遅筆<>sage<>2010/07/07(水) 00:09:41.78 ID:75qLhSQ0<>勇者ものです。

SS書くのは初めてですので、よろしくね。

ちなみに高校生で今テスト中。基本執筆は週末。結果は終末。
遅筆であまりにも有名。一時間で5レス分……だと……?<>勇者「あはぎゃはははああはははは!」魔王「負けるわけには……」 遅筆<>sage<>2010/07/07(水) 00:10:05.27 ID:75qLhSQ0<>――――ここは、剣と魔法の世界。
街ではニンゲンが人を襲い、外ではマモノが人を襲う。

王様「勇者よ、そなたに頼みたいことがある」

勇者「何でしょう、王」

王様「魔王を倒せ……これが為されなければ、我が国は内部から滅ぶだろう」

勇者「わかりました。必ずや、期待に応えて見せます」

王様「期待はしておらん」

勇者「えっ?」

王様「確信しておるのじゃ。魔王討伐が為される……とな」

勇者「ははは……もったいないお言葉です」

王様「ふむ、では酒場へ行くがいい。そこで心の友を探すのじゃ」

勇者「わかりました」
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 00:11:19.19 ID:75qLhSQ0<>ゆうしゃのたびがはじまった!
ゆうしゃのパラメータをひょうじします

名前:ブレイバル=パース(勇気の人の英語をちょいいじった)
武器:帯刀している蒼い鞘の大太刀
防具:普通の鎧
見た目:凛々しい女剣士
スタイル:そこそこ巨乳
髪型:黒髪ロングで、髪型は頭頂部の辺りで一度留め、そこから流している

魔法(SSS>>…A>B…>G)
火の系譜D
水の系譜C
風の系譜A
雷の系譜C
土の系譜F

固有魔法
属性:剣
威力:SSS
速度:SS
リーチ:F

能力
知能:B
力:A
敏捷性:AAA
体力:C


〜〜セーブデータを保存しています。『戻る』『閉じる』を押さないでください
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 00:13:45.59 ID:75qLhSQ0<>ちょっと貧乏くさい酒場

勇者「さて、仲間になってくれそうなのは……」

 ゆうしゃはあたりをみわたした!
 よさげなおにぃさんをみつけた!



 顔は兜に隠れて見えない。が、それは同時に内包する殺気すらも隠していた。
 上下ともに黒甲冑。妖しげではあるが、それ以上のナニカを感じていた。

勇者(この男……できる)

勇者「そこの鎧武者。少し話がしたいのだが、よろしいか?」

武者「なんだムシャ。俺のことをしっているムシャか? お嬢さん」

勇者(変な喋り方だなぁ……)

勇者「ああ、実は魔王を倒しに行こうと思ってね。仲間を集めているんですが……」

 ゆうしゃはかんゆうをはじめた!
 むしゃはまだまよっているようだ!
 ゆうしゃはどうしますか?

勇者「勿論お礼は弾みます(王様が)。なのでいssy……」

 瞬間、酒場の空気が熱気から一気に永久凍土にまで下がった。その原因は、開かれた扉。
 カラカラ、カラカラと小気味の良い音を発しながら、一人の男が足を踏み入れる。
 右手に持つ棒状の物は何だろうか。それがこの音の原因のようだ。
 黒い綿付きのフードを取り、酒場内に視線を送ったその男は、一言発する。

男「やぁみんな! 元気かい!?」

 一瞬の空白。その直後、再び巨大な熱気が酒場を包む。

A「おかえりなさいませ! 葵様!」
B「お怪我なんてあるはずないですよね!」
C「ホレボレしそうですぅ///」
D「流石でございます!」
X「計算通り……」
Z「本日は何を狩ってきたのですか?」

 人々の輪の中にいる、奇妙な笑いを浮かべた人物。
 勇者は、背筋に何か冷たいものが走るのを感じていた――――

 おとこがあらわれた!
 ゆうしゃはびびった!<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 00:16:20.47 ID:75qLhSQ0<>男「ん? 見ない顔がいるねぇ」

 薄気味悪い笑みを浮かべた男。そのまま武者の背中側に回り――抱きついた。

男「やぁ武者クゥゥン?? なぁぁんの話、してるのかなぁ?」

武者「……彼女は、勇者だそうでムシャ」

 おとこは、ゆうしゃにえみをうかべた!
 ゆうしゃは、せんりつした!

 ゆうしゃはびびっている
 
 どうしますか?

 逃げる
 逃げる
 逃げる
 勧誘

勇者(どうすればいいっ・・・どうすればっ・・・!!)

男「なぁに考えてるの?」

 男が俯き加減の勇者の顔を覗き込んだ瞬間だった。
 勇者は心臓が止まるかのような、底知れぬ恐怖を抱いていた。

男「もうすこしおしゃべりしない?」

勇者「」

男「……まぁいいや」

 スキップをしながら、もといた所に戻る男。
 勇者は安堵と共に、何か他の感情を抱いていた。<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 00:17:01.00 ID:75qLhSQ0<>V「そういえば今日はどちらへ行ってらっしゃったのですか?」

男「ああ今日ね。ちょっと近場のダンジョンいってきたんだけど。ほら、『死の森』ってところ」

勇者(死の森? あそこはかなり危険で私ですらクリアできるかどうかもわからないとこr……)

男「タイムアタックで行ってみたんだけどね、一分もかかっちゃったよ」

勇者(……は?)

