以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:42:39.16 ID:zVhddhFD0<>独自設定注意
途中までリメイク

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496652158
<>照「お菓子屋さんになりたい」 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:54:36.03 ID:zVhddhFD0<> 菫「んっどうしたんだ照、急に……」

照「私はお菓子屋さんになりたい……」

菫「そうか……なったら良いんじゃないか。お前ほどの才能がプロに行かないのはもったいないと思うが」

照「私はお菓子屋さんになる」ガタッ

菫「おっどうした照……部活中だぞ……ほら、早く座れ」

照「私はお菓子屋さんにならねばならない」プルプルプルプルプル

菫「こらこら興奮するな……ほら落ち着けって今お茶を入れるから、ほら座って、」

照「私はお菓子屋さんになる。だれにも止められない」ダッ

菫「ああああああああああ照が逃げたぞおおおおおおおおおお」

照「お菓子のチャンプになる…」ダダダダダ

菫「捕まえろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:56:47.50 ID:zVhddhFD0<>

照「私はお菓子屋さんになる…」

照「私はお菓子大好き…」

照「あっでも私お菓子作れない…」

照「どうしよう…お菓子作れないとお菓子屋さんじゃない……」

照「頑張ってここまで来たのに……」

照「私じゃお菓子屋さんになれない……」ジワッ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:57:42.77 ID:zVhddhFD0<> ???「あきらめるには早いぜ!お嬢さん」

照「あ、あなたたちは……」

京太郎「須賀です!」

ハギヨシ「萩原です」

ワハハ「私もいるぞ」ワハハ

照「誰……」

ハギヨシ「我らがあなたの手足となって動きますゆえ…」

京太郎「だからそんなに…泣かないで下さいよ照さん!」

ワハハ「ワハハ」ワハハ

照「ありがとう知らない人たち……」

ハギヨシ「我々だけではありませんよ」

照「えっどういうこと……」

京太郎「実はお菓子業界は今や弘世コーポレーションに支配されてまして」

ハギヨシ「市場の独占により数多のお菓子屋さんがやぶれました」

照「話が大きくなってきた」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:58:10.66 ID:zVhddhFD0<> 京太郎「だが照さんがいれば百人力だ!弘世の支配を終らせられる」

ハギヨシ「各地にもまだ様々な技を持ったパティシエたちも生き残っております」

京太郎「そういう力を集めて結集させれば…」

照「お菓子の暗黒時代が終わる…」

ハギヨシ「あなたが終わらせるのです」

京太郎「頼むぜ照さん」

照「分かった……お菓子チャンプを目指すものとして放ってはおけない…」

ハギヨシ「では!」

照「うん、私は……」



照「お菓子屋さんになる!!!」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:58:39.33 ID:zVhddhFD0<>

ハギヨシ「では私はこれで……」

照「え、行っちゃうの?」

ハギヨシ「あなたの力となるものが一人でも多くなるよう、動かねばなりません」

照「えっでも……」

京太郎「大丈夫だ照さん。俺もこう見えて師匠の弟子だ。」

京太郎「レパートリーは少ないが…腕ならそこら辺の奴には負けないぜ」

京太郎「さあ行こうぜ照さん!」

照「最低限お菓子を作れるならいいか……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 17:59:05.97 ID:zVhddhFD0<>

照「これからどこに行くの?」

蒲原「強いお菓子使いのいるところだぞー」

照「お菓子食べたい」

京太郎「各地にいる密偵の情報何ですが……」

京太郎「奈良には和菓子を使う強大なお菓子屋があるそうなんです」

照「お菓子!?行きたい!」

京太郎「ただ最近そこが弘世の傘下に入ったという話が…って、照さん!?」

照「お菓子大好き」ダダダダダ

京太郎「そっち逆っす」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:00:11.39 ID:zVhddhFD0<>

ワハハ「ついたぞー」ワハハ

照「ここが……」

蒲原「奈良県の吉野だな」

京太郎「入っただけですさまじいオーラ……噂は本当らしいっすね」

蒲原「オーラはわからんが、いいにおいがするなー」

照「お菓子の気配」ダダダダタ

蒲原「あっ」

照「お菓子が呼んでいる」ダダダダタ

京太郎「そっち逆っすー!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:00:38.16 ID:zVhddhFD0<>

照「お菓子を出せ」

穏乃「いらっしゃーいって……」

照「ここにお菓子があるのはわかってる」

穏乃「お前は…宮永照!」

照「はやくはやく」

穏乃「……帰ってください。あなたに売るお菓子はありません」

照「なんで?」

穏乃「私は奈良を…阿知賀を守らなきゃならない」

穏乃「弘世と敵対するわけには、いかないんです」

照「……そう」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:01:11.88 ID:zVhddhFD0<>

照「なぜ菫の名前が出るのかわからないけど」

照「売れないというのなら」

照「力ずくでいただいていく」

照「そして私の夢の礎になってもらおう…」ゴッ

穏乃「おもしろい……宮永さん。あなたのお菓子力はいくつですか?」

照「分からないけどお菓子は好きだからたぶん高い」

穏乃「?まさかあなたはお菓子使いじゃないのか……?」

穏乃(ならなんで弘世はこの人を警戒していたんだ) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:01:40.72 ID:zVhddhFD0<>

「まちやがれ」

穏乃「!?」

照「あなたは……」

穏乃「お前は……」

照「金髪の人」

京太郎「京太郎です」

穏乃「どなたか存じませんがいま取り込み中なんです……。申し訳ありません」

京太郎「悪いが客でもないんでね」

京太郎(お菓子使いの前に生身で立ったら死ぬ!)

京太郎(戦えるのは俺だけだ!)

京太郎「萩原門下が一人、須賀京太郎が相手だ!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:02:09.64 ID:zVhddhFD0<>

穏乃「上等!萩原門下がどれほどのモノか」

京太郎・穏乃「勝負!」

京太郎(一気に決める!)

京太郎「照さん!リクエストを!」

穏乃「!」

照「プリン食べたい」

京太郎「了解!萩原門下の力を見せてやるぜ!」

穏乃「はやい!」

京太郎「俺のお菓子力は500!これぞ雑用根性!手際なら負けないぜ!」

京太郎「くらえこれが本場仕込みのトロトロ牛乳プリンd」

穏乃「三食団子!!」

京太郎「ぐああああああああああああああああああああああああああああ」

照「き、金髪の人っ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:02:47.43 ID:zVhddhFD0<>

蒲原「いくら須賀の手際が良くても、プリンと団子では速さが段違いだ」

京太郎「バカな……俺のトロトロ高級牛乳プリンを……三色団子ごときで……?」

照「牛乳プリンそんな好きじゃない」パクパクモグモグ

京太郎「し、しまった……」

穏乃「実戦不足だね…それに」

照「三色団子もそんなに……」パク

照「!!このおだんごすごくおいしい」

穏乃「実力不足だ」

京太郎「ぎゃあああああああああああああああ」



ドゴォォォォォォォン


京太郎「無念…」ガフッ





弘世コーポレーション関西地区マスター



【和菓子王】高鴨穏乃



穏乃「私は全国12人のマスターの一人」

穏乃「お菓子力は30000だよ」

照「……!」

穏乃「悪いことは言わない…夢はあきらめて東京に帰るn」

照「いや」

穏乃「!……この実力差じゃどうにもならない」

照「私はお菓子屋さんになる」

照「私はお菓子が好きだから」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:03:30.78 ID:zVhddhFD0<>

穏乃「プッ」

照「!?」

穏乃「あははははははははなにそれー子供みたい!」

照「なんで笑うの……」

穏乃「だって子供みたいで…あははっ」

照「笑わないで」

穏乃「……」

穏乃「とにかく出直してきてください!」

穏乃「今のあなたじゃ私にも勝てない」

穏乃「力をつけないと」

照「……」

穏乃「これは独り言ですけど」

穏乃「今阿知賀には弘世に対する反対勢力があります」

照「……!」

穏乃「豊富な人材がそろっているはずです」

照「ありがとう」

穏乃「ただの独り言ですよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:04:00.96 ID:zVhddhFD0<>

ワハハ「着いたぞー」ワハハ

照「ここが阿知賀女子」

憧「止まりなさい!」

照「!」

憧「何者か知らないけど、痛い目あいたくなかったらすぐに立ち去りなさい」

照「待って、私たちは和菓子屋さんに言われて」

憧「っ!尚更ここに入れさせるわけにはいかないわね」

灼「待って憧、あの人達は敵じゃないと思…」

憧「どうして?」

灼「あの角……あれが噂の宮永照だと思……」

憧「!あれが……じゃあ周りは噂の龍門渕の生き残りってとこかしら」

灼「たぶん……執事の姿は見えないけど、あの車は資料にあったはず」

憧「そう」

憧「いいわ!今門を開けるわよ」


ギイイイイイイイイイイ



灼「ようこそ阿知賀女子へ」
  <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:04:31.28 ID:zVhddhFD0<>

