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HTML化した人:lain.
美琴黒子佐天初春「貴方たちを全力で倒す!」 vs 上条一方通行「……やってみろ」
1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 18:24:51.65 ID:/WCxYmg0
禁書サイドと超電磁砲サイドが交わればどのようになるのかと思い、スレ立てさせてもらいました。
矛盾が出ないよう原作も読み込みましたが、一応、原作未読者の方も読めるようにしています。
結構長くなると思います。一応バトルとシリアスものを目指してるつもりですが拙い表現もあるかもしれません。
あと「禁書サイド」=「魔術」っていうわけではありません。ここでの「禁書サイド」は世界観じゃなくて登場人物を指してます。
取り敢えず投下していきます。
2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 18:26:40.76 ID:tH6lqrE0
しえん
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 18:30:21.48 ID:/WCxYmg0
学園都市――。


美琴「喉乾いたわね……」

美琴は、とある食堂に入る――。
食堂、と言っても実際は内装が洋風の洒落た店内だ。メニューも、女の子向けばかりの軽食が揃っており、学園都市の女子学生たちに人気だった。

美琴「黒子も初春さんもジャッジメントの仕事だし、佐天さんは学校で補習。暇なのは私だけか……」

美琴はカウンターに向かい、レモンティーとサンドイッチを注文する。グラスの乗ったお盆を受け取ると、彼女は窓際の席に座った。

美琴「何よみんなして。暗い顔しちゃって…」

見渡した所、店内にはある程度女子学生たちが来客していたが、みな、あまり明るい顔をしているとも言えず、どちらかと言うと暗い表情を浮かべて会話をしていた。

美琴「以前4人で来たときは、店内は黄色い声で溢れかえってたって言うのに…。本当に今時の女子学生っ?って思うほどテンション暗いわね……。まあ、仕方ないけど…」
美琴「長居したってつまんないわね。帰ろうっと」

席を立ち上がり、グラスをカウンターに返そうとしたところ、美琴は誰かと衝突した。
相手が持っていたお盆が床に落ちる。

美琴「あ、ごめんなさい!」

女の子「大丈夫大丈夫。もう食べ終わったところだから」

美琴「そう、でも手伝うわ」

美琴は床に落ちた紙くずを拾い、ゴミ箱に捨てる。

女の子「ありがとう。いい人ね。みんなが疑心暗鬼になってる今では、ちょっとした気遣いが胸に響くわ」

美琴「どういたしまして」

ニコッと笑顔を見せる美琴。女の子も笑顔で返した。

女の子「あ」

美琴「どうしたの?」

女の子「席にケータイ忘れちゃったわ」

美琴「そう。じゃあ、私はもう帰るから」

女の子「うん、またね。元気でね」

美琴「貴女もね」
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 18:41:22.25 ID:gNYZGno0
女の子は忘れた携帯電話を取りに行くため、席に戻って行った。
美琴はそれを見届けると、食堂を後にした。

美琴「さてと、どこ行こうかな…」





ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!





――直後、激しい音が爆ぜ、突風が美琴を襲った。
視界が揺れに揺れ、身体が浮遊するような感覚を味わった美琴は、誰かの叫び声が自分の耳を突き抜けてくる中、鈍い音と共にアスファルトの地面に叩き付けられた。

美琴「ぐっ……!!」

何が起きたのかも理解出来ず、耳に霞がかかったような状況で、美琴は何とか身体を動かしてみる。
どうやら五体満足であることは確かなようだ。ところどころ、肌から出血してはいたが。

美琴「い……たい……」
美琴「あ………」

口中に血の味を噛み締めながら美琴がゆっくりと目を開けると、そこには誰かが倒れておりその人間の身体中から大量の血が流れ出ていた。

美琴「……死んでる……」

急いで辺りに視線を巡らせてみる。
煙が周囲を覆い、モノが焼ける臭いが鼻をつんざく。
明瞭とも言いがたい光景の中に浮かび上がってきたのは、何体もの死体と鮮血に染まりまくった地面だった。

「痛い痛い」

「いてぇぇ……チクショウ…」

「誰か助けて……」

幾つもの悲痛な呻き声を聞き、何とか身体が動くことを確かめた美琴は、側にあったポールに手を預け、よろよろと立ち上がった。

美琴「…………………」

つい2分前まで美琴がいた食堂の入り口からは黒い煙が吹き出ており、店内の状況は壊滅的と言えた。

美琴「………店が……無くなってる……」

阿鼻叫喚の地獄の中、美琴は茫然とその光景を眺めていた――。
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 18:43:24.05 ID:gNYZGno0
すいません、用事があるので一旦離脱します。
後でまた来ます。
ではまた。
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 18:55:52.36 ID:jneUOQDO
早ぇよ!
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 19:00:54.81 ID:b1LypQDO
一方さん一人で超電磁砲側は詰みだなww
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 19:02:39.93 ID:tH6lqrE0
>>7確かにwwwwwwww

作者の腕に期待だな
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 19:05:26.58 ID:qwa.OjY0
たとえレスが遅かろうと必ず完結してくれれば文句はないんだよ!というわけで超支援
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 19:09:42.05 ID:DJ.KmQY0
超支援!
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 20:07:59.38 ID:SR.vTOEo
問題は一方さんの弱体化か…?
でも正直あの二人が敵となると、神の右席レベルでも厳しいと思うぞww
そこんところどうするかだよなぁ…ま、厳密に考える必要はないか…ww
打ち止めが味方だと一方さんには勝つの簡単だしね。
いや、もしかすると御坂は一方さんに勝つことが可能なのか?
上手くジャミングが出来れば……
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 20:58:42.03 ID:b1LypQDO
>>11
ジャミングするにしても一方さんのチョーカーに関する予備知識が必要だろうしなぁ…
それに美琴相手なら電気使うの分かりきってるからチョーカーを能力で守りながら戦いそうww
まあ下手にジャミングしても黒翼が…

>>1の手腕に期待だな
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 21:06:21.33 ID:Kfa0uMco
あの杖が対ジャミングのジャミング装置なんだがな
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 21:14:17.91 ID:tH6lqrE0
>>13

時系列によるだろ。
19巻以降ならどうしようもないが、それまでなら勝てる・・・多分
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 21:15:10.40 ID:SR.vTOEo
あの杖は特定の周波数のみ有効じゃなかったか?
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 21:37:22.40 ID:W7ersAAO
>>15
その特定周波数の設定のために一回喰らっとかないとダメだしね
事前に周波数が分かってれば別だけど
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 22:09:59.77 ID:Vf2bu9U0
支援ありがとうございます。
取り敢えず先は長いのでのんびりとお付き合いして頂ければ幸いです。
では少しですが続き投下します。
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 22:14:14.12 ID:Vf2bu9U0
ジャッジメント第177支部――。

美琴「っ…」

黒子「我慢して下さいましお姉さま。かすり傷で済んだのが不幸中の幸いでしたわ」

哀しそうな表情を見せる黒子に腕を見せ、美琴は応急処置を受ける。

初春「……御坂さんが無事で、本当に良かったです…グスッ」

美琴「泣かないでよ初春さん…。私はもう大丈夫だから、ね…」

初春「はい……」

支部には、黒子と初春がおり、美琴負傷の報を聞くと、佐天も馳せ参じて来た。

佐天「あ、御坂さん、ニュースやってますよ!」

美琴「え?」

4人は部屋に備え付けられたテレビに目を向ける。

『今日午後4時13分頃、喫茶店『ファニーランド』で発生した爆発事件についての続報です。
アンチスキルによると、現場は学区内に住む能力者たちの女子学生たちの憩いの場所となっており、死傷者は少なくとも10人は越す模様です。
現場で採取された形跡から見るに、アンチスキルはこの爆発は意図的に起こされたものとして捜査を進めており、同部隊隊長は、この件について『能力者たちが多数集まる「ファニーランド」を狙った爆発テロとして、警戒レベルを上げると……』

佐天「…また、テロですね」

黒子「今回も能力者が狙われてますの……」

初春「これで、今月に入って5件目…。しかも被害者の中には無能力者もいることから、無差別テロであるのは明らか…。もう嫌です、こんなの……」

佐天と黒子と初春が、元気の無い声で話す。
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 22:16:46.96 ID:SR.vTOEo
不毛な議論しちまった。
悪かったな、1
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 22:24:06.07 ID:mH9WXJw0
黒子「テロだけでなく、学園都市の要人暗殺も行われてますの。それどころか一昨日には、レベル4の学生が何者かによって殺害されています」

美琴「やっぱり…本気で今、学園都市ってやばい状況にあるのね…。こんなんじゃ、うかうか外出も出来ないわ……」

美琴は握り締めた手を見つめた。

美琴「……………………」

そして彼女は、先程自分が巻き込まれた爆発現場の様子を思い出す。

美琴「(私……あの時、何も出来なかった……。大勢の人たちが苦しみ、死にそうだったのに……)」

彼女は悔しそうに顔を歪める。

美琴「(何がレベル5よ……何が『超電磁砲(レールガン)』よ。傷ついた人も助けられない超能力者に何の意味があるの!?)」

美琴の葛藤に気付いていないのか、黒子たち3人は会話を続ける。

黒子「ネット上では、『学園都市崩壊のXデーはもう間近』などとも噂されてますの…」

初春「何で……こんなことに……私たちはただ、普通に生活してただけなのに……」

黒子「学園都市の外では、私たちを『普通』ではない、『化け物』と称している方々や団体が増え始めてますの。彼らによれば、私たちは脅威であり、排除すべき対象とのことですわ」

佐天「確か、『神に背く者には鉄槌を』って言って、色んな国の色んな秘密結社の工作員が学園都市に潜り込んでる、って噂も聞きます。もしかしたら、一連の爆発事件はその人たちによるものなんじゃ…」

黒子「可能性は充分有り得ますわね。どちらにしろ、我々『風紀委員(ジャッジメント)』や『警備員(アンチスキル)』が全力で対策を行っているので、すぐに事態は沈静化しますわ」

美琴「なら、いいけどね……」

黒子佐天初春「…………………」

美琴の言葉を機に、4人は一斉に黙りこくった。
21 :>>19あれぐらいなら全然大丈夫です[saga sage]:2010/06/07(月) 22:32:31.43 ID:mH9WXJw0
初春「ところで、固法先輩遅いですね……。確かお昼頃から、アンチスキルとの合同捜査に向かっていたはずですけど…」

黒子「そう言えばそうですわね。連絡もありませんし……」

Prrrrrrrrrrr.....

その時、支部の電話が唐突に鳴り始めた。

佐天「あ、電話だ」

黒子「固法先輩ですわきっと。どれどれ」

ガチャッ

黒子「はい、もしもし。こちらジャッジメント第177支部の白井と申し……」
黒子「………えっ!?」
黒子「…そ、それは本当ですの??」

突然、黒子の表情が一変した。

美琴佐天初春「???」

黒子「………そんな…」
黒子「………何で…」

幽霊でも見たような口調で、黒子は言葉を搾り出す。

美琴「何? どうしたの黒子?」

初春「白井さん?」

佐天「何かあったんですか?」
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 22:40:21.52 ID:mH9WXJw0
美琴たちが心配して声を掛ける。

黒子「分かりましたわ……。これから向かいますの…」

トーンを低くし、黒子は震える手で電話を切った。

美琴「ちょっと黒子? 何があったのか言いなさいよ」

顔面が蒼白になった黒子の顔を見、美琴は異常な空気を察知する。
そして、黒子は静かに、一言だけ呟いた。

黒子「……固法先輩が……」

美琴「?」





黒子「…死にましたの……」





美琴佐天初春「……………え?」

衝撃的な事実が、4人を襲った。
そして、彼女たちはこの時知る由もなかった。これが、地獄の日々の始まりを告げる合図だったことに――。
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/07(月) 22:42:46.06 ID:mH9WXJw0
ごめんなさい今日は終わりです。
なるべく毎日来れるようにするので、そこは安心して下さい。
支援ありがとうございました。
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/07(月) 22:44:38.79 ID:tH6lqrE0
乙!

これは期待するしかない
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/07(月) 22:50:02.71 ID:FgcAg/U0
乙!
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 00:04:15.81 ID:N5jpWgA0
乙ん
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 01:49:51.13 ID:.xr7Dok0
しかしスレタイのセンス.....
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/08(火) 13:51:18.62 ID:UTweQYQ0
>>27


味があっていいじゃないか
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 15:31:00.46 ID:Y6iX/6go
期待
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 21:47:16.86 ID:0/g74E.0
こんばんわ
投下していきます
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 21:52:46.22 ID:0/g74E.0
第7学区・とある病院――。

美琴「先生!」

カエル医者「やあ君たちか」

黒子「固法先輩は? どこですの!?」

初春「死んだなんて嘘ですよね!?」

佐天「だって昨日まであんなに元気にしてたんですよ!!」

懇願するような表情を浮かべ、美琴たちは固法の検死を担当したカエル顔の医者に詰め寄っていた。

カエル医者「残念ながら……」

カエル顔の医者がまるで自分の身内が死んだように静かに答える。

黒子佐天初春「そんな……!!」

初春「…先輩……固法先輩………やだぁ……グスッ…ヒグッ…」

佐天「初春、大丈夫…?」

初春「だって……何で……急に…」
初春「わあああああああああああああああああああん」

耐え切れなくなったのか、初春が泣き始めた。

佐天「初春……グスッ…泣いちゃ、駄目だよ……グスッ」

佐天も初春に影響されたのか声に嗚咽が混じる。

黒子「……どうして…こんなことに…」

カエル医者「……………」

美琴「先生…」

蛙医者「ん?」

美琴「ならせめて……固法先輩の遺体と……会わせてください…」

黒子「お姉さま…」

美琴「最後に、最後だけでも……今までお世話になったお礼を言っておきたいんです……」

美琴はカエル顔の医者を見据えて頼み込む。
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 21:56:22.20 ID:mIR1MwYo
ウォフ?
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 21:59:42.48 ID:0/g74E.0
黒子「そうですわ……。私も同じです。先生、お願いしますわ」

佐天「あたしからもお願いします!」
佐天「ね、初春も、そうでしょ?」

初春「ヒグッ……ヒグヒグッ…はい…グスッ…お願い…じまず…」

4人は目に涙を浮かべてカエル医者に懇願する。
無言でそれを見ていたカエル医者だったが、やがて彼は口を開いた。

カエル医者「……それは無理なんだよ……」

美琴黒子佐天初春「何で!!??」

カエル顔の医者の言葉に美琴たちは抗議にも似た声を上げた。

カエル医者「僕としても会わせてあげたいんだがね?」

美琴「じゃあ、どうして!!」

カエル医者「“物理的に”、不可能なんだよ…」

黒子「物理的?」

一言聞いただけでは、カエル顔の医者が何を言っているのか分からなかった。
彼も美琴たちの表情を見てそれを汲み取ったのか、ゆっくりと言葉を付け足した。

カエル医者「ああ……何故なら彼女は…」





カエル医者「爆死したからね」





美琴黒子佐天初春「え………」

美琴たちの脳内が真っ白になった。
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 22:03:54.29 ID:gCag4Yko
おっぱいが爆発したのk
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:06:27.61 ID:0/g74E.0
ジャッジメント第177支部――。

初春「グスッ…ヒグッ…ヒッグヒッグ…」

美琴「……………」

黒子「……………」

佐天「……………」

静寂な室内に、初春の嗚咽だけがこだまする。
黒子は手にした固法の遺品である歪んだ眼鏡を見つめていた。

佐天「……まさか、固法先輩も爆発現場にいたなんて…」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カエル医者「固法くんは、あの爆発に巻き込まれて死んだんだ」

美琴「そんな……!!」

カエル顔の医者は美琴たちから視線を外し、事の顛末を打ち明けた。

カエル医者「たまたま、テログループの手掛かりを求めてあの喫茶店にいたとの話みたいでね?」

美琴「じゃあ…私と同時刻に店内にいたんだ」

カエル医者「その可能性が高いね?」

美琴「………………何で…」

言葉を失くす美琴。それを横目で窺い、黒子が訊ねた。

黒子「では、固法先輩の遺体は……」
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:10:29.21 ID:0/g74E.0
カエル医者「無い…と言えば、嘘になるね?」

黒子「え?」

カエル医者「正確にはある。だが、“ある”だけだ」

佐天「先生、それってどう言う……」

初めは、カエル顔の医者の使う日本語がおかしいのかと思った。
だが、次に彼が発した言葉を聞き、美琴たちは衝撃を受けた。



カエル医者「君たちが見るもんじゃない」



美琴黒子佐天初春「!!!!!!!???????」

カエル医者「これは現場に残ってた彼女のものだ。君たちが持っておくんだ。いいね?」

そう言ってカエル顔の医者は懐からある物を取り出し、黒子に渡した。

黒子「これは……固法先輩の眼鏡…」

初春「固法先輩……」ガクッ

急に、初春がその場に崩れ落ちた。

佐天「初春! どうしたの!? 初春!!」

佐天が初春の身体をゆする。

カエル医者「ショックで気絶したようだね? ちょっと病院のベッドを借りるといい」

黒子「……ではお言葉に甘えさせてもらいますわ」

佐天「……じゃ、あたしが運びます。よいしょ……」

佐天が初春をおぶる。
美琴はその光景を見て、口中に一言呟いていた。

美琴「(固法……先輩……)」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:16:42.58 ID:0/g74E.0
美琴「私が……あの時、店内の固法先輩に気付いていれば、あるいは…」

悔しそうに、美琴が話す。

黒子「お姉さま、もう過ぎたことです。今更仮定の話をしても仕方がありませんわ」

佐天「白井さん……」

美琴「黒子…過ぎたことだなんてよく言えるわね」

黒子「私だって…グズッ……本当は…ヒグッ…どうしようも…グスッ」

黒子の言葉に嗚咽が混じり始めた。

御坂「黒子……」

佐天「やめてよ白井さんまで…。みんなして、泣かないでよ…。初春もさあ、いい加減泣き止んで……」

初春「だって…グスッ…だってだって…ヒグッ」

佐天「何言ってるの初春……グスッ…あれ?…何でだろ……あたしまで…グスッ」

部屋に3人分の嗚咽が響く。

美琴「何よ、佐天さんまで……」

佐天「そういう御坂さんだって……グジュッ」

美琴「え?あれ? …何でだろ?」

美琴は自分の目元に触れた。小さな水滴が指についた。

美琴「う……う……」

黒子「おねえ……さま…まで…グスッ…」

佐天「……みんな…ヒグッ…泣き虫…なんですね…グスッ」

初春「……御坂…さん…グスッ」

美琴黒子佐天初春「わああああああああああああああああああああん」

限界だった。彼女たちも所詮は普通の女子中学生でしかなく、感情を制御する能力までは持ち合わせていなかったのだ。
顔を見合い、4人は互いを慰めるように寄り添って泣きじゃくっていた。
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:20:10.05 ID:0/g74E.0

『臨時ニュースです!! 先程、第6学区で大きな爆発が……』

『昨夜、自宅で殺害された科学者の服に付着した髪の毛から…』

『見て下さい!! あの煙! まだ避難を終えていない生徒たちが中に……っ!!』

『カメラを止めろ!! ここはアンチスキル指定立ち入り区域だ!!』

『現在、一部の学区でスキルアウトたちによる暴動が起きているとの情報が…』
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:26:21.96 ID:0/g74E.0
翌日・ジャッジメント第177支部――。

初春「……………」ウツラウツラ

部屋の一角にあるスチールデスク。そこで初春は、電源が点いたままのパソコンを前にして座っていた。
頭がリズムを刻むように上下に揺れる。

初春「はっ!」
初春「……ダメダメ」ブンブン

目下、初春は眠気と格闘していた。

初春「……………」ウツラウツラ

ピトッ

初春「ひゃう!」

初春の目が大きく開かれる。どうやら冷たい何かを頬っぺたに押し付けられたようだった。

初春「あ、佐天さん…」

佐天「大丈夫? ちょっと休んだら?」

初春が顔を向けると、缶コーヒーを持った佐天がそこに立っていた。
佐天は初春に缶コーヒーを渡す。

初春「ありがとうございます。でも、今は休んでる暇は無いですから……」

ゴクゴクと初春は行儀よく缶をあおる。

佐天「そうだよね……」
佐天「白井さんは大丈夫?」

佐天は後ろに顔を向けた。黒子がデスクに座りパソコンのキーボートを叩いていた。

黒子「当たり前です。徹夜など、ジャッジメントにとって日常茶飯事ですわ」
黒子「しかし眠いことも確か……ふぁーぁ…」

佐天「白井さんも缶コーヒー、飲みます?」

黒子「ではお言葉に甘えて」

佐天「はい」

黒子に缶コーヒーを渡す佐天。

佐天「無理は駄目ですよ」
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:33:00.25 ID:0/g74E.0
黒子「ありがとうございます」

佐天「それで、どうです? 何か新しいこと見つかりました?」

黒子「見つかるも何も……所詮はジャッジメントに回ってくる情報なんて限られてますの」
黒子「一連のテロ騒動や要人暗殺に関する重要情報はアンチスキルの方で一元化して管理されてますし、私たちが触れられる情報は僅か」
黒子「一応、管轄区内として、昨日の『ファニーランド』での捜査は我々に任されてる部分は大きいですが」

佐天「で、テログループの尻尾とか掴めました?」

黒子「ダメですわ。せいぜい分かるのは爆発現場で死亡が確認された学生たちの直前の行動や友人関係のみ。しかし、やはり彼女たちから犯人の足跡を辿るのは無理ですわね」

佐天「そっかー。じゃあ初春は?」

初春「zzzzz......」

佐天「あらら、寝ちゃってる」

黒子「初春も徹夜でしたからね」

佐天「みんな頑張ってるんですね」

黒子「…殉職した固法先輩を殺した犯人を見つけるまでは、絶対諦めませんの。それは恐らく初春も同じはず」

佐天「悔しいですよね……」

黒子「ええ、とても……」

一時、静寂が漂った。

『新しい情報が入ってきました』

その時、テレビからニュースを報せるアナウンサーの声が聞こてきえた。

佐天黒子「!!」

『第7学区の学生2名が行方不明となった事件について、捜査を進めていたアンチスキルは事件発生から4日後の今日、更なる情報を求めて学生2名の顔写真を公開しました。2日前の朝、『友達が帰らない』という通報を受け、アンチスキルが捜査を開始していましたが……』

佐天「今度は誘拐事件ですか…っていうか、最近誘拐事件もかなりの頻度で増えてますよね……」
佐天「何かもう学園都市、世紀末状態じゃないですか……」

黒子「上から小耳に挟んだ話ですが、現在、学園都市には各国の工作員だけでなく、特殊部隊、秘密結社、新興宗教団体などが紛れ込んでまるで戦国時代の様相を示しているそうです。噂では、『内戦勃発』も間近だとか…」

佐天「あたしたちは、どうなるんでしょうか?…正直、恐くて仕方ありません」

黒子「大丈夫ですわ。学園都市がそう易々と崩壊することは有り得ません。所詮、他国の工作員だろうが、軍隊だろうが、こちらには能力者が五万といるのですから」

佐天「……なら、いいんですけど」
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:40:40.58 ID:0/g74E.0
とある公園――。

美琴「………まただ。またあいつが来ない」

自動販売機の側のベンチに腰掛け、缶ジュースを飲む美琴。

美琴「ここ1週間、あいつの顔全然見ないわね。もしかして避けられてんのかしら?」

美琴は空を仰ぎ見、溜息を吐き出す。

美琴「いい天気ねー。こうしてると、平和なんだけどねー」

顔を正面に戻し、続きを飲もうとした美琴の目にある人物の姿が映った。

美琴「あれは……!!」




インデックス「………とうま……」トボトボ

公園の一角を、彼女は暗い表情のまま歩いていた。頭の中に10万3000冊の魔導書を記憶するイギリス清教会の修道女――インデックスだった。

美琴「ちょっとあんた!!」

と、突然インデックスは声を掛けられた。

インデックス「え?」
インデックス「うわ、短髪!」

急に美琴が現れたためか、お化けを目撃したように驚くインデックス。

美琴「うわ、って何ようわって」

インデックス「………」ダッ

何故かインデックスが、慌てたように逃げ出そうとする。

美琴「あ、こら逃げるな!」

ガシッ

咄嗟に、インデックスの腕を掴む美琴。
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:47:29.73 ID:0/g74E.0
インデックス「は、離すんだよ短髪」

ニャ〜

インデックスの胸の中の三毛猫、スフィンクスが鳴いた。

美琴「ちょっとあんたに聞きたいことがあるのよ」

インデックス「知らないんだよ知らないんだよ。とうまは何も関わってないんだよ」

美琴「はあ?」

インデックス「はっ!」

しまった、と言うように口を両手で塞ぐインデックス。

美琴「あんた、あいつ…上条当麻がどこにいるか知らない? 近頃見かけないんだけど」

インデックス「私は何も答えちゃいけないんだよ」

美琴「何言ってんの?」

必死に何やら弁解するインデックスに対し、美琴は怪訝な顔をする。

ニャ〜

インデックス「わっ、駄目だよスフィンクス。黙ってるんだよ!」

ニャ〜

インデックス「じゃ、じゃあ私はこれで行くから!」

美琴「え、ちょっと待ちなさいよ」

インデックス「短髪も気をつけるんだよ」

美琴「え?」

それだけ残すと、インデックスは走り去っていった。

美琴「あ、逃げた……」
美琴「もう、逃げ足速いわね…」

美琴は呆然と彼女の姿を見送る。
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 22:55:05.34 ID:0/g74E.0
夕方・裏通り――。

泡浮「随分遅くなってしまいましたわね」

湾内「早く寮へ戻りませんと」

夕日が落ち始めた頃、常盤台中学に通う2人のお嬢さま――泡浮と湾内は寮への帰路に着いていた。

泡浮「にしても、本当に学園都市はどうなってしまうのかしら?」

湾内「恐いですわね」

不安を口にする彼女たち。

ズッズウウウウウウウン!!!!!

その時、遠くの方から何かが爆発する音が聞こえてきた。

湾内「今のは……」

泡浮「とても遠くに感じられましたが、またしてもどこかで事件かテロが起こったのでは……」

2人は顔を見合わせると無言になる。

湾内「………………」

泡浮「………………」

湾内「…急ぎましょう」

泡浮「ええ」

小走りになる2人。そう広くもない道を彼女たちは2人して駆ける。
辺りに人はおらず、先程の爆発もあってか、彼女たちの焦燥感は増しつつあった。

泡浮湾内「!!??」

急に立ち止まる2人。

泡浮「…あ、あれは…?」

湾内「……何でしょう? 嫌な予感がします。迂回した方が良さそうでは?」

2人の視線の先に、夕日を背にして立っている1人の男がいる。
ポケットに手を突っ込んだその男の顔は逆光になっていて判然としないが、どうやら湾内と泡浮の2人をじっくり見つめているように見えた。

泡浮湾内「……………」ゾクッ
44 :少し休憩[saga sage]:2010/06/08(火) 23:02:51.64 ID:JOGmnjk0
2人の脳裏に、最近頻発中の行方不明事件が蘇る。
視線をゆっくりと交わした2人は踵を返し、急いで別の路地へ逃げ込んだ。

泡浮「ハァハァハァ……」

湾内「ハァハァハァ……」

泡浮湾内「!!!!!」

また立ち止まる2人。
彼女たちが恐怖の視線を注いだその先には、先程とはまた別だが1人の男が立っていた。
その男の背後の空は既に暗くなっていて、顔は判然としない。

泡浮湾内「………っ」

寄り添った2人が来た道を引き返そうと後ろを振り向いたとき、彼女たちの目の前に、また男が1人立っていた。

泡浮湾内「!!!!」

恐らくは、先程の通りで待ち伏せしていた男だ。

泡浮「いや……」

湾内「た、助けてください……」

泡浮と湾内は弱々しく言葉を搾り出す。
しかし、2人の男たちは彼女たちを挟み撃ちにするように徐々に距離を縮めてくる。

泡浮「通報……しますわよ!」

携帯電話を取り出す泡浮。
後ろから迫ってきた男が泡浮の携帯電話を奪おうと触れた。

泡浮「やめて!!」

咄嗟に泡浮は手を引っ込める。

湾内「来ないで……」

男たちとの距離は既に半径2メートル以内。
泡浮と湾内は前から迫ってきた男に視線を向けた。

男の口元が、不気味に歪んだ――。
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/08(火) 23:32:59.06 ID:tieMzLI0
C
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 23:37:50.30 ID:hR4QmeM0
時間は少し遡り…ジャッジメント某支部――。
連日のテロや殺人・誘拐事件などの影響を受けてか、室内は普段より何倍もの学生たちで溢れていた。

「本部には連絡取れたのか!? アンチスキルは何て言ってるんだ? 全然、情報が回ってこないじゃないか!!」

「スキルアウトの暴動だぁ? 知るかそんなこと、他の支部へ回せ!!」

怒号が飛び交い、熱気が充満する。元々、学区内でも比較的施設が大きかったためか、現在ここに詰めているジャッジメントの学生の数は50人近くに昇っていた。

「支部長〜!」

「あ?」

1人の女子生徒が慌てて支部長と呼ばれた男の下に駆け寄ってきた。彼女の手には1つの箱が収められている。

「何だそりゃ?」

「たった今、アンチスキルの方がこちらの物を届けに来ました〜」

「箱?」

「何か、昨日起きた放火事件の現場に捨ててあったものらしいです。アンチスキルでは調査優先レベルが低いとのことでこちらに回してきたとか」

「チッ、俺たちはアンチスキルの残飯処理じゃないってのに……。しかも忙しいこの時に。もういい。俺が調べとくからお前は仕事に戻れ」

「分かりました」

女子生徒が机に戻っていくのを見届け、支部長は箱に手をかけた。

「一体、今更何だってんだ。………って、何だコリャ?」

箱の中には、粘土状のものと時刻を刻むデジタル式の表示盤が入っていた。

「………時計?」

何か、様子がおかしい。しかし、今こうしている間にも、表示盤に刻まれた数字は「00:10」……「00:09」と1つずつ数字を減らしていっている。

「!!!!!!!!」

嫌な予感が、支部長の頭を過ぎった。

「お……

カッ!!!!!!!!!!!!!!!

箱を運んできた女子生徒に声を掛けようとする時間すら許されなかった。
直後、ジャッジメント支部は一瞬で炎と爆音に包まれた。
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/08(火) 23:39:15.75 ID:mIR1MwYo
コナンのベーカーストリートを思い出した
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 23:44:34.84 ID:hR4QmeM0
ジャッジメント第177支部――。

黒子「何ですって? ジャッジメントの支部が狙われた!?」

初春「ええっ??」

電話を手にし、大声で聞き返す黒子。
初春が驚嘆の声を上げる。

黒子「……分かりましたの。気をつけますわ」ガチャン

黒子が電話を切る。

初春「白井さん!!」

不安な表情を浮かべ、初春が立ち上がる。

黒子「今言った通りですわ。隣の学区にある支部で爆発がありましたわ」

初春「そんな……っ!!」

佐天「怪我人は、いたんですか?」

黒子「まだ具体的なことは分かりませんが、死傷者は50名近くになるとのことですわ」

初春「……酷い……何て、酷いことを……」

ショックの余り、初春は無意識に椅子に腰を降ろした。

佐天「何でジャッジメントの支部が狙われたんですか?」

黒子「分かりませんが、恐らくまたどこかのテログループがやったのでしょう。あの支部は高レベルの能力者がたくさん在籍していましたから……」

佐天「またですか…。みんな無関係なのに…。どうしてこんなことに……」

黒子「とにかく、こちらも不審物には注意せよ、とのことですわ」

佐天「どういう意味です? もしかしてこの支部も爆発されるってこと?」

初春「ええっ!! そ、そんな……」

黒子「落ち着きなさいな初春。そう連続してジャッジメントの支部を狙うと、警戒されるのはテログループも分かっているはずです。彼らもそういった点は注意するでしょう」
黒子「取り敢えず、最寄りのアンチスキルの部隊が用意出来次第、ジャッジメントの全支部に速やかに警護につくことが決まりましたの。ですから、我々の業務に支障はありませんわ」

佐天「でもまさか、ジャッジメントの支部まで狙われるなんて……。これで学生の被害も一気に増えましたね」

黒子「犯人たちももっと過激になるでしょうね。もしかすれば近いうち、学園都市内の全校に休校措置が出されるかもしれませんわ。そうなる前に事が収まればいいのですが……」
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 23:51:30.06 ID:hR4QmeM0
初春「……………」

佐天「初春、元気出しなよ。落ち込んでても仕方がないよ」

初春「だって、無実の人が……それも私たちとそう年齢も変わらない人たちが死んだんですよ……。こんなの…酷すぎるじゃないですか」
初春「それに、この学園都市にいる限り……いつ私たちも同じ目に遭うか分からない……。ジャッジメントの私たちなら特に……。嫌ですよそんなの……逃げる場所も無いのに…」

佐天は初春の手を見る。彼女の手は僅かに震えているようだった。

佐天「……………」

黒子「……………」

美琴「みんないるー?」

出し抜けに後ろから声を掛けられ、3人は肩を少しビクつかせた。

黒子「あ、あらお姉さまでしたの…」

美琴「何よ? 私だと何かダメだった?」

黒子「い、いえ別に。それで、どうかしましたの?」

美琴「実は……」

黒子「あら、貴女がたは……」

泡浮「こんにちわ」

湾内「お邪魔します」

佐天「あ、湾内さんと泡浮さんだー」

黒子たちが美琴の背後を見ると、そこには泡浮と湾内が行儀よく立っていた。

初春「何かあったんですか?」

美琴「うん、実はちょっとねー」
美琴「ほら、ここに座って」

泡浮湾内「はい……」

促され、椅子に座った泡浮と湾内の顔はどこか怯えているようにも見えた。

黒子「それで、一体何が?」

美琴「実はさっき、帰り道で会ったんだけどさ。何か2人とも、誰かに襲われかけたみたいで」

黒子「襲われた??」
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/08(火) 23:57:57.48 ID:3BDUCYM0
初春「だ、大丈夫だったんですか?」

泡浮「ええ…取り敢えずは……」

と、言うものの泡浮と湾内の表情は暗い。

佐天「何それ……。襲った人の特徴は覚えていますか?」

湾内「それが…暗い路地でよく見えなかったので……。ただ、男性の2人組みであったことは覚えています」

美琴「確か、挟み撃ちにされて路地裏に追い込まれたんだっけ?」

泡浮「ええ。でも、2人して必死で逃げたので、何とか捕まらずに済みましたわ」

黒子「襲われたのはいつどこで?」

泡浮「確か…第7学区の第18番通りだったかと……」

湾内「時間は…あんまり覚えていないんです。襲われた後、2人でずっと逃げてましたから。でも確か、16時から17時の間ぐらいだったかしら……」

初春「あそこは、昼でも人通りが少ない場所ですからね。でも無事で良かったです」

佐天「男2人で追い詰めて、女性を襲おうとするなんて最低ですね」

泡浮「…とても怖くて……何かされるのではないかと……今思い出しても…震えが…」

湾内「……また狙われるのではないか、と思うと……」

黒子佐天初春「……………」

完全に怯えている泡浮と湾内の2人。
今現在の学園都市ではどこで何が起こっても仕方がない状態と言えたが、固法の件もあり、彼女たちもまた他人事とは言えなかった。

美琴「ねぇ、泡浮さん、湾内さん」

泡浮「はい?」

湾内「…何でしょう?」

美琴「何かその男たちの手掛かりとか無いの?」

泡浮と湾内が出来るだけ元気を取り戻すように、美琴はなるべく優しい口調で訊ねた。

泡浮「手掛かり…ですか……」

美琴「うん。何でもいいんだ。もしあったら、そいつらを摘発するのに有利なものになるかもしれないし。外部の人間ならともかく、学園都市内に住んでる奴だったとしたら、すぐ見つかると思うわ」

泡浮「そう…言われましても……」
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 00:04:46.77 ID:eCnvMVA0
湾内「怖くて…逃げるだけで精一杯だったので……」

美琴「そっか…」

泡浮と湾内は一生懸命思い出そうと試みる。

泡浮「………………」

湾内「………………」

泡浮「あ!」

美琴「?」

泡浮「お待ちになって」

何かを思い出したのか、ガサゴソと学生鞄を漁る泡浮。美琴たちはその様子を見守った。

泡浮「これですわ!」

泡浮が取り出したのは、彼女の携帯電話だった。

初春「ケータイ…ですか……?」

泡浮「ええ」

黒子「でも、それが何の手掛かりに?」

泡浮「この携帯電話を、男の1人が触れたのです!」

美琴「ホ、ホントなの!?」

泡浮「ええ、確かに見ましたわ。私が通報しようとこの電話を取り出したとき、男が奪おうと一瞬触ってきましたから」

湾内「そう言えば…そんなことが……」

美琴「なるほど! それじゃあそのケータイについた指紋を辿れば……」

初春「簡単に犯人が割り出せます!」

佐天「やったー! ざまあ見ろですね!」

美琴たちは歓喜の声を上げる。

美琴「黒子!」

黒子「分かりましたわ。では早速、指紋鑑定の依頼を出しましょう。………ですが、どこに?」

美琴「………」ニヤッ
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 00:08:07.72 ID:eCnvMVA0
黒子「?」

美琴「……あの人のところなら…きっといち早く、正確な結果を出してくれるはず……」

どや顔になる美琴。

黒子「誰ですの?」

ニヤッと不適な笑みを浮かべたかと思うと、美琴は叫んでいた。

美琴「リアルゲコ太のことよ!!!!」ドーン!!!

黒子佐天初春「えっ?」

美琴「忘れたの? あの、カエル顔の先生のことよ! あの人なら、きっと……!!」

右手にガッツポーズを作り、勢いよく椅子から立ち上がる美琴。
一同は茫然としながら、彼女のどや顔を見る。

黒子「……………お言葉ですがお姉さま」

美琴「ん? 何?」

黒子「あの方は医者であって、科学者ではないのでは……?」

美琴「…………あ」

直前の体勢のまま、美琴は動きを止める。

黒子「まあ、念のため聞いてみますか」
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 00:09:28.66 ID:eCnvMVA0
今日は以上です。
では何も無ければまた明日。
ありがとうございました。
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 00:10:03.32 ID:ke9gy/Yo
乙!
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 00:11:04.84 ID:E3XZBtw0
そげぶ氏まだか?
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 00:41:06.85 ID:2duoLH.0
乙!待ってる!
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/09(水) 13:32:27.71 ID:0HdhxcAO
面白いからC
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/09(水) 17:19:19.16 ID:R3y5JdM0
たまたま開いたSSが良スレだった時の感動を久しぶりに味わったはwwww

続き早く頼むぜ!!
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 22:40:29.82 ID:2TB5W7w0
こんばんわ。今日も投下していきます。
話としてはこれからももっと衝撃的に広く展開していきたいと思います
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 22:44:57.54 ID:2TB5W7w0
とある病院――。

黒子「ではお願いしますの」

カエル医者「うむ。分かったよ」

泡浮の携帯電話に付着した指紋の鑑定依頼を黒子たちから受けたカエル顔の医者。意外にも彼はそちらの畑にも精通していたのか、快く承ってくれた。
そして早速、黒子が空間移動(テレポート)を繰り返し病院まで携帯電話を持って来たのだった。

黒子「まさか先生が指紋鑑定出来るとは、思いませんでしたの」

カエル医者「これでも学園都市で一、二を争う技術を持っていると自負している医者だよ?」
カエル医者「科学の分野についても詳しいんだよ。医者が科学に精通していても、この街では何も不思議ではないと思うがね?」

黒子「クス……確かにそうですわね。ご協力に感謝致しますわ」

カエル医者「何これぐらい。ここには最新の機器が揃ってるからね。結果は早く出ると思うよ?」

黒子「ありがとうございます」

カエル医者「いやいや、君たちとは縁があるからね。これぐらい朝飯前だ」

黒子「感謝してますわ」

一礼し、黒子はまたテレポートでジャッジメント支部へ帰って行った。
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 22:51:40.79 ID:2TB5W7w0
ジャッジメント第177支部――。

黒子「ただいま帰りましたわ」ブン

部屋の中央に突然出現する黒子。

美琴「あ、お帰り黒子ー」

初春「ちゃんと受け取ってくれましたか?」

黒子「もちろん。結果は早く出るそうですわ」

美琴「良かったー」

佐天「これで後は犯人を見つけるだけですね!」

美琴「泡浮さん、湾内さん、ゲコ太はとても優秀で信頼できる医者なの。だから安心して」

泡浮「はい!」

湾内「皆様、ありがとうございます!」

感謝し、頭を下げる2人。美琴たちは笑みを浮かべて彼女たちを見た。

ビーッ

その時、呼び鈴が鳴った。

初春「あ、誰か来たようですね」

黒子「どれどれ」
黒子「はい、どなたですか?」

黒子が部屋に取り付けられたテレビドアホンに応じる。

『アンチスキルのものじゃん。こちらの支部を警護しに来たじゃん』

そう言って、画面越しにIDを見せる警備員(アンチスキル)。

黒子「分かりましたわ。わざわざご苦労ですの。今迎えに参ります」

美琴「アンチスキルが来たの?」

黒子「ええ。下まで向かいに行きますわ。初春、お茶を用意しておいてくださる?」

初春「分かりました、今すぐに」ガタッ

初春に指示を出すと、黒子は下に降りていった。
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 22:58:58.66 ID:2TB5W7w0
黄泉川「アンチスキルの黄泉川じゃん。どうぞよろしくするじゃん」

鉄装「同じく鉄装です。宜しくお願いします」

警備員(アンチスキル)の2人――黄泉川と鉄装が挨拶をする。

一同「お願いしまーす」

初春「はいこれ、お茶です」

黄泉川「サンキューじゃん」

美琴「(取り敢えずこれで、この支部が狙われる危険はもう無いわね)」

佐天「(あ、あの人、特別講習の時の先生だ……)」

黒子「わざわざ警護に着いて下さり、ありがとうございますわ」

黄泉川「取り敢えず、今この支部は私の部隊が守ってるじゃん。爆発物の反応もなし。安心するじゃん」

黒子「やはり、隣の学区の支部の爆発はテログループによるものなので?」

早速、黒子が気になっていたことを訊ねた。

黄泉川「いや、それはまだ分からないじゃん。ただ、支部に正体不明の怪しい男が不審物を届けに来たという証言は得ているじゃん。今、我々はその男の行方を追っているところじゃん」

黒子「なるほど」

美琴「あの……」

黄泉川「ん?」

美琴「もし良ければ、こちらの子たちを2人、寮まで届けてくれますか?」

黄泉川「どうした?」

黄泉川は美琴の後ろに視線を向けた。怯えたような顔つきの女の子が2人、立っていた。

美琴「実はこの子たち、さっき街で暴漢らしき男たちに襲われかけて……」

黄泉川「ほう、どこで?」

黄泉川が眉を顰めて聞く。

泡浮「18番通りです」

黄泉川「なるほど。あそこは人通りが少ないからな。男の顔に特徴は?」

湾内「それが……暗くてよく見えなかったので…」
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:05:36.16 ID:2TB5W7w0
黄泉川「分かった。その件については、こちらも本部に報告上げとくじゃん」

泡浮湾内「ありがとうございます!」

泡浮と湾内がお辞儀をする。

黄泉川「鉄装、車の用意しとけ」

鉄装「え? ど、どうしてですか?」

黄泉川「私たちがこの子たちを寮まで送るからに決まってるじゃん。早くしろ」

鉄装「わ、分かりました!」

慌てるように鉄装は支部を出て行った。

黒子「申し訳ありませんわ黄泉川先生。何から何まで面倒を見てもらって」

黄泉川「なーに、能力者と言えど学生たちを守るのは教師の務めじゃん?」

ニコッと黄泉川は笑みを見せた。

黄泉川「基本的に第7学区のこの辺りは直属の管轄だから、用があればすぐ飛んでくるじゃん」

佐天「(いいなー…憧れるな、黄泉川先生…)」

佐天は目を輝かせて黄泉川を見つめる。

初春「アンチスキルの方がいれば、百人力ですもんね!」

黄泉川「よすじゃん。照れるじゃん」

Prrrrrr......

その時、黄泉川の懐の携帯電話が鳴った。

黄泉川「はい、黄泉川」

鉄装『車の用意出来ましたー』

黄泉川「了解、すぐ行くじゃん」ピッ
黄泉川「で、常盤台の寮は『学び舎の園』だったっけか?」

泡浮「あ、いえ…最近、私たちは『学び舎の園』の外の寮に移ってきたので、そちらで宜しくお願いします」

美琴「あれ? そうなんだ」

湾内「はい。寮の一部が改築中なので。一時的ですけど、婚后さんたちと一緒に移ってきたんです」
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:13:00.90 ID:2TB5W7w0
黒子「ほーう…あの婚后さんも」

泡浮「なんでも『御坂さんたちが寂しいでしょうから私たちも移って差しあげましょう』とか何とか」

初春「(何という分かりやすいツンデレ)」

美琴「また挨拶に行っといたほうがいいかもね」

黒子「ですわね。また皮肉たっぷりの嫌味ばかり言われるのかもしれませんが」フン

黄泉川「じゃ、そういうことでそこの2人、一緒に来るじゃん」

泡浮「はい」

湾内「分かりました」

黄泉川「私たちはこの子らを寮まで送ったら、また本部へ戻るじゃん」
黄泉川「私の部下たちが支部を警護してるので問題は何もないと思うが、何か困ったことがあったらこの番号に連絡するじゃん」

黄泉川は懐から取り出した名刺を黒子に渡した。

黒子「恩に切りますわ」

泡浮「では、御坂さま、白井さん、佐天さん、初春さん、今日はお世話になりました」ペコ

湾内「とても感謝していますわ」ペコ

黒子「どういたしまして」

佐天「気を付けて帰って下さいね」

初春「また何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってください」

美琴「いつでも私たちが助けてあげるんだからさ!」

泡浮湾内「ありがとうございます」

手を振る御坂たち。泡浮と湾内も手を振り返し、彼女たちは黄泉川に連れられ支部を後にした。
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:20:31.60 ID:2TB5W7w0
翌日・とある病院――。

放課後、美琴と黒子はカエル顔の医者から指紋鑑定の結果が出たという報せを聞き、病院まで馳せ参じていた。

黒子「まさかこんなに早く鑑定結果が出るとは思いませんでしたわ」

美琴「さすがゲコ太ね!」

黒子「あ、いましたわ。先生〜!」

遠くにカエル顔の医者の姿を視認すると、黒子が手を振った。

カエル医者「ん? おお、君たちか」

黒子「今回の件ではとてもお世話になりましたの」ペコ

美琴「ありがとうございます!」

カエル医者「あー…まあ、それはいいんだがね…?」

2人の礼を聞くと、急にカエル顔の医者の表情が申し訳無さそうに曇った。

美琴黒子「?」

黒子「どうかいたしましたの?」

カエル医者「実は……」



研究室――。

美琴黒子「指紋が出なかった!?」

美琴と黒子が同時に叫んでいた。

カエル医者「そうなんだよ」

椅子に座り、残念そうな表情を浮かべて美琴たちに話しかけるカエル顔の医者。

美琴「どうして……」

カエル医者「そう言われてもね? 採取できた指紋を調べてみたんだが、ほとんどが彼女本人のもの、または友人やクラスメイトと思われる常盤台中学の生徒のものばかりだったんだよ」

黒子「本当ですのそれは?」

カエル医者「ああ。学園都市上のデータベースを照合してみたが、男性の者と合致する指紋は無かったよ」
カエル医者「もしかしたら、泡浮くんの勘違いだったのかもしれないね? 実際は、携帯電話は暴漢に触れられてはいなかったのでは?」
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:27:07.00 ID:6Rglqhk0
カエル顔の医者は顎に手を当て推測する。

美琴「でも…泡浮さんは、確かにケータイを男に触られたって…」

カエル医者「すまないね。力になれなくて。どうか許してくれないかな?」
カエル医者「これ、彼女に返しといてやってくれるね?」

泡浮の携帯電話を黒子に渡すカエル顔の医者。

黒子「……ありがとうございます。…出なかったのなら仕方がありませんわ」
黒子「…ご協力に感謝致しますわ」

カエル医者「うむ。困ったことがあったら、いつでも頼ってくれていいからね?」
カエル医者「今は学園都市も大変な時期だしね?」

黒子「…はい」
黒子「では、行きましょうお姉さま」

美琴「…………………」

黒子「お姉さま?」

反応が無いので黒子が美琴の顔を覗き込むと、彼女は納得出来ないような、そんな空気を醸し出していた。

美琴「えっ? あっ……」

黒子「帰りましょう?」

美琴「うん、分かってる……」
美琴「ありがとう……ございました…」

元気の無い声で美琴は礼を述べた。

カエル医者「うん、どういたしまして」

美琴と黒子の後姿を見送るカエル顔の医者。

黒子「泡浮さんたちには帰ったらすぐ伝えましょう?」

美琴「……ええ…」

カエル医者「……………………」
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:36:38.83 ID:6Rglqhk0
ジャッジメント第177支部―。

佐天「ええ!? 指紋が出なかった!?」

美琴「…そうなの」

初春「どうしてです? 確かに泡浮さんはケータイを暴漢に触られたって…」

ジャッジメントに帰ってきた美琴と黒子から、病院であったことを聞いたが、どうにもこうにも佐天と初春は釈然としないようだった。

美琴「…でも、ケータイからは泡浮さんと女友達かクラスメイトの指紋しか出てこなかったって…」

佐天「じゃあ、泡浮さんの勘違いだったってことですか?」

美琴「うーん…」

黒子「駄目ですわね」ピッ

離れたところにいた黒子が、自分の携帯電話をポケットに収めた。

美琴「どうだった?」

黒子「湾内さんに電話をしてみましたが、今は電源を切ってるようで繋がりませんでしたわ」

美琴「そっか」

初春「でもこうなると、暴漢の行方が掴めませんね」

佐天「だよねー。また襲われでもしたりしたら危ないもんね」

黒子「…まあ、ストーカーでもない限り、18番通りに再び行かなければ大丈夫だとは思いますが…」

Prrrrrrr....

初春「あ、電話ですね。湾内さんからでしょうか」

支部に備え付けられた電話がコール音を鳴らす。

黒子「いえ、ケータイではないですし、きっと関係各所からでしょう」ガチャッ
黒子「はい、もしもし、ジャッジメント第177支部の白井です」
黒子「え?」
黒子「ああ……その件ですの」

急に表情を曇らせた黒子を見て、美琴たちは怪訝な表情で顔を見合わせる。

黒子「ええ。そうですよ…それで?」
黒子「えっ……!?」
黒子「そ、それは本当ですの!!??」
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:44:29.62 ID:6Rglqhk0
美琴佐天初春「???」

電話の相手に向かって大声を上げる黒子。

黒子「ちゃんと確認を取ったのですか!?」
黒子「・・・……………そうですか」

僅かに間隔があって、彼女は落ち着いたようだった。

佐天「な、なになに? どうしたの?」

初春「何だか恐いんですけど……。最近は嫌なことばっかりでしたし」

黒子「了解しましたわ」

ガチャン

電話を切り、黒子は無言で美琴たちを見つめた。

美琴「な、何なのよ黒子? 何か言いなさいよ」

初春「もしかしてまた何か事件が起こったんですか!?」

黒子「いえ…」

美琴「じれったいわね」

黒子「実は……隣の支部が、例の、お姉さまが巻き込まれた爆発事件について調査していたんですが…」

美琴「ああ、あれね」

初春「何か分かったんですか?」

黒子「どうやらその調査の過程に於いて、固法先輩の友人の証言を取ったそうですの」
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/09(水) 23:51:03.71 ID:E3XZBtw0
じゃん言い過ぎじゃん
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:51:17.46 ID:XrFe1zk0
美琴「固法先輩の!?」

初春「友達の証言ですか?」

黒子「ええ」

佐天「で、何て言ってたんですその人は?」

黒子「……爆発に巻き込まれる2日前のことでしたの……。先輩はその友達に告げたそうですわ『2人組みの男に尾行されてる』と」

美琴「何ですって!?」

佐天「ス、ストーカーですか?」

初春「で、でも、それと爆発事件とどう関係が?」

黒子「それはまだ分かりませんの。ただ、固法先輩が爆発に巻き込まれる日まで何者かに追い回されていたのは事実ですわ」

美琴「それって……つまり、そのストーカーがあの爆発を起こしたってこと?」

佐天「でも、いくら何でも店を爆破して無関係の人を巻き込んでまでそんなことしますかね?」

新たに提示された事実に、美琴と佐天が推測を述べる。

黒子「確かにそうですの。爆発の件とストーカーの件は別件かもしれませんわね」

初春「とにかく、その固法先輩の友達に会ってみましょうよ!」

黒子「…そうですわね」
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/09(水) 23:58:35.27 ID:iaTa.PE0
それから2時間後――。

ジャッジメント第177支部には、件の固法の友人が訪れていた。

黒子「では、詳しく話して頂けます?」

目の前に座る固法の友人と対面するようにして、黒子が訊ねる。

友人「ええ。あれは2日前だったわ。思えば、美偉はその前日…つまり3日前からずっと落ち込んでたっけ…」
友人「初めは、何かプライベートの悩みがあるのかと思って、敢えて聞かずにはいたんだけど、翌日になってもずっと同じ調子だったから、ちょっと聞いてみたの。そしたら美偉、暗い顔で……」

黒子「『2人組みの男に尾行されてる』と…」

固法の友人の言葉に続くように、黒子が確認した。

友人「ええ…」

黒子の後ろで話を聞いていた美琴と佐天と初春が神妙な顔つきになる。

初春「でも、固法先輩、ジャッジメントではそんなこと一言も…」

佐天「確かに。いつも通りきびきび動いてたよね…」

黒子「固法先輩のことですの。きっと、私たちに迷惑を掛けて仕事に支障をきたせたくなかったのでしょう」

友人「ええ。本人もその後、急に明るい顔になって『私はベテランジャッジメントよ。ストーカーが襲ってきても返り討ちにしてやるわ!』って自信満々に答えてたから……」
友人「でも……まさか…それが…あんなことになるなんて……」

徐々に固法の友人の表情が崩れていく。

友人「うわあああああああん」

両手で顔を覆いながら、固法の友人は泣き始めた。
黒子は彼女の肩に手を置き、慰めるように話しかける。

黒子「まだ、その2人組みのストーカーが固法先輩を殺したとは決まってませんの。ですが、どの道犯人は我々が見つけますので、ご安心下さいませ」

友人「わああああああああああああああああん」

ずっと我慢でもしていたのか、吹っ切れたように彼女は大声で泣き始めた。

美琴佐天初春「…………………」
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 00:06:14.17 ID:a9ix2gk0
夜・常盤台中学女子寮――。

美琴「はー…結局、謎は深まっていくばかりね」

黒子「そうですわね」

208号室の自室で、美琴と黒子はそれぞれベッドの上に座りながら話していた。

美琴「喫茶『ファニーランド』でのテロ爆破事件、固法先輩の死、固法先輩の友人の証言、そして2人組のストーカー……。全部、怪しいわね。ま、今の学園都市は何が起こっても仕方がない状況なんだろうけどさ」

黒子「……精神的にも疲れてきましたわね。今日は12日ですか。事件が起こってから2日ほど経っていますが、固法先輩がいないだけで、ジャッジメントの仕事がいくぶんか滞ったような気がしますわ」

美琴「そうよね。私絶対、固法先輩を殺した犯人を見つけてやるんだから…!」

ググッと美琴は手に力を込め、宣言する。

黒子「それは私も同じですわ」

美琴「どっかのイカれたテログループか、もしくは2人組みのストーカーか…。爆死の直接的な理由としては、前者のほうが可能性高いんだろうけど…」

黒子「…ええ」

美琴「………………」

と、そこで美琴は何かを考え込むように顔を少し俯かせた。

黒子「どうしました?」

美琴「………2人組み…」

黒子「え?」

美琴「2人組みの男……」

ボソボソと呟きながら、美琴は思考を巡らせる。



  ――湾内「それが…暗くてよく見えなかったので…。ただ、男性の2人組みであったことは覚えています」――



美琴「……!!!!! ……………ねぇ黒子…」

美琴は強張った形相で黒子に視線を向けた。

黒子「何でしょうか?」

美琴「確か…泡浮さんと湾内さんも、2人組みの男に追いかけられた、って言ってなかったっけ?」
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 00:14:04.04 ID:n/t9kYA0
黒子「!! ……そう言えば確かに…」

美琴「…まさかとは思うけど、固法先輩をストーカーしてたのって…」

黒子「考えられなくはありませんわ。しかし、2人組みの男など、どこにでもいますし…。それに固法先輩をストーカーしていた2人組と泡浮さん、湾内さんを襲った2人組が同じだったとして、何か理由があるのでしょうか」

黒子は顎に手を添え考えを巡らす。

黒子「固法先輩と泡浮さんたちの接点や共通点と言えば……」

美琴「いやいや。ほら、前みんなで一緒に水着になってカレー食べたりしたじゃん? 水着モデルのときの」

黒子「あ……」

黒子の動きが一瞬止まる。言われてみればそうである。確かに以前、固法と泡浮、湾内は水着モデルの時に顔を合わせているが…

美琴「これって……偶然?」

黒子「…しかし…」

ただの思い過ごしではないだろうか、と黒子が思った時、部屋の外から何やらざわめきが聞こえてきた。

ザワザワ

黒子「ん? 何だか外が騒がしいですね」

美琴「そう言えば…」

ガチャッ

ドアを開ける美琴。彼女の目の前の廊下を、常盤台中学の教師と思われる大人たちが数名駆けていった。周りに注意を向けてみると、女子生徒たちが怯えるような顔つきでヒソヒソと話し合ってる。

黒子「どうかしたんですの?」

ドアノブに手をかけたままの美琴が気になったのか、黒子が部屋の中から声を掛けてきた。

美琴「いえ、それがよく……。あ、ねぇねぇ」

美琴は近くにいた女子生徒に話しかけてみた。

美琴「何かあったの?」

女子生徒「さぁ…何だか聞いた話によると、生徒が2人行方不明になってるとか…」

美琴「行方不明!? 誰が!?」

女子生徒「1年の、泡浮さんと湾内さん、という方たちらしいですわ」

美琴黒子「!!!!!!??????」
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 00:21:19.37 ID:0NaDTug0
今日はこれで終わりです。
超電磁砲サイドは和やかでほんわかな日常とちょっとした非日常、
禁書サイドはハードでシリアスな日常、
というようにそれぞれのアニメの雰囲気を参考に話を印象づけています。
これからは超電磁砲サイドの日常に、禁書サイドの日常がジワジワ侵食してくる、みたいに
なっていくと思ってます。
では今日はこれまでです。ありがとうございました。
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 00:24:49.35 ID:twYQtUc0
乙!

続きを楽しみに待ってるよ。
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/10(木) 00:33:41.78 ID:4RrcJjk0
前置きが長い
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 00:45:00.91 ID:9F8kRf20
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 03:12:33.78 ID:fNSmMbEo
超電磁砲サイドが勝つ姿が想像できない
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 03:33:57.29 ID:LKzgz.AO
黒翼発動で試合終了だな
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:09:58.38 ID:gzASGvE0
>>1です。
前置きが長いのは勘弁して下さい;
一応まあ演出的にわざとそうしている面もあるのですが。。。
前も言ったように、先は長いのでのんびりと付き合って頂ければ幸いです。
実に申し訳ありませんが。 その代わりなるべく毎日投下するようにはします。
あと自分はインデックスが嫌いなわけでもありません。それだけ言っておきます。
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:15:37.08 ID:gzASGvE0
常盤台中学女子寮・管理人室――。

教師「では、泡浮と湾内は?」

寮監「…一通り、寮内を探してみましたが、見当たりませんでした…」

部屋に訪れた常盤台中学の男性教師3人を相手に、寮監は神妙な顔つきで話していた。

教師「いつからいなくなったか覚えてますか?」

寮監「昨日は11日でしたか…。夕方頃に、アンチスキルの黄泉川という方がわざわざ2人を送っていただいたのは確かです。その後の巡回の時には部屋にいたのですが…」

自責の念にかられているのか、寮監の雰囲気はいつもとは違って覇気の無いものだった。

教師「なんということだ…。我々はもう一度、寮内の探索に行きますので、寮監さんはアンチスキルに通報しておいてくれますか?」

寮監「分かりました」

管理人室を出て行く教師陣。
それを見てようやく寮監は溜まった疲れを吐き出すように溜息を吐いた。

寮監「フー………」
寮監「ん?」
寮監「何だお前ら?」

うなだれた寮監が部屋の外を見ると、ドアの隙間から美琴と黒子が頭を重ねるようにこちらを覗いていた。

寮監「今はややこしいから部屋に戻っとけ」

いちいち相手をする余裕も無いのか、寮監は一言だけ注意する。

美琴「あの…泡浮さんと湾内さんが行方不明になったのって、本当ですか?」

美琴が心配そうな顔で訊ねた。

寮監「………本当だ」

黒子「何故? 一体いつ??」

黒子も冷静に訊ねたが、その口調にはどこか動揺が含まれていた。

寮監「それが分からん。昨日の最後の巡回時には確かに部屋にいたんだがな」

美琴「今朝は?」

寮監「今朝はあいつら早くから部活動だ。ほら、今は『学び舎の園』の中にある女子寮が改築中であいつら今こっちに一時的に移ってきてるだろ。だから朝早くから寮を出なければならんらしい」
寮監「よって、朝の巡回時にも朝食の時にもあの2人は既に寮内にいなかったんだ。まあ、それでも特別な理由での外出は私の許可が必要なんだが、あいつらこっちの寮生活に慣れてないのかそれを忘れて行ったようでな。が、実際はそれどころか学校にも登校していなかったようだ」

そこで一息つき、寮監は何かを思い出したように美琴たちに質す。
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:20:55.30 ID:gzASGvE0
寮監「そうか、お前ら、昨日はあの子らと一緒にジャッジメントの支部にいたらしいな。2人を送ってくれたアンチスキルの人から聞いたぞ」

黒子「ええ。ちょっと問題があったので」

寮監「2人組みの男に追い回された、というやつか?」

黒子「はい」

寮監「確か、泡浮の携帯電話を指紋鑑定に出したらしいな? 結果はどうだったんだ?」

黒子「いえ、それが泡浮さんの勘違いだったらしく…男の指紋は出なかったそうですわ」

寮監「そうか……」
寮監「どうした御坂?」

美琴「え? いや、何でも……」

声を掛けられた美琴を黒子は横目で窺う。どうも彼女は今もまだ指紋鑑定の結果に納得いっていないようだった。

寮監「…………………」

黒子「実は、今日1日ジャッジメントの支部で泡浮さんの携帯電話を預かっていたので、返そうと思い昼頃、湾内さんの携帯電話に電話をしてみたんですの」

寮監「それで?」

黒子「その時は、電源を切っているのか、繋がらなかったんですの……。今までそのことを失念していましたが、もしかしたら、もうその時にはあの2人は……」

顔を暗くする黒子。

寮監「そういうことはアンチスキルに言っておけ」
寮監「それに気に病むことではないだろう。別に、あの2人が消えたのはお前のせいじゃない」

黒子の表情から彼女の心情を汲み取ったのか、寮監が声のトーンを少し優しくして言っていた。

黒子「はい……」

寮監「…御坂もな」

美琴「……………はい」

寮監「さ、私は今すぐアンチスキルに通報せねばならんのだ。気になるだろうが、2人は部屋に戻れ」

美琴黒子「分かりました……」

寂しそうな背中を見せながら、美琴と黒子は管理人室を出て行った。
受話器を耳にあてながら、寮監は2人の姿を無言で見送る。

寮監「……………………」
寮監「……あ、もしもし、アンチスキル支部ですか? こちら第7学区・常盤台中学女子寮の………」
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:26:36.80 ID:gzASGvE0
1時間後、アンチスキルが女子寮に到着し、教師や生徒たちへの聴取が始まっていた。

208号室・美琴と黒子の部屋――。

黒子「それは確かですの?」

携帯電話に耳を押し付け、受話器の向こうの相手と会話する黒子。

黄泉川『だから、そうだって言ってるじゃん。昨夜、確かに私と鉄装が泡浮と湾内を寮まで送り届けたじゃん』
黄泉川『わざわざ、寮監さんにまで事情を話したじゃんよ。嘘だと思うなら、寮監さんに聞いてみればいいだろう?』

黒子「いえ、寮監からは、既にその話は聞き及んでおります」
黒子「問題はあの時、泡浮さんと湾内さんにおかしな様子は無かったということですの」

美琴「………………」

黄泉川『もしかして家出の可能性とか? そんなことするような雰囲気じゃなかったじゃん。ちゃんと笑顔で手を振ってまで分かれたじゃん』

黒子「……そうですか」

静かに、黒子は答えた。

黄泉川『とにかくこっちもそっちに向かいたいところだが、私も鉄装も他の仕事に追われててな。一応、常盤台中学も私の直属の管轄内だから、部下たちがそっちに行ってるが…まあ何か新しいことが分かったらこっちから連絡するじゃんよ』

黒子「了解しましたわ。ありがとうございます」ピッ

電話を切る黒子。

美琴「どうだった?」

黒子「どうやら寮監の話していた通り、確かに黄泉川先生たちは昨夜、泡浮さんと湾内さんをこの寮まで送り届けたようですわ」

美琴「じゃあ、帰宅途中で誰かに襲われた可能性もないってことか」

黒子「そういうことですわね」

美琴「でも何か引っかかるのよね…」

顔を横に向け、虚空を見つめるように美琴は考え込む。

黒子「え?」

美琴「黒子、泡浮さんのケータイって今、ジャッジメントの支部に保管してるんだっけ?」

黒子「? そうですけど」

美琴「あんた、今から取りに行ける?」

黒子「え? 何故ですの?」
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:33:06.90 ID:gzASGvE0
美琴「いえ、取りに行ったら、そのままの足で木山先生のところまで行ける?」

黒子「木山春生のところまで? 一体何故??」

突然出て来た名前に、黒子は顔を傾げた。

美琴「きっと、アンチスキルによる私たちへの聴取が始まったら、間違いなく泡浮さんのケータイは没収されることになるわ。その前に、もう1度だけ、彼女のケータイの指紋を調べておきたいの」

黒子「で、ですがどうやって…」

美琴「今度は木山先生に指紋鑑定を依頼してもらうのよ。そしたらまた、新しいことが何か分かるかもしれない。ゲコ太が見落としてたかもしれない指紋が出てくるかもしれないし」

黒子「なるほど。ですが別に、アンチスキルに没収されてもどうせまた指紋鑑定されるでしょうし、後でその結果を聞けば宜しいのでは?」

美琴「……いえ…それじゃ…ダメな気がする…」

そこで、妙な間があり美琴は自分に言い聞かせるように呟いていた。

黒子「?」

御坂「…今やっておかないと、ダメな気がするのよ……」

今度は黒子の顔を見据え言う。
ただならぬ何かを感じ、黒子は答えていた。

黒子「……………了解しましたわ」

美琴「じゃあ、急いで行ける?」

黒子「お任せくださいまし。飛ばして行ってきますわ」

美琴「宜しく頼むわ」

それを聞いて1秒後、既に黒子は部屋から消えていた。
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:40:06.77 ID:gzASGvE0
とある研究所――。

木山「こんな遅くに君が来るとはな。思ってもみなかったよ」

白衣を纏った1人の研究者――木山春生は大して驚く素振りも見せず、突然目の前に現れた黒子にそう言った。

木山「私以外の研究者が出ていたら、とっくに門前払いにされてるところだ」
木山「…と言ったところで、君なら易々と私の部屋まで辿り着くんだろうがね…」

のらりくらりとした口調で木山は語りかける。
それに対し、黒子は伸ばした両手をお腹の辺りで交差させてかしこまっているようだ。

黒子「……夜遅くに申し訳ありませんの。ですが、緊急の用事でして…」

木山「……君の顔を見れば分かるよ、白井黒子」

白衣を纏った木山に続き、黒子は廊下を歩く。
飾りっ気のない、無機質な廊下が永遠と続く。

木山「大方、今、学園都市で多発している事件に関してかな? それも、こんな夜中に1人で来たということは、よっぽど非公式にしたいことか」

黒子「お見通しですわね」

木山「まあね。で、何の用かな?」

黒子「これです」

感情を窺わせないような声で肯定した木山に、黒子は1つの携帯電話を差し出した。

木山「…携帯電話? 誰のだ?」

黒子「私のクラスメイト、泡浮万彬さんのものですわ」

木山「これをどうしろと?」

黒子の顔と彼女の手元にある携帯電話を、視線だけ流すように交互に見る木山。

黒子「泡浮さんとその友人である湾内絹保さんは、昨日の夕方、第7学区の18番通りで正体不明の暴漢2人に襲われそうになりましたの」
黒子「その時、通報しようと泡浮さんが取り出したこの携帯電話に一瞬ですが、暴漢の1人が触れたとのことです」

木山「……その指紋を採取しろとでも?」

黒子「その通りです」

木山「何故私に頼ろうとする? 専門の機関にでも頼めばいいじゃないか」

黒子「…実は既に1回頼んでますの。ですが、暴漢の男らしき指紋は見つからず、採取出来たのは泡浮さん本人のものと、友人、あるいはクラスメイトの女子生徒のもののみ…」

木山「その…あわうき、とかいう子の勘違いでは…?」
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:49:48.47 ID:eIK6mbk0
黒子「…それも無きにしも非ずですが、彼女たちの口ぶりを思い出すに、勘違いとは思えませんの。今ではもう、改めて確認することが出来ないのですが……」

突然表情を曇らせた黒子の顔を見、木山は怪訝な表情を彼女に向けた。

木山「どういう意味だ?」

黒子「実は先程、泡浮さんと湾内さんが行方不明になっていることが判明しましたの」

木山「…それは……大変だな」

黒子「ええ。もうアンチスキルによる聴取が始まっていますわ。いずれこのままでは、アンチスキルに泡浮さんの携帯電話も没収されてしまいます。その前にもう1度、確かめておきたかったんですの…」

木山「それで私のところにか…。だが、別にアンチスキルに没収されても構わないのでは? いずれ、頼み込めば、またその時に出た指紋採取の結果を教えてくれるだろうに…」

黒子「いえ…」

ゆっくりと黒子は目を閉じる。

木山「…?」

黒子「…それではダメなんです。そうしてしまうと、一生、泡浮さんと湾内さんの行方を見失ってしまうような……そんな嫌な予感がして……」

木山「…………………」

友達を心配する黒子の落ち込みようは半端なものではなさそうだった。

木山「なるほどな…。事情は分かった。だが、そう簡単に私を信用してもいいのかな?」

黒子「え?」

木山「私も面倒事には巻き込まれたくないのでね。君ら子供の言を無視して、アンチスキルにこの携帯電話を提出してしまうかもしれないぞ?」

黒子「……それは、有り得ませんの…」

木山「何故、そう言える?」

黒子「……何故かは、分かりませんが…何となく…貴女なら…」

木山「………………」

語尾が弱くなった黒子を見、木山は押し黙った。
黒子は下を向き、視線を逸らし、泡浮の携帯電話をギュッと握り締めている。
しばらく、静寂がその場を支配した。

ポンッ

黒子「……え?」

突然、小気味良い音が頭の上から聞こえた。
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:52:19.77 ID:eIK6mbk0
黒子が顔を上げる。木山の手が彼女の頭に置かれていた。

木山「何だかんだ言って、まだまだ君たちも子供だな。私の教え子たちを思い出すよ」
木山「だが、その心意気は感謝するよ。バレたらジャッジメントの仕事も停職になり兼ねないだろうに…」

黒子「………覚悟しておりますの」

木山「…いいよ。君たちには枝先や春上たちの借りもあるしな」

黒子「本当ですの?」パァァ

木山「フフッ…私を信じてくれ」

まるで子供を励ます親のように木山は微笑んでいた。
それに応えるように、黒子の声に張りが戻った。

黒子「ありがとうですの!」

木山「その顔だ」

黒子「え?」

木山「笑っていると、君たちも歳相応の子供に見えて可愛いものなんだが…」クスッ

黒子「ま、まあ! 失礼ですのね。これでもレディですのよ?」プンプン

顔を膨らませる黒子を見て、木山は更に笑みを零した。

木山「では、これは私が責任を持って秘密裏に鑑定しよう。遅くとも明日の朝には結果は出るはずだ」

黒子「感謝しますわ」
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 21:57:21.96 ID:eIK6mbk0
常盤台中学女子寮・208号室――。

美琴「遅いわね、黒子の奴…」

ベッドの上に座りながら、美琴は組んだ自分の腕の上で規則的に指を叩いていた。

黒子「お姉さま!」ブンッ

突如、ベッドの側に黒子が姿を現した。

美琴「黒子!」

黒子「遅くなって申し訳ありませんの」

美琴「それはいいから。で、どうだったの?」

黒子「ちゃんと木山先生に頼んできましたわ。こちらの事情も理解してくれたようで、秘密裏に調べてくれるそうです!」

美琴「よ、良かったー……」

美琴が胸を撫で下ろす。

黒子「それで、アンチスキルによる聴取は?」

美琴「さっき、隣の部屋の生徒のが始まったばかりよ。ギリギリだったわね」

黒子「それはそれは、危ないところでしたの」

美琴「どの道、アンチスキルも寮監さんから聞けることは聞いてるだろうし、泡浮さんのケータイについては事情を話さないとこっちが怪しまれるわ」
美琴「問題は、いつ、木山先生の元からケータイが戻ってくるかね」

黒子「ええ。明日中に戻ってくれば、こちらも余計な手順を踏まずにジャッジメントの公式捜査物品として普通にアンチスキルに提出できるのですが…」

美琴「とにかく、木山の鑑定結果を待つわよ!」

黒子「はい!」
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:03:46.22 ID:z57Z5Vo0
数時間後・木山の研究室――。

木山「この指紋も、常盤台中学生徒のもの…」

泡浮の携帯電話から採取した指紋を、学園都市の学生データと照合する木山。

木山「……本当に、男の指紋は無いぞ…」
木山「やはり、泡浮とかいう子の勘違いだったのでは…?」

木山は泡浮の携帯電話をもう1度見て取る。

木山「さて、次で最後だ。この指紋がまた女子生徒のものだったら、結局のところ、その子の勘違いだったということになる…」
木山「さて、何が出てくるか…」

木山はスキャンを始める。
1秒後、その指紋の照合結果に一致する者のデータがディスプレイに表示された。
木山の目が細くなる。

木山「!!!!!!!」
木山「出た……確かに、男だ。……こいつがその暴漢とやらか…」

確かめるように、木山は顔を画面に接近させる。
と、そこで彼女は何かに気付く。

木山「待てよ……この男、確かどこかで………」




「世の中には、知ってはいけないことがあるんだよ?」




木山「!!!!!?????」

刹那、木山の背中に悪寒が走った。
誰もいないはずの研究室。
突如、後ろから掛けられた声に冷や汗が背中を伝っていく感覚を味わった木山は、ゆっくりと後ろを振り返った。

木山「……あんたは…!!」

「さて、知っちゃったからには、君をどうしようかね?」

その時、木山の目に映ったのは底無しの絶望だった―。
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:13:19.29 ID:z57Z5Vo0
翌日・ジャッジメント第177支部――。

黒子「遅い」
黒子「…ですわね」

美琴「そうねー…もう昼過ぎちゃったのに…」

佐天「本当に木山先生、朝までに鑑定結果が出るって言ってたんですか?」

黒子「ええ。確かにそう言ってましたわ」

初春「遅いと言えば、アンチスキルからも、泡浮さんのケータイ提出の依頼電話が掛かってきませんねー」

1日の半分も過ぎた頃、美琴たち4人はジャッジメントの支部に集まって、木山からの電話を待っていた。

黒子「そうですわね。今のところはそれでややこしいことにならずに助かってるんですが…」
黒子「まあ、バレたとして、はなから承知の上。ジャッジメントの停職ぐらい、受け入れてやりますわ」

初春「でも…白井さん1人で責任を負うのも…」

黒子「もしもの話ですの。取り敢えずは大丈夫でしょう」

初春「ならいいんですけど……」

Prrrrrrr......

