦力の告知は、さらにローマ正教の相対的戦力低下を招いた
926 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/26(日) 05:42:33.40 ID:R53xsbso
まだ日が昇るにはまだ時間がある時刻に、第一学区の行政トップである中央タワーの前で少女は車を降りた

腰にはナイフ、左腋にはホルダーに入った銃を装備して、警備員用の出入り口から借りたカードキーを使って中に入る

目的地は一般に公開されている地下変電施設の更に下

エレベーターを使えばすぐだろうが、直通の経路は無いかもしれない。複数の経路の可能性を感じさせる程度にこのビルは大きいのだ

佐天(まずはアテを見つけないと、迷った挙句見つかるだけだよね )

あらかじめ部屋のパソコンで調べてきたマップを思い出しつつ、エレベーターへ向かう

夜になり、一定の施設を除いて真っ暗で人気を感じさせない屋内は嫌に無機質だった

施設中央に走るエレベーターまで夜間警備に当たる人は見えなかった

佐天(ここまで来て誰も居ないってことは、警備のおじさんとか無しでカメラなんかで死角無に監視してるってことか)

佐天(だとすると、誰も何もアタシの前に現れないってことは夜間にこう言う感じに人が来るってのは珍しい事じゃないのかな)

エレベーターに借りているカードを差し込み、行ける範囲で最下層に向かう

行ける先はやはり変電施設が止めだった

しかし規模が大きい。地下の巨大な空間に、巨大な発電施設が丸ごと入っているようだった

近寄って良く見ると映画や漫画で良く見る核のマークが描かれていた

佐天(変電に核って必要なのかな?ここで発電してるって言ってもおかしくないなぁ、これ)

コンコンと音を立てて核のマークが描かれていた場所を叩く。意味も無く音が響いた

時間は有限だ。いつまでもここに居ていい訳じゃない。仕方なく周りの壁にそって歩き、怪しいところは無いか調べる

時間を削って調べた結果は、何もおかしなところが無い、というものだった

佐天(おかしいな。もしこれが変電施設じゃ無く発電施設なら、工場や研究所があってもおかしくないのに)

佐天(いや、ちょっと待ってよ?研究にせよ工場にせよ、必要な物は電気だけじゃない。大量の資材が必要)

佐天(となると、いくら大きいとはいえ、中央エレベーターだけで必要物資が供給出来るわけがないよ)

佐天(思い出せ、佐天涙子。この建物の近くに資材を運び入れるのに十分な大きさが合りそうで、且つ地下へ大きな口をあけている場所……)

佐天(資材の搬入って言ったらトラックと列車。トラックって言えば、うーん、車?車なら搬入路。いや車って言えばここの職員だって使うよね)

佐天(職員が車で乗り入れるなら駐車場が必要……駐車場だ!!停車所から直で資材を運ぶラインがあった方が、いや工場ならそれが普通でしょ)

佐天(確かここの周り……じゃない、この辺一帯の施設の為の巨大な地下駐車場がまとまって北にあるじゃん。そこだよ、そこから搬入してるんだ!! うわぁ、かなり時間を無駄にしたっ)
927 :本日分終了のお知らせ[saga]:2010/09/26(日) 05:46:33.63 ID:R53xsbso
ほぼ全裸で、本人曰く昇天する天使のポーズとして、片足で立って両腕を僅かに開いて首を少し上に傾け両目をつぶった、自称天使の人間銅像を全力で演じていた垣根を手に入れたプリペイド式の携帯端末で隠し撮りした後、心理定規の能力を持つ少女はその男の元へ駆けよった

定規「へぇ、まぁボチボチってとこなんじゃない?」

垣根の前の箱に溜まった幾らかのドルを持って、少女は垣根の体を引っ叩く

垣根「お、よーやく帰って来やがったか。やっぱり駄目だな。股間周りを隠す為に羽根を集め過ぎて、キワドイ派手さに欠けたか」

定規「なにもそこまでしなくても、適当でいいじゃない。そーゆー趣味に目覚めたの?」

垣根「周りの同業者の完成度に合わせないと逆に目立つだろ?ここの奴らはヤベェクオリティをしてるからな」

定規「そ。まぁどうでも良いわ。とりあえずこれを着なさいな」

垣根「サンキュ、って随分と良いところで買って来たんだな」

定規「お金なんていくらでも手に入るからね」

垣根「汚れた金なんてすぐに使うに限る。って、案外普通の趣味じゃん。悪くないぜ、こーいうの」

少女は、殆ど着終わった垣根を少しもったいなく思った視線を向ける

定規「ホントはね、もっと私の趣味に合わせたのも買ってこようと思ったんだけど、変なオジサマに会っちゃって」

垣根「お前が会ってるオジサマなんつーのは、俺に言わせりゃ大概変人だがな」

定規「貴方の中身は一般人と遜色ないからそう思うんでしょうけど、その変人連中とは少し違う意味で変なんでしょうね」

垣根「おー?まさか惚れたか?お前ぐらいの歳の餓鬼ってなぜかオッサン趣味の気が強いんだよな」

定規「そんなんじゃないわ。ま、確かに変な魅力はあった。でもそういうのを抜きにしてよ。もしかしたら、私の上司と関係があるのかもしれない」

私の上司、という言葉で垣根の眼が変わる

垣根「なんだと?」

定規「厳密には分からないわ。話を若干振ってみたけど、かわされた。話を終える動きを見せたら向うから終わらせたし」

思う処があったのか、垣根は服の入っていた袋をひっくり返す。一枚のメモを取り出した

垣根「そいつは、俺の事を言わなかったか?今全裸だとか銅像してるとか服を着ていないとか」

定規「そういえば、最後に服を何とかとか言っていた気がするわ。女の私がブランドの男性側の袋を持ってたってのも有るんでしょうけど」

垣根「……やられたな。もう監視が付いてやがる」

小さなメモを少女に見せる。そこには時刻と英数字の羅列が書いてあった
928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 09:24:49.80 ID:4eLJ8sDO
929 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 09:36:19.53 ID:glVQB6Io
読みごたえがありすぎる
おつ!
930 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/26(日) 10:30:03.01 ID:IperKf6o
仕上たんマジ天使
垣根たんやや天使


佐天さんそろそろ爆死
931 :sage2010/09/26(日) 14:07:58.48 ID:SxIW.Hg0
話のスケールがすごいな
上条さんが財布受け取らなきゃこうはならなかったのに
932 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 14:26:42.18 ID:0HwpVkSO
佐天さんは早く爆散してクローンを全部よこしなさい
933 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 14:42:37.09 ID:Ixri7NAo
…え?
は佐天さん爆散時専用のセリフで頼む。検索で簡単ヒットしてうれしい
934 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 23:05:45.97 ID:AAOpJeQ0
天使さんカップルだけ随分と平和だなw
いや監視ついてるし色々と人間はみ出してて切羽詰まってるのはわかるが
一度ぶっ飛んで物語の中枢から距離が開いた分、第三勢力地味てきてる気がする

