◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/03(木) 22:23:09.97 ID:0i1646c+0<>※諸注意
・ガンダム(BF、時々別シリーズ)と艦これのクロスです
・クロスと言っておきながらキャラ借りただけのSSですので口調や性格の崩壊があります
・遅筆で更新が遅く、不定期ですがご容赦ください
・連取、連投は安価↓か↑にずらします。ただしコンマ安価時のみ連取可です
・大体キャラ安価以外は選択肢ですので好みのガンプラとかリクエストしてもらえれば選択肢に反映します
・キット化されてないものもOKです。寧ろ出して下さい
・主人公(三人)は固定式となっています、ご容赦ください
・また設定都合上時々>>1の別SSキャラが出てくる可能性がありますのでご注意ください


またこれは

【安価】春雨「ガンダムビルドファイターズ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413043315/
の直接の続編(途中で落ちましたが)であり設定上は

榛名「艦プラビルドファイターズV」(現在進行中)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447863972/
の並行世界となっており世界観を一部共有しています


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1501766589
<>【安価】 ガンダムビルドファイターズトライ・アズールU【艦これ×GBF-T】
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/03(木) 23:14:06.43 ID:0i1646c+0<> 登場人物

メインキャラクター

・海風(主人公その1)

主人公の一人であり、春雨編の浜風の妹。
マイペースだが面倒見がよく、落ち着いている。内実怖がりだがそれでも頑張れる普通の女の子。ただし行き過ぎた自己犠牲と自分の命を軽視し過ぎる傾向があり瑞鳳からは厳しく注意された。
家族とは不仲、特に浜風には憎悪を抱いていたが和解するも扱いは辛烈なのは変わらない。
当人は特にガンプラに興味は無かったが神通との出会い、霞との出会いを経て部に参加する。そして偶然の果てに、世界の命運を巡る戦いへと身を投じることになった…
姉同様に戦略眼と指揮能力長けチームでは主席指揮官の座を担う。戦闘スタイルは姉とは真逆の近接戦が主、神通と比べると見劣りするが『先読み』によって敵の動作を数手先まで読む事で対応して戦う事が出来る。
能力は『未来予測演算』、相手の行動を高度なレベルで想像し自身の望む未来へと繋ぐ事が出来る。ただしあくまでも飛躍した想像力の齎すものであり確実性は無い。
使用機体はウイングガンダムゼロの改造機『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』。特殊システムを内蔵しているが扱いはかなりリスキー。


・神通(主人公その2)

主人公の一人。海風達の1年上にあたる。
海風・霞の入部以前の部に所属する唯一の部員で、部長を務めている。部内唯一の常識人(特別顧問を含め)で、諌め役を務める苦労人。
控えめな性格で少々弱気な所はあるが芯はしっかりしており、不正を許さない真っ直ぐな性格。意外と怒りの沸点は低め。
その正体は未来人で瑞鳳の娘で、瑞鳳・蒼龍・飛龍の遺伝子を組み合わせたデザインチャイルド。事象改変を行い最終的に瑞鳳が病死しない未来を創ろうと奮闘し、幾度もループを繰り返していた。
そして3代目流派・東方不敗の正当後継者でもありガンプラ・リアルファイト問わず高い戦闘能力を持つ。
チームでは前衛を担当、高い近接能力を発揮して敵を容赦なく屠る。海風を除くと唯一指揮能力を持つが向いていないと自覚している。
使用機体はインフィニットジャスティスの改造機『インフィニットジャスティス・スターリリィ』。2本の刀を主とした近接が得意。
余談だが瑞鳳の遺伝子を引いているためデコが非常に広い。瑞鳳曰く『見てて不安になる広さ』で、瑞鳳が自分の娘と気付けた一因でもある。そして弱点も瑞鳳のものを継いでいるらしい…


・霞(主人公その3)

主人公の一人で海風のクラスメイト。
友達が欲しいと願い、ガンプラバトル部へと入部した… が、入部の切欠は模型部の横暴が頭に来たからであり、入部そのものは勢いである。
ぶっきらぼうで口が悪いものの、心優しい性格。しかしその心は過去の出来事によって閉ざされていたが海風や神通達には心を開き、特に海風相手には互いに本心を吐露し合える関係になる。
その過去は5年前に起きたフェリー事故『なは号爆沈事件』に巻き込まれ唯一の生還者となってしまい、両親の死を切欠に心を閉ざし他人と関わるのを避けていた。
過去のトラウマとそれに関する悪夢によるストレス、瑞鳳に押し付けられたサイコフレームによってニュータイプへと覚醒しつつあり、その素養が原因で昏睡病キャリアーに襲われた。
チームでは後衛、砲撃手を担う。 高い射撃能力を持つが、それ以上に異常に高い反応速度によって機体が自身に追いつけなくなるほどの成長を遂げてしまう。
使用機体はZZガンダムの改造機『ブラストZZ』、FAガンダムやEx-Sガンダムのパーツも使っており高い機動性と火力を持つ。
彼女のベッドの下にはSUKEBEなBOOKが眠っており、朝雲に暴露された際は関係者全員を締め上げた。


・天津風(メイン)

チームメンバーで、中学1年生。
第3話で転校し、バトル部に入部した。今回の空気枠。
気が強く、真面目で我が強いタイプ。風が好き。だが空気枠。過去にガンプラ学園を退学しておりその事に遺恨がある。
チームでは強襲・空戦を得意とするが独りよがりな節があり、その点を注意されたりもする。
朝雲の行いの巻き添えで割を食うことが多々あるものの基本的には空気枠。
使用機体はデルタガンダムを改造した『シューティングスターガンダム』、高い空戦能力を持つ。また瑞鳳によってSu-27系統の推力偏向ノズルが脚部に仕込まれた。


・朝雲(メイン)

チームメンバーで中学1年生。第3話でバトル部に入部した。
病弱な妹の五月雨がおり、その妹の為にバトル部に入り戦うことを選んだ。
悪戯好きで霞のベッドの下のSUKEBEな本を上に並べたりとロクな事をしない。
面倒見が良い性格故に悪戯好きな面を除けばチーム内でも割と良識的な立場に居る。海風の心境を理解し、萩風の凶行を思い止まらせ、榛名には『改RX-0』を託され萩風に憑かれた。
海風の要望で支援型となり、味方のサポートを行う。しかし近接対応能力も非常に高く、榛名に仕込まれたガン=カタを用いてイズナ・シモンと互角に渡り合う程。
家族想いでありその影響か面倒見が良い。
ポジションは後衛、狙撃を主とするがガン=カタを用いた近接戦も得意でありオールラウンダーとして立ち回れる。
使用機体は狙撃・補助特化に改造された『ストライク・ヴァルキリー』、装備はライトニングの改造ストライカー『ブリガンディアストライカー』。
そして別枠で改RX-0の1機『RX-0[Sm] シームルグ』を持っている。


萩風(メイン)萩風

『紫陽花の戦乙女』

天津風より後に転入し、バトル部に入部した少女。
母親を失った故に過剰とも言える健康志向で神通や瑞鳳を呆れさせている。
身体能力が異常に高く、反射神経に優れており前衛向けの能力。隠密・奇襲、撹乱などの戦闘を得意とする。
その正体は神通の妹、そして瑞鳳・浜風・夕雲の遺伝子を組み合わせたデザインチャイルド。つまり海風の姪にあたる存在。
そして薬物使用者を闇討ちしていた犯人。自身の身体能力や戦略眼を活かして監視カメラなどを潜り抜け、使用者を再起不能に追い込んでいた。
神通とは異なり、流派・東方不敗の技を学ばず大鯨が使用する体術を得意とする。
本編中ではやりたい放題やっており、どこからともなく銃をかっぱらってきたりと健康志向を謳いながら神通の胃を破壊一歩手前に追い込む。
最初は朝雲を利用していたが気に入り、割と気にかけている。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/03(木) 23:58:41.13 ID:0i1646c+0<> メインキャラ

・瑞鳳
『真紅の戦乙女』の名で有名なビルドファイターであり、我等が格闘魔人。最早世界を跨いでレギュラー化した。
父親から『東西南北中央不敗スーパーアジア』の名前を貰うが全力で拒否ってる。知らぬ間に妹が増殖していたらしい(瑞鳳が拉致ったが養子縁組したとは知らなかった)。
海風達の顧問をしながら昏睡病の拡散を防ぐべく奔走、自ら渦中へと飛び込んだ。
『見出す』事に関しては超一流であり、飛龍を始めに春雨や浜風たちなどファイターを見つけ、育て上げたその経歴を買われて顧問に抜擢されている。
製作能力に関しても世界トップクラスではあるが多少荒削りな部分も多い。機体の出力や能力こそ榛名以上ではあるが粒子関連の技術は榛名と比較して未熟、しかしRGシステムなどの斜め上の発想は世界大会に混乱を巻き起こし、粒子技術発展の先駆けとなった。
使用機体は『ネブラブリッツ・クロイツ』→『ガンダムエピオン・クロイツ』。

未来の瑞鳳は昏睡病の拡散が止められなかった。
仲間を全員失った瑞鳳は孤独に耐えられず、協力していた『異世界の瑞鳳』が管理する『ハシラジマ泊地』でかつて『プロジェクトF』に使用された培養槽を用いて瑞鳳と仲間の遺伝子を組み込んだ娘である『神通』『萩風』を創造してしまう。
そして2人を自身の娘として育て上げるも病に倒れ、病床に伏せる。しかし深海棲艦の侵攻に伴い、単身で世界と自分の娘達を守る為に戦いへと身を投じ辛うじて勝利した。
しかしそれが原因で病状が悪化、37歳と言う若さでその生涯を終える。そしてその事が切欠で神通・萩風が過去に転移してしまう。


・飛龍

瑞鳳のパートナーその1。瑞鳳が前に進むための切欠となった人物。瑞鳳の『導き手』。
『今の瑞鳳』を形成した要因であり、瑞鳳の姉貴分的存在である。瑞鳳との絆は深く、瑞鳳に最も影響を与えた人物。
かつて瑞鳳を『弱い』と評したが自身との出会いや身の回りの出来事を経て成長する瑞鳳を『対等』と認め、同じ道を歩む。
ファイターとしての技量は世界トップクラス、同等の機体であれば先代メイジンとも互角に戦える程の能力を誇る。
瑞鳳と共にお店をやる傍ら海風達の顧問としても活動する。お腹が弱い。
未来においては既に死亡(もしくは昏睡)している。

・蒼龍

瑞鳳のパートナー2号。瑞鳳が最初に出会い、異世界に触れる事になった存在。瑞鳳の『支え手』。
飛龍との和解や浜風の問題、夕雲との出会いなど様々な出来事において瑞鳳を支え続けた。
飛龍同様、瑞鳳を『支えないとすぐ折れる』と感じていたが様々な事件を経て成長を重ねる瑞鳳と共に自身も過去を捨て、共に前に進む決意をする。
相性の関係で飛龍には一歩劣るが、世界トップクラスの実力を持つファイターで射撃に関してなら飛龍を凌ぐ。
未来においては既に死亡(もしくは昏睡)している。

・浜風

瑞鳳のパートナー3号。海風の姉、しかし嫌われている。
ウイングガンダム・フレスヴェルグの製作者。
春雨編から2年経過している為成長しており、また胸が大きくなってしまったらしい。
戦術指揮能力に非常に秀でているのは姉妹として当然で、海風よりも実戦経験が多いため能力は海風以上。
戦術に関する能力や才は海風以上であり、本編中の最強候補の一角。
唯一の弱点として『心理』を読み取れるが『心情』は読み取るのが苦手と言う点がある。例としては覚悟や怒りのような感情的な部分を読み取れず春雨に敗北、そして海風から怒りを買った。
序盤は海風の前に現れるのを避け海風の怒りを買うも中盤にスドウから海風を助けるために乱入し共闘、2機で反撃を許さない勢いでコピー体を破壊する。決着後に海風が倒れハシラジマに移送された際には看病、その後海風に一発鳩尾を殴られて和解?した。ただし扱いは辛烈。
春雨・時雨を無二の友として認めると共にライバル視しており、再戦を望む。
未来において神通の話では、既に死亡(もしくは昏睡)している。


・夕雲

瑞鳳のパートナー4号で親戚にして旅館の一人娘。浜風とコンビを組んで世界大会を制覇する実力を持つ。
春雨編から2年が経過している為大人びており、以前よりも成長している。
実家の問題で瑞鳳の助けられ、それ以降瑞鳳を慕って東京まで押しかける。そして瑞鳳争奪戦に火をつけた張本人。
春雨・時雨ペアとの敗北以降、鍛錬を続け実力を磨いたが再戦は叶っていない。
一見して常識人のように見えるが箱入り娘かつ瑞鳳の影響で常識などぶっ飛んでいる。
口が滑りやすいのが難点、瑞鳳曰く『顎の関節にグリスでも塗ってるんじゃないの?』とのこと。お漏らし体質で度々弄られる。
未来世界では他の全員同様、既に死亡(もしくは昏睡)している。
出番はかなり少ない。 
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 00:12:24.39 ID:inqb6ir70<> 大鳳

『アンリミテッド編』の大鳳の並行存在。
大学の同級生で親友、そして卒研の共同研究も行っている。
過去に7回アパートが炎上し、引越し先とお金が無くなったので瑞鳳の家に下宿することに。よく家が燃える。
ビルダーとしての技能は瑞鳳より一歩劣るが高いレベルで、時々瑞鳳の手伝いもする(レベル的に大鳳=粒子制御技術の無い榛名)。
松風たちの転移理由を作った張本人であり、瑞鳳の『裏』も知っている。

愛宕

『アンリミテッド編』の愛宕の並行存在。
瑞鳳の幼馴染であり姉貴分的な存在。また教員であり、海風達の副担任兼顧問として赴任する。
自身もファイターであるが、1対1の能力は並。しかし2対2や複数対複数の多人数戦によって真価を発揮するタイプで、基本的に誰でも組める『潤滑油』の役目を果たせる稀有なタイプ。
しかしこちら側では『相方』が居ないため少し能力が低下している。
教師としては未熟であるが信念を持っており、教え子を護る為なら自ら剣を持つ事も厭わない。


夕張

『アンリミテッド編』の夕張の並行存在。
瑞鳳の後輩で気が付いたら出てきてた人。
ただ松風たちの一件には関わっており、瑞鳳の『裏』を知っている。


瑞鶴

『アンリミテッド編』瑞鶴の並行存在。
瑞鳳の幼馴染で次元覇王流の使い手の一人。
萩風の第一目撃者。
実は瑞鳳が守銭奴だと知ってる数少ない人物。


・不知火・朝潮・舞風・照月・初月・松風・弥生

瑞鳳が拉致って来た妹軍団、そして榛名と関わりが薄い人たち。
基本的に出番は無い。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 00:19:55.88 ID:inqb6ir70<> メインキャラ(宮城枠)


・榛名

『純白の神狼』の名を持つ宮城人。『ブレイヴ編』主人公は並行世界の同一存在だがかなりの差異がある。
デザインチャイルドでも無ければ孤児院の出身でも何でも無い普通の家庭で生まれ育った普通の人間。ただし色々ブッ飛んでる。
『好きなように生きて好きなように死ぬ』をモットーに掲げ大学卒業後はその日の気分で仕事をして(様々な資格を持っており、依頼されれば何でもこなす)自由気ままな生活を送りながら一家の家計を支えている。
ファイター・ビルダーとして一流であり『ユニコーンガンダム』をベースにした改造機『改RX-0』の製作者で、瑞鳳曰く『狂ってる』と言わしめた。
機体の基礎スペックは瑞鳳に一歩遅れを取っているが粒子操作・変容技術に関しては世界でも先代メイジンに並ぶものである。
大鯨と契約していたが物語中盤で契約満了し、大鯨の希望に反して契約延長はしない主義を曲げず延長を断る。しかし『一度関わった以上は最後まで成し遂げる』と言う信念に基づき榛名『個人』として独自に行動を開始した。
余談だが榛名のガンダム知識はかなり浅い。理由は『スパロボでしか知らないから』で、ある意味唯一無二の弱点でもある。故に作品に囚われない柔軟な発想が出来る、と言う意味では利点にもなるが。
ガンプラ学園の前進である『ガンプラ塾』の元塾生で元メイジン候補筆頭であり、製作・バトル共にトップクラス。
使用機体は『RX-0[F] フェンリル』。
実家には大量の改RX-0が存在しており、製作者の榛名すら持て余している。

・天城

宮城人2。『ブレイヴ編』の天城と並行存在。
大学に進学後、榛名が拾った妹達の世話を焼いている。この世界では実姉だが榛名に対して劣情を抱くのは同じ。正義感の強さや異常に高いファイター技量など、姉そっくり。
ビルダー能力は無いがファイターとしてならばビスマルクを圧倒、飛龍・蒼龍に引けをとらない実力を持つ。
霞の模擬戦に付き合ったり、自分の『技』を教えたりと姉に似て面倒見は良いがメシマズである。
多分一番ブレ幅が無いがメシマズ(重要なので2回)。
使用ガンプラは『RX-0[S] スレイプニル』。


・青葉

宮城人その3。『ブレイヴ編』の青葉と並行存在。
境遇などはブレイヴ編と差異が多く、転移理由もこちらでは『釣り上げられた』とのこと。
榛名の腹心的存在で、頼れる相方。榛名に忠誠を誓っており、榛名と共に行動する。
蒼龍と飛龍からは過去の事から嫌われてこそ居るが、逆に言えば『嫌いだが信頼はしている』と飛龍談。
なお、不憫体質。
使用ガンプラは『RX-0[Gr]グリンカムビ』。


・阿武隈

宮城人その4。『ブレイヴ編』の阿武隈と並行存在。
境遇などに差異は無いが転移場所が違っており、発見されたのは函館港(北海道には変わりない)。
大怪我を負っていた為、当時取材をしていた榛名と青葉によって保護されそのまま榛名の妹として生活することになった。
性格は威圧感も無く若干の弱気でかつて『鬼神』と呼ばれていたとは思えないほど。しかし実際は冷徹な判断を下し、容赦無く相手を屠る『鬼神』。ただし戦闘の際の口癖は若干厨二病を発症したような台詞となる為、ぶっちゃけ似合わないと妹や姉からは言われている。
海風同様指揮官機でありながら近接戦を好むファイターでマーナガルムも本来は近接特化機である。
専用機は『RX-0[M] マーナガルム 』、指揮官機だが純粋な戦闘力も高くユニット『スコール』『ハティ』を用いて戦う。

・陽炎

宮城人その5。
境遇などに差異は無いが転移場所が違っており、発見されたのは函館港。
面倒見が良く明るい楽天的な性格、しかし戦闘になると人が変わったように冷静沈着かつ無慈悲、そして躊躇も迷いも一切無くなる。それは彼女の過去に由来しており、当人曰く『癖のようなもの』らしい。また挑発を度々行い、相手のペースを崩そうとする。
お菓子好きで度々榛名を始めとした家族に注意される。また一度熱が入ると熱中し、周りが見えなくなる事も。
ファイター能力も高く、神通の剣筋を見切れる程反応速度・動体視力を持つ。そして何よりスピード狂の気があり、機動性の高い機体を好む。
専用機は『RX-0[V] ヴェズルフェルニル』、機動力に特化した機体。


・長波

宮城人その6。
転移前に榛名とは出会っておらず、発見されたのは阿武隈達と同じ函館港。その為榛名との『関係』は無い。
勝気で威勢の良い性格だが姉御肌で、周りの人間を良く見て把握し気遣いが出来る。女子力も高い。
戦闘時には姉全員とは違い性格が豹変する事は無いが、機体能力が強襲・奇襲特化の機体である為不意打ちなども厭わない冷徹さも持っている。
榛名直伝のビルダー技術も持つが、まだまだ未熟。
性格の反面、戦い方はステルスや分身を用いた強襲を得意としている。戦い方は一番えげつない。
専用機は『RX-0[G] ガルム』、ステルス・強襲に特化したガンプラ。
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 00:28:36.96 ID:inqb6ir70<> ・ウォースパイト

イギリス人で宮城人その7(?)、アナハイムPPSEの社員。
日本に留学した際榛名と知り合い親友となり、よく懐き榛名の家族とも仲が良い。
釣りに行くと必ず艦娘を釣り上げることで定評がある。現在の被害者は青葉、古鷹、衣笠、満潮。
榛名とはガンプラ絡みの友人で、その技量・製作能力を高く評価している。基本的に『榛名の味方』でアナハイム社員でありながら榛名の側に就いた。
彼女もまた『改RX-0』の使い手であり使用機体は『RX-0[Vd]ヴィドフニル』。
意外と結構良いところのお嬢様で世間知らずな一面もある。

・間宮

宮城人その8。
青葉がフィッシュされる前、つまり飛龍たちよりずっと前からこの世界に留まっている艦娘。
仙台暮らしだったが青葉のサポートの隠れ蓑として東京で店を開くことに。
使用機体は『RX-0[Sv] スヴァジルファリ』。

・満潮

宮城人その9。
南国編でウォースパイトにフィッシュされ、そのまま引き取られる。
KBFとの違いは仲間を失わず、復讐心に囚われていないこと。その為NT適性は大幅に落ちている。
彼女もまた改RX-0を押し付けられる…


・野分

宮城人その10、榛名の同居人兼婚約者候補兼瑞鳳の妹3女兼流派・東方不敗。
鎮圧要員。本編でも瑞鳳を止められる(倒せるとは言ってない)数少ない人物。
こちら側では榛名LOVE勢。自分をきちんと女の子扱いしてくれるから好きとの事。
姉である瑞鳳同様近接格闘を好み、拳でブン殴る系の戦闘スタイル。そして技量も全国大会出場ファイターの春風を一方的に痛めつける程高い。
使用機体は『RX-0[Fv] ファヴニール』。


・秋月

宮城人その11、榛名の同居人兼婚約者候補兼瑞鳳の妹4女。
影が薄い。
戦闘スタイルは射撃型で朝風を軽々と追い詰める程。さらには多少デチューンされてるとは言え榛名専用機のパーツを組み込んだ機体を軽々と操れる為高い技量を持つ
使用機体は『RX-0[E] エイクスュリュニル』、『RX-0[F] フェンリル』の予備パーツの一部を組み込んだ機体。

・如月

宮城人その12、榛名の同居人兼婚約者候補兼瑞鳳の妹6女。
自他共に認めるスケベ要員。割とヘタレ。
戦闘スタイルはオールラウンダー兼指揮官。近距離・遠距離において高い能力を持ち最低でも阿武隈と同等の指揮技能を持つ。また機体特性を活かして神風を容易く追い詰める程能力は高い。
使用機体は『RX-0[Ra] ラタトスク』。


・古鷹

宮城人その13、ウォースパイト被害者の会の一人。
榛名の忠実な部下で、ドンパチ担当要員。
隠密行動と狙撃が得意。銃器の扱いに長けている。


・衣笠

宮城人その14、ウォースパイト被害者の会の一人。
榛名の忠実な部下で、ドンパチ担当要員。
制圧が得意。 実は瑞鳳とは松風たちの一件で面識があった。
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 01:28:34.52 ID:inqb6ir70<> メイン(出番があるのか?枠)

・春雨

前シリーズ主人公。
本来半年の留学を2ヶ月に早め、帰国した。しかし昏睡事件に間に合わず、時差ボケで電車を乗り過ごす。
ウイングガンダム・フレスヴェルグのフレームを造った張本人だがアレは失敗作の流用品らしい。
果たして出番はあるのだろうか…


・時雨

前シリーズから。
浜風・夕雲のアグレッサーを務める。
昏睡事件の際には自機を引っ張り出して介入、海風達を助ける。
果たして出番は…


・三日月

前シリーズから。
春雨同様イギリスから帰国、時差ボケで電車を乗り過ごしていた。
多重人格で心優しい『表三日月』と本物の暴力を教えてくれる『裏三日月』がいる。
最近第三人格が生まれそうとのこと。
果たして出番は…



・大鯨

もうやだこの人。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 01:51:08.72 ID:inqb6ir70<> 第11話『体育祭は大波乱!?』


《部活動会議》

「では今年の体育祭について…」

神通(この学校、どうしてこんな夏場に体育祭なんか…)

「先も話した通り、野球部は度重なる不祥事を受けて中等部・高等部共に廃部となる事が決定しました。

そしてその余った予算が現在宙に浮いている状態なのです」

神通(それと体育祭に何の関係が?)

「さらに一般生徒、部活動に所属していない生徒からは『何故夏場に体育祭をやらなきゃいけないんだ』と多くのクレームが寄せられました」

神通(妥当でしょうね)

「その為、今年の体育祭は部活動対抗に変更し優勝した部活動には野球部の今年度予算の余り額を全額支給することとなりました」

神通「!?」

ザワザワ

「この件は全て理事長が決めた事であり、教員も了承済みとのことで… なので反論の類は一切受けないとのことです」

神通(もうやだこの学校…)

「では競技種目について…」




《部室》

朝雲「どうなってんの!?」

神通「私に聞かれても…」

愛宕「…私、そんな話聞いてないわよ」

瑞鳳「多分理事長が私達が沖縄行ってる間の会議で決めたんでしょうね…」

海風「理事長、暑さで頭がやられたんじゃないですか?」

霞「絶対そうに決まってるわ」

天津風「萩風、茹った頭を冷やす健康食品なんか無い?」

萩風「氷水を頭からかける方が早いと思います」

神通「しかしこれはチャンスでもありますね… ウチの予算、もう底ついてるので」

海風「確かアナハイムが今経営的に危なすぎてこの前の依頼のお金も払われてませんし」

霞「とんだタダ働きよ… 海風、そこの麦茶取って」

海風「はい。 先輩も飲みます?」

神通「…それどこから持って来たんです?」

瑞鳳「私だよ? 別に予算で買ってる訳じゃないよ?」

神通「なら頂きます」

愛宕「話を戻して… 体育祭のルールは?」

神通「文化部体育部問わず部活動所属者全員選手として参加、一般生徒は有志のみチームを作っての参加だそうです。

また教員や外部講師も選手としての参加は許可される、と。 授業に関しては体育祭参加者は免除とのことで」

瑞鳳「じゃあウチは合計10人、ここに居る全員と蒼龍さんと飛龍さんを連れてくればね」

朝雲「残ってる予算はどのくらいなんです?」

神通「60万程、とか」

霞「…おかしいわね。 まだ半年経ってないのに半分以上無くなってるわ」

萩風「本当、横領って嫌ですね」

天津風「何であんな腐った連中にそんなお金渡してたのよ…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 02:12:26.34 ID:inqb6ir70<> 海風「で、肝心なのは… 競技種目です」

神通「それが…」

愛宕「あ、なんか嫌な予感…」

神通「例年通り、理事長が勝手に決めるそうで…」

霞「なんでそうなるの!?」

天津風「大鯨さんと同じ香りがするわ」

瑞鳳「平気平気。 お母さんならそれより数十倍キナ臭…」ドゴォ

瑞鳳「あダッ!?」ドサッ

萩風「…寸胴鍋が飛んできましたね」

朝雲「メモが張ってある…」

『キナ臭くなんか無いよ。 ハーブの香りだよ。 byおかーさん』

霞「…大鯨さんの話をする時は窓を閉めておかないとね」

海風「…話をしてから寸胴鍋が直撃するまで1秒もかかってない… つまり秒速300キロ以上の速度でこの寸胴は飛んできたと…」

愛宕「アンドロメダ星雲の接近速度とほぼ同じじゃない」

朝雲「それ、普通衝撃波でこの一帯吹き飛ぶレベル…」

天津風「恐ろしい…」

瑞鳳「いたた… この寸胴、意外と無傷ね。ウチで貰っちゃおうかしら」

海風「なんでこの人はそんな一撃食らって平然と起きてるんですか…!」

瑞鳳「この程度平気平気。 剣岳の山頂から転げ落ちても大丈夫だったし」

神通「もうやだこの一族」

萩風「私もそんな血を引いてるなんて…」

霞「凄いわこの人、生きてるだけで娘二人にダメージ与えてる」

朝雲「寧ろこの人、何で病死するのよ」

天津風「私に聞かないでよ」

愛宕「幼馴染でもこれは擁護できないわね」

瑞鳳「で、種目はいつ発表なの?」

神通「明後日の全校集会だそうです」

瑞鳳「意外と早めなのね」

神通「でも体育祭4日後なんですよねぇ…」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/04(金) 09:45:56.96 ID:t+Q8Brtr0<> >>1乙です <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 13:24:38.34 ID:inqb6ir70<> 瑞鳳「体育祭の話はそこにポイして… ミーティング始めるよ」

神通「わかりました。 海風さん、お願いします」

海風「と言ってもする事ほぼ無いんですけどね。 全員の機体が現在大規模改修中ですし…」

天津風「アンタも無茶言うわ… 『全機体のポリキャップを全部規格統一しろ』なんて誰が想像できんのよ」

神通「ですが一理ある事は確かです。全員の機体のポリキャップを統一しておけば延長戦にもつれ込んでも補修が利く、と言う点で」

霞「今までそうやらない方がおかしかったのよ。 大会規定じゃ延長戦の補修タイム時に使えるのは出撃ガンプラのパーツだけ、規格統一しなきゃ満足に補修も行えなくなる」

萩風「お陰で製作中のガンプラの完成、遅れそうですけど…」

瑞鳳「それに規格統一しても問題点は多いからねぇ… 例えばブラストZZの足、つまりEx-Sの下半身が破損してシューティングスターの下半身に挿げ替えてもバランスが劣悪になるし。

ポリキャップに関してはしないよりはマシ、ってレベルの話だけどね。 ただし『シームルグ』に関しては無理、って明言しておく」

朝雲「無理なんですか?」

瑞鳳「無理。 アレはそもそもの規格が榛名さん独自のものになっててそれが『コード・ブレイヴ』にも関連するよう作り込みがされてる。

粒子供給、膨大な粒子量に耐えられるように強化された特殊なものを使ってるから易々とは変えられないし変えたとしても性能が十全と発揮出来なくなるよ」

海風「強力な機体ですがその分、難が多すぎると言うか… 正直、戦術に組み込み難いですね」

瑞鳳「じゃあどうするの、『シームルグ』。 微調整は終わったけど」

海風「朝雲さん、瑞鳳さんからシームルグを受領次第慣熟訓練を開始してください」

朝雲「それは構わないけど… 大丈夫なの?」

海風「あと朝雲さんにはこれを覚えて貰います」ドサッ

霞「…何これ?」

海風「どこぞの誰かが作った戦術指南書です。 組み込み難いのであれば、指揮官に据えれば良いのです。

と言う事で朝雲さん、貴女を三人目の指揮官に抜擢します」

朝雲「はぁ!?」

海風「以前にも言った筈です。 貴女は狙撃手、最も戦場を俯瞰できる立場だと。

それに指揮技能持ちは現在海風と先輩の二人のみ、正直二人だけでは今後支障が出るかと。そこで貴女を指揮官に抜擢したい、と言うのが理由です」

朝雲「あ、天津風とか萩風でも…」

萩風「申し訳ありません、私指揮技能皆無で… 海風さんの姪なのに…」

瑞鳳「やっぱり夕雲ちゃんの血が強すぎたか…」

海風「天津風さんは… 少々問題が…」

天津風「悪かったわね…!」

霞「あ、私はパスね。そう言うガラじゃないし」

愛宕「私も、気配りが出来る朝雲ちゃんで良いと思うわ」

海風「と言う事で決定しました」

朝雲「うそーん…」

瑞鳳「ま、まぁストライクも改修作業にしてるから…」

海風「あと萩風さん、貴女の機体は強襲・奇襲特化機でしたっけ?」

萩風「その予定で作っています」

海風「分かりました。 プランに組み込めるように調整しておきます」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/04(金) 14:45:36.19 ID:sMlc995A0<> 落とし物の年季の入ったGPベースがバトル部の部員の物と勘違いされて部室に届けられる <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/04(金) 21:50:56.00 ID:inqb6ir70<> コンコン

神通「お客さん、でしょうか?」

海風「新入部員かもしれませんよ?」

瑞鳳「今更来ないでしょ」

愛宕「そうでも無いわよ。 結構入部希望者は多いわよ、この部」

朝雲「ああ、最近萩風が入部して以降私達に寄って来るのも増えてるし…」

天津風「最近男子に囲まれる事多いのよね… 愛宕先生のテストに落とされたって」

愛宕「だってぇ… まともに入部テスト突破できたの、萩風ちゃんだけよ?」

萩風「私でもかなり苦戦したのですが…」

瑞鳳「ファイタースキルかなり高いからね、愛宕先生」

神通「ちょっと私、出てきます」


神通「どなたでしょうか?」

「2年の花田です」

神通「花田さん? どうかなさいましたか?」

「これ、昇降口で拾ったけど… そちらの部員のものじゃないかなって」

神通「GPベース…? 確かにウチはGPベースは使いますが… ここまで年季の入ったものは誰も持っていないかと…」

「そうなんだ…」

神通「丁度愛宕先生もいらっしゃるのでこちらで預かりますよ?」

「ありがとう、神通さん」

神通「いえ。 では受け取りました」


愛宕「GPベースの落し物?」

神通「そのようです」

瑞鳳「これ初期ロッドの旧型じゃない… ガンプラバトル黎明期、10年近く前の代物だね」

愛宕「私は顧問務める時に新調したけど… 瑞鳳のは?」

瑞鳳「私も四年前にモデル変えたからこのタイプじゃないし… 霞ちゃんのは2年前の型だけど、他の皆は最新型モデルだし」

霞「そう言えばこれお婆ちゃんが買ってくれた奴だから型落ちしてるもの当然か…」

天津風「私は入学前に買い換えたから…」

海風「ではこの学校に10年近くガンプラ歴のあるファイターが?」

朝雲「3歳から8歳くらいから経験があるファイターって事になるけど…」

瑞鳳「親が譲ってくれた、って可能性ならあるけどね。 えっとGPベースのデータは…

パーソナルデータ部分、やっぱ古い奴は使い難いわね… あったあった…」

萩風「どうです?」

瑞鳳「えーっと…」

「す、すみません! この部にGPベースが落ちていたと届けられて…」


誰だった 直下?
1.矢矧
2.翔鶴
3.その他(人物も)


※ただし自軍入りはしません <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/05(土) 01:13:53.64 ID:1MSUpaMQO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/05(土) 03:53:23.16 ID:OBP6o3O70<> 「あ、あら… 瑞鳳?」

瑞鳳「あ、これ翔鶴さんの?」

愛宕「えっと… 知り合い?」

瑞鳳「知り合いだし、同業だし、弟子のお母さんだし」

天津風「弟子…? ってことは、この人第7回の…!?」

瑞鳳「そう。 春雨ちゃんの母親であり、時雨ちゃんの保護者の翔鶴さん」

翔鶴「初めまして、翔鶴と言います」

海風「この人が春雨さんの…」

朝雲「それにしては若すぎるような…」

瑞鳳「確かウチの実家の蔵にあった文献だとかなり昔、平安時代あたりに『不老』の力を持った人間を血縁に取り込んだってあったからそのタイプなんじゃないかな?

それに意外と多いのよね、私達みたいな『同類』… 一定時期に成長を止めて、一切老化しなくなる体質の人間。 昔はそう言う集落もあった、って文献には書いてたし今でもコミュニティ残ってるし」

霞「平安って… 瑞鳳さんの家ってどれだけ古いんですか…」

瑞鳳「さぁね。 文献も残ってるのは平安まで、それより前は知らない」

萩風(確かに蔵の文献には平安までしか残っていませんでしたが… でも家系図は違う、平安より前にもかなりの数の名前が記されてた…

多分ルーツは、神代にも遡る… そもそもそんな時代があれば、ですが)

朝雲(この一家、どんな宿業を背負ってるのよ…)

瑞鳳「で、どうして翔鶴さんはここに? 春雨ちゃんの学校はここから電車で2駅向こうだけど…」

翔鶴「アナハイム、と言うか財団の人に呼ばれたの。 春雨と時雨にガンプラバトル世界大会の広告塔を頼みたい、って」

愛宕「広告塔?」

瑞鳳「そりゃそうだよ。 アナハイムは今ヤバい状態、世界大会の辞退者も出てきてこのままじゃ大会を中止にせざるを得ないってレベルらしいし」

翔鶴「世界大会への特別招待枠とか色々用意するから、大会に出てメイジンと一緒の広告塔になって欲しいって言うのが依頼なんだけど…」

瑞鳳「確かにあの二人、世界中のファイターでも人気だし知名度も私並だから広告塔にはうってつけだけど… 受けるんですか?」

翔鶴「二人に話してから、ね。 私の意思じゃなく、あの子達の意思を尊重したいもの」

瑞鳳「でもあの二人は絶対に選ばないでしょうね。 世界大会の出場権や多額の報酬が貰えるとしても…」

翔鶴「我が娘達ながら、二人共真っ直ぐ育ってくれて良かったわ」

瑞鳳「少なくとも自動的に与えられる大会参加権なんて興味も持たないね。あの二人はそう言う子だもの。 浜風ちゃん達は残念がるだろうけど仕方ない」

海風「…何故今、その名前が?」

瑞鳳「世界にはあの二人と戦うことを望む人間は沢山居るけど、特に浜風ちゃんと夕雲ちゃんは再戦したがってる。 普段から付き合いはあるけど本格的なバトルは世界大会の場でやる、って約束もしてるし。

浜風ちゃんにとってあの二人、特に春雨ちゃんは唯一浜風ちゃんの戦術を打ち破った人間… 悔しいし、打ち負かしたいに決まってるじゃない」

天津風(第七回大会の準決勝、春雨・時雨ペア対浜風・夕雲ペアの戦い… 今でも全大会中の名試合ベスト3に入る程の名試合を演じた四人…

しかもどっちも世界大会には初出場で日本の代表、同じ条件で有利に立っていたのがただ一つの読み違えで瓦解して敗れるなんて相当悔しいに決まってるわ)

神通「それで… このGPベースは、翔鶴さんのですか?」

翔鶴「ええ。 私のです」

萩風「親子揃ってファイター、とは…」

翔鶴「私はファイターじゃないわ。 ガンプラだってそんなに詳しくないし、一生懸命やってる人と比べたら…」

瑞鳳「…こんなこと言ってるけど、この人バケモンだよ。 飛龍さん達が一方的にボコされかける位にはヤバイ人だからね?」

全員「!?」

翔鶴「ず、瑞鳳!?」

瑞鳳「いや、事実ですし。 良い? この人凄い謙虚な事言ってるけどね、魔境と呼ばれたガンプラ黎明期に並居る化け物共を蹂躙して、先代メイジンすらも後一歩まで追い詰めた夫婦の片割れよ。

多分私が知る限り、頭おかしいレベルのファイター5本指に入るから」

全員「えぇ…」 <> 全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる<>sage saga<>2017/08/05(土) 09:07:27.31 ID:sreWtWSk0<> 京様安価SS以上に収集付かないンゴ次のメンテナンス明けは成績表リセットアイテム無期限三個貰える【懇願】 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/05(土) 18:58:28.98 ID:OBP6o3O70<> 翔鶴「さて、私はお暇するわ。 お店に戻らないと時雨が大変だもの」

瑞鳳「わかりました。 ではこれお返ししますね」

翔鶴「ありがとう、瑞鳳。 じゃあ私はこれで…」



瑞鳳「あと今日やるべき事は?」

神通「特に無いかと思います。 今は各自機体の調整を家でやるべきかと」

瑞鳳「じゃあ今日は解散。 各自機体調整に尽力してね」

全員「はーい」



視点選択 直下
1.神通『新たなる剣』
2.霞『今を越えるもの』
3.天津風『天駆ける星』
4.萩風『影は刃となりて』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/05(土) 19:05:33.20 ID:CFxjzp1v0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/06(日) 00:39:01.21 ID:f4uangtV0<> side-天津風-『天駆ける星』


天津風「ったく、本当に面倒臭いわね…」


ポリキャップを全機体で統一する、確かにチーム戦においてもし延長戦にもつれ込んだ場合にそれが生きるだろう。

お陰で買う予定も無かったキットも買うハメになってしまった。AGP(オールガンダムプロジェクト)規格品など買うつもりは無かったが…


天津風「だから協調性が無い、とか言われるよね私…」


大鳳さんが言っていたことを思い出す。『周りが見えてない』、全くその通りだ。

周りが見えてない訳じゃない、見る余裕が無いだけ。言い訳だって事は分かりきっているがこれだけは変えられない。


天津風「私は、私のやるべき事をやるだけよ…!」


例えソレが独りよがりのものだったとしても、私を退学にしたガンプラ学園をギャフンと言わせるまでは…

そして私は機体の改修に取り掛かった。



天津風の新型

・ベース機体 下2(『シューティングスターガンダム』をベースとして継続させる場合は『継続』と書き込んでください)
・機体改造内容 下4(高機動・空戦特化系の内容のみ。 不可能なものは再安価します)
・機体名 下6(条件:『星』に関する単語を入れること(例:ポーラスター、ライジングスターなど)) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/06(日) 00:41:24.13 ID:f4uangtV0<> ベース機体条件忘れてました

・ベース機に出来るのは『高機動可変型のガンダムタイプ』のみ

が条件です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/06(日) 03:28:32.00 ID:ZFjv0lp90<> ガンダムハルート <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/06(日) 10:29:43.57 ID:gaRH8QAxO<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/06(日) 11:26:21.89 ID:3f8d60ER0<> 最終決戦仕様の増加ブースターと本体のシザービットを排除して代わりにミサイルを増加して高起動爆撃機化にする <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/06(日) 11:46:38.44 ID:LfhhdOSkO<> 上に追加で脚部に推力偏向ノズルを内蔵
腕部にはアリオスのGNサブマシンガンを内蔵
ミサイルポッドは随時切り離し可能
塗装は濃い赤をベースに変更 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/06(日) 18:38:32.72 ID:BFIQc4F40<> ガンダムハルートボーライド

※ボーライドは爆発を伴う明るい流星(火球)のこと <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/06(日) 22:17:15.45 ID:f4uangtV0<> ガンダムハルートボーライド
・GNソードライフル×2
・GNサブマシンガン×2
・GNキャノン×2
・GNミサイルコンテナ

天津風の新型で『ガンダムハルート最終決戦仕様』の改造機。
シザービットを全て廃し代わりにミサイルコンテナを増加させ爆撃機としても運用可能。
腕部にはアリオスのGNサブマシンガンを内蔵し脚部とブースターには推力偏向ノズルを搭載する。
塗装は濃い赤、ただし瑞鳳をリスペクトした訳では無いとのこと。
怒りの赤を身に纏い流星は火球となる。 その果てに何があるのか、そもそもガンプラ学園と戦うのかもわからないまま…



天津風「本体は、これで… 後は武装ね」

天津風(私の新しい機体、シューティングスターに代わる新型『ガンダムハルートボーライド』)

天津風「この力で、私はガンプラ学園を見返してやる…!」

天津風(退学にさせられた恨みを晴らして、退学させた事を後悔させてやる…!)



視点選択 直下
1.神通『新たなる剣』
2.霞『今を越えるもの』
3.萩風『影は刃となりて』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/06(日) 22:22:50.91 ID:R/x0/e4c0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/06(日) 23:17:52.85 ID:f4uangtV0<> side-萩風- 『影は刃となりて』


萩風「えっと… PC-002への交換は終わったから…」


何時ぶりだろうか、こうしてガンプラを作るのは。少なくともお母様が亡くなって姉さんが行方不明になってからは初めてだ。

あの頃は良かった、そう思う。 ほんの少し前のことなのに随分遠くまで来てしまったと我ながら苦笑する。


萩風(でも、私が望んだことだから…)


あの頃にはもう戻れない。 日常も何もかも捨て、過去に転移したのだから。

例えそれがあの頃を取り戻す為のことでも、私は禁忌を犯し昏睡病キャリアーを何人も屠ってきた。


萩風(私の手はとっくに血塗られてる… だからもう止まれない…)


ガンプラバトル部、姉さんと同じ部に入部したのも昏睡病の元凶、EXAMに近付ける可能性があったからだ。

個人的な感情も多かれ少なかれあるが、そこは今は関係ない。


萩風(姉さんが光だと言うのなら、私は影… 暗闇から敵を屠る刃…)


正攻法ではなく影に潜み、隙を見て敵を屠る。 それが私に教えられた戦い方であり最も得意とするもの。

この機体も、その為の機体。 そして私は分身たる自分の機体を組み上げていく。



機体安価
・ベース機体 直下
1.ガンダムエクシア
2.テスタメント
3.クロスボーンガンダムX-0
4.その他(条件:奇襲・強襲に特化したガンダムタイプ)

・改造内容 下3

・機体名 下5(条件:百合科もしくは紫陽花科の花の名前)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/07(月) 00:23:37.15 ID:9ffZJmYZO<> エクシアR2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/07(月) 03:47:53.32 ID:bFc48XWa0<> GNソードをスピルベアジンクスのようにブレード部分を小型化、両腕に装備する
両腰にGNビームダガーを二本増設、計六本装備
追加装備としてGNシュツルムブースターを背部コーンに被せる形で装着が可能で、形状はプトレマイオス2の後ろ半分に似ている <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/07(月) 09:21:30.57 ID:NlN0LVRE0<> ソードをスペルビアジンクスのクナイ(実体刃はGNソード改と同等)に変更し、両腕に装備。
脚部にGNクローとビームサーベル発生基部、腰にケルディムのピストルとGNダガーを2つ追加しサーベルを6本に。
バックパックはゴールドフレーム天ミナのものを改造してドライブを覆うように装着、ステルス機能を追加。任意のタイミングでパージできるようにする。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/07(月) 09:26:13.40 ID:A2hynRxy0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/07(月) 22:22:44.84 ID:oPAkwe7mO<> ガンダムエクシアルベルム(ヒサメユリ) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/16(水) 23:51:40.39 ID:ffbpDH2jO<> 更新遅くなり申し訳ありません(テザリングです)

ガンダムエクシアルベルム
武装
・GNクナイ×2
・脚部GNクロー×2
・脚部ビームサーベル×2
・GNダガー×2
・GNビームサーベル×2
・GNピストルU×2
・マガノイクタチ

『ガンダムエクシアRU』をベースとした萩風の機体。神通の『スターリリィ(姫百合)』同様百合科の花であるオトメユリ(別名:ヒサメユリ)の名前を冠する。
萩風が最も得意とする奇襲・強襲能力に長け、高い隠密性と近接能力を誇っており素体の能力も瑞鳳譲りの製作能力を持つ萩風の全力が投じられた。
武装はGNソード改からソードと同等の刃を持つGNクナイ二丁流に変更し脚部のつま先にはビームサーベル発振基、かかとにはGNクローを内蔵。そして腰部にはGNピストルU二丁とGNダガーを2本装備する。
そしてアストレイGF天ミナのバックパックをGNドライヴを覆うように装備、そしてステルス能力が付与され萩風好みに仕上げられた。。
トランザム機能もちゃんと健在で瑞鳳の遺したRGシステムtype-Zの技術を流用する事で高い安定性能を持つ。
塗装は萩風のパーソナルカラーである薄い紫がベース。
思惑こそあれど部に参加した以上は全力を出すと決めた萩風。彼女は神通とは真逆の『影』として、自らの敵へと迫りその首を討つ。



萩風「よし… あとは稼動域のテストをすれば…」

萩風(ポリキャップの接続には苦労したけど形にはなった… これなら性能次第で充分戦える)

萩風「キャリアーだって…」

萩風(もしかすれば全国の場にも罹患者、キャリアーが現れる可能性もある。スドウ・シュンスケがそうだったように、心の弱さが大きな事件を招く…

だからそうならないように、先に私が仕留めないと…)

萩風「私は刃… 闇に潜んで敵を殺す、その為の…」

萩風(私はその為に生まれて、育てられたのだから) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/17(木) 00:13:43.56 ID:QbfYxnNVO<> 《二日後 学校・部室》


メンバー一同「…」

蒼龍「えっと… 何の沈黙?」

飛龍「今日体育祭のメンバー発表があるからって聞いたんだけど…」

愛宕「それに関して、なんですよ… これ種目の一覧表です」

瑞鳳「どれどれ… 何これ…」

海風「絶対これくじ引きかなんかで適当に引いた奴ですよね」

霞「そうに決まってるわ。順番がゴッチャゴチャだもの」

天津風「転入する学園絶対間違えたわ」

朝雲「しかも所々変なやつ混じって無い?」

萩風「体育祭…?」

神通「去年より悪化してる…」

瑞鳳「そんなに酷かったかな去年… カラオケロワイヤルとかやったけど」

愛宕「ともかく、対策を練らない?」

蒼龍「そうね… これ対策は一応練っておかないとまずいかも」

飛龍「対策できんの…?」


体育祭種目安価 ↓4まで(体育祭関係なし対決(例:カラオケ選手権、料理対決等)もあまりぶっ飛んで無ければ可) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/17(木) 00:35:37.13 ID:occbPQfe0<> リレー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/17(木) 06:12:36.16 ID:6tH4Gw4E0<> 学校全域を使ったサバゲー対決 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/17(木) 06:32:08.44 ID:FChuKYP10<> 電流イライラ棒 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/17(木) 13:05:14.66 ID:+ggm0em20<> 料理コンテスト <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/21(月) 00:14:15.01 ID:cDaqwYONO<> 種目一覧
・第一種目:部活動対抗リレー対決 (四人)
・第二種目:学内サイバイバルゲーム (二人)
・第三種目:教諭・外部講師対抗戦 (一人)
・第四種目:電流イライラ棒 (一人)
・第五種目:料理コンテスト (一人)
・第六種目:カラオケ対抗戦 (一人)
・第七種目:オシャレコンテスト
・第八種目:???


蒼龍「…どうするの?」

飛龍「どうもこうも無いわね。第五種目に蒼龍出したら負け確なのは決定だけど」

朝雲「ねぇ、電流イライラ棒って何?」

霞「私に聞かないでよ。知る訳無いでしょ」

海風「イライラ棒と言うのは一応知識としては知っていますが… 確か周りの壁に棒を当てないように慎重にゴールへと進めるゲーム、だったかと」

愛宕「…もしかしてこの子達、知らないの?」

瑞鳳「そりゃそうだよ。 私達生まれて5歳くらいだったから知ってるけど、皆まだ生まれてないし」

萩風「電流イライラ棒って何ですか?」

瑞鳳「昔古いテレビ番組で、イライラ棒ってやつをクリアすると百万円もらえたのがあったの。ルールは海風ちゃんの言う通り、ただ無駄に凝ったギミックとかがあってかなーり難易度高め」

神通「私達は現代から15年先に生まれた人間なので知らなかったのですが、何故お母様と愛宕先生以外の人は知らないのですか?」

愛宕「だってその番組が終わったの2000年の話だもの。 皆生まれてないから知らなくて当然よ」

瑞鳳「因みに後番組は最近までやってたいきなり黄○伝説ってやつね。これなら知ってるでしょ」

天津風「木曜7時枠…」

愛宕「バラエティ枠が木曜7時になったのも黄○伝説になった後なんだけど… まあ知らなくても良い話ね」

瑞鳳「この子達多分笑○犬とか内○プロデュースとか知らない世代だね。少なくとも知ってても特番か再放送の類しか知らないやつ」

蒼龍「…ごめん私達もわからない」

瑞鳳「まぁ異世界人ですし。後はサバイバルゲームは…」

萩風「お任せください。学校の設計図を盗み出しておきました」

神通「返して来てください、今すぐ…!」

萩風「コピーしてオリジナルは返却したので平気です」

朝雲「そう言う問題じゃないでしょ…」

海風「この教諭・外部講師対抗戦って何です?」

愛宕「私も内容は聞いてないわ。ただ入場曲は決めておけ、って言われた」

神通「後は… まぁ対策のしようが無いものばかりでしょう。オシャレコンテストはファッション誌を読み漁るしか…」

霞「あれ、これってテーマ直前発表じゃなかったっけ…」

天津風「面倒臭いわね… 第八種目の内容も直前発表なんでしょ?」

海風「はい。 とりあえず7、8は後から選手変更も可能らしいので先に他を決めておきましょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/21(月) 00:38:38.56 ID:PBZB4MQcO<> 選手割
・リレー:蒼龍・飛龍・海風・神通
・サバイバルゲーム:朝雲・萩風
・対抗戦:瑞鳳
・イライラ棒:天津風
・料理コンテスト:霞
・カラオケ:愛宕


海風「これが現在の最適でしょうか?」

天津風「ちょっと!何で私がイライラ棒なのよ!」

海風「だって他の適性が…」

霞「妥当でしょ。 アンタ料理は?」

天津風「うっ…」

萩風「サバイバルゲームは朝雲さんのような狙撃手が必要なので。私は近接、と言う事で」

朝雲「まぁ、リアル銃器触ったの私だけだし…」

天津風「じゃあマラソン交換しなさいよ」

海風「最近神通さんと一緒に鍛え始めてるので海風は自信ありますよ。脚力勝負します?」

神通「私は出来れば料理の方が良かったのですが… 血筋が…」

蒼龍「私達これでも軍人だし」

飛龍「今でも鍛えてるわよ」

天津風「じゃ、じゃあカラオケ…」

瑞鳳「愛宕先生、めっちゃ歌えるよ」

愛宕「そこまで上手くないわよ」

瑞鳳「嘘。 だって95以下取ってんの見た事ないもん。

あとファッションは… アパレルショップでバイトしてる夕張ちゃん呼んで手伝って貰おう」

萩風「あの人の意外な一面を知った気がします…」

瑞鳳「因みに私と大鳳、あの子が高校の時から知ってるけどずっとショップ店員やってるよ。

私の服選んでくれてるのあの子だし、何だかんだで大鳳と一緒にお世話になってる」

海風「い、意外と付き合い長いんですね…」

瑞鳳「そりゃ蒼龍さん初めて拾った直後に出会ったからね。私のお気に入りのカーディガンを蒼龍さんが血まみれにしたから代わりのやつ探しに行ったら出会ったのよ」

蒼龍「そ、その説はすみませんでした…」

瑞鳳「責めてませんよ。 不可抗力ですし… まぁ今もあのデザインは気に入ってたし未練はありますが」

飛龍「服についた血って漂白剤でも落ちないしねぇ… 仕方ないわよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/21(月) 09:45:01.48 ID:fo4k0Lve0<> (炎のチャレンジャーって木曜じゃなくて火曜7時だった気がする) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/23(水) 23:23:50.00 ID:7XdRQ5i00<> >>42
確か元々火曜日に放送していましたが、番組が終わって黄金伝説に移行後1年くらいでバラエティ枠が木曜日に移ったのだと記憶しています。なので
>愛宕「バラエティ枠が木曜7時になったのも黄○伝説になった後なんだけど… まあ知らなくても良い話ね」
と言及させていました。 分かりにくくてすみません


萩風「ルールは全滅戦、敵対するのは約70チームです」

朝雲「計140人、ってことね…」

萩風「私一人でも充分な数ではありますが… ルールとしては禁止エリアと一部教室を除いて学内全部の施設を使用可能、装備品の類は全部学内の適当な箇所に配置するとのことです」

朝雲「後掃除も大変そうね… そこらに転がったBB弾の片付けとか」

萩風「なので清掃業者を雇うようです。 一体この催し、いくら予算かかっているのでしょうか…」

朝雲「エアガンが平均で1個で私のお小遣い2か月分だって考えれば… …考えたくなくなってきた」

萩風「…精神衛生上悪いので止めましょう。 作戦としてはやはり真正面から仕留めて…」

朝雲「拠点作るってのは?」

萩風「篭城戦は二人チームでは些か分が悪いかと。 それに長引くとそれだけ神経を磨耗します」

朝雲「じゃあ虱潰しに一人ずつ狩っていきましょうか」


神通「うぅっ…」キリキリ

霞「凄いわあの二人、相談事してるだけで先輩が胃を痛めてる」

海風「当人到って真面目に話しているだけなのですが…」

神通「だってあの二人ですよ…!?」

天津風「片方が腹違い?の妹なのに酷い言い方ですね…」

瑞鳳「どっちかって言うと私の卵子使ってるらしいから種違い、だね」

蒼龍「あの子も、一体誰の子なのよ…!」

飛龍「あの胸… 浜風の血統…?」

愛宕(お二人も中々大きいと思うんだけど… しかも半分合ってるし)

神通「あの二人を揃えてロクな事になるとでも…!?」

霞「しかも結構プライベートでも遊ぶ位には仲良しって事実がね…」

海風「先輩へのダメージに拍車をかけていますね」

天津風「そう言えば妹の為に健康料理教わってるって聞いたわ」

瑞鳳「うーん… 朝雲ちゃんって悪戯好きな所が無ければ普通に良い子だと思うんだけど… 気遣い出来るし、周りが見えるし」

愛宕「だからこそ萩風ちゃんも懐いてるんだと思うけど…」

飛龍「このままだと神通ちゃんの胃に悪そうだし… 私達はグラウンドで練習でもする?」

蒼龍「そうね… 一応運動用にジャージも持って来てるから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/24(木) 01:52:44.31 ID:lZnS4nqo0<> 《グラウンド》


蒼龍「さてさて… 柔軟も済んだし、始めますか」

飛龍「陸上部の脇のほうを借りて、っと… まずは順番決めね。 アンカーは神通ちゃん、任せる」

神通「わかりました」

海風「先輩、確か肉体にリミッターをかけてるんですよね?」

神通「はい。 私達一族は日常生活の際には肉体にリミッターをかけている状態、おおよそ全力の10%程です。

常人より力が強すぎるので生活に支障が出る、なので私達が生まれてから最初に学ぶ事が自身の力の制御です。ただ、あまり制御が効かないのですが…」

飛龍「確か瑞鳳は一度解除すると全部解除されちゃって元に戻すまでに時間がかかるし肉体も負荷がヤバイって言ってたわね」

神通「その通りです。 最低か最大か、どちらかしか選べ無いんです。 限定的な解除は出来ない事はありませんが、最大時よりも制御に気を使う為かなり体力を要するので…」

海風「何か、不憫な一族ですね…」

蒼龍「それで、リミッター時の全力の脚力はどのくらいなの?」

神通「走ってみた方が早そうですね。100メートル程で良いですか?」

飛龍「ええ。 丁度ここからあそこの木くらいだから… ストップウォッチっと… じゃあ3、2、1… スタート!」ピッ

神通「!」ダッ

飛龍「…」ピッ

蒼龍「…あっと言う間に着いちゃった」

飛龍「タイムは… 1秒38…」

海風「えぇ…」

神通「どうでしたか?」

飛龍「うん、やっぱおかしいや瑞鳳一族」



瑞鳳「やってるねぇ… じゃ、私も…」

霞「何するんです?」

瑞鳳「リミッター解除。 暫く外してないから、その練習って感じで… 破ッ!」ゴゴゴ

霞(呼吸しただけで軽い衝撃波が…!?)

瑞鳳「ふぅ… これで7段階中2段階目ね」

霞「2!?」

瑞鳳「フルパワーなら… ジャンプで雲くらいまでは跳べるよ。 着地は出来ないけど」

霞「出来ないんですか?」

瑞鳳「だって跳躍の衝撃波で周囲吹き飛ぶもん。着地レベルの話じゃないでしょ」

霞「あ、そっち…」

瑞鳳「ま、私の種目は何やるかわからないから備えておいて損は無いし。 一応リミッターも3段くらいまで外しとくか」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/26(土) 00:18:53.09 ID:HX7CQWDv0<> 天津風「…一丁前に全員はしゃいで…」

愛宕「あー、えー、いー、うー… どうかしたの?」

天津風「いえ… 唯、少し呆れてるだけです」

愛宕「柄にも無く皆はしゃいでるものね… 島ではそんなにはしゃいで無かったのに」

天津風「大会も近いのに、本当ならこんな暇なんて無い… 弛んでるのよ」

愛宕「違うわ。 大会大会って先の事柄一つに囚われると息が詰まる、だから息抜きも必要なのよ。

それに… 今の今まで昏睡病絡みで気を抜く事なんて出来なかったじゃない」

天津風「確かにそうだけど…」

愛宕「焦る気持ちも分かるわ。 でもそれ以上に、『今』って時間は二度と訪れない。 だから今を楽しむのも青春の一つよ」

天津風「青春…」

愛宕「それに…」

天津風「それに…?」

愛宕「これ優勝しないと私達大会に行けないのよ…」

天津風「!?」

愛宕「予算がね、もう… 4桁前半なのよ…」

天津風「そこまでウチの予算不足が深刻だったんですか!?」

愛宕「そうなのよ… 守銭奴の瑞鳳が身銭切ろうとしたくらいに…」

天津風「そ、そんなに…」

愛宕「あの野球部顧問が余計な事言わなければ後援会からのお金がもらえた筈なのに…!」

天津風「そう言えばあの先生、どうなったんです?」

愛宕「懲戒免職、私達が島に行ってる間に決まったそうよ。 40代で免職だから就職厳しいでしょうね。

学生からもセクハラの話があがってたらしいし、今回の事が決定的になったって」

天津風「以前からマークはされてたんですね」

愛宕「同じ教師として恥ずかしいわ、全く…」

ピンポンパンポ〜ン

『愛宕先生、ガンプラバトル部特別顧問・瑞鳳さん、ガンプラバトル部部長・神通さん。 直ちに理事長室に来て下さい。繰り返します…』

愛宕「あら?」

天津風「呼び出し…?」

愛宕「じゃあ私行ってくるね。 あとは蒼龍さんと飛龍さんの言う事聞いて活動して」

天津風「わかりました」


視点選択 直下
1.瑞鳳『テスト』
2.榛名『乱入?』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/26(土) 04:45:03.82 ID:WdwFlLy70<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/26(土) 18:58:35.10 ID:HX7CQWDv0<> 《理事長室》


瑞鳳「失礼します、理事長」

「来たか… そこのソファーに掛け給え」

瑞鳳「わかりました。 では失礼して…」

神通(カーディアス・ビスト… マーサ・ビスト・カーバインの実兄であり、現・ビスト財団当主…)

愛宕(私や神通ちゃんならまだ分かる。 でもどうして瑞鳳まで… 瑞鳳が知り合いだから…?)

瑞鳳「それで、本日は何用で?」

カーディアス「『真紅の戦乙女』、数々のファイターを見出し世界チャンピオンクラスへと育て上げ、そして自身もビルダーとしては世界最高峰に位置する人間だ。

そして今は我が校の講師として無名で一人しか部員の居なかったガンプラバトル部を全国大会へと押し上げた。最高峰の人材を見出しその才を引き出す、キミを選んで正解だったよ」

瑞鳳「いえ。人材は私が見出した訳ではありません。 部長である神通さん、彼女の尽力あってこそです」

神通(確かに海風さん達にお母様は一切関わっていない。 しかし海風さんは浜風さんと、そして霞さんは大鯨さんと縁があった。

やはり、お母様には人を引き寄せる何かがある。 そして人と一緒に、トラブルも…)

カーディアス「さらには『昏睡病』を追い、事件の真相へと手を伸ばした。 そしてその過程でアナハイムの『闇』をも暴いてしまうとは…」

瑞鳳「その件に関しては私の母の助けも大きく、私一人では分からなかったでしょう。 闇に関して、関わりのあった者も部員には居ますし」

カーディアス「ああ。 まさか彼女がその一件の関係者であり被害者だったとは… 彼女には悪い事をした。まさか、マーサと直接対面する事になってしまうとは…」

愛宕(霞ちゃん、ね… まぁ大鯨さんに気絶させられた後、起きて散々罵倒してたんだけど)

瑞鳳「で、前置きはもう結構です。 本題をどうぞ」

愛宕「ちょ、瑞鳳…!?」

カーディアス「ふむ… 長話は嫌いか。 まぁ良い、本題に入るとしよう」

神通(あ、あっさり納得した…)

カーディアス「昏睡病に関しての報告は聞いている。 そして、今日呼んだのはその件に関することだ」

三人「…!」

カーディアス「神通君、と言ったね。 キミは通常の昏睡病のキャリアーとは異なる、特殊なキャリアーと真正面から戦った貴重な人間だ。キミはどう感じた?」

神通「私はノーマルのキャリアーと戦った事はありませんが、スドウ・シュンスケと戦った時に感じたのは… 恐ろしいまでの脅迫観念、でしょうか。

滅ぼさねばならない、迫る何かを全て滅ぼさなければならない… そんな恐ろしい負念のようなものが」

カーディアス「そしてガンプラバトルシステムに干渉し、複数の分身体や破壊した機体を再生させて操作すると言った能力も発現させた。

恐らくそれはプラフスキー粒子の特性、人の意思に反応すると言うものが昏睡病の負念に反応してのものだ。あれは一種の暴走状態、と言っても過言では無い」

愛宕「その事と、何か昏睡病に関係が…?」

カーディアス「実は静岡にあるPPSEの研究所が昏睡病を引き起こす勢力と思われる何者かに襲撃された。キミ達が島に行っている間に」

瑞鳳「…被害は?」

カーディアス「…プラフスキー粒子を生成する為の結晶体『アリスタ』の小型結晶、そして研究中の新型ガンプラの一部が強奪された。その際に警備員と研究員の一部に被害が出ている」

愛宕「研究中の新型ガンプラって… どうしてそんなものを…」

カーディアス「そのガンプラの製造方法が特殊で粒子に影響を受け易く、テスト中に何度か暴走を起こした。だから厳重に保管され研究を推し進めていたのだが…」

神通「その暴走の規模は?」

カーディアス「結晶体に反応して研究室の一つが壊滅した。細心の注意を払っていたらしいが…」

愛宕「でもどうして私達にその事を?」

カーディアス「全15機中強奪を免れられたのは2機、1機はメイジンが保有していた機体だったから無事だった。そしてもう1機は私が持っている。

なのでキミ達ガンプラバトル部に頼みがある。 ガンプラに精通し、有数の実力を持つキミ達に」

瑞鳳「まさか…」

カーディアス「キミ達にこの機体、『スクランブルガンダム』を預ける。 その性能テストとデータ取り、そして昏睡病からの守護を頼みたい。

もし昏睡病キャリアーに奪われでもすれば、大変なことになる」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/26(土) 23:14:11.32 ID:HX7CQWDv0<> 神通「『スクランブルガンダム』…」

愛宕「でもこれ、まるで…」

瑞鳳「私の『クロイツ』…?」

カーディアス「キミの製作した『クロイツシリーズ』、その技術を参考にしている。

ガンプラバトルは開始時に機体をスキャンされ、そのデータはシステムに登録される。それをPPSEがデータを抜いて再現し、改修を施したものだ」

瑞鳳「それだけじゃない。これは天山学園の『改RX-0』、榛名さんの機体データも使われてる」

神通「『改RX-0』も!?」

カーディアス「そこまでは私も把握していない。 キミの機体データを使われていることだけだ、私が知るのは」

瑞鳳「PPSEから技術使用料ブン獲ってやろうかしら…」

愛宕「と言う事はこれ、瑞鳳と榛名さんの技術を組み合わせた機体ってこと…?」

神通「PPSEの全技術が投入されている機体… 技術盗用のコピー品とは言えなんて出来栄え…」

瑞鳳「ベースはゼータとデスティニー、可変機構もありそうね。WR形態にはならないタイプの、多分ウイングと同じ変形かな?

特殊システムの類は無さそうだけど… でもこれだけなら暴走を起こす原因にはならない。多分これ、粒子制御能力がかなり不安定だね」

カーディアス「ほう…」

瑞鳳「多分私の技術と榛名さんの技術をミックスした時にピーキーな部分を受け継いだのを無理矢理操縦性を向上させようとして制御の部分をおざなりにしてるのかな。特に榛名さん側の技術が問題になってる。

性能・操縦性を両立させようとして綻びを生んだ結果、粒子の制御が出来なくなって意思に反応して暴走するって感じ… 優秀な性能で扱い易い欠陥機、これが私の私見です」

神通「何でそこまで一目で見抜けるんですか…」

瑞鳳「そりゃこの機体に使われた盗用技術の主よ? それに『改RX-0』については充分に研究したし」

愛宕「『シームルグ』ね… その制御関連の部分はどうにかなる?」

瑞鳳「楽勝。 性能か操縦性か、どっちかに偏らせれば良いだけだもの。 まぁ選ばなかった部分はお察しくださいだけど。と言うかこれ勝手に弄って大丈夫なんです?」

カーディアス「あまり大きな改修は困るな。これでも残存する貴重なサンプル、メイジンが大規模な改修を施したので既に原型を留めるのはその機体だけなのだよ」

瑞鳳「まぁ微調整に留めたとしても性能は偏らせられるし… 拡張性も高そうだからちょっと勿体無いかもだけど」

カーディアス「ではその機体、預かって貰えるな」

神通「しかし、ファイター側の問題も…」

愛宕「こんな機体、誰が使えるの?」

瑞鳳「一人居るよ。 同様の可変機構を持つ機体を使い、今操る機体が無い子がね」

神通「海風さんに…!?」

瑞鳳「フレスヴェルグの改修が終わるまでのつなぎに使って貰う。 それにあの子の操縦は癖が無い。 テストファイターとしてはかなり優秀だよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/26(土) 23:54:05.57 ID:HX7CQWDv0<> 《部室》

海風「『スクランブルガンダム』、ですか」

瑞鳳「15機中13機が強奪された残りの貴重な1機なんだってさ」

海風「そんな機体をどうして海風が…」

瑞鳳「フレスヴェルグへのつなぎ。 それに海風ちゃんの操縦は癖が無いからテストに最適なのよ」

霞「確かに海風はウチのチームの中で唯一オールラウンダーだけど…」

瑞鳳「まあつなぎだから適当に、壊さない程度に使ってね」

海風「はぁ… この機体、武装は?」

瑞鳳「えーっと… バルカンと腕についたビームライフルとビームサーベルだね」

海風「…それだけですか?」

瑞鳳「それだけ」

海風「えぇ…」

朝雲「まさか… バスターソードでも欲しいの?」

海風「はい」

天津風「よりによって何でそんな武器をチョイスするのよ…」

海風「別に良いじゃないですか、好みなんですから」

萩風「確かにこの機体、テスト機故の武装の少なさがネックのようです」

瑞鳳「仕方無い… こんな事もあろうかと用意しておいた『とっておき』使って良いよ」ポイッ

海風「これは?」

瑞鳳「『カレトヴルッフフェーダー』、雑誌の付録作りこんだやつ」

神通「HJ2017年1月号の付録ですね。カレトヴルッフをベースにライフル・ソード・ランスの3種類に使い分けできる優れもの…

ただクリアパーツ形成と言う理由で加工しにくいのが欠点ですが」


機体変更(一時)
・海風:ウイングガンダム・フレスヴェルグ→スクランブルガンダム(カレトヴルッフフェーダー装備)


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/27(日) 12:10:12.70 ID:bgfql9BJ0<> アーケードの電流イライラ棒を置いてる古いゲーセンに練習しに行く天津風とついていくメンバー達 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/28(月) 02:12:48.78 ID:aRpQd7K00<> 《ゲームセンター》


天津風「本当にあった…」

萩風「だから言ったでしょう。ここのゲームセンターにはレトロなものが揃っていると」

朝雲「萩風のリサーチ力には呆れるしか無いわ…」

神通「ハァ… 先生の見回りが来なければ良いですけど…」

萩風「御心配なく。既に見回りのルートは全てリサーチ済み、シフトも盗み出しておきましたので」

海風「やると思いましたよ…」

蒼龍「保護者に私がいるから平気平気」

霞「あれ、飛龍さんは?」

蒼龍「今日の夕飯当番だから先に帰るって。 あと皆、一応条例で決まってるからゲーセンは6時までだよ」

全員「はーい」


萩風「やり方は… こんな感じですね」

天津風「最初のスロットの時点で鬼門じゃない…」

神通「萩風… 何でノーコンテニューでクリア出来るんです…」

萩風「…この手のゲームセンターには薬物の売人が入り浸る事があるのです。

今はお母様が大半を根絶やしにしてしまったので出没しませんが、少し前はここにもナノマシンを売買してた人間が居ました。その為、出没するまで時間を潰すのにゲームを何度かプレイしたのです」

蒼龍「ここ、ヤバイ系じゃないの…?」

萩風「その手の類の連中はもう『排除』しましたのでもう来ないかと。それにいざとなれば私や姉さんが居るので問題は無い筈です」

神通「あまり手荒な真似はしたくありませんが…」

萩風「天津風さんはまずこの『イライラ棒FINAL』のクリアに専念してください。これをクリアしない限り、どうにもなりません」

神通「あと他の四人は…」


霞「ちょっと! トールギスで引き撃ちは止めなさいよ!」使用:ZZ

海風「ZZなど使うからです!」使用:トールギス

蒼龍「ほら、着地なんて見せるから!」使用:GP02

朝雲「ザメルの誘導性高すぎない!?」使用:ストライク


天津風「ガンネクで遊んでるし…!」

神通(私もあっちに行きたいなぁ…)

萩風(私は電車でGO!2の特級こまちがやりたい…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/28(月) 02:48:23.91 ID:aRpQd7K00<> 蒼龍「で、どこまでいけたの?」

天津風「クリアしましたよ…! 7回目でね…!」

蒼龍「そ、そう… あれ、萩風ちゃんは?」

天津風「あれ、何時の間に…」


萩風「大曲の停止位置、あと1メートルだったのに…!」


蒼龍「別のゲームやってるよ…」

天津風「何でよりによって電車でGOなんか…」

神通「あれでもあの子、模型に精通しててその影響か鉄道模型にも手を出していた事があるんです」

蒼龍「意外と高いアレを?」

神通「はい。私はサッパリでしたが」

蒼龍「何と言うか、人って分からないものね… クリアもしたしそろそろ全員集めて、帰りましょうか」

神通「わかりました」



霞「もう二度とトールギスとはやりたくない」

海風「イカれ性能ですし。特にブーストが」

朝雲「もうザメルは嫌だ…」

蒼龍「私も大人げ無かったかな? 日中暇なときに瑞鳳からPSP版借りてやってたけど」

天津風「結局イライラ棒しか出来なかった…」

萩風「あと1メートルが憎らしい…!」

神通(私も遊びたかったけど… 部長だから仕方ありませんね)



視点選択 直下
1.神通『鍛錬の理由』
2.朝雲『慣熟訓練』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/28(月) 05:55:55.91 ID:HRYtzxF0o<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/29(火) 01:37:03.80 ID:MIY+f3Hh0<> side-朝雲-『慣熟訓練』


BATTLE START

朝雲「『シームルグ』、朝雲! 出るわよ!」


蒼い機体が宇宙へと飛び出し、スラスターの噴射光を煌かせながら自由自在に駆けていく。

そして一つの大きなデブリへと専用武装『シェーバティール』の銃口を向けた。


朝雲「ロック… 出力配分良し、当たれ!」


放たれた大出力のビーム砲は一撃でデブリを粉砕し、その破片を宇宙へと撒き散らす。

『シェーバティール』の砲身に篭った熱を放出させた朝雲はその威力を見て呟く。


朝雲「凄い威力… これで全力じゃ無いの?」

蒼龍『そうよ。 『コード・ブレイヴ』発動時にはもっと威力が出る。ただその分粒子放出量はヤバいけど』

朝雲「そんなに…」

蒼龍『次は近接戦よ。やれるわね?』

朝雲「はい!」


外部から蒼龍がコンソールを操作すると3機の『リック・ディアス』が出現する。

そして3機のリック・ディアスが連携を取りながらシームルグへと攻撃を開始した。


朝雲「プラフスキー・マテリアライゼーション!」


素早くその攻撃を回避し、朝雲は『シェーバティール』から粒子結晶の刀身を形成させて突撃を敢行する。

クレイ・バズーカによる攻撃を回避しながら中央のリック・ディアスとの距離を一気に詰めて刀身を振り下ろす。


朝雲「まず1!」


一撃で両断されて爆散する1機目のリック・ディアス、だが足を止めたことでもう1機のリック・ディアスがサーベルを抜いて突進した。

しかし朝雲は冷静に刀身の結合を解除して『シェーバティール』を実弾砲撃モードへと切り替えて攻撃を行う。


朝雲「そんな動きで!」


ライフリングした大型の弾丸が放たれ、リック・ディアスの黒い機体を貫き破壊する。

そして最後の1機のリック・ディアスがシームルグへとバズーカを乱射するが…


朝雲「マテリアライゼーション! 終わりよ!」


粒子結晶による刀身を再度形成し直し、その刃を飛ばしてリック・ディアスを切り裂いた。


蒼龍『目標達成、バトル終了っと』


BATTLE END <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/29(火) 02:24:11.59 ID:MIY+f3Hh0<> 朝雲「NT-Dを使って無いのに… なんて性能…」

瑞鳳「どう、使い心地は?」

朝雲「無調整の時より凄く扱い易いです。まさかここまで使い易くなるなんて…」

夕雲「瑞鳳さんは世界クラスのビルダーですから。私の知る限り、最優のビルダーだと思いますよ?」

瑞鳳「それは言い過ぎ。 元の機体が良かっただけ… 正直、このクラスの粒子制御技術は私じゃまだ超えられない」

蒼龍「でもいずれは超えるって事でしょ」

瑞鳳「そりゃそうですよ。 にこの技術が既にここにある以上吸収して昇華する、それがビルダーですから」

朝雲(毎度ながら凄いポジティブよね、この人)

瑞鳳「朝雲ちゃんもここまでこの機体を動かせるようになるなんて、腕上がったね」

朝雲「海風の見よう見真似ですよ」

蒼龍「道理で海風ちゃんと似たマニューバの切り替え方だったのね。それでも充分凄いけど」

夕雲「チームの皆さんも着々と腕を上げているようですね」

瑞鳳「まぁ修羅場は潜ってるし… 少なくとも全国ベスト8には及ぶ、ガンプラ学園とも互角だったし」

夕雲「ガンプラ学園… やはり強敵でしょう」

瑞鳳「そりゃね。 一流ビルダーとファイターを育成するのが目的の学校だし。 夕雲ちゃん達入学しなくて本当良かったよ」

朝雲「え、誘われてたんですか?」

夕雲「ええ。 私達は世界チャンプ、夕雲と浜風さん、そして春雨さんはそれぞれ去年学園からの誘いを受けています。毛頭興味はありませんが。

瑞鳳さんに惚れ… 憧れて上京してきたのに、静岡に行ったら本末転倒でしょう」

朝雲(前に神通さんの言ってた話、本当だったんだ…)

瑞鳳「ところで朝雲ちゃん、『シームルグ』はそのまま引き渡すけど… ストライクはどうするの?」

朝雲「確かに今のままだと他の機体に追いつけないだろうけど…」

瑞鳳「だからこのまま『シームルグ』1機に絞るか、ストライクと『シームルグ』の2機体勢でやるか。どうするの?」

朝雲「そうですねぇ…」


選択 直下
1.シームルグ1機だけに絞る
2.ストライクも運用する <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/29(火) 05:45:22.68 ID:YhpK0AeC0<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/29(火) 05:46:45.00 ID:YhpK0AeC0<> すみません間違えました
2でお願いします <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/29(火) 22:38:33.52 ID:MIY+f3Hh0<> 朝雲「ストライクも何だかんだで愛着ありますし… お願いしても良いですか?」

瑞鳳「合点承知、っと。どう弄くっておこうかしら…」

夕張「ここはデュエルASみたいに増加装甲と後はアグニで大砲… サムブリットとかでも良いわね」

大鳳「いえ、エールを飛行用に対応させて…」

蒼龍「…何時の間に現れた」

夕雲「と言うかサムブリットはライゴウ用では?」

夕張「瑞鳳さんに洋服絡みの事と夕飯で呼ばれたんですよ。 ストライカーなら大抵合うから平気平気」

大鳳「私は夕飯かな、って降りてきたのよ」

瑞鳳「二人共、自分の意見の押し付けは駄目。 使うのはこの子なんだから」

蒼龍「少なくともエールとソード系統は無いわね」

夕雲「やはり以前と同じライトニングでしょうか」

朝雲「そこは瑞鳳さんにお任せします」

瑞鳳「言ったね? ふふふ…」

朝雲(ヤバっ… あの目はマジだ…)

瑞鳳「オリジナルストライカーを生み出しまくった私の本領発揮といきましょうか…!」

蒼龍「…アレ、多分ニクスのストライカー作った時と同じ顔だわ」

朝雲「ニクス?」

夕雲「『ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ』、浜風さんの機体です。 ストライカー対応機で使用ストライカーは『レジェンディアストライカー』…

レジェンドガンダムのバックパックを流用し、作りこんだものです。私のミラージュに装備してある『ペネトレイトストライカー』も魔改造品ですし…」

蒼龍「正直、瑞鳳ちゃんにストライカー作らせたらロクなもん出来ないよ。 私の機体なんてまだマシだけど」

大鳳「妙な所で本領発揮しちゃうのよね… そう言えば朝雲ちゃん、門限大丈夫?」

朝雲「あ、そろそろヤバ…」

瑞鳳「じゃ私バイクで送ってくるよ。 まだ昏睡病キャリアーが出てくるかもしれないし」

朝雲「霞じゃあるまいし、狙われませんよ」

瑞鳳「そうとも言えないよ。 もしスドウ・シュンスケを倒したことで朝雲ちゃんも優先ターゲット設定されてるかもしれないし。

だから私が送っていく。 それに…」

朝雲「それに?」

瑞鳳「妹さんに送られた『改RX-0』の詳細も見たいしね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/29(火) 23:44:15.68 ID:MIY+f3Hh0<> 《2日後 学校》


ガヤガヤ

瑞鳳「結構人居るねぇ。 700人くらいかな?」

神通「中高一貫ですから」

蒼龍「飛龍、お腹大丈夫?」

飛龍「大丈夫よ。 今朝は牛乳、飲んで無いから」

海風「お腹弱すぎじゃないですかね?」

飛龍「まぁねぇ… アレルギーじゃないのに乳製品殆ど駄目なのよね…」

霞「それ中々キツイですね…」

萩風「よし、飛龍さんが健康になるように食事のメニューを…」

天津風「それより、そろそろ開会式よ」

愛宕「生徒は全員、ちゃんと並ばないと」


『これより、小沢学園体育祭・開会式を始めます』


そして…


『これで、開会式を終了します。第一種目の選手は、所定の位置に集合してください』


海風「では行きましょう」

蒼龍「じゃあ最初のランナーは私、二人目は飛龍、三人目に海風ちゃんでアンカーが神通ちゃんね」

神通「わかりました」

飛龍「よし… いっちょやりますか!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/30(水) 00:34:57.11 ID:qRZTvP0q0<> 『位置について!よーい…』

パァァァァンッ!

蒼龍「!」ダッ


『第3レース、一位に躍り出たのは… ガンプラバトル部の蒼龍先生!凄い、他の運動部をぶっちぎって駆けて行きます!』

「ど、どうなってんだアレ!?」

「見た目以上に速い…!」

蒼龍(元艦娘、舐めないでよね…! もうすぐ次…)


『間もなく二人目へのバトンパス、このままガンプラバトル部は1位を維持出来るのか!』

蒼龍「飛龍!」

飛龍「よしっ!任せなさい!」バッ


『ピッタリと息のあったバトンパス! 飛龍先生へとバトンパスを繋げた! そして他の部活動も順々にバトンをパスしていく!』


「う、嘘だろ… 化け物じゃねぇか…」

「ガンプラバトル部って文化部扱いだろ!?」

飛龍(まだ余裕はあるけど… 相手は運動部も居る。 今のうちに極限まで引き剥がす!)


『飛龍先生、蒼龍先生以上のスピードで走る! オリンピックでも通用しそうな勢いだ! そして次のバトンパスへと…』


飛龍「海風ちゃん!」

海風「はい!」


『第3ランナーの海風さんにバトンパス! そして海風さんも二人とまではいかないが速い! これで本当に文化部なのか!?』


「何で陸上部に勧誘しなかったんだよ!」

「文化部なんかに…!」

海風(二人が頑張って残したリードを維持しないと…!)


『流石に後ろから他の選手が迫りつつあるも未だ1位を維持するガンプラバトル部。 そしてバトンはアンカーに…』


海風「先輩! お願いします!」

神通「任せてください!」ダッ


『バトンを受け取ったのは神通さん! そして… え…?』

「う、嘘だろ…」

「勝てる訳ねぇ…」

神通(しまっ… 加減しそこねた…!)

『え、えーと… ガンプラバトル部、他の選手をぶっちぎり余裕の1位です! ガンプラバトル部、特別顧問も化け物過ぎて生徒全員が化け物になっています!ギネス記録を余裕で超える成績です』


天津風「トラック1週を10秒弱で走り抜いた…」

朝雲「えぇ…」

萩風「姉さん、熱くなり過ぎです…」

瑞鳳「あーあ… って実況! 私何気にディスられてない!?」

愛宕「是非も無いわ。事実だもの」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/30(水) 01:27:40.85 ID:qRZTvP0q0<> 『続いて第二種目、全校サバイバルゲームを開始します』


朝雲「行くわよ萩風、全員をブチのめしてやるんだから!」

萩風「ええ。一人残らず仕留めてみせます」


数分後…


<う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

<助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


『校舎内から阿鼻叫喚の悲鳴が上がっている! 一体何があったのか!』


神通「お願いですから、何事もありませんように…!」

霞「先輩、それは無理です」


『えーっと… ただいま入った情報によりますと、ガンプラバトル部の問題児・朝雲さんと期待の転校生・萩風さんが虐殺レベルの無双をしているそうです!

既に二人の手によって半分以上を狩っているとか。どうやらガンプラバトル部はトンデモ無いコンビを投入してしまったのでしょうか』


海風「期待通りです」

天津風「絶対に組ませたらロクでも無い事態になるってわかってやってるわよね!?」

瑞鳳「止めときゃ良かった…」

愛宕「わかりきってた事よ。こうなるのは」

飛龍「一体校舎内で何が行われてるの…」

蒼龍「怖くて考えたくも無い」



「やってやる!やってやるぞ!」

萩風「遅い!」ブォン

ドサッ

萩風「これで、半分!」

ドドドドドドドド

「あだだだだだだだだ! マシンガンは止めてくれ!降参する!」

朝雲「ふぅ… 最初にマシンガンとナイフ拾えたのは幸運だったわね」

萩風「ええ。このグレネードも…」ポイッ

パンッ

「うわぅ!うわあぁぁぁぁぁあ!」

「強い、強すぎるぅぅぅぅぅぅ!?」

萩風「このエリアは制圧と考えても良いでしょう。残りを狩りに行きましょう」

朝雲「ええ。 あとコイツ等の武器もかっぱらってっと…」


『え、えと… 予定よりかなーり早くですが… 第2種目、ガンプラバトル部が優勝とのことです』


萩風「終わりました」

神通「うぅ…」

朝雲「先輩、どうしたんですか?」

瑞鳳「貴女達が暴れすぎて体調崩した」

神通「胃が… 胃が…」

飛龍「後で胃薬あげる…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/08/30(水) 01:43:42.95 ID:qRZTvP0q0<> 海風「ここまでは順調ですね」

霞「どこが順調よ…」

愛宕「寧ろサバイバルゲームが予定より早く終わりすぎて結構時間余ってるんだけど」

蒼龍「90分全滅戦やって、生き残ったチームにポイントをあげるってルールだったのにものの15分で片付けてきたの誰よ」

朝雲「だって仕方無いんですよ。弱すぎるんですから」

萩風「はい。 それに襲い掛かる火の粉は振り払わないと」

瑞鳳「寧ろ導火線に火をつけに行ってたんじゃない?」

飛龍「お陰で周りから睨まれてるし…」

神通「お腹がキリキリします…」

海風「でも先輩、睨まれる原因のひとつが先輩である事をお忘れなく」

天津風「追い討ちかけるな!」

霞「まぁトラック1周10秒弱をやらかした先輩も人の事言えた立場じゃないけども…」

松風「へぇ… こんな大規模な体育祭をやるんだ、この学校」

野分「これでも全生徒じゃなくて部活動参加者だけなのね」

初月「何故全生徒が参加しないのだろうか… 僕達は部外者だから関係ないが」

瑞鳳「…なんで居るし」

弥生「観光、飽きた」

照月「それで瑞鳳姉達の学校で何かやってたから見学に」

神通「うぐっ…」キリキリ

朝雲「うわっ、先輩に余計ダメージが追加されていってる」

不知火「? どうしてこの方はお腹を押さえているのですか?」

如月「…貴女も大変ね」

朝潮「その原因の一端が言っても皮肉にしかなりませんが…」

舞風「お母さんに仕事の契約を迫られた時の榛名みたいな顔になってるよ」

秋月「確かにそっくりです…」

瑞鳳「榛名さん、お母さんと仲は良いのに仕事に関しては本気で勘弁して欲しいらしいからね… 特に秘書業務絡みは」

蒼龍「あの子も中々苦労してるのね…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/30(水) 10:42:29.15 ID:KdmfnoQI0<> 父母、襲来 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/01(金) 02:33:08.58 ID:r4ZGCPH40<> 「へぇ… こんな催しもやるのね」

「だが… ちとこの天気では生徒も辛かろうに」

瑞鳳「へ…」

飛龍「あの特徴的なエプロンと中華風衣装はまさか…!」

蒼龍「それに無駄に甘ったるい声&野太い声は…!」

愛宕「大鯨さんに不敗さん!?」

瑞鳳「ちょ、何で両親揃って居るのよ!?」

部員一同「えぇ…」

大鯨「家族参観、ってやつ」

東方不敗「娘の働き振りを観に来てやったのよ」

瑞鳳「いやいやいや… 仕事は!? ちょっと前に有給取ったばっかだよね!?」

大鯨「繁忙気前の夏季休業」

東方不敗「テスト期間でな。丁度ゼミ生の研究の中間発表も終えて一息ついておったのだ」

瑞鳳「いやいやいやいや。お父さんは駄目でしょ!?」

初月「天城が言っていたな。自由奔放過ぎて補講ばかりだと」

瑞鳳「それ教授として駄目だよね!? エイフマン教授に言いつけるよ!」

東方不敗「うっ…! 父を売るか!」

瑞鳳「少なくとも大学教授の自覚も無い人に言われたく無いわ! 学生が可哀想でしょ!」

大鯨「まぁまぁ…」

瑞鳳「そこもなぁなぁにしようとしない! 甘やかすから付け上がるんだよ!」

天津風「瑞鳳さんがまともな事言ってる…」

神通「あぁ、時が見えそう…」

霞「ヤバイわ! 先輩の心労ダメージが許容値を超え始めてる!」

海風「医務室に運びましょう!」

朝雲「血族として感想は?」

萩風「凄く恥ずかしいです」

不知火「義理の娘も同じかんそ… 血族!?」

萩風「あ… まぁ、遠からず近からずの感じで…」

野分(孫、とは言えないわよね。 未来人なんて明かせないし…)

如月(まぁ夕雲さんって親戚の前例が居るから誤魔化せるけども…)

秋月(難儀ですよね、この人も)


『これより第三種目の教職員対抗戦を開始します。出場する教員の方は…』


大鯨「あら、瑞鳳の番じゃない。 行ってらっしゃい」

瑞鳳「ったく…!これ観終わったら帰ってよ!」

東方不敗「それが両親に言う事か」

瑞鳳「どっちが非常識か世間一般にアンケートとってやりたいわ…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/01(金) 03:22:58.81 ID:r4ZGCPH40<> 『では教員の方々の入場です』

<ピロピロピロピロ

『まずはサッカー部顧問、高松先生。入場曲は○○、続いて弓道部顧問…』

瑞鳳(あれ、私入場曲決めてなかったような…)

<赤い〜赤い〜アイツ〜レッドマ〜ン

瑞鳳「!?」

『ガンプラバトル部顧問、瑞鳳先生。入場曲は『レッドマン』です!』

瑞鳳「誰この歌にしたの!?」


朝雲「本当に流したよ…」←実行犯その1

海風「妙に合ってますし丁度良いのでは?」←実行犯その2

天津風「何この歌…」

霞「円○特撮にあったのよ。 怪獣を見つけたら容赦なく襲い掛かって嬲り殺しにするやつが」

蒼龍「なんだ、瑞鳳ちゃんピッタリじゃない。ってか霞ちゃん、知ってるの?」

霞「はい。 ちょっと前に流行ったらしくて見た事があるんです」

飛龍「まぁ瑞鳳ピッタリね。麻薬扱ってる組織とか軒並み潰して何も残らなくなっちゃったから『紅いアイツ』とか『真紅の通り魔』とかついたし…」

愛宕「そのまんまのネーミングですね…」


『全ての教員が揃ったところで競技種目を発表します』


照月「何が来るのかな?」

松風「分かりきったことだろ。どうせロクな種目じゃないさ」

朝潮「流石に言いすぎ、と言いたい所ですが… 本当にそうっぽいのですよね…」


『教職員バトルロイヤルです! 地面に転げたら負け、最後の一人になるまで戦う勝負… 果たして誰が勝つのか!』



部員関係者&瑞鳳一家一同(あっ…)



瑞鳳「もう何だって良いわ! 纏めてかかってきなさい! レッドファイッ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/04(月) 00:21:50.23 ID:mAGWu2GyO<> ドゴォ バキッ ズガァァァン


瑞鳳「はぁ、はぁ…!」


『ガンプラバトル部特別顧問瑞鳳先生、殆どの先生が束になっても武器を持っても勝てない! 果たして彼女は人間なのか!?』


瑞鳳「人間だって…!」


大鯨「う〜ん… 瑞鳳のことだから怪我人は出て無いみたいだけど…」

東方不敗「ちと一方的過ぎるわい。流石にこの種目を考えた者はアホでは無いか?」

海風「ええ、まったくそう思います」

野分「そろそろ止めに入らないと…」

松風「だけど僕達が出てどうなる? アレに勝てる訳無いだろ」

照月「取り押さえる自信も無いよ…」

初月「どうにかして止めないと…」


<夢を紡ぐ、空が繋ぐ、白に染めら〜れ〜たこの大地で ひとつ〜だけ、叶えたい〜夢〜♪


如月「この歌は…!?」

秋月「もしや…」


『え、えと… ここで理事長より、彼女を止める戦力を用意したそうです。 入場テーマ曲は『white relation』、その名も…』


「少々、おいたが過ぎたようですね瑞鳳さん」

「理事長からの依頼なので、どうかご無礼を」

瑞鳳「え、えと…」

「いやぁ、真正面から相手とかチビりそうなんですけど」

「うーん、本当ならやりあいたくは無いけど仕事だし…」

「こうなったら死ぬ気でやるしか無いよね! 多分死ぬけど!」


『精鋭チーム『マスクド・ヴェアヴォルフ』です!』


瑞鳳「って、榛名さんじゃないですか!?妹と部下引き連れて何やってるんですか!?」

白狼「失敬な、榛名って誰です? 今の榛、私は『白狼』です」

緑狼「同じく、緑狼… 天城って誰でしょう?」

青狼「どもども青狼です。 一言お願いします!」

茶狼「えっと… 茶狼です。お、お手柔らかに!」

黄狼「黄狼だよ! まぁ、死なない程度にお願い…」


霞「全員狼の被り物被って、何やってんの…」

朝雲「あの榛名さんが持ってるの、ハルバード…?」

大鯨「トマホーク(自称)よ。 因みに大中小2本ずつ計6本持ってるわ」

天津風「あれトマホークなんですか!?」

萩風「天城さんは槍ですか…」

愛宕「あ、頭痛くなってきた…」


瑞鳳「こんなに引き連れていても… 私には勝てませんよ!」

白狼「それはどうでしょうか! 狼達よ、喰らいつきなさい!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/04(月) 01:06:43.42 ID:TomKsokZO<> 白狼「ダブルッ! トマホォォォクッ、ブゥゥゥメランッ!」ブォン

瑞鳳「くっ…!」


瑞鳳は迫り来るトマホークの刃を間一髪で屈む事で回避し、白狼へと駆け出す。

しかし背後から先程放たれたトマホークが、真横からは緑狼が槍を携えて襲い掛かる。


瑞鳳「まさか、こんな槍術使いだなんて…!」

緑狼「独自の型ですが、この程度なら!」


拳でトマホークを払い、槍の一撃をバックステップで回避した瑞鳳。

だが着地の瞬間を狙って、ゴム弾が瑞鳳へと殺到した。


瑞鳳「ッ…! ゴム弾まで…!?」

茶狼「素手で受け止められた…!?」

黄狼「なら…! 青葉!」

青狼「今その名前で呼ばないでくださいよ!」


ゴム弾を素手で受け止めた瑞鳳の両脇からナイフを携えた黄狼と青狼が突撃する。

瑞鳳は一瞬呆気に取られたが、即座に彼女達を迎え撃つべく自身に課した『リミッター』を外し気を練り…


瑞鳳「ゴッド・シャドー!」


瞬時に瑞鳳が十人の分身を展開して攻撃を回避し、同時に青葉達を撹乱した。

だが青狼は即座に気付く、その十体の中に『本物』は既に居ない。その向かう先は…


青狼「古鷹!」

瑞鳳「もう遅い!十二王方牌大車併!」

茶狼「ッ!?」


遠く離れていた茶狼へと小さな瑞鳳の分身体が襲い掛かり、銃を砕き身を拘束する。

そして拘束された茶狼へと瑞鳳が一気に距離を詰めてその拳を腹部へと叩き込む。


茶狼「う゛っ…」

瑞鳳「まず、一人…! 帰山、笑紅塵!」



大鯨「あ、あら… マジモード…?」

東方不敗「大鯨、準備しておけ。もしかすれば、ワシ等の出る幕があるやもしれん」

神通「いえ、あれなら『まだ』加減は出来ているので大丈夫でしょう」

海風「先輩?」

神通「ただ…」

朝雲「ただ…?」

萩風「ここまで来ると周囲の人がドン引きしているのが…」

霞「瑞鳳さんを『本気』にさせたらどれだけ危険か知ってた私達ですらドン引きなんだから仕方無いわよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/04(月) 02:08:24.36 ID:IlyiZVfqO<> 《数十分後…》


緑狼「くっ… 降参、です」


槍を手放し膝をつく緑狼。既に黄狼と青狼は瑞鳳によって叩きのめされ地面に転がっていた。

そして残るのは白狼唯一人のみ、狙いを絞った瑞鳳は一直線に駆ける。


瑞鳳「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」

白狼「そう簡単にはさせません! トマホークブゥゥゥメランッ!クインティプルッ!」


彼女の持つトマホークの6本のうち5本を投擲し、瑞鳳へと襲い掛からせる白狼。

全方位から飛来する5つの刃。瑞鳳は額に撒いた鉢巻を外して1本のトマホークの柄へと巻きつけ…


瑞鳳「秘技・キャッチアンドリリース!」


そのまま自身ごと回転し、全てのトマホークを打ち払う。 そして鉢巻を巻きつけていたトマホークをそのまま白狼へと放つ。

迫り来るトマホークを白狼は手に持った最後の、2メートルはあろうかと思われるトマホークで弾くが…


白狼「くっ… 消えた!?」


既に白狼の視界には瑞鳳は居ない。 だが白狼の『直感』が留まるのは危険だと頭で警鐘を鳴らす。

それでも一手遅かった。 瑞鳳は既に目の前に迫っていたのだから。


瑞鳳「ラストッ!」


鉢巻がトマホークの柄を絡めとり、白狼の腕から引き剥がす。 

そして武器を失い、もう勝つ手段を見出せなくなった白狼は両手を空に掲げた。


白狼「降参、です」


『な、なんと! 理事長の用意した刺客すら退けこの壮絶な戦いを制したのはガンプラバトル部特別外部顧問・瑞鳳先生です!

凄い、こんな戦いはテレビなんかでは観られません! まさに白熱した戦いでした!』


天津風「まぁ、こうなるわよね」

弥生「20分以上保っただけでも、凄い…」

朝潮「まさか天城さんまであんな戦闘力を隠していたなんて…」

飛龍「宮城人って本当バケモン揃いね」

蒼龍「しかもあの二人、瑞鳳ちゃん達みたいな血筋じゃないのに…」

大鯨「うーん… 小さな頃に手解き程度の教えはしたけど、ここまで強くなってるなんてね。 関心関心」

愛宕「原因はやっぱり大鯨さんだった…」


榛名「あ、もしもし間宮さん。 三人ちょっとヤられたので回収お願いします」

間宮『天城さんと榛名さんは?』

榛名「無事ですよ。疲れましたが」

間宮『わかりました。 今から車で回収に行きます』ピッ

榛名「ふぅ…」

瑞鳳「仕事、受け付けて無いんじゃないんですか?」

榛名「活動資金稼ぎですよ。それに、少々不穏な動きがありまして…」

瑞鳳「不穏な動き?」

榛名「ええ。 『コスモ・クルス教団』絡みで。 その調査の一貫で東京に来ました」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/05(火) 01:18:55.51 ID:U/cjUwvbO<> 瑞鳳「『コスモ・クルス教団』… 確か前に海風ちゃんがスカウトされたって…」

榛名「ええ。彼等は『進化の可能性を持つ人間』を保護しようと動いています。ただそのやり方は褒められたものではありませんが」

瑞鳳「強引な拉致、ですか」

天城「現在まで16人に被害が出て、そして霞さんの家の近辺でも複数の教団関係者が目撃されています」

瑞鳳「待ってください。 それって、『昏睡病が何なのか』を既に彼等は知っていると言う事ですか?」

榛名「可能性はあります。 榛名達に接触した教団員の一人が仄めかしていました」

天城「既に撃退はしましたが… 依然として付き纏われて居ますね。正直鬱陶しいことこの上ありません」

瑞鳳「彼等は、なんと?」

榛名「『我々は裁きから進化を守る者』、と。 恐らく昏睡病の正体、『EXAMシステム』に関しても見抜いているかもしれません。だから『裁き』と言う単語を使ったのだと」

瑞鳳「一体どうやって…」

天城「恐らく天城たちのような『突然変異』の人間をかき集めている、と言う事はそう言う類の超能力者をも擁している可能性があります」

瑞鳳「確かに青葉さんのように『本質を見抜く能力』を持っている人間が居ても不思議では無いし、未来視だってよくある話だから居てもおかしくは無い…」

榛名「なので瑞鳳さん、海風さんと霞さんの護衛戦力として天城を置いていきます」

瑞鳳「天城さんを?」

天城「先程の戦闘で槍の技術は既にお見せしました。姉さんや瑞鳳さん程ではありませんが、生身での戦闘なら役立てる筈ですしバトルに関しても既に実力はご存知の筈ですよね?」

瑞鳳「しかし神通ちゃんや萩風ちゃん、そして私が居るのに迂闊に仕掛けてくるとは思いませんが…」

榛名「いえ、天城は保険です。 拉致された場合の」

瑞鳳「保険…?」

榛名「天城は榛名と『感応』出来ます。 物理的な距離と関係なく交感し具体的な場所を把握する事が可能、生体GPSと言って良いでしょう」

天城「生体GPSって… まぁ大体そんな事が出来ます。あともし霞さんが真にNTであるなら、天城ならば彼女とも出来る筈かと」

瑞鳳「…わかりました。 大会まで残り1週間、二人の護衛をお願いします」

天城「承りました」

榛名「もし有事の際にはご一報を。 間宮さんの甘味処を拠点にしているので、いざとなればベース基地に出来ますから」




瑞鳳「今戻った… あれ、お母さん達は?」

神通「お帰りになりました」

朝雲「帰れって言ったのは瑞鳳さんじゃないですか」

瑞鳳「あ、そうだった」

海風「ところで何で天城さんが?」

天城「実はですね…」


飛龍「護衛戦力、ね」

蒼龍「確かに瑞鳳相手に粘った槍の実力は認めるけど…」

霞「海風の言ってた教団連中が動き出してるなんて…」

愛宕「理事長に報告が要るかも…」

萩風「確かに私達では感応は出来ないので最適ではありますね」

天津風(やっぱ宮城人っておかしい)

天城「と言う事で、暫くお願いします」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/05(火) 09:48:43.75 ID:mQH4KWMJ0<> 乙です。
さて台所に天城が行かないように監視しないとな <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/06(水) 01:34:49.22 ID:H+Uw+ohpO<> 『これより第4種目、イライラ棒を開始します。 今回、なんと理事長が昔番組で使用されていたセットをレンタルしてきています!』

天津風「嘘でしょ…」

瑞鳳「リターンズ仕様だね」

愛宕「よくセット残ってたわね。結構綺麗な状態だし」

海風「昨日の夜youtubeで観たやつと同じですね」

霞「ほら、さっさと行って来なさい」

天津風「えぇ…」

朝雲「萩風、アレ出来る?」

萩風「初見クリアはまず無理、でしょうか…?」

蒼龍「そう言うこと言わないの」

飛龍「そうそう。クリア出来るかもしれないし」

天城「何なら代わりましょうか?」

天津風「これは私の種目… 部外者に頼る程弱くは無いわ…!」

照月「だと良いんだけど…」

舞風「エグ○イドのアレになりそう。『出来た!?』『駄目だぁぁぁぁぁっ』『ダァーっ!』って感じに」

松風「アレ、本当演技凄いよね。憧れるよ」

野分「憧れちゃ駄目な類だと思うけど…」

不知火「しかし彼を演じた俳優は尊敬出来ますね。確かあの人、医療関係者だとか」

弥生「ある意味、凄い…」

天津風「人を無視するな!」

秋月(この人も大概扱いが…)

朝潮(何でしょう、何かデジャヴのような…)


『ガンプラバトル部天津風さん、何とか全てクリアした! 手に汗握るギリギリのゲームを制したのは、彼女だ!』


天津風「ゼェ、ゼェ… クリア、してきたわよ…!」

蒼龍「お疲れー」

天津風「あれ、皆は…」

飛龍「理事長に呼び出された」

天津風「私だけ置いて行かれた!?」

蒼龍「ど、ドンマイ」

<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/06(水) 02:05:08.81 ID:+qBkoYkKO<> 『種目の半分が終了したところで、お昼休憩に入ります。体育祭は13時より再開しますので各自昼食を取って下さい』


天津風「で、何で呼び出されたのよ」

海風「荷物運びです」

瑞鳳「ダンボール箱運ばされてたのよ。何かこの後の種目で使うとか」

霞「『私達に関連するもの』って言われたけど…」

萩風「まさかガンプラ?」

朝雲「それこそまさかよ。 部活動分だけだとしても一体いくらかかんのよ」

神通「しかしサバイバルゲームの装備品を用意するよりは安いかと…」

如月「それに1キット、HGだったとしても作るのに最低1時間はかかるわ。慣れてる人でもね」

野分「しかも慣れている人程ゲート処理や部分塗装なんかするから余計時間がかかる… 現実的では無いと思うけど」

秋月「さらに言えば工具など使い慣れていない人が使えば怪我をする可能性もありますし…」

不知火「しかしこの学校、母体はビスト財団ですよね?」

舞風「確かに直系企業のアナハイムもあるし、アナハイムとバ○ダイは業務提携してるから…」

初月「ガンプラの調達自体は簡単だろうさ。それに、宣伝にもなる」

照月「台場のGBT、来月オープンだしその宣伝にはなるのかな…?」

弥生「でも、ここは曲がりなりにも名門だけど…」

松風「まぁこんな部活がある位だからこの中の1割くらいは興味を持つようになるだろうさ」

朝潮「1割もいるでしょうか?」

天城「その点は置いておいて、昼食にしませんか? 実は天…」

瑞鳳「ほーい、今日のお弁当作ってきたよ」

飛龍「これこれ…!待ってました…!」

蒼龍「瑞鳳ちゃんのお弁当、美味しいからねぇ」

萩風「萩風も、健康お重を作ってまいりました」

朝雲「ここまで健康に拘るのかい… まぁ、美味しそうだけど」

霞「私も、今日のコンテストの練習用に作ってきたわ」

天津風「へぇ… 普通に美味しそうじゃない」

海風「朝5時から… トレーニングやってお弁当作るのは疲れましたが…」

神通「私達もちゃんと手伝いましたよ」

天城「皆さん凄い出来栄え。 でも天城も負けてられ… ってあれ? お弁当箱が…」

不知火「…天城さんのお弁当は既に諜報部が回収しています」

松風「キミはまた集団食中毒を引き起こす気かい?」

野分「間宮さんに習っても改善しなかったのに…」

天城「」ガーン

弥生「災厄は、避けられた…」

初月「ああ。テロが未遂で良かったよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/06(水) 23:45:31.20 ID:FyRBq4lHO<> 『ではこれより第4種目に… 入る前に成績の中間発表と第8種目の発表を行います』

神通「第八種目の発表…」

蒼龍「一体何が…」

『まずベスト8の順位の発表から…』

順位発表
1.ガンプラバトル部…40ポイント
2.サッカー部…25ポイント
3.剣道部…20ポイント
4.陸上部…15ポイント
4.吹奏楽部(同率)…同上
4.美術部(同率)…同上
7.水泳部…13ポイント
8.科学部…11ポイント

『やはり1位はガンプラバトル部、サバイバルゲーム大虐殺と教員対決による無双っぷりが2位とポイントを突き放しています。しかし午後の種目は一筋縄ではいかない種目ばかり… さぁ、どうなる!』


瑞鳳「そりゃそうだよ。ウチだけ全種目1位だもん」

萩風「虐殺なんて人聞きの悪い…」

朝雲「そうよ。人一人も殺してないのに」

海風「絶対キルレートおかしい事になってます」

霞「2対約140で全員返り討ちなら完全な虐殺よ…」

不知火「しかも無傷ですからね… 姉さん、些か変な事を教え込み過ぎでは?」

瑞鳳「え、私の責任なの!?」

萩風「私に関してはそうかと」

瑞鳳「そりゃそうだった… で、でも悪いのは一族全員バケモンになる原因作った先祖だから…」

野分「責任転嫁しないでください」


『そして第8種目の内容は… 『即興ガンプラバトル対決』です!』


全員「え…」


『ルールは簡単。 今から1チーム3つずつここにある工具とガンプラの山からキットを選んで貰います。そして第8種目開始までに機体を組み上げ、その機体でバトルロワイヤルを行うのが第8種目です。

さらにはここにあるオプションセットや追加武装アイテムなども取って行って構いません』


飛龍「まずい…! 瑞鳳! 神通ちゃんに萩風ちゃん!」

瑞鳳「わかりました!」

神通「良キット、可動が良く組み易い最新の奴を重点的に狙います!」

萩風「オプションセットは私が調達します!」


『そしてキットは早い者勝ち! レディ、ゴーッ!』


三人「!」ダッ


選んできたキット 下3まで(オプション(※)も併記可)


キット条件
・1999年以降のHGシリーズのみ(HGUC発売以降の製品。 ただしモビルアーマーとHGBFは除く)
・プレミアムバンダイ商品は可、一部限定商品は不可(例:イベント限定品など)
・複数セット(例:プレミアムバンダイの鉄華団セット)などMSなどが複数付属するものは不可

オプション条件
・ビルダーズパーツ、システムウエポン、HGIBOのMSオプションセットは使用可能 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/07(木) 01:16:19.80 ID:82wb2CoR0<> アスタロトリシナメント <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/07(木) 04:27:58.67 ID:gMxBKYbA0<> ガンダムフラウロス <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/07(木) 05:36:40.22 ID:m8jTfaEy0<> ジェガンA2型 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/08(金) 03:30:19.94 ID:9FBjwDrUO<> 『おい、それは俺達の…』『何だよこのベアッガイって!?』『ガンダムを取れ!ガンダムなら強いんだろ!?』


神通「ふぅ、戻りました」

朝雲「あ、戻って来た」

天津風「調達出来たのは…」

松風「『ガンダムアスタロトリシナメント』、オルフェンズの外伝『月鋼』の主人公機か。

左右のバランスが滅茶苦茶だけど強力な装備を有している機体だね」

初月「あとは『ガンダム・フラウロス』、強力な砲撃機だ。 本編での活躍は散々だったが…」

弥生「…あとは、『ジェガンA2型』。 お得意の、金型使い回し…」

瑞鳳「そう言うこと言わないの」

舞風「何でオルフェンズの機体が2機あるのにジェガンにしたの?」

瑞鳳「押し寄せる人波に飲まれる直前に目の前のやつ取ったらこれだった」

野分「確かに姉さん達が取りに行くのにダッシュした直後、トンデモ無い人の量が押し寄せたものね…」

天津風「先輩のチョイスは、まぁ中々ですね」

神通「フレーム式のHGIBOシリーズなら作り易く、調整の時間も確保出来ます。それにパーツが取れ易いのを除けば可動も優秀ですから」

瑞鳳「よし、後は私に任せて。 この程度、30分で作って…」


『瑞鳳先生、瑞鳳先生は至急運営側にお越し下さい。 瑞鳳先生にはこれより、ガンプラ製作のレクチャーを行って貰います』


瑞鳳「うそーん!?」

飛龍「まぁ、世界最高峰のビルダーだものね…」

蒼龍「当然の結果と言っちゃ当然だけど… あくまでも学生の手でどうにかしろ、ってスタンスみたい」

瑞鳳「これ、講師代としてお金毟れ無いかな…」

愛宕「後で請求したら?」

瑞鳳「そうする。 じゃ、ちょっくら適当にやってくるね」

神通「仕方ありません… 私達で作りましょう。 『萩風さん』、オプションは?」

萩風「一応全部調達してきました。 どうなさいますか、『先輩』?」

神通「では製作は私と萩風さん、そして天津風さんで機体を組みます。 海風さんと朝雲さんは部室から武器になりそうなパ−ツと改造用の工具を」

海風・朝雲「はい!」

霞「え、部室のジャンクって大丈夫なんですか?」

神通「機体は『即興』と言いましたが、武器に関してはノーコメントでした。つまり使っても良いのかと」

蒼龍(瑞鳳ちゃんみたいな強引な理屈だこと… それにこの姉妹、ちゃんと公私で呼び方使い分けてるのね)

萩風「ジェガンはパーツ数が多いので私が組みます。これでも、早組みはお母様譲りです」

天津風「じゃあ私はフラウロスかしら。デカールが多いのが難点だけど…」

神通「ではリシナメントは私が。では海風さんと朝雲さん、武器はお願いします」

萩風「朝雲さん、ちょっと良いですか?」

朝雲「何?」

萩風「部室に『スタークジェガン』のパーツがあれば取って来てください。 ジェガンA2のキットは余剰パーツの中にD型の部品があるので、それを使えばスタークへと改修できます」

朝雲「わかった。探してみる」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/08(金) 08:29:41.92 ID:wTBGStUD0<> 校舎内で彷徨く人影を見つけたが、見失ってしまう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/08(金) 09:57:47.28 ID:XZTPUazd0<> F91に出てきたA2型をスターク・ジェガンに改造か。これもガンプラならではだな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/08(金) 13:12:04.33 ID:mLhj2m/X0<> >>79
ジェガンA2はUC(ゼネラル・レビル所属機)出典でF91のジェガンはJ、M、Rだった筈
共通なのはシールドだけだったかと <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/09(土) 01:10:14.70 ID:UGnaYLI2O<> 《部室》


海風「武器武器… メイスとかでしょうか。 鉄血系にビーム兵器は… あ、対物ライフル見つけました」

朝雲「スターク・ジェガンのパーツは… これかしら?」

天城「CCA版ですね。一応互換はあったかと」

海風「あとその辺にプロトのパーツも眠って… ん…?」

朝雲「どうかした?」

海風「今人影が… 部室棟、海風達以外に居ない筈なのですが…」

天城「気配… 1つ…!」ピキィン

朝雲「天城さん…?」

天城「…二人共、天城から離れないで下さい。 この気配、何かしらの悪意を感じます…!」

朝雲「悪意…!」

海風「一体何が目的で部室棟に…!」

朝雲「まさか… 海風! アンタの鞄、『スクランブルガンダム』があったわよね!?」

天城「粒子対応試作機ですか! 複数機が強奪されたと聞きましたが、まさか海風さんの所有する機体を狙って…!」

海風「まさかっ…!」ガサゴソ

朝雲「粒子対応機の強奪の為にここに潜入したなんて…!」

海風「いえ、スクランブルは無事でした」

朝雲「なら良かった… けど、じゃあその気配って奴は…」

天城「可能性は2択、昏睡病絡みの『敵』かコスモ・クルス教団か… どちらにしろ、厄介な手合いです」

海風「直に理事長に報告しないと…!」

朝雲「報告してどうにかなるの…?」

天城「流石に警備の厳重化はして頂けるかと思いますが… それでも、焼け石に水である事は変わり無いでしょうけど。

何が起こるか分からない以上、自分の身は自分で守るしか術はありません」

海風「そうですね…」

天城「海風さん、このポーチにスクランブルを入れて肌身離さず持っているようにしてください。朝雲さんも、自機は自分で守るように」

朝雲「は、はい!」

天城「折角姉さんが阿武隈達のブーイングに耐えながら送った『シームルグ』、失う訳にはいきませんから」

海風「やっぱり揉めたんですね…」

天城「ええ… いくら廃棄処分一歩手前の機体とは言え、姉さんの技術の粋を集めた機体の1つである以上その技術情報は秘匿すべきものです。

特に敵対している相手に送りつけると言う事は、自分の手札を全て晒す事に等しいので」

朝雲「廃棄処分…?」

天城「元々シームルグは実戦に耐えられるような機体ではありません。 あの機体は元々技術試験機、しかも姉さんが一時期バトルから離れていた時期に製造したものです。

それをどうにかして実戦装備を施したのが現在の『RX-0[Sm]シームルグ』、経年劣化の問題や粒子放出量に問題があり廃棄寸前のものを再利用した機体です」

朝雲「だから最初に操縦した時、操縦に難があったのね… 瑞鳳さんのお陰で改善したけど」

天城「正直粒子制御技術では姉さんが勝っていますが、機体そのものを弄る技術は瑞鳳さんの技術力の方が遥かに高いです。

『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』の例を見ても、特殊能力使用時に機体が過負荷で自壊しなかったのは瑞鳳さんの整備能力の賜物… だからこそ、瑞鳳さんの下に居る朝雲さんに機体を送ったのでしょう。きっと何とかしてくれると」

朝雲「成る程…」

天城「なので『シームルグ』は絶対に奪われないようにお願いします。 後は… 皆さんの機体も一応持ってきましょう」

海風「分かりました。 後はこの武器と改造や墨入れ、部分塗装用の工具も…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/09(土) 02:25:22.88 ID:g6TLLeWvO<> 海風「戻りました」

飛龍「お帰り〜」

天城「進捗は?」

野分「今さっきジェガンが組み終ったので萩風さんは他のサポートに回っています」

朝雲「すごっ… このジェガン、きっちりゲート処理まで終わってるわ…」

不知火「バリのあとすら残さず、素組でここまで組み立てるとは… 不知火も驚きました」

蒼龍「瑞鳳の素組と遜色無い、って言うのが凄いわね…」

朝雲「その瑞鳳さんは?」


『すみません!こっちお願いします』

瑞鳳「はいはい!今行き…」

『こっち来てください!』

『こっちもこっちも!』

瑞鳳「あぁ、もう…! キャパオーバーだって! 順番に並んで! ってそこ!パーツは順に切り離すって言ったよね!?全部切り離したら分からなくなるでしょ!

あとそこ! バリは取らないとパーツが嵌らなくなる時があるって教えたよね!」


海風「大変そうですね…」

蒼龍「こっちにも何人かさっき来たけど萩風ちゃんが適当に追い返しちゃったし、そのせいで瑞鳳ちゃんの負担が増してるのよ」

萩風「敵に手を貸す者がどこに居るんですか、全く…」

天城(ウチの姉です…)

萩風「朝雲さん、パーツは?」

朝雲「足りてるかは解らないけど、一応持って来たわ」

海風「工具とペン、あと武装もです」

神通「ふぅ… リシナメントは終わりました」

天津風「フラウロスもよ。 鉄血系はデカールが本当に地獄ね…」

萩風「ではここから改修を始めましょう。 文句を言われたら戻せるようにしないといけませんが」

天城「あれ、霞さんは?」

松風「あの子なら料理の方に行ったよ。自分の番だからって」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/10(日) 01:59:19.16 ID:3Ww6UKlfO<> 霞「♪」


『ガンプラバトル部霞さん、凄い手際です。 これには家庭部も及ばない! 作っているのは… 煮物でしょうか?』


霞(豚の角煮、お婆ちゃんから教わった秘伝のレシピ。これなら勝てる…! 後は圧力鍋を使って煮込むだけ…

その間にもう1品は出来そうね。使える食材は… これなら簡単なサラダとお味噌汁あたりかしら?)


『なんて手際だ! 中学1年生にしてまさに主婦の鑑、オカンだ!』


霞「誰がオカンよ!?」


海風「実際、霞はオカンのような人間ですが」

神通「確かに… 口調はキツめですけど、自他に厳しく己や周囲を律する事の出来る人間性ですね」

天津風「それに、世話焼きだものね。 そうじゃなかったら海風達を自分の家に住まわすなんて出来ないし」

蒼龍「その件に関しては私達のところでも良い、っては言ってたんだけど…」

海風「アレと一つ屋根の下なんて、言語道断です」

朝雲「やっぱりアンタの姉貴ね…」

飛龍「まぁ、仕方無いっちゃ仕方無い事だけど… それに霞ちゃんの家を空けることになるのはあの子も望んでなかったし、良い機会だったのよ」

萩風「豚の角煮とは… あの調味料の分量は薄すぎず濃すぎず、さらに健康を気遣い副菜のサラダも用意するとは…」

萩風(彼女は両親を失い、そして祖母も亡くしている… 故に自身の健康は自身で守らざるを得ない。しかも私のように突き詰めてはいない、そこは見習うべきでしょうか…)




霞「で、どうよ」

海風「流石、見込んだだけあります」

飛龍「まさか審査員の先生の大半を泣かせてくるなんて…」

蒼龍「懐かしさで感極まって泣いてたし…」

天津風「ウチの部活、本当まともな人が居ないわね…!」

朝雲「その同類よ、アンタも」

萩風「まさか自分だけが『まとも』だとでも?」

神通(ガンプラ学園、履歴書に書くだけで恥ずかしい思いをするであろう学園名の場所に入ろうとする度胸が特に…)

愛宕「じゃあ次は私ね」

天城「さて、天城も…」

全員「え…?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/12(火) 23:44:32.20 ID:pdESrUPJ0<> 『それえでゃこれより第六種目、カラオケ大会を開催します。 ルールは簡単、これから指標となる方に歌っていただき1秒ずつ採点します。そしてその点数を1秒でも下回った瞬間、即失格と言うルールです』


天津風「…イライラ棒なんて遥かにマシだったわ」

海風「恐らくウチが快進撃を止めないからこうなったのでしょう」

霞「半分アンタの責任じゃない」

萩風「ええ。種目を決めたのは海風さんなので」

神通「しかし指標となる方は一体…」

朝雲「いや、天城さん呼ばれた時点で…」


『ではご紹介します。 今回基準となる方は先程の『マスクド・ヴェアヴォルフ』の一人緑狼こと天城さんです!』

天城「天城と申します。 今回、皆様の基準に選ばれました。 では早速、歌いたいと思います」


不知火「…マズイですね」

如月「ええ、ちょっと…」

瑞鳳「え、何で?」


『では天城さんで曲は堀○由衣『インモラリスト』です!』


天城「アイ ウォント トゥ ビー ウィズ ユー フォーエヴァー たとえかなう はずのない アイ ウォント トゥ ビー ウィズ ユー フォーエヴァー 何かに 襲われても ♪」


蒼龍「な、なんか妙に点数高い… ってかコンマのブレすらなく満点なんだけど!?」

舞風「なんか妙に上手いんだよね天城。堀江○衣だけ」

野分「元の声質がそっくりだからかしら?」

榛名「し、しまった… 天城に曲選ばせるんじゃなかった…!」

飛龍「何時の間に…」

榛名「嫌な予感がしたから咄嗟に戻って来たんですが…」

初月「残念だから手遅れだ」

榛名「天城は、この種目を潰す気です…!早くどうにかしないと!」

照月「いや、もう遅いと思うけど…」

秋月「はい。もうこれは取り返しが…」

弥生「最悪の、事態」


天城「ふぅ… では放送担当さん、発表お願いします」

『え、えと… これって基準になるんですか…? 1秒も点数下落が無くて1曲まるごと完全に百点だったような…』

天城「ええ。 ですから、これが基準です。 1秒でもミスをすれば即失格、面白そうじゃないですか」

『で、では参加者の皆さん! 完走目指して頑張ってください!』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/13(水) 01:18:11.86 ID:8Nyozq790<> ミス
正しくは>『それではこれより第六種目、カラオケ大会を開催します。(ry』です。 何だよ今の


「だ〜か〜ら〜…」ブッブー

『軽音楽部ボーカル中山君、失格!次行ってみよう!』

「な…」ブッブー

『おっと出だしから音程が外れたぞ! 失格だ!』

「無理だろこんなの!?」


天津風「選曲の方が時間かかってるってどう言う事よ」

朝雲「私に聞かないでよ」

榛名「すみません!本当に妹がすみません!」

瑞鳳「初めて見たよ榛名さんの謝罪祭り」

蒼龍「もう残りは4分の1ね… 愛宕ちゃんは?」

飛龍「もうすぐだけど… って次なの!?」

海風「愛宕先生… まぁ、この種目は落としても…」

瑞鳳「舐めない方が良いよ。愛宕先生あれでも凄いよ、あれでも」


『つづいて… ガンプラバトル部顧問にして魅惑の新任国語教師、愛宕先生だ! 今までイカれた暴れっぷりを見せたガンプラバトル部、この快進撃もここで終わってしまうのか!?』

愛宕「そう言われると本気だしたくなっちゃうわね…!」

『曲はAimer『RE:I AM』、ガンプラバトル部らしいチョイスです。 ではどうぞ!』


愛宕「『側に居て』と 抱きしめても もう二度と聞こえない 君の歌声は ♪」


霞「嘘でしょ…」

神通「点数が、100点から変動していません…!」

萩風「さらに言えば天城さんは元々の声質が堀○由衣さんに近いのに対し愛宕先生は別の声質、かなり高めです。 それをここまで制御するとは、凄まじい…」

天城「くっ… 何か負けたような気がします…!」

舞風「あ、元凶だ」

不知火「全員、確保!」

天城「な、何故!?」

榛名「流石にやり過ぎです。ちょっと『お仕置き』が必要かと…」

天城「服を剥がされる…! ここは退散します!」ピューン

榛名「逃がしません! 追いかけます!」

不知火「分かりました! 野分、回り込みなさい! 弥生と松風は両翼から!」


『え、えーっと… ま、またしてもガンプラバトル部だけが歌いきり勝利をもぎ取った! 凄まじい!一体どこに向かっているんだ!』


海風「ここじゃないどこかです(鉄血並感)」

朝雲「止まるんじゃねぇぞ…」

天津風「貴女達、止めなさい。 鉄血のその辺のネタは色々笑え無いから」

霞「結局あれ、辿り着いてるの? 辿り着いてないの?」

萩風「知りません。 恐らく脚本だけが知る事です」

神通「その辺ころころ変わるのが鉄血の悪い所なんですよね…」


イベント 直下
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/13(水) 09:40:54.74 ID:ZALnUsPD0<> 愛宕に歌が上手い理由を聞いてみる <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/19(火) 01:59:01.63 ID:+nNxizra0<> 海風「あの、どうして愛宕先生はあんなに歌が上手なのですか?」

愛宕「え、えと…」

瑞鳳「ああ、アレはね… 昔歌手目指してたのよ」

愛宕「ちょ、ず、瑞鳳!?」

瑞鳳「と言うか愛宕先生はね… 教師、って目標を見つけるまでなりたいものがコロコロ変わっモゴゴ!?」

愛宕「そ、それ以上は言わないで!」

瑞鶴「しかも何だかんだで極める所まで行って、そこで飽きて目標変えちゃうの。タチ悪いでしょ」

愛宕「何時の間に!?」

瑞鶴「夕張の付き添い、と暇つぶし」

夕張「次はファッションコンテスト、って聞いて瑞鳳さんに呼ばれたんだけど」

大鳳「私も暇つぶしで」

霞「つまりあの歌唱能力は…」

瑞鶴「昔取った杵柄ってヤツ。度合いが過ぎてるし、なりたくてもなれない人から見たら悪質な過ぎるわ、ホント」

萩風「ある種の才能の使い潰しですね」

天津風「どうしてこう、宮城人って変な人ばかりなのよ…」

榛名「一括りにされるとは心外です」

朝雲「あ、帰って来たけど… 天城さんは?」

榛名「逃げられました。 あの子、一回隠れると榛名でも見つけるのは難しいので…」

神通「また変なところで無駄な才能を…」

瑞鶴「えっと、愛宕姉が無駄に使い潰した才能は… 歌とピアノ、ギターとあとは… ああ、大鯨さん直伝の格闘術とかもあったか」

萩風「え、では私の…」

瑞鶴「流石に貴女みたいな領域までは至って無いわ。 簡単な護身と武具の使い方、あとは大鯨さんのある意味禁断の秘技」

萩風「まさか… 『去勢拳』…?」

朝雲「何それ…?」

萩風「対・男性用の最高峰の技です。 一発目に正面からの金的、二発目は回し蹴りで金的、そしてトドメにバックステップからの跳び金的のコンボを決める禁断の秘技です」

瑞鶴「男の弱点を執拗に潰すことだけを求めた、恐ろしい技よ」

飛龍「な、なんだろ… ツイて無いのに、冷や汗が…」

蒼龍「誰がそんな恐ろしい技思い付くのよ…」

瑞鳳「一説には女性の出産より痛いって話だしね、金的。 弱点ブラ下げてるほうが悪いのよ」

瑞鶴「因みに瑞鳳、一度実戦でかましたの。 相手は瑞鳳にセクハラした体育教師なんだけど見事に病院行きになって…」

海風「その後は…?」

瑞鶴「私が次に見かけた時、飲み屋街でオネエになってた」

全員「あっ…」

神通「そんな技を、先生は極めたと…?」

愛宕「…」メソラシ

霞「極めたのね…」

愛宕「だ、だって怖いし… だから安全策に、って大鯨さんが…」

瑞鳳(うーん… まぁ仕方ないよね、男性恐怖症(※)だし) ※KBF設定の引継ぎです

天津風「そして一時期歌手に憧れ歌を学んだ結果、プロ歌手レベルになっちゃったって…」

朝雲「やっぱイカれてるわ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/19(火) 02:25:18.44 ID:+nNxizra0<> 『続いて第7種目、ファッションコンテストを開催します。 お題は…』


神通「去年は確か… 各地の伝統民族衣装でした」

海風「チョイスが謎過ぎません?」

瑞鳳「アマゾンとアフリカとか引いた人悲惨だったよね、アレ」

神通「私はカウボーイ衣装でまだマシでしたが…」

霞「一体何なの、今年は…」


『お題は『性別反転! 美女/イケメンコンテスト』です! 内容は簡単、男子は女装し女子は男装をしその中で最もイケメンor美女の居るチームが優勝となります!』


瑞鳳「どう見る、夕張ちゃん?」

夕張「そうですねぇ… この中でイケメン、ってなると… 瑞鳳さんでしょうか?」

瑞鳳「何で私!?」

夕張「目つきと顔立ちです。 割と男装させればイケる… あ、でも素材そのままでも良いような…」

飛龍「確かに、本気モードの瑞鳳の横顔とか格好良いし…」

不知火「今戻りました… すみません、榛名さん。見つかりません」

榛名「榛名ですら見つけられないので仕方ありませんよ」

野分「しかし一体どこに隠れて…」

初月「校舎に逃げ込んだか…? いや、それなら見つけられた筈だ」

松風「ああ。 その辺りは照の字が探してたからね。 榛名の言う通り、かくれんぼの天才なのかも」

夕張「…ん?」

松風「おや、夕張じゃないか」

初月「それに大鳳も」

野分「お久し振り、と言う程でもありませんが… こんにちは」

夕張「…」

初月「…どうして僕達をジロジロ見ているんだ?」

夕張「よし、決めました。 瑞鳳さん、三人連行します」

瑞鳳「オッケー。大鳳、やるよ」ガシッ

初月「えっ…?」

大鳳「ええ、これは致し方ない犠牲… コラテラルダメージなのよ」ガシッ

松風「な、何をする気だい!?」

夕張「さーてっ… 張り切っちゃうわよ!」ガシッ

野分「た、助けてください! は、榛名さん!」

榛名「頑張ってください、野分さん。 榛名、格好良いところ見たいです」

野分「な、なら仕方ありません…!」ズルズル

霞「…上手い事乗せたわね」

海風「惚れている相手に期待されると、応えたくなるのが性なのでしょう」

神通「しかし、ルール上良いのでしょうか…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/19(火) 03:00:32.91 ID:+nNxizra0<> 「うふっ… 皆メロメロよ!」

『男子テニス部、これは酷い! 吐き気を催す!』

「酷くね!?」

「と、止まるんじゃねぇぞ…!」

『陸上部女子、某オルガのコスプレです! でも致命的に似合ってない!』

「そんなぁ!?」

『そして次は… おっと、ここでイカレた集団ガンプラバトル部! さぁ、入場どうぞ!』


野分「お帰りなさいませ、ご主人様」←燕尾服

松風「ふっ… もう帰って良いかい?」←宝塚風

初月「や、やめろ… こっちを見るな…!」←中世風


『誰だこの美少年達は!? あ、今入った情報によりますと特別顧問・瑞鳳先生の妹さんだそうです!』


キャーキャー


松風「うわっ… こんな嬉しくない黄色い声は初めてだ…」

初月「お前はいつも女子相手に似たような悲鳴を上げさせているだろう」

松風「自分がやるのとやらされるのじゃ違うんだよ。分かってないな、初の字」

初月「僕は目立ちたくなど無いのだが… 野分、お前は…」

野分「見ていてください、榛名さん…!」

初月「…」

松風「まぁ、気持ちは分からないでも無いね。恋は盲目、と言うやつだ」


『えーと、これルール的に… あ、はい。 え、えと… 理事長から『あり』と判定を頂きました!』


天津風「あ、良いのね…」

萩風「変装はお手の物なのですが… 今回は譲りましょう」

朝雲「アンタの場合は変装じゃなくてパーカー着て気配消してるだけでしょうが」

萩風「え、駄目なの…!?」

神通「…変装とは言え無いですね」

萩風「」ガーン

海風「ショック受けるのそこですか…?」

霞「世間一般とズレ過ぎなのよ、感性が」


野分「榛名さん、優勝してきました!」

榛名「よしよし、よく頑張りましたね」ナデナデ

不知火「…まさかあの真面目で気難しい野分を飼いならすとは」

瑞鳳「二人共ごめんねぇ。 後で甘い物でも食べに行こうか」

松風「ああ… 銀座な」

瑞鳳「ぎ、銀座…!?」

初月「他の妹も連れて行かせてもらうぞ」

瑞鳳「ゆ、夕張ちゃん…」

夕張「じゃあ私はこれで」

瑞鳳「あ、卑怯者!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/19(火) 03:17:17.98 ID:+nNxizra0<> 『ではこれより最終種目、ガンプラバトルロワイヤルとなります。 ルールは一部活、三人ずつのチームを組んでのバトルロイヤル形式となります。

そして今回に限り特別ルールとして、敗北すれば全ポイントが剥奪されます。 そして制限時間の1時間を生き残ったチームには、特別に50ポイントが与えられます』


瑞鳳「勝てば優勝まで近付いて、負ければ完全に逆転は不可能になるって感じね」

海風「では戦術方針は『殲滅』より『生存』を優先します。 ではファイターは…」

蒼龍「私達はパスよ」

飛龍「こればっかりは学生にやらせないとね」

瑞鳳「一応世界大会出場メンバーが出るのはフェアじゃないでしょ」

海風「そうですね。 では機体の割り振りとファイターは…」



ファイター選択 (簡易改修・追加装備などがあれば併記)
・ガンダムアスタロトリシナメント 直下
・ガンダム・フラウロス 下2
・ジェガンA2型 下3


選択可能ファイター
・海風、霞、神通、天津風、朝雲、萩風


条件:『海風』『神通』『霞』のいずれか1人をファイターとして選択すること(指揮官)

また改造などについては現実的では無いものの場合は却下させていただくことがあります <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/19(火) 03:20:35.65 ID:+nNxizra0<> あ、申し訳ありません

指揮官技能持ちは『海風』『朝雲』『神通』でした。 すみません



再安価

ファイター選択 (簡易改修・追加装備などがあれば併記)
・ガンダムアスタロトリシナメント 直下
・ガンダム・フラウロス 下2
・ジェガンA2型 下3


選択可能ファイター
・海風、霞、神通、天津風、朝雲、萩風


条件:『海風』『神通』『朝雲』のいずれか1人をファイターとして選択すること(指揮官)

また改造などについては現実的では無いものの場合は却下させていただくことがあります <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/19(火) 09:40:17.55 ID:6SvRh0Y/0<> 神通 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/19(火) 10:08:21.90 ID:dTXa/s8g0<> 霞

フラウロスは厄祭戦時カラー
ロングバレルのレールガン2門にダインスレイヴ装填済
ナイフとマシンガンを懸架している <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/19(火) 16:29:03.81 ID:Lvoyb4MHO<> 萩風
外装に高機動仕様のパーツを装着、肩はコンロイ機のものに変更
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/20(水) 00:24:12.58 ID:7Gj8JKaz0<> 海風「今回は先輩、霞、そして萩風さんをファイターとして選出、機体は先輩がアスタロト、霞はフラウロス、萩風さんはジェガンとします。

装備については各自、好きなようにしてください。 また三人には今回『生存重視』のプランで戦って頂きます」

神通「では指揮は私、と言う事で良いですか?」

海風「お願いします」

霞「あれ、このフラウロス青い…?」

天津風「厄祭戦時カラーよ。 プレバン限定品ね」

霞「武器は… マシンガンとナイフまでは良いけど、キャノンこのタイプだけ?」

天津風「ロングバレルもあるわよ」

霞「じゃあロングバレルに交換して… 後は… あれ、この爪楊枝っぽいヤツ…」

天津風「これは… 『ダインスレイヴ』の弾頭!?」

海風「ああ、部室に転がってました」

天津風「これ確か『鉄華団セット』に1本だけ入ってるやつなんだけど…」

瑞鳳「あ、それ私が雑誌から『キマリスヴィダール』の作例依頼された時に作ったやつ。 多分フラウロスに取り付けられるよ」

天津風「そんなもの何時の間に…」

瑞鳳「だって貴女達の入学前の話だもの。キマリスヴィダール発売当時の話だし」

神通「確かに部室で弄ってたのは記憶していましたが…」

霞「じゃあこれ付けるか… ダインスレイヴってアレでしょ。チート兵器」

天津風「設定上、微妙な欠点だらけだけど使えるの?」

霞「要は『当てれば倒せる』んでしょ? なら当てるのが『砲撃手』の私の役目よ」

神通「私は… 特に改造の必要は無いかと。 外装パーツに接着剤を付ける程度でしょうか」

朝雲「何で接着剤?」

萩風「HGIBOシリーズの機体はフレーム構造を採用したガンプラでが組み易くなった反面、パーツの脱落率が高いのです。 

なので可動に干渉しないパーツの脱落対策として、接着剤による外装パーツの固定はビルダーの間では有名なやり方です」

瑞鳳「そうでもしないと、バトルの時ポロポロ取れちゃうし」

朝雲「成る程…」

瑞鳳「で、萩風ちゃんは…」

萩風「ジェガン高機動型仕様の装備と、あとは好みでD型コンロイ機のナイフ付き肩に変えました。 武器は高機動型と同じライフル二丁です」

瑞鳳「堅実な装備だね。 某レナート兄弟とは大違いよ」

海風「レナート兄弟…?」

飛龍「イケ好かないアルゼンチンのファイターよ。 バトルを戦争と勘違いして、絡め手ばっか使ってくる」

蒼龍「例えばガンペリーにジェガン2機詰め込んで『艦載機』扱い、つまりファンネル扱いにして操ったりブービートラップで関節狙ったりするのよ」

海風「レギュレーション違反では無いとは言え、あまりに卑怯な…」

瑞鳳「私達、と言うか浜風ちゃん達が一度戦ってるよ。 勝つには勝ったけど、バスターとセイバーは修理不可能になっちゃったし。

しかも散々小馬鹿にしていざ負けたら逆ギレして怒鳴りつけてきたのよね。 浜風ちゃんに言い負かされたけど」

海風「…認めたくはありませんが、アレは口達者で戦術能力も海風より高いです。 絡め手程度で負かされる程弱くは無い筈です」

瑞鳳「うん。 だからこそ、あの子達は勝った。 まぁその次、春雨ちゃん達との戦いで負けちゃったけど」

萩風(しかし皮肉なものです。 お母様達がそこまで嫌悪感を露にしている相手の戦い方と私の戦い方が似ているとは…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/20(水) 01:31:10.79 ID:7Gj8JKaz0<> 『では皆さん、準備はよろしいですか!? バトル、開始!』


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

BATTLE START!


霞「ガンダム・フラウロス、霞!」

萩風「ジェガン、萩風」

神通「ガンダムアスタロトリシナメント、神通。 ガンプラバトル部、予算をもぎ取ります!」



霞「もう戦闘が始まってる…」

神通「各機注意を。 恐らく敵は、数でこちらを押してくる筈です」

萩風「最もポイントを持っているのは私達、狙われるのは当然ですね」

霞「もう来た… 敵機を目視で確認! 数12!」

神通「各機、交戦開始! 互いをフォローしつつ、自衛に徹します!」

霞・萩風「了解!」



襲い掛かる『ガンダムアストレア』の胸部へとサーベルを突き立て貫くジェガン。胸部を貫かれたアストレアはそのままスパークし、萩風がサーベルを引き抜くとそのままアストレアは爆散した。


「う、嘘… ガンダムなのに!?」

萩風「ガンダムだからと言って、作りこまなければ性能などたかが知れてる。 敵じゃ無いわ」


振り下ろされるアスタロトのデモリッションナイフ、シールドで防ぐが荷重に耐え切れず敵対していたジム・コマンドの腕パーツが弾け飛ぶ。


「そ、そんな!? なんで腕が!?」

神通「浅い嵌め方をすれば重量に耐え切れ無いのは当然です。 パーツを嵌める時は、パチリと言うまで嵌めなさい!」


サブアームで頭部をねじ切り、ジム・コマンドにマシンガンを放ち破壊する神通のアスタロト。

そしてフラウロスに向け3機のリック・ドムが襲い掛かるが…


「よし、ジェットストリームアタックってやつをやるぞ!」

「ああ!」

「アニメでやってたこの攻撃なら!」

霞「…ダインスレイヴ、発射」


フラウロスの左部キャノンから放たれたダインスレイヴの弾頭、その一撃が3機纏めて貫通した。

そして最後尾に居たリック・ドムに突き刺さったダインスレイヴの弾頭を引き抜き再度キャノンに装填し直す。


「う、嘘だろ!?」

霞「そんな3つ重なってたら、やれって言ってる様なモンでしょ」


そして霞のフラウロスがマシンガンを爆散せずに残った最後尾のリック・ドムへと押し当て引き金を引いた。


神通「第一波、撃破しました。 二人共、損傷は?」

霞「掠り傷一つありません」

萩風「とりあえず倒した機体から武装を剥いで… 使えそうなの、あるかしら…? これとか、切り残しがあるせいで上手く嵌って無いし」

神通「初心者ですから仕方ありませんよ。 第二波に備えます、二人共準備を」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/20(水) 01:51:39.05 ID:7Gj8JKaz0<> 瑞鳳「うーん、ここまでは順調だね」

蒼龍「機体は確かに素組だけど、実力はちゃんとあるもの。並大抵の相手には負けないわよ」

海風「…」

朝雲「…なーんか、嫌な予感するわね」

榛名「…ええ。何か悪意が渦巻いています」

天城「…」ソローソロー

榛名「天城」

天城「ひっ…」

榛名「貴女も感じるでしょう、この悪意を」

天城「…はい。 学校のどこか… 校舎のあたりから何か…」

如月「…確かに、気配はあるけど…」

飛龍「…ん? 貴女も感じられるの?」

如月「二人程では無いけど… でも何か、嫌な予感が…」 



神通「第二波、クリア…!二人共、まだいけますね?」

霞「流石に補給はしたいところだけど… 何か、嫌な感じがします」

萩風「ニュータイプの勘、ですか?」

霞「私はまだニュータイプじゃない。 でも、変な感じ… 地区決勝と似た、何か…」


「な、何このガンダム!?」

「み、見た事… きゃあああああっ!」

「コイツッ…」


霞「何!?」

萩風「まさか…!」

神通「二人共、急行します! 続いて!」


『な、何だ!? 次々とチームが脱落していく!』


飛龍「何が起きて…」

蒼龍「理事長が何か仕込んだ…?」

瑞鳳「違う、こんな妨害に走るような真似をあの人はしない…!」

天津風「今モニターにチラっと見えたけど… 何か青い光が…」

朝雲「まさか、あの光…!」

海風「あの噴射光、間違い無い… 『スクランブルガンダム』…!」

榛名「天城! 野分さん、如月さん、秋月さん! 改RX-0、出します! 不知火さん、バトルシステム周囲から生徒の避難を!」

不知火「わかりました!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/20(水) 02:27:24.73 ID:7Gj8JKaz0<> 「見せて貰うぞ。 粒子対応試作機、その力… 私達の『裁き』に使えるかどうか」


屋上から不敵に笑う男、そして男は去る。『裁き』と言う言葉を残し、高笑いをあげながら。

そしてバトル中の神通達の辿り着いた先、そこには無数の残骸が宙に浮いていた。


神通「これは… 酷い…」

霞「どうなってるのよ、これ…」

萩風「どれもこれもが完全に破壊されてる… 生存機は、無し…」


3機はそれぞれ警戒し、周囲を見回す。 そして神通達が3機のMSを捉えた。

その機体を3人は知っている。彼女達の仲間たる海風、彼女に与えられた機体と同型機であり10機近くが強奪されたとされる機体…


神通「『スクランブルガンダム』…!」

霞「どうしてあの機体が…!?」

萩風「まさか… 朝雲さん達が見つけた人間が、あの機体を…!」


そして神通達に3機のスクランブルが同時に襲い掛かる。

突撃するスクランブルの攻撃を避け、背中合わせとなる三人。 そして3機の隙を窺うが…


霞「あの機体、想像以上に速い…!」

神通「流石、粒子試作機と言った所でしょう…」

萩風「今の機体では、絶対に勝てない…! どうすれば…」


そして再び襲い掛かろうとする3機のスクランブル、だがその軌道上に2条のビームが放たれその進路を塞ぐ。


「そこまでだ、乱入者!」

神通「もう1機のスクランブル!?」

霞「あの装備、海風!」

海風「3人共、無事ですね!」

萩風「よく間に合いました…!」

海風「この機体、無駄に足だけは早いようで。 MS5機牽引しても余裕で一番乗りでした」

霞「5機…?」

朝雲「そう言うこと! 私達も居るわよ!」

萩風「『シームルグ』、もういけるんですか?」

朝雲「いけるわ、コイツなら…!」

天津風「全く、新型のお披露目がこんな形になるなんて」

神通「その機体、確か…」

天津風「『ガンダムハルートボーライド』、私の新型です」

瑞鳳『3人共聞こえる!』

神通「瑞鳳さん!」

瑞鳳『スクランブル相手にその機体は無理! 代わりの機体を牽引させたから、操縦権を移行させて!』

神通「代わりの機体…?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/20(水) 03:04:43.86 ID:7Gj8JKaz0<> 萩風「私のエクシア… 分かりました、操縦権を切り替えます!」

霞「これは…?」

蒼龍『私用の新型『ガンダムダブルエックス・クロイツ』よ。 一時だけど、貴女に貸してあげる』

霞「わかりました。 お借りします!」

神通「『ガンダムエピオン・クロイツ』… お借りします!」


参戦
・スクランブルガンダムCF装備(海風)
・シームルグ(朝雲)
・ガンダムハルートボーライド(天津風)


機体乗り換え
・ガンダムアスタロトリシナメント→ガンダムエピオン・クロイツ(神通)
・ガンダム・フラウロス→ガンダムダブルエックス・クロイツ(霞)
・ジェガンA2型→ガンダムエクシアルベルム(萩風)


ガンダムダブルエックスクロイツ
武装
・ツインバスターサテライトキャノン×1
・ハイパービームソード×2
・DX専用バスターライフル×1
・ブレストランチャー×2
・マシンキャノン×2
・ヘッドバルカン×2
・アブソーブ・ディフェンスプレート×1

概要
蒼龍用に瑞鳳が新造した新型の機体。
ツインサテライトキャノンは固定式ではなく手持ち式のヴェスバータイプに変更され取り回しが良くなっている。
また独自技術により各部に存在するソーラーパネルによってサテライトシステムに頼らずともキャノンの発射が可能。
そしてシールドは瑞鳳の新技術?たる『アブソーブシステム』を内蔵。敵のビーム攻撃を吸収する特性により防御能力と継戦能力を高めている。
因みにこの技術、『ハシラジマ』からの頂き物を改良したもの。つまり『別世界の瑞鳳』の技術を独自昇華した技術。
そして『ツインバスターサテライトキャノン』の名前の通り、サテライトキャノンを連結させ超出力砲撃を行う事が可能。これはシームルグの技術流用のものだが、威力はシームルグのそれを遥かに超える。
連射性・取り回し・威力、その全てを向上させた『最強の矛』を持つ瑞鳳製の機体であり、その担い手である砲手の蒼龍はこの機体を軽々と使いこなす。


榛名「こちら榛名、これより参戦します。 これよりスクランブル部隊を分断、各個撃破へと移行します!」

天城「1機はこちらで引き受けます。 如月さん達はもう1機、そして神通さん達は残りの1機を!」

如月「野分ちゃん、秋月ちゃん! やるよわ!」

神通「海風さん、指示を! 止めます、あの機体を!」

海風「了解!」


スポット参戦
・RX-0[F] フェンリル(榛名)
・RX-0[S] スレイプニル(天城)
・RX-0[E] エイクスュリュニル(秋月)
・RX-0[Ra] ラタトスク(如月)
・RX-0[Fv] ファヴニール


海風「フリューゲルヴェント全機! 目標、敵対するスクランブルガンダム! あの機体を破壊、もしくは拿捕します!全機、攻撃開始!」

全員「了解!」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/20(水) 09:58:35.29 ID:+LAMUxaW0<> ハルートのミサイルとDXのツインサテライトキャノンで敵を分断後1機は天城達に任せて残りは神通、海風、天津風と霞、荻風に別れて対応 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/20(水) 10:00:15.46 ID:+LAMUxaW0<> 朝雲は霞側にを追加で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/21(木) 01:59:46.74 ID:mcaT0Eqs0<> 海風「来ます、各機散開!」


真っ直ぐ海風達へと突撃する敵のスクランブル、そして全員が回避機動を取ると霞の操るDXへとライフルを放つ。

霞がディフェンス・プレートを前に翳すと内部の機構が露となり、その粒子ビームを吸収する。


天津風「ビームを消した…!?」

瑞鳳『アブソーブシステムだよ! 粒子ビームを吸収して、自身のエネルギーへと転換するの!』

霞「凄い… どんどん内部粒子が溜まる…!」

海風「霞! サテライトキャノン、使えますか!」

霞「どうする気?」

海風「ハルートのミサイル一斉射と同時にサテライトを放って敵を完全に引き離し孤立させます!天津風さん、斉射用意!」

天津風「でも、このフィールドに月は…」

瑞鳳『いや、撃てる。 さっきのアブソーブの粒子、そして月は無くとも『太陽』があるから』

霞「太陽…?」

瑞鳳『サテライトシステムが使えないときのために用意したのよ。 リフレクターにソーラーパネルとしての機能を持たせる事で、太陽光をサテライトシステムの代替として使えるの!』

霞「なら撃てる…! ソーラーシステム起動! 全機、射線から退避して!」

海風「了解! 全機、援護しつつ退避!」


海風達が攻撃でスクランブルを押さえ込み気をそらす。 そしてその間に粒子を集束させる霞のDX。

そして粒子が砲身に集まり、霞は照準を合わせ…


霞「出来たわ!」

海風「二人共!」

霞「ツインサテライトキャノン! 行きなさい」

天津風「ミサイル一斉発射!」


一斉に放たれる超大出力砲撃と大量のミサイル。 3機のスクランブルは辛くも回避するが全ての機体が分断され、それぞれに榛名達が襲い掛かる。


榛名「NT-D… 行きなさい、スライサービット!」

天城「NT-D! プラフスキー・マテリアライゼーション! 刀身展開!」


如月「行くわよ… NT-D、起動!」

野分「NT-D起動! マテリアライズ!」

秋月「NT-D、起動します!」


海風「先輩! フォーメーション・ツインエッジ! 天津風さんは援護を! 霞さん達は砲撃をしつつ敵の動きを絞ってください! 萩風さん、貴女には絞めを任せます!」

霞「わかった!」

萩風「了解です!」

神通「海風さん、この機体恐らく…」

海風「ええ。この機体は無人機、システム内蔵の自動操縦かと。 動きが早いけど、単調過ぎるので」

神通「なら、対処は余裕です…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/21(木) 23:08:30.69 ID:mcaT0Eqs0<> 海風(軌道予測開始。 これまでのパターンから回避軌道を推測、続いて行動パターン算出…

敵行動予測完了、最適行動を算出。 勝利への最短、そして最善のルートを捉えろ…!)


海風の脳が高速回転を始め、未来を予測し『最善の勝利』への道を構築していく。

そして海風が手を伸ばした先にある未来へと辿り着く為、海風は行動を指揮を執る。


海風「二人共、今です!」

神通「了解!」

天津風「まずは、私から!」


ハルートから放たれる大量のミサイル。 無人のスクランブルは回避機動を行い、ミサイルをその運動能力で引き剥がす。

だがそのミサイルが無人のスクランブルの周囲で炸裂し爆発が視界を奪う。


海風「先輩!」

神通「いきます!」


変形しMSとなったエピオンと海風のスクランブルが正面と背後から挟み込む。 同型機の海風、そして瑞鳳製の機体を使う二人なら余裕で追い付くことが出来る。

そして互いにカレトヴルッフフェーダーと日本刀による斬撃が無人のスクランブルへと放たれるが、スクランブルはサーベルを展開してその一撃を間一髪で防いだ。


海風「ですが、そこまでです!」

朝雲「コイツを、受けろ!」


シームルグのシェーバティールから放たれた実弾狙撃、その一撃が直撃し無人のスクランブルは吹き飛ばされる。

機体のダメージは軽度だが受けた衝撃により体勢が崩れた。


霞「ツインサテライトキャノン、バスターモード! いきなさい!」


サテライトキャノンを連結させた霞の砲撃が無人のスクランブルへと放たれるが、ギリギリの所で直撃は避けられる。しかし咄嗟の出来事でサーベルを喪失し、近接の手段を失う無人のスクランブル。

そして『最優先標的』たる霞を目がけライフルを向ける無人スクランブル。 しかしそれを逃がす程神通は甘くない。


神通「奥義・天剣、絶刀!」


神速で振り下ろされる刃、その勢いが生み出した衝撃波が刃となってスクランブルを襲う。 本体にこそダメージは無いが無人スクランブルは武装を失った。

そして海風は最後の札を切る。


海風「やってください、萩風さん!」

萩風「了解!」


ステルス機能で身を隠した萩風のエクシアがスクランブルの目の前に現れ襲い掛かった。 無人スクランブルは迎撃しようとバルカンを放つが萩風は容易く回避し背後へと回り込む。

そしてエクシアの背部に装着されたバインダーから2本の刃が射出され、スクランブルへと突き刺さる。


萩風「マガノイクタチ… これで『詰み』よ」


ケーブルを介し粒子を奪われるスクランブル。 逃れようともがくが粒子をどんどん奪われ徐々に機能を喪失していく。

そして最後は抵抗すら出来なくなり、そのまま機能が停止した。


萩風「ふぅ… 敵機、拿捕しました」

海風「戦闘、終了」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/22(金) 00:34:21.23 ID:CzUg2k6S0<> 2機の連携でスクランブルを追い詰める榛名と天城、表舞台に出る事は無いがその実力は世界水準以上の能力を誇る二人にとってこの程度の相手は容易く追い詰められる。

そして榛名と天城はこの機体を残し、もう一度強奪される可能性を鑑み敢えて『破壊』する為に切り札を切った。


榛名「コード・ブレイヴ! 粒子集束開始!」


背中に背負ったタクティカルアーズムズUL改をアローモードへと変形させ携える『フェンリル』。

そして粒子が集束し、榛名はそれを解き放つ!


榛名「穿ちなさい! エクサブレイヴ・シュート!」


放たれる極大のビーム、そしてそのビームが結晶化し巨大な粒子結晶へと姿を変える。

そして粒子結晶がそのまま砕け、5つに砕けた破片がスクランブルへと襲い掛かりその四肢と胴を貫き磔にした。


榛名「天城!」

天城「コード・ブレイヴ! オーバーマテリアライズ!」


粒子の刃が砕けレーヴァテインの刀身が展開し、そして巨大な粒子の刃が形成される。

そしてスレイプニルが一直線にスクランブルへと距離を詰め、その刀身を振り下ろす!


天城「プラフスキー・バスター・ソォォォドッ!」


刃はスクランブルガンダムへと叩き付けられ、その質量に耐え切れなくなったスクランブルは真っ二つに割れる。

そして四肢と胴を貫いていた粒子結晶が膨張を始め…


榛名「神狼の牙よ、爆ぜろ!」


大爆発を引き起こし、その残骸を吹き飛ばした。

そして残る1機、如月達が交戦中の機体も徐々に追い詰められていく。


野分「シャドー、オバーマネージング! これを、受けろ!」


大量に分身したファヴニールの結晶化の拳がスクランブルへと放たれ、回避できずに直撃を受ける。

そして秋月のエイクスュリュニルの放ったスライサービットから鎖状の粒子結晶が射出され、スクランブルを縛る。


秋月「グレイプニル! これでもう、逃げられません!」

如月「これで、決めるわよ! コード・ブレイヴ、プラフスキー・スクロペトゥス!」


ラタトスクから超大出力のビームが放たれ、そのままスクランブルを飲み込む。

逃げられないスクランブルはその直撃を受け、残骸も残らず消し炭となりこの世界から完全に消失した。


BATTLE ABORTED <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/22(金) 00:53:39.37 ID:CzUg2k6S0<> 『な、なんて凄い戦いだ! 乱入した謎の機体を、ガンプラバトル部の部員達が撃破したぞ!』


瑞鳳「皆、大丈夫!?」

神通「はい。 大丈夫でした」

萩風「それより、発症者は?」

蒼龍「ゼロよ。 今回はね」

飛龍「あの機体、キャリアーが操縦した訳じゃなかったから誰も感染しなかったみたい」

天津風「良かった…」

海風「でも、疑念はあります」

霞「あの機体、私を執拗に狙ってきた」

朝雲「確かに、あれは誤魔化せ無いわ。 明らかに霞が狙われてる」

榛名「皆さん、ご無事ですね?」

瑞鳳「ええ、こちらや他の被撃墜者に被害はありません」

天城「しかし… あの機体、天城達には平等に攻撃を加えてきましたが如月さん達は如月さんが執拗に狙われたようです」

如月「如月と『ラタトスク』も舐められたものね…」

野分「でも、そのお陰でやり易くはあったけど」

秋月「はい。 如月に集中してくれたお陰で、何とか捉えられました」

瑞鳳「…確か、如月ちゃんもなんだよね」

如月「ええ。どうやら私も、『進化の可能性』を持ってるらしいのよ」

榛名「霞さんのような完全なNTではなく、榛名達のようなその『途上』の人間のようですが」

瑞鳳「逆に言えば、霞ちゃんが唯一無二のニュータイプって事になるのか…」

榛名「取り敢えず、競技を続けるのは難しいようです。 生徒の皆さんのガンプラも大半が損壊していますし」

瑞鳳「大会運営に中止の進言をしてきます。 神通ちゃん、付いて来て」

神通「わかりました。 あと機体、お返しします」

瑞鳳「霞ちゃんも、DX返して」

霞「あ、はい。 どうぞ」

瑞鳳「えっと… 傷は無いね。 あとはサテライトキャノンの砲身の交換で済むか」


霞(その後、種目の継続が難しいと判断されたバトルは中止となり私達の体育祭は終わりを迎えた) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/22(金) 01:46:01.78 ID:CzUg2k6S0<> 『そして、本日の優勝は… 全種目優勝、イカれた記録を残した学内の中でも選りすぐりのバケモノ連中を揃えたガンプラバトル部だ! バトル部には野球部の余剰予算が全て譲渡されます!続いて…』


神通「ば、バケモノ…」ズーン

海風「…まぁ、あながち間違いでは無いでしょうけど…」

霞「正直にバケモノ呼ばわりされるのはちょっと嫌ね…」

天津風「それ私も含まれてるの!?」

朝雲「このイカれ部活に所属している時点で同類よ、アンタも」

萩風「ええ。 所属している時点で同類でしょう」

瑞鳳「その部員を育成してるのが私なんだけどねぇ」

愛宕「…瑞鳳が育てると、こうなっちゃうのよね」

蒼龍「ガンプラの教え子は皆世界クラスファイターになるし…」

飛龍「ある意味凄い才能よ、これ」


神通(そして優勝し、予算を手に入れた私達はようやく全国大会のスタートラインに立てるようになりました。しかし…)


帰路にて…


霞「じゃあ天城さんは暫くウチに泊まる、ってことで…」

海風「確か布団のストックは… ああ、ありました」

天城「護衛として、全力で務めを果たし… ッ…!」ピキィン

神通「これは… 二人共、私と天城さんから離れないで」

海風「え…?」

ブロロロロロ…

霞「この車、外車よね…」

海風「リムジン、しかも上位クラスの…」

「お待ちしておりました。 『未来を視る者』、そして『革新する者』」

天城「貴女は…!」

「あら、天城さん。 貴女も来ていたとは好都合です」

神通「この人は…」

天城「コスモ・クルス教団、その教祖です…!」


シェリンドン「お三方はお初にお目にかかります。私はシェリンドン・ロナ、人の世に平和を齎す為、そしてその才を持つ貴女達を『裁き』から保護しに参りました」


海風(そして、海風達と未来を巡る戦いの歯車が急加速を始めたのでした)


第11話『体育祭は大波乱!?』終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/22(金) 03:08:21.51 ID:CzUg2k6S0<> 第12話『コスモ・クルス』


神通「シェリンドン・ロナ…」

海風「…海風は以前、貴女方のお誘いは断った筈ですが」

シェリンドン「ええ、貴女の事は以前から聞き及んでいます。 スカウトが動いた中で、今年の我がバビロニア学園に入学しなかったのは貴女だけでしたから」

霞「海風…」

シェリンドン「ですが、去年スカウトが貴女の下を訪れた時とは状況が違います。 『裁き』、貴女方が昏睡病と呼ぶものが貴女達を滅ぼそうとしている。

貴女方を保護し、来るべき時まで守らねばならない義務があります。 特に『未来を視る者』と『革新する者』、今はまだ『革新に近き者』でしょうか? お二方は世界の命運を握る、重要なファクターとなりうるのですから」

神通「…言いたいことは、それだけですか?」チャキッ

天城「二人共、言葉に惑わされないでください。 彼女はまだ『本音』を語っていません」チャキッ

シェリンドン「随分と野蛮な… 私が退かないなら武具で脅す、天城さんには期待していましたが残念です」

天城「どうとでも言って下さい。 天城には姉さんから授かった『二人の守護』と言う使命があります。

その信を天城は裏切る訳には参りません」

神通「我が剣は守護の剣、二人に仇なすと言うのであれば… 例えなんであろうと切り裂くまでです」

海風「霞」

霞「言いたい事は分かってる、海風。 シェリンドン・ロナ、悪いけど… 私達にはやらなきゃならない使命があるの」

シェリンドン「『裁き』と戦うとでも?」

海風「ええ。 貴女は海風達を守ると言いました。 しかし、そこには『他者』は含まれていない。

進化する人間だけを選りすぐるなど、明らかにこちらの意思とは反しているでしょう」

シェリンドン「全ての人間を救うなど到底不可能なことです。 『裁き』が大規模な行動を行えば多かれ少なかれ犠牲は出るでしょう。なら優れた人間が生き残れば良い、そうではありませんか?」

霞「そもそも前提が間違ってる。 私達はそれが起きる前に止める、って言ってんのよ」

シェリンドン「まさに無謀で愚か、としか言い様の無い選択ですね。 貴女達のせいで、被害が拡大しているとしても?」

天城「どう言う、ことですか…!」

シェリンドン「分かっている筈です。 既に、貴女方のせいで被害者が生まれてしまった」

海風「スドウ・シュンスケ、ですか」

霞「どうしてあの薬物中毒男が…」

海風「彼が警察に連行される前、何を言っていたか忘れましたか?」


スドウ『お前達が、悪いんだ! この化け物! お前達みたいなのが存在するから!』


スドウ『何もかもだ! お前達が存在するからこうなったんだ! 勝てないと思ったからより強い力が欲しくなるのは当然だろ!?

お前達のような化け物に、人間の気持ちがわかってたまるか!』


霞「あ… でも、アイツは加害者よ…!」

海風「その巻き添えを受けたサカシタ・ヨミとヤス・メグタ、この二人は被害者です。そして今も目を醒まさない…

確かに、貴女の言う事にも一理はあります。 海風達が歩き回っているから被害が増える、ある意味正しいかもしれません」

神通「海風さん…」

海風「だからこそ、一刻も早くこの事態を解決せねばならない。 それが海風達の背負うもの、そして被害を生んでしまったことへの贖罪です」

シェリンドン「成る程… そう言う考えもある、と言う訳ですか」

霞「だからこそ、私と貴女達の道は交わらない。 戦うと決めた以上、もう私達は立ち止まれないのよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/22(金) 03:41:19.10 ID:CzUg2k6S0<> シェリンドン「本当ならば貴女達自身の意思で来て欲しかったのですが、仕方ありません」

天城「ッ…! 下がってください!」

シェリンドン「もう遅いです」

シュウウウウウ

霞「な、何これ…」

海風「! 伏せて! ケホッ… ガス、です…!」

神通「くっ… 力が、入ら、な…」ドサッ

霞「せ、せんぱ…」ドサッ

海風「ケホッ… あま、ぎ、さん…!」

天城「力が、入らない…!なんて、卑怯な…!」


シェリンドン「この四人を回収してください」

「ハッ。 しかし、この刀を持った少女は…」

シェリンドン「この人は彼女達の護衛、それにここに放置し我々の行いを知られる訳には参りません」

「承知いたしました」



「…こちら『ホーク』。 『ウルフ』、応答を」

『『ホーク』、どうかしましたか?』

「ターゲット・ロスト。 どうやら教団に攫われたようです」

『案の定、動きましたか… 『リーフ』『コブラ』に連絡、潜入準備を』

「はる、『ウルフ』は?」

『『シュガー』と一緒に救出作戦を練ります。また既に『ルベルム』が動いている、と『クリムゾン』からは連絡が』

「…早く無いですかね?」

『彼女、ターゲット達と合流するまで独自行動を行ってましたからね。 もう調べもついているのでしょう。

潜入後、もし『ルベルム』と合流出来る事があれば施設の情報を聞いておいてください』

「了解です」

『頼みます。 こちらとしては愛する妹が攫われて少しばかり殺気立ってるもので』

「…やっぱりそう言う関係なんです?」

『勘違いはしないでください。 流石に実妹はちょっと…』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/25(月) 01:02:08.03 ID:tcT3/I8V0<> 《1時間後 霞の家》


瑞鳳「やっぱり、居ない…!」

松風「ああ… 榛名から聞いては居たけど、本当に拉致されたようだ」

野分「でも、門下生の神通さんや槍上手の天城さんが居たのにどうやって…」

瑞鳳「…多分、薬関係だと思う」

蒼龍「あ… 瑞鳳ちゃん達の体質…」

瑞鳳「私達の家族、と言うか私とお母さんは薬が多少効きやすいの。だから睡眠薬とかすぐ効いて眠っちゃう…

多分睡眠ガスでも使われて無力化されたんだと思う」

飛龍「神通ちゃんも血統、同じ体質でも不思議じゃないか…」

如月「でもまさか、この家の合鍵持ってたなんて…」

瑞鳳「霞ちゃんから貰ったの。 まぁ、多少は信頼されてるみたい」

秋月「しかし、どうやら私達以外の侵入者も居たとは…」

照月「衣服の類が一部無くなってるなんて… しかも棚とか荒れてた」

初月「どうやら榛名達の言う『タイムリミット』まで本気で匿うつもりのようだ」

瑞鳳「…確かに、あの子達にはそれが良いかもしれない」

飛龍「瑞鳳…」

瑞鳳「あの子達は本来戦っちゃいけない立場なのに私が戦いに巻き込んだ。だから戦いの無い、平和な場所に居てくれるのが本当は…」

蒼龍「…だからって、見過ごすの?」

瑞鳳「それは… したくありません。 あの子達は私が守る、それが私の『責任』だから。

あの子達の戦いを終わらせる訳にはいかない。まだ始まってすらいないのに、諦めさせるなんてさせたくない」

弥生(姉さん、本気だ…)

不知火(ああなった姉さんは、もう止められません。深海棲艦の泊地だろうと、軍隊全てだろうと一人で叩き壊す覚悟の目…)

舞風「どうする気なの…?」

瑞鳳「皆はホテルに戻って。 ここからは、私達がやる。 蒼龍さん、基地の実戦用MSを稼動状態へ移行させてください。

ブリッツとバスターとケルディムを優先、飛龍さんは春雨ちゃん達に連絡を。 あの子達の力、借りるかもしれません」

飛龍「瑞鳳は?」

瑞鳳「浜風ちゃんと作戦を練ります。 第一目標は海風ちゃん達の救出、第二に拉致被害者全員の救助と設定。教団の全滅も、視野に入れてください」

蒼龍(やばい… あの目は『本気になり過ぎた』目… 皆殺しも辞さない、最悪の目よ…!)