その時、支部の電話が鳴った。

美琴「来た!」

佐天「電話ですよ白井さん!」

初春「あわわわわ…遂に…」

黒子「さて、木山かそれともアンチスキルか…」

黒子が受話器を手にする。それを見て一同は唾を飲む。

ガチャリ

黒子「はい、もしもし……ジャッジメント第177支部の白井ですの…」

美琴と佐天と初春は会話を聞き逃さないように、黒子の持つ受話器の側に集まり、聞き耳を立てる。

木山『木山だが…』

黒子「!!」

電話の相手は木山だった。4人が安堵の表情を見せ合う。
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 22:14:47.95 ID:5f0mLyY0
ドキドキが止まらない
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:18:20.75 ID:z57Z5Vo0
指紋の鑑定結果が出たのだ。
美琴たちがヒソヒソと小声で話し合う。

佐天「よかったー」

初春「先に木山先生から連絡あってよかったですね!」

美琴「そうね」

黒子が鼻に手を当て「静かに」と言うと、3人は慌てて口に手を当て押し黙った。

黒子「これはこれは。お電話お待ちしておりましたわ」

木山『そうか。遅くなってすまんな』

黒子「いえいえ。それで早速ですが…」

木山『早速だが、悪いな…』

黒子の声を遮るように、木山は淡々と言い放った。

黒子「はい?」

木山『泡浮とか言ったか』
木山『その子の携帯電話、アンチスキルに提出させてもらった』

黒子美琴佐天初春「………………え?」

余りにも自然に紡いだその口調に、美琴たちは初めその言葉を理解できなかった。

黒子「い、今、なんと…?」

木山『聞こえなかったか? 君らが私に鑑定依頼を出してきた携帯電話だが、今朝、アンチスキルに提出させたもらったよ』

やはり、それは聞き間違いではなかった。

初春「……どういうこと?」

佐天「……何で?」

美琴「………木山先生…」

3人の顔が青ざめていく。

木山『悪いね。昨日も言ったが、余計なことに巻き込まれたくなくってね。それに、わざわざ私が君ら子供の言うことを聞く義理もあるまい』

黒子「……木山っ!!」

冷静に務めていたつもりだったが、黒子はつい感情的になってしまった。
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:27:35.94 ID:ZGtiZXc0
黒子「裏切ったんですのね!?」

木山『裏切る? 今言ったろう? 私に君らの言うことを聞く義理は無い。申し訳ないが、事情を説明して携帯電話はアンチスキルに提出した』
木山『鑑定結果を知りたければ、後日アンチスキルに聞くといい。私より彼らの方が、より信頼性のある鑑定をしてくれるだろうしね』

反省の色も後悔の念も窺わせない木山の声に、黒子は苛立つ。

黒子「…………っ…」

木山『じゃ、私は忙しいんでこれで』

黒子「待ちなさい!」

美琴「黒子、変わって!」

美琴が奪うように黒子から受話器をひったくる。

美琴「“先生”!! 私たちは、貴女を信じて頼んだのよ!?」

木山『超電磁砲(レールガン)か…。だからどうした。今回のように大人の言動を信じないところを見ると、まだまだ君も子供だな』

美琴「何言ってるの!? ふざけないでよ!!」

激昂する美琴。

木山『ああ、そうそう。ツインテールの子に伝えといてくれ。私が事情を説明したアンチスキルの隊員、どうやら君たちの知った顔ということで、今回のことは見逃してくれるそうだ』

黒子「……黄泉川先生ですね…」

木山『そういう訳だ。力になれなくてすまんね。それじゃ』

ガチャン

ツーツーツー……

一方的に、電話は切れた。

美琴「くっ………」

ガチャン!!

叩きつけるように美琴は受話器を置いた。
彼女は握り拳をつくる。

美琴「……木山っ……」

黒子「…こればかりは仕方がありませんわ…」

と言いつつ、黒子の声は小さく弱々しい。
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:32:56.92 ID:ZGtiZXc0
黒子「それに、木山先生が言ったように、アンチスキルでも指紋鑑定はなさるでしょう…。その結果を後で聞けば…」

美琴「ダメなのよそれじゃ……」

黒子「え?」

美琴「何でか説明出来ないけど……ここで没収されたら、もう泡浮さんと湾内さんに2度と会えないような気がして………」

思いつめるように美琴は顔を俯かせた。

黒子「お姉さま…」

佐天「御坂さん」

初春「…御坂さん」

美琴「(…あの2人にはもう会えないの……?……何か…手掛かりはないのかしら……せめて暴漢2人組みの男の顔さえ分かれば……)」
美琴「!!!!!!!!!」

と、そこで彼女は何かを閃いた。

美琴「待って……」

黒子佐天初春「え?」

美琴「そう……そうよ! 手掛かりはまだあったわ!!」

突然、美琴の明るい顔が黒子たちに向けられる。

黒子佐天初春「?????」

5秒ほど前の彼女のテンションとの違いに3人は少し驚いた。

黒子「…えっと……本当ですのお姉さま?」

佐天「でも、そんなのどこに?」

美琴「防犯カメラよ!」

黒子佐天初春「!!??」
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:37:16.34 ID:ZGtiZXc0
美琴「この学園都市には至る所に防犯カメラが設置されてるわ。つまり!」

黒子「…防犯カメラを調べ上げれば、泡浮さんと湾内さんが暴漢に襲われている場面を発見できると?」

美琴「その通り! よっぽどの僻地じゃない限り、学園都市には数え切れないほどの防犯カメラがあるわ」
美琴「初春さん、チェックできる?」

そう言って美琴は初春の顔を見る。

初春「え、あ…多分。中にはジャッジメントやアンチスキルでは閲覧を禁止されている場所もありますけど……普通の学生区なら、大丈夫だと思います」

美琴「よし! それよ!」

佐天「でも、たくさんある防犯カメラの記録の中から、どうやって泡浮さんと湾内さんが襲われた場面を探し出すんですか? 見つけるだけでも相当の時間を要するかと思うんですけど…」

美琴の話を聞いていた佐天が不安材料を口にする。

黒子「いえ! それなら大丈夫ですわ!」

佐天「え?」

美琴に続くように、黒子も何か思いついたのか声を張り上げた。

黒子「お忘れになりましたの? あの2人、ちゃんと仰っていたじゃありませんか」

佐天「あ…」

美琴「学園都市第7学区18番通り!!」

黒子佐天初春「そこだ!!!」

彼女たちは顔を近付けて同時に発していた。
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:42:44.69 ID:ZGtiZXc0
その頃――。

インデックス「…とうまの馬鹿。何日も私を1人ぼっちにして…許せないんだよ」

ニャ〜

人気のない道を、安全ピンで繋ぎとめられた修道服を纏った少女インデックスは歩いていた。
心なしか、彼女は本気で落ち込んでいるように見えた。

インデックス「帰ってきたら、頭噛むだけじゃ済まないんだから!」

ニャ〜

インデックス「スフィンクスも怒ってるの? スフィンクスも一緒にとうまにお仕置きするんだよ」

ニャ〜

本当に怒っているのかは定かではなかったが、スフィンクスは鳴いて答えた。
と、その時だった。


ドガアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!


インデックス「ひっ…!」ビクッ

突如、轟音が響き渡った。
インデックスが肩を震わせる。

インデックス「…遠くで聞こえたけど、きっとまた爆発なんだよ」

ニャ〜

怯えるようにインデックスは立ちすくむ。

インデックス「きっとまたどこかでテロが起こったんだ……」
インデックス「正直言って怖いんだよ……とうま……」

彼女は数日前のことを思い出す………。
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:47:18.98 ID:ZGtiZXc0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ステイル「インデックス、君も僕と一緒に学園都市を出るんだ」

必死の形相で、インデックスに話しかける1人の男。黒い神父服を纏い、耳にピアスの束をつけ、目の下にバーコードのような刺青を入れた彼の名は、魔術師ステイル=マグヌスだった。

インデックス「嫌なんだよ! とうまは絶対戻ってくる、って言ったんだよ!」

しかし、インデックスはステイルの言葉を聞き入れようとしない。

ステイル「今、この学園都市には、色んな魔術師たちも潜り込んでる、って話だ。それだけじゃなく、世界中のテログループや工作員、特殊部隊もいるらしくって危ないんだ!」
ステイル「僕も色々と残って調べたいところだが、今は一時避難するのが先決だ!! 頼む! 一緒に来てくれ!!」

もはや懇願にも似た言葉を発すステイル。それでもインデックスは了承しようとしない。
彼女の頭にある最優先事項はたった1つ――1人の少年の存在だった。

インデックス「とうまは帰るって言ったんだよ! それまで私も待つんだよ!!」

ステイル「…っ……」

『とうま』という名前を出されては、もう説得の余地は無かった。
唇を噛むようにステイルは、言葉を搾り出す。

ステイル「分かった…。僕は先に学園都市を出る…。あの少年に会って帰国する算段が着いたら連絡してくれ。すぐに迎えに来る(本当は今すぐ連れて帰ってやりたいが……)」

自分の非力さにやり切れなさを感じているのか、ステイルは本当に悔しそうな表情を浮かべた。
彼としては、インデックスを縛ってでも、現在危険な状況下にある学園都市から連れ出したかったのだ。だが、インデックスの1人の少年への想いを断ち切ってまではさすがに出来なかった。

インデックス「……分かったんだよ…」

インデックスは静かに一言だけ呟いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 22:52:20.68 ID:ZGtiZXc0
インデックス「……………とうま…」

ドンッ

インデックス「あ…ごめんなさいなんだよ……」

下を向いて歩いていたのか、インデックスは前から歩いてくる人間に気付かず衝突してしまった。

「……………」スタスタ

インデックスと衝突した男は足早に去っていった。

インデックス「ぶー愛想悪いなあ……」

インデックスはふてくされる。続き、彼女は正面を見やる。

インデックス「あーお腹すいたぁー」

彼女はお腹に手を当てる。


ヌチャ


インデックス「ん?」

気味の悪い感触と音がして、インデックスは咄嗟に両手を顔の前まで上げ注視してみた。

インデックス「…………何これ?」





インデックス「………血?」





自分のお腹を見るインデックス。
彼女の真っ白な修道服は鮮やかなまでに赤く彩られていた。
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 23:00:21.28 ID:5f0mLyY0
鬱かよおおお
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 23:02:19.41 ID:ZGtiZXc0
ニャ〜〜

不気味な液体の感触が嫌だったのか、スフィンクスがインデックスの胸の中から飛び出し、そのまま遠くへ走り去っていった。
しかしインデックスはもう、スフィンクスのことまで気がいっていなかった。
彼女は赤く染まった自分の両手とお腹を交互に見る。





インデックス「……………まずいかも……」





急速に身体から力が抜けていくのが、感じられた――。
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/10(木) 23:03:36.11 ID:ZGtiZXc0
今日は以上です。
莫大な投下量と話の進み具合の遅さには本当に申し訳なく思います。。。
それでもお付き合い頂いている方々には感謝しています。
それでは特に何も無ければまた明日来れると思います。
ありがとうございました。
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 23:07:52.03 ID:f/We.IY0
おつ!!


×あわうき
○あわつき
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 23:11:39.91 ID:WIkt1QIo
神スレすぎる
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/10(木) 23:18:34.52 ID:Qpb2tPA0
なんなんだこの神は

こういった原作の世界観に囚われないスレは本当に好きだ

明日も期待してるぜ!
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/10(木) 23:55:51.31 ID:zvyxR0U0
黒幕が見えなくてもどかしいなw
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/10(木) 23:56:40.33 ID:dOdyb2Yo
スレタイの方々じゃまいか?
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 00:05:26.88 ID:UchGrCw0
仮にそうだとしても動機が分からん
上条さんは言わずもがなだし、一方さんも表世界の人間が傷つくことは嫌うはず
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 00:43:20.35 ID:jY1vBYAO
良スレの予感しかしない
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 01:05:48.18 ID:pGjIieQ0
リアゲコだと思うのは勘違いか…
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 03:02:25.04 ID:A.aVCC.0
黒幕はメンタry
おっとだれか来たようだ。
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 05:05:20.79 ID:a3YE8k20
これは良いサスペンス
話の展開がうまい

全部書き溜めてるの?
毎日書いてるとしたらすごいな
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 11:12:35.07 ID:t57K08so
神スレ
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/11(金) 21:20:22.35 ID:4nyrzo60
まだかな


期待age
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/11(金) 21:40:47.32 ID:F7k2p76o
 |          花
 | ゚д゚ )ω・`)ー゜)∀゚) <私たちが倒す!
 |  /  /  /  /    
 |  ̄ゝ ̄ゝ ̄ゝ ̄ゝ
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/11(金) 21:59:49.92 ID:lLoXLnE0
上条一方勝利希望
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 22:41:02.76 ID:IjY23PE0
>>1です。
みなさんありがとうございます。
今日も多量ですがゆっくりと投下していきたいと思います。
>>102
ああ…素で間違えてました。気を付けます。
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 22:46:26.89 ID:IjY23PE0
ジャッジメント第177支部――。

美琴「どう? 何か発見した?」

初春「うーん……ダメですね…」

ジャッジメントの本部サーバーから、監視カメラのモニターセンターにアクセスし、学生区の監視カメラの録画記録を確かめることになった初春。
が、しかし、数時間経っても目星の映像を発見することが出来ず途方に暮れていた。

佐天「えっと、本当に第7学区の18番通りですよね?」

美琴「確かにそうよ。それは何度もあの2人も言ってたじゃない」
美琴「私もあの2人をここに連れて来たのは一昨日11日の放課後だった。だから……」

黒子「11日の15時から18時までの18番通りの映像を調べ上げていけば、泡浮さんと湾内さんが暴漢に遭遇した場面を捉えられるはず」

初春「そうすれば、その暴漢2人、引いては最近多発してる誘拐事件の犯人たちを見つけることができる、と」

美琴「…の、はずなんだけどね…」

4人はパソコンの前で同時に溜息を吐く。

初春「見つかりませんね…。4人で隅々までチェックしてるのに……」

黒子「恐らくアンチスキルも今頃、監視カメラの録画記録を調査してるところでしょう」

佐天「でも、それで見つからなかったら結局……どうなるんでしょう?」

初春「まさか、全て泡浮さんと湾内さんの狂言だったとか…?」

黒子「しかしそんなことして何の意味があるのやら…」

佐天「でも、結局カエル顔の先生の所では、泡浮さんのケータイから暴漢らしき男の指紋は見つからなかったんですよね?」

美琴「……そうだけど」

佐天「まさか…2人して、誘拐事件を装った家出とか…?」

美琴「ない。絶対ないわ。あの怯えよう、覚えてるでしょ? あれが狂言だったとは思えない」

佐天「確かに……」

美琴「絶対犯人はいる。今も恐らくは泡浮さんと湾内さんは誘拐された恐怖で怯えてるはず。いえ、それだったならまだいいけど、もし………」

そこまで言って言葉を切る美琴。
彼女が何を言おうとしていたのか、大体予測がついていたのか黒子たち3人も一斉に静かになった。
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/11(金) 22:49:17.17 ID:ZBbfcTM0
これ犯人がスレタイの二人だったらほとんどの確率で勝てないよな?
一方通行はバッテリー切れるまで無双状態だし、
上条さんはなーんか魔術サイド辺りから援軍とか呼びそうだし、
てか上条さん本体が異常に強いからなぁ……。

佐天さんに期待だ
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 22:52:53.24 ID:1miQ6Eo0
佐天「…………………」
佐天「……あたし、ちょっと聞き込みに行ってきます」

と、そこで何かを思案していた佐天が真っ先に口を開いた。

美琴黒子初春「え?」

佐天「大切な友達2人がさらわれたっていうのに、何も出来ずにいるなんて我慢できません」

勢いよく佐天は立ち上がる。

佐天「だからあたし、18番通りに行って誘拐事件の聞き込み調査に行ってきます!」

美琴黒子初春「えええっ??」

初春「ダ、ダメですよ佐天さん! あそこはただでさえ人通りが少ないんですよ! もし、佐天さんまで誘拐犯に襲われたらどうするんですか!?」

黒子「そうですわ。それにテロや爆発の危険だってあるのに……」

必死に佐天を止めようとする黒子と初春。しかし、そんな2人の心配をよそに彼女は既にやる気満々だった。

佐天「大丈夫大丈夫! あたし、こう見えて強いですから!」エッヘン

そう言って腰に手を当てる佐天。

初春「でも……」

美琴「ダメよ佐天さん」

佐天「え?」

と、そこで美琴が横から割って入った。

美琴「そんな危ない所、行かせられない」

佐天「いや、だって……」

美琴「………………」ジッ

佐天「うっ…」

真剣な面持ちで美琴は佐天を見つめる。彼女の気迫に呑まれたのか、佐天は言葉に詰まった。
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 22:58:08.10 ID:1miQ6Eo0
しかし、美琴はすぐに笑顔を見せた。

美琴「だから、私も一緒に行くわ」ニコッ

佐天「えっ?」

美琴「私も何かしたいしね。一緒に行きましょう」

佐天「御坂さん!」パァァ

黒子「しかしお姉さま…」

美琴「大丈夫。無茶はしないから。黒子と初春さんは、引き続き監視カメラのチェックお願い」
美琴「ね!」

ウインクをしてみせる美琴。

黒子「………………」

黒子は一度溜息を吐くと、口元を緩めた。

黒子「分かりましたわ。全身全霊を込めて頑張らせて頂きますの」
黒子「ですわよね初春?」

黒子は椅子に座る初春の肩にポンと手を置くように訪ねる。

初春「はいもちろん! 何時間でも何日でも何ヶ月でも何年でもやってみせます!」

威勢良く初春は答えた。

美琴「よし! じゃあ絶対に泡浮さんと湾内さんの誘拐犯を見つけるわよ!」

黒子佐天初春「はい!!」
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:06:05.02 ID:w47THlw0
それから2日間、美琴と佐天は18番通りを中心に聞き込みを行い、黒子と初春はジャッジメントでの業務を監視カメラのチェックにひたすら費やした。しかし………

第7学区・18番通り――。

佐天「…っていう事件なんですけど、何か知ってることとかありませんか?」

学生「そう言われてもなー」

通りを歩いていた男子学生に聞き込みを行う佐天。あまり人気の無い通りだったので、貴重な情報を逃すまいと彼女は詰め寄るように訊ねていた。

佐天「何でもいいんです! どんなに些細なことでも!!」

学生「俺も最近、怖くてあんまり外出しないんだよ。ここに来たのだって久しぶりだし…。悪いな」

そう言って、学生は去っていった。

佐天「……ダメか。やっぱり目撃情報すら手に入らない。ま、そんなのあったら、アンチスキルが既に誘拐犯を捕まえてるよね…」

美琴「………………」

その日の聞き込みも終え、2人は支部への帰路に着く。

佐天「2日合わせて既に50人以上に聞き込みを行いましたけど、全然手掛かり見つかりませんね」

美琴「…………………」

佐天「まあ、普通の学生がそんなこと知ってるはずないですもんね」

佐天は苦笑いする。と、その時、美琴がボソッと呟いた。

美琴「…普通の学生、ならね」

佐天「え?」

美琴「ごめんなさい佐天さん。ちょっと私、用事あるからさ。先に支部まで戻っててくれる?」

佐天「用事?」

美琴「そ! ちょっとしたことだから」

美琴は片目を閉じ、顔の前で手を合わせる。

佐天「……それぐらいは別にいいですけど」

美琴「ごめんね! じゃ!」

佐天「あ、御坂さん」

呼び止める間もなく、美琴は走っていった。
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:16:46.66 ID:w47THlw0
ジャッジメント第177支部――。

佐天「ただいま帰りましたー」

黒子「お帰りなさい」

初春「お帰りなさい佐天さん」

佐天が支部に戻ると、黒子と初春の2人はパソコンに向かってキーボードを叩いていた。
2人とも忙しいのか、振り返ろうとしない。

黒子「どうでしたか?」

黒子がパソコンの画面を眺めたまま、佐天に問い掛ける。

佐天「ダメです。全然ダメ。手掛かりなんて何1つ得られないですね」

お手上げだ、と言うように佐天はソファに腰かける。

佐天「白井さんはどうですか?」

黒子「今、黄泉川先生から送られてきたアンチスキルの一連の誘拐事件の資料をチェックしていますの」

佐天「へー、どうです?」

黒子「大したことは分かりませんが…ここ2、3週間で30名近くにものぼる学生が行方不明になっておりますの。一応、僅かながら誘拐現場の目撃談もありますが、犯人も一筋縄ではいかないのか手掛かりとなるものは何1つ残っていません」

佐天「そうなんだ。他には何か有力な情報とかないんですか?」

黒子「それがまったく。どの学生にも共通点は見当たりませんし。被害者たちの能力レベルも、無能力だったりレベル1だったり、3だったりと様々。誘拐現場も学園都市全域に及んでますわね」
黒子「まあ、同じ地区の学生ばかり狙っていても、足がつくでしょうし…。ですが、ここまでしてアンチスキルが手掛かり1つ得られないということは、よっぽど相手は手馴れているということ」

多少、苛立ちを思わせるような口調で説明する黒子。どうも犯人発見の決め手となる情報が少ないためか、自分で喋っていてイライラしているようだ。

黒子「しかも、誘拐された学生の中にはレベル3の強能力者もいます。と、いうことは誘拐犯はレベル4以上の能力を持つ可能性も高いですわ。しかし、それほどの高位能力者なら、例えば、統率のとれた組織を使えば1度にもっと複数の学生を短期間で誘拐することも可能なんでしょうけど、そうしないということは敢えてそこに目的があるのか、それともそんな組織を持つほどの余裕もないのか……」

佐天「でも! レベル4以上の能力者だとしたら、結構絞れてきませんか!?」

飛び上がるように大声で推測を声にする佐天。

黒子「いえ、あくまで可能性の話ですの。もしかしたら、学園都市外部の人間の仕業かもしれませんし。アンチスキルの捜査がいまいち進まないのも、外部の治安機関との連携がいまいち進まないから、という理由があるからかもしれません」

佐天「………結局、何1つ手掛かりが見つからない、ってことかぁ」

力が抜けたように佐天はソファにグタッと背中をもたれかける。
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:23:30.59 ID:GVqSu3I0
黒子「それにしても、こちらの捜査資料……泡浮さんと湾内さんについての証言が載ってませんね」

佐天「え?」

黒子「私とお姉さまが、寮でアンチスキルから聴取を受けた時、泡浮さんと湾内さんが暴漢に襲われた時のことについて証言したのですが、その記録がここに記載されてませんの」
黒子「まあ…ここに載せるほど大事な情報でもないと判断なさったのでしょうが……」

佐天「…ふーん」
佐天「あ、初春はどーお?」

佐天は今度は初春の方へ向かう。彼女は監視カメラの録画映像のチェックを行っているようだった。

初春「うーん……」

佐天「どうしたの?」

初春「佐天さん、何か変だと思いませんか、この映像?」

顎に手を添えながら、初春は首を傾げる。

佐天「え? どれどれ?」

佐天は初春が見ている画面を覗き込む。

初春「泡浮さんたち、確か『16時から17時頃の間に暴漢に襲われそうになった』って言ってましたよね?」

佐天「うん」

初春「これ、16時20分頃の映像なんですけど…ここ、分かりますか?」

佐天「え?」

初春「見えました?」

佐天「え? いや、分かんなかった…」

初春「じゃあもう1度」

巻き戻し、再生する初春。

初春「ほら…16時21分34秒のとき、少し画面が揺れているように見えません? 何かノイズが走ったような……」

目を細め佐天は画面を凝視する。路地裏の見える18番通りの一角。誰も映っていないが、夕方の歩道の映像が見てとれた。

佐天「あ…確かに」

初春「ですよね?」
初春「それで……」
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/11(金) 23:26:27.66 ID:pGjIieQ0
スレタイ見てもっとカオスかと思ったらシリアスだった支援
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:30:25.29 ID:jSrIUMI0
今度は早送りをし、しばらくして初春は再生ボタンをクリックした。

初春「16時26分50秒です。…ほら!」

佐天「あ」

初春「普通に見てたら気付きませんけど、何かまたここでも画面が揺れたというか、ノイズが走ったと思いません?」

佐天「うーん…微妙だなあ。それぐらい、よくあることなんじゃないの?」

初春「でも気になるんですよね……」

また首を傾げると、初春は立ち上がった。

佐天「ん? どうするの?」

初春「ちょっと、アンチスキルの方にも連絡してみます」
初春「えっと…白井さん、黄泉川先生から貰ったケータイ番号を書いた紙、どこです?」

黒子「白板に貼ってありますの」

パソコンを見ながら黒子は答えた。

初春「あ、あったあった本当だ」

ホワイトボードから紙を取り、それを見ながら初春は電話の番号を押す。

ピポパポ

Rrrrrrrrrr...

初春「あ、黄泉川先生ですか? ジャッジメント第177支部の初春ですけど…ちょっと気になることがあって…」
初春「ええ、そちらにも少し確認してほしいことが……」

ジャッジメントとして仕事をこなす初春と黒子を、佐天は交互に見る。

佐天「(さすが2人とも…)」
佐天「にしても、御坂さんはどこに行ったんだろ?」
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:37:45.77 ID:jSrIUMI0
第7学区・某所――。

スキルアウト「ボ、ボ、ボス!! ボスぅぅぅ〜!!!!」

リーダー「ああ?」

スキルアウト「た、大変です!!」

リーダー「どうしたっつぅんだよ騒がしい」

学生区から外れた場所にある廃ビルの一室。10人も満たないが、スキルアウトの不良たちがたむろっていた。
急いで駆けてきたスキルアウトの1人は息を切らしながら、ソファに座るリーダーの前で膝をついた。

スキルアウト「ハァ…ハァ…大変ッス!」

リーダー「だから、何だよ?」

スキルアウト「と、常盤台の……」

リーダー「?」

スキルアウト「常盤台のレベル5、超電磁砲(レールガン)が1人で乗り込んで来ました!!」

リーダー「なにぃっ!?」

ざわめくスキルアウトたち。
リーダーは無意識に立ち上がっていた。

リーダー「な、何で超能力者がここに……」

美琴「さあ、何故かしらね」

一同の注目が部屋の隅に注がれる。そこには、1人の少女が立っていた。
常盤台のエース・超電磁砲(レールガン)こと御坂美琴だった。

リーダー「超電磁砲……」
リーダー「な、何しにきやがった!? 無能力者相手にウサ晴らしにでもしにきたか?」

強がっているが、リーダーの顔は慄いている。

美琴「いえ、聞きたいことがあるの」

リーダー「あぁ?」

美琴「第7学区にはびこるスキルアウトのグループの中でも、あんたたちは普通のゴロツキとは違うみたいね」

リーダー「………………」

黙り込むリーダー。美琴はそんな彼の様子を気にする素振りも無く続ける。
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:45:30.62 ID:XutmIr.0
美琴「隠したって無駄だから。ちょっと不正な手段を使ってスキルアウトの独自ネットワークを盗み見させてもらったけど、あんたち、今まで色んな裏組織に雇われてたみたいね」

リーダー「で、だから何だってんだよ?」

美琴に攻撃の意思が無いのを感じ取ったのか、リーダーは既に落ち着いて話に応じていた。

美琴「要するにあんたたちは、ヤバメな犯罪グループの使いぱっしりをしてるってことでしょ?」

リーダー「ふん。よく調べたもんだ。が、だったらどうした? 俺たちのようなはぐれ者は生きてくだけで精一杯なんだよ。お前みたいなお嬢様と違ってなあ!!」
リーダー「そのためならどんな組織だろうとパシリぐらいしてやるぜ」

リーダーは悪ぶることなく、寧ろそれが自慢であるかのように答える。

美琴「別にあんたたちの犯罪自慢を聞きにきたわけじゃないわ」

リーダー「そうかい、じゃあ何しに来た?」

美琴「………最近、この辺りで誘拐事件あったのよ。私と同じ常盤台の生徒2人が失踪したって……」

リーダー「………………」ピクッ

僅かに、リーダーの眉が動いた。

美琴「何か、知ってるわね?」

ドスの利いた声を響かせ、美琴はリーダーを睨みつけた。
同時に、彼女を囲っていたスキルアウトたちが殺気立つ気配が部屋中に広がった。

美琴「…連れさられたの、私の友達なのよ…」
美琴「知ってること、洗いざらい全部話さないと痛い目に遭うわよ」

しばらく、その場に静寂が舞い降りた。
スキルアウトたちはいつでも美琴に飛び掛ることも出来たのだが、美琴とリーダーの膠着の前をして叶わずにいた。

リーダー「………………」
リーダー「ふん」

美琴「?」

リーダー「何しに来たかと思えば、そんなことか」

ややあってリーダーはつまらなさそうに口を開いた。
ソファにドカッと腰を降ろし、リーダーは腕組みをする。

美琴「そんなことですって?」キッ

リーダー「お前はどうも俺たちのことを理解してないようだな。俺たちは、学園都市内で蠢く様々な裏組織の雇われ傭兵みたいなもんだ。それで生計を立ててんだ。分かるだろ? 雇用主との間には毎回、守秘義務が発生する。で、あるのに、俺たちがその契約を破って秘密をペラペラ喋ってみろ。もう誰からも信用されなくなって仕事も来なくなっちまう」

美琴は睨んだままリーダーの話に耳を傾ける。
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/11(金) 23:52:32.16 ID:XutmIr.0
リーダー「そういうわけで、俺はお前に仕事のことに関しては何も言うことが出来ない。今、俺たちが誰かに雇われているのか、それとも雇われていないのか、たとえ雇われていたとしても、その雇用主は誰なのか、その仕事内容はなんなのか。…それら全部、打ち明けるなんて馬鹿な真似はしねーんだよ」

美琴「………………」

リーダー「残念だったな。帰んな超電磁砲。ここにいても埒はあかねーぞ、ククク」

リーダーの笑い声に反応し、周りのスキルアウトたちが「そうだそうだ」「帰れ帰れ」と野次を上げる。

美琴「………そう」

リーダー「世間知らずなお嬢様は家に帰って誘拐犯にビビッて泣いてりゃいいんだよ、あっはっはっは」

口を大きく開けて笑うリーダー。

スキルアウト「ボス!!」

リーダー「あ?」

部下から掛けられた声に、リーダーが閉じていた目を開いた瞬間だった。
そこで彼が見たのは、剣のようなものを持って突進してくる美琴の血気迫った顔だった。

リーダー「!!!!!!!!!!」

ジャキン!!!

美琴が砂鉄を集めて作った剣が、鋭い音を響かせ紙一重でリーダーの顔の側の壁に突き刺さる。

リーダー「……は……あ……が…」

ソファに左足だけを掛け微動だにしない美琴。
あまりの出来事に、リーダーは言葉を失ってしまう。

スキルアウト「てめぇ!!」

怒ったスキルアウトたちが美琴に殴りかかろうとする。

ビリビリビリッ!!!!

スキルアウト「ぐああっ!!!!」

美琴「邪魔しないでくれる? 今、こいつと1対1(サシ)で話してんのよ。次、邪魔したら本気でいくからね」

尖ったような美琴の視線と言葉に、スキルアウトたちは蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。

美琴「さて……ボスさん?」

美琴は砂鉄剣を壁から抜き取ると、今度はそれをリーダーの顔の前に突き出した。

リーダー「ひっ!!」
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 00:00:08.34 ID:OCgUDnE0
美琴「別にね。私は、貴方たちを傷つけようとか、アンチスキルに通報しようとか、そんな気はないの。ただ貴方の反応次第では、例外もあるけどね…」

リーダー「れ、例外……?」ブルブル

美琴「私が今、知りたいこと教えてくれる? そうしたら、口の中を剣で貫かれて死ぬなんて無残なことにならないと思うわよ?」

リーダーは美琴の顔を見る。本当に美琴に殺す気があったのか無かったのか分からなかったが、彼女の言葉には、全てを従わせるような強制的な力があった。

美琴「教えてくれないならもういいわ。もう用済みよ」

リーダー「!!!!!!!」

美琴は剣を振り上げた。

リーダー「ま、待て待て!!」

美琴「…何よ?」

間一髪、砂鉄剣が虚空で動きを止める。

リーダー「わ、分かった。教える。教えるから、それをしまってくれ」

美琴「本当?」

リーダー「ほ、本当だ」

美琴「嘘じゃない?」

リーダー「う、嘘じゃねぇ…。俺も、今回の雇い主とだけは早く縁を切りたいと思ってたんだ…。だから……」

目を瞑り、両手を振って懇願するリーダー。

美琴「そ。じゃあ教えてくれる?」

そう言って、美琴は砂鉄剣をリーダーの顔から離した。

リーダー「………と、言っても、あまり詳しいことまでは知らない」

美琴「え?」

リーダー「い、いやいや本当なんだ。と、とにかく聞けよ」

美琴「分かったわ」

美琴が1歩下がると、リーダーは一息つき、やがて話し始めた。
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 00:08:12.08 ID:HOZ8Lek0
リーダー「……雇い主、って言っても実際には会ったことがないんだ。今回、俺らが請け負ってる仕事は全部、電話を介して指示される」

美琴「ふーん」

リーダー「仕事内容は、学園都市内の逃走ルートを考えることだ」

美琴「どういうこと?」

リーダー「例えばだ。もし誰かを誘拐するとした場合、その地域の中で一体どの場所が、誘拐を行いやすいのか。そしてどのルートを使って逃げれば、人目に触れにくく監視カメラの死角をつくことができるのか」
リーダー「そういうのを考えるのが俺たちの役目なんだ。俺たちは今まで色んな組織と関わって、そういう裏の道には詳しいからな。おあつらえ向きの仕事ってわけだ」

美琴「じゃあ、あんたたちが考えた逃走ルートを使って誘拐犯たちは学園都市の学生たちをさらってる、ってわけ?」

リーダー「多分な…と言うのも、俺たちは逃走ルートの情報を提供するだけで、実際に犯行には加わってないから細かいことまでは分からねぇ」

まるで自分は主犯じゃないですよ、と言うようにリーダーは語る。
美琴にしてみれば、間接的に関わっているだけでも本来なら許せなかったが。

美琴「………………」

リーダー「だが、奴を辿るのは難しいかもしれないぜ?」

美琴「どうして?」

リーダー「あいつ、念を入れているのか、俺たちには誘拐実行現場は正確に伝えねぇんだ。毎回、『○○学区の○○周辺から、××学区の□□周辺まで逃げられるルートを教えろ』っていう風に指示してきやがる」
リーダー「始めのポイントと終わりのポイントを曖昧にしやがるんだ。だから、毎回どこで誘拐を行っているのかも分からないし、どこに学生たちを連れ去っているのかも分からねぇ」

美琴「そうなんだ」

リーダー「これを見ろ」

そう言ってリーダーは懐から1枚の地図を取り出すと、ソファの側に置かれてあったガラスの机の上にそれを広げた。見たところ、第7学区の地図のようである。

美琴「これって……」

リーダー「今言った、逃走ルートのいくつかだよ」

地図には、第7学区をまたぐように、何本かの歪つな線が書き込まれていた。そのどれにも共通しているのが、線の端と端がそれぞれ同じ色のマークで囲まれていることだ。その両端のマークの横には、「A-25」など同じ英数字が並んで書かれてある。ただし、マークの色や英数字は線によってそれぞれ違うようで、隣の線を見てみると、その両端のマークの横には「D-14」と書かれてあった。が、中には英数字が書かれていない線もあり、どういう風に区別されているのか美琴にはさっぱり分からなかった。

リーダー「この地図を元に、雇用主に逃走ルートを教えているんだ。もちろんこの地図の中に書かれてあるのは、盗まれた時のためにと、ダミーのルートも書き込んであるがな」

美琴「ふーん。この両端のマークは何? 線によって色が違うけど」

リーダー「それは単に、スタート地点とゴール地点を表してるだけだ。別にどっちがスタートでどっちがゴールかはどうでもいいから、同じ線の両端にあるマークは同じ色にしてある。ただ、ややこしいから別の線ではそれぞれ他の色でマークしてるけどな」

美琴「じゃあこの『A-25』とか『D-14』って英数字がマークの横に書かれてる線は何?」

次々と質問を繰り出す美琴に、リーダーは「遠慮のないやつだ」と1拍置いてから説明を続けた。
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 00:15:30.20 ID:HOZ8Lek0
リーダー「それは地下のルートだ」

美琴「地下?」

リーダー「ああ。主に今では使われなくなった『共同溝』を利用したルートだ。ただし、ルートによっては、今も使われている共同溝を一部に組み込んだものもある。まあ、ちゃんと監視カメラやセキュリティを避けたエリアを組み込んでるし問題はないんだがな」

美琴「へえ」

美琴は感心したような声を上げる。意外と緻密に考えられているらしい。

リーダー「で、その『A-24』だの『D-14』って言う数字は入口のことだ」

美琴「入口?」

リーダー「ああ、入口と言っても大層なもんじゃなく、ただのマンホールなんだけどな。その数字はマンホールの蓋に刻まれてるものだ」

美琴「あ、そうなんだ」

リーダー「マンホールって言っても、設置箇所は色々あるようでな。例えば、人目がつくような大通りの道路にあるマンホールは『A-○○』、人目につかないような裏路地にあるマンホールは『D-○○』って言うようにアルファベットでランク分けされてるんだ。『A』ランクのマンホールは今でもバンバン使われている共同溝に繋がってるが、逆に『D』ランクぐらいになると、今では使われていない、点検もほとんど行われていない共同溝に繋がってる」

美琴「じゃあ、アルファベットの後ろにくっついてる数字のほうは?」

リーダー「それは単に、『同じ数字が刻まれたマンホールとマンホールは一直線で繋がってますよ』って印だ。まあ実際には曲がり道もあるし、階段の上り下がりもあるんだけどな」

美琴は地図の端から端までを見渡す。
『A-24』だの『B-32』だの『A-11』だの『C-43』だの『B-21』だの『D-02』だの『D-16』だの様々なルートが見て取れる。その中でも、スキルアウトたちが根城にしているこの廃ビルの1番近くにあるのは、『D-14』マンホールらしい。恐らくそのマンホールも日頃から利用しているのだろう。試しに『D-14』の線を辿っていくと、終点は第7学区の裏路地の一角だった。

美琴「よくそこまで調べたわね」

リーダー「これだけやっとかねぇと仕事は来ないからな」

美琴「(なるほど。随分と本格的に調査されてるわね。…さて、誘拐犯の足跡を辿るには、どのルートが使われたのか聞くのが一番だけど……もっと手っ取り早い方法の方がいいわよね)」

リーダー「これが俺たちが知ってる全てだ」

美琴「…分かったわ、教えてくれてありがとう」
美琴「言った通り、あんたたちのことは見逃してあげるから安心して。それに、すぐにでも誘拐犯の尻尾捕まえてこれ以上好き勝手にはさせないわ」

リーダー「そ、そいつは助かるぜ。電話だけの接触とは言え、あいつは声だけで他人を殺せそうな恐ろしい奴だからな。正直、そんな人間とこれ以上会話するなんてこっちも懲り懲りだったんだよ」

美琴「だから1つ頼まれてくれる?」
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 00:22:29.19 ID:B6VnT4Y0
リーダーの言など知ったこっちゃない、と言うように美琴は発していた。

リーダー「え?」

美琴「いや?」

そう言って美琴は再び砂鉄剣を胸の前にかざす。

美琴「あんたたちもその雇用主とは縁を切りたいんでしょ? だったら、そのためにも私が全力を尽くしてあげるから、ちょっとぐらい協力しなさいよ」

リーダー「なななな何だよ? 何が目的だよ?」

目の前にかざされた砂鉄剣の切っ先を見つめるようにリーダーは問う。

美琴「その誘拐犯をおびき出して欲しいのよ」

リーダー「はぁ!?」

美琴「電話番号は知ってるんでしょ? だから、奴らをおびき出すことぐらい出来るでしょ?」

リーダー「バ、馬鹿言うなよ! 言っとくけど、お、俺はあいつに会うつもりとか全くねぇからな!!」

リーダーはうろたえるように必死に断ろうとする。

美琴「大丈夫。会うのはあんたたちじゃないから」

リーダー「え?」

美琴「じゃ、頼んだわよ」

それだけ言って、美琴は踵を返した。
さんざん好き勝手にされたのに、悠然と部屋を出て行く美琴をスキルアウトたちはただ黙って見送ることしか出来なかった。
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 00:25:27.67 ID:B6VnT4Y0
今日は以上です。
ではまた明日にでも。
ありがとうございました。
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/12(土) 00:29:38.33 ID:3OM4lOg0
乙!
また明日
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 01:17:19.66 ID:.255VXI0
犯人との接触はまだかー
続き待ってます
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/12(土) 01:31:55.03 ID:rgssxTQ0
美琴が調子乗ってきたなwwwwww

一方さん頼むぜ
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 01:34:45.81 ID:TtvNktIo
きめぇのがいる
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 01:58:14.99 ID:ezs8ogY0
おまえのことだな

乙なんだよ!
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 02:06:14.50 ID:oR5nS6DO
おまえもだよ。
アンチも信者もスルーしろよ
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 07:10:56.15 ID:U/iYYQA0
オマエモナー



141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 09:18:50.07 ID:inGYyoso
また美琴アンチ→美琴アンチを叩く奴の流れか
客観的に見ると美琴アンチが荒らし
美琴信者はスルーすることができないからスレが荒れる
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 11:04:41.68 ID:U/iYYQA0
おまえもなー
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 13:10:56.84 ID:ampp/K6o
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ てめえらがいつまでも
                /(  )    同じ話でループしてるなら
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  まずは俺も便乗する
       オマエモナー
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 13:18:12.10 ID:M/SI0pso
これゲーム化するんだな。

しかも3D対戦アクション……


一方通行いてゲームバランスは大丈夫なのか
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 14:51:37.05 ID:GD3hopAo
>>144
そのための電極ですよ。
制限大きくすればいい
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 15:15:07.92 ID:zUYpGOo0
一通さんは最盛期だろ?
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 15:17:45.79 ID:u3Uh0Too
上条さんだとシスコン軍曹に勝ち目が無い
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 15:43:57.08 ID:M/SI0pso
まあ、某格ゲーなんてメイドさんが作中最強キャラと戦えたり、

何故か二段ジャンプ出来たりするし、何とでもするか
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/12(土) 17:33:51.41 ID:.HTsXVs0
なんか攻撃は銃とかで防御とか技の時だけ能力使用モードになんじゃね?
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/12(土) 17:41:56.55 ID:dgm.6.k0
>>149
その発想はなかった。
でも、まず絵が最盛期だから、無双モードだろ?
銃自体使えないんじゃ……
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 17:58:00.63 ID:dgDl4VM0
こまけえこたぁ(ry
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 19:22:38.92 ID:hzQmU1Mo
上条さんは殴るしかできねぇじゃんww
必殺技「そげぶ」
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 19:29:03.48 ID:e44OE1k0
どこからともなくインデックスが現れて相手に噛み付くコマンドとか入れればいいんだよ!
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 19:30:05.33 ID:zUYpGOo0
ギャグ属性になりそうだや
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 19:31:09.68 ID:zUYpGOo0
ギャグ属性になりそうだな
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 19:45:44.64 ID:zUYpGOo0
ギャグ属性になりそうだなだな
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 19:46:09.68 ID:LEOPVKo0
なにがあった
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/12(土) 20:27:49.02 ID:2YswkDg0
>>151
そだなー

>>154-156
おまえら何があった。
>>153の所為か?
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 20:31:03.00 ID:GD3hopAo
>>146
設定の絵をよく見てみろ、電極ついてるから。
きっとそれで調整する気なんだろう。

俺としては、一方さんの声が聞けるだけで、満足だ。
あぁ、キャラゲーの罠にはまってるな…本望だ。
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:17:12.32 ID:mvmfvdw0
>>1です。
では今日もいつも通り投下していきます。
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:23:03.49 ID:mvmfvdw0
ジャッジメント第177支部――。

美琴「たっだいまー」

佐天「あ、帰ってきました!」

ドアを開け、美琴が室内に入ってくる。
部屋の中央では、黒子と佐天と初春がお菓子を食べながら一服していた。

黒子「随分と遅かったですわね」

佐天「結局、どこ行ってたんですかあの後?」

美琴「ん、ちょっとねー」

黒子「………………」

軽く美琴は受け流す。

初春「あ、御坂さん、これ食べます?」

美琴「ありがとう初春さん」
美琴「で、どう? そっちは何か発見した?」

椅子に座り、初春から受け取ったミニサイズのバームクーへンをほお張る美琴。

黒子「進展なし、ですわ」

美琴「そっか……」

黒子「アンチスキルから送られてきた資料をもう1度隅から隅までチェックして、書庫(バンク)の中から、誘拐を実行するのに都合の良い能力を持つ学生を探してみましたが、結局みんなアリバイがあって見つかりませんでしたの」

黒子は紅茶を飲みながら説明する。

黒子「固法先輩が巻き込まれた爆発事件も同様に調査してみましたが、目ぼしいことは見当たらず。一応、アンチスキルが容疑者を拘束したという話は聞いていますが、ただ偶然現場近くにいた万引き犯である可能性が高いとか」

初春「私は、監視カメラの映像で気になることを黄泉川先生に聞いてみたんですけど……」

続き、初春が会話に入ってきた。

美琴「気になること?」

美琴は眉をひそめる。

初春「はい。4日前の11日、第7学区18番通りの映像なんですけど、16時21分34秒と16時26分50秒のところで微妙にノイズが走って画面が揺れるんです。ほんと、よく見ないと気付かないんですけど……」
初春「で、アンチスキルの黄泉川先生にも確認してもらったんです」

美琴「それで?」
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:30:51.78 ID:hi1q2i60
初春「ただ、黄泉川先生が言うには『たまにこういうことがある』らしくて…」

佐天「あたしと御坂さんの聞き込みでも、手掛かり1つ見つけられなかったし、全然進みませんね……」

4人は無言になる。
彼女たちも所詮、能力以外は普通の女子中学生。出来ることはどうしても限られてくる。

美琴「(やっぱり……頼りはあれしかないか…)」
美琴「(みんなには黙ってて悪いけど……)」

顎の下で手を組み、チラッと美琴は黒子たちの顔を一瞥する。

黒子「取り敢えず、今日の仕事はこれで終わりにしましょう」

佐天「そうですね」

初春「分かりました」

一服も終え、3人はソファから立ち上がる。

美琴「……………」

と、いつまでも黙りこくり座ったままの状態の美琴を不審に思ったのか、黒子が声を掛けた。

黒子「お姉さま?」

美琴「え? ん? 何?」

黒子「大丈夫ですか? 何か考えごとでも?」

美琴「あ、何でもないから心配しないで」

黒子「そうですか……」

美琴「さ、明日もがんばろー!」

強引に話を終わらせるように、美琴は腕を上げ叫ぶ。

佐天初春「おー!」

黒子「(お姉さま……また何か1人で抱え込んでいますわね……)」
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:36:15.52 ID:hi1q2i60
翌朝・常盤台中学女子寮――。

ザワザワ

美琴「ん? 何だろ?」

廊下を歩く美琴。奥の方から何やらざわめきが聞こえたので、彼女は人だかりが出来ているホールに向かった。

美琴「ねぇねぇ、どうしたの?」

生徒「あ、御坂さま。ほら、ご覧になって」

美琴「え?」

美琴は生徒たちが見つめる掲示板に視線を移す。
そこには、『休校のお知らせ』という告知が書かれた紙が貼られていた。

美琴「休校?」

黒子「あ、お姉さま!」

美琴が眉をひそめていると、人だかりの中から黒子が手を振りながら駆けてきた。

美琴「黒子、休校って…」

黒子「見ての通りですわ。頻発するテロや要人暗殺を受けて、学園都市中の学校に休校措置がとられましたの」

美琴「そうなんだ…」

寮監「その通りだ」

美琴「!!」

突然、背後から大人の女性の声が聞こえた。
美琴と黒子が振り返ると、そこには光る眼鏡に片手を添えながら立つ寮監の姿があった。

寮監「ここにいる生徒たちに告ぐ。知っての通り、本日から常盤台中学は休校となった。学校の指示通り、貴様らは休校措置が解除されるまで、寮から外出してはならん!!」

ええええええええええええ、と女子生徒たちが同時に抗議の声を上げる。

寮監「黙れ!!!」

シーン……

寮監が一喝するやいなや、女子生徒たちが一瞬で静かになった。

寮監「貴様も例外じゃないぞ、御坂」

美琴「えっ!?」
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:43:56.55 ID:rpgWs3.0
光る眼鏡の奥から寮監の鋭い目が美琴に向けられた。

寮監「ジャッジメントの学生だけは、所属する支部に限って外出は許されているが…」チラッ

黒子「……はい」

寮監「一般学生は外出禁止だ」

美琴「そんな!」

寮監「特に御坂、お前はよく支部に通い詰めているらしいな」

美琴「それは……友達の失踪事件の調査で…」

美琴の声が弱まる。

寮監「そんなものは白井たちに任せておけばいい。とにかく、規則を破ったら休校措置が解除されても、一定期間の外出禁止とするからな」

美琴「そんなの……」

寮監「以上だ! お前らもどうしても外出したいときは私の許可を得てからにしろ!!」

ホールに集まった女子生徒たちに再び一喝すると、寮監は悠然にスタスタと来た道を戻っていった。

美琴「……………」

黒子「お姉さま…」

落ち込んだ素振りを見せる美琴の顔を、黒子が心配そうに覗き込む。

美琴「黒子、ごめん…」

黒子「気にしておりませんわ。泡浮さん、湾内さんのことは私にお任せ下さいまし」

美琴「………………」

黒子はそう言うものの、美琴は黙っているしか出来なかった。
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:49:50.97 ID:rpgWs3.0
ジャッジメント第177支部――。

黒子「とにかく、お姉さまの落ち込みようは半端ありませんの…」

初春「佐天さんも同じです。せっかくみんなで犯人を追い詰めようとしていたのに……」

部屋のソファに座って向かい合い、黒子と初春は残念そうに会話する。
心なしか、いつもより室内が寂しく思えた。

初春「御坂さんも悔しいでしょうね」

黒子「まあ…ならいいんですけど…」

初春「……? どういう意味です?」

黒子「どうもお姉さま、何か隠しているような気がしますの」

虚空に視線を向け、黒子は推測を口にする。

初春「隠してる? …って何をですか?」

黒子「それが分かれば苦労しませんが……」
黒子「とにかく、私たちはお姉さまや佐天さんの分も頑張ることです」

初春「そうですね! ジャッジメントの意地を見せてやりましょう!!」

元気一杯に初春はガッツポーズをしてみせた。

黒子「ええ……(お姉さま……)」
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 21:54:17.48 ID:rpgWs3.0
とある廃ビル――。

スキルアウト「ボ、ボス!! 来ましたぜ!!」

リーダー「あ? 誰が??」

慌てて駆けてきた部下の1人に、漫画を読んでいたスキルアウトのリーダーは僅かに顔を上げた。

スキルアウト「超電磁砲(レールガン)です!!」

リーダー「来たか……」

部下たちが騒然とする中、リーダーの男は漫画を捨てて立ち上がった。

美琴「元気してる?」

と、スキルアウトたちが準備に時間を割く余裕すらないまま、美琴はいつの間にかフロア内に侵入していた。

リーダー「昨日会ったばっかじゃねぇか」

溜息を吐くようにリーダーはぼやく。

美琴「あら、そうだったっけ? 色んなことあって1週間は経ってると思ったわ」

リーダー「確か、休校措置出されてたよなぁ? いいのかよ、こんなところにいて?」

美琴「ふん、別に処罰なんて怖くともなんともないわ。友達を取り戻すためならね」

腰に手を当て美琴はいたって平然と言う。

リーダー「そうかい…」

美琴「で、連絡は取れたんでしょうね?」

顔を横に向けたまま、美琴は目をリーダーに向けた。

リーダー「ああ…大変だったんだぞ。あれから何度も電話して…15回目でようやく出やがった」

美琴「そう、それで?」

リーダー「話はつけた」

美琴「………………」

何の反応も見せず、美琴は押し黙る。
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:01:38.91 ID:.6Tinfw0
リーダーの口元がニヤリと歪んだ。

リーダー「上手いこと乗ってくれたぜ」

美琴「で、いつ?」

リーダー「明後日だ」
リーダー「明後日の夜12時。つまりは明々後日18日午前0時っていうことになるな。場所は、この資材置き場だ」

そう言ってリーダーは地図を広げ、印をつけた場所を美琴に見せる。

美琴「ふーん…ありがとう。でもよく向こう、乗ってくれたわね」

地図に顔を向けたまま、美琴はリーダーに視線を流す。

リーダー「いずれ働いた分の金の受け渡しが必要になるんだ。『口座は足がつく危険もあるから直接受け取りたい』って言ったらあっさり承諾してくれたぜ」

美琴「そう、罠じゃなきゃいいけど。ま、どっちみちあんたたちには関係ないわね」

リーダー「…お前、マジで一人で行く気なのか?」

心配、とまではいかなかったが、多少信じられないという顔でリーダーは美琴に質した。

美琴「そうよ。ろくに捜査の手掛かりも掴められないアンチスキルに任せて、取り逃がされても困るし。それに私は第3位のレベル5よ。コソコソと人の目を盗んで学生を誘拐するような卑怯な奴に負ける気なんてしないし」

リーダー「ふん、まあ止めはしねぇぜ」

美琴「じゃあ、お世話になったわね。ありがとう。また何かあれば来るわ」

リーダー「待てよ、これ持ってけ」

踵を返した美琴に、リーダーが後ろから呼び止めた。

美琴「……何これ?」

美琴は差し出されたリーダーの手元を見る。

リーダー「見れば分かるだろ? 拳銃だよ」

御坂「…私にはそんなの…」

リーダー「だろうな。が、自衛用だ自衛用。わざわざ能力使わなくても、これちらつかせるだけで、大の男も怯むもんだ」
リーダー「だから持ってけよ」パシッ

美琴「…………………」

美琴のお陰で、雇用主との関係が切れることに対するお礼からの行動なのだろうか。リーダーは美琴に拳銃を渡していた。
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:08:33.20 ID:t5.awfo0
2日後・常盤台中学女子寮――。

美琴「待ち合わせの時間まで、あと12時間を切ったわね…」

1人、美琴は部屋の中で地図を広げ、件の場所を確認する。

美琴「見てなさいよ誘拐犯。あんたたちなんて必ず、私がとっ捕まえてやるわ」
美琴「場合によっては……」

ベッドの下から取り出した拳銃を見つめる美琴。

美琴「……そう、これは私1人で決着を着ける…。黒子たちを巻き込むわけにはいかない……」
美琴「これ以上、私の大切な人を失いたくないから……」

美琴は拳を握り締めた。

美琴「………………」

Prrrrrrrrrr.....

美琴「はいもしもし」

反射的な行動だった。
深い考え事をしていた美琴は突如鳴ったコール音を聞き、無意識のうちに手元にあった携帯電話に出ていた。

美琴「もしもし?」




『ふざけた真似を続けるなら命の保障はないぞ』




美琴「え?」
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:17:14.62 ID:hb08PNI0
一瞬、頭が真っ白になった。


『お友達がまた死んでもいいのか?』


美琴「……な、何言ってるの?」

状況が理解出来ないのか、美琴はうろたえるように訊ねていた。
彼女の言葉を気にすることなく、相手は答えた。

『泡浮万彬、湾内絹保。2人の行方を追っても無駄だ』

美琴「!!!!!!!!!」
美琴「……あ、あんた誰よ!?」

想像もしていなかった者からの電話。相手は機械で声を変えているのか、酷く無機質で無感情な印象を受けた。

『もう一度言う。深追いするな。これは命令だ。従わなければ……殺す』

美琴「…殺す……ですって?」

それを聞いた瞬間、美琴はぶち切れていた。

美琴「ふざけんじゃないわよ!! あんたが泡浮さんや湾内さん、学園都市の学生をさらった誘拐犯ね!!」

『こちらのことなどどうでもいい』

対し、電話の声はいたって冷静に答える。

美琴「どうでもよくないわよ!! この卑怯者!! 正々堂々と出てきなさいよ!!!」
美琴「……いいわよ。やってみなさいよ。殺せるもんなら殺してみなさいよ!! ただし、私が誰だか知ってて言ってるんでしょうね!!??」

『超電磁砲(レールガン)』

美琴「!!」

『君の身元は既に判明している』

美琴「(こいつ……私をレベル5の超能力者だと知ってて、『殺す』とか息巻いてんの?)」
美琴「あんた……!!」



『お友達のように深い海の底に沈められて死にたくはないだろう?』



美琴「え……」
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 22:22:37.88 ID:JxQ1Mlko
(゚Д゚)ハァ?
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 22:23:36.29 ID:RJ1vBcEo
( ゚Å゚)ホゥ
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:24:43.13 ID:bbnLoC60
続けて電話の声に抗議をしようと思った美琴だったが、その言葉で強制的に遮られてしまった。

『我々は単なる誘拐犯ではない』
『君のお友達、泡浮万彬と湾内絹保のことだ。彼女たちは今、冷たくて暗い海の底で、安からに眠ってる』

美琴「…………死ん……でるの……?」

不意に告げられた衝撃の真実。
美琴は言葉を紡ぐのも出来ず、ただ呆然とする。

『足に重りをつけられてな』

美琴「…………嘘…よね?…」

『嘘をつく必要が無い』

美琴「あんたが……殺したんだ……」

泡浮と湾内の最後の笑顔が美琴の脳裏に蘇る。

美琴「あんたが!! 殺したんだ!!!!」

徐々に、美琴の心の奥底から言い知れぬ感情がフツフツと沸き上がってくる。

美琴「許さない!!! 絶対許さない!!!!」
美琴「私の後輩を…友達を殺すなんて!!!! 絶対にあんたを見つけ出して跡形が無くなるまで燃やし尽くしてやる!!!!」

激昂する美琴。彼女は我を忘れたかのように、大声を吹き込む。

美琴「これ以上、あんたの好きにはさせない!!」

『なら、やってみるか?』

機械を使って話しているはずの無機質な声が、受話器の向こうで笑ったような気がした。

美琴「え……」

電話の声は言う。

『ジャッジメント第177支部』

美琴「!?」

『今、そこに……君の友人か……』
『ツインテールの少女と、頭に花飾りをつけた少女、それと…黒い髪をストレートに伸ばした少女がいるな………』

美琴は走り出していた。
相手の声を最後まで聞き終えるのも待たず、彼女は部屋のドアを開け、廊下を全速力で駆けていた。
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:34:13.76 ID:YNadw660
前方に、寮監が現れる。

寮監「こら御坂!! 廊下を走るな!!! ……御坂!!!」

美琴「………………」

寮監「外へ行くつもりか!? 許さんぞ!!!」

寮監が正面に立ち、美琴を捕まえようとする。しかし彼女はそれを猫のようにすり抜け、寮を出て行った。

寮監「御坂!!!」

後ろから寮監が叫ぶ声が聞こえるが、無視する。と言うよりも、そんな声は既に意識の外だった。

婚后「あら御坂さん、どこへ行かれるのですか? ……って、あら?…なんとまあ、お忙しい方ですわね」

寮を出ると、美琴は早速携帯電話から「黒子」の連絡先を表示し、発信ボタンを押した。

Rrrrrrrr....

しかし…

Rrrrrrrrr....

何度コール音が鳴っても、黒子が電話に出る気配はない。

美琴「黒子!! 何で出ないのよ!?」

次に美琴は「初春さん」の表示を呼び出し発信ボタンを押す。

Rrrrrrrrrr......

が、しかし。

Rrrrrrrrrr......

美琴「何で!? 何で初春さんまで出ないの!???」

またもやコール音が続いただけで、初春が出ることはなかった。最後に彼女は、「佐天さん」の連絡先を表示し発信ボタンを押した。

Rrrrrrrrrr......

が、何故か佐天にいたっても電話に出ないのだ。

美琴「何で!? 何で出ないのよ!!!」

泡浮と湾内の2人のことを美琴は思い出す。彼女は不安に駆られ、足を速めた。

美琴「……黒子……佐天さん……初春さん……。……みんな、無事でいて!!」
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:40:53.95 ID:SGK.5xI0
息も絶え絶えに、彼女は走る。休校措置が発令されていたためか、通りには目立つほど学生はいない。
もうどれほどの時間が経ったのだろうか。そう思った時、眼前に1つの建物が見えてきた。

美琴「見えた! ジャッジメント第177支部!!」

見たところ、別に爆発したわけでもなく、火事になっているわけでもない。
建物の周囲にはいつものように、黄泉川の部隊のアンチスキルたちが警護についていた。

警備員「おいこら待て!!」

警備員の検問を突破し、美琴は突き進む。
飛ぶように階段を駆け上がった彼女は、支部のドアを破壊するような勢いで押し開けた。



美琴「…………ハァ…ハァ…ハァ…」



立ち止まり、息を切らしながら、室内を見つめる美琴。

美琴「…………ハァ…ハァ…」
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:46:25.16 ID:SGK.5xI0
そんな彼女の姿を、不思議そうに3人の少女が見つめていた。

黒子「あら、お姉さま、どうかしたんですの?」

キョトンとした顔で黒子が訊ねる。

美琴「………………」

佐天「すんごい汗かいてますよ!」

驚き、佐天も声を上げた。

初春「何か急用でも?」

初春が首を傾げて言う。

美琴「フフ……」

黒子佐天初春「????」

美琴「……フ…」

壁にもたれかけるように、美琴はその場に崩れた。

黒子「お、お姉さま!!」

黒子と佐天と初春が駆け寄ってくる。

佐天「しっかりしてください!」

初春「何があったんですか!?」

美琴「フフ……いえ…何も…何もなかったわ……」

黒子佐天初春「?」

美琴の行動がさっぱり理解出来なかったのか、黒子たちは顔を見合わせた。

警備員「おいこら! 君、勝手に入っちゃいかんだろ」

美琴を止めようとした警備員がしばらくして室内に入ってきた。

美琴「ああ…すみません…」

黒子「この方は私の先輩です。心配はいりませんわ」

警備員「…何だ。ならいいんだが…」

警備員も美琴の顔を覚えていたのか、すぐに下に戻っていった。黒子がドアを閉めると、美琴はヨロヨロと立ち上がった。
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:52:27.55 ID:SGK.5xI0
初春「御坂さん、冷たい水です」

美琴「ああ、ありがとう初春さん」

初春から受け取った水をゴクゴクと一気飲みする美琴。

黒子「で、どうしたんですのお姉さま? そんなに慌てて…」

一息つき、美琴は目に入った椅子に腰をかけた。

美琴「……警告があったわ」

黒子佐天初春「え?」

美琴「泡浮さんと湾内さんの件、私たちだけで独自に調べてたけど……」
美琴「さっき、どこから嗅ぎつけたのか…誘拐犯が自ら私のケータイに電話してきたわ」

黒子佐天初春「ええっっ!!??」

3人は驚愕の声を上げる。

黒子「ゆ、誘拐犯ですって!?」

初春「ほ、本当に電話が掛かってきたんですか!?」

佐天「一体何で……」

美琴「だから、警告よ」

黒子「警告?」

美琴「これ以上深入りするな、ってね……。で、そいつがあんたたちの安全を脅かすようなこと仄めかすから、急いで走ってきたってわけ……。みんな、何ともなくて良かったけど……」

本当に安心したように、美琴は息を大きく吐き出した。

黒子佐天初春「………………」

誰かが息を呑む声が聞こえたような気がした。

美琴「あいつ……絶対に許せない……」

黒子「そ、それでどうされたんですか?」

組んだ両手に顎を置き、言葉を震わせる美琴を見て、黒子は疑問を口にした。

美琴「………黒子、初春さん、佐天さん……」

潤んだ目を3人に向ける美琴。その表情に、3人は言葉を失う。
意を決し、美琴は言葉を搾り出していた。
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 22:58:33.33 ID:SGK.5xI0
美琴「……泡浮さんと湾内さんは既に殺されてるわ……」

黒子佐天初春「!!!!!??????」

佐天「ど、どういうことですかそれ!!??」

黒子「誘拐犯がそう言いましたの!?」

美琴「ええ……」

初春「そんな……何で……酷い………酷すぎる……」

3人は愕然とした表情になる。

美琴「だから、同じ目に遭いたくなかったら、もうこれ以上深追いはするなって……」

黒子「……そんな…そんなこと、尚更出来ませんわ。私たちの…私たちの友達を殺しておいて……」

佐天「……何のために…ここまで…やってきたんだろ……」

初春「泡浮さん…グスッ……湾内さん…ヒグッ」

美琴「…………………」

涙を浮かべる3人を前に、無言になる美琴。
と、その時だった。

Prrrrrrrrrrrr!!!!!!

悲しみに暮れ、ただ泣くことしかできない彼女たちの雰囲気をぶち壊すように、支部の電話が鳴った。

Prrrrrrrrrrrr!!!!!!

