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HTML化した人:lain.
美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」2
1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/13(金) 22:25:06.41 ID:Yc8ARsg0

これまでのあらすじを各編形式で纏めてみました。


2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/13(金) 22:27:51.69 ID:Yc8ARsg0

『再会編(プロローグ)』…夜の学園都市で「最強」と「最弱」は再び巡り会う

『日常・友好編』…一方通行は上条との今後の接し方について考える。美琴との和解もここで完了。最終的には上条の
         そげぶで二人に友好が結ばれた。

『妹襲撃未遂編』…二人を慕う妹達が暴走しかけた珍事件。17600号と10032号のおかげで不発に終わった。

『復讐編』…気を操る医者のおかげで復活を果たした垣根帝督が美琴や一方通行に牙を剥く。

『入院編(1)』…垣根との戦いで負傷した一方通行は病院で半日ほど過ごすことに……。見舞いに来た御坂妹に一方通行は
        ダブルデートを持ちかける。

『家出編』…昨日の敵は何とやら。急遽垣根と同居を余儀なくされた一方通行は頭を抱えた。その後、打ち止め関連で揉めて
      家出してしまう。

『来客編』…上条の部屋へ転がり込んだ一方通行は上条にニ〜三回は殴られる。その後、迎えに来た垣根とともに帰宅。

『二組交流(ダブルデート)編』…遊園地で美琴、上条、御坂妹、一方通行の四人は楽しい時を過ごす。が、その後禁書目録は……。

『誘拐編』…謎の男に禁書目録が攫われた。上条は魔術師を推測するが…?

『突入編』…禁書目録を攫った男のアジトへ乗り込む上条と一方通行。最強と最弱のタッグがここに結ばれた。※オリキャラ&オリ設定有り

『共闘編』…能力とも魔術とも違う未知の力に苦戦する上条と一方通行。しかし最後は黒翼を生やした一方通行が戦いを終わらせた。

『真相編』…グループメンバーが合流し、土御門から事の真相を告げられる。その後、一方通行は上条を見殺しにしかけた自分を責める。

『入院編(2)』…戦いで負傷した上条はいつもの病院へ。垣根が初春や美琴と再会したり一方通行が20000号に襲われかけたりと、
         終始ドタバタ。この時から、複雑な人間関係へと後に発展してしまう事に気づく者は誰もいなかった…。

『各交際編』…上条・一方通行・垣根はそれぞれの相手(一部コブ付き)と仲良くお出かけ。その目的地はなんと同じ水族館……。
       ※元アイテムメンバーのその後も有り
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/13(金) 22:29:26.79 ID:Yc8ARsg0

『姉妹喧嘩編』…想いがすれ違った美琴と御坂妹はついに大喧嘩へと発展してしまう…。が、上条によって何とか治められた。
        ※美琴崩壊有り

『告白編』…美琴がついに上条へ想いを告げた。上条は答えを一時保留。その一方で垣根も……?

『苦悩編』…とうとう初春に正体を明かした垣根だが、いつの間にか彼女に惹かれていた自分に気づき、激しい苦悩に苛まれる。
      上条と一方通行は事情を知り、何とかしてやろうと目論むが、その前に課題やれよ上条。

『作戦編』…垣根と初春。想いは同じなのにすれ違ったままの二人……そんな二人のために、友人達は立ち上がった。



過去スレ



美琴「とある主人公(ヒーロー)の友情物語?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278237077/ 前スレ

一方通行「友達って最高だよなァ」上条「まぁな」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1277636346/l50 4スレ目

上条「ブラック苦ッッ!」一方通行「…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276074792/l50 3スレ目

一方通行「足引っ張ンなよ三下ァ」上条「おう!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1275384032/ 2スレ目

一方通行「友達になってやンよ」上条「ハイ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1273633562/l50  1スレ目




各編によって長さはバラバラですがご容赦を…。
荒らしの関係で6スレ目になっちゃいましたが、一応これが最終スレになります。
その他、矛盾やおかしい所てんこ盛りですがお許し下さい。
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/13(金) 22:33:02.37 ID:Yc8ARsg0
前スレの>>959から続き投下します。
投下は明日予定です。
いつもお付き合い頂いてる方々や軽く目を通してくれてる方々に心からの感謝を。
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/13(金) 22:34:00.84 ID:EmgGmLM0
>>1乙!!

楽しみにしてます

6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/13(金) 22:56:04.21 ID:7ZbuU560
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/13(金) 23:19:44.20 ID:52NM9Ego
あらすじ分かりやすいな
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 01:54:08.48 ID:awQPHPAo
もう六個目かぁ
最初の頃のスレタイが懐かしく感じるww

9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:28:18.54 ID:1F6NvRs0
どうもです。
ちょい早めですが、書き溜めた分を投下します。
やっと少しは友情スレっぽくなってきた……かな。
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:30:32.81 ID:1F6NvRs0

――――黄泉川家




垣根「―――ただいまーっと…」

禁書「お邪魔するんだよ!」




玄関で靴を脱ぐのは垣根帝督と禁書目録。時刻は夕食には頃合いの時間だ。




禁書「かきね、ところでいつ電話するのかな?」

垣根「今日はやめとくよ。……昨日の今日だしな。彼女にも少し時間が必要だろ」

禁書「かきねはとうまと違って女の子の心を分かってるんだね! 私感動しちゃったかも」

垣根「明日の夜に電話する。何て言われても、覚悟は決まったからな。当たらずに潜るなら当たって砕けろってヤツさ」




禁書目録と話しながらリビングへ向かう垣根はサッパリとした良い表情をしていた。どうやらすっかり迷いは消えたようである。
もっとも、明日電話を掛ける前に再会を余儀なくされる未来はさすがに想定してはいないが……。




禁書「あー、お腹すいたんだよぉ。よみかわのご飯美味しいから早く食べたいな!」




―――で、何故禁書目録がさも当然のようにファミリーサイドの黄泉川家まで垣根と共に戻ってきたのか……それは三十分ほど前に一方通行から
来た着信音から始まる―――。
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:32:16.21 ID:1F6NvRs0



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




『〜〜〜♪』




小萌に別れを告げてアパートを出た垣根と禁書目録は、そろそろ上条宅へ向かおうかと歩き出した。
垣根が一方通行に電話しようと携帯電話を取り出した…と同時に着信を告げるライトと音が携帯電話から発せられたのだ。




垣根「―――お? ちょうど来やがったか……」ピッ




迷うことなく通話ボタンを押して耳に当てた。




一方通行『おォ、メルヘン』

垣根「よう、かいわれ大根」

一方通行『ぶっ殺すぞ』

垣根「コッチのセリフだ」

一方通行『………へェ……ちったァ生気が戻ったみてェだな』
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:34:31.61 ID:1F6NvRs0

垣根「まぁな、心配かけた」

一方通行『そンならイイ。ところでよォ、オマエ今シスターと一緒だよなァ?』

垣根「あぁ、そうだが……」

一方通行『そのままシスター連れて帰って家に泊めてやれ。俺は今日三下ン家に泊まっから帰ンねェし』

垣根「は? またイキナリな話だなオイ……」

一方通行『クソガキや黄泉川には適当に言っとけ。シスターがいるから寂しくはねェだろォ? ってなァ』

垣根「まぁ良いけどよぉ……。じゃあインデックスはウチに泊めるぞ?」

一方通行『おォ頼むわ。それともォひとつ』

垣根「何だ?」


一方通行『明日の十時半に○○公園に来い』


垣根「……なんで?」

一方通行『傷心中の残念なオマエに、明日はこの俺が直々に付き合ってやるっつゥンだよ。文句あンのかァ?』

垣根「はぁ………そんな誘い方があるかよ…」
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:37:09.24 ID:1F6NvRs0

一方通行『グダグダ言ってンじゃねェよ。とにかく明日十時半な? ドタキャンなンざしやがったらブチ殺すぞ』

垣根「もう誘いじゃなくて脅迫になってんじゃねえか……。わぁーったよ。行きゃあ良いんだろ行きゃあ。ったく…」

一方通行『それでイイ。あと、時間ぴったしに来いよ。遅れたり早く着いたりしても殺す』

垣根「は!? おい何だそりゃあ!?」

一方通行『理由は簡単だ。オマエ如きがこの俺を待つなンざ百年早ェ。そしてこの俺がオマエ如きを待つ、なンてのも有り得ねェ。以上だァ』

垣根「以上だ、じゃねェェえええ!! 何だよそのジャイ○ン以上に滅茶苦茶なクソ理論は!?」

一方通行『うるせェ、とにかくそォいう事だ。逃げンじゃねェぞォ? カッキーさァン?』

垣根「(ブチッ)……テメェ………そーかそーか、喧嘩売ってんだな? そーなんだな!?」

一方通行『ハイ、せェかァァい♪ ま、怖くて来れないってンならそれも仕方ねェけどなァ。ひゃはっ』

垣根「んだとぉぉ……誰が」

一方通行『っつー訳だから、明日は時間通りに来いよォ? 垣根くゥン?』

垣根「わかった。明日の朝一にテメェのツラぁ吹き飛ばすわ」

一方通行『ほォー、そりゃあ楽しみだなァ。ンじゃ、明日よろしくゥ―――』プチッ、ツー、ツー…




垣根「……あんの野郎ぉぉ…」ピキキ
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:39:58.01 ID:1F6NvRs0

久しぶりに携帯電話を握り潰しそうな程コメカミを揺らす垣根だったが、この携帯電話を今壊してしまう訳にはいかないので何とか堪えた。




禁書「かきね……?」

垣根「インデックス、今日は家に泊まろうかぁぁ…?」ピクピク

禁書「ひっ……」




引きつった顔で禁書目録の方を向く垣根。その作られた笑顔に禁書目録は思わず二〜三歩ほど後ずさった……。





垣根(上等だ。こちとら吹っ切れてっからなぁ、……飾利に電話掛ける前に一方通行のクソ野郎と馬鹿みてぇに暴れておくのも悪くねぇ……)


垣根(なおかつ、ムカついた)


垣根(今度と言う今度はあの『かいわれ野郎』を頂点の椅子から下水道の底にまで叩き落してやる!!)





二つの目と全身に怒りの炎を宿す垣根。実はこれも全て一方通行の計算通りだった―――。
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:42:33.70 ID:1F6NvRs0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




―――上条宅





一方通行「―――よし……こンなモンで良いだろォ」

上条「あぁ、大体オッケーだ。……けど、さっきの電話で大丈夫なのか?」

一方通行「ああでも言わねェと、あの馬鹿の事だ……まず時間通りには来ねェだろォぜ」

上条「そうか…?」

一方通行「多少遅れる分には構わねェが、早く出て来られでもしたら面倒だかンなァ。あそこまで挑発しときゃあ問題ねェ。
     それによォ、シケタ気分で来られるよりは、少しでも熱くなった気分で来た方が成功率も跳ね上がるってモンだろォが」


上条「ま、まぁそうかもな…」(さすがルームメイト……性格を完全に把握してやがる…)


一方通行「さァて、そンじゃ俺らも『小道具』の買い出しに行くとすっかァ」

上条「おう、ついでに夕飯もな」

一方通行「晩飯どォすンだ?」

上条「スーパー行って食材買わねえと……」
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:45:11.70 ID:1F6NvRs0

一方通行「今からじゃ時間掛かンだろォが。もォ外で済ませちまおォぜ? オマエは何が食いてェンだ? 夜は俺が奢ってやンよォ」

上条「……何でもいいの?」

一方通行「オマエ、誰に向かって遠慮してンだァ?」

上条「……上条さん、一度で良いからお寿司が食べてみたいんですが……」

一方通行「寿司か。まァたまには良いかもなァ。よし決まり。ならとっとと行くぞ」

上条「!?」

一方通行「ンだァそのツラはァ? まさかオマエ、寿司如きで感動するほど飢えてンのかァ?」

上条「い、一食に千円以上の贅沢が俺にできると思うか!?」

一方通行「……言ってて虚しくならねェか?」

上条「……うん」

一方通行「腹いっぱい食っとけ」

上条「………うん」

一方通行「今日はもォ遠慮すンな」


上条「―――ゴチになりますッッ!!」




こうして、上条当麻と一方通行は外に出かけて行った。……ちなみに、回転する寿司屋でなかった事に上条が
感動を覚えたのはまた別の話である。
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:46:49.38 ID:1F6NvRs0

―――――



―――???




御坂妹「―――ここなら良さそうですね……とミサカは正直な感想を漏らします」

黒子「待ち合わせ予定場所からも近いですし、申し分ありませんわ」




御坂妹と白井黒子はとある廃屋に来ていた。近々取り壊し予定らしく、中は少々荒れているが、決戦場として不足はない。




美琴「―――お待たせー!」




倉庫裏の分電盤をいじっていた御坂美琴が姿を見せた。その表情は不敵な笑みを浮かべている……。




黒子「お姉様、どうでした?」

美琴「問題ないわね。さすがに電気は通ってなかったけど、私に掛かればチョロイチョロイ♪」

黒子「さっすがお姉様♪」

御坂妹「グッジョブですお姉様。とミサカは称賛の言葉を送ります」

美琴「へへへへ……」
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:51:23.35 ID:1F6NvRs0

黒子「これで、『照明』の問題は解決ですわね」

美琴「そうね、ただ……ムードにはちょーっと欠けるかなぁ……」

黒子「贅沢も言えませんわね。この付近にはここ以上の場所はありませんでしたし…」

御坂妹「その辺は『照明』でカバーするしかありませんね。とミサカは意見します」

美琴「うん、あとは……明日ね。打ち合わせ通りに行けば良いけど」

黒子「絶対に成功させてみせますわ」

御坂妹「何だか燃えてきました。とミサカは武者震いが止まりません」

美琴「―――よぉし!! そんじゃ、いっちょ気合入れますかぁ!!」


『―――ファイト!! オー!!』




――薄暗い廃屋に若い少女達の元気な声が響いた。




美琴「さっきアイツ(上条)から『垣根さんの呼び出しは成功した』ってメールが来たから、後は佐天さんが初春さんを
   呼び出すだけね。黒子、初春さんは明日大丈夫なの?」

黒子「えぇ、その心配は要りませんわ。幸いなことに明日はわたくしも初春も欠勤ですの」
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:53:27.98 ID:1F6NvRs0

美琴「そう……」

黒子「ま、もっとも……初春のことですから、どうせ仕事なんて手についていないでしょうけど……」ニヤニヤ

美琴「安易に想像できるわね……」

黒子「今ごろ、生気の欠片も無い表情で黙々と処理業務をしている内に、うっかり飲み物でも零してしまっているのがオチですわ」




―――――


―――



―――風紀委員第一七七支部





初春「………」カタカタ

固法「あ、初春さん!」

初春「ふぇ……きゃっ!?」




黒子の予想通り、虚ろな顔で処理業務をしていた初春飾利はデスクから落ちかけたカップに気づかなかった。落ちたカップは音を立てて割れ、
中身のココアで床はビショビショに濡れる。そんな現状に唖然としている初春に先輩風紀委員の固法美偉は心配そうに声をかける。
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:55:13.58 ID:1F6NvRs0

固法「大丈夫……?」

初春「す、すみません! すぐ拭きますから!」




我に返り、雑巾を取りに行こうと席を立つ初春を固法が止める。




固法「初春さん、やっぱり今日はもう帰っていいわよ?」

初春「そ、そうはいきませんよ!」

固法「ううん、今日は事件もないし……あとは私だけで平気だから」ニコッ

初春「で…でも!」

固法「今日の初春さん、見てて辛そうよ? ゆっくり休んだ方がいいわ」

初春「………」




『〜〜〜♪』




それでも反論しようとした時、初春の携帯電話が鳴り出した。初春は「すいません」と断りを入れて電話に応じる。
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:56:50.88 ID:1F6NvRs0

初春「――もしもし、佐天さん。私、今仕事中なんですけど…」

佐天『ゴメンゴメン、あのさ〜…明日って暇?』

初春「え?……ゴメンなさい。明日も――」


固法「初春さん、貴女は明日お休みでしょう?」


初春「――えっ…?」

佐天『休みだよね? 初春?』

初春「こ、固法先輩!?」




携帯電話を耳から離して固法を見る初春。固法はひとさし指と親指で丸を作ってニコッと笑いながらウィンクした。




初春「先輩……」




固法の目は『良いから行ってこい』と告げていた。今日の自分の様子を見ていた固法がそう判断したのだ。と初春は思った。
初春は固法に申し訳なさそうな笑顔を向けて電話に戻る。
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 18:58:48.19 ID:1F6NvRs0

初春「もしもし、……明日は大丈夫、になりました」

佐天『さっすが初春〜♪ じゃあさ、明日の十時に○○公園集合で良い?』

初春「え? なんでですか?」

佐天『初春と行きたい場所がその近くなんだよね〜。ダメ?』

初春「はぁ……良いですけど」

佐天『おっしゃ決まり! じゃあ明日ね?』

初春「十時に○○公園ですね……。わかりました」

佐天『あ、そうそう初春』

初春「何ですか?」


佐天『絶対遅れちゃダメだからね?』


初春「?……わ、わかってますよぉ」

佐天『うん、よろしい♪ んじゃ、明日ね〜』ピッ




通話を終えた初春は怪訝な顔で携帯電話を見る。
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:00:32.30 ID:1F6NvRs0

初春「いつも遅れて来るのは佐天さんの方なのに……変なの」


固法(白井さん……。これで良いのよね?)




そんな初春に気づかれないように、固法は眼鏡越しに目を光らせて笑った―――。




―――――


―――




―――常盤台女子寮




美琴「――あ! 佐天さんからメールだ。……『標的(ターゲット)の誘導に成功』だって。プッ……アハハ♪ ノリノリじゃない」

黒子「どうやら上手くいったようですわね。固法先輩には感謝しなければ……」

美琴「固法さんに悪い事しちゃったな……」

黒子「そうですわね……。けど、固法先輩も初春を心配してくれているからこそ協力してくれたんですの」
24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:02:42.82 ID:1F6NvRs0

美琴「……上手くいくといいね」

黒子「ここまでやったんですもの。今さら後には退けませんわ」

美琴「うん!」




コチラのお嬢様二人も、だいぶノってきたようだ。
『明日が待ちきれない!』 彼女達の表情はそう物語っていた―――。




―――――


―――



―――黄泉川家



夕食―――




黄泉川「―――で、あの馬鹿は今日は帰らないってか?」

芳川「あらあら、まさかあの子が友達の家に宿泊する日が来るとはね……」

打ち止め「ミサカに何も言わないなんてずるいよーっ! ってミサカはミサカはやけ食いしてみたり!」ガツガツ
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:05:06.50 ID:1F6NvRs0

垣根「あ! そんないっぺんに食ったら……」

打ち止め「―――むぐぐぐ!!……み、水ぅぅ……ってミサカはミサカは……大ピンチを、迎えてッ…みたり…ッッ!!」

黄泉川「あー、垣根。お茶とってやんな。全くダメじゃんよー? いくらあの馬鹿がいないからって…」

垣根「ホラ打ち止め」スッ

打ち止め「ゴクゴク…ッ! ぷはー! ってミサカはミサカは九死に一生を得てみたり♪」

垣根「まったく……」

禁書「大丈夫? らすとおーだー」モグモグ

打ち止め「うん……」ジー

垣根「……どうした?」

打ち止め「ううん、お兄ちゃんが飲み物くれた時……あの人がこの家に帰って来てくれた日の事思い出しちゃって。
     ってミサカはミサカはもの思いにフケってみたり」

黄泉川「あ〜、確かあん時も打ち止めが食べ物喉に詰まらせたっけか…」

芳川「で、あの子が文句言いながらも飲み物を渡したのよね。ちょうど今の貴方みたいに…」

垣根「そう言や、あいつ……一度この家から居なくなったんすよね?」

黄泉川「そ、去年の十月入る前だっけか……脳に傷負った一方通行と打ち止めを家で引き取ったんだが、その後に
    一方通行は打ち止め置いてさっさと出て行っちまったじゃん。書き置きのひとつもなしでな。で、代わり
    に来たのは長点上機学園から転入手続き完了の紙切れ一枚だけじゃんよ」

垣根「…………」
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:06:55.23 ID:1F6NvRs0

芳川「正直、もう帰って来ないと思ってたわ」

黄泉川「帰って来るって聞いた時は驚いたがな……一度引き取った以上、ここはあいつの家でもあるから、拒否なんて選択肢は無かったじゃん」

打ち止め「その時からかな……。あの人がミサカにすごく優しくなったの。ってミサカはミサカは思ってみたり」

黄泉川「確かに。あの馬鹿が帰って来た日は奮発してご馳走にしたんだけどさー、ずいぶん変わってたから驚いたじゃんよ〜」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




(回想)




一方通行「―――まァ……っつー訳でよォ、悪いがまた世話ンなるわ」

黄泉川「ハイハイ、もう硬い話はそんくらいにしてメシにするじゃん! と、その前に……おかえり! 一方通行」パン

一方通行「うお!?」

芳川「おかえりなさい」パン

打ち止め「おかえりー! ってミサカはミサカはアナタとまた一緒に暮らせる事に喜びを抑え切れなかったり!」パンパン

一方通行「おォ……っつかオマエら、クラッカーはちっと大げさ過ぎンじゃねェのか?」
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:08:35.64 ID:1F6NvRs0

黄泉川「何言ってる? 今日はお前の帰宅記念じゃん」

一方通行「そりゃどォもォ……」

芳川「あら、照れてるの?」

一方通行「ンなわきゃねェだろ!」

打ち止め「熱っ!」

一方通行「あァ!? 何してンだクソガキィ! 煙出てるトコは熱いに決まってンだろォが! 火傷してねェか? 見せてみろ」

打ち止め「うぅ……」

一方通行「………大した事ァねェが、一応氷で冷やしとかねェとなァ……。オマエもォクラッカー使用禁止」

打ち止め「えぇー!? ってミサカはミサカはショックを受けてみたりぃ!」


黄泉川・芳川「……………」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




―――――――




黄泉川「……いきなりあれだからな〜。さすがに言葉が出なかったよ」

芳川「最初はあの子の皮被った偽者かとさえ思ったわ。顔は凶悪なままだったから余計不気味よね」
28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:10:42.16 ID:1F6NvRs0

垣根(あいつ……ロシアで何があったんだよ……)

禁書「それでそれで? 続き聞かせて欲しいかも!」

黄泉川「あぁ、その後さぁ―――」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





(回想2)





一方通行「しっかしよォ、しばらく見ねェ内にずいぶンと料理のバリエーション増えたよなァ。炊飯器で作ったモンだなンて
     普通なら絶対思わねェぞ……。っつか、一番使用率の高い家電が炊飯器ってのが未だに理解できねェ」

黄泉川「何言ってるじゃーん? 解凍や保温しかできない電子レンジに比べたらよっぽど優秀じゃんよー」

一方通行「………その比較の時点ですでにおかしくねェか?」

芳川「まぁ良いじゃないの。今さらこの食事文化(スタイル)を変えるのも何か違和感があるし」

打ち止め「ミサカもいつか『炊飯器料理』をヨミカワに教わるんだー。ってミサカはミサカは密かな野望を明かしてみたり」

一方通行「悪い事ァ言わねェ。それだけは止めとけ」
29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:12:27.06 ID:1F6NvRs0

黄泉川「えー、何でじゃーん?」

芳川「ま、これからは一緒なんだし、君もまたその内慣れるでしょう」

一方通行「まァ、味的には問題ねェから別に良いけどよォ……」パク

打ち止め「あ! これおいしー♪」パクパク

一方通行「オイ! そンないっぺンに食ったら……」

打ち止め「むぐぐぐ……苦しい……水っ、水ーっ! ってミサカ…はぁ……ミサカは……た、助けてぇぇ……」

一方通行「あァーあ、言わンこっちゃねェな、ったくよォ……。オラ、これ飲め」スッ

打ち止め「んぐんぐ……ぷはー! ミサカふっかーつ♪ ありがとー! ってミサカはミサカはアナタに体でお返しー♪」ピョン

一方通行「オマ……ッ! メシ食ってる時に飛びついて来ンなァ!! オイ黄泉川ァ! 俺がいねェ間にガキの躾くらいちゃンとしとけェ!」

黄泉川「あぁん? 黙って出てったお前に言えた義理かぁぁーー!?」バッ

一方通行「…って、なンでオマエまで飛び掛かって来ンだよォォおおお―――――!?」




――――ドンガラガッシャーン!!





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:14:04.06 ID:1F6NvRs0

―――――





黄泉川「―――とまぁ、そういう訳……。酒入ってつい悪ノリしちまったじゃんよ。結局あの後は大惨事……」

芳川「ホント、手荒い歓迎会になったものよね……」

黄泉川「ちゃっかり避難してた癖によく言うじゃん?」

禁書「ねぇ、あくせられーたは結局どこに行ってたの?」

黄泉川「転入した学校の寮にいたらしいんだけど、その寮が潰れて行くトコなくなったから仕方なく帰って来たとか言ってたじゃん。
    ま、帰って来るのは大いに結構なんだけどね」

垣根(潰れた寮なんてねえっつの……。あのボケ)

芳川「シスターちゃん、おかわりいる?」

禁書「いらない訳がないんだよ」

黄泉川「桔梗〜、あんた最近やけに家事に積極的じゃん。熱でも出たじゃんか?」

芳川「自分の料理を人に食べてもらうのって……悪くないわね」

打ち止め「え!? これヨシカワが作ったの!? ってミサカはミサカは仰天してみる」

黄泉川「七割が私で、三割がコイツ」

垣根「それでもすげぇ! 確実に進歩してるじゃないすか!」
31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:15:29.08 ID:1F6NvRs0

芳川「フ……まさか、私自身が進化することになるとは思ってもみなかったわ……」

垣根(……今のは渾身のギャグなのか……?)

打ち止め(笑っていいのかミサカはミサカは分からなかったり……)


禁書「おかわりー♪」




その後も黄泉川家の談笑は続く。
禁書目録のおかげでこの日の黄泉川家の炊飯器はイキイキと稼動を続けていた。……まさにそう、燃え尽きるほどに。




―――――


―――



―――上条宅




一方通行「ふゥ、……オイ三下ァ。風呂空いたぞォ」

上条「おーう」




―――買い物と夕食を終えて部屋に戻った二人はマッタリと時を過ごしていた……。
32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:17:26.28 ID:1F6NvRs0

やがて風呂から上がった上条は寝巻きに着替えて居間に戻る。




一方通行「…………」




コーヒーを啜りながらテレビをぼんやりと見つめる一方通行に上条が声をかける。




上条「考えてみたらさぁ……俺らがこうして二人なのって、今までなかったんじゃねえか?」

一方通行「ン? そォかァ…?」




顔を上条に向けて思い返す表情を作る一方通行。やがてすぐに賛同した。
家出した時も、デートの時も、入院した時も……日常を二人だけで過ごした事は今まで殆どなかったのだ。
禁書目録が誘拐された時は非日常で意識する暇もなかったし、だとしたらこうした男二人の時間を過ごすのは友達宣言した
あの日以来という事になる。




一方通行「……言われてみりゃあそォかもなァ。いつもはクソガキやらシスターやらがいたし、俺とオマエだけってのは
     確かに今までなかったわ」


上条「たまには悪くねえよな」
33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:18:31.13 ID:1F6NvRs0

一方通行「たまには、ねェ……。つっても、俺もオマエもコブ付きだからなァ。こォいう機会は少ねェっちゃ少ねェか」




それに対し、「そうだな。良い機会だ…」と呟いた上条は唐突に表情を変えて切り出す。




上条「なぁ、お前ってさ……」

一方通行「……あァン?」


上条「美琴の事……どう思ってるんだ?」


一方通行「……は? ナニ言い出すンだ急に……」

上条「実は、前から聞きたかったんだ……。一方通行、お前……本当は―――」

一方通行「………?」ゴクゴク




「――――御坂美琴の事が……好きなんじゃねえのか?」




一方通行「――ブゥゥッッ!!!?」




冗談抜きの真顔で問う上条に、一方通行は目を丸くする。
飲んでいたコーヒーは喉を逆流し、彼の口から鯨の潮吹きの如く盛大に噴射された―――。
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/14(土) 19:23:03.38 ID:1F6NvRs0
ちょっと量多めでしたが今日はここまで。
決戦前夜(?)ですね。
面白くなるよう努力しますんで、コイツらのお節介をどうか見てやって下さいな。
続きは明日に投下します。
お付き合い頂きありがとうございました。
あと、前スレの埋めご協力感謝します。埋まり次第依頼出しますので。
35 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 21:01:21.88 ID:QZFRODEo
そいやそんな誤解まだあったなwwwwwwww乙
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 21:51:15.37 ID:3TZtyMgo
>>鯨の潮吹きの如く
確かに量多めだなwwwwww

乙なのよー。明日も楽しみだ!
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 21:52:18.46 ID:FOV8zEDO
乙である。
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 22:26:34.86 ID:2Dt4NSgo
乙。
いや、もうなんていうか、さすが上条さんと言うしかないな。
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 22:38:18.39 ID:dgI2i6so
セロリが潮を吹いたと聞いて(r
40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 22:54:17.79 ID:e1mO6M2o
最近、あちこちの一方さんスレに20000号がわいてんぞwwwwww
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 22:59:23.19 ID:0N5JpNw0
>>40夏だからな
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/14(土) 23:07:16.80 ID:HJSVUDko
ほら、変態は気温が上がると活発になるだろ?

今年はバカ水着のおっさんはビーチに現れたりしないのかな
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/15(日) 14:34:47.68 ID:mnAt8wco
>>31
嫌な予感しかしないんだが

炊飯器の運命に
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/15(日) 14:55:33.93 ID:ImTMczko
>>43
オーバーワークの末に燃え尽きた炊飯器を
掻き抱いて涙するねーちんの姿が思い浮かんでしまった
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 19:49:04.29 ID:IPW8i9M0
こーンばーンはァー。
それでは続きを投下したいと思います。
あ、最後の方ににまた気分転換で書いた通行止め(小ネタ)も付きます。
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 19:52:48.43 ID:IPW8i9M0

―――――




「―――お前、御坂美琴が好きなんじゃねえのか?」





―――今、確かにそォ言ったよなァこの三下はァ……? と、一方通行はコーヒーで茶色く染まった口をポカンと開けて呆然とした。
思わず首元のスイッチを確認する……。うん、通常モードだ。うっかりスイッチが切れた訳ではなさそうだ。言語能力にも支障はない。
なら……単なる聞き間違いの可能性は?




上条「だ、大丈夫か一方通行……ほら、タオル」パサッ

一方通行「………」フキフキ




とりあえず落ち着こう……と、ぶちまけたコーヒーを拭きつつもう一度尋ねた。




一方通行「……なァ三下よォ、今言った事もォ一度復唱してくンないかなァ?」

上条「え? 聞いてなかったのか? ……だから、お前は美琴が好きなのか。って訊いたんだよ」

一方通行「…」




……何故? コイツはどこで道を踏み外した? 何故にそのような結論に至る?
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 19:56:40.45 ID:IPW8i9M0

本気で分からなかったから、ここは素直に訊き返す事にした。




一方通行「あのよォ、………なンでそォなるンだ? 分かるよォに説明して欲しいンだけど…」

上条「は? なんでって……お前、美琴に惚れてんじゃ……」


一方通行「だからなンでそォなるンだって訊いてンだよコッチはァァああああ!!??」


上条「へっ?……何? どぉいう事……?」

一方通行「コッチが知りてェよ!! なンで俺が超電磁砲に惚れてる設定になってンだよォ!? そンなフラグ立てた覚え皆無
     なンですけどォ!?」

上条「………違うの?」

一方通行「脳ゆすいでやろォか? 頭ン中洗濯機みてェに濯いでやろォかァ!?」

上条「………あれぇ?」ポリポリ




バツの悪そうな顔で頭を掻く上条に苛立った一方通行はさらに問い詰める。




一方通行「一体いつオマエはンな的外れの幻想を抱いたンだァ? 喋るまでは寝かさねェぞ?」

上条「……えーっと……遊園地の辺りから……」

一方通行「理由ゥ」

上条「えっ……って、……あ! まさか……」
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 19:59:42.58 ID:IPW8i9M0

一方通行「あァ? どォした?」

上条「誘ったのお前だったから……俺、てっきりお前が美琴とデートしたいんじゃねーかって思ったんだ……」

一方通行「ハイ、でっかい×(バツ)を上条くンにプレゼントォ〜」

上条「そうか……お前、まさか………俺の……ために…」

一方通行「べ、別にオマエのためとかそンな訳じゃねェンだからなァ!! ただオマエらのくっつきそォでくっつかねェラブコメ劇場に
     イイ加減うンざりしただけなンだっつゥのォ!!」

上条「……お前ってヤツは…」

一方通行「………あァン? オイちょっと待て。オマエ、なンでそれに気づいた? 朴念仁街道一直線のオマエが一人で気づく訳がねェ事
     くらい知ってンだぞォ?」

上条「―――ぎくっ!!」

一方通行「どォやらまだ眠るのは早いよォだなァ。上条くンよォ」ニヤニヤ

上条「……あはは」


一方通行「オマエ、何隠してンだァ!? 洗いざらい喋れ!」


上条「は、はいっ! じ……実はその―――」




結局、美琴から愛の告白を受けた事を自供した上条くんだった……。
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:03:39.67 ID:IPW8i9M0

一方通行「―――ンだよ。超電磁砲のヤツに言われてよォやく気づいたってのかァ?」

上条「いや……実は、ちょっと前からそうなんじゃないかなー…とは思ってたんだ」

一方通行「どっちにしろ気づくのが遅せェンだよ!」

上条「いやぁ……返す言葉もない」

一方通行「それで、オマエは何て答えたンだァ?」


上条「………言いたくないんですが」


一方通行「よし、そンじゃまずは血流操作して神経全部破壊してから脳の切開を――」スッ…

上条「喋る!! 喋るからスイッチに手を掛けないで!!」

一方通行「正直に言えよォ。後で長電磁砲に確認すっからなァ。ウソ報告後は人肉加工売り場直通ルートだぜェ?」


上条「すまん! 俺……お前が美琴の事好きなんだと勘違いして……それで」


一方通行「それでェ?」

上条「………お前の気持ち確認しようと思って一時保留した」

一方通行「人肉決定〜♪」カチッ

上条「ま、待て! 待って! 待って下さい!!」
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:08:08.86 ID:IPW8i9M0

一方通行の白い顔が赤くなる…。




一方通行「フザっけンなよ三下ァァ!! オマエこの俺に気ィ遣ったってのかァ!?」

上条「そうじゃねえんだ! ただ、お前に何の報告も無しで美琴と付き合う訳にも……」

一方通行「なンでだよ!? オマエの問題だろォがァ!! そこでなンで俺の許可を求めンだよォ!?」

上条「だから……お前も美琴が好きなんじゃねーかって勘違いしてたんだよ!」

一方通行「……待てよ。オマエ、今、『お前も』って言ったか? って事ァ……」



上条「―――あぁ、俺は美琴が好きだ。ひとりの女として」キリッ



一方通行「………だったら、何の問題もねェじゃねェか。なンで俺に気なンか回す必要があンだよ?」

上条「確かに美琴は好きだ。けど、お前も大事な友達だ。どっちかを失わなきゃ得られない幸せなら、俺はそんなの要らねえよ!」

一方通行「………いつもいつも思うンだけどよォ、オマエ自分で言ってて恥ずかしくはなンねェの?」


上条「何のことだ?」


一方通行「……もォイイ。つまり、オマエと超電磁砲が両想いなのは分かった。ならそれで良かったじゃねェか」

上条「……一応訊くけど、お前、俺に気を遣って身を引くとか、そんな事は考えたりしてねえよな?」
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:13:18.63 ID:IPW8i9M0

一方通行「……俺がそンな人間に見えるってかァ? 三下ァ。オマエなかなか面白ェ事言うじゃねェか」

上条「本音で言えよ。確かに、お前に変な気を遣ったのは悪かったと思ってる。だからって、お前が身を引くのは間違いだ」

一方通行「じゃあ、仮に俺が超電磁砲に惚れたっつったら……オマエはどォしたンだよ?」

上条「そん時は……決まってんだろ?」

一方通行「あァ?」


上条「恨みっこなしで勝負すんだよ。どっちが美琴と付き合っても後悔しないようにな」グッ




笑って拳を握る上条だが、一方通行は冷めた視線を向ける。
言ってることは格好良いが、このパターンには似合わないセリフだった…。




一方通行「超電磁砲がオマエに惚れてる時点で勝負はついてンじゃねェか」

上条「そういうハンデをなしにするために、まずは美琴が俺に抱いてるイメージ(幻想)をブチ殺せば良い」

一方通行「オマエってさァ……」

上条「ん?」


一方通行「……本っっ当に、馬鹿だよなァ」


上条「わ、分かってんだよそんな事ぁ! だって仕方ねぇじゃねーか! 一方的にどっちかを選べとか言われたって、どーせ俺にはそんなの
   できっこねーんだから!」
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:15:40.96 ID:IPW8i9M0

一方通行「……安心しろよ。オマエに気なンて遣わねェ。超電磁砲はタイプの女じゃねェしな」

上条「……………」

一方通行「さァ、もォこの話は終わりにしてさっさと寝ンぞォ。明日は早ェンだからなァ」

上条「美琴はタイプじゃない…ってことは、やっぱ打ち止めか……。いや、しかし年齢的にそれは…」ブツブツ


一方通行「あァ、寝る前にまだやる事あったわ」スクッ




二十秒後、とある無能力者のいつも以上に悲痛な断末魔が夜の学園都市に響き渡る。
男二人だけで過ごす初めての夜は、別の意味で血の滲む悲劇で喜劇な夜となったのだ。
こうして夜は更けて行き、遂に決戦(?)の朝を迎えたのだった―――。




――――――


―――



―――そして、翌朝(決行の日)…
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:18:12.29 ID:IPW8i9M0

―――上条宅




「―――うわ……アンタどうしたのよ? その顔……」


「―――喧嘩でもしたんですか……?」


「―――言ったら悪いと思いますが、ますますサルへと近づきましたわね」


「―――見るも無残です……。とミサカは率直な感想を述べます」


上条「―――おう、皆よく来てくれたな。まぁ……上がってくれ」ボロボロ




時刻は集合予定の九時ちょっと前、上条が呼び鈴に反応して玄関のドアを開けた途端、少女達からそんな言葉を投げ掛けられた……。

ドアの前にいた御坂美琴、白井黒子、佐天涙子、御坂妹は応対した上条の顔を見た瞬間「げっ」という顔をした。そりゃそうだ。
上条の顔には無数のアザやら切り傷やらが付いているからだ。例えて言うならジャイ○ンにボコボコにされた直後のの○太と言ったところか……。
眠気眼にも不貞腐れているようにも見える顔で上条は居間へと少女達を上げた。
ちなみに、ボコッた張本人はベッドで未だ熟睡中である。




一方通行「Zzz…」


美琴「―――あ、結局一方通行泊まってたのね……ってまだ寝てんじゃない!」
54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:21:40.66 ID:IPW8i9M0

佐天「うわ〜、超無防備ですよ……?」

黒子「こ、これがあの学園都市最強にして最恐の能力者、一方通行様ですの……? まるで別人ですわ……」

御坂妹「相変わらず可愛い寝顔ですね。とミサカは髪を撫でてみます」サラサラ


一方通行「Zzzzz…」


美琴「……わ、私も撫でていい? なんていうか……母性本能が……」キュン

御坂妹「どうぞ。とミサカは大人な対応をします」

黒子「お、お姉様、次はわたくしも……」キュン キュン

佐天「小犬みたい……やば、ちょっと可愛過ぎでしょこれは……」キュン キュン




少女達の目は完全に可愛い動物を見る目と化していた。





黒子「あらぁ、特に脱色してる訳ではありませんのね……」サラサラ

佐天「わ、ほっぺたスベスベ〜……」サワサワ

美琴「あ、私も触りたい〜!」

御坂妹「ちょっと! ミサカの番を抜かさないで下さい! とミサカは注意します」


一方通行「………」
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:23:54.45 ID:IPW8i9M0

ナニヨ イイジャナイノ チョットクライ

ワタクシモホッペサワリタイデスノー

ヤワラカイー キレイー コノセイブツハホントニアノアクセラレータナノ?