男「ちょっと迷っちゃってさ。周りのモンスターは一瞬で消してしまったし」

勇者(いやいやいやいや何を言ってるんだこの男は)

男「適当に消していったら運よくボス発見ってわけさ」

勇者(落ちつけ、素数を数えるんだ)

男「ボスも雑魚かったね。寝てただけで勝手に死んでたんだもん」

勇者(2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47 53 59 61 67 71 73 79 83 89 97
101 103 107 109 113 127 131 137 139 149 151 157 163 167 173 179 181 191 193 197 199
211 223 227 229 233 239 241 251 257 263 269 271 277 281 283 293 307 311 313 317
331 337 347 349 353 359 367 373 379 383 389 397 401 409 419 421 431 433 439 443
449 457 461 463 467 479 487 491 499 503 509 521 523 541 547 557 563 569 571 577
587 593 599 601 607 613 617 619 631 641 643 647 653 659 661 673 677 683 691 701
709 719 727 733 739 743 751 757 761 769 773 787 797 809 811 821 823 827 829 839
853 857 859 863 877 881 883 887 907 911 919 929 937 941 947 953 967 971 977
991 997 1009 1013 1019 1021 1031 1033 1039 1049 1051 1061 1063 1069 1087 1091 1093
1097 1103 1109 1117 1123 1129 1151 1153 1163 1171 1181 1187 1193 1197………あ、ミスった)

男「ん〜? ゆっう〜しゃさ〜ん? もしも〜し」

勇者「ハッ……すまない、何の話だ?」

男「俺が付いていってもいいよ。魔王討伐」

勇者「え?」

男「だ〜からぁ、魔王殺しに行くってんだよ」

勇者「ええええええええええええええっ!?」

男「俺、葵 芳奇。よろしくね」

勇者(なんてこったい……どうしてこうなった)<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 00:17:47.99 ID:75qLhSQ0<>あおい よしきがなかまになった!
あおいのパラメーターを表示します

名前:葵 芳奇
武器:バールのようなもの
防具:黒いコート
見た目:好青年。肌が黒い
スタイル:優男
髪型:黒いツンツン頭のショートカット

魔法(SSS>>…A>B…>G)
火の系譜G
水の系譜G
風の系譜G
雷の系譜G
土の系譜G

固有魔法
属性:空間
威力:∞
速度:∞
リーチ:半径50M

能力
知能:SS
力:E
敏捷性:D
体力:E

 
〜〜セーブデータを保存しています。『戻る』『閉じる』を押さないでください<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 00:19:16.22 ID:75qLhSQ0<>今日はここまで。
多分明日は書き溜めるだけ。

see you tomorrow!Good-Night♪<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/07(水) 00:36:53.95 ID:bwH/XQAO<>>>1まで読んでお腹いっぱいになった。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/07(水) 09:33:55.71 ID:TvLpqf.0<>>>9
おれも>>1読んでお腹いっぱいになった<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/07(水) 11:51:45.70 ID:luPSRoAO<>あー…うん。なるほどね<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/07(水) 15:39:51.25 ID:Wl5XQv6o<>・・・まぁがんばればいいんじゃない?<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 17:09:15.38 ID:75qLhSQ0<>うぅ……リアルを書くのはまずかったか……
不快に思う方があればごめんなさい。

なんかもうあまりにも不評が多かったら一気に飛ばします……申し訳ありません……<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 18:27:32.57 ID:75qLhSQ0<>ちょっと早いが投下

王様「ふむ……旅に出たか……。魔王討伐は心を病む者も多い。そうならなければいいが……」

街の外の道

男改め葵「〜〜♪」

勇者「どうしてこうなった……」

葵「素数を数えてたから?」

勇者「ふぇ? いや、……口に出てたか?」

葵「ハハハ、当たったか」

 ゴブリンがあらわれた!
 ゴフリンがあらわれた!
 コブリンがあらわれた!
 ゴブリソがあらわれた!

勇者「くっ……四体も!」

葵「くく……アハハ……クハハ……さぁ殺ろうか」

 葵が不敵に笑む。その笑みは笑いではなく、狂い。
 カラカラと地面を削っていたバールを無造作に振り上げる。

葵「さぁ、虐殺タイムの始まりだ」

勇者「お、おい。殺すのは……」

葵「ここから俺は最強だ」

 あおいはかけだした!
 めにみえぬそくどでゴブリンたちにせまる!

 グシャリ。肉の砕ける音が鈍く響く。
 腹部に突き刺さったバールの先端は内臓にまで届いており、グチュリと血と肉の音がする。
 そのままバールに突き刺さったゴフリンの体を地面へと叩きつけた。
 周囲には血が飛び散り、当然葵の服にも付いている。それを満足そうに眺めたあと、隣のゴブリソに向かってバールを薙ぐ。
 先ほどとは違い、バールのL字に引っかけるような攻撃。ゴブリソは吹き飛び、その隣のコブリンとゴブリンを巻き込む。
 地面に勢いよく叩きつけられた三匹は、頭を強く打ったのかすでに気絶している。
 
 ゴブリンをたおした! ゴフリンをたおした! コブリンをたおした! ゴブリソをたおした!

 ゴフリンの生存は絶望的だろう。そして、葵は倒れた三匹に目を向ける。
 そして、徐にバールを振り上げる。

葵「ハハハハハッ!」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 18:28:02.11 ID:75qLhSQ0<>勇者「やめろっ!!」

 ゆうしゃのどなる!
 あおいはバールをとめた!
 あおいはけげんなかおをしてこっちをみている……

 どうしますか?