黒子「……グスッ…私がとりますの…」

赤くなった目を拭き、黒子が受話器をとる。

黒子「はい、こちらジャッジメント第……え? どなたですの? ……はぁ?」

美琴たちは頓狂な声を上げた黒子を怪訝な顔で見る。

美琴「どうしたの黒子?」

黒子「何だか理解出来ませんが、分かりましたわ……」

そういうと、黒子は電話のスピーカーボタンを押した。

黒子「お姉さま、知らない人が『とにかくスピーカーを押して全員に聞こえるようにしろ』と……」
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:04:38.11 ID:SGK.5xI0
美琴「?」

『超電磁砲、お友達が無事で良かったな』

美琴「!!??」

その機械のような声に、美琴は覚えがあった。

佐天「…グスッ…知り合いですか御坂さん?」

驚いた顔で美琴は言う。

美琴「………知ってるもなにもこいつは、ついさっき……」

『君たちの友達を誘拐し、更には殺した犯人だ』

黒子佐天初春「!!!!!!!!!!」

『君たちへの要求は1つ』

美琴たちの反応を気にするつもりもないのか、電話の声は普通に話を続けた。
しかし、それで黒子たちが納得するはずがない。

黒子「お待ちなさい!! 貴方が泡浮さんと湾内さんを殺した犯人ですのね!?」

佐天「どうしてこんなことをしたのよ!! 答えろ卑怯者!!」

初春「…私たちの……友達を返してください……!!」

『君らのことなど知ったことじゃない。君らの愚痴を聞きに電話をかけたわけではない』

美琴「…………っ…」

その遠慮も配慮も無さすぎる声に、美琴は改めて怒りを覚える。

『要求はただ1つ。これ以上、我々に深追いするな。それだけだ』

佐天「ふざけないでよ!! あんたに友達を失った悲しみが分かるって言うの!?」

黒子「絶対に、貴方を追い詰めてみますわ……すぐにでも!!」

『なら、こっちも君たちには容赦しない。我々の計画を邪魔するなら、君たち4人を殺す』

黒子佐天初春「!!??」

機械で声を変えているとは言え、その言葉が嘘だとは思えなかった。
受話器の向こうの人間が本気であることはその口調からすぐに理解出来た。
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:10:31.66 ID:SGK.5xI0
佐天「フン、今更恐くないわよ! やってみなさいよ!!」

黒子「そうですわ。返り討ちにしてやりますの!!」

初春「……中学生だからって、舐めないで下さい……」

それでも少女たちは怯まない。

『そうか。ならばせいぜい健闘したまえ。こちらも容赦しない。以上だ』

美琴「待ちなさいよ!!」

それまで黙っていた美琴が、黒子たちを押しのけて電話に近付いた。

美琴「いい気にならないでよ! あんたなんか、この私がじきじきに倒してやるんだから!! 私は、学園都市第3位の超電磁砲(レールガン)なんだからね!!」

『過信している人間ほど終わりはあっけないもんだ。そう、君らの先輩の……』
『 固 法 美 偉 の よ う に ね 』

美琴「え……」

黒子「今なんと……」

佐天「固法先輩って言った?」

初春「こ、固法先輩がどうしたんですか!?」

『理解出来なかったか? そうだ、爆死した固法美偉。彼女も我々が殺した』

金槌で頭を殴られたような、大きな衝撃が美琴たちを襲った。

佐天「あんたが……あんたが…固法先輩も殺したって言うの……?」

初春「そんな…固法先輩まで………酷すぎる!」

黒子「……何てことを。では、貴方があの『ファニーランド』をテロ爆破した張本人でもありますのね!?」

『もう君たちとの問答も飽きた。君たちに出来るのは、普段通りに生活を送ることのみ。もし我々の邪魔をするというのなら、覚悟しておくことだ』

美琴「待ちなさい!!!」

最後に美琴が叫んだが、その時には既に通話が切れ、ツーツーと空しい音が鳴り響くだけだった。
しばらくの間、押し黙り微動だにしない4人。みな、赤くなった目に涙を溜め、ただ悔しそうな表情を浮かべていた。
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:18:08.60 ID:KTi5jTQ0
美琴「…………………」

伸ばした両手を机に置き、美琴は1人黙考する。

美琴「(………どうして…こんなことに……何で…固法先輩まで……やっぱり、私の能力なんて人を助けられないんじゃない…っ!!)」

1度閉じた目を再び開ける。

美琴「(………どちらにしろ、このまま奴らを放っておくわけにはいかない……当初の予定通り、今夜、奴らを待ち伏せして……)」
美琴「(……でも…もし失敗したら……もし失敗して…報復に黒子たちが奴らに殺されでもしたら……)」

そんな彼女の脳裏に、とある人物の顔が蘇る。

美琴「(……あんたなら…あんたなら……どうする? ……いえ…あんたなら…私の妹達を助けたときみたく、何も考えずに猪突猛進に向かっていくんでしょうね……)」

もちろん美琴の頭に浮かんだ、とある人物は今、彼女に答えを提示してくれない。

美琴「(……でも怖い…怖いのよ……もし…失敗したらどうしようかって……私の大切な友達に危害が及んだらどうしようかって……そう思うと怖いのよ……)」

美琴はギュッと握り拳を作る。

美琴「(……でも、あんたは違う……あんたは…相手がどんなに自分より強い人間でも……例え相手が最強の超能力者だったとしても……信念1つで果敢に立ち向かう……だけど、私は怖いのよ……1人で全てを背負いきれるのか……1人で、自分の行動の結果に責任をもてるのか……)」

ふと美琴は、とある実験が中断された日のことを思い出す。

美琴「(…そっか……今のあんたが…私を見たら、怒るでしょうね……また1人だけで無茶しようとして……お得意の説教を何時間にも渡って、垂れるんでしょうね……)」

美琴はチラッと後ろに視線を移す。ただ、泣くことしか出来ない親友たちの悔しそうな顔が目に入った。

美琴「(……みんな…とても悔しそう……。そうだよね……固法先輩を殺されて…泡浮さんと湾内さんを助けることも出来ず……今までの行動も全て水泡に帰そうとしてる…)」
美琴「(……そう…これは、私だけの問題じゃないんだ……。私には、頼りになる親友がたくさんいるんだから……)」

意を決し、美琴は黒子たちに振り返っていた。

黒子「グスッ……」

佐天「グズズ……」

初春「ヒッグ…ヒッグ…」

美琴「黒子、佐天さん、初春さん……」

声を掛けられ、3人が顔を向ける。みんな歳相応に、子供のような泣き顔を浮かべていた。

黒子佐天初春「??」

美琴「私の話、聞いてくれる?」
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:25:20.32 ID:KTi5jTQ0
とある廃ビル――。

スキルアウト「ボス!! 逃げて下さ……グエッ!!!」ドスッ

リーダー「チッ……!!」

そこらじゅうに赤く染まった死体が転がる中、リーダーは何とか廃ビルからの脱出を試みようとしていた。
しかし、目の前に立つ人間がそれを許すはずも無かった。

リーダー「…全員やられたか……」

辺りを見回す。室内に残ってるのはリーダーと侵入者1人のみ。
その状況はもはや、『戦闘』とは言えない、ただの『虐殺』だった。

リーダー「フンッ! 舐めてもらっちゃ困るぜ。これでも俺は学園都市の裏を歩いてきた男だぜ?」

拳銃を取り出すリーダー。狙いを定め、引き金を引いた。
その瞬間、侵入者が歪な笑みを口元に浮かべた。

リーダー「!!!!!!!」
リーダー「何故だ……何で…」

近付く侵入者。
リーダーは、ゆっくりと近付いてくる絶望を目の前に、言葉を失くした――。
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:32:38.21 ID:KTi5jTQ0
美琴「……以上が、私が考えてたことよ…」

美琴は全てを語る。今まで黒子と佐天と初春に密かに行っていたことを。

初春「今日の夜0時……。誘拐犯が……」

佐天「じゃあ、御坂さんがこの間、あたしと別れた後って…」

美琴「ええ。スキルアウトの集団と接触をとっていたのよ。奴らに…誘拐犯に辿り着くためにね」

美琴の突拍子も無い告白に、3人は驚きの表情を隠せない。

黒子「何故そんな危ないことを!! どうして黙ってらっしゃったんですの!?」

心配の含んだ声で黒子は美琴に怒る。それを見て美琴は一瞬、目を伏せ語った。

美琴「……ごめん黒子。でも私、どうしても許せなかったのよ…あいつらが…。…危険なことになるって分かってたから、貴女たちを巻き込みたくなかったの……」

黒子「……そんなこと。もう、私たちは既に危険に巻き込まれていますわ」

初春「そうですよ。だから覚悟して、この調査を始めたんじゃないですか…」

佐天「ずるいですよ御坂さん。あたしたち、今まで色んな苦楽を共にしてきた仲間じゃないですか。なのに黙ってるなんて……」

美琴「…仲間…か」

3人の言葉を前に、美琴は優しい笑みを刻み膝の上で組んだ手元に視線を移した。

美琴「……でも、危険なのよ? 今まで何人もの能力者を誘拐してきた奴らと直接会うのよ?」

黒子「お姉さま…今更ここまで来て、私たちを蚊帳の外に置くのはずるいですわ」

初春「私たち、どうしても固法先輩や泡浮さん、湾内さんの仇を討ちたいんです。そのために…ここまでやって来たんですから…」

顔を上げる美琴。天井に見える蛍光灯の光が、妙にぼやけた。

美琴「……いいのね? 本当に?」

黒子「くどいですわよお姉さま」

初春「もう私たち、覚悟は出来てます」

佐天「虚空爆破(グラビトン)事件、幻想御手(レベルアッパー)、ビッグスパイダー、そして乱雑開放(ポルターガイスト)。様々な修羅場をあたしたちは4人で潜ってきたじゃないですか」
佐天「多分、あたしたちほどこんな修羅場くぐった人間なんてこの学園都市にいませんよ!!」

初春「そうですよ。そんな私たちが、そう簡単に負けるとも思いません」

黒子「何しろこっちには、レベル5の超能力者であるお姉さまがついていますものね!」
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 23:34:08.02 ID:i0nHxM6o
ニヤニヤが止まらない
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:39:48.62 ID:KTi5jTQ0
笑顔を浮かべ、美琴を見つめる黒子と佐天と初春。
彼女たちの顔からは既に、涙は消え去っていた。

美琴「みんな……」

佐天「はい!」

と、突然、佐天が腕を前に差し出した。

美琴「ん? 何?」

佐天「分かってないなあ。“戦友”の証ですよ」

チッチッチ、と言うように佐天がウインクしながら説明する。

初春「戦友?」

佐天「そ! あたしたちは親友であると共に戦友なんです。“どんなに厳しい状況も、4人一緒で乗り越える”って証ですよ。だからさ、ほら、御坂さんも、初春も、白井さんも」

初春「あ、はい! 戦友です戦友」

初春は腕を差し出し、佐天の手にコツンと当てる。

黒子「まったく、佐天さんらしいですわね」

黒子も初春に続く。

美琴「恥ずかしいわね、ったく…」

そして、美琴も腕を前に突き出した。細く、白く、小さく、華奢な4本の腕が十字をつくる。
しかし、そこに結ばれた絆は固かった。
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:48:01.44 ID:KTi5jTQ0
佐天「じゃ、これからあたしたち“超電磁砲(レールガン)組”は一蓮托生です」

黒子「れぇるがん組?」

佐天「御坂さんをリーダーとした、女の子4人による精鋭集団ですよ!」

美琴「リ、リーダーってそんな…」

初春「しかも精鋭ですか?」

佐天「あたしたちは4人で1つの“超電磁砲(レールガン)組”。一心同体なんです。あたしたちが力を合せれば、1+1+1+1も、100×100×100×100になる」
佐天「さ、御坂さん、気合入れましょう気合!!」

美琴「………フッ…分かったわ」

気合を入れるように美琴が口元を緩める。

美琴「私たちが4人組めば、どんな敵も恐くないわ。だから、頑張りましょう」



美琴「超電磁砲(レールガン)組、ファイトオオオオオッ!!」





美琴黒子佐天初春「ファイトオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」





4人の少女たちのか弱くも力強い声が響き渡った――。
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/12(土) 23:50:33.84 ID:KTi5jTQ0
予想以上に時間掛かりすぎました。
>>1です。今日は以上です。
ではまた明日にでも。
ありがとうございました。
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/12(土) 23:51:31.30 ID:JxQ1Mlko
良くある少年漫画的な展開だな

だ が そ れ が 良 い
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 00:25:44.89 ID:ZFTjp5so
王道は良いものです
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 00:39:23.92 ID:y8V7mS20
いいじゃんいいじゃん
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 01:41:54.58 ID:AKc9TeE0
乙!

でもリーダーこれ美琴が原因で殺されたんだよね

なんかかわいそう
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 01:47:08.27 ID:LsBmcvc0
おいww俺の湾内さんなせ殺したしwww
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 04:44:24.09 ID:cx5cUgA0
美琴に協力したのがバレて犯人に襲撃されても
それを後悔したり悪態ついたりするわけでもなく、最後まで意地を見せる
スキルアウトのリーダーマジカッコイイ
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 06:38:05.91 ID:owErB2go
リーダーが蛇なんたらで再生されて違和感がwwwwwwwwwwwwwwww
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 09:07:41.35 ID:fEjMcsc0
リーダーカッコ良すぎるぞ
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 09:13:21.43 ID:YHwdgUSO
泡浮さ〜〜〜ん!湾内さ〜〜〜ん!
俺も今から行くから待ってろよ〜〜
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 09:21:48.56 ID:fEjMcsc0
海の底ってどのくらい深いのかな?
東京湾に沈められてるのか…?
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 10:24:58.95 ID:5idXyUAO
そう言えば「海の底」と言うからには犯人は学園都市から外に出たということか
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 11:40:13.87 ID:sMAvGSIo
全然関係無いけど泡浮さんとほかのキャラとの絡みっていうSSある?一方泡浮は前あったんだけど
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 12:19:49.95 ID:5KL0ihc0
>>198
>一方泡浮は前あったんだけど
kwsk
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 12:22:18.62 ID:u5OpH8w0
>>198
そこのところ詳しくお願いします。
URL頼む
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 13:50:23.44 ID:YKP7jnUo
安価で検索
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 13:53:09.99 ID:hnU2wsQ0
>>200
見るだけで消防臭がしてくるんで安価は半角でしてくれ。
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 13:59:58.41 ID:g52JloUo
VIPじゃないんだからもうちょっと穏便な言い方をだな……
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 14:09:56.58 ID:owxGCV2o
専ブラじゃないと大文字アンカは機能しないからな
あと見栄えもわるい
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 14:31:18.28 ID:u5OpH8w0
サーセンでした。
入力するときに手違いが起こったぽい
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 15:59:31.91 ID:6uDnSF60
>>1です。
ちょっとだけ投下します。
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 16:01:20.08 ID:tomrCNk0
きたー
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 16:01:46.00 ID:0S7sr.Eo
スクリプト来てるから気をつけろよー
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 16:03:55.22 ID:u5OpH8w0
>>1来た!やった!
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:05:02.31 ID:6uDnSF60
夜・ジャッジメント第177支部――。

美琴「現在時刻21時30分。奴らと顔を合わすことになる時刻まで、残り2時間30分…」

美琴は時計を見る。
側では、佐天と初春が間食をとりながら、美琴がスキルアウトから貰った地図を確認していた。

美琴「あと30分したら出るわよ。2人とも、大丈夫?」

佐天「はい! 大丈夫です! 見て下さい! 以前、テレスティーナを倒すためにキャパシティダウンを破壊したこのバット!」
佐天「ずっと支部に保管しておいて正解でしたね! これで敵をボッコボコにしてやるんです!」

どや顔で佐天はブンブンとバットを振り回す。

初春「あ、危ないです佐天さん」

佐天「あはは、ごめんごめんー」

美琴「佐天さん、バットを振るのは、まず相手の話を聞いてからね。勢いあまって突っ込んでいかないように。それにバットで殴られただけで大抵の人は死んじゃうからね」

一応、苦笑い気味に美琴が注意すると、佐天は明るい顔で言い放った。

佐天「保険ですよ保険!」

黒子「お姉さま、陰から様子を見てきましたわ」ブンッ

その時、部屋の真ん中に黒子が突然現れた。

美琴「どうだった?」

黒子「この支部の警護に就いているアンチスキルの数は多く見積もっても10人以上。正面から出て行ったら、有無を言わさず止められますわね」

誘拐犯を待ち伏せするためにはまず支部から出なければならなかったが、当然こんな夜中に出て行こうとすれば警護に就いている警備員に止められるのは必至だった。
黒子はそういった状況を踏まえテレポートで支部の外まで移動し、警備員に見つからない場所から支部の警護の様子を確かめていたのだ。

黒子「なら…」
黒子「2回に分けて私のテレポートで、アンチスキルの見えない場所まで3人を移動させるしかありませんわね」

美琴「分かったわ。大変だけど宜しくね」

黒子「ええ。お任せを」

黒子が頷く。

Prrrrrrrrrr.....

黒子「あら、電話」ガチャッ
黒子「はい、もしもしこちらジャッジメント第177支部の白井ですが……」
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 16:08:51.79 ID:FfmmG2Y0
>>209おい。
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 16:11:01.66 ID:LsBmcvco
アレイスター「超能力者達にバンドを組ませる――『最終計画』だ」土御門「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276409067/
このスレにも湧いてる
ID:u5OpH8w0
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:12:45.61 ID:aYP5vdY0
寮監『くぉらぁぁ!!! 白井!!! 御坂を出せ御坂を!!!』

黒子が言い終わるより先に、電話の向こうから怒号が聞こえてきた。

黒子「げ、寮監…」

美琴「マジで?」

美琴と黒子はあちゃー、というように顔をしかめる。

寮監『お前、昼に電話したら『御坂はいない』ってほざきやがったな!? さっき、黄泉川先生経由で警護の警備員から話聞いたら、そこに御坂いるって話じゃないか!』

黒子「あんらぁ…何のことですかしら?」

顔から冷や汗を流しながら、黒子はシラを切る。

寮監『とぼけるな! お前はともかく、御坂は外出禁止中なんだぞ!』

黒子「いや、それは……って、あ…」

美琴「もしもし? 御坂ですけど?」

黒子から受話器を奪う美琴。

寮監『やっぱりそこにいたか! お前、今外出禁止中だと分かって……』

美琴「ごめんなさい寮監」

寮監『あ?』

美琴「今日だけは譲れないんです。帰ったら、罰でもなんでも受けますから…今日だけは見逃して下さい」

真剣な声で、僅かに頭を垂れる形で電話の向こうの寮監に美琴は答える。

黒子「お姉さま…」

佐天初春「御坂さん…」

寮監『ふざけるな! 私の役目は常盤台生徒の寮での安全を守るためにだな! ……』

ガチャン

美琴「………………」

静かに、美琴は受話器を置いた。

黒子「宜しいのですか?」

美琴「寮監には悪いけど、今日だけは……ね」

美琴は柔らかい微笑みを見せる。
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:20:35.36 ID:aYP5vdY0
美琴は柔らかい微笑みを見せる。

Prrrrrrrrr

その時、また電話が鳴った。

美琴佐天初春「!!」

黒子「またですか。結構、しつわいですわね」

呆れたような顔で黒子が受話器をとる。
ぞんざいな感じで受け答えした黒子だったが、電話の相手は寮監ではなかった。

黒子「はい、もしもし白井ですが……って、あら黄泉川先生?」

美琴「なんだ、寮監じゃないのか」ホッ

黒子「え!? それは本当ですの!?」

美琴佐天初春「?」

黒子「そ、そうですか……分かりましたわ…情報提供、ありがとうございます…」
黒子「え? あ、滅相もありません。まさか、そんなこと、おほほほ…」
黒子「ああ、お姉さまですか?」チラッ

美琴「どうしたの?」

黒子「分かりました。明日には必ず……はい。お休みなさいませ」

ガチャン

美琴「私の名前が出てたけど、何かあったの?」

黒子「どうやら、寮監がお姉さまの居所を聞いた時、かなり心配してたらしくて…それもあってか、黄泉川先生から『関係ない生徒は早く帰るように』と注意を受けましたわ」

美琴「そうなの。でもまあ、どうせいいわ。今日で決着を着ければいいことだし」

佐天「あたしも密かに来ちゃった系だから、そこは気にしないでいいんじゃないですか?」

至極のん気に言ってみせる佐天。初春が苦笑いする。

初春「もう、佐天さんったら」

佐天「あはは」

美琴「それで、最初のほう、随分驚いてたけど何があったの?」

黒子「そう!! それですの!! お姉さま、大変です!!」
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:28:10.73 ID:Minq5mo0
突然、黒子が血相を変えた。
その変わりぶりに、美琴たちが驚く。

美琴「え? 何々!?」

黒子「お姉さま、誘拐犯の情報を得るために接触していたスキルアウトのグループがいたでしょう?」

美琴「え、ええ…」

黒子「今日夕方頃、そのグループが廃ビルで壊滅された状態であるのが発見されましたの!!」

美琴「な、何ですって!!??」

初春「え…それって…つまり、どういうことですか?」

黒子「分かりませんわ。ただ全員、死んでいたらしくて……」

美琴はそれを聞いて眉をひそめ、顎に手を添えた。

美琴「何かあったのね……」

佐天「何か、って何がです?」

美琴「多分、誘拐犯である雇用主から、臨時雇いのスキルアウトの連中を、消さなければならないことが起こった、ってとこかしら……」

黒子「もしかして、私たちの情報が漏れたのでは?」

美琴「なら、すぐにでもこちらに電話を掛けてきてもおかしくないんだけどね。相手はこっちの携帯番号を知ってるんだし…」

黒子「どうなさいます? やめますか?」

美琴「いえ、まだ気付かれていないはず。ここで奴らを取り逃がしたら、次いつチャンスが出来るか……だから、予定通り、今夜は奴らに会いに行くわ」
美琴「でも…やっぱり、常識が通用しないイカれた狂人みたいね。仕方が無いわ」

そう言って、美琴は隠していた物を取り出した。

黒子佐天初春「!!!!!!!!!」

それを見た黒子たちの表情が一変する。
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:35:28.73 ID:Minq5mo0
黒子「お、お姉さま…それ…」

美琴「見ての通り、拳銃よ」

佐天「どこで手に入れたんですかそんなの?」

美琴「その壊滅したスキルアウトのリーダーから貰ったのよ」

初春「わ…すごい…本物の拳銃ってこうなってるんですね……」

黒子と佐天と初春は物珍しいものを見るように、机の上に置かれた拳銃を覗き込む。

佐天「あれ? ジャッジメントって拳銃の訓練も受けるんじゃないの?」

黒子「初春は握力がない上に、体力も皆無ですからね。一応、後方支援が専門ですから、拳銃の訓練は免除されているんですよ」

佐天「そうなんだー」

黒子「私のような前線に立つジャッジメントですら、銃の訓練はほんの僅かしかやったことがありませんからね」

初春「だから本物の拳銃を間近で見るのはこれが初めてなんです」

普段見慣れないものを前にし、彼女たちは興味深そうに話をしている。

美琴「まあ、もしもの時の保険よ。相手が例え、牙を向いて襲ってきても私が超電磁砲でぶっ飛ばすから大丈夫だろうけど……万が一、ってこともあるしね」
美琴「誰でもいいわ。私以外で誰か、持っておいてくれる?」

黒子佐天初春「………………」

美琴はそう言うが、拳銃ほど女子中学生に縁遠く似合わない得物もない。
3人はゴクリと喉を鳴らし、互いの顔を見る。



美琴「……じゃあ名乗り出ないようだから、私が決めるわね」


217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:42:36.19 ID:Minq5mo0
午後22時――。

美琴「行くわよ!!」

美琴の鋭い眼光が、目の前に並ぶ少女たちの顔を見据える。
みな、彼女たちの表情は真剣そのものだった。

佐天「泡浮さんと湾内さんのために!!」ブンブンッ

バットを振り回す佐天。

初春「固法先輩のために!!」

グッと初春は拳を握る。

黒子「そして、私たちのためにも……」

黒子はフル装備の金属矢を革ベルトで太股に装着する。



美琴「超電磁砲(レールガン)組、出動!!!」





美琴黒子佐天初春「おーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!」





繊細だが、力強い声と共に美琴たちは腕を一斉に挙げた。
彼女たちは今、誰にも負ける気はしなかった。
今宵、4人の少女は戦場へ出陣する――。
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 16:43:24.27 ID:Minq5mo0
すいません、一旦休憩します。
続きは夜にでも。
ではまた後ほど。
ありがとうございました。
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 16:47:09.77 ID:YKP7jnUo
少年漫画的名乗りなのに
キャラが違うとこうまでよく見えるのかww
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 17:26:43.14 ID:EzTrYKE0
まだ上条一方でてねえのかよ
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 17:41:16.95 ID:imgauwM0
>>220
sageてからもの言えks
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 18:05:53.91 ID:LsBmcvc0
バット佐天きたー
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 18:43:24.31 ID:YP0caYg0
このss面白すぎ支援
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:24:15.43 ID:4Rhq0MAO
これって時系列いつだろう
妹達編過ぎると美琴と佐天さんは疎遠になるって言うし
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:41:27.99 ID:Zvc4..DO
そもそも佐天さんは原作じゃモブだし
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 19:44:40.02 ID:LsBmcvc0
>>224
どこソース?
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:53:44.70 ID:YKP7jnUo
出番無くなるだけだろ
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 19:58:26.74 ID:BFq.XrUo
■■「……」
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:01:12.44 ID:NmXvmgUo
とあ魔じゃあ15巻以外で佐天見ないしな
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:05:20.67 ID:VsxQ0EDO
本編で美琴の日常生活全部やってるわけじゃないだろ。
普段の学生生活だって超電磁砲じゃさわりぐらいしかやってないし。
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 20:11:24.74 ID:jc7V/MAO
>>228
だいじょうぶ、そんな目立たない■■をおうえんしてるから。
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:11:51.08 ID:R2Arnzc0
禁書じゃさてんでないよ
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:16:09.80 ID:pRt4ZVg0
>>232 15巻で通行人Aとしてでてる
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:16:56.88 ID:nLGoEEDO
というより原作じゃ空気といじられてるインデックスより圧倒的に美琴は出番少ないしな。ぶっちゃけインデックスの半分にも満たない。そんな出番で美琴の交友関係はわからんでしょ
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:17:01.78 ID:imgauwM0
>>231
さっきからsageろって超言ってますよね
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:34:21.39 ID:URtP0s20
>>224
kwsk
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 20:35:11.25 ID:URtP0s20
ごめん節穴だった
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 21:17:11.18 ID:LsBmcvc0
なんで下げる必要があんの?
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 21:19:34.17 ID:CzBRC.k0
>>238
爆撃翌来るから
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 21:21:44.64 ID:LsBmcvc0
なるほど
すまんかった
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 21:37:18.69 ID:iWKmmLw0
>>1です。
みなさんありがとうございます。
時系列で言えば曖昧ですが大分先、だけど学年はまだ変わってない
ぐらいで捉えて頂ければよろしいかと思います。
では続き投下します。
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 21:43:14.31 ID:iWKmmLw0
学園都市某所。学生は滅多に寄り付かないような郊外の寂れたエリアに、その資材置き場はあった。
物陰に隠れ、目の前の空間を見つめる美琴、黒子、佐天、初春の4人。
資材置き場は広く、イメージとしては体育館ぐらいの大きさがあった。
しかし、逆に言えばその中央に立っているだけで目立ってしまい、狙われた者は不意を衝かれることになる。

佐天「……来ませんね」

黒子「現在時刻23時50分。私たちが来てから既に20分は経っていますわ」

目的の人物がなかなか姿を現さないことに焦りを感じているのか、佐天と黒子がそう言う。

美琴「待ち合わせ時刻は0時よ。だけど、油断しちゃダメ。広場の隅々までよく目を通して」

初春「…緊張しますね……」

彼女たちの鼓動と共に、時間はただ過ぎていく。

23時55分…

23時57分…

23時59分…

そして、遂にその時刻が訪れた。



美琴「午前0時よ」



4人の顔が強張る。

黒子「……………」ゴクリ

佐天「……………」ドキドキ

初春「……………」ドキドキ

静寂がその場を支配する。
それぞれ、目につく場所に視線を流す彼女たち。しかし、何者かが現れる気配はまるで無い。
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 21:50:36.38 ID:iWKmmLw0
5分後――。

佐天「…ぜ、全然来ないですね…」

静寂に耐えられない、と言うように佐天が言葉を紡ぐ。

黒子「5分ぐらいの遅延は想定内ですわ」

初春「でも、もしこのまま来なかったら…」

黒子はそう言うが、初春は懸念を口にする。
美琴はそんな3人を前に、自分に言い聞かせるように声を上げる。

美琴「来る! 絶対来るわ!!」

が、しかし、それから25分経っても誰1人その場に姿を現れなかった。
4人の間に、無駄足だったのでは、という空気が流れ始める。美琴はそんな空気を感じ取り、冷や汗を流す。

美琴「(ここで来なかったら……私たちのこれまでの行動は全て無駄になる…そんなの嫌。来るなら来なさい…)」

美琴は、より気合いを入れて目の前の広場を見据えた。
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 21:52:05.88 ID:Mcb9qLU0
別の場所が攻撃されるのか・・・?
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 21:55:40.10 ID:iWKmmLw0
そんな彼女たちを、鷹の目のように監視する1つの視線があるとは、この時は誰も気付かなかった。
美琴たちを注視する鷹の目が、ヘッドセットのイヤホンに声を吹き込む。

『付近のサーチが終了しました。“子猫4匹”以外に、ジャッジメントやアンチスキルといった人影は見当たりません』

報告を受けた男は、ニヤリと口元を歪めた。
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 21:58:34.13 ID:iWKmmLw0
その頃、美琴たちの焦りも限界にまで来ていた。

黒子「………………」

佐天「………………」

初春「………………」

美琴「………………」

誰も、何も喋ろうとしない。否、喋ることが出来なかったのかもしれない。
やはり、無駄骨だったか、という落胆と絶望が彼女たちの心を支配し始めたとき、ソレは訪れた。
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:01:44.34 ID:iWKmmLw0






「あァれェ? こンな寂れた場所に似ても似つかない、4匹の子猫ちゃンたちが紛れこンでるぜェ〜」






248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:04:28.98 ID:BFq.XrUo
もやしktkr?
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:07:10.05 ID:YKP7jnUo
ロリコ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ン !!
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:09:22.63 ID:NwFQ4G60
神経を逆撫でするような、しかしその言葉1つだけで人間を殺せそうな、鋭い声が背後から美琴たちを貫いた。

美琴黒子佐天初春「!!!!!!!!!!!!!!!」

一斉に、4人は後ろを振り返る。しかし、声の主の姿は見えない。




「いけねェなァ……ここは子猫が遊びに来るような場所じゃねェンだ」




暗闇から再び、殺気に包まれたような声が届く。そのあまりの強大過ぎる威圧感に、美琴たちは声を忘れるほど戦慄していた。

美琴「だ……誰よ!」

何とか美琴が言葉を搾り出す。
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:15:38.47 ID:NwFQ4G60
やがて、コツコツと誰かが歩いてくる足音に気付くと、美琴は身体中に電気を纏い始めた。
同様に、黒子も太腿の金属矢に手を添える。佐天はバットを握る手に力を込め、初春もまた前方に意識を集中させた。



「おいおい、つれねェなァ……誰とはねェだろ。あンなに激しくヤり合った仲じゃねェか」



突風に吹かれたような殺気が4人を襲う。
美琴はそんな男の言葉と声を聞き、心の奥底に眠っていたはずの恐怖が蘇るような感覚を覚えた。

美琴「(この声……どこかで……)」

美琴が思考を巡らす暇も無く、遂に、その男は姿を現した。


「よォ、久しぶりだな超電磁砲(レールガン)」


ニヤリと不気味な笑みを口元に刻んだその男。
美琴はその男を知っていた。嫌と言うほど知り尽くしていた。
彼女は驚愕と恐怖が混合した視線を向ける。
そこに立っていたのは、紛れもなく、学園都市最強の超能力者“一方通行(アクセラレータ)”だった。





「………一方通行(アクセラレータ)……!?」





252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:22:10.29 ID:YKP7jnUo
ロリ(・∀・)コン!!
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:22:34.17 ID:NwFQ4G60
思わず出た言葉はそれだった。寧ろ、それ以外の言葉は出てこなかったと言える。
彼女にとって、あまりにも予想外の人物が唐突に目の前に出現したからだ。

黒子「お、お姉さま、知り合いですの!?(この殺気と威圧、只者じゃありませんわ!)」

続いて黒子も何とか声を絞り出す。それを皮切りに、佐天も初春もまたようやく声を上げた。

佐天「この人、能力者なんですか!? 御坂さん!?」

初春「この人の能力値は!? レベル3!? それともレベル4とか!?」

一斉に、喋り出す彼女たち。しかし、その声はどこか震えている。
それは、目の前で獰猛な殺気と威圧感を放つ一方通行によって生み出された動揺とも言えた。

一方通行「あン? 何だ超電磁砲、俺のこと教えてなかったのかよ…」

美琴「…………っ…」

夢でも幻でもない。今、自分の目の前に立つのはあの学園都市最強の超能力者・一方通行(アクセラレータ)だ。
しかも、見たところ彼は以前ついていた杖も、能力を制御するチョーカー型の電極バッテリーも首に巻いていない。どこからどう見てもそれは健康な人間そのもの。間違いない。彼は今、完全回復して最盛期の力を取り戻している。
美琴の脳裏に、彼の人智を越えた無慈悲なまでの強さが蘇ってくる。

一方通行「いや、無理か。そもそもここに来るのが俺だと分かってたンなら、ダチをわざわざ連れてくる危険冒すわけねェもンなァ」

佐天「み、御坂さん! この人の能力は何なんですか!?」

黒子「レベルの位は!? お姉さま!!」

焦りを隠しきれず、彼女たちは一斉に混乱する。

美琴「……こいつの能力は……ベクトル操作…」

初春「ベクトル……操作? 聞いたことありません。こ、この人の序列は!?」

信じられない、という表情でありながらも、美琴は何とか説明を口にする。
黒子たちは、自分がよく知るレベル5の美琴がここまで慄いている姿に不安を覚える。

美琴「第1位よ」

黒子佐天初春「え………」

美琴「こいつは……学園都市の230万もの頂点に立つ超能力者、最強のレベル5、一方通行(アクセラレータ)よ!!」
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:24:18.43 ID:WFHT4Bw0
無理すぐるwwwww
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:26:19.75 ID:5KL0ihc0
最近ギャグテイストの一方さんばっかりだったから逆に新鮮
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:26:51.76 ID:owxGCV2o
最盛期の一方さんに勝とうとか天使クラスじゃないと無理だろwwww
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:28:17.40 ID:Mcb9qLU0
更に幻想殺しの上条まで来るのか・・・最強の組み合わせじゃねーか・・・
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:29:35.18 ID:NwFQ4G60
美琴は、不安を搾り出すように大声を張り上げた。

黒子「……超能力者……」

佐天「最強……」

初春「……レベル5?」

初めて幽霊を見るように、彼女たちは恐る恐る一方通行の顔を見た。

一方通行「よく言えましたァ! 超電磁砲には花丸をあげねェとな!!」ニヤァ

誰かの歯がカタカタ鳴った。誰かの震えが肌越しに伝わってくる気がした。無理もない。今、目の前にいるのは、学園都市の頂点に立つ人間なのだから。
そんな一方通行を前に彼女たちは今、まるでライオンと対峙した子猫のように小さくなっていた。

美琴「……して…」

一方通行「あン?」

美琴「どうして!? …どうして固法先輩を、泡浮さんを、湾内さんを殺したのよ!!!!」

恐怖と焦りを隠しつつ、美琴は必死に搾り出した言葉で一方通行に詰問していた。
それを黒子と佐天と初春が不安げに見つめる。

美琴「……あんた…改心したんじゃなかったの……。一般人に危害は加えないんじゃなかったの? ……どうして、何の罪も無い人たちを……」

語尾が弱くなる。そんな美琴を無表情で見ていた一方通行は口を開いた。

一方通行「俺に聞くなよ」

美琴「何ですって……?」ギリッ

思わず、と言うように美琴が一方通行を睨む。
そんな彼女の行動など気にする素振りも見せず、一方通行は答える。

一方通行「首謀者は俺じゃねェ」

美琴「え?」

一方「だろ?  三  下  ァ  」

ニヤリと再び一方通行が笑った。
彼の視線を辿り、美琴たちが振り返る。
そして、1つの声が暗闇の奥から聞こえた。
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:36:41.40 ID:NwFQ4G60






「……久しぶりだな……“ビリビリ”」






260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:38:34.85 ID:YKP7jnUo
_|_  /―┐
_|_  / _./          / ○ |____| ○ \     ┃┃┃┃┃
  |     / ━━━━━━ |     \   /     | ━━━┃┃┃┃┃
  |    ノ           \.     \./     /      。 。 。 。 。
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:40:13.27 ID:HH5Az2go
          \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
          >.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
       ,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
         /___::∧ (|/   〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j/!::::::::::\ ̄
           /.:::::ハ ∧    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|   「……久しぶりだな……“ビリビリ”」
           厶イ:::::::::ーヘ            ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }   
            ノイ::/i:::ハ         {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/           
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
              /   ∨/j   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
             /     ∨′   \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:40:45.04 ID:NmXvmgUo
サイコロふって"7"出すくらいの奇跡が起これば勝てるんじゃね?
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:42:13.14 ID:CzBRC.k0
>>262
つまり不可能ってことか
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:44:05.08 ID:wMPuTDQo
上条さん記憶喪失後は御坂のことビリビリってほとんど言ってないんだが
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:44:51.27 ID:NwFQ4G60
美琴は目を丸くする。
そこに現れたもう1人の男。その姿を視認して、彼女は言葉を失った。





「警告したのに……何で来ちまったんだよ、お前は……」





一方通行とは違い、殺気も、威圧感も無く、寧ろどこか悲しそうな表情と声をした男は、美琴を見つめそう言った。

黒子「貴方は……!!」

ようやくその姿を確認し、黒子もまた驚きの声を上げた。

佐天「だ……誰?」

初春「知ってるんですか、2人とも!?」

新たに現れた男を前に、また別の懸念と恐怖を抱いた佐天と初春が訊ねていた。

美琴「あ……あ……何で…何で…あんたが……」

「…………………」

美琴の声が震え出す。目を瞑るもう1人の男。

「こんな形で、お前と会いたくなかったのに……」

美琴「何であんたがここにいるのよ!!!」


美琴「上条当麻!!!!」

上条「御坂………」


美琴の目の前に立ったもう1人の男――上条当麻は、美琴の声を受け悲しそうな表情で彼女を見つめた――。
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:45:51.95 ID:CzBRC.k0
>>264
こまけェこたァいいンだよォ
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:49:37.78 ID:YKP7jnUo
スレタイの設定からそんな幾らでも設定変更できそうな場所突っ込む必要ないと思うぞww
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:51:29.89 ID:NwFQ4G60
美琴と黒子と佐天と初春の4人を挟み撃ちにするかのように、一方通行と上条は暗闇に立つ。
彼女たちは小さく寄り添って事の成り行きに身を任せるしかなかった。

上条「わざわざ警告したはずだろ、電話まで掛けて……」

美琴黒子佐天初春「!!!!!?????」

黒子「では……貴方が、あの電話の主……」

佐天「じゃあ、こいつらが……こいつらが、固法先輩たちを殺した犯人なんだ……っ!!」

初春「どうして、あんなことを!?」

憎しみが篭った目で3人は上条を睨み据える。
対して、上条は素っ気無く言う。

上条「答える義務は無い」

黒子「……っ!!」

佐天「ふざけないでよ!!」

初春「何て血も涙も無い人なんですか……」

上条「御坂」

美琴「……何よ!?」

上条は黒子たちの言を無視するかのように美琴に顔を向ける。
美琴は、失望と驚愕と絶望が混ざったような表情で目に涙を溜め上条を睨み返した。

上条「今すぐこいつらを連れて帰れ。そして、言ったようにもう2度とお前たちはこの件に関わるな」

美琴「……勝手なことを…」





「ほーら、だからお姉さまは来るって言ったでしょ? ってミサカはミサカは勝ち誇った顔をしてみる!」





美琴「え……?」
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:51:57.93 ID:sS7J85Io
電極あるのか無いのかで随分と難易度が変わるな
あっても黒翼で終了かもだけど
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 22:52:31.16 ID:jGoohUAO
wktkwktk
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:52:34.74 ID:wMPuTDQo
>>267
いやシリアスな流れだったのに何おちゃらけてんだよ上条さんって思っただけ
すみませんね
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 22:53:15.42 ID:CzBRC.k0
打ち止め・・・だと?
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:55:13.89 ID:YKP7jnUo
対美琴なた上条さんソロで問題ないだろうな
拳銃あるけど
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:55:16.96 ID:wyMGV1Ao
上条さんの声がアニメの緑髪キョン戦で右腕斬られたときの声で脳内再生されたぜ
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:56:57.44 ID:wMPuTDQo
上条さんは足もとにレールガン打たれたり鉄骨飛ばされたら死ぬ
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 22:58:13.30 ID:q6Hhls.0
打ち止め・・・だと!?
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 22:58:43.17 ID:NwFQ4G60
一方通行「うっせェよ。つーか何でお前までついてきたンだよ」

「だぁってぇー」

その場に似合わないような、子供の声が響いた。
上条に気を取られていた美琴が再び一方通行の方を振り返ると、確かにそこには10歳ぐらいの1人の女の子が立っていた。

美琴「……あんた……打ち止め(ラストオーダー)?」

目を丸くし、美琴は眼前の女の子に訊ねていた。

打ち止め「こんばんわお姉さま! …とお姉さまのお友達! ってミサカはミサカは元気に挨拶してみる!」

一方通行の手を握りながら、『打ち止め(ラストオーダー)』と呼ばれた女の子がペコと子供らしい可愛いお辞儀をする。

佐天「……誰?……御坂さんに似てるけど…」

黒子「…お姉さまの妹さまですか?」

初春「あ、貴女…もしかして、アホ毛ちゃん……?」

美琴と瓜二つな女の子の顔を見、3人が各々思っていることを口にする。

美琴「………っ……打ち止め……どうしてあんたまで……」

打ち止め「? どうして、ってミサカがこの人と一緒にいたら悪いかな? ってミサカはミサカは疑問を口にしてみる」

美琴「だって……あんた、こいつらが何やったのか分かってるの?」

自分の末妹のような存在である打ち止めに、美琴は衝撃を受けたような顔で質す。

打ち止め「それはもちろん! モガガ」

一方通行「もう黙ってろお前。ややこしィから」

打ち止め「ブー……あなたってばいじわるぅ」

ふてくされる打ち止め。そんな彼女を片手1つであしらいながら、一方通行は美琴たちに顔を向ける。

一方通行「どうも、オマエらには脅しも通用しねェようだな。スキルアウトの一団壊滅させただけじゃ、刺激足りなかったみてェだな」

美琴「……あんた!」

一方通行「あァ、俺がやったぜ。情報漏らしてたンだからその制裁は受けねェとなァ!」
一方通行「それがオマエらへの脅しにもなると思って、敢えてこっちから警告せずに放置してたンだが……まさかそれでもノコノコこんなところまで来るとは思わなかったぜ。危機感無さ過ぎ!」

美琴「……何て事を…」

美琴は唇を噛む。
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 23:05:50.69 ID:NwFQ4G60
上条「だからと言ってわざわざ殺す必要は無かったろ、一方通行」

一方通行「はァ? だからお前は甘いンだよ上条」
一方通行「アイツら、スキルアウトにしてみれば筋の通った連中なンだろうが、仕事のためには無実の一般人を殺すようなこともしてたンだぜ? 本人たちは雇用主の依頼だからと、生きるためだと自分の意思に反して渋々やってたみたいだが、どっちにしろやってることは外道そのものだろ。そンなクズどもが死ンだところで誰も困らねェだろ。ま、今の俺らもアイツらと変わンねェのかもしれねェがなァ?」チラッ

美琴黒子佐天初春「!」

一瞬、ニヤリと笑って一方通行が美琴たちを一瞥した。

打ち止め「でも上条さんの言うことも一理あると思う、ってミサカはミサカは主張してみたり」

一方通行「あーうっせェうっせェ」

上条「やれやれ」

自分たちを無視し、頭越しに行われる会話を前に美琴たちは胸の中で何かが湧き上がってくる感覚を覚えた。

佐天「(……何なのこいつら…。人の友達を殺しておいて、こんな余裕綽々で…。ムカつく……)」
佐天「(こんな奴らに……固法先輩は……泡浮さんは……湾内さんは……)」

ギリッと唇を噛み締め、佐天はバットを強く握り締める。

佐天「ふ………」

初春「佐天さん?」

佐天「ふざけんなああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

美琴黒子初春「佐天さん!!!」

美琴たちが止める間もなく、佐天はバットを持って一方通行に突進していった。

美琴「ダメ佐天さん!! そいつだけは!!!」
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:10:49.63 ID:owxGCV2o
バットで殴ったら手首確実に折れるだろうなww
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:12:32.09 ID:YKP7jnUo
肩の骨も外れるんじゃねえかな
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/13(日) 23:12:46.53 ID:JIK7Ff20
ダメだ勝てる気がしない
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 23:13:04.78 ID:DmLQYHI0
バットを構え突進してくる佐天を見、一方通行は待ってました、と言わんばかりに不気味な笑みを刻んだ。
佐天が思いっきり振ったバットが一方通行の顔を狙う。しかし……

佐天「きゃあああああああ!!!」

その瞬間、バットは大きく弧を描き弾き飛ばされ、佐天もまたすごい衝撃と共に後ろへ転倒した。
どのようにベクトルの向きを操ったのか、佐天に怪我はない。と言うよりも、攻撃を加える直前に何らかのベクトル操作で佐天を押し戻したようにも見えた。が、どの道それは佐天を気遣っての行動ではなかった。初っ端から遊び相手が簡単に減ってしまうのはつまらない。美琴には、一方通行がそんなことを楽しげに言いたそうに見えた。

一方通行「いいぜいいぜ、始めようぜェ!!!」

顔に傷を1つもつけることなく、一方通行は足元にあった木材に手を伸ばす。

美琴「!!!」

佐天に危険が及ぶのを察知した美琴は、飛び出し、一方通行の足元へ電気を飛ばした。

黒子「お姉さま!!」

初春「佐天さん! 御坂さん!!」

黒子と初春が無意識に体勢を起こす。
一方通行の足元に散乱していた砂塵が小爆発を起こし、それが辺りに撒き散らせる。

上条「!! チッ……!」

戦闘が始まってしまった。その状況に対して舌打ちするように、上条は砂煙に顔を覆いつつ、足を前へ踏み出した。


こうして、美琴・黒子・佐天・初春 vs 上条・一方通行の戦いの火蓋が切って落とされた――。
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/13(日) 23:14:11.00 ID:XlNzvKk0
なんか複線っぽいのが結構あるな
期待
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:14:33.43 ID:YKP7jnUo
戦闘開始━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/13(日) 23:14:55.37 ID:DmLQYHI0
すいません>>1です。
次の分の見直しとか修正がまだ終わってないので
今日は以上になります。ごめんなさい。
多分明日の夜頃には来れると思います。
ありがとうございました。
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:15:08.25 ID:wMPuTDQo
上条さん達の目的気になるが
こんだけやるってことは物凄い事情があるんだろうな
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:17:47.58 ID:YKP7jnUo
>>285
オツでしたー
すっげぇわくわくしてきたww
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:19:08.78 ID:sS7J85Io
スイッチを入れる描写が無いって事は電極なし?
勝ち目なくね?
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:19:26.13 ID:dqPLUIso
>>261
AAGJ!!

あと1乙!
皆を納得させる終わり方は難しいかもしれんが、
やりたいようにやってくれ!
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:19:50.22 ID:2t.5cgs0
打ち止めの無邪気さがものすごく黒く感じて俺得です
ロリで小悪魔とか最強
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:21:43.34 ID:MzkSblE0
その昔上条さんを悪役にしたけど
動機付けがアレで叩かれてた作品があったな……
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:23:16.78 ID:imgauwM0
一体何が彼らを堕とした(現状)でしょうね
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:24:16.60 ID:YKP7jnUo
>>288
>しかも、見たところ彼は以前ついていた杖も、能力を制御するチョーカー型の電極バッテリーも首に巻いていない。どこからどう見てもそれは健康な人間そのもの。間違いない。
>彼は今、完全回復して最盛期の力を取り戻している。
ただそこまで一方的に終わらないと信じればいい
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:24:55.89 ID:iY6CIww0
むしろ打ち止めが黒幕な気がしてきた

何故か腹黒イメージが離れない・・・幼女なのに
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:28:24.33 ID:sS7J85Io
思いっきり無い事書いてあったな、恥ずかしい…
誰かが木原神拳やると妄想
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:32:39.59 ID:YP0caYg0
伏線大杉だろwwww>>1の文章センスはすごいなー支援
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:47:08.32 ID:URtP0s20
他のSSで御坂が自分にはきかない小型キャパシティダウン(擬似幻想殺し)を付けてミサカネットワークの演算補助と膨大な電力でそれを可能にする、って奴がすごいと思った。

ミサカは電力無限大だから学園都市にそのような類の兵器作らせたら合いそう。電力供給いらないエヴァ的な
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/13(日) 23:50:34.60 ID:XlNzvKk0
>>297
麦恋ですねわかります
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:53:15.68 ID:dqPLUIso
問題は、一方通行を超電磁砲が破ることがあり得ない、という事実かな。
電極を付けていない一方さんはキャパシティダウンが
効かないと考えた方がいいだろうし……
1め、難しい道を選びおるわ……
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/13(日) 23:57:19.46 ID:vZKxE6DO
全盛期の一方さんは有害なベクトルは全部反射するんだよな

勝てる気がしねぇwwwwww
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:00:14.20 ID:6JRQcfUo
>>263
さいころが二つに割れて1と6が出れば良いんじゃね?
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:02:54.58 ID:UdNLlHQo
>>297-298
その麦恋の作者が五和すれやってくれるんだからたまらない
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:06:22.04 ID:XoqWLOUo
>>301
サイコロのすべて対面の和は7
つまり、二つに割れて対面が出ればいい
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:06:30.38 ID:g9ts6Fw0
>>295
木原神拳は即席で出来る技じゃないな
>>301
なんという遊戯王
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:10:56.64 ID:NblLHcDO
テスポ
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:20:42.70 ID:hLg05zU0
美琴の電力で酸素をオゾンに分解すれば一方通行倒せるかもしれないし(空気爆発させて逃げれば時間稼ぎになる)
上条さんは黒子のテレポートで即死

まぁ現実的に無理だと思うけど
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:30:13.59 ID:5LPXBDUo
単純な戦闘力や能力の差で勝負が決まらないのは禁書のお約束だろ
かまちーばりのいい意味でも無理矢理な展開があれば勝てる

個人的には
黒子が上条さんの背後にテレポして関節技で押さえつける
→佐天さんがバットで撲殺
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/14(月) 00:34:17.11 ID:YC697z60
とりあえず
・なんか理由があってやってる
・実はやってないけどやったことにしてる
・実は三人共アステカの魔術師

この三択だな!
…違うか
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:36:21.35 ID:XoqWLOUo
>>306
風のベクトル操作、広範囲を一瞬で全てオゾンにするぐらいしないと
あと、2O3→3O2もベクトル操作で再現できそう
まぁ、オゾンは不安定だからほっとけば酸素に戻るわけだが
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:36:27.17 ID:meqyHgAO
おつおつ
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:41:42.11 ID:XoqWLOUo
そういえばオゾン毒性あったな
O2無害、O3有害のフィルターが無ければ、高濃度オゾンでイケるかも
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:46:10.33 ID:woWqeuEo
オゾンに関しては以前御坂妹にやられた戦術だし一方さん対策してそう
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:46:53.51 ID:UdNLlHQo
確かに無声放電だかでオゾン作るけど
たんに電気能力だからってオゾン作成の化学反応おこせるんかな
実際の作りかたまではしらんけど

>>306
上条にはテレポ無効
分解はH2O→H2+Oとかにするんであって
O2→O3は分解って言わないんじゃね
そもそも分解は化合物じゃないと・・・ry
多分、化合あたりだとおもう
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 00:59:38.33 ID:XoqWLOUo
間隔あけた電極の片方か両方を絶縁体で覆い、交流電圧をかけるのが無声放電
ゴム手袋かなんかがあれば発電能力で生成可能かと
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 01:01:51.55 ID:hLg05zU0
>>313
確かに化合のほうが適切だった・・・
それと上条に関しては右腕以外だったら効果あると思われる(でも前テレポートが成功しなかったこと考えると黒子はテレポート使わないかも)
>>309
大気のベクトル操作できること計算に入れてなかった
その前に脳を酸欠状態にして演算能力を奪うことは不可能か
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 01:15:15.42 ID:GA3LG5s0
レールガンで発射されたコイン受け止めてるんだから大丈夫だろ
ゴーレムのパンチも反動すらなかっ……







受け止めたのか……
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 02:03:09.47 ID:RQtFgkQ0
おまいら
物理学がすごいな
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 02:08:02.10 ID:5LPXBDUo
なんか>>1のハードルがどんどん上がってる気がする
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 02:19:28.07 ID:UdNLlHQo
>>318
大丈夫
そんなハードルをくぐってとおっちゃう>>1を応援してる
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 02:39:40.50 ID:A4fLoADO
上条は黒子の体内テレポで終わりだが一方通行はどうしようもないな。オゾン作ったところで大気操作抜きにしても速度に差が有りすぎる。御坂妹のように追いつかれて終わり。一方通行は空飛んで垣根と空中で音速戦闘を繰り広げてたしな。電極有りならバッテリー切れまで黒子が逃げ回れば可能性はあったが
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 02:46:38.70 ID:OccawmYo
何でバトル展開になると能力論議する輩が出てくるのか・・・
展開次第でどうとでもなるんだから本スレなり他所でやってくれ
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 04:15:07.69 ID:DmfPjQIo
上条さんに体内テレポって効くのか?
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 05:16:28.26 ID:C//f5UAO
アイテムあたりのがしっくりくるな。
上条さんはともかく一方通行が全盛期+黒翼なんてチートすぎるだろ…
324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 06:35:15.31 ID:A4fLoADO
>>322
幻想殺しはあくまで右手だけだからな。右手以外の部位なら異能によるダメージ受けてるし普通に考えて効かない方がおかしい
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 11:16:52.69 ID:34mjn6DO
上条さんに空間移動は効かなかったような
上から物落とすとかなら大丈夫だが
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 12:38:55.96 ID:QCTk8K.o
上条さんは幻想殺しが右手だけにもかかわらず
どんな幻想も通用しないから困る。

あと木原神拳使えるのは世界で木原数多ただ一人だから。
これ豆な。
327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 14:42:09.34 ID:A4fLoADO
>>325
そんな描写ないぞ?上条自身をテレポさせようとしても出来なかっただけ。これは上条自身に右手も含まれるから。右手切り落とせばテレポさせれるはず。体内テレポは右手が範囲に入ってるわけじゃないから右手有りでも効かなきゃおかしい。仮に効かなかったら右手以外も幻想殺しの範囲ってことだから、原作で異能によるダメージ受けてる説明がつかない
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 14:53:12.17 ID:RGn1P5ko
>>326
杉谷が不完全ではあるけど真似してた。
まあこの面子で真似できそうな奴がいないっていうかそもそも木原神拳知らないだろうけど。
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 15:06:42.33 ID:w4sOO/Mo
木原神拳を完全に真似たとしても腕がいかれる
腕を引こうとしてるのに拳は引っ張られるからな
つまり木原くンすげぇよ
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 17:17:44.32 ID:YXjHkV60
まあ木原くンは一通さんの能力開発担当してたからな
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 17:23:42.46 ID:XoqWLOUo
最強の能力者一方通行は木原に勝ち目無かったんだよな
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 19:23:04.24 ID:A4fLoADO
>>331
木原が近くに打ち止めを置いてたから打ち止めが危なくないように接近戦をしてたからな。ぶっちゃけ打ち止めがいなかったら小石蹴ってるだけで木原には勝てた
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 20:02:35.31 ID:z0y0LwAO
あの人って能力無いとただの白うざぎさんなのってミサカはミサカは暴露してみる!
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 20:19:26.15 ID:c9sfry2o
炎系能力もしくは魔術で一瞬で一方の周りの酸素を食いつくすとか、

蒼ママオーシャンブルーで海を召喚したりとか、

風力使いが酸素を消し飛ばしたらどうだろう?


勝てないかな?
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 20:50:15.19 ID:cSKsqgE0
>>334
海を召喚するだの、酸素を吹き飛ばすだのしている間に一方通行はじっと待っていてくれないってわけよ。
この手の「俺の考えた一方通行の倒し方」は全て過去に論破されてるから、意味ないと思うよ。
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:06:35.03 ID:c9sfry2o
>>1は忙しいのかしら
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:16:20.71 ID:GpKLo7U0
どっかのSSで未現物質の性質を核融合しやすいモノにして、爆発させて一方さん追い詰めてたな。
放射線等の反射に演算割いてて、爆発で酸素が大量消費されたけど身動き取れず…って展開で作者スゲェ!ってなったわ。
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:23:22.55 ID:Uy45h6Ao
最終的には「どっちが主人公か」だな
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:23:36.94 ID:UMbxfwSO
>>337kwsk
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:25:16.78 ID:GpKLo7U0
>>339
タイトルは失念してしまった…すまない…
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:50:03.07 ID:xHub2r.o
>>337
あーなんか見たことある気が
とか思いつつログ漁ってこれかなって思ってたら氷の雨で追い詰めてた
全然違った  けどどっかで確かに見た気が・・・思い出してくれえええ
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 21:52:16.67 ID:NLrmzLA0
>>337
垣根「やっぱ俺の相手はてめえじゃなきゃ駄目だな」

これちがうかな?
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 22:20:22.41 ID:w4sOO/Mo
一方と垣根スレはスクリプトで狙われてすぐスレタイ変わるからな
すぐスレタイ忘れてしまうわ
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 22:22:22.11 ID:pAArqkA0
>>1です。
盛り上がってて驚きました。
確かにこれからの展開のハードルが高くなるかもしれませんが、
取り敢えず頑張れるだけ頑張ってみます。
ということで遅くなりましたが投下していきます。
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 22:29:02.91 ID:pAArqkA0
誰がどこにいるのか判別もつかない砂煙の中、黒子は目を細めながらも状況を把握しようと努めた。

黒子「…あの学園都市第1位……とてつもない殺気と威圧でしたわ。お姉さまは一体どこに……」

ふと、彼女は砂煙の中に美琴の後姿を確認した。

黒子「あ、お姉さま!」

次の瞬間、黒子の頭上をバックステップで美琴が、それを追うように一方通行が飛び跳ねていった。

黒子「お姉さま!……ハッ!?」

美琴を追おうとしたのも束の間、黒子は背後に何者かの気配を感じ取り咄嗟に振り返った。
砂煙の中に1人の影が浮かび上がる。
やがて砂煙が晴れていくと、その人間は姿を現した。

上条「………………」

無言でその場に立ち、黒子を見つめていたのは上条だった。
黒子はその顔を見ているうちに、怒りが込み上げそして叫んでいた。

黒子「どうして固法先輩たちを殺しましたの!?」

上条「………………」

しかし、上条は何も答えない。

黒子「何か答えたらどうですの!?」

怒りに任せ黒子は突進し、上条の腹部に手を触れる。

黒子「(空中5mほど頭上にテレポートして、地面に落下させてやりますわ!)」

しかし……

黒子「あら……?」

唖然とする黒子。
上条はうんともすんとも言わず、その場に立ち止まっている。

黒子「何故……ハッ!」

上条「忘れたのかよ白井?  俺  の  右  手  に  何  が  あ  る  の  か  」

変わらず、低い声のトーンでそう呟いた上条の顔を見、黒子は悪寒を覚えた。

黒子「(まずい……っ!)」
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/14(月) 22:35:25.09 ID:7A2gP6Yo
>>342
結標「私もそげぶされたいなぁ」
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 22:37:07.11 ID:pAArqkA0
一端、上条から離れようと1歩後ろへ下がろうとする黒子だったが、その余裕が与えられる間は無かった。

ギシィ!!

素早い動きで上条が両手を器用に使って黒子の腕の関節を背後から極めた。

黒子「くっ…! 不覚……!!」

上条「………お前ら…」

上条が何かを言いかけた時だった。

佐天「うおおおおおおおおおおおお!!! 白井さんから手を離せええええええええええええ!!!!」

バットを手にした佐天が上条に向かって暗闇から飛び出してきた。

佐天「おりゃあああああ!!!」

バットを振る佐天。
しかし上条はそれをヒラッとかわしてみせる。

佐天「!? 逃げるな!!」

佐天は続けてバットを右に、左に、上から、下から、あらゆる方向から力のまま振り抜く。

佐天「これでも! キャパシティダウンを破壊したバットなんだ!! 食らったら、一たまりもないはず!!」

ブンッブンッと佐天はバットを振りまわすが、上条は黒子の腕を極めながらも全ての攻撃を難なく回避する。
ずば抜けた反射神経だった。

佐天「クソ! 何で当たらない!?」

上条「それはなあ……」

勢い余って、佐天は前方につんのめりそうになる。

上条「街の不良なんて、大多数で凶器を振り回してくるからだよ」

佐天「!!!」

上条「対して君の場合は…脇も締まってない、軌道が単調、バットの重さにつられてる、で簡単に避けられるんだよ」

佐天「……くっそおおおおおおおおおお!!!!」

転倒しそうな身体を何とか保ち、佐天は強く地面を踏む。そのままの勢いで、彼女はバットを右に薙いだ。
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 22:45:03.02 ID:pAArqkA0
上条「おっと……」

しかし決定打にはならず、バットは上条の髪の毛にほんの少しだけ触れると虚空を引き裂いた。

佐天「きゃっ!」

思いっきり振り切った挙句、上条にかわされたせいか、佐天は派手に仰向きに倒れてしまった。

黒子「佐天さん!」

上条「おいおい」

手の力が緩まったのか、黒子は上条の身体から解き放されてしまう。
急いで彼女は倒れた佐天に駆け寄った。

黒子「大丈夫ですか!?」

佐天「へ、平気です……。それよりあいつ、何の能力なんですか?」

黒子「あの方は全くの無能力……レベル0ですわ…」

起き上がる佐天を手伝いながら、黒子は何とか言葉を紡ぐ。

佐天「は? レベル0?」

黒子「ええ…。しかしそれでありながら、右手には超能力を何でも打ち消す力を備えています」

佐天「ど、どういう……」

黒子「さっき、私が彼を飛ばそうとした時、手で触れてもテレポートできなかったでしょう? それも右手の力です。一切の攻撃能力は持っていませんが、最強の防衛能力ですわ」

そう言って黒子は上条を見据える。

佐天「それでも……レベル0?」

黒子「ええ」

佐天「(…でも、さっきの身のこなし、只者じゃなかった…。いくらそんな不思議な能力があっても、レベル0の無能力であそこまで強くなれるの?)」

上条「話は済んだかよ?」

敢えて手も出さず、ずっと2人の様子を見ていた上条が静かに問う。
共に肩を貸し合って立ち上がった黒子と佐天は上条を睨み据えた。

上条「…………………」
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 22:53:34.41 ID:pAArqkA0
その頃、美琴の方は、一方通行との戦闘がヒートアップしていた。

一方通行「どうした逃げるだけかァ!?」

電気を発しながらも、美琴は軽快なバックステップとジャンプで一方通行の追撃から何とか逃れていた。

美琴「えやぁ!!!」

バチバチバチッ!!!!

耐えかねたのたか、美琴が一方通行に向かって雷撃の槍を飛ばす。
しかし、一方通行がそれを右手の甲で弾くと一気に霧散してしまった。

一方通行「オマエ、俺の身体がどうなってンのか知ってて攻撃してンのか? 自爆しちまうぞ。まあ上条のような幻想殺しがあれば話は別だけどなァ。それとも木原神拳でもやってみっか?」

ニヤニヤと一方通行は言う。彼の言うことはもっともで本来なら一方通行の身体に当たった雷撃の槍は跳ね返って美琴に向かうはずだった。だが、そうならなかったのは一方通行が雷撃の槍を右手の甲で弾いたからだ。しかし彼は、自分が傷つく恐れがあるから弾いたのでなく、美琴が傷つく恐れがあるから弾いただけなのだ。
もちろんそれは美琴を思っての行動、とは言い難くどちらかと言えば一方通行にとって戦闘があっけなく終了するのがつまらなかったためだ。

美琴「………うりゃああ!!」

次いで、美琴は砂鉄を集めて作った剣を振り回す。が、しかし、一方通行はそれを掴むと彼女の身体ごと、空中へ飛ばしてしまう。10mほど一直線に吹き飛び、やがて美琴は地面に落下した。

美琴「……くっ…」

ポケットに手を突っ込んだまま、一方通行は美琴に接近する。

一方通行「おィおィ、こっちは本気を出してないどころかまだ何1つ攻撃してないンだぜ? そんな早くくたばってもらっても、つまらねェだろう?」

楽しそうに、一方通行は笑う。

美琴「…ハァ…ハァ…ハァ…」

一方通行「撃てよ」

美琴「…ハァ…ハァ…」

美琴は一方通行を睨む。

一方通行「お前の切り札……超電磁砲(レールガン)、俺に撃ってみろよ」

美琴「くっ……」

一方通行「やってみろよほらァ!! 状況は何も改善しねェぞ!! ひゃははははははは!!!!」
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 22:59:38.16 ID:DujDDEc0
ポップがメドローア撃てないシーン思い出した
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:00:37.97 ID:UWYkmp60
2つの戦闘がまさにワンサイドゲームな展開で行われる中、少し離れた所で打ち止めはその様子をじっくりと眺めていた。

打ち止め「ハァ……なんかつまんない、ってミサカはミサカは愚痴ってみる」
打ち止め「完全復活した一方通行とは言え、お姉さまならダメージ1つぐらい負わせられると思ったけど劣勢だね。お姉さまの戦闘を目の前で見られるって思って楽しみにしてついてきちゃったけど、期待して損した感じ、ってミサカはミサカは冷めた目で溜息を吐いてみる」

チラッと打ち止めは逆方向に視線を移す。

打ち止め「あっちもダメだね。あのツインテールのお姉ちゃん、レベル4って話だからちょっとは期待したけど全然ダメ。それと、あの黒髪のお姉ちゃんはバット持ってるから能力者じゃないのかな?」

打ち止めはその場で上体を僅かに反らし、退屈そうに頭上を仰ぐ。

打ち止め「つまんないつまんないつまんないつまんないつまんなぁ〜い、ってミサカはミサカは更に愚痴ってみる」
打ち止め「これじゃあ勝負にもなってないよ。あーもう、あの2人遊んでないで早く終わってくれないかな? 退屈過ぎる〜、ってミサカはミサカはもう他人事」

打ち止めはそう言って、あくびをした。
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/14(月) 23:02:03.39 ID:ZFnTfo20
打ち止めが黒い......だと......?
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:05:53.77 ID:xIlZLlAo
なんかいい
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:06:30.61 ID:UWYkmp60
美琴「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

ポケットからコインを取り出す美琴。視線の先の一方通行の姿を捉えると、容赦なく彼女は超電磁砲(レールガン)を発射した。



ズッオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!