憧「それで、どういった御用かしら」

照「私はお菓子屋さんになりたい」

照「しかしお菓子を作ることができないため、おいしいお菓子を作れるお菓子屋さんを探してる」

照「下の和菓子屋さんで和菓子を手に入れようとしたけどなぜかいじわるをされた」

照「こっちには使えない金髪の人しかいないから……」

京太郎「須賀です」

照「ここにお菓子を作れる人がいると聞いて来た」

照「私にお菓子を作ってほしい」

憧「和菓子屋にね……嫌味かしら」

照「?」

灼「もともとここには3人のお菓子使いがいたけど誰も弘世には勝てなかった」

灼「そのうえ一番強かったうちのエースが弘世にスカウトされていってしまった」

憧「その裏切り者が下で和菓子屋やってる穏乃よ」

憧「ここに自分より強い奴がいないのを分かってて……」

照「そんな……」

憧「弘世に勝てるかもしれないのは穏乃だけだった」

灼「ほんとは他にも【おもちロード】っていうお菓子使いがいたんだけど……」

憧「まだ見ぬおもちを求めて……、とか言ってどっか行っちゃったわ」

憧「信じてたのに。さっさと皆こんなとこ捨ててどっか行っちゃった」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:05:56.84 ID:zVhddhFD0<>

灼「憧……それは違……」

憧「違わないでしょ!」

憧「おかげで最高の仲間が今じゃ最悪の敵ってわけ」

照「3人って言ってたけどあとは誰なの?」

憧「私よ……といっても二つ名もないお菓子力200の雑魚だけどね」

灼「憧…」

憧「だからここには弘世に勝てるような人材はいないのよ……分かったら……」

照「分からない」

憧「!」

照「私はお菓子が食べたい」

照「しかし私はお菓子を作ることができない」

照「あなたはお菓子を作ることができる」

照「ならなぜあなたはお菓子を作ろうとしないの?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:06:31.10 ID:zVhddhFD0<>

憧「私が怖気づいてるって言いたいの?」

照「そんなこといってない。ただあなたがお菓子を作ろうともしないことを疑問に思っているだけ」

憧「私は穏乃とは違う!私じゃ弘世には勝てないって言ってるのよ!」

照「今菫の話なんかしてない。あなたに聞いてるの」

憧「分からない奴ね!今のお菓子業界で弱い奴になんて意味ないのよ」

照「あなたこそ私の話を分かってない」

照「私はただあなたにお菓子を作ってほしいだけ」グイッ

憧「ちょっちょっと何……」

ガシィ

憧「ふきゅっ」

照「お願い…(お腹すいてるから)私にお菓子を作って」

憧「ち、近い近い!」

憧「分かったわよ!作る!作るから!」

照「ありがとう」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:07:07.22 ID:zVhddhFD0<>

憧「いくわよ……これが私のお菓子…デカ盛りパフェよ!」

灼「いきなり必殺技……!」

憧「バナナ!サクランボ!ミルクセーキ!」

灼「風評被害が加速する……!」

憧「食らいなさいアコちゃん特性!スペシャル☆ジャンボスイーツ(笑)〜世界一位風〜よ」

照「あまくておいしい」

憧「そう……?ありがとう」

照「でも下の和菓子屋さんほどじゃない」

憧「!……何よそれ、頼んどいて文句とかふざけてるわけ?」

照「ふざけてるのはあなた」

憧「っこの!」

灼「憧やめて!」

憧「はなしてよ!」

照「和菓子屋さんのお菓子には力強さがあった」

憧「強さ……」

照「和菓子屋さんの見せた穏やかで雄大な気配」

照「まさに深山幽谷の化身」

照「それを支えるのは阿知賀の風景、そこに住む人々の笑顔」

照「そしてそれらが私を包むように迎えてくれる」

照「一言でいうなら」



照「和」

憧「!」

照「そんな『和』があの子のお菓子の強さを作っている」

照「あなたのお菓子は甘いだけ」

憧「〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」ダッ

灼「あ…待って!」タタタッ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:07:49.32 ID:zVhddhFD0<>

照「いっちゃった」

京太郎「言い過ぎっすよ〜十分おいしいじゃないすかー」

ワハハ「あれは大分こじれたな」ワハハ

照「私は本当のことをいっただけ」

京太郎「でもあれじゃ仲間になってくれないっすよーほんと何してんすか」

ワハハ「今はひとりでも味方がほしい時なのになー」ワハハ

照「なんで私のことみんなで責めるの……」ジワッ

京太郎「やべっ」

照「うう…」グスッ


「コラーーーーー女の子泣かしたのはどこのどいつじゃい!」


蒲原「そいつです」(真顔)

京太郎「違っ」

「問答無用…レジェンドツモ!」

京太郎「ぐああああああああああああああああああああああああああああ」

照「あなたは…?」

「なーに名乗るほどのもんじゃアないさ…」

「ただ人は私を阿知賀のレジェンドと呼ぶ」

「私を呼びたきゃそうよびな」



ガララ

灼「あ、ハルちゃんこっち来てたの」

晴絵「あっ馬鹿……いま名乗りの途中……」

晴絵「とにかくはレジェンド!よろしくね!」

灼「わずらわし……」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:08:26.95 ID:zVhddhFD0<>

晴絵「改めまして赤土晴絵、レジェンドよ。よろしく」

照「宮永照、お菓子屋さんです。こちらこそ」

晴絵「お菓子屋さん……、ホントになるつもりなんだ」

照「私の夢です」

晴絵「それで憧にお菓子作りをねー」

照「あの子の様子は……」

晴絵「大分こたえてたわねー」

照「……傷つけてしまったなら、申し訳ありません」

晴絵「いいのいいの、あなたが言わなければ私が言ってた」

晴絵「なまじ器用なだけにどうにも小手先だけで作ろうとしちゃうのよねー」

晴絵「穏乃たちがいなくなってからは特にそれが目立っていた」

晴絵「あの子自身も分かってはいるんだと思うけど……」

灼「……」

晴絵「とにかく今日は悪いけど出直してきてくれるかな」

照「分かりました」

晴絵「知り合いがやってる旅館があるからそこに泊まっていくといい」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:09:04.43 ID:zVhddhFD0<>

松実館

カポーン

照「良いお湯……」

蒲原「しかしどうするんだー?正直ここにいても弘世に勝てる人材は得られないと思うけど」ワハハ

照「……」

宥「お役に立てなくてごめんなさい…」

蒲原「あそこまで強情だとはなーまいったまいった」ワハハ

宥「玄ちゃんがいればもっと助けてあげられたんだけど」

照「ところであなただれ」

宥「……?」

ワハハ「ワハッ!?」

宥「あ、ごめんなさい私ここの旅館の娘で松実宥です」

照「そうよろしく(お風呂の妖精さんかと思った)」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:10:05.34 ID:zVhddhFD0<>

宥「そう……憧ちゃんと……」

宥「お菓子はどうだった?」

照「おいしかったけどまだまだあまい……」

宥「そっか……」

蒲原「玄って子がいれば良かったんだけどなー」

宥「私は憧ちゃんのお菓子すきなんだけどな」

照「……?」

宥「玄ちゃんのも穏乃ちゃんのもおいしくて好きなんだけど……」

宥「むかし一回ね私のためにお菓子作ってくれたことがあったんだぁ」

宥「そのときはとってもあったか〜な気持ちになれたんだけど……」

照「……」

ワハハ「今使えなきゃしょうがないんだけどな」ワハハ

宥「うん……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:10:48.57 ID:zVhddhFD0<>

宥「そうだ!」

蒲原「どうしたんだー?」

宥「あのね、今止まってるお客さんにちょっと変わった人がいてね」

宥「なんでも強いお菓子使いを探して各地を旅してるんだって」

宥「もしかしたら力になってくれるかも……」

ワハハ「おーそれはぜひ会ってみたいな」

照「うん。それじゃあお風呂あがったらすぐに……」

「その必要はない」

蒲原「!?」

照「え……」

チリーン

宥「あっ新免さん」

那岐「変な客で悪かったね」

宥「あのそれはそういう意味じゃなくて」

ワハハ「いやー充分変わってると思うぞー」ツンッ

那岐「ひぅっ!?」

照「普通お風呂で鉢巻しない」

ワハハ「それより刀のほうが…錆びないのかー?」 チョンチョン

那岐「名刀だから大丈夫…」

那岐「鉢巻もお風呂でも気合を無くさないため」

那岐「変じゃない」

照「……へん」

那岐「その角のほうが変」

照「……なに」

那岐「なんだあてめえ……」

照「宮永照です……」

宥「い、いったんお風呂でよっか」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:11:17.29 ID:zVhddhFD0<>