飛龍(どうにか止めないと…)

朝潮「…姉さん、これ」

瑞鳳「…これ、あの子達の機体?」

飛龍「でも未完成ね…」

蒼龍「…MS、整備に時間がかかるわ。 少なくとも1日、待ってほしい」

飛龍「それに乗り込むにしても相応の準備が要る。 私達や春雨ちゃん達にも武器は要るし、まだ場所の情報も無い。

瑞鳳はその2機、そして海風ちゃんの機体を完成させて。 バビロニア学園にはバトル部があった、もしかしたら今日のように何者かがスクランブルを仕込むかもしれないわ」

瑞鳳「…分かりました。 やります」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/25(月) 02:03:14.47 ID:tcT3/I8V0<> 《その頃 ???》


神通「うぅ…」

海風「先輩! 良かった…」

神通「ここは…」

海風「…コスモ・クルス教団、その拠点のようです」

神通「やはり… 霞さんは…?」

海風「天城さんと一緒に、別の部屋に居ます」

神通「分けられてしまいましたか… すみません海風さん、これは私の不覚です」

海風「いえ… もっとその可能性を予測すべきでした。 話し合いで済む筈無いのに、強行手段を使うと想像出来なかった海風の不覚でもあります」

神通「貴女に不覚はありません。 …一先ず、ここから脱出すべきです」

海風「ドアは… 外側からロックされていました。 この部屋、まるでシェルターみたいにお風呂やトイレまで準備されています。武器や携帯は取り上げられて、外に連絡する事すら叶いません」

神通「まずは… 扉を叩き壊します」

『無駄ですよ』

神通「ッ…!?」

海風「スピーカーですか… それにこの声、シェリンドン・ロナ…!」

シェリンドン『そのドア、そしてこの施設の壁はこの世界で最も硬質な素材で出来た外壁です。 まず普通の人間では壊せません。

それに私達には二人のうちどちらかが生きていれば良いのです。 もうお分かりですね?』

神通「不審な動きを取ればもう片方を殺す、と…!」

シェリンドン『さぁ? では後ほど、ご一緒に夕食でも頂きましょうか。 貴女達とはもっとお話をする必要がありますから』

海風(恐らくこの部屋は監視されている… 迂闊な行動は出来ません)

神通(この壁程度なら破壊は出来ますが、人質を取られている以上チャンスを伺うしかありません…!)

シェリンドン『ふふっ… では、また後ほど。 欲しい物などがあれば、そこの紙に書いて扉の下を潜らせてくださいませ』ブチッ

海風「…この部屋の内装と言い、完全なVIP待遇のようです」

神通「それに… 私達の衣服の類も盗み出してきたようで… 私のトラップに引っかからなかったのは少し残念ですが…」

海風「次からは萩風さんに頼みましょう…」

神通「あの子は平気でクレイモアや地雷の類を仕掛けようとするので駄目です…!」

海風「しかしこの部屋、完全な監視体制です。 脱走の為に必要な道具は流石に用意してくれそうにありませんが… 試しに宝石でも頼んでみます?」

神通「こんな時に何を…」

海風「1日1回原石を愛でないと落ち着かないんです…」

神通「アリスタでも愛でててください」

海風「試しにアクアマリンの原石でも…」カキカキ

神通「試さないで下さい!」

海風「物は試し、って言うじゃないですか…」スッ


数分後…


「…ご注文のものです」

海風「…確認しました、ありがとうございます」

「では失礼します」

神通「本当に宝石持って来ましたよ…!?」

海風「しかも注文通り、アクアマリンの原石… 相場で言えば10万円程の…」

神通「何でこんなものを数分で用意出来るんですかね…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/25(月) 08:19:15.82 ID:2H2QfbzN0<> 外が妙に騒がしくなった <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/26(火) 03:08:27.13 ID:ZpWnuw990<> 「こちら『リーフ』、作戦行動開始します。以降はコードネームを『ボマー』に変更、どうぞ」

『了解。各自変更開始、点呼どうぞ』

「『コブラ』改め『リッパー』、了解」

「えっと… 『ホーク』改め『ハイヤー』どうぞ」

『では… 『ウルフ』改め『フィクサー』、及び『シュガー』改め『ダイバー』… 作戦の確認を行います。

作戦は明日のフタマルマルマル、それまで我々は『嫌がらせ』… 敵を可能な限り疲弊させます。 第一陣は『ボマー』と『ハイヤー』そして『リッパー』が、第二陣は『フィクサー』『シュガー』が行います』

「好きにやっちゃって良いんだよね?」

『人を殺さなければ何でもどぞ』

「なら… 好きなようにさせて貰います!久々に、爆破するとしましょう!」


警備員A「ん…? トラックか?」

警備員B「いや、今日は何も予定は… ッ…!?」

ブロロロロロ…

警備員A「無人!? ヤバイ、突っ込んでくるぞ!」

ドゴォォォォォォォォォ

警備員B「くっ… バカが! この施設の外周周りの壁がトラックが突っ込んできた程度で…」

「よっと… ノロマね」バキィツ

警備員B「がっ…」ドサッ

警備員A「ひっ… 至急増え… うぐっ…」ドサッ

「それに反応が遅い。 アンタ達、訓練不足にも程があるんじゃないの?」

『な、何が起きた! 応答しろ!』

「あーあー… 今から乗り込むから、覚悟してね」ブチッ

「なんでそう盛大に喧嘩売るの…?」

「だって、あくまでも『ボマー』から目を逸らすためだもの。 盛大にやらないとね。 『ルベルム』も動き出すだろうし」

「わかってるけど… 引き際は見誤らないでね?」

「分かってるよ、プロだもん。 さて、援護お願いね!」



《その頃…》


海風「振動…?」

神通「まさか、お母様が動いた…?」

海風「まだ捕まって2時間程度です… こんなに早く動くなんて…」

「いえ、今動いているのは青葉さん達です」

神通「なっ… 萩風!?」

萩風「シッ…! 今監視カメラを一時的に切断してますが、見張りはまだ居ます。 大声は出さないで下さい」

海風「どうしてここに…」

萩風「別件、個人的に追ってたことがあったので潜入したら姉さん達が捕まってきたんです」

神通「そう言う事ですか…」

萩風「先程青葉さん達と打ち合わせしました。 今のはあくまでも嫌がらせを兼ねた陽動、本格的な救出は明日のフタマルマルマルとなります。

それまで大人しくしていてください。今の段階では、私一人分の脱走経路しかないから救出はできません」

海風「明日の夜、ですか…」

萩風「今の話は霞さん達にも私がしておきます。 なので二人共、大人しくしていてください」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/26(火) 05:30:22.30 ID:ZpWnuw990<> 萩風「念のため、これを。 小型の無線機です。 今は使えませんが、然るべき時には使えるようにしておきます」

海風「使え無い…?」

萩風「この施設には電波を遮るジャミング設備があるようです。 外部との交信は現状不可能、と考えてください」

神通「と言うかここどこなんです…?」

萩風「奥多摩の辺りです」

海風「もしかしてここ、バビロニア学園の本校じゃ…」

萩風「その通り、ここは学園の地下です」

神通「バビロニア学園ってそんな山奥にあるんですか!?」

海風「一種の宗教施設ですからね。 山奥の方が誰も寄りませんし」

萩風「『ブッホ・コンツェルン』の工場用地の予定でしたからね、ここ」

神通「ブッホ・コンツェルン、確かアナハイムには及ばないものの複合企業としては世界有数の企業でしたが…」

萩風「元々は戦争等で出た廃品のリサイクルなどを行っていた所謂サルベージ屋でした。しかし1代で複合企業体まで育ったある種のバケモノ企業です。

今では独自の軍事組織、PMCなんかでは無い『私兵』を有するまでに到っています」

海風「私兵…!?」

萩風「独自調査の結果ですが… この学園、その兵士育成も兼ねているとのことです。いずれはどこかの国で、貴族主義国家をでっちあげるつもりでしょう」

海風「イカれてます… 今更、貴族なんて…」

萩風「そんな思想ばかりを持った人間が、ここに居るのです。 くれぐれも発言には注意を」

神通「分かりました」

萩風「では私はこれで撤収します。 二人共どうか我慢してください」



「ボマー! そっちどうなってんの!」

「設置完了、花火の準備は出来ました!」

「ハイヤー! 荷台に積んでた車で脱出するよ!」

「わかった! ボマー、早く!」

「じゃあ、点火!」


ドゴォォォォォォォォォ


警備員C「ば、爆発!?」

警備員D「消火活動急げ!」


「うわぁ、派手にやるねぇ… さっすが、3年振りなのに全く衰えて無い」

「やっぱり爆薬は南米産に限ります。 美しさがダンチですよ」

「ごめん、そのノリ未だに解らない…」

「えっと… こちらハイヤー、撤収開始します」

『フィクサー了解。 3人共、流石榛名の部下です』

衣笠「えっとフィクサー… 自分でバラしてる」←リッパー

榛名『何を今更…』

青葉「まあコードネームとかほぼネタですし」←ボマー

古鷹「じゃあ何でつけたんですか…」←ハイヤー

榛名『本名バレはちょっとキツイじゃないですか。それに榛名に関しては身元割れてますし』

青葉「まぁ彼等のターゲットの一人ですからねぇ、フィクサーは」

榛名『そこが一番厄介なんですよねぇ… では3人共撤収と再攻撃の準備を』

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/26(火) 09:50:43.82 ID:Jl5g8RNI0<> コードネームの元ネタはミッシングリンクのスレイブ・レイスか <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/27(水) 03:51:27.20 ID:z+ARNFq30<> コンコン

「失礼します。 シェリンドン様がお呼びです」

海風「先輩…」

神通「行きましょう」


《地下施設 食堂》


シェリンドン「お待ちしておりましたわ、お二人共」

海風「霞達は… 二人は?」

シェリンドン「先にお待ちになっております。 どうぞこちらに」

霞「海風、それに先輩…!」

神通「良かった…」

シェリンドン「言いましたよ。貴女方が何もしない限り、手出しは致しません」

天城「どうやら『今の所』、その言葉は偽りでは無いようですね」

シェリンドン「…どう言う事でしょうか?」

天城「さぁ? 気に触りましたか?」

海風(な、なんでこんなに挑発してるんですか…?)

霞(榛名さんに会えなくて、しかも自分の目標を果たす事も出来なかったから荒れてるのよ…)

シェリンドン「まぁ良いでしょう… では皆様、食事に致しましょう」


海風(…食事、無駄に豪華ですね)

神通(…フランス料理より中華料理が良かったです)

霞(…和食食べたい)

天城(…間宮さんの料理の方が美味しいです)

シェリンドン「…皆さん、何かご不満が?」

全員「いえ、何も」

シェリンドン「…」

天城「…ここに全員集めた、と言う事は何かあるのでしょう? 食事など、個別の部屋で摂らせれば良いものを」

シェリンドン「ええ。私は、貴女達とお話をして相互理解をしたいと思いまして。 特に私達、『コスモ・クルス教』について知って頂こうかと」

海風「『人の生命は魂の修練場である』、貴族主義をベースにした教義でしたね。そして『特別な力』を持つ人間を『神によって争いを無くす為に力を与えられた人間』として集め、貴族として育て上げること。

海風のスカウトに訪れた人間が持っていたパンフレットにはそう書いてありました」

シェリンドン「ええ、仰る通りです。 そしてここに居る皆様は我々の掲げる『貴族』に相応しい人間です」

神通「…私も、ですか?」

シェリンドン「ええ。 貴族とは血筋などではなく『高貴な精神』や『高い能力』を持つ人間こそが名乗るに相応しいものです。

選手権地区決勝において貴女は自身を犠牲にしてでも単身で『裁き』に立ち向かった、その精神はまさに貴族に相応しいと言えるでしょう」

霞「冗談じゃ無いわ、貴族なんて…」

シェリンドン「それにこの世界で始めて『本当の進化』の戸口に立った者、未来を視ながらも恐れず友の為に立ち向かう者、姉妹の為に自ら進んで戦に身を投じる者…

高潔な精神を持つ貴女方を貴族と呼ばず、何を貴族と呼べと? だからこそ貴女達を『保護』致しました。共により良い未来を目指す為に」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/27(水) 09:17:23.60 ID:CSmeaSPy0<> バビロニア学園バトル部との模擬試合を提案してみる <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/28(木) 03:32:53.63 ID:zuVYlXQ/0<> シェリンドン「そうですわ! 貴女達、我が校の学生と模擬戦をしてみませんか?」

海風「模擬戦?」

シェリンドン「貴女達はガンプラバトルで全国大会に昇り詰める強いファイター、そんな貴女達の戦いをこの目で見てみたいのです。

もしかすれば、共に轡を並べて戦うこともあるかもしれませんし」

霞「確か、バビロニア学園は…」

海風「イズナさん率いるチームに敗退しています。 ほぼ単機相手に圧倒されて」

シェリンドン「…」

神通「機体は『ベルガ・ダラス』『デナン・ゲー』『デナン・ゾン』、CV系統の機体でしたね。確か1/144のキットは無いのでフルスクラッチでしょう」

シェリンドン「ええ、我が校の優秀なビルダーが…」

海風「でも素組のデスティニーガンダム単機に全滅させられました」

シェリンドン「…」

天城「そしてそのチームを破ったのが海風さん達ですよね」

海風「榛名さんからガン=カタを教授されたとは言え実戦経験が浅かった朝雲さんがイズナさんを倒し、海風と先輩が残る二人を倒しました。

確かに機体スペックでは朝雲さんのストライクがデスティニーより秀でていましたが、優秀な成績を残したボクサー相手に狙撃機で肉弾戦をやって勝っています」

天城「朝雲さんの適応力は異常としか言えませんが… ガンプラは性能差があっても頑張れば実力で覆せます。覆されたと言う事は…」

海風「正直… その程度、と言う事です」

シェリンドン「…」

霞(海風、ちょっと喧嘩売ってない!?)

神通(言いたくなる気持ちはわかりますが… 勝手に『共に轡を並べる』、私達の側が引きずり込まれる可能性もある、と言っていますし)

海風「それに、海風達は今自分の機体を持っていない。 それはフェアではありません。 対等の条件下、そうでなければ我々の側が不利でしょう。

我々は貴女達に無理矢理拉致され、貴女方のホームグラウンドに無 理 矢 理連れてこられているので」

天城(あ、キレてます。 姉さんと似たキレ方してます…)

シェリンドン「…良いでしょう。 対等な条件、とは?」

海風「まず最低限、こちらにそちら側の使う機体と同程度のスペックの機体か『こちらの本来の機体』を用意する事です。 後者は絶対に不可能、ですから前者の条件です。

そして我々がそちらの用意した機体に馴染むための慣熟訓練の時間、そして貴女方のチームにも『初めて使う同程度の性能の機体でありこちら側と同じの慣熟訓練の時間である』ことが最低限の『対等』でしょう」

神通「確かに、条件は同じですね」

霞(でも、これは対等に見せかけてこちらの有利な条件よ)

天城(どんなに条件がイーブンだとしても、ファイターの側に性能差があり過ぎる。 絶対に『対等』とはなりません…)

海風「もし貴女が言うように貴族とは優れ・秀でた者だと言うのならば… このくらいの条件、当然でしょう?」

シェリンドン「構いません… ただこの勝負、我が学園の生徒全員に観戦してもらいましょう」

海風「衆人観衆下での戦いは慣れています。そのくらいは構いません」

シェリンドン「すぐに機体の一覧とスペック表をデータにして持って来させなさい。 自分の機体は自分で選んでいただきましょう。その後で我々の側が機体を選択致します」

海風「ええ、それで構いません」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/28(木) 04:07:22.34 ID:zuVYlXQ/0<> 「こちらがリストです」

海風「ありがとうございます」

霞「色々あるけど… 何と言うか、偏りが酷いわ」

神通「『クロスボーン・バンガード(U.C.0123年)』『OZ』『ギャラルホルン』、貴族系軍隊系ばかりですね」

シェリンドン「当然です。 高貴な者が使う機体は高貴であるべき、故にその系統で揃えています」

天城「そしてものの見事なまでにガンダムタイプがありませんね」

シェリンドン「『ガンダム』とは時代の象徴であると共に反逆の象徴でもありますから」

海風(また変なこだわりを…)

神通「つまり3系統の軍隊の量産機や一部試作型だけ、と言うことですね」

霞「その中でも局地戦機は使えないから絞られて…」


使用可能機体
OZ系
・トールギス(T・Uのみ)
・リーオー
・トーラス
・ビルゴ
・メリクリウス
・ヴァイエイト

クロスボーン系
・デナン・ゾン
・デナン・ゲー
・エビル・S
・ベルガ・ダラス
・ベルガ・ギロス
・ベルガ・バルス
・ダギ・イルス
・ビギナ・ギナ
・ビギナ・ギナII
・ビギナ・ゼラ

ギャラルホルン系
・ゲイレール・フレーム系統
・グレイズ・フレーム系統(ただし改・改弐などの外部組織流出機体は使用不可)
・レギンレイズ・フレーム系統
・ヘルムヴィーゲ・リンカー


天城「選択肢の幅が広いように見えて狭いですね」

海風「グレイズ系統のバリエーションが豊富なのが救いでしょうか」

神通「ちゃんと『シュヴァルベ』や『アイン』、『リッター』に『シルト』… 『フレック』まで揃えているとは」

霞「この中から機体選ぶの、キツイんじゃない…?」


機体選択
・海風(指揮官・近接寄りオールラウンダー) 直下
・神通(近接特化型) 下2
・霞(砲撃特化型) 下3

条件
・上記リストの中の機体から選択すること
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/28(木) 04:36:34.81 ID:3i9vC8Jf0<> グレイズ・リッター(マクギリス機) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/28(木) 09:20:54.11 ID:71nowiNA0<> レイギンレイズジュリア <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/28(木) 09:39:34.23 ID:RWlVnqHB0<> ビルゴ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/28(木) 09:43:25.31 ID:ruFbEeF60<> ビギナ・ゼラ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/29(金) 03:04:30.17 ID:OkIda45E0<> 霞「…私は『ビルゴ』にする。 完全な砲撃型がこれしか無い以上、選択肢は無いわ」

神通「では私は… 機動力を活かして格闘戦を行える『レギンレイズジュリア』をお借りします」

海風「では海風は『ヘルムヴィーゲ・リンカー』、と言いたい所ですが… 海風は指揮官、なので『グレイズリッター』を使わせて頂きます。

ただし3種のタイプの内、指揮官型で格闘向けのマクギリス機をお願いします」

天城(…成る程、バランスの良い編成です。 霞さんが後方支援に徹し、海風さんは前線に立ちながら戦況を見極めた上で指示を下し、神通さんが前衛を務めて敵を圧倒する。

それぞれが与えられた役割に徹する事で個々の能力不足を補う。 あの時、以前に阿武隈達と戦った時より成長していますね)

シェリンドン「ではその通りに。 模擬戦は明日の午後から、午前中の間はそれぞれ慣熟練習を行う、でよろしいでしょうね」

海風「ええ。 それでようやく対等、ならば文句はありません」

海風(しかしこんな罠にひっかかるとは思えない、何か仕組んでいるのでは…?

ここはバビロニア学園、『特殊な力』を持った人間をかき集めた場所… 警戒はしておきましょう)



《霞達の部屋》

天城「霞さん、少々宜しいでしょうか?」

霞「何ですか?」

天城(ここからは感応波を使います。 分かりますか?)

霞(はい、一応は…)

天城(なら良かった。 先程姉さんから、救出の算段が整ったと連絡がありました)

霞(何時の間に!?)

天城(姉さんと天城は例え距離や遮蔽物があろうと関係なく放った感応波を拾うことができます。所謂テレパシーのようなものです)

霞(じ、地味に凄い事してますね…)

天城(救出作戦は瑞鳳さんと共同、ただその前に姉さんと間宮さんが一発大きな花火を上げると)

霞(花火…?)

天城(完全な嫌がらせ目的です。 警備員を疲弊させて、まともに警備出来ないようにする為の)

霞(い、嫌がらせ…)

天城(ですので、夜中ちょっと五月蝿くなるかもしれないので注意してください)

霞(あ、はい)

天城「ふぅ…」クラッ

霞「天城さん!?」

天城「大丈夫です… これは天城が姉さんと違って、『出来損ない』だからです…」

霞「出来損ない…?」

天城「天城の感応は、本来姉さん限定なんです。 姉さんとは物理・距離関係なく感知できますが、それ以外の人とやると脳に過負荷がかかって疲弊するんです」

霞「そうなんですね…」

天城「私は姉さんより弱くて、出来る事だって姉さんより多くは無い… だけど天城は姉さんを、阿武隈達を守りたいから…」

霞(イマイチこの人と榛名さんの関係が解らない… なんでこんなにも、榛名さんに固執するんだろう…)


視点選択 直下
1.天城『騎士であること』
2.榛名『独白』 <> 全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる<>sage saga<>2017/09/29(金) 05:08:08.78 ID:eS+s3o8f0<> 安価(pq´v`*)ァ-d♪ですか?

榛名イケメン金髪王子須賀犯される

天城赤城加賀と合流する <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/29(金) 05:26:50.49 ID:YPud6Heb0<> >>124 荒らしはタヒね

安価1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/09/30(土) 04:57:08.65 ID:SusAvgsg0<> side-天城-『騎士であること』


霞「あの… 天城さんは、榛名さんをどう思ってるんですか?」

天城「どう、とは?」

霞「それは… 何か、榛名さんに拘り過ぎているような…」

天城「そうですね… 天城にとって姉さんとは敬愛の対象で、恐らく霞さんの考えた通りの感情を抱いています」

霞(あのカラオケで歌った歌、まさか… 自分のことを…?)

天城「そして同時に憎らしくも、羨ましくも思ってます」

霞「え…?」

天城「姉さんは… 昔から天才肌で何でも出来たんです。 ガンプラだって上手に作れるし、色んな事が出来ます。

だけど天城は何も出来ない。 勝っていることなんて両手で数える程しかありません」

霞(劣等感、まるで海風ね…)

天城「…少しだけ、昔話をしましょうか」



天城「姉さんは昔から何でも出来ました。 そして友人も多く、ガンプラバトルも強かった…

そんな姉さんに天城は憧れていた… だって天城は、何も持っていなかったから。不器用過ぎてガンプラ一つまともに作れない、それが天城だったんです」

霞(いや、天城さんも充分バケモノに片足突っ込んでるけど…)

天城「だけど憧れると同時に姉さんが恐ろしかった」

霞「恐ろしい…?」

天城「何でも出来てし、どんな無茶振りでも平気でやってのけて平然としている… それが天城には怖かったんです。

血を分けているのに、バケモノなんじゃないかと。 最早姉さんが天城とは違う、別の生き物だと思うほどに…」

霞(別の生き物、か…)

天城「そして姉さんはメイジン候補生の一人としてガンプラ塾へと入塾し天城と離れて暮らすようになりました。そして天城は姉さんに成り代わろうと、日陰で生きるのが嫌で努力を重ねました。

お陰と言うか何というか、バトルだけなら姉さんに匹敵できる程にはなりましたが… だけどそこである事が起きました」

霞「ある事…?」

天城「ガンプラ塾に通っていた姉さんが心を壊し、退塾して帰郷したんです。 メイジン候補生で最もメイジンに近いと言われた姉さんが完全に塞ぎこみ、荒れて…

だけどそれで分かりました。 姉さんだって心の通った人間だったのだと、天城と大差無いのでは無いかと」

霞(他の人と大差の無い人間… 私は…)

天城「そして天城は姉さんを護る『騎士』になろうと思い、頼み込みました。天城に『スレイプニル』を作って欲しいと」

霞「スレイプニルを?」

天城「はい。 スレイプニルは元々、姉さんが大好きだったゲームのスーパーロボット大戦に登場するオリジナル機体、『騎士機ラフトクランズ』をモチーフにした機体です。

そして姉さんが好んでいた機体である『RX-0』シリーズをベースに『ラフトクランズ』をアレンジしたのがスレイプニル、と言う事です」

霞(あれモチーフあったのね…)

天城「天城じゃ上手くガンプラは作れない、だけど天城は姉さんを守るためのガンプラが欲しかった。 

姉さんが戦わなくても良いように、姉さんを守るために… そして生まれたのが『スレイプニル』です。オマケで『スヴァジルファリ』もできましたが」

霞(アレをオマケで作るって…)

天城「そしてこの昏睡事件、昏睡病との戦いが始まって… 姉さんが戦うのなら、姉さんや妹達を守る『騎士』としてこの戦いに身を投じました。

姉さんの反対を押し切って、姉さん達を護る為に。 それが天城の決意です」

霞「天城さん…」

天城「まぁ、本物の騎士だった家系の人が居るので天城は完全な自称レベルですがね」

霞「え」

天城「ウォースパイトさん、あの人の家系は元々古い時代は騎士だったと。 今は世襲貴族の階級ですが、元来は騎士の家系だったとか」

霞「あの人一体何なんですか!?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/01(日) 00:37:05.20 ID:CBfIgMX60<> 《一方その頃》


「『ダイバー』、作戦開始します」

「了解です、『フィクサー』… って私もこれやらなきゃ駄目ですか?」

「駄目です」

「やっぱり… まぁ良いですけど」


警備員E「なんだ?」

「お疲れ様です。 シェリンドン様の命で、警備の方々にお食事をお持ちしました」

警備員F「…見ない顔だな」

「はい。専属のコックとして最近雇われたものですから」

警備員E「成る程な… では頂こう」

警備員F「美味い… こんなに美味いとは…!」

「沢山あるので、たっぷり食べてくださいね。 私は他の方々にも振るわねばならないのでここに籠を置いておきます」


数十分後…


警備員E「う、うぐぅ… も、漏れ…」

警備員F「は、腹が…!」

警備員G「く、糞… 俺も うぐっ…!」

警備員H「し、至急応え… こ、交代要員を…! な、全滅だと!? あの女、宿舎の警備員にも…!」


榛名「上出来です、ダイバー」

間宮「罪悪感が…」

榛名「犯罪者とそれに組するものに人権は無い、是非もありません」

間宮「…あと榛名さん、少々お叱りが」

榛名「え…?」

間宮「何でこんな勿体無いことするんですか! これでは食材が… せっかく農家の方々が育ててくださった食材を、こんなに無駄にして!」

榛名「サンドイッチ1個だけなら少々お腹がゆるくなる程度の下剤しか入れてなかったんですけどねぇ… 味でバレないようにするために」

間宮「逆に皆さんが何個も食べること分かっててやりましたよね!?」

榛名「当然です。 間宮さんの料理美味しいですし、例えサンドイッチでも」

間宮「褒められてるのに嬉しく無い…! そんな事する人は、暫くご飯抜きです!」

榛名「そ、そんな! ご、ごめんなさい!」土下座

間宮「そんな事をしても無駄で…」


警備員I「居たぞ! アイツらだ!」


間宮「み、見つかった!?」

榛名「当然です。 顔も隠さずやっていた以上、こうなることは必然… トマホォォォクッ、ブゥゥゥメランッ!」ブォン

スパァン

警備員J(全裸)「え… あ…!?」

榛名「ここからは榛名の時間… 青葉さん達程派手な事はしませんが、全員を全裸にしてここをイカれた全裸カルト教団にしてしまいましょう。

榛名は人は殺さない、その洋服をひっぺがします! まみ、ダイバーは撤収準備を! ハイヤーが待機しています!」

間宮「あ、はい!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/01(日) 03:50:39.76 ID:CBfIgMX60<> 警備員J(全裸)「く、糞! 服が…!」

警備員K「う、うわぁぁぁぁぁっ!」スパァン

榛名「この程度の戦闘能力で私兵を名乗るなど… 知り合いのPMCの方がまだ戦い甲斐がありました」

「それ以上はおよしなさい。 この方達はあくまでも警備の為の者、本格的な戦いは出来ないのです」

榛名「…騒ぎを察知してお出ましになりましたか、シェリンドン・ロナ」

シェリンドン「お久し振りですね。 まさか、襲撃犯が貴女だったとは」

榛名「妹が攫われ、部下が身体を張った以上こちらとしても動かない訳にはいかないのですよ。

さて、妹と海風さん達を返して貰いましょう」

シェリンドン「彼女達は、戦いを望んでいるのでしょうか?」

榛名「少なくとも4人は望んでいますよ。 こちらには戦わなくてはならない理由がある、それを貴女達の教義と言う建前で潰すなどあってはならないことです」

シェリンドン「何故戦うと言うのですか? 我々と共に『裁き』を乗り越えれば確実な未来を手に入れることが出来るのに」

榛名「それでも、自らの手で未来を掴みたい… それが間違っているとでも?」

シェリンドン「人は争いを止められない生き物、だけど『進化』した彼女達は違うと思いましたが…」

榛名「その『進化』を消そうと言うのが昏睡病、貴女達の言う『裁き』です。 その本質は『EXAMシステム』、ニュータイプを狩るもの…

例え『裁き』を生き延びたとしても、その先には緩やかな滅びしか残りません。 滅びに抗うことが悪なのですか?」

シェリンドン「それは…」

榛名「少なくとも榛名は、榛名達はそんな未来は容認出来ない。 だから抗うと決めた、それを誰にも邪魔させません。

それに三人には阿武隈達と戦って貰わないと色々困るんですよ。後々禍根が残りますし」

シェリンドン「賢明、とは言え無い判断ですね」

榛名「滅びを待つより、抗うほうがずっとマシです。 それに榛名は『進化』には到っていない…

到っていたとしても、榛名は人で良い。 それ以上もそれ以下も望みません。 さぁ、四人を返して…」

「姫様!」

「居たぞ!アイツを捕まえろ!」

榛名「今頃警護の連中が出てきましたか… この数相手では骨が折れそうです。 ここは、退きましょう」

シェリンドン「待ちなさい! 貴女も我々と…」

榛名「冗談を言わないでください。 未来を望む者が、滅びをただ待つだけの愚か者と手など組むわけ無いでしょう。

理想と現実は全く違う。 そんな判断も出来ない人間に与するくらいなら、自ら戦って散る方が余程良い。 それに…」

古鷹『榛名さん! 早く!』

榛名「狼は何者にも縛れません。例え鎖に繋がれたとしても噛み千切り、例神だって殺して見せます」ダッ

「クソッ…! 追え!」

「大丈夫ですか、シェリンドン様!」

シェリンドン「ええ…」

シェリンドン(私達が間違えている…? そんな筈、ある訳が無い… あっては、なりません…!) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/01(日) 04:46:12.94 ID:CBfIgMX60<> あ、ミス…

榛名の最後の台詞『例え鎖に繋がれたとしても噛み千切り、神だって殺して見せます』 です。 すみません



《翌朝 食堂》

霞「今日はどうやら警備が少ないようね」

シェリンドン「ええ。 ウチの学生の警護にまわしましたわ」

天城(嘘ですね)

海風(警備員の何人かがこちらの部屋のトイレに駆け込みましたからね)

神通(下剤か何か盛られたのでしょう)

シェリンドン「手薄とは言え、分かっていますね?」

天城「ええ、まだ死にたくは無いもので」

シェリンドン「…良いでしょう。 午後の練習試合、期待しています」



《バトルルーム》


天城「まさかこんな部屋まであるとは…」

神通「では各自、まずは与えられたガンプラの確認を。 装備や可動範囲に異常がないか確認してください」

海風「グレイズリッター、問題ありません。 装備も陸戦・宇宙戦どちらにも対応できます」

霞「ビルゴは… 正直可動が狭いですが、なんとかなるかと」

神通「レギンレイズは… 剣の方も大丈夫です。 リード線で伸縮できるようになってます」

霞「正直アレ凄くめんどくさそうなのに…」

天城「まぁビルダーとしてある程度は出来るようです」

海風「あとは敵機の情報があれば… 無いものねだりをしても無駄ですね。 練習したほうが10倍マシです」

神通「そうですね… では天城さん、アグレッサーを頼んでも?」

天城「ええ、構いません。 機体は『ベルガ・ギロス』を借りてきていますし」

海風「では演習、はじめましょうか」

イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/01(日) 19:18:41.58 ID:ii53tqaj0<> 遠隔操作で何者かのザクVが乱入 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/02(月) 01:54:45.06 ID:JW5dVA8o0<> 「もしこれでこちらの機体が介入出来たら… 学校の乱入犯はこの手口だと確定する訳ですか」

「ええ。 じゃあお願い。 program start!」


天城「これで、終わりです」

神通「…参りました」

天城「ですが皆さん、流石です。 こちらも追い詰められました」

海風「いや、全然追い詰められてないような…」

霞「確かにあのビスマルク?だったか… あのロリコン倒した時にそんな片鱗垣間見たけど… いくらなんでも強すぎよ…」

神通「つまり世界大会上位を狙える程の技量だと…」

天城「まあ地位も名誉も興味無いので参加しませんが…」


BATTLE NEW ENTRY


海風「え…?」

神通「二人共、警戒を!」

霞「まさか、外部からの乱入者!?」

天城「スクランブルの時と同じ… え…?」


4機の前に立つ機体、それは彼女達が今使っている系統から外れた機体だった。モノアイが妖しく輝く白い機体、そして三人の機体と比較し大型の機体が銃口を向ける。

だが敵意は皆無、それどころかその機体の操り手を海風と天城は悟った。


海風「えっと… それ、この前間宮さんのところで朝雲さんとの訓練で使った『ザクV』ですよね?」

霞「…ん?」

神通「白に塗られたトワイライトアクシズ仕様のザクV改… この色って…」

天城「何やってるんですか姉さん…」


頭を横にブンブンと振るザクV、明らかに図星を突かれて焦っているようにしか彼女達には見えない。

そして誤魔化すようにショートバレル・ビームライフル二丁の照準を合わせ、殺気を放つ。


天城「『どこを撃ち抜かれたい? 5秒以内に答えればリクエストに応えてやる』… 絶対こう言おうとしてますね」

霞「朝雲のアレって榛名さん譲りなのね…」

天城「と言うか『マジンカイザーSKL』ですね。姉さん割と影響受けてますから」

神通「なんでそこなんですか…」

海風「と、ともかく… 練習に付き合ってくれるそうなので、お言葉に甘えて胸をお借りしましょう」



海風「やあああああああっ!」


両腕に持ったブレードでザクVに近接戦を挑む海風、だがその斬撃をザクVは跳躍して回避する。

そしてザクVの脚部に向けレギンレイズジュリアのソードが放たれ、脚部に巻き付く。


神通「霞さん!」

霞「チャージ完了、いきなさい!」


ビルゴのビーム砲の照準を合わせ放つ霞、その一撃はザクVを捉えたかと思ったがザクVは脚部のスラスターを巧みに使いレギンレイズの剣から抜け出し砲撃を回避した。

そのままザクVがビルゴの背後に着地し、手に持ったライフルの銃口を頭部へと押し付ける。


霞「で、出鱈目過ぎる…」


そしてザクVは引き鉄を引き、ビルゴの頭部がビームで撃ち抜かれビルゴは機能を停止した。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/02(月) 09:33:37.75 ID:sKLTPHYm0<> ビルゴあっさりやられたけど霞はプラネイトディフェンサー使わなかったのかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/02(月) 13:11:30.36 ID:jgSejhYlO<> そりゃいきなり背後に跳躍してくる機体に対応するほうが無茶だろ
しかも展開したとしてもビルゴのPDは3つしか無いから正面以外守る余裕無いだろうし <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/03(火) 03:19:10.49 ID:Vu1cANIH0<> 神通「あっという間に霞さんが…!」

海風「まぁ格闘戦能力皆無のビルゴではこうなるのは分かっていましたが… ディフェンサーも展開遅れてましたし」

霞『何冷静に分析してんのよ! 分かってたならフォロー入りなさいよ!』

海風「あんなアクロバット着地やってのけるなんて誰が想像出来ますか」

天城「その動きをザクVでやってのけるのが姉さんです。 姉さんは機体によって戦闘スタイルを変えますが、特にザクVの時は妙にアクロバットになるんです」

神通「また妙なところで変な能力を…」


グレイズとレギンレイズの前に再び立つザクV。装備していたライフルを地面に落とし、今度は腰に装備されていた2本のヒートホークを抜く。

そして今度は二丁のヒートホークを持って残る2機へと踊りかかった。


海風「来る…!」


振り下ろされるヒートホークをブレードで防ぐグレイズ、だがザクVにパワーで負け押されてしまうが何とか鍔競り合う。

しかし海風は忘れていた、ザクVの口部に内蔵されているビーム砲の存在を。そしてそのビームが放たれグレイズの頭部アーマーが吹き飛んだ。


海風「せ、センサーが…!?」


そのままグレイズの腕部を蹴り上げブレードを吹き飛ばしヒートホークを胸部へと振り下ろす。

グレイズは成す術も無く胸部を抉られ、その場に擱座した。


神通「海風さんまで…!」

天城「仕方ありません…」


見かねた天城のベルガ・ギロスが神通のレギンレイズの横に立ち、ショットランサーの矛先をザクVへと向ける。

そして珍しく殺気を放ち、天城はトリガーへと指を掛けた。


天城「姉さん、これ以上戦うと言うのであれば… 天城も相手になります」

神通「天城さん…?」

天城「これでは単なる弱いもの虐めです。 そう『なりたく無い』からメイジンの座を降りたのに、それを行うつもりだと言うのなら…

貴女は先代以下、嫌っていた筈の外道に成り下がることです。 そうなりたいと言うのなら天城を倒しなさい」


そう天城が告げるとザクVはヒートホークの発熱を止め、腰へとマウントしなおす。

通信ウインドが開き、そのファイターの素顔が露となる。


間宮『え、えと…』

神通「ま、間宮さん!?」

天城「やはり間宮さんでしたか… その機体、管理してるのは貴女の筈ですからね」

間宮『す、すみません… どうしても、って榛名さんが』

天城「だからって完全に戦闘スタイル真似て襲い掛かるなんて… 確かに間宮さんの技量なら可能ですが、些かやり過ぎです」

榛名『流石に天城には気付かれましたか』

天城「はい。 姉さんにしては卑怯な行いに迷いが無かった、それだけで判断材料は充分です」

神通「と言うかどうやって介入を?」

ウォースパイト『違法バトル用の遠隔操作システムよ。貴女達の学校に放置されていたのを発見して、試しに使ってみたのだけど』

神通「あ、ウォースパイトさん… 私達の学校にあった、とは?」

ウォースパイト『言葉通りよ。恐らくこれでスクランブルを遠隔で介入させたの。 今は有線ネットワークをハックしてそちらのシステムに介入してるのだけど。

でもこれで、手口が分かったわ。犯人のバックには恐らく、これを作ったマフィアの存在が…』ザザザ

天城「どうかしましたか!?」

榛名『バッテリー、が、無くなり… では気を、付け、て、くださ…』ブツッ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/03(火) 03:57:24.94 ID:Vu1cANIH0<> BATTLE END

神通「切れましたね…」

天城「はい。バッテリーぐらい充電しておいてくださいよ…」

神通「全くです… しかし収穫が無い訳でもありませんでしたね」

天城「資金源と成りうるマフィアの存在、薬物としてナノマシンが流れていた時点でそにの節がありましたが…」

神通「はい。そして簡単に犯人が見つからないのも匿っているから、と考えれば不自然ではありません。

ナノマシンを流通させて昏睡病を拡散させ、資金を入手出来て世間の目を免れられると考えれば行き着く先は当然でしょう」

海風「しかし、何処のマフィアが流通させたのかが気になりますね」

霞「少なくとも日本に影響力を持つマフィア、って考えれば…」

神通「…心当たりが一つ」

天城「どうかしましたか?」

神通「お母様は以前、飛龍さん達と一緒に大会に出た時にあるマフィアの妨害を受けたと聞いた事があります」

海風「何故マフィアが…」

神通「ある選手が飛龍さん達には絶対に敵わない、そう考えマフィアを雇い大会中に遠隔操作で介入させて機体の破壊と妨害を試みたんです。

結局は蒼龍さんに返り討ちにされ、主犯も大会と同時開催されていたお祭りでバトルをしていたお母様に嫌がらせを再度仕掛けようとしたものの逆に見つけられ締め上げられたとのことです」

霞「で、そのマフィアは?」

神通「既にマジギレしたお母様と親戚一同にアジトに乗り込まれ日本の支部は壊滅している筈ですが…」

海風「敵にまわして塵一つでも残ってる訳無いじゃないですか」

天城「そうですよね… ですが再び日本にやってきた、と考えれば不自然ではありません」

霞「その遠隔操作用のシステムをナノマシンを強奪した犯人に与えて… まさか瑞鳳さんに復讐でもするつもりなの…!?」

神通「!?」

海風「その可能性は否定できません。 未来では瑞鳳さんは生き残っていますが、周囲の人が皆…」

天城「問い質せば済む事です…! 瑞鳳さんに伝えて、もう一度乗り込ませましょう」

神通「と、その前に… どうしましょう、グレイズとビルゴ…」

霞「ビルゴは完全に頭が壊れてるし…」

海風「グレイズも中々の被害が…」


その後、全力で修理に時間を費やした…
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/04(水) 04:10:58.01 ID:hdD2EN5S0<> そして午後…


『ではこれより小沢学園『フリューゲル・ヴェント』と我等の精鋭、『バビロニア・バンガード』との練習試合を行います』

神通(人が多い… おおよそ800人程、と言ったところでしょうか?)

霞(さすがに宗教系だからウチよりは多くない… でも…)

海風(静か過ぎる… 何だか、異様な… それに大会に出ていたのは『貴族科のチーム・バビロニア』だった筈です)

天城(何この感じ… 何だか、見透かされてる様な…)


『それでは、シェリンドン様からお言葉です』


シェリンドン「親愛なる皆様へ、こんにちは。我が校の理事長を務めるシェリンドン・ロナです。

まず本日お越しになった彼女達『フリューゲル・ヴェント』には感謝の言葉を申し上げます」


神通(白々しい… 無理矢理拉致したものを…!)

天城(槍があれば今すぐその頭蓋を穿っていたものを…!)


シェリンドン「そして彼女達は我々、『コスモ・クルス教』の教えの下『裁き』を乗り越える同志として共に手を取りあえる関係になれる事を望みます。

この交流によって我々を知り、我々と共に歩む共存の道を…」


海風(何だろう、今無性にどこぞの姉以上に殴りたいです)

霞(抑えなさい。私も今必死に我慢してるから…!)


シェリンドン「では皆様、良い戦いを期待しています」


『ありがとうございます、シェリンドン様。 次に、メンバー紹介です。 フリューゲル・ヴェント側は神通さん、海風さん、霞さん、そしてオブザーバーの天城さん。そして我が校は―――』


海風(やはりメンバーが以前と違う… 何か仕込んできてる…!)

神通(彼等は、一体何を…)

霞(でも、何があろうと倒すまで… ここを越えられなきゃ、定められた未来を壊すことなんて出来やしないわ…!)


『では、試合開始です!』


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Forest"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


神通「レギンレイズジュリア、神通…」

霞「ビルゴ、霞!」

海風「グレイズリッター、海風! フリューゲル・ヴェント、全機続いてください!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/04(水) 04:45:37.02 ID:hdD2EN5S0<> 霞「フィールドは森だけど… 地面が、ぬかるんで…!」

神通「どうやら湿地帯がステージのようです」

海風「各機、ホバーに切り替えてください。 ここは遮蔽物が多いのでなるべく隠れながら…」


海風が指示を行おうとした瞬間、一条のビームが地面を抉る。

そして降り注ぐビームの雨に、霞は前に出てプラネイト・ディフェンサーを展開して攻撃を防いだ。


神通「もうここを察知した!?」

霞「どうやら、アンタのプランは練り直しが要るわね…!」

海風「…相手には恐らく『こちらの思考を読む能力』を持った人間が居るようです…!」

神通「なっ…!?」

霞「多分全員ソレよ。完全に、見抜かれてる…! 観戦してる連中の他に、私達を『見透かしてる』連中が三人居るわ!」

海風「予測した中でも最悪の状況… しかし手立てが無い訳ではありません。 各機、応戦開始! フォーメーション・アクティヴディフェンス!

地形を活かして防戦しつつ敵の隙を窺います!」

神通「敵の思考を読む相手… ならこちらにも手立てはあります…!」

霞「それに海風、負ける気は無いんでしょ?」

海風「勿論、既に倒す策はあります」

霞「ならアンタに従う… 私はアンタに全部、賭けるわ」

海風「ならその期待に応えましょう。 全機、展開!」

神通・霞「了解!」


着地する敵MS3機、それを気配を完全に殺して潜む神通。 思考を全て無にして息を潜める。

そして3機のMSの機種を神通は見極めた。


神通「敵機3、機種は『ダギ・イルス・パワードウエポンタイプ』『ビギナ・ギナU』『ベルガ・バルス』です」

海風「了解、先輩は離れてください。 敵は恐らく既に先輩を察知しています」


海風の通信と同時に3機からレギンレイズへと攻撃が行われる。神通は樹や岩などの遮蔽物を活かしながら後退した。

そして海風は敵の動きを予測し、霞に指示を下す。


海風「霞、砲狙撃戦開始。 先輩の後退をフォローしてください」

霞「了解。 でも引っかかるかしら?」

海風「ええ。 海風の予測では恐らく…」


放たれるビルゴの砲撃、3機は回避行動を行い今度はその矛先を霞達へと向けた。

ここまでは海風の想定の内、そしてこれで海風は確信を得る。


海風「やはり敵は能力者、ですが本来ファイターでは無い人間のようです。 あの動作、そして統率が取れて無いことを見ると経験が浅く実戦経験皆無なファイター…

いくら超能力者と言えど、我々訓練を受けたファイターに比べれば素人同然… 敵ではありません…!」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/04(水) 08:47:45.55 ID:UcP747ht0<> 一瞬、相手に隙ができたのを察知する <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/05(木) 03:27:25.70 ID:IbjFISNo0<> 霞「敵がこっちに食いついた! 海風!」

海風「行きます! このまま支援砲撃を続行してください!」


霞へと攻撃が集中したのを確認し、海風はライフルを放ちながら3機へと距離を詰める。これこそ海風の望んだ『隙』だった。

敵のMSはそれに気付き対応しようとするが霞の砲撃に気を取られ、さらには海風の複雑な機動に翻弄されて迎撃が出来ない。


海風(やはりこちらのやる事を読んでいても対応出来ていない… 訓練はしているようですが、技量はこちらが上!)

海風「まずは…!」


3機を牽制しつつ中央に突撃するグレイズ、そして海風は機体を跳躍させて敵の背後へと回り込む。

包囲を恐れた敵はようやく分が悪いと悟り退避を行うがそれこそが海風の狙い目、逃げた先には…


神通「成る程… 敵の思考を覗き見る、確かに戦闘では多大なアドバンテージになりますね。しかし…

それが私に通用するかどうか、そしてファイターとして卑劣である事を除けば、ですが」


待ち受けていた神通のレギンレイズ、神通はブレードを構え戦闘態勢へと移行し敵の3機も構えた。

だが敵に思考を読まれている以上3機相手に神通は完全に不利、しかし神通には『切り札』がある。


神通「ならこちらも本気でいきましょう。私は貴方達の様な卑劣な者は心底嫌いなので」


意識を研ぎ澄まし、思考を無にする。 彼女は瑞鳳の娘であり東方不敗の名を継ぐ一人、当然この域には到っていた。

そして瑞鳳同様肉体から少しずつ光が溢れ出し、輝きを帯びていく。


神通「明鏡、止水…!」


その名を告げると同時に神通は3機へと襲い掛かる。 彼等は動きを読もうと思考を覗くが読む事が出来ない。

レギンレイズの近接能力と神通の能力が合わさり、彼等は完全に神通に手玉に取られていた。


「こ、コイツ! 全く読めない!」

「思考が… 何も考えて無いのか!?」

「何だコイツはバケモノか!?」

神通「遅い…! それに加えて…」

海風「目先に囚われ過ぎです!」


木々の合間を縫い、跳躍した海風のグレイズが左腕でブレードを抜き放ち逆方向から斬りかかる。

ビギナ・ギナUのファイターは海風の刃をギリギリで受け止め、海風の思考を読もうとするがそれこそ海風の仕組んだ罠だ。


「な、う… うぷっ…!? こ、れは…」

海風「まず1機… 人の思考を、勝手に覗くからこうなるんです」


ブレードが胸部を抉り、そしてもう片方の腕で持っていたライフルでトドメを刺す。

海風が行っていたのは自身の能力行使、未来予測演算の使用をしただけである。ただし以前スドウ・シュンスケ戦で使ったリミッター無しの『本気』の予測だが。


「な、何をした!?」

海風「未来の分岐を予測しただけです。 並の人間が耐え切れる情報量ではありませんが」


全力行使、一瞬でも脳の『現在使用していない領域全て』を使い予測を行ったことで情報量は常人が処理可能な量を遥かに超えていた。

それを全て読み取る、と言う事は自らの脳を自分で破壊したのと同義である。 要は海風は自爆させただけ、ただし彼は暫く立ち上がる事すら出来なくなるが。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/05(木) 03:55:00.62 ID:IbjFISNo0<> 「貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!」


仲間を倒され激昂するベルガ・バルスのファイターは海風に襲い掛かる。 海風はライフルを投棄し二丁のブレードを使い攻撃を受け流す。

ショットランサーによる刺突攻撃を防ぎ、グレイズは逆にブレードを使ってベルガ・バルスの左腕を切り落とした。


「くそっ!よくもこちらの仲間を… 卑怯な真似をして!」

海風「女性の頭の中を覗く変態に言われたくは、ありません!」


頭部にブレードを突き刺し、その首を抉り取る海風。分が悪いと判断したベルガ・バルスのファイターは後退を図ろうとするが既に遅い。

真後ろに迫っていたレギンレイズに気付かず、ソードで真っ二つに切り裂かれて撃破される。


神通「余所見とは、関心しませんね」

海風「残るは1機… ですが…」

神通「逃げられましたね。 まさか仲間すら見捨てるとは…」

海風「しかし彼は既に詰んでいます。逃げた先には…」


逃走を図り森を彷徨うダギ・イルス。 仲間を見捨てた彼は反撃の機会を窺う。

海風達は近接に特化した2機であり射撃型のダギ・イルスでは不利だと判断したからだ。だから距離を取って遠距離で仕留めようと考えたが…


「そうだ… ここから撃てば…!」

霞「残念だけど、終わりよ」

「え…?」


大出力のビームがダギ・イルスの腹部を貫き、その機体を爆散させる。

そしてその残骸の前に立って居たのは霞が操る『ビルゴ』だった。


霞「これでラスト。 戦闘終了、ね」


BATTLE ENDED

WinnerFlügel Vento"" <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/06(金) 02:53:17.04 ID:b6jAu0m40<> 「あ、が… う、あ…」

海風「全く… この人を病院、出来れば脳に関する大きな病院に運び込んでください。 恐らく脳に損傷を受けています。

多分このままでは記憶障害どころか日常生活にも影響が出ますよ」

親衛隊A「す、すぐに!」

霞「アンタは大丈夫なの?」

海風「ええ。こちらは限界点は既に見極めていますから過剰な使用をしなければ大丈夫です」

シェリンドン「貴女… 何てことを…!」

海風「貴女に言われたくはありませんね。 わざわざ人の思考を覗き見れる人間を使って有利に戦おうとするなど…

貴族主義など、呆れて反吐が出ますよ…!」

親衛隊B「貴様!シェリンドン様に向かって…!」

霞「この際だからハッキリ言わせて貰うわ… 人を勝手に攫って自分の思想を押し付けて、ガンプラバトルを侮辱して、挙句人のプライバシーを覗いて…!

もう頭来た!この最低のドクズ共! 勝手に自爆しただけなのに逆ギレかましてんじゃないわよ!」

親衛隊C「コイツっ! 我々はお前達を守る為に、正義の為にやったと言うのに!」

神通「今まで大人しくしていましたがもう我慢の限界です…! 皆を人質にして脅した卑怯者が正義を語るな!」


ザワザワ

「攫ったって…?」

「そう言えば聞いた事が…」

「まさか昨日の夜の騒ぎは…」


シェリンドン「静まりなさい! 貴女達は我々を誤解しています。我々は…」

神通「どこが誤解ですか! 無理矢理、ガスまで使って誘拐した癖に! 昏睡病から護るなど、余計なお世話でしかありません!」

シェリンドン「貴女達は直情的過ぎます。もう少し大人になり、大局を見据えれば…」

天城「では大人の、年長の立場から言わせて貰いましょう。 貴女達の行いは紛うこと無き犯罪です。

どんな大義を翳しても、どんな理由があろうとも既に法や倫理を犯している以上既に貴方達は『悪』でしかありません」

シェリンドン「くっ… 親衛隊、四人を捕まえなさい!」

親衛隊D「大人しく…」

神通「破ッ!」ドガッ

親衛隊D「がッ…!?」ドサッ

神通「手は抜いています。殺しはしません…」

親衛隊E「馬鹿な、刀も無しに…!」

神通「私の本来の戦い方はこちらです。 剣術はあくまでも借りに過ぎません。ここからは本気です。

流派・東方不敗の名において、我が眼前の悪を葬らん…! 3代目・神通、参り…」


Beginning plavsky particle dispersal


神通「え…?」

海風「バトルシステムが、勝手に…?」

霞「この感じ… 何!?」

天城「ッ…!? 伏せて!」


BATTLE START


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォ!
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/06(金) 03:19:20.51 ID:b6jAu0m40<> 《外 青葉達のキャンプ》


古鷹「ッ!? こちら古鷹、緊急事態発生!」

榛名『どうかしましたか、古鷹さん!』

古鷹「講堂と思われる場所で謎の爆音が…」

衣笠「見て、アレ!」

古鷹「そして何か、大きな宝石みたいな塊が出てきました!」

榛名『宝石…?』

青葉「あれは… コード・ブレイヴ発動時に形成される粒子結晶!?」

榛名『まさか、粒子結晶の暴走…!? すぐに画像をこちらに!』

衣笠「こりゃヤバイね… ウォースパイトの言ってたやつでしょ、これ…?」

青葉「『スクランブルガンダム』と『新型粒子の小型結晶』が引き起こした事故、ですか… 確かに見た資料とそっくりな現象です」

榛名『分かりました。 3人は戦闘に備えつつ、現状待機を。 今から瑞鳳さん達に連絡しつつそちらに向かいます!』



《学園 講堂》

霞「いたた… 一体、何が…」

神通「全員、無事ですか!?」

海風「なんとか… 咄嗟に伏せたので…」

天城「ええ、こちらも何とか」

「全員、起き上がらないで。頭を下げて匍匐で移動してください」

神通「萩風、何時の間に…!」

萩風「姉さんが乱闘を始めそうになったので介入しようと思った矢先にこれですよ。今頭を上げれば確実に粒子結晶に頭をぶつける事になります。

それにここは何時崩壊してもおかしくはありません。 退路は確保済みなので一刻も早くここから退避します」

神通「分かりました。…それとあまり、周囲を見ないように」

海風「え…?」

天城「もう遅いですよ… 何ですか、これは…!」

「あ、が…」

「助、け…て…」

霞「これって…」

萩風「粒子結晶が身体を貫いている… この出血では、どの道助かりません」

海風「そんな…」

萩風「粒子結晶は今も増殖しています。 死にたくなければ周りを見ないで、一気に脱出します」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/07(土) 03:34:36.27 ID:fCPwEBne0<> 《講堂 地下道》


萩風「急いで! 粒子結晶の増殖がここまで及んでいます! ここも長くは持ちません!」

海風「一体、何がどうなっているんですか!?」

萩風「後で説明します! 今は早く、この場から逃げないと…!」

霞「掻い摘んででも良いから何か教えなさいよ!」

萩風「プラフスキー粒子の暴走です! 粒子結晶が暴走して、爆発的な増殖を始めました!」

神通「まさか、『台場事変』と同じ…!」

天城「『台場事変』…?」

神通「ある平行世界でプラフスキー粒子が大規模な暴走を引き起こした事件です。お台場に安置されていた大型粒子結晶が暴走し、無尽蔵に生成される粒子の水が溢れ出しお台場に壊滅的な被害を齎しました。

解決策はただ一つ、原因となる粒子結晶を粉砕する事だけです。 ただそれには『不可視の粒子障壁』を貫く必要がありますが…」

萩風「対策を講じる為にも、今は急いで避難を!」

霞「これ、一体どこに繋がってんの!?」

萩風「行けばわかります!」



《海風達の部屋》

海風「ここに繋がっていましたか…」

萩風「最初に潜入した時、ここを使って姉さん達に接触したんです」

神通「そう言うカラクリでしたか…」

萩風「そしてここは霞さんたちの部屋にも繋がっています」

霞「あ、そうなの?」

天城「だからあんなに容易く…」

萩風「もういくつか扉があるのは確認しましたが、どこに繋がっているかは判りませんでした。

ともかく今はこれからどうするか、を考えましょう」

神通「その前に一つ… 萩風、どうしてこの学校に潜入を? それにこの事態が起きるのを知っていたような…」

萩風「ええ、知っていました。 未来においてここの学園生は皆殺しにされた、と言う記録が残されていましたから」

海風「この学園の学園生が…?」

萩風「はい。 敵は『進化を皆殺し』にする為に『8月31日の事件』を引き起こしている、なので『進化の可能性』を持った人間が集まるこの学園はEXAMの格好の標的と言う訳です」

天城「そう言う理由でしたか… つまりここに黒幕か、それに準ずる相手が現れる可能性があると?」

萩風「こちらの推測が正しければ、ですが。 今から私は外で状況を確認してきます。 皆さんは、ここから逃げる準備を」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/07(土) 04:32:17.53 ID:fCPwEBne0<> 霞「逃げるって…」

神通「今の私達にはどうする事も出来ません。ここは一度ここから逃げて、装備なりなんなりを整えないといけません」

海風「じゃあここの学生を見捨てろと…?」

神通「そう言う訳では… しかし私達では粒子結晶は破壊出来ません。 この事態を収拾させる事は不可能なんです…!」

天城「粒子結晶には『不可視の障壁』がある、と言っていましたが… まさか、ソレですか?」

神通「はい。 どんな攻撃、恐らくミサイルや艦砲の類すらも効きません。 『粒子障壁を貫く』装備が無い限りは…」

天城「『グシスナウタル』なら… でもあれは貫けても、粉砕するまでの威力は…」

霞「『グシスナウタル』?」

天城「こちらの話です。気にしないで下さい」

海風(『グシスナウタル』、確か北欧神話の武具の一つだったような… 性質は自由に飛び回り念じればどんな守りをも貫く、というものでしたが…)

神通「平行世界でも粉砕には酷く手間がかかった、と聞いています。 最終的には障壁を貫通したものの粉砕には至らず、強引に細かく切り裂いてようやく崩壊したと…」

霞「寧ろそこまで手間をかけないと壊せ無いのね…」

神通「もしくは中心核となっているもの、暴走の原因であるものを破壊すれば収まる可能性もあるかと…

しかし核が不明な以上、前者の方法が現状の最適解です」

海風「しかし最適解が不可能、となると… もう打つ手は無い、と言う訳ですか」

神通「そう言う事になります」



萩風「どうやら少数は避難出来たけどまだ500人近く取り残されてる…」

萩風(ここも既に危ない… あと3時間ほどで地下、姉さん達の居る場所も侵食される… その前にどうにか逃げないと…)

プルルルルル

萩風「電話…? こんな時に…!」ピッ

『萩風ちゃん、聞こえる?』

萩風「お母様!? 何でこの電話を…」

瑞鳳『朝雲ちゃんから聞いた』

萩風「そうじゃないかと思いましたよ… この番号、知っているのは少人数ですし」

瑞鳳『それより状況は? 青葉さん達から粒子結晶が暴走したって聞いたけど』

萩風「酷い有様、資料で見た『台場事変』よりは遥かにマシですがかなりの惨事です。 既に死人も出ています」

瑞鳳『そう… どう、逃げられそう?』

萩風「逃げようにも足がありませんね。 車の類は既に粒子結晶に潰されてます」

瑞鳳『あれ、萩風ちゃんはどうやって…』

萩風「業者のトラックの荷台に隠れ潜んでやり過ごしました」

瑞『そ、そう… 今古鷹さん達が迎えに行くって話だから、あと10分くらい待って… ザザザ』

萩風「お母様!? 電波が悪い、これだから山奥と格安キャリアは…! ケチらないで大手にしておくべきだった…!」

萩風(早く逃げないと… でも、取り残された人たちは確実にこの後殺される、そう歴史が言っている… それで良いの…? 救出手段は無いけど、見捨てるのは…)

萩風「駄目… どんな犠牲を払ってでも未来は変える、今ここで寄り道なんて出来ない…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>sage saga<>2017/10/08(日) 00:07:54.66 ID:G3s94+fz0<> ドゴォォォォォ


萩風「ッ…!?」

「あがッ…!?」グシャッ

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」ドスッ

萩風「そんな…」

萩風(外に逃げた人達にも粒子片が飛んで… 暴走の元凶は間違い無くここから誰一人も逃がす気は無い…)

学生A「だ、誰か…! そこのアンタ!コイツを運ぶのを手伝ってくれ!」

学生B「…」

萩風「…もう駄目です。 既に、死んでいます…」

学生A「嘘だろ… コイツは明るくて、こんな所で… まだ温かいんだ、運べばきっと助かるんだ!」

萩風「もう眠らせてあげてください…」スッ

学生A「糞… 糞ッ! 何なんだよ… 一体何なんだよ!」

萩風「このままでは貴方も殺される。そうなる前にどこかに、出来れば校舎の中に避難を」

学生A「俺は… どうせ死ぬんだ… このまま、コイツみたいに殺されて…」

萩風「生きる事を諦めないで! 死んだ者は何も言え無い、何も出来ない… 

怖くても辛くても、生きなければならない…! 死んでしまった彼等にとっても死を憶えていてくれる人が居る、それだけでも充分哀悼となります!」

学生A「アンタ…」

萩風「行きなさい! 私は、この事態を止める術を探ります!」


《一方その頃… 基地》

瑞鳳(K)『大型結晶体の暴走… ごめん、私達には手伝えないかも』

瑞鳳「でも、破壊出来たんでしょ!?」

瑞鳳(K)『まず私達と状況が違う。 水が生成されてないと私達の『艦プラ』は使えない。それに私達の艦プラは全部アリスタ非対応、霧の技術で精製された粒子に対応するように改修されてる… 粒子に対して互換性が無いんだよ』

瑞鳳「何で対応させちゃったかな…!」

瑞鳳(K)『そんな去年の話を持ち出されても… でも、技術だけなら提供出来る。

『プラフスキー・バスター・キャノンtype-Z』、その設計データはまだ残ってるから。だけどバスターキャノンだけじゃ粉砕は出来ないから注意して』

瑞鳳「わかってる。偏向レンズと超長距離用狙撃ユニットも要るんだね」

瑞鳳(K)『私達は時間的な問題で1キロ先から狙撃せざるを得なかったけど… 近づけそう?』

瑞鳳「まだわからない。 でも極限まで近付いてみる」

瑞鳳(K)『なら大丈夫か… あと一つ注意して欲しいのが、バトルシステムや模型が付近にあったら…』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/08(日) 01:49:20.36 ID:G3s94+fz0<> 数条のビーム、それが避難していた生徒の身体を貫く。 そして大量のガンプラが宙を飛び、空を駆ける。


「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

「なんでガンプラが動いてんだよ!?」

萩風「ッ…! 大気中の粒子濃度が濃くなってこの一帯をフィールドと認識し始めた…!?」

萩風(台場事変の時と同じ… 大量の無人機が…! 急いで戻らないと!)


萩風は隠し持っていたナイフを投擲し襲い掛かるガンプラを破壊する。

そして避難する生徒の前に立ち、スカートの中に隠していたナイフを二本取り出し構える。


萩風「早く避難を! 建物に入って、バリケードを作って!」

「は、はい!」

「た、助かった!」

萩風(とは言え… ナイフだけじゃなくて銃火器の一つや二つ持ち込むべきだった…!)


襲い掛かる大量のガンプラを目の前にして呟く。覚悟を決めたその瞬間、脇から銃声が鳴り響き数機のガンプラが蹴散らされた。

そして急ブレーキ音と共に一台のジープが彼女の前に滑り込む。


青葉「どもども! って、これどう言う状況なんです?」

古鷹「無人のガンプラ…?」

衣笠「どんなカラクリ?」

萩風「空気中に粒子が拡散、濃度が濃くなった影響でガンプラが自律活動を開始しました」

青葉「人間だけを殺すガンプラかよ!? って言えば良いんです?」

萩風「バグと同じ様なものです」

青葉「あってた… まぁともかく、迎撃しないと…!」

衣笠「他の子達は?」

萩風「地下室に避難しています」

古鷹「早く合流しないと… 学校にまで侵食されたら、大変なことになる…!」

萩風「あと銃器、幾つか貸してください」

古鷹「ごめん、昨日衣笠が無駄遣いしまくって弾薬残って無いかも」

衣笠「衣笠さんのせい!?」

古鷹「私は必ず当てるから」

萩風「では余分な武器は無いと…」

青葉「車にさえ引き付けて貰えば良い手があるんですけどね…」

衣笠「絶対車爆破する気だよね!?」

萩風(何でこの人たちはこう緊張感と言うものが…! なまじ優秀な分、腹が立ってくるわね…!) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/08(日) 02:26:56.92 ID:G3s94+fz0<> 青葉「ではでは、ポチっとな!」カチッ


青葉がスイッチを押すと同時に車が大爆発を起こして数十のガンプラが巻き込まれる。

しかし爆炎を潜り抜けてまだ大量のガンプラが四人に襲い掛かって彼女達へと銃撃を行う。


古鷹「一発一発じゃ埒が開かない…!」

衣笠「なら纏めて吹っ飛ばす!」


ハンドガンでガンプラを的確に撃ち落とす古鷹、それに続いてロケットランチャーで攻撃する衣笠。

同時に萩風が跳躍しナイフで的確にガンプラを切り裂いていく。


萩風(このままだとジリ貧ね… 私の場合、真正面からの戦闘よりも奇襲の方が得意なのに…!)

青葉「そろそろ救出部隊が向こうに到着する筈なんですけど… 連絡が無いですね」

衣笠「と言うか通信機からノイズしか聞こえないんだけど」

古鷹「もしかして粒子が通信機に干渉して通信出来なくなってるの…?」

萩風「そもそも救出部隊って…」

青葉「瑞鳳さんが鍛え上げた、優秀な三人だって聞いてますが」



神通「くっ… 何で無人のガンプラが…!」

霞「こ、こっちに来るなって!」


椅子を振り回す霞に襲い掛かるベルガ・ギロス。そしてベルガ・ギロスに1本の刀が突き刺さり、墜落する。

続いて銃声が鳴り響き、部屋に侵入してきたガンプラが数機撃ち落され直後に一人の少女が飛び込んで残りのガンプラを日本刀で切り裂いた。


「やぁ、無事かい?」

海風「確か貴女は… 時雨さん、でしたか?」

時雨「うん。瑞鳳に言われて、保護しに来たよ」

神通「それに三日月さんと春雨さんまで…」

春雨「やっぱり、前にハシラジマから聞いた通りの現象が起きてますね、はい」

三日月「ガンプラの無人行動… しかも人だけを正確に殺して回って…」

時雨「ここに来るまでに何人も死体が転がってた。でも外に比べたらまだマシなレベルだけどね」

天城「何でこんな自体に…」

春雨「恐らく、昏睡病の元凶… 『EXAM』が原因かもしれません。ここまで『進化の素養』を持った人間を殺して回っているとなると」

三日月(裏)「ああ。 迅速に事態を解決しないと、もっと犠牲が増える」

神通「とは言え、この状況ではジリ貧です… 粒子侵食と殺戮する無人ガンプラ、両方止めないと…!」

海風「…! もしかして、システムのある場所まで行けばこちらもガンプラを射出できるかも…!」

霞「それで奴等を迎え撃ちながら、強行突破して結晶体まで近付いて元凶を探るか結晶を破壊すれば… この事態は収まる…!」

時雨「だから瑞鳳はガンプラを持って行け、って… なら、バトル台がある場所に案内して。僕が道を拓く」

三日月(?)「ねえ春雨、次はどうすれば良い?」

春雨「青葉さん達と合流し、連れて来てください。 バトルシステムの場所は把握しているでしょうし」

三日月(?)「わかった。春雨の指示なら従うよ」

神通「…人格、増えてません?」

時雨「鉄血の本放送が終わった直後くらいかな、第3人格が出来上がったんだよ。 春雨に従順な、まさに鉄血主人公な感じの」

神通「えぇ…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/08(日) 09:59:57.71 ID:VOwuaJRm0<> 床下の隠し階段を発見 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/08(日) 22:39:10.68 ID:G3s94+fz0<> 時雨「ここの曲がり角の階段を昇ればすぐ、なんだね?」

神通「はい。では私が先行します」

時雨「分かった。水先案内は任せる」


春雨は手に持った銃器でガンプラを撃ち落とす。ビルダーとしてはこの状況は良心が痛むが流石に人を殺しまわっている以上、止めなくてはならないと割り切る。

しかし無尽蔵に湧き出るガンプラを相手に、弾倉を変える余裕も殆ど無い状況には辟易としていた。


春雨「これで32機、どれだけガンプラ溜め込んでるんですか!」

海風「演習の時に提示された機体より数が多い…!」

霞「もしかして… スドウ・シュンスケの時みたいに、再生と複製を繰り返してるんじゃ…?」

海風「可能性はありますね… あれ、春雨さ…」

神通「どうかしましたか?」

「たすけてくださ〜い〜!」

時雨「何やってるのさ…」

海風「…なんか穴がありますね」

霞「階段も… もしかして、転がり落ちた…?」

時雨「全く、ドジなのは本当に変わらないんだから…! フレスヴェルグの時も、ドジった結果アレが出来上がった訳だし…」

海風「ドジってアレが出来上がるんですか!?」

時雨「うん。春雨がドジると大抵何かしらトンデモ副産物が出来るから」

霞「どんなドジかましたのよ…」

時雨「フレーム作ってる途中に呼ばれて立ったらコケてパーツゴチャゴチャにしちゃったんだよ。それで組みなおしたらああなっちゃった訳さ」

三人「えぇ…」

時雨「とは言え… 変な場所に地下室なんて、何かありそうだ」

神通「降りてみましょう」


春雨「何も見えません…」

神通「誰か懐中電灯とかあります?」

時雨「艤装用の探照灯なら。こんなこともあろうかと春雨のヤツから引っぺがしてきたんだよ」

海風「あれ、春雨さんも艦娘…?」

時雨「いや、半分は瑞鳳達と同じ転生体さ。キミ達も会った筈の翔鶴さんは実母だからね」

霞「半分?」

神通「お母様から聞いています。春雨さんは『特別』、一つの魂が二つの世界・肉体に分裂してしまっていたとか…」

時雨「そうだよ。 片方はこっちの春雨、もう一人は… もう居ない。どこにもね」

海風「…」

時雨「この話はまた今度。今はここを探してみよう」


あったもの 直下
1.武器・弾薬
2.地下牢
3.その他 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/09(月) 04:12:59.02 ID:cu7L9aSA0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/10(火) 02:24:02.90 ID:9Az/GAba0<> 海風「これって… 地下牢ですか…?」

天城「そのようです。 人の気配、数は10…!」

霞「この感じ… 榛名さん達と似た…」

「お、おい… だ、誰だ!?」

「お願い、殺さないで…!」

神通「大丈夫です。 私達はここから逃げようとしている者です。 一体どうしてここに?」

「教団の奴等に『裁き』がどう、とか言われて捕まって… 逃げようとしたらここに…」

天城「間違いありません、この人たちは拉致被害者、顔も資料と一致しています」

時雨「ちょっと皆下がって。銃で鍵を壊してみる」パンパンパン

春雨「駄目みたいですね… 傷一つもついてません、はい」

神通「では私が…」バキッ

霞「鉄格子をへし折った…」

海風「まぁ先輩なら出来ますよね、当然」

「やったぞ!これで出れ…」

神通「待ってください。 今出たら、確実に殺されます」

「なっ…!? 殺されるって、どう言う事!?」

海風「先程の振動はご存知ですよね?」

「う、うん… 知ってるけど…」

海風「教団の言う『裁き』が、人を襲っているんです。 ここに来るまで、何人かが殺されていました… 今ここを出れば…」

「そんな…」

「助かったと思ったのに…」

天城「今はここで耐えてください。 必ず、後で迎えに来ます」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/11(水) 03:43:12.56 ID:Q/mEUJHc0<> 「そこまでです」

天城「シェリンドン・ロナ…!」

霞「あの状況でよく無事だったわね」

シェリンドン「助かったのが貴女達だけとは思わないでください。親衛隊のお陰で逃れる事が出来ましたわ」

時雨「どうでも良いさ… カルト教団の教祖が死のうがね。そこ、どいて貰えない?」ジャキッ

神通「親衛隊の数は27… 倒せ無い数ではありません。天城さん!」バキィッ

天城「鉄格子の槍とは… まぁ無いよりはマシですね」

シェリンドン「野蛮な… 話し合いのテーブルにも就かず、敵意や武器を向けるなど」

海風「そんな余裕は無い、貴女なら既に理解していると思いますが」

シェリンドン「ええ。だからこそ、貴女達に提案をしたいと思いまして」

霞「どうせ下らないだろうけど、一応聞いておくわ」

シェリンドン「我々と共に、ここを脱出しませんか? 今なら地下道、最悪の事態に備えて作った地下通路があります。

そしてその先には移動用のヘリも… 貴女方をここで失くすのは惜しい、ですのでどうかこの提案を…」

パンパンパン

時雨「ごめん、よく聞こえなかった」

霞(この人、躊躇い無く撃った…!?)

時雨「もう一度、いや言う必要は無いか… キミはどうせ、ここで終わるんだ」

親衛隊F「何だと!? 貴様、シェリンドン様への狼藉を…」

時雨「黙っててくれないかな」ジャキッ

親衛隊F「ひっ…」

春雨「時雨、駄目です。貴女の手をそんな事で汚しては」

時雨「じゃあどうしろって言うのさ。言っておくけど、キミに撃たせる選択肢は無いよ。翔鶴さんに顔向けできなくなる」

春雨「大丈夫、撃つ気はありません。はい。 貴女は… 貴女を信じる人々を見捨てて、自分だけ生き残ろうと言う訳ですか」

シェリンドン「彼等は尊い犠牲… 彼等の死はもう覆しようが無い、定められたものです。 ならば我々、生き残るべき人間が生き残り未来を築く。そうする事で彼等の犠牲は報われる事が出来ます」

海風「成る程… よく分かりました」

神通「海風さん…?」

海風「貴女達とは会話は不可能、最早考えてる事すら海風には理解出来ません。 何となく、貴女にイラついていた理由も分かりましたよ。貴女はウチの姉貴よりタチが悪いです。 

まだアレは未来を知ろうと決して何も諦めないで、何かを変えようともがいている。でも貴女は違う。多くの犠牲を、これから出る筈の犠牲を最初から切り捨てている。自分だけが生き残りたい、そう根底にはあるから」

シェリンドン「なっ…!?」

海風「前を見ようとしない、不都合や自分以外の犠牲には目を瞑っている人間に… 未来を歩む資格はありません!」

シェリンドン「では抗って未来を変えられると、未来を視る貴女がそれを言うのですか?」

海風「海風の能力は所詮、想像の飛躍が生み出した産物です。 あくまでも確証も何も無い、海風自身が予測した未来に過ぎ無いんです…

だけどどんな未来を海風が視ようと、その未来にどんな不都合があろうと… 海風は絶対に、目を逸らしたりはしません…!」

霞「私も… 海風と同意見よ」

海風「霞…」

霞「人はどんなに悲しくても、どんなに辛くても必死に生きて抗わなきゃいけない事がある… 例え理不尽な現状でも、未来だとしても。

なら私は戦う… 奪われる命を助けられるのなら、消え逝く命を救えるなら。 ニュータイプだとか進化とか何も関係なく、私が出来る『最善』をやるだけよ…!」

天城「二人共…」

親衛隊G「シェリンドン様がせっかく伸ばしてくださった手を!」

親衛隊H「その未来を振り払う貴様等にこそ未来は…」

神通「貴女達こそ、黙りなさい! 既に多くの犠牲が出ているのに、その事態からも目を背ける者に未来を語る資格など無い!

抗うことを止めた時点で、立ち止まって逃げた時点で貴方達に未来を捨てています! 未来を捨てた者が未来を望む者の道を阻むと言うのなら、私がこの手で今すぐ終わらせましょう!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/12(木) 02:34:05.95 ID:5UlNUCp00<> 「よく言ったよ、3人共! 超級覇王、電影だぁぁぁぁぁぁん!」ドゴォォォォォ

シェリンドン「し、親衛隊が…!?」

春雨「やり過ぎなような気が…」

時雨「別に良いよ、どうせ春雨が嫌いなタイプの、宗教を騙って暴れる人間だ。それより遅かったね、瑞鳳」

瑞鳳「ごめんごめん。結晶体を破壊する算段を整えてた」

「全く… 車を走らせながら急造の武器を作るなんて…」

天城「姉さん…!」

榛名「お待たせしました、天城。迎えに来ましたよ」

間宮「皆さん!ご無事ですか!」

霞「間宮さんまで…」

シェリンドン「真紅の、戦乙女…!」

瑞鳳「その名、知ってたんだ。 カルト教団の教祖様? じゃあそれが何を意味するか、分かってるよね」

親衛隊I「睨まれた組織は塵も残らない… ま、まさか…!?」

親衛隊J「この教団を…!」

瑞鳳「どんな正義や建前を翳しても拉致を行った時点で最早正義なんて微塵も無い。 粒子結晶の暴走が収まり次第、ここに警察組織が来る。

貴方達の所業は既に纏めて公安に垂れ込んだ。 私が警察組織にツテがある事、知らなかったみたいだね」

榛名(と言うか大鯨さんが、ですがね。 昏睡病の資料をそろえたのもあの人ですし)

シェリンドン「何故、貴女達は… そこまで、愚かな選択を出来るのですか…! この組織をなくせば『人の進化』を護る者が…」

瑞鳳「そんなもの、必要無い」

シェリンドン「なっ…!?」

瑞鳳「確かに『人の進化』を護る事は正しいかもしれない。でも、それに巻き添えで犠牲になる『普通の人間』だって沢山居る…

その人達を見捨てて進化した人間だけを護るなんて、私は認めない。 誰かの犠牲の上に成り立つ未来なんて、認めない!」

シェリンドン「我々は… 戦って滅んでいく人類に投げかけられた生き残る術であり、希望… 滅んでいく者に引き摺られる訳には…!」

海風「人には、等しく『可能性』があります。 貴女のように、自分だけが選ばれた人間であると勘違いしている輩より、瑞鳳さん達の選択の方が遥かに良い…!」

霞「『人の可能性』を認識しないで、選ばれた進化だけを守護する? なら私は… 私達は…!」

海風「人間で良い、それ以上もそれ以下も望まない!」

霞「人間で、沢山なのよ! そこを退きなさい、シェリンドン・ロナ!」

シェリンドン「くっ…!」

親衛隊K「貴様等…! 撃つぞ!」

海風「撃ってみろ! 真に正しいと思うなら、海風達が間違っていると言うのなら!」

霞「もし少しでも自分達が間違えてるって思うなら、道を開けろ!」

シェリンドン「…行かせなさい」

親衛隊L「シェリンドン様!? しかし…」

シェリンドン「我々の手を振り払った者をこれ以上相手にしている時間はありません…! 放っておきなさい!」

瑞鳳「行くよ、皆!」

全員「はい!」

シェリンドン(『進化に到達した者』、そして『未来を視る者』… 貴女達の力、まだ諦めた訳ではありませんからね…!) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/12(木) 03:07:03.60 ID:5UlNUCp00<> 時雨「まさか、キミからあんな啖呵が聞けるとは思って無かったよ」

海風「無我夢中でしたよ… 本気で撃たれるかヒヤヒヤしましたし。もう痛いのはごめんですから」

瑞鳳「あの薬持って来てるよ」

海風「あれは本気で勘弁してください…!」

榛名「この先に、バトル台があるんですね?」

天城「はい。 しかし… どうやって粒子結晶を破壊しようと…」

瑞鳳「秘密兵器… 『プラフスキー・バスター・キャノンtype-Z』、砲身が急造で一発しか撃て無いことを除けばこれが唯一結晶を砕く手段だよ」

榛名「まさかこれを車の中で作らされるとは思いませんでした…」

霞「『type-Z』?」

瑞鳳「何種類かあるうちの一つだからね。これは『貫通』に特化した特性を持ち、どんな障壁だろうと一撃で撃ち貫く力を持ってる」

神通(まぁPBCや粒子障壁相手には最強ですが『ミラーリングシステム』とは超極端に相性が悪いんですけどね)

浜風『瑞鳳さん、聞こえますか!』

海風「げッ…!?」

瑞鳳「聞こえてるよ。そっちは?」

浜風『所定位置に到着、準備中です』

瑞鳳「分かった。 作戦通りだね」

浜風『私と夕雲、飛龍さんと蒼龍さん、愛宕さんと大鳳さん、如月さんと野分さんと秋月さんが無人機を引き付けます。 瑞鳳さん達は中枢に突入、粒子結晶と元凶を破壊してください。

それと海風、聞こえていますね。 今『げっ…!?』って聞こえましたし』

海風「聞こえてますよ… 凄く不本意ですが」

浜風『前衛指揮は海風に一任します。 私も突入したいのですが、私の『ニクス』は突入には不向きなので』

海風「結局面倒を押し付けてるだけじゃないですか…」

浜風『海風の指揮能力を見込んで、です。 今の海風なら、やれる筈です』

海風「やれば良いんでしょ、やれば…!」

浜風『任せました…!』

神通「…あ」

霞「どうかしました、先輩?」

神通「私達、機体がありません!?」

海風「海風も部屋にスクランブル忘れてきました!?」

瑞鳳「あ、スクランブルは愛宕先生が回収したよ。 それに、三人の機体は私がとっくに用意してる」

榛名「まさか3機も仕上げるなんて… 当分、プラ板とパテは見たくありません…」

瑞鳳「これが貴女達の機体、受け取って」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/12(木) 03:50:38.79 ID:5UlNUCp00<> 三人の新型


・ベース機:直下
 選択肢
  1.ZZガンダム(ブラストの継続使用)
  2.セラヴィーガンダム
  3.Hi-νガンダムHWS
  4.その他(機体も)
・改造内容(機体名も併記):下3


神通
・ベース機:下5
 選択肢
  1.インフィニットジャスティス(スターリリィの継続使用)
2.ガンダムエピオン
3.ゴッドガンダム
4,その他 直下
・改造内容(機体名も併記):下7


海風
・ベース機:下9
  選択肢
  1.ウイングガンダムゼロ(フレスヴェルグの継続使用)
2.デスティニーガンダム
3.ゴーストガンダム
4,その他 直下
・改造内容(機体名も併記):下11


条件
・霞:ベース機『進化した人類専用、若しくは進化した人類が搭乗することで真価を発揮するガンダムタイプ』、改造内容『重装・砲撃寄り』、機体名『アクロス』と言う単語を使う事

・神通:ベース機『近接格闘特化ガンダムタイプ』、改造内容『剣術・武術を両立出来る機体にすること』、機体名『百合科の花の名前を使う』

・海風:ベース機『高機動戦を行える汎用ガンダムタイプ』、改造内容『バスターソードのようなものを装備、高機動近接戦が可能』、機体名『『アズール』若しくは『アズライト』と言う単語を使うこと』


また3機にはこちらから『特殊システム』を内蔵させて頂きますのでそこはご容赦ください <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 09:39:35.88 ID:9e4Tv7Pw0<> AGE-3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 09:46:58.54 ID:zvB5z+AC0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 10:27:09.05 ID:NDhDSBuQO<> ガンダムAGE-3アクロス
コアファイターをZZのバックパックをベースにして大幅強化、マイクロミサイルとビームキャノン兼ハイパービームサーベルを装備。
頭部にハイメガを追加。また拡散で撃てるようにしてある。

ウェア名「Gアクロス」
上部はオービタルをベースとし、肩部にリフレクターファンネルを増設。スラスターはそのまま残されている。
腕部シールドはサーベルが出る点はあまり変わらないが、ビームガンが打てるように。
ライフルはスタングルライフルを銃剣使用に改造したものを装備。オプションでタイダルバズーカに換装可能。

下半身はフォートレスベース。
腰にストフリのレールキャノンを移植し、尻部分にIフィールド装置追加。
膝にタイタスのビームニーを追加しており、突発的な近接戦に対応。
更に、ふくらはぎ部分へ拡散ミサイルポッドを増設している。
その他細かい部分に小型スラスターを増やしており、小回りはかなり効いている。
以前より最大火力自体は少し落ちたが、継戦能力は大幅強化された。

色はデルタカイと同様のカラーリング。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 11:30:13.20 ID:YTB6er9CO<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 11:32:28.86 ID:t1ci1SwO0<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 14:48:33.55 ID:waiViryc0<> インフィニットジャスティス・ロンギフローラム

神通の以前の機体であるスターリリィを改修した機体。余計な武装などは削ぎ落とし、元々の機体に近くなっている。
機体関節部分に大幅な改良を加えて稼動範囲を向上、また関節強度の補強により神通の全力の動作を完全に再現可能。
肘から下の腕部をゴッドガンダムのものに変更し剣術だけでなく拳による戦闘も行えるようになり、瑞鳳同様ゴッドフィンガーや石破天驚拳なども使えるようになった。
稼動範囲の向上の為に肩は元に戻され単独の飛行能力は喪失したが柔軟性があがったことによって神通の本来の能力をフルで活用可能になっている。
武装は各部機関砲にビームライフル、脚部のグリフォンビームブレイドと新造された二対の専用日本刀『光忠』『貞宗』、そしてファトゥム-01を改造した『ファトゥム-02』。シールドとアンカーは使用頻度の少なさから廃されたが代わりにデスティニーのビームシールド発振基が移植されている。
塗装は白に変更された。
一応ハイパーモード機能も付与されている。

日本刀『光忠』&『貞宗』

専用に製作された日本刀でシュベール・ラケルタ ビームサーベルの代わりに両腰に装備されている。
ガーベラストレートを改造したもので軽量化が図られ切り返しの速度が速められた。
しかし質量が軽減したことで強度そのものが落ちているものの刃がより鋭利なものになっており、神通の技量を以ってすれば大抵のものは切れる。
また粒子変容加工が施され、ビームサーベルすら切り裂くことが可能。
そして『奥の手』としてゴッドフィンガーの熱を刀身に伝導させて赤熱化させ『炎の刃』としても振るう事が出来る。
名称は伊達政宗が保有したとされる刀から。


ファトゥム-02

ファトゥム-01改を改修し、アップデートしたもの。兵装懸架ユニットは使用頻度がほぼゼロだった為廃された。
ヴォアチュール・リュミエール展開機能が付与されており、加速性が高められている。
最大の特徴として全体が鋭角化されており、ビームを展開せずともユニットそのものが『刃』のような強度を持つ。
またタクティカルアームズULのようにアローモードへと変形が可能で『弓』としての機能も新たに付与された。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 16:14:48.75 ID:DGltJHy3O<> ↑ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 19:30:11.24 ID:hwYbyg7C0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/12(木) 19:30:50.07 ID:VKEW9TV2O<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/13(金) 12:49:59.91 ID:assU+eoSO<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/13(金) 18:02:49.05 ID:Am+A9gxX0<> ウイングガンダム・アズライト
ベースであるフレスヴェルクからの変更点のみ記述。書いていない部分は出力の強化以外変更はありません。
翼をゼロ炎のものに変更し、フェザーブレイドも追加。
ツインバスターライフルは銃身下部にサーベル発生装置を増設。
ふくらはぎの部分をインフィニットジャスティス、足をバルバトスルプスレクスのものに変更し、パイルバンカーやビームサーベルによって格闘の幅をさらに広げている。
その他にも全身にクリアパーツをふんだんに使用し、粒子貯蔵量を上げ戦闘可能時間が大幅向上している。
色はアズライトの名の通り、クリアパーツも含め青ベース。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/14(土) 02:17:39.25 ID:PlTspHOB0<> 申し訳ありません

霞機として選択された『AGE-3』に関して、AGE-3は霞の要項を満たしているとは言えないので申し訳ありませんが却下させてください(機体そのものは中盤、キオの操縦についていけておらずXラウンダー関連装備も存在しないため)

またこの世界は以前にも書きましたが性質上『HGBF系統のガンプラが存在しない』設定であるのでゼロ炎及びそのカスタムキットは存在しせずハイパーカレトヴルッフとフェザーブレイドは存在していませんのでその部分は却下、こちらで改変させて頂きます(あとルプスレクスの脚部は実物を確認したところウイングゼロの可変機構と相性が悪いため踵だけの採用となります)。


霞機 再安価

・ベース機体 直下
 1.ZZガンダム(ブラストZZベース)
 2.ガンダムAGE-FX
 3.セラヴィーガンダム
 4.その他

・改造内容(機体名併記) 下3

条件
・霞:ベース機『進化した人類専用、若しくは進化した人類が搭乗することで真価を発揮するガンダムタイプ』、改造内容『重装・砲撃寄り』、機体名『アクロス』と言う単語を使う事 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/14(土) 05:19:12.63 ID:FhZNyhmA0<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/14(土) 09:35:28.90 ID:AO3NnBlZ0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/14(土) 12:24:35.52 ID:7G8VUjwN0<> アドバンスド・ブラスト「アクロスフェイト」

変更点のみ

機体にアトラスガンダムのサブレッグとブレードシールドを追加装備
バックパックの大型ビーム砲はアトラスガンダムのレールガンに換装
外した大型ビーム砲は左手用の持ち手ビームキャノンとして運用
膝、肘、肩にマルチディスチャージャーを備え、煙幕、ビーム撹乱幕、グレネード等を射出可能
機体色は灰色系のスプリッター迷彩 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/14(土) 17:02:00.72 ID:PlTspHOB0<> ウイングガンダム・アズライト
武装
・ツインバスターライフルアズライト(サーベル内蔵)
・アズライトバスターソード×2
・アズライトウイングブレイド×4
・ビームサーベル×2
・マシンキャノン×2
・ビームガン兼ビームトンファー×2
・グリフォン・ビームブレイド×2
・脚部内蔵パイルバンカー×2
・ウイングシールド

概要
海風の『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』に強化改修を加えた機体。全体的に出力が向上、外装パーツも半分近くが新造されている。
ファイターたる海風の戦闘データを反映し、内蔵されたシステムの使用を前提に改修されておりより海風の戦闘能力を引き出すことが可能。
背部のウイングには翼としての機能も兼ねた専用大剣『アズライトバスターソード』を装備、さらにウイング部分には新造された4本の『アズライトウイングブレイド』が装備されている。
『アズライトウイングブレイド』は4本の大剣でありメイングリップと大型刃1枚、峰部分に取り付けられた小羽状の刃3枚で構成されている武装で2本を合体させることで巨大なバスターソードなる。
他にもツインバスターライフルはビームサーベルを内蔵した『ツインバスターライフルアズライト』へと改修、∞ジャスティス用のグリフォンや踵にパイルバンカーなど全体的な格闘能力の向上が図られた。
そして最大の改修点は特殊システム『アズライトバースト』を内蔵している事。以前より装備されていた『モード・アズール』の特性である『バトルごとに残留した粒子を溜め込みその貯蔵粒子分だけ性能が向上する』能力を扱い易くしたものが『アズライトバースト』。
今までのものは貯蔵粒子の量だけ無制限に性能が向上され自壊の危険を招いていたがこちらは『改RX-0』の技術を流用し、粒子制御能力が向上しており過剰な粒子は全て武装に転化させる事で自壊を防ぐように改良された。
粒子を武器にまとわせ振るうことで巨大な『刃』とする能力も健在で、制御能力向上により腕や剣が砕けるような事態は起きないように改良されている。
これまで幾多の戦いを重ね、そして戦い抜いて来た海風は新たに『鷲の巨人』の力を受け継ぐ『藍銅鉱の翼』を持つガンダムと共に戦場を駆ける。自分の視た『最良の未来』へと辿り着く為に、そして仲間達と共に未来を切り拓く為に…


インフィニットジャスティス・ロンギフローラム
武装
・MMI-M19L 14mm2連装近接防御機関砲×2
・MMI-GAU26 17.5mmCIWS×4
・MA-M1911 高エネルギービームライフル
・専用太刀『光忠』&『貞宗』
・MR-Q15Aグリフォン ビームブレイド×2
ファトゥム-02
・MA-6Jハイパーフォルティス ビーム砲×2
・MA-M02Sブレフィスラケルタ×2
・MA-M02Gシュペールラケルタ
・MR-Q17Xグリフォン2 ビームブレイド×2

概要
神通の以前の機体であるスターリリィを改修した機体。余計な武装などは削ぎ落とし、元々の機体に近くなっている。 機体関節部分に大幅な改良を加えて稼動範囲を向上、また関節強度の補強により神通の全力の動作を完全に再現可能。
肘から下の腕部をゴッドガンダムのものに変更し剣術だけでなく拳による戦闘も行えるようになり、瑞鳳同様ゴッドフィンガーや石破天驚拳なども使えるようになった。
稼動範囲の向上の為に肩は元に戻され単独の飛行能力は喪失したが柔軟性があがったことによって神通の本来の能力をフルで活用可能になっている。
武装は各部機関砲にビームライフル、脚部のグリフォンビームブレイドと新造された二対の専用日本刀『光忠』『貞宗』、そしてファトゥム-01を改造した『ファトゥム-02』。シールドとアンカーは使用頻度の少なさから廃されたが代わりにデスティニーのビームシールド発振基が移植されている。
『光忠』と『貞宗』は伊達政宗が保有したとされる刀から名称を取った太刀で刀身が軽く、通常のものと比べ切り返しが速いのが特徴。ただし軽くなった影響で脆くなっているが神通の技量ならば特に問題は無い。
また刀身の熱伝導効率が高く、ゴッドフィンガーを使った状態で使用すると刀身が熱を帯びて『炎の剣』となる。
ファトゥム-02は武装懸架ユニットを廃止して代わりにVL展開機能を付与して最大速度を向上、そして全体が鋭角化したことでそのままでも高い攻撃能力を発揮可能。さらにアローモードへの変形機構が加えられており、射撃戦にも対応できるようになった。
そして最大の変更点は特殊システム『フルブルームバースト』が搭載されたこと。『フルブルームバースト』はハイパーモードに相当する能力で、神通が花をモチーフにすることから『満開』の名前を使用している。
バースト使用の際は全身のクリアパーツがオレンジに発光し、規格外のパワーや性能を発揮する事が出来る。発動の際には神通が明鏡止水の状態になる必要がある。
『ヒメユリ』から『テッポウユリ』の名前に変えたことで塗装は白に変更されている。
『未来を変える』、そんな無謀とも言える願いの為に過去へと転移した神通。誇りを未来への希望に変えて神通は駆け抜ける、その果てに散ることがわかっていたとしても。それが『花の戦乙女』の生き方だから。
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/14(土) 23:26:03.90 ID:PlTspHOB0<> すみません、真に勝手ですが名前と一部装備(肩部にレールガンは腕の動きやバックパックに干渉するので不可能、なので通常の手持ち式へと変更)を変更させて頂きます

ブラストアクロスZZ
武装
・ダブルバルカン
・ハイ・メガ・キャノン
・ハイパー・ビーム・サーベル(ダブル・キャノン)×2
・21連装ミサイルランチャー×2
・5連装型ロケットランチャー
・肩部レールガン
・6連装多弾頭ミサイルポッド
・大腿部ビームカノン×2
・リフレクターインコム
・左腕手持ち式大型ビームキャノン
・マルチディスチャージャー×6
・サブレッグ
・ブレードシールド

概要
ブラストZZを改修した機体で、機体全体の出力や反応速度はNTの霞にあわせた調整を施されている。
極限まで反応速度を底上げされており、NTの能力に覚醒しつつある霞にしか使いこなす事は不可能。
機体の変更点は乏しくダブルビームライフルからアトラスガンダム用レールガンへと変更、そして膝・肩・肘にはマルチディスチャージャーを装備しビーム撹乱幕やスモークなどで隠密性・防御力を強化している。
またアトラスガンダム用のサブレッグとブレードシールドを装備し機動力と防御力を補うことで強化した。
ただしバランスや可動範囲、火器管制能力に関しては劣悪であり霞以外ではまともに使いこなすことは不可能となっている。
そして特殊システム『アクロスバースト』を内蔵するのが大きな変更点。能力は『RGシステムtype-Z』をベースに擬似的に本編中のZZの能力、巨大なサーベル形成や超出力のハイメガキャノンなどを再現したり、機体性能の爆発的な向上などを発現できる。ただし粒子消費は膨大で一度きりの切り札。
塗装は灰色をベースにスプリッター迷彩を施されていた。また各部にクリアパーツが追加され、システム発動時は紫に輝く。
変わっていく自分に戸惑いながら、霞は戦い続ける。自分なりの『進化』の道を辿り、可能性を閉ざす者達を打ち砕く為に。隣に立つ友の為、隣に立つ仲間の為に『衝撃』は今と未来の境界へと駆ける。



瑞鳳「『ウイングガンダム・アズライト』『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』『ブラストアクロスZZ』… これが貴女達の新しい機体だよ」

神通「これは… 私達が仕上げていた筈の機体… でも、クリアパーツが全身に…」

瑞鳳「私謹製、三人にあわせた特殊システムを組み込んだからね。それぞれ『アズライトバースト』『フルブルームバースト』『アクロスバースト』、RGをベースにした3つのシステムを組み込んだ。

海風ちゃんのは言わずもかな、あのシステムの発展系。神通ちゃんのはRGをGガンのハイパーモードに近づけたもの、霞ちゃんのはニュータイプ系能力の擬似再現ってところかな」

霞「これが、私達の…」

海風「新しい力…」

天城(凄い… 完成度が全部フェンリルと同等… あれを短時間で仕上げるなんて…)

榛名(しかもシームルグの技術を完全に取り込んでる… こちらも『RG』の技術はデータで手にしているとは言え再現には手間がかかったのに…

スクランブルなんか比では無い、超高レベルで技術が融合している…)
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/15(日) 03:17:29.73 ID:J0z+nBrB0<> 《バトルルーム》

ウォースパイト「ハル、セッティングは終わったわ。ここからなら機体を射出できる」

榛名「ありがとうございます、ウォースパイト」

萩風「ここで出撃出来るのは… この15人、ですか」

青葉「いえ、12です」

古鷹「私達はガンプラが無いから…」

衣笠「操縦技術も無いし、ここで護衛に徹するね」

海風「では戦力は…」

自軍戦力
・海風:ウイングガンダム・アズライト
・神通:インフィニットジャスティス・ロンギフローラム
・霞:ブラストアクロスZZ
・萩風:ガンダムエクシアルベルム
・瑞鳳:ガンダムエピオン・クロイツ
・榛名:フェンリル
・天城:スレイプニル
・青葉:グリンカムビ
・間宮:スヴァジルファリ
・ウォースパイト:ヴィドフニル
・春雨
・時雨:ビギナ・ぜラ・ホワイトフレームU
・三日月


海風「主力は改RX-0、そして瑞鳳さんの『クロイツ』の血統…」

時雨「まぁそうだね。僕らの機体も、瑞鳳の技術が軸になってるから」

三日月(裏)「春雨、以前頼んだ機体の調整は?」

春雨「終わってますよ。 ちゃんと、所望だった装備も用意しました」

三日月(裏)「助かる。ドーベン・ウルフでは対応出来ない局面が多いのでな…」

時雨「しかも人格ごとに戦闘スタイルが全然違うのも厄介なところだ」

春雨「調整には難儀しましたよ、はい…」

瑞鳳「雑談してる暇は無いよ。ウォースパイトさん、始めてください」

ウォースパイト「了解。システム、起動!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>sage<>2017/10/15(日) 03:25:49.76 ID:J0z+nBrB0<> すみません、青葉の台詞『12人』ではなく『13人でした』 <> ◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/16(月) 00:32:51.25 ID:GLSLmYpQ0<> GUNPLA BATTLE COMBAT MODE EMERGENCY STRAT UP


天城「天城、『RX-0[S] スレイプニル』!」

間宮「間宮、『RX-0[Sv] スヴァジルファリ』!」

ウォースパイト「Warspite… 『RX-0[Vd] Vidofnir』!」

青葉「『RX-0[Gr] グリンカムビ』、青葉!」

榛名「『RX-0[F] フェンリル』、榛名!」

春雨「『ガンダムスローネ・ヴァリアントU』、春雨!」

時雨「『ビギナ・ゼラ・ホワイトフレームU』、時雨」

三日月「『ガンダム・バルバトスルプス・クレセント』、三日月!」

萩風「『ガンダムエクシアルベルム』、萩風!」

霞「霞、『ブラストアクロスZZ』!」

神通「『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』、神通!」

海風「『ウイングガンダム・アズライト』、海風!」

瑞鳳「瑞鳳、『ガンダムエピオン・クロイツ』! 全機、推して参ります!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/16(月) 01:30:53.67 ID:GLSLmYpQ0<> 瑞鳳「海風ちゃん、部隊編成と指揮お願い!」

海風「わかりました!」

海風(各機の性能はおおよそ把握していますが…)

春雨「あの、どうかしましたか?」

海風「すみません、お二人共。機体データをお願いします」

三日月「ああ、こちらの性能を把握していないと…」

海風「はい。指揮は愚かポジションの決定も難しいので」

春雨「分かりました。 転送します」



ガンダムスローネ・ヴァリアントU
武装
・GNビームサーベル×2
・GNハンドガン
・GNファング×8
・GNピストルU×2
・GNスナイパーライフルU改
・GNライフルビット×2
・GNシールドビット×8

概要
春雨用の機体で以前使用していた『スローネヴァリアント』の発展機。オリジナルは浜風・夕雲戦で破損・喪失しておりこちらは武装などを転用し新造されたもの。
大きな変更点はGNスナイパーライフルUを改修、よりロングバレルになっており超長距離狙撃に対応している。またセンサー類も強化され春雨に合わせた狙撃に特化した機体になった。
またディバイダーの代わりにGNシールドビットを背部に接続し防御能力を高め、右肩部にはライフルビットの追加などの改修を行われ火力も増強されている。
バインダーの裏にはGNピストルUも内蔵されており近接や手数が必要な時にはこちらも使用可能。


ガンダム・バルバトスルプスクレッセント
武装
・アサルトライフル×2
・太刀×2
ヴァリアブルウエポンバインダー
・太刀×4
・ソードメイス×2
・長距離レールガン×2(外付け)

概要
三日月用に新造された機体。こちらは『三つの人格』により変化する戦闘スタイルに対応可能なように改修を施されている。
武装はアサルトライフル二丁と両腕の200mm砲の接続穴に太刀がマウント、そして背部に装着されたヴァリアブルウエポンバインダー。
ヴァリアブルウエポンバインダーには個々の人格にあわせた装備が付属しており、主人格たる第一人格(オリジナル)用には外付けの長距離用レールガン二丁、第二の裏人格用には4本の太刀、そして新しい第三人格にはソードメイス2本が与えられた。
またリミッターの解除も可能であり、発動時は原作のハシュマル戦のような戦いぶりが行える。ただし操縦難度が増すので3つの人格が強力する必要があるのが難点。
余談だが三日月の人格は第一以外は全て彼女の感情が分離したもの。第二は彼女がある一件でマジギレした際の『怒り』、第三は春雨への『ある感情』であり、それぞれが全て春雨に起因している。


海風(こちらはスローネツヴァイを狙撃用に改修したもの、これケルディムじゃ駄目なんですかね。そしてバルバトスは武装過多、よくまともに使えますね…)

海風「では全機、3機〜4機の小隊を編成してください。 編成割は今転送しました」


小隊編成
・第一小隊:瑞鳳、萩風、青葉
・第二小隊:榛名、天城、間宮、ウォースパイト
・第三小隊:春雨、時雨、三日月
・第四小隊:海風、神通、霞

海風「各機、この小隊で行動を。 絶対に単機で孤立しないように。 萩風さん、マップをください」

萩風「了解です。 今出します」

海風「この図なら… 最短経路で突破、まず地上に出て一直線に講堂に向かいましょう。 瑞鳳さん、バスターキャノンの射程は?」

瑞鳳「10メートルってとこ。ただこれ、単機で持ってると機動力が死ぬね」

海風「わかりました。 では第四小隊で牽引します。 戦闘の際は一応隅にでも置いておきましょう」

間宮「言っている側から… 敵機接近、数27。 戦闘まで残り100秒!」

海風「全機、オールウエポンズフリー! 交戦、開始してください!」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/16(月) 10:04:38.60 ID:7CjOv9z30<> 見たことない機体が増援が現れる <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/17(火) 01:16:12.45 ID:W7dLOH6d0<> 海風「第二小隊、正面へ! 第三小隊は各小隊のフォローをしつつPBCの護衛を! 第一小隊は右側、第四小隊は左側から攻めます!」

榛名「そこを、退け!」


スライサービットが射出され、立ちはだかる数機のMSを切り裂く。その後方からヴィドフニルとスヴァジルファリが砲撃を行い、敵の数を減らして防御の薄くなった場所にスレイプニルが吶喊し敵の勢いを削ぐ。


間宮「天城さん、敵さらに接近!」

天城「くっ…!」

ウォースパイト「任せなさい! Spred Mode!」

瑞鳳「青葉さん、フォローを! 萩風ちゃん、やるよ!」

青葉「了解!」

萩風「はい、お母様!」


右側から切り込むエピオンとエクシアが敵を蹂躙し、青葉の攻撃が複数機の敵機を纏めて葬る。

そしてその逆サイドからは海風と神通が突撃し、それを霞がフォローしていた。


海風「先輩!」

神通「天剣、絶刀!」

霞「あの2機、速いけど… こっちだって!」

時雨「荷物が無ければ暴れられるのに…!」

春雨「…! まだ何か来ます!」

三日月(オ)「春雨、無人機じゃないみたいだ」

春雨「え…?」

三日月(オ)「速度が速すぎる。それに、妙な殺気だ…!」

霞「でも、敵じゃない…?」


そして、数条のビームが敵機を薙ぎ払う!


海風「味方…?」

神通「私達を避けた攻撃、これは一体…」


到着した援軍 直下
1.『RX-0[M]』『RX-0[G]』『RX-0[V]』『RX-0[H]』
2.親衛隊一同
3.その他(内容も ただし一部キャラはNG)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/17(火) 03:37:14.54 ID:64XjVBGA0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/17(火) 22:31:56.14 ID:W7dLOH6d0<> そしてさらに多数の屈折するビームが敵機を貫き、接近する機体の殆どを撃破する。


天城「姉さん、このビーム…!」

榛名「『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』の…」

間宮「識別確認! これは『RX-0[M]』!?」

海風「その型番は…」


その直後、光の翼を纏った機体が猛スピードで敵陣へと突撃し翼で複数機を薙ぎ払う。

さらに一撃のビームが数機を纏めて射抜き、敵を屠った。


青葉「『ネージュ・エール』と『グシスナウタル』… まさか…!」

間宮「『RX-0[G]』と『RX-0[V]』!?」

霞「『マーナガルム』『ヴェズルフェルニル』『ガルム』…!?」

「そう言うことだよ!」


全員の前に降り立ったのは重装甲を纏った白いMS、そして榛名達と同系統の『RX-0』。

通信ウインドウが開き、そのファイターが露となる。


榛名「阿武隈!?」

阿武隈「ごめん、大鯨さんから天城姉さんが拉致されたって聞いて… 詳しいことは秋月ちゃん達には聞いたよ。同じ場所から操ってるから」

榛名「いや、そもそもどうやってここに… ここ奥多摩でバスすら無い場所ですよ!?」

陽炎「そりゃ拉致よ。大鯨さんにやられた」

長波「早朝叩き起こされたと思ったら拉致られて、高速法定速度ギリギリでかっとばした上に変な裏道使いまくって…

挙句山に入ったら道なき道を走らされて学校の前に放り投げられたんだよ。 お陰で満潮が酔ってダウンしたぞ」

瑞鳳「ごめん!後で〆とく!」

天城「って、満潮も!?」

満潮「うぷ… まだ気持ち悪い…」

陽炎「アンタ、操縦して大丈夫なの?」

満潮「吐いたらアンタにかけてやる…」

陽炎「私に被害及ぼすのやめなさいよ!」

榛名「どうして満潮まで…」

満潮「一応、アンタ達とは戸籍上は義理の姉妹だし… 元凶がアンタとは言え拾って貰った恩もある。

それに… こんな虐殺まがいのことを見過ごせる程薄情じゃないわ…!」

榛名(こうなった以上仕方無い… 機体も隠匿したかったし、何より妹達をこんな事態に巻き込みたくはなかったけど…!)

榛名「では4人とも、無茶しないでください。 それぞれ海風さんの指揮下、彼女の指示に従うように」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/18(水) 00:47:07.86 ID:Rzg2/CEU0<> 参入

マーナガルム(真)
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
強化装備ユニット『ヤールングレイヴル』
・リモート・アタックユニット『スコール』『ハティ』
・スフィア・フォーカス・ビームキャノン×12門
・クローアーム×2

阿武隈の使用する『マーナガルム』の『本来の姿』。中学生向けに敢えてデチューンしていたものを元に戻した仕様。
最大の特徴はグリンカムビ同様の強化装備『ヤールングレイヴル』を装備していること。
『ヤールングレイヴル』はグリンカムビの『ドラウプニル』とは真逆の近接特化仕様でありIFジェネレータや重装甲による堅牢さ、両肩の巨大ブースターによる高い加速力、そして金属すらも容易くねじ切るパワーのクローアームなどを用いた突撃戦法を得意とする。
一応五指もあるが戦闘では殆ど使われることは無く、もっぱらクローアームが使われることが多い。
武装は脚部に内蔵された『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』で、ビームが軌道を変えながらオールレンジ攻撃を行うのが特徴。
『スコール』『ハティ』は両肩のブースターに内蔵される形式に変更となったが先端にドリルが付き、貫通した敵のエネルギーを奪う機能も付いている。
『コード・ブレイヴ』発動時には高い加速性とパワーがさらに向上し、敵を文字通り『粉砕』することが可能。
塗装は『ホワイトクリーン』の名前に則り榛名同様の白に改められ、発光も青となっている。 モチーフは『ヴァルアルム』。


ヴェズルフェルニル(真)
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・ビーム・サブマシンガン
・実体剣『グラム』
・ミノフスキードライブユニット『スキーズブラズニル』

陽炎の使用する『ヴェズルフェルニル』の『本来の姿』。
変更点は少なく、背部にミノフスキードライブユニット『スキーズブラズニル』を装備したことのみ。
『スキーズブラズニル』はV2ガンダムのものとは異なり、かなり有機的な翼の形状で加速能力は常軌を逸する。
その加速能力は最大で『まともな人間なら目視すら困難になる』ほどで、反射神経に優れた陽炎のみが唯一まともに使うことが出来る装備となった。
また形成された『光の翼』はV2同様武器に転用する事や、放出された余剰エネルギーを集束させて遠隔操作出来る無数の刃『ネージュエール』としてぶつける事も可能。
ただしその反面、エネルギーが常にカツカツであり武装が乏しくビーム・サブマシンガンと専用の実体剣『グラム』しか持っていない。
『コード・ブレイヴ』発動時にはさらに加速能力が上昇、最早手が付けられなくなるが最大加速を維持し続けると自爆しかねない可能性がある。
塗装は『ホワイトクリーン』の名前に則り榛名同様の白に改められ、発光も青となっている。 モチーフは『アストラナガン』。


ガルム(真)
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・クローシールド×2
・肩部ビームキャノン×2
・専用弓装『グシスナウタル』

陽炎の使用する『ガルム』の『本来の姿』。
元々ガルムは天城の『スレイプニル』や間宮の『スヴァジルファリ』と同系統の機体であり、同じ規格のパーツが使われている。
その為『スヴァジルファリ』と同じ肩部ビームキャノンと2機と共通のクローシールドを武装として持つ。
またステルス性が強化され、余計な装備なしでも『ミラージュコロイド』と『ハイパージャマー』を併用して使用可能。
専用武装は弓装『グシスナウタル』。元々榛名が使っていた武器だが封印され、長波の手に渡った。
グシスナウタルは『必中』の武器であり、一度放てば命中するまで相手を追い続けるビームを放つ。しかし防がれても命中したことになってしまう為、もう一つの能力として『必中』を犠牲にすることでどんな装甲や防御策すらも貫く『必殺』の矢となる。
ただしミラーリングシステムやアブソーブなど『粒子を吸収する』特性を持つ能力には弱く二つの能力の同時使用は不可能であり、そこが弱点。
しかし最大の点はステルスシステムと併用して使えること。そのため『目視出来ない相手が移動しながら必ず当たるビームを撃ってくる』と言う状況を作り上げて相手を恐怖に陥れられる。
『コード・ブレイヴ』発動時は性能上昇の他にクローシールドから巨大な爪を生成する『プラフスキー・バスター・クロー』。
塗装は『ホワイトクリーン』の名前に則り榛名同様の白に改められ、発光も青となっている。 モチーフは『ラフトクランズ・カロクアラ』。



<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/18(水) 02:02:56.62 ID:Rzg2/CEU0<> 霞「最早原型留めて無いわね…」

榛名「いえ、アレは元々デチューンした仕様でこちらが本来の姿です」

萩風「確かに中学生の戦いにこんな機体が出てきたら一方的でしょうね」

萩風(多分ガンプラ学園も苦戦、どころか一歩間違えれば敗退も在り得る完成度… 海風さん達の機体もそうですが、インフレが凄まじいです)

海風「そして満潮さんの機体は… 『フレスヴェルグ』…」

満潮「何よ、文句あんの?」

海風「いえ… ただ機体の名前に親近感が…」

瑞鳳「北欧神話モチーフならそりゃあるか、フレスヴェルグ」

春雨「あの機体の名前、元々浜風が付けたものなんですけど…」

時雨「まぁ、軽く深夜のアッパーテンションだったからね。あの機体が完成したとき」

海風「アッパーテンションで名前付けられたんですか…!」

三日月(裏)「落ち着け。 そしてその件はあとで問い質せ」


フレスヴェルグ
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・アームド・アーマーDE改×2
・スライサービット×8
・多目的ロングライフル『グングニルU』
・アンカーシールド

概要
『フェンリル』と『ヴィドフニル』のパーツを組み合わせて作り上げられた満潮用の改RX-0。ヴィドフニルとは異なり格闘戦にも対応する。
リングビットの機能はスライサービットが担うことで、余計な装備が少なくなり機動力が微妙に上がった。
またスライサービットを本体の加速装置として利用する事も可能で、瞬間的な加速で間合いをつめて銃身から展開したサーベルで貫くといった戦法も可能。
アンカーシールドは格闘武器としても使用出来る。その為高い切断力を持ち、ある程度ならガンプラすら切断する。
コード・ブレイヴ発動時の能力はヴィドフニルのものより出力の上がった『プラフスキー・フルクラム・ブライカーU』。
塗装は灰色、NT-D発動時の色は緑色。モチーフは『リ・ブラスタT』。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/18(水) 23:08:45.97 ID:Rzg2/CEU0<> 《その頃 屋外》


大鳳「愛宕さん!」

愛宕「わかってるわ!」


迫るベルガ・ギロスへとサーベルを突き立て、そして切り裂くのはオレンジ色の機体『スクランブルガンダム』。

海風の使用していた機体を愛宕は先程回収しておりそれを用いて戦っていた。


愛宕「スクランブル… 暴走はしないようね」

大鳳「瑞鳳が暴走しないように手を加えてるみたいだけど… その代わりに操縦性が悪いわ…!」


大鳳が使っている機体も『スクランブルガンダム』、こちらは前日に海風達の鹵獲した機体を黒くリペイントして用いた物だ。

そして2機、特に暴走した大鳳用のスクランブルには徹底した対策が施されておりその代償に操りにくくなっている。


蒼龍「纏めて片付ける! 飛龍!」

飛龍「よしっ! トランザムッ!」

蒼龍「ソーラーシステム、起動!」


飛龍が駆る新型『ダブルオーライザー・クロイツ』が赤い輝きを帯びてトランザム状態へと変化し、蒼龍の『ガンダムDX・クロイツ』もソーラーパネルが輝きサテライトキャノンの砲身が展開される。

そして2機のMSから極大の粒子の奔流が解き放たれた!


飛龍「ライザー、ソォォォォドッ!」

蒼龍「サテライトキャノン! 発射!」


粒子の奔流が戦域に居る敵機の多数を呑み込み、そして葬り去る。 2機の前には何も残らない。膨大な熱量に耐え切れず数十機ものガンプラの存在は跡形も無く消えてしまった。


飛龍「いけるっ…! この機体なら!」

浜風「調子は悪く無いようですね、その新型」

飛龍「当たり前よ。 出来たばかりの、新型機よ」


ダブルオーガンダム・クロイツ
武装
・GNソードV
・GNビームサーベル×2
・GNバスターソードU
・GNソードUブラスター
・GNカタール×2
オーライザーtype-H
・GNビームマシンガン×2
・GNマイクロミサイル×8
・GNウイングソード×2

概要
飛龍用の新型で『ダブルオーガンダム』の改造機。『RGシステムtype-Z』を搭載していることは他のクロイツシリーズと共通。
武装は『ダブルオーライザー・セブンソード/G』とも言うべき装備となっており、高い近接能力を持つ。
性能は他の機体と遜色なく、瑞鳳のエピオンとも互角以上の性能を誇る。
そして瑞鳳謹製の『オーライザーtype-H』には『周囲の粒子を取り込んで火器へとまわす』事が出来る特性を持ち、DX同様高い継戦能力を持つ。
また翼部がブレードとなっており、オーライザーをも近接武装としても使用可能。
本機の製作には『ウイングガンダム・アズライト』の基礎データが使われており多数の剣を装備するなど共通点が多い。
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/19(木) 00:05:38.27 ID:ccGTjbu/0<> 夕雲「浜風さん、このエリアの敵は殲滅しました。これからどうします?」

浜風「如月さん、戦闘へ継続可能ですか?」

如月「ええ。『ラタトスク』以下3機、戦闘に支障は無いわ」

野分「損傷軽微、戦えます…!」

秋月「エイクスュリュニルも問題ありません」

浜風(どうする…? 瑞鳳さんや海風と合流すべきか、このまま結晶体のある講堂に突入するか…)

浜風「…別働で動いてやられるより、集まったほうが得策でしょう」

愛宕「このまま突入しないの?」

浜風「嫌な予感がします… ぞれにこのまま突入しても、瑞鳳さん達が居る訳では無いので結晶を破壊出来ませんし」

浜風(最も怖いのは『因果』… 私達は昏睡病との戦いの中で敗れ、倒れたと神通さんは言っていた。 それがいつ、どのタイミングかは聞いていないけど…

だけどこの編成に瑞鳳さんだけが別行動を取っていると言う状況自体がある種の『フラグ』かもしれない。 今は確実、堅実に生き残る手段を見出すしか…!)

飛龍「何よ、浜風にしちゃ消極的じゃない」

浜風「人間、臆病なくらいが丁度良いんです。 このまま校舎に突入、瑞鳳さん達と合流を図ります」


移動した後、彼女達は知らなかった。 その選択は間違いで無かったことに。

何故なら直後に…


「チッ… 逃げられたようだ」

(ここで仕留める筈が… 予定外の動きだな。 まさか、向こう側に…)

「考え過ぎだな。 イレギュラーは居れど、この局面を乗り越える事は出来ん」

「どうなさいますか?」

「奴等は必ず講堂に向かう。そこを待ち伏せ、全滅させるぞ」

「「ハッ!」」


三人の男の操るガンプラが踵を返し、講堂へと戻っていく。 そしてそのガンプラは大鳳と愛宕の機体と、良く似ていたのであった。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/19(木) 01:50:44.48 ID:ccGTjbu/0<> 《渡り廊下》

海風「識別信号、『LN-ZGMF-X13K』… うげっ…」

浜風「また『うげっ』って言いましたか?」

瑞鳳「はいはい、喧嘩しないの。 状況は?」

浜風「敵の攻勢は止んで防戦に回った模様です。 中の様子は愛宕さん達が威力偵察を行ってきたのですが…」

愛宕「うぷ… ごめん、私には…」

大鳳「どうして、あんなこと出来るのよ…!」

浜風「愛宕さんと大鳳さんがグロッキー状態で…」

海風「…凄惨なんですね」

浜風「ええ。 海風、貴女達は『こちら側』に来なくて良い。 いや、来ないで」

海風「いいえ、行きます。 ここに来るまで、何人もの遺体を見てきました。彼等の弔いの為にも、行かせてください」

浜風「しかし…」

霞「私も、覚悟は出来てます。 私がこの事件の原因の一端であるなら、私にはこの事態を終わらせる義務がある」

浜風「霞さんまで…」

神通「私は元々『そのつもり』でこの時代に来ました。 それに深海棲艦の侵攻で、死は見慣れています」

萩風「それに戦力はこれから足りなくなるかもしれません。 優秀な指揮官とEXAMに狙われる危険のある者ならば、かなりの戦力を割く必要が出ますよ」

浜風「それは… …わかりました。 では引き続き海風はそちら側の中隊指揮を執って下さい。 私はこちらの中隊指揮を行います」

海風「言われなくともそのつもりです。 で、二方向からの同時侵攻と一点突破、どっちにします?」

浜風「勿論… 一点突破が最善手です」

霞「え、二方向なら敵が分散して…」

海風「それは戦力が分かっている相手にのみ有効な手段です。 相手は数もその能力も分からない、だから現状は密集が最善手なんです」

浜風「さらに言えば二方向より一点集中の方が互いをフォローできる点において生存率がこちらの方が上でしょう。まぁこちらを丸々飲み込むような大出力砲撃とかには無意味ですが」

海風「では… 行きましょう」


《講堂》


海風「酷い…」

萩風「取り残されてた人達は… 皆殺しにされてます。もう、誰も生きてはいません」

霞「こんな… さっきまで生きてたのに、こんなの… 人の死に方じゃない…!」

神通「仇は討ちます…!」

陽炎「一応忠告しておくけど、死に呑み込まれないでよ。 死者って言うのは平気で生者の枷になって、引き摺られて死ぬ人間だって居る。

それにこんな状況じゃまたいっぱい人が死ぬ。 今の内に刻み込みなさい、その目に。 本当の『理不尽な死』がどう言うものかをね」

天城「…」キッ

榛名「天城、抑えてください。 怒りを覚えるのは分かりますが、冷静さを欠かないように」

天城「頭で分かってはいますが…!」

間宮「これは私でも、抑えられません…!」

青葉「元凶の頭、爆破してやる…!」

長波「こっちも、久々に頭にキたよ…!」

阿武隈「絶対に許さない、生かしちゃおかないから」

満潮「散らして貰うわよ、手向けの紅い華をね」

瑞鳳「『真紅の戦乙女』の名にかけて、一人残らず叩き潰してやるわ…!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/19(木) 18:43:40.94 ID:EUai48r6O<> AGP神通改二が手に入ったからスターリリイ風にしてみた。

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira147358.jpg
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/20(金) 02:08:37.69 ID:VEnoNtYK0<> >>186
写真ありがとうございます。AGP神通押入れに仕舞ったままだから出さないとなぁ…(あと今エクシアルベルムっぽい何かを作ってます)



間宮「ッ…! 敵機接近! 数70!」

海風「また無限涌きのコピー体…!」

浜風「ですが前回と違う… 今回は明確に、戦略的な行動を取っている…!」

瑞鳳「意思を持った虐殺、それに機体同士の編隊行動と連携… 指揮官が居るね」

榛名「明確に『防戦行動』を取っている時点で確定でしょう」

神通「それにコピー体を増殖出来ると言う事は間違いなくスドウ・シュンスケと同じナノマシンを使っています」

萩風「『特別製のEXAMナノマシン』であれば間違い無く元凶か、それに近い人間が居ると言うことです…!」

阿武隈「こっちの戦力はMS26機… 多勢に無勢かな?」

夕雲「大丈夫ですよ。 個々の機体性能はこちらが遥かに上、さらに言えば操り手の腕も指揮官の手腕も上です」

春雨「世界クラスのファイターに全日本クラスのファイターが揃っています、はい」

三日月(オ)「虫みたいに沸いて来るならチマチマ全部潰せば良いんだろ?」

時雨「だけど相手は無限に沸いてくるゴキブリと同じだ。長期戦は無理、短期決戦で黒幕を引っ張り出すしかない」

霞「先生、大丈夫ですか?」

愛宕「ええ… 生徒が頑張ってるのに、教師がヘバる訳にはいかないもの…!」

大鳳「それにこの状況見過ごせばこれ以上の人間が死ぬかもしれない… なら止めなきゃ…!」

浜風「準備は良い、海風?」

海風「言われなくとも…! こちらの指揮下の小隊全機へ! 第一、第二小隊を主力に展開! 互いが互いをフォローしつつ、ここを突破する事を優先してください!」

浜風「こちらも蒼龍さんと飛龍さん、夕雲を中心とする第一小隊を主力に展開! 海風達の部隊との連携を取りつつ前進!敵は無限ですが、質はこちらが遥かに上です!」

海風「では、突入準備! 全兵装使用自由! 最優先目標を『黒幕』もしくは『粒子結晶体』と設定! また全員の生存を以って今回の戦いを勝利とします!」

浜風「こちらも、オールウエポンズフリー! 最優先を全員の生存とこの事態の元凶の撃破と設定! 全機、ここで倒れることは断じて許しません!」



海風「全機、交戦開始!」

浜風「オープン、コンバット!」



イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/20(金) 10:07:50.21 ID:NU6hZyZP0<> コピー体以外にMA出現 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/21(土) 02:47:43.10 ID:g4eD/IwC0<> ウイングガンダム・アズライトがツインバスターライフルを放ち正面のグレイズを破壊する。そして背後から襲い掛かるデナン・ゲーの斬撃を背中に装備された『アズライトウイングブレイド』を抜き放ち防ぐ。

そしてそのままパワーで押し切り、ウイングブレイドでデナン・ゲーを両断しバスターライフルを使って残骸すら残さず消滅させた。


海風「これなら、再生出来ないでしょう!」

阿武隈(あの時戦った時より遥かに腕があがってる… 完全に敵の動きを先読みして、これがあの子の力…?)

阿武隈「私も、負けてられない!」


脚部に内蔵された『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』で迫るトーラスの機体を穴だらけにして爆散させるマーナガルム。

そしてクローアームで掴んでいたビルゴを握り潰して粉砕した。


霞「エグい戦い方するわね…」

長波「あれでもまだ加減してる… 来るぞ!」


霞と長波は背中合わせでそれぞれレールガンと『グシスナウタル』を放ち敵を纏めて撃破する。

そして開いた進路をヴェズルフェルニルとインフィニットジャスティス・ロンギフローラムが駆け抜け、敵陣へと切り込む。


陽炎「『ネージュエール』、いきなさい!」

神通「我が刃よ敵を裂け! 密天、烈風!」


振るわれる一筋の刃と白き無数の小さな刃が並み居る敵を八つ裂きにして数多の爆発を生み出す。

パールホワイトのヴェズルフェルニルと百合の花を模った白のロンギフローラムが並び立ち、その刃を以って敵を全て切り裂いた。


瑞鳳「榛名さん!」

榛名「了解!」


そして『真紅の戦乙女』と『純白の神狼』が戦場を駆け、神通達を上回る量の爆発の光で戦場を満たす。

純白の機体と真紅の光を帯びた機体が無数の敵へと挑みその悉くを殲滅していく。


海風「…次元が違いすぎます」

阿武隈「あの二人は桁違いだからね」

間宮「気を抜かないで! 大型熱源反応確認、MAと推定!」

海風「MAクラスまで…!」

浜風「来た…! あれは… ラフレシアと、αアジール…?」

夕雲「違います…! GジェネレーションシリーズのオリジナルMA、『エビル・ドーガ』です!」


2機のMAから放たれるビーム砲撃、それを回避した海風達はMA2機への対処を行おうとする。

だが1機のMSが突出し、攻撃を開始した。


海風「三日月さん!?」

三日月(オ)「別に、このデカイのならこっち一人で対処出来るよ」

海風「し、しかし…」

浜風「海風、三日月は… 巨大なMAの対処に、最も秀でているんです。対・MAに関しては我々を遥かに上回っています」

海風「え…」

浜風「観ていてください。多分、1分持てばまだマシです」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/21(土) 03:26:05.38 ID:g4eD/IwC0<> 三日月(裏)「さて… 適宜切り替えてアレを始末するとしよう」


バルバトスがバインダーから2本の太刀を引き抜き、構える。

そして突出したバルバトスへと向けて幾多もの砲火が放たれた。


三日月「成る程、迎撃機としては優秀ですね。無駄に弾幕が厚いですから。しかし…」


砲火を切り抜けながらバインダーに装着している遠距離用レールガンの照準を合わせてエビル・ドーガの正面にあるメガ粒子砲へと砲撃を叩き込む。

メガ粒子砲を破壊した三日月はラフレシアを無視して真っ直ぐエビル・ドーガへと突っ込み、太刀で頭部を抉り取る。


三日月(裏)「やはり、ただの的だ」


そして失った頭部があった場所、内部が露出した場所へとバインダーのレールガンを放つ。

バルバトスはエビル・ドーガを踏み台としてラフレシアへと対処を始める。次の瞬間エビル・ドーガは叩き込まれたレールガンによるダメージに耐え切れず内部から崩壊した。


三日月(裏)「無駄に肥大化したMAなど、どれだけ砲をつけようと所詮はただの的に過ぎん…!」


ラフレシアはテンタクラーロッドと正面のビーム砲を使ってバルバトスを迎撃する。しかしバルバトスは止まらない。

テンタクラーロッドを太刀で切り裂きながらラフレシアへと突撃し、一本の太刀を投棄してソードメイスをバイダーから取り出す。


三日月(オ)「コイツは春雨の敵なんだ。 なら、壊す」


そしてソードメイスによる一撃をラフレシアのコクピット部へと叩き込み、ラフレシアはその機能を完全に止める。

さらに追撃と言わんばかりにレールガンによる砲撃を加え、機体を誘爆させてラフレシアを爆散させた。


三日月「――――命中」




霞「嘘でしょ…?」

海風「一分未満で、2機のMAを攻略した…?」

浜風「三日月は、公式な大会にはほぼ参加していません。 ですが彼女は『MA殺し』としてならば、飛龍さんをも余裕で凌ぎます」

三日月(オ)「あんなの、ただの木偶でしょ。 人型よりデカイ分ただの的だ」

陽炎「的って言い切った…」

瑞鳳「でもアレ、まだ本気じゃないってのがね…」

夕雲「『本物の暴力』、あれが出て来ない限りは…」

榛名(あそこまでの人間はガンプラ塾に居なかった… 恐らく同じ機体でやれと言われれば、榛名でも倍以上の時間がかかる。 ある意味、恐ろしい才です)

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2017/10/21(土) 10:27:16.14 ID:vCGw3GyCO<> そりゃカガセオ(巨大アルマ)瞬殺する奴とハシュマル倒す奴融合してんだからなぁ… <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/22(日) 04:28:51.70 ID:pilbpDam0<> 霞「!」ピキィン

榛名「ッ…!?」

天城「何、この感じ…!」

満潮「肌が、張り詰めて…」

如月「酷い敵意…!」

蒼龍「青葉! アンタの感覚は!」

青葉「…分かりません」

飛龍「アンタ、心を読み取るんじゃないの!?」

青葉「形容、出来ないんです…! 冷たいような、熱を持ったような… 何か複雑な、混じりあった『何か』が…!

言語化できるとしたらただ一つ、『殺気』と言う言葉だけです!」


次の瞬間、数条のビームが海風達へと放たれる。 そのビーム正確に、そして的確に『霞』を狙っていた。

だがそんな攻撃の前に3機のMSが割り込む。


榛名・秋月・満潮「コード・ブレイヴ! 『ミラーリングシステム』、展開!」


3機のMSがスライサー・ビットを展開してビームを拡散・吸収する。

そして中央に居る榛名が敵意を露にし、ビームが放たれた方角を睨んだ。


榛名「不意打ちとは卑怯な… 姿を現せ、下郎…!」

「ほう、下郎とは… 騎士に言うべき台詞では無いな」

榛名「下郎で無いと言うのなら、外道か下衆か… それとも屑とでも言いますか?」

間宮「敵数3、識別開始… 形状から『スクランブルガンダム』と断定!」

ウォースパイト「気を付けて! あの機体、3機ともオリジナルからチューンされてる!」

「アナハイムの小娘か… それに、『死すべき者』と『進化の導』を持つ人間がこうも集まるとは… まさしく僥倖と言うべきだな」

海風(死すべき者…? まさか…!?)

「貴様等全員、ここで終わらせてやろう。 後の世の為、そして『EXAM』の贄となるが良い!」

瑞鳳「誰が…! 消させはしない、そして未来を奪わせはしない!」


ニムバス「刻むが良い! ニムバス・シュターゼンの名を! セルジュ、トリスタン! かかるぞ!」

セルジュ・トリスタン「はっ!」


同時に現れる無数のコピー体、青く塗られたスクランブル2機と肩がオレンジに塗られたスクランブルが同時に彼女達へと襲い掛かる。

海風と浜風は互いに目を合わせ、そして互いの意識が通じ合ったかのように指揮を下した。


浜風「あの3機を落とせばこの戦いは終わります! 全機、連携を維持しつつ攻撃開始してください!」

海風「第一第二小隊は中央の、ニムバス・シュターゼンを名乗る者を攻撃! 残りは2機の改造スクランブルを攻撃しつつコピー体の迎撃を!」


視点選択 直下
1.瑞鳳&榛名『VSニムバス』
2.海風『VSトリスタン』
3.阿武隈『VSセルジュ』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/22(日) 10:55:24.89 ID:ER0mlBxm0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/22(日) 17:30:24.62 ID:pilbpDam0<> side-阿武隈-


『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』を放ち青いスクランブルへと攻撃を行う阿武隈。全方位ビーム攻撃を回避するスクランブルの機動性に四苦八苦しながらも攻撃を続ける。


セルジュ「そのような攻撃では!」

阿武隈「当たらない… 聞いてた以上に速い!」

長波「なら… 奔れ、『グシスナウタル』!」


弓装『グシスナウタル』からビームの矢が屈折しながら放たれスクランブルへと目がけて矢が駆ける。回避行動を行うセルジュだが『グシスナウタル』の矢は『必中』であり回避する事は不可能。

そして矢が直撃するが、スクランブルは傷一つもつかない。


セルジュ「こちらに当てるか…!」

長波「なんだコイツ、堅い!?」

陽炎「耐粒子コーティング…! 生半可な攻撃は通じないわよ!」


足を止めたスクランブルに『グラム』を抜き放ったヴェズルフェルニルが加速し斬撃を加えるがスクランブルはサーベルを抜いて防ぐ。

パワーで劣るヴェズルフェルニルは押し切られそうになるも満潮のスライサー・ビットがフォローの射撃を行い相手を下がらせる。


満潮「アンタの機体は『脆い』のよ! 無闇に接近戦を仕掛けないで!」

陽炎「アイツに追いつけるのは『ヴェズルフェルニル』だけよ! アイツ無駄に運動性高くて…」

阿武隈「なら… フォーメーションを使う! 満潮ちゃん、フォローお願い!」

満潮「ちょ、フォローって…」

阿武隈「行くよ、二人共! NT-D、起動!」

陽炎「リミット解除、ここから飛ばしていくわよ…!」

長波「認証確認、『コード・ブレイヴ!』」


3機の装甲が裂け、蒼い燐光を纏いながら『ガンダム』へと変身する。 さらに全身から燐光溢れ出し全身が光に包まれた。

そしてまずヴェズルフェルニルの背部に装備された『スキーズブラズニル』から白い光が放出され、翼の形を形成していく。


陽炎「マッハで駆けるわよ、ヴェズルフェルニル!」


そう陽炎が告げると、ヴェズルフェルニルが凄まじい速度でスクランブルとの距離を詰める。

咄嗟に反応したセルジュだが既に遅く、正面に居た筈のヴェズルフェルニルは背部へと回り込んでおり『グラム』による斬撃が直撃した。


セルジュ「くっ… しかし!」

陽炎「遅い! 『ネージュ・エール』、切り刻め!」


放出される余剰パワーの塊が無数の刃を形成し、スクランブルへと殺到するがセルジュはその攻撃をシールドで防ぐ。


セルジュ「その程度では!」

長波「なら、盾を壊せば良いんだろ! ブチ抜け、『グシスナウタル』!」


先程とは違う、真っ直ぐに進む光の矢が『グシスナウタル』から放たれ『ネージュエール』の刃を防いでいたシールドを粉砕する。

本体の破壊こそ出来なかったもののライフルと一体化しているシールドを粉砕したと言う事は射撃兵装を喪失したことと等しい。


セルジュ「なっ!?」

阿武隈「今! マ−ナガルム! ファイナル・ウルフ・ストライク!」


猛スピードで直線加速するマーナガルム、そしてマーナガルムに気圧されたセルジュの判断が遅れ体当たりが直撃し壁へとたたきつけられた。

そして阿武隈は腕に装備されたクローアームを展開して振り下ろそうとするが… <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/23(月) 02:08:12.34 ID:Sb9OY36q0<> 阿武隈は直感的に『何か』を感じ取り機体を下がらせる。言葉で言い表せないような恐怖、追い詰めたと言うのにまだ余裕を見せる異質さが阿武隈の戦場で培った勘が警鐘を告げた。

そして次の瞬間、スクランブルが震え上がり全身のクリアパーツが赤い色へと変色しツインアイが赤く発光を始める。


セルジュ「子供が私に、コレを使わせるとは…!」

阿武隈「まさか… 『EXAMシステム』…!?」

満潮「どう言う事? 私達の機体だってNT-Dを積んで…」

陽炎「そうじゃない! あの機体、『本物のEXAM』に接続してるのよ!」

長波「こっちのガンプラはあくまでも『NT-Dの擬似的な再現』でしか無い、だけどあっちは『オリジナルのEXAMシステム』を外部接続させて使ってるんだ…!」

満潮「なっ…!?」

陽炎「アイツ等はそのEXAMを使う機械をナノマシンサイズまで縮小させる事に成功してる。 ならこんな芸当も不可能じゃない…」

セルジュ「これを見られた以上、益々貴様等を生かして返す訳にはいかんな」


阿武隈は思案する。 どうすればあのEXAM搭載機に対処出来るか、どうすれば倒せるかと。

だが答えは浮かばない。擬似的な『ニュータイプ』能力を再現するシステムであるEXAMを倒す術を見出せない。


阿武隈(EXAMの特性… NTを検知する事で暴走を行う、もしくは多数の死と殺気の検知による暴走… だけどこの場にNTと言える人間は一人しか居ない!)


しかしその肝心なNTは現在もう1機と交戦している。 そして彼女を巻き込む事は阿武隈の本位では無く、その思考を即座に打ち消す。

だが阿武隈は一つ肝心な事を思い出した。 それは数ヶ月前の事、榛名が珍しくスパロボ以外のゲームを買ってきた時の事だ。



阿武隈『何これ?』

榛名『Vの限定版が売ってなかったので… ワゴンで見つけたから買ってみたんです』

陽炎『『サイドストーリーズ』… なんでよりによってコレなのよ…』

榛名『陽炎達まだガンダム知識薄いじゃないですか。 それを補う為に、これで1年戦争時代の外伝シナリオを振り返ってください』

長波『本音は?』

榛名『限定版が売ってなかった腹いせです』

阿武隈・陽炎・長波『やっぱりね!』


自分の知識の薄さ(当人は塾生時代に全部学んだと言っていたが私達と大差無い)を棚に上げて自分にアレなゲームを押し付けた姉。だが今、それが生きた。

EXAMについて、もう一つだけ対処する方法がある。 そしてその策を実行する為にある人物へと通信を繋いだ。


阿武隈「海風ちゃん!」

海風『阿武隈さん、相手がEXAMを…』

阿武隈「こっちも! だから、相手をEXAM同士で『共鳴』させる!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/23(月) 03:08:16.93 ID:Sb9OY36q0<> 阿武隈は失念していた、EXAM機は設定上同じ戦場に複数機存在していた場合同士討ちを始めることを。

そしてその事を思い出した今、唯一EXAMに対抗出来る手段がこれであり阿武隈に思いつく『最善』だった。


海風『…分かりました。EXAMを倒すにはEXAMを使うしか無い。そして利用出来るのは…』

阿武隈「敵のEXAMしか無い、ってことだよ…!」

海風『ではタイミングはそちらに合わせます。 霞、お願いします』

霞『分かった…!』


本来二人は互いに手を取り合える相手では無い。 全国大会と言う場で争い合う筈の敵だ。

だが今だけは『共通の敵』が居る以上手を取り合い打ち倒すしか互いに未来は無い。だから二人は互いの蒼い目を合わせて頷く。


阿武隈「行くよ…! 3人共、私に付いてきて!」

陽炎・長波「了解!」

満潮「ちょ、何する気よ!?」

阿武隈「話はあと! 今はアレから逃げるよ!」

陽炎「満潮、掴まりなさい! こっちの方が速い!」

阿武隈「長波ちゃんも、マーナガルムに!」


フレスヴェルグはヴェズルフェルニルを掴み、マーナガルムがガルムの腕を掴んだのを確認すると2機は加速する。

2機の加速性は改RX-0の中でも抜群に高く、MSを1機牽引しようとその速度は落ちることが無い。


セルジュ「逃がさん!」


追いかけるスクランブルに向け手の空いている長波と満潮が『グシスナウタル』と『グングニルU』を使って迎撃を行う。

倒す事が出来なくても牽制にはなる、その目論見通りにスクランブルは小刻みに回避運動を行う為速度が少し落ちていた。


セルジュ「チィッ…!」

阿武隈(目標地点まであと10秒、逃げ切るしか無い…!)

海風『こちらも退避行動開始! カウント! 10、9、8…』


海風がカウントしながらZZをジャスティスと協力しながら牽引してくるのを阿武隈は目視する。

そしてモニターに映る海風と目を合わせ、同時に叫んだ。


海風「今です!」
阿武隈「今!」


機体を急上昇させる7人、急加速を用いてスクランブルを引き剥がす。それを追いかけようとスクランブルも加速するが、様子が変わる。

距離を離されたことで互いが共鳴し最優先目標が変更され、お互いを狙うようになったしまったのだ。


トリスタン「くっ… 何をしている、何故こちらを!」

セルジュ「コントロールが利かん! どうなっている!?」

陽炎「バーカ。 アンタ達は自分の力に溺れてんのよ。 勝手に潰し合って自滅しろ」

長波「EXAMを切っておくんだったな、このバカ共」

神通「システムの本質も機能も理解しないで使うだけ、とは… 愚かにも程があります」

阿武隈「そう言うこと。 しかも暴走状態のEXAMはシステムカット出来ない、どちらかが消えるまでね」

霞「互いに滅ぼしあって、自滅を辿りなさい」

満潮「まさかこんな対処法があったとは…」

海風「阿武隈さん、助かりました」

阿武隈「別に良いよ。 ここで倒されても困るし、気にしないで。 それより、結晶体の破壊に向かうよ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/23(月) 20:32:22.18 ID:nDTuKHtr0<> side-瑞鳳&榛名-


ニムバス「受けよ、我が裁きを!」

榛名「この感覚… EXAM! NT-D!」

瑞鳳「オリジナルのシステムを… なら、私も!」


赤い光を纏うスクランブルガンダムと相対する榛名の『フェンリル』と瑞鳳の『ガンダムエピオン・クロイツ』の2機。

そしてEXAMの力に対抗すべき蒼い燐光を放つフェンリルと明鏡止水の域に至った瑞鳳と同期し黄金の光を纏うエピオンが、スクランブルへと襲い掛かる。


ニムバス「面白い…!まずは貴様達を狩るとしよう!」

瑞鳳「黙れ」

ニムバス「何っ!?」

瑞鳳「黙れと、言った…!」


瞬時に間合いを詰める瑞鳳、咄嗟にサーベルで防御を試みるニムバスだがそれが間違いだった。

瑞鳳はシールドからマスタークロスを展開し脚部を縛り上げ、そのまま振り回す。


ニムバス「コイツっ…! 離せ!」

瑞鳳「でやぁぁぁぁぁぁっ!」


その勢いで壁へと叩き付け地面へと放る。 そして剣を振りかざして一撃を放つ!


瑞鳳「奥義!天剣、絶刀!」


放つは神速の刃、間一髪姿勢制御を行う事で回避するニムバス。 回避された不可視の衝撃波が講堂の地面を切り裂く。

だが大振りな一撃故の隙が出来、ニムバスはそこを狙う。しかしニムバスの思うようにはいかない。


榛名「一人だけだと思うな!」

ニムバス「チィッ…!」


2本のビームアックスを振るい、スクランブルと鍔競り合う榛名のフェンリル。

榛名とニムバスの技量差はほぼ無い、それどころか榛名が一歩押している。 そして機体性能も榛名の方が高く、徐々にスクランブルはパワー負けして追い込まれていく。


ニムバス「何故だ! この機体は、最強の機体の筈だ!」

榛名「いいえ! その機体はあくまでも中途半端な技術模倣で出来た機体、こちらの機体が『本物』です!」

瑞鳳「そんな機体でオリジナルの技術で出来た機体に勝てると思うな! 秘技・十二王方牌大車併!」


背後からエピオンを模した小型の分身がスクランブルを押さえ込み、機体の動きを封じた。

そして瑞鳳と榛名は互いに顔を合わせて頷き合いトドメの構えを取る。


ニムバス「う、動けん…!」

瑞鳳「流派・東方不敗が最終奥義!」

榛名「コード・ブレイヴ… アローモード、マテリアライズ!」


瑞鳳「石波ッ!天驚けぇぇぇぇぇんっ!」
榛名「エクサブレイヴ・シュート・オーバァァァァァッ!」


黄金の拳と蒼い粒子結晶が同時にスクランブルへと殺到し、既にスクランブルは逃げる術を失っている。

そしてそのまま2機の一撃がスクランブルの機体を飲み込み、衝撃波が周囲一体を吹き飛ばした! <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/23(月) 21:11:06.75 ID:nDTuKHtr0<> 瑞鳳「やった…?」

榛名「これでは原型も留めていないでしょうね、機体は。 まだ、妙な気配を感じます…!」

『まずは褒めてやろう! 今回の戦い、貴様達の勝ちだ!』

瑞鳳「ッ…! ニムバス・シュターゼン!」

ニムバス『だが次はこうはいかんぞ… 貴様達に未来など無い、この局面を乗り越えたところでな!』

榛名「それは、どうでしょうか?」

ニムバス『そして貴様等の行いが無駄であると、思い知るが良い! さらばだ!』


BATTLE END

パァァァァァァァァ…


瑞鳳「何!?」

榛名「粒子結合の崩壊、恐らくニムバス・シュターゼンの操る『スクランブルガンダム』を破壊したことで粒子が維持出来なくなり結合が崩壊し大気中へと溶けているんです」

時雨「じゃあこの事態は一応収束した、って訳だね」

春雨「何とかなりましたね…」

三日月「しかし… 結局黒幕を倒す事は出来ませんでした」

霞「それに、講堂に取り残されてた人達は…」

海風「彼等の犠牲を無駄にしない為にも絶対に事態を終わらせないと…!」

神通「うっ…!力が…」

萩風「眩暈が…」

瑞鳳「二人共、大丈夫!?」

神通「はい… 今のは、一体…」

萩風「わからない… でも、これは…」

青葉「今は脱出しましょう。 もうすぐここに警察が来るのでしょう?」

天城「厄介事にはもう巻き込まれたくありません…」

ウォースパイト「バズーカやら爆破やら色々ヤバイものがあるものね」

浜風『瑞鳳さん、聞こえますね?』

瑞鳳「そっちは大丈夫?」

浜風『ええ、被害ゼロです。 これからどうします?』

瑞鳳「全員、撤収開始して。 基地で合流、そのままブリーフィングに移るよ」

浜風『了解しました』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/24(火) 00:07:12.84 ID:4D3kAt/p0<> 《瑞鳳達のアジト》


霞「あー、しんどかった…」

海風「夜も監視されててオチオチ眠れませんでしたし…」

瑞鳳「仕方ないか… ブリーフィングはちょっと休んでからね。部屋は前のトコ使って良いよ。 あと神通ちゃんと萩風ちゃんは医務室に」

神通「何故ですか?」

瑞鳳「さっきの眩暈、明らかに疲れからくるものじゃない。 身体に何か起きてるかも知れ無いからね」

萩風「わかり、ました…」

榛名「あの、榛名達は…」

瑞鳳「あ、これパスです。 車貸すので榛名さんはここから2キロくらい先にあるバー○ンにでも阿武隈ちゃん達連れて行ってあげてください。

どうやら朝どころかお昼も何も食べて無いらしくて。 これで足りますか?」

榛名「充分だとは思いますが… 流石にお金は…」

瑞鳳「後でお母さんから毟り取るから大丈夫ですよ。 あと戻ったら9番以降の部屋使ってください」

榛名「分かりました」



霞「あれ、海風? 部屋行かないの?」

海風「ええ。少し用事が」

浜風「海風… 良かった、無事で…」

海風「少しばかり面貸してください、この馬鹿姉貴」

浜風「ば、馬鹿姉貴!? どこでそんな言葉を…!」

海風「良いから! 来て下さい!」ガシッ

浜風「行く!行くから! と言うか首絞まってる!?」ズルズル

霞(何やってんのよ… でも海風、様子が変… どうなってるの…?)