その轟音に、その場にいた者たちが咄嗟にそちらに視線を寄越す。

黒子「お姉さま!」

佐天「御坂さん!?」

上条「…………………」

打ち止め「………………」

美琴「ハァ…ハァ…ハァ……」

目の前の空間を見つめる美琴。超電磁砲によって巻き起こされた砂煙が彼女の視界を覆う。
超電磁砲を放ったと同時に、咄嗟に痛む身体を出来るだけ動かし回避行動を取った美琴だったが、超電磁砲が跳ね返ってくることはなかった。
その理由として考えられる可能性は2つ。1つは、先程のように戦闘を終わらせたくない一方通行がわざと手を出し超電磁砲を霧散させた可能性。そしてもう1つは、超電磁砲が一方通行に直撃した可能性………。




一方通行「こンなもンか」




美琴「!!!!????」

目を細めていた美琴の前に、突如、一方通行がミサイルのように猛スピードで突進してきた。
回避する間もなく、美琴は一方通行の蹴りによって地面を転がった。
355 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:12:37.44 ID:UWYkmp60
黒子「お姉さま!!」

上条「余所見してる暇、あるのか?」

黒子「くっ……」

佐天「白井さん、先にこいつを倒しましょう!」

黒子「ええ!」

両者の距離は約5mほどだ。が、上条は微動だにしない。
そして、突然黒子が上条の視界から消え失せた。

上条「………」

1秒後、黒子は上条の背後に現れた。今まさに彼女は上条の背中を蹴り飛ばそうとしていた。

上条「遅い」

刹那の速さで振り返る上条。

黒子「え……」

空中で一瞬静止した黒子の腕を掴み取ると、上条はそのまま彼女を地面に叩き下ろす。

黒子「ぐっ…あっ……」

逃げられぬよう右手で腕を掴み、小さな背中に膝を押し付けて動けないようにする。

上条「直接、俺の身体に触れて効かないと思ったら、自身をテレポートさせて背後から奇襲……お前の戦術はバレバレだ」
上条「それに、お前が消えてから背後に現れるまでのタイムラグを俺が知らないとでも思ったか?」

黒子「くっ……」

悔しそうな目を浮かべて黒子が横目で上条の顔を睨み上げる。

佐天「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

不意に佐天の声がこだまする。上条がそちらに顔を向けると、佐天がバットを構えて走ってくるのが見えた。
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:18:27.65 ID:UWYkmp60
上条「またそれか」

思いっきり振り下ろされたバットを左手で掴む上条。佐天の動きが停止する。

佐天「なっ……」

上条はバットを強い力で素早く引っ張る。それにつられ、佐天が前のめりに倒れそうになる。

佐天「きゃっ!」

しかし上条はそのままの勢いでバットを押し戻した。

佐天「きゃあ!!」

受け身も取れず、佐天は後方に仰向けに倒れ込んだ。

黒子「佐天さん!!」
黒子「くっ……離しなさいですの!! そんな汚れた手で私に触れないで……くあっ」ギュウ

上条「あまり動くな。こっちもお前をこれ以上、痛い目に遭わせたくないんだ」

黒子「何を舐めたことを……」
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:23:27.67 ID:UWYkmp60
美琴「…………くっ」

その頃、美琴は立ち上がることも出来ず、地面に倒れたままでいた。

一方通行「おいおい、わざわざ手加減してやったンだぜ? それぐらいでヘバってンなよ。…でもまあいいか」
一方通行「これ以上警告を無視しないよう、身体に痛みを覚えさせておいたほうがいいのかもなァ」

ニヤリと一方通行は美琴を見下すように笑う。

美琴「…ざ…け…ないでよ」

一方通行「じゃあ、試してみるか!!」

美琴「!!!!」

一方通行が右手を振りかざす。
と、その時だった――。
358 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:27:50.60 ID:UdNLlHQo
あぁ、最高だ!
359 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:28:37.93 ID:UWYkmp60






「動かないで下さい!!!」






360 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:35:41.74 ID:UWYkmp60
出し抜けに、甲高い声が一方通行の耳に届いた。

一方通行「あァ?」

興を削がれた、と言うように一方通行が顔を上げた。

美琴「!?」

一方通行につられ、美琴も声がした方に視線を寄越す。

上条「…あれは……」

上条たちもまた、そちらの方に注意を向けた。





初春「動いたら……この子を殺しますよ!!!」カチャリ





見ると、少し離れた所で初春が拳銃を持ち、その銃口を打ち止めの頭に向けていた。
361 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:37:08.89 ID:GA3LG5s0
駄目だこの花瓶……早く……何とかしないと……
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:37:17.44 ID:u6/XTwDO
初春オワタ\(^o^)/
363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:37:21.52 ID:UdNLlHQo
;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:38:16.83 ID:j.q4WLwo
黒子は幻想殺しに触られてると、自身はテレポートできないだろうけど、鉄針飛ばしたりもできないの?
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:38:33.00 ID:UdNLlHQo
初春一番やっちゃあかんことしてしもた(ノ∀`) アチャー
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:40:04.20 ID:UdNLlHQo
>>364
触れられている間は能力が使えなくなるのよ
例:美琴は電気が出せなくなるし、
  一方はベクトル操作や反射も使用不可(元々の反射は幻想殺しで無効なので触れられる)
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:42:40.45 ID:UWYkmp60
黒子「初春!!」

佐天「初春!! …くっ…」

美琴「初春さん!!」

一方通行「そういやァ……さっき、頭に花生やしたヤツも見かけたっけかァ…」

初春は、全ての状況を把握できる場所で、打ち止めを人質にとっている。
美琴は一方通行の足元でうずくまり、黒子は上条によって組み伏せられたまま。佐天もまたダメージを負ったのか、地面から起き上がれずにいた。現状、動けるのは初春しかいなかった。

一方通行「てっきり逃げたかと思ったが…コソコソと移動してたのか…」

美琴「あの拳銃……」

初春の手元に注意を向ける美琴。その手に握られていたのは、攻撃的な能力も持っていない、その上で華奢な身だからと言う理由で、美琴が支部を出る前に初春に託したものだった。

初春「これ以上御坂さんたちを傷つけたら……この子を撃ち殺します……っ!」

打ち止め「………………」

初春の声は明らかに震えている。そんな初春を、打ち止めは冷めた目をして横目で窺がっている。

時が止まったように、辺りが静寂に包まれる。

美琴「ダメ! ……初春さん…あなたの力だけでは……」

黒子「初春! 馬鹿な真似はお止めなさい! こやつらは私たちだけで倒します!!」

佐天「そうだよ初春! 早くそれを降ろして……!!」

必死に説得の声を上げる美琴たち。対して、上条と一方通行は特に興味が無いように無言のままだ。
埒があかないと思ったのか、初春は更に拳銃を打ち止めのこめかみに突きつける。

初春「私は本気ですよ!!」

初春の手は震えに震え、右手の人差し指もトリガーガードに添えられておらず今すぐにでも引き金が引かれそうだった。
しかし、上条と一方通行からは何のアクションも無い。

打ち止め「無駄だよお姉ちゃん」

初春「え?……」
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:42:46.96 ID:GA3LG5s0
http://riceballman.fc2web.com/AA-Illust/Data/NakayubiUiharu.jpg
さて、支援だ
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:45:49.48 ID:UdNLlHQo
打ち止めも確かLV3の電気使いだったよな
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/14(月) 23:48:29.38 ID:tiRTGNQ0
ねぇ話題になってないけどさ
インデックス腹かどっか刺されたけどどーなったんだよ
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:50:27.26 ID:UWYkmp60
唐突に下から聞こえた声に気付き、初春は涙を浮かべた顔をそちらに向けた。

打ち止め「お姉ちゃん、ミサカを殺すどころか傷つける気も一切ないでしょ?」

初春「なっ……」

打ち止め「そんなこと、お姉ちゃんの顔見てたらすぐに分かるよ。ミサカが気付いてるんだから、あの人が気付いてないわけないよ」

初春「!!」

絶句する初春。

打ち止め「ってミサカはミサカは断言してみたり!!」ニコッ

一方通行「そういうわけだァ……嬢ちゃん」

初春「!?」

一方通行「ガバメントかァ。いい銃持ってンじゃねェか。かつてアメリカで製造されたヤツだ。つゥか、持ってて重たくねェの?」
一方通行「だけどそれ、そのまンまの状態じゃ撃てねェぞ」

初春「え? え?」

オロオロと、初春は手元の拳銃を見てとる。

一方通行「いや、ガバメントはダブルアクションじゃなくてシングルアクションだからまず初めに撃鉄を……って…」

初春「え、あ…えーっと…え? あ…あ…」

一方通行「ハァ…」

そこで一方通行は説明するのも億劫になったのか、片手で頭を抱えて溜息を吐いた。
そしていまだ自分の持つ拳銃を見て焦っている初春をジッと横目で見る。

一方通行「なァ嬢ちゃん、オマエ覚悟あンのか?」

初春「えっ…」
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:50:27.82 ID:GA3LG5s0
    ___
   ,;f     ヽ
  i:         i
  |         |
  |        |  ///;ト,
  |    ^  ^ ) ////゙l゙l;
  (.  >ノ(、_, )ヽ、} l   .i .! |   南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏
  ,,∧ヽ !-=ニ=- | │   | .|
/\..\\`ニニ´ !, {   .ノ.ノ
/  \ \ ̄ ̄ ̄../   / .|
373 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:50:32.83 ID:j.q4WLwo
>>366
そっかありがと。じゃあ、素手で突き刺せば良いのか
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:52:18.42 ID:8KL6Oxw0
>>366
残念ながらその説明は間違ってる
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/14(月) 23:52:57.17 ID:8mN6TLk0
ちょっと位黙って見ることは出来ないのか
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/14(月) 23:57:23.83 ID:UWYkmp60
一方通行「そのガキを撃つ覚悟、あンのかって聞いてンだ」

一方通行は先程までとは違った雰囲気を放ち、初春を見据える。

初春「覚悟……?」

一方通行「別にオマエだけじゃねェ……そこのテレポーターも」

黒子「!」

一方通行「バット持った嬢ちゃンも」

佐天「!」

一方通行「超電磁砲も…」

美琴「!?」

一方通行「ハナっから、俺たちを全力で殺す覚悟でここに来てンだろうなァ?」

美琴たちは一瞬、黙りこくる。
誰も即答しようとしない。それはまるで一方通行の問いに真っ正面から肯定出来る自信が無い、と言っているようなものだった。

佐天「あ……当たり前でしょ!! …じゃなきゃここに来るはずがない!!」

地面の上で痛みに顔を歪めながらも、佐天はそう叫ぶ。

黒子「そ…そうですわ。私たちは相手が誰だろうと……全力で殺す覚悟をもってここに来ましたわ!!」

美琴「そうよ……私たちは…死ぬ覚悟も出来てる!…」

次々と、声を上げる3人。
一方通行は顔も動かさず聞き入れる。まるで、言い訳のような彼女たちの言葉を。

一方通行「嘘つけェ」

美琴黒子佐天初春「!!??」

美琴「な…なんですって?」キッ

一方通行「大体オマエら、俺たちを殺す覚悟があるってことは、それに見合う実力が自分たちにあると思ってるからだよなァ?」
一方通行「でなきゃ、超電磁砲やテレポーターはともかく、こんな所にまで普通の中学生のガキがついてこれるわけねェ」

佐天初春「………っ……」

一方通行「独自の調査でオマエらのお友達を殺した誘拐犯が、ある程度の実力を持つ能力者であることも判明していたはずだァ。それを分かってて尚、ここに4人で来たってことはだ」

一方通行は1拍置いて言う。

一方通行「自分たちに誘拐犯の能力者を倒せるだけの実力と自信が少しでもあると思ったからだ。違うかァ?」
377 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:04:43.04 ID:SRWvneI0
佐天「そ…そうだよ!! それが何か悪いの!?」

一方通行「じゃあその根拠は何だ?」

佐天「え?」

一方通行「その結論に至った根拠だよ」

佐天「根拠って……」

美琴「そんなの簡単よ…くっ」

美琴が痛みに耐えながら言葉を紡ぐ。

上条「………………」

美琴「これでも私たち、数々の事件を4人一緒で乗り越えてきたのよ……。例えレベル5の私でも、この子たちがいなかったら、解決出来なかったり、もしかしたら死んでいたかもしれないことだってあったわ」

一方通行「………ほゥ」

佐天「あんたは知らないでしょうけど…あたしたちは、グラビトン事件、レベルアッパー、ビッグスパイダー、テレスティーナの暴走……と、ただの学生じゃ遭遇しないような修羅場を一緒に潜ってきてるの!!」
佐天「そう……あたしたち4人でどんな修羅場も潜ってきた。だから……」

一方通行「だから? だから俺たちを殺せると思ったか? それでこのザマかァ?」

美琴たち4人の過去を簡単に否定するかの如く、一方通行は追い討ちを掛けるように更に問い詰める。
反論しようとしても、一方通行の指摘する通りほぼ戦闘不能になっている4人の現状では説得力が無かった。

美琴黒子佐天初春「…………っ……」

一方通行「オマエらやっぱり甘すぎるわ。そして世間を知らない子供(ガキ)だわ」

美琴「…子供…ですって?」ギリッ

一方通行「簡単に言うとだなァ…お前らが潜ってきた修羅場なんて、俺が味わってきたソレと比べたら、足元にも及ばねェ…ただのガキのお遊戯なンだよ」

美琴黒子佐天初春「なっ!?」

一方通行「テレスティーナ=木原ちゃンだっけかァ? 聞いてるぜェ。オマエ、アイツに苦戦したらしいじゃねェか。レベル5の癖に情けねェと思わねェのかよ? あンな奴、俺にかかれば楽勝なンだがなァ」

美琴「……あんたは…曲がりなりにも学園都市最強……だからそんなことが言えるのよ…!」

一方通行「そうかァ? だとしたらアイツはどうだ?」

そう言って、一方通行は上条の方に指を指す。

上条「………………」
378 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:07:45.75 ID:Mqm5KYQo
格好よすぎるだろ一方通行
379 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:08:37.40 ID:4afq0iAo
いやどこが格好いいんだよww喋りすぎだよ一方さん
380 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:10:21.90 ID:FAWL6hY0
>>379
一方さんは何してもカッコいいって事だよ。
言わせんな恥ずかしい。
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:11:25.82 ID:SRWvneI0
一方通行「アイツはレベル0の無能力者だぜェ? なのにアイツは自ら厄介ごとに突っ込み、今までいくつもの事件を解決してきてやがった。実際、俺を倒したのもあのヤロウだぜ? それは覚えてるだろ?」ニヤァ

美琴「……だから、何よ?」

黒子「(…あの殿方が……)」

佐天「(レベル0の無能力者が……学園都市最強の超能力者を倒した!?)」

信じられない、と言うように黒子と佐天が上条に顔を向けた。

一方通行「アイツも、オマエらとは……質も! 経験も! その危険度も! 全く比較に出来ねェほどの死線を今まで何度も潜ってきやがった。例えアイツが全くの無能力者だろうと、オマエらには勝てねェよ」

黒子佐天「くっ……」

一方通行「オマエらは、学園都市を余りにも知らなさ過ぎるンだよ。学園都市の裏の世界がどンだけ汚れてるのか、どンだけ洒落にならない世界なのかを知らない」

そう語る一方通行の目には美琴たちに対するただの侮蔑とも見下しとも言い難い、何かがあった。まるで本当の地獄を知っているような、それでいて地獄を知った気でいる4人に僅かながら苛立ちを抱えているようなそんな感じだった。

一方通行「知らないのにオマエらは、過去の大したこともない経験を根拠に自分たちの力を過信して、俺たちに勝負を挑みやがった。おまけに、敵を殺す覚悟も自分が死ぬ覚悟もないと来たもンだ」
一方通行「だから、お前らは子供(ガキ)なンだよ」

一方通行の最後の言葉は、どこか真剣に聞こえた。
黒子も佐天も、自分たちの自信を打ち砕かれたようにうなだれている。もはや、彼女たちに戦意は残っているとは言い難かった。

美琴「……子供じゃない…」

一方通行「あァ?」
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:17:29.17 ID:SRWvneI0
美琴「私たちは……子供じゃない!!!」

最後に残った力を振り絞って、一方通行を睨みつつ美琴は叫んでいた。

一方通行「…………そうかよ」
一方通行「いいぜ。だったら、オマエらの覚悟ってヤツを今ここで確かめてみようか!?」

再び、一方通行が笑う。

美琴「!?」

その場を離れた一方通行が目にも止まらない速さで、移動する。

美琴「何を…?」

並べられた鉄骨に視線を流すと彼は打ち止めに声を掛けた。

一方通行「打ち止め!!」

打ち止め「ん?」

打ち止めがキョトンと一方通行のほうに顔を向ける。

一方通行「ちょォっと、その嬢ちゃンから離れてろ……危ないからなァ」

打ち止め「はーい!」

元気な返事をし、打ち止めは初春に目も暮れず小走りで離れていった。

初春「あ、ちょ、ま、待って……」

人質だった打ち止めに逃げられ、狼狽する初春。

一方通行「嬢ちゃン」

初春「!」

一方通行「オマエが死ぬ覚悟出来てるか、見てやンよ」

そう言って、一方通行はニヤリと笑う。

上条「!!」
上条「おい、待て……どうするつもりだ一方通行」

この状況にして、上条が久しぶりに口を開く。
しかし、一方通行は既に聞いてはいなかった。
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:19:12.80 ID:o.wAwQAO
ほぅ、面白い…続けたまえ
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:23:38.67 ID:SRWvneI0
黒子「まさか……初春!!」

佐天「…初春!! 逃げて!!」

黒子と佐天が顔を蒼ざめ叫ぶ。
ようやく初春も、自分が置かれている状況を理解した。
が、時既に遅しだった。

一方通行「はっはァ!! その幻想をぶち殺すってなァ!!!」

そう言うと一方通行は足元にあった鉄骨を1つ空中高くに蹴り上げ、同時に自身も上空に飛び上がった。
間髪入れず、彼は鉄骨に手を触れた。まるで撫でるような仕草だったが、それだけで十分だった。

一方通行「バイバァイ」ニヤァ

上条「一方通行!!!」

美琴「やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」

美琴の悲痛な叫び声がこだまする。
それを合図にするかのように、鉄骨は目にも止まらぬ速さで初春目掛けて一直線に落下していった。

初春「え……?」





ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!





385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:27:53.32 ID:9nzaWrc0
もうちと投下スピード早くても連投規制掛からんよ。
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:28:27.36 ID:SRWvneI0
その時、時間が停止した。


上条「…………!!」

打ち止め「…………………」

黒子「――――――!!!」

佐天「―――――――!!!」

美琴「――――――――」

一方通行「………………」ニヤァ


誰かが叫んだような気がした。誰かが泣いたような気がした。だが、誰も何も聞こえなかった――。
この時、一方通行の手によって、初春は鉄骨の下敷きにされた………
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:28:30.08 ID:FAWL6hY0
初春\(^o^)/オワタ
388 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:29:39.91 ID:70XrVBMo
結局、4人でスレタイの台詞を吐くことはできなかったか・・・
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:31:37.62 ID:HWOimSg0
ていうか初春死んでn(ry
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:34:35.19 ID:SRWvneI0





初春「はっ!!」





……かに見えた。

初春「………はっ……あっ……あが……」

気付くと、初春は地面に腰をペタンと降ろし、息継ぎにもならない息継ぎをしていた。

初春「…はっ……かっ…あああ…」

どうやら、自分がまだ生きていることを状況から理解した彼女の背中に、冷や汗の滝が流れ落ちる。見ると、鉄骨は彼女の目の前に剣のように突き刺さって屹立していた。
そして、音が戻り、再び時間も動き出す。

佐天「初春!!!!!!」

黒子「初春!!?? 良かった……生きてますの……ああ」

美琴「初春さん!! 大丈夫!? 怪我はない!?」

初春の無事を確認した美琴たちが泣きべそをかきながら叫ぶ。

初春「わた……わたし……あ…あああ……」

呂律も回らない初春が自らの下半身の異変に気付く。

一方通行「はっはァ! こりゃあ傑作だぜェ!!」

初春「やだ……わたし…ああ、見ないで……///」カァァ

一方通行「怖かったかァ? お漏らししちゃうほど怖かったでちゅかァ?? ヒャハハハハハハハハハ!!!!!!」

美琴「コイツ……」ギリ

黒子「許せませんの…」

佐天「ざけやがって…」

怒りの視線が一方通行に注がれる。

上条「おい、一方通行!」
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:41:13.95 ID:SRWvneI0
その時、ずっと様子を見守っていた上条が声を上げた。

一方通行「あァ? 何だ上条?」

上条「殺さない、って約束したはずだろ!?」

一方通行「あァ。だから殺してねェし、誰1人死ンでねェだろ?」

上条「にしても、やり過ぎだお前!」

一方通行「やり過ぎ? はン、どこがだ? 俺は、コイツらが『覚悟がある』って言ったからそれを見させてもらっただけだぜェ。ま、結果は見ての通りだ」

一方通行は初春に顔を向ける。

初春「ひっ!」

一方通行「自分たちが本物の修羅場を知ったような口でギャアギャア叫ぶから、ちと試してみたが……化けの皮を剥がしてみれば、結局は現実が見えてねェ、ただのガキだったわ」

初春「はうう……」ガクッ

美琴「初春さん!」

初春がその場に倒れ込んだ。

一方通行「気絶したか。まァ、そういうこった」

上条「………………」

一方通行「コイツらは自分たちの力を過信してたンだよ。ンで、ノコノコとここまでピクニック気分でやって来て、完膚無きまでに俺たちにやられてやがる。大方、舞い上がってたンだろうなァ。一緒に修羅場を潜り抜けてきた4人なら何でも出来る、って。が、俺たちの前ではこのザマだ。……情けないねェ、超電磁砲」

一方通行はしたり顔で美琴を見る。

美琴「何ですって?」

一方通行「レベル5のオマエがついていながら、友達ごっこに感化されて、お友達巻き込んでェ。あァ、やっぱりオマエも所詮はガキだってことだ」ニヤッ

美琴「こいつ……」

黒子「………くっ」

佐天「うっ……クソォ…」

上条「………………」

黒子「………」チラッ

佐天「………」チラッ

上条が一方通行に気を取られている隙に、黒子と佐天が目配せをする。
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:47:33.09 ID:SRWvneI0
上条「どっちにしろ、お前はやり過ぎだ」

一方通行「あァはいはい、分かりましたよ。オマエがリーダーだもンな」

美琴「……リーダー?」

一方通行「あァ、言ってなかったっけか? コイツが俺たちのリーダー、ってわけだ」

美琴「!?」

美琴は目を丸くして上条を見やる。しかし、上条は特に反応も示さない。

上条「……………」

一方通行「上条」

上条「ああ」

黒子「…うっ!」ドスッ

突然、上条が掴んでいた黒子を強引に引っ張り上げ、その鳩尾に当身を入れた。

美琴「黒子!」

黒子が気絶したのを確認すると、上条はようやく彼女を腕から離した。

佐天「えやあああああああああああ!!!!!」

その時、佐天が最後の力を振り絞ってバットを持ち上条に向かってきた。
振られたバットを難なくかわし、上条は佐天の後頭部に手刀を食らわす。

佐天「かはっ……」

そのままの勢いで、佐天は地面にうつ伏せに倒れ込んだ。バットが地面を転がる乾いた音が響く。

美琴「佐天さん!」

一方通行「俺の目を盗もうったってそうはいかないぜェ? 嬢ちゃンたち」

一方通行は美琴の顔を歪んだ笑みで見つめる。

一方通行「で、残るはオマエだけだがどうすンの? まだやる?」

まだ遊ぶ? という感覚で一方通行は訊ねる。

美琴「当たり前……」

上条「帰るぞ一方通行」

一方通行「ンン?」
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:51:10.08 ID:Mqm5KYQo
上条さんは守上さんなのか・?
394 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:53:25.84 ID:SRWvneI0
上条「用は済んだ。こいつらへの脅しも十分効いただろうし、2度と馬鹿な真似はしないだろ」

美琴「…何を…!!」

上条「これ以上、無理にこいつらを傷つける必要はない。帰るぞ」

一方通行「ふン…まァ、リーダー様がそう言うなら仕方ねェか…正直、遊び足りない気もするが…」
一方通行「打ち止めァ!!」

その言葉に反応するように、どこにいたのか打ち止めが暗闇から飛び出してきた。

打ち止め「はーーーーい! ってミサカはミサカは一方通行に突進!」

一方通行「うぜ」ヒョイ

打ち止め「あう! もう、よけないでよ照れ屋さん!」

一方通行「だァれが照れ屋だアホ。帰ンぞ」

打ち止め「了解!」ビシッ

美琴「ま、待ちなさいよ打ち止め!」

打ち止め「んー? なぁにお姉さま?」

地面に倒れていた美琴が背後から打ち止めに声をかけた。打ち止めが楽しそうに振り返る。

美琴「あんた、何でこいつらと一緒にいるのよ? こいつらが、何やってるか知ってて一緒にいるの?」

打ち止め「知ってるよ?」

美琴「なっ」

10歳ほどの女の子のあっさりとした答えに絶句する美琴。

打ち止め「だってこの人たちは……」

上条「もういいだろ。さ、帰ろう」

一方通行「ほら、行くぞクソガキ」

と、打ち止めがそこまで言いかけて上条と一方通行が打ち止めを促した。

打ち止め「OK!!」

一方通行にくっつくように打ち止めは歩き始めた。それを確認し、上条も一歩遅れて歩き出す。

美琴「“当麻”!!!!!!」
395 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:55:00.19 ID:Mqm5KYQo
助かった&助けられたって事実よりも
個人的な感情で動いちゃうのがやっぱろ子供だよなぁ・・・
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:56:46.82 ID:o.wAwQAO
打ち止めよりも子供な美琴…
まさか打ち止めはアポトキシン4869を飲んだ美鈴じゃry
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:57:52.23 ID:9nzaWrc0
禁書サイド視点が無いと、そげぶとセロリの行動が理解出来ないな
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:59:04.74 ID:1blL04o0
上条さん達は実は誰も殺してませんでしたーってのは勘弁して欲しいな
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 00:59:24.18 ID:SRWvneI0
美琴は一言叫んでいた。

上条「………………」

後ろを振り返らずに、上条は立ち止まった。

美琴「…何で、こんなことするの?」

上条「………お前らには知る必要のないことだ」

美琴「……それで、納得しろっての?」

上条「……お前らは、“その時”が来るまでジッとしてろ」

美琴「え?」

上条「じゃあな、“ビリビリ”」

美琴「私……!!」

再び、上条が立ち止まる。一方通行と打ち止めは数m先でその様子を見ている。

美琴「私……あんたを信じてたのよ!!」

美琴の悲痛な叫びに上条の目が、伏せられる。

上条「…悪いな御坂」

美琴「!!」

上条は歩き出し、やがて一方通行と打ち止めの横に並ぶ。

美琴「……ふざけんな…………ふざけんな……」

目に涙を溜め、美琴は全身に紫電を纏う。
そして彼女は、ポケットから最後の1枚のコインを取り出した。

美琴「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」



ズオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!



放たれる超電磁砲。一方通行と打ち止めがゆっくりと振り返る。
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 00:59:49.93 ID:YY5O2bg0
>>398
スキルアウトを始末した時点でそれはないな
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 01:05:58.76 ID:B1LMPnU0




バギィィン!!!!




美琴「ハァ…ハァ…ハァ…」

コインが着弾した地点から煙が漂う。
そして…

上条「………………」

そこには、上条が右腕を突き出し立っている姿があった。

上条「……レベル0の俺すら倒せないなら、もう2度と関わるな」

美琴「………っ……」

最後にそれだけ残し、上条は再び背を見せて一方通行と打ち止めと歩き出した。

美琴「クソッ!」

徐々に、3人の姿が小さくなっていく。

美琴「クソッ!! クソッ!!!」

美琴の両目から大量の涙が零れ落ちる。

美琴「何で……私の超電磁砲(レールガン)が……効かないのよ!!」
美琴「友達も守れない……友達の仇も討てない……そんな超電磁砲に……何の意味があるのよ!!」

やがて、上条たちの姿は暗闇に消えていった。

美琴「……信じてたのに……」
美琴「………信じてたのに…」

美琴「信じてたのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」

次の瞬間、フッと事切れたように彼女は地面に倒れ伏せた。
こうして美琴たちの長い1日は、『屈辱』と『完全敗北』という名の下に終わりを迎えた。
気絶した後も、美琴の双眸から涙が途切れることは無かった――。
402 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 01:12:31.40 ID:B1LMPnU0

ガバッ!!!

目覚める美琴。

美琴「………夢…?」

開口一番、出てきたのはその単語だった。

美琴「…悪夢でも、見てたのかな…?」

彼女にとって、あまりにも信じられなかった状況を思い出し、そう呟く。
ふと視線を前方に上げた。
いつもの見慣れた寮の部屋じゃない。だとすると、そこは……

黒子「お姉さま、お目覚めになられましたか?」

真横から知った声が聞こえ、美琴はそちらに顔を向けた。

美琴「……黒子?」

そこには、ベッドの上で元気の無い顔を浮かべる黒子の姿があった。

美琴「ここは?」

黒子「病院ですわ。お姉さま、1日近く眠っていて心配しましたわ」

キョロキョロと室内を窺う美琴。確かにそこは、病室だった。独特の薬品めいた臭いが鼻を刺激する。

美琴「病院……じゃあ…今のは……」

黒子「残念ながら、現実ですわ」

そう言って、黒子は暗くなった顔を俯かせる。
彼女の顔を見つめていた美琴は、腹の底から何かが沸き上がってくる感覚を覚えた。

美琴「…………っ!!」
美琴「………何で夢じゃないのよ…? …何で現実なのよ!!」



   ――「……レベル0の俺すら倒せないなら、もう2度と関わるな」――



最後に見た少年の顔が蘇る。

美琴「何であいつが……っ!! …何であいつが……っ!!!」
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:16:32.63 ID:4afq0iAo
つかどんどん>>1のハードル上がってんなww
戦い方しだいで美琴と黒子は少なくとも上条さんには勝てんのに。
相手の都合もお構い無しに信念を貫いてた上条さんや
散々悪党の美学を語ってた一方さんがこんなことしてんだから
よっぽどの理由がないとキレイに終われないんじゃね?
404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 01:17:39.79 ID:B1LMPnU0
ワナワナと手を震わせる美琴。それを見た黒子が目を伏せる。

黒子「………あの後、私たちは全員が気絶していたところを近くの病院に運び込まれましたの。お医者様によると通報は匿名の人間から。おそらく、上条さんたちが通報したのでしょうね……」

美琴「…………ふざけやがって…!!」

ギュウッと美琴は唇を噛み締める。
彼女には許せなかった。友達を殺した上条のことが。その上条に傷1つつけられなかった自分の無力さが。そしてそんな敵に堕ちた少年から情けをかけられたことが。

黒子「……あの3人の行方は不明です。あの後、どこに消えたのか。駆けつけた救急隊員が現場に来たときには、倒れている私たち以外に人の気配は無かったようです」

と、そこで美琴はあることを思い出す。

美琴「そうだ! 佐天さんと初春さんは!? 無事だったの?」

黒子「え? ああ…2人とも命には別状はありません。ただ、初春が少々……」

美琴「!?」

美琴は初春のことを思い出す。彼女が今回1番死ぬ思いをした張本人だ。美琴が彼女に拳銃を渡したことで、彼女は死ぬよりも怖い目に遭い、挙句、みんなの前で女の子としては屈辱的な大恥をかかされてしまったのだ。

美琴「初春さんがどうしたの!!??」

ガラッ

と、その時、病室のドアが開けられる音が響いた。2人ともその瞬間、ビクッと肩を震わせた。

佐天「白井さん、また来たよ…って御坂さん! 起きたんですか!?」

扉を開けるなり、美琴の姿を視認した佐天が大声で駆け寄ってきた。

美琴「…ええ、たった今ね…」

佐天「良かった〜」

美琴「それより、初春さんはどうしたの!? 無事なの?」

佐天「ああ…命に別状はありません。けど、余りに怖い思いしたからか、放心状態で……。お医者さんが言うには、じきすぐに症状は戻るらしいですけど…」

美琴「放心状態……」

俯く美琴。それを見て、佐天は慌てふためいた。

佐天「あ、気にしないで下さい。別に御坂さんのせいじゃありませんよ!」

美琴「でも、唯一攻撃手段を持っていないからって、彼女に拳銃を渡したのは私よ……」

佐天「だけどそれは御坂さんが責められるようなことじゃないですよ」
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:18:13.67 ID:9nzaWrc0
>>403
そこで禁書サイド目線かと
406 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:22:34.89 ID:Mqm5KYQo
>>403
高いハードルならくぐればいいじゃない
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 01:23:30.49 ID:B1LMPnU0
黒子「そうですわ…。真に悪いのは、彼女をそこまで追い詰めたあの2人……」

はた、と黒子の言葉で室内が静かになった。3人は、憎き敵の顔を思い出す。
白い髪に白い肌を持つ、それでいて全身から殺気を容赦なく垂れ流す華奢な少年。そして、寝癖の鎮まらない髪をツンツンと立てた幸薄そうな少年。大して歳も変わらないのに、彼女たちはその2人に完膚なきまでに叩き潰された。

美琴「………………」

ベッドから出、美琴の足は部屋の入り口に向かった。佐天が道を開ける。

黒子「…お姉さま……信じられないのは分かります。それは私も同じですから。ですが、昨夜起こったことは確かに事実。あの殿方が何故、学園都市第1位の超能力者と組んでいたのかは図りかねますが、上条さんが固法先輩や泡浮さん、湾内さんを殺したのは事実ですの…。だから…」

美琴「……あーあ…」

黒子「え?」

美琴「もう少しだったのになぁ……。もう少しで、固法先輩たちの仇を討てたのに……」

黒子と佐天に背中を向け、天井を見上げる美琴が呟く。

美琴「でも次は絶対に仕留めてやるんだから! そうだよね、黒子? 佐天さん?」

黒子「え…ああ…はい。そうですね……」

佐天「も、もちろんですよ……」

美琴「うん、そうよね…」
美琴「………………」

黙りこくった美琴を見つめる2人。

黒子「お姉さま……」

美琴「何よ?」

黒子「泣きたい時は、泣いていいんですのよ……」

美琴「………………馬鹿。知ってるわよ…」

そう言って美琴は、顔も見せないまま病室を出て行った。
しばらくして、病室の外から美琴の嗚咽が聞こえてきた。
黒子と佐天もまた、ぶつけどころのない己の悔しさを噛み締めていた。
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 01:26:04.74 ID:B1LMPnU0
>>1です。
今日は以上となります。
ハードルが上がってるのは承知していますが、所詮は趣味のSSなので
あまり期待しないでください^^;
禁書サイドの話が少ないのは、この話が主に美琴たち超電磁砲サイド視点で
進んでいるからです。
というわけで今日は終わりです。
長々とありがとうございました。
409 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:28:13.38 ID:9nzaWrc0
>>408
乙。
電磁組は報われるよね…?
410 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:32:04.09 ID:GcDmzaU0

上条さんと一方通行は敵役という気があまりしないが
相手が撃てないとわかっているとはいえ
拳銃突きつけられても一切怯えない幼女一人だけがものすごく黒く見える
しかしそこがいい
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:40:23.39 ID:sgBHu9k0
ここまでやっても悪役に見えない上条さんマジパネェッス
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:47:57.38 ID:9frqFkDO
>>410
そもそもあの幼女は一万回以上虐殺されまくった記憶を抱えている幼女だと言うことを忘れてはいけない
苦痛と死の経験の数で他のメンバーを圧倒してるんだぜ
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 01:57:47.04 ID:efrcG6AO
なんですかこの超良スレ
胸板が超厚くなりますね
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:42:56.42 ID:ZBRwPEAO
超電磁砲組が4人なら魔術側も4人じゃないとフェアじゃないから
残りの魔術2人はねーちんと土御門の参戦でOKだな
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 02:50:09.07 ID:4afq0iAo
つか一方さん科学側じゃね?
416 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/15(火) 03:12:53.48 ID:Z/kb3uEo
>>414
        \               \
           ` "  -   _       ` ̄  ヽ
            /: :/: : : : : : : : : : : : : . 、_       }
           !: : : : :/:/: : : ミ:ヽ: : : : : : : ! ̄ヽ、   /
          i!: :l: : /:/メ/: : ヽ!:ヽ: : : : : : | -‐ '  (
            |: : |: : :/ミ/ミ: : : : !l:ヽ : : |: : :|"ヽ - 、二 _` ‐ - 、_
             |: : |: : :|/""`ヾ'´"{~ヾ: : |、: :i!       メ         ̄  ヽ、
             |:.:r|: :-|、.__      {,,斗:.:|'イ、:i        ̄  ~" )      /
          i!: {'|: :.弋ヤヾ、  ''"艾フ:.:.|/: :.i!          _ , '    -‐'´
            i!: : l: : :.|;;;   !    `'ト; |: |: :ハ      ,  '"   /
            /:!: :.|: :.、|    l _    |: ヽ: :、ハ:\ 斗'"´ _  -‐' ´
          /:/|:|:.:|: : :iヘ 、____ ,ィミ.イ|: : ヽ: 、:./, <-‐― 、
       /: :/: |:/i:|: :ト、 ヽ.   /:::`|ミュ. _彡/::::::::..   .::::::ヽ
      /: 彡' |:| |:!: :i \::::`´::::::l  |: :!: : |ヾ  ::::::    :::::::::| 僕を忘れては困るよ…
   _,/.:     /' |:|: :| , ヘ.、::::::/'"~|: :|、: ヽ  :::::::     ::::::::}
. /.::::       /  j'|: :i'´ | /-、"/l .j: :.| \`  .:::.     .::::{
'       ヽ    ヾ:| 、 \ミ_ | ィ'|   j:/ \:::..  :|      .:/
、    |::   \   / N ヽ:::ヽ-|‐"i   :::::::::/::::  /      /
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 ∨       \   \.   :::::∨:/..../.::::ハ  ::/:.     / |
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  |::ヽ      ::.  /:.   /( )   () }   .::::ヽ    :::: /  |
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 03:16:42.71 ID:Mqm5KYQo
>>414
打ち止め「(´・ω・`)」
まぁあとはインストールさんじゃねえかな
418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 03:16:48.22 ID:fya/dzY0
とある魔術側ってことだろ
419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 07:02:13.95 ID:7gcUbTQo
>>打ち止めァ!!


最近"ェ"が流行ってるから正しい呼び方なのに吹いてしまったwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 07:02:53.18 ID:70XrVBMo
うちどめぁ!
421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 07:23:58.04 ID:c4b0oRwo
ID:4afq0iAo
がなんかビリビリとですのの扱いがひどいからダダこねてる子供に見えてきた
422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 11:17:54.95 ID:.Hr8YBg0
酸素攻撃うけたら供給で余裕っていってる人は実際人間が無酸素の空気を吸っちゃったら一撃で昏倒するってことを知らない気がする。オリジナルの電気分解の速度次第では。イノケンティウスさんで優しく包んであげるとか。
423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 11:20:37.85 ID:j4l1dZ2o
主人公格を集めるならもう一人ははーまづらぁ
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 16:47:29.08 ID:RQeU8EAO
>>422
電気分解じゃなくて空中放電な
対象の周囲のみオゾンに変えるのは至難の業だろ

上条さんならやれるかもしれんが…
前兆の予測で切り抜けそうだ

一方通行は論外
全盛期の一方通行に超電磁砲は勝てない
樹形図の設計者によると185手で一方通行は美琴を殺害出来る

第10032次実験の内容が樹形図の設計者によって組まれている事を考えるとなんらか対処可能なんだろ
425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 16:57:11.99 ID:9nzaWrc0
雑談でスレ消費するの自重しろ
426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 17:58:33.64 ID:D1A0mks0
>>424
何で電気分解とか書いたんだ俺・・・・
高校生やり直してくる。
確かによっぽど条件揃わなきゃオリジナルは勝てそうに無いな。ただ185手ってのは定められた環境下で何より一方の能力知らないオリジナルが戦った場合だから(必ず途中で超電磁砲射って自滅、とか)今は0では無いはず・・・・雑談自重するお
427 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 19:09:25.20 ID:9frqFkDO
そもそも一方さんに酸欠が効くという前提条件を知らないしな美琴
こんなに続きが気になるのも久しぶり
428 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 20:03:39.41 ID:7m6p0Xgo
美琴は単に「殺し方」を一方さんとかに比べて
全く思いつかないだけじゃねえかな?
くぐった修羅場やら殺した数が桁違いだし
そもそも、LV5だろうが一番普通の生活してる美琴が
自分の意思で人を[ピーーー]事や内容について他の奴より深く色々考えれるわけない
429 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 20:08:30.71 ID:L4IRUEAO
逃げに徹しても詰むんだから戦っても死に急ぐことになるだけだろ
430 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 20:13:39.64 ID:RoZT5H20
まじわりとどうでもいい
431 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 20:21:12.75 ID:n7e966AO
初春で抜く日がくることになろうとは
432 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 20:58:59.02 ID:Hy9/zMAO
この空気をぶち破るとは…

てか待ち遠しい
433 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 21:13:27.46 ID:uaNlRhwo
勝てないならば勝てる状況を作ればいい
434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 21:19:31.33 ID:FwtKdAg0
>>381はvs浜面フラグですねわかります

浜面って一方さん以上に冷徹で手段を選ばない気がする
少なくとも「悪党の美学(キリッ」なんて言ってられるような身分じゃないし、いざとなれば無差別テロみたいな非人道的なことだってためらわないだろうな
「覚悟」というより「執念」な気もするが

悪女な滝壺って見たいような見たくないような・・・
打ち止めは怖いくらい似合ってるがww
435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/15(火) 21:46:57.91 ID:6Qqpdfc0
>>1です。
ごめんなさい。今日はちょっと投下無理そうです。
明日は多分来れると思います。
申し訳ありません。。。
ではまた明日の夜に。
ありがとうございました。
436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 21:51:46.74 ID:o9bbj7go
戦闘パートに入ってから100以上を雑談で使ってるんだが
いい加減そろそろ自重してくれ
437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 22:03:37.53 ID:6Vn33Too
>>435
ぜんぜん投下スピード早いから無問題
明日待ってるぜ
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 22:28:15.23 ID:Qk5Xgxso
ここならそうそう落ちないでしょ・・・たぶん
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 22:44:28.12 ID:4afq0iAo
>>421
面白い妄想ですね
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 23:20:48.78 ID:FwtKdAg0
無理だけはしないでくれよ
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/15(火) 23:47:53.68 ID:9nzaWrc0
雑談でスレ埋まるとかはマジ止めてくれ。

ここは>>1のスレ!常識は通用しねぇ!
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 07:19:30.09 ID:Occ6kygo
ID真っ赤にしてその雑談やめてくれって説得力ないよ
443 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 07:28:34.95 ID:UoSWUCw0
>>442
多少の雑談はまだしも、雑談だけで100レス近く消費するのは如何かと。
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 08:11:34.02 ID:dzQ0WPIo
別にいいだろ
むしろ雑談嫌悪する奴の方がきもいわ
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 08:29:33.55 ID:vBuFlzko
多少ならいいけどやりすぎ
雑談したいなら他でやれよ ここは制作速報だ
446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 08:51:35.23 ID:dzQ0WPIo
キリッ
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 08:56:38.84 ID:Occ6kygo
>>443
俺はID真っ赤にしてる奴が自分の事棚に上げてんじゃねぇって言いたいわけよ
てか自治厨が沸くほうがスレが埋まると思うんだがww
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 08:57:49.87 ID:HYgZHH20
色々予想したり考察したくなるくらいこのSSが面白いって事だろ

スレの内容に全く関係ない雑談はさすがにどうかと思うがww
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/16(水) 10:45:54.99 ID:Z2tlx7I0
製速の場合、すごく進んでると思って来たのに殆ど雑談だったときの残念さが異常
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 14:01:15.20 ID:gO7sEAAO
下げ推奨なのに上げる奴のが残念
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 14:22:40.77 ID:1lHyXZQ0
このスレの場合上条さんを逆に利用すれば一方やれるんじゃね?触れてる時は能力使えないじゃん
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 14:37:47.23 ID:GQH9SkDO
戦闘力や能力の差で勝負が決まらないのが禁書の世界だ
勝つ方法なんざいくらでもある
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 16:37:33.77 ID:QBsIq.AO
>>451は一方通行と上条の能力の関係を勘違いしてるな
まあこんなやついっぱいいるけど3巻穴が開くほど読み直せって事で

つーか原作読めに勝る結論はないし。
くだらんことで伸ばすのはやめろ
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage ]:2010/06/16(水) 16:47:06.72 ID:UoSWUCw0
http://toarumajutsunoss.bbs.fc2.com/
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 17:14:01.76 ID:On7YZwgo
G線思い出した
上条がまさに魔王だな
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 21:12:20.32 ID:6klXirUo

            BGM:Close your eyes



当麻「お前か・・・」



御坂「アンタね・・・」



当麻「そうだ・・・俺が・・・魔王だ」








御坂「当麻ぁああああああ!!!」



>>455が言ったせいで・・・
457 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 21:33:46.31 ID:OQqWH4co
G線知らない俺は長渕で再生しちまった
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:04:44.13 ID:pGXaOCY0
>>1です。
遅くなりました。
当分は投下レス数とか少なくなったり多くなったりするので
そこだけご了承頂ければ幸いです。
では投下していきます。
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:09:34.15 ID:pGXaOCY0
3日後・ジャッジメント第177支部――。

ガチャリ、と扉が開かれる音がした。
久しぶりに見る支部は、4日前、誘拐犯たちを絶対倒すと4人で意気揚々に出ていった時のままだった。

黒子「………………」

美琴「何よ黒子、入らないの?」

後ろから美琴に促され、黒子は室内に足を踏み入れる。

美琴「フー…4日前のままね」

美琴がソファに腰を降ろすと、黒子はパソコンの電源を入れた。

美琴「……これから、どうすんの?」

黒子「…どう、とは?」

美琴「やっぱり、あいつらのこと調べんの?」

ふと、無言になる室内。彼女たちは、上条からこれ以上「深入りするな」と警告されている。

黒子「……そう…ですわね。調べましょうか…」

美琴「何か気にかかる言い方ね。もしかして嫌なの?」

黒子「……それを言うなら、お姉さまのほうでは?」

黒子は冷めた目で美琴を見る。

美琴「何ですって?」

黒子「いつものお姉さまなら、何度も負けようが、その都度諦めずに障壁に立ち向かっていくはずです。ですが、この3日間、お姉さまから積極的に『誘拐犯を追い詰めよう』といった意志や言葉を聞きませんでしたの。まあ、今回は特例中の特例ですから……」

美琴「何それ? まるで私がもう、やる気がないみたいな言いようじゃない」

黒子の口調に美琴が少し苛立ちを見せた。

黒子「違うのですか?」

美琴「…………違う……わよ」

黒子「嘘をつかないで下さいまし」

美琴「何ですって!?」バチバチッ
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:16:36.02 ID:pGXaOCY0
美琴が立ち上がり、電気を発する。黒子は一瞬、ビクと肩を震わせた。

佐天「こんにちわー。初春、復帰しましたよー」

出し抜けに、明るい声がドアの方から響いた。美琴と黒子はそちらに注意を向ける。

初春「ごめんなさい。ご迷惑掛けましたー」

佐天に続き、軽く礼をした初春が部屋に入ってきた。

美琴「佐天さん、初春さん……」

佐天「ん? あれ? どうしたんですか? 何か雰囲気が……」

ピリッとした空気を感じ取ったのか、佐天が疑問を口にする。

黒子「…別に大したことではありませんの。少しお姉さまの意固地に呆れてただけで……」

美琴「はぁ? それを言うならあんたでしょ黒子?」

佐天「な、何かあったんですか?」

妙に喧嘩腰な2人を見て戸惑う佐天。

黒子「お姉さまったら、もうやる気は無いくせに、まだ誘拐犯の調査について続けるつもりですの」

佐天「え…」

美琴「やる気がないのはあんたでしょ。言わなくても態度で分かるわよ」

初春「わっわっわっ」

居たたまれなくなったのか、初春が困惑の声を上げる。

美琴「佐天さんはどうなの?」

佐天「え…?」

美琴が突然、佐天に顔を向け訊ねてきた。

美琴「佐天さんは、誘拐犯…“上条当麻”と一方通行の2人をまだ追い続けたい…?」

佐天「それは……」
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:23:43.84 ID:pGXaOCY0
途端に、佐天が俯く。

佐天「……そりゃ、もちろんそうですよ……。あいつらは、固法先輩や泡浮さん、湾内さんを連れ去り殺した張本人ですよ? きっと、他に誘拐された学生たちだって既に殺されてるはずです」
佐天「御坂さんと白井さんはあの2人の知り合いだからまだ信じられないところもあるかもしれませんが、あたしにとっては憎き仇でしかありません。だからあたしは…あの2人を許せません……」

美琴黒子「………………」

佐天「だけど…許せないのと、諦めないのはまた別問題です」

美琴黒子「?」

佐天「……正直なことを言うと、あの2人と対峙してとても怖かったです…。まさか、2人のうちの1人が学園都市最強の超能力者だなんて夢にも思いませんでしたし……それに、実際に戦った上条とか言うあの高校生……。半端ない強さでした。いえ…強い、って言うよりかは凄まじく戦い慣れてるって言うか…。とにかく信じられませんでした。あたしと同じレベル0の無能力者なのに、あそこまで強くなれるなんて……」

佐天の言葉は静かでどこか暗い。

佐天「正直、同じ目に遭っていたらあたしも初春みたいになったと思います」

初春「佐天さん…」

佐天「それほど、あいつらは強かった…怖かった…。もう2度と会いたくないほどに。あたしたち4人なら何でも出来るって思ってたけど、その自信も見事にあっさり打ち砕かれて……」

徐々に佐天の口調は弱々しくなっていく。喋っているうちに3日前の状況が思い出されているようだ。

佐天「正直、御坂さんより強い人たち相手にこれ以上は……」

美琴「………………」

佐天「だから、本当のところを言わせてもらうと……固法先輩たちには悪いけど……もう……」

そこで言葉は途切れた。
一斉に無言になる美琴と黒子。2人が言いたかったことは全て佐天が代弁してくれた。
一気に、室内に諦めの空気が漂う。しかし、1人だけ諦めていない者がその場にいた。




初春「本当にこのまま終わっていいんですか!?」




美琴黒子佐天「!!??」

不意に、か弱くも怒りを混ぜた声が聞こえた。
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:31:32.65 ID:pGXaOCY0
初春「本当に、諦められるんですか!?」

美琴「初春さん?」

3人が顔を上げると、初春が真剣な表情をして美琴たちを鋭い目で捉えていた。

初春「ここで諦めて、まだあの人たちの凶行を放っておくんですか? 固法先輩たちのような被害者がまた出るかもしれないのを、むざむざと見過ごすんですか?」

美琴黒子佐天「!!!」

初春「……敵討ち…それも大事かもしれません。だけど、固法先輩たちが望んでいるのは、これ以上自分たちと同じ被害者が出ないことなんじゃないですか!?」

美琴黒子佐天「…………っ」

3人は普段からは考えられない、初春の気迫に呑まれそうになる。

初春「きっと、このままだとあの人たちはまた犯行を重ねます。そうなるとまた、罪も無い学生たちが犠牲になります。それを、固法先輩たちが許すでしょうか!?」
初春「誘拐犯まで辿り着いたのは、私たちしかいないんですよ? 私たちが今、最もあの2人の近いところにいるんですよ? なら、それを活かさない手はないんじゃないんですか!?」

佐天「初春は……怖くないの?」

初春「そりゃ、私だって怖いですよ。思い出すだけでも怖いですよ……」

美琴たちは初春を見つめる。その言葉通り、彼女の足はワナワナと震えているようだった。
しかし、初春は目に涙を溜めながらも続ける。

初春「でも、私はこのまま彼らを看過できません。これ以上、彼らの手によって学園都市の学生たちが被害に遭うなんて考えたくもありません。それ以前に、私は悔しいんです……」
初春「全力で立ち向かった私たちが負けたのは確かに実力差からです。それは認めます。でも、私が悔しいのはあんな、人の命を何とも思っていない人たちに、私たちの信念を馬鹿にされたことです」

美琴「信念……」

初春「確かに私たちには覚悟が足りなかったかもしれません。力も無かったかもしれません。でも、それでも『何があっても誘拐犯たちを追い詰める』って誓った私たちの決心を、あの2人は貶しました」

美琴は思い出す。上条の言葉を。



   ――「………お前らには知る必要のないことだ」――


   ――「……お前らは、“その時”が来るまでジッとしてろ」――


   ――「……レベル0の俺すら倒せないなら、もう2度と関わるな」――



無意識に、美琴の拳が強く握られた。
463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:38:19.96 ID:pGXaOCY0
初春「確かに、あの2人と私たちの実力の差は歴然です。3日前の戦いがそれを証明しています」

黒子「…それは言われなくても嫌ほど身に染みましたわ…」

佐天「そうだよ。あのレベル0の高校生だって強かったけど、もう1人は学園都市最強のレベル5だよ? そんなの、どうやってもあたしたちに敵いっこないよ…」

負けたショックがいまだ抜け切れていないのか、黒子と佐天は弱音を吐く。

初春「だけど、今は状況が違います。私たちは既に、あの2人の実力を目の当たりにしています。3日前は、彼らがどんな人間で、どんな能力者なのか、どれほどの実力を持っているのか、など全く知らない状況で真っ正面からほとんど策の無いままぶつかっていきました」
初春「じゃあ逆に、彼らを倒す……いえ、倒さなくても、せめて追い詰められる策を考えてみてはどうでしょうか?」

美琴「………………」

黒子「…どうやってですの? 貴女も見たでしょう。あの2人は超能力者としても無能力者としても、反則レベルの力の持ち主です」

初春「ええ、でも…人間である以上、どこかに隙が、弱点が必ずあるはずなんです。あの2人と相まみえたのはほんの僅かな時間ですが、その僅かな時間のうちに、彼らはその手の内を見せています。格下と見下した私たちを徹底的に絶望させるためだけに、自分たちの力を自ら披露しているのです。そこが、彼らの突破口です。そして、その突破口を元に、いくつでも策は立てられるはずです!」

初春の声に覇気が宿る。

初春「確かに彼らは強いです。でも、私たちの実力を見下してること、私たちに手の内を見せたこと。この2点の僅かな隙間に、私たちが彼らを攻略するための道があると思います!!」

美琴「!!!」

黒子佐天「………っ」

黒子と佐天は押し黙る。
自分たちは怖気づき、既に厭戦気分であったと言うのに、一番怖い目に遭わせられたはずの初春は、諦めるどころか、上条と一方通行を再度倒すことを考えていたのだ。
正直なところ、彼女たちは初春の止め処ない強い意志を前に、逃げ腰だった自分を恥じ言葉を失くしていた。

美琴「初春さん…」

初春「はい?」

ずっと黙って聞いていた美琴が口を開いた。

美琴「貴女の言いたいことは分かったわ。でもね、私は同じレベル5の第3位でありながら、たった2つしか序列が離れていない一方通行に一度も勝ったことがないの」
美琴「……あいつとは、色々あって何度か敵対したことあるけど、1回も勝つことが出来なかった……。いえ、傷1つつけることさえ出来なかった……。一方通行の絶望的な実力の前では、私の超電磁砲(レールガン)も赤子の手をひねるようなもの。攻撃することすら躊躇ってしまう。まさにその名に相応しい“最強”の力……」

初春「………………」

美琴「そして、もう1人の上条当麻。こいつは全くの無能力のレベル0だけど、その右手には超能力を何でも打ち消す幻想殺し(イマジンブレイカー)が備わっている。最近は会ってなかったけど、以前までは日常茶飯事に遭遇してたわ」

美琴は遠い日の記憶を思い出すように語る。これからはもう、味わうことが出来ないだろう一晩中追って追いかけられた日々のことを。

美琴「私はあいつの右手の力が信じられなくて、毎回会うたびに攻撃を仕掛けてたけど…その都度、私の攻撃はいとも簡単にかき消されてたわ……」
464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:46:36.76 ID:pGXaOCY0
美琴「分かる? レベル5第3位の私すら簡単にあしらうあの2人。それほど、あいつらの力は反則なの。それでも初春さん、あいつらに勝てるって断言できる?」

何かの真意を問うように美琴は初春に相対する。

黒子佐天「……………」

初春「出来ません」

美琴「……………」

初春「でも、御坂さん、基本的にその2人とはいつも1人で立ち向かってたんですよね?」

美琴「…? そうだけど?」

初春「なら、可能性はあります。僅かですけど彼らを攻略する方法が見つかるかもしれません」

美琴「どうやって?」

美琴が眉をひそめる。対し、初春は満面の笑みで、至極簡単に、それが当然であるかのように答えた。

初春「だって、私たちがいるじゃないですか」

美琴「!」

初春「私たち4人で1人だって…4人合わされば、何でも出来る、って言いませんでしたか?」

黒子佐天「あ…」

初春「ね? 私たちは戦友であり4人で1つの“超電磁砲(レールガン)組”。一心同体なんです。私たちが力を合せれば、1+1+1+1も、100×100×100×100になる。そうでしたよね、佐天さん?」

佐天「あ…うん。そうそう!」

初春「御坂さん、白井さん、佐天さん。あの2人に完全勝利出来る可能性は100%も無いと思います。ですが、4人で知恵を振り絞ったら1%ぐらいの可能性は出てくるかもしれません。もう1度、考える直すことぐらい出来るんじゃないでしょうか?」

黒子「…………」

佐天「…………」

誰も何も喋ろうとしない。いつもとは雰囲気が違う初春の問いに、彼女たちは逡巡するように黙っていた。
その時だった。

美琴「ふっ……」
美琴「あはははははははははははは」

黒子「お姉さま?」

突如、笑い出す美琴。黒子と佐天がそんな彼女を奇異の目で見る。

美琴「ふふ…ふふふ」
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 22:53:14.48 ID:pGXaOCY0
佐天「ど、どうしたんですか急に?」

美琴「いえ……なーんか、今までウジウジ悩んでた自分が馬鹿馬鹿しくなって…」

佐天「はぁ?」

何かが吹っ切れたように、美琴は明るい調子で話す。

美琴「だって、一番怖い目に遭ったのは初春さんのはずなのに……初春さんが一番あいつらにやり返そうって思ってるんだもん」

初春「えっ? えっ?」

美琴「それが何よ。私はやる気を完璧に無くしちゃってさあ。ホンット、バッカみたい!」

黒子佐天初春「??」

美琴「それで何がレベル5よ。何が超能力者よ。何が超電磁砲(レールガン)よ。笑っちゃうわね」

言いたいことを言い終え、美琴は初春に笑顔を見せた。

美琴「初春さん…ありがとう」

初春「えっ?」

美琴「貴女のお陰で目覚めたわ。……気持ち、切り替えないとね!」

そう言って美琴は初春にウインクする。

初春「え……あ…はい!」

初春もまた、美琴の言葉に笑顔で返した。

美琴「で、黒子と佐天さんはどうすんの?」

黒子佐天「え?」

美琴「別に今ここで抜けても臆病者扱いなんてしないわ。やめるのも、1つの勇気だから。それはそれで賞賛すべきことだわ」

黒子と佐天は顔を見合わせる。しばらくして、彼女たちは笑みを浮かべ合った。

黒子「なーに仰っているのでしょうかお姉さまは」

佐天「今更やめる? そんなかっこ悪いところ見せられませんよ。まだ、あいつらに仕返しもしてないのに」
佐天「初春1人にかっこいい思いはさせないぜ?」ニヤリ

初春と美琴に影響されたのか、黒子と佐天の声に元気が戻る。

初春「佐天さん、白井さん…」
466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:00:22.02 ID:pGXaOCY0
美琴「じゃあいいわね。改めて言うけど、私たちの敵は、一方通行と上条当麻。一筋縄じゃいかない奴らよ?」
美琴「死ぬ気でないと、逆に痛い目見るわよ」

腰に手を当て、美琴はやる気を取り戻した3人の顔を見る。

黒子「それはもう十分身に染みて承知しておりますわ」

佐天「あいつらにも指摘されたことですしね」

初春「それが分からないで諦めないほど、私たちは馬鹿じゃありません」

美琴「そうね。では、各自まずは“自分が出来ること”を再確認すること。自分の得意分野を振り返るのよ。いいわね?」

黒子と佐天と初春は元気良く頷く。

美琴「じゃあ、超電磁砲(レールガン)組、再始動よ!!!」

美琴黒子佐天初春「おーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!」

儚くも、力強い声を上げる4人。
彼女たちは意気揚々に気合いを入れる。黒子と初春は自分のデスクに着きパソコンのブラウザを開き、佐天は支部に置かれている武器類の物色を始める。美琴は大量のコインを集めるべく、ゲームセンターに向かおうと………




黄泉川「そこまでじゃん!!」




バンッと、勢いよく支部の扉が開かれた。
驚き肩をビクつかせ、美琴たちはそちらの方に注意を向けた。
そこには、アンチスキルの黄泉川と鉄装が2人、険しい顔をして立っていた。

黒子「黄泉川先生?」




黄泉川「ジャッジメント第177支部はただ今をもって、その全ての業務を凍結する」




美琴黒子佐天初春「!!!!!?????」
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:07:16.57 ID:pGXaOCY0
初春「ど、どういうことですか先生!!」

信じられない、というように初春が黄泉川に駆け寄る。

黄泉川「どうもこうもない。今まで知った仲と言うことで大目に見てきたが、さすがに限界じゃん。ここ最近のお前らの行動は許容範囲を逸脱している」

黒子「そ、それは……」

黒子たちは困った顔を見せ、どうしよう、と無言で美琴に訴える。
しかし、美琴は黄泉川を見据えたまま何も答えない。

黄泉川「捜査の重要な証拠となる携帯電話を、アンチスキルの許可を得ずに勝手に他の機関に指紋鑑定依頼する。休校措置が出てるにも関わらず、無断で外出する。そして御坂……」

美琴「…」ピクッ

黄泉川「壊滅したスキルアウトの一団のアジトからお前の毛髪が見つかったぞ」

美琴「…………」

黒子佐天初春「!!!」

黄泉川「手口から見て、奴らを殺したのはお前の仕業じゃないんだろうが……何らかの情報を得るために奴らと接触していたな?」

美琴「……………」

黄泉川「どちらにしろ、アンチスキルの中にはお前がスキルアウトを壊滅したと疑ってる連中がいるじゃん」

黄泉川の言葉に、黒子と佐天と初春が声を上げた。

黒子「そ、そんなお姉さまはただ……!!」

佐天「そうです! 御坂さんはスキルアウトを殺してなんかいませんよ!!」

初春「そうだ、聞いてください黄泉川先生! 最近学園都市の学生が誘拐されてる事件で私たち遂に……」

黄泉川「うるさい!!!!」

黒子佐天初春「!!!!!」

黄泉川「キャンキャンキャンキャンうるさいじゃん」

黒子佐天初春「なっ……」

黄泉川「このかしまし娘どもが。ちょっとは静かに出来ないのか」

3人は怒鳴られたショックからか、黄泉川の顔を唖然と見返す。

黄泉川「今まで色んな事件を解決してきたお前らだから見逃してたが……これ以上は看過出来ないじゃん。よって、処分内容が決定するまで、当支部は凍結。お前らは、私の部下たちの監視の下、自宅にて謹慎してもらう」

黒子佐天初春「そんな!!」
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:14:30.82 ID:2J65Eag0
黄泉川の言葉を聞き、一斉に彼女たちは抗議の声を上げるが……

黄泉川「黙れ!!」

黒子佐天初春「ひっ」

またも、黄泉川の発する大人特有の気迫に慄く3人。

黄泉川「ジャッジメントだろうが、レベル5だろうが、お前らはまだ子供じゃん」

美琴「…」ピク

黄泉川「ここからは大人の領分。大人には、子供を守る役目がある。お前らの安全を守るためにも、従ってもらうぞ」

黒子「お姉さま…」

佐天「御坂さん…」

初春「御坂さん…」

今にも泣きそうな顔で、3人は美琴を見つめる。無表情で黙っていた美琴はようやく口を開いた。

美琴「みんな、ここは黄泉川先生に従いましょう…」

黒子佐天初春「そんな!」

美琴「耐えることも、1つの戦いよ」

黄泉川「良いことを言うじゃん御坂。強者には我慢も必要不可欠な要素じゃん。…鉄装、この子らを頼む。家まで送り帰して、謹慎生活中の詳細も説明してやってくれ」

鉄装「分かりました。さ、みんな、いつまでも我が儘言ってないで行くわよ」

互いの顔を見ると、4人は不服そうにトボトボと鉄装に従った。

美琴「1つ、あんたたち“大人”に言っておくことがあるけど……」

ふと、美琴が立ち止まり呟いた。

黄泉川「……何だ?」

美琴「“子供”を舐めないことね。“子供”ってのは“大人”の気付かないうちに、成長してるもんなんだから……」

鉄装「……………」

黄泉川「………フン、胸に留めておくじゃん」

それだけ言い残すと、美琴は鉄装に従って部屋を出て行った。
469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:21:23.98 ID:gP6TY1.0
子供はみんなニュータイプ、か…
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:21:36.55 ID:2J65Eag0
常盤台中学女子寮――。

寮監「ふざけるな!!」

バンッ、と机を思いっきり叩く音が響く。その音に驚き、黒子は肩をビクつかせた。
美琴と黒子の2人は今、寮の管理人室にいる。

寮監「勝手な行動ばかり起こしよって…。周りの迷惑になると考えんのか!?」

寮監は怒りに溢れた顔を美琴と黒子に向ける。

寮監「いくらレベル4とレベル5とはいえ、中身はまだ子供だな」

美琴「(またそれ…)」

黒子「寮監様、どうかお話を聞いてくださいまし。私たちは……」

美琴「無駄よ黒子。どうせ聞いたって信じてくれないし相手にもしてくれない」

黒子が何とか事情を説明したが、横から美琴が止めた。

美琴「学園都市の“大人”ってそういう薄情な人が多いからね」

黒子「お、お姉さま…」

寮監「ああ? 随分と大層なことを言うじゃないか。やはりお前らには再教育が必要なようだな」

寮監の額には青筋が浮かんでいた。
471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:27:08.32 ID:JznkqoI0
一気につまんなくなったな
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:27:19.50 ID:2J65Eag0
常盤台中学女子寮・某室――。

ベッドに腰掛ける美琴。その感触は自分の部屋のものと同じもので、寝心地は良い。それだけでなく、その部屋は浴室やトイレもついており、美琴が普段暮らす部屋とは大して変わらない。ただし、じめじめしていること以外は。

美琴「部屋の空気が淀んでいるわね」

その部屋に窓と呼べるものはなかった。ついているにはついているのだが、壁の最上部に小さな窓枠が並んでいるだけで、外の景色を眺めたりと窓としての本来の使い方が出来ない。しかも鉄格子まで嵌められており、仮にそれを破壊しても人間1人脱出出来るだけのスペースは無かった。

美琴「さながら牢屋ね」

寮監によると、その部屋は校則を破ったり、寮の規則を守らなかったりする生徒を謹慎させるためにわざわざ作られたものらしい。ここ数年は使われたことはなかったが、今回は特例ということで美琴が閉じ込められることになった。

美琴「あー囚人になった気分」

部屋には通信手段となるような電話やパソコンがなく、暇潰しのために少量の本が置いてあるだけである。もちろん美琴の携帯電話も取り上げられており、部屋の外には黄泉川の部下のアンチスキルの隊員が部屋の見張りについている。
さながらその部屋は陸の孤島だった。

美琴「寮にこんな部屋があったとはねー」

美琴は扉に近付く。そこには、食事の受け渡し用の投函口がついているが、どうやら室内からは開けられないらしい。鍵はついているようだが、対能力者用に簡単には突破されないよう何らかの細工がなされているのは容易に想像出来た。
顔を上げると、天井の隅に監視カメラらしきものまで設置されている。どこか別室で彼女の様子をモニターしているのだろう。
しかし、何より問題なのは、美琴は今自分がいる部屋の場所を知らないことだった。目隠しされ、エレベーターに乗せられやって来たので、そこが何階なのか、そして何号室なのかも分からなかった。故に、

美琴「……破壊して逃げることも出来ないのよね…。壁か天井か床に超電磁砲でもぶっ放して、もしそこが誰かの部屋だったら大変だし、ドアを能力で破壊しても偶然通りかかった誰かを傷つけたら怖いし」
473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:28:39.95 ID:UoSWUCw0
>>471
早く右上の×を押す作業に戻るんだ
474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:34:21.50 ID:2J65Eag0
何より、もし彼女が何らかの抵抗を試みた場合、別の場所で謹慎されている3人の罪が重くなるどころか身の安全を保障できない、と警告されていた。
黄泉川の性格を考えると、後者の言は中身がハッタリの警告だろうが、前者ばかりは実際に嘘とも思えなかった。要するに彼女は、物理的にではなく状況的にがんじがらめにされていた。

美琴「…そういや黒子はどうなったんだろ? 佐天さんや初春さんはどうしてるのかな?」

ボフッとベッドの上に仰向けになる美琴。ふと、3日前の夜のことを思い出す。



  ――「……レベル0の俺すら倒せないなら、もう2度と関わるな」――



美琴「………………」
美琴「…必ず、這い上がってもう1度あんたのところに辿り着いてやるんだから…覚悟しておきなさいよ上条当麻!!」

美琴はグッと握った拳を上げる。

美琴「あんたが私たちのことを何も出来ない子供だって見下してるなら………」





美琴「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!!」





475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/16(水) 23:36:40.66 ID:2J65Eag0
>>1です。
今日は以上です。
急に話の流れの雰囲気が変わりまして申し訳ありません。
明日もまた投下出来ると思います。
それではまた明日の夜に。
ありがとうございました。
476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:41:52.51 ID:UoSWUCw0
>>475
乙。
477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/16(水) 23:42:27.53 ID:jYpDWLw0
支援。>>1頑張ってくださいー
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/16(水) 23:44:12.60 ID:jYpDWLw0
支援とかいってたらストップになってたw
>>1お疲れさまー
ゆっくりお休みください
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/16(水) 23:52:23.82 ID:6klXirUo

しかし勝算はあるのか・・・
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:13:31.76 ID:x278fwAO
アホ毛を再度人質にとれば楽勝
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:16:56.71 ID:Vq3hoxAo
インデックスさんの首晒しちゃえば?
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:18:40.35 ID:PvCDYFg0
禁書「私の出番はまだなのかな?」
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:25:45.48 ID:gM5UWE.o
一方さんはともかく上条さんは工夫次第だろ

てかぼこぼこにやられたんだから大人頼ればいいのに
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:28:24.46 ID:Vq3hoxAo
大人頼れとかちゃんと読んでるのか疑問だ
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:29:11.55 ID:BVj15z.0
再戦してもボロボロに返り討ちにされる展開とかだといいな
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:34:52.71 ID:wd6EmgI0
>>483
たった480(360)レスも見返せないのか。
487 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:34:54.04 ID:aaFUArUo
犯人わかったのに自分達だけで解決しようとしてるのは何故?
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:42:52.06 ID:ZhT8wgIo
周りが信用出来ない状態だからじゃねーの?
489 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 00:47:16.67 ID:K18vPVgo
証拠が無いし、明らかに協力して貰えない状況じゃん
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 02:29:26.96 ID:Vx/5Vjs0
話は面白いのに雑談が多すぎだな
VIPじゃねーんだぞおまえら

誰か〜面白い人が面白いことを始める〜のコピペはってくれ
491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 06:50:44.48 ID:PuBN186o
>>490
またお前かww


一方と上条が犯人ですってくらいは信じてもらえなくても伝えるべきだとは思うが
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 06:58:05.10 ID:rpB/cD2o
>>491
なに言ってんだこいつ
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 07:20:59.40 ID:.eEm2SQ0
AA略
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 07:25:52.43 ID:vPkWbkoo
>>顔を上げると、天井の隅に…

監視カメラを体につけたサイボーグ天井蒼想像した
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 10:34:35.72 ID:1Y5jqj2o
>>490
これのことか?

「面白い人が面白いことをする」

「面白いから凡人が集まってくる」

「住み着いた凡人が居場所を守るために主張し始める」

「面白い人が見切りをつけて居なくなる」

「残った凡人が面白くないことをする」

「面白くないので皆居なくなる」
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 12:33:48.95 ID:Mm1oA9E0
そもそもどこまでが「感想」でどこからが「雑談」なのかもあいまいだしな

なんならこれからギャラリーは「乙」と「GJ」以外の文章をレスするのを禁止にするかww
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 12:42:48.50 ID:.eEm2SQ0
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 13:21:25.45 ID:Vx/5Vjs0
>>495
そうそれ

雑談は程々が一番
>>1のレス数越えるほどする必要は無い
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 14:05:19.72 ID:PuBN186o
>>398
そういってるお前が雑談してるけどな
雑談やめろで雑談とまったこと無いんだから学習しろよ
自治厨が空気悪くするし一番のレス乞食
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 14:26:36.67 ID:CueqlAYo
>>398にいったい何の恨みが・・・
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/06/17(木) 14:33:10.46 ID:orm4pIA0
なんか誰も殺してないオチだな。
ほら、打ち止めは知ってるとはいっても殺してるとか爆発させてるとかは言ってないし。
多分御坂たちを巻き込まないためにそういうこと言ってたんだろうな。
実際はかみやんリーダーで一方と共に心の黒幕つぶす二人組だろう
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 14:39:22.36 ID:A98AQr.o
もうお前ら黙れよ
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 14:49:25.43 ID:CueqlAYo
そうだな。取り敢えずお前らの口にジッパーつけといたわ
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 15:10:47.95 ID:OT/8WuMo
お口チャックマンか!
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 15:21:50.09 ID:LUd7VUc0
てす^^
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 15:42:19.35 ID:98f3lwAO
あげんなや
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 16:04:51.71 ID:OopO386o
1乙ー

>>456
G線知ってる奴が居たとは…
でもまさに上条魔王じゃね?