宥「えっとそれじゃ」

那岐「新免那岐です……二つ名は【桃武蔵】、お菓子力は8000です」

照「宮永照、お菓子屋さんです」

蒲原「8000!?すごいな」

那岐「ここにはかつて敗れた宿敵【おもちロード】に会いに来たんだけど……」

宥「ごめんね……いまどこにいるのか分からなくて」

那岐「いいよ……松実玄より強いって言う弘世のマスター」

那岐「そいつを斬ってなんとなく過去の自分をごまかす事にする」

蒲原「でもそいつはお菓子力30000っていってたぞー」

那岐「格上に挑むための技術、それが武だよ」

那岐「ただものじゃないのは分かってる」

那岐「この地に入ってからずっとなにかに見られてる気配がする」

那岐「山のように大きな何かに……ここはもう奴のテリトリーって事だろう」

那岐「それよりも」

照「?」

那岐「そこの虎さんはやらないの?お菓子」

照「私は食べるのが仕事」

那岐「ただならぬ気配を感じたんだけど、そうか」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:11:54.32 ID:zVhddhFD0<>

蒲原「ところで私たちに力を貸して欲しいんだけど」

那岐「悪いけど諸国放浪の修行中だから。仕官の話は全部断ってる」

照「残念」

那岐「それじゃあ明日早いから」

照「まって」

那岐「?」

照「せめてお菓子の一つくらいつくっていって」

那岐「悪いけどそれも……私は勝負でしかお菓子は作らない」

那岐「だれか戦ってくれる人はいるの?」

照「えっと」キョロキョロ

照「……今いない」

那岐「それっじゃ悪いけど」

照「そんな」

那岐「じゃあ代わりにハイ」

照「これ……」

那岐「岡山名物黍団子、それじゃお休み」

照「うんお休み」モグモグ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:12:53.39 ID:zVhddhFD0<>

憧「……」

照『あなたのお菓子は甘いだけ』

憧「ホント何なのよ」

望「憧」

憧「……なに」

望「明日穏乃が闘うんだって、相手は流浪のお菓子使い」

憧「!……知らない」

望「ふーんならいいけど」

憧「……」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:14:15.40 ID:zVhddhFD0<>

那岐「ん……いい朝だ」

憧「早起きなのね、ちょっといい?」

那岐「……あなたは?」

憧「私は新子憧、あなた穏乃と戦うんだって?」

那岐「新子……。思い出したよ、阿知賀の三番目だ」

憧「それで悪いんだけどその前に私と戦ってくれないかな」

憧「不意打ちみたいで悪いけど、今この場で……」


那岐「水菓子二刀流『桃斬樫船盛』」チャキッ

憧「……!」

那岐「……おそいね」


那岐「私は武に生きる者、元より勝負を逃げる気はない」スッ

那岐「いつでもどこでも寝てる時でも挑んできてくれて構わない」

那岐「ただ」ギロッ

那岐「戦いたいというなら帯刀ぐらいしてきてほしい」

憧「普通刀なんて差さないわよ……」

那岐「闘気がないものとは戦えないってこと」

憧「……あたしが本気じゃ無いって言いたいわけ?」

那岐「あなたは感じない?彼女の闘気を……」

憧「彼女っって……」

那岐「日が昇ったころからか……私としたことがあてられて目が覚めてしまった」

那岐「本気で戦いたくなったらいつでもいいから」ザッ




憧「……」

憧「……」

憧「……なんなのよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:14:57.53 ID:zVhddhFD0<>

穏乃「おっ来たね」

那岐「またせた?」

穏乃「そうでもないよ、じゃあ始めよっか」

那岐「その前に改めて名前を聞いてもいいかな」

穏乃「高鴨穏乃。和菓子屋さんだよ」

那岐「ありがとう。私は新免那岐。おかしの道を極めるため修行中の身だ」

那岐「あなたは私に何を見る……?」

穏乃「う〜ん鋭くとがった峰……かな」

穏乃「一見するとおっかないけど……」

穏乃「本来そういう自然の厳しさって長い年月の中で出来上がっていくものだからね」

穏乃「木々の死んだ山は死んでしまう……今にも崩れそうなあなたは危なっかしくみえるよ」

那岐「深く刺さるね……だけどもとより私が目指すのは森林限界のその先……」


那岐「花すら咲かぬ頂だけだ」


穏乃「そういうあなたは何か見えているのかな」

那岐「先ほどから山しか見えないよ……遠くからははっきりみえていたのに」

那岐「こうしてる今もあなたを見失ってしまいそうだ」

那岐「深い……濃い……大きい……こういう強さもあるんだね」



穏乃「……じゃあ、いくよ」

那岐「……来いっ」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:15:36.00 ID:zVhddhFD0<>

憧「……」

晴絵「始まったね」

憧「ハルエも見に来たんだ」

晴絵「解説がいるんじゃないかって思ってね」


那岐「いくぞ。水菓子二刀流!」シュパパパパ


憧「出た!あれは……」

晴絵「新免那岐、桃武蔵、水菓子使い!そのメインスタイルはフルーツ!」

晴絵「目にもとまらぬカッティング技術はまさに剣豪!」


穏乃「こっちもいくよ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


晴絵「対する穏乃は和菓子…恐らくは小豆系!」

憧「こんなの穏乃が勝でしょ、水菓子なら系統としては和菓子だろうし」

憧「和菓子で穏乃が負けるはずがない」

晴絵「それはどうかな」


那岐「焼菓子二刀流……『太流刀』!」


憧「あれは……タルトっ!?和菓子使いなんじゃ……」

晴絵「新免那岐は水菓子を中心に五つのスタイルを持つ。あれは実戦的な火の型、焼き菓子だ!」

憧「五つのスタイルですって……!?」

憧(本気ですらなかったってわけ)

晴絵「彼女の格好は地元である岡山のアピールも含まれる」

晴絵「厳しいお土産お菓子業界、様々な技術を取り入れたスタイルは珍しくない……」

晴絵「すべては売れるため!」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:16:15.84 ID:zVhddhFD0<>

穏乃「まだまだいくよ!玄さんもうならせたこのおもち……」シュッ

玄『私が間違ってましたのだ……大きさだけじゃない、フニフニとしたこの弾力!この柔らかさ!』

玄『最初はこんな薄っぺらいのおもちじゃないと思ってたけど、最高ですのだ!この』

穏乃「生八つ橋!」バシィ

那岐「くっ」ガギィン

穏乃「まだまだあげてくよっ」

那岐(いけどもいけども山の中……すべて越えねば戦いにすらならない)

那岐「越えて見せるさ……我が剣で!」


憧「それでもお菓子力では穏乃が圧倒してるわよ!?」

晴絵「いや、新免那岐のお菓子力は五つのスタイルの平均値、五つすべてでほぼ同じお菓子力をキープしてる」

憧「なによそれ!?五つで同じって、8000の五倍なら合計で40000?!穏乃より強いって事!?」

晴絵「五つのスタイルは互いを支えあい一つの流儀を作るもので単純な足し算ではないけど」

晴絵「そのお菓子力をそのままとらえないほうがいい」

晴絵「それにしても8000か、鍛え上げたもんだね……玄と戦った時は2000ほどだったからね」


那岐「地産二刀流!黍団子、黒甘納豆!奥義『無二星』!」


憧「はやいっ」

晴絵「どこまでも実戦的!とにかく早く提供して回転率を上げるため!」

晴絵「カットするだけのフルーツを中心にあらかじめ焼いてあるタルト……」

晴絵「そして日持ちする携帯食の数々…いつでもどこでも素早くお菓子を供する事ができる」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:17:01.39 ID:zVhddhFD0<>

穏乃(スピードもパワーも私が上なのに……)

穏乃「とらえきれない!」

那岐「悠長に作ってる暇なんかなくてね」

那岐「精神一到」

那岐「捉えた……!そこがあなたの本体だ!」

ズギャアァッ

穏乃「っくぅ!」

那岐「懐へ入ったぞ……蔵王権現……」

穏乃「っまだまだ……」

那岐「奈良阿知賀風二刀流」

穏乃「!?」

那岐「『吉野山柿の葉斬り』」

穏乃「ぐあぁっ!」


憧「あれは!?」

晴絵「地の型が地元、水の型は水菓子、そして火の型は焼き菓子……もとい予め持っておく加工品」

晴絵「そして風の型は他流儀!実戦の中で作られる型無き型……!」


那岐「これで終わりだ」

那岐「空腹二刀流奥義『仙香桃源郷』」

穏乃「桃のいい香りが…」


晴絵「最後は食の本質……空腹を煽る香の技」

晴絵「これが新免那岐。岡山最強のお菓子使い!」


那岐「さあ桃を乗せて完成……」

那岐「一連の型を総じて……『古都風桃源郷太流刀』と名付けよう」

穏乃「ぐああああああああああああああああああああああああああああ」

憧「しずーーーーーーーーーーー」

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:17:54.10 ID:zVhddhFD0<> 憧「しずっしずぅ……!」