蒼龍「霞ちゃん、ちょっと」

霞「蒼龍さん?」

蒼龍「ちょっと来て。 サイコミュ弄るから」

霞「は?」

蒼龍「ハシラジマからの贈り物、霞ちゃん用に調整するから来て欲しいの」

霞「えぇ…」


イベント選択 直下
1.海風『事象改変の果てに』
2.神通『消える因果』
3.霞『今を越えて』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/24(火) 00:16:51.10 ID:EizF9bZw0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/24(火) 01:32:39.95 ID:4D3kAt/p0<> side-海風-『事象改変の果てに』


浜風「何でこんな所に…」

海風「話せる相手が一人しか居ないからです。 その『事象』に組み込まれていて、それを乗り越えてしまった誰かさんにしか」

浜風「…事象を乗り越えた…?」

海風「ええ、言葉どおり… どこぞの誰かさんは『滅びの因果』を偶然乗り越えてしまったんですよ」

浜風「え、ちょっと待って… まさか私が『倒れる』事象が起きる筈だったのが、あの場であったと…?」

海風「はい。 ニムバス・シュターゼンが告げた言葉、『死すべき者』と言う言葉… あれは貴女や蒼龍さん達『昏睡病との戦いで敗れ消えた者』の可能性が高いです。

ここからはあくまでも推測でしかありませんが、『死すべき者』と言う単語は恐らくあの場で死ぬべき人間を指していたのだとすれば…」

浜風「図らずも、私は因果を乗り越えて事象を改変してしまったと…」

海風「はい。 それに萩風さんの話ではの学園の学生は本来皆殺しにされ、誰一人も残らない筈でした。 しかし現実には100人程生き残った…

事象改変の波が、定められた未来が徐々に崩壊しつつあります。 その影響をモロに受けるのは神通さんと萩風さん、そして敵も…」

浜風「まさか二人の体調不良は…」

海風「事象改変で存在が不安定になっているのでしょう。 二人の存在を固定する方法は唯一つ、ただしそれは『四人の死』と引き換えですが」

浜風「…」

海風「ですが、敵の方にもそれは言えることです。 敵は明らかに未来を知覚していた… そうで無い限り、彼の言動に説明がつきません。

そしてそこから導き出される結論は二つ、『敵は未来を知る方法を持っている』か」

浜風「もしくは『敵も未来の存在である』と言う事…!つまり事象を改変すれば改変する程…」

海風「敵に後が無くなっていくと言う訳です。 問題はここから、修正力との戦いでしょう」

浜風「本当に修正力と言うものがあるかどうかすら定かではないけど… 少なくとも暫く警戒が必要、でしょうね」

海風「ええ。 まぁ一度乗り越えた以上二度目も余程理不尽でも無い限り避けられると思いますが…

そしてもう一つ、どうにかして先輩達の因果を作らなければこのままだと確実に『消滅』します。 そうなれば後に因果が繋がれるかどうか、禁忌を犯している以上最悪輪廻転生の輪からも外れます」

浜風「分かりました。 この件は瑞鳳さんにも…」

海風「いえ、瑞鳳さんには伏せてください。 先輩と萩風さんを創造したのが瑞鳳さんな以上、何らかの事象が起こらないとも限りませんから。

少なくともこの話は貴女の無駄にデカイ胸の中だけに留めてください」

浜風「…分かった。 海風がそう言うのなら」

海風「しかしこちらとしても考える事が増えました。 相手は『EXAMシステム』そのものを使える、そこが厄介です」

浜風「ええ。 マトモに対抗出来る者は少ない以上、悩みの種です」

海風「今回は敵が同時使用と言うヘマをやらかしてくれたお陰で対処出来ましたが次はそうはいかないでしょう。 どうやってEXAMを撃破するか、それが当面の課題になるかと」

浜風「『あちら側』の間宮さんのように『HADES』を使える人間が居れば… それか向こう側のNT軍団か…」

海風「確実にEXAMを潰す算段を整えない限り、こちらに勝ちはありません。 そして勝ち筋を整えるのが海風達『戦術指揮官』の務めです」

浜風「海風… ええ、その通りです。 私達が勝ち筋を見出さなきゃ、未来なんて得られない…!」

海風「妹に言われるまでそんな事も忘れているとは…」

浜風「忘れてなんてないけど… 再認識しただけで…」

海風「そう言うことにしておきますよ… 眠いので寝てきます」

浜風「海風… ありがとう」

海風「別に、感謝される謂れはありませんよ。 海風は未来が欲しい、そして先輩達に消えて欲しく無いからやっているだけです」

海風(そう… もう海風は、止まれない…! 先輩達に、消えて欲しく無いから…!) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/24(火) 23:42:00.68 ID:4D3kAt/p0<> 《数時間後 ブリーフィングルーム》


海風「ふぁ…」

瑞鳳「あ、起きた?」

海風「あ、はい… 霞や先輩達は?」

瑞鳳「まだ寝てるよ。 余程精神的にキツかったみたいだからね」

<えぇ〜発表によりますと学園生の大半が犠牲となっており、死者行方不明者共に相当数に…

海風「…」

瑞鳳「早速ニュースになってるよ」

榛名「しかも、シェリンドン・ロナはあの場から逃走して行方不明と… 一体何をしているのだか…」モキュモキュ

海風「…残された信者も、見捨てたんですね」

瑞鳳「それだけわが身可愛さが勝ったんでしょ」

春雨「ああ言う人は自分がそう言う立場になってしまえば良いのに…」

時雨「キミの宗教嫌いは相変らずだね」

春雨「別に宗教そのものはどうでも良いんです、はい。 ですがそれを笠に着て、過激な行動をやる人間が嫌いなだけで」

榛名「まるで見てきたかのような言い方ですね」モキュモキュ

春雨「中東でも、この前行ったイギリスでもそう言う人間は見てきましたから」

海風「中東…?」

時雨「春雨は元々ガンプラを普及する為に父親と色んな所を歩いてたらしくてね」

春雨「その話はどうでも良いことです。 特に中東の件なんかはあまり思い出したくもありませんから、はい」

<続いてアナハイム問題で衝撃の事実が発覚しました。アナハイムは米国主導の下衛星… ピッ

<今回の事件を受け警視庁は原因不明との発表を行い、何が起きたのか詳しく調査中との…

海風「アナハイム絡みのニュースは観なくて良いんですか?」

瑞鳳「今はこっちが優先」

時雨「僕らはあの事件に介入した当事者だ。 だけど『その後』の事は一切知らないでガンプラ拾って逃げて来たからね。 詳しい話を知りたいのさ」

三日月(裏)「だが… 我々の知る情報以上の事は無さそうだ。 残された生存者の話も一切上がらん」

榛名「青葉さん達が今現地で情報を集めつつ痕跡を隠蔽するよう指示しておきました。 なので本格的な事は三人が戻ったらになりますね」モキュモキュ

海風「…一体何食べてるんです?」

榛名「さっき買ったハンバーガーです。 食べます?」

海風「遠慮します…」

春雨「見てるこちらが胸焼けしそうな量をさっきから食べてます…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/10/25(水) 16:11:14.22 ID:agpo6VYFO<> 春雨に浜風との戦いについて聞く <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/27(金) 02:45:29.92 ID:F5YCCpPn0<> 海風「あの… 春雨さん達は夕雲さんと、そしてアレと戦ったのですよね?」

時雨「アレ扱いは少々酷だと思うけど… まぁ、そうだね。 僕は浜風と夕雲と戦い、そして勝った」

瑞鳳「現状、唯一の勝者だね。 あれより前にも、あの後にも参加した公式戦で二人に敗北は無いから」

時雨「基本的にあの二人はコンビじゃないと真価を発揮出来ない。 浜風の技量は世界レベルとは言え平均程度、夕雲は戦闘になると攻撃に偏り過ぎて周りが見えなくなる。

だけど逆に言えば二人揃えばほぼ負けは無い。 冷静に戦況を見極め的確な指示と補助を行う浜風とそれを実行する夕雲、はっきり最悪の敵だった」

春雨「私達が戦った時、バトルフィールドは『宇宙・デブリ帯』。 二人の機体はもう知ってますよね?」

海風「『ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ』と『アストレイミラージュフレーム・クロイツ・リバイ』、でしたよね」

時雨「当時はリバイは付いて無かったけどね。 僕達は二人の機体情報を事前に知らなかったんだ。 二人は前の戦い、レナート兄弟って浜風に比べたら戦略家気取りにも程がある敵相手に元々の機体を破損させて交換していたのさ。

僕達は戦いが始まるまで前の機体、『ヘイルバスター・クロイツ』と『ヴァンセイバー・クロイツ』を使うと思い込んでいた。それが完全に仇になった…」

春雨「加えて、向こうはこちらの機体『スローネ・ヴァリアント』と『ドレッドノート・ファントム』の性能を完全に把握していました。 この時点でこちらの方が劣勢です、はい」

海風「情報の隠匿と敵情報の掌握… さらに初見殺しを使った、と言う訳ですか」

瑞鳳「そう言うこと。 そしてミラージュには『ミラージュコロイド』が搭載されて、フィールドにはデブリって足場がある。 浜風ちゃんはまずドラグーンで二人をデブリの中に追い込んだ」

時雨「ここから先は一方的だったよ。 ミラージュコロイドを使いながら足場を使ってヒット&アウェイを繰り返す夕雲、そしてデブリ帯をドラグーンで囲んで退路を完全に断った浜風…

逃げ場なんか無い、そして見えない敵の攻撃にこっちはもう参ったね。ハッキリ言うと、あの二人のデブリ帯で戦うのは二度と勘弁して欲しい」

瑞鳳「まぁ二人がこんな戦い方をしたのもこれが最初で最後だけどね。 あの時は私さえも薄ら寒さを感じたし…」

春雨「それだけ確実に勝とうと思ったのでしょう。 それに多かれ少なかれレナート兄弟の妄執の影響もあったのかもしれません」

時雨「バトルは地形を生かして戦え、って僕は『リカルド・フェリーニ』ってファイターの教わったけど… あれほど地形を利用した戦い方は初めてだったよ。

ドラグーンもデブリに紛れてどこから来るか分からない、それ以上にミラージュからの攻撃もどこから来るかギリギリまで分からない。それが僕達を追い詰めた、と同時に春雨にある決断をさせたのさ」

海風「決断、ですか?」

春雨「ニクスを止めなければどうにもならない、そう思ったらすぐ身体が動いて… 無我夢中で、武器を捨ててニクスに特攻を仕掛けてました、はい」

瑞鳳「観てた私すらも唖然となったよ。 あれじゃただ自爆するだけ、ドラグーンの餌食になるだけだって。 でも春雨ちゃんは機体スペックをフルに活かしてドラグーンの雨を掻い潜ってニクスと相討ちしたの。

ただそれでもニクスは生きてた。 そして春雨ちゃんは組み付いて機体を自爆させてニクスを自分の機体と引き換えにして倒した」

時雨「これに関しては浜風も想定外、瑞鳳のことをずっと側で見てきたから『ビルダーが自分の機体を特攻・自爆させる訳無い』って。 だからこそ、浜風の不意を突けたのさ。

そして僕はデブリ帯を脱したけど夕雲は追撃してきた。 ミラージュコロイドのメリットを捨ててね」

瑞鳳「ミラージュの弱点は軽量化による装甲の薄さ、少しの被弾が命取りになる。 だけど夕雲ちゃんはそれを夢中になっていたせいで失念してた」

時雨「そこを突けば勝てる。 でも僕にはそれが出来る武器は夕雲の猛攻で全て壊されていた… だけど春雨の武器は違う。 春雨の機体は狙撃機、センサーが強化されていたからミラージュコロイドを見抜けていたしギリギリまで武器が温存できた。

で、僕は春雨のライフルをどうにか探し出して接近してきたところを不意打ちで夕雲をギリギリ仕留めることに成功した。 まあ最後の攻撃で限界が来てドレッドノートも壊れたけど」

春雨「あの戦いでビギナ・ゼラを使っていればサイズが合わなくて、武器が使えずこちらが負けていました。 だからビギナが前の戦いで壊れていた怪我の功名なんです、はい」

榛名「この戦いは榛名も取材で観てましたから印象に残ってますね。 観てるこちらが久々に手に汗握る戦いでした」

春雨「あれ、あの場に居たんですか?」

榛名「…あれ? 榛名、インタビューしましたよね…? 雑誌の特集ちゃんと書いて…」

春雨「あ… あれ榛名さんだったんですか!?」

榛名「わ、忘れられてた…」

瑞鳳「いや、それ私も初めて知ったんですけど…」

榛名「まあ眼鏡と帽子つけてましたから仕方無いですよね…」

三日月(裏)「この戦いは一応、歴代大会の名勝負ベスト3にランクインした。 気になれば動画も残っているかもしれんぞ」

海風「は、はあ…」

瑞鳳「あの戦いでスローネは木っ端微塵で修理不可能、ドレッドーノートは最後の一撃でフレームが全損で修理不可… あとのダメージは春雨ちゃんの方が大きかったけど。

あの後、なんであんな事したんだって凹んだし。 だけどそれが勝利に繋がった… 憶えておいて、ガンプラバトルに確実なんて無い。 どんな状況だろうと諦めなきゃ覆せる」

海風「諦めなければ、覆せる…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/28(土) 02:27:06.09 ID:lr9xDQEb0<> 《食堂》


愛宕「…」

瑞鳳「…大丈夫?」

愛宕「大丈夫、って言いたいけれど…」

大鳳「少しキツイわ…」

萩風「流石にあの場に二人を連れて行ったのは間違いだったとは思います、お母様」

瑞鳳「そう、だよね… ごめん、二人共」

愛宕「萩風ちゃんはどうして平然としてられるのよ… まだ、子供なのに…」

萩風「私は今まで理不尽な死と言うのを嫌程見て来ました。未来において発生した異形・深海棲艦の侵攻時に… 何万単位で殺されたのを。

理不尽な死などとうに見慣れた身、そしてもう殺される覚悟も殺す覚悟もあります。その覚悟が無ければこの時代に転移したりなどしません」

大鳳「…私が言うのはお門違いだろうけど、教育方針間違ってるんじゃないかしら?」

瑞鳳「うん、私も薄々感づいてた」

萩風「お母様が悪い訳ではありません。時代が、世界がそうさせなかっただけ… 深海棲艦の侵攻など無ければ…」

愛宕「時代、ね…」

萩風「お母様、この調子ではブリーフィングに参加は無理でしょう。 私がここで看ています。 情報に関しては後で自分で何とかできますから」

瑞鳳「分かった。 ここは任せるね」

愛宕「待って… 私も、行く」

萩風「無理しないでください。 あんな惨状を見て並みの人間が耐えられる訳がありません」

愛宕「教え子が耐えてるのに、私がヘバる訳にはいかないわ… 子供が歯を食いしばって耐えてるのに、大人として見過ごせ無い…!」

萩風「…これから、もっと酷いものを見るかもしれませんよ」

愛宕「大丈夫よ。 教え子も妹分も戦ってるのに私だけが暢気にしてるのは耐えられないから」

大鳳「私も、覚悟はしてる… とっくにね。 あの時、『あっちの世界』で銃を持った時に、人を撃った時に」

瑞鳳「二人共…」

萩風「…私は後から連れて行きます。お母様は先に行ってください」

瑞鳳「良いよ、二人は私が連れて行く。 萩風ちゃんこそ先にブリーフィングルームに行ってて。 ずっと潜入してて休んで無いんでしょ? まだ時間かかるみたいだから先に行って休んで良いよ」

萩風「先程仮眠は取りました。 大丈夫です」

瑞鳳「駄ー目。 働き詰めは毒、未来の私からそう学んでる筈だよ。 ここからは私の仕事だから」

萩風「分かりました… それではお先に」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/10/28(土) 03:40:20.44 ID:lr9xDQEb0<> 萩風「そうは言ったものの… あまり暇と言うのは好きじゃないわ…」

萩風(つくづく自分のワーカーホリック気味には呆れざるを得ないわね…)

神通「あ、萩風…」

萩風「姉さん?」

神通「少し話があります」

萩風「構いませんよ。ここは人も居ないし監視カメラもありませんから」

神通「そこまでする話では無いのですが… あまり聞かせたくは無い話ではありますね」

萩風「何となく内容はわかっています。 私達の『因果』の話でしょう」

神通「ええ。 私達の存在は不安定になった、それは浜風さんと飛龍さんが『事象』を乗り越えたから、ですね」

萩風「はい。 お母様の残した記録では今日この日に二人は奇襲を受けてEXAMに敗れた。 だけど浜風さんが『結末』を知っていたから、事象を偶発的にも逃れて…

そしてここで浜風さんが生き残った事は、重大なターニングポイントになる」

神通「彼女が生き残れば指揮をする者が残り、生存確率が段違いとなります。 だから残る二人の結末を覆せる可能性が高くなった」

萩風「そう言う事です。 さらに言えば今の状況は遺した記録とは違い過ぎています。 私達の介入、そして…」

神通「海風さんと霞さん、ですね」

萩風「未来予知に近い能力を持った者と『ニュータイプ』の可能性を秘めた者… ですが姉さん、事象改変に何度も失敗して何度も同じ時間を繰り返していた…

この二人が居たのに、歴史に変動を齎すことが出来なかった」

神通「それは…」

萩風「あの二人を今までの繰り返しの中で見かけた事は?」

神通「…」


萩風「ハッキリ言わせてもらいます。 二人は今までの『繰り返し』に存在しなかった、今回初めて紛れ込んだ因果なのでしょう」


神通「はい… そしてあの二人が居たからこそ、榛名さんにも因果が繋がり『今』へと至りました」

萩風「やっぱり… 今回はやはり異質なのでしょうね。 だからこそ未来の変動率が大きくなってきた…

同時に私達の未来、存在そのものがあやふやになりつつありますが。 姉さん、事象改変出来るチャンスはこれが最後と考えてください」

神通「分かっています。 恐らくこれが最大のチャンス、同じ二人に巡りあえる可能性はゼロに等しい… だからここで終わらせます」

萩風「未来を変える、私達はその為だけにここに居る… 姉さん、私達はいつ消滅するか分からない。 だから悔いの無い様にしてください」

神通「それは萩風もです。 朝雲さんにゾッコンなのでしょう?」

萩風「さ、さて… 何の事やら… と、ともかく! 姉さんも悔いの無い様全力を尽くしてください!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/07(火) 01:29:30.78 ID:t1owIyx20<> 《翌日 ブリーフィングルーム》

青葉「面目ありません… まさか、丸一晩かかってしまうとは…」

蒼龍「今回ばかりは責めるつもりは無いわ。寧ろ私達の居た痕跡も全部消してきてくれたことは感謝する」

衣笠「こっちの警察、有能すぎるでしょ… 私達のキャンプまで探しに来られた」

飛龍「あそこ、一応宗教施設だし瑞鳳が事前に拉致に関する情報を流してたから。 それに前々から公安関係に睨まれてたらしいわよ」

古鷹「掲げている教義もカルトに片足突っ込んでますからね」

霞「ったく、冗談じゃないっての… しかもシェリンドン・ロナは行方不明、その取り巻き一味もね」

間宮「状況から察するに、逃げたのでしょうね」

天城「そう言えばあそこに囚われた方達は…」

古鷹「無事を確認しました。 今は警察の施設に保護されているようです。 私達の事は話さない様にと口止めも」

夕雲「…これを一晩でやるのは、凄くありませんか?」

蒼龍「ええ… 正直腹が立つくらい。でも味方で助かったわ…」

萩風「私も見習わないと…」

神通「見習う必要はありません」

朝雲「でも、今回の事件で完全にこっちは睨まれてる。 EXAM、ニムバス・シュターゼンにね」

海風「…なんでここに居るんです?」

天津風「私達だって一応、事件に関わってるのよ。スドウ・シュンスケを倒した以上、私達だって睨まれてる可能性があるし」

朝雲「それに何も知らないまま終わるなんて真っ平ごめんよ。私にだって護りたいものはある、だからもう戻れ無い覚悟もしてきた」

萩風「…これから見るものは、凄惨なものになるかもしれません。それでもですか?」

朝雲「分かってる。そこまで想像出来ない程私は馬鹿じゃないわ」

天津風「暫く、お肉は食べれなくなる覚悟はしておいたほうが良さそうね…」

神通「それ以上の覚悟が必要です。 特に我々と共に、事件に本格的に関わるとなれば」

朝雲「もう、最初からとっくにしています。 血に塗れる覚悟も、家族と離れる覚悟も」

瑞鳳「…そこまでは必要無いよ。 手を汚すのは私だけで良い。 自分の大事な物を護ることに専念しなさい」

大鯨「う〜ん… その覚悟は良いけど、気負い過ぎないようにね〜」←逆さづり

天津風「何であの人大阪U○Jにあるジョ○ズのとこの釣られたサメみたいな格好に?」

陽炎「私達を拉致った罰」

阿武隈「一度〆なきゃ駄目、ってことで瑞鳳さんと姉さんが追い詰めてつるし上げたの」

長波「〆たところでどうにかなるとは思わないけどな」

満潮「お陰で都内に一泊よ… しかも観光すら出来やしないわ」

榛名「なら後でどこかに連れて行きましょうか?」

ウォースパイト「ハル、そんな余裕は無いでしょう?」

榛名「そうですね… 満潮も、事件の被害にあう可能性もありますから」

秋月「なら私達が連れて行きましょうか?」

如月「最悪、私だって居るし」

野分「護衛なら私が務めましょう」

榛名「お願いします」

春雨「浜風、全員揃ったようです」

三日月(裏)「早く始めてくれ。こちらにも都合がある」

時雨「三日月はまだしも僕達、無断外泊で翔鶴さんに怒られそうなんだよね」

大鳳「私もゼミすっぽかしてるし…」

愛宕「早めに終わらせましょ?」

浜風「わかりました。 ではこれより、ブリーフィングを開始します」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/07(火) 02:24:44.96 ID:t1owIyx20<> 浜風「まず今回の事件について青葉さん、お願いします」

青葉「はいはい〜い。 今回の事件は海風さん、霞さん、神通さん、天城さんの拉致を端に発した事件です。 元々萩風さんのお話では虐殺が起きる、と言う事でしたが図らずも海風さん達が紛れ込んでしまったと言うことです。

まぁ萩風さん達の未来の結末では『全員死亡』とのことでしたが、お二人の事象介入により100人程生き残りました。全員死ぬよりはマシな結末でしたが、これでも散々な結末… 事件発生を止められなかったことは我々の敗北と言えるでしょう」

蒼龍「ちょっと、青葉…!」

青葉「だからこそ、次の事件は確実に防がなくてはなりません。 起きる前に完全にその芽を潰す、それが我々がやるべき事です」

飛龍「そうね…」

青葉「事件の詳細はこちらの資料の通りです。 学生は677人が死亡、85人が重軽傷、その内27人が重体… 校内に残っていた教職員や事務職、清掃員等にも多くの被害が出ていますね」

瑞鳳「その教職員達の被害人数は?」

青葉「これは少々不明瞭でして… 大きな学校だったので100人以上の関係者が居て、具体的な人数が把握出来ないんです。中には丁度来た外部の業者や、敷地にあった学生寮関係者も巻き添えになってるようで…

だけど死傷者は最低1000名になる、そう見積もってください」

天津風「1000人も、こんな事件に巻き添えになってるの…!?」

朝雲「だけどこの件はまだ始まりよ。これから、1億って桁の違う人間が殺されるかもしれない… これで最後にしなきゃ、もっと多くの人が死ぬ…!」

青葉「そう言うことです。 そして拉致事件のの首謀者シェリンドン・ロナは行方不明、と思われていますが既に居場所は掴んでおります」

飛龍「嘘でしょ!?」

青葉「ヘリのGPS追ったら見つけましたよ。 彼女達は太平洋側、日本の領海内に存在するメタンハイドレート採掘実験場に居るようです」

長波「メタンハイド…?」

海風「メタンハイドレートとは石油・石炭に代わる新しい燃料の一つです。 まだ実用化はされていませんが、日本領海には多大な埋蔵量があり現在研究が進められています」

陽炎「所謂『燃える氷』ってやつね」

神通「どうしてそんなところに?」

青葉「『ブッホ・コンツェルン』、教団の出資会社の一つが運営している場所のようです。 しかも外部から隔絶されていて、関係者以外ほぼ立ち入る者は居ませんから隠れ潜むにはもってこいでしょう」

大鯨「メタンハイドレート事業には私も手は出しているのだけど… あそこまで大きな採掘場は作ってないわね。 それにまだアレは見込みのあるモノじゃない、でもあそこまで事業を大きくしてるって言う事は…

確実に採掘出来る技術があるのか、それとも社運をかけた大博打なのか、そして… ハイドレート採掘試験場以外の機能があるか」ブランブラン

霞「それって… そこに、彼等の何かがあるってことですか?」

大鯨「そう言うこと。 彼等の企みが何かはしらないけど『やらかす』為の設備かもね? シーランド公国みたいに独立とか」ブランブラン

天城「…あんな格好で無ければその推察には素直に賞賛できたのですが…」

海風「格好って本当に大事ですよね」

瑞鳳「どこに逃げようと追い詰めるだけだよ。 あと、事件に関することは?」

青葉「残りは資料にまとめておきましたのであとで各自確認を。 学園側の被害から他も全てまとめておきましたので」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/07(火) 04:10:51.95 ID:t1owIyx20<> 浜風「では次はEXAMについて、と参りましょう。 現在EXAMシステムそのものを使った者は三人、首謀たる『ニムバス・シュターゼン』と取り巻きと思われる『トリスタン』『セルジュ』の3名…

海風、戦った感想を下さい。 直接刃を交わした、その感想を」

海風「…正直、不気味としか言い様がありません。 少しでも怯めば食われる、そう思いましたが… 一番怖いのは『再生』と『複製』の二つであり、それ以外は脅威とは言い難いです」

浜風「え…?」

瑞鳳「どう言う事?」

海風「海風は一時的にスクランブルを使用していたお陰、ですがチューンしてあったとは言えアレの性能の限界はある程度把握しています。 だからこそ言えるのですが、機体性能そのものは然程厄介とは言い難いのです。

EXAMシステムを起動し機体に反映したところでそれはスペックを1.2倍に引き上げる程度、RGシステムやNT-D、そしてウイングの『アズライト・バースト』には遠く及びません。そして元々の機体完成度は瑞鳳さんが前に言ったように『欠陥品』でしかありませんので…」

大鳳「ハードウェアの差、ってこと?」

海風「はい。 ここに居る大半の使用する機体のほうがスペックは上、故に限界点が違うんです。だからこそ一般ファイターの脅威になり得ても… こちらの人間には然程脅威にはなりません。

ただ厄介なのは反射と対応、これも機体性能の限界があるのですがソレは一般人のモノを超えています。 しかしこれもファイターによっては覆すことも可能、例えば瑞鳳さんは武術の達人なので動きが読め無い点や榛名さん達のような能力者の力を活かせば簡単に対処出来てしまいます」

天津風「EXAMシステムはあくまでもサポートシステムの部類に過ぎ無い… ニュータイプの能力を再現出来ていたとしても、『結構強いファイター』程度って次元で瑞鳳さん達のような『ヤバイ系人間』なら勝てるって訳ね」

海風「まぁここに居る人間の機体スペックがスクランブルを上回っているので対処も可能、と言うだけで一般ファイターには充分脅威です。それに我々でも下手を打てば確実にヤられます。

阿武隈さんと海風の打ったEXAM同時使用の影響による同士討ち誘発は正解の一つでしょう。 『一撃で消滅』させない限りは無限に再生する相手ですのでこちらは消耗する、だけど向こうはシステムを自動で使えば永遠と戦えますから」

阿武隈「EXAMの対処法は一つ、同士討ちを誘発させるか再生する間なく短時間・もしくは一撃で敵を消滅させるか… ってことだね」

海風「はい。 もしくはEXAMとバトルシステムを繋ぐネットワークを封じるか… こちらは現状では不可能なので頭に留めて置く程度です」

ウォースパイト「つまりジャマーを使えば良いのね。 そのツテはあるから、探してみるわ」

海風「ありがとうございます」

霞「案外、すんなり対処法って出来るものね…」

長波「だが言ってることは相当キツイぞ。 人間辞めろって言ってるんだからな」

海風「…キツイですか?」

陽炎「キツイ」

浜風「個々の能力に頼りすぎている、と言うのが問題ですね。 我々が目指さなければならないのは『一般人でもEXAMに対処出来る様にする』ことですから」

海風「じゃあそこまで言うならそれ以外の対処法をどうぞ?」

瑞鳳「こら、喧嘩しないの。 確かに今は海風ちゃんの言う方法しか対処法が無い、でもそれは後々創れば済む事だよ。 私が危惧してるのはそこじゃないの」

朝雲「どう言う事、ですか?」

瑞鳳「私達の記憶が正しければなんだけどね… あのEXAM、こっちで再構成した可能性が高いの」

萩風「え…?」

神通「どう言う事ですか!?」

春雨「私達が『ペイルライダー』と一緒に『BD-02』を発見した時、中破程度の損傷を負っていたんです、はい」

時雨「そして僕らの記憶を必死に手繰り寄せて纏め上げたら、頭部の半分が損壊してたことを思い出したのさ」

三日月「しかもあそこは海底、海の底にあったものです。 ハードの類も海水でやられているとすれば…?」

榛名「多少のモノが残っていたとは言え、EXAMは喪失している… と言う訳ですね」

瑞鳳「だけどナノマシンにEXAMを流用した、って事はこちら側で再構築した可能性が出てきたの。 ううん、完全に復元した可能性がある。

ハシラジマから送られてきたデータ、ナノマシンの『EXAM』と『HADES』のOSデータを照会したら合致する点が多く出てきたみたい。 つまりあれは『こちら側』の技術じゃなく『本当の宇宙世紀のもの』の技術で出来てるんだよ」

浜風「…まさか、こちらに宇宙世紀の人間が流れ着いた…?」

海風「しかもEXAMの根幹に関わった人間が…!」

瑞鳳「それがニムバスなのか、黒幕なのかは分からないけどね… この件は気に留めておく程度で良いよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/08(水) 00:45:44.67 ID:UpEfxahV0<> 如月「でも宇宙世紀の人間なんて、本当に居るのかしらね?」

野分「MSの漂着がある以上繋がりはあるのだろうけど…」

秋月「まぁ実在が疑わしいのは事実ですね」

瑞鳳「ところがどっこい、居るんだよ」

朝雲「居るの…?」

瑞鳳「と言う事で呼んできました。 『ハシラジマのある世界』から、宇宙世紀出身の『リタ・ベルナル』さんです」

リタ「紹介に預かった、リタ・ベルナルです」

榛名「え…」

天城「…姉さんそっくり!?」

間宮「アルバムで見た中学生時代の榛名さんとほぼ同じ顔ですよ!?」

リタ「そりゃそうだよ。 私の肉体は、青葉ママと榛名ママの遺伝子を組み合わせて創ったデザインチャイルドなんだから」

榛名・青葉「!?」

海風「どう言う事ですか?」

リタ「言葉通り、私は宇宙世紀の出だけど体の方はとっくに死んでてね。 でも私の魂自体は残ってたから新しい『器』を作って移し変えたの。

そこで必要になったのが私と波長が合った青葉ママの遺伝子を持つ肉体、でもクローニングは難しいから榛名ママの遺伝子情報も組み合わせて出来たのがこの身体ってこと」

神通(言わば私と萩風の先達、ある意味で姉とも言うべき存在でしょう)

朝雲「でも、リタ・ベルナルなんて名前聞いた事無いわよ」

天津風「…小説版の『RX-0 フェネクス』のパイロットよ。そして非業の死を遂げた強化人間、その魂はフェネクスと一緒に宇宙の果てに消えて…」

リタ「そう、私はその過程でこちら側に流れ着いた。 『フェネクス』と一緒にね… 勿論、貴女の知る『戦い』もやったよ」

天津風「『エシャロット』? それとも…」

リタ「『ネオ・ジオング』、まぁアレとは去年もう一度戦ったけど… でもその話は今は関係ない。

私はちゃんと貴女の知る『リタ・ベルナル』であり、宇宙世紀で生まれ死んだ人間の魂を持つ者。納得できた?」

天津風「そう言われても…」

リタ「ま、仕方無いよね。 証拠も無ければ納得出来ない筈だし… シャア連れて来たほうが良かったんじゃない?」

陽炎「シャアって… まさか…!?」

リタ「『シャア・アズナブル』、本名キャスバル・レム・ダイクン。私同様肉体は失ってるけど、他の身体の魂に融合することで魂は残ってる」

長波「嘘だろ…」

蒼龍「本当よ。 ただ、その人連れてくると厄介な事態になるし… 丁度良かったのはリタちゃんだけだから」

海風「厄介…?」

春雨「あ、あははは…」

時雨「よりによって『あっち側の春雨』がシャアの融合先なんだよ。 普段は表に出無いけどね」

事情を知らない方々「!?」

リタ「その反応になるよね〜…」

瑞鳳「本当、よりによってなのよね…」

阿武隈「」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/08(水) 02:39:09.73 ID:UpEfxahV0<> すみません、なんか最後阿武隈が紛れ込んでました…



《ブリーフィング後》

海風「ではリタさんは、数日間はこちらに留まると?」

リタ「まぁね。 榛名ママから、後輩を導けって」

神通「後輩?」

リタ「『ニュータイプ』のね。 あっちの世界のママは両方NT、私もその能力はある程度は受け継いでる… なら先達として、色々話さなきゃいけないことがあるから」

霞「…」

リタ「私は強化人間、本当のNTじゃない。 でも本当のNTの姿は見てきたし『刻の彼方』も垣間みてる。伝えられる事は色々あるよ」

天津風「良かったじゃ無い、霞。 ホンモノのNTと話せる機会なんて無いわよ」

霞「別に… 私は進化とかNTとか興味無い、私は私の辿る道を進むだけ」

リタ「それで良いよ。 辿る道は自分で選ぶ、それが人として正しい生き方だから。 辿る道を強要しようとして破滅したヤツも見てきたし、私は干渉するつもりは無いよ」

朝雲「破滅したヤツ、って?」

リタ「私達が去年倒したヤツのこと。 あっちの満潮の仲間を殺して、各方面に喧嘩ふっかけて… ママに叩き潰された」

萩風(『イノベイター』の一件、あの後向こうの榛名さんは色々と考え込む事が多くなったと聞いていますが…)

リタ「どうすれば良いかなんて自分で決める事、それが『人の革新』… でも一つだけ、みんなも覚えておいて。

特殊な力なんてあってもそれは『人の革新』なんかじゃない。 誰かを思いやり、誰かの為に何かが出来る人が一番『革新』に近いの」


霞(リタ・ベルナル、彼女の言っている言葉の意味は良く分からない。 だけどシェリンドン・ロナの言葉よりは納得出来た。

私が辿る道は、これからどうなるのかなんて私にも分からない。 でも私は進み続ける、何があろうと、何が立ちはだかろうと)


神通(多くの歯車が回りだし、着々と変動していく未来に私は… 私達は何が出来るのだろうか?)


海風(それは誰にも分からない。 だって、未来なんてまだ決まりきっていないのだから)


第12話『コスモ・クルス』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/08(水) 02:43:33.90 ID:UpEfxahV0<> 第12話終了、中学生には少々キツイ話になってまいりました…

リタは第13話までのゲスト扱いで、話にある程度(特に霞絡み)には出ます



あと今回で改造機は出揃ったので第13話は別シナリオ(これからのライバルやかつての対戦相手を出す)をやります

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/08(水) 09:38:09.40 ID:NvLyVQMS0<> 了解です。
ちなみにリタは練習相手としてガンプラバトルやるのかな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/08(水) 10:48:14.48 ID:R75oalBoO<> バトルはしないだろ
あくまでも別世界の人間だし操縦技能無いんじゃない? <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/09(木) 02:02:40.55 ID:gT4bISTa0<> 第13話『未来への翼』


《学園 バトル部部室》

天津風「どう、私の実力は!」

リタ「うーん… 正直機体が能力を阻害してる気がする」

天津風「…は?」

リタ「ミサイル装備ってのは良いし爆撃機としての運用も理に適ってる。 でも装備が空戦機動の邪魔だし何よりミサイルの操作に手間取って機体操作がおざなりになって自分の利点を殺しちゃってるかな。

同じタイプのファイターが出たら確実に負けるよ。 空戦に自信があったとしてもフル対地装備『F-15E』で軽装の『Mig-29OVT』と戦える?」

朝雲「何、『Mig-29OVT』って…」

瑞鳳「ロシアの戦闘機、の試作機だね。 ただ機動性は異常、まず対地装備F-15Eじゃ機動性に翻弄されて負ける」

萩風「現在はロシアの正式採用機に同型の推力偏向ノズルを搭載したMig-35が存在しますね。まだ新鋭機なので配備数はそう多くはありませんが」

朝雲「そ、そう…」

霞「要するに、機体が合って無いってことね」

リタ「そう言う事。 全部最初に放って装備切り離せば多少はマシになるかも」

天津風「ぜ、全否定された…」

海風「リタさんって、割と辛口評価なんですね…」

神通「まさか海風さんのバスターソードも全否定とは…」

リタ「だってさ、ポジション指揮官なのに前に出すぎじゃない? 浜風と同じスタイルの方が絶対良いよ」

愛宕「でもこの子、最初からこの戦闘スタイルなのよね」

瑞鳳「大会まであと3日、もう変更は利かないよ」

海風「それにアレと同じ後ろからチマチマ遠隔砲台使ってコソコソやるなんて死んでもごめんです」

リタ「頑固だねぇ… ま、姉妹の間の事は知らないけど。 良い所はどの戦闘スタイルにもあるんだから、吸収して活かすことも重要だよ」


神通(リタさんは何故か私達の監督役を買って出てくれた。 彼女は何度も深海棲艦や『異世界の人間』と戦っていて戦闘経験は豊富、なのでアドバイスはありがたい)


瑞鳳「じゃあ今日の練習はここまで。 今日以降大会用ガンプラの使用は厳禁、また野良バトルも禁止します」

天津風「え、バトルも駄目なんですか?」

瑞鳳「まだ昏睡病の危険はあるからね。 それにアイツ等が再び動き出した以上またキャリアーが動き出すかもだし」

萩風「バトル練習がしたいのなら『エンガノ』に行くか、CPU戦だけと言う訳ですね」

瑞鳳「そう言うこと。 まぁ後者も遠隔装置で仕掛けてくる可能性もあるけど… それに大会準備もしなきゃいけないしね」

海風「3日で2週間分の着替えと、あと色々用意しておかないといけませんね」

霞「先輩、罠の準備お願いします」

萩風「え、私がやりますよ?」

神通「萩風がやったら確実に無数の肉塊が出来るので駄目です」

リタ「アレだね。ミンチよりひでぇや、ってやつ」

萩風「私の認識ってどうなってるの…?」

朝雲「この部に所属してる時点でキチガイ扱いは免れられないから平気平気」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/09(木) 02:31:14.81 ID:gT4bISTa0<> 《帰り道》


朝雲「しっかし、終業式も終わって後は大会を待つだけか… 大会、どんな連中が出るのかしら?」

海風「大阪は先週まで決まってなかった、と聞いていますが全て出揃った筈ですよ」

天津風「寧ろなんで先週まで決まってなかったのよ」

海風「機械の故障だそうです。 別会場でやれって話ですよ」

霞「全くね…」

萩風「現時点で最も警戒すべきは… 『ホワイトクリーン』でしょうか」

神通「ガンプラも戦闘スタイルも全て筒抜けですからね。 逆もまた然りですが」

霞「アンタは榛名さん達と仙台行かなくて良かったの?」

リタ「うーん… あくまでもこっち側の人間は私にとってはママじゃないし、寧ろ行く理由は無いかな」

霞「だからってウチに居座るな…!」

リタ「泊まるとこ無いんだから仕方無いでしょ。 間宮さんの所だって、青葉ママ居るから気まずいし」


霞(リタ・ベルナルはウチに今居座ってる。 マイペース過ぎてこちらの生活が掻き乱されている… 順応してるのは海風だけだ)


朝雲「じゃあここで分かれ道だけど… これからどうする?」

天津風「私はZEONで買い物。 シャンプーとか色々買って帰る」

神通「私達は直帰します。 用があればいつでも連絡下さい」

萩風「私は… 少し行くところがある、かな…?」

朝雲「つれ無いわね… 私、間宮さんのトコ行こうっと…」


視点選択 直下
1.霞『再びの山嵐』
2.朝雲『再会、ボクサー』
3.萩風『加害者の今』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/09(木) 03:23:06.51 ID:Ns40+v870<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/12(日) 04:41:54.33 ID:Nui2vYAx0<> 《公園》


朝雲「あっつ…」モソモソ

朝雲(まさか間宮さんのトコ、今日やってないなんて… これが食べれる最後のチャンスだったのに…)

朝雲「あ〜あ… こんなカキ氷よりももっと美味しいやつ食べたかったな…」

朝雲(こっちも悪くは無いんだけど、やっぱり見劣りしちゃうのよね)

「ん…? お前は…」

朝雲「…久しぶりね、イズナ・シモン」

シモン「いつぞやの試合の後の見舞い以来だな、朝雲。 どうだ調子は?」

朝雲「普通よ普通。 そっちは… よくこんな暑い中トレーニングなんて出来るわね」

シモン「慣れっこさ。 最近妹さん退院したんだってな」

朝雲「暫く週3回の通院が必要だそうだけどね。 今は自宅療養、病院生活が長かったから日常生活に馴染ませてるところ。 そっちは?」

シモン「漸くこっちも一時退院が認められた所だ。 そしたらガンプラバトルを見に行きたい、って騒いじまってさ…」

朝雲「ウチのもよ。 試合日程次第、とは言ってるけど」

シモン「連れては行きたいが今は昏睡事件があるからな…」

朝雲「そう、よね…」

シモン「…なぁ、お前何か知らないか? 現場に居たんだろ?」

朝雲「知ってどうする気?」

シモン「あ、いや… 知っておいた方が、マモルの為になるかと…」

朝雲「知らないほうが良いわよ。 碌なモンじゃないもの」

シモン「やっぱりな… 噂は聞いてるんだ。 最近出回ってる『薬』が昏睡事件を招いてるんじゃ無いかって」

朝雲「それは私の口からは言え無い。 唯言えるのは、余計な真実を知ろうとする事は身を滅ぼすってことよ」

シモン「お前はそれで納得出来るのか?」

朝雲「納得も何も、それが一番良いことなの。 余計な事に首突っ込めばアンタだけじゃない、弟君にも累が及ぶ可能性もあんのよ」

シモン「それは…」

朝雲「だからアンタは知らない方が良い。 弟君だけを守る事を考えておきなさい」

シモン「そうだな…」

朝雲「ま、こんな大層な事言っておきながら私も事のあらまし程度しか知らないんだけどね。実際私が何かした訳でもないし」

シモン「お前な…」

朝雲「でも大会中は安全なんじゃないかしら。 あの時、地区決勝の時は特別だっただけでそんなに何回も事件が起きてたまるかっての」

シモン「そうなのか?」

朝雲「確証は無いけどね。 弟君、連れて行くならホテルとか大変よ。 日程ダブってる世界大会と会場近いから宿取れないかも」

シモン「マジかよ…」

朝雲「さて… 私は行こうかしら?」

シモン「もう行くのか?」

朝雲「大会準備があるし、機体の受け取りにも行かないといけないもの」

シモン「何だ、機体換えるのか?」

朝雲「2機運用にしたのよ。 『ストライク』じゃ対応出来ない局面だって出てくるだろうし、せっかく使える機体があるのに勿体無いじゃない」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/13(月) 00:31:03.40 ID:caM4kIUq0<> 《模型店エンガノ》


飛龍「いらっしゃ… 何だ朝雲ちゃんか。 ようやくストライクの回収?」

朝雲「はい。 色々立て込んでて受け取るの忘れてましたから」

飛龍「『シームルグ』があるからストライクはお蔵入りにしたのかと思ってたけど… で、そっちのは?」

朝雲「付き添い、と言うか…」

シモン「何となく、興味があって…」

飛龍「ふぅん… モテるわねぇ」

朝雲「!?」

シモン「え!? そ、そう言うんじゃ…」

飛龍「冗談よ、冗談」

朝雲「瑞鳳さんは?」

飛龍「さっき一度帰って来たんだけど… ちょっと出かけた。 帰ってくるのは明日になりそう」チョイチョイ

朝雲「?」

飛龍(実はナノマシンの製造工場みたいなものを青葉が突き止めたのよ)

朝雲「え…?」

飛龍(間宮さん達と一緒に制圧に向かってる。 詳しい事は萩風ちゃんか神通ちゃんに報告するから後で電話で聞いてみて)

朝雲(分かりました。飛龍さんは行かないんですか?)

飛龍(私は待機。 いざとなったらMSを引っ張り出すのに、こっちの残ってないと駄目だもの)

朝雲(そんなに大きな規模なんですか?)

飛龍(倒産した製薬工場の跡地を使ってるのよ。 丸々焼き払う必要があるから火力が…)

シモン「何の話だ?」

朝雲「な、なんでもないわ!」

飛龍「女同士の話だから気にしないで!」

シモン「は、はぁ…」

飛龍「えっとストライクは… 工房だったかしら。 夕張ちゃん、ちょっと!」

夕張「は〜い。 ストライクですね」

朝雲「あれ、夕張さん?」

夕張「私、一応ここのバイトよ。人手足りないときの臨時のね。 今はサンプル作例、この前発売した『ケルディムサーガ』の素組やってるの」

朝雲「そうなんですね。 あ、入荷っていつですか?」

夕張「もう入荷はしてますよね?」

飛龍「してるよ。 今在庫は倉庫だけど… 欲しいの?」

朝雲「五月雨、妹が欲しがってるんです。 なのであったら買っておこうかなって」

飛龍「わかった。 後で売ったげる」

シモン「妹もガンプラやってるのか?」

朝雲「ええ。 まぁ根がドジだから… ポリキャップ入れ忘れたりピン折ったりなんて日常茶飯事だけども…」

夕張「私も初心者の頃よくやったわ、それ… じゃあこれ、ストライクね」


機体改修(『ストライク・ヴァルキリー』)

・ベース機:ストライクE(固定)
・改造条件:後方支援特化・射撃寄り装備であること。『味方への補助装備』を含めること

改造内容(名前も併記) 下2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/13(月) 09:39:13.57 ID:NXrlKSER0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/13(月) 11:50:56.14 ID:EQasxgQO0<> ストライク・エインヘリヤル

ベース機本体は戦闘データを基に間接等の強化を行い動作の最適化。
膝部分にケルディムサーガのGNマシンガンのラックを移設。
ショーティーはGNピストルUのように実体刃を追加。
ライフルは実弾機能をオミットした代わりに銃底部にオプションラックを追加。グレネード・マシンガンなど(その他色々)を選択式で装備できる。

スヴェルストライカー
ブリガンディアストライカーをベースに新造したストライカー。
変更点はキャノンを専用のシールドドラグーンにしたことのみ。
シールドドラグーンはプロヴィデンスの複合兵装ユニットにビームシールドを追加してオールレンジ兵装へ換装した武器で、6基搭載している。一応展開しなくてもビームガンは打てる。
ただし、展開時の動きは基本オートのみで、あまり機敏な行動はできない。ちなみに、スヴェルとは北欧神話に出てくる盾のこと。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/15(水) 01:52:11.92 ID:SQaiONta0<> ストライク・エインヘリヤル
武装
・M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2
・M8F-SB1 ビームライフルショーティー改×2
・専用ロングライフル弐型
ライトニングストライカー改『スヴェルストライカー』
・複合兵装ユニット改『シールドドラグーン』×6

概要
朝雲の『ストライク・ヴァルキリー』を改修し、アップデートを施した機体。
榛名によって仕込まれたガン=カタにより対応出来るよう各部関節の強化などを施されより人間に近い柔軟な動きが出来る。
性能そのものは『RX-0[Sm] シームルグ』より火力・機動力などで劣っているが継戦能力や防御能力、補助能力はこちらの方が高い。
改修点は脚部に『ケルディムガンダムサーガ』の有償サンプルからぶんどったGNマシンガン用のラックを移設されたこと、そしてライフルに改修を加えられ実弾砲撃機能のオミットとその変わりにオプションラックが追加されたこと。
オプション装備は脚部のラックに戦闘時は付いているが戦闘中に切り替えることで柔軟に運用出来る。
またショーティー・ビームライフルに実体刃を追加し格闘能力が向上した。
整備性に難がある『シームルグ』の予備として死蔵しかかった『ストライク・ヴァルキリー』を改修した為、死んだ勇者の魂たる『エインヘリヤル』の名前を付けられた…
と思われているが実際には新たに内蔵された『ある特殊能力』が存在しており、それをイメージして名称変更された。ただしその能力を把握しているのは瑞鳳、そしてテストに携わった夕張のみである。

スヴェルストライカー
ブリガンディアストライカーを改修し、火力から防御能力に重点を移したストライカーパック。
ホーミングビームキャノン発射口を全て廃止し代わりに浜風用のニクスプロヴィデンスの予備パーツ製作の際に余りに余った複合兵装防盾システムを改造した『シールドドラグーン』のプラットフォームに変更されている。
シールドドラグーンにはビームシールド展開機能が付与、そしてプラットフォーム接続時にもビームキャノンは撃てるが相対的に火力は落ちた。
ただしマニュアル操作には高い練度を要するため、運用はオートに限られており機敏な動きは出来ない。



夕張「これが貴女の新しいストライク、『ストライク・エインヘリヤル』よ」

朝雲「…ファ○ナー?」

夕張「いや、そんなモデルの機体があるけどさ… もっと別の感想無いの?」

朝雲「能力的にはどうなんですか?」

夕張「火力以外は全部上がってるわ。 柔軟性も、前の数倍高くなってるからより人間らしく動ける」

朝雲「うわ… ほんとにヌルヌル動けてる… 関節柔らかい…」

夕張「その気になれば爪先立ちイナバ○アーなんて芸当まで出来るようになってるわよ。 体操選手より動けるかも」

シモン「スゲェ…」

飛龍「まさに無駄技術の集大成よ、それ」

夕張「そして新システムも… あっと、これは実際に使ってのお楽しみね。 まぁ使う可能性は低いけど」

朝雲「? コード・ブレイヴ的な?」

夕張「あれとは違うけど… まぁ、一種のチート技ね。 レギュレーション的には問題ないけど、ガンプラとしてどうよって感じの」

朝雲「えぇ…」

飛龍「どう、テストしてみる?」

朝雲「ええ、やってみます。 アンタ、テスト付き合いなさいよ」

シモン「え、俺!?」

飛龍「まぁ、ウチでやるなら大丈夫でしょう。 ガンプラはそこの棚の好きなの使ってね」



視点選択 直下
1.霞『再びの山嵐』
2.海風『苛立つ相手と親戚と』
3.萩風『加害者の今』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/15(水) 04:35:35.46 ID:XsastPbA0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/16(木) 03:24:02.18 ID:APGZQfwU0<> side-海風-『苛立つ相手と親戚と』

《新宿駅近郊》

海風「…」イライラ

浜風「あの、海風…」

海風「全くもって不愉快です…! あのゴミクズ共、まだふざけた事をほざいて…!」

浜風「口が悪いわ。 …でも、流石に身勝手が過ぎると思う」

海風「いきなり呼び出したと思ったら、東京に戻るからまた家族一緒に暮らそう? 舐めたことを言って、都合の良い時だけ『家族』と言う言葉を振りかざすな…!」

浜風「だけどテーブルにあったウォーターポットから水かけるのはやり過ぎ。 そしてお互いの不倫ネタを暴露するのもね」

海風「ザマァ見ろ。どうせ機能不全の家庭、そんなもの無くなっても大差無いでしょう」

浜風(私に矛先は向いて来ないけど… 少なくとも今日は殺気立ってる。確かに、海風がキレるのも分かるし私が同じ状況ならそうしてた。

流石に互いの不倫については知らなかったようだし、大きな爆弾を投げ付けたことには変わり無いけど)

浜風「ハァ…」

浜風(助けてください、瑞鳳さん… 海風が、妹がだんだんカミーユになっていきます…)

海風「溜息つくくらいならこんな所で油売ってないで、製薬工場跡制圧作戦にでも参加すれば良いじゃないですか」

浜風「私と飛龍さんは予備兵力、MSを出す必要が出たら動く。尤も人目につかない夜にしか動けないけど…」

海風「まぁ良いです… これから少し買い物してから帰りますけど、どうする気で…」

「あ、テメェは…!」

海風「…」

浜風「知り合いですか?」

海風「いえ、こんなワカメ知り合いに居てたまりません」

カリマ「神奈川代表本牧学園のカリマ・ケイだ! テメェ人に不意打ち食らわしといて、良い度胸してんじゃねぇか…!」

海風「先にやったのはどちらでしょうね? やり返されて逆ギレとは、被害者面も甚だしい」

カリマ「ッ…! この七光りが…!」

浜風「七光り…? ウチの妹に、何か文句が?」

カリマ「何!? い、妹…? まさか、アンタ…」

浜風「ウチの妹の何が気に入らないのかは知りませんが七光り呼ばわりとは… この子の実力は私とは無関係、自分で身に着けたものです。

それとも私が直々に貴方を叩き潰してあげましょうか?」

カリマ「せ、世界チャンプが相手…!? だ、駄目だ… 勝てる気が…」

海風「余計な事言わないで下さい。 こんな、相手を侮辱する者に戦う価値など無い」

浜風「…そうですね。 ファイターとしての資格の無い人間、相手にする価値などありませんでした」

カリマ「なっ…!?」

「そう言うこと。 引っ込んだら?」

カリマ「誰だ!」

海風・浜風「え…」


誰? 直下
1.浦風(広島代表)
2.江風(長崎代表)
3.鬼怒(栃木代表)
4.その他(未出及び別世界でメインキャラになっていないこと) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/16(木) 04:00:25.61 ID:SgtixGYZ0<> 3で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/16(木) 04:52:05.53 ID:XJNHroxA0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/17(金) 02:53:01.23 ID:J8texhRT0<> 「知ってるよ〜。 カリマ・ケイ、ガンプラ学園と戦おうとしたら海風相手に無様を晒したって。 まさに自爆だね、聞いた限り」

カリマ「誰だよ、お前は…!」

浜風「き、鬼怒!?」

鬼怒「そ! 私こそ、栃木代表が一人にしてこの二人の従姉妹… 鬼怒だよ!」

カリマ「い、従姉!?」

海風「相も変らぬハイテンションっぷりですね…」

カリマ「に、似てねぇじゃねぇか…」

浜風「性格から何まで、全く似てません」

鬼怒「酷っ。 そりゃそうだけどさ… 浜風姉も海風も、そのローテンション過ぎるのは直そうよ」

海風「家庭の事情ですから気にしないで… って、栃木代表ってどう言う事ですか!?」

鬼怒「え、鬼怒元々ファイターだったけど… 浜風姉の方が遅く始めてるんだよ?」

浜風「確かに前、5年くらい前に会った時にはそんな事を言ってたような…」

鬼怒「積もる話はあっちのカフェでしようよ。 こんなワカメ放っておいてさ」

カリマ「誰がワカメだ!」

海風「いい加減失せないと、そのワカメ毟りますよ。海風、有言実行がモットーなもので」

カリマ「糞っ…! 憶えてろよ…!」

海風「だから、憶えるつもりはありませんって」


《カフェ》

浜風「で、積もる話は沢山ありますが… 何で居るんです?」

鬼怒「のんびり大会の現地まで鈍行で向かおうかな〜って思って、途中ここでチームメイトと寄り道したら見かけたの」

海風「チームメイト、ですか?」

鬼怒「うん。 逸れちゃったけど」

浜風「新宿で逸れたら出会うのは至難の業でしょうね…」

鬼怒「え、新宿? ここ渋谷じゃないの?」

海風「え…」

鬼怒「おっかしいなぁ… 降りたのは渋谷なんだけど…」

海風「まさか… 渋谷から新宿まで歩いてきたと…?」

浜風「えぇ… 何やってるの、この子…」

鬼怒「向かう先は一緒なんだから出会えるでしょ、多分。 それよりまさか二人が鬼怒より有名になってるなんてねぇ…

浜風姉は言わずもかな、海風も色んな意味でファイター界隈じゃ有名だよ。 鬼怒、正直羨ましいな〜って」

海風「有名?」

鬼怒「昏睡事件解決の立役者、初心者なのに全国級と渡り合うやベーやつ、バスターソードを振り回す指揮官、キレ顔ダブルバスターソード、困ったときにはバスターソード、バスターソードでフィールドを叩き割る女…」

海風「後半の一体なんですか!? 結構身に覚えはありますけど!?」

鬼怒「そしてガンプラ学園のエース、キジマ・ウィルフリッドと互角だった事も知ってるよ。 しかも向こうもほぼ加減無しだったこともね」

浜風「一体どこからそんな話が漏れて…」

鬼怒「京都の『風の会』って所の、無駄にデコがテカテカしてる人」

海風「あの人ですか…!」

浜風「知り合いなんですか?」

鬼怒「うん。 一回だけ練習試合したことあるから、その時仲良くなった」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/17(金) 06:52:48.72 ID:9qj+G+gSO<> 鬼怒のチームメイトがなぜかやってきた <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/18(土) 03:43:42.78 ID:bI6qRoTc0<> 「全く、鬼怒はどこに… って居た!?」

海風「…あの、鬼怒さん?」

浜風「鬼怒、お探しの人が来たようですよ」

鬼怒「おぉ! ここ新宿なのに良く分かったね!」

「探したよ… まさか新宿まで徒歩で来るハメになるなんて…」

「一体何がどうしてこうなって… そちらの方は?」

鬼怒「あ、鬼怒の従姉。 姉の浜風姉と、妹の海風」

浜風「紹介に預かりました、浜風と言います」

海風「海風です。どうぞよろし…」

「「って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」

海風「…貴女のお仲間と言うだけあって、凄いハイテンションですね」

浜風「ちょっと耳がキンキンしてきた…」

鬼怒「ふ、二人共落ちつい…」

「何で黙ってたのさ! この二人って、ある意味超有名人だよ!?」

「世界チャンピオンに、バスターソードフェチの変態妹… まさかこんな二人に…」

海風「ちょっと表出ろ」

浜風「海風、落ち着いて…」

海風「だって海風、本来の領分で評価されないでバスターソード振り回してることだけが変な風に捉えられてるんですよ!? 凄い風評被害ですよ!

朝風でしたっけあの人!? 一体何喋ったんですか!? あのデコに肉って油性マジックで書いてやりましょうか!?」

浜風「気持ちは分かる…! でも落ち着いて…!」

鬼怒「まぁまぁ海風。 そんなに怒らなくても… 他のお客さんに迷惑だから、ね?」

海風「黙らっしゃい! あんなキンキン声でバスターソードフェチだの変態だのと呼ばれて怒らない人が居るとでも!?」

鬼怒「あ、スイマセン…」

浜風「海風の指揮能力はちゃんと評価されてるから… 今は落ち着いて、お願い…!」

「ご、ごめん… ちょっとハイテンションになってた…」

「流石にちょっと言い過ぎたかも…」

海風「言葉発する前に相手がどう捉えるか考えてから発しなさい! 貴女達のお頭はその程度のことも…」

鬼怒(ねぇ、浜風姉。 もしかして海風の罵倒語彙力上がってない…?)

浜風(ええ… 不仲な両親に挟まれてネットにのめり込んで、なおかつ頭の回転が早すぎるものだから… 私も、言葉でフルボッコにされた…

と言うかさっき、両親相手に啖呵切って罵倒して水ぶっ掛けてきたばかりなの…)

鬼怒(この子どんな方向に向かってるの!?)

海風「ハァハァ… 頭回転させたら糖分足りなくなってきた…」

鬼怒「ごめんね、海風。 ちょっと配慮足りなかったかも…」

海風「全くです… あと次会ったら朝風って人、デコに油性マジックで落書きしてやる…」

浜風「止めなさい。 絶対デコじゃ済まないから」

(エアクラッシャー海風、あの話は本当だった…)

(爆弾発言と暴言と罵倒と嫌がらせのオンパレードで空気を悉く凍らせる… あんまり敵にまわしたくは無いかも…)

海風「で、そこの二人は一体何なんですか?」


チームメイト(とチーム名) 直下
1.嵐・江風 『チーム・トリオ・ザ・レッド』
2.木曾・天霧 『チーム・サンシャイン』
3.その他(キャラクター、チーム名も。 ただし既出など一部キャラはNG) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/18(土) 05:30:00.20 ID:XvUKx01R0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/19(日) 04:44:36.14 ID:t1wIOUKU0<> 嵐「あ、嵐っす。鬼怒のチームメイトで…」

江風「同じく江風。 一応『トリオ・ザ・レッド』ってチームでやってます…」

鬼怒「え、えっと… 二人共、この子二人より年下の中一だよ…?」

嵐・江風「え…」

海風「はぁ… 『フリューゲル・ヴェント』、海風です。 チームの主席指揮官、そして戦術補佐を担当しています」

浜風「浜風です。 まぁ知っての通り、一応世界大会出場ファイターで優勝もしていますが… 貴女達とは現状、戦わないので気にしないで下さい」

鬼怒「え、えっと… 従姉の鬼怒っす、はい」

浜風「鬼怒、もう知ってる」

鬼怒「だよねー…」

嵐「確かウイングゼロのファイター、だったっけ…」

海風「『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』、です」

浜風(今はアズライト、だけど。 情報の隠蔽は基本的なこと、明かさないおは当然ね)

江風「本当にこれであのキジマ・ウィルフリッドと互角だったのかよ…?」

海風「ええ。 押されてはいましたが、粘りましたよ。 時間切れになっていなければ色んな意味で負けていましたが」

海風(あの戦い、先読みを10連重ねていましたが軽く上回られていた… そして『アズライト・バースト』、その前のシステムを使用したことによる超過負荷でウイングの腕が木っ端微塵になったこと…

粘れてはいても、勝ちには程遠かった… だけど次は、次こそは…!)

プルルルルルル

鬼怒「あれ、浜風姉の?」

浜風「あ、ほんとだ… 瑞鳳さん…?」

嵐「ず、瑞鳳って… あの『真紅の戦乙女』!?」

江風「そりゃ当然だよなぁ… 関わりあるンだし」

浜風「浜風です。瑞鳳さん、どうかしましたか?」

瑞鳳『制圧終わったよ。 ただ色々問題があって… 急いで基地に集合して』

浜風「分かりました。 今から海風と向かいます」

海風「何かあったのですか?」

浜風「少々問題が起きた様で… 海風も来て下さい」

海風「分かりました。 では失礼します」

鬼怒「じゃあね二人共… って、お金! お会計忘れてるって!?」

海風「次会ったら払いますから立て替えておいてください!」

<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/20(月) 00:22:53.90 ID:MjW4mpZQ0<> 《瑞鳳達のアジト》

浜風「遅れました!」

海風「新宿行ってました、すみません!」

瑞鳳「あれ海風ちゃんも来ちゃったの? 別に浜風ちゃんだけで良かったんだけど… 御両親とのお話はもう終わった?」

海風「ええ。 あんな面、二度と拝みたくはありません」

浜風「まあ私も怒り心頭なので海風と同意です」

瑞鳳「そ、そう?」

瑞鳳(浜風ちゃん達の件、そろそろ何かしないとマズイかもね… もう家庭は破綻してるし、蒼龍さん達と同じで新しい偽装戸籍の用意もしておこうかな。

少なくとも聞いた限りじゃ完全に教育上よろしくないし、引き取るにしろ完全に縁を断たないといけないし… 問題はその資金、そして姉妹二人で生活出来るだけのお金か…)

海風「どうかしましたか?」

瑞鳳「何でもないよ。 それよりちょっと付いて来て」



浜風「予定していた作戦終了時刻を大幅に上回っていますが… 何かあったのですか?」

瑞鳳「警察、しかもSATと鉢合わせしたの。 向こうも本拠地に殴りこみをかけて、私達はギリギリ逃げて来た」

海風「SATって、あのSATですか?」

瑞鳳「警察の特殊急襲部隊だね。 別にSATも纏めて制圧するのは簡単だけど余計話がややこしくなるのは目に見えてる。

第一この基地を知られれば、何が起きるか分かったもんじゃないし」

浜風「軍事力に関してなら我々はある程度の国家の軍隊に相当する戦力を持っています。 我々がそのつもりが無くとも向こうには関係ない、ただの武力集団扱いですから」

瑞鳳「そう言うこと。 だから私達、青葉さんと古鷹さん、衣笠さんと間宮さん、そして榛名さんと蒼龍さんと私はトンズラ。ほぼ得るものは無かった。

抑えられたのは証拠写真とある程度の物証だけ。 ただね、その物証が非常に厄介と言うか…」

海風「物証…?」


《医務室》


瑞鳳「これが私達の見つけた『物証』、と言うより『証人』だね」

海風「女の人… 海風達と大差無い…」

浜風「この少女… 昏睡病の罹患者ですか?」

瑞鳳「と言うか元凶とも言えるかも」

浜風「…!」

海風「まさか…」

瑞鳳「EXAMシステムを完成させるにはね、あるものが必要なの。 『ニュータイプ、それに準ずる存在の脳波』、それをシステムにコピーして核にすることでシステムは完成する。

そしてこの子の脳波は… 『今のEXAMシステム』の波長パターンと完全に一致した。 この子がEXAMの核、パーソナルデータはこれ。抜き出せた情報の一部にこれがあった」

海風「『マリオン・ウェルチ』… アナハイムが経営する孤児院の出身、そして『ガンプラ学園』の学生…!?」

浜風「あそこはアナハイムのお膝元、入学していても不思議じゃないわね…」

瑞鳳「そう言うこと。 それに平行世界のアナハイムは裏で『強化人間』に関する研究をしていた、もしそれがこの世界でも行われていたら…」

海風「この少女が、その被検体だった…?」

瑞鳳「その可能性は大いに在る。 だからこそ私達は、絶対的な切り札を手に入れたことになるの」

浜風「EXAMシステムを止める方法は、大本を破壊してこの子を目覚めさせるしか方法は… まさかその逆も然り、なの…?」

瑞鳳「…うん。 私の見立て、そして『ゼロシステム』とハシラジマにある『ヴェーダ』の予測だとこの子を殺せばこの事態は止まる。

この子とEXAMは今も繋がってる、だからこそこの子を殺して繋がり断てば… 最小限の犠牲で、最大の効果を発揮出来るけど…」

海風「そんな…! そんなの、絶対にやっちゃいけない事ですよ!?」

瑞鳳「分かってる…! だからこそ、私は… 『EXAMシステム』の大本を断つ! この子は死なせ無い、そしてEXAMは絶対に破壊する! そしてこの子を、こんな目にあわせた黒幕を成層圏の果てまでぶっとばして摩擦熱で丸焦げにしてやる…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/20(月) 02:45:45.80 ID:VewHh3Dk0<> 浜風「どうしてこの話を私達に? 今からでも全員集めてブリーフィングを…」

瑞鳳「駄目だよ。 この子を殺せば事態は終わる… でも新しい核となる人間が今後現れ無いとも限らない。

そしてここにこの子を保護していることを知って、私達と共に行動をするメンバーの中にこの子を殺そうと考える人が出てくるかもしれない。ここでこの子を殺せば、現状は解決しても『それだけ』なんだよ」

海風「まさかこの子を隠匿する気ですか?」

瑞鳳「と言うか、リタちゃんと一緒にハシラジマへと移送する。 あそこなら切り離す方法が見つかる可能性もあるし、セキュリティも強固だから万全だよ」

海風「確かに… 異世界であるなら簡単には手を出せないかもしれません。 それに現状の状態で完全に事態が解決しない限り、大本のシステムを破壊しない限り復活する可能性もある…

そして、彼女は現状唯一の手がかりと言っても過言ではありません。 ここで彼女を失う事は、海風達が完全にEXAMの手がかりを失うことになると言うことですね」

浜風「しかし、この子を殺そうとする人が居るとは思えませんが…」

海風「萩風さんとかはやらかしそうな気が…」

萩風「確かに私は手段は厭わないけど… 分かってるつもりよ、この子は何も悪く無い。そしてこの子を殺したところで未来を完全に改変出来ないことくらい」

三人「!?」

浜風「何時の間に!?」

萩風「割とさっきから居ましたが… まさか海風さんにそこまで信用されてないとは…」

海風「前科あるじゃないですか結構」

萩風「うっ…!? そ、それ言われると…」

瑞鳳「で、こんな所にどうしたの? 今ちょっと大事な話を…」

萩風「一つ報告に来ただけです。 先程、スドウ・シュンスケの収監されていた施設が何者かの襲撃を受けました」

浜風「彼の居る施設が…!?」

海風「え、彼逮捕と言うか補導?されていたのは知っていましたが… 収監されてたんですか?」

萩風「ええ。 政府の息がかかった病院の隔離施設、特定伝染病患者を隔離する施設に収監されていました。

しかし私が彼の元を、ナノマシンを渡した者がニムバス・シュターゼン一味の三人の中に居るのかを確認に向かいましたが… 既に何者かの襲撃を受け昏睡病の集団発症を確認、そして私が事態の沈静化を図っている隙にスドウ・シュンスケは脱走しました」

瑞鳳「でもどうして彼を今更…?」

萩風「彼は貴重なサンプル、特に通常とは異なるナノマシンを投与されています。 彼の様な人間は貴重なサンプルなのでしょう」

瑞鳳「分かった、ありがとう。 この件は周知しておくね。 被害人数とか具体的な報告は後で聞くから」

萩風「はい、お母様」

瑞鳳「そして… えいっ」ゴツン

萩風「い゛っ!?」

海風「げ、拳骨…?」

瑞鳳「あんまり危ない事、しちゃ駄目だよ。 必要な時は人数を割くから、独断行動は駄目。 良い?」

萩風「うぅ… は、はぃぃぃぃ…」

浜風「凄く痛そう… 私達なら頭蓋骨凹んでるかも…」

瑞鳳「二人もだよ。 良いね?」

海風・浜風「あ、はい!」


イベント選択 直下
1.神通『山嵐』
2.霞『ニュータイプ』
3.天津風『孤独』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/20(月) 04:06:25.36 ID:4c3K4iCA0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/22(水) 04:33:18.16 ID:D83G+cmf0<> side-霞- 『ニュータイプ』


霞「ねぇ、どうしてアンタは死んだの?」

リタ「あ、それ聞いちゃう?」

霞「当然よ。こんな訳の分からない訓練やらされて… アンタの身の上話の一つでも無いとつまらなくてしょうがないわ」

リタ「そうだよね… 面白くも無い、胸糞悪い話だよ。 U.C.0095年12月3日、私はアイリッシュ級戦艦『エシャロット』に居た。理由は『バンシィ』『フェネクス』のトライアル。

私は『フェネクス』の専属強化人間、相手のパイロットは知らない。 テストは順調だった、途中までは」

霞「ネオ・ジオンの介入、だったわね」

リタ「それはアナハイムとエシャロットに乗っていたラーソン中将が仕組んだことだった、けど私が知る事じゃない…

敵機は複数のギラ・ドーガとサイコミュ搭載MS『リバウ』。 私は応戦してたけどバンシィがリバウを相手にNT-Dを発動して、それに焦った中将が私の機体のリミッターを外した…」

霞「そしてNT-Dが発動して…」

リタ「私は、死んだ。 その理由は憶えて無い。 サイコミュ暴走による脳死なのか加速Gでペチャンコなのか分からない。 でも気が付いたら、私はフェネクスに取り込まれてた…

その後は… 宇宙を彷徨って、一人の男の子と再会して、ネオ・ジオングと戦って、ちょっと永い別れを済ませて宇宙に消えた筈だったんだけど…」

霞「筈だった?」

リタ「気が付いたら北極海に沈んでたんだよ」

霞「え」

リタ「いや、ホント… 気が付いたら北極海のコンテナに沈んでて、瑞鳳達に回収されたの。 紆余曲折を経て私はこの身体を使って蘇ったって訳。

この肉体の元々の魂と融合してるせいか、少しだけ明るくなってるらしいけど。 一度里帰りしたけど最初ヨナには私だって分かって貰えなかったし…」

霞「宇宙世紀行って帰って来たの!?」

リタ「うん。 つい5月の事。 本当はママ二人と一緒に行ったんだけど、抜け出して会いに行ったの」

霞「それで、そのヨナってやつは?」

リタ「『え、リタ? リタ!? お前本当にリタなの!?』とか3度も確認された… 私の事好きだ、って言ってくれたのに…。

でもきちんと話して… いや、もうあそこでママ二人のはっちゃけが無ければ…」

霞「何しでかしたのよ、向こうの榛名さん…」

リタ「あろうことかヨナを拉致った」

霞「はぁ!?」

リタ「『娘キズモノにした責任取って貰う』とか言って… 今はハシラジマで待ってくれてる」

霞「…今回アンタじゃなくてそのヨナってやつ連れてくるべきじゃなかったの?」

リタ「こっちも女ばかりだし、ヨナは私のなんだから鼻伸ばして欲しくないもの。 だから私が来た」

霞「そ、そう…」

霞(意外と嫉妬心はあるのね…)


イベント 直下
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/24(金) 14:48:36.78 ID:7LVEuh19O<> 大鯨襲来 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/25(土) 04:08:47.16 ID:lJG9yl4z0<> ピンポーン


霞「…はぁ、お客かしら? でも最近物騒だから迂闊に出るのも…」

リタ「気配を感じてみれば良いんだよ」

霞「あぁ、そう言う使い方もあるのね」

リタ「榛名ママがよくやってる」

霞「何やってるのよ、アンタのお母さん… やってみる、か…!」ピキィン

霞(既知の気配、しかも昔からの…)

霞「…駄目。 知り合いなのは分かるけど、それ以上は…」

リタ「今はそれで充分、あとで練習すれば良いんだから。 ほら、知り合いなら早く行ったら?」

霞「そうするわ」



大鯨「どもー♪」

霞「大鯨さん、仕事は?」

大鯨「仕事だけど。 貴女の周りの… と言うか土地管理・会社の経営権とあとは賃貸収入管理と税金と…」

霞「ああ、そう言えば引き受けて貰ってましたね」

大鯨「他の誰でもない貴女の御祖母さんの最後の頼みだもの… こんな形でしか恩返しはもう出来ないから。

それに、少しばかり御祖母さんに謝りたいことが出来てしまったし」

霞「謝ること…?」

大鯨「貴女を、昏睡病から護りきることが出来なかったことよ。 事態に巻き込んだ時点で、本当なら謝らなきゃいけなかったのに…

それにあの事件の真相、今世界に起きてることも話さなきゃいけないわ。貴女の事をすぐ傍で見てくれてるとは言え、一度私からのけじめとしてね」

霞「そんな… 私が事件に巻き込まれたのは大鯨さんのせいじゃ…」

大鯨「誰のせいでも無い、それは分かってる… でも私は、その事態を解決する術を持っていない。それが悔しいのよ…」

霞「…大鯨さん、謝るのはきっとお婆ちゃんも望んで無いと思います」

大鯨「分かってる、それも。 けじめとして、よ」



大鯨「で、この資料は… 会社の資産関連のものね」

霞「初めて見た…」

大鯨「貴女は事件の真相と向き合った、その資格はもうあると思うのだけど」

霞「え…?」

大鯨「普通の人ならあんな事件、トラウマを拭うことすら難しいわ。 でも貴女は過去を乗り越え、未来に手を伸ばそうとしてる。

だから私にとっては充分、貴女は成長していると思うわ」

霞「私一人では、無理だったと思います。 …私は今まで一歩踏み出せなかった。友達なんて出来なくて、あの事件にいつまでも囚われて…

でも海風と出会って、先輩と出会って… ちょっとだけ、前に進めたような気がします」

大鯨「神通ちゃんの影響も大きいけど、やっぱり一番は海風ちゃんかしら?」

霞「海風が?」

大鯨「あの子の精神力、正直瑞鳳以上だと思ってる。 あの子の能力は『未来予測演算』、未来を予測する過程の中で幾多もの『最悪の未来』も視ている筈よ。

だけどその未来を受け止め、抗って立ち向かってる。 絶対に何も諦めようとしない不屈の精神、それがあの子の本当の力」

霞「海風の、力…」

大鯨「そしてあの子は瑞鳳以上に周りを視ている。瑞鳳みたいにノンストップで進むんじゃ無くて、隣に立ってくれる人の手を取り合って進むのが海風ちゃんなの。

何を失っても進み続ける瑞鳳、何も失わないように必死に抗いながら前を見据えて進み続けるのが海風ちゃん。そこが二人の違いかしら? そんなあの子の精神が貴女にも影響してるのかもね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/26(日) 04:09:24.35 ID:PUIUhtT50<> 霞「確かに海風は… 何かあれば味方のフォローを率先して行ってくれたり、私の事をあの時庇ってくれた…」

大鯨「でもそれは危うさを孕んでる。 あの子はある意味二重の人格を持った子よ」

霞「二重人格? 海風が?」

大鯨「表向きはマイペースで、貴女達の良く知る海風ちゃん。 でもその本質は… 周囲に気を配り誰かの為なら、冗談抜きで自分の命すらも投げ出そうとする。

歳相応のメンタルなのに弱さを押し殺して、自分がどれだけ傷付く事も厭わない。 『他人の為なら自分がどうでなっても良い』、そんなレベルの自己犠牲精神の塊なの」

霞(そうだ… 思い当たる節はいくらでもある… 最初、私達が模型部と戦った時だって自らが率先して飛び出した…

私の時は自分の事を犠牲にしてでも私を逃がそうとして、スドウ・シュンスケに先輩が負けそうになったのも割り込んだのは海風で…)

霞「確かに、海風の事は歪だって思ってたけど…」

大鯨「瑞鳳だってその辺に関しちゃまだまともな思考よ。 『痛いのやだなー』って躊躇ったり『熊肉はいやだぁぁぁぁぁぁ』とか泣いたりするし。

でも海風ちゃんは躊躇うとか恐怖で泣いたりとか、そんな素振りが一切無い。私が言うのもどうかと思うけど、どう育てたらあんな性格になるのか知りたいわね」

霞「海風の家庭環境は…」

大鯨「浜風ちゃんから聞いてる。 ほぼ機能不全、しかも海風ちゃんには見向きもしなかった。 

多分根底部分には『誰かに求めて貰いたい』って感情があるんじゃないかしら?」

霞「誰かに求めて貰いたい、ですか」

大鯨「私の推測でしかないけどね。 家族からも見放され孤独になったが故にあの人格が形成された…

そして居場所が欲しくて、居場所になってくれる人相手なら命だって捨てられる。 そんな、歪で寂しがり屋なのがあの子なのかも」

霞「歪で寂しがり屋… まさに海風みたいです」

大鯨「だから、貴女が側に居てあげて。 友達として仲間として、あの子を結いつける子が必要だから」



大鯨「じゃあこれで全部、かしら? アナハイムが横槍しなくなってきたからやり易くて助かるわ」

霞「そんなにヤバイんですか、アナハイムって」

大鯨「潰れるのは時間の問題ね。 この前の一件で不買運動やらが広まったり、もっと黒い内部告発が出てきたり…

ナノマシンの件が出て来ないのが幸いってぐらい、今追い込まれつつあるわ」

霞「そこまで…」

大鯨「社員も流に流れてるみたいだし… 日本支部の人もウチも数人引き抜いてるから。

あとは… PPSEも手が離れるかもしれない」

霞「PPSEも!?」

大鯨「どうする、買っちゃう?」

霞「…考えさせてください」

大鯨「了解っと。 あ、ちょっとしたアドバイスいいかしら?」

霞「何ですか?」

大鯨「ニュータイプって言うのはね、ただの進化じゃないの。 人の在り方そのものって言っても良い…

精神的や肉体的な共感だけじゃなくて、隣の人を大事にして活かせる人の事を本当の意味で『ニュータイプ』って呼ぶの。異能力と人類の革新は別物、それだけは覚えておいてね」



霞「異能力と革新は別物、か…」

リタ「その通り、だね。 私が最後に言おうとした台詞取られちゃった」

霞「聞いてたの?」

リタ「多分あの人も気付いてた筈だよ。 あの人の言う通り能力なんて関係ない、誰かを想って力を活かせる人こそ本当のニュータイプ…

家族と仲間の為に革新した榛名ママや青葉ママ、ただ姉への愛のために革新した天城、かつての仲間を想い復讐の為に革新した満潮… 在り方はそれぞれだけど、皆ニュータイプって言っても過言じゃ無い」

霞「…最後の違うでしょ」

リタ「ううん。 満潮がやったのは『誰かの為の復讐』であって自分の為じゃなかった。 誰かを想って復讐できる人間って、本当は優しい人間なんだよ。

それに最終的にはママの為にも戦うようになったし… だから少しイレギュラーな形ではあるけどあの子はニュータイプって言って良いの」

霞「そう言うものなのね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/27(月) 03:24:56.92 ID:JvkVKZ6l0<> 《翌日 甘味処・間宮》

神通「では最終ブリーフィングを行います」

霞「…何でここ?」

海風「丁度良い場所がここだけだったので」

天津風「ここ一応榛名さん、宮城の連中のお膝元よ?」

間宮「大丈夫よ。 もう榛名さん達は現地に向かったし、他の人も全員出払ってるわ。

盗み聞きとか榛名さんにバラしたりもしないから」

朝雲「間宮さんがこう言ってるんだから良いんじゃない?」

間宮「はい、抹茶あんみつと白玉おしるこ。 あとおはぎセットに宇治金時、コーヒーフロートと心太セットね」

萩風「ありがとうございます」

神通「萩風が甘い物なんて…」

萩風「べ、別に私だっていっつも健康健康って言ってる訳じゃ… それに皆頼んでるのに私だけ頼まないなんて空気が読め無いにも程があるじゃないですか」

霞「でも何でコーヒーフロート?」

萩風「…糖分・塩分その他控えめ生活を送り続けた結果、味覚が過敏になって甘い物が苦手に… コーヒーなら誤魔化せるかなって…」

朝雲「やっぱり度が過ぎると駄目なのよね。人間程々よ、程々」

海風「では皆さん、食べながらでもブリーフィングを始めましょう」


海風「ではフォーメーション、戦闘パターンは先程の資料の通りに。あとは… 各チームの戦力等の再確認と致しましょう」

霞「今私達が把握してるのは… 福島・朝日台と宮城・天山、高知・ディープ・ブルーと京都・風の会、神奈川・本牧と…」

天津風「静岡、ガンプラ学園『ソレスタル・スフィア』…」

海風「朝日台は… 長距離砲撃に警戒してさえいれば何とかなります。 先輩、『ディープ・ブルー』は?」

神通「敵は水陸両用を主体に使う、との前情報でしたが現状は水中でも性能を発揮可能な汎用機を主体にしているようです。

ファイターはフランス留学生『コマンダン・テスト』とアイヌ民族?な『神威』、そして『瑞穂』と言う方でした」

天津風「機体はGN-XWとアビスガンダム、そしてガンダイバーの改造機ね。 海中に引きずり込まれれば強敵だけど、海が無ければ平均的な相手に過ぎないわ」

海風「なので対処は水中に近付かない事、でしょうか。 では次は…  『風の会』ですね」

萩風「ファイターは神風、春風、朝風の三人により構築されています。使用機体は『レギンレイズ・フェーン』『ティエルヴァ・マガツ』『ガデッカ』。

技量は、それなりのようですが『それなり』でしか無いですね。 さらに機体の偏り、中距離のレンジに対応出来る人間が少ない事も弱点でしょう」

朝雲「バランスの悪さ、あと敵を侮る傾向もね。 舐めてかかって改RX-0の餌食にされたし」

海風「本牧のあのワカメは… 本来の機体はMAである事は把握していますが、機種は分かりません。飛ばしましょう。

そして問題は残る二つ… 天山学園とガンプラ学園です」

霞「その二つはぶっちぎって優勝候補、しかも後者に関しては去年優勝してる」

海風「ではまず天山学園から… ファイターは『阿武隈』『陽炎』『長波』、使用機体は『マーナガルム』『ヴェズルフェルニル』『ガルム』。

機体性能に関してはガンプラ学園以上、ファイターも同等レベルの敵が揃っています」

神通「弱点と言える弱点は… ほぼ無い、と言っても過言では無いでしょう。 しかも元軍人の三人だから油断も何も無い、優秀すぎるファイターです」

朝雲「強いて弱点を挙げるとすれば、殆どの機体共通の『機体のモロさ』ね。 RGでも無いHGで完全変形出来る以上、パーツの一つ一つが脆い。

そして粒子消費量の多さと比例しない粒子貯蔵量。 無駄に浪費させ続ければ勝ち筋は見えるかも」

海風「逆に言えばそれしか弱点無いんですよね… で、肝心のガンプラ学園は…」

天津風「ファイターは確定が二人、『キジマ・ウィルフリッド』と『アドウ・サガ』、あとは未定。機体は『トランジェントガンダム』と『ガンダムジエンド』。

キジマ・ウィルフリッドに関しては弱点は無い。 海風、それはアンタが一番分かってるでしょ?」

海風「ええ、未来予測演算を使ってもギリギリ粘るのが限界でした。 アドウ・サガはどうですか?」

天津風「弱点は… アイツ、去年右手首を大怪我してるのよ。 それで去年欠場、今もリハビリ中だって聞いてるわ。 逆に、そこに漬け込むしか弱点は無い」

海風「なんとも面倒臭い相手です… ジエンドも色々ゴタゴタし過ぎて、何か抱えてるか分かったものではありませんし…」


・イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/27(月) 08:06:58.12 ID:h3sQIJ++O<> 全国出場チームの1つが来店 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/28(火) 05:05:50.12 ID:MYyXI1/r0<> 天津風「ジエンドの弱点ね… あのクロー、ビーム砲とファングのキャリアと格闘武器を兼ねたやつをどうにか出来れば…?」

萩風「本体の腹に切れ込みが入っているのも気になりますね。あそこにも何かギミックが…」

神通「しかし腹部に『ガンダムヴァサーゴ』みたいなビーム砲でも仕込んでいない限り本体の火力は皆無です。あのヘッドを無力化出来れば」

海風「確かに本体は火力が無く脆弱でしょうね。 あと海風の不意打ちに対応出来なかったと言う事は背後からの攻撃への対抗手段が無いと言う事ですし」

霞「アイツは正直遠隔火器頼り、見かけによらずスピードは速いけど『ヴェズルフェルニル』程じゃないし… 攻略手段はいくらでもある」

朝雲「問題は『トランジェントガンダム』の方よ。 昨日、平行世界で対戦経験がある飛龍さんに色々聞いてきたけど…

あの槍、近接武器とビーム生成能力以外にも大出力ビーム砲としての機能と遠隔のランスビットとしての機能があるらしいの」

海風「…あれはかなり手加減されていた状態と言うことですか」

天津風「いえ、手加減はしてない… と言うか出来ない筈よ、あの人は。本気で戦おうとしてくれる相手には。 

ビーム砲を使わなかったのは間合いが取れないしチャージに時間がかかるから、ビット機能を使わないのは簡単にビームを切り払う海風相手には通用しないって理解していたから」

萩風「しかもランスビットは文字通りあの武器そのものをビットとして使うものと推測可能です。 恐らく武器を喪失するリスクを避けたのでしょう」

霞「じゃあビットを潰せば、なんとかなる可能性があるかも?」

神通「そう簡単にはさせてはくれないでしょう。 それにGNドライヴ搭載機である以上『トランザム』かそれに準ずる能力を持つ可能性がありますし。

さらに言えば海風さんの予測を容易く上回った時点で格闘戦能力は遥かに高く、『技』を使わない私と同等であると考えてください」

天津風「…それって最悪じゃない? 先輩クラスって、相当よ?」

萩風「人外もいいところの人外… 私がまだまともに見える程の…」

神通「皆、酷い… 特に萩風…」

萩風「だって半分血が繋がってる私より身体能力かなり高いし…」

朝雲「一般人から見ればアンタも大概よ」

霞「アレね。 トランジェント、と言うかキジマ・ウィルフリッドを倒す方法は… 場外乱闘か闇討ちだけかしら…?」

萩風「!」ガタッ

神通「座ってなさい! 霞さんも、焚き付けないで!」

海風「本当にやりかねないから怖いんですよね…」

間宮「ぶ、物騒なことはしないでね?」

海風「本気でちょっと煮詰まって糖分足りなくなってきた… すみません、追加でこの『トーリスリッターパフェ』ください」

間宮「はーい」

朝雲「確かにここガンプラかなり置いてるし、そう言うメニューもあるけどさ… 何でよりによって『トーリスリッター』なのよ… 普通にガンダムで良いでしょ。

私は『ジンクスカキ氷』お願いしても良いですか?」

天津風「あ、私この『ドートレス饅頭セット』を」

萩風「じゃあ私は… 『アッシュフロート』をコーヒーで」

霞「すっごくメニューが混沌としてるわね… あ、私『グレイズ焼き』で」

神通「本当に機体チョイスが謎です… 『クランシェアイス』ください」

間宮「ちょっと待っててね〜」

ガラッ


どこのチームが来た? 直下
1.鬼怒一行(鬼怒・嵐・江風)
2.神風一行(神風・朝風・春風)
3.その他(チーム、未出ならメンバー・チーム名も)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/11/28(火) 05:20:36.73 ID:3Ddokktu0<> 3 霧島、川内、大淀の鹿児島チーム <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/11/29(水) 06:02:52.02 ID:NkL2q9L50<> 間宮「いらっしゃいませ〜。 3名様でよろしいでしょうか?」

「ええ。 ここが噂のガンダム甘味処…」

「流石にガンプラまみれ、しかも凄い出来栄えだね〜」

「それに、面白い方々もいらっしゃるようで」

萩風「あれは…」

朝雲「萩風? どうかした?」

海風「あれ、どこかで… あ、大会の公式サイトの…!」

天津風「そう言えば大会参加選手は地区優勝時の写真が掲載されて… ッ…!?」ポチポチ

「『フリューゲル・ヴェント』、ドイツ語の『翼』とイタリア語の『風』を組み合わせた珍しい名前のチームね」

「気取った名前だねぇ… それでも実力が伴ってるから面倒なんだけどね」

「それに『真紅の戦乙女』の教え子達… 生半可な相手ではありません」

霞「人の事ゴタゴタ言う前に名乗ったらどう?」

霧島「おっと… それは失礼しました。 私は霧島、鹿児島代表たる我梅学院チーム『アマテラス』のリーダーです」

朝雲「アマテラス? 何で日本神話?」

海風「日本神話の伝承の一つに『天孫降臨』と言うものがあって、その伝承の大本になっているのが鹿児島の霧島連山の高千穂峰なんです。

降臨したと言うのは天照大御神ではなく天孫・邇邇藝命なのですが。 三種の神器が地上にあるのはその伝承によるものだとか」

天津風「そう言う事ね… 一応名前の由来はあるんだ」

神通「ええ。 ただその伝承には鹿児島ではなく宮崎の高千穂町と言う説も存在していて、高千穂町には天岩戸伝説にちなんだ洞窟も存在しているのでそちらの方が有力ではないかと…」

霧島「細かい事は気にしないで下さい。それに天岩戸伝説なんてそこら中に散らばってるのでその説は信憑性に欠けるかと」

萩風「しかし天岩戸神社が高千穂にはあります。 同名の神社は奈良にもありますが海風さんの言った天孫降臨の事も含めると高千穂町説がやはり有力かと」

川内「ここで神話議論は止めて… この前宮崎の人とそれでモメたんだから。 私は川内、得意なのは夜間戦闘ね」

大淀「同じく、『アマテラス』のメンバーの大淀です。よろしくお願いします」

神通「小沢学園『フリューゲル・ヴェント』、部長の神通です。 そしてメンバーの海風さん、霞さん、天津風さん、朝雲さん、萩風さんです」

大淀「? 事前情報には居ないメンバーがいらっしゃいますが…」

萩風「私は諸事情により地区予選後に編入しました。 なのでそれは当然かと」

大淀(事前情報には無い敵、厄介です)

川内「凄い面子だねぇ… 倒し甲斐がありそう。しかもアイツ等と引き分けたって言うじゃん?」

天津風「アイツ等?」

川内「『ホワイトクリーン』だよ! アイツ等、去年私達のことアッサリ倒しちゃってさ… しかも本気にならずにだよ?」

霧島「NT-Dを使われる前に負けたわ… まさかあんなに強いとは…」

間宮「そうでしょうね。 改RX-0相手では」

三人「え…」

間宮「お待たせ〜。 『トーリスリッターパフェ』と『クランシェアイス』、『アッシュフロート』に『ドートレス饅頭セット』、『グレイズ焼き』『ジンクスカキ氷』ね」

海風「すご… 見本の写真より、作りこんである…」

霞「一種の芸術作品レベルよね、もうこれ」

朝雲「因みに言うとね、ここアンタ達が負けた『ホワイトクリーン』のお膝元よ」

三人「は?」

萩風「ここのオーナーは『ホワイトクリーン』のメンバー全員の姉、そして改RX-0シリーズの製作者です。 さらに言えばこの方はその部下です」

三人「!?」

間宮「よろしくね〜」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/02(土) 04:57:38.84 ID:Pp2zDL600<> 海風(このチーム、海風の情報網に引っかかってない… 情報の隠匿に優れているの…?

敵が未知数過ぎる、どうにかして情報を引き出さないと…!)

霧島(『フリューゲル・ヴェント』、その情報は知り尽くしている… と言いたいですが、彼女達の監督役はあの『真紅の戦乙女』。

そして前年度世界チャンプでほぼ同等の指揮能力を持つ妹も擁する。過去の情報が役に立つかは分からない相手ね)

大淀(さらに不確定要素の新メンバー、この人も大人しそうな顔して何しでかすか分からないタイプです。

敵対する可能性がある以上、可能な限り情報を引きずり出さないと)

霞「アンタ達、心の声駄々漏れよ」ピキィン

川内「分かり易い、っていうかさ… 凄い空気が漂ってるんだけど」

天津風「暗闘は他所でやりなさいな」

萩風「…」ポチポチ

ピロリン

海風「あれ、ライン…」

萩風『情報は既にある程度こちらに入っています。今はポーカーフェイスを貫いて』

海風「えぇ…」

朝雲「これじゃ作戦会議は出来そうに無いわね。 さっさと食べて明日の準備しましょうか」

神通「そうですね。現状、話すことも特には無いでしょうし」

霧島・大淀「チッ…」

天津風「…舌打ち食らう謂れある?」

大淀「いえ… そうだ! あの、意見交換なんかいかがです?」

海風「それをする事で、我々にどんなメリットが?」

霞「デメリットがでかすぎるわ、それ」

霧島「データ、知りたく無いですか? 我々はこれでも今回の出場校の情報は全て取り揃えています。おおよそですが。

また前回の大会に関してもデータは収集済みです。 この一部を提供する、と言えば?」

萩風「…海風さん、去年のデータなど死んだも同然のものです。 情報とは鮮度が命、去年の死んだデータを貰っても今年が同じとは限らないでしょう」

海風「現に、東京代表は海風達に入れ替わってますし… 前年度と同じ出場校は半分程度ですからねぇ…」

大淀「では… 『ガンプラ学園』のデータなどいかがでしょうか?」

天津風「それ、意味無いわよ。元学園生がここに居るし」

三人「は?」

天津風「アイツらの事は私が熟知してる。 聞くメリットは…」

海風(去年の代表…? まさか、『マリオン・ウェルチ』に関する情報もある可能性が…!)

萩風(しかし彼女の情報を持っているとは限らない… ここは受けないのが正しい選択です)

海風「…条件は? そちらが一校だけ提供する、と言う事はこちらも一校だけの提供でイーブンでしょう」

霞「ちょ、何考えてんの!?」

海風「事情はあとで。 我々以外で、我々の持つデータを提供するのは?」

霧島「…では『ホワイトクリーン』を。 戦ったのでしょう?」

海風「ええ。 構いませんよ。 では商談成立と」

朝雲「ちょ、海風!?」

神通(この子、一体何を考えて…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/02(土) 05:33:19.17 ID:Pp2zDL600<> 《その後 萩風のマンション》


萩風「はぁ… まさか春の、練習試合時点の情報を渡すなんて…」

海風「嘘は吐いてませんし。 『コード・ブレイヴ』も『特殊兵装』も無い当時のデータ、さらに言えばほぼ去年と変化の無いデータです」

神通「確かに『マーナガルム』以下3機は改修を受けて性能なども大きく変化していますが…」

海風「古いデータを渡されただけなので、こちらも古いデータを渡しただけです」

霞「でも渡したデータで断片的にこっちの事研究する腹積もりよ、アイツ等」

海風「だからこそ、古いデータである事に意味があります。 海風達の能力は、先輩の能力解放と霞のNT化、さらに機体改修と戦術スタイルの大幅変化によって意味はありません。

ホワイトクリーン側の間宮さんも止めに入らなかったと言う事は『時代遅れの情報』なら許してくれてるでしょうし」

萩風「さっき厨房に入って確認したら『阿武隈ちゃん達も春先とは違うからその程度なら良いんじゃない?』って言っていましたし…

しかし欲しいデータが手に入ったのは僥倖でした」

霞「どう言う事? アンタ達、一体…」

海風「まずはそこから説明しましょう」



神通「『EXAMシステム』に取り込まれ、核にされてしまった少女…」

霞「『マリオン・ウェルチ』… ガンプラ学園生で、しかも代表だったって…」

海風「彼女の戦闘データは全て頂きました。 これを確認すれば『EXAM』への対抗手段が見つかるかもしれません」

萩風「姉さん、霞さん、二人にはこの話の開示許可をお母様に頂いているので話していますが、残りの二人には話さないようにしてください」

霞「まさかそんな重要人物を瑞鳳さん達が確保してたなんて…」

萩風「現在ハシラジマへの移送が決定していますので、この話を知るのは突入組の中でも瑞鳳さんと榛名さん、そして私達と浜風さんだけと限られています」

神通「分かっています。 流石に彼女を殺してしまえば、今は事件が止まっても新しい核を用意してもう一度事件が起きる可能性もありますし…

何より、狙われる危険性が高いのは霞さんでしょうし…」

霞「私が、一番NTに近いから…」

萩風「ええ。次の核にされる可能性がある、と言う事です。 海風さん、戦闘データは?」

海風「全て映像資料、あと機体データです。 ただ彼女の機体データは役に立たないかと」

神通「実戦投入されたのはスクランブルガンダム、確かにあれはアナハイムで最近新造された機体ですから意味はありませんね」

霞「とりあえず確認だけしておきましょう」



神通「…これが、彼女の戦闘記録ですか」

海風「ええ。何と言うか、凄い戦闘能力で…」

萩風「寧ろこれ、EXAMシステムに取り込まれて劣化しているのではないかと」

霞「…ねぇ、この機体一体なんなの?」

神通「『ハルファスベーゼ』、Gジェネレーションオーバーワールドで設定された機体です」

海風「鉄血の機体、じゃないですよね?」

萩風「はい。 鉄血の機体名と同じ、ソロモンの魔神72柱の名前から取られていますが別です」

霞「ややこしいわね…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/02(土) 05:39:17.18 ID:sgFoapAA0<> 世界大会出場者による宣伝を兼ねたエキシビションの生中継 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/03(日) 01:10:06.74 ID:jSW1C82u0<> 『先程入ったニュースによりますと、『昏睡事件』は薬物によって発生する人為的な病であり…』

萩風「警察の発表もやはり情報を濁して…」

神通「敢えて濁しているのかそれとも…」

海風「本質を理解出来ていないのか、もしくは情報が足りていないかですね」

霞「でもこれで、感染者もキャリアーも大幅に減る筈よ」

海風「怖いのはここからです。 誰もがその危険性を理解し触れなくなる事で全てが無くなったと思い込む」

萩風「『終わったこと』だと認識して、警戒心が薄れてしまう。 まだ何も終わって無いのに。 警察も、厄介な事をしでかしてくれました」

神通「彼等は未来を知り得ない、故にこの後に待ち受ける惨事を… 『8月31日』の大規模パンデミックを知らないから余計な事が出来る」

霞「目先の被害は減っても後に起きる大惨事を考えて無い、ってことね。  萩風、国外の情報は?」

萩風「世界でも一部の大国、米国や中国、ロシアや英国にドイツなどの場所で感染者を把握しました。ただ日本に比べてごく最近のものが多く、被害者もそこまでの数は居ません」

海風「だけどもう製造施設は制圧されました。 もう在庫もほぼ無く、残っているのは少数の薬と… 『特別な薬』を使った人間でしょう」

霞「スドウ・シュンスケのように、ね…」

萩風「めぼしい情報は無いわね。 もうワイドショーを見る意味は無いか…」ピッ

『明日から開催のガンプラバトル選手権、世界大会! そのエキシビジョンマッチがこの静岡、アナハイム・スタジアムで行われます!』

神通「そう言えば日程ダブってるんでしたね」

霞「そのお陰で周辺のホテルは満杯だとか… ガンプラってそんなに人気なのね」

海風「子供も大人も楽しめるホビー、ですから。 エキシビジョンは一体誰が…」

『まずは勿論この人、『3代目メイジン・カワグチ』!』ワァァァァァァ

海風「あの残念な人ですね」

霞「残念とか言わないであげなさい。あの人だって必死にやってるのよ」

神通「私達とは一線を画した人物であるのは確かです。 ガンプラ製作もバトルも、一級品ですから」

萩風「だけど勝率は芳しく無いという… 春雨さん達に惜敗、夕雲さん達には惨敗、飛龍さんにはフルボッコと言う有様で」

海風「やっぱり残念じゃないですか」

霞「相手が悪いのよ、きっと… 『まともな人間の中では強い』のよ、きっと…」

萩風「一応塾生の中では同期の主席だった、とは聞いています。 ただ一人だけ、分が悪過ぎる候補生もいたとかで」

神通「榛名さん一択でしょうね。 あの人、メイジン元々最有力候補ですし」

『そしてその対戦相手は… 昨年度チャンピオンの一人、夕雲選手です!』

海風「あ、だから昨日居なかったんですね」

神通「先に現地入りしていたのですか」


メイジン『お久し振りね、夕雲さん。 去年の雪辱、晴らさせて貰う』

夕雲『本選前ですのでお手柔らかに、と言いたいですが… 手を抜く訳には参りませんね』


霞「早速火花散ってるわ」

海風「これがガチ勢ってやつですか」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/03(日) 04:09:06.35 ID:jSW1C82u0<> Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


夕雲『アストレイ・ミラージュフレーム・クロイツ・リバイ、夕雲… 本気で行くわ!』


神通「やはりミラージュですか」

海風「もしかて萩風さんって戦闘スタイル夕雲さん寄りじゃ?」

萩風「ええ。 こちらの方が性に合ってるので」


アストレイミラージュフレーム・クロイツ・リバイ
武装
・75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン
・天羽々斬(アメノハバキリ)
・CソードBタイプ×2
・CソードAタイプ×2
・サーベルファング×2
・フィンライフル×2
・Bソード×2
・Aソード×2
ペネトレイトストライカー
・ワイヤーアンカー射出機構×2
・粒子フィールド発生器

概要
夕雲の専用機たる機体で一度時雨に敗北した機体を改修・強化した仕様。
原型からの大きな変化シリーズ共通のRG搭載以外にライブラリアン機同様バックパックがストライカーシステム対応になっている事。
また他の機体には無い機能で、『足の裏に粒子変容フィールドを限定的に展開、足場にする事が出来る』と言う機能を有する。
その為足場の無いフィールドや重力下だとしても加速を活かしたヒット&アウェイを繰り返す事が可能。
瞬間的な加速性能も非常に高く、現行のクロイツシリーズや改RX-0も含めても『ヴェズルフェルニル』に引けを取らない。
ちゃんとオリジナルのミラージュコロイドを活かしたステルス・外観擬装能力も持っており、浜風と同時出撃した場合は対戦相手がトラウマになるレベルで猛攻を行う。度合いとしては相対した時雨も苦笑・戦慄する程。

ペネトレイトストライカー
ブレイズウィザードを改修し、ストライカー対応にしたもの。ただし外観に名残が残っているだけで中身はまるで違う。
ミラージュコロイド展開時には装備されたワイヤーにより移動する。
そして瞬間的な加速能力を強化する為のブースターとしての機能が主であり、これにより大幅な加速性を持てるようになった。
ただしあくまでも瞬間的な速度だけであり、『ヴェズルフェルニル』とは異なり長時間の加速は出来ない。
またミサイルポッドの代わりに粒子フィールド展開機構が追加され、フィールドを展開したまま突っ込む芸当も可能。


霞「ステージは宇宙、デブリ帯?」

海風「足場いっぱい、ステルスでデブリに紛れる… やりたい放題じゃないですか」

神通「流石に今回は自重してくれるかと…」

萩風「対するメイジン側は…」



メイジン(矢矧の機体)
・ベース機 直下
・改造内容(機体名も) 下3

条件:とくになし
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/03(日) 04:55:12.23 ID:Z38C8E5kO<> ベビーガンダム <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/03(日) 05:16:30.94 ID:LbAmVGbq0<> 素体はリバイヴのHGUCガンダムでスクラッチしたパーツを取り付けたセミスクラッチのガンプラ

見た目には関節に一部金属パーツを使用している他に変化はさほどなく、ひたすらに工作・塗装の精度を上げている

カラーリングもMSVのものに準拠 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/03(日) 11:29:26.59 ID:PjXUnl2X0<> ヘビーガンダム・ヴィクトリア

内部を人間に限りなく近い動きができるような構造にし、小型スラスターを大量に増設。
装備はメインをペイルライダー・キャバルリーの「シェキナー」に変更。キャノンはZZのハイパー・ビームサーベル兼用の砲身に換え、2本に増加。元のサーベルは2本に増やし、両腰に移した。
また、腰の後ろにはガンダムのビームライフルを予備で装備している。
ソフト面はバイオセンサーを搭載して、反応速度の向上を図った。
なお、カラーリングはジョニーライデンの帰還に出た赤いカラーリング。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/04(月) 01:32:07.80 ID:8yawf1K30<> 矢矧「ヘビーガンダム・ヴィクトリア、メイジン・カワグチ… 出るわ!」

ヘビーガンダム・ヴィクトリア
武装
・ビームサーベル×2
・複合型特殊武装『シェキナー』
・ビーム・ライフル
・ビーム・キャノン兼ハイパー・ビーム・サーベル

概要
3代目メイジン・カワグチこと矢矧の新機体。以前まで残していた『アストライヤー』の名前は廃された。能代は関わっていない。
コンセプトとしては『近代化改修と火器のアップデートを図ったヘビーガンダム』であり、以前使用していた『FAスレイヴ・レイス』や『ギャン・エーオース』などにも連なる機体でもある。
武装はフレーム・ランチャーから『ペイルライダー・キャバルリー』や『ペイルライダーDU』の使用する複合型特殊兵装『シェキナー』へと変更、ビームキャノンはZZと同じハイパー・ビーム・サーベルを兼ねたものに変更し両肩装備となっている。
そして両腰にビームサーベルを装備、さらに背部の腰にはガンダム用のビーム・ライフルを予備兵装として追加した。
またコックピット周りには『ジョニー・ライデンの帰還』で実際に搭載されたバイオ・センサーを作りこんで搭載しており圧倒的な反応速度を誇る。
塗装はジョニー・ライデンの帰還で登場したイングリッド0仕様の機体をベースにしているため赤系統のカラーリング。
余談だが矢矧自体は他のファイター・ビルダーとは一線を画しており、本機の能力も世界の中では圧倒的に高い。しかし瑞鳳や榛名のような独創性がなく『ガンダム世界に囚われ巣過ぎている』のが彼女の難点であり弱点。榛名曰く『開き直れば多少マシになる』とのこと。


萩風「ヘビーガンダムの強化改修機体、ですか」

霞「ヘビーガンダム、って… フルアーマーじゃないの?」

神通「『ヘビーガンダム』はフルアーマー同様FSWS計画の機体です。FAガンダム開発の頓挫時に提出された代案の1機種で戦後に3機程が製造、その内の1機が漫画『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』で近代化改修を受けて運用されました。

あのカラーリングは間違いなくその作中のカラーリング、年代的にはU.C.0090の機体です」

霞「…ん? あれ、『フルーアマーガンダム』って開発中止になってるの? でもサンダーボルトは…」

萩風「あれはパラレルワールド、オリジンも同様の扱いです」

霞「…ゴチャゴチャしてるわね」

海風「商売的には仕方無いんですよ」

萩風「武装はペイルライダー系統の『シェキナー』、そしてZZのハイパービームサーベルを兼ねたキャノン、そしてオーソドックスにライフルとサーベル…

そしてあの機体には恐らく、もしイングリッド0仕様の機体であれば…」


メイジン「さぁ、始めましょう」

夕雲「お先にどうぞ?」

メイジン「そうさせて貰うわ!」


ヘビーガンダムがシェキナーの銃口を向けガトリング砲を放つ。夕雲は回避機動を取りミラージュコロイドを展開して姿を消す。

一度加速すれば慣性で動くことが出来る。彼女はそれを利用してデブリ帯、自分の有利なフィールドへとメイジンを誘導を試みた。


メイジン「分かっているわ、その戦い方は!」


メガ・ビーム・ランチャーで足場となるデブリを焼き払う。彼女は夕雲の戦い方は前回の対戦で熟知している、故に同じ戦い方は通じないだろう。

だからこそ足場を焼き払い、動作を封じようとしていた。 だが夕雲も簡単にいかないのは分かっている。


夕雲「なら、これはどうです!」


粒子を集束させ足場を形成、それを踏み台にして加速させる。 間合いはあるが夕雲にとって距離を詰めるなど容易い。

さらに今はミラージュコロイドを展開し目視で捉える事は不可能。高速で不可視の一撃がヘビーガンダムへと襲い掛かる。


メイジン「チィッ…!」


斬撃が行われる直前、咄嗟に抜いたサーベルで防御するメイジン。夕雲は防御されたことに多少は驚いたが、ただそれだけだ。

夕雲は機体を反転させ一度距離を取る。 離れすぎればシェキナーの餌食になり、近すぎれば加速が足りなくなる、そうならない絶妙な距離。そして夕雲はミラージュコロイドを解除し機体をグラディエーター形態へと変形させた。


夕雲「一撃で仕留めるつもりでしたが… その機体、『バイオセンサー』を作り込みましたね?」

メイジン「ええ。 『クロイツシリーズ』の性能は圧倒的、それは私も痛感してる。 対抗するにはこれ位はしないと」

夕雲「なら、対応出来ない速度で切り刻むまでよ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/04(月) 02:17:15.89 ID:8yawf1K30<> 猛攻を繰り返す夕雲、彼女の操る『アストレイミラージュフレーム・クロイツ・リバイ』の速度は圧倒的だ。

さらに彼女はヒット&アウェイを繰り返して照準を合わせる隙を与えない。射撃がメインのヘビーガンダムにとって、彼女のミラージュフレームはまさに天敵と言えるだろう。


夕雲「いつまで凌ぎ切れるかしら!」

メイジン「くっ… 相性が悪過ぎる…!」


回避を繰り返し、時にはサーベルを使って攻撃を防ぐメイジン。しかし繰り返される猛攻に対応するのが精一杯で反撃に転じるのは難しい。

さらには夕雲の放つ一撃一撃が重く、機体にも負荷がかかっていた。


メイジン(直線機動が多いはずなのに、照準を合わせられない…! 前に戦った時より腕があがってるわね!)

夕雲「そろそろ決めさせて貰います!」

メイジン「来る…!」


一直線に突撃する夕雲、その軌道上へとシェキナーの銃口を向けるメイジン。 そして放たれる大量のミサイルがミラージュフレームへと襲い掛かる。

爆炎が宇宙に広がり、その炎がミラージュフレームを飲み込んだ。ように思えたが…


夕雲「勝負、ありです」

メイジン「…私の負けね」


そこにはヘビーガンダムの背後に立ち、天羽々斬を首へと突きつけるミラージュフレームの姿があった。


BATTLE END


『おっとメイジン、リベンジ失敗! 勝者は前年度チャンピオン、そして今年度日本第3ブロック代表の一人夕雲選手だ!』


海風「何を、したんですか…?」

萩風「ミラージュフレームの最大加速、そしてミサイルの爆発の衝撃を利用したゴリ押しの加速、さらに脚部に展開した粒子フィールドを足場にしてさらに加速をかけて…

三重の加速を利用した、超スピードです」

神通「まずそこまでいけば普通のガンプラは原型を留めず自爆するでしょう。 あれは『クロイツシリーズ』だから出来ること、そして夕雲さんと言う人間だからこそ出来る芸当です」

霞「あれ、目視は無理ね… 下手をすれば、瞬間的な速度なら『ヴェズルフェルニル』より速いかも」


『ではこれにて、世界大会エキシビジョンマッチを終了します! 皆さん、本選をお楽しみに!』


夕雲「お疲れ様です、矢矧さん。 中々こちらも大変でした」

矢矧「貴女に言われると皮肉にしか聞こえ無いのだけど…」

夕雲「まさか。 こちらも、距離を測るのに中々苦労したんですよ? 離れすぎると集中砲火にさらされますから」

矢矧「はぁ… まだまだ私も未熟、と言う事ね。 それにまた貴女腕を上げたんじゃ無いの?」

夕雲「ええ。まだまだ、夕雲は成長期ですから」

矢矧「どれだけ成長すれば気が済むのよ…」

夕雲「瑞鳳さんが言っていましたよ。 子供は無限に成長し続ける、『アンリミテッド』なのだと。どこまでも強くなれる、高く遠くへ飛べる存在なのですって」

矢矧「『アンリミテッド』、ね… 私は、まだ足り無いのかしら」

夕雲「メイジンだからと気を張らず、肩の力を抜いてください。 魅せるバトルではなく自分のバトルをする、それが成長に繋がる一歩ですよ」

矢矧「まさか年下に教えられるなんて思わなかったわ」

夕雲「あら? これでも夕雲、『ケイケン』は豊富なんですよ?」

矢矧「え」

夕雲「修羅場の…」

矢矧「ああ、そっち… あの人と居ると、体がいくつあっても足り無いんじゃないかしら」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/05(火) 03:34:27.15 ID:NORNtPkS0<> 《その夜 霞の家》

神通「二人共、荷造りは?」

霞「終わってます」

海風「流石に向こうにランドリーはありますよね?」

神通「あるとは思いますが… 念のため、それなりの量の着替えは要るかと」

海風「下着足りるかな…」

霞「…アンタ、まさかまた大きくなったの?」

海風「恥ずかしながら… 下着最近新調したばかりなので少々足りないような…」

霞「…」

リタ「…分かるよ、その気持ち」ポンポン

霞「アンタは将来あるでしょうが!?」

神通「確かに榛名さんも青葉さんもそれなりにあるので…」

霞「先輩もですよ!」

神通「え」

霞「瑞鳳さんはまだしも飛龍さんに蒼龍さん、しかも隔世遺伝で大鯨さんの血が入ってるんですよ!今だって結構大きいのに!」

海風「胸なんてあっても無駄なだけですって。ほら下着すぐ駄目になりますし…」

霞「持つ者が持たざる者の気持ちがわかるか!」

リタ「ああ、うん。 分かったから、もう夜だから大声出さないの」

神通「そう言えばリタさんは明日、私達の出発と同時に向こう側へ帰るんでしたよね?」

リタ「そのつもり。と言うか私は皆に『宇宙世紀の人間が居る』って存在の証明すれば良いだけだから、特にこっちに留まる理由は無かったんだけどね」

霞「じゃあ何でこっちに残ったのよ」

リタ「貴女に興味があったから。 それとママに導け、って言われたから。誤った方に行かないようにね… 杞憂だったけど」

霞「誤った方向?」

神通「『イノベイター』ですか」

リタ「うん。 ママと根源を同じにして、自分を優れた存在だと思い込んだ似非人… そして妄執の果てに全滅した連中。

去年色々あって戦ってね。 その件ちょっとまだ引き摺ってるから。そう言う人が増えないように、って警戒してるの」

海風「コスモ・クルス教団の人達みたい…」

リタ「似たようなもんだよ。 自然発生か人工的か、それしか差はない。 だけど自分が優れてると思い込んで結局その身を滅ぼした…

もう二度とそう言う人間が現れないようにする、その為に私達は導くの」


視点選択 直下
1.神通『花結いの絆』
2.霞『越える絆』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/05(火) 09:40:31.98 ID:KzJPW0kR0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/08(金) 01:53:03.67 ID:G1L9gFmX0<> side-神通-『花結いの絆』


神通「ふっ…! はぁっ!」

海風「あれ、先輩…」

神通「海風さん? どうかしましたか?」

海風「いえ… ちょっと寝付けないから水でも飲もうかと思ったら先輩が庭に居たもので」

神通「ああ、そう言う事でしたか。 私も、少々眠れなくて身体を動かしていたところです」

海風「先輩も… やはり明日のことが気になるんですか?」

神通「はい。 …思えば、遠くまで来ましたね」

海風「先輩…」

神通「私が、私達が全国大会出場なんてするとは思っていませんでした。 これも全部、海風さんのお陰かもしれません」

海風「いえ、先輩のお陰です。 先輩が、海風を見出してくれたから… それに応えただけです」

神通「え…?」

海風「海風、前に先輩の記憶を見た時気付いたんです。重ねてきた『これまで』に海風と霞が居なかったことに…

きっと海風は何も出来ないまま、誰かに必要とされる事の無いまま終わっていたのでしょう。だけど先輩が手を伸ばして海風を見つけ出してくれた… 応える理由はこれだけで充分です」

神通「海風さん…」

海風「まぁ、結果散々な事態に巻き込まれてますけどね」

神通「すみません…」

海風「冗談です。 それに、そうなると分かっていたとしても海風は絶対に止まってなかったと思います」

神通「確かに海風さんならそうでしょうね」

海風「それに、先輩が感謝すべき相手は海風ではありませんよ。 ここまで来れたのは海風や先輩だけの力ではありません。

瑞鳳先生や愛宕先生、蒼龍さんと飛龍さんと教え導いてくれた先生達。霞と朝雲さん、天津風さんだって居たからこそここまで辿り着けたんですから。萩風さんが居なければ死んでた可能性だってありましたし」

神通「確かに、私一人では今まで何も出来なかった… こんな奇跡、二度と起き無いでしょう」

海風「はい。 だからこそこの時間軸で終わらせる。 二度と起き無い奇跡なら一度目で終わらせてしまえば良いんです」

神通「…海風さんって、時々そう言う強引な理論持ち出しますよね」

海風「え、そうでしょうか…?」

神通「でも、その前向きな所に救われます。 貴女がいつでも前を見て、道を示してくれる… だからこそ私は、戦える」

海風「先輩…」

神通「海風さん、こんな事を言うのは今更ですが… 私と一緒に戦ってくれませんか? それが未来を覆す、世界に背く行為だとしても…」

海風「答えなら、とっくに決まってますよ。 海風は、貴女と共にある。 貴女と共に、未来を壊す。 例え世界から咎を受けようが地獄に落ちようが、貴女と共に戦うと」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/08(金) 03:05:36.08 ID:G1L9gFmX0<> side-霞-『越える絆』


霞「アンタにしちゃ、まともな回答じゃない」

海風「…聞いてたんですか」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/08(金) 04:05:13.07 ID:G1L9gFmX0<> やべぇ、間違えて途中で投稿しちゃった…

side-霞-『越える絆』


霞「アンタにしちゃ、まともな回答じゃない」

海風「…聞いてたんですか」

霞「偶々通りかかったら聞こえたのよ。 まるで漫画の主人公かヒロインみたいな台詞だったし」

海風「まぁ、言われてみればそれらしいような…」

霞「ま、あそこで逃げ腰だったらアンタは私の期待外れだった、ってだけよ」

海風「前にも言ったでしょう。 海風と霞は既に共犯、未来を壊す共犯者になると。

先輩の記憶を垣間見た時、決めたことです。 それを改めて宣言しただけですよ」

霞「そうだったわね… 私達にも色々あったけど、まさかこんな所まで来るなんてね」

海風「2度の席替えも隣、部活も一緒、そしてあらゆる事件に巻き込まれて挙句の果てには同居ですからね…」

霞「ほぼ運命共同体と化してるわね、本当…」

海風「ここまで来たらもう一蓮托生、共に地獄まで落ちましょう」

霞「嫌よ。それにまだ地獄に落ちると決まった訳じゃない。まだ何も決まって無い、私達の運命も、未来も」

海風「そうですね…」

霞「それに地獄に落ちる前提で話すの止めなさいな。 それにそんなものがあるかどうかも分かったもんじゃないし」

海風「どうなんでしょうね、その辺」

霞「リタが言うには『全体』やら『既知』やらってものがあるらしいけど…」

海風「『全体』?」

霞「人が肉の命を終えると『全体』に還って、また循環して繰り返す… リサイクルボックスみたいなものらしいわ。 リタはちょっと前まで居たけど切り離されたから詳しくは憶えてない、って」

海風「切り離されたって…」

霞「向こう側の榛名さんに、『全体』から個に戻されたんだと。 因みに同じ事をやった相手がまだ居るとか」

海風「ある意味凄い事してますね… 一つの宗教軽く作れちゃうんじゃないですかね?」

霞「まぁ後者はある意味偶然、らしいし… 少なくともやってる事は自然の摂理に反する、人の理を壊すことだからあんまりやっていい訳じゃないわ」

海風「で、その素養が霞にはあると」

霞「そこまでヤバイ素養は無い、って思いたいけど… 現に死者の意識に触れちゃってるのよね…」

海風「イタコ芸でもやれば儲けられるかもしれませんよ」

霞「冗談じゃ無いわ。 使うと疲れるし、悪霊とか怖いし」

海風(この世に意識を残してる時点で充分悪霊の可能性が… しかも呪い殺してるような…)

霞「何?」

海風「いえ、なんでも…」

霞「…生き返らせたいって気持ちは分かるけどね。 私も、お母さんとお父さんが居なくなった時何度も願ったから…

悪夢であって欲しい、悪い夢なら覚めてほしいって、何度も。 だけど余程の事が無い限り、魂を呼び寄せたりこの世に蘇らせるなんてしちゃいけないの。それはきっと、歪なことだから」

海風「霞…」

霞「ごめん、変な事聞かせて。 私、もう寝るから」

海風「あ、はい…」

霞「それと、さっきの答えは訂正させて貰う。 例えアンタが地獄に落ちるって言うなら私が引き上げる。 出来ないなら私も一緒に地獄まで付き合う。 それが、共犯の務めよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/11(月) 00:32:52.78 ID:h8cyRb790<> 海風(そして夜が更け、旅立ちの朝となる)


《駅前》

瑞鳳「全員揃った?」

愛宕「点呼!」

神通「1番」

海風「2」

霞「3」

天津風「4」

朝雲「5」

萩風「6… 全員居ますね」

リタ「じゃあ私はここでお別れ。 基地に行って向こう側に帰るから」

瑞鳳「蒼龍さん、お願いします」

蒼龍「了解。じゃあ行きましょうか」


霞(こうして私達の生活を引っ掻き回したリタは在るべき世界へと帰った。だが彼女との再会はすぐ訪れることになる、かもしれない)


瑞鳳「皆切符は行き渡ったね。 じゃあ全員、行くよ」

愛宕「皆、新幹線の中ではマナーを守ってね」

6人「は〜い」


神通(私達は旅立つ、決戦の地へと。 そして新たなる戦いへと…)


海風「あがりです」

天津風「コイツ等…!トランプだけじゃなくてUNOまで強いの!?」

霞「運も実力の内よ。私これでも悪運は無駄に良いのよ」

萩風「それ、洒落になっていないですよ」

朝雲「そして悪運の煽りを先輩が受けてると…」

神通「うぅ… だからカードって嫌い…」(手札こんもり)

瑞鳳「こりゃ酷い…」

愛宕「引きが悪いと言うか、何と言うか…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/11(月) 04:08:55.52 ID:h8cyRb790<> 《そして 静岡・PPSE第二スタジアム》


神通「ここが、大会会場…」

天津風「PPSEの第二スタジアム。世界大会が行われる第一スタジアムに隣接、そして今年から新設されたスタジアムよ」

朝雲「金持ってんのね」

萩風「今本社は火の車ですけどね」

霞「自業自得よ、やつらは」

海風「そして第一では世界大会が行われる…」

愛宕「そう。 だから今まで以上に観客が来るわ。 世界大会のついでに、ガンプラの本場の日本の学生レベルを観るために… 貴女達はその中で戦うことになる。その覚悟、出来てる?」

神通「はい。 私達はその為にここまで来たのですから…!」

海風「衆人観衆下での戦いは今までもやってきたことです…!」

霞「今更何人、何百人増えようが構いません…!」

瑞鳳「貴女達はこれから立つ場所は強豪揃い、生半可な覚悟や気力じゃ絶対に押し切れ無い。 立ち向かう覚悟、ちゃんと出来てる?」

天津風「はい…!」

朝雲「どんな敵だろうと、倒して見せます…!」

萩風「私も、ここに立つ以上はその覚悟はしています…!」

瑞鳳「よろしい。 ここから先、貴女達には手強い相手が待ち受けてる。 でも諦めることも止まる事も許されない。

貴女達はもうここから戻る事は出来ない。 戻れない道を振り返る事すら出来ない…」



瑞鳳「高く飛ぶための過ちを恐れるな! 羽ばたきなさい、限界を越え、鳥のように高く舞い上がりなさい!  自らの夢を掴む為に!

貴女達に限界は無い! 貴女達の無限の可能性を、衆人観衆に見せ付けてやりなさい!」


全員「はい!」

<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/12(火) 01:03:56.44 ID:tLR6qmW90<> 《選手宿舎》

瑞鳳「じゃあ私と愛宕先生は別の宿だから」

愛宕「皆、良い子にしてるのよ? 特に、そこの二人…」

朝雲「何で私達だけ…」

萩風「酷いです」

愛宕「前科一犯&最も何しでかすか分からないから」

神通「萩風は私が見張りますからご安心を」

萩風「何もする気は無いのに…」

神通「ともかく、これは決まったことです」

瑞鳳「そう言うこと。 大人しくしてれば私も折檻しなくて済むから。 じゃあ皆、また明日〜」


「おい、今のって…」「間違い無い、『真紅の戦乙女』だ…!」「あの有名人かよ!」「じゃああの6人が…」


海風「…良くも悪くも話題になってますね」

霞「しかも私達にほぼ注目されてないって言うね」

天津風「瑞鳳さんの名前が大きすぎる、って言うのもあるけど…」

「話題になるだけ良いよ。私達なんて『あ、来た』的な反応だったもん」

神通「阿武隈さん。 どうも」

阿武隈「何日かぶりだね、皆」

海風「こんな所で何を?」

長波「色々選手が現地入りしてくるから面子の確認。まぁ、あんまり面白くはないけど…」

陽炎「部屋でお菓子食べてた方が絶対有意義よ」

朝雲「そりゃそうよ。 選手が来るの見たところで戦力分かる訳でもあるまいし」

陽炎「ってことで部屋に帰ってお菓子を…」

「あら、随分と仲が良いのね」

天津風「京都『風の会』、神風… だったかしら?」

神風「覚えて貰って光栄よ」

朝雲「確か舐めてかかってホワイトクリーンの代理メンバーにボコられて、挙句海風のツインバスターライフルに仕留められた珍しいヤツね」

神風「その憶え方やめて!? て言うか珍しいって何!?」

海風「まぁ、そうですね… 貴女以外に一人しか居ませんし、ツインバスターライフルで落とした人」

長波「本当にバスターソード好きだな」

朝風「流石バスターソードフェチの変態は言う事が違うわ」

海風「萩風さん、GO」

萩風「わかりました」ガシッ

朝風「ちょ、何!?」

海風「ウチの従姉に散々なこと吹き込んだ礼ですよ。 何、ちょっとデコにラッカー塗料で肉って書いてやるだけです。大人しくしてください」

朝風「従姉って誰よ!?」

海風「どこぞの髪の赤いサムいギャグ好きなグンマーの民ですよ!」

朝風「アイツ!? アイツ従姉なの!? ってか止めなさいよ! 誰か止めて!?」

霞「聞いた限り自業自得ね」

神通「萩風、一応止めなさい」

萩風「えぇ… 折角捕まえたのに」

春風「あの、一応止めて頂けると… 代わりに謝りますから…」

神風「口は災いの元、よ。 常日頃余計な事を言うなって言ってるじゃない」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/12(火) 02:27:25.99 ID:tLR6qmW90<> ※鬼怒は栃木代表だった… グンマーじゃねぇ…

朝風(肉)「」チーン


海風「余計な事するからこうなるんです」

霞「本気でやったよ…」

神通「はぁ… 揉め事はあまり起こさないで欲しいのですが」

海風「ふっかけられた喧嘩です。やり返してもう喧嘩を売れないようにしただけです」

春風「しかし、ラッカー塗料は流石に酷すぎるのでは…」

海風「人を散々変態呼ばわりした上に他人にまで適当な噂を流した報いを与えただけ、やられたので百倍返ししただけです」

阿武隈「乙女のデコに肉はちょっと酷いと思うけど…」

海風「次やったらもっと酷い文字にしてやりますよ」

陽炎「この子、全く躊躇が無いわ… 怒らせるとマジでヤバイタイプね」

「うわ、本当に書いちゃったよこの子…」

「やっぱ怒らせると怖いわ、鬼怒の従妹…」

海風「あ、鬼怒さん」

鬼怒「う、海風… 一応聞いておくけど、どうしたの?」

海風「やってやりました」

鬼怒「そ、そう…」

神通「あの、貴女は?」

鬼怒「え、あ… えっと、海風の従姉の鬼怒です。 一応栃木代表の」

長波「従姉妹居たんだ」

海風「ええ。あまり交流は無いのですが」

神通「私は海風さんと同じ『フリューゲル・ヴェント』の代表、神通です。よろしくお願いします」

阿武隈「宮城の『ホワイトクリーン』、代表の阿武隈です」

神風「私は… 別に知り合いだから紹介しなくても平気ね」

嵐「鬼怒さんと同じチームの嵐っす!」

江風「同じく江風。 呼び名間違えンなよ?」

鬼怒「あ、海風! お金! 一昨日のカフェの!」

海風「あ、そうでした… 今手持ちに小銭無いんであとで良いですか?」

鬼怒「別に良いよ、払ってくれるなら」



イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/13(水) 01:33:42.29 ID:AEig8BISO<> ガンプラ学園現る <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/13(水) 03:39:45.16 ID:BTMaHMCm0<> ザワザワ


長波「ん? なんか騒がしくなってきたな…」

「おい、あの連中は…」「まさか、ガンプラ学園!?」「もうご到着かよ!」

神風「ガンプラ学園…!」

鬼怒「うっわぁ… 初めて見たよ」

江風「本当に強いのか、アイツら?」

春風「ええ。世界大会基準のレベルと考えても…」

朝雲「並じゃないわ。 機体もファイターも」

天津風「少なくとも片割れは人格面に大問題を抱えてるけどね」


アドウ「チッ… どいつもこいつもジロジロ見やがって…」

ウィルフリッド「見させておけ。 こちらが強者である以上、羨望されるのは当然だ」

アドウ「流石、4代目メイジンを狙っている奴は言う事が違うな」

ウィルフリッド「狙っているのでは無い、なるんだ。 あれは…」


霞「…こっち見てるわよ」

神通「海風さん、ですね」

萩風「しかもこっちに来ましたね」


ウィルフリッド「あの合宿以来、かな。 『フリューゲル・ヴェント』の海風さん」

海風「お久し振りです、キジマ・ウィルフリッドさん」

ウィルフリッド「キミと戦える事を心待ちにしているよ。あの時の決着、果たさせて貰う」

海風「こちらも再戦、決着を楽しみにしています。次こそは勝利をもぎ取らせて頂きますよ」

ウィルフリッド「それは、こちらの台詞でもあるよ」


嵐「やっぱすげえな、鬼怒の従妹…」

鬼怒「昔から肝だけは据わってるからね。無駄に」

神通「そこが私達にとって頼もしくもあります。彼女に何度助けられたか…」

霞「昏睡事件の時だって、アイツが率先して前に出てくれて…」

鬼怒(あの海風が…? 鬼怒とも殆ど会話すらしなかったのに… やっぱり、少しだけ変わったのかな…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/16(土) 03:45:18.31 ID:B/Q9wPuX0<> 《その後 海風&霞の部屋》


霞「で、最初の編成は決まった?」

海風「いえ。いくつかパターンは決めましたが相手次第なのでなんとも」

霞「私達の機体は大幅改修した訳だし、事前のデータが役に立たなくなってる以上初見殺しが出来るけど…」

海風「逆に奥の手、『アズライト』『アクロス』『フルブルーム』を晒す可能性もある以上適切ではありませんね。

かと言って晒してもなんとかなる手札も天津風さんのハルート、そして朝雲さんのストライク程度でしょうし」

霞「エクシアは?」

海風「能力上、なるべく隠しておきたいものですが… 不可視とレーダー無効のステルス能力、使いどころを間違えれば手の内を晒すだけでなく対策を練られてその後の作戦に影響が…」

霞「海風にしては珍しく優柔不断ね。いつもの大胆さはどこに行ったのよ」

海風「大胆だけでは勝てません。ここはより慎重に…」

霞「はぁ… 緊張してるわね、珍しく」

海風「ええ、この大舞台を前には流石の海風でも緊張もしますよ」

霞「アンタは普段通りにしてくれれば良いのに… 寧ろその方が私達はやり易い」

海風「霞…」

霞「正直、ウチのチームはアンタが居なければ烏合の衆よ。 各個の能力が秀でていても優秀な指揮官が活かしてくれなければ死ぬだけ…

本調子の海風が居てくれないと困るの。 迷いの無い、ただ真っ直ぐ前だけを見続ける海風が居ないと」

海風「迷いの無い、海風…」

霞「私は海風に従う。 違う、私は海風以外に従わない。 私にとっての最高の指揮官は海風、アンタなの。 そんなアンタが迷ってどうするのよ」

海風「…先輩と朝雲さんも指揮権を持ってるので海風以外に従わないと言うのはどうかと…」

霞「指示されれば従うわ。 海風がその二人に指揮権を預ければ勝てる、って保障してくれるならね。それ以外には絶対に従わない」

海風「もし、その相手がウチの姉だったとしても?」

霞「同じ事は二度も言わない」

海風「…良いでしょう。 その代わり、責任はとってもらいますよ」

霞「責任? 私はとらないわよ。 だって、アンタは負けないから」

海風「ならその期待に応えるだけです。 霞、提出用の編成表を下さい」

霞「もう準備は出来てる。 はい、ペンも」

海風「ここから先は一本道、ノンストップで駆けます」

霞「オッケー。 ぶっちぎってやろうじゃない…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/16(土) 04:10:19.14 ID:B/Q9wPuX0<> 《神通&萩風の部屋》


神通「!」ブルッ

萩風「姉さん?」

神通「今何か悪寒が…」

萩風「姉さんまでニュータイプ紛いのことを…」

神通「いえ、これは修業で培った…」

萩風「そんな事より、ロンギフローラムの調整終わりました」

神通「助かります。 流石に、私ではお母様のようにいかないので」

萩風「ファイター技能に偏って、ビルダー能力を疎かにしたからです」

神通「疎かにしたつもりは無いのですが、これには向き不向きが…」

萩風「言い訳無用、お母様ならこう言う筈ですよ」

神通「そうですね… …本当なら、私の技術で整備出来る機体に仕上げる予定だったのに…」

萩風「お母様が勝手に魔改造を施して… 私もこれには四苦八苦しました。 しかし性能は予定値の数倍、姉さんの『全力』を余す事無く発揮可能です」

神通「東方不敗流剣術だけでなく次元覇王流、そして流派・東方不敗…」

萩風「良かったですね。 今までの機体では腕が粉末だったのが出せるようになって」

神通「…萩風、貴女まだ…」

萩風「ええ。正直恨みがましい… 東方不敗の名を受け継げたのが、姉さんだけなのが。 私に与えられたのは護身術と言う名の殺人技巧ばかりだと言う事が…

仕方の無いことだと頭が分かっていたとしても、どうにも心の整理がつきません」

神通「…」

萩風「私には致命的に、東方不敗の修業に耐えるだけの体力が無かった… ただそれだけなのに」

神通「体が少し弱かったのは仕方の無いことです。今では健康なんですから…」

萩風「だからこそ、尚更恨みがましいというものです」

神通「…」

萩風「冗談です」

神通「冗談に聞こえないのですが」

萩風「それはそうですね。 …姉さん、一つ約束を」

神通「なんでしょう?」

萩風「私の前で、東方不敗の技を使うと言うのなら、絶対に負け無いでください」

神通「分かりました。 元々この名を背負ってる以上、負けは許されませんから」



《朝雲&天津風の部屋》


朝雲「Zzz…」

天津風「暢気に寝て…! 予備パーツ作る手伝いくらいしなさいよ!?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/12/16(土) 05:37:41.36 ID:0O0MvfTA0<> ムッソリーニ「…ここが東京だというのか」
ムッソリーニが現代転生 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/21(木) 09:28:17.69 ID:MlZWmVS60<> 《翌日 大会アリーナ》


ザワザワ

霞「いよいよ、ね…」

天津風(ようやく、この場に立てた…)

朝雲「ま、当然よ。 私達だって、死に物狂いで戦ってきた訳だし」

神通「静かに。もうすぐトーナメントの抽選会が始まります」


『只今より全日本ガンプラバトル選手権・中高生の部、全国大会の抽選会を開始します。抽選を行うのは…』

メイジン『この、メイジン・カワグチよ!』


海風「あ、残念な人」

萩風「その言い方はもう止めてあげてください」

神通「二人共、静かに」


メイジン『トーナメントは4つのブロックに分けて行われるわ。そして各トーナメントの勝者が決勝大会へと駒を進める事が出来る。

そして、これがトーンメント表よ!』


阿武隈「Cブロック、第2試合。 日程的には明日かな」

長波「アイツ等やガンプラ学園とは別のブロックか」

陽炎「去年は決勝に行けず仕舞いだったけど、今回は違うわよ」


アドウ「Dブロックか… 歯ごたえのある連中が居れば良いがな」

ウィルフリッド(彼女達は… ほう…)


天津風「なっ!?」

朝雲「嘘でしょ…」

萩風「まさか…」

霞「Aブロック、しかも第一試合だっての!?」

海風「『ホワイトクリーン』やガンプラ学園と当たらないだけマシです」

神通「各員、準備を。 海風さん、編成割は…」

海風「済んでいます。 式終了次第、編成を発表します」

神通「分かりました。 対戦相手の方は… いきなり顔見知りとは」


対戦相手 直下
1.京都代表(神風・朝風・春風)
2.高知代表(神威・コマンダン・瑞穂)
3.鹿児島代表(霧島・大淀・川内)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/21(木) 09:29:36.89 ID:T6o6l7EH0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/21(木) 09:56:48.69 ID:MlZWmVS60<> 神風「まさか貴女達と戦うことになるなんてね」

天津風「『風の会』の…」

朝風「やりかえさせて貰うわよ…! 絶対ギャフンと言わせてやるんだから!」

霞「…まだデコにうっすらと残ってるわよ、肉」

朝風「え、本当!? 昨日必死に落としたのに!」

春風「すみません、騒がしくて…」

神通「いえいえ。 威勢の良い方が、戦い甲斐があると言うものです」

神風「もう舐めたり油断なんてしない、あの時みたいにはいかないわよ…!」

海風「こちらも、全力で戦わせて頂きます」

萩風(そう言えば私、この人達と関わり無かった。 …こういう時、新参はちょっと辛いかな…)



《会場 控え室》


海風「では編成割を発表します」

天津風「第一陣は誰なの?」

海風「今回は対戦相手不明の為、編成は『全力』を組ませて頂きました」

朝雲「出し惜しみは無い、ってことね」

海風「ええ。確実に、相手を叩き潰せるように」

萩風「それが一番でしょうね。 後の相手への威嚇にもなりますし」

霞「いつも通り、指揮官1とそれ以外2でしょ?」

神通「なら私と海風さん、朝雲さんの誰かは確定ですね」



チーム編成
・一人目 直下
・二人目 下2
・三人目 下3


チームメンバー
・神通:インフィニットジャスティス・ロンギフローラム(指揮官)
・海風:ウイングガンダム・アズライト(指揮官)
・霞:ブラスト・アクロスZZ
・天津風:ガンダムハルート・ボーライド
・朝雲:RX-0[Sm]シームルグ or ストライク・エインヘリヤル(指揮官)
・萩風:ガンダムエクシアルベルム

条件:チーム内に一人『指揮官』を組み込むこと。また朝雲を使用する場合機体を『シームルグ』か『ストライク』かを明記すること <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/21(木) 10:14:33.70 ID:6XEKZ0VDO<> 天津風 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/21(木) 10:15:06.72 ID:a8eDsfMDO<> 朝雲 ストライク <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/21(木) 10:15:18.36 ID:EhqZ4q0ZO<> 萩風 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/21(木) 10:17:02.23 ID:qXIMfUOM0<> 天津風 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/21(木) 19:00:42.54 ID:MlZWmVS60<> 海風「朝雲さん、今回の指揮はお任せします」

朝雲「いきなり私!?」

天津風「…本気じゃないの?」

海風「ええ、本気ですよ。 朝雲さんを選んだ点は2つ、朝雲さんに指揮技能を持っていることを知るのは我々のみであること。そして『万が一』に備えられる補助機を持っていることです。

さらに今回に限れば敵にメガランチャー装備機はあれど射程最長なのが朝雲さんなのは僥倖と言うべきでしょう。今回はシームルグではなく、改修したストライクを使用してください」

朝雲「…分かった。 どうせもう変更は利かないし、やるだけよ」

海風「続いて僚機は萩風さん、天津風さんにお任せします」

萩風「分かりました」

天津風「ここで私とはね… やってやるわよ」

海風「今回の作戦は前にやった練習の通り、パターン『インビジブルランス』を主軸として動いて貰います。

具体的な作戦案としては…」

ガチャッ

瑞鳳「あ、やってるやってる」

愛宕「やっほ〜」

神通「お母様に先生?」

瑞鳳「ブリーフィング、どう?」

海風「間もなく終わりますよ」

瑞鳳「なら良かった。 萩風ちゃん、朝雲ちゃん連行ね」ガシッ

愛宕「ちょっと大人しくしてね〜」ガシッ

萩風「え、え!? 何かしました!?」

朝雲「何もしてないわよ!?」

瑞鳳「お着替えタイム」

朝雲「あ、また変な衣装を!?」

愛宕「今回はまともよ、天津風ちゃんのデザインに比べたら」

天津風「私の衣装、風吹いたらパンツ見えそうになるのよね…」

霞「朝雲のは丁度良いんじゃない? あれじゃただの夏服小学生だもの」

朝雲「小学生って言わないでよ!」

海風「…海風と先輩のも大概な気がするのですが」

神通「脇の下開いてますし… ノースリーブと手袋なんてニッチなものを…」

瑞鳳「と言う事で連行〜」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/21(木) 22:31:36.65 ID:MlZWmVS60<> 萩風「…リボン、紫のは無いのですか?」←陽炎型制服

瑞鳳「無い。 染料が無かったのよ」

朝雲「私のはまぁ… ブレザーが増えただけ?」←スリガオ海峡突入mode

霞「デザイン的にはまともね、二人共」

海風「しかし萩風さんの服はどこかで… あ…」

神通「陽炎さんの戦闘時の衣装ですね」

瑞鳳「似合いそうだからパクった」

愛宕「結果的に二人の衣装デザインは普通になったけど…」

天津風「…」

海風「天津風さんの痴女っぷりが浮き彫りになっただけですね」

天津風「誰が痴女よ!?」

霞「ところで私達のこの衣装ってどんな意味があるのかしら」

瑞鳳「ああ、前に説明してなかったね。 朝雲ちゃん、取り敢えず全力ジャンプしてみて」

朝雲「ジャンプ? えいっ… あだっ!?」ゴンッ

海風「天井に頭がぶつかった…?」

天津風「明らかに人間の跳躍力超えてるわよ!?」

霞「これって身体能力が上がるの…?」

瑞鳳「結果的にそうなってる、ってだけだよ。 使ってる材料が特別、まぁかなーり稀少でチベットの奥地でしか栽培されてないし名前も無いほぼ存在が伝承レベルの布地なのよ。

今も栽培されてるかどうかはわからないけど、取り敢えずそんなものを元にしたのがこれに使われてる材料なの」

萩風「本当にかなり稀少なもので、しかも加工の仕方次第では質感が変化したりと万能な素材なんです。このシャツとブレザー、元は同じ素材ですし」

天津風「肌触りが違う…」

瑞鳳「染料の方も特別なものなんだけどこっちは冬場は保温・保湿、夏場は保冷してくれるだけだから気にしなくて良いよ」

海風「それでも地味に凄いんですが」

瑞鳳「で、この衣装の材料には特殊な力があって、纏っている人のポテンシャルを100%引き出せるって言うものなの。

人の能力は脳によってリミッターをかけられて、数パーセントしか出せてないんだけどこれは100%完全に引き出しちゃうって代物。朝雲ちゃんのはポテンシャルを引き出した結果、結果的に身体能力が上がったように見えてるだけ」

朝雲「じゃあこれって『私の100%』ってことですか?」

瑞鳳「そう言うこと。まぁあんまりやり過ぎると筋肉痛で動けなくなるから注意してね。

それ以外にも防弾とか着ている人の保護の意味合いもあるんだけど… その辺は割愛」

愛宕「因みに私も持ってるわよ。 この前大鯨さんに新調してもらったのもあるし」

瑞鳳「さて… もうそろそろ時間だし、会場に行こっか」

<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/22(金) 07:52:07.89 ID:5eG6ZXjR0<> 天津風「準備、ちゃんと出来てるわね?」

朝雲「言われるまでも無いわよ」

萩風「勿論」

朝雲「それぞれ、事前の作戦通りに動いて貰うわ。海風の指示通り、私が指揮を執る」

天津風「…そこが一番不安なのよね」

萩風「いえ、寧ろ頼もしいです」

朝雲「指揮に関することは全部頭に叩き込んでおいた… 第一陣を譲ってくれた先輩達に代わって、『フリューゲル・ヴェント』として波に乗るわよ!」


神風「向こうは… 新入りと可変機使い、そして補助役?」

朝風「あのいけ好かないのが居ないなんて舐めてんの?」

春風「朝風さん、それが驕りに繋がるんですよ」

朝風「分かってるわよ。 でも、今までの編成パターンとは違う。指揮官役が居ない」

神風「新人の人に執れるとは思わないし… いけるかも…!」

春風「慢心は禁物です。もしかすれば新たに技能を身につけた方がいらっしゃるかもしれません」


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


天津風「ガンダムハルート・ボーライド、天津風!」

萩風「ガンダムエクシアルベルム、萩風…」

朝雲「ストライク・エインヘリヤル! 朝雲、チーム・フリューゲル・ヴェント!」


天津風「行くわよ!」

萩風「行きます!」

朝雲「出撃する!」




朝雲「と言う事で牽引役よろしく。この方が速いし」

天津風「はいはい… 萩風、機体の姿を消しなさい」

萩風「了解。システム良好、ステルスモードへ移行します」

朝雲「さて敵は… 感あり、射程まではまだ距離があるけど… 狙撃モード、敵を目視で視認っと…!」


敵機

・神風機 直下
1.レギンレイズ・フェーン(そのまま)
2.その他(ベース機・名前・改造内容も)

・朝風機 下3
1.ガデッカ(そのまま)
2.その他(ベース機・名前・改造内容)

・春風機 下5
1.ティエルヴァ・マガツ(そのまま)
2.その他(ベース機・名前・改造内容) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/22(金) 10:13:29.36 ID:KydrLTWe0<> レギンレイズ・ギブリ
フェーンの改修機。フレームの調整を行って可動が増強されている。さらに、予備のリアクターも装備し疑似的にツインリアクターとなっている。
腕部にグリムゲルデのシールドとソードを追加。射撃は通常のレギンレイズのライフルを改修したものを装備。1発だけダインスレイヴも撃てる。フェーンの時点であった武器はそのまま装備している。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/22(金) 10:49:26.99 ID:gAQtdvEe0<> クシャトリヤ・シヴァ

クシャトリヤの改修ガンプラ
バインダーにクシャトリヤ・リペヤードのファンネルミサイルのコンテナを組み込み、頭部をリペヤードの物に変更、
バインダーのアーム4本と両手で二連結したビーム・ガトリングガンを装備
カラーリングはレズン専用ギラズールに似た青系統

武装
ビーム・ガトリングガン 2×6
胸部メガ粒子砲 ×4
バインダー部メガ粒子砲 2×4
マシンキャノン 1
ファンネル 6×4
改造ファンネル 6×4
ビームサーベル 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/22(金) 15:54:26.29 ID:xWCQ/OYE0<> ブラウカラミティ・ゾルダ

カラミティを改修したブラウカラミティを更に改修したガンプラ。
原型機の脚部にイフリート改のものを改造したミサイルピッドを追加、シールドガトリングの他にもハイペリオンのビームマシンガンを背部にマウント。
また両腰には対艦刀シュベルトケベールを装備しある程度の近接戦能力を付与。射撃武装は必要に応じて切り離すことが出来る。
何故か頭部のメインカメラの保護用にヴェルデバスターのフェイスガードを装備。
塗装は緑がメインで、フェイスガード部など一部は銀色。 元ネタは原型機のパイロットの中の人が演じた某仮面ライダー。

武装
・125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク×2
・580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ×2
・115mm2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ×2
・コンバインドシールド(30mm径6銃身ガトリング砲)×2
・15.78m対艦刀 シュベルトゲベール×2
・脚部6連装ミサイルポッド×2
・RFW-99 ビームサブマシンガン「ザスタバ・スティグマト」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/22(金) 19:44:50.89 ID:TRnzxue8O<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/23(土) 09:49:29.46 ID:9BbCPtaf0<> ハイゼンスレイU・マガツ
TR-6ハイゼンスレイUをセミスクラッチした後に、中規模の改造を加えた機体。
本体は稼働時間増強のためのEパック・推進剤及び機動力増強用の全身に追加された小型スラスター以外はそのまま。
前の機体も持っていたバンガサはフライルーのロング・ブレード・ライフルをベースに新たに作り直し。装備はそれ以外元機体のままだが、ビームサーベルとヒートブレードは刃部分が刀状となっている。
色は前機体から踏襲したままである。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/24(日) 15:39:50.51 ID:W/DA528l0<> 朝雲「敵機3、視界を各機にリンクした」

天津風「カラミティ… いえ、『ブラウカラミティ』ね。増強部分はミサイルポッドと対艦刀、そして予備のマシンガンってところかしら。

でも追加装備による重量過多で足が遅くなってるわ。 多分今のハルートの半分程度ってところ、それに味方も巡航速度を合わせてるから対した速度じゃないわね」

朝雲「で、1機は前のレギンレイズの改修機か。 あのライフル、例の爪楊枝付きだけど… 射程はこっちが上ね。

問題は残りの1機、番傘抱えてるから間違いなくあのドリル頭の子の機体だろうけど…」

萩風「『ガンダムTR-6 ハイゼンスレイU』、どの現行キットからも流用出来ない以上恐らく外装パーツはほぼフルスクラッチです。

ちょっと前にウーンドウォートの参考出品はあったけど… ここまでやるのは少しばかり色々とやり過ぎな気が…」

天津風「厄介ね… こっちが勝ってるのは射程、隠密性、機動力ってところかしら…」

朝雲「一応予定の範疇ではあるわ。 じゃあ、作戦開始!」


敵機捕捉
レギンレイズ・ギブリ (神風機)
武装
・機関砲×2
・ドリル・キック×2
・バースト・サーベル(予備刀身×6)
・ハンドガン×2
・ヴァルキュリアブレード&ヴァルキリュアシールド×2
・GR-W11 130mmライフル(ダインスレイヴカスタム)

機体概要
沖縄時点まで使用していたレギンレイズ・フェーンの改修機。海風との交戦(手玉に取られて瞬殺)の影響を受け、全体的に強化を施している。
フレームの調整を行って可動が増強、予備のリアクターも装備し擬似的なツインリアクター化を施し出力増強を図った。
腕部にグリムゲルデのシールドとソードを追加。射撃は通常のレギンレイズのライフルを改修したものを装備。
そして切り札的な武器として1発きりのダインスレイヴをマウント。フェーン時代の装備はそのまま残し使用可能。

ブラウカラミティ・ゾルダ
武装
武装
・125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク×2
・580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ×2
・115mm2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ×2
・コンバインドシールド(30mm径6銃身ガトリング砲)×2
・15.78m対艦刀 シュベルトゲベール×2
・脚部6連装ミサイルポッド×2
・RFW-99 ビームサブマシンガン「ザスタバ・スティグマト」

機体概要

朝風の機体でカラミティを改修したブラウカラミティを更に改修したガンプラ。以前の機体よりも大幅な改修を施している。
原型機の脚部にイフリート改のものを改造したミサイルピッドを追加、シールドガトリングの他にもハイペリオンのビームマシンガンを背部にマウント。
また両腰には対艦刀シュベルトケベールを装備しある程度の近接戦能力を付与。射撃武装は必要に応じて切り離すことが出来る。
何故か頭部のメインカメラの保護用にヴェルデバスターのフェイスガードを装備。
塗装はグリーン系統、そして一部にグリーンを用いている。仮面ライダーっぽいのは気にしない。

ハイゼンスレイU・マガツ
武装
・ブーストポッドバルカン×2
・コンポジット・シールド・ブースター
・ロング・ブレード・ライフル・バンガサ
・肩部ビームキャノン×2
・脚部ミサイル
・メガ粒子砲

機体概要
春風の機体で『ガンダムTR-6[ハイゼンスレイU]』をベースにした機体。以前のティエルヴァは改修機であったのに対し、こちらはフルに近いセミスクラッチ。
本体は稼働時間増強を図るためのEパック、そして全身に機動力を強化する小型のスラスターを追加。あとは原型機と大差無い。
ティエルヴァの持っていたバンガサではなくこちらはTR-5のロング・ブレード・ライフルを改造したもの。バンガサの何が彼女をここまで駆り立てるのか。
また細かい部分だがビームサーベルやヒートサーベルが日本刀の形状になっており、所々に和風の意匠が垣間見る事が出来る。
カラーリングは以前の機体と同じ桜色のカラーリング。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/24(日) 17:12:14.94 ID:W/DA528l0<> 宇宙空間にスラスターの燐光が輝かせながら神風達の操る3機は駆ける。 

少しばかり速度は遅いが重装のMSを僚機としている以上それは仕方のない事だ。そんな中神風達は雑談を交わす。


朝風「敵、まだ見えないわね…」

神風「もうそろそろ、だとは思うんだけど…」

春風「敵は恐らくこちらより上手、前回のようにくれぐれも気を抜かないでください」

朝風「分かってるわよ。『ホワイトクリーン』の時みたいなのは、もう二度と御免よ」


彼女達が以前戦い、辛酸を舐めさせられた『ホワイトクリーン』戦の苦い経験を反芻する。

格上とは思わず舐めてかかった結果、システムがエラーを吐かねば負けていた。そんな経験は二度としたくない。


神風「各機、慎重に…」


神風が指示を下そうとした瞬間、耳に警告音が響く。 ロック警報などではなく攻撃が放たれたと言う警報、条件反射的に神風は「散開!」と叫ぶ。

そして次の瞬間正確なビームによる狙撃が神風の機体が居た場所を走り付近を流れるデブリに直撃して火球を生み出す。


春風「なんて狙撃の腕… 朝風さん!」

朝風「駄目、こっちの有効射程外よ!」

神風「一瞬遅れてたら当たってた… やっぱり油断は出来ない…!」



狙撃銃を構えたストライクがデブリに身を隠しながら照準を合わせる。 チーム内で最長の射程を持つストライク、そして朝雲の技量を以ってすれば直撃は容易い。

先程の一撃は牽制と布石、これが彼女達の作戦の火蓋が切って落とされる。


朝雲「第一フェーズクリア、セカンドに移行!」

天津風「分かってるわよ!」


天津風のハルートが高速で神風達へと迫る。 何故か彼女達は気付く事が出来なかった、ハルートの接近を。

そして数瞬遅れて神風達は迎撃行動へと移った。


朝風「速い! それに動きが気持ち悪い…!」

神風「こっちの攻撃を全部掻い潜って! 当たりなさいよ!」

春風「落ち着いてください! 浮き足立てばやられるのはこちらです!」

神風「そんな攻撃当たらないわよ! ミサイル、全弾発射!」


全ての攻撃を回避するハルート、そのまま一気に距離を詰めてありったけのミサイルを放つ。

神風達はミサイルの迎撃を試みるが一瞬の隙が生まれる。それこそ朝雲たちの狙い目…


萩風「はぁッ!」

朝風「なっ!?」

神風「朝風!?」


エクシアの右腕に装備されたGNクナイの斬撃が背後からカラミティへと遅いかかり、バックパックを破壊する。

朝風は咄嗟にシュラークごとバックパックを切り離すことで難を逃れるが、火砲の一部を失ってしまう。


春風「ステルス機…! ハルートがギリギリまで捉えられなかったのもアレの影響…!」

萩風「気付いてももう遅いです! 私は既に懐を捉えました!」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/24(日) 18:13:12.08 ID:3IGcKtuI0<> 萩風と朝雲でカラミティを集中攻撃、天津風は残りへ挑発と妨害 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/25(月) 21:48:13.91 ID:GOBne9Z40<> シールドに付属したガトリングとケーファーツヴァイによる攻撃を右旋回で回避しつつ脚部に装備されたビームサーベルを展開し回し蹴りを行うエクシア。

サーベルの光刃がカラミティの左腕に装備されたシールドを切り裂き、そのまま左腕のGNクナイを展開し回転の勢いを維持した斬撃が走り胸部のスキュラを切り抉る。


朝風「な、何なのよ一体!」

萩風「…」


朝風にとって萩風の動きは異質としか見えない。今まで相対した事の無い動作、そして一撃一撃が殺意を乗せた刃により窮地に立たされる。

逆に萩風にとって朝風は格好の獲物。闇に紛れ、姿を現すのは必殺の時のみ。今姿を現しているのは確実に敵を斃す為だ。


朝風「何よ! こっちの事いたぶって、舌なめずりのつもり!?」

萩風「…」


『確実に殺せる』獲物を前に舌なめずり、ましてや語るなど三流。萩風は教えられていた通り無言で刃を敵へと向ける。

右腕で抜いたビームサーベルでカラミティの右腕の肘から下を切り落とし左足のサーベルを展開して両足を落とす。この動作を数瞬の内に行う。


春風「朝風さん!」

神風「あのエクシア、一体何なの!?」

天津風「貴女達の相手は私よ!」


ソードライフルをサブマシンガンを使いレギンレイズとハイゼンスレイを牽制し、機動力で翻弄する。

神風達は朝風をフォローしたい、だが目標をエクシアに集中するとハルートに落とされるかもしれない。故に朝風をフォローする事などほぼ不可能だ。


朝風「このっ…! アンタだけは、なんとしても!」


一度距離を取ったエクシアに向け、残った左腕で対艦刀を抜き放ちカラミティは加速する。

例え機体が壊れようとこの厄介な相手、ステルス機能を持ち仲間を危機に陥れる敵だけは倒そうと。


萩風「…」


だがこの状況も萩風にとって打ち合わせ通りで想定の範囲内。 そして朝風はエクシアに気取られていて忘れていた、自分を上回る射程を持つ者を。

アラートが耳を打ち思い出す、敵は狙撃手を有していた事を。次の瞬間、一条の光が機体を貫きカラミティは火球となった。


朝風「あ…」

朝雲「目標撃破、っと。萩風、そっちは?」

萩風「損傷なし、この程度なら造作もありません」

朝雲「じゃあ次、移るわよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/26(火) 00:02:41.25 ID:qxeOrp1g0<> 神風「朝風がヤられた! 春風、態勢を立て直すわよ!」

春風「はい! 絶対に仇を討たないと…!」


神風はレギンレイズの状況を確かめる。 何度か被弾はしたが致命傷では無い、そしてまだ『切り札』はまだ手中だ。

ライフルに装填されてる一発だけの切り札『ダインスレイヴ』。これがあれば、状況を覆せるかもしれない。


神風(当てれば、必ず倒せる…!)


直撃すれば確実に1機は落とせる。予備の弾などなく、これだけと言うのが手痛いが。

ただ1機でも撃破できれば2対2で状況をイーブンに持っていける、まだ逆転のチャンスは作ることが叶う。だが使う相手が問題だ。


神風(エクシアはステルスで捉えられない、それにあの動き… 絶対に当てられない… ハルートも、まず照準を定める事すら出来ない…)


残る対象は1機、朝雲の駆る『ストライク・エインヘリヤル』だけ。 あれは基本狙撃担当で動けない、当てられる筈だと神風は確信する。

そして神風は決断する。 すぐさま春風へと通信を入れ、決断を伝えた。


神風「春風! あのストライクを潰す! ダインスレイヴで!」

春風「…! わかりました、フォローしますから行って下さい!」


レギンレイズが加速し、それを止めようとするハルートの進路にハイゼンスレイが立ちはだかる。


春風「ここから先は通しません!」

天津風「朝雲! そっち行った!」

朝雲「分かってる!」


朝雲は思案に耽る。 ダインスイレヴの射程はストライクのライフル程長くは無い。だが当たれば致命傷、一撃でこちらは沈むだろう。

だけどまず発射されれば避けれない。 そして何より弾が細すぎて見えないのだ。


朝雲(私がやるべき事、私に出来る事… 今の私は海風に指揮を任された。だから、絶対に落とされちゃ駄目…!

…私のポテンシャルは今最大、だから… 出来るかもしれない…!)

朝雲「力を貸しなさい、ストライク!」


バックパックを切り離し、身軽になる。 荷物を抱えたままでは『今からやる事』は難しいから。

そして腰のショーティー二丁を抜き放ち構えを取った。 敵の筈の榛名から教えられた技能、そして狙撃以外のもう一つの力。そして朝雲は一気にレギンレイズの間合いへと飛び込む!


神風「馬鹿ね! これを、受けなさい!」


放たれる『ダインスレイヴ』の砲撃、朝雲はこれを待っていた。

目の前に迫る弾頭を目視で捉えて意識を集中する。 そして朝雲は…


朝雲「そこ、だぁっ!」


榛名によって教えられ、自ら磨き上げたガン=カタ。 その技能で、ショーティーに追加された実体刃を使ってダインスレイヴを弾く!

軌道を変えられ目標を失った弾頭はデブリに直撃し突き刺さる。 その光景は神風の想定外、そして本来在り得ない出来事だ。


神風「嘘よ… ダインスレイヴの、軌道を変えるなんて…!」

朝雲「私には出来る、それだけよ!」

神風「在り得ない… 認めないんだから…!」

朝雲「別にいいわ、認められなくても。 でもね、アンタはもう終わりだから」


衝撃的な出来事に唖然となってる間に距離を詰め、そして銃口を頭部へと押し付けるストライク。そして朝雲は躊躇なく、その引き金を引く。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/26(火) 00:45:38.36 ID:qxeOrp1g0<> 天津風「くっ… しつこい…!」

春風「残るのはわたくしのみ、負ける訳には参りません!」


春風のハイゼンスレイがハルートに喰らいつく。 天津風は気圧されつつも敵を振り切ろうとするが、相手は一向に退かない。

ドリルのように回転させたバンガサをソードライフルで防ぐ天津風、しかしそう長くはもたない。


天津風「私も、こんな所で終わる訳には!」

春風「ッ…!トランザム!?」

天津風「いかないのよっ!」


ハルートのトランザムを発動させてハイゼンスレイを出力差で無理矢理押し返す。

そして出力勝負で負けたハイゼンスレイが吹き飛ばされデブリへと叩き付けられた。


春風「まだ、まだ終われ…」

萩風「いえ、もうここで終わりよ」


どこからともなく2本のケーブルがハイゼンスレイへと突き刺さり次いで投擲されたダガーが機体の両肩を貫きデブリへと磔となる。

そして春風は機体の出力がどんどん落ちていくことに焦りを見せた。そして機体を磔から逃れさせようとするが、動けば動くほど粒子が減っていく。


春風「マガノイクタチ…」

萩風「これで、貴女も詰みです」

春風「そん、な…」


そして最後は抵抗すら出来なくなり、ハイゼンスレイから粒子が無くなり機体機能が停止した。


天津風「…これ、トランザム使う必要あった?」

朝雲「無い」

萩風「まぁ必要としたのは貴女なのであるのでは?一応」


BATTLE ENDED

Winner"Flügel Vento"


『第一ブロック一回戦第一試合、勝者・東京代表『フリューゲル・ヴェント』』


ワァァァァァァァァァァ


神通「ふぅ… 勝てましたね」

愛宕「一回戦突破、おめでとう」

海風「まさかダインスレイヴ弾くなんて…」

瑞鳳「ある意味凄い成長してるわね、あの子…」

霞「私達が言えた義理ではないけど…」


陽炎「へぇ、面白いじゃない…!」

阿武隈「海風ちゃん達じゃないから見る必要無いって思ったけど、結構見る甲斐あったかも」

長波「…ところで榛名姉さ、朝雲の件の弁解はどうする気?」

榛名「大変申し訳ありませんでした!」

天城「か、彼女は一応想定外の方向に成長してるだけですから… 敵に塩を送ったことに関しては擁護できませんが」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/26(火) 01:02:18.03 ID:qxeOrp1g0<> 霧島「これは… データの更新が要るわね…!」


神威「テスト合宿の時より腕が上がってる… こちらも頑張らないと…!」


鬼怒「海風は分かってたけどさ、他もこんな実力者まみれなんて聞いてないよ!?」


ウィルフリッド「彼女のチームメイト、中々面白い…!」




朝雲「二人共、お疲れ」

天津風「でも、まだ始まりよ」

天津風(そう、ガンプラ学園に復讐するまでは…)

萩風「お二人共、後で疲労抜きの為に萩風特製健康ジュースを…」

「そこの三人!」

朝雲「何?」

神風「…どうして、ダインスレイヴを弾けたの?」

朝雲「ミサイルとかある程度の実体弾を弾く練習してた、その応用よ。タイミングを図るのは難しかったけど。

死に物狂いで、独力で頑張って… なんとかモノに出来たの」

神風「そう…」

朝風(この三人だけじゃない、あそこのメンバーも皆必死になって努力したのね…

ただ先生が良かっただけじゃない、本人達の努力が実を結んで…)

朝風「私達の完敗、かしら」

春風「はい。わたくし達もまた、努力が足りなかったようです」

神風「次は… 次こそは負けないからね!」

朝雲「なら、また返り討ちにしてあげるわ!」


神通(こうして、私達の初戦は華々しい勝利で終わった)

海風(しかし今後は強い敵が沢山出てくるだろう…)

霞(それでも私達は止まれない。 風に乗った鳥の翼の羽ばたきは、絶対に止まらないから)


第13話『未来への翼』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/26(火) 01:35:24.10 ID:qxeOrp1g0<> 次話選択 下5まで

1.海風編『藍銅鉱は何を見る?』…海風VS鬼怒。 『浜風の妹』として向けられる視線、そして何も理解しない様々な相手に鬱憤を溜め込み爆発寸前の海風。ただ妹と言うだけで誰にも海風は理解されない、そんなコンプレックスまみれの少女は従姉妹との戦いの先に何を『見る』のか。

2.天津風編『復讐の意味』…天津風VS霧島。 ガンプラ学園への復讐を思う天津風、しかし対・ガンプラ学園対策会議でメンバーから外されてしまう。納得が出来ないまま2回戦を迎えるが相対したのは天津風同様『復讐』の感情をガンプラ学園へと向ける霧島だった。

3.神通編『無限の先に』…神通VSイノセ・ジュンヤ。 ゲームで負けた罰でアイスを買いに行かされた神通、しかし暴漢の集団に襲われ神通は全員を叩きのめしてしまう。そしてその首謀者はかつて『次元覇王流』を学びながらも『不敗』に至れなかった、瑞鳳の弟弟子イノセ・ジュンヤだった。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 04:18:44.12 ID:G/pXoGjA0<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 09:28:32.76 ID:E1E1IYQe0<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 10:01:27.98 ID:t+nKfIwg0<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 10:19:21.91 ID:dHALuuxQO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 13:59:57.70 ID:B2lPdkvTO<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 14:04:11.24 ID:t+nKfIwg0<> 決戦投票する? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 14:33:06.42 ID:NpgTDMhKO<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 18:22:21.39 ID:BNa3sQ9rO<> 14話で片方、15で残りとか? <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/26(火) 20:29:05.69 ID:qxeOrp1g0<> 神通編か天津風編で同率…


よし、再投票だ。 今回は話のテーマを書いておこう…



再投票 下4まで
1.海風編:『自分の道の拓き方』
2.天津風編:『戦う理由、やりたい事』
3.神通編:『受け継いだ力の意味。拳解禁』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 20:43:45.04 ID:VqvzeE8TO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 21:29:18.84 ID:XHIy1poF0<> 2で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 21:56:11.35 ID:j+9NZPTa0<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 22:00:10.04 ID:B2dYHKKaO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/26(火) 22:05:42.55 ID:Ce+IzbGdO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/26(火) 23:21:16.74 ID:qxeOrp1g0<> えぇ…(困惑)


神通は主人公格だからやらなきゃいけないし、でも天津風の成長も(一応、多分)必要だから(これ以上雑な扱いをしないために)…



…とりあえず今回は神通編をやらせてください。天津風編は3回戦にまた安価を取り直します(確定) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/12/27(水) 00:00:54.06 ID:x9IDXQYYO<> そんなー(´・ω・`)
天津風三回戦安価取り直さなくても天津風で確定でいいんじゃない? <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/27(水) 00:52:15.09 ID:1KfaJ4Rx0<> >>306
三回戦は三回戦でやりたいネタが…(萩風の掘り下げとか、霞絡みとか)
それに神通が今まで本気を出せてないからそろそろ本気にさせたいので… 


お詫びにシューティングスターの強化改修するから…(要るか?) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/29(金) 23:59:31.12 ID:VvQPJ0MlO<> 第14話『無限の先に』


霞「えっと… 上がりです」

神通「そ、そんな…」

海風「これで先輩が買出しですね」

神通「妹の不始末をつけるのは姉の仕事ですから、仕方ありません…」

萩風「ムグーッムグーッ」(猿轡)

霞「あれは悲惨な出来事だったわ…」


数十分前…


萩風『出来ました! 萩風特製、健康体力回復ドリンクです!』

朝雲『…な、何そのおどろおどろしい液体は…?』

萩風『滋養強壮・疲労回復・デトックス効果のあるものをふんだんに使ったドリンクです。 先程作ったばかり、しかも素材そのままの味を堪能でき…』

天津風『ご、ごめん私パス…!』

朝雲『わ、私も!』

萩風『いいから、飲んでください!』グイッ



朝雲「う、うぅ…」

天津風「舌、舌が…」


海風「で、出来上がったのが史上最悪の味覚破壊兵器であったと」

霞「一体何入れたんだか… あれね、健康重視し過ぎて飲み易いように調整してないってのが最大の原因かしら」

神通「萩風、今度は気をつけてください。 あと、帰ったら味覚の矯正しますからね」

萩風「ふぁい…」

神通「では皆さん、今からコンビニでアイス買って来ます」



神通「えっと、コンビニは…」

「…」

神通「…?」

神通(誰かに、何かに見られてるような… でも気配が無い…?  考え過ぎ、かしら…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2017/12/30(土) 00:27:09.72 ID:62wMF0StO<> 神通(アイスは買ったし、後は帰るだけ… それにしても、夕方なのにまだ暑い…)

ガサガサッ

神通「ッ…! 誰、ですか?」

「へへへっ…」

「随分と可愛い女じゃねぇか…!」

神通(先程の気配とは違う、敵意と悪意、気配を隠せていない… それに何より、下衆な臭いがします)

「怪我したくなかったら、大人しく付いて来な?」

「大丈夫だぁ、可愛がってやっからさ…!アハハハハハ!」

「来ねぇなら、痛い目みせてやるよ」

神通(数5、それに明らかに喧嘩は出来てもまともに『武』などやった事の無い素人の構え… 囲まれても、この程度なら)

神通「警告します。 怪我をしたくなければ今すぐ私の前から失せなさい」

「生意気言いやがって、やっちまうぞ!」

神通「警告は、しましたよ」ポイッ

神通(上に投げたアイスが落ちてくるまでに、片付ける!)



神通「…」キャッチ

「あ、う、が…」

「き、聞いて、ねぇ、ぞ…」

神通「だから言いました、大人しく失せろと。 さて、一体誰が… ッ…!」

ブォン ガシィッ

「チッ… 防ぎやがったか…!」

神通「重い…!」

神通(なんて打撃、それに気配が全く無かった…! 今の動き、まさか…)

神通「次元覇王流、だとでも言うの…?」バッ

「知ってやがるのか…? いや、今の動き… テメェ、まさか…!」

神通(覇王流の使い手…!? でもこんな人、私の知りうる限りでは… バックステップで距離は取ったけど、すぐ詰められる…!)

「テメェみたいなヤツは知らねぇが… まぁ良い、俺の踏み台になって貰うぜ…!」

神通「不本意ですが仕方ありません… 十二王…」


「ストップよ、神通ちゃん。 ソイツに『不敗』の技を使っちゃ駄目」


「なっ…!? テメェは…」

神通「ず、瑞鶴さん!?」

瑞鶴「神通ちゃん、貴女は行きなさい。ここは私が何とかする」

神通「しかし…」

瑞鶴「大丈夫よ。 次元覇王流なら、私は目の前のアイツよりは戦える」

神通「…分かりました。 ここは退きます」

瑞鶴「あと瑞鳳に伝えて。 『ジュンヤが居た』って」

神通「ジュンヤ…?」

瑞鶴「早く、行きなさい!」

神通「はい!」ダッ
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/01(月) 23:56:40.19 ID:85I7LJc9O<> 瑞鶴「さてと… 久し振りね、ジュン。 いや、イノセ・ジュンヤ」

ジュンヤ「チッ… どうしてアンタが居やがる」

瑞鶴「瑞鳳に連れてこられたのよ。 タダメシと温泉に釣られた」

ジュンヤ「またアイツか…!」

瑞鶴「ええ。 大方瑞鳳の教え子を狙って襲わせたんでしょうが、アンタが出てきたのは予定外の出来事よね。

神通ちゃんがそこにノビてる不良共を一瞬で倒したから、出てくる必要の無いアンタが焦って出てきた」

ジュンヤ「何者だ、アイツは」

瑞鶴「アンタに言う義理は無いわ。 それに言わなくてもアンタなら分かる筈よ」

ジュンヤ「…あの構え、『不敗』か?」

瑞鶴「答える義理も無い。 …来なさい。 アンタの性根、私が叩き直してあげる」

ジュンヤ「今の俺に勝てると思ってんのか?」

瑞鶴「勝てるわ。 アンタの拳はもう鈍ら、アンタより長い時間同じモノを研鑽を続けてきた私に勝てると思う?」

ジュンヤ「…興が冷めた」

瑞鶴「チッ… また泣かしてやろうと思ったのに。 一応警告はしておく… 次は容赦しない。次何かあったら、駿河湾をアンタ達の血染めにしてやる」



《十分後 選手宿舎前》

神通「先生! お母様!」

愛宕「あら、神通ちゃん?」

瑞鳳「そんなに焦って何かあった?」

神通「はい。実は…」


愛宕「どうして、あの子が…!?」

瑞鳳「ジュンヤ、イノセ・ジュンヤ…」

神通「お母様、彼は一体…」

瑞鳳「あの子はイノセ・ジュンヤ。 私達と同じく武術を学んで『いた』子。お父さんに憧れ、目指し、道に背を向けた者…

次元覇王流を修めたけど不敗には至れなかった、いや至る資格が無かった」

神通「資格が、無かった…?」

愛宕「瑞鶴は? 今どこに…」

瑞鶴「あ、居た居た」

愛宕「瑞鶴! 良かった、無事で…」

瑞鶴「尻尾撒いて逃げられたわ、ジュンには。 瑞鳳、どうする?」

瑞鳳「先代、お父さんに報告を…」

「瑞鳳さん、ちょっと大変です!」

瑞鳳「榛名さん? 今ちょっと立て込んでて…」

榛名「そちらの2回戦の相手、ちょっとばかり厄介な事になりました」

神通「どう言う事ですか…?」

榛名「2回戦に出場を決めたのは愛知代表『タイタン』、そこには… 次元覇王流の使用者、そして『先代メイジン』の機体…

先代が作り、榛名とも戦った『カテドラルガンダム』が…!」

瑞鳳「なっ…!?」

神通「カテドラル、ガンダム…?」

瑞鳳「厄介と言うか、最悪の事態かも…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/02(火) 01:51:12.13 ID:Wsp884oZO<> 《旅館・瑞鳳達の部屋》


榛名「『カテドラルガンダム』、先代メイジンが製作したガンプラのある意味究極到達点の一つです。

病に侵されながらも先代の妄執により技術・思想・アイデアを後世に残す為に製造されました」

天津風「確か第6回大会で飛龍さん達を破ったのが…」

瑞鳳「そう、それがこのテーブルにある『カテドラルガンダム』」

朝雲「…って何で実機があるの!?」

榛名「正確には実機ではありません。 これは榛名がかつて粒子操作技術の研究の為に模倣した、外観そのまま中身は劣化コピー品な代物です」

萩風「しかしデッドコピー品と言えども戦闘可能な域にまで仕上げてあるとは…」

榛名「この機体の特徴は… まさに瑞鳳さんと榛名さんの『組み合わせ』、ある種『スクランブルガンダム』の上位機種に該当すると言っても過言では無いでしょう。

粒子制御技術は榛名、そして機体の強度や可動は瑞鳳さん… ほぼイコールと言っても良いかと」

瑞鳳「人間の動作を極限まで再現した広い可動域が特徴で、ファイターの性格・技量・癖、その全てがバトルに反映される。

武器はオーソドックスだけど、故に全領域に対応した究極系だね」

海風「オーソドックスであれば、逆に偏った機体相手には弱いのでは?」

瑞鳳「そう単純な話じゃないの。 この機体はファイターによって能力が変化するの」

霞「どう言う事…?」

瑞鳳「例えばだけど、神通ちゃんが使った場合格闘戦に強い機体になるけど霞ちゃんが使えば遠距離砲撃に特化した機体になる。

ファイターの技量や性質がそのまま機体に反映されちゃうのよ。 強い人が使えば強くもなるし、操縦下手な人が使えば弱体化もする。そんな機体」

神通「良くも悪くも性能によるゴリ押しの通じない、嘘の無い機体と言う訳ですか…」

榛名「そして何より粒子制御技術が恐ろしいもので… 榛名が戦った際にはフィールド全体が、この機体に制御されていました」

朝雲「何それ、チート!?」

瑞鳳「チートだね。完全な」

天津風「で、これが問題の『ディナイアルガンダム』… 映像だけど」

萩風「面影は残っていますが、大幅な改修を受けているようです。 射撃武装は無し、拳による戦闘に特化したタイプでしょう」

榛名「しかし各部に改造を加えたことで制御技術を喪失、フィ−ルド干渉は不可能なようです。

しかも些か動きが鈍い、機体性能の一部は劣化している可能性がありますね」

海風「そもそもこれ、実機なんですか?」

霞「先代メイジン?だかの機体なら、簡単に手放したりはしない筈よ」

榛名「そこが疑問点です。 ファンメイドによるデッドコピーの改修なのか、何らかの形で手が離れたのか…

ただ先代ならば、こんな劣化改修は行わない筈です。 なので手を加えたのは本人では無いかと」

瑞鳳「そして問題は使用ファイター… 私の弟弟子『イノセ・ジュンヤ』。 破門こそされてないけど、あの子は次元覇王流を辞めた。

まぁ考え方に問題有りで、お父さんから度々叱られてたけど… 弟・妹弟子の中でもセカイくんとミライちゃんは真っ直ぐ育ってるのに、どうしてこうなっちゃったかな…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/02(火) 18:52:59.51 ID:RWIMZRk50<> イノセ・ジュンヤの過去の試合を見て対策を練る <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/03(水) 02:26:36.02 ID:MqtLZALaO<> 萩風「えっとここ一年の戦いだと…」カタカタ

瑞鳳「…おかしい。学校自体は去年の全国まで出てる、なのになんであの子が殆ど出てないの?」

萩風「出場データ、該当件数2… 今日の1回戦と去年のガンプラ学園戦のみですね」

海風「切り札として温存していたという可能性がありますね。 1回戦は昨年のベスト4の南北海道代表でしたから確実に勝つために出たか…」

霞「…それもあるけど、コイツは別の理由で出れて無いんじゃないかしら?」

榛名「霞さんの言う通りです。去年出場した際、榛名は観客席から彼を見ていました。

彼は協調性皆無、チームメイトにとっては癌や膿のような存在なのでしょう。だからこそ実力はあるのに補欠扱いだったのでは無いでしょうか?」

天津風「しかもガンプラ学園に居た時に聞いた事があるんだけど… ガンプラ学園じゃ、コイツだけ唯一落とせなかったとか」

朝雲「ガンプラ学園が撃破できなかった…?」

榛名「正直、彼の戦いは見ていて腹が立ちました。 これは言葉で言うより実際見たほうが早いかと」

神通「萩風、再生を」

萩風「了解です」


視聴中…


朝雲「何これ…」

霞「協調性が無いどころの話じゃない… コイツ、マジもんのドクズよ…!」

海風「これを見る限りではアドウ・サガの方が遥かにマシです。 彼は自らの快楽のためのバトルをしていましたが、戦いには全力を以って応え、正々堂々とした戦いをしていた。

だけど彼にはそれが無い。それどころか、フェアプレー精神すらも消え失せています」

天津風「アドウの方がマシって言うのは癪だけど… これは最悪としいか言い様が無いわ」

萩風「仲間を見捨て、囮にして… しかも卑劣な手ばかり使って…」

榛名「正直先代メイジンの方がまだマシです」

瑞鳳「…」

瑞鳳(使ってる技、次元覇王流だけじゃない。 ボクシングや合気道まで… まさか、この子は…)

瑞鳳「…!」グッ

神通「お母様…」

萩風「海風さん、対抗手段は?」

海風「いくつか考えましたが… ガンプラ学園を逃げ切った彼に通じるかは…」

瑞鳳「…一つだけ、確実に勝てる方法があるよ」

海風「瑞鳳さん…?」

瑞鳳「3代目・神通、2代目として『不敗』の技の使用を許可します。その技を使い、道を外した者を討ちなさい」

神通「ッ…!?」

瑞鳳「確かに実力は高いし、どの武術の技能もほぼ一流と言っても過言じゃ無い。でも一つだけ致命的な部分がある。

あくまでも『学んだ』だけであって『極点』には到っていない。 彼を真正面から打ち倒すにはさらに上の実力で叩きのめすしか…」

神通「しかしそれでは…!」

萩風「…お母様、その役目は私に任せてください」

瑞鳳「萩風ちゃん…?」

萩風「私も『極点』に至りし身、彼には充分対抗できます。 それに外道を討ち、闇へと屠るのは『影』である私の役目ですから」

神通「萩風…」

萩風「海風さん、編成は任せます。 ただ彼を討つお膳立てを整える編成にしてください」

海風「…分かりました」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/03(水) 03:05:50.87 ID:KdrwhnuPO<> 神通「萩風、どうしてあんな事を…!」

萩風「別に他意はありません。 私はただ道を外した者を消す『影』、そして対抗可能な『極点』へと至った人間だからです。

それに私は姉さんと違って自分の力を行使する事に躊躇はありません。あの時、スドウ・シュンスケの時だって躊躇いに躊躇って負けかけて… そんな臆病者と私は違う」

神通「誰が、臆病だと…!」

萩風「貴女が、です。 それに私には分かります、彼の気持ちが多少は」

神通「え…?」

萩風「私は流派・東方不敗どころか次元覇王流の道すら歩く事を許されなかった。 体が弱かった、ただそれだけで…!

