以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:24:49.98 ID:hCip+/ix0<>
※ 山郷さんがアリクイさんチームと一緒に走る話。

※ 作者は大洗町をちゃんと巡ったことがありません。

※ また長くなってしまった。 すまぬ。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503750289
<>【ガルパン】山郷あゆみは、駆けるアリクイの背に乗って 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:25:41.31 ID:hCip+/ix0<>
『 県立大洗女子学園 生徒会 日報 』  


9月 最終週 金曜日   記:河嶋 桃
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:26:48.82 ID:hCip+/ix0<>
(1)本日15時から 第一会議室に於いて、履修選択科目の代表者らによる定例会を開催した。

参集範囲は以下の通り。

〔 茶道・書道・華道・香道・仙道・合気道・弓道・長刀道・忍道・戦車道 〕 

なお、参集者は上記科目の各代表者で、合計10名 + 生徒会執行部 が参加。

その他、定例会の内容については議事録を参照のこと。



(2)定期輸送船の増便期間の終了について

先月下旬に発生した廃艦騒動によって、各種物資の在庫が許容値以下に落ち込んだため、定期輸送船の増便対応を図ってきた。
しかし、事態の収束に伴い、10月から通常ペースに戻すことにした。 先方輸送船会社に書面送付、および電話にて念押し連絡済み。



(3)大洗女子学園 臨時校舎の原状復帰状況について
  
廃艦騒動の際に使用した臨時校舎について、掃除、ゴミ処理、修繕などが終わり、全臨時校舎で原状復帰を果たした。
あとは、ゴミ出し等で利用したリアカーの返却方法について、各市町役場の担当課に確認すること。



(4)体育イベント企画(10月 第3週 金曜日 開催予定)について

昨年同様 「 大洗町マラソン大会 」 で最終決定。 すでに警察と大洗町役場へ手配済み。 当日の交通規制についても昨年同様。
中等部によるマラソン(9時00分〜)の後、高等部によるマラソン(11時00分〜)の予定。 ランナーの申し込み開始は来週月曜から7日間。
明日、マラソン大会の実施要領を印刷 → 来週月曜、始業と同時に各掲示板へ掲載予定。


⇒ 最終決定、ちょっと待った!! 少〜し内容を変えるかもしれないから、明日まで保留させてね〜 by 角谷


⇒ 最終決定したの会長じゃないですか……(涙) わかりました、一旦作業を差し止めます by 小山

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:27:31.37 ID:hCip+/ix0<>
【備考欄】


上記に記した科目代表者 定例会について、議事録内に記されない内容があるため、ここに補記しておく。


我々、大洗女子学園の生徒会は、文科省学園艦教育局の横暴に膝を屈しないため、本校カリキュラムに戦車道を復活させた。

そして、今日に至るまで総力を上げて本校戦車道チームを支援をしてきた。
 
その甲斐あって、我々は二度に渡る廃艦危機を乗り越えることが出来た。


一方で、そうした戦車道へのあからさまな支援、いわゆる「 戦車道びいき 」によって、本校生徒に不公平感を抱かれないよう、可能な限り対応もしてきた。

例えば、各科目に対する予算の増額は出来なかったが、その代わり、予算執行の適用範囲を拡大していろんな物を買えるようにしたり、各施設の使用時間を長く取れるようにしたり、対外試合等で本艦を離れる場合の公休扱いを融通利くようにしたり、等々。

可能な限り、予算増額以外で出来る対策はしてきたのである。


しかし、それでも全ての不公平感は抑え込めないだろう、とは予想していた。

生徒会メンバーは、生徒達からの信を得て選ばれているにも関わらず、その代表格である会長、副会長、広報の3人が、生徒達に不信感を持たせてしまったからだ。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:28:02.89 ID:hCip+/ix0<>
初めから 「 廃艦危機が二度もあった 」 ということを知っていた生徒は少ない。

当然だろう。 一度目の廃艦危機の際、我々はその事を生徒達に明かさなかった。

当時、生徒達の間で 「 どうも廃艦危機が迫っていたらしい 」 という噂は流れたようだが、我々生徒会はそれを認めなかったし、すぐに夏休みに入ったから、大きく炎上することはなかった。


しかし、二度目の廃艦危機に見舞われたときは、我々生徒会の面々にとっても寝耳に水だった。

我々が寝耳に水なんだから、多くの生徒にとっては寝耳に大洪水だろうと思う。  夏休み中であったのも災いした。

そんな混乱渦巻く中で 「 実はすでに自分達の知らないところで廃艦危機に見舞われていた! 」 「 その余波でいま再び廃艦の危機に瀕している! 」 と理解した生徒達は、きっとこう思ったに違いない。


「 なんでそんな大事なことを、生徒会は秘密にしていたのか? 」 と。
 

一回目の廃艦危機のことは秘密にされ、二回目の廃艦危機では、あまりにも突然な退艦命令。

結果的に廃艦危機は回避されたとはいえ、本校の生徒らが生徒会に不信感を持つには十分な出来事だったはずだ。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:28:35.93 ID:hCip+/ix0<>
それでも先々週くらいまでは、大学選抜戦の勝利の余韻が残っていて、目に見えた不満は確認されなかった。

夏休み明けだったし、しばらく廃艦騒動に対する臨時対策が執られてきたので、その間は 非日常 が続いているように感じたからだとも言える。


しかし、今週あたりから臨時対策が段階的に終了し始め、本艦にいつもの日常が戻ってくると、不信感と不満を露わにする生徒が出始めた。


「 生徒会は、廃艦危機を見越して戦車道を優遇したのか? 」

「 生徒会は、廃艦危機を知っていたのに、なんでそのことを生徒達に言ってくれなかったのか?」


こうした不信感や不満が堆積していけば、遅くないうちに 生徒会への不信任問題 に発展していくだろう。

「 生徒会は職権を乱用して問題を覆い隠し、さらに不公平を働くような奴らなのか? 」 と。


とはいっても事実、職権を乱用して不公平を働いたし、その甲斐あって危機を乗り越えられたのだ。

でなければ、大洗女子学園は今頃、この世から抹消されていただろう。

だから、言葉は悪いが、生徒会は開き直っているのだ。

我々、生徒会は進んで職権を乱用し学園艦を守ったのだ、と。 後ろめたいところなど無いのだ、と。


こうした事情は多くの生徒達も理解しているし、ゆえに、今まで表立ってトラブルが起きたことはなかった。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:29:03.03 ID:hCip+/ix0<>
ところが、大学選抜戦の奇跡的勝利が 少なくないメディアに取り上げられ、大洗女子学園がにわかに有名になると、この状況に反発する者が出てきた。 これまでの経緯をどうしても好意的に取れない者らだ。

彼女らの言い分はこうだ。

曰く 「 生徒会は職権乱用して不公平を働くような奴らなのか? 」

曰く 「 これからも私達は職権乱用されて、不公平を押し付けられるのか? 」

曰く 「 戦車道びいきはこれからも続くのか!? 」

曰く 「 大洗女子学園は戦車道だけの学校じゃない!! 」



生徒会に向けられた、これらの不信感や疑惑や不満に答えるならば、職権乱用してでも学園艦を残したかったのだ。

でなければ、戦車道の成績優秀者に遅刻見逃し200日とか、そんな特典を付けられるわけがない。

それに、文科省からまた難癖を付けられないようにするためには、これからも本校の戦車道チームは、強豪校の一角に居座り続けなくてはいけない。

となれば、今後も学校をあげて戦車道を支援しなければならないだろう。 時には、また職権乱用も必要になるかもしれない。


横暴は、生徒会に与えられた正当な権利だ。

大洗女子学園を守るためならば、その権利、これからも行使させてもらうことに躊躇いは無い。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:29:34.21 ID:hCip+/ix0<>
ただしそれは、戦車道チームに対してだけではない。

もし仮に、他の履修選択科目を優遇することで本校が守れるならば、これまで戦車道に対して行ってきたのと同じくらい、支援をするつもりだ。

我々が職権乱用する時は、職権乱用するだけの理由があるのだ。

その事情は、生徒達も理解してくれている。


その上で 「 理解はできるけれど納得はできない 」 「 理解はできるけれど何か気に食わない 」 と言われるならば……

結局のところ、我々生徒会は、これからも誠心誠意働いて、学園に通う全ての生徒達のために、目に見える成果を上げていくしかないのだと思う。

時間を掛けて、着実に、一歩ずつ、信用を取り戻していくしかないのだ。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:30:04.53 ID:hCip+/ix0<>
だから現状、問題になるのは、たぶん、この不満の方だと言える。


「 大洗女子学園は戦車道だけの学校じゃない 」


その通りなのだ。

戦車道が廃止されていた過去20年間、その20年間を繋いできたのは、戦車道以外の履修選択科目なのだ。

我々が戦車道に懸ける情熱と同じくらい、他の科目に懸けている生徒達がいるのだ。

その生徒らにとっては、戦車道ばかりが優遇されている今の状態が気に食わないのは当然だろう。

職権乱用を平然とやってのける生徒会に不満を持つのも当然だろうと思う。


だから、我々生徒会は、廃艦危機を脱した現在、もはや戦車道を優遇し続けることは出来ない。

むしろ、今は戦車道以外の科目に、支援の手を差し向けるべきである。

なぜなら、生徒達が抱いてしまった不満を早急に解消しなければならないからだ。

生徒会だけでなく、戦車道そのものに対して悪感情を持たれてしまうと、戦車道履修者とその他の科目間でトラブルが起きかねない。

それだけは避けなければならない。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:30:45.14 ID:hCip+/ix0<>
そう考えていた矢先に、今日の定例会で事が起こってしまった。

各科目の代表者から現状報告してもらった時の、長刀道の代表者の言葉が発端だった。


「 ウチは先日の廃艦騒ぎの時、予備の道具を持ち出す余裕が無かったので、すべて処分してしまった。 お陰で現在、予備の長刀や防具が1つも無い 」


この言葉を引き継いだのが、香道の代表者だった。

「 わたくし達も同じ状況です。 香木の在庫をあのタイミングですべて空にしてしまいました。 在庫が補充できるまで、活動内容が限られております 」


さらに忍道の代表者が続いた。

「 拙者達はあの退艦時の混乱によって、忍具を詰めたケースをいくつか紛失してしまった。 今は手持ちの忍具だけで活動しているが、そろそろ限界だ 」


こうした言葉がいくつか続いた後、多くの科目代表者が 「 でも予算無くて買い戻せない 」という旨を伝えてきた。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:31:29.26 ID:hCip+/ix0<>
これだけならまだ良かった。

肝を冷やしたのは、この後だった。


「 戦車道はどうなのだ? あれだけ雑誌とかに取り上げられてるなら、ギャラとか入ってくるのか? 」


戦車道の代表者として定例会に参加していた西住に、その隣に座っていた仙道の代表者が、何気なく問いかけたのだ。

本人は何の意図もなく聞いたのだろう。

しかし、この言葉によって、会議室内に嫌な空気が出来てしまった。

誰かが実際に声に出して、西住を非難したわけではない。

だけれども、その場にいる誰もが明確に、戦車道への当て擦りが感じられる空気になってしまったことを感じた。


だから、西住も

「 いくつか取材は受けてはいますが、お金が発生するような取材は生徒会で断ってもらっているので、受けていません 」

と、毅然と答えたし、角谷会長も言ってくれたのだ。

「 廃艦の危機を乗り越えるまでは戦車道を優遇する必要があったけど、危機は去ったからね。 もうエコヒイキしないよ 」 と。


しかし、廃艦危機を生徒達に秘密にしていた生徒会、しかもその主犯格の生徒会長が弁明したところで、効果の程は知れていた。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:32:06.23 ID:hCip+/ix0<>
結局、今日の定例会はそこで終了となった。