葵「……あ゙ァ?」

勇者「……殺すな。殺す必要は、ないだろう」

葵「いいのかなァ、この俺にそんな上から目線で物言っちゃって」

勇者「バールを収めろ。これは……めいれいだ」

葵「ハイハイ」

勇者「私が生きている限り無駄な殺生はさせない……いいな、葵」

葵「ハイハイ」

勇者「……もうじき次の街に着くから」

葵「ハイハイ」

勇者(この人怖い……どうしてこうなった……)
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 18:29:54.78 ID:75qLhSQ0<>サトウタウン


勇者「さぁ次の街に行こうか」

葵「早ぇよ」

勇者「……葵が返り血まみれだからじゃないか……」



道中

スライムAがあらわれた!
スライムBがあらわれた!

中略

スライムZがあらわれた!
スライムA+があらわれた!

以下略


葵「スライムかよ」

勇者「多いな……」

葵「任せた。殴った感触ない奴と闘う気にならねェ」

勇者「えええ……」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 18:30:34.46 ID:75qLhSQ0<>勇者「やるか……」

葵「ふぁいとふぁいと。がんばれがんばれ」

勇者「ハァァア!!」

 ゆうしゃはかたなをぬいた!
 つぎつぎとなぎたおしていった!
 スライムをぜんめつさせた!

葵「遅……」

 あおいにげんめつされた!

勇者「」




シオタウン

勇者「葵がコート脱いだおかげで入れた……」

葵「まったく、返り血如きで五月蠅いな……あの模様、好きなんだけど」

勇者「で、宿どうする?」

葵「ああ、俺の分は良いや。ちょっと憂さ晴らししたい」

勇者「……魔物狩りか」

葵「さぁ?」

勇者「……お前は私と同じ部屋だ。異論は無いな」

葵「」
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/07(水) 18:31:01.55 ID:75qLhSQ0<>今日はここまで

また明日<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/07(水) 22:07:23.28 ID:KXRXkDU0<>>>1はいま何年生?<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 17:53:01.63 ID:CF7XY6AO<>小四です!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/08(木) 18:58:39.06 ID:PtQ3mcAO<>名前は葵 芳奇(あおい よしき)っていいます!<> 遅筆<>sage<>2010/07/08(木) 23:54:36.68 ID:m5BswQY0<>>>19
僕は[禁則事項です]年生です。
まぁ三角関数やってるあたりで……

>>21
ちなみに名前はキャラの元ネタの人の名前をもじったものです。
考えるのめんどくさいので。変換も出てきたのそのままです<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/08(木) 23:55:10.09 ID:m5BswQY0<>お世辞にも豪華とは言えない宿屋

おばちゃん「おや、夫婦かい?」

葵「奴隷とごしゅ……」

勇者「旅人とそのお供です!」

おばちゃん「まぁゆっくりしておいき」


部屋


勇者「じゃ、どうする?」

葵「寝る」

勇者「そうだな……なぁ葵、なんであのとき追撃加えようとしたんだ?」

葵「」

勇者「……何か魔物に恨みでもあるのか?」

葵「」

勇者「大丈夫だ。こんな世の中は……私が必ず変えてみせる。
   魔王の脅威を取り払って、この世に平和をもたらせて見せる」

葵「」

勇者「だからお前も協力してくれ……魔物の犠牲も、ヒトの犠牲も少ない方がいい」

葵「」

葵(何このDQN……ヒくわ……)




勇者「さぁ行こうか!」

葵「めんどくせー」

勇者「今日中に次の街に行かなきゃ野宿だぞー」

葵「はいはい」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/08(木) 23:55:52.43 ID:m5BswQY0<>楼閣の墓地

 おちむしゃAがあらわれた!
 おちむしゃBがあらわれた!
 おちむしゃCがあらわれた!
 ムシャがあらわれた!

勇者「ってムシャアァッァァァア!?」

葵「は? トチ狂ったか?」

勇者「こいつってあの酒場にいた……」

葵「え? 知らないの? アイツ、幽霊だよ?」

勇者「は?」

葵「もっというなら、武者にカテゴライズされた実体を持つ霊。結構どこにでもいるぜ?」

勇者「し、知らなかった……って葵! 後ろ!」

葵「あ?」

 白銀の刃が葵の頭をたたき割らんと迫る。錆つき、刃毀れしている刀だが、それでも命を消すには十分。
 だが、当たる直前に、葵はこう呟いた。

葵「反射」

 突然のことだった。葵の頭に振り下ろされた刃は、何故か触れるか触れていないかの境で停止している。
 数拍遅れておちむしゃBの腕の鎧が亀裂と共に砕け散った。
 振り返ると同時に鎧兜をバールで狙う。鈍い音がしたかと思えば、鎧兜は無数の破片になった。
 魂魄が宿るとされている頭を吹き飛ばされたことにより、おちむしゃBは没した。

葵「さぁ虐殺タ〜イム! 一撃で成仏するから、安心してね♪」

 あおいのすがたがきえた! 
 めにみえないそくどでなぎはらっていく!
 すべてのてきをたおした!

勇者「お前……どんな魔法使ってるんだ!? まさか、ベクトル操作……」

葵「そんな子供の遊びと変わんねぇもん俺が使うかよ。あんなの雑魚じゃねぇか。俺が戦ったら数秒で倒せるな」


 その会話もそこで打ち止め。水を差したのは、爆発。

葵「爆竹か?」

勇者「敵だ!」

??「ホゥ、今の一撃を避けるとは……ククク……楽しみだ……」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/08(木) 23:57:06.83 ID:m5BswQY0<>今日はここまで。

まぁなんだかんだで100いかずに終わりそうですが、
終わったらHTML化スレに依頼を出せばいいんですよね?