――キャッ キャッ 


ペタペタ サワサワ ツンツン




寝ているところを女子中学生達から良い様に弄くられる学園都市最強……。この光景に最も居心地の悪さを覚えたのは当然上条だった。




上条(え、絵的に良いのかコレは?………にしても一方通行…………羨ましい! 羨まし過ぎるぞォォおおおおおおおッッ!!!!!)ゴォォ




おや? 上条からは黒翼など生えないハズなのだが………。


そんなこんなで目が覚めるまでの五分間、一方通行は少女達の癒し道具として散々弄ばれまくったのだった―――。




―――――


―――
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:27:17.61 ID:IPW8i9M0

―――――




上条「―――改めて皆! 本日はよくぞ集まってくれた!」

美琴「いや……アンタそれ何キャラよ?」


一方通行(なーンか妙に頬が温けェンだよなァ……)スリスリ


佐天「サー♪」

黒子「佐天さん? 今のは乗る所ですの?」

上条「御坂、現場の準備は?」

美琴「問題ないわ!」

上条「白井、空間移動のタイミングは?」

黒子「バッチリですの!」

上条「佐天さん、ルートは?」

佐天「完全記憶しました!」

上条「御坂妹、通信機は?」

御坂妹「ここに。とミサカは人数分の無線機を取り出します」ジャラ

上条「よし、でかした」
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:29:35.05 ID:IPW8i9M0

一方通行「………携帯で良いンじゃねェのか?」

上条「気分だ気分! それに、携帯より無線機の方が通話しやすいだろ?」

一方通行「まァ……そォなのか……?」

上条「さぁ! 時間はまだある! 練習はしないつもりだったが、やっぱり怖いから一度だけ現地でリハーサルするぞー!」


一同『おーー』


上条「声が小さい! もう一度!」


一同『おォォォおおおおおおおおおおおっっ!!!!!』


上条「よーし! それじゃあ行くぞ! 絶対成功させようぜ―――!!」


一同『おォォォおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!』




――――こうして、作戦決行のために意気揚々と外へ出た上条達……。友のために練りに練った(?)作戦が今始まるのだった……。




上条「―――『垣春(垣根×初春)ラブラブゴールイン大作戦☆』の幕開けだぁぁっ!!」


美琴「………その作戦名、ダサイからやめない?」




一番燃えているせいか、それとも単にリーダーシップが強いだけなのか……妙にハイテンションな上条だった……。
58 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:32:00.28 ID:IPW8i9M0

―――――


―――



〜〜〜〜〜〜〜




…………カッキーさんの裏切り者…………


…………ずっと私を騙してたんですね…………


…………信じてたのに…………




初春『もう二度と私の前に姿を現さないでくださいっっ―――!!』




〜〜〜〜〜〜〜




「――――ッッ!!?」ガバッ




勢いよく布団から跳ね起きた垣根帝督……。額には汗が滲んでいる。




「…………………クソッ、なんつー夢見てんだよ………はぁぁ……」
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:35:49.46 ID:IPW8i9M0

溜息を思い切り吐きながら垣根は落ち着いていった。悪夢に魘されたのは久方ぶりだ。




「八時か……」




ふと時計を確認する。まだ時間的には少し余裕があった。




「…………ざけやがって、たかが夢如きでこの俺が臆してられっかよ!」




反動をつけてベッドから立ち上がる。隣りに居る筈の一方通行は上条宅へ外泊しているため、今はいない。
もっとも、あと二時間もすれば会えるだろうと垣根は思っていた。




「―――あの馬鹿には悪いが、態度次第じゃ八つ当たり確定だな…」




呟きながら部屋を出る。本日の主役にまだその自覚はないようだ――――。
60 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:37:50.10 ID:IPW8i9M0

―――――


―――




「…………」




初春飾利はベッドで何やら考え込んでいた。何を考えていたのかは、言うまでもないだろう……。




「カッキー……さん……垣根……さん……」




ぼそぼそと交互に名前を呟く少女。彼女もまた、悪い夢に魘されて起きたのだ。




「………用意……しなくちゃ」




のそりと起き上がって洗面所へ向かう初春。顔を冷たい水でいくら洗っても、その表情は晴れなかった。




「こんな顔、佐天さんにはもう見せられない……」
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:40:27.83 ID:IPW8i9M0

笑わなきゃ、と意識するが……初春は作った笑顔の方が逆に不気味だと思った。




(カッキーさんと話したいなぁ……。そうしたら……いくらでも自然に笑えるのに……)




たくさん泣いたつもりだったが、まだ枯れていないらしい……涙の流れかけた目をまた水で洗う。




(結局、昨日も電話できなかったなぁ………。私って、なんでいつも肝心なところで勇気出せないんだろう……)




垣根が聞いたら全力で否定しそうなことを心で呟いた……。パチン! と鏡の前で頬を叩き、表情を入れ替える。




「―――行きましょう! 佐天さんと思いっきり遊んで、勇気分けてもらわなきゃ……!」




気合の入った顔で洗面所を出た初春は、いそいそと出かける支度を始める。本日のお姫様はまさしく空元気だった―――。




――――――


―――
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:44:29.17 ID:IPW8i9M0

おまけ   


※ちょっとした通行止め(単なる気分転換です)  

※本編とは(ry 

 ※地の文なし





打ち止め「ねぇ、あの人とばっかりじゃなくてたまにはミサカとも遊んでよ。ってミサカはミサカはアナタの服を引いておねだりしてみる」クイクイ

一方通行「あァン? オマエ、いきなり何言ってやがンだァ?」

打ち止め「だってー! 最近あの人といっつも一緒に出かけて行くじゃん! で、ミサカは置いてけぼりじゃん! ミサカつまんなーい! 
     ってミサカはミサカは駄々をこねてみたりーっ!」

一方通行「あのなァ、今までオマエの遊びに何度付き合わされてると思ってンだァ?」

打ち止め「まさか……ミサカに飽きたの? ってミサカはミサカは捨てられることを危惧してみる…」

一方通行「ばっ……馬鹿な事言ってンじゃねェぞ! 俺がいつオマエを捨てるっつったンだよ!?」

打ち止め「だってぇ……」ウルウル

一方通行「オ、オイ泣くな! ………だァクソ! わァったよ! 今日はオマエと遊ンでやっから、目ェウルウルさせンな!」

打ち止め「ホント!? やったー♪ って、ミサカはミサカは飛び跳ねてみたりぃ!」

一方通行「……ったく、で? 何して遊びてェンだ?」

打ち止め「お馬さんゴッコ♪」

一方通行「は? この俺に四つン這いになれってかァ? 却下だ! 他にはねェのか?」
63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:47:37.13 ID:IPW8i9M0

打ち止め「うーんとね? ってミサカはミサカはシンキングターイム♪」

一方通行「…………」

打ち止め「あ! じゃあじゃあ、電車ゴッコ!」

一方通行「……それってまさか、並ンで縄引っ張りながら走っていくっつゥ……あれか?」

打ち止め「うーん、ちょっと違うかも。ってミサカはミサカは否定してみる」

一方通行「あン? じゃあ何だってンだよ?」

打ち止め「ちょっとそこに仰向けで寝そべって。ってミサカはミサカは諭してみる」

一方通行(何させる気だァこいつ……)

打ち止め「早くー! 早くしないと………ひくっ、ひくっ」(ってミサカはミサカは究極技の『ウソ泣き』を発動してみたり)

一方通行「あァァもォ! わァーった! わァーったから! …………ほらよ、これで良いかァ?」ゴロン

打ち止め「おーけー! では、レッツ乗車ー♪」ピョン ドシン

一方通行「―――ゲブゥッッ!!??」

打ち止め「あれ? お尻の下から潰れたカエルみたいな声が聞こえたけど、まぁいっか♪ ってミサカはミサカは気にしなーい!」

一方通行「俺が気にするわボケェ!! さっさとどけェ!! っつーか、これのどこが電車ゴッコなンだよォ!? ただオマエが
     俺の腹にヒップドロップかましただけじゃねェか!!」

打ち止め「うん。だからアナタが『電車』で、ミサカがお客さーん! ってミサカはミサカは発車を促してみる」
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:49:22.05 ID:IPW8i9M0

打ち止め「ム、……お客さまに向かってまさかの暴言! これは許すまじ! ってミサカはミサカはお仕置きモード発動!」

一方通行「な!? ちょ、オイ! 上に来ンなァ! 何考えてンだコラァ!!」

打ち止め「演算切って好き放題ってのも良いけどぉ、むふふ♪ ってミサカはミサカは小悪魔的な顔でにじり寄ってみたり」

一方通行「……オイ馬鹿やめろ。な? いっそ演算切れ! そのほォがまだ――――ッ!!??」


打ち止め「どぉですか? 気持ち良いですか? ってミサカはミサカはショーフ(?)の真似をしつつ訊いてみたり」


一方通行「」


打ち止め「あれ……違ったのかな? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」


一方通行「」


垣根「―――あ、もしもし。警備員ですか? 幼女暴行現場を目撃したんで、すぐに来て下さい。えぇ、場所はファミリーサイドの…」



一方通行「―――だァァあああああ!!!! 通報してンじゃねェェェええええええええ!!!!!」





おわり   フッ…って鼻で笑ってやって下さい。  
65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:52:22.23 ID:IPW8i9M0
今日はこの辺で。長く続けるには気分転換も大事だと最近気づきました。
続きは明後日を予定しています。
今日もお付き合い頂きありがとうございました〜。
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/15(日) 20:56:34.74 ID:IPW8i9M0
あ、ゴメンなさい。ミス発覚。>>63の文末に

一方通行「できるかァ!! ンなことより重ェから早くどけっつゥンだよ!!」

を追加で……。
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/15(日) 22:17:03.66 ID:j2ireAAo

>>48なんというツンデレ
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/15(日) 22:32:16.12 ID:yQdoDg60
乙華麗。
俺が三日間の旅行に行ってる間に最終スレに突入してるとわ。
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/15(日) 22:35:55.20 ID:Iq2/kvgo
>>49で途中で超電磁砲が長電磁砲になってるよ
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/16(月) 00:03:21.56 ID:ALVT0rA0
長いのか…
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/16(月) 00:20:48.31 ID:3Sm6qygo
ブレイクキャリアーみたいなバカ射程なのか
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/16(月) 04:08:31.92 ID:OB6C7.DO
確かナデシコのナナフシも長(距離)電磁砲だったっけ?
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/16(月) 11:43:45.28 ID:Yi2hFzc0
打ち止めカワユスwwwwwwwwww何されたの?一方さんwwwwwwwwwwwwww
>>1さんが本気で書いた通行止めが読みたくてしかたなくなったぞ!どうしてくれる?
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:15:51.51 ID:RzYYEkw0
こんばんは。
すんません、またもやらかしました。長電磁砲って……Orz
気を取り直して投下します。ここから『決行編』に入ります。
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:18:32.39 ID:RzYYEkw0

――――――




上条「――――よしっ! 完璧だ!」





一同がいるのは昨日美琴達が訪れた近々とり壊し予定の廃屋。
ちょうど今、簡単な打ち合わせ(リハーサル)及びセッティング確認を終えたところだった……。
時刻は九時半過ぎ。ちょうど良い時間だ。





美琴「何とか間に合いそうね」

御坂妹「もうすぐ本番なのですね……。とミサカは胸を躍らせます」

一方通行「ここまで来たら、後は上手くいくよォ願うだけだな」

佐天「ってか、もうすぐなんですよね。……何か緊張してきたよ〜」

美琴「私も、ちょっとドキドキしてきたわ……」

上条「うっし! そんじゃ、緊張を吹き飛ばすためにいっちょ円陣でも組みますか!」

美琴「お、いいわね〜!」

佐天「そうですね。……やりますか!」
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:21:16.37 ID:RzYYEkw0

御坂妹「やりましょう。とミサカも賛同します」

黒子「ふふ、燃えますわね」




上条の誘いをきっかけに集まって輪を作り出す……。




御坂妹「ほら、あなたもですよ。とミサカは手招きします」

一方通行「……イヤ、俺は―――ィい!?」グイッ




拒否の言葉を言い切る前に引っ張られて輪に加えられてしまった……。そのまま全員が肩を組む。




一方通行「……………」


上条「よぉし、皆いいか?」




上条の問いに皆頷く。一方通行も観念したようだ。そして次の瞬間、息を大きく吸った上条が一気に叫んだ。




上条「絶対成功させるぞ!! 垣根と初春さんが結ばれない幻想なんて俺達でブチ壊してやるんだ!! そんじゃあ行くぞォォおお!!」
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:22:50.63 ID:RzYYEkw0


「せーの!!」




全員「――――ファイトォッ!!! オーーーー!!!!!」





全員の目に魂が宿る。作戦決行の時間はすぐそこまで迫っていた。




―――――




御坂妹「―――では、ミサカは所定の場所へと向かいます。とミサカは皆様の御武運も祈りつつ席を立ちます」スクッ

上条「おう、頼んだぜ!」

御坂妹「はい、ミサカにお任せを。では―――」




上条達にVサインと笑みを見せてひと足先に立ち去る御坂妹を皆は手を振ったり「頑張ろうね」と声を掛けたりして見送った。




一方通行「オイ、俺らももォ行った方が良いンじゃねェか?」

上条「あぁ、そうだな」
78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:24:49.47 ID:RzYYEkw0

何かが入った紙袋を持って立ち上がる上条と一方通行。そんな二人に美琴が声を掛ける。




美琴「アンタ達も、上手くやんなさいよ?」

上条「あぁ、もちろんさ。……時間的にはもうそろそろってトコか……。白井、それじゃお前も頼むぞ?」

黒子「ええ、任せて下さい。では、わたくしも行って参りますわ。皆様、また後ほどに―――」シュン




―――黒子の姿はそこで消えた。




佐天「じゃ、私らも行きましょうか。待ち合わせ予定の公園へ―――」

上条「あぁ、じゃあ御坂。行ってくる」

美琴「オッケー、しっかりね。待ってるから…」




美琴を残して上条と一方通行、そして佐天の三人は廃屋を去っていった……。




―――――


―――
79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:26:10.55 ID:RzYYEkw0

―――○○公園




初春「―――あれ……佐天さんまだ来てないのかなぁ……。昨日は遅れるなって言ったくせにぃ……」




時刻は十時五分前、初春飾利が公園に姿を現した。初春はキョロキョロと周囲を見るが、待ってるハズの親友はどこにも見えなかった。




初春「電話してみよっかな……」




携帯電話を取り出して佐天の番号に掛ける。すぐに佐天は電話に出た。




佐天『―――初春ごっめーん! ちょっと遅れるけど、急いで行くから公園で待ってて!』


初春「わかりました。じゃあ待ってますね」――ピッ




仕方ないのでベンチに腰掛けてしばらく待つ………。


と、そこへ――――




??「あっれぇ? こんな時間にこんなところで何やってんの子猫ちゃん♪」
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:30:10.24 ID:RzYYEkw0

初春「―――!?」




突然横から声を掛けられてビクッとする。見ると、ベンチのすぐ隣りで何やら怪しい風貌をした男が二人して初春を見下ろしていた。
一人は黒のダウンジャケットに帽子(ニューエラー)とサングラス、もう一人は白い変な模様入りのパーカーに深く被ったニット帽
といった、いかにもガラの悪いチンピラ風な格好だった……。ポケットに手を突っ込んでだらしなく立つ二人の男……。
当然、初春は警戒する。




男1「俺らさぁ、今すっごい暇してんだよね♪ どう? これから一緒に遊ばない?」

男2「怖がンなくて良いンだぜェ? 楽しい思い出作らせてやっから一緒に来いよォ」


初春「な……」




何故だか男の一人が放つもの凄いプレッシャーに怯んでしまう初春。




男1「君、カワイイねぇ? どう? お兄さん達と一緒に来ればきっと楽しいぜぇ?」

男2「ホラホラァ、どこ行きたいィ? どこだって連れてってあげれるよォ?」


初春「こ、困ります! これから友達と会う約束してるんです!」
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:31:57.99 ID:RzYYEkw0

それでもキッパリと断るが、二人組は全く気にしていない。




男1「じゃあその友達来る前にさっさと連れてくか?」

男2「そォだなァ、ひゃはは」


初春「な、何を……するつもりですか…?」




嫌な予感を感じた初春は立ち上がって後ずさる……。その目はまるで熊にでも遭遇したかのように怯えていた。




男2「あァ? 何って、決まってンじゃねェか」

男1「無理矢理にでも付き合ってもらうんだよぉ。へへへ…」




いやらしく笑いながら近づく男1……。




初春「―――い、いやぁッッ!!」ダッ




恐怖のあまり逃げ出そうとするが、足がもつれて転んでしまう。
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:34:47.73 ID:RzYYEkw0


初春「―――痛ッ!」ドテッ


男1「あっ! お、おい! 大丈夫か!?」

男2「――ッ!? バ、バカ!」


初春「ううう………?」




後ろで男達が何やら揉めているようだ。これはチャンス! とばかりに跳ね起きた初春は体の痛みを堪えてそのまま
公園内を逃げる。




男1「し、しまった!」

男2「チッ、何やってンだバカヤロォ! 早く追うぞ!」

男1「お、おう!」




二人組も慌てて後を追い始めた。




初春「―――ハァ、ハァ、ハァ…………」
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:37:22.79 ID:RzYYEkw0

木の陰に隠れて乱れた息を整える初春。全くついてない。ここんところロクな目に合ってない気がする。何で自分がこんな目に…?
そう考えている途中で声が聞こえた。




男2「見ィーつけたァ。ぎゃは」

男1「俺達から逃げられると思ってんの?」


初春「―――ッ!?」




横から突然姿を見せた男達に初春の心臓が止まりかける。




初春「な、なんで………くっ―――!」ダダッ




再び逃亡する初春……だが、男達はさっきとは違い、どこか余裕そうだ。




男2「―――オイ、次は?」




何やら無線機のような機械を取り出して喋る男2…。すぐに機械についているスピーカーから声がした。
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:40:12.64 ID:RzYYEkw0

『―――標的(ターゲット)は滑り台の下に隠れましたわ』


男2「オーケェ。引き続き見張れ。おっと、そろそろ『アイツ』に『出番だ』って連絡入れろ」


『―――了解ですの』ピッ




男1も同じ機械を取り出して誰かと通信を始めた。




男1「―――俺だ。ソッチは?」


『―――はい、こちらS小隊。標的2(ターゲット・ツー)の姿はまだ確認できません。引き続き監視に当たります』


男1「はは、了解。コッチがここを出る前に、もし姿が見えたらすぐに連絡してくれ」


『―――了解っ♪』ピッ


男2「オイ、ソイツのそのノリどォにかなンねェのか? 果てしなくうぜェ」

男1「まぁそう言うなって。いちおう彼女が来た方の出口へは追い込まないようにするぞ。鉢合わせなんてことになったら
   全てパーだからな」
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:48:23.24 ID:RzYYEkw0

男2「それは良いけどよォ……。っつーかオマエ、さっきはヒヤッとしただろォが。自分が今悪党だっての忘れてンじゃねェよ」

男1「す…すまん。つい癖で……気をつける」

男2「……あンましモタついてても仕方ねェ。『アイツ』が見えた時点で、とっとと公園から追い出すぞ」

男1「オーケー」




そんな会話をしながら機械をしまって歩く男二人組―――。




―――――




初春「―――ひゃっ!?」




来た方とは反対方向の出口付近でまたしてもあっさり発見される初春。何故自分の隠れ場所が分かるのだろうか? まさか能力者か? 
と、初春は戦慄した……。




男1「へっへっへ……鬼ごっこはもう終わりかい? お嬢ちゃん」

男2「俺達から逃げよォなンざ五百年ばかし早ェンだよォ。イイ加減に観念したらァ? どォ足掻いたって無駄なンだからさァァ」
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:50:31.40 ID:RzYYEkw0

初春(こうなったら、公園から一旦出て助けを呼ぼう!)ダッ 




一気に公園出口に向かって駆け出す。




男1「オイオイ、逃げても無駄だぜぇ?」ダッ

男2「ひゃはは! さァァ、お次はどこに行くのかなァ? 哀れな子猫ちゃンよォォ!!」ダッ




男二人が凄まじい勢いで追いかけて来る。




初春「―――いやぁぁっ!!」




完全に捕まる―――と思ったその時!




「―――コッチです!」ギュッ


初春「―――!!??」
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:53:52.77 ID:RzYYEkw0

マスクと帽子(キャップ)を身に付けた若い少女がどこからともなく現れ、初春の手を引いて走り出していた。




初春「―――あ、あのっ!」タッタッタッ


少女「………」タッタッタッ




彼女は何も答えず、ただ初春の手をぎゅっと握って走るだけだ。初春の顔を見ようともしなかった……。
公園から出た二人はそのまま逃げ続ける。少女は適当な隠れ場所を全てスルーして真っ直ぐ走り続けた。
初春が後ろを見ると、男二人はまだ追いかけて来ている。




男1「―――待てコラァァ!!」ダダダダ

男2「―――はっはァ!! 逃がさねェっつってンだろォォ!!」ダダダダ




まずは逃げ切るのが先決だと判断した初春は、見知らぬ少女とともに走った―――。


やがて、しばらく走った二人は一軒の廃屋へ逃げ込んだ。手を引いて先に走る少女が何の迷いもなくその建物に入った事を
初春は少し疑問に思ったが、すぐにそんな思考は追っ手の粗暴な声で消し飛ぶ。





男1「―――クソがぁぁあ!! いつまでも逃げ回ってんじゃねえぞぉ!?」

男2「―――手間掛けさせてくれた礼、高くつくぜェェ?」
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/17(火) 19:59:24.34 ID:RzYYEkw0
今日はここまでです。
続きはまた明日投下します。
お付き合い頂いてありがとうございました。
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 21:23:23.40 ID:lOTbgsAO
乙!
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/17(火) 21:54:30.62 ID:Epdh6wDO
乙。わくわくが止まらない。
それにしても初春災難続きww
不幸だー!!!
って叫んでもいいレベルかもww
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 19:03:09.81 ID:poFGPwAO
乙乙
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 20:06:17.50 ID:Ds7BWos0
こんばんは。
>>90
不幸の後に何があるか……分かりますね?
では続き行きます。
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 20:08:04.07 ID:Ds7BWos0

―――――




少女「………」


初春「………」




奥の部屋へ駆け込んだ二人の少女は暖炉の側にあるテーブルの下に隠れた。少女は指を手に当てて「シーッ」とだけ伝える。初春はそれに頷くだけで答えた。
遠くの方から男の声がする……。二人は身を低くしてジッと息を潜めた。




男1「隠れても無駄だぞぉ〜? ここにはだぁれも住んでないんだからなぁ」

男2「つまり助けも来ねェってなァ! 諦めて早く出て来なよォ。たあっぷり可愛がってやるからさァ! ひゃは」




男二人組はどうやら自分達を捜しているようだ。聞こえてくる足音や声がやけに怖い……。



ドコニイッタノカナーァ?

ハヤクデテキタホウガミノタメダヨォー? アハギャハッ



初春(ひっ……)
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 20:11:36.95 ID:Ds7BWos0

(うう……こんな誰もいないような所で見つかったりしたら……完全にアウトじゃないですかぁぁ!!)




心中でそう叫ぶ初春だが、少女は落ち着いたままだった。初春と違って体を振るわせる事もなく、ただじっと身を潜めている…。




(…………あれ? この人、どこかで見たような気が………でも、暗くて良く分からないや…)




少女の横顔は暗い中差し込む僅かな光で何とか見えるが、人物を特定させるまでには至らなかった。




(でも、この人が来てくれなかったら……私、間違いなく捕まってましたね……。誰だか知らないけど、きっと良い人です)


(不良達が出て行って安全になったらまず、お礼を言わないと。……それにしても怖いなぁ……足音と声が聞こえる
 って事はまだ捜してるのかなぁ………もう、早くどっか行っちゃってくださいよぉ)ビクビク




しかし、初春の隣りで一緒に隠れている少女の方はと言うと……




(ふふふ……計 画 通 り  とミサカは不敵な笑みを浮かべます)ニヤリ…




初春と謎の少女(?)。……今の立場は同じハズなのに、この二人の心境は全く正反対だった―――。
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 20:13:52.32 ID:Ds7BWos0

――――――


―――



―――その頃、○○公園……




「………確かここだよな?」




誰もいなくなった公園で一人呟くのは垣根帝督。割りと広く、木々が生い茂る園内で待っている筈の人物を目で探すが、姿は何処にもない……。




「あの野郎……まさかバックレたんじゃねえだろぉな……?」




乱闘のつもりで意気揚々と来たのに、肝心の相手がいなければこの滾る気持ちは一体何処にぶつければ良いのか? 電話を掛けてみるものの、
呼び出した本人が電源を切っているのか、通信が繋がることはなかった……。




「……チッ、もう少しだけ待ってみるか」
96 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 20:15:16.30 ID:Ds7BWos0
投下中すいません。急用できたんでちょっと出ます。
一時間ほどで戻ります。
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 20:28:34.63 ID:a.sLyZ60
いってらっしゃい!
待ってるよ!
98 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:09:42.00 ID:Ds7BWos0
中断失礼しました!
戻ったので投下再開します。
99 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:12:30.68 ID:Ds7BWos0

再度呟いて近くのベンチにでも腰を下ろそうと足を動かしかけた時―――。




??「――――す、すいませーんっ!!」


垣根「あん……?」




背後から聞こえた声に振り向くと、ひとりの少女が自分に向かって走ってくるのが見えた。垣根は「落し物でも届けてくれたのか?」と 
一瞬思ったが、どうも様子が違う…。




??「―――た、助けてくださいっ!」




息を乱しながら走ってきた少女は目の前で立ち止まってそう言ったが、「何?」と訊き返す前に垣根は気づく。




垣根(こいつ……水族館で会った飾利の友達じゃねえか! 確か……佐天、だっけか?)


佐天「お願いです! 助けてください!」
100 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:14:54.09 ID:Ds7BWos0

何か只事ではない様子の佐天に垣根は尋ねた。




垣根「……どうしたんだ?」


佐天「さっき、友達といるところを変な人達に襲われたんです! お願いします! 私の――――」




垣根が動き出すきっかけとなる決定的なセリフを、佐天は口に出して叫んだ。




「――――友達を………初春を助けてくださいっっ!!」


垣根「!!!?」




垣根の表情が分かりやすい程一気に変わっていく。ほぼ予想通り、垣根は佐天の両肩を掴んで問い詰めた。




垣根「―――おい! その友達は何処にいる!?」ガシッ

佐天「あ、案内しますからついてきてください!―――って、ちょっと!?」
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:18:51.32 ID:Ds7BWos0

垣根「―――急げ! 早くしろっ!!」




肩から手を放したかと思ったら、もうすでに走り出していた垣根にやや遅れて佐天も走り出す。





佐天「ちょ!? ま、待ってください!」

垣根「何モタモタしてんだ!? 友達が危ねえんだろ!? ……クソッ、オイ! どっちだ!?」キョロキョロ

佐天「コ…コッチです。私についてきてください!」


垣根「―――ッ!」(飾利……ッッ!!)




(頼むっ!! 無事でいてくれ―――――!!)





公園を出た二人は再び走り出す。垣根はもう他の事など何も考えてはいない。今唯一彼の頭にあるのは勿論、危険に冒されている初春飾利
という少女を救う事だけだ―――。




――――――


―――
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:22:53.18 ID:Ds7BWos0

―――廃屋…




男1「どっこかなぁ〜? 子っ猫ちゃぁ〜ん?」

男2「どォせ逃げられやしねェンだからさァ、とっとと出ておいでよォ」




同じ調子で初春を捜し回る二人組のチンピラ。

男1が途中の曲がり角に頭をぶつけた。




男1「―――イテッ!! ……ぐぉぉぉ……ふ、不幸だ…」ヒリヒリ

男2「こンな暗いトコでグラサンなンか掛けてっからだろォがよ。危なっかしいから外せ。―――あン?」




と、その時……男2が持つ無線機に通信が入る。




男2「―――ンだァ? どォした?」


『―――標的2(ターゲット・ツー)がそちらに向かいましたの!』


男2「あァン? オイオイ、予定よりちっと早くねェかァ?」
103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:27:40.33 ID:Ds7BWos0


『―――それが……話を聞くやいなや何の躊躇いもなく走って行かれましたの……。現在【プランC】通り、回り道をさせて
 時間を稼がせてますわ』


男2「……分かった。ンじゃあコッチもそろそろ段階移るから、すぐにオマエも来い。『回収』のタイミングは外すなよォ?」


『―――承知しましたわ。それでは――』ピッ


男1「……俺の予定じゃ話を聞いて少し迷ったあげくに動き出すつもりだったんだがな…」



サングラスを外した男1がそう呟く。晒された彼の目は、どう見ても悪人の目つきとは異なっていた……。




男2「ったく、オマエじゃあるまいしよォ……。あのボケはいつから『考える前に動く』タイプの人間になったンだっつの」

男1「いちおう想定はしておいて良かったぜ。あとはアイツらが上手くタイミングを見計らってくれるハズだ。少し早いが、
  俺らも予定通りに行くぞ」

男2「おォ」




二人組の男はクルッと踵を返し、初春と少女が隠れている部屋に真っ直ぐ向かって歩き出した――――。




―――――
104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:30:48.65 ID:Ds7BWos0

初春(―――ひっ!……コッチに近づいてくるぅ……)




心臓の音が急速に高鳴っていくのを感じながら、初春は入室してきた二人組をテーブル下の隙間から覗く。
テーブルには大きいクロスが脚に届くまで掛けられているため、姿は見えない筈なのだが……男は何の戸惑いもなくコチラへと
歩を進めて来た。




初春(………いや……ッッ!!)




公園内で隠れた時も何故かあっさり見つかっていた事を思い出したが……もう遅かった。




男2「―――かくれンぼはおしまァい。ってなァ! ひゃはっ!」


初春「―――ッ!!?」




言葉と同時にテーブルは退けられた。男2が蹴り飛ばしたテーブルは後ろの壁に激しい音を立てて激突する。
それは、初春の退路が完全に絶たれた事を意味していた。




男2「子猫ちゃンめェーっけ♪」

男1「こんなトコに隠れてやがったのかぁ。だが残念、これまでだぜぇ?」
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:34:09.96 ID:Ds7BWos0

白々しく言いながら笑う男達。少女達の後ろは壁。部屋を出るために通らなければならないドアは男達の真後ろ。絶体絶命だった……。
実は初春の後ろにあるこの壁には一箇所だけ隠しドアがあるのだが、初春がそれに気づく筈もない。
そしてそのドアは、コチラからは絶対開かないように細工が施されていた……。




初春「――――あれ…?」




ふとそこで少女がいなくなってる事に気づく。自分を助けてくれたあの少女はすでに影も形もなく、忽然と姿を消していた。
男に目を向けていた………その僅かな間にだ。




初春「え?…………うそ………」




逃げ道は前方の男達が塞いでいるドアのみ。姿を消せるとしたら『空間移動』の能力者くらいしか思いつかない。あるいは……?
そこまで考えた途端、初春の顔が恐怖に歪んだ。




初春(まさか……ここは科学の発達した街ですよ……? そんな……)




この誰も住んでいなさそうな廃屋が余計に恐怖を誘う。もしそうだとしたら、少女がここまで自分を連れ込んだ辻褄も合ってしまう……。
しかし、この状況はそれについてじっくり考える暇もなさそうだった。むしろそんな事以上に大ピンチである。
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:36:56.09 ID:Ds7BWos0

初春「いや………こ、来ないでください……」




壁に背をつき震える少女。もう逃げ場は何処にもない……これからこの『怖いお兄さん達』に何をされるのかと思うと、震えが止まらなかった。




男1「クククク、そんなに怖がんなよ。大丈夫だって……痛くはしねえからさ♪」

男2「ギャハハハァ! まァ、精々イイ声で鳴くよォに努力するンだなァ!」




じりっ…じりっ……と一歩ずつ、確実に近づいてくる魔手。「もう終わりだ」と初春は本気で思った。




初春(なんで、なんで私ばっかりこんな目に……ッッ!! 恨みますよカミサマッッッ―――!!!)ギュッ




観念するように……強く目を閉じた―――――瞬間!






「――――飾利ィィィいいいいいいいいいッッッ!!!!!」
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:41:00.49 ID:Ds7BWos0

初春「―――――!!」




目を、見開く。



確かに……ハッキリと聞こえた。



彼女にとって、たったひとりだけの―――



王子様(ヒーロー)の声が―――――。




声が聞こえて間もなく、……ドアは勢いよく開いた。…というより破壊された。




男1・2「…………」




振り向いた二人組の視線の先にいたのは………もちろん―――




「―――間に合ったみてぇだな……」
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:46:24.72 ID:Ds7BWos0

怒りを通り越したからか、初春が汚される前に駆けつける事ができたからか……どちらの意味とも取れる笑みを浮かべる垣根。
そして、初春にも彼の姿はハッキリと確認できた。彼女の震えは………そこで止んだ。




「もう大丈夫だ……。飾利」




垣根は唖然と自分を見つめる初春に優しい目を向ける。




「俺と関わったばっかりに……怖い思いばかりさせちまって、本当にゴメンな」


「けど、安心してくれ……」


「これからは俺が―――――」




「―――お前を守る!!!」




強い意志の込められた声を、古びた室内に響かせた―――。
109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/18(水) 21:55:12.09 ID:Ds7BWos0
今日はこの辺りで。
続きは明日に投下します。
読んでくれてる方々、いつもありがとうございます!
110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/18(水) 22:36:54.03 ID:0KohWiIo

次回上条さん殉職か・・・
111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/18(水) 23:52:14.08 ID:Sn0QlM.0
垣根を倒した一方通行と
前兆の予知で地上戦最強の上条さんか……


垣根さんまともに戦ったら死にますって
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 00:08:28.29 ID:YmlUcTUo
>>111
そんな規模の戦闘が起これば、付近一帯無事でいられる保証はないなww
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 04:28:23.37 ID:UkDspsSO
んにゃぁああああああ!!いつもいいところでッッ!!!!!



>>1乙!
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:19:50.07 ID:ooLI8bM0
こんばんはー。
そうですね…三人ガチファイトも良いんですが、上条さんの作戦外ということでw
そんでは続き投下します。
115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:21:57.64 ID:ooLI8bM0

―――『これからは、俺がお前を守る!!!』―――




この発言に男二人も『意外』といった反応を見せた。





男1(マ……マジで!? ちょっと、思った以上の展開だぞこれは……)

男2(ンだァコイツ……オイオイ、一体何があったっつーンだ?)





垣根の強靭な意志を確かに聞いた初春。心に宿っていた『恐怖』が……今、ゆっくりと消えていく。




初春「………ッ」




初春の目に涙が溜まっていった……。もはや笑っているのか泣いているのか、よく分からない表情だ。
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:25:05.38 ID:ooLI8bM0

もう、垣根には何の迷いもない。……それは、対峙している男二人にも明らかに分かるほどだった―――。




垣根「覚悟しろよ……テメェら―――」




表情に再び怒りを戻して、男達を見据える。




垣根「―――『俺の大事な女』に手ぇ出してくれた罪は重いぜ!?」ブァサッ




背中から生えた白い翼が放つ光で、薄暗い室内は眩しく輝いた。




男2(チッ……カッコつけてンじゃねェよクソメルヘンが)

男1(おい………ちょっとこれ、ヤバくないか?)ヒソヒソ

男2(あァ、何でか知らねェが、俺らの予想を完全に超える勢いで吹っ切れてやがるな……。チッ、最悪のアクシデントだ。オイ三下、
   右手構えとけ。死ぬぞ?)ヒソヒソ

男1(えぇーー!?)




男二人組が密談を終えた直後、垣根は唐突に叫んだ。
117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:27:17.11 ID:ooLI8bM0

垣根「―――離れてろ飾利!!」


初春「―――は、はいっ!!」ダッ




初春が避難したのを音で確認した後、垣根が男二人に攻撃態勢をとった。




垣根「―――くたばれコラァァあああああっっ!!!」ブォン



男1「ちょっ、待―――ッッ!!??」サッ


男2「クソが―――ッッ!!」バッ




ドオオオオン!!!




―――次の瞬間、翼が床を叩きつける激しい音が部屋じゅうに響いた……。




―――――
118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:30:08.95 ID:ooLI8bM0

垣根「…………」




薄汚れた部屋の中、垣根はゆっくりと翼をしまった。衝撃で巻き起こった煙の向こうに男達の姿はなかった。何をしたのかは分からないが、
どうやら二人とも逃げてしまったらしい……。
しかし、そんな事はもうどうでもいい。それよりも―――




垣根「―――飾利っっ!!」




部屋の隅で縮こまっていた初春に駆け寄った。




垣根「大丈夫だったか!?」


初春「……はい。何とか………へへ…」ニコッ




その時初春が垣根に見せた表情には、恐怖も絶望も全く感じさせられない―――。

『カッキー』に向けた時と同じ……無邪気なあの笑顔だった―――。




――――――


―――
119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:33:04.26 ID:ooLI8bM0

―――作戦本部(勝手に借りた同廃屋内の隠し部屋)※初春達の今いる部屋の隠しドアから繋がってる。





上条「―――だはぁぁ………危なかったぁぁ。マジで死ぬかと思ったぜ………サンキュー白井ぃぃ、助かったよ…」グター


一方通行「―――あンの単細胞馬鹿がァ……。羽根まで出しやがって。殺す気かっつゥの」


黒子「―――フゥー……危機一髪でしたの………。まったく、上手くいき過ぎるというのも考えモノですわね……」


御坂妹「―――お疲れさまでした。とミサカは使命を終えたお二方及び、最高の裏方ぶりを見せた白井さんを労います」





―――垣根と初春が今居る部屋の映像モニターが付いたこの隠し部屋(上条曰く作戦本部)に居るのは上条当麻、一方通行、
白井黒子、御坂妹の四人だった。垣根の攻撃が来る瞬間、後ろの隠しドアを黒子が間一髪の所で開け、上条と一方通行はそこ
から何とか無事に逃げてきたという訳だ。




上条「あぁ、御坂妹もお疲れさん。『連れ込み役』ありがとな」

御坂妹「いえ、思ったより楽な配役でした。とミサカは自分のアクション(演技)を振り返ります」

一方通行「オマエも『回収』ご苦労だったな」

黒子「妹様の回収は割と大したことありませんでしたわ。初春の隙をついてテレポートするくらい朝飯前ですの」
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:42:25.04 ID:ooLI8bM0

上条「けど、白井も御坂妹も佐天さんもいなかったら計画は成り立たなかったよ。ホントにサンキューな!」

一方通行「オイオイ、ひとり誰か忘れてねェか?」

上条「もっ、もちろん御坂もに決まってんだろ!? そんなん言うまでもねぇっての! …あ、ところでカメラ壊れてないよな……?」

御坂妹「どうやら無事のようですね。とミサカは映像と音声に支障がない事を確認して答えます」

上条「しかし……こんな忍者屋敷みたいな所良く見つけたよな…? ちゃっかりドアの改造とかカメラとか……いや、おかげで助かって
   るんだから良いんだけどさ」

御坂妹「ふふふ、その道のプロに頼みましたからね……とミサカは仕事人の周到ぶりを称えます」

上条「是非その人に今度お礼を言いたいな」

御坂妹「いえ、むしろ向こうもあなたに感謝しているのでその必要はありません。とミサカは意見します」

一方通行「さて、予定とはちィとばかし形が変わったが、何にせよこれで状況は出来上がったな。っつーか、もォ結果は決まったみてェな
     モンだが……」

上条「あぁ、ここで垣根が助けるだけで逃げるんじゃないかってのがこの作戦最大の壁だったんだが………」




全員がモニターの二人に注目する……。




上条「………どうやら取り越し苦労だったみたいだな」ホッ…

黒子「第二位の殿方は初春に二度と会わない覚悟ではなかったんですの?」

一方通行「そンなン俺に訊かれても知らねェよ。昨日と心境がまるで違うってこたァ何かあったンだろォが……よく分っかンねェなァ」

御坂妹「それにしても、お二人の演技力には大変驚かされました。とミサカはあなた方のチンピラ振りに率直な感想を告げます」

黒子「わたくしも思った以上の演技に正直ビックリしましたわ。第一位様はともかく、貴方の小悪党ぶりは見ていてかなり滑稽でしたが…」
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:45:05.70 ID:ooLI8bM0

上条と一方通行に視線を向ける御坂妹と黒子。ちょうど二人は元の格好に戻った所だった。




上条「ん? あぁ、……慣れないセリフばっか吐いたからな。途中何度も噛みかけたよ」

一方通行「微妙に優しげなオブラートを包む辺りがオマエらしかったよなァ。それでも違和感だらけで傑作だったぜェ? やっぱオマエに
     悪役は向いてねェわ」

上条「そういうお前こそ、ずいぶんノリノリだったじゃねえか。あれかなり『素』入ってただろ?」

一方通行「どォせやるンなら楽しまねェとよォ。それに、いちおうシナリオ通りにはなってただろォが」

上条「いやぁ、セリフ合わせの時より相当アドリブ入ってたけどな。………ん?」




――ガチャ




その時、部屋のドアが開いた。上条の目はそちらに移る。




佐天「―――お疲れさまで〜す♪」




何かをやりきったかのような爽やか笑顔で入って来たのは佐天涙子だった。
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:49:18.85 ID:ooLI8bM0

上条「おう、佐天さんもお疲れ。ナイスタイミングだったぜ」グッ

黒子「よく足止めしててくれましたわ。グッジョブですの佐天さん」グッ

佐天「いや〜、垣根さん足速いしさっさと先行っちゃうしでホント大変でしたよ〜。想定してて正解でしたね。さすが上条さん♪」

上条「ははは、俺だったら多分迷わず助けに行くからな……。いちおう考えておいたんだ」

黒子「時間調整も考えると……佐天さんの役割はかなり困難だったことでしょう。本当にお疲れ様ですの」

佐天「へへ、照れますね〜……けど白井さんみたいに空間移動能力でもあったらもっと役に立てたんだろぉな〜」

上条「そんな事言うなって。佐天さんは充分立派にやってくれたよ」

御坂妹「はい、充分に良いお仕事でしたよ。お疲れさまです。……とミサカは音声を聞き逃さないように注意しながら同意します」

佐天「どーも。妹さんもお疲れ♪」

一方通行「……で、今どンな感じだ?」

御坂妹「あれ以降、両者は依然沈黙状態です。とミサカは現状を監視しながら説明します」




――――――




垣根「……………」


初春「……………」
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:51:56.11 ID:ooLI8bM0


二人を無言の空気が包む……。当然だ。確かに二人は再会を望んでいた。しかし、これは予期せぬというか……ハプニングだ。
心の準備もクソもない。突然過ぎるのだ。そりゃ言いたい事なんてすぐには出てこないだろう……。
初春はモジモジ状態だし、垣根も自分の立場を今把握したみたいだ。勢いというのは恐ろしいものだという事をまさに実感していた。




垣根・初春「―――あの(さ)……ッ!」




二人の声が見事にカブった。




垣根「………何だ?」

初春「いえ、ソッチから……どうぞ」




モニターから監視されている事など知る由もない彼等は、完全に二人だけの空間を作っていた……。

やがて先に口を開いたのは………垣根だった―――。




垣根「まず、……お前には謝らないとな………。騙していて、すまなかった」ペコ




開口と同時に頭を初春に向かって下げる。
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:55:34.72 ID:ooLI8bM0

垣根「数ヶ月前、確かに俺はお前を殺そうとした……。お前が俺に怯えるのも仕方ねえと思う」


初春「……………」


垣根「最初は、適当に誤魔化す……だけのつもりだったんだ。……あの日、俺がお前を見つけたのも単なる偶然だった。でも……話している
   内に、すげぇ後ろめたくなってきて………」


初春「……………」


垣根「怖かったんだ。……お前に恐怖を与えるのも、恐れた顔で見られるのも………ホント呆れちまうよな。自分で蒔いた種だってのによ…」


初春「……………」


垣根「俺はどうしようもねぇ屑野郎だ。今さらよくもヌケヌケと、って思うかもしれねぇ。俺のツラなんて見たくねぇのも充分に分かってる。
   …………けど………それでも――――」




「――――俺は、もう一度お前に逢いたかった」




その一言が……初春の表情を変えた。




―――――
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:58:01.33 ID:ooLI8bM0

―――隠し部屋・モニター前……一同はすっかり野次馬と化していた。




オレハ モウイチドオマエニアイタカッタ…




一方通行「うわ…………あの似非ホスト、どこまで頭ン中がメルヘンなンだよ………オイやべェ、鳥肌が止まンねェぞ。何とかしろ三下」ゾッ

上条「…………いや、無理」

佐天「やば/////……………垣根さん、カッコ良すぎでしょ…」

一方通行「はァ!? あンな歯の浮くセリフ、実際言われたらドン引きだろォ…」

佐天「う〜ん……相手にもよりますかね…」


上条「……にしても、よくあんな照れ臭いこと真顔で言えるよな……。やっぱ垣根ってすげぇ…」


一方通行「三下にまで言われちゃあオシマイだな……」

黒子「リアルですわね……まさか類人猿を超える殿方がいらっしゃるとは……」

御坂妹(ミサカも一度でいいからあんな風に言われてみたい……あ、でも彼には似合わな過ぎて吐き気がするからやっぱりいいや……
    とミサカは即座に却下します)
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 20:59:36.78 ID:ooLI8bM0

―――――



―――倉庫裏



美琴「まだかしら………」ポツーン




決して忘れてなんかいないから、そんな悲しそうな顔をしないで下さい美琴サマ! By上条




―――――
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/19(木) 21:04:15.67 ID:ooLI8bM0
今日はこの辺で。
続きはまた明日です。
次回の投下で一応この青臭いラブストーリー(?)も終わります。
今日もお付き合い頂きありがとうございました。
128 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/19(木) 23:18:58.02 ID:Dk77bIDO
乙だね?
ていとくんが格好よくなってるね?
まさにカッキーくんだね?
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 00:11:09.99 ID:VvayOIs0


ニヤニヤが止まらない俺キメェwwwww
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 13:12:47.06 ID:4mCs3Vo0
青春だな……
ちょっと夕日に向かって走ってくるわ
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 17:12:37.81 ID:G6yS/hAo
さっき学生寮の近くの公園の廃屋でホストっぽい格好したイケメンが泣いてるJCを抱いてたんだけど通報したほうがいいかな
132 :V1PにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/08/20(金) 17:25:18.16 ID:4XQjp0A0
     _______
     i´ ̄ ̄ ̄`ii  i
     |      [_!!   |
     |========|{   |    これが>>131の、
     |        ||   |     末路である
     |     [_!!   !
     |        ||  !
    !________jj__j
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:08:08.43 ID:uvbB81Y0
こんばんは。頭が花と頭がメルヘンなカップル……まさに似合いのカップリングだと
思うのは俺だけでしょうか?
それでは本日も投下します。
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 19:12:16.43 ID:xEXBZ4o0
がんばって
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:19:43.16 ID:uvbB81Y0

―――――




初春は、垣根の告白を黙って聞いていた……いや、言葉を途中で出せなかったと言った方が正しいか…。




垣根「………こんな形になっちまって、本当にすまねえ……」




もう一度、垣根は初春に頭を下げる。……そして、グッ…と何かを堪えるように堅く目を閉じた。
やがて開いた目は……どこか悲しみに耐えている風に見えた。



躊躇を消した垣根は、重い口を―――開いた…。




垣根「―――安心してくれ。もう……姿は見せねえから……さ…」




そう言って背を向けた―――。




『ありがとう』……と最後に告げて―――――。
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:25:47.18 ID:uvbB81Y0