一応原作の覚醒ていとくん以下、通常第2位ていとくん以上あたりの戦力ではあるんだろうか
935 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 23:45:47.97 ID:mTweG2Qo
浜面に放射線耐性がついたから上条さんの
対消滅そげぶで発生するガンマ線とかに被爆する
心配がなくなったのか。
身体も丈夫になったみたいだし、上条さんの
良い参謀になってくれるといいな。
936 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 01:19:06.68 ID:Zallv/oo
やっぱりクオリティ高杉
次のスレタイどうする?
937 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 12:57:59.09 ID:Gr0YbGk0
【佐爆】浜面「俺が天使・・・だと?」




なんか色々すみません
938 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 13:13:31.58 ID:4RQNvR.o
【砂漠】【佐爆】
とか
【佐天さんは】【爆散よ】
とか
その辺を周りにつけてスレタイは今のままでいいんじゃない
939 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/27(月) 14:27:25.05 ID:SQQPWYIo
タイトルは作者に好きにさせろよww
940 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 20:50:51.95 ID:tpPEaj.0
ここってアンチ佐天の巣窟なの?
941 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 20:54:05.10 ID:4RQNvR.o
爆散させたくなる愛があってもいい、自由とはそういうものだ
942 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 20:54:21.98 ID:7wWdWxYo
最初から読め
943 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 20:54:34.97 ID:pAfZNdUo
>>940
これだけは言っておくが、書いてるオナニストは佐天さん大好きだからな!!
944 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 21:19:46.83 ID:bsldJqw0
まぁ俺らが佐爆させて欲しいだけだしな
945 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 21:34:58.32 ID:1D368Wwo
与えられた借り物の力で調子に乗ってあんだけはっちゃけて散々殺しまくって、
それでもあそこから改心して自分のやったことに後悔したり懺悔したりする展開を予想して
ぶっちゃけ最初はこのSSでそれなりにキーとなるキャラだと思ってたのに
この作者は「もういいや退場」って感じであっさり爆散させたからな
946 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/27(月) 21:36:24.66 ID:p9TGiYDO
ほら、よく言うだろ?
好きな子ほど爆散させたくなるって
947 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/27(月) 21:37:07.32 ID:dbSwfJgo
あれ、一周目で佐天さん爆散したっけ
948 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 00:56:22.53 ID:wgetL6AO
自爆したじゃん
949 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 03:41:47.03 ID:J2FAKESO
上条さんが来て爆散した
950 :すこし短め[saga]:2010/09/28(火) 07:14:47.68 ID:23vWxTAo
佐天「えっと、地上のビルがこうだから……」

答えに近づいたとて、相手は秘匿機関である。そう簡単には入口を提示してくれない

地下空間と言うのは、人の空間認識能力をかなり歪める。大阪梅田の地下街は、頻繁に工事などで経路が変更になることに加 え、その地上の街並みと相成って慣れているハズの人間ですら時折迷う程だ

当然、一般的に使用する人間が迷うようでは不便なので、地下駐車場の到る所に地図は掲載されている

毎日のルーチンとして使う人間はその様な地図を見ることは少なく、駐車して付近のエレベーターを使うので不便さを感じることは無い

こうしてこの地下に何かあるはず、と探す人間にだけ牙をむくのだ

もう何回目になるだろうか、壁にかかったこの地図を見るのは。ため息が出る

周りには車が多く停車されており、また入口 へ堂々巡りをしたという落胆が彼女を苦しめる

佐天(隠す目的があるならこの地図が正確に描かれているはず無いもんね)

佐天(しかし車多いな。深夜だってのに、みんな残業?お疲れ様すぎるなぁ)

広い上に無駄に区切りが多いこの空間は、幾度となく既視感を感じさせる。わざとそういう風に造っているのであろう

佐天(考えろ。この学園都市にはたくさんの能力者が居るんだ。私にはそれが無いんだから、考えて答えを見つけるしかない んだ)

佐天(でも御坂さんとかは自分の能力使って空間構造把握とかできるんだよね。やっぱり無能力者と違いがあり過ぎる)

佐天(はぁ、こんなところでコンプレックス出しても仕方が無いか。考えなきゃ。向うは能力者の襲来も考えてるはずなんだし)

佐天(そうだ、ここは学園都市なんだ。能力者の対策が無いわけないじゃん。構造を把握することが出来る能力者への対策装置があるハズ)

佐天(でも能力そのものをどうこうする装置じゃ、気付かれて偶然にここに何かが有るのが分かってしまう可能性もある)

佐天(てことは、無意識的に関係の無い方向へ誘導させるような仕組みが有るはず)

佐天(つまり、能力者への対策にもなって無能力者にも気付かれない)

佐天(そしてそれは、もし何かの影響を受けていると感じた能力者が居ても、簡単には気付かれない様に、あっても全く不思議の無いような隠れ蓑をしていると)
951 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 07:31:50.97 ID:23vWxTAo
佐天(その上、仮にゴールが近くなると意識を強引に捻じ曲げるために、その効果を当然増やすように出来ている……)

自分の周りを見渡した。今自分が居る場所は車両が多く正確には分からないが、一見すれば、入口の付近だろう

どんな駐車場でもそうだが、利便性の高い場所に多くの車が集まっている。この場合は地上へのエレベーターが近かったり、地下駐車場の入り口付近がそれに当るだろう。これは少しでも親などと一緒に巨大総合小売店に行った経験があればおのずと身に付く常識だ

もう一度、地図を見る。付近には地上へ出る経路は近くにない。ということは、ここは出入り口の付近となる。地図上も、そのように描かれている

少女自身も、さっきまではそう思っており、また迷って同じところに出たのか、という感覚に陥ったのだ

思わず口がにやける。無能力者にとっては単純な罠だったのだ

佐天(わかっちゃいました分かっちゃいました分かっちゃいました!!もぉし能力者なら、きっとこの辺に設置されてる車に偽装した装置とかで干渉受けて見つけることが出来ない様になってたんだろうけど、)

停車している車両を膝で蹴る。普通の車両なら表面が凹むだろうが、へこみは見られず、足に伝わる感覚は重く固い感触だった

痛いが、嬉しい

佐天(アタシ、無能力者ですから!そんな物には引っ掛かからないのだ!!)