紛糾したとか、そういう修羅場があったわけではない。

しかし、我々生徒会も、戦車道チームを預かる西住も、大きなしこりを抱えることになってしまった。



我々は、戦車道チームの皆に対してもそうだが、特に西住に対しては負い目がある。

いや、借りというか、恩と言うべきか。

本人の意思を無視して戦車道へと引きずり込み、あの細い肩に特大の責任を覆いかぶせ、追い詰めるようにして責任を果たさせたのだ。

その果てに勝ち取った、学園艦存続の道。

我々は糾弾され、西住らは祝福されなければならない。 そうあるべきなのだ。

しかし現状は、西住らも蔑みの視線を受け始めている。

ダメだ。 それは絶対にダメだ。



明日、朝一で生徒会メンバーを集めて、緊急打ち合わせをすることになった。

内容はもちろん、この事態の打開策を探ること。

すでに角谷会長には腹案があるようだが、なんにせよ、柚ちゃ……副会長らとも協力して、早急に手を打たなければならない。

我々は、泥水を啜ってでも、戦車道チームの皆を守らなければならない。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:32:38.83 ID:hCip+/ix0<>

 かーしま、長いよー by 角谷

 桃ちゃん、日報に書くときは要点だけ書いてね… by 小山

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:33:11.18 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:33:42.32 ID:hCip+/ix0<>
『 大洗女子学園 戦車道チーム 指揮記録ノート 』


9月 最終週 金曜日  晴れ/曇り

使用場所 : 戦車道訓練場( A面・B面・シューティングレンジ場 )

活動開始 : 13時30分

活動終了 : 17時30分

記入者 : 武部 沙織 \(^0^)/
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:34:21.65 ID:hCip+/ix0<>
(1)指揮官

  五十鈴華( というか、みぽりん以外のあんこうチーム全員 )


(2)遅刻者・欠席者
 
 ・ 欠席 : カメさんチーム ( 理由 : 履修科目の代表者 定例会 ) ← 生徒会の仕事ね ('◇')ゞ

 ・ 遅刻 : みぽりん ( 理由 : 履修科目の代表者 定例会 )→ 訓練後ミーティングから参加 (お疲れ様!)


(3)活動内容

 ・ 訓練前ブリーフィング
 ・ 準備体操、柔軟体操
 ・ 乗車前点検
 ・ 走行点検、砲撃点検
 ・ 的宛て ( 750m、1000m、1500m )
 ・ 走行間射撃
 ・ 隊列機動 + 射撃
 ・ 模擬戦( 3輌 vs 3輌 )× 5回
 ・ 乗車後点検
 ・ 整理体操
 ・ 訓練後ミーティング
 ・ 終礼

 
(4)申し送り事項

<隊長宛て>

1ヶ月後の黒森峰女学院との練習試合に向けて、今日も猛特訓!!
みぽりん、今度はお姉さんとか、黒森峰のみんなとゆっくりお話する時間が持てるね! みぽりんが楽しみにしてるの知ってるんだゾ♪

そうそう、みぽりんに言われた通り、模擬戦は車長の人達をシャッフルして、乗せ換えてからやったよ!
私達のW号に梓チャンが来たとき、緊張でめっちゃプルプルしててね? もー可愛いのなんのって!
実は私も1回だけ、車長としてウサギさんのM3リーに行ったの!
1年生チームのみんな、可愛いよねー(*´ω`)  すぐやられちゃったけどねー(´;ω;`)  私やっぱり車長は向いてないねー……


<自動車部宛て>

八九式のエンジンからなんか変な音してるって……。
磯部さんが 「 根性でなんとかなります! 」 って言ってたけど、レオポンさんチームに確認してもらった方がいいかも (*_*;


<その他宛て>

私、シャンプー変えたの気付いた!? 香り違うでしょ!
これでモテモテになっちゃったらどうしよ〜〜!!
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:35:03.24 ID:hCip+/ix0<>
(5)備考

このノート、その日の訓練を任された人と、みぽりんしか読んでないんだよね? だったら一応書いておくね。

なんというか、梓チャンも、他のウサギさんチームの子達も、いつもと少し感じが違ったんだよねぇ。

みんな、よそよそしいというか……これは私の女のカンなんだけど、あれは何かを隠しているね (☆∀☆)ニヤリ

あの子達、ときどき変なトラブル拾ってくるから、お母さんはいつも心配してるんダゾ! ← って誰がお母さんダー!

私も気にかけとくけど、みぽりんも気にしておいてあげてね!
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:35:37.41 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:36:22.14 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : キラーラビッツ

9月 最終週 金曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:36:51.10 ID:hCip+/ix0<>
20:12〜

あや 「 おっつー 」

あや 「 ありゃ、みんなまだ、ごはん中かな? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:37:22.35 ID:hCip+/ix0<>
20:19〜

あゆみ 「 はいはい、お疲れー 」

桂利奈 「 アタシさんじょう!! 」

紗希 「 お疲れ様、三人とも 」

桂利奈 「 サキもねー! サキはもうあと寝るだけ? 」

紗希 「 うん。 すでにベッドの上 」

桂利奈 「 サキはいつも寝るの早いー 」

紗希 「 だってすることないし… 」

あゆみ 「 ( ´¬`)つ 勉強 」

紗希 「 _(*ω*∠)_ スヤァ… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:37:57.68 ID:hCip+/ix0<>
20:25〜

あや 「 それにしても紗希は、相変わらずココでなら喋るねww 」

紗希 「 そうかな? 」

あゆみ 「 リアルだと3日に1回くらいしか声聞かないよ 」

紗希 「 じゃあ、明日はもうちょっとM3リー内で喋ってみる 」

梓 「 それは楽しみ! 」

優季 「 紗希ちゃんホント〜!? じゃあ私、録音の準備しなくちゃ〜(^^) 」

あや 「 お、残りの二人も来た 」

あゆみ 「 梓も優季もお疲れー。 夕ご飯食べてたの? 」

梓 「 うん、ビーフシチュー食べてた。 昨日作ったのチンしてね 」

紗希 「 私も食べたい… 」

優季 「 ワタシはお風呂入ってた〜 お肌磨いてたよ〜 」

あや 「 そのお肌を見せる彼氏はもういないのに? 」

優季 「 今は戦車が恋人だも〜ん。 恋人に包まれるなら綺麗な身体でいなくっちゃね〜 」

あゆみ 「 恋人に包まれるというか、こちらから乗り込むというか 」

桂利奈 「 乗り込むまでできるなら、変形合体までしたい!」

あや 「(乗って合体……) ドキドキ 」

梓 「 大変みんな、私の友達(O野さん)が変態かもしれない 」

あゆみ 「 知ってた 」

優季 「 知ってた 」

紗希 「 カレー食べたい… 」

あや 「 そこはビーフシチューじゃないのwwww 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:38:29.88 ID:hCip+/ix0<>
20:34〜

あゆみ 「 そいえば今日の訓練どうだったの、梓? あんこうチームのW号に乗ったんでしょ? 」

梓 「 私は西住隊長みたいにはなれないっていうのが、とても良くわかったよ…… 」

優季 「 え〜? でもちゃんと他の車輛に指示できてたじゃない? 」

梓 「 あれはあんこうチームの先輩達がフォローしてくれたから。 私一人じゃ絶対無理だよぅ…… 」

紗希 「 梓なら大丈夫。 私達も頑張って梓をフォローする 」

梓 「 ありがとう紗希。 私も頑張るね 」

桂利奈 「 アズサガンバレ! ……とか言いながらも、アズサの代わりにM3リーに来た車長の人達、面白かったよね! 」

あや 「 磯辺先輩が来たときの 『 根性で曲射! 』 って射撃の指示、ちょっと面白かったよねww 」

優季 「 エルヴィン先輩の時は、進路指示に戦史ネタが混ざり過ぎて、結局よくわからなかった〜 」

紗希 「 そど子先輩の 『 もっと風紀的に撃つのよ! 』 って指示も良くわからなかった 」

桂里奈 「 中島先輩の時は、走行音だけでメンテ箇所を洗い出してたよねー 」

あゆみ 「 私はねこにゃー先輩の時が面白かったな。 待機中に砲身で懸垂運動し出すし、なんかダイエットに効く腹筋とか教えてもらえたし 」

梓 「 みんなずるーい! 私がいない時にそんな面白いことを! 」

優季 「 梓はあこがれの西住隊長の席に座れたんだからいいじゃーん 」

梓 「 まぁ……それは……そうだけど…… 」

あや 「 チョロい…… 」

紗希 「 チョロい…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:38:59.67 ID:hCip+/ix0<>
20:46〜

梓 「 もう、みんなったら! 全員揃ったんだから本題いくよ? あゆみ、いい? 」

あゆみ 「 あー……みんな、ゴメン!!」

優季 「 どんまい 」

あや 「 どんまい 」

桂利奈 「 どんまい 」

紗希 「 Don't mind 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:39:26.36 ID:hCip+/ix0<>
20:48〜

あや 「 まあ、あれはしゃーない 」

桂利奈 「 あゆみがキレてなければ、アタシがキレてたと思うし! 」

優季 「 確かに、あのコらの言い方は酷かったよね 」

紗希 「 私達だけじゃなくて、先輩達まで馬鹿にされたら、さすがの私でも怒る 」

梓 「 紗希でも怒るんだ 」

桂利奈 「 どうしよう、サキが怒ってるとこ見たい 」

あや 「 同じく 」

優季 「 同じく〜 」

紗希 「 いいけど、何人か行方不明者が出るよ? 」

あや 「 すんませんっした 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:39:56.59 ID:hCip+/ix0<>
20:55〜

優季 「 それにしても、あゆみがあそこまで怒るなんてねぇ 」

あゆみ 「 私だってあんなに自分が怒るとは思わなかったよ。 っていうか、あんなに声を荒げたのは生まれて初めてかも 」

梓 「 私達にちょっかい掛けてきたあの4人って、どこの子達なの? 」

あや 「 同じ1年生なんだろうけど……1年生だけで約3千人いるからね、うちの学校。 見当つかないなぁ 」

優季 「 今思い返すと、売り言葉に買い言葉だった気がしなくもないよね〜 」

あゆみ 「 うぅ……そうだよねぇ 」

紗希 「 向こうも、ケンカ吹っ掛けたくて吹っ掛けてきたんじゃないと思う」

梓 「 と、いうと? 」

紗希 「 ちょっとした冗談だったのに気付いたら激高しちゃってた、そんな感じ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:40:28.91 ID:hCip+/ix0<>
21:08〜

あや 「 そもそも発端は何だったんだっけ? 」

優季 「 私達5人が戦車ガレージに向かう途中、あゆみが呼び止められたんだったっけ〜? 」

あゆみ 「 うん、『 ねえ、ひょっとして貴女、テレビに出てなかった? 』 って、いきなりね 」

梓 「 あー、先々週にテレビ取材受けた時のやつ? “ 全国大会優勝校1年生チームの期待の砲手 ” っていうあれ? 」

あゆみ 「 たぶんそうだと思う。 今朝のTVのスポーツコーナーに映ったらしいから、それ見たんでしょ 」

あや 「 ウチのチーム、最近いっぱい取材受けているから、もうどれがいつTVに映るかなんて追いきれないよね 」

桂利奈 「 ホントだよ! 今期はアニメ13本追わなくちゃいけないのに! 」

あゆみ 「 あやは見たんだっけ? 今朝のそのTV 」

あや 「 ワタシも同じ1年生チームの砲手なのに、テレビに映らなかった件について 」

優季 「 どんまい♪ 」

紗希 「 沙織先輩も 『 なんでアタシが出てないの!? 』 って嘆いてた 」

あや 「 沙織ママ、あの日は2時間かけて髪型セットしてたらしいよ…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:41:11.33 ID:hCip+/ix0<>
21:15〜