足取りは重く…それでも部屋を後にしようと、垣根はゆっくり歩き出す。彼は今、何を思っているのか―――。





(……こんな形になるとは正直思わなかったが、どの道同じだ……。それに言いたい事は言えたんだ……。だから悔いはない…)


(これでもう会えなくなるのは正直言って辛いが……ここで彼女の気持ちを考えないほど、俺は落ちちゃいねぇ…)


(それに、……最後に飾利が俺に見せてくれたのは……『笑顔』だった……)


(こんな俺みてぇなヤツに、また笑ってくれた………嬉しかったぜ―――)


(もう、それで充分だ―――)




垣根の足が、体が……初春を残して去ってしまう。




「………って……ください…―――」



しかし―――




「―――――待ってくださいっっ!!!」
137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:29:35.62 ID:uvbB81Y0

垣根が部屋の外に足を踏み出すと同時に、少女の悲痛な声が響き渡った―――。




垣根「―――!?」クルッ




声に驚いた垣根は足を止めて後ろを振り返る……。今にも泣きそうな顔の初春がそこにいた。




初春「どうしてそぉなるんですか!? どうしてそんな一方的なんですか!? 私の話も少しは聞いてくださいよぉっ!!」


垣根「…………でもよ、君はもう俺と関わりたくなんかねぇだろ?」


初春「なんでですかっっ!! 勝手に決めないでっっ!!!」


垣根「―――ッ!?」



初春「私の気持ちも聞かないで……自分だけ言いたい事言ってさっさと行こうとするなんて……ずる過ぎます! 私だって………
   私だって! あなたに逢いたかったんですよ!? お礼も言わせてくれないなんて、そんなのってあんまりじゃないですか!!」



垣根「……………」
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:32:20.23 ID:uvbB81Y0

少女の意外な言葉に困惑する垣根……。しかし、それでも……。




垣根「………俺は、君が知ってる『カッキー』じゃないんだぜ? 俺は―――」


初春「学園都市第二位の超能力者、垣根帝督さんでしょう!? 確かに知った時は驚きました! 正直、今でも信じられません! 
   けど、『それ』が何だって言うんですか!?」


垣根「え……?」


初春「第二位の超能力者だろうと何だろうと―――――」




「――――カッキーさんはカッキーさんじゃないですかぁぁっ!!!」




垣根「………ッッ!!」




―――――どんな顔してても、カッキーさんはカッキーさんですから―――――




あの時……少女の言った言葉が垣根の心に突き刺さった。
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:36:39.60 ID:uvbB81Y0

垣根「―――飾……利………」




初春は、泣きそうになるのを堪えるような笑顔を作った。……いや、堪えられてなんかいない。目からポロポロと零れる涙がそれを
証明している……。




初春「私の……私の好きなカッキーさんなら――――ずっとここにいますよ?」


「私にとっての王子様は――――あなただけなんですから…」


「私は………垣根帝督さんが………いえ―――」




「―――――カッキーさんが、好きです」




垣根「!!!?」




一瞬、これが夢なのかと本気で思った………。



どうか、どうか夢なら……このまま醒めないで欲しい。………そう思いながら―――
140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:38:41.15 ID:uvbB81Y0

初春「―――!?」




―――ガバッ




垣根は初春に近づき、その小さな体を抱きしめていた―――――。




垣根「………本当に……いいのか? こんな俺なんかで……」




「はい」と初春は、濡れた目を閉じて答えた。




初春「カッキーさんじゃなきゃ、イヤですから……」


垣根「俺のこと……まだそう呼んでくれるのか……?」


初春「前に言ったの、もう忘れたんですか? カッキーさんはカッキーさんです」


垣根「あぁ……覚えてる」
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:41:03.43 ID:uvbB81Y0

初春「なら、もう………離さないで―――」ギュッ…




「―――どこにも、行かないでください」




垣根の体に腕を絡めて懇願する初春に、垣根は答えた。




垣根「あぁ、誓うよ―――」ギュッ…




「―――もう、絶対に離さない」




昇り始めた日の光が、抱き合う二人を祝福するかのように………カーテンの僅かな隙間から射し込んだ―――。
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:43:15.52 ID:uvbB81Y0

―――隠し部屋・モニター前





上条「………何とか、上手くいったみたいだな」

黒子「初春……良かったですわね…」ホロッ

佐天「あれぇ? 白井さん、もしかして泣いてるんですかぁ?」

黒子「そういう佐天さんの方こそ、泣いてるじゃありませんか」

佐天「え……あ、あれ…? あはは」ポロポロ

上条「本当に……良かったな」

黒子「ええ………」

佐天「うん………良かったね、おめでとう初春…」




モニター内で抱き合う二人。隠し部屋の空気は小さな感動に包まれていた……。
計画は、無事成功したのだ。少年少女たちの顔には、すでに達成感が表れている。




一方通行「とりあえず、無駄にはならなかったってかァ……」

御坂妹「あなたは泣かないのですか? とミサカはハンカチで目頭を抑えながら問います……」
143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:50:01.18 ID:uvbB81Y0

一方通行「アホか? 誰が泣くかっつの。……ってェか、オマエも泣いてンのかよ?」

御坂妹「本当に、良かったです。当初は遊び半分のつもりだったのですが、この作戦に参加できた事を今では誇りに思います。とミサカは
    心境の変化を伝えます……」

一方通行「……そォかい。ソイツは良かったなァ」

御坂妹「あなたも、本当はそう思ってるのでは? とミサカは推測します」

一方通行「チッ―――」




目を逸らす一方通行。




一方通行「―――くっだらねェ……」




その口から出てくる言葉はやはり、彼らしかった。が、御坂妹は「ふふっ…」と笑って上条と一方通行に目を向ける。



御坂妹(あなた方が見返りを求めずに人を助けたいと思う気持ち……今ならよく分かります。とミサカはこの企画に
    参加できた事を心から喜びます)



終わったような空気だが……実はまだ終わっていなかった。そう、まだ『演出』が残っている―――。
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:52:33.49 ID:uvbB81Y0

上条「―――おっと、いけね……感動しててつい忘れかけてたぜ。ここでついに美琴の出番だな……」




そう言いながら無線機を取り出す上条。連絡を待っているであろう美琴の元へと電波を飛ばした。………が、




『―――くぉぉらァァああああッッ!!!』




上条「―――いぃっ!?」




スピーカーから聞こえた美琴の怒号に思わず上条は耳を塞いだ。どうやら相当ご立腹のようだ。




美琴『アンタはぁぁあああ!!! 一体いつまで待たせんのよ!? そろそろコッチから掛けてやろうと思ってたんだからね!!』

上条「す、すまなかった。おさえておさえて……」

美琴『………で、今どんな状況よ? っていうか、まだな訳?』

上条「あぁ、ちょうどそれで連絡入れたんだ」

美琴『って事は……上手くいったのね!?』




美琴の声が途端に明るくなる。
145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:54:57.46 ID:uvbB81Y0

上条「へへ、後で録画映像見せてやるよ。きっと泣くぜ?」

美琴『リアルタイムで見れなかったのがちょっと残念だけど……まぁ良いわ。そんじゃ、始めるわよ?』

上条「あぁ、頼む。…待たせてホント悪かったな……ゴメン」

美琴『べっ///別に良いわよそんなの! それじゃ切るからね!///―――』ピッ



上条「………さて」

御坂妹「やっと最終段階ですね。とミサカはこの後の展開にわくわくします」




―――――




美琴「―――よし、じゃあ行きますかっと! そりゃ!」ビリビリッ




分電盤に触れた美琴の手から祝福の電流が流れる。その瞬間、薄暗い廃墟が一転して綺麗な光に包まれた―――。
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 19:56:58.31 ID:uvbB81Y0

―――――




垣根「な……なんで急に電気が復活したんだ……?」(やべ……か、顔近い……)

初春「さぁ……わ、分かりません……」(き、急に恥ずかしくなってきました……うぅぅぅぅ/////)

垣根(っつか、この照明と音楽はナニ……? ま、まさかここって……廃屋になる前はラブホテルとか!? ウソだろ!?)

初春(う〜/////は、恥ずかし過ぎて死にそう……ふにゃぁぁぁ!!)




―――――




―――隠し部屋・モニター前




上条「お! 点いた点いた! ナイス御坂!」

黒子「さっすがお姉様ですの♪ さぁ初春! これで全ての準備は整いましたわ! 今ですの! すぐにそこで熱いベーゼを(ry」

佐天「ちょっと白井さんっ!/// けど親友の初キスとか……うわ、見たいような見たくないような……」ドキドキ
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 20:03:10.19 ID:uvbB81Y0

上条「……なんか、俺らはアッチ向いてた方がよさそうだな」クルッ

一方通行「まァ、別に見たくもねェけどな」クルッ

御坂妹「それにしても、二人とも奥手ですね…。とミサカは若干イラつきます」




―――ガチャ




美琴「――――お疲れ〜! 戻ったわ! んで、どう?」

上条「おう、御坂。お疲れ〜」ヒラヒラ

黒子「おかえりなさいませお姉様! ちょうど今良いところですわよ!」

美琴「どれどれ? 私にも見せて! ……って、ちょっ!? 抱き合ってんじゃない!? う、初春さん……結構やるわね…」

佐天「………さっきから二人とも全然動きませんけどね」

御坂妹「……焦らすんじゃねーよ。とミサカは更にイラつきます」

黒子「あぁもうじれったい!! 何をやってるんですの!? さっさと押し倒してそこから(ry」

上条「まさかあそこまでムーディなヤツだとは……やっぱ試し点けしておくべきだったかな…」

一方通行「もォ遅せェよ。どの道そンな時間なかっただろォが。ま、この変態に頼ンだ時点でこォなるとは思ってたけどなァ」
148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 20:04:47.63 ID:uvbB81Y0
メシ食ってきます。今日はまだ続きますんで、しばしお待ちを。
149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 20:12:50.76 ID:2p7faWU0
いってらっしゃい!
待ってますぜ!
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 20:28:36.91 ID:uvbB81Y0
お待たせっす。では続き―――






美琴「ちょっ、黒子///……いくら何でもそれはマズイんじゃ……。ア、アンタ! 見たら殺すからね?」ギロ

上条「み、見ませんっ! 絶対見ませんから!」


……イコウカ?

……ハイ


佐天「……って、あ……あれ?……離れちゃいましたけど…」

黒子「ば、馬鹿な……ッッ!! 『お姉様と過ごす熱い夜』のために購入したわたくしのとっておきが……まさかの不発ですの!?……」

美琴「く・ろ・こぉ〜……誰と熱い夜を過ごすってぇぇ……」

黒子「」

御坂妹「チッ……根性なしが。とミサカは第二位を非難します。まったく、学園都市の上位能力者は揃いも揃って……」ブツブツ

一方通行「……オマエ何ブツブツ言ってンだ?」

佐天「あ〜……出てっちゃいました……」

黒子「お、お姉様! 誤解ですの! 黒子はただ初春たちで効果の程を試そうとしただけで、その効果次第であわよくばお姉様とぐふふ
   だなんて事は決して考えてなどいませんわ! ただ、少しくらい乱れ合うのもよろしいかと……ぐふふ」


美琴「アンタ一人で乱れてろやぁぁーーー!!!」ビリビリビリ


黒子「おbbbbbbbbbbbbbbbb☆$◆△%〜〜〜♪」ビクンビクン
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 20:30:34.95 ID:uvbB81Y0

上条「………白井を信用した俺が間違ってたのかもしれねぇ…」

一方通行「あァ、それについては否定しねェな……」




ムード溢れる照明と官能度抜群なBGMのダブル攻撃で、抱き合っていた二人が一気に気まずくなってしまったのは誰も予想していなかった……。
ちなみに、この演出は黒子が急遽発案したもの。建前は美琴の出番を作るための優しい心遣いだったのだが、本心はやっぱりそこである……。
無言で廃屋を出た二人の姿は……最後の演出が心から余計なお世話である事を告げていた―――。




―――廃屋の外




垣根「……なぁ、さっきのヤツら……どこ行ったのか見たか?」

初春「いえ、目閉じてましたから……」

垣根「逃げ場なんてなかったのに、忽然と消えちまったんだよな……」(つか、暗くてよく見えなかったけど……あいつらどっかで…)

初春「――!! そ、そう言えば……あの人…」

垣根「ん?」

初春「実は……私、あそこに女の人と居たんです。危なかったところを助けてもらって一緒に逃げてきたんですけど……いつの間にか
   その人も消えちゃって…」

垣根「まさか、あの空き家……心霊スポットとか?」
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 20:33:06.53 ID:uvbB81Y0

初春「こ、怖いこと言わないでください! この学園都市に…そんなのあるワケないじゃないですかぁ! それに季節外れですよ?」

垣根「呪いはあるぞ……」

初春「へ?」キョトン

垣根「いや何でもねぇ。けど、本当に幽霊だったとしても……俺は感謝するぜ。今こうやって飾利と一緒に居られんのもソイツらのおかげ
   みてぇなモンだからな」(あと……って、あれ? そう言えば佐天ってコは何処行ったんだ…? 気づいたらあのコもいねぇし……)

初春「………飾利…///」

垣根「あ……」

初春「『かざりん』より、ソッチの方が……何だか嬉しいですね…」

垣根「そ…そうか…」



垣根「…………」


初春「……///」




夕日……ではなく、まだ午前の木枯らしが吹く並木道を並んで歩く二人……。照れのせいか、目を合わせようとしない。だが―――




―――ギュッ…




しっかりと繋がっている二人の手は……いつまでも互いを離そうとしなかった――――。



―――余談だが、垣根と初春が待ち人達(ウソ)の存在を思い出したのは昼食の最中だったそうだ……。
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/20(金) 20:44:33.45 ID:uvbB81Y0
と、言う訳で『決行編』は終了です。
この後『打上編』『成就編』『不滅友情(ラスト・フレンズ)編』と続いて
『完結編(エピローグ)』で、この話もようやく終わりです。
上手く纏められる自信は正直ありませんが、最後まで頑張ります。
もう少しの間ですが、お付き合い頂ければ幸いです。
では、今日はこれにてまた明日。
154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 21:03:30.19 ID:kQN.pe2o
よかったよおおおお。
初春も垣根も幸せになれえええええ。
そして>>1超GJ!
155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 21:20:01.89 ID:VvayOIso
乙です

ついにくっついたか
よきかなよきかな
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/20(金) 21:33:31.70 ID:u4cu492o
乙です!

待ち合わせをすっぽかした、と難癖つけて
垣根に無理難題を要求する楽しそうな一方さんを想像した
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 21:55:58.53 ID:GSVFsKY0
はずかしい気分になってきたのである。
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 00:34:55.05 ID:wt/w.FI0
乙です。
私と違ってアックアはウブですからねー。
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/21(土) 01:11:37.21 ID:X6I2Rdk0
乙、だァ…
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/21(土) 01:14:08.52 ID:crRH8fw0
変態と同列でないのは良いことである。
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 01:27:49.24 ID:9xW4efY0
『変態はいらない』
『すでに一人いるのだから、話題についていくための努力は必要ない』
162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 01:57:00.50 ID:Nn5T26DO
乙だね?
初々しいカップルが出来て実に微笑ましい…
163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:06:25.90 ID:fd3lcIM0
こんばんは。たまにはガチイケメルヘンも悪くないですねww
ここからは『打上編』に入ります。
それでは投下。
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:08:57.53 ID:fd3lcIM0

―――――


―――




―――その日の夕方…

上条・一方通行・美琴・黒子・佐天・御坂妹・芳川・禁書目録・打ち止めの面々は黄泉川家で打ち上げ(?)を行っていた。





上条「―――では、本日の作戦成功を祝しまして、カンパーイ♪」



全員『―――カンパーイ♪』チン チン チン



黒子「―――と言っても、全員ジュースですが…」

美琴「当たり前よ。未成年だもん」

禁書「ジュース♪ ごっ飯♪」ゴクゴク ムシャムシャ

打ち止め「この料理お姉ちゃん達が作ったの!? ってミサカはミサカはびっくりしながら訊いてみたり」
165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:10:50.73 ID:fd3lcIM0

御坂妹「いかに炊飯器と言えど、この人数で掛かればどうにでもなりますから。とミサカは飲みながら返答します」ゴクゴク

一方通行「っつーか、主役の二人はまだ来ねェのかよ?」

上条「もうそろそろじゃねーか? 垣根のヤツ、ちゃんと連れて来んのかな……初春さんも居なきゃ意味ねえぞ?」ゴクゴク

一方通行「死にたくねェンなら連れて来ンだろ。オイ芳川ァ、黄泉川はまだ戻ンねェのか?」グビグビ

芳川「さっき電話したからもうじき帰って来るんじゃないかしら」

一方通行「それにしてもよォ……ンだァこのジュース? ずいぶン変わった味だな……」(ってオイ、まさかコイツァ…)

美琴「美味しいけど……何この違和感…?」ゴクゴク



禁書「―――とうま! 私、今回はとうまのこと見直したんだよ! かきねを助けてくれてありがとうね」

上条「助けたって言うのはちょっと大げさだけどな…」

禁書「け・ど、私を仲間ハズレにしたのはどういう了見なのかなァ?」

上条「え? ……いや、それはその……」

禁書「私も協力したかったのに! どうしていつもいつも私はのけ者ルート直行なのかな!? ねぇとうま!」

上条「ま、待て! 誰ものけ者になんか―――!」
166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:13:41.01 ID:fd3lcIM0


打ち止め「―――あ〜あ……ミサカもお兄ちゃん救済企画に参加したかったな〜。ってミサカはミサカはブーたれてみたり…」

一方通行「文句なら三下に言え。発案者はアイツだからな」

打ち止め「責任転嫁しないで! ってミサカはミサカは憤慨してみるー!」

一方通行「オマエが心配するよォな事でもねェだろォが。大体、オマエが加わっても役割なンざねェよ」

黒子「いいえ、そんな事はありませんわ!」ヌッ

佐天「そうですよ! チビミサカちゃんに謝ってください!」ヌッ

一方通行「!? オ、オマエら急に湧いて来ンな!」

打ち止め「ミサカに謝れー! ってミサカはミサカは要求してみたり」

黒子「ホラ、早くして下さいまし」

一方通行「なンで俺が謝ンなきゃなンねェンだァ!?」

美琴「……ってかアンタも主犯の一人じゃないの?」

一方通行「はァ!? オマエまで何を…」

佐天「往生際が悪いですよ? 一方通行さん」

一方通行(何だこの展開……?)
167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:17:56.69 ID:fd3lcIM0

美琴「謝った方が良いんじゃない?」

一方通行「フザけンな! 意味分かンねェっつの!」

御坂妹「おっとそこまでです! これ以上この方を虐める事はミサカが許しません! とミサカは割って入ります」

一方通行「妹ォォ……俺の味方はオマエだけだァ」

御坂妹「ですが、全面的に悪いのはどう考えてもあなたなので上位個体に謝罪はした方が良いですよ。とミサカはあっさり寝返ります」クルッ

一方通行「やっぱオマエも敵ってかァァ!? こンちくしょォォおおお―――!!」



上条「―――大体、お前が参加したら失敗の結果しか生まれねーだろうが!」(逆ギレ)

禁書「な!? そんなことないかも! 私をカショーヒョウカするにも程があるんだよっ!」

上条「うっせぇ! なけなしの知恵振り絞った上条さんの発案だぞ!? どこに穴があるかも分かんねー様な作戦にお前を入れられるか!」

禁書「自分で言ってて空しいと思わないの?」

上条「ああ空しいよ! だがハッキリ言ってやる! お前が混じったら絶対失敗してた! これだけは間違いねぇ!」


禁書「!? ……い、言ってはいけないことを言ってしまったんだねぇぇ……。もう許してあげないんだよ!! こうなったらとうまも一緒に
   食べちゃうんだからぁぁ!!」グアッ


上条「あぁん!? 何がこうなったらだこの野郎! テメェ都合悪くなるといっつもそればっかりじゃねえか! いいぜぇ……俺がいつまでも
   大人しく食われると本気で思ってんなら……今日という今日こそは、そのクソふざけた幻想をブチ殺すっ!!」バッ
168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:19:37.76 ID:fd3lcIM0

トウマノバカーー!! シンジャエーー!!  ガブッ ガブッ ガジガジ

イデデデ!! ギ ギャアーー!! ゴ ゴメンナサイ!! ゲンソウヲイダイテタノハオレノホウデシタ!! ドウカユルシテクダサ……アッ…



パタッ…



チ、チョット!? アンタ ダイジョウブ!?

…ミャクガアリマセンネ トミサカハレイセイニシンダンケッカヲツゲマス

フン トウマノクセニ ズニノルカラワルインダヨ ウィ〜ック…



ハヤクアヤマルンデスノ

イヤダッツッテンダロォガ!

コンジョウナイデスネー

ンダトォ!? オマエモォイッペンイッテミロ!

ハヤクー! ッテミサカハミサカハセカシテミタリ

ウッセェ! クソガキハダマッテロ!




芳川(……若いって、いいわね。私もまだ若いけど)
169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:26:03.72 ID:fd3lcIM0

――――――



――ガチャ



黄泉川「―――ただいま。おぉ…皆盛り上がってるじゃんね?」


芳川「あら、愛穂おかえり。えぇ、もう軽くドンチャンになりかけてるわ」




帰宅した黄泉川の目に映る光景はすでに異様だった……。

禁書目録に寄生されてテーブルに力なく突っ伏す上条。それを心配と羨望に満ちた目で見る美琴と手を合わせて祈りのポーズを
とっている御坂妹。
そして、少女達に何やら弄られている一方通行……。そんな訳で、今リビングは軽い馬鹿騒ぎ状態だ。
離れたソファで傍観する芳川だけが黄泉川の帰宅に気づいてくれた。
一瞬自宅が居酒屋に見えてしまった黄泉川は、仕事の疲労もあってか酒が飲みたい衝動を抑えられなくなる。




黄泉川「どれ、じゃあ私も一杯やるか……って!?」




冷蔵庫を開けた黄泉川は驚愕する。ある筈の酒がなかったのだから当然の反応だ……。




黄泉川「まさか……ッ!」
170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:28:46.43 ID:fd3lcIM0

嫌な予感がした黄泉川はリビングの奥にいる未成年者達に近づいた。テーブルの上にあったのは……黄泉川が今まさに嗜もうとした酒だった。
ビンではなくジュース用のペットボトルで保存していたのが、どうやら仇になったようだ……。




黄泉川「あっちゃー……やっちまった…」




頭に手を当てる黄泉川はもう手遅れだと悟った。少なくとも上条、禁書目録、黒子、佐天、一方通行の顔色はすでに桜色に変色している……。
アルコールの度数が少ないのはせめてもの救いである。




黄泉川「………ま、いっか」




警備員として、教師として……この日、黄泉川愛穂は誤った結論を口に出した。




芳川「どうしたの?」

黄泉川「アイツら……私の酒飲んじまったじゃんよ」

芳川「え? あ……」

黄泉川「あんたも今気づいたんか…」
171 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:31:15.09 ID:fd3lcIM0

芳川「ご、ごめんなさい……ジュースだとばっかり…」

黄泉川「気づかないアイツらもアイツらだが、ペットボトルを使い回しした私にも責任があるから……今日は目を瞑るじゃん」

芳川「で、どうするの?」

黄泉川「どうするって、決まってるじゃんよ」

芳川「?」



黄泉川「一緒に飲むっきゃないじゃん! っつー訳で、あんたも来い! 付き合え!」グイッ


芳川「あいっ―――!?」




言葉の前に襟首を掴まれた芳川桔梗はそのままズルズルと奥の未成年者ゾーンへと引き戻されていった……。
こうして、『飲み会』に大人二名が加わった。




――――――


―――
172 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:34:03.46 ID:fd3lcIM0

垣根「―――何コレ……?」



帰宅した垣根はまず固まった……。




芳川「―――あら……おかえり………うっぷ…」

垣根「ただいま。で、何この状況?」

芳川「愛穂のお酒空けちゃったのよ………うぅぅ、頭がガンガンする……」

垣根「マジっすか……」

初春「―――お邪魔しま〜…って!? 佐天さん!? 白井さんも!? あと……み、御坂…さん……? え…なんで…?」

佐天「お! やっと来やがったなぁ〜! 遅いぞぉ! ……ウィ〜ック」

美琴「キャハハハハ♪ う〜いは〜るさ〜ん! コッチコッチィ♪」ヒクッ

黒子「ホホホホ♪ お待ちしてましたわ初春。とりあえずそこに座れ座れろ……あら?」ヒック

佐天「白井さん呂律回ってねぇぇし! ほらぁ、初春も早く来なさいってばさ!」グイッ

初春「…さ、佐天さん酒臭っ! って、あぁ―――!?」




あっさり親友に捕まって連行された初春を、垣根は生温かい目で見つめたが……すぐに自分にも被害はやってきた。
173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:36:05.16 ID:fd3lcIM0

一方通行「―――かァァきねくゥゥゥン! おっかえりィィ! まァとりあえずオマエもコッチ座れよォ! ぎゃははは」ヒック




奥の席に座っている白い顔を赤くした同居人が手招きしていた。




垣根「………ソッチも『出来上がって』んのかよ…」


一方通行「オラ起きろ三下ァ! オンマエいつまでも寝ってンじゃねェぞコラァ!」ゴス

上条「―――痛ッ!?」ムクリ




テーブルに突っ伏していた上条の頭に拳骨を落とした。その痛みで体を跳ね起こす。




垣根「よぉ…」

上条「おぉ垣根! 帰って来てたのか。……っつーか、何なんですかコレ?」




周囲を見渡して唖然とする上条……。どうやら酔いが醒めたようだ。
ひとまず首筋に食いついたまま熟睡している禁書目録を引き剥がすのには成功した。
174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:38:48.57 ID:fd3lcIM0

禁書「う〜ん……むにゅむにゅ」モゾモゾ




上条に引き剥がされた禁書目録は、何故かテーブルの下へ潜り込んでいった……。




上条「うーん……なんか頭痛ぇ……っつーか中も外も痛い気がする……一体何がどうしてこうなったのか上条さんに説明してくれ」

垣根「知るか! 今帰ったばっかだぞ? むしろコッチが訊きてぇよ! 何なんだこりゃあ? 軽く酔っ払い集団と化してんじゃねえか!」

上条「……やっぱこれ、酒だったのか……道理でな………インデックスに説教(?)されてる辺りから記憶がないんだが…」

一方通行「オラ垣根ェ! オマエも飲めやァ! ヒ〜ック…」

垣根「うっ……寄るな! ってか酒臭ぇんだよテメェ! 黄泉川さん、酔い醒ましの薬とかはないんすか?」

黄泉川「あぁん? んなのある訳ねーじゃんよぉ……ヒック」

垣根「うわ…コッチはすでに焼酎空けてるし……芳川さん、は隣りで潰れてるし……おーい! もう収拾役がいねえじゃねーか!」

一方通行「オイ妹ォ!……って、あー……こりゃ駄目だァ」

御坂妹「Zzzzz」

黄泉川「今日は無礼講ってことにしとくじゃん。ってな訳でぇ、お前も飲めっ!」グワシッ
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:40:10.97 ID:fd3lcIM0

一方通行「そォだァー! 飲め飲めェ! ひゃは」ヒック

垣根「だぁぁぁ!! 上条ー!! こいつ等何とかしてくれぇ!!」


上条「あー……ハイ、皆ちゅうもーく!」パンパン




手を叩いて声を張る上条に視線が集まった。ただし酔い潰れて脱落した禁書目録、打ち止め、御坂妹、芳川は除く。




上条「主役の二人も来たことだし、改めて乾杯するぞー!」


垣根「へ?」


上条「ホラ垣根もコップ」トクトク


垣根「あ、あぁ……」


上条「みんなもコップ持ったか?」


全員「おーーー♪」
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:44:14.28 ID:fd3lcIM0


上条「じゃあ改めまして、垣根と初春さんのひと足早い春を祝って―――」




『―――カンパーイ♪』チン チン チン





佐天「おめでとうございまーす!」

黒子「お祝いさせていただきます」

美琴「良かったね。初春さん♪」

初春「皆さん……ありがとうございます」ジーン

黒子「垣根さん? 初春はわたくしの友人ですの。悲しませたりしたら承知しませんわよ?」

美琴「そうよ〜。許さないんだからね?」

垣根「あぁ……肝に命じとくわ」

佐天「さ、という訳で初春も飲もっか? この幸せ者」ポン

初春「み、未成年ですよ!? ってか白井さん! 風紀委員としてこれはどうなんですか!?」

黒子「まぁまぁ、今日くらい別によろしいではありませんの。それに警備員の黄泉川さんも容認してることですし」

初春「そ…そういう問題じゃ―――!?」
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:46:38.91 ID:fd3lcIM0

美琴「これ美味しいわよ? ハイ初春さんもどうぞ♪」トクトク

初春「うぅ……御坂さんまでぇ…………分かりましたよぉ。飲みますよぉ」ゴクゴク



一方通行「あァー、ったく……完全に潰れてやがンなこりゃあ」

御坂妹「Zzzzz」

一方通行「……チッ、仕方ねェなクソが」カチッ

御坂妹「Zzzzz……むにゃあ…」

一方通行「―――オラよ」スクッ




御坂妹を担いだ一方通行はそのまま寝室へ向かった。




垣根「―――なんつーか……あんがとよ」

上条「気にすんな。けどホント良かったじゃねえか」
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:47:56.64 ID:fd3lcIM0

垣根「おう……」

上条「あんな可愛い彼女ができて上条さんは羨ましいぜ。泣かせたりすんなよ?」ポン

垣根「あったり前だろぉが」



一方通行「―――ケッ、俺は別にどォでも良いンだけどなァ。ま、折角だし一応祝っといてやンよ」ストン

上条「お、戻ったか……お前酔いは平気か?」

一方通行「あァ、結構醒めてきた。能力なしで酒とか飲ンだ事ねェからどォなるかと思ったがなァ」

垣根「……で、妹は?」

一方通行「クソガキと一緒によく寝てやがる。ノンキなモンだぜ、ったくよォ……」

垣根「そっか……」

一方通行「オイ、垣根ェ」

垣根「……ん?」




一方通行「………おめでとさン」
179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:50:31.98 ID:fd3lcIM0

垣根「お、おう………サンキュ。へへ…」



一方通行「ふン……」



上条「…………」クスッ




黄泉川「まったく桔梗のヤツ……ちょっと強いの飲ませたらもう脱落じゃん。ホラ垣根、今日は私が許す! お前もどんどん飲むじゃんよー」

垣根「あ…いや俺は…」

一方通行「オイ、シスターはどォした? さっきまでテーブルの下に居なかったかアイツ?」

黄泉川「あぁ、打ち止めや妹と一緒の部屋へぶち込んどいた。ついでに桔梗もな。四人とも無邪気に寝てるじゃんよ」

一方通行「あァそォ……」ゴクゴク

上条「なぁ、お前も今日くらいは飲んでもいいんじゃねえか?」

垣根「けどよぉ……」

一方通行「ハッ! ンだよ? いかにもホストみてェなナリして酒のひとつも飲めねェってかァ? とンだお子様だなァオイ!」

垣根「(ムカッ)……ほう、上等じゃねえか……。なんなら今から飲み比べすっかコラ?」

一方通行「格下がイキがってンじゃねェよバァァァカ! 俺に敵うとでも思ってンのかァ!?」
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:52:41.54 ID:fd3lcIM0

上条(あ……ちょっと目ぇ離した隙にまた飲んだなコイツ……)



垣根「面白ぇ! じゃあドッチが先に潰れるか勝負だこの野郎! 三秒でトイレ送りにしてやらぁぁ――!!」グビグビ


一方通行「クカカ、いいねいいねェ! 最っ高だねェ! 愉快に素敵に華麗にブチ吐かせてやンぜェこのクソメルヘンがァァ――!!」グビグビ





上条「……やっぱ始まっちまったか……。さてと、不幸に巻き込まれる前に上条さんはここで戦略的撤退を計―――ってぇっ!?」ムンズッ

美琴「――ちょろっと〜! アンタさっきから全然飲んでないんじゃな〜い? ほらぁ、コップ持って! 私が注いであげるから」ヒック

上条「い、いや美琴サン? 一体いつの間に隣りに? っていうか、なんか目がヤバイのデスガ…?」トクトク

美琴「何よぉ? いちゃいけない訳?」ムスッ

上条「別にそういう訳では…」

美琴「えい♪」ピトッ

上条「―――ッ!!? お、おい!? くっつくなって!!」(胸! 胸当たってマスヨ!!)

美琴「良いじゃん別にぃ。とにかく! 私も今日は飲むって決めたんだから、アンタもとことん付き合いなさいよ!」
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 19:53:55.89 ID:fd3lcIM0

上条「あのぉ……できればワタクシは遠慮s」

美琴「あぁん? 私の酒が飲めねえってのかぁああ!?」ガタン

上条「………ありがたくいただきます」チビチビ




オラオラァ! ドォシタァ!? モォオシマイカァ!? メルヘンヤロウ!

ザケンナァ! マダマダコレカラダクソッタレ!


ダイタイネェ! アンタハソウヤッテイツモイツモワタシノコトヲ……ッテ チョット! キイテンノ!?

ウッ ヤバイ キモチワルクナッテキタ……フ フコウダ……


イイゾイイゾォ イケー ミサカサン! ヒューヒュー!

コノルイジンエンガァァ!! ズルイデスワ オネエサマ! ワタクシニモゼヒツガセテクダサイマシ!

アレェ? シライサン ナンデサンニンニフエテルンデスカァ? ヒック…





結局、彼等に飲む以外の選択肢などはもはや存在しなかった。
その後はもうドンチャン騒ぎ一直線で、潰れた者から空き部屋に叩き込まれるといったルールの下、最後まで意識を保った黄泉川が常盤台
女子寮に連絡を入れた時にはすでに宴会は終わっていたそうだ……。

こうして4DLKが狭く感じる程の人数が黄泉川家で寝息を立てる中、夜は過ぎていく―――。




―――――


―――
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/21(土) 20:00:42.41 ID:fd3lcIM0
はい、と言う訳で『打上編』おしまい!(えー?)
さっくりし過ぎな気もしますが、思いついたネタ全部入れるとキリがないので…
続きは明後日になりそう……明日は来れたら来ます。
では今日はこの辺で。お付き合い頂きありがとうございましたー。
183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 23:00:03.59 ID:VqbVI1.o
>>182
乙です
『打上編』を『打止編』と読んでいて、終了といわれて打ち止め可哀想って思ったのは多分俺だけ
184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 23:31:49.71 ID:.w5Rwzk0
打ち止め上条かと勘違いしてた
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/21(土) 23:39:21.05 ID:LylIbhMo
>>183
おれもいるぜ
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/22(日) 06:41:59.03 ID:5EHj7MY0
超乙!しかし垣根×初春とは・・・スレタイからは全く予想できんかった。
超俺得です!>>1は神ですか?終わりが近いのは寂しいけどがんばれ!
あと打上編=打ち上げ編って事でOK?
187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/22(日) 06:54:11.38 ID:NCRMxps0
>>186
何言ってんだ



まだ序盤じゃないか
188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/22(日) 07:02:12.31 ID:5EHj7MY0
>>187
ごめん。けどあと何編もないって言ってるし・・・
名作が次々と終わっていく中でこのスレまで終わってしまったら俺の楽しみがまたひとつ減ってしまう・・・
189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/22(日) 07:04:36.72 ID:5EHj7MY0
↑サゲ忘れスマソ
190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/22(日) 16:13:00.39 ID:a5QiLQAO
逆に考えるんだ
名作が次々と終わっていくのなら、自分が次世代の名作を作る
そう考えるんだ
191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/22(日) 18:26:07.02 ID:k8b8ZJ6o
>>177
>御坂妹を担いだ一方通行はそのまま寝室へ向かった。

寝室でナニが起きるのかとちょっと期待してしまった俺
192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:10:16.73 ID:b9/P26I0
こんばんは。 
そうです、『打ち上げ(サクセス・パーティー)』です。
紛らわしくてサーセンした!
ここから『成就編』に入ります。
では投下〜
193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:15:50.18 ID:b9/P26I0

―――早朝(AM5:00)




「…………ん…」




一番先に目を覚ましたのは垣根だった。開いた目に映るのは、もうすっかり見慣れた自室の天井である。




「…………」ムクリ




いつの間に自分はベッドで就寝したのか……。確か一方通行と飲み比べ勝負になって……そこからはよく覚えていない。

体を起こしてふと横を向く。床の布団には何故か寄り添う形で寝息を立てている上条と一方通行の姿があった。一枚の
布団で仲良く眠っている二人……。前日の記憶を酒が抜け切れずに痛む頭で遡った―――。




(………そうか……俺、飾利と一緒にここまで……)




昨日の夕刻……一方通行からようやく折り返し電話が入ってきたが、約束の延期を求めようと電話を入れていたのだが、
幸せな時間がすっかりそれを忘れさせてくれていた。『彼女と付き合う事になった』『そォかい』…電話ではそれだけの
やりとりで充分だ。
しかし、すぐに通話を切ろうとした垣根を、一方通行は何故か呼び止めた―――。
194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:19:56.79 ID:b9/P26I0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






一方通行『―――オイ、待て。帰って来るンなら女も連れて来い。分かったなァ? 一人で帰って来やがったらぶっ殺すぞ』

垣根「は…? 何でだよ? イヤに決まってんだろボケ。テメェに冷やかし喰らうのなんざ真っ平だっつーの」

一方通行『あァ? 何オマエ、拒否とか通じるとでも思ってンの? 今の自分の立場よォく理解してますかァ?』

垣根「な、何だよ……?」

一方通行『約束すっぽかしたあげく、この俺を長時間も放置しておいてくれてそンな強気な態度取っちゃってイイのかなァ? 
     って言わなきゃ分っかンねェかァ?』

垣根「ぐ……テ、テメェが電話に出ねえから……っつか、『時間ぴったりに来い』っつっといて、テメェも時間内に来なかった
   じゃねえか!」

一方通行『ハッ、俺とオマエを同じ土俵に上げてンじゃねェぞ格下ァ。俺はイイに決まってンだろォが。ドッチにしろ、オマエに
     拒否権なンてご大層なモンは最初っから存在してねェンだよ』

垣根「なぁ!? テメェ! 暴論振りかざすのも大概に―――」

一方通行『とにかく、そォいうことだから晩飯までには帰って来いよォ。ンじゃあなァ―――』プツッ…

垣根「あっ! オイ! や……野郎、切りやがった……」ツー ツー…
195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:22:00.12 ID:b9/P26I0

初春「カッキーさん……どうしたんですか?」


垣根「……あぁ、それがさ――――」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





―――その後、事情を聞いた初春が激しく希望したのも考慮した垣根は、結局彼女を黄泉川家へ招待する事にしたのだ。
初春の友達や上条まで居たのは、おそらく一方通行が垣根との電話後に呼んだのだと……その時は思っていた。

そう、『その時は』だ……。




「まったくよぉ……テメェらってヤツは、本当にお節介だよなぁ…」




心中だけで吐くつもりの言葉は、ボソリとだが声に出ていた。




「―――ヘッタクソな演技までしやがってよ……」フッ…
196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:24:46.53 ID:b9/P26I0

……気づいていた。昨日の彼等の雰囲気、初春を助けに向かった時の腑に落ちない幾つかの点……。
何よりも決定的なのは、自分の攻撃を喰らったあの二人組が消えた事だ。手応えを全く感じられなかったのは、二人組がエスケープ
に成功した事を意味している。なら、どうやって? 自分は仮にも学園都市のナンバー2だ。チンピラに欺かれるなんてことは到底
有り得ない。
冷静に考えれば分かる事だ。初春を巻き添えにしないよう手加減したとは言え、怒りのままぶつけた自分の未元物質は確実に彼等の
息の根を確実に止めていた筈なのだから……。その末路を変える事のできる二人組と言えば……そう、目の前で無垢な面を晒して眠
っている『こいつ等』しかいない。そこまで分かれば彼女達が何らかの形で協力していた事も簡単に推測できる。

全ての辻褄も合ってしまう……。

昨日の時点でそこまで気づいた垣根は、佐天に連れて来られた事を最後まで話そうとはしなかった……。
佐天から『今日は行けなくなった』というメールが初春の携帯に入っていたからだ。垣根が佐天に会った事を話してしまったら矛盾
が生まれてしまう。きっと佐天や上条も失念しているのだろう……。気づいた以上話しても良いのかもしれないが、垣根は躊躇した。

何となく初春にはまだ知って欲しくない気がしたのだ。それに、知る必要もない。
いつか、笑って話せる日も来る……。これはその時までの『ネタ』としてとっておこうと垣根は決めた。




「………やっぱ、ここは気づかないフリしとくのが……『礼儀』ってモンだよな…」




垣根は自分のために影で奮闘してくれた友二人を優しく見つめてそう呟いた。
そして、ベッドから立ち上がって離れる……。




「感謝するぜ。ホントによ……」ファサ…




乱れた布団を、二人に掛け直してやった……。一枚の掛け布団から彼等の顔だけが見える形になる。
197 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:26:29.30 ID:b9/P26I0

「……オヤスミ…っと」




ギィィ…と音を立ててドアを開く。自室を出る直前で垣根は眠る二人に振り返り、笑みを零しながらこう言った。




「この借りは……いつか必ず返すからな―――」バタン




閉められたドア……再び訪れる『静』の空間。




部屋を出た垣根には、まだ気づいていないことがひとつだけあった……。
上条と仲良さそうに眠る一方通行の目が――――



――――薄く、開いていたことに………。




「…………」パチ
198 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:28:06.88 ID:b9/P26I0

目を開いた一方通行は……垣根の『捨て台詞』にこう答えるように呟いてやった。




「借りなンて作った覚えはねェよボケ……。『俺ら』がやりたくて勝手にやっただけだっつの―――」フッ…




僅かに笑みを浮かべてそのまま再び目を閉じる……。彼の意識はまた……ゆっくりと闇に落ちていく。

と…その前に―――




(ってか、近ェンだよこの三下がァ……)ズル…




―――上条との距離を少し離しておくのは勿論忘れなかった。




――――――


―――



―――そして、二時間後…
199 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:30:12.39 ID:b9/P26I0

―――リビング




打ち止め「―――おはよー! お兄ちゃん。ってミサカはミサカは朝から元気に振舞ってみたり」

初春「―――アホ毛ちゃ〜ん……元気なのは良いですけど、頭に響きますぅ〜」




部屋から揃って出てきたのは打ち止めと初春……。

リビングのソファーでウトウトしていた垣根はその声に目を覚ます。




垣根「よぉ、おはよ」

初春「おっ、おはよぉ…ございますっ!///」タッタッタッタ バタン




挨拶と同時に洗面所へ飛び込んで行く初春に垣根はクスッと笑う。上条なら初春の行動に疑問を持つかもしれないが、垣根は違った。




垣根「ふっ、可愛いヤツだ…」

打ち止め「お姉ちゃんどうしたんだろ……?」

垣根「『女の準備』ってヤツさ。打ち止めもその内分かるぜ」
200 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:32:37.54 ID:b9/P26I0

打ち止め「ふ〜ん……」

垣根「ところで、お前は頭痛くないのか?」

打ち止め「うん♪ ジュース飲もうとしたら、あの人が『クソガキにはまだ早ェからコッチにしとけ』ってオレンジジュース飲まされた
     から。ってミサカはミサカは大人の階段を昇り損ねてみたり」

垣根「そうか……ま、打ち止めも今後飾利とは仲良く……って、お前らはもう知り合いだったっけな…」

打ち止め「え? お兄ちゃん知ってたんだ? ってミサカはミサカは意外な事実を発見したり」

垣根「あぁ…」(っつーか、始まりは『そこ』だしな……運命ってのはホント、分かんねえモンだ…)