思わず出た笑みを何とか押さえて、道路にあるタイヤ跡を探す。もしここが本当に入り口付近ならば、タイヤ跡は目立たない だが、もしここが地下施設の出入り口の付近ならば、大型車のタイヤ跡が目立つハズだ

際立つ太く曲がりの無いゴムの跡が目に留まる

押さえられない笑みを浮かべて跡に沿って足を向けた

彼女にとって幸いだったのは、高度な電子機器を使用しなったこともある。相互情報共有装置を標準搭載している警備員以上の、つまり都市の部隊の大半は、防衛のシステムに完全に知らずの内に掌握され、彼女の様に手掛かりを発見することなく通り過ぎてしまうのだ

どうせ地下駐車場だしと、手元にある高性能機器、携帯なんて時計がわりにしか使わなかったため、その仕組みにも引っ掛からない

だが、彼女は見落としていることがあった。自らに付けられた、発信器の事を

乗っ取り対策を施された機器ですら紛れさせる空間で、そのような単調なシステムはもちろん無効化されてしまう

彼女を泳がせて探っていた側からすれば、これでは意味が無い。当然、人間を派遣して追いかけさせるという判断を下す

彼らからすれば、噂話程度しか考えていなかった地下施設の事実は、他の理事員を攻め立てる取引カードになり、噂どおりなら脅威である

そこがアメリカとつるんでいるならば、なおさら見過ごすことは出来ない

破壊兵装を整えた少数精鋭部隊として、ブロックと呼ばれる部隊が、彼女の足跡を辿るべく、招集を受けていた
952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 07:40:25.45 ID:23vWxTAo
表面的には唯の睨みあいで終わったドーバー海峡での戦いの講和は、思った以上に早く終わった

イギリス側であったアメリカが関与国の思惑通りに、第三国としての立場で場を仕切ったことが一つの大きな要因である

イギリスもアメリカが味方に居なければ魔術師戦闘で押し切ることもできなかったし、フランスもそのアメリカが仲立ちして、イギリスに肩入れせず、無条件で終える事が出来るなら望ましいことである

表面的には事も無しで終わった戦いだが、イギリスとしては勝利国としてゴネたい所であるし、フランスとしても街が一つ焼かれた代償をどうにかしたい所ではあった

つまり、裏の事情を知っている人間からすれば、簡単には終わらないだろうという予測が立っていたのだ

しかし、それはことのほか早く終わった

そのことが病院の一室で身を休めていた騎士団長に伝えられた時、当然彼も驚いた。だが、その理由として伝えられた情報が更に彼を驚かせる

騎士団長「IRAのテロだと?」※IRA=アイルランド共和軍

「はい。規模から、現在武装の確認されているリアルIRA150名以外の活動も見られます。可能性としては、武装解除して時間の経ってない暫定派の関与もあるかと」

団長「魔術師系統の動きはどうなっている?」

「確認が取れている者から予測するに、およそ100名規模のバックアップよう魔術師が有るかと。現在は陸軍SASが対応しております」

団長「IRAと長年戦ってきたSASは対IRAの専門家とも言える。故に血生臭い過去を持つ為、相手を挑発させることにならなければいいのだが」

「我々が戦っている間は大人しかったのですが、向うにも魔術に精通する者も居ます。恐らく我々が傷ついて動けないと知っての事かと」

団長「それでも、女王陛下と議会の寛容対話政策で近年ようやく力を削ぐことに成功したばかりだ。有る程度の備蓄武装があるとはいえ、まともにぶつかり合っては今のSASにIRAは対抗できない。それを補うために人道的でない方法を取れば世論が付かず自滅するだけだというのに」

「それが、彼らは公共機関を占拠し主張を繰り返し発表してはいるものの、人質などは採っていない模様で」

団長「馬鹿な!?いくら魔術師の援護があるとはいえ、彼らの武装程度ではすぐにSASに押しつぶされるはずだ!SASは何をやっているのか?!」

腹部に力が入り、傷口から溢れた血が滲むが彼は気にしない

「……どういう経路で入手したのか判明しておりませんが、SASの突入を6回凌ぐ程度の装備を持っていることだけは事実です」

6回という数字を聞いて、驚きは更に大きくなった。なるほど、それだけの戦力があれば人質など必要ないだろう。そしてSAS側には結構な被害が出ていることになる。現場は及び腰になって慎重になり、能動さに欠けるようになってもおかしくない

「北アイルランドは騒然としています。突入6回失敗という情報はまだ押さえられていますが、メディアに漏れるのも時間の問題。これまでIRAのテロ行為はイングランドでも行われました。もしメディアにSASの苦戦が伝われば、少なからず本島の市民をも混乱させることは確実かと」

団長「女王陛下やリメエア様は講和に加え、早期にそれらにも対応せねばならぬというか。これでは申し訳が立たない。今すぐにでも現地へ向かう」

「お待ちを。騎士団長殿がその様におっしゃられるであろうとあらかじめ予測しておられた様で、陛下からお言葉が。”ともかく先に傷を癒せ。最前列に怪我人を加えるほどの余裕は、我が国には無いからな”とのことです」

彼の傷は、科学的に見れば十分に重傷だがそこまでのものでは無い。しかしフランス方の装備していた剣や槍・矢じりなどの直接傷を付ける部位に込められた魔術が、彼の傷の治りを妨げている
953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 07:45:40.70 ID:23vWxTAo
団長「……そこまで仰られていては、動けんな。だが、軍事を統べる者としてただ休むわけにもいかない。今ある限りの情報をここへ。頼めるか?」

「了解。参謀官と共に用意いたします。しばらくお待ちを」

頼んだ、という言葉を背に広い病室から部下の騎士が出てゆく。彼もまた傷ついていた

皆疲弊しているのだ、騎士として頂点に配列する者がこの様でどうする、などと考えていたところへ、ノックの音。準備にしても早過ぎる

どうぞ、と定型文を述べると、男が入ってきた

団長「確か、天草式の」

建宮「教皇代理、建宮斎字です。少々熱心にお話していたようですが、今、お時間は?」

団長「先程の者はしばらく戻ってこない。その間程度なら大丈夫だ。要件を聞こう」

建宮「それでは。この度は、内の女教皇を守りぬいて頂き、ありがとうございました。参ったのは、その礼です」

団長「そう固くならなくていい。それに、淑女を守るのは騎士の役割でもある」

建宮「いえ、我々も参戦していたんですが、他に手を取られていたので」

団長「天草式の奮戦は聞いている。感謝の言葉を言うのはこちらの方だ。私を含め、後方のアックア率いる相手に生き残っただけでも十分な戦果だろう」

自らが述べた後方のアックア、という言葉が頭のなかで反響する。あいつは一体何をしているのだろうか。まさか停戦と同時に帰った訳でもないだろう。イギリスに目的があるようだったが

団長「そう言えば、彼女、神裂火織の様子はどうなっている?意識は回復したのか?」

尋ねた騎士団長の言葉に、建宮斎字の表情が変わる

建宮「そのことで、少し。というよりそれが今日来た本当の目的でして」

団長「どうした?……まさか」

建宮「いえ、騎士団長殿が恐らく考えている様な状態では無いでしょうな」

団長「ならば、どうしたというのだ?」

建宮「……ひとつ、質問をば。我らの女教皇は 一 体 誰 の 手 で 前線から後退しました?」

団長「誰の手、と言われてもな。あの場に駆け付けた、恐らく米国の駆動鎧兵の一人としか言えん」

建宮「やはり、ですか」

考えるように視線を僅かに動かして、数秒の後彼は言葉をつづけた

建宮「実はですね、全英どの病院や教会にも帰還していないのです、我らの女教皇は」
954 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 07:55:52.68 ID:23vWxTAo
タイヤの跡を辿った先に有った大きなシャッターの側の非常口の扉を潜ると、短い廊下があった