あゆみ 「 私も急いでたから適当にあしらおうと思って 『 そうだね 』 ってそれだけ言って、通り過ぎようとしたんだけど 」

優季 「 そこからイチャモンつけられたのよね〜 『 さすが期待の選手はちがうね 』 って 」

あゆみ 「 私もカチンと来ちゃってさ。 でも揉め事は起こしたくないから 『 でしょ? 』 って言ってスルーしようとして 」

桂利奈 「 で、あのなんか感じ悪いお願いされたんだっけ? 」

あや 「 そんなに力を持っているなら私達の科目も助けてほしいよねぇ、ってやつ? 」

優季 「 助けてくれって言われてもね〜 」

紗希 「 気持ちはわかる 」

桂利奈 「 およよ? サキ、どして? 」

紗希 「 あの廃艦騒ぎの時に、やむなく備品を処分したり紛失したりして、満足に活動出来てないところが多いから 」

あや 「 他の履修科目も、まだ日常に戻るにはイロイロ足りてない、ってことか 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:41:37.88 ID:hCip+/ix0<>
21:23〜

梓 「 でも、それを言うなら私達の戦車道だって足りてないよ。 前みたいな優遇措置は無くなっちゃったから、燃料も砲弾も、残り在庫を計算しながら使ってるんだよ? 」

優季 「 西住隊長、以前よりも机に向かってる時間が長くなったよねぇ 」

あゆみ 「 そうそう、事務処理量が増えたからでしょ? 秋山先輩や五十鈴先輩が手伝ってるから、まだ大丈夫そうだけど 」

梓 「 そういう苦労も増えて、生徒会からの優遇措置も無くなって、でも強豪校で居続けなければならないんだから、訓練の質を落とすわけにいかないんだよ? 西住隊長の苦労が半端ないの、もっと大勢の人に知ってほしい 」

優季 「 梓は西住隊長大好きマンだよね〜 」

梓 「 大好きっていうか尊敬してるの! すごく! 公私ともども!! 」

あや 「 梓……それを西住隊長大好きマンと言うのです……いま……貴女の脳内に直接話しかけています…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:42:12.90 ID:hCip+/ix0<>
21:28〜

あゆみ 「 だからね? 先輩達がそういう苦労をしているの知ってるから、私に変な期待されても困るって言ったの 」

あや 「 そしたら? 」

あゆみ 「 あの子達、なんて言ったと思う? 『 生徒会から予算いっぱい貰ってるんでしょ? ギャラだってジャブジャブ貰ってるらしいし 』 って 」

あや 「 どこ情報だっつーの、それ 」

紗希 「 今、念を送った 」

桂利奈 「 お、サキ、どしたの? 」

紗希 「 あの子達がカミソリでスネを脱毛するとき、黒ゴマ点々になりますようにって 」

あや 「 地wwww味wwwwかwwwwww 」

あゆみ 「 でさ、さすがに言い返そうと思って 『 私達も予算は無いし、訓練するのも苦労してるんです 』 って言ったらね 』

梓 「 あー…ここであゆみがキレちゃったのかー… 」

あゆみ 「 そう、あいつら、絶対許せないことを言ったのよ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:42:41.20 ID:hCip+/ix0<>

『 えー? だって大学選抜戦の動画見たけど、なんかふざけた格好の人達とかいたじゃん。

 あの、なんか猫耳付けた人とか?wwww モモの人とか?wwww ぴよぴよ言ってる人とか?wwwwww

 あんな人達がいて、苦労して学園艦を救ってやったとか言われても、なんというか、ねぇ? 』

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:43:10.86 ID:hCip+/ix0<>
21:40〜

あや 「 お前らのために救ったんじゃないっての 」

優季 「 あゆみ、激おこだったねぇ。 相手の子の胸倉つかんじゃったりして 」

桂利奈 「 その後のサキの活躍もすごかったね 」

梓 「 両者の間に無理矢理体を捻じ込んで、ケンカ収めちゃうんだもんねぇ 」

紗希 「 暴力はダメ 」

あゆみ 「 あー…いや、別に殴り掛かろうと思ったわけじゃないの。 ただ、頭がカッとなっちゃって…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:43:37.25 ID:hCip+/ix0<>
21:43〜

梓 「 アリクイさんのチームの3人、良い人達だよね。 大学選抜戦前にかなりハードな自主トレーニングしてたんでしょ? チーム思いの素敵な人達だから、あゆみの気持わかるよ 」

あゆみ 「 ちょっと思い出話していい? 」

梓 「 うん 」

優季 「 いいよ〜 」

あゆみ 「 あの、廃艦が言い渡されて皆でキャンプ生活始めた時にね。 私、用事があって何回か臨時校舎に足を運んでるんだけど 」

あや 「 うん 」

あゆみ 「 その時、アリクイさんチームがトレーニングしているところを見たのよ 」

紗希 「 うん 」

あゆみ 「 ものすっごいハードトレーニングでね? しかもそれ、まだ大学選抜戦が決定する前からやってたんだよ? 」

優季 「 へぇ〜 」

あゆみ 「 あの時、誰もが絶望してたのに、アリクイさんチームの人達だけは、ただ黙々と自分を磨いていた。 それってすごいと思わない? 」

桂利奈 「 すごい!! 」

あゆみ 「 あの努力はね、誰も馬鹿にしちゃダメだと思ったの。 だから、そう思ったらね、頭に血が昇っちゃって…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:44:09.33 ID:hCip+/ix0<>
21:49〜

あや 「 それにしても、アリクイさんチームの人達、あの格好だとやっぱりふざけて見られちゃうのかな 」

優季 「 そういう風に見ちゃう人もいるってだけで、多くの人は別に何とも思ってないと思うよ? 」

桂利奈 「 良い人達だよ! 特撮モノの会話できるの、秋山先輩とアリクイさんチームの人達だけだし! 」

梓 「 ねこにゃー先輩もぴよたん先輩も、普段はどうしているのかな? ももがーさんも私達と同じ1年生のはずなんだけど、訓練以外では見かけないし…… 」

紗希 「 普段も大体あのまま 」

あゆみ 「 紗希、見たことあるの!? 」

紗希 「 己がポリシーを貫く人間は強い 」

あや 「 アリクイさんの3人、実はスゴイのかもって思えてきた。 あとなぜだか紗希が偉大に見える…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:44:45.67 ID:hCip+/ix0<>
21:55〜

梓 「 ……で、なんだかんだで、売り言葉に買い言葉が続いて…… 」

あゆみ 「 そう……アリクイさんチームは凄い努力家だーとか、ウチの戦車道チームは苦労して強くなったんだーって、言い返しているうちに…… 」

あや 「 だったら来月開催予定の大洗町マラソン大会で上位入賞してみせろ、って話になったのか…… 」

優季 「 なんでそこでマラソン大会が出てくるのかな? 」

あゆみ 「 それはそのぅ……売り言葉に買い言葉で…… 」

紗希 「 向こうの4人組は、たぶん運動系科目の履修者か、運動系の部活をやっているんだと思う 」

優季 「 あー、だから 『 体育会系の自分達に理解出来るような努力の成果を見せてみろ = マラソン上位入賞 』 ってことなんだ〜 脳筋ウケる〜 」

あや 「 それって 『 戦車道は身体を使わない競技だけど、本当に苦労したなら少しは体力ついただろ? 』 って、上から目線で言われてるってことでしょ? 」

桂利奈 「 ムカつく! 戦車道はめちゃめちゃ身体を酷使するのに!! 」

紗希 「 桂利奈、それ、装填手のセリフ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:45:17.45 ID:hCip+/ix0<>
21:59〜

梓 「 あれ? でもマラソン大会って、まだ生徒会から告知出てなかったよね? 」

あや 「 いま学内HP見たけど、情報まだ出てないね 」

あゆみ 「 毎年恒例なんだって、10月に大洗町内でマラソン大会するの。 だからまぁ今年も間違いなくやるだろうってことで…… 」

紗希 「 エントリーの受付、来週の月曜からって、小山先輩が言ってた 」

優季 「 わぉ紗希ちゃん、情報はやーい 」

桂利奈 「 どんな人達がエントリーするんだろ? 」

紗希 「 ほとんどが運動系の履修科目の人、あとは運動系のクラブの人だって 」

桂利奈 「 うわぁ……それで上位入賞ってキビシイね 」

あゆみ 「 うぅ……(:_;) 」

あや 「 ちなみに、上位入賞できなかったら、何か罰ゲームでもあるの? 」

あゆみ 「 ううん、特にそういうのは。 そもそもあの子ら、どこの子達かも知らないし 」

優季 「 じゃあバックレちゃってもいいんじゃない? 」

あゆみ 「 そうなんだけど…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:45:47.33 ID:hCip+/ix0<>
22:10〜

梓 「 夜も遅くなってきたから、今日はこのへんにしておこう 」

優季 「 りょうかーい 」

桂利奈 「 りょうかーい 」

梓 「 あゆみ、最後に一つ。 結局マラソン大会はどうするつもりなの? 」

あゆみ 「 私のせいだし、私、参加するよ。 ウチのチーム馬鹿にされといて、黙ってはいられないし 」

紗希 「 あゆみの気持ち、よくわかる 」

あゆみ 「 みんなありがとう。 それじゃあ来週月曜、戦車道の訓練前にエントリーしに行くかな。 みんな、今日はごめんね。 おやすみ 」

梓 「 あゆみは悪くないよ。 おやすみ 」

桂利奈 「 そのとーり! オヤスミ!! 」

紗希 「 あゆみ、大丈夫。 おやすみ 」

あや 「 そうだね、あいつらが悪い ← 結論。 おやすみー 」

優季 「 あゆみの怒ってる姿、カッコよかったよ〜 おやすみ〜 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:46:22.31 ID:hCip+/ix0<>
22:15〜

梓 「 ……しゃーないか 」

あや 「 ……しゃーないな 」

優季 「 ……しゃーないよね 」

桂利奈 「 ……しゃーないぜ 」

紗希 「 ……しゃーない 」




22:18〜

あゆみ 「 ??? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:47:09.41 ID:hCip+/ix0<>
22:20〜

梓 「 西住隊長にカッコいいとこ見せるために、私も走るか 」

あや 「 最近二の腕がやばいので、私も走るか 」

桂利奈 「 山郷っぱいにはお世話になってるからね。 私も走るか! 」

優季 「 汗かくとデトックスになるっていうしね〜 私も走る〜 」

紗希 「 あの5人には二重アゴになる呪いの念を送る。 私も走るよ 」




22:29〜

あゆみ 「 ……みんな、本当にごめん。 ありがとう 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:47:44.69 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:48:11.11 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるオンライン戦車シューティングゲーム  ゲーム内チャット 』


9月 最終週 金曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:48:42.75 ID:hCip+/ix0<>
23:38〜

ねこにゃー 「 ただいまにゃー 」

ももがー 「 おかえりナリー 」

ぴよたん 「 おかえりぴよー 」

ねこにゃー 「 ぬっふっふ、ダイエットコーラとファミチキでリアル兵站が補充された私にはもう隙はないにゃー 」

ももがー 「 あっはい ( ポテチ バリバリ ) 」

ぴよたん 「 あっはい ( CCレモン グビー ) 」

ねこにゃー 「 サンクスがファミマに吸われちゃったのもそう悪いもんじゃ……ってあぁ! 二人ともすでにお菓子 & おジュースをセッティング済み!? ずるぅい!!」

ぴよたん 「 ねこにゃーがサンクスに買い物行っている間、ももがーと二人で戦場を荒らしまわっていたっちゃ 」

ももがー 「 あらゆる戦場で幾人の傭兵や要人を始末してきた、伝説の傭兵夫婦の片割れナリ! 」

ねこにゃー 「 おお……笑う女豹が……ラフィングパンサーがおる…… 」

ももがー 「 いいから早く機体を決めてエントリーするナリ。 あと 『 おジュース 』 って何? 」

ねこにゃー 「 了解にゃー (オジュース グビー) 」

ぴよたん 「 あ、じゃあその間にお菓子とおジュースの補充 & お花摘みにいってくるぴよ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:49:21.18 ID:hCip+/ix0<>
23:40〜