ではまたあした<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/09(金) 19:52:47.34 ID:hHxa5.20<>乙です。<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/09(金) 21:50:08.42 ID:tldh0kAO<>乙ー<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 10:55:21.82 ID:MQKZcFE0<>遅ればせながら少し投下


勇者「貴様は何者だ!」

 人型をしているその影は、流暢な日本語で応じる。

??「自分の情報を敵に洩らすなんて言う真似、するはずがないだろう」

葵「あっれー? 自分の情報を他人に洩らしたら勝てなくなるんだな。弱い弱い」

??「……ホゥ、貴様はこの俺様に喧嘩を売っているのか。よほど灰燼になりたいようだな」

葵「最初に爆竹鳴らしたのどっちでしたかなァ?」

??「……耳障りな奴だ。この魔王直属地域警備バレク様が貴様を消してやろう……我が魔法、爆炎者(イクスプローダー)でな」

 バレクが指を鳴らす。同時に湧き上がる爆炎。
 爆風が周囲を薙ぎ払って行く。地面が抉れ、遥か彼方の木々が揺れる。
 
勇者「――水の守護」

葵「うぜぇ爆竹だな」

 フッ、という擬音語が一番合うだろうか。あっけなく消え去った爆炎。
 恐らく葵の魔法によるものだろう。
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 10:56:04.97 ID:MQKZcFE0<>バレク「フン、これなら」

 突如周囲をぼやっとした光が取り囲む。蛍の光に似たそれは、一瞬後起爆剤に変わる。
 周囲が断続的に爆発していく。爆発の円の中心には突風が吹き荒れる。
 爆炎で周囲との隔絶を余儀なくされた内部。そこへ、バレクが足の裏に爆発を起こし突っ込む。

バレク「爆炎者刀剣形態=v

 蛍の光に似たものが、バレクの手に刀剣の形を成して現れる。
 断続的に爆発を起こし始めたそれを持ち、爆炎の中へと突っ込む。

バレク(こちらは見える。向こうは見えない……終わりだ! ゴミ風情が!)

葵「かァ」

 バールで軽々と受け止める。いや、実体がない爆発を刀剣の形に発生させているだけなのに、それを受け止めたのだ。
 にもかかわらず、何故か金属音が響いた。バレクは驚愕と焦燥を隠しきれない。
 その怪訝な表情の顔に、空いた左手がめり込む。漫画のように17m程吹き飛んだバレクは地面を擦って倒れる。

葵「あとはパス。雑魚の相手だしやる気無くなった」

勇者「えええぇっ!?……まぁ仕方ないか」

 ゆうしゃがたちあがった!
 それとどうじにちをぬぐいながらバレクがたちあがった!<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 10:57:31.82 ID:MQKZcFE0<>バレク「クク……ハ……ハハ……虫ケラの分際で我らに逆らうつもりか!
    ……いいだろう。貴様ら二人! 魔王を敵に回すということだな……爆発者砲台形態=v

 淡光が一か所に集まる。バレクの上空で巨大な球を形作ったそれから、淡光が亜音速で飛ぶ。その姿は、流星。
 爆炎を纏ったそれは、狙いを逸れ背後の墓に当たる。
 爆発、というよりも、消滅の方が正しいだろうか。一瞬でその墓の後方30mが消え去った。

勇者「速度と威力で押し切る気か……」

バレク「クク……数もだ……!!」

 砲台≠フ淡光が煌めく。刹那、幾多もの流星が尾を引く。

勇者「水神の加護、風神の祝福融合――雅!」

 mediumspringgreen colorの膜が現れる。それは勇者の前方全てを覆い、爆発の流星を止める。
 鬩ぎ合う水と爆炎を風が吹き消していく。燃焼の為の酸素を与えるのではなく、取り払う風。
 一方で葵の方に逸れた流星が。

葵「んなもんは届かねェな」

 触れる直前に、爆炎は霧散する。
 撃ち切ったのか、少し沈黙するバレク。

勇者「――ここだ!」

 ゆうしゃはかけだした!
 かたなのつかをもった!<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 10:58:02.16 ID:MQKZcFE0<>勇者「あなたをここで殺さなければ、何人もの人々が犠牲になるでしょう――」

バレク「やれるもんならやってみろ! 灰燼に帰せニンゲン!!」

 三発の流星が放たれる。勇者の眉間を的確に捉える。
 派手な音を立てて、破裂する勇者。だが、飛び散るはずの血と臓物は無い。
 代わりに、水が溢れだしてきた。

勇者「どこ攻撃してるのでしょう。こっちですよ」

バレク「な――!」

 バレクの背後に現れたのは、鎧を脱ぎ捨てた勇者の姿だった。
 腰の蒼い刀が幾許か光っている。

勇者「さようなら。せめて来世では……お幸せに」

 刀の柄に手を掛ける。そしてすこし腰を捻り――抜刀。

勇者「私の唯一の殺害魔法――幾閃=v

 亜音速など軽く超える速度で、刀が振られる。
 体を上下に寸断した刃についてくる、真空の刃。
 一瞬で無数の斬撃がバレクを捉え、無数の肉片と化す。

勇者「……さぁ、行きましょうか」

葵「……はいはい」

 バレクをたおした!
 ゆうしゃはかたなをおさめた!