至れなかった人間の気持ちが、最初から何もかも持ってた貴女に何が分かる!? 日向を生きる人間が、日陰者の心を理解出来ると思わないで!」ダッ

神通「萩風…」

神通(そうだった… あの子は私と違って…)

神通「私は… 私は…!」



萩風「…あれだけ罵倒されてまだ思い悩んでるとは」

朝雲「アンタ、今度女優デビューでもしたら?」

萩風「そんなつもりは一切ありません。私は『日陰者』ですから」

朝雲「立派な演技なのに」

萩風「半分は本心ですよ」

朝雲「え」

萩風「実際、私は姉さんと違い体が弱かった。恐らく私が生み出された際の調整ミス… だからお母様は私に殆ど修業の機会が与えなかったんです。

体が健康になった後でさえ、流派・東方不敗の修業はさせて貰えず鯨流ばかりを学んでいました」

朝雲「そうだったのね… ま、私も似たようなもんだから気持ちは分かるわ。 でもウチは立場真逆だけど」

萩風「そうでもありませんよ。 体の弱い妹は健康な姉を羨ましがるものです。 例え花よ蝶よと育てられていたとしても走り回りたいのに走れ無い者は、傍から見るしか無いんですから」

朝雲「成る程… ちょっと参考になったわ。 後でジュース奢ったげる」

萩風「スムージーが良いです」


イベント選択 直下
1.神通&榛名『心の弱さと本当の強さ』
2.神通&瑞鳳『受け継いだ力の意味』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/03(水) 04:47:56.87 ID:QQttb2gA0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/04(木) 01:51:49.56 ID:jPIlq/jDO<> 瑞鳳「神通ちゃん」

神通「お母様… 聞いていたのですか」

瑞鳳「まぁ、ちょっとね… ごめん、今から時間ある?」

神通「構いませんが…」


《浜辺》


神通「どうしてここに…」

瑞鳳「私から貴女に言わなきゃいけない事があるからね… それにこれは誰にも聞かれたく無い親子の話だもの」

神通「親子の…?」

瑞鳳「…ずっと分からなかった。何故未来の私が神通ちゃんを選んだのか、どうして子供に力を受け継がせたかったのか。

だって私は… 私の代で家を終わらせるつもりだったのに」

神通「家を終わらせる…!?」

瑞鳳「歪だから、だよ。 使命に縛られ延々と武の研鑽を続けてきて、人の身には余る力を手にして…

自分の子供や後の子孫にそんな使命は与えたく無い、だからこそ私の代でこの歪な使命を終わらせるつもりだった」

神通「お母様…」

瑞鳳「だけど未来の私はそうはしなかった… 昏睡病パンデミックで必要性を再認識したのかもしれないけど、その程度で私が揺らぐとは到底思えない」

神通「確かに、そうですが…」

瑞鳳「だからこそ、何で私が貴女に家督を継がせて流派・東方不敗の力を与えたのかずっと疑問に思ってた… ようやく、その答えが出たよ。

多分未来の私はきっと、貴女達に生き抜いて欲しいからだったんだと思う」

神通「生き抜いて欲しい…?」

瑞鳳「多分未来の私は死期を悟ってたんだろうね。 自分は多分そこまで長く生きれない、だからこそ二人で生きていけるようにって力を託した…

本来は神通ちゃんにだけ教えて萩風ちゃんを護って欲しかったんだと思ったけど、萩風ちゃんの熱意に負けて結局は鯨流を学ばせて…  結果的にそのことを言い遺せず死んじゃったけどね」

神通「では、どうして私に流派・東方不敗を…」

瑞鳳「神通ちゃんは自分を律せるからだよ。力の使い方を弁える事が出来る、ただ力を求めるだけじゃなくてちゃんと自分の『正義』が分かってるから。

そして何よりどれだけ心が折れかけても立ち上がれる、そんな人間性だからこそ受け継がせたんだと思う。『不敗』の力を」

神通「だから、私が選ばれた…?」

瑞鳳「萩風ちゃんは体が弱かったから学ばせなかったって聞いたけど… 多分それは思い込みが激しいからだと思う。

力を継ぐってことは本当の意味で陽を浴びる道じゃなくなる。 だから無関係の場所で、家や使命に縛られない自由な陽の当たる場所で生きて欲しかったのに自分は神通ちゃんの『影』だと思い込んで…」

神通「それを伝えれば良かったのでは?」

瑞鳳「言って聞くようなタマじゃないでしょ。 私の遺伝子継いでるならわかるよ、それくらい」

神通「それもそうですが…」

瑞鳳「何より、それを子供だった萩風ちゃんに言っても理解出来なかったんだと思う。 理解出来るようになる年頃にはもう死んでるだろうし」

神通「…でも、遺言くらいは遺して欲しかったです」

瑞鳳「それはごめん… って私が謝ることじゃないや。 だって私は、まだ本当の意味で貴女達の『お母さん』になってないもの。

…流派・東方不敗、3代目継承者・神通。二代目として、貴女に頼みがあります」

神通「…はい」

瑞鳳「イノセ・ジュンヤ、多分私の言葉は彼には通じないでしょう。 でも貴女なら、その真っ直ぐな心で振るう拳であれば心に届かせることはきっと叶う筈。

どうか貴女の力で彼を、彼の心を救って欲しい。 貴女の持つ正義の心で、彼の闇を払い除けて」

神通「その願い、承りました。 3代目としてではなく、一人の『神通』として。 我が心にある貴女から受け継いだ『誇り』と『正義』に誓って、その願いを成しましょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/04(木) 02:18:44.78 ID:sYSYoAn1O<> 瑞鳳「さて、と… 出てきたらどう?」

海風「え、えと…」

神通「海風さん…?」

海風「散歩で通りかかったら、立ち聞きするつもりは無かったのですが…」

瑞鳳「知ってるよ。でも危ないよ、また誰かが襲ってくる可能性もある、し… ッ…!」

神通「殺気…!」

「…」

神通「マントに、仮面…?」

瑞鳳「貴方、何者!」

「久しいな、真紅の戦乙女」

瑞鳳「この気、まさか…!」

榛名「見つけました! ダブルッ!トマホォォクッ、ブゥゥゥゥメランッ!」ブォン

「ふっ…」ヒョイッ

海風「何一般人にトマホーク投げてるんですか!? しかも避けられてる…!?」

神通「あれを見切るとは尋常では…!」

榛名「瑞鳳さん、神通さん! アレを捕まえてください! 少々マスクひっぺがしてやりたいので!」

「相変らず手荒いな、神狼。その様な事をせずとも、逃げはしない」

榛名「だからその名前で呼ぶなと何度も申した筈です、先代メイジン・カワグチ…!」

神通・海風「…は?」

天城「はぁっ、はぁっ… やっと追いつけました… 姉さん、流石に一般人にトマホークは駄目です!」

榛名「彼なら大丈夫です、多分! 病み上がりですけど!」

瑞鳳「いや、それは流石に私も気が引けるんだけど…」

天城「姉さん一回怒りを抑えてください! 話し合いには応じてるんですから!」

榛名「一回首落とさないと気が済まないんですよ!色々と言ってやりたいことはあるんで!」

天城「首落としたら死にますって!?」

瑞鳳「え、えと… お久し振りですね、2代目…?」

セカンド「否。 我が名はマスクド・セカンドG、メイジンに非ず」

瑞鳳・神通・海風「えぇ…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/05(金) 02:29:37.75 ID:hY/O97kTO<> 《ファミレス》


ザワザワ

榛名「…」

セカンド「…」

瑞鳳「…」

海風「この状況、凄く帰りたい…」

神通「どうしてこんな事に…」

天城「落ち着いて話の出来る場所がここしか… 個室だと姉さんがトマホークを振り回すので…」

榛名「色々と、貴方には聞きたい事がありますが… 例えば何故世界大会に出場しているのか、とかその悪趣味な仮面と偽名とか」

セカンド「そのような事、貴様にとって些事であろう」

榛名「ええ。 自分が出場者であるならまだしも生憎と違うので。 聞きたい事は二つ、『カテドラルガンダムの所在』と『ディナイアルのファイターとの関わり』です」

瑞鳳「榛名さん、貴女がどうしてその事を知ろうと? 私達の方が当事者なのに…」

榛名「前科が大量にあるからですよ。 さらにカテドラルに関しては一度ある理由から別のファイターの手に渡って、彼の下に帰った機体ですから」

神通「あの機体が、別のファイターに…?」

榛名「4年前に元ガンプラ塾生を狙った辻バトル、そして敗者のガンプラを奪うパーツハンター事件が起きました。

その被害は一部教員にも及び、教員の一人は機体を自爆させた為に怒りを買って暴行を受けて… 榛名や矢矧さんとも戦い、彼を打ち倒したことで事件に終止符は打たれた筈だったんです」

海風「『だった』、とは?」

榛名「あろうことか先代はそのハンターを拾い、訓練を受けさせ、カテドラルを与えた。全ては矢矧さんへの『当て馬』にする為に…!」

天城「そして無関係な一般ファイターにまで被害が及び、矢矧さんを精神的に追い込んで… だからこそ、姉さんは今回の一件を瑞鳳さんへ悪質な嫌がらせと判断しました」

瑞鳳「その話は、本当ですか?」

神通「だとすれば、悪質すぎる…!」

セカンド「否、今回の件には関与していない」

天城「…嘘では無いようですね」

セカンド「まず質問に答えよう。 カテドラル、いや我が半身『シュヴァルツリッター』は此処にある」スッ

海風「先程の榛名さんのコピーより、凄い出来栄え…」

瑞鳳「確かに、この機体はカテドラルの系譜みたいだけど… 逆に『ディナイアル』に形状が近付いてる」

榛名「では、ディナイアルガンダムを製作したのは貴方ですか?」

セカンド「然り、だが否。依頼を受け機体製作はした、しかし手を加えられたようだ」

神通「依頼を受けて作った機体を渡した、しかし向こう側で改修を加えられて現状の姿になった、と」

セカンド「左様。そして二つ目の問い、イノセ・ジュンヤ等と言う者と関わりは無い」

天城「ではどうして、彼にディナイアルの原型を?」

セカンド「あれは別の者、奴の学校の理事によって依頼されたもの。故にそれ以降の事は関知していない」

榛名「では瑞鳳さんの弟弟子に渡ったのは偶然、ってことになりますね…」

瑞鳳「なんて間が悪い…!」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/07(日) 01:49:27.50 ID:FBhwBFYA0<> セカンド「私は去ろう。既に話す事は無く、この格好では悪目立ちするからな」

海風「…今更それ言います?」

榛名「どうも貴方のセンスは理解し難い…」

セカンド「お前程では無い。ユニコーン、『改RX-0』を未だに造り続けているのだろう。

HGをベースに完全な可変機構と粒子制御能力を組み込むなど、耐久性と整備性が劣悪になるものを…」

榛名「貴方が言ったのでしょう。自らの技術を常に磨け、と。 だからこそ持てる技術を機体に注ぎ込む、それに最適なのが他でも無い『RX-0』だと榛名は見出した。

常に腕を磨き、最良の技術を機体に注ぎ作り上げる… 貴方がカテドラルを作った理由と同じです」

セカンド「フッ… やはりお前、お前達は悉く思い通りにならないな…」

榛名「思い通りになどならない。 榛名は榛名の道を進む、誰にも縛られぬ己が道を信じて」

天城「姉さん…」

セカンド「己が道を極めて見せろ、何物にも染まらぬ『純白の神狼』よ。そして『真紅の戦乙女』… お前と、お前が見出し磨き上げた者達には期待している」

瑞鳳「それは、褒め言葉として受け取っても?」

セカンド「好きにするが良い。 …終ぞ私には『教育者』としての才は無かったからな」

榛名「ええ。反面教師としては最高の鏡ですがね」

瑞鳳(私も基本的に教育者としては微妙だと思うんだけど…)

セカンド「そして戦乙女の教え子達よ。 若き次世代ファイターの道、見物させて貰おう」

海風・神通「は、はい!」



瑞鳳「二人共、つき合わせてごめんね」

榛名「いけ好かなく、ロクでも無い人間だったでしょう」

神通「榛名さんの言う程でも無いような…」

榛名「ええ。彼が『教育者』で無ければ喜んで師事していたでしょうね。 先程も話したパーツハンターの他にも、メイジンの座を競わせ生徒を潰し合わせたり、苛烈な争いを引き起こし…

瑞鳳さんが教育者として『才能を見出す』ことに長けるのであれば、彼は真逆の『才能を潰す』ことに特化してしまった。それが大きな要因です」

海風「そうなる理由があったのでは…?」

榛名「彼自身、人間としては厳格ではあるものの度量を持った人間です。 しかし『ファイター達の指標』としてあるべきメイジンの立場、そして生真面目過ぎる根が災いして悪魔のような存在となった…

そしてメイジンの一件もは病魔に冒され、時間が無かった焦りからの行いでしょう。今はある程度マシになったようですが」

瑞鳳「その影響か、先代メイジンを信奉する輩にとってボロ負け続きの矢矧ちゃんは目の前のタンコブになっちゃってるのが可哀想なのよね…

前に海風ちゃんに話したレナート兄弟もその一部、まぁ舐めてかかった浜風ちゃんにボコられてるけど」

天城「信奉者は居ても理解者は得られなかった、そんな人間と言えるでしょう。 ごく一部、姉さんや矢矧さんはある種の理解者ですが」

榛名「…先代は教育者としては最悪でした。 でも、彼のガンプラへの姿勢には見るべきものがあった… それだけですよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/07(日) 22:51:47.90 ID:FBhwBFYA0<> 《翌日》


阿武隈「スコール、ハティ! リモートドリル・バーストッ!」


阿武隈の駆る『マーナガルム』は両肩部から遠隔操作ユニットの『スコール』『ハティ』射出し、クローで保持して放つ。2つのユニットが遠隔操作で迎撃を掻い潜り、相対する『ジムU』の装甲をドリルが貫いた。

ジムUはユニットを振り払おうとするが遅く、内部に向けビームが放たれ機体が内側から破裂し爆散する。


陽炎「そっち終わった?」

長波「こっちも片付いたぞ」


陽炎と長波の『ヴェズルフェルニ』『ガルム』の前には既に破壊され尽くされた残骸だけが残っており、無傷の2機と合わせてどれ程一方的な戦いであったかを物語っていた。


BATTLE ENDED

ワァァァァァァァッ


阿武隈「二人共、機体は?」

陽炎「特に問題無いと思う。 そこまで激しい動きはしてないから」

長波「調子はバッチリ、ちょっとの手入れで済みそうだ」

阿武隈「一応姉さんに見てもらおうか」


《神通・萩風の部屋》


天津風「『ホワイトクリーン』、やっぱり強いわね…」

海風「どれも無傷で前年度ベスト8を簡単に倒した、しかもNT-Dを発動せずに。 やはり難敵でしょう」

朝雲「正直機体スペックだけ見れば私の『シームルグ』より上だし… マーナガルムに関しちゃ共通弱点全部潰されてるわよ、アレ」

霞「素体装甲パーツの脆さを追加装甲で補う、確かに理に適ってる。それに火力とパワー、加速性と防御力の大幅強化。弱点がほぼ無いわね」

萩風「強いて言うのであれば素体のままある程度露出してる関節部くらい、かしら?」

神通「射撃攻撃はIFにより駄目、格闘を挑もうにもあのパワー相手に挑むのは無謀です。苦戦は免れられません」

愛宕「残りの2機も強敵よ。『スレイプニル』『スヴァジルファリ』と『ガルム』は同型でステルス持ち、『ヴェズルフェルニル』は全力の速度だと目視も難しくなる。

『改RX-0』が朝雲ちゃんの言う通り装甲パーツが脆かったとしても捉えるのが難しい以上、その弱点はほぼ役に立たない」

瑞鳳「三人の能力も折り紙つきだしねぇ… 強化、と言うか対策用の装備はこっちで用意しておくか…

じゃあ改めて、ブリーフィング始めようか。 明日の試合のね」

海風「はい。 では明日の編成についてですが… 今回の試合は先輩を主軸に据え、残り2機は先輩がイノセ・ジュンヤと1対1で戦うために残る2機の始末と言う役割です」

霞「でも先輩は…」

海風「やれますね、先輩」

神通「はい。覚悟は決まりました」

萩風(私の言葉には詰まるだけだったのに… なんか妹として寂しいような…)


部隊編成
・1機目:インフィニットジャスティス・ロンギフローラム(神通):固定
・2機目:直下
・3機目:下2


選択可能ファイター
・海風:ウイングガンダム・アズライト(指揮・近接寄りオールラウンダー)
・霞:ブラストアクロスZZ(砲撃)
・朝雲:RX-0[Sm] シームルグ(機動・射撃)

前回出場したファイターは別機体持ちの朝雲を除き今回欠場となります(次話の為に)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/07(日) 22:56:24.90 ID:WVIRwa6w0<> ウィングガンダム <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/08(月) 00:29:29.22 ID:72n5sn4e0<> 霞 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/08(月) 01:38:41.50 ID:iTV5iTI/0<> 海風「霞、貴女に出て貰います。 長距離砲撃型のZZは有事の際に必要ですから」

霞「分かった。残り一人は?」

海風「海風が出ます。シームルグはジョーカーとして温存、ストライクとハルート、エクシアの戦力は既に示しました。

後は『ウイングガンダム・アズライト』『ブラストアクロスZZ』、この2機の戦力を示しましょう」

天津風「温存しなくて良いの?」

海風「ええ。 それにあの『ディナイアルガンダム』は二代目メイジンらしき人物が製作したものであると昨日明言されました」

朝雲「マジ…?」

海風「製作した当人に話を聞き確認しました。あれは向こうの学長の依頼を受け、彼用に作った機体を勝手に改造したものだそうです」

萩風「ビルダーとしては一番やって欲しく無いことですね… その勝手な改造で機体性能も落ちていると聞きましたが…」

瑞鳳「神通ちゃんと霞ちゃんの機体を勝手に弄くりまわして改造した私が言える立場じゃ無いけど、弟弟子としてどうかと思う」

神通「お母様の場合は性能が向上、と言うかほぼ別物レベルで強化してますが…」

天津風「私だったら殴ってたわ、多分」

海風「しかしそれでも性能は世界級に並び立てる程です。対抗するには『アズライト』『アクロス』『フルブルーム』、バースト能力を使える海風達の方が適性かと」

瑞鳳「そうだね… しかも海風ちゃんと霞ちゃんには『予測』と『ニュータイプ』の能力がある。例え次元覇王流の使い手だとしても、捌き切れるかもしれない」

愛宕「でも『とっておき』よ、3つのシステムは。『アズライト』はまだしも、『フルブルーム』『アクロス』はまだどこにも知られて無いし…」

海風「はい。 霞、『アクロス』は可能な限り使わないで下さい。今回システムを使用して良いのは先輩だけ、と言う事にしましょう」

霞「元々、そのつもりよ。 本当に最悪の場合は使わせて貰うけどね」

海風「それなら構いません。 では先程言った通り、先輩には単機で彼を引き付けて貰い残りの2機は海風と霞が連携して対処します。分断の役目は火力のある霞が…」

神通「いえ、これは私の戦いです。分断の役目、私にやらせてください」

海風「しかし、ロンギフローラムでは…」

神通「大丈夫です。 ロンギフローラムなら」

瑞鳳「私達は流派・東方不敗、そう言う事は容易くできるよ」

海風「分かりました。 では先輩、お願いします」



イベント選択 直下
1.海風&霞『支える者』
2.神通&萩風『真意』
3.瑞鳳『望まぬ再会』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/08(月) 05:53:17.20 ID:G/aHdP9A0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/08(月) 22:52:14.15 ID:iTV5iTI/0<> side-神通&萩風-『真意』


萩風「…お母様がそんな事を言っていたのですね」

神通「はい。ただあくまでも未来、私達を育ててくれたお母様ではなく『現在』のお母様が推測した話ですが」

萩風「それでも『お母様』には変わりありません。 …あまり、知りたくは無い話でしたが」

神通「納得出来ませんか?」

萩風「今聞けば納得出来る話だけど… でもこれまでの私が全否定されている気がして…

最初に言ってくれれば、もっと早く納得出来たかもしれないのに… いつも、言葉が足りないから…」

神通(言って納得するタマでは無いでしょうに)

萩風「…何か今、失礼な事考えてません?」

神通「いえ、別に」

萩風「まぁ良いでしょう。だけど、私の個人的な感情はまだ納得していません」

神通「流派・東方不敗の事ですか…」

萩風「ええ。例え真意が知れたとしても事実は変わらない、理由があったとは言え私に流派を授けなかったことは不変です」

神通「…萩風も、私の出来ない技や技能を手に入れています。そこに何の不満があるのですか」

萩風「不満はありません。 ただどうして鯨流となったのか、私はそこが知りたいだけです」

神通「今となっては知る由は… だけどその力もお母様から受け継いだものには違いありません。それに歴史だけで言えば貴女の鯨流の方が長い筈です」

萩風「確かに長さだけで言えば私の方が遥かに流派の歴史は長いですが… 創始者は鎌倉ですし…」

神通「そんな歴史初めて知ったんですけど」

萩風「仙台の蔵の文献にありました」

神通「あの蔵、本当に何仕舞ってるんでしょう… 歴史が長く、一族としてはそっちを継ぐほうが…」

萩風「でも私は、流派・東方不敗の方が良かった。 家族と、姉と同じ事をしたいと言うのは間違いですか?」

神通「同じ事…?」

萩風「一子相伝と言う訳でも無いのに。私の家族はお母様と姉さんで、二人は同じ武術をやっていて… 私だけ除け者にされているような気がして…

だからこそ同じ武術を習いたいと思った、姉さんと切磋琢磨したいと思ったのに…」

神通「それ、は… なら、EXAMに関する全てを終わらせて…」

萩風「でも今更、ここまで成長して互いの武を継いで… もう手遅れなんです。私が流派・東方不敗を学ぶ事は出来ません。

お母様は流派・東方不敗と同時に鯨流を学んでいた、けれど私は鯨流だけしか修業していない。最早軌道修正は不可能です。基礎がもう固まって直す事は難しいから」

神通「やり直すには基礎を全て捨てる、でもそんな事をすれ再習得は困難になってしまう…」

萩風「だからもう、私はこうして生きるしか無いんです」

神通「萩風…」

萩風「姉さん、昨日の無礼は謝罪させてください。何も知らずに臆病者などと罵って…」

神通「いえ、私も臆病であると自覚していますから…」

萩風「そして私の前で、『流派・東方不敗』として負けないで。私の憧れた、私の手に入れられなかったものが負ける姿は見たくありません」

イベント選択 直下
1.海風&霞『支える者』
2.瑞鳳『望まぬ再会』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/09(火) 04:41:21.34 ID:XYrQ63nA0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/10(水) 02:29:45.43 ID:Ju01e4Z30<> side-海風&霞-『支える者』


霞「良いの、先輩に任せて?」

海風「何がです?」

霞「私達が先輩をフォローしなくて良いか、ってことよ。 朝雲や私も単機で敵のエースとは戦った、でもその時と今は状況が違うじゃない」

海風「そうですね。確かに先輩と対するのは瑞鳳さんの弟弟子であり、使用するガンプラも一線を画した存在です」

霞「なら連携であたったほうが勝率上がるじゃない」

海風「その逆ですよ。 いくら海風達の機体が『特別』で互角に渡り合えるとしても、先輩の邪魔になるだけです」

霞「私達が先輩の邪魔になる?」

海風「例えばですが、先輩が近接戦を挑んでる最中に霞が横から撃ったのが邪魔になってトドメを刺し損ねた、とか。

先輩が押さえてる隙に後ろから海風が切りかかって避けられたら先輩にフレンドリーファイヤならぬフレンドリーソードですよ?」

霞「確かに、それはありえるけど…」

海風「第一武術の極地にいる人間同士の戦いに割って入るなんて『武』を学んで居ない海風達にはほぼ不可能です。所謂ヤム○ャ視点になります」

霞「逆に先輩のピンチを招く、ってこともあるかもしれないものね」

海風「だからこそ、海風達は邪魔をする敵の排除を行い先輩が戦いに集中出来るお膳立てをするんです。

いざとなった場合、それこそ先輩の機体が破壊された時以外の介入はしません。あとは逃げ道封じくらいでしょう」

霞「…それ以外に戦いに介入しない理由、あるんじゃないの?」

海風「何の事ですか?」

霞「とぼけないで。 分かってるのよ、海風のこと。 邪魔になるだけなんて建前で、本音があるんでしょ?」

海風「流石、ニュータイプですね」

霞「違う。私は海風とずっと一緒に戦ってきた、だから分かるのよ。 一番の友達で共犯で、何より私の… 私が選んだ人間だから」

海風「本音を言えば、先程挙げた点など建前でしかありません。 本音で言えば先輩の思うようにさせてあげたい、でしょうか」

霞「思うように、ね…」

海風「海風なりの恩返しですよ。 海風が先輩と出会わなければ海風はどこかで『終わっていた』かもしれない。 今この場に立つ事なんて無かった、霞も先輩の記憶を知る以上その事は知っているでしょう」

霞「今まで、先輩の繰り返しの中で私達は出会うことが無かった。 確かに私達は多分、昏睡病に狙われて死んでたかもしれないけど…」

海風「そして先輩は海風に友や仲間を、海風の居場所をくれた。 ガンダム、そしてガンプラバトルと言う楽しみを教えてくれて…

フレスヴェルグを駆る楽しさ、そして海風に指揮官としての『道』をくれました。その恩に報いたい、それだけなんです」

霞「…え、それだけ?」

海風「はい」

霞「なんかこう、もうちょっと何か無いの…?」

海風「それだけですよ」

霞「えぇ… まぁ私も先輩に、守って貰った恩義は感じてるけども…」

海風「海風、これでも尽くすタイプですから。 理由なんてそれだけでも充分なんです」

霞「…アンタがそう言う人間だってこと、忘れてたわ。 友達ってだけで命かなぐり捨ててまで守ろうとするものね…」

海風「海風は先輩の願いを叶えたい、だから海風の全力を以って先輩の事を支えます」

霞「はぁ… 良いわ、こうなったらとことん付き合ってやるわよ。 私も恩義はあるし、何よりあのいけ好かない奴をぶっ飛ばす所が見たいもの」

海風「では観戦のために、敵分断後3分、この時間で敵2機を仕留めます。 やれますか?」

霞「誰に言ってんの? 私とアンタなら、出来るに決まってるじゃない」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/11(木) 01:37:49.17 ID:M/ixgdCR0<> side-瑞鳳-『望まぬ再会』


《大会会場付近》

瑞鳳「…出てきたら、ジュンヤくん」

ジュンヤ「…何時から気づいてやがった」

瑞鳳「そんなの最初からだよ。気配の淀みがあったからね」

ジュンヤ「チッ… 相変らず人間離れしてやがる」

瑞鳳「元気そうで何より。でもヤンチャが過ぎるかな」

ジュンヤ「説教なんざ聞くつもりは無ぇよ」

瑞鳳「言っても無駄そうだし、別にそのつもりも無いよ。どうして不良共にあの子を、神通ちゃんを襲わせたの」

ジュンヤ「ただの気まぐれだよ… それにアンタが怒るかと思ってな。可愛い可愛い教え子なんだろ?」

瑞鳳「私へのあてつけ、って訳ね。だけど想像以上にあの子は強かった… 手下の不良が秒単位で倒されたから焦って出て来て正体晒したって訳だ」

ジュンヤ「何者だ、あの女。俺の知る限りあんなヤツは弟子に存在して無い。それにあの動きはアンタそっくりだった」

瑞鳳「秘蔵っ子って言えば良いかな。 それに貴方が行方をくらませて以降も弟子は増えてるし、知らない子が居ても普通でしょ」

ジュンヤ「とぼけるな…! あんな動き出来る奴、たった数年程度で出てくる筈がねぇ!」

瑞鳳「だから『秘蔵っ子』なんだよ」

瑞鳳(まあ未来の私の愛娘なんだけど)

ジュンヤ「相変らずの秘密主義かよ…!俺に、次元覇王流の奥義を教えなかったのにあんな女には教えたのか!」

瑞鳳(次元覇王流の『奥義』…? この子、一体何を… まさか…)

瑞鳳「…生憎と簡単に教えられないモノって言うのはこの世には沢山あるんだよ。 だけどあの子はそれを得る為の資格を持ってる。

ただ強いだけなら貴方より強い瑞鶴にだって教えてる。 だけどお父さんや私はそれをしてない、それがどう言う意味か分かるの?」

ジュンヤ「何だよ、その資格ってよ!?」

瑞鳳「それは自分で見つけるもの、他人に言われて簡単に持てるようなものじゃない」

ジュンヤ「ふざけんな! 俺は強くなった、それでも無いって言うのかよ!」

瑞鳳「無い。 他の武術を踏み台にしてる人間が、持てるものじゃない」

ジュンヤ「なっ!?」

瑞鳳「知ってるよ。 ボクシングに合気道、他の武術を学んでバトルに取り入れてることくらい。

でも『それだけ』、学んだだけで昇華して活かしたりせずただ強さの踏み台にしてるだけなのは貴方の動きから伝わってきた」

ジュンヤ「アンタだって同類だろうが! 他の武術を学べるだけ学んでおいて、アンタは…」

瑞鳳「…貴方、私の何を見てたの?」

ジュンヤ「何…?」

瑞鳳「私が、ただ技だけを学んでた? 私は技なんか習って無い、『心』を学んでたんだよ。武術を学ぶ上で大事なのは心構え、技なんか本来は二の次… 

武術って言うのはどれだけ取り繕ったとして本来は殺人技巧でしか無い、それを御するのは人の心だけ。私はその心を学んでた、ありとあらゆる武術の心構えを」

ジュンヤ「綺麗事を…! 強さに限界は無い、そう教えたのはアンタ達だろうが! だから俺は…」

瑞鳳「強さに限界は無い、確かにその通り。 だけど1+1を重ねたところで絶対に無限には到れ無い」

ジュンヤ「なんだと…!」

瑞鳳「それをきっとあの子が、神通ちゃんが証明してくれる。 流派・東方不敗3代目継承者がね」

ジュンヤ「ふざけるな…! 俺があんな女に、負けるなんて有り得るかよ!」

瑞鳳(いや、貴方は絶対に勝てない。 あの子には… あとお父さん、後でとっちめてやる) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/11(木) 02:00:31.12 ID:M/ixgdCR0<> 《翌日》


瑞鳳「3人共、準備は良い?」

海風「海風、大丈夫です」

霞「私も問題なし」

神通「…いけます、お母様」

瑞鳳「よし… 神通ちゃん、任せるよ」

神通「はい…!」

瑞鳳「さぁ行きなさい。そして、本気を見せてくるのよ」

海風・霞・神通「はい!」


霧島「あの三人は…」

川内「お、最強メンバー?」

大淀「機体のデータを収集しないと…」


鬼怒「海風… ファイトだよー!」

江風「鬼怒の従姉妹だからなぁ… 応援しとくよ」

嵐「…」


阿武隈「姉さん、どう見る?」

榛名「本気中の本気編成、恐らく3機で仕留めにかかる気でしょう」

長波「だけどガンプラ学園ですら取り逃がした奴だぞ、アイツ」

陽炎「どう出てくるか、見物ね」


ウィルフリッド「彼女達が出るか…!」

能代「映像は最高画質で録画してるわ。あの三人は、特に要注意だもの」

アドウ「俺と真正面から戦った奴に、俺を翻弄した二人か… 面白ぇ…!」

シア「楽しみね… 海風と霞、あの二人…」


「イノセ、理事長を説き伏せてまで問題児であるお前をチームに引き入れ、最高の機体を用意した。必ず、結果を出せ」

ジュンヤ「分かってるよ… 武道だろうがガンプラバトルだろうが、俺は究極の強さを求めるだけだ…!」


『これより東京代表『フリューゲル・ヴェント』対愛知代表『タイタン』の試合を開始します!』


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Mountain"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


霞「ブラストアクロスZZ、霞!」

神通「神通、インフィニットジャスティス・ロンギフローラム!」

海風「ウイングガンダム・アズライト、海風! チーム・フリューゲル・ヴェント!」

霞「出るわよ!」

神通「行きます!」

海風「出撃します!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/11(木) 02:19:24.58 ID:M/ixgdCR0<> 神通「ステージは… ギアナ高地、私の修業の地…」

海風「先輩… 作戦開始、お願いします」

神通「了解…!」


ジャスティスは背部に装備されているファトゥム-02を切り離し、アローモードへと変形させる。

そして感覚を研ぎ澄ましてフィールド全てを瞬時に知覚し、目標へとビームの矢を放つ。


ジュンヤ「ッ!? チィッ!」


ディナイアルへと放たれたビームの矢が直撃する寸前で横に回避し難を逃れたジュンヤ。だが息を吐く暇すら与えられずビームの矢が彼の駆るディナイアルガンダムへと殺到する。

その一撃一撃が牽制などではなく動きを止めれば確実に射られる、そう考えたジュンヤは真っ向からジャスティスへと機体を加速させた。


僚機A「イノセ、戦術プランは!」

ジュンヤ「無ぇよ、んなもん!」

僚機A「何だと!?」

ジュンヤ「勝手に戦って勝手にやられろ、それだけだ!」

僚機B「そうかい!」


そしてジュンヤの別方向から2機の機体、『ガンダムアブホール』『ガンイージ』の改修機が海風達へと向かう。

だがそれこそ海風、そして神通の狙い。 ファトゥム-01を背部に戻した神通は2本の剣を抜く。


海風「先輩!」

神通「奥義・天剣、絶刀!」


振るわれる神速の刃、その刃の一撃が地を割り粒子で生成された偽りのギアナの地を真っ二つに切り裂いていく。

そして丁度二つに大地が割れ、その光景を見た観客達は唖然となり、霞は放たれるであろう言葉を代弁する。


霞「何やってんの!?」

神通「これが境界線、ここより先に敵を入れないようにしてください」

海風「了解です。 行きましょう」

霞「いやいやいやいや!? フィールド割っちゃってるのに何で冷静なのよ!?」

神通「剣で粒子体を操作しただけです。 やり方次第ではこうも出来るんです」

海風「さっきから朝雲さんも真っ青な狙撃術を披露してるんでもう驚きませんよ。 霞、行きますよ」

霞「ああもう…! 何でこうウチは規格外まみれなのよ! 私もだけど!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/11(木) 02:54:43.41 ID:M/ixgdCR0<> フィールド上にある開けた場所、そこに神通の『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』が降り立つ。

そして真正面に立つのはイノセ・ジュンヤが駆る『ディナイアルガンダム』の機体。2機はにらみ合いとなり、それぞれの構えを取る。


ジュンヤ「テメェ、何者だ」

神通「貴方に言う必要などありません」

ジュンヤ「ムカつく女だ… だが俺に勝てると思うな。俺は無限の強さを手に入れる、お前はその踏み台なんだよ…!」

神通「なら貴方は無限には到れない、私の全力を以ってそれを証明して見せましょう」


2本の太刀『光忠』『貞宗』の刀身、そしてジャスティスの機体が神通と同様の気を帯びる。ディナイアルもまた、全身のクリアパーツが煌き殺気に満ちる。

そして2機が互いに加速し、ぶつかりあった!



その頃海風達はガンイージとアブホールと戦闘を繰り広げている。 アブホールの背後にウイングがバード形態で張り付き、ガンイージとZZは砲戦で互いに撃ち合う。

アブホールはウイングを引き剥がそうとするも離れず、海風は冷静にアブホールを追い詰めていく。


海風(敵軌道予測、これなら…)

僚機A「しつこい… なら!」

海風「このマニューバは…!」


アブホールの動きに海風は見覚えがあった。 それは天津風との練習でよく使われた嫌な手、失速機動の一つ。

水平飛行中に機首をピッチアップさせて減速し敵の背後へと回り込む技。


海風「コブラ…!なら!」

僚機A「もう遅…」


だが海風の対応の方が早かった。回り込まれる直前に機体を変形させ、MS形態へと移行させる海風。

そしてその勢いで背中にある『アズライトウイングブレイド』を1本抜き放ち、そのまま投擲した。


僚機A「なっ!?」


失速機動を行っている最中の軌道に向けて放たれた刃が一直線にアブホールへと向かい、回避しそこねたアブホールへと突き刺さる。

そして串刺しとなったアブホールに向けてもう一本のブレイドを抜き、そのまま切り裂く。


僚機A「なっ!?」

海風「次はクルビットでも練習してきてください」


爆散するアブホール、そしてそれを見たガンイージがどうにかして霞を仕留めようと肉薄を試みる。


僚機B「うぉぉぉぉっ!」

霞「来る…!」


サーベルを抜いたガンイージがZZへと切りかかる。が、霞は直感で感じ取り機体を逸らして避けた。

そして態勢を立て直そうとするガンイージに向けレールガンの銃口を押し当てて…


僚機B「砲撃型がこんなに動け…」

霞「終わりよ。ちっこいの」


引き金を引き、レールガンから放たれた弾丸がガンイージを貫く。 そして地面に倒れ落ちるガンイージ。

そこにZZがレールガンを数発放ち、ガンイージを完全に破壊した。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/12(金) 01:21:37.18 ID:9GJUGkRo0<> ぶつかり合う拳と日本刀の刃、そして生み出される衝撃波が地面を抉る。

ディナイアルが放つ技をジャスティスが剣で受け流す。そして一度神通は機体を下がらせ一旦距離を取った。


ジュンヤ「何だよ… 何で攻めて来ねぇんだ!」

神通「…」


何度も打ち合った神通とジュンヤ、しかし神通は一度も攻めに転じず防御に徹している。

自らのペースを崩さず、かつ一度も『拳』による技を使わない神通に対しジュンヤは苛立つ。


天津風「何やってるのよ、先輩は…!」

朝雲「攻め手が無い訳じゃないのに… しかも何で剣しか使わないの?」

萩風「相手の力を見極めつつ、苛立たせてペースを崩す。 あまり褒められた手ではありませんが有用です」

瑞鳳「違う。神通ちゃんは自分の覚悟を、拳を振るい誰かを傷付ける覚悟をしてるんだと思う」

瑞鳳(見せてみなさい、3代目を名乗る私の娘。 その覚悟、そしてその力を)


ジュンヤ「埒が開かねぇ…! 本気に、させてやるよ!」


ディナイアルの全身のクリアパーツが煌きを放ち粒子が放出される。そして頭部のリアセンサー部からまるで髪の毛のように粒子エフェクトが形成された。

だが神通は全く動じない。そして剣を構え、迎え撃つ態勢を整える。


ジュンヤ「次元覇王流…!」

神通「…!」


加速し距離を詰めるディナイアル、拳を握り締めジャスティスへを肉薄し技を放つ。


ジュンヤ「正拳突きィィィッ!」

神通「ッ…! 流石に、押し負ける…!」


機体の出力差の違い、ジャスティスはギリギリまで踏ん張っていたが弾き飛ばされ断崖へと叩きつけられる。

しかし神通は落ち着いていた。まだ機体に大した損傷は無い、戦える。問題は自分次第だ、と自分に言い聞かせ…


『何をしている!まだ2機残っているんだ、早くトドメを刺せ!』

ジュンヤ「分かってる、よ!」


ジャスティスに向け再び加速し、今度は仕留めようとするジュンヤ。

だがディナイアルが衝撃波によって吹き飛ばされ、地面へと叩き付けられた。


ジュンヤ「何が…!」

神通「勝負は、ここからです…!」


彼が見た先にはジャスティスが立ち上がり、刀を構えた姿があった。恐らく何かしらの技を使い自分を吹き飛ばしたのだろう、そう推測するジュンヤ。

神通の心は澄み渡っていた。そして神通は『本気』に到る。心を研ぎ澄まし、水の一滴を捉え、その名前を叫ぶ。


神通「明鏡、止水! 咲き誇れ!フルブルーム、バーストッ!」


オレンジ色の光を纏うジャスティス、『満開』の名を関するシステムが起動し放出されるエネルギーが派手な土煙を起こす。

そして粒子のエフェクトが小さな花弁の形となり『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』の周囲に舞い吹雪く。


神通「ここからが、私の本気です…! 流派・東方不敗3代目継承者・神通、いざ参る!」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/12(金) 16:07:38.60 ID:NvPzM70VO<> 剣技で追い込み、反撃を封じて拳で倒す <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/13(土) 01:43:58.64 ID:ZX3d52qU0<> 天津風「あれって、花弁…?」

瑞鳳「あれは神通ちゃんの心象風景、って言えば良いのかな」

朝雲「心象風景…?」

瑞鳳「心の中に刻まれた風景だよ。ジャスティスの力、『フルブルームバースト』の使用に必要なのは明鏡止水の心…

機体とファイターがリンクする事で機体を強化するのが私の作ったバースト能力。そして副次的な効果として粒子放出エフェクトはファイターの心を映し出しちゃうの」

萩風「では、あの花吹雪は姉さんの?」

瑞鳳「私が試しに使った時は鳥の羽だったから、多分あの子独自のものだよ」

瑞鳳(満開、その名前の通り咲き誇りなさい。想いのままに、眩いほどに、一瞬に全てを込めて…)


ジュンヤ「そんな見掛け倒しで!俺がヤれるかよぉぉぉっ!」


拳を構え、打ち込もうと距離を詰めるディナイアル。ジャスティスは両腕の太刀で自らを抱きかかえるような構えを取る。

見た目だけなら守りの態勢、だが神通にとっては攻勢へと転じる為の構え。気を剣に集めて技を放つ!


神通「奥義・密天、烈風!」


刃が風を巻き起こし、不可視の風の刃がディナイアルへと襲い掛かり直撃し土煙が起きた。

だが大したダメージではなく多少体勢を崩した程度、出鼻は挫かれたがまだ戦えるとジュンヤは考えていたが…


ジュンヤ「何っ!? アイツ、どこに…」


土煙が晴れると目の前からジャスティスが消えている。残っているのは花弁の残滓だけ。

そしてシステムからの警報が鳴ると同時にディナイアルの背後から斬撃が奔り、衝撃でディナイアルが地面に倒れる。


ジュンヤ「て、テメェ…!」

神通「言った筈です… 私の、本気だと…!」


土煙に紛れて背後に回りこんでいたジャスティス、一撃を加えられ倒れたディナイアルが飛び上がり体勢を整えジャスティスと向き合う。

ジュンヤから溢れ出す殺気すらも今の神通は動じることは無い。さらにジャスティスの腕が輝き、刀身が光を帯びるのを確認した神通は機体を加速させた。


神通「はぁぁぁぁぁぁっ!」

ジュンヤ「そんな攻撃でぇ!」


右腕から振り下ろされる刃を左脚の蹴りで弾こうとするディナイアル、だがそれは彼にとって失策だ。

ジャスティスの腕を通し、高温の熱を帯びていた刀の一閃が奔りディナイアルの左脚が溶断される。


ジュンヤ「ば、馬鹿な!?」

神通「今のこの刀はヒートサーベルと同じ、それを脚で受けられると思うな!」

ジュンヤ「ふざけんじゃ、ねぇぇぇっ!」


拳を胴へと打ち込もうとするジュンヤ、しかし神通はそれを左腕の刀を捨て受け止めた。

片足になった事でバランスが崩れた状態での一撃など神通にとって受け止めることは容易い。そして神通はディナイアルから放出される髪状のものを右腕の刀を捨てて掴む。


ジュンヤ「クソッ!クソッ…!」

神通「これで、決めます!」


空中へとディナイアルを投げ飛ばすジャスティス。そして掌に再び光が宿る。これが神通の必殺、母親から受け継ぎ昇華した己の技。ジャスティスは跳躍し、空中へと放り投げられたディナイアルに向け一直線に加速していく。


神通「私のこの手が真っ赤に燃える! 己を越えろと轟き叫ぶ! アンリミテッド… フィンガァァァァァァァァァッ!」


撃墜判定(20以上で撃墜) 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/13(土) 09:08:44.96 ID:aUtisD1IO<> ふん <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/14(日) 01:29:19.88 ID:zDKMPoam0<> ディナイアルは両腕をクロスさせ防御の構えを取る。しかし神通の放つ一撃が腕ごと胸部を貫く。


ジュンヤ「俺が、俺が負ける…?」

神通「…私の、勝ちです。 散華なさい。フォール、エンド」


そして空中で大爆発が起き、爆炎が晴れるとそこには爆風を受けてなお悠然と咲き誇る『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』の姿だけがあった。


BATTLE ENDED

Winner"Flügel Vento"


『Aブロック2回戦、第一試合。勝者、東京代表・『フリューゲル・ヴェント』!』


海風「先輩、お疲れ… 先輩…?」

神通「あれ…」フラッ

霞「先輩!? しっかりしてください!」

海風「霞、肩を!医務室まで運びます!」

神通「いえ… ちょっとフラついただけで、大丈夫です…」

神通(何この疲労感は… 明鏡止水を、使っただけなのに… まさか、ガンプラと何か…?)



瑞鳳「やっべ…」

萩風「お母様、じっくりお話しましょうか?」スッ

瑞鳳「うん、分かった。だからさり気なく首筋にナイフは怖いからやめて」

朝雲「一体先輩に何があったの?」

天津風「何か疲労困憊気味なんだけど…」

愛宕「…もしかして瑞鳳、アレ伝えてなかった?」

瑞鳳「…てへっ?」

朝雲「やっぱアンタの母親ロクでも無いわ」

萩風「耳が痛いです… 毎度母が申し訳御座いません…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/14(日) 02:16:44.95 ID:zDKMPoam0<> 《会場 廊下》


海風・霞「ガンプラとファイターがリンクした!?」

瑞鳳「プラフスキー粒子って人の意思に呼応する、って言うのは前に話したと思うんだけど…

その特性を活かして『フルブルームバースト』を私は創り上げた。ファイターの意志と機体をリンクさせて性能を爆発的に増幅させる『だけ』の筈だった」

朝雲「だった?」

瑞鳳「私の予想以上にリンク率が高くてさっきの粒子エフェクトに花吹雪、神通ちゃんの心象風景が具現化したようになっちゃって…

それどころかファイターの神経系とガンプラがリンクして大きく消耗したり、他にも色々と出ちゃいました」

天津風「一体何作ったのこの人!?」

萩風「色々、って一体なんです?」

瑞鳳「えっと、具体的に言えば… 痛覚共有とか?」

神通「道理で節々が痛む訳ですか…!」

愛宕「爆風モロ浴びしちゃったものね… 火傷とか大丈夫?」

神通「そこは大丈夫なようですが…」

海風「先輩になんてものを押し付けてるんですか!?」

霞「もしかして『アズライト』と『アクロス』もロクなもんじゃ…」

瑞鳳「充分リミッターは掛けた筈なんだけどなぁ… あ、残り二つには特に何もロクでも無い性質は無いよ」

萩風「リミッター…? 私が弄った時には…」

瑞鳳「機体フレームに粒子量を制限する詰まり、前にフレスヴェルグの性能が落ちたときみたいな詰まりをわざと作った筈なんだけど」

萩風「あ」

瑞鳳「…まさか、やっちゃった? やっちゃってるね」カチャカチャ

天津風「じゃあ原因は瑞鳳さんだけじゃなくて…」

朝雲「萩風も…」

萩風「仕様なら仕様って言ってくださいよ!?」

瑞鳳「だから言うの忘れてたんだって」

愛宕「瑞鳳、もっと謝るべき相手が居るんじゃないかしら?」ゴゴゴ

瑞鳳「ホント、ゴメンナサイ… 弟弟子の不始末やら何だかんだ押し付けまくってすみませんでした!」土下座

霞「先輩、今のお気持ちは?」

神通「母親じゃなければ殴ってたかもしれません」

海風「ですよねー」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/14(日) 03:16:54.54 ID:zDKMPoam0<> 瑞鶴「…何やってんの?」

愛宕「瑞鶴?」

瑞鶴「まぁ、大体何しでかしたかは察しがつくけどね。体の調子は?」

神通「気だるさを除けば、なんとか」

瑞鶴「その程度なら良かった。体は資本だしね」

海風「どうかなさったんですか?」

瑞鶴「ああ、話がしたいってバカ居るから連れて来たのよ」バシッ

ジュンヤ「痛っ…!? バカって言うなよ…!」

霞「アンタ… イノセ・ジュンヤ…!」

萩風「今更、何用ですか。 危害を加える気であれば…」

神通「萩風、止しなさい」

萩風「…分かりましたよ」

神通「イノセ・ジュンヤ、貴方の気持ちは打ち合った時に刀を、拳を通して伝わりました。

私の拳、そして刀からは何か伝わる事はありましたか?」

ジュンヤ「…いや。だが、拳は効いた…」

神通「それであれば、まだ良い方です。本物の外道にまで墜ちれば拳などただの凶器ですから」

ジュンヤ「俺はあらゆる武術を吸収し、強くなった筈だった… なのに、俺は負けた」

瑞鳳「他の武術を吸収したとしてもいずれ限界は来る。 例えば貴方が他の世界中の武術をマスターしたとしましょう。

でも学ぶ武術が無くなればそこで終わり。 1+1を繰り返して重ねてもいずれ限界は訪れる」

ジュンヤ「じゃあアンタは、アンタ達はどうなんだよ…!」

神通「私は… 確かに継承と言う形で技を受け継いでいます。しかしそこから、学んだ技を昇華し自分だけの力を築いていく…

積み重ねられた過去を越え、己の限界を越え、道を拓いていくのが私の『武』の在り方です」

瑞鳳「私も、そうやって育てられてきたからね。 お父さんのクーロンフィンガーが私のゴッドフィンガーとなり、ゴッドフィンガーがアンリミテッドフィンガーになるように、世代を超えて進化を続けるのよ。

どこまでも強くなりたいなら、自分自身の道を描き、果てない道を走り続けるしかないの。例え苦しくても辛くても歩みを止めるなんて出来ない、本当に果てのない道だよ」

ジュンヤ「果てない道、か… 師匠が俺に、次元覇王流の奥義を授けなかった理由が良く分かったよ…」

瑞鳳「あ、それに関して弁解が一つ」

ジュンヤ「は?」

大鯨「お待たせ〜。お久し振り〜」

東方不敗「…」ズルズル

朝雲「大鯨さんと… 瑞鳳さんのお父さん…? 何で引き摺られてるの」

瑞鳳「仙台から引き摺って連れて来てもらったの。 多分、この事態の元凶だから」

ジュンヤ「し、師匠!?」

霞「げ、元凶…?」

瑞鳳「私の推理なんだけどね… こんな感じかな」


・ジュンヤ、次元覇王流の奥義伝授を請う
・師匠、断る(実は次元覇王流に奥義など無い)
・ジュンヤ、怒りで出奔
・師匠、言い出すタイミングを見つけられるず機会を失い今に到る←今ここ


学生一同「…は?」

愛宕「おじ様…?」

瑞鶴「瑞鳳に聞いた時正直無いわ、って思ったものこれ。でもこの親子特有のうっかり伝え忘れるが発動した結果こんな事態になったのよ」

ジュンヤ「嘘だろ…」

瑞鳳「全部事実です。ウチのバカ父親が大変申し訳無いことをしました」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/15(月) 01:39:40.96 ID:7iJK9GhF0<> 瑞鳳「で、弁解は?」

東方不敗「むぅ… うっかり、では無いのだが…」

神通「それ、もっと悪質です」

瑞鳳「理由が無いならね」

東方不敗「あの時の未熟な精神状態では強さを求める者にそれを伝えるのは酷と言うものよ。それに言っても納得はせんかったかもしれん」

萩風「完全にどこかの誰かと同じパターンを辿ってますね」

瑞鳳「うっ…!」

神通「拳で語る前にやはり言葉で話すべきでしょう…」

瑞鳳「肝に銘じます…」

東方不敗「ジュンヤよ。この通り、言葉足らずですまなかった… 次元覇王流に奥義等無い、あるのは極意だけだ」

瑞鳳「本当に先代が申し訳ありませんでした」

神通「3代目として、申し訳ありません」

海風「…これ、先輩完全な尻拭いですよね」

霞「ちょっとこれは酷いかも…」

天津風「先輩は泣いて良いと思うわ」

朝雲「瑞鳳さんも割と被害被ってるんだろうけど…」

萩風「今回ばかりは同情します…」

大鯨「代わりと言ってはなんだけど… はいこれ」

ジュンヤ「…パスポート? それに旅券…?」

瑞鳳「あっ…」

ジュンヤ「ニューヨーク…? それと、ニューヨーク発ベネズエラ行き…!?」

東方不敗「この後すぐの便で発つぞ」ガシッ

ジュンヤ「ちょ、待っ…」

東方不敗「先程の戦い、腕が鈍っておったからの。ワシが直々に鍛えなおしてやるわ!」

大鯨「親御さんの承諾はいただいてきたからね。存分に堪能してきて」

ジュンヤ「う、うわぁぁぁぁぁぁ…」ズルズル

瑞鶴「これは酷い」

愛宕「御愁傷様ね」

瑞鳳「我が家と関わったのが運の尽きだね、ホント」

神通「…さっきの過労とストレスで本当に胃に穴が開きそう…」

海風「気をもって下さい…!」

霞「萩風、材料費出すからアンタ後で胃に優しいもん作ったげて…」

萩風「はい… これはちょっと、私が継がなくて良かったなぁって思ったし…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/15(月) 03:40:01.13 ID:7iJK9GhF0<> 《その後 海風・霞の部屋》


海風「今後の事ですが… どうしましょうか?」

霞「どうするって、アンタの方針通り戦うだけじゃない」

海風「それはそうなのですが… 今回の場合は先輩が少々『やり過ぎた』んです」

神通「ですよね…」

海風「弓術による狙撃、そしてフィールドを切り裂く剣術、『フルブルームバースト』の全力行使…

今回だけで先輩の持てる手の内を晒してしまいました。恐らく今後は対策を練られていると考えてください」

霞「対策、って何かできるものあるの?」

海風「ええ。例えばですけど… フルブルームを発動しない内に包囲されてトリモチで関節封じられたりするかもしれませんし」

神通「ダブルオーで人革連のやった包囲からの封じ攻撃のようなことをされれば… 確かに厄介ですね」

海風「3機と言う制限がある以上普通ならやりませんが… もし、例えば瑞鳳さんに聞いたように戦艦の中に複数のMSを内蔵して艦載機扱いにした戦術を取ってくれば、確実にやられます」

霞「それは厄介ね… 可能性としては捨てきれ無いのがどうにも…」

神通「ですが… 私はもう、立ち止まらないと決めました。 海風さん、私に命じてください。『本気を出せ』と。

ロンギフローラムのリミッターは全解除して貰いました。これなら、どのような敵にも負けません」

海風「しかしそれでは先輩の体が…!」

神通「大丈夫です。 例えこの身が果てようと、私は立ち止まりませんから」

霞「先輩…」

海風「…分かりました。 ですが本気の使用は海風が指示した時のみに限定してください。

EXAMに関する全てを終わらせ未来を変えるまで貴女は倒れてはいけない。『契約』もありますから」

神通「『契約』… そうでしたね…」

霞(契約…?)

海風「幸い海風達の機体にも瑞鳳さんから強化装備、『ソレスタルスフィア』と『ホワイトクリーン』用に各機に追加装備が頂けることになりました。

先輩の負担にならないように努力はします。 貴女は止まってはいけない、止まるとしてもここではありません。くれぐれも、気を付けてください」


神通(そう、私は進み続けなければならない… EXAMを消し、未来を変えてお母様を救う為に。 無限にある可能性の未来、その先へと…

それが私の、母から不敗の名を受け継いだ私の使命なのだから…)


第14話『無限の先に』終
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/15(月) 03:51:19.36 ID:7iJK9GhF0<> 次話選択 下5まで

1.霞編『ニュータイプ』…霞VSニムバス。 『何者』かと感応する霞、その相手が誰かも分からないまま三回戦へと駒を進めるが、世界大会会場がニムバス一味の襲撃を受けた。事態収拾の為に霞達は瑞鳳や世界大会関係者と共に戦いへと身を投じる…

2.萩風・朝雲編『言葉よりも記憶よりも』…萩風・朝雲VS嵐。 三回戦に鬼怒たちと激突する事になった一行、そして嵐は『かつての萩風』と友人だったと言う事実が明かされる。『自分の知らない自分』に苦悩する萩風と、それを支えようとする朝雲は…

3.天津風編『復讐の意味』…天津風VS霧島。 ガンプラ学園への復讐を思う天津風、しかし対・ガンプラ学園対策会議でメンバーから外されてしまう。納得が出来ないまま2回戦を迎えるが相対したのは天津風同様『復讐』の感情をガンプラ学園へと向ける霧島だった <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/15(月) 04:57:12.25 ID:P/LGecRb0<> 3で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/15(月) 05:14:14.48 ID:B51XQoE3O<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/15(月) 05:58:06.31 ID:qcfbBQnW0<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/15(月) 08:05:42.37 ID:F1ZCW80qO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/15(月) 08:08:26.85 ID:OjcyfBms0<> これ三択で下5より先取三票の方がよくない?

安価下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/15(月) 09:34:03.74 ID:JQsFA1GwO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/16(火) 01:50:31.32 ID:xqk2mux80<> 結果
・霞編…0
・朝雲・萩風編…3☆
・天津風編…2

なので朝雲・萩風編やります

>>346
次回試しにやってみます…


ところでアズール編完結後、新章に移行予定なのですが…
現在主人公として考えているのは

・親潮『ルート・クルセイド』
・由良『ルート・ソレイユ』
・鈴谷『ルート・テンペスト』

を予定しております。

共通設定は
・アズール編から2〜3年経過
・トライ準拠
・アズール編のキャラはチョイ役として続投(大筋には関わらない)
・チームは『フリューゲル・ヴェント』ではなくなる予定

のような感じでやっていこうかと…
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/16(火) 03:54:52.78 ID:xqk2mux80<> 第15話『言葉よりも記憶よりも』


《大会会場内 カフェ》


萩風「妹さん、どうですか?」

朝雲「体調も安定してるし、準決勝からは来れそうだって。私達が勝ち続けてればだけど」

萩風「問題はそこ、ですよね。次の相手は…」

朝雲「知ってる。海風の従姉妹なんでしょ?」

萩風「あの三人、腕は確かです。それに最大戦力である姉さんの機体はリミッターの解除調整中、明後日の戦いには間に合いません。

さらにお母様も今世界大会と掛け持ちでこちら用の武装も新規製造している為助力は期待できませんし…」

朝雲「成る程ね… じゃあ次点じゃ海風が最大戦力か」

萩風「しかし親戚相手に本気を出せるでしょうか?」

朝雲「大丈夫よ。アイツ戦いは基本誰にでも容赦無いから」

萩風「…海風さん、意外と信頼が厚いのですね」

朝雲「そりゃそうよ。 私、私達は海風の直向な努力を間近で見てきたもの。 じゃなきゃ信じないし、従うつもりも無いわよ。

それに海風だけじゃなく、霞や先輩だって色々抱えながら頑張ってきた。天津風は… まぁ、頑張ってるんじゃないの? だからこそ私はチームを信じてる」

萩風「信じてる、ですか…」

朝雲「それは萩風もよ。結果的に私は萩風に助けられたし、萩風が導いてくれたお陰で先輩達の援護にだって入れた。

他の誰が疑おうと、私は萩風を信じる。一緒に戦う仲間として、友達としてね」

萩風「朝雲さん…」

朝雲「…い、今のは忘れて。ちょっと恥ずかしいから…」

萩風「あ、あはは… そろそろ戻りましょうか。海風さん達は先に戻ってますし」

朝雲「えぇ〜!私ちょっとこのハロールケーキって食べたかったのに…」

萩風「駄目です。ただでさえ甘い物食べ過ぎてるのに、もう夕飯も近いんですよ」

朝雲「海風のは黙認してるのに…」

萩風「彼女の能力は膨大なカロリーを消費します。 仕方の無い処置です」

朝雲「ちぇっ… ま、良いわ。今日は我慢する」

「お、居た居た。おーい」

朝雲「あれって… 私達に?」

萩風「みたい、ですけど… 彼女、確か海風さんの従姉妹さんと同じチームの…」

嵐「何だよ、鳩が豆鉄砲食らったような顔してよ」

朝雲「確か嵐、って言ったわよね? 何か用? 海風なら…」

嵐「アイツは勘弁してくれ… 知らずに地雷踏んづけて、顔合わせるのが気まずいんだよ…」

朝雲「ガトリング罵倒の被害受けたのね… スドウの一件も地雷踏まれた反撃の罵倒が遠因になってたのに…」

嵐「スドウ?」

朝雲「…私達が遭遇した昏睡事件の犯人よ」

嵐「ああ、スドウ・シュンスケだったっけか… 実名公表されてなくても、大会記録には残ってるから名前は知ってるけど…」

朝雲「誰にも話さないでよ。一応私には事件に関わった守秘義務ってのがあるもの」

嵐「あ、ああ… ってそうじゃない。東京に引っ越したのは知ってたけど、まさかお前が『フリューゲル・ヴェント』に参加してるとはなぁ…」

萩風「…一体、誰の話を?」

嵐「は? お前に決まってんだろ、萩」

朝雲「萩…? 萩風…?」

萩風「私…?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/16(火) 23:55:59.98 ID:xqk2mux80<> 萩風「…」

朝雲「…」

朝雲(そう言えば前に、『未来の萩風』が『この時代の萩風』に成り代わったって聞いた… まさか、この人『この時代の萩風』を知ってる!?)

嵐「お、おい… 忘れたのかよ!? 前に近所で一緒に遊んでた嵐だぞ!?」

萩風「え、えっと… 私は…」

朝雲「…ごめん、ちょっと良いかしら?」

嵐「何だよ!」

朝雲「この子、ちょっと記憶障害なの」

萩風「朝雲さん…?」

嵐「記憶、障害…?」

朝雲「ちょっと前に事故にこの子も巻き込まれて、昔の事を思い出せないの。

幸い脳に障害は無いから心因性のものの可能性が高いけど、逆に思い出させるようなことはしちゃ駄目」

嵐「何でだよ…!昔の事を思い出せ無いなんて、萩が可哀想だろ!」

朝雲「違うわよ。確かに可哀想、だけど思い出す方がもっと可哀想になる。 ちょっとこっち来なさい」



嵐「…なんだよ。萩風に聞かれちゃマズイのか?」

朝雲「良く聞きなさい。 記憶を無理に思い起こそうとするって言うのはね、辛い記憶も引き出しちゃうことなの。

あの子の両親は事故で亡くなった。そのショッキングな光景が原因で記憶を封じていたとしたら?」

嵐「どうなるんだ…」

朝雲「間違いなく精神の均衡が崩れる。 貴女の望む良い結果にはならない」

嵐「ッ…!?」

朝雲「今は時間をかけてあの子の精神を安定させる事の方が大事なの。記憶も無いし親御さんも居ない、そんな状態で今あの子は生きてる。

もし貴方があの子の友達だって言うなら、もう少しあの子の事を考えてあげて」

朝雲(咄嗟の嘘、成功… でもちょっとマズイわね。先輩や瑞鳳さんにも後でちょっと相談しとくか… でも最大の問題は…)


萩風「私は、一体…」

萩風(今更だけど… 私は『過去の私』を踏み台して…)

萩風「違う…!私は…!」

萩風(そんな感傷は今は必要ない…!)


朝雲(あっちの方が問題ね) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/17(水) 04:48:12.80 ID:9V+zkIQT0<> 《その夜 朝雲・天津風の部屋》


神通「…成る程、過去の自分の知り合いですか」

瑞鳳「厄介っちゃ厄介でもあるね。魂は同じでも心は別人、全くの他人だもの」

朝雲「先輩はそんな人は現れましたか?」

神通「いえ。同じ学校の出身は居ますが、特に友人関係でも無かった様なので」

朝雲「流石に前例は無いかぁ…」

瑞鳳「問題は萩風ちゃんだよねぇ… 朝雲ちゃんがフォローしたけど、下手すりゃ消しにかかるかもしれないし」

天津風「…いくら萩風でも、します?」

神通「やりかねません」

朝雲「信頼低っ!?」

瑞鳳「逆の意味でやる、って分かってるからの信頼?かもしれないけど。割と思い込みと突っ走りっぷりが激しいからねぇ… 誰に似たんだか」

神通「お母様の影響を受けた人間の遺伝子を受け継ぎ、お母様に育てられた子供ですよ? それ以外誰に似てるとでも」

瑞鳳「あはははは… 大変すみませんでした」

天津風「子供が出来たら育て方は考えざるを得ないわね…」

神通「ですが、私の家族であり尊敬する師であり… 大事な人ですよ」

瑞鳳「まぁねぇ… でもちょっと愛が重いというか…」

朝雲「助ける為に過去まで跳んで来るのはちょっと…」

天津風「そう言う無謀すらやらかすのも瑞鳳さんそっくりと言うか…」

瑞鳳「…おかしい。未来の話なのに、今の私まで被害を被ってる」

神通「延長線上の同一人物ですから」

瑞鳳「そりゃそうだけどさ。 まぁ、その話はそこら辺に投げておいて。 ただ由々しき問題ではあるね。

自分の知らない自分を語られるって結構ショッキングだからさ」

天津風「経験が?」

瑞鳳「3日くらい記憶喪失った時があったのよ。その時なんだけど… 自分がどれだけイカれてるか飛龍さん達に教えられて、認めたく無いって思ったもの。

記憶戻っちゃったから特に今は問題無いけど、知らない自分が存在するのは怖いんだよ」

朝雲「サラッと凄いこと言ってますが… 一体どうやって治したんです?」

瑞鳳「荒療治も荒療治… 語りたく無いくらいには…」

神通(確か業を煮やした飛龍さん達4人に丸一日お尻でヤられて気絶させられた次の日には治ったと聞きましたが…)

瑞鳳「例えば朝雲ちゃんの今の人格を表、もう一人別個に裏が存在したとする。 他人から自覚の無い、裏の人格の話をされたらどう思う?」

朝雲「誰?とは思いますけど…」

瑞鳳「それだけなら良いよ。 でももし人を殺していたりしたら? もし悪行を行っていたとしたら? それを聞かされてどう思う?」

朝雲「確かに、それは怖いわ… じゃあ萩風は、今そう言う気分なのね…」

瑞鳳「そう言う気分なんだよ、今のあの子は。知らない自分が居て、他人に語られるってそう言うことなの」

神通「怖いだろうし、あまり愉快な話でもありません。 それに下手を打てば、成り代わった筈の元の『この時代の萩風』になって今の自我が消える可能性も…」

瑞鳳「そこまで行くと飛躍のし過ぎ、とは思うけど無いとは言い切れないからね… 早急に対策して、安心させないと」

天津風「でもどうやって?」

瑞鳳「これ貸したげる」

朝雲「世界選手権、大会関係者フリーパス!?」

瑞鳳「気晴らしにでもなるだろうし、二人っきりで見て来なさいな。私達二人を除くと、一番あの子を理解しているのは朝雲ちゃんだからね。

私の可愛い娘、貴女に任せるから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/20(土) 06:46:13.85 ID:PRqd4idx0<> 《翌日 世界大会会場》


ガヤガヤ

朝雲「凄い人ねぇ… アナハイムの一件があったって言うのに、流石ガンプラってところかしら?」

萩風「これでも去年より人が減ってるらしいですよ。大会参加者の辞退も相次いでましたし」

朝雲「瑞鳳さんがそんな事言ってたっけ。実際どれくらいなの?」

萩風「昨年は全68カ国93人、今年は56カ国80人になったとか」

夕雲「あら、確かお二人は… 朝雲さんと萩風さん、でしたか?」

浜風「先日ぶりです。 そして妹がお世話になってます」

朝雲「あ、どうも。海風にはこちらも色々と助けられてますから」

萩風「バビロニアの一件以来ですね」

夕雲「瑞鳳さんは…」

朝雲「今日は諸用があるそうで」

萩風「お母様にフリーパスを借りられたので私達が」

浜風「そう言う事でしたか。 バトルの無い日にまで研究とは良いことです」

朝雲「まぁ、世界のレベルがどんなものか見てみたくて… 機体の性能もファイターも、中高生の部とはレベルが違うとか聞いたんで」

夕雲「実際、桁違いの選手ばかりですよ。 一癖も二癖もある選手がはびこってますから」

萩風「お二人がそう言うのであれば、相当でしょうね…」

浜風「特に今年は、大波乱の予感がします。 今年は参加者が減ったとは言え、質はあがっていますから」

「あら、貴女達は…」

浜風「どっちで呼びます? メイジンか、矢矧さんか」

メイジン「今は職務中だからメイジンでお願い。 そこの二人は、『フリューゲル・ヴェント』のストライクとエクシア使いね」

朝雲「は、はい! 朝雲と言います!」

萩風「萩風です」

メイジン「私の自己紹介は不要ね。開会式にも出てたから。二人共、一回戦の試合は面白い戦い方だったわ。

長距離狙撃とステルスを用いた奇襲、それにダインスレイヴを銃で弾く芸当… ガン=カタまで瑞鳳さんは教えられるのね」

朝雲「えっと、ガン=カタは… 瑞鳳さんではなく榛名さんに教えて貰って…」

メイジン「…え? 何であの人!?」

浜風「まぁ、色々あって現在協力関係なもので…」

メイジン「そう言うことね… でもあの人が率先して教えるのは珍しいわね…」

萩風「そうなんですか?」

メイジン「しかも貴女達はいずれあの人の妹達と戦うかもしれない。その相手にわざわざ…?」

夕雲「それだけでは飽き足らず、この子は『改RX-0』までちゃっかり頂いてますからね」

メイジン「はぁ!?」

浜風「素が出てますよ」

メイジン「し、失礼… 『改RX-0』の話、本当?」

朝雲「はい。 榛名さん達の使う北欧系統の名前じゃないけど、きちんとした『改RX-0』です」

メイジン「本当に何考えてるのかしら…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/22(月) 15:28:16.88 ID:uq0k/yI/O<> 世界大会出場ファイターとの交流 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/23(火) 03:36:25.01 ID:TG6cUZAE0<> 浜風「お二人はどうします? 私達は午後の試合まで時間があるので観戦してますが」

朝雲「私達は… どうする?」

萩風「このまま見学していきましょう。今日一日、やる事はありませんから」

萩風(それに私の遺伝子ベースとなった二人… 一応私にとっては母にあたる人、でも私には殆どお母様は話してくれなかった… どんな人だったのか、って興味もあるし…)

夕雲「ではご一緒しましょうか。 瑞鳳さん達も居ませんし、飛龍さん達は今年はこちらに来ない予定ですから」

朝雲「あれ、そうなんですか?」

浜風「ええ。 大会中の方がガンプラの売れ行きが良いので」

萩風「ああ、そっちの方で…」

「おい、浜風に夕雲。何やってんだ?」

夕雲「あら、フェリーニさん?」

フェリーニ「今日も瑞鳳は居ないのか。 そっちの二人は?」

浜風「妹のチームメイトです」

フェリーニ「妹… ああ! 近くでやってる日本の学生大会に出てるって言ってたな! あの瑞鳳の教え子なんだろ?」

朝雲(えっと… 誰?)

萩風(リカルド・フェリーニ、イタリア代表です)

朝雲(ああ、毎年ロワイヤルで追い回されてる…)

浜風「二人は朝雲さんと萩風さん、妹と同じ『フリューゲル・ヴェント』のファイターです」

朝雲「朝雲です。よろしくお願いします」

萩風「萩風と言います。どうぞお見知りおきを」

フェリーニ「俺はリカルド・フェリーニ、まぁお前達の先生とは腐れ縁でな。 確か二人共、一回戦に出てたろ」

夕雲「中継、ご覧になっていたのですか?」

フェリーニ「ああ。本場・日本の学生ファイターの実力を観てみたかったんだよ」

浜風「私達でも、見てて参考になる時もありますからね」

フェリーニ「確かステルスを使うエクシアと狙撃型のストライクだったか… 中々良い戦いっぷりだったぜ」

朝雲「ありがとうございます」

フェリーニ「やっぱりアイツ、見る目は一流だな。飛龍達と言い、浜風達と言い、春雨と三日月と言い…」

萩風「時雨さんは?」

フェリーニ「時雨? アイツの基礎を作ったのは俺だぞ」

朝雲「そうなんですか?」

フェリーニ「ああ。知り合いから頼まれて、付き合ってやったんだよ」

時雨「そうさ。 僕はフェリーニと練習し続けて腕を磨いたんだ」

フェリーニ「うおっ!?」

浜風「時雨!?」

時雨「瑞鳳に呼ばれてね。 見回り役だよ」

フェリーニ「何だよ、見回りって」

時雨「『昏睡事件』さ。 瑞鳳だって体は一つなんだ、同時に事件が起きたら片方しか対処出来ないだろ」

萩風「し、時雨さん…!? 一般人の前で何を…!」

フェリーニ「いや、事件についての詳細はある程度瑞鳳から聞いて知ってるぜ。俺以外にもグラハムってヤツとロシアのが知ってる筈だが、一体どこ行ったんだアイツ…」

萩風(グラハム・エーカー、確か米軍関係者でしたか… ロシアのは多分スミルノフの…)


現れた人 直下
1.グラハム・エーカー
2.ビス子
3.その他(人物も)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/23(火) 05:26:48.46 ID:57ptVzHh0<> ルワン・ダラーラ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/25(木) 02:39:35.27 ID:1MNs6t5e0<> 「リカルド、またナンパか?」

フェリーニ「おいおい、まだコイツ等学生だぞ。ナンパなんてしてねぇ」

浜風「流石に妹の友人を毒牙にかけさせはしませんよ」

朝雲「あの人は?」

時雨「ルワン・ダラーラ。タイ代表の選手、僕も一度戦ったよ。野球でね…」

萩風「や、野球…?」

ルワン「その節以来だな、ミス時雨。 ミス春雨は?」

時雨「もう少し後になったら来るよ。 本当なら選手としてここには来たかったけどね… 再戦も出来てないから」

ルワン「それを聞けて安心した。二度と合見える事は無いかと思ったからな」

時雨「ただ野球は勘弁して欲しいね。 本式のバトルの方が楽しめそうだし」

ルワン「野球も良いと思うんだが…」

夕雲「二人共、この方は何しろ生涯打率.899と言う記録保持者でして… メジャーリーグからも招致された事もある方なんです」

萩風「…えっと、生涯打率ってどんなに多くても3割程度ですよね?」

朝雲「ぶ、ぶっちぎってる…」

時雨「野球で勝ったのだってRGを発動して機体出力底上げした結果、この人のアビゴルが球に耐え切られなくて吹っ飛んだからなんだよ…

あれ、パワー無ければ平気でホームラン打たれてたから正直機体性能で勝ったとしか言い様がね…」

浜風「その前にロワイヤルで遭遇戦になった時、私達と4機がかりでようやく撃退出来た有様ですから」

ルワン「あの時は連戦だっただろう。あの変態と」

朝雲「変態…?」

萩風「ああ、例の…」

フェリ−ニ「そう言えばアイツ今年は見てねぇな…」

浜風「えっと… 大会前にあるファイターにブチのめされたので武者修行をしてくると瑞鳳さんに手紙が…」

フェリーニ「アイツって結構な実力あったよな、あれでも…」

ルワン「お陰で、ライナー・チョマーが再び出てきてくれたがな」

フェリーニ「アイツはアイツで厄介なんだよなぁ… 去年みたいに大人しく全日本選手権の実況やってろよ」

夕雲「ガールフレンドを横取りしている罰ですよ。その内『本命』さんに愛想尽かされても知りませんから」

フェリーニ「お、おう… 確かにソイツは怖いな…」

ルワン「ところでそこの二人もファイターと見たが」

朝雲「全日本選手権・東京代表の一人、朝雲と言います」

萩風「同じく、全日本選手権に出場する萩風です」

ルワン「タイ代表のルワン・ダラーラだ。よろしく頼む、若きファイター達」

浜風「あとウチの海風もどうぞよろしく…」

時雨「…キミはとことんシスコンを拗らせてるね」

夕雲「ここに居ない人の紹介してどうするんですか、全く…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/26(金) 03:33:43.98 ID:d21iBWH10<> 《カフェテリア》


時雨「午前中のチーム戦、まずまずだったね」

夕雲「一番盛り上がりが大きいのは午後の試合に持っていくつもりでしょうね」

フェリーニ「チーム戦に関しちゃお前達の方がプロだろ? 感想とかあるか?」

萩風「初見、事前練習無しでチームを組んでいるので仕方ありませんが… どうしても連携が上手くいってない様子でした」

朝雲「動きもバラバラ、役割もゴチャゴチャ。もう少し他人に合わせるようにすれば良いのに…」

浜風「普通、初見の相手と組んでそれは難しいですよ。世界選手権は個人参加の大会、『自分が一番』だと自負している人が多いもので」

フェリーニ「それぞれ国の名前を背負ってるからな。Gガンダムみたいなもんだ」

ルワン「しかも機体も『一人で戦う』ことを前提として作られてる。合わせ難いのも当然だろう」

夕雲「世界大会においては朝雲さんのストライクのような機体の方が異端扱いされ易いんです。チーム戦の全日本では逆に重宝されますが」

朝雲「海風のアズライトとか先輩のロンギフローラムの方が正統、ってことね…」

浜風「その点においては私達も充分異端です。私のニクスと夕雲のミラージュは2機での連携が前提の機体ですから」

萩風「確かに、射撃・通信能力特化と近接・ステルス特化の機体では真逆の特性ですね」

フェリーニ「しかもどっちも世界大会で5本の指に入る性能ときてる… 厄介にも程があるってんだ」

時雨「僕も、キミ達と同時に戦うのは可能な限り避けたいね。次は春雨と一緒でも勝てるかどうか分からない」

ルワン「あれ以降、機体は弄ったか?」

時雨「定期的にアップデートしてるよ。浜風の妹に渡したフレスヴェルグのデータも瑞鳳経由で貰ってるし、その技術を活かしてね」

フェリーニ「フレスヴェルグ? 『アズライト』じゃないのか」

時雨「元々の機体名は『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』さ。春雨と浜風が作った機体を、瑞鳳が改修したんだ。機体名はファイターの趣味だと」

萩風「宝石、花、英語の名詞、天体、神話… ウチは統一性皆無ですから」

朝雲「そのせいでチーム名で揉めたのよね…」

時雨「因みに言うと若干だけどフェニーチェの技術入ってるよ」

フェリーニ「マジかよ!?」

浜風「ベース機をウイングゼロに決めた時に、少しだけ参考にして汎用性を高めようとしたんです。武器は翼に接続軸を付けたから交換して使えるようにしておいたけど…

初期装備にしてたバスターソードを気に入っちゃったみたいで、それがメイン武装になったと…」

朝雲「あれ、そう言う経緯だったのね」

ルワン「しかし姉妹揃ってファイター、しかも戦術のセンス持ちとは… 中々面白いな」

浜風「それだけではありません。あの子の運もありますよ。 チームメイトや講師に恵まれ、それを開花出来るだけの環境を得られたのですから。

特に朝雲さんを含めたチームメイトがあの子を信頼して、任せてくれているのも大きいでしょう。二人共、本当にありがとうございます」

朝雲「い、いえ! 感謝されることなんて…」

萩風「私も、特に役に立っているとは…」

浜風「いえ、あの子は誰かに信じられている限りその信に応えて…」

『間もなく、午後の部に移行します。 参加選手の方は…』

夕雲「あら、もうそんな時間?」

浜風「行きましょう、夕雲。 あとこれ、後で海風に会ったらに渡しておいてください」

朝雲「1000円札…?」

浜風「鬼怒にお金払っておいて、と伝言も」

萩風「立替のお金ですか…」

フェリーニ「ルワン、お前も午後からだろ」

ルワン「そうだった。 ではまた会おう、ミス萩風にミス朝雲!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/27(土) 03:08:18.62 ID:17jFt8X60<> 《観客席》


『これより第8試合の選手を発表いたします。Aチーム、3代目メイジンカワグチ『ヘビーガンダムビクトリア』…』

朝雲「あの人ね。 ヘビーガンダムだから、あのエキシビジョン試合で使ってた…」

萩風「はい。ヘビーガンダム、U.C.0090仕様の改修機ですね」

フェリーニ「ここで強力なヤツが出てきたか…!」

『『ニクスプロヴィデンス・クロイツリバイ』、浜風。マスクド・セカンドG『ゲイジングハウンド』』

朝雲「浜風さんが…!?」

萩風「『マスクド・セカンドG』…?」

フェリーニ「今大会で一番のジョーカーだ。経歴不明、素顔不明… だが戦い方は先代のメイジンにそっくりなんだよ」

「はい。ガワもスタイルもそっくり… まるで『本人』そっくりです」

朝雲「榛名さん!?」

榛名「…ですが、余りにも似すぎて違和感が拭えません。それに妙な気配を感じます」

萩風「妙な気配…?」

榛名「だから、それを確かめたいのです。その為に高いお金払ってチケット買いました」

フェリーニ「アンタどこかで…」

榛名「お久し振りです、リカルド・フェリーニさん。 一昨年の取材以来でしょうか?」

フェリーニ「取材…? あ、あの時のライター!?」

榛名「ガンプラ専門ライター『ホワイトウルフ』、まぁライター業は只今休業中ですので今は榛名とお呼びください」

朝雲「そう言えばライターの仕事してましたね…」

萩風「会った事があるのですね」

フェリーニ「あ、あれはな…」

榛名「ナンパしようとして、ガンプラを差し出してくるとは思いませんでした。つい作りこんだザクVで対抗してしまって…」

朝雲・萩風「えぇ…」

フェリーニ「アンタ本当に何者だよ… しかも先代メイジンの事を知り尽くしてやがる」

榛名「ガンプラ塾第二期主席、過去の話ですよ。でもだからこそ、彼は5年前に最後に会った時から比べて違和感があるんです」

フェリーニ「塾生だったのか… 対戦経験があるのか?」

榛名「ええ。想定外の行動からの不意打ちによる一撃、それでも左肩のアーマーを砕くことしか出来ませんでしたし無理が祟って機体も自壊しましたが」

フェリーニ「マジかよ… だがそれなら、アレが誰か癖で分かるだろう」

榛名「だからこそ、それを確かめるのです」

『続いてBチーム、ルワン・ダラーラ『ハンブラビスバン』。ラマーン・カーン、『シュネー・ヴァイス』。レナート兄弟、『貨物船』…?』

フェリーニ「レナート兄弟が対戦相手か…」

榛名「やは、現メイジンを嫌い浜風さんを嫌う… 最悪の札でしょう。どんな手を使うか…」

萩風「それに、先程のルワンさんも…」

朝雲「どうなるのよ、この試合…」


視点選択 直下
1.浜風『倒すべき敵』
2.海風『羨望』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/01/27(土) 09:43:10.67 ID:kdC0vBvj0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/28(日) 05:35:27.15 ID:YU54maTt0<> side-浜風-『倒すべき敵』


セカンドG「…ガンプラバトルは勝利こそ絶対、全てを犠牲にしてでも勝利の頂を目指すべし。故に貴様の指図は受けんぞ、3代目!」

メイジン「くっ… 勝手な事を…!」

浜風「…では、私が指揮を執りましょう。私が目指すのは『最良の勝利』、犠牲無く眼前の敵を圧倒して得る勝利こそ私が目指す頂です」

セカンドG「ほう… 出来るのか、貴様に」

浜風「出来ます。私なら… 来ます、全機ニクスの後ろに!」


浜風が瞬時にドラグーンを展開し、バリアを形成する。その直後にビームの光弾が直撃しバリアに弾かれた。

頭の中に思考を巡らせる浜風は答えに辿り着く。誰がこのビームを撃ったのか、何が目的なのかを。


浜風「レナート兄弟… まさか策も無しに撃ってくるとは」

メイジン「この距離からの正確な狙撃、やるわね…!」

セカンドG「だが愚策だ」

浜風「はい。何の作戦も無くスタンドプレーに走っている… 連携が主眼となる3on3と言う場では足並みを乱す愚策、これならまだ隣会場の学生トーナメントの方が上手い」


ラマーン「貴様、何をしている!?」

フリオ「敵を倒している! 連携なんて必要ねぇ! ここはスナイパーの距離だ!手も足も出す暇を与えず蜂の巣にしてやる!」

ルワン「あのバカ…! あっちにはヤツが居るんだぞ!?」


プロヴィデンスが形成するバリアフィールドを盾に3機は有効射程目がけて一直線に突っ込む。

高速で思考をフル回転させ、浜風は目指す『最良の勝利』への道標を描き出す。


浜風(バリアフィールドは残り6発程度なら耐えられる、それまでに有効射程には余裕で入れるけど… 問題はレナート兄弟、あの輸送船には今の『ゴーストジェガンF』以外にも『何か』隠している。

ジェガン1機隠しているだけなら単機出せば良い、なら去年と同じ様にMを確実に隠している。だけど完全に同じ手を使う愚策はしない筈… まだ2つくらい札があるかもしれない)

浜風「では作戦を伝えます。私は多数砲撃による面制圧とスナイパーへの囮を務めます。メイジンは前衛をしつつギリギリまで敵を引き付けてください。

マスクド・セカンドG、貴方は『猟犬』、スナイパーを食い殺す役目を。 ただし敵はあの機体以外に隠している機体がある筈なので警戒を厳に」

メイジン「了解したわ」

セカンドG「承知した。 では各々勝利の為に」

浜風「全機、ブレイク! オープンコンバット!」


浜風はバリアフィールドを解除すると同時に装備されたユーキディウム・ビームライフルをシュネー・ヴァイスへと数発ほど発砲する。

当然当てるつもりも無いため、避けられ反撃の如くシュネー・ヴァイスのビットキャリアから数機のビットが襲い掛かった。


ラマーン「その様な鈍重な機体で!」

浜風「私と、瑞鳳さんのニクスを舐めるな!」


襲い掛かるビットの攻撃を軽々と避け、浜風は全てのビットの未来位置を推測して機関砲やライフルを用いて撃ち落していく。

そして全身に装備されたドラグーンの内、先程使った6基以外を全て射出しビットキャリアを攻撃した。


ラマーン「狙いはビットキャリアか!」

浜風「手数など与えは… ッ!」


遠く離れた輸送機、それに搭載されたゴーストジェガンFからの狙撃をシールドで防ぐ。

必殺と思われた一撃が防がれたフリオは苛立ちを隠せない。


フリオ「戦術家気取りのクソガキッ…!テメェだけは、俺達の戦場を汚したテメェは絶対許さねぇ!」

浜風「戦争ごっこ遊びの大人が…! こちらとしても、前にバスターを壊された仇を取らせて貰います!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/30(火) 03:23:37.82 ID:xlm/7STP0<> 朝雲「凄い戦い…」

萩風「ニクスが面制圧を行いつつ狙撃への囮を務めて、ヘビーガンダムが牽制役、あのAGE系の機体は…」

朝雲「多分、後ろの狙撃手を狩るタイミングを計ってるのよ。まだビットキャリアはいっぱい残ってる、そんな状態での突撃は自殺になるわ」

榛名「その通りです。さらにはニクスが戦線を押し上げているのも、あの機体『ゲイジングハウンド』を近づけ易くする為でしょう」

フェリーニ「だがルワン達のチームは連携がなって無い。浜風の動き、見てみろ」

朝雲「シュネー・ヴァイスとハンブラビに近過ぎる… あの機体、見るからに近接戦は苦手そうなのに…」

榛名「あれは恐らく友軍誤射の誘発を狙っているのでしょう。 フリオ・レナートは明らかに感情的に成り過ぎた、ただニクスを出鱈目に狙撃しているだけです」

フェリーニ「余程嫌ってんだろうな、浜風の事。 ポリシーである欺き・企て・嵌める、そのやり方を全部浜風は台無しに出来る。 自分は子供以下って思い知らされて、腹が立ってんだよ」

萩風「大人げ無いですね…」

榛名「感情的になるのは理解出来ます。しかし私情を挟み、恨みや個人の執着で足並みを乱した時点で勝敗は決しました。

戦場は常に推移するもの、そしてその推移に乗り切れ無い者には『敗北』の二文字しかありません」



ラマーン「ビットキャリアを、よくも!」

浜風(これで残りは2基のキャリア、戦力は大幅にダウンした…! ドラグーンは全機健在だけどエネルギー残量は30%弱、補充が要る。 そしてハンブラビは…)

ルワン「コマンダーを落とせばこちらに流れが…!」

浜風「やはり、こちらに来るか!」


狙撃の雨を掻い潜りながらハンブラビを攻撃するニクス。 ビームライフルによる射撃は回避され、近づいてきたハンブラビがサーベルを抜く。

そして高速で背後に回りこみ斬撃を加えようとした直後、『何者か』に放たれたビームよってバインダーを貫かれてしまう。


ルワン「なにっ…!?」

フリオ「しまっ…!!」

浜風「よしっ!」


不敵に笑う浜風、彼女は隙を見せた瞬間狙撃されると分かった上で背中をガラ空きにしていた。

さらに正面から火力の高いニクスに挑むのは難しいと踏んだハンブラビが背後に回るのは自明の理、そして結果として何が起きるかなど考えるまでも無い。


ルワン「やってくれたなレナート…! これ以上の高機動戦は無理だ! メイジンは任せた、ラマーン!」

ラマーン「了解した!」


2機はポジションを入れ替え、ターゲットの狙いを変える。 だがそこに起きる隙を浜風達は見逃さない。

ビットを落とし、お膳立てを整えていたマスクド・セカンドGの機体が加速し一直線に貨物船へと駆ける。


ラマーン「くっ…!あの男、大人しいと思えば最初から狙撃手狙いか!? だが…」

メイジン「易々とやらせないわよ!」


メガ・ガトリングガンとミサイル攻撃により残存するビットキャリアを破壊するヘビーガンダム。

迎撃網を掻い潜ったゲイジングハウンドが貨物船のゴーストジェガンFへと襲い掛かり、その左腕をシザーで奪い取り装着した。


セカンドG「ゲイジング…!」

フリオ「て、テメェッ!」


ゲイジングハウンドが奪い取った左腕に持っていたハンドガンを使って貨物船を攻撃し、そのまま爆散する貨物船。

ジェガンは間一髪で貨物船から逃走し、ゲイジングハウンドはその追撃を試みる。

<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/01/30(火) 03:56:44.65 ID:xlm/7STP0<> セカンドG「スナイパーは姿を見せ標的を読まれた時点で8割は勝負がついている。戦術に長けたレナート兄弟ともあろうものが判断を誤ったな。敗因は、唯一人の子供への執着だ!」


そのままゴーストジェガンFへと距離を詰めるゲイジングハウンド、トドメを刺そうとするも既にゴーストジェガンFに動きは無い。

次の瞬間、船の残骸から姿を現し一直線にもう1機のゴーストジェガン、『ゴーストジェガンM』がゲイジングハウンドへと襲い掛かるが…


浜風「二度も同じ手が通じるか!」

フリオ「なにっ!?」


ニクスに装備された『レジェンディアストライカー』のドラグーンの内、2基の『GDU-X7 突撃ビーム機動砲』がスパイクを形成しゴーストジェガンMの両肩を貫く。

浜風は以前、去年の対戦の際に同じ手をやられていた。そしてマスクド・セカンドGと共に一計を案じていたのだ。


セカンドG「やはりその手を使うか… だが浅はかだったな」

浜風「残骸の中に隠していた『GN-XW』も『ストライカージンクス』も破壊しました。もう残る札はありません」

フリオ「な、何だと…!?」

浜風「大局を見失い、足並みを乱した時点で貴方の勝利は在り得ない」

フリオ「ふざけるな…!企て欺き嵌める、それが俺達の戦争だ!そうして俺達は勝利の頂を目指す筈だった!

テメェみてぇなクソガキ風情に台無しにされて!二代目のバトルを、俺達の戦争(ガンプラバトル)を!」


両肩を切り離し、ゲイジングハウンドへと特攻を仕掛けようとするゴーストジェガンM。

だがマスクド・セカンドGは動じることなくシザーを構える。


セカンドG「成る程… それがお前達のガンプラバトルか。素晴らしいな」

フリオ「!?」

セカンドG「だが大局を見失っていることに変わりは無い。 いくら個人が強くともこれはチーム戦、要を中心とする連携を徹底することこそが勝利への頂への道だった」



セカンドG「勝負、ありだ」

浜風「勝負、ありです」


そしてゲイジングハウンドは敵へとシザ−を突き立て、ゴーストジェガンMは静止する。

動かなくなったゴーストジェガンMに『GDU-X7 突撃ビーム機動砲』がビームのシャワーを浴びせて爆散させた。


BATTLE ENDED


『ここでタイムアップ!手に汗握る第8試合、制したのはAチームだ!』


朝雲「これが、海風のお姉さんの…」

浜風「『クロイツ』を持つ人の戦い…」

榛名「…」

榛名(戦い方は似てた… 敵から装備を奪い取る戦い方は確かにやっていたけど… 何か違うような…?)



霞「勝っちゃったわよ、アンタの姉貴」※ちゃっかり観てた

海風「当然でしょう。あの状況で負けてたら、思いっきり顎にアッパーカット食らわせましたよ」※ちゃっかり観てた

シア「素直じゃ無いのね」※なんか居た <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/02(金) 04:01:28.19 ID:KsYkGri40<> 浜風「今戻りました」

夕雲「どうです、浜風さんの実力は?」

朝雲「何と言うか… 桁外れだなって…」

萩風「戦術看破と対応、ほぼ無損傷、加えて伏兵撃破に囮役… 普通、ここまでやれる人はほぼ居ないかと…」

浜風「この程度、私達『クロイツ』を持つファイターなら容易く出来ます。飛龍さんや蒼龍さんなら、全滅だって可能でしょう」

フェリーニ「あの二人はとびっきりの規格外だ。余程、例えば世界大会の選手全員が一斉に敵にでもならない限りは簡単にやられねぇよ」

時雨「でもこの二人も規格外だよ。世界的に見ても上に居る人間が両手で数えられるランクに位置するファイターなんだから」

夕雲「それは貴女もです、時雨さん。私達と互角に渡り合ってる人間でしょうに」

時雨「まぁね。 でも僕達を一方的に追い詰めたじゃないか」

浜風「そう言う風に戦略を組みましたし」

フェリーニ「コイツ等さらっと言ってるがな、夕雲以外はガンプラ歴5年以下だぞ」

萩風「片手の指より少ないとは…」

夕雲「実力など、経験を重ねれば自然と身に付きます」

朝雲「実戦経験の場が世界大会って…」

時雨「僕達にはそれしか選択肢が無かったからね。そのお陰でガンプラマフィアだの訳の分からない連中とまで戦わされたんだ…」

萩風「ガンプラマフィア、確かガンプラに関する汚れを一手に請け負う組織だとか」

フェリーニ「ああ。俺もストーク卿、時雨を鍛えた内の一人から話を聞かされていたがまさかそんな組織が居るとは思わなかったよ。

だがお前達の先生、瑞鳳相手にでしゃばって来たのが悪かったんだ… 文字通り、叩き潰されちまった」

時雨「ものの見事にね。 一族総出でカチコミ、しかも米軍とロシア軍のオマケ付き。恐怖以外の何者でもないよ」

浜風「しかし大本は日本から消えましたがまだ世界中には点在しているみたいで…」

浜風(そして今回の昏睡事件の発端になってる可能性もあるんですよね…)

朝雲「あれ… 榛名さんは?」

萩風「先程から姿がありませんが…」



セカンドG「…来たか」

榛名「…」

セカンドG「頃合だと思っていた」

榛名「…貴方、何者ですか」

セカンドG「今の私はマスクド・セカンドG、それ以上でもそれ以下でも非ず」

榛名「でしょうね。そう言う回答しか来ないと思ってましたよ。だけど貴方の正体に心当たりが一つ」

セカンドG「ほう…」

榛名「言葉で語る必要は無し。それは、自分の腕で見極めさせて貰います」カチャッ

セカンドG「『RX-0[F] フェンリル』、か。 当時とは見違えるが、『グシスナウタル』はどうした」

榛名「あんなもの、先代へのメタ装備でしかありません。『全てを避けられるのなら絶対に当たる装備を作れば良い』などと思い至った結果出来た代物…

妹に譲りましたよ。他の人に特殊装備を与えているのに、一人無しとはフェアではありませんから」

セカンドG「ではこちら相手に『グシスナウタル』無しで戦えるか?」

榛名「舐めるな。あれから、ずっとガンプラの腕も戦闘技術も磨いてきた。 今日こそ、越えて見せる…

あの日の壁を、あの日の絶望を… 己が目指す『願い』の為に…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/03(土) 03:33:46.92 ID:9rP3xHeg0<> 《会場の外》


朝雲「流石、世界大会ってだけあったわね」

萩風「ええ。皆さんの実力も桁違いでした」

朝雲「結局榛名さんは見つからず仕舞いだけど…」

萩風「あの人の事ですから… 姉さんに聞いた、因縁のあるマスクド・セカンドGとか言う方に会っているかもしれません」

朝雲「浜風さんと組んでた人でしょ? あの不気味な」

萩風「先代メイジンらしい、と言っていましたがどこまで本当なのか… あ…」フラッ

朝雲「おっと… どうかした?」ガシッ

萩風「少し、眩暈が…」

朝雲(海風が前に言った事象改変の影響…? でも今までそんな兆候は一度も無かった筈よ)

海風「…何やってるんです?」

霞「外でイチャイチャするなんて堂々としてるわね」

朝雲「ゲッ… よりによってアンタ達…!」

萩風「違っ… これはちょっと、眩暈したから支えて貰っただけで…!」

「そう言うの、あからさまじゃないかしら?」

萩風「…!貴女は…」

朝雲「…誰?」

海風「ガンプラ学園のキジマさんの妹さん、『キジマ・シア』さんです」

シア「初めまして、キジマ・シアです」

萩風「何故二人と…」

霞「試合観終わって暇つぶししてたら偶然会って、気が合ったから一緒に居たのよ」

シア「そう言うこと。よろしくね、二人共」

萩風「えぇ…」

朝雲「アンタ達、交流広すぎ… あ、海風。これ浜風さんが鬼怒って人に渡しておけって」

海風「まだ立替してもらったの払ってなかったんですね… すみません、朝雲さん。 アレに人をパシリに使うなって言っておかないと…」

朝雲「まぁまぁ… 大会に出場して忙しいのよきっと。今日だって試合で戦ってたんだから」

海風「それはそれ、これはこれです。常識的にも無いでしょう」

シア「お姉さんと何かあったの?」

霞「個人的な問題よ。前はもっと酷かった。単語出しただけでマジギレするくらい」

シア「複雑なのね。あら、噂をすれば…」

鬼怒「おーい、海風!」

海風「あぁ、丁度良いところに。これこの前の代金、ウチのアレから。お釣りは多分返す必要無いかと」

鬼怒「はいはーい、毎度〜。 ってどうしてこんな所に?」

海風「世界大会の会場の外でお祭みたいなのやってたので」

鬼怒「ああ、そっち行ってたんだ。鬼怒はね、皆で買い物に…」

江風「あンま走ンなって…!追いつくの大変なンだからな…!」

嵐「荷物全部押し付けて…! って萩…!」

鬼怒「あ、ごめんごめん」

萩風「…」

朝雲「…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/03(土) 04:10:54.55 ID:9rP3xHeg0<> 海風(あ、気まずい空気)

霞(何とかしなさいよ…! アンタ空気ブチ壊すの得意でしょ!)

海風(こう言うシーンの破壊は得意じゃないんですよ…!)

鬼怒「え、えと… 前に話してた幼馴染だっけ…?」

嵐「…!そ、そうだよ!コイツが萩で…」

朝雲「はいストップ!」

嵐「何だよ…!」

朝雲「昨日忠告した筈よ。この子の記憶を…」

江風「おい、そりゃ無いンじゃないのか? 部外者がせっかくの再会を邪魔すンなって」

朝雲「アンタこそ部外者じゃない。余計な口は出さないで」

江風「ンだとコラ! こっちはな…」

鬼怒「江風ストップ!ストップ!」

霞「朝雲も、あまり熱くなり過ぎ無い様に…」

江風「せっかく再会したンだからゆっくり話ぐらいさせてやれよ!」

朝雲「事情も何も分からない癖に、要らぬお世話よ…!」

嵐「…本当に分からないのか、俺が? 嵐だぞ、隣に住んでた…!」

萩風「…ごめん、さない。私は… うっ…!」ドサッ

朝雲「萩風!」

嵐「お、おい萩!」

霞「ちょ、大丈夫!? …って、何これ…」ピキィイン

シア「どうかしたの?」

霞「意識が、二つある…? どうなって…」

海風「シア、朝雲さん。萩風さんを運んでください」

朝雲「分かった。ちょっと手伝って…!」

シア「え、ええ。分かったわ」

霞「私も…!」

海風「いえ、霞はこちらに。さて、と… 覚悟、出来てます?」ゴゴゴ

江風「ひっ…!?」

鬼怒(ま、前とは違ってオーラが迸ってる…!?)

嵐「な、なんだよ…!」

海風「…霞、今からちょっとばかり三人に『お説教』をするので、ヤバくなったら止めて下さい」

霞「…止めないわ。思いっきりやっちゃいなさい。加勢するわよ」

海風「その言葉を待ってました。今からキッチリ、『お話』しましょうか」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/03(土) 12:51:43.92 ID:lhmVNM7dO<> 乙
あとビルドシリーズ新作記念 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/04(日) 02:38:10.62 ID:QSxoVYmF0<> 《神通・萩風の部屋》


神通「そうですか… すみません、朝雲さん」

朝雲「いえ… でもどうしていきなり倒れて…」

神通「キジマさんもありがとうございます。妹をここまで運んできて貰って」

シア「…妹? でも登録されてる名前は…」

神通「…その辺は複雑な家庭環境でして」

シア「そう? じゃあ私は戻りますから、二人によろしく伝えてください」

神通「分かりました。本当にありがとうございます」

ガチャッ

神通「…しかし、どうしていきなり倒れたと言うのが腑に落ちません。この子こそ一番『健康』に執着してるのに」

朝雲「そう言えば霞が意味深な事を… 意識が二つ、とかって…」

神通「意識が二つ…? まさか、三日月さんのように…」

朝雲「多分そう言うんじゃ無いと思います。 あの嵐ってのに話しかけられた後に気を失ったから、多分『この時代の本来の萩風』が関係してるんじゃないかなって。

ここからは私の推測と、荒唐無稽な話になるんですけど良いですか?」

神通「もとより私達の存在が荒唐無稽ですから大丈夫ですよ」

朝雲「分かりました。 今ここに居る先輩達と『この時代の本来の先輩達』は同じ魂、ですが肉体は違う筈です。

多分なんですけど、先輩達が成り代わった時『この時代の本来の肉体』は作りかえられたんです」

神通「作りかえられた?」

朝雲「先輩達は瑞鳳さんの遺伝子を継いでいる、でも『この時代の本来の二人』は先輩達とは遺伝子が違う筈… 多分同じ遺伝子ならそもそも事故で死にようがありませんし」

神通「まぁ、そうですよね… 鍛えてなくともきっと事故では死なないと思います」

朝雲「でも作りかえられたとしても元の肉体は同じ、残留思念のようなものが残っていても不思議じゃ無いし『同一の魂』である以上そう言うものに反応し易いのかもしれない…

多分意識が二つ、って霞が言ったのは何かが切欠で『この時代の萩風』の意識か残留思念が目覚めたんじゃないかなって。だから萩風はその意識が混濁して倒れたんじゃないかと」

神通「分かるような、分からないような…? 要するに、『この時代の本来の萩風』の残留思念か意識が原因だと」

朝雲「ほぼ私の妄想レベルの話ですけど。詳しくは当人に聞くしか」

神通「成る程… …朝雲さん、萩風の事をお願いしても? 少しお母様を呼んでくるので」

朝雲「良いんですか、私で?」

神通「この子は貴女に一番懐いている、この子の精神安定剤には私より朝雲さんの方が良いと思います」

朝雲「そう言うことなら… 分かりました」

神通「あと、あの二人もそろそろ止めないと… 多分話を聞かされてるその三人、心がへし折られそうなので…」

朝雲「海風の連射してくるガトリング罵倒と霞の一撃が重いバズーカ罵倒のコンボ喰らってる筈ですからね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/05(月) 17:42:28.17 ID:sJCdd3580<> 《数十分後》


瑞鳳「事情は把握したけど、今は対処のしようが無いね」

神通「対処出来ないって…」

瑞鳳「まず二人は存在がイレギュラー過ぎるし状況自体もイレギュラー、イレギュラー要素が多すぎて何も出来ないんだよ。

医療では対処出来ないし、かと言ってオカルトが通じるとも限らない。実際対処出来ないよ、この状況じゃ」

朝雲「そんな…」

瑞鳳「…ただ出来ない事はないかも。リスクが大きいし、何より出来るとも限らないし」

神通「その方法は…!」

瑞鳳「萩風ちゃんと感応して深層意識の中に潜りこんで、『もう一人の人格』を切り離すか完全に消す。

ただそれには『サイコフレーム』と『感応波を使える萩風ちゃんが完全に心を許した人間』が要る。それに深層意識に潜れても自我が崩壊の危険性もあるし、『もう一人の人格』を消すって事は…」

朝雲「…もう一人を、もう一度殺すのと同義語ってことね」

瑞鳳「そう言うことだよ。 切り離すのだって、肉体から脳を引っこ抜いて別人の脳を植えつけるようなもんだしこれも殺人とほぼ同義語になる」

神通「では目覚めるのを待つしか無いと、このまま目覚めるか分からないまま放置しろと…!」

瑞鳳「じゃあ私の言う策を実行するその役を担うのは誰になると思う? 現時点で能力的に出来るのは霞ちゃんだけなんだよ?

ニュータイプとして覚醒しつつある人間は今霞ちゃん一人だけ、全部霞ちゃんに押し付けるつもり?」

神通「それは…」

瑞鳳「それに霞ちゃんと萩風ちゃんは、互いに完全に心を許しきれて無い。その状況でやれば確実に霞ちゃんに害が出る。

リスクが大きすぎるのに私が許容してゴーサインを出すと思う?」

神通「…」

瑞鳳「大体、霞ちゃんのサイコフレームは1個しかこの場に無いのにどうやって感応する気なの?

その問題がまず拭えないのに…」

朝雲「感応する手段なら『アリスタ』を使えば…」

瑞鳳「だとしても、『アリスタ』を持ってるのは海風ちゃんと神通ちゃんだけで… ん…?」

神通「この子も未来から来た、なら過去に転移するために…」

瑞鳳「アリスタを持ってても不思議じゃ無い…?」



瑞鳳「あったね、チョカー。アリスタ付きの」

神通「じゃあこれで感応は出来ると…」

瑞鳳「だけど問題は誰がやるか、だよ。 サイコフレームじゃなくてアリスタを介せば出来るようになって感応波は不要になったけど」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/06(火) 03:09:12.41 ID:NmWL1lNb0<> 朝雲「…私に、私にやらせて貰えませんか?」

神通「朝雲さん…?」

朝雲「萩風には色々と助けられて陰から支えて貰った恩もあるし、何より友達として今の状態を放っておけ無い。だから、私がやります」

瑞鳳「リスクもデメリットも大きすぎる。私が言ったのはあくまでも机上の空論、出来るかどうかなんてわからない。

それに自分でも言ったでしょ。『もう一人の萩風ちゃんをもう一度殺すことになる』のと同じ意味だって」

朝雲「何とかしてみせます」

神通「そんな無茶な…!」

朝雲「無茶でも何でもやり通す、私はもうとっくに『覚悟』してるんです」

瑞鳳「…自分が壊れる覚悟も、罪を背負う覚悟も… 命を奪う覚悟もある?」




神通「良いんですかお母様…!」

瑞鳳「良くは無いと思ってる。でもあれが最善策だし、当人の希望でもあるんだよ」

神通「なら私が…!」

瑞鳳「神通ちゃんは駄目。姉妹だけど、あの子は神通ちゃんに対して翳りがあるし、神通ちゃんも流派・東方不敗の一件での負い目がある。

互いに少しでも負を抱えてる状態で意識共有したら、それこそ互いの精神や人格が崩壊しかねない」

神通「それは… なら、お母様は…!」

瑞鳳「…私も、ちょっとだけ貴女達に負い目があるから」

神通「え…?」

瑞鳳「貴女達を生み出したのは私が昏睡事件を止められなかったから、自分の心に出来た隙間を埋められなかった『弱さ』が原因なの。

私のエゴで命を作って、色々と勝手に押し付けて勝手に死んで… 私があの事件を止められれていれば、こうやって貴女達を…」

神通「違います!お母様は必死に戦って、犠牲者を1億に押し留めたんです! それにその後の深海棲艦の侵攻だって一人で止めて…!」

瑞鳳「だとしても… 未来の私は多くの人を死なせて貴女達の命を弄んだ、その結果に変わりは無い」

神通「…」

瑞鳳「…朝雲ちゃんに覚悟云々って聞いたけど、私自身が覚悟出来てなかった。私なんかよりずっと貴女達の方が覚悟できてる。

ごめん… こんな話、するべきじゃなかったね」

神通「いえ… ですがお母様、私の知る『お母様』は数多の人を助けてきました。誰かの力になろうとして、誰かを護る為に立ち上がって。 

人の明日を、未来を、希望を… 創り続けるために駆け抜けて。私達をまだ生んでなくとも、今まで貴女はそう戦ってきた筈です。昏睡事件だけではなく、今まであった様々な事件を戦ってきたのでしょう」

瑞鳳「そう、だね… 誰かが傷付くのを見過ごせ無くて、誰かが泣いてるのが嫌で、今まで戦ってきた…

私が何の為に戦うか、ちょっとは理解できてきた気がする。ありがとう、神通ちゃん」

神通「いえ。 ですが萩風は…」

瑞鳳「あの子には私なんかよりもっと相応しい、覚悟が出来たヒーローが居る。だからきっと、朝雲ちゃんなら大丈夫だよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/06(火) 03:31:32.21 ID:NmWL1lNb0<> 朝雲「…さて、と。これからどうすれば良いの?」

朝雲(先輩からアリスタは借りたけど… これで意識共有領域を作れば良いのよね?)

萩風「…」

朝雲「失敗なんて考え無い… やれる事をやる、それだけよ…!」

朝雲(Are you ready? なんてね。 覚悟は出来てる、ならここから突っ走るだけよ…!)コォォォォ

朝雲「え、嘘!?本当に光が広がって…!」



《深層意識内部》


朝雲「これが、深層意識なの…?」

朝雲(それっぽいけど… 一面百合の花畑かと思ったら一箇所だけ茨っぽいところがある。あそこで何かがせめぎあってる…?)

朝雲「行ってみるしか無いか…!」


「――今更、何を!」

『だから――』

朝雲「萩風!」

「あさ、ぐも、さん…?」

『え…?』

朝雲「ってアレ、どっちが私の知る方…?」

萩風「こっちです!」

朝雲「あ、そりゃそうか。この花畑の花は萩風の『ヒメサユリ』だし」

『どうしてここに、他の人が…!』

朝雲「ちょっとした裏技で意識共有してんのよ」

萩風「まさか、アリスタを…?」

朝雲「そう言うこと。そんなに長くは保て無いけどね。 で、アンタは… 『本来の萩風』、オリジンとか真とかって呼べば良いのかしら?」

萩風(オリジン)『好きなほうでどうぞ…!いい加減、私の体を返してください!』

萩風「今更出てきて勝手を言わないで下さい!第一貴女は既に―――」

朝雲「はいストップ! 意見の押し付け合いじゃどうにもならないでしょ。まずお互いの言い分を聞かせなさいな」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/08(木) 03:55:49.20 ID:yx3oGJh20<> 朝雲「まずは現在の主人格、私の知る方からよ」

萩風「私にはやらなきゃいけない事があります。それに『私』が目覚めとき『本来の人格』は存在していなかった。

それを今更出てきて返せとか出て行けとか言われる筋合いはありません」

朝雲「まぁ、こっちの人格に関しちゃ言わずもかなだけど… じゃあオリジン、アンタは?」

萩風(オリジン)『眠っていたら外から声が、懐かしい声が聞こえて… でも体が自由に動かせ無くて…

それで気が付いたら体が乗っ取られたことに気付いて、返して欲しいと…』

朝雲「…ちょっと質問良いかしら? 貴女は最後、どこで意識が途絶えたの?」

萩風(オリジン)『えっと… 確か、大阪から帰る途中の高速道路だったかしら…? 確か静岡の辺りから何も思い出せなくて…』

萩風「…間違い無い。あの『事故』の…」

朝雲「…事故、ってまさか…!?」

萩風(オリジン)『事故? 何ですか?』

朝雲(間違い無い… 今の話、前に萩風から聞かされた『事故』と一致する…!『この時代の萩風』が本来死ぬ筈だった事故、『本来の萩風』以外は即死して『本来の萩風』も意識不明の植物人間になった後生涯を終えた筈の…

この子の時間は、事故の瞬間か事故の直前で止まってる。 眠ったまま消えるだけの意識があの嵐ってやつのせいで目覚めたのね…)

朝雲「外の記憶は? 意識なくしたあと、こっちの萩風になったあとの記憶」

萩風(オリジン)『ない、ですね…』

萩風「…最悪です」

朝雲「ええ。思った以上に最悪の事態になってる」

萩風(オリジン)『え…?』

朝雲(そう、何も知らないのよ… 外に関する全てを…! 昏睡事件どころか、それ以前の記憶すらも…

両親が既に居ないことも、自分が死んでたことも…!)

朝雲「…」

朝雲(考えるのよ、朝雲… 私はバカだけど、悪知恵だけはある筈よ…!)



かけるべき言葉 ↓3まで
1.『事情は分かった。でもこっちにも事情があるの』
2.『…貴女に真実を教えてあげる。貴女に起きた全ての』

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/08(木) 09:49:50.92 ID:ICFwa37D0<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/11(日) 12:45:38.43 ID:bEtxxFDcO<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/02/14(水) 05:00:25.46 ID:FAvl6Vz8O<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/15(木) 02:49:45.40 ID:lYq5DJFI0<> 朝雲「事情は分かった。でもこっちにも事情があるの」

萩風(オリジン)『事情なんて…!』

朝雲「今、外の世界で大きなテロが起きようとしてるのよ。この子はそれを止める為に未来から来た。

未来から、母親を助けたい一心で…」

萩風『母親…?』

朝雲「この子のお母さんはテロで全部を失って、後の時代でこの子を遺して戦争の果てに亡くなった。

そのテロが引き金で起きた戦争、世界が滅びかけるような大きな戦争がこのままじゃ起きるの」

萩風(大体流れは間違ってないけど深海棲艦の現出の原因はEXAMじゃないんですが…

可能性としては無くは無いですけど。 一度に億単位で死んで、負念が一気に膨張したからそれが引き金になったって学説ありましたし)

萩風(オリジン)『それと私に何が関係するんですか!』

朝雲「分からないの? この子は… 貴女の生まれ変わりなのよ」

萩風(オリジン)『え…?』

朝雲「人はいつか死ぬ。それは貴女も私も例外じゃない。だけどその魂は、輪廻転生を繰り返す…

その輪廻転生を果たしたのはこの子、今貴女の身体、『存在』を借りている萩風なの」

萩風(オリジン)『どうして私が…』

萩風「…必要だったんです、この世界に留まるのに。 未来から身体は持ってこれ無い、だからこの時代の『私』の助力が必要だったんです。

1億の人間が死んで、もっと多くの人が死ぬ未来を防ぐために… 何より、お母様を助けたいから」

朝雲「そして多分、このテロを阻止できゃなきゃ私達に未来は無くなる。だからこそこの子への協力を私は選んだ。

お願い、テロ事件が終わるまでで良い… それまで、あと1ヵ月くらい私達に力を貸して…!」

萩風(オリジン)『ふざけないで… そんなの、貴女達の勝手過ぎるでしょう!』

朝雲「勝手なのは分かってる! だけど貴女の大事な人達だって事件に巻き込まれるかもしれないのよ!

それにこの子が身体を失えば間違いなくこの子は消える! そうなったら貴女にテロを止められるの!?」

萩風(オリジン)『それは…』

朝雲「私達が勝手なのは承知の上、危険なのも覚悟の上… それでも必死にテロを阻止しようと足掻いている人も居る、だからほんの少しで良いの!

私達に時間、テロを止めるための時間を頂戴…!」

萩風(オリジン)『…じゃあせめて、私の身体が本当に無事かどうか確かめさせてください』

朝雲・萩風「…!」

朝雲(ヤバイ… 身体はもう、この子が知ってる身体じゃなくなってる。それに時間経過が外の情報で分かったら…

置かれてる状況に混乱するどころか、自分が死んだことも知っちゃうんじゃ…)

萩風(ある意味最悪の札を出してきました… 私と同じ魂ならやりかねないと思ったけど…)


選択 直下
1.一時的に返却する
2.それは出来ない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/15(木) 12:31:04.28 ID:h6J992Wf0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/16(金) 05:12:45.90 ID:i/M30ogZ0<> 萩風「…それは出来ません」

萩風(オリジン)『やっぱり…!』

萩風「私は、本来この時代の存在ではありません。肉体だって仮初の借り物、なのに表層から意識が消えたら…

テロ事件を阻止する前に消えてしまう可能性があるんです。貴女は意識を残留できてるけど、私がそうとは限らないんです」

朝雲「それに… 今目を醒ましたらきっと貴女は混乱する。そんな状況に今なってるの。

私と貴女は知り合いじゃない、そうでしょ? 貴女の知らない人に今囲まれて、平静を保つ自信がある?」

萩風(オリジン)『それは… でも声が、私を呼ぶ声が聞こえて…』

萩風「『貴女』の知り合いに偶然会ってしまったから、です。彼女は『私』を『貴女』と認識していたから…」

萩風(オリジン)『知り合い…?』

朝雲「嵐、とか言う俺女よ。一応、元気だったわ。多分今頃、私の仲間がちょっと説教で心へし折ってるところだけど」



海風「だから何故無関係なのに余計な首を突っ込み、挙句…」

鬼怒「うぅ…もう勘弁して…」正座

江風「アスファルトが、熱い…」正座

嵐「何で俺まで…」正座

霞「元はと言えば原因はアンタよ。散々朝雲にやめろ、って言われたのを無視した」

天津風「…えっと、先輩。これ止められますか?」

神通「海風さん、そろそろ…」

海風「止めないで下さい。多分ここでお灸を据えないと、3歩歩いてまた忘れるのが鬼怒さんです」

鬼怒「扱い酷っ!? と言うか私直接関係ないよね!?」

海風「二人を御せ無い監督責任」

鬼怒「うぐっ…!」



萩風(オリジン)『嵐…!? どうして…』

朝雲「幼馴染、なんでしょ。 聞いたわよ」

萩風(オリジン)『お願い、彼女に会わせて…!』

萩風「それは…」

萩風(オリジン)『昔からの幼馴染で、私の大切な… だから、会いたいんです…!』

朝雲「今は無理、ね。だけどきっと、終わらせるから。テロも何もかも… だからその時まで待って。

私が、私達がきっと… 全部終わらせて、身体を返すから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/22(木) 02:52:43.58 ID:pXuXRbZiO<> 《現実世界》


萩風「あ…」

朝雲「ん… あ、戻った。萩風、大丈夫?」

萩風「ええ。もう一人の人格は眠ったようです」

朝雲「納得はしたのね。だからリンクが切れて現実世界に引き戻されたって訳か」

萩風「全く、なんて無茶を…! 他人の深層意識に潜るなんて自殺行為です!」

朝雲「だけどこうでもしなきゃ目覚めなかったでしょ」

萩風「アレはただの残留思念、もう少し粘れば消滅させられてたのに…!」

朝雲「でも、それが正しい手段なの?」

萩風「正しいとは言えません。だけど、最善手です。

…正直、見てられません。可哀想過ぎるんです、『彼女』」

朝雲「そうね… 両親が死んでることも自分も死んでたことも知らないなんて、残酷にも程があるかも…

でも強引な手段は良く無いと思う。納得して、成仏して貰うのが一番良いんだけど…」

萩風「その手段が無いから頭を抱えているのに…」

朝雲「…明日、私達はアイツ等と対戦することになる。編成には私と萩風が組み込まれてたけど…

海風に言って編成を変えてもらう? このままじゃ萩風の中のもう一人が何時目覚めるのか分からないし」

萩風「…いえ。明日の戦い、私も出ます」

朝雲「だけど…」

萩風「私に、考えがあります。朝雲さん、いざと言う時はフォローを」

朝雲「分かった。そこまで言うなら私が『シームルグ』でフォローする」

萩風「温存しないんですか?」

朝雲「しないし、する理由も無いわよ。 それに一度は使っとかないと準決勝と決勝への牽制にならないから」

萩風「ところで、ここは私の部屋のようですけど… 姉さんは?」

朝雲「えっと…」


海風「(ピー)が(ピー)で、貴女たちの頭は(ピー)以下だと…」

神通「そろそろ本当にストップしてください!」

天津風「そうよ!言葉が汚くなりすぎて聞くに堪えないから!」

嵐「畜生… なんでこんな目に…(半泣き)」

江風「悪かったから…!もう止めてくれ…!(半泣き)」

鬼怒「土下座でもなんでもするから…!(半泣き)」

霞「アンタ達の土下座にどんな価値があると思ってるの?」(ニッコリ

天津風「こっちもこっちで容赦無いわね!?」

神通「二人共、本気でストップ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/25(日) 02:20:22.92 ID:DwROrLi0O<> 《その夜 神通・萩風の部屋》


天津風「じゃあ今は眠ってるだけ、ってことね」

朝雲「ええ。納得の上でね」

萩風「しかしいつ外的要因によって目覚めるか分からないんです」

霞「なら尚更明日の試合に出せないじゃない」

海風「はい。戦闘中に今日みたいな事が起これば…」

萩風「それならそれで、何とか出来る秘策があります。そして私には彼女達、特に嵐と言う人へのアドバンテージがあります」

愛宕「アドバンテージ?」

海風「確かに心理的なアドバンテージ、彼女が萩風さんを狙うのに多少の躊躇、もしくは全く攻撃できなくなる可能性もありますが…

あまり良い手とは言えません。理に適ってはいますが個人的には嫌悪を抱きたいくらいには」

萩風「分かっています。あまりフェアではありませんし、私でも気が引けますよ。

私が彼女に持つアドバンテージは… 『もう一人の記憶』なんです」

神通「もう一人の記憶?」

萩風「私の中の『もう一人の私』、その記憶が先程多少こちら側に流入してきて… その中には彼女との戦闘経験の記憶がありました。

一度や二度だけでなく、数十回近くのバトル経験が『前の萩風』と彼女の間にはあったようです」

天津風「じゃあ今のアンタはアイツを知り尽くしてる、ってこと?」

萩風「ええ。さらに言えば『以前の萩風』と今の私では戦闘スタイルが全く異なります」

霞「じゃあ一方的に相手を知り尽くした状態、ってことになる…」

瑞鳳「しかも相手は過去に引き摺られて、今の戦い方に対応出来ない。確かに萩風ちゃんはあの子にアドバンテージがある」

神通「少し卑怯な気もしなくはありませんが…」

愛宕「さっきの心理作戦よりは遥かにマシね。 それに萩風ちゃんの実力は相当よ。アドバンテージがなくてもあの三人に引けは取らない」

海風「では最終確認を。 編成は…」


ファイター選択
・朝雲:『シームルグ』
・萩風:『ガンダムエクシアルベルム』
・三人目 直下

選択可能ファイター
・海風:ウイングガンダム・アズライト
・霞:ブラストアクロスZZ
・天津風:ガンダムハルートボーライド or シューティングスターガンダム(改)

条件:とくになし。『天津風』を選択の場合機体を明記すること(シューティングスターを選択の場合、強化改修有り)。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/25(日) 09:57:01.84 ID:7aCXCKMK0<> 海風 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/02/27(火) 01:53:19.09 ID:HurrnIiiO<> 海風「戦闘指揮は海風、そして残りは朝雲さんと萩風さんとなります」

霞「…その編成、大丈夫なの?」

天津風「ウチのアレな部分を凝縮して煮込んだような編成じゃない…」

神通「頭が少々痛くなってきました…」

海風「失敬な」

瑞鳳「確かに一番クセが大きい編成ね。だけど機体はウチのツートップが揃ってる」

愛宕「アズライトバーストの圧倒的な爆発力を持つ『ウイングガンダム・アズライト』と同じくNT-Dと『コード・ブレイヴ』で機体ブーストを掛けられる『シームルグ』…

ジャスティスとZZもかなり高い性能だけど、この2機は出自が出自なだけに他と一線を画してるわね」

瑞鳳「そしてエクシアも追随出来るだけの性能は持ってる。流石、私の愛娘なだけあるよ」

萩風「お母様…」

天津風「それって私のハルートの性能が評価されてないような…」

瑞鳳「そう言う意味じゃないよ。ハルートは素の状態なら一番速い、それに運動性もかなり高いし。

逆に言えばこのイカれた機体が勢ぞろいしたチームで引けを取って無い時点で凄いと思う。ウイングとシームルグがイカれてるだけ」

霞「じゃあこの編成は『そこまでやらないと倒せない敵』用ってこと?」

海風「はい。 戦闘分析によれば3人は… 正直、おバカです」

一同「…」

海風「だけどそれは『余計な思考』を持ち合わせないという意味、守りを気にせず攻めてくるタイプだと思います。

それに余計な事を考えないからその分迷いが無い、単純な戦闘能力はかなり高いかと」

神通「ですがこれはチーム戦… 単純な、単機に頼った戦い方では勝てません」

海風「それを此処まで貫いてきた時点で相当、だと考えられますが… だけど、それもここで終わらせてしまいましょう。

我々は『戦術』を以って彼女達を打ち倒します。瑞鳳さん、例のブツを」

瑞鳳「あいよ」ドサッ

朝雲「何これ、ジュラルミンケース?」

萩風「これは?」

瑞鳳「ウイング、シームルグ、エクシア用の強化パーツだよ。 先行して3機分だけ完成させてきたのよ。

ZZ、ジャスティス、ハルート、ストライクの分は追って完成させるから、先に出来たブツの確認よろしく」


機体強化装備
・ウイングガンダム・アズライト 直下
・シームルグ 下3
・ガンダムエクシアルベルム 下5

※あまり無茶苦茶、また現在の機体から変化が大きくなるようなものは却下させて頂きます <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/28(水) 01:33:35.30 ID:Ymn2Tt2X0<> ・メッサーツバーグラズールスタイン(ドライツバーグラズールスタイン)

メッサーツバーグの改修型で銃口からビームサーベルを展開可能。
軽量化のため威力は落ちたがある程度出力を絞れば連射が出来る。
さらにツインバスターライフルと連結することで高出力ビーム砲以外に巨大なサーベルにもなる。
またメッサーツバーグ自体にエネルギータンクが有り、本体の粒子は消耗しない。
数はドライツバーグ2つ分、計6本。ラズールスタインはドイツ語で青い石を意味する。

・ウイングアズライトシールド

従来のシールドにアブソーブ機能と対実弾用粒子フィールド生成機能を追加したもの。
外観はノーマルのものと変化は無い。


射撃武装が足りないからこれくらいなら追加しても大丈夫だろう… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/02/28(水) 02:34:48.48 ID:DsFH9HREO<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/01(木) 01:42:41.98 ID:hADJlLLN0<> アームド・アーマーAW(アークウイング)
背部に装備するための新型ウイング。ウイング自体にもサイコフレームが再現されておりNT-D発動時は連動して装甲がスライドする。
以前のものより大型化し出力が強化、運動性能が大幅に向上した。
また予備バッテリーも兼ねておりコード・ブレイヴにより本体が粒子を使いきってもこちらの粒子を使えば継続して戦闘可能に。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/03/01(木) 03:25:45.80 ID:DjE7JwZNO<> 踏み台
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/01(木) 14:28:30.52 ID:Wp9Fe5X+0<> GNHW/R
バックパックのマガノイクタチストライカーを改修し、元の機能そのままにGNランチャーを二つ装備している。
射程と貫通力に特化した作りとなっており、ビームが細く弾速も速いため目視が難しくなっている。
ただし、狙いをつけるために相応の狙撃能力は必要となっている。
また、分離しオートパイロットで支援機扱いで動かすことも可能。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/02(金) 02:39:12.89 ID:GldtNKBOO<> 瑞鳳「まずウイング用のはこれ。メッサーツバーグの強化型武装『メッサーツバーグラズールスタイン』」

海風「名前長くないですか?」

霞「『ラズールスタイン』はドイツ語で『青い石』、つまり『アズライト』も含んでる。ドイツ語で揃えるならこうなっちゃうのよ」

天津風「どうしてそんな事知ってるのよ」

霞「私これでもドイツ系のクォーターよ。言ってなかった?」

朝雲「聞いて無い」

神通「ですが前にドイツ語でチーム名考えたり、ニーチェの原文をそのままドイツ語で読んだりしていました」

霞「ま、単語と日常会話ぐらいしか分からないからほぼ役に立たないけど。続けてください、瑞鳳さん」

瑞鳳「ウイングは射撃武装が少なかったからね。それを補うための武器がこれ。 改良点は軽量化による取り回しの改善。代わりに威力は落ちたけど連射が利くようになってる。

あと近接戦に持ち込まれても良いようにビームサーベル発振機能とツインバスターライフルとの連結時に砲撃以外に巨大サーベルを形成できるって能力も追加した」

萩風「ですがこれ、アズライトの特性に反しているのでは? 『アズライトバースト』が完全な性能を発揮するには粒子を溜め込む必要が…」

瑞鳳「だからメッサーツバーグ自体に粒子タンクを埋め込んでる。つまり本体からのエネルギー供給無しで使えるのよ。

で、それを合計6丁。ドライツバーグ二つ分用意しておいた」

海風「ではこのシールドは?」

瑞鳳「『ウイングアズライトシールド』。見た目は変化無いけど蒼龍さんのDXのシールドと同じ『アブソーブシステム』を新しく内蔵しといた。これで敵のビームはほぼ効かない。

ただそのせいで実弾に弱くなっちゃったんだよね」

神通「本末転倒では?」

瑞鳳「だからもう一つの機能として対・実弾用粒子フィールド形成機能を追加した。 これでビーム・実弾への対策は完璧よ」

霞「徹底的ね…」

瑞鳳「次に『シームルグ』用のはこの『アームドアーマーAW(アークウイング)』。今までのV字ウイングをちょっと大型化したの。

推力比は20%増し、大きく機動性が上がってる」

朝雲「この装甲… もしかしてNT-Dに連動しているんですか?」

瑞鳳「うん。サイコフレームを作りこんで、本体がNT-Dを発動するとこっちも変形して装甲がスライドするの。

でもコレの真価は『コード・ブレイヴ』の『発動後』に発揮する」

萩風「発動後、とは?」

瑞鳳「シームルグには欠点があって、『コード・ブレイヴ』発動時の大出力砲撃、『プラフスキー・ステラ・ストレイターレット』を放つと本体の粒子が尽きるまで放射が止まらないのよ。

強制的に粒子をカットする機能を付けたけどほぼ焼け石に水でその後も極端に性能が低下しちゃって… だからこのアークウイングにジェネレーターを付けた。本体の粒子が尽きたら、こっちから粒子を供給して継戦できるようにね」

天津風「確かにそれなら全力を発揮できる… 良い装備ね」

瑞鳳「そしてエクシアのは『GNHW/R』、エクシアのバックパックに追加機能を施した装備だよ」

萩風「これは、ランチャーですか?」

瑞鳳「このGNランチャーは貫通力と射程に特化して、しかもビームが細い上に弾速も速い。見切るには相当の視力が要る。

その分狙撃技能もそれなりに要するけど…」

萩風「私なら問題ありません。狙撃の訓練は受けています」

瑞鳳「そしてもう一つ、オートでの自律戦闘機能。バックパックを切り離すと支援機として扱うことが出来るってこと。

本体が格闘を挑んでる間にコソコソ隠れながら狙撃支援、なんてこともやれるよ」

萩風「私向け、と言う訳ですね」

瑞鳳「まず第一陣はこんな感じ。第二陣はもう少し待っててね」

愛宕「ここまでの装備だと、後がちょっと怖いわね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/05(月) 02:19:19.76 ID:DQehqA8HO<> 《選手宿舎屋上》


朝雲「…何よ、急に呼び出して」

嵐「その… すまなかった。萩の事、何も考えて無くて… 自分の事ばっか考えて、萩を傷つけちまった」

朝雲「謝るべき相手は私じゃ無い。ま、人の制止を無視したのには怒ってるけど… 二度としないなら良いわよ。

それより、『前の萩風』について教えて貰え無い? 私は『今の萩風』しか知らない、だから友達として前のあの子についても知っておきたいの」

嵐「…アイツは世話焼きな癖に、妙に怖がりでいっつも俺の後ろに居たんだ。

野菜が大好きで甘いもんが苦手で… でも明るくていつも居て楽しかった。だけど俺が中学に入るのと同時に居なくなった… 初めは連絡が取れてたんだ。でも急に連絡が途絶えて…」

朝雲「事故にあって、再会した時には今まで知ってる萩風は居なくなったって訳か… まあ、アンタが困惑する気持ちも多少は分かるわ」

嵐「ああ… なぁ、アイツは本当に萩なのか…? 俺には何か、違うような… 他人になったような気がするんだ」

朝雲「そうね… 私には答えられない質問よ。だけど一つ言えるとすれば… あの子の心は、魂は本物よ。例え記憶が無くても、以前とは違っていたとしても…

あの子が『萩風』である限り、偽物も本物も無い。 私はそう思ってるし、あの子を信じてるから」

嵐「そうか… 良い友達を見つけたんだな、アイツも…」



朝雲「立ち聞き、良くないわよ」

萩風「気配は完全に消していたのですが…」

朝雲「ええ、気配はね。 私と萩風、さっきのリンクがまだ完全に切れてないみたいなのよ」

萩風「道理で、私もここが分かった訳ですか」

朝雲「…さっき記憶が流れ込んだって言ったわね。 多分もう一人にも同じ現象が起きてる筈よ」

萩風「はい… 私の記憶を垣間見て、どうやら真相に辿り着いてしまったようで…」

朝雲「そう…」

萩風「今ギリギリ形を保っていますが、次に覚醒すれば確実に…」

朝雲「消える、のね。 ねぇ、意識を一時的に覚醒を遅らせることって出来る?」

萩風「彼女の人格が弱ってる今なら出来ますが…」

朝雲「…」

萩風「…私と、同じこと考えてますね」

朝雲「そうみたい」

萩風「一つ、聞かせてください」

朝雲「何よ」

萩風「彼女、嵐さんに言った言葉… 偽りはありませんか?」

朝雲「無いわ。 私は信じてる、萩風を。一人の友として、チームメイトとして… ううん、それ以上の存在として」

萩風「例え私が昏睡病のキャリアーを葬ってきた、血塗られた人間だとしても?」

朝雲「勿論。 贖罪が要るなら、私も付き合ってあげる。 罪も重責も一緒に背負って分かち合う、萩風を信じるって決めた時そう決めたから」

萩風「そうですか… その答えが聞けただけで、満足です。 私が貴女を守り抜く、そう誓いましたが…

改めて言わせてください。 私と共に、未来を壊すために戦ってくれませんか?」

朝雲「良いわよ。 全部ぶち壊してやるから。 アンタと一緒に、ね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/05(月) 03:08:04.09 ID:/dAFFcgVO<> 《翌日 大会アリーナ》

『これより東京代表『フリューゲル・ヴェント』対栃木代表『トリオ・ザ・レッド』の試合を開始します』


海風「二人共、準備は?」

朝雲「OKよ。いつでもやれる」

萩風「こちらも、問題なく」


鬼怒「よしっ…!やるよ!」

江風「昨日の借り、返させてもらうぜ…!」

嵐「萩… 例えお前だとしても…!」


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "SKY"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


朝雲「朝雲! RX-0[Sm]シームルグ!」

萩風「ガンダムエクシアルベルム、萩風!」

海風「ウイングガンダム・アズライト、海風! チーム・フリューゲル・ヴェント!」

朝雲「出るわよ!」

萩風「行きます!」

海風「出撃します!」


天城「あれは… 『シームルグ』、ですが…」

榛名「バックパック、換装されてますね。天城、念のためデータを取ってください」

陽炎「それだけじゃない。全員新装備持ってる」

長波「追加武装の類だけど… 使いこなせるのか?」

阿武隈「多分出来る筈だよ。あのチームのメンバーならね」


能代「なっ…!? 改RX-0!?」

アドウ「おいおいおいおい… 何がどうなってやがる」

シア「あの機体、間違いなく宮城の…」

ウィルフリッド「コピー機か? いや、だがあの『真紅の戦乙女』が…」

能代「あれは間違いなくオリジナルよ…! 私の知らないタイプだし多少調整は受けてるみたいだけど、あの機体の作り込みや癖は間違いなく…」

能代(どうして…? 確かあの子の機体はストライクで… まさか、前に使ってたガン=カタはまさか先輩の…!?)


朝雲「敵、見えてきたわよ」

海風「そのようです。 各機へ、今回のステージは洋上の空です。遮蔽物などはなく、重力下なので充分注意を」

萩風「ステルスはあまり役に立ちそうにないわね… 敵機識別開始します」


敵編成(機体名・改造内容も併記)
・鬼怒機 直下
・嵐機 下3
・江風機 下5

ベース機条件:機体が元々『赤いMS』であること
改造条件:塗装は赤系統限定 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/05(月) 09:57:37.54 ID:7xrqJiEy0<> レイジングアヘッド

GNバルカンx2
GNサブマシンガン
GNメイスx2
GNショートキャノンx2
GNシールド
GNショートビームサーベル
ブシドー専用アヘッドを近接機として別の方向性から改装した機体。
原型機と比べ機動性は少し低下しているが、その分装甲は分厚くなっている。
主武装は鉄血オプションセットの変形メイスを改造したGNメイス。
変形時にはビーム刃を展開することができる。
隠し玉としてトランザムも使えるが、1分しか使えない。
また本人の趣味なのか、所々鬼の意匠が施されている。塗装は原型機と同じ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/05(月) 10:42:23.46 ID:7xrqJiEy0<> ksk <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/05(月) 11:19:40.11 ID:KmtoLomk0<> レコードブレイカー・フルウェポン

右手にムラマサブラスター、左手にピーコックスマッシャー、背中にGキャノン方式でヴェスバー、両手のビームシールドはブランドマーカー、両脚にヒートダガー、右腰にスクリューウェップ、左腰にビームサーベル×2、MEPEを登載したサナリィ製ガンダムの武装てんこ盛り機体

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/05(月) 22:20:15.79 ID:rOJmprrj0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/07(水) 20:22:47.43 ID:Dz0KOO78O<> ハウンド・コンティオ

リグ・コンティオの改造機
原型からの改修点はヴァリアブルメガランチャーのバレルを延長していること。
またゴドラタンのビームトンファーを移植、ゲンガオゾのバックパックを装備している。
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/08(木) 01:45:32.82 ID:f4mBP7I1O<> 萩風「敵機は擬似太陽炉搭載型1、通常型2と断定。目視による機種判別、『アヘッド・サキガケ』『レコードブレイカー』『リグ・コンティオ』と推測」

朝雲「飛べないヤツでも来てくれれば良かったのに…」

海風「しかしチーム名の通り全機赤とは… 機体データ共有開始。各機、事前の打ち合わせ通りに」


敵部隊捕捉

レイジングアヘッド(鬼怒機)
武装
・GNバルカンx2
・GNサブマシンガン
・GNメイスx2
・GNショートキャノンx2
・GNシールド
・GNショートビームサーベル

概要
アヘッド近接格闘型『サキガケ』を近接機として別の方向性から改装した機体。
原型機と比べ機動性は少し低下しているが、その分装甲は分厚くなっている。
主武装は鉄血オプションセット08の変形メイスを改造したGNメイス。 変形時にはビーム刃を展開することができる。
隠し玉としてトランザムも使えるが、1分しか使えない。
本人の趣味として、所々鬼の意匠が施されている。塗装は原型機と同じ。


レコードブレイカー・フルウエポン(嵐機)
武装
・ムラマサブラスター
・ピーコックスマッシャー
・ヴェスバー×2
・ビームシールド(ブラインド・マーカー)×2
・ヒートダガー×2
・スクリュー・ウェッブ
・ビームサーベル×2

概要
F99レコードブレイカーにF90系統の機体の武装を取り付けた機体。主にF97(クロスボーン)のものが多い。
右腕にムラマサブラスター、左腕にピーコック・スマッシャーを保持。
Gキャノン方式で両肩にヴェスバー、右腰にスクリュー・ウェッブ、左腰にサーベル2本を装備。さらに両脚裏にヒートダガー、両腕にブラインド・マーカーが追加されている。
また機体に放熱機構を搭載したことでM.E.P.Eが可能となっている。
しかし武装が多くなっていることでエネルギー消費増加の点や質量増加による運動性の低下は免れられない…


ハウンド・コンティオ(江風機)
武装
・ヴァリアブル・ビーム・ランチャー改×1
・胸部ビーム砲×3
・ビーム内蔵式ショット・クロー
・ビーム・サーベル×2
・ビーム・ライフル×1
・ビーム・シールド×2
・ビーム・トンファー×2
・マルチプル・ビーム・ランチャー×5(バック・エンジン・ユニット)

概要
リグ・コンティオの改修機。他の2機と比較すると改修点は多くない。
原型からの変更点はヴァリアブル・ビーム・ランチャーは原型よりバレルが長くなっており射程が増していること。
またゴドラタンのビーム・トンファーを両腕に、ゲンガオゾのバック・エンジン・ユニットをバックパックに追加装備している。
余談だがコンティオを逆さに読んではいけない。そして決して女性が言って良い言葉では無い(戒め)。



鬼怒「あれ、あの青い機体新型…?」

嵐「エクシアは萩、ウイングは鬼怒の従姉妹だから… アイツか…!」

江風「おいおい… あれ、もしかして宮城のヤツか?」


朝雲「もうすぐ戦闘域よ、良いわね!」

萩風「はい。 追加武装も良好、やれます!」

海風「では今回は天津風さん監修、空中戦術と参りましょう! 全機ブレイク!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/09(金) 01:35:35.65 ID:UJGAy7wkO<> 天津風「何で空のステージで私じゃないのよ…!」

霞「仕方無いじゃない。ステージは全部ランダムなんだから」

神通「お母様、愛宕先生。この試合どう見ますか?」

愛宕「大気圏内の高高度戦闘は始めての実戦だから… どれだけその点を活かせるか、ね」

瑞鳳「勝利の鍵は朝雲ちゃんと海風ちゃんが機動力を活かして上手く萩風ちゃんから目を逸らせるか、かな。

二人がステージの雲海や太陽を利用して敵を翻弄、そこからエクシアが奇襲をかけるのが最善策ってところでしょ」


天城「さらに言えば今回のステージ、どれだけ空戦技能を持っているかと言う点が勝敗を分かちますね」

榛名「空中戦は重力がある分宇宙戦とは違いその点を考慮して戦闘をしなければなりません。また空中を『飛ぶ』必要がある為持久戦はエネルギー消費の点を考えても得策ではありませんから…

いかに短時間で敵を殲滅できるか、そして消費を抑えた戦いが出来るかに懸かっています」


鬼怒「敵が2機、突っ込んでくるよ!」

江風「あのウイング…!絶対落としてやる!」

嵐「突っ込んでくるなら、迎撃だ!」


真っ直ぐ敵陣に突っ込むウイングとシームルグ、そして鬼怒達3機は編隊を組んでのビーム砲撃で迎撃を行う。

そしてシームルグがウイングを盾にするように後方に就く。


朝雲「海風、防御任せた!」

海風「了解! アブソーブシステム、展開!」


海風がシールドを前面に翳すと装甲がスライドし内部機構が露にり、殺到するビーム攻撃を『ウイングアズライトシールド』が防ぎ、吸収した。


鬼怒「嘘!?効いて無い!?」

嵐「ビームが、消えた!?」

江風「どンな手品してやがンだ!?」


海風「粒子吸収機構、これなら…! 朝雲さん、やります!」

朝雲「オッケー!まずは牽制、海風!」

海風「ツイン・バスター・ライフル、メッサーツバーグ6基連結完了! これでも受けなさい!」


ツイン・バスター・ライフルに新造武器である『メッサーツバーグ』を全て連結し放つ海風。

吸収した粒子を攻撃に転換した極大のビームは鬼怒達3機目がけて一直線に駆けていく。だが鬼怒達は咄嗟に散開することで攻撃を回避した。


鬼怒「うわぁっ!? ちょ、なんて威力なの!」

嵐「掠ってもヤられるぞ、あの出力…!」

江風「おい、余所見を…」

鬼怒「っ…!」


朝雲「こっちが、本命よ!」


シームルグの持つ『シェーバティール』から放たれるライフリングされた実体弾がアヘッドへと放たれる。

直撃コースの攻撃を辛うじてシールドで防ぐがシールドは一撃で砕け、アヘッドは吹き飛ばされてしまう。


鬼怒「シールドが無かったらヤられてたよ…!」


海風「流石に一撃じゃ倒しきれない…! 朝雲さん、近接戦闘に移行します!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/09(金) 03:06:48.54 ID:5q/4JGWxO<> 海風「では作戦通り、朝雲さんはレコードブレイカーを引き離してください!残りはこちらで引き受けます!」

朝雲「ごめん、助かる! こっちが終わるまで墜ちないでよ!」

海風「勿論です! 寧ろそちらも気を付けてください!」


シームルグがレコードブレイカー目がけて加速し、海風は残存する2機へと向かう。

そして朝雲と嵐による1対1、海風と鬼怒・江風による1対2のドッグファイトが始まった。


天津風「…一体、何やってるの?」

愛宕「セオリーを無視して、どうする気なの…?」

瑞鳳「きっと、個人の感情を優先させたんだね」

霞「嵐ってヤツと朝雲、そして萩風の私闘にケリを着けさせようとしてんのよ」

神通「『前の自分』と『今の自分』の決別、きっと萩風が望んだのでしょう」



朝雲と嵐、両者の譲れないものの為に二人は激突する。たった一人『萩風』と言う少女を巡って。

ピーコックスマッシャーから放たれるビームを回避し機体を上昇させる朝雲、太陽を背に急降下を行いながらシェーバティールで実弾を放つ。


嵐「っ…! 嫌な手使いやがって!」

朝雲「避けられた…! 流石に速いわね!」


咄嗟に攻撃を避ける嵐のレコードブレイカー、だがシームルグは追撃を止めない。

シェーバティールから粒子結晶の刀身を形成して切りかかるが嵐はムラマサブラスターで斬撃を防ぐ。


嵐「パワーが、違う…!」

朝雲「このまま押し切る!」

嵐「なら…! コイツを使うしか…!」


機体を後退させる嵐、背部のミノフスキー・ドライブユニットから光の翼が形成されると同時に機体が放熱を始める。

レコードブレイカーの機体が光を帯び、直感的に危機感を覚えた朝雲がシェーバティールの刃を射出したが…


朝雲「分身…!? M.E.P.E!」

嵐「まさか、コイツを使わされるとはな…!」


放たれた刃が切り裂いたのは分身、そしてレコードブレイカーは一瞬で機体を上昇させて回避していた。

だから朝雲も新たな手を打つ。 機体装甲がスライドし、内部のフレームが露出して黄緑の光があふれ出す。


嵐「NT-Dか!やっぱり宮城の…」

朝雲「高速戦闘はこっちも得意なのよ!シームルグの全力、見せてあげる!」



行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/11(日) 10:30:14.45 ID:PUSjj/fX0<> 機動力を削ぐためにスラスターを集中攻撃 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/16(金) 03:10:15.21 ID:IcSjGGic0<> シェーバティールによる攻撃を間一髪のところで避けるレコードブレイカー。

朝雲の駆るシームルグは分身に惑わされず的確に本体を狙い攻撃を仕掛けていく。


朝雲(やっぱり実弾じゃちょっと遅い…!これがビームなら…!)

嵐「コイツ、なんでこっちの本体が分かるんだ…! M.E.P.Eでセンサーがイカれてる筈だろ!?」

朝雲「なら、センサーに頼らず『目』で見て撃てば良いだけなのよ!」

嵐「この状況で正気かよ!?」


嵐にとっては耳を疑う発言だった。目の前の敵は照準にセンサーを使わず自分の目と腕だけで先程から直撃弾スレスレの弾を放っていたと言う事実。

機動格闘戦においてそれは至難の技であり少なくとも嵐自身は出来ないと思っている。しかし敵対する朝雲はそれを平気でやってのけているのだ。


朝雲(だけど小さい上にすばしっこいわね… これじゃ致命傷は難しいかも)


致命傷を与えるには機動力を封じる必要がある、朝雲は考えた結果『背部のミノフスキー・ドライブ・ユニットの破壊』を考えた。

だがそれはレコードブレイカーを封じるための最良手段でありながら最難関の手段でもある。


朝雲「大丈夫よ… だって私には『見ていてくれる人』が居るんだから!」

嵐「来るか!」


シェーバティールから数発の弾丸がタイミングをズラして放たれる。 レコードブレイカーはその弾を掻い潜ろうと弾丸の隙間を掻い潜り、シームルグとの距離を詰め間合いに入る。

加速性の高いレコードブレイカーだからこそ出来る芸当、そしてシームルグのシェーバティールは取り回しが悪く近接格闘の応戦には不向きであると踏んだ嵐が一気に勝負に出たのだ。


嵐「貰ったぁぁぁぁぁぁっ!」

朝雲「今よっ!」


ムラマサブラスターによる斬撃が振り下ろされようとしたその刹那、2条のビームがレコードブレイカーの翼を貫く。

翼を折られた敵機が失速するのを朝雲は見逃さない。シェーバティールを打撃武装のように振るいレコードブレイカーを殴り飛ばした。


嵐「ッ!? な、何だよ!」

萩風「見ていましたよ、朝雲さん。一時も目を逸らさずに」


レコードブレイカーが姿勢制御を行い体勢を立て直した瞬間、雲間からステルスモードを解除したエクシアが現れレコードブレイカーへと肉薄し右腕のクナイを振り下ろす。

そしてその斬撃はピーコックスマッシャーを切り裂き爆散させた。ピーコックスマッシャーを囮に斬撃を間一髪で逃れた嵐、そして状況がようやく理解するに到る。


嵐「お前がやったのか、萩!」

萩風「貴女はすぐ背中が疎かになる…!前や上だけ見ているから!」

嵐「なっ…!? 萩、お前…」


『前世の自分』の記憶を垣間見た萩風は彼女の癖を知り尽くしている。だから朝雲が最高のタイミング、確実に直撃を与えられる絶好の位置にレコードブレイカーを誘導する瞬間を狙っていたのだ。

朝雲の一挙一動に注目して、通信で言葉を交わさずともその意図を理解して、朝雲がきっとチャンスを作ってくれると信じて。


朝雲「前や上を見るのは結構! でもね、大事な人はすぐ後ろや隣に居てくれるかもしれないのよ!」

嵐「ふざ、けんなぁぁぁぁぁぁっ!」


シェーバティールの銃口に粒子が結晶化し、刀身を形成したシームルグが目にも止まらぬスピードでレコードブレイカーへと迫る。

嵐はその攻撃を切り払おうとムラマサブラスターを構えるがエクシアが『マガノイクタチ』を射出しその両肩を貫き破壊した。


萩風「やって!朝雲さん!」

朝雲「これで、決めるわ!」


撃墜判定(15以上で撃墜) 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/16(金) 07:27:03.47 ID:0CtKaCpp0<> はいよ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/17(土) 03:14:09.57 ID:8wNkpo0E0<> 次の瞬間、粒子の結晶で形成された刃がレコードブレイカーを貫いた。

だがレコードブレイカーはまだ生きており、残るヴェスバーの銃口をシームルグに向ける。


嵐「これで、お前も…!」

萩風「終わるのは、貴女だけよ」


背中からエクシアの左腕に装備されたGNクナイが振り落ろされ機体を両断され、貫いていた粒子結晶が砕けてレコードブレイカーは空から落ちていく。

『自分は前しか見ていない』、前から萩風に告げられていた筈なのに気がつけなかったのだ。だがいつも背中を守ってくれる人が居た筈だったのにもう居ないことに気付いてしまった。


嵐(だからか… もう俺は、一人なんだな)


あの頃の、自分の背中に居てくれた『萩風』は居ない。今目の前に相対する『萩風』はもうあの頃の彼女では無かった。

強くなったと言うべきか、変わってしまったと言うべきかは分からない。だが一抹の寂しさを感じながら、嵐は操縦桿から手を放す。そして次の瞬間、レコードブレイカーの機体は爆散する。


萩風「…」

朝雲「…このバトルを終わらせたら、ちゃんとやらないとね」

萩風「追い討ち、になりませんか?」

朝雲「大丈夫よ、きっと…」


NT-Dを解除したシームルグと一緒に佇むエクシア。青と紫の機体が互いの両隣に立ち、顔を見合わせる。

第一の目的は達したがまだ戦闘が終わった訳ではなく感傷に浸る余裕は無い。まだ海風が2機相手に奮戦している、その援護に向かわなくてはならないのだ。


朝雲「行くわよ!さっさと残りも片付ける!」

萩風「了解! 戦闘を継続します!」





バック・エンジン・ユニットに向けツインバスターライフルを放ち撃ち落とす海風。そして背後から襲い掛かるアヘッドのメイスによる攻撃を連結した『アズライトウイングブレイド』で防ぐ。

チーム内で最高性能を誇る『ウイングガンダム・アズライト』と海風の能力を組み合わせれば全国級の2機すら手玉に取れていた。


江風「なンで墜ちないンだよコイツっ!」

鬼怒「まるでこっちの動きを全部見透かされてるみたい…!」

鬼怒(機動や連携だけじゃない、動作一つ一つも読まれて先手を打たれる… どうなってるの…!?)

海風「保ち堪えれば良いかと思いましたが… 本気でかからないとこちらも少し危うい…!」


このまま防戦を続けて疲弊するのはあまり良くないと考えた海風は動き出す。

機体出力差を活かしてアヘッドを弾き飛ばしコンティオへと肉薄する。当然迎撃しようと胸部のビーム砲を放つコンティオ、それを海風は難なく回避し距離を詰めた。


江風「しまっ…!?」

海風「まず1機!」


メッサーツバーグ6基と連結したツイン・バスター・ライフルから機体の3倍はあろう長さの巨大サーベルが展開され、海風はコンティオへとその刃を振るう。

トンファーを展開してサーベルを受け流そうとするがあまりにも出力に差があり過ぎて防ぎきれず、コンティオはそのままビームの刃で真っ二つにされた。


江風「こンな…!嘘だろ…」

海風「残り1機… 覚悟してください」

鬼怒「こっちだって、負けられないんだから…!行くよ、海風!」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/19(月) 01:23:15.18 ID:1Y1bIntP0<> 朝雲、萩風を待ち、連携で仕留める <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/19(月) 03:02:34.98 ID:zfmOsac60<> アヘッドのメイスによる打撃をブレイドで防ぎ切り結ぶウイング。パワーはウイングが上回っており徐々にアヘッドを押していく。

このままでは負ける、そう考え最後の切り札を鬼怒は解き放った。


鬼怒「トランザム!」

海風「っ…!擬似太陽炉の機体なのに…!」

鬼怒「『アレ』を使われる前にカタをつけるよ!」


より赤色化したアヘッドが逆にウイングを押し返す。 だがこの優勢は長くは保たないだろう。

自身の技術力で製作した機体でトランザムを行使できるのは1分が限界、その制限時間内にウイングの『アズライトバースト』を発動される前に海風を倒さないといけないのだ。


鬼怒「このまま、押し切って…!」

朝雲「これでも、喰らえ!」


警報音に気付くが既に遅い。左肩のスラスターにシームルグの放った弾丸が直撃し吹き飛ばされる。

警戒はしていた筈なのにシームルグの存在に気付けなかった、その理由に鬼怒はようやく気付く。


鬼怒「エクシア…!ステルスを使って!」

萩風「流石にシームルグの熱反応は隠せませんでしたが… 赤外線センサーを使わなければ探知は出来ないでしょう!」


シームルグに抱きつく形でエクシアがステルス能力を行使していたのだ。シームルグの並外れた推力ならMS1機抱えたところで大したデッドウェイトにはならない。

だからこそエクシアがステルスに余剰な出力を割けるようにシームルグに掴まり、なおかつシームルグを隠匿すると言う連携が出来た。


海風「二人共、決めます!」

萩風「はい!」

朝雲「わかったわ!」


エクシアがシームルグから離れ、ダガーを投擲するがアヘッドはダガーを打ち払い、そこで生じた隙を逃さずシームルグが腕部を狙撃し両手を吹き飛ばす。

近接の手段を喪失した鬼怒、だがまだビームキャノンは残っておりシームルグへとその銃口を向けた。しかしエクシアがGNピストルUを抜き、連射してもう片方のスラスターを撃ち抜く。


鬼怒「あ…!」

海風「これで…!決めます!」


ウイングが左腕に装備している連結した『ウイングアズライトブレイド』。その一閃がアヘッドの頭部から叩き付けられ、アヘッドは真っ二つに裂ける。

自分より年下でガンプラ経験なんて無い筈なのに。そんな妹分相手に手玉に取られて負ける、少し悔しい思いの鬼怒だった。


鬼怒(成長したね…)

海風「敵機殲滅を確認。戦闘終了です」


BATTLE ENDED

Winner"Flügel Vento"


『Aブロック2回戦、第三試合。勝者、東京代表・『フリューゲル・ヴェント』!』

ワァァァァァァァァァ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/19(月) 04:13:21.68 ID:zfmOsac60<> 天津風「これで、次は決勝トーナメント…!」

神通「…しかし、これで良かったのでしょうか」

愛宕「萩風ちゃんの事?」

神通「はい。わざわざ彼女と戦うなんて…」

霞「きっと何かしらの考えがあるんだと思いますよ」

瑞鳳「朝雲ちゃんも居るし、きっと大丈夫だよ」

神通「あの二人だからこそ余計心配なんです…!」キリキリ

瑞鳳「ああ、うん… 問題児ではあるけどね。だけど朝雲ちゃん、意外とチーム内じゃ真っ当な考え方の持ち主だから大丈夫じゃない?

何かやらかしたら私が〆るから」



《その後 選手宿舎 屋上》


嵐「…なんだよ、話って」

朝雲「これじゃ昨日のパターンと真逆ね… ま、ここしか話せる場所が無いんだけど」

嵐「用件があるなら早くしてくれ。俺だって帰る準備で忙しいんだよ」

朝雲「用があるのは私じゃ無いわ。この子よ」

萩風「…」

嵐「萩… お前、どこから現れた?」

萩風「気配を消すの得意なんです。そう十年近く鍛えてきましたから」

嵐「え、十年…? どう言う事だよ、お前記憶が…!」

萩風「実は私、『萩風』であって貴女の知る『萩風』ではありません」

嵐「どう言う事だよ… こんなふざけた冗談はやめろよ…!」

朝雲「…この子は今からちょっと後、15年未来からやってきた存在なの。貴女の知る『萩風』が輪廻転生を迎えた、それがこの子よ」

嵐「輪廻、転生…?」

萩風「本来のこの時代の『私』は… 両親と一緒に事故に遭って、植物状態のまま死を迎えて『私』に転生する筈でした。

そこに『私』、『転生した萩風』が存在を成り変わる形で今の時代に来たんです」

嵐「じゃあ何だよ、俺の知ってる萩風はもう…」

朝雲「…」

嵐「…ふざけんなよ。ふざけんな! 返せよ… 萩を返してくれよ!」

朝雲「…それは、私達には出来ない事よ。もう事故の時点でアンタの知る萩風は…」

萩風「だけど、たった一つ奇跡が起きました。貴女が呼びかけたから、私の中に『前の私』の残滓が目覚めて…

先程、貴女の動きを読めたのはその影響… 彼女の記憶を共有しているからなんです」

朝雲「それだけじゃない。まだ『彼女』の残滓は消えて無い」

嵐「消えて無い…?」

萩風「最早風前の灯ですが… まだ彼女の人格は残っています。だけどこの機会を逃せば、二度とチャンスはありません」

朝雲「話したいことがあるなら… 最後に話すことがあるなら、この石を握りなさい」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/20(火) 02:58:23.99 ID:VrQ7eNdx0<> 《深層意識》


嵐「何だよ、これ」

萩風「私の心の中、と言えば良いでしょうか。表層に彼女の意識を出すことは難しいので」

朝雲「私達はここで待ってる。あっち、微妙に花畑が途切れてるところに彼女が居るわ」

嵐「分かった…!」


朝雲「…萩風はこれで良かったの?」

萩風「ええ。一番大事な人を失くしてしまう痛みは知っていますから」

朝雲「そうね… 瑞鳳さんが死んで、神通先輩は行方不明になって…」

萩風「何も告げずに居なくなられるのは辛いから、本当に… だからこれが私に出来る精一杯、してあげられる最善です」

朝雲「そっか… でもこれが本人にとっては吉なのか、凶なのか…」

萩風「最後に言葉を交わせる、と言う点では吉です。凶の中の吉、でしかありませんが…

だけど、この時代の『本来の私』にとっては最後の救いになると思います」



嵐「萩!」

萩風(オリジン)『え…? あら、し…?』

嵐「ああ…!やっと、やっと会えたな…!」

萩風(オリジン)『嵐っ…!』



朝雲「ここから先は、私達が立ち入るべきじゃないわ。あの二人きりにしましょ」

萩風「…そうですね。私の共有してる記憶も、封印しておくことにします」

朝雲「でもお別れ、か… 人はいつか遅かれ早かれ終わりが来る。大事な人との別れは、相当辛いわよね…」

萩風「…朝雲さんは、耐えられますか?」

朝雲「無理。私これでも寂しがり屋だから」

萩風「そうですか」

朝雲「でも私もアンタといつか別れる日が来る、のよね… 未来を変えたら、どうなるか分かったもんじゃないし」

萩風「その時は… 私の事は忘れてください」

朝雲「嫌よ。忘れる訳ないじゃない。 例え記憶を失くしても絶対に憶えててやる」

萩風「朝雲さん…」

朝雲「言葉に出来なくなっても、記憶が消えていても、多分この手がアンタを憶えてるから。

だから私は絶対にアンタを忘れない。忘れてなんかやるもんか」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/20(火) 03:34:24.84 ID:VrQ7eNdx0<> 《現実世界》


朝雲「…リンク、切れたみたいね」

萩風「はい… 私も、もう何も感じません」

嵐「…」

朝雲「その… 大丈夫?」

嵐「んな訳、あるかよ…!」

朝雲「そう、よね…」

嵐「だけど… ありがとう、な。アイツと最後に話す機会をくれて」

萩風「いえ… 私は、彼女への『最善』をやったまでです」

嵐「いや、アイツは最後笑ってくれた。 それだけで充分だよ」

朝雲「だってさ」

嵐「それと、アイツから話は聞いた。お前、未来の自分の母親を助けに来たんだろ?」

萩風「はい。その為に、私はこの時代に来ました」

嵐「アイツからの伝言だ。 『絶対に願いを叶えて』って」

萩風「無論、そのつもりです。未来を変える、そしてお母様が死ぬ原因を覆してみせます」

嵐「あとお前、朝雲って言ったな」

朝雲「何よ」

嵐「萩の事、頼んだぞ」

朝雲「分かってるわよ。私の大事なパートナーなんだから」




瑞鳳「で、何か言い訳は?」

朝雲・萩風「ございません…」※正座

瑞鳳「全く、何やってるのよ…!」

神通「散々意識共有の危険性は説明したのに、あまつさえ他の人を巻き込むなんて…!」

瑞鳳「確かにそうしたくなる気持ちは分かる。でも無謀過ぎるのよ。自我が崩壊したらどうする気だったの…!」

天津風「…どうする?助け舟出す?」

海風「いつもの事なので放置しましょう」

霞「ええ。行動事態は理解できなく無いけども、流石に危険に巻き込んだのは擁護できないし」

海風「それに他の人には秘密のことをポロポロ喋っちゃってますからね」


神通(その後、二人はお母様にこってり絞られました。 まあ、萩風が『彼女』の願いを叶えたい気持ちは理解できなくはありませんが…)


第15話『言葉よりも記憶よりも』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/20(火) 04:11:08.46 ID:VrQ7eNdx0<> 次話選択、といきたいところですが…


ここで『ルート分岐』が発生します。16話以降の選択により未来が変動、大筋に変化はありませんが終盤の状況と結末が変化(結構大きい)いたします。

そして第16話において選択した話が、その基点となっており誰の話を選んだかによってルートが変わります。また『あるキャラクターの話』にのみ『2つの分岐』が存在しており、その分岐によって『最高の未来』か『最悪の未来』かに変わってしまうのでご注意を(他のキャラは一本道のみ)


また『最高の未来』へと行く道は…

・『そのキャラクターが主役の話』を選択する
・海風・霞・神通の3人が阿武隈・陽炎・長波と『決勝戦』で戦う
・海風が『ある出来事を乗り越え』、自らの能力の本質に気付く
・霞が覚醒を果たし『ある人物』と感応を行う
・神通が『母親を越える』こと
・全日本選手権が終わるまでに海風が3度目の『浜風との共闘』を行う
・9月1日を迎えるまでに『EXAMに関する全ての出来事』を終わらせる


となります。また『三番目』と『六番目』の出来事は『16話』でしか発生しません。予めご注意を。


では次話選択 ↓多数決で4先取

1.海風編(ルート『Azurite Creator』)『Belive Myself』…海風の前に再度現れるスドウ・シュンスケ。嫌々ながら浜風と再度の共闘をするがその中で自ら
の能力が暴走してしまう…

2.霞編(ルート『Across Fate』)『因縁の終わり』…選手権大会準決勝、戦う相手は一度ずつの敵対・共闘をした『ホワイトクリーン』だった。互いに以前より成長し、その全力を以って6人が激突する…

3.神通編(ルート『Another Heaven』)『変わる未来と』…選手権大会準決勝、その戦いの直前ニムバス率いる一味が襲撃をかけてくる。本来起きなかった出来事、徐々に変動していく未来が神通を蝕む… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/20(火) 06:43:11.51 ID:aEUmcNyL0<> 2は罠
という訳で1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/20(火) 08:11:38.92 ID:XneIVznn0<> あえて3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/20(火) 10:00:58.26 ID:PPvz1yCT0<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/20(火) 11:38:43.80 ID:2Krv5yNnO<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/20(火) 12:08:44.07 ID:Smt2z2cg0<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/20(火) 18:41:01.19 ID:kM1fCDcXO<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/21(水) 02:27:09.37 ID:WU2VAqgA0<> 海風ルート『Azurite Creator』

第16話『Belive Myself』


《世界選手権用選手宿舎・トレーニングルーム》


海風(射線予測開始、接近に最適な軌道を算出… 見えた!)