穏乃「あ、あこ……?見に来てくれてたんだ」

憧「そんなしずが、負けるなんて」

晴絵「よもや新免那岐がこれほどとはね……」

晴絵「これが一流のお菓子使い同士の戦いだ、憧」

穏乃(苦しい……意識も……)

那岐「ありがとう高鴨穏乃……。おかげでまた一つ、私は強くなれた」

憧「そんな、しず……」


「まだ終わってない」

「「「!?」」」


照「まだ和菓子屋さんのお菓子が出ていない……そうでしょ?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:19:15.50 ID:zVhddhFD0<>

憧「あんた……宮永照!?」

那岐「どういうこと?高鴨穏乃はすでに倒れた。この勝負は私の勝ちで終わったはず」

照「そんなことは知らない」モグモグ

那岐「!?」

照「私はお菓子が食べたい」

照「彼女はお菓子屋さん」

照「そしてお菓子を作っていた」

照「ならばお菓子を出すべき……そう言ってるだけ」

憧「やめてよっ!しずはもう…」

那岐「そうだ!深く斬り込んだ、これ以上戦えない……!」

照「お菓子屋さんはお菓子を出すべき」

照「それに……」

穏乃「……」ググッ

那岐「!?」

照「彼女の火はまだ消えてない」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:19:58.60 ID:zVhddhFD0<>

穏乃「ありがとう宮永さん……」

穏乃「今お菓子を出すから……!」ググッ

憧「しずっ無理しないで!」

那岐「もう勝負はついた!」

晴絵「穏乃、つらいなら立つ必要はないよ」

晴絵「相手に何もさせないのも立派な戦略」

晴絵「残念だけどこれも勝負。たとえ穏乃のお菓子のほうが強くても負けることもある」

穏乃「ありがとうございます赤土先生……」

穏乃「でも私は途中で投げ出す訳にはいきません」

穏乃「待っててくれるお客さんがいる……!」

照「私は同業者」

穏乃「私はなんどだって立ち上がれる……私は、私は!」

穏乃「お菓子屋さんだっ」

晴絵「そうだったね……。それが私にはない穏乃の強さだったね」

那岐「もう勝負はついたのに!倒したのに……こんなのおかしい!」

照「昨日から勝負とか倒したとか何言ってるの?」

照「あとほかにもいろいろ持ってたのにきびだんごしかくれなかった」

照「おかしいのはあなた」

照「おかしをなんだとおもってるの?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:20:39.24 ID:zVhddhFD0<>

那岐「そんなの決まっている…お菓子は闘いだ!」

那岐「弱いものは消えていく…だから強くならなきゃならない!」

照「どうやら本当にわかってないらしい」

照「私はお菓子が好き」

照「お菓子を食べると幸せな気持ちになれる」

照「お菓子で一番大事なのは…そこでしょ?」

那岐「そんなのは甘いだけの戯言だっ」

照「違う」

那岐「どのみち彼女にこれ以上なにができるっていうの」

憧「たしかに…しずの体力はもう…」

晴絵「おそらく最初に出すつもりだったのは一口サイズの和菓子をいくつか盛り付けたもの」

晴絵「だけど今あるのは八ッ橋だけ…あれ一品じゃ弱い!」

憧「今から作るしかないけど…」

晴絵「出せて一品…どうする穏乃!」


穏乃(今使える武器は…餡子と寒天、桜の塩漬け…お皿も無事だ)

穏乃(大丈夫、新免さんに勝てなくても宮永さんに一品出すぐらいなら)

穏乃(…いや違うだろ穏乃!)

穏乃(お客さんを満足させる…ライバル店にも勝つ)

穏乃(両方やるのがお菓子屋さんだ!)

穏乃(でもどうすれば)

憧「しずっ」

穏乃(憧…そうだ、憧なら…)

穏乃(そして宮永さんなら…咲のお姉さんなら!)

穏乃「やるしかない!」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:21:11.76 ID:zVhddhFD0<>

穏乃「いくぞっあんこに寒天、桜が咲いて、嶺上開花!」

照「!」

穏乃「桜羊羹だっ!」

晴絵「さすが!…と言いたいところだけど」

那岐「本来の十分の一の実力も出てない」

憧「っていうか、あれ?」

憧「なんか大きくない?」

晴絵「あれじゃまるでケーキ…ハッまさか!」

穏乃「そしてこの…」スッ

穏乃「おやつに持ってきた食パンです」

穏乃「生クリームもあります」

那岐「し、正気?!」

穏乃「八ッ橋を並べて…」

憧「うそでしょ!?」

那岐「バカげてる…!」

晴絵「だがそこが良い」


穏乃「完成です」ゴッ

照「それは…」

穏乃「ケーキです」ゴッ

照「ほんとにケーキ…?」

穏乃「ケーキだよ〜」

照「…」

那岐「あなたも観光地お菓子に携わる者なら分かってるはずだ」

那岐「そんなおもしろアイディアでは勝負に勝てないと…」

穏乃「あ、ちなみに宮永さん…」

穏乃「それ」

穏乃「そのケーキなんですが」

穏乃「自由に好きなだけとって食べていいですよ」

穏乃「全部あなたのものですよ」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:21:38.99 ID:zVhddhFD0<>

那岐(!?殺気ッ?!)クルッ

照「…」ギギギー

那岐「〜〜〜〜〜〜ッッ!!!??」

照「コークスクリュー」ドゴォ

那岐「ぐっ!?」

穏乃「もらった…」

那岐「こんなのおかしい…」ドサッ

照「もぐもぐ」モグモグ

穏乃「っ!」ガクッ

憧「しず、大丈夫!?」

晴絵「両者戦闘不能…この勝負、なしとする!」

那岐「ふざけるな!私はちゃんと倒して…」

晴絵「たしかにお菓子勝負ではあなたの勝ちよ新免さん」

晴絵「お菓子使い同士の決闘としてはね」

晴絵「でも穏乃は立ってしまった…しかもお菓子を作った」

那岐「それは」

晴絵「これはルールのある公式の試合じゃなくいわば何でもありの戦」

晴絵「だからこそあなたも勝機があると踏んだんだろうけど」

晴絵「この場合相手が戦闘の意志をみせるなら勝負続行が古くからの習い」

晴絵「そしてあなたは今動けない…完全に治すには一晩はかかるわ」

晴絵「そして教育者としてこれ以上の私闘は認められない」

那岐「勝ったのに…やっと勝ったのに!」

照「まだそんなこと言ってる」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:22:08.54 ID:zVhddhFD0<>

照「あなたの目的は勝ことだけなの?」

那岐「決まってる!勝つそのために強くなるそのために道を…あれ?」

照「何のためにここに来たの?」

那岐「そうだ、高鴨穏乃に…彼女に勝つために…あれ違う、私は松実玄にリベンジを…ちがうそうじゃなくて」

照「なんで勝負にこだわるの?」

那岐「それは…松実玄にまけたから…?ちがう負けたのは弱いからで…弱いと負けて…」

照「なんであなたはお菓子を作るの」

那岐「私は強くなりたくて…弱い自分を変えたくて…」

照「強さってなに」

那岐「弱いとだめだから…私は岡山のために…強くないと…」

那岐「弱いとなくなっちゃう…強くならないと…」

照「あなたはそれでいいの?」

照「本当にそれが…」



ゴオォォォォォォ





照     魔     鏡



照「あなたの本質なら」





照「そんなのは間違ってる…」

照「そんなのは麻雀だけで十分」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:22:40.44 ID:zVhddhFD0<>

照「あなたに本当のお菓子を教えてあげる」

那岐「なにを……」

照「……新子さん」

憧「え……私?」

照「お菓子を作って欲しい」

憧「急に言われても、材料だって」

照「大丈夫。あそこにあるものだけで作れる」

憧「ちょ、ちょっといったい何を作らせるつもりなのよ」

照「あっちを見て」

憧「え……?」

宥「はあはあ」

灼「無理しないで……」

憧「あ」



照魔鏡―――――――――




照「そう。それを作って欲しい」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:23:12.72 ID:zVhddhFD0<>

憧「で、でも」

照「いいから早く作って。やくめでしょ」グイグイ

憧「わ、分かったってば!」

憧(あんこは残ってるし作れるけど、これで何になるってのよ)

憧(って)

憧「ちょっとあれがないじゃない!あれが無いと……」

照(一言で言うなら和)

憧「!」

憧(そういえば)

那岐「……」

憧(ああ、そうか)

宥「寒い……」カタカタ

灼「これ私のコート……」

宥「わ、あったかーい」

憧(宮永照、あなたは私に)

