クライモリ ◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/04(日) 23:14:24.59 ID:UfNm1bg0<>こんにちは、平沢憂です。

今日はお姉ちゃんが高校生最後の夏休みに
起こった奇妙な出来事をこっそり皆に話したいと思います。
お姉ちゃんが軽音部の合宿で夏フェスに行ったことが
この奇妙な出来事の始まりです。<>唯「クライモリ」 クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/04(日) 23:25:15.00 ID:UfNm1bg0<>お姉ちゃんは夏フェスにいけることをとても楽しみにしていたみたいで、
その日私が起こしに行った時には、既に準備万端でした。

いつもはしないサングラスなんか掛けていたので、新しいお姉ちゃん発見!
と朝ごはんを作りながら悦に浸っていたのをよく覚えています。

憂「お姉ちゃん!今日は気をつけて行ってくるんだよ。」

唯「えへへ〜心配しなくても大丈夫だよ〜今日はみんなも一緒だしね。」

憂「うん!でも今日は午後から雨みたいだからちゃんと雨具もっていくんだよ?」

唯「ありがと〜憂!憂もお留守番気をつけてね?戸締りはちゃんとしてね。」

出掛ける前のはにかんだ笑顔、この笑顔が見れるだけで今日も1日幸せだよ。
なんて思いながらお姉ちゃんを見送りました。
でもね?お姉ちゃん!今日はビックリすることがもう1つあるんだよ。
<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/04(日) 23:43:42.05 ID:UfNm1bg0<>実は純ちゃんが夏フェスのチケットを手に入れてきてくれたのです。
いつも軽音部の合宿には参加できなかったけど、今回は私も参加するんだ。
今からお姉ちゃんの驚く顔が楽しみで仕方ありません。
今日に限って言えばお姉ちゃんより純ちゃんの寝坊が心配だなと思っていた時にチャイムの音が響きます。

純「憂〜おはよ〜」

憂「おはよう純ちゃん・・・・髪ボサボサだよ?」

純「私朝は弱いんだってば・・・・もう唯先輩は行ったの?」

憂「うん!グッドタイミングだよ純ちゃん。私たちも急ごう。」<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/05(月) 00:24:31.59 ID:l61pqTw0<>予定通り私たちはバスに乗って夏フェスへと向かいました。
私は窓から見える外の景色を見つめながら、これから起こる楽しい夏の出来事に思いを巡らせつつ、
もう1度眠りに落ちてしまいました。

純「憂、憂!起きて着いたよ。」

憂「ふぁ〜私寝ちゃってたんだ。」

純「憂の寝顔初めてみちゃった。ってそんなことより早く降りなきゃ。」

バスを降りると辺りは見渡す限り山が広がっていました。
思っていたより人が少なく・・・・というより私たち二人以外人が居ません。

憂「誰もいないね・・・・純ちゃん。」

純「はは・・・・ちょっと早く着きすぎたのかも・・・・。」

憂「そ・・・・そうだよね。とりあえず乗り換えのバスを待とっか・・・・。」

純「う・・・・憂、ちょっと見て。」

憂「えっ・・・・そんなぁ。」

バス停の張り紙は、私の気分を害するのには充分な言葉が書かれていました。

『諸事情により、今年のサマーフェスタは中止させて頂きます。払い戻し等は・・・・』

純「・・・・帰ろっか・・・・憂。」

憂「でもお姉ちゃん達は・・・・」<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/05(月) 00:27:55.14 ID:l61pqTw0<>純ちゃんに話しかけていると私の携帯に着信が入ります。
表示はお姉ちゃんからで、きっとお姉ちゃん達もこの張り紙を見てがっかりしてるんだろうなとこの時まで私は軽い気持ちでいました。
がっかりなのは私も一緒だよお姉ちゃん・・・・

憂「もしもし?お姉・・・・」

唯「憂?憂助けて!!怖いのっ!!人間じゃ、人間じゃない・・・・」<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/05(月) 00:57:44.90 ID:l61pqTw0<>携帯越しに聞こえる涙交じりの声、でも今は涙なんて大した問題じゃなくて、
生まれて初めて聞くお姉ちゃんの恐怖に満ちた声に、私がしっかりしなきゃって
努めて冷静にお姉ちゃんに話しかける。