セロリさんは誰だか知らないけど
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 16:15:06.01 ID:wd6EmgI0
http://toarumajutsunoss.bbs.fc2.com/

自治スレにこんなのが貼ってあった。
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 16:23:55.26 ID:4A38R/s0
雑談辞めろって言ってる奴は正義気取りで気にいらん。>>1の感覚しだいでは話に関係ない雑談も立派な支援だろうが。勝手に代弁者になってんじゃねえよ。自分のため>>1のため関わらず確認ぐらいしろ
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 16:26:22.16 ID:CueqlAYo
とりあえず>>1に意見を聞くまで両方自重しろってことで
511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 16:55:16.07 ID:n0kAJdI0
結構あがってると思ったらどうでもいいレスで埋め尽くされていたでござる
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 17:33:30.06 ID:5uLVtxw0
>>457
おれおま
513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 18:48:38.07 ID:oVuLEhUo
雑談許可したらスレの8割が雑談で埋まったスレがあってだな・・・
514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 19:02:52.46 ID:jHQfBQg0
正直埋まってなにが悪いんだ?
ここはVIPじゃないだろ。 埋まれば次を建てれば良い話
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 19:08:58.21 ID:g8KwfHkP
雑談じゃなくて>>1の作品を読みたいんですう
>>1レス抽出しろとかそう言うのの前に自重してくだしあ><
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 19:24:58.36 ID:34iflUA0
>>514は間違いなく正論
517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 20:19:28.68 ID:wd6EmgI0
雑談云々については>>1の意見を聞こう。まずはそれからだ。

>>1は雑談についてどう思うのですかな。
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 20:57:17.32 ID:SYfz072o
結局荒らしてんのは
雑談否定厨だろ。
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:02:43.51 ID:KfRKkG20
>>1です。
作中では矛盾点やご都合主義もたくさん出てくると思うのでそれは勘弁して頂けると幸いです。。。
あと雑談は基本、各自の判断に任せます。
さすがに1日に100レスも雑談で埋まってたり全く関係ない話題に逸れるていのは驚きますが。
あとあまり喧嘩しないで頂けると嬉しいです。
名無しの方々にあれこれ強要するのは控えたいのですが、今日だけは一応口を挟ませてもらいました。すいません。
ということで、投下していきます。
520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 22:05:11.75 ID:nuhNUwDO
雑談する奴雑談否定する奴どっちもうざいけど予想書く奴が一番うざい自分の中だけで思ってろよ粕
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 22:08:40.89 ID:1Y5jqj2o
>>1が喧嘩しないでと言った直後に喧嘩腰のレスをする精神が理解できない。
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:08:43.62 ID:KfRKkG20
常盤台中学女子寮・管理人室――。

黒子「………………」ジロリ

寮監「そう睨まないでくれるか? これから先、仲良くやる身だ」

黒子「………仲良く? ただの監視のくせに?」

黒子は今、寮の管理人室にいる。美琴は、スキルアウトを壊滅したという疑いが掛かっているため、1人で謹慎用の部屋に閉じ込められているが、黒子の場合、謹慎用の部屋は管理人室だった。
つまり、黒子は見張り役の寮監と当分の間、管理人室で寝食を共にしなければならなかった。

寮監「ふん、言っておくが能力を使用しないことだな。さっきも説明したが、この部屋は女性警備員が監視カメラで交代で絶えず監視している。異常が起これば、寮内の全警備員が速やかに対処できるようなっているからな」

脅すように寮監は黒子に説明する。

黒子「…プライバシーさえ無いのですのね」

寮監「それは私も同じだ。悪いが、この部屋にいる限りは私の指示に従ってもらうからな」

黒子「………………」

黒子は横を向き、1つ溜息を吐いた。
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:13:26.57 ID:KfRKkG20
とある寮――。

初春「はぁ……佐天さんたち、どうしてるかな?」

そう言って初春は覗き窓を覗く。警備員が2人、背中を見せて立っているのが見えた。

初春「……この謹慎処分って、いつまで続くんだろう?」
初春「ケータイも没収されちゃったし、電話も使えなくされちゃったし、パソコンも取り上げられちゃった……」
初春「おまけに、監視もされちゃってるんだよね……」

チラッと初春は部屋の一角を見る。取り付けられたばかりの監視カメラが初春をジッと見つめていた。

初春「落ち着くことも出来ないや……」

ベッドに腰を降ろすと、彼女は本棚に置いてあるネットワークセキュリティ関係の本を読み出した。
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:17:30.45 ID:KfRKkG20
また別の寮――。

佐天「……………」シャカシャカシャカ

ゴロン

佐天「……………」シャカシャカシャカ

ベッドの上に寝転がりながら、音楽を聴く佐天。

ゴロン

佐天「……………」シャカシャカシャカ

彼女はうっとおしそうに何度も体勢を変える。

佐天「……………」シャカシャカシャカ

佐天「だーもう!! カメラが気になって集中できない!!!」

立ち上がり、天井の隅につけられたカメラを指差し、佐天は抗議の声を上げる。

佐天「見てなさいよ!! 絶対出し抜いてやるんだからぁ!!!」
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:22:43.43 ID:KfRKkG20
常盤台中学女子寮・管理人室――。

テレビ『アンチスキルによると今朝、第5学区で発生した爆発事件は、テロの可能性が濃厚なものとして……』

ガチャッ

黒子がボーッとテレビを眺めていると、扉が開かれる音がした。

寮監「テロテロテロ、世知辛くなったもんだな」

黒子「………………」

黒子は横目で寮監を窺う。

テレビ『また、3日前に殺害された田中重工の取締役は、学園都市の上層部と繋がりが深く……』

寮監「そして要人暗殺か。若いうちからこんな物騒なものまじまじと見るんじゃない」ポチッ

机の上に置かれてあったリモコンを取り、寮監はテレビの電源を消した。途端に、部屋の中の静けさが増した。

黒子「……これでも、ジャッジメントですので。情報の取得は欠かせませんの」

寮監「どちらにしろそういった凶悪事件はアンチスキルの担当だ。そして今のお前はジャッジメントも停職中の身。謹慎が解けるまでこの部屋からは出られん。間違っても、私の目を盗んで御坂を助けに行こうと思わないことだな」

黒子「お姉さまがどの部屋にいるのかも分からないのに、そんな馬鹿な真似はしませんわ」
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:28:49.86 ID:KfRKkG20
寮監「はぁ……ったく、無愛想だな。一緒の部屋にいるのに。なんなら私を本当の母親と思って甘えてくれてもいいんだぞ?」

黒子「ご冗談がきつすぎますわ」

寮監「はっは、言ってくれる」

コンコン

と、その時、扉をノックする音が響いた。

寮監「はい」

警備員「謹慎中の生徒に面会人です」

寮監がドア越しに返事をすると、見張りについていた警備員がそう告げてきた。

寮監「どうぞ」

ガチャッ

黒子「貴女は……」

開かれた扉の方に注意を向け、黒子は意外な者を見るように僅かに目を大きくした。



婚后「ご機嫌いかが白井さん? ま、そんなおブサイクなお顔では元気とも言えませんわね」



そこには、黒子のよく知る人物――常盤台中学2年の婚后光子が、扇子を口元で扇ぎながら立っていた。
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 22:34:33.48 ID:Z1p9nuI0
>寮監「テロテロテロ、世知辛くなったもんだな」
テロテロテロテロテロテロって鳴き出したかとおもた
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:36:18.59 ID:7YWEbyI0
黒子「……見ない間に毒舌は進化したようですわね婚后さん。で、何のご用かしら?」

いささか顔を引きつらせながら、黒子が訊ねる。

婚后「まーったく、アンチスキルの殿方ったら、私の身体を身体検査と称してベタベタ触るのですもの。嫌になりますわね」

黒子「…まあ、私が謹慎中の身ですから仕方がありませんわ」

婚后はチラッと寮監のほうを見る。寮監は椅子に座って雑誌を読んでいる。
次いで、婚后は顔を動かさずに視線だけをグルリと部屋中に巡らせた。

婚后「………………」

一点で彼女の視線が止まる。それは、天井の隅に向けられていた。

黒子「で、何しにいらっしゃったのかしら? 私を蔑みでも?」

黒子が言葉を掛けると、それに気付いた婚后の表情が一転した。

婚后「……泡浮さんと湾内さんの件については、お世話になりましたわね」

黒子「!」

婚后「何でも、無茶をしてまで、あの子たちの行方を追おうとしたとか……」
婚后「アンチスキルの黄泉川という方からお聞きしたのですが、あの2人が既に手遅れな可能性もあるとか……」

黒子は寮監の方を一瞥した。友達との面会ということで気を利かしてくれているのか、寮監は黙ったまま雑誌を読み続けている。

婚后「確定の情報ではないので、公表は控えているようですが……。でも、私はあの2人がまた戻ってくると信じていますわ」

黒子「……………」
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:42:26.03 ID:7YWEbyI0
婚后の表情はいつもの高飛車な彼女のものとは信じられないほど、暗い。と言うのも、婚后は泡浮と湾内の2人と親しく、最近ではよく一緒にいることが多かったのだ。

黒子「………………」

黒子は婚后から顔を背ける。
彼女は、泡浮や湾内がどのような末路を辿ったのかを2人を誘拐した犯人の口から直接聞いている。もちろん今ここで、2人の顛末を語ることも出来たが、僅かでも希望を抱いている婚后の様子を見ると、出来なかった。

婚后「どうかなされましたか?」

ギュッと黒子の手が握られているのを見て、婚后が不審に思ったのか扇子越しに見つめ訊ねてきた。

黒子「…いえ、別に……」

婚后「ハァ……まったく。張り合いがありませんわね。いつまでもここにいてもつまりませんから、そろそろお暇させて頂きますわ」

黒子「え?」

そう言って、婚后は立ち上がる。

婚后「では寮監様。失礼いたしますわ」

寮監「うむ。分かった」

ガチャッ

ドアを開けると、婚后は1度立ち止まった。

婚后「白井さん。私も諦めませんから、貴女も元気になってくださいね」

黒子「………え…」

バタン

どこか辛そうな笑顔を浮かべたまま、婚后は部屋を出て行った。

黒子「………………」

残された黒子は、握っていた拳に更に力を込めた。
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:49:52.23 ID:sZZFADU0
その頃、とある場所――。

上条「……………」

一方通行「おい」

上条「………………」

一方通行「おい!」

上条「…………………」

一方通行「聞いてンのか上条?」

上条「え? あ、何だ?」

ようやく反応があったことを確かめると、一方通行はやれやれ、と言うように溜息を吐いた。

一方通行「ったく……それでリーダーの自覚あンのかねェ?」

上条「……悪い。んでどうした? 何か用か?」

我に返った上条が一方通行の顔を見上げる。
すると、一方通行は顎をしゃくった。その先にいたのは御坂妹だった。



御坂妹「……………………」



531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 22:56:52.25 ID:HbEzq6Y0
一方通行「2人っきりで話したいンだとよ」

上条「そ、そうなのか……。入れよ、御坂妹」

一方通行「じゃあ俺はお邪魔かもしれねェからなァ、出て行くぜェ」

ニヤリと笑みを浮かべ、一方通行は部屋から出て行った。

上条「で、どうした?」

上条が訊ねると、ほとんど無表情で彼の顔を見つめていた御坂妹が口を開いた。

御坂妹「ここ最近、貴方が物思いに耽っていることが多かったので、とミサカは不安を率直に述べます」

上条「そうか? 気のせいじゃねぇか?」

そう言って上条は立ち上がり、コーヒーを淹れた紙コップを御坂妹に手渡した。

御坂妹「………………ズズズ」

一口だけ仰ぐと、御坂妹は紙コップを両手に持ち上条を見据えた。

御坂妹「お姉さまのことを……考えていらっしゃるのですね? とミサカはズバッと真正面から斬り込みます」

バシャア、と上条は持っていた紙コップの中身をぶちまけた。

上条「やっべ、零しちゃったよ。あはは…何だよいきなりお前はもう…」

慌てたように上条は床に広がった液体を見やる。

御坂妹「図星ですね、とミサカは追い討ちを掛けます」

上条「…………布巾はどこにあったかな…?」

目にした雑巾を手に、上条は床に零れたコーヒーを拭いていく。

御坂妹「ま、あれほど突き放せば逆に気になるのも無理はないでしょうね。それにミサカたちがやっていることもやっていることですし……」
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 23:03:24.14 ID:HbEzq6Y0
御坂妹「残念ですが、お姉さまはあれで諦めるとは思えませんよ。むしろ逆に、貴方が宿敵なら立ち向かってくるでしょうね。わざわざ貴方が出て行かなくても良かったのに、とミサカは今更ながら意見を唱えてみます」

上条「……………」

コーヒーを啜る音に混じり、御坂妹の絶え間ない言葉の数々が後ろから上条の背中を貫く。
それでも上条は、彼女に背中を見せながらひたすら床を拭いている。

御坂妹「わざわざ貴方が非難の的になる必要はないのに。それとも、修羅の日々の合間に、お姉さまの顔が見たかったのですか? …と、ミサカは多少の嫉妬を覚えつつも切り込んでみます」

やがて、上条は立ち上がる。

上条「………俺が一方通行と一緒に、あいつらの前に出て行ったのは、あいつら自身の身の丈を分からせるためだ」

御坂妹「…嘘ばっかり。貴方も、そんなことされてもお姉さまが諦めない人だって最初から分かってるくせに、とミサカは見透かしてみます」

上条「………どっちでもいいさ。またあいつらがでしゃばって来たら、何度でも完膚無きまでに叩きのめすまで。あいつにしたって…何度もやっても無駄だと分かっているのに、いつまでも友達を巻き込んだまま愚行を続けるほど馬鹿じゃない」

御坂妹「あのお姉さまに、恨まれたままになるのですよ? 既に1人、大事な方を失くしている貴方にしてみればお姉さまは……」

上条「関係ねぇよそんなこと…」

そう言って上条は棚に両手をかけ、目の前にある壁を見つめる。

上条「目的を完遂するためには、俺たちは修羅道に落ちる必要があるんだよ」
533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:07:20.45 ID:SYfz072o
>既に1人、大事な方を失くしている貴方にしてみればお姉さまは……
・・・なぬ?
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 23:10:32.99 ID:4Ycj0Xc0
どこか悲しそうな声を窺わせる上条。それを見て御坂妹は飲み干したコーヒーカップを机に置き、上条に近付くと、そのまま彼の身体にピタリと寄り添い、上条の肩にそっと頭を預けた。

御坂妹「貴方は、多くのものを背負い過ぎています…。それだけは初めて出会った時と変わっていませんね」

上条「……………」

御坂妹「ミサカも、貴方と最後まで人生を共にすると誓った身……。お姉さまには敵わないかもしれませんが、せめて貴方の苦しみや悲しみをミサカにも分けてください…と、ミサカは呟きます」

上条「……………」

2人はそのまま、しばらく無言の時を過ごす。

御坂妹「………………」

上条「………………」

しかし…

打ち止め「ねー10032号! いつもと同じように寝る前に本読んでー! とミサカはミサカはお願いしてみたり!」

唐突に、その場にそぐわない明るい子供の声が聞こえてきた。
振り返ると、入り口のところに打ち止めが笑顔で立っていた。

御坂妹「チッ…まったく空気の読めないガキはこれだから……とミサカは愚痴りながらも上位個体の指示に従います」

打ち止め「早く早くー!」

御坂妹「はいはい、今行きます今行きます、とミサカは嫌がりつつも何故かいつも言う通りにしてしまう自分に多少呆れ返ります」

御坂妹の手をとりながら、打ち止めは部屋を出て行った。
それを笑顔で見送っていた上条の表情はやがて、徐々に暗くなっていった。

上条「………………」
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:11:13.42 ID:Z1p9nuI0
インデックス!?
536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/17(木) 23:11:42.46 ID:4Ycj0Xc0
>>1です。
今日は以上になります。
ありがとうございましたー。
537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:16:07.71 ID:wd6EmgI0
>>536
なん…だと…?
538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:17:01.38 ID:gM5UWE.o
539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:18:34.78 ID:V3K3bDw0

しかし相変わらず打ち止めが不気味だ
>>533
スフィンクスか
540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:33:17.92 ID:SYfz072o


>>539
1人じゃねぇwwwwwwww
そうか、常連だったスーパーの店員のおばちゃん亡くなったのか 。・゚・(ノД`)・゚・。
541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:33:20.95 ID:H/R/T5Q0
うーん...誰なんでしょ?
542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/17(木) 23:34:44.75 ID:8s3Q.yYo
インデックスだろ刺されてたし
543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 00:16:43.42 ID:d5E.WE2o
そういや刺されてたな。忘れてたwwww
で、誰がだっけ?

>>539
この物語の雰囲気が黒いのにほのぼの系にいる打ち止めと変わらんのがなんとも・・・
深夜、月明かりの中で見るひまわり畑って不気味なんだぜ
544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 00:19:32.65 ID:SM3tqTA0

打ち止めが何故か怖ぇえ
人肉食ってタノシクなっちゃう一方さんにお似合いの黒ロリですね
545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/18(金) 00:32:56.75 ID:/4AyZ..0
あぁ、スフィンクスのことか!
546 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 00:58:44.80 ID:YUxB2QIo
ガチで忘れてたwwwwwwww
547 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 12:37:56.58 ID:xL49fkDO
亡くすじゃなくて失くすだし、禁書は死んでないだろ。禁書が死んだらイギリス清教がまず黙ってないだろうし、この場合の失くすは突き放すことでパートナーとして失ったってことだろ
548 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 13:01:44.04 ID:EZEuaQM0
そういうのいいです^^;
549 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/18(金) 17:25:43.36 ID:EbtTuMQ0
雑談についての>>1のまとめ

1.ここは俺のスレ!俺のスレに常識は通用しねぇ!
2.喧嘩するとかなンなンですかァ?なンなンですかァ?
3.1日に100レスの雑談は止めて欲しいなって、>>1>>1は言ってみる。
4.いいぜ、お前がこのスレと関係ない雑談をするって言うのなら、
まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!

詳しくは>>519
550 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 17:50:09.07 ID:1y70RsMo
そんなレスがあったのか見えなかったぞ>>549>>1には乙としか言い様がない
551 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 19:26:11.99 ID:.njpbuM0
>>549
まとめ乙だが>>1は俺のスレアピールなんてしてないし勝手に常識作んないでねと釘をさす
552 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 19:30:18.18 ID:gWFwZXYo
俺のスレアピールじゃなくて
>>519
作中では矛盾点やご都合主義もたくさん出てくると思うので
ってとこを言ってるんじゃね?
553 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 19:35:59.77 ID:d5E.WE2o
1.これは俺のSS!俺のSSに常識は通用しねぇ!

これでいいか?
554 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 19:54:13.29 ID:EZEuaQM0
テンプレ化決定。

>>1と皆のお約束。

1.これは俺のSS!俺のSSに常識は通用しねぇ!
2.喧嘩するとかなンなンですかァ?なンなンですかァ?
3.1日に100レスの雑談は止めて欲しいなって、>>1>>1は言ってみる。
4.いいぜ、お前がこのスレと関係ない雑談をするって言うのなら、
まずはそのふざけた幻想をぶち[ピーーー]!

詳しくは>>519
555 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/18(金) 19:55:45.61 ID:ZKsBQj20
>>1と皆のお約束。

1.これは俺のSS!俺のSSに常識は通用しねぇ!
2.喧嘩するとかなンなンですかァ?なンなンですかァ?
3.1日に100レスの雑談は止めて欲しいなって、>>1>>1は言ってみる。
4.いいぜ、お前がこのスレと関係ない雑談をするって言うのなら、
まずはそのふざけた幻想をぶち[ピーーー]!

詳しくは>>519
556 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 19:57:10.69 ID:fmwCIEwo
何回もテンプレ張るなよ
つまらん
557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 19:57:27.05 ID:0Vp84bM0
おまえらは.....w
焦りすぎだ。俺が決めてやる
558 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/18(金) 19:57:53.23 ID:0Vp84bM0
テンプレ化決定。

>>1と皆のお約束。

1.これは俺のSS!俺のSSに常識は通用しねぇ!
2.喧嘩するとかなンなンですかァ?なンなンですかァ?
3.1日に100レスの雑談は止めて欲しいなって、>>1>>1は言ってみる。
4.いいぜ、お前がこのスレと関係ない雑談をするって言うのなら、
まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!

詳しくは>>519
559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 20:01:57.34 ID:EbtTuMQ0
なんかテンプレ化されててワロタ
560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 20:48:37.88 ID:4PM1fA60
なんで死んじゃったんだよ……博士さん
561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/18(金) 21:49:05.16 ID:BFhqYqo0
>>1です。
テンプレ化はまあ…ご自由にして頂いて構いません。。。
それによって少しでもスレが荒れないなら何よりです。
ということで投下、といきたいところですが今日は無理そうです。
ごめんなさい。明日には多分来れると思います。宜しくお願いします。
562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 22:02:49.97 ID:fmwCIEwo
報告乙
明日頑張ってくれー
563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/18(金) 22:36:55.36 ID:7KnikVs0
報告乙
いいはなし期待してるよー
564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/18(金) 23:57:09.29 ID:QPQ143ko
>>561
テンプレとか勝手に作られたスレ全て荒れてるの知ってていってるのか
自由にしていいとか言って
あとからスレにこなくなるなんてのは勘弁願いたいぞ

ぶっちゃけた話
俺含めて全てスルーしてもくもくと投下だけするといい
その中で気に入ったり面白いレスに反応程度の方が気が楽だぞ
565 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 00:13:32.64 ID:sLuiQ.s0
報告乙。

変なやつが沸いてるけどスルーだな
566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 00:50:15.51 ID:lwaW9d.o
美琴のは謹慎じゃなくて監禁じゃないのか
567 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 13:16:47.46 ID:kvv0ngAO
こんな良スレが荒れるのは偲びねぇな

ってわけで荒れだしたら俺が全力で事態の鎮静化をはかるんでそこんとこヨロシク
568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 13:17:38.02 ID:lWrQXPA0
>>567
手伝おうか
569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 13:35:25.54 ID:cY3NS.co
また話を戻そうとしてる奴がいると聞いて
570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 13:36:33.82 ID:kvv0ngAO
あれもっとキメェコイツみたいな展開になると思ってたのに
571 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 15:44:24.43 ID:sLuiQ.s0
もしもしがきめえな
572 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 16:18:58.48 ID:mGvIcGAo
えーと・・・も、もしもしがきめぇな
573 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/19(土) 17:03:32.99 ID:U5PgK1.0
(^^;)
574 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 17:09:16.42 ID:D94ESg2o
纏めてスルー
575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:14:27.47 ID:89/qlxo0
>>1です。
ホント最近、忙しいためか少量しか
投下出来なくてすみません。
今日も僅かですが投下します。
576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:19:49.81 ID:89/qlxo0
数日後・常盤台中学女子寮・食堂――。

昼食時、広大な面積を持つ豪華絢爛な食堂に、常盤台中学の女子生徒たちがずらりとテーブルに並んで食事をとっていた。
さすがはお嬢様学校といったところか、昼食のメニューも豪勢で、ご飯を口に運ぶ生徒たちの動きも繊細で優雅だ。

婚后「ふー……」

その中の1人、婚后が突如顔を蒼くして溜息を吐いた。

生徒「あら? どうなされたのですか婚后さん? 食事が進んでいませんわよ?」

彼女を心配した横の女子生徒が声を掛ける。

婚后「ええ。少しばかり気分が悪くて……」

生徒「まあそれは大変ですわね。寮監様に途中退席を願い出てみては如何ですか?」

婚后「そうさせてもらいますわ…」

額に手を当て、気持ち悪そうな顔で婚后は寮監の元へ歩いていく。
それに気付いた寮監が眉をひそめて婚后に訊ねた。

寮監「なんだ? 食事中だぞ? 無断で歩くな」

婚后「いえ……少々、気分が悪くて食欲が無くて……。出来るなら部屋で休ませて頂きたいのですが……?」

婚后の声は弱々しく、今にも吐き出して倒れてしまいそうだった。
577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/19(土) 22:25:45.80 ID:gNfUXkc0
kitaーーーーー
578 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:26:25.58 ID:mGvIcGAo
キタアアアアアアアアアア
579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:26:32.67 ID:89/qlxo0
寮監「そうなのか…。なら仕方ないな。いいだろう。部屋に戻ってよし」

婚后「ありがとうございますわ」フラフラ

そう言って、頭を抱えたまま婚后は食堂を出て行く。
彼女はそのまま、廊下を曲がり、食堂が見えなくなった時点で物陰にサッと隠れた。

婚后「…………………」ニヤリ

婚后の様子が一変する。

婚后「……フン、この常盤台の婚后光子に掛かればちょろいものですわね」

扇子を口元に、婚后は笑う。
明らかにそれは、病人とは思えない健康な人間のものだった。

婚后「毎日健康に気を使っているこの私の体調がそう易々と不調になるはずがないでしょう。そう……私が途中退席した本当の目的は…っと。来ましたわね」ササッ

婚后は身を引っ込める。すると、彼女の目の前を、食器を乗せたお盆を持った1人の女性が通り過ぎていった。
姿形こそ、普通のスーツを着た若い女性だったが、婚后には違和感だらけに写っていた。

婚后「ふふん。大方、男性で無ければ怪しまれずに済むと考えたのでしょうが甘いですわね。あの歩き方、事件の際によく見かけるアンチスキルの方の訓練されたそれですわ。私の眼力は欺けませんわよ」

どや顔で婚后はスーツ姿の女性を観察する。

婚后「ここ最近毎日、違った女性が食事の時間に食堂に姿を現しては生徒たちと一緒に食事もせずにお盆だけを持って出て行っていますが……ただの来客や賓客がそんな怪しい行動をするはずがないでしょう」

彼女はお盆を持った女性の跡を密かに尾ける。
相手もプロだと思われるので、あくまで慎重に進む。

婚后「ずばり、あの方の正体はアンチスキルに所属する女性隊員、と言ったところでしょうか」
580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:28:41.21 ID:RqMABB2o
婚后さんのいる寮って学舎の園の中の寮だったきg
581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:31:21.16 ID:U5PgK1.0
>>580
>>558
で良いのかな
582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:32:44.30 ID:k56n1u20
ちがうな。
>>63
で全て解決。
583 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:34:12.95 ID:nG9oKnM0
婚后は、黒子が謹慎されていた寮監の部屋を思い出す。その時、彼女は、天井の隅にカメラのようなものがついているのを確認している。

婚后「管理人室にあったカメラは、白井さんの室内での行動を監視するために取り付けられたもの。恐らく、寮内のどこかで女性隊員が絶えずモニターを窺っているのでしょう。あの女性はそのうちの1人でしょうね……」

サササと婚后は足音を立てないよう気をつけながら、スーツ姿の女性を追う。

婚后「この女子寮で男性の、しかも装甲服を着たアンチスキルの方が無闇やたらに動き回れば、目立つ上に警戒されますからね」

美琴が謹慎を受けている部屋番号は秘密にされている。それは、彼女が外部の人間と接触を取らせないようにするための処置だ。
だが、美琴の仲間による不穏な動きを想定しての寮内の巡回や、美琴への食事の運搬など、アンチスキルはどうしても寮内を頻繁に動き回る必要性が出てきてしまう。しかし、装甲服姿の男性警備員が寮内をうろついていれば、それだけで生徒の目を引き、それが原因で美琴がいる部屋の場所を特定される恐れも出てくるのだ。

婚后「だから一般人を装った女性隊員を使っているのですわね」

そう言った理由から、男性警備員は美琴と黒子が謹慎中の部屋の見張りだけに役割を固定させて、寮内での巡回や食事の運搬は、監視カメラのモニターを見張っている女性警備員が交代で担当しているのだった。

婚后「この寮に派遣されてきた警備員は全て男性、と聞いていますが、それも私たち生徒の目を欺いて御坂さんたちの監視をスムーズに行うための嘘でしょうね……」

婚后は数m先のスーツ姿の女性の背中をキッと見据える。

婚后「ですが、毎日毎日、見たこともない女性が食堂から食事をお盆に乗せて持って行ったら、さすがにこの私が気付きますわよ」

彼女の表情は真剣そのものだ。

婚后「大方、生徒たちが食事に夢中になっていると思って油断していたのでしょうが、私の目はごまかせまんわ」
584 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:41:25.93 ID:nG9oKnM0
絶対に気付かれないよう注意しながら、婚后は物陰から物陰へ移って、アンチスキルと思われる女性の後を追う。
と、フロアを3階ほど登ったところで婚后は少し足を止めた。

婚后「ここは……普段から立ち入りを控えるように寮監様から厳命されているフロアのはず…。まあ、こんなじめじめした薄暗い場所など、誰も近付かないのですが……」

彼女が視線を向けると、階段からフロアに繋がる道の真ん中に、コーンバーによって繋がれたロードコーンが置かれていた。コーンバーの真ん中には紙が貼り付けられており『立ち入り禁止』と書かれている。

婚后「…ふん、もし誰かがこのフロアまで上がってきた時のための保険策といったところでしょうか。ですが、何者であってもこの常盤台の婚后光子を通せんぼすることなど出来ませんわよ」

彼女は簡単にロードコーンの横を素通りする。
短い廊下を数mほど進み、そして……

婚后「見つけましたわ!」

角から少し顔を覗かせ、廊下を窺う婚后。
見ると、十数m先の向かいの壁のドアの前に装甲服姿のアンチスキルが2人立っていた。

女性「御坂への昼食です」

アンチスキル「ご苦労」

スーツ姿の女性に声を掛けられると、2人のアンチスキルが敬礼し、それぞれ横に移動した。
スーツ姿の女性がコンコンとドアを叩く。

女性「御坂さん。昼食を持ってきたわ」

婚后「(ちゃんと部屋の位置を記憶するのよ婚后光子…。私の手に、御坂さんや白井さんの命運が掛かっているのだから)」

スーツ姿の女性は、ドアの中央部分に設置された投函口を開け、お盆をそのまま中に入れる。
室内でお盆が受け取られたことを確認すると、彼女は投函口を閉め一歩下がった。

婚后「……さて、用は済みましたわ。早いところ撤収しましょう」

腕時計を見る。あと5分ほどで昼食後の点呼が始まる。点呼が終われば、恐らく寮監は婚后の様子を見るため、真っ先に彼女の部屋へ訪れるだろう。その時に、婚后の姿が無ければ怪しまれてしまう。
足音を立てぬよう気をつけながら、婚后はその場を離れていった。
585 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:47:47.93 ID:U5PgK1.0
7分間隔か…もう少し早くてもさるさん掛からないよ。
もし>>1に意図があるならスルーしてくれ
586 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:48:31.85 ID:nG9oKnM0
管理人室――。

寮監「なるほど。そんなことが……分かりました」

寮監はソファに座りながら、チラッとベッドの方を一瞥した。

黒子「スースー………」

謹慎中の黒子が子供のような寝顔を浮かべて眠っている。
なんだかんだ言って子供だな、と思いつつ寮監は目の前の人物――昼食時、美琴の部屋まで食事を運んでいったスーツ姿の女性に顔を戻した。

寮監「それで? 黄泉川先生には報告したんですか?」

女性「ええ。既に」

寮監「何ておっしゃってました?」

女性「対策を考えるとのことです。取り敢えず明日までには決まるので、それまではいつも通りに見張りを続けるようにと言われてます」

寮監の質問に、スーツ姿の女性はきびきびと答えていく。

寮監「ああ、確か『環境保全ルーム』でモニター監視しているんでしたっけ?」

女性「え? あ、まあ…」

少し言い淀み、スーツ姿の女性はベッドの方に視線を流した。
黒子は眠っているようだが、謹慎を受けている彼女に、カメラによる監視を行っている部屋の場所はあまり知られなくなかったのだ。
が、しかし、どうせ知られたところで今の彼女に何が出来たわけでもないので、スーツ姿の女性は気にしないことにした。

寮監「なるほど。分かりました。それではまた明日、対策内容が決定したら教えて下さい」

女性「はい。それでは私はこれで失礼させて頂きます」

寮監「お仕事ご苦労様です」

そう言って寮監はスーツ姿の女性をドアの外まで送る。
背後にその動きを感じつつ、黒子は密かに両目を開いた。

黒子「(お姉さま……)」
587 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/19(土) 22:50:05.95 ID:nG9oKnM0
今日は以上です。
なかなか時間が取れなくてすみません。
多分明日の夜にもまた来れます。
それでは、ありがとうございました。
588 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:50:44.40 ID:U5PgK1.0
乙。現実優先で無理すなよ。
589 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:52:44.74 ID:NXkRiRQ0
>>587
GJです!
ちゃんと書いてくれてるだけでも感謝感謝です
続き楽しみにしてます!
590 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 22:57:39.57 ID:Q.gF1TU0
585 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage] :2010/06/19(土) 22:47:47.93 ID:U5PgK1.0
7分間隔か…もう少し早くてもさるさん掛からないよ。


え?




え?
591 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/19(土) 23:20:28.35 ID:U5PgK1.0
>>590
ほろ酔いでついやってしまった。かなり後悔してる。死にたい
592 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/19(土) 23:53:39.17 ID:RqMABB2o
>>582
ああすみません。見落としてました

当です
593 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:09:00.48 ID:YN0H3jM0
>>1です。
みなさんありがとうございます。
今日も少し投下させて頂きます。
594 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:14:30.83 ID:YN0H3jM0
翌日――。

女子生徒「遅刻だ遅刻! 遅刻しちゃうよ〜〜」ダダダダ

1人の女子生徒が、筆記用具を手にしながら寮内の1階を駆けていた。
もし寮監にその姿が見つかれば、廊下を走ったということでただ事では済まなかったが、最近、遅刻を連発している彼女にとって、そんなことを考える余裕は無かった。

女子生徒「わーーーー!! あと5分もないよー!!!」
女子生徒「っとととととと」キキーッ

とある十字路で立ち止まる女子生徒。
彼女は電気が点いていない左の暗い道を見つめる。

女子生徒「このエリアはお客様とか学校の先生が使う部屋が多いから、普段から生徒は余り通らないよう注意されてるけど……近道になるんだよね」

寮内には、立ち入りを禁じるようなフロアやエリアがいくつかある。
1階にあるここも、その1つだった。

女子生徒「寮監様に見つかったら怒られるけど……行っちゃえ!」

ダダダと彼女は再び走り出す。

女子生徒「ん?」

ふと、違和感を覚え女子生徒は、ある部屋の前で立ち止まる。
立ち止まりながらも、彼女の足だけはその場で走り続けている。

女子生徒「?? 『環境保全ルーム』? 何その使いどころも無いような存在してるだけで邪魔になりそうな意味不明な部屋は?」

キョトンとした顔で女子生徒は部屋のドアに近付いてみた。

女子生徒「でもなんだろ? 部屋の中から話し声が聞こえる…?」

彼女は耳を澄ましてみた。

女子生徒「んー?」
595 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:22:32.97 ID:YN0H3jM0
午後――。

現在、相次ぐテロ事件を受けて、学園都市の全ての学校は、一部例外を除き休校中である。
通常の学校では、休校中の処置として宿題が出されていたのだが、常盤台中学には「宿題」と呼べるものはない。
しかし、常盤台中学は学園都市の中でも5本の指に入るほどの名門校。非常事態とはいえ、生徒たちの学力低下を恐れた理事会は、代案として寮内での授業を行うこととした。

婚后「さてと、次の授業は確か家庭科でしたわね」

準備を整えると、婚后は自分の部屋を出て行く。
ドアを開けたところでクラスメイトに会った彼女は一緒に向かうことにした。

クラスメイト「寮内での学業も、新鮮ですわね。ただし、代わりの教室は学校のものとは随分違いますけど」

次は5限目で、授業は家庭科。その日の内容は調理実習だが、寮に家庭科室は無いので厨房を使うことになる。
厨房、と言っても常盤台中学学生寮のものは普通の学校とは違い広大なので、1クラス分の生徒が実習を行えるだけのスペースはある。その上、常盤台中学には寮が2つあり、授業もそれぞれ2つの寮で分かれて行われているので、クラスメイトの数もいつもより少なく全員分が入れるだけの余裕は十分にあった。

婚后「まあ、何にしてもこの常盤台の婚后光子にかかれば、環境の違いなんて関係ありませんわ! オーッホッホッホ!!」

扇子を口元に高笑いを上げる婚后を見て、クラスメイトは苦笑いする。
と、その時クラスメイトはあることを思い出した。

クラスメイト「あ、そう言えばご存知ですか? 2年生の御坂さまのこと」

婚后「!」
婚后「え、ええ…確か問題を起こして、とある部屋で謹慎中だとか…」

クラスメイト「そう、その件なのですが、確か急に予定を変更して、放課後御坂さんをどこかへ移送させるそうですわ」

婚后「なんですって!!!!????」
596 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:28:28.34 ID:YN0H3jM0
大声を上げる婚后。クラスメイトがその反応にビクついた。

婚后「そ、それは本当ですの?」

クラスメイトに詰め寄り、婚后は慌てふためくように訊ねる。

クラスメイト「は、はい……いや、私も噂でしか聞いていないのですが……」

婚后「噂?」

婚后の眉がひそめられる。

クラスメイト「何でも隣のクラスの子が、普段は使われていない部屋の前を通りがかった時に、会話を聞いたらしいですわ。大人の女性たちの声で『今日の放課後、御坂さんをアンチスキルの支部へ移送させる』と…」

婚后「!?」

クラスメイト「私も人づてに聞いたので本当かどうか分からないのですが、どうなのでしょう?」

婚后「………………」

クラスメイト「この寮内に寮監様以外の大人の女性って何人もいたでしょうか? それとも特別な事情で、外部のお客様が宿泊されているのでしょうか? アンチスキルの殿方なら御坂さまと白井さんがいる部屋の見張りで来ているのは知っているのですが…」
597 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:34:44.24 ID:YN0H3jM0
時が止まったように固まり、クラスメイトの話を聞く婚后。
彼女は口を開けたまま、しばらく思いを巡らせる。

婚后「(ただの噂……? いえ、待って…。もしその声が聞こえてきた、とある部屋というのが、御坂さんと白井さんを監視カメラで見張っている女性警備員たちの詰め所だとしたら……。有り得なくは無いかもしれませんわ…)」

閉じた扇子の先を顎に添え、婚后は黙考する。

婚后「(でも、何故急にアンチスキル支部への移送などと……)」

クラスメイト「どうなされました?」

婚后「その、会話を聞いた隣のクラスの子は誰か分かりますか? 他に何て言っていたかとかも」

クラスメイト「さぁ、そこまでは。ただ、その子も次の授業に急いでいたそうなので、聞こえた内容はそれだけかと…」

婚后「その子がその会話を耳に入れたのはいつ?」

クラスメイト「それも分かりませんが、結構な速さで噂は広まっているようなので、早くても3限目か4限目の始め頃ではないかと」

婚后「………っ」

婚后は軽く唇を噛む。
さすがは女の子が通う女子校である。お嬢様であっても話の種になるような噂が広がる速度は尋常ではない。

クラスメイト「さすがに、アンチスキルの支部にまで移送させられるとなると、皆さんも気になるようで。そこまで御坂さまは大変なことを仕出かしたのかと、色んな憶測が立っていますわ」
598 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:40:26.64 ID:YN0H3jM0
婚后「(一体何故、急に? やはり御坂さんと白井さんを同じ寮内に置いておくのは危険と判断したため? いえ、それとも……)」

婚后は昨日のことを思い出す。

婚后「(まさか私の動きが勘付かれていた?)」

確かに、婚后は昨日の昼食時、適当な理由をつけて食堂から抜け出し、アンチスキルの隊員と思われるスーツ姿の女性の後を尾け、御坂が謹慎されている部屋を見つけたが、勘付かれた様子は無かった………はずだ。

婚后「(ふん…さすがはプロ、と言ったところでしょうか。恐らく私の姿を確認していなくても、誰かが尾行している、ということぐらいは見抜いていたかもしれませんわね…)」ギリッ

クラスメイト「?」

婚后「(いえ、それほどでなくても…多少の違和感を覚えたのでしょうか。どちらにせよ、万が一のことを考えて移送させることにしたのでしょうねきっと……随分な念の入れようだこと)」

婚后は扇子を握る手にギュッと力を込める。

婚后「………………」

美琴と黒子のためにやった、処罰をも覚悟に入れての行動だったが、まさかそれが裏目に出るとは思っていなかった。
美琴と黒子が同じ寮内にいれば、状況を覆すだけのチャンスもいくらかあったかもしれないが、2人が極端に離れ離れになってしまえば、それも困難になってしまうだろう。
これでは、婚后が自ら進んでそのチャンスを潰したようなものだ。

婚后「(ならば……私が責任を持ってなんとかしないと……)」
599 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/20(日) 22:40:55.65 ID:IMVzTXAo
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
600 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:46:22.80 ID:YN0H3jM0
クラスメイト「あ、もう5限目が始まりますわ」

腕時計を見てクラスメイトが呟いた。

婚后「………………」

もし、美琴が放課後、アンチスキルの支部へ移送させられるならば、婚后が手を尽くせる時間は残り少ない。

婚后「(かと言ってまた適当な理由をつけて授業を抜け出すと、寮監様に怪しまれかねないですし……。何とか手はありませんか? 考えるのよ婚后光子!!)」

彼女は、何か策が無いものかと深く深く考える。

婚后「…………………」

しかし、こんな時に限って妙案というものは思い浮かんでこない。その上、時間も無いのだ。
焦燥心が婚后をジワジワと煽り立てる。
と、その時だった。

クラスメイト「婚后さん、急ぎましょう。今日は調理実習ですから準備も必要なんですよ?」

婚后「!」

ふと、何かに気付いたように婚后は顔を上げた。

クラスメイト「?」

クラスメイトを呆然と見つめる婚后に、クラスメイトは首を傾げる。

婚后「……………今、何て仰いました?」

クラスメイト「はい?」
601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/20(日) 22:48:26.93 ID:dB/A72co
!! ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━タキ
602 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:53:51.06 ID:skkhT860
婚后「今、何て仰いました!?」

クラスメイト「いえ…だから、次の5限目は調理実習で準備も必要ですから、急ぎましょうと……」

婚后「!!!!」

クラスメイト「???」

何やら様子がおかしい婚后に、クラスメイトは奇異の目を寄せる。

婚后「(そうですわ……これなら…!!)」
婚后「申し訳ありませんが、先に行っておいて頂けません?」

クラスメイト「え!? でも、もう始まってしまいますよ」

婚后「大丈夫ですわ。少し忘れ物をしただけですから。授業が始まるまでには厨房に着くので」

クラスメイト「分かりました。ではまた後で」

婚后「ええ」

一瞬、不思議そうな表情を浮かべたが、クラスメイトはすぐにその場を去っていった。

婚后「…………………」

走っていくクラスメイトの後ろ姿が廊下の角に消えていったのを確認すると、婚后は持っていた筆記用具から適当にペンを取り出した。
そして、同じく胸に抱えていたノートの端を丁寧に破くと、壁を下敷きに何かを書き出した。

婚后「これで完璧……」

10秒も経たず書き終えると、婚后はその切れ端を、持っていたエプロンのポケットにしまいこんだ。
そして、腕時計を確認すると厨房に急ぐため走り出した。
603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/20(日) 22:54:30.48 ID:skkhT860
>>1です。
今日は以上です。
ありがとうございました。
604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/20(日) 22:55:15.40 ID:dB/A72co
605 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/20(日) 23:20:30.29 ID:4znvHZQ0
乙。
実は>>1=富堅
606 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/20(日) 23:23:02.06 ID:Lx8b42AO
乙!
ところで婚后さんが御坂たちを助けようとしてるのはなぜ?
607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/20(日) 23:34:49.62 ID:NGQIzEY0
>>606
ちゃんと全部読んでからレスしろ
608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 00:33:08.27 ID:Rd08.6AO
すいませんわかんないです…

どこら辺読めとかありますか?
それか教えていただけると幸いです
609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 00:55:23.71 ID:CMiofzUo
全部嫁
610 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 01:27:03.89 ID:Rd08.6AO
親友二人を助けて貰うため…でしょうか?

でもそのために美琴たちまで死の危険に晒すのは少しおかしい気がして
美琴たちは一度テロ組織に負けてますし
611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/21(月) 02:40:54.53 ID:npyIUWE0
>>610
>>558

テンプレの使い方はこれでよか?
612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 03:07:34.64 ID:K.XsRG60
なぜ?
613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 03:08:39.44 ID:Rd08.6AO
すいませんでした俺が悪かったでした

ROMります
614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 03:09:05.79 ID:Rd08.6AO
すいませんでした俺が悪かったでした

ROMります
615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 03:10:08.57 ID:Rd08.6AO
うわ二重った
616 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/21(月) 04:17:06.51 ID:wknzzAAO
川´_ゝ`)<フッ
617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 08:31:04.87 ID:wq/6T/so
さすが製作クオリティ
618 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/21(月) 18:14:55.49 ID:ATtttzoo
これはおもしろい
支援
619 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/21(月) 21:23:12.38 ID:EAZBtoAO
>>618
IDおもしろいな


しえん
620 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/22(火) 10:33:14.68 ID:LVEV5bs0
ん、でも俺もわからないな。
御坂も白井も逃げようと思えばいくらでも逃げれるし、少なくとも自分の意志で入ってるし、目的は逃がすことじゃないのか
621 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/22(火) 16:15:21.44 ID:1rawBuco
そこは現実世界にもよくあるいらないけどとりあえず助けとこうみたいな
622 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/22(火) 20:40:32.55 ID:rzR8HbE0
まだかな
623 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/22(火) 21:27:42.65 ID:PIZTSAko
ここって保守しなくても落ちないの?
624 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 21:35:48.65 ID:E60pkZs0
>>1です。
美琴も黒子も状況的に動けない、動いても意味は無いと思ってると
捉えて頂ければいいかなと。ご都合主義な面もありますが。
昨日は来れなくてすみませんでした。取り敢えず今から投下したいと
思います。
625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/22(火) 21:38:56.83 ID:wAqVhnI0
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 21:40:48.43 ID:E60pkZs0
とある部屋――。

バタン、という音とともに、来客は出ていった。

美琴「………これで、チェックメイトかしら?」

愚痴を吐き捨てるように美琴はベッドに仰向けに倒れ込んだ。
壁の上部に設置された格子付きの細い窓から僅かに青空が見える。

美琴「今、ちょうど5時間目が始まったところかしら?」
美琴「となると2、3時間後には移送されることになるわね」

ついさっき、部屋に訪れたスーツ姿の女性警備員は、放課後、美琴をアンチスキル支部へ移送する、という旨を伝えにきた。何でも、突如決まったものらしく理由は聞かされていない。
更に、移送中は手錠をかけられるらしく、抵抗した場合は、同様に謹慎を受けている黒子や佐天、初春の罪も一気に重くなる、とのことだ。黒子たちがどこで謹慎を受けているのか知らない以上、下手に動くのも逆効果だった。

美琴「別に退学になるってわけじゃないけど、これでしばらくは黒子たちと会うことも難しくなるわね。そうなったら本格的に、私たちは動けなくなる」

美琴は窓に映える青空を眺めながら、ボーッとした口調で独り言を呟く。

美琴「で、学園都市の学生たちはあの2人に好きなように誘拐蹂躙殺害されまくるわけね」

彼女は、とある少年――もとい、とある宿敵の顔を思い出す。

美琴「私らの協力も無しに、あの2人を捕まえることなんて出来るのかしら? つかそもそもアンチスキルはやる気無さすぎでしょ」

目を閉じ、美琴は空中に溜息を吐く。

美琴「はぁ…」
美琴「何とかならないかな……。せめて、この状況から逃げ出すことが出来れば……」

ピリピリッと美琴は空中に上げた右手から電気を発する。

美琴「本当に…私が超能力者である意味……あるのかしら?」

力を抜いた右手をバフッとベッドの上に下ろすと、彼女は沈んだ目で空を眺め続けた。
627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 21:48:19.09 ID:E60pkZs0
管理人室――。

現在、寮内の時間割は5限目が終わって6限目までの10分休憩の最中である。
裏で美琴の移送計画が進んでいることも知らず、黒子は本を読んで過ごしていた。

トントン

寮監「ん?」

ドアが叩かれた音がし、寮監と黒子はそちらの方に顔を向ける。
すぐに、見張りについていた警備員の声が聞こえた。

警備員「白井への面会人です」

黒子「(面会人……はて、誰でしょう?)」

寮監「どうぞ」

警備員「面会人が『白井への差し入れがある』と言っておりますが、どうしましょう? 許可しますか?」

寮監「差し入れ? 何です?」

寮監が眉をひそめて訊ねる。

警備員「どうやら見た限り、弁当のようですが…」

黒子「(お弁当の差し入れ?)」

寮監「どこの弁当ですか? 寮の外で販売されているものとか?」

警備員「いえ、彼女によるとつい先程の調理実習で作製したものとか」

寮監「……調理実習で作ったばかりのもの…か」

数秒ほど考え込み、寮監は答えた。

寮監「構いません。彼女を室内に入れて下さい」

警備員「了解しました」

ガチャッとドアが開かれる。


婚后「おーっほっほっほ!!!! 白井さん、相変わらずおブサイクな顔のままですわね!!」


黒子「こ、婚后光子!!!」
628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 21:54:25.67 ID:E60pkZs0
そこには、胸に弁当箱らしきものを抱え、上品らしい下品な笑い声を上げる婚后が立っていた。
後ろでドアが閉まると、彼女は黒子に近付いてきた。

婚后「あらおブサイク。ホント、おブサイク。謹慎を受けてからずっとおブサイクな顔ですわよ」

黒子「……………」ピキッ
黒子「そ、それで? お弁当を差し入れしてくれたようですが、私を哀れんでのことでしょうか? いえきっとそうでしょうね、貴女なら!」

黒子の額に青筋が浮かぶ。

婚后「ハァ…うるさいですわね。せっかく、私が作ってここまで持ってきたのに」

寮監「婚后、一応その弁当見せてくれ」

横から尋ねてきた寮監に、婚后はパカッと弁当の蓋を開けて中を見せる。
直径3cm〜4cmぐらいの、オムライスをおにぎり状にしたものが2つ、仕切りを隔てて野菜とおかずが所狭しと入っていたが、どこか豪華な感じがした。

寮監「ん。もういいぞ」

婚后「本当は差し入れは厳禁なのでしょうけど」

寮監「わざわざお前が白井の分まで作ってくれたんだからな。拒否するのも酷い話だろうし、食べるなら温かいうちがいいだろう」

婚后「ご厚意に感謝しますわ寮監様」

すまし顔で婚后は礼を述べた。



婚后「“とても助かりますわ”」



629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:00:26.36 ID:E60pkZs0
黒子「しかし、何故貴女が私にお弁当を? 気味が悪くて寒気がしますわ」

寮監「こら、白井。そういうことを言うもんじゃないぞ」

黒子「だって…」

本当に不思議がるように言った黒子を寮監が諌めた。

婚后「気になりますか? 理由は簡単ですわ。さっきも言ったように謹慎を受けてからというもの、白井さんがおブサイクに見えて不憫に思えて」ホロ

黒子「…」イラッ

婚后「そういうわけで、この常盤台の婚后光子が作ったお弁当を食したら、貴女も少しはおブサイクレベルがマシになるでしょう? ほら? 如何です? それともこの私が慈悲で恵んであげたお弁当をいらないとでも?」

黒子「………フン。せっかく作ってもらったのですから、食べさせて頂きますわ」

不満な表情を浮かべたまま、黒子は弁当を受け取る。

婚后「さっさと食べることですわね。冷めたら私の慈悲のパウワーが低下しますから」

黒子「はいはい。分かっておりますの」

婚后「ちなみに、そのオムライスおにぎり。私の自信作なのですわ」

黒子「自信作?」

弁当を手にした黒子が訝しげに横目で質した。

婚后「ええ。今まで人類が味わったことがないほどの隠し味を入れてますの。それはもう、信じられないほどのお味でしょうね! まあ貴女の貧相な舌に合うかどうかは分かりませんが」

黒子「……そ、そう。不吉な予感しかしませんが、それは楽しみにさせてもらいますわ」

婚后「ええ。是非」パチ

黒子「?」
630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:08:03.09 ID:E60pkZs0
一瞬、婚后は真剣な表情を浮かべ、ウインクを飛ばしてきた。
婚后の背後にいる寮監はその表情を見ることは出来なかったが、黒子は見逃さなかった。

黒子「(何なんでしょう今のウインクは?)」

婚后「あーっと! まずいですわ。もう6限目が始まる頃ですの。そろそろ行かなければ!」

婚后は慌てたように、ドアに向かう。

黒子「あ…婚后さん!」

婚后「何でしょう?」

振り返る婚后。

黒子「貴女に感謝を述べるのには抵抗がありますが…わざわざ私のために作ってもらったものです。ぜひ食べさせて頂きますわ」

婚后「フフン。素直じゃないですこと。きっと次、貴女が私に会ったときは、そのお弁当がどれほどの美味か記憶に留めている頃。私に頭が上がらぬほど感謝しているに違いませんわ! オーッホッホッホ!!」

扇子を口元に、婚后は高笑いを上げる。

黒子「(……ムカつきますの)」ピキキ

婚后「では寮監様、私はこれで失礼させて頂きます」

寮監「うむ。授業に遅れぬようにな」

婚后「白井さん、  機  会  が  あ  れ  ば  またお会いしましょう。アデュ〜」

最後まで黒子を小馬鹿にしたまま、婚后は部屋から出て行った。
警備員によって閉められたドアを背後に、婚后は口元に覆った扇子の中で小さな笑みを浮かべる。

婚后「(さて白井さん。私が出来ることはここまでです。あとは、貴女次第ですわ)」
婚后「(この常盤台の婚后光子の厚意をフイにしてヘマなどしたら、許しませんわよ)」

彼女は次の授業に向かうため、管理人室を離れていった。
631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:14:26.87 ID:E60pkZs0
寮監「どうした? 食べんのか? せっかく婚后がお前のために作ってきてくれたんだ。冷めてしまうぞ」

黒子「いえ…なんだか食材に不気味なものでも使われていないかと」

弁当箱の箱を開け、まじまじと観察する黒子。

寮監「いらんなら私が食う」

黒子「い、いえ冗談ですの。ぜひ頂きますわ」

椅子の上に腰を降ろし、黒子は箸を取り出す。
寮監は再びソファに座り雑誌を読み始めた。

黒子「(さて、いただきますの)」

まずはパクッとおかずのハンバーグ(黒毛和牛)を口に入れてみる。

黒子「(あらあらまあ……これはこれは。とても美味しいではありませんか)」

更に一口、と黒子の手は進む。

黒子「(以前はカレーライスも作れなかったというのに、随分と進歩したじゃありませんか)」

本当に美味しいのか、彼女は次々とおかずを口に運ぶ。

黒子「(これは本当に後で感謝せねばなりませんわね)」

お嬢さまらしい優雅な食べ方で、おかずが徐々に消えていく。
632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:20:13.65 ID:E60pkZs0
そして、彼女はようやく、婚后自慢のオムライスおにぎりに手をつける。

黒子「(さて。これが婚后さんの自信作……とてつもない隠し味を秘めているということですが…)」

黒子は箸で掴んだオムライスおにぎりを見つめる。
卵で作られた皮が、丸く球体状に握られた橙色のご飯の面積を半分ほど包んでいる。

黒子「(では、いざ行かん)」

パクッ

顎の下で左手の掌を上に向けながら、彼女は優雅にオムライスおにぎりを口に運ぶ。
お嬢さま用に作られたせいか、おにぎりは小さく、二口か三口もあれば黒子の小さな口でも食べきれるサイズだった。

黒子「(あら…あらあら……。美味しいではありませんの)」
黒子「(隠し味、というものですからどれほど奇抜なものかと覚悟を決めていたのに…。このおかずの中で一番の味を兼ね備えていますわ)」

ホクホクと笑みを浮かべ黒子はオムライスおにぎりを食べる。

黒子「………………」モグモグ

しかし、その美味も長くは続かなかった。


黒子「うっ!」


ふと、黒子は口の中に違和感を覚えた。
633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:26:15.70 ID:E60pkZs0
黒子「(な、何ですの? 明らかに異物と思われるものが混入してますの…)」

寮監「?」

突如、口を覆った黒子の様子を見て、寮監が怪訝な目を向ける。

黒子「……………っ(この感触は……)」
黒子「(…………紙!?)」

と、そこで黒子は思い出す。



   ――「ちなみに、そのオムライスおにぎり。私の自信作なのですわ」――



何故、婚后が『自信作』と豪語してまで、オムライスおにぎりを薦めたのか。



   ――「ええ。今まで人類が味わったことがないほどの隠し味を入れてますの。それはもう、信じられないほどのお味でしょうね! まあ貴女の貧相な舌に合うかどうかは分かりませんが」――



『隠し味』と言った婚后。それの意味するところは、おにぎりに異物を混入させて嫌がらせをするためなのか。
いや、違う。憎まれ口を叩きながらも、彼女からはそんな雰囲気は一切感じ取れなかった。
634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/22(火) 22:29:02.70 ID:XHaqnnIo
紫煙
635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:32:11.20 ID:E60pkZs0
  


   ――「ええ。是非」パチ――



気になるのは一点。オムライスおにぎりの話をしていた時、彼女は一瞬だけ真剣な表情を浮かべ、ウインクをした。
ウインク…映画などでよく見かける、至近距離での仲間内での秘密の合図、またはメッセージ。

そう、もし婚后が、何らかの“メッセージ”を密かに黒子に伝えようとしていたとしたら……。



   ――「白井さん、  機  会  が  あ  れ  ば  またお会いしましょう。アデュ〜」



そして、彼女が最後に放った言葉。
『機会があればまた』……一見、何の不思議も無いように思われる。しかし、前回や今回のように、婚后は面会のために気軽に寮監の部屋を訪れている。友達の部屋を訪れる感覚で面会に来ていた彼女の言葉としてはどこか不自然だ。




黒子「(…………………)」




この間、5秒――。
636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:37:13.43 ID:E60pkZs0
寮監「どうした白井?」

黒子「………」ギラリ

一瞬、黒子は寮監の顔を見据えた。

寮監「?」

黒子「う……」

寮監「??」

黒子「ううっ!!」

ダダダッ

突如、黒子が走り出す。

寮監「白井!?」

バタァァン!!

口元を抑えたまま、黒子はトイレに駆け込み、ドアを勢いよく閉めた。
637 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:42:11.67 ID:E60pkZs0
黒子「………………」

そのまま彼女はトイレの中で静止する。
お嬢さまの身分としては、少し汚い行為だと思ったが、彼女は口の中から違和感の原因である異物を取り出すと、残りは全て飲み干した。
そして……

黒子「えぐっ!! ううええっ!!! ゲホッ!! えぐぅっ!!!」

まるで、嘔吐しているような声を出す。
ドンドンとトイレのドアが叩かれる。

寮監「どうした白井!? まさか弁当の中に悪いものでも入ってたのか!?」

黒子「………………」
黒子「えぐっ!! ゲホッ!!」

演技を続ける黒子。
そのまま彼女は、異物の正体だった紙を見る。三重に畳まれていたそれを開くと、そこには歪つな文字でこう書かれていた。

『御坂 放課後 移送
 部屋番 315』

黒子「…………………」

急いで書いたかのような崩れた文字を無言で見つめる黒子。
638 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:47:25.73 ID:E60pkZs0
寮監「おい! 大丈夫か!?」ドンドン

黒子は背後に視線をチラッと移す。
彼女は紙を再び折り畳み、便器の中に放り込むと、水洗ボタンを押した。

ガラガラガラジャーーーー

水が流れる音が聞こえ、しばらくすると黒子はドアを開けトイレから出てきた。

寮監「白井? どうした?」

見ると、黒子は胸をさすりながら、蒼ざめた顔をしている。

黒子「うっぷ…言っていた通り、凄まじい隠し味でしたの……」

寮監「弁当か?」

黒子「ええ…あまりの不味さに耐えられなくなって…つい…はしたないことを」

寮監「あいつ…何てものを作っているんだ」サーッ

黒子に影響されたのか、寮監の顔も蒼ざめる。

黒子「………………」

トボトボと黒子は寮監の横を通り過ぎると、彼女は椅子に腰を降ろした。
そして再び箸を取る。
639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:53:11.88 ID:E60pkZs0
寮監「お、おい。まだ食べる気か?」

見ると、弁当箱の中にはオムライスおにぎりがまだ1つ残っている。

黒子「ええ…。これでも婚后さんが丹精込めて作ってくれたんですもの…。最後まで食べないと……」

ホロッと、今にも泣き出してしまいそうな、そんな悲しい顔を浮かべ黒子は言葉を紡ぐ。

寮監「いや、何も目に涙を溜めてまで食べなくてもいいと思うが」

黒子「なら、寮監様が食べます?」

黒子は寮監に見えるように弁当を傾ける。オムライスおにぎりがコロッと動いた。

寮監「……………」ゴクリ
寮監「い、いや。やめておこう」

黒子「そうですの」

オムライスおにぎりを口に入れる黒子。
念のための確認作業だったが、どうやらこっちには紙のようなものは入っていなかった。

黒子「うっ!!」
黒子「うおええええええええええ!!!!!!」

ダダダダ…ガチャッ…バタン!!

再び、口元を抑えながら黒子がトイレに駆け込んだ。

黒子「うげげげげ…うえ……ゲロゲロゲロゲー……」

寮監「白井ーーーーーっ!!!!」

それが彼女の演技とは露知らず、寮監は必死に叫ぶ。
チラッと寮監は、黒子を今まさに地獄に突き落としていた原因の弁当箱を見る。
全てのおかずを食べきったのか、中にはもう何も残っておらず、空の弁当箱があるだけだった。
640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/22(火) 22:53:49.77 ID:E60pkZs0
>>1です。
今日は以上となります。
明日の夜にまた来ます。
ありがとうございました。
641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/22(火) 23:10:04.86 ID:Ew6CBJc0
乙!
642 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/22(火) 23:10:36.43 ID:Nbt1k2Yo
これは良い演技
643 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 00:37:24.55 ID:wk.q80so
婚后いい性格してらっしゃるwwww
流石俺の嫁wwwwww
644 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/23(水) 00:51:25.56 ID:sLDBFd60
>>643
そげぶ
婚后さんはみんなの嫁

あと寮監がかわええ。普段凛々しい分当社比60%かわええ
645 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 00:55:01.18 ID:Wr/81MEo
おいそれ減ってるんじゃないか
646 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 00:56:11.74 ID:pZzHhNoo
減ってもかわいいんだから普段の寮監はそりゃあもうかわいすぎて[ピーーー]るってことだよ
647 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 11:17:01.15 ID:m8rSyWoo
じゃあ浮泡さんは俺がもらってく!異論は認めない!お嬢様万歳!
648 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 11:35:35.10 ID:1gKH9rM0
節子それ骨や
649 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 20:50:04.53 ID:EmP5aXko
美琴はアニメの超電磁砲のせいで皆に嫌われてるうちに俺が貰ってくわ
650 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 20:57:52.16 ID:xhuTsn2o
>>649
半分よこせ
651 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 21:00:32.83 ID:pZzHhNoo
>>650
25%よこせ
652 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 21:01:37.78 ID:qPexGWwo
>>649
アニメのせいで嫌われてるって誰が言ってんだよ
653 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 21:25:08.31 ID:fFp8.Vgo
スルー
654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 21:35:33.39 ID:TAK3oYM0
>>1です。こんばんは。
今日も投下させて頂きます。
では始めます。
655 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 21:35:58.32 ID:pZzHhNoo
イイイイヤッッハァァァァァァァァァァァァァァ
656 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 21:37:08.44 ID:1gKH9rM0
きた
657 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 21:39:16.72 ID:V/19u6AO
ヒャッハー!
658 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 21:41:13.65 ID:TAK3oYM0
とある場所――。

御坂妹「……情報によると、お姉さまはアンチスキルの小隊によって、第7学区にあるアンチスキル支部へそろそろ移送させられるらしいです」

上条「そうか」

一方通行「となると、超電磁砲とあの白井とかいうテレポーターは離れ離れになるわけかァ」

狭い部屋の中央にある、横長のソファに腰を降ろす上条と一方通行の2人。
彼らを前にして、御坂妹は立ったまま状況を伝える。

一方通行「超電磁砲のグループはたった4人。うち2人は無能力者と低能力者。つまりは主力は残りの超電磁砲とテレポーター、と言うことになるなァ」

顎に手を添えるように一方通行は推理する。

一方通行「いや、違うなァ……。どちらかと言うと、アイツらは超電磁砲を中心としたグループだ。テレポーターは超電磁砲の補佐的役割が強い。つまりだァ…絶対的な影響力を持つ超電磁砲さえいなきゃ、ただの子猫ちゃンの集団ってわけだなァ」

楽しそうに一方通行は笑う。

一方通行「超電磁砲とテレポーターが離れりゃ、行動も制限されるわなァ」

御坂妹「離れる、と言うよりもお姉さまは更に限られた環境に隔離されるわけです。それもアンチスキル支部の施設に。あのツインテールの少女が今後、自由の身になったとしてもお姉さまに会うにはかなり難しい状況になるのでは、とミサカは推測します」

一方通行「アイツら、4人で動いてたようだし、事情が事情だけに協力者もいねェだろうなァ…。ハッ、これは詰ンだな超電磁砲」

上条「何にせよ、ようやくこれで俺たちも“活動”に専念出来るというわけだ」

スクッと上条は立ち上がる。

一方通行「余裕だねェ。詰ンだとは言え、俺はアイツらがそう簡単に諦めるとは思えねェけどなァ。きっと無様にも最後まで泥の中であがき続けると思うぜェ」
一方通行「まァ、またちょっかいかけて来るなら来るで何度でもぶっ潰すまでだがなァ」

上条「俺だって、あいつらがそう簡単に諦めるとは思ってないし、油断をするつもりはないさ」
上条「だが、御坂が戦線を離脱させられる以上、少なくともしばらくは行動出来なくなるはずだ。お前の言うように、協力者なんてそうそういないだろうし」

スタスタと上条は扉の無い出口へ向かっていく。

御坂妹「では、お姉さまたちの件についてはしばらく放置、ということで?」

上条「ああ…一先ずこれで御坂たちはチェックメイトだ」

背後も振り向かずに、それだけ呟くと上条は部屋を出て行った。
659 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 21:48:16.25 ID:TAK3oYM0
とある密室――。

黒子「………………」

拳を握り締め、正面を見据え、黒子はその場に立つ。

黒子「婚后さん、手作りのお弁当ありがとうございますわ。貴女が仰ったように、人生で一度も味わったことがないほどの隠し味でしたの」

密室の中、彼女は1人呟く。

黒子「悔しいですが、貴女には頭が上がらぬほど感謝せねばならないようですわ」
黒子「婚后さん、機会があればまたお会いしましょう」

強い意志が彼女の心に火を点ける。

黒子「そして…上条当麻、一方通行。貴方たちには返しても返し切れない借りがあります。待っていなさい。必ず私たち4人でそれを返しに行きますから」

そして最後に、彼女は『315』という数字を頭に浮かべ、上を見る。

黒子「お姉さま、待ってて下さい。今、行きます」
660 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 21:54:13.44 ID:TAK3oYM0
常盤台中学学生寮・廊下――。

寮監「わざわざご苦労様です」

黄泉川「それはこっちの台詞です。あの勝気な白井と一緒の部屋だと疲れるでしょう?」

長くて瀟洒な廊下を、寮監と装甲服に身を包んだ黄泉川が歩いていた。

寮監「まあ、反抗期の女の子はあれぐらいのほうが丁度いいのでしょう」
寮監「あ、女性警備員の方々が詰めていらっしゃるモニタールームはこちらです」
寮監「部屋に着いたら、改めて御坂の移送後の詳細について説明をお願いしますね」

黄泉川「その前に、白井の顔を見ておきたいんですが宜しいですか?」

寮監「はあ…それぐらいは構いませんが、もし貴女と会えば、御坂の移送について勘付かれませんかね? あいつ、勘は鋭いので」

黄泉川「まあ、その辺りは『2人の様子を見に来た』とか適当なことを言っておけば大丈夫でしょう」

寮監「そうですか。あ、ここが管理人室です」

ガチャッとドアを開け、寮監が室内に入る。それに黄泉川が倣う。

寮監「あら?」

ふと、寮監が立ち止まった。
黄泉川も立ち止まり、部屋の中を見回すと後ろから呟いた。

黄泉川「白井のやつがいませんが……」

寮監「ああ、トイレですよ。電気が点いているでしょう?」

スタスタと寮監は歩き、トイレのドアを叩く。

寮監「コラ白井。黄泉川先生が来ている。挨拶ぐらいしないか」ドンドン

黄泉川「………………」

寮監「聞いてるのか? ったく…。いいか? 早く用を済ませて出て来い」

言うだけ言って、トイレから離れると寮監は再び客を迎えるための顔になった。

寮監「すみません黄泉川先生。どうやら本当に反抗期らしくて……ホホホホ」

黄泉川「反抗期か……。なら、いいんだが……」

寮監「え?」
661 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:01:18.45 ID:TAK3oYM0
黄泉川「白井! 黄泉川だ! 返事しろ!!」ドンドンドン!!!

トイレに近付くと、黄泉川は大声で叫びながらドアを叩き始めた。

寮監「黄泉川先生?」

黄泉川「嫌な予感がするじゃん」ボソッ

寮監「は?」

黄泉川「白井! 今すぐ返事しろ!! 返事しないとドアをぶち破るぞ!!」ガチャガチャガチャドンドンドン!!!

寮監「黄泉川先生!?」

更に黄泉川は力強くドアを叩く。同時にドアノブも回してみるが、鍵がかかっているのか反応はない。

黄泉川「白井!!!」ドンドンドン!!!

が、ドアの向こうからはうんともすんとも言わない。呆然と口を開けその様子を見つめる寮監。
彼女の脳裏に嫌な不安が過ぎる。何か、異常が起こりつつある――。

黄泉川「白井!!!!」

ドンッ!!!!

最後に1回、黄泉川は大きなノックを叩き込んだ。

黄泉川「チッ」

舌打ちをし、一歩下がると黄泉川は右太腿に巻いていたレッグホルスターから拳銃を取り出した。

寮監「黄泉川先生!!??」

パン! パァン!!

黄泉川は引き抜いた拳銃をドアノブに向かって2発、撃ち抜く。
662 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:07:19.84 ID:TAK3oYM0
黄泉川「子供には向けてないから私のルール外じゃん」

そう言って、黄泉川はドアを蹴っ飛ばした。

黄泉川「白井!!」

外開きであるはずのドアが、嫌な音を立てて内側に開いた。

黄泉川「しら……!!」

寮監「いない!?」

奥に向けて細く作られたトイレの中には、誰もおらず、電灯だけが空しく光を放っているだけだった。
2人は3秒ほど呆然としていたが……

黄泉川「………クソッ!」ダッ

振り向いたと同時、走り出す黄泉川。

寮監「先生!」

黄泉川「御坂の部屋の鍵を持って私と一緒に来るじゃん!!」

叫びながら既に黄泉川は部屋から出ていた。

寮監「分かりました!」

慌てて、御坂が謹慎されている部屋の鍵を持ち、寮監は黄泉川の後を追いかける。
663 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:13:10.90 ID:TAK3oYM0
黄泉川は1秒も無駄に出来ないと言うように、無線を取り出すと怒号を上げた。

黄泉川「こちら黄泉川! 白井が脱走した!! 見張りの隊員は襲撃に備え部屋の防護を固めろ!! それからモニター室! どうなってる!? 現在の管理人室と御坂の部屋の様子を報告せよ!!!」

見張りの隊員からは、「了解!」と声が上がったが、モニター室からは何の反応も無い。
無理も無かった。モニター室――正しくは『環境保全ルーム』にいた3人の女性警備員たちは全員気絶し、モニターも全て破壊されていたのだから。

黄泉川「モニター室!! 応答せよ!!」
黄泉川「チッ!」

そうこうしている間に、黄泉川と寮監は件の部屋があるフロアに辿り着いた。
ライフルを構えた2人の男性警備員が黄泉川の姿を見つけると、「隊長!」と叫び腕を上げた。
黄泉川と寮監は、御坂が謹慎中の部屋の前で足を止める。部屋番号は―――『315号室』だ。

黄泉川「寮監さん、早く!」

黄泉川の声に押されるように、寮監は特殊な素材で出来た鍵を鍵穴に通す。
そして、開錠の音を聞くと同時、寮監は315号室のドアを開けた。

寮監「御坂!!!」

寮監と黄泉川はほぼ同時に室内に足を踏み込む。
664 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:18:46.05 ID:TAK3oYM0
が、そこには無人の空間が広がっているだけだった。

寮監と黄泉川は2人して、動きを止める。

寮監「な………」

寮監が唖然とした声を上げる一方、一足早く我に返った黄泉川は室内を駆け、トイレや浴室の扉を次々と開けていった。
だが、どこを開けようが誰もいなかった。

黄泉川「…………っ」

もう室内に隠れられる場所はない。かと言って、壁や天井を破壊して逃げた跡もない。となると、考えられる状況は1つだけだ。
浴室のドアを開けたまま一瞬固まっていた黄泉川は、やがてその場を離れ右に薙いだ拳で手近の壁を殴りつけた。

黄泉川「クソッ!!」ドンッ!!