――――――


―――




美琴「―――う〜……頭痛い……あれ? まだ垣根さんと打ち止めだけ?」

黒子「―――まだガンガンしますわ……。あら、おはようございます。ところで初春が部屋におりませんでしたが…?」

打ち止め「あ! お姉さまたちだー! おはよー。ってミサカはミサカは(ry」
201 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:34:27.72 ID:b9/P26I0

美琴「おはよぉ……」

垣根「んだよ、二人揃って二日酔いか? 飾利なら洗面所に居るからお前らも行ってくれば?」

美琴「そうね、まず顔洗いたいわ……」フラフラ

黒子「では、わたくしも行って参りますの……」フラフラ




ダルそうにフラつきながら洗面所へ向かった美琴と黒子……。二人が外泊届けを寮に出し忘れていた事を思い出して蒼白するのはもう数分先
のことである。




佐天「―――おはよ〜ございまぁす。いや〜、結局泊まっちゃいましたねぇ……」

垣根「―――お? お前は頭平気か?」

佐天「聞き方に悪意を感じるんですけど!? ……私は割りと平気ですね。少しダルいですけど…」

垣根「意外な酒豪がここにいたか……」



黄泉川「―――おはよ〜」バタン

佐天「あ、黄泉川先生どうも…」

垣根「おはよっす」
202 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:36:05.98 ID:b9/P26I0

黄泉川「お、みんな起きるの早いじゃんね〜。って、馬鹿二人はまだか…」

垣根「まだ起こすには早いっすよ。もう少し寝かしといてやりましょう」

黄泉川「そうだな……んじゃ、とりあえず朝メシ作るとすっか。人数多いから大変じゃん。桔梗にも機動してもらわねば」




そう言って移動する黄泉川に、佐天が「手伝いますよ〜」とか言いながら後に続いて行った。




垣根「―――さて…」




たまには自分も手伝うか……と、垣根も席を立った―――。

御坂妹と禁書目録、上条、一方通行が起きてきた時には朝と呼ぶ量ではないほどの朝食が出来上がっていた。




禁書「―――だいじょーぶ! 食べ物が残るような粗相は絶対阻止してみせるんだよ!」

上条「粗相の意味を根本的に取り違えてるぞ!? そしてお前の食欲増加にそろそろ制限は付かねえのかよ!? 朝メシくらいはこう……
   適度にだな……」
203 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:38:03.97 ID:b9/P26I0

禁書「育ち盛りだもん! それに適度まで届くほど食べられることの方が少ないかも!」

上条「まずお前の場合は盛り過ぎだ! ってか、横に膨れる人体の定義を無視した上でそんな都合良く育つんなら、お前は研究所に行く
   べきだと思うぞ?」

禁書「むぅ……朝から愉快な骨になりたいのかな?」ギラッ

上条「テメェはサバンナの肉食動物か!! しかもどっかで聞いた風なセリフを―――!?」




……朝から元気なことだ。




打ち止め「―――あれ? あなたのお箸が進んでないよ? ってミサカはミサカは指摘してみたり」

一方通行「っつーか、今朝はコーヒーだけで充分なンだけどよォ……」

御坂妹「朝はしっかり食べないと体が育ちませんよ? あなたは一生虚弱体質のままでいる気ですか? とミサカはコーヒーを取り上げます」スッ

一方通行「あっ! オマエ何しやがンだ!? 返せコラ!」

御坂妹「返して欲しければご飯もちゃんと食べて下さい。とミサカは心を鬼にします」

打ち止め「今回はアナタの負けだね。ってミサカはミサカは諦めるよう促してみたり」

一方通行「チッ……わァったよォ。食えば良いんだろォ……ったく、コーヒーと米は合わねェってのに…」ムシャムシャ
204 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:39:43.14 ID:b9/P26I0

黄泉川「それで良いじゃん。あんたの場合は脂肪もちょっとはつけなきゃな♪」

芳川「『脱☆女性体型』目指してみたら? ふふふ」

一方通行「………」ムスッ


黒子「―――それにしても本当に感謝致しますの。わたくし、先ほどまで冗談抜きに死を覚悟していましたわ」

黄泉川「構わないじゃん。酒飲ませたの私みたいなモンだし。私が泊めたって言っといたから心配するな」

美琴「黄泉川さんが連絡してくれなかったらと思うとゾッとするわ……ホントにありがとうございます」

黄泉川「アイツ、そんなに怖いじゃんか…?」

黒子「そりゃもう末恐ろしいですわ。血の繋がっていない事が幸いですの」

美琴「私もああいう母親は遠慮したいわ。けど、寮監と黄泉川さんが知り合いってのはビックリよね……」

黄泉川「世間は意外と狭いじゃんよー。佐天は覚えてる? 私のこと」

佐天「え…?」

黄泉川「ひどいなぁ。忘れちゃったか? ほら……去年の講習」

佐天「あ……あぁーー!! あの時の先生!!」

初春「……?」

黄泉川「お? やっと思い出してくれたじゃん♪」
205 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:41:23.00 ID:b9/P26I0

美琴「世間って……ホントに案外狭いのかもね…」

黒子「そうですわね……」


禁書「―――うぅ……頭がズキズキしてあんまり食べられないかも……やっぱ今日はこの辺にしておくね」カチャ

上条「つっても、もう七杯おかわりしてやがりますけどね」

一方通行「もォ今さらそンぐれェじゃ驚かねェよ」

垣根「むしろインデックスが小食な事に驚く」


禁書「うわ〜ん! 男が三人掛かりで寄ってたかって私をいじめる〜!」


上条「たまには普段の自分についてほんの少しでも良いから振り返ってみろ!」




―――こうして、人数が過去最大となった黄泉川家の朝は賑やかに過ぎていった。



―――――


―――
206 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:43:14.84 ID:b9/P26I0

上条「―――なぁ…」

一方通行「何だ?」





黄泉川家付近の街路樹をブラブラと並んで歩くツンツン頭の少年と杖をついた白髪の少年……。
上条と一方通行は只今二日酔いを醒ますついでのお散歩中である。





上条「俺……そろそろ美琴に返事しなきゃヤバイよなぁ……」

一方通行「なンで俺にいちいちンなこと確認すンだよ?」

上条「まぁ、そうなんだけどさ……昨日の垣根と初春さんの件で、俺にも少なからず思うことがあったりしたんだ……」

一方通行「…………」

上条「幸せそうな二人見てると羨ましかったっていうか……なんていうか…」

一方通行「オマエは俺になンつって欲しいンだ?」

上条「いや、ただ聞いて欲しいだけだよ。ついでに言うと……それについて上条さんちょっと悩んでるのでご意見頂けると嬉しいのデスガ…」

一方通行「知ってるたァ思うが、俺は誰かの肩押してやるのは慣れてねェし向いてねェし、したいとも思わねェ。あの馬鹿にも言ったこと
     だがなァ、結局はソイツの自身が決めることだろォが」
207 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:45:06.69 ID:b9/P26I0

上条「あぁ……それは分かってるんだ。けどさぁ…」

一方通行「……何迷ってンだよ? らしくねェ……オマエ俺の前でハッキリ言ったじゃねェか? 超電磁砲が………スキ………だってよォ…」

上条「ん? 途中よく聞こえなかったぞ?」

一方通行「うるせェ。ンで、一体何に悩ンでるっつーンだ? 肩押す気はねェが、話くれェ聞く分には構わねェぞ」

上条「いやぁ……だからさ」

一方通行「……まさかとは思うけどよォ、まだ俺のこと気にしてるってンなら今度は本気でスクラップにすンぞ?」

上条「ち、違う違う! そういうんじゃねえよ!」

一方通行「……じゃあ何だよ?」

上条「だから……その、俺って不幸じゃん? 俺だけなら全然良いんだ! いや、良くないけど……」




歯切れの悪い上条に一方通行は若干イラつく。




一方通行「なァーにが言いたいンですかァ? ハッキリしろよ!」


上条「……美琴が俺と一緒にいたら、美琴まで不幸に巻き込んじまうかもしれねぇだろ……」


一方通行「…………」
208 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:47:34.79 ID:b9/P26I0

上条「ほら、俺は色々慣れてるから良いとして……もし、アイツを危険に曝すようなことにでもなったりしたら……俺、多分付き合った
   こと後悔すると思うんだ……。インデックスでも守りきれるか分かんねえのに、俺は美琴を守りきれるのかな……ってさ」




おそらく本音であろう上条の言葉に、一方通行は眉を顰める。




上条「俺、前に『ある人』と約束したんだ。『美琴とその世界を守る』って…。その時は、こんな気持ちじゃなかったから……どんなこと
   があったとしても守ってやるって思ったけど……付き合ったりして距離が縮まると、危険にもっと近づかせてしまうんじゃないかな
   ってさ……勿論、美琴を危険から守りたい。けど……守りたいか守れるかってのは別の話だろ?……俺が美琴を守るために死んだと
   しても、結局その後美琴が無事に生きていてくれなきゃ意味ねぇんだ……」


一方通行「つまり、今後何かあった時アイツを守りきれるか自信がねェって訳か?」


上条「そう……かもしれねぇ。美琴が好きな気持ちは変わらない……だからこそ、美琴には幸せに生きて欲しい……。いつ危険に巻き込ま
   れるかも分からねえ俺といたらアイツも不幸になっちまうんじゃねえか……って考えたら、どうしても悪い方向に行っちまうんだよ。
   好きって気持ちだけで付き合ったらダメなんじゃないのかなぁってさ…」


一方通行「…………」


上条「こういうの……ホントはダチにもあんま言いたくはないんだけどな。で、お前はどう思う?」


一方通行「―――くっだらねェ……」


上条「へ…?」
209 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:50:54.20 ID:b9/P26I0

一方通行「くだらねェっつったンだよ!!」




―――バキィッッ!……




上条「―――ッッ!!??」




上条は一瞬、何が起きたのか理解できなかった……。突然一方通行が自分に向かって怒声を浴びせたと同時に、強い衝撃を左頬に
受けたのだ。




上条「……え…?」




殴られたことへの怒りや痛みよりも……驚きが勝った顔で上条は顔を歪ませた一方通行を見上げる。
そんな上条に一方通行は言葉をぶつける。




一方通行「さっきから聞いてりゃあ悲劇の主人公(ヒーロー)みてェな台詞ペラペラ吐きやがってよォ!! のぼせ上がンのも
     大概にしろォ!!」


上条「な……」
210 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:54:28.72 ID:b9/P26I0

一方通行「オマエが今までどンな厄介事に巻き込まれてきたかは知らねェが、なンでそこで『守る』って言葉が出てこねェンだァ!? 
     オマエはいつもそォやって考えて人助けしてきたってのかァ!? 違うだろォォ!! オマエはそンな考え持つ必要なンざ
     ねェンだよォォ!!」


上条「アクセラ……レータ…?」


一方通行「本当に不幸なヤツが人を幸せになンてできるハズがねェ!! 『誰もが笑って過ごせる世界』なンざ夢のまた夢だ!! 
     オマエは自分でソレを認めちまうのかよォ!?」

上条「―――!?」


一方通行「守りてェモンのために身を引くなンて考えは臆病モンの選ぶ道だろォが!! オマエはソレで良いのか!? 守りてェモン
     はテメェで守ンのが当然じゃねェのか!? なァ三下ァ!? オマエそンな根性ねェクソ野郎だったってのかァ!?」


上条「………俺は…」


一方通行「『自分より他人』……ああ結構な事じゃねェか! 否定はしねェよ! だがなァ、イイ加減自分の幸せを掴ンだって良いン
     じゃねェのか!? たまには人の事より自分の事優先で動いたって良いンじゃねェのかァ!?」


上条「…………」


一方通行「イイぜェ……それでもオマエが他人の幸せばっかり願うってンなら―――」


上条「お、おい……」


一方通行「まだ愛する女を守る自信がねェとか反吐の出る台詞を吐き続けるってンなら―――」
211 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:56:15.35 ID:b9/P26I0

上条「まさか……や、やめろ!」




一方通行「―――まずはァ!! そのクッソふざけた幻想をブチ殺ォォォす!!!!!」




上条「―――!!??」




道のど真ん中……野次馬が見守る中、上条に二度目の鉄槌が振り下ろされた。


ちなみに意識を落とす前、上条はこう思ったそうだ。




『そうか、コイツ……まだ……根に持っていたのか……』と―――。




――――――




上条「―――んん……?」パチッ

一方通行「―――お? 気がついたか?」

上条「あぁ……悪かったな」
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 19:58:06.54 ID:b9/P26I0

一方通行「………あ?」

上条「お前の言葉……すげぇ効いたよ。何を迷ってんだろうな……俺」

一方通行「……………」

上条「そうだよ……美琴を守るって誓ったってのに、アイツから遠ざけようとか考えちまうなんて……ホントに、どうかしてたぜ―――」スクッ



「―――ありがとうな……一方通行。おかげで目が覚めたよ」



一方通行「そ……そォか」

上条「まさかお前に教えられるとは夢にも思わなかったけどな」

一方通行「うるせェよ」

上条「家―――戻ろうぜ?」

一方通行「おォ……」(俺の右手も……たまには捨てたモンじゃねェってかァ? ドッチにしろ似合わねェ事には変わりねェが…)





やはり……この少年はどこか自分に似ているのかもしれない……と、一方通行は少し思った。
形は違えど、守りたい者のために自己の感情を犠牲にしようと考え始めていた上条の姿が……自分と被って見えた気がしたのだ。
だからこそ、つい熱くなってしまったのかもしれない……。思わず影響丸出しで本人を二度殴るという強行に及んでしまった訳だが、思い出し
てみると自分も同じような事を以前されていたので、そこら辺は仕返しということで簡単に割り切る。
幻想殺しなど宿っていない自分の拳が上条の幻想を変えられたのかは定かではないが、彼の表情からはもう迷いが消えていたので、一方通行は
ひとまずよしと思うことにした―――。
213 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/23(月) 20:02:20.24 ID:b9/P26I0
今日はここまでです。
たまには上条さんがそげぶされるのも……うん、やっぱないか。
続きはまた明日投下します。
お付き合い頂きありがとうございました。
214 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/23(月) 21:34:28.42 ID:VHTdAAE0

なんかフィナーレが近づいてきてるよーな気が………気のせいか。
215 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/23(月) 22:17:28.42 ID:YeXxtwDO
上条の右手は幻想(迷い)をぶち壊し
一通の右手は迷った気持ちのベクトルを操作できる


そんな風に思えた
216 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 00:30:08.46 ID:AHaM2mg0
一方さん超かっけぇ
217 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/24(火) 01:54:18.76 ID:INsy/YY0
一方通行さんマジ最高
218 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 01:58:36.07 ID:M20m5cs0
つまんねえからもう書くな
自惚れんなカスが。才能0だから書くのをやめて自覚しようね
219 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 02:05:58.31 ID:nnQ/qMSO
アクセロリータたんに説教されながら殴られたいよぉぉぉおおおおアアアアアア!!!!!
220 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 03:12:16.67 ID:Fo6NIdw0
>>219
20000自重しろww
一方△
221 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 03:30:47.35 ID:Nzxk4cAO
一通さんマジかっけ〜!
222 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:09:55.21 ID:Rtup6Jc0
どうも、>>1です。
いつもよりちょっと早いですが、続き投下します。
223 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:11:38.33 ID:Rtup6Jc0

―――黄泉川家




美琴「あれ? アイツら居ないけど、どこ行ったの……?」

芳川「ちょっと酔いを醒ましに出るって言ってたわよ」

美琴「え? ……そうですか」(私も連れてけっつーの! ホント気が利かないんだから………あの馬鹿……)

黒子「お姉様? どうかなさいまして?」

美琴「何でもないわよ……」


垣根「飾利、米粒ついてんぞ」スッ…パク

初春「あ、どうも……へへ/////」

佐天「く〜、見せつけやがってぇ〜!」

禁書「何か変なオーラが見えるんだよ…」

打ち止め(あの人にもあんなことされたいなぁ……ってミサカはミサカは無駄な幻想に縋り付いてみたり)

御坂妹(ミサカもいずれはあのようにイチャイチャ……ってこれもあの方のガラではありませんね…とミサカは諦めの息を吐きます)ハァ



――ガチャ



上条「―――おう、ただいま。もうメシは食い終わったか?」

禁書「もうとっくなんだよ!」

打ち止め「今日はどこかお出かけしたいなー! ってミサカはミサカは希望してみる」
224 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:13:40.67 ID:Rtup6Jc0

上条「そうだな……みんな今日この後は暇か?」

黒子「あと二日で冬休みも終わりですし、風紀委員の仕事もありませんが…」

初春「私も今日は元々非番です」

美琴「私は……も、もちろん平気よ」

佐天「以下同文で〜す♪」

御坂妹「言うまでもなく暇人ですが何か? とミサカは懐かしいネタを引用します」

上条「じゃあさ―――これから皆でどっか遊びに行かねえか?」

垣根「ま、学校始まるまで予定はねえし、良いんじゃねえの?」

一方通行「……俺も似たよォなモンだ」(今日は仕事の電話来ンなよ…)

美琴「それいいわね! 私乗ったー!」

黒子「お姉様の乗った船にこのわたくしが乗らないとでも?」

御坂妹「大所帯ですね……それも男女比が明らかにおかしいですが、ミサカも是非同行を希望します」

打ち止め「みんなでお出かけかぁ。楽しそー♪」

禁書「食べ歩きツアーも悪くないかも!」

初春「男女比っていうか……もう、メンバーが凄いですよね……豪華を通り越してる気が…」

佐天「考えてみたら超能力者のトップがワン、ツー、スリー、って揃ってるんだよね……私ら、とんでもない派閥に入っちゃったんじゃ……?」

上条「んなこと気にすんなよ。レベルが五だろうが零だろうが、友達には変わりねえだろ? 結局さ、一緒にツルむのにレベルなんて関係
   ないんだよ」
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:14:48.56 ID:Rtup6Jc0

佐天「……そうですよね……うん………決めた! 私も行きます!」

初春「わ、私も行きたいです!」

垣根「飾利は最初から決定だろ!」

佐天「え〜? 私は〜?」

初春「佐天さん? 先に言っておきますけど、ちょっかいかけたりしたら……分かってますよね?」

佐天「か、かけないよ〜! ってか、どんだけイヤなヤツなのよ私って!? んなことする訳ないじゃん!」

初春「クスッ……」

垣根「フフッ……」

上条「はははは♪ んじゃ、出かける準備できたら行こうぜ!」

美琴「ねぇ、どこ行くの?」

禁書「食べ歩きツアーまたは食い倒れツアー♪」

上条「ひとりで食い倒れてて下さい。……そうだなー、ゲーセンとかボーリングとか……ビリヤードとか?」

禁書「むぅぅ……らすとおーだー、お出かけに備えてシャワー浴びに行こ?」

打ち止め「うん♪ 昨日は入れなかったもんね。ってミサカはミサカは体の汚れが気になってみたり」

御坂妹「ではミサカもご一緒します。子供だけでは危ないので―――」




御坂妹、打ち止め、禁書目録は浴室へ。




佐天「ボーリングとか良いですね〜!」

黒子「当然勝負……ですわよね?」

上条「何故に俺を睨む? 白井」
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:16:27.13 ID:Rtup6Jc0

黒子「この白井黒子! お姉様を懸けて貴方に決闘を申し込みますの!」ビシッ

上条「ハイ?」

美琴「んなっ!?」

黒子「わたくしが勝ったら貴方はお姉様と縁を切って下さい。ですがもし貴方が勝ったらお姉様はわたくしが頂いてて差し上げますわ」ニヤリ

上条「なんかよく分かんねーが……勝負を挑まれた以上引けねえな! その勝負受けてt――」

美琴「乗るなぁぁーー!! ドッチが勝っても私が黒子のモノになること決定な未来に何で気づかないのよこんのボケがぁぁあああ!!」

黒子「チッ……もう少しだったのに……」

垣根「おい、俺らも勝負すっか? 昨日の決着まだついてなかったしよ」

一方通行「種目変えりゃ俺に勝てるっていうその自信はどっから湧いてくンだよ……何やってもオマエじゃ俺には勝てねェってのがまァだ
     分かンないのかなァ?」ニヤ
 
垣根「そぉいうセリフは勝ってから言うんだなぁ」ニヤ

一方通行「ひゃは、上等ォォ」

上条「あ、言っとくけど能力使うのナシだぞ? 使ったら右手で殴るからな」

一方通行「ンだとォ!?」

垣根「ふっふっふ……勝ったな」

一方通行「フっザけンな三下ァ!! オマエ俺に生き恥かかせよォってのかァァ!?」ガシッ

上条「うっ……わ、わかった。なら……店や機械を壊さない程度に頼む。力の調整はお手のモンだよな? 超能力者」

一方通行「ハッ! 誰に言ってンだボケ」

垣根「チッ……まぁドッチにしろ結果は同じだがな」

美琴「……まぁ程々にしとくわ。ってか、遊びに能力使用ってどうなのよ?」
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:18:44.48 ID:Rtup6Jc0

黒子「わたくしの場合は遊びではございませんわ。上条さん、全力で行かせてもらいますの。お姉様は渡しませんわよ?」

上条「はは、お手柔らかに頼むぜ? もっとも、俺だって負ける気はないけどな」

美琴「え? それって……///」ポー

黒子「キーーー!! サル野郎の分際で生意気な!」

初春(あ…御坂さんが可愛い……)


打ち止め「―――上がったよー! ってミサカはミサカは隙ありとばかりにアナタに飛びついてみるっ! ってやっぱり避けやがったよ!」スカッ

一方通行「アホか」サッ

禁書「スッキリしたんだよ〜♪」

御坂妹「お姉様方もいかがですか? 二日酔いも完全に醒めますよ? とミサカは勧めます」

美琴「じゃ、私らもシャワー借りるわね」

佐天「御坂さん、一緒に行きましょうよ♪」

美琴「うん♪」

黒子「ぐふふ……ではわたくしもご一緒n―――「ふんっ!!」―――ヘブルッ!?」

美琴「あ、初春さん。私と佐天さんが上がったらこの変態と一緒にアンタも入ってきなさいよ」

初春「は〜い♪」

黒子「」ピクピク




そんな訳で無事に女子達の準備も整い、一同は残りの休みを充分に満喫しようと遊びに繰り出した―――。

ゲーセンで垣根と一方通行が火花を散らしたり、ボーリング場で上条と黒子が死闘を繰り広げたり、ダーツでは御坂妹と美琴が再び姉妹バトルに
突入したり、カラオケでは垣根が初春に向けてバラードを贈ったり、佐天は超能力者のスーパープレイに酔いしれたり、打ち止めと禁書目録は眩
しいほどにハシャイだりと………それはそれは本当に楽しい時間だった。滅茶苦茶な面子には違いないが、少年少女たちの表情はイキイキとして
おり、周囲にも心の底から楽しそうに見えた―――。
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:20:05.61 ID:Rtup6Jc0

―――――


―――




初春「―――送ってくれて、ありがとうございます……」




楽しい時間とはあっという間に過ぎてしまうもの……。辺りはすっかり暗くなっていた。解散した一同はそれぞれの帰路についている。
途中まで一緒だった佐天とも別れ、初春は寮の前まで送ってくれた垣根に名残惜しそうな顔を見せた。




初春「今日は……本当に楽しかったです」

垣根「あぁ、俺もだ」ニッ

初春「ふふっ」




笑いあう二人……。その姿は初々しい空気に包まれていたが、初春は表情が曇る前に背を向ける。




初春「じゃあ……私、これで―――」




これ以上一緒にいるとまた離れたくなくなってしまう……そう思った初春はすぐに行こうするが――
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:21:17.71 ID:Rtup6Jc0

垣根「あ、ちょっと待ってくれ」




――垣根はそれを止めた……。




初春「……はい?」




足を止めて垣根に振り返る。彼はゆっくりと近づいてきて―――言った……。




垣根「手ぇ……出してくんねえか?」


初春「え?……はぁ」




言われるままに右手を垣根に差し出す。すると彼は、その手に自分の手を重ねた。『何か』が、手に乗せらているのが初春には分かった……。




初春「………!?」




渡された物を見た初春は驚いた。自分の手に乗っていたのはネックレス……なのだが、普通のとは少し違う。
キラキラと輝く中央の宝石みたいな石は見惚れるほどに綺麗で、まるでこの世の『物質』で作られたとは思えないような………?
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:22:34.39 ID:Rtup6Jc0

初春「まさか……これって!?」


垣根「あぁ、俺の『未元物質』で作ったんだ……。ソイツは、この世にたった二つしか存在しねぇ。一つはお前の手に……そして―――」




「―――もう一つは、ここにある……」




見せられた首元には初春が受け取った物と同じネックレスが付けられていた。




垣根「これ、俺のお気に入りなんだ。なんか押し付けみたいで悪いけどさ……。もし、お前さえ良ければ……受け取って欲しい…」


初春「………」ウルッ




思わず目が潤んでしまう……勿論嬉しさによって。




初春「―――ッ!」ギュッ




予期せぬサプライズに感激した初春は……垣根の胸に飛び込む。




初春「―――ありがとうございます……。私……一生大事にしますから…」

垣根「ホントか? ……そりゃ良かった。気に入ってもらえて嬉しいよ」
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:24:49.60 ID:Rtup6Jc0

初春「これって……本当に私とカッキーさんしか持ってないんですよね?」

垣根「あぁ、そうだ。それは俺専用に作ったヤツだからな……。けど、飾利にも持って欲しいと思ったんだ」

初春「どうしてですか…?」


垣根「そんなの、飾利が特別だからに決まってんじゃねえか」


初春「……ずるいですよ……こんなの、不意打ち過ぎます」

垣根「………はは」

初春「離れたく……なくなっちゃったじゃないですかぁぁ」ギュウ

垣根「そろそろ人通るかもな……」

初春「じゃあ、その前に…………ん…」ソッ




上目遣いで目を閉じた初春……その意味が分かった垣根は一瞬戸惑った顔をしたが、やがて恥を隠すような笑みを浮かべて―――




垣根「…………」スッ




―――彼女の願いに、優しく答えた……。二つの唇が、今ゆっくりと重なっていく―――。



―――この日以降、初春が垣根に貰ったネックレスを肌身離さず持ち続けることになったのは言うまでもない。
232 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:26:52.33 ID:Rtup6Jc0

―――――


―――



―――常盤台女子寮前




上条「―――じゃあな御坂。あと白井も」

美琴「送ってくれてありがとうね……」

上条「気にすんな」

黒子「……別にわたくし達だけで平気でしたのに……貴方というお方はどこまでもお世話焼きですのね」

上条「はは……返す言葉もねえな」

禁書「短髪もツインテールもまたね! 今日は楽しかったんだよ!」

黒子「えぇ、シスターさんもごきげんよう」

美琴「またね〜」ヒラヒラ

上条「じゃあな〜」ヒラヒラ




二人のお嬢様は、寮へと姿を消していった……。それを見送った上条と禁書目録も寮へ向けて歩き出す。




禁書「―――今日は楽しかったな〜」

上条「そうだな。俺も久々にハシャイだよ」
233 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:28:12.52 ID:Rtup6Jc0

禁書「学園都市の人たちって……みんな良い人ばかりだね」

上条「ははは、今ごろ気づいたのか?」

禁書「ううん、改めてそう思っただけなんだよ。………あ! そう言えば、とうまとこんな風に歩くのって久しぶりかも」

上条「あぁ、そう言やそうかもな……」




夜空に散らばる無数の星を見上げながら話す二人……。




禁書「ねぇとうま……」

上条「ん? 何だ?」



禁書「『短髪』のこと……好きなんだよね?」



上条「え………?」




周りを流れる冷たい空気が……ゆっくりと変わっていくのを感じた―――。




上条「インデックス……?」

禁書「もう、隠さなくてもいいんだよ……。とうま」
234 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:30:36.51 ID:Rtup6Jc0

上条「どうして……」

禁書「そんなの見てれば分かるんだよ。分からないのはきっととうまぐらいなんじゃないのかな……?」

上条「…………」

禁書「あ、別にとうまを困らせたい訳じゃないんだよ!? そうじゃなくて……その…」




寂しそうな顔から一転して慌てふためく禁書目録……。上条はそんな彼女になんて言えば良いのか迷った。




禁書「ただ……私に遠慮だけはして欲しくないかなぁ…って思ったりして…」

上条「…………」

禁書「とうまが誰を好きになるかはとうまの自由だもん。私がどうこう言えることじゃないんだから、私に気を遣うのは……やめて欲しい」

上条「イン…デックス……」

禁書「私は大丈夫だよ? とうまがいなくたって全然平気なんだから。とうまのおかげでいっぱい家事覚えたし……って言っても、とうま
   に比べたらまだまだ危なっかしいかもだけどね。えへへ…」




無理矢理に見えるその笑顔に、上条の心は見えない何かによって締めつけられる……。




上条「やめろよ………」
235 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:32:13.12 ID:Rtup6Jc0

禁書「でも大丈夫! もうとうまのお世話にならなくても私は―――」


上条「―――インデックス!!!」


禁書「―――ッ!? ……とうま…?」




突然声を張り上げた上条にビクッとする禁書目録。上条の目は『それ以上言うな』と訴えているように見えた……けど―――。




上条「何でそんな寂しいこと言うんだよ!? 俺は―――」

禁書「無理だよ……」

上条「な、何がだよ……? 何が無理なんだよ!?」

禁書「もう……とうまと一緒にいるのは……いけない気がするんだ…」

上条「だから何でだよ!?」




禁書「……だって……インデックスは――――」




「―――とうまの事が……大好きなんだよ」
236 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:34:36.71 ID:Rtup6Jc0

いつからか涙を滲ませた目で笑みを浮かべたままそう言った禁書目録……。




上条「………!!」




この言葉は、前にも聞いたことがある……そう、『彼』が『初めて』禁書目録と会った時に言われた言葉だ……。




禁書「私はぁ……とうまの……幸せの『足かせ』になっちゃうんだよぉ……」ポロポロ




ついに堪えきれなくなったのか……禁書目録の顔は悲しみに歪んだ。涙は次から次へと頬を伝う―――。




上条「バカ……ヤロウ…」スッ


禁書「―――と、とうま!?」




驚くのも無理はない。上条が禁書目録の頭を包むように抱いたのだから……と言っても恋人の絵には程遠く、子供をあやすような抱き方
だが……。




禁書「だ……だめだよとうま……離して」

上条「ダメだ」
237 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:38:00.63 ID:Rtup6Jc0

禁書「私に同情とか……そういうのはいらないんだよ!!」




逃れようと暴れるも、それは空しい抵抗に過ぎなかった……。




禁書「私のことは……もう気にしなくていいんだよ!? 放っといていいんだよぉ!! お願いだから離して……ッッ!」

上条「―――放っとけるかよ!!」

禁書「―――!?」

上条「放っとける訳ねえっつってんだ!!」

禁書「………とうまは、優しいから……けど、優しいから残酷な時もあるんだよ?」

上条「んなの知らねえよ!! 俺が優しいとかそんなのも知らねぇ!! なんで誰かが幸せになるために誰かが泣かなきゃいけねえんだよ!!
   確かに俺はアイツが好きだ!! けど、だからってお前のことを俺が邪魔者扱いするとでも思ってんのかよ!? フザけんな!!」

禁書「………とうま……」

上条「お前も俺にとって大事な存在なんだ!! 俺だってお前と離れたくなんかない!! 俺たち、もう『家族』だろ!? 違うのか!?」

禁書「家族……?」

上条「あぁ、そうだよ! お前はもう俺の家族なんだ! いつかお前が俺より良い人を見つけるまで、俺はお前の側にいる! 美琴だって
   きっと解ってくれる! だから……お前は何も心配しなくて良いんだよ!」

禁書「グスッ……うぅ……ホント? 私、ヤキモチ焼くかも……いっぱいとうまに酷いこと言っちゃうかもしれないんだよ……?」

上条「上等だ。全部受け止めてやるよ。俺を甘く見てんじゃねえぞ?」
238 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:40:47.04 ID:Rtup6Jc0

禁書「とうまぁ………」ポロポロ


上条「みんなが幸せにならなきゃ意味ねえんだ。そこに『お前』もいなきゃ、俺が幸せじゃねぇんだよ…」


禁書「うっ……グスッ……本当……に……私、とうまといてもいいのかな……?」


上条「あぁ、もちろんだ。当たり前だろ?」


禁書「――――うぅ……うわあああああああ〜〜〜〜〜〜ん!!!」ガバッ


上条「…………」ギュッ




(―――ホントに……とうまはずるいんだよぉ……けど……けど私は――――)



(――――とうまのそういうところを、好きになっちゃったんだね……)




夜道に響く禁書目録の泣き声……。上条は少女が泣き疲れて寝てしまうまでそうしていた。
上条はある意味……男として辛い道を選択してしまったのかもしれない……。
しかし、彼の表情から後悔の文字は見られなかった―――。

自分が、そう決めたのだから―――――。
239 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:42:06.74 ID:Rtup6Jc0

上条「ごめんな……」


謝罪した相手は美琴か禁書目録か……その答えは眠りについた禁書目録を背負って家路へと再び歩き出した上条にしか判らない事だった―――。


―――――


―――



―――病院前




御坂妹「―――では、ミサカはここで。とミサカは送ってくれたお二人に感謝の言葉を述べます」


一方通行「おォ、ンじゃあな……」

打ち止め「バイバーイ! ってミサカはミサカはお別れの挨拶をしてみるの」




病院前で御坂妹を見送った一方通行と打ち止めは、揃って歩き出した。




一方通行「オラ、帰ンぞ」

打ち止め「うん♪」
240 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:44:35.11 ID:Rtup6Jc0

―――――




打ち止め「うわー……今日も星がキレイだね〜。ってミサカはミサカはアナタに同意を求めてみる」

一方通行「あァ、そォ……」

打ち止め「むぅ〜…アナタは相変わらず天邪鬼さんだね。ってミサカはミサカはやっぱりこの人はこの人だ…って肩を落としてみる。
     アナタにはロマンが少しどころか相当足りてないよ〜」

一方通行「ンなモン要らねェっつの。オイ、危ねェからチョロチョロすンな。コケンぞ?」

打ち止め「ふふ、そのくせミサカには弱いんだからぁ〜、照・れ・屋・さん♪ ってミサカはミサカはアナタを知り尽くした発言を
     してみたり」

一方通行「チッ……勝手にコケてろ」カツカツカツ

打ち止め「あぁー! 待ってよぉ! ミサカを置いてかないでー! ってミサカはミサカは慌てて後を追いかけるのー!」タタタタ


一方通行「…………」

打ち止め「ねぇねぇ、ところでアナタ、10032号とはどうするの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

一方通行(なンだかンだで俺が待っててやった事については結局スルーかよこのガキ……)

打ち止め「ねぇ! 聞いてるの!?」

一方通行「っせェなァ、聞こえてるっつゥの。別にどォもしねェよ……っつか、何でンな事訊く?」

打ち止め「またまたぁ〜、ミサカには全部お見通しだよってミサカはミサカはウィンクしてみたり♪」パチッ

一方通行「意味分かンねェ……」

打ち止め「ウソ。アナタだってもう知ってるんでしょ? だって……10032号はアナタのことがs――」



一方通行「―――オイ黙れ。それ以上言うンじゃねェ」ギロッ
241 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:46:35.56 ID:Rtup6Jc0

打ち止め「――ッ!? な…なんで? ってミサカはミサカは……急に恐い顔になったアナタにビックリしながらおそるおそる……その…」

一方通行「ガキがンなくだらねェ事心配してンじゃねェよ」

打ち止め「……なんか急に雰囲気変わったね……さっきまであんなに楽しそうにしてたのに、一体どうしたの? ってミサカはミサカはアナタに
     説明を求めてみたり」

一方通行「オマエに言うほどの事じゃねェ。余計な詮索はすンな」

打ち止め「アナタ………もしかしてまだ……」

一方通行「…………」




打ち止めは……それ以上訊けなかった。
一方通行の放つ異様なオーラは、幼い少女にもハッキリと判るほどに明確だったから―――。



―――――


―――



―――上条宅




上条「……………」




ベッドでスヤスヤと眠る禁書目録の側に座り込んだ上条はその寝顔を優しく見つめていた。
242 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:49:47.95 ID:Rtup6Jc0

上条「まったく……変な心配しやがってよ………」




いくら美琴と交際を始めるからと言って、禁書目録をすぐ家から追い出すことなど上条にはできる訳がない。
ここは自分の口から美琴に事情を説明する必要がある……。




(美琴は、許してくれるだろうか……)




正直不安が無いと言えば嘘になる。自分の恋人が自分以外の異性と同棲を続けたいだなんて……普通なら納得できる話ではないからだ。
座り込んだ上条はどう切り出そうかと頭を抱える。




上条「う〜ん……」




どう言えば納得してくれる? そもそも納得してくれるのか? 電撃の雨で済むならまだ安いものだが、美琴がもし悲しんだら?
勿論、過ちなど犯すつもりはないが、彼女が信用してくれなければその信念も意味が無くなる。




(ドッチかを選ぶ………いや、そんな贅沢な身分じゃねぇよな。俺がどうしたいかだ……)




それなら答えは決まっている。美琴は『恋人』、禁書目録は『家族』。美琴が恋人になった時点で禁書目録が所属しているイギリス清教
『必要悪の教会(ネセサリウス)』に連絡を取って迎えをよこす選択肢などは上条の頭に存在しない。
243 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:51:08.06 ID:Rtup6Jc0

上条「……ははっ、こんなこと土御門や青ピなんかに相談したら血ダルマの刑だよな…」




乾いた笑いを含めた声で呟いた。




(とにかく、これ以上美琴を待たせる訳にはいかない……俺の答えはもう決まってる……あとは、なるようになるだけだ―――!)




決戦の日は……明日だ―――。



―――――


―――



―――黄泉川家




垣根「―――よっ、おかえり。妹はちゃんと送ったか?」


一方通行「―――保護者みてェなこと訊いてンじゃねェよ。ちゃンと送ったっつの……オマエの方こそ、どォなンだ?」




自室に戻った一方通行に上機嫌な声を掛ける垣根。この調子なら尋ねる必要もないのだが、つい口に出てしまった。
244 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:52:40.11 ID:Rtup6Jc0

垣根「聞きてぇか? そうかそんなに聞きてぇのか。そんなら仕方ない。聞かせてやるよ」ニヤニヤ

一方通行「やっぱうぜェからイイ」

垣根「おいおい、つれないこと言うなよ〜」

一方通行「寝ろ」

垣根「やだし。眠くねーし」

一方通行「ンなら一生起きてろ。そンで翌朝クマ作って不思議の国にでも飛ンでっちまえ」

垣根「ひっでーな。俺は素敵な世界の住人じゃねえよ」

一方通行「羽生やせるオマエならきっと歓迎されンだろォぜ」モゾモゾ

垣根「減らず口叩きながら布団潜り込むなよ。完全シャットアウトですか?」

一方通行「………疲れてンだ。俺のこたァ良いから、オマエは花女のことでも考えて鼻の下膨らませてろ」


垣根「…………お前、何かあったのか?」




そこで垣根は声の調子を変えて尋ねた。




一方通行「…………」

垣根「何か悩んでんのか? なぁ、もしそうなら―――」
245 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:55:05.99 ID:Rtup6Jc0

一方通行「オマエには関係ねェし、別に悩ンでる訳でもねェ」



ピシャリと布団から返ってきた返事。だが垣根は……




垣根「……話してみろよ。俺で良けりゃ力になんぜ?」

一方通行「しつけェよ。良いからとっとと寝るなりゲームやるなり勝手にしてろ」

垣根「なぁ、とりあえず布団から顔出せよ」

一方通行「…………」

垣根「めくっちまうぞ?」スクッ

一方通行「…………チッ、ンだよ?」チョコン




頭を布団から出して垣根を睨む一方通行。その目はまるで『踏み込ンで来ンな』と威嚇しているようだった……。




垣根「……打ち止めと何かあったのか?」

一方通行「違げェよ」

垣根「なら、妹の方か?」

一方通行「だから違げェっての! っつか何なンだよオマエ!? 俺に何があろォとオマエには関係ねェだろォが!」

垣根「関係なくねえよ! ルームメイトじゃねえか! 明らかに重い空気持ち込んでるお前を放っとける訳ねえだろ!?」
246 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 17:58:38.72 ID:Rtup6Jc0

一方通行「あァソイツァ悪かったなァ。ンじゃあ空気消すから俺の存在も消しとけよ」

垣根「ガキみてぇなこと言ってんじゃねぇ」

一方通行「あァン!?」ギロッ




一方通行が怒りに満ちた目を向けてくるが、垣根も怯まない。




垣根「お前言ったよな? 話聞くんなら俺にだってできんだよ。人の時は良くて自分だけは抱え込むなんて俺が許すとでも思ってんのか?」

一方通行「……許さなくて結構だ。恨まれたりすンのは慣れきってるからなァ」

垣根「それで済ます訳ねえだろ。言っとくが、お前が胸の内を吐かすまで、俺は引き下がらねえぞ?」

一方通行「……殺されてェのか?」

垣根「やれるモンならやってみろよ。それでお前の気が済むんだったら俺は一向に構わねえぜ?」

一方通行「……………」

垣根「お前のことだから、どうせひとりで抱え込もうとしてるんだろうが……そうはさせねえよ」

一方通行「知ってっかァ? そォいうのを『余計なお世話』っつゥンだよ」

垣根「そのセリフ、そっくりお前にも返すわ」

一方通行「……………」
247 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:01:07.13 ID:Rtup6Jc0

垣根「こんなお節介なんざ俺に似合わねえ事も充分に自覚してる。けどな、俺はお前がひとりで苦しむ姿をただ黙って見てるなんてできねぇ。
   うぜぇと思われようが構わねぇ。それでも俺を殺したいんなら殺せばいい」

一方通行「………ホントよォ……」

垣根「…………」




一方通行の目から……殺気が消えた。




一方通行「面倒臭ェ同居人迎え入れちまったよなァ………呆れて殺る気も失せちまった」

垣根「へ、元々そんな気がねえ事くらい知ってんだよ」




ふっと笑う垣根に、すっかり牙をもがれた表情で一方通行は溜息を吐く。




一方通行「………さっきも言ったが、俺は別に悩ンでる訳じゃねェぞ?」

垣根「ほう……で?」

一方通行「だからよォ……妹のヤツが俺に好意持ってるのは知ってンだろ?」

垣根「………そんなの知ってるっつーか、今さらだろ? それがどうした?」

一方通行「こないだ、言われたンだよ。ストレートな表現じゃなかったがなァ」

垣根「何て言われたんだよ?」
248 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:03:18.34 ID:Rtup6Jc0

一方通行「『俺をそォいう対象として意識している』…だそォだ」

垣根「またずいぶんと遠まわしな…」

一方通行「もしだぞ? アイツがこのまま俺を想い続けるなンてことになっちまったら……もォ取り返しがつかねェ。今ならまだ引き
     返せるンだ。だが、俺は今までそンな青臭い経験なンかしたことねェから、上手い言い方なンて知らねェしよォ……」

垣根「あのさ……」

一方通行「あァ?」


垣根「そういうのを『悩んでる』って言うんじゃないの?」


一方通行「」




しばし、間抜けな沈黙が流れた……。




垣根「―――っつぅか、お前はアイツのことどう思ってんだ? そういう対象としては見れねぇのか?」

一方通行「……分からねェ」

垣根「気持ちが無い訳じゃねえんだな?」

一方通行「イヤ……それ以前の問題なンだよ。俺はアイツに好意を向けられて良い人間じゃねェ」

垣根「また面倒くせぇ事を……もう良いじゃねえか。『妹達』に負い目を感じるのはやめようぜ? まだこだわってんのはきっとお前だけ
   なんじゃねえのか?」
249 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:05:00.01 ID:Rtup6Jc0

垣根「まだ……何か隠してんだな? 言えよ」

一方通行「…………」

垣根「…………」




真剣な垣根の表情に、一方通行は―――




一方通行「そンなに聞きてェンなら………教えてやるよ」




―――胸の内を『少しだけ』曝す決意をした。




一方通行「妹……イヤ、『検体番号10032号』だけは……俺に好意を向けるなンて事は、あっちゃいけねェンだ」

垣根「どういう事だ…?」

一方通行「実験が何で凍結したかは知ってるよな?」

垣根「上条が……確か実験中に乱入したからだろ?」

一方通行「あァ。なら、そン時の実験相手が誰だったのか………もォ分かンだろ?」

垣根「……まさか!?」

一方通行「そォ………検体番号10032号……俺らが『妹』って呼ンでる、アイツだよ……」

垣根「…………!!」
250 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:08:50.17 ID:Rtup6Jc0

一方通行「上条が来なけりゃ……イヤ、来るのがちょっとでも遅かったら……妹は一体どォなってたンだろォなァ」


垣根「…………」


一方通行「あの馬鹿、いっちょ前に善戦しやがってよォ……俺も心底楽しンで追い回したンだ。能力使って殴り飛ばしたらもォ後は無様な
     モンだったぜェ……」


垣根「一方通行……」


一方通行「もォ抵抗すらできねェ無防備な腹ァしこたま蹴りつけてさァ、飽きたからそろそろ終わらしてやろォかなァって思った時だった……
     あの三下……上条が、俺の前に初めて姿を現したのは……。ンで、その後完全に叩きのめされて終了ォーってなァ」


垣根「そうか……」


一方通行「他の『妹達』同様、俺はアイツを虐殺しようとした……。何の躊躇いもなくな―――」



「―――上条は……そンなアイツを救った。現に妹は、上条に気があったハズだ。それがどォ間違ったのかは知らねェがよォ……」


「俺は、アイツに好意を向けられて良い存在じゃねェ。むしろ恨まれていて当然なンだよ。他の『妹達』にも言えることだが、『アイツ』は
 特にだ」


「クソガキは何べン言っても聞かねェだろォからもォ諦めてっけどよォ………妹は、直接手に掛けよォとしたンだぜェ? 『いつも通り』に、
 何の情もなく、俺はアイツを……『妹』を殺すつもりだった!」


「なァ、オマエには分かるかァ? 俺がアイツに感じてるのは『負い目』だなンて生易しいモンじゃねェンだよ――――ッッ」
251 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:13:32.15 ID:Rtup6Jc0

垣根「お、おい! 急にどうした!? 落ち着け! とりあえず落ち着けよ!」




どうやら……開けてはいけない蓋を開けてしまったらしい。狂ったように笑いながら語り始めた一方通行。その目は、完全にイっていた……。




一方通行「アイツを殴り飛ばした時は能力使ってたのにさァ、何故か未だにあン時の感触が手に残ってンだよねェ。なンで? なンでかなァ? 
     何なのコレ? コレナニ? ナニがどォしてこォなってンだァ? アイツが好きになるのなンてカミジョォ以外有り得ないってのに
     さァァ! なンかもォワケ分っかンねェよォ!」



垣根「アクセラレータァ!! だから落ち着けって!! 気をしっかり持てよ!!」ユサユサ



一方通行「俺は落ち着いてンだよォ。けどさァ、もォ考え過ぎちゃって頭イタインだよねェ。これってさァ、妹が俺を精神的に追い詰めるため
     に復讐してるとかってンじゃねェよなァ? ははっ、だとしたら効果バツグンってかァ! なァ、どォ思うゥ? 俺は何でアイツと
     仲良く遊園地とか水族館とか出かけちゃったりしてンのォ? オカシくね? オカシイよなァ? だってアイツに俺何したと思う?      殴って蹴って虫ケラみたいにブチ殺そォとしたンだぜェ? それこそ今までの妹達とおンなじよォにさァ。イヤもっと残酷にやって
     たかもしンねェ―――」



垣根「―――やめろアクセラレータァァッッ!!!」




バキッッ!!