憂「お姉ちゃん、どうしたの?人間じゃないってわかんないよ。」

唯「まだいる、ここにいる・・・・あれは隠れてる・・・・どうしよう・・・・どうしよう・・・・どうしよう・・・・。」

憂「あれって何?お姉ちゃん今どこにいるの?」

唯「森・・・・夏フェス会場にむか・・・・キャーッ!!!!!!!!!!!」

電話はそこで途切れてしまった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/05(月) 01:11:32.75 ID:5gd2G/Q0<>支援<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/05(月) 01:38:56.12 ID:l61pqTw0<>>>7
ありがとうございます。

のんびりかもしれませんが書いていきますので
よかったら読んでください<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/05(月) 04:02:47.73 ID:ZqvTjsAO<>ホラーか、時期的にピッタリだね、妹の語り形式も良い。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/05(月) 09:47:26.69 ID:Q69BxsSO<>クライモリとか俺得
ただ、あの作品は奇形の食人鬼は一般人に性欲わかないのがネックよね<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/06(火) 00:18:44.90 ID:.sOCgfg0<>>>9

ありがとうございます!

>>10

それは言っちゃダメww
<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/06(火) 00:35:14.38 ID:tV4z/fc0<>お、来たか
支援<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/06(火) 15:17:50.46 ID:pLpKA4s0<>額から汗が伝うのがわかる。手は自分の意志に反して震えが止まらない。
もう1度お姉ちゃんの携帯に掛けても、携帯から聞こえてくるのはむなしい機械の音声だけだった。
夏フェスの会場?だって今日は中止なんだよ、お姉ちゃん。

純「憂?どうしたの?顔色悪いよ?唯先輩に何か言われたの?」

憂「どうしよう純ちゃん・・・・お姉ちゃんが・・・・お姉ちゃんが・・・・」

純「な・泣かないでよ憂、落ち着いて、ねっ?何があったか話して?」

憂「お姉ちゃん誰かに追われてるみたいで・・・・。それで・・・・ヒックエグッ・・・・それで。」

純「追われてるって、梓や軽音部のみんながいるはずじゃん。それにさわ子先生だって・・・・」

憂「私だってわかんないよ!でもでもお姉ちゃんの怯えた声・・・・初めて聞いて・・・・それに周りにお姉ちゃん以外の声しなかっもん。」

純「そんな・・・・」

憂「お姉ちゃん助けなきゃ・・・・。」

純「と・とにかく落ち着いてよ憂!私たちじゃ場所わかんないでしょ!それにこういう時は警察だって!私ちょっと電話してみる。」<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/06(火) 15:44:04.47 ID:pLpKA4s0<>純ちゃんはそういって携帯を取り出し警察に電話しているようだった。
確かに警察の人に任せたほうが安全かもしれない、
でもこのまま待っていたらお姉ちゃんに何か起きることが先だろう。
私の感がそう告げていた。

『私がお姉ちゃんを助けなきゃ。』

このときわかったけど人間本気で決意すると体は自分の意志に反して勝手に動くんだね。
いつの間にか涙は引いていて、震えも止まっていた。
私は一つ大きく深呼吸をして走り出した。

純「えっ・・・・憂!何してるのよ!ねぇ!ねぇー!」

憂「純ちゃんごめんね。私が行かなきゃだめなの。」

振り返りながら純ちゃんにさよならをした。

憂「すぐに行くからね、お姉ちゃん。」

いつの間にか空には朝日が顔を出している。
流れる汗など構わず私は夏フェス会場への道を走り続けた。
<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/07(水) 23:38:24.72 ID:OUrN2sQ0<>お姉ちゃんが怯えていた原因と思われるもの。
その答えは30分としない内に私の知るとこになる。

道路の中心には血だまりがあった。
この血が誰の血か想像したくもなかったが軽音部の誰かのものであることは間違いないだろう。
血だまりは引きずられるように道路脇の森の中へと跡を残していた。

私はその跡を辿って森の中に入っていった。<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/07(水) 23:56:52.78 ID:OUrN2sQ0<>高く生い茂った木々が夏の日差しを隠していて薄暗く、何だか気味が悪い。
それでも私は跡を辿って森の奥へと足を進めていく。
こんな森の中で私は本当にお姉ちゃんを見つける事が出来るんだろうか?
そんな考えが頭を過ぎったとき、見慣れた物が目に入った。