その行動に、寮監と2人の男性警備員が一瞬肩を震わせた。

黄泉川「やってくれるじゃんよぉ〜白井ぃ………」

低い声で呟く黄泉川は、恨めしそうな顔を主のいなくなった室内に向ける。
665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:23:12.84 ID:TAK3oYM0
そして、僅かな無言の後、装甲服に包まれた背中を見せながら、黄泉川は搾り出すような声で寮監に質した。

黄泉川「……白井がトイレに入った時間がいつか、分かりますか?」

寮監「は? え…あ…さ、さあ、どうでしょう。ただ、私が黄泉川先生を迎えるために管理人室を出たのは10分ほど前です。その時は、白井も部屋の中で本を読んでいたのですが……」

黄泉川「…10分前か」

寮監「はい」

黄泉川「……まだ、間に合うかもしれん」

寮監「え?」

黄泉川は、無理矢理笑みを刻んだ。

黄泉川「勝負はまだ終わってないじゃん、白井……っ!!」
666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:27:12.05 ID:TAK3oYM0
とある寮A――。

近くに停められていた大型の黒い輸送バスの後部ドアから、黒服の集団がダカダカと飛び出してくる。
全員、装甲服に身を包み、専用のアサルトライフルやジュラルミンの盾を装備している。――アンチスキルだ。

『こちら隊長の黄泉川! 常盤台中学学生寮から謹慎中の御坂と白井が15分ほど前に脱走した。状況から鑑みて、両名はそちらの寮に向かうものと推測される。現場に待機中の小隊は直ちに部隊を展開、寮の全ての出入り口を封鎖せよ!! 御坂と白井を見つけた場合、全力をもってこれを捕縛。よほどのことが無い限り発砲はなるべく控えろ』

黄泉川から入った無線報告を受け、総勢20名あまりのアンチスキルたちは寮の周囲に展開していく。

『部屋の見張りについている隊員は直ちに室内の監視対象を確保。小隊本部の下、厳重に監視し御坂・白井両名との接触に備えろ。なお、万が一、御坂・白井両名と室内で鉢合わせする場合を想定して、部屋に踏み込む際には、完全武装すること。以上!!』

黄泉川の指示を受け、訓練された警備員たちはきびきびと動いていく。
一方、そこから少し離れた場所にある、とある寮Bでも黄泉川から同じ指示を受けたアンチスキルが展開していた。

2つの寮が騒然となる。
その中心点――監視対象の部屋の見張りに就いていた隊員は、後からやって来た3名ほどの増援と共に、部屋の扉の前で拳銃を構える。



とある寮A――。

小隊長『状況開始!』

小隊長の無線の指示を合図に、2人の警備員が室内に踏み込む。
彼らが目指すは部屋の中央部。
しかし………
667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:33:08.79 ID:TAK3oYM0
とある寮B――。

小隊長『状況開始!』

同様の展開は、とある寮Bでも起きていた。
部屋の前で待機していた2人の隊員が拳銃を持ち、室内を進む。
もしもの事態――御坂や白井との遭遇――を懸念して慎重に歩む。
が………

警備員「アンチスキルだ! 一緒に来てもらお……っ!!」

先頭を歩いていた警備員が突然、言葉を失くした。

警備員「いない……!?」



とある寮A――。

警備員「何!?」

拳銃を部屋の中に向け、固まる2人の警備員。

警備員「……………!!」

部屋の中は空っぽだった――。
668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:38:40.76 ID:TAK3oYM0
常盤台中学学生寮・モニター室――。

黄泉川「やられたじゃん……!!」

ガシャアアアン!!!

持っていた無線機を放り投げる黄泉川。

寮監「では…御坂たちは……」

黄泉川「……残念ながら……」

寮監「……っ」

315号室から御坂が消えたのを確認した後、黄泉川は寮監と共にモニター室に来ていた。
今は、鉄装ら他の警備員たちによって、気絶した女性警備員の応急手当てと監視カメラのモニターの復旧作業が始まっている。

黄泉川「子供だと思って甘く見てたじゃん……」

寮監「は?」

黄泉川「食事の運搬も、生徒たちが一斉に食堂に集まる時間に行ってたから、誰かに尾行される恐れははないと思ってたが……。御坂にしても、誰も滅多に近付かないような、寮の奥深くの部屋で謹慎させてたはずじゃん」

悔しそうに黄泉川は言う。

黄泉川「そもそも、寮監さんと監視カメラで見張られている白井は、どうやって御坂の部屋番号を知ったんだ……?」

寮監「御坂の部屋番号を知っていたのは、寮内でも私と見張りについていた警備員だけです。生徒たちは知らないはずですが……」

それを聞き、黄泉川は少し顔を逸らして呟いた。

黄泉川「…………………」
黄泉川「……………いや」ボソッ
黄泉川「…内部に協力者がいるな……」ボソッ

寮監「え?」

黄泉川「まあいいか」

スクッと黄泉川は立ち上がる。

黄泉川「まだ終わってないじゃん。人間は追われる側になって初めて自分が劣勢にあるのを自覚するじゃん」
669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:45:13.58 ID:TAK3oYM0
黒子「上手くいきましたわね」

とある寮からさほど離れていない裏路地の一角――。そこで黒子は呟いた。

美琴「黒子のお陰で何とか脱出出来たわね」

初春「突然、部屋に現れた時は驚きましたけどね」

佐天「でもギリギリでしたね。あたしの部屋から逃げる時は既に、部屋の外のアンチスキルたちが騒ぎ始めてましたから」

美琴は裏路地の陰から表の通りを覗くように窺う。

美琴「黒子には無理をさせたわね」

黒子「いえいえ」

寮内の協力者から、美琴のアンチスキル支部への移送計画の情報を密かに得た黒子は、移送直前に行動に出たのだった。
まず同室にいた寮監が部屋から出たところで、監視カメラの隙をつくためトイレに篭り、そのすぐ後『環境保全ルーム』までテレポート。モニターで監視を行っていた3人の女性警備員を奇襲によって気絶させ、モニターを破壊。その後、予め得ていた情報から美琴が謹慎されていた部屋にテレポートしたのだ。
そのまま美琴と共に連続テレポートで常盤台中学学生寮から全速で離れた黒子は、順に初春、佐天が謹慎されていた寮まで飛び、彼女たちを密かに部屋から連れ出すことに成功したのだった。

黒子「礼ならまず婚后さんに。あの方の協力が無ければ、ここまで来れませんでしたから」

美琴「そうね。全部終わったら、みんなで婚后さんに礼を言いに行きましょう」

黒子初春佐天「はい!」

美琴「……で、こっからどうするか、ね」

美琴は再び表通りに顔を向ける。
670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:51:18.23 ID:TAK3oYM0
美琴「さっき2台ほど、アンチスキルの車が通り過ぎて行ったけど……」

黒子「十中八九、私たちを探すためのものですわね。恐らく黄泉川先生の部隊でしょう。きっと間も無く、この付近を中心に捜査網が敷かれますわ。指名手配、とまではいかないでしょうけど表通りを歩くのは自殺行為ですわ」

初春「もし、黄泉川先生が他の部隊や支部に協力を仰げば、第7学区全体にも捜査網が広がるかもしれません……」

佐天「うええ…最悪じゃん」

黒子「私も一度にテレポート出来るのは、私自身を入れて3人までですし。いちいち行って戻ってテレポートを繰り返してたら、下手に無駄な時間を費やしてしまってアンチスキルに発見されかねませんわ」

美琴「どちらにしろ表通りに出たら、完全に監視カメラに映るわね」

初春「監視カメラで見つけられない、となれば衛星を使ってくることも考えられますし……」

3人は頭上の先――少し赤く染まりかけた空を眺める。

佐天「でも、そこまでやるかな? ちょっと大げさ過ぎじゃない?」

黒子「首謀者は、レベル5の超能力者である超電磁砲(レールガン)ですし、アンチスキルの中には、スキルアウトの一団を壊滅したのはお姉さまであると疑ってる人間もいるようですから、場合によってはそうなる可能性も否めませんわ」

佐天「にしても、何か黄泉川先生やあたしの見張りに就いてたアンチスキルたちもどこか大袈裟、って言うかやり過ぎな感じがしたんだけど……」

初春「よっぽど私たちが目障りなんでしょうか」

黒子「まあ、確かに執拗な感じはしますけどね」

美琴「…………………」
671 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 22:57:46.49 ID:TAK3oYM0
黒子「でも今は、ここからどう逃げるか、ですわね。そしてこれからどこに隠れるか、も」

佐天「うわぁぁ、脱出出来たと思ったら、問題が山積みだあ」

黒子「どちらにしろ、このまま放っておけば上条当麻と一方通行は更に学園都市の学生を誘拐・殺害しかねません。アンチスキルが頼りにならない以上、私たちで動くしか手はありませんわ」

初春「でもどうやって逃げれば……」

美琴「うーん……」

顎に手を添え、美琴は黙考する。
時間が刻々と過ぎれば過ぎるほど、彼女たちの状況も悪くなってしまう。しかし、そう易々と逃走ルートや隠れ場所を確保出来ないのも現実だった。寮からの脱走に必死で、そこまで考える余裕は無かったのだ。

美琴「(となれば、やっぱり黒子に数回に分けて私たちをテレポートさせてもらって逃げるしか……。でもどこに? それにそんなことしたら、黒子の体力がもたない…。それに、そんなこと黒子1人に任せられないし」チラッ

黒子「?」

美琴「(駄目ね。でも一体どうすれば……)」
美琴「………ん?」

視界の隅に何かを捉え、美琴は黒子に据えていた視線をそのまま横に流す。

美琴「あれは……」

何かを視認した瞬間、美琴は裏路地の奥に向かって走り出した。

黒子「お姉さま!?」

佐天初春「御坂さん!」
672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 23:04:13.82 ID:TAK3oYM0
慌てて黒子たちもついてくる。
美琴が立ち止まった裏路地の一角。彼女の足元にあったのは、古びたマンホールだった。

黒子「マンホール?」

美琴はそのマンホールを見つめている。そのマンホールの蓋の中央には、『D-14』と刻まれていた。

美琴「“D-14”………」

その番号には見覚えがあった。美琴はその番号を初めて目にした時の状況を、なるべく詳しく思い出そうとする。




   ――「じゃあこの『A-25』とか『D-14』って英数字がマークの横に書かれてる線は何?」――

   ――「それは地下のルートだ」――

   ――「地下?」――

   ――「ああ。主に今では使われなくなった『共同溝』を利用したルートだ。ただし、ルートによっては、今も使われている共同溝を一部に組み込んだものもある。まあ、ちゃんと監視カメラやセキュリティを避けたエリアを組み込んでるし問題はないんだがな」――

   ――「で、その『A-24』だの『D-14』って言う数字は入口のことだ」――

   ――「入口?」――

   ――「ああ、入口と言っても大層なもんじゃなく、ただのマンホールなんだけどな。その数字はマンホールの蓋に刻まれてるものだ」――

   ――「マンホールって言っても、設置箇所は色々あるようでな。例えば、人目がつくような大通りの道路にあるマンホールは『A-○○』、人目につかないような裏路地にあるマンホールは『D-○○』って言うようにアルファベットでランク分けされてるんだ。『A』ランクのマンホールは今でもバンバン使われている共同溝に繋がってるが、逆に『D』ランクぐらいになると、今では使われていない、点検もほとんど行われていない共同溝に繋がってる」――

   ――「じゃあ、アルファベットの後ろにくっついてる数字のほうは?」――

   ――「それは単に、『同じ数字が刻まれたマンホールとマンホールは一直線で繋がってますよ』って印だ。まあ実際には曲がり道もあるし、階段の上り下がりもあるんだけどな」――




美琴「…………………」
673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 23:11:13.91 ID:TAK3oYM0
そう、その番号はマンホールとマンホールを繋ぐ共同溝への入口だった。

美琴「D-14……」

美琴は思い出す。
『D-14』と蓋に刻まれたマンホール。ここを始点とする共同溝の終点のマンホールの場所は………

黒子「お姉さま?」

佐天「一体どうしたんですか急に?」

初春「マンホールの蓋に何か書いてたりするんですか?」

急に黙りこくった美琴を不思議に思ったのか、3人が顔を覗き込むように訊ねてきた。

美琴「フフ……」

黒子佐天初春「え?」

妙な笑みを零したかと思うと、美琴は急に振り返った。

美琴「隠れ場所、見つかったわ!」
674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/23(水) 23:12:33.55 ID:TAK3oYM0
>>1です。
これにて謹慎編は終わりです。
多分、明日もまた投下出来ると思います。
それでは、ありがとうございました。
675 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/23(水) 23:13:46.03 ID:sLDBFd60
乙。黄泉川格好良いよ黄泉川
676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/23(水) 23:16:07.39 ID:F4eWvEg0
乙!
次回は地獄の鬼ごっこか・・・
677 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 23:26:08.53 ID:EQpO2sMo
乙ー
アンチスキルも何か一枚かんでるのか
678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 23:44:41.44 ID:acB85cY0


伏線がたくさん張られてて面白いな、もう一度<<1から読んで来るか
679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 23:46:34.47 ID:acB85cY0
まさかこんなとこでミスるとは……

>>1からじっくり読んで来よう
680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/23(水) 23:48:19.35 ID:V/19u6AO
おっつー
なにこの黄泉川さんこわい
681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 00:09:43.33 ID:w0C0sQDO
乙!

なんとかして学園都市の近況がわかんないもんかねー
682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 00:34:20.32 ID:l1iyxDAo
>>655
今更ながら反応早すぎワロタ
683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 00:38:31.34 ID:9FzwYdQo
報告後30秒で反応する奴なんていくらでもいるぞ
684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 06:01:02.96 ID:utnuUCso
左天さん活躍しないといらない子になっちゃうな
685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 20:06:06.17 ID:YB9R7MAO
どちらかといえば初春のがいらない子になりそう
俺の嫁だけど
686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 21:03:52.94 ID:IoFJRvc0
むしろ俺は初春が対一方さんの鍵じゃないかと思う
温度はベクトルじゃなきてスカラーだからな

無論能力が成長すればの話だが
687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/24(木) 21:03:57.74 ID:RHweaBc0
>>685
そげぶ
688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/24(木) 21:04:30.35 ID:7VBuRzk0
wktk
689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/24(木) 21:06:40.64 ID:TlLFoiw0
wkwktktk
690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 21:17:52.83 ID:r55.2Yk0
一通さんはスカラーも操れるんだよ。
691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 21:26:30.39 ID:WLYl2ZQ0
>>1です。
今日からまた元のペースで投下出来ると思います。
では本日分、いきます。
692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 21:31:18.41 ID:WLYl2ZQ0
とある場所――。

一方通行「逃げただと?」

御坂妹「はい」

窓も無い狭い部屋の中、一方通行は目を細めて御坂妹に質していた。

御坂妹「手に入れた情報によると移送直前、お姉さまは常盤台中学学生寮から白井さまと一緒に脱走したようです」

一方通行「………………」

御坂妹「それだけでなく、佐天さまや初春さまも寮の部屋から消えたようですね、とミサカは報告します」

淡々と、御坂妹は説明する。

一方通行「………………」

御坂妹「…………………」

一方通行「…ハッ!」

ドカッと一方通行はソファに腰を降ろす。

一方通行「やってくれるねェ、超電磁砲……」

御坂妹「恐らく現在も第7学区にいると思われますが、まだアンチスキルも消息は掴めていないようです、とミサカは多少驚きつつ現状を報告してみます」

一方通行「今更逃げたところで何が出来るンだか……。罪に罪を重ねてるだけじゃねェか」

御坂妹「それほどお姉さまたちは本気、ということでは?」

一方通行「くっだらねェ。何度歯向かってきても叩き潰すまでだ。無駄だと言うのが分かンねェのかアイツら」
一方通行「が、しかしだ…。出し抜かれたのは気に入らねェなァ……」

低い声で呟く一方通行。イライラしているわけではなさそうだが、どこか納得出来ないといった表情だった。

一方通行「オマエ、本当はアイツらが逃げ出すって、予想ついてたンじゃねェの?」

腕を組み、正面を見据えたまま一方通行は横に座る人物に訊ねた。

上条「…………………」

一方通行「いや、そこまでいかなくとも、本当はアイツらの脱走成功を心のどこかで願ってたンじゃねェか?」

上条「……冗談も休み休み言えよ」
693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 21:38:52.92 ID:borzRdo0
一方通行の言を、上条は軽く流した。

御坂妹「………………」

一方通行「フン」

上条「まあ、詳しい状況は後で聞くとして、あいつらが逃げたのは本当なんだな?」

御坂妹「はい。4人とも寮内から消えました。何なら、こちらから捜索部隊を出しましょうか? 街中にいる妹達(シスターズ)にコンタクトを取ればすぐにでも……」

上条「いや」

御坂妹「?」

上条「……俺たちは本来の目的に専念したい。人員も減ってるんだ。無駄なことは出来ない」

一方通行「無駄なこと、ねェ……」

横合いから挟まれた言葉を無視し、上条は続ける。

上条「あいつらの動きは大して脅威にならない。だけど、1つだけやっておくことがある」

御坂妹「……協力者の発見、ですね?」

上条「ああ。現状を鑑みるに、御坂たちは自力で脱出出来たとも思えない。恐らく、誰かから協力を得ている。その協力者の輪郭がぼやけたままでは、こちらも如何ともし難い。相手が何らかのプロであったら、こっちの活動に支障をきたす恐れがあるからな」

御坂妹「プロ……お姉さまたちがそんな人間を雇えるでしょうか? とミサカは疑問を口にします」

上条「まあ超能力者とは言え、まだ中学生だからな。が、どっち道だ。協力者がプロであれ素人であれ、その素性を知っておく必要はある」

御坂妹「それで、その協力者を見つけたら如何なさいますか?」

上条「場合によっては、力ずくでの対処も辞さない」

御坂妹「……………なるほど。承知しました」

ペコと一礼すると、御坂妹は部屋を出て行った。

上条「………………何だよ?」

一方通行「べっつゥにィ〜」

上条が横目で一方通行を窺うと、彼は下らなさそうに言った。

上条「文句でもあんのか?」

一方通行「ねェよ。ただ俺なら、不満の芽はどンだけ小さかろうが、確実に潰しておくンだがなァ。優しいこった」

上条「ふん」
694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 21:44:51.23 ID:borzRdo0
美琴「ここが、私たちの隠れ場所よ」

佐天「これはこれは……何というか」

初春「ほぇー…」

黒子「随分とまあ…どんよりとした場所ですこと」

美琴「あはは…」

美琴たちは今、暗く、ゴミやダンボールなどが無造作にひっちろげられた空間の中心にいた。
そのフロアの電灯はほとんどが割れており、窓ガラスはひびの入ったものばかり。おまけに埃っぽくジメジメとして居心地としては最悪だった。

黒子「遠路はるばる寂れた共同溝を歩いてきたと思ったら、今度は廃ビルですか」

美琴「これでも追われる身なのよ。贅沢言わないの」

第7学区のとある裏路地で『D-14』と蓋に刻まれたマンホールを見つけた美琴たち。
そのマンホールは、以前、美琴が接触を図ったスキルアウトの集団が利用していた地下の秘密ルートの1つだったのだ。
かくして彼女たちは長い時間をかけ、今は使われなくなった共同溝をひたすら歩き、再び『D-14』と刻まれたマンホールの出口から目的の場所に辿り着いたのだ。
その目的の場所とは………

佐天「でも、ここって御坂さんが誘拐犯の情報を得るためにコンタクトをとっていたスキルアウトのアジトですよね?」

美琴「そうよ」

佐天「確か、スキルアウトがあの誘拐犯の人たちに壊滅されたことを受けてアンチスキルが捜査を行ったはずじゃ……。大丈夫なんですかね?」

美琴「その点は心配ないわ。どうやらもう全ての現場検証は終えたようだし、部隊も完全撤収したみたいだしね。それに、私はそのスキルアウト壊滅の張本人だって疑われてるのよ? 普通に考えて、犯人が現場に戻って来るなんて考えないでしょ?」

黒子「それはお姉さまの仰る通りですが……」

佐天「御坂さん強いですねー。心臓に毛が生えてるんじゃないですか?」

美琴「なんだとー?」ウガー

佐天「あはは、冗談ですって」

初春「でも……」

美琴黒子佐天「?」

初春は膝を折り、優しい仕草で床に触れた。

初春「1週間ちょっと前に、ここでスキルアウトの人たちは殺されたんですよね……。私たちに関わったばかりに……」

悲しそうな表情を浮かべ、初春は床を見つめる。
695 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 21:50:59.07 ID:borzRdo0
美琴「“私たち”じゃないわ。“私”よ……。私が勝手にスキルアウトと接触図ったから、彼らは一方通行に虐殺されたのよ。だから、初春さんや黒子や佐天さんが負い目を感じる必要無いわ…」

4人は一斉に黙り込む。
言うまでもなく、そこはスキルアウトたちが殺害された現場であった。普通なら、そんな場所を隠れ家にするのは抵抗がありそうなものだが、今の彼女たちはそういったことを気持ち悪いと思うには至らなかった。寧ろ、死んだスキルアウトたちを偲んでいるようにも見える。

美琴「どの道、私たちは止まらない。いえ、止められないわ。あいつらの元へ再び辿り着くまでわね。そのためにここに来たんだから」

黒子佐天初春「…………………」

美琴「もう、寮や学校には戻れない。私たちは追われる身。ある意味で、私たちはスキルアウトになったようなものなのよ。だから、止められない。進むしかないのよ。あの2人に向かって一直線にね……」

美琴は3人を見据える。

美琴「だから、今度こそ決死の覚悟を決めなさい。半端な覚悟なら、上条当麻と一方通行は倒せないわよ! いいわね!?」

黒子佐天初春「はい!!」

真剣な表情で返事を返した3人の顔を、美琴は交互に見る。

美琴「よし。じゃあ、早速行動に移りましょう。まずはこの建物の構図を把握。2人1組で行動すること。それと何でもいいから使えるものを探しましょう。例えば、机や椅子の代わりになるものとか、布団の代わりになるものとか、ね。外に出てもいいけど、あくまで建物の周辺だけね」

美琴はトコトコとフロアを歩いて、割れた窓ガラスから既に暗くなった外の風景を見る。

美琴「見たところ、外周はほとんど建物も無い空き地のようだけど、このビルから出る時もやっぱり2人1組でね。特に、初春さんや佐天さんは私か黒子を連れて出てね。暴漢でも潜んでたら危ないから」

初春佐天「はい」

美琴「じゃあ、まずはそんな感じでいくわよ。いいわn」

グ〜〜〜

初春佐天「………………」

黒子「お姉さま……」

美琴「//////////////」
美琴「……/// い、一番大事なこと忘れてたわ/// 食料や飲み水も何とかしないとね。そう簡単に街へ出れないからね////」

黒子初春佐天「クスクス……はーい!」

美琴「も、もう! さあ、笑ってないで行動開始!!」

こうして、美琴を筆頭に女子中学生4人の隠遁(ホームレス)生活が始まった――。
696 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 21:54:36.57 ID:qXPI4UDO
>>686
温度操作したところでどうすんだよ?エネルギーが何かに作用するということはベクトルが存在するんだからエネルギーの大きさ操作できたところで意味ないだろ
697 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 21:56:51.58 ID:borzRdo0
常盤台中学学生寮・モニター室――。

美琴と黒子が寮から脱走してから数時間後、黄泉川の部隊によって315号室と管理人室の調査が始まっていた。
隊長の黄泉川は鉄装や数人の警備員、寮監と共にモニター室にいた。

黄泉川「ほら見るじゃん。16時26分頃…。寮監さんが私を迎えるために管理人室から出た直後、寮監さんの机の棚から何かを取り出して見ているじゃん」

ノートパソコンに映った再生映像の中の黒子の行動を指でなぞって追う黄泉川。
管理人室を監視していたモニターは全て破壊されていたが、映像を記録していた媒体は幸いにも生きていたため、現在、ノートパソコンを使って再生・検証している最中だった。

黄泉川「もう一度」

鉄装「はい」

鉄装が映像を巻き戻す。

黄泉川「ほらこれだ」

白黒の画面の中、本を読んでいた黒子が、寮監が部屋を出たと同時にベッドから降り寮監の棚に近付いているのが分かる。

寮監「この棚は……」

黄泉川「心当たりが?」

寮監「彼女が手に広げてるもの、多分、寮内の見取り図です」

黄泉川「見取り図?」

寮監「ええ。常盤台中学学生寮の内部が描かれてるものなんですが……」

黄泉川「なるほど。恐らく白井は、この見取り図を使って、このモニター室と御坂がいた315号室の間取りを調べてたんだな…。それで……」

画面の中の黒子の動きに合わせるように、黄泉川も説明を続ける。

黄泉川「トイレに入り、監視カメラの隙をつき、テレポートしたと……」

しばらくすると、黄泉川と寮監が管理人室に入ってきた映像が流れた。
画面の中の黄泉川はトイレに向かって何事か叫び拳銃を発砲している。

黄泉川「この間に、ここの部屋でモニターを監視していた私の部下を奇襲、モニターも破壊して御坂の部屋へテレポートし、まんまと逃げおおせたわけじゃん」

寮監「しかし、白井はどこでモニター室と御坂の謹慎部屋の情報を得たのでしょう?」

黄泉川「それについてはやはり……」

Prrrrrr.....

会話を切るように、黄泉川の携帯電話が鳴った。
寮監たちの側を離れ、黄泉川は電話を受ける。
698 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:03:10.72 ID:borzRdo0
黄泉川「はい黄泉川」
黄泉川「……え?……ああ……こちらも同様に…」

いくつかの会話の応酬の後、黄泉川は電話を切った。

鉄装「どちらですか?」

黄泉川「ん? ああ、“本部”じゃん」

鉄装「……なるほど」

寮監「……………」

鉄装「で? 本部の方はなんと?」

黄泉川「どうやら本部も私の考えと同じ…やはり寮内に協力者がいるものとの意見じゃん」

寮監「寮内の…協力者。となると、生徒ですかね?」

黄泉川「可能性としてはそれが一番可能性高いからねぇ。寮監さん、この1週間、白井と接触した生徒について、覚えてる限り思い出してほしいじゃん」

黄泉川に訊ねられ、寮監が人差し指の先を顎に当てて考え込む。

寮監「えっと……確か、この1週間で管理人室に来た生徒は10人もいなかったと思います」

黄泉川「その10人の生徒が誰だったか、覚えてるじゃん?」

寮監「はい、それは。寮監として、そういったことは記憶に留めるようにしていますし、寮内の生徒の顔と名前も全員把握しているつもりですから」

黄泉川「では、来室した10人の生徒の中で、怪しい挙動をした者は…?」

寮監「それは…いなかったと思いますが」

黄泉川「では、白井と話したのは?」

寮監「みんな白井とは一言ぐらい話していた気はしますよ。でも、特に怪しい言動は無かった気が……。特異のある行動をしていれば、私がしっかりと覚えてますし」

黄泉川「その10人の生徒は一体、どう言った理由で来室を?」

寮監「部屋のことやスケジュール、または寮内での悩みなど一般的な相談事ですね。みんなそのついでに白井に声をかけた感じだったので……」

黄泉川「…うーむ」

寮監の証言を聞き終えると、黄泉川は腕組みをして唸った。

寮監「あ、待って下さい」

黄泉川「ん?」
699 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:09:40.12 ID:borzRdo0
黄泉川と鉄装が同時に寮監の顔を見る。

寮監「1人だけ、正式な面会でやって来た生徒がいます。それも2回も」

黄泉川「何?」ピク

黄泉川の表情が急に変わった。

寮監「1回目は3、4日前に。2回目は昨日に」

黄泉川「昨日……」

それを聞き、黄泉川と鉄装は顔を見合わせる。

寮監「そうです! 昨日の面会時には、調理実習で作った弁当の差し入れに来たんですよ確か!」

黄泉川「弁当か…」

寮監「でも私も白井が食べる前に弁当の中身を見ましたけど、特に変わったものはありませんでした。さすがに白井の脱走と弁当では関係は無いのでは……?」

寮監が自分なりに組み立ててみた推測を口にしてみる。

黄泉川「いや」

寮監「え?」

黄泉川「工夫すれば弁当の差し入れだけでも、御坂の部屋番号を内密に伝えられる方法はあるじゃん。恐らくその弁当の差し入れ時に、何らかの情報提供が行われた可能性が高いな」

寮監「でも、あの時確かに怪しい様子は……」

しかし、寮監の疑問を否定するように、黄泉川が告げる。

黄泉川「まあ考えるのは後じゃん」

アンチスキルとしての洞察力を備えた彼女の目が鋭くなった。

黄泉川「それで寮監さん、白井に弁当を差し入れしたその生徒の名は?」
700 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:17:15.26 ID:borzRdo0
とある廃ビル(美琴たちのアジト)――。

佐天「初春、見て見て! 地下の床収納庫で食材見つけたよ!」

缶詰やペットボトルのミネラルウォーターを両手に、佐天が初春に向けて満面の笑みを浮かべてきた。

初春「わぁ! すごいじゃないですか! これで数日は食料の心配はありませんね!」

両手を合わせ、歓喜の声を上げる初春。

美琴「地下は、あんまり散らかってなかったわ。あそこなら寒くもないし、寝るにはいいかもね」
美琴「ちなみに布団は見つからなかったけど、毛布やタオルは何枚か見つけたわ」

そう言って美琴は手に持った毛布を見せる。
彼女たちは今、二手に分かれてビル内を調べ上げ、使えるものが無いか探していたのだ。

初春「良かったー…固い床だと眠れないんじゃないかと心配だったので」

佐天「そういう初春たちは何か見つけたの? 何か胸に抱えてるけど」

初春「あ? これですか? ちょっと白井さんと一緒に建物の周辺を探してみたんですけど、ゴミの中からパソコン見つけたんですよ!」

初春は胸に抱えていたものを美琴と佐天に見せる。
どうやら、15インチぐらいのノートパソコンのようだ。しかし、汚れも付着しており、いくつか傷も見受けられ新品の状態とは程遠かった。

初春「ただ、バッテリーの電池が切れてるんですよね……。当然と言えば当然なんですけど」

トホホと初春は残念がる。
701 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:22:51.68 ID:borzRdo0
黒子「その他にも、こんなものも見つけましたわ」

美琴「あら? 何それ? 白板?」

黒子が手にしていたのは、横1m、縦50cmほどの小さなホワイトボードだった。

黒子「ええ…使い道はないかもしれませんが、一応。周りにマジックペンも落ちてましたが、これもインクが出るかどうか……」

彼女の左手には黒と赤のマジックペンの2本が握られていた。

初春「あとはこんなものもありましたけど、需要無いですよね?」

一度ノートパソコンを抱え直すと、初春は背中のスカートの裾にでも挟んでいたのか、1つの如雨露を取り出した。

佐天「如雨露って……はっ! 初春! そっか…初春は頭のお花に水をやらないと死んじゃうもんねー」

からかうように佐天は笑う。

初春「ち、違いますよ! 目についたから拾って来たんですよ!」

佐天「あっはっは、冗談冗談」ケラケラ

美琴「まあまあ。でもガラクタと言えど結構集まったじゃない。工夫すれば何かに使えるかもしれないわよ?」

何に使うかは明日決めるとして、と前置きして美琴は腕時計を見る。

美琴「もう随分夜ね。今日は疲れてるし、取り敢えず地下行って寝よっか!」

黒子「そうですわね。それで明日早く起きて色々考えていきましょう」

佐天「賛成! もうあたしクタクタでさー」

初春「私もですー」
702 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:28:45.65 ID:borzRdo0
午前1時過ぎ・廃ビルの地下――。

捨て置かれた机や椅子が隅っこに捨てられている以外は、特に何も無い小オフィスほどの空間の中、美琴たち4人は毛布を一列に並べて横たわっていた。

美琴「………………」

黒子「………………」

佐天「………………」

初春「………………」

彼女たちにとって、とても長い1日だったと言える。
これまでのこと、これからのことを考えると簡単に眠りに就けそうにはなかった。

佐天「ねぇ…初春」ボソッ

佐天が隣で眠っている初春に声を掛ける。

佐天「もしかして、もう寝ちゃった?」ヒソヒソ

初春「起きてますよ」ヒソヒソ

佐天「そうなんだ。実は眠れなくてさ」ヒソヒソ

初春「私もですよ」ヒソヒソ

佐天「じゃあ御坂さんたちは……」

グルリと佐天は体勢を変える。

美琴「起きてるわよ」

黒子「右に同じく」

佐天「なんだー結局みんな起きてるんじゃないですかー」

美琴「だって眠れないものは眠れないんだもん」

黒子「目が覚めてしまってどうにも……」

佐天「ですよね。現実的に見たら今、あたしたち逃亡者の身ですし…。あの誘拐犯の2人のこと頭に浮かべると、ムカついてきて……。こうなったのも元はといえばあいつらの責任ですからねー」

と、そこで佐天が愚痴を零した時点でみんなが一斉に黙った。
よく見ると、みんな顔が暗く少し俯き加減だ。
703 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:34:54.57 ID:borzRdo0
佐天「(わわ、やばい。気まずい)」
佐天「ご、ごめんなさい! 空気悪くしちゃって!」

美琴「ん? いやいや何言ってるの。私も同じこと考えてたんだから佐天さんが気にすることないわ」

黒子「そうそう。仰ったように悪いのは全てあの類人猿と白ウサギですから」

初春「全くです。お猿さんはお猿さんらしく山でバナナでも食べて、白ウサギさんは檻の中で孤独に打ちひしがれてればいいんですよ!」プンプン

美琴黒子佐天「(腹黒い……)」

美琴「ところでさ佐天さん」

それまでの流れを変えるように、美琴が佐天に訊ねた。

佐天「何ですか?」

美琴「佐天さんって好きな人いるの?」

佐天「ブーーーーーーーーー!!!!!」

盛大に噴き出す佐天。

美琴「え? 何? 変なこと聞いちゃった?」

佐天「いや、唐突過ぎて…」

初春「あ、でもそれ私も興味あります! 佐天さん、仲の良い男子結構いますもんねー」ニヤニヤ

黒子「あら本当ですの?」

佐天「いや、あんな幼稚な男子どもを好きになるわけないじゃないですか。あたしはもっと、大人っぽくて一緒にいると楽しい人がいいの! うちのクラスにそんな気のきいた男子がいるわけないじゃん」

初春「うわぁ…手厳しい発言ですね(佐天さん、裏では結構モテてるのに知らないんでしょうね…)」

佐天「つーか、初春はどうなのよ?」
704 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:40:58.56 ID:borzRdo0
初春「ふぇぇ/// 私ですか? そんなのまだいませんよー」

黒子「そう言っておきながら、本当は初春のような子女が密かに裏で殿方と密会したりしているんですのよねん」

佐天「そうそう」ニヤニヤ

初春「そんなわけないじゃないですか///」

佐天「じゃあどんなタイプがいいのよ?」

初春「え? 私ですか? うーんと、そうですねー…白馬の王子様みたいな…?」

美琴黒子佐天「白馬の王子様!?」キョトン
美琴黒子佐天「……………………」
美琴黒子佐天「プププーwwwww」

初春「私のピンチの時に駆けつけてくれるんですよ! って何笑ってるんですかそこの3人!」

美琴「いやだって…ププw」

黒子「今時白馬の王子様ですか…クスクスw」

初春「だって!/////」

佐天「恋に恋してるって感じだねー」

初春「それを言うなら佐天さんだってそうじゃないですか」

佐天「んなわけないじゃん。つーか、その白馬の王子様(笑)だっけ? クラスの男子の中で当てはまる子とかいないの?」

初春「いませんよ。みなさん普段から破廉恥な話ばかりしてるのに……」

佐天「初春も言うねー(初春、裏では結構モテてるのに知らないんだろうなー)」

初春「そう言えば、御坂さんはどうなんですか?」

美琴「え? 私?」

初春「はい」

佐天「あ、それ知りたーい! 常盤台の超能力者ってどんな男の人を好きになるのか知りたいです!」
705 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 22:42:17.82 ID:TRcCl/U0
あちゃあ
706 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 22:43:39.47 ID:IoFJRvc0
なんという地雷
707 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:47:38.03 ID:k3jx1aU0
美琴「えーっと………」

数秒ほど、沈黙が訪れる。
自分からふっておきながら、まさか自分に質問が返ってくるとは思わなかったのか美琴はたじろいでしまう。

美琴「なんだろね」

黒子「………………」

明らかに複雑そうな顔を見せた美琴を見て黒子は黙り込んだ。
黒子は美琴が想いを寄せている意中の人物が誰であるのか、大体検討はついている。しかし、その意中の人物は今………。

美琴「………………」

佐天初春「?」

恐らく美琴の中にある恋心は今この時も、複雑な感情を渦巻いているはず。それを察知したのか、黒子は横から挟み込むように声を上げた。

黒子「決まってるじゃないですか! お姉さまが好きなのは誰よりもこの私! そうですわよねーんお姉さま〜ん(はぁと」ガバッ

黒子が美琴に飛びつこうとする。

美琴「んなわけねーでしょうが!!」ビリビリビリッ

黒子「はぁぁぁぁううん!!! 久しぶりの快感ですわっ!!!!」

2人の即席コントを見て、佐天と初春は顔を見合わせて笑う。

佐天「何だかそのやり取り久しぶりですねー」

初春「そうそう、随分見てなかった気がします」

黒子「お姉さま、油断は禁物ですわようふふのふ」キラーン☆

美琴「ホント、あんたってば異性に興味ないのね!!」

初春「そうだ、白井さんはどんな男の人が好きなんですかー?」

佐天「あ、それ知りたーい」
708 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 22:48:24.38 ID:nZJeE3.0
これは、知りたい
709 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 22:54:04.81 ID:k3jx1aU0
再び場の雰囲気が最初に戻る。

美琴「そうよ黒子。あんたのも聞かせなさい」

黒子「はん! そもそも私はお姉さま一筋。天と地がひっくり返ろうが、殿方をお好きになることなど一生ありませんわ!」キッパリ

美琴「……あんた、独身で過ごす気か」

佐天「白井さんらしいですねー」

初春「将来、同性同士の結婚が法律で認められたら御坂さんピンチですねー」

美琴「なっ! ふ、不吉なこと言わないでよ!」

黒子「でへへへへへへ」

佐天「あ、そういや初春、おっぱい大きくなった?」

初春「ブーーーーーーーーー!!!!!」
初春「いいいいいいいいきなりなな何言ってるんですか!?/////」

美琴「つーか今の話のどこに変換点(ターニングポイント)が?」

佐天「いやぁ、相変わらず初春は成長しないなあって…」チラッ

初春「どこ見てるんですか!//// って言うか佐天さんの成長速度がおかしいんですよ!」

美琴「そ、そうよ! 反則だわ反則!」

黒子「レッドカードですわ!」

佐天「そうかなあ?」ポフポフ

美琴黒子初春「自分の手で掴むなああああああ!!!!!!//////」

4人の少女のガールズトークは弾み、その後も彼女たちは1時間も話し通していた。
まさに普通の女子中学生の、修学旅行のような夜はこうして更けていった。
710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 23:01:16.24 ID:k3jx1aU0
その頃・とある部屋――。

上条「婚后光子。常盤台中学の2年生だ」

バサッという音と共に、件の人物が映った写真が貼り付けられた資料が机の上に置かれた。
窓も無い狭い部屋の中、上条の隣に座っていた一方通行が興味無さげにそれを掴み上げる。

一方通行「コイツが、例の超電磁砲の協力者か」

上条「ああ。内部からの情報と照らし合わすと、そうなる。恐らく彼女でビンゴだろうな」

一方通行「能力は? むァた、空間移動とか厄介なもンじゃねェだろうなァ?」

上条「いや、彼女は…」

御坂妹「レベル4の『空力使い(エアロハンド)』」

上条が説明するより早く、目の前に立っていた御坂妹が手にした資料を読み上げた。
2人は彼女に視線を移す。

御坂妹「任意の物体に目に見えないブースターのようなものを取り付け、ミサイルのように吹き飛ばしてしまう、といった能力のようですね、とミサカは説明します」

一方通行「エアロハンド……空気を操るってわけかァ」
一方通行「で、超電磁砲たちとの接点は?」

御坂妹「今までに何度か交友があるようです。水着モデルの撮影会でも一緒になった仲だとか。お姉さまたちが、テレスティーナ=木原=ライフラインと戦った時にも、援軍に駆けつけて敵に相当なダメージを与えています。レベル4の大能力者の中では、白井さまと並んで数少ないかなりの実力の持ち主ですね」

一方通行「ふゥん。形は何にせよ、あの外道木原ちゃンに敵対したってわけかァ。つまりは、それほど親しい仲ってわけだァ」

上条「都合がいいな」

一方通行「ン?」

上条「御坂と白井脱走の協力者で、御坂たちの友人。条件は揃ってる」

御坂妹「と言うと…もしかして彼女を…?」

上条「ああ決まりだ」

上条は立ち上がり、言った。

上条「次のターゲットは婚后光子。彼女だ」
711 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/24(木) 23:01:51.99 ID:k3jx1aU0
>>1です。
今日は以上になります。
明日の夜にまた来ます。
ありがとうございました。
712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 23:04:49.15 ID:TRcCl/U0
乙。

金剛さん....
713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 23:08:53.96 ID:WtLirRo0
乙した
714 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 23:09:56.78 ID:nRCdosQ0
乙ー

例え敵対しても上条さんの存在は大きいって事か
715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/24(木) 23:18:10.64 ID:IsZ8aaEo
>>712
学ラン着て巨大化するところを想像しちゃったじゃないかい

ここから如何展開していくのかな、新たなターゲットに選ばれた事を知ったら精神にクるな
716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 00:25:18.71 ID:pVJQVu60
こんなの上条さんじゃない…
717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 00:35:57.99 ID:MyNYbrE0
現状で御坂妹(及び妹達全部?)も上条さん側なのは四人組は知らないんだよなぁ…?
だとしたら精神的につらいな。
まぁ容姿の都合上後方支援に徹するほか無いんだろうけど。
718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 03:35:41.97 ID:Tt.sd5w0
お前ら……素直なのか裏も読めないのかどっちなんだ?
719 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 03:37:19.77 ID:3Zx5mNg0
打ち止めが上条さん側な時点で予測はしてるかも
720 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 06:28:20.52 ID:BT7LBggo
会話で出てないからわからんが
気づいてないかもしれんね。
721 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 10:39:12.89 ID:0.2VVIMo
いろいろ想像してるけどSSで展開予想はウザがられるから心の内に秘めておくことにしてる。
722 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 19:07:57.39 ID:VH73KYw0
展開予想は、×うざい ○迷惑
723 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 19:24:06.88 ID:f43Rs3Qo
ネタバレしてるようなものだからね

今日も23時ごろかなwwktk
724 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/25(金) 19:34:45.30 ID:POFJ7rg0
この流れは次スレに行く。
これくらいなら迷惑じゃないはず
725 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:02:44.92 ID:uAOqQxg0
>>1です。
今日はいつもより少し多目なので早く来ました。
そういうわけで今から投下していきます。
726 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:07:31.09 ID:uAOqQxg0
とある廃ビル――。

太陽の位置も真上に近付いてきた頃、黒子は3階の窓から外を眺めていた。

黒子「………………」

廃ビルの周りは空き地で、様々な高低の草が生い茂っており、少し離れた所には綺麗な小川もあった。
彼女はそんな風景よりも、少し遠くに見える街並みに視線を据えていた。
その建物群の間から黒い煙が立ち昇っているのが見て取れた。

美琴「どうしたの黒子?」

背後から、美琴が近付いてきた。
黒子は街並みを見つめたまま答えた。

黒子「いえ…街の様子を眺めていたのですが……」

美琴「街?」

黒子「ほら、煙が一筋見えませんか?」

美琴「あ、確かに」

黒子「きっとまたテロか爆発騒ぎでもあったんでしょうか」

美琴「……かもね」

黒子の言に、美琴は静かに答えた。

黒子「この1週間、外の情報は遮断されていたので忘れていましたが、やはりテロや要人暗殺は今も続いているのでしょうか」

美琴「休校措置が解除されてないとすると、恐らく毎日のように起こってるんでしょうね」
727 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 21:08:57.93 ID:rVb80KI0
まってましたー!
728 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:13:23.34 ID:uAOqQxg0
黒子「……私、何だか恐いですの。近々、何かとてつもなく恐ろしいことが学園都市に起こるのではないかと……。こんな地獄みたいに化した学園都市を見てるとそう思いますの。あのネット上にあった噂通り、本当に学園都市の崩壊は近いのではないかと思うと恐くて恐くて……」

美琴「……大丈夫よきっと。学園都市はそんなヤワじゃないから」

黒子を褒める美琴だが、そんな彼女の表情も暗かった。

黒子「そう言えば、あの上条当麻と一方通行は確か固法先輩をも手に掛けていましたよね?」

美琴「…………そうね」

黒子「固法先輩は、無差別爆発に巻き込まれて死にましたわ。もし、爆弾を仕掛けたのもあの2人の仕業だったとすれば、あの2人は誘拐殺人だけでなく、テロも行っていることになりますわ」

美琴「うん…。だからさ黒子……」

黒子「はい」

美琴「それを止めるのが、今私たちがやるべきことでしょ?」

黒子「……そう、でしたわね」

美琴「じゃ、1階に来てちょうだい」

黒子「1階ですか?」

美琴は気持ちを変えるように笑みを浮かべた。

美琴「ええ。奴らを倒すための作戦会議を開くわよ!」
729 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:19:16.48 ID:uAOqQxg0
1階――。

1階に降りてきた美琴と黒子。
ふと部屋の端を見ると、そこだけ試着室のようなカーテンに遮られた空間が出来上がっていた。

美琴「何あれ?」

佐天「お、来た来た。見て下さいよこれー」

佐天に呼びかけられ、美琴と黒子は部屋の一角に向かって歩いていく。

佐天「即席ですけど、カーテンレール作ってみました。カーテンは2階にあったものを利用してます」

見ると、カーテンによって部屋の隅に一辺2mぐらいの空間が作られている。視線を上に移すと、壁と壁を繋ぐように、L字型のレールらしきものがカーブを描いて取り付けられていた。

美琴「何なのこれ?」

佐天「シャワールームですよ」

美琴黒子「はぁ?」

2人が頓狂な声を上げた時、カーテンが開けられ中から初春が出てきた。

初春「これですよこれ」

初春がカーテンの空間から出ると、そこには床にタライらしきものが、頭上にはペットボトルらしきものが逆さに吊られていた。
ペットボトルは1リットルのものらしく、逆さにされた底の近い部分に紐がグルグルと巻かれてあり、その紐の両端は空間に対角線を作るように、それぞれカーテンレールの一部分に結ばれていた。ペットボトルの底は、何故かくり貫かれてあり、何より不思議だったのは、ペットボトルの蓋の部分に如雨露の先がくっついていたことだ。

美琴「もしかしてこれがシャワー?」

佐天「そう! と言っても、お湯も出ませんし、大したものじゃありません。汚れを落とすぐらいしか使い道はありませんから」

初春「近くに綺麗な小川が流れていたでしょう? そこから水を汲んできてこのペットボトルの底から流せば、水がシャワー状に出てくるってわけです」

佐天「まあ…何だかんだ言って女の子ですからね! 服の替えは無くても身体だけは清潔にしておかないと! 妥協に妥協を重ねた案なんですけどね」

黒子「いや、しかし……」

美琴と黒子は顔を合わせ、感心したような声を上げる。

美琴「…よく考えたわね」
730 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:26:12.84 ID:uAOqQxg0
それからしばらくして、彼女たちの作戦会議が始まった。議題は、『上条当麻および一方通行の凶行阻止について』。
部屋の一角に、ビル内部から見つけてきた机と椅子を並べ、片方に佐天と初春が、向かい合うようにして黒子が座っている。美琴は、壁に吊られたホワイトボードの前に立ち、マジックペンで何かを書き込んでいる。どうやら、美琴が知る限りの、上条と一方通行の詳細データだった。

美琴「これがあいつらの簡単なプロフィールよ」

佐天「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』……どんな能力も打ち消してしまう、って……本当にあたしと同じ無能力者(レベル0)なの?」

初春「そしてもう1人が『一方通行(アクセラレータ)』。どんなベクトルの向きも操ってしまう、事実上、学園都市最強の超能力者(レベル5)……」

彼女たちの顔が、僅かに蒼くなる。
無理も無かった。1度あいまみえていたとはいえ、改めて説明されると想像以上だったからだ。

1人は、どんな能力ですら消滅させてしまう右手を持ち、更にその人物は日常茶飯事に厄介事に巻き込まれていて、美琴の見立てでは初春や佐天たちとは比べられないほど相当の死線や修羅場を潜っているとのこと。たとえ、拳銃などの物理的な攻撃が有効であっても、ここは能力が全ての『学園都市』。佐天や初春もその街の住人ゆえ『能力が1番』という意識が強い。しかも、彼女たちは普段から身近で美琴や黒子などの高レベル能力者の戦闘を見てきたのだ。そんな美琴と黒子の能力が一切効かない相手、というのは彼女たちにとって反則と呼べるほどイレギュラーで未知数の脅威だった。
そしてもう1人は、この『学園都市』で230万人もの頂点に君臨する最強の超能力者(レベル5)。美琴と同じレベル5とはいえ、その人物の序列は第1位。第3位の美琴であっても、その実力には大きな隔たりがあるとのことだ。しかもデフォルトで反射を適用しているらしく、どんな攻撃ですら跳ね返してしまう身体をしているという。そればかりか、僅かに手を触れただけで身体中の血流を逆流させ即死させることも出来るらしい。いくらレベル5の美琴たちと様々な事件を解決してきたとはいえ、その超能力者は彼女たちにとって、遥か雲の上――別次元に住む人間だった。

その2人は佐天と初春にとって、信じられない存在だった。彼女たちが日頃から目にしていた美琴の戦闘、美琴の存在こそ、この学園都市の最高位の領域に位置するものだと思っていたが、上条当麻と一方通行の出現によってその常識は覆された。まるで、美琴がいた最高位の領域の更に上に、新たな領域がまた1つ出来上がったような、そんな感じだった。
731 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:34:17.57 ID:uAOqQxg0
一斉に、無言になる。
どうやら、百戦錬磨の美琴と黒子ですら、佐天や初春と似たようなことを考えているらしく、微妙に顔が俯き加減だ。
実際、4人は既に1度、上条と一方通行と対峙してその力を目の当たりにし、完膚無きまでに倒きのめされている。しかもその時の戦闘ですら、彼らは本気の実力を出していないだろう、とのことだから『反則』や『別次元』というレベルではない。なまじ実体験してるだけに、美琴が説明した彼らのプロフィールには信用がある。まさに、『格が違う』とはこのことなのかもしれない。

美琴「…………………」

黒子「…………………」

佐天「…………………」

初春「…………………」

今まで4人で様々な事件を解決し、修羅場を一緒に潜り抜けてきた彼女たち。それでも疑問は浮かぶ。
彼女たちが抱く疑問はただ1つ。




―――『自分たちに勝てるのか』―――




誰も何も言わない、それとも言い出せなかったのか、時間ばかりが刻々と過ぎていった――。
732 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:41:18.66 ID:uAOqQxg0
その頃・常盤台中学学生寮――。

婚后「……御坂さんと白井さん、今頃上手くやってるかしら?」

扇子を片手に廊下を歩く婚后光子。そんな彼女に不意に後ろから声が掛けられた。

寮監「婚后!」

婚后「ひゃい!!」ビクウ!!

振り返る婚后。見ると、寮監がそこに立っていた。

婚后「(まさか今の独り言、聞かれてませんですわよね?)」アタフタ
婚后「な、何でしょう寮監様?」

寮監「お前、今暇か?」

婚后「は? え? あ…ま、まあ暇と言えば暇ですが何か?」

寮監「なら頼みがあるんだが、ちょっと買い物を頼まれてくれんか?」

婚后「か、買い物? この常盤台の婚后光子が雑用などと……」ブツクサ

寮監「嫌ならやらんでよい。買い物ですら出来ないお嬢さまに用は無いんでな!」

明らかに挑発じみた口調で寮監は言った。その言葉に婚后は額に青筋を浮かべる。

婚后「……」ヒク
婚后「……いいでしょう。この常盤台の婚后光子にとって買い物など造作もないこと! やってあげましょう!」

寮監「そうかそれは助かる。じゃ、この金で向かいにあるコンビニでコピー用紙30枚入りを買ってきてくれ」フフン

プライドの高いお嬢さまの扱いに手馴れているのか、言うは一転、寮監は婚后の手に二千円札を握らせた。
733 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:47:12.81 ID:uAOqQxg0
婚后「……コピー用紙ですのね」プクー

不服と言わんばかりに頬を膨らまし婚后は聞き返す。

寮監「そうだ。じゃ頼んだぞ」

婚后「あ、待って下さいまし」

何かを思い出したのか、婚后は寮監を呼び止める。

寮監「何だ?」

婚后「確か今は外出禁止中なのでは?」

寮監「まあそうだが、私も仕事があって忙しいんでな。仕方がない。それにすぐそこのコンビニに行って帰るだけだ。問題無いだろ。大体お前はレベル4の大能力者なんだから、心配するようなことはないだろ」

婚后「そ、そうですか。ならよいのですが」

寮監「じゃ、なるべく急いで頼む」

それだけ残すと、寮監はスタスタと去っていった。

寮を出、婚后は表の道路を横切る。コンビニはすぐ目の前にあった。
しかし、彼女は気付かなかった。彼女の行動を見張る自動車が寮のすぐ側に止まっていたことを――。

「来たか」

「彼女だ」
734 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:52:44.19 ID:uAOqQxg0
婚后「何故私が、コンビニで買い物などと……」ブツブツ

袋を片手に、愚痴を垂れながら婚后はコンビニから出る。と、そこへ……

若い男「すいませーん!」

婚后「何故私が庶民じみた袋を……」ブツブツ

若い男「ありゃ? す・い・ま・せ・ー・ん・!」

婚后「って、はい? 何ですか貴方は?」

コンビニを出たところで、婚后は若い男に呼び止められた。
外見はフリーターっぽく、若者らしい、しかしどこか地味な服を着込んだ男だった。

婚后「(あら、少しハンサム/// 服装は庶民ですけど)」

若い男「あの、ちょっと話いいですか?」

その言葉に婚后は眉をひそめる。

婚后「何ですのお昼時から? ナンパなら他所でやってくれませんこと? そもそも貴方のような庶民がこの常盤台の婚后光子をデートに誘えるとでも思って? いえそもそもデートに誘おうとする考えが身の程を……」

若い男「あ、やっぱり常盤台の婚后さんですね?」

婚后「?」

若い男「あ、いやいや、怪しいもんじゃないですし、ナンパでもありません!」

婚后「いえ、十分怪しいですし、何故私のお名前を?」

若い男「いやだって、常盤台の婚后光子って有名でしょ! 常盤台と言えば、あの超電磁砲と肩を並べる……いや、ダントツで有名ですから!」

婚后「そ、そう? オホホホホホ。まあ当然ですわね! オホホホホホ」

若い男「あははははは」

扇子を口元に笑う婚后。

婚后「で、ナンパなら他所でやって頂きたいのですが?」ジロリ

若い男「あ、だからナンパじゃなく……参ったな。僕、こういうものです」

そう言って若い男はポケットから名刺を取り出し婚后に渡した。
そこには『能力平和利用研究所  真堂場 上』と書かれていた。 

婚后「貴方のお名前……ま…まどうば? まどば? …うえ?」

若い男「『まどうじょう のぼる』です」
735 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 21:55:06.99 ID:DLsdkoY0
名前のセンスがww
736 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 21:57:12.20 ID:5IvhdPso
上条さんもっとマシな偽名にしろやwwwwwwww
737 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 21:58:38.33 ID:oFIPPWso
センスは犠牲になったのだ・・・
幻想殺しの犠牲にな・・・
738 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 21:59:26.42 ID:uAOqQxg0
婚后「『能力平和利用研究所』など、聞いたことがありませんが?」

若い男「あれ? ないですか? おかしいな。結構科学者の間では有名なところですよ」

婚后「となると、貴方、研究者か何かですか?」

若い男「いや、僕は下っ端の雑用です。宣伝とかやらせてもらってます」

テヘヘと言うように若い男は髪をかく。見た目、チャラチャラしているわけではないが、どこか頼り無さそうな感じだった。

婚后「それで? そんな方が私に何の御用で?」

若い男「ぶっちゃけて言うと、婚后さんのお力を貸してほしいんですよ」

婚后「私の力? どういう意味ですか?」

若い男「ほら、今、学園都市って結構やばい状況じゃないすか。テロだの要人暗殺だの、誘拐だのって。アンチスキルがどれだけ頑張っても、事件は毎日のように起こる始末」

婚后「まあ、確かにそうですわね……」

若い男「それで、僕たち…って言うか、うちの研究所が能力者の学生を募集してるんですよ。何とかこの状況を打開するためのね」

婚后「募集?」

若い男「はい。この状況を改善するためにおあつらえ向きな能力者を集めて、色々話し合ったり、計画を練ったりしてるんです。ただ、僕たちは研究者ですので、アンチスキルのように犯人グループのアジトに突入とか、そんな軍事行動はしないんですけどね。どっちかと言うと、事件で傷ついた多くの人たちを速やかに効率よく治療したり、未然に事件を防ぐ手段を考えたりと言った、ソフト面でのことです」

婚后「へぇ、初耳ですがそれは大変、殊勝ですわね」

少し感心したのか、婚后はその話に興味を覚えたようだった。
739 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:05:13.97 ID:uAOqQxg0
若い男「で、ここで問題なんですが、やっぱりどうやっても能力者の人員が足りないんですよ。そ・こ・で・! 婚后さんにも手伝ってもらえないかなと思って声を掛けたってわけなんす」

婚后「え? 私に!?」

若い男「はい! と言うのも、レベル2やレベル3の学生は結構いるんですけど、やっぱりどうしてもレベル4の協力者が少ないんですよね」

婚后「それで……私に手伝ってほしいと?」

若い男「ええ。婚后さんの能力なら、かなりの人を救えると思いますし、何より常盤台のレベル4と言ったらそれだけで百人力ですからね! 勝手なお願いなんですけど……」

婚后「………………」

しばらく、婚后は無言になっていた。
若い男の話が本当ならば、自分の能力を使って困ってる人を助けられるかもしれない。今現在、学園都市で起こっている凶事を僅かながら止めることが出来るかもしれない。そう考えると、ハナから断るような話でもなかった。
しかし、あと一歩というところで目の前の男を信じきれられなかった。どうも、胡散臭い感じもするのだ。

婚后「それって……」

今すぐ決めなければいけないことなのだろうか。一旦、寮に戻って改めて考え直してから出なければいけないのか。そう思った婚后は疑問を述べようとしたが……

若い男「婚后さんの周りにテロや事件の影響で被害に遭われた方はいませんか? そういった方々を救えるんですよ! ぜひ力を貸して下さい!」

若い男は婚后に期待を寄せるように言った。
その言葉を耳にしたとき、婚后の脳裏に、美琴や黒子の顔が、そして今は消息を絶った泡浮や湾内の顔が蘇ってきた。

婚后「あの……もう少し詳しい話をお聞かせ願いませんか?」

彼女は即答していた。
740 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:12:28.15 ID:uAOqQxg0
とある廃ビル(美琴たちのアジト)――。

作戦会議中であるにも関わらず、自分たちが倒すべき敵の詳細を知り、言葉を失くしていた美琴たち4人。
しかし、このままでは士気が下がるだけだと思ったのか、ようやく黒子が口を開いた。

黒子「まあ、とにかく……」

一斉に美琴たちが黒子の顔を見る。

黒子「物理攻撃が可能な上条当麻はともかく、どんな攻撃も問答無用で跳ね返してしまう一方通行は厄介ですわね」

佐天「そ、そうですよ…。触れることも出来ないなんて反則じゃないですか」

初春「それじゃ、御坂さんの超電磁砲(レールガン)ですら効かないってことですよね?」

黒子の言葉を切っ掛けに、佐天と初春の2人も我に返り再び会議の場に戻ってきた。

美琴「超電磁砲、雷撃の槍、砂鉄剣、どれを使っても傷つけられないでしょうね……」

黒子「ですが、相手も所詮は人間。必ずどこかに隙があるはずです。まずはそれを考えてみては如何でしょう?」

美琴「そうね…」

実際、打開策など浮かぶかどうかすら不明だったが、そこで立ち止まってるわけにもいかないので美琴は強引に話を進めようとした。

美琴「じゃあまず、これからそれぞれ何をするか決めましょうか」

黒子「私は今言ったように、一方通行の打開策を考えてみますわ。あと、上条当麻のほうも。私の空間移動をどのように使えば、最も効率的に彼らに打撃を与えられるか、と。それと、出来うる限り空間移動(テレポート)の能力も磨きたいと思います。そう簡単に伸びるかどうか分かりませんがね」

美琴「分かったわ。じゃあ佐天さんはどうする?」

佐天「あたしですか? うーん…ぶっちゃけ、あたしのような無能力者に何が出来るかどうか。一方通行に攻撃が効かないなら、上条当麻との肉弾戦用に何か対策でも考えとこうかな……。ああ、あとバットの素振りも頑張りたいと思います。メジャーリーガー級にバッティング能力を上げてみますよ!」

美琴「そう。頼もしいわね。了解したわ。頑張ってね!」
美琴「初春さんはどうしようか」

初春「私は…パソコンを使って色々と対策を考えてみたいと思います。ネットワークに接続出来れば、過去の誘拐事件についてまた調査出来るかもしれませんし」

佐天「でも、あのパソコンって使えたっけ? 確かバッテリー切れてたはずじゃ…」

初春「あ…」
初春「どーしよー」ウルウル
741 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 22:16:13.03 ID:oFIPPWso
上条ちゃんは頭の上にロードローラーでも移動させとけばいいとして
一方さんをどうやって倒すのか・・・
742 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:18:42.00 ID:uAOqQxg0
美琴「バッテリーが切れてるだけでしょ? それじゃあ私の電気で充電してあげるわよ」

初春「あ、そんな手がありましたか!」

美琴「後で持って来なさい。ちゃぁんと使えるようにしてあげるから」

初春「ありがとうございます!」

佐天「うーむやっぱり心強い能力ですねぇ」

黒子「お姉さまはどうしますの?」

美琴「私も黒子と同じように、自分の能力の訓練ぐらいしか出来ないけど、他にもあいつら2人と戦闘に突入した時のシミュレーションのパターンを出来うる限り捻出してみるわ。どういう組み合わせでどういう風に戦えば、あいつらに打撃を与えられるか、ってね。今でこそ第3位の頭脳をフルに生かす場面だからね!」

黒子「なるほど、相変わらず頼もしいですわね」

美琴「それから、みんなに言っておくけど、自分のことばかりに集中しては駄目よ。自分のやるべきことをやる間に、他の3人ともそれぞれ一緒に何か考えてみたり、対策を組み合わせてみたりするのよ。そうすることで、より奴らを倒す道筋が開けてくるってもんよ」

佐天「なるほど。それは一理ありますね」

美琴「ええ。だから定期的に今回のような合同作戦会議も開くわよ。各々が出した成果をまとめた上で、より明確な形にするためにもね。分かった?」

佐天「はい!」

初春「分かりました!」

黒子「承知しました」

美琴「じゃあ、早速取り掛かるわよ」


美琴「超電磁砲(レールガン)組、ファイトオオオオオッ!!!」



美琴黒子佐天初春「ファイトオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!」



自分の長所を生かすため、4人の少女たちは全力で行動を開始する。
しかし、彼女たちの上条当麻・一方通行に辿り着くまでの道は、まだ遠い――。
743 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:24:57.78 ID:uAOqQxg0
とある喫茶店――。

若い男から、現在、学園都市で発生しているテロや事件を解決するための協力を申し出された婚后。
自分の能力で少しでも被害者たちを救えるのではないか、と考えた彼女はより深い話を聞くため、若い男と共に喫茶店に来ていた。

若い男「本当にすみませんね。別に強制ではないので、無理して受ける必要もないんすよ?」

婚后「いえ、そういうわけにはいきませんわ。私の能力で少しでも助かる人がいるなら、断る理由はありませんもの」

若い男「いやあ、優しい人だなー。きっと、被害者の方たちも救われる思いでしょう」

それを聞き、婚后は淡い笑みを浮かべた。

婚后「それにしても、その研究者の方はまだなのですか?」

若い男「遅いっすよね。そろそろ来ると思うんですけど」

若い男によると、『能力平和利用研究所』の支所が近くにあるらしく、より詳しい話を聞くにはそこに所属する研究者の話が必要とのことだ。そういうわけで、婚后は若い男と共にその研究者を待っていたのだ。

若い男「あ、来た来た! こちらです!」

若い男が手を振ると、真っ黒なスーツを着込んだ1人の男が歩いてきた。

婚后「(この方が研究者……)」

一目見て、婚后はどこか違和感を覚えた。
別に研究者であっても、公の場に出る時はスーツぐらい着ても何の不思議もないのだが、それ以前にどこか不思議な感じがしたのだ。似合わない、と言うよりもスーツを着慣れていない感じだった。

若い男「こっちへ」

促され、スーツ姿の研究者は婚后の向かいの席に座る。

研究者「どうも初めまして。以後、お見知りおきを……」

ボソボソと喋るように、研究者は名刺を差し出してきた。

婚后「『甲津 法一(こうつ ほういち)』さんですのね?」

研究者「…………………」

婚后「……あ、よ、宜しくお願いしますわ……」タジタジ
744 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/25(金) 22:25:07.61 ID:vbLS.9s0
逆さ読みか
745 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 22:26:48.82 ID:VH73KYw0
一方さんのスーツとは胸熱
746 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:31:47.83 ID:6SiNaDs0
若い男「駄目っすよ甲津さん。可愛い女性を前にしたからってwww 無愛想なのは嫌われますよww」

どこか、無口でいて人見知りをしそうな人だな、と婚后は研究者を見て思った。別にそれでも問題無かったのだが、次の瞬間、婚后は研究者を見て寒気を覚えた。

研究者「………………」キッ

研究者が、軽口を叩いた若い男を睨むように横目で窺ったのだ。その視線は、まるで殺意でも込められているようなものだった。

婚后「………っ」

若い男「あ、すんませんww やだなあ、ただのジョークなのにwww」

しかし、そんな殺気だらけの目を向けられても、若い男は普段から慣れているのか軽い対応で簡単に流した。

婚后「………………」

若い男「でー…すいませんね。じゃ、早速本題に入っていきますね」

婚后「あ、はい、どうぞ……」

若い男「じゃあまずこちらの資料からなんすけど…」

それから小一時間ほど、若い男による説明は続いた。
休校措置の影響からか、店内はまばらに人がいるだけで学生の姿はほとんどない。常盤台の制服を着た女子生徒が若い男たちと一緒にいれば目を引きそうなものだったが、誰も対して気にはしていないようだった。

婚后「………………」

若い男「――――――」ペチャクチャ

研究者「………………」

若い男「――――――」ペチャクチャ

ほとんど若い男が一方的に喋るだけで、研究者はよほど重要なことでない限り口を開かなかった。婚后はそんな研究者をたまに横目で窺ったが、彼は腕を組んで黙ってるだけでどこか興味無さげに虚空を見つめていた。

若い男「じゃあ、まずは今から研究所に伺ってみますか?」

婚后「え? あ、はい…そうですわね」

研究者「……………」ガタッ

婚后が答えるがすぐ、研究者が立ち上がった。
婚后はここで拒否することも出来たのだが、研究者に気を取られていた彼女は成り行きで承諾してしまったのだ。かと言って、若い男の説明を聞いた限り、断る理由も特に無かった。

若い男「……………」Prrrrrrr....
若い男「あ、傘見さん? 俺っす、真堂場っす。運転手に喫茶店近くまで来るように伝えてくれます?」
若い男「ん? ええ、はい、そこですそこ。宜しくお願いしまっす!」ピッ
747 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/25(金) 22:32:14.05 ID:POFJ7rg0
>>1は1レスに限界まで詰め込んでるから少しでもお腹いっぱいになる
748 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 22:36:11.14 ID:3MwFyU6o
傘見は御坂妹か
749 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 22:38:49.53 ID:DLsdkoY0
いっつーさんスーツだと垣根君と同類のホスト崩れになりそう
750 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:38:53.20 ID:NjsOlXM0
若い男「あ、すんません時間取らせて。じゃあ行きましょうか?」

婚后「え、ええ……」

若い男「研究所にいる他の能力者さんたち、婚后さんが来ると知って大喜びしてるようっすよ」

婚后「そうなの?」

若い男「ええ、もちろん! やっぱりみんなの期待の星ですからねぇ!」

婚后「ま、まあ当然ですわ」

照れを隠すように婚后は扇子を口元に寄せる。
そして、婚后は若い男と研究者に連れられ喫茶店を出た。少し歩くと、自動車が1台停まっていた。

若い男「ああ、あの車です。すんません傘見さん、わざわざ」

若い女「いえいえ、これが私の仕事ですから……」

自動車の側で立っていた1人の若い女性。彼女もまた女性用のスーツを着ていた。
見たところ、若い男の同僚なのかもしれないが、婚后は何故か彼女とどこかで会ったような気がした。

若い女「どうぞ」ガチャッ

若い女が後部座席の扉を開けると、研究者が先にドカッと無遠慮に乗り込んだ。
婚后はジッと若い女の顔を見つめながら、車に乗り込む。

婚后「…………」ジッ…

若い女「…………」

バタン

婚后が乗り込んだ後、若い女も後部座席に乗り込み扉を閉めた。

若い男「じゃあみんな乗りましたね? 運転手さん、宜しくお願いしやっす」

助手席に乗った若い男が運転席に座る男に話しかける。運転手はただ頷いただけだった。

婚后「あの……」

若い女「はい?」

婚后「貴女、常盤台中学の超電磁砲(レールガン)、御坂さんに似ていません?」

若い女「よく言われます、と傘見は返答します」

婚后「ふーん、世の中は狭いですわね……」
751 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:47:47.14 ID:O2Utmr60
婚后を乗せた自動車が出発する。
学園都市の街中を抜け、やがて車は高速道路に入り込む。その間、助手席に座る若い男がペチャクチャと話していたが、婚后の両隣に座る研究者と若い女は直接何かを訊ねられた時以外、口を開くことはなかった。

婚后「(何故この2人はこんなにもローテンションなんですの?)」

研究者「………………」

左を見れば、でかい態度で腕組みをしたまま窓の外も見ず正面を見据えているスーツ姿の研究者。どこか眠たそうだ。

若い女「………………」

右を見れば、揃えた足の上に行儀よく両手を添え窓の外を見ているスーツ姿の若い女。どこか感情が無いような印象を受ける。

婚后「……………(気まずいですわ)」
婚后「(と言うか何ですのこの重苦しい雰囲気は!? 1人で喋り立てている助手席の男が空しく見えますわ)」
婚后「(それにさっきから、妙に軽い頭痛を覚えますわね……。はぁ、とにかくもう少し我慢ですわ)」

それからも時間を掛けて車は進んだ。しかし、1時間経ってもまだ目的地に着く気配は無かった。

婚后「(随分かかりますわね…。いい加減早くしてくれないかしら? 頭痛も治まりませんし…)」
婚后「あの…真堂場さん……」

若い男「ん?何すか?」

婚后「まだ、お着きになりませんの?」

若い男「ああ、後もう少しっすよ。ねえ運転手さん?」

婚后「後もう少しって……」

気軽に答える若い男に、一言も発せずただ頷くだけの運転手。そして両隣には寡黙な研究者と若い女。どこか怪しい面子を見回し、婚后は僅かながら不安を覚えた。

婚后「あの……本当に『能力平和利用研究所』に向かっているのですわよね?」

若い男「そっすよwwwwww」

婚后「………にしては随分時間がかかっているような……」

不安が高まる中、婚后はふと窓の外を眺めた。

婚后「…………え?」

いつの間にか高速道路を降りていたらしいが、どうも周囲の景色がおかしい。明らかに都市部から離れ、建物が少ない地域を走っている。

婚后「ちょ、ちょっと! もう1度お聞きしますけど、本当に『能力平和研究所』に向かっているのですよね!?」

若い男「……………そうですよ……」

婚后「!?」
752 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:53:13.31 ID:O2Utmr60
若い男の声の抑揚がさっきと違う。
ルームミラーに目をやると、運転手の顔が映ったが、帽子を深く被り込んでいるのか目元が暗くなっててよく見えない。

婚后「…………」ゾクッ
婚后「い、いい加減にして下さらない? もう2時間近く経っているんですわよ!!」

助手席に手をかけ、婚后は叫ぶ。

若い男「…落ち着いて下さいよ。目的地はすぐそこですから……」

婚后「さっきからそればっかりじゃないですの!」

と、婚后は何か背後から嫌な気配を感じ取った。振り返ると、研究者と若い女がジッと婚后の顔を見つめていた。

研究者「………………」

若い女「………………」

婚后「な…何ですの!? その目は? あ、貴方たち、本当に研究者なんでしょうね!?」

若い男「……………そうですよ」

相変わらず、若い男は後ろを見ずに答える。

婚后「嘘をおつきなさい!! 私を騙しましたわね!!」

若い男「…騙しただなんてそんな……」

婚后「この私を常盤台の婚后光子と知っての狼藉ですこと!?」

若い男「…狼藉だなんて、難しい言葉知ってますねー」

婚后「…っ」イラッ
婚后「車を今すぐに停めなさい!! これは警告ですわよ!! 私はレベル4の大能力しゃ……」

若い男「この頃、いい音楽ありませんよねー」

婚后「はぁ!?」

婚后の声を遮るように若い男は話を変えた。

若い男「でも、最近良い歌を手に入れたんですよー」

婚后「何を言ってるの?」
753 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 22:59:30.39 ID:O2Utmr60
若い男「あれ? さっきから、流してるのに気付きませんでしたか?」

婚后「歌なんて聴いてもいませんわ! それより早く車を……」

若い男「おかしいな。頭痛くなったりとかしてません?」

婚后「………え?」
婚后「どうしてそれを……?」

若い男「この歌、特定の聞き手に頭痛を起こさせるんですよ。ある種の音波を使ってね。ただ、この歌…って言うかこのCD、戦利品みたいなもんですし試作品のようなものですから1つしかないし、1回きりしか使えないんすよね」

婚后「………!?」

婚后は訳も分からず若い男の話を聞き続ける。しかし、頭痛にも似たような症状がずっと彼女を苛んでいるのもまた事実だった。

若い男「ただ改良版ですから、頭痛を起こさせる聞き手の条件を選べるんですよ。例えば、『レベル2』の能力者だとか『レベル3』の能力者とかね」

婚后「!!!」

若い男「あ、気付きました? 今、婚后さんのために『レベル4』能力者用に設定してあります」

婚后「何を……」ズキズキ

頭痛は続く。

若い男「知らないなら教えてあげますよ。この曲名……」





若い男「『キャパシティダウン』って言うんですよ」





振り返ったと同時、若い男はCDプレーヤーのボリュームを上げた。

婚后「くっ!! ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
754 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 23:01:48.14 ID:VyRhaQDO
盛り上がってまいりました
755 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 23:05:41.69 ID:O2Utmr60
キイイイイイイイイイイイイイイインという超音波にも似た音が婚后を襲う。
彼女は耐え切れず頭を抱える。

若い男「本当はこんな手荒な真似したくなかったんすけど、すいませんね……」

婚后「やっぱり……貴方たち、研究者では……くっ」

若い男「嘘をついたことについては謝ります」

婚后「ふざけ……」

若い男「それより、貴女が御坂と白井の脱走の手助けをしたんですよね?」

婚后「!!!!」

若い男「やっぱり、ビンゴだったか」

若い女「カマをかけた甲斐がありましたね、と傘見はいい加減鬱陶しくなってきた偽名に辟易しながら答えます」

若い男「まぁな。しかし相手はレベル4の大能力者。これぐらいやらないと下手にこっちがやられかねんから」

婚后「……貴方たちが……泡浮さんと…湾内さんを誘拐した張本人……くっ」

若い男「彼女たちの知り合いですか。残念ながら、彼女たちはこの世界にいませんよ?」

婚后「!!!!????」

若い男「“死んでる”んですよ。今は天国にいると思います」

婚后「そんな!!!!!!」
756 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/25(金) 23:06:05.25 ID:oEW7GVko
キャパシティダウンって知ってるか?