一方通行「―――ゥッッ!!??」




ひとまず落ち着かせるため、垣根は拳を放つ……。
252 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:16:46.80 ID:Rtup6Jc0

垣根「お、おい! 急にどうした!? 落ち着け! とりあえず落ち着けよ!」




どうやら……開けてはいけない蓋を開けてしまったらしい。狂ったように笑いながら語り始めた一方通行。その目は、完全にイっていた……。




一方通行「アイツを殴り飛ばした時は能力使ってたのにさァ、何故か未だにあン時の感触が手に残ってンだよねェ。なンで? なンでかなァ? 
     何なのコレ? コレナニ? ナニがどォしてこォなってンだァ? アイツが好きになるのなンてカミジョォ以外有り得ないっての
     にさァァ! なンかもォワケ分っかンねェよォ!」



垣根「アクセラレータァ!! だから落ち着けって!! 気をしっかり持てよ!!」ユサユサ



一方通行「俺は落ち着いてンだよォ。けどさァ、もォ考え過ぎちゃって頭イタインだよねェ。これってさァ、妹が俺を精神的に追い詰めるため
     に復讐してるとかってンじゃねェよなァ? ははっ、だとしたら効果バツグンってかァ! なァ、どォ思うゥ? 俺は何でアイツと
     仲良く遊園地とか水族館とか出かけちゃったりしてンのォ? オカシくね? オカシイよなァ? だって俺アイツに何したと思う?
     殴って蹴って虫ケラみたいにブチ殺そォとしたンだぜェ? それこそ今までの妹達とおンなじよォにさァ。イヤもっと残酷にやって
     たかもしンねェ―――」



垣根「―――やめろアクセラレータァァッッ!!!」




バキッッ!!




一方通行「―――ゥッッ!!??」




ひとまず落ち着かせるため、垣根は拳を放った……。
253 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:18:06.06 ID:Rtup6Jc0
>>251はナシでお願いします。改行ミス
254 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:19:49.67 ID:Rtup6Jc0

ベッドに吹き飛び、体を沈めた一方通行は……やがて、ムクリ…と体を起こした。




一方通行「―――あ……」


垣根「ハァ、ハァ……………落ち着いたか?」


一方通行「……あァ……?」




キョトン、と垣根を見上げる一方通行。まるで何が起こったのか理解していない様子だった……。




垣根「知らなかったぜ………。そこまで思い詰めてたなんてよぉ………」

一方通行「………悪かった。……今のは忘れてくれ」

垣根「やっぱり、お前は実験なんて………」

一方通行「あァ、……したくなかった………のかもしれねェ。俺は今、妹達に生かされている身だ……。俺は妹達を守りてェと思ってる……。
     けど、ソイツは俺が勝手に決めた事だ。アイツらに許してもらおうだなンて思っちゃいねェ……。むしろ憎ンでてくれた方がまだ
     楽だったンだよ……」
255 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:20:57.28 ID:Rtup6Jc0


―――――アナタは本当は『実験』なんてしたくなかったと思う―――――




一方通行「…………今なら、クソガキに言われた事の意味も少しは分かる……分かるが、耐えられそォにねェ。やった事への償いだなンて考える
     のも馬鹿らしい程に、手を染めちまった………コイツはもォ手遅れなンてモンじゃねェンだ」

垣根「………………」


一方通行「オマエからすりゃあ小せェ事なのかもしれねェけどなァ、コイツは俺が一生背負っていかなきゃならねェ『十字架』みてェなモンだ。
     アイツの想いに堂々と向き合っていくなンて、今の俺に許される事じゃねェ」

垣根「それで……お前は幸せなのかよ?」

一方通行「幸せなンて望まねェ。むしろ幸せになっちまう方が耐えられねェよ……。誰が許したとしても俺が許せねェ」

垣根「そんなの、悲し過ぎんだろぉが……」

一方通行「それが俺の選ンだ道なンだよ。………付き合わせちまって悪かったなァ……。もォ寝るわ」

垣根「…………ッ」





垣根は声を出せなかった……。同じ境遇、同じ立場だと思っていた『最強の男』は、自分が思っていたよりも遥かに重い『十字架』を背中に
背負っていたのだ。おそらく彼の苦悩は、垣根ですら想像もつかない程に深いものであろう……。
初めて心の内を見せた最強の男が背負うその信念は、あまりに重く………悲しかった―――――。
256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/24(火) 18:27:56.05 ID:Rtup6Jc0
大量放出すいませんでした。
これから私用によりニ〜三日ほど空けてしまうので、今日はその分も投下しました。
続きはまた書き溜めが終わり次第になります。
あと何回の投下で終わるのかまでは分かりませんが、終わりは着実に近づいています。
見てくれた方、ありがとうございました。
257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/24(火) 22:39:21.31 ID:ATDPNp20
乙〜

終わりは着実に近づいてきてるって悲しいな
258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/24(火) 22:46:22.03 ID:YVeyx4o0


かっきーも出会いは最悪だったんだし説得できねえのかな
259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/25(水) 00:16:32.08 ID:IllNLYSO



とゆか思わず<<251で泣いた(´;ω;`)
260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/25(水) 00:17:52.10 ID:IllNLYSO


あるぇ?
261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage ]:2010/08/25(水) 08:30:15.98 ID:niEkg3A0
>>1乙ゥゥゥ!!

出社前にやってくれるぜちくしょう…続きが気になるじゃないか
安心しろ。イソデックスは俺がもらってやる
262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage ]:2010/08/26(木) 02:36:25.62 ID:TG9Of5.0
>>261
そげぶ


一方さん悲しい……いくら垣根でも境遇や性格、してきたことの度合いが違うから説得は厳しいだろ。
となるとやはり上条さんしかいない!ここは上条さんと一方さんの友情メインなんだからな。作者さんに期待
263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 07:00:09.26 ID:LvtOKUY0
いやここは御坂妹がそげぶをし……

ごめんなんでもない
264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/26(木) 17:17:16.46 ID:7VUIHkDO
>>1
セロ……一通さん……




>>231
お、おまわりさーん!ホスト風な男が純粋そうな少女に(ソゲブッ
265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:26:34.18 ID:sx0ESLc0
こんばんはー、戻りました。
本日分程度の書き溜めは何とか終えたので早速投下します。
※ここから上琴入ります。
266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:30:03.54 ID:sx0ESLc0

――――常盤台女子寮・深夜……




美琴「…………」


黒子「あぁん……Zzz……お姉様ぁ……ダメですのぉ………Zzzzz」スヤスヤ




いつもの寝言が木霊する208号室……。美琴は布団の中で自分の携帯電話をじーっと見つめていた。
開かれた画面に表示されている文章はたったの一行。




『明日会えるか? 二人だけで話がしたい   from:上条当麻』




この唐突な呼び出しメールを見た瞬間、美琴は察した。
明日、彼は自分の告白に返事をくれるつもりだろう……と。




(明日……か)




ずっと想い続けていたあの少年への恋心は成就するのか、はたまたその逆か……美琴には予想ができなかった。
267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:31:57.12 ID:sx0ESLc0

(明日には……この気持ち……どうなっちゃうんだろう…)


(アイツは……何て言うつもりなのかな…)


(呼び出したってことは……もう答えは決まってるのよね?)


(もしフラれたら…………どうしよう………)


(私、立ち直れるのかな…?)


(今さら怖くなるなんて……ダメよ美琴! 覚悟決めないと!)



美琴の脳内と周囲の空間は、恐ろしいほどに反比例していた。



美琴「そうよ……私が自分から告白したんだから、その返事を聞くだけよ……怖くなんか……」ガクガク



言葉とは裏腹な手つきで美琴は携帯電話を操作し始めた―――。



―――――


―――
268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:34:09.31 ID:sx0ESLc0

佐天「―――お〜い、初春ぅ! コッチコッチィ!」




冬休み最後の日、時刻はすでに正午を過ぎていた。佐天はオープンテラスでカフェラテを飲んでいると、通りに見慣れた少女を見つけて声を飛ばす。




初春「―――お待たせしました〜!」




早歩き気味で佐天の席までやって来た初春は向かいの席に腰を下ろす。




佐天「おっす、今日も寒いね〜。何か飲む?」

初春「そうですね……ホットココアにします」




そのまましばらくマッタリモードへ……。




佐天「――でも、昨日はホント楽しかったね。っつか、あのメンバーはインパクトあり過ぎ」

初春「はは……でも今考えると、確かに凄い面子でしたよね〜」
269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:37:02.19 ID:sx0ESLc0

佐天「第一位なんて、素性が謎だったんでしょ?」

初春「っていうか、御坂さん以外の超能力者って何故か情報が機密になってたり少なかったりで……」

佐天「まぁ有名になったらなったで大変そうだよね。一方通行さんとかチヤホヤされるの嫌いっぽいし」

初春「カッキーさんも見た目と性格違いますからね〜」

佐天「おっ、早速ノロケですか〜? っていうか、初春の彼氏って第二位なんだよね!? それってすご――」

初春「さ、佐天さん! あまり大きい声で言わないでください!」

佐天「あ…ゴメン」

初春「言っておきますけど、私はカッキーさんが『どんな人』でも良いんです。ただ表面だけを見て好きになったんじゃないんですよ?」

佐天「わかってるって。優しく抱きしめられて耳元で甘く囁かれて、頭のお花がギンギンに開花しちゃったんでしょ?」

初春「なぁ………ッ///」ボフン

佐天「あれぇ? 当たっちゃったかにゃ〜?」ニヤニヤ


初春「んんんんんなワケないじゃないですかぁぁっっ!!!」




両手を振って否定する初春の大声に、人々は一瞬注目した。
270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:39:18.82 ID:sx0ESLc0

―――――



三十分後、二人は街中を並んで歩いていた……。ちなみに初春の頬はまだ膨れたままである。




佐天「―――ゴメンってぇ……そろそろ許してくんなきゃ泣くよ?」

初春「泣いて猛省してください」プンプン

佐天「初春〜、ねぇってば」

初春「知りません」

佐天「クレープ奢るからさ〜、機嫌直してよ」

初春「食べ物に釣られたりなんかしませんよ」

佐天「そりゃあ、年に合わず下品な発言しちゃったことは認めるけど……」

初春「ホントに同級生なのか疑いたくなりました!」

佐天「ははは〜♪」

初春「笑って誤魔化さないでくださいよぉ〜……すっごく恥ずかしかったんですからもう人前であんなこと言わないでくださいね?」

佐天「わかってま〜す♪」

初春「………クスッ」

佐天「あ、何か気に入らない笑顔だね〜? 頭の花むしりかスカートめくりならドッチのが良い?」

初春「―――ドッチも嫌に決まってんでしょ!!」ダッ
271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:42:05.88 ID:sx0ESLc0

言うな否や先手必勝とばかりに駆け出す初春を、佐天は追い回す。これが彼女達の日常だった……。



――――




佐天「――ねぇ、初春」

初春「――何ですか?」

佐天「さっきから気になってたんだけどさ、そのネックレスいつ買ったの? すごく綺麗じゃん」

初春「あぁ、これですか……」

佐天「どこに売ってたの?」

初春「どこにも売ってませんよ」

佐天「え〜、私も欲しいなそれ〜」


初春「ダメです。これは私にとって―――」



―――いちばん大事な『宝物』なんですから―――。



―――――


―――
272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:44:11.82 ID:sx0ESLc0

―――公園




美琴「〜〜〜〜……」




美琴はいつも蹴りを入れていたあの自販機の付近で佇んでいた……。彼女の様子はひと目見て分かるほどにソワソワしている。




(あと……三十分かぁ……)




上条との待ち合わせ時間は三十分後……。




(アイツ……何て言うんだろう? 『これからよろしく』? それとも『ゴメンなさい』? いや、『お友達でいましょう』?)ウーン


(あぁー! 全く予想つかないっ! っつーかアイツなら全部言いそう! どんだけ普段私に無関心なのよあの馬鹿はぁぁ!!)クネクネ


ネーネー アノオネエチャンウゴキガヘンダヨー 

シッ ミチャイケマセン! 


(せめて、友達………って嫌よそんなの! それが嫌だから告白したんじゃないの! アイツとはもう進むか切るか……しかないのよね…)ハァ
273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:47:17.67 ID:sx0ESLc0

(切る……つまり、もう会わないってことよね……アイツの性格考えると、それはなさそう…)


(ってことは、やっぱ『友達でいよう』とか……よく考えたらアイツがいちばん言いそうなのはコレかもね……)


(どうしよう……友達のままなんて……イヤよそんなの…)


(周りの女の子と同じなんて……イヤ)


(私だけ……私だけ見てて欲しい…)



美琴「……………はぁ、ってか、こんなこと今さら考えても仕方ないっか……」


上条「何が仕方ないんだ?」


美琴「―――――ヒッッッ!?!?!?」




止まりかけた心臓を無意識な電気ショックで正常に戻した……。
振り返った目に映る上条の姿に、美琴の心拍数は以前静まらない。
274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:48:57.68 ID:sx0ESLc0

美琴「アアアア、アンタいつからそこに!?」

上条「いや、今来たばっかだけど……お前が何かブツブツ言ってるから声掛けづらかったんだよ」

美琴「…………」




どうやら全部口に出ていたようだ。顔がみるみるトマト化していく……。




美琴「〜〜〜〜/////!!!」ビリッ…

上条「ヤバッ!」ポン

美琴「!!!!!」




漏電寸前のところで上条は右手を彼女の頭に乗せる。つまりそれは頭を撫でられているように見える訳だが……。




美琴「ななななな……/////」パクパク




声が出ない心理状態とはまさにこの事だろうか……。口がまるでエサを求める魚だ。
275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:51:57.36 ID:sx0ESLc0

上条「とりあえず物騒な電気はしまえ。あ、だからって肉弾戦に持ち込むのもナシな?」

美琴「わわ、わかった! わかったから……手、どけて……」(いや、嬉しいけど……さすがに急に……ってか、恥ずかしいっつーの!///)

上条「え? ……ああ、悪い」パッ

美琴「…………バカ」

上条「……悪かったって。けど、お前いつから来てたんだ? まだ時間まで二十分近くあんのに…」

美琴「い、良いじゃないの! っていうか、アンタこそ早いわね?」

上条「まあ……俺もちょっと緊張してるっつーか……つい早出しちまった」

美琴「………そう」


上条「……………」

美琴「……………」




気まずい空気がしばし流れた後……、上条は意を決したように口を開こうとした―――



上条「御坂、それであのさ………こないだの返事n――」

美琴「ねえ! アンタこの後時間平気?」



―――が、しかし……美琴の唐突な質問がそれを遮った。
276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:53:58.44 ID:sx0ESLc0

上条「え……? あぁ、平気だけど……」

美琴「じゃあさ! ちょっと付き合ってよ!」

上条「ハ、ハイ……?」

美琴「ホラ早く!」グイッ

上条「――うぉっ!? ちょ!?」



呆気にとられる上条の腕を掴んで歩き出す美琴……。



上条「お、おい! どこ行くんだよ!? ってゆーか引っ張るなって!」

美琴「うっさい! つべこべ言わずに付き合いなさいよ!」



どうやら冬休み最後の思い出は、彼女との甘い(?)ひとときで締めくくりとなりそうだ―――。



―――――


―――
277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:56:18.04 ID:sx0ESLc0

上条「………で? 何なんでせうか? この棚に並んだ無数のゲコ太様方は?」

美琴「だからゲコ太はあの子! んで、アッチはピョン子にヒキ助にアマ―――」

上条「知らねえよ! っていうか、どれも一緒じゃねえか!」

美琴「違うわよ馬鹿ッ! 服装とかよく見れば分かるでしょ!?」




―――ここはとあるキャラクターグッズの専門店。何のキャラクターなのかはもう言うまでもない。




美琴「あ♪」パッ




いきなりこの趣味全開な店に連れ込まれてやや不満気な上条だったが、グッズを手に取って子供のような表情を浮かべる美琴を見ている内に
自然と己の顔も緩んでいた。




美琴「〜〜〜♪」キラキラ

上条(まったく……あんなに目ぇキラキラさせちゃって……………可愛いじゃん)


美琴「ねぇねぇ、ドッチが可愛い?」
278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 21:58:11.14 ID:sx0ESLc0

そう言いながら見せてきた二つの商品(サイフとキーホルダー)。ドッチを買うか迷っているのだろう……。
以前なら「両方買っちゃえば?」とか適当に言っていたのだろうが、この日の上条さんは違う。




上条「う〜ん……そうだな。キャラ的にはコッチのサイフの方が可愛いと思うけど、今持ってるサイフは?」

美琴「え? ……こ、これだけど……」サッ

上条「ふむ………前の方も良いけど、新しい方が俺的には良いかな…。キーホルダーは?」

美琴「あ……これ………」(な、何よ? まさか……真面目に考えてくれてるの…? あのコイツが……?)

上条「―――うん、やっぱキーホルダーの方が良いな。値段も手頃だし、俺が買ってやろうか?………って、どうした御坂?」

美琴「!? な、何でもない! そ、そう? じゃあコッチにするわね! わわわ、私…お会計してくるから―――!」ビュン


上条「………何慌ててんだアイツ?」




上条の意外な反応に美琴は混乱した。

もっとも、レジでお金を出そうとした瞬間に上条が横からスッとお金を出した事で更に混乱させられるのだが………。
279 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:00:26.26 ID:sx0ESLc0

―――――




美琴「〜〜〜♪」




場面変わって、ここは地下街。冬休みの最終日ということもあってか、人はさほど多くない。最後の休日くらいは家でのんびり派が多い
のだろうか。




上条「それ、そんなに気に入ったのか?」

美琴「え? うん……まあね」

上条「そっか、なら良かったな」

美琴(そりゃそうよ………当たり前じゃない)




たかがキーホルダーでここまで浮かれるハズもないのだが、少年は気づいているのか気づいていないのか分からない態度でブラブラと
横を歩く。




美琴(アンタが買って……しかもアンタが選んでくれたんだから………嬉しいに決まってんじゃないのよ馬鹿!///)
280 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:03:41.90 ID:sx0ESLc0

上条「―――ってか、あんまし人いねえな。……ま、明日からまた気だるい日常が始まるんだし、仕方ねえっちゃ仕方ねえのか」

美琴「早いモンね……もうすぐ春かぁ」

上条「んでまた夏か。去年の夏は色々あったよなぁ……」

美琴「ねぇ……アンタって、いつから……その……記憶ないの?」

上条「ん? あー言ってなかったっけ? 夏休み入る前からかな……確か」

美琴「そう…」

上条「……どうした?」

美琴「………ううん、ゴメン。変なこと訊いちゃって……」(私との出会いとか、やっぱ覚えてないのよね……コイツはコイツだから良いけど…)

上条「気にすんなよ。そりゃ思い出がないのは寂しいけど、……その分新しい思い出作りゃあ良いだけなんだからさ」

美琴「うん…」

上条「だー! そんな顔すんなって! 記憶がなくたって俺は俺だぞ?」

美琴「分かってるわよ……けど…」

上条「お前は笑ってる顔の方が良いんだから、いつもみたいに笑ってろよ」

美琴「へ?」

上条(――うわっ! やっべ……俺ってヤツはまた意味不明なことを……)サー
281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:05:08.59 ID:sx0ESLc0

美琴「………クスッ」

上条「あ?」

美琴「ホント恥ずかしいヤツよね〜。アンタって」

上条「う、うるせぇ!」

美琴「そうやって女の子いっぱい引っ掛けたりすんなよ?」

上条「しねえっての!」

美琴「ふふふ♪ あ! ねぇ、服見たいからここ寄ってこ?」

上条「え? あぁ……いいけど常盤台通ってんなら着る機会なんてあんまねーんじゃ…」

美琴「デリカシー無いこと言ってないでさっさと来る!」

上条「へいへい………」



その後も、二人の楽しいデート(?)は続いた―――。



―――――



美琴「……ここ…」

上条「―――ん? 何だ?」
282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:07:19.20 ID:sx0ESLc0

ふと足を止めた美琴……。街から少し離れた川辺を歩いていた二人の目線は、何の変哲もない原っぱに向いた。




美琴「アンタは覚えてないだろうけど、私達、前にここで一度対決したのよ」

上条「対決?」

美琴「そ、私が売った喧嘩を珍しくアンタが買った日……アンタはここで私と戦ったの」

上条「マ…マジで?」

美琴「うん、けど……結局私の負け」

上条「なぁ………お、俺もしかして……手ぇ上げたりしてないよな……?」

美琴「痛かった……」


上条「――!!??」


美琴「痛かったなぁ……」ニコッ


上条「……………す」


美琴「?」
283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:09:52.62 ID:sx0ESLc0

上条「すいませんでしたぁぁっっ!!」ガバッ(奥義・『空中土下座』)


美琴「…………」


上条「記憶がないとは言え……女の子に手を出すなんて………俺ってヤツは何てことを……」


美琴「…………ぷっ」


上条「………?」


美琴「あははははははは♪ 馬鹿ね、冗談よ! アンタが女の子殴ったりする訳ないじゃないの」


上条(いや、実は殴ることもあったりして………ってそれより―――!!)

「―――テ、テメェ騙しやがったなぁぁ!!」ムクッ


美琴「ははは、ホントーにアンタってば単純よねぇ! あー面白いわ♪」タタタタ


上条「ま、待てこのヤロウ!!」ダッ


美琴「―――こっこまでおいで〜♪」



顔を真っ赤にして追いかける上条と笑いながら逃げる美琴……。いつもとは逆の光景がそこにあった。
284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:11:59.94 ID:sx0ESLc0

―――――



上条「――――捕まえたぞ!」

美琴「―――キャッ!?」




走る美琴の肩を掴んで笑みを浮かべる上条だが、すぐにその笑みは消える。
美琴が体勢を崩して転びそうになったからだ。




上条「あ、危ない御坂!」

美琴「あぁっ―――!?」

上条「い!? おわぁっ―――!?」




ドデン! と、間抜けな音が川辺に響いた……。




美琴「…………いたた……ッッ!!!」

上条「……ウーン…………はっ!!!」
285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:14:12.55 ID:sx0ESLc0

目が合ったまま固まる二人………上条が見上げて美琴が見下ろすこの形は……。



「―――!!!!!」




まぁ説明の必要もないと思うが一応説明しよう。
転びそうになった美琴を庇おうと、咄嗟に上条が地面と美琴の間に滑り込んだ。
それによって美琴が仰向けで寝そべる上条に馬乗りをする状況が生まれた。ただそれだけの事である。




美琴「………/////」

上条「み、御坂サン………?」

美琴「な……なに…よ?」

上条(顔……近い……///)



おっと補足。今、二人の顔の距離は数十センチ程しかない。熱い吐息が頬に触れ合うぐらいは近いだろう。




美琴(やだ………コイツの顔が……こんなに近くに/////)

上条「アノ……ハヤクドイタホウガヨロシイノデハ……?」

美琴(けど………不思議。今までこんなに近づいたら意識が飛んでもおかしくなかったのに……何妙に落ち着いてるんだろ? 私…)

モシモーシ? ミサカサーン?

美琴(そんなの通り越して、逆に冷静になっちゃったのかな………)

上条「御坂? 聞いてます……?」
286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:15:41.38 ID:sx0ESLc0

美琴「―――え!? あ、あ、あ、………」

上条「………?」

美琴「アンタは……どいて欲しいの?」(って何言ってんのよ私ィィ!!)

上条「え……?」

美琴「お、重いかな……?」(え……えーい!! も、もうこうなりゃヤケよ!! イクとこまでイってやるわ!!)

上条「い、いや全然……むしろ軽い、ってそーじゃなくて! 何ていうかこの体勢はイロイロとマズイ気がするんデスガー!?」

美琴「なにが………マズイの?」

上条「へっ……?」


美琴「私は、嬉しいけどな………だって――――」




「―――アンタの事、好きなんだから」




上条「………み、美琴」ドクン
287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:17:15.32 ID:sx0ESLc0

目が……妙に色っぽく見えた。少なくとも、上条が今までに見た事がない彼女がそこにいた……。

心臓の鼓動が一気に加速する……。

誘うような、しおらしいような………頬を真っ赤にした少女の顔が―――更に近づく。



上条「……………」ドクン ドクン

美琴「……………」ドクン ドクン



二人の距離は、あと……三十センチに迫っていた――――。
288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/27(金) 22:21:41.55 ID:sx0ESLc0
ここで切ります。
腹の足しにもならない展開のオンパレードですが、これでも頑張った方
なのでお許しを。
続きはまた明日。今日はもう寝ます。おやすみっす
289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/27(金) 22:25:07.62 ID:TWNJ.Fko
寸止めェ!? 寸止めなンですかァ!?
290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/27(金) 22:25:26.00 ID:SMk1sAwo
うおぉぉぉぉぉぉ
291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/27(金) 22:28:21.51 ID:fRtbMfYo
女子供でも壁にめり込んだりノーバウンドで吹き飛ぶぐらいの力でぶん殴るのも上条さんの魅力の一つ
292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 00:02:58.50 ID:lmofcuMo
乙だぜ

まあ、ロケット上条パンチで2〜3km吹っ飛んだ女性もいるぐらいだしな
293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 01:15:06.14 ID:TslrGIk0
毎回乙
一方さんが気になってしかたがなかったのにこっちも気になってきた
294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:11:42.12 ID:doNy/is0
こんばんは。
寸止めかましてすんませんした!
では続き投下します
295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:13:16.09 ID:doNy/is0

――――二人の顔が………重なっていく。



上条「……………」ドクン ドクン

美琴「……………」ドクン ドクン



―――あと……三十センチ………二十センチ………十セn―――。




「―――御坂」


「!?」



チッ………もう少しで重なりかけた唇が上条の声と共に離れた。いや、驚いた美琴が咄嗟に離れたのだ。



「な……何よ?」



名前で呼ばれない事に不満そうな顔を作るが、上条が次に発した言葉でまたその表情は変わった。
296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:15:33.35 ID:doNy/is0

「―――こないだの返事を……させてくれ」



いつの間にか真剣な表情の上条は、無言で美琴にどくよう伝える……。
ひとまず、美琴はそれに従うことにした。



「さすがに、こんな見下ろされた格好のままはキツイからな……っと」スクッ



そう言いながら、立ち上がった上条に……美琴は―――



(もう………限界か……)



―――諦めたように笑った。



(答えなんて……もういいよ…………今、気づいた)


(私は、アンタと一緒に居れたら……それでいい……)
297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:18:11.62 ID:doNy/is0

(……………)


(さっきまではそう思ってた……けど―――)


(―――所詮それはただの『逃げ道』……自分が傷つかないために無理矢理作った選択肢……)


(このまま引き伸ばせば自然と一緒に居るのが当たり前になる……そう思って作った卑怯な道……)


(でも、そんなの………コイツが許すハズもない……そんないい加減な道についてきてくれるようなヤツなら、私は好きになって
 いなかった……)


(あと数分後、私は笑っているのかな? それとも――――)



「御坂………いや、『美琴』」



上条の声を聞いた瞬間、全ての意識をソチラに向ける。この少年が出した答えを――――今からこの耳で聞くのだ。



美琴は震える体を抑えようと……力を込めた。
298 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:19:44.39 ID:doNy/is0

上条「―――まず………俺の話を聞いたら、お前は怒るかもしれない……悲しむかもしれない」


美琴「…………」


上条「それでも、聞いてくれるか?」


美琴「………うん」コクリ




頷く美琴に、上条も覚悟を決めた。




上条「……インデックスの、事なんだけど…」


美琴「……?」



―――なんで? なんであの子の名前がそこで出てくんのよ? ……まさか?



少女の予感は……的中した。
299 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:22:13.23 ID:doNy/is0




上条「俺は、あいつと離れたくない」




美琴「!!!!!………」




その言葉を聞いた瞬間、美琴の表情は驚きと悲しみで染まる………が。




(―――あぁ、やっぱり……か…)




ある意味、いちばん予想していた答えでもあった……。だからこそ、考えるのを避けていたのかもしれない。




上条「俺には、あいつと出会った時の記憶がない……。けど、一緒に過ごしている内に、インデックスは俺の中で『大切な存在』に
   なっていたんだ……」

美琴「…………」

上条「だから………許して欲しい」
300 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:25:29.76 ID:doNy/is0





美琴「……わかった」



深い沈黙の後、美琴は俯いたまま……力のない声でそう言った。上条は続けようとしたが―――



上条「……それでな、みさ―――」


美琴「いいわよ、もうわかったから。………答えてくれて……ありがと………ッッ」


上条「え……いや御坂、だから―――」


美琴「それじゃっっ!!」ダッ


上条「―――お、おいっ!?」




それ以上聞きたくないと言わんばかりに駆け出した美琴を上条は一瞬遅れて追う……。
301 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:27:08.67 ID:doNy/is0

上条「―――待てよ! 御坂! 待ってくれ!!」ダダダダ


美琴「―――――ッッ!!!」ダダダダ




不意をつかれたのに加えて、漏電しながら前方を走る美琴の速度はどんどん上がっていく……。
二人の距離は開いていく一方だった。




「―――ハァ、ハァ、ハァ! み、御坂ぁぁあああっっ!!!」




上条が放つ渾身の呼びかけにも、美琴が立ち止まることはなかった………。




「ちくしょうっっ!!」ガンッ!!




街中で美琴を見失い、壁を殴る。
体温の上がった体で、肩で息をしながら立ち尽くす上条は人々の目線など気にも止まっていない様子だった。
302 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:29:08.97 ID:doNy/is0
すいません、>>295から上条さん『御坂』って呼んでますが、全部『美琴』に変更で
お願いします。
303 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:31:01.03 ID:doNy/is0

――――さよなら………ッッ――――



(あいつ………泣いてた……)


(クソ……何やってんだよ俺は……)


(インデックスの事から話しちまったら……こうなるに決まってんじゃねえか……ッ!)


(ほんとバカだよな……俺って…)


(美琴………俺の答えはまだ終わってないんだ)


(だから聞いてくれよ………。いや、意地でも伝えてやるからなっ!!)ダッ



少年は、再び走り出した―――――。



(――――待っててくれ!!!)



―――――


―――
304 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:32:18.32 ID:doNy/is0

―――とある橋の上…



車も通らない鉄橋の上にポツンと佇む少女がひとり……。



「……………はぁー」



流れる川を虚ろな表情で見つめる少女、美琴は深く息を吐いた。



(わかってた………わかってたわよ。アイツは……やっぱり私のことなんて……)



あの後に続く言葉が「お前とは一緒にいれない……だからゴメン」だと予測した途端、体は勝手に動き出していた。

それだけは、聞きたくない……と、本能が訴えたのだ。どれだけ覚悟を決めていたとしても、やはり心の奥底では怯えていたのだ。

そんな自分への嫌悪感……そして失恋のショック……。

さっきまでの楽しかった時間が、すでに懐かしくさえ感じていた――――。
305 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:35:26.02 ID:doNy/is0

(もう……アイツとは、会えないよね…)


(アイツのことだから、きっと私を捜してくれてんだろうなぁ………何でだろう、嬉しいのに………つらい)ジワァ


(今はアイツの優しさが―――――つらいよ………ッ)ポロポロ



落ちていく涙が、下の川へと次々に飲み込まれていく………。冷たい風と川の流れる音が、彼女の嗚咽と重なっていた。



(これが………失恋ってヤツかぁ……)


(こんなに嫌なものだなんて、知らなかったなぁ………)


(思ってた……以上)



「―――うぅっ……グスッ、ヒグッ―――」


「―――やだよ………そん……なのっ……無理………だよぉっ……」



『もう会えない』………この言葉だけで美琴の目は充分過ぎるほどに潤う。何度でも、いつまでも―――――
306 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:38:07.96 ID:doNy/is0

――――気づけば、陽が落ちていた………。




「………………帰ろう」



枯れた声で呟いた美琴はゆっくりと歩き出す……。目は真っ赤で頬は扱けており、憔悴といった様子だった。



「……………」トボトボ



頭の中はすっかり空っぽだ。何も考えたくないし、何もしたくない。
歩くのさえ億劫だ。このまま部屋に戻れば、おそらく明日の始業式に出席することはないだろう……。



(また、黒子に心配掛けるんだろうな……)



それだけが一瞬だけ頭に浮かんだが、もはや精神的に余裕など皆無だ。
嫌悪感さえも、いつの間にか捨てていた―――。
307 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:40:00.17 ID:doNy/is0

「……………」ピタッ



橋の端まで歩いた所で、足が止まる………。

この橋を渡り切ったら………もう終わってしまう。この『橋』で待っていれば、いつかのように『アイツ』はきっと来てくれる……。

心のどこかでそう願っていたが……どうやらそれも、所詮淡い夢だったようだ……。いや、美琴の精神を繋ぎとめる最後の希望だった
のかもしれない。

だいいち、会ったところで自分が傷つくだけなのに………だから逃げたのに………今になって会いたい気持ちはそれを凌駕していた。

会えないことが………やはり一番辛いのだ。

しかし、涙が枯れるまで待っても……彼の声は聞こえなかった。

抱いていた僅かな希望は、もう消えかけている………。



(なによ……なんなのよ私………)


(自分から逃げといて、まだアイツに期待してるなんて………最悪じゃない)


(私って、こんなに弱かったの?)


(もう………嫌だ…………)
308 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:42:44.37 ID:doNy/is0

「………ッッ」クルッ



でも……それでもまだ最後の希望に縋るかのように………美琴は断腸の思いで振り返った。
いないだろうと分かりつつも…………だが―――



「………………ぁ」



――――その直後、彼女の顔には再び生気が戻る。


橋の向こうから、コッチに向かって走って来る人影がひとつ………。



希望を捨てかけていた自分を、救ってくれた少年。


超能力者である自分を、いとも容易くあしらう少年。



そして―――――



――――自分が今、世界でいちばん好きな少年……。
309 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:46:46.38 ID:doNy/is0

「―――よう」



遅れて来たヒーローは自分の目の前までやって来て、いつもの顔を見せた―――。



美琴「…………」



どういう事だろう……。彼が目の前に現れた瞬間、喪失感や絶望……そういった負の感情が馬鹿みたいに消し飛んでしまっていた。

本当に、不思議な少年だ………。



上条「ハァ…ハァ……間に合って良かった…」



相当走ったのだろう……体じゅうは汗だくだ。まだ息が整っていない。



美琴「―――遅いのよ………馬鹿」

上条「ハァ、お前なぁ……いきなり走り出すヤツがあるかよ」
310 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:49:14.06 ID:doNy/is0

美琴「うっさいわね……」

上条「まぁ、お前がもう帰ってたらどうしようかと思ったから……良いけどな」

美琴「良くないわよ………ずっと待ってたんだから……」



やっぱり……やっぱり無理だ。この少年と会えなくなるのだけは耐えられそうにない。
上条の『答え』が全部終わったらこの際『友達』でも良い――――。最終的にそこへ行き着いた。



美琴(もう、逃げない。最後まで聞いてやる!)グイッ



涙を拭いて上条を見据える……。無言で続きを促す美琴の雰囲気を上条は察知した。



上条「―――ええっと………まず、ゴメン!」



(―――ふぅん……先に謝るとかコイツらしいけどさ……断り方くらい勉強しなさいよ。ホントにコイツってば女心が分かってないわね……)
311 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:51:01.26 ID:doNy/is0

上条「紛らわしい言い方して、本当にゴメン! 俺が悪かった!」



―――あら? 自覚あったんだ………もう、だったら直しなさいってのよ。この馬鹿……



上条「俺が言いたかったのはそうじゃなくて………あぁもう一回しか言わないからな? いいかよく聞けよ?」



―――えぇ……煮るなり焼くなり好きにしなさいよ。もう逃げも隠れもしないから……






「俺は……いや、俺もお前が好きだ!!」






―――ほら……そうよね………やっぱり無理よね…………………………






………………………え?
312 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:52:34.70 ID:doNy/is0


(ちょっ……え? 今………なんて?)



「インデックスとは絶対に間違いは犯さない! 神にだって誓う! もし、信じてくれるなら―――」




「―――――俺と、付き合って欲しい!!」





(え……え…? あれ?) 


(…………なにコレ夢?)



まだよく理解できていない美琴であった……。



上条「……すまん、最初からこう言ってれば良かったんだよな…」

美琴「」ポケー

上条「………ってオーイ? 美琴サーン?」ツンツン
313 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:54:11.59 ID:doNy/is0

美琴「―――ふぇっ!?」



頬をつつかれてようやく正気に戻るが、それと引き換えに間抜けな声が出てしまった。



上条「お、戻ってきたか?」

美琴「あ、あ、あ、あ、――――」パクパク

上条「ん……?」

美琴「アンタ今言ったのどういう事!? ちゃんと分かるように説明して!」

上条「あ、あぁ……」

美琴「え? ちょっと待って! なに!? 一体なにがどうなってんの!? あぁもう整理しきれないってか訳分かんないーーっ!!」

上条「は、話す! 今説明するから落ち着けって!」



―――――



上条「――――と、言う訳なんだ」
314 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:56:08.98 ID:doNy/is0

美琴「ふぅん……つまりアンタは私っていうモンがありながらそれでもあの子と一緒に住みたいと……?」バチッ



前髪から軽く電気を発しながら薄く笑う美琴……。



上条「べ、別にやましい意味とかはないんだって! インデックスはなんつーか……妹みたいっつーか……『家族』みたいなモンなんだ!」


美琴「……………」ジー


上条「あいつ……せっかく学園都市(コッチ)の生活にも馴染んできて、友達も出来たっていうのに……今追い出すなんて、そんなのって……
   あんまりだろ? インデックスも、ここに居たいって言ってる……」


美琴「……………」


上条「都合良い話かもしれない。右手は使わないから好きなだけ電撃ぶつけても構わない。だから―――」



「―――頼む美琴!! インデックスを家に置くことを許可してくれ!! この通りだ!!」ガバッ



もはやどんな姿勢で頼んでいるかは言うまでもないだろう……。美琴が黙っている内に上条は畳み掛ける。
315 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:58:34.03 ID:doNy/is0

上条「なぁ頼むよ美琴! お前だって今じゃインデックスと仲良くしてくれてるじゃねえか! あいつも俺らの仲間だろ!? せっかくこれから
   みんなで楽しく過ごせるってのに、あいつだけイギリスに帰しちまうなんて………そんなの残酷すぎるじゃねえか!」


美琴「……………」


上条「俺が女の子として好きなのはお前だけだ! 間違っても浮気なんかしない! 約束するから―――!」



「―――だから頼む!! 俺を信じてくれ!!」




ここまで言えば、後は相手の反応を待つだけだ……。上条は地面と向き合って堅く目を閉じたまま、ただその時を待つ。
しかし、返ってきた答えは―――


「――――言いたい事は、それだけ?」



上条「……ッッ!!」



どうすれば……どう言えば彼女は信用してくれる!? 上条の思考がそれでいっぱいになった次の瞬間―――



「――――なーんてね♪」



上条「………は?」
316 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 19:59:48.27 ID:doNy/is0

次に聞こえた愉快気な声に思わず顔を上げる。上条の目の前にいたのは、般若でも雷神様でもなかった……。
イタズラが成功した子供っぽい笑みを浮かべてコッチを見ている少女がひとり……そこにいるだけだった。



美琴「あははは♪ 引っかかってんじゃないわよバーカ!」

上条「……………………」




今度は上条の思考が止まる番だった……。




美琴「アンタ、私のことずいぶん見くびってない?」

上条「え……?」

美琴「アンタがあの子を追い出すなんて…できるワケないってことぐらい、知ってるに決まってんじゃないの」

上条「美琴……」

美琴「私は……てっきりアンタがあの子を『女』として好きなんだって思った……けど、違うんでしょ?」

上条「………あぁ、違う。インデックスはそういう対象としては見れない……」
317 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 20:02:24.68 ID:doNy/is0

美琴「なら、最初からそう言いなさいよ馬鹿」

上条「ごめん………けど、それでもお前が許してくれるのか、正直不安だったんだ…」

美琴「勝手に人を見定めてんじゃないわよ。私だって、あのシスター……ううん、インデックスがいなくなったら寂しいっつーの」

上条「………美琴」



上条の顔が、みるみると喜びに満ちていく……。



上条「ありがとうな」

美琴「お礼とかそういうのいいから……もう一度言って」

上条「…へ?」

美琴「さっきの『返事』よ。もう一度聞きたいから言えっつってんの」

上条「い……一度で充分だろ……それでもかなり恥ずかったんだが…」

美琴「『今』聞きたいの! さっきみたいな不意打ちじゃなくて今!」

上条「イヤ、しかしだなぁ………」ポリポリ

美琴「あーもう! ハッキリしないわねぇ! アンタの覚悟ってのはその程度なの!?」


上条「!!!?」
318 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 20:04:19.71 ID:doNy/is0

美琴「私への気持ちはその程度なのかって聞いてんのよっ!!」

上条「……よ、ようし……上等だ。もう一度言ってやる……いいか? こんなこと滅多に言えねえんだから今度こそ永久保存しろよ?」

美琴「…………」ドキドキ

上条「スー……ハー……」



深呼吸後、ついに上条が男を見せた―――。




上条「―――――好きだ美琴!! 俺と付き合ってくれ!!」




美琴「―――――うんっっ!!」




険しいような怒ったような……そんな少女の表情が、喜一点に染まる。
足が、動き出す……。自分がずっと想い続けていた少年に向かって……一直線に。
少年は、両手でその小さな体と溢れ出ている彼女の気持ちを……しっかりと受け止めた。
319 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 20:05:46.98 ID:doNy/is0

上条「待たせちまって、ごめんな…」

美琴「まったくよ馬鹿ぁ…」

上条「はは……」

美琴「ねぇ、ひとつ約束して」

上条「何だ?」


美琴「アンタのことだから……きっとこれからも危険に飛び込んでいくんでしょうね………それについては許すわ。けど―――」




「―――その時は、絶対に私も連れて行くこと。私はアンタの彼女なんだから、もう無関係だなんて言わせない……」




上条「………………」


美琴「約束……してよ」

上条「………あぁ、約束する」

美琴「ホント? 破ったりしたら後が怖いんだからね?」
320 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 20:07:04.95 ID:doNy/is0

上条「ったりめぇだろ? お前に寂しい思いなんてさせるかよ」

美琴「………///」

上条「これからも……よろしくな」ナデナデ

美琴「うん……私こそ――――ぁ///」



頭を撫でられただけで力が抜けて溶けそうになる………。いわゆる『幸せの絶頂』というヤツだ。
何故か返事をしたのが美琴という形になっていたが、上条的には自分から告白の方が良いらしい。
男のよく分からない意地みたいなものだろう……。



上条「……美琴…」スッ

美琴「あ……んん――――」




「――――大好き……当麻」




橋の端で………二つのシルエットが今、やっと一つになった―――――。

それは、少女の長い片想いが無事に成就したことを意味している―――――。
321 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 20:08:36.52 ID:doNy/is0
長くなりましたが、以上で『成就編』完です
次から最終章『不滅友情(ラスト・フレンズ)編』に入ります。(タイトルは、好きなドラマから取りました)
五月から書き始めてだいぶ長くなってしまったこの話もあと投下四〜五回分ってとこでしょうか…
ミスも多くてかなり見苦しいとは思いますが、もう少しなので最後までお付き合い頂けたら嬉しいです
明日はちょっと無理っぽいんで明後日からまた投下していきます
それでは
322 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 21:03:53.04 ID:KuN1a.AO
乙乙乙乙乙!!!
323 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/28(土) 21:09:04.28 ID:/CB9EMDO
乙!
ちょっとダッシュ使いすぎじゃね?w
324 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/28(土) 21:29:00.66 ID:doNy/is0
>>323
確かに使いすぎましたねw
自重します。指摘感謝
325 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 00:48:52.74 ID:nhZWJKYo
乙!
このスレの>>1の書く物語はなんか温かくてすき
326 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage ]:2010/08/29(日) 08:36:56.73 ID:umWbbcA0
やっと追いついたぜ!
ちょっと離れた内にえらい進んでんな。ってか何なンですかァ?
垣根×初春に上条×美琴に一方×上条だとぉ!?ここは聖域ですかァ!?
俺得カップリングのオンパレードじゃねぇかwwwwwwwwww!これは支援せざるを得ないぜ!