穏乃「……」

憧(これを教えるために……)

憧「お待ちどうさま」

那岐「これは……」

穏乃「おお」

宥「あ……」

憧「憧ちゃん特製の、和のお汁粉よ!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:23:40.97 ID:zVhddhFD0<>

数年前

玄「いらっしゃーい」

穏乃「うおー!旅館だ―!」

憧「旅館だ―」

和「あ、走ったら危ないですよ」

穏乃「あ、そうだ!これお土産です」

玄「ありがとう。穏乃ちゃんのご実家のお菓子かな」

穏乃「ちっちっち。ちがいますよ」

憧「なんと!」

穏乃「なんとなんと!」

穏乃「私の手作りでーす!」

憧「でーす」

玄「本当に!?すごいよ、お店の奴みたい!」

穏乃「気合い入れて作りましたから!」

憧「私も手伝ったしね!」

玄「じゃあ、お風呂の前にお茶を入れてみんなで食べよっか」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:24:11.90 ID:zVhddhFD0<>

玄「ごめんねお茶切らしちゃってるみたいだから、貰ってくるね。

玄「良かったらここでくつろいでて。お風呂行っててもいからね」ガララ

穏乃「あ、手伝いますよ!お茶も入れられます!」ダダダダ

憧「いっちゃった」

憧「お風呂行ってこよっと。和は?」

和「すみません少し疲れてしまって。ここで待ってます」

憧「はーい」



憧「ふんふーん」

憧「貸し切りだ―」

憧「気持ちーい!」

宥「よかったねえ」

憧「わあ!?」

宥「あ、ごめんなさい。脅かしちゃって」

憧「いや、大丈夫……。えっと」

宥「松実宥です」

憧「あ、玄のお姉さんか」

宥「今日はさむーいから、早くからお風呂に入っちゃった」

憧「今日そんなに寒かったっけ」

宥「私昔から寒がりで」

憧「あっ!そうだ。この後みんなでお菓子食べるんだ。一緒にどう?」

宥「え、いいの私も混ざって」

憧「もちろん!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:24:42.12 ID:zVhddhFD0<>

玄「おまたせーってお姉ちゃん?」

宥「玄ちゃん」

玄「お姉ちゃんも来たんだね!うんうん」

穏乃「玄さんのお姉さん?!私高鴨です!」

宥「松実です」

和「私は原村和といいます。玄さんにはいつもお世話になっています」

憧「なにそれー」

玄「あっそうだ。お姉ちゃん寒くない?ここ暖房入れてないけど」

和「暖房って今五月ですよ」

宥「うん大丈夫。みんなが暑いだろうし」

玄「それならいいけど……」

十分後

宥「」ガタガタガタガタ

穏乃「暖房!暖房入れましょう!」

和「これ布団です」

玄「ストーブ持ってきますのだ!」

憧「あわわ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:25:12.05 ID:zVhddhFD0<>

憧(私がお風呂から連れだしたから)

憧(何かできないかな)チラッ

憧(あ!)

憧「ちょっとまってて!」

穏乃「憧!?」

玄「戻りました!って憧ちゃんは?」

和「それが……」

穏乃「羊羹もって飛び出しちゃった」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:25:41.94 ID:zVhddhFD0<>
憧(たしかこうやって羊羹を切って、お湯に入れて)

憧(お餅をトースターで焼いて)

憧「お待たせ!」

穏乃「あ、どこ行ってたんだよ憧……って」

和「これは……」

宥「わあ……」

憧「これぞ簡単お汁粉よ!」

宥「食べていい?」

憧「どーぞ」

宥「いただきまーす」

穏乃「おいしい!すごいじゃん憧!」

玄「こんなすぐに作れちゃうなんて」

憧「えへん」

憧「宥さんどうですか?」

宥「……うん。とってもあったかーくて」

宥「とってもおいしいよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:26:10.90 ID:zVhddhFD0<>
現在

穏乃「おいしいよ憧!」

憧「そりゃおいしいでしょうよ。しずが作った羊羹使ってるんだから」

京太郎「それだけじゃないだろ。こう柔らかな味わいがあるぜ」

憧「生クリームを少し……って、あ」

照「……」

憧「余計なことしちゃったかな……?」

憧(またなんか言われるかな)

照「ううん」

憧「!」

照「とってもおいしい」

憧「あ……うん。ありがと」

蒲原「桜の花が風流だな」ワハハ

灼「ホントにおいし……」

憧「あーもう!ほめすぎだって皆……」プイ

晴絵「お、照れちゃって」

憧「もう!」

宥「憧ちゃん」

憧「あ、宥姉……」

宥「とってもあったかくてとってもおいしいよ」

憧「―――――――――」

宥「?」

憧「あ、ありが、ありがと……」グスッ

宥「あ、憧ちゃん?」アセアセ

憧「これ、宥姉のおかげで、思いだして、私……」

宥「……よしよし」

憧「うわああああん。私、ずっと、不安で、皆、いなくなっちゃうって……!」

宥「……」ナデナデ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:26:42.24 ID:zVhddhFD0<> 晴絵「穏乃はいかなくていいの」

穏乃「……はい。憧は私のライバルですから」

晴絵「そっか。ならしっかりと立ってないとね」

穏乃「はい!」

灼「タフすぎ……」

蒲原「野生だなー」


憧「あーごめんごめん。恥ずかしいとこ見せちゃって」

灼「そんなことな……」

穏乃「ま、憧も強がってないでたまには周りに甘えないと」

憧「穏乃に言われたくないわよ!阿知賀のこと一人で抱え込んでるようなものじゃない!」

那岐「……」

晴絵「新免さん。憧のお汁粉はどうだったかな」

那岐「これ……」

憧「あ、ごめん。あとからになっちゃたけど、それ使わせてもらったわ」

那岐「うん……」

蒲原「確かに珍しいなー。おもちの代わりに」

那岐「きびだんご……」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:27:11.81 ID:zVhddhFD0<> 京太郎「きびだんごとお汁粉がこんなにマッチするなんてな」

灼「新食感かも……」

晴絵「新免さんの型とは違うけど」

晴絵「この一杯には、色んなものが詰まっている」

晴絵「それはお菓子力の高さや相手を屈服させるお菓子だけでは測れないもの」

那岐「……そうですね」

那岐「きびだんごも、お汁粉も」

那岐「こんなに自然体で、こんなにおいしかったんですね」

那岐「新子さん」

憧「……」

那岐「それに宮永さんも」

照「……」モグモグ

那岐「偉そうなことを言って相手にしなくてごめんなさい」

那岐「まいりました」

灼「じゃあ……」

晴絵「憧の勝ち……いや」






晴絵「お菓子の勝ちだ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:55:22.34 ID:zVhddhFD0<> 蒲原「おーい。そろそろ出るぞー」

照「もう少し待ってほしい」モグモグ

京太郎「食べすぎっすよ」

穏乃「お土産もありますから、無理せず食べてくださいね」

那岐「……」チリーン

憧「新免さん。もう出るの?」

那岐「うん。ここではもう十分すぎるものを受け取った」

蒲原「ところでほんとについてきてくれないのかー?」

那岐「今の私は未熟にすぎる。もうすこし各地を回って自分と向き合ってくる」

蒲原「残念だなー」ワハハ

那岐「でもいつか必ず、宮永さんたちのために剣を振るおう」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:56:30.58 ID:zVhddhFD0<>

那岐「これから先の行先に当てがないなら鹿児島に向かうといい」

蒲原「鹿児島?」

晴絵「なるほど。霧島神境にいってたのか」

那岐「はい」

晴絵「通りで短期間でパワーアップするわけだ」

蒲原「そこに行くと強くなれるのか」

晴絵「厳しい修行らしいけどね」

那岐「ただ鹿児島に行く際は気を付けて。中国地方は大お菓子地帯」

那岐「特に兵庫の劔谷は油断しないほうがいい」

那岐「私はここに来る前、そこで不覚を取った」

蒲原「那岐がやられたのか。そりゃあ要注意だなー」ワハハ

晴絵「鹿児島を目指すだけなら避けて通ることもできるけど」

照「そこにはおいしいお菓子があるの?」ヌッ

晴絵「あるだろうね。劔谷は京都をおしのけて北近畿のマスターを勝ち取ってる」

照「なら」

照「避ける理由がない」ゴッ

晴絵「だろ?」

蒲原「これだもんなー」ワハハ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:57:20.57 ID:zVhddhFD0<> 穏乃「強いお菓子使いに会いたいなら大阪に行くことをお勧めします」