〜〜セーブデータを保存しています。『戻る』『閉じる』を押さないでください<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 11:03:22.60 ID:MQKZcFE0<>あと二日か三日で終わります。
もう少しつきあっていただきたいです<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 22:27:36.08 ID:chwHPi.0<>コショウタウン


女「いい? これからは、一人で過ごすのよ。バイバイ」サッ

ショタ「……おとーさーん? おかーさーん? どこー?」




勇者「ここがコショウタウンね……」

葵「何で調味料の名前ばっかりなんだ?」

勇者「さぁ? 妙な名前付けるとアレだからじゃないか?」

葵「考えた奴も馬鹿だよなー。ゾウモツタウンやニクヘンタウンとかの方がいいと思うんだけど」

勇者「ないない」


「おかーさーん?」

勇者「ん? 何か聞こえないか?」

葵「キノセイダヨキット」

勇者「いや、確かにこっちの方にさぁ……」

葵(関わるのめんどくさいなぁ……もう、うんざりだ)

勇者「この辺り……」

ショタ「おねーちゃん? だれ?」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 22:28:26.17 ID:chwHPi.0<>葵「へぇ、置き去りになった子供か。憐れだねぇ」

勇者「口を慎め……こんな人気のない路地で、何をしてたのかな?」

ショタ「おとーさんとおかーさんさがしてたんだー」

葵「ハハハッ、無様無様。こういう親がいるから腐るんだろうねぇ」

勇者「葵! 黙れ」

葵「……本当に、イイノカナァ……? この俺に、上から目線で物言って」

勇者「……お前、本当に腐ってるな」

葵「あ?」

勇者「腐ってるって言ったんだ!」

葵「何を言ってるのか。俺達の目的は魔王討伐だろ? こんなガキに構ってる暇ねーだろ」

勇者「お前はなにもわかっちゃいない!」

葵「へぇ……?」

勇者「今日!! 目の前で泣いてる子供一人救えない人間に……」

 少し息を吸い、眼に光を宿す。決意の、眼差し。

勇者「世界が救えるはずがないだろ!!」

 凛然と、言葉を紡ぐ。それに迷いは見られない。<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 22:29:05.92 ID:chwHPi.0<>ショタ「おねーちゃん……?」

葵「ああ、お前の言うことはよくわかったよ……伸びろ」

勇者「わかってくれたk……」










グシャッ





葵「で、だからどうしたんだ?」

 肉を潰す音が路地に響く。嫌な音が壁に反射し不協和音として耳に届く。
 舞う血飛沫が、隣に立つ勇者を赤く染めていた。
 血を噴出している所は、首。歪に破壊された首の断面。
 捨てられた男の子の末路は、頭を吹き飛ばされるという悲惨なものだった。
 飛び散った肉片は路地の壁を赤に穢し、ピチャピチャと水音を鳴らしている。
 先を血に染めたバール。その柄は、伸びていた。

勇者「お……お前エェエエェェェェェエ!!!!」

 殺気を前面に押し出し、猛る。
 
葵「いいぜ……楽しくやろうじゃねぇか。死ぬのは俺か……お前か……ハハ……ククク!!」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/10(土) 22:30:47.14 ID:chwHPi.0<>今日はここまでです。

明後日には終わるかな?<> 遅筆<>saga<>2010/07/11(日) 22:30:25.90 ID:oS6JWGA0<>勇者「お前だけは! 許さないぞ! 許すわけにはああぁぁぁぁああぁ!!」

葵「やかましいんだよ。今日人一人殺せねェような人間が明日魔王一人殺せねぇだろ?」

勇者「うるさいうるさいうるさいいぃいいぃぃぃ!! 風の斬撃!」

葵「無駄だよ。こっから先は、お前の遠距離攻撃は全部俺に届かない」

 ・・・・・・
 その言葉通り風の魔法により生み出された幾千の刃は当たる直前に弾ける。

勇者「あっ、あぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁ!! 火+風の魔法! 熱風陣!!」

葵「だーからぁ、無駄だって」

 その通りに事は運ぶ。霧散し、方向性を失った熱風は路地を駆け巡る。
 葵はバールをカン! カン! と地面にぶつける。

葵「こいよ。接近戦とシャレこもうじゃねぇの」

勇者「風神の祝福!」

 風を纏い、俊敏性を高める魔法。余った風が鞘にも巻き付く。
 それがかかると共に、地面を蹴り駆ける。疾風の如く駆け抜ける。

葵「ヒュウはやいはやーい……でも、俺はお前の倍速で動くけどな」

 葵に刃が迫る。と同時に、刃は葵の残影を捉えた。
 振り抜いた刀の刃の腹に立つ葵。足に力を加え、刃を地面へと叩きつける。
 顔面に飛ぶバール。勇者は右に体をずらし、前に出る。
 L字の部分が引っ掛かったことにより顔面がつぶれるのは防いだ。
 だが、身体の中心から一回転する体。そのまま地面に叩きつけられた。
 葵は余裕綽々といった態度で、刃から降り、挑発する。

葵「撃ってみろよ、お前の殺害魔法……ここで俺を倒さなきゃ、手始めにこの辺りのガキ共皆殺しにするぞ?」

勇者「〜〜っ!!」

勇者(撃つ……撃つしかない!)<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/11(日) 22:32:00.37 ID:oS6JWGA0<> 勇者は刀を鞘に納める。
 抜刀術に魔法を組み合わせた最強の技――幾閃≠フ構え。
 刃が振られると共に、そこに無数の真空の刃が潜り込み、荒れ狂うことによってコマ切れにする技。
 まともに食らえば肉片になるだろう。