それは今日お姉ちゃんが持って行ったバッグだった。

不思議なことにお姉ちゃんのバッグは、木の上から紐で吊るされている。
何か手がかりがあるかもしれない。私はバッグに手を掛けて結んである紐をほどいた。<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/08(木) 00:12:50.12 ID:exzq01Y0<>「・・・・ないっ!!!」

背中に痛みが走り、目には木々の間から空が見える。
一瞬にして恐怖心が私を支配してしまう。さっき聞こえたのは明らかに人の声だ。
このままじゃ何をされるかわからない、なんとか拳を握ってありったけの力で腕を振り回す。

「や・・・・やめてっ!違う!あっ・・・・」

柔らかいような硬いような何ともいえない感触が伝わった。
1回・・・・2回・・・・3回目の感触が伝わった時だった。

ガシャンッガシャッキキキッ

鉄が擦れ合うような音が辺りに響く。

憂「えっ・・・・。」

「憂ちゃん落ち着け!私だ・・・・私だよん!」<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/08(木) 01:20:25.87 ID:mpT6U6SO<>もう少し早く書いてほしい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 01:51:35.87 ID:IQBChBo0<>気持ちは分かるがゆっくりでもいいんだぜ
<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/08(木) 19:17:06.65 ID:TGlPoko0<>>>18
すいません
遅筆なので少し我慢してください
週末は頑張ります

>>19
ありがとうございます
少しづつですが書いていきますので
<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/08(木) 20:04:42.89 ID:TGlPoko0<>憂「律・・・・さん?」

律「私を忘れるなんてひどいぞ〜憂ちゃん?」

憂「ご・・・・ごめんなさいそのっ・・・・私・・・・律さんを・・・・。」

律「まっ良いってことよ。ほらっ立って」

律さんはそう言って私に手を差し伸ばしてくれた。
私がその手を掴んで起き上がろうとしたとき、さっきの音の正体に気付く。
目線の先にはお姉ちゃんのバッグを飲み込むように包み込んだ鉄線の塊。
誰かが仕掛けない限りあるはずのないものがそこにはあった。

憂「律さんがいなかったら私があのバッグに・・・・。」

律「うん・・・・でも無事で良かった・・・・。それにしても憂ちゃん、なんでこんなところにいるんだ?」<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/08(木) 20:39:41.77 ID:TGlPoko0<>憂「私も聞きたいことがたくさん・・・・律さん・・・・。」


夏フェスは中止だったけど雰囲気だけでも感じたくて会場に向かったこと

私たちの他にも数人、一緒に会場に向かった人がいたこと

会場に向かう途中の道で襲われ、その内1人がなくなったこと

襲った相手は人の形をした人ではないこと

森の中にみんなで逃げ込んだこと

森の中で2度目に襲われた時、さわ子先生がおとりになってみんなちりじりになってしまったこと

そしてお姉ちゃんを見つけたと思って私と出会ったこと<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/12(月) 20:27:48.32 ID:7Hdg9A20<>とても信じられることではなかったが、
そのどれもが現実で起こってるんだろう。

あのお姉ちゃんの声と今ここにある鉄線を見ればそれも納得できた。

憂「律さん、これからどうするんですか?」

律「もちろんみんなを助けに行くに決まってるだろ。」

返ってくる答えは期待通りだったが、何故か律さんの表情が険しくなる。

憂「どうしたん・・・・」

私が言い終える前に律さんは私の口を塞ぐ。<> クライモリ
◆CIpVC7hB.w<>sage<>2010/07/12(月) 20:47:37.08 ID:7Hdg9A20<>それと同時に律さんは私を後ろから抱きしめるようにして木の陰に隠れた。

ドクン・ドクン・ドクン

律さんの鼓動が早くなっていくのがわかり、
状況がよく掴めない私は困惑するばかりだった。

さっきまであんなにうるさかった虫の声も私の耳には届かない。

届かない・・・・?違う、虫の声がやんでいるんだ。

変わりに聞こえてくるのは何かが草むらをかき分ける音。
寄り道もせずこっちに向かってくるその音が止まった時、
私の恐怖も絶頂に達していた。

ガシャン・・・・カランカラン・・・・<>