照「大阪?」

穏乃「はい。天下の台所、大坂には今日本中から腕を競う戦士が集っています」

晴絵「大阪は現在も弘世と日夜戦っている」

晴絵「今の大阪は弱肉強食の戦国乱世……。弱いものに生きる資格はない」

穏乃「実を言うと私が弘世に敗れた後、温情をかけられたのは大坂攻めのためなんです」

穏乃「関西地区マスターっていうのも実は名ばかりなんですよ」

京太郎「なるほどリスクはあるが」

穏乃「弘世と闘うなら協力を得られるかもしれません」

蒲原「なら決まりだな」

照「まずは大坂でお菓子」

照「そのあと兵庫でお菓子」

照「そして鹿児島でお菓子……!」

晴絵「気合十分って感じだな」

憧「……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:58:46.32 ID:zVhddhFD0<>
宥「それじゃあ皆さんお気を付けて。いってらっしゃいませ」

蒲原「結局奈良での収穫はなしかー」

京太郎「仕方ないですよ。負けた以上、高鴨は何らかの形で責任を迫られるでしょう」

穏乃「わたしも吉野を、阿知賀を守らなきゃいけません」

晴絵「正直に言えば、むしろあなたたちに残って欲しいくらいだからね」

照「ごめんなさい。私にもお菓子が待ってるから」

晴絵「ま、大丈夫だろう。みんなで向かっていけば問題ないさ」

蒲原「それじゃあ出発するぞー」

照「おー」

穏乃「いつか落ち着いたらまたぜひ訪ねてください!」

穏乃「今度は嫌っていうくらい、お菓子を振るまいますから!」

灼「応援してる……。必ず弘世の支配を終わらせてほし……」

宥「体に気を付けて、あったかーくして、風邪ひかないようにね」

照「みんなありがとう」

ブロロロロロロ

憧「待って!」

穏乃「憧?!」

憧「お願い!私も連れてって!」

照「……」

憧「みんなもごめん。これから大変な時期で、それなのにわがまま言って」

憧「でも私も宮永さんたちの力になりたい。一緒に行きたい……!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:59:15.41 ID:zVhddhFD0<> 穏乃「そっか。行ってらっしゃい」

晴絵「無理はしないようにね」

灼「たまには手紙もほし……」

宥「風邪ひかないようにね」

憧「あれっ!?なんかおもったよりすんなり!?」

望「当然でしょ」

憧「あ」

望「行ってらっしゃい憧。どこにいたって阿知賀の一員なのは変わらないんだから」

穏乃「待つのは慣れてるよ。なんどバラバラになったって」

穏乃「また何度でも一つになれる。一緒に遊べる」

穏乃「だから、気にせず行って来いよ。憧!」

憧「みんな……」

憧「ありがとう!絶対にまたここに戻ってくるから」

憧「穏乃も首洗って待ってなさい!」
  <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 18:59:41.51 ID:zVhddhFD0<> 憧「っと待たせちゃったわね」

照「大丈夫」

京太郎「へへっよろしくな!」

蒲原「それじゃあ今度こそ行くぞー!」

憧(ありがとう。阿知賀)

憧(必ず戻ってくるから!)

照「……うん」

照「お菓子おいしかった」

阿知賀編


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 19:00:58.06 ID:zVhddhFD0<> いったんここまで <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 19:02:19.05 ID:zVhddhFD0<> お菓子使いレポート



須賀京太郎

お菓子力500

得意系統:洋菓子・万能型

照コメント

金髪の人。少しノリが苦手。
いつも張り切ってお菓子を作る。
阿知賀では使えなかった。

レジェンド的解説

お調子者の見習お菓子使い。特筆事項無し!

……と見るのは素人。油断ならない潜在能力を持った使い手だ。何といってもあの【滅法師】萩原の弟子なんだ。さすがに三高弟程じゃないけど。
実際あの手際は見事なもの。策を弄すのではなく、正面から穏乃相手に先をとれる奴はそういないからね
後は場数を踏んでいけば自然と強くなっていくだろうね


高鴨穏乃

お菓子力30000

得意系統:和菓子・特化型 

照コメント

和菓子屋さん。とってもおいしかった。
でも最初に意地悪をしてお菓子を出さなかったのは減点。
星みっつ。

レジェンド的解説

阿知賀最強のお菓子使いにして、純粋な和菓子の使い手では最強の使い手だ。
幼いころから実家で厳しい修業を積んでいる。高1にして30000という数字はこれに裏打ちされたものだ。地力では、日本でも五指に入るだろうね。
もう一つ和菓子に重要なのは、自然との調和。季節感や器との兼ね合い。幼少から自然の中で過ごしてきた穏乃はこれに関して屈指のセンスを持っている。
加えて山で培ったサバイバル技術。とっさの判断力やタフさはここに由来する。
穏乃と真っ向勝負をするってことは山の中で獣とかけっこをするようなものだね。



新免那岐

お菓子力8000

得意系統:和菓子・万能型

照コメント

刀とハチマキは変。きびだんごをくれた。
お菓子で勝負とか意味の分からないことを言う。
心を入れ替えたようでよかった。

レジェンド的解説

岡山最強新免那岐。全身で岡山をアピールする姿はおそらくきびしいご当地界隈で鍛えられたもの。
彼女が編み出した二刀流は火、水、風、地、空の五つの型に分類される超実戦的なスタイル。五つの型はかみ合うことで力を増し、変幻自在の攻めを作り出す
優れた技量も相まって、ルール無用の戦い……ぶっちゃけ喧嘩において彼女はすでに達人の域に手を伸ばしている。
今度来たときはまたぜひ玄と闘ってほしいね。



新子憧

お菓子力300

得意系統:洋菓子・アレンジ型

照コメント

お汁粉はおしかった。
その調子で私のお菓子屋さんのパティシエになってもらう。

レジェンド的解説

お菓子使いとしてはまだまだ。ただアレンジ、デコレーションなどにおいては昔から光るものを見せていた。
小手先だけでやっちゃうのが弱点だったけど、お汁粉で何かを掴んでくれてるといいんだけど。
重要なのは何を作るかじゃなく、誰のために作るかなんだよ、憧。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/05(月) 19:28:06.99 ID:YPt4dl350<> スレタイなんか見たことあるかと思ったら
内容は全然違った <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/05(月) 19:38:08.66 ID:k7K5P0Ito<> 懐かしいタイトルと思った <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 19:45:23.60 ID:zVhddhFD0<> 大坂編

ブロロロロロロ

蒲原「ワハハー」

憧「ちょ、危ない危ない!」

蒲原「大丈夫大丈夫」

憧「どこがよ!」

京太郎「心配ないぜ新子。蒲原先輩は事故だけは絶対に起こさないから」

蒲原「おっと滑った」

憧「きゃーーーー」ガシッ

照「あ……」グラッ

ポロッ

ピュー

照「お菓子が……」

憧「あ、ごめん」

照「許せない」

憧「ちょっ、ごめんってば」

照「代わりのものを要求する……」

憧「あーえっと、歌を歌います」

照「は?」

憧「あなたしんじてるってウソよ〜♪」

京太郎「なんだっけそれ」

蒲原「そろそろつくぞー」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 19:48:15.90 ID:zVhddhFD0<> 照「ここが大阪」

京太郎「うわ、すごい人……」

蒲原「長野出身にはびっくりだな」

憧「吉野も田舎だけど、大阪にはたまに遊びにいってたからそうでもないかな」

京太郎「でかい蟹が住んでるってホントなのかな……」

蒲原「昔写真で見たことあるからほんとだぞ」

憧「ないない」

???「ノーウェイノーウェイ」

憧「ふきゅっ!?」

京太郎「お前は……高久田!」

高久田「よっ」

内木「一応僕も」

京太郎「内木先輩まで」

高久田「ハギヨシさんさ」

京太郎「ハギヨシさんが?」

憧(うわー男子がいっぱい……みんな背が高いし)ニガテ

高久田「ここに来るだろうってな。先に入って情報収集をしてったってわけだ」

京太郎「そうか、ありがとな」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 19:54:25.01 ID:zVhddhFD0<> 高久田「さっそく本題に入ろうか」

高久田「大阪には大きく分けて三つの勢力圏がある。千里山、南大阪、そして荒川病院だ」

内木「この三つの勢力圏が拮抗しているのが今の大阪の状態だ。おかげでいつもピリピリしている」

内木「千里山は清水谷グループが管理する地域で反弘世における最後の勢力だ」

内木「千里山には三凶星と呼ばれる三人のお菓子使いがいて全員がマスター級だなんて噂もある」

内木「ただ本拠の千里山周辺は警戒も厳しく近付くのも一苦労で、交渉するだけでも苦労するよ」

高久田「次の南大阪は正確には一つの組織じゃねえ」

高久田「今南大阪には歴戦の使い手が続々集結して毎日覇を競ってる」

高久田「聞いた話じゃ野試合の結果でつけられる序列があるって話だ」

高久田「中でも姫松のあるお好み焼き屋には、とんでもねえ奴がいるって噂だ」

高久田「ここもそうだが、南大阪を歩くなら注意しな」グラッ

京太郎「高久田!?」

高久田「へへ……お菓子使いでもないくせに出しゃばっちまった……」

京太郎「おい、大丈夫か!」

内木「胃をやられてる。立ってるのもやっとなんだ」

高久田「わりぃ、食べ過ぎた……」

内木「正直いって僕も……」

京太郎「先輩……?!その腕」

内木「持ってかれたよ。いや、片腕だけで済んでよかった」←ソース

京太郎「くそっ俺たちがもっと早くついてれば……」

蒲原「大仏とか見てる場合じゃなかったか」ワハハ

南浦「なに馬鹿やってるの」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 19:58:42.69 ID:zVhddhFD0<>