327 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/29(日) 10:08:53.33 ID:CLRqlxEo
幸せになれるスレ
328 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 17:00:58.65 ID:8nUSmwU0
さて、あとは一方通行さんだけだな。
329 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 18:07:29.04 ID:Je8TfQDO
だれもが望んだハッピーエンドって奴だ
330 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/29(日) 22:46:14.30 ID:IRNSUKo0
一方さんは一筋縄じゃいかないだろうな
331 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 08:36:13.81 ID:iuYgP.SO
やっぱり上琴はいいもんだ
332 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:24:32.80 ID:BGCOaPg0
こんばんは。
それでは続き投下していきます
333 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:25:59.59 ID:BGCOaPg0

―――



上条「すっかり遅くなっちまったな……」

美琴「そうね……門限とっくに過ぎちゃってるし……ハァ…」パカッ




真っ暗な夜道を並んで歩く二人……。美琴は後輩から届いた大量の着信履歴とメール数を確認して溜息を吐いた。




美琴(あ〜ぁ、後が怖いわねこれは……)

上条「どうする? 俺も一緒に謝ろうか?」

美琴「いいよ。後で連絡しとくから………それよりさ…」

上条「ん…?」

美琴「今日、アンタん家に………と、と…」

上条「?」

美琴「泊まっても……いい?」
334 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:27:11.33 ID:BGCOaPg0

上条「え!? あ………いやでもそれは……ってかお前、明日から学校だろ!?」

美琴「アンタん家から一緒に出れば良いじゃない。制服もある(っていうか着てる)から問題ないし」

上条「いやいや! それ以外にも根本的な問題が――」

美琴「……ダメ?」(上目遣い)

上条(――ぐぼォっ!! こいつァ…き、強烈すぎるぜ……だ……だがしかし! ここで流されちまったらダメだ上条さんよ!)

美琴「ダメ……かな…?」ウルウル

上条「いーえー。大歓迎ですヨ」(嗚呼畜生……所詮俺も飢えた狼ってか……)

美琴「ホント?」パァァ

上条「あぁ、お前さえ良かったら全然構わねえぜ」(イヤ逆にここで断れるようなヤツを尊敬する……普通なら絶対無理だぞコレは……)

美琴「〜〜〜♪」

上条(あーあー……そんな嬉しそうな顔しちゃってまぁ………可愛すぎるじゃねぇかよクソ、俺の理性は果たして今晩持つのか? って、
   インデックスも居るんだから平気か……美琴とインデックスをベッドに寝かせて俺はいつものトコで寝りゃ問題ねえだろ……)




結局、上条さんも男としての道は外れずに済んだようだ。
335 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:29:10.07 ID:BGCOaPg0

その時、浮かれていた美琴が上条のポケットから何かがはみ出している事に気づく。



美琴「――あ! アンタそれ!?」


上条「えっ……?」



上条の穿いているジーンズのポケットから出ていたのは、さっき美琴が上条に買ってもらったキーホルダーだった……。
慌てた動作で美琴はキーホルダーを取り出す。てっきり自分が落としたものだと思ったからだ。
しかし……自分のはちゃんと持っている………ということは――?



上条「あぁー、これか。閉店直前で危なかったけど、何とか手に入ったよ」プラーン



そう言って全く同じキーホルダーを掲げて見せる上条……。



美琴「アンタ……まさか、それで遅かったの……?」

上条「へへ、まぁな。お前があそこに行き着くなんてのは分かってたが、何も持たずにっていうのはどうかと思ってさ。つっても、必要は
   なかったけどな」

美琴「……………」
336 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:30:45.95 ID:BGCOaPg0

上条「ホントはもっと高くて気の利いたヤツにしてやりたかったけど……ごめんな、貧乏な彼氏で。記念品にするには価値無さ過ぎだよな……。
   けど次はもっと良い物にするから、今日はこれで……ッテ!?」

美琴「」ギュッ

上条「ッ!? オイ…ッ!? みこ…」




いきなり腕を絡めて擦り寄ってきた恋人に、上条は仰天した。




美琴「ホントにアンタってヤツは……///」

上条「……///」(だ、だから胸ぇぇぇ!! あ、良いニオイ……って違くて!!)

美琴「もう……価値なんてあるに決まってんじゃない。値段とかそういう問題じゃないことぐらい分かれっての……///」

上条「そ、そうか……なら良かった…」ドキドキ

美琴「………」ギュッ

上条「あ、あのさ……いくら人通りが無いとは言え、この状態で歩くのは不健康と言いますか何と言いマスカ……」ドックン ドックン

美琴「いいわよそんなの……ねぇ、どうしよ……」

上条「え、な、何が……?」


美琴「アンタが好き過ぎてヤバイのよ……言わせんなバカぁ/////」ギュッ
337 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:32:36.19 ID:BGCOaPg0

そう言いながら更に密着する美琴様。寮に着く前に上条さんはKO寸前である。




上条(うん、ゴメン。やっぱ理性持たないかもしんない)




結局、上条部屋に到着するまで二人が離れることはなかった―――。




その頃――黄泉川家・一方通行&垣根部屋



ピコピコ ピコピコ



禁書「う〜……やっぱりゲームって難しいかも。っていうか、あくせられーた強すぎ!」

一方通行「オマエもだいぶコンボ覚えてきたじゃねェか。あとは仕掛けるタイミングさえ熟知すりゃそこのボケぐらい瞬殺できンだろォぜ」

垣根「よし代われインデックス。そこに直れよ一方通行。次こそテメェの鼻ボッキボキにへし折ってやるからさ」

一方通行「ブゥー、オマエじゃ弱すぎて勝負になりませン」
338 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:34:26.89 ID:BGCOaPg0

垣根「今の内に吼えてろ。オラ行くぞ」

打ち止め「あ! 次はミサカの番だよ! ってミサカはミサカは割り込みを阻止してみたり」

一方通行「じゃあオマエがこの勘違いメルヘンの相手になってやれ。ほらよ」ポイ

垣根「あっテメコラッ! 逃げるのか!?」

一方通行「オマエなンざァ俺が直々に手ェ下すまでもねェンだっつゥーの。クソガキ、遠慮はいらねェからボッコボコにしてやれよ」

打ち止め「うっしゃ! お兄ちゃん覚悟! ってミサカはミサカはいつの間にかアナタの手駒になってる事実に目を瞑りながらも闘志を燃やしてみる」

垣根「く……ナメやがって……よほど愉快な死体になりてぇと見える」

一方通行「断言してやる。オマエじゃ俺は愚かクソガキにすら勝てねェわ」

垣根「よーしわかった! 打ち止めぁ! 悪いが手加減はしねえからな!? 負けても泣くなよ!?」

打ち止め「ふっふ〜ん♪」



Ready Fight☆



―――
339 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:35:48.59 ID:BGCOaPg0

You lose




垣根「ば、ばか……な………」orz(←完膚なきまでに敗北した第二位)

打ち止め「はっは〜♪ まだまだだね。ってミサカはミサカは勝ち誇ってみたり」フン

禁書「らすとおーだーすご〜い! なんでそんな強いの!?」

打ち止め「へへへ…この人に散々しごかれたから。ってミサカはミサカは照れ笑い…///」

一方通行「まァ上出来だな。分かったかメルヘン? ウチのクソガキを甘く見てンじゃねェよ」

垣根「」orz

打ち止め「あ、お兄ちゃん相当へこんでるよ。まるで甲子園行けなかった球児だよ。……ってミサカはミサカはやりすぎたかなぁ?
     って少し後悔してみるんだけど…」

一方通行「……そっとしといてやれ。あれァ今『絶賛絶望中』のサインだ」

禁書「遊んだらお腹空いてきたんだよ…」グー

一方通行「もォすぐ黄泉川帰って来ンだろ」

垣根「あ……俺ちょっと出かけてくる…」スクッ

禁書「あ、復活した……?」
340 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:37:21.44 ID:BGCOaPg0

打ち止め「お、お兄ちゃん? どこ行くのー?」

一方通行「うわァ……ガキにゲームで負けて家出とか……プッ、さすがにねェわー」

垣根「違っげぇーよバーカ!! 買いたいモンあっから出るだけなんだよっ!! 別にショックとかじゃねーんだからなっ!! ふんっ!!」――バタン


打ち止め「顔が必死だったね……」

禁書「きっとショックだったんだろうな……」

一方通行「ほンの少しだけなら同情してやってもイイか……」




――外



垣根「………さて」



何かを隠すような微笑を表した垣根は、何故か商店街とは反対方向に歩き始めた―――。



―――
341 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:42:54.57 ID:BGCOaPg0

――上条宅



上条「ただいま〜……」ガチャ

美琴「お邪魔しま〜す」

上条「あれ……インデックス……?」




部屋の電気が点いていないことを不審に思う上条と美琴……。




美琴「どっか出かけたのかしら?」

上条「聞いてないけど………ん?」




テーブルの上に置いてある置き手紙に注目する上条。紙にはこう書かれていた。




『らすとおーだーのおウチへあそびにいってくるね! たぶんそのままおとまりするかも! あしたむかえにきてくれなきゃヒドイんだよ』




上条「……………」
342 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:45:02.99 ID:BGCOaPg0

美琴「………ふ〜ん……あの子、今日いないのね……」

上条「………みたいだな」

美琴「ね、ねぇ。先にお風呂借りていいかな?」

上条「え? あぁ……ドウゾ」

美琴「あの……着替えとかあったら借りてもいい?」

上条「あぁ、そこにある俺のスウェットでよければ……」

美琴「ありがと、借りるわね……。そ、それじゃお先」パタパタ…


上条(インデックスはイナイ インデックスはイナイ インデックスはイナイ …………それってつまり………ん?)




ふと、置き手紙の裏を見ると……そこには文字がこう書かれてあった。




『いっておくけどこんかいだけなんだからね! きょうはタンパツとなかよくするんだよ。とうまにはデリカシーってものがたりてないかも』




上条(イィィンデェェックスゥゥゥゥ!!!!!)
343 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:55:52.74 ID:BGCOaPg0

置き手紙は、クシャクシャに握り潰されていた。




上条(GJ☆………って違ぁぁーーう!!!)




美琴が風呂から上がるまで、色々な意味で忙しい上条さんであった……。



―――



美琴「お待たせー。空いたわ……って何してんのアンタ?」

上条「ん? 見ての通りブリッジですが?」

美琴「アンタって、そんな習慣あるの?」

上条「いやー、たまには悪くないとか思っちゃったり思ってなかったり…」

美琴「?」

上条(誰だ!? 煩悩を抑えるのにはブリッジが最適とか抜かしたヤツは!? ちっとも治まんねえどころか、美琴のブカブカスウェット姿を
   見たら……余計に熱が入って来ちまったじゃねーか!!……ってうおぉ! やべぇ! ブリッジなんかしてたら『熱』入ってんのがまる
   わか……痛ッ!?)ゴスッ


美琴(何か挙動不審ねコイツ……床に頭ぶつけてるし、どうしたんだろ?)キョトン
344 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 19:58:23.79 ID:BGCOaPg0

上条「アイテテ……ん、んじゃあ俺も風呂入って来るわ!」パタタタ

美琴「あ、うん…」(家入ってから慌しくなったわね………)


「………あ!」


(そうか、アイツ……二人っきりなの意識してんのかな………インデックス、いないんだもんね……)

(やだ……ちょっと……私まで意識してきちゃったじゃないのよ〜///)ソワソワ

(あっ! いけない忘れてた! 寮…ってか黒子に連絡しとかないと!)ピ ポ パ




――こうして外泊及び成就報告は完了したが、意外にも後輩は大人しかった。てっきり何かしら騒ぐと覚悟していたのに……。




(なんだかんだ言ってあの子も応援してくれてたのね……ありがとう黒子)パタン

(これで心置きなくアイツと……この後はやっぱり///………ってだから何考えてんだっつーの私ってばぁぁああああ!!!)グルグル




今後の展開を想像している内に風呂から上がって来た上条に声を掛けられ、美琴の心臓は再び停止しかけた。




―――
345 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:00:27.91 ID:BGCOaPg0

――常盤台女子寮




寮生1「あら、あそこにいるのって白井さんじゃないかしら?」

寮生2「え? あ、ホントだ。白井さーん! ごきげんよ………う?」


黒子「くかきけこくくかかききこけくかきくこくきかかかかか##########〜〜〜〜〜」ゴォォォ


寮生1「……………」

寮生2「……………」

寮生1「……見なかったことにしましょう」

寮生2「そうね……」




寮生全員が目撃した黒い翼のような物体は208号室から一晩中伸びていたそうな。




寮監「御坂は今日外泊っと…」カキカキ



―――
346 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:03:06.33 ID:BGCOaPg0

――上条宅




上条「――ふ〜、ごちそうさん」

美琴「お粗末さま。けっこう食べたわね」

上条「美味かったからな。ホントすげーよ。俺じゃ絶対こんな味出せねえし」

美琴「当たり前じゃないの。伊達にお嬢様学校通ってないわよ」カチャ…

上条「あ、後片付けくらい俺がやるよ!」

美琴「い〜から、アンタは寛いでて。私がやりたいんだから。………〜〜〜♪」カチャカチャ

上条(機嫌良いなぁ……もしかして緊張してんのって俺だけ?)

美琴(落ち着け落ち着くのよ落ち着きなさい御坂美琴! 大丈夫! アンタはやればできる子なんだから!)カチャカチャ ジャー

美琴(う〜……でも……)チラッ

上条「〜〜〜♪」(←のんびりテレビ見て寛いじゃってます風を装っている)

美琴(アイツは……とくに意識とかしてないのかな……期待しちゃってんのって、私だけ?)



初々しい……のか?
347 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:04:55.20 ID:BGCOaPg0

美琴「あっ!」ツルッ  パリン

上条「ッ!? ど、どうした!? 大丈夫か!?」パタタタ

美琴「ご、ごめん……手が滑っちゃった…」

上条「皿の一枚や二枚気にすんな。それより怪我しなかったか?」

美琴「う、うん。ごめんね! すぐ片付けるから…」

上条「あ、オイ! 素手で触ると――」

美琴「――痛ッ!」

上条「あー…やっぱり」

美琴「いった〜……」タラー

上条「うわ、結構深く切ったな……待ってろ今絆創膏………って、切らしてたんだった…」

美琴「だ、大丈夫よこれくらい……」

上条「そのままにしとくワケにもいかないだろ? しょうがねぇ……とりあえず」パク (←美琴の指を銜えた上条さん)

美琴「!!!!????」

上条「………」ペロペロ

美琴「〜〜〜〜〜〜///」フニャー
348 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:06:39.67 ID:BGCOaPg0

上条「――ん、何とか血は止まったか……」

美琴「あ……り……が……と…」プシュー

上条「美琴? 何か顔赤いけど大丈夫か?」

美琴「……誰のせいよ」

上条「………?」

美琴(鈍感なのは相変わらずか……ホント、罪作りすぎなヤツ…)


(――でもっ!!)ガバッ


上条「オ、オイ! 急に抱きつくなって!……危ねえ…だろ?」


美琴(コイツは……上条当麻はもう、私の恋人なんだ! これ以上嬉しいことなんてないっ!)ギュッ


上条「……お前ってさぁ、意外と甘えんぼなのな」

美琴「何よぉ? 甘えちゃ悪いっての?」

上条「いや、むしろ大歓迎だな。可愛いよ、美琴…」ナデナデ

美琴「………///」

上条(くぅーー!! その顔は反則だろォォ!! イカン! 上条さんの理性が……)

美琴「///」ゴロゴロ
349 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:09:31.81 ID:BGCOaPg0

上条(マ、マズイ。マジでマズイ。おいおい待てよ、相手はまだ中学生だぞ? いくらなんでも付き合っていきなり事に及ぶのは
   その……上条さんのモラルに反するワケで……)


美琴「……いいよ」


上条「へ…?」

美琴「私は……アンタとなら……怖くない…から…」モジモジ

上条「!?」(なぬィーーーー!!??)

美琴「………///」

上条(おいおいおいおい、いいのかよ? これって断っちまう方が逆に失礼なんだよな? 確か『女に恥を〜』ってヤツだろ? 
   イヤでも………嗚呼ぁぁ、俺はどうすれば正解で、どうすれば間違いなんだーっ!? 誰かこの未経験者(ドー・テー)に
   教えてくれぇぇ!!)

美琴「……私のこと、好き?」

上条「――え?」

美琴「……私は、大好き。アンタが…当麻が、誰よりもいちばん好き! ……だから――」

上条「………」

美琴「―――アンタと、ひとつになりたい」

上条「美琴…」


上条(………そうだよ、俺は何を迷う必要があったんだ。美琴にここまで言われなきゃ分からねえなんて、とんだ間抜け野郎じゃねえか……。
   俺が美琴の想いに答えたんじゃない。俺が美琴を好きになったんだ! ……なら、俺が選ぶ道なんて最初っからひとつしかねえだろ!)
350 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:11:06.91 ID:BGCOaPg0

上条「俺も、好きだよ……お前以外に目が行くことなんて有り得ない」

美琴「……嬉しい」ニコッ

上条「俺の女は、お前だけだ」

美琴「じゃあ………」

上条「あぁ、今……証明してやるよ」




※上条さん視点に一時切り替わります


美琴が見上げてきた。この上目遣いで俺の鼓動はさらに波打つ。
俺も顔を下ろして、彼女の顔をまじまじと見つめた。ヤロウ、耳まで真っ赤にしやがって……きっと相当勇気出したんだろうな。

これに答えないヤツを、俺は男と思わない。
コイツが可愛くて、愛しくて……どうしようもない気持ちになってきた。
今まで色んなラッキーハプニングを味わってきたけど、こんな気分になったのは勿論初めてである。
もう……無理だ。
自分の中にもあった男としての欲望が……今、完全にコイツを求めている。

俺は、ゆっくり顔を近づけた。

美琴は……俺の方を見上げたまま、そっと瞼を閉じた。
351 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:12:21.66 ID:BGCOaPg0

心の準備が、決まったようだな……。



ドクン……ドクン……



……いよいよ上条さんも一人前の男になる時がやって来たか……。緊張し過ぎのせいか、心臓の音がうるさく聞こえる。

もう、後には引けねぇ……ってか引かねぇ。

土御門、青ピ……悪いが上条さんはひと足先に大人の階段を昇らせてもらうぜ。恨むのは俺だけにしてくれよな……。

上条当麻………いざ、参るっ!!!


唇が、重なr




――ピンポーン♪



「!!!!!」




今ほど……今この時ほど呼び鈴が恨めしいと思った事はなかった……。





――上条部屋の外



垣根「ん…? 呼び鈴押した瞬間に伝わって来たこの様々な殺気は何だ……?」ブルッ
352 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/30(月) 20:13:51.62 ID:BGCOaPg0
今日はここまで!
続きはまた明日投下します。
353 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 20:32:39.06 ID:m2H/tF6o
かァァァァァァァきィィねェくゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
354 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 20:58:32.06 ID:l/HFAkAO
おィィィィィィ!? 俺の股間どォしてくれンだよォォォ! かァァァァァァァきねくゥゥゥゥゥゥン!!!!
355 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/30(月) 21:53:20.84 ID:O73k..Q0
かァァァァァァァきィねくゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!てめえええェェェェェ!
356 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 00:13:21.20 ID:wsKQYbQo
垣根ェ……
357 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/08/31(火) 00:28:57.36 ID:xCgeBY.o
どォすンだよォ!?!?!この脱いじまったズボンをよォ!?!?
358 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 00:39:48.23 ID:d25dqKU0
ナニしてくれてるンですかァァああああああああ!!!???
359 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 00:52:09.41 ID:RXMUp5Eo
これはマジでワロタww
360 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 01:16:57.15 ID:D1skoxYo
一方さん大量発生wwww
361 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 08:10:08.06 ID:VOop0zc0
上条さァン煩悩を抑えるには……鮭の産卵を思い出せばァいいらしいですよォ
362 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:12:34.97 ID:2TfWY1s0
こんばんは。
垣根くゥゥゥンの敵がだいぶ増えたところで、今日の分を投下します。
あと、三回くらい? もう少しだ。頑張れ自分! それでは行きます。
363 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:15:03.37 ID:2TfWY1s0

―――



上条「…………」

美琴「…………」




こういうシチュエーションでは、少しでも邪魔が入ると二人の世界はいとも簡単に現実へ引き戻してしまうものである。
要するに我に返るという意味だ。




上条「……誰だろうな?」

美琴「さ、さあ? 出てくれば?」

上条「おう…」


上条(まさかインデックスか…? くぅぅ、こんな一番良い時に帰って来ちまうなんて……不幸だな)パタタタ



――ガチャ
364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:17:59.82 ID:2TfWY1s0

ドアの前にいたのは、やはり何食わぬ顔で立っている垣根だった。




垣根「よぉ、来てやったぜ」

上条「ってお前かよ!」

垣根「うわ、いきなりひでえ言い種だな……ってかお前、なんで電話返して来ねーんだよ?」

上条「は? 電話…?」

垣根「いや、昼に電話しただろぉが」

上条「えぇ? ケータイ……って、あれ? ない…」ゴソゴソ


美琴「ちょろっとー。アンタのケータイ、ベッドに置きっ放しになってたんだけど?」

上条「……もしかして、出かける前からすでに忘れてたってオチか……」

垣根「んだよ……まぁ、んなこったろうとは思ったがな……って、御坂も来てたんか?」

美琴「なんだ、誰かと思ったら垣根さんかぁ……ハァ」

垣根「何なんだその顔見た瞬間に漏れたあからさまな溜息は?」

美琴「べっつに〜、ただ空気が読めてないどこかのチャラチャラしたおにーさんにほんのちょこーっと呆れただけよこの大馬鹿っ!!」

垣根「……へ? いや何で俺がキレられてんの?」
365 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:19:29.69 ID:2TfWY1s0

上条「すまんが垣根、今回は俺も美琴派だ。そしてできればこのまま何も聞かずに一発だけ殴られて欲しい。切に」グッ

垣根「あれ? ひょっとして二人とも怒ってらっしゃる? ………ん? あぁ、そういう事か。お前ら付き合ったんだな。おめでとう」

上条「――っ!?」

美琴「うっ、さすが私の上に立つだけあって頭の回転が無駄に速い……」

垣根「はっはっは、俺の新★脳味噌は伊達じゃないってね♪」キラーン


「「ってね♪ じゃなーいっ!!」」ブォン


垣根「―――ビブルチ!!?」Crash☆



二人が付き合って初めての共同作業は、招かれざる来客に放たれたダブルパンチだった……。




―――



上条部屋



上条「――んで、結局お前は何の用で来たんだよ?」ムスー
366 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:21:48.76 ID:2TfWY1s0

結局部屋へと上げたのだった……。




美琴「つまんない用だったらただじゃ済まさないわよ?」ビリ…

垣根「そう膨れるな電気を散らすな帰れオーラを無言で出すな。良い雰囲気だったトコ邪魔したのは謝っからさ。実はちょっと
   相談っつーか……聞いて欲しい事があって来たんだよ」

上条「聞いて欲しい事?」

垣根「そ、一方通行の事なんだが……」

美琴「一方通行? アイツと何かあったの?」

上条「また喧嘩したとかだったら張っ倒すぞ」

垣根「いや、ちょっと……な」チラッ

美琴「何よ? 私が居たら邪魔だとでも言いたげなその視線は?」

垣根「……う〜ん………ま、いっか」

美琴「」イラッ

上条「美琴、気持ちは分かるが部屋での能力使用は固く禁じます」

垣根「ホントは上条だけの方が良いのかもしんねえが、まぁこの際だ。お前もついでに聞いてくれ」

美琴「誰がついでだゴルァァ!!!」ビリリッ

上条「わわわ、早く話せ垣根!! 上条さん家の電化製品が全滅する前にぃぃぃ!!」
367 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:25:38.75 ID:2TfWY1s0

垣根「お……おう、じゃあ率直に訊くぞ? 上条、お前はアイツの……一方通行の闇をぶっ壊せるか?」

上条「は……?」

美琴「……どういう意味?」

垣根「実は昨日……アイツの本音っつうのを聞いちまったんだよ。いや、それより"見た"って言う方が正しいかな…」

上条「……何があったんだよ? 内容によっては力になるぜ」

垣根「あぁ、それがさ―――」




昨日の出来事について垣根は語った。美琴がいたのは予想外だったが、ここで何も言わずに帰るという選択肢など、無駄足嫌いの
垣根には最初から頭に入っていない。




垣根「―――って訳だ。」

上条「………そうか、アイツ……まだ気にしてたんだな。『妹達』の件……」

美琴「……………」




流石に『当事者』と『凍結させた本人』の顔は複雑そうだった……。
368 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:28:17.36 ID:2TfWY1s0

室内は若干重苦しい空気に包まれていた。




垣根「最後のアイツは……正直言って見てられなかった。もしかしたら『禁句(タブー)』だったのかももしれねぇな…」

上条「……美琴、どう思う?」

美琴「………私は」

上条「…………」

垣根「…………」

美琴「むしろそれが当たり前だと思う……。悪いけど…」

垣根「ま、お前の立場からすりゃあそうだよな……」

上条「でもお前、アイツの事は許したんじゃ…」

美琴「勘違いしないで。私は一言も『許す』なんて言ってないわ……。『恨んでない』とは言ったけどね」

上条「えっ…?」

美琴「アイツが『妹達』を助けた事は知ってる。アイツの中で何かが変わったのもね……。けど、アイツのした事を許す許さないってのは
   全く別の話よ」

垣根「……どういう意味だ? 結局同じなんじゃ…」

美琴「うーん……微妙に違うのよね。もう憎い気持ちとかは無いけど、だからってアイツがやった事を許すつもりはない。これは多分……
   打ち止めもそうなんじゃないかしら…」
369 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:33:12.63 ID:2TfWY1s0

上条「恨みとかはないけど罪は許さないってことか?」

美琴「そう、アイツのしてきた事を許すってことは、あの実験を『認める』って事になる気がするの……。それじゃあ
   今まで犠牲になってきた妹達はいったい何なの? ってなるでしょ……」

上条「…………」

美琴「だから、アイツが罪について苦しむのは当然のことよ。私はあの時の気持ちを一生忘れられない……。逆にもし
  『忘れた』とか言われたら、能力使われる前にチョーカー引きちぎってボコボコにしてるでしょうね」

垣根「………やっぱ、許せねえか?」

美琴「『アイツのした事』はね。けど『今』のアイツはもう友達みたいなモンだし、いつまでもウジウジしていて欲し
   くはないかな」

上条「美琴……」

美琴「罪を背中に背負って生きるのは当たり前。けど、苦しんで終わりってのは望んでない。それでも前向きに生きて
   いってもらうのが、アイツに出来る『償い』だと私は思うけど?」

垣根「アイツからしてみれば相当辛いだろうぜ……けど、それは俺も同意だな。いつまでも過去にとらわれてクヨクヨ
   してるヤツは見てて虫唾が走る」

美琴「つっても、一方通行の性格考えると厳しいでしょうね……。いつも何か抱えてるように見えるから」

垣根「俺、アイツとは立場が一緒って思ってたんだがな……背負ってるモンとか、境遇とか……思った以上に深かった
   みてぇだ。俺は……結局アイツに何も言ってやれなかった……」

上条「…………」

美琴「……垣根さんは、直接『実験』に関わった訳じゃないんだし、気にしなくて良いと思う……」
370 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:39:07.93 ID:2TfWY1s0

垣根「アイツ(お前らもだが…)にはデカイ借りがあるからな。何とかしてアイツの『闇』を少しでも取り除いてやりてぇん
   だよ。あの馬鹿は自分に幸せはいらねぇとかほざいてやがる……。けどそんなのオカシイだろ? あの野郎がどんだけ
   の『悪党』だっつっても、幸せになることに理由が必要なんて馬鹿げた話だと思わねえか?」

上条「…………」

垣根「このまんまってのは、俺ん中でも何か後味悪くてよ……けど残念ながら、俺にはどうしたら良いのか分からねぇ。
   だから上条、多分お前だったら何とかできるんじゃねぇか、って思ったんだ。アイツの闇(幻想)、何とかぶっ壊して
   やって欲しい……」

上条「まぁ……話は分かったけど……何でそこまで……上条さんはただの学生さんですよ? そりゃアイツとは友達だけどさ…」

垣根「一方通行も、なんだかんだでお前の言うことなら聞くしな。それにアイツは言ってたぜ? 『アイツは俺ン中じゃ手を
   いくら伸ばしても届かねェヒーローみてェな存在(モン)なンだ』って……」

美琴「ヒーローか……そこは同意ね」

上条「いやいや、俺はそんな大それたモンなんかじゃねーって……」

垣根「……何とか、してやれないか?」

上条「………別に、アイツの幻想なんてブチ壊す必要はないと思うぜ?」

垣根「?」

上条「上手く言えねえけどさ、それはアイツがこれから生きていく上で『答え』を見つけなきゃならない問題だと思うんだ。
   だから今すぐにどうこうするってのは、正直間違いな気がする」

垣根「………」

上条「何年かかってでも、一方通行自身で導き出した『答え』じゃないと意味がない気がするんだ……」
371 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:41:29.42 ID:2TfWY1s0

美琴「誰かが介入する問題じゃないって訳ね……」

上条「まぁ、そういうことだな。俺はアイツが道を外れそうになったら殴ってでも連れ戻してやるつもりだし、もしアイツが助けを
   求めてきたら勿論助けに行く。けど、この場合はそれじゃダメなんだよ」

垣根「そうかもしれねぇ……けど、妹の事はどうすんだよ? 一方通行が妹の気持ちに応えるのに何年も見守るってのは……それじゃ
   妹も可哀相だろ?」

上条「ははは、それなら任せろ。上条さんに考えがある」

美琴「アンタ……ここんトコやけに冴えてるけど、どうしちゃったの?」

上条「ん? ……そうだな、最近頭良くなった気がしなくも…………あ!」

垣根「どうした?」

上条「いや、何でも…」(多分、アレだ。一方通行と一緒に課題終わらせた時からだ……)

美琴「?」

垣根「……んで、どうする気?」

上条「要は一方通行が御坂妹の気持ちに応えてやれば良いんだろ?」

垣根「まぁ…そうだが……」

上条「じゃあ話は簡単だ。一方通行が御坂妹にこう言えば良いのさ」

垣根「?」
372 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:43:02.91 ID:2TfWY1s0

美琴「何て言わせるのよ?」

上条「あぁ、それはな―――」



―――



その頃、黄泉川家…




打ち止め「……お兄ちゃん遅いね。ってミサカはミサカは不安になってみたり…」

禁書「ホントに家出しちゃったのかな?」

一方通行「ンなワケねェだろォ。そォだとしたら、アイツの精神年齢いくつだっつの…」

打ち止め「アナタはお兄ちゃんを少しイジメすぎだよ! ってミサカはミサカはお説教してみたり!」

一方通行「あァ!? なンでそォなンだよ!? 手ェ下したのはオマエだろォが!」

打ち止め「仕向けたのはアナタじゃん! ってミサカはミサカは負けずに反論してみるっ!」
373 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:45:52.51 ID:2TfWY1s0

一方通行「大体、イイ年こいて家出するとか有り得ねェっつーの! 反抗期なガキじゃあるめェしよォ!」(←家出経験者)

打ち止め「アナタが言うな!! ってミサカはミサカは皆の気持ちを代弁して叫んでみる!」

一方通行「架空人物作ってンじゃねェ! 皆って誰だよ!?」



ギャーギャー ワーワー




禁書(あくせられーたが幼く見えるかも…)



打ち止め「子供相手に何ムキになってんの!? ってミサカはミサカは大人気ないアナタに幻滅してみたり!」

一方通行「オマエがくだらねェ事言うからじゃねェか! あとムキになってねェよ!」

打ち止め「なってんじゃん! 声荒げてるじゃん! 目が鋭くなってるじゃーんっ!!」

一方通行「だァァ!! じゃンじゃンうっせェンだよォ!! ただでさえムカつく口調のレパートリー増やしてンじゃねェェ!!」

打ち止め「ッ!? ムカつく口調って言った!? ってミサカはミサカは信じられないって顔をしてみたり…」

一方通行「あ……イヤ、待て。今のは言葉のアヤ――」(しまった……)
374 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:48:26.87 ID:2TfWY1s0

打ち止め「アクセラレータの馬鹿ぁぁーーー!!! ってミサカはミサカは強制解除っっ!!」

一方通行「だからまhdwkdjloksmpwp;kdmぇ@dweoiぺdjnowndnぇsiqps,;:ンjn,d〜〜〜〜」ドサッ


禁書「ッッ!? あくせられーたが糸の切れた人形みたいに崩れちゃった!」


打ち止め「アナタが悪いんだからね? ミサカを怒らせたらどういう事になるか忘れちゃったんなら思い出させてあげる!
     ってミサカはミサカは『お仕置きモード』発動♪」


禁書「あ……らすとおーだーの顔に悪魔が見える………修道女の私にとってこれは天敵かも」


打ち止め「ムフフフフ〜♪ さぁ観念してね。ってミサカはミサカは早速実行に移ってみる――!」

一方通行「dmend:a]:x/]:w..x.//s:s;kdnfhjekhryuryu8〜〜〜〜〜」




※刺激が強すぎますので省かせて頂きます




打ち止め「ふ〜、スッキリした。どう? 少しは反省した? ってミサカはミサカは確認を取ってみる」


一方通行「」


禁書「ワタシハナニモミテマセン ワタシハナニモミテマセン ワタシハナニモミテマセン…」ブツブツ
375 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:51:25.57 ID:2TfWY1s0

打ち止め「あれ? 演算補助再開したのに……ってミサカはミサカは首を傾げてみたり……おーい、聞こえてるー?」

一方通行「アァ、キコエテル」

禁書「あくせられーた……目が現実を見てないよ。しかも口調がロボットみたいだよ……」

一方通行「ゴメンナサイ。ハンセイシマシタ。ダカラモウ『ソレ』ダケハシナイデクダサイ」

打ち止め「アナタのご主人さまは誰?」

一方通行「ラストオーダーサマデス」

打ち止め「わーい♪ ってミサカはミサカはまさかの下克上に歓喜してみたりー! 今日からアナタはミサカの下僕決定ー♪」ピョンピョン

一方通行「カシコマ――って、だァァれが下僕だァゴルァァァ!!」グリグリ

禁書「あ、帰ってきた」

打ち止め「――ぎゃあーっ!! ってミサカはミサカは予想外の反撃になすがままだったりー!! イタイイタイ!! た、助けてー!」

一方通行「オマエ『ソレ』二度とやンなっつったよなァ? なァ? 言ったよなァ? オイ?」グーリ グーリ

打ち止め「じ、時間差で低速グリグリはヤメテ!? すっごく痛い! 地味な痛みがスローテンポでやって来る!」ジタバタ

禁書(この光景、クレヨン○んちゃんで見たかも……)

一方通行「さァてェ、約束を破った悪い子ちゃンにはお仕置きしてあげないとなァァ」ニタァ

禁書(うわっ、悪そうな顔……凶悪犯罪者とヒケを取ってない…)
376 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:53:46.53 ID:2TfWY1s0

打ち止め「うわ〜ん! ごめんなさ〜い! もう許してよぉ〜」

一方通行「ダァァァメェェ! もォ二度と逆らおうなンて思わない様、俺の恐怖を身体にたっぷりと覚えさせてやンよォ」グリグリ

打ち止め「ひいいい! ってミサカはミサカは本気で身の危険を探知してみたり〜!」



――Pipipipipi♪



一方通行「あン?……誰だよクソが……」パカッ


「……三下かよ………」ピッ


「おォ、何の用だ三下ァ。つまンねェ用事だったら………何? オイ、今何つった!?」バタン




電話に出たと思ったら血相を変えて部屋から飛び出して行ってしまった一方通行に、打ち止めは安堵の息を吐く。




打ち止め「ふーっ、何か知らないけど助かった……ってミサカはミサカは命拾いしたり」

禁書「電話の相手、とうまっぽかったね……」(短髪と一緒じゃないのかな……?)
377 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:55:24.29 ID:2TfWY1s0

打ち止め「そうみたい……どうしたんだろ? ってミサカはミサカは気になってみたり」



――ぐぎゅるるるるる……



打ち止め「な、何今の音っ!?」

禁書「私の腹の虫はもう限界突破寸前かもぉ……」


オーイ メシデキタジャンヨー


禁書「――はーいっ♪」ギュン

打ち止め「……縮地!?」



―――



――上条宅



上条「――これでよし、んじゃ俺も行きますかっと…」スクッ

美琴「……ホントに『それ』で大丈夫なのぉ? すっげー不安…」
378 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 21:57:20.15 ID:2TfWY1s0

上条「大丈夫かどうかは分かんねえよ。けど今よりはマシになるハズだし、アイツが前を向いていけるきっかけぐらいになら、
   なるかもしれねぇ」

垣根「………ある意味賭けみてぇなモンだな……けど何で一方通行が前向きになるきっかけなんだ?」

上条「…気づいてるか? 一方通行が御坂妹と喋る時……俯いたり目を逸らしたりするんだよ。多分無意識なんだろうけど……。
   せめて、その癖だけでも出なくなれば、少しはアイツも前向きになるんじゃねえかってさ……」

垣根「確かに、アイツの負担ってか…背負う十字架も少しぐらいは軽くなるかもしんねえな」

美琴「……っていうか鈍感なアンタが…よく気づいたわね?」

上条「はは、実はさっき垣根から聞いた話で思い出しただけなんだけどな」

垣根「それで、一方通行の事は……お前に任せていいんだな?」

上条「あぁ、任せろ! ……なんてデカイ口は叩けないけど、とりあえず言ってみるよ」

垣根「頼む…」

上条「おう、安心してくれて良いと思うぜ? アイツならきっと大丈夫な気がするんだ……なんとなくだけど」

垣根「はっ、さすが『マブダチ』ってかぁ? 何かよぉ……最近お前らがやたら羨ましく見えてくるわ。俺にも『親友』っての?
   少しだけだが欲しくなっちまったぜ」

上条「俺も一方通行も、お前の『ダチ』だ。少なくとも俺はそう思ってるぞ?」

垣根「なんか面と向かって言われっと、逆に返しづれぇな…」
379 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 22:00:24.00 ID:2TfWY1s0

上条「まぁ、本当に必要なのは『親友』とかって肩書きより、自分の良い部分や悪い部分をしっかり理解してくれて…
   互いに成長し合える様な人の存在だろ? 俺や一方通行じゃ不足か?」

垣根「ケッ……もぉ充分足りてるっつーの。あのタコには口が裂けても言ってやらねえがな」ニヤ

上条「ははは、じゃあそろそろ出るぞ? 美琴、今日はゴメンな…」

美琴「いいわよ! 別に今日じゃなきゃいけないってことでもないし、寮にはまた連絡すれば平気だから気にしないで」

上条「ありがとう。この埋め合わせは後日果たすぜ。垣根、悪いけど美琴を送ってやってくれないか?」

垣根「あぁ、わかった。なんか……俺のせいで悪いな二人とも」

美琴「だから気にしなくて良いってば。別にいつでも来れるんだし」

上条「そういうこった。お前が謝る必要なんて何処にもねえよ。………お、マジで時間ヤバイな……。じゃ、いい加減
   行くとしますか――」



――バタン




寮の入り口で二人と別れた上条は、一方通行が待つ『あの場所』へと向かった。
一方通行の抱えている闇を、上条は一体どうするつもりなのか……。
いずれにせよ、もうじき『答え』は出る―――。
380 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/08/31(火) 22:07:22.61 ID:2TfWY1s0
今日はここまでです。
続きはまた明日予定です。あと三回の投下でこの物語は完結します。
何とかここまで書けたのも、見てくれた心優しい皆様のおかげです。
最後は感動?になるかは分かりませんが、気を抜かずに頑張ります!
381 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 22:11:17.61 ID:gRSwtZ.o
全部読んできた
がんばってくれ
382 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/08/31(火) 22:41:52.82 ID:PClmuOE0
最後まで楽しみにしてるぜ!!
383 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/31(火) 23:01:44.10 ID:GTFQTUA0
さびしいねえ
384 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 04:57:17.48 ID:AV8FiMA0
まぁ一方通行があんなふうになったのはお前らのせいだけどな
385 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/01(水) 15:30:06.95 ID:1oogE/E0
386 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:04:33.09 ID:mb0LH8I0
こんばんは。では今日の分投下します。
>>381-383 thx
>>384
自分で変えといて上条さんも鬼っすよね。
今回はさらに鬼ですww
387 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:06:23.21 ID:mb0LH8I0