ねこにゃー 「 ももがーさんや 」

ももがー 「 なんだい、ねこにゃーさんや 」

ねこにゃー 「 ぴよたんのお花摘み、ビックベンかリトルジョーのどっちなのか賭けるにゃー 」

ももがー 「 リトルジョーに1億ペリカ 」

ねこにゃー 「 ああん、じゃあ私もリトルジョーで5000兆円欲しい 」

ももがー 「 ああん、私だって5000腸炎欲しい 」

ねこにゃー 「 5000腸炎ってwwwwwwww 」

ももがー 「 なんか凄そうなお腹の痛みwwwwww爆誕wwwwwwww 」

ねこにゃー 「 痛くなったらすぐハデスwwwwww 」

ももがー 「 薬飲んだらwwwwww冥界行きなの?wwwwwwww 」

ぴよたん 「 腹痛祭りがあると聞いて飛んできたぴよ 」

ねこにゃー 「 おかー 」

ももがー 「 えりー 」

ねこにゃー 「 この早さはやっぱりリトルジョーでしたか…… 」

ぴよたん 「 正解! そんな貴女には賞金5000腸炎をプレゼント 」

ももがー 「 やったぜねこにゃー! 明日からヤマザキ秋の腸炎祭りナリ! 」

ねこにゃー 「 イェェェェア! 応募券シール……応募券シールを集めなきゃ… ( 謎の義務感 )」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:49:50.71 ID:hCip+/ix0<>
23:46〜

ねこにゃー 「 うん、それでね? 」

ももがー 「 素に戻るの早いモモね…… 」

ぴよたん 「 全員機体セレクト終了だっちゃ? じゃあステージはいつもの極悪ステージのところで、あとは他の参加者待ち、と。 それで? 」

ねこにゃー 「 こんな夜遅くにサンクス行っちゃう悪い娘は、ボクのような闇を統べる者くらいかと思ってたんだけど 」

ももがー 「 中二乙。 そうモモねー。 あとは体重を気にしない夜食クッチャラーくらいナリねー 」

ねこにゃー 「 あ、ボク、夜食どんだけ食べても太らない体質だから 」

ももがー 「 ちっ 」

ぴよたん 「 いま、ねこにゃーが5年後に三段腹になる大規模術式を発動したぴよ ( 血涙 ) 」

ねこにゃー 「 しかしこの時、呪詛返しされたぴよたんが5年後に五段腹になるなんて誰も予想していませんでした ( モノローグ ) 」

ぴよたん 「 ん? 1年で一段腹増える計算ぴよ? 」

ねこにゃー 「 そのとおりだにゃー 」

ぴよたん 「 屋上へ行こうぜ……久々にキレちまったよ…… 」

ももがー 「 それで、サンクスに誰がいたナリ? 黄昏よりも暗きものよ 」

ねこにゃー 「 山郷さんがいた。 血の流れより紅きものよ 」

ぴよたん 「 はいはい竜破斬乙。 山郷さんって、ウチのチームの? 」

ねこにゃー 「 うん。 なんかポカリいっぱい買ってた 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:50:29.42 ID:hCip+/ix0<>
23:48〜

ももがー 「 【速報】ねこにゃー氏、ついに私達以外のお友達が出来る → 【悲報】深夜のサンクスでJK1年生を手籠めにしただけだった 」

ぴよたん 「 あら^^〜 ねこにゃーのコミュ力、いつのまに2次元の壁を突破したっちゃ? 」

ねこにゃー 「 はっはっは! 深夜のコンビニ、相手は微妙な距離感のある後輩って状況で、ボクが話しかけられるとでも? 」

ももがー 「 コミュ障のねこにゃーじゃ無理ナリ (ばっさり) 」

ぴよたん 「 コミュ障のねこにゃーじゃ無理ぴよ (ばっさり) 」

ねこにゃー 「 げふう (吐血) でもザッツライト 」

ぴよたん 「 じゃあ、同じチームメイトで可愛い後輩ちゃんだったのに、会話は一切ナシだったぴよ? 」

ねこにゃー 「 あ、いやね? 実は、昼間の紅白戦の時に山郷さんとはちょっとだけ話したから、先輩として頑張らねばと思ってね? 」

ももがー 「 おお、じゃあやっぱり親しく話したナリ? 」

ねこにゃー 「 なんか喋らなきゃと思って焦っちゃって、声と変な笑いが同時に出ちゃってにゃ? それで『 コポォ 』とか言っちゃって、もうダメだった 』

ぴよたん 「 安心のねこにゃー品質だったぴよ (哀れみ) じゃあやっぱりスルーしちゃった? 」

ねこにゃー 「 いや、それがそうでもなかったんだにゃー。 なんと向こうから話しかけてくれたというね 」

ぴよたん 「 気を使ってくれるJK1ぴよ…… (チラッ) 」

ねこにゃー 「 気を使ってくれるJK1にゃ…… (チラッ) 」

ももがー 「 いつからJK1が全員気を使ってくれると錯覚していた……? 」

ねこにゃー 「 なん……だと……? 」

ぴよたん 「 あまり強い言葉を使うなよ……弱く見えるぞ (私達が) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:50:59.06 ID:hCip+/ix0<>
23:50〜

ももがー 「 いやね、私だってコミュ障人間の端くれ、今さら友達増やそうと思ってないナリ。 この桃ポリシーを貫くと決意してからはな! 」

ぴよたん 「 同感だっちゃ。 といっても私は3年生だから今さらだけど、ももがーは1年生なんだから、ちょっと考えた方がいいと思うぴよ 」

ねこにゃー 「 それでも二人とも、大学選抜戦の後は普通の友達も増えたんでしょ? ( 桃ポリシーってなんだろう? ) 」

ももがー 「 戦車道の話振ってくれるし……それなら私も話せるし……そこから戦車ゲームの話に持ってけるナリ…… 」

ぴよたん 「 上に同じぴよ……戦車道やってて良かったっちゃ……チームの皆には感謝しかないっちゃ…… 」

ねこにゃー 「 私だって同じにゃー ( 桃ポリシーってなんだろう? 2回目 ) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:51:29.22 ID:hCip+/ix0<>
23:51〜

ぴよたん 「 で、何か発展的な会話をしたぴよ? 山郷さんと 」

ねこにゃー 「 発展的てwwww えーと、最初なんかビックリした顔されて 」

ももがー 「 山郷さん、何か後ろめたい物を買いに来た可能性が微レ存……? ( ヒント:でらべっぴん ) 」

ねこにゃー 「 いや、だからペットボトルのポカリだってwwww で、カゴの中の大量のポカリ隠すようにして 『 ウサギさんチームの皆で明日からランニングするんです 』 って 」

ぴよたん 「 ほほう、ランニングとな (ギラリ) 」

ねこにゃー 「 おや、現在ランニングが日課のぴよたん先生、どうしたんです? 」

ぴよたん 「 日課になったのはお互い様っちゃ。 といっても、ねこにゃーは最近、筋トレがメインみたいだけど 」

ねこにゃー 「 まあにゃ 」

ももがー 「 ホント、花の女子高生が筋トレとか、女子力が裸足で逃げ出したのかと思っちゃうナリ 」

ぴよたん 「 ももがー、こんな格言をご存知? 『 お前が言うな 』 」

ももがー 「 あれ? わたしはいつの間に聖グロの学園艦へと迷い込んだ……? 」

ねこにゃー 「 聖グロの隊長さんは、CCレモンとか飲まないと思うにゃーwwww 」

ぴよたん 「 こんな格言をご存知? 『 紅茶のティーバッグは3回くらい使える 』 」

ももがー 「 これまた安っすいダージリンさんが現れたナリwwww 」

ねこにゃー 「 安っすいwwwwwwダージリンさんwwwwwwww 」

ぴよたん 「 まぁ、ひょっとしたら、あわよくばランニングを介して、うさぎさんチームの子達とさらにお近づきになれるチャンスかなーと思ったっちゃ 」

ねこにゃー 「 ボクたち、あんまり後輩の子達と接点ないもんねぇ 」

ももがー 「 ( あれ? 私も後輩なんだけど……? ) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:51:56.25 ID:hCip+/ix0<>
23:53〜

ねこにゃー 「 ボクは最近、ランニングは少し控えてるんだにゃー 」

ぴよたん 「 あら、どうしてぴよ? 」

ねこにゃー 「 ランナー膝にゃー 」

ぴよたん 「 ガンナー膝? 義足にカルバリン砲でも仕込んでいるっちゃ? 」

ねこにゃー 「 それどこの錬金術師に出てくるにゃ? いや、ランナー膝ってね、膝関節の炎症なんだけど 」

ももがー 「 いまググったナリ。 要するにトレーニングし過ぎ? 」

ねこにゃー 「 うん。 素人がいきなりハードなランニングとかすると、なりやすいらしくて。 おかげで右膝の外側が痛くってにゃー 」

ぴよたん 「 私も20q超えたあたりから左膝が痛くなったりするぴよ。 それもランナー膝なのかしら……? 」

ももがー 「 じゃあ私が20年前のIKUSAで膝に矢を受けてしまったのも、ランナー膝ってことナリ……? 」

ねこにゃー 「 ぴよたんもランナー膝かもしれないにゃー。 そしてももがーはスカイリムの世界にお帰り下さい 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:52:25.82 ID:hCip+/ix0<>
23:56〜

ねこにゃー 「 ランナー膝って拗らせると、日常生活に支障が出るレベルで痛くなるから、無理しない方がいいにゃ 」

ぴよたん 「 治すにはどうしたらいいぴよ? 」

ねこにゃー 「 休む。 ランニング量を減らす。 あと抗炎症薬を飲んだり塗ったり 」

ももがー 「 だからねこにゃーは、代わりに筋トレ量を増やしてるモモね 」

ねこにゃー 「 Exactly ( そのとおりでございます ) 」

ぴよたん 「 たぶん来月、毎年恒例の大洗町マラソン大会があると思うけど、参加はしないっちゃ? 」

ねこにゃー 「 無理のムリムリにゃー。 そもそも膝痛めてなくても参加しないと思われー 」

ももがー 「 戦車道やったり身体鍛えたりしてるけど、私達、完全インドア派ナリね 」

ぴよたん 「 確かにぴよ 」

ねこにゃー 「 昨年同様、どこかで静かにゲームして過ごす予定。 お二方とも、旅は道ずれ? 」

ももがー 「 世は情けー ( 'ω')ノ」

ぴよたん 「 仕方ない、 付き合ってあげるぴよ ( ゚ω゚)ノ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:52:54.55 ID:hCip+/ix0<>
23:59〜

ぴよたん 「 で、ランニング沼に飛び込もうとしてる期待の1年生、山郷さんは、ねこにゃーに驚いてどうしたんだぴよ? 」

ねこにゃー 「 そうそう、それでにゃ? 私も 『 ヌルフコポォ、フッ、フヘヘッ、がっ、頑張って 』 って精一杯の笑顔で返したんだけど 」

ももがー 「 完全にストーカーのそれ 」

ぴよたん 「 おまわりさん、こっちです 」

ねこにゃー 「 なんかじっと見つめられてね? 赤い顔して 『 私達、頑張りますから! 』 って言われた。 正直ちょっと萌えた 」

ぴよたん 「 うそ……私の後輩の1年生、可愛すぎ……? 」

ももがー 「 照れるナリ…… 」

ねこにゃー 「 おめえじゃねえよ 」

ぴよたん 「 おめえじゃねえよ 」

ももがー 「 (´;ω;`)ブワッ 」

ねこにゃー 「 とにかくなんか、すごい決意した表情というか……戦地に向かう前の兵士みたいな顔というか……ちょっといつもと違う雰囲気だったのにゃ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:53:49.27 ID:hCip+/ix0<>
00:04〜