葵「クク……来たか……でもな、折角覚悟を決めたとこ悪いんだが――」

 低く嗤いながら言葉を紡ぐ。バールを地面に置き、ポケットに手を突っ込んでいる。
 ・・・・・・・・・・・・・
 まるでどうなるか知っているかのように、余裕な態度。
 
  ・・・・ ・・・・
葵「その刃は、届かない」

 ヒュッ、と鋭い風切り音が木霊する。
 蒼い鞘から抜かれた白銀の刃は、葵を上下に両断せんと迫っていた。
    ・・・・・・・・
 だが、その刃は届かない。
 葵に触れる寸前で、刃がその進行を止める。音速級の刃を止めたのは、ほかならぬ勇者自身。

勇者「な……なん……だと……? なんで! なんで動かない!」

葵「簡単だよ」

 葵がポケットから手を抜く。体中を震わせ、手に力を加える勇者。
 その様子を嘲つつも、刃に手を伸ばす。
 するとその刃は、まるで同極同士を近づけた磁石のように、手から離れていく。
 そのまま鞘に収まった。

葵「俺が、届かなくしたから」

勇者「な――?」
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/11(日) 22:33:08.38 ID:oS6JWGA0<>葵「さて、冥土の土産に教えてやるよ。俺の魔法はな、森羅万掌≠チていう魔法。その効力は――一定空間内の事象を自らの思い通りにすることだよ!」

勇者「は?」

葵「そのままだよ。俺の範囲内なら、刃が届かないといえばそうなるし、遠距離が届かないって言や届かない。伸びろと言えばバールが伸びる……どうだ? 最凶にして最狂にして最強だろ?」

勇者「そんなの……勝てるはずがないじゃないか……」

葵「ああそうさ。つーことで、お前の最大攻撃の数千倍の威力の攻撃受けて死ね」

 バールを持った葵が一切の慈悲無く攻撃を叩きこむ。

 轟!! と言う音と共に音速の500倍の速度で射出された現代的なデザインのバールを頭に叩き込まれた勇者の体が逆くの字に折れ曲がり体の中の血液が全て無くなった時には勇者の体はノーバウンドで二キロメートルもの距離を吹っ飛びまるで欄干に干される布団のような格好で街の外の大樹の枝に衝突したことで、ようやくその動きを止めた。生死など確認する必要もない。葵のバールが直撃した時点で、すでに首から上は無くなっていたのだから。

葵「あー、ヤりすぎたか……まぁいいや。今日から俺が――」

葵「勇者だ。王に電報打ちにいくか」
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/11(日) 22:33:35.32 ID:oS6JWGA0<>王様「なんて……ことだ……」

 王様は、苦虫を噛んだような顔をしながら、その電報を呼んでいた。

葵『勇者が不慮の事故でグッド☆バイしてしまったので、今日から僕が魔王滅殺を引き継ぎまぁ〜す☆♪』

王様(……勇者よ、お前はよく……がんばったのか?)

 王様の問いに答える者は誰もいない。
 燦々と輝く太陽に、一瞬翳りが差した――



葵改め勇者「ハハハハハハハハハ!! さて、さっさと魔王殺しに行くか」

勇者「……音速の500倍の速度で魔王城へ直行」

 轟!! と言う音と共に音速の500倍の速度で射出された現代的なデザインの勇者は体を一の字にし、肺の中の空気が全て無くならんという勢いで勇者の体はノーバウンドで六十キロメートルもの距離を吹っ飛びまるでスケートリンクで止まるスケーターのような格好になりようやくその動きを止めた。

勇者「ここが魔王城――ね」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/11(日) 22:34:47.89 ID:oS6JWGA0<>今日はここまで。
多分明日か明後日には終わります。

まぁ禁書のネタが混じってしまいましたがw<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/11(日) 22:39:44.58 ID:A4eDlf60<>えっと…とりあえず日本語おかしくねえ?って言っとく<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/11(日) 22:48:46.80 ID:oS6JWGA0<>○肺の中の空気が全て無くなろうかという
×肺の中の空気が全て無くならんという<> 遅筆<>saga<>2010/07/16(金) 00:29:39.74 ID:WsaMgRE0<> 魔王の住処、魔王城。不気味な雰囲気を放ち、その存在感は果てしない。
 昼なのに、暗闇に照らされた城の周囲には蝙蝠が飛び回っており、稲妻が走る。

勇者「さぁて突入だ」

 一歩で堀を飛び越え、正門をぶち壊す。
 その時点で漸く魔王城に警報音が鳴り響いた。



魔王「侵入者か」

部下S「はっ。侵入者は約一名。勇者、かと」

魔王「……余り深追いはせずに、ここまでおびき寄せてくれ」

部下S「!! なりませぬ。それでは魔王様に危険が及びますゆえ……」

魔王「ここでお前らに死なれたら、計画≠ノ支障が出る。そうだろう?」

部下I「……それは魔王様も、同じでは?」

魔王「俺は大丈夫さ。それに……前勇者に殺られた父の仇も取りたいしな」

部下S「……承知。出来る限りここへ追い詰めます」

部下C「ボクはボクに出来ることをやりますので」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:32:03.76 ID:WsaMgRE0<>勇者「ククク……お前が、魔王か?」

魔王「いかにも、俺が魔王だ」

勇者「お前に会えて嬉しいぜ……」

魔王「一つ問おう。お前は、何故俺を殺しに来た? 何か正当な理由があるのか?
   人々は我々魔族が人を襲うと言う。だがな、実際はどうだ?
   魔法などと言う本来魔族が使っていた古代技術を掠め取り、おまけに大量の武器類を持っている。
   勿論魔族は丈夫だが、最新の兵器一つで簡単に命は奪われる。
   それは即ち、一方的な虐殺に他ならない、そうだろう?
   だから俺は作るって決めたんだ……魔族が! 人間に駆逐されない!! 魔族の生きる為の世界を!!
   ……お前にそれを邪魔する権利があるのか? 否定する権利はあるのか!? 今回ばかりは、我々が勝たせてもらうぞ!! 勇者!!」