―――



「………」カツン カツン




ここは、西の郊外にある列車操作場。そう……一方通行が約半年前に最後の実験を行った場所であり、上条当麻と
最初に出会った因縁の深い場所でもある。




「……チッ、何処にいンだァ? 三下のヤロォ………」




線路の上を歩きながらそう呟く一方通行。辺りに呼び出した本人の姿は見えない……。




「…………!」




更にしばらく進んだ後、前方からコチラに向かって歩いてくる人影を確認した。

………上条当麻だ。
388 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:09:35.04 ID:mb0LH8I0

上条は、まるで学校帰りのようないつもと変わらない足取りで一方通行の側までやって来た。




上条「――よう、悪かったな。急に呼び出して」

一方通行「どォいうつもりだよ三下ァ。『妹が危ねェ』って切羽詰まった声出してたワリにはずいぶンと
     涼しげな表情じゃねェか?」

上条「あ〜、悪い。あれ嘘」

一方通行「ふゥン………で、遺言は?」スッ

上条「ストップストップ! まずは聞いてくれ!」




スイッチに手を近づけた一方通行に慌てて対応する上条。




上条「あぁでも言った方が早く来てくれると思ってさ……悪かったよ。ってか、懐かしいな。この場所に
   お前と居ると思い出すよ……」

一方通行「……ふン」

上条「あれからもう半年も経ったんだよなぁ……。あん時のお前、相当恐ろしかったぜ」フフッ




いつもの軽い調子で喋る上条だが、一方通行は付き合う気になれなかった……。場所を考えればそれも当然
かもしれない。
389 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:11:54.76 ID:mb0LH8I0

一方通行「っつーかよォ、……なンで『ここ』なンだ? まさか、これから思い出巡りでもしよォとか言う気
     じゃねェだろォなァ…」

上条「……直に分かるよ。あと、御坂妹がもうすぐここに来るのは本当だ」

一方通行「………オマエ俺に何させる気だァ?」

上条「単刀直入に言う。……御坂妹の気持ちに応えてやれよ。イエスでもノーでも、ハッキリさせておくべきだ」




真剣な表情へとシフトした上条が意図を告げることで、一方通行は眉を顰めた。
この少年は、少なくとも御坂妹の心変わりを知らない筈だ……。




一方通行「……………垣根か」




そこに行き着くのは彼にとって容易な事だった…。




一方通行(あのメルヘン野郎……余計な真似しやがって。よりによって一番知られたくねェコイツに……)ギリッ…


上条「おっと、垣根を責めるのはやめろよ? アイツはお前のことをすげえ心配してたんだからな。良い
   ルームメイトじゃねえか」
390 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:19:04.15 ID:mb0LH8I0

一方通行「ケッ……知ったこっちゃねェよ。ンでェ、ナニ? 俺がソイツに大人しく乗るとか思っちゃってる
     訳ですかァ?」

上条「あぁ」コクリ

一方通行「……オマエ、俺を誰だと思ってンだ? 垣根の成功で図にでも乗り出したかァ? 生憎だがよォ、
     コイツは俺の問題だ。いくらオマエでもこれ以上の詮索は許さねェ」

上条「そうだな、確かにお前の問題だ。どんな答えを出そうとお前の勝手だ。だがお前は悩んでる……答えを
   決めかねている。…そういう時に誰かから背中押されるなり助言もらうなりすれば、少しは楽になるん
   じゃねえのか?」

一方通行「楽になろォとか思ってねェし、俺は誰かさンと違って『余計な世話』ってヤツが嫌いなンだよォ」

上条「バーカ、友達ってのはその『余計な世話』をするためにいるんじゃねえか。…相手は良くて自分だけが
   イヤだなんて不公平だろ?」

一方通行「…………」

上条「『一方通行』だからなんて言うなよ? そんなシャレで誤魔化そうったって無駄だからな?」

一方通行「あっそォ……悪りィがなァ、今はオマエの説教聞く気分じゃねェンだ。ンな話なら帰ンぜ?」

上条「昨日のこと、覚えてるか?」

一方通行「あァ?」

上条「『守りたい者のために身を引くなんて考えは臆病者の選ぶ道だ』」

一方通行「!?」
391 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:21:16.80 ID:mb0LH8I0

上条「『いい加減自分の幸せを掴んだって良いんじゃねえのか?』」

一方通行「………!!」

上条「分かるか? 全部お前が俺に言ったことだ」

一方通行「オマエ……何が言いてェンだ?」

上条「なーに簡単だよ。今の言葉、お前にも返すっつってんだ」

一方通行「チッ……付き合ってらンねェ」クルリ




背を向けて引き返し始めた一方通行に、上条の声が刺さる。




上条「逃げるなよ、一方通行」


一方通行「――あァ?」クルッ




ありったけの苛立ちを込めた目で、上条に振り返る……。その目は、『これ以上余計な事はするな』と警告
している様にも見えたが、上条はそれでも臆さない。
392 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:26:20.47 ID:mb0LH8I0

上条「お前が御坂妹に後ろめたさを感じているのも充分わかってるつもりだ。けど、お前はこれからも
   アイツに背を向けて生きていくつもりなのか? 『アイツは俺なんかに妙な気を持っちゃいけねぇ』
   なんて体の良い理由付けて、アイツから逃げたままこの先を生きていくつもりなのかって聞いてんだよ」


一方通行「うっせェよ……俺がどンな生き方しよォがどンな道進もォが、俺の勝手だろォが。オマエだ
     ってそォ言ったろォがよ?」


上条「あぁそうだな。けど、お前が道から外れようとしてるのを俺が黙って見てるようなヤツじゃない
   ってことも知ってんだろ?」


一方通行「そもそも俺は逃げるつもりはねェ。ただ、アイツに俺は相応しくねェって思ってるだけだ」


上条「何で相応しくないんだ?」


一方通行「ンなの……分かンだろォ? 俺はアイツの姉妹みてェな存在だったヤツらを一万人以上ブチ
     殺してきた男だぜ? 誰がスキ好ンでそンなヤツと一緒に居てェって思うンだ? アイツには
     他にマシなのがそこら辺にゴロゴロしてンだろォ? 少なくとも、俺以下なヤツはいねェハズだ。
     『よりによって』ってのはまさにこの事なンだよォ」


上条「それじゃ理由になってねえよ。いちばん肝心な、お前の気持ちが抜けてんじゃねえか」


一方通行「俺の気持ちィ? ……ハッ、オマエ頭平気かよ? 気持ちってのはつまり『個人的私情』って
     ヤツだよなァ? そンなモン割り込ませてオーケーな話じゃねェだろォ!? 俺の気持ちがどォ
     転ンだって、してきた過去が変わるハズはねェ! 都合よくリセット出来る訳もねェ! 結局俺
     がどォ思おォが、どンな感情抱こォが、アイツを残虐非道に殺そォとした事実だけは決して消え
     やしねェンだよォ!!」
393 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:29:34.59 ID:mb0LH8I0

上条「…………」

一方通行「オマエ、『充分わかってる』とかほざいたよなァ? 全然!! 全っっ然わかってねェよ!!
     俺が何度悪夢に魘されたか分かンのかァ!? 俺が妹と顔合わせる度に何度逃げ出したくなった
     かオマエには分かるってのかよォォ!!?」




夜の工業地帯に、第一位の抱えた闇が姿を現し始めた………。しかし、上条は全く動じていない。
ただ、隠し続けた心中を吐露する『友』の姿を、熱く見つめるだけだった……。
そして、上条はそんな彼の闇を否定するかの如く声を発した。まるで、心を鬼にしたような表情で……。




上条「いつまでも甘ったれてんじゃねえよ。馬鹿野郎が」


一方通行「――ッ!!!」


上条「悪夢? 逃げ出す? ……何だよそれ? テメェは自分のケツも自分で拭けねえ様な甘ちゃん
   だったのか?」


一方通行「………!!」


上条「全部お前がしてきた事だろ? 耐える覚悟もねえんなら、始めっからやんなきゃ良かっただけ
   の話じゃねえか」


一方通行「そンなの今さら言っても……もォ手遅れなンだよォ!」
394 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:34:11.28 ID:mb0LH8I0

上条「手遅れって何だよ? それはお前ひとりが決める事じゃねえだろ。自分勝手なのも大概にしとけよ?」

一方通行「オマエ……ナニ? さっきから何なの? 死にてェの? 今のはさすがにシャレとして聞き流すって
     ワケにはいかねェよなァ」ギラッ

上条「…………」




殺意を込めた目で睨んでくる一方通行……。彼の表情はすでに少し錯乱しているようだった。




上条(二人には余計な心配させると思ったから敢えて言わなかったが、やっぱりこうなっちまうよな………
   けどまぁ、仕方ねぇか…)


(フッ……なんか、コイツにこんな目ぇ向けられんのも久しぶりだよな……でも――)


(―――もう後には、引けねえ……ッ!!)グッ



上条「あぁ、じゃあハッキリ言ってやる。お前は罪の意識を理由に逃げようとしてるだけなんだよ! 自分が
   許せないんだか何だか知らねえが、御坂妹の気持ちから目を背けてんじゃねえよ! お前の決めた答えに
   とやかく言いたくはねーがな、逃げるってのはちょっとカッコ悪すぎんじゃねえのか!? お前に少しでも
   償いたい気持ちがあるんなら、逃げようとしないで真っ直ぐ妹と向き合ってやれよ!」


一方通行「………ッッ!!!」
395 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:36:33.15 ID:mb0LH8I0

「一方通行……お前がこれから重い十字架を背負って生きていくことを、俺は否定しない」


「お前の宿命を、とやかく言うつもりもない………それはお前自身で答えを見つけないと意味がねえんだからな」


「俺は……お前の『信念』を殺すような事は、しない。…………だがな」


「お前が、それを理由にして逃げるってんなら………話は別だ。これからもそうやって逃げ続けるって言うのなら、
 悪いが今すぐブチ殺してやるよ……」




「お前のその―――甘ったれた幻想(闇)を!!!!!」グッ




強い意志と共に、右拳を力強く握る上条……。

一方通行は上条から強く発せられた言葉を聞いた途端、突如豹変する。





『闇』が……ついに姿を現した。





「…………ひヒっ」
396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:39:22.62 ID:mb0LH8I0

上条「……!」


「ひはっ、きひひっ――」ユラァ


上条「………!?」




「―――あはハハハひゃハきハはははきひひひはははカハハハはヒャははハははははははァァァッッ!!!!!」




ゴォォォォ!!!!!




背中から瞬く間に出現する漆黒の翼……。辺りの空間が、とてもこの世のものとは思えないほど、深い『闇』に
包まれていく……。




上条「…………」




完全に曝け出された『一方通行の全て』を、上条はじっと見据えた。
397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:42:48.90 ID:mb0LH8I0

〜〜〜〜〜




垣根「――けどよ、上条…」

上条「ん? 何だ?」

垣根「アイツのことだ……きっと簡単には行かないと思うぜ?」

上条「だろうな……分かってる」

垣根「どうする気だよ…?」

上条「お前の話が本当なら、アイツがどうするのかは見当がつく。もし実際にそうなっちまった時は――」


「―――お前がさっき言ったように、アイツの闇を俺がブチ壊す」


垣根「………本当は…そうならねえのが、一番だよな…」

上条「まぁな、けど……アイツが間違った道を進んでいくのを黙ってる訳にもいかねえよ。そのために俺(友達)
   がいるんだからな」

美琴「……無茶だけは、しないでよ?」

上条「心配するな、美琴……。一方通行は大事な『友達』だ。想いが届かない訳ねえよ。それに……」




「『友達』って言うのは、ぶつかればぶつかった分……『絆』は深まっていくモンなんだからさ―――」



〜〜〜〜〜
398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:46:48.79 ID:mb0LH8I0

〜〜〜〜〜




「―――ぎゃははははははははひはははははきひははははははははははははははっっっ!!!!!」ゴォォォオ




狂い、笑う……。そんな彼(友)の変わり果てた姿から上条は目を背けなかった。




(実験の時ともロシアの時とも違う……)


(これが、アイツの今まで抱えていた……誰も見たことのない『闇』……)


(アイツの中では、まだ終わっていない過去……)


(いいぜ……お前がその『闇』に篭もったまま、この先も偽りの仮面を被り続けるって言うのなら――)




(―――俺がお前を、闇から引きずり出してやるよ!!! 友達としてな!!!)カッ




目に……魂を燈した。
399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:49:03.70 ID:mb0LH8I0

変貌した一方通行へ向かって勇ましく立ちはだかる上条……。


固く握りしめた右拳を、ぶつけるために。


闇に落ちた友を、正しい道へと戻すために。


最初に激しくぶつかり合った、この場所で……。




ヒーローと悪党は今まさに、三度目に渡る決戦の時を迎えようとしていた―――。
400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/01(水) 19:51:55.06 ID:mb0LH8I0
今日はここまでです。
すいません。あと三回って言いましたが、もう一回分追加します。
纏めの計算ミスりました……orz
続きはまた明日予定です。
401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 21:04:44.49 ID:8fPJFfYo
燃えて来た

この情熱を伝えられないのが残念だ
402 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 22:22:26.78 ID:heRI8sA0
やばい
これは燃える
403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/01(水) 22:59:42.56 ID:ZRQgMjAo
おつ
404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:13:34.76 ID:kgZc/.o0
こんばんは。
では、今日も続き投下します。
405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:14:59.50 ID:kgZc/.o0

――常盤台女子寮前




美琴「あ……もうここで良いわよ?」

垣根「そうか。んじゃ、またな」




上条と別れ、世間話を交えながら常盤台中の学生寮前までやって来た二人。
垣根は挨拶もそこそこに背を向けたが、美琴はそんな彼の背中に声を掛ける。




美琴「……ねえ!」


垣根「ん…?」クルッ




振り返る垣根に、美琴は何やら複雑そうな表情で問いかけた。




美琴「アイツの『闇』って……何なんだろ…?」
406 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:17:01.61 ID:kgZc/.o0

垣根「…………」


美琴「私もアンタも、超能力者ってだけで……周りからは特別な目で見られるのはよく知ってる……きっと一方通行も……
   それは分かるの! でも………」

垣根「理解……できねえか?」

美琴「……一方通行が抱えてるモノって、『妹達』の件だけじゃないのよね……?」

垣根「まあ……そうだな」

美琴「分からない……。私……私だって同じ超能力者なのに、何も知らない……。『闇』っていうのが、そもそも理解
   できない……」

垣根「ある意味……お前は超能力者の中では一番恵まれてるってだけだ。あんな『世界』になんか来ねえ方が良いに決
   まってる。お前は知らなくて良い事なんだよ。……その方が幸せだ」

美琴「けど……」

垣根「俺もアイツほどじゃねえが、『闇の世界』については知ってるつもりだ。少なくとも帰る気にすらなれねえクソ
   みてぇな世界だよ。……だから、お前は知ったらいけねぇ。知らないで生きていけるんなら、それに越したこと
   はねえんだ……」

美琴「…………」

垣根「愛しのダーリンが心配か?」

美琴「…………」コクリ

垣根「信じてやれ。『アイツなら大丈夫』ってな」

美琴「それもあるけど……」
407 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:19:09.35 ID:kgZc/.o0

垣根「ん?」

美琴「一方通行も、今は『友達』みたいなモンだし……心配よ。当麻なら何とかしてくれるだろうけど、やっぱり……」

垣根「………はは、アイツもモテ男になったモンだ」

美琴「そういうんじゃないの! ただ、私も『頂点』に立ちたいって思ったことがない訳じゃないし………実際そこに
   立ってるアイツは、一体どんな気持ちなんだろって……」

垣根「…………」

美琴「……ごめん、変な事で止めちゃって………もう行くね。送ってくれてありがと!」

垣根「あぁ……気にすんな」

美琴「アンタも寄り道しないで帰んのよー? でないと初春さんにあること無いこと言いふらしちゃうんだから♪」

垣根「なっ!? テメェ! 何て恐ろしいことを!?」

美琴「あはは♪ じゃあねー!」タッタッタ




無理矢理明るい(?)雰囲気を作って寮へと入っていった美琴……。
垣根は最後の最後で肩透かしを喰らったような感覚に陥った。




垣根「………ったく、お嬢様ってのは相手にしづらいぜ……飾利の友達ってんだから特に…」



こりゃあ迂闊に弱みでも握られたりしたら最高に面倒臭ぇな…と呟いて、垣根はその場を後にした―――。
408 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:20:53.48 ID:kgZc/.o0

――寮内



美琴「〜〜♪」




スキップでもしそうな足取りで自室へと向かう美琴………初恋が実ったのだから無理もない事だ。
心配ではあるが、それよりも信頼が勝っている。アイツらならきっと大丈夫。美琴はそう結論付けた。
機嫌も良いし、今日は黒子にサービスしてやってもいいかなぁ、とか思いながら歩いている途中、後輩の
寮生達が全員慌てふためいた顔で美琴の下へと走り寄ってきた。




寮生1「みみみみ、御坂様〜〜!!」パタパタ

寮生2「御坂様が帰って来ましたわ!!」パタパタ

寮生3「お待ちしておりました〜!!」パタパタ


美琴「ん?……アンタ達どうしたの? そんな血相変えて…」


寮生1「ししし、白井さんがぁぁ…」

寮生2「大変なんです!」


美琴「!?………………あー…」




彼女達の説明が終わる前に美琴は自室へズカズカと歩を進めた。もう話を聞くまでもなく、おおよその見当
が付いてしまったからだ。

後輩へのサービスは、いつもよりほんのちょこっとだけ電圧を上げてやる事でカタをつけてやった―――。
409 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:23:17.30 ID:kgZc/.o0

――西の工業地帯・電車操作場




再三対峙する上条当麻(最弱)と一方通行(最強)……。


一方通行は理性を飛ばした表情で上条を、上条は逆に魂を宿した表情で一方通行を見据えていた……。




上条「………」グッ


一方通行「ォォォォォ……」




地獄から聞こえてきそうな低い声で唸る一方通行に対し、上条は拳に最大の力を込めて………踏み出した。


先に動いたのは、上条だった―――。




上条「おォォォおおおおおおおおおおッッッ!!!」ダッ




咆哮と共に、一直線に突撃する。だが……すでに一方通行も迎撃の体勢に入っていた。
410 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:25:36.32 ID:kgZc/.o0

一方通行「ァァァああああああああああああああッッッ!!!」ブォォォ


上条「ッッ!!!?」




上条が間合いに入る前に、黒い翼が頭上から轟音と共に振り下ろされる……。




上条「―――んぎぃっ!!!」ブァッ




咄嗟に右手を空へと翳し、翼を受け止めた。右手が黒い物質に触れた途端、周囲に『黒』が散乱していく……
上条の右手を中心にして。




バシュウウウゥゥゥ……




上条の右手から半径十メートルの空間から、『黒』が消えた。上条の『幻想殺し』は一方通行の黒翼にも有効である。



「!!?」



しかし、一方通行は怯むことなく追撃を続ける。
411 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:31:42.24 ID:kgZc/.o0


一方通行「ォおおおお!!!」ブォン


上条「お……らぁぁッ!!」バァァン




横からもう片方の翼が迫ってくる。だが、今度は冷静に見極めた上条。そのまま真横に拳を振るい、翼を乱暴にぶん殴った。


直後、翼が弾け飛ぶと同時に旋風が巻き起こる―――。




一方通行「!?」


上条「…………ッッッ!!」




両翼の長さが左右非対称に変わる……が、すぐに背中から再生し、元の長さへと戻っていく。

やはり、いくら翼を捥いでも埒が明かなそうだ……。


何とか懐に飛び込まねば、目を醒まさせる前にコチラがやられる。

だが、もう自分の能力が知れてる以上……それはおそらく容易ではない。
412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:33:39.56 ID:kgZc/.o0

方法をじっくり考える間もなく、一方通行が次手に移る。




一方通行「うおあァァァァああああああああッッ!!!」




シャアァァァッッ!!




上条「――ッッッ!!??」




今度は無数の『黒い杭』が地面から生えてきた。伸びきった黒い杭は上条の半径約十メートルを
中心に続々と出現する。




上条「ちぃっ!!」バッ




頭を素早く回転させた上条は、迷わずしゃがんで右手を真下の地面につける。
それから三秒もしない内に下から凄まじい衝撃がやって来た。




上条「………ッ!!」
413 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:37:29.40 ID:kgZc/.o0

上条「ぐぉぉおお!!」シュウウウ…



右手一本で何とか衝撃には堪えた……。
しかし、休む暇もなく周りから生えた『黒い杭』が間髪入れずに上条へと降り注ぐ。
それらを転がりながらも回避しつつ、右手を振るい杭にぶつけて一つずつ消していく……。




上条「うっ!! ぐぅっ!!」バシュ バシュ




上下左右から次々と襲い掛かる杭を、決して華麗とは言えない動きながらも確実に捌いていく上条……。




上条「だぁぁああああああああああ!!!!!」バリィィン




やがて生えていた全ての杭を消した頃には、上条の息も相当上がっていた。




上条「ハァ、ハァ、ハァ……ッッ」


一方通行「……ひひっ…ひはははァ…」




一方通行はまだ怪しい笑みで上条を見ていた。
やはり、理性はどこかへ飛んでいるのだろう……。ならば、なおさら自分がここで止めなくてはならない。
414 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:39:38.04 ID:kgZc/.o0

が……しかし。




上条(クソッ……これじゃあ近づけねぇ…)




今も一方通行の背中には巨大な翼が広がっている……。付近のコンテナなどは戦闘の余波で吹き飛んでしまっていた。
確かに威力そのものは凄まじいが、上条の幻想殺しに威力の際限はない。よって、杭そのものの力ならいくら増幅されて
いようと防げる。威力の強さによって生じた二次災害までは防げないが、今までの戦歴で培われた身体能力や直感、予測
などを駆使し、何とかここまでは凌げていた。……しかし、上下から無数に襲い掛かってくる変形版黒翼に翻弄され……
肝心の右手が届く距離まで接近できないのもまた事実…。
近づけばあの変幻自在な黒翼が容赦なく牙を剥いて襲ってくる。
捌けないことはないとは言え、流石にこのまま続けていては体力の消耗も免れない……。
正にジリ貧と言うやつだ。
闇に包まれた一方通行から目を離さないまま、何か手はないかと突破口を探る上条だが………




「―――なァあ? 三下ァァあ?」




そんな中、恐怖を誘う悪魔(アクセラレータ)が、タガの外れた声で上条に問いかけてきた……。




上条「………?」
415 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:40:57.86 ID:kgZc/.o0

一方通行「わかるかァ? わかるかよォォ!?」


上条「何…を……?」


一方通行「俺はなァ、こンなに深いモノを今まで抱えてきたンだよォ……。『絶対能力進化実験(シフトプラン)』
     だけじゃねェ。今まで俺が受けた開発やら他の実験やら……発散しきれずに貯めてきた『ツケ』が全部!
     俺をひと思いに埋め尽くそォと抗って来るンだよォォ! オマエじゃ想像も付かないよォな、馬鹿デケェ
    『闇』が……俺ン中から溢れンばかりに湧き上がって来てるンだよォォおおお!! これでもオマエは俺に
    『逃げるな』ってのかァァ!!? 俺が今まで受けてきた『地獄の片鱗』しか目撃してねェオマエがァ!?
    『一部垣間見た』だけのオマエが、それでも俺に『逃げるな』って言うのかよォォおおおおお!!!??」



上条「…………」


一方通行「呆れっだろォ? 学園都市の頂点に立っていたこの俺が、実は逃げ出してェぐれェ学園都市に嫌気がサシ
     ていたンだぜェ? 弱くて 幼くて臆病な自分が、常に心のどこかにずーっと居座ってたってンだぜェ?
     ひひっ、笑えてくるよなァ? どンだけ優れたチカラァ持ってても、どンだけ無敵に近づこォとしてもォ、
     所詮はそこいらのガキと全く変わンねェほどに弱かったってかァ? ぎゃははははははァァ!! あァー
     愉快だなァオイ! 傑作だァ! なァ、オマエ、今の俺を見てどォ思う? こンな風にボタンひとつ押さ
     れたぐれェで呆気なくタガァ外れてブッ壊れちまうよォな俺を見てもよォォ、まァだオマエは『ダチ』だ
     なンて思えンのかァ? なァァ、どォなンだよォォお!?」




上条「…………」




一方通行「答えろよォ! 何とか言えよヒーローォォお!!」
416 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:43:42.11 ID:kgZc/.o0

上条「当たり前だろ! むしろそれが『人間』じゃねえか! お前が本当に何も感じないようなヤツだったら、俺と
   ダチになろうだなんて言うハズがねえからな! 結局お前も俺達と何ら変わらないんだよ! 環境や育ち方が
   ちょっと違うってだけで、俺達とお前の間に差なんてモンは存在しねえんだよ!! そんなことぐらい、本当
   はもう判ってるんじゃないのか!? 」


一方通行「………!!」


上条「闇を全部捨てろとは言わねぇ!! けどな、せめて自分が今までしてきた事にぐらい、正々堂々と向き合って
   みろ!! 現実から目を背けて逃げようとするんじゃねぇ!! ほんの『ちょっと』ぐらい暴走したって別に
   構やしねえよ! それを止めてやるために、俺や垣音みたいな『友達』がいるんじゃねえか!! 自分を隠す
   ぐらいなら曝け出せ!! 受け止めきれねえなんて結論を、自分で勝手に導いてんじゃねえよ!!!」


一方通行「!!………ははっ……ホント、なンなンだよォ……なンなンだよォォ!? まるでヒトの事を全部知った
     よォなその口はァァ!? あああ………そォだよ、オマエは眩しいンだよォ。俺にとってオマエ達は眩し
     すぎるンだよォ!! 俺の抱えてるモノをオマエ達が受けきれるってンならァ、頼むからそこに俺も連れ
     てってくれよォ!! 俺をオマエ達のいる『世界』にまで連れていってくれよォォォおおおおおお!!!」







上条「………いいぜ、わかったよ」




「連れていってやる………いや――」




「―――もうお前も『そこ』にいるんだってことを、今から俺が教えてやる!!!」グッ
417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:45:53.22 ID:kgZc/.o0

直後、夜空に轟く絶叫がふたつ………


上条当麻と一方通行………


二人の『主人公(ヒーロー)』は、最後の激突へ向けて勢いよく……地面を蹴った!


拳を握り、雄叫びを上げながら駆け出した二人の距離は、徐々に縮まっていく。
418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:46:53.95 ID:kgZc/.o0


一方通行「おォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



〜〜〜〜〜




『離れろよ……テメェ、今すぐ御坂妹から離れろ』


『グチャグチャ言ってねえで離れろって言ってんだよ!! 三下!!』


『あらゆる敵を一撃で倒し、どんな攻撃も反射する。そんなヤツが……喧嘩の仕方なんて知ってるハズがねえよな!』



――――



『お前が選べよ……このままお前の手で守り続けるのか、他人に全部預けて逃げるのか、それとも俺の手を借りて
 協力して欲しいのか――!!』



『―――傲慢だろうが何だろうが、お前自身が胸を張れるものを自分で選んでみろよ!!!』



〜〜〜〜〜


〜〜〜
419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:49:04.05 ID:kgZc/.o0

上条「うあァァあああああああああああああああああああああ!!!!!」




〜〜〜〜〜




『オマエ、ナニサマァ? ……七人しかいねェ超能力者、その中でも頂点って呼ばれてるこの俺に向かって三下ァ?
 ハッ、笑えねェ』



『面白ェ……最高だよオマエ。最っ高に、面白ェええぞォォおおおおお!!!』




――――




『何でだよォ!! 何で誰もあのガキを助けてくれねェンだよ!!? オマエはヒーローだろォが!!』


『何をどォしたって、俺は血みどろの解決方法しか選べねェンだよ!! オマエみてェなヒーローが駆けつけて
 くれたら、最初っからこンな間違いなンか起こらなかったンだ!!!』


『何で今ので死なねェンだよヒーローォォ!! ………ここで死ななきゃ、全部破綻しちまうだろォがよォォお
 おおおおおおおおお!!!』




〜〜〜〜〜


〜〜〜
420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:51:32.84 ID:kgZc/.o0

一方通行「――――――――――――――!!!!!」



〜〜〜〜〜〜〜



『仕方ねェなァ!! この学園都市最強、一方通行がオマエの友達ンなってやンよォ!! 感謝しろやァ!!』


『………ハイ?』



――――



『足引っ張ンなよォ! 三下共ォォ!!』


『おうっ!!』



――――



『だよなァ! 友達って最高だよなァ!』


『まぁな! ははははは!』



あっはははははははは――――



〜〜〜〜〜〜〜


〜〜〜〜
421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:52:34.72 ID:kgZc/.o0


上条「――――――――――――――!!!!!」



〜〜〜〜〜〜〜



『ははは、お前って……ホント素直じゃないのな』


『……うるせェ』


『まぁいいや。んじゃホラ、握手』


『…あァ?』


『俺らは今日からダチになったんだから、ん』スッ


『………ン』ガシッ



――――



『っつーか、ブラック苦っっ!! お前よくこんなの飲めるよな〜?』


『はっはァ、お子様な三下くンにはまだ早かったみてェだなァ』ゴクゴク
422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:53:50.46 ID:kgZc/.o0

――――



『いよっしゃあああ!!! いっちょ派手にかましてやろうぜぇ!!』


『ったりめェだろ三下がァァ!! 足引っ張りやがったらブチ殺すからなァァ!!』


絶対成功させてやるぞォ!! おォォォおおおおおお――――




〜〜〜〜〜〜〜


〜〜〜〜〜


〜〜〜






上条「―――アクセラレェェタァァァアアアアアアアアアアア!!!!!」――グァァァ



一方通行「―――トォォウマァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!」――グォォォ
423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:55:07.14 ID:kgZc/.o0

二人の距離は、すでに両者の射程圏内に突入していた。





「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!!」」





激突の瞬間が………一気に訪れる。


ありったけの想いと想いが今、交差した。





ドゴォォンッッッ!!!!!





その瞬間、『闇』は完全に消えて無くなり……辺り一面に『夜』だけが残る。


月や星の光と離れた街の夜景が、彼らとその周囲を……うっすらと照らしていた―――。
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 19:58:32.06 ID:kgZc/.o0
今日はここまでです。
>>416 訂正
垣音→垣根 まさかの凡ミス……orz
ブチ壊しにしちゃってすみませんでした…。
続きは明後日に投下します。
425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/02(木) 20:00:51.31 ID:T6tMdv2o
熱いぜ…

俺も今から友達殴って…



い な い
426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/02(木) 20:12:08.70 ID:6CMc.lIo
>>425
俺がなぐられてやんよ
427 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/02(木) 20:47:36.93 ID:PqIIDjU0
Mかよ
428 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/02(木) 20:53:29.04 ID:boXPSBc0
>>425-427
腹筋壊れそうになった
429 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/02(木) 21:04:25.23 ID:zgk5CwAO
>>425-427
ジュース返してくださいw
なんだかツボでしたwww
430 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/02(木) 21:14:20.70 ID:LyjqNXs0
この熱い展開からの>>425-427
熱い気持ちを返せwwwwww
431 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/02(木) 22:33:21.42 ID:UecLNAAO
ドMのボクサーって
絶対に試合に勝てないなw

ボクサー「もっと…もって殴ってくれぇ///」
432 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/03(金) 07:39:12.95 ID:6wv/H.Mo
早く書きやがって下さい。お願いします。もぅ我慢出来ないです
433 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/03(金) 08:37:04.45 ID:LfM5fEQ0
乙!!ってか今回の投下で初乙かよwwwwww

二人が激突する瞬間今までの名シーン(過去のスレタイ)が走馬灯のように……
く〜!まさに長編ならではの演出だな!つくづくここの>>1は期待を裏切らないぜ!

予告ないけど確か次の投下で最後だっけ?
さ……寂しすぎる…
434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/03(金) 09:17:28.63 ID:OVWS7IAO
垣音テク……

思っただけ
435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/03(金) 12:19:45.35 ID:rcZV4Xko
>>434
誤爆?

1番初めのスレからずっと見てたぜ
最後の投稿頑張ってくれ
436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/03(金) 17:21:18.41 ID:0maXWcDO
乙!熱いじゃねーか!スレタイが走馬灯のように……

>>425-427
馬wwww鹿wwww野wwww郎wwwwこのタイミングでwwwwww

>>435
>>434>>424から書いただけだと思う
437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/04(土) 00:52:00.33 ID:HH/zxEDO
うむ、取り敢えず吊されて>>1が戻ってくるまで待機するのである。
予告編見るかぎり期待するに値するのである。
ロウソクは上級者向けである。
438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/04(土) 14:46:12.52 ID:bBT9.T60
>>1です。報告に来ました。
今日遅くなりそうです。最悪日付またぐかも…
とりあえず>>425-427 素で吹いたwwwwwwよく見たらお前が殴られんのかよ的なwwwwww
あと次の投下で最後じゃないですよ。次の次です。
それでは失礼しました〜
439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/04(土) 14:50:50.23 ID:bBT9.T60
焦って打ったら何故かsage saga消してた……
あと追加。来れなかったら朝とか昼に投下しちゃうかもです。
では今度こそ失礼しました。待っててくれた方、本当に申し訳ない。
440 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 02:55:49.07 ID:Ii1SZAs0
遅くなっちまった…
人はいないと思いますが、投下しておきます。
441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 02:57:18.97 ID:Ii1SZAs0

―――



……嵐が過ぎたかのように静まり返った操作場。


そこに立っている者は、いない。


二人とも、さほど遠くない距離で仰向けに倒れていた……。


一方通行が背負う闇の形状となっていた黒翼は……激突の寸前で消えていた。


彼が最後に使った武器は、なんと己の拳である。


上条の伸ばした右腕と自らの右腕がクロスし、互いの顔面に深々と突き刺さったのだ。


一方通行は、能力を『ON』にしていない。


黒い杭を消す直前に軸にして反動をつけただけだ。あとは、完全に『生身』……。


右拳の一撃だけに、全てを込めた。それは上条とは似ているようで全く異なる、『想い』だった……。
442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 02:57:55.55 ID:VDBk.kso
見てるよ
443 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 02:58:49.38 ID:Ii1SZAs0

結果は、見事な相打ちだ……。最終的には単純に素手と素手でぶつかり合ったのだから、二人の吹っ飛ばされる距離が
短いのも裏付ける。


何故一方通行は直前で翼をしまい、上条と同じ……自らの拳で直接ぶつかってきたのだろうか……。それは、『無意識』。
おそらく本人すらよく理解してはいない筈である。それほどに一瞬だった。




上条「一方通行……」




寝そべったまま上条は声を掛ける。
すぐに一方通行は返事した。どうやら二人とも意識はあるようだ。




一方通行「……なンだよ?」

上条「気分は、どうだ?」

一方通行「………最悪だ、クソったれが…」

上条「無様な姿を見られたからか? それとも……『裸』の自分を見られたからか?」

一方通行「…………両方だ」
444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 02:59:43.53 ID:2ejux.2o
俺も見てる
445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:01:16.90 ID:Ii1SZAs0

上条「ははっ……」

一方通行「けど……よォ」

上条「ん…?」

一方通行「死にてェ気分になってるハズなのによォ……今ァすっげェ不思議な気分なンだよなァ……。ン……なンつゥか、
     詰まってたモンがこォ、とれたみてェな……よく分かンねェがそンなトコだ。なァンか妙にサッパリしてンだよ」

上条「ははは、まぁ……お前にとっては初めてだろーしな。そりゃそうだろ………俺も同じだよ」

一方通行「初めて? そりゃ違うだろ? オマエとはもォ何度かやり合ってンじゃねェか」

上条「あぁ、そうだな。けど今のはそういう意味じゃねえんだ」

一方通行「……?」


上条「………これは『友情の確認』ってヤツだよ。とは言っても俺達の場合、青春には程遠いけどな」


一方通行「ハッ……あンなスポ根みてェなモンとこれが、一体どォ結びつくっつーンだか……」

上条「でも、スッキリしただろ?」

一方通行「……今まで何度もオマエには殴られたが、さっきのは一番キタぜ」

上条「へへっ……」
446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:04:42.03 ID:Ii1SZAs0
>>442>>444 激しく感謝!





一方通行「……ふふっ…」




顔を見合わせ、二人は確かに一瞬だけ―――笑い合った。

ようやく二人は……本当の意味で『友達』になれたのかもしれない。そんな風に思わせるワンシーンだった。




上条「……イテテ、うぅー……体じゅうが痛ぇや……立てるか?」スッ




立ち上がった上条が、一方通行に手を差し伸べてきた。




一方通行「…………」




一瞬、躊躇う顔を見せた。だが……あくまで『一瞬』だけだ。
447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:07:02.69 ID:Ii1SZAs0

一方通行の闇は、完全に消えていないだろう。完全に消え去る日が来るまで何年かかるかは判らない。


しかし、一方通行の表情はスッキリしていた。

ようやく彼は、自分自身と向き合い……自分の中に潜む『闇』と戦える位置に立てたのだ。

更に、そこにいるのは彼ひとりだけではない。

暴走して道から外れそうになる自分を止めてくれる『ヒーロー』であり、一番の『友達』……。

そして、自分の周りを囲んでくれるかけがえのないお節介な仲間達……。


他人の存在を心強く思う……これもまた、一方通行にとって初めての経験である。


人間は、決してひとりでは生きていけないのだと……今までで最も強く実感する日になった―――。





上条「に、しても……ずいぶん派手にやったなぁ…」



周囲の惨状を見渡しながらそんな感想を漏らす上条。
448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:09:12.49 ID:Ii1SZAs0

一方通行「あン時もかなり派手だったがなァ」

上条「けど、爆発とかはあん時のが凄かったよな」

一方通行「……なァ、三下」

上条「ん?」

一方通行「妹は……いつ来ンだ?」

上条「あー、もうちょっと後だな。今九時前だから……あと三十分くらいか」

一方通行「は? まだ結構あンじゃねェか……」

上条「場所も少し違うんだ。ここを歩いてった所に海が見えるだろ? そこに来るよう頼んだんだけど…」


一方通行「………どォすりゃ良い?」


上条「へ?」


一方通行「どォ応えりゃ良いかって訊いてンだよォ!」

上条「いや……そんなのお前が決めろよ。あ、逃げるのはナシな?」

一方通行「今さら逃げやしねェよ! だからどォ応えてやったら良いのか訊いてンだっつの!」
449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:12:25.16 ID:Ii1SZAs0

上条「……正直な気持ちで応えてやれば良いだろ?」

一方通行「オマ!………ンな簡単に言うンじゃねェよ!!」

上条「お…おいおい、何ムキになってんだよ?」

一方通行「アホかオマエよく考えりゃ分かンだろォが! 俺が今までこォいった経験をどっかで積ンでるとでも
     思ってンのかよォ!? 上手い言い回しなンざ知ってる訳ねェっつーの!」

上条「だから別に上手く言う必要なんてないだろ? 普通に思ってる事をそのまま口にすりゃ良いんだよ」

一方通行「俺をオマエと一緒の物差しで計ンなァ! ってかそもそも、そンな場面でそォいう立場に立ったこと
     すらねェってのに、まともなクチ開ける方がどォかしてンだよォ!!」

上条「うわ、まさかのチェリー発言!?………ふーん……そうか、そういう事か。わかった!」

一方通行「あン……?」

上条「ははは♪ つまり女の子から告白どころか恋愛経験すら皆無の一方通行さんは緊張しちゃってる訳ですか。
   なるほどなるほど、いやー純粋ってか、初々しい限りですなぁ。よし、そういう事なら今から上条さんが
   恋愛のノウハウを伝授してやろうか?」ニヤニヤ


一方通行「………………」


上条「あ、あれ…………?」


一方通行「……きひっ」
450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:14:24.34 ID:Ii1SZAs0

上条「あ……あのー? 一応言っておきますケド、今のはホンの軽い冗d」


一方通行「……そォかそォか。オマエが死にてェのはよォく分かった。ンだよォ、だったら早く言えばイイのに。
     いつでも喜ンで手伝ってやンだからさァ」ニヤァ


上条「いや……できれば全力で遠慮したいんですケド……っていうか、何なんでせうか? この不穏な空気は……」


一方通行「ははは、やだなァ。何水臭ェこと言ってンだよ? 俺とオマエの仲じゃねェか。遠慮なンてこれっぽっち
     も必要ねェから安心して楽になれって」カチッ


上条「いぃぃ!? ちょっ!? オイ待て待て待て冗談だから怒るな線路を飛ばすな電車投げてくんなコンテナ爆発
   させんなぁああ!!!」ダッ


一方通行「待ァァちィィやァァがァァれェェえええ!!! 三下ァァァあああああっっ!!!」ダダッ


上条「だぁーもぉぉぉ!! 結局こういうオチかよーっ!!? ちくしょおおおっっ!! なんでいつも最後は必ず
   こーなるんですかぁぁあああああ!!??」ダダダダ 


一方通行「逃げンなコラァ!! やっぱりオマエは俺が今すぐこの手でブチ殺すっっ!! だから望み通りとっとと
     くたばれこの三下がァァあああああ!!!」ブン ブン


上条「ひいいいいいい!!!? 危ねっ!!? チョット!!??  し、死ぬ死ぬっっ!!! これはマジで冗談
   抜きに死ぬぅぅううううう!!!」ダダダダ


一方通行「殺すっつってンだろォォおおお!!!? 観念して大人しく死ねェェェえええええええええ!!!」ブォォォン




上条「だっはぁぁああああ!!??―――――や……やっぱり、不幸だぁぁぁあああああああああ!!!!!」チュドーン
451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:18:31.06 ID:Ii1SZAs0

――三十分後、工業地帯埠頭




「………ミサカは疑問に思います。何故、途中通りかかった操作場が事故でも起きたかのように崩壊していたのでしょう?」




幾つもの商業船が停泊する薄暗い埠頭に一人佇むは検体番号10032号、通称「御坂妹」。
上条から『一方通行が話があるってさ』と言う内容の電話を受けてから、彼女は何処か緊張した面持ちを消し切れていなかった。
先ほどから妙に独り言が多いのも多分そのせいだろう……。




「………ハァー」




大きく息を吐いて心を落ち着ける……。もうすぐ指定された時間だ。いつ彼が現れてもおかしくはない。




「―――よォ」




………そう思った矢先に、来た。

後ろから杖をつく音に混ざった足音が耳に入り、御坂妹は振り返る。
452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:21:13.48 ID:Ii1SZAs0

そこに、彼はいた。

気づけばもう会話の届く距離まで近づいていた彼に、御坂妹はどもってしまう。




御坂妹「――こ、こんばんは……とミサカは……」

一方通行「………なァに神妙なツラしてンだァ?」

御坂妹「べ、別に……それより、話とは何でしょうか? とミサカは何故この時間にこの場所なのかという疑問よりも内容を
    優先して問います」

一方通行「…あァ、そのォ……」



今度は一方通行が言葉を濁した。



御坂妹「?」


一方通行「………こないだ、水族館行った時……オマエ言ったよなァ?」

御坂妹「……何をですか? とミサカは尋ねます」

一方通行「だからよォ、俺を……い……し……って///」ゴニョゴニョ
453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:25:36.77 ID:Ii1SZAs0