高久田「数絵ちゃん」

南浦「ちゃん付けはやめて」

京太郎「その人は?」

南浦「南浦数絵といいます」

高久田「長野を脱出するとき、一緒になってな。情けねえけどうちの用心棒をしてもらってる」

南浦「少し目を離したと思ったら、あまり勝手な行動はしないで」

高久田「はいはいっと」

内木「面目ない」

南浦「とにかく最後、荒川病院」

南浦「ここは管轄としては弘世の下部組織に当たるけど実情は弘世でも手に負えないブラックボックス」

南浦「院長の荒川憩も謎が多く、事実上この大坂で最も危険な場所といわれてる」

南浦「まだ調査中だけど、最近ここにとんでもない怪物が収容されたらしい」

蒲原「怪物?」

南浦「ええ。最高警戒対象のレベル6。収容だけでマスター級が二人立ち会ったと言われているわ」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 20:14:23.44 ID:zVhddhFD0<> 照「話が長い」

照「お菓子はどこなの?」

高久田「お菓子ならやっぱ北大阪、千里山だな」

照「そこに行こう」ダダダダ

憧「ちょっとそっち逆だから!」

蒲原「行っちゃったなー」

高久田「……あれが咲ちゃんのお姉さんか」

京太郎「高久田」

高久田「分かってるよ。何も言わないさ」

京太郎「とにかくありがとな。荒川病院はやばそうだし、俺たちは南大阪を少し回ってみるよ」

蒲原「ワハハ」

高久田「ああ。悪いが俺は宿に戻る。もう限界だ……」

南浦「その程度のダメージで……情けない」

内木「僕はもう少しこの辺を歩いてるよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/05(月) 20:21:44.99 ID:zVhddhFD0<> 見てくれてる人に聞きたいんですけど姫松編と千里山編どっち先に読みたいとかありますか?
どのみちどっちもやるし、これから書くんですけど、安価とかじゃなく単純にどっちがーってだけ



千里山編

照・憧




姫松編

京太郎・蒲原
他 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/05(月) 21:34:48.83 ID:J8fJchK4O<> もう読みたくないから終わっていいよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/05(月) 22:53:39.83 ID:TuXvf0q9O<> クソカス咲豚と比べると照メインの作者の有能たるや、文章回しも上手いし面白いからな
>>66みたいなモブス好きは無視してどんどん書いてくれ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/05(月) 22:58:19.92 ID:WkCB65lZO<> どっちもやるなら、メインどころの1かな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/06(火) 06:56:06.96 ID:qIIRIf1bo<> こういう原作の設定を全く活かさないつまんないのしか立たないから廃れるんだよ咲SSは <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:15:24.41 ID:jlkOkVP40<> 憧「あーもう。どこいったのよ」

憧「金髪の……えっと須賀君は良くパパッと見つけられるわね」


ビル屋上

二条「こちら二条。新子を確認しました」

船久保「確認。こっちも見えてんで」

二条「先輩データ遅れます?そしたら狙撃できますよ」

竜華「いや、まだ様子見で頼むわ」

二条「了解です」

竜華「宮永さんは補足できてるか?」

セーラ「こちら江口。後についてる。いつでもいけんで」


照「おかしい。さっきから同じところばかり歩いてる気がする」

照「お菓子はどこ……?」



竜華「了解。ほんならお客さんに千里山流のもてなしをしたろうか」


二条「了解です」

セーラ「了解や」


竜華「さて、あとは二人にまかせばいいやろ。怜の様子見てくるわ」

船久保「いってらっしゃい」

竜華「ふんふーん」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:16:36.01 ID:jlkOkVP40<> 竜華「あ、睦月ちゃん。見張りありがとな」

津山「いえ。私も今はここの一員ですから。私なりに精いっぱいやらせてもらっています」

竜華「……ウチらが勝ったら、必ず逃げてきた皆の力になるからな。約束や」

津山「ありがとうございます」

竜華「怜の様子はどうや?」

津山「はい。先ほどまでお休みになっていて、いまさっき目を覚まされましたよ」

竜華「そうか!ほなうちがついとるから、睦月ちゃん休憩とってきてええよ」

津山「はいじゃあお言葉に甘えて」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:17:14.05 ID:jlkOkVP40<> 竜華「ときーーーーー!」

怜「竜華」

竜華「怜、遅くなってすまんな。これお土産にマクドのポテト買うてきたで」

怜「わざわざすまんなあ。いただくで」

竜華「悪いけど立て込んでてな、あんま一緒にいれる時間とれへんねん」

怜「なんやお客さんでも来てるんか」

竜華「まあそんなところや」

怜「それやったら、無理に時間さかんでも大丈夫やで?」

竜華「何言ってるんや!この時間なかったら大丈夫やないのはうちの方やで」

竜華「怜はうちと会えんでも平気なんか?」

怜「そんな聞き方ずるいわ……。うちかて竜華に膝枕してもらわんと、体調悪なってまうわ」

竜華「〜〜〜〜〜ときーーーーーーーー大好きやでぇぇぇぇぇ!!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:18:22.53 ID:jlkOkVP40<> 二条「……」

二条(あれが新子憧、阿知賀のお菓子使い)

二条(高鴨ならともかく……雑魚ですやん)

二条(高1いうことは理論上高1最強のうちより強いということはない)

二条(こんなんこそこそする必要ないわ)

二条「船久保先輩、すんません直接いかせてもらってええですか」

船久保「かまわんけど、なんでや」

二条「直接見ときたいんで」

船久保「ま、ええで。私もデータが欲しいし」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:19:21.71 ID:jlkOkVP40<> 憧「大阪に遊びに来てもこっちにはあんま来ないし、道もさっぱりね」

憧「いったん戻ろっかな。照もお腹すいたら帰ってくるでしょ」

二条「まちーや」

憧「!?」

二条「帰るんか?折角来たんや、ゆっくりしてってや」

憧(この気配……お菓子使いか)

二条(隙だらけ、三キルはとってるわ)

憧「わざわざお出迎えしてくれたのかしら?悪いわね」

二条「気にせんでや、大阪は人情の町やからな」

憧(顔は知らない。有名なお菓子使いではないはず)

憧「噂の江口セーラに会っときたかったけど」

二条「江口先輩があんたみたいな雑魚相手に出てくるわけないやろ」

憧「……ずいぶん好戦的ね。まずは一緒にお茶でもしない?」

二条「お茶やったら、うちがごちそうしたるわ」

憧「それは楽しみね」

二条「いくで……」

二条・憧「勝負!」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:21:34.70 ID:jlkOkVP40<> 憧「見たとこ一年!勝機はある!」

憧(思いだせ、阿知賀でつかんだもの!)

憧「喰らいなさい!パンケーキ!」

二条「そんなもんかい!ただパンケーキ出しただけやないか」

二条「早いだけじゃ相手にならんで!」

憧「からのー」

二条「?!」

憧「『トッピング』!」

憧「チョコレート」

二条「ぐうっ」

憧「黍団子!」

二条(隙が無い!)