持っていたライトを点けて照らすと先にまた扉がある

その扉には取っ手のようなものは存在していない。横に何かのパネルがあるだけだ。おおよそ、非常口にあるべきではないロック機構と言えるだろう

佐天(映画とかだったら、こう、銃弾で壊したら大概開くんだけど、ありえないよなー)

試しに銃を向けたが、これで壊れて二度と開かなかった場合が恐ろしく、諦める

さりとて、持ってきてもいない爆薬などで吹き飛ばすことも出来ず、少女は立ちつくし、なんだかよくわからないパネルを操作する

佐天(こんなとき御坂さんが居ればちゃっちゃと開けてくれるんだろうけど。いや、どう考えてもそういうのは対策されてるよね。電気系統能力者は結構数が居るんだし)

佐天(初春なら、あー、いやあのこはコンピュータには強いけど機械に直接触れるのは向いてないよね)

佐天(ふむ、これ、指紋認証?いや、違う。指の血管で判別するタイプとの複合型?全然わっかんないけど、本人以外駄目なやつだよねぇ)

音ともに唐突に電子パネルに浮かんだ"Matched and just opening please wait"の文字

お、お、あぇ?とだらしのない気の抜けた声を挙げ、彼女の目の前で扉が動きだした

恐らくは廊下の一つなのだろうが、両側の壁で光の線がリズミカルに踊っている。聞こえる重い機械駆動音

明らかに異質な空間であるが、彼女はそれを不思議にも違和感なく受け入れる。まるで経験したことがあるかのように。まるで知っている場所であるかのように

少し複数に道が分かれる場面もあったが、迷わず廊下を抜けて次に有ったのは少し広い空間。そこは薄暗く何かの支柱が多く突き出ている

持ってきた懐中電灯でその中の一つを照らし上げる。無機質な金属の円柱

佐天(なんだろう、これ。知らないはずなのに 中 身 を あんまり見たくないような)

彼女自身、なぜ中身が有るということを知っていたのか分からなかったが、そこまで頭が回らなかった

小さなモニターに浮かぶ幾らかの英語の中から適当に選択・操作し、円柱が動き出した

金属で覆われていた部分が上がり、現れたのは何かの培養液に浸かった複数の脳。各脳には電極と線が刺さり、それが上下に走っている
955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 08:00:16.91 ID:23vWxTAo
佐天(あ、あ、あ、やっぱり見たいものじゃなかった。この部屋に有る奴、きっと全部こうなんだろうな)

視線を円柱から避けて、他の部屋に繋がる扉のようなものが無いか見まわす。有った

その扉をくぐって有った先は同じように広い空間

所々に同じような円柱形のものが見えるが、大きさは所々違っていたりする

複数のモニターと一つの大きなデスクに向かって、白衣を着た何者かが座っていた

少女にはその見た目に覚えが有る

その人物へ向けて、左脇から取り出した拳銃をまっすぐに向ける

銃なんて扱うのは初めてのはずだが、右腕を少し伸ばし目にして左手を右手に添えるその持ち方は、命中率と即応性を備えた持ち方であり、少なくとも中学生の1少女が知るべきものではない

だが、そんなことは当然彼女の脳内で疑問としても浮かばない

?「予測より随分と早いが、やはり来たのだな」

白衣の老人がゆっくりと呟き、佐天の方を向く。その顔はやはりあの老人だった。恐らく、木原幻生と呼ばれる老人

幻生「その動作まで予想通り。だが時間は早過ぎる。内積した疑問も少ないのだろうなぁ。なぜ、私に銃を向ける?」

佐天「とぼけないで欲しいですね。私のクローン使って研究したり、戦いの道具にしてるのは一体誰ですか?」

幻生「……それが君をここまで連れてきた理由かい。ふむ、時間的には相応だ、仕方ない。それでも予想を破ったのは興味深いといえるか」

佐天「とにかく、今すぐに研究と製造を止めなさい!!既に生まれた子は解き放って!!」

幻生「こんな狭い空間じゃ、怒鳴らずとも聞こえている。もっと賢くなるべきだ」

何かの飲み物をすすり、マイペースに老人は口を開く

幻生「今の君では程度が低すぎる。ふふ、外はもう朝方か。鈍った思考ではなおさら気付きもしないだろうさ」

振り返って、老人は簡単にキーを叩く。同時に、佐天の意識は急速に睡眠状態へ移行した
956 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 08:05:43.33 ID:23vWxTAo
太陽が昇り始める時間帯。文字通り頭がお花畑の少女は目を覚ます

どうやら随分と長い時間寝ていたようで、記憶があやふやだ。自分は一体いくら寝ていたのだろうか

初春(えっと、昨日は非番で佐天さんと一緒に……?)

初春(あれ、そこからの記憶が無いや)

起きた状態が机の上のパソコンを前にしてうつ伏せだったので、いわゆる寝落ちしたのだろう

しかし不自然だ。寝落ちならば、なぜ目の前のパソコンは落ちているのだろうか

少し汗臭い自分の体も気になったが、まずは目の前の端末に電源を入れる

数秒で立ち上がったそれを操作して、異変に気が付く

初春(おかしいなぁ。昨日このPC立ち上げてないことになってますね)

基本的に毎日立ち上げているので、学校から帰っての数時間にログが残っていないことなどまず無いのだが、そうなっていた

違和感を感じて、パソコンの履歴では無く、ネットワークの履歴を調べる

同じように昨日の使用履歴は無かった。だが、それでも違和感は拭いきれない

初春(なら、使用ログの編集履歴は……)

当り。本来の彼女なら、完全に使っていないことにするならば、ここも分からない様に手を加えて有るはずだ

手抜きとも考えられるそれは、自分らしくない。というより命取りだ

こんなことをする場合と言うのは確実に学園都市の機密内容に踏み込んだときということになる

だが余程眠かったのか、全く記憶が残っていない。何を調べたのか。どうして調べたのか。なぜ中途半端な工作をしたのか。なぜ 起きたときPCが落ちていたのか

記憶が無いにしては不自然すぎる。せめて昨日何を調べたのか分かればコレは解決するだろうか

とりあえず書庫にアクセスしてみる。今まで対ハッカーの手法として確立させた方法で自分の動きを洗い出す

書庫で佐天涙子についての情報に触れ、そこから全く権限の違う場所へとんだようだ

初春(なんでわざわざ書庫まで開いて佐天さんの情報なんかを調べたんでしょう?)