ぴよたん 「 決意の表情? なんだぴよ……? 」

ももがー 「 ワタシ、このゲームが終わったら結婚するんだ…… ( 2次元の住人と )」

ぴよたん 「 どうでもいい決意で死亡フラグ立てんなし 」

ねこにゃー 「 ともかく、なんかちょっとおかしかったにゃ 」

ぴよたん 「 チームメイトで可愛い後輩が困ってるなら気になるぴよね 」

ねこにゃー 「 あれ? ぴよたん氏、今すごい先輩っぽい ( トゥンク… ) 」

ぴよたん 「 でもコミュ障の私達に何が出来るわけでもなし…… 」

ねこにゃー 「 そうでもなかった 」

ぴよたん 「 1年生の後輩……1年生……ハッ! ( 閃き ) 」

ねこにゃー 「 お? 」

ぴよたん 「 ふむ……これは少女探偵団、出動案件ね 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:54:27.34 ID:hCip+/ix0<>
00:07〜

ねこにゃー 「 テレッテレッテテレテレー テレッテレッテテレテレー テレッテレッテテレテレー テレレテーレレー♪ ( コナンのテーマ ) 」

ぴよたん 「 アリクイ少女探偵団 メンバーNo.3のももがーよ! 出動ぴよ! 」

ももがー 「 (´;ω;`)ブワッ 」

ねこにゃー 「 あ、まだいじけてた 」

ぴよたん 「 ももがーだって可愛い後輩だっちゃ。 はにかんだ表情が眩しいぴよ 」

ももがー 「 本当……? アタシ輝いてるナリ? ねえ、輝いてるナリ!? 」

ぴよたん 「 ええ輝いているわ。 そうよ良い表情よ。 OK! 最高の笑顔をいただきぴよ! じゃあもう1枚脱いじゃおうか! ( シャッターパシャー )」

ももがー 「 わたし……監督の前なら脱げるナリ!! 」

ねこにゃー 「 なんぞこれwwwwww 」

ももがー 「 はいはい、わかったナリよ。 この間できた友達が、ウサギさんチームと同じクラスだったハズだから、その子経由でちょっと探ってみるナリ。 来週月曜ね 」

ぴよたん 「 え、お母さん、貴女にそんなコミュ力があったなんて聞いてないんだけど 」

ねこにゃー 「 コラももがー、お前そんなふしだらな……!! ちょっとそこ座りなさい!! ( 年頃の娘を持つ父親の心境 ) 」

ももがー 「 あ、ほら、参加者が揃ったナリ! ゲーム始まるナリよ!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:54:53.99 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:55:25.85 ID:hCip+/ix0<>
『 大洗女子学園 生徒会 ミーティングノート 』


9月最終週 土曜日   記:小山 柚子
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:56:03.82 ID:hCip+/ix0<>
・ 朝9時、生徒会室に於いて、緊急ミーティングを実施。

・ 参加者 : 生徒会、いつものメンバー(欠席者なし)

・ 角谷会長 挨拶


「 休日出動、皆すまない。 今日こうやって緊急ミーティングを開催したのは、昨日の件あってのこと。

 戦車道履修者らの立場が悪くなり始めている。 その発端が生徒会にあることは皆、知っての通り。

 今日はその解決策を話し合いたい。 昨日のうちに策をまとめて資料化したので見てほしい。 実務的なことも含めて検討したい 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:56:41.11 ID:hCip+/ix0<>
【 ミーティング内容 】


・ 角谷会長 案 → 体育イベントの内容を変更する

・ マラソン大会から、何に変える?

・ なぜ変更?  根本的な問題 → 物資、資材の不足 → しかし買い戻す予算がない

・ まだ補正予算を組める時期じゃない → 代案 → 寄付金を集める

・ どこから寄付を募る? → 大洗町商店街(スポンサーとして) → 大会スポンサー料として集める

・ 生徒会の信用問題 → すぐには解決できない。 こつこつ仕事の成果で返す。 長い目で見て頑張っていくしかない。

・ もう一つの問題 : 戦車道だけが飛び抜けて有名になってしまった

・ 対応方針 : 各履修選択科目をアピールする → どうやって?

・ 科目対抗チーム戦はどうか? → 各科目、それぞれ特徴的な道具等を使ってアピール

・ マラソンコースをそのまま流用 ( 警察に交通規制の申請しちゃってるし )

・ マラソン → レース → 何のレースにする?

・ リアカー? → 各臨時校舎にまだ置きっぱなし、数確認 ( たぶん10台以上は確保できる )

・ あんこうスーツ → クリーニング済み、10着以上ある

・ チーム戦なので、駅伝スタイルにすべき

・ 文化系科目 : 茶道・書道・華道・香道・仙道

・ 運動系科目 : 合気道・弓道・長刀道・忍道・戦車道 

・ 文化系より運動系が有利では? → 文化系科目にも運動系のクラブに入部している子が沢山いる。 科目によるハンデは無い、と判断。

・ 全学年が参加できるようにすべき → 1〜3年生からそれぞれ1名、計3名 + タスキ役

・ アトラクション性の確保 → ガス抜き → 戦車道へのうっぷん晴らし……

・ レギュレーション → リアカーについては無改造であること

・ 各科目をどうやって印象づける?

・ 科目ごとに、何か特徴的な道具を使ってもらう → 危険がないか確認するため、事前に生徒会で安全性をチェックする必要あり

・ 途中退場アリのルール? → 観客の興奮を煽る目的 → 3アウト制の導入

・ どのチームがどのチームに攻撃を成功させたかわかるように → チームでインクを色違いにする
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:57:18.81 ID:hCip+/ix0<>
【 これからのスケジュール 】

・ 9月 最終週 土曜日(今日) : 生徒会 緊急ミーティング

・ 9月 最終週 日曜日(明日) : スポンサー集め ( 第一弾 ) → 結果見て、第二弾の依頼をかける

・ 10月 第1週 火曜日(来週) : 再度、各科目の代表者を集める → 実施要項を渡す

・ 10月 第1週 水曜日(来週) : 校内の各掲示板に告知掲載 + 学内HPに情報UP
 
・ 10月 第2週 月曜日(再来週) : 競技参加者名簿の受付期限

・ 10月 第2週 金曜日(再来週) : 各科目が使う特徴的道具の報告期限

・ 10月 第3週 月曜日 : 生徒会による特徴的道具の安全性チェック

・ 10月 第3週 金曜日 : 体育イベント当日 
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:58:08.68 ID:hCip+/ix0<>
【 スポンサー候補 】 ( さらに増やす予定 )

黒沢米穀店、江口又新堂、肴屋本店、鳥考、加藤豆腐店、お惣菜のかじま、味の店たかはし、大進、
ヴィンテージクラブむらい、旅館福本楼、ジョイショップタグチ、常陸屋、魚忠、玉屋菓子店、ブリアン、
カットアイ、髭釜マルシェ、ヨシモトストア、酒のプラザ、豊年屋機工部、お好み焼き進、大黒屋、
酒井屋米穀店、ラーメン藤乃屋、大勘荘、三村時計店、小沼酒店、和泉屋米穀店、国井屋、石福青果店、
カワマタ、スルガヤ、坂本文具店、山戸呉服店、大久保酒店、年宝菓子店、さかなや隠居、かま屋、
浜野屋、飯岡屋、県信大洗支店、月の井酒造店、ブロンズ、ぎらばり、あんばいや、森屋菓子店、
さまた接骨院、新屋酒店、さかげん、舞凛館、大洗ホテル、シーサイドホテル、小林楼、いそや、
大洗祝町郵便局、ウスヤ精肉店、肉のマルト、松澤精肉店、ココス大洗店



明日中にスポンサー依頼

入金されたスポンサー料の取り扱いについては会計と相談 ( 今日中に詳細決定 → 今日中に資料化、チラシ作成 )

金額によって店名ロゴの掲載位置を変動する ( 掲載範囲は膝から上 〜 後頭部まで )
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:58:43.57 ID:hCip+/ix0<>
【 優勝チームへの賞品 】

集めた大会スポンサー料は、全額を緊急予算に繰り入れて各科目に分配するので、優勝チームへの賞金は無し。

賞品についてはいつもどおり ( 干芋一年分 )






ああ……また今週末も休み無しかぁ……
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:59:11.28 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 21:59:40.93 ID:hCip+/ix0<>
『 澤梓 と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第1週 月曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:00:20.39 ID:hCip+/ix0<>
19:25〜

梓 「 ランニングお疲れ様。 といっても、さっき別れたばっかりだけど 」

あゆみ 「 お疲れさま。 走る梓もカッコよかったよ (^^) どうしたの? 」

梓 「 もう、マラソン大会のエントリーしちゃった? 」

あゆみ 「 例の話? 」

梓 「 うん 」

あゆみ 「 それが聞いてよ。 今日ね、戦車道の訓練前に生徒会室に行って、マラソン大会のエントリーしようとしたんだけど 」

梓 「 まだエントリー開始してなかった? 」

あゆみ 「 そう! 」

梓 「 やっぱり。 実は私も、休み時間に掲示板見に行ったんだけど、大会要領が貼ってなかったから 」

あゆみ 「 そうなんだ 」

梓 「 せっかくウサギさんチームの皆でランニング始めたから、さっきは余計なこと言わないようにって黙ってたんだけど 」

あゆみ 「 実は私も 」

梓 「 どうしたんだろうね? 生徒会が仕事遅れるなんて、めったにないのに 」

あゆみ 「 そのことなんだけどさ。 私ね、一応、生徒会の子に確認したの 」

梓 「 そしたら? 」

あゆみ 「 なんか、すごいゲッソリした顔で 『 今年はマラソン大会じゃなくなるかもしれません…… 』 って 」

梓 「 ゲッソリした顔ってなに……? 」

あゆみ 「 なんというか、ブラック企業で働かされている社畜……みたいな顔だったよ 」

梓 「 うわぁ…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:00:49.20 ID:hCip+/ix0<>
19:34〜

梓 「 でもなんだろうね? 計画変更したってことなのかな? 」

あゆみ 「 わからない。 『 マラソン大会じゃなくなるかも 』 ってことだけしか聞けなかったし 」

梓 「 その言い方だと、マラソンじゃない別の大会になる、ってことだよね 」

あゆみ 「 生徒会の子の話しぶりだと、近日中に詳細が発表されるようなニュアンスだったよ。 エントリーはそれ待ちかな? 」

梓 「 あ、それでもエントリーはするんだ (笑) 」

あゆみ 「 だって悔しいじゃん 」

梓 「 そうだね。 発表されたら教えて。 私達もエントリーしに行くから 」

あゆみ 「 ありがとう、梓 」

梓 「 あ、こっちはウチに着いた。 どういたしまして。 また明日ね 」

あゆみ 「 こっちはもうちょいでウチに着くよ。 また明日 (・ω・)ノシ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:01:18.11 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:01:49.31 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるオンライン戦車シミュレーションゲーム  ゲーム内チャット 』


10月 第1週 月曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:02:18.32 ID:hCip+/ix0<>
21:32〜

ももがー 「 ふむぅ、我が軍の補給線が伸びつつあるナリ 」

ねこにゃー 「 気のせいなんじゃないかな? 」

ぴよたん 「 ぴ〜よ〜♪ ( 口笛 ) 」

ももがー 「 ぴよたんの部隊、それ陽動ナリね。 あと、ねこにゃーの155o自走榴弾砲がこっちをコッソリ射程に入れようとしてるのバレバレナリ 」

ねこにゃー 「 そ、そんなことないにゃー ( ばれとる…… ) 」

ぴよたん 「 くっ……かくなる上は……! 」

ねこにゃー 「 お、ぴよたん、知波単魂見せちゃう? 吶喊しちゃう? 」

ぴよたん 「 ううん? 我が軍、反転だぴよー 」

ねこにゃー 「 あっ! ぴよたん裏切りやがった!! 」

ももがー 「 くくく……計画通り…… (AA略) 」

ねこにゃー 「 ぐぬぅ……よろしい、ならば戦争だ! まとめて相手してやるぅ! (泣) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:02:51.64 ID:hCip+/ix0<>
21:36〜