御坂妹「よく聞こえませんでしたのでもう一度大きな声でお願いします。とミサカは復唱を要求します」ニヤニヤ

一方通行「………顔がニヤけてるってこたァ何言ってンのか分かってンだよなァ!?」

御坂妹「も〜一回♪ も〜一回♪」パンパン

一方通行「だからァ! オマエ『俺の事がスキだ』って言ったよなァ、っつったンだよォォ!!」ヤケクソ


御坂妹「………あのぉ」


一方通行「………あァ?」


御坂妹「ハッキリ『好き』と言った覚えはありませんが……とミサカは訂正します」


一方通行「!!!??」


御坂妹「ふふ……自ら墓穴を掘りましたね。とミサカは予想外の収穫に顔が綻びます」


一方通行「〜〜〜〜〜/////」カーッ




自分の発言を撤回したいと思った事は誰にでもある筈だ。
無論、この男も例外ではない…。
454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:27:40.63 ID:Ii1SZAs0

御坂妹「真っ赤になってる……可愛い。とミサカは貴方の頬をツンツンしながら悦に浸ります」ツンツン


一方通行「うがァァああああああ!!! だからイヤだったンだよォォおお!!! 大体この俺がこンなピンク一色の
     イベントなンて迎えちまうのが間違いだったンだクソったれがァァあああ!!!」




やはり逃げていれば良かった……と、心の底から後悔した一方通行。
学園都市最強の超能力者もこうなってしまっては形無しである。




一方通行「あああ畜生、俺は何を口走ってンだァ? 向いてねェ、やっぱこンなの向いてねェ……」グルングルン

御坂妹「獅子舞みたいに頭を揺らしている所悪いのですが……」

一方通行「………あァ?」

御坂妹「訂正はしましたが、否定してはいない事を忘れていませんか? とミサカは今にも泣きそうな顔で振り返った
    貴方に告げます」

一方通行「………?」

御坂妹「これ以上…ミサカの口から言わせるつもりですか? と言いたいところですが、貴方にソッチ方面は期待でき
    そうにないので、ここはミサカが譲歩します」

一方通行「……な、何?」

御坂妹「まぁ聞いて下さい。まず……ミサカが貴方に抱いていた『感情』は、今も冷めることなく熱を増しています」

一方通行「!」
455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:32:26.45 ID:Ii1SZAs0

御坂妹「どうしてか……貴方を前にすると胸が苦しくて、張り裂けそうになるのです。とミサカは古いセリフを引用しつつ
    自分の心情を吐露します。あの少年の前では、こんな事は無かったのに……不思議です」

一方通行「……オマエ…本気なのか? 俺がオマエに何したか、ちゃンとハッキリ覚えてンのかァ!?」

御坂妹「……勘違いしているようなので、言っておきますが…」

一方通行「あン、勘違いだと……?」

御坂妹「貴方は何も間違った事などしていません……。貴方は学園都市の研究機関の下で行われた『実験』に、学園都市の
   『超能力者』として臨んだだけです。とミサカは釈明します」

一方通行「! ……けど、俺のやった事がそンなンで正当化できる訳ねェ…。っつーか、あンな『実験』が正当に行われた
     とでも思ってンのかァ? 結局汚ねェ連中が考えた計画(プラン)に俺は便乗したンだよ。今じゃチンケにしか
     思えないモノのためになァ……。だいいち、俺がオマエにした事は変わらねェ……。全て事実だ」

御坂妹「貴方には確かに拒否権はあったかもしれない……。でも貴方が首を縦に振らなかったら、ミサカは生まれない……。
    これもまた、事実では?」

一方通行「…………」

御坂妹「実験そのものは残酷な内容だったのかもしれませんが、ミサカは今では感謝すらしています。命がある素晴らしさ
    というものを学べたのですから……。おかしな話ですね、元々殺されるためだけに造られた複製品が、今では死ぬ
    ことをいちばん恐れている……。これは全てのミサカにも当てはまりますが…」

一方通行「…………」

御坂妹「憎しみといった感情を貴方に抱いたミサカも複数存在します。そして、実験を阻止してくれたあの少年に対し恋心
    を抱いたミサカも勿論います……。ミサカはもう、『ひとりの人間』として確立しているのです」
456 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:35:58.61 ID:Ii1SZAs0

一方通行「……知ってるよ。ンな事ァ…」

御坂妹「なら、ミサカが貴方を想う事の一体何処におかしい部分があるのでしょうか? とミサカは問います」

一方通行「………さっきまで」

御坂妹「?」

一方通行「さっきまでは、『そンなの絶対オカシイ』の一点張りだったンだ……」

御坂妹「…………」

一方通行「俺にそンな資格はねェって思った。最初はオマエを……いや、オマエ達を遠くから見守るだけで……充分だった。
      それ以上は踏み込ンじゃいけねェって思ってたンだよ」

御坂妹「…………」

一方通行「けどよォ、いつからか分っかンねェが、三下やオマエや垣根の馬鹿に超電磁砲まで……。ははっ、ホント…訳が
      分かンねェ内に、大勢の人間から周りを囲まれちまって……俺もすっかり丸くなっちまった。ま、いちばン角を
      削ったのは言うまでもなく、あのクソガキだがなァ」

御坂妹「……貴方の居場所は紛れもなく今居る場所ですよ。とミサカは微笑みます」

一方通行「それを、さっき……改めて実感できた。そして、オマエから逃げよォとした臆病な自分も…そン時『ぶっ殺した』」

御坂妹「ミサカから、逃げる……?」

一方通行「あァ……情けねェ話だが、俺はオマエから逃げてた。……いや、オマエだけじゃねェ。自分自身からも逃げてたンだ」

御坂妹「…………」

一方通行「闇に引き篭もっちまうクソ弱ェ『俺』がココ(心)にいたンだよ」

御坂妹「……今は、もういないのですね?」
457 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:39:04.94 ID:Ii1SZAs0

一方通行「まァな、『ダチ』と一緒にブチ殺しといた」


御坂妹「では……」


一方通行「おォ、もうオマエからも自分からも逃げねェ。俺は俺の中にある闇と、これからはキッチリ向き合って生きてやる。
     だから……今日オマエを呼ンだ。言いてェことがあったからな……」


(ホントは三下が勝手に呼ンだンだが……この際どォでもイイか)



御坂妹「……それって…」


一方通行「……一度しか言わねェからよく聞けよ?」コホン


御坂妹「は、はいっ! と……ミサカは急激に高鳴る胸の鼓動を抑えきれずに手を胸に……翳し……ます」ドクン ドクン




一方通行「……俺と―――――」




御坂妹「………!!!///」




ドクン……ドクン………




その場の空気が、急速に変わっていた―――。
458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/05(日) 03:50:34.97 ID:Ii1SZAs0
今回はここまでです。
この長く続いた物語も、次の投下でいよいよ完結を迎えます。
書き始めて四ヶ月近く……長かったようで早かった…
ここまで続けてこれたのは皆様からの温かい支援や指摘などがあったからに
他ありません……本当にありがとうございます!

最終投下は来週の火曜に予定しています。(予定が運悪く重なっているため)
お待たせしてしまい申し訳ないですが、お付き合い頂けたら嬉しさのあまり
発狂するでしょう。

最後の書き溜め頑張ります。面白くなかったらすみません…。

それでは今日はこの辺で。 
459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 04:03:58.53 ID:f18./3Ao
ここでとめるとかもうまじビクンビクン
460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 04:41:12.19 ID:5NUIaUAO
もう終わるのか……。泣けてきた
461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 09:08:39.61 ID:ndJmU/Uo
寸止めすぐるww
462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 10:17:04.57 ID:fATh/uk0
火曜日までこのワクワクを持ち続けていられることに感謝だぜ!!
463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 11:30:05.08 ID:.t7Z3JAo
楽しみに待つ

464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 13:51:25.26 ID:6pag3ADO
一方「俺と漫才してくれ」
465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 17:10:35.23 ID:TZDXPyUo
>>464
やwwwwwwwwwwめwwwwwwwwwwwwwwろwwwwwwwwww
466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 21:08:54.99 ID:z1U1p5c0
どうか、誰もが笑える結末を…。
467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/05(日) 21:26:45.61 ID:VjA70YY0
ハッピーエンドがいいなあ…
468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/06(月) 10:09:32.52 ID:djcl5Js0
>>465
次回作はそれで決まりじゃねwwww
469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/06(月) 19:35:00.65 ID:krwbf6AO
>>464


私、それ読みたいです!
470 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 18:04:18.17 ID:.ay2Uyk0
こんばんは、>>1です。
書き溜め何とか終えることができました。
一時間くらい休んだら投下し始めます。
先日も言った通り、今日で最終回です。上手く纏まったかは疑問ですが…
では後ほど…

471 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 18:27:23.59 ID:Avl1xmQo
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:00:04.46 ID:.ay2Uyk0
お待たせしました、それでは参ります。
『完結編(エピローグ)』も含めて一気に投下します。
473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 19:01:16.77 ID:foh/6joo
期待
474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:02:07.07 ID:.ay2Uyk0


一方通行「俺と――――」


御坂妹「………///」ドキン ドキン




「―――友達になれ」




御坂妹「………ハイ?」




その瞬間、ヤカンでも落ちたかのように間抜けな効果音が夜の埠頭に虚しく響いた……。




〜〜〜〜〜



一方通行「…………」

上条「うう……本当に死ぬかと思った……生きてるってスバラシイ…」ボロボロ

一方通行「次はマジでブチ殺すぞ?」ギロリ

上条「肝に銘じてオキマス……」
475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:03:39.31 ID:.ay2Uyk0

一方通行「ンでェ、何て言や良いンだ?」

上条「はぇ……?」

一方通行「妹に何て言えば良いかって訊いてンだよォ!! やっぱ死ンどくかコラ!?」スッ

上条「ひいいい!! 言います!! 言いますからもうヤメテ!? 死にたくない!!」

一方通行「…………」スッ

上条「ったく、しょうがねえなぁ……。まぁお前のことだからそうじゃねぇかとは薄々思ってたけどさ」

一方通行「なーンかムカつくなァオマエ……」

上条「よし! そんな時のために最良の答えを上条さんが御教授してしんぜよう」

一方通行「あンなら始めから言えっつの……」

上条「いいか? 発展したい気持ちが少しでもあるんなら無理に拒否する必要はない」

一方通行「ンじゃあ……受け入れろってかァ?」

上条「その可能性も含めた答えだよ。お前の場合ストレートな表現は合わないっぽいし、実際自分でもよく分かってないんだろ?」

一方通行「まァ……そォいう事になンのか……」


上条「だったら『友達から始めよう』。……これでいいんじゃねーか?」


一方通行「―――!?」
476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:05:55.46 ID:.ay2Uyk0

上条「『友達』ってのは、過去にイロイロあったヤツ同士の方がすぐになれるモンだ。それなら文句ナシだと思わないか?」

一方通行「……たし……かに。……でもよォ、それって断る時の決まり文句じゃなかったか?」

上条「何言ってんだよ? そりゃ『友達』以上進まない場合だろーが。少なくとも、恋仲になるための『準備期間』だと思えば
    また少し意味が違ってくるだろ」

一方通行「……イヤ……分かる、何となく分かるが……ホントにそれで大丈夫なンかァ?」

上条「美琴や垣根にも言ったけど、アイツらだって最後は納得してたぜ?」(ウソだけど)

一方通行「マジかよォ……」

上条「お前らはまず、『そこ』から始めた方が上条さん的には良いと思うぞ? まぁ参考にしといてくれ。じゃあ俺は先に帰る
    から、後は上手くやれよ〜」ヒラヒラ

一方通行「…………」



〜〜〜〜〜




御坂妹「ミサカは、失恋してしまったのですね……と、ミサカは悲しい気持ちを…コントロールでき……グスッ」ジワァ

一方通行「!? ち、違げェ! そォじゃねェよ! まずは友達って意味で別にオマエがイヤとかそォいうンじゃ……」

御坂妹「……へ?」
477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 19:07:04.47 ID:dGUd/2so
初心い……妹が妹の好きな人に告白の仕方を聞いてきた時くらい初心い……
478 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:07:34.00 ID:.ay2Uyk0

一方通行「だから……その、なンつーンだァ……俺は正直、そォいったのとは無縁で生きてきたからよォ……まだよく分かって
      ねェンだわ」ポリポリ

御坂妹「…………」

一方通行「っつゥ訳でよォ……いきなりそォいう目でオマエを見ろってのも、まだ無理なンだ。……悪りィな」

御坂妹「あの方(上条)への好意と、貴方への好意の種類が違うことは、以前説明しましたね?」

一方通行「あァ……」

御坂妹「……ミサカはこの感情の扱いをどうコントロールして良いのか、まだ分かりません。ですので、素直に……思うままに
     動こうと、今決めました―――!」ダッ




言い終わると同時に駆け出した御坂妹……。目的地はすぐ目の前にあった。




一方通行「おわっ!? オ、オイ―――!?」バフッ




御坂妹が突然自分の胸に飛び込んで来た。杖つきの彼がいきなりそんなことをされたら当然……




……ドサッ!!
479 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:12:39.27 ID:.ay2Uyk0

一方通行「―――ッテェ!?」

御坂妹「キャッ!?……うぅ……しっかり受け止めろよこの軟弱が……とミサカは強打した鼻を摩りながら涙目で抗議します」ヒリヒリ

一方通行「あァ!? オマエがいきなり飛び込ンで来るからだろォが!! っつーか早く退けってンだよ!」

御坂妹「マウントを取られている分際でそんな口を叩ける度胸については賞賛します」

一方通行(なンで押し倒されるパターンが最近多いンだァ? 誰の趣味だっつの……)

御坂妹「うーん……やはりこの薄い胸板ではさすがに不満を隠せません。少し鍛えてみては? とミサカは勧めます」

一方通行(うわァ……姉妹揃って同じこと言われた………死にてェ)

御坂妹「あれ? ……もしもし?」

一方通行「あァ……分かった。もォ分かったからこれ以上俺を追い詰めンな。そして早く退け」

御坂妹「イヤです。とミサカは拒否します」

一方通行「シチュエーション的にやべェから退け。問答無用で退け。オイコラふざけンな。オマエが退くまで言い続けンぞ?
      退け退け退け退け退け」

御坂妹「お断りします」ピシッ

一方通行「意味分かンねェぞォ!?」

御坂妹「周りに誰もいない……よく考えたらこれはチャンス! とミサカは………」


一方通行「………」スーー…
480 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:15:44.00 ID:.ay2Uyk0

御坂妹「――おっと!! っとミサカは貴方の能力使用阻止に成功します」ガシッ

一方通行「ンなァッ!!??」

御坂妹「これでもう貴方はミサカから逃れる術を失いました。さて……ここからどうしましょうか……とミサカは舌なめずりを
     しながら想像(妄想)に胸を膨らませm」

一方通行「放せェ!! 退けェェ!! こンのォォおおお!!」グググ

御坂妹「……あの……もしかしてそれで全力ですか? とミサカは一応確認を取ります」グググ

一方通行「あァァ!? だったら何だァ!?」グググ

御坂妹「弱すぎる……とミサカは率直な感想を漏らします」

一方通行「だとォ!? このアマァ!! 重てェンだからさっさと退けっつってンだろォがァ!! でねェと後でヒド―――!?」

御坂妹「ッ!? ……よくも、言ってはいけないことを……言いましたね……とミサカは怒りに身を震わせます……」ワナワナ

一方通行「」

御坂妹「……どうやら、少しお仕置きが必要のようですね。とミサカは指を鳴らします」パキポキ

一方通行(あれェ? このパターンってさァ……)


御坂妹「―――いざ!!!」


一方通行「」(やっぱりかよ……)
481 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:17:11.93 ID:.ay2Uyk0

こうして、人気のないとある埠頭で二人はめでたく『お友達』になった。
これによって一方通行に新たなトラウマが生まれるのだが、それはまた別の機会に―――。




―――




「………で、結局オマエはこンな答えで納得できたのかよ?」


「はい、友達"から"よろしくお願いします。……で、良いんですよね? とミサカは希望を捨てていない目で貴方を見つめます」


「………おォ」




―――友達"から"、か………。コイツといつかそンな関係になっちまう日が果たして来ンのかねェ……今は想像できねェわ。


「――よろしくゥ」スッ




―――貴方との『約束』は……ミサカと貴方が結ばれて、初デートを迎えるその日まで………『延期』ですね。……とミサカは
    今日の所はひとまずこれで妥協します。


「――はい、こちらこそ。とミサカは握手に応じます」ガシッ




いつか、その時まで………
482 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:18:50.56 ID:.ay2Uyk0

『実験動物』と『実験道具』……初めはそんな関係でしかなかった筈の二人に今、小さな小さな芽が咲いた。

芽はいずれ成長し、蕾となり……やがて綺麗な花を咲かす。

彼等の間に生まれた芽も、やがてはそうやって成長を遂げていくのだろうか………。

それは、今後の二人にしか分からない事だ―――。
483 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:20:06.13 ID:.ay2Uyk0

―――それから数日後……





打ち止め「―――早くぅー! 時間に遅れちゃうよー! ってミサカはミサカは急かしてみたり」

御坂妹「まだでしょうか…? とミサカは上位個体に便乗します」

一方通行「うるせェなァ、分かってるっつゥの。オイ垣根ェ、いつまで洗面所に居ンだよ? 早くしねェと置いてくぞォ?」

御坂妹「……こういう時は普通女性が男性を待たせるものでは? とミサカは指摘します」

一方通行「だとよ。聞こえたかァメルヘン?」


垣根「ま、待て。……どうも襟足がなぁ………クソ、やっぱこのワックスじゃ合わねえのか……?」ワシャワシャ

一方通行「ったく、女みてェにいつまでも髪いじくってンじゃねェよ。オラ、もォ行くぞ」グイッ

垣根「あっ! テメッ! コッチはテメェと違って『お気軽ベクトルヘアーセット』とかできねえんだぞぉぉ!?」ズルズル

黄泉川「お〜う、準備できたか? それじゃ出発じゃーん♪」

芳川「ふふふ、焼肉とか久しぶりね」
484 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:21:42.72 ID:.ay2Uyk0

打ち止め「レッツゴー♪」バタバタ

一方通行「ハシャギ過ぎンじゃねェぞ打ち止めァ」


垣根「あ、俺先迎えに行ってくるわ。……んじゃ後でな〜」タッタッタ

黄泉川「校門前で彼女を出迎え…か。青春じゃんね〜」

打ち止め「最近お兄ちゃんますます変わったよね……笑顔がニ割り増しで怖くなった。ってミサカはミサカは愛されすぎるのも
     どうかと思ってみる」

一方通行「ってか、アイツどンだけ女中心になってンだよ……頭の花が脳内にでも移されたンだなありゃ。身も心もメルヘンに
     なっちまったってかァ…」

芳川「ふふ〜ん〜♪ 早く『これ』見せて驚かせてやりたいわ……」ウズウズ

一方通行(コイツはコイツでずーっとイキイキしてるしよォ………まァ分からなくもねェがな)
485 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:22:48.63 ID:.ay2Uyk0

―――――




禁書「―――とうまぁぁ………私がこもえのおウチでご飯食べてる間、みことと何してたのかな? かなァ?」

上条「最近見たアニメの真似して迫って来るな! ……べ、別に何もしてねえよ」

禁書「またウソ吐く気だね!? トボけたって無駄なんだから! あからさまに消臭剤のニオイで部屋中が天国なんだよ!」

上条「だぁー!! 別に疚しいことなんてしてねえぞ!? ちゃんと合意の………あ…」シマッタ

禁書「…………」(←汚いモノを見る目)

上条「あー………その……何と言いますか…」

禁書「不潔……ふしだら……節操ナシ……あぁぁ、純粋だったあの頃のとうまはもう何処にもいないんだねぇ…」ハァー

上条「ま、待て! いくら何でも言い過ぎってモンだろ!? 何で俺を犯罪者みてぇな目で見る!?」

禁書「私が留守になるのを見計らうなんて、計画犯もいいトコかも……」

上条「完全無計画だっ! あの後たまたま美琴から電話掛かってきて、メシ作りに来てくれるってなって……」

禁書「ご飯食べただけじゃないんだね?」ジトー

上条「うっ……」アセアセ

禁書「とうまのケダモノ!! ぶちまかしてやるぅぅっ!!」ガァッ

上条「うおぁぁ!! だから変な影響を―――!?」




――ピンポーン♪
486 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:24:31.80 ID:.ay2Uyk0

上条「おおっと! 天の助け♪」シュバッ

禁書「うわ〜ん! なんでいつも良い所でぇ〜!?」




――ガチャ




美琴「―――おっす! 準備できた?」

上条「あぁ、いつでも出れるぜ。おーい! 行くぞインデックス!」

禁書「みことーー!」パタパタ

美琴「インデックスもおっす♪」

禁書「おっす♪ ってそれより大丈夫だった!? とうまに汚されちゃったんだよね!? ヒドイことされなかった〜!?」

美琴「――んなっ!?///」

上条「あ……これは死亡フラグだな……もう俺でも分かる………せーの―――」


美琴「ア・ン・タ・はぁぁぁ!! なぁぁにバラシてんのよぉぉーーー!!!」ビリビリビリィッ


上条「―――不幸ーーだぁぁーーー!!!」
487 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:25:38.54 ID:.ay2Uyk0

―――――




佐天「―――う〜い〜はるっ♪」ピラッ

初春「ひゃっ!? さ、佐天さん!!」

佐天「お? 久々に縞々来たか……」

初春「もぉぉぉーーー!!」ブンブン

佐天「あっはははは♪ ゴメンってば。……あ…」

初春「え?………ッッ!!?」


垣根「…………」


佐天「あっちゃ〜……グッド…いや、バッドタイミングですね〜」

初春「………見ました?」


垣根「見てマセン」タラー


佐天「あ、鼻血……」
488 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:27:54.26 ID:.ay2Uyk0


初春「うわぁぁん!! やっぱり見られたぁぁ!! 佐天さんのせいですよっ!!」

佐天「う〜ん、ドンマイドンマイ♪ 遅れてる二人に私からのささやかなプレゼント〜♪」

初春「意味分かんないですっ!!」

垣根「あー……飾利、迎えに来たぞ」

佐天「おぉ、強引に戻した! さすが常識知らずの垣根さん」

初春「カッキーさん、痴女は放っといて行きましょう」スタスタ

垣根「え、あ……」


佐天「ちょっとコラ! 甘いオーラ出すな! 二人の空間作るなっ! ずるいぞ〜! 私も仲間に入れてよ〜!」


初春「……」クスッ

垣根「……」クスッ


佐天「意味有り気に笑い合うなぁぁ! 待ってってば〜! ……あーチクショウ! 私も彼氏が欲しいよぉぉーーー!!」
489 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:29:49.84 ID:.ay2Uyk0

―――――



上条「―――あ! 悪い! 俺ちょっとCD返して来る!」タッタッタ


禁書「じゃ、私その間面白い本が無いか見てよーっと♪」


美琴「私もそうしよっかな……まだ余裕あるし、どーせアイツのことだから受付混んでるだろうしね」




―――――




禁書「―――あ! みこと、この本面白そうかも!」


美琴「ん〜、どれ―――?」




「―――とある主人公(ヒーロー)の友情物語……? 何これ?」
490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:30:39.68 ID:.ay2Uyk0

禁書「……正義の味方と悪い人が仲良くなって友情を育むお話……って書いてあるんだよ」

美琴「ふーん、……まるで『アイツら』みたいじゃない。ちょっと面白そうね……」

禁書「読みたいかも!」

美琴「じゃあ私買うから、あとで一緒に見ようね」

禁書「わ〜い♪」



上条「ハァ〜……受付があんなに混んでるなんて不幸だぜチクショウ………ん? アイツら絵本コーナーで何やってんだ…?」
491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:31:55.99 ID:.ay2Uyk0

―――――



ガヤガヤ ワイワイ




黄泉川「―――お、垣根たちが来たじゃん」

打ち止め「ホントだー! ってミサカはミサカはひと足早くダッシュで近づいて行ってみる〜♪」タッタッタ

芳川「あらあら、本命さんとそのお友達引き連れて両手に花状態ね……まるで悪い男の子みたい」

御坂妹「絵的にはそうとしか見えませんね。とミサカは率直な感想を述べます」

一方通行「『女泣かせのホスト』ってかァ。お、ガキがプラスされて更に複雑な関係に見えてきたぜェ」

黄泉川「……ぷっ」


垣根「―――どーも、遅くなりやした〜」

黄泉川「コッチも今来たトコじゃんよ」

初春「こんにちは、ご無沙汰してます」

佐天「こんにちはー、何か私まで……本当にいいんですか?」

黄泉川「おう、二人とも元気にやってるじゃん? な〜に、今日はめでたい日なんだから人数多いに越したことはないじゃんよー」

初春「えっ?」
492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:33:13.92 ID:.ay2Uyk0

佐天「何かあったんですか……?」

黄泉川「もうすぐであいつらも来るだろうから、全員揃った時のお楽しみじゃん♪」

芳川「あぁ早く来ないかしら……言いたいのに…」ウズウズ

打ち止め「ヨシカワ、もうすぐだから落ち着こうね。ってミサカはミサカは立場を逆転させてみたり」

御坂妹「お気持ちは察しますが……と言いつつミサカも上位個体に加勢します」


一方通行「ったくよォ、イイ年こいてみっともねェ…」

垣根「ははは……んで、上条御一行様はまだかよ?」

一方通行「もォすぐ来ンじゃねェの……」
493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:35:26.20 ID:.ay2Uyk0

―――――




美琴「―――やばっ! 集合時間まであと五分切ってるじゃない!? 急ぎましょ!」タッタッタ

禁書「わわ! 急に走ると危ないんだよ〜!」

上条「大丈夫だって、このペースならピッタリには着くから―――って!?」


黒子「―――キェェェエエエエエエエッッ!!!」シュン


上条「―――はっ!!」サッ


美琴「!? ……く、黒子!……」

黒子「なっ…!? か、かわされましたの!?」

上条「へっ! ここ数日、毎回顔合わせる度にドロップキック続きですからね! いい加減イヤでも学習するわ!」

黒子「ぐぬぬ……これは戦法を変える必要がありますわね」

上条「それ以前に攻撃を止めろ!……ってか白井お前、まだ認めてくんねーのか?」

黒子「いえ、お姉様の殿方ともあろうものがあの程度で音を上げるようではたかが知れますから。わたくしはあくまで貴方
    がお姉様に相応しいか試しているだけですの」

上条「………試用期間は?」

黒子「無論、貴方が死ぬまで♪」

上条「不幸だ……」
494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:38:19.10 ID:.ay2Uyk0


禁書「あー! 悪い人を取り締まるツインテールだ! お久しぶり〜♪」

黒子「わたくしを髪型で呼ぶのはいい加減止めてくださいましシスターさん! わたくしには白井黒子というレッキとした
    名前がございますのよ!」

禁書「私にもインデックスっていうちゃんとした呼び名があるんだよ」

上条「………ちゃんとした、ねぇ…」


黒子「それはそうとお姉様ぁ! わたくしを置いて行くなんてあんまりではございませんのぉぉ!?」

美琴「いや………アンタ風紀委員の仕事で先に寮出たんじゃん?」

黒子「!?……はて、そうでしたかしら……わたくし今日はお休みですが?」シレッ

美琴「勝手に都合良く設定変えてんじゃないっつーの! アンタ朝から仕事でいなかったでしょーが!」

上条「今日、皆集まるから黄泉川先生が気を利かせてくれたんだとよ……」

美琴「え?………なーんだ、そうだったの…」

黒子「と、言う訳ですの。上条さん、せめてわたくしの前で睦まじい空気を作るのはご遠慮願います。でないと御食事中に
    何時ウッカリ手が滑るか分かりませんので」キラッ

上条「………肝に銘じておくよ」ブルッ


美琴「―――あっ、ねぇあそこ! もう皆揃ってるわよ?」
495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:39:47.33 ID:.ay2Uyk0

―――――



ザワザワ




黄泉川「やっと全員集合したな」

一方通行「遅せェぞ三下共ォ」

上条「はは、悪い悪い。……ってか、またずいぶん大人数だな……なんでまた?」

垣根「いちおう口実があるんだが…」

美琴「口実って……?」

一方通行「あァ、ちょっとした『事件』だな……」

黒子「事件……?」

佐天「そう言えばさっき、そんなこと言ってましたね」

初春「何なんですか? 気になります〜」

芳川「事件とはずいぶん御挨拶ね」ムッ

黄泉川「ほら、桔梗。早く言うじゃんよ」グイグイ

芳川「分かってるわよ。……実はね、今日は愛穂が皆を集めてお祝いしてくれるって言ったのがきっかけなの」
496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:41:30.24 ID:.ay2Uyk0

佐天「お祝いって……」

初春「まさか……」


芳川「えぇ、そのまさかよ。ほらっ!」ジャーン



「――!?」



美琴「『○○研究所採用通知書』……って、ウソ!? マジで!?」


上条「芳川さんついに就職先が決まったんですか!?」

芳川「ふふ〜ん、まぁね〜♪ これでもうニートだなんて呼ばせないわ♪」

黒子「確かにそれはめでたい事件ですの。是非お祝いさせて下さいな!」

美琴「ビックリした〜……おめでとーございます!」

佐天「良かったですね! おめでとうございます〜!」

芳川「ふふっ、ありがと」
497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:42:59.12 ID:.ay2Uyk0

初春「ここって、能力開発に相当力を入れてる所の一つじゃないですか!? ホントにすごいですよ!」

芳川「実はそこの担当者とすっかり意気投合しちゃってね………ちょっと変な人だけど」

黄泉川「っつー訳だ。今日は『芳川桔梗・再就職記念』ってことでパーッと騒ぐじゃん! 幸い明日は日曜だしな」


おーーー♪


禁書「わーい♪ 久しぶりにお腹いっぱい食べるんだよ〜!」

御坂妹「この人数で入れる店はあるのですか? とミサカは確認を取ります」

黄泉川「何とかなる! よって問題ナシ! そんじゃ、早速移動するじゃんよ〜」


―――こうして、歩き出す一同…
498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:44:42.79 ID:.ay2Uyk0

ゾロゾロ




「―――あらら、何かすげー大所帯だぜい」

「ほう、御坂さんも一緒か……これは是非行くしかありませんね」

「えぇー? 焼肉食べ飽きたのよねぇ………ま、良いけど」



「―――早く行きましょうよ〜。超お腹ぺこぺこです!」

「結局、今日は浜面の奢りって訳よ」

「はいそれ採用! ご馳走様、はーまづらぁ♪」

「おいちょっと待て!! 何だその意味不明すぎる流れは!?」

「大丈夫、スッカラカンなはまづらも私は応援してる」



「―――な、何やあれは!? ぜ……全ジャンル揃ってんで!? カミやんが……ついに神やんになってもうた!!」



「―――あれから全然連絡来ないと思ったら……第一位を殺すんじゃなかったのかしら? 女の子まではべらせちゃって……
     まさかあの中に本命なんていないわよね……?」



「―――久々に様子を見に来ましたが……どうやら必要なかったみたいですね」

「そうだな。けど、あんな楽しそうな『彼女(インデックス)』の姿が見られただけでも充分来た甲斐はあるよ」
499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:46:34.75 ID:.ay2Uyk0

ゾロゾロ



一方通行「……………」



大勢の人が流れる道の中、ふと足を止める一方通行……。

彼は、今……何を思う?




一方通行(…………これが、『光の世界』ってヤツかよ)


(眩しい……)




美琴「一方通行〜! 何止まってんのよ?」


黒子「おや? お兄様……?」


初春「どうしたんですか〜?」


佐天「ちょっと〜? 置いてっちゃいますよ〜?」
500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:47:57.49 ID:.ay2Uyk0

黄泉川「あの馬鹿は、またなぁ〜に物思いに耽った顔してるじゃんか〜?」


芳川「……ふふっ」


打ち止め「早くおいでよー! また迷子になっちゃうよー? ってミサカはミサカは呼び掛けてみたり!」


禁書「あくせられーた! 早くしないとご飯逃げちゃうんだよ〜?」


御坂妹「もっとも、迷子になったとしてもミサカがすぐに見つけますので別に問題はありませんが……。とミサカも早く
     来るよう目で訴えます」


垣根「ったく、おーい! いつまでも思考停止モードに入ってねえでとっとと来いってんだよ。マジで置いてくぞー?」




全員が振り返って彼を呼んでいる……。眩しくてくすぐったくて……以前はとても居座れなかった自分の『居場所』。

自分は今、紛れも無く『ここにいる』。




(ホント、オマエら………いつ見ても反吐が出るぐれェに眩しいわ)



(けど………けどよォ―――)
501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:49:13.68 ID:.ay2Uyk0




上条「どうした一方通行? 早く行こうぜ!」




一方通行「……あァ、今行くよ」


(―――よォやく少しだけ、目が慣れてきたぜ……)




少年は顔に笑みを戻し……再び杖をついてゆっくりと前へ歩き出す。


自分を待っていてくれる、大切な仲間達の元へ……。


自分を呼んでくれる、かけがえの無い友の元へ………。


皆が笑顔を向けて、彼を待っていてくれた――――。
502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:50:08.76 ID:.ay2Uyk0


完結編(エピローグ)
503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:51:22.63 ID:.ay2Uyk0

―――それから更に月日は流れ……寒い冬が終わり、学園都市に再び春が訪れた。





「―――なぁ、いいじゃねえかよぉ。へへへ……」



少女「―――私……もう帰る所だから、遠慮しとく」


不良A「そんなこと言わねえで、ちょっとだけ俺達に付き合えよ。なぁ〜に、帰りは送ってやっから心配すんなって」


不良B「俺らが覚えていたらの話だけどなぁ。はははは!」




そんな学園都市では今日も事件が起こる。治安の悪さは更に増したようだ……。




不良C「髪キレイだね〜、ちょっと触っていい?」


不良D「大和撫子みたいで良いね〜。黒髪でロングとか清楚系じゃん」


少女「いや……や、やめて………」
504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:52:50.55 ID:.ay2Uyk0

表通りから離れた裏路地で、数人の若い男が一人の少女を囲んでいる。
少女はしつこいナンパにすっかり辟易していた。………と、そこへ―――



「―――おい、やめろよお前ら。その子……嫌がってんじゃねえか」ザッ


「―――ンだァ?、群れなきゃ女一人も相手にできねェってかァ? オイオイ、こりゃ終わってンなァ」ザッ



不良達「――ッ!?」クルッ




いっせいに振り返った男達の後方にいたのは……どうやら二人組の少年のようだ。
街灯も殆ど無く、表通りから漏れる僅かな光が二人のシルエットを作り出していた。





「悪いけどな、そこから先は一方通行だ。それ以上は俺達が進ませねえぜ。………放してやれよ」


「っつーかよォ……オマエら、ちっとは恥ずかしいとか思ったりしねェのか? 悪党の風上にも置けねェなァ……」



少女「!?」
505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:54:44.04 ID:.ay2Uyk0

不良A「あぁ!? なんだテメェらぁ!?」


不良B「邪魔しようってのかコラ!?」



「ごちゃごちゃ言ってねえでその子を放してやれって言ってんだよ! 三下共!」


「まァ、どォすっかはオマエ達の自由だがなァ。ひゃははァ!」



不良C「この野郎……上等じゃねえか!」


不良D「へへへ、五対二かよ。こりゃ楽勝だな……。おい、さっさと片付けて続きといこうぜぇ!」




少女を隠すように立ち塞がった男達を、二人の少年はジッと見据える……。





「―――いいぜ……」



「テメェらが、力で人を支配できるって言うのなら……」グッ


「数さえ勝ってりゃ俺達に勝てるなンて、本気で思ってンのならァ……」グッ
506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:55:55.72 ID:.ay2Uyk0

並んだ二つのシルエットは、固く握った拳を男達の方へと向けていた。
激昂した男達は声を荒げるが、薄く見える少年達の表情は決して臆してなどいない。


そして、二人の少年は力強く男達に向かって……こう叫んだ―――。






「「まずは、そのふざけた『幻想』をぶち殺す!!!!!」」






主人公(ヒーロー)達の物語は、この先も終わることなく……続いていく―――。





―――いつまでも、永遠に………。






〜〜完〜〜
507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/07(火) 19:57:18.49 ID:.ay2Uyk0

以上で終幕となります。
本当に、長かった……。けどこうして終わってみると、何だか寂しいです。
当初は勢いで立ててしまいました。
正直このまま完結まで行けるか不安でした。叩かれまくったらどうしよう……とかビクビクしながら毎回投下してました。
少しでも面白くしようと色んな人の書いてるssを参考にしました。その度に、俺なんてまだまだ下手クソだなぁ…と実感
させられて、挫折しそうになりました。
途中では何度もグダってしまいました。
けど、こんな駄文でも読んでくれている方もいるんだなと思うと、何故か途中で止める気にはなれませんでした。

始まりから終わりまで読んでくれた方も、軽く暇つぶし程度にスレ開いてくれた方も、飽きても途中まで見てくれた方も、
支援して下さった方も、厳しい指摘や意見をくれた方も、本当に今までありがとうございました!
心から感謝しています。皆様のおかげで何とか完走できました。
納得できなかった方についてはホント謝罪するしかない……。
上手い終わらせ方ができなくてすいません……。自分にはこれが精一杯でした。どうかお許しを……。
あとスレずいぶん余らせちゃってすいません……。
何か最後なのに謝ってばっかりですいません……。

至らなかったことについては重ね重ねお詫び致します。

あとがき長くなりましたが最後にもう一度……。


これまで長い間お付き合い頂いた方々、本っ当にありがとうございましたぁぁっ!! 皆さんマジ最高っす!!!(涙声)


あ、また近い内にスレ建てるかもしれません。その時は『またお前かァァ!!』とか言ってやってくれたら嬉しいです。


今日はこの辺りで失礼させて頂きます。
それでは…。
508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 19:58:39.76 ID:nk0dRQAO
うぁぁぁぁぁぁっ!!
乙乙乙乙乙乙!乙!
次回も全力で待ってる!
509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:01:41.76 ID:OB03YHko
乙。楽しかったぜ!いつかまたお前かァァ!!と書き込める日が来るのを楽しみにしてるぜ!
ところで残り491もあるけど後日談は書いてくれませんのかしら?(チラッチラッ
510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:05:56.75 ID:92GhlGI0
5月から4カ月か…半年以上に感じたが意外と短かったんだな…
何はともあれ完結おめでとうございます、そして乙!
次のスレは発見し次第全力で『またお前かァァ!!』と言ってやる!
511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:26:52.47 ID:Tq8h3W.0
乙乙

荒しにも負けず完結させた>>1に俺は惜しみない賞賛を送ります

とてもおもしろかったです
感動をありがとうございました〜!!
512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:34:03.52 ID:.I1eWws0
御疲れ様でした!
エピローグの台詞がすごい感動した
一方さんと上条さんの名言が混ざってるのね…
513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/09/07(火) 20:35:03.97 ID:khG8i3ko
乙おつおつーーーーーーーー!!!


超楽しんだ!
514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:48:26.25 ID:4U8sHbc0
乙乙乙!!!
ラストに超感動した
いつかの鉄装のssは書いてくれないのかな〜
515 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:52:20.21 ID:jWSVfuk0
乙〜
面白かったよ〜

ってか、心理定規ww
516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 20:53:39.16 ID:foh/6joo
ずっと見ていたかった。
ありがとう
517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 21:28:17.80 ID:Ft3yDVMo
乙かれーーー!!!!
ずっと見てたぜぃ
518 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 21:49:58.81 ID:bOEYRCso
おめでとー!
ずっと見てたぜ、完結出来てよかったな。
いいSSをありがとう!
519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 22:03:18.92 ID:K4kIk4I0
電磁通行と見せかけての上琴はSSの中でも白眉でした

520 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 22:07:44.58 ID:7Oe04ZM0
そして誰もが幸せに…、こんな世界に生きてみたい。
次回作、楽しみにしてますよ!
521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 22:39:26.78 ID:3DbOyhUo
感動した

この感動をモニターの前に送りたいが、あいにくそんな能力は俺にはない

ので友達作るために20000人ほどあbbbbbb
522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 22:44:18.17 ID:UlSGg.DO
乙っしたー!
523 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/07(火) 23:59:26.01 ID:qdWnx.DO
次のスレタイは

『またお前かぁぁぁ!!』
でいいんじゃね?



つまりは乙な訳よ
後日談期待してる
524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/08(水) 01:34:45.22 ID:6JYb2Kk0
乙!!!!
525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/08(水) 06:25:56.22 ID:RIHoiCEo
超乙

すげーたのしかった
526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/08(水) 14:19:49.38 ID:Dcki7MUo
本当に面白かった
長い間楽しませてくれてありがとう!
乙!
527 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage saga]:2010/09/08(水) 17:03:01.75 ID:5hREjf60
ども、>>1です。

うわぁ……思ってた以上に見てくれた人がたくさんいたことにすげえビックリした…。
たくさんの乙レスありがとうございます!

後日談は…残念ながら考えてません。この話は自分的にここで終わりが一番良いのではないかと判断したからです。
期待してくれた方、本当にゴメンなさい…。
余った分は落とすも良し、誰かが後日談を書いてくださるのも良しです。
決して投げ出す訳ではなく、今次回作の書き溜めに早くも力が入ってしまっているので、そっちに今は集中したいんですよねー。

なので、書いてくれる方がいてくれたら是非コッチからお願いしたいぐらいです。

一方さんと上条さんの漫才か……笑いセンス皆無の俺には無理っぽい。誰か書いてくれないかなー(チラッ
鉄装も気分転換したい時にこっそり投下しちゃうかもです。べ、別に忘れてた訳じゃないですよ?…ウソですゴメンなさい……。

自分やっぱ一方さん好きなんで次回も一方さん系になりそうです。
けど今回の話とは全く別の話です。

宣伝は敢えてここではしないでおきます。「またお前かァァ!!」って言われるのが楽しみなんでw
卑しい人間でホントすいません……。
ただ、やっぱりこの話より面白くはしたいですね。この話書いてて参考になった点や反省点を次に上手く生かせたらいいなー…。
できるかは分かりませんが、とにかく頑張りたいと思います。
楽しみにしていてくれたらとても嬉しいです。


では、また次回作で会えたらお会いしましょう。
何度でも言います。たくさんの感想を本当にありがとうございました!!!
528 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/08(水) 18:34:57.61 ID:A7e8ARwo

後日談ないのは寂しいけど、せっかく綺麗に終わったんだからこれで良いのかもね
次回作も絶対探し当てて「またお前かァァ!!」って言ってやるわwwwwww
529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/09(木) 00:02:55.80 ID:juNlBzIo
乙ぅぅぅう!!すげえ楽しませていただきました!
530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage ]:2010/09/09(木) 08:31:46.19 ID:/CLgD1I0
数ヶ月前初めのスレ見た時「これは大作になるな…」と踏んだ俺の目に狂いはなかった……
>>1よ、よくぞ走りきった! 俺的に禁書系SSの中では間違いなく上位に入る作品だったぜ
次回作が今から楽しみすぐるwwwwww
531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/11(土) 18:28:46.57 ID:jB4eJ.Ao
乙だあああああああああああああああああああああああああ
超超超楽しませていただきましたぁああああああああ
ありがとう
532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/12(日) 19:12:09.51 ID:iThLaPoo
このあと佐天さんは日村と仲良く暮らしましたとさ
めでたしめでたし
533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage ]:2010/09/12(日) 20:58:35.49 ID:a4xFfm.0
>>1に心からの乙を送ります!!
ところで、次回作ってもしかして最近立った番外通行のやつですか?
プロローグが超それっぽいんですが……
違ってたらすいません…
534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/14(火) 04:28:04.43 ID:w4cHfUDO
というかここはどーするん?

もう書かないなら依頼出した方がいいし
535 : ◆8NBuQ4l6uQ[sage saga]:2010/09/14(火) 19:50:54.25 ID:dcvJxWQ0
>>533
そうです。苦手だったらゴメン…
>>534
依頼済みです。態々ありがとうございます



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