ドラグーンの射線を予測し最小限の動作でビームを掻い潜りながらウイングはプロヴィデンスとの距離を詰める。

そしてプロヴィデンスに迫り、翼から『ウイングアズライトブレイド』を抜き放ちプロヴィデンスへと迫っていく。


海風「貰っ… いや、誘い込まれた!」

浜風「見抜かれた…!だけど!」

海風「一々嫌な手を使う…!」

浜風「それは海風もです!」


背後から、デブリの陰に隠れていたドラグーンのビーム砲が放たれたのを察知して回避機動を行い射線から逃がれた。

浜風を相手に、3年の経験差を海風が覆すのは容易ではない。だが彼女は芽生えた『未来予測演算』の力を以って必死に喰らいついている。


浜風「…ふぅ。夕雲、バトルシステムを終了してください。テストはこれで終了です」

夕雲「分かりました。バトルシステム、終了します」


BATTLE ENDED


浜風「海風、ありがとう。これで有意義なデータを取れました」

海風「何で海風が…」

浜風「ニクスの代わりの機体を製作するためのデータ取り、そして同時に『ウイングガンダム・アズライト』のデータ取りも兼ねています」

海風「今更取りますか、普通」

夕雲「どうにも瑞鳳さん曰く『アズライトのデータも欲しい』、とのことで」

海風「ハァ… 瑞鳳さんに整備して貰ってるので仕方ありませんけど… 約束、忘れないでくださいよ」

浜風「分かってます。 昼食に連れて行けばよいのでしょう」

海風(絶対高いの選んでやる…)
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/21(水) 03:19:07.71 ID:WU2VAqgA0<> 浜風(バビロニア学園の戦い以来、ある程度海風とは話すことが出来るようになってきた。

未だに多少棘はあるが態度は柔らかくなってきている。だが懸念事項はそれではない)


浜風「海風、頭の調子に問題は? 頭痛とか、眩暈とか」

海風「貴女に心配される程ヤワではありません。慣らしました」

浜風「そ、そう…? 今の、多分全力行使をしていたと思って…」

海風「先程のは限定予測です。全力なんて10秒も使えませんよ」

夕雲「神通さんに聞いた所、全力時の情報量は読み取った超能力者の脳を一瞬で破壊する情報量だったとか…」

浜風「ELS並…」

海風「人を変異性金属体扱いしないでください」


浜風(未来予測演算、それが海風の能力。 脳の『その時使用していない部分』を全て使って数多の未来を想像する力…

『ゼロシステム』が頭にあるようなものだと瑞鳳さんは言っていた。そしてその能力を全力で行使する事は海風の脳にも多大な影響を与えて…)


海風(確かに今は能力をセーブして使っているから行使出来ているようなものだ。そもそもこの能力は本来ただの『妄想』でしかない。

妄想を、脳に膨大な負荷を与える形でしているだけなのだから能力と言って良いのかすら危ういが。だけど… 最近は制御が少し追いつけていない。鬼怒さんと戦った時も…)


夕雲「では夕雲は瑞鳳さんの所にデータを持って行きます。後は二人でごゆっくり」パタン

浜風「…」

海風「…」

浜風(い、いきなり気まずい… やっぱり二人きりは…)

海風「…何でそんなに狼狽えてるんですか」

浜風「別に狼狽えてなんか… それより、食事に行きましょう。何でもご馳走…」

海風「うなぎ」

浜風「え」

海風「静岡と言えばうなぎでしょう」

浜風「さ、流石にそれは…」

海風「何でも、と言いましたよね」

浜風「それはそうだけど、流石に子供だけでうなぎは…」

海風「冗談です。確か少し街中に行ったところに噂に聞いた静岡限定の美味しいハンバーグのお店があったかと」

浜風「まあ、それなら…」ホッ


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/21(水) 07:14:17.33 ID:MG68Mvaf0<> ガンプラ学園組と鉢合わせ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/23(金) 03:41:13.42 ID:2HIH/udF0<> 《街中》

浜風「海風、チーム戦はどう?」

海風「どうしてそんな事を」

浜風「私はチーム戦を出来ません。 私や春雨は本来の大会規定では世界選手権に出場出来ない。

だけど第7回までの実績があるから『特例』として認められているだけです」

海風「貴女がベスト4、そして春雨さん達が優勝をした大会ですか」

浜風「そう。あの選手権以降ルールが細分化されて3on3のU-19の国内大会、そしてそれ以外のオープントーナメント式の世界選手権に分かれた。

だけど私達は国内大会で戦うには『強すぎ』ました。世界大会すら上位に登りつめてしまった私達が学生を相手にうるのはフェアじゃない。見た事のある貴女なら分かる筈」

海風「確かに、バビロニア学園の一件の際に春雨さん達の戦いを見ていましたが… 少なくとも私達では張り合うのは難しいかと」

浜風「だから運営は特例を設けるしかなかった。そして参加レギュレーションに『年齢制限を満たしておらずとも過去の選手権で上位の成績を残したファイターは世界選手権への参加を認める』と言う1文が追加されました。

だけどそれは逆に『私達はU-19の試合に出場出来ない』と言うのと同義語、つまり私達は世界大会の場でしか戦う事が許されません。だからコンビ戦はあってもチーム戦、チームメイトとの3on3は未経験なんです」

海風「…連携で動けるようになるまでは苦労しましたが、慣れてみればとても楽しいです。

多分一人ではガンプラバトルを続けてはいなかったでしょう。 未だに苦労することはありますが、とても楽しいと思います」

浜風「そう… なら良かったです。春雨と一緒に『フレスヴェルグ』を作った甲斐がありました」

海風「装甲の半分くらいしか作って無いと聞きましたが? フレームとクリアパーツの外装、武器は全部春雨さんが製作したとか」

浜風「作業スピードの差があるんですよ… 私がガンプラの素組にHGで2時間なのに春雨はMGで1時間に満たない時間で私より上手くできるし…」

海風「まぁその師匠がPGを1時間で組み上げる猛者ですからね…」

浜風「人外は伝染するって初めて思い知らされました…」


「おいおい… マジかよ。不仲って聞いてたんだがな…」

「アドウさん、女心は複雑なのよ」

「こんな所で巡り合うとは…」


海風「シア、それにキジマさん。あと…」

アドウ「アドウ・サガだ。アイツから聞いてないのか?」

海風「聞いてますよ」

浜風「この三人、確かガンプラ学園の…」

ウィルフリッド「初めまして。キジマ・ウィルフリッドと言います」

シア「同じく、妹のシアです」

浜風「私の方は… まぁ言わなくても分かるでしょう」

ウィルフリッド「ええ。前年度世界チャンプの一角、『最強の戦術家』の名前を持つ日本代表ファイター・浜風。

ガンプラを学ぶ者に貴女を知らない者は居ないでしょう。いずれ貴女とも対戦したいものです」

海風「確かガンプラ学園は午後からの試合の筈ですが…」

シア「そうよ。だから学園で練習してたのよ」

浜風「確かガンプラ学園は静岡市内にありますから練習にはうってつけですね。宿舎のバトルルームは誰に見られるかわかりませんし」

ウィルフリッド「『フリューゲル・ヴェント』が既にベスト4入りを決めている今、我々も負けていられないからな」

アドウ「あの女… 確か神通つったな。伝えておけ、お前は俺が倒してやる、ってな」

海風「あ、はい」

シア「じゃあね、海風。霞によろしく伝えておいて」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/23(金) 04:10:09.83 ID:2HIH/udF0<> 海風「…まさかガンプラ学園と鉢合わせとは」

浜風「偶然もあるものですね。えと、確かこっちにお店… …海風、そこの建物の陰に」

海風「え…?」

浜風「早く…!気付かれる前に…!」


海風「一体なんですか…!」

浜風「アレを見てください」

海風「ッ…!?」


スドウ「クククッ… やってやるよ…!」


海風「スドウ・シュンスケ…!どうして静岡に…!」

浜風「分かりません。ですが彼はEXAMキャリアー、被害が出るかもしれません。

海風、瑞鳳さんに連絡を。大きな被害が出る前に彼を止めないと。私は彼を追います」

海風「いえ、海風も追います」

浜風「何を… 貴女をこれ以上危険に巻き込む訳には…!」

海風「もうとっくに危険に巻き込まれています。それに『死の因果』の可能性が残ってる人間を一人で行かせられるとでも?」

浜風「それは…」

海風「それに被害を出したく無いのは海風も同じです。しかも海風が彼を追い込んでしまった責任の一端があります。

自分のケリは自分で着けます。もうこれ以上、誰も何も傷つけさせたくはありません」

浜風「海風… 分かりました。ですが決して無理はしないでください。 それと瑞鳳さんと榛名さんへの増援要請も行っておいてください」



海風「ここは… バー…?」

浜風「確かここはガンプラファンが多く集うガンプラバーです。私も一度、飛龍さん達に付き合わされてここに来ました。

そして記憶が正しければ… バトルシステムがあったと思います」

海風「と言う事は… バビロニア学園の時と同じことを起こすつもりですか…!」

浜風「…海風、増援を待ってる猶予はありません。彼を止めます」

海風「言われるまでもありません…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/24(土) 03:44:31.33 ID:Boo9/uDJ0<> 《ガンプラバー》


スドウ「クク… これでシステムは…!」

浜風「残念ですがそこまです」

スドウ「何っ!?」

海風「脱獄犯が白昼堂々とお散歩とは暢気なものですね。それともテロでも起こすつもりですか?」

スドウ「お前か…! お前だけは殺してやらないと気が済まないな… 俺をこんな風にした、お前を!」

海風「逆恨みとは甚だしい… 海風が多少なりとも原因を作ったのは認めますが、それ以外は貴方が招いた結末でしょう。

薬など使わなければ良かった、心の弱さを認めていれば良かった、仲間を手にかけなければ多少なりとも今よりはマシになっていた、でもそうしなかったのは全部自分の責任です」

スドウ「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇッ! 俺は、お前のせいでこうなっちまったんだよ!」

浜風「煽らないで、海風。 スドウ・シュンスケ、大人しく降伏しろ。 今ならまだ警察行きで済ませる。

少なくとも流派・東方不敗の拳を浴びずに、痛い目に合わずに済むうちに降伏するのが身の為だ」

スドウ「ふざけるな!俺は化け物共を殺し尽くすまで止まる気はないんだよ!」ダッ

海風「来る…!」

浜風「海風、後ろに! ナノマテリアル、コントロールスタート!」


ブォン ガキィン!


スドウ「ッ…! 何だ、今のは!? 弾かれて…」

浜風「『クラインフィールド』。 小さなポーチ分のナノマテリアルしかありませんが、対人ならばこれで充分です」

海風「ナノマテリアル…?」

浜風「詳しくはまた後で。 私達にはご覧の通り物理攻撃は通用しません。 貴方に打つ手は無い」

スドウ「チィッ…! なら…!」


Beginning plavsky particle dispersal


パァァァァァァ


浜風「バトルシステムが!?」

海風「ここは市街地の中心部、このまま暴走すれば大きな被害が…!」

スドウ「死にたくなければ俺を倒すか、それとも結晶を破壊するか… どちらか、だ!

だが生かして返すと思うなよ!このバケモノが!」

海風「どちらにしろ戦いは避けられませんね…! 不本意ですが、背中は任せます…!」

浜風「任されました…! 絶対に止めるぞ、海風!」


GUNPLA BATTLE COMBAT MODE EMERGENCY STRAT UP


海風「ウイングガンダム・アズライト、海風!」

浜風「ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ、浜風!」

海風・浜風「行きます!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/24(土) 04:41:34.74 ID:Boo9/uDJ0<> フィールドに降り立つ2機のMS、『ウイングガンダム・アズライト』と『ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ』が結晶体に向けて直進する。

だがその2機を阻むように高出力のビーム攻撃が放たれるが、プロヴィデンスがドラグーンでフィールドを張ることで威力を弱め、その弱体化したビームをウイングのシールドが吸収した。


海風「ターゲット捕捉… あの時と同じ『百万式』…!」

浜風「あれは警察が押収していた筈ですが…」

スドウ「そうだ!だから返して貰ったんだよ! 何人かは潰してやったがな!」

海風「警察官を手に掛けるなんて、本当の犯罪者に成り下がったようですね」

浜風「ここで倒す…!犠牲になった人達の為にも! 海風!」

海風「言われなくとも!」


現出するコピー体をツイン・バスター・ライフルと6基の『メッサーツバーグラズールスタイン』を連結した一射で薙ぎ払う海風。

そして浜風のドラグーンが百万式の本体へと大量のビームを放ち砲撃形態になっていたメガライドランチャーを粉砕する。


スドウ「何っ!?」

海風「機体性能があの時のままだと思うな!」

浜風「地力はこちらが上、このまま押し通すぞ海風!」

海風「了解!」

スドウ「糞ッ…!」


海風はライフルを投棄し『アズライトウイングブレイド』を両腕で抜き放ち百万式へと右腕のブレイドで斬撃を放つ。

百万式もサーベルを抜いて斬撃を防ぐがパワーで劣る百万式は押されて吹き飛び、そのまま壁に叩きつけられた。そしてその機を逃さず浜風はドラグーンによるビーム砲撃を叩き込む。


浜風「これで… いや、まだか…!」

海風「あれなら全部直撃していた…! やっぱり、再生能力も…!」

スドウ「やったな…! この借りは、今すぐ返してやる! 『EXAM』!」


壁から這い出てきた百万式のカメラが赤く光り、全身から放熱が行われる。二人は瞬時に何が起きたかを理解して身構えた。

本来は使えない筈の『EXAMシステム』、だが彼はナノマシンキャリアーであり『オリジナル』と接続して使用できるのは当然の事だ。


浜風「やはり使ってきますか…!」

海風「EXAMシステム…!」

スドウ「お前達も、これで終わらせてやるよ!」

海風(未来予測演算開始…! 敵行動・動作予測、パターンを可能な限り推測開始!)

浜風「海風!」

海風「分かっています!フォロー頼みます!」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/24(土) 12:08:02.30 ID:C9j3EW6x0<> ドラグーンで逃げ場を無くしつつバスターライフルで消し飛ばす <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/25(日) 05:34:15.55 ID:XD4eYRNf0<> 海風「速い、だけど!」

スドウ「避けた!?」


高速で背後から襲い掛かる百万式の斬撃を左腕のブレイドで防ぐ。並みの人間なら対応出来ない攻撃も海風は余裕で対処出来る。

例えEXAMシステムによる補助があろうとも海風の脳の思考速度を上回らない限り、脳が限界を迎えない限りは彼女を倒すことは難しいだろう。


スドウ「何故だ…!EXAMを使ってるんだぞ!」

海風「確かにシステムは強力で厄介、だけど! 動きのパターンは読めます!」

浜風「それに、複数の敵意には対処出来ない!」


浜風がすかさずドラグーンによる砲撃を行いサーベルを持っていた右腕を吹き飛ばす。

後退を図るスドウの百万式、だが浜風のドラグーンのビームが道を遮り逃げ道を断つ。


スドウ「チイッ…!だが、お前達は再生出来ない!」


ライフルと右腕を再生させてドラグーンをライフルで狙撃しようとする。だが浜風も負けじとドラグーンを巧みに操作して射撃をかわす。

そして浜風が拾っていた『ある武器』をウイングに向け投擲し、それを海風のウイングは掴んで照準を合わせる。


浜風「チャンスは一度、決めてください!」

海風「分かっています!出力最大、メッサーツバーグ全エネルギー解放!」

海風(続いて機動予測開始、敵回避パターンから『必殺』の位置を推定!照準マニュアル設定、プロヴィデンスに緒元データを転送!)

浜風(緒元データ? ここに誘導しろ、と言う事ですか!)


浜風が海風の意図を汲み、ドラグーンを使い百万式を壁際の逃げ難い位置まで追い込んでいく。

その位置に百万式が付いた瞬間、集束していたエネルギーを海風は解放し一撃を放つ!


海風「これで、終われぇぇぇぇぇぇっ!」

スドウ「な、なんだと…!」


一直線に進む極大のビーム砲撃、だが百万式は既に回避は間に合わない。

そして海風の一撃は容易く百万式を呑み込み、周囲一体をも吹き飛ばした。


浜風「今度こそ、塵に返してあげましたよ」

海風「ビルダーの方には申し訳ありませんが… だけど犯罪に利用されるよりは良い結末でしょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/25(日) 06:17:07.16 ID:XD4eYRNf0<> 「ククッ… 誰が終わりだと言った…!」

浜風「直撃したのに…!あれで消し飛ばないなんて、どんなビームコーティングを…!」


視線の先にはボロボロになっていた百万式の姿があった。既に各部に亀裂が入り右脚と左腕は吹き飛んでいる。

海風は機体の損傷状況、そして周囲に飛散している『モノ』でどうやって彼が攻撃を防いだかを見極めた。


海風「粒子結晶により防御、そして粒子結晶でも防げなかったからメガライドランチャーによって威力を無理矢理弱めた…」

スドウ「そうだ…! だがこっちは、再生できんだよ!」

浜風「くっ…!こちらもドラグーンのエネルギーが…!」

海風「なら一人で下がってください!あとはこっちでやります!」

浜風「海風!?」


再生する百万式に向けて連結した『アズライトウイングブレイド』を構えてスドウへと肉薄する。

だがその道を阻むように無数のコピー体が現れるが海風は容易くそれらを切り裂き消していく。


海風(思考速度をもっと上げないと…!)


『ウイングガンダム・アズライト』の直進は止まらない。目の前の全てを薙ぎ払いながら百万式の本体へと迫る。

そして彼女に目がけて百万式の本体がサーベルを構えて突っ込んできた。


海風(来い…! 今なら、コイツと『相討ち』になれる!)


確実にスドウ・シュンスケと百万式を倒す最良の手段、突撃してくる本体と刺し違えてでも彼を倒そうとする海風。

そして互いの機体の距離が近付き、互いに剣を突き立てようとした瞬間、割ってはいる機体があった。


海風「なっ…!?」

浜風「やらせる、かぁぁぁぁぁぁぁっ!」


百万式のサーベルが割って入ったプロヴィデンスの脇腹を貫く。その光景に海風は唖然となった。

何故浜風が割って入ったのか理解出来ない。このままなら自分一人の犠牲で彼を確実に倒せた筈なのに、と。


スドウ「コイツ…!」

浜風「大事な妹を、やらせるか…!」

海風「い、一体何を…!」

浜風(マズイ、致命傷かも… でも海風を守れたなら、それで…)

「良い訳、無いでしょう!」


高速の機体が百万式へと迫り、背後からクローシールドでサーベルを持っていた右腕を引きちぎりプロヴィデンスから剣を抜かせる。

そして百万式を蹴り飛ばして地面へと叩きつけた。 海風の前に立つのは深緑のMS、『改RX-0』の1機。


海風「スレイプニル…!?」

天城「姉さん、二人を連れて後退を!ここは引き受けます! あとニクスの応急処置も!」

榛名「了解!二人共、下がりますよ!」


増援到着
・RX-0[S]スレイプニル
・RX-0[FR]フェンリルtype-R <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/25(日) 07:00:28.00 ID:XD4eYRNf0<> 海風「榛名さん、あの…」

榛名「…何があったかは後で聞かせてもらいます。今はこちらの応急処置が先です」

浜風「しかし今は…」

榛名「動かさないで。致命傷一歩手前ですが、まだギリギリ直せる範囲です。リペアシステム起動、マテリアライズ」


RX-0[FR]フェンリルtype-R
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・タクティカルアームズUL改『イチイバル』
・カレトヴルッフ改『グロッティ』

概要
フェンリルのもう一つの姿で味方の補助、修理に特化した仕様。
スライサービットは取り外されており、大幅に戦闘力がダウンしているがあくまでも前衛で戦うためでは無いので問題はないとのこと。
専用装備はカレトヴルッフを改造した『グロッティ』。カレトヴルッフの戦闘機能の大半を削り、修理に特化させたもの。
通常の修理機能としてパテ等を内臓してはいるが、特殊な能力としては損傷箇所に粒子結晶を損傷箇所に形成することで『補填』することも出来る。
ただしあくまでも一時的な『補填』であり、戦闘で激しい動きをすれば壊れてしまうほど脆弱な結晶しか形成できないというネックも。
『イチイバル』はフェンリル用に新造された装備であり、全仕様共通の装備。応戦する際はもっぱらこちらを使う。


浜風「損傷が、直って…!」

榛名「一時的に損傷箇所を粒子結晶で補填しただけです。本格的な修理は今から…」

海風「あの…」

浜風「大丈夫、多分一時的に頭が熱くなっただけです」

海風「どうして、あの時海風を庇って…」

浜風「当然でしょう。海風は私の妹、私が守らなくてはならない存在ですから」

榛名「だからと言って、身体と機体は大事に扱ってください」

浜風「はい…」

榛名(海風さんの状態、間違いなくあれは『理性の暴走』、海風さんの能力の本質である『脳のリミッター解除』したことがトリガーとなって起きたこと…

なら必要なのは『使いこなすだけの強い心』だけど… 何か本質が違うような気が…)



スドウ「何なんだよ、お前は!」

天城「コード・ブレイヴ! 終わらせます!」


スレイプニルが百万式の四肢を切り落とし、再生を許さぬように破損箇所をズタズタに破壊し歪めていく。

そしてリミッターを解除したスレイプニルは『レーヴァテイン』から巨大な粒子刃形成して、百万式へと振り下ろす。


スドウ「こ、この俺が…!」

天城「簡単に誰かを傷付ける貴方にバトルをする資格はない!天城達の前から、失せろ!」

スドウ「これで勝ったと思うなよ…!」


そして百万式の機体は真っ二つに叩き割られ、大爆発を引き起こす。

しかしそれと同時に粒子結晶が暴走して建物の天井を貫いていく。


天城「不味いですね… 姉さん、バトルシステム強制終了コード入力、脱出します!」

榛名「分かりました!システム強制終了、逃げますよ二人共!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/25(日) 23:54:18.59 ID:XD4eYRNf0<> 《屋外》


天城「ケホッ… 姉さん!」

榛名「流石にこれは誤魔化せませんね…」

浜風「ビルが崩落して…」

海風「そうだ… 彼は!?」

天城「逃げられましたね… 知覚出来ません」

榛名「ええ。気配はもうありません」

海風「くっ…!」

浜風「…だけど今回はテロを阻止して誰も犠牲を出さなかった。それだけで充分です」

榛名「今回は榛名と天城が街中に偶然居たから何も起きなかっただけです。さらに偶然『フェンリル』のtype-R用装備を所持していたことで誰も犠牲者が出なかった…

だけどもし持っていなかったとすれば浜風さん、貴女は死んでいました」

浜風「はい…」

海風「それは海風が…!」

榛名「海風さんも、です。 おおよそ『自身と引き換えにでも彼を倒す』と言う予測が『最良の結末』として出てしまったのでしょう。

それは恐らく能力の過剰使用による『理性の暴走』です」

海風「『理性の暴走』…」

天城「能力は通常以上に行使出来るようになりますが命の危険性や肉体への負荷を完全に無視し『効率』だけを重視するようになる状態です。

だから現状で『最適』だと思った行動しか出来なくなってしまう、非常に危険な状態… 本来の自分を見失っている状態とも言えますね」

榛名「暫く未来予測演算は封じた方が良いかと。それと暴走が収まるまでは指揮を執らないように」

海風「しかしそれでは…!」

天城「一番それが危険なんです。理性が暴走している人間が指揮を執ったらどうなると思いますか?

当人には最良の結果になろうとも、周囲にとっては最悪の結末になるかもしれないんですよ? 誰かを犠牲にする重みを背負えますか?」

海風「あ…」

瑞鳳「二人共!…ってあれ、どうしたの?」

榛名「ここではマズイでしょう。人が集まってきました」

瑞鳳「…分かりました。では移動しましょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/26(月) 01:05:21.16 ID:JRDi0bHQ0<> 《旅館 瑞鳳の部屋》


瑞鳳「理性の暴走、ね。それでプロヴィデンスが破損しちゃった、って訳か」

浜風「機体はどうですか…?」

瑞鳳「あと2mmずれてたらアウト。しかもフレームやっちゃってるから全とっかえしないと修復不可能」

浜風「そんな…」

瑞鳳「寧ろどうしたらこんな奇跡が起きるのかが不思議なくらいだよ… 天城さんが間に合って無ければ確実にやられてた」

海風「…」

瑞鳳「…多分、頭がそう判断しちゃったから暴走が起きちゃったんだよね。これで責めるのは少し酷かな…」

榛名「ええ。ですが暴走が起きた原因の中には確実に焦りがあったと思います」

天城「人間、焦ると頭がこんがらがりますから。だけどこの事態は軽くは済ませられないでしょう」

榛名「どうにかして対処しない限り… また暴走が起きれば、次は誰かが犠牲になります」

海風「っ…!」

榛名「『理性の暴走』は榛名に経験はありませんが、『突然変異者』としてなら能力の暴走を引き起こした時があります。

人の心を無差別に読んで、頭をパンクさせて… 精神壊しかけました」

天城(天城は特にありませんが… まあ、基本姉さんとしか感応できないから意味ないですけど)

榛名「『暴走』は時に誰かを巻き込むことがある。それを理解してください。

そして己の力をどうにか出来ない限り能力行使は愚か、バトルも止めざるを得なくなります」


「ここで私の出番ね!」ガラッ


瑞鳳「出てくんな!」バキィッ

大鯨「きゃ〜っ」ドゴォォォォ

浜風「た、大鯨さん!?」

天城「庭の壁越えて雑木林転がり落ちていきましたよ…?」

榛名「あれでも多分死なないのが恐ろしいところですね」

瑞鳳「ハァ… 確かにお母さんは精神制御のプロだけどさ!? シリアス空気壊さないでよ!?ともかく、どうにかしないとね…」

海風(海風が、暴走… ちゃんと、制御できてなかったの…?)


行動選択 3票先取まで↓
・天城&萩風『シスターズ・カウンセリング』
・神通&朝雲『シスターズ・リーズン』
・大鯨&霞『滝・トレーニング』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/26(月) 02:01:37.26 ID:+K+MImTrO<> 陣痛朝雲 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/26(月) 09:37:57.50 ID:Q5OZ2e5u0<> 大鯨&霞 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/26(月) 13:47:17.37 ID:7ZWAAQd9O<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/26(月) 17:41:43.19 ID:fu9jepG8O<> >>427
まるで陣痛起こしてる朝雲みたいでワロタ
安価は神通&朝雲で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/26(月) 18:18:22.67 ID:MO/DGH5gO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/26(月) 18:36:18.36 ID:ZOOfrwkO0<> 大鯨&霞 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/27(火) 00:28:49.68 ID:sVuTvGbR0<> 大鯨「だからこそ私の出番じゃない♪」ガラッ

天城「て、天井!?」

榛名「気が薄いと思ったら… 今のは分身でしたか」

大鯨「YES♪」

海風「分身って…」

大鯨「よっと」シュタッ

瑞鳳「今度は宮城までぶっ飛ばしてあげようか…」パキポキ

浜風「本当に飛ばせそうなのが瑞鳳さんなんですよね…」

瑞鳳「と言うか脇に抱えてる霞ちゃんは何?」

霞「いや、なんか気が付いたら抱えられてて…」

大鯨「ちょっと精神修業に滝行でも、と。準決勝までには帰ってくるけど」

瑞鳳「確かにウチにはお隣の富士山の近くに修業用の別荘と滝もあるけどさ… それはお母さんが決めることじゃないでしょ」

大鯨「だから海風ちゃんの意思も聞いてみないとね」

瑞鳳「じゃあ訳に抱えてる霞ちゃんは何?」

霞「滝行ってどんなのかな、って言ったら気が付いたら抱えられて…」

榛名「本物の拉致じゃないですか」

天城「興味あるって言っただけでこの始末ですよ」

浜風「海風、嫌なら嫌って…」

海風「…いえ、行きます」

瑞鳳「良いの?」

海風「はい。 心が弱いと言うのなら、その心を鍛えなおすしかありません」

大鯨「まぁ今回は瑞鳳がやったようなベリーハードなことはしないから平気平気」

瑞鳳「怪しい… でも海風ちゃんが決めたことなら、そうすべきだと思う」

大鯨「じゃあしゅっぱーつ♪」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/27(火) 03:09:29.68 ID:sVuTvGbR0<> 《滝》


大鯨「じゃあまず15分の精神統一から」

霞(白装束)「え、そんな短くて良いんですか?」

大鯨「うん。滝行って言うのは長い時間居れば良い、ってものじゃないのよ。別に効果さえ出れば5分でも構わないし」

海風(白装束)「じゃあよくフィクション作品にありがちなのは?」

大鯨「実際の滝行を知らないから適当な感じになっちゃってるのよね。私達から見れば普通は1時間が精々、それ以上はバカよ。

冷たい滝に打たれて体の感覚がなくなっちゃって体冷やしたら元の子も無いじゃない」

霞「じゃあ瑞鳳さんのベリーハードって言うのは?」

大鯨「滝に打たれながら精神統一、そして水の一滴を見極めてその滝を手刀で斬るのよ。ここまで行くと『明鏡止水』の域だから普通の人はやらないけど」

海風「そ、そうですか…」

大鯨「じゃあ時間計っておくからね。よーい、スタート!」


ザァァァァァァァァ


霞「っ…!」

霞(痛いじゃない、これ…!)

海風「…!」

海風(余計な事を考える余裕が…)

大鯨「痛くても我慢、何も考えれなくなった時が貴女達の到るべき場所よ」

霞「…」

海風「…」



大鯨「15分、終わって良いよ〜」

霞「っ、はぁ… 痛い…」

海風「流石に水圧が強いような…」

大鯨「まだ弱いほうの滝よ、これ。流れを少しだけせき止めておいたもの。

はい、二人共体を温めるストレッチして。 あと体を温め易いように生姜湯も用意しておいたわ」

霞「ありがとうございます…」

海風「あの… これで終わりですか?」

大鯨「そうよ? この後はそうね… 座禅とかもやるけど」


イベント選択 直下
1.大鯨『えがお』
2.霞『こころ』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/27(火) 09:45:03.59 ID:F9fw6/sf0<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/28(水) 01:03:49.13 ID:y8fphHwC0<> 《別荘 大鯨の部屋》


大鯨「ねぇ、どうして『相討ち』と言う手段を選んだの?」

海風「え…?」

大鯨「理性の暴走があったとは言え貴女の『真価』ならそうじゃない方法も見出せた筈よ。

その時貴女が『相討ち』って手段を選んだのは何かあったんじゃないかしら?」

海風「それ、は…」

大鯨「戦いを終わらせなきゃいけないって使命感か、それとも早く終わらせなきゃいけないって焦燥感か…

あるいはそのどっちも、か。 当たってる?」

海風「…」

大鯨「だんまり、ね… じゃあ別の質問。貴女はどうして昏睡病キャリアー、EXAMと戦う道を選んだの?」

海風「…誰も笑えて無いから…」

大鯨「笑えて無い?」

海風「だっておかしいじゃないですか… 身勝手な、頭の狂った誰かの為にチームのみんなが笑えなくなったんですよ…!

誰も彼もが取り繕った笑顔ばかりで誰もかも心から笑えなくなった! 地区決勝の時はまだマシでした… 合宿を終えたあたりから皆おかしくなっていって、バビロニア学園の虐殺で完全に狂った!」

大鯨「…」

海風「天津風さんも朝雲さんも、地区予選の頃はまだ笑ってた… 霞や先輩も、少し翳りはあっても笑えてた…

なのに今じゃ誰も笑えない! 瑞鳳さんや愛宕先生からも本当の意味での笑顔がなくなった!そんなの理不尽で、絶対おかしいじゃないですか!」

大鯨「だから笑顔を取り戻すために戦う、それが貴女の戦う理由?」

海風「海風、間違ってますか? 皆楽しむためにガンプラバトルをやってた筈なのに、ガンプラバトルを殺人の道具にされて…!

人類の進化だとかふざけた事をほざいた連中に何度も襲われて、戦って! アイツ等さえ居なければ皆平和だったのに!」

大鯨「そうね… 彼等は絶対に間違えてる。だからこそ、奪われた皆の笑顔を取り戻したい気持ちも痛いくらいにわかる…

でもね、海風ちゃんは少しだけ… ううん、一つだけ間違えてる事があるの」

海風「どこが間違えてるんですか…!」

大鯨「貴女が選んだ『選択』よ。 海風ちゃんが犠牲になって、誰が笑えるの?

自分の近しい人が居なくなって、それで平和が齎されたところで誰が心から笑うことが出来ると思う?」

海風「…あ…」

大鯨「少なくとも霞ちゃんや神通ちゃん達は笑わない。瑞鳳も愛宕ちゃんも笑わない。

貴女はそれが見えてなかったの。 違う、そもそも自分を勘定に入れてなったのが間違いって言えば良いのかしら」

海風「でも海風は…」

大鯨「自分より他人の笑顔が良いって言うのはわかる。だけど本当に皆の本当の笑顔を取り戻したいのなら、貴女自身も笑えるようにならなきゃいけない。

本当に誰かを笑顔にしたいのなら自己犠牲の特攻や相討ちなんて考えは持っちゃいけないのよ」

海風「…」

大鯨「そして何より… 理性の暴走を起こしたのはその自己犠牲が原因ね。 戦わなきゃいけない使命と早く皆の笑顔を取り戻したい焦燥が生んだ、ちょっとしたミスよ。

理性の暴走は、自分を強く保ってる限りは起こらない。 自分を含めて皆が心から笑える未来を『創る』、その願いを胸に秘めていれば絶対に暴走はしないわ」

海風「大鯨さん…」

大鯨「ただ思い描くだけじゃない。貴女が持つ『ソウゾウ』の力は無限大なんだから。

いつか望んだ未来を、貴女の信じる明日を、その胸の鼓動が止まらない限りは『ソウゾウ』しなさい。それが貴女の、本当の力になるから」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/28(水) 03:59:48.80 ID:y8fphHwC0<> 《その頃・某所》


「ほう、作戦は失敗したか…」

スドウ「申し訳御座いません。あの化け物共が邪魔さえしなければ…!」

「女子供に負けるとは不甲斐ないな。せっかく見出されたと言うのに、稀少なナノマシンが…」

「言うなトリスタン。貴様も一度は子供相手に手玉に取られただろう」

トリスタン「クッ…!」

「まぁ良い。セルジュ、同士からの連絡は?」

セルジュ「ハッ。真紅の戦乙女に動向は無し、大会にかかりきりのようです。またホエールグループの手の内の者は動向不明、しかし会長が富士山の麓にある別荘に滞在中とのこと。

そしてそこには例の二人、『進化に辿り着いた少女達』が同行しているとの情報が」

「ほう… 残る粒子結晶の数は?」

トリスタン「10個です。いかがいたしますか?」

「では仕掛けるとしよう。しかしたかが二人と言えど『進化に到りし者』だ。全員でかかるぞ」

トリスタン・セルジュ「ハッ!」

スドウ「今度こそ、奴等を葬ってやる…!」



霞「ッ…!」ピキィン

海風「霞?」

霞「敵意が、何か…!」

大鯨「警戒態勢に入ったほうが良さそうね… 瑞鳳や榛名ちゃんたちにもいざと言う時の救援要請も行っておきましょう。

二人共、機体を。私が整備しておくわ」

霞「え、でもこの機体は…」

大鯨「大丈夫よ。私は瑞鳳のガンプラの師匠、見て整備するだけなら出来る。それに瑞鳳謹製のZZ用強化パーツも預かってるもの」

霞「ZZの?」

大鯨「ええ。それに強化改修されて『ブラストアクロスZZ』になった今でも旧ブラスト時のFAパーツは使える。

それに急場凌ぎにしかならないと思うけど、工作室もあるから即応で装備や部品も作れるわよ」

海風「そう言えば瑞鳳さんの家で見たような工作室が…」

大鯨「それに戦力が私含めて3機じゃ心もとないだろうし、予備戦力もね」

如月「今買出しから戻ったけど… あら、確か二人は…」

野分「どうしてここに?我が家の別荘ですけど…」

秋月「どうなんです、お母さん?」

大鯨「ちょっと滝で修業するのにね。皆、機体の用意を。敵襲に備えておいて」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/29(木) 23:45:51.64 ID:Rf2xS5XYO<> 増援(チーム全員と瑞鳳・愛宕・浜風)&新武装到着 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/03/30(金) 04:30:28.36 ID:QuYRZEaa0<> ガサガサッ

海風「っ…!敵!?」

大鯨「違うわよ。多分この気配は、瑞鳳ね」

瑞鳳「はい正解。まぁお母さんなら気付くよね、普通」

大鯨「あと、瑞鳳以外にも来てるでしょ」

神通「ここ、この時代にもあったんですね…」

萩風「なんだか懐かしい気持ちのような、ちょっと切なくなるような…」

海風「先輩、萩風さん!?」

朝雲「ったく、面白いことするなら私も誘いなさいよ」

天津風「別に精神修業は面白いことじゃないと思うけど」

海風「朝雲さん、天津風さん…」

愛宕「先生も、ちゃんと居るわよ〜」

海風「愛宕先生まで…」

浜風「勿論、私も居ます」

海風「チッ…」

浜風「酷い!?」

霞「いや、暴言吐かないだけまだマシじゃないかしら…」

大鯨「望んだ、のね… 戦うことを」

瑞鳳「うん。 それに私が不在の間にこの子達に何かあったら大変だから、私の側に置いておくって意味合いもある」

如月「あら、一気に増えたわね… でも、お布団足りるかしら…?」

瑞鳳「足りない分は旅館の人に言って借りてきたよ。あと夕飯用の食材と… あと海風ちゃんに、春雨ちゃんからの預かり物」

海風「海風に…?」

瑞鳳「『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』の製作に関わったビルダーとして、だって。

フィッティングは出来る用に貰ったデータで調整しておいたから即実戦でも使えるし」

海風「だからあの時データを…」

瑞鳳「ま、データ取りの理由はそれだけじゃないんだけどね」



イベント選択 直下
1.神通『理由』
2.浜風『姉妹』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/03/30(金) 09:56:34.86 ID:SdNfNOMe0<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/01(日) 05:41:34.65 ID:+kzb1FuD0<> 浜風編『姉妹』


《夜・別荘の外》


海風「…」

浜風「こんな所に居ましたか。夜は冷えますよ」

海風「別に、貴女に心配される謂れはありません」

浜風「そうですか」

海風「…あの時、どうして海風を助けたんですか」

浜風「え?」

海風「ニクスを大破させ、死の因果に呑まれかけてまで何で助けたんですか。 貴女にも劣り、憎まれ口しか叩かないような、歪な人間を」

浜風「そうですね… あまりよく考えてませんでした。あの時必死になってて、気が付いたら機体が前に出てたもので」

海風「真面目に答えてください…!」

浜風「真面目です。 もしかすれば私も『理性の暴走』が起きていたかもしれません」

海風「え…?」

浜風「あの時、海風なら未来を託して大丈夫だと何処かで考えていたんでしょうね… だからこそ命を賭したのかも」

海風「どうして… また、全部押し付けて逃げる気だったんですか…!」

浜風「そう言うわけではありませんが、そう取られても不思議では無いでしょう… 私は一度、海風から逃げてしまったから」

海風「…」

浜風「海風が『そう』なってしまったのは私の責任です。きっと私がもう少し貴女と向き合っていれば、3年前に貴女を連れ出していれば…

だからその贖いにでもなれば良い、とでも思っていたのでしょうね…」

海風「…もう、その話は済んだ事です。貴女を殴って、もうケリはつけましたから」

浜風「海風、EXAMの事が全部終わったらもう一度ゆっくり話をしましょう。 もう逃げないで、これから私が『姉』として貴女と向き合うために」

海風「構いませんよ。それに『約束』、守ってもらってませんから」

浜風「『約束』…?」

海風「ハンバーグですよ、ハンバーグ。結局食べそびれてます」

浜風「ああ… それくらいなら付き合いますよ」

海風「『妹』との約束、破らないで下さいね」

浜風「変わりましたね、海風… 私が家に居た頃でもそんな事は言わなかったのに」

海風「『今の海風』があるのは全部チームの皆のお陰です。先輩が海風を見つけてくれたから、霞が友達になってくれたから…

天津風さんと朝雲さん、そして萩風さんと出会ってチームを組んで… 居場所が出来て、今の海風を皆が創ってくれたんです」

浜風「良い仲間に恵まれましたね」

海風「だからこそ、海風は何としても守りたいんです。 皆の未来を、明日と言う希望を… その為に、戦うと決めたから。

なんて、言葉では言えますが… 現実では暴走して、死にかけたんですけどね」

浜風「それでも、謳い続けなさい。どれだけ脆くとも、弱くとも… 言葉にする限り、その灯火は絶対に消え無いから。

積み重ねた『これまで』が『これから』に変わるように、謳い続けた願いを力に変えて戦うんです」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/02(月) 03:46:42.54 ID:GE/Ok22W0<> パァァァァァァッ…


浜風「海風! 光が!」

海風「あれは… 粒子の光…?」

浜風「瑞鳳さんに報告! それと全員第一次戦闘態勢に移行の通達を!」



《別荘・リビング》

大鯨「どうやら敵はこの一帯をバトルフィールドにするつもりみたいね」

天津風「でもどうやってシステム外にフィールドを形成してるのかしら…」

瑞鳳「バビロニア学園の時と同じだよ。広域に撒いて大気を粒子で満たせばガンプラは動くようになる。

それに新製造された人工の粒子結晶を使って、暴走・膨張させて広域散布させてるの」

朝雲「それって環境に影響とかは?」

瑞鳳「人体や環境に問題は無い。ただしガンプラが暴れた場合の被害は別で、例えばビームが壁に当たったりしたらその箇所は抉れちゃったりするよ」

萩風「結晶か暴走の大本を破壊すれば粒子も大気中に溶けて消えるので残留の心配もありません」

神通「その代わり敵は、地区決勝戦や学園の時のように無人のコピー体を無限生成可能です。

制限もなく、壊れたらすぐ新しいのが現出するのでそこが厄介なところでしょうか…」

瑞鳳「まぁ思考ルーチンはゴミだから大した脅威じゃないけど」

如月「で、現状の戦力が…」


戦力
・ガンダムエピオン・クロイツ(瑞鳳)
・ウイングガンダム・アズライト(海風)
・インフィニットジャスティス・ロンギフローラム(神通)
・ブラストアクロスZZ(霞)
・ガンダムハルート・ボーライド(天津風)
・RX-0[Sm]シームルグ(朝雲)
・ガンダムエクシアルベルム(萩風)
・ギャプラン・カスタム(愛宕)
・RX-0[E]エイクスュリュニル(秋月)
・RX-0[Fv]ファヴニール(野分)
・RX-0[Ra]ラタトスク(如月)
・???(浜風)
・???(大鯨)

野分「13機、4小隊分ね…」

秋月「バビロニア学園の時より戦力が…」

浜風「しかしやるしかありません…!瑞鳳さん、例のものを」

瑞鳳「あいよっと」

海風「それは?」

瑞鳳「前にマフィアぶちのめした時にかっぱら… 戦利品よ。遠隔型バトルシステム、これでガンプラを操れる」

霞「今かっぱらった、って言いかけましたよね」

瑞鳳「さ、さあ? 細かい事は気にしない!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/02(月) 04:36:29.75 ID:GE/Ok22W0<> 瑞鳳「じゃあ後は… 各機、機体チェックを。 あとお母さんの機体は?」

大鯨「一応準備はしてあるわ」

朝雲「大鯨さんも戦うんですか?」

大鯨「ええ。一応、瑞鳳と同程度には戦えるつもりだけど」

天津風「それって相当じゃないですか…」

瑞鳳「あとはZZとウイングの強化パーツと… 浜風ちゃんの新型ね」

浜風「もうロールアウトを?」

瑞鳳「うん。 これね」

海風「…どこかで見たような機体ですねぇ?」

瑞鳳「あ、バレた」

神通「そのままウイングガンダム・アズライトじゃ…」

萩風「微調整と装備の変更、それ以外はアズライトの2号機とも言うべき機体でしょう」

瑞鳳「『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』、まぁ実質的な2号機と言うか参考にしたと言うか… 機体の装備はファイターにあわせて変えてあるけども。

あと『アズライトバースト』は無いから… ガワだけ似てるだけだから…」


新型
ウイングガンダムゼロ・クロイツ(浜風機)
武装
・ツインバスターライフルクロイツ(サーベル内蔵)
・ビームサーベル×2
・マシンキャノン×2
・ビームガン兼ビームトンファー×2
・ウイングシールド
・クロイツドラグーン(シールド・ドラグーン×1、ウイング・ドラグーン×2)×2
・腰部ドラグーンユニット(シールド・ドラグーン×1、ウイング・ドラグーン×4)×2
・RGシステムtype-Z mode『AZ』

概要
浜風用の新型機であり、ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイの代替となる機体。
海風機である『ウイングガンダム・アズライト』のデータやパーツを参考に製造され、実質的な2号機に相当する。
武装はアズライトから格闘兵装を大幅に削減、その代わりにドラグーンを積極的に採用することで火力増強を図った。
クロイツドラグーンはビームシールドを展開可能な1基のシールド・ドラグーンとビーム砲を内蔵した2基のウイングドラグーンで構成されており、防御・攻撃が両立した構成。
そしてウイングドラグーンにはツインバスターライフルとの連結機能を有し、計12基のビーム砲を扇状に展開する『ハモニカモード』と直結させて大出力化させる『マグナモード』が存在する。
特殊システムとして『RGシステムtype-Z mode『AZ』』を内蔵。基本は通常のRGシステムtype-Zと特に変化は無いが、追加機能として『あるシステム』との共鳴機能が追加された。
塗装はアズライトの水色の部分をシルバーに変更した以外、アズライトと大差が無い。



海風「…あとできっちりお話しましょうか」

瑞鳳「う、うん… あ、あとは春雨ちゃんからのアズライト用追加装備とZZの強化パーツね」



強化パーツ安価
・ウイングガンダム・アズライト(海風機)用 直下
・ブラストアクロスZZ(霞機)用 下3

機体安価(大鯨機) 下5


機体条件:MSであること、ふざけた機体はNG
改造内容指定:とくになし <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/02(月) 20:35:25.18 ID:CAjdtMCaO<> ツインバスターライフルアズライトNEX

ツインバスターライフルを長砲身化しジェネレータを内蔵、威力・射程をアップさせている。
本体とは別のジェネレータを使うことで粒子消費を削減、またメッサーツバーグへの補給機能も追加。


新型アンテナ

索敵、通信機能を強化した頭部のV字アンテナ。
形状はカレトヴルッフフェーダーに付いてるV字アンテナと同じ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/03(火) 01:47:47.09 ID:1lLVV8yzO<> 踏み台 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/04(水) 02:48:06.92 ID:cHM8vHgO0<> 来なさそうなので安価


霞(ブラストアクロスZZ)用新装備 直下
1.フルアーマーtypeD(デストロイ)
2.フルアーマーtypeF(フォートレス)
3.フルアーマーtypeN(ニュータイプ)
4.その他(内容も)


大鯨機 下3
1.グレイフォビドゥン(ベース機:ディープフォビドゥン)
2.オムライジンクス(ベース機:スペルビアジンクス)
3.トールギスベラール(ベース機:トールギスV)
4.その他(ベース機・改造内容・機体名 併記) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/04(水) 09:33:56.09 ID:0QHqOQkC0<> 2で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/04(水) 09:48:57.39 ID:0AaDrufo0<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/04(水) 17:50:06.36 ID:ac6QGDGmO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/05(木) 02:36:17.82 ID:o4zPDj5Q0<> 瑞鳳「『ツイン・バスターライフルアズライトNEX』と新型アンテナが海風ちゃん用に春雨ちゃんが用意したものね」

海風「NEX?」

瑞鳳「まぁ新型、とかって意味かな。ツインバスターライフルは砲身の延長による射程と威力の向上、そしてジェネレーターを内蔵して本体からの粒子供給に頼らずに運用出来る。あとメッサーツバーグへの粒子供給機能も追加ね。

アンテナは通信・索敵機能が強化されてるって。あと粒子制御アンテナとしての役割もある、とかないとか」

海風「曖昧ですね…」

瑞鳳「私が作った訳じゃないし、調整はしたけど具体的な効果まではね。 はい次、霞ちゃん用の」

霞「ZZはやっぱりフルアーマーじゃないとね。でもこれ、前と違うような…?」

瑞鳳「幾つか試作した内の一つで、名付けて『フルアーマーtypeF(フォートレス)』。 一部本体の武装を取り外すけど、大丈夫?」

霞「火力落ちません?」

瑞鳳「それを補って余りある大出力にしたから平気平気。それに防御・機動性もちゃんと強化してあるから」

大鯨「あとは… 私の機体ね」

天津風「『フォビドォン』? でもテイルエクステンションが付いてるから『フォビドゥンブルー』の系譜かしら」

大鯨「ガンダムヘッドに戻してるけど一応『ディープフォビドゥン』よ」

神通「『グレイフォビドゥン』、この時代にもあったんですね…」

大鯨「と言う事はこの機体、まだ未来に残ってたのね。 結構年季は入ってるけど、まだまだ現役よ」


自軍参戦

グレイフォビドゥン(大鯨機)
武装
・75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×2
・テイルエクステンション
・トライデント
・ビームガン内蔵トンファー×2
・アーマーシュナイダー×2

ホエ−ルストライカーtypeY
・装甲内蔵式重刎首鎌「ニーズヘグ」×4
・複合ステルスシステム「ハイパー・コロイド」
・エネルギー偏向装甲「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」

概要
大鯨が自分専用に用意している複数機の内の1機。『コククジラ』の名前を冠し、耐圧殻には自作の鯨ステッカーが貼られている。
大鯨自身あらゆる武器や格闘術を使いこなすエキスパートであり射撃武装は最低限のもののみ。
高い可動域を持っており大鯨の『技』を一部再現できるなど完成度は非常に高い。
基本的にはトライデントを用いて戦うが『本気』の際には背中のストライカーを切り離しトンファーのみで戦うことも。
瑞鳳と同じく広い可動やストライカーを好む点、後継者である萩風同様ステルスシステムを用いるなど親子3代に渡る関連が見られる機体となっている。
塗装は名前の元である『コククジラ』と同じ灰色、そして一部が青。

ホエ−ルストライカーtypeY
大鯨が保有しているストライカーの1つで実質フォビドゥン用のストライカー。
ハイパージャマーとミラージュコロイドを組み合わせたステルスシステム『ハイパー・コロイド』を有する。
またゲシュマイディッヒ・パンツァーも展開可能であるため高い防御性能も持つ。


機体強化

FAブラストアクロスZZ(フルアーマーtype-F仕様)
武装
・ダブルバルカン
・ハイ・メガ・キャノン
・ハイパー・ビーム・サーベル(ダブル・キャノン)×2
・大腿部ビームカノン×2
・リフレクターインコム
・ビームキャノン×4
・ホーミング・ビームキャノン×16
・腹部ハイ・メガ・キャノン
・IFジェネレーター×2
・ビーム・バズーカ×2
・Cファンネル×8
・腕部内蔵モーターブレード×2

概要
フルアーマーtype-F(フォートレス)を装備した『ブラストアクロスZZ』の姿。一部武装が交換・取り外されており手持ち武装も変化している。
両肩・両膝にセラヴィーガンダムのGNキャノンを改造した『ビーム・キャノン』を追加、胸部に計8門・両頸部に4門ずつのホーミング・ビームキャノンを内蔵。
両肩装甲内部にはIFジェネレーター、そして腹部にハイ・メガ・キャノンが内蔵され、他にも各部にCファンネルやを装備した。
手持ち武装は『GNバズーカU』を改造したビーム・バズーカに変更し、全砲門での一斉射撃時には周囲一帯が消し飛ぶほどの出力を有する。
そして近接は不得手かと思われるが腕部装甲に内蔵した対・粒子コーティングを施したモーターブレードで応戦可能などの対策も万全。
また装甲各部に小型のジェネレーターやスラスターを内蔵することで出力不足・運動性低下対策もされた。
反面操縦や火器管制の複雑化を招いており、NTとなった霞以外にまともに使いこなせるファイターはほぼ居ない。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/06(金) 01:23:51.95 ID:GG8ZDBnB0<> 《別荘・外 森の中》


朝雲「…クラッシャー01より各隊、敵軍が所定ラインを通過したわ」

浜風「クロイツ02、了解。 うみ… アズール01、そちらは?」

海風「アズール隊、所定位置に到達。いつでも作戦行動可能」

如月「ブレイヴ01、こっちも交戦準備完了よ」

浜風「よし… では先程の打ち合わせ通り、迎撃作戦を展開します。 アズール隊は別個に行動、残存の小隊は私が引き受けます」

海風「了解。では時間あわせ、3、2、1…」


海風「全機、兵装自由。交戦開始してください!」

浜風「オールウエポンズフリー!オープンコンバット!」

部隊編成
・アズール隊(海風、神通、霞、大鯨)
・クラッシャー隊(朝雲、天津風、萩風)
・クロイツ隊(瑞鳳、浜風、愛宕)
・ブレイヴ隊(如月、秋月、野分)


朝雲「じゃあ初手は私達からやるわよ!」

萩風「ステルス解除! ちょっとど真ん中で暴れてくるので援護を!」

天津風「面制圧なら任せなさい!」


シームルグとエクシア、ハルートが戦端を開く。シームルグが放つ実体弾とハルートのミサイルが前衛に展開する数機を破壊し、その爆煙の中からエクシアが現れ纏めて敵を切り裂いた。

それに続いて3機の『改RX-0』が敵陣へと突入を敢行し、無数の敵機へと攻撃を開始する。


秋月「敵の総数は… バビロニアの時よりは少ないですが…!」

如月「纏めてやっちゃえば良いのよ! ルーメン・キルクス、シュート!」

野分「了解! シャドーマネージング、スタート! こちらも手数で!」


ニムバス「敵が仕掛けてきたか… ではこちらも仕掛けると…」

大鯨「ざんね〜ん。お・バ・カ・さ・ん♪」

トリスタン「何っ!?」


別荘の裏手から現れた4機に大鯨の操るフォビドゥンがステルスを解除し、手に持ったトライデントで襲い掛かった。

その一撃が周囲にトリスタンの操る『ドム』の左腕を貫き、切り落とす。


トリスタン「奇襲とは、卑怯な!」

大鯨「それブーメランよ。大方私達、生身の人間を殺そうとしてた癖によく言えるわね」

トリスタン「黙れ!大義の為ならば…」

神通「何をやっても許される、そんな訳は無いでしょう!」

セルジュ「くっ…!」


屋根の上からファトゥム-02をアローモードで展開した神通がもう1機の『ドム』を狙撃するが回避されてしまう。

一撃を外した神通は即座に切り替え、ファトゥム-02を本体に接続しなおして剣を抜く。


神通「『イフリート改』に『ドム』が2機、それに強奪されていた『スクランブルガンダム』が1機ですか…」

霞「これで4対4… 戦力比は同数よ」

スドウ「お前…! お前も、絶対に殺さないと…!」

霞「…お父さんやお母さんが、あの事故で死んだ人達が、そしてお婆ちゃんがくれたこの命。むざむざアンタなんかにくれてやるかってのよ、このクズ共!」

海風「行きます! ここで一人残さず倒してしまいましょう!」

イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/07(土) 11:21:14.93 ID:J+lB3hID0<> コピー体出現 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/08(日) 05:50:58.44 ID:gCnJycX00<> 大鯨「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」

トリスタン「な、何だよコイツ!」

セルジュ「下がれトリスタン!」


セルジュのドムがフォビドゥンの猛攻を受けているトリスタン機のフォローの為にバズーカを放つ。

大鯨はバックステップで回避し、さらに追撃で放たれるバズーカの弾を手に持ったトライデントで打ち払い、トリスタン機へと直撃させた。


セルジュ「しまっ…」

トリスタン「よく狙え!」

大鯨「残念だけど、私相手に『まとも』な戦いが通じるとは思わないことね。今!」

神通「風刃、破斬!」


2機が一瞬、気を取られた瞬間に神通が刀を振るい風を巻き起こす。その風が刃となってトリスタン機とセルジュ機を斬り刻んだ。

だが2機は即座に機体を再生させて、2機との距離を取り態勢を立て直す。


セルジュ「ホエール・グループ会長、お前は一体何者だ…!」

大鯨「そうねぇ… 正義の味方、ってところかしら?」

トリスタン「ふざけるな! 我々こそが正義、『化け物』から『人間』を守る為の…」

大鯨「貴方達のやってる事はただの迫害よ。それに無関係の人間を巻き込んでる時点で最早正義とは言えない。

それに人々に昏睡病を齎す貴方達こそ世間から見て『化け物』ね」

セルジュ「では貴様はどうなのだ!」

大鯨「そうねぇ… 世間から見れば私も充分『化け物』か。でも私は『守護者』、人の理を護る者。

化け物と蔑まれようと構わないし、愛する人が居ればそれで良い。それだけ居れば、私は戦える!」

セルジュ「話にならん… コピー体を使う!」


ドムの周囲に複数の無人機が出現し、一斉に大鯨へと銃口を向ける。だが大鯨は動じず、トライデントを投げ捨てて新たにトンファーを手に取った。

そして無尽蔵に湧き出るコピー体に向け神通が剣を神速で振るい、その衝撃波たる不可視の刃で敵を切り裂く。


神通「コピーは私が引き受けます! 大鯨さんはあの2機のドムを!」

大鯨「可愛い可愛い孫の頼みなら、任せなさい!」


並び立つ大鯨のフォビドゥンと神通のジャスティス。同じ『守護者』の名を背負う者として、血の連なる人間として、同じ敵にその刃を向ける。

そしてジャスティスとフォビドゥンは無数の敵機相手に飛び込む!


大鯨「当代当主・大鯨。『人の守護者』の名において、人の世を乱す悪を討たん! 麒麟、解放!」

神通「後代当主・神通… 『守護』を継ぐ者として、世界を滅ぼす悪を討つ! 天剣、絶刀!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/08(日) 08:12:52.17 ID:gCnJycX00<> side-海風-


海風の操る『ウイングガンダム・アズライト』がブレイド抜き放ち『イフリート改』と切り結ぶ。

しかしウイングの側がイフリートに押され気味となり、海風が苦しい表情を浮かべる。


霞「海風、さがって!」

海風「っ…!」


イフリートへと霞がホーミング・ビームキャノンを放ち、イフリートはその攻撃を後方に跳躍し回避する。

その隙を見て海風は機体を下がらせ再び態勢を整えなおす。そして海風の後退を助けるまで霞が相手をしていたスドウ・シュンスケがニムバスに並ぶ。


海風「ニムバス・シュターゼン…!」

ニムバス「聞いていた程では無いな。所詮はその程度か」

スドウ「その程度かよ、化け物!」

霞「海風、まさか… 躊躇ってる…?」

海風(未来予測演算を使えば暴走するかもしれない… だけど使わないと海風は…!)


能力を使って暴走する恐怖、そして使わなければ『確実な死』が待っていると言う恐怖。その二つの恐怖が海風の心を塗りつぶしていた。

初めてだった、海風がこんなに恐怖を抱いたのは。海風は他人にあまり感情を曝け出す事は少なかった。いつも感情を押し殺して生きていたから。


海風(怖い… 自分が自分じゃなくなるのも、死ぬのも…)

霞「…海風、アンタは後退して。私がアイツ等を倒す」

海風「ですが、それでは…!」

霞「今のアンタに、二人は倒せない。 私なら、多分やれる。 それにまだ、私はアンタに恩を返してない」

海風「霞…」

霞「アンタに庇って貰って命を助けられたから。 だから今度は私がアンタを助ける番よ」


そう言い、霞は2機へと砲撃を行う。 ホーミング・ビームキャノンやビーム・キャノンを使ってニムバス達を攻撃していく。

だが海風は動けなかった。 心の中にある葛藤が、迷いが、恐怖が身体を竦ませていた。


海風(怖い… でもこのままだと霞が…)


このままなら霞は確実にやられる、海風の脳が警鐘を鳴らす。だが今の海風にはどうする事も出来ない。

そんな時、海風の頭の中にある言葉が蘇った。それは大鯨により言われた言葉…


大鯨『理性の暴走は、自分を強く保ってる限りは起こらない。 自分を含めて皆が心から笑える未来を『創る』、その願いを胸に秘めていれば絶対に暴走はしないわ』


海風(自我を強く保つ… だけど、海風には… 違う、海風には絶対に… 叶えなきゃいけない想いがある…!)


皆の笑顔を取り戻す、そう海風は決めたから。 次の瞬間、頭の中がクリアになった。 先程までの恐怖は無い、寧ろ心の中から何かが溢れ出していく。

そして大鯨の言葉の続きを海風は心の中で思い出した。


大鯨『ただ思い描くだけじゃない。貴女が持つ『ソウゾウ』の力は無限大なんだから。

いつか望んだ未来を、貴女の信じる明日を、その胸の鼓動が止まらない限りは『ソウゾウ』しなさい。それが貴女の、本当の力になるから』


海風(海風の『ソウゾウ』… 未来予測は『想像』の力… 違う、海風の力は…!)

海風「応えて… 『ウイングガンダム・アズライト』…!」


これまで共に数多の戦いを駆け抜けた愛機の名を呼ぶ。姿形を『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』の時から変えてなおも海風と共にあり続ける宝石の名を冠する相棒。

そして海風の声に呼応するが如く、機体の各部が唸りを上げ、ツインアイが力強く煌いた。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/08(日) 10:04:14.34 ID:gCnJycX00<> 海風「アズライト… 力を貸して…!今を切り拓く『剣』と、明日を『創る』力を!」


武器のスロットを操作して最後尾の『SPスロット』へと合わせる。この力がどんなものかは海風はまだ知らない。

だけど海風は信じている。この機体を作った浜風と春雨の想いを、この機体を改修し託した瑞鳳の意思を。 そして最も信じるべきものは…


海風(仲間と機体と、自分自身を信じて…!)


そして叫ぶ。自ら信ずるべき愛機の名を、自らが全てを託すべき機体の名を。

今まで以上の最高の一体感が海風にやってくる。 海風は、自らの『力』名を叫んだ。


海風「解き放て!ウイングガンダム・アズライト! アズライト、バァァァァァァストッ!」





愛宕「ちょっと、何アレ…!?」

浜風「蒼い、光の柱…?」

愛宕「あそこ、確か神通ちゃん達の戦線よね!」

瑞鳳「あり得ない… 一体何が起きてるの…?」


萩風「あれは…!」

朝雲「知ってるの?」

萩風「粒子の光… プラフスキー・バースト現象…!」

天津風「プラフスキー・バースト現象…?」

萩風「だけど引き起こすには粒子結晶が必要… いや、これなら辻褄があう…!?」

萩風(『アズライト』は粒子を溜め込む特性がある… そして貯蔵粒子が増えて濃度が増して、結晶に近いクラスになれば…しかも周囲の粒子も取り込んで…! 

だけどアレには『強い意志』、お母様に匹敵する精神力が必要なはず…! 海風さんは、その域に至っていると言うの…!?)



トリスタン「な、何だアレは!?」

セルジュ「まずい、フォローに!」

大鯨「行かせる訳、無いでしょ!」

神通「大鯨さん、アレは!」

大鯨「やっぱり、私の見込んだ通りだった…! 大丈夫、海風ちゃんならきっと操れるから!

私達はこっちの相手を続けるわよ! 私も、本気出しちゃうからね!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/10(火) 04:06:48.63 ID:GC2TnxV+0<> 空に昇る蒼い光が消え、光が放たれていた場所には『ウイングガンダム・アズライト』の姿があった。

だが光を放つ前とは姿が大きく変化し各部の装甲に蒼い宝石を鎧のように纏い背中からは宝石で形成された有機的な形状の翼が生えている。


ニムバス「なんだ、アレは…!?」

スドウ「前に戦った時と違う… 何が起きてるんだ…!」

霞「ったく、遅かったじゃない」

海風「霞… 信じてくれたんですね」

霞「仲間を、友達を信じないで何を信じるのよ。もう、大丈夫なのね?」

海風「ええ。ここから先は海風のターンです。反撃開始と行きましょうか…!」

霞「フォローは私がするから好きなだけ暴れなさい!」

海風「任せます! もう勝利の道筋は決まりました! 後はこの手を伸ばすだけです!」

スドウ「ふざけるなよ、この化け物がぁぁぁぁぁぁ!」


スドウの操る『スクランブルガンダム』が『ウイングガンダム・アズライト』に向け右腕でサーベルを抜き放ち斬撃を行おうとする。

しかしかつて『スクランブルガンダム』を操縦した事があり性能を把握しきった海風にとっては悪手だった。


海風「いくら速くても…!」

スドウ「見掛け倒しで…」

海風「もっと速く動けば良いだけです!」


斬撃が振り下ろされるが、スドウの視界からウイングの姿は消えていた。そして次の瞬間、機体に警告が鳴り響くと同時にスクランブルの四肢が切り落とされる。

さらに海風は胴体を瞬時に高速で切り刻み、残った頭部を2本連結させた『アズライトウイングブレイド』振り下ろして粉砕してしまう。


スドウ「なっ…!?」

海風「EXAMは敵意を受信してから動く… なら、それより速く動けば良いだけ…!」

スドウ「だ、だが… まだ再生は…!」

海風「なら、塵さえ残さない!」


メッサーツバーグと連結したツイン・バスターライフルの銃口を残骸へと向ける海風。その銃身を結晶が覆い尽くし蒼く輝く。

海風が引き金を引くと、通常の威力の数倍、それどころか数十倍もの出力の極大のビームが放射され残骸を射線上にあった数本の樹ごと消滅させた。


霞「嘘でしょ…」

海風「…後始末は大鯨さんにお願いしましょう」

ニムバス「何と言う力だ…! だがその様な力、並みの人間が制御出来る訳が無い!」

海風「なら自分を見失わなければ良いだけです! もう、力に溺れたりはしません!」


ニムバスの斬撃をブレイドで防ぎつつ、マシンキャノンをイフリートへと放つ。放たれた銃弾がイフリートの右腕を破壊すると海風はイフリートを蹴り飛ばして地面へ叩き付ける。

そしてツイン・バスターライフルを投棄し『アズライトウイングブレイド』を抜き放ち、2本を合体させた。それと同時にイフリートが再び右腕を再生させ、ウイングと激突した。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/12(木) 05:37:17.83 ID:+mfM/7iz0<> ニムバス「この私が、ここまで追い詰められるだと…!」

海風「これが海風の力! この力で、皆の笑顔を取り戻す!」

ニムバス「笑顔だと… ふざけているのか!」

海風「誰が!」


イフリート改が両腕に持っていたヒート・ソードを弾き飛ばしブレイドを使って両腕を切り落とす。

即座に両腕を再生させ、同時に再生させたヒート・ソードで斬撃を放つニムバス、そして海風は即座に反応してブレイドで攻撃から身を護る。


ニムバス「絵空事を掲げて…! 貴様の様な子供に何が出来ると言うのだ!」

海風「絵空事で何が悪い!」


ニムバスの反応、EXAMの動きを越える速さで海風は思考する。海風の力は最早『想像』の力などでは無い。

海風は敵の動作一つ一つを予測し最適な勝利への道を創り出す。暴走しそうな理性を生身の心で押さえ込み、イフリートの胸部に斬撃を加え吹き飛ばす。


海風「理想が現実にするのは簡単じゃ無いのは分かってる… だから海風は!」


左腕に持っていたブレイドを投棄し、右腕のブレイドを両腕で持つ。そして刀身に粒子が集まり結晶が刀身を覆い尽くしていく。

全身のクリアパーツがさらに蒼い光を帯びて、その光に呼応して全身の結晶が眩い光を放った。


海風「戦う! 理想を、願いを、未来を! この手で『創造』する為に!」


結晶化した刀身が伸びていき、その長さは100m近くになる。 さらにその刀身に膨大なエネルギーが収束して、解き放たれようとしていた。

海風は目を瞑り未来を予測していく。頭の中で『最適な勝利』ではなく『最高の勝利』、そして『願う未来』を創造する。


海風「全出力解放… アズライト!」


その声に応えるように『ウイングガンダム・アズライト』は駆ける。 蒼い閃光が夜闇を裂き、敵に向けて一直線へと。

ニムバスが逃れる事は叶わない。どう逃げようと、例え背を向けようとも海風の刃はニムバスを確実に倒せるのだから。


ニムバス「馬鹿な、この私が…!たかが子供に!」

海風「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


振り下ろされた刃が大量のエネルギーを放出し、一帯ごとイフリートを両断する。

そしてウイングが背を向け、全身の結晶が砕けると同時に背後で大爆発が発生してイフリートを消滅させた。


海風「…これで、終わりです」

ニムバス『くっ… だが、これ、で終わ、り、では無いぞ…! 貴、様に―――を救え、るもの、か―――』

海風「え…?」

霞「まさか… 待ちなさい、ニムバス!」


ダブルゼータがニムバス達を追おうとするが周囲を満たしていた粒子が消失し、地面に機体が落下する。

それと同時に夜が明け、朝日が昇った。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/12(木) 06:48:09.83 ID:+mfM/7iz0<> やべぇ、ミスだ…
>海風「理想が現実にするのは簡単じゃ無いのは分かってる… だから海風は!」

正しくは
海風「理想を現実にするのは簡単じゃ無いのは分かってる… だから海風は!」




瑞鳳「蓄積した粒子の濃度が結晶クラスまで高まった結果、バースト現象が起きた… そして操縦者、海風ちゃんの意思に呼応して力を発現させた、ってことね」

萩風「そのようです。海風さんはバーストと能力行使による疲労で眠っていますが」

瑞鳳「…で、その能力をフル行使した結果がこの焼け野原と」

萩風「…一面綺麗サッパリしてますね」

神通「…昨日までここ林ありましたよね?」

瑞鳳「植樹しなおそうか」

萩風「樹が伸びて元に戻るまでにどれ程かかるのやら」

神通「その前に抉れてクレーター化してるので整地も要るかと」

瑞鳳「代金は春雨ちゃんに請求しよう。作ったの春雨ちゃんだし」

萩風「強化したのはお母様です」

瑞鳳「だってこんなイレギュラー過ぎる能力発揮するなんて誰が思う!?」

神通「確かに予想出来ないでしょうけど…」

瑞鳳「しかも完全に制御してこれだからね? 暴走してたら一帯消し飛んでたよ!?」

萩風「…これは誰にも責任はありませんね」

神通「…そうしておきましょう。責任問題で揉めるの嫌ですから」

萩風「お母様、機体の方は?」

瑞鳳「奇跡的に損傷無し、と言うかほぼ損耗が無いのが不思議レベル」

神通「霞さんの言っていた『全身が宝石の鎧に覆われた』、と言う現象が原因では?」

瑞鳳「外装で脆いフレームを強化した、ってことね… とは言え、これからどうするべきか…」

萩風「リミッターは?」

瑞鳳「無理。リミッターなんて仕掛けたら粒子制御に影響が出る。それこそ次に同じ現象が起きたら暴走するよ」

神通「ではこのまましかないと…」

瑞鳳「現状はそうだね。あとは海風ちゃんに意識研ぎ澄ますな、って言っておくくらい?」

萩風「でも先程の戦いで粒子を放出しきった筈では? いくら結晶くらいの濃度でも、あれだけ放出すれば…」

瑞鳳「それがね… 周囲の粒子を取り込んじゃってまた溜め込んだみたい…」

神通「…」

萩風「…」

瑞鳳「…全部終わったら、アズライト封印しよっか」

神通「許可があれば、ですね」

萩風「仕方の無い処置です」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/14(土) 08:01:00.96 ID:ncUSdF8v0<> 《別荘・寝室》


海風「Zzz…」

霞「…」

朝雲「思いつめた顔して、霞にしちゃ珍しいじゃない」

霞「うっさい能天気」

朝雲「ま、私は『ニュータイプ』なんかじゃないからアンタの考えてる事は分かんないわ。

だけど顔見れば分かる。何かあったんでしょ」

霞「…別に」

朝雲「当てたげよっか? アンタ達はニムバスと戦った、で本人達には逃げられたけど一応倒した。その時に何か言われた?」

霞「何でも無いったら…!」

朝雲「アンタがキレるって事は何かあったに決まってるじゃない」

霞「っ…!」

朝雲「アンタ達の通信、ちょっとだけ混信してきたのよ。『救えるものか』、この単語だけだったけど。

未来を救えるものか、とか人類を救えるものか、とか色々考えたけどさ… 可能性が高いのは…」

霞「『マリオンを救えるものか』…」

朝雲「マリオン、多分EXAMの核にされた人間のことね」

霞「どうして知ってるのよ」

朝雲「瑞鳳さんに聞いてる。まあ『マリオン』って名前は聞かされてないけど」

霞「…ニムバスは、何が目的なのか分からなくなってきたのよ…」

朝雲「そうね… 聞いてる限りマリオンってのを助けようとしてるのか、進化した人間の抹殺か、目的が分からなくなってる。

でも逆に考えなさい。 『どっちも』の可能性があるかもしれないのよ」

霞「どっちも、ってどう言うこと…!?」

朝雲「推測だけどニムバスはEXAMの狂気に呑まれてる部分が大半だけど呑まれてない正気の部分が少し残ってるのかもしれない。

その正気の部分でニムバスはマリオンを内心助けようとしてるんじゃないの?」

霞「…多分、私の感覚だとアンタの推理は合ってる。だけどアイツはEXAMにマリオンを取り込ませた…」

朝雲「…恐らく、取り込ませた『誰か』が居るかもしれない。そしてソイツが宇宙世紀から流れ着いた人間なのかも…」

霞「じゃあ私が、私達が倒さなければならないのはニムバス達じゃなくて… 裏に居る『黒幕』ってことね」

朝雲「そう言う事よ。 そうしないと他の人も、『マリオン』も、助けられないから」


イベント選択 直下
1.朝雲&秋月『救いの手』
2.萩風&野分『羨望』
3.天津風&如月『成すべきこと』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/14(土) 09:26:49.90 ID:WTPpldOk0<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/16(月) 03:14:26.21 ID:s7BYhj160<> side-朝雲&秋月-『救いの手』


朝雲「…救う、って何かしら?」

秋月「は?」

朝雲「いや、こっちの話」

秋月「はぁ…」

朝雲「ただ助け出すだけじゃ『救う』なんて言わないわよね…」

秋月「…きっと人を心から助けることを『救う』と言うのでは?」

朝雲「心から助ける?」

秋月「例えばですけど… 酷い目にあって、その場から助けられても心に傷は残りますよね」

朝雲「まぁ、そうね… PTSDとかある訳だし」

秋月「だから心の傷も支えて助けることが『救う』と言う事になるんじゃないかな、と思いますよ」

朝雲「成る程ねぇ… 何か、見てきたような、経験したことあるような言い方ね」

秋月「ええ。秋月は3度も誰かに助けられ、救われましたから」

朝雲「3度?」

秋月「一度目は姉さんです。 泊地への特攻作戦の際に、死しか待ち受けてない絶望から私達を救ってくれたんです。

共に過ごした時間は長くない筈なのに、そんな人間を助ける為に自分が傷付く事すら厭わないで…」

朝雲「あの人は規格外ね、本当…」

秋月「二度目はお母さんでした。姉さんに拾われてこちら側に来て、行く先の無い私達を保護して引き取ってくれたんです。

食事すら満足に出来なかった私達に『ごく普通の人間としての生活』を与えてくれました。『兵器』扱いされていた私達を『人間』として受け入れてくれたのが何より嬉しかったです」

朝雲「あの人、やる事は突拍子無かったりするけど普通に良い人だから。まぁ10人くらい引き取るなんて財力が規格外だけどさ…」

秋月「ええ。普通にマンション一室軽く貰えたりとか…」

朝雲「…それ普通じゃないわ、絶対」

秋月「ですよね… 一室だけで一体どれくらいお米が買えるのか…」

朝雲「で、三度目って言うのは?」

秋月「それは榛名さんです。 少々色々あって、落ち込んでいた秋月を榛名さんが助けてくれたんです。

その時、私に『エイクスュリュニル』をくれました。自分の機体のパーツを使って、わざわざ作って…」

朝雲「色々が知りたいのよ」

秋月「そこは秘密です。と言うかあまり思い出したくは無いので…」

朝雲「そう…」

秋月「だけど榛名さんにその時言われました。『他人の痛みが分かっていてもそこから救わないと意味は無い』と。

だから秋月も昏睡病と戦う事にしたんです。 誰かの痛みを無くして、そこから救うために」

朝雲「私には真似出来そうに無いわね…」

秋月「榛名さんから聞いてますよ。貴女が妹さんの為に戦ってる事は」

朝雲「だけど私に救えるものは無いわ。ニュータイプでも無いし、特殊な力も無いただの一般人だから」

秋月「それでも手を伸ばせば、きっと届く手はあると思いますよ。 もしかしたらそれが誰かにとっての『救い』になるかもしれません」


イベント選択
1.天津風&如月『成すべきこと』
2.萩風&野分『羨望』
3.霞&大鯨『届く声』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/16(月) 09:18:55.94 ID:nePgmMBL0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/19(木) 02:32:12.42 ID:tGAOJHU40<> side-霞&大鯨-『届く声』


大鯨「そう… ニムバス・シュターゼン、その後ろに黒幕が居るのね。やっぱり私が調べた通りだった…」

霞「調べてたんですか?」

大鯨「私、と言うより青葉ちゃんがだけど。あの子、私が専属で抱えたいくらい優秀よ」

霞「優れた調査能力と人の心を、感情を見通す力… 確かに諜報員としてはかなり凄い…」

大鯨「彼等の過去の経歴を漁ったのよ。『ニムバス・シュターゼン』『セルジュ・ラウ』『トリスタン・トレーダー』…

元PPSE職員、そして『マリオン・ウェルチ』が持つ感応能力とプラフスキー粒子を組み合わせた実験に参加してた」

霞「粒子と感応能力にどんな関係が?」

大鯨「少し前の話なんだけど、PPSEの研究所の事故は知ってるわよね?」

霞「ええ。確か『スクランブルガンダム』の暴走が起きた…」

大鯨「スクランブルが暴走したのは、新型の人工粒子結晶を用いた感応操縦実験が原因よ。ガンダムで例えると、『インテンション・オートマチック』みたいな」

霞「要するに感応波を使って操縦しようとしたら粒子が反応して、スクランブルが暴走したってこと…?」

大鯨「そう言うこと。これは従来の天然の粒子じゃ発生しない、人工粒子だから起きた事なの。

で、その前段階の実験の時に参加してたのがマリオンとニムバス一味だった。でもね、ある時マリオンは倒れちゃった」

霞「え…?」

大鯨「元から身体が強くなかったらしいの。で、無理な実験を繰り返したのが祟って病気になって使い物にならなくなった。

で、要らなくなったから体よくアナハイムの医療系に回され、人体実験の道具にされたみい」

霞「酷い…」

大鯨「そしてその感応波に目をつけたある人間、ニムバス達と同時期に行方を眩ましたあるナノマシン研究者が彼女をEXAMの核にしたんじゃないか、って言うのが私の推測」

霞「じゃあその研究者が…!」

大鯨「一連の黒幕の可能性が高い。 名前は『クルスト・モーゼス』、彼がナノマシン制御プログラムの第一研究者よ」

霞「クスルト・モーゼス…」

大鯨「多分、ニムバス達の当初の目的は多少なりとも情があったマリオンを助け出すことだった。だけど次第にEXAMの狂気に呑まれて、今は多分正気は残ってないと思う…」

霞「じゃあもう、戦いを止めるのは…」

大鯨「無理ね。もう絶対に声は届かない。 だけど届かせられるかもしれない人が一人だけ居る」

霞「誰ですか!?」

大鯨「霞ちゃんよ。 もしマリオンの声を拾えてニムバスに届かせられれば、だけど」

霞「私が…」

大鯨「その可能性を持つのは霞ちゃんだけ。純粋なNTになりつつある霞ちゃん唯一人なの。

もう貴女なら聞こえる筈よ。マリオンの悲しみの声が」

霞「確かに最近、『止めて』、とか聞こえて…」

大鯨「なら可能性はまだある。戦いを止め、一人の女の子を救える可能性が」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/21(土) 02:30:43.41 ID:joxe9w+h0<> 海風「ふぁ…」

瑞鳳「あ、起きた」

海風「まだ少し眠いです…」

神通「もうお昼前ですが、朝方まで戦闘をしていたので仕方はありませんね」

海風「戦闘… そう言えば被害は?」

萩風「海風さんが薙ぎ払った林以外は特に」

海風「あ、あははは…」

瑞鳳「体調は大丈夫? 気だるいとか、力が入らないとか」

海風「睡眠不足で眠い以外は特に」

瑞鳳「なら良かった」

海風「あの、『アズライトバースト』は一体…」

神通「それはですね…」



海風「つまりアズライトと海風が共鳴して発現した力、と」

瑞鳳「掻い摘んで言えばね。本来の仕様とは違うバースト、『アズライトバースト・イレギュラー』とでも言うべきかな」

海風「しかしこれで下手に『アズライトバースト』を使う事が出来なくなりましたね…」

萩風「そこは大丈夫です。あの現象は人の意思に敏感な人工粒子環境下だから発現した能力、現行システムの天然粒子環境下でなら問題はないかと」

神通「ただ問題としてはアズライトの内部に人工粒子が蓄積してる可能性があるので…」

瑞鳳「その点はそこら辺のバトルシステムに放り込んで粒子全放出させれば問題無いよ。ただそれには時間がかかる」

海風「どれくらいですか?」

瑞鳳「2日。 放出させた後天然粒子をチャージさせて、その後機体を整備して、ってなるとどうも…

アズライトは機体が特殊なの。 他のバーストやRGを持つ機体と比較して」

海風「特殊、ですか」

瑞鳳「アズライトには機体の粒子制御・粒子貯蔵・予備として機体のコアモジュール、システムの核を3つ積んでるの。

フレスヴェルグの時は1つだけだったから上手く粒子の制御が出来なくて自壊寸前までいったからね」

萩風「コアモジュールに1つ、例えミリ単位の傷でもついてしまえば機能を十全に発揮できなくなります。 その為どうしても時間がかかってしまうんです」

神通「機体の外装やフレームに損傷がなくとも、あれほどの粒子放出・制御を行ったコアモジュールにはどんな負荷がかかっているか分かりません」

瑞鳳「だからこそ入念にチェックが要るのよ」

海風「でも二日と言う事は…」

瑞鳳「そう、貴女は準決勝には出られない」

海風「…」

瑞鳳「納得できない?」

海風「そう言う訳では…」

瑞鳳「浜風ちゃんの機体借りる? 装備換装すればアズライトと同仕様になるし」

海風「絶対にNOです」

瑞鳳「だよね〜」

海風「個人的な感情はなんとかなりますが、アレが世界選手権に出られないとなって海風のせいにされても困ります」

瑞鳳「そこは大丈夫だと思うけど…」

神通(浜風さんの機体を使うことに抵抗は無い、と言う事はある程度は浜風さんを認めてるんですね…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/21(土) 03:50:33.16 ID:joxe9w+h0<> 《その後 リビング》


愛宕「じゃあ次の試合には海風ちゃんは出れないのね」

海風「はい。それに元々海風は二連続で出場してますから休息も必要でしたし」

天津風「最悪私のシューティングスター貸すわよ」

海風「それなら愛宕先生のギャプランの方が…」

愛宕「ごめんね、私の機体は今瑞鳳に調整して貰ってるところなの」

瑞鳳「今の私の技術なら『アレ』をまともに使えるように出来る。だからその調整にね」

海風「残念です」

天津風「じゃあ私のシューティングスターで…」

海風「バスターソードがあるなら」

天津風「ある訳無いじゃない」

海風「じゃあいいです」

天津風「ちょっと!?」

萩風「それに射撃型のシューティングスターより私のエクシアや姉さんのジャスティスの方が海風さん向けかと」

朝雲「適性のない機体を渡されても困るわよね、そりゃ」

霞「あれ、準決勝のトーナメント分けって…」

神通「! …今日でしたよね?」

全員「!?」

瑞鳳「ヤバッ!? 確か13時からだから… 車飛ばさなきゃ間に合わないじゃん!皆行くよ!」



如月「慌しいわね…」

野分「まさか全員忘れてるなんて…」

秋月「だけど、皆楽しそうです」

大鯨(でも海風ちゃんが目指すのはもっと先、皆が心の底から笑えるようになる世界… 駆け抜けなさい、鼓動が止まらない限り。

その気持ちが偽りでないならきっと誰にもその願いは消せない。 貴女の『創造』の力はきっと『アンリミテッド』に到れるわ) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/21(土) 04:05:19.10 ID:joxe9w+h0<> 《大会会場》


瑞鳳「皆、大丈夫!?」

霞「っはぁ… こ、呼吸が…」

海風「毎朝、ランニングは、欠かさなかったけど… キツイです…」

神通「…申し訳ありません。部長である私が、完璧に忘れていました…!」

萩風「責任問題ですよ、部長。あと朝雲さんそろそろ背中から降りてください」

朝雲「ちょっと待って…! さっき攣った足が…」

天津風「何やってんのよアンタは… って愛宕先生は?」

愛宕「」チーン

瑞鳳「あちゃー… 日頃の不摂生が祟ってるね。早朝ランニングやらないから…」

愛宕「うぅ… だってぇ…」

阿武隈「…一体何やってるの?」

海風「あ、どうも」

陽炎「大鯨さんから話は聞いてるけど… まさか忘れてたの、抽選会」

神通「はい…」

長波「どうして忘れちゃうかな…」

霞「ニムバス達とやりあってたんだから仕方無いでしょ…!」

阿武隈「あとここ学生オンリーだから瑞鳳さんたちは…」

瑞鳳「あ、そうだった。じゃあ私達は席に座ってるね」

愛宕「ちょっと待って… ま、まだ脚が…」

瑞鳳「いいから行くよ、愛宕先生」ズルズル

愛宕「あ゛〜…」

長波「…見た目と力関係が完全に逆転してるな」

萩風「私でもバーベル片手で持ち上げられるので、それ以上のパワーを持つお母様ならそれくらい当然かと」

陽炎「アンタ達の一族本当訳分かんないわ」

朝雲「しかも冗談でもなくて事実なのもね…」

阿武隈「静かに。もうすぐ抽選会はじまるよ」

天津風「ついに…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/21(土) 04:14:38.39 ID:joxe9w+h0<> 『これより第二回全日本ガンプラバトル選手権・中高生の部、決勝大会の抽選会を始めます』


天城「どう見ます、姉さん?」

榛名「どこが試合をしても激戦は必須、『切り札』を投入しないといけませんね」

満潮「…」


瑞鳳「参戦してるのは… 順当に居るね、ホワイトクリーンもソレスタル・スフィアも」

愛宕「残りのチーム、あそこって…」


『準決勝第一試合、宮城県代表天山学園『ホワイトクリーン』対…』


阿武隈「来た…!」

陽炎「お先、抜けるわね」

長波「対戦相手が怖いけどな」

海風「どこと戦うのでしょうか…」


『静岡代表・ガンプラ学園チーム『ソルスタル・スフィア』』


天津風「なっ…!?」

朝雲「よりによってガンプラ学園と…!?」



ウィルフリッド「遂に来たか…」

アドウ「倒し甲斐があるぜ…!あの連中はよ…!」

シア「でも、勝つのは私達ね」


阿武隈「どうやら、覚悟を決めなきゃね」

長波「ああ。決着、つけなきゃいけないもんな」

陽炎「どんなヤツでも倒す。私達の改RX-0で…!」



第16話『Belive Myself』 終
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/21(土) 04:22:36.53 ID:joxe9w+h0<> 次話選択 ↓3先取

1.『復讐の終わり』…天津風VS霧島

2.『もう一人の蒼き翼』…朝雲VSルーカス・ネメシス

3.『神話の獣と天使と』…阿武隈VSウィルフリッド <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/21(土) 06:25:39.97 ID:c2MvpU8L0<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/21(土) 07:07:31.53 ID:Yf93BIplO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/21(土) 09:24:22.35 ID:m9VsG2810<> 2で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/21(土) 09:46:29.65 ID:i2Fw/Xwc0<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/21(土) 10:06:19.54 ID:z3jIT/1MO<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/22(日) 22:12:48.51 ID:E7RnjH+i0<> 第17話『神話の獣と天使と』

《2年前 函館港》


「さ、寒い…!」ガクガク

「東北民ならこの程度…!」ガクガク

「滅茶苦茶震えてるじゃないですか…! と言うか何で函館なんですか!?」

「北海道新幹線特集だからですよ…!」

「でも誰も居ないし大雪で市場すらやってないじゃないですか!」

「仕方ありません… 明日には止むそうなので今日は本来明日の予定だったジンギスカンでも…」


コォォォォォォォ…


「っ…!榛名さん、見てください!」

榛名「海の上に、光…? 青葉さん、行きましょう!」

青葉「了解です! ってどうやって?」

榛名「出来るだけ近いところまでです!」



「う… ぁ…」

「もうちょっとで港だから…!」

「糞っ…!何なんだよあの光!」

「私が知るか! 南方に居たと思ったらこんな大雪の海だなんて…!」

「おーい! 誰かー! 電探には近くに船の一隻も居ないから、無理か…!」


青葉「声…! 人…?」

榛名「青葉さん、読み取れますか?」

青葉「ちょっと待ってください…! 3、感情は… 一人は無反応、多分意識がありません。二人は焦りと困惑…?

海の上に居る、と言う事は確実に『艦娘』ですね…」

榛名「転移者… 青葉さん、今から榛名の感応波を全力で周囲に飛ばします。青葉さんはスマートフォンを信号代わりに振ってください」

青葉「前に使ったアプリがそれ用のアプリがありました…! お願いします!」


『聞こ… すか…!』

「な、何!?」

「声! 通信機じゃ…」

『赤… 誘導…!』

「見て! 赤い光よ!」

「誘導してるのか…? だが、どうして…」

「助けるには行くしかないわ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/22(日) 23:00:45.05 ID:E7RnjH+i0<> 榛名「来た…!」

青葉「艦種、恐らく駆逐でしょうか」

「お願い、助けて! 私達庇って怪我をして…!」

「頼む!何でもするから!だから…」

青葉「これは酷い… よく生きてましたね、これ」

榛名「容態は… 脈拍が薄い、止血しないと…! 救急車を呼んで下さい!榛名が応急処置をします!

そこの二人も手伝ってください! そこのバッグに肌着があるのでそれで止血します!」

青葉「もしもし、けが人です!救急車お願いします! 場所は函館港の…」

「あった、この肌着ですか!?」

榛名「ええ。 あと二人はこの人の艤装と貴女達の艤装を外して隠すか投棄してきてください。

『艦娘』なんてものはこの世界には居ません。余計な混乱を招くことになります」

「え…?」

榛名「事情は後で! 早く!」


《数時間後 病院》


「治療は終わりました。応急処置が間に合わなければ危ないところでしたよ」

榛名「そうでしたか」

「…しかしあの怪我は普通じゃない。 体の側で花火が暴発したような傷付き方でしたよ」

榛名「ではそうなのでしょうね」

「…何かあったのか、我々医師は知らなければなりません。場合によっては警察に通報する義務があります」

榛名「…それを言われると少々困るんですよね。こちらも事情はほぼ知らないものでして」

「なら尚更…」

榛名「ではこれで」ドサッ

「は?」

榛名「入院費です。動けるようになるまで束の二つもあれば充分でしょう」

「そ、それは足りてますが…」

青葉「大人しくしていてくださいね〜。眉間撃っちゃいますよ〜」

榛名「選択肢は二つです。受け取って何も見なかったことにするか、鉛玉を受け取るか」

「よ、よろこんで!」



榛名「はぁ… どっと疲れました…」

青葉「小心者なのに無茶するからです」

榛名「主にその言い草は酷いです… 大鯨さんに言われた対処法を実践しただけなのに」

青葉「第一普通ははったりだって分かりますよね。これそこで買ってきた3000円のエアガンですし、普通銃なんか持ってるわけないじゃないですか」

榛名「まぁいきなり背後から音も無く忍び寄られれば誰でも思い込みますよ」

青葉「しかし大鯨さんもちょっとお願いしたらお金出してくれるなんて」

榛名「後が怖いんですよね… あくまでも事情が事情による『貸し』ですから。あとで何させられるやら…」

青葉「1ヶ月はタダ働き覚悟ですね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/23(月) 01:36:54.98 ID:h6npTpVE0<> 《病室》


榛名「危ない状況らしかったですけど今は命に別状はないそうです。傷跡も残る可能性は少ないと」

「そう… 重巡『青葉』、ソロモンの狼… アンタに助けられるとは思わなかったわ」

青葉「狼の名は返上しましたよ。それに隣にもっと『狼』の名前に相応しい人が居ますし」

「助かった… 本当に、ありがとう…!」

榛名「どんな命も生きたいでしょうし、当然のことをしただけです」

青葉「確かお二人は… 呉所属の陽炎型1番艦『陽炎』と横須賀所属の夕雲型4番艦『長波』、そして今眠ってるのが『幌筵の鬼神』こと阿武隈ですね」

陽炎「…その情報、古いわよ。私達は半年前に幌筵に転属したわ」

青葉「ありゃ。1年も経てば情報も腐りますかぁ」

長波「1年…?」

青葉「青葉がこちら側に来たのが去年だからですよ」

陽炎「要領を得ない…」

榛名「ここは貴女達が本来居た世界ではありません。 異世界の一つですよ」

長波「い、異世界だって…!?」

青葉「ええ。異世界で、この榛名さんが今の青葉の主ですよ」

陽炎「あの青葉を手懐けた…?」

榛名「誤解を招く言い方はやめてください。ビジネスライクな関係でしょう」

青葉「まぁ上司と部下の関係ですね。『今の所』は」

榛名「で、仕事の都合で青葉さんと一緒に食べ歩きをしようとしたところで貴女達を発見した次第です。

恐らくあの光は次元の裂け目のようなもの、それに呑まれた可能性が高いかと」

陽炎「次元の裂け目…」

青葉「実はこの世界は色んな平行世界につながる穴ぼこだらけでして、しかも閉じたり開いたりが忙しくて調査が間に合わず観測放置してるんですよ。

恐らく通った裂け目も突発的に出来た代物… 艤装が機能してる状態で転移したのは幸いじゃないですか」

長波「アンタはどんな状況だったんだよ」

青葉「気が付いたらフィッシングです。比喩じゃなくて、マジで」

榛名「あれはウォースパイトが原因なので… いや釣り上げたの榛名ですけど」

陽炎「訳が分からない…」

榛名「ともかく、二人も少し怪我をしているようなので手当をしておきましょう。 青葉さん、ホテルの手配を」

青葉「了解です!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/23(月) 01:53:19.84 ID:h6npTpVE0<> 《現在・全日本選手権会場》


『準決勝第一試合、宮城県代表天山学園『ホワイトクリーン』対静岡代表・ガンプラ学園チーム『ソルスタル・スフィア』』


阿武隈「どうやら、覚悟を決めなきゃね」

長波「ああ。決着、つけなきゃいけないもんな」

陽炎「どんなヤツでも倒す。私達の改RX-0で…!」


榛名「…満潮」

満潮「何、出番?」

榛名「スタンバイだけしてください。出すかどうかはあの子達が決めることです」

天城「ソレスタル・スフィアのデータは纏めてあります」

榛名「ではブリーフィングを行いましょう」


阿武隈(ここまで来たんだ… あの時から…!)

陽炎「さて、私達はお先に失礼するわ」

長波「榛名姉からブリーフィングの召集がかかりそうだしな」

神通「どうか武運を」

阿武隈「言われるまでもないよ。私達の敵は倒す、それだけだから」

長波「今は自分達の心配しとけ。 無事に決勝にいけるかどうかのな」

陽炎「ま、決勝で待ってるわよ」


天津風「流石に気合入ってるわね…」

朝雲「今、背筋がゾクッってなったわ」

萩風「気負いすぎてるような気がしますが… 放たれるプレッシャーは尋常ではありません」

霞「今のは、何…?」

海風「霞…?」

霞「執念だけじゃない、何か別の感情…」

神通「執念以外の感情、ですか」

霞「あれは『恩』…?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/23(月) 02:24:01.39 ID:h6npTpVE0<> 《ガンプラ学園用の部屋》


能代「敵は3機の『HGUC ユニコーンガンダム』系統をベースにした改造機『改RX-0』を使ってるわ」

ウィルフリッド「監督、あの『改RX-0』については何か知っているのですか?」

能代「嫌と言う程ね。ガンプラ塾当時、現メイジンですら勝てなかったわ」

アドウ「メイジン相手にかよ!?」

能代「あのシリーズは一つの系統、そして『ガンダムシリーズ』と言う枠組みから外れてる。ガンプラとしては異色過ぎるの。

正直、馬鹿げてるとしか言いようがない。 そもそも全機の共通の特徴の、完全変形機能だけでも狂ってるとしか…」

シア「敵の機体は?」

能代「まずはリーダー機『RX-0[M] マーナガルム』から。 あの機体は『本来の意味のフルアーマー・ユニコーン』ね。

各部に装甲を追加、さらにIFジェネレーターによる高い防御力を持ってる。武器はホーミング・ビームキャノンを脚部に複数、遠隔ドリルユニット『スコール』『ハティ』、それとクローアームとバルカンかしら」

アドウ「アイツ、スピードもパワーも尋常じゃねぇぞ。下手にクローに捕まれば俺達の機体もミンチだ」

能代「そして高い加速能力も持ってる。旋回性能が若干低いのが救いだわ…

アレに真正面から対峙は無理、絶対に正面から単機で戦わないことね」

シア「この翼を持った機体は?」

能代「『RX-0[V] ヴェズルフェルニル』、スピード特化の機体よ。ビームマシンガンと実体剣、そして背中に装備されたMドライブユニットによる光の翼が武器。

この機体の特徴は高い運動性・機動性よ。…正直、スローカメラを使わないと撮影すら難しいわ」

ウィルフリッド「尋常じゃ無いスピード… 私でも完全に捉えるのは難しいな…」

能代「それにファイターも反応が早い。 組み合わせは最悪ね…」

アドウ「そしてラストはステルスか」

能代「『RX-0[G] ガルム』。武器はクローシールドを両腕に、両肩にはビームキャノン… そして最悪の武器、弓装の『グシスナウタル』。

『グシスナウタル』のビームは威力はそこまでではないけど『絶対に直撃する』か『絶対に貫く』かの二つの特性を切り替えられるの。どれだけ逃げても、どんな防御策を練ろうとも無力化される」

ウィルフリッド「さらにステルス特性持ち、中々やりにくい…」

シア「なんて恐ろしいガンプラなの…」

能代「しかも全ての機体が『フリューゲル・ヴェント』の主力の『ウイングガンダム・アズライト』や『シームルグ』に匹敵、もしくは上回ってる。

ファイターも強豪、能力も折り紙つき。油断してもしなくても、足元を掬われかねないわ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/23(月) 22:28:13.82 ID:h6npTpVE0<> 《天山学園・控え室》


榛名「今回相対するのはガンプラ学園です。 敵のファイター、機体情報を再確認しておきましょう」

天城「まず1機目はアドウ・サガの操る『ガンダムジエンド』、太陽炉搭載機ですが各シリーズの意匠が見られるますね。

戦法は先手にファング、その後は大型のビーム砲と『デッドエンドフィンガー』、ハンドガンを用いた戦いが主です」

阿武隈「近づくのが厄介だけど…」

榛名「だけど弱点はあります。あの首、『フィストジエンド』に武装を依存していることです。しかもアレは首が伸びる機能のせいで操作入力の伝達が遅いんです。

その隙に本体から切断すればほぼ無力、脅威にはなりにくいかと。さらに言えば腹部に注目してください」

長波「裂け目だな…」

榛名「あれは『口』です。 敵機を食み砕き、ビームを呑み込むための。 個人的にはもう一つくらい隠し玉がありそうと踏んでますが…

『口』など、無駄なものを設置したせいで構造上脆弱になっています。例えパワーの劣る『ヴェズルフェルニル』でもNT-Dを使えば上半身と下半身を引きちぎれます」

陽炎「つまり私向けの相手、って訳ね」

榛名「ええ。『ヴェズルフェルニル』の運動性を以ってすればファングなど容易く避けられるでしょう。パワーと、口に注意しておいてください」

天城「次はキジマ・シアの駆る『G-ポータント』です。 武装はオーソドックスにライフル、それとウィップになる剣です。

また強力な粒子フィールドを持ち、華奢な見た目とは裏腹に高い堅牢性を持っています」

榛名「この機体は弱点は少ないですね。 攻略方法は機体各部に装備されたグラビカルアンテナを潰すことです。

グラビカルアンテナは粒子制御の役割を担っています。弱点を露出している以上、破壊し易いでしょう。1個でも壊せば防御能力は半減する筈です」

長波「じゃあ最適なのは私か」

榛名「ええ。ガルムの能力、そして『グシスナウタル』ならば戦えるでしょう」

阿武隈「そして最後は… 『トランジェントガンダム』だね」

天城「武器はランス、と言うかパルチザンですね。 攻防・近距離遠距離全てに対応しています」

榛名「だけど武器に依存し過ぎているのも問題ですね。パルチザンさえ壊せばサーベルくらいしか武器はなくなりますから」

陽炎「簡単に言うよ…」

榛名「しかもクリアパーツを使っている以上あまり強度も高くないかと。しかもパワーはこちらの平均値と同程度…

厄介なのは機体性能をブ−ストする『トランジェントバースト』、トランザムに相当する能力です」

長波「どう攻略するよ」

榛名「使えば敵は突撃一辺倒になるでしょう。そこを突ければ、いけるはずです。 彼の相手は阿武隈が適任ですね」

阿武隈「わかった」

榛名「問題は… 満潮」

満潮「何よ」

榛名「満潮と『フレスヴェルグ』なら3機どの相手にも引けを取りません。貴女の能力ならばガンプラ学園すら確実に倒せるでしょう」

満潮「そのために私を、対・ガンプラ学園の戦力としてチームに編入させたのよね」

榛名「阿武隈。 決めてください。 誰が抜け、代わりに満潮を入れるか。もしくはこのままで戦うか」


阿武隈の選択 直下
1.阿武隈が抜ける
2.陽炎を抜く
3.長波を抜く
4.満潮を編入しない
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/24(火) 12:00:27.40 ID:/kbyg2mUO<> 4 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/24(火) 23:34:53.26 ID:WJ/PXQWK0<> 阿武隈「…大丈夫。助けは要らない」

満潮「そう」

榛名「良いんですか?」

阿武隈「これは『私達』三人の戦いだから。姉さんに貰った『改RX-0』があれば充分。

それに… あの三人と戦うための戦いでもある。そこに誰かの手を借りるなんて出来ないよ」

陽炎「去年負けた鬱憤も晴らしたいしね」

長波「そう言うこと。これだけは… 譲れないんだ」

満潮「あっそ。私は自由時間が増えるから結構よ」

榛名「…分かりました。3機の整備は万全、『例のもの』も用意できています」

陽炎「服は?」

天城「ちゃんとありますよ」

長波「じゃあ私達着替えるから、また後で」



榛名「どうしてあそこまで頑ななんでしょう、妹達は」

天城「きっと誰かの妹だからかと」

榛名「…榛名ってそこまで頑なでしたか?」

天城「まずRX-0に拘ってるのに、頑なではないと?」

榛名「うっ…」

天城「それに… 阿武隈達の気持ち、分からなくはありません」

榛名「え…?」

天城「…鈍感なところも直したほうが良いと思いますよ。阿武隈達の気持ち、分かってないんですから」

榛名「気持ち、って?」

天城「教えません」

榛名「感応波で…」

天城「『有事以外の感応波の使用は禁止』、そう定めたのは姉さんですよ」

榛名「うぐっ…!」

天城「第一天城が感応波を遮断してる状態で姉さんが感応波を天城相手に使って読み取るには最大の力を使う必要があります。

ハッキリ自殺行為です。 ここは人が多すぎる、全力で使えば無差別に人の頭を読み取って精神を破裂させますよ」

榛名「そうでした… 自分の能力、全力にすると自分じゃ制御できなくなるの忘れてました…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/25(水) 00:26:45.37 ID:LLZom0kH0<> 長波「あれ、この前直したのにまた胸が…」

陽炎「なに、またアンタデカくなったの!?」

長波「おっかしいなぁ… 陽炎より食ってない筈なんだけど…」

阿武隈「良いなぁ… 半分分けてよ」

長波「私に言うなって。んなこと言ったら陽炎だってちょっと成長しただろ」

陽炎「そりゃあれから2年経ってるし。まだまだ成長するのよ」

阿武隈「」グサッ

長波「おい、今地雷踏んづけたぞ」

阿武隈「いいよ… どうせ私は… 胸なんかなくても良いもん…」

陽炎「…面倒なことになった」

長波「自虐モード、長いんだぞ。試合前に自虐モードにしちゃ駄目だろ」

陽炎「胸がデカい長波が悪い」

長波「私のせいかよ!?」

陽炎「アンタが胸キツイとか言うからよ」

阿武隈「良いよ、もう… 諦めてるから…」

陽炎「ほら、拗ねたじゃない」

長波「お前が余計なこと言うからだろうが!?」

陽炎(だけどこんな日常も、二年前の私達には想像できない代物だった…)



《二年前 仙台市内・模型店『エンガノ』1号店※》 ※瑞鳳店は2号、1号店は仙台市内と言う設定です(KBFより)


大鯨「で、この子達がそうなのね?」

榛名「ええ。 阿武隈さん、陽炎さん、長波さんと言うそうです」

阿武隈「…」

陽炎「あの、ここは…」

長波「なんか速い電車に揺られてたと思ったら、こんな所に…」

青葉「向こう側は新幹線なんてないですからね。整備・維持する技術も費用も今の向こう側にはありませんし」

大鯨「当面の間に入用になりそうなものはこっちで用意しておいたわ。後必要なものがあれば…」

阿武隈「…向こうに、帰れないんですか」

榛名「…無理でしょうね。 貴女の艤装は既に使い物にならなかった、それにこの世界と向こうの世界に確実に帰れる裂け目は…」

阿武隈「っ…!じゃあどうしてあのまま死なせてくれなかったの…!」

陽炎「阿武隈さん…!」

長波「帰る方法は後で探せば良い、だから今は身体を…」

阿武隈「戦えなくなった私に、なんの価値があるの!? 『そう』なるくらいなら、いっそ死んだ方が…!」

榛名「じゃあ今すぐ殺してあげましょうか」ジャキッ

阿武隈「ひっ…」

大鯨「ウチでトマホークを出さないで。この子はきっと…」

青葉(軍部の常套手段、青葉たち艦娘は『戦う以外に価値はない』そう刷り込まれて戦わされた。

精神的にも未熟な子供に刷り込んで価値観を固定化させる。戦争時は有効な手段ですが、平和な世界においては無意味どころか悪質過ぎるやり方でしょう)

大鯨「…カウンセリング、青葉ちゃんに任せて良いかしら?」

青葉「この前資格取ったばかりですがやれることはりますよ。それと娘さんを数名お借りしても?」

大鯨「ええ。 そこは一任します」

榛名「では榛名はここで。帰ったら仕事があるので。 …それと阿武隈さん。死ぬ、なんてことは榛名の前で二度と言わないでください。次は容赦しません」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/25(水) 01:22:19.88 ID:LLZom0kH0<> 陽炎「何なのよ、あの人…!」

青葉「…二人共、あと阿武隈さんも。 榛名さんの前で軽々しく死ぬ、とは言わないでください」

長波「…何かあったのか?」

青葉「過去に親しかった友人を自殺で亡くしているんです」

陽炎「え…?」

青葉「『ある夢』に破れて、目指す目標に成れなくて、10年近くの努力がふいになって… 榛名さんが駆けつけた時には首を吊っていたそうです」

陽炎「だから、阿武隈さんを…」

青葉「まぁ殺す、なんて言ったのは言い過ぎですけども… だけどあの人は誰かが自ら死のうとするのを見たくない、って人なんですよ」

阿武隈「なんで、私を…」

青葉「この世界は、少なくとも今この国は戦争なんて起きてません。そんな世界で生まれた人間だからこそ命を軽々しく扱う人を許せなかった、のだと思います」



榛名「…やってしまいました。またこうですよ…」

榛名(許せ無い事があるとトマホークを取り出すのは駄目な癖です… 言葉で諭せばよかったのに…)

榛名「だけど…」


榛名『…久し振りですね。どうかしましたか?』

『アハハ… 負けちゃった。メイジンに、なれなかったよ…』

榛名『そう、ですか… で、今後は…』

『これで全部台無し。私の人生、意味なくなっちゃった』

榛名『そんな事はありませんよ。 夢破れても…』

『榛名… 貴女はどうして捨てられたの? メイジンとしての道を、そんな簡単にさ…! 私より強いくせに、私なんかより才能があったのに!』

榛名『…』

『…榛名、ごめん。私もう、疲れちゃった…』

榛名『っ…! 待ってください! 今何処ですか!』

『寮だよ。明日には出て行かなくちゃ… でも、出たくないから…』

榛名『今から行きます!大好きな間宮さんの羊羹持って行きますから、早まった事は!』

『じゃあね。 今までありがと』


榛名(あの時榛名が仙台から駆けつけた時にはもう亡くなっていた… もし榛名が向こうに残っていたら彼女を、あの子を救えたのでしょうか…)

榛名「答えて、『フェンリル』… 無理ですよね。口なんてありませんもの」

榛名(人よりプラモを作れても、人より強くても、人と変わった力を持っていても、誰も何も救えなかった。それが榛名なんですから…)

コンコン

天城「姉さん、夕飯の… 何かあったのですか?」

榛名「何でもありませんよ。感傷に浸ってただけです。 メニューは?」

天城「間宮さん特製の…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/28(土) 01:49:47.17 ID:Z1kViqi00<> 《現在・天山学園控え室》


阿武隈「行くよ、二人共」

陽炎「了解。準備も終わってる」

長波「いっちょ、蹴散らしに行って来ますか」

阿武隈「機体は… うん、仕上がってる」

陽炎「『例の力』も使えそうね」

長波「今回はコード・ブレイヴを使うのは避けられないよなぁ…」

陽炎「当たり前でしょ。そう簡単にいく相手なら去年負けてないわよ」

阿武隈「…二人共、最初からトばすよ」

陽炎「何、最初からNT-D?」

長波「機体負荷ヤバそうだぞ…」

阿武隈「そんな事に躊躇してたらガンプラ学園は倒せない」

長波「わかってるよ。 だけど私は最初からは使えない」

陽炎「『ガルム』はステルスとの兼ね合いのせいでNT-Dはステルス機能を切ってるときにしか使えない、でしょ?」

長波「ああ。ま、最初の方は隠れて『グシスナウタル』で援護に徹する」

阿武隈「別に切り込んで貰っても構わないんだけど、その役目は陽炎ちゃんに譲るか…

さて二人共、作戦会議は終わり。 いつも通り、そしていつも以上の力を出して戦いなさい」

陽炎・長波「了解!」

阿武隈(こんな所で負けられない… 私達にはやらなきゃいけない事が、あの子達との決着と『それ以上』のことがあるんだから…!)



《小沢学園控え室》


瑞鳳「どう見る、この試合?」

神通「激戦は避けられないでしょうね…」

萩風「しかし僥倖でもあるかと。大会当初からの優勝候補のうち私達の最大脅威とされていた2つが潰し合ってくれるのは」

海風「それはそうですが…」

霞「ちょっと複雑、よね… ガンプラ学園、シアたちとは戦ってみたかったけど宮城の連中とも決着は付けたかったし…」

朝雲「まぁ、私達から見ればどっちでも良いやって感じなんだけど…」

天津風「私はガンプラ学園を潰せればそれで良いわ」

愛宕「貴女達は練習試合の時は入部してなかったから仕方無いわね」

海風「この際なので個人的な感傷は置いておいて… この試合、五分と言いたいですが… どちらかと優勢なのは『ホワイトクリーン』でしょう」

瑞鳳「理由は?」

海風「まずファイタースキルは恐らく五分、連携や作戦次第と言った所です。次に機体性能は『ホワイトクリーン』が勝っているのは明確ですね」

天津風「確かにガンプラ学園の機体データと比較すると性能は『ホワイトクリーン』が上、ただし一部がピーキー過ぎてるけども」

朝雲「『改RX-0』自体、この大会に出すにはオーバースペックなのよ。グリプス戦役にF91突っ込んだみたいなもんだから」

萩風「『Zガンダム』みたいに一部の機体がF91を上回る推力を持っている場合もあるけど基本的には性能で勝る相手はいない、と言う意味では正しい例えでしょう」

愛宕「もしくはTR-6系統とか、ね。あれもオーバースペック過ぎてあの時代の代物とは言えないし…」

海風「話を戻しますと、あとの違いは指導者の質の問題でしょうか」

霞「確か向こうはPPSEのメイジン専任ビルダーが担当してるんだったかしら?」

神通「ワークスチーム、ガンプラ造りの最高峰の専門家が集まり最高の機材を持ったチームの主任、ですね。榛名さんの後輩にあたり、お母様には幾度も煮え湯を飲まされているとか」

瑞鳳「いくら作っても片っ端からこっちが勝っちゃうからね、仕方無い」

海風「しかし『ホワイトクリーン』は朝雲さんにガン=カタを仕込んだ元メイジンの筆頭候補生である榛名さん、それに意外に面倒見がよく霞曰く『丁度良い感じに鍛えてくれる』らしい天城さんです。

製作畑の人間と、『指標』となるべく育てられたファイターと面倒見が良い妹、果たしてどちらが上となるでしょうか?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/28(土) 03:10:55.57 ID:Z1kViqi00<> 《会場》


『これより全日本ガンプラバトル選手権・中高生の部、準決勝第一試合。宮城代表・天山学園『ホワイトクリーン』対静岡代表・ガンプラ学園『ソレスタルスフィア』の試合を開始します』


阿武隈「…勝つよ」

陽炎「言われなくても」

長波「そのつもりだ…!」


ウィルフリッド「ここで立ち止まっては居られん…!」

アドウ「全員ぶっ潰してやるよ…!」

シア「勝つのは、私達よ」




榛名「…お母さん達、観てるでしょうか?」

天城「録画してある、とは言ってましたが…」

榛名「多分大丈夫でしょう… リアルタイムで観ろと言っておいたのですが…」



天津風「…わざわざこっちに移動する必要あった?」

朝雲「生で観たいでしょやっぱり」

萩風「ええ。テレビでは戦うガンプラは映しますがファイターはほぼ映しませんから」

瑞鳳「録画してきたし、私達の試合は明日だし平気平気」

愛宕「何があっても後で確認できるようにしてあるわ」

神通「始まります、静かに」

霞(見える、ホワイトクリーンから発する『何か』が… 半端じゃないわよ、あのプレッシャー…!)

海風(キジマさんとの約束が果たされるか、それともホワイトクリーンとの決着か… どちらにしろ、海風にはまだ未来を予測できません。どちらも、全力を尽くして欲しいですね)



Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


長波「『ガルム』、長波…」

陽炎「陽炎、『ヴェズルフルニル』…!」

阿武隈「『マーナガルム』、阿武隈! チームホワイトクリーン!」


長波「行くぞ!」

陽炎「出るわよ!」

阿武隈「行きます!」



阿武隈「フィールドは宇宙… コロニーの周辺宙域みたい」

長波「資源衛星付きだな… 『ヘリオポリス』か?」

陽炎「違うみたい。だけど、内部でも戦闘が出来るくらいには大きいわ」

阿武隈「侵入して重力下で戦うか、そのまま宇宙で戦うか…」


行動安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/28(土) 22:14:48.71 ID:MWXt0QzgO<> 阿武隈が単身でコロニー内部に進入、陽炎と長波は進入すると見せかけて外に隠れておく <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/29(日) 01:53:32.18 ID:tJO4NgZp0<> 阿武隈「私はコロニー内に先行する。二人は港の外に隠れて待機、その時に侵入したフリをして」

陽炎「こっちがコロニー内に全機が入った、と見せかけて相手をコロニーにおびき出す作戦ってことね」

長波「確か港は二つ、対岸にある。片方から3機入ったと思わせれば港での待ち伏せを考えて別の方向から入らざるを得ないからな」

阿武隈「それに陽炎ちゃんを外に置いておくと、もし外部からの攻撃が起きた場合即応出来るから」

陽炎「ヴェズルフェルニルのスピードならこんなフィールド、2分くらいで横断してやれるからね」

長波「それに私が外に居ても気付かれずに移動できるから、もう片方の港に回りこんで背中も狙える」

阿武隈「相手が上手くノればだけどね。 じゃあ作戦開始!」


シア「敵、コロニー内への侵入を確認」

ウィルフリッド「『ホワイトクリーン』はコロニー内での戦いを選んだか…」

アドウ「どうするよ、キジマ?」

ウィルフリッド「小細工はしないさ。私達のそれぞれのスタイルで正面から行く」

シア「それって、好きにしろってことじゃ…」

アドウ「ハハッ、面白れぇ!」

ウィルフリッド(私には彼女、海風さんのような戦い方は出来ん… だが私達のスタイルを貫き、この手で勝利を掴んで見せよう!)



瑞鳳「コロニー内での戦闘を選んだ… この状況、どう見る?」

海風「…どう出るか、次第です。『ホワイトクリーン』側はまだ2機、コロニー外に機体を隠していますから…

この戦い、アドウ・サガがどう動くかで勝敗が決まります」

天津風「アイツが?」

海風「はい。もし今外からコロニーへと攻撃しようとしているアドウ・サガが伏兵に気付けば一気に『ソレスタルスフィア』へと勝利の比重が傾く、しかし伏兵に気付けず奇襲を受けた場合彼に勝ち目はなく負けるでしょう。

そうなった場合戦力比を覆すことはほぼ不可能、シアとキジマさんは『余程』の隠し玉が無い限りは勝てません」

朝雲「チャージ中で無防備になってる今なら『ヴェズルフェルニル』の超スピードか、『グシスナウタル』を持った『ガルム』なら倒すことも出来るし…」

萩風「動き次第で今後が決まる、と言う訳ですね」

霞「だけどあの二人は戦場馴れしてる… あれだけあった殺気も今は全く押さえ込まれて気配すら知覚は難しいわ」

神通「ええ。鍛え上げた私や霞さんですら知覚が難しいとなると…」

愛宕「私も、うっすらと感じるくらいで…」

海風「この勝負… 決着まで長くはありません。決まるのは15分未満になるでしょう」


《コロニー内》


阿武隈「…『トランジェントガンダム』!」

ウィルフリッド「『マーナガルム』、1機だけか…? 隠れているのならば!」


パルチザンを掲げて頭上でクロスさせるトランジェントガンダム、そして粒子ビームが雷のように放出されコロニー内の街を焼く。

阿武隈は両肩に内蔵された『スコール』と『ハティ』を射出しクローアームで掴んで放つ!


阿武隈「リモート、ドリルバーストッ!」

ウィルフリッド「クッ! あれに当たればトランジェントと言えども…」

阿武隈「まだ!どこに逃げようと追い詰める!」


脚部からスフィア・フォーカス・ビームキャノンの屈折するビームが放たれ、ドリルユニットから逃げるトランジェントへと襲い掛かる。

トランジェントは辛うじて回避するが追撃してきた『スコール』『ハティ』が掠め、さらにマーナガルム本体が加速の勢いで右腕で打撃を放ち直撃したトランジェントを地面へと叩き付けた。


ウィルフリッド「やはりパワーが桁違いか…!」

阿武隈「ちょっと凹んだだけ… でも『マーナガルム』の攻撃、どれだけ耐えられるかな?」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/29(日) 02:52:31.31 ID:tJO4NgZp0<> シア「兄さん!」

阿武隈「G-ポータントまで来た…! 狙い通りだね!」


阿武隈はスマッシュライフルによる射撃をIフィールドで防ぎ脚部からビームキャノンを放つ。しかしシアはその攻撃をフィールドによって防いだ。

それこそ阿武隈の狙い、そして足を止めたG-ポータントの背後から一条のビームが走り左肩を貫く。


シア「後ろっ!?」

長波「警戒が甘いんだよ!追え『グシスナウタル』ッ!」


放たれたビームを右への回避機動で避けようとするG-ポータント、しかしグシスナウタルの一撃はポータントを追って曲がり直撃する。

収束が甘く威力は低い為かダメージこそ軽微だが墜落して建物に落下するG-ポータント。そこに今度は長波が『貫く』一撃を放つがポータントは飛び上がってビームをかわす。


長波「やっぱり真正面からは当たらないか…!」

シア「あの一撃、こっちの装甲を一撃で貫いた… 直撃は避けなきゃ…!」

ウィルフリッド「下がれシア!態勢を…」

阿武隈「余所見する隙なんてあると思わないで!」


一瞬の隙も逃さずトランジェントへとビームキャノンを放つ阿武隈。パルチザンを使ってビームを防御するが長くは保たないだろう。

射撃による攻撃を受けないためには近付く必要がある。だが不用意に近付けばマーナガルムのパワーの餌食になるのは必然だ。


ウィルフリッド(一旦態勢を整えなおさなければ、負ける…!)

ウィルフリッド「くっ、アドウ!」


コロニー外部からバイフィストの銃口へとエネルギーを溜め込んでいたアドウにウィルフリッドからの通信が入った。

その通信を受けて一撃を放ち、コロニー外壁を破って内部に侵入しようとしていたアドウだが…


アドウ「避けろよ、デカイのが…」

陽炎「行かないわよ」


そこにNT-Dを発動しながら『スキーズブラズニル』の光の翼を展開した『ヴェズルフェルニル』が超高速で迫り、反応が遅れたジエンドのフィストジエンドの顔に『グラム』で斬撃を加える。

そして溜めていたエネルギーが暴発して、フィストにあった顔が吹き飛び完全に『デッドエンドフィンガー』銃口が破壊された。


アドウ「テメェ、よくも! ファング!」

陽炎「ネージュエール! 手数はこっちが上よ!」


距離を取ったヴェズルフェルニルへとジエンドがファングを10発放つが、スキーズブラズニルの光の翼から放出されたエネルギーが無数の刃となって襲い掛かる。

手動でファングを操り刃を躱そうとするが数が多すぎる故に完全に回避できず全てのファングが撃ち落された。


アドウ「やる…!だが…」

陽炎「反撃? させないわよ!」


ビーム・マシンガンをジエンドへと放つ陽炎、陽炎の射撃はフィストの甲部によって防がれるが陽炎はその隙を狙って機体を急加速させて距離を詰める。

そして『グラム』による斬撃を放ち右側のフィストのアームを切り落として光の翼で八つ裂きにしてしまう。


アドウ「何だと!?」

陽炎「行くわよ。ガンプラ学園の不敗、今日で終わらせてあげるから」


視点選択 直下
1.阿武隈『VSウィルフリッド』
2.長波『VSシア』
3.陽炎『VSアドウ』
4.榛名『独白』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/04/29(日) 09:41:37.44 ID:GF55OZrW0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/30(月) 00:07:31.47 ID:3tMFy5qE0<> side-陽炎-


アドウ「ちょこまかと!ファング!」

陽炎「もうその手は分かってる!ネージュエール!」


襲い掛かるファングへと光の翼から無数の刃を放ちその全てを切り裂く。その隙にアドウは銃であるショットジエンドを右手にマウントさせてヴェズルフェルニルへと数発放つ。

だが常軌を逸した速度で機動を行うヴェズルフェルニルを捉える事は出来ずに周囲に浮いていたデブリに当たる。アドウの狙いはデブリ帯に陽炎を追い込み機動力を削ぐことであり、狙い通りに陽炎はヴェズルフェルニルをデブリ帯に突入させた。


アドウ「バカが!まんまとかか…」

陽炎「甘く見られたものね… この程度で私が止まるかっての!」

アドウ「コイツ、デブリでも速度が落ちないのかよ!?」


だが目論みは全て外れヴェズルフェルニルの機動力は落ちない。デブリ一つ一つを小刻みな機動で掻い潜る姿は『ガンダムUC』のシナンジュの映像を彷彿とさせる程だった。

陽炎にはデブリ全てが見えている。そして反射的に回避機動を行いデブリを掻い潜るなど彼女にとってはお菓子の袋を開けるのと同じレベルだ。寧ろたまに暴発させて零したりする分お菓子の袋の方が難易度が高いかもしれない。


陽炎「でもいい加減鬱陶しいしキモイわね、その潰れた顔。こっちも切っちゃうか」

アドウ「させるかよ!」


機体を反転させジエンドへとヴェズルフェルニルは直進する。その間もアドウは迎撃のためのファングを放つが全て右腕のマシンガンで撃墜され距離を詰められてしまう。

そして左腕の実体剣『グラム』で真正面からの斬撃を行うがジエンドの右の5本指に内蔵されたサーベルで防がれ鍔競り合いとなる。


アドウ「俺にサーベルを使わせやがったな…!」

陽炎(これが隠し玉? 違う、『口』に何かあるかもしれない。ならここは…)

アドウ「コイツも、喰らえってんだよ!」


ジエンドの腹部にある口が裂け中から飛び出す内蔵の小型MSの角。『イッカク』と呼ばれるその機体がヴェズルフェルニルを串刺しにしようと回転しながら放たれる。

この間合いでは反射的に対応するのは普通は不可能、故に必殺を確信するアドウ。しかし次の瞬間、目の前からヴェズルフェルニルの姿は消えていた。


アドウ「何っ!?」

陽炎「『コード・ブレイヴ』… 一瞬遅れてたらヤられてたかも」


咄嗟に発動したリミッター解除システム『コード・ブレイヴ』、そして陽炎は機体を上昇させることで『イッカク』による一撃を避けていたのだ。

そして陽炎はマシンガンを投棄しグラムを両腕で構えて加速しジエンドとの距離を再度、瞬時に詰めて『イッカク』を両断する。


陽炎「切り札は、もう無いわよ」

アドウ「ふざけやがってぇぇぇぇぇっ!」


ここまで追い詰められたのはどれぐらい前だろう、とアドウは逡巡した。互角の戦いではなく一方的過ぎる戦いに血が滾るどころか全身の熱が恐怖で冷めていく感覚を覚える。

それはかつて自分自身が他人にやってきた事、しかし彼はそれに気付きもしない。気付けないほど思考に余裕が無いのだ。そして彼は怒りのまま右の五指のサーベルをヴェズルフェルニルへと繰り出す。


アドウ「これでぇぇぇぇっ!」

陽炎「そんな感情任せで、やれると思うな!」


『グラム』とサーベルが鍔競り合いとなった瞬間、陽炎はグラムを僅かにずらすことでジエンドの指から展開されたサーベルを逸らす。

そして腹部の『口』にグラムを押し当てる。それに気付いたアドウはグラムを噛み砕こうと腹部の牙でグラムに噛み付こうとするが、グラムの刃が結晶化しそのままジエンドを両断した。


アドウ「俺が…!負ける、だと…!」

陽炎「マテリアライゼーション… 勝ちは、貰ったわ」


背後で爆散するジエンドを見届けた陽炎はNT-Dを解除し先程投棄したマシンガンを探す。その目や頭の中には『倒した相手』の事など微塵も残っていない。

そしてマシンガンを発見すると再びコロニーの方へと機体を飛翔させる。ただ敵対する者を全て屠るために… <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/04/30(月) 01:14:40.36 ID:3tMFy5qE0<> 天城「姉さん!陽炎が1機倒しました!」

榛名「去年より腕を上げましたからね。しかしまだ1機、油断は出来ません」

榛名(正直満潮を編入しなかったのは不安でしたが、この調子なら心配ありませんね)



天津風「あのアドウが…?」

朝雲「私達が5人がかりで倒せなかったのよ!?」

海風「ですが陽炎さんは単機で倒してしまった… その事実は覆しようがありません」

愛宕「あの子達、やっぱり強敵になりそうね…」

瑞鳳「でもこれでこの勝負、一気に傾いた…」

萩風「戦力比は2:3、ヴェズルフェルニルのスピードならばコロニーまで1分もかかりません」

霞「そうなった場合はガンプラ学園、シア達に勝ち目は無い…」

神通(もし次に戦う時は私が、彼女と戦わなければならない… あのスピードを相手に…)

天津風「…」

朝雲「どうしたのよ天津風?」

天津風「…ごめん、ちょっと一人にさせて」

萩風「どうかなさったのですか?」

瑞鳳「一人にしてあげましょ。きっと感情が納得できてないのよ」



天津風「何でよ…! 私がアイツを倒したかったのに…!」

天津風(私の復讐が… ガンプラバトルを続けて、ここまで来た意味が…!)

「そんな邪な感情を持って戦うならガンプラバトルなんかしない方が良いよ」

天津風「確か貴女、時雨さん…」

時雨「かつて僕は言われたんだ。『ガンプラバトルは所詮遊び』、ってね。遊びだからこそ本気になれるのに…

復讐なんて考えを、私怨を持ち込まれたらそれこそ他のメンバーの迷惑でしか無い。しかもガンプラ学園と戦いたい、ってことは今戦ってる彼女達にも『負けろ』って言ってるようなものだ」

天津風「貴女に、何が分かるんですか…!」

時雨「分からないね。だけど僕もある人に負けて、勝ちたいって思ってガンプラバトルを続けた… 強くなりたいって思ったさ」

天津風「じゃあ私とどこに違いがあるんです!」

時雨「楽しいか、楽しくないかの差だよ。 僕は彼女に辿り着くまで色んな人と出会って戦って、楽しかった。

でもキミは相手を対戦相手じゃなくて『ただの踏み台』としか見てない。 そんな敬意も何も持ってないなら戦う資格は無いね」

天津風「っ…!」

時雨「厳しい事を言っちゃったかもしれないのは謝るよ。 だけどこの先何も目標も何も持ってないようじゃ、漠然と戦うだけなら皆に迷惑をかけることになる。

それとも僕の言う事が納得できない、認められないって言うなら… 僕が相手になるよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/01(火) 02:34:00.23 ID:x+Pk5MP90<> シア「兄さん!アドウさんが…!」

ウィルフリッド「分かっている!」

ウィルフリッド(だが退路は無い… それに今ここで退いたとしても『ヴェズルフェルニル』が合流すれば形成の逆転は難しくなる。

どうにかして1機だけでも戦闘不能に追い込みたいものだが…!)

阿武隈「このまま攻めきるよ!」

長波「おう! コイツを喰らえ!」


『ガルム』の肩部のビームキャノンと『マーナガルム』のスフィア・フォーカス・ビームキャノンが一斉にポータントへと襲い掛かる。

シアはコロニー内のビルを盾にすることでその攻撃を躱すが盾にしたビルは崩れ逃げ場を失う。


シア「何なの、この強さ…!」

ウィルフリッド「機体もそうだが、去年よりファイターの能力が上がっている…!」

阿武隈「一年間、何もしてないと思わないで!リモートドリルッ、バースト!」


シアのフォローをしようとトランジェントが割って入ろうとするが阿武隈の放った『スコール』『ハティ』がトランジェントへと一直線に加速する。

そして『ハティ』のドリルの先端がトランジェントの右肩を掠めてアーマーを吹き飛ばし、態勢を崩した隙に『スコール』が左脚を貫いた。


シア「兄さん!?」

ウィルフリッド「くっ… だが!」


パルチザンを振るい『スコール』を切り裂き、そして旋回する『ハティ』をパルチザンの先端を展開した放ったビームにより撃墜するウィルフリッド。

だがそれに気を取られた瞬間、マーナガルムの超加速を利用した体当たりが炸裂しコロニーの壁面へと吹き飛ばされる。


シア「兄さんの機体を軽々と…!」

長波「余所見してるとやっちまうぞ!」

シア「きゃあっ!?」


ガルムがクロー・シールドを展開して右腕のシールドで斬撃を放つ。咄嗟に防いだシアだが出力差と機体の体格差で押し負け地面に叩きつけられた。

シアと長波は何度も打ち合ったがシアの方が最初から押され気味だ。


シア「私とあの人、どこが違うの…!」


年齢だってほぼ同じなのに彼女から見えるオーラが同年代のソレとは全く異なっていた。海風や霞のような雰囲気とは違う独特の雰囲気、それに気圧される。

一方で長波は空気でシアを一方的に呑み込む。戦場では気圧されたら死ぬ、兵士として戦ってきた者なら本能的に覚えること。そして長波は自分のペースに持ち込み彼女を追い詰めていく。


長波(怯えるのも無理ないか… だって私達みたいな『兵士』じゃないから) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/01(火) 03:34:35.92 ID:x+Pk5MP90<> 《2年前・仙台 『模型店エンガノ1号店』》


陽炎「不知火、アンタこんな所で暮らしてて良いの?」

不知火「別に。こちら側の方が色々スキルの習得には役に立ちますし」

陽炎「そりゃアンタみたいに秘書艦やってて、今は会長秘書だかやってんならそうだろうけどさ…

艦娘として、とか兵士として、とかそう言う誇りは無いわけ?」

不知火「そんなもの、当の昔に犬に喰わせましたよ。 今の不景気でそんなもの残してたら自分が食べれません」

陽炎「…こんな金持ちの家の癖に?」

不知火「大黒柱が毎回毎回変なグループ企業を設立したり変な風に貯蓄を使い、その旦那は大学教授の仕事を放って武者修行をしてきたり…

姉さんくらいですよ、土地運用やらで堅実な資金運用をしているのは」

陽炎「まぁ、そうでも無かったら見返りも無しにこんなに艦娘引き取ったりしないか…」

不知火「…陽炎の言う通り、少し前までは艦娘がどう、とか言っていた時期もありました。

だけど不知火は、不知火と野分、秋月と朝潮は『見捨てられた』んです」

陽炎「…」

不知火「見捨てられたのにおめおめ生き残って帰っても次に出撃する時は今度こそ『確実な死』が待っている可能性の方が高いでしょう。

特攻より酷いことをさせられる可能性も、青葉さんの言うように実験体にだって…」

陽炎「…もう良い。旧知だったアンタに聞いた私が間違いだった」

不知火「陽炎…」

陽炎「そんなに命が大事? 私達の前でいっぱい人が死んだのに、自分はこんな世界でのうのうと生きる訳?」

不知火「…あちら側に、戦場に戻って何がしたいんですか?」

陽炎「決まってる。奴等を皆殺しにする、死ぬまで戦ってやる」



野分「で、陽炎は?」

不知火「駄目です。聞く耳すら持ってません」

松風「こっちもだ。阿武隈さん、全く話し通じない」

初月「ここまで凝り固まってるとは思ってなかった…」

秋月「初月、それは貴女もでしたよ」

初月「うっ…」

如月「でもこの状況、流石によくないわね… このままだと『こっち側』で何をしでかすか分からないもの」

照月「幸いなのは長波ちゃんは多少なりとも聞く耳を持ってるってことかな…」

弥生「二人に比べたら、だけど…」

青葉「やっぱり芳しくないですかぁ…」

舞風「ちょっと、何処行ってたの?」

青葉「残務処理ですよ。取材旅行前に受けた仕事の書類で先方から問い合わせがあったんです」

朝潮「そんな雑な仕事してるから…」

青葉「いや、ちゃんとやりましたよ? ほぼ言いがかりでしたからね。 これ、差し入れの間宮さん特製羊羹です」

松風「…毒とか入れてないだろうね」

青葉「そんな勿体無いことしたら後で榛名さんに首を削がれて、天城さんに串刺しにされて、間宮さんには解体されますから…

そもそも盛る必要ないじゃないですか。別に敵対してる訳でもあるまいし」

初月「おい、カウンセラ−だろ。 あの三人の心を開く方法は無いのか」

青葉「今は時に任せるしかありません。 無理矢理心を開けるのは向こう側の『洗脳』と一緒ですよ」

野分「いっそ間宮さんを連れて来れば…」

青葉「無駄ですよ。真実を説いても心変わりが無かった、それなら間宮さんを投入したところで無意味にしかなりません」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/02(水) 00:53:38.05 ID:U31J+I6o0<> 《仙台市内・大鯨のオフィス》


榛名「ではこちら、報告書となっています」

大鯨「分かったわ。…やっぱり動いてたのね」

榛名「ええ。現状は脅威とは言い難いですがこのままグループ内部の情報流出が起きれば痛手は受けるでしょう」

大鯨「なら早めに芽は摘まないと… 痛手を受けていっぱい従業員を手放すより、裏切り者を2,3人切り捨てるほうが良心は痛まないし」

榛名「会長の仕事と言うのも大変ですね… こんな、まだ大学の卒業式も迎えていない学生を企業に潜入させるなんて」

大鯨「ええ。私はこのグループの会長、だから企業の経営者としての視点は持っていても労働者としての視点は持ってない。

恥ずかしい話、末端の人が考えてる事は末端の人にしか分からないの。だからこうやって貴女に依頼をしたのよ」

榛名「両親の顔を立てて、ですか」

大鯨「違うわ。能力を見込んで、よ。 学生で変な商売を始めた、ってご両親から聞いたからお試し感覚で利用させて貰ったけど。

私が想像した以上に二人は働いてくれた。それどころかウチのグループの影を暴いてくれちゃったじゃない。だからこそ…」

榛名「その話はお断りしました。 専属契約は承ることは出来ません」

大鯨「ちぇっ… ま、たまにはウチのグループ企業から依頼を出すかもしれないから、その時はよろしくね」

榛名「ええ。依頼であれば法律に触れたりしない限りは承ります。 …ところであの3人は?」

大鯨「駄目ね。不知火ちゃんすら匙を投げちゃった」

榛名「旧知だから大丈夫、かと思いましたが…」

大鯨「…瑞鳳連れて来ようかしら?」

榛名「お聞きになった限り、そう言う根深いものがある人には瑞鳳さんは不向きかと…」

大鯨「そうよねぇ… 瑞鳳の場合、姿勢で誰かを救う事はできても対話で救うことには向いてないから」

榛名「どうしましょうね、本当…」

大鯨「試しに榛名ちゃん、行ってみる?」

榛名「いえ、多分榛名には向いてないと思います」

大鯨「それは、『助けられなかった』から?」

榛名「…」

大鯨「貴女の話は前に聞いてる。 お友達の自殺を止められなかったことも」

榛名「榛名には誰も助ける事は出来ませんよ。そんな力は…」

大鯨「出来るわよ。 貴女は誰かを救う『力』がある、他の人にはない特別なものが」

榛名「感応波、ですか」

大鯨「そう。そして救えなかった後悔がある、だからこそ真摯に命と向き合うことが出来るんじゃないかって私は思ってる。

誰かを助け、救って抱き締めてあげられる… 貴女にならきっと出来るわよ。青葉ちゃんと向き合えた貴女になら」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/02(水) 01:56:45.53 ID:U31J+I6o0<> コンコン


榛名「失礼します…」

阿武隈「確か貴女は…」

榛名「様子見に来ただけですよ。別に取って食おうなどと…」

陽炎「よく言うわ。阿武隈さんに斧突きつけた癖に」

榛名「いや、それは… まぁ別に言い訳はしませんが」

長波「で、何しに来たんだ。用がないなら…」

榛名「ちょっと戦いましょうか」

阿武隈・陽炎・長波「は?」



妖しくモノアイが輝き、白いMSが立ち上がる。榛名の操縦する『ザクV改』、通常のマシュマー機とは異なり形状的には無印に近い機体、が腰のショートバレル・ビームライフル二丁を抜く。

目の前に立つのは『ヘイズル・ラー』『アマクサ』『ガンダムデスサイズヘル』の3機。店のディスプレイから選ばれた機体であり、外観だけならザクVより作りこまれている。


榛名「操縦は先程レクチャーした通り、もし榛名を倒すことが出来れば元の世界への帰還の術を探す手伝いをしましょう」

陽炎「所詮はたかがゲームでしょ? おもちゃを使った」

榛名「ええ。たかがゲーム、されど… これで貴女達の『運命』が決まると考えてください」

陽炎「なら、ちゃっちゃと片付け… え…?」


ライフルの銃口を向けた瞬間、陽炎の視界から消えるザクV。陽炎は気付く、ザクVが既に跳躍して目の前に落下しつつある事に。

しかし動作が一手遅れる。次の瞬間、着地と同時にザクVがライフルの引き金を引いてアマクサの腹部を貫いた。


榛名「…1機撃破。たかがゲーム、などと大口を叩いた割にはそれ程脅威ではありませんね」

長波「陽炎! 阿武隈さん!」

阿武隈「わ、分かってる!」

榛名「初動は悪くありませんが… だけど、遅いですよ!」


数分、それどころか数十秒のうちに勝敗は決した。無傷のままフィールドに立つザクV、そして他の機体は正確に腹部を一発で打ち抜かれて機能を喪失している。

榛名は多少苦笑いを浮かべる。これでも加減、あえて動作を鈍くしたり意図的に性能の低いガンプラを持ち込んだりハンデを与えたが3人は成す術もなくやられていたのだった。


陽炎「たかがゲームで、こんな…!」

榛名「ええ、たかがゲームです。 それでも貴女達は私を倒すどころか、傷一つつけられなかった。

もしこれが本物の『戦争』だったら、死んでいましたね」

長波「ふざけんな…! 私達が死ぬ、って言いたいのかよ!」

榛名「ええ。格上相手に成す術も無く、傷一つ与えられず、何も残せず無様に」

阿武隈「ふざけないで…! 貴女に、ただの人間に何が分かるの!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/04(金) 04:04:07.18 ID:uy/8mXXk0<> 榛名「何も残せず死んだ人間を知っているから、ですよ」

長波「青葉が言ってたやつか…?」

榛名「聞いていましたか… この『ガンプラバトル』に命を賭けて頂を目指した少女が居ました。だけどその子は頂に到る資格を失った。たった一度のバトルで負けただけでその資格を無惨に奪われたんです。

先程『たかがゲーム』と言いましたが、こんなたかがゲームにすら人生を、命を狂わされた人間が居るんです。これはただ戦争を模しただけのゲームなのに、そのゲームで命を断った人間が居ました」

陽炎「それと私達に何の関係があるのよ!」

榛名「…関係はないでしょうね」

陽炎「…は?」

榛名「だけど命の重さを知っているから、すぐ側に居た筈の人間が居なくなるのはとっても悲しいことだから…」

阿武隈「…どうして? 私は、貴女達に関わりなんて…」

榛名「榛名が助けた命です。 助けた命に死なれたくないと思うことは当たり前でしょう」

「こうなったら何を言っても無駄ですよ。この人、頑固ですから」

陽炎「青葉…!」

青葉「でも、だからこそ… そんな人だからこそ青葉に進むべき道をくれました。数多の命を奪ってきた贖いに、それより多くの人を生きてる限り救い続けろと」

榛名「人は誰にでも生きなければならない責務があります。 敵を倒し命を護る『兵士』、『戦士』であるならなおの事人より生き抜く責任があるんです…!」

阿武隈「生き抜く、責任…」

榛名「『戦士』である事の否定はしません。だけど命を、助かった命を決して無駄にだけはしないでください」



長波「…アイツ、なんなんだよ」

陽炎「どうして、見ず知らずの他人に…」

青葉「あの人は『突然変異』の人間、一種の超能力者なんです」

阿武隈「超能力…?」

青葉「人と感応する力、声を頭に直接伝えたりする力が発達して、人の感情もある程度読みとることだって出来ます」

長波「あの時の声か…」

青葉「読み取る力は青葉の方が数段上ですが、それでも感じてしまったんでしょうね… 貴女達の死への恐怖を」

陽炎「死の恐怖って… アンタ、これ以上言ったら…!」

青葉「だったらどうしてあの時震えてたんです?」

陽炎「っ…!?」

青葉「確かにあの時、大寒波で滅茶苦茶寒かったです。だけどそれ以上に、阿武隈さんを失う事、そして自らの死に対して震えていたんじゃないんですか?」

長波「それ、は…」

青葉「それに青葉は数多の闇を垣間見てきました。 あんな連中に付き従うなんて、青葉にはもう到底不可能です」

阿武隈「じゃあ不知火ちゃん達の話は…」

青葉「全部事実でしょう。こちら側にもその生き証人が居ますから」

長波「どうすれば…」

青葉「折角拾った命を無駄にしないでください。 きっと、見ず知らずの他人であっても、あの人は泣いてしまいますから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/05(土) 03:25:34.03 ID:a2T23Csq0<> 《現代・観客席》

榛名(あの時から2年、色々あって榛名の家で三人を引き取って、バトルを始めることになって…)

天城「まさかガンプラ学園をここまで追い詰めるとは…」

榛名「いいえ、もう勝ちは見えています」

天城「姉さん…?」

榛名「既に勝敗は決しました。ガンプラの性能やファイタースキルに差があった訳ではありません。

圧倒的な戦闘経験と勝利への執念の差、覆せないこの差が勝敗を分けました」

天城「ですがキジマ・シアさんはまだしもキジマ・ウィルフリッドさんの方は負けていませんよ」

榛名「ええ。勝利への執念は負けていないしトランジェントはまだ『切り札』を残しています。

だけど『切り札』を残しているのは同じで状況はイーブン、ここから顕著な差が出るのは戦闘経験値です…!」



左腕で保持していたパルチザンをマーナガルムへと突き立てようとするがマーナガルムがトランジェントの左腕をクローアームで粉砕する。

その隙に右腕のパルチザンで斬撃を放つトランジェント、しかし斬撃をマーナガルムが結晶の防御フィールドで防ぐ。


ウィルフリッド「こんな隠し玉を…!」

阿武隈「『スフィア・クレイドル』、使うつもりは無かったよ…!」

ウィルフリッド「高濃度の粒子を結晶化させてフィールドを形成するなど…!」


一度距離を離すウィルフリッドだが阿武隈は逃さない。マーナガルムの脚部に内蔵されたスフィア・フォーカス・ビームキャノンが他方向からトランジェントを襲う。

残るパルチザンを振るいビームを打ち払うウィルフリッド、阿武隈は機体のSPスロットへとカーソルを合わせる。


阿武隈「NT-D!」

ウィルフリッド「何っ!?」

阿武隈「ここのフィールド、ちょっと狭いよね」


頭部の角が割れ『ガンダム』となるマーナガルム。阿武隈はマーナガルムの右腕にありったけのエネルギーを収束させていく。

そして全力の一撃をコロニーの地面へと叩きつけ、その一撃がコロニー全体に亀裂を生じさせた。


ウィルフリッド「コロニーが…!」

阿武隈「行こうか、宇宙に」


次の瞬間、コロニーの隔壁が全て砕けて重力が消え、空気が漏れていきそこから吸い出されるようにマーナガルムとトランジェントは放り出される。

コロニー内で戦っていた長波とシアもまたそれに巻き込まれて宇宙へと吸い込まれた。


シア「コロニーを破壊した…!?」

長波「いや、やるなら予告してくれよ!? 焦るわ!」


態勢を整えなおすガルムとポータント。宇宙に出たことでの戦闘における優位性はお互いに変わりは無いがシアはデブリに紛れて逃走を図ろうとする。

しかしそこに『光の翼』から放たれる無数の羽の刃が殺到して周囲のデブリを砕いていく。


シア「『ヴェズルフェルニル』まで…!」

陽炎「逃がすと思う?」

長波「遅いぞ陽炎! ってかその機体ならコロニー入ってこっちの援護できただろ!?」

陽炎「え、だって狭いコロニー入る理由ないじゃん。戦いに水差したら悪いし」

長波「あのなぁ…」

陽炎「ま、でも… 宇宙に出れば私も『全力』で加勢できる。 ちゃっちゃと片付けて、援護にまわるわよ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/05(土) 04:44:29.31 ID:a2T23Csq0<> シア「そう易々と!」

長波「来るぞ!」

陽炎「分かってるわよ!」


陽炎は再度NT-Dを発動しピアスソードから放たれる鞭状の攻撃を刃を結晶化させた『グラム』で受け流す。

その隙に長波が肩部のビームキャノンでポータントを攻撃して左脚の膝関節から下を撃ち抜き破壊する。


シア「数に、押されて…!」

陽炎「今よ長波!決めなさい!」

長波「コード・ブレイヴ! クロー、マテリアライゼーション!」


機体の燐光が強くなり、振りかざした左腕のクロー・シールドの爪に収束した粒子が結晶化していく。

そして爪を振り下ろすと同時に結晶の刃が放たれる。咄嗟にフィールドで防いだシアだが刃はフィールドを切り裂き本体に到達してダメージを与えた。


シア「なんて、威力… しまっ…!?」

長波「終わりだ!」


気が付くと目の前に『ガルム』の姿があり、シアは唖然となるがそれすら意に介さず長波は右腕の結晶を纏ったクロー・シールドの爪を突き立てる。

胸部を貫かれたポータントは機能を喪失し、それを見届けた長波はクローの結晶を炸裂させて内部からポータントを破壊しその場から離脱した。


シア「ごめん海風、霞…」

長波「こっちにも、負けられない理由があるんだよ」

陽炎「大丈夫、アイツ等も私達が倒すから」




霞「シアがやられた…」

神通「これで勝敗は決しましたね」

萩風「ええ。この数の差は覆せません」

朝雲「あれ、天津風遅いわね…」

愛宕「ちょっと探してくるわね」

瑞鳳「海風ちゃん?」

海風「コード・ブレイヴに『グシスナウタル』を使わなかった…?」

瑞鳳「『グシスナウタル』は元々ガルム用の武器じゃないからだよ。あれはフェンリル用だった武器、そしてガルムは系統が違うから。

あの機体がコード・ブレイヴを発動して使える武器は同系統機用の、多分天城さんと間宮さんの『レーヴァテイン』『レーヴァテインU』だけ」

海風「ではあの榛名さんの必殺、『エクサブレイヴシュート』は榛名さんだけの…」

瑞鳳「シームルグと朝雲ちゃんの妹に贈られた機体を解析して判ったんだけど、系統によってコード・ブレイヴで使える必殺が違うの。

例えばシームルグじゃ『レーヴァテイン』を使えてもコード・ブレイヴ時に必殺は使えない、逆にスレイプニルに『プラフスキー・ステラ・ストレイターレット』は撃てない」

霞「中々面倒な仕様で…」

瑞鳳「だから数少ない弱点、と言うか付け入る隙になるね。武器に対して互換性がないのは致命的だよ」

萩風「装甲の脆さと武器の互換性、そして粒子消費の多さくらいしか弱点はないんですけどね」

朝雲「それ以外が一定水準の性能超えてるし… 装甲脆いって言っても瑞鳳さん製に比較したらってだけで世間から見れば強度は充分だし…」

神通「なんともやり辛い相手です…」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/05(土) 22:56:10.87 ID:qXqG2VWyO<> 阿武隈、切り札を切る <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/07(月) 02:23:12.45 ID:YqshdZdB0<> ウィルフリッド「シアもやられるとは…!だがこれ以上は!」

阿武隈「追い込まれてる身で!」


スフィア・フォーカス・ビームキャノンを連射しトランジェントの機動を追い込む阿武隈。

このままでは勝てない、そう踏んだウィルフリッドが最後の手札を切り機体が蒼く輝きスタビライザーからは光の翼が放出される。


ウィルフリッド「トランジェントバースト!」

阿武隈「使ってきたね、ようやく…!」


NT-Dを使用している『マーナガルム』なら対応は出来る。しかし『対応』まででありあくまでも倒すのは少しばかり困難であろう。

そう踏んだ阿武隈は通信を外部に送る。1コール置いたあとに外部との音声が繋がり、送った人物が応答した。


榛名『どうかしましたか、阿武隈?』

阿武隈「…切り札を、『UC-D』を使わせて」

榛名『良いですよ。 好きに使いなさい、阿武隈!』

阿武隈「わかった…! コード・ブレイヴ!」


マーナガルムのリミッターを解き放ち機体から放たれる燐光が増していく。それだけならば他の2機、『ガルム』『ヴェズルフェルニル』も使っている。

しかし阿武隈は『その先の力』を使う為にコード・ブレイヴを発動していた。


阿武隈「行くよ、マーナガルム…」

ウィルフリッド「くっ… どんな力かは知らないが、使わせる訳には…!」


一直線に加速し『システム』の発動前にマーナガルムを倒しそうとするトランジェントが一気に距離を詰めてパルチザンによる刺突を放つ。

その一撃はマーナガルムに到達する直前に発生した粒子の奔流により弾かれ、トランジェントは吹き飛ばされてしまう。そして…


阿武隈「唸れ! アンチェインドドライヴッ!」


マーナガルムの機体を覆う『ヤールングレイヴル』の一部が変形し展開形態へと移行、頭部のメインセンサーの左右が展開してサイコフレームが露出された。

ウィルフリッドは唖然となる。本来HGではオミットされていた筈の機能であり、RGやMGでもその再現はされておらずPGにのみ備わっていた筈の能力が目の前の機体、しかもベースはHGが平然と行使しているのだから。


ウィルフリッド「『アンチェインド形態』をHGでここまで造り込むだと…!?」

阿武隈「ただのアンチェインドだと思ってもらったら困るよ。この機体の、全力だから!」


マーナガルムが右腕で掴んだのは先ほど粉砕した筈のコロニーの外壁だ。その外壁の残骸はマーナガルムより巨大でありそのサイズはマーナガルム5機あっても足りないほどの大きさである。

それでもマーナガルムは右腕だけで残骸を掴み上げてトランジェントへと高速で投擲した。


ウィルフリッド「何と言うパワー、しかも先ほどより上がっているだと…!?」


辛うじて迫る残骸をパルチザンで切り裂き破壊するトランジェントだが切り裂いた残骸の向こう側から目にも止まらぬスピードでマーナガルムが迫り、左腕による打撃が放たれた。

その攻撃も機体を左側に逸らすことで回避したウィルフリッド。しかし打撃の衝撃波だけでトランジェントの機体装甲が砕けて右腕のアーマーが崩壊する。


ウィルフリッド「この力… 『彼女』と同じ…!?」

阿武隈「機体が軋む…! 早く勝負をつけるよ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/07(月) 03:56:10.76 ID:YqshdZdB0<> 朝雲「何あれ… 私のシームルグには、あんな力は…」

萩風「『デストロイ・アンチェインド』、PGユニコーンの発売時に追加された能力です。能力としてはNT-Dの完全上位互換扱いでしたが…」

神通「しかしあそこまで爆発的に能力が上昇する訳では無い筈です。あのパワー、掠めるどころか振るった衝撃波だけで機体装甲を粉砕していますから」

瑞鳳「最悪だ… パクられてる…」

海風「パクられた?」

瑞鳳「あのアンチェインドは多分『アズライトバースト』、『モード・アズール』と同質の力…」

海風「フレスヴェルグの時のシステムと一緒!?」

霞「確か溜め込んだ粒子の分に比例して性能が上昇する…」

瑞鳳「そうだよ。 理論は厳密に言えば違うけど能力としてなら同質の力、機体内部の粒子の分だけ性能がブーストしてる」

朝雲「つまりガンダムで言えば普通のトランザムと『スサノオ』のトランザムみたいな関係、ってこと…?」

瑞鳳「例えで言うならそれに近いね。差は本体に蓄積した粒子か、周囲の粒子を取り込んでるかの差だから」

神通「周囲の粒子を…?」

萩風「アンチェインド形態へと移行時に一部装甲を展開、そこから周囲の粒子を吸収して性能をブーストさせているんです。

アレは恐らく時間経過に比例してパワーが上昇していく仕組みでしょう。だけどそんな事をすれば…」

霞「フレスヴェルグだってパワーに負けて腕が砕けた、だから性能が上昇すればする程…」

瑞鳳「自壊の危険性が高くなる。諸刃の剣だよ」


榛名「だから短時間で勝敗を決する必要がある、長期戦には向かない力です。我ながらこうも矛盾の生じるシステムを生み出してしまうとは…」

天城「しかしこれが唯一『ウイングガンダム・アズライト』を始めとする3機に対抗出来る方法…」

榛名「あと整備負担が… 全力行使で3分しか使えないのに…」

天城「まぁ過負荷をかける訳ですから仕方無いことだと割り切ってください」




マーナガルムの圧倒的な力に押されていくウィルフリッド、だがその顔から歓喜の笑みは消える事は無かった。

自分が圧倒される感覚などどれくらいぶりだろうか、自分と互角以上の戦いを行ってくれる数少ない相手が目の前に居ることに彼は喜びを隠せない。


ウィルフリッド「面白い!私が望んでいたのは、こんなバトルだ!」

阿武隈「勝てる、これなら! マーナガルム、フルドライヴッ!」

ウィルフリッド「ならばこちらも! トランジェント!」


マーナガルムが粒子結晶フィールドである『スフィア・クレイドル』を展開し肩部のブースターで一気に加速して距離を詰める。同時にトランジェントもパルチザンを構えて突撃を敢行する。

互いに距離が詰まって激突する2機。ぶつかり合うパルチザンとフィールドが火花を散らし、そして決着の時が訪れた。


阿武隈「行って、マーナガルム!」


パルチザンが砕け散り、そのままトランジェントに激突するマーナガルム。そしてそのままデブリへと突っ込みトランジェントを叩き付ける。

抵抗を試みようとするトランジェントだがマーナガルムはクローアームでトランジェントを持ち上げてしまう。


ウィルフリッド「まさか、私に…!」

阿武隈「砕け、散れぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」


そのままクローアームでトランジェントを粉砕し、トランジェントは爆散する。 そこに残っていたのは機体の残骸と、マーナガルム1機だけだった。


BATTLE ENDED

Winner"White Clean"


『全日本ガンプラバトル選手権、準決勝第一試合。勝者、宮城代表・『ホワイトクリーン』!』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/08(火) 01:29:00.34 ID:T98kleyp0<> ザワザワザワ

「あのガンプラ学園が…?」

「たった2回目の大会で…」


萩風「…これで優勝候補の最大手が消えました」

霞「でもガンプラ学園が手も足も出無いなんて…」

朝雲「勝てるのかしら…」

瑞鳳「勝てるよ。積み重ねたこれまでをこれからの力に変えて、それをぶつければ」

神通「積み重ねたこれまでを…」

海風「これからの力に…」


榛名「これで手札を全て晒しました…」

天城「如月さんからの『アズライトバースト』のデータと2回戦時の『フルブルームバースト』のデータ…

これがあれば、海風さん達にも対抗は出来る筈です」

榛名「まだ霞さん、『ブラストアクロスZZ』のデータは未知数です。油断は出来ません」

榛名(恐らく決勝に上がるのは『フリューゲル・ヴェント』、その時こそ決着をつけなければ…)


阿武隈「ふぅ… 二人共、お疲れ様」

陽炎「まさか阿武隈姉さんがアンチェインドまで使うなんてね」

阿武隈「必要があったから使っただけだよ」

長波「だけどこれで、お膳立ては整った」

阿武隈「うん。私達が『倒さなきゃいけない相手』と戦うための…!」



第17話『神話の獣と天使と』終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/08(火) 01:42:33.49 ID:T98kleyp0<> 次話選択 ↓3票先取


1.朝雲編『もう一人の蒼いツバサ』…朝雲VSルーカス・ネメシス。 会場からの帰り道、海風と朝雲はある人物と遭遇する。その相手は対ガンプラ学園の為に国外から招聘されたルーカス・ネメシスだった…
2.天津風編『復讐の終わり』…天津風VS霧島。 案の定時雨にフルボッコにされた天津風。そこに『同じ目標』、ガンプラ学園への復讐を考えていた霧島が現れる…
3.萩風編『TwinBird』…萩風VSカリマ・ケイ。朝雲とその家族と一緒に出かけた萩風。だがその隙に部屋に空き巣が入りエクシアが破壊されてしまう。落ち込む萩風に渡されたものは… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/08(火) 09:03:54.61 ID:y7t1NxZF0<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/08(火) 09:47:48.02 ID:EAnMuqb30<> 1で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/08(火) 09:58:30.76 ID:iUhq7zt7O<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/09(水) 16:30:47.67 ID:aG6n0c0TO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/05/10(木) 05:18:21.70 ID:JqwkG2nmO<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/12(土) 04:08:54.47 ID:0rZgvxBT0<> 第18話『TwinBird』

《選手控え室》


瑞鳳「次の対戦相手は『グレートK』、神奈川の本牧だね」

海風「あのワカメですか…」

霞「よく生き残って来れたわね、アイツ」

天津風「…元々実力自体はそれなりにはあった筈よ」

朝雲「どうしたの?テンション低いけど」

天津風「別に…」

愛宕「ちょっと時雨ちゃんとね…」

神通「時雨さんが?」

瑞鳳「あの子には後でちょっと言っておくよ。思うところがあったにしてもやり過ぎだし」

萩風「これが本牧の資料です」

霞「『サイコMK-U』に『ノイエ・ジール』、それに『アプサラスV』ってものの見事にMAばかりね…」

神通「毎回機体を変えているのも… 一体どれ程の労力が…」

朝雲「対モビルアーマーなら編成は私と天津風と海風が最適だけど…」

海風「今回アズライトは使用不可能です。なので強襲に向いた能力を持った機体は… エクシアが最適解ですね。 萩風さん、機体の方は?」

萩風「コピー体との戦闘での機体疲労がありますが、今夜中には整備も終わらせられる見通しです」

海風「瑞鳳さん、『シームルグ』の整備状況は?」

瑞鳳「アズライトの調整の合間に終わらせられる程度だよ。ストライクの方も万全」

海風「では天津風さん」

天津風「ハルートは… 予備パーツもあるし、部品交換でなんとかなる。間に合わないなら間に合わないでシューティングスター弄ったからそっち引っ張り出せるけど」

海風「分かりました。では編成はこれで確定、と言う事で届出を出してきます」


「…」




朝雲「萩風、ちょっと良い?」

萩風「どうかしましたか?」

朝雲「もうちょっとしたら五月雨達、ここに着くんだって。だから萩風も一緒に食事でもどう、って」

萩風「私が行ってもご迷惑になるだけでは…」

朝雲「別に迷惑なんかじゃないわよ。両親が気に入ってるし、何より五月雨も懐いてる」

萩風「しかし… 折角の団欒が…」

朝雲「良いのよ。 アンタ居た方がウチの一家喜ぶから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/14(月) 04:42:43.33 ID:vAdtGzu80<> 《神通・萩風の部屋》


萩風「なのでちょっと夜は居ません。夕食には不参加です」

神通「分かりました。 機体の方は?」

萩風「やるべき事は分かっているので帰ったらやります」

神通「そうですか… ジャスティスと一緒に私がお母様の所に持っていっても良いんですよ?」

萩風「フルブルームみたいに何仕込まれるか分からないので遠慮です」

神通「アレ一晩でやりましたからね…」

萩風「私も『明鏡止水』自体は使えますが姉さんより体力の劣る私では機体からのフィードバックに耐えられる保障はありませんから」

神通「ではエクシアは置いていく、と言う事で… 戸締りは私がやっておきます」

萩風「オートロックと固定窓ですからその必要はないと思いますけど。 鍵はフロントに預けておきましょう」

神通「ええ。その方が安全ですから」

萩風「では私は… …なんでそんなにニヤついて?」

神通「だって珍しいんですもの。貴女がこうして友達と出かけることが」

萩風「別に良いじゃないですか… 出不精が出かけたって。友達殆ど居ない癖に」

神通「そ、それ言われると… って何で知ってるんですか…!」

萩風「スマホのロックは指紋認証にしておいた方が良いですよ」

神通「ひ、人のスマホを見たんですか!?」

萩風「そもそもパス設定すらしてないのはどうかと思いますが」

神通「だって一々面倒で…」

萩風「そんなガバガバセキュリティだから盗み見られるんです」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/14(月) 04:42:43.11 ID:vAdtGzu80<> 《神通・萩風の部屋》


萩風「なのでちょっと夜は居ません。夕食には不参加です」

神通「分かりました。 機体の方は?」

萩風「やるべき事は分かっているので帰ったらやります」

神通「そうですか… ジャスティスと一緒に私がお母様の所に持っていっても良いんですよ?」

萩風「フルブルームみたいに何仕込まれるか分からないので遠慮です」

神通「アレ一晩でやりましたからね…」

萩風「私も『明鏡止水』自体は使えますが姉さんより体力の劣る私では機体からのフィードバックに耐えられる保障はありませんから」

神通「ではエクシアは置いていく、と言う事で… 戸締りは私がやっておきます」

萩風「オートロックと固定窓ですからその必要はないと思いますけど。 鍵はフロントに預けておきましょう」

神通「ええ。その方が安全ですから」

萩風「では私は… …なんでそんなにニヤついて?」

神通「だって珍しいんですもの。貴女がこうして友達と出かけることが」

萩風「別に良いじゃないですか… 出不精が出かけたって。友達殆ど居ない癖に」

神通「そ、それ言われると… って何で知ってるんですか…!」

萩風「スマホのロックは指紋認証にしておいた方が良いですよ」

神通「ひ、人のスマホを見たんですか!?」

萩風「そもそもパス設定すらしてないのはどうかと思いますが」

神通「だって一々面倒で…」

萩風「そんなガバガバセキュリティだから盗み見られるんです」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/14(月) 05:21:03.79 ID:vAdtGzu80<> 神通「こんななら、これから萩風と付き合うことになる人は苦労するでしょうね…」

萩風「失敬な。私だって姉さん以外のスマホは盗み見たりはしません」

神通「じゃあ私の見るのもやめてください」

萩風「一度見てつまらない、って思ったんでやりませんよ」

神通「人のスマホ勝手に見ておいてそれですか!?」

萩風「だってやり取りなんて海風さんと霞さんぐらいでクラスメイトのアドレスなんて…」

神通「それ以上言わないで下さい…!」

萩風「あとは…」

神通「っ!」ブォン

萩風「きゃっ!? こんな所で刀振るうの止めてください! 危ないじゃないですか!」バッ

神通「貴女こそトンファーなんか持ち出して…!」

萩風「いきなり日本刀を振るわれたら応戦するのが当然でしょう…! 姉さんが刀振るった余波その辺斬って修理費請求されると困るんです!」

神通「その程度なら制御出来ます!」

萩風「そもそも日本刀で斬りかかる自体が…」

神通「即座にトンファーで応戦しようとした癖に…!」

萩風「こちらはあくまで対人制圧用です」

神通「ならこっちも素手で…」

萩風「そんな事したら私が吹っ飛んで壁に穴開くだけですよ」

神通「くっ… はぁ… 二度と見ないで下さい。次見たら容赦しません」

萩風「分かってますよ。まだ死にたくないんで」

神通(後でスマホはロックしておきましょう…)



《ショッピングモール》


朝雲「あんまり隣部屋で喧嘩しないでよね。余波が来ると困るのこっちだから」

萩風「あ、あははは…」

朝雲「で、まだちょっと時間あるのよ。到着が7時半って言ってたし」

萩風「今高速混んでますからね… それまで何しましょうか?」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/15(火) 15:40:35.26 ID:rGk2MXYBO<> ガンプラを見に行く <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/19(土) 23:35:50.57 ID:EqXD1fF50<> 《模型ショップ》


朝雲「ねぇ、この『RG ユニコーンガンダム』って作り易いかしら?」

萩風「個人的にはフレームのパーツが硬くてはめ込み難かったり装甲が可動のせいか脆い、頭部アンテナがデカールだったりで…」

朝雲「え、頭部デカールなの!?」

萩風「はい。可動するアンテナと差し替えでユニコーンモード・デストロイモード用のが各1ずつ、可動用とデストロイ用にはデカールが付属しています※」※本当です

朝雲「他のデカールは?」

萩風「あとはセンサーアイと細かいモールド、あとはマーキングデカールくらいだったと思いますが… 正直、HGしか経験が無いならオススメは出来ません」

朝雲「じゃあこれは? 『HGUC ガンダムAN-01 トリスタン』」

萩風「悪い事は言いませんので捨てて来て下さい」

朝雲「悪い事言ってるじゃない!?」

萩風「アレックスの金型を流用、武装もモナカ割、肩の関節構造はポールジョイントですらない、腕部内蔵のビームガンは付属してない、その他色々…」

朝雲「聞いただけでちょっとアレなのが分かるわ」

萩風「これならアレックスの簡易量産型扱いされてるジム・カスタムの金型をベースにした方が… 実際ミキシングではジム・カスタムが使われることが多いです」

朝雲「ミキシング前提はちょっと勘弁して…」

萩風「逆に最近ので作り易いのはHGならバーザムやイフリート・ナハト、あとはダンダリオンなどの鉄血系…

MGならオリジンガンダムやプロヴィデンス、REのハンマ・ハンマなんかも良いかもしれません」

朝雲「ふぅん… …聞きたいんだけどさ、未来のガンプラってどうなってるの?」

萩風「…昏睡病の大規模パンデミックの際、ガンプラバトルが原因とされたのでテロからおおよそ1年後に発売が中止されました」

朝雲「そうなんだ…」

萩風「最後のガンプラは… MGのジェガンです」

朝雲「じぇ、ジェガン!?」

萩風「あとは同時期に出たクアンタフルセイバーとREヤクト・ドーガ、と言ったところでしょう」

朝雲「なんとも突っ込み難いラインナップ…」

萩風「HGは新機軸のリーオーなんかも出たのに… ですがもしテロを止める事ができればその先が見れるかもしれません」

朝雲「え、リーオー出るの!?」

萩風「シッ…!あまり大きな声を出さないで下さい…!」

朝雲「わ、分かった。 で、リーオーって本当…?」

萩風「はい。簡易構造を採用して値段も安価になった結果家電量販店なんかでは2割〜3割引きで販売されたりしたので万札払えばダースで買えたらしいです」

朝雲「おおよそ800円くらいよね、それって…」

萩風「しかも簡易構造のおかげで初心者でも一時間あれば組める、色分け完璧デカールなし、関節の後ハメ加工不要など末恐ろしい何かが…

難点としては頭部が全く動かないのと保持力が少し弱いくらいです※」※個人(>>1)の感想です

朝雲「それでも充分良キットよね、それ…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/24(木) 02:13:28.37 ID:fV+opWMR0<> 《その後》


五月雨「あ、姉さん!」

朝雲「こらっ。走ったら危ないわよ」

五月雨「ごめんなさい…」

朝雲「人も多いし、まだ激しい運動は駄目って言われてるでしょ。気を付けなさい」

五月雨「はーい…」

萩風「御無沙汰しています、お二人共」

「こんばんは、萩風ちゃん。いつも娘の面倒見てくれてありがとう」

「元気で悪戯好きだから、困ったりはしていないかい?」

萩風「いいえ、寧ろ私が助けられてますから。日常でもバトルでも」

朝雲「そうよ。萩風から目を逸らさせたり、やりすい状況に持って行ってるのは私なんだから」

「でも朝雲、貴女遠くから撃ってるだけじゃない」

朝雲「いやいや… 三回戦はちゃんと近接戦闘だってやったわよ!しかもドッグファイトで!」

「でもやっぱり接近戦で戦う方が華があるんじゃないか?」

萩風「それは違いますよ。華があるのは『魅せる』動きが出来る人だけ、例えば私達の先生や部長の様な格闘戦のエキスパートでないと」

朝雲「じゃあ萩風も充分じゃない」

朝雲(エキスパートどころの話じゃないけども)

萩風「ところがネットだと『やり方がえげつない』とか『戦闘マシーンみたい』とか結構叩かれてるんですよね…

お世辞にも正々堂々とは言えない戦い方ですから」

五月雨「でもとっても強くて、格好良いですよ!」

萩風「くすっ… ありがとうございます」

朝雲「でも私まだ一回も切り札使って無いし… どデカイ大砲撃の方がエフェクト的には格好良いし…」

萩風「朝雲さんの場合はガン=カタもあるじゃないですか」

朝雲「使える状況がね… やっぱ適度に重力ないと動き難いし、高機動戦闘だと使えないし…」

「やっぱりお手本になるのはあの子、確かあの青い…」

朝雲「海風?」

「確かあの子も剣で戦ってたな。しかもそれで指揮も執ってるんだろう?」

五月雨「あの人、そんなに凄いんだ…」

萩風(海風さんの素養は群を抜いている… 姉さんや霞さんの様に突出している訳ではないものの全体的にも優秀、それに指揮能力は浜風さんにも匹敵しつつある…

同じ血族の遺伝子を持ってるのに、ちょっとこの差は悔しいかな…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/27(日) 02:05:41.50 ID:+9womFWc0<> 《レストラン》


萩風「ではもう完治しているのですか?」

「ええ。でもあまり無理は出来ないから暫くは自宅療養ね」

五月雨「だからその間にいっぱい勉強して姉さん達の学校に通いたいんです!」

朝雲「…ウチの学校、レベル高いわよ?」

萩風「寧ろなんで朝雲さんが合格したんですか。曲がりなりにも名門ですよ」

朝雲「死に物狂いよ」

「受験勉強を試験日の5日前に始めて寧ろどうやって合格したのかこっちが聞きたいよ…」

「しかも補欠合格じゃなくて普通に掲示板に番号貼りだされてたものね…」

朝雲「いやぁ、アレは死ぬかと思ったわ。受験の次の日から2日くらい寝続けたもの」

萩風「そうなる前に常日頃の勉強はしておかないといけませんね」

朝雲「…私、アンタが勉強してるところ見た事ないんだけど」

萩風「ちゃんとやってますよ。ランニングマシンで走りながらとか料理の合間にとか」

朝雲「それ、身に入る?」

萩風「入らないなら入るまでやるだけです」

朝雲「海風と霞の勉強法の方が参考になるわ…」

萩風「何かしらの合間や並行してやらないと時間が足りませんから。やる事が多いので」

萩風(ハッキングとか株とか情報収集とか張り込みとか)

「やっぱり大変なのね、一人暮らしは…」

「そう言えば前に話していた件はどうするかい?」

萩風「…申し訳ありません。折角の申し出ですが、ご迷惑をおかけすることになるので…

養子の件、お断りさせて頂きます。ご好意だけ受け取らせてください」

朝雲「…」

「そうかい… でも困った事があったら頼って欲しいな。娘の友達だからね、何かあったら手伝うよ」

「残念ね… 折角良い子なのに」

萩風「ありがとうございます」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/28(月) 02:41:20.63 ID:aHFCEB0t0<> 《帰り道》


朝雲「…その、良かったの?」

萩風「はい。だって、私のこの手はとっくに血に塗れてるんです。多くの人を、仕方ないとは言え傷つけてきました。

そんな罪を抱えた人間が『普通の幸せ』を手にするなんておこがましいことです」

朝雲「だけどそれは仕方のないことで…」

萩風「仕方のないことだとしても、どれだけ取り繕ったとしても罪は消えないんです。

人の人生を奪ってしまったことは例え誰もが私を咎めなくとも私自身にとっては背負うべきもので生涯向き合うべき罪だから」

朝雲「萩風…」

萩風「それに『私の家族』はお母様と姉さんだけです。 お母様を救いにこの時代に来たと言うのに『新しい家族』を手にするなんて私には出来ません」

朝雲「そう、よね… その、ごめん。萩風の事、何も考えてなかった」

萩風「御両親はきっと善意で言ってくれているんです。責める必要も、理由も何もありませんよ。

それに今の私はもう一人じゃないから。 貴女と言うパートナーが隣に居てくれる、それだけで私は…」

朝雲「…変わったわね、アンタも」

萩風「変わりますよ、人は。 色々な人に出会って、一緒に戦ってきて、お母様の過去を知って…

だからこそ私は止まれないんです。今歩んでいるこの時を未来に繋げるためにEXAMのパンデミックを止めなくちゃいけないんです」

萩風(お母様だけ救えば良いんじゃない、EXAMを止めて人々の未来を取り戻す… あの時、この時代に来ると決断した時の私からは想像も出来ない考えです)

朝雲「ま、私も変わったから人の事言えないわ。私だって戦う理由が最初は妹の為だけだったし。

だけど今は違う。 私は未来が欲しいから、皆とガンプラバトルを続けられるような未来が。未来じゃガンプラが無くなるなんて、絶対に嫌だから」

萩風「…そこまでガンプラ好きでしたっけ?」

朝雲「まぁ最初はあんまり、五月雨より知識も愛情も無かったし。だけど今は違う。ずっと戦ってきて、楽しいって思ったから。

人の作った機体でしか戦った事はないけどそこらの人間よりはガンプラに対する情熱は負けてないはずよ」

萩風「今度自分のガンプラ作ってみます?」

朝雲「そうね。 そろそろ私も、自分の手で作ったガンプラに…」

プルルルルル…

萩風「姉さんから…?」

朝雲「何かあったのかしら?」

萩風「はい、どうかしま…」

神通『緊急事態です! すぐに戻ってください二人共!』

萩風「…何かあったんですか?」

神通『…空き巣です』

萩風「…はい?」

朝雲「どうかした?」

萩風「え、今空き巣って言いました?」

神通『だから、早く戻ってください!』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/28(月) 03:12:34.43 ID:aHFCEB0t0<> 《神通・萩風達の部屋》


警察A「では盗まれたのは下着が数点と… プラモデルの予備パーツですか?」

萩風「はい…」

警察B「それにキミのプラモデルも壊されちゃってるね。まぁ間違えて壊して…」

瑞鳳「…鑑識さん、ちょっと見せてもらっても?」

鑑識「ええ、どうぞ」

瑞鳳「違うね。この壊れ方は明らかに質量のあるもの、例えば金槌とかで思いっきりで叩き壊してる」

神通「…意図的、と言う訳ですか」

瑞鳳「うん。多分下着なんかはカモフラージュかオマケ、本当の目的は『ガンプラの破壊』ね」

警察B「どうしてそんな事が? 第一なんでそんな事を…」

瑞鳳「そうとしか言えないからですよ。 普通にぶつかっただけならこんな壊れ方はしない、これはガンプラバトルで金属製のハンマー系武器で壊されたような壊れ方と似ています」

警察B「だからどうしてそんな事が…!」

鑑識「えっと、この人は…」

瑞鳳「私は世界選手権出場のビルドファイターです。壊され方なんて、見れば普通に分かります」

警察A「まぁそこは鑑識に出せば…」

萩風「あの、返却までどれくらい時間が…」

鑑識「事件の捜査終了まで、ですから… 犯人が捕まって、判決が出無いと…」

萩風「…」



《朝雲・天津風の部屋》

海風「…困りましたね」

霞「嫌がらせ、しかも悪質だわ」

天津風「悪質なんてレベルじゃない。多分殺されても文句は言えないわよ」

瑞鳳「しかもあの警察『間違って壊れた』って過失扱いで済まそうとしてたもん。捜査する気無さそうだし」

神通「所詮はプラモ、と言う認識なのでしょう。彼等にとってはどうでも良いもの、ですから」

萩風「…」

朝雲「海風、アンタが前に模型部にやったみたいに…」

海風「そうしたいのは山々ですけど本物の鑑識が出張ってますからね…」

霞「だけど今回、容疑者は固まってるわ」

神通「萩風が出れなくなって喜ぶのは『次の対戦相手』…」

天津風「あの陰湿ワカメね…!とっ捕まえて…」

瑞鳳「駄目だよ。まだ確定してないのに手を出しちゃ。 それに今回、『EXAM』絡みの人間が犯人の可能性がある」

霞「EXAM絡みの…?」

瑞鳳「昨日、見回りをしてた時雨ちゃんが怪しい人間を確保したの。その人盗聴器を持ってた、しかも仕掛けてあったのが旅館の私の部屋と別のホテルの榛名さんの部屋だった」

天津風「じゃあ本当にEXAMの可能性も…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/29(火) 02:24:43.01 ID:N2eldOvm0<> 海風「ですが最大の問題は…」

萩風「…」

瑞鳳「エクシアは予備パーツまで盗まれてる… 投入出来る機体が無い」

天津風「先輩達の機体は?」

瑞鳳「ウイングはまだ機体のコアの調整が終わってない。ZZとジャスティスもオーバーホールしておかないと決勝に投入するのは難しいから…」

朝雲「投入出来るのは私の予備機の『ストライク・エインヘリヤル』と天津風のお蔵入り『シューティングスターガンダム』だけ…」

天津風「別にお蔵入りはしてないわよ!ちゃんと改修して全国大会用にしてるってば!」

霞「だけど二人は私と同じ射撃メインの戦闘スタイルじゃない」

天津風「必然的に射撃武器が多くなってるのは確かだけど…」

朝雲「元々私のは支援機だし」

瑞鳳「戦闘スタイルが機体と致命的に噛み合ってないね。萩風ちゃんは狙撃も出来るけど、必然的に近接戦闘がメインになる」

萩風「それにお二人の機体はファイターに合わせてフィッティング済みですから…」

瑞鳳「一度染み付いた癖は人間もガンプラも取るのは難しい。だから二人の機体を使うのは現実的じゃない」

神通「ではどうするんですか…!」

瑞鳳「1機だけ、使える機体があるかもしれないよ」

海風「他に機体が?」

瑞鳳「浜風ちゃんが『ウイングガンダムゼロクロイツ』に機体を変えて、それにあわせて夕雲ちゃんも機体を変えたの。

だから壊れてないし、戦闘スタイルの噛み合った『アストレイミラージュフレーム・クロイツリバイ』が現状浮いてる」

神通「確かに、ミラージュなら…」

萩風「しかし夕雲さんがそれを承諾していただけるか…」

瑞鳳「まぁ私が言えばなんとかなるよ。ただし調整が要るから一晩で間に合うかどうか…

それに世界大会ももう終わりも近いし機体の方も限界に近付いてる。確実に使える保障は…」

海風「実質無理と同義じゃないですか」

瑞鳳「あくまでも可能性、できるかもって話だし。…確実性があるなら瑞鶴からゲルググかっぱらってくるしかないね」

神通「さ、流石にそれは…」

コンコン

瑞鳳「…皆、私と神通ちゃんの後ろに」

神通「一体こんな時間に誰が…!」

霞「この感覚、知ってる…?」

陽炎『あのー、ここに全員居るって聞いたんだけどー』

天津風「宮城のスピード狂ね」

神通「その言い方はやめてあげてください」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/05/29(火) 02:57:03.08 ID:N2eldOvm0<> 霞「で、こんな時間に何の用よ」

陽炎「ガンプラ壊された、って聞いたから被害確認」

瑞鳳「壊れたのは萩風ちゃんのエクシアだけだよ」

陽炎「エクシアね… 実はさっき、こんなもん拾ったのよ」

萩風「っ…!?」

陽炎「やっぱり、それアンタの機体の部品よね」

萩風「これをどこで!?」

陽炎「ロビーのゴミ箱。お菓子の袋を捨てようとしたらプラゴミに混じってた」

萩風「そんな…」

陽炎「一応拾える限りは拾っておいたけど… 細かい部品しかなかった。ごめん、もっと探せば…」

瑞鳳「よし決めた。ぶっ殺す」

全員「!?」

瑞鳳「私の可愛い娘のガンプラを壊して、挙句パーツを盗み出してプラゴミ扱いなんて良い度胸だよねまったく。

決めたよ。見つけ次第私が死より酷い目にあわせて地獄に落としてやる」

神通(こ、この殺気は…)

霞(体中に悪寒が…!?)