ももがー 「 ……ときにお二方、先週金曜に私を斥候に出したの覚えてるナリ? 」

ねこにゃー 「 なんだっけ? 」

ぴよたん 「 ねこにゃーが深夜に山郷さんを手籠めにした件ぴよ 」

ねこにゃー 「 うは、冤罪キタコレwwww 山郷さんが何か隠してるっぽい件、だったっけ? 」

ももがー 「 ウサギさんチームと同じクラスの子に事情を聞いてみたナリ。 でもその子も知らなかったみたいだから 」

ぴよたん 「 あら、いきなり迷宮入りぴよ? 」

ももがー 「 いや、その子に動いてもらって、情報を探ってもらったナリ 」

ぴよたん 「 おおぉぉ、ももがー……そんなコミュ力をいつの間に身に付けたぴよ? 」

ねこにゃー 「 私達のももがーがぁぁ……どんどん手の届かないところへ行っちゃうにゃ…… 」

ももがー 「 フフフ…… で、今その結果が私のスマホに届いたんだけど……ううむ、あまり良い情報じゃないナリ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:03:18.24 ID:hCip+/ix0<>
21:40〜

ねこにゃー 「 と、いいますと? 」

ぴよたん 「 ウサギさんチームの子達に何か悪いことでも起きてるぴよ? 」

ももがー 「 たぶんそう。 あと、私の憶測込みで言うと……私達も関係してるっぽいナリ 」

ねこにゃー 「 えっ? ボク達も?? 」

ぴよたん 「 関係している??? 」

ももがー 「 うーんとナリね、その子……私の友達が言うには、ウサギさんチームの5人が同級生何人かとケンカしてたらしくて 」

ねこにゃー 「 あらら 」

ももがー 「 特に山郷さんがいちばんキレてたらしいナリ。 相手の子の胸倉つかんでたって 」

ぴよたん 「 あの山郷さんが……? 」

ねこにゃー 「 あんないつも無邪気にキャッキャしてる子らが、誰かとケンカ? ……信じられないにゃ 」

ももがー 「 そのケンカを目撃したって子から聞いたらしいから、本当みたいナリ 」

ねこにゃー 「 マジか…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:03:49.14 ID:hCip+/ix0<>
21:43〜

ぴよたん 「 原因は何だったっちゃ? 」

ももがー 「 それがどうも、戦車道チームが馬鹿にされたから、ってことらしくて…… 」

ぴよたん 「 あらぁ…… 」

ねこにゃー 「 まぁ…… 」

ももがー 「 でー、それがナリねぇ…… 」

ねこにゃー 「 ? 」

ぴよたん 「 ちなみに何て馬鹿にされたっちゃ? 」

ももがー 「 ……学園艦を救ってもらったとしても、コスプレしてるようなふざけた奴らに助けられた覚えはねぇ……ってことみたい 」

ねこにゃー 「 うわー…………… 」

ぴよたん 「 あー……それはまた…… 」

ももがー 「 ウチのチームで “ コスプレしているふざけた奴ら ” っていうと、歴女チームかバレーチーム、それか私達、ってことになるんだろうけど 」

ねこにゃー 「 バレーチームはコスプレっていうかユニフォームだし 」

ぴよたん 「 歴女チームは偉人リスペクトが高ぶり過ぎたというか、ある意味、勉強を拗らせた結果とも言えるから、馬鹿にする対象にはなりにくいし 」

ねこにゃー 「 こう言う場合は、まぁ十中八九…… 」

ぴよたん 「 私達のことだっちゃ…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:04:25.85 ID:hCip+/ix0<>
21:50〜

ねこにゃー 「 ということは、ボク達のことを馬鹿にされてウサギさんチームが……特に山郷さんが怒った、ってこと? 」

ももがー 「 たぶん 」

ぴよたん 「 …………… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:05:00.51 ID:hCip+/ix0<>
21:55〜

ねこにゃー 「 ……なんというか……あー…… 」

ももがー 「 ん? 」

ねこにゃー 「 山郷さんには、無駄なエネルギーを使わせてしまったね 」

ももがー 「 えーと、どゆこと? 」

ねこにゃー 「 ももがーとぴよたんはともかく、ボクのために怒ってくれたっていうなら それは必要なかったのに、ってこと 」

ぴよたん 「 ……そうね。 私もそう 」

ももがー 「 え……どうして? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:05:28.79 ID:hCip+/ix0<>
21:58〜

ねこにゃー 「 ボクだってね、今さら無理してリアルで友達増やそうとは思ってないにゃ。 思ってたらこんな格好していないし 」

ももがー 「 うん。 私もそうナリ 」

ねこにゃー 「 ボクはね、『 ゲーム趣味に生きるボクこそがボクなんだ 』 って信念があるから、この格好をしてるんだにゃ 」

ももがー 「 そうなんだ……そうだよね、それは私も同じ 」

ねこにゃー 「 だからね? オタ趣味でこんな格好だからね? そりゃ他人から馬鹿にされることもあるワケだにゃ 」

ももがー 「 ……うん 」

ぴよたん 「 でも……私達はもう、他人がどうこう言おうが関係ないと思える境地にまで来ているぴよね 」

ねこにゃー 「 そう、その通り 」

ぴよたん 「 だから、どんなに馬鹿にされようと、私達は自分の世界が守られればそれでいいぴよ。 戯言なんか完全スルーできるっちゃ 」

ももがー 「 おおぉ…… 」

ぴよたん 「 そんな私達なので、山郷さんがキレる必要はなかった、ってことぴよ 」

ねこにゃー 「 ナイス代弁だにゃ 」

ももがー 「 凄いのか哀しいのかわからないけど、先輩たちがパねえってことは良くわかったナリ…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:05:55.54 ID:hCip+/ix0<>
22:05 〜

ねこにゃー 「 ちなみにね、ボクにとっては戦車道を始めたことだって、同じことなんだにゃ 」

ももがー 「 ??? 」

ぴよたん 「 そういえば、なんでねこにゃーは戦車道をやろうと思ったぴよ? 私とももがーは、ねこにゃーから誘われたから戦車道を始めたけど 」

ねこにゃー 「 自分の世界を守りたかったんだにゃ 」

ももがー 「 ????? 」

ねこにゃー 「 うーんと、どこから話そうかな ……そうだ、今年の4月だにゃ。 ぴよたんはオカシイと思わなかった? 」

ぴよたん 「 何が? 」

ねこにゃー 「 履修科目の選択ガイダンスのとき、生徒会があからさまに戦車道をプッシュしてたでしょ? ……去年は全然そんなことなかったのに 」

ぴよたん 「 そういえばそうぴよね 」

ねこにゃー 「 ただ復活させただけじゃなくて、異様に見えるほど戦車道へのエコヒイキが見てとれた。 選択してくれれば通常授業の3倍単位やる、とか 」

ぴよたん 「 高校学生寮への優先的入寮、とか、食堂の食券100枚、とかもあったぴよね 」

ねこにゃー 「 そんなエコヒイキは、4月以降もちょろちょろ見てとれてたでしょ? 」

ももがー 「 私は今年入学したからよくわからなかったけど、そうなんだ…… 」

ねこにゃー 「 だから、なんとなく気になってたのにゃ、ウチの学校の戦車道のこと。 これは何かあるんじゃないかって 」

ぴよたん 「 言われてみれば、不自然なほど戦車道推しがスゴかったっちゃ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:06:23.65 ID:hCip+/ix0<>
22:10〜

ねこにゃー 「 でね、戦車道のことを考えていて、ふと 『 ボクのゲーム趣味 ( 戦車ゲーム ) は、リアル ( 戦車道 ) にどこまで手が届くのだろう 』って思っちゃった 」

ももがー 「 確かに、あのオンラインの戦車シューティングゲームで、ねこにゃーの名前は常にトップランクにあったナリが 」

ぴよたん 「 そこでリアルに太刀打ち出来るかって考えるあたりが、ねこにゃーらしいぴよwwww 言わば、意識高い系ゲーム廃人だっちゃwwww 」

ねこにゃー 「 というわけでね、一度気になってからは、もう自分を止められなかったワケですにゃ 」

ぴよたん 「 やり込み気質ってやつぴよね 」

ももがー 「 ゲーマーの性だからしょうがないナリ 」

ねこにゃー 「 考えてみればこの時、ボクの世界は、仮想現実から戦車道っていうリアルへと、浸食し出したんだにゃー 」

ももがー 「 ゲームとは別に、リアル世界 ( 戦車道 ) にも興味が出てきたってことナリ? 」

ねこにゃー 「 どちらかというと、ボクにとってはゲームの延長線上にリアル ( 戦車道 )がある、ってイメージなんだけどね 」

ももがー 「 あー、わかる気がするナリ 」

ねこにゃー 「 まぁつまり、仮想現実とリアルの戦車道、2つまとめてボクの世界になったんだにゃ 」

ぴよたん 「 なるほどぴよねー 」

ねこにゃー 「 そうなると、もうね、戦車道をやらずにはいられなくなっちゃって。 じゃないとボクは、ボクの世界が守れなくなっちゃうし 」

ぴよたん 「 その結果、ねこにゃーは自分の世界を守るために、戦車道へと手をだした、と 」

ねこにゃー 「 そのとおり。 まぁご覧の通りの有り様 ( コミュ障 ) なので、西住さんには一度アタックし損ねて、戦車道チームに入るのがずいぶん遅れちゃったんだけど 」

ぴよたん 「 挙句の果てに、初試合が全国大会決勝とかねww 」

ももがー 「 それでこそ、ねこにゃークォリティナリ! ( 哀れみ ) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:07:03.43 ID:hCip+/ix0<>
22:14〜

ねこにゃー 「 でも、なんだかんだ言って、2人だってもう戦車道にゾッコンLOVE☆でしょ? 」

ぴよたん 「 この身体を見てくれ……こいつをどう思う? 」

ももがー 「 すごく……戦車道にゾッコンLOVE☆の結果です…… 」

ねこにゃー 「 ほら^^〜 」

ももがー 「 まぁ^^〜 」

ぴよたん 「 ねぇ^^〜 」

ももがー 「 というか、今までの過程がハチャメチャ過ぎたから、否が応でも戦車道に思い入れが出来ちゃったナリ 」

ぴよたん 「 友達に勧められて戦車道を始めたら、それがいきなり全国大会決勝戦で、勝たなきゃ廃校で、勝ったは良いけど次の試合の夜にまた廃校だって言われて、その次の試合に勝たなきゃ本当に廃校で 」

ねこにゃー 「 ホントにね? なんなの? ウチの学校、廃校好きなの? 」

ももがー 「 ねこにゃーに勧められたから、ワタシ達こんなことになっちゃったんですが 」

ねこにゃー 「 テヘペロ♪ 」

ももがー 「 お前の軍を灰燼に帰す。 薙ぎ払えー! ( 戦車攻撃指示 )」

ぴよたん 「 ヤッジマイナー!! ( 戦車攻撃指示 )」

ねこにゃー 「 ああん、ボクの機甲部隊がぁぁぁ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:07:30.92 ID:hCip+/ix0<>
22:21〜

ももがー 「 ……戦車道が好きになった、っていうのは、なんというかウチのチームの皆のおかげ、っていうのもあるナリ 」

ぴよたん 「 そうだっちゃね。 あまりリアルに関わりを持たない私でも、ここのチームは居心地が良いぴよ 」

ねこにゃー 「 そうだにゃー。 それもある、というか、それが一番大きいかもにゃー 」

ももがー 「 みんな、私達と普通に接してくれるもんね。 今じゃ私も、ゲームと戦車道の2つが私の世界ナリ 」

ぴよたん 「 同意ぴよ。 チームの皆のおかげぴよね 」

ねこにゃー 「 同じくにゃ。 より詳しく言うなら、今のボクの世界は、ゲームと、戦車道と、あとは戦車道メンバー全員の、3つで出来てるにゃー 」

ぴよたん 「 ……ほう 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:08:05.42 ID:hCip+/ix0<>
22:24〜