勇者「……なぁ魔王」

魔王「何だ?」

勇者「クッ、ハハハハハハハハハハハハ!!! お前、馬鹿だろ。
   俺がテメェを否定する為に、人間を護ろうと思ってきてるとでも思ってるなんてなぁ!
   俺がここにいる理由は、暇潰し∴ネ外の何物でもねぇよ。
   テメェら魔族はッ! 人間サマに盾付かねぇでバンバンバンバン虐殺されてりゃいいんだよ!ぎゃはははははははは!!」

 勇者は、引き摺っていたバールを、蝋燭の光が当たるよう見せる。そこには、血が大量に付着していた。
 ポタポタと赤い雫が落ちる。レッドカーペットが黒みを帯びた染みを吸っていく。
 口を三日月状に歪め、魔王に問いかける。

勇者「これ、なーんだ?」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:32:36.22 ID:WsaMgRE0<>魔王「貴様……スカイとコーナーはどうした」

勇者「ああ……」

 少し部屋から出る勇者。そして、バールの先に何かを引っ掛けながら部屋へと再び入ってきた。
 引き摺られているモノが、光を浴びて徐々に輪郭を鮮明にしていく。それは、紛れもなく魔王の直属部下の二匹だった。
 勇者はバールを握る手に若干力を込める。腕に血管が浮き上がり、そして。
 魔王にトラウマを植え付けるかのように、その眼の前へと投げた。

勇者「飛車角落ちってなァ!!」

魔王「……スカイ、コーナー……」

勇者「おいおいおいおい何ですかァ!? 魔王がたかがゴミ相手に涙見せてどうすんですかァ?
   ったく、幻滅したぜ。ゴミはゴミと切り捨てればいいんだよ!! どうせ役に立たない雑魚なんだからさぁ!!」

魔王「今まで、ありがとう」

魔王「思えば、父が死んでから父に仕えていた魔物たちはどんどん俺の場所を離れていった……」

魔王「まだ俺は若すぎたんだよな。でも、そんな俺に最後まで付いてきてくれたのは、お前らだけだ」

魔王「俺はお前らに感謝している。ありがとう、スカイ、コーナー」

魔王「地獄で、俺の造る世界を見ていてくれ……絶対に、絶対に完s……」











勇者「オイオイ主役差し置いて何喋ってんだよ!!」<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:35:27.09 ID:WsaMgRE0<> 勇者のバールが水平に薙がれる。狙われたのは、側頭部。
 魔王はとっさの判断で防御魔法を展開する。

勇者「俺の攻撃はお前の魔法の干渉を受けないんでなぁ!!」

 この一言が、魔王の魔法の全てを台無しにした。
 空中で二転三転。そのまま壁に叩きつけられた魔王の意識が一瞬刈り取られる。

魔王「こ……れは……?」

勇者「俺の魔法森羅万掌≠ヘ空間内の事象を上書きすることで自由自在にできる。以上終わりサヨウナラ!!」

 バールが高速でカーペットの下の石畳を削り取る。
 いくつもの欠片になった石は、銃弾を軽く超える速度で魔王に迫る。
 回転しつつも、反撃の機会を窺う魔王。だが、隙はおろかまともに速度すら追えない。

勇者「遅ッッせェなァァァァ!! んなもんじゃ俺は捉えられねぇぞぉ!! ひゃははははははは!!」

 ダン! 床を蹴り、魔王に肉薄する。プレッシャーが部屋全体を包み込む。
 魔王は手に剣を生成し、受け止めた。

 パキィン、と軽快な音を立ててそれは折れた。
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:36:57.52 ID:WsaMgRE0<>勇者「脆い脆い脆い脆い!! あはぎゃはははああはははは!」

魔王「負けるわけには……いかないんだよ!!」

 恐るべき速度で剣を生成。バールを逸らした。
 床に叩きつけられたバールが、床ごと破壊する。下階に繋がる穴が穿たれ、魔王は落ちかける。

勇者「おっと――直れ」

 時間が巻き戻るかのように床崩壊の中心へと瓦礫が舞い上がる。
 完璧に修復された床。その上には膝を付く魔王と、見下ろす勇者が。
 魔王は反射的に距離を取る。

勇者「そろそろつまんなくなってきたし……死ね。数百万度に熱されたバールを指向性を持って射出」

 バールがフワフワと空中に浮く。それは赤く、紅く染まっていき――魔王へと高速で射出された。

勇者「バァイバァイ!」

魔王「く……そ……」

 魔王は、自らに迫る明確な死をスローモーションで見ているしかできなかった。<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:38:13.22 ID:WsaMgRE0<>部下「魔王様っ!」

 だが、数百万度にまで熱されたバールと魔王の間に、小さな影が躍り出た。
 氷鬼という種類の魔物の、子供が二十匹ほど。

魔王「氷ッ鬼ィィィィィィ!!」

氷鬼「魔王様……私達が平和に過ごせるセカイ……を……」

 氷で何とか数瞬は耐えたものの、やはり蒸発した氷鬼。
 勇者は、そんな情景を見て、盛大に嗤う。

勇者「あっひゃははははは!! これはいい! 滑稽でグロテスクな最高のショーじゃないか!
   庇って死ぬ。うん、いいねいいねいいねェ!! もっとさっきみたいな悲鳴、あげろよ」