海風(こ、呼吸が苦しい…)

天津風(マジギレしてる…!)

朝雲(ヤバイヤバイヤバイヤバイ)

陽炎「え、えと… 今青葉が押収されたロビーの監視カメラの映像を警察から盗み出してくれてるからちょっと待ってて」

瑞鳳「…分かった。それまでは機体の調整に全力を尽くす」

陽炎(ヤバイ… この空気から早く脱したい!)

陽炎「皆、コンビニ行くわよ!」




海風「窒息で死ぬかと思いました」

霞「気持ちはわからなくもないけど…」

神通「お母様を本気で怒らせるなんて… 命知らずと言うか…」

朝雲「私達が怒られた時より凄い殺気だったわ…」

天津風「しかも殺す宣言まで…」

萩風「…」

陽炎「ほら、アンタもいつまでも落ち込んでんじゃ無いの。アイス買ってあげるから」

萩風「ごめんなさい、甘いの苦手なんです…」

陽炎「そ、そう…」

神通(相当ショックみたいです… いつもならアイスを全否定して暴れるのに…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/05/30(水) 03:18:49.02 ID:bL/2tksI0<> 陽炎「でも心配してくれて、怒ってくれる人が居るならまだ良いじゃない。頼れる人間も何も居ないのは悲惨だもの」

天津風「頼れる人間、か…」

陽炎「そうよ。そう言う人が居るだけまだ貴女は幸せ」

萩風「…」

陽炎「ショックが大きいのは分かる。だけどもっとしっかりなさい。犯人探しは私も手伝うし、姉さん達も全面的に協力するって」

朝雲「榛名さん達も?」

陽炎「前に私達がこっちの世界に来る前、姉さん達が巻き込まれたパーツハンター事件ってのがあったの。

誰かにガンプラを奪われて、壊されてきたのを姉さん達は見てきた。だからこそそう言う類の人間は許せないんだって。事件の当事者だった天城姉さんと明日こっちに来る予定の間宮さんも手伝うから」

海風「あれ、間宮さんって艦娘ですよね? どうしてあの人が…」

陽炎「あの人が転移してきたのは5年近く前よ。年齢的には天城姉さんと同年代だけど、こっち側に居た時間は飛龍さん達より長いの」

霞「だから満潮?だったかに伝説扱いされてたのね」

朝雲「でもパーツハンター事件って、そんな事もあったのね…」

陽炎「そうよ。ガンプラ学園の前身の旧ガンプラ塾、その元塾生が狙われ何人も被害に遭った。当時一線を退いてた姉さんも襲おうとして…

だけど天城姉さんにブチのめした。当時新造されたばっかの『スレイプニル』でね。で、逃げてもう一度襲い掛かったのを間宮さんが『スヴァジルファリ』でボコって…」

天津風「二度も襲撃されたの!?」

陽炎「三度よ。『改RX-0』は元塾生の機体の中でも一級品、だからこそ是が非でも手に入れたかったんでしょ。

そして三度目、しかも相手はメイジンの機体の『カテドラルガンダム』を預けられてたらしいの。でも姉さんが直接復帰して戦って、一方的に倒しちゃったんだってさ」

海風「『カテドラルガンダム』を…」

陽炎「だからこそ姉さん達、そして私達は許せないの。ガンプラバトルで壊れるのは分かるけど、それ以外で壊すのはファイターとして間違ってる。

例え相手がファイターじゃなくても、嫌がらせが目的だとしても、正々堂々と戦わないのは間違ってるから」

神通「そうですね… 萩風、いざとなれば…」

「あら、朝雲じゃない」

五月雨「姉さん? それに萩風さんも…」

「どうしたんだい、そんなに落ち込んで?」

神通「朝雲さん、この方達は?」

朝雲「私の家族です。 どうしたの、コンビニに」

「ホテルで飲む飲み物とかを買いにね。この子達はチームメンバー?」

陽炎「あ、私は違います。私は宮城です」

五月雨「宮城って… あ!」

陽炎「妹、ってことは… ああ、この子か。もう1機の『改RX-0』持ってるの」

五月雨「貴女があの機体を?」

陽炎「違うわよ。アレ作ったのは私の姉の榛名、って人」

「それよりどうしたんだい。萩風ちゃん、何かあったの?」

朝雲「それは、ちょっとね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/02(土) 02:36:44.74 ID:xJKYVvPL0<> 五月雨「ガンプラが壊されたんですか!?」

「しかも空き巣って…」

神通「鍵はかけてロビーに預けていたのですが…」

萩風「私のエクシアが…」

陽炎「それで落ち込んでるこの子を励ますのと、あとブチギレしてるこの子達の先生の放つ空気から逃げるためにコンビニに…」

「そんなに怖い人なのかい? 聞いた話じゃ女性だって…」

霞「怖いと言うかキレたら多分自衛隊の全部隊でも勝てないんじゃないかしら…」

海風「その母曰く一家揃えば世界を敵にまわせるとか」

「じょ、冗談よね…?」

天津風「冗談ならどれ程良かったのかしらね…」

神通(侵攻してきた深海棲艦を単身で全滅させた人間ですからね…)

「朝雲、貴女怒らせたりしてないわよね…?」

朝雲「あ、あははは… 何度か正座させられました…」

神通「あのお説教で済むなら良い方です… あと結果オーライな事ばかりだったのでまだ甘くしてくれているかと…」

海風「だけど今回ばかりは… 特に明日出場予定のファイターの機体を壊されましたから」

萩風「…」

霞「天津風、アンタ機体は?」

天津風「持って来てる。流石に危ないし」

海風「あとは全員先生に機体を預けているので問題はありませんが…」

「それで、どうするんだい?」

神通「先生が代替の機体を見繕ってくれるそうですが、まだ機体が間に合うかどうかすら危うくて…」

五月雨「それなら…!」ガサゴソ

朝雲「五月雨?」

五月雨「あの、これ使ってください!」

霞「これ、もう1機の…!?」

天津風「妹さんに渡された『改RX-0』…!」

萩風「しかし、それは貴女に渡された機体では…!」

陽炎「大丈夫よ。姉さんなら多分、何も文句は言わない。ファイターが余程の最低な人間じゃない限りは。

それに貴女みたいにガンプラに愛情を持って接してくれる人間なら多分許してくれるわよ」

神通「確かにこの機体は恐らくフィッティングを済ませていないまっさらな機体です。恐らく現実的な手段の中では最良…」

海風「ここで朝雲さん、どうぞ」

朝雲「…萩風、私は無理にとは言わない。だけど私は萩風と一緒に戦いたい。チームメイトとして、パートナーとして、一緒に」

萩風「私は…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/02(土) 03:04:07.91 ID:xJKYVvPL0<> 《神通・萩風の部屋》


瑞鳳「…で、この機体を使うのね?」

萩風「はい。お借りしたこの『改RX-0』を」

瑞鳳「確かに性能も申し分ないし、ファイタースキルと機体も噛み合ってる。それにまっさらな機体だから調整もできる。

だけどステルス能力は無いし戦う時は一発本番になる。それでも大丈夫?」

萩風「大丈夫です。私なら」

瑞鳳「よし、なら調整作業に入るとしましょうか」

神通「間に合いますか?」

瑞鳳「リペイントまで間に合わせるよ」

萩風「しかしそれは…」

瑞鳳「許可は貰ってるんでしょ? なら大丈夫よ。最悪塗料の配合は見れば分かるから元に戻せるし。

それに貴女が使うんだから、貴女にあわせた色にしないと」

萩風「それとお願いが… これ、使って貰えませんか?」

瑞鳳「エクシアの部品を?」

萩風「壊れてしまって、今は警察に持って行かれてしまったけどあの子は私の大事な愛機です。

だからその意思を宿したこのパーツを、できれば使いたいんです」

瑞鳳「分かった。だけど時間は大丈夫かな…」

コンコン

榛名『夜分遅くに失礼します。宮城でおなじみ早い・安い・丁寧がモットーの狼印の『ウルフサービス』でございます。

ガンプラ絡みのことならお任せ、専任のスタッフが本日限り無料でガンプラの調整を承ります』

神通「凄いタイミングで… きっと陽炎さんが…」

瑞鳳「これで手は足りる… よし、この子を弄り倒すとしましょう」

神通「確か機体の名前は…」



萩風の代替機 ↓2
1.『RX-0[Cl]カラドリウス』 モチーフ機:『ディス・アストラナガン』
2.『RX-0[Fk]フリカムイ』 モチーフ機:『ガリルナガン』
3.『RX-0[Hr]ハルピュイア』 モチーフ機:『ファービュラリス』
4.その他(内容は下記明記)

条件
・ベース機:『RX-0 フェネクス』(固定)
・改造内容:スパロボOGシリーズの機体がモチーフであること(モチーフ元を明記)
・名前:北欧神話を除く『神話・伝承に登場する鳥の名前』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/02(土) 09:32:55.66 ID:jzh7tVO60<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/02(土) 09:58:50.26 ID:FXkwNogpO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/03(日) 02:10:22.07 ID:GlO9Khnj0<> 瑞鳳「『RX-0[Cl] カラドリウス』。多分モチーフはスパロボの『ディス・アストラナガン』。名前はヨーロッパの伝承、病を治したり不老長寿を齎したりするって言う鳥だね。

性能は… 改RX-0の中でもヤバイ方だと思う。その分エネルギー配分の問題とかもあるけど…」


RX-0[Cl]カラドリウス
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・ライフル内蔵サイズ『ハルパー』
・肩部バインダー展開式ビーム・キャノン×2
・ミノフスキー・ドライブユニット『イーカルス』
・スレイヴ・ファンネル×6

概要
改RX-0の1機であり本来は朝雲の妹である五月雨の機体の筈だったが一時的に萩風に貸与、改修・調整を施されることに。
原型と比較し女性的なフォルムの機体で改修後のシームルグに匹敵する高い運動性を有した強襲型の機体。因みにビームは何故か緑色。
特殊装備はライフルを内蔵する実体サイズ『ハルパー』。そしてミノフスキー・ドライブユニット『イーカルス』。
『ハルパー』は実体の鎌だが状況に応じてビームを刀身に展開できる。そしてライフルモードではビーム・実弾の両方を放つ事が可能。
背部のバックパックは換装されミノフスキー・ドライブユニット『イーカルス』を装備。『イーカルス』は『スキーズブラズニル』のプロトタイプに相当し、性能は劣り『ネージュエール』による攻撃手段などがオミットされているが高い加速・機動性能を発揮できる。
またイーカルスには『スレイヴ・ファンネル』を内蔵、全6基存在しマシンガンのようにビームを連射出来るが見た目は『羽の生えた銃』のようで相当キモイ。小回りはかなり利く。
コード・ブレイヴ発動時には胸部装甲を展開、そこからエネルギー塊を打ち出す『ブレイヴ・インフィニティ・シリンダー』。威力は凄まじく直撃すれば瑞鳳製の機体すらも塵と化す。ただしエネルギー効率は劣悪であり、シームルグ同様の欠点を抱える。
塗装は本来はシームルグよりも薄い青に近いカラーリング。



神通「流石に機体完成度が…」

萩風「スペックだけならシームルグに匹敵、本当にエネルギー絡みだけですね問題は」

瑞鳳「それはこれから弄るよ。ルベルムのパーツも使って、専用に調整するから」

瑞鳳(これやっぱ元に戻した後でコピー機作って、萩風ちゃんに渡しておこ…)

萩風「と言う事で姉さん、姉さんはどうするんです?」

神通「どうする、とは?」

萩風「私はお母様のところで作業しますが、この部屋にまた警察が来ますから部屋では眠れないかと」

神通「私の製作能力では足手纏いですから… 海風さんと霞さんの部屋にでも行きます」


イベント選択 直下
1.神通『妹への』
2.天津風『ファイター』
3.榛名『託す意味』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/03(日) 09:19:17.64 ID:SuaWioQc0<> 3で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/04(月) 03:22:21.90 ID:hGBt5Wx40<> side-榛名-『託す意味』


《旅館・瑞鳳の部屋》

瑞鳳「塗料の調色、これくらいで大丈夫?」

萩風「はい。あとは粒子変容塗料と調合して本体を脱色させて塗れば良いだけです」

瑞鳳「よし、じゃあ後は私達がやっておくから寝てて良いよ」

萩風「そう言う訳には…」

榛名「大丈夫ですよ。それに萩風さんはまだ子供ですから、あまり夜更かしは厳禁です」

瑞鳳「私達も適当に作業切り上げるから大丈夫。だから先に寝てて」

萩風「ではお言葉に甘えて… おやすみなさい」



榛名「あとはエクシアの部品を加工して組み込んで… 新しい武器なんかも必要でしょうか?」

瑞鳳「その辺はファイターの癖を一番知ってる私がやっておきます。それより、ちょっと聞きたい事が」

榛名「なんです?」

瑞鳳「何で私達に手を貸すんですか? 『シームルグ』と『カラドリウス』を私達の側に提供しなければ『ウイングガンダム・アズライト』は完成しなかった。

それどころか『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』と『ブラストアクロスZZ』も生まれなかった。 これらが無ければ全国大会でここまで来れたかすら危うかったのに」

榛名「ギブアンドテイクです。『アンチェインドドライヴ』には『モード・アズール』のデータが役に立ちました。ビルダーが新しい技術を貰ったらお返しをする、当然のことでしょう。

だから『改RX-0』の粒子制御技術を提供したんです。技術だけじゃなくて実機を提供したのは… 個人的に朝雲さんの姿勢が気に入ったからですよ」

瑞鳳「朝雲ちゃんが、ですか?」

榛名「誰かのために戦う、その為なら例え敵だろうと教えを請うて、昇華し強くなろうとする。そんなに直向な人だからこそ気に入ったんです。

そんな人はガンプラ塾でも見た事が無かった、だから新鮮で、そして眩しく見えたのかもしれません」

瑞鳳「だからこそ『シームルグ』と『カラドリウス』を朝雲ちゃんとその妹さんに託した… だけど『カラドリウス』を萩風ちゃんが使うことに抵抗はないんですか?」

榛名「ええ。彼女ならば『カラドリウス』を使う資格はあると思いますよ。 それに『カラドリウス』が無ければこちらから1機、余剰機を提供していたかもしれません」

瑞鳳「あの子に機体を託しても良いと思えるだけの『何か』がある、と?」

榛名「朝雲さんと同じ『誰かの為に戦う』人、と言うのも理由ですけど彼女の場合は戦い方に好意がもてるんです」

瑞鳳「戦い方?」

榛名「一見すればステルスを使って奇襲を行うの容赦のない戦い方、ですが彼女の場合はあまりガンプラを壊そうとしていないんです。

部品の交換が容易な部分を狙ったりマガノイクタチでエネルギー切れを起こさせたり、後でちゃんと直し易いように戦っているんですよ」

瑞鳳「確かに、そう言う節は多少ありますが…」

榛名「その必要が無い限り積極的にガンプラを壊そうとしない、それは相手のガンプラやビルダーに対しても敬意を抱いているということです。

それに自分のガンプラにきちんと愛情を持って接し、壊れたらその部品を一部でも、どれだけ手間であろうとも別の機体に使おうとする。 ガンプラ想いの人でもここまでするのは珍しいじゃないですか」

瑞鳳「だから萩風ちゃんにも『カラドリウス』、『改RX-0』を使う資格がある、ですか」

榛名「はい。 それに朝雲さんのパートナーは萩風さん唯一人、『番の鳥』も必要ですから」



イベント選択 直下
1.神通『妹への』
2.天津風『ファイター』
3.陽炎『悪意の矛先』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/04(月) 05:45:34.82 ID:RwrIgXhSO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/05(火) 03:21:47.20 ID:kP6TyPd30<> side-神通-『妹への』

《宿舎・外》

神通「窓伝いで入った、訳ではないようですね」

海風「痕跡も見当たりませんし、3階の部屋に入るのは下からだと目立ちすぎます」

霞「侵入経路はやっぱり普通に入り口か…」

神通「萩風のように通気口を使った可能性もありますが、現実的な手段ではありませんし…」

海風「だけど鍵はどうしたんです? カードキーですよ、宿舎は」

霞「カードキーは2枚しかない筈ですし、神通さん達が出かけた時には預けてたんですよね?」

神通「はい。ロビーのほうにきちんと」

海風「…あと可能性はマスターキー、ですね」

霞「じゃあ宿舎側が手引きした、ってこと…?」

海風「その可能性もありますが… 最も高いのは…」

神通「マスターキーを借りて部屋に入った、ですか」

海風「はい。マスターキーを借りた人を調べれば自ずと犯人へと辿り着くということです。ですがマスターキーなんて早々貸して貰えるわけでは…」

霞「インキーを偽って、とかは?」

海風「それなら多分ロビーの人が一緒に行くはずですよ」

神通「マスターキーを盗み出した、というのは?」

海風「ロビーの映像を調べないとわかりませんね」

霞「結局、振り出しか…」

神通「すみません、二人共。私の我がままに付き合ってもらって」

海風「いえ、先輩の頼みなら。それにチームメイトの一大事ですし」

霞「私も、こんな卑怯なやつは絶対に許せないから」

神通「良かった、あの子もチームに馴染めて…」

海風「良くも悪くも『普通じゃない』チームですから」

神通「それでも、あの子を受け入れてくれただけでも充分です。あの子、人付合いが苦手で…」

霞「ウチ、そう言う連中ばっかりだから馴染み易いんじゃないんですか?」

海風「霞も友達居ませんでしたしね」

霞「アンタなんて無愛想マシーンだった癖に」

神通(萩風、犯人はこちらで絶対見つけます。 貴女は貴女の戦いに集中をしてください) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/05(火) 03:53:49.70 ID:kP6TyPd30<> 《翌朝》


榛名「フレームパーツは調整終了、外装パーツと武器は?」

瑞鳳「こちらも改造・調整は完了して…」

萩風「今塗料を乾かしてるところです」

瑞鳳「でも発光って調整出来るんですか?」

榛名「はい。『改RX-0』のフレームパーツは無色、ですがNT-D発動時に発光エフェクトが変化するように調整可能なんです。

現に『マーナガルム』ら3機もフレームは以前のまま、エフェクトを変化させただけですから」

萩風「すみません、発光まで変えて頂いて」

榛名「良客にはアフターサービスはきっちりする、それがモットーです」

瑞鳳「で、機体の登録名はどうする? 『カラドリウス』のまま?」

萩風「そうですね…」


機体改造 

ベース機『RX-0[Cl]カラドリウス』
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・ライフル内蔵サイズ『ハルパー』
・肩部バインダー展開式ビーム・キャノン×2
・ミノフスキー・ドライブユニット『イーカルス』
・スレイヴ・ファンネル×6


改造内容 直下

機体名 下3


条件
・改造内容:大幅な変化をさせないこと、塗装カラーは固定(薄紫)
・機体名:『カラドリウス』の名前は固定、追加(例:カラドリウス改など)はOK <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/06(水) 00:32:04.99 ID:cNGlSg1w0<> 来なさそうなので選択肢


機体改造 直下
1.機動強化・ステルス能力付与
2.武装強化・同調能力付与
3.その他(内容も)


機体名 下2
1.『カラドリウスルベルム』
2.『カラドリウスtype-H』
3.その他(内容も) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/06(水) 10:13:44.22 ID:Gsfg7hGB0<> 1で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/07(木) 05:46:10.37 ID:BFjxQW1NO<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/07(木) 13:31:11.15 ID:W3ODUoaeO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/08(金) 02:39:37.85 ID:VA1m+bpL0<> 萩風「エクシアの名前を頂いて、『カラドリウスルベルム』として登録させて頂きます。構いませんか?」

榛名「ええ、そこはファイターにお任せします」


新機体(一時?)

RX-0[Cl-R]カラドリウスルベルム
武装
・60mmバルカン×2
・ビームサーベル×2
・ライフル内蔵サイズ『ハルパー』
・肩部ハイパージャマーユニット
・ビーム・ダガー×2
・ミノフスキー・ドライブユニット『イーカルスR』
・スレイヴ・ファンネル×6

概要
『RX-0[Cl] カラドリウス』を萩風用に調整しつつ破壊された『ガンダムエクシアルベルム』の部品を使って改修した機体。
外観はエクシアのパーツの使用とそれにあわせたことにより一層女性的なフォルムが強調されている。
主な変更点は腰びビームダガーを装備し肩部に装備されていたバインダーを外し、代わりに肩部を換装する形でハイパージャマーユニットを搭載したことと背中に装備された『イーカルスR』。
『イーカルスR』は『イーカルス』に改修を加えて出力を強化したもの。NT-D発動時には有機的なエネルギーの翼を形成、まるで天使のような姿となる。
この状態では普通の人間は目視すら難しいほどの速度を発揮、さらにハイパージャマーも強化されてまともに捉えることは叶わない。
相対的な火力こそ落ちているものの萩風に合ったカスタマイズを施されており高い性能をフルで発揮可能。
塗装は薄紫をベースに、NT-D時はピンクの発光をする。
朝雲の駆る『シームルグ』と共に『カラドリウス』は飛翔する。たった『一輪の花』としてではなく二人の『TwinBird』として、戦場と敵をその鎌で切り裂く。


瑞鳳「問題は… 鎌って使った事ある?」

萩風「その辺は問題なく。私は元々大鯨さん、鯨流の後継者です」

瑞鳳「確かに特徴的な武器の使い方は一通り習ったけど、私も。鎌までもうやってたなんて…」

萩風「ナイフは使い易いし持ち歩きも容易だから使ってるだけです。トンファーでも刀でも、鞭でも鎌でもなんでも大丈夫です」

榛名(それでも神通さんの方が強いって…)

神通「失礼します、お母様」

瑞鳳「あれ、どうしたの?」

神通「青葉さんからの報告が。 きな臭いことになってきました」

萩風「きな臭い?」

神通「陽炎さんが昨日、あの後青葉さん達を動員してゴミ捨て場を探したそうです。その結果、注射器が…」

榛名「…!」

瑞鳳「まだキャリアーが居ると断定するのは早いけど… 昨日の時点で宿舎には3チームしか居ない筈だよね」

萩風「うち2チームは身内…」

瑞鳳「…グレートKに薬の使用者が居るかもしれない、ってことになる」

榛名「運営側に報告を…」

神通「実は海風さんが先走って阿武隈さん達とカリマ・ケイを捕縛して…」

三人「!?」

神通「カリマ・ケイ本人を問い質したところ本当に何も知らなかったそうです。空き巣の件も薬の件も」

瑞鳳「あとで海風ちゃんにお説教だね」

萩風「い、一応情報を手に入れているので不問にしておいてください」

榛名「確か私達が得ている情報の限り、キャリアーはメインファイター以外がなっても特に意味がない筈でしたから…」

瑞鳳「…警戒は厳に。全員を動員して事態の対処を行います」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/10(日) 02:46:11.85 ID:+1+pndQi0<> カリマ「だから、本当に知らねぇつってんだろうが!」

陽炎「物証はあがってんのよ。まだシラを切るつもり?」

カリマ「俺じゃねぇよ!注射の跡なんてあったら半袖なんか着ねぇっつの!

大体俺は昨日の夕方はトイレに篭ってたしから空き巣なんて出来ねぇし、出来てもそんな卑怯な真似するかよ!」

阿武隈「どの口が言うんだか…」

海風「これ程説得力がない台詞は… ウチじゃ割りと多いですけど、まぁ珍しいでしょう。

島での一件、あれを卑怯と言わず何を卑怯と言うのでしょうね。このコウモリワカメ」

カリマ「テメェ、煽りのセンスだけは相変らず一流だな…!」

海風「では貴方でないのなら貴方のお仲間がこの薬を使った可能性が高い、と」

カリマ「いい加減にしろよ、お前…!俺の仲間まで疑うのかよ!」

海風「推論を述べたまでです。 こちらにはあの薬、昏睡病の原因の薬を使うような人間は居ません。

全員、嫌と言う程使った人間の末路や巻き込まれた人を見てきてますから」

カリマ「末路だぁ?」

長波「ロクな目に遭ってないんだよ。使った当事者も、巻き込まれた私達も。

だからこそ止めたいって、もう二度とゴメンだって思うのは当然のことだろうが」

海風「被害が出る前に止めたいんです。例え誰であっても犠牲は出したくないから」

カリマ「正義の味方気取りかよ」

海風「違います。ただやりたい事をやって、望んだ未来を創りたいだけです。

もし仲間内で肌を隠したりおかしな挙動の人が居れば教えてください。あとその事は可能な限り伏せておいて貰えると」

カリマ「ケッ… 気が向いたらな」




阿武隈「残りの二人も捕まえる?」

海風「いえ。牽制になれば良い、と思ってあのワカメに注意しただけです」

陽炎「だけどもう薬を使ったやつキャリアー化してる可能性が高いわ。もう手遅れよ」

海風「それも分かっています。だとしても、もし誰かが犠牲になる前に止めることが出来れば、穏便に済ませられれば御の字じゃないですか」

長波「無用な騒ぎは起こしたくない、ってことか」

海風「はい。 全日本選手権と言う場で、そして世界大会が近隣で行われているところで、ガンプラを汚す真似はさせたくないんです。

市内でのビル崩落は… まぁもう少し穏便に出来ればよかったのですが」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/11(月) 02:12:26.32 ID:odDvpTXk0<> 《数時間後 大会会場・控え室》


海風「では今回のバトルの編成・戦術の再確認を行います。 ファイターは萩風さんを主体に朝雲さん、天津風さんに出て貰います」

霞「機体は間に合ったみたいだけど… 改RX-0の操作性は劣悪よ。正直調整を施してても朝雲が使えてるのがやっとの状態レベルだし」

萩風「戦ってる最中に慣らします。 それにお母様と榛名さんが手伝ってくれたので調整に時間を割くこともできましたから足手纏いにはなりません」

海風「戦術は対MA戦術パターンの中から状況に応じて選択を。使う機種が不明な以上、固定させるのは危険です」

瑞鳳「今までのパターンだと大型が多いから… アニメ本編のだと『αアジール』とか『ラフレシア』、『デストロイ』あたりかな…」

天津風「…新し目だと『コンキュテベネス』や『アーマーザガン』、『ハシュマル』なんて可能性もあるわね」

神通「大穴中の大穴で『ゲルズゲー』『ダハック』なんて可能性も…」

海風「談義は程ほどに。 ともかく、敵はMAと過去の戦闘データからほぼ確定しているようなものですが、もしMS3機の場合は臨機応変に対応を」

朝雲「無茶言ってくれるわね…」

海風「その無茶を成し遂げてきたのがウチのチームですから」

朝雲「分かってるわよ。 これまでやってきたように、やってやれば良いんでしょ」

海風「はい。 敵はこれまで以上の強敵かもしれませんが、やれると信じています」

天津風(信じてる、か… 私は私の目的の為に利用してただけなのに…)

霞「天津風?」

天津風「なんでもない」

朝雲「そう言えば機体、どっちにするの?」

瑞鳳「それによって渡す装備も変わるんだけど」

天津風「機体は…」


機体選択 直下
1.ガンダムハルート・ボーライド
2.シュティングスターガンダム(改)


追加武装(機体がシューティングスターの場合、改造内容・機体名も併記) 下3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/11(月) 05:31:36.13 ID:lVIrl+G+O<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/11(月) 09:20:47.17 ID:B3GY5xZT0<> 踏み台 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/14(木) 01:57:13.69 ID:MMNgTCtl0<> 来なさそうなので…

選択肢(装備) 直下
1.ウエポンコンテナ&ブースター『GNHW/B』
2.火力・運動性強化用ブースター『ライジングブースター』
3.その他(内容) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/14(木) 16:20:25.75 ID:kFCFh96rO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/16(土) 03:31:44.86 ID:bHINyln80<> 天津風「ハルートを使います」

瑞鳳「OK。ならこっちね」

神通「ブースター…?」

瑞鳳「『ライジングブースター』。実際の航空機を参考にして作った専用のブースターで、装備時に可変機構をオミットする代わりに加速性を高めたの。

そして補助の偏向ノズルで運動性も高めて、ビームキャノンが2門と翼そのものにビームサーベルを纏わせる機能で戦闘能力も上がってる」

天津風「『ライジングブースター』… これって、Su-47の?」

瑞鳳「正しくはSu-47と57の合体。47はハルートが元々前進翼だからそれに合わせる形で翼部と機首を、57は推力偏向ノズルと尾翼を参考にしてる。

これでも私、工業系で航空専攻だもの。中々大変だったけど、なんとかモノにできた」

天津風「ありがとうございます、私のために…」

瑞鳳「…時雨ちゃんとの戦いで、何か気付けた?」

天津風「それは…」

瑞鳳「良いんだよ。今はまだ気付けなくても。 だけど貴女が思っている以上に皆が天津風ちゃんを信頼してる。 その事だけを忘れないでね」


『これより準決勝第二試合を開始します。参加選手の方は…』


瑞鳳「時間か… さて、行って来なさい。これが貴女達の正念場だよ」

朝雲・萩風・天津風「はい!」



『全日本ガンプラバトル選手権・中高生の部。全国大会準決勝第二試合、東京代表・私立小沢学園チーム『フリューゲル・ヴェント』対神奈川代表本牧学園チーム『グレートK』の試合を開始します』

阿武隈「…やっぱりZZは出して来ないか」

陽炎「どうする? 『ブラストアクロスZZ』のデータだけないけど」

榛名「問題はありません。基幹技術はこちらの応用、瑞鳳さんのシステムと組み合わせたとしても対処はできます」

長波「じゃ、今回は純粋な応援で良いのか?」

天城「ええ。 しかし戦闘待機もしておいてください。キャリアーが出る可能性もあります」



チームメイトA「お、おい… あ、アイツの機体は…」

カリマ「どうした?」

チームメイトB「な、なんでもねぇよ…!良いから行くぞ…!」

カリマ「ああ、サポートは任せる…!」

カリマ(なんだ、コイツら… 普段と雰囲気が…)


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "MOON"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


天津風「ガンダムハルート・ボーライド、天津風!」

萩風「カラドリウスルベルム、萩風!」

朝雲「シームルグ! 朝雲、チーム・フリューゲル・ヴェント!」


天津風「行くわよ!」

萩風「行きます!」

朝雲「出撃する!」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/16(土) 04:25:40.97 ID:bHINyln80<> 天津風「フィールドは月面ね。敵は…」

朝雲「目視で確認できてるわよ…!あの機体、AGEの…!」

萩風「『ヴェイガンギア・シド』の改造機ですか… 金色とは悪趣味な」

カリマ「うるせー! この『ヴェイガンギアK』に対抗しようなど、お前達もここで終わりだ!」

朝雲「来るわよ! 各機、戦闘開始!」

萩風・天津風「了解!」


大量のミサイルがヴェイガンギアから放たれ朝雲たちは各個に散開し、ミサイルをそれぞれに迎撃する。

さらなるミサイルが3機へと襲い掛かるがシームルグが自機と同等の粒子結晶の刃を展開し、射出して残存するミサイルを切り裂いた。


カリマ「これでぇ、どうだぁぁぁぁぁっ!」

天津風「曲射のビームが来るわよ!」

朝雲「萩風!」

萩風「はい!」


偏向するビームを相手に囮となって突出するカラドリウス、萩風はビームが全て自分に集中したのを確認し『ハルパー』をサイズモードに切り替えた。

萩風が一閃を振るった次の瞬間、ビームは『ハルパー』によって切り裂かれて霧散してしまう。


カリマ「なにっ!?」

萩風「ビームだとしても、この『ハルパー』なら!」

朝雲「いける!次はこっちのターンよ!」

天津風「これを受けなさい!」


シームルグの『シェーバティール』とハルートのブースターに内蔵されたキャノンから放たれたビームがヴェイガンギアの背中に合体している『シド』の翼を撃ち抜く。

そして誘爆が起こり両翼が千切れるヴェイガンギア、だがカリマは諦めず改造した『デルタゲイザー』をチャージする。


天津風「デルタゲイザー、しかもゲーム版…!」

朝雲「収束率は流石、って言いたいけど!」

萩風「一手遅い!」


ステルス機能を用いてレーダーから逃れていたカラドリウスが『イーカルス』の光の翼を展開して一気に距離を詰める。

鎌の一閃を振るいヴェイガンギアの両腕を切断して萩風は『デルタゲイザー』のチャージを止めてしまう。


カリマ「馬鹿な…!?」

朝雲「よし、これで…」

萩風「次の一手で終わらせ… っ!?」


不意の殺気を感じ取り萩風は機体を下がらせる。 そして次の瞬間起きたことに萩風は唖然となってしまった。

ヴェイガンギアの機体が勝手に修復されていき千切れた筈の翼さえも生えて、傷一つない姿を取り戻す。


萩風「再生…! やはり貴方は『薬』を!」

カリマ「ち、ちがう! 機体が操縦を受け付けないんだ!」



海風「薬を、ナノマシンを投与したのはカリマ・ケイじゃなくて…」

瑞鳳「サブファイターのチームメイトが…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/17(日) 04:38:46.76 ID:iPTdNpd60<> カリマ「ど、どうなってやがる!? 操縦も、降参すら出来ねぇ!」

萩風「キャリアーにメインの操縦権を強奪されたみたいです…!」

朝雲「一体どっちがキャリアーなのよ…!」

チームメイトA「た、助けてくれ!まだ死にたくねぇよ!」

チームメイトB「…」

萩風「どうやら3番目のファイターがノーマルタイプ、『使い捨て』の薬を使って…!」

朝雲「あのスドウとは違うタイプってことね!」

天津風「なら対処のしようはある! さっさとカタをつけるわよ!」

萩風「ですがこのまま倒せば残る二人にも感染する可能性が…」

カリマ「ど、どういうことだよ!?」

チームメイトA「頼む!ガンプラ壊した事は謝るから…」

朝雲・萩風・天津風「…は?」

チームメイトA「あ…」

萩風「決めました。速攻で倒して『始末』します」

朝雲「…まぁ、そうよねぇ」

天津風「長引かせて状況悪化させるよりは… それにビルダーとして気持ちは分かるし。あと下着盗まれてるし」

朝雲「仕方無いわ、自業自得ね。 各機、これより『全力』を以ってキャリアーを撃破するわよ!」

天津風・萩風「了解!」


ハルート、そして二機の『改RX-0』がそれぞれに散開してヴェイガンギアへと攻撃を開始する。

真っ先にカラドリウスが突撃し、それをフォローする形でハルートとシームルグが射撃を加えていく。


萩風「薬を使ったところで!」

チームメイトB「…」

萩風「所詮単機では!」


ヴェイガンギアがヒートサーベルを展開してカラドリウスを右腕で攻撃しようと腕を振りかざす。

萩風はその右腕を『ハルパー』で切り裂き至近距離で実弾を数発ヴェイガンギアへと叩き込み、ヴェイガンギアはバランスを崩した。


天津風「退いて!ミサイル、一斉発射!」


天津風のハル−トがミサイルを全て放ち、ヴェイガンギアもビームキャノンで迎撃を行うが間に合わずに多数のミサイルが直撃する。

しかしヴェイガンギアの損傷は即座に再生しすべてが無かったことになってしまう。


天津風「今よ!」

朝雲「再生したとしても、コピー体までは生成できないなら!」

萩風「こちらの方が上手です!」


2機の『改RX-0』、シームルグとカラドリウスが同時にNT-Dを発動し、燐光を纏った。

そして朝雲と萩風の二人は互いに顔を見合わせ頷き、突撃を敢行する。もう既に二人に言葉は要らない、互いの考えくらい分かっているのだから。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/17(日) 09:00:03.23 ID:7AvEEnMtO<> 加奈「ダストンの掃除法をメモしておきますね!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529105813/ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/18(月) 02:58:48.37 ID:EjB9Kz8z0<> 朝雲「行くわよ! 例のヤツ、やれるわね!」

萩風「勿論です! やってください!」


高速で2機がヴェイガンギアへと真正面から一直線で迫り、ヴェイガンギアが尾のデルタゲイザーを放つとそれを回避するように左右に分かれる。

シームルグがシェーバティールから実弾を放ってヴェイガンギアに直撃させることで目を萩風から逸らす。その背後から『ハルパー』のビーム刃を形成したカラドリウスが迫り、シドの右翼を切り落とす。


萩風「私達、『二人』なら!」

朝雲「どんな敵とだって戦える!」


シームルグとカラドリウスがそれぞれに粒子結晶の刃を武器から形成して放ち、残る左翼を切り刻む。

だがヴェイガンギアも黙っておらずヒートブレードで二機を攻撃しようと両腕を振り下ろす。しかしそれすら2機相手には一手遅かった。


萩風「動きが止まって!」

朝雲「見えてんのよ!」


斬撃を容易く躱した朝雲と萩風、ヒートブレードを持った両腕をカラドリウスの『ハルパー』が形成したビーム刃が切り落とす。

形勢の不利を悟り後退し再生しようとするヴェイガンギア。だが背後からハルートのビームが直撃して推進器を破壊された。


天津風「この私にフォロー役させたのよ!決めなさい!」

萩風「朝雲さん!」

朝雲「コード・ブレイヴ!」


シームルグの燐光が輝きを増し、正面にシェーバティールを両腕で構えて銃身が展開される。

そして足が止まったヴェイガンギアをカラドリウスが光の翼と『ハルパー』を使って高速で切り刻み、四肢を、頭をバラバラに解体していく。


萩風「今!」

朝雲「塵一つ残さず、消えろ! プラフスキー・ステラ・ストレイターレット!」


解き放たれる超大出力の極大ビーム、その一撃が逃げる事のできなくなったヴェイガンギアを呑み込み圧倒的な熱量で消し飛ばす。

ビームの放射が終わると射線上には何も残らず、ヴェイガンギアの存在は跡形もなく消えていたのだった。


朝雲「ふぅ… 敵機の消滅、確認」

萩風「バトルシステム強制終了、戦闘終了します」


BATTLE ENDED

Winner"Flügel Vento"


『全日本ガンプラバトル選手権中高生の部、準決勝第二試合。勝者、東京代表・『フリューゲル・ヴェント』!』



海風「凄い…」

霞「息がピッタリ、まさかあそこまで…」

愛宕「流石、やるわね」

神通「萩風、立派になって…」

瑞鳳「よし、行って来るか」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/19(火) 01:05:45.17 ID:bKlCdP+m0<> カリマ「お、おい… 起きろ、起きろよ!?」

天津風「無駄よ。もう二度と目覚めないから」

朝雲「ちょっと退きなさい。 …やっぱり、注射痕がある」

萩風「もう入手ルートは8月に入った時点で9割がた潰されてる筈… 恐らく前から持っていたか、新しい経路が生まれていたか…

天津風さんと朝雲さんは運営に伝達と、あと彼を医務室へ。私は…」ギロッ

チームメイトA「ひっ…!?」

天津風「ブチのめしてきなさい」

朝雲「事後処理はやっておくから」

チームメイトA「た、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇっ!」ピューン

萩風「逃がすとでも…?」



チームメイトA「はぁ、はぁっ…!」

チームメイトA(な、なんで俺が…!)

ブォン スパァン!

チームメイトA(パン1)「え、あ…」

榛名「また、つまらないものを斬ってしまいましたか」

チームメイトA「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

榛名(トマホーク装備)「貴方の様な卑怯な輩、榛名は大嫌いなんですよ」

天城(槍装備)「姉さん、やってしまいましょうか。今なら目撃者は居ません」

間宮(鉈装備)「証拠なら青葉さんたちが消せますから。血痕も、死んだ痕跡すら残りませんよ?」

チームメイトA「お、俺が何したって言うんだよ!?」

榛名「通信が聞こえてないとでも? それにもう証拠のビデオはあがりました」

天城「窃盗と器物損壊で逮捕されても未成年だから罪には問われない。ですが私刑は別です」

間宮「ビルダーにとって決して許されないことをしたんです、貴方は」

瑞鳳「先越されちゃってたかぁ…」ズルズル

榛名「なんです、それ?」

瑞鳳「何ってクレーン用の鉄球ですよ。用意できたのは1tのですけど、これなら充分でしょう」

天城「片手で1t引き摺ってきたんですか…」

瑞鳳「貴方には私の教え子のガンプラと同じ痛みを味わって貰おうかな?」

チームメイトA「や、やめ… 謝りますから!土下座でもなんでも…!」

瑞鳳「土下座っていうのはね、価値がある人間がするから価値があって、貴方みたいなただの屑がやっても価値はないんだよ?」

間宮(ひ、酷い言い草… それだけ瑞鳳さんもキレているのでしょう…)
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/19(火) 02:33:00.13 ID:bKlCdP+m0<> 萩風「その鉄球だと肉片で足つきますよ」

チームメイトA「ひぃっ!?」

瑞鳳「あっちゃー、本人来ちゃったか… 一番エグイことやりそう」

萩風「失敬な… 確かに天城さんの言った通り恐らく少年法でそこまでの罪にはなりません。

だから、こうして『社会的に破滅』していただきましょう」ブォン

チームメイトA「がっ…」ドサッ

萩風「人の下着を盗んだ輩に、こんな下着は不要です」スパァン

榛名「最後の一線を…」

萩風「お母様、塗料とこの鉄球ください。縄は用意できてますので」

瑞鳳「何時の間に… まぁ良いけど。 人目が多くなりそうなとこに運ぶね、これ」



《その後 会場外》

海風「うわぁ、これは…」

霞「エグイ真似するわね、本当」

萩風「さて、なんのことでしょう?」

朝雲「ひん剥いてボコボコにした後『私は下着泥棒の変態です』ってプラカード作って鉄球に括りつけるヤツなんて居ないわよ」

萩風「ええ、そんな人間は居ません」

天津風「白々しい…」

萩風「あと間違えても当人の○witterやFace○ook、イ○スタに投稿や色んなアカウントから拡散なんてしてませんから」

霞「そこまでしたら人生御終いじゃない」

海風「どちらにしろ衆人観衆の前に晒されてますからね、もう。同情もする気はありませんがやり過ぎかと」

萩風「ひっそりと闇に葬られたり鉄球でグシャっとされるより良いんじゃないんですかね?」

神通「お母様、さっき電話してると思ったら鉄球なんて調達してたんですか…」

ウー ウー

朝雲「あ、警察だ」

萩風「帰りましょうか。イザコザに巻き込まれたくはありませんし」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/19(火) 04:04:27.35 ID:bKlCdP+m0<> 瑞鳳「さて、まずは準決勝突破おめでとう。って言いたいけど…」

天津風「まり、気持ちの良いものじゃなかったわね」

瑞鳳「昏睡病のナノマシンが未だに流出してる。それに会場周辺じゃまだまだ怪しい動きが見られてる。

気を抜けない状況だよ。 もしかしたら『決戦』も近いかも」

神通「EXAMと私達の決戦…」

瑞鳳「今ある限りの戦力をこっちも集めてる。 だから貴女達が気にすることじゃない。子供を護るのが私達大人の役目なんだから。

じゃあ決戦前の英気を養うために、夜は焼肉でも行きますか!」

霞「え、良いんですか?」

瑞鳳「今回はお母さんが、別荘でおもてなし出来なかったお詫びだって」

海風「瑞鳳さんの懐が何一つ痛んでないじゃないですか」

瑞鳳「まぁ私も出資はするよ。先生としてはね」

朝雲「萩風、大丈夫?」

萩風「仕方ありません… 今日だけは特別です」

神通「珍しい…」

萩風「珍しくもなんともないじゃないですか。前にも間宮さんのお店で似たような件やってましたよね?」

神通「だって元の時代に居た時には言わないような発言ばっかりで…」

朝雲「それだけ変わった、って言う事ですよ」

萩風「そうです。前の私とはもう違うんです」

愛宕「よし、今日は飲んで…」

瑞鳳「いや駄目に決まってるでしょ。引率の先生がお酒飲むとか。と言うか部屋で飲んでるの知ってるし、飲み過ぎだからこれから飲酒禁止」

愛宕「あ゛ー…」



神通(こうして過ごす他愛のない時間、それは恐ろしい程早く進んでいく。『決戦』に向かって止まる事なく、無慈悲なまでに…)

霞(それでも私達は時間を巻き戻すことも止める事も出来ない。 辿ってきた時間は元に戻すことはできなくても、それでも…)

海風(明日の先は変えられる、例え定められた未来も壊して新しく創ることはできる。 そう信じて突き進むしか出来ないのだから)


第18話『TwinBird』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/19(火) 04:24:51.23 ID:bKlCdP+m0<> 次話選択 ↓3票先取


1.霞編『エヴォリューション』…大鯨に誘われ再度滝行へと赴く霞。だが再度ニムバス一味の強襲を受けてしまい…

2.神通編『明日に期待して』…決勝戦の前々日、瑞鳳と共に修練を重ねる神通。しかし『本来起こりえない』筈の事件が発生し…

3.海風編『決戦への道』…海風は浜風に世界大会決勝の前夜祭に誘われ出向く。そして浜風の提案で世界選手権出場者とバトルすることに… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/19(火) 09:33:25.30 ID:Kl+VSDdI0<> 3で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/19(火) 13:15:09.32 ID:vMaYSyfPO<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/20(水) 05:06:34.14 ID:C0/FJ+38O<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/20(水) 16:23:06.05 ID:O5j1nDrRO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/21(木) 01:13:58.18 ID:6XTzJKJIo<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/21(木) 03:42:06.76 ID:ODfD5e7k0<> 第20話『決戦への道』


海風「前夜祭?」

浜風「ええ。明後日まで、世界選手権決勝に向けての前夜祭が行われるので来ませんか?」

霞「私は… 大鯨さんと滝行しなおしに行くから無理ね」

神通「私も、お母様と修業に行って参ります」

萩風「私はそれに同行します」

朝雲「家族とちょっと出かけてくる」

天津風「こっちに居る友達と遊んでくるから… そっちにも行きたいけど」

海風「ものの見事にぼっちになりました…」



海風「はぁ…」

夕雲「海風さん、どうかなさったのですか?」

海風「戦術の練り直ししようとした矢先に引き摺り出されましたからね」

浜風「あまり根詰めても良い戦術は思い浮かびませんよ」

海風「第一ですね…」


「あれって… 今年の決勝の…」

「2年連続かぁ… それに妹も全日本の優勝候補で…」

「凄いな、姉妹揃ってかよ」


海風「ここまで注目されて息抜きが出来るとでも?」

夕雲「もう3回目なので慣れました」

浜風「それに大会参加選手はタダで飲食し放題ですからね」

海風「海風関係無いですよね」

夕雲「そこはまぁ、こちらでご馳走しますから」

海風「はぁ… 夕雲さんが居なければ貴女をど突き倒していたのに…」

浜風(それが分かってて夕雲も呼んでるんですけどね)

時雨「それに見回りも兼ねてるんだ。 キミの手だって借りたいくらい人手不足だからね」

春雨「EXAMとの戦闘経験がある海風さんの力も頼りにさせていただいてます、はい」

海風「なんか増えてる…」

浜風「私が呼びました」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/21(木) 17:42:22.11 ID:pw4KBvdcO<> ガンプラ製作コーナーへ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/22(金) 03:06:52.96 ID:THVl1Nd10<> 《製作コーナー》


海風「…なんでガンプラ製作コーナーに?」

浜風「機体が要りますから。瑞鳳さんにアズライトが預けたままでしょうし」

海風「だからと言ってここで作らなくとも… それに時間だって勿体無いでしょう」

時雨「春雨が居るからそこは大丈夫だよ」

春雨「HGなら30分で組んでみせます、はい!」

海風「人外だ…」

夕雲「それに私達が言えた立場ではありませんが自分の機体を自分で組んでみるというのもファイターとしての経験には役立ちますよ」

海風「仕方ありません… これも経験の内と考えましょう」



海風(工具の類なら貸して貰えるらしいから… あとはキットと、あとオプションセットとか…

塗料は… 乾燥機があるから一応塗れるみたいですけど、どうしましょう?)

海風「とは言ってもガンダム知識は多少身につけましたがガンプラキットの知識は初歩中の初歩しか無いんですよね…」

海風(プレミアムバンダイの商品とかもあって潤沢ですから、かなり見分けが… とりあえずHGの00とAGEとIBOにオリジン、レコンギスタと一部UCにAGP規格品が良いと聞きましたが…

ただ瑞鳳さん曰く『Gガン系はやめておけ』って話ですけど… RGは海風の技量ではキツそうですから…)

春雨「海風さん、ウイングゼロ以外で使ったことのある機体は覚えてますか?」

海風「確か… ウイングとスクランブルを除けば『トーラス』と『グレイズリッター』くらいかと」

時雨「トーラスなんてキットにあったっけ?」

夕雲「LM(リミテッドモデル)シリーズでしょう。再販がほぼ無いのでかなり稀少な品ですけど」

春雨「プラモの皮を被ったガレキですからね」

海風「道理で少し動きが鈍いと…」

夕雲「ではこれはいかがですか? 『AGE-1フルグランサ』、キットとして凄く優秀ですよ」

海風「これは霞向けかと…」

時雨「なら『カバカーリー』なんかはどうだい? 近接重視だから使い易いかも」

春雨「『クロスボーンガンダムX1改・改』なんて良いと思いますよ? 上半身と下半身がすっぽ抜け易いのを補強すれば全体的に優秀で…」

海風「え、えと…」

浜風「いえ、ここは『ガンダムバエル』です。海風向けで翼もあって…」

海風「人の機体を勝手に選ばないで下さい!」


ベース機体選択 直下
1.浜風案『ガンダムバエル』 
2.時雨案『カバカーリー』
3.春雨案『クロスボーンガンダムX1改・改』
4.夕雲案『ガンダムAGE-1フルグランサ』
5.海風が決める(機体自由選択・機体併記)


選択可能条件
・HGシリーズ(ただしHGダブルオー2ndシーズン以降のもの)
・BB戦士(レジェンドBB以降のもの)
・現在までにリアルで発売しているもののみ
・『ビルドファイターズ』『ビルドダイバーズ』系は選択不可 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/22(金) 09:58:43.43 ID:lt+q+KdL0<> 1で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/22(金) 10:40:17.22 ID:ChahlElDO<> 蘭子「混沌電波第173幕!(ちゃおラジ第173回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529353171/ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/23(土) 02:44:59.48 ID:mKDTy0hP0<> 時雨「で、結局…」

浜風「ほら、やっぱりバエルじゃないですか!」

海風「なんかそのドヤ顔ムカつきますね…!」

春雨「確かに浜風のチョイスは適性を踏まえても良いチョイスです。

鉄血のガンダムフレーム機である以上他のキットとの互換性や拡張性なんかも優れていますし製作のし易さなんかも優秀です、はい。そのまま組む分には」

海風「そのまま組む?」

夕雲「海風さんはアニメのバエルを見た事は?」

海風「確かヴィーンゴールヴのシーンとか宇宙での演説とかありましたが…」

時雨「パッケージの完成作例とそのシーンの画像を見比べてみて」

海風「…少し野暮ったい、ような…?」

夕雲「通称・バリ作画。 元のデザインと劇中での外観が大きくズレて、スタイリッシュに見えることが多々あるんです」

春雨「昔のロボットアニメなんかでも劇中やOPでスタイリッシュな見た目だったのにプラモ化すると野暮ったくなったり、逆にその作画を再現したフィギュアが通常仕様と別で販売されたり、なんてこともあったそうです。

つまりバエルはアニメ作画を再現するのであれば非常に大変なんです、はい。普通の人なら工作にかなりかかりますし」

夕雲「それにガンプラの対象年齢を下げるために採用されてる通称・バンダイエッジなんかも工作の手間に拍車をかけていますね。

コト○キヤみたいに刺さるくらいのエッジも問題はありますが、角ばってる筈のところに丸みがあるのも問題と言えるかと」

時雨「あと鉄血系はフレーム構造を採用している分、パーツの脱落率も高いのが難点の一つかな。これは外装パーツを接着すれば良いんだけど、それやっちゃうと整備でパーツ破損なんかあったら部位丸ごと交換になるし」

海風「成るほど…」

浜風「…なんですか、全員揃って。私のチョイスになにか問題でも!?」

春雨「いえ、寧ろ私達の選んだキットも基本全部曲者まみれなので。カバカーリーは合わせ目消しと武器の問題、クロスボーンは腰がすっぽ抜け易い、AGE-1は拡張性の問題…

まぁ取りあえず作っていきましょう。 時雨、工具ありますか?」

時雨「あるよ。あとプラ板にアクリル板、各種サンドペーパーと速乾パテ、あとレジン液も」

海風「うわ、ガチ道具…」

春雨「あとは適当なオプションパーツの類なんかも用意して… あ、海風さんはバエル作り始めちゃってください。

ただパーツは少しゲートを残した状態で切り出していただけると。 あとはこちらで加工しますから」

海風「は、はい!」

春雨「夕雲と浜風は飲み物とおやつをお願いします。大会参加者パスで」

夕雲「確かに適材適所ですが…」

浜風「まぁ実質タダですからね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/23(土) 04:02:43.74 ID:mKDTy0hP0<> 2時間後…


春雨「ふぅ… これであとは塗料の乾燥を待つだけです」

海風「最早何をやってるかすら分からなかった…」

夕雲「後ハメ加工に作画に近付ける為の高速やすりがけ、合わせ目消しにスジ彫りその他… あとオプションパーツの加工までやってのけましたね」

時雨「前から春雨のガンプラ製作技術はヤバかったのに、瑞鳳に弟子入りして人間辞めたからね」

春雨「失敬な、技術が向上したと言って下さい」

浜風「見回りもしてきましたが現状特に問題はないようです」

時雨「まぁそこは大丈夫だろう。僕ら以外にも一部の世界大会参加選手が見回りにも加わってくれてるし。

だけどそれでも人は足りない。飛龍達が着くのは今日の夜だから」

夕雲「あの人達はまた一体何を…」



飛龍「あのさぁ… 儲けてるよね、私達」

蒼龍「売り上げは前年度の20%増し、利益は右肩上がりね」

飛龍「ちゃんと仕事はしてるよね、私達」

蒼龍「今月の売り上げはちゃんと先月より倍くらいになってる」

飛龍「で、なんでまた青春18きっぷで鈍行なのよ…!」

蒼龍「新幹線より安いし…」



時雨「大方いつも通り鈍行だろうさ」

海風「鈍行って…」

春雨「いつも通りですね、はい」

夕雲「さて… 一応もう一度見回りに行きますけど、どうします?」

時雨「それなら僕らが行くよ。二人はここでガンプラ見てて」

春雨「少しばかり運動がしたい気分ですし」

海風「では行ってきます」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/25(月) 02:14:23.32 ID:T3c/b1iJ0<> 時雨「ねぇ、キミは良かったのかい?」

海風「良かった、とは?」

時雨「今の状況だよ。 こうして本当ならしなくて良い戦いに身を投じて、色んな悲劇をその目で見て…

キミには幾つもの選択肢があった。初めて昏睡病を目撃した時にガンプラを辞めていれば戦わずに済んだ、キャリアーに襲われて怪我をした時は遠くへ逃げて身を隠せた、戦わなければ虐殺だって見る事は無かった」

海風「…」

時雨「正直このキミが置かれている状況、僕が見ても酷いと思う。 キミだけじゃない、霞って娘もさ…

瑞鳳が関わらなければニュータイプに変革することも、襲われることも無かったのに」

春雨「時雨…」

時雨「僕は記憶が無いけど戦ってたらしくて多分死を見るのは慣れてると思う。春雨も世界中の悲惨なところを見て、僕程じゃないにせよそう言うものに耐性を持ってる。

でもキミは違う。 キミは戦う必要もないし『普通』の娘の筈だったんだ。だけどキミは戦いに巻き込まれ、身を投じてしまった…」

海風「…時間と言うものは不変です。『過去』があるから『今』があって、『今』があるからこそ『未来』がある。

振り返って後悔したところで『今』は絶対に変わらない。だからこそ海風は『未来』を創るために戦っているんです。それに…」

時雨「それに?」

海風「例え未来の分岐を知っていてもきっと海風はこの道を歩んできたと思います。そうじゃないと歩んできた道が嘘になってしまう、それが嫌だから。

あの時『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』を見つけて、先輩や霞達と一緒に戦ってきた時間を嘘にしたくないんです」

春雨「歩んだ時間を嘘にしたくない、ですか」

海風「寧ろ知っているとしたら過程を変えて『最良』へと変えてしまっているかもしれません。誰かが傷付くのを二度見るのは気持ちの良いものではありませんから」

時雨「キミは…」

海風「海風は決めています。 皆が心から笑えるバトルが出来るようになるまで、絶対に止まりません。

皆が『今の海風』を創ってくれたように、今度は皆の未来を海風が創る番です」

時雨「そう… ごめん、僕はキミを少し疑ってたようだ」

海風「え…?」

時雨「本当にキミに『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』、『ウイングガンダム・アズライト』を託しても良い人間なのかを図りかねていたんだ。

僕はあの機体のテストファイターで、改修前と改修後のテストを務めたのが僕だったんだよ」

海風「時雨さんが…?」

時雨「あれは一歩間違えればきっと酷いことを起こす機体になる、そんな機体を『普通の娘』に渡していいものかって。

それを考えたり決めるのは僕じゃ無いって分かってる。 だけど自分が携わった機体だしそこだけが心配だった」

春雨「で、時雨の判断は?」

時雨「キミに渡して、結果的に良かったと思ってる。 大事に使ってくれてるし使いこなせてる…

それにキミなら決して『間違えない』、話して知ってようやく理解できた。 きっとキミとあの機体の出会いは間違いなんかじゃない、正しく使ってくれる筈だと思う」

海風「時雨さん…」

時雨「見回りはこれで終わり、僕達も戻るとしよう」

春雨「そうですね。 そろそろバエルの方も塗装が乾いてる筈ですから丁度良いでしょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/25(月) 03:58:24.09 ID:T3c/b1iJ0<> 春雨「見回り、終わりました」

浜風「了解です」

春雨「バエルの塗装は… よし、終わってますね。ムラもありませんし、これなら大丈夫かと」

海風「あとは組み上げるだけですね」

時雨「フィッティングは… しなくても大丈夫か。本人いるし」

夕雲「当人のデータより生の方が効率は良いですからね」

春雨「いえ、もうやりましたよ?」

海風・浜風・夕雲・時雨「…は?」

春雨「もう操縦の癖はこれまでのバトルで見てきました。作ってる最中にその程度は弄れます」

時雨「…ビルダーって怖いね」

夕雲「どんどん瑞鳳さんに影響されて人外に…」

「お、春雨じゃねぇか。久し振りだな!」

春雨「あ、フェリーニさん。お久し振りです、はい」

フェリーニ「それにいつもの面子で雁首揃えやがって。お前さんは、確か…」

海風「えっと、この方は?」

フェリーニ「俺はリカルド・フェリーニ。イタリア代表のガンプラファイターだ。

お前さんは瑞鳳の教え子の一人、確かウイングゼロ使いの海風って言ったか?」

海風「どうして海風を…」

フェリーニ「知ってるさ。全日本の決勝進出チームの中でも特にお前さんは有名だ」

海風「…!」ギロッ

浜風「な、何か…?」

海風「なんかまた余計なことしてませんか?」

浜風「い、いいえ!?」

フェリーニ「まぁ浜風のせい、でもあるがな。だがそれだけじゃない、お前さんの戦いに興味を抱く奴等も居るんだよ。

お前さんは現状、全日本の中でもトップの指揮能力を持ってる。それに指揮官でありながら切り込み役を担い、動きだって並の奴等以上に立ち回ってやがる」

海風「そこまで言われる程では…」

フェリーニ「第一、空中戦で戦闘機動中の可変機相手に剣を投げ付けて直撃させられる人間なんてそんな居ねぇよ。

確かに単体の技量じゃお前さんはジャスティスとZZのファイターには及んでない。だが指揮能力と戦闘センスは上、下手すりゃ接近戦の立ち回りは浜風以上に上手い」

海風「あ、ありがとうございます」

浜風(まぁ私が接近戦苦手なだけなんですけど)

フェリーニ「その機体は… お前さんのガンプラか?」

海風「はい。春雨さんに手伝って頂き作った…」



海風の製作した機体
・ベース機:『ガンダム・バエル』
・改造内容 直下
・機体名 下3

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/25(月) 07:02:45.47 ID:Jf7q+DUn0<> 両腕にシュヴァルべグレイズのワイヤーアンカー、脚にヴィダールのハンターエッジを追加
バックパックは稼働の邪魔にならないようにプロペラントを追加
それ以外の全身にも機動力強化のためにサブスラスターを増設
それ以外は原型機そのままだが、全体的にアニメ作画寄りとなっている <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/25(月) 09:10:59.15 ID:b8UtWMH/0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/25(月) 10:25:53.28 ID:8k4A8mMjO<> ガンダム・バエルセレスタイト
可能なら武器にオプションセット09のライフル2丁追加で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/26(火) 03:47:20.46 ID:kViKAEbw0<> 海風「『ガンダム・バエルセレスタイト』、この機体の名前です」



新機体?(海風)

ガンダム・バエルセレスタイト
武装
・電磁砲×2
・バエル・ソード×2
・ワイヤークロー×2
・足部ハンターエッジ×2
・120mmロングレンジライフル×2

概要
海風が春雨の助力(と言っても海風はパーツの切り出しと塗料の選択、仮組くらいしかしてない)を得て製作した機体。以前適当に作ったカプルより真面目に作られている。
こちらは『藍銅鉱』ではなく『天青石』である『セレスタイト』を冠する機体であり、『宝石』の名を与えられたことで海風の『二番目』の機体として認められた。
改造点は脚部に『ガンダム・ヴィダール』のハンターエッジを移植、そしてプロペラントタンクを増設し全身にサブスラスターを増設していること。
武器は原型機同様のものと『シュヴァルベグレイズ』のアンカークローを両腕に装着、オプションセット09に入っているライフル二丁を装備。
塗装は青みを帯びた白。バエルソードは金色からメタリックブルーに塗り替えられている。
また全身が設定画や素よりアニメ作中に近くなっており、かなりバリっているのが特徴。
完成度こそ高いが海風は『バスターソードがない』と不満げ。因みに無いのは丁度良いデザインのものと、一からスクラッチする時間も無かったとの理由。



夕雲「セレスタイト、天青石ですね」

春雨「だから白をベースにした塗装に…」

フェリーニ「バエルベースか。中々センスは良いじゃねぇか」

海風「本当ならバスターソードが欲しかったところですが…」

浜風「なんでバスターソードを…」

海風「だって振るうのにパワーがあれば余計な剣の技術も必要なくて質量で叩き割れるんですよ?それに慣れ親しんだ愛武器ですし」

時雨「やっぱりハードポイントに装備しておく初期武装はバスターソードじゃない方が良いって言ったじゃないか」

春雨「ウイングの翼っぽくて格好良いと思ったんですが…」

海風「では早速テストをしてみるとしましょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/27(水) 02:44:16.28 ID:qEYCJfXF0<> 海風「機体の動作良好、武装も完璧… 良い仕上がりです」

浜風「流石に自分で製作しただけあって馴染みも早い。もうここまで使いこなせるとは」

夕雲「これなら微調整も必要ないでしょう」

春雨「しかし普段使う機体と立ち回りが全然違う筈ですけどそれに対応するとは…」

時雨「確か前に『グレイズリッター』の使用経験がある、って言ってたからその影響もあるんだろうね」

浜風(しかし戦闘スキルが以前より格段に上がってる… 射撃も格闘も街中での戦いよりも上手くなった…?)

海風(別荘周辺での戦い以来、多少腕が上がったのが自分でも分かる… 理由は分からないけど、覚悟が決まったから…?)

フェリーニ「それだけの腕なら、アレも狙えるな」

海風「アレ?」

フェリーニ「何だ、お前さんアレの出場のために機体作ってたんじゃ無いのか」


『乱入ありのフリーバトル大会! チャレンジャーが誰も居なくなればなんと、景品としてガンプラ1年分が貰えます!』


夕雲「毎年恒例のやつですね」

時雨「ガンプラ365個も要らないんだけど… しかも全部HGだし」

春雨「MGとかPGを出してくれれば参加する気にもなるのですが、はい」

浜風「それに貰ったところで置き場にも困るし…」

海風「HGの箱だけでも結構かさばるのが…」

フェリーニ「折角だから参加してみたらどうだ? お前達の腕試しにもなるだろうよ」

夕雲「チャンプの夕雲達が参加しても顰蹙を買うだけですよ。ご自分で参加なさっては?」

フェリーニ「俺は一度アレで優勝してるから出禁だ」

時雨「つまり此処に居る中でこの娘しか参加出来るファイターが居ない訳だ」

海風「確かに戦闘経験を積めるという意味では価値はありますが… 瑞鳳さんに野良バトルは厳禁されているもので」

フェリーニ「大丈夫だろ。こんな所まで薬やってるヤツは居ねぇだろうよ」

海風「大会中も居たのに?」

浜風「最悪我々でフォロー出来ますから」

海風「そうやって面白がって出場させようとしないでください」


『な、なんと!全日本選手権・中高生の部決勝進出チームのファイター海風選手がこのチャレンジに参戦だ!』


海風「どうしていつもこうなるんですか…!」

春雨「流石に面白がって勝手に参加させるのはどうかと思いますよ、はい」

夕雲「バトルもせずに燻っているのは勿体無いでしょう?」

海風「これだから馬鹿姉貴が関わる人はロクでも無い…!」

浜風「何で私が流れ弾を食らう必要が!?」

時雨「と言うよりキミ達エンガノ生活勢がロクでも無いんだよ」

海風「理由があるとは言え人を巻き添えにして撃ったり天津風さんを容赦なくフルボッコにした人が言う台詞じゃありませんよ!」

時雨「そう言えば僕そんな事してたね」

海風「後で瑞鳳さんに何か言われたら全員生贄に差し出してやる…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/29(金) 03:08:08.91 ID:LCnx5wdy0<> 海風「これで、14!」


白く塗装されたアッシマーの頭部を右脚のハンター・エッジで蹴り壊しその回転の勢いを乗せて左腕のバエル・ソードで胴体を両断する。

呼吸を整え次の相手に備える海風。既に多数の敵を倒してきた疲労はあるがまだ戦える、と海風は自分の状況を判断した。



フェリーニ「やるねぇ… 出れたなら戦ってみたかったんだがなぁ…」

時雨「能力は間違いなく前より上がってるね。 正面きっての戦闘なら浜風に並べるんじゃないかな」

浜風「寧ろ私の近接戦が不得手な分海風の方が優位かもしれません。それに戦闘経験を重ねて指揮能力もこちらに並びつつある…」

夕雲「ただ間合いさえ詰めさせなければ浜風さんの優位は覆りません」

春雨「問題は『予測』の力… どんな攻撃もあの娘は容易に予測して躱せてしまいます、はい」

フェリーニ「予測でも限界はあるだろ」

浜風「それが海風の場合、無いんです。どんな戦況でも動作でも瞬時に予測して最適解通りに動ける、それが海風がチームでも神通さんと霞さんと言うエース級に並べる理由の一つでもある…

予測自体は誰でも出来ること、ですが海風の場合にはそれが並のコンピュータをも凌いでいるんで限りなく事象に近い予測を打ち立てることが出来るんです」

時雨「簡単に言えば人の思い通りに操れるゼロシステムが頭の中にある状態と同じなんだよ、彼女の場合」

フェリーニ「すげぇな、それは…」

春雨「疑わしいですが、本当のことなんです。はい」

夕雲「それに精神力だけで言えば夕雲達すら軽く凌げますから…」



海風「はぁ… 一体あと何人来るのやら…」

『海風選手、順当に14人を軽く撃破! 次の挑戦者が中々現れません! これは彼女の優勝か!?』

海風「むしろそっちの方が良いんですけど。いい加減疲れました」

『そうは言わずに… おっと、15人目が来たぞ! これで勝ち抜けば、優勝だぞ!』

海風「ラストバトル… 景品はちょっと要りませんが、勝たせていただきます…!」



対戦相手 直下
1.ミスター・ブシドー
2.フリオ・レナート
3.その他(名前も) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/29(金) 04:47:15.90 ID:0GcU1OvkO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/30(土) 06:42:35.48 ID:2wPwbqi/0<> 「ケッ… どんなヤツが戦ってるのかと思えば、まさかあのクソガキの妹とはな…!」

海風「あの機体、どこかで…?」

海風(ジェガンの改修機、それにミリタリー色が強い… 確か世界大会出場ファイターにそんなタイプのファイターが居た筈ですが…)


夕雲「あの機体… 『ゴーストジェガンF』…!」

時雨「レナート兄弟の…」

浜風「フリオ・レナート、それに兄のマリオ・レナートもサブで…!」

春雨「流石に世界選手権のファイター相手は分が…」

フェリーニ「アイツ、子供相手に何ムキになってやがる…!」


マリオ『フリオ、所詮は子供だ。叩き潰せ』

フリオ「了解だぜ兄貴!」

『おーっと! ここで登場したのはアルゼンチン代表・レナート兄弟! 浜風選手に煮え湯を幾度と無く飲まされた恨みを晴らすつもりだろうか!?』

海風「うわ、ちいさ…」

フリオ「うるせぇ! テメェみてぇなガキに、本物のバトルってやつを教えてやるよ!」

海風(行動予測開始。敵の武装から機体特性を狙撃型と断定、ただし過去データから何らかの『仕込み』を行っている可能性を考慮。

フィールドは宇宙、その場合のこちらの最適行動を推定、この場合は… 隙を与える暇なく、近接戦を仕掛ける事!)

海風「そのガキに倒される屈辱、味わって貰います!」


ライフルを投棄し両手でバエル・ソードを抜き放ちつつ加速し距離を詰め、狙撃による迎撃も海風は瞬時に射線を予測し掻い潜る。

ここまでが海風が導き出した『勝利への最低限の道筋』、まず自分が有利なフィールドに持ち込むことが最低条件なのだ。


フリオ「コイツ、俺の狙撃を…!」

海風「間合いは詰めた、あとは!」


翼に内蔵されたレールガンを連射しジェガンの逃げ道を塞ぐ海風、そしてソードの間合いに入ると海風は右腕のソードで斬撃を放ち狙撃用のライフルを破壊する。

フリオも左腕でバックパックからヒート・ナイフを抜きバエルに突き立てようとするがバエルの左脚部に装備されたハンターエッジで防ぎ、ナイフを蹴り飛ばす。


フェリーニ「おぉ、アイツもう二つも武器を封じやがった!」

時雨「師匠、と言うか先生があの瑞鳳だからね。近接戦は得意分野なんだろうさ」

春雨「予測も使った状態でイーブンに持ち込んでいますが…」

夕雲「あの機体、ゴーストジェガンFには…」

浜風「…どうやらフォローに入る必要性があるかもしれません」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/30(土) 06:48:36.43 ID:TVJc3Fme0<> 愛梨「さあ行こう、空の果 てへ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519427437/
久美子「永遠のレイ」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520033314/
伊織「誰が魔王サーの姫 よ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520637298/
エミリー「修正…悪しき文 化ですね」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521241832/
奈緒「何で関西弁=恐竜やねん!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521850482/
常務「新制限を全て撤回。 白紙に戻す」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522451692/
千夏「このTGはテックジーナスじゃないの?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523058431/
礼子「大人の魅力で破滅さ せてあげる」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523661962/
フレデリカ「恋人は校庭のパラディオンだよー」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524265978/
海美「竜騎士の結束を見せちゃうよ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524871125/
志保「茶運びといえばカラクリだよね!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525475657/
茜「みんなで勝鬨を上げちゃおう!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526133608/
桃子「この金の城いい踏み台だね!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526686132/
美紗希「化学反応式も女子力よ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527292985/
小鳥「アリガトウワタシノデッキ」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527896333/
柚「狩らせてもらうよ。キサマのぴにゃンバーズ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528498815/
加奈「ダストンの掃除法をメモしておきますね!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529105813/
さくら「えぇっ?!3分って1ターンなのぉ?!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529710563/ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/06/30(土) 07:21:50.94 ID:2wPwbqi/0<> 分が悪いと悟り後退を試みるジェガン、それを海風はワイヤークローを射出し左脚を拘束することで防ぐ。

一見すれば有利なのは海風、だが海風の脳内で警鐘が鳴り響いていた。


海風(これは上手く行き過ぎてる… 何か『仕込み』を…!)

フリオ「今だぜ兄貴!」

海風「っ…!」


クローを機体から切り離し咄嗟に機体を真横に逸らす。そして次の瞬間、バエルの居た場所をビームが通過する。

海風がビームの発射位置を見るとそこにはもう1機のジェガン、緑色に塗装された『ゴーストジェガンM』の姿があった。


マリオ「あの状況で避けたか…」

海風「もう1機居そうとは考えましたが… 子供相手に2対1とは良心の呵責も無いんですか?」

マリオ「黙れ。フリオ、こちらで追い詰める。お前が仕留めろ」

フリオ「了解だぜ兄貴!」


『なんと、ここでマリオ・レナート選手も乱入!絶体絶命のピンチだ!』


フェリーニ「アイツら、大人気ねぇってレベルじゃねぇぞ…」

夕雲「ほぼ八つ当たりじゃないですか…」

浜風「…」コソコソ

春雨「何する気ですか」

浜風「うっ… 少し助けに行こうかな、と…」

時雨「キミが行っても神経を逆撫でするだけだと思うよ」

浜風「し、しかし…」

春雨「それに機体、準決勝で使って整備中だって聞いてますが」

浜風「一応別の機体もありますから…」

時雨「それでも、だ。 フォローをするなら…」



海風は追い込まれていた。 全部が手詰まりになってる訳ではない、しかし今の状況では勝ちを取りに行くのは困難だろう。

今隠れているデブリでさえいつ見つかるかも分からない。その状況で手札を整えなおすには時間が足りていない。


マリオ「見つけたぞ。 落ちろ」

海風「意外と索敵も早かった…!」


軽口を叩きながらも狙撃をデブリを盾にしつつ回避し距離を取ろうとする。これが自分にとっての最悪手であるのは理解している、しかしこれしか手がないのだ。

下手に前に出ればマリオだけではなくフリオとも戦わなければならなくなる。 完全な2対1だけは避けたい、そんな時に一条のビームがゴーストジェガンMに放たれ、機体を掠める。


マリオ「何!?」

海風「一体誰が…」



増援 直下
1.夕雲
2.春雨
3.時雨 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/30(土) 07:52:47.69 ID:9cSgFX7I0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/01(日) 07:14:40.41 ID:2am8f/y40<> 時雨「僕、基本的に支援される側なんだけど… 今回ばかりは仕方ないからする側に回るよ」

海風「し、時雨さん!?」

マリオ「コイツ、2年前の…!」

時雨「あれからちょっとは成長してるけど、意外に憶えられてるものだね。

マリオ・レナート、キミの目の上のタンコブの妹だからってやり過ぎだし、フェアじゃない。ただの八つ当たりだ」

マリオ「貴様…!」

時雨「だからこれで2対2、文句あるならボクを倒してみなよ。 キミが自分を卑怯じゃ無いって言うなら僕だって卑怯じゃないんだから」

マリオ「くっ…!舐めるなよ、ガキが二人になったところで…!」

時雨「それは3下の吐く台詞だ。 子供だって侮辱して足元3度も掬われてるのをいい加減学習すれば?

海風、で良いんだよね? キミの好きなように動いて良いよ。 僕がフォローするから」


『おーっと、海風選手側に味方だ! 彼女は確か… 第7回優勝ファイターの時雨選手か!?

元チャンピオンが新型を引っさげて公に帰って来たぞ! これは来年への布石か!?』


海風「その機体は…」

時雨「『リボーンズガンダムヘヴィレイン』、春雨用の機体の試作機の一つさ。見た目砲撃型だけど近接戦もやれるから大丈夫」


味方参戦

リボーンズガンダムヘヴィレイン(時雨)
武装
・大型ビームサーベル×2
・GNハンドガン×2
・GNバトルシールド×2
・腰部直結式GNバスターライフル×2
・GNバスターキャノン/GNフィンファング×2
・エグナーウィップ×2
・RG-TRANS-AM

概要
『リボーンズガンダム』の改修機で春雨が『新たな自機』を作るために製作した試作機体の1機であり、それを時雨が気に入り予備機体として実戦仕様にされて譲り受けたもの。
去年異世界で発生した『東京湾沖空戦』『第一次宙間戦役』において実機2機が確認された『リボーンズガンダム』(内1機はオリジン仕様)の回収された残骸及び台場研究所地下で保管されている『1.5ガンダム』実機の技術を取り入れた。
それ以外にも瑞鳳が『別の異世界(ガンプラ学園勢と戦った世界)』で見かけたらしい『リバーシブルガンダム』と言うガンプラの話を聞き、参考にしている。
原型機からの変更点は腰部にV.S.B.Rのように発射することが出来る『GNバスターライフル』を追加、背部は『リバーシブルガンダム』のものを参考にタンク形態への変形機構を取り除いたものに、武装はクローアームを外したシールドとハンドガンに変更された。
そしてRGシステムも搭載されているがこちらはトランザムと連動し、さらに機体出力を向上可能な『RG-TRANS-AM』へと変更、発動時の性能はトランザムの三倍とRGシステム(ベースはtype-Z)の2.5倍を乗算した7.5倍となる。
ただし過負荷が大き過ぎるため発動時には制限時間は30秒、使用後はオーバーホールが必須。もし1秒でも超過した場合周囲(最小のバトルシステムと同規模程度)を巻き込んで大爆発を引き起こし木っ端微塵に吹き飛ぶ、とのこと(何故そうなるかを知っているかと言うと春雨は別の試作機で一度やらかした、との時雨談。翔鶴にこっ酷く怒られたらしい)。
塗装は時雨のビギナにあわせて白がベースで『リバーシブルガンダム』のクリーム色部分がクリアパーツ化されてブルーになっている。
因みに本機には『前面に火力が集中し過ぎてキャノン形態に変形する必要がなくなってしまった』と言う本末転倒な難点?が存在しており、改良しているのだか改悪になっているのか分からなくなりそれが原因でお蔵入りしかけた、とのこと。
さらに余談中の余談だが参考にした『リボーンズガンダム』の残骸はオリジンが『台場研究所』の地下で修復し保管、ツインドライヴ型は修復後『ハシラジマ』にて厳重に封印されている。
特にツインドライヴ型はあちら側に現出した『ディメンション・インベーダー』の元首魁の機体でありその旨が公表されているらしく『あちら側』での運用は不可能、とのこと。


フリオ「兄貴、ヤバイぜコイツは…!」

マリオ「ああ。 少しばかり分が悪くなってきたな…!」

時雨「行くよ…! 海風、キミに指示は任せるから!」

海風「了解! 行きます!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/03(火) 04:31:54.35 ID:/+mFa05C0<> 海風「脇腹が、がら空きです!」

マリオ「ガキが! しつこいんだよ!」


ジェガンMの左脇腹に右腕のソードで斬撃を加えるバエル、しかし斬撃こそ直撃したもののダメージが通らず、逆にマリオの反撃によりバエルは吹き飛ばされ姿勢を崩す。

だがタダでは海風は転ばない。姿勢を整えつつ関節部の隙間を目がけてソードを投擲しジェガンMの右腕のジョイントを破壊する。


海風「とった…!」

マリオ「くっ…! フリオ!」


咄嗟に支援を要求するマリオ、だが支援が行われる様子は無い。 そして気付く、既にフリオ側の戦闘の光が消えていたことに。

代わりに届いたのは四条の大出力ビーム砲撃、その一撃は時雨のリボーンズガンダムから放たれていたものだった。


フリオ「く、糞っ…!すまねぇ、兄貴…!」

時雨「残念だったね。 僕が命令されたのは邪魔な1機の排除、これで良いんでしょ?」

海風「ありがとうございます! これで勝ちに一手近付きました!」



フェリーニ「アイツ、弟の方フルボッコにしてたよな…」

浜風「夕雲と同等か少し上の技量を持ってる時雨なら当然でしょう。策で優位な立場を作れなければ単体での技量が戦局を左右しますから」

夕雲「それにリボーンズの性能も恐らくジェガンより上であったのも大きいかと」

春雨「あれただの試作機なんですけど…」

浜風「そう言えばアレも新技術の試験機、でしたっけ?」

春雨「海風さんのアズライトの兄弟機、に相当する機体です、はい。 コンセプトは異なるシステムの共存、お陰で性能をシステム発動時には性能を7.5倍まであげられました、はい」

夕雲「ですが本採用ではない、ということは… 例の如く、トンデモ欠陥をお持ちと」

春雨「えっと… 使用制限時間を1秒でも超過するとフレームが内蔵粒子ごと大爆発、弾け飛んだパーツがガラスを粉砕する威力を…」

フェリーニ「一歩間違えたら殺人兵器じゃねぇか!?」

浜風「いつも春雨は瑞鳳さん以上に変なモノを作って… 大体アズライトだって完全制御できたらできたで想像以上に危険な代物だと判明してるし…」

浜風(春雨は想像力こそ瑞鳳さんを上回ってるけど… 問題は技術に安定性が不足していることでしょう。強力なものが多い分、危険を伴いすぎるのが…)



マリオ「まさか、こんな子供に使わされるとはな…!」

海風「機体から蒼い炎、ナイトロ…?」

マリオ「そうだ! 悪いがこちらにも意地があるのでな!」

海風「海風だって負けたくはありません! どんな相手だろうと!」


ナイトロを発動したジェガンを相手にバエルのリミッターを解除する海風。ツインアイが真紅に染まったバエルが蒼き炎を纏うジェガンへと突撃する。

そのまま2機は激突し、バエルが左腕のソードから放った斬撃とジェガンのナイフがぶつかり火花を散らした。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/11(水) 22:58:05.68 ID:+G416FXz0<> 海風は右腕のシールドクローを射出しジェガンMの左腕を絡め取って封じる。既に左腕は海風がジョイント部を的確に破壊したことで装備しなおす事は出来なくなっていた。

そのまま海風はジェガンを引き寄せてデブリへと叩き付け、左腕のソードで斬撃を放つ。


海風「これで、両腕は使えません!」

マリオ「まさか、アイツの妹にまで…!?」


斬撃がジェガンMの左肘関節の部品を破壊したことで武装を使用することが出来なくなったゴースト・ジェガンM。

そして海風は右手のソードの先をゴースト・ジェガンMの胸部へと突き立て機能を奪い、戦闘不能に追い込んだ。


海風「ふぅ… 人を侮るから、こうなるんです」

時雨「終わった?」

海風「今終わりましたよ… 疲れました…」


『な、なんと海風選手!世界大会出場選手すら下し、優勝を勝ち取った!』

ワァァァァァァァ



フリオ「あ、アニキ…」

マリオ「まさか、世界選手権にも出場出来ない子供にまで…!」

海風「…正直『アズライト』の無い状況で、時雨さんが割って入ってくれなければこちらの勝ちは薄かったでしょう。

こちらも全力で、ようやく貴方達に届かせることが出来たんです」

フリオ「皮肉のつもりかよ…!」

海風「いえ。ただアレと一緒にされては困るので少し弁解をと… 海風も貴方達の戦い方に見習うべき点も多かったと思います。

伏兵の使い方や索敵、作戦の立案などは貴方方の方が上回っていたでしょうから」

マリオ「…次は容赦しないぞ」

海風「ええ、その時はこちらの『最強』を以って迎え撃ちます」




夕雲「で、優勝のガンプラどうします?」

海風「霞の家に宅配するよう手配しました」

時雨「流石に送料は向こうが持ってくれるみたいだし」

春雨「キットは確認しましたが… 嫌がらせの様なラインナップでしたね…」

浜風「案の定HGしかないしSEEDの時期のキットが多かったですし…」

フェリーニ「前よりラインナップ悪化してるな…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/11(水) 23:44:40.29 ID:+G416FXz0<> 海風(その後も見回りをしたが成果はなし、と言うかあってたまるか、なんですけど…)

時雨「じゃあ今日の分は終わり、だね」

春雨「お疲れ様でした、はい」

海風「なんか丸一日振り回されたような気がします…」

夕雲「実際そうでしたね。 バトルさせられたりガンプラ作らされたり」

浜風「明日までの辛抱ですから…」

海風「えぇ… 明日も…」

時雨「このあと蒼龍達が合流するって言っても人手不足が解消される訳じゃ無いから」

春雨「こういう時に瑞鳳さん達が不在なんですから…」

浜風「自分の娘で後継者の神通さんを鍛えなおしに、一番キャリアーを引き寄せ易い霞さんは大鯨さんが修業に拉致しましたからね」

海風「霞の事をゴキブリホイホイみたいに言うのやめてください。霞だってなりたくてなっている訳ではないんです」

浜風「分かっています。 彼女だって、本来は巻き込まれなくて良い筈だったのに…」

夕雲「その事態を早く終わらせるのが夕雲達のやるべき事ですよ、浜風さん。 そうしないと、夕雲達に未来が来るかは…」

春雨「夕雲… 焦ってますか?」

夕雲「ええ、少しだけ… 自分が死ぬ、なんて聞かされて落ち着いていられるほうがおかしいんです…」

時雨「だけど焦りすぎも禁物だ。 それが死を招くかもしれないんだ」

夕雲「分かっていますが…」

海風(夕雲さんは確か瑞鳳さんの遠縁、だけどメンタルや育ちは一般人のソレに近い… 瑞鳳さんや飛龍さん達と比べて、焦るのも当然ですね…)

浜風「私だって死ぬのは嫌です。 だからこそ今を必死に抗う、それが今私達に出来ること。 そうですね、海風」

海風「そして自分の道を、未来を創るために戦う。 海風も、そう決めました」

春雨(夕雲はメンタルが一般寄り過ぎなのは理解できますが何故この姉妹はメンタルが常軌を逸してるんですかね?

瑞鳳さんとも血縁も何もないのに心がタフネス過ぎるというか…)

時雨(それはキミの言える立場じゃ無い、春雨)


イベント選択 直下
1.春雨『空っぽの少女』
2.神通『宝石と花』
3.霞『変わってくもの、変わらないもの』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/12(木) 04:48:16.80 ID:MN6t7KjUO<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/14(土) 02:35:29.31 ID:DlSYb5tL0<> side-霞-『変わってくもの、変わらないもの』


《富士山麓 別荘》

霞「ふぅ…」

大鯨「どう? 変化はあった?」

霞「少しだけ感覚が鋭くなったよな、周りをよく感じられるような気がします。前とメニューは変わってないのに効果が違って…」

大鯨「それは余計な心配事がなくなってより集中出来ているから、よ」

霞「余計な心配事?」

大鯨「前の時、全然集中出来てなかったでしょ。 海風ちゃんを気にしすぎて」

霞「海風を…? 確かに、暴走が起きて落ち込んでたから気にかけていましたが…」

大鯨「だから今回あの子を連れて来なかったの。 それに自分の力の本質を知って、使いこなすだけの強い心を持てばもうあの子に修業は必要ないわ。

だけど霞ちゃんはまだまだ未熟、『ニュータイプ』に変わることを恐れてる節があるし」

霞「…本当に、変わらなきゃいけないんですか? この力のせいで私は…」

大鯨「無理に変わる必要は無いわ。そもそも無理矢理変わることを『変革』とは呼べ無いもの。

だけどその力は… きっとあの日、命を理不尽に奪われた人達の願い、受け継がれた想いの力なんだと思う」

霞「受け継がれた想いの力… だけど、変わっていけばいずれ自分が自分でなくなるような…」

大鯨「それを海風ちゃんは乗り越えられた。 自分のためじゃなくて『誰か』のために」

霞「『誰か』のために…」

大鯨「どうして海風ちゃんは戦うのかって私は聞いた。 『皆の笑顔を取り戻したい』、それがあの子の原動力。

だけどそこに自分を勘定に含めてないことに気付く余裕が無かった、それが暴走の原因であって私が前にあの子が危ういって言った理由」

霞「海風がそんな事を…」

大鯨「貴女はどうして戦うの? 海風ちゃんと同じ様に逃げる選択肢があっても選ばず、立ち向かうことを選んだのでしょう?」

霞「私は… 海風が居てくれたから… 海風が私を信じてくれたから、一緒に戦うって決めたんです」

大鯨「ならその気持ちを、想いを失くさなければ貴女は貴女のままよ。どれだけ肉体や能力が変化してもその人次第、心の在り方次第なの。

霞ちゃんの海風ちゃんへの想い、それだけあれば貴女は貴女のままだから」

霞「大鯨さん…」

大鯨「人は変わってく。 時や環境が否応なく人を変えてしまう時だってある。

だけど変わらないものもあって、そこを貫き通せるかどうかは全部その人次第。想いや意地を通せるかは心の強さで決まるわ」

霞「私の心の強さ…」

大鯨「そしてガンプラも、貴女の想い次第で強さが決まる。 『ブラストアクロスZZ』について少し如月ちゃんにテストして貰ったの。

感応波を持たないテストファイターでは起こりえない事象、『アズライト』『フルブルーム』同様に機体と人間の同調現象が起きた」

霞「それって、瑞鳳さんの意図してない現象ってことですか…?」

大鯨「恐らくね。 高濃度の圧縮粒子は結晶と同等の純度を得る。『アズライト』はコアを3つ積載したこととフレーム能力の粒子貯蔵による影響、『フルブルーム』は閾値として設定された明鏡止水の心への反応…

『アクロス』は恐らく感応波の強さで能力が変動する。 まだ誰も解らない未知数の領域、正直かなり危険だと思う。 それを使うか、そして使いこなせるかは貴女次第よ」


イベント選択 直下
1.春雨『空っぽの少女』
2.神通『花と宝石』
3.榛名『決意と訣別』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/14(土) 09:17:40.35 ID:a9YZQmfy0<> 2で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/15(日) 02:57:05.96 ID:0A/gDklZ0<> side-神通-『花と宝石』


《海岸》


神通「はぁぁぁぁぁぁっ!」ブォン

瑞鳳「拳に力が乗ってる、けど!」ブォン

ドゴォ

神通「きゃぁぁぁぁぁっ!?」

瑞鳳「一撃の重さは私の方が上だよ」

萩風「お母様に一本。 これで5-0ですね」

瑞鳳「はい、今日はここまで。 感覚は取り戻せた?」

神通「ようやく9割、と言ったところでしょうか。 組手が出来る人が居なかったからどうにも実戦不足で…」

瑞鳳「萩風ちゃんとやれば良かったじゃん」

萩風「真正面からやったら私がミンチです」

瑞鳳「そこまでパワー差あったんだ…」

萩風「一撃のパワーはお母様が強制波動装甲を突き破れるクラス、姉さんが通電したPS装甲を壊せるクラス、私は頑張ってアストレイ用発砲金属を貫けるクラスです」

瑞鳳「うわ、ランク差が酷い」

神通「しかもお母様に関してはクラインフィールドすら破って装甲も破壊できますからね」

萩風「単純なパワー差もありますが戦闘スタイルの違いもありますし… 少なくとも私は姉さんやお母様とは相性が最悪なんです」

瑞鳳「そりゃ仕方ないか… でもまさか神通ちゃん側から訓練の要請があるなんてね」

神通「時間が無い中申し訳ありません…」

瑞鳳「春雨ちゃんも呼んだから手は足りてるし一番のネックだったアズライトの整備も終わったから後は大丈夫だよ」

萩風「バーストに関する調整も、ですか?」

瑞鳳「流石にバーストまでは無理。 『アズライトバースト』のリミッターは海風ちゃん自身になってもらうしかない。

浜風ちゃんの『ウイングガンダムゼロクロイツ』に搭載したアズライトのフレームと互換性を持つ『RGフレームW型』への換装も考えたけど…」

萩風「あのフレームは危険過ぎます。従来型粒子のシステムでも暴走の危険を孕んでいる以上、破棄すべきです。

海風さんの心が暴走しないとも限らない、また理性の暴走を引き起こす可能性だって…」

神通「いえ、海風さんならきっと… 彼女なら絶対にあの力を正しい方向に使ってくれる筈です」

萩風「どうしてそこまで断言出来るんですか」

神通「彼女を初めからずっと見てきたからです。 誰かの力になろうとして、誰かのために戦って、そして彼女は折れそうになっていた私の中に希望を創ってくれた…

だからこそ私が剣を預けるに相応しい人間だと、信じるに値する人間だと確信が持てました」

瑞鳳「萩風ちゃんだってあの子の指示に従って戦ってる。 それは心からあの子を信じてないと出来ない事じゃない?」

萩風「確かに彼女への信頼はありますが、それとこれとは別問題で…」

瑞鳳「大丈夫だよ。 あの子を信じてくれる人が居る限り、あの子の心は暴走しない筈だから」

神通「だから私も… 海風さんの期待に応えられる『先輩』でありたいから…」

萩風「姉さんまで… 何と言うか、海風さんは好かれ易いと言うか…」

瑞鳳「行動が身に返ってきてるだけだよ。 重ねた今までの結果があの子の信頼に繋がってる。 その点は見習わないとね」

萩風「い、痛いところを…」

神通(海風さん… 私を助け、そして一緒に立ち向かってくれる人。 だからこそ私は彼女を護りたい…

彼女が私を信じて折れない限り、私も一緒に立ち向かいますから) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/15(日) 04:28:08.73 ID:0A/gDklZ0<> side-海風-『にせものの空と』



戦術の構築に煮詰まって外に空気を吸いに出て、たった一人で夜空を見上げる。 

夏の夜空に浮かぶ満点の星は綺麗で、その一つ一つがまるで宝石みたいだと思う。


海風(だけど、『空』はやっぱり偽物だ)


未だに海風自身、目に映る『空』が全部偽物で虚ろに思えてしまう。 未だ『本物の空』は見えない、それはあの地獄の日々を抜けても変わらなかった。

だけどようやく気付けたことがあった。 目に映る『空』とは自分の心を映す鏡なのではないのか、と。


海風(だから虚ろだったんだ。 海風自身が空っぽだっただから)


海風が何も持っていなかったから。夢も目標も何も無くて、鬱屈としていた日々をただ抜け出したいとだけ考えていただけで主体性など何も無い。

自分自身、世界に対して色や価値を見出せなかった。宝石だって誰かが価値を見出さないとただの石ころと同じで、きっと海風は自分の人生に価値を見出せなかったのだと思う。


海風「だけど…」


今はどうだろう。 誰かに価値を見出して貰って、その人たちと一緒に今まで戦ってきて自身に価値を見出せたのだろうか。

その答えは未だ自分の中で見つかっていない。だからまだ『空』は偽物だ。


海風「いつか届くかな、本物の『空』に…」


そう呟いて手を伸ばす。 同年齢の平均身長より少し大きいか小さいくらいの身長の人間の手で空に手が届く訳が無い。

ガンダム、特に自分の使うガンプラの原型機の『ウイングガンダムゼロ』にでも乗れば届くだろうが生身ではまず無理。


海風(だけどもう少し進んだ先なら、届くかもしれない)


そこにいつ辿り着けるかなんて分からない。 もうすぐかもしれないしまだまだずっと先かもしれない。

能力を使っての予測でも答えは出てこなかった。当然だろう、だってその答えを出すのは自分自身なのだから。


海風(一人で届かなくても… 今の海風には仲間が居るから)


神通先輩と霞、二人と出会ってチームを結成していなければ今ここに居る海風は居なかっただろう。

朝雲さんと天津風さん、萩風さんと言うチームメイトに恵まれなければここまで辿りつけなかった。瑞鳳さんや愛宕先生のような人に会わねば今のようにはならなかった。


海風(どこぞの誰かはゴミ箱にポイ… は流石に出来ないか)


アレが『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』を贈ってこなければ海風の愛機の今は無かったし本格的にガンプラへと身を投じもしなかった筈だ。

アレへの感情は… 微妙。ガンプラバトルと言う道をくれた事に感謝はしているがそもそも置いていかれた恨みは決して浅いものではないから。なので色々保留。


海風(他にも、いろんな人に出会って…)


蒼龍さんや飛龍さんと言った周囲の大人達、榛名さんを始めとした宮城県民の一同。 そして海風に初めて負けた、と敗北感を味あわせたキジマさんなど色々な人に出会って…

そして色んな悲劇もあった。スドウ・シュンスケの転落、バビロニアの虐殺、そして始まりの事件。それらは海風が戦う決意をするのに充分な理由になった。


海風(だからこそここに居る。海風が信じた明日を、この手で創るために。 その想いは、胸の鼓動は、本物だから)


何度傷付いても、何度奪われても、絶対にこの気持ちは消せない。 芽生えた想いは幻なんかじゃない。

いつか心から笑える日々を、夢見た未来を諦めないために。  <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/16(月) 01:56:15.88 ID:DdH/xnBz0<> 《翌朝》


海風(さて、今日こそ戦術を…)

浜風『海風、居るのは分かっています。出てきなさい』

海風「またか… またですか…! こうなったら…」



天津風「何で私まで…」

朝雲「暑っ… アイスぐらい驕ってよね、暑いんだから」

海風「驕らせます!コレに!」

浜風「まさかドア蹴破って二人も無理矢理つれてくるなんて…」

海風「失敬な。蹴破ってはいません。 戦術の相談と偽って開けさせて拉致りました」

時雨「より悪質じゃないかな」

海風「自分だけ参加で二人が涼しいところでのうのうとするなんて許せませんからね… 死なば諸共です」

夕雲「い、妹さんって随分と過激な子で…」

海風「文句なら性格歪ませた不倫大好きクソ両親と目の前の元凶に言ってください」

春雨「寧ろなんで不良一直線に向かわなかったのかが不思議ですね、はい」

海風「だって一度グレて非行に走ったら人生お終いお先真っ暗じゃないですか。 だから名門に入って勝ち上がって見返して心の底から叩きのめしてやろう、って思っただけです」

飛龍「蒼龍見てよ、これが5ヶ月くらい前まで小学校に居た人間の台詞だよ?」

蒼龍「普通はこうはならないでしょ…」

海風「こうなる要因を作った人間が目の前に居るので文句はそちらにどうぞ」

浜風「すいません、妹が…!」

天津風「聞いてる限りじゃ納得よね、海風がこうなるのも…」

朝雲「恵まれてる家庭環境で本当良かったわ…」


イベント 直下

天津風「」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/17(火) 13:27:33.43 ID:yEZs/+0JO<> 両親襲来 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/18(水) 03:31:20.26 ID:sUFK74Uq0<> 海風「…」チョイチョイ

浜風「? 何ですか海…」

海風「!」ビシッ

浜風「…!?」

蒼龍「二人共、どうかした?」

海風「少しばかりお暇させて頂きます」

浜風「その、何と言うか見つかりたく無い相手が…」

「ようやく見つけたぞ…!」

「貴女達、何やってるの!」

海風「うげ…」

飛龍「噂をすれば、ってやつね…」

天津風「海風の御両親…?」

夕雲「浜風さん…」

「こんな下らない、おもちゃの大会に参加して…!」

春雨「…」カチッ

時雨「落ち着くんだ春雨」

「お前達は… 東京の学校に通ってまでこんな下らないことをしているのか!」

朝雲「下らない、ですって…!」

蒼龍「いやー、これ大人として看過出来ないわ…」

海風「…自分達の方が下らない真似してる癖に」

「なんですって!?この…!」

「お前は人に、親に恥を掻かせて…!この『出来損ない』が!」

海風「では言いますが、育児放棄して不倫に勤しんでたのはどこのどなたでしょうか? 若い男に揉まれて、水商売の女に入れ込んで…

貴方達こそ、どこに出しても恥ずかしい人としての出来損ないの分際で!」

飛龍「うわ、言っちゃったよ…」

「お前、ここまで育ててきてやった恩を…!」

海風「誰が? 物心付いた時からこっちは一人でしたよ! 最低限の事以外、親戚に咎められてもやらなかった癖に!

子供にお金だけ与えてれば育児になるとでも思ってるなら、親を名乗る資格すらありません!」

「このっ!」ブォン

ガシィ

蒼龍「…謝れ」グググ

「な、何なのよ!?」

蒼龍「この子に、謝れって言ってるのよ…!」グググ

「い、痛い痛い!」

「放せ、この!」ブォン

飛龍「とうっ!」ゲシッ

「がっ…!?」

飛龍「女の子に暴力は駄目でしょ。ま、私達は鍛えてるから別だけど」

海風「蒼龍さん、飛龍さん…」

飛龍「蒼龍、ここ人が多いからどっか物陰連れて行くわよ」

蒼龍「賛成。 少しお灸据えなきゃね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/18(水) 04:51:20.36 ID:sUFK74Uq0<> 「は、放しなさいよ!」

蒼龍「じゃあお望み通り。飛龍」

飛龍「はいはい。放せば良いんでしょ」

「ぐっ…!お前達、一体何なんだ!」

飛龍「この子達の先生よ。あんまり顔は出せてないけど」

「教師がこんな事をしても良いと思ってるのか…!」

蒼龍「私達は『講師』だから。所詮は雇われね。 それにそっくり返すけど、親が子供を殴って良いと思ってる?」

「躾の一貫よ! 情けない子供を修正して何が悪いの!」

飛龍「違う。貴方達は言葉に詰まって暴力に走っただけ、それは躾じゃなくて虐待って呼ぶのよ」

「子供が口答えをするなんて許される訳無いでしょ…!」

時雨「…間違えてる事は間違えてる、って言えるだけ立派だと思うよ」

「黙れ!子供が口を挟むな! 第一アレは出来損ないなんだ!躾けて…」

浜風「…こんなものから生まれた自分が恥ずかしくなってきましたよ」

「ち、違う!ご、誤解なんだ浜風!」

浜風「どこが誤解ですか…! 海風を虐げて、苦しめて、歪めさせた元凶の分際で…!

私にも責任は勿論あります。苦しみに気付けなかったこと、心の歪みを見抜けなかったこと… 何より、こんな悪意まみれの人間のところに置き去りにしてしまった事が…!」

「わ、悪気は無いのよ…? ただあの子のために…」

浜風「どこがだ!? 悪気が無い? ええ、性根が腐りきってて本当に悪気がなくなってるようですね…

血を分けた子供である事がもう恥ずかしくてたまりません…!」

「だからこれは…」

春雨「それに二人が歩んだ道を『下らない』と切り捨てるなんて、子供を何だと思っているんですか…!

私の両親は道は示した、だけどその道を歩んだのは春雨自身です! 子供が歩んできた道を、歩もうとする道をどうして頭ごなしに否定出来るんですか!」

「下らない遊びに興じて、何を得られる!」

天津風「学ぶ事は多い、かしら? 少くとも私の通ってたガンプラ学園じゃ就職先は色々斡旋されてたし、モデリングとか加工の技術なんかも習得は出来る。

あとガンプラバトルのe-SPORTS化も検討されてるからその道に進むって選択肢だってある」

朝雲「意外と真面目だった、ガンプラ学園… それにたかがおもちゃ、って言うけどそのおもちゃのお陰で成長出来る人も居る。

たかがおもちゃで仲間と絆を結べたり、尊敬できる先生に会えたり、不倫なんかよりよっぽど健全よ!」

「子供が大人を否定するのか!?」

夕雲「否定されるような大人だからですよ…! 自分の事しか考えて無い貴方達より浜風さんと海風さんの方が余程立派です!

夕雲の両親だって自分が忙しくても辛い目にあっても子供には構ってくれたし、ちゃんと育ててもくれました!なのに貴方達はそれすら出来ていない、その上子供を歪ませて…!」

海風「…もう、いいです。皆さん」

天津風「海風… でも…」

海風「…最初から、きっと間違いだったんです。少しは情があると期待した海風も、どこかで認めてもらえると思っていた海風も…

こんなものに期待を抱く事すら間違いだった、ようやく今になって気づけました。13年生きて、ようやくです」

朝雲「…謝りなさいよ。 謝りなさいよ、この子に! 海風と、浜風さんに!」

「…」

「…」

海風「もう良いです。諦めて、期待しなければ良いんです。 そうすれば、きっと楽だから」

浜風「…もう二度と、近付かないで下さい。 今大鯨さん、家主のお母様に頼んで二人分の新しい戸籍の用意と古い戸籍の抹消を頼んでいます。

貴方達とは今後一切親子としての付き合いはしません。 近付けば法的に対処します」

「そ、それだけは…!頼む…!」

浜風「黙れ! そして二度と私達にその面を見せるな! お前達に子供を持つ資格なんかない、持ってはいけなかったんだ…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/20(金) 05:06:17.23 ID:H1yfb1eP0<> 天津風「その、大丈夫…?」

海風「はい。 心のどこかでは覚悟していた事なので」

朝雲「辛かったら言っても良いのよ? 私これでも妹の面倒ずっと見てきたから、吐き出すくらいなら…」

海風「大丈夫ですよ。 その程度で折れる程、ヤワでは…」

飛龍「それでも辛かったら辛い、って言いなさい。 心に毒を溜め込むのは良くないよ」

蒼龍「そうそう。私も昔、そんな経験あったし… 確実に心にも体にも悪いわ」

時雨「いっその事、辛い事は忘れるのが良いと思うよ。無かった事にしてさ。いっその事記憶喪失なんてどうだい?」

夕雲「時雨さんが言うと洒落にならないような… 記憶が無くて辛いこともあったでしょう」

時雨「え、無いけど。 だって記憶無い方が色々新鮮だったし、ロクな記憶じゃないなら失くしといた方が良いと思うよ」

春雨「変なところで時雨はマイペース過ぎるんですよ…」

海風「だけどそれは、歩んできた時間を無かった事にすることです。 それだけはしたくはありません」

時雨「キミはそう言う人間はそう言うタイプだって分かって言ったんだけどね。だけど本気で辛いなら吐き出すことも、忘れる事も重要だよ」

海風「お気遣い、ありがとうございます。 だけど海風は大丈夫ですので、あっちの豆腐の方の心配をしてあげてください」

浜風「と、豆腐!?」

海風「こちらがボロクソ言われてる中一言も貶されてないのに、海風以上にウジウジしてた癖に」

浜風「そ、それは… 一応、あんなのでも実の両親ですから見切りをつけるのを簡単にやっていいのか、くらいの迷いは…」

海風「それにいつの間にか逃げ道の確保までしてたのに」

浜風「出来れば使いたくはなかったんですけど… ですがこれで、ようやく本気で絶縁に動き出せます」

海風「その件については礼代わりに豆腐の中でも堅い方の木綿豆腐に格上げしておきます」

浜風「木綿って、せめて硝子とか…」

海風「じゃあ高野豆腐」

浜風「確かに単体だと結構堅いですけど、豆腐から離れてくださいよ!?」

天津風「海風の精神って鋼ね…」

夕雲「鋼より硬いのでは…?」

朝雲「ダイヤモンド並ね… 大好きな宝石並だから納得でしょ」

春雨(確かにダイヤモンドは硬く、削るようなダメージには強い… だけど重過ぎる一撃には簡単に砕ける…

積み重ねた結果のダメージだから今回は耐えたけど、別の重い一撃なら粉微塵になってしまいます。はい)

時雨(それをこの朝雲って子が分かってて言ったなら凄いね… 多分分かってないだろうけど)


イベント選択 直下
1.榛名『決意と決別の神狼』
2.青葉『贖罪の戦い』
3.海風『傷だらけでも』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/20(金) 10:10:49.61 ID:ektnw4Uz0<> 3で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/21(土) 05:12:05.01 ID:UmfMJzvY0<> side-海風-『傷だらけでも』


心が痛む。分かってたいた事なのに、それでもなお心が少し悲鳴を上げていた。

当然だろう、ようやくかつての自分を抜け出そうとしたところにあのゴミクズが来て人を全否定していったのだ。


海風(こんな、弱かったかな…)


前はもっと罵られてたのに耐える事が出来ていたのに、少しばかり苦しい。

人間、環境が変わるとこうも内面も変わってしまうのだろうか。今は自分が弱くなった、そう感じる。


海風(誰かに優しくされたことなんて無かったから…)


他の誰かに甘えられる環境が海風を弱くしたのかもしれない。違う、『普通』になっただけだ。

誰だって罵られれば傷付くだろうし心は痛む。そうならない人は少しイカれてると思う。


海風(じゃあ前の海風は…)


感覚が麻痺して何も感じなくなって、人として壊れていた。きっと霞が『歪んでる』と言っていたのもそれが原因だろう。

だからきっと、今の方が人として正しいのかもしれない。でもこの先、もっと傷付く事が起きればどうなるのだろうか?


海風(きっとこれからの戦いは、辛いものを見るはず…)


もう既にバビロニア学園で大量の惨死体を、目の前で命が理不尽に奪われるのを見てきた。

これからEXAMとの戦いではきっと同じような、それよりももっと酷い光景や出来事を目の当たりにするかもしれない。その時、この程度で傷付いていた海風の心は耐えられるのだろうか。


海風(違う、耐えなきゃいけないんだ…!)


覚悟は揺るがない。 皆の笑顔を、未来をこの手で創ると決めているから。 何度傷付いても、進まなきゃいけないんだ。

傷だらけになっても、痛みを堪えて先へと手を伸ばし続ける。それが海風が歩むと決めた道だから。


海風(皆が笑えるようになるまで、泣いちゃいけないんだ…!)


どれだけ痛くても、どれだけ辛くても。 絶対に涙は流さない、流しちゃいけない。

胸に鋭く刺さる刃にも、悪意の攻撃にさえも海風は負けない。 心の中に望む未来があって、意志が折れない限り。


海風(海風が信じた明日が、思い描いた未来がこの胸に在る限り)


絡みつく雑音を断ち切って、想いを力へと変えて。 信じた明日へと駆けていくだけだ。

だから絶対に心の痛みなんかに負けない。あんな下らない痛みで、歩みを止めるなんてしたくないから。



イベント選択 直下
1.榛名『神狼の覚悟』
2.青葉『贖罪』
3.阿武隈『戦う理由』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/21(土) 09:31:06.06 ID:ZckE3QZ60<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/22(日) 07:24:19.76 ID:617xEuA80<> side-榛名-『神狼の覚悟』


《某所・霊園》

榛名「…最後に来たのは2年前でしたか。これ、貴女の好きだった羊羹です」

「…」

榛名「貴方も、冥福ぐらい祈ったらどうです。元凶の一人、マスクド・セカンドG… いや、エレオノ−ラ・マクガバン教諭」

エレオノーラ「…こんな所に連れて来て、どう言うつもり?」

榛名「別に、他意はありませんよ。 居たから連れて来ただけで。

貴方が常に言っていた『勝者は敗者の夢を奪った呪縛からは逃れられない』と言う言葉、これが彼女の遺した呪縛ですよ」

エレオノーラ「それは皮肉? 私が、彼女を倒したことに対する」

榛名「ええ。 いくら仮面を纏おうと貴方の罪は消えない、消させない。 彼女の夢と命を摘んだ罪、先代の主義を曲解した罪、そして先代の名を騙りカテドラルまでも弄んだ罪は」

エレオノーラ「だからこそ私に戦いを挑んだ、って訳ね」

榛名「確かに貴方は強かった。 当時のメイジンと遜色は無かったし、粒子共鳴現象まで発現させて… だけど榛名と『フェンリル』には勝てない、カテドラルがこちらと致命的に相性が悪いのを忘れましたか?」

エレオノーラ「そうね。いくら粒子を収束した大技を使おうと結晶まで濃度を高めた粒子塊を破壊する事は叶わない、それが『純白の神狼』が持つ唯一無二の力…

それは当時のメイジンすらどう足掻いても再現出来なかった能力でもあるし、貴女を後継者にしたがった理由でもある」

榛名「原理なんて簡単ですよ。 『ガンダムに囚われなければ良い』だけです」

エレオノーラ「…は?」

榛名「入学当初の榛名のガンダム知識、忘れてませんか?」

エレオノーラ「確かに貴女の知識量は最悪だったけど… まさか、それで?」

榛名「そう言うことです。 『ガンダムシリーズ』に囚われるから発想が狭まる、だから他のロボットアニメやゲームから使えば良い。

だからそこから機体内部に結晶の精製を担うジェネレーター的なものを機体に内蔵して、後は人に反応する粒子の特性を活かして結晶化するプロセスを頭の中で組み上げるだけです」

エレオノーラ「そんな単純な… だから貴女、各方面から怒られそうなガンプラばかり量産して…」

榛名「恐らく出来た原因はガンダム知識が無かったこと、他の作品から得た柔軟な発想が影響でしょう。 知識があるとどうにも『ガンダム』に囚われる、それが先代も再現できなかった原因でもありますから。

記憶消してスパロボシリーズを1作品最低20週と無改造クリアとターン縛りに初見早解き隠しコンプでもすれば多分この域に至れるかと」

エレオノーラ「最初の段階で実質不可能じゃない」

榛名「そう言っていますが。しかしそこまでしなくとも今は発展させて、誰にでも結晶化を使えるように改良しています」

エレオノーラ「呆れた… そんな技術を持ちながら、メイジンにならないなんて」

榛名「なりたくもなかったし、向いてない職業を選びたくはありませんし、『名前』に縛られるのはもっと嫌ですから」

エレオノーラ「それでよく塾に入ったこと…」

榛名「無理矢理願書書かされたんですよ、両親に。そうでなければ…」

プルルルル

榛名「失礼。青葉さん、状況は?」

青葉『ビンゴですよ。瑞鳳さんに聞いた通り、薬を流していたのはガンプラマフィアの残党でした。始末しておきます?』

榛名「制圧だけしておいてください。こちらも現場に急行します」ピッ

エレオノーラ「随分物騒な仕事してるじゃない」

榛名「ただの便利屋稼業です。昏睡病の始末、って仕事を請け負ってるだけで」

エレオノーラ「何故そこまでして、貴女は戦うの」

榛名「終わらせたく無いからですよ。 彼女が愛したガンプラバトルを」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/23(月) 06:25:51.03 ID:MT8jb+XO0<> 《マフィア残党アジト》


榛名「これが残党全員ですか」

衣笠「中に居た奴は全員とっ捕まえたよ。多分構成員はこれだけじゃないかな」

「うぐっ… 貴様等、こんな事をして…!」

天城「黙りなさい。槍の餌食になりたくなければ」

榛名「一時は世界中に拠点を持っていたガンプラマフィアも今や20人にも満たない弱小組織、落ちぶれたものです」

「あの『真紅の戦乙女』共さえ居なければ…!」

古鷹「確か瑞鳳さんに潰されたんだっけ?」

青葉「新スタジアムのオープニングセレモニー前日に占拠して瑞鳳さんに喧嘩売って返り討ち、組織ごと壊滅させられましたね」

衣笠「また盛大な自爆したねぇ…」

「何が目的だ、お前達!」

榛名「ナノマシンですよ。貴方達が『クルスト・モーゼス』の一派に資金と製造工場を提供したのは調査で判明しています。

そしてクルスト一派を匿って、どこかに潜ませているのも」ジャキッ

「クルスト?知ら…」

ブォン スパァン

「なっ…!?」

榛名「どこへ逃げようとしても良いですよ。このトマホークは貴方達をどこまでも追いかけ、首を削ぐことなんて容易いですから。

今のはほんのデモンストレーション、被害がそこのソファがバラバラになっただけで良かったですね」

天城「それとも串刺しなんて如何です? 首を刎ねられるのと違って簡単には死なないからいっぱい苦しめますよ」

古鷹「二人共、悪役ムーブが板につき過ぎですよ…」

青葉「二人は手を汚さないで下さい。 汚れは青葉の仕事ですから」ガサゴソ

「な、何だよそれは…」

青葉「何って、ダイナマイトに決まってるじゃないですか。 南米原産の良い火薬を用意してるんですよ。

美しい花火に巻き込まれるなんて凄い芸術的ですよ? 楽しみじゃありません?」

衣笠「…因みに量はいかほど?」

青葉「対人用なので10キロ弱、ですかね」

間宮「…この様に死に方は色々選べますよ? 話せば味わうことはありませんが」

「わ、分かった…! クルスト達は市内の廃棄された製薬工…」

ゴゴゴゴゴゴゴ!

古鷹「じ、地震!?」

榛名「総員退避! この感じ、来ます!」

ドゴォォォォォォォォッ!


ウォースパイト「ハル!大丈夫!?」

榛名「なんとか。ただ彼等は全員…」

青葉「口封じ、にしては盛大にやりますね… もう残る結晶も少ないでしょうに」

天城「一体、どれ程犠牲を出す気ですか…!市街地で結晶を暴走させるなんて!」

榛名「仕方ありません… 天城、ウォースパイトは結晶破壊の支援を。残りは避難誘導を開始してください!」

榛名(終わらせない、彼女が愛したガンプラを…! その為に榛名は、戦うと決めたから!) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/07/24(火) 02:39:07.58 ID:/prkZ5Iz0<> 浜風「そうですか、分かりました」ピッ

飛龍「何かあったの?」

浜風「街中で作戦行動中の青葉さん達がマフィア残党のアジトを制圧、クルストの居場所を聞き出そうとしたようですが…

粒子結晶の暴走が発生、残党も口封じされてしまったと」

天津風「口封じって…」

海風「…被害規模は」

浜風「ビル1棟が倒壊、周囲に被害は無いとのことです。ただし残党は一人残らず…」

蒼龍「まだ残りが居た、って言うのも呆れるけど危険な連中にまで手を貸してたなんて…」

朝雲「私達はどうすれば?」

浜風「既に結晶体は破壊したとのことなのでこのまま周辺警備を続行、警戒強化しつつ見回りを継続します。

しかしこれからは密集してではなく、班分けをしての警戒に移行します」

夕雲「メンバーはどうします?」

浜風「第一班として私と夕雲、そして蒼龍さんを。第二班は春雨に時雨と海風。第三班は朝雲さんと天津風さん、飛龍さんの編成にします」

天津風「え、このメンバーなら海風と私達の方が連携の練度が…」

海風「いえ、ここに居るうち『指揮能力』を持った人間は三人です。 なので三班に分けると指揮官は一人ずつ、が最も良い選択肢になります。

それに使用機体の編成バランス、各個のファイター能力の問題から考えるとこれが最良の采配になるかと」

朝雲「そう言えば私も申し訳程度だけど『指揮官』だったわね…」

春雨「でも三班に分けても手が足りるかは…」

浜風「現在瑞鳳さんや大鯨さんをここに招集しています。あとは榛名さん達から…」

陽炎「暑い… 見回りってやんなきゃ駄目なの…?」

阿武隈「駄目に決まってるよ。 街中で結晶体の暴走だってあったんだし」

長波「にしても、ここまで雁首揃ってるとなぁ…」

満潮「ハァ… 早く部屋に帰りたい…」

海風「阿武隈さん達まで…」

時雨「まぁ彼女達も艦娘、らしいし戦力にはなるね」

浜風「これでメンバーは揃いました。では見回りに分かれましょう」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/25(水) 14:53:22.98 ID:aDpl6iH1O<> 霞・神通合流 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/05(日) 22:15:41.93 ID:bU2HUiyL0<> 時雨「僕達の持ち場はこっちだ。警戒は厳重に、なおかつ目立たないよう慎重にね」

海風「そこまでの必要が…?」

春雨「相手はテロリスト、しかも先ほど大きな事件を起こしています。何をしでかすか分からない以上、警戒するのは尤もです、はい」

時雨「何もなければ良い、とは思うけど… 空気に淀みを感じるし嫌な匂いもする」

春雨「今日起こらずとも別のタイミングで起きる可能性もあります。その時対処出来るようにしておかないと…」

海風(この二人、目つきが鋭くなってる… 普段とは雰囲気がまったく違う…)

霞「海風!」

海風「あれ、霞…?」

霞「春雨さん達と一緒に居る、って聞いたから探したわ… まだ何も起きて無いわよね?」

春雨「ええ、今の所は」

霞「なんか、変な感じがするのよ… バビロニアの時より酷い悪意みたいなものが、この周辺で渦巻いてる」

時雨「聞き捨てなら無いね。バビロニア学園より酷いなんて」

海風「…霞が言うのなら警戒を厳にするのは正しい判断でしょう。 ですが問題は人員不足…」

霞「それなら…」

神通「遅くなりました。海風さん、現状は?」

海風「先輩… 今の所は何も」

神通「なら良かった… 今からお母様、萩風、大鯨さんが合流して警戒にあたるとのころです。私はお二人の護衛に回されました」

海風「しかしこれだと戦力が一極に…」

時雨「なら僕と春雨は別行動するよ。 元々僕達は二人のペア、その方が動き易いし何より手数は多い方が良い」

春雨「それに そちらの三人チームの方が春雨達が加わるより連携精度は高いでしょうし。はい」

海風「分かりました。ではお二人共、よろしくお願いします」



神通「お母様から、海風さんにこれをと」

海風「アズライト… 整備終わったんですか?」

神通「はい。バーストに関しては自力でなんとか制御して欲しいと…」

海風「やはりアレを制御できるのは…」

神通「海風さんの心次第、です」

霞「アンタの精神力は大鯨さんも褒めてたわよ。常軌逸してるって」

海風「褒められてるのですかね、それ…」

神通「ですがあれは本来人工粒子下でのみ起きる現象、アリスタ由来のものであれば起こる可能性は低い筈です。

基本的には気にしなくて良いとお母様は仰っていました」

海風「あんな力普通のフィールドで発動なんてしたら大惨事ですよ」

霞「間違いなく死人が出るわね。気をつけておきなさいよ」

海風「善処します…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/06(月) 00:58:45.57 ID:6ImCqdTV0<> 神通「現状、異常は見られませんが…」

海風「霞、感覚は?」

霞「まだ朧気ね。悪意自体はあるけどまだ薄め… 今日起こる可能性は低そう」

海風「可能性が高いのは明日か、それとも世界大会の決勝にあわせてか… 予測では明日の方が可能性が高いです」

神通「確かに、彼等のターゲットである海風さん達が出る大会は明日… それにこの催しの影響で来訪者は多くなる筈ですから」

霞「それなら運営側になにかしら報告したほうが…」

海風「運営がそれを信じるかは分かりませんが、一応瑞鳳さん経由で矢矧さんあたりに連絡して頂くのがベストでしょう」

神通「どうします? 今日の見回りは打ち切って、他の人達と合流しましょうか」

海風「そうですね… 情報の共有と、あとは今後の方針についての打ち合わせをしましょう」

霞「大丈夫、海風? その、なんか元気が…」

海風「大丈夫ですよ。何でもありませんから」

霞(違う、嘘ね… 何か隠してる、前は分からなかったけど今ならハッキリと…)

霞「なら、もうちょっとシャキっとしなさいな。私達の『指揮官』がそんなに元気なくてどうすんのよ」

神通「それに、本当に何かあるなら私達をもっと頼ってください。私達はチームメイトで、一緒に戦う仲間でしょう?」

海風「先輩、霞…」

霞「ほら、行くわよ。 私これでも修業帰りで疲れてるんだから」

神通「私も少々疲れが残っているので休みたいかな、と…」

海風「そうですね… 行きましょうか」



浜風「明日の可能性が高い、と…」

海風「ええ。他にも可能性がある日はありますが、中でも明日が抜きん出て高いです」

瑞鳳「その事に関しては運営サイドと地元警察、あと協力者の人達にも流しておくね。榛名さん、アジトの方は?」

榛名「既にガンプラマフィアアジト跡から候補地を特定、今絞り込んでいます」

大鯨「あと候補地の奇襲には警視庁と一部陸上自衛隊の方からも戦力が出せるそうよ」

浜風「海風達学生はバトルの方に、春雨と時雨を含めた私達は周辺警戒と迎撃準備、そして榛名さん達は警視庁の人達と協力してアジトへの奇襲の3チームに別れることになりましたね」

海風「警察や自衛隊まで出動とはかなり大掛かりな作戦ですね…」

瑞鳳「バビロニアの一件があるから警察も動かざるを得無いんだよ。あれだけの虐殺を国内でもう一度やられたら沽券に関わるでしょ。

被害規模で言えばもう1995年の地下鉄サリンよりも犠牲者が多くなってる以上、また何かあったらマスコミからバッシング可能性だってあるしね」

大鯨「逆に、ここまで至るまでに何も出来てないって時点で警察の怠慢かしら? あれだけ情報だって流したのにバビロニア学園の事件が起きるまで動こうともしなかったのよ?

そのツケを今払わされてるのよ。 言っちゃ悪いかもしれないけど、現場を何も分かってないのよ上の人達は。大人の世界ってこれだから嫌ね」

榛名「しかし敵の規模が不明な以上はそう言う手も使わないといけない程こちらも手が足りてないのが…」

浜風「杞憂であれば良いのですけど… 情報の伝達は怠らないようにしてください」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/06(月) 03:36:04.82 ID:6ImCqdTV0<> 《その夜 宿舎屋上》


海風「明日か…」

海風(明日で全てが終わる。 ホワイトクリーンとの因縁も、EXAMのことも… そこから海風は…)

「何黄昏てんのよ」

海風「霞…」

霞「ほら、アンタの好きなイチゴ牛乳」

海風「ありがとうございます」

霞「これから、なんて誰にも分からない。それは人が自分で決めるものよ。 海風、アンタはどうやって、何をしてここまで来たの?」

海風「それは…」

「戦ってきた、のでしょう? 最初から自分のためでなく、誰かのために」

海風「先輩…?」

神通「貴女はずっとそうだった。自分が傷付く事も厭わないで霞さんを模型部の部長の襲撃から護り、スドウ・シュンスケとの戦いでも諦めかけていた私を奮い立たせた。

その真っ直ぐな姿勢があるからこそ創れた今がある。今の霞さんや私を創り上げたのは海風さんなんです」

海風「海風が…?」

霞「アンタはまぁ自分勝手でマイペースだし、冷静かと思ったらいきなりキレて何かしでかすし、何がなんだかサッパリなのよ。

勝手な奴だって思ってたけど自分以上に他人を優先するし、そして誰かのために戦おうとする。 そんな姿勢に私は、私達は突き動かされてきた」

神通「貴女が意識していなくても私達の道を創ってきたのは他でもない貴女です、海風さん」

海風「海風が創ってきた道…」

霞「戦いの先、なんてものは終わってから考えれば良いのよ。寧ろいきなり夢物語を語り出したらそれはただの死亡フラグじゃない」

神通「今はただ、自分の選んだ道を突き進んでください。そこからきっと道は見えてくる筈です、新たな貴女の道が」

霞「例え見えてなくても、海風なら自分で道を創り出せるでしょ? その『想像』の力は『創造』のためにあるんだから」

神通「いつだって貴女はそうやって、勝利を創り上げてきたのですから」

海風「そうでした… いつも海風は道を描いて、その道筋の通りに戦って、ここまでの道を創ってきた。 これからもそれは変わらない…」

霞「そう言う事よ。 まずは目の前の壁をぶち破って、そこからは全部白紙なんだから」

神通「壁を壊すのは私達も一緒です。 創ってきた『これまで』全部を使って、一緒に『これから』の道を創っていきましょう」

海風「先輩、霞… 明日の戦い、力を貸してください。この戦い、負ける訳にはいきませんから…!」

霞「私だって負けたくはないもの。 最後の壁、一緒にぶち壊してやろうじゃない」

神通「そして共に参りましょう、いつか必ず辿り着く、私達の未来に」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/06(月) 03:44:19.63 ID:6ImCqdTV0<> 《そして…》


『これより全日本ガンプラバトル選手権全国大会・決勝戦、東京代表『フリューゲル・ヴェント』対宮城代表『ホワイトクリーン』の試合を開始します』



Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!



神通「神通、『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』…!」

霞「『ブラストアクロスZZ』、霞!」

海風「海風!『ウイングガンダム・アズライト』! チーム・フリューゲル・ヴェント!」



長波「『ガルム』、長波…」

陽炎「陽炎、『ヴェズルフルニル』…!」

阿武隈「『マーナガルム』、阿武隈! チーム・ホワイトクリーン!」


長波「行くぞ!」

陽炎「出るわよ!」

阿武隈「行きます!」



神通「行きます!」

霞「出るわ!」

海風「戦闘、開始します!」


第20話『決戦への道』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/06(月) 18:52:09.81 ID:6ImCqdTV0<> 第21話『蒼と白、真紅と青』


愛宕「始まった…」

萩風「本当なら私も向こうに行きたいのに…!」

朝雲「私達はここの予備兵力よ。もしこっちで何かあった時のための」

天津風「悔しいけど、今は我慢するしかないのね」



《同時刻 世界大会・前夜祭会場》


『皆様、避難のほうをお願いします! 現在、この現象について調査をしており…』

瑞鳳「行くよ、皆」

浜風「ええ、ここで彼等を倒します」

夕雲「絶対、民間人への被害は食い止めなければいけません」

蒼龍「それに皆の未来はここにかかってる」

飛龍「私達の未来、絶対に繋ぐわよ」

瑞鶴「避難誘導は警備にやらせて、私達は直接戦うのね」

時雨「ここでは僕達が敵に対抗出来る勢力だからね」

春雨「本当なら海風さん達の力もお借りしたいところですが…」

如月「だからこそ私達も居るのよ?」

野分「榛名さん達の代理として、この戦線に参加します」

秋月「出来る事は少ないかもしれませんが、全力を尽くします」

瑞鳳「よし… 全員、戦闘準備!各方面に連絡、作戦行動開始!」



神通「海風さん、向こうも作戦が開始されたと情報が入りました」

霞「やっぱり今日に合わせたのね…」

海風「二人共、今はバトルに集中を。 バトルの最中に余計な考え事は失礼です」

霞「そりゃそうだけど… でも瑞鳳さんが居ればなんとかなるか…」

神通「…分かりました。今出来ることに、全力を尽くします」

海風「では作戦開始。 各機、先ほど打ち合わせた通りの変則フォーメーションを使います」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/06(月) 19:16:34.84 ID:6ImCqdTV0<> 《少し前》


霞「変則フォーメーション?」

海風「はい。 今こちらの編成では海風と先輩が前衛で霞が後衛に回る、というのが常でしょう。

ですが相手はそれを知り尽くしている、なら対策もされてる可能性は高いかと」

朝雲「だからこそフォーメーションの位置変えをする、ってこと?」

海風「そう言うことです。これまでのパターンとは違うパターンを用いて、敵を混乱させます」

神通「概要は分かりましたが、具体的な配置は?」

海風「最初は前衛が先輩、後衛に霞と海風という配置です。あとは戦闘時に適宜判断し、入れ替えを行います」

萩風「そしてフォーメーションを入れ替えつつ敵を分断、撃破する…」

海風「はい。最優先目標は背後を襲ってくる可能性の高い『ガルム』、そして指揮能力の高い『マーナガルム』を設定、これらを優先的に撃破しましょう」

天津風「『ヴェズルフェルニル』は?」

海風「確かに彼女も脅威ではあります。しかし機体特性は『速い』だけ、先輩の格闘能力や海風の予測、霞のNTとしての直感があれば対応はしやすいかと」

愛宕「ガンプラ学園のアドウ・サガ君が対応出来なかったのは機体の相性もあったけど、今の貴女達は対応できる…」

海風「だから必然的にトップクラスの性能を持つ『マーナガルム』、そしてステルス機能を有する『ガルム』が難敵なんです」

神通「そう言う事ならば… 指揮はいつも通り、海風さんに一任するということで…」

霞「機体の整備と、新装備も用意は終わってるからあとは戦うだけね」

萩風「はい。お母様からロンギフローラムとアクロス用の新装備の方、お預かりしました」

海風「あれ、アズライトには…」

萩風「もう充分かと」

海風「確かにそうですが…」

朝雲「これ以上強化のしようがないでしょ」

霞「で、新装備ってやつは…」



新装備 安価

・インフィニットジャスティス・ロンギフローラム(神通機)用 直下

・ブラストアクロスZZ(霞)用 下3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/07(火) 01:10:13.27 ID:0Tos9C6I0<> 来なさそうなので選択肢


インフィニットジャスティス・ロンギフローラム(神通機) 直下
1.新型ビームライフル『生弓矢』
2.刀剣型ビームサーベルビット『兼光』『兼定』
3.その他(内容も)


ブラストアクロスZZ(霞機) 下3
1.フルアーマーtype-N(ニュータイプ)
2.フルアーマーtype-D(デストロイ)
3.その他(内容も) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/07(火) 05:59:17.89 ID:zRTVAI+rO<> 2 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/07(火) 10:45:32.04 ID:V7ZYkHvf0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/08(水) 05:17:00.34 ID:A7FgGumOO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/11(土) 01:36:22.24 ID:uUWuGIzVO<> 萩風「まず姉さんには刀型のビームサーベル・ビット、赤い柄の『兼定』と青い柄の『兼光』です。

能力としてはビームサーベルが発振できるビットとしての機能が主ですが低出力ながらビーム砲として使え、ビームシールドも形成可能、さらには『光忠』『貞宗』が破損した際の予備にもなります」

神通「これを計4本、ですか」

萩風「はい。あとこれ、両腰脇のアーマーつけかえておいてください。 それがビットのラックを兼ねていますから」

霞「私のは?」

萩風「『フルアーマーtype-N』、『ニュータイプ』の使用を前提とした新型フルアーマーです。

type-Fとは異なり運動性能と反応速度の強化に重点をおいた装備、と言ったところでしょうか。武装はtype-F同様に一部換装方式を採用、手持ち武装も全部変更と」

霞「…私、素のアクロスそんなに使って無い気がするわ」

萩風「元々アクロスは機体パワーが全体的に向上しているせいで余剰な出力が多く、全力行使した場合自機の破損に繋がる可能性がある、とのことで。

だからこそフルアーマーはそれを抑え込む鎧としての側面もあるのでしょう」

霞「なる程ね…」

萩風「またアーマーの一部にクリアパーツを採用したことで粒子反応性が向上、あくまでも可能性ですが『アクロスバースト』に変質が起きるかもしれないとのことです。

感応波がどのように作用するかは不明ですが、多少のリスクについては胸に留めておいてください」

霞「あの人なんてもん押し付けてくれちゃってるのよ…」

神通「痛覚共有するフルブルームよりは…」

海風「100mを焼け野原にしたアズライトよりは良いんじゃないですかね?」

霞「海風の場合は春雨さんだけど、先輩のはまぁ… ヤバい、ちょっと怖くなってきた」

海風(確か先輩のは心象風景の具象化で『花吹雪』、海風の場合は『宝石の鎧』だからこっちも多分心象でしょうか?

じゃあ霞の場合は… 一番深く根ざした『炎』と『水』…? 『熱さ』『冷たさ』となるのでしょうか…)


FAブラストアクロスZZ(フルアーマーtype-N仕様)
武装
・ダブルバルカン
・ハイ・メガ・キャノン
・ハイパー・ビーム・サーベル(ダブル・キャノン)×2
・大腿部ビームカノン×2
・リフレクターインコム
・ビームキャノン×4
・腹部ハイ・メガ・キャノン
・腕部内蔵モーターブレード×2
・IFジェネレーター
・ハイパー・ビームライフル
・ハイ・メガ・シールド
・フィン・ファンネル×6

概要
FAtype-Nを装備した『ブラストアクロスZZ』の姿。こちらは高機動形態のFAとなっている。
type-Fと一部装甲・武装を共有しているが全身に小型のスラスターやアポジモーターを、プロペラントタンクを増設しており高い運動性を持つ。
また粒子反応の良いとされるクリアパーツを部分的に採用することで機体の反応速度が向上、より機敏に動くことができるように。
センサー系も強化されており範囲向上やステルス能力もある程度は探知可能になるなど索敵性能も大幅に向上、それ以外にも継戦能力も上がっている。
手持ちの武装は『Hi-νガンダムHWS』用のライフルとシールドに変更、そして背腰部分にはフィン・ファンネルが追加された。
火力の低下や機体の反応の過敏化を招いているが霞の『ニュータイプ』としての能力を活かすには最適な装備となっている。
そして全身のクリアパーツにより『アクロスバースト』に新たな『進化』が訪れる可能性も示唆されているが可能性は未知数。
余談ではあるが『初期フルアーマー(大鯨製)』『type-F』とはある程度互換性がある。その気になればV2ABのような装備形態にもできるとか…



《バトルフィールド デブリ帯》


霞「敵機捕捉、『ヴェズルフェルニル』『マーナガルム』と推定。あとステルス反応も検知、『ガルム』ね」

神通「どうしますか、海風さん?」

海風「よし… 交戦開始します、二人共展開を!」

霞・神通「了解!」


視点選択 直下
1.神通『奇襲作戦』
2.瑞鳳『戦乙女の飛翔』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/11(土) 09:23:15.86 ID:3dcv7KPo0<> 2で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/12(日) 01:08:55.53 ID:KBt40cPtO<> side-瑞鳳-『戦乙女の飛翔』


《世界大会会場 アリーナ内》


瑞鳳「…」


たった1機佇むMS、『ガンダムエピオン・クロイツ』。現在使用されている『クロイツシリーズ』の中でも最古の機体であり他の機体のテストヘッドとして製造された機体。

戦線を単機で強行突破しながらも損傷は無く、無数の敵機を相手に戦った後とは思えない美しさを誇っていた。


「単機でここまで来たか。仲間はどうした?」

瑞鳳「傷付くのは私だけで良い。もう誰の未来も失わせたくないから」


語りかける男の声に彼女は返す。単機による強行突破を敢行した理由、それは『未来の自分の娘達』に教えられた『事象』の話だった。

本来であればバビロニア学園での戦いで飛龍と浜風は敗れ、歴史から消えていたこと。そして今回の『決戦』において夕雲と蒼龍が消えること、それがあるべき歴史。


「まさか貴様達の側にも『歴史を知る者』が居るとはな。だから我等に先手を打てたか」

瑞鳳「だからこそ私一人で戦う。 それは皆承知の上だし、そのための道も拓いて貰った。

…ニムバス・シュターゼン、貴方も『歴史を知る人間』って認識で良い?」


声の主、ニムバス・シュターゼンへと怒気を孕んだ声で瑞鳳は問う。彼も未来の人間であれば結末を知ってるのも納得がいく。

霞が前に別荘で襲撃された時に聞いた『マリオンを救えない』と言う台詞も彼自身が結末を見た、としか言い様が無いからだ。


ニムバス「それは言えんな。何しろ貴様をここで消せば歴史は変動する」

瑞鳳「じゃあ私が貴方を殺せばその後の歴史も変わるかもね」

トリスタン「生意気な…!貴様如きがニムバス様を…!」

セルジュ「『真紅の戦乙女』、貴様は歴史の中に消える。我等の道は決して阻めん!」

スドウ「そうだ!アンタも、ここで消えるんだよ!」


エピオンのサーベルから刀身が形成されると同時に4機の『スクランブルガンダム』が現れる。その内1機は全身が青く、両肩がオレンジであり一目で誰が操っているのかが判別できた。

彼女の覚悟はとうに決まってる。ここで彼等の命を奪おうと、自らの命を引き換えにしても彼等を討ち仲間や教え子、これから未来を奪われる筈の命を護る決意が。


瑞鳳「小石、舐めないほうが良いよ。躓かせられるし、怪我だってさせられるし、当たり所が悪ければ死んじゃうからね」


意識を研ぎ澄まして無の境地、『明鏡止水』へと即座に至る瑞鳳。同時に黄金色の光を纏うエピオンだがそれだけではない。

瑞鳳の『真の本気』、肉体にかけていたリミッターを解き放ちガンプラへと意識を同調することで『それ』は発現した。


瑞鳳「見せてあげる。私が『真紅の戦乙女』って名付けられた由来を」


黄金色から全身が赤い光を帯びてクリアパーツから炎のエフェクトが放たれる。各部から放たれる炎は羽のように舞い、背部からは『炎の翼』があふれ出す。

そしてその炎は地面に燃え移り会場を彼等の逃げ場を断つように彼等の背後にも火の手が回り、決戦の場が形成される。


ニムバス「くっ、粒子操作か!?」

瑞鳳「『バーニングバースト』、使うのは3年ぶりかな。私が『真の本気』に至った時だけ発現する力、そしてここに誰も連れて来れなかった理由でもある」


この炎は敵味方際限なく呑み込む危険な炎、故に仲間との連携では使えない力。その炎は3年前に『ある人物』との戦いで発現させた時以上に炎が燃え上がっていた。

『RGシステム』を強化し榛名製の機体からリバースエンジニアリングを行い粒子制御能力を向上させた結果、さらに元々『ガンダムエピオン・クロイツ』はその力の使用を前提に作っているのだから。


瑞鳳「行くよ… 我が真紅の炎を以って、眼前の悪を焼き尽くさん! 瑞鳳、『ガンダムエピオン・クロイツ』!押して参る!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/12(日) 02:45:22.68 ID:ybjrffZGO<> スドウ「所詮、子供騙しだ!」

トリスタン「待つんだ!」


両腕のライフルのからエピオンに向けてビームが放たれる。並みのガンプラなら一撃で破壊出来るような出力だが瑞鳳のエピオンは避けようともしない。

しかしビームは前面に展開した『何か』に防がれてしまい、エピオンに傷をつけることすら出来なかった。


瑞鳳「『シュトゥルム・ウント・ドラング』、ディフェンサーモード。私に射撃は効かない」


両腕に装備された『シュトゥルム・ウント・ドラング』、『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』に登場する追加兵装、が攻撃を防ぐことでエピオンを護ったのだ。

ここまで無傷で強行突破してこれた理由、そして彼等の射撃兵装は一切これによって取るに足らないものに成り下がる。


セルジュ「ならば、サーベルならどうだ!」


スクランブルの常軌を逸した加速能力、それもEXAMによる性能ブースト付きでエピオンへと距離を詰めるセルジュ機。だがそれは大きな間違いを犯していることに気付いていない。

瑞鳳の本領は格闘戦、徒手格闘は当然ながら剣技も常人を遥かに越えた技能を持っていることを彼は失念していた。そうとも知らず彼はサーベルをエピオンへと突き立てようとするが…


瑞鳳「遅いよ」

セルジュ「な、に…?」


刹那、剣を振るったことに気付けない程のスピードで剣技が奔りセルジュ機のサーベルを持っていた右手首が切り落とされる。そして次の瞬間、スクランブルガンダムの機体の四肢が千切れた。

それだけではなく、数ミリ単位以下の細切れになる。一瞬、それだけあれば瑞鳳の神速の一閃は敵をバラバラに出来るのだから。そしてセルジュは『痛み』に絶叫をあげる。


セルジュ「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!!!!!」

トリスタン「せ、セルジュ!? 貴様、何をした!?」

瑞鳳「痛みを味わって貰ったんだよ。 『バーニングバースト』は機体のダメージを自他問わずファイターにも反映する。

例えばエピオンが刺されたら私の痛覚にもフィードバッグが来る。でも逆もまた然り、私がサーベルを敵機に刺せば相手の痛覚にもフィードバックされちゃうんだよ」

スドウ「まさか、そんな事があるのかよ!?」

瑞鳳「研究員なら聞いた事あるでしょ?『アシムレイト』って。 その力の一端だね、これは。 彼には『無数に刻まれる痛み』を味わって貰ったよ」

ニムバス「貴様、よくも…!」

瑞鳳「これはお前達が犠牲者に与えてきた痛みだ、苦しみだ…!その報い、今ここで受けて貰う!」


エピオンが炎の翼で上昇し、両脚に炎を纏わせる。脚が燃える苦痛に瑞鳳は耐え、スドウの操るスクランブルへと急降下した。

スドウはその攻撃から逃れようとするが周囲に放たれている炎が鞭のようにスドウのスクランブルを拘束し…


瑞鳳「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

スドウ「あ、ガッ…!?」


腹部をぶち抜かれ、その後燃えてスドウの機体は塵となる。 だがエピオンの両脚の炎は消えない。 呆然とするトリスタン機にそのまま加速し、間合いを詰めた。

咄嗟にガードの態勢を取ったトリスタン機に向け瑞鳳は機体を両脚で挟み込む。そして挟んだスクランブルをそのまま捻じ切り、粉砕した。


トリスタン「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


爆散するトリスタン機を背に、脚から炎を消した『ガンダムエピオン・クロイツ』は佇む。スドウには『腹をぶち抜かれて全身を燃やされる痛み』、トリスタンには『身体を捻じ切られて爆発させられる痛み』を味わって貰った。

残る1機、首謀者たるニムバス・シュターゼンの機体を睨んでどんな痛みを与えようかと思案する。


ニムバス「貴様だけは、必ずこの手で殺してやる…!」

瑞鳳「残念だけど私は死なないよ。 だって死ぬのは、ベッドか布団で可愛い子供達に看取られながらって決めてるから!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/12(日) 10:16:13.09 ID:oH20m31cO<> 【決講】風花「副作用には気をつけて下さいね!…シモッチって何かしら?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530920009/
【決講】茜「不屈の魂、夢ではありません!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531525117/
【決講】摩美々「まみみのホーム・アローン、始まるよー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533339190/
【決講】のり子「青コーナー、キィィングティィレッスルゥゥゥ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533946743/ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/14(火) 01:10:34.20 ID:rx7R23gmO<> 《その頃 海風達は…》


海風「やぁっ!」

長波「こっちが、押されてっ…!」


連結させたブレイドによる斬撃を長波はシールドで防ぐ。NT-D発動状態でも『ウイングガンダム・アズライト』に『ガルム』はパワー負けしており長波は焦りを抱く。

本来『ガルム』は『スレイプニル』『スヴァジルファリ』の使用武器『レーヴァテイン』の同型を所有している筈だった。しかしステルスに出力をまわしたことと、専用武装ではない『グシスナウタル』を使用した弊害で2機と比較し大幅に近接能力が下回っている。


陽炎「長波、下がって!アンタの機体を捕捉されたら…」

霞「余所見してる暇があるか!」

陽炎「っ…!しつこい…!」


海風と長波の方へ向かおうと試みる陽炎を霞が的確な射撃で阻み、隙を与えない。いくら速くても霞相手には無力、次の行動を察知し的確に阻む相手には分が悪いのだ。

そこに神通のジャスティスからのビットが襲い掛かり陽炎は逃げの一手を打つハメになってしまう。


神通「逃がしません!」

陽炎「ここで逃げなかったらやられるっての!」

阿武隈「二人共、退いて!」

海風「全機回避運動! 来ます!」


海風達の機体に『マーナガルム』から放たれた『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』が襲い掛かる。しかし海風と神通は剣で切り払い、霞はライフルで撃ち落とす。

それでも隙は生じ、『ヴェズルフェルニル』『ガルム』の後退を許してしまった。海風は舌打ちしたい衝動に駆られるが押さえ込み態勢を整えなおす。


阿武隈「…二人共、やるよ」

陽炎「コイツ等相手に…?」

長波「背を見せるのは癪だけど…!」

阿武隈「全機散開しつつ逃走!」


デブリ帯の中に3機のMSが突っ込み、その姿を眩ます。 霞と神通は一瞬困惑したが海風はその意図を瞬時に見抜く。

相手は『誘い込んでいる』のだ。自分達の領域へと。


海風「1対1で戦う気ですか…!」

霞「でもそれならどこか一つに3機全員で…」

神通「それをやれば背後から狙われます。そうなった場合、こちらが今度は不利になるでしょう」

海風「二人共、これからは互いにカバーすることが出来ません。 各機『バースト』の使用許可を出します。

海風は阿武隈さんを、先輩は陽炎さん、霞は長波さんをそれぞれ追撃してください!」


視点選択 直下
1.神通『神速VS神速』
2.霞『2つの属性』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/14(火) 06:24:01.89 ID:rHospDOFO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/16(木) 00:21:42.99 ID:0VSOAmYsO<> side-神通-『神速VS神速』


デブリ帯の中にあった空白の何もない空間、そこで『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』と『ヴェズルフェルニル』は切り結ぶ。

だが近接戦は神通の領域、彼女が右脚部の『グリフォン』を展開し蹴りを加えようとするが陽炎は動物的な反射でそれを察知し瞬時に機体の高速性を活かして後退する。


神通「速い…!」

神通(海風さんの『予測』や霞さんの『直感』よりも動きにラグが無い…)

陽炎「アンタも充分だと思うけど。こっちの奇襲、何度躱されたか」


彼女も幾度かスピードを活かした強襲を彼女に仕掛け、翻弄して追い込もうと考えたがその度に全て見抜かれ失敗に終わるの繰り返しだった。

こうなったら互いに千日手、恐らくまともに戦えば決着は着かずに消耗戦へ陥るのは目に見えている。そうなった場合エネルギー消費の激しい陽炎が不利になるのは明白だ。


陽炎「ねぇ、お互い『はやく』決着を付けたいとは思わない?」

神通「ええ、そう思います」


互いから溢れ出す殺気を隠そうとしない二人。 お互い『戦士』として譲れないものがあり、そして仲間・姉妹のために勝ちを譲る気はない。

そして二人はSPスロットへと手をかける。覚悟は決まった、後は駆けるだけ。


陽炎「コード・ブレイヴ… 『アンチェインド・ドライヴ』、行くわよ!」

神通「花よ、咲き誇れ!『フルブルームバースト』ッ!」


『勇気』で鎖を解き放ち、『ヴェズルフェルニル』が蒼い燐光を強く放ち背中から巨大な光の翼が形成される。

神通と『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』も『満開』の力を使い、機体各部が橙色に輝き花吹雪が溢れ出す。互いにライフルを投棄し陽炎は『グラム』を、神通は二本の刀を両腕で構え…


陽炎「『ネージュエール』!」

神通「天剣絶刀!」


ビームの羽根が刃となってジャスティスに襲い掛かり、神通はそれを神速の一閃が生み出した衝撃波で迎え撃ち、全てを薙ぎ払う。

次の瞬間、陽炎は機体を加速させて一直線にジャスティスへと突っ込む。ヴェズルフェルニルのスピードならば間合いに飛び込むのは余裕、だが神通もそれに対応し両腕の刀で陽炎の一撃を防いだ。


陽炎「やっぱこっちの分が悪いか…!」

神通「そちらが高速なら!」


神通はジャスティスの隠していた機能、『ファトゥム-02』に内蔵されていた『ヴォアチュール・リュミエール』を展開し離脱を図るヴェズルフェニルを追う。

その姿に陽炎は一瞬唖然となったが、唇の周りを舌なめずりして歓喜に打ち震えた。自分の『スピード』に追いつく相手がようやく見つかった、その相手と戦うことが出来るという喜びが溢れ出す。


陽炎「やっぱり、狂いは無かった…!」

神通「どこまでいけるか分からない、だけど!」


互いの全てを賭けて、どちらが速くどちらが強いか、それだけを競い合うために…


陽炎「私は、アンタを倒す!」

神通「私は、貴女を越える!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/18(土) 02:32:13.72 ID:4OE/uz6PO<> side-霞-『二つの属性』


霞「デブリに紛れてても!」

長波「バレてる…!どんだけ鋭いんだよ!」


デブリに紛れながらステルス能力を行使するガルムを相手に霞はライフルを放ち、長波の機体を正確に攻撃する。

長波は結晶のバリアフィールド『スフィアクレイドル』を展開し防ぐがこの障壁はエネルギーの消費が激しいため、すぐデブリの背後に回って盾にする形で態勢を整え直す。


長波(コイツ相手に絡め手は通じない…!)

霞(動きが、考えが分かる…!このままこっちの領域に… ッ!大きい力が来る!)

長波「なら真っ向から!コード・ブレイヴ発動! 『アンチェインド・ドライヴ』!」


ステルス能力や余計な機能を全てカットし長波は機体の楔を解き放つ。そして瞬時に機体間の距離を詰めて霞に右腕のシールドクローで斬撃を放つ。

咄嗟に反応しモーターブレードで防ぐ霞だがライフルを喪失し、パワー負けしてデブリへと叩きつけられてしまう。


霞「くっ… パワーが、負けて…!」

長波「これで決める!」

霞(覚悟、決めるしかないわね…!)