ぴよたん 「 おやおや、これはももがーさん? 」

ももがー 「 なんだい、ぴよたんさん? 」

ぴよたん 「 今のねこにゃー氏の発言、記録しました? 」

ももがー 「 ええ、ばっちりスクショしました 」

ねこにゃー 「 ちょっ、なになに? 」

ぴよたん 「 ねこにゃー氏はこう言いました。 『 ボクの世界は(中略)戦車道メンバーのみんなで出来ている 』 と 」

ももがー 「 こうも言ってましたね。 『 ボクは自分の世界を守りたい 』 と 」

ねこにゃー 「 いやまぁ、言ったけど…… 」

ぴよたん 「 そういえば現在、戦車道メンバーの中で、困ってる子がいましたねぇ 」

ももがー 「 戦車道メンバーのみんなという中には、当然その子も含まれているんでしょうねぇ 」

ねこにゃー 「 ぐっ…! 」

ぴよたん 「 そんな大変な状況にいる子を自分の世界に取り込んでおいて 」

ももがー 「 自分の世界を守るっていうことは……? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:08:34.21 ID:hCip+/ix0<>
22:29〜

ぴよたん 「 つーまーりー?↑ 」

ももがー 「 こーれーはー?↑ 」

ねこにゃー 「 ああわかったにゃ! 山郷さんらを助けてやるってんだにゃ! こんちきしょうめ!! 」

ぴよたん 「 デレた 」

ももがー 「 チョロい 」

ぴよたん 「 ボクは、自分の世界を守りたい (キリッ) 」

ももがー 「 体は戦車道のみんなで出来ている (キリッ) 」

ねこにゃー 「 体じゃねーにゃ! それ何リミテッドブレイドワークスだにゃ!? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:09:08.47 ID:hCip+/ix0<>
22:33〜

ももがー 「 で、山郷さんを助けるっていったって、どうやってナリ? 」

ねこにゃー 「 うーん、ケンカの仲裁には入れないし ( だってコミュ障だし )……そもそもケンカ相手もわからないし…… 」

ぴよたん 「 そういえば、ウサギさんチームのみんなでランニングしてるって言ってなかったっけ? 」

ねこにゃー 「 してた 」

ぴよたん 「 たぶんだけど、今からランニングするってことは、今月中下旬にある大洗町マラソン大会に向けて、なんだろうから、その辺からじゃないっちゃ? 」

ねこにゃー 「 その辺とは? 」

ぴよたん 「 ランニングの仕方とか、走ってる最中の脱水やら糖分欠乏の対策方法とかを教えるんだぴよ。 それでお近づきになって、どう助ければいいかを探るという寸法ぴよ 」

ももがー 「 さっすが3年生! 伊達にゴイスーバディしてないナリ! 」

ねこにゃー 「 ナイスアイディア! よっ! 熟れた身体! 腐りかけが一番オイシイにゃ! 」

ぴよたん 「 ありがとう! そしてありがと……オイゴラァ! 」

ねこにゃー 「 ともかく、明日の訓練が終わったときにでも、山郷さんに話しかけてみるにゃ。 やぁってやるぜ! 」

ももがー 「 ねこにゃーにとっては、そこが一番ハードルが高そう…… 」

ぴよたん 「 大丈夫だっちゃ。 もしヒヨったときには私が三式中戦車で狙い撃つぴよ。 このように ( 戦車攻撃指示 ) 」

ももがー 「 ああなるほど。 このように ( 戦車攻撃指示 ) 」

ねこにゃー 「 あぁぁぁん、ボクの特科部隊がぁぁぁぁぁぁ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:09:42.74 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:10:13.54 ID:hCip+/ix0<>
『 丸山紗希 と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第1週 火曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:10:50.96 ID:hCip+/ix0<>
12:50〜

紗希 「 あゆみ? 」

あゆみ 「 ん? 紗希? 」

紗希 「 もう戦車ガレージに向かってる? 」

あゆみ 「 まだだよ? さっきみんなでお昼ご飯食べた時 『 私は生徒会室に寄っていくから皆は先に行ってて 』 って言ったでしょ 」

紗希 「 マラソン大会のエントリーが始まっているか確認しに行くなら、まだ開始してないよ 」

あゆみ 「 え? 本当? なんだー今日もまだなのかー……って、どうして紗希が知ってるの? 」

紗希 「 ちょっと聞いた。 マラソン大会じゃなくなるってことも 」

あゆみ 「 え? 誰に聞いたの!? 」

紗希 「 ちょっとね 」

あゆみ 「 ちょっとって何!? 」

紗希 「 それよりも大変なことがわかった 」

あゆみ 「 それよりもって…… 」

紗希 「 マラソン大会の代わりに行われる競技の内容、個人で参加できる競技じゃないみたい 」

あゆみ 「 えっ? 」

紗希 「 詳しくは今日の戦車道の訓練後に、西住隊長が説明してくれると思う 」

あゆみ 「 そういえば西住隊長、今日も何かの会議で訓練遅れて来るんだっけ? ひょっとして会議って、その件のことなのかな? 」

紗希 「 たぶん 」

あゆみ 「 何の競技になるんだろ? 個人じゃ参加できないってことは、球技とかかな? 」

紗希 「 リアカー 」

あゆみ 「 バレーだったらアヒルさんチームが大ハッスルしちゃうね 」

紗希 「 だから、リアカー 」

あゆみ 「 そう、リア……え? なに? リアカー? 」

紗希 「 うん 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:11:17.89 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:11:45.71 ID:hCip+/ix0<>
『 履修選択科目 代表者による緊急連絡会議  議事録 』


10月 第1週 火曜日   記録者:生徒会書記
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:12:21.25 ID:hCip+/ix0<>
(1)場所、実施時間

 第一会議室、15時〜16時


(2)参加者

 全10科目 ( 茶道・書道・華道・香道・仙道・合気道・弓道・長刀道・忍道・戦車道 ) 代表者 + 生徒会執行部


(3)進行


1) 生徒会長 挨拶 ( 角谷 )

「 急な招集に応じていただき感謝する。 今月の第3週の金曜に実施する体育イベントについて、大幅な内容変更があったので、これからその説明をさせていただく 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:12:59.70 ID:hCip+/ix0<>
2) イベント説明 ( 河嶋 )

毎年、大洗町内にコースを設定してマラソン大会を開催してきたが、後に述べる理由により高等部についてはマラソン大会を取り止め、代わりにこの競技大会を開催することにした。



『 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 』


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:13:43.32 ID:hCip+/ix0<>
【 大洗町マラソン大会から大洗町リアカー駅伝大会に変更した理由】 ( 説明:角谷 )


先月(9月)上旬に発生した廃艦騒動により、本校に存在する履修選択科目全てにおいて、消耗品の在庫や備品等が不足する事態に陥っている。

そのため各科目とも、いまだ騒動前の活動レベルに復帰出来ておらず、各科目履修生に対して十全な教育機会が提供できていない状況にある。

本来であれば生徒会が、不足した消耗品や備品等を買い戻すための緊急予算を組み、各科目に割り振ることで問題の解決を図るところであるが、現状、インフラ設備の回復費用や港湾設備の使用延長料など、学園艦の維持運営に必要な経費が増大しており、財政が逼迫している。

つまり、緊急予算を組むことができない。


そこで我々は、学園艦の外部から資金を集めることにした。 それが大洗町リアカー駅伝大会の開催である。

ここで言う外部とは、具体的には大洗町内にある商店や企業のことを言い、資金とは大会スポンサー料のことを言う。

後でリアカー駅伝についての詳しい説明をするが、参加チームは、これらの商店や企業の名前、要するにスポンサーロゴが入った服を着て、大洗町を駆け抜けてもらう。


このリアカー駅伝は、科目ごとに1チームずつ組んでもらい、つまり 全10科目 = 計10チーム によるチーム戦になる。

チーム戦とした理由は、やはり先の廃艦騒動に関係がある。

本校は文科省が唱える学園艦統廃合計画の対象とされてしまい、戦車道全国高校生大会で優勝することによりその危機を回避した、という経緯がある。

しかし、結局は回避しきれず、先の廃艦騒動に繋がってしまった。

それもなんとか回避することはできたが、皆に大きな迷惑を掛けたこと、この場を借りて、深く謝罪する。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:14:21.12 ID:hCip+/ix0<>
生徒会は、なんとか戦車道チームに全国大会を優勝してもらわねばならなかったので、今年の4月から総力を上げて支援した。

限られた予算を戦車道に優先的に配分したりしたので、そういったしわ寄せを残りの9科目に被ってもらった。

生徒会は、それをわかっていて戦車道を支援した。 そして、結果的に本校は生き残ることが出来た。

現在、本校は戦車道で知名度を上げる事に成功し、これでしばらくは統廃合計画の対象とはならないだろう、と考えている。


しかし、我々生徒会としては、本校の知名度が戦車道だけで上がっていく事を良しとしていない。

戦車道の活動が休止していた過去20年間、本校の歴史を脈々と紡いできたのは残り9科目であり、いずれも本校を支える大事な科目である。

我々生徒会としては、これらの科目についても、世間に注目してもらいたいのである。

言うなれば、罪滅ぼしをさせてほしい。


そこで 『 大洗女子学園には戦車道以外の9科目にも見どころがある 』 ということを世間に広く訴えるために、本イベントを科目ごとのチーム戦とした。

この後、副会長から細かい説明がある。

なにとぞ我々の目的をご理解の上、新しく企画したこの体育イベントを楽しんでもらいたい、と思う。


なお、本イベントで得た大会スポンサー料は、全額を緊急予算の財源とし、本イベントが終わった後に各科目へ割り振る予定である。

本イベントについては任意参加となるが、参加しない科目には緊急予算を割り振ることが出来ないため、留意願いたい。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:14:56.88 ID:hCip+/ix0<>
【 本イベントのルール説明 】 ( 説明:小山 )


・ イベントの正式名称は 「 県立大洗女子学園高等部 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 」

・ 各科目( 茶道・書道・華道・香道・仙道・合気道・弓道・長刀道・忍道・戦車道 )それぞれ1チームずつ組んでもらう。

・ つまり、計10チームによる駅伝大会。

・ ただし各チーム、リアカーを引きながら走ってもらう。

・ 各チームの構成メンバーは、第一区から第三区までの走者3人と、リアカーの荷台に1人、合計4人とする。

・ コースは、大洗町マラソン大会のコースを流用する(全長 約12q、一人あたり4q)。

・ 全長12qを3区に分けて、第一区、第二区、第三区と、駅伝形式でリアカーとタスキを継いでいく。

・ 各区には、それぞれ障害物が設置されている場所がある。

・ リアカーは、臨時校舎で使っていたものを使用する。 改造は禁止。

・ タスキはリアカーの荷台で運ばれる1人が担う。 つまり、その人がタスキそのものとなる。

・ タスキ役は、大会スポンサー料を出してくれた商店や企業の名前が入った衣装を着てもらう。

・ 各チームの走者3人は、1年生、2年生、3年生、それぞれ1人ずつ選抜して、計3人とすること。 走る順番は自由。

・ 最初にゴールしたチームが優勝。

・ 賞金は出ない。 ただし賞品はある ( 干芋一年分 )

・ 以下の特別ルールを採用する。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:15:26.03 ID:hCip+/ix0<>
〔 特別ルール 〕