調べた先に現れた組織名には見覚えがある。異様に権限が厳しく、というよりこのサーバー管理者しかアクセスできない様に設定されているデータベースに辿り着いた

こんな所へアクセスした記憶は、やはりなかった。どうして佐天涙子などというどこにでもいる無能力者から、こんな堅牢に辿り着くのか

昨日行ったことをもう一度繰り返し、それでも思い出されない記憶

こうなってくると残す手掛かりは佐天涙子本人だ。学園都市の機密に手を付けた証拠を片っ端から消し去り、可能性的には起きているかもしれないので、友人に電話をかける。だが

『おかけになった番号は、現在電波が……』
957 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 08:14:17.58 ID:23vWxTAo
「せっかく俺様が手をかけた術式を援護に出したというのに、使えんな」

言葉に怒気を孕んで、右方と呼ばれる男はなじる

傾国「使えないのはどちらでしょうか。指揮をとっていた側にも問題があるのでは?」

負けじとその前にたたずむ女も言葉を突きつける

フィアンマ「自国戦力の不甲斐なさを押し付けるな。だが、確かに俺様の予想に反してメリケン野郎が強力だったのは事実だ。それは認める」

傾国「……わざわざ貴方がこんな戦いに参加したのは、ローマ正教の援護という形式だけでない理由が有ると見受けていましたが」

フィ「あぁ、それな。どこかの不甲斐ない部隊が原因で潰れた、と言えるかな」

目の前の女が、腰にかかる剣に手をかけた

フィ「そんなどこの国にでもあるナマクラなんぞ俺様には脅しになんねぇよ。抜いてはそこが知れるぞ、フランスの切り札さんよ」

瞳に怒りを浮かべるも、その可能性は否定できない。フランスの聖剣がこの物には通じないという可能性は

傾国「バチカンの動きはこちらも把握しております。が、二度目の戦火は期待できぬかと。外圧に対処していたら、内政が疎かになったようで」

フィ「面倒だな、移民の国も。例え7割がカソリックでも、2割のイスラムに乱されるようでは」

講和が早期にまとまったのは、英国同様仏国も国内で問題が起きたからだ。旧仏領からきたイスラム系アフリカ移民の不満の爆発したというのが原因だが、どうも背後に大きな影を窺う事が出来る

傾国「それら不満の方向性を変えるための戦いでも有りましたから、一都市を焼かれたままで賠償も無しでは、悪化もおかしくは無いかと」

フィ「まぁ、馬鹿馬鹿しい両者無条件なんてものの原因のアメリカも欧州での海軍戦力を同じ攻撃で焼かれたようだがな。関与しなければ被害などなかったろうに」

傾国「あら、ご存じないので?撃沈とみられた第6艦隊の旗艦、同型艦が大西洋を本国へ向けての航行途中を確認されていますよ」

無論、無傷で。一体どこ所属の船なんでしょうねと付け加える

フィ「……やってくれやがった。いや、乗せられたのは俺様じゃないが、間接的には含まれるか。思い通りにされるというのも気に食わないな」

フン、と息を吐いて頭脳を回転させる

フィ「どうやら時代遅れの大国って評価は改める必要が有るようだな。姑息とも言えるがこの時勢だ、評価を改めた以上、回りくどい方法はかえって危険か」

女の前から身を離す。それを止めるかのように女が声をかけた。最大の疑問の真意を問いたかったのだ

傾国「……この戦いの事といい、バチカンが躍起になっているようですが、やはりあれは事実と?」

フィ「馬鹿か?フランスの聖女様が聞いてあきれるぞ。そうでなければ俺様が慌てて出てくるような羽目にはならないだろう。どこぞの教皇は必死になってまとめを図ろうとしているが、急過ぎる。イギリスとの戦いもこの様だ。間に合わないだろうな。せいぜい巻き込まれない様に、いや、結果は同じか。ま、頑張ることだ。じゃあな」
958 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 08:18:54.29 ID:23vWxTAo
本日分終了のお知らせ

今回のはどれも少々強引だったと思う。反省していまつ

で、今悩んでるのは次スレのことで
突入確定なんだけど、問題はこの端末でスレ建て出来るかどうかなんだよね
書き込みできるけどスレ建て出来ないってパターンも考えられるし
どーしたらいいかな
959 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 09:49:54.00 ID:Uxej7ISO
やはり魔術側にも犠牲が…

そういう事情なら誰ぞに立ててもらってもいいんじゃない
安価指定とかで

問題になるのは作者に無断で立てる事だからさ
960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 11:08:19.44 ID:0ArjgMgo

俺のねーちんがメリケン野郎の慰み者になるなんて……
961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 12:52:03.49 ID:NRgVq6so
作者が安価で指定して
〜というタイトルでスレ立てを頼む、ダメだったらすぐ報告して次」
って感じでいいんじゃない。
儂らは購読料代わりに喜んで立てるよ。


ああ、アメリカに渡した時点でイヤな予感はしたんだが、
流石アメリカ汚い・・・。
962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 14:22:06.28 ID:Q1OWXADO
ねーちんは残念だが佐天さんにフラグがたったのは喜ばしいな
963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/29(水) 02:13:02.88 ID:NYy4K/go
サテンさん実はクローンだったのか?
次はねーちんのクローンにでも期待だな
964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/29(水) 04:33:56.40 ID:KpmEsVg0
人工能力者の次は人工聖人か・・・

何はともあれ>>1
965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/29(水) 06:36:37.53 ID:f3GrQ660
>>1
そういう場合は安価指定して
タイトルの名前書いて建てればいいんじゃないの?
966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/30(木) 09:34:52.19 ID:Sq6PWHg0
お前らが佐爆佐別いうから俺も佐天さんの死亡シーン見たくなったじゃないかどうしてくれる
967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/30(木) 20:10:09.12 ID:.ythARY0
佐天さんには大物になってから爆散してもらいたい
968 :超バラバラ回[saga]:2010/10/01(金) 03:49:09.36 ID:xs/.L7Yo
蛙医師「やぁ、おはよう。10時半、うん、予測より少し早いくらいかな」

医師の問いかけに、だが、彼の目の前の上条当麻は答えない

もう一度体を見回し、脈や内臓の有るべき場所を擦る。元通りだ。恐ろしいほどに

頭をひねって原因を考えていると、目の前の男はようやく意識が有るような仕草をする

上条「あー、すんません。ちょっと集中してて」

蛙「ふぅん。まぁ、意識がはっきりしてるんなら良いんだけど……大丈夫かい?」

上条「まだ万全、って訳じゃないけど、こうやって会話する程度は」

蛙「予定より早いんだ、当然かな。ん、その様子なら大丈夫そうだ。面会謝絶も解除しておこう。表向き、君は階段から落ちて検査入院しているということになっているから、それで対応してくれるかい」

言って、ふと、上条の横にある総合的に人間の生命反応を示す機器にもう一度視線を移した

蛙「……質問していいかい?」

上条「っ、はい」

蛙「君はまだ、だね?」

上条「………………、はい」

蛙「そうか。ま、ここは君の部屋みたいなものだから好きなだけ居ると良いよ。何か協力できることとか、欲しい物とか有るかい? 」

上条「いや、そんな長居する訳でもないんで」

蛙「うーん。君からは偉く良い物を貰ったんだし、その対価だと思ってくれていいんだがね」

上条「えっと、んじゃあ、付近の無線ネットワークに接続できるような端末とか、そんなやつを。有ったらでいいです」

蛙「君のスペックじゃあ、既製品はついていけないだろうからね。そうだ、彼に作った物の予備があったから、それを調整したものを譲ろう」

上条「じゃあ、それで」

蛙「今日中には調整を終えるから、待ってくれるね?動きたいのは分かるけど、この数字じゃあ退院は認められない。君の驚異的な回復幅を見積もっても、とりあえず完成するまではここで休んでで欲しい。なに、退屈はしないだろうさ」