霞「ここで負けるかっ…! アクロス!」


クローにエネルギーを収束し結晶化させていくガルムを相手に霞は意識を研ぎ澄ます。自分でも驚く程にクリアになった意識の中、霞の前にはある光景が蘇った。

『燃える船』と『冷たい水』。自分の心の奥底にある風景、蓋を閉じても漏れ出す悪夢のような記憶の一端。


霞(私の『光景』なんだ、これが… だったら私は…)

霞「それを、超える…!」


だが『炎』と『水』だけでは勝つ事は出来ない、霞はそう断ずる。だからこそそれを超える、より上の力を『想像』する。

海風が、自分の『共犯』が目の前でそうやったように彼女も自分の中のイメージを整え、ソレを解き放つ。


長波「これでっ!」

霞「『アクロスバースト』ッ!」


放たれる結晶の刃、しかし溢れ出す『ソレ』がその刃を押し留めて相殺する。在り得ない光景に長波は唖然となった。

デブリから起き上がった『ブラストアクロスZZ』、その機体のクリアパーツは紫の光を帯びる。だが機体からあふれ出しているのは灼熱の、粘性のある溶融物質たる…


長波「『溶岩』…!?」

霞「それだけじゃ、無いのよ!」

長波「何っ!?」


霞がガルムを睨むと同時に機体の周囲に『結晶』が形成され、ZZが右腕を翳すと同時に長波へと『結晶』が襲い掛かる。

長波は咄嗟にバックで結晶を避け、再度物陰へと隠れた。霞が発現させたのは『熱い炎』の上位たる『溶岩』、そして『冷たい水』の代わりに出たのは…


長波「『氷』もかよ…!」

霞(炎の赤と水の青、合わせて紫で私の『色』…)

霞「悪いけど、私は負けないから! ここで、この力でアンタを倒してみせる!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/19(日) 02:19:23.03 ID:MgWHHcTlO<> side-海風-『創造と破壊』


海風「このバトルフィールド、廃棄コロニーまであるなんて…」


逃げる『マーナガルム』を追撃している最中、コロニーの残骸の内部に侵入した海風。周囲を警戒しているとセンサーが警報を鳴らす。

ロックされた、咄嗟に海風はライフルを構えて迎撃態勢へと移行する。だが意外にも阿武隈の操る『マーナガルム』は無防備のまま目の前に姿を現した。


海風「…ロックしたのにビームすら撃たないなんて、故障でもしましたか?」

阿武隈「違うよ。不意打ちってするのもされるのも嫌いだから」

海風「あ、はい」


拍子抜けする海風だが阿武隈から敵意が消えていないのに気付き再度警戒を行う。そして阿武隈もまた海風の敵意を受けて戦う姿勢を取る。

しかし睨みあうだけで一行に戦闘は始まらない。そこで阿武隈は目の前の敵に問うた。


阿武隈「…貴女は、貴女達はここまで戦い抜いて来た。何十人、何百人もの夢を踏み躙って」

海風「え…?」

阿武隈「何の為に? どうして、ここまで来たの? 私達にはあるよ、ちゃんとした理由が」


この問いは彼女の意志を確かめるためのもの、海風が自身と戦うに相応しい『理由』を持っているか確かめたかったのだ。

海風は一瞬言葉に詰まった。何故敵にそんな事を問うのか、と。海風は質問を返す形になったが、阿武隈へと問う。


海風「じゃあ何故貴女達はここまで来たんですか」

阿武隈「大事な人に報いるため、かな? 導いて、力をくれた、一番大事な人に」


阿武隈は目を瞑る。かつては空っぽの兵器だった自分に『人としての生き方』をくれて、進むべき道を創ってくれた人が居る。

その恩に報いたい。 彼女が作ったガンプラが『一番』だと轟かせて、そして今の自分が彼女のお陰でそこまで辿り着けたと見せてあげたいから。


阿武隈「だから私はここに居る。何百もの夢を踏み躙ってでも、叶えたい想いがあるから」

海風「叶えたい想い…」

阿武隈「貴女の夢に、勝ちたいって想いにそれだけの重さはある?」


彼女の問いに海風は心の中で答えを探す。上辺だけを取り繕った答えなら誰にだって出せるだろう、

だがこの問いにだけは自分の本心、そして心の中の本音をぶつけなければ彼女は納得しない。そして海風は口を開く。


海風「…最初は、自分のためでした。 誰かに認められたい、自分の居場所が欲しい、ただの自己承認欲求でした」

阿武隈「…」

海風「だけど今は違う。心の中から負けたくないって思ってる自分が居る。 そして自分が創る『勝ち』の先を、明日の先を見たいから…

皆と一緒に明日を創って、その先に何があるかをこの目でみたいから。だから、ここまで来ました」


それが海風の本心だった。自分に価値を見出せず、何もかもが曖昧だった少女はもう居ない。ちゃんと世界に『色』があって、想いにも『色』がある。

その答えを聞いた時阿武隈は笑みを浮かべた。おかしい、などとは思って居ない。ただ彼女が戦うに相応しい相手だとちゃんと認識できたからだ。


海風「おかしい、ですか?」

阿武隈「全然。言ってる事は青臭いけど、羨ましいくらい真っ直ぐでしっかりしてるし。だけど、譲れないものはこっちにもあるから…」


クローアームを展開する阿武隈、マーナガルムの加速性を以ってすれば海風との間合いなど即詰められる。

そして海風も即座に判断を行いライフルを投棄し、『アズライトウイングブレイド』2本を連結させたものを右腕に、さらにもう一振り連結させたブレイドを左腕で構える。


阿武隈「だから、貴女の夢はここで『壊す』! 解き放て、アンチェイド・ドライヴッ!」

海風「皆の想いで、勝利を『創る』ために! 解き放て、アズライト、バースト!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/22(水) 02:36:17.97 ID:bYJirayk0<> 宇宙空間で剣の鍔迫り合いの火花が飛び散り、2機の高速の機体が宙を駆けながらぶつかり合う。

神通の放つ一閃の衝撃波がデブリをバラバラに切り裂きヴェズルフェルニルの道を塞ぐが、陽炎は一つ一つを見極め躱し妨害を意に介さない。


神通「やはり小細工は…!」

陽炎「倒したきゃ、直接斬ってみなさい!追いつけるもんならね!」


陽炎が機体を反転させて再度、ジャスティスとヴェズルフェルニルは切り結ぶ。

その頃霞は『ガルム』を相手に奮戦し、長波をギリギリのところまで追い詰めていた。


霞「こいつを、受けろ!」

長波「もう何でもアリだな!?」


機体から溢れ出す溶岩、ほぼマグマと言って差し支えないようなものをムチ状にしてガルムの左脚に巻きつけるZZ。

そして動きを止めたところに氷の塊が襲い掛かるが長波はシールドでそれを防ぎつつマグマから左脚の膝関節から下を切り離す。


海風(攻撃軌道予測! 最適な回避・防御パターン推定! まだ…!)

海風「ッ…!」


『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』の軌道を全て予測した海風は回避機動を行いつつ躱しきれない攻撃をシールドで吸収する。

だが間髪入れずにマーナガルムが迫り、右腕から放たれたクローアームの打撃がシールドを粉砕してしまう。


阿武隈「これで、そっちの吸収能力は!」

海風(あちらは機体そのものに吸収機構を付与してある、これで『粒子量に比例しての性能向上』のアドバンテージは向こうだけになった…

あと3分もすれば完全にこちらまで追いつく、それまでに『マーナガルム』を倒せなければこちらが負ける!)

海風「だとしても!」


翼から溢れ出す粒子を左腕のブレイドに纏わせて放つ『ウイングガンダム・アズライト』。その一撃は完全に直撃コースだったが阿武隈は咄嗟に『スフィア・クレイドル』を展開して防いでしまう。

しかし完全にダメージを無効化できた訳ではなく、胸部装甲に内蔵されているフィールド発生器が損壊し廃コロニーの壁面に叩きつけられた。


阿武隈「やるね、だけど!」

海風(頭が…! 限定予測でも、あと2分もすれば限界だ…!)

海風「負ける訳には…!」



愛宕「戦況、見立ては?」

萩風「霞さんは優勢、姉さんは拮抗、海風さんは… 劣勢、でしょうね」

天津風「予測の力、使って無いの…?」

朝雲「多分、使ってる。だけど『マーナガルム』は遠隔操作兵装が多い分、動きが読み難いのかも…

だとすればそれが原因で脳にかなり負荷がかかってる筈よ。 海風の予測、もう長くはもたないかも」

萩風「さらに言えば通常の粒子環境下における『アズライトバースト』は他のバーストと比べ特殊性もなく、粒子吸収機構の喪失で弱体化が起きています。

それに比べて『マーナガルム』は時間の経過で性能が上がり続けています。あと1分以内に決着をつけない限り、海風さんの負けは確実かと」

愛宕「残り4分、どうなっちゃうの…?」



視点選択 直下
1.神通『無限に至った先』
2.霞『乗り越えた先は』
3.瑞鳳『世界を焼く真紅の業炎』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/22(水) 09:36:44.97 ID:hEoX2j6+0<> 3で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/23(木) 02:43:22.75 ID:qgy2CTDg0<> side-瑞鳳-『世界を焼く真紅の業火』


ニムバス「ぐぅっ…!『真紅の戦乙女』、貴様…!」

瑞鳳「まだだ、もっと燃え上がれ!」


武器を全て投棄したエピオンがスクランブルをその身一つで圧倒する。どれだけ傷付こうと、体が焼ける痛みに襲われても彼女は耐え続けていた。

スクランブルも武装を全て破壊され、各部を再生させることで形をギリギリ保っているという有様であり既にニムバスに勝ち目は無い。


ニムバス「その力とて、貴様の身を食い潰すものだ…!何故そこまでして戦える!?」

瑞鳳「この程度、あの子達の苦しみに比べたら!」


嫌いだった。戦うことしか出来ない自分が、定められた道を進むしか出来なかった自分が、拳を振るい敵を倒すことしか出来ない自分が大嫌いだった。

だけどそんな自分を慕ってくれた人が居る。仲間や教え子、そして未来の娘達。だけど彼女達は要らぬ戦いに身を投じ、『苦しみ』を背負ってしまった。全部、自分のせいで。


瑞鳳「私が、止められていたら!」


昏睡病、EXAMナノマシンの流通を完全に阻止出来なかったことが原因で多くの犠牲者が出た。その怒りを込めて左拳でスクランブルの頭部を殴り、首関節を叩き折る。

彼女の怒りは収まらない。左腕を掴んで炎を纏った手刀で左腕の関節を破壊し、腹部に右拳を一発叩き込み壁際へと追い込んでいく。


ニムバス「ガッ…!?」

瑞鳳「私が、護れていたら!」


両肩の関節を外した上で力任せで引きちぎり損傷部位を炎で炙り溶かす。機体の損傷部分が溶かし、元の形へと再生を封じた瑞鳳はさらに拳を叩き込む。

自分が無力なせいで教え子達を戦いに巻き込み心に傷を負わせてしまった、そんな自分を瑞鳳は許す事が出来ない。そして何より…


瑞鳳「私が、弱くなければ… あの子達は苦しまずに済んだのに!」


未来の自分の死のせいで娘達が、神通と萩風が過酷な運命へと身を投じることになった。何もかもが自分が原因で、何もかも私の弱さが招いたこと。

だからこそ敵以上に不甲斐ない自分が許せない。故に彼女は戦う、『未来の自分』、『弱さを抱えたまま進み続けた自分』の過ちを繰り返さないために。


瑞鳳「私のこの手が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと、轟き叫ぶ!」


右拳が黄金色に輝き、背後から炎が大量に放出されその炎はアリーナにも延焼し、会場全体に火の手が及ぶ。

そして瑞鳳は決別の一撃を、全てを終わらせる一撃をニムバスの操るスクランブルの腹部へと叩き込んだ。


瑞鳳「爆熱!ゴッドフィンガァァァァァァァァッ!」

ニムバス「カハッ… こ、これで終わりと、思ってい…」

瑞鳳「ヒート、エェェェェェェェンドッ!」


そのままスクランブルを爆散させるエピオン。そして瑞鳳は息を整えると火の手の回りきったスタジアムを見回し呆れ返る。

これって幾らの負債になるのか、とか大会継続が出来るのか、とか他愛のないことばかり考えているが…


瑞鳳「…これ、私も逃げなきゃだよね?」


このままここに留まればエピオンが溶ける。と言うかもう所々溶け始めていた。スクランブルを破壊した影響で粒子結合が崩壊しつつあるが延焼した炎自体は本物で、実際に熱を持っているのだから。

全力を出し切った直後かつ痛覚共有で散々ダメージを負った肉体にムチを打って彼女はエピオンを操り急いで脱出を敢行する。 仲間達の居る、還るべき場所へと… ただ一つ頭を抱えながらだが。


瑞鳳「どう言い訳しよう、この大惨事!?」


視点選択 直下
1.神通『無限に至った先』
2.霞『乗り越えた先は』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/23(木) 03:36:14.60 ID:kifA7TFzO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/25(土) 02:07:25.95 ID:gfuf+aVg0<> side-神通-『無限に至った先』


結晶を刀身に纏った『グラム』を振り下ろす陽炎、その一撃を神通は両手の剣で防ぎ鍔競り合う。

しかし幾度もの打ち合いによる磨耗と軽量化した影響で生じた強度差が決定的となり、ついに『光忠』『貞宗』の刀身が砕け散った。


神通「ッ…!だけど!」


後退し距離を取って今度は腰にマウントしていた『兼光』『兼定』を構えようとする神通だが陽炎は追撃し蹴撃を放ってサーベルの柄を落としてしまった。

そして正面からグラムによる斬撃を加えようとする『ヴェズルフェルニル』に神通はボディーブローを放つ。


陽炎「何っ…!? って当然か、そっちが『本命』だものね…!」

神通「私に拳を使わせるなんて…!」

陽炎(今の一撃で機体にガタが出始めた、システムを維持すれば保って1分ってところね… さっさと決着を着けないと、負けるのはこっちよ…!)

神通(痛覚共有の痛みを躊躇ってなんか居られない…! 一瞬でも躊躇えばこちらが負ける…! ここは真っ向から打って出るしか…!)


向き合う『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』と『ヴェズルフェルニル』。お互いに腹は括った、あとはぶつかるだけ。

先に動いたのは『ヴェズルフェルニル』、陽炎だった。陽炎は持ち前の運動性と高速を活かしジャスティスの背後へと回り込む。


陽炎「これで決めるっ!ヴェズルフェルニル!」

神通(既に動きは見切った、後は私次第… 確実に仕留めるには…!)

神通「私のこの手が真っ赤に燃える…!勝利を創れと轟き叫ぶ!」


黄金色に輝くジャスティスの掌、そして迫るヴェズルフェルニルの不意を突く形で彼女は技を放つ。

ヴェズルフェルニルの粒子結晶で覆われた『グラム』の刀身が振り下ろされ神通も己が一撃を放ち、拳と剣がぶつかり火花が飛び散る。


陽炎「嘘っ!? だけど、負けるかぁぁぁっ!」

神通「アンリミテッド、フィンガァァァァァッ!」


勝負は互角かと思われた、だが次の瞬間『グラム』の刀身が粒子結晶ごと砕け神通の掌がヴェズルフェルニルを捉え、その胸を貫いた。

神通は一気にエネルギーを流し込み、完全にヴェズルフェルニルを破壊しようとするが…


神通「フォール、エン…」

陽炎「タダで、終われるか…!」

神通「しまっ…!?」


神通は失念していたのだ。ヴェズルフェルニル、『ユニコーンガンダム』シリーズには基本的に腕部にサーベルが付属していることを。

そして陽炎はそのサーベルを展開し、『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』の腹を貫き、神通は『刺された』感覚に襲われる。


神通「がッ…!?」

陽炎「一矢は、報いたわよ…!」


粒子の循環が途絶え、2機のクリアパーツから光が消えた。 『アンチェインド・ドライヴ』と『フルブルームバースト』が機能を停止し、機体から火花が溢れ出す。

そして次の瞬間、2機のMSは爆散し宇宙の藻屑へと消えていくのだった… <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/27(月) 03:32:32.51 ID:3ezUFqeh0<> side-霞-『乗り越えた先は』


霞「機体の粒子残量が…!」

長波「あんな大技、バカみたいに使うからだ!」


機体のエネルギー残量が底を尽きかけている『ブラストアクロスZZ』に『ガルム』が左クローの斬撃を放ち、霞はモーターブレードで防御する。

先ほどまでとは打って変わって霞が追い込まれていた。それは機体内部の粒子を『マグマ』『氷』と言う形で具象化、攻撃へと転化させたことによる大量消費が原因だった。


霞「アンタだって、ギリギリの癖に…!」

長波「こっちは元からカツカツなんだよ!」


しかしガルムのパワーは『アンチェインド・ドライヴ』の影響で上昇し続けており、パワーダウンしかけているZZよりも高い。

形勢の不利を悟った霞は一度距離を取りダブル・キャノンとミライルランチャーによる一斉砲撃を行い、ガルムを攻撃するが長波が展開した『スフィア・クレイドル』に防御されてしまう。


長波「効かないよ、そんな攻撃!」

霞「防御フィールド…!」

霞(どうすれば良いのよ、アレ…!ハイ・メガでも防がれるか、減衰させられるかもしれないし、何より当たる可能性が低い…

でも他の攻撃じゃ絶対に火力が足りない… 『アレ』、やるしか無いわね…!)


霞はシールドを投棄し真っ向から『ガルム』へと機体を突撃させる。絶対に長波は自分の手で倒す、そう決めた以上取れる道はただ一つ。

紫色に輝くクリアパーツから再びマグマが溢れ出し『ガルム』へとソレを振るう。


長波「糞っ… なけなしの粒子で、やけっぱちか!」

霞「違う! もう少し保って、『ブラストアクロスZZ』!」


鞭状のマグマを切り裂こうとした長波が右腕のクローを振るう。しかしその動きこそが霞の最大の狙いだった。

右腕にマグマの鞭が纏わりつき、クローの展開を封じてしまう。長波は振り払おうと機体の腕を振り回すが…


霞「『凍れ』!」

長波「何っ!?」


鞭状のマグマを氷が覆い尽くし、瞬間的に冷却されたマグマが凝固して石化する。長波は唖然となって一瞬思考が止まってしまう。

霞はその隙に乗じて距離を詰める。 ようやく霞の意図に気付いた長波だが既に遅く、霞は機体の残るエネルギーを全て『一撃』へと集めながらガルムへと迫り…


長波「このっ!やらせるかよ!」


残る左腕のクローを振るい、迫るZZの胸部へとそのクローを突き立てる長波。 しかしクローが貫けたのはFAによる追加装甲のみだった。

そして霞の目論見は功を奏し、ガルムの左腕を凍らせることで長波の逃げ道を封じ、その上で『スフィア・クレイドル』の展開範囲の内側へと入ったのだ。


霞「この距離なら、バリアは張れないわね!」

長波「放せ、このっ!」

霞「ハイ・メガ・キャノン、フルパワー!コイツを、喰らえぇぇぇぇぇぇぇっ!」


放出される極大のビームが防御することすら出来なくなった『ガルム』に直撃する。だが直撃しても粒子残量の不足により威力が減衰していたのか頭部を吹き飛ばし、腹に大穴が開いた程度のダメージだった。

しかし致命傷には相違なく、ガルムは大爆発を引き起こし接射を行った『ブラストアクロスZZ』はそれに巻き込まれ、大破してしまう。


霞「粒子残量ゼロ、損傷レベルは機体戦闘続行不可… ここまで、か…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/27(月) 04:47:17.39 ID:3ezUFqeh0<> side-海風-『拮抗の果てに』


『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』をブレイドで切り払い、背後から襲い掛かる『スコール』を振り向き様に展開した左脚の『グリフォン・ビームブレイド』で切り裂き破壊する。

海風の脳は限界に近付いていた。それでも未来予測演算の行使を止めず、阿武隈の『マーナガルム』へと喰らいつく。


阿武隈「やるね… だけど…!」

海風「っ、はぁ…!」

海風(『アンチェインド・ドライヴ』の力はもう『アズライトバースト』を上回ってる… 残る勝ち筋は…!)


脳が限界に近付き機体もパワー負けしている以上、技量の劣る海風に既に勝ち筋は殆ど存在していない。しかし『チーム』としての勝ち筋は残っている。

自爆覚悟でマーナガルムを破壊する、そして残るメンバーへと全てを託す。それが『フリューゲル・ヴェント』として『勝利』への最適解だったのだが、神通と霞の機体ステータスが『戦闘不能』へと変化してしまった。


海風「先輩と霞が… でも『ガルム』と『ヴェズルフェルニル』も…」


二人は敵対する2機と相討ちになった、その事実に海風の顔が青ざめる。もう既に勝ち筋は殆ど無い、それどころか勝機が絶望的になったのだから。

しかし海風は絶対に諦めない。ここで負ければ語った想いが、積み重ねた今までが全部無駄になる。譲れない想いがある以上、諦めたくない。


海風「まだ負ける訳には…!アズライト!」


海風の意志に応えるように『ウイングガンダム・アズライト』のツインアイが輝き、各部のクリアパーツが強い輝きを帯びる。

だが相対する阿武隈もまた、勝ちを譲るつもりはなく『全力』を以って海風を倒そうと、最後の切り札を切った。


阿武隈「行くよ、マーナガルム… ジェネレーター・フルドライヴッ!」

海風(『ファイナルウルフストライク』、キジマさんを打ち破った技… 今の『マーナガルム』が使えば限界を迎える筈…!

勝機は、ここに賭けるしか無い… 分の悪い博打ですが、やるしか道は無い…!)

海風「アズライト…! 勝利を、この手で創るために!」


両腕の『アズライトウイングブレイド』に粒子が収束し、膨大なエネルギーを剣が纏い海風は迎撃態勢を整える。

そして次の瞬間、阿武隈の『マーナガルム』が突撃を行いアズライトに迫った。


阿武隈「ファイナルウルフ、ストラァァァァイクッ!」

海風「これで、終われぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」


海風も両腕のブレイドを振るい収束させたエネルギーを解き放ち、放たれる刃がマーナガルムと激突する。どちらも一進一退、互いに退かずそしてその余波で周囲のデブリや廃コロニーは吹き飛ばされていく。

しかし勝敗は決してしまった。『アズライトウイングブレイド』の刃がエネルギーに耐え切れず、砕け散ってしまったのだ。


海風「しまっ…!?」

阿武隈「勝負、ありだよ!」


そのまま突っ込んできたマーナガルムにより廃コロニーの残骸へと叩きつけられるウイングガンダム・アズライト。

諦めずに海風は足掻こうとするが『アズライトバースト』の粒子循環が途絶え、機体のパワーがダウンを始めてしまう。


海風「な、何!?」

阿武隈「勝負、ありだよ」


振り下ろされるクローアームが目の前に迫り、海風は目を瞑る。 ここで終わってしまった、その絶望が心に押し寄せ海風は諦めてしまう。

しかし耳に響いたのは機体の爆発音や負けを知らせる音声などではなく、意外なシステムボイスだった。


『OVER THE TIMELIMIT BATTLE ENDED』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/27(月) 05:11:28.54 ID:3ezUFqeh0<> 天津風「時間切れ…?」

愛宕「確か大会規定じゃ残存機体の数で勝敗が決まる…」

朝雲「先輩の機体はもう駄目、霞の機体も戦闘不能判定、海風の機体は生きてるけど…」

萩風「そしてそれは向こうも同じ… 残るのは『マーナガルム』一機のみです」

天津風「延長戦にもつれこんだ…」


『制限時間となりバトルは終了、両チームとも2機を撃破… 従って、大会規定通りインターバルの後代表者同士による延長戦を行います』


阿武隈「…首の皮、一枚繋がったね」

海風「いえ、あれは海風の負けで…」

阿武隈「違う。勝負はまだ終わってなかった。機体が少しでも動く限り、まだ負けじゃ無い」

海風「阿武隈さん…」

阿武隈「だから次は、延長戦は私が絶対勝つ」

海風「海風も、負けるつもりはありません」


『また現在、近隣施設で発生中の事故の調査・確認のためインターバルの時間を1時間に延長します。皆様、ご理解の方をお願いします』




神通「うぅっ…」

霞「先輩、大丈夫ですか…?」

神通「ダメージのフィードバックが… だけど、大丈夫です…」

萩風「無理しないでください。立つのもやっとの有様で」

神通「でも機体修理をしないと…」

天津風「運営側から許可を頂いてきました。ここからは私と萩風が引き継ぎますから、先輩は朝雲と医務室に行って下さい」

神通「お願いします…」

海風「萩風さん、機体の方は…」

萩風「…思った以上に酷いです。『アズライトバースト』による過剰負荷の影響で、外装は無事でもフレームが軋みをあげています」

海風「そんなにダメージを…」

萩風「そして何より… 根幹である『アズライトバースト』のコア、メインコアは無事ですがサブコア2つが完全に逝きました」

海風「最後の、一撃が原因ですか…!」

霞「それって、ヤバくない…?」

萩風「ヤバイどころの話じゃないですよ… 天津風さん、外装と武器は任せます。こちらのコアとフレームは私がやりますから」

天津風「アズライトをそのまま使うつもり?」

萩風「確かにインターバル延長はしていますが『ロンギフローラム』も『ブラストアクロス』を直すには時間もパーツも足りない。

唯一無事かつ、損傷が軽微な『アズライト』を使う以外道は…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/28(火) 01:36:54.32 ID:3t2pdRCp0<> 萩風(とは言ったものの… アズライトのサブコアが破損してるからバーストは使えない。

フレーム自体は共通部品が多いから『フルブルーム』と『アクロス』の生きてる部品を使えば直せなくはないけど…)

萩風「…海風さん、決断をしてください」

海風「決断、ですか」

萩風「今選択肢は2つあります。1つは『現状のままバーストを封印すること』、これならバーストが使えない以外機体出力はそのままで戦えます。

二つ目は『『フレブルーム』か『アクロス』用のコアを移植すること』です。コアもほぼ同一規格ですし、海風さんなら両方の『特性』を行使可能でしょう」

海風「でも海風は明鏡止水には…」

萩風「フルブルーム自体は一定ラインの閾値を越える『意志』があれば誰にでも行使可能です。かなり高めのラインが設定されていますが、海風さんの精神力なら問題なく行使可能でしょう。

それにアクロスもクリアパーツの量は素の状態でもZZを上回ってる以上、余裕で使えると思います。ただあくまでも『使える』だけですが…」

霞「それって、全性能は発揮できないってこと?」

萩風「はい。だけど素の状態で戦うよりは勝機はあるかと」

海風「…それでも、確率はかなり低いでしょう」

萩風「ですが、それで負けたとしても誰も文句は…」

海風「…」

霞「納得しない、って顔だけど」

萩風「我侭を言わないで下さい。これ以外の選択肢は…」

天津風「萩風、1個選択肢隠してるわよね」

霞「天津風?」

天津風「前に瑞鳳さんが『アズライトは同系統のコアを3つ積んでる』って言ってて、今萩風は『他の機体のコアはほぼ同一規格』って言った。つまり…」

海風「『2機のコアをサブの代替にできる』、と言う事ですか…!」

萩風「…理論上は可能です。だけど敢えて選択肢から外したのは…」

「『何が起きるか分からない』、でしょ?」

萩風「お母様!?」

霞「戦いは…?」

瑞鳳「全員、ぶっ潰してきたよ。今頃、警察とか自衛隊にとっ捕まえられてると思う。確かに代替コアに二人の機体のコアは移植できる。

だけどそれは3つのコアに付与された能力が同時に発現しちゃうんだよ」

萩風「海風さんの『粒子量に比例して性能が向上する能力』と姉さんの『人の意志に比例して性能が向上する能力』、霞さんが先ほど発現させた『イマジネーションを粒子を用いて具象化する能力』の3つの特性…

これを行使すれば、海風さんや機体の負荷だってバカにならないし本当に何が起きるかだって予想すら… 最低でもこの前の別荘の戦いで使ったアレレベルの何かが…」

霞「アレ以上のものが…?」

海風「構いません。 危険は承知の上、それにその程度も御せ無ければ海風に『戦う』資格はありません」

萩風「…」

瑞鳳「やってあげて、萩風ちゃん」

萩風「…はぁ… どうなっても、知りませんよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/28(火) 02:16:03.57 ID:3t2pdRCp0<> 陽炎「…どうやら、あっちの揉め事も終わったみたいね」

阿武隈「どう、直りそう?」

長波「ぶっ壊れた部分はね。 改RX-0が共通パーツ多くて助かったよ…

あと背中には陽炎のヤツを移植、胸部装甲には私の使ったから『スフィア・クレイドル』も展開できる」

阿武隈「それだけあれば充分だよ、あとは向こう側を待つだけだね」



天津風「外装は出来たわよ」

萩風「こちらもフレームはなんとか直せました。それに不本意ながらコアも…」

海風「ありがとうございます。これで、戦えます」

天津風「二人の機体の部品も使った、決戦仕様よ。これで存分に戦って来なさい」



ウイングガンダム・アズライト (決勝戦仕様)
武装
・ツインバスターライフルアズライトNEX(サーベル内蔵)
・メッサーツバーグ・ラズールスタイン×6
・アズライトバスターソード×2
・マシンキャノン×2
・ビームガン兼ビームトンファー×2
・グリフォン・ビームブレイド×2
・脚部内蔵パイルバンカー×2
・ハイ・メガ・シールド
・ファトゥム-02
・頭部ハイ・メガ・キャノン
・腹部ハイ・メガ・キャノン
・フィン・ファンネル×3
・刀剣型ビームサーベルビット『兼光』『兼定』

概要
ウイングガンダム・アズライトを対・阿武隈用に、『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』『ブラストアクロスZZ』のパーツを使用し応急処置を施した機体。
2機の武装を受け継いでおり射撃武装も多いが切り離すことも可能であり、デッドウェイトにはならない。またZZのFAも一部使用し防御能力も向上している。
そして破損したサブのコアの代わりに『フルブルームバースト』『アクロスバースト』用のコアを使用、その為誰にも予測できないような能力を持つ可能性がある… <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/08/30(木) 03:38:12.87 ID:ssS5jdIy0<> 形成された砂漠のフィールドに降りる『ウイングガンダム・アズライト』。斃れた仲間達の武装を受け継いだ藍銅鉱の翼は悠然と敵を待ち構える。

そして少し遅れて地面に着地した『マーナガルム』。阿武隈は不敵に笑うが殺気を隠さない。


阿武隈「やっぱり、出てきたね」

海風「この機体は海風の機体ですから。例え、誰かに貰った機体だとしても… 駆け抜けてきた時間は、積み重ねた『これまで』は嘘じゃないから」


海風と『ウイングガンダム・アズライト』は一緒に駆けてきた。機体の姿形が変わろうと、彼女自身が変わろうと共に駆けたという事実は変わらない。

互いに足りないから補いあって、苦楽を共にした愛機に心で海風は語りかける。


海風(やっぱり貴方は海風と『同じ』だったんですね)


最初は不完全だった。力を使えば壊れるからと枷を嵌められた『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』と、何も持っていなかった海風。

『フレスヴェルグ』は新しい力と『アズライト』の名前を得て、海風も様々なものを得た。きっとどちらかが欠けていればそうはならなかっただろう。


海風「力を貸して。 この戦い、絶対に負けたくないから」


機体が唸りをあげ、別荘での戦いで感じた『最高の一体感』が再び訪れる。そして海風も少し微笑み、操縦桿を強く握り締めた。

覚悟は決まった、後は一緒に駆け抜けるだけ。 仲間達の想いを全て背負った、最高の『半身』と共に。そして無機質な音声が鳴り響き、戦いの幕が上がった。


『BATTLE START』


阿武隈「行くよ、『マーナガルム』! 解き放て、『アンチェインド・ドライヴ』ッ!」


最初に動いたのは阿武隈だった。機体のリミッターを解除し鎖を全て解き放つ。

蒼い燐光がフレームから溢れ出し、各部の粒子吸収機構が稼動を始めて輝きが増す。そして海風も続き、SPスロットの力を使う。


海風「先輩と霞の分まで行きますよ、『ウイングガンダム・アズライト』! 解き放て、『アズライトバースト!』」


『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』と『ブラストアクロスZZ』のコアが橙色と紫に輝き、その直後に機体本来のコアが蒼い光を放ち2つのコアも蒼く染まる。

そして天に昇るような蒼い光の柱が形成され、各部を『宝石の鎧』が覆いつくす。そして宝石の翼が形成されたのを確認した海風は『メッサーツバーグラズールスタイン』とライフルを連結させ、照準をマーナガルムへ向けた。


阿武隈「その力、例の…!」

海風「この力は二人の『想い』を受け継いだもの… これで、貴女を倒す!」


フィン・ファンネルを射出し前面に展開、さらにシールドのビームキャノンの砲口も同時に照準を合わせる。

そして結晶がライフルの銃身とシールドの砲口、そしてフィン・ファンネルを覆い海風は引き鉄を引く。


海風「まずは、これで!」


放たれる超大出力の砲撃、『ブラストアクロスZZ』のハイ・メガ・キャノンの威力の数倍はあろうビームがマーナガルムに襲い掛かった。

阿武隈は間一髪機体を上昇させて射線から逃れるがその威力に戦慄する。明らかに牽制射を超える一撃であり、普通の機体なら粒子を全て消耗しきるであろう一撃を平気で放っているのだから。


阿武隈「最初からトばすね… ならこっちだって! 『ネージュエール』!」


背部の光の翼の余剰エネルギーが無数の刃に形成されてアズライトに殺到する。海風は銃火器全てを投棄し、『兼光』『兼定』を抜き放つ。

そしてビームの刃の雨を掻い潜りながら『マーナガルム』へと肉薄した。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/09/02(日) 04:03:02.86 ID:r9nFI0U40<> 霞「あの力、あの時と同じ…」

瑞鳳「違うよ。同質だけど、発生原理は全く違うから」

萩風「…また、何を仕込んだんですか」

瑞鳳「仕込みはしたけど、仕込んだのは大分前… 機体をアズライトに改修した時だし使う事ないだろうから封印してたし」

愛宕「原理が違う、って?」

瑞鳳「前の現象、『アズライトバーストイレギュラー』は海風ちゃんの意志がアリスタを経由して機体自身と共鳴したことで起きたこと。

今のは想定外だけど想定内、『アズライト』を核に『フルブルーム』『アクロス』のコアが共鳴したことで『2つのコアに予め定められた力』を引き出してる状態なの」

天津風「それって『RGハウリング』の…」

瑞鳳「2機のRGシステムを共鳴させて機体能力を増幅させる『RGハウリング』の発展型、って感じかな。問題はその必要なく海風ちゃんが同質の能力を単一で発揮させちゃうことだけど…」

霞「想定外だけど想定内って、コアが3つ共鳴してるのは想定内じゃ…」

「本来ならコアを搭載した3機が共鳴する事で能力を引き出す筈が、単一の機体に3つのコアが収まってしまったことで能力が発動しているのが想定外、と言うことでしょう」

瑞鳳「あれ、もう大丈夫なの?」

神通「ええ、お陰で散々ですが… まだ痛みますし…」

朝雲「フルブルームの弱点ね、ファイターとの感覚共有は… アクロスも燃費が劣悪なのも難点だし」

瑞鳳「やっぱフィードバックの強制カットは入れといた方が良かったかな… まぁ神通ちゃんの言った通り、3機のコアが1機に集中してる状態で発動してるのが想定外なの。

まぁ『フルブルーム』と『アクロス』の本来の担い手じゃ無い分性能は落ちてるから『イレギュラー』と同じ程度の力に納まってるけどね」

天津風「3機が共鳴した時、何が起きるんですか?」

瑞鳳「さぁ?」

萩風「さぁ、って… 無責任過ぎるのでは?」

瑞鳳「だから封印してたんだよ。 本気で『何が起きるか分からない』。 三人のファイターが機体にリンクした状態で3機が共鳴すれば…

意志が増幅されて粒子の持つ『人の心に反応する特性』の影響でそれこそ物理法則を超えた何かトンデモない現象が起きる可能性だってある」

朝雲「萩風と先輩のように時間を遡って過去に行く、とか?」

瑞鳳「その可能性もあるし、もっと別の事象だって起こせる可能性も… 少なくとも手に負える範疇の事じゃなくなるから共鳴能力は封印したんだよ。

でもコアを1つの機体に纏めて搭載した結果、粒子循環によって物理的なリンクが出来て共鳴しちゃったって訳」

萩風「つまり私、間違った事言ってませんでしたよね?」

瑞鳳「…」

神通「何か言ってください、お母様」

愛宕「ま、まぁ今の所は何も起きてないんだから…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/09/02(日) 05:53:12.96 ID:r9nFI0U40<> 海風「はぁぁぁぁっ!」

阿武隈「今度は、こっちが押されて…!」


振り下ろされる2本の刃を右腕で粒子結晶のバリアを形成することで受け止めるマーナガルム。先ほどとは打って変わって阿武隈が圧倒される側になっている。

胴に向け阿武隈は左腕でボディーブロ−を放つが海風は瞬時に予測し、生じた隙を逃さず高速で背後い回り込んで『スキーズブラズニル』の翼部を右手の剣で切り裂き破壊した。


阿武隈「このっ…!」

海風「そんな攻撃、当たらない!」


阿武隈は左腕で振り向き様の打撃を放つが海風は即座に後退し、リーチから外れてその攻撃を躱す。そして海風は次の行動を脳内で組み立て、勝利への道筋を創り上げていく。

不敵に笑う海風。予測した無数の未来から『最良』の未来を選び、そこへ至る道をずっと創り出してきた。そして『いつもの言葉』を海風は言い放つ。


海風「整いました、勝利への道筋が!」

阿武隈「そう簡単には、行かせない! リモートドリルバースト!」


右肩部から残っていた『ハティ』を射出し、クローアームで掴みそのまま『ウイングガンダム・アズライト』へと放つ。

海風はマシンキャノンでハティを迎撃し、炎煙を剣で払う。しかしマーナガルムは瞬時に距離を詰め体当たりを行い、ウイングが吹き飛びその衝撃で海風は剣を落としてしまう。


海風「なら、こちらも!」


背中に強引に装着していた『ファトゥム-02』を射出しマーナガルムに直撃させるが、『スフィア・クレイドル』を展開しており機体へのダメージは無い。

さらにクローアームで掴まれた『ファトゥム-02』は握りつぶされ、爆散してしまった。


阿武隈「これで、もうマトモな武器は…!」

海風「果たして、どうでしょうかね?」


スロットを切り替える海風。その直後背中の翼が2枚切り離され、そして二振りの剣になる。海風の『奥の手』だ。

その二振りのバスターソードを掴み、右腕のバスターソードの切っ先をマーナガルムへと向ける。


海風「ブレイドは本命じゃない… こちらが真打です…!」

阿武隈「呆れた… この期に及んでそんなものまであるなんて」

海風「前回は武器ほぼ剥ぎ取られましたからね。それに対する回答ですよ」

阿武隈「だからって、翼まで剣にするのはやり過ぎだよ…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga <>2018/09/02(日) 07:29:19.82 ID:r9nFI0U40<> 再度激突する『ウイングガンダム・アズライト』と『マーナガルム』。海風と阿武隈、二人の信念がぶつかり合いフィールド上に火花を散らす。

互いに距離を取り、態勢を整え直して向き合い『マーナガルム』は天へと拳を掲げ、『ウイングガンダム・アズライト』は左腕のバスターソードを投げ捨てて残るバスターソードを両腕で構える。


海風(きっと阿武隈さんは『ファイナルウルフストライク』を使う… パワーはさっきの戦闘から推測可能な粒子吸収速度から試算すると、おおよそ互角レベル。

そして向こうの機体もそろそろ限界点を迎えつつあるのは打ち合いで確認済み、持久戦は向こうが許さない。だからこそ勝利に至る道はここなんだ)

海風「これが最後です『アズライト』! 二人の力で、勝利の先を…!」


バスターソードの刀身に粒子が集束し、結晶の刃が形成される。機体の外装に形成された宝石の鎧も、腕が砕けないよう防御する最低限以外のものが崩れ剣に取り込まれていく。

阿武隈も全てのエネルギーを機体の右腕に集中させ、ブーストのチャージを始め迎え撃つ準備を整える。


阿武隈(ここで勝負を決めないと、機体が保たない… でも焦っちゃ駄目、パワーは互角だから…!)

阿武隈「行くよ『マーナガルム』…!これが最後の一撃だよ!」


互いの機体に膨大なエネルギーが集束し、その余波で2機周辺に形成されているフィールドの地面が崩れ始める。

そして2機は今、最大の一撃を解き放った。


阿武隈「ファイナル… ウルフ、ストライクッ!」

海風「全てを、断ち切れぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」


2機は宙を駆け、振り下ろされた剣と右腕の拳がぶつかり合い、そのエネルギーの余波でフィールド自体が崩壊を始めてしまう。

だが互いに一歩も退かない。そんなぶつかり合いに遂に決着がついた。


阿武隈「『マーナガルム』ッ!」


『ウイングガンダム・アズライト』のバスターソードがエネルギーの放出とマーナガルムの力に耐え切れずに砕け散る。

だがそこも海風の想定通り。 次の瞬間、頭部と腹部にある発射口からビームは放たれた。


海風「ハイ・メガ・キャノン!」

阿武隈「ッ…!」


通常のガンプラなら消し飛ぶであろう一撃、しかしマーナガルムは両腕をクロスさせ防御する。ハイ・メガ・キャノン自体威力がエネルギーの集束率の低下により本来の威力が出ていないから防げたことだ。

だがそれは阿武隈にとって悪手の選択、そしてハイ・メガ・キャノンの威力不足も海風の勝利への筋書き通り。機体の両腕をクロスさせていたことで、海風の姿が見えなくなっていたのだから。


海風「これでぇぇぇぇぇぇぇっ!」

阿武隈「嘘っ!?」


距離を詰めた海風が放ったのはただの左足による跳び蹴り、しかし阿武隈は知らなかった。 『ウイングガンダム・アズライト』の脚部に何が内蔵されているのかを。

蹴りが両腕に直撃した瞬間、足の裏から内蔵されている杭が飛び出し両腕ごとマーナガルムを貫く。パイルバンカー、今まで隠し通してきた『ジョーカー』を海風は最後の最後で使ったのだ。


海風「海風の、勝ちです…!」


機体が既に限界に近付いていた『マーナガルム』にとってその一撃は致命傷になる。ボロボロだった機体はそのダメージの影響で機能を失い崩れていく。

無機質なシステム音が響く中、フィールドに残っていたのは蒼い輝きを帯びた『宝石』の名を冠する機体だけだった。



BATTLE ENDED

Winner"Flügel Vento" <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/17(水) 00:27:18.29 ID:oW5+AeCy0<> ようやく復旧… ボチボチ再開します



阿武隈「…私が、負けて…」ガクッ

阿武隈(『真の姿』を晒して、アンチェインドまで貰ったのにまだファイターになって半年も経ってない相手に…!)

海風「阿武隈さん!? どうかしましたか!?」

阿武隈「…なんでも無いよ。大丈夫、だから」

海風「そうですか…? てっきり阿武隈さんにも先輩と同じ現象が起きたのかと…」

阿武隈「え」

海風「フルブルームみたいにダメージフィードバックは起きていないようですが…」

阿武隈「そんな危険なガンプラ使ってたの!?」

海風「はい。海風も、ちょっとフラついて…」フラッ

阿武隈「ちょ、ここで倒れないで!?まだ表彰式も残ってるんだからね!?」ガシッ

海風「す、すみません… なんか、全身に力が…」

阿武隈「もう、たかが『遊び』で命削り過ぎだよ…!」

阿武隈(違う。例えフィードバックで傷付いてでも勝ちたい、って思いがこの子にはあったんだ… その『覚悟』が私を上回った、それだけの話で…)

阿武隈「変わったね、貴女も」

海風「え…?」

阿武隈「最初に会った時より、ずっと良い顔してるから」

海風「ならきっと、そう変えてくれたのは海風の周囲の皆のお陰でしょう。先輩が道をくれて、霞が同じ道に立ってくれて、他の皆も同じ場所に居て…

アズライトだって誰かさんと春雨さんが創って、榛名さんがくれた技術で瑞鳳さんが改修して、そして先輩と霞の機体が無ければここには立てなかった。だからきっと、海風がここまで変われたのは皆のお陰なんです」

阿武隈(ここで浜風さんを名前で呼ばないのもらしいけどね…)

海風「それにここまで来たのだって、阿武隈さん達が居たからですよ」

阿武隈「私達が?」

海風「海風達が初めて、そして唯一『勝てなかった』のは阿武隈さん達です。だからそれを乗り越えたい、って思うのも当然でしょう」

阿武隈「…だから、ここまで来たんだ」

海風「もっと早く当たるかなとは考えましたが、まさかここまで縺れ込むとは思ってませんでしたけど」

阿武隈「まぁそこは数奇な因縁ってことに…」


神通「海風さん!」

霞「海風!大丈夫なの!?」

萩風「だから危ないって言ったのに、全く…!」

天津風「やったじゃない、海風!」

朝雲「凄かったわよ、海風!」


阿武隈「ほら、皆も来てるから。行ってあげたら?」

海風「はい。 では阿武隈さん」

阿武隈「何?」

海風「ありがとう、ございました」

阿武隈(ああ、やっぱり… この子には、本当に敵わないなぁ…)


海風(こうして、海風達の戦いにひとつの幕が下りた。 全てのことに一区切りがついてようやく肩の荷が下りると、そう誰もが信じていた。

これから始まる『最後の戦い』… 加速していく運命のうねりに気付く事が無いまま、束の間の勝利に身を委ねるのだった)


第21話『蒼と白、真紅と青』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/17(水) 00:51:19.75 ID:oW5+AeCy0<> お久し振りです。>>1です

ここから物語は最終章にはいります。大体シナリオは決まってるので大丈夫です
そして最終章突入なので主人公格の『神通』『霞』、そして割と不遇な『天津風』の強化編(選ばれなければ次々話に統合、もしくは同時系列扱い)をやります
今回は諸事情により霞&萩風、神通&朝雲、海風&天津風と言った組み合わせになることをご承諾ください

次話選択 下3票先取まで
1.霞『Burning/Glacial My Soul』…諸事情により萩風と共に京都へと身を隠す霞。大鯨のツテを辿り、かつて戦った神風達の下へ向かったが追撃するEXAMキャリアーが彼女達へと襲い掛かる。NTとして、彼女はどうEXAMと向き合うのか…

2.神通『My Fate』…朝雲の家族を護るために彼女と暮らすことになった神通。しかし神通も萩風同様、『前の神通』の人格が目覚めつつあり… そんな中でキャリアーとの戦闘に陥ってしまうが…

3.天津風『感情の果て』…海風と共に仙台へと赴く天津風。天津風は未だに自分の中のガンプラ学園への復讐心を拭えない、その最中彼女達へと海風へ一方的な憎悪を抱くスドウ・シュンスケが襲い掛かる… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/17(水) 10:12:25.57 ID:QgWzlXw/0<> 3で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/17(水) 13:26:48.29 ID:+QQkoaCoO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/17(水) 22:56:07.07 ID:oW5+AeCy0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga sage<>2018/10/17(水) 22:59:36.71 ID:oW5+AeCy0<> >>636
ごめんなさい、これミスです
無かった事にしてください <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/18(木) 13:26:26.92 ID:CorwRJKi0<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga sage<>2018/10/20(土) 01:25:57.36 ID:JKaiHStV0<> 断章『変動する事象』


《静岡某所 EXAMナノマシン製造工場》


古鷹「施設に居た全員の捕縛、完了したみたいです」

衣笠「護衛のテロリストまで雇ってたとはねぇ。ま、衣笠さん達に比べたらド素人にも程があったけど」

SAT隊員「御協力、感謝します。こちら側の被害はお陰で殆どありませんでした」

榛名「いえ、こちらこそ支援に感謝します。今後、クルスト以下メンバーの移送はそちらにお任せします。

物証の類の処分はなるべく早急に。これで『契約』は満了、ですね」

SAT隊員「承知しました。では…」

榛名「さて、向こう側は…」



《世界大会会場 外》


ニムバス「くっ…!」

トリスタン「は、放せ!この!」

警察A「大人しくしろ!逃げられんぞ!」

浜風「テロリスト4名を確保、引渡しを完了します」

警察B「御協力、ありがとうございます。しかし建物は壊滅、ですね」

浜風(瑞鳳さんが『バーニングバースト』を使えばこうもなる、か… いくらなんでもやり過ぎだけど)

夕雲「これで、未来は変わるのかしら…」

浜風「まだ分からない… だけど、細かい事象の変動が大きくなれば全体の流れも変わる筈…」

浜風(この先、何が起きるかは解らない… 念のため、手を打っておくか) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/20(土) 02:07:14.90 ID:JKaiHStV0<> 《その夜 焼肉屋・個室》


瑞鳳「夜は焼肉っしょ!」(例のポーズ)

萩風「また焼肉… 健康に…」

朝雲「萩風じゃないけど、流石に週に2回目はね…」

瑞鳳「いや、今回は割りと止むを得ない事情があって焼肉なんだけどね。お祝いも兼ねてなんだけど。

ぶっちゃけると私だってお肉はそんなに好きじゃ無いけど、個室で全員で話せるのはここくらいだし」

大鯨「私のツテで借りてるから、盗聴とかは大丈夫よ」

海風「止むを得ない事情?」

神通「一味も捕まえて、施設も抑えたのであれば…」

瑞鳳「だから、だよ。『終わった事だと思い込んでると後で痛い目に合う』、ってよく言うじゃ無い。

対策として、明日から皆をバラバラの場所に夏休み明けまで匿って貰うことにしたの。特に霞ちゃんと海風ちゃんは狙われ易いし」

天津風「霞はまだしも、海風も?」

霞「だって逆恨みとは言っても海風は一味、スドウ・シュンスケに恨まれてるしニムバスにも辛酸を舐めさせてる。狙われるのは当然よ」

瑞鳳「二人ずつに分けて皆を各地に分散させて隠匿することで襲撃のリスクを下げる、って浜風ちゃんが提案したの」

海風「…まぁ、アレの提案なのは気に食わないですが仕方のないことだと思います」

瑞鳳「じゃあお母さん、お願い」

大鯨「まずは海風ちゃんと天津風ちゃん、二人には私達と仙台に来てもらうわ。襲撃の可能性が高い海風ちゃんを護るためには、私達のおひざ元が一番だもの。天津風ちゃんの御両親には連絡済みだし、警護もつけておいたわ」

天津風「仙台には榛名さん達も居るから、大丈夫そうね…」

大鯨「で、霞ちゃんと萩風ちゃんには京都。 京都には私達と似た系統の家系、『人の守護』を生業にしてるところがあるから。既に先方には依頼済みよ」

萩風「何故私を? 単体での強さであれば、姉さんの方が…」

大鯨「萩風ちゃんは気配遮断のスキルがあるし、一応私と同じ鯨流の人間だからよ。本来は流派・東方不敗よりこっちの方が家系的には正統派、だから私の代理としてね」

霞「京都、か… 行くのは初めてかしら…」

神通「では私達は?」

大鯨「東京に残って貰うわ。 だけど可能な限り、二人で行動して。 そうしないと、ご家族に累が及ぶかもしれないから」

朝雲「…もしかして私達って、囮?」

瑞鳳「そう言うわけじゃ無いよ。 バランスとか色々考えた結果だよ。 何がこの先起きるか想像できないから、手を打っておかないと」



神通(既に歴史は変わりはじめている。私が『過去』として学んだ記録よりも大きく、道が逸れ始めていた)

霞(過ぎていく時間は止められないし巻き戻す事なんてできない。だから、『未来』への手を打たないといけない)

海風(出来る事を全力でやって、より良い方向に向かう。それが今海風達のできる最善だから…)」


断章『変動する事象』終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/21(日) 02:27:34.66 ID:wP1CdtwL0<> 第22話『感情の果て』


《仙台市 仙台駅》


大鯨「はい、ここが仙台よ。長旅、ご苦労様」

海風「思ったよりも栄えてますね…」

榛名「東北最大の地方都市ですから。ただ大きく発展しているのは青葉区などの中心街だけで、他の交通機関で20分もすればド田舎ですよ」

天城「天城の大学のある泉区なんか結構… 都市再開発計画からもハブられてますし」

天津風「えぇ…」

阿武隈「仙台は行政区が泉、青葉、宮城野、太白、若林の5つに分かれてるの。私達が住んでるのは太白で、大鯨さん達の家があるのが宮城野区。榛名姉さんは青葉区ね」

天津風「く、詳しい説明をどうも」

浜風(牛たんの美味しいお店は… 仙台駅の近くにも結構…)

海風「こんな時に、名店の検索をしないで下さい!」ゲシッ

浜風「あだっ!? な、何するんですか!」

海風「食い意地ばかり張って、恥ずかしい…!と言うかなんで居るんですか!」

浜風「だって折角だし… それに私も一応護衛として…」

海風「はぁ… 絶対役に立たないのが予測しなくても目に見えてる」

浜風「一応私だって瑞鳳さんから護身の訓練受けてますよ!」

時雨「だけど浜風、僕らの中でキミが最弱じゃないか。春雨以下だよ?」

浜風「うっ…!?」

春雨「そこは擁護出来ないですね、はい」

浜風「春雨にまで言われた…」

海風「何故お二人まで…」

時雨「護衛だね。 浜風の」

海風「…訓練受けてる癖に護衛対象扱いとは」

時雨「仕方無いよ。生身の戦闘能力は微妙だけど浜風は僕等の中でも指揮や戦況予測に関しては一番だから」

陽炎「まぁその辺の話は置いておいて、これからどうするの?」

長波「こっちは南仙台の家にこれから帰るけど」

大鯨「そうねぇ… 如月ちゃん、手配は終わってる?」

如月「ええ。マンションの部屋の確保は終わって、後は不知火ちゃん達に頼んだ日用品とか必要なものが揃ってれば」

大鯨「じゃあまずは私達の家に来て貰おうかしら」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/21(日) 03:32:01.24 ID:wP1CdtwL0<> 《中野栄 瑞鳳実家》


海風・天津風「(唖然)」

時雨「まぁ、そうだよね。こんな武家屋敷なんて時代劇にも出てくるかどうかの代物だし」

大鯨「中身はリフォームしてるから大丈夫よ。お陰で歴史的価値は大幅ダウンだけど」

春雨「私達も初めは驚きました、はい」

浜風「では私達は今後の打ち合わせをしてきますので、海風達は別室で待っていてください」


松風「あれ、キミ達だけなのかい?」

海風「確か、松風さんでしたね。はい、海風と天津風さんだけです」

松風「他のも来るかと思ったんだけど… まぁ良いか。数が少ない方が、守り易いし」

天津風「貴女だけ? 他の娘たちは?」

松風「照の字と初の字と朝潮は店、母さんが道楽でやってる模型店の店番。不知火以外の残りの面子は買い物、僕は留守番さ」

海風「残る不知火さんは?」

松風「アイツは如月と一緒で『特別』だから。母さんの代理で仕事してるよ」

天津風「私達と殆ど年も変わらないのに…」

松風「キミ達だってテロリストと戦ってるじゃないか。まともな訓練も受けてない、軍人でもないのに」

天津風「それはそうだけど…」

松風「それと同じさ。 出来る事をやってる、ただそれだけの事だよ。 拾って貰った恩返し、ってのもあるけどね」

天津風(出来る事、か…)

松風「こんな所じゃ暇だろうから、ウチの案内でもするかい? 一応母さんは暇そうなら一通り見学させろ、って言ってるし」



見学場所 直下
1.書庫
2.同上
3.中庭
4.蔵
<>
◆6G6UiAPa1Q<>sage saga<>2018/10/21(日) 03:47:23.28 ID:wP1CdtwL0<> あ、誤字ってました

見学場所 直下
1.書庫
2.道場
3.中庭
4.蔵 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/21(日) 05:29:38.22 ID:G8y8aLINO<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/22(月) 01:46:17.63 ID:AFEKY64S0<> 《書庫》


松風「ここは書庫。母さんと父さんの仕事の資料、あとは僕等も読むような本も仕舞ってある。基本的にウチの方針は『本は共有財産』、買った本は誰でも読んでいいってことになってるんだ」

海風「学校の図書室並ですね…」

天津風「何でも揃ってるというか… ってこれモデ○ラの第一号じゃない!ホビージャ○ンの創刊号に宇○船、B-○LUBまで…

それにガンダム関連の資料集も、しかも新品同様の…!ちょっとこれ借りて良い?て言うか貸して!」

松風「駄目。その辺は母さんのだし、保管状態だって良く保ってるんだ。少なくとも部屋からの持ち出しは出来ないよ」

天津風「読みたかたったのに…」

松風「ま、どうせ何か仙台に留まるんだからここに来て読めば良いさ。勿論母さんの許可を取ってだけど」

天津風「分かったわ…」

海風「あ、この本読みたかったヤツ…」

松風「ああ、その辺のは後で返してくれれば持って行っても良いよ。多分母さんの読み終わって死蔵してる本だし」

天津風「何その本?」

海風「医学の本です。図書館なんかにも置いてない専門書なので」

松風「珍しいね、そう言う本に興味を示すなんて。宝石好きって聞いたから、こっちの鉱物事典なんか読むかと思ってた」

海風「実は今度先輩に剣術の指南を頼んでいて… それで怪我した時の応急処置なんかを学んでおこうかと」

天津風「てっきり医者でも目指してるのかと思った」

海風「将来の事なんて、まだハッキリ決まってませんよ。 進学して、手にそれなりの職に結びつくような事はしたいんですけどね」

松風「現実的と言うか、まったく夢が無いね。 もう少し何かないの?」

海風「今の所はまだ何も。 今、この状況に対応するだけで精一杯です」

松風「そうかい。 じゃあキミは?」

天津風「私は… パイロットでも目指してみようかな、って考えてるかしら」

松風「良いじゃないか。民間なら最近増えてきてるらしいし、女性パイロット」

天津風「私が目指してるのは軍用、自衛隊の戦闘機パイロット志望よ」

海風「意外ですね… 航空機が好きなのは知っていましたが」

天津風「私のお父さん、パイロットなの。 今は松島に居る」

松風「なんだ、すぐ近くに居るじゃないか」

海風「松島と言うと、結構エリートじゃ…」

天津風「そうよ。私の自慢で、私もそこに追いつきたいの」

海風「でもガンプラ学園に入学したのは?」

天津風「…触れないで。その名前、聞きたくない」

海風「…分かりました。こちらにも触れて欲しくないものもありますし、お互い様です」

松風「ま、人には触られたくない事の1つや2つはあるさ。 あ、キミ。これは持っていって良いよ」ドサッ

海風「…何です、これ?」

松風「母さんにこれ渡しておけって。剣術の指南書。色んな流派のモノがあるから。あと蔵に行けばもっとあるよ」

海風「既に山なのに、これ以上あるんですね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/22(月) 02:35:31.12 ID:AFEKY64S0<> 《道場》


松風「ここが道場。僕等も修練でよく使ってよ」

天津風「えーと、武具の山が…」

海風「騎馬用の槍にヌンチャク、ハンマーから弓… よくもまぁ古今東西の武器がここまでゴチャゴチャに…」

松風「ここにあるのは練習用のものばかりさ。 一般的にはお値段は張るけど歴史的な価値とかは殆どないよ」

天津風「貴女達、これを使って鍛えてるの?」

松風「僕達が武術を始めるって決めた時、好きな武器を一人一つ選んで、徒手格闘だけじゃなくてもう1個武器を使った戦い方の練習もしろって母さん達に言われたんだ。

拳一本でやってるのはのわっちだけで、後は全員何かしらの武器を使ってるよ。ああ、でものわっちも篭手は使ってるか」

海風「何故そんなことを…」

松風「ぶっちゃけると僕等が素手の格闘が弱すぎるんだよ。だから武器を使ってそれを補えって事さ。本当に拳の才能があるのはのわっちだけで、僕等にはそう言うのが皆無らしくて」

天津風「でも武器を使う意味はあるの? 元から格闘戦の才能が無いと…」

松風「いや、例えば母さんの場合なんだけど素手だと姉貴や父さんには劣るけど、トンファーとか武器を握れば途端に二人纏めて相手に出来るようになるんだ。

そんな感じで武器との相性次第だと化ける可能性がある、ってことらしいよ。実際、弥生とかそんな感じで武器持っちゃえば中々強いし」

海風「因みに武器は?」

松風「これさ」つメイス

天津風「よりによってそんな武器!?」

海風「実際、振るえるだけの筋力さえあれば技術が要らないので意外と強かったりするんですよね質量武器って。

海風だってアズライトでバスターソード使ってる理由がそれですから」

天津風「機体パワーは桁違いだものね、アズライトは…」

松風「あと榛名と天城も同類だよ。 あの二人、トマホークと槍を持つと並の人間じゃ手をつけられないからね。

あと古鷹もかな? 銃器持った途端、辛うじて物理法則がついてこれるような狙撃術披露するし…」

天津風「そう言う人間も身の回りに居るものね…」

松風「キミ達も何かやってみるかい?」

海風・天津風「遠慮します」

松風「だろうね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/23(火) 02:03:13.11 ID:kSdKXoV90<> 《中庭》


松風「で、中庭ね。結構広いから迷ったらここに出れば分かり易いよ」

天津風「もうかなり疲れたんだけど…」

海風「静岡からここまでの疲労もありますし…」

松風「なら休憩しようか。丁度ここに休めるテーブルもあるし。飲み物取ってくるよ」



天津風「鯉まで居るのね、ここ」

松風「母さんの趣味だよ。動物好きで、特に水生生物が好きらしくてね。

ここじゃないけど、別宅みたいなところに魚の飼育専用の建物と、お手伝いまで雇ってさ」

海風「水族館にでもすれば良いじゃないですか」

松風「もうしてるよ。 福島のいわきとか、仙台に新しく出来たとことか、稀少な魚は提供してるし出資もしてるんだぜ」

天津風「やってるのねもう…」

松風「当人曰く慈善事業、だとさ。おかげで東北の地域好感度No.1企業になってるし」

天津風「色んなモンに手を出しすぎじゃ無いかしら?」

松風「流石に車とか飛行機とかは作ってないけど、それ以外なら色々やってるよ。水産加工から不動産業、芸能関連に孤児院経営…

前はもう少し規模は小さかったけど、倒産した企業とか吸収していった結果こうなっちゃったんだと」

海風「吸収ですか…」

松風「倒産した会社にも社員は居るし、そこに生きる技術やノウハウもある。だから迷った人に手を伸ばして見返りとしてそれらを得る、そんな事を繰り返してたら成長しちゃった訳さ」

海風「成るほど… そう言うやり方もありますね…」

松風「すべては人助けのために、って言うのが母さん… ウチの先祖からのやり方さ。僕は血は繋がってないけどね」

天津風「そう言えば大鯨さん達の家系って、『守護者』だって聞いたけど…」

松風「そうさ。 人を人ならざるモノから護る、それだけを使命と生業にして生きてきた家系の一つ。 今もその使命に準じてるのは日本では2・3家しか無いみたいだけど」

海風「人ならざるモノ…」

松風「ああ、大丈夫だよ。キミや霞って娘はちゃんと『人』だから。 もし人に悪意を持って危害を加えるってなら話は別になるけど」

天津風「どう言う括りなのよ…」

松風「人か人じゃ無いかは人の心を持っているか持ってないかで決まる。 例え見た目が化け物になり果てても心が人間なら人間、人の心まで捨てるならそれは人間じゃ無い…

キミ達の持つ力は言わば『人の持つ個性』でしかない。で、連中は個性を否定する、その『人』に仇なす悪意を持った化け物。だからキミらを護り、連中は排除対象と認めたのさ」

天津風「分かるような、分からないような…?」

松風「海風、だっけか。 キミは『人』かい? それとも『化け物』かい?」

海風「…『人』、だと思いたいです」

松風「なら護るべき者だ。 これが判断基準」

天津風「そんな曖昧な…」

松風「そんなもんだよ。 あそこにある碑、あれに刻まれてるのが母さん達の先祖… あの碑に名を刻まれた人達は、そうやって護る為に戦って来たんだから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/23(火) 03:06:45.34 ID:kSdKXoV90<> 《蔵》


海風「ここが蔵、ですか…」

松風「正しくは蔵1号だね。 4つあるうちの」

天津風「ここには何が在るの?」

松風「1号は先祖代々伝わる『武』に纏わる文献とか、あとは美術品とか歴史的な資料の類だね。

武術ってのは戦う為のもの、だから後継者が途絶えることで失われるものが多いらしい。それを保管するのがこの蔵さ」

海風「でも失ったものをどうやって?」

松風「秘伝書とか文献なんかをかき集めてるんだよ。そう言うのが無いのは関係した人たちから色々聞き出して、資料化してるんだと。

まぁ案の定古過ぎて劣化して文字が読めなくなったり、そもそも字が読めないものもあったりで…」

天津風「この壷は…」

松風「触らないほうが良いよ。専門家が見たら目玉ひんむいて、泡吹きながら尿漏れするくらいの代物だから」

天津風「ひぃっ!?」

松風「この1号蔵にはそんな類のものがゴロゴロしてるから気を付けてね。あとは昔の暮らしとかを記録した本とかもここに収蔵されてるか」

海風「博物館が建てられそう…」

松風「実際ウチに博物館からの寄贈の要請がわんさかさ。 だけどここは歴代の重ねた歴史だから、どこにも出しちゃ駄目って先祖代々言われてる。

GHQすらここに手出しは出来なかったそうだよ。 この前の震災でちょっとモノが壊れたりしちゃったけどね」

海風「セキュリティ大丈夫なんです?」

松風「ここに来るまで無事で済むと思うかい? ヘリで空からとか地面掘って入ってきても、迎撃できるだけの準備はあるし」

海風「ですよねー…」

松風「キミらに見せられるのはここだけだよ」

天津風「他の蔵は駄目なの?」

松風「内容だけ言っておくと2号は武器蔵で歴史的にヤバめの武器とか収蔵してて、3号蔵はまぁ人が触れちゃいけないような類のものが入ってて、4号は…」

天津風「4号は?」

松風「…」

天津風「何よその沈黙!?」

松風「下手な真実は知らないほうが良いよ」

天津風「そんなヤバイの!?」

松風「ぶっちゃけると… 『人じゃないもの』が」

海風・天津風「!?」

松風「ミイラとか骨とかが大半なんだけどさ…」

海風「それって生きてるのもあるって…」

松風「厳重に封印された悪霊の類とか、死なずの化け物とか…」

天津風「…見た事、ある?」

松風「深海棲艦、化け物と戦ってた僕から見ても… 漏らしかけたね」

海風「うわぁ…」

松風「まぁ人に友好的なのも居るから一概には言えないんだけど… その、ね? おかげであそこだけ地球が壊れでもしない限り壊れないような特殊物質で出来て、まじないの類も幾重にも重ねてるから」

天津風「安心、して良いの…?」

松風「そ、それに今は昔は駄目だったけど今は殺せるような武器もあるし… これとか」

天津風「携帯電話…?」

海風「それ、ファ○ズフォン…」

松風「出所は不明なんだけどね… おもちゃかと思ったら本物でびっくりだよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/24(水) 02:31:38.09 ID:wVDLRdIA0<> プルルルル

松風「ん? 母さんかな… はい、どうしたの? 分かった、連れて行くよ」

天津風「家の中に内線電話まであるのね…」

海風「と言うかよく蔵に居ると分かりましたね…」

松風「母さんがキミ達をお呼びさ。応接間に行くよ」


《応接間》

大鯨「どう、我が家の感想は?」

海風「す、凄く広かったです」

天津風「色々と凄まじくて…」

大鯨「誰もがそう言うわ。仕方のないことだけど。 で、これからについて説明するわね」

海風「海風達はどうすれば?」

大鯨「二人には青葉区、仙台駅から徒歩15分くらいのところにあるマンションに住んでもらうわ。今そこの隣部屋に榛名ちゃんが住んでるから、何かあったら頼って。

食事や日常生活については可能な限り自分でやって貰うことにはなるけど… 隣に秋月ちゃんも居るから多分大丈夫だと思うから」

天津風「そこに引き篭もっていれば良いんですか?」

大鯨「どこかに出かけても構わないわ。だけど可能な限り買い物とかは近場で済ませること、遠出をするなら変装をして護衛をつけること、戦う『備え』はしておくこと。でも可能な限り交戦は避けることと、今から渡す携帯を持ち歩く事。

で、外出先で『もしも』の事態にあったら点在しているウチの系列会社に逃げ込んで貰えれば対応出来るように通達はしておいたわ。住所と社名の目録は貴女達のアドレスに転送してあるから」

海風「意外と自由はあるんですね」

大鯨「全部縛り付けていたら苦しいだけだもの。ただ貴女達は危険と隣り合わせだってことは留意しておいて」

海風・天津風「はい」

大鯨「一応日用品とかベッドは用意しておいたけど、あと必要なモノ、買っておいたものが好みと合わなかったりしたら部屋に資金をちょっとだけ置いておいたからそれを使ってね」

海風「良いんですか、そこまでして頂いて?」

大鯨「貴女達は守護対象であり、お客様。もてなしは当然じゃない」

天津風「はぁ…」

大鯨「松風ちゃん」

松風「はい。 これがキミ達に渡す携帯だよ」

海風「さっきのファ○ズフォンじゃないですか!?」

大鯨「はぁ… 勝手に持ち出さないの、蔵2号に戻してきなさい。あと渡すならファ○ズじゃなくてサ○ガとオ○ガ、ギアも一緒しなさいな」

海風「その2つのギアもあるんですか!?」

松風「冗談さ。 こっちが本物、まぁ極普通のiPh○neさ」

天津風「流されたわね、見事に」

海風「海風Android派なんですけど…」

松風「じゃあこっちだ。極普通のエクス○リア」

海風「最新機種ですけどね…」

大鯨「じゃあ後は… 天津風ちゃんは隣に、海風ちゃんは此処で待って。あと松風ちゃんは浜風ちゃん呼んで」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/24(水) 04:53:04.78 ID:wVDLRdIA0<> 浜風「私が呼ばれたと言う事は例の件ですね?」

大鯨「そう、貴女達の戸籍の話よ」

海風「目処が立ったのですか?」

大鯨「実はねぇ… 戸籍自体は作るのは簡単、まぁ手を回せば良いだけなんだけど問題が生じちゃってね…」

浜風「問題、ですか?」

大鯨「戸籍を作るのは良いけど、学校の問題とか色々手を回しきれないのよ。しかも古い戸籍の抹消なんて無理、少なくとも記録は残っちゃうの」

海風「じゃあどうするんです?」

大鯨「ここで一つ提案。 私の養子にならない?」

浜風「養子!?」

大鯨「メリットは今の両親から籍を外せる、手続きも最低限で済むからコストは最低限、法的に守り易くなる、その他色々…

デメリットは苗字が変わることで世間からの目がくること… そしてもう一つが大きいのよ」

海風「…『人の守護』の業を背負うことになる、と言うことですか」

大鯨「そう。一応私の幾つか用意してる偽装戸籍の一つに養子にするつもりなんだけど… 私と偽装とは言え戸籍上の義娘になるってことは、否が応でもその運命に巻き込まれる可能性が生じる」

浜風「―――私は、構いません」

大鯨「良いのね?」

浜風「もう何度も深海棲艦とは矛を交えています。なのでそんなのは今更の話、とっくに戦う覚悟は出来ています」

大鯨「そう… 海風ちゃんは?」

海風「海風は…」

大鯨「考える時間、必要かしら?」

海風「…いいえ。 海風も、それでお願いします。 バビロニアで目の前で救えない命を見て、理不尽に命を奪われるのを見て…

そんなのはもう嫌だから… 海風の力で誰も傷付かない未来が創れるのなら、守護者の業も戦う罪も全部背負います」

大鯨「分かった。手続きはこっちでしておくわ。 じゃあ後は… 大丈夫かしら? あ、ガンプラの整備はこっちでやっておくから。

あと瑞鳳から『例の機能』について聞いたから、使えるようにしておくわね」

海風「例の機能?」

浜風「私の機体、『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』には他の機体にはない特殊機能を有しています。

そしてその機能は『ウイングガンダム・アズライト』にも密接に関わっていますがその能力は特殊状況下、人工粒子影響下でしか使用出来ない難点があって未調整で放置されているんです」

海風「で、その機能の調整を大鯨さんが?」

大鯨「ええ。ビルダーとしては瑞鳳よりちょっと下程度だけど、RGフレームを弄ることくらいは私にも出来るし、予備パーツも貰ってるから」

海風「そう言えば『RGフレーム』って共通部品が多いんですよね? アズライトのフレームは失敗作で他とは変質してる筈なのに、どうして互換性が?」

浜風「今のアズライトのフレームは春雨製の『フレスヴェルグフレーム』と瑞鳳さんの『RGフレームtype-Vプロト』を組み合わせたものです。

変質しているのはコアと胸部フレームだけでそこはオリジナルのまま、他は全部type-Vプロトを用いて改修を施してあります」

大鯨「因みに系譜をホワイトボードに書いてみると、こんな感じ」


・RGフレーム(全ての始祖。搭載機:『ゲイルストライク・クロイツ』『レーゲンデュエル・クロイツ』、春雨製の機体全般)
・RGフレームtype-T改(パワー全振り。搭載機:『ネブラブリッツ・クロイツ』)
・RGフレームtype-U(RGシステムtype-Z搭載型の始祖。搭載機:『ヘイルバスター・クロイツ』『ヴァンセイバー・クロイツ』)
・RGフレームtype-U改(RGハウリング搭載型。搭載機:『ニクスプロヴィデンス・クロイツ(リバイ)』『ミラージュフレーム・クロイツ(リバイ)』)
・RGフレームtype-V(機体とファイターの共振機能搭載、パワー強化。搭載機:『ガンダムエピオン・クロイツ』)
・RGフレームtype-V改(パワーを落とす代わりに共振機能を拡大化させた。搭載機:『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』『ブラストアクロスZZ』)
・RGフレームtype-V改改(共振機能を省き、パワー全振り。搭載機:『ダブルオーガンダム・クロイツ』『ガンダムダブルエックス・クロイツ』)
・RGフレームtype-W(Vを安定させたもの。浜風用のものは特殊機能有り。搭載機:『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』)


海風「じゃあロンギフローラムとブラストアクロスはtype-V改に相当するからtype-Vプロトのアズライトとは互換性があったと」

大鯨「ぶっちゃけると胸部パーツとコア以外はほぼ大差無いのよね。V以降は関節強度はエグイくらい強くなってるけど」

浜風「完全に互換性が無いのはT系統だけで、あとは多少の互換性はあります。この点は覚えておいてください」

海風「覚える意味があるのですかねぇ…」


イベント安価 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/25(木) 15:57:50.44 ID:YwFtYygxO<> 武器蔵に行く <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/26(金) 04:48:46.44 ID:IFJAJKYk0<> 《蔵2号》


大鯨「よいしょっ、と… ここが蔵2号。所謂武器蔵ね。武器と言っても『曰くつき』のものばっかりの蔵だけど」

海風「海風達をどうしてここに?」

浜風「ここは立ち入るなと瑞鳳さんが以前にも…」

大鯨「そうね。ここに所蔵している武器には『意志』があるものもある。長年に渡ってあり続けた武器に九十九神が宿るなんてザラだもの。迂闊に近付けば取り憑かれる。

九十九神ってどうして百じゃなくて九十九なのか、知ってる?」

浜風「そう言えば聞いた事は…」

大鯨「九十九神は神様の成り損ない、『百』である神に至ることなく存在が定着してしまったもの。

八百万の神として不適格、つまり欠けている神様だから『九十九神』なのよ。諸説ある中の一つ、なんだけどね。人を求めるのも、『百』へと至るためじゃないかって私は考えてる」

海風「足りないモノが、人にあると?」

大鯨「それが何なのか、例えば血の通う肉なのかそれとも人の魂なのかは分からない。だけど九十九神の生じた武器は人を求める、呪いの武器やら妖刀って言うのがソレなのよ」

浜風「成るほど… でも何故尚更私達をここに?」

大鯨「貴女達は私の娘になる、それはさっき海風ちゃんが言った通り『守護者の業』を担うことになるわ。

戦うための道具は要るでしょう? 持っているだけで使わないで済むのが御の字だけど、念のためにね」

浜風「つまりここにある武器から選べ、と?」

大鯨「簡単に言えばね」

海風「しかし海風は武器なんて持った事は…」

大鯨「大丈夫よ。もし貴女に完全に適合するような武具があれば、きっと勝手に身体が動くようになるから。

適当に手にとってみれば大体はわかるわよ。拒絶すれば武具の側から逃げるし」

海風「それって操られてる状態じゃ…」

大鯨「精神力さえあれば制御出来るわ。海風ちゃんの精神力なら問題は無し、寧ろ浜風ちゃんの方が危ないかも」

浜風「メンタル弱い扱いなの何で…」



海風「うわ、さっきのファ○ズフォンだけじゃなくて他のドライバーも揃ってる…」

大鯨「あ、そこのほぼ化石になってるベルトの類は駄目よ。本当に取り返しつかないから」

海風「アー○ルとオー○ドライバーは流石に… と言うかライ○ーズギアってオル○ェノクじゃないと適合しないのでは?」

大鯨「そこはバッチリ弄ってあるわよ。 ハシラジマに持っていってもらって、ベルトの認識機能を弄って貰って」

海風「えー…」

大鯨「まぁ戦○ドライバーとかゴース○ドライバー、あとロ○トドライバーなんかは使っても問題は無いと思うけど…

あまりその辺は持って行って欲しくは無いわね。本当に色々危ないし」

海風「そこは流石に弁えていますよ」




浜風「何と言うか、どれもしっくり来ないような…」

海風「あまり武器なんか詳しくも無いし…」

大鯨「そうね… 無理に選ぶ必要は無いわ。 またいずれ、正式な手続きが済んだあとでも遅くはないし」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/28(日) 01:53:38.53 ID:B2N8LnO20<> 時雨「終わったかい?」

浜風「ええ。今後の段取りもつきました」

天津風「何の話してたの?」

海風「複雑は話ですよ。天津風さん達は無関係ですけど」

天津風「なら家庭の話ね… それくらいしか私達が無関係なのは無いし」

海風「まぁその位であれば簡単に予想は出来るでしょうし… 後は大鯨さんがマンションまで車で送ってくれるそうです」

春雨「流石に電車はもう飽きましたし、はい… あ、瑞鳳さんから連絡がありました」

浜風「瑞鳳さんは何と?」

春雨「『二人が無事に目的地に到着したのを確認、それぞれ穏便に活動しつつゆっくり休養を』だそうです」

海風「そう言えば瑞鳳さんは何処に?」

浜風「箱根の夕雲の実家です」

時雨「…一番豪勢なとこに陣取ったね」

天津風「え?」

春雨「夕雲の実家は高級旅館でして…」

海風「そう言えばこの前先輩の口を割らそうと実家から貰ったらしいA5飛騨牛を餌にしてたような…」

浜風「その、何と言うか著名な方々もよく利用するようなところなので贈り物が絶えないんです… そこの一部を夕雲経由で瑞鳳さんが受け取ってて…

さらには瑞鳳さんが夕雲の実家問題を解決した時偉く気に入られてるし、凄い高待遇は間違いないんじゃ…」

海風「何かずるい様な、ずるくない様な…」

時雨「まぁ擁護するなら瑞鳳は昏睡病の発覚直後からずっと動いてて、休んでる暇もほぼ無しのハードワークだったから。

各方面とかけあってたのも瑞鳳だし、何なら裏組織一つ一つを虱潰しにして流通ルートを壊滅させたりしてたからね」

浜風「それに『バーニングバースト』を使用したのであればここ数日は立ってるだけでやっとの有様でしょうし… 療養も兼ねて、休んでもらわないと」

天津風「『バーニングバースト』?」

春雨「簡単に言えば『アズライトバーストイレギュラー』の超強化版で、スタジアムを全焼させたのもその力です。はい」

海風・天津風「え」

春雨「必要なのは瑞鳳さんが『ガンプラを完全に精神を同調させ』ることと『肉体のリミッターを全部外すこと』で、肉体・精神的にも過負荷が激しくて常人なら廃人になる程だとか」

時雨「キミ達には弱いところは見せられない、って頑張って平気なフリしてたけどね」

海風「瑞鳳さんが…」

大鯨「お待たせ〜。あら、どうかしたの?」

浜風「いえ、何も。 では行きましょうか」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/28(日) 03:07:28.98 ID:B2N8LnO20<> 《マンション》


舞風「あー、疲れたぁ…」

弥生「荷物、絶対二人で運ぶ量じゃない…」

大鯨「二人共お疲れ様。来月のお小遣い、2倍ね」

舞風「やったぁ!こっち選んだ甲斐があったよ!」

弥生「じゃんけんで、負けただけ…」

舞風「うっ…!? それは言わないでって…」

野分「はぁ… 舞風、もうお客様が来てるんだからあまり騒がないの」

舞風「はーい。じゃ、後はごゆっくり」

弥生「失礼、します…」

野分「すみません、騒がしくて」

時雨「元気があって良いと思うけど? それにしてもかなり広いね、ここ」

大鯨「ファミリータイプのマンションだもの。4LDKだから一組だけ同じ部屋になっちゃうけど…」

春雨「なら春雨と時雨がその部屋を使います、はい」

浜風「え、なら私達でも…」

海風「断 固 拒 否 し ま す」

浜風「…」

時雨「そうなると思ってたよ、うん」

野分「秋月と如月、私と榛名さんは隣の部屋に居ます。如月は不在がちですが私と秋月はトレーニング以外は居るので何でもおっしゃって下さい」

天津風「スーパーとかはこの近くにあるの?」

野分「徒歩2分のところに大きめのスーパー、アーケードまで出れば飲食店もあって衣類の類も買えますし10分も歩けば駅ですから買い物は大丈夫かと。

コンビニも色々あるけど夜は治安が良いとは言い難いのであまり出歩かないのが賢明です」

天津風「その、模型とかは…」

野分「チェーン店なら駅前に出てヨ○バシとボー○ス、あとは文○堂ホビーとか… あとは八乙女にあるTam○amくらいかしら…?

あとは個人ね。 ここの最寄だとあおば通りの中のデパートの向かい、あとは南仙台の榛名さんの実家に中野栄のウチね」

天津風「榛名さんの実家も模型屋だったのね」

野分「ええ。と言っても榛名さんがやってるなんでも屋としての側面が最近強くなってるけど…」

海風「本業より副業が儲かるってあるあるですよね」

野分「継いでないから副業って訳じゃ… まぁ、その辺は置いておいて… 観光は… この辺何かあるかしら…?」

大鯨「勾当台公園と西公園くらいじゃない? どっちも大きな公園って位で、見所は西公園にSLが飾ってあるくらい?

観光がしたいなら駅に出れば観光用の循環バスとか秋保とか観光地行きバスもあるわよ。鉄道使えば仙台空港と利府の新幹線基地、あとは三陸方面なら気仙沼に松島もあるわ」

天津風「い、色々あるんですね…」

大鯨「勿論見て欲しいのは海の○水族館と仙台港だけどね」

天津風・海風「あ、はい」


イベント選択 直下
1.海風『未知の地に』
2.天津風『空への憧憬』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/28(日) 09:50:11.60 ID:vVIWt0w70<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/29(月) 03:41:29.72 ID:HIwDuUJz0<> side-海風-『未知の地に』

《仙台市内 アーケード街》


野分「ここの路地は行き止まりで、あそこの路地は今工事で通行止めです」

海風「成るほど…」メモメモ

秋月「あの、さっきから何を…?」

海風「逃走経路の確認です。マンションや周辺で襲撃があった時の為に確認は必要でしょう」

野分「確かに逃げ道の確保は必要ね… あ、そこの路地は裏通りに繋がってて右に曲がると勾当台公園に着きます」

海風「左は?」

野分「大通りに出て、そこを右に真っ直ぐ行けば駅に出ます。でも人に紛れるなら公園駅から地下鉄に乗ったほうが良いかしら…

地下鉄はここを通っているのは南北線で終着駅は泉中央と住宅街のある富沢、仙台駅で東西線に乗れば動物園のある八木山と浜に近い荒井が終着駅ね」

海風「ありがとうございます。 じゃあ次は逃げ込めそうな施設は…」

野分「この近場なら県庁と市役所があります。あとはデパートが幾つかに、確か県警本部があったかと」

海風「県警本部があるなら何とかなりそうですね」

秋月「あ、少し良いですか?」

海風「どうしました?」

秋月「ここの周辺なんですけど、大きな病院が2箇所あるんです。1つは普通の大きめの病院で、もう一つは大学病院なんですけど…」

海風「成るほど、医療施設も確認しておいて…」

秋月「それだけじゃなくて、その… その2箇所の病院に、昏睡病の罹患者の3割が入院しているんです」

海風「罹患者が…?」

秋月「はい。一応その事を頭に入れておいて欲しい、とお母さんが言ってました」

海風「…分かりました。留意しておきます」



海風「大体このくらいで良いでしょう。二人共、ありがとうございました」

野分「いえ、母さんに助けになれと言われてるから。 だけど貴女も真面目ですね」

海風「ここは未知の場所ですから。 把握しておかないと、イザと言う時に動けませんし。それに結構、こう言うのも好きなんです」

秋月「場所の把握とか、ですか?」

海風「自分の知らない街や風景を見て歩いて隅々まで知るのも、楽しいですよ」

海風(だけど身の安全は自分で護らないと… あまり襲われる、と言うのは想像したくはないけど)

野分「あ、そうだ。 そろそろ良い時間ですし、お茶でもどうです?この辺に結構オススメのお店があるんですよ」

海風「良いですね。 試しに行ってみたいです」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/30(火) 02:40:30.52 ID:Q9g+Khbz0<> カランカラン

<イラッシャイマセー


榛名「あら…」

海風「あれ、榛名さん…?」

野分「ここに居たんですか?」

榛名「ええ。実家で用事を済ませて、こちらに戻ってきました」

秋月「用事?」

榛名「破損した3機と天城達の機体の回収です。阿武隈達のは修復と調整、天城と満潮の機体にはUC-Dを搭載しようかと。

勿論『ファヴニール』『エイクスュリュニル』『ラタトスク』、そしてここに無い機体にも搭載予定です」

海風「しかしアレは…」

榛名「勿論、欠陥があるのは知っています。力にリミッターをかけられないから際限なくパワーを増幅させて自壊を招く、オリジナルである『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』から続く欠点であり改良できなかった点です。

その改良理論自体は完成していますが、今のデータではどうにも… それでもEXAMの脅威が残っている以上、力は必要です」

海風「それだけじゃありません。機体内部に蓄積された粒子が人に感応して、共鳴現象を引き起こす可能性だってあるんです。

ファイターの過負荷だって馬鹿にならないし、制御不能になって暴走すれば…」

榛名「分かっています。だから使用した実機のデータが必要なんです。 完全に制御を行うために」

海風「と言うかやっぱりコピーじゃないですか」

榛名「…」

海風「何とか言ってくださいよ」

榛名「春雨さんには申し訳なく思っています、はい」

海風「しかもサラっと言ってますけど、瑞鳳さんすら至らなかったフレスヴェルグのフレーム技術を完全再現したと」

榛名「いえ、粒子貯蔵の技術までは出来ていないので完全とは言い難いかと」

海風「それでも、大まかな理論は模倣出来ていると」

榛名「ええ。それは完璧に出来ています」

海風「呆れた…」

榛名「…丁度良かったです。海風さん、少しお話があります。座って、何か適当なものを頼んでください。奢りますから」

海風「はぁ…」

榛名「野分さんと秋月さんも。好きなモノをどうぞ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/10/31(水) 03:51:28.94 ID:dRuJfKTl0<> 海風「UC-Dのデータ取得の依頼…?」

榛名「海風さんはオリジナルの『モード・アズール』の使用経験があり、完全制御した唯一の人間です。

さらには強化された『アズライトバースト』、その変質状態すら制御してみせた… 貴女以上に適役は居ません」

海風「具体的にはどうしろ、と? まさかアズライトのデータを…」

榛名「いえ、貴女とアズライトのデータは正直参考にならないんです。貴女達はもう人と機体が完全に同調している状態、未知の領域に達しているので」

野分「未知の領域…?」

榛名「その一端があの力、『アズライトバースト』の変質形態… 更なる可能性を引き出せば… …いえ、ここで話すことではありませんね」

秋月(榛名さんが口をつぐんだ… 一体何を…?)

海風「では、どうデータを?」

榛名「貴女に改RX-0、既に改修を加えUC-Dを搭載済みの機体を貸与します。 その機体で他の機体とのUC-D使用時の交戦データを複数採取してください。

欲しいのは発動時の稼動データだけ、他のデータは破棄するとお約束しましょう」

海風「もう改修した機体が…」

榛名「一番最初、実験的に導入した機体です。 これが、その機体…」

海風「青い『スヴァジルファリ』…?」

榛名「元々は榛名用の予備機、3機の性能を統合させた実験用の機体『RX-0[Fg]フィルギア』です。

パワーはアズライトに劣りますが、性能は引けをとらない筈かと」

海風「『フィルギア』…」

榛名「勿論報酬はありますし、条件はそちらでお決めください。どうかお願いします」



依頼に… 選択 直下
1.応える
2.依頼を受けない <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/31(水) 10:34:46.88 ID:ZmviJPutO<> 1 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/31(水) 10:34:54.93 ID:tahLP7Sg0<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/03(土) 02:30:54.44 ID:ceLtQ+Ct0<> 海風「ではこちらから3つ条件を提示させて頂きます。これを飲めなければテストは請け負えません」

榛名「条件は?」

海風「1つ、取得データ及びUC-D基礎理論データの春雨さんと瑞鳳さんへの開示。あれは元々の技術はこちらのものですから」

榛名「構いません。元々、『シームルグ』と『カラドリウス』導入するつもりでいましたし」

海風「2つ、交戦するファイターは海風との交戦経験が無くこれから戦う可能性が無いファイターであり、その人物から海風のデータの供与を受け無いこと。

榛名さん自身は採らない、と言いましたがテストの相手がそうとは限りません。そちらにこちらのデータだけが渡るのは不公平です」

榛名「分かりました。 大会に参加しない、不知火さん達に協力を仰ぎましょう」

海風「そして最後の3つ目は… 『ウイングガンダム・アズライト』及びこちらの予備機である『ガンダム・バエルセレスタイト』の2機分の改修パーツの供与です。

仕様書は後程お渡しします。また設計データ等は完成後こちらに譲渡しそちらの分は破棄、一切の複製や再現を禁じます」

野分「最後のは些か吹っかけ過ぎじゃ…」

榛名「別にそこまでの無茶ではありません。寧ろ前者二つはこちらで配慮すべき事であって当然のこと、こちらとしては実質的に条件は1つだけかつ1人分の機体を強化するだけで全ての『改RX-0』が強化される…

こちらにとっては好条件、損より利益の方が大きい美味い話です。だけど海風さん、今は協力関係とは言え普段は競い合う相手ですよ? もしかすれば機体パーツに何かしら仕込む可能性も否定できないのでは?」

海風「榛名さんのお仕事は信用が第一、ですよね? しかもビルダーとしての誇りもある、そんな人物がわざわざ自分の名を貶める行為をしますか?」

榛名「必要であれば、しますがね。 今回はその時では無いので絶対にしませんが。疑うのであれば瑞鳳さんと春雨さんの二重チェックでもして頂ければ」

海風「そこまで言うのであれば大丈夫です」

榛名「あと仕様書を頂いても無理なモノ、例えば確実に強度が足りなくなるような無茶な装備などは承れません」

海風「そこは後程すりあわせを行いましょう。その場合の仕様変更は仕方無いことなので」

榛名「ではこの条件で契約の締結と言う事で」

海風「ええ。仕様書の形式は紙媒体と電子どちらで?」

榛名「電子で。3DCADの図面とか送られても素人のモノは手直しに時間がかかるので出来れば文書で」

海風「元々CADなんか弄れるのは天津風さんぐらいなので大丈夫です。では後程送付します」

秋月(何だか、この二人怖いです…)

野分(顔は割りと笑みなのに腹の探りあいしてて変なオーラが…)


・機体変更(一時)
海風:RX-0[Fg]『フィルギア』

RX-0[Fg]フィルギア
武装
・60mmバルカン砲
・ビーム・サーベル×4
・専用ソード・ライフル『レーヴァテインS』
・クロー・シールド
・肩部ビームキャノン×2
概要
改RX-0の『スレイプニル』『スヴァジルファリ』『ガルム』の同型機であり性能統合機。
それぞれの能力は特化させた同型3機にこそ少しだけ劣るものの高い水準の性能を誇り改RX-0の中でも上位機種に該当する。
機体特性は『スレイプニル』に近く、武装は『スヴァジルファリ』と同じで、頭部は『ガルム』同様バンシィベース。
専用武装の『レーヴァテインS』は天城用の『レーヴァティン』に性能は近い。しかし『コード・ブレイヴ』発動時には天城・間宮機両方の能力を行使可能と言う破格の能力を持つ。因みにクローを使えば長波機の『コード・ブレイヴ』も使用できる。
ステルス機能は持っておらず機体特性が『スレイプニル』に近いため燃費は良い。また3機共通の能力『スフィアクレイドル』『シャドー』の能力は保持したまま。
塗装は青。NT-D使用時には蒼い光を各部から発する。海風が使用するために調整した結果とのこと。
モチーフ『ラフトクランズ』。天城の『アウルン』と間宮の『ファウネア』、長波の『カロクアラ』と3機はOG版ベースだが本機のみスパロボJの『隠し主人公機仕様』となっている。
余談ではあるが本機の同型は上記の3機だけでなく残り2機程存在している。しかし2機とも『コード・ブレイヴ』発動機能はオミット、扱い易さを優先しているため性能も低めらしい。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/03(土) 04:22:10.16 ID:ceLtQ+Ct0<> 海風「そう言えば青葉さん達ってどうしてるんです?」

榛名「向こう側で事後処理と工作を。実は不穏な動きが…」

秋月「不穏な動き…?」

榛名「工場にあった機材は警察が全て押収しようとしているのですが… 陸自が引渡しの要求をしているらしく一触即発らしいんです」

野分「陸自がナノマシンを…?」

榛名「夕張さんが以前盗み出したデータの中にナノマシン絡みのものがあった、と言うのは知っていますね」

海風「あぁ、それは一応バビロニア事件の際のブリーフィングで聞きました」

榛名「ナノマシンは本来医療目的のものとして開発されました。もしEXAMなど入れなければナノマシンによる応急治療で致命傷で無ければ銃創でも数分で治癒できる程の効果があったそうです。

もしかすれば陸自はナノマシンを独自開発するつもりなのかもしれません。現状でも、脳を作り変えることすら出来てしまうナノマシンですから」

海風「どこのG4ですか一体…」

秋月「じーふぉー?」

海風「警察が対化け物用にって作った装備の内危険だからと設計段階で封印していたものを自衛隊が持ち出して実際に作った、って内容の作品があるんですよ。

そのモノ自体は強力なものでしたがAIに致命的な欠陥を抱えていて、結局人の手に負えなくなってしまうんです」

秋月「それで、どうなったのですか?」

海風「そのモノはパワードスーツなんですけど、AIによる過負荷によって装着者は死んでしまいました。しかしAIが勝手に再起動して、その人の遺体すら部品にして動き出そうとして…

で、対峙した似たようなパワードスーツを装着した警察官の怒りの銃撃でようやく沈黙して、まぁ作品はそこで終わりです」

榛名「もしナノマシンの独自開発など行えばおそらく海風さんの言う様に『人の手に負えなくなる』のは目に見えています。

なのにそれすら分かっていない、一部の自衛隊のお偉方が居るんです。なので青葉さん達には監視と警察への協力を頼んでいます」

海風「…もしかすれば、『完全制御出来る手立てがある』可能性は?」

秋月「まさか、そんな事…」

野分「だけど、単純に考えるとそんなに強気に出られるのは何かしら理由があってのことかも…」

榛名「やはり海風さんもその結論に達しましたか… 海風さん、『能力』を使ってください」

海風「予測する事象は? どの規模の予測で?」

榛名「『自衛隊が何をしてくるか』の中で最も可能性が高いものを、最大予測で」

海風「分かりました。 2分、あと可能な限りの糖分をください」

榛名「すみません、注文お願いします!」



海風「…予測終了しました。頭いた…」

榛名「とりあえずホットチョコレートで、一気に糖分を流し込んでください」

海風「いえ、まず結論から… 『自衛隊が護送車もしくは留置場所を極秘裏に襲撃、クルストの身柄の保護』が一番高いです。最大予測を行使して745パターンを予測した結果534通りが該当しました」

野分「そんなに多いんですか…!?」

海風「いくつか条件を変えて、分岐予測をした結果ですけど… 自前で作れる、なんて可能性は2通りしかありませんでした。

そして出来たとしても、ナノ・ハザードを高確率で引き起こして… 阻止しない場合、良い結果はありません」

秋月「榛名さん、これって…」

榛名「分かりました。 大鯨さんを経由して現地警察に連絡、そして青葉さんたちによる警戒強化にPMCの導入も視野に『テミス』を…」

海風「テミス?」

秋月「榛名さんのお知り合いの古巣のPMCらしいです」

海風「何でそんな知り合いが居るんですかねぇ…」


イベント選択 直下
1.天津風『感情とソラ』
2.浜風『心の落ち着き』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/03(土) 08:50:43.49 ID:JW4TqOUjO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/05(月) 02:43:11.64 ID:FyRSU+N00<> side-浜風-『心の落ち着き』

《マンション リビング》


浜風「ふぅ… ああ、極楽…」グデー

春雨「…コーヒー牛乳飲みながらマッサージチェア使ってると、零しますよ」

浜風「春雨? どうかしましたか?」

春雨「なんか堪能してるな、と思って…」

浜風「ようやく、少しは肩の荷が下りたんです。これくらいの贅沢良いじゃないですか」

春雨「でもまだ終わった訳じゃ…」

浜風「…この4ヶ月、ずっと戦ってました。今の日常を守りたくて、関わらせたくないと言う瑞鳳さんに反抗してまで。

でも止められなくて沢山の犠牲者を出して、自分の無力さを改めて思い知らされた気分です」

春雨「浜風だからこそ防げた犠牲もあったと思いますよ、はい」

浜風「だけど結局全員を救えなかった。挙句、海風まで戦いに巻き込んで要らぬ力を目覚めさせて…

私がスドウ・シュンスケが薬を手にする前にクルスト達を止められていれば、あの子も霞さん達も傷付くことは無かったのに…!」

春雨「だけど海風さん達の参戦が明暗を分けたのも事実です。神通さんが未来の情報を齎して、霞さんがこちらを妨害するアナハイムの崩壊の引き金を引いて、海風さんが決勝戦でのテロ発生を予測して…

海風さん達が居なければ私達の未来は無かった、それは紛れも無い事実です。はい」

浜風「だからこそ自分が、自分の無力さが、何の力も持っていない自分自身が許せ無いんです。

これがただの現実逃避だってのは頭では分かっています。だけどこんな事実を突きつけられたら逃避したくなりますよ…」

春雨「浜風だって強いですよ。自分が志半ばで斃れると告げられても逃げないで戦って、運命を変えたんです」

浜風「春雨…」

春雨「それにもう一度言いますが浜風が戦わなければ生じた犠牲だってある、それを止めただけ立派だと思います。はい」

浜風「…やっぱり、春雨には敵いませんね。 少しだけ心の靄が取れた気がします」

春雨「ならこのまま気分転換に少しでかけませんか? この辺少し歩いてみたいんです、はい」

浜風「時雨でも誘えばよかったでしょうに」

春雨「時雨は天津風さんと一緒に先ほど出かけましたよ?」

浜風「…気付かなかった。海風が野分さん達と出かけたのは知ってたけど…」

春雨「…相変らず海風さん以外のことは眼中に無いんですね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/06(火) 02:03:46.67 ID:mdCChN2p0<> 《市街地》


春雨「…まだ食べるんですか?」

浜風「勿論。次はここの鯛焼きを…」

春雨「いくらなんでも4件目はやり過ぎです、はい」

浜風「でもまだ抹茶ソフトとひょうたん揚げ(蒲鉾を2つ刺して揚げた食べ物)にずんだシェイクしか…」

春雨「もう充分だと思いますけど。それよりあっちに模型のお店が…」

浜風「…こんな遠方に来て模型ですか?」

春雨「え、駄目…?」

浜風「マンションに戻れば徒歩5分もせずに模型屋があって10分もあればヨ○バシもボー○スもあるのに…?」

春雨「個人経営のお店だからレアなキットが残ってる可能性があるんです…!」

浜風「いや春雨の実家だって模型屋ですし、そもそも春雨ガンプラ以外作らないでしょうし、何よりイベント限定品とか売れ筋になりそうなのは軒並み2個くらいストックしてるじゃないですか」

春雨「め、メタルビルドとかロボット魂とかあるかも…」

浜風「ロボット魂はまだしもメタルビルドはもう全部揃えた上でもう1個ずつストックしてるじゃないですか」

春雨「…」

浜風「…」

春雨「しょ、書籍…」

浜風「無理して理由作らないでください」

春雨「…」

浜風「…」

春雨「春雨達って、する事がいつもワンパターンな気が…」

浜風「時雨と夕雲の貴重さがよく分かりますね… 二人だと食べるか模型見るかどっちかしかしてないです」

春雨「次は海風さんを連れてきましょう。あの子ならきっと観光とか楽しんで…」

浜風「どうだろう… あの子どちらかと言えばマイペースだから変な方向に楽しみそうで付いて行け無い気が…」

春雨「時雨と夕雲の貴重さが身に染みます… 好奇心旺盛で何でも楽しむ時雨と観光地出身だから楽しむ方法を熟知してる夕雲が…」

<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/06(火) 04:32:08.01 ID:mdCChN2p0<> side-天津風-『感情とソラ』


《仙台空港》

時雨「…仙台空港って言う割には、ここ仙台市内じゃないんだね」

天津風「そうみたいですね」

時雨「そう言うもの、なのかな?」

天津風「流石に空港なんか市街地に建てたら騒音問題で訴えられますよ」

時雨「確かに、それもそうか…」

天津風「…」

時雨「…何か僕に不満でもあるのかい?」

天津風「別に」

時雨「あの時、僕がキミを叩きのめした事を根に持ってる?」

天津風「その件は時雨さんが正しい、って事は理解してます。ガンプラ学園への恨みを捨て切れて無い自分が悪いって」

時雨「だけどまだ心の中にしこりがある、って訳か…」

天津風「時雨さん、貴女は誰かを潰して立てない程に叩きのめしたいって思った事はありますか?」

時雨「無いといえば嘘になるかな。 この前出会ったシェリンドン・ロナとかナノマシンをばら撒いた連中とか」

天津風「いや、そう言うのじゃなくて… こう、個人的な恨みとか…」

時雨「無いね」

天津風「聞いた私がバカだった…」

時雨「だって恨むような相手に遭った事が無いし。学校だって通ってないのに、そう言う相手を見つけるほうが難しいって」

天津風「え、通ってないんですか!?」

時雨「一応高校生だけど、通信制で日中は基本店番だから。因みに中学校には通ってないから高校が学校デビューだよ」

天津風「はぁ… 頭痛い…」

時雨「…でも、そうだね。キミの身近に恨みとか嫉妬とか、ヤバめの感情の塊だったのが居るじゃないか」

天津風「海風、ですか?」

時雨「そうさ。 求める答えとは違うと思うけど、参考くらいにはなるんじゃないかな」

天津風「でも海風は私と違って、何でも持ってて…」

時雨「いや、その逆さ。彼女は『何も持ってなかった』、そこがあの子のスタートラインだよ」

天津風「何も持ってなかった…?」

時雨「キミは最初からガンプラ学園、あの結構恥ずかしい名前の学校に入るだけの才能を持ってた。

浜風と夕雲、春雨を新設時にスカウトしてきたようなガンプラに関してだけは超名門に… だけどあの子はソレすら無かった」

天津風「…でも海風は今の私よりずっと強くなって…」

時雨「それは心の差だよ。 あの子の動機、なんて僕には分からない。最初はキミのように負の感情で戦ってたのかもしれない。

だけど今のあの子は前向きな感情で戦って、今じゃ『ウイングガンダム・アズライト』と完全に同調すら果たした。ここがキミとの差さ」

天津風「私と海風の差…」

時雨「人は憎しみだけじゃ強くなれない。 強くなれてもそれは一過性、いずれ限界が来る。 だから目指さなきゃならないのはその先さ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/08(木) 03:40:35.01 ID:d62G5I280<> 天津風「時雨さん、貴女に夢はありますか?」

時雨「夢、か… 考えた事はそんなに無いかも。目先の事は考えてても、その先までは特に」

天津風「私にはなりたいものがあった、だけどその夢を奪われたんです。たった一度の敗北で、資格無しって言われて…」

時雨「ガンプラ学園の事? 確かに、前に矢矧が苦言を呈してたよ。 『流石に入学直後に一発退学はやり過ぎ、こんなんじゃ生徒の伸び代が駄目になる』って」

天津風「矢矧… メイジンが…!?」

時雨「そうさ。僕これでも、矢矧とはたまにプライベートで会うんだよ。主に愚痴ばっか聞いてる。

特にガンプラ学園の教育方針には相当頭にきてるみたいでさ、『旧ガンプラ塾を廃止したのに教育方法をそのまま継いじゃ意味は無いでしょ』ってもね」

天津風「だけど相当マイルドになってるって聞いてますけど…」

時雨「全然だよ。現にキミみたいな子が出ている時点で、褒められたような場所じゃないと思うし。夢を目指す人達を育む場として現実を教えるのも確かに役目ではある。

そこから夢を諦めてしまう子が出るのは仕方無い、だけどこれじゃただの暴力と変わらないよ。一方的に見切りをつけて潰すのは絶対に違う、理不尽に可能性を潰すEXAMと何ら変わらないじゃないか」

天津風「時雨さん…」

時雨「それに矢矧だって僕等には僅差で負けて、浜風や夕雲にも負けて、飛龍達にはフルボッコにされてるんだよ?

だけど矢矧のメイジンとしての支持は厚い。 先代の頃よりもガンプラに興味を持ったファイターだって増えてる、それは矢矧が掲げる『楽しいガンプラバトル』が理由じゃないかって僕は思う」

天津風「『楽しいガンプラバトル』…」

時雨「ただ強いだけじゃ駄目なんだ。 それではいずれ誰もが離れて、孤独しか残らない… だから楽しんでいる手本を見せる、それが彼女のやり方なんだよ。

それにキミは弱かった事で得たものもあった。 キミの周りには今誰が居る?」

天津風「誰って…」

時雨「頼りになる仲間に、先生が居るじゃないか。 些か思考のネジは10本くらい外れてるのが多いけど。

失った夢を『呪い』のままにするか、糧にして新しい『ソラ』へと向かうかはキミ次第だよ」

天津風「私は…」

時雨「そろそろ帰るよ。あと春雨が心配するし、何より今日はもうこの後の便は少ないからね」

天津風「分かりました」

時雨「あと、一つ聞きたいんだけど」

天津風「何ですか?」

時雨「キミにとっての『ソラ』って何?」

天津風「え…?」

時雨「少し解り難いか… ソラをどう感じるか、ってことさ」

天津風「私にとって空は…」

時雨「ま、この答えはまたの機会に聞かせてもらうよ。試しに海風にも聞いてみたら? きっと、面白い答えが返ってくると思う」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/08(木) 04:30:52.79 ID:d62G5I280<> 《夜 マンション》


浜風「全員、揃いましたね?」

春雨「揃ってます、はい」

海風「何ですか… 食べ過ぎて少し眠いんですけど…」

天津風「牛タンは暫く見たくない」

時雨「まさか帰ったら大鯨さんが部屋のベランダで七輪使って山盛りの牛タンを焼いてたなんて…」

春雨「わんこ蕎麦ならぬわんこ牛タンでした…」

浜風「しかも残りは全部冷凍庫に… ってそうじゃなくて、明日の事について話しましょう」

天津風「明日の事?」

浜風「出かけるにしろ引き篭もるにしろ、それぞれの予定を全員が把握しておく方が良いと思います」

時雨「そうだね。出先で何かあった時困るし、把握しておくに越した事はないから」

海風「海風は野分さん達と図書館、あと中野栄に行きます。早速水族館の方に行ってみようかと」

天津風「私は… どこかに出かけたい、って思ってます」

浜風「では私はここで待機を。 護衛は今日と同じで天津風さんに時雨、春雨は私に就いて下さい。海風は野分さん達に任せたほうが戦力的に安心ですし。

後は… 夕飯のローテーションとか考えておかないと…」

時雨「この中で料理出来ない人、手をあげて」

浜風「…」ビシッ

海風「…自炊すら出来ないなんて」

浜風「だ、だって下宿だし必要ないから…」

春雨「やっても基礎も出来ないのに凝ろうとして失敗するのが常です、はい」

海風「うわ、最低なパターン…」

浜風「」ガーン

時雨「いや、もっと最低なのは出来るって自己申告してる癖に実態はメシマズってパターンだよ」

如月「そうね、天城さんとか天城さんとか…」

海風「っていつの間に!?」

如月「合鍵貰ってるもの。ちょっと様子見にね」

時雨「天城って人の、そんなに酷いのかい…?」

如月「例えばエビチリを作ったら食べた人が突発的に海老アレルギー発症したり、高校の調理実習でクラス全員が当時人気だった天城さんのモノを食べて食中毒を起こしたり…」

春雨「最早テロでしかない気が…」

如月「その癖料理したがるから、天城さんがキッチンに入るのを陽炎ちゃん達が総出で抑えこむのがほぼ毎日の榛名さんご一家の日常ね」

海風「ひ、酷い…」

如月「だから忠告ね。 天城さんの持って来た食べ物は全力で受け取り拒否と置いて行ったらこのマスクとゴム手袋と防護服とトングを使って廃棄、作るって言い出だしたら野分ちゃんと榛名さんを絶対に召喚して阻止。

病院のお世話になったり今後食品アレルギーを患いたくなければね… 決して、怖い物見たさに食べるなんて選択は駄目よ…!」


イベント選択 直下
1.『対極の二人』
2.『三人の思い出』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/08(木) 10:27:47.47 ID:s3JwcPh20<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/10(土) 04:35:49.49 ID:hWtUTpr40<> side-海風&天津風-『対極の二人』


海風「話、とは?」

天津風「単刀直入に聞くわ。貴女、『空』をどう思う?」

海風「いや、意味わかりませんて」

天津風「だから、貴女にとっての『空』って何?」

海風「と言われても… まず貴女の回答はどうなんですか」

天津風「私にとっての『空』は… 空は…」

海風「…答えが出せない、んですか?」

天津風「…みたいね。時雨さんに言われて考えたけど、結局自分の答えを見いだせなくて…

だから聞いてみようと思ったの。海風に聞けば面白い答えが聞ける筈だ、って言うから」

海風「海風にとっての空は… 偽物で、虚ろな鏡みたいなものでした」

天津風「偽物…?」

海風「何か本物って感覚がしない、見ているだけで苛立つような偽物の青が世界を覆って…

神経を逆撫でしてるみたいで大嫌いでした。まるで自分だけが世界から隔絶されているような感覚で、お前は空っぽだって言われてるみたいで。実際、そうなんですけどね」

天津風「何か嫌なことでもあったの?」

海風「いえ、寧ろ『何も無かった』んです。 海風自体何も無い、目指すべきものも生きる為の道標もあやふや…

そして何より海風は自分や世界に価値を見出すことが出来なかったんです。世界がセピア色のように見えて、って何か厨二病みたいな発言してる気がする…」

天津風「何も無かった、か…」

海風「だから鉱物に惹かれたのはきっと綺麗でハッキリと色があって、価値があるからなんだと思います」

天津風「でも『だった』、って事は何か心境の変化でもあったんでしょ?」

海風「そうですね。自分が空っぽだったことに気付いて、ようやく世界に色が少しずつ見えてきて… 何がしたいか、何処に進みたいかが分かってきました。

これも多分、先輩や霞に出会ってガンプラバトルに身を投じたお陰でしょう」


時雨『いや、その逆さ。彼女は『何も持ってなかった』、そこがあの子のスタートラインだよ』


天津風(海風は二人に出会うまで本当に何も無かったんだ… 私はメイジンになりたいって目標もあって、ガンプラ学園に入れるだけの力もあった。

だけど今度は真逆になって、夢も無くて力だって追い越された私と色んなものを手に入れた海風と…)

天津風「私と海風、どこに差が出来たって言うの…」

海風「天津風さん?」

天津風「私だって人一倍努力して、認められるだけの力を持ってガンプラ学園に入った筈なのに、結果が退学させられて何もかも奪われて…!

なのに始めてたった4ヶ月で自分の機体だって他の人任せの海風や霞は私を追い抜いて…」

海風「…それはきっと、心の在り方だと思います。海風だってこの心境に至るまで、勝手に恨まれてスドウ・シュンスケに何度も襲われるわ向き合いたくも無かった相手に向き合わされるわ…

色々あって、その末に未来を創るために戦うと決めたんです。確かに自分の今まで全部を否定された天津風さんは辛いと思いますが、そこに囚われて後ろ向きなんです」

天津風「前を向けてないって言うの…!?」

海風「先輩だって折れそうになったし、霞だって最初は人を拒絶してました。だけどそこから二人は一歩踏み出して、前に進んだ。

だけど天津風さんは復讐に囚われて後ろ歩き状態、前に向かって全力ダッシュしてる人にムーンウォークが追いつけますか?」

天津風「あ…」

海風「きっと必要なのは何もかもを振り切る心と前をむくための少しの勇気、これだけあればきっと追いつけるかもしれませんよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/11(日) 04:35:43.91 ID:jJFzXRn10<> 天津風「…今の私を全否定、か。もしかして海風、私の事嫌い?」

海風「さぁ?」

天津風「否定しなさいよ」

海風「少し否定出来ないと言うか… 正確には『嫌いだった』、なんですけど」

天津風「え」

海風「転校当初から大会までの自分の言動をお忘れで? 人の指示に従わないわ自分だけ突出しようとするわ目立とうとするわ…

挙句ウチのアレを知ってた癖に全員と共謀して伏せていて一人だけ謝罪無いのに恨みが無いとでも?」

天津風「前3つは心当たりあるけど、最後のは知ってたけど朝雲以外みんな知らないフリしてたから私も便乗しただけで共謀はしてないから…」

海風「問答無用。罪は罪です」

天津風「弁解ぐらいさせなさいよ!?」

海風「嫌です。 自惚れが抜けてなくてチーム戦を毎度台無しにしかけて…」

天津風「あ、アンタだって私に結構辛烈な言葉浴びせてたでしょうが!?」

海風「あの程度で… 本当に怒っていたら産まれたことを後悔させてましたよ」

天津風「…でも、だったって事は多少見直されたわけ?」

海風「まぁ、そうですね。 過去の話を知れば、なんとなく言動を理解出来るようになりましたし落ち着いてはきていたので」

天津風「本当アンタの上から目線はどうにかならないの…!そう言うとこムカつくんだけど」

海風「ムカついてたのはこちらもです。自分身勝手で傲慢なことばかりやって、結構フラストレーションが溜まったんですよ」

天津風「今からでも決着つけてやりましょうか…!?」

海風「良いですよ。丁度バトルをしなければならない事情もあるので、白黒つけましょうか?」



《春雨・時雨の部屋》


時雨「なんか部屋五月蝿いし殺気が駄々漏れなんだけど」

春雨「…もしかしてあの二人、相性最悪なんじゃ…?」

時雨「うん、最悪だと思う。性格的にもソリが合わないし、バトルでも機体が可変機で被ってるし、多分根本的に対極なんだろうさ」

春雨「対極?」

時雨「何も持ってないのに色々なものを得た海風と最初から持ってたのに何もかもを失ったあの子… 天津風、だっけ?

機体も今は蒼のアズライトと赤いハルートで真逆だし、全部振り切って前向きな海風と復讐一筋なのに果たせ無くて後ろ向きな天津風じゃどう見ても対極じゃないか」

春雨「瑞鳳さん、バランス取った結果とは言えどうしてこんなチョイスにしたんですか…」

時雨「今回の二人ずつに分けた3つの組み合わせ、どうにも人間関係が微妙な組み合わせだし。京都組はあまり信頼関係が築けてない、東京残留組は『普通の家庭』と『特殊な家庭』の人間同士…

まぁここの機体の相性は良いのにそのほか全部悪い二人組よりは遥かにマシだろうけどさ。せめて緩衝材が欲しかったね」

春雨「もしかして私達が送り込まれたのは…」

時雨「大方、緩衝材をやれってことだよきっと。 …今から三日月あたり呼びたいね。切符代は払うから…」

春雨「三日月ならきっと時雨以上に裏人格がズバズバ斬りこんでくれますし、はい… 明日電話しましょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/13(火) 00:13:06.69 ID:8cgyxebY0<> 《翌日 模型店エンガノ1号店(大鯨経営)》


天津風「じゃあ始めるわよ。まさか初めての機体だからって負けても文句は言わないわよね?」

海風「それはこちらの台詞です。寧ろ初めての機体に自分の機体が負けても喚かないでください」

榛名「いや、あの… 二人共、テストの都合上ダメージレベルAですからね…? 加減は…」

時雨「何を言っても無駄さ。ああなったら止めるのは…」

野分「なんであんなに殺伐としてるんですか…」

松風「榛名、もう腹括ってもう1・2機用意しておいたら?」

榛名「でも海風さんが能力的に使えるの、多分フィルギアくらいでは…?」

時雨「いや、海風の適応能力は意外に高いからどんな機体でも大丈夫さ。アズライトに対して異様に同調率は高いけど」

榛名「高いどころか計測値がオーバーフローしてるんですけど… 阿武隈が渡り合えてたのが不思議なくらいには」



Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!



海風「動作の確認は終わったし、そろそろこちらに…」

天津風「可変機じゃないアンタなんか!」

海風「想定より少しだけ早かったですね。交戦開始します」

天津風「私に喧嘩売った事、後悔しなさいよ!」


ハルートから発射される大量のミサイル。ありったけの量を天津風は放ち、確実に海風に対して先手を取るつもりなのだろう。

しかし海風と『フィルギア』は微動だにせず、刀身に粒子結晶を纏わせた『レーヴァティンS』を振るいその衝撃波だけでミサイル全てを切り払う。


天津風「嘘!?」

海風「弾頭の軌道は予測済み、なら出来ない道理はありません」

天津風(ならスピードで翻弄して…)

海風「大方スピードで翻弄するつもりでしょうが…」


粒子結晶の刀身が砕け散り、海風は『レーヴァティンS』をライフルモードへと切り替え、ビームをハルートの近くにあったデブリへと放つ。

そして直撃したデブリが砕け、その破片がハルートへと襲い掛かり天津風はその迎撃のために機体をMS形態へと変形させた。


天津風「足止めされるなんて…!」

海風「はいもう一発」


『レーヴァティンS』から放たれた2射目が今度はハルートの胸部に直撃するも、威力が絞られており胸部装甲を吹き飛ばしただけに留まる。

天津風は威力が絞られていた理由が分からなかったが、機体を変形させようとしてその理由に気付く。


天津風「変形出来ない…!? 変形機構をヤったの!?」

海風「これでご自慢の航空マニューバは封じましたよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/13(火) 01:04:00.82 ID:8cgyxebY0<> 野分「戦況が一気に傾きましたね」

時雨「キミは海風と天津風、どっちが強いと思う?」

野分「え… それは海風さんの方が…」

時雨「答えは一長一短の互角さ。 状況次第でどちらにも傾く、今回は可変機と非可変機で『ハルートに追いつけない』と判断してるから可変能力を封じた。

でもアズライトを使ってた場合高速戦闘が主になるから勝敗は天津風に傾くんだよ。何故だか分かるかい?」

野分「えと…」

榛名「秀でているものが違うから、ですよ。 天津風さんの場合は機体の操縦技術が高い、反して海風さんは状況に対する最適を選ぶ適応能力が高い…

そしてそれは互いに真逆、天津風さんは状況に対する適応・対処能力が低く海風さんは操縦能力がイマイチ。同じ土俵に立てば天津風さん、違う土俵なら海風さんが有利です」

時雨「あとは相手への対応の差、かな?天津風は目の前の敵が強ければ自分の領域に持ち込んで対処をする、海風は数手打ち合って敵の手を知ってから優位に立てるように立ち回る。

今回の場合は互いにチームメイトでお互いの腕や技を知り尽くしてるからこそ海風が優位に立っているのさ」

野分「成るほど…」

時雨「多分決着はすぐつくよ。互いにトランザムとアンチェインド状態になってるし」



天津風「振り切れない…!このっ!」

海風「これで、決めます!粒子バスターソード!」


振り下ろされた巨大な刃がハルートに叩きつけられ、その攻撃を天津風は両腕のソードライフルで防ぐものの質量差に勝てる筈もなく吹き飛ばされデブリに叩きつけられる。

そして海風は刀身の形成を解除し再びライフルモードへと切り替えその銃口をハルートへと向けた。


海風「これで終わりです」

天津風「…ま、負けた…」




海風「データの方は?」

榛名「この調子ならあと2回も戦えば必要分は揃いますが… 次はなるべく長時間の稼動データが欲しいですね。

機体の臨界を見極めるためにと、過負荷が機体にどのような影響を与えるのかのデータを」

海風「分かりました。それで天津風さん、何か言う事は?」

天津風「うぅ… 私が負けるなんて…」

時雨「まぁ今回の場合は分が悪かったさ。キミは相手の機体が初見だし向こうにデータも知り尽くされてる、そこが致命的だったね」

天津風(やっぱり私は海風にすら劣ってる… 後ろ向き、なのね…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/13(火) 01:52:16.43 ID:8cgyxebY0<> 時雨「で、海風。キミ人の話聞いてた?」

海風「はい。ダメージレベルAで取ると」

時雨「それ覚えてて戦った?」

海風「…忘れてました」

時雨「ハルートが盛大に壊れちゃったじゃないか。原型留めてるけどさ」

海風「大変申し訳なく思っております」

天津風「これパーツ新造しなおさないと… いや壊れた部分総とっかえして改修した方が早い…?」



《アウトレットモール フードコート》


松風「で、その後初と照の字が相手になったけど二人共結局手も足も出ずにボロ負けか」

初月「仕方無いじゃないか… 機体に性能差もあったし実力だって…」

照月「照月も改RX-0なら戦えたと思うんだけどなぁ…」

時雨「いや、二人共まだ技術が足りてないね。まともに対抗したいなら…」

海風「お待たせしました。 豚丼、でしたっけ?」

時雨「うん、ありがとう。天津風たちは?」

海風「二人は親子丼のところに並んでます」



天津風「はぁ、憂鬱…」

野分「元気出してください。機体なら直せば…」

天津風「そう言う問題じゃ無いの… 私が海風に負けたって、もう下に朝雲くらいしか居ないのよ…」

野分「あぁ、そっち…」

天津風(私、もう自身とかこっ酷く打ち砕かれたわ… あんなに、自分が強いって思ってたのがバカみたい…)




イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/16(金) 10:56:27.99 ID:Ipt7R94sO<> 子供に囲まれる <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/18(日) 03:18:59.04 ID:4dnn21oK0<> <ねぇ、あの子達って…

<どうしてこんな所に…?


海風「なんか凄い注目されてるんですけど…」

初月「キミ達、全国大会がテレビ中継しているのを忘れてたのか?」

海風「忘れてはいませんが… ここまで注目されるものではないかと…」

照月「えっとね、仙台駅を出たところに大きな街頭モニターあるのは知ってる?」

天津風「確かにあったわね… 確か二つの大きな出口のどっちにもあったけど」

照月「そのモニターで大きく放送されちゃったの。宮城代表のバトルだったし…」

天津風「でもこれだけ注目されるのはおかしくない…?」

初月「それで済めば良かったんだが… 母さんが根回しして、仙台中の色んな公共施設のモニターでその中継を流したんだ」

海風「あの人何してくれてるんですか…!?」

天津風「甲子園の応援のノリをやったのね…」

照月「陽炎ちゃん達の学校、チームのスポンサーだし… 貴女達も瑞鳳姉の教え子、って事で贔屓にしてるから」

海風「だけどそれだけでこうはならない様な…」

野分「…二人共、母さんはどんな立場の人間かお忘れで?」

天津風「…グループ企業の会長よね」

野分「その規模は東北最大級の地域密着型、そして様々な業種に幅広く食い込んでいます。つまり…」

海風「傘下企業や施設の設備モニターを使って流した、と」

照月「それだけなら良かったけどね。 グループ内でその日だけ、中継の為に休み時間を延長させたりとかしちゃって…」

時雨「職権乱用って言葉が生温い事してるね」

初月「だから多分、キミ達は一種の有名人になってる。 一過性のものだとは思うが…」


「ねぇねぇお姉さん!お姉さん達東京の人でしょ!?」

「何で仙台に来てるの? ガンプラ見せて!」

「あの時のアレ見せて! あの羽根みたいなのがブワーってやつ!」


時雨「…このままだと子供に囲まれる。撤退だ」

海風「ええ、数の暴力で来る鉄血のMA相手にMWが少数では絶対に無理です…!」

天津風「考えたくもない例えね、それ…!」

野分「ほとぼりは冷めないでしょうから別の場所に移動しましょう…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/20(火) 03:38:47.70 ID:HCBuhzPU0<> 《水族館》


初月「ここなら誰にも見つからないな…」

天津風「まぁ、暗いし誰が誰だか分からない筈ね…」

海風「それに子供だってここまでは追いかけて来ないでしょう」

照月「入館料かかるもんね」

野分「私達は年パス持ってるけど」

天津風「その気になれば貴女達なら自転車漕げばすぐ着く距離だものね」

時雨「…うん、分かった。報告しておくよ」ピッ

松風「ここは通話禁止だぞ」

時雨「ごめん、火急の話だったから」

野分「何かトラブルが…?」

時雨「テロリストたちの移送が決まったそうだよ。全員、各地に分散させて警察や自衛隊の監視下においておくって。

あの後から加わった学生を除いた全員裁判で死刑判決は免れられない、って言うのが青葉の報告さ」

海風「死刑…」

野分「当然の報いです。それに未成年だから死刑を免れたスドウ・シュンスケも厳重に処罰されるでしょう」

松風「言い逃れ出来ない程の大量殺人犯で、しかもキミ達も殺そうとした相手でもある。同情なんかしない方が良い」

海風「分かってはいるのですが…」

照月「でも各地に分散、って事はこの辺にも来ちゃうの?」

時雨「北は東北通りこして北海道の釧路だそうだ。残りは市ヶ谷、岩国、佐世保、横須賀、徳島、鹿児島のどこかになるって」

天津風「いっその事無人島にでも送れば良いのに…」

初月「泳いで逃げる可能性があるじゃないか」

海風「ありましたね、愛媛だかの島から泳いで逃げたの…」

松風「ま、辛気臭い話は置いておいて楽しもうじゃ無いか。僕等はちょっと飽きてるけどね」



海風「水族館って小学校の遠足以来ですが、中々見応えがありますね」

時雨「沖縄だっけ、キミの居たところは」

海風「ええ。有名なところで…」

松風「ああ、あそこかい。確か…」



野分「…まだ引き摺ってるんですか?」

天津風「イマイチ納得がいかないのよ… 私が弱いのは分かった、だけどどうして海風は強いの…!」

野分「天津風さん、貴女の好きは何?」

天津風「『好き』…?」

野分「ガンプラバトルが好きなのかガンプラバトルで得られる勝利が好きなのか、どちらですか」

天津風「それはガンプラバトルが好きで…」

野分「私には、今の貴女はそうは見えない。きっとどこかで負けた自分が許せなくて、勝利に拘り過ぎているんだと私の目には見える。

弱さを受け入れたくなくて強さや勝ちに拘ってしまうのはよくあること。 だって私もそうだったから」

天津風「貴女が…?」

野分「私は姉さんみたいになりたくて東方不敗の門を叩いた。 あの時の私は弱くて、憧れた強さだけを求めて、我武者羅に修業してもすぐ姉さんには地に伏せられて…

自分の弱さを認めたくなくて、それで無謀な戦いを挑んでは負けてを繰り返して… で、諭されたの。『自分の弱さを受け入れられない限り強くなれないし、何処にも行けないで躓いて転ぶだけだよ』って」

天津風「弱さを、受け入れる…」

野分「自分の弱さを受け入れる、って言うのは勇気が必要かもしれない。 だけど本当に前に進みたいなら、逃げちゃ駄目。そこから目を背けたら絶対に前に進めなくなる」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/20(火) 04:21:34.22 ID:HCBuhzPU0<> 天津風「貴女、結構良い人ね」

野分「そう、ですか?」

天津風「と言うか海風より話が受け入れ易かった」

野分「多分彼女、不器用なんだと思います。 人に慣れてなくて言い方がきつくなったりしてしまうのはよくあることです」

天津風「いや、キツイってモンじゃないでしょ… 罵倒すると放送禁止用語並べてくるし、バッサリ傷抉るし…」

野分「そう言う部分もある、のでしょう。 だけど貴女は知ってる筈です。彼女が何故戦いに身を投じたのか、どうして戦おうとするのかを」

天津風「…」

天津風(海風が富士の別荘で切った啖呵、アレは私も聞いてたけど最初は何を言っているのか訳が分からなかった…

だけどアイツはずっと自分じゃなく『誰か』を優先してた。先輩を奮い立たせたのも、身を挺して霞を守ったのも)

天津風「誰かのために戦う、か…」

天津風(私には出来そうにないわね… ガンプラ学園への復讐のために全部利用してただけの私に…)

野分「きっと貴女にも出来ると思いますよ」

天津風「え…?」

野分「自分のためだって良いんです。いつかそれが大事な誰かに変わることもあるでしょう」

野分(私が私を『信じてくれた誰か』の為に戦うと決めたのと同じ様に、きっと…)

プルルルルルルル

天津風「あ…」

野分「ここ、電話厳禁ですよ。あっちで出てください」

天津風「分かってる… 一体誰が…」



《その夜》


浜風「松島へ?」

天津風「はい。父が明日非番で、良かったら昼食にでもって」

海風「何で天津風さんが仙台に居るのを…」

天津風「大鯨さんから直接連絡があったみたい。事情は直接聞いてて、私がここに居るのは周囲には秘密にしてるって」

時雨「別に家族に会う、って言うのは良い事だとは思う。だけど今は仙台から離れるべきじゃ…」

「良いと思いますよ。丁度こちらも松島に行く用事がありましたし、護衛に就けますから」

春雨「榛名さん、せめてチャイム鳴らしてください」

榛名「次回からはそうします」

海風「松島への用事とは?」

榛名「大鯨さんのお使いです」

春雨「ああ、お仕事ですね。はい」

時雨「じゃあ明日は僕達は別行動を取らせて貰うよ」

浜風「迎え、ですね。分かりました」

天津風「誰か呼んだんですか?」

春雨「三日月だけ呼んだんですけど… 何故かお母さんまで来ることになって…」

海風「ま、まぁ大人の保護者は必要だと思いますから…」

時雨「終わったら仙台から松島に向かうよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/24(土) 02:26:10.17 ID:CTOpW1KU0<> 《翌日 松島》


海風「野分さん、こっちに居ても良いんですか?」

野分「親子の団欒を邪魔する訳にはいかないでしょう」

海風「そうは言っても護衛対象ですよ」

榛名「彼女は余程の事でないと狙われないでしょう。感応波や特別な能力、彼等の判定基準を逃れていますし」

海風「とは言っても…」

野分「意外と心配性ですね」

海風「…あれでも、仲間です。一緒に戦ってきた」

榛名「まぁ、念には念を入れて護衛役を陰につけてますけどね」



「その、何だ… 退学になった、って聞いてたからもっと落ち込んでるのかと思った」

天津風「まだ、少しだけ思うところはあるけど… 一応、元気にはやってる」

「大変だったな。だけど古巣を倒して優勝して、凄かったじゃ無いか」

天津風「私が直接倒した訳じゃないし… 嬉しいけど、引導は自分で渡したかった…」


長波「あーあ、私達がアイツ等ブチのめしたこと根にもたれてる」コソコソ

阿武隈「特にアドウ・サガへの恨みが酷かったもんね」コソコソ

陽炎「何、それってアイツ倒した私まで恨まれてる…!?」コソコソ

阿武隈「恨まれてはいないと思うよ?だけどコンプレックスは刺激されるよね」コソコソ

長波「アレは酷かったよな… 機体の相性が原因なんだけど」コソコソ

陽炎「ファングは追いつけないしアームの速度の遅さを見抜かれてるし、挙句切り札も普通に避けられたし。

あ、すみません。穴子丼ください 二人は?」コソコソ

阿武隈「私は… 牡蠣ラーメンで」コソコソ

長波「牡蠣バーガー一つお願いします」コソコソ


「…あれは知り合いかい?」

天津風「決勝戦の対戦相手… 何でコソコソ着いて来てるのよ。しかもバレてるし」

「ず、随分普通の子達だね」

天津風「見た目はね… だけど強い。ガンプラ学園を倒してウチのチームが2機相討ちになって、最後の機体だってギリギリだったし」

天津風(ウチのトップ2の霞と先輩が戦闘不能、海風だってタイムリミットが無ければ負けてた相手… 多分私なら諦めてた。

なのに海風は、諦めないで立ち向かって勝ちをもぎ取って…)

「…なぁ、お母さんに聞いたんだがお前にガンプラ学園にもう一度入学しないか、って話が来てるらしいんだ」


阿武隈・陽炎・長波「!?」


天津風「もう一度、ガンプラ学園に…!?」

「そうだ。お前が目指してたメイジンとやらにまた成れる可能性が出てきてる。しかも戻ればレギュラー待遇だって…」

天津風「…一度追い出しておいて、本当に都合の良い事言うわね」

天津風(これを逃せば私はもう二度とメイジンになる道を歩めない… だけど、本当にそれで良いの…?) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/24(土) 03:00:36.73 ID:CTOpW1KU0<> 長波「マジかぁ… そこまでやるか普通…」

阿武隈「姉さんが聞いたら今すぐ静岡飛んで学園の教員全員の首削ぎ落としに行きそう」

陽炎「青葉達に言ってダイナマイトでも仕掛けて… って、言ってる側から青葉から電話だよ…」プルルル

阿武隈「姉さんじゃなくて陽炎ちゃんに?」

陽炎「青葉? どうし… 何ですって!? わかった、すぐ動く!」

長波「どうしたんだ、急に…」

陽炎「車で移送されてた筈のスドウ・シュンスケが宮城近郊で逃げ出した…! それ以上にもっとヤバイ事態かも…」

阿武隈「ヤバイ事態…!?」

陽炎「ちょっと、そこの二人!」

天津風「え、な、何!?」

「一体急に何を…」

陽炎「今すぐ市街地から逃げるわよ!」

天津風「え!?」

陽炎「奴等、今までの罹患者を操って暴れてんのよ! 宮城の昏睡病罹患者全員を操ってね!」


《仙台市街地》


時雨「っ…!どうなってるんだ、一体!?」

春雨「まるでゾンビのように… お母さん、避難誘導を!」

翔鶴「分かったわ!」

時雨「三日月、来て早々だけど戦うよ…!」

三日月(裏)「分かっている。この状況、看過は出来ん」

浜風「海風の予測が嫌な方向に的中しましたね…!」



《仙台港》

大鯨「皆、秋月ちゃんと如月ちゃん以外これに乗って! 二人は仙台市内の時雨ちゃん達の援護に!」

秋月・如月「は、はい!」

不知火「私達は!?」

大鯨「松島の増援に向かう! 艤装の封印を一時解除、装着を許可!ただし発砲は厳禁、戦闘は格闘のみとします!」


《松島市内》

榛名「了解。 では指定場所で合流を」ピッ

海風「アイツが、この近くに潜んでる…!」

野分「確か松島の罹患者は7… だけどここは石巻が近い…!」

榛名「ええ、恐らく石巻方面からも来るでしょう…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/26(月) 02:56:15.61 ID:Fz1E26zd0<> 《松島基地近郊》


榛名「了解しました。浜風さん、仙台市内は任せました」ピッ

海風「仙台の方は?」

榛名「多少の混乱は見られますが沈静化に向かっているようです。市内に残った7割を拘束、既に眠らせたと」

海風「そうですか… でも問題は罹患者に襲われた人間が感染して、さらに操られてる人間が増えてることと…」

榛名「残り3割の罹患者と岩沼・名取・多賀城・石巻の罹患者が市街地に向かっていることでしょう。そして何より陸自の多賀城駐屯地との連絡が途絶しているのも…

貴女の予測が、嫌な形で的中しましたね。恐らく陸自はこの事態に1枚噛んで…」

「そんな馬鹿な話がある訳ないだろう!」

天津風「お父さん、落ち着いて!」

海風「…言いたい気持ちは分かります。守るべき国民に対して銃を向けるなんて本来あってはなりません。

しかし多賀城との通信が途絶してると言う事は大きく分けて3つの可能性に分けられます」

「3つ?」

海風「1つ目は多賀城が制圧させられている可能性、これは最も低い可能性です。2つ目はどちらかの通信設備が壊れているか妨害されていること、こちらは松島基地の設備が生きているし、携帯も繋がっている以上は多賀城に問題がある…

そして3つ目で最も高い可能性が、陸上自衛隊がこの事態を手引きしている可能性です。例え多賀城駐屯地の部隊が関与しなくとも、陸自には不穏な動きが出ているのは確認されていますし」

「どうしてキミにそれが分かる?キミは天津風と同じ子供で…」

天津風「この子は… 一種の超能力に近い能力があるの。 未来を、かなり高い精度で予測する『未来予測演算』って能力よ。

世界大会会場のテロを察知して、早いうちに対処できたのもこの子の力のお陰で…」

海風「お陰でスドウ・シュンスケ、今回の首謀者と思われる人間に狙われているんですけどね。逆恨みもあるでしょうけど」

野分「しかしこれからどうすれば…」

海風「一番良いのが今からこちらに向かっている敵が揃う前に首謀者を討つこと、ですけど如何せん到達予測時間が1時間以内であることを考えると無理、でしょう。今から行っても挟み撃ちにされるだけです。

2番目はこの基地にあるF-2を使ってJDAMなどで首謀者ごと一網打尽にする、人道的に憚られるような無理な方法です」

「そんなの、認められる訳が…!」

海風「だから無理だと言いました。そして第3の方法… これは我々にしかできない方法です。今まで彼等は人工粒子を利用して何かしらのアクションを起こしてきました。

これを逆手にとりガンプラで中枢部に突入、首謀者を撃破するという方法です。問題は戦力が絶対的に不足していることでしょうけど」

阿武隈「貴女達の2機と改RX-0が5機だけ…」

海風「しかも今、海風はアズライトを欠いています。バエルでは到底…」

榛名「一応『フィルギア』はありますけど」

海風「それならアズライトに近い戦いが出来ますが… それでも戦力的には不利です。今から春雨さん達を呼ぼうにも交通が隔絶されてる今…」

野分「いえ、先ほどお母さんから連絡があって海路を使ってこちらに向かっていると。しかも『アズライトを持って来ている』とも」

海風「ならいける、かもしれません…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/11/28(水) 04:17:48.60 ID:y78+gNuM0<> 《2時間後 松島基地・司令部》


基地司令「…大鯨さん、やはり貴女の言う通りでした。先ほど偵察に赴いたUH-60が確認したところ多賀城駐屯地は機能不全状態、司令設備などが何者かにより襲撃・破壊され全く動けないそうです。

襲撃犯はの8割は制圧され残り2割は逃亡しましたが内部犯かテロリストによる犯行の可能性が高く、調査を進めておりそのためこちらへの救援は出せないと」

大鯨「いつまた襲撃されうか分からないし、復旧の目処が立たない以上仕方のないことです。他の県内の駐屯地への要請は?」

基地司令「行っていますが未だに目処は立っていません。空自も三沢と百里の方に要請はしていますが如何せん陸戦用の部隊が無い以上は…」

大鯨「市民を爆撃する訳にはいかないですから。頼みの綱の多賀城は動かないのでは、松島基地で対処するしか…

かと言ってこの基地にある装備では警備隊を投入するかF-2Bによる対地攻撃しか方法が無い。後者は最悪な方法かつ国民からの批判は免れられないし前者を行っている間にこちらに襲撃を受ければ一貫のお仕舞いでしょうし」

基地司令「上に判断を仰いでいますがどうも腰が重いようで」

大鯨「では私達『一族』が動きましょう。 とは言っても今は待つことしか出来ないのですけど」

基地司令「何か策が?」

大鯨「あの子の予測では今日中に向こうがアクション、恐らく市内の中心地で粒子結晶を使い市街地を覆い防衛網を構築しようとする筈です。

それに乗じて我々が強行突破をかけ、首謀者を撃破・無力化を行います。それまでは市街地に取り残された人々の安否を祈るしか…」

基地司令「彼女、あの未来予測を行う少女の話、信用できると?」

大鯨「ええ。 彼女の予測は今の所一度も外れていない、それに彼女はテロリストとの交戦経験が4度あり敵の手の内は知っています。

信用に足るべきだと私は思いますよ。現に私が貴方に依頼したことの全て、彼女の指示ですから」

基地司令「彼女は一体…」

大鯨「私達が抱えうる最大の切り札の一角で未来への希望の一人、と言っておきます。 制圧した襲撃犯からの情報は?」

基地司令「それが、全員死亡したらしく… 装備は恐らく不法に国内に持ち込まれた品、との情報があります。また全員日系人らしいとのことで」

大鯨「それだけでは外部犯か特殊部隊の人間か判別が出来ませんね… 陸自には『極秘の特殊部隊』があると聞いていますし、その可能性も否定はできないでしょう」

基地司令「やはり陸自内部の犯行、と?」

大鯨「さぁ? ですが恐らく何かを試そうとしているのでは無いかと」

基地司令「試す?」

大鯨「ええ。昏睡病の真価、いやナノマシンの真の力を…」

「司令! 緊急通信です! 市街地を占拠した人物を名乗る人間から!」

基地司令「なんだと!?」

大鯨「恐らく彼の目的は…!彼女に繋いでください」


海風「…貴方もいい加減にしつこいですね、スドウ・シュンスケ。3度も倒され2度も捕まったくせにしつこく、東京から静岡に果ては宮城と…

逆恨みも甚だしい上にストーカーも加わって気持ち悪いにも程があります。いっそ、本当にJDAM叩き込んでやりましょうか?」

スドウ『ジェイダ…? まぁ良い、言っていろ。すぐに貴様を殺してやる…! と、言いたい所だが…』

天津風(JDAM知らないの?)

野分(知ってるほうが少数かと…)

海風「勿体ぶらずに早く要件を。 こちらは貴方と話すだけで虫唾が走って反吐が出そうなんです」

スドウ『簡単なゲームをしようじゃないか。 こっちには逃げ遅れて隠れてる奴等が何人もいる… 俺は今日の0時から1時間ごとに20人、そいつ等を殺す。今から粒子を市街地全域にばら撒いてな』

海風「遂に性根まで腐り堕ちましたか…!命を、ゲーム感覚で殺すなんて…!」

スドウ『それが嫌なら俺がどこに居るか辿り着いて倒してみろ! それに爆撃しても無駄、粒子の不可視の障壁で市内を覆って爆撃なんぞ出来ないからな!

ゲーム開始は0時から、1時間ごとに20人殺してやるよ! 俺に辿り着いて、勝てる訳が無いがな!』ブチッ

海風「…至急、作戦会議を行います。 自衛隊隊員の方々とこちらの面子全員を集めてください」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/06(木) 04:08:30.42 ID:vy25emDi0<> 《ブリーフィングルーム》


基地司令「無謀過ぎる…!」

海風「しかし増援を待つ猶予はありません。現在午後3時、刻限まで10時間を切っています。

ここで彼を仕留めず被害が出るのを待てと、誰かが死ぬのを黙ってみていろと言うのですか」

天津風「だからって、アンタの作戦は無茶なのよ!? 単機で囮になって、他の部隊を救助にまわすなんて…!」

海風「彼は海風が止めなくてはならないんです… あの日、自分の怒りを押さえ込めていれば彼はテロリストに身を落とさずに済んだ…

そして地区決勝で殺しておけば、こんな事態にだってならずに済んだんです…!」

天津風「海風…」

大鯨「実際、そのプランは出来なくはない。救出だけなら私達が護衛をしつつ先導すれば良いけど彼を止められない、かと言って彼を倒すことに部隊を傾注すれば救助にまわす人が少なくなって犠牲者が確実に出る。

どっちも取らなきゃいけない以上、海風ちゃんの作戦プラン自体は理に適っているし何より最も成功する確率が高い。海風ちゃんの生存、と言う可能性を除けば」

野分「また理性の暴走を…」

大鯨「いえ、暴走はしてない。 寧ろ暴走していない分、性質が悪い」

海風「…」

大鯨「自分がなに言ってるか、なんて陳腐な説教するつもりは無いけど… 少なくとも現状のプランは容認できない。

最低でも3機編隊、小隊編成で戦うことがこの作戦を容認する条件よ」

海風「ですが3機も割く余裕は…」

「いえ、ありますよ。丁度増援がここに居ますから」

海風「…」

浜風「無視しないでください」

海風「仙台市内はどうしたんですか」

浜風「時雨達に任せました。それに恐らく皆こちらに向かっている頃合かと。 あ、これタクシーの領収書です」

大鯨「後で精算しておくわ」

海風「仮に貴女がここに加わったとして、主要の指揮官を二人も同じ小隊に配備するのは効率的ではありません」

浜風「いいえ、今の私は『駒』です。 海風、今の状態なら未来予測を使える海風の方が指揮には向いています。だから指揮権限は貴女に譲渡、この場においては一人の『駒』として戦います。

それに私の『ウインウガンダムゼロ・クロイツ』はアズライトの影響下でしか『全力』を奮えません。なら最も効率が良いのは私が貴女の僚機になること、でしょう」

海風「うぐ…! ですが貴女を仮に僚機として、もう1機は? 機体性能や連携精度の問題がある以上…」

天津風「…私が、私が行く」

基地司令「キミは航空隊の…」

天津風「私なら海風との戦術フォーメーションが使える。それに編成バランスだって悪くは無い」

海風「しかし天津風さんは…」

天津風「もうとっくに2度も戦ってるのよ、覚悟なんてとうに出来てる。それにガンプラをテロに使う連中なんて、一度ぶっ飛ばさないと気が済まないのよ…!」

海風「いえ、機体の方が… ハルートは壊れて…」

天津風「忘れた? 私にはもう1機、ガンプラがある」

浜風「『シューティングスターガンダム』、しかしアレは地区用の機体だと瑞鳳さんに聞いていますが」

天津風「ハルートの代わりに使えるよう、改修は済ませてあります。2機に性能は遠く及ばないかもしれないけど、足並みだけは合わせられます」

大鯨「なら決まり、ね。 司令、作戦の伝達及び準備を急がせて下さい。また作戦に参加する自衛隊員には休養、あとこちらのメンバーにも施設の一部を解放してください」

司令「わ、わかりました!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/06(木) 04:49:52.28 ID:vy25emDi0<> 海風「どうしてさっきはあんな事を…!貴女の親御さんだって、この基地に居るんでしょう…!」

天津風「大丈夫よ、死ぬつもりは無いから。その点はアンタより遥かにマシじゃない」

海風「だからと言って…!」

天津風「ここで動かなかったら絶対私は後悔する。それだけはしたくない… 仲間を一人で死地に行かせるなら、私も戦う。

アンタが背負う重み、私にも背負わせなさいよ」

海風「天津風さん…」

天津風「私ね、ずっと迷ってた… ガンプラ学園に復讐も出来なくて、挙句再編入の話まで来て…

何がしたいのか、何を守りたいのか、どこに行きたいのか、どう進みたいのか… 全部分からなかった」

海風「…」

天津風「今でもそれは分からない。時雨さんの質問の答えだってまだ出せてないけど…

だけど、迷ってるうちに人が死ぬのを看過するくらいなら、私は戦う。『フリューゲル・ヴェント』の天津風として、誰かを守るために」

海風「誰かを、守るため…」

天津風「アンタだってそうじゃないの? ずっと誰かの為に戦って、皆の笑顔の為に戦うって決めたんでしょ」

海風「ど、どこでそれを…!?」

天津風「別荘の戦いの時の混信で。 …正直、私心のどこかで意地張って、アンタに嫉妬してた」

海風「嫉妬…?」

天津風「私は何も持ってないのにアンタだけ色々持ってる、って。でも私は、本当は持ってたものを見ようとしなかっただけなのに…

ガンプラ学園の生徒って地位も、メイジン候補生って名前も失くした私が唯一手に入れてたものなのに、それを見ようとしてなかった」

海風「それは?」

天津風「内緒、よ」

海風「あ、はい」

天津風「でも私は戦う。この機体、シューティングスターを受け継ぐ…」


天津風 機体改造

・ベース機:シューティングスターガンダム
・機体改造内容安価 ↓2
・機体名 安価 ↓3

条件
改造内容:可変機構は維持、あとは自由(度が過ぎるのはNG)
名前:○○スター(例:『ポーラスター』『ライジングスター』など)、もしくは天体事象に関する名称を使用すること


シューティングスターガンダム(参考)
武装
・シールド(ビーム・サーベル×2)
・60mmバルカン砲
・ロング・メガ・バスター
・レールガン付属ビーム・ライフル
・プロトフィン・ファンネル×2
・ハイ・メガ・キャノン(シールド装備型)
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/06(木) 09:35:13.23 ID:qz0O4iLu0<> 踏み台 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/07(金) 12:45:10.00 ID:I2itEFfOO<> バイタルパートへプラ板や金属製パーツを装備し、それ以外のパーツは肉抜きを限界まで
ライフルはビームマグナムを長砲身化したものに変更、それに合わせ腕部は関節を強化
バックパックはバインダーを大型化し、ZZのビームカノン兼ハイパービームサーベルを追加
また、ウェポンラックを増やしミサイルコンテナの増設が可能に
脚部にハルート最終決戦仕様のブースターユニットを装備、パージは任意で可能に
色はベース機そのままで変更なし <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/09(日) 10:56:39.53 ID:D9J0vdRPO<> アルコアルガンダム
(死兆星ことアルコルから命名) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/13(木) 01:41:15.89 ID:JctDumfU0<> 天津風「『アルコアルガンダム』で、アイツを倒す」


アルコアルガンダム
武装
・シールド(ビーム・サーベル×2+ハイ・メガ・キャノン)
・60mmバルカン砲
・ロング・ビーム・マグナム
・ダブル・キャノン(ハイパー・ビーム・サーベル)
・ミサイルコンテナ
・ハルート用追加ブースター改(シザービット×10)

概要
デルタガンダムの改修機『シューティングスターガンダム』をさらに改修した機体。ハルート製作と並行で改修されており共通のパーツが一部存在する。
全体的なアップデートを施し性能は以前と比較してかなり高いがチームメイトの機体インフレには流石についていけていない。しかし追随は可能。
機体の胸部などには金属パーツやプラ板などで加工し防御性能を高めているが他の外装は可能な限り軽量化の肉抜きをした。
また機体フレームを瑞鳳から教授された初期型『RGフレーム』を基にした可変フレームへと変更、剛性を高めており外装の脆さを補っている。
武装はシールド以外は大幅に変更、主武装は長砲身化した『ロング・ビーム・マグナム』になっておりカートリッジ式の採用で継戦能力を高めた(因みにだが『ラスト・サン』にてデルタカイがマグナムを装備しており、またデルタカイ自体もデルタの改修機のため原作再現としても割と堅実な選択肢)。
バックパックはウイングバインダーを大型化、ZZガンダム用のダブル・キャノンを追加装備。ウェポンラックも追加しておりミサイルコンテナの携行が可能。
脚部にはハルート用のものを改修したブースターユニットを装備。ただし太陽炉搭載機では無いため噴射ノズルは通常のものに変更、さらに本体と同じ推力偏向ノズルへと改造されている。
そして最近、ベースとなった『RGフレーム』を活かしインフレへと追いつくための『力』を内蔵したとかしないとか…
『死兆星』の名前を冠した流れ星の向かう先は未だに分からない。しかし天津風は戦う、自らの目指す先を見つけるため、そして『守りたいもの』のために…


海風「アルコアル… 『アルコル』、死兆星を意味する天体の…」

天津風「そう。昔は視力検査にも使われてた、って逸話もあるわ。 性能はハルートと同じ位、って考えて」

海風「わかりました。ですが親御さんは…」

「天津風!」

天津風「お父さん…」

「司令に聞いた。何で作戦に志願をしたんだ!」

天津風「もう2回、アイツ等とは戦ってる。それに今手の空いてる人間を遊ばせる訳にはいかないでしょ」

「だとしてもだ…! 避難支援ならわかるが、何故前線になんか…」

海風「申し訳ありません。海風が前線に立つ必要が在る以上、フォーメーションに対応できる僚機が必要なんです」

天津風「海風…」

「何故キミのような子供が前線に立たなきゃならない? キミは指揮を担当してるって…」

海風「彼の目標が、海風だからです。 彼をテロリストの身に落としたのは海風の責任、だから囮役として必要…

あとテロリストとは4回戦って、バビロニア事件の時にも居合わせて… 何より彼を止めるには『ウイングガンダム・アズライト』が必要なんです」

「機体を他の人に任せることは?」

海風「無理です。『アズライトバースト』の真価を引き出すには海風が必要で、下手に他の人が使えば最悪暴走して一帯に被害が…」

天津風「この子の話は本当なの。完全に制御しても、焼け野原作ったし… 何よりテロリストの行動を予測する力がある以上、海風をぶつけるのが最適解だから」

「こんな子供に武器を取らせるなんて…」

海風「ガンダムなら、よくある話でしょう。 確かに本当なら間違ってる、子供が武器を持ってはいけないのは倫理的に見て正しいのでしょう。

だけどここで戦わないと、本当に誰も何も守れないし救えない。だから戦います、多くの人の未来を『創る』ために」

「…事情は分かった。なら…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/13(木) 02:33:35.73 ID:JctDumfU0<> 《夜11:00 松島市街地》


海風「全小隊へ、作戦行動開始。 以降はバトルシステムの通信機能は近距離以外は効きません。

なので先ほどの伝達どおり自衛隊の作戦参加者のMS小隊『マツシマ隊』『インパルス隊』はレーダーと中継機と補給設備の設置、不知火さん達の『イージス隊』は作業の防衛と周辺警戒を」

『マツシマ01、了解しました』

『インパルス01、同じく』

不知火『イージス01以下、了解』

海風「大鯨さん達『ホエール隊』は参加者の生身の本体の防衛を。残存の榛名さんの『ブレイヴ隊』と阿武隈さんの『ホワイト隊』、春雨さんの『レイニー隊』と如月さんの『アサルト隊』は生存者の救出・保護、避難誘導を。

我々『アズール隊』は遊撃しつつ敵首魁をあぶり出し撃破を行います。あと捜索部隊は交戦を避けスドウ・シュンスケの本体の捜索・確保を。 では全隊、散開を」

大鯨・榛名・阿武隈・春雨・如月『了解』

間宮『捜索部隊、了解です』


部隊編成
・アズール隊(海風・浜風・天津風・天津風父)
・ブレイヴ隊(榛名・天城・満潮)
・ホワイト隊(阿武隈・陽炎・長波)
・アサルト隊(如月・野分・秋月)
・レイニー隊(春雨・時雨・三日月)
・ホエール隊(大鯨・照月・初月・弥生)
・イージス隊(不知火・朝潮・松風・舞風)
・マツシマ隊(有志参加者×6)
・インパルス隊(有志参加者×6)
・捜索部隊(間宮&自衛隊基地警備隊)


天津風「ホエールとイージス、多くない?」

海風「天城さんと満潮さんが駆けつけてくれたお陰で人数に余裕が出来たんです。満潮さんに関しては間宮さんと同じ便で静岡から帰って来た直後なのに」

浜風「間宮さんは彼の生身の身体の捜索を基地警備隊と協力で行って貰っています。彼女だけガンプラでですけど」

天津風「あと何で私の機体に掴まってるの」

海風「エネルギーの節約です。いつもの役でしょう」

浜風「すみません、連戦か長期戦が見込まれる以上はエネルギーは必須でして…」

天津風「あとお父さん、その機体どうしたの」

「作戦用に支給されたんだ。確かホエールグループの会長が貸してくださったと」

海風「アズール04、まさか貴方までここに付いて来るとは…」

「足手まといにはならない。これでも、天津風にガンプラと戦い方を教えたのは私だからな」

浜風「それを『EWACジェガン』で言われても…」

海風「04は可能な限り下がって策敵に集中してください。03、フォローは任せました」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/16(日) 03:08:22.88 ID:0IIC6Cnj0<> 「む… 来るぞ!アンノウン多数確認、3時の方向。距離200、数28」

海風「01了解。恐らくこの機体群は斥候、偵察部隊だと思われます。やり過ごす事も可能ですけど…」

浜風「我々の目的は敵首魁のあぶり出し、つまりこの部隊を撃破することは我々の目的に繋がります」

海風「03、意見は?」

天津風「対応は01に任せる」

海風「了解。 04は敵機から隠れつつ策敵を継続、03はこちらの後方で火力支援を。ただ04にも気を配り、いざとなれば護衛に回ってください」

天津風「わかった。兵装の制限は?」

海風「使い果たさない程度に、あとはそちらの配分に任せます」

天津風「03、了解」

海風「02は敵部隊の左翼に展開、こちらが右翼に展開して合図を出しますのでそれを目安に戦闘を開始してください。

その後の行動はこちらから適宜指示をします。 ただ可能な限りの消耗は避け、特に大出力の砲撃は控えるように」

浜風「02より、ならそちらのライフルを貸してください。互換性はあるし、どうせいつも投げ捨ててるのならこちらが使います」

海風「確かに、こちらのライフルはジェネレータを内蔵してて本体からのエネルギー消費は殆ど無いからその方が有用か… メッサーツバーグは?」

浜風「それはそちらが使ってください。不要になれば投棄してくれれば後で私が回収、使わせてもらいます」

海風「了解。では全機、指示通りに展開してください」



海風「01、03展開完了。02、そちらは?」

浜風「完了しています」

海風「では… 戦闘、開始します!」

浜風「ツインバスターライフル、2本同時発射します!」


浜風は両腕に持った『ツイン・バスターライフル・クロイツ』『ツイン・バスターライフル・アズライトNEX』を同時に放ち、先行していた6機のMSが呑み込まれて爆散する。

そして敵の目が浜風の駆る『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』へと集中した瞬間を見計らい海風が『メッサーツバーグ・ラズールスタイン』を6基全て連結させた一撃を放ち、さらに4機撃破した。


天津風「残存敵機、残り18よ!」

海風「突撃します、援護を!」


メッサーツバーグを投棄した海風はブレイドを右手で抜き放ち、一直線に敵部隊との距離を詰めていく。迎撃の弾幕を容易く潜り抜け、手近に居た『ジン』へとブレイドを突き立ててその胴を両断し破壊する。

さらに両脇から挟み込むように襲い掛かってくる『ジェガン』と『ギラ・ズール』の攻撃を後ろに下がって回避し、今度は左腕で抜き放ったブレイドと右腕のブレイドを投擲、そのまま2機を破壊した。


海風「これで、残りは15… っと!」


丸腰になったと誤認したAIがアズライトへとMSを殺到させ、サーベルでそのまま串刺しにしてしまおうとするがそれ程海風は甘くない。右腕部に装備されたビームトンファーを使って『ジムV』の腹部を貫き破壊し、さらにシールドで『グレイズ』を殴りつけて吹き飛ばす。

さらにそこに『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』が現れドラグーンを射出、纏めて2機をビームで屠りながら包囲網に孔を開け、アズライトと背中合わせの状態となる。


浜風「全く、思い切りが良いのは構いませんがメインウエポンを簡単に投げないで下さい!」

海風「別に無策で投げた訳では無いので、問題はないでしょう」


海風がブレイドを投げたのには策があった。 投擲した相手の『ジェガン』と『ギラ・ズール』は爆発し、ブレイドが爆風で吹き飛ばされた。

そして吹き飛ばされたブレイドが再び海風の下へと流れ着き、ブレイドをそのままキャッチした海風は不敵に笑い、浜風はそれに呆れて溜息を吐く。


浜風「無駄な事に『予測』を使って… もし戻らなかったらどうする気だったの…」

海風「その時はその時です。 まだやれますね?」

浜風「誰に言ってるんですか。 残り11機、1分で片付けますよ!」

海風「了解!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/17(月) 03:13:39.70 ID:6l3bStBs0<> 天津風「敵機全滅を確認… 戦闘時間は2分って…」

海風「所詮は単純なCPUです。 動きは単調、数だけ居たところで脅威とは言い難いかと」

浜風「とは言え、連戦は避けたいところね。エネルギー量は充分残ってるけど、神経を余計なところに割きたくない」

海風「炙りだしたいのは山々ですけど、その前に消耗するのは本末転倒ですし。敵もソレを狙っているのでしょうが」

天津風「じゃあどうするのよ」

海風「だから救助作戦を並行して行っているんです。人質が居なくなれば向こうは焦る、しかもフィールドを自ら限定しているからこちらは包囲網も形成し易い。

さらにこちらは指定された時刻より1時間も早く動いた。 これで向こうは形振り構わず動くしか勝ち目は無いわけですよ」

天津風「でもそれって向こうが約束を守る保障が… 人質を盾にする可能性もある訳だし」

海風「だから救助部隊を海風達より実力が同等か上の人達で固めました。 榛名さんや春雨さん達は言わずもかな、阿武隈さん達だって海風よりも強いですし如月さん達も負けていない…

救助部隊を攻めても返り討ちが関の山、人質だってあの人達であれば救助は簡単に出来る筈です」

浜風「布陣としては完璧、敵にとっては完全な嫌がらせでしょう。なら敵が狙うのは限られる…」

海風「遊撃部隊である海風達かこちらの生身の身体か、です。04、敵の状況は?」

「こちらに接近する反応は無し。しかしブレイヴ・ホワイト隊が敵機と交戦、敵部隊を撃破した模様」

海風「偶発的遭遇か、それとも救助妨害が目的か… どちらにしろ、こちらの居場所と目的がバレている可能性がありますね。

全機、ここを移動します。このフィールドの広がりの中心部へと移動、敵の出方を探ります。その間、積極的な交戦は避け隠密行動を取りましょう」




浜風「もうすぐ40分経過… 無人機は3度見かけて1度戦ったけど、スドウ・シュンスケは見つからない…」

天津風「もっと積極的に交戦するべきかしら?」

海風「04、救助活動の状況は?」

「今の所は順調、との報告が。補給設備とレーダーの敷設も順調、と」

海風「分かりました。予定通りならこの周辺に確かポイントが現時点で設置されている筈です。そこで一端休憩を取りましょう」



海風「ふぅ… 甘い物が欲しい…」

浜風「少し喉も渇いてるし、交代で見張りと補給をしつつ水分や糖分も摂った方が良いかも」

海風「03と04がお先にどうぞ。 こちらは後で構いません」

天津風「ありがと。先に頂くわ」


イベント選択 直下
1.海風&浜風『いつか届く場所に』
2.天津風『流星のあとさき』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/17(月) 09:21:08.72 ID:m3/atIKI0<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/19(水) 02:52:53.98 ID:QpVvPxcL0<> side-海風&浜風-『いつか届く場所に』


海風「02、機体の調子は?」

浜風「問題ありませんけど… それがどうかしましたか?」

海風「いえ、別に。ライフル二丁の過負荷が無いか確認しただけです」

浜風「二丁程度で壊れるなら、クロイツの名を冠してませんよ。 それにこのライフル、軽くて出力もあるから凄く便利で… このまま欲しいくらいです」

海風「…」

浜風「どうかしました?」

海風「いえ、内心ちょっと呆れてただけです。少しでも心配した自分に」

浜風「心配、してくれるんですね」

海風「…言いたくはありませんが、貴女は海風の唯一の身内です。何かあれば困るし、貴女は一応世界の分岐の基点の可能性がある以上、倒れてもらっちゃ困るんです」

浜風「まさか、貴女からそんな言葉を聞けるとは思いませんでした」

海風「貴女に対する怒りとか、まだ消えた訳じゃないので勘違いをしないでください。 まだ『やりたい事』が残っているんですから」

浜風「やりたいこと? もう何度も殴られてるような…」

海風「まだ貴女と海風は戦って無い」

浜風「ああ、ガンプラバトルで…」

海風「はい。貴女は海風が倒したい、最大の目標です」

浜風「海風…」

海風「…ずっと戦ってきました。誰かに導かれるまま、夢中になって… たった4ヶ月、意外なくらいに歩みは早かったけど、未だに目指す場所には届いていない…

だから海風が届くまで『チャンピオンのままの貴女』に居て欲しいから、チャンピオンの貴女を倒さなきゃ意味がないんです」

浜風「…海風、この先ガンプラバトルはどうなると思います? テロにこうやって使われたのが世間に露呈した以上、今のままじゃ…」

海風「少なくとも、何らかの措置がとられるでしょうね。 『ハシラジマのある世界』ではお台場で起きた暴走事故が原因でアリスタの研究・利用に規制がかかったと聞いていますし」

浜風「その結果、全てが人工粒子に代わった… だけどこちら側はその人工粒子を利用してテロが起きた。それにアリスタが原因の暴走事故も今後起こらないとは限らない…

状況的には詰みに近いです。平行世界から暴走しない粒子の製造技術を譲り受けるか、新しい環境下でのバトルへと移行するかのどちらかが最適解でしょう」

海風「だから、その前に貴女を倒したいんです。 貴女を倒して、ようやく海風は…」

浜風「スタートライン?」

海風「…もう、スタートラインには立っていますよ。今は道の途中、海風が見たいのはゴールの先… 未だ見えない未来に…」

ヴィーッ ヴィーッ

浜風「接近警報…! 敵が『EWACジェガン』の策敵範囲に入った…!」

海風「数… 76…!?」

浜風「恐らくこれが本隊です!」

海風「02、補給作業中断!エネルギー残量は!」

浜風「90%!機体状況、オールグリ−ン!」

海風「了解! こっちも、いける…!」

浜風「…約束です。この一件が終わって海風が私と並べる、そう判断した時… 貴女と戦いましょう。だからそれまで…」

海風「そんな死亡フラグ掲げないでください。 ここはお互い生き残る、それだけで良いでしょう」

浜風「そうですね… 行くぞ、海風! アズライトとクロイツの力、テロリスト共に刻み付ける!」

海風「ああ、もう…!指揮官はこっちです! ここが正念場、オールウエポンズフリー! 真正面から敵に対し、仕掛けます!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/25(火) 04:57:47.93 ID:xdbaT1mW0<> 「クク… ようやく、ようやくこの日が…!」

浜風「海風、回避!」

海風「ッ!」


大出力のビーム砲撃を上昇することで避け、放たれてきた方角へと『アズライトウイングブレイド』の剣先を向ける。

殺気を感じ取った海風は相手をモニター越しに睨みつけ、その怒りを隠さない。


海風「スドウ・シュンスケ、ようやくお出ましですか…!」

スドウ「殺してやる… 今日こそ、お前を!」

海風(殺気が以前と違う。 行動予測警戒レベルを最大に変更、攻勢に出るのはリスクが大きい。パターンを幾つか見出すまで回避・防御予測に専念か、一気に潰すか…)

海風「散々言っていますが、逆恨みも甚だしいです。 そんな今更、『百万式』の改造機を出した所で…」

浜風(あれは恐らくスクランブルとのミキシング機… 完全修復はできなかったからスクランブルで無理矢理修復したのか)

スドウ「黙れ!俺は、お前のせいで…!」

海風「だからそれが逆恨みだと何度言えば… 呆れますよ、全く」

浜風「一応、聞いておきますが… 今から投降すれば裁判での扱いは多少マシになります。もし投降しなければ貴方は少年法など関係なく、テロリストとして処断されるでしょう。 

警告は一度だけだ。これより10数えるうちに武装解除、フィールドの解除を行わない場合…」

スドウ「黙れぇぇぇぇぇぇっ!」


『百万式』『とスクランブルガンダム』の部品で構成されたチグハグの機体から放たれるビームランチャーの攻撃、それを浜風はツインバスターライフルの一撃で相殺する。

それを警告を無視、と判断した浜風はその銃口を躊躇いも無く彼へと向けた。


浜風「投降の意志なしと判断、これより敵機を撃破・鎮圧を行います。海風、指揮を!」

海風「了解!04、後退しつつ通信範囲内まで移動し救援の要請! 03は無人機を牽制、02フォローを!」


連結させたブレイドを両腕に構え、意識を集中させる。呼吸を整えて感覚を研ぎ澄まし、機体と自分を重ね合わせる。

そして『一体感』が訪れ、海風はその力の名を叫ぶ。


海風「解き放て!アズライト、ッ…!?」


不意に体の脈流が止まったかの感覚に襲われ、意識をわざと乱す事で無理矢理機体とリンクした自分を切り離した。

このまま力を行使していれば恐らく死んでいたかもしれない、海風の脳が予測・警鐘を鳴らしたから咄嗟に出来たことだ。


浜風「海風っ!? 何をした、スドウ・シュンスケ!?」

海風「粒子の、循環が… 阻まれ、て…!」

スドウ「かかったな、化け物が…!」

海風「危なかった… このフィールド自体が、罠だったなんて…!」

天津風「RGは機体に粒子を循環させて性能をブーストする機能… アンチ・RGフィールドってこと…!?」

浜風「くっ… こちらのRGも機能を…!これでは他の部隊もNT-DやRGは使え無い…」

海風「マズっ… 今ので、機体に不具合が…!」

スドウ「このまま嬲り殺しだ!行け、無人機共!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/25(火) 05:38:08.06 ID:xdbaT1mW0<> 無人機と百万式の攻撃に執拗にさらされる海風と『ウイングガンダム・アズライト』。反撃しようにも射撃兵装は既に浜風に預けており近接武装しか無い今、防御に徹するしかない。

シールドの粒子吸収機構を使って防御しつつ、粒子を溜め込むこんではいるがそろそろ許容値をオーバーしそうで焦りが出始めた。


海風(粒子貯蔵率理論限界値まで残り20%、あと10回吸収する前に『アズライトバースト』で放出しないと機体が破裂する…!)