また一つ増えたな
757 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 23:11:43.28 ID:O2Utmr60
若い男「色々と事情があるんですよ。くんで下さい」

婚后「ふ、ふざけないで……」

若い男「ふざけてなんていません。我々は本気です」

婚后「あ、貴方たちに……御坂さんを止められるとでも……お思いで?……うぐっ…」

若い男「…………………」

婚后は何とか状況を打開しようと、辺りを見回し、そして左隣にいた研究者と目が合った。
相変わらず研究者は無言で婚后を見つめているが、どうもさっきまでとは様子が違うように見える。と言うよりも、その研究者は初めから外見からして違和感だらけだった。何故なら…… 


  黒  い  ス  ー  ツ  に  白  い  髪  は  あ  ま  り  に  も  不  釣  合  い  だ  っ  た  か  ら  だ 


若い男「抵抗はやめたほうがいいですよ。その男、レベル5の超能力者ですから」

婚后「レベル5!?」

驚き、婚后はもう1度スーツ姿の研究者を見る。そして、絶望の色を顔に浮かべた彼女は体勢を変え、反対の扉から逃げ出そうと試みた。

婚后「た、助けて!!」

若い男「まあ今は狭いスペースに3人もいるので、反射は切ってるようですけどね」

研究者「………………」

婚后「くぅ…あ、頭が……」

扇子が床に落ちる。左手で頭を抑えながら、婚后は右手を扉のノブに伸ばす。そんな彼女を見ても、何故かスーツ姿の若い女は何も動こうとしなかった。まるで、その行動が無駄だと言うように。

婚后「もう少し……」

若い女に乗り上げる格好で、婚后は更に手を伸ばす。

婚后「あと少しで……」

ようやく、ドアノブに手が届いた。
と、その時だった。
758 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 23:18:27.99 ID:O2Utmr60



ガッシィッ!!!



と、後ろから肩を強く掴まれた。振り返る婚后。


そこには、見たこともないような不気味で狂気を孕んだ笑みを浮かべた研究者の姿があった。



研究者「あはははははははははははははははは!!!!!! ひゃはははははははははははははははははは!!!!!!!!」



婚后「!!!!!!!」ゾクウッ!!

グググッ、と婚后の肩を掴む研究者の力が強まる。

婚后「い、いや……」カタカタブルブル

逃げようとも逃げ切れず、研究者の怪物にも似た笑顔が近付いてくる。

婚后「やだ……来ないで……」ガクガクブルブル

そして、怪物はニヤァと笑みを浮かべながら震える婚后に告げた。






「  死  ン  で  く  れ  ね  ェ  か  ?  」






婚后の黒い瞳に、絶望が襲い掛かった――。
759 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/25(金) 23:19:38.25 ID:O2Utmr60
>>1です。
今日は以上です。
膨大な量の投下になりました。すみません。
また明日来ます。
ありがとうございました。
760 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/25(金) 23:20:40.82 ID:POFJ7rg0
乙。
イヤァァァァァアアアアアア
761 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 23:22:01.81 ID:RusPhZ60
乙乙
…\(^o^)/
762 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 23:37:58.19 ID:/ok7C4I0
寮監の意図は何だろう
763 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/25(金) 23:47:52.56 ID:uqQAGGA0
アンチスキルに従ってるだけだろ
764 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:21:28.10 ID:IgwF2Fco
乙・・・こええええ
765 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:24:56.69 ID:8A9Wbgc0
どこで切っても続きが気になる展開だなwww
766 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:35:15.09 ID:T1I/FAE0
おつです。
…この世界…天国…
ひょっとして第二位も関わっているのかな?
767 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:45:22.81 ID:vdX746AO
こんな世界いやだあああああああおつあああああああああああ
768 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:47:06.68 ID:RAZ/9Tko
乙っしたー

>>741
一方さんが上条スルーしないだろ。
しかもロードローラーとかあわきんでも多分無理ww
769 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:52:00.12 ID:T1I/FAE0
そういえば運転手だが・・・名前が登場していないが・・・
もしもあの「レベル0」だったら超うれしいぜ・・・
まあ多分違うんだろうが
770 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:56:26.02 ID:0D/otN.o
ロードローラーは無理だな
ていうか重い物だとラグが大きいんじゃないか
771 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 00:57:44.69 ID:/g0SaHIo
美琴の短パン飛ばせば上条さんは殺せる
772 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 06:48:45.94 ID:z5mgxIYo
一方さん車内なんだから綺麗にやれよ
773 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 08:15:26.95 ID:uTZdK2AO
白井黒子のものは「テレポート」で、自身や触れたものを移動する能力。
距離・重さ・個数・発動条件などに制限があり、
白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5m、質量が130.7kg。
ちなみにテレポートの精度は転移させる物体の重量に関係なく、飛距離が限界値に近いほど甘くなる模様。


だそうです…まぁロードローラーは無理だな
774 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 09:11:09.60 ID:EkLbP9ko
十何巻かまでは黒子で一方通行倒せるんじゃないかと思ったのよ……


一方さんは十一次元ベクトルも反射出来るんだよな。

ベクトルなら何でも操作できるとは、恐ろしい……
775 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/26(土) 09:26:39.47 ID:Fbl/ag.0
電極が無い時点でチートな件
776 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 10:08:45.90 ID:/gaTu5o0
電極を隠してある、または小型化したのかも
777 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 10:13:50.38 ID:ciZsQ6DO
黒子の能力見ると同じレベル4なのにあわきんのチートっぷりがわかるなwwww触る必要無し、黒子の約10倍の飛距離、質量に至っては約35倍だからなwwww
778 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 11:38:43.39 ID:Obc34h60
>>777
ケーシィのレベル40とフーディンのレベル40にもかなりの差があるだろ?
「進化できない」を足せばぴったりじゃないか
779 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 11:53:59.05 ID:Kl.T4.c0
あわきんはレベル5でも問題無いと思うの
780 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 12:24:11.73 ID:EAAAIgDO
むしろあわきんでもレベル5には届かないという現実に
レベル5の圧倒的な壁を感じてひどくときめく
あわきんがレベル5でもおかしくないって黒子の感想だっけ?
781 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 12:34:54.52 ID:Y4pRFQI0
超電磁砲組、ファイトォォォ!!を見る度に春日部防衛隊が浮かぶ
782 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/26(土) 13:18:44.21 ID:RTXwiDc0
なんでロードローラーなんだよwww
それはともかく上条は心臓のあたりに直接なんかテレポさせればよくね?
783 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 13:32:33.84 ID:D0lVtwAO
>>782
それはだな。恐らく>>1が簡単に上条さんが殺られなくないからだと思う訳よ。

日本語変だと思うけど気にする
784 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/26(土) 13:52:59.72 ID:Fbl/ag.0
そもそも「空間転移」と「座標軸移動」は違う件
785 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 13:57:27.81 ID:jv0dcYAO
>>784
kwsk
サルでもわかる様な説明で
786 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:09:22.02 ID:RAZ/9Tko
>>780
>自由度の高すぎる能力に基準をつけるため、使用する際に警棒兼用の軍用懐中電灯を軽く振るう。
>二年前のカリキュラムにおいて転移座標の計算ミスにより片足が壁にめり込み、
>それを不用意に引き抜いてしまったことで密着していた足の皮膚が削り取られるという大怪我を負った。
>この事故がトラウマとなり、それ以来自分への能力作用には体調を狂わせるほどの激しい精神的消耗が伴っている。
>またそのことが原因で、強大な能力を持ちながらも超能力者認定はされていない。
>能力の使い方によっては御坂美琴を打破する事も可能との事。
>なお10月17日時点では少年院の件でトラウマを完全に乗り越えた結果か、自身の転移も軽々と行うまでになっている。

以上

>>779
今更7人(欠番?複線?有)増やすわけにもいかないだろ。
しかも強すぎてパープルヘイズになる。
※パープルヘイズ
【強すぎてチートな為作者自身でキャラを離脱させた】
787 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:15:17.62 ID:r59kMFE0
どっちかと言うとハーヴェストじゃね?
788 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:25:37.12 ID:OPGLs7so
ていとくんか麦野が死んで6位あたりになるとか・・・
789 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:26:07.04 ID:RAZ/9Tko
>>785
「空間移動能力」について
>3次元的空間を無視して物体を転移させることができる。
>「自分の体を転移させる能力(テレポート)」のほかにも「離れた物体を手元に引き寄せる能力(アポート)」などもあり、
>「何をどう移動させるか」によって呼び名が異なる。

黒子:空間移動(テレポート)
>白井黒子のものは「テレポート」で、自身や触れたものを移動する能力。
>距離・重さ・個数・発動条件などに制限があり、
>白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5m、質量が130.7kg。
>ちなみにテレポートの精度は転移させる物体の重量に関係なく、飛距離が限界値に近いほど甘くなる模様。
>加えて上記のとおり触れたものに限られるが、複数の物体を転移することも可能。

結標淡希:座標移動(ムーブポイント)
>登場した空間移動系では最高の能力であり、単に距離や重量の限界値が大きいだけでなく、他の空間移動能力と異なり始点・終点が固定されていない。
>そのため接触すら必要なく能力を発動でき、テレポートやアポートはもちろん、自身から離れた2地点間を直接移動させることすらできる。
>ただし移動前座標も計算しなければならないため、白井黒子の空間移動以上に演算負荷が大きい。
>位置を把握しなければならない以上、飛ばせる物体も実質有視界内に限られると思われる。

>因みに、一度に飛ばせる距離は800m以上、重量は最大で4520kg。1000kg以上は身体に負担が大きいらしい。
>ちなみに大量の物質を転送する際には出現に先行して空間が歪むらしく、
>完全な瞬間遠隔作用ではなく、何らかの「媒介」を介した近接作用であると推測される。

違いで言えば
・接触が必要かどうか
・移動前座標も計算するかどうか
あたり・・か?
ほぼ完全な上位互換だろうけど
触ってる物って限定がある黒子よりも
認識してる物(基準つける必要あり)なら何でも範囲内に飛ばせるなんてあわきんは
逆に制限が殆ど無くて曖昧すぎて下手に使えないんじゃね。
790 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:34:14.12 ID:RAZ/9Tko
>>787
それもそうだな。
ただ能力が手におえないって意味で
能力が制御不可能なパープルヘイズにしておいた。
ハーヴェストは一応全員制御可能だけど、
パープルヘイズの能力は制御とかそういうレベルの問題じゃないしね

>>788
順位は研究価値だったかその辺が絡むから
自分飛ばせる空間移動能力者=LV4 なのを考えたら
あわきんがLV5認定したら余裕でTOP3食い込むんじゃね

Wikiというかまとめサイトというような場所から引っ張ってきただけだから
投げっぱなしジャーマンになるだろうけどそこは許してくれ。
791 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:44:31.09 ID:jv0dcYAO
>>789
アポートとかあるから座標移動>空間移動て事か。サンクスです
792 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:47:18.82 ID:RAZ/9Tko
>>791
コピペっただけだから長くなってすまんね。
わかりやすいイメージで言えば
水道のホースと消防車の消化ホースを思い浮かべれば良いかも。
片手で自由自在に扱える水道ホースと
大人1人でも扱いきれないで振り回される消化ホース
みたいな。
793 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 14:49:36.39 ID:a.YCZiko
特定の駅からしか乗れない切符
どこからでも乗れてどこにでも降りられるスイカ(パスモ)
の違いみたいな。
794 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 15:40:07.46 ID:Qhy.V66o
いつだったか

上条死んで一方通行を主人公にすりゃいいのにwwwwwwwwwwww

っていう一方さん大好きな奴を見て初めて一方好きを怖いと思った。

>>783みてそれを思い出した。いや、他意は無い。悪意もない。ほんと、思い出しただけ。
795 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 16:12:34.48 ID:zkACisY0
このスレに結標淡希及び座標移動は関係ないのだが
796 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 16:17:09.19 ID:KbU1L2Q0
こまけえこたあ

まあやり過ぎだと思うけど
797 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 16:41:52.48 ID:z5mgxIYo
作者以外で3行以上書き込んでるの見るとイラっとする
798 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/26(土) 16:44:08.09 ID:Fbl/ag.0
>>797






799 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 17:11:48.76 ID:KbU1L2Q0
うわ喧嘩うってるよこの人
800 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 17:48:43.42 ID:D0lVtwAO
>>794
すまん。嫌なことを思い出させたみたいで・・・
801 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 19:21:58.63 ID:js4s6Kco
上条さんにテレポ系の能力って無効じゃなかったっけか?
あと一方さんにも効くかどうか誰かkwwsk
802 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 19:23:21.98 ID:4cB/5E60
なんでwikiを見ようとしないのか
803 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 20:02:17.20 ID:U7Qlfcwo
なんでも誰かが答えてくれると思ってるからじゃね?
804 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 20:05:50.52 ID:5maZxn6o
>>1が来てるかと楽しみにしてたら何この流れ
805 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 21:31:00.71 ID:HBnTjmI0
>>1です。こんばんわ。
昨日よりは少ないと思いますが、
今日も今から投下していきます。
806 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 21:36:06.45 ID:vjH5VWko
 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +
     〈_} )   |
        /    ! +    。     +    +     *
       ./  ,ヘ  |
 ガタタン ||| j  / |  | |||
――――――――――――
807 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 21:38:52.90 ID:HBnTjmI0
とある廃ビル(美琴たちのアジト)――。

カタカタカタと、キーボードを叩く音がフロアに鳴り響く。初春が机の上でノートパソコンを使っているのだ。

初春「これをこうやって……こうして…」

実はそのノートパソコンは拾い物で、バッテリーの電池も切れていたのだが、美琴の電気によって回復させたのだった。

佐天「うーん?」

隣では、佐天がどこからか見つけてきたラジオをトントンと叩いている。

美琴「どう? 初春さん調子は?」

初春「あ、御坂さん。またバッテリー切れそうなので、充電お願いします」

美琴「はいはいお安い御用だ」ビリビリッ

初春「おーさすがです。ありがとうございます」

美琴「今どれぐらい進んでるの?」

初春「パソコンのスペックをあらかた調べて、どんなことが出来るのか調べてみました。そんなに古くない機種で助かりました。CPUも高性能で私にはおあつらえ向きですね。今、ネットワークのデバイスを改造して、何とか近くの無線LANを拾えないか試みてるところです」

美琴「結構進んでるじゃない。さすが初春さん」

初春「えへへ」

美琴「その調子で頑張ってね。それで……佐天さんは何やってるの?」

顔を反対に向ける美琴。見ると、佐天が古びたラジオ相手になにやら格闘していた。

佐天「これ拾ったラジオなんですけど…うんともすんとも言わなくて…」

黒子「あらあら皆さんお揃いで。どうかいたしましたの?」

と、そこへ黒子も話の輪に加わってきた。

美琴「なんか佐天さんがラジオ拾ったみたいなのよ」

佐天「ええ、でもぜんぜん動かなくて」
808 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 21:45:10.86 ID:HBnTjmI0
美琴「ちょろっと貸してみて」

美琴は佐天からラジオを受け取り、手の中に収めると、電気を発した。

ビリッ

ジジジジ……

すると、数秒ほど空電ノイズが響いた後、

『続いてのニュースです……』

なんと、ラジオが復活した。

佐天「おおお、聞こえたーーーー」

『………今朝、第5学区の廃墟で爆発があり……』

黒子「お姉さまにかかればどんな電化製品も永久に使えますね」

『………調べでは、廃墟は学園都市に潜入中のテログループのアジトと……』

初春「コンセントいらずで助かりますよー」

『………目撃談では、1人の外国人と思われる男が廃墟に入り数分後に爆発した模様で……』

美琴「こーら。私はどこぞの電気系モンスターじゃないのよ?」

『………外国人の外見は、赤い髪に教会の神父のような服を身に纏い……』

佐天「でもこれで多少は便利になりましたね」

『………現場では外国人の男も含め生存者がいる可能性は絶望的と見られ……』

初春「とにかく、あと少しで独自のネットワーク構成に成功しそうです。そうなったら、ネットも使えるようになりますから、情報も得られるようになります」

美琴「やるわねぇ。頼むわよ。上条当麻と一方通行に辿り着くためなんだから」

初春「はい」

美琴が初春の肩をポンポンと優しく叩いて褒めると、初春は照れくさそうに返事をした。
809 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 21:52:00.21 ID:HBnTjmI0
佐天「………そう言えば気になってたんですけど」

不意に、佐天が美琴に訊ねてきた。

美琴「なぁに?」

佐天「あたしたちが、上条当麻と一方通行に負けた時、もう1人小さい女の子がいませんでしたか?」

美琴「…」ピク

美琴が小さく反応した。

黒子「ああ、確かにいましたわね。10歳ぐらいの女の子が、一方通行に連れられて」

佐天「初春、あの子のこと知ってる素振りだったけど、知り合いなの?」

初春「いえ、知り合いじゃないです。ただ以前、街を歩いてた時に一時だけお世話をしただけで、名前も素性も全く知りません。私は『アホ毛ちゃん』って呼んでるんですけど、一方通行とはどんな関係があるんでしょうね」

佐天「でも…引っ掛かってるんだけど、あの子、御坂さんに似てるよね?」

その言葉を機に、一気に3人分の視線がザッと美琴に寄せられた。

美琴「………っ」

美琴は思わず、と言うように反射的に顔を逸らしてしまう。

黒子「お姉さま確かあの時、あの子のこと『打ち止め(ラストオーダー)』って呼んでいましたが……やはりお姉さまの知り合い…いえ、身内ですか? やたらお姉さまに似てる感じがしたのですが…」

美琴「…………………」

黒子「お姉さま?」

黙ったまま顔を僅かに俯け、美琴は3人と視線を合わせようとしない。
810 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:02:02.63 ID:HBnTjmI0
『打ち止め(ラストオーダー)』―― 一方通行(アクセラレータ)の『絶対能力進化(レベル6シフト)実験』において生産された2万体の美琴のクローン―『妹達(シスターズ)』の司令塔とも呼べる存在。
美琴は彼女のことや彼女と一方通行の関係については知っていたが、何故彼女が、誘拐殺人を働いている一方通行と共にいるのかは分からなかった。
思い出す限り、彼女が無理矢理従わされているような感じはしなかった。そもそも一方通行は打ち止めに対しては、どんな内容であっても強要はしないだろう。

佐天「親戚とかですか?」

初春「おーい御坂さーん」

美琴「………………」

となれば、打ち止めは自らの意思で一方通行の誘拐殺人行為に幇助している可能性が高い。そして、打ち止めが協力していると仮定するならば、妹達(シスターズ)も彼らに関係していると見るのが妥当だ。
妹達も自らの意思で協力しているのか、それとも打ち止めに命令されて協力しているのかは分からないが、少なくとも学園都市に残っている10人の妹達は何らかの形で関与しているはずだ。

黒子「…………お姉さま…」

美琴「ん?」

黒子「あの子供との間にどんな因果があるのかは存ぜませぬが、まだその関係を打ち明けられないとなれば、別に今すぐ無理矢理話す必要もありませんわ」

黙ったままの美琴を見て何かを察したのか、黒子が助け舟を出す。

初春「そうですね。別に今すぐ聞きたいってわけでもないですし」

佐天「また落ち着いて余裕があったらその時に話して下さい」

美琴「……………みんな、ありがとう…」
美琴「…お言葉に甘えさせてもらうわ」
美琴「ちょっと喉渇いたから、ペットボトル取りに行くわね」

元気の無い声でそれだけ告げると、美琴は部屋を出て行った。
彼女の後ろ姿を見送りながら、黒子は心配するように言う。

黒子「やはり、何かあるのですね」

佐天「ええ。何なんでしょうね?」

初春「まあそう簡単には話せない複雑な事情があるんでしょう。今はそっとしておきましょう」

美琴の寂しそうな背中がフロアから消えていった。
811 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:11:36.29 ID:HBnTjmI0
廃ビルの地下――。

床に広げられた毛布の上に仰向けに転がり、美琴は組んだ両手の上に頭を乗せる。

美琴「『打ち止め(ラストオーダー)』か……」

美琴は、自分の幼い頃の姿に瓜二つな少女の顔を思い出す。

美琴「そして『妹達(シスターズ)』……」

美琴にとって、妹達(シスターズ)が生まれた経緯や、その顛末はあまり他人に口外したくないことだ。それが一番親しい仲である黒子や佐天、初春ならば尚更だった。
妹達の存在と、『絶対能力進化実験』は学園都市の闇にも繋がることだ。彼女自身、学園都市の闇はほとんど知らないが、それでも黒子たちには全く縁の無い世界。その片鱗を少しでも語ってもいいのか、垣間見せてもいいのか、美琴は迷っていた。
何より、彼女の個人的な感情でも、妹達のことは親友でもある黒子たちには知られなくなかったのだ。唯一、それを心から打ち明けられた存在はこの世にたった1人――。でも、その1人は今は………。

美琴「はぁ…駄目ね私ったら……」
美琴「でも、あいつらと対決する以上、黒子たちに隠し通すのは悪いわ。あの子たちは、私を信じ、頼ってくれてるんだから……」
美琴「……後ちょっとだけ。後ちょっと心の整理がついたら、あの子たちにも全て話そう…。うん、そうしよう……」

深く溜息を吐き、右腕を顔の上に覆うように置くと、彼女は目を閉じた。
812 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 22:11:52.08 ID:YvyeCMM0
ステイル!?
813 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:16:26.15 ID:HBnTjmI0
とある部屋――。

一方通行「はァ…肩凝ったぜェ〜」

打ち止め「お疲れ様ー、ってミサカはミサカは缶コーヒーを渡してみる」

一方通行「おう、あンがとよ」

打ち止めから缶コーヒーを受け取り、ソファに腰を降ろすと一方通行は首をコキコキと鳴らした。

一方通行「ったくよォ…スーツなんて俺に似合わねェだろォが」

上条「まあそう言うなよ。レベル4の大能力者を嵌めるには、一芝居打つぐらいしないと逆にこっちが危ないんだからさ」

一方通行「けっ、何が一芝居だ。クソつまンねェ」

打ち止め「でも、スーツ姿の貴方も格好よかったなぁ、ってミサカはミサカは頬を赤くしてみるキャハ///」

御坂妹「馬子にも衣装……」ボソッ

一方通行「あァ? なンか言ったかァ?」

御坂妹「いえ別に…」

上条「そう言う御坂妹もスーツ、似合ってたぜ」

御坂妹「えっ……そ、それは、その…お褒めのお言葉ありがとうございます//// とミサカは突然掛けられたコトバニシンゾウガドキドキ……」ボソボソ

一方通行「イチャつくのもいいけどよォ、上条」

御坂妹「イチャ…っ!?///」

一方通行「でェ、どうすンだよ? あの常盤台の高飛車お嬢さまを死なすのは上手くいったが……いずれ超電磁砲たちに知られる羽目になンぞォ」

上条「それがどうかしたか?」

至極簡単に、上条は答えた。

一方通行「分かってるだろ? いずれ超電磁砲どもがそのことを知ったら、余計に俺たちに抵抗して悪あがきすンぞ。アイツらが俺らに歯向かってくるたび、相手すンのも面倒くせェだろ」

御坂妹「………………」

打ち止め「………………」

一方通行「だったら、ンなちまちまやってねェで、いっそのこと超電磁砲どもを先にターゲットにしちまえまいいンだ」

御坂妹「…その意見にはある程度同意します。先にお姉さまたちを何とかして動けなくしたほうが我々の計画もスムーズにいくのではないでしょうか、とミサカは推測してみます」

一方通行の主張に、御坂妹が倣う。しかし、2人の意見を聞いても上条は表情を変えなかった。
814 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 22:18:05.67 ID:FJuLCZIo
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815 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:23:34.56 ID:HBnTjmI0
上条「………………」

御坂妹「いずれにしても、今のお姉さまたちの行動は目障りなだけです。あれだけ『深く関わるな』と言っているのに……。何なら、このミサカが直接出て行って話をつけてきましょうか?」

パリパリッと御坂妹の手に青白い電気が発生する。

一方通行「オマエが行ってもオリジナルに返り討ちにされるだけだろォが」

御坂妹「いえ、お姉さまや白井さまはともかく、残りの2人はレベル1の低能力者とレベル0の無能力者。2人がお姉さまと白井さまから離れた隙に襲撃して、ある程度のダメージを与えることが出来れば、お姉さまたちの行動に亀裂を生み出すことが出来ます」

一方通行「2人やられたぐらいで諦めると思うかァ?」

御坂妹「『諦める』のと『出来なくなくなる』のは別物です。確かに、佐天さまと初春さまは、能力者としての純粋な力は持ち合わせていません。ですが、お姉さまをサポートするには十分な知恵や技術を持っていると思われます。いえ、それ以前にお姉さまたちは『4人一緒』でいることが第一条件なのです」
御坂妹「そこに亀裂を生じてさせてしまえば、お姉さまたちの行動をかなりの確率で阻止出来る、とミサカは推測します」

上条「……そのために、2人を傷つけるのか?」

御坂妹「別に殺すわけではありません。一時的に、病院に収容されるレベル程度の傷を負わせれれば十分だとミサカは確信します」

上条「駄目だ」

上条は即答していた。

御坂妹「えっ…」

一方通行「………………」

上条「あいつらを真っ先にターゲットにしたら本末転倒だ。最初に言っただろ」
816 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:30:14.04 ID:HBnTjmI0
御坂妹「ですがこのまま……」

上条「あいつらはさして脅威にならない。構ってるだけ時間の無駄だ。目の前に近付いてきた時だけ相手してやりゃいいんだ」

一方通行「まァ、視界の端でウロチョロされンのは鬱陶しいが、所詮、人間様の足元でウロチョロしてるネズミみたいなもンだからなァ」

上条「…………」

御坂妹「では、やはり放っておくのですか、とミサカは訊ねます」

不服そうな顔をして、御坂妹は上条を見据える。

上条「ああ、当初の予定通りにな」

御坂妹「……」

上条「話は以上だな? じゃ、俺は地上にいる仲間に現状報告してくるからな」

部屋を後にする上条。取り残される3人。
しばらくして一方通行が口を開いた。

一方通行「あのヤロウも優しいねェ。反吐が出るほどに……ケッ」

打ち止め「むーそんなこと言ったら可哀想だよ、ってミサカはミサカは説教してみる」

一方通行「あーはいはい」

御坂妹「…………………」
817 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:36:24.37 ID:HBnTjmI0
第7学区・とある大通り――。

空が橙色に染まる頃、御坂妹は1人、バッグを掲げて大通りを歩いていた。

御坂妹「…………………」

特に目的もなくトボトボと歩く御坂妹。
休校措置はまだ解除されていなかったが、自分がテロや事件に巻き込まれるとは露とも思っていないのか、何人かの学生たちは随所に見かけられた。



   ――「あいつらはさして脅威にならない。構ってるだけ時間の無駄だ。目の前に近付いてきた時だけ相手してやりゃいいんだ」――



御坂妹「あの人は甘すぎます。相手がお姉さまだから半端な対応をとっているのでしょうか。作戦や計画と言ったものは、不安要素を全て排除して初めて成功するものです、とミサカは溜息を吐きます」

彼女は愚痴を零しつつ、歩みを進める。

御坂妹「まあ、今は文句を言ったところで始まりません。気分転換に喫茶店にでも入りますか」

キョロキョロと辺りに喫茶店らしきものがないか、彼女は顔を振ってみた。

御坂妹「…ありませんね」
御坂妹「……ん? あれは…?」

ふと、裏路地の方に注意がいった。

御坂妹「!!!!!!!」

驚き、絶句する御坂妹。――無理も無かった。そこには、いるはずのない人物が2人立っていたからだ。
818 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:42:33.45 ID:HBnTjmI0
御坂妹「……佐天さまと、初春さま………」

見ると、佐天と初春の2人が裏路地の陰から身を隠すようにして表通りを覗いている。何をしているのかはよく分からなかったが、初春の胸元には開かれたノートパソコンらしきものが抱えられていた。ときたま、初春はそっちの画面をチラッと窺っている。

御坂妹「……何て…危機感の無いお二方なのでしょう……。今、ご自分たちが逃亡中で追われの身であることを理解しているのでしょうか? ……てっきりどこかの隠れ家に篭っているとでも思っていたのですが……」

佐天と初春は裏路地の陰に隠れているものの、よく目を凝らせばすぐにその姿を視認できる。まるで、『自分たちはここにいますよ』とアピールしているかのように。そのことに気付いているのか気付いていないのか、2人は普通に何かを話し合っていた。

御坂妹「………………」



   ――「あいつらはさして脅威にならない。構ってるだけ時間の無駄だ。目の前に近付いてきた時だけ相手してやりゃいいんだ」――



御坂妹「…………………」

上条の言葉が脳内に響く。
しかし………

御坂妹「目の前に無力な子猫を見つけておきながら、これを取り逃がす空腹の犬がいるでしょうか……」

初春と佐天は、変わらず隙だらけの姿で裏路地にいる。

御坂妹「貴方の意向に逆らった形になりますが、全ては我々の計画完遂のため。今は、たとえ彼女たちであっても障害となる不安要因は排除すべきです……とミサカは心を鬼にします」

彼女は視界の先にいる2人を据え、掲げたバッグの重みを確かめると、静かにその場を離れた。
819 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 22:47:44.36 ID:3sWqv.go
>>808

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820 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:48:39.00 ID:HBnTjmI0
その頃、自分たちが狙われているのも露知らず、初春と佐天は相変わらず裏路地の陰にいた。

佐天「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

初春「そうですね。もう十分だと思います」

初春は抱えているノートパソコンの画面を見る。

佐天「今日の夕飯はなんだろね」

初春「缶詰や保存食品に決まってるじゃないですか」

佐天「うー…そろそろ普通の食事が恋しくなってきたー」

初春「まだ2日目ですよ?」

彼女たちは踵を返し、路地の奥へと歩いていく。

佐天「帰ったら素振りの練習しよっと」

初春「佐天さん、バットを構える姿がサマになってきましたからねー」

佐天「えっへっへ、どんなもんだい。ま、あの上条当麻と一方通行を倒すためには、努力しないといけないからね!」





「残念ですが、その努力もここまでです」





佐天初春「え?」





御坂妹「……と、ミサカは本気モードに移行します」





821 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/26(土) 22:49:00.88 ID:4WFu6io0
どや顏の遺影は止めろwww
822 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:54:20.64 ID:HBnTjmI0
佐天と初春が振り返ったその先……別の路地の細道に、常盤台中学の制服を着た1人の少女がそこにいた。何故か……
  顔  に  ゴ  ー  グ  ル  を  覆  い  、  胸  に  ラ  イ  フ  ル  の  よ  う  な  も  の  を  抱  え  な  が  ら  。

佐天「!!!!!!」

初春「!!!!!!」

暗闇が支配する裏路地の中、その少女――御坂妹は僅かな夕日の明かりを背に、徐々に佐天と初春に近付いてくる。

御坂妹「貴女がたの逃亡生活もここで終わりです」

佐天「な………」

初春「え………」

正体不明の突然の闖入者を前に、佐天と初春が恐怖の色を浮かべる。
そして御坂妹は、佐天と初春の2人を見据えると、ただ一言だけ告げた。





御坂妹「……と、ミサカは狩りの開始をここに宣言します」





ゴーグルの奥の彼女の目が、ギラリと不気味に光った――。
823 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/26(土) 22:54:58.73 ID:HBnTjmI0
>>1です。
今日は以上です。
また明日来ます。
ありがとうございましたー。
824 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 22:55:43.29 ID:r59kMFE0
死亡シーンすら用意してもらえずにあっさり逝ってしまったステイルきょうねんさんじゅうよんさいに合掌
825 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/26(土) 22:55:57.34 ID:Fbl/ag.0
>>823
乙。いいところで止めすぎだよ乙。
826 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 22:57:13.35 ID:r59kMFE0


上条さんが何考えてるのかどんどん分からなくなってきた
827 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:01:23.44 ID:IMJlMvY0
私は信じているのだ•••
ステイルは私たちの胸の中で生きているのだと•••
828 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:01:34.30 ID:ybEys7I0
乙でした
829 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/26(土) 23:02:40.40 ID:Kl.T4.c0
ステイルがやったんじゃないの?
830 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:03:53.15 ID:9AjwUx2o
>>829
俺もそうだと思った
831 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:03:59.35 ID:/g0SaHIo
イノケンティウス「ステイル……奴は囮…本体は私だ」
832 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:04:06.63 ID:orGsTIo0
>>1乙。今日も気になるところで…

つかステイルが爆破したんだとおもったんだけど
833 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:06:41.03 ID:r59kMFE0
ステイルまで手にかけておいて今更美琴に手心を加えるかなぁ・・・

明らかに「甘さ」じゃないよな
834 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:18:51.46 ID:5yfntjko
ステイルがやったと思った
むしろ初春や佐天さんにはケガすらさせられないのにあっさりと殺された婚后さんが不憫
835 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:27:44.01 ID:orGsTIo0
どういう意味の殺された、なのか、がずっと気になってる。
絶対予想は書かないけどな。まだまだwktkしたいし
836 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/26(土) 23:36:04.29 ID:0D/otN.o
ステイルが爆破したんだろうな
837 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 00:04:32.27 ID:dZ7IEKAo
>>835
そう書かれると
「その幻想を……」と思っちまうじゃねーかwwww
838 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 00:35:43.28 ID:tjyGn.DO
上条は心の中では美琴達に止めて貰いたいんじゃね?逃げ道というか、自分では止まれないから止めて欲しい的な。美琴達に手を下さないのは美琴達に対する甘さというより自分に対する甘さな感じがする
839 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 00:59:34.88 ID:./gVT.E0
俺の予想では
上条さんは実は[ピーーー][ピーーー][ピーーー]て、実際には[ピーーー][ピーーー][ピーーー]じゃないかな。
[ピーーー]に[ピーーー]されてて、[ピーーー]は[ピーーー]の隠語じゃないかな。
840 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 01:21:31.38 ID:ZszM7lAo
規制の有効活用だなww
841 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 01:24:08.80 ID:wgsRFX.0
>>840
[ピーーー]しか知らないようにしか見えない。
もう少し[らめぇぇっ!]とか[切腹]とか[アタタタタタタタタタタタタタタタタタ]的に使って、
[禁則事項です]みたいにすればいいのに
842 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 01:48:30.06 ID:o6DJlYAO
[スプーだ!]
843 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/27(日) 01:50:06.38 ID:j6tifVso
>>831
な・・なんだってー(AA略
844 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:22:52.17 ID:BM0zB2AO
[たぬき]くらいしか知らないや
845 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:25:07.00 ID:7E.T.Lso
[ピーーー]
[ピーーー]
[たぬき]
[ネ申]
[切腹]

このぐらいかな
846 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:27:01.73 ID:Bwz3CISO
パー速機能覚書・テスト
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1274855909/

ここ見てくるとよろしい
847 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:29:51.37 ID:o/n.AIo0
打ち止めが黒そうで怖いなとずっと思ってたんだが
今は上条さんの方がなんか怖いな

逆に一方さんは全く怖くない
何でだ
848 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:31:57.86 ID:id4phMo0
俺は黄泉川が恐い
849 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:37:42.31 ID:rQsIAdMo
>>847
一方さんはこんな風になってるのが簡単に想像できるからじゃない?
850 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 02:38:38.78 ID:040sCMko
>>848
確かに黄泉川恐いな
事情知ってそう
851 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 03:35:56.21 ID:jOEi9P.0
>>850
「本部」に連絡取ってたから知ってるだろ
852 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 03:37:45.37 ID:040sCMko
いや上条さんたちの目的のほうの事情
853 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 03:51:23.07 ID:jOEi9P.0
>>852
いやいや、だから「本部」ってのが上jyおっと誰か来たようだ
854 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 04:43:58.14 ID:XMrxOVQ0
ステイルさんは生きてる、きっとそうだ!
855 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 04:47:40.05 ID:fDlQnccP
ステイルではない別のモブキャラかもしれない!
856 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 05:17:30.02 ID:l1HCkiEo
予想書くのやめろっつってんだろガキども
857 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 07:40:13.50 ID:yLz6/cco
あの文ってステイルさんが爆破しましたよって教えてくれてるところじゃないの?
上条さんたちに廃墟爆破できるスキルないだろ
858 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 08:07:02.26 ID:sRgEdcg0
おまえらこれ以上ステイルさんいじめるのやめろよ
859 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 09:43:50.23 ID:o6DJlYAO
真犯人は[スプーだ!]
860 :以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 10:52:15.15 ID:uMpDTG6o
もうすぐでスレが埋まる
861 :以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします[sage !蒼_res]:2010/06/27(日) 11:16:06.49 ID:./gVT.E0
予想を書くのは駄目じゃんよぉ…クソ餓鬼共ぉ…

こうですかわかりません


多分上条さんは[あぼーん]を[ピーーー]て、実は[禁則事項です]に[ピーーー]されて[らめぇぇっ!]だと思う。
862 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 11:39:20.61 ID:hwlqFUAO
今どれくらいまで来てんの?
未だ先が見えないが
863 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 11:41:13.69 ID:hh9.8wQo
起承転結
. ↑
このへんじゃね?
864 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 13:17:46.49 ID:609Dgqco
否、おそらく"承"には入ってる。

なんにせよ、このスレ中に簡潔は無理かと
865 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 15:28:53.71 ID:68tTzkAO
>>1乙!
予想とかテストはやめてほしいんだよ
866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 17:09:51.46 ID:4vI2rEAO
>>1
スレ消費激しいな・・・
867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 21:29:11.38 ID:CsFSpKQ0
>>1です。こんばんわ。
今日も投下していきます。
868 :以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします[sage !蒼_res]:2010/06/27(日) 21:32:23.66 ID:./gVT.E0
待ってたよ
869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 21:35:21.34 ID:CsFSpKQ0
佐天「誰あんた……?」

佐天は目の前に唐突に現れた1人の少女に質問する。
少女――それだけなら佐天も初春も彼女に恐怖を覚えることなどなかったはずだ。
しかし、その少女の顔半分をゴーグルらしきものが覆い、胸に黒光りするライフルのようなものを見せられれば、話は違った。

御坂妹「ミサカはミサカです、とミサカは告げます」

そう言って御坂妹はゴーグルを上に押し上げた。

佐天「!!??」

初春「!!??」

佐天初春「御坂さん!!??」

驚き、佐天と初春は同時に叫ぶ。

御坂妹「……妹です、とミサカは必要最低限の説明だけ付け加えます」

佐天「妹?」

初春「妹って……」

御坂妹「……妹は妹です、とミサカは再度述べます」

佐天「何を………」

御坂妹「何を? 簡単なことです。ミサカは貴女たちの排除に来ました」

佐天初春「!!!!????」
870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 21:41:25.70 ID:CsFSpKQ0
御坂妹「分かりませんか? ミサカは貴女がたの宿敵・上条当麻と一方通行の仲間です、とミサカは衝撃的事実を打ち明けます」

佐天「仲間!?」

初春「あの2人の!?」

それだけで十分だった。それだけで彼女たちは動揺し、冷静さを失っていた。
佐天と初春は横目で視線を交わす。
彼女たちの足元にあるのは1つのマンホール。蓋に『D-14』と刻まれた、隠れ家への通路の入口だ。逃げ場所はすぐ真下にあるのに、佐天と初春は、敵を前にして何も出来なかった。

御坂妹「お話も飽きました。そろそろ、始めましょうか」

佐天初春「!!!!」

御坂妹「恨むなら、逃亡中でありながら愚かにも堂々と街に姿を現したご自分を恨んでくださいね、とミサカは準備が整ったことを告げます」

カチャッ

御坂妹の持つFN F2000の銃口が佐天と初春に向けられた。
初めて間近で見るアサルトライフルの銃身を見て、2人が慄く。

ダッ!!

御坂妹「!」

次の瞬間、佐天と初春は駆け出していた。

御坂妹「逃げますか……」

2人は更に路地の奥へと向かっていった。

御坂妹「まあそれぐらいのハンデなら構わないでしょう」

ガチャン

御坂妹はライフルの遊底を引くと、2人を追い始めた。
871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 21:47:39.68 ID:CsFSpKQ0
初春「佐天さん、どうしよう……?」

佐天「どうしようって、分かんないよそんなの…!!」

御坂妹と遭遇し、何とかその場から逃げ出してきた佐天と初春は今、必死になって迷路のような路地を走り回っていた。

初春「妹って……どうして御坂さんの妹さんが上条当麻と一方通行の仲間なんですか!?」

佐天「だから分かんないってば!!」

焦りと緊張が2人の心を揺らぶる。
と、その時だった。

パパパン!!!

佐天初春「!!!???」

空気を切り裂くような金切り音が彼女たちの頭上に響いた。
急いで2人は振り返った。

御坂妹「鬼ごっこもいいものですね。ミサカは鬼ではありませんが、とミサカは当たり前のことを言って2人を追いかけます」

佐天初春「わあああああああああああああ!!!!!!」

佐天と初春の走るスピードが上げる。

御坂妹「殺しはしませんし、相手は戦闘の『せ』の字も知らないただの子供……フルオートの必要はありませんね」

ボソボソと呟きながら、御坂妹はライフルのセレクターを、フルオートからスリーショットバーストへ切り替えた。

御坂妹「ま、少し痛い目に遭ってもらうのは事実ですが……ん?」

不意に、御坂妹の視界から2人が消えた。どうやら角を曲がって逃げたようだ。

御坂妹「……貴女がたの足でミサカから逃げられると思っているのでしょうか、とミサカは呟いてみます」
872 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 21:53:49.91 ID:CsFSpKQ0
容赦を知らない追跡者から逃れる佐天と初春。
不安と恐怖に苛まれた彼女たちが行き着いた先は、建設途中で工事が中止されたビルの跡地だった。

佐天「うわ! 行き止まり!?」

初春「お、追いつかれますよ!」

2人は振り返る。
そこに御坂妹の姿はない。だが、油断は出来なかった。

佐天「………よし!」

初春「え?」

ダッ

佐天は初春の手を掴んで、工事現場の中に入っていく。
873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 21:58:57.45 ID:CsFSpKQ0
御坂妹「建設途中で放棄されたビルですか……」

しばらくして、御坂妹がビルの工事現場までやって来ていた。彼女は、暗くシートで閉ざされた空を見上げる。

御坂妹「隠れても無駄ですよ、とミサカは予め注意しておきます」

ローレディーの体勢でライフルを構え、彼女は一歩、一歩と奥へ進んでいく。

御坂妹「…………………」

ヒュッ

御坂妹「!」

振り返り、音がした方に銃口を向ける御坂妹。

御坂妹「!!」

見ると、彼女に向かって、両手大のコンクリートの破片が飛んできた。

御坂妹「無駄な足掻きを……」

パパパァン!!!

バガァン!

しかし、御坂妹はいとも簡単に、破片をF2000で粉微塵にした。

ヒュッ

今度は背後から音がし、彼女は軽快にターンすると、同時にライフルを発砲した。

パパパァン!!!

バガァン!

連続で発射された3発の5.56mm弾がコンクリート片を粉微塵にし、御坂妹の目の前をバラバラと落ちていく。

御坂妹「一体何のつもり………ん?」

タタタタタタ……

背後から足音が聞こえた。御坂妹が振り返ると、障害物から飛び出した佐天が全速力で走っているのが見えた。どうやら彼女は数m先の、数段に重ねられた土嚢の陰に逃げ込もうとしているようだった。

御坂妹「……飛んで火に入る夏の虫」カチャッ

容赦なく彼女は、佐天に銃口を向ける。

御坂妹「殺しはしません。ほんの少し怪我を負わせれば簡単に勝負がつきます、とミサカは彼女の足を狙ってみます」
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:06:38.40 ID:CsFSpKQ0

パパパァン!!! パパパァン!!!

佐天「!!!!!」

驚いた佐天の顔が強張り、全力疾走で走っていた彼女が更にスピードを上げる。
佐天の足を貫くべく御坂妹から放たれた銃弾は、彼女の足跡を辿るようにバスッバスッと地面に着弾していく。

パパパァン!!!

しかし、上手く逃げ切った佐天は素早く土嚢の陰に隠れてしまった。

パパパァン!!!

ドスッ! ドスッ! ドスッ!

と、その時だった。
止まることのなかった御坂妹の銃弾が土嚢を突き破った瞬間。

御坂妹「!!!???」

土嚢から撒き散らされた石灰が、一気に周囲に浸透した。

御坂妹「これは……」

――目くらまし。わざわざ佐天が姿を晒してまで走ったのはこれが狙いだったのだ。
ダットサイトから目を離し、御坂妹は周りに警戒の視線を流す。

御坂妹「しかし、これで逃げ切れると思っているのでしょうか。だとしたら…とんだ勘違いですね、とミサカは忠告しておきます」

石灰に覆われた視界の奥にいるだろう佐天に向けて彼女は言葉を発する。

御坂妹「工事現場から出るためにはミサカの側を通り抜ければなりません。それをミサカが見逃さないとでも?」

しかし、相手からは何も返事が無い。

御坂妹「………………」

ヒュッ!

その時、前方から音がした。
咄嗟にライフルの銃口をそちらに向けた御坂妹が見たのは、彼女に向かって飛んでくる破片だった。

御坂妹「またそれですか」

パパパァン!!!

御坂妹は飛来した破片に向けて発砲する。
が………

御坂妹「なっ………」
875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 22:11:44.90 ID:Cr3mTtU0
なるほど
876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:13:03.38 ID:CsFSpKQ0
実際にはそれはコンクリートの破片ではなく、スプレー缶か空き缶のような円柱形のものだった。
無論それだけなら危険は無いのだが、問題は御坂妹が破壊したその物体の中に、大小様々な石が詰められていたことだ。

御坂妹「くっ……」

石つぶてが彼女を襲う。鋭い角を持った石が彼女の頬を軽く裂いた。
御坂妹は降り注ぐ石から反射的に左手で顔を覆ったが、それが仇となった。

初春「わああああああああああ」

御坂妹の背後から初春が現れた。石灰によって視界を極端に狭められていたため、気付かなかったのだ。

御坂妹「!!!!????」

カチャッ

右手だけで銃口を向けようとするが、それを予測していたのか初春は持っていた鉄パイプで彼女の右手を叩いた。

御坂妹「チッ……!!」

御坂妹の右手がライフルのグリップから滑り落ちる。
3点スリングで肩に提げていたため、地面に落ちることはなかったが、それでも彼女の手元から唯一の得物は放れてしまった。

初春「うわああああああああ!!!!」

その重さにつられているにも関わらず、初春は鉄パイプを御坂妹に向けて振り下ろさんとする。

御坂妹「くっ!」
877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:19:33.47 ID:CsFSpKQ0

ドガッ!!!

咄嗟に御坂妹は、左足を強く地面に踏みしめ、遠心力も使ってその細い右足を力一杯薙ぎ、初春のパイプを蹴り飛ばした。

初春「あっ!!」

カランカラーン!!!

初春の手元から鉄パイプが放れていく。

バチバチッ!!!

当然、その隙を見逃さなかった御坂妹は、がら空きになった初春の身体に向かって左手から発した電撃を食らわせようとした。
が、しかし…

佐天「でえええええええええええええいい!!!!!」

御坂妹「!!!!!?????」

初春に気を取られていたためか、御坂妹は後ろから飛び掛ってくる佐天に気付く余裕が無かった。
鉄パイプを持った佐天が御坂妹の顔を狙う。

佐天「もらったああああああああ!!!!!」
佐天「!!!???」

ビリビリビリッ!!!

御坂妹の右手から電気が発した。そして、彼女の右手は牽制するように佐天の目の前でピタと止められた。
878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:25:19.25 ID:CsFSpKQ0
佐天「うっ…くそっ……」

御坂妹「ハァ…ゼェ…ハァ…」

切れた頬から血を垂らしながら、御坂妹は佐天を見据える。

佐天「………っ」

初春「佐天さん!」

御坂妹「動かないで下さい、とミサカは少々苛立った声で忠告します」

佐天の顔の目の前では御坂妹の右手から電気が発しており、逆に初春の顔の目の前でも同様に御坂妹の左手から電気を発せられていた。

佐天「……『電撃使い(エレクトロマスター)』!?」

場は一時、こう着状態となる。

御坂妹「ミサカの得物がライフルだけだと思ったのですか? 貴女はどうせミサカが生まれた経緯もご存知ないようですが、ミサカはお姉さまと同じ能力を使えるのですよ? もっとも、威力は劣りますが……」

佐天「そんな……」

御坂妹「と言っても、本気で電撃を放てばミサカでも人を殺すことは出来ます、とミサカは説明しておきます」

佐天「チクショー……」
879 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:31:38.13 ID:CsFSpKQ0
御坂妹「無闇には殺しません。ただ、貴女がたの存在は“色んな意味で”厄介なのです。だから、病院送りになるほどの怪我だけは覚悟して下さいね」

佐天「…………っ」

初春「ううう……グスッ」

御坂妹「これは一応貴女がたのためでもあるのですよ?」

佐天「ふざけんな……」

初春「ヒグッ……グスングスン…」

御坂妹「さて……」

佐天と初春を順に横目で窺う御坂妹。

御坂妹「お喋りも飽きました。少し痛いかもしれませんが、貴女がたには病院でしばらく世話になるぐらいの火傷を負ってもらうとしますか、とミサカは両手の電撃の威力を強めます」ビリビリッ

佐天初春「!!!!????」

御坂妹「最初から貴女がたのような、経験も無い、ろくに戦闘も出来ない、暗部の世界も知らないただの中学生にミサカを倒すことなど無理な話だったのです。そんな貴女がたがミサカよりも強いあの2人に勝てるとお思いですか」

佐天初春「………っ」

突き放すように語る御坂妹の言葉に、佐天と初春は無言になる。
880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:32:27.32 ID:CsFSpKQ0
御坂妹「無闇には殺しません。ただ、貴女がたの存在は“色んな意味で”厄介なのです。だから、病院送りになるほどの怪我だけは覚悟して下さいね」

佐天「…………っ」

初春「ううう……グスッ」

御坂妹「これは一応貴女がたのためでもあるのですよ?」

佐天「ふざけんな……」

初春「ヒグッ……グスングスン…」

御坂妹「さて……」

佐天と初春を順に横目で窺う御坂妹。

御坂妹「お喋りも飽きました。少し痛いかもしれませんが、貴女がたには病院でしばらく世話になるぐらいの火傷を負ってもらうとしますか、とミサカは両手の電撃の威力を強めます」ビリビリッ

佐天初春「!!!!????」

御坂妹「最初から貴女がたのような、経験も無い、ろくに戦闘も出来ない、暗部の世界も知らないただの中学生にミサカを倒すことなど無理な話だったのです。そんな貴女がたがミサカよりも強いあの2人に勝てるとお思いですか」

佐天初春「………っ」

突き放すように語る御坂妹の言葉に、佐天と初春は無言になる。
881 :以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします[sage !蒼_res]:2010/06/27(日) 22:35:53.95 ID:./gVT.E0
え?
882 :二重投稿すみません[saga sage]:2010/06/27(日) 22:36:42.08 ID:CsFSpKQ0
御坂妹「では、現実を思い知ったところで貴女がたに休息を与えてあげるとしましょう。地獄の日々ともこれでお別れです。まあ、もっとも今の学園都市には安心して暮らせる場所などどこにもないので、お別れとは言い難いのでしょうが……」

バチバチバチッ!!!

佐天初春「!!!!!!」

御坂妹「取り敢えず今は夢の世界にでも現実逃避しておいて下さい、とミサカは電撃を直撃させます」

佐天初春「………!!」

佐天と初春が思わず目を閉じる。






「その2人であんたを倒せなくても、私ならあんたを倒せるのかしら?」






御坂妹「!!!!!!!!」
883 :以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします[sage !蒼_res]:2010/06/27(日) 22:37:43.35 ID:./gVT.E0
いや気にせずにまったりやって下さい。
884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/27(日) 22:39:56.39 ID:6Jeo3TI0
グスングスンがビクンビクンにみえあt
885 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 22:41:15.16 ID:yLz6/cco
ID:./gVT.E0

なにこの厨坊?
886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:42:56.51 ID:CsFSpKQ0
佐天初春「!?」

その時、チャリンという音とともに、御坂妹の背後から1つの声が響いた。

御坂妹「…………っ!!」

振り返る御坂妹。


美琴「どうする? ここで姉妹喧嘩始めちゃう?」


そこには、コインを手に身体中に青白い光を纏う御坂美琴(オリジナル)が立っていた。

美琴「もっとも、妹が喧嘩で姉に勝てるとは思わないけどね」

御坂妹「お姉さま……っ!!」

不適な笑みを見せ、美琴は手元のコインの照準を御坂妹の顔に向けている。

美琴「この位置関係なら、あんたの頭だけでも吹き飛ばすことぐらい出来るわよ?」

御坂妹「………くっ」

美琴「でも私は、あんたを殺したくない。それは、分かるでしょ? “あいつ”に助けてもらったあんたならね……」

御坂妹「………………」

美琴「もっとも、今は“あいつ”もあんたや一方通行と一緒になって悪の組織を作ってるようだけど?」

御坂妹「何を得意げになっているかは存じませぬが、お姉さま……。お姉さまがミサカを殺せないのなら、ミサカの優勢は変わりませんよ? と、ミサカは豪語してみます」

美琴「へぇ? 人質もいないのに?」

御坂妹「?」
御坂妹「!!!!!」

その言葉を聞き、何かに気付いたのか御坂妹は視線を両隣に向けてみた――さっきまでいたはずの佐天と初春の姿がない。

御坂妹「………っ」



黒子「まぁったく、お姉さまに妹君がいらっしゃるのなら、教えて下さってもいいのに」



御坂妹「!!」
887 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:49:41.72 ID:CsFSpKQ0
不意に、あらぬ方向から発せられる新しい声。
御坂妹が再び顔を戻すと、美琴の側に佐天と初春が、そして黒子が立っていた。

御坂妹「空間移動(テレポート)…っ!」

美琴「さて、どうすんの妹? 一気に形成逆転だけど?」

美琴の手中には、いまだ発射可能なコインが握られている。
無論、さっき美琴自身が言ったように彼女には御坂妹を殺す気は無かっただろうが、油断は出来なかった。
相手は学園都市・第3位の超能力者(レベル5)。その気になれば、コインを使わなくても御坂妹を一瞬で攻撃不能に出来るはずだ。

御坂妹「チッ……」

明らかに、状況が不利になったのを感じ、御坂妹は美琴を睨みつける。

美琴「おー恐い恐い。この子ったらいつから反抗期になったのかしら? お姉ちゃん、悲しいわ」

御坂妹「………………」

御坂妹の顔を見、彼女は戦意喪失したと美琴は判断した。

美琴「さて、あんたに一杯聞きたいことがあるんだけど?」

御坂妹「『妹達(シスターズ)』は元は、一方通行の実験にあてがわれるため、使用する銃器も改造されてあります」

美琴「?」

御坂妹「それは、こういったものでも例外ではありません」

突如、懐から細長い物体を取り出す御坂妹。

美琴「!!」

黒子「手榴弾!?」

美琴と黒子が物体の正体に気付くやいなや、御坂妹はそれを地面に叩きつけた。

美琴「伏せて!!!!」

ドォォン!!!

美琴が叫んだと同時、乾いた音と共に小爆発が起こった。
888 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 22:55:08.64 ID:CsFSpKQ0
美琴「…………?」

しかし、いつまで経っても爆風が発生しない。不審に思った美琴が両腕の中に埋めていた顔を上げた。

美琴「!!」

辺り一面は、白色の煙で覆われていた。

美琴「煙幕……ゴホッ」

黒子「……やられましたわね…ゴホッ」

美琴「……私たちが顔を伏せている数秒の間の隙と、視界を遮る煙幕で自分が逃げる確率を高めたってわけね」

黒子「……やってくれますわね」

2人は鼻と口を覆いながら、周囲の状況を確かめる。

黒子「お姉さまの妹君さまは、あの2人に協力してるようですが理由はご存知で?」

美琴「さぁ。知らないわよあんな反抗期の妹……」

何か含んだ口調で言う美琴。やはりどうも、あの美琴の妹は普通の妹ではないようだ。

黒子「………………」

佐天「うわ…これは一体……ゴホッ」

佐天が顔を上げ、真っ白になった工事現場を見て驚いた。

黒子「あまり口を大きく開けないほうがいいですの」

美琴「佐天さん、大丈夫?」

佐天「私は大丈夫ですけど、初春は?」
佐天「あ…」

佐天は傍らにいる初春に気付く。うつ伏せのまま、彼女は動かない。
889 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 23:01:26.57 ID:CsFSpKQ0
佐天「初春! 初春!?」

黒子「初春!」

美琴「初春さん!」

初春「う……うーん」

3人が必死に声を掛ける。
数秒ほど気を失っていたのか、初春がゆっくりと目を開いた。

佐天「初春! 大丈夫!?」

初春「佐天さん……私は、大丈夫です…」

佐天「良かったー…」

黒子「冷や冷やしましたの」

美琴「安心したわ。とにかくみんな大丈夫のようね」

初春「……御坂さんの妹さんは…?」

美琴「逃げたわ……」

4人は正面を見据える。
晴れていく白煙の中、その先には無人の工事現場が広がっていた――。
890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 23:06:33.52 ID:CsFSpKQ0
夜・廃ビル(美琴たちのアジト)――。

御坂妹の襲撃の後、周囲の安全を確かめた美琴たち4人は再び『D-14』のマンホールから共同溝を使い隠れ家である廃ビルに戻ってきていた。

初春「うんうん、出来てます出来てます♪」

机の上でノートパソコンを覗きながら初春が満足した声を上げる。
カーテンによって全ての窓が遮られたフロアの中、美琴の電力供給で灯りが点いた部屋に彼女と佐天はいた。

佐天「やっぱり危険冒してまで外出た甲斐あったねー」ブンブン

部屋の中央では佐天がバットを振っている。元がスキルアウトのアジトだからか、彼女が簡単にビル内で発見したのだった。

初春「でもやはり、ジャッジメントのセキュリティも並大抵ではありません。そのせいか、監視カメラの乗っ取りも最大で10分が限度ですね」

佐天「ま、10分あれば十分っしょ」ブンブン

実は、彼女たちが夕方、第7学区まで出向いたのには理由があった。それは、街中に設置された監視カメラの調査だった。
初春は昨夜、廃ビルの側で1台のノートパソコンを拾っていたが、彼女はそのパソコンで独自のネットワークと強固なセキュリティシステムを構成、一番近い場所にある無線LAN経由で、幾重ものファイアウォールに阻まれたジャッジメントのサーバーに侵入し、そこを経由して監視カメラのモニターセンターを一時的に乗っ取ったのだった。

初春「えへへ〜私の臨時ノートパソコン『ハイビスカスちゃん』の威力、思い知ったかー♪」

佐天「(げ! 初春ってもしかして自分の使うパソコンに名前つけるタイプ?)」

初春はまず、第7学区の表通りの一角を監視していたカメラを10分ほど乗っ取り映像を録画。その録画映像を別の時間帯に再生することで、一時的に偽の監視映像を流すことに成功したのだ。

初春「本当はマイパソコン『ラフレシアちゃん』を使うのが一番なんですけど、謹慎中にアンチスキルに没収されちゃいましたし仕方ないですよね」

佐天「そ、そだね……」
891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 23:13:21.71 ID:CsFSpKQ0
夕方、第7学区に初春たちが出向いたのは、その偽の監視映像が実際に流れるかどうかを確かめるためだった。
彼女は、録画した偽の監視映像を、乗っ取ったモニターセンターから10分ほど再生。その映像をノートパソコン上で確認しながら、実際の現場の様子と見比べ、ハッキングに成功していたのか確かめたのである。

初春「ジャッジメント第177支部に置いてあるデスクトップパソコン『ウツボカズラちゃん』も使いたかったですけど、そっちには今行けませんし」

佐天「う、うん……(『ウツボカズラ』って…)」

結果、10分間とは言え、見事ハッキングは成功し偽の監視映像が流されたのである。

初春「そう言えば、実家に置いてある『ウィッチウィードちゃん』は元気にしてるかなー。知ってます佐天さん? 『ウィッチウィードちゃん』はこの10年間ずっと現役なんですよ?」

佐天「へ、へぇー……」

いつの間にか佐天が素振りを止め、初春の話に耳を傾けていた。

初春「でもジャッジメントのセキュリティも強固ですね。全くタイプの違うセキュリティをエリアごとに構成していて、どうしても街の一部分の映像しか乗っ取れません。しかも10分が限度だなんて……」

佐天「そうかな? それだけでも十分だと思うけど」

初春「再びあの上条当麻と一方通行に会うためにはどうしても地上へ出る必要がありますし、その時2人に辿り着くまで街中で監視カメラで捉えられたら洒落になりませんからね」

佐天「大丈夫だって。何とかなるよ」

黒子「初春、佐天さん」

と、2人が話している最中、黒子が部屋に入ってきた。

初春「あ、白井さん」

佐天「どうしたんですか?」

黒子「お姉さまが大事な話があるようなのですの。地下へ来て欲しいとのことですわ」

顔を見合わせる初春と佐天。恐らく、大事な話とは“あの”ことだ。
2人は黒子に従い、地下へ降りていった。
892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 23:19:32.93 ID:CsFSpKQ0
地下――。

美琴「あ、来たわね」

黒子たちの姿を見ると、床に敷かれた毛布の上で美琴は声を上げた。

黒子「さて、皆さんお揃いになりましたけど」

佐天「大事な話ってなんですか?」

初春「もしかして……」

美琴「うん、妹のことよ」

黒子と佐天と初春が自分の毛布の上に座る。
佐天の手にはバットが、初春の手元にはノートパソコンが置かれているが、これはもしもの時に手放さないための策だった。

美琴「つーよりも、“妹達”のことかな?」

佐天「達?」

黒子「もしかしてまだ妹君がおられるのですか?」

初春「へぇ、何人姉妹なんですか?」

美琴「んーっとね……」

一瞬、美琴は目に陰りを灯したが、構わず彼女は言い切った。

美琴「9970人姉妹かな?」

黒子佐天初春「は?」

一斉に、3人の目が点になる。
口を開けたままの彼女たちを気にせず、美琴は続ける。

美琴「何ようその目は? 冗談じゃないわよ」

黒子「いやいやお姉さま」

佐天「さすがに、1人の夫婦から9970人も子供が…しかも連続して女の子が生まれますかね?」

初春「もはや世界新記録どころじゃないと思うんですけど」

美琴「って言うか、正確には20001人姉妹だったわ」

黒子佐天初春「は?」
893 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 23:25:22.69 ID:CsFSpKQ0
再び、3人の目が点になる。

黒子「えーっと、それは……」

1拍置いて、美琴は口を開く。しかし、それは今までのどこか明るい口調と違っていた。

美琴「ごめんねー…皆に隠しててさ……。本当はこれ、学園都市の闇に繋がることだから、貴女たちには言いたくなかったのよ……」

佐天「学園都市の……」

初春「……やみ?」

すぐには理解出来なかったのか、キョトンとした表情で彼女たちは反芻する。
無理も無かった。彼女たちは、学園都市の『暗部』とは本来、もっとも遠い位置にいるような普通の女子中学生なのだから。

黒子「『置き去り(チャイルドエラー)』のようなものですか?」

彼女たちがせめて連想出来るのは、木山春生や春上衿衣たちが関わっていた実験ぐらいのものだった。

美琴「さあ、闇の世界の“実験”に質の優劣があるのかどうか知らないけど」

黒子佐天初春「実験?」

不吉な言葉を聞いてしまったかのように、彼女たちの顔が少し曇った。

美琴「私の『妹達(シスターズ)』が、“とある実験”のために生まれたのは事実よ」

黒子「……それは…」

佐天「……ど、どういう意味で?」

初春「実験って、一体何があったんですか?」

嫌な予感がしているのか、不安そうな表情を浮かべ、3人は訊ねる。
どうも彼女たちは今一つ要領を得ないらしい。想像しようにも、その材料となるものが少なすぎて手探り状態に等しかったからだ。

美琴「…………………実はね……」

目を深く閉じ、美琴はかつて自分の身に起こった忌まわしい記憶を語り始めた。
894 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/27(日) 23:25:53.07 ID:CsFSpKQ0
>>1です。
今日は以上となります。
ありがとうございました。
895 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:26:43.07 ID:./gVT.E0
乙です
896 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:29:13.48 ID:/tfo2gI0

よくよく考えると20001人も姉妹いるとかこえーよな
897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:39:07.40 ID:rdhlWhQo
乙乙
898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/27(日) 23:44:58.80 ID:5SRpm8U0
兄弟喧嘩かぁ……
899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:46:06.13 ID:jzVxy1.0

いつも良いところ終りおってww
900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:52:55.24 ID:hwlqFUAO
ここで言う20001人姉妹は美琴+同じ容姿のミサカ?
901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/27(日) 23:57:18.35 ID:mVxFkMIo

気になる終わり方しやがってwwwwww

レスも100きったな
そろそろか・・・
902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 00:05:18.52 ID:tmztycDO
>>900
打ち止め忘れるとか一方さんに殺されたいのか?
903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/06/28(月) 00:07:02.93 ID:mRDXXH6o
>>898
おいやめろ町レベルの喧嘩が起きんぞ
904 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 00:09:11.00 ID:9631weYo
番外は?あ、番外だからだめか
905 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 01:34:42.47 ID:O0m69gAO
乙!
しかしこの量と質を毎日投下とは頭が下がるな
906 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 10:34:39.43 ID:lvC/46.o
乙です。
ところで美琴って打ち止めの事は知ってるんだっけ?
このSSだと初回戦闘の時に合ってるけど。
907 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 10:54:00.20 ID:fETKmmgo
>>394
あたりみれば初見じゃないっぽいと思う
908 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 11:13:18.30 ID:VK4ClHQo
>>906
>>277読めば面識あることわかるだろ
質問するならきちんと読んでからな
909 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 16:22:03.91 ID:NKDs1HEo
>>908
お前こそよく読めww
>>906は初回戦闘で会ってるってわかってるから原作でのこと聞いてるんだろ