言い残し、部屋を出る蛙面の医師

残された上条は、さりとてやることも無く、ただ視線をうろつかせるだけ

部屋にノックの音が響く。看護師だと思ってどうぞと述べる

「お、お邪魔します。気分は良いでしょうか?とミサカは具合を窺います」「ちょっと、抜け駆けは許しませんよ、とミサカ は単独行動に目を光らせます」「ち、考えることは同じですか、とミサカは」「あの、私も居ますからねと(ry」

上条「おお、妹達か。ちょうどいいや、暇なんで話し相手になってくれるか?」

部屋の入り口で留まる賑やかな妹達を、上条当麻は招き入れた
969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 03:59:04.85 ID:xs/.L7Yo
一方「ほォう。そいつはめでてェなァ」

打止「それで私もわざわざ病院で定期健診する回数が減らせるの、ってミサカはミサカは大喜び! 」

彼にとっては久々の休日だった

どこかへ消えた第二位の削除が当面不可能となり打ち切られた為に休みとなったのだ

一方「他にも患者ばっかりなハズなンだが、片手間でそンな微小機械を開発しちまうたァ、流石としか言いようがねェな。先端機械開発者としてもトップクラスだ」

打止「でも開発に専念されると私達の調整してくれる人が減っちゃう事になるし、貴方のそれが壊れたとき、捕まらなくてどうしようもなくなっちゃうかもね、ってミサカはミサカは真面目に考えてみたり」

首にかかるチョーカーを指差しながら、幼い少女は応えた

一方「こいつの調整、ねェ。そう言えば、昨晩瞬断が頻発してたが、なンか有ったのか?」

打止「え、ホントに?!ってミサカはミサカは新事実に驚きを隠せない!」

頭に指を当てて、軽く左右に振る。どうやら少し考えているようだ

打止「ホントだ。学園都市の妹達だけネットワークから切り離されてる瞬間が所々に有ったみたい。でもなんでだろうってミサカはミサカは原因不明って顔に表してみる 」

一方「管理者のお前が理由分かンねェなら、どうしようもねェな。まァ、微笑機械を打たれる時についでに頭、見てもらうことにしろよォ」

打止「あれ、心配してくれてるの?ってミサカはミサカはあなたのちょっとした気配りに喜んでみたり」

一方「ハァ?お前が不調だとMNWに影響出て俺の行動に支障が出るかもしらねェからに決まってんだろ」

明らかに視線を逸らして言った一方通行を見て、打ち止めは頬を緩める

打止「素直じゃないなぁ。そんな悪い子にはお仕置き、ってミサカはミサカはネットワーク管理者権限を乱用してみる」

一方「天下の往来で死んだ魚のモノマネさせようってか?止めろ馬鹿、止めてください」

打止「それじゃ、今日一日は私の言うこと聞いてね、ってミサカはミサカは脅してみたり」

一方「ハァ、仕方ねえな。付き合ってやらァよ」

打止「わぁい。見たい映画があったんだよーってミサカはミサカははしゃいでみる」

一方「あーあー、でもまずは病院に行きましょーねェ」

元気な子供の後ろ姿を見守るように、彼はすごすごとその子供の後ろをついて歩いた
970 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 04:06:52.09 ID:xs/.L7Yo
土御門「この都市自体の破壊を狙う連中?冗談にしても、もっと捻ってほしいぜよ 」

アレイスター「残念ながら冗談のつもりは無いのだよ」

土御門「そんなことが可能なら今頃バチカン連中が大挙して押し寄せてる。冗談でなければ何だ」

アレ「君たちも心当たりは有るだろう?」

土御門「クローンみたいな連中を言ってるなら筋違いだ。あのレベルの兵隊をそろえるのが都市外で無理なのは一番お前が知っているはずだろう」

アレ「……ふむ。では少し外堀から説明しようか。私は統括理事長という肩書きで彼らを管理している。彼らのパワーバランスを操作する事で維持している保守構造は君も理解している通りだろう」

アレ「しかし、そのバランスを保って来れたのは、私という権限に肩を並べる存在が無かったから、という限定下だったからでね」

土御門「つまり、比類する者が現れると、統括理事達を抑え込めないとでも言いたいのか」

アレ「その通りだ。察しが良いな」

土御門「それこそ冗談だろう。この地球上、どこにそんな奴がいる。造反が増えているのは事実だろうが、だからと言ってこの都市自体の破壊をもたらすような戦力が背景であるとは言えないだろう」

アレ「そう言えるのは、学園都市がこの世界中で最も科学が発展し、巨大魔術組織に狙われても押し返すことが出来る程の戦力と経済力を保持している、という前提を君が持っているからだな」

土御門「なにが言いたい? 」

アレ「君の想像を超える存在がこの学園都市に干渉している、と言えば話が早いか」

アレ「その存在は最近科学に飽き足らず、魔術にも食指を伸ばしている。土御門元春、君は先のイギリスとフランスでのいざこざについて詳しく知っているかな?」

土御門「お前の言う存在が原因の仕事がせわしなくあったおかげで、その辺の学生と変わらない程度だ」

アレ「ではまず、君の本国と連絡を取ることだな。そうすれば、君にも見えてくる現実があるだろう」

土御門「じゃあ、そうさせてもらう。呼び出しておいて、核心を隠した言い方。全く持っていちいち気に障る」

アレ「すまない。だが、君はあまりにも情報不足のようだ。少々この場所に染まり過ぎたか」

ビーカーの中に浮かぶ人間が視界から消えた。というよりむしろ、土御門の方が彼の目の前から消えたのだ

結標「今日は結構長かったんじゃない?」

土御門「ここの住人と話をすると気疲れするのが難点だにゃー」

結標「私も話してる間中待たなきゃならないし、面倒ったらありゃしないわ。こっちもこっちの用事があるっての」

土御門「本当にアイツは他人に迷惑をかけるのが得意ぜよ。ま、俺も話終わったし、あわきんもよーじとやらに行けばいいんじゃないかにゃー」

結標「そうさせてもらうわ。これでまた急に呼び出し食らったら、私が乗り込んで奴の心臓に杭を埋め込んでやる」

土御門「物騒だにゃー。だが女の子を急に呼び出すなんてアイツも良い御身分ぜよ。ま、俺も俺でやることできたっし、駅まで飛ばしてくれ ると助かるんだがにゃー」

結標「人をタクシー代わりに利用しようとするあんたも十分良い身分だと思い知りなさい。ま、特別に許したげるわ」
971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 04:11:46.92 ID:xs/.L7Yo
海原「人払い、ですか」