浜風「この無人機、出力がおかしい… こんなビーム、並の機体では…!」

海風「恐らくエグザムによるブーストが機体のビームにもかかって…」

浜風「しかも増殖速度も尋常じゃ無い… アンチRGに無人機に対するバフ、いつも以上にキツい…!」


浜風がアズライトを護るようにドラグーンやライフルを使って無人機を撃ち落とすが破壊速度を上回る速度で敵が増殖していく。

何かしらの糸口を見出そうとする二人だが、粒子関連技術についてはからっきしであり追い込まれる。しかし状況を打開する手立てを見出せる人間が一人居た。


天津風(確か最初に戦った時、ジャミングがあったけど深手を与えたらジャミングが途絶したって言ってた… もしかして…!)

天津風「殺気がこっちに向いて無い、今なら!」


照準を合わせ、マグナムを放つ天津風。一撃が百万式の肩アーマーを吹き飛ばすも即座に再生、傷が無かったことになる。

しかし天津風はこれで気付いた。 通信のジャミングが一瞬だけ、再生の瞬間だけ消えていたことに。


天津風(やっぱり相手は再生とジャミング同時並行で出来ない… ならこのフィールドの循環阻害も消える可能性がある…?)

スドウ「貴様、見逃してやっていればいい気になって…!」

天津風(でもそれには深手を致命傷クラスにまで追い込むしか無い… でも現状できるのは私だけ… なら答えは!)

天津風「二人共、『勝利の道筋』、整ったかも!」

海風「天津風さん!?」

天津風「道を拓いて! 私なら、『それ』が出来る!」

浜風「一体何を…」

海風「分かりました!02、03を支援してください!この状況、打開できるのは03だけです!」

浜風「だとしても、その内容を…」

海風「いいから! …信じます、絶対に成し遂げてください!」

天津風「分かってる! 行くわよ、アルコアル!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/27(木) 06:26:55.22 ID:esS11Xy/0<> スドウ「まずは、貴様が死ね!」

天津風「ソードビット、射出!」


変形したアルコアルガンダムが一気に百万式との距離を詰めながらソードビットを射出する。スクランブル用のライフルを使い、並みの人間より早い速度で反射しながらスドウはビットに対応し撃墜していく。

だがビットを落とされるのは想定内、天津風の布石に過ぎなかった。次の瞬間、天津風はブースターを切り離し質量弾として百万式へとぶつける。ビットに対処していたスドウの反応が遅れ、ユニットが直撃し百万式は地面へと叩きつけられた。


スドウ「ば、馬鹿な…!? EXAMの反射を…!」

天津風「いくらソフトが良くてもハードが悪ければ!」

天津風(確かにEXAMの反応速度は尋常じゃ無い。だけど霞ほどじゃないし海風の予測みたいに先手先手を打ってこない、その場での対処だけ。

それに加えてアイツは一つの目標に拘る癖がある。元々マルチタスクの処理が苦手なのか、EXAMの影響かで視野狭窄気味。加えて機体もチグハグの状態で万全じゃない。それなら…)

天津風「対処法も、倒す手段もいくらでもあるのよ!」


天津風はただ負けて終わってただけじゃない。そこから自分より強いチームメイトとずっと一緒に戦い抜いて、その中で知らずの内に鍛えていたのだ。

目の前の『EXAM』なんかより強い相手は沢山知っている、そう言う人と戦い研鑽を続けてきたことで彼女の内に磨かれた力がある。


スドウ「なんだ、コイツ!」

天津風「逃がさない!」


不利を悟り逃走を図る百万式を背中から追う。ベース機は同じ『デルタガンダム』だが可変能力を捨てた『百万式』と空戦に特化させた『アルコアルガンダム』では大きな速度差がある。

加えて大気圏内である以上、天津風に地の利がありアドバンテージは揺るがない。マニューバの回避位置を予測しマグナムを放ち、背部スラスターを破壊する。


スドウ「しまっ…!?」

天津風「アンタには同情する!だけど逆恨みばかりで、前に進めないアンタは絶対間違ってる!」


スドウ・シュンスケの気持ちは痛いほど分かる。強くなりたくてどんな力にも縋ろうとする気持ちも、誰かを見返したくて人のせいにしたくなる気持ちも。

だがその上で天津風は断じた。自分と彼は違う、自分の弱さを受け入れて前に進もうとする天津風と力に溺れて暴れるだけのスドウは絶対に違うと。


スドウ「黙れぇぇぇぇぇっ!お前も、死ねぇぇぇぇぇっ!」

天津風(やっぱり予想通りだった。ここで撃ってくるのはメガランチャーしかない、ここが狙い目!)

天津風「『NT-D』!」


反転し、チャージしていたメガランチャーを放つ百万式。スドウは必殺を確信するが、それこそ天津風の狙いだった。

射線にあった『何か』が爆発し、スドウは『アルコアルガンダム』を倒したと誤認する。だがランチャーにマグナムのビームが直撃し、爆散した。


スドウ「嘘だ… 何故、まだ生きている!」

天津風「『NT-D』… 違う、『ナイトロドライヴ』。この機体のフレームはRGフレームのデッドコピー。だからこそ、アンタの小細工が通じ無い!」

天津風(私はまだ未熟で、技術も足りないから粒子を循環させる流路を形成できなかったせいで『放出』って形でしか使えない。それが今、活きた!)


循環を阻害するとしても、放出ならばジャミングの意味を成さない。これが現段階で天津風が使える最大の切り札にして、唯一の対抗策。

MS形態で各部から蒼い炎を放出するアルコアルガンダム。先ほど切り離したミサイルコンテナとハイ・メガ・キャノンが無くともマグナムとサーベルはある。


スドウ「貴様ぁぁぁぁぁぁっ!」

天津風「この、タイミンングなら!」


距離を詰める百万式に向け突撃を行う。回避行動は取らない、取ったとしてもしつこく粘られるのであればここで決めたほうが良い。

そしてスドウの間合いに入り、サーベルが振り下ろされた瞬間を狙い彼女はマグナムを頭部に向けて放ち、左腕を切り裂かれたが百万式の頭部を吹き飛ばす!


スドウ「ぐっ、この…!」

天津風(これで、道は整った!駆けるのは任せる!) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2018/12/27(木) 07:00:33.17 ID:esS11Xy/0<> スドウ「貴様、貴様だけは!」


機体を再生させ、傷一つ残らない状態に百万式は元通りになってしまう。そしてライフルの銃口をアルコアルガンダムへと向け、エネルギーを集束させる。

だが天津風は動じない。そして不敵に笑い、饒舌にスドウへと語りかけた。


天津風「私もね、全部を失った。ガンプラ学園を退学させられて、地位も名誉も、誇りさえもね」

スドウ「それがどうした!貴様は、もう死ぬんだから…」

天津風「だけど私は『仲間』を手に入れた! だから私は戦う、私の為に、私を信じてくれる『仲間』のために!」


次の瞬間、天へと昇るような蒼い光の柱が形成され、スドウは呆気に取られて、天津風は勝利の確信を得る。

これが天津風の狙いだった。 自分が百万式にエネルギーの無駄遣いをさせ、さらにダメージを与えることで消耗を大きくする。そして再生する際に消耗するエネルギーで敵のジャミングが一時的に途絶え、その瞬間を海風は絶対に逃さないと信じて。


海風「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」


全身に宝石の鎧を纏った『ウイングガンダム・アズライト』が凄まじい速度で迫り、百万式へと連結させた『ウイングアズライトブレイド』を振るう。

その刃の衝撃波が百万式を吹き飛ばし、電柱へと叩き付け、その破壊力により電柱が折れて百万式はそのまま押し潰される。


海風「まったく… 無茶が過ぎます」

天津風「アンタ達と一緒に居すぎて、肝が据わったのよ。…ありがと、信じてくれて」

海風「信じると言いました。後は任せて、後退してください」

天津風「分かった。任せる」

スドウ「馬鹿な…! 何故、使えるんだ!?」

海風「一度ジャミングが途絶えた隙に、ですよ。それで再度ジャミングが展開されたとしても、一度流れた規格外の量の粒子は止められない。

決壊しているダムを塞き止める方法があるとでも? しかも散々ビームを撃ってくれたお陰でエネルギーの量はほぼ上限いっぱいですよ?」


刀身に宝石を纏わせ、右腕のブレイドを百万式へと向ける。そしてその隣にRGシステムを起動させた『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』も追いつく。

武装が違うとは言えほぼ同型の機体を使う、蒼き瞳を持った姉妹。日本最強と世界最強の姉妹が、隣に並び立つ。


浜風「決めるぞ、海風。 私に『許可』を」

海風「許可します。 モード『ハウリング』!」

浜風「システム『イミテーション・アズライト』!」


2機のクリアパーツの煌きが強くなり、『ウイングガンダムゼロ・クロイツ』の機体に変化が訪れる。

アズライト同様、白銀の機体に蒼い宝石の鎧が形成され、各部を覆い尽くす。


スドウ「なっ…!?」

浜風「この機体の真価は『ウイングガンダム・アズライト』と同調させ機体を同じ状態へと擬似的に変化させる…

つまり私の機体もイレギュラー状態の『アズライトバースト』と同じ状態になった」

海風「ロクでも無い機能ですが… 貴方を倒すには充分過ぎるでしょう」

スドウ「ひっ…!?」

海風「貴方の『結末』はここだ…!もう逃がさない、ここで終わらせる!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/05(土) 03:56:43.17 ID:FxpOWTCz0<> 電柱の残骸から這い出た百万式の背後に瞬時に回りこんだアズライトが右腕のブレイドを振り降ろし、右腕を切り落とす。

焦るスドウがサーベルを振り回して背後に居る筈のアズライトを攻撃しようとするが既にアズライトはその場に居らずに空振り、スドウの反応を上回る速度でアズライトが百万式の頭部を蹴り壊した。


スドウ「クソッ!何で反応できないんだよ!」

海風「受信から動作までの速度を上回ってしまえば!」


再度背後に回りこんで膝蹴りを叩き込み、その上で無防備になった百万式に左腕のブレイドを振るい衝撃波で吹き飛ばす。

そして叩きつけられた百万式にドラグーンが迫り、両脚と左腕を貫き破壊する。


浜風「加えて、複数同時の攻撃には弱い。全方位から同時に来る殺気へは対処が遅れる…!」

スドウ「ふざけるな! まだ、終われ無いんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


再生した百万式の機体内部から粒子結晶が生えはじめ、地面からも増殖した粒子結晶が溢れ刃となって2機へと襲い掛かる。

浜風は二丁のツインバスターライフルでその結晶を焼き払い、海風は結晶を宝石を纏わせたブレイドで叩き割った。


海風「人工粒子の結晶体が見つからないのはそう言うカラクリでしたか」

浜風「機体と結晶の融合現象… 事故があったことは矢矧さんから聞いていたけど、まさか制御していようとは」

スドウ「そうだ!これでお前達と…」

海風・浜風「「その程度で?」」


スドウが殺気に対し反射的に攻撃をしかけるが海風と浜風の駆る2機のウイングゼロは結晶による攻撃を回避し百万式との距離を瞬時に詰める。

最早二人にとってスドウの攻撃など児戯に等しく、既に隠している手の内を晒した相手など恐るに足りない。


浜風「ここで、決める! 海風!」

海風「了解!」


アズライトがさらに距離を詰めて百万式の正面からブレイド2本を投擲し、スドウにその攻撃を避けられた。

だがアズライトがその回避位置に予め移動しており、粒子結晶を纏わせた拳を背中から叩き込み百万式を上空へと吹き飛ばした。


スドウ「何ぃっ!?」

海風「今!」

浜風「メッサーツバーグ全基連結、ドラグーン連結・マグナモード!」


左で持った海風用のツインバスターライフルには先程海風が投げ捨てた『メッサーツバーグラズールスタイン』、浜風用のツインバスターライフルにはドラグーンが連結している。

さらに2つのツインバスターライフルを宝石が覆い尽くし、さらに機体の正面には光の『門』のようなものが形成され銃身にエネルギーが集束する。


浜風「プラフスキー・パワーゲート展開、エネルギー最大集束完了!」


照準を上空へと吹き飛ばされた百万式へと向け、狙いを定める。今から放つ一撃は地上にすら被害が及ぶ可能性があり、敵機を空へと上げたのはそのためだ。

そして浜風は『断罪』の一撃を、スドウの駆る百万式へと解き放つ。


浜風「貴方に、十字架の裁きを下す! クロイツ、エグゼキューションッ!」


超大出力の粒子ビーム、以前海風が別荘での戦いで放ったライフルの一撃よりも数倍はあろう極大のビームが上空の、落下しつつある百万式に放たれる。

咄嗟に結晶を防御へと転化し攻撃を防ぐスドウ。しかしその威力は相殺しきれるはずもなく、バイタルパートは護れたが四肢が焼かれ再生すら困難なほどの損傷を受けた。それでもスドウは反撃の糸口を探そうとするが…


スドウ「くっ…! だが、まだ…!」

海風「言いましたよ、貴方の『結末』はここだと」


そう、海風が何もしない訳が無い。 かつて様々な人物に苦汁を嘗めさせてきた海風が、簡単に見逃す筈など無いのだ。

『アズライトバスターソード』を1振りだけ抜き放ち、両腕で構える。そして先程よりも大きな『光の柱』が形成され、周囲を明るく照らす。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/05(土) 04:43:03.79 ID:FxpOWTCz0<> 海風が目を瞑って意識を集中させているが、頭の中ではある言葉を反芻していた。

それは先程大鯨と会話を交わした際に言われた言葉だった。


大鯨「ねぇ、どうして決勝戦で阿武隈ちゃんに競り負けたと思う?」

海風「武装の強度不足、でしょうか?」

大鯨「ハズレ」


そう言って大鯨は空中へと持っていたコーヒーの空き缶を放り投げ、拳から気弾を放って弾き飛ばす。

弾き飛んだ空き缶を海風がキャッチすると凹みはあるが、そこまで大きな傷は無いように見えた。


海風「…?」

大鯨「気弾程度じゃ驚かないのね」

海風「慣れました」

大鯨「あら、そう? じゃあもう一回こっちに投げて」


言われた通りに投げ返す海風。 それを見ていた大鯨はもう一度拳に力を集めて声と一緒に技を放つ。


大鯨「青龍鱗ッ!」


大鯨の拳から放たれた気弾がコーヒー缶を木っ端微塵に吹き飛ばし、海風は唖然となる。


大鯨「今のとさっきの、何が違う? 因みにどっちも気を集めた時間は一緒よ」

海風「…技名?」

大鯨「正解。これ御褒美」


いつも着ているフリルのエプロンのポケットからジュース缶を投げ、海風がキャッチする。


海風「ありがとうございます」

大鯨「技名って言うのはね、力の定義なのよ」

海風「定義?」

大鯨「何をしたいか、何をどうするための力なのか、って言う指向性を持たせてそれを言葉で定義するのが技名。

非現実的、って言われればそれまでだけど… 指向性を持った一撃とあやふやなままの一撃の差って、今のみたいに結構大きいのよ」

海風「だから、あやふやなままで指向性が無かったから阿武隈さんの『ファイナルウルフストライク』に競り負けた、と?」

大鯨「そういうこと。 意外と、言葉の力ってバカにならないのよ? まぁ傍から見ればちょっとダサいかもしれないし躊躇うのも仕方ないことだけど…

だけど少し唱えるだけでも違う。 機会があれば試してみるのもアリね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/06(日) 03:25:59.18 ID:paaSelm/0<> 海風(『何をしたいか』『何のための力』なのか…)


言葉を頭の中で反芻する海風。きっと以前の空虚な自分では決して出せなかっただろう。だけど今は違う、そう海風は自分を信じる。

もう何もない空虚な自分は居ない。だからこそ、戦うと決めたのだから。


海風(『何をしたいか』なんて決まってる。 皆が笑顔で居られる世界を創る、それが海風の答えだから)


その為に何をすれば良いのか、海風は答えを出すべく『未来予測演算』を走らせようとするが止めた。

きっと『余計な未来』を視てしまえば集中が途切れ、集束させているエネルギーが無駄になるから。そしてもう一つだけ、演算を止めた理由があった。


海風(海風自身が決めなきゃ。 未来を視るんじゃなくて、心で決めなきゃ駄目なんだ)


そうでないと海風自身が出した答えにはならない、そう海風は断ずる。だから今度は思い出す、積み重ねてきた『これまで』の記憶を。

どうしてここまで来たのか、何を選んで進んできたのか、そしてその根底には何があったのだろうか、と。


海風(皆に出会って、未来を創る為に戦うって決めて、初めてガンプラに触れて… きっと、空虚で空っぽな自分自身を変えたかったから。

居場所が欲しくて、違う自分に憧れて… 『本物の空』に手を伸ばしたいって思ったから)


答えは決まった。 その瞬間アズライトの輝きが増していき、有機的な形状の宝石の翼が形成され、バスターソードを宝石の刀身が覆い尽くす。

さらに海風は意識を集中させ、バスターソードへとエネルギーを集束、刀身をさらに巨大化させていく。


海風(何をするための力なのか… 空虚な自分を終わらせて、『偽物の空』を砕くための…!)


その為の力、そう海風は確信を抱く。 次の瞬間、アズライトが加速し百万式との距離を詰める。 最早逃げる術の無いスドウは怯えるしかない。

巨大に膨張した宝石の剣の間合いにまで一直線にアズライトは駆けていく。海風と『ウイングガンダム・アズライト』が重ねてきた全てを乗せて。


スドウ「や、やだ…! 嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

海風「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


スドウの悲鳴を遮るが如く海風は叫ぶ。自分が今成すべきことを、何をするための力であるのかを。

そして重ねてきた『これまで』と共に、海風は必殺の一撃を目の前の敵と、世界を覆い尽くす『偽りの空』へと解き放つ! <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/06(日) 03:28:31.49 ID:paaSelm/0<>














海風「フェイクアズールッ…! ブレイカァァァァァァァァァァッ!」













<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/06(日) 04:19:39.16 ID:paaSelm/0<> 宝石の剣が動けなくなった百万式へと叩きつけられ、百万式は成す術も無く切り裂かれる。

そして宝石の内部に集束させられていたエネルギーが一気に放出、蒼いエネルギーの奔流となって放射され、切り裂かれた百万式どころか数百メートル以上の上空に存在していた雲すらも切り裂いた。


海風「これが、海風の出した答えだから」


海風とアズライトは背を向け、振り返らない。例えどんな『結末』が齎されようと、止まらないと誓ったのだから。

そして粒子のフィールドが消えるその前に、地上へと落下していくアズライト。エネルギーを使い果たして姿勢制御が上手くいかない。


天津風「ったく、帰りのエネルギーくらい残しなさいよ」


落下するアズライトの手を掴んだのは天津風の駆る『アルコアルガンダム』だ。彼女が機体の推力を活かして地上への落下速度を和らげる。

そして2機が地上へと着陸し、通信チャンネルを広域に切り替えて海風は宣言した。


海風「作戦終了。 敵首魁及びその機体の撃破・消滅を確認しました。 粒子フィールドは間もなく消えますが、引き続き残る避難民の救助にあたってください」




海風「ああ、しんど…」

大鯨「お疲れ様。アドバイス通りだったでしょ?」

海風「ええ。ですが、かなり気だるいです…」

大鯨「やっぱり、貴女も『アシムレイト』してたのね」

海風「『アシムレイト』?」

大鯨「人とガンプラが完全に同調した時に発現する力よ」

浜風「やっぱり海風も、でしたか…」

大鯨「ええ、そうみたい」

海風「何です、それ」

浜風「機体とファイターが同調する事で、機体性能を爆発的に向上させる力です。精神力が強い人間程発現し易いのですが…

確認出来た事例が海風と瑞鳳さんだけ、二人目の事例と言うべきでしょうね」

大鯨「気だるいのは精神力を消耗している証拠。 だけど瑞鳳よりは消耗はしてないみたい」

浜風「海風が規格外の精神力を持っている、と言う事でしょう。それにアズライトの側にも何かしらある可能性も…」

海風「アズライトが?」

大鯨「貴女とアズライトは同調率が規格外なの。瑞鳳ですら辿り着いて無い域、未知の領域に踏み込んでる… 恐らく『アシムレイト』すら超えてるかもしれない」

浜風「瑞鳳さんすら自分の放出した炎のダメージを受けてるのに、海風は力を完全に制御しているのがその証拠でしょう。ある意味、これが海風の『進化』なのかも…」

海風「『進化』…」

大鯨「でも、力を使うのは控えたほうが良いかもしれないわね。何が起きるか解らない以上、完全に解明されるまでの間は火急の危機以外の時は」

浜風「ただでさえ海風は未来予測演算で過負荷を脳にかけているのに、下手をすれば取り返しがつかなくなる」

海風「分かりました」

榛名「大鯨さん、それにお二人共。間宮さんから報告です」

海風「見つかったんですか?」

榛名「ええ。役場の屋上付近に居たのを発見したのですが…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>!<>2019/01/08(火) 04:43:31.45 ID:eqpKLlju0<> 《松島町役場 屋上》


海風「スドウ・シュンスケ…」

スドウ「あ、が…!」

天津風「ひっ…!?」

大鯨「…天津風ちゃん、目を瞑って。これは貴女が見ちゃいけない」

天津風「…い、いえ。私にも『責任』があります。だけど、これは…」

阿武隈「ナノマシンの影響なの…?」

天城「影響と言うよりナノマシンの自爆プロセス、と言うべきでしょうか… 恐らく頭の血管をナノが破裂させて、投与者を死へと至らしめる…」

陽炎「体の良い口封じ、って訳ね。 もう助からないのは一目瞭然だし」

スドウ「何故ェ… どう、して…!」

長波「…切り捨てられたんだよ、お前は。どれだけ強化しても私達に勝てなかったから」

海風「…これが、貴方の選んだ結末です。 …どうして、どうしてあの日薬なんか受け取って、使ったんですか!

それが悪い事だと分かっていた筈です! 力なんてどうにでもなる、その時勝てなくてもいつか報われたかもしれない、なのに…!」

スドウ「だ、まれ…!オマエが… オマ、エが居な、けれ、ば…!」

天津風「…確かに、海風が貴方に怒ったのは事実。かなり理不尽だったとは思う。だけど犯罪にまで手を染めてまで、そんな力が欲しかったの…?

その時負けたとしても、いつかきっと戦うチャンスだってあったのかもしれない。その可能性をふいにして、未来まで潰して…」

浜風「…二人共、もう良いです。 これが彼の望んだ結末なのですから」

スドウ「ちが、俺、は…」

浜風「同じでしょう。 貴方はただのテロリスト、誰から見てもそれは変わらない。 その分岐に立って、歩き出したのは貴方なのだから」

スドウ「お、れ、は…」

浜風「話してもらいます。 誰に手引きされたのか、クルストやニムバスは何をするつもりなのかを…!」

スドウ「う、あ… ぁ…」

大鯨「…息絶えた、みたいね」

浜風「貴重な情報源を… だから、消したのか…」

海風「…」グッ

阿武隈「大丈夫?」

海風「…はい。振り向かないって、決めたから」

陽炎「それでも、辛い時は泣いても良い。まだ子供なんだから」

長波「自分を責めるな。コイツがこうなったのは、お前のせいじゃない」

海風「だけど…」

天城「悪いのは『大人』です。子供が、責を負う必要はありませんよ」

榛名「今はせめて、冥福だけでも祈りましょう」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/08(火) 05:24:06.03 ID:eqpKLlju0<> 海風(その後すぐ、海風達は松島を発った。事後処理は陸上自衛隊の多賀城基地の部隊が行うらしい)


大鯨「…さて、誰が皆の居所を流したんでしょうね?」

不知火「恐らく伝達した一部の人間から漏れた可能性が高いかと」

大鯨「つまり、ウチのグループ傘下企業の上役か、あるいは自衛隊高官か政府の人間の中に手引きした人間が居るってわけね」

不知火「どうしますか?」

大鯨「その前に全員を一度別の場所に匿いましょう。 手配を進めて」

不知火「分かりました」


天津風(誰が手引きし、情報を流したのか不明な以上手の出しようが無い。私達は念を入れて隠れ家を変えることになった)


浜風「他の四人は?」

海風「特に変わりはないそうです」

天津風「襲撃はされてないのね。霞あたりが狙われそうだったのに」

浜風「移送の護衛を増やしたそうですし、逃げられないでしょう。内部犯がいればオシマイですけど」

海風「嫌なことを…」

時雨「ともかく、だ。僕等も2度目が無いとは限らない、警戒は緩めないようにしなきゃ」

春雨「罹患者の人達はまた昏睡して、病院に収容されましたが…」

三日月(裏)「ああ、まさから奴等罹患者を操ることも出来たとはな」

海風「それで1億のパンデミックを起こすつもり、だったのでしょうか…」

浜風「可能性は高いわね…」

天津風「なら、絶対止めなきゃ…!」



天津風(私達にはもう進むしか道は無い。止まれば悲劇は起きるし、止まらなくても悲劇を止められるかは分からない。

だけど私達は、戦うしか無いんだ。胸に抱いた決意や覚悟を失くさないために)

海風(信じた明日をこの手で創る、皆で笑顔で居られる世界にするために戦う、そう海風は決めているから)

天津風(私は私が信じる想いのため、そして私を信じてくれる人の為に… ようやく抱いた決意を、失くしたくないから)

海風(だから進むんだ。その先にある未来まで。 二人の信じる、明日の先へと)


第22話『感情の果て』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/08(火) 05:41:08.27 ID:eqpKLlju0<> 次話選択 下3票先取まで


1.霞『ゼロ度の炎』…諸事情により萩風と共に京都へと身を隠す霞。大鯨のツテを辿り、かつて戦った神風達の下へ向かったが追撃するEXAMキャリアーが彼女達へと襲い掛かる。NTとして、彼女はどうEXAMと向き合うのか…

2.神通『Lost Heaven』…朝雲の家族を護るために彼女と暮らすことになった神通。しかし神通も萩風同様、『前の神通』の人格が目覚めつつあり… そんな中でキャリアーとの戦闘に陥ってしまうが…

3.霞&神通『過去と未来』…海風&天津風襲撃の報を受け東京で合流する残りのメンバー。霞・神通の二人はそれぞれに『問題』を抱え込んでしまう。そこに現れるEXAMキャリアーと戦うが…

4.海風『Path of Victory』…東京へと戻り合流を果たした海風と天津風。束の間の休息で親交を深めるメンバーだったが、ニムバスがお台場を占拠したとの報が入る。(※神通・霞が『問題』を解消した、と言う前提の話)。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/08(火) 09:45:53.04 ID:Gohj+Epu0<> 3で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/09(水) 04:46:55.28 ID:tJpTE47uO<> 2で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/09(水) 10:51:37.43 ID:+R+w25noO<> 3 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/13(日) 18:28:17.01 ID:rPEr8nGfO<> 3 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/14(月) 03:03:13.28 ID:p7fG1NkG0<> 第23話『過去と未来』


《東京 甘味処・間宮》


神通「宮城の二人が襲われた!?」

衣笠「スドウ・シュンスケに襲われて、松島で交戦し撃破したらしいよ」

朝雲「松島って、確か天津風のお父さんの職場だったっけ… 二人は無事なんですか?」

古鷹「無事で特に被害も無いって。はい、宇治金時持って来たよ。間宮さんのレシピだけど、あんまり美味しくなかったらごめんね」

神通「なら良かった…」

衣笠「だけどスドウ・シュンスケ、死んじゃったって。ナノに自殺機能があって、口封じされたみたい」

朝雲「酷いわね… 使えるだけ使って、殺すなんて…」

古鷹「それだけじゃない。倒した相手が結果的に死んじゃった事は二人にも小さく無いショックがあった筈だよ」

衣笠「お前が殺したんだー、とか言われてるようなもんだからね。仕方の無い、不慮の出来事だったとしても」

神通「そうですね… 向こうの人達が二人に何かしらフォローをしてくれると良いんですけど…」

衣笠「大鯨さんも榛名も居るんだから大丈夫でしょ。それに戦うって決めた以上遅かれ早かれ味わうことになるのは覚悟してる筈だし。

特に妹ちゃんの方はバビロニアの一件だって自分の目で見てきてるし、その上で戦ったんだから『そうする』覚悟もあったと思うよ」

朝雲「覚悟…」

古鷹「…今ここで、手を引いて無関係な場所に戻っても誰も文句は言わないよ」

朝雲「いえ… 私もとっくに決めてるし、だからちゃんと戦います」

衣笠「ま、なるべく人は殺さない方が良いんだけどね。そう言うのは大人が背負い込むべきだし」

神通「せっかく終わらせたと思ったのに、誰が手引きを…」

古鷹「その大人、かな? 昨日身元不明の部隊が多賀城駐屯地を襲撃して、襲撃犯の遺体から身元の調査しようとしたら上からの圧力で阻止されたみたいだよ」

朝雲「それって、自衛隊の幹部が関わってるってことになるんじゃ…」

衣笠「もしくは政治家の偉い人とかね。 ナノマシンの技術はどこも欲しがってるし、その『性能』だって見たい人間はいくらでも居るもの」

神通「勝手が過ぎます…!それで世界が混乱して、大きな犠牲を出すのに…!」

古鷹「だってその事を知らないし、多分そうなる事すら予想してもない。 目の前に餌を吊るされて、崖まで一直線に走らされてる馬と同じなんだよ。

多分松島の一件だって表沙汰にはならないし、確実に『なかったこと』にされるから… 破滅が迫ってるのに誰も気付かない」

朝雲「じゃあ止められるのは私達だけ、ってこと…」

衣笠「そうなるね。もっと大きな『何か』が起きない限り。 …早く食べないとかき氷、溶けちゃうよ」

神通「あ、はい」

朝雲「そう言えばお店開けないんです? 私達は呼ばれたから来たんですけど」

古鷹「間宮さんが居ないのに開けられないよ。 それにもうここも、事件解決次第引き払う予定だから」

衣笠「しかも物騒な話するなら尚更、ね」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/01/27(日) 02:10:50.22 ID:FjRTBIXX0<> 古鷹「あとはここからが本題なんだけど… 昨日の襲撃を受けて急遽、京都組の帰還を早めることになったの」

神通「萩風と霞さん、それと愛宕先生をですか?」

衣笠「あと1時間後くらいの新幹線で東京に戻るって」

朝雲「宮城組は?」

古鷹「宮城の二人は二度目の襲撃の可能性を考えて、一旦どこかの場所を経由して数日ほとぼりを醒ましてから、だって」

衣笠「…ここだけの話、戻すことにしたのは全員の居場所がバレてる可能性があるから、なんだけどね」

神通「え…?」

古鷹「大鯨さん達が皆を隠そうとした時、EXAMキャリアーの移送を厳重に行うことを政府に依頼してたらしくて…

その時に貴女達のこと、昏睡病と何度も戦って狙われてる可能性のある学生を匿ってるってだけ話をしたの」

朝雲「そこで確実に大鯨さんのお膝元の宮城を襲撃したら案の定、だったって訳ね…」

古鷹「移送の話が何日かおいてから決まったのも、宮城に居るって確証を掴むための時間稼ぎだったのかも…

それに京都の方も漏れてる可能性は否定できないから、京都組をこっちに戻すことが今朝決まったの」

衣笠「纏めたほうが護り易いからね。衣笠さんだって、その方がやりやすいし」

神通「たった一人でテロリストのアジトを殲滅した事は聞き及んでいます。とても頼もしい限りかと」

衣笠「そうそう、大船に乗ったつもりでね!」

朝雲(…実際は先輩の方が強いんだけどね)

古鷹「だからこの後三人を迎えに行って、それぞれをまた二箇所の家に分けるの。一組は霞ちゃんって子の家、もう一組は萩風ちゃんの家ね」

朝雲「ウチは良いんですか?」

古鷹「御両親もそろそろ迷惑するだろうから、って榛名さん達の配慮だよ」

神通「それなら私が霞さんの護衛を引き継ぎます。霞さんの家は今の私の家でもあるので」

朝雲「萩風のマンションは私の家二号みたいなものだし、私が萩風のところに行きます」

衣笠「はいよ。じゃあ、迎えに行きますか」


《一方その頃 新幹線車内》

愛宕「すみません、ビー」バシィッ

愛宕「い゛だっ!?」

萩風「すみません、コーヒー3つお願いします」

「は、はい!」

愛宕「もう、先生に何するのよ!?」

萩風「先生ならもっと先生らしい言動を心がけてください。お昼の新幹線で、しかも生徒が居るのにビールを飲む教師が居て良いとでも?」

愛宕「だって、向こうじゃ呑ませて貰えなくてぇ…」

萩風「当たり前です。 寧ろ衣食住の面倒見てもらえただけでも感謝すべきです」

愛宕「だからって先生を殴らなくても…」

萩風「お母様から許可は頂いてます。『お酒の呑もうとしたらブン殴ってでも止めろ』と」

愛宕「瑞鳳が元凶ね…!」

霞「もう色々と、頭痛くなってきたわ…」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/02/14(木) 01:28:52.97 ID:5P+Kio2T0<> 《東京駅》


神通「二人共、無事に戻って来れて良かったです」

霞「京都は特に問題とかは無かったです。その、滞留先以外は…」

朝雲「なに、変な山奥とか泊まってたの?」

萩風「全国一回戦で戦った『風の会』の3人組の家だったんです…」

朝雲「顔見知りだったのね… あの3人、萩風達と同じタイプの家系だったの?」

萩風「どちらかと言えば陰陽系、オカルト方面ですね。私達は場合によって人とも戦いますが、向こうは怪異専門です。

なのであちらは譜術やまじないに特化していて、対人戦闘の類は私達の方が秀でています」

霞「お陰で萩風が戦闘訓練に駆りだされてあっちの連中鍛えさせられたり、感応できる私も巻き添えにされたり大変だった。

もう暫く幽霊の類の除霊に付き合わされるのは勘弁ね… おぞましいったらありゃしない」

神通「除霊までさせられてきたんですね…」

萩風「そちらは?」

朝雲「平和と言えば平和だったわね。何も起きず何も変わらず、ずっとそんな感じ」

霞「羨ましいわね、まったく」

朝雲「仙台の二人には言わないでよ」

霞「分かってるわよ。海風と天津風、スドウを倒したって…」

萩風「そしてスドウは死亡、結果二人は間接的に彼の死に関わってしまった… 触れないほうが二人の為でしょう」

神通「ナノマシンに敗北したキャリアーを殺す機能が備わっていたのは想定外のことです。彼女達が気に病む必要は…」

萩風「必要が無くとも、気に病んでしまうというものが人間です。榛名さん達が何とかしてくれることを祈りましょう」

朝雲「…ところで愛宕先生は?」

愛宕「うぅ、お酒…」

萩風「禁酒生活で発狂寸前になってます」

朝雲「アル中みたいね…」

神通「しかし範たる教師である以上、生徒の前でお酒はいけませんよ」

愛宕「でも私、臨時教員だから半年もすれば担任も顧問も終わりなのに…」

霞「それが先生の言う台詞か…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/02/14(木) 02:00:49.27 ID:5P+Kio2T0<> 《霞の家》


霞「久々の家だから落ち着くかな、って思ったけど… 何です、これ」

神通「海風さんが世界大会のイベントで獲得してしまったガンプラ一年分だそうです… 運びこむの、大変でした」

霞「アイツ何してくれてんのよ…!」

神通「責めるなら無理矢理参加させた夕雲さん達を責めるべきかと」

霞「えぇ… でもどうするのよ、これ… このままだと日常生活にも支障きたすレベルよ…」

神通「蒼龍さん達がこのあと引き取りに来てくれるそうなのですが… 大会の影響で店の在庫が足りなくなったので、欲しいとのことです」

霞「海風は?」

神通「一応、好きにして良いと言っていました」

霞「なら必要分とか欲しいキットだけ確保して、後は蒼龍さん達に引き渡すか…」



霞「先輩、あとどれ要ります?」

神通「もうこちらは欲しい分は確保しました」

霞「私の分も終わったし、萩風と朝雲が欲しいって言ってるのも確保したし… あとは海風達に連絡つけば良かったのに」

神通「一応二人の好きそうなキットは確保しておきましたが… まだ300個以上もあるとは」

霞「本当、PPSEとスポンサーも馬鹿と言うか…」

神通「…霞さん、何か隠してませんか?」

霞「先輩こそ」

神通「…バレてましたか」

霞「意識、魂が二つ… 『もう一人』が目覚めかかってるんですか」

神通「はい… と言うか、私が消えかかっているんです」

霞「先輩が…!?」

神通「私が生まれる未来への因果が消えかかってる、と朝雲さんが…」

霞「このまま未来が変われば先輩は生まれない、だから消える… でも萩風はそんな兆候は…」

神通「あの子は既にこの時代の『萩風』と完全に置き換わってます。だからあの子の因果は固定され未来へ戻ることは出来なくなった。

でも私は置き換わってないので未来に戻ることは出来ますが、その未来が既に消えかかっていて…」

霞「確定と同時に先輩は消滅する、もしくはその前に消える…」

神通「はい。あくまでも朝雲さんの仮説ですが」

霞「アイツ、なんでこの頭の回転をテストにまわさないのよ…」

神通「しかし隠し事をしているのは霞さんもでしょう。例の夢はもう見ていないと聞きましたが?」

霞「もう悪夢は見ていません。だけど、毎晩私に語りかけてくるんです。『マリオン』が」

神通「マリオン、EXAMのコアとなった少女の…」

霞「日に日にそれが強くなっていって… まるで、何かを訴えてくるような…」


イベント選択 直下
1.朝雲・萩風『仲間として』
2.神通『花散るその前に』
3.霞『受け継いだ命』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/14(木) 09:39:16.57 ID:GJsGnazy0<> 2で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/02/17(日) 03:37:58.16 ID:TB3VXd8F0<> side-神通-『花散るその前に』


私の『時間』はそう長くない、自分でも分かってる。本来不可能な筈の時間改変、その代償なのだから仕方の無いことだと思う。

それでもこの歩みを止めることは許されない。幾多の螺旋を超えてようやく辿り着いた時間軸、ここで歩みを止めたらきっと未来に悲劇が訪れるから。


神通(…けど私は、その未来を見る事ができない)


分岐が生じかけている現時点で私の存在はおぼろげになりつつあるのに、未来が確定すれば今度こそ消えてしまうだろう。

否、その前に消える可能性の方が高いかもしれない。今はそれが何よりも怖かった。


神通(多くのものを得すぎたから…)


決して立ち止まらない心、何度でも立ち上がる勇気、そして護るべき仲間達や自らの剣を託せる人。様々な人やものに触れ、学んできた。

お母様から、愛宕先生から、朝雲さんから、天津風さんから、霞さんから、そして何より海風さんから、多くのものを得て戦った。


神通(だから今度は、私が『創る』番)


大事な人たちが笑っていける未来を。決してその未来を見る事が叶わなくとも、この手で報いることができるのなら。

それだけで私は、私が今ここで生きている意味を見出すことができるのだから。


神通(…『契約』は護れないけど、私が居なくても彼女ならきっと大丈夫でしょう)


海風さんに剣術を教える、と言う約束はきっと護れない。だけど彼女にはそんなものは必要無いだろう。

もうそんなものが必要が無いくらい彼女は強い。 最初から海風さんが戦って成長している姿を見てきて、今なら確信を抱ける。


神通(思えば、助けられてばかりだった)


彼女のどこまでも前を向いて進み続ける姿勢、誰かを護りたいという想い、そのどれもが私を奮い立たせてきた。

きっと彼女なら私なんてもう要らないだろう。ならばもう、思い遺すことは何もない。


神通(花はいつか散るもの。だけど花が全て散り落ちるその前に… 新しい未来を、創ってみせる)


それが私の、残された時間で決めた『やるべきこと』だった。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/02/21(木) 01:55:03.46 ID:WHdCvypQ0<> side-霞-『Burnning/Glacial My Soul』


『助けて』、ふとそんな声が聞こえた気がした。耳からではなく脳に直接響くような声、感応波による声だとすぐ分かる。

微弱で今にも消え入りそうな『声』、だけどそれを私は拾うことが出来る。ニュータイプであることを受け入れてから、感応波は日増しに強くなっているようだ。


霞(どうして、私なの?)


分からない。どうして声が私にだけ聞こえるのか、どうして私がニュータイプとして目覚めることになったのか、『彼女』は私に何をさせたいのか。

だけど『彼女』は問いに答えず、ただ一方的に細い声で叫ぶばかりで、私の欲しい回答は得られない。


霞(私がやらなきゃいけないこと…)


私に何が出来る? 私に誰かを救う力なんて無いし、ニュータイプの共感能力も相手が拒めば意味も無いものだ。

ただ一つあるとすれば『戦う力』だけで、それは『誤解なく分かり合う』ニュータイプの在り方を真っ向から否定していることになる。


霞(じゃあ私がやりたい事)


決まってる。大事な人達を護りたい、それだけ。それだけで戦ってきて、そしてここまで辿り着いた。

矛盾している、と自分でも思う。分かり合う力を戦うためにしか使わない、本末転倒にも程があるだろう。


霞(だけどそれが『私の力』だから)


『マグマ』と『氷』、偶然ながら私が『アクロスバースト』で発現させた力。相反する心象が私の中にあったからこそ生まれたもの。

多分、この力は私一人のものじゃない。私一人だけなら片方しか発現しない筈かっただろう。


霞(きっと私の道はあの日から一人分の道じゃなかったんだ)


あの事故の日、私が生き残った理由は『誰か』が私に命をくれたからだと思う。だからきっと私と『誰か』の命が相反する力の源になっているのかもしれない。

なら余計に私は死ねなくなった。命を誰かから受け継いでいる以上、私には生きて誰かを助ける義務がある。


霞(今を生きるみんなの命を未来に繋ぐ。そのために私は戦う)


例えソレが矛盾を孕んだ生き方だったとしても、私は私の信じる道を行く。私の『共犯』が進む道の隣、誰かの未来を創る道を。

そのためなら私は迷わない。戦いを終わらせて、皆を救う道をひたすらに進む。 それが私の心に決めた道だから。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/02/28(木) 03:25:38.20 ID:+eW8m+rg0<> side-朝雲&萩風-『仲間として』


萩風「心配、ですか。姉さんと霞さんが」

朝雲「そりゃそうよ。あの二人、抱え込む癖あるんだもの」

萩風「同じ抱え込むタイプでもその悩みがまだ『普通』な分、海風さんの方がだいぶマシですね。あの二人は事情が事情なだけに解決は自分でして貰うしか無いのも面倒というか…」

朝雲「下手なアドバイスすら出来ないしね。霞にはリタが居れば良かったのに… 平行世界から呼べないの?」

萩風「今は無理でしょう。彼女達も今、世界を脅かす敵と戦っているんですから」

朝雲「…『深海棲艦の大規模侵攻』、私達の世界で15年近く後に起きる事象が向こうじゃ今起きてるのよね」

萩風「はい。未来の話では向こう側も犠牲は無いものの大きな手傷を負ってこちら側の協力要請に応えられなかった、と。

寧ろ私達の世界の側から戦力を供給すべきなのに、浜風さん達の犠牲でそれが出来なかったと悔やんでいました」

朝雲「瑞鳳さんなら、本気で死に際まで引き摺りそうね…」

萩風「と言うか何で知ってるんですか」

朝雲「リンクしてるからよ、萩風と。 記憶までは読み取れないけど、今考えてることなら多少は分かる」

萩風「…やっぱり、人の考え読んでた」

朝雲「私と萩風のパス、どうやらまだ切れて無いみたいなのよね。嵐ってのは即座に切れたのに」

萩風「『私』との縁が薄いから、でしょう。朝雲さんと『今の私』の縁は深いけど、彼女と『今の私』は縁が希薄ですし」

朝雲「ま、多分コレの影響もあるけどね」

萩風「あ、私のチョーカー… 無いと思ったら…」

朝雲「アリスタ、だっけ? 多分これが私と萩風を繋いで、楔にしてるのよ」

萩風「多分私の存在が安定しているのは繋がっている朝雲さんが楔になってるから…」

朝雲「未来に帰れる可能性を放棄してこの時代に残るって決めた、ってのもあるだろうけどね。半々、ってところかしら?」

萩風「だけど姉さんには楔になる人間が居ない、だから不安定なのかも…」

朝雲「楔になれる人間は居るのにね」

萩風「海風さん、ですよね」

朝雲「あの二人、互いにリンク経験はあるし互いのアリスタを交換してる。多分不安定なのは迷いがあるから、だと思うんだけど」

萩風「この期に及んでまだ迷ってるの、あの人…」

朝雲「もしくは消えることを前提にしてるのかもしれない。もう一人の自分、『本来の先輩』に存在を返すために」

萩風「それで自分も消滅したら元の子も無いのに…」

朝雲「だけど私達が干渉すべきことじゃない、選ぶのは先輩なんだから。まぁ消えられたら困るけど…」

萩風「どうすることも出来ないのがもどかしいわね…」

朝雲「私達には無理な案件ね、どっちも。戦いになればサポートすれば良いんじゃないかしら」

萩風「それしか無い、のよね… だけど私は、少しだけ幸運ね」

朝雲「ん?」

萩風「何でもないです。お風呂入ってきます」

朝雲「なら、背中くらい流したげるわよ。 私は萩風の『パートナー』で『楔』だもの」

萩風「あと居候でもありますが」

朝雲「痛いところを突いて来たわね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/15(金) 05:12:39.43 ID:J5Yvu/zr0<> 《翌朝》


神通「残りの三人とクルストも逃亡した!?」

霞「はい。先輩が修練してる間に古鷹さんから連絡があって… 私達には基地に来るように、とのことです」

神通「分かりました。準備をして… うっ…」フラッ

霞「先輩!?」

神通「大丈夫、ふらついただけ…」

神通(間隔が短くなってきてる… もうタイムリミットは残ってない… 多分次が私の最後の戦いになる、か)

霞(先輩、調子が悪いの…? まさか、消えるときが近付いて… だけど私にはどうすることも…)



《瑞鳳の秘密基地》


古鷹「これが独自に動いてた青葉から送られてきた情報、特殊部隊が護送車を襲撃してクルスト達を逃がしたの」

蒼龍「で、肝心の本人は?」

衣笠「特殊部隊について調べてる。まぁ大体見当はついてるらしいけど」

飛龍「一体誰がそんな事してるのよ」

古鷹「これを見てください」

朝雲「えっと、薬莢?」

萩風「5.8x42mm、NATO規格じゃない小銃用の弾薬… これを採用しているのは中国製の小銃だけ。

でもこっちはロシアの5.45x39mm、同じ武器を使ってるんじゃ無い…?」

霞「少なくとも2種類の国の銃弾が同じ部隊で使われてるってこと?」

衣笠「これ、大鯨さんから送られてきた多賀城基地襲撃犯の使った弾ね。 調べてみたら、前に同じ規格の弾や使える銃の類が密輸入されたものが押収されてた。

だけど今その行方が分からなくなってる。 厳重に保管されてたものがね」

神通「保管されていた銃器を強奪出来る程の精鋭が居るか、横流しできる立場の人間がバックに居る、と言う事ですね」

朝雲「どっちにしろ最悪じゃない…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/16(土) 02:35:03.31 ID:SYKfNNGB0<> 霞「蒼龍さん達、こっちに残ってたんですね」

蒼龍「私達はお目付け役よ。それに瑞鳳だっていつ復帰できるか分からないし、イザと言う時に貴女達を守れないじゃない」
 
萩風「お母様、そんなに酷いんですか?」

飛龍「『アシムレイト』の負荷にアイツ等と戦った時に技を使い過ぎた反動、それにずっと働き詰めの過労もあってね…」

蒼龍「貴女達の前では気丈に振舞ってたけど、未来を知ったことで精神的にもショック受けてたし」

萩風「お母様…」

飛龍「無茶しすぎなのよ。全部一人で抱え込んで、平気なフリして… そりゃ事情が事情だけに出来ることなんて無いけど…

だけど重荷を背負うくらいなら私達にだって出来るのに。仲間なんだから相談位してくれても…」

神通「…きっと仲間だからこそ、何も言え無いんだと思います。苦しみも何もかも自分だけ背負えば良い、そう言う性格ですから」

萩風「それ、自分の事じゃ?」

神通「うっ…」

飛龍「まぁ親子だし変なところだけ似ちゃったのね」

萩風「全く… もう少し他の方を見習ったらどうですか」

朝雲「それは萩風もよ」

萩風「え」

古鷹「そうだね。バビロニアの時だって先んじて潜入してたし」

霞「いきなり通気口から出てきたのはビックリしたわ」

衣笠「それに逃げ遅れた生徒を護って防衛戦まで一人で繰り広げて、結局似た者親子じゃない」


イベント選択 直下
1.霞『予兆』
2.海風『予測』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/16(土) 09:41:35.57 ID:FZvHQSbI0<> 2で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/17(日) 01:54:16.47 ID:E91cr16X0<> side-海風-『予測』


《宮城 鳴子》


海風「やっぱり逃げましたか…」

天津風「海風、逃げる事分かってたの?」

海風「予測演算で96%の確率で。大鯨さん経由で警戒の打診を自衛隊にしたんですけど、物の見事に無視されましたね」

時雨「仕方ないさ。子供の戯言扱いだし、きっと元から対応する気すら無いんだと思うよ」

海風「でもそれでまた犠牲になった人達が居るのは…」

浜風「割り切るのは難しいわね。私も、捕縛なんかしないで殺っておけば良かったって…」

春雨「後悔するよりもまずはこれからどうするべきかを考えましょう、はい」

三日月「海風さん、今後テロリストが動く可能性は?」

海風「現状100%です。そしてここ二日以内の確率が75%を超えています」

時雨「その中で、東京を襲う確率は?」

海風「90%に限りなく近いです。脱走地点から考えて、こちら側へと襲撃が来る確率は低いです」

天津風「確か向こうは四人と青葉さん、蒼龍さんと飛龍さんだっけ?」

春雨「古鷹さん達もいらっしゃいますが二人は生身での戦闘担当ですし、合計7機しか戦力が…」

浜風「瑞鳳さんはまだダウン中、夕雲はその付き添いなので動け無い、と」

時雨「マズイね。場所が都内ってことになったら人が多い。その人たちが巻き込まれたら7機だけじゃ守れない」

海風「榛名さん達もすぐには動けないでしょうし、どうすれば… こちらからの救援は間に合いそうに無いから…」

天津風「よりにもよって鳴子だものね… 新幹線なんてないし」

翔鶴「あら、皆揃ってどうしたの?」

時雨「ここから東京にってどうやったら一番早く到着できるかな、って」

翔鶴「まさか貴女達、いざとなったら東京に戻るつもり?」

春雨「その必要があれば、ですけど… お母さん、さっきまで一体どこに行ってたんです?」

翔鶴「大鯨さんからコレ預かってきたの。ちょっと預かり物をね」

時雨「預かり物?」

翔鶴「それは秘密。使わない可能性の方が高そうだから伏せておけ、って」

天津風「…いやーな予感しかしないんだけど」

海風「ロクでもないものでしょう、きっと」

海風(ここから皆を助けられないのは心苦しいど、皆ならどんな敵も退けられるはずです。海風がいなくとも、きっと…) <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/26(火) 04:09:17.86 ID:bdDXg47H0<> 《秘密基地 トレーニングルーム》


萩風「麒麟・極!」

神通「くっ…!天剣、絶っ… …!?」

萩風「勝負、有りです」

神通「…やるようになりましたね。分身をの完全に実体化させて囮に使い、自身は気配を完全に消して私の背後に回り込むなんて…

しかも極まで覚えて、大鯨さんと近づきつつある。いつの間にここまで?」

萩風「見よう見真似で使ってみただけです。制御はまだまだ出来そうにないし…

それより姉さんの方が問題です。前ならまだ私に喰らい付いてスタミナ切れまでもつれ込まそうとした筈、なのにそれをしない」

神通「いえ、私は…」

萩風「正確にはしない、のではなく出来ないんですか。貴女の中の迷いが刃から伝わりますよ。

戦いに集中できていない、このままでは貴女は戦いを終わらせるどころか私達のお荷物でしかないです」

神通「っ…!」

萩風「私は手段を選ばない。お母様を救うためなら、破滅へ向かう未来を変える為なら、大事な人を護るためなら私はもう迷わない。

朝雲さんと霞さんも戦おうとしてる。宮城の二人だってもう戦ってる。それなのに年長で5人を束ねるべき立場の人間が迷っていて恥ずかしいとは?」

神通「それは…」

萩風「姉さん、どうして何も頼ろうとしないんですか」

神通「え…?」

萩風「自分が消えるのが怖かったのは私も同じ。先に私はそれを乗り越えてた、なら私を頼っても良かった筈…

自分一人で抱え込んで、解決できることなんて何も無い。どれだけ肉体を鍛えたところで心の弱さは拭えない、なら他の人を頼っても良いんです」

神通「萩風…」

萩風「今の段階で私から言えるのはこれだけ… あとは姉さん次第です。これからどうなるかは」



萩風「全く… 私、こう言うのは柄じゃないのに」

朝雲「馴れない役お疲れ様」

萩風「朝雲さんが言えば良かったじゃ無いんですか?」

朝雲「こう言うのは自分の身内からガツンと言ってやった方が効くのよ。まぁ、これでようやく先輩も問題点に気付けたかな」

萩風「『誰かを頼ろうとしないで一人で抱え込む』、お母様そっくりです」

朝雲「何と言うか、先輩と瑞鳳さんは似てるけどここまで似なくても良かったのに。 …ん?」

萩風「どうかしました?」

朝雲「もしかしてだけど… 改変前の未来の瑞鳳さんって、誰にも頼らないで深海棲艦と戦ったのよね?」

萩風「ええ、単身でですけど…」

朝雲「そしてこの前も単身で決着の場に乗り込んで… 多分改変前も、誰にも頼らないで戦って阻止に失敗して…」

萩風「一体それが…」

朝雲「…もしかしたら、歴史の分岐点が分かったかも」

萩風「え…!? どう言う事!?」

朝雲「多分分岐の鍵は瑞鳳さん… 瑞鳳さんが、歴史のターニングポイントなんだと思う」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/26(火) 04:51:29.84 ID:bdDXg47H0<> 《ブリーフィングルーム》


霞「先輩? どこに行ってたんですか?」

神通「トレーニングルームの方に。ちょっと萩風に怒られてしまいまして…」

霞「珍しい… ま、大方朝雲差し金だろうけど」

神通「それでも流石に堪えました… 自分の欠点を突かれたみたいで」



霞「誰かを頼れ、か… だけど今の萩風なら言う資格はあるかもしれないわね」

神通「正直、私は今のあの子が羨ましいです。そうやって重荷を分かち合ってくれるパートナーが居るのは」

霞「先輩…」

神通「私、人付合いとか苦手で… だけどようやく、私の剣を預けても良い人が現れて…」

霞「海風、ですね」

神通「剣を教えるって約束までしたのに… 私が怖いのはただ消えることじゃない…

彼女の記憶から『今の私』が、約束を守れなくなることでもなく約束を交わしたことすら消えてしまうのが怖いんです」

霞「先輩が消えることは先輩が居た未来が消えることを意味して、その未来が消えれば『先輩が過去に転移した』事象自体が消えてそこに矛盾が起きる。

そこで世界の『辻褄あわせ』が起きれば、『今の先輩』と言う存在が私達からも消える… それが怖いんですね」

神通「はい…」

霞「確かに、誰かの記憶にすら残らないのは辛いし嫌ね… 私の家族も、あんな事故があったのに記録から殆ど消されて誰の記憶にも留まってない…

だけど先輩は今ここに居ます。ここに居て、未来を変えるために戦おうとしてる」

神通「霞さん…」

霞「きっとまだ方法はある筈です。先輩を消させない手段が」


蒼龍『あーあー、霞ちゃん居る? 至急医務室に来て欲しいんだけど』


霞「呼び出し?」

神通「検査、でしょうか」

霞「もう感応波のテストは終わらせたのに… ちょっと行って来ます」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/29(金) 03:31:38.77 ID:sxfFl5AQ0<> 《医務室》


「あ、来た」

霞「誰…?」

「貴女なら分かるでしょう?感応の使い方は前に教えたから」

霞「まさか、リタ!?」

リタ「正解」ポチッ

霞「あ、普通に戻った…」

リタ「どう、このヒュウガ特製ナノマテリアルを利用した変装アイテムは?」ポチッ

霞「あ、また見た目変わった」

リタ(Ver.NT)「今はこの姿にしかなれないんだけどね、システムの都合上。だから現状私専用なの」ポチッ

霞「なる程ね… で、その見た目は何」

リタ「『もう一つの世界の私』の姿、って言えばいいのかな… 宇宙世紀の平行世界の一つの私の姿、ってところ」

霞「? 元の姿、じゃないの?」

リタ「元の私の目は黒で髪の色は覚えてないけど… 少なくとも目はエメラルドグリーンじゃないし髪型も違ってる。

私が存在したのは『ネオ・ジオングがフロンタルに届かなかった世界』で、この容姿は『フロンタルがネオ・ジオングを手に入れた世界』の私のものってこと」

霞「小説版とアニメ版のキャラの違いってこと?」

リタ「要するにそう言う事。細かい差異はもうちょっとあるけど、割愛するね」

霞「で、用件は何?」

リタ「せっかちだね。良いけどさ。 要件は二つ、医務室に呼び出したのはその一つ… 向こう側で保護してたこの子をこっちに返しに来たの」

霞「女の子?」

リタ「貴女は初めてなんだ、この子を見るの」

霞「そうだけど… もしかして、マリオン?」

リタ「うん。 私達の世界がちょっとヤバめでね、何かあったら危ないからこっちに戻すことになったの」

霞「ヤバイって…」

リタ「いや、もう危機は脱したんだけどハシラジマの設備にも被害が出て一部機能が停止してる状態に陥ってるから…

今度は疲弊したハシラジマを私達の世界の人類が攻撃しないとも限らないし、念のためってことで」

霞「世界を敵にまわしたの!?」

リタ「そう言う訳じゃないんだけど… ハシラジマって未知のテクノロジーとか兵器とか満載だから、狙ってくるのが多いの。

防御フィールドに擬装用光学迷彩とかはあるけど、一部機能が止まってるからもし襲撃されたら完全に安全とは言い難いし」

霞「そう言うことね… で、もう一つの用件は?」

リタ「貴女に託さなきゃいけないものがある」

霞「何それ?」

リタ「『ガンダム』」

霞「『ガンダム』…!?」

リタ「私達ですら存在を把握してなかった、誰も知らない『ガンダム』… それを貴女に引渡しに来た」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/30(土) 00:33:51.47 ID:k3IB2gxF0<> 《格納庫》


リタ「これが貴女に引き渡すために持って来た機体、未知の『ガンダム』」

霞「なんかひ弱そうな見た目ね。華奢と言うか、痩せっぽちって言うか」

リタ「試作機らしいからね。戦闘用に設計されてない試験機、技術系譜としては『ヤクト・ドーガ』に近いかな」

霞「ヤクト、ってファンネル搭載型の機体よね。この機体、サイコミュがあるの?」

リタ「サイコフレーム積んでるだけ。内蔵武器もバルカンだけだしスペックだってヤクトにすら及ばない。

コックピットだって全天周囲モニターですらないしリニアシートすら無い、本当に試験するためだけの機体だよ」

霞「えぇ…」

リタ「ただこの機体、製造はU.C.0090前後、少なくとも0093前に製造された機体なのにOSに『NT-D』が搭載されてた」

霞「『NT-D』が!?」

リタ「多分後天的に搭載された可能性が高い、って言うのがこっちの見解。一応ハシラジマで近代化改修とオプション装備の追加製造はしたけど性能は並、って考えてくれて構わないよ」

霞「何でそんな機体を私に預けるのよ…」

リタ「敵はEXAM、対NTに特化しているならこっちも対抗出来るシステムは要るでしょ? それに少なくとも敵はモビルスーツの頭を稼動状態で保有してる、ってことはMSそのものを保有している可能性だってゼロじゃないし」

霞「だからこっちもシステムとMSへの対抗策にこのガンダムを用意した、ってことね」

リタ「そう言う事。一応貴女用に『ZZガンダム』系統の用意をしてたんだけど、戦力不足で私達の側での運用が決まっちゃったから…」

霞「MS戦の可能性がどれだけあるのか分からないけど、やってみせるわよ。少なくとも私は戦うし、生き残ってみせる」

リタ「流石、健闘を祈ってるよ。 あとこれ仕様書とマニュアル、それと向こうにシュミレータも搬入しておいたから」

霞「分かった。で、この機体はなんてガンダムなの?」

リタ「『RX-9 ナラティブガンダム』、それがこの機体の名前らしいよ」

霞「『ナラティブガンダム』…」

リタ「あと海風用にちょっとしたデバイスと、ベースジャバーも1機搬入しておいたから」

霞「デバイス?」

リタ「あの子の能力を拡張させるためのデバイス、ってところかな」


イベント選択 直下
1.霞『ニュータイプ』
2.神通『決意の剣』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/30(土) 09:38:41.30 ID:ymvmVoJo0<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/31(日) 00:53:19.81 ID:sSR3sEed0<> side-霞-『ニュータイプ』

《医務室》


「頭いた…」


ナラティブのサイコミュ調整のために少し負担をかけすぎたらしい。元々サイコミュに触れるのも、それを使って戦うのも初めてだから仕方無い。

結果、頭痛に襲われて医務室のベッドを借りることになってしまったのは仕方が無いと思う。


(でも、私がニュータイプ機に乗るなんてね)


最近までニュータイプと呼ばれることに否定的だったのに受け入れつつある自分の変わりぶりにちょっとだけ驚いている。

でも私は変わってない。どれだけ力を持とうと、絶対に心は変わらない。人は人の心を失った時点でもうそれは人じゃないから。


(だから私は人であり続ける。人として戦う、大事な人を護るために。そしてアンタも救う、マリオン)


カプセルに横たわり、管を繋がれている彼女を見る。私には分かる、この身体の器には『魂』と呼べるものが残っていない。

彼女の魂をこの肉体に取り戻す、そうしないと誰も救えないのだ。マリオンも、そしてニムバスも。


「ねぇ、マリオン。私ね、誰も救えなかったの」


意識の無い身体へと私は語りかける。私の忌まわしい記憶の一端、最近まで魘されていた悪夢の話を。

なは号爆沈事件として世間から消されてしまった悲劇、そして今の私を創り上げた要因である事件だ。


「まだ何の力も無くて、沈んでいく船から投げ出されて、逆に私だけ誰かに助けられた。

ううん、ここまで生きてくるまで私はずっと誰かに助けられて、救われてきたんだと思う」


今なら分かる。私を引き取ったお婆ちゃん、お婆ちゃんが亡くなった後も後見人になってくれた大鯨さん、そして海風を始めとした仲間達が側に居た。

だから私は今の私になった。ニュータイプであることを受け入れ、ちょっとでも前に進みたいと思ってる。


「だから今度は私が誰かを救う。 貴女と一緒に、ニムバスだって救ってやるわ」


そう告げた時、基地の警報が鳴り響いた。恐らく敵が何らかのアクションを起こしたに違いない、そう直感が告げる。

ならするべき事は唯一つ、戦うことだ。世界を蝕む悪意を壊して、皆の未来を護るために。


「じゃあ行って来る。戦いを全て終わらせに」


そして私は頭痛すらも忘れてブリーフィングルームへと駆け足で進むのだった。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/03/31(日) 01:36:09.06 ID:sSR3sEed0<> 《ブリーフィングルーム》


古鷹「…これが、現場の状況です」

萩風「まさか彼が防衛庁、市ヶ谷に仕掛けに行くなんて…」

朝雲「都心、ってことは相当な被害になるわよこれ」

衣笠「現場の青葉が可能な限り避難と救護にあたってるみたいだけど人手が足りないって」

飛龍「私達も行かなきゃ… 皆はここで待ってて…」

神通「いいえ、私達も同行します」

蒼龍「本気で言ってるの? 子供だけで何が出来るの」

霞「かと言って大人だけで対処出来る問題ですか? 瑞鳳さんも榛名さんも居ない、蒼龍さんと飛龍さんだけで何が出来ると思ってるんですか…!」

朝雲「霞の言う通りです。ここから瑞鳳さんや榛名さんを呼ぼうにも、少なくとも2時間はかかる。その間に二人だけで戦うんですか?

それなら私達も同行して、迎撃と避難誘導を手伝った方が遥かに犠牲者を少なくする事が出来る。それが最善だと思います」

古鷹「この場合、この子達の言うほうが現実的だと思いますよ、二人共」

飛龍「…癪だけど、認めるしかないわね」

衣笠「だけど気を付けて。特にニュータイプちゃんは」

霞「分かってます」

リタ「じゃあ私も行くよ」

霞「リタ?」

リタ「私が元凶の身体を探し出す。それに感応波を持ってるから囮にもなれる」

蒼龍「これで決まり、か。飛龍、一応救援要請を宮城と瑞鳳、あと夕張ちゃん達にも打診して」

飛龍「分かった。じゃあ行くわよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/04/03(水) 03:38:50.21 ID:DytNu1j/0<> 《市ヶ谷 防衛省前》


青葉「ああ、もう!いくらこの機体が重火力仕様だからって!」


自身の駆る『RX-0[Gr]グリンカムビ』のエネルギー残量を見ながらぼやく青葉。かれこれ20分以上、この場に留まりその全身に内蔵された武装をフルで使用しながら単機で防衛線を構築し戦っていた。

逃げる人々を護りながら無人機を相手に立ち回っていたが機体のエネルギー残量がほぼ限界に近付いており内心焦りが生じており、そこを突くかのようにまた無人機が20機ほど青葉へと襲い掛かる。


青葉「これは、ちょっとキツイかな…!」

「退いて!デカいのいくから!」

青葉「!」


射線から逸れた次の瞬間、大出力のビームが放たれ無人機を薙ぎ払っていく。そして足並みを崩した無人機に2機のMSが突撃して、鎌と刀を使って残存の敵機を切り刻む。

全ての無人機を破壊した2機、『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』と『カラドリウスルベルム』が『グリンカムビ』の前に護るように立ち塞がった。


萩風「無事ですね、青葉さん」

神通「機体状況は… あまり良いとは言えませんね」

青葉「もうエネルギーもカツカツでして… 後退して良いですか?」

蒼龍「駄目に決まってるでしょ」


そこに少し遅れた『ガンダムDXクロイツ』が到着し、さらに4機『ブラストアクロスZZ』『シームルグ』『ダブルオーガンダムクロイツ』『ストライク・エインヘリヤル』も並ぶ。

蒼龍の言葉に思わず青葉は『うげぇ』と言ってしまい、元々心象が悪い蒼龍の癪に障ったらしく怒鳴られた。


蒼龍「あのね、現時点でもう防衛省の施設が半壊してんのよ!? しかも駐留の部隊も壊滅して、どうしてそう後退とか言えるのよ!」

青葉「こっちだってエネルギーがないんですよ! 被害が大きいのは分かりますがねぇ、こっちだって遊んでたんじゃなくて防衛ライン一人で作ってたんですよ!?」

蒼龍「分かってるわよ!ならサーベルでも使って戦いなさいよ!」

青葉「無いんですよそんな装備!」

蒼龍「え」

青葉「『グリンカムビ』は近接戦を一切想定してなくて、近接用装備が一切ないんです!寧ろここまで耐えたの褒めて欲しいくらいなのに!」

飛龍「どうしてそんな機体作ったかな… リタちゃん、お願い」

リタ「はーい。補給用のケーブル刺す穴どこ?」


朝雲から借りた『ストライク・エインヘリヤル』が『グリンカムビ』に近付き、補給ケーブルでエネルギーを供給する。

リタ自身は生身で活動する予定であったが危険と判断した朝雲によって機体を貸し与えられており、馴れない操縦に四苦八苦しながらも何とか他の機体に追随しているのだった。


朝雲「丁寧に扱ってよ。私の機体なんだから」

リタ「分かってる。支援機だから私好みじゃないけど」

霞「と言うかストライクがその補助機能使ってるの初めて見たんだけど」

朝雲「仕方ないでしょ。いつも使う前にストライカー外しちゃうんだもの」

萩風「それより霞さん、今回の装備はFをベースにNを組み合わせた急造のものです。扱いには注意を」

霞「互換性があるのは知ってたけど、まさかこんな装備で出るとはね… やってみせるしかないけど」



イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/07(日) 16:36:15.61 ID:/uN6XQpHO<> ニムバス急襲 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/04/09(火) 23:08:48.47 ID:AfuNDMeo0<> 朝雲「蒼龍さん!エネルギー残量は!」

蒼龍「78%!まだまだ撃てるわよ!」

飛龍「よし、ここを強行突破して一気に…」

霞「待って!何か、悪意が… 皆下がって!」


突如地面から生える粒子結晶。 咄嗟に全員回避行動を取るが、それは『彼等』の意図通りであり霞もまたそれに気付く。

今のは霞を狙った攻撃であり、最大脅威である霞を孤立させるための罠であると。


朝雲「何よコレ!壁で覆われて…!」

萩風「霞さん、後退を!このままでは…」

霞「後退、なんて出来そうにないわね… そこに居るのは分かってるわよ、ニムバス!」


建物の陰から現れたのは『陸戦型ガンダム』、しかし胸部の違いやバックパックの形状からその改修機である『ブルーディスティニー』であることを悟る。

そしてシールドは『ジムコマンド』のものと同型であることから『2号機』であると霞は判断した。


霞(我ながら、ガンダムに詳しくなってきたわね)


以前の自分なら全部一括りにして『ガンダム』と呼んでいたであろうものを具体的に判断できるようになってしまった。

頭を抱えたくなったが、思考を切り替え戦う体勢を整える。


ニムバス「単機で戦うつもりか、我等相手に」

霞「逃げ道が無い以上、そうするしか無いでしょ」

トリスタン「だが、貴様はたった一人だ」

セルジュ「愚かなことを。貴様に万が一の勝ち目など…」

「それはどうでしょうね」

セルジュ「何っ!?」


気配を殺し、壁の中に潜んでいた『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』が現れセルジュの操る『ギャン』の左腕をビームの矢が射抜く。

即座に腕を再生させたセルジュは神通を睨むが彼女は一瞥し、ニムバスを睨む。


神通「霞さん、退いてください。私が纏めて倒します」

霞「いえ、退けません。私にもやることがあるから。 先輩はニムバス以外をお願いします」

神通「…分かりました。 インフィノットジャスティス・ロンギフローラム、神通…!」

霞「ブラストアクロスZZ、霞! ここで、戦いを終わらせる!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/04/11(木) 04:34:28.24 ID:GIwAsBnN0<> BD02と鍔競り合いになるブラストアクロスZZ。EXAMを発動したBD02を相手にしても霞は一歩も退かない。

例え機体の相性が劣悪かつ、さらに対NT用のEXAMシステムによる強化すらも意に介さず、霞は喰らい付く。


ニムバス「何故こちらの動きに対応出来る…!」

霞「EXAMの紛い物なんかに、私が負けるか!」


霞のZZがBD02をパワーで押し切り、吹き飛ばす。そして地面へと叩きつけられたBD02へと両肩・両膝に装備されたビームキャノンが火を噴いた。

ニムバスは咄嗟に体勢を整えビームを回避し、再度距離を詰めようとするが、霞はそれを許すはずもなくファンネルによる攻撃を仕掛け足を止めさせる。


ニムバス「紛い物だと!?」

霞「この世界の『マリオン・ウェルチ』はニュータイプじゃない!意識を組み込んでも、フルで性能は発揮できないのよ!」


霞はEXAMシステムはNTの意識を取り込む事で初めて完成と言える、と結論に至った。あくまで『この世界』のマリオンはあくまで『少しだけ神経が発達しているだけの少女』でしかないのを霞は彼女のカルテで確認している。

故に性能は宇宙世紀で使われた『EXAM』には劣り、宇宙世紀の産物に触れたことでNTへと至った霞には及ばない。


霞(だから彼女は私の『声』に応えられなかった。叫ぶだけの力があっても、応えるだけの力が無いから)


まるで一方的に叫び声だけを垂れ流すスピーカーと同じ、それも垂れ流してるのは特定の人にしか聞こえないモスキート音みたいなもの、だと霞は思う。

故に霞には届いた。彼女の悲痛な叫びが、悲しみが、懇願が。だからこそ霞は今ここに立っている。


霞「もう止めなさい! EXAMに繋がってるなら聞こえるでしょ、マリオンの叫びが!」

ニムバス「声?…だと? 戯言を言うな! 彼女が貴様に語りかける筈などあるものか!」

霞「じゃあアンタは何で戦ってるの!マリオンを救いたいんじゃなかったの!」

ニムバス「私はEXAMで人類を導く! それが彼女の、EXAMの望み!」

霞「そんな誰かを犠牲にするシステムで、誰かを導けるわけがない!」


BD02がファンネルをサーベルとライフルを使って一つ一つ破壊していき、ZZへと肉薄し再度サーベルがぶつかり合う。

二刀流から繰り出される一撃を防ぐ霞だが、腕に蹴りを放たれ、サーベルを手放してしまう。だが腕部に内蔵されたモーター・ブレードを展開し、BD02と再度激突する。


ニムバス「黙れ!戦う意義すら見出せぬ子供が!」

霞「戦う理由ならある!私は生きる為に戦ってるのよ!」


一瞬の隙を突いて、左腕のモーター・ブレードをBD02の右肩の関節へと突き立て両断する霞。そして今度は逆に胴を蹴り返し、BD02を弾き飛ばす。

ニムバスは霞を睨み、殺気を意に介さず霞は己が出した答えをニムバスへと放つ。


霞「私は死ぬのが怖い、だから一生懸命生きてるのよ!生きる為に戦ってるのよ!

大事なものを奪われる苦しみを、もう誰にも味わって欲しく無い!だから戦う、それの何がいけないの!」


頭を過ぎる悪夢。 目の前で命が消える瞬間、熱い炎と冷たい水の記憶が霞の脳裏を埋め尽くす。

理不尽に命を奪われる苦しみは人一倍知っている。だからこそ、それを止めたいと言う想いは人の数倍強い。


ニムバス「所詮は子供の理想、戯言に過ぎん!」

霞「理想で結構!戯言でも構わない! 私は、この想いを貫く! そのための力を、今此処に!」


彼女の腰のベルトに附属するサイコフレームが輝き、『ブラストアクロスZZ』の内部からも紫色の光が溢れ出す。

霞は意識を研ぎ澄まし、その名を叫ぶ。 自らに定められた力であり、悲しい戦いを終わらせるための圧倒的な力の名を。


霞「迸れ! アクロスバーストッ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/04/14(日) 02:25:34.52 ID:TSYovTFe0<> 『ゲルググ』と『ギャン』を相手に神通と『インフィニットジャスティスロンギフローラム』は立ち回る。

ギャンの刺撃を片手の剣でいないし、残った片手でライフルを使いゲルググを牽制し寄せ付けさせない。


トリスタン「ただの人間が、EXAMを使う我々と互角だと…!」

神通「いくら強力な武器だろうと、使う人間が駄目なら無意味です」

セルジュ「何者なんだ、貴様は…!」

神通「私は『真紅の戦乙女』の娘、貴方達の起こす悲劇を終わらせる者です!」


そう言い放ち、神通はギャンの腹部へと刀を突き刺し、ゲルググへとギャンを放り投げる。放られたギャンがゲルググにぶつかり、バランスを崩す2機。

すかさず神通はライフルを投棄して2本目の刀を抜き、2刀流の構えで技を放とうとするが…


セルジュ「我々を倒せば、人類には破滅しか残されていないんだぞ!」

神通「え…?」

トリスタン「今だっ!」

神通「ッ…!」


神通が驚いた瞬間ゲルググがビームライフルを放ち、その一撃がシールドを掠める。神通は構えを攻撃から防御へと移行して様子見へと移った。

神通が知る未来とこの二人が知る未来は決定的に違う、その事実に混乱してしまい攻勢を崩された結果だ。


神通「どう言う、事ですか…!」

セルジュ「『このままの世界』で在り続ければ遠くない未来、進化した人類によって今の人類は滅ぼされるのだぞ…!

そしてそれが原因で世界に『化け物』が現れて破滅を齎す!それを容認するのか貴様は!」

神通「まさか、深海棲艦…!?」


深海棲艦、数多の世界を渡り歩き滅ぼした異形の存在。神通が本来生きていた時代にも現出し、瑞鳳の死の遠因を作った憎むべき敵だ。

自分の知る未来以外でも深海棲艦は現出した、その事実は神通の脳裏にあった『ある疑念』の答えにも繋がっていた。


神通「なら… ここで貴方達は絶対に止めなければならなくなりました…!」

セルジュ「正気か貴様!?」

神通「遠くない未来、と言いましたがそれはどのぐらい後ですか? 30年?それとも50年? 少なくともまだまだ先の事…

だけど貴方達が引き起こす悲劇を止めない限り、その災厄が訪れるのは15年後になる! そして大きな犠牲を生む!」

トリスタン「馬鹿な、そんな話が…!」

神通「貴方達の出した犠牲のせいで、もっと大きな犠牲が生まれる可能性を何故考えない! 貴方達の起こす怨嗟がより多くの怨嗟に繋がると何故想像しない!

それにまだ未来は決まった訳じゃない!私達のように、ニュータイプとオールドタイプが共存していける未来だって創れる筈です!」


体の底から力が溢れ出す。迷いを全て振り切ったから、それとも絶対に止めなければならない理由が出来たからか、だがそんな事はどうでも良かった。

ここで彼等を止めなければどんな未来も訪れない。だから戦う、それだけのことなのだから。


神通「我が剣は守護の剣。破滅を齎す悪意を断ち切り、創造される新たな未来を護る剣なり…

我が名は神通、『人の守護』を担う者として新たな世界を護るための切っ先とならん!」


自らを『定義』する。自分が今何をすべき存在なのか、そして自分に出来ることが何なのかを定め、自らの力の行く先を決める。

それに呼応し海風と交換したネックレスに装飾された『アリスタ』が輝き、肉体からは金色を帯びた、そして機体からは橙色の光が溢れ出す。


神通「明鏡止水――― 咲き誇れ、フルブルームバーストッ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/04/25(木) 01:18:59.90 ID:ajKiRYjY0<> 霞「失せなさい、雑魚共が!」


マグマの鞭で複数の無人機を拘束、さらにマグマごと凍結させて無人機軍団を砕く霞。所詮は無人機、霞には手も足も出無い。

しかしニムバスが生成する無人機がさらに『ブラストアクロスZZ』へと襲い掛かり、霞は苛立つ。


霞「消耗戦を強いてくるなんて…!」

ニムバス「貴様の力は厄介だ。しかし、どこまで耐え切れるかな?」

神通「霞さん!」

セルジュ「余所見を!」


神通にギャンとゲルググが他方向から同時に挟撃、そしてギャンの刺突攻撃によって貞宗の刀身が折れてしまい神通の中に焦りが生じた。

このまま神通を倒そうと迫るゲルググとギャン、しかし2機の動作が止まり震え上がるように身を捩じらせる。


トリスタン「な、何だ!?」

セルジュ「操縦が…!この殺気は…」

「二人共退避! このまま、吹き飛ばします!」

霞「この感じ、まさか…!」


怒り気味だった霞の声が歓喜を帯びる。その声こそ自分が求めていた声であり、唯一『自分を使って良い』と認めたその人のものだった。

そして霞と神通は頷き合い、『ブラストアクロスZZ』と『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』は近場の瓦礫へと身を隠す。


海風「―――っ! フェイクアズールブレイカァァァァァッ!」


次の瞬間、形成された巨大な宝石の剣による斬撃が奔り周囲を覆う結晶の籠が砕け散る。その直後に放たれた蒼いエネルギーの奔流が周囲の無人機を消し飛ばす。

ニムバスは忌々しげにその方角を睨みつける。自分に辛酸を舐めさせ、さらには仲間の一人を打ち倒した『蒼い悪魔』がそこに居るのだから。


海風「使い方はなんとなく分かった… あとは、どこまで制御しきれるか…!」

霞「海風!アンタ仙台に居るんじゃ…」

海風「すっ飛んできましたよ、物理的に」

神通「え…」

天津風「いや、私が『飛んで』海風がそれを引っつかんだって言うほうが正しいんだろうけど…」


海風の『ウイングガンダム・アズライト』の隣には先日の戦闘でも使われた『アルコアルガンダム』が居り、海風の機体へと背負った荷物とケーブルを繋いでいた。

天津風は今回海風のサポートに徹している。それはただのサポートではなく、エネルギータンクとしてだが。


神通「…一体『何』使ったんですか?」

海風「詳しい事情は後程… さて、反撃開始と…」

霞「海風、ここは私達に任せて。露払いをお願い」

海風「分かりました。 皆さん、聞いての通りです!無人機はこちらで、敵の有人機は二人に任せましょう!

蒼龍さんと飛龍さんは遊撃!朝雲さんと萩風さんも! 残る二人と大鳳さん達は避難誘導! 海風たちは二人の援護! あと先輩、これを!」


アズライトが手を翳すと同時に宝石の薙刀が形成され、ロンギフローラムの下へと海風は放る。

それを掴み、神通は刀と薙刀を構え、再び敵のゲルググとギャンを見据える。


神通「感謝します。 では、行きましょう…!」

霞「アンタ達に未来は渡さない! アンタ達が奪ってきた未来は、私達が奪い返す!」


イベント選択 直下
1.霞『シンカ』
2.神通『乱舞』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/25(木) 09:44:41.71 ID:5SV90PzU0<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/04/29(月) 02:04:12.38 ID:VVHzX2FJ0<> side-霞-『シンカ』


霞は右手にマグマの剣、氷の剣を左腕に形成しBD02へと左手で斬撃を放つ。その斬撃をBD02はサーベルで防ぐが、刀身が触れた瞬間ビームサーベルの刀身が凍て付く。

そしてマグマの剣を鞭へと変容させてBD02の両腕を拘束、そのまま凍結させてマニュピレータを封じた。


ニムバス「ビームが凍る!?」

霞「これはガンプラバトル、粒子を利用して『再現』してるだけ!ならその粒子を凍らせれば!」


ガンプラバトルにおいてビームなどは本物のビーム、例えば宇宙世紀ならミノフスキー粒子を縮退させることでビームを発射する、と言う原理とは違いあくまでもエフェクトとしてプラフスキー粒子が再現しているに過ぎない。

だから霞はそのプラフスキー粒子を凍結させた。サイコフレームによって増幅された霞の感応波が『ブラストアクロスZZ』を介し、空間内に存在する『人造のプラフスキー粒子』へと干渉した結果だ。


ニムバス「そのような小細工で、私とEXAMが負けるか!」

霞「ッ…!」

霞(この殺気、まさか… 私や海風と『同じ力』を…! なら私も『アレ』をやるしか…!)

霞「力を貸して!『ブラストアクロスZZ』!」


次の瞬間、地面から粒子の結晶が隆起し大量の結晶片が『ブラストアクロスZZ』へと襲い掛かる。ニムバスは必殺を確信し、不敵に笑う。

そして降り注いだ結晶が地面を抉り、砂埃を巻き上げるのだった。


ニムバス「フハハハ…!口ほどにも無いな、所詮は…」

霞「どっちがよ」

ニムバス「何!?」


背後からの殺気に気付いて振り返るニムバスだが、腹部にモーターブレードを突き立てられ機体が機能を停止する。

さらに霞は自身の能力でBD02の全身を凍結、一切の抵抗や逃げ道を封じてしまう。


ニムバス「馬鹿な、一体何をした…!?」

霞「アンタが粒子を撒いた空間全体の時間の流れを『凍結』させたのよ」

ニムバス「あ、在り得ない… まさか、そんな事が…!?」

霞「私も出来るとは思わなかったけど… で、『終わる』覚悟はOKかしら?」


距離を取った『ブラストアクロスZZ』の機体からマグマが溢れ出し、その拳を地面へと突き立てる霞。


霞「まずは一発目! ヴォルカニック、ブレイク!」


次の瞬間、地面から噴出したマグマが凍り付いて動けなくなったBD02へと殺到し、地上高くへと打ち上げられる。

そして霞は再度時間の流れを凍結、BD02が吹き飛ばされてくる予定位置へと瞬時に移動し、今度は極大の氷のハンマーを形成した。


霞「もう一発持って行きなさい! グレイシャルインパクトッ!」


ハンマーを振り下ろし、抵抗できなくなったBD02をさらに吹き飛ばして地面へと叩き付ける。最早抵抗すら出来ない相手だが霞は一切容赦しない。

そして霞は頭部と腹部のハイ・メガ・キャノンにエネルギーを充填、さらに両腕から氷とマグマで『銃口』のようなものを形成し、その照準をBD02へと向ける。


霞「これで、終わりよ! デュアルアクロスッ、フルブラストッ!」


放たれる超極大の粒子ビーム、海風の『フェイクアズールブレイカー』に匹敵しうるその一撃がBD02を呑み込もうとしていた。 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/01(水) 01:24:28.78 ID:Dq5ICjfd0<> side-神通-『乱舞』


神通「ふっ…!」


まるで舞うような一回転の斬撃を放ちゲルググとギャンを吹き飛ばす神通。その勢いのままブーメランのように海風の生成した薙刀を放り投げ、群がる無人機を一掃する。

戦う直前まで抱いていた体のへの違和感、自分がもう一人居るかのような違和感は既になく、100%自身のポテンシャルを引き出せている。


トリスタン「動きが、急に…!」

神通「もう迷わない… 明日をこの手で拓くためなら!」

セルジュ「2対1で、押されて…!?」

神通「天剣、絶刀!」


右腕の刀で振るわれる神速の刃、それが衝撃波となり音速より早くゲルググの両脚を切り裂く。機体各部から舞い散る花弁、それが神通の激しい動きによってより一層美しさを増していた。

その後ろからコピー体のザクUがヒート・ホークを振るおうとするが、殺気に気付いた神通は背を向けた状態で両腕に持った武器をザクへと突き立てた。


セルジュ「頂くッ!」

神通「…」


ギャンが『インフィニットジャスティス・ロンギフローラム』に向け刺突を放つ。無防備の状態の神通には対処できない、そう踏んだからこその攻撃。

しかし彼女にその一撃は通らない。何故ならビームの剣を、ジャスティスが両腕で白刃取りの状態で受け止めてしまっているのだから。


セルジュ「ビームを掴んだ!?」

神通「アンリミテッドフィンガー… まず、1機」

トリスタン「マズイ!離れ…」

神通「もう、遅い!」


高熱を帯びたジャスティスの腕から放たれる拳の乱打。それがギャンの各部、特に関節部を重点的に原型を留めぬ勢いで破壊していく。

そして留めに腹を左の拳で貫き、必殺の一撃を放つ。


神通「アンリミテッドォ… フィンガァァァァッ!」

セルジュ「あ、りえ…」


擱座するギャン。そのギャンをゲルググへと放り、受け止め損なったゲルググはバランスを崩し倒れてしまう。

態勢を立て直そうとするゲルググだが神通の殺気にトリスタンは戦慄し、硬直したまま動けなくなる。


トリスタン「なんだ、この殺気…!」

神通「今なら、アレが出来るかも…!」


右の拳に気を練り、気の純度を上げていく。全身が黄金色へと変化し、零れた気がオーラとなって迸る。

その技は母が生前至る事が出来なかった技、しかし平行世界においての彼女は辿り着いていた境地。


セルジュ「逃げろ、トリス…」

神通「私のこの手が真っ赤に燃える、明日を創れと轟き叫ぶ!」

トリスタン「ひっ…」

神通「石破天驚っ、アンリミテッドフィンガァァァァァァァッ!」


己の必殺技『アンリミテッドフィンガー』と自分が継承した流派・東方不敗の最終奥義『石破天驚拳』を重ねた最終奥義『石破天驚アンリミテッドフィンガー』。

その一撃は周囲の空間を巻き込みながらゲルググへと一直線に、拳の形となって駆けていく… <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/01(水) 02:13:45.57 ID:Dq5ICjfd0<> 神通の放った『石破天驚アンリミテッドフィンガー』が炸裂し、大爆発を引き起こして周囲の空間が土煙に覆われる。

その煙が晴れたあとに残っていたのはギリギリのところで原型を留めていたが、スパークし今にも爆発しそうなギャンだけだった。


神通「嘘っ、まだ動いて…」

セルジュ「貴様は何故、戦える…!」

神通「もう1機はどこに…!」

セルジュ「答えてくれ、私はもう限界なのだ…」

神通「私は… 母を死なせたくなかった。貴方達の起こした悲劇で、お母様はどこか心に悲しみを抱えたまま旅立ってしまったから。

だけど今は、『彼女』の創る明日の先が見てみたい。いがみ合うだけじゃない、人と人とが手を取り合って生きていける未来を。その未来を示してくれた人が居たから。その明日を護るために、私は戦います」

セルジュ「そう、か… 貴様達ならきっと、ニムバス様を…」


次の瞬間、ギャンが爆散する。彼が最後に何を言おうとしたのかは神通には分からない。 そして彼の起こした災禍を決して許そうとも思わない。

だが神通は冥福を祈る。 魂が地獄に墜ち、報いを受けるとしても、少しだけでも安らかであれば良いと。


神通「ゲルググは一体どこに… まさか…!」



『ブラストアクロスZZ』の一撃は凄まじい威力だった。 無事だった建物の一部すらも破壊し、着弾した周囲も大きなクレーターとなって地面が抉れている。

霞はニムバスを確実に殺ったと感じた。しかし煙が晴れると未だに凍りついたBD02と、崩れかけたゲルググの姿だ。


霞「仕留め損なった!?」

トリスタン「ニムバス、様…!」

ニムバス「トリスタン!?貴様、何故…」

トリスタン「大義のため… 生き、て…」

霞「庇ったの、ニムバスを…?」

ニムバス「ぐっ…! この屈辱、忘れん!」


次の瞬間、目の前にある凍結したBD02が崩れ落ちると同時に霞が感じていた殺意が消える。そして粒子の結合が解けて、フィールド化が解除されるのに霞は気付いた。


霞「待ちなさい、ニムバス!」


その叫びはニムバス・シュターゼンに届く事は無い。 そして粒子が大気へと溶けて、完全に周囲から消え失せてしまうのだった。



蒼龍「二人共、大丈夫!?」

霞「む、胸がいた…」ドサッ

萩風「霞さん!? これは、不整脈…!?」

朝雲「なんか先輩もフラついて…」

神通「眩暈が…」ドサッ

飛龍「青葉、後任せたから!ともかく二人、運ぶわよ!」

青葉「ちょっ!?待ってくださいよ!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/01(水) 03:11:55.57 ID:Dq5ICjfd0<> 《基地 医務室》


海風「大事無くて良かったですね、二人共。特に霞」

霞「死ぬかと思った…」

海風「実際、萩風さんの処置が的確でなければ死んでましたね。霞がやらかしたことがどれだけ重大なのか分かりましたか?」

霞「時間の流れを止めるのって、こんなに負荷があるもんなの…?」

海風「別に止まった状態で霞も止まるなら特に問題はない、と思います。だけど霞だけは『氷の力』を『マグマの力』で溶かして凍結した時間の中でも動けてしまう。

恐らく修正力の影響、止まった時間とズレた時間お辻褄を合わせるために止めた時間の分だけ心臓に負担がかかる、と言うものだと思われます。それに加えて時間を凍結した領域の分の負荷もかかった、とすれば…」

霞「この不整脈も納得か…」

海風「なので以後、使用は禁止。間違えて使わないように極力『氷の力』も使用は控えるように」

霞「分かってるわよ。死にたくないし。でも必要なら…」

海風「二度と使わないで下さい。 使う必要がないように、海風が頑張ります。 百歩譲って氷を使っても、時止めだけは絶対に…!」

霞「…ごめん」

海風「分かってくれれば構いません。 あまりお説教とか好きじゃないですし、これ以上言うとヒートアップしそうなので霞はこの位に。

先輩は… 瑞鳳さんが出来ないようなことをすれば、ぶっ倒れるくらい想像できたでしょうに」

神通「ええ… 実はこの技、平行世界のお母様でも使用の度にダウンするレベルだと… なんせ大技二つを同時に撃つのと同じなもので」

海風「はぁ… それを分かってるなら最初から片方だけにしてください。体力の消耗だけなので霞よりはマシですが、先輩も大概です」

神通「分かりました… だけど海風さんの技だって大概でしょう」

海風「確かに『フェイクアズールブレイカー』もそれなりに消耗はします。しかし二人程でもないし、威力と消耗の調整も出来る分遥かにマシかと。

…実際、制御できるようになるまで結構大変でしたけど。いや、かなり大変でしたね」

霞「あの技、何なの? 粒子結晶を一撃で壊した上に無人機も一掃して…」

海風「実は二段階の技なんです。 最初に剣の斬撃での切断、その後にエネルギーを放射して吹き飛ばす、って感じで」

霞「エゲつない技ね… 二段構えとか、オーバーキルにも程があるでしょ」

海風「使わせる相手が悪いんです」

神通「酷い責任転嫁を見ました…」

霞「もう技の話は良いわ… で、用があって医務室に来たんでしょ」

海風「ええ。事態の報告に。 まずニムバス・シュターゼンは逃亡、残る二人は… ナノマシンの自殺機能で、死亡が確認されました」

神通「そう、ですか…」

海風「…辛い、ですか?」

霞「覚悟の上よ。アイツらも、自分が殺されるかもしれないことは覚悟してたでしょうし」

神通「元より私もその覚悟の上です。とは言っても、少し嫌な気分ですが…」

海風「…続けます。 防衛省が襲撃を受けたことで自衛隊は一時的に機能が麻痺、今は復旧したそうです。

自衛隊の上層部や防衛省の職員にも少なからず犠牲が出たことで、本格的な対テロ行動に移ると」

霞「今更ね」

海風「ええ。本気で腹が立ちますよ。 この後大鯨さんが全員ブン殴りに行くと言ってました」

神通「…止める必要はありませんね」

海風「勿論。 一人残らずはっ倒してくれることを祈りましょうか。

そしてここが本題… リタから聞いておきました。先輩の想像が正しいかどうか」

神通「…」

海風「先輩の疑念は当たりでした。『深海棲艦は負念に引き寄せられる』、世界に一定以上の負念が満ちた時に深海棲艦の現出の可能性が高くなる、と。

『滅んだ世界』とリタ達が呼んでいる世界で見つけた資料、ハシラジマによる研究、『深海棲艦に関わった人間』の証言などの要素から得られた結論なので信憑性は高いかと」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/01(水) 03:48:21.00 ID:Dq5ICjfd0<> 霞「じゃあ15年後の出来事は…」

海風「昏睡病による犠牲者やその副次的に発生した災害の被害者の負念が世界に満ちた結果、深海棲艦を招いたという結論になります」

神通「では、ここで昏睡病を止めれば深海棲艦の侵攻は無くなる…!」

海風「ええ。 だけどそれは問題を先送りにしているだけです。 彼等の話が本当であれば、15年後でなくともいつかは深海棲艦が現出する、と。

旧人類と進化に至った人類とが引き起こす戦争によって生じる負念の影響で… 多分彼等も改変をしたかったのでしょう。深海棲艦の災禍が起きない未来へと」

霞「だけど結果的にそれは間違いだった… じゃあ私達はどうすれば…」

海風「海風達が目指すのは『第3の未来』です。 新しい可能性、誰も到達してない未知の未来…

人と人とが手を取り合っていける未来、おおよそ辿り着くのは不可能かもしれない未来です」

神通「それでも、やるのでしょう?」

海風「勿論。 どれだけ困難で、海風の一生を使い果たすことになったとしても… この手で創ってみせると、決めました」

霞「じゃあ私もそれにベットさせてもらう。それに私達がそうだったように、意外と不可能じゃない気がするのよね」

神通「私も、その未来に懸けてみたいです。貴女の信じる明日を私に見せてください、海風さん」



天津風「最後の分岐が瑞鳳さん!?」

朝雲「まだ確証が得られた訳じゃないんだけど… 多分、瑞鳳さんが最後の分岐点になってる可能性があるの」

萩風「お母様が事態を止められたか止められなかったか云々の前に、ですか?」

朝雲「そう… 平行世界の瑞鳳さんの話を聞いたのを思い出してハッってなったの。 瑞鳳さん、誰も頼りにしてない。

全部一人で解決しようとして、誰も巻き添えにしたくなくて、結果的に周囲が犠牲になったんじゃないかって」

天津風「…確かに、その傾向は否めないかも。 思い当たる節はいくらでもあるし」

萩風「やっぱり、お母様が最後の分岐点…」

朝雲「この事は私達の内に伏せておいて。仮説の段階を出ない以上、悪戯に混乱させたくない。

…ううん、海風たちには話しておかないと駄目ね。海風に演算して貰わないと駄目な気がする」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/02(木) 01:01:18.26 ID:KeojfUdu0<> 海風「成る程、話は理解できました。 ハンズフリー電話の先の人も意見をどうぞ」

浜風『言い方が酷い… まぁ良いでしょう。朝雲さん、貴女の言う通りです。この一件、昏睡病絡みの戦いの当初から瑞鳳さんは一人で解決を試みています。

しかし当初の想定より大きな事態へと発展したことによって最初は難色を示していた私達の参画を仕方なく認めた、と言うべきでしょうね』

朝雲「やっぱり… 平行世界とこっちの違いはそこみたいね」

海風「瑞鳳さんにとって犠牲になる筈だった4人や春雨さん達は『日常の象徴』であり護るべき者だった。

手を取り合う仲間としてではなく、庇護の対象でしかなかった、と」

浜風『そう直接言われるのは結構心にくるわね… 私達が本当の意味であの人にとっての『仲間』じゃなかった、って言われるのは…』

海風「恐らくどこかで一線を引いていたのでしょう。 傷付くのは自分だけで良かった、戦うのも自分だけで良かった、と。

正直に聞きます。誰か一人でも、瑞鳳さんを殴ってでも諌めた人間は貴女達の中に居ますか?」

浜風『居ない、でしょうね』

朝雲「多分あの人に必要だったのはそう言う人間だったんじゃないかな、って思います。多分未来で浜風さん達が倒れたことも自分が護りきれなかったせいだ、ってずっと思い込んで…」

海風「なのでさっさとこっちに戻ってきて一発ぶん殴ってください」

浜風『出来る訳ないでしょう!? 多分間合いに入るのすら無理じゃ…』

海風「腰抜け」

浜風『挑発には乗りませんよ』

海風「チッ…」

浜風『それに、相応しい人間が居るでしょう。 瑞鳳さんの後を継ぎ、私達の遺伝子を受け継ぎ、あの人の生涯に携わってきた二人が』



海風「勝利への道筋、か…」


海風(事態が加速していく中、ふと思った。 どこまでいけば勝利なのか、どこまでが敗北なのかと。

理想の未来ではなく現状最善の未来に辿り着けばそれで勝利と言えるのか、または敗北なのだろうか)


海風「違う、辿り着かなきゃいけないんだ」


海風(理想の未来に、誰も傷付かない未来に。 その為に海風に何が出来るのだろうか…

いや、違う。例え出来る事がなくても、海風は戦わなきゃいけないんだ。 皆の未来を護るために、そして…)


海風「信じた明日を、この手で創るために」


第23話『過去と未来』 終 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/04(土) 02:20:56.22 ID:wyLDeKFH0<> 第24話『Path of Victory』


《8月27日 霞の家》

海風「ふぁ… おはようございます…」

霞「おはよ。今日もトレーニング?」

海風「はい。日課ですから。先輩、行きましょうか」

神通「いえ、今日は止めておきましょう。今日から学校ですし」

海風「あぁ… そう言えば、今日からですね」

霞「忘れてたの?」

海風「寝ぼけて記憶から飛んでました。昨日の夜準備してたのに…」


海風(松島や市ヶ谷の戦いから数日が経過した。何も起きず、平穏な日々… しかし徐々に近付くタイムリミットに少しずつ焦りが見え始めていた。

ニムバス、そして首謀であるクルスト・モーゼスには何の動きもない。青葉さん達でも掴みかねていて、情報は得られていない)


《学校 部室》

霞「で、朝礼前に呼び出しって…」

海風「先生、何かご存知で?」

愛宕「ううん。私も理事長に部室へ皆を集めて欲しい、って言われただけだもの」

神通「理事長が…」

萩風「一体私達に何を…」

朝雲「今日の集会での表彰じゃないの?」

天津風「そうだろうけど、私達には『他の事』があるでしょう」

ガラッ

瑞鳳「あれ、皆…」

神通「お母様!?もう復帰して…」

瑞鳳「うん、もう体は大丈夫。 ちょっと過労でぶっ倒れてただけだし」

萩風「…気の乱れなどは無いようですね。病気の心配もないでしょう」

瑞鳳「いや、大丈夫だって。ところで雁首揃えて何事?」

海風「理事長に呼び出されて… 瑞鳳さんも?」

瑞鳳「うん。電話で。 箱根から車すっ飛ばして来た」

朝雲「今朝まで箱根に居たんですね…」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/04(土) 02:58:29.20 ID:wyLDeKFH0<> 瑞鳳「皆の事は報告は一通り聞いてる。残るのはニムバスとクルストだけになったんだよね。

あと海風ちゃんと浜風ちゃんの例の件についても。 お母さんがまさか本気だったとはね…」

神通「例の件?」

海風「海風達、大鯨さんの偽装戸籍に養子入りすることになってしまって…」

霞「あ、本籍じゃないのね」

海風「ええ。一応元軍人とかでもない完全な民間人なのであまり『家の事』には関わらないように、と配慮を」

萩風「とは言っても結局は私達と同じものを背負わなくちゃいけなくなるのに…」

瑞鳳「そこはお母さんがなんとかしてくれるでしょ。 もうすぐ戦いも…」

ガラッ

カーディアス「ふむ、予定した時間よりも早いとは」

天津風「び、ビスト理事長…」

カーディアス「これで、全員かね」

愛宕「はい。ガンプラバトル部全員及び顧問、並びに特別顧問全員揃いました」

カーディアス「全員、肩の力を抜いてくれて構わない。理事長としてではなく、個人としての話だからな」

海風「個人として、ですか?」

カーディアス「キミ達が全国で優勝したことはとても素晴らしいことだと思う。だが同時に、過酷な運命に巻き込んでしまったことを謝罪したい。

特にキミ、霞くんには大変申し訳なく思う。かつて妹がキミの両親の命を奪ったのに、こちらのせいでキミを危険に晒してしまった」

霞「いえ… アナハイムやマーサ・カーバインに恨み辛みはあっても理事長や財団を恨むのは筋違い、それにこの一件だって偶然巻き込まれて自分で戦うと決断しました。

なので理事長に対して、怒りなんかは特にありません。それに私には仲間が居てくれたから… だから彼等とも戦えました」

カーディアス「そうか… 今私に出来る事はそう多くないだろう。だが可能な限りの便宜は図る。 情報もそちらに逐一送ろう」




瑞鳳「…呼び出し、ってこれだけ?」

愛宕「…みたいね」

瑞鳳「時間は… 微妙だねぇ。…ねぇ、神通ちゃんに萩風ちゃん。『これから起きること』は分かる?」

神通「いえ… 未来のお母様が話してくれたこと、8月31日のことしか知りません」

萩風「私もです。お母様、口を割らなかったので。ただ個人的に手に入れた情報が」

瑞鳳「何?」

萩風「静岡の陸上自衛隊基地の一部駐屯地から車両数台と部隊員が消えた、とか… 未確定情報ですので信憑性はありませんが」

瑞鳳「陸自が…?」

天津風「陸自、なんか不穏なのよね。市ヶ谷の初動の遅れと言い、アッサリ通信を無力化された多賀城と言い…」

瑞鳳「…分かった。そっちの線もあたってみる」

朝雲(海風、例の件瑞鳳さんに話さなきゃ…)

海風(そうですね… 話さなきゃ、何も始まらないですし)

海風「瑞鳳さん、折り入って…」

キンコンカンコーン

霞「うわ、もう朝のHRの予鈴!?」

愛宕「ほら、皆教室に戻りましょ」

瑞鳳「私も撤収するか… じゃ、あと放課後にもう一度来るから」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/05(日) 02:21:06.22 ID:14voXQqy0<> 《海風と霞の教室》


愛宕「進路希望調査票の提出は来週の金曜日までだから、忘れないように。では今日のホームルームは終了です」

霞「進路希望調査票か… 海風、どうしたの?」

海風「いや、よく考えたら進路とか全く考えてなかったんですよね。大学まで進学して、その後どうしようかとか何も」

霞「大体そんなもんでしょ。やりたいことが明確な中学一年生なんて少ないわよ」

海風「いえ、『未来を創る』なんて大口叩いた人間が自分の未来すらまともに考えてないのは笑い種でしょう」

霞「夢とか無いの? こう、何でも良いから」

海風「良い所に進学して、良い所に就職なり企業なりして、親をギャフンと言わせて破滅させたいとしか」

霞「…呆れた。アンタ、恨み辛みで主席級まで登りつめたのね…」

海風「じゃあ霞の進路はどうするんですか?」

霞「進学して、大鯨さんの所で修業して、お婆ちゃんの残した会社を継ぐつもり」

海風「…それまで会社残ってます?」

霞「大鯨さんが居るなら大丈夫よ。それに業界的にも余程のことが無いと潰れる心配もない、って」

海風「どこなんです、業界って」

霞「医療機器の開発メーカーよ。独自の製品が一定の需要があるらしくてね」

海風「なら安泰しますね。供給断たれたらキツイでしょうし」

霞「で、私の事は良いのよ。他の4人はどうなのかしらね」

海風「確か先輩はもう進路を決めている、とか。 あと天津風さんは自衛隊に入ると」

霞「パイロットでもやる気?」

海風「それも戦闘機だそうです。F-35でも乗る気でしょうかね」

霞「本当にパイロット志望なのね… 朝雲と萩風はどうなのかしら?」

海風「まず確実に言えるのは、将来もセットでしょうね」

霞「うん、それは間違い無いわ」

海風「まだ出会って2ヶ月足らずなのに仲良すぎでは?」

霞「きっと相棒なのよ、魂で決まった…」

キーンコーンカーンコーン

海風「あ、予鈴… 確か次は集会ですよね」

霞「ええ。表彰式も兼ねるんだって」

海風「目立ちたくないんですけど…」

霞「最終戦の延長戦まで出て勝ちをもぎ取った責任よ」

海風「偶然に偶然が重なっての勝利なのに…」

霞「阿武隈さん、そんなに強いの?」

海風「硬い・速い・馬鹿力の3拍子が揃ったヤバイ機体に、普段の阿武隈さんからは信じられないくらいの猛攻、さらにはUC-Dのオマケ付き…

海風の『未来予測演算』を使ってもあの勝ち筋以外に勝ち筋をマトモに見出せませんでしたからね」

霞「私ならやりあいたくないわ… あ、もう並んでる。行くわよ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/11(土) 03:02:35.18 ID:GFcZjOXj0<> 《体育館》


「我が校代表として、ガンプラバトル部『フリューゲル・ヴェント』は輝かしい成績を修めたことを表彰いたします」

パチパチパチパチパチ

海風(そしてこのあからさまなプロジェクター… 間違いなく試合を流す気ですね)

朝雲(いくら空調完備の体育館だからって、馬鹿じゃないの?熱中症で死ぬわ)

天津風(と言うかどの試合を流す気よ。出来れば映りたくないんだけど)

神通(3人共、静かに。 霞さんと萩風は静かなんですから)

海風(…霞? どうかしましたか?)

霞(なんかピリピリした感じがするの… この感じ、何かに似て…)

朝雲(萩風、なんか外を確認するもの無い?)

萩風(スマホが使えればハッキングした学内の監視カメラから映像を手に入れられるのですが…)

「ではこれより、彼女達の試合の上映会を…」

霞「…ッ!?来る、40人!キャリアーよ!」

5人「!」

「き、キミは何を…」

ガシャァァァァン!

ナ、ナンダ!? ヒ、ヒト…!?

海風「先輩、萩風さん!」

神通・萩風「了解!」ダッ

ニゲロ!テロリストダ!

海風「霞、詳細な数は?」

霞「駄目、知覚しきれない… サイコフレームがあれば、どうにかなるけど…」

愛宕「皆! 急いで逃げて!」

海風「先生! 敵は霞が知覚しきれない数です! 多分、学校は包囲されてます!」

愛宕「何ですって!?」

天津風「あれ、陸自の装備品の銃よ… と言う事は街中に輸送車かヘリか、戦車あたりも来てる…

海風、確かアレは部室にあったわよね? 戦って戦力を削ぐにはアレしかない!」

海風「使うな、と大鯨さんに厳命されていますが… やるしか無いでしょう」

霞「アレって何?」

海風「仙台から東京まですっ飛んで来れるもの、とでも言いましょう。でも部室まで突破しないと…」

朝雲「こんな事もあろうかと、萩風から預かった学校の設計図の予備があるわ。これで隠れながら行きましょう」

愛宕「仕方ないわね… 今の混乱に乗じれば、逃げ出すくらいは出来るかしら…」


《部室》

海風「よし、無事に着けました…!」

朝雲「えっと確か此処に… あった、麻酔用スナイパーライフル!」

霞「使い方分かるの?」

朝雲「萩風に仕込まれた」

天津風「物騒なもの部室に持ち込んで…!私達も言えた立場じゃないけど…」


海風&天津風の持ち込んだもの 直下
1.呪術のお札
2.ヤバイベルト2本
3.その他(サイズ的に部室に持ち込めるもの) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/11(土) 09:18:38.45 ID:FqwCYEiZ0<> 3、洞爺湖って書かれた木刀 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/14(火) 22:29:30.31 ID:/Mwx9JE/0<> 霞「何それ…」

海風「木刀ですよ。お土産屋の」

朝雲「洞爺湖って書いてあるんだけど…」

天津風「洞爺湖のなんでしょうね」

朝雲「それでどうやってここまで飛んできたのよ!?」

天津風「誰も『飛行した』なんて言ってないし。こうするのよ」スパァン

愛宕「…何斬ったの、今?」

海風「空間です。海風達の木刀にはそれぞれにある呪術がかけてあります。海風のには身体強化、天津風さんのには空間干渉の。

で、天津風さんが斬った場所には空間の裂け目が出来て、裂け目を通って空間転移を行うことができます」

朝雲「えぇ…」

天津風「霞、アンタはこの穴からとっとと逃げなさい。多分最大のターゲットはアンタよ。

今、裂け目は仙台の大鯨さんの家の前に繋がってる。あっちなら一番安全だから」

霞「…残るわ。確かに今の私には戦う力は無いけど、でも出来る事はやりたい…!」

海風「ですが…」

大鯨「あら〜?あんまり使うな、って言った筈だけど?」ニョキッ

朝雲「た、大鯨さん!?」

天津風「家の前に繋げたら出てくるわよね、普通…!」

大鯨「…と言ってもなんか訳有りみたいだから不問に伏すけど。 どう言う事情?」



大鯨「…中学生の妄想って、現実になるものなのね」

海風「全くですよ、もう…! 学内に侵入した敵は先輩と萩風さんが排除に向かってますが、包囲されてるみたいです」

霞「敵の数は数え切れないけど、学校の外にも居るみたい… 多分200人近いかも」

大鯨「事情は理解したわ。迎撃するわよ。 海風ちゃんは私と、残りの3人は脱出経路の確保をお願い」

朝雲「霞は戦力外として、私と愛宕先生で…?」

愛宕「これでも瑞鳳や瑞鶴とは同門なのよ。護りきるのは造作もないわ」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/15(水) 00:35:28.74 ID:JcmXo4jZ0<> 神通「せやぁぁぁっ!」ブォン

萩風「っ! これで、全部!」


二人はそれぞれ刀とナイフで操られた自衛隊員を倒す。 殺してはいないがナノマシンを投与された以上二度とは目覚めないだろう、それでも彼女達は躊躇わない。

二度とバビロニアの悲劇は繰り返さないと誓ったから。例え自分達の『居場所』を失くすことになっても、未来を切り拓くために。


「え、神通さん…?」

神通「あ…」

「確か貴女も、バトル部の… 一体、これって…」


一人の生徒と出会う。確か『花田』と言う女子生徒で自分のクラスメイト、恐らく逃げ遅れてここに隠れていたのだろう。

見られた、これで自分達の『居場所』は無くなった、神通の頭にふと言葉が過ぎった。


萩風「姉さん…」

神通「…行きましょう。貴女も、早く逃げて。この上の階に、皆避難してる筈ですから」

「待って…! 戻って、くるの…?」

神通「どうでしょうね… だけど、今戦わないともっと大勢が傷付くから。 生きていれば、戻ってくるかもしれません」

萩風「姉さん!敵増援! 校門から雪崩れ込むつもりです!」

神通「分かりました。 …さようなら」


そう呟き神通と萩風は窓から飛び降り、着地し校門から侵入してくる大勢の自衛隊員へと駆けて行く。その姿は恐らく大勢の生徒に見られているだろう。

しかし躊躇いも迷いもない。今はただ誰も傷つけさせない、そのためだけに彼女達は戦う。 来る悲劇を止めるために、ただ一心不乱に。



二人が校門に着いたころ、もう既に何者かが戦っていた。一人は見慣れた青みを帯びた銀色の髪をした少女、そしてもう一人は自分の祖母にあたる人物。

海風は手に持った木刀で自衛隊員の首筋を殴りつけ地面へと叩き付ける。そして大鯨は分身しながら群がる自衛隊員を薙ぎ払っていく。


神通「海風さん!?」

海風「先輩! 二人は後方の輸送車を叩いてください!ここは受け持ちます!」

萩風「何で大鯨さんまで…」

大鯨「ここは良いから!事情はあとで!」



朝雲「あ、居た!理事長!」

カーディアス「キミ達は… 無事だったのか…」

天津風「なんとか… それより理事長、折り入ってお願いが」

霞「さっき言いましたよね、可能な限り便宜を図るって!」

カーディアス「あ、ああ」

愛宕「じゃあ、車お借りしても?」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/15(水) 01:04:10.64 ID:JcmXo4jZ0<> 海風「これで、片付きました! 撤退します!」

神通「学内、には戻れませんよね…」

海風「はい。基地に行って、瑞鳳さん達に報告を…」

萩風「分かりました。でもどうやって行きます?距離は結構あると…」

ブロロロロ

愛宕「やっほー♪確保してきたわよー」

海風「…よりによってマイクロバスですか」

大鯨「…愛宕ちゃん、中型以上の免許あったっけ?」

愛宕「無免許です♪」

大鯨「はぁ… 私が運転するわ。 怖いし、色々と」




神通「で、天津風さんがその木刀で大鯨さんを召喚して…」

天津風「まさか来るとは思わなかったんですけど…」

霞「海風、連絡ついた?」

海風「駄目です。電源切られて…」

愛宕「瑞鳳が電源切るなんて…」

プルルルル

海風「チッ…」

朝雲「舌打ちした、ってことは… 浜風さん?」

海風「もしもし? 今忙しいんで…」

浜風『海風! 緊急事態です! 台場が占拠されて、瑞鳳さんが私達を基地に閉じ込めました!』

海風「…は?」

浜風『先程、台場が占拠されたって報が私達の下に届いて瑞鳳さんから基地に集合しろって号令があったんです!

それで基地に集合したら、基地の扉全てをロックされて…! 転移装置も封じされて、打つ手が…!』

海風「ロックぐらい解除できるでしょう!? 何年基地使ってるんですか!」

浜風『駄目です!瑞鳳さんしか持ってないマスターコードを使われて…!』

朝雲「最悪だ…! 瑞鳳さん、一人で全部終わらせようとする気よ!」

萩風「つまりそれって… 朝雲さんの想定通りだとすれば…」

霞「分岐点が変動する…」

朝雲「それどころじゃない!『瑞鳳さんが斃れる未来』の可能性も出てくるのよ!?」

天津風「そうなったら… 今度こそ歴史が変えられなくなる…!」

神通「何をしてるんですか、お母様は…!」

海風「大鯨さん!台場に行き先を変更してください! あとそっちの!集合に応じてない人はどのくらい居ますか!」

浜風『可能な限りこちらから集められるだけ集めます! 頼みました!』 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/18(土) 02:36:18.39 ID:gSFC/8/a0<> 大鯨「…皆、ごめんなさい」

天津風「大鯨さん…?」

大鯨「あの子をそう言う風になるように育てたのは私… 一人で何でも出来るようにさせてしまった私の」

愛宕「だってあの頃は…」

大鯨「言い訳はしないわ。 私は仕事で、シュウジさんは何かにつけて行方を眩まして… 修業の時以外、殆どあの子に時間を割くことができなかったの。

だけどその分、どんな敵とも戦えるよう、何でも出来るように、修業を積ませた。 でも、あの子は本心を隠すようになった。きっとそれは…」

神通「…『家の責務なんてどうでも良かった。ただ家族の温もりがあればそれで良い』。あの人が、生前言っていた言葉です」

大鯨「私はあの子に、力は与えたのに、あの子が本当に望んでいた温もりを与える事が出来なかったの。いつの間にかあの子は寂しい、って言えなくなってて…」

霞「だから自分の周りに飛龍さん達を置いてたの…? 寂しくないようにするために」

朝雲「それが近いうちに消えるかもしれない、って思ったから一人で戦いに行って…」

萩風「私達には『そう』ならないようにチームでの戦い、仲間との関わりを重視させるようにした…」

海風「なら… 見せ付けてやれば良いんですよ」

霞「海風…?」

海風「育てた教え子が、育て上げた『チーム』が最高のチームだってことを。

その上で叱ってやりましょうよ。寂しいときくらい寂しいって、辛いときくらい辛いって言えって」

神通「そんな事…」

天津風(そうだった… 海風は誰よりも温もりに飢えて、居場所を欲しがってたのよね。だから瑞鳳さんの気持ちが…)

朝雲「その意見に賛成。 8月31日まで4日しかない、だからこそ今言わなきゃきっと駄目なんじゃないかって思うから」

萩風「私も、独断行動を取るなって何度も言われたのに言った本人が独断行動するとか、一度くらいギャフンと言わせないと…!」

愛宕「貴女達…」

大鯨(たった4ヶ月、しかも萩風ちゃんは2ヶ月も居なかったのに… それなのにこの子達は、ちゃんと本音も何もかもを言い合えるような関係にちゃんとなってる…)

大鯨「…本当、あの子も良い教え子を持ったわね」



海風「結局呼べたのは…」

大鳳「私達とこの子だけ、みたいね」

瑞鶴「ったく。瑞鳳もとんでもないことやらかしてくれたわね」

夕張「さすがに飛龍さん達抜きってのは… と言うか貴女誰?」

リタ「なーんか嫌な予感して基地の外に逃げてたら案の定だったのよね」

青葉「榛名さん達は急行しているそうですが… さすがに仙台からとなると時間もかかりますよねぇ…」

霞「12人、この戦力で封鎖されたお台場に突入して瑞鳳さんを救出、そしてニムバスをはっ倒す…」

神通「厳しい作戦になるかもしれません」

萩風「だとしても、やるしかないでしょう」

朝雲「ここに未来が掛かってる。やるしか道はない」

天津風「どうする気、海風?」

海風「もう『勝利への道筋』は完成してます。あとは、踏み出すだけです」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/05/27(月) 01:35:19.71 ID:TtRvrnyZ0<> 《台場 有明コロシアム付近》


瑞鳳「つぁぁぁぁぁっ!」


瑞鳳の『ガンダムエピオンクロイツ』が剣を振るい無人機を薙ぎ払う。これで15回目の襲撃であり疲弊していたが彼女は止まれない。

台場に取り残されている人は沢山居る。しかもここで終わらせなければもっと多くの人が死ぬ可能性がある、その可能性を見過ごす訳にはいかないから。


瑞鳳「エネルギーの消耗が少ないのが救いね…」


エピオンには余計な火器は積んでいない。故にエネルギーを補充する手段がなくとも戦い続けることが出来る、だからこそここまで到達できた。

しかし神経や体力の磨耗は避けられず、既に休み無く15回も戦った体は疲弊し、判断力も少しずつ鈍ってきてはいる。それでも足を止めることは許されない。


瑞鳳(ここで戦いを… ってまずっ!?)


16度目の増援、今まで以上の大群かつ今度はのぞみ橋とゆりかもめ線の路線から溢れ出してきた。それでも彼女は剣を握り、突撃を敢行しようとする。

しかしその前に、大群を拡散ビームによる砲撃が薙ぎ払い、その後二条のビーム砲撃が大群を消し飛ばした。


瑞鳳「え…?」

「アズール02と04、06に通達。目標を視認、04は確保に移行し残る二人は残存機の足止めを。 02と05はこちらと共に砲撃支援を続行、二人の撃ち漏らした敵を撃破してください」

「「「「「了解!」」」」」


ピンクの燐光を纏った機体と橙色の花弁を撒き散らす機体が敵の部隊へと突撃し、悉くを薙ぎ払う。『インフィニットジャスティスロンギフローラム』と『カラドリウスルベルム』、2機の一閃が同時に放たれ無数の機体を斬り刻んだ。

そして呆気にとられる瑞鳳の下に1機の可変機、『ガンダムハルート・ボーライド』の赤い機体が現れエピオンの腕を掴み離脱を図る。


瑞鳳「ハルート!? 何で…」

天津風「暴れないでくださいよ! アズール04よりアズールリード! 目標確保、離脱援護を!」

海風「アズールリード、了解! 二人共ここで『荷物』を使い捨てる勢いでお願いします!」


『メッサーツバーグ』と『ツインバスターライフル』を連結した『ウイングガンダム・アズライト』が極大のビームを放ち、射線上の敵機を纏めて消し飛ばす。

次いで『ブラストアクロスZZ』が手に持った『ハイパー・メガ・カノン』を、『シームルグ』がビームを拡散モードで放ち多数の敵を屠った。


霞「確かに威力は良いけど重いのよね、これ!使い切って捨てた方が軽いわ!」

朝雲「萩風の作ったヤツなんだから大事にしてよね!? 私の追加ジェネレーターも焼き切れそうだけどね…!」


『ブラストアクロスZZ』は京都、『シームルグ』は東京に戻ってから萩風が念を入れて調整を加え、一部改修を加えている。

霞の場合は『アクロスバースト』の調整と今使っている『ハイパー・メガ・カノン』だけだが、朝雲は拡散ビームモードを始めとした『シェーバティール』の機能追加に本体の改修も行われており、以前より性能が向上していた。


神通「萩風、離脱します。深追いはしないで」

萩風「分かっています。ステルスシステム起動、掴まって」


ジャスティスがカラドリウスに掴まり、ステルスにより透明化し、それを見届けた海風と朝雲もシームルグの両肩を抱えて、戦域から脱した。




天津風「機体に異常は、特になし… 磨耗はあるけど、大丈夫そうね」

瑞鳳「なんで… どうして、ここに来たの!?」

海風「どこかの馬鹿が勝手に突っ込んだからですよ。萩風さんに散々一人で動くな、って言ってたくせに自分で突っ込んで…」

霞「ちょ、海風!?」

海風「瑞鳳さん貴女が何を考えているのか知らないし、どうでも良い。だけど… 自分の言ったことくらい、自分で守ってください。

世界なんか一人で背負えるものじゃない。 それを背負いたければ誰かと手を繋がなきゃ、何も出来ないんです」


イベント 直下 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/28(火) 16:25:26.49 ID:aVY9XYG6O<> 瑞鳳逆ギレ <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/06/27(木) 00:29:03.24 ID:Je99v5gQ0<> 瑞鳳「分かってるよ、そんな事!私は世界を救いたいんじゃない、私は…!」

神通「誰よりも仲間を、仲間が生きている未来を守りたい… でもお母様、貴女のやり方は間違ってます。

だってそれで、貴女は一度失敗したんです。結果私と萩風が生まれたのですから」

瑞鳳「ッ…!?」

萩風「自分だけ傷付けば良いなんて考えだからこそ、他の人の手を握れなくなって独りよがりに走った。そして無理にでも貴女に付いて行こうとした人たちは皆倒れて…

善意が生んだ悲劇、これを繰り返させ無いためにも… 相手を受け止めて、自分の想いを受け止めて貰って、手を繋げばきっと未来に届く。私達は今までの戦いでそう学んできました」

海風「ハッキリ言います、瑞鳳さん。貴女は飛龍さん達を『仲間』ではなく守護の対象としか見ていない。このままでは、未来には届かない。

同じ未来を繰り返させない為にも、ここは海風達に任せてくださいませんか?」

瑞鳳「それ、は…」

海風「大丈夫、未来ならもう視ました。 勝利へのルートも、分岐点も全部。 世界が悲しみの『青』に塗りつぶされる前に、新しい色で塗り替えます。

だから、ここで待っててください。 とりあえず目先の『要救護者』を救ってきますから」

朝雲「センサーに反応、数30。結構大規模な敵よ」

海風「行きましょう。 瑞鳳さんはここでこちらの増援を待っててください、予定ではもうすぐ着くので」




瑞鳳(私は… 私には、何も救えない…)

大鯨「違うわ、瑞鳳。海風ちゃんは貴女が『誰かと手を繋ぐ』ことが未来への分岐点だって考えてるの」

瑞鳳「お母さん…?」

大鯨「少しは信じてみなさいな、貴女が育てた教え子や娘達を。 一歩一歩、着々と前に進んで大きな分岐に立とうとしてる。

あの子達ならきっと運命だって塗り替えれるわ。悲劇の『青』から、理想の『蒼』へ…」



海風「アズールリードより、全機へ。もうすぐ『目的地』です、覚悟は大丈夫ですか?」

霞「完了してるわよ、とっくに」

神通「はい。その為に此処にいます」

天津風「ここまで来たら、やってやるわよ…!」

朝雲「どこまでいけるかなんて解らないけど…」

萩風「きっと明日に、この手を届かせましょう」

海風「では全機、目標エリアへと進軍します! 先陣は02と04に任せます!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/28(金) 20:23:27.62 ID:r0PHZ5qjo<> 乙 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/07/02(火) 00:13:54.47 ID:IfdYJ9Q/0<> 《ダイバーシティ東京 広場》


「くっくっくっく… 『進化』の到達者を二人も連れて、わざわざこんな所まで追ってきてくれるとはな。感謝の言葉もない、真紅の戦乙女の愛弟子達よ」

天津風「ニムバス・シュターゼン…!」

ニムバス「さぁ、どちらが真に未来に選ばれし者か、ここで決着をつけるぞ!」

朝雲「その前に答え合わせの時間よ。 聞かせてもらうわ、『真実』を。 何も知らないまま死ぬのはゴメンだもの」

ニムバス「良いだろう。 冥土の土産だ」

朝雲「1つ目、『誰が未来を見た』のか。アンタ達は遠い未来、ニュータイプとオールドタイプの戦争が起きて深海棲艦の侵攻を招いたと言った。

その事象はアンタ達3人が見たのか、それともクルストの言っていたことなの?」

ニムバス「その様な話など… そんな下らないことを知りたいのか、貴様は」

朝雲「…もう必要ないわ。答えは大体分かったから。じゃあ2つ目、最初のアジトを瑞鳳さん達が襲撃した時マリオンを残したのは貴方?」

ニムバス「邪魔、だったからな。逃走するのにあのような荷物、抱えてはおけん」

朝雲「これももう分かった。じゃあ最後の質問。 クルストはどこで、何をしでかすつもりなの?」

ニムバス「知らんな!ヤツの考えていることなどどうでも良い、ただ私は私の大義を果たすだけだ!」

朝雲「だってさ」

海風「ありがとう、朝雲さん。知りたい事は全部知る事ができました。

…ニムバス、これが最後の警告です。投降してください。まだ引き返せる、だけどこれから貴方がしようとすることはその道を閉ざしてしまう」

ニムバス「ほざくな。既に私に引き返せる道など…」

萩風「引き返せなくとも、新たな道はある。 分岐点から逸れる道はまだ残ってます」

ニムバス「黙れ! 私は、EXAMを止める事など不可能だ!」

神通「それでは誰も救えない。これからの悲劇で消える人々も、被害者達も、マリオン・ウェルチも、そして貴方自身すらも…!」

ニムバス「それがどうした! 最早もう何も誰も救えん! 止まれないのだよ、世界は!」

霞「…分かった。じゃあ私達が止める、そしてアンタを地獄から救い出してやるわ!」

ニムバス「やってみろ、貴様等に出来るものならばな!」


ゴゴゴゴゴゴ


海風「何故貴方が台場を選んだ理由は既に分かっています。台場にあるもの、『最大のガンプラ』…」

ニムバス「動き出せ、我が最強の力よ!EXAMの力で奴等を滅ぼせ、『ユニコーンガンダム』!」

天津風「1/1立像はあくまでも『ガンプラ』扱い、しかもプラフスキー粒子が対応可能な材質が使われてる… しかもこの特殊粒子環境下なら動かせ無い道理は無い、か」

朝雲「ホント、海風の予測は最悪の状況をはじき出すわよね…」

萩風「だからこそ、心構えも出来るというものです。それにまだ余裕そうですよ」

朝雲「だってもう知ってたことだから。 それに海風はもう未来を視てる、私達の『先』の未来を」

霞「なら勝てるわね。 いくわよ、海風!」

神通「私達に指示を! 彼を倒して、未来を拓けと!」

海風「はい! フリューゲル・ヴェント全員へ! ここが正念場です! 全力を以って、最大の壁を打ち砕きます!」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/07/02(火) 00:38:06.38 ID:IfdYJ9Q/0<> 天津風「トランザム!」


『ガンダムハルート・ボーライド』の機体が輝き、真紅の光を帯びる。

もう既に憎しみに囚われていた少女は居ない、そこに居るのは仲間を信じることを覚えた天津風と言う一人の少女だ。


朝雲・萩風「アンチェインド・ドライヴッ!」


朝雲と萩風が同時に叫び、『シームルグ』と『カラドリウスルベルム』の装甲が裂けて機体が燐光を纏う。

さらに装甲が展開し、強い光を帯びる2機。最早二人を隔てるものは無く、心を繋いだ比翼の鳥は眼前の巨大な同型機を睨む。


霞「迸れ、アクロスバーストッ!」


クリアパーツが紫色に煌き、マグマと氷が溢れ出す。霞の心と同調した『ブラストアクロスZZ』がユニコーンへ敵意を向ける。

ニュータイプやオールドタイプは関係ない。ただ『救う』ためだけに、彼女の想いは迸った。


神通「咲き誇れ、フルブルームバースト!」


花弁が機体から零れ、各部が橙色に輝く『インフィニットジャスティスロンギフローラム』。何度傷付いても立ち上がってきた少女は今最大の壁の前に立つ。

例え命が尽きようと、己が消えようと、それでも訪れる未来を諦めない。そんな少女の想いが今、満開の花となって咲き誇る。


海風「解き放て!アズライトバーストッ!」


蒼い光の柱が形成され、光が消えると同時に『ウイングガンダムアズライト』の機体各部を『宝石の鎧』が覆い尽くす。特に彼女は何かを背負っていた訳でもない、どこにでも居る少しコンプレックスを抱えていただけの少女だった。

しかし彼女の歩みは世界の命運を握るところまで進んでしまった。それでも彼女は進み続ける、皆で笑っていける未来を創りたくて、空虚な自分を変えたいと願って。そして今、彼女は想いも願いも込めて、全てを解き放つ。


海風「フォーメーション・ブルーリコート! ここで、悲しい未来を断ち切る!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/07/07(日) 21:40:12.43 ID:trd0OERy0<> 動き出す原寸大の『ユニコーンガンダム』、元々は『立像』であるため武器は無い。しかしEXAMの機能か、ニムバスが生成したのかは不明だが腕に『ビームマグナム』の銃身が形成され、その銃口が『フリューゲル・ヴェント』の6機へと向けられた。

放たれる大出力のビーム、本来ならばガンプラどころか現行兵器すらも一撃で消し飛ばすことができる。それどころか生じた熱でガンプラなどドロドロに溶けてしまうだろう。


海風「霞!」

霞「わかってるわよ!」


海風と霞の駆る『ウイングガンダムアズライト』と『ブラストアクロスZZ』が咄嗟に前に出た。そして海風が『宝石の鎧』を構築するのと同じ様に巨大な盾を形成、さらに霞が6機を包む『氷の繭』を形成する。

盾に直撃するビーム、そのビームは宝石の盾を焼き尽くさんとするが海風の『決して砕けない意志』によって生み出された盾はそのビームを悉く弾き、拡散させた。そして余波で生じる熱を絶対零度の繭で防ぐ霞、『未来予測演算』で海風が視た未来を霞が感応波で受け取ったことで出来た連携であり、二人でなければ成しえなかっただろう。


ニムバス「防ぐとは… しかし!」

海風「今!」


『ビームマグナム』はEパックカートリッジを1射で1つ使う性質があり、故に2射目までには数秒のラグが生じる。海風はその隙を狙って掛け声を放ち、その声と同時に海風と霞以外が操る4機が繭から飛び出しユニコーンとの距離を詰める。

最初は神通だった。呼吸を整え居合いの構えを取り、全ての意識と気を剣へと集中させて一閃と同時に剣を抜き放つ。


神通「天剣絶刀!」


奔る不可視の刃、神速の一撃がビームを放つ前の『ビームマグナム』を両断して爆散させた。爆発の衝撃でよろけるユニコーンガンダム、態勢を立てなおすその前にさらに3機が距離を詰め、攻撃を開始する。

ハルートがブースターに内蔵されたミサイルをありったけ放つ。狙うはユニコーンガンダムの顔の目、そのセンサー部を司るツインアイ。全弾を直撃させる天津風、しかし損傷は無い。対して威力が足りていない、ハルートの攻撃などユニコーンにとっては虫刺され程度の威力でしかないのだ。


天津風「だけど、これで目は見えないわよね!」


彼女の狙いは爆炎で一瞬だけ目を潰すこと、次の瞬間2機のユニコーンタイプ、『シームルグ』『カラドリウスルベルム』が一気に接近し粒子結晶の刃を精製してユニコーンガンダムのカメラアイへと突き立て破壊する。

2機は結晶を切り離して離脱、シームルグにカラドリウスが抱きつく事で重なり、そのままカラドリウスがステルスシステムを起動して2機は透明化した。


ニムバス「だが再生はでき… 何!?」

朝雲「確かに再生自体はできる。そこに『異物』がなければの話だけど」

萩風「そこに再生を阻害するもの、『元の形』に戻るのを邪魔をするものがあれば別…!」


だからこそ朝雲と萩風は粒子結晶の刃を切り離しツインアイへと突き刺したままにした、再生を阻害して完全に目を潰すために。これで彼は目視を頼ることはできなくなってしまう。

しかし通常ならば勝ち目がなくなるこの手もEXAMに対しては致命的な一手にはならない。敵対者の敵意がある以上、EXAMはそれを検知し攻撃することができるのだから。だが海風はそれも織り込み済み、そして海風の思考を読める霞にも。


ニムバス「馬鹿な、敵意が… EXAMが正常に動作しない!?」

霞「どうやらEXAMってのは本当にポンコツみたいね。最優先目標をニュータイプに設定してるから、私の増幅させた感応波しか検知できない」

海風「加えて、プラフスキー粒子の特性である『人の意思』に反応する特性を利用して感応波を空間中に撒き散らして感応フィールドを形成すれば…

あら不思議、霞の感応波自体を検出できても霞の位置を検出はできない。しかも先輩達の居所は解らない、だから対処は『攻撃を受けた後』になる」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/07/08(月) 00:44:11.74 ID:GMkpV7yZ0<> ニムバス「味な真似を… だが、易々とはやられるか!」

海風「ッ! 来ます、回避運動! 下地は塗った、あとは!」

ニムバス「全て、吹き飛ぶが良い!」


粒子結晶が地面から大量に隆起して浮遊、あたり一面にまるでクラスター弾が如くその結晶を撒き散らして周囲を薙ぎ払う。しかしニムバスは気を抜かない、何故なら霞の感応フィールドはまだ消えていないのだから。

意識を凝らし周囲を警戒するニムバス。目視も出来ず敵意を察知すら出来なくなっている今、こうやって気を配ることでしか身を守る術は無い。だがそんな警戒も、一瞬で無駄となった。


神通「もう、遅い! 密天烈風!」


神通が振るった刃が暴風を巻き起こし、それに巻き込まれて転倒するユニコーンガンダム。彼女の剣による暴風は自身の150倍近い体格差や質量を持った敵すらも転倒させてしまう。

そして次の瞬間、地面が大きく揺れて地割れが起きた。その地割れから噴出するのは大量のマグマ、霞の『心象』を力へと転換したもの。


霞「こいつを持っていきなさい! ヴォルカニックブレイク!」


『ブラストアクロスZZ』が地面へ拳を叩き付けると同時にまるで火山が噴火したかのようにマグマが爆発的に噴出され、それに巻き込まれたユニコーンガンダムは上空へと吹き飛ばされる。

ニムバスには直感的に分かっていた、この後何が来るのか。そう、彼等に幾度となく辛酸を飲ませた『蒼い悪魔』、その一撃であると。


ニムバス「やられる、か!」


ユニコーンガンダムが3枚のシールドを形成、さらに粒子結晶を盾のように形成して防御へ徹する。ここで消える訳にはいかない、と。

しかし海風は止まらない。 『ウイングアズライトブレイド』を連結してバスターソードモード、しかも両腕に持った二本へと『宝石』を纏わせて巨大な剣二本を形成する。


海風「だとしても… 切り拓く! 二刀流っ、フェイクアズールブレイカァァァァァァァッ!」


二本同時に振り下ろされる極大の宝石剣。その刃が奔り粒子結晶、そして盾をも両断しユニコーンの両腕を切り落とす。さらに膨大なエネルギーが放出され、ユニコーンの機体を焼き尽くす。

だが、それでもユニコーンガンダムは生きていた。『フェイクアズールブレイカー』の一撃は機体表面を焼いただけで倒しきることは出来なかったのだ。


ニムバス「万策、尽きたな!」

海風「海風は切り拓くだけ… 全機、塗りつぶせ!」


海風には分かっていた。『フェイクアズールブレイカー』の一撃を以ってしてもユニコーンガンダムを倒しきる可能性は低い事を。だからこそ、一撃を『守りを崩す』ことに重点において一撃を放った。

地面には『ブラストアクロスZZ』と『インフィニットジャスティスロンギフローラム』が、そして上空には『ガンダムハルートボーライド』が運んだ『シームルグ』と『カラドリウスルベルム』が展開していた。


天津風「決めて、皆!」

萩風「麒麟・極…!ブレイヴ・インフィニティ…」

朝雲「いくわよ!プラフスキー・ステラッ!」

神通「流派・東方不敗が最終奥義! 石破天驚っ!」

霞「最大集束! デュアルアクロス!」


『カラドリウスルベルム』が大量の分身を形成し、さらにその全てが胸部装甲を展開してエネルギーを集束させる。シームルグも周囲のエネルギーを取り込みながら『シェーバティール』へとエネルギーを集めていく。

神通も『インフィニットジャスティロンギフローラム』の拳にエネルギーと気を集め巨大な拳を形成、『ブラストアクロスZZ』も氷とマグマで銃身を形成し狙いを定めた。そして4機の一撃が、解き放たれる。


萩風「シリンダー!デッドエンドッ!」

朝雲「ストレイターレット、フルバーストッ!」

神通「アンリミテッドフィンガァァァァッ!」

霞「フルブラスト!いっけぇぇぇぇぇぇっ!」


容赦なく放たれた4つの極大の一撃。その破壊力は『フェイクアズールブレイカー』を凌ぎ、ユニコーンガンダムをこの世から消滅させるには充分すぎる熱力だった。

そして5機が一足先に地面に降りていた『ウイングガンダムアズライト』の下へと降り立つ。ユニコーンガンダムがあった場所へと背を向けて、海風は言い放つ。様々な想いを込めて、その言葉を。


海風「何度傷付いても、何度塗り替えられたとしても… その度に何度だって塗り返してみせる。海風達の、想いの、願いの、未来の色で」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/07/13(土) 22:52:58.27 ID:PD9M2w6s0<> 《ダイバーシティ 屋上》


海風「やはり生身の体はここでしたか、ニムバス・シュターゼン」

ニムバス「…貴様等、何故…」

神通「何故勝てたのか、何故ここが分かったのか、それとも何故ここに居るのか、ですか?

学校を襲撃して私達を始末したか釘付けに出来たと思って、お母様をここに誘導して仕留めようとして」

朝雲「先輩、その答えは違います。ニムバスの行動は独自のもの、学校を襲撃したのはクルストの側。だってニムバスは何も知らなかったんだから」

天津風「朝雲、まさかニムバスを…」

朝雲「信じるもなにも、嘘なら一発で見抜ける霞が居てダンマリしてる以上それは信じざるを得ない。本当にクルストについて何も知らないのよ」

ニムバス「クルストは、奴は…」

霞「『未来を救う為』、だって欺いてた。本当なら人々を救う為のナノマシンを悪用して突然変異者を抹殺しようとした。

『何か』に取り憑かれたか狂ったかどうかは知らないけど、アナハイムを騙して『ブルーディスティニー2号機』の頭を手に入れて、そこマリオンの意識を取り込ませて悪魔のナノマシンを完成させたのね」

ニムバス「どうして、それを…」

霞「私は今、この世界で唯一マリオンの声を拾うことが出来る。聞き取れたのは少しで、あとは憶測だけどね」

海風「このままでは誰も救われない。犠牲になった人たちも、騙されて貴方に付き従った二人も、利用されたスドウ・シュンスケも…

ここで止めなきゃ『いつか目覚める』マリオンだって救われない。罪を抱えたまま生きていくことになる」

ニムバス「マリオンが目覚める…?」

萩風「彼女の体はこちらで確保しました。あとはEXAMの中枢部さえ破壊すれば、戦いは終わります」

ニムバス「駄目だ、破壊しては…!」

天津風「え…? EXAMを載せたデバイス全て壊せば、意識は戻るんじゃ… まさかEXAMのデバイスが他に…?」

海風「…まさか! 多分EXAMは罹患者の意識を取り込んで、それを破壊すれば行き場の無い意識は…」

霞「そうか、ニュータイプだったから宇宙世紀のマリオンは自分の体に戻れた。だけどこっちの世界は違う、そしてニュータイプは私だけ…」

朝雲「だからそのまま壊したんじゃ罹患者に意識を戻せない。二度と醒めない眠りに落ちたままになる…!」

天津風「そんなの…! じゃあどうすれば良いのよ!?」

ニムバス「人の意識に、意思に反応… ぐっ…!?がぁぁぁぁぁっ!?」

海風「自殺機能の起動は確認されてないのに…!?」

萩風「皆離れて!もう彼は、彼じゃない!」

霞「見える、ドス黒いなにかが… ニムバスの意識は、残ってない…!」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/07/13(土) 23:31:20.46 ID:PD9M2w6s0<> ニムバス?「くくくっ… まさか、子供にやられるとはな、コイツも」

天津風「一体誰なの…?」

朝雲「答えは簡単に弾き出せるわ… だってEXAMに精通してる、残った主犯格は一人しか居ない…!」

神通「クルスト、クルスト・モーゼス…!」

クルスト「結局はコイツも3人と同じで役立たず…」

海風「黙れ」

クルスト「ん?」

海風「お前に、人を侮辱する権利はない…!自分で何一つ出来ないポンコツテロリストが!」

霞「う、海風…?」

海風「自分で何一つ作った訳じゃない、前に出て何かした訳でもない、略奪しただけの物を使い潰したポンコツが誰かを笑う権利なんてない…!

お前に命を笑う権利は無い! ただの妄想で世界を終わらせる引き金を引く、後世の笑いものが…!」

クルスト「貴様っ…!」

海風「もう未来は視た… 貴方に万が一、億が一にも勝ち目なんか与えない…! 首を洗って待ってろ、クルスト・モーゼス…

子供に計画をズタズタにされて、狼狽しながら歴史の笑いものにされるのを楽しみにしてください…!」

クルスト「覚えていろ、貴様等は必ず消してやる…!」

萩風「3流の台詞ですね。格が知れるわ」

朝雲「必ず追い詰めて、こっちがアンタをはっ倒してやるわ」

天津風「あと辞世の句も考えておきなさいよ」

神通「必ず、貴方に惨めな『終わり』を与えましょう」

霞「私達を敵にまわしたこと、地獄で後悔してもらうから」

海風「だ、そうです。これは海風の視た未来より、惨たらしい末路が期待できそうですよ」

クルスト「子供の分際で…!」バッ

天津風「あ、逃げた」

海風「放っておいてください。深追いすれば何が起きるか分からないです」

萩風「だけどニムバスの体が…」

海風「だから必ず、クルストを倒します。そして8月31日の先に…」



イベント選択 直下
1.海風・天津風『結んだ絆は』
2.海風・神通『契約の先へ』
3.海風・霞『同じ道を』
4.朝雲・萩風『絆の先へ』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/14(日) 01:21:35.09 ID:owP131j3O<> 1 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/08/24(土) 01:17:25.11 ID:VZovhX0J0<> 海風&天津風編『結んだ絆は』

《基地 仮眠室》


海風「気だるい…」

天津風「当たり前じゃない。慣れない生身での戦闘やって、ニムバスを完封するための未来予測演算、しかも『アズライトバースト』と『フェイクアズールブレイカー』まで使って…

それで気だるいだけで済んでる海風は何なのよ。先輩なんて海風のと同じくらいの威力の技でまた倒れてるのよ?」

海風「霞なんて海風以上の無茶してるのに?」

天津風「プラフスキー粒子に干渉する力は感応波を持った霞のが上よ? 今もピンピンしながらあのガンダム、『ナラティブ』だったかの調整してる」

海風「…他の二人は?」

天津風「朝雲は瑞鳳さん達のお話合いに参加、萩風は霞の調整手伝いしながら余ってたパーツでMS整備中」

海風「MSを?」

天津風「動ける機体は多い方が良いって。私にもシュミレーター受けるように、って言われたわ」

海風「そうですか… 確かにまだ『立像』は残ってるし、アナハイムが回収したMSもある可能性が残っている以上は…」

天津風「だから海風、少し休んでおきなさい。この戦いの要は、海風の『予測』に懸かってる」

海風「何が起きるか分からないし情報が少ない以上、今の海風は動きようがないし…」

天津風「海風は海風に出来る事をやりなさい。私も、私にしか出来ない事をやる」

海風「天津風さん…」

天津風「私には力なんてない。海風みたいに未来を視ることも、霞みたいに感応波もない、先輩や萩風みたいに武術の達人でもないし、朝雲みたいな推理力だって無い。

だけど、こんな私でも『フリューゲル・ヴェント』の中に居る。だからこそ、私が出来ることを全力でやりたいの」

海風「自分にしか出来ない事を、ですか」

天津風「そうよ。それが何なのかは分からないけど。 何かを失くすのは、もう御免だから」

海風「それは誰だって同じです。大事なものを失くしたくないから、皆戦ってる」

天津風「そうよね。 私、色々失くしっぱなしだったから、ちょっと視野が狭くなってたのね…」

海風「だけど、何かを失くして得たものだってあるでしょう?」

天津風「ええ。 だからこそ、これ以上失くしたくないのよ。 …これ以上、信じられる仲間だけは」

海風「仲間…」

天津風「それが私に残った『最後』。隣に居てくれる誰か、それだけが私に残ったものだから」 

海風「…橘さん?」

天津風「なんだか物凄い失礼なこと言われてる気がするんだけど。具体的には肝心なときにしか役に立たないとか」

海風「気のせいです。ただ騙したら死にそうだな、とか思ってません」

天津風「やっぱり何か思ってるじゃない!?」

海風「最近霞に特撮ばっか観させられた影響です」

天津風「人のせいにしないの、全く… 私、何でこんなのに憧れちゃったのかしら」

海風「え?」

天津風「別に、普通よ普通。 目の前に居る、強い人に憧れるのは。並びたいとも、超えたいとも思ったりするのは当然じゃ無い」

海風「まぁ、それは確かに…」

天津風(ま、それだけじゃないんだけどね… 私の『憧れ』は)

天津風「…生き残るわよ、必ず。 アイツ等残らず倒して、ここで全部終わりにしましょ」


イベント選択 直下
1.海風・神通『契約の先へ』
2.海風・霞『同じ道を』
3.朝雲・萩風『絆の先へ』
4.海風・浜風『蒼翼と銀翼』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/24(土) 09:47:16.60 ID:/1q0s0HW0<> 1で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/08/27(火) 02:12:25.08 ID:2eWunpXc0<> 海風・神通編 『契約の先へ』

《基地 医務室》


海風「…言いましたよね? 他の3機も連携で技を放つから、先輩は無理に『石破天驚アンリミテッドフィンガー』を使わないで欲しいと」

神通「はい… だけど再生を上回る出力が必要であった以上、確実に倒すにはアレが最適解でした」

海風「だから『フェイクアズールブレイカー』で表面を焼いて再生を阻害しておいたのに…」

神通「阻害だって完全じゃないでしょう」

海風「それもそうですが… 先輩だって本調子とは言い難い今、迂闊にあの技を使えば…」

神通「…いえ、今は本調子ですよ。 もう、覚悟は決まったので」

海風「え…?」

神通「きっと私、心の中でどこか迷ってたんです。この時代に私が居る事で未来が確定するかもしれないとか、借り物の体でここに居て良いのか、とか…

そして何より貴女達を戦いに巻き込んでしまって、こんな私なんか消えれば良いとまで思っていましたから。だから不安定で、本調子にはなれなかった」

海風「その迷いを、振り切れたんですね」

神通「はい。 深海棲艦の侵攻が、その原因である8月31日のパンデミックが起きなかった先の未来を海風さんと一緒に見たいと思ったから」

海風「海風と…?」

神通「私はずっと、貴女に助けられて立ち上がって来れたんです。 …私の『繰り返し』の中に貴女と霞さんは居なかった。朝雲さんや天津風さんも、萩風だって居なかった。

貴女に出会った事で、繰り返しに終わりを告げられる手前まで来れました。そしてここまで折れそうだった私を何度だって立ち上がらせてくれたのは、海風さんです」

海風「海風はそんな事…!」

神通「いいえ。 貴女がどこまでも立ち上がれる人だからこそ、私も立って来れたんですから」

海風「先輩…」

神通「…海風さん。私は貴女と『契約』した身です。その『契約』を果たすまでは消えない、と以前言いましたが訂正させてください」

海風「『契約』を…?」

神通「勿論『契約』は有効です。貴女に剣術を教える、それが『契約』ですから。 訂正するのは剣術を教えるまで、と言う期間です。

私は消えない、絶対に貴女の下から。 この命尽きぬ限り貴女の剣で在り続ける、それが私の新たなる『誓い』です」

海風「誓い…」

神通「だから、私に見せてください。貴女が『ソウゾウ』する未来を、悲劇を終わらせた先にある世界を。

それが私の望んだ世界であり、そしてみんなの希望となるのですから」



イベント選択 直下
1.海風・霞『求めた温もり』
2.朝雲・萩風『結んだ力の果て』
3.海風・浜風『悲しみの終わる場所』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/28(水) 22:32:20.91 ID:/gFaWJ0AO<> 2 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2019/09/09(月) 00:00:41.89 ID:j7NwFh7p0<> 朝雲・萩風編『結んだ力の果て』

《MS格納庫》

萩風「ふぅ…」

朝雲「ちょっとくらい休みなさいよ。いくらMSを仕上げた所で萩風が倒れちゃ意味無いわよ」

萩風「ええ… 擬似GNドライヴの接続作業は完了して、稼動状態のMSは確保できたので休むところです」

朝雲「これで動ける機体が3機増えたのね。霞の『ナラティブ』、それに『ケルディムサーガ』『アリオスアスカロン』だったっけ」

萩風「4機ですよ。 『ネブラブリッツ』も1機、稼動状態にしたので」

朝雲「…で、誰が操縦するの?」

萩風「それはお母様達次第、です。ナラティブの専属は霞さんと決まっていますが」

朝雲「ま、操縦は私には出来そうにないから良いや。 …ねぇ、この先ってどうなると思う?」

萩風「どうでしょうね。 8月31日を越えないと未来は無いけど、越えたところでそれが良い未来なのか…」

朝雲「人と人とが手を取り合える世界を創る… ハッキリ言って絵空事、少なくとも奇跡でも起きない限り私達の命が尽きる時間をかけても無理だと思う」

萩風「どうしてそう思うんです?」

朝雲「だって人は理解じゃなく誤解を選んじゃうもの。同じ景色を、同じ夢を見ていても、すれ違うのが人間でしょ。

より良い未来を創ろうとした私達も、結局ニムバスとぶつかりあってた。目的は同じ『深海棲艦の現出しない平和な世界』だったのに…」

萩風「だけど彼等は結局口車に踊らされただけです。それに仮に絵空事だったとしたら、ここで逃げますか?」

朝雲「そんな訳無いでしょ。絵空事だから現実にしたい、そう思ったからここに居る。 今更逃げるなんてしないわ」

萩風「でしょうね。 それに一つだけ、可能性がありますよ。人と人とが手を取り合える可能性を生み出す方法が」

朝雲「GN粒子でもばら撒く?」

萩風「ばら撒くのはプラフスキー粒子ですよ。あれは人の意思に反応する、しかもその影響力はサイコフレームやGN粒子を上回る…

世界中に粒子を散布して、その中心点で『プラフスキーバースト』を起して人類全ての意識をバーストの基点となった人物の想いを伝播、無意識下に刷り込めば可能性は無くはないでしょう」

朝雲「簡単に言うけど、それ歴とした洗脳だからね。人の意思に無理矢理刷り込むなんて」

萩風「ええ。それは私も反対です。 あくまでも可能性の話、ですよ」

朝雲「だけど、それが出来る可能性があるなら… もしかしたら昏睡病の人達を、元に戻すことができるかも…」

萩風「…プラフスキー粒子をサイコミュの代わりに使って、解放された意識を元の体に戻す。確かに人と人の意識を繋げることの出来る粒子なら可能、かもしれない…

だけどそれには『バースト』を引き起こせる精神力と人の意識を繋げる持った人間が必要…」

朝雲「じゃあ居るじゃない、適役が」

萩風「海風さんと霞さんに、負担を強いるのは… え、まさか…!」

朝雲「そう言う事。それを担うのは私と萩風。私は『共鳴』を引き起こせるし何より今も萩風との『パス』がある。それは萩風も同じでしょ?」

萩風「危険です! 私はまだしも、貴女が耐え切れる保証はどこにも…!」

朝雲「分かってる。だけど、救える可能性があるな…」

バッ

萩風「…お願い、私に貴女を傷付けさせないで」

朝雲「ナイフまで出して…」

萩風「私は、貴女を失いたく無い… 朝雲さんが居たからこそ私は戦えた、何より道を誤らずに済んだ…!

朝雲さんが居なくなったら私達や、御両親や五月雨さんが笑って生きていけると思ってるんですか! もし本気で命を捨てるつもりなら、ここで貴女を止めます…!「もう大事な人を失うのは嫌だから… だから、私は…!」

朝雲「…分かってる。私だって無策でこんな発案したんじゃない。今のはちょっとした確認だから」

萩風「え…?」

朝雲「言ったでしょ。『共鳴』を起せるのは萩風も同じ… これも一種の賭けだったけど、萩風のその『想い』があれば、きっと出来る『秘策』があるのよ」


イベント 直下
1.海風・霞『求めた温もり』
2.海風・浜風『蒼翼と銀翼』
3.海風・瑞鳳『真紅と蒼』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/09(月) 09:39:17.69 ID:irDjJY6g0<> 2で <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2020/01/19(日) 00:57:38.57 ID:BfCfymuZ0<> お久し振りです。>>1です。最近リアルが忙しく書けずに申し訳ございません。
少なくともアズール編は完結させます(KBFイノセンス編も頑張りたい)。
なのでもう少しだけ、お付き合いください。


海風・浜風編『蒼翼と銀翼』


《基地 廊下》

浜風「海風、少し良いですか?」

海風「こっちは戦いあがりで疲れてるんですけど」

浜風「知ってます。未来予測演算を限界まで行使した上に『フェイクアズールブレイカー』を使った事も」

海風「その上で、今しか出来ない話なんですか」

浜風「ええ。そうじゃなきゃ、呼び止めたりしません」

海風「…なら聞きます」

浜風「貴女はどこまで『視た』んですか、未来を」

海風「ニムバスを倒すまで、です。それ以降は情報の欠落や不安定要素の多さ、それに確証を得られるだけの『何か』が無かったので」

浜風「やっぱり、そこ止まりですか…」

海風「残念ですがご期待には沿えないようで。そもそも今のEXAMナノマシンの状況では1億虐殺なんて到底不可能、対処が早かった影響でせいぜい行って1000万が関の山です。オンラインバトルシステムが使用不可になった今、可能性は費えたに等しいのに」

浜風「元々1億の虐殺じゃなくて、進化の可能性を持った人間の抹消が目的だった以上、100万の虐殺でも充分達成可能では?」

海風「世界の人口は約77億人、進化の可能性をもった人間なんて各国政府が把握していない以上数を推察することは不可能ですが、海風の予測では最低でも数千万単位で居る筈です。現に海風や霞、榛名さん達みたいに多数確認されてる時点で100万なんて超えてるでしょうし。

それにピンポイントで100万なんて人間を殺すことは不可能、恐らく犠牲になる8割が普通の、現状では進化の可能性を持っていない人間です」

浜風「それが海風の現状での予測…」

海風「仮に自衛隊の一部部隊を掌握しているとしても、100万の数字に届かせることはできても目標の達成は絶対に不可能、無駄な犠牲を出すだけです」

浜風「じゃあ彼等はどうやって…」

海風「そこが、海風の『行き止まり』なんです。その方法を想像しきれない以上未来予測演算は答えを出せない、情報が圧倒的に足りないのが致命的で…」

浜風「世界を標的にできるもの、例えば米軍や各国の保有する核兵器とか…」

海風「それは軍や各国首脳部が厳重なセキュリティロックをかけている筈です。そうなった場合、軍事兵器を利用するとなれば『軍に引き渡されていない大量破壊兵器』になるでしょう」

浜風「そんなものが都合よくある訳が…」

海風「あったとしてもEXAMで制御出来るのはUAVの類か、ドローンの類となるでしょう。いっそ、そんな兵器がないか米軍の知り合いにでも聞いてみたらどうです?」

浜風「飛龍さん経由でなら答えてくれるかな… カタギリさんの方が答えてくれるか…? いや、エイフマン教授に当たったほうが…」

海風「…居るんですね、米軍関係者に知り合い」

浜風「ええ、グラハム少佐経由で。しかも教授は大鯨さん達の恩師に当たる人だとか」

海風「世間って狭い」

浜風「ええ、全くです。 教授に尋ねてみましょう。アイリス社なら、軍事関係の情報だって握っているかもしれないし」

海風「リニア系のメーカーなら、それこそ可能性大じゃないですか。レールガンだって使い方次第では戦略兵器に成り得る可能性もあるし」

浜風「だからこそ、アイリスの人間に聞いてみるのが手っ取り早いでしょう」

海風「そうですか。 では海風は行きます。何か分かったら教えてください」

浜風「ええ。 …海風、ありがとう」

海風「何ですか、藪から棒に」

浜風「瑞鳳さんを助けてくれて、そして私達にあの人と向き合う機会をくれて」

海風「…そうですか。 一筋縄じゃいかないでしょうが、頑張ってください。あとで海風も参戦しますので」

浜風「お手柔らかに、ね…?」

海風「慈悲も容赦も与えませんよ。今回の一件、海風もちょっと腹に据えかねてますから」
<>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2020/01/19(日) 02:13:10.19 ID:BfCfymuZ0<> 海風・霞編『求めた温もり』


《格納庫》

海風「どうです、謎ガンダムは」

霞「正直言って、もうちょっとマシな機体は無かったのかしら。細すぎて私に合わない」

海風「当初はZZ系を予定してたのに今ではこの『ナラティブガンダム』ですからね」

霞「D装備、他の機体だとフルアーマーに相当する新造装備らしいけど元が軽いからどこまで役に立つか微妙ね…

ま、そのフルアーマーの下にサイコフレーム積んでるのが唯一の救いかしら。これなら多分、粒子に干渉できる」

海風「恐らく敵は大規模な行動を起す時、必ず大規模なフィールドを張り巡らせる筈です。その時に霞がナラティブで干渉して、粒子の動きを阻害する…

そうすれば敵の動きを一時的に妨害することが可能になります。しかし霞の負担は…」

霞「大丈夫よ、その程度。 時間止めるより楽だから」

海風「そ、そうですか…」

霞「でも、戦いもあと何日かすれば終わる、のよね」

海風「ええ。あと4日、8月31日が決戦です」

霞「その後、私達ってどうなるのかしら…」

海風「…きっと、今までの日常には帰れ無いかもしれません。海風達は力をつけ過ぎた、それに学校での乱戦を見られていますから…」

霞「そう、よね… この手も、血で汚れた以上は…」

海風「…だけど、戻れるのなら戻りたいです。皆で笑っていける、そんな日常に。だって海風、その為に戦ってきたから」

霞「海風…」

海風「だからきっと、戻りましょう。戦いを終わらせて、皆で笑っていける世界のために」

霞「ええ。私だって誰にも私みたいに、悲しい想いを味わって欲しくないから戦ってる… だから、悲しみばっか増やすEXAMは絶対止める」

海風「その意気です。一番の切り札が、弱気になっちゃ駄目ですよ」

霞「その切り札を『使う』人間もね。アンタも、諦めないでよ」

海風「勿論。覚悟はとうに出来て居ますから」

霞「なら良いわ。 ところでアンタ、戦いが終わったらウチどうするの?」

海風「ウチ…?」

霞「ええ。だってもうウチに留まる理由も無くなるし、寮に戻れるでしょ」

海風「…大家さん的には?」

霞「…そうね。もうアンタは家族みたいなものだし… あ、ごめん。浜風さんだって居るのに…」

海風「いいんです。姉ではあっても、別に他の家族が居たって」

霞「あ、そう…?」

海風「では、引き続きお世話になります。 チームメイトとして、友ととして、パートナーとして、そして家族として」 <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2020/01/19(日) 02:25:36.36 ID:BfCfymuZ0<> お久し振りでなんですが、ここで機体案の募集を行います

募集するのは『フリューゲル・ヴェント全機の最終決戦仕様強化案』です。

募集対象機は以下の通り

・ウイングガンダムアズライト(近接寄りオールラウンダー型指揮官機)
・ブラストアクロスZZ(重装型NT専用機)
・インフィニットジャスティスロンギフローラム(超近接格闘機)
・ガンダムハルートボーライド(航空戦闘爆撃機)
・アルコアルガンダム(高機動航空戦特化機)
・シームルグ(高機動射撃特化機)
・ストライクエインヘリヤル(バックパック換装型支援機)
・カラドリウスルベルム(高機動強襲特化機)
・ガンダムエクシアルベルム(ステルス特化機)

の9機です

新造、は不可能なのでベース機体の変更は不可能です
また()内に併記してある機体コンセプトは極力崩さないで欲しいです
機体名などは変えたいのであれば、新たな機体名も併記してください
ただアズライトは既に内定している機体名があるので、そこはご留意ください


期間は第24話終了時までです

よろしくお願い致します <>
◆6G6UiAPa1Q<>saga<>2020/02/05(水) 23:56:32.08 ID:yiJoxBGv0<> 海風・瑞鳳編『真紅と蒼と』


《ブリーフィングルーム》

海風「…真紅の戦乙女も形無しですね、瑞鳳さん」

瑞鳳「海風ちゃん…」

海風「こうなることくらい、貴女なら予測出来てた筈です。海風よりも大人な貴女が、こう独善的な行動を取れば全員に責められる事くらい」

瑞鳳「…皮肉でも言いに来たの?」

海風「ええ。なんならこれから追い討ちかけようかと」

瑞鳳「言う様になったね。あんまりこう言うことを言わない子だったのに」

海風「ええ、変わりましたよ。 貴女の下で戦って、皆とチームを組んで全日本を制覇して、挙句テロ犯と戦って…

人を殺して、世界の命運を握るまでの場所まで来てしまったから。ここまで半年も満たない間に起きて、強気にならない人間なんて居ません」

瑞鳳「…ごめん。私が、止められなかったから…」

海風「それは貴女の責じゃない。戦うと決めたのも、スドウをこの手で討ったのも全部自分で決めた事です。

その件で誰も貴女を恨んだりはしていません。霞達も、海風も。 個人的には数点ありますが」

瑞鳳「あ、あるんだね…」

海風「ええ。主にウチの姉の件で。霞と朝雲さん以外にわざわざ緘口令まで敷いてたそうじゃないですか」

瑞鳳「それに関してはもう弁解の余地が…」

海風「ええ。弁解なんてさせるつもり、微塵も無いので。 …まぁ、今更この件で怒ったところでなんにもなりませんけど。

海風が今一番怒りたいのは、どうして誰も頼ろうとしないのかということです」

瑞鳳「…」

海風「守りたかった、その気持ちは痛い程分かります。だけど頼りにされ無い、って言うのは相手を最も傷つける行為なんです。

人は一人で生きていかないために誰もが弱さを抱えてる。それを補う為に周囲には『誰か』が居る… 海風はそれを、貴女に教えて貰った」

瑞鳳「そんな事、教えたことは…」

海風「ええ。直接は教えて貰ってはいません。 だけど戦いを通して、この身で学んできたことです。

誰かに信じて貰ってようやく海風は『アズライトバースト』や『アシムレイト』、そして『フェクアズールブレイカー』を使えるようになった。そこに至るまでに、瑞鳳さんを始めとしたいろんな人に支えて貰ったからこそです」

瑞鳳(たった4ヶ月、そんな短い時間の中でこの子はこんな域にまで…)

海風「だから、言わせてください。先輩と萩風さんの代わりに、姉や飛龍さん達の分まで…

辛いときくらい意地を張らないで、きちんと言って下さい! そんな事じゃ、本当に辛いときに何も言えないと人の痛みですら分からなくなって、誰も彼もが貴女から離れてしまいますよ!」

瑞鳳「…まるで、お母さんみたい。昔、叱られたときの…」

海風「これでも、未来の義理の親子です。それに大鯨さんには、一度お叱りを受けている身ですし」

瑞鳳「そうだったね…」

瑞鳳(この子だって、きちんと言われたことを受け止められてる… だからこそ、私にも…)

海風「海風からは以上です。 あと、皆心配してたんですから謝っておいてください。 海風はこれから、作戦プランの立案があるので」

瑞鳳「作戦…?」

海風「ええ。分かった事があるので」

瑞鳳「分かったって、何が?」

海風「なんとなく、ですが敵の本拠地がです」

瑞鳳「っ!?」

海風「覚悟してください。もうクヨクヨも一人でウジウジもしてる時間はありません。 ここから先は総力戦、全員の全霊で戦う時ですから」 <>