憧「桃、バナナ、さくらんぼ」

憧「生クリーム!」

二条「威力が……増していく!」

憧「必殺、山盛りパンケーキ!」

二条「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/07(水) 23:24:18.37 ID:jlkOkVP40<> 船久保「やるやん」

船久保(完成品にトッピングという形で次々加えていく連撃)

船久保(おそらくあれ以外にも数パターン……)

船久保(相手に合わせてトッピングを変えていくことで隙の無い速攻を可能にしている)

船久保(前情報以上の強さ。これはもう立てんやろなあ)

船久保「相手が泉やなかったらな」


憧「決まった……この勝負もらった」

二条「どこみてんねん……」

憧「!?しまっ……」

二条「あめちゃんやるで」

二条「バレル:キャンディー装填!」

    ア   メ   ア   ラ   レ 
二条「『キャンディー&ライスクラック』!!」

憧「くあっ……!」

二条「これで1キル同士やな」

憧「な、なんでもろに喰らってぴんぴんしてんのよ」

二条「なんかしらんがダメージ喰らうことが多くてな」

二条「矢で打ち抜かれたりとかな、なれたもんやで」

憧(言ってることがまともじゃない)

二条「見事な速攻やったけど、江口先輩には遠く及ばんな」

憧「……あんただってタフだって言っても、しず程じゃないわよ」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/08(木) 18:36:37.30 ID:t0gx3JBe0<> 憧「休む隙を与えない!」

憧「なぜかここに来るまで山ほど作らされたパンケーキ……」

憧「レパートリーならいっぱいあるわよ」

二条「甘ったるいなぁ」

憧「どういう意味よ」

二条「お菓子やなんやって甘ったるいばっかりや」

二条「パンケーキ?はっ笑わせるわ」

二条「大坂の粉もん文化をみせたるわ」

ドンッ

憧「鉄板?!いったいどこから……」

二条「そら大阪なんやから一人一台鉄板持ってなきゃ死ぬで?」

二条「これが大阪スタイルや」

憧「これはまさか」

二条「約束やったな、茶ァごちそうしたんで」

二条「喫茶千里山、出張開店や」

憧「屋台!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/08(木) 18:41:29.59 ID:t0gx3JBe0<> 照「さっきからつけているのは誰?」

セーラ「おっとばれてもうたか」

照「だれでもいい、お菓子を要求する……」

セーラ「そんなにお菓子が食いたいんか?」

照「食べたい」

セーラ「だったらなんで弘世んとこをでてきたんや」

セーラ「あそこおったら食べ放題やろ?」

照「私はつねにお菓子と一緒にいたい。お菓子屋さんになるしかなかった」

セーラ「はん……いかにも頭んなか砂糖詰まったお菓子つかいらしい話しやな」

照「なに……」

セーラ「外じゃお菓子使いがなんやと話題やが」

セーラ「お菓子だけで通用するほど大阪は甘くないで」




――――――――――折角大阪まで来たんや

――――――――――食い倒れるまで食べてってや

照「?!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/08(木) 18:49:04.10 ID:t0gx3JBe0<> 憧「くっいったい何が」

二条「ほら何ちんたらしとんねん!お客さん来てまうでー!」

憧「客……?どういう」

お客A「なんや」

お客B「なんやなんや」

憧「?!」

二条「何驚いとんねん!大坂でバトル言うたらそら『店』単位でやろ!」

二条「ほらはよ開きいや!お客さんまたしたらあかんで―!」

憧「急に店?!いったいどうしたら……」

お客C「儲かりまっかー」

憧「来た?!」

お客D「なんか食わせてやー」

憧「っく、パンケーキ!」

憧(喰らってなさい!)

お客C「は?」

憧「え?」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/08(木) 18:51:01.46 ID:t0gx3JBe0<> お客C「姉ちゃんまだ注文いってへんで?」

憧「ち、注文?」

お客D「甘いもんやなくて、しょっぱいもんないか?」

憧「え、えっと」

お客E「おい、まだかいな!はよしてや!」

憧「えっと、その、待ってなさい」

憧(外野がうるさすぎる!)

千里山学生A「なんやあれ、あれでお店なんかー?」

千里山学生B「素人さんやろー?いじめたらあかんでー」

千里山学生C「パンケーキやって、なんや気取ってんなー」

憧「?!ちょ、営業妨害よ!やめなさい!」

二条「なーにを甘いこといってんねん」

憧「?!」

二条「喰らえ大坂流鉄板パンケーキや!」

二条「おかず風のもあんで!」

二条「今日だけの限定メニューや、ほらよってってやー」

お客「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」┣¨┣¨┣¨┣¨ドド

憧「きゃああああああああああああああああああああああ」

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/08(木) 18:53:05.22 ID:t0gx3JBe0<> 津山「……はい、始まりました」

『そ、始まったわけね、大阪スタイルが』

『その流儀は店単位で行われるルール無用の戦い』

『力だけじゃない、スピード、演出、妨害まで許される』

『お客をどれだけ奪えるかの勝負』

『通常行われるお菓子使い同士の決闘とは全く違う』



二条「恨まんでや、これが大阪の戦いや」

二条「これでも北はお行儀がいいほうやで?」

二条「千里山で仕切っとるから店を出すのは支店長クラスのみ、妨害も過度なのはなしや」

二条「南はホンマの無法地帯。……悪いこと言わんから帰りや」

二条(他と当たったらこんなもんじゃ済まん)

二条(大阪に来て高い実力を持つはずの連中がこうしてなんもできんで倒れてった)



『それこそが大阪の強さ。弘世ですら攻め落としきれていない危険地帯』

『他に比べれりゃ外国同然ってね』

『南に向かったのが須賀君たちで良かったわ』

津山「どうしますか?割って入ったほうが……」

『大丈夫よ、今出ってたら折角の潜入が意味なくなっちゃうし』

『それに彼女がいるじゃない』


ダダダダダ

二条「?」クルッ

ダダダダダダダダ

ダダダダダダダダダダダダ

照「お菓子を貰いに来た」

二条「?!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/06/08(木) 18:53:38.40 ID:t0gx3JBe0<> 憧「あ、照!どこいってたのよ!」

照「親切な人にお菓子を貰っていた」

憧「こっちが心配してさがしてたってのに」

照「ごめんなさい」


二条(どういうことや!?)

二条(なんで宮永がここに)

二条(まさか先輩が負けったちゅうんか?)

二条「先輩!」

船久保「……こちらフナQや」

二条「どういうことですか!?江口先輩は無事なんですか!?」

船久保「心配せんでも無傷や。……体はな」

二条「……!?」

船久保「うちにも分からん」

船久保「あれは戦いやったんか……?」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/06/21(水) 19:22:04.04 ID:I7DD8X6k0<> ほ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/11(月) 16:12:48.40 ID:Ck3frws00<> いけるいける <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2017/11/28(火) 22:05:04.73 ID:ZbOtN++L0<> 回想


照「……」

照「……あれ?」

セーラ(なんで構えんのや)

セーラ(構えたらあれをぶち込んだろうとおもっとたのに)

照「?」

セーラ(そもそも覇気がなさすぎる)

セーラ(お菓子使いやない。いやそもそも)

セーラ「作る気がないんか?」

照「?分からないけどあなたが何か食べさせてくれるんじゃないの?」

セーラ「なんやそれじゃまるで客みたいやないか」

照「私はお菓子屋さん」

セーラ「ならなんか出さんかい」

照「……いまはお店が休憩中だから」

セーラ「おちょくってるんか?」

照「お菓子はまだ?」

セーラ(この際構わん。無抵抗ならそれはそれや!)

セーラ「いくで……!?」

照「……」

セーラ「」ぞわっ

セーラ(飢えた虎)

照「いただきます」





ギギギ


ギギギギギギ





ギギギギギギギギギギギギギギギギギギ


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2017/11/28(火) 22:39:05.44 ID:ZbOtN++L0<>
遠隔カメラで様子を見ていた船久保浩子(17)はこう語る


船久保「速攻型の江口先輩は全国でも屈指のスピードを誇ります」

船久保「阿知賀の高鴨は徐々に速度を上げていく獣タイプほかに零からの加速がとにかく早い急加速型とか」

船久保「まあスピードタイプにも色々いますが」

船久保「江口先輩の速さは高火力高エネルギー。ロケットタイプってとこですか」



照「−−−−−−−」

セーラ「――――え?」

セーラ(どういうことや!?)

セーラ(なんで…)


船久保「ええ。先に動いたのは江口先輩でした」

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セーラ(なんで動いていないのに、宮永照の目の前におるんや!?)

セーラ「っっっ」


船久保「洋菓子速攻型。江口先輩は大阪式ではなくお菓子使いとして勝負を挑みました」

船久保「いつも通りの必勝型。豪快な海外仕込みの大型屋台系お菓子」

船久保「ワッフルです」




<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2017/11/28(火) 22:51:33.95 ID:ZbOtN++L0<> 船久保「ワッフルは小さくて食べやすい低火力速攻型?」

船久保「はは……素人さんはそう思いますやろなあ」

船久保「実際には高カロリーでサイズも大きいものが主流。そこに生クリームやなんやときたら」

船久保「女子の天敵。まともに喰らえば夕飯も入らなくなるほどです」



セーラ「これぞ大阪五重塔!千里山スペシャルや!!!」

照「−−−−−−」











船久保「早く続きを言えって?」

船久保「ないですよ」

船久保「江口先輩が速攻を仕掛け必殺級の一撃を叩き込んだ」

                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
船久保「そのまま宮永照は何もしないまま、江口先輩がぶっ倒れました」

船久保「それで決着ですわ」


船久保「……何があったのか。こっちが聞きたいくらいですが……」

船久保「そうですね。ブラックホールってご存知ですか?」

船久保「失敬な。脱線なんかしていませんよ」 <>