某女子中学生の登校を見送って、やることも無くなった海原(仮)は消費しかねた生活雑貨を捨て、買い換えようと街を歩い ていた

そして、あからさまに周りの人間がいなくなった空間に突入した

海原「わざわざ自分を狙うなんて。さて、誰でしょうか。出てきたらどうです」

彼の後ろに有った建物の自動ドアが開く

ドアの駆動音が聞こえるとすぐに懐に隠し持つナイフ形の霊装に手を伸ばした

正確に標的だけを絞らなければならない彼の装備は、性質上一発の攻撃を外すわけにはいかない

ドアから距離を取るように前へ跳びつつ体を反転させて自動ドアの有る建物の方へ体を向ける

?「簡単に背中を取らせすぎだ。貴様を頼るのはやはり無駄なようだな、裏切り者」

海原「その声は、ショチトルでしたか。良かった。もう少しでバラバラにしてしまうところでしたよ」

言葉を聞いて少女は彼の左脇の辺りを見る。なるほど、黒曜石のナイフの先端が少しだけ上着を切り裂き、その切っ先は彼女に向いていた

ショチトル「なるほど、組織を裏切るだけの技量は有るということだな」

海原「眼鏡にかなってうれしいところですね。それで、あなた今頼る、と言いましたか?」

ショ「そうだ。組織を裏切り、学園都市で安穏と暮らしているだけの貴様にな」

海原「寝首を掻くにしても、もっといいやり方があるでしょうに」

ショ「その通りだ。だが、頼る、と言ったのは間違いではない」

海原「自分は組織の裏切り者なんでしょう?なぜ頼ることに?」

ショ「……組織の連中が前にアメリカの学芸都市を襲撃したのだ。それは成功したが、報復が先日あって…… 」

ショ「国境沿いの前線基地はもちろん、本部まで一気に制圧された」

ショ「場所は完全に秘匿のハズだったのだが、資金源の麻薬取引から手が伸びてきて」
972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 04:17:54.18 ID:xs/.L7Yo
ショ「奴らの開発した駆動鎧で一気に、だそうだ。そして私と同様に学園都市に潜入していたテクパトルとトチトリからも、本部陥落の連絡の後からずっと音信不通になった」

ショ「彼らがやられたとすると、持っていた原典が奪われた可能性もある」

海原「原典?!なんでそんな代物を持って前線に繰り出したりしだんです?なにが起きたらそんなことに」

ショ「老人は死んでテクパトルが実権を握ってしまったからな。本拠地を失い、迷走していたとはいえ指導者を失い、翼ある 者の帰還は事実上完全崩壊だ」

ショ「身分自体は貴様も私も同じものとなった。……だが、私はこれを持っている」

少女が褐色の肌をグイッと押し付ける

皮膚に覆われている肉が有るであろう部分が怪しく光を発し、皮膚の内側に書かれた文字が海原の衣服に照らし写される

何気なく、その文字を読もうと脳が行動を起こした瞬間、彼の頭脳に途方も無い衝撃が走る

「ぐ、う、ァァあああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

耐えられず、彼は叫び、文字から視線をそらす

海原「ッ、な、なぜあなたがこれを、こんなものを!?」

ショ「全て貴様を粛清する為だ。だが、皮肉にもこれを貴様に使わずに済んだことで、安心しているんだ、私は」

海原「こんな物の力を借りれば、自己崩壊します。あなたは私を殺す為に自分をも殺すつもりだったんですか?! 」

ショ「そんなこと、決まってるじゃない……。貴様が、お兄ちゃんが裏切ったから、こうなった!!私はどうしようもなかった!!」

海原「……テクパトルですか?いや、もう誰が原典に体を取り込ませるなんてことをやったかなどは関係ないですが」

ショ「……貴様を殺す為に、学園都市に入ったテクパトル達をわざわざ追って殺したとすれば、アメリカの連中は原典に目を付けて ることになる」

ショ「裏切り者を粛正する為ならともかく、私達に益無く奴らにただ奪われるだけなんて許されない、許したくない」

ショ「だから貴様を頼ったんだ。もう、私には貴様しか居ない。……だから助けて、お兄ちゃん……」

少女の最後の呟きのような声は、だが確かに、男には伝わった
973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 04:21:35.51 ID:xs/.L7Yo
土御門を移動させて別れた後、結標は連絡のあった所へ向かっていた

連絡の主は不明。しかしその内容が、彼女の心を揺らす

【仲間を解放したくは無いか】

たった一言のその内容が、彼女は無視できない

彼女の事を調べれば、それなりの力のある組織ならば、彼女がなぜ暗部などに居るのかわかる。それは不思議でない

だが、少し考えればわかることだが、学園都市内の組織が彼女にこのように言ってくること自体が危険なのだ

彼らは彼女にとって最高の人質であり、学園都市最高クラスの空間移動能力者を好き勝手できるツールとして、学園都市は失いたくない

故に、彼女にそんな連絡をとってくる組織は学園都市にはない。仮に現れても、その組織は一瞬で潰れてきた

彼女の能力に目を付けた連中はたくさんいたが、故に目を付けられ、暗部の手によってこの世から消されてきた。彼女自身、暗部の仕事で自分を引き抜こうとしてきた組織を潰したこともある

そういうことがいくらかあり、最近では彼女にそういった手を出してくる組織などいなくなった。同時にそれは彼女に学園都市の管理下でしか彼らを救う事が出来ないという確固たる事実を知らしめる働きをももたらした

結標(ほんと久しぶりだわ。またどうせくだらない結果に終わりそうだけど)

結標(手紙、なんて古典的な方法を取ってきたのはあなた達が初めてよ。ご丁寧にサラシの中に捻りこんでくるなんて、一体 どうやったのかしら)

つまり、彼女が気になったのはそこだった

自分が女性であるということを圧倒的に他人へ知らしめるその部位へ、メモのような紙が入っていた事である

彼女自身、そんなところを触れられたことなどここしばらく無い

手品のようななんらかの方法で無いならば、それはかなりの精度を持った空間移動能力者が勧誘側にいるということだ

そんな存在が居るとすれば、もちろん結標という存在は改めて必要でないということになる

つまりその組織の目的がグループの結標淡希を、つまるところ学園都市を牛耳る者たちの結標淡希を奪い、その戦力を低下させようとたくらんでいるということになる

自分を戦力に取り入れることが目的では無く、敵の戦力を削ぐためという目的は今までにない

そこまで胸元に挟まっていたメモから考えて、そこに同時に記されていた場所へ、彼女は向かった

結標(もしかしたら、今回は本当にうまくいったりなんて、期待するだけ無駄よね)

その程度に彼女は考えを留めていた
974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 04:28:18.34 ID:xs/.L7Yo
昼。昼食が終わったころに後輩は現れた