原作では12巻で一瞬会っただけだけど、美琴も打ち止めもお互い完全にスルーだったから知ってるかは微妙なんだよなぁ
910 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 21:40:42.78 ID:iCw20D20
>>1です。
こんばんは。
今日も投下していきます。
911 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 21:41:17.17 ID:1RXzBpIo
キター
912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 21:43:26.85 ID:73bj0ik0
待ってたよ
913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 21:46:52.05 ID:v4sPrsAO
期待してるんだよ!
914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 21:47:26.22 ID:iCw20D20
一方通行「さァっすが御坂美琴(オリジナル)のクローン、猪突猛進なのは姉妹でそっくりだなァ」

御坂妹「………………」

狭い部屋の下、一方通行はニヤニヤと不気味な笑みを描いた。

一方通行「やっぱり遺伝ってヤツかァ?」

御坂妹「………………」

上条「あれほど言っただろ。あいつらには手出しする必要は無い、放っておけばいいって……」

打ち止め「わざわざミサカネットワークをログアウトしてまですることだったのかな? ってミサカはミサカは10032号を叱ってみる」

上条と打ち止めから叱責を受け、御坂妹は借りてきた猫のようにシュンとしていた。
無論、叱責の理由は、勝手に佐天と初春を襲い、傷つけようとしたことだ。

上条「今あいつらに手出ししても本末転倒なだけだ。どうせ、いずれはあいつらも目標になるんだ。無駄に傷つけても意味無いだろ。それほど脅威にもならないだろうし……」

御坂妹「………」

打ち止め「しかもお姉さまとツインテお姉ちゃんに逆に追い詰められるなんて。2人が近くにいることは考慮しなかったのかな、ってミサカはミサカは疑問を呈してみたり」

上条「御坂はお前のこと無駄に殺したりはしないだろうけど、本気になれば簡単に重傷を負わせることぐらい出来るんだぞ。お前まで失ったら、俺たちはどうすりゃいいんだよ」

御坂妹「………………」

一方通行「もういいじゃねェの。2人して責めることでもねェンじゃねェの?」

横から一方通行が御坂妹を援護するが、どことなく彼の顔は笑っている。

打ち止め「貴方は黙ってて、ってミサカはミサカは怒鳴ってみる」

一方通行「あーうっせェうっせェ」

打ち止め「もう!」

一方通行「ソイツはアイツらの行動が目障りだったから、子猫ちゃンたちを襲ったンだろ。上条、オマエが『あいつらは大して脅威にならない』って言ってるのには同意だが……」

上条「……………」
915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 21:52:19.51 ID:O0m69gAO
キタアアアアァァァ
916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 21:54:18.46 ID:iCw20D20
一方通行「やっぱり不安の種は完全に摘み取っとくもンだと思うぜェ? 誰だって自分の側を蚊が飛び回ってたらうざってェだろ? いいじゃねェか、それだって1つの方法って言うもンだ。コイツはそれを実行しただけだ」

御坂妹「……………」

一方通行「まァ、超電磁砲やテレポーターの存在を考慮しないで、無謀にも突っ込ンでいったのは危機感無さ過ぎだけどなァ」ニヤニヤ

上条「はぁ……。とにかく、今後あいつらを見かけても手出しはするな。いいな? あいつらが何度、歯向かってきてもその都度、簡単に相手してやれば済むんだから」

一方通行「半分同意で半分不同意だな」

御坂妹「分かりました」

上条「ん?」

御坂妹「ごめんなさい……」

それだけ残すと、御坂妹は小走りで部屋を出て行った。

上条「あ……」

一方通行「あ〜あ〜あ、泣ーかしたァ、泣〜かしたァ♪ せェェンせェェに言ってやろォ♪」

上条「…………」

一方通行「フラれちまったなァ」ニヤニヤ

打ち止め「もう、茶化さないの!」

一方通行「ンだよ。オマエはどっちの味方だよ」

打ち止め「そりゃ、10032号がミサカたちの今後のことを考えて行動したってのは分かるよ。痛いほどにね。でも、やっぱりやり方は間違ってるよ……ってミサカはミサカは複雑な心情を吐露してみたり」

一方通行「まあ俺はどっちでもいいがよォ」

興味が無いように、一方通行は立ち上がり、ミニ冷蔵庫から缶コーヒーを取り出した。

一方通行「アイツはオマエを思ってやったってのも事実なンだぜ?」

ニヤニヤと笑みをつくり、一方通行は缶コーヒーを扇いだ。

上条「………………」
917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:08:17.69 ID:iCw20D20
寝室の壁を、上条はノックする。
寝室と言っても大したものでもなく、ベッドが1つと一人用の椅子が2つあるだけだ。御坂妹は、就寝時はこの部屋で打ち止めと一緒に眠っていた。

上条「入るぞ?」

ガチャッ

背中を見せながら、御坂妹はベッドの端に座っていた。

上条「………………」

御坂妹の元まで上条は歩き、そして声を掛ける。

上条「座ってもいいか?」

御坂妹「……どうぞ、とミサカは俯き加減になりながらも答えます」

上条「フー」ドサッ

御坂妹「………………」

上条は御坂妹に並ぶようにベッドに腰掛けた。
対して、御坂妹は顔をそっぽ向けているようだった。彼女の頬に貼られたばかりの絆創膏が見て取れた。

上条「あのさ……」

御坂妹「先程は不躾な態度をとり、申し訳ありませんでした、とミサカは謝ります」

上条より先に御坂妹が話を切り出していた。

上条「ん? え? ああ……気にしてないよ。俺も言いすぎた」

御坂妹「………………」

上条「………………」

しばらく沈黙が訪れたが、やがて再び御坂妹が口を開いた。

御坂妹「いえ……ミサカの行動が貴方がたに迷惑を掛けたのは事実です、とミサカは認めます。ただ、ミサカは、貴方のために、どうしても目の上のたんこぶだけは取り除いておきたかったのです……」

上条「…………………」

御坂妹「身の丈を弁えない言動だとは承知しています。しかし、貴方の目標を完全に叶えるためにも、ここでお姉さまたちを足止めしておく必要があると思ったのです。たとえ本末転倒だろうと」
御坂妹「でも……貴方の目標は、我々の、そしてミサカの目標でもあります。最後に行き着くところは、貴方と同じであることは、嘘偽りありません。それだけは、知っていて頂きたいのです、とミサカは打ち明けます」

静かに、淡々と御坂妹は言葉を紡ぐ。
918 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:13:19.18 ID:iCw20D20
上条「……………ああ、分かってるさ」

御坂妹「?」

上条「ありがとな御坂妹。お前が俺たちのために、自分自身のためにやったっていうことは別に責められることじゃない。俺や打ち止めが責めてるのは、その方法だけ。何も、お前を真っ向から否定しているわけじゃないんだ。それだけは覚えといてくれ」

御坂妹は、隣に座る上条の顔をジッと見つける。

御坂妹「…そうですよね。貴方の仰る通りなのに、ミサカは自分の存在が否定されたように思えてつい逃げ出してしまいました……ごめんなさい」

懸念が取り払われたためか、御坂妹の顔が少し緩んだ。
彼女の左手は、首から掛けられているハート型のネックレスに添えられている。

上条「気にすんな。俺も言いすぎた。だから…勝手にいなくなったりすんなよ? お前を頼りにしてるんだからさ」

御坂妹「………ミサカは、貴方に最後まで付いていく、と誓った身です。何があっても貴方を置いて先に逃げたりはしません。それだけは確かです、とミサカは宣言しておきます」

それを聞き、上条はうんうんと頷く。

上条「ありがとな」

御坂妹「こちらこそ」

僅かに笑みを浮かべ合う2人。
しかし、ここまでの会話は彼女たちにってプライベートでの範疇に入るものだ。

上条「で、次のターゲットの件なんだが」

御坂妹「はい」

途端に、2人の顔つきが変化する。
仕事の話となれば、彼らはプライベートと全く違う顔を見せるようになる。

上条「もう、日数も足りない。今夜、これから出発するが、構わないか?」

御坂妹「ええ。何の問題もありません」

上条「婚后光子の件と合わせて、連続になるけど、疲れないか?」

御坂妹「まさか。それだけで疲れるなら、とっくにミサカはダウンしています」

上条「分かった。それじゃあ部屋に戻ろう。次のターゲットの詳細を説明する」

御坂妹「承知しました、とミサカは答えます」

2人は新たなる仕事をこなすため、寝室を後にする――。
919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:20:22.85 ID:iCw20D20
とある廃ビル(美琴たちのアジト)――。

黒子「絶対能力(レベル6)……進化(シフト)…実験……」

佐天「ただ、殺されるためだけの……2万人のクローン……」

初春「既に、10031人が虐殺されている………」

顔を真っ青に染め上げ、3人はただ、今聞かされた単語を口中で呟くしかなかった。

美琴「………………」

彼女たちの顔を見、美琴は目を伏せた。
無理も無かった。美琴が今語ったのは、御坂妹をはじめとする『妹達(シスターズ)』が生まれた経緯、その顛末だ。常人なら、その余りにも非人道的な内容に言葉を失くすほどの話だ。実際、目の前の彼女たちは今まさにそんな感じで、顔を蒼くするばかりか、動くことも出来ないようだ。

黒子「……そんなことが……実際に、行われたのですか?」

信じられない、という目で黒子が美琴に質す。

美琴「………ええ。全て、事実よ」

黒子「……『神ならぬ身にて天井の意志に辿り着くもの』……」

佐天「…一方通行はかつて絶対能力(レベル6)に進化しようとしていたって……」

初春「そのために、2万人もの人間がただ殺されるためだけに生み出されたんですか?」

美琴「そうよ………」

やはり、黒子たちは簡単に理解出来ていない。と言うよりも、理解したくない感じだった。それもそのはずで、美琴が今語ったことは、彼女たちの日常の学園都市の世界とは余りにもかけ離れていて、想像を絶するものだったからだ。

美琴「………これが、学園都市の『暗部』の  一  端  よ」

黒子佐天初春「一端……」

まだそれだけでも一端だと言うのだから、黒子たちの驚き様は増すばかりだ。しかもそれ以上のことは、レベル5の美琴ですら知らないと言うのだから、彼女たちにとってそれは未知の世界とも言えた。

美琴「でも心配しないで。さっきも言ったように、その実験は全て中止になってるから。一方通行も改心して今では、妹達(シスターズ)とは切っても切れない間柄だからね」

黒子「……でも、理解出来ません」

美琴「何が?」

黒子「……その実験の『加害者』だった一方通行、『被害者』だったお姉さまの妹君たち、そしてその実験を中止に追い込み、お姉さまたちを助けて下さったあの上条当麻。何故、その3者が今、手を組んで学園都市の学生を誘拐・殺人する必要があるのですか?」
920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:28:38.18 ID:iCw20D20
美琴「それは……私にも分からない。そう、正直分からないのよ。今の一方通行が何の罪も無い一般人に手を出すことなんて有り得ないし、妹達だってクローンって言ってもちゃんと1人ずつ人間らしい個性や感情がついて成長している。人を殺すことの意味なんて理解しているはずなのよ」

言っていて自分でも信じられないのか、美琴の表情が複雑なものとなる。

美琴「そして何より、信じられないのはあいつ……。何の利益や不利益も関係なく、ただ、目にした困った人を助け続けてたあいつが!! 殺人なんて……そんな誰かが不幸になることをするはずないのよ!!」

ギュッと握られた美琴の拳がワナワナと震えている。

黒子「お姉さま……」

佐天初春「御坂さん……」

美琴「……あいつらの目的も、何故そうするに至ったのかその経緯すら私には分からない。だから、困ってるのよ……」

頭を抱え、美琴は慟哭した。

黒子佐天初春「………………」

正直、黒子たちは美琴が『絶対能力進化(レベル6シフト)実験』において、どんな苦い思いを味わったのか、そしてそれが中止になった時にどんな気持ちだったのか想像はつかない。
ただ、目の前の美琴を見ていると、彼女が今どれほど苦しんでいるかは見て取るように分かる。再び非人道的な行為が、自分の知り合いの、しかも被害者側も含めた実験の当事者たちによって行われようとしている。それがどんな複雑な感情を生み出すかは、彼女の様子を見るに一目瞭然だった。

黒子佐天初春「………………」

しかし、その複雑な感情がどれほどのものかは黒子たちには分からない。ただ、1つだけ言えることはある。美琴はそれでも、上条たちを止めようとしている――1人の「敵」として。否、それ以前に相手が上条たちだからこそ止めようとしているのだろう。

美琴「ごめん……」
美琴「引いちゃったかな?」

苦しそうな笑みを見せる美琴。

美琴「………………」

黒子「まさか」

美琴「え?」

黒子「そんなことで、黒子はお姉さまを見限ったり気味悪がったりしませんわ」

美琴「黒子……」

佐天「確かに、驚きましたよ。余りにもスケールが大きい話でしたから。でも、実験に関しては御坂さん、何の非もないじゃないですか。だって、元は筋ジストロフィー患者を助けるためったんでしょう? 寧ろその思いは褒められるべきことですよ」

美琴「佐天さん……」

初春「そうですよ。これで私たちが御坂さんと絶交しちゃうとか、そんなこと考えているのならそれは心外です」

美琴「初春さん……」

美琴は3人の顔を交互に見る。みな、嘘は言っていない。明らかに本音だと思われる表情をしていた。
921 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:34:29.36 ID:iCw20D20
美琴「でも……」
美琴「でも………!」
美琴「私は、あんたたちに全てを隠してたんだよ? その上で勝手に死のうともしてたんだよ? なのに……」

黒子「関係ありません。聞いた限り、簡単に他人に口外出来るような話とは思えません。私も同じ立場なら、自らの命を差し出してでも実験を止めようとしたでしょうし」

佐天「あたしの場合は、きっと何も出来ずにスルーしちゃうかもしれません。そんなのに比べたら、御坂さん、とても強いし勇気がありますよ」

初春「それに御坂さんは私たちを巻き込まないように、敢えて話さなかったのでしょう? 私だったら、真っ先に誰かに助けを求めてます。御坂さんが責められる謂れはありません」

美琴「みんなぁ……グス」

美琴の視界がにじむ。
普段の彼女とは全く違った、普通の女子中学生の顔。彼女は、そんな自分の弱い部分も、黒子や佐天や初春だったからこそ見せられたのかもしれない。

黒子「お姉さま、ありがとうございます。話すだけでも相当な勇気が必要だったでしょう。でも、私たちの関係は何も変わりません。それだけは唯一無二の事実ですわ」

美琴「うっ……ひぐっ」

思わず美琴は両手で目の下を拭う。

黒子「何故、上条さんたちが今もあんな凶行を繰り返しているのか。お姉さまにとってはそのことを考えるだけでも心苦しく理解に悩むところでしょう。しかし今は、私たちがついています。だから、今回は悩み、苦しみ、悲しくなればいつでも、私たちを思う存分、頼り、助けを求めてくださいまし」

佐天「遠慮なんていりませんよ。ここまで来たら、一心同体なんですからね」

初春「私たちは、4人で一つの『超電磁砲(レールガン)組』ですもんね」

黒子「さあ、お顔をお上げになって」

美琴「黒子ぉ……佐天さぁん……初春さぁん……ヒグッ…グスッ」

黒子と佐天と初春は、美琴の肩に優しく手を添える。それに甘えるかのように、美琴は大粒の涙を流した。
それは、彼女が滅多に見せることのない、レベル5の超能力者が密かに隠し持つ、繊細で脆弱な一面だった。
しかし、この件を機に、彼女たち4人の絆はより一層深まった――。
922 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:40:28.68 ID:iCw20D20
翌日――。

朝日が昇ってから数時間が経ち、美琴たちはそれまでと同じく、自分で自分に課したカリキュラムをこなそうとしていた。
2階フロアでは、初春がノートパソコン相手に睨めっこをし、佐天はその側でバットを振り続けている。もはや彼女のフォームはプロ野球選手なみだった。
3階では黒子が空間移動(テレポート)の精度を上げるため、1人、ダンボールや机や椅子を用いた訓練を行っていた。

初春「むむむむ……これがこうしてこうでこうやって……」カタカタカタ

佐天「でぇい! やぁ! とう! そりゃあ!」ブンブンブン

黒子「もう1度ですの!!」シュン

三者三様、やっていることは全く別物だったが、その気迫だけは凄まじいものがあった。明らかに昨日までとは違い、本気の度合いが増している。

初春「……暗視モードには………こうじゃなくて………衛星のほうは……」

佐天「やってやる! このスーパー超合金バットで、脳天打ち砕いてやる!!!」

黒子「もっと…素早く…正確に……テレポートと肉弾戦を合体させた新空間移動格闘術を編み出す勢いで!」

彼女たちは昨夜、美琴の話を聞いてからというもの、ずっとこの調子だった。
今、彼女たちはただ、美琴の力になるべく、そして上条と一方通行を倒すべく、赤く滾った炎のように燃え盛っていた。
923 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 22:43:26.73 ID:73bj0ik0
>脳天打ち砕く
ちょっと待て
924 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:45:30.36 ID:iCw20D20
地下――。

美琴「いや待って……これは違うか……」ボソボソ

フロアの中心で、毛布の上に腰を降ろし美琴が何事か呟いていた。
彼女の手にはホワイトボードが抱えられており、そこにはホワイトボードが黒板に見えるほど、様々な文字や計算式、図や絵が書き込まれていた。
彼女は今、学園都市第3位の頭脳をフルに用い、上条当麻と一方通行を倒すためのあらゆるシミュレーションを何パターンにも亘って捻出していた。

美琴「厄介なのは、上条当麻の右手……『幻想殺し(イマジンブレイカー)』ね。能力を全て打ち消すんだから、それに対処するには、どうしても肉弾戦の必要性も増してくる」
美琴「でも、私たち女子中学生の身体で、あいつに勝てるかしら? 黒子なら空間移動(テレポート)を利用すれば何とか攻略出来る可能性もあるかもだけど」

うーんと、美琴は唸る。

美琴「問題は、『一方通行(アクセラレータ)』ね。こいつの攻略方法だけはどうやっても何も浮かんで来ないわ。全ての攻撃を跳ね返すって言うんだから、手の出しようがないわね。随分前に完全復活も遂げて全盛期の力を取り戻してるし」

布切れでホワイトボードの一部を消し、またマジックペンで書き直すという作業を何度も繰り返す。

美琴「もーう、ずっと考えてるのに何もいい案が出ないわ」

バタッと美琴は仰向けになる。
お腹にホワイトボードを乗せたまま、彼女は天井を見上げて黙考する。

美琴「(一方通行に勝つ方法……勝つ方法……方法……)」

目を閉じてみるものの、良いアイディアは生まれてこない。

美琴「(全ての攻撃を跳ね返し、あらゆるベクトルの向きを操る……)」

と、そんな時だった。
925 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:51:29.77 ID:iCw20D20
美琴「(待って……)」

前回、一方通行に倒された時の情景のをふと思い出した瞬間だった。一瞬、何かが、脳裏を掠めたのだ。

美琴「(あいつ……あの時、確か……。何だろ? 何か頭に引っ掛かってる……)」

美琴は、更に前回の戦闘時の様子を思い出そうと試みる。

美琴「(思い出すのよ、隅々と……一から最後まで…。あいつが話した全ての言葉と行った全ての動作を……)」

なるべく詳細に、美琴は順序立てて記憶の底を探っていく。

美琴「(何か……後もうちょっとで何かが……)」

一方通行の邪悪で不気味な笑みが美琴の脳内に再生される。

美琴「(…………あいつはあの時確か……)」

そして、彼女は閃いた――。

美琴「そうだ!!!!」

ガバッと美琴は上体を起こす。

美琴「あった!! これだ!!!」

彼女は右腕でガッツポーズを作る。



美琴「……あいつに勝てる方法、見つけたわ!!!」



美琴は地下フロアに響き渡るほどの音量で歓喜の声を上げる。

美琴「フフ……フフフ…これよ、これだわ…。これなら、私たちでも一方通行に勝てる……」

思わず、と言ったように美琴の口から笑みが零れる。

美琴「何よ…フフ…簡単じゃない。……何で、こんなことも分からなかったのかしら? あはは、最初の最初から、答えは提示されてたのに……。ヒントも何もないわ……あははは」

自分の愚かさに呆れるように彼女は笑い続ける。

美琴「あははは……フフフ……」
美琴「さぁーて! ゴールは目の前ね!! もう1度、シミュレーション組み直してみますか!!」
926 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 22:54:30.09 ID:WAd6juwo
木原神拳か…
927 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 22:57:00.74 ID:33phizgo
木原神拳を本家本元以外が使っても使いこなす前に対抗策練られそうな気がする
928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 22:57:54.51 ID:WAd6juwo
ならば木原神拳返し返しだ!
929 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 22:58:35.64 ID:iCw20D20
黒子「あらお姉さま、どうされたんですの?」

廃ビルの3階。
黒子は大量の汗を流しつつ、部屋に入ってきた美琴に声を掛けた。

美琴「うひゃあ、すごい汗……頑張ってるわね」

黒子「これも訓練ですの」

美琴「すごいわね、この部屋の散らかりよう。全部、あんたが?」

黒子「そうですわよ」

見ると、フロアのあちこちに段ボール箱や机、椅子といったものが無造作に散らばっていた。

黒子「それに見て下さいまし」

黒子は窓に近付き、外を指差した。

美琴「ん? 何? 外にダンボールやらゴミやらが散らかってるわね」

黒子「部屋の中ではどうしても距離に限りがあるので、こうやって必要無さそうな物を外に飛ばして、どれだけテレポート出来るか試してるんですの」

廃ビルから見渡せる空き地のあちこちに、ダンボールなどが散らばっている。どうやら黒子が全て訓練のためにテレポートしたものらしい。

美琴「頑張るわね。でも無理はしないでね。今ここで倒れたら洒落にならないでしょ?」

黒子「それも十分考慮した上でやってますの」

そう言って黒子はミネラルウォーターのペットボトルを口に含む。

美琴「あれは何?」

部屋の隅に視線を向ける美琴。そこには1m四方のボックスらしきものが置かれていた。

黒子「ああ、テレポートに使えるものがないかその辺りを探していたら出てきましたの。ただのガラクタのようですわ」

美琴「ふーん」

興味が無さそうな返事をする美琴だが、一応覗いてみることにした。
ボックスの中には、ゴチャゴチャと使い物にならないような物がたくさん入っていた。美琴はいくつかを手にとってみる。

美琴「壊れた時計に…これは、熊の置き物? ププッ何それ。あ、デジタルピストルもあるわね。あとは、セロテープに台座、ストロボカメラ…これは煙幕弾か。ホントガラクタばかりね」

黒子「それで、何かご用で?」

美琴「ええ、また作戦会議よ」
930 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:05:23.90 ID:iCw20D20
1階――。

美琴「ぶっちゃけ言うわ。一方通行(アクセラレータ)に勝つ方法、思いついたわ」

黒子佐天初春「え!?」

壁に掛けられたホワイトボードを背に、美琴は机を囲む3人にどや顔で言い切った。
黒子たちは信じられない、と言うように目を大きく見開いた。

黒子「そ、それは……」

佐天「本当ですか御坂さん?」

初春「だって、一方通行って物理攻撃も能力も全て跳ね返すんでしょ? そんな簡単に攻略方法が見つかるわけないと思ってたんですけど……」

美琴「嘘じゃないわ。大マジよ」

黒子たちは戸惑ったように互いの顔を見合わせたが、やがてその表情も変わった。

佐天「す、すごいじゃないですか御坂さん!」

初春「ビックリしましたよ!!」

黒子「さっすがお姉さまですわね」

美琴「えへへー」

黒子「して、その肝心の方法とは?」

美琴「あ、うん、その前に色々と確認しておきたいんだけど……初春さん」

初春「はい?」

美琴「どう? そっちの作業は? どれくらい進んだかな?」

初春「えーっと…今日1日あれば全ての準備は終わりますね」

訊ねられ、初春は今答えられるだけの返事をした。
931 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:11:25.58 ID:iCw20D20
美琴「そう、さすがね。じゃあ気を抜かないように頑張ってね」

初春「はい!」

美琴「佐天さんはどう?」

佐天「あたしは別に終わりとかないですから、いつでも大丈夫ですよー」

佐天が片手をヒラヒラさせながら気軽に答えた。

美琴「なるほど。じゃあ黒子は?」

黒子「私も自分の目標には届いたので、問題はありません。ただ、最後にもう少しだけ煮詰めておきたいですわ」

黒子も現在の自分の状況を鑑み言った。
3人の現在の状況を確かめると、美琴は1回頷いてみせた。

美琴「分かったわ」
美琴「さて、残りの問題は1つ。どうやって、あいつらを捕捉するか、ね……」

それを聞き、初春がパソコンに向けていた顔を上げる。

初春「それに関しては、やっぱり私のパソコンで情報を集めるのが一番じゃないでしょうか。ジャッジメントやアンチスキルの本部のサーバーにでも侵入すれば、何か有力な情報を得られるかもしれませんし」

美琴「……現時点ではそれが一番の方法ね。よし、じゃあそうしましょう。でもその前に初春さんは、自分の作業頑張ってね。焦らなくていいから」

初春「はい。分かりました!」

黒子「ああ、そうでしたわ。で、お姉さま、どうやって一方通行を倒すのですか?」

思い出したように黒子が訊ねた。佐天や初春も美琴に注目する。

美琴「ふっふ〜ん♪ それはね……」

人差し指を鼻の前で立てウインクする美琴。

黒子佐天初春「?」

どんな奇抜な策なのか、不安混じりに期待をする3人だった。
932 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:21:28.38 ID:73bj0ik0
乙。
933 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:22:25.07 ID:73bj0ik0
>>932
誤爆した。
934 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:25:18.64 ID:iCw20D20
アンチスキル第73活動支部――。

黄泉川「………………」

だだっ広いオフィスのようなフロアの中、アンチスキルの服装を身に纏い、パソコンをボーッと眺める黄泉川が1つのデスクに腰掛けていた。
と、そこに声が掛けられた。

鉄装「黄泉川さん」

鉄装だった。

黄泉川「あ? 何……?」

鉄装「支部長がお呼びですけど。例の誘拐犯についてどうなっているのかと」

黄泉川「チッ、またかよ。面倒くさいじゃん」

鉄装「そう言えば、御坂さんたちの消息は掴めましたか?」

黄泉川「いや、全然」

鉄装「いいんですか?」

黄泉川「構わんだろ。今のあいつらに何が出来る? どこに隠れてるのか知らんが。超電磁砲(レールガン)がいるとはいえ、何の支援も無い状態なんだ。どうせ今頃どっかで路頭に迷ってるはずじゃん。所詮は子供じゃん」

素っ気無く黄泉川が言う。

鉄装「でも、その子供にしてやられたのは私たち大人ですよ」

黄泉川「……………確かにな」

黄泉川は再び顔をパソコンに向ける。



   ――「“子供”を舐めないことね。“子供”ってのは“大人”の気付かないうちに、成長してるもんなんだから……」――



黄泉川は、美琴たちをジャッジメントの支部から連れ出そうとした時のことを思い出す。

黄泉川「ホント、あいつの言う通りだったな……」ボソッ

その時、黄泉川はふと鉄装の手元に目を向けた。

黄泉川「ん? 何だそれは? 本か?」

鉄装「あ、これですか?」
935 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:32:25.79 ID:iCw20D20
鉄装は持っていた本の表紙を黄泉川に見せる。

黄泉川「芥川龍之介…『蜘蛛の糸』か……」

鉄装「ええ、授業で使おうと思って。知り合いの警備員から借りたんです」

黄泉川「私も子供の頃によく読んだことがあるじゃん」

鉄装「いい本ですよね。地獄から蜘蛛の糸で逃げようとするカンダタ。だけど、他の地獄に落ちた罪人も一緒に蜘蛛の糸を登ろうとして、糸が切れるんじゃないかと心配した彼は罪人たちに降りるように言うんです。でもそれが原因で蜘蛛の糸は切れ、カンダタは再び地獄へ逆戻り……」

黄泉川「そういえばそんな話だったな」

鉄装「でも、私も昔は子供心にカンダタが可哀想だと思いましたよ。後もう少しだったから、お釈迦さまも助けてあげればよかったのに、って」

黄泉川「……そうだな」

鉄装「どうしたんですか?」

黄泉川「いや……その時のお釈迦さまの心情はどんなものだったのかって思ってな」

鉄装「?」

黄泉川「お釈迦さまでも、地獄から多くの人間を極楽浄土に引き上げることは難しかったんだろうか……」

鉄装「いや、でもそれはカンダタが自分のことしか考えなかったからで」

黄泉川「まあ、それはそうなんだけどさ……」

鉄装「?」

ピーピー

鉄装「あ、内線鳴ってますよ!」

黄泉川「はい黄泉川」ガチャッ

『黄泉川一等警備士!! 何をしておる!! 早く来んか!!』

黄泉川「はいはい今すぐ行くじゃん」ガチャン

敬語も使わずに答えると、黄泉川はだるそうに立ち上がった。

黄泉川「まあ、どちらにしろだ」

鉄装「はい?」

黄泉川「これ以上、あいつらのことを気にする必要も無くなったじゃん」

それだけ残すと、黄泉川は後ろで長く纏めた髪をかきながらデスクを離れていった。
936 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:32:52.62 ID:C1pCfAEo
木原くン神拳自体遠くからものっそいスピードで物なげればいいっていう
937 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:39:22.64 ID:iCw20D20
夕方になり、空も徐々に淡い群青色に染まってきた頃、とある廃ビルのアジトにて初春は驚嘆の声を上げた。

初春「そんな……!! こんなことって……」

ノートパソコンの画面を見、明らかに動揺を示す彼女の顔は蒼ざめている。

初春「み……御坂さん!! 白井さん!! 佐天さん!!」

椅子から転げ落ちるように、初春は3人を呼びにいく。
ノートパソコンの画面には、1つの記事を載せたニュースのサイトが映っていた。

美琴「これは………」

しばらくして、慌てた初春に呼び止められた美琴たちは、パソコンの前に集合していた。

黒子「何てことを……」

佐天「酷い…」

絶句する彼女たち。
画面に映された記事には、『第7学区にて常盤台の女子生徒失踪! 誘拐事件再びか!?』という見出しが記載されていた。

『昨日、アンチスキルの捜査によって常盤台中学の女子生徒でレベル4の大能力者・婚后光子さんが失踪したことが発覚した。アンチスキルによれば、婚后さんは昨日昼頃、寮の管理人からお使いを頼まれ学生寮向かいのコンビニへ向かったという。しかし、いつまで経っても戻ってこない婚后さんを不審に思った管理人が寮やコンビニを中心に周辺を探してみたところ、どこにもいないことが判明した。調べでは、婚后さんは失踪直前、コンビニの入口付近でフリーター風の若い男と談笑している姿が目撃されており、アンチスキルは婚后さんが何らかの事件に巻き込まれたとして……』

改めて記事を読んでみると、今、何が起こっているのかがよく見て取れた。

佐天「あの婚后さんが、失踪……」

黒子「誘拐……若い男………」

初春「私も今さっき知って驚いたんです! まさか婚后さんがこうなってたなんて……」

初春は今にも泣きそうに叫ぶ。

佐天「白井さん、この若い男って……」

黒子「恐らく、あの2人のうちのどちらかでしょう……」

佐天「じゃ、じゃあ婚后さんは…婚后さんは……」

黒子「彼女が、私たちの脱走の手助けをしたと、どこからか聞き知ったのでしょう。それで恐らくはその制裁として婚后さんを……」

佐天「そんなぁ……そんなぁ…酷い、酷すぎるよ……」

初春「何で……グスッ……直接……あの人は…ヒグッ……関係ないのに……」

涙を浮かべる佐天。初春の方は、顔を両手で覆うように泣いている。

黒子「こうすることで、私たちへの脅しになると踏んだのでしょう。不覚でしたわ。私たちに協力させてしまったばかりに婚后さんは……」
938 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:46:27.13 ID:iCw20D20
冷静を装うとしていた黒子だったが、最後の方は言葉が震えていた。

美琴「……ざけんじゃないわよ」

黒子佐天初春「?」

3人に背中を見せつつ、美琴がふと何か呟いた。

美琴「……それが、あんたたちのやり方だって言うのね……」

怒りに呼応するかのように、彼女の身体中にパリパリッと紫電が纏わりつく。

美琴「ふざけんな!!!!」ドンッ

瞬間的に放電が大きくなったかと思うと、美琴は右手を壁に叩き込んでいた。

黒子佐天初春「!!!!」ビクゥ!!

美琴「なるほどね……。それがあんたたちのやり方ってわけね…」
美琴「なら、正々堂々と受けてやろうじゃないの……」

目元に影をつくり、俯くように美琴は言葉を紡ぐ。

美琴「いいわよ……。理不尽な暴力で、何でもかんでも自分たちの思い通りに出来るって思ってるなら……」

グググッと美琴は壁につけた腕に力を込める。

美琴「そんな舐めた考え方で、私たちを退けられると思ってるなら……」

顔を上げ、美琴は叫ぶ。





美琴「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!!!!」





939 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:49:28.84 ID:F.G3vyko
かみじょー「ぶへっくし」
940 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:49:56.08 ID:C/4LfNIo
ところでイソベックスさんは?
941 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:52:06.54 ID:BXW/OQAO
確かに。アウトデックスさんはどうなったのだろうか・・・
942 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:52:22.04 ID:iCw20D20
とある部屋――。

狭く、あまり明るいとも言えない部屋の下、上条たちは小さな机を囲むようにソファに座っていた。
全員、上条に注目している。

上条「さてと……」

上条は胸に抱えていた厚い紙束のうちから、1つの資料を取り出し机の上に置く。

上条「固法美偉…」ドサッ

続いて、同じように資料を机の上に投げる。

上条「泡浮万彬…」ドサッ

次々と、資料を机の上に重ねていく上条。

上条「湾内絹保…」ドサッ

御坂妹「…………」

上条「婚后光子…」ドサッ

一方通行「…………」

上条「そして、昨晩の3人…」ドサッ

上条の手元から紙束が無くなる。
943 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:57:42.89 ID:iCw20D20
上条「見ての通り、以上がこの半月で成功した目標(ターゲット)たちの資料だ」

御坂妹「お姉さまたちの妨害もありましたが、全て上手くいってよかったですね」

上条「ああ」

一方通行「多くの犠牲を出しながらも、他の学区の学生どもを拉致ってた時に比べたらマシだなァ。不幸中の幸い、ってヤツかァ?」

上条「まあな。何にしろ、御坂たちの深い関係者は以上だ。彼女たちは死んだ。まずはその成果を喜ぼうぜ」

御坂妹「大事の前に全ての目標を達成出来たのは良かったですね、とミサカは一息つきます」

一方通行「おいおい、こンなところで安心してンじゃねェよ。まだその、大事が控えてるンだからよォ」

御坂妹「おっと、そうでしたね」

一方通行「まあでも、だ。あれから2週間近く。アイツらもこれ以上ちょっかい掛けてこねェだろうし、超電磁砲どものことは気にする必要ねェのは確かだな。やれやれ、これでようやく本番に専念出来るなァ……」

上条「2人とも忘れんなよ。これからはそっちに専念するとしても、最終的には……」

一方通行「いちいち言わなくても分かってるよ」

上条「ならいいんだが。とにかく、だ」

上条は目の前の2人に顔を据える。

上条「最終的なターゲットは御坂たち4人なんだからな」
944 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/28(月) 23:58:34.77 ID:iCw20D20
>>1です。
今日は以上となります。
ではまた明日。
ありがとうございました。
945 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/28(月) 23:59:16.01 ID:pZiRTtA0
美琴そげぶきたー
946 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 00:01:35.25 ID:Eu4Y.gAO
・・・いつもいつもいいとこで切りすぎじゃねェかァ!?

947 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 00:02:43.30 ID:2nrxLsU0
乙 続きも期待してます。

黒翼が想定に入っていないのは死亡フラグだと思いたい。
次回投下にスレが耐えられるかわからなくなってきたなぁ。
948 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 00:04:02.94 ID:8JfpiJo0
今度こそ乙。
次スレに行くなら是非報告してくださいまし。

おまえ等雑談で>>1000まで行くなよ
949 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 00:05:04.46 ID:IIq0Pvko
つかどんな信念や目標があろうが関係ない人間殺してる時点で
上条さんたちの言い分は通用しなくなってるな
950 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 00:16:39.19 ID:wIDYqWQo
ここからどう物語が動くのか期待
951 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 01:23:30.35 ID:/U4ugRM0
これ読みながらDear my friend聴いたらめっちゃ泣いた

あ、OVA化と新刊発売おめでとう
952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 06:38:36.18 ID:RYgrecoo


流石に木原神拳は無理だろ。
出来たとしてもまず近づかせないだろうし
953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 09:01:58.26 ID:Mv08bcAO
乙!
予想ダメ。ゼッタイ
954 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 16:31:06.76 ID:zYinZ.DO
打ち止めを砂鉄でコーティングしてぶっぱすれば一方さん反射できなくね?
955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 18:59:29.81 ID:.uP2hkIo
上条さんが止めるだろ
というかそれやったら御坂が外道すぎるだろ
956 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 20:14:09.92 ID:VKvzvJIo
>>955
わかってるじゃん
957 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 20:20:19.85 ID:NTWjukAO
仮に>>954の方法使ったとしても反射は出来なくても普通にベクトル操作でもってすればノーダメージで受け止められそな希ガス
958 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 20:26:17.88 ID:Wn3hZAco
ぶっぱの向きによっちゃ一方さんの鼻から流血させれね?
959 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 20:27:35.23 ID:bDE/GdUo
>>958
それなら最初から美琴が打ち止め攻撃すりゃ早いキガス
960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 20:32:12.39 ID:MfI79Jo0
なんで静かにできないの
961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/29(火) 20:32:49.26 ID:VKvzvJIo
打ち止め殺したら黒羽確定だな
962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 20:40:42.89 ID:WUDx9qk0
そろそろ次スレ建てた方がよくないか?
963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 21:29:22.09 ID:HC6QIv60
>>1です。こんばんは。
今から投下しますが、今日の分なら多分まだ足りると思います。
足りなくなったら次スレ立てます。
964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 21:34:40.57 ID:HC6QIv60
翌日・廃ビル(美琴たちのアジト)――。

机や椅子がポツンと置かれた2階のフロアから、カタカタと何かを叩く音とブンブンと何かを振り回す音が鳴り響く。

初春「………………」カタカタカタ

佐天「………………」ブンブンブン

初春がパソコンを使い、佐天がバットを振っているのだ。
彼女たちはこの1時間、一言も言葉を交わしていない。

初春「………………」カタカタカタ

佐天「………………」ブンブンブン

それは、別に喧嘩しているからでもなく、彼女たちはただ、自分がやるべきことに異常なまでに集中していたからだった。
そしてそれは3階で1人、テレポートの訓練を行っていた黒子も例外ではなかった。

黒子「ハァ……ハァ…」

彼女もまた一言も発せず、訓練に熱中していた。無駄な動きが削られたためか、流れ出る汗の量も少ない。

初春「…………………」カタカタカタ

佐天「………………」ブンブンブン

黒子「ゼェ……ハッ……ハァ」

彼女たちがこうなっているのには訳がある。
と言うのも、前日の夕方、婚后の失踪が発覚した時のことだった。
965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 21:40:30.37 ID:HC6QIv60

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

佐天「御坂さぁん…グスッ……婚后さんまで…誘拐されちゃったよ……」

初春「ヒグッ…婚后さん……ヒグヒグッ……どうなって…グスッ…るんでしょうか…ヒグッ」

もはや、言葉とも嗚咽とも区別がつかない声を佐天と初春は搾り出す。

黒子「今までの件を考えると、恐らく彼女は……」

初春「そんなぁ……うえええええん!!」

佐天「初春ぅ…」

初春の背に手を添えながらも、佐天もまた今にも泣き出しそうだった。

佐天「あたし、絶対許せない……あいつら絶対許せない!」

黒子「私も同じ気持ちですわお姉さま。もう今のままでは彼奴らを滅多刺しのボロ雑巾にしただけでは気が済みませんの……」

黒子と佐天は、憎しみと恨みが篭った口調で言う。



美琴「ダメよ」



黒子佐天初春「え?」

美琴「今の“私たち”の精神状態じゃあいつらには勝てないわ」

3人に背中を見せながら、美琴が呟いた。

黒子「ど、どういう意味ですか?」

『勝てない』という言葉が納得出来なかったのか、黒子の言葉に苛立ちが垣間見えた。

美琴「そのままの意味よ。今の精神状態で、上条当麻と一方通行には勝てないって言ったの」

佐天「そんなことないですよ!!!」

初春「!」ビクッ!

佐天が怒鳴る。初春が一瞬肩を震わせた。

美琴「そうかしら? 今の自分を鏡で見てみたら? あんたたち顔が鬼婆のようになってて、きっと内面も恨みや憎しみだらけで負の感情で満たされてるわよ?」
966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 21:47:27.19 ID:HC6QIv60
黒子佐天初春「!」

佐天「だってそれは……っ!」

美琴「うん、怒りたいのも当然よ。それは私も同じなんだから」

目立った怒りを見せていなくても、恐らく美琴も黒子たちと同じ心情だったのだろう。だからさっき、敢えて“私たち”という言葉を使ったのだ。

美琴「だけどそれじゃ、奴らに勝てない。奴らの並外れた強さは桁違いだから。そんな奴らに、ただ感情的になって暴走したような状態で勝てると思う? 私は思わないわ」

美琴の腕が震えている。
恐らく、今この場で一番怒り狂いたいのは彼女だろう。本当なら超電磁砲を上階のフロアを全てぶち抜いてでも暴れたかったはずだ。しかし、彼女は堪えた――リーダーとして、年長者として、超能力者として――。

美琴「そんなんであいつらに挑んでも、逆にこっちの暴走を利用されて終わり。簡単に足元を払われるだけでしょうね」

黒子佐天初春「………………」

美琴「だから怒ったら駄目。泣いてもいいけど怒ったら駄目。ちゃんと冷静になるの。それでも、どうしても我慢し切れない時は、外側に怒りを発散させるんじゃなくて、内側で静かに怒りを発散させなさい」

美琴の背中は静かに語り続ける。

美琴「いっそのこと、憎しみや恨みは捨てるの。その上で、心の中で静かに怒って、ただ冷静にあの2人を倒すために、自分はどうすればいいのか、どうしたら効率的に自分の仕事をそつ無くこなせるのか、それだけ考えるの」
美琴「そうすれば、私たちの勝率は格段に上がる。憎しみと恨みで我を忘れて感情的になってたらまず勝てない。いいわね?」

そこで、頭を上げ、美琴はようやく振り向いた。

美琴「だから、冷静に、女の子らしく凛として、頑張りましょう」

彼女は怒っていなかった。ただ、笑っていた。頬に涙の筋だけを残して――。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



時を戻して現在――。

初春「…………………」カタカタカタ

佐天「………………」ブンブンブン

黒子「ゼェハァ………ハァ」

美琴はあの2人に対して憎しみも恨みも見せなかった。ただ、冷静に心の中で怒っていただけだった。不屈の闘志と共に――。
誰よりも、一番に怒り狂いたかったであろう彼女は、黒子と佐天と初春に教示するためだけに自身に我慢を強いた。それは、大人でもなかなか真似出来ない、4人の年長者としての威厳と貫禄があった。
だから3人もそれに従う。憎しみも恨みも持たず、ただ、敵を倒すことを目標に自分のすべきことをこなす。それはただ、感情に勢いを任せた中身の無いものではなく、あくまで冷静に、それでいて身体の中では青い炎が静かに燃え滾っているような、そんな状態だった。
967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/29(火) 21:50:31.73 ID:O/PfPeA0
キテター
968 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 21:54:22.28 ID:A6Ri6so0
美琴「ハァ……ハァ……」

その頃、1階のフロアでは、美琴が身体から電気を発しながら、次々と様々な動きや体勢をとっていた。

美琴「こうじゃないわね……」

もはや黒板と化したホワイトボードを美琴は隅々まで見る。

美琴「こういう感じかしら?」パリパリッ

彼女は今、上条と一方通行と戦闘に入ったときのイメージトレーニングを行っていた。

佐天「御坂さーん!」

と、そこへ佐天が2階に繋がる階段から降りてきた。

美琴「ん? どうしたの佐天さん?」

佐天「初春が、ちょっと来てほしいって。何かパソコン使ってたら、おかしなことを発見したとか言ってます」

美琴「おかしなこと?」

美琴が佐天と一緒に2階に上がると、机の側でノートパソコンをじっくりと覗き込む初春と黒子の姿が見えた。

美琴「初春さん、何かあったの?」

美琴と佐天もノートパソコンを覗き込む。

初春「実は、誘拐犯…つまり上条当麻と一方通行の情報を得ようと、アンチスキル第73活動支部のサーバーに侵入したんですけど……」

美琴「第73支部って言うと…」

黒子「ほら、黄泉川先生の部隊があるところですわ」

美琴「ああ、そっか」

初春「ええ。第7学区で起こった大半の誘拐事件が黄泉川先生の部隊の管轄地域で行われてましたから、何か新しい情報を得られるんじゃないかと思ったんですよ。で、第73活動支部の誘拐事件に関する資料を漁ってたんですけど……」

ポチッと初春は画面をクリックする。すると、1つのブラウザが開かれ、pdfファイルらしき形式で資料が表示された


美琴「これがどうしたの?」

初春「ほら、見て下さい。これ、泡浮さんと湾内さんが失踪した時の事件の詳細なんですけど、失踪日時が18日午前0時30分から午前2時30分頃になってますよね?」

佐天「あれ? それっておかしくない?」

黒子「そうなんですのよ」

美琴「えっえっちょっと何? 何がおかしいわけ?」
969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:02:09.80 ID:DPS9e.I0
佐天「だって、18日午前0時30分って言ったら……」

初春「ええ、私たちが上条当麻と一方通行と戦ってた時間帯です」

美琴「え?」

佐天「やっぱりおかしい」

美琴「え? え?」

まだ理解していないのか、美琴は置いてけぼりをくらったような顔をしている。

初春「つまりですね、辻褄が合わないんですよ。私たちが初めて上条当麻たちと対峙したのが18日の午前0時30分頃なんです。で、泡浮さんと湾内さんが失踪したのは11日から12日にかけてなんですよ。実際、アンチスキルも12日の夜に常盤台の寮に通報を受けて捜査しに来ています」

佐天「それが、この報告書では失踪日時が18日になってる。日数として6日もずれてるんですよ。おかしくありませんか?」

美琴「……………は?」

頓狂な声を上げる美琴。どうやら彼女もその異常に気付いたらしい。

黒子「まあ、ただの勘違いやキーボードの打ち間違いかもしれませんが……」

佐天「6日も間違うかな?」

初春「で、気になって泡浮さんと湾内さんの失踪事件を扱ったニュース記事を探したんですけど、無いんですよね。検索してもどこにも見つからないんです」

美琴「な、何で?」

初春「この報告書見て下さい。ここ」

そう言って初春は画面を指差す。

初春「ほら『この件は関係者以外への情報提供を禁ず』って書かれてます。つまり、何故か報道管制が敷かれたんですよね。特に隠す事件でもないのに」

初春「でも、上条当麻と一方通行は『自分たちが泡浮さんと湾内さんを誘拐して殺した』と明言しています。ね、おかしくありませんか?」

美琴「………………???」

上条と一方通行は自分たちが泡浮と湾内を誘拐して殺したと明言した。そしてその泡浮と湾内の誘拐は11日から12日に掛けて行われたと思われる。実際、12日の夜には寮監の通報を受けて黄泉川の部隊のアンチスキルが常盤台中学学生寮まで捜査しに来ている。しかし、その捜査を担当した部隊の報告書では、2人が失踪したのは18日午前0時30分〜午前2時30分頃と記載されている。が、18日午前0時30分頃と言えば、美琴たちが丁度、上条と一方通行と戦闘を行っていた時間だ。そして泡浮と湾内2人の失踪事件は何故か報道管制が敷かれている。

美琴「何それ? 何か矛盾だらけなんだけど……」
970 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:09:53.83 ID:29qn51o0
黒子「だから、アンチスキルの間違い、って可能性もあるのですが……確かに気に掛かりますわね」

初春「じゃあ、ちょっとアンチスキル本部のサーバーに侵入して他に情報が無いか調べてみましょうか」

美琴「そ、そうね」

再び初春はパソコンに画面を向けると、手馴れた手つきで操作していく。

初春「ジャッジメント以上に強固なセキュリティを構築してますねー」

そう言うが、初春の口調はどこか軽い。

初春「ファイアウォールも一筋縄じゃいきませんね」

しばらくして彼女はアンチスキル本部のサーバーに侵入することに成功した。

初春「さて、これですね……。『学園都市で最近頻発中の誘拐事件について』。『誘拐殺人』じゃなくて『誘拐』となっているのは、アンチスキルが、誘拐された学生たちが本当に殺されてることを知らないからでしょうね」

美琴「で、どうなの?」

初春「今見てみます」

素早く初春はマウスポインタを動かす。

初春「ありました! 泡浮さんと湾内さんの事件資料です」

佐天「日付はどうなってる?」

初春「『第73活動支部・黄泉川中隊の報告によれば、事件発生日時は……18日午前0時30分頃から2時30分頃だと思われる……』」

美琴「こっちも18日!?」

佐天「あれー何でー? さっきの資料は勘違いやキーボードの打ち間違いじゃなかったってこと?」

黒子「いやいや、実際に事件が起こったのは11日から12日のはず」

美琴たちは顔を見合わせる。何か、嫌な予感がする。

初春「と、とにかくもっと読み進めていきましょうか」

スクロールすると、画面に表示された資料も同時に上へ上へと流れていく。と、途中で、彼女たちの目に信じられないものが飛び込んできた。



『なお、誘拐犯は既に死んでいると思われる』



美琴黒子佐天初春「!!!!????」
971 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:18:05.26 ID:29qn51o0
美琴「な、何ですって!?」

黒子「死んでる?」

佐天「ど、どういう意味?」

初春「……わ、分かりません。もうちょっと見てみましょうか……」
初春「『黄泉川中隊は、捜査の過程において、第7学区に隠れ家を持つスキルアウトが一連の誘拐事件の真犯人である可能性が高いと推定。同部隊は17日に隠れ家に強行突入するも、現場にてスキルアウトの多数の死体を発見。この件について同部隊は現場の状況から、突入直前に何者かによってスキルアウトの集団が壊滅させられと断定。……なお、現場に落ちていた毛髪のDNA鑑定から、レベル5の超能力者・御坂美琴が頻繁に隠れ家に出入りしたと思われ……』」

自然と、初春の喋るスピードが遅くなっていく。

初春「『部内の意見では、御坂美琴がスキルアウトを壊滅した張本人との説が多数を占め………』」

初春が恐る恐る美琴の顔を窺う。

美琴「な……何で? ど、どういうこと?」

佐天「確かに、アンチスキル内では御坂さんがスキルアウトを壊滅させた犯人だって疑ってる人が多い、ってのは前に黄泉川先生が言ってたけど……」

黒子「スキルアウトが真の誘拐犯? 黄泉川先生は一体どういう捜査をしてますの?」

訳の分からないまま、彼女たちは困惑の声を出す。

黒子「初春、もっと続きを」

初春「あ、はい」

再び初春は画面に注目する。

初春「『更に、学園都市中の学生たちの間で「幻想御手(レベルアッパー)」にも似た、副作用の出ない能力上昇装置の存在が噂となって流れていることが同部隊の調査で判明。恐らく、その噂の発信元は前述したスキルアウトと思われ、噂を真に受けた学生たちがスキルアウトの隠れ家を求めて、失踪したのではないかとの見方が強く……』」

佐天「レベルアッパーにも似た、副作用のない能力上昇装置?」

黒子「そんな噂、聞いたこともありませんわ」

初春「私もです」

美琴「………………」

初春「ん? え?」

突如、画面を見て初春が愕然とした表情を見せた。

佐天「どうしたの?」

初春「……報告書の最後らへんにこんなことが書いてる……」
初春「『以上の理由から、誘拐再発の可能性は低いと思われ、アンチスキルは黄泉川中隊の助言通り、当誘拐事件の優先捜査度を低レベルに再設定し直すものとする』!!??」

美琴黒子佐天「!!!!????」
972 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:25:39.42 ID:29qn51o0
美琴「な、何でそうなるのよ!?」

黒子「有り得ませんわ!! 現に婚后さんが誘拐されたと言うのに……」

佐天「それもそうですけど、何で誘拐犯がスキルアウトになってるんですか!? 真犯人は上条当麻と一方通行でしょ!!」

それぞれ、理解不能と言いたげに驚愕する一同。

初春「どういうことでしょう? 何かもうメチャクチャですよこれ……」

美琴「……………っ」

黒子「黄泉川先生の目は節穴ですの!? こんな大事な事件の優先捜査度を下げるだなんて」

佐天「じゃあ実質、誘拐事件の捜査は終わったってこと? でもまた誘拐事件が起こったらどうするつもりなの??」

黒子「恐らく、別の犯人として処理するとか?」

佐天「な、何で?」

黒子「知りませんよ。何となく、この文面を見てるとそんな感じがしますの。どんな理由があるのかは存じませんが、それほどアンチスキルはこの一連の誘拐事件を軽く扱いたいような印象がありますわ」

美琴「………………」

初春「そんなことになったら、余計に上条当麻と一方通行の逮捕が遠のくじゃないですか」

美琴「…………………」

佐天「あーもう! こんなにもアンチスキルが頼りにならないなんて!」

美琴「おかしいと思ったのよね……」

黒子佐天初春「え?」

3人の議論を中断するように、美琴がボソッと呟いた。

美琴「何で黄泉川先生があんなに執拗に私たちを止めようとしていたのか……」

黒子佐天初春「は?」

美琴「なるほど、そう言うことだったの……」

黒子「何がそう言うことなんですの?」
973 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 22:28:00.87 ID:Yq/J4eYo
来てた
よくよく黄泉川の人間関係考えたらそうなるよなー
974 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:32:32.72 ID:29qn51o0
1人で納得している美琴の言葉が気になったのか黒子が訊ねた。

美琴「分からない?」

黒子佐天初春「??」

美琴「泡浮さんと湾内さんの失踪を、常盤台中学学生寮まで来て捜査したのは、黄泉川先生の部隊。事件が起こった日付を11日や12日じゃなくて18日と報告したのは黄泉川先生の部隊。私が接触していたスキルアウトのアジトに突入したのは黄泉川先生の部隊。そこから、アジトに出入りしていた私の毛髪を見つけたのも黄泉川先生の部隊」

黒子「まさか……っ!!」

佐天初春「?」

何かに気付いたように黒子が驚嘆の声を上げた。

美琴「レベルアッパーにも似た能力上昇装置の存在が学生たちの間で噂になって流れてる、って報告したのも黄泉川先生の部隊。以上の理由から、本部に誘拐事件の優先捜査度を低くするよう助言したのも黄泉川先生の部隊」

美琴「そして、やたら私たちを縛り付けて行動を制限しようとしていたのも、黄泉川先生の部隊……」

佐天「え……それって…」

初春「もしかして……」

ようやく2人も真実に辿り着いたようだ。しかし、2人はどこか蒼ざめた顔をしている。

美琴「ええ。おかしいわよね? この資料読んでると、まるで黄泉川先生たちが、上条当麻や一方通行を誘拐犯にさせたくないように報告してるみたい。それで何故か2人を追っていた私たちを状況的に動けないようにさせている。……もう分かったわよね?」

3人の顔を見、1拍置いてから美琴は言い切った。





美琴「黄泉川先生は上条当麻たちとグルよ」





黒子佐天初春「!!!!????」
975 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:40:40.69 ID:29qn51o0
佐天「黄泉川先生が!? そんなことって……」

初春「でも、確かに黄泉川先生は執拗に私たちを止めようとしていました」

黒子「ではお姉さま、黄泉川先生はずっと上条当麻や一方通行の凶行に手を貸していたと?」

美琴「手を貸していた、って言うよりアンチスキルの立場を利用して奴らになるべく疑いが掛からないよう工作していたんでしょうね。それも黄泉川先生1人じゃ出来ないだろうから、恐らく先生の部隊も丸ごと、奴らの協力者でしょうね」

初春「そ、そんな……アンチスキルの一部隊までもが、あの2人に協力してるって言うんですか!?」

美琴「そうでもないと、ここまでのこと出来ないでしょ」

佐天「アンチスキルまで向こうの味方なら、事件は永遠に解決出来ないよ……」

黒子「黄泉川先生の部隊丸ごとなら、恐らく100人前後でしょうか。しかしもっと最悪の可能性を考えると、第73活動支部…いえ、アンチスキル全体まであの2人の魔手が及んでる可能性も……」

佐天「それじゃ、手の出しようがないじゃないですか」

新たに出現した大きな壁を前に、彼女たちは絶望の声を次々と上げる。

美琴「いえ…きっとグルなのは黄泉川先生の中隊だけでしょう」

佐天「え?」

美琴「アンチスキル全てが奴らの仲間だったら、学園都市中の全ての部隊を動かしてでも私たちを捜索してるはず。もしそうだったら、今頃私たちは見つかってるわよ。それこそ私たち4人が寮から脱走することも、より困難になってたでしょうね」

初春「じゃあ、上条当麻たちと通じてるのはアンチスキルの中でも黄泉川先生の部隊だけなんですね?」

美琴「恐らくね」

黒子「しかし何故、黄泉川先生はあの2人に与したのでしょう?」
976 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:47:37.25 ID:29qn51o0
美琴「さぁね。ただ、泡浮さんと湾内さんの誘拐日時を6日もずらして報告したのは、あの2人を容疑者から遠ざけるため。何で誘拐日時を私たちがあの2人と会ってる時間帯、つまり18日の午前0時30分頃から2時30分頃にしたのか。それは万が一、私たちがアンチスキル本部の取り調べで上条当麻と一方通行を犯人だと証言した時のための対策でしょう。私たちがあいつらと会ってたのなら、その同時間帯に誘拐は行えないからね。黄泉川中隊の正式な報告書をアテにするなら、私たちの証言が何の根拠も無い子供の戯れ言になるって寸法ね」

黒子「しかし、常盤台中学学生寮の関係者は泡浮さんと湾内さんが失踪したのは11日から12日からだと思ってます。実際、12日の夜にその件でアンチスキルが寮まで捜査しに来たのですから」

美琴「そのための報道規制よ。もし事件を公表すれば、誘拐事件をネットで調べようとした寮内の関係者に、日付の矛盾がバレてしまう。でも、そもそも情報自体を遮断してしまえば? 誰もその矛盾に気付けなくなる」

黒子「確かに……。しかし、新聞やテレビ、ネットなどで情報が1つも見当たらなければ、中には不審に思う人間も出てくるのではないでしょうか? 特に、寮内の生徒とか。まあ、寮内の生徒が不審に思ったところで所詮は学生。出来ることも限られるのでしょうが、逆に、大人の立場ならどうでしょう? 例えば、寮監とか……」

美琴「いえ、寮監が不審に思うことは無いわ」

黒子「は? 何故?」

顎に添えていた手を止めながら、黒子は怪訝な視線を美琴に向けた。

美琴「特別な場合に限って、ね」

黒子「どういう意味ですか?」

美琴「分からない?」

黒子「?」




美琴「  寮  監  も  誘  拐  犯  の  協  力  者  だ  っ  た  場  合  よ  」




977 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 22:54:41.11 ID:29qn51o0
黒子「!!!!????」
黒子「何ですって!!??」

佐天「え、え、えっーーー???」

初春「ど、どういうことですか? 常盤台中学の寮監さんまで、あの2人とグルだったってことですか?」

美琴「恐らくねー」

突然水をぶっ掛けられたように3人は驚愕する。
無理も無い。アンチスキルの黄泉川の他に、更に身近に誘拐の協力者がいると言われれば、驚くなというほうが無茶な話だった。

黒子「ですが何故!? あの寮監が!?」

美琴「考えてもみなさいよ。恐らく上条当麻と一方通行は、寮内の見張りについていた黄泉川先生たちから、私たちの協力者のことを聞き知ったんだと思うけど、じゃあその黄泉川先生たちは一体どうやって、私たちの脱走を手助けしたのが婚后さんだって分かったと思う? 寮内のことや生徒たちの関係について特に詳しいわけでもないのに。それに加えて黄泉川先生の部隊は全体で100人前後…寮内の見張りについていた警備員にしても10人ぐらいしかいなかったのに、そんな少数で寮内から私たちの協力者を見つけ出せると思う?」

黒子「じゃあ……」

続きを促すように黒子は美琴に目を向ける。

美琴「寮内に詳しく、生徒たちの関係も全て把握していた人物の助けが無ければ、私たちの協力者を炙り出すことは不可能よ。それに、どういう基準で上条当麻たちが今まで私たちの友達を誘拐してたのか知らないけど、誘拐するには対象の人物の詳細なプロフィールも必要なはず。恐らく、寮監はそういったデータも上条当麻たちに事前に渡していたんでしょうね」

黒子佐天初春「……………………」

美琴の怒涛の推理の連続に、黒子たちは言葉を失くす。

黒子「(全て仮定の話とは言え、アンチスキルの資料からここまで辿り着いてしまうとは…。本当に恐ろしいですわね、第3位の頭脳は……)」

焦りを浮かべた表情の中に、僅かな笑みを刻み、黒子は美琴を見る。
そこへ、佐天が突き出した両腕をふって話を遮った。

佐天「いやいやいや、ちょっと待って下さい」

美琴「どうしたの?」

佐天「でもそれ、全部仮定の話でしょ? まだ黄泉川先生たちが上条当麻たちの協力者だって決まったわけじゃないですよね?」

初春「そ、そうですよ。憶測だけで疑うのもどうかと思いますし……」

まだ信じられないのか、それとも信じたくないのか佐天と初春は疑問を述べる。

美琴「それもそうね…。じゃあ、ちょっと確かめてみましょうか」

佐天「え? どうやって?」

美琴「初春さん、黄泉川先生と寮監の私用パソコンに侵入できる?」

初春「え? まさか…」
978 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 23:01:21.77 ID:29qn51o0
美琴「うん。2人のパソコンから、上条当麻たちに繋がる証拠は無いか、探してみるの」

黒子「なるほどそれなら、一番手っ取り早い方法ですわね」

初春「で、でも…さすがに何の根拠も無いまま個人のパソコンに不正侵入するのはどうかと……」

躊躇うように、初春は呟く。

美琴「初春さん、ここで確かめておかないと後でもっと困ったことになる可能性もあるのよ。それに、あの2人に辿り着くための情報も手に入れられるかもしれないの」

初春「むぅ……」

黒子「大丈夫ですわ。目的のものを手に入れたら、すぐ引き上げればいいんですの」

美琴「逆に黄泉川先生と寮監が無実だったって分かる場合もあるわ。それならそれで、スッキリするでしょ?」

初春「………分かりました。やってみます」

美琴「ありがとう」

佐天「いやでも、どうやって2人のパソコンに侵入するんですか?」

初春「まあ、それなら大丈夫です。これでもパソコンスキルだけでジャッジメントに入った身ですから。恐らく黄泉川先生のほうは、アンチスキル第73活動支部のデータベースを漁ったら、私用パソコンのメールアドレスぐらい分かるでしょう。寮監さんのほうは……」

美琴「寮監のほうも、メールアドレスなら知ってるけど、それで大丈夫?」

初春「それならいけます。ただ、時間を少し頂けると嬉しいんですけど……」

美琴「分かったわ。じゃあ、焦らないでお願いね」

初春「はい。やってみます」

そう言うと、初春は再びパソコンの方に向かった。
979 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:01:53.01 ID:mEuYcV6o
あのタイミングで外に出すのは不自然だとは思っていたが、こう話が進む事になるとは
980 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 23:07:33.42 ID:29qn51o0
夜――。

それぞれがやるべきことに没頭し数時間。美琴たちはいつものように地下で一時の食事を味わっていた。
そして食後、事態は大きく一変する。

初春「御坂さん! 白井さん! 佐天さん!」

ノートパソコンを覗いた初春が声を上げた。

美琴「どうしたの?」

3人が初春の下に集まってくる。

初春「反応がありました。これで、黄泉川先生と寮監さんのパソコンに侵入出来ます!!」

美琴「本当!?」

おおおっ、と3人は驚嘆の声を上げ顔を見合わせる。

初春「ウイルスを添付したメールを2人のパソコンに送っておいたんです。見た目は普通のメールですし、添付ファイルを開いても向こうのセキュリティソフトに異常は察知されませんが、確実にウイルスはパソコンに侵入しています。後はそのウイルスが作り出したセキュリティホールを使って、パソコン内部にアクセスするだけです。ここまで時間が掛かったのは、黄泉川先生と寮監さんがメールに気付いて開くまで時間が掛かったからでしょう」

美琴「やったわね。お疲れさま初春さん」

初春「いえいえ、まだこれからですよ」

謙遜しながらも、初春は滑らかに画面中の矢印を動かしていく。

初春「さて、どこから見ていきましょうか」

美琴「一番怪しいのはメールボックスね」

初春「メールボックス?」

美琴「恐らくだけど、もしかしたら上条当麻たちとメールで連絡を取り合ってるのかもしれない。だとしたら、それに関する送信メールか受信メールがあるはず……」

初春「なるほど…」
981 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:07:32.91 ID:0UgKqRI0
ミコトがミゴトに勘違いしていくな
別に寮監は協力者ってわけじゃないし…
面白くなってきた。最初から面白かったけどな!!
黄泉川センセのパソコンには何がはいっているのだろうか、打ち止めと一方通行の寝顔写真とか入ってたら空気ぶち壊しだなぁ
982 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 23:13:36.98 ID:29qn51o0
縦に並べられた大量のメールの件名を4人掛かりで調べていく。たまに目についたメールのデータを開いてみるが、変わったものはない。

初春「ありませんね……」

佐天「待って、これはどう?」

佐天が何かに気付き、画面を指差した。最新の受信メールで、どうやらまだ開かれてないらしい。

黒子「送信者は……名前で表示されてませんね。ただのアドレスだけで表示されてますが、見るからに使い捨てのメールアドレスですわね」

美琴「初春さん」

初春「はい」

初春がポチッとクリックすると、メールの内容が表示された。そして、それを見て4人は目を丸くした。

美琴「これだ……」

黒子「ええ! 間違いなく、上条当麻と一方通行からのメールですわ!」

ついに美琴たちは、目的の証拠まで辿り着いたのだった。

佐天「やっぱり、黄泉川先生はグルだったんだ……」

初春「………………」

分かっていたようだが、自分たちの知り合いが敵側についていたという事実は彼女たちにとって僅かながらショックだったようだ。

美琴「2人とも、そう、しょげないで。残念なのは分かるけど、これでようやく念願の有力情報を得られたんだから」

佐天初春「はい……」

黒子「では、寮監の方も見ておきましょうか」

上条と一方通行に叩きのめされ、更に手足をもがれたような状況に落とされた美琴たち。
しかし、彼女たちはそれでもめげず、ただ自分たちの目的を果たすために敵の手がかりの一端を掴むことに成功したのだった。
983 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 23:19:12.06 ID:29qn51o0
しばらくして――。

初春の周りに集う美琴たち。彼女たちは今、ノートパソコンを前に確信していた。

美琴「これで決まりね。黄泉川先生と寮監は、上条当麻と一方通行の協力者。つまり、グルってこと」

黒子「まさかあの寮監までグルとは……信じられませんわ」

美琴「まあね。でも、寮監のパソコンにも、上条当麻と一方通行からメールが届いていた。それも、黄泉川先生に送られたメールと同じ文面のものがね」

佐天「信じたくないですけど、これ以上信用出来る証拠もありませんし……」

初春「どうして黄泉川先生たちは、上条当麻に協力しようと思ったんでしょうか?」

美琴「それは分からないわ。だけど、1つだけ得られたことがある」

黒子「ええ」

4人は頷き合う。

美琴「上条当麻と一方通行は、3日後の深夜、第7学区の郊外にやって来る」
美琴「そう、この場所にね……」

美琴は、パソコンの画面に表示された地図の一点を指差す。そこには、赤く太い矢印で特定の場所が示されていた。

美琴「私たちは、そこで待ち伏せして奴らに奇襲を加える。いいわね?」

佐天「はい!」

初春「ええ!」

黒子「はいですの!」

美琴「残り3日間、自分がすべきことに全力を注ぐのよ。ただし、無理して怪我はしないようにね。あと、作戦会議も煮詰めるわよ。そして、実際に上条当麻と一方通行と戦闘に入ったときのシミュレーションを数パターン、4人で演じてみるの。当日、本番で上手くいくようにね」

黒子佐天初春「はい!!」

3人の元気で力が篭った返事を聞き、美琴は1度だけ頷くと、次いで横目でパソコンの画面を窺った。
赤い矢印で示された場所を見つめ、美琴は胸中に思う。

美琴「(ようやく辿り着いたわよ上条当麻、一方通行。今度こそ私たち4人で、貴方たちを打ち負かしてやるわ!!!)」
984 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 23:20:01.78 ID:29qn51o0
>>1です。
今日は以上となります。
次スレ立ててきます。
985 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:21:45.57 ID:Eu4Y.gAO
二つの意味で乙!

さぁ、どうなる・・・!?
986 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:22:09.41 ID:O/PfPeA0
乙!
987 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga sage]:2010/06/29(火) 23:24:18.27 ID:29qn51o0
立ててきました。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277821391/

それでは今日は失礼します。
また明日来ます。
ありがとうございました。
988 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:24:57.67 ID:RYUTySQo
すげーwwktk
戦闘楽しみにしてる
989 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:25:58.69 ID:WUDx9qk0
乙!乙!
990 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:36:20.92 ID:97U6egso
乙乙!
ついに決戦か
991 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:36:49.78 ID:NzLKnH.o
こっちはうめちゃうか
992 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/29(火) 23:45:54.83 ID:OR2KvLso
埋めるなら予想でも

上条さんの右手千切ってそれ使ってセロリは倒せるな。
993 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:49:27.27 ID:sYgnlUAO
乙!
いよいよ話が動き始めたな
994 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:50:02.82 ID:Wn3hZAco
右腕単品で使えるとは限らん
よってカミやんぶっぱすればおk
995 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:57:38.62 ID:IIq0Pvko
>>981
996 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/29(火) 23:58:31.08 ID:4d0xfdso
上条さん側を応援してしまうのはなぜだろう・・・
997 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/30(水) 00:02:38.12 ID:CqRcraco
上条さん一行には美琴達には受け入れられはしないが納得の行く理由があるような気がする
998 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/30(水) 00:06:14.99 ID:GnxU5cDO
なんの罪もない人間を殺してる時点で終わってるだろ。
むしろ最後まで悪に徹してほしいわ
999 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/06/30(水) 00:13:30.40 ID:IG3pVFY0
埋めちゃうよ!
1000 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/06/30(水) 00:13:50.86 ID:ip2mp52o
ひょぉぉぉぉぉ
1001 :1001Over 1000 Thread
    ´⌒(⌒(⌒`⌒,⌒ヽ
   (()@(ヽノ(@)ノ(ノヽ)
   (o)ゝノ`ー'ゝーヽ-' /8)
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スレ立て侍台所 @ 2010/06/29(火) 23:50:46.03
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【結】妹達の部屋で、俺の写真を発見したんだが…?8【婚?】 @ 2010/06/29(火) 23:49:32.39 ID:PBEVByMo
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