 石畳からバールのような物を生成した勇者は、散って言った仲間に話しかける魔王の顎を、バールの背でぶんなぐった。
 ノーバウンドで数十メートル飛ばされるかのような勢いで、壁に衝突する。

魔王(俺は……なんて無力なんだ……)

魔王(目の前にいる仲間を犠牲にしたってのによ……俺にコイツは、倒せない)

魔王(悪ィな……約束、護れそうにも……)

勇者「なァんだ。もうオネンネですかぁ!? じゃあ手始めにここの魔物皆殺しにするか」

 勇者は背を向け、鼻歌交じりに扉へ向かう。

魔王(……やら、せるか……)

 だが、身体を動かす力さえ、今の魔王には残ってはいない。
 精神が肉体を凌駕することなど、ありはしない。あるとしたら精神の渇望が肉体の力を引き出すことくらいだが――

勇者「もうテメェらに希望は残っちゃいねぇよ。じゃあな。マッハ20で瓦礫を投擲」
 
魔王(力が――欲しい)

魔王(皆を守り、世界を変えるだけの力が――)
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:39:31.17 ID:WsaMgRE0<> 次の瞬間、魔王は初めての感覚を味わう。
 脳が二つに割れ、脳内を、いや、体内を何かが駆け巡る感覚。
 脈動が早まる。混濁した意識が覚醒する。そして背中のマントが破け――

 黒い靄のような物が勢いよく噴出された。寄り掛かる壁が完全に崩壊する。
 限界を知らないというかのような勢いのそれは、全体で10mを越える巨大な黒の双翼の形を成した。

勇者「は……?」

 この世のものとはいえぬ雰囲気。それは、神の領域と呼んでも過言ではない。

勇者「はは……ハハハハハッ……何だよ、何だよそれはよオォォオオォォオ!! いいねいいねェ!!」

 再び魔王の方に向き直る勇者。見据えるは、黒。
 正真正銘最強最善の魔王が、ここに誕生した。

魔王「俺は……あいつらの為にも、負けるわけにはいかない!!」

勇者「やってみろよ虫ケラ!!」

 黒い翼はまるで生きているかのようにウネウネと動く。
 その先端が刃のように精錬され――その翼は伸びた。

勇者「その翼は俺には届かない」

 何時も通りの、決まった台詞。あの幾閃≠ナすら何もさせなかった詠唱。<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:41:02.53 ID:WsaMgRE0<>         だが














勇者「ごほぁっ!!」

 その黒い翼は、そんなのをお構いなしと言った感じで勇者の脇腹を貫いた。
 血液を吐いた勇者は、バールでその翼を刈り取り、傷を癒した。

勇者「ハハハ……そういう、ことかよ……そいつは、この世界のもんじゃねぇな!!
   俺の魔法がこの世界最強なら、テメェの翼は別の世界における最上の魔法か! 
   成程。どおりで俺の魔法の干渉を受けねぇわけだ。……クク、ハハハッ! こんなにも胸躍る日が来るとは思わなかった!!」

 バールを振り上げ、猛る。その眼には、得物が映り込んでいた。

勇者「もう決めてやるよ……この世界における最上を顕現せよ」

 現れたのは、白い翼。純白の光を常に発する翼は、まさしくこの世界における最上。
 黒とは対照の、白。最終決戦に相応しいと言えよう。

勇者「さぁ最期だ。勝った方が――正義だ!!」

魔王「俺は……あいつらの為に……勝つ!!」

 白と黒が、ぶつかり合った。<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:42:20.15 ID:WsaMgRE0<>勇者「……クク、ハハハッ……相討ち、か」

魔王「」

 勇者は、腹部から大量の血を流し、倒れ込む勇者。とめどなく溢れる血は、最早止まることを知らなかった。
 一方で、魔王もまた同じだった。

 だが、魔王の周りにはこれまでの部下達が集まっていた。

魔王「お前ら……悪い、な……」

部下A「そんなことありません!」

部下B「魔王様……ありがとぉ」

部下8「魔王様、謝らないでください……」

部下θ「私達が、遺志を継ぎます」

魔王「そう……か。なら……これで漸く……眠……」

 ……まおうをたおした。
 ゆうしゃはしんでしまった。

                           end
<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:42:50.87 ID:WsaMgRE0<>これで終わりです。

読んで下さった僅かな人たち、ありがとうございました<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:42:52.39 ID:dTFnpog0<>ただの禁書とPSYRENのパクリじゃねえか
自分のサイトでシコシコやってろよ<> 遅筆<>sage saga<>2010/07/16(金) 00:46:34.95 ID:WsaMgRE0<>サイト持ってません

まぁパクリという勘違いをなされるのは結構です
というか嫌いなら見なければいいのでは?
書き込みしなくてはよいのでは?

自分で考えたオリキャラの方がイタイというのに……<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<><>2010/07/16(金) 03:37:15.36 ID:gR/oKmg0<>これはひどい<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/16(金) 05:40:40.15 ID:mmyc6gAO<>乙!過去最高にwktkしたSSだったぜ!この才能を中途で終わらせるのは勿体ない!!
諦めずに頑張ってほしい!!<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/16(金) 06:03:35.68 ID:Q.md/cAO<>いやいやいやいやww<> VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2010/07/16(金) 20:20:54.75 ID:RjV18wDO<>こんな大人しい場所で叩かれるとはww<>