「御坂ー。またあの子来てるわよー」

そう言われて教室の入り口を見ると、後輩がうれしそうな表情で手招きしていた

御坂「はいよー、何の用?」

白井「いえちょっと。こんなところで立ち話もなんですので、すこし歩きませんか?」

御坂「うーん。まーいいわよ。次の授業移動教室じゃないしね」

白井「それでは」

白井に連れられ、しばらく他愛のない会話を続ける

すこし人が少なくなったところで、白井が話題を変えた

白井「お姉さま、当麻さんの面会謝絶が、今朝解除されたようですわ」

御坂「え、ホントに?! 」

白井「はい。表向きは階段から落ちたので頭脳検査の為に入院したということになっていますが」

御坂「その方がアイツらしいけど、それなら逆に今朝まで面会謝絶だった理由にならないわね」

白井「ええ。あの現場で大怪我をして入院、の方がよっぽどしっくりきますわ」

御坂「だと今度は、大怪我ってのが噛み合わないのよね。こんなに早く面会謝絶が解かれる訳ないし」

白井「まぁ、それは実際に会って見て、判断をしたらいいではありませんか」

御坂「そうね。放課後にでも会いに行きましょ。黒子、今日は非番だったわよね」

白井「私の予定を覚えていて下さるなんて感激ですの。放課後は校門でお待ちしておりますわ」

御坂「わかったわ。で、それで、こんな人気のないところに連れてきた理由は何?」

白井「佐天さんが、今日登校していないそうです 」

御坂「そう。それで?」

白井「初春の調べでは、昨日、第一学区で男性と共に路地裏から出てくるのをカメラがとらえております。ちなみに佐天さんは私服で」

御坂「……状況だけで考えたら、買春して帰れなくなってのが妥当ね」

白井「性格を考えたらそんなことは無いと思うんですがね。でもそれだけじゃありませんの」

白井「昨日学校から佐天さんと共に帰った初春が、今朝までの記憶を無くしており、その間に初春自身と思われる者の手で第一学区について調べていたそうです」

御坂「……それも聞いたら、まるで三流の推理小説じゃない。最悪なのは、佐天さんが何かに巻き込まれたことが現実ってことね」
975 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 04:39:40.33 ID:xs/.L7Yo
短いですが、こんなもんで本日分終了のお知らせ
3日かけてこの程度とか遅筆すぎる。吊ってくる

このスレでの公開オナニー投下はしません。多分

みんなにきいたら安価しろってことなんで
>>980踏んだ人、次スレ建てお願いします

もし無理だったら無理だったとここに報告してください
その場合は>>981お願いします
スレタイの両サイド【】の中身はお好きなように。別になくても構いません
真ん中は今のスレタイに2を付けたもので

何を書いてもいいといったけど、俺、佐天さん大好きなんだ…これだけは考慮にいれてくれ

べつに【ゆけっ涙子!】【大爆発だ!】でも良いけどね…
976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 04:56:53.34 ID:wDj3U2DO


【佐天さんが好き過ぎて】【爆散させたくなる】
977 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 06:32:15.32 ID:2RhnDWg0
>>1
続き楽しみにしてる訳よ
978 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 08:24:50.21 ID:a/k5eYSO
>そんなところを触られたことなどしばらくない



しばらくってどういうことだおい
979 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 09:53:45.79 ID:8hSEWCEo
【あわきんご無沙汰】【佐爆しろっ!】
980 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/10/01(金) 10:31:55.08 ID:NYUS4SAo
乙乙
続き楽しみ
981 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/10/01(金) 10:36:33.00 ID:NYUS4SAo
安価踏んでいたので

上条「なんだこのカード」その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi?bbs=news4gep&key=1285896943&ls=50

スレ立て完了
982 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 10:39:56.49 ID:8hSEWCEo
V2Cで開けなくてちょっとテンパった
983 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/10/01(金) 10:43:10.22 ID:NYUS4SAo
うちギコナビなんだけど何か不都合あったらごめんよ
984 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 10:44:42.24 ID:2RhnDWg0
>>981
985 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/01(金) 11:21:11.21 ID:xs/.L7Yo
>>981
ありがとうございますなんだよ!
これで公開オナニーが続けられるんだよ!

そう言えば禁書のターンを書くの完全に忘れt(ry
986 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 11:29:43.89 ID:lLZUbQAo
>>978
「俺が毎晩触れてるよ」とでも言いたいのかい
987 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 12:44:47.16 ID:zN4As52o
>>986
ばっか俺が触れてんだよ
988 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 12:51:43.15 ID:8hSEWCEo
触れ んだ
989 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 13:16:08.85 ID:VI2rHIDO
上条さんがもたもたしてたせいで色んな所で死亡フラグたってるな
誰も死なず(佐別)にってのは難しいのかなやっぱり
990 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 14:48:01.22 ID:fmnM4RU0
そこで安価ってのがよくあるパターンだぜ。
あ、勿論ここの>>1は別よ?
991 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 19:35:29.56 ID:VI2rHIDO
>>1000なら佐天さん死なずに二期でも大活躍
992 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 22:23:48.35 ID:fmnM4RU0
>>1000なら佐天さん、腹に巻いた爆薬でアレイスターごと自爆
993 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 22:51:43.21 ID:Uhm6W2oo
>>1000なら佐天さんがチャオズ
994 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 23:12:05.91 ID:olSLdhMo
乙梅誘導
上条「なんだこのカード」その2
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285896943/
995 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/01(金) 23:14:31.31 ID:8hSEWCEo
むしろ
チャオズ「さよなら佐天さん」
996 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/02(土) 01:54:05.48 ID:ohqfwGoo
ふみだい
997 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/02(土) 05:16:10.03 ID:1TRdmrg0
>>1000ならここのサテンさんも第四波動
998 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/02(土) 07:18:01.06 ID:gdglHTwo
埋め
999 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/02(土) 09:26:27.82 ID:OL.kYADO
999
1000 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/02(土) 09:28:50.80 ID:z4XVZgw0
>>1000なら
麦のん主人公
1001 :1001Over 1000 Thread
    ´⌒(⌒(⌒`⌒,⌒ヽ
   (()@(ヽノ(@)ノ(ノヽ)
   (o)ゝノ`ー'ゝーヽ-' /8)
   ゝー '_ W   (9)ノ(@)
   「 ̄ ・| 「 ̄ ̄|─-r ヽ
   `、_ノol・__ノ    ノ   【呪いのトンファーパーマン】
   ノ          /     このスレッドは1000を超えました。
   ヽ⌒ー⌒ー⌒ー ノ      このレスを見たら期限内に完成させないと死にます。
    `ー─┬─ l´-、      完成させても死にます。
        /:::::::::::::::::l   /77
       /::::::::::i:i:::::::i,../ / |
       l:::/::::::::i:i:::、:::/ / |
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       /:::::::;へ:::::::l~   |ヌ|
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カナのかくれんぼ家5代目 @ 2010/10/02(土) 08:50:58.67 ID:Wuk6EtIo
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【サンマDE】CLUB-ほにゃ8【網ーゴ】 @ 2010/10/02(土) 05:55:51.88 ID:JOv397YP
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1285966551/

少しだけ愚痴につきあってくれませんか? @ 2010/10/02(土) 03:26:11.08 ID:M90OrwAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1285957571/

今日死ぬから何でも聞いて @ 2010/10/02(土) 02:54:54.17 ID:sz.3u.SO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1285955694/

唯「ポケモンだよ!」 @ 2010/10/02(土) 01:38:09.69 ID:eWhKJ620
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