・ 各チームのリアカーには、インク液が満杯になった容器が積んである ( 多少の揺れではインク液がこぼれない容器 )。

・ このインク液の色は、各チームのチームカラーに応じている。

・ 各チームのタスキ役は、このインク液を他チームのタスキ役へと浴びせる ( 攻撃する ) ことが出来る。

・ 各チームのタスキ役は、他チームのリアカーに乗り込むことは出来ない。

・ タスキ役が、他チームカラーのインク液を3回浴びた ( 攻撃を3回受けた ) 時点で、そのチームは脱落となる。

・ あるタスキ役に連続攻撃して、2アウト以上獲りたい場合は、最初のアウトから5秒以上経たないと、次のアウトが獲れない。 ただし、他のチームと連携して連続アウトを取った場合はその限りではない。

・ タスキ役がインク攻撃する際には、各チームとも 「 その科目を特徴づける道具 」 を使用しなければならない。

・ その特徴的な道具を使えば、インク液の浴びせ方(攻撃方法)は自由とする。

・ その特徴的な道具は、各科目1種類のみとする。

・ その特徴的な道具は、各科目で考案すること。

・ その特徴的な道具は、安全性の確認をするため、生徒会で事前チェックを行う。

・ 各チームのインク液は、本番前にも配付することが出来る。 希望するチームは生徒会へ連絡すること。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:16:01.91 ID:hCip+/ix0<>
【 質疑応答 】( 回答:角谷、小山、河嶋 )


Q : 「 各科目を特徴づける道具 」 って何? ( 長刀道 代表 )

A : 例えば長刀道だったら長刀など。 タスキ役はその長刀とインク液を使って、他チームを蹴落とすことが出来る。 ただ、長刀をそのまま使ったら危ないし、インク液による攻撃もできないので、何かしらの方法を考えてほしい。 ( 河嶋 )


Q : ということは、道具に細工するのはOKなのか? ( 忍道 代表 )

A : 安全性を高めるためや、インク液を浴びせるためのアイデアであればOK。 道具にスポンジを巻いてインク液を吸わせて投げつける、とか。 ( 河嶋 )


Q : あらかじめ、インク液を吸わせた何かをリアカーの荷台にストックしてからスタートするのはアリなのか? ( 弓道 代表 )

A : アリ。 ただし、そのぶんリアカーは重くなるので、走者が苦労することになる。 ( 河嶋 )


Q : ウチの科目は、あまり道具を使わないでやる競技なんだが? ( 合気道 代表 )

A : この大洗町リアカー駅伝大会は、各科目をアピールする目的もある。 道具を使わないでもその科目がアピール出来るなら、道具を使うことにこだわらなくても良い。( 小山 )


Q : タスキ役が着る衣装って? ( 書道 代表 )

A : 詳細は当日のお楽しみ。 大会スポンサー料を出してくれた店や企業のロゴが入った衣装である。 これを着て大洗町内を走ることで、広くいろんな人に宣伝するっていう寸法。 (小山)


Q : タスキ役の人選に条件はあるか? ( 華道 代表 )

A : 特になし。 ただ、リアカーを引く走者のことを考えれば、体重が軽い者をタスキ役に選んだ方が有利と言える。 ( 小山 )


Q : 第一区〜第三区のそれぞれどこかに設置されているっていう障害物って何? ( 仙道 代表 )

A : リアカーの走行を妨げる物である。 詳細は当日のお楽しみだが、第一区走者はリアカーの操縦に長けている人を、第二区走者は力がある人を選んだほうが良いかも。 第三区は内緒。 ( 小山 )


Q : 運動系の科目に比べて、文化系科目のチームは不利なのでは? ( 茶道 代表 )

A : 確かに、普段から体を動かしている運動系科目 ( 長刀道や合気道など )は有利だが、文化系科目でも運動系のクラブ ( サッカー部や陸上部など ) に入っている履修生がいたりするので、そういう有利不利は無いものとする。 ( 河嶋 )


Q : もし我々が戦車道のチームに勝ったら、生徒会にお願いしたいことがある ( 香道 代表 )

A : 仮に優勝したって賞金は出せないし、賞品も干芋一年分とかだから、もし生徒会に叶えられる内容ならば、せめてそれくらいは叶えよう。 ( 角谷 )


Q : この大洗町リアカー駅伝大会、参加は任意ですよね? ( 戦車道 代表 )

A : 任意だが、不参加だと緊急予算を受け取る資格を失うし、そもそも戦車道チームについては参加必須だ。 不参加は認めない。 横暴? 横暴は生徒会に与えられた正当な権利だよ。 ( 角谷 )
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:17:05.77 ID:hCip+/ix0<>
3)備考

本会議終了後、の文化系科目 ( 茶道・書道・華道・香道・仙道 ) の代表者らから、以下の申し出があった。


「 今月( 10月 )の最終週の週末、大洗町総合体育館に於いて、本校の文化系科目 合同による、文化発表会を開催する予定である。

もし、我々5科目のどこかのチームが戦車道チームに勝利したら、この文化発表会に、あんこうチームが乗るW号戦車を派遣してほしい。

目的は集客のためと、戦車を使ったパフォーマンス等がしたいため。 可能ならばあんこうチームの皆さんにもパフォーマンスに参加してもらいたい。

我々、文化系科目には “ 試合 ” などというものが無く、それゆえに目に見える成果を残しにくい科目である。

だからといって怠慢しているわけではないが、はた目からは、見どころの少ない科目に見えるのは間違いない。

そんな存在感の薄い状態が長く続いたことが、先般の廃艦騒動を引き起こした一因になったのだとすれば、我々はこれから変わらねばならない。  

大洗女子学園には戦車道以外の科目にも見どころがある、ということを、生徒会に頼りきりじゃなくて、自分達の手でも証明したい。

だから、まずは文化発表会を成功させる。 そのために会場をお客さんでいっぱいにする。

だから、知名度が高いあんこうチームの皆さんとW号戦車を派遣してほしい。

西住さんらを客寄せパンダ扱いして申し訳ないと思うが、我々も手段を選んでいられない。 」



以上の申し出に対し、角谷会長、了承。

戦車道代表者 ( 西住さん ) に問い合わせたところ、その日は練習試合の予定が入っているとのことだったが、大洗町リアカー駅伝大会で負けた場合は、文化発表会への派遣要請を了承する、とのこと。

なお、その場合のW号戦車派遣に伴う経費は生徒会負担とする。 詳しくは後日検討。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:17:44.20 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:18:45.10 ID:hCip+/ix0<>
『 大洗女子学園 戦車道チーム 指揮記録ノート 』


10月 第1週 火曜日  曇り/曇り

使用場所:戦車ガレージ

活動開始:13時30分

活動終了:18時30分

記入者:五十鈴 華
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:19:38.19 ID:hCip+/ix0<>
(1)指揮官

  秋山優花里さん ( ほか、あんこうチームの皆さんで協力しました )


(2)遅刻者・欠席者
 
 ・ 欠席 : カメさんチーム ( 理由:履修科目の代表者会議 )

 ・ 遅刻 : みほさん ( 理由:履修科目の代表者会議 ) → 机上演習の途中から参加


(3)活動内容

 ・ 訓練前ブリーフィング
 ・ 準備体操、柔軟体操
 ・ ランニング ( 戦車道訓練場 2周 )
 ・ 履帯修理訓練
 ・ 戦車についての座学 ( ドイツ戦車の種類とスペックについて )
 ・ 机上演習
 ・ 訓練後ミーティング
 ・ 終礼

 
(4)申し送り事項

<隊長宛て>

今日もみほさんは会議に参加されていたので、優花里さんにお願いして座学の先生役を務めていただきました。
さすが優花里さん、知識量がものすごくて、戦車のことを中心に様々なお話をしてくださいました。
訓練時間をオーバーしてもお話されていたのですが、それでもまだ話し足りないそうです。


<自動車部宛て>

W号戦車のシュルツェン用の鉄板が、大洗港の貨物倉庫に届いたそうです。
私達にお手伝い出来ることがあれば遠慮なく言ってください、と、自動車部の皆さんにお伝えしました。


<その他宛て>

戦車ガレージの詰所に飾っていたお花、今日からガーベラを主体とした内容に変えてみました。
ガーベラの花言葉は 「 常に前進 」 です。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:20:08.28 ID:hCip+/ix0<>
(5)備考

会議に参加されていたみほさんが机上演習の途中に戻ってきて、その後のミーティングで、今度開催される体育イベントのことを説明されました。

私達の戦車道チームは強制参加とのことで、1年生から3年生まで1人ずつと、リアカーで運ばれるタスキ役の1人を選ばなくてはなりません。

今日の時点では誰も出場希望の手が挙がりませんでしたので、この先、誰も手を挙げなければ、何か対応しないといけませんね。

体育競技ならばアヒルさんチームの皆さんが得意そうですが、バレー以外の競技には興味ないそうですし……。

なんにせよ、なんらかの方法で出場メンバーを決めないと、私達はリアカー駅伝で不戦敗になってしまいます。

そして、私達はリアカー駅伝で敗けてしまうと……あんこうチームとW号戦車が、黒森峰女学園との練習試合に参加できなくなってしまうんですよね。


大洗町リアカー駅伝大会で、戦車道チームが文化系5科目のいずれかのチームに負けてしまった場合、文化発表会にあんこうチームの5人とW号戦車を派遣しなくちゃならない、という勝負。

文化発表会への派遣目的についてはとても共感できるので、もしこの文化発表会の開催日が、黒森峰女学園との練習試合の日に重なってさえいなければ、みほさんは勝負なんてせず、二つ返事で頷いていたのでしょう?

私も同じです。 華道を選択している履修生たちが、日頃どんな作品を生み出しているのか、とても興味があります。

いま校内で、あまり快くはない視線が私達へと注がれていることも考えると、尚更この依頼は受けるべきなのでしょう。


しかし、今度の黒森峰女学園との練習試合は、みほさんにとってそう簡単に切り捨てられるものじゃないことを、私達は理解しています。

「 今度は何のしがらみも無く試合が出来るから、黒森峰のみんなとも、ちゃんと話せるかもしれない 」 って、みほさんが楽しみにしておられたのを、私達は知っています。

そんなみほさんが、黒森峰との練習試合か、私達の学校への献身か、そのどちらを取るべきなのかを悩まれて、結果的に 「 勝負 」 という形にしてしまったお気持ちは、痛いほどわかります。


まだこのことは、あんこうチームとカメさんチーム以外の皆さんには、内緒にしてあります。

とりあえず明日から、あんこうチームを欠いた状態を想定して、訓練をするんですよね。

みほさん、頑張りましょう。 「 常に前進 」 です。

私達はいつも一緒にいますからね。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:20:34.88 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:21:06.06 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : キラーラビッツ

10月 第1週 火曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:21:34.74 ID:hCip+/ix0<>
20:32〜

あや 「 さて、どうしたもんかね 」

桂利奈 「 マラソン大会じゃなくなっちゃったやつ? 」

あや 「 そう 」

あゆみ 「 ああぁぁ…… 」

優季 「 どうしたの? あゆみ 」

あゆみ 「 せっかく皆を巻き込んでまでランニング始めたのに……意味なくなっちゃった…… 」

紗希 「 ドンマイ 」

梓 「 あはは……戦車道でも体力が必要だから無駄じゃなかったよ、あゆみ 」

あゆみ 「 みんな、ゴメン (;_;) 」

桂里奈 「 どんまい! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:22:09.64 ID:hCip+/ix0<>
20:36〜

梓 「 大洗町リアカー駅伝大会って言ってたよね、西住隊長 」

優季 「 リアカー引っ張りながら駅伝するって、どういう発想なんだろね〜 」

紗希 「 GTカーの車体にスポンサーのロゴを入れて、Super GTレースに出るのと同じ 」

桂利奈 「 かっこいいじゃん! 」

あや 「 GTカーじゃなくてリアカーだけどね。 しかも車体じゃなくて衣装に入るんでしょ? スポンサー名 」

あゆみ 「 どんな衣装になるんだろう? 」

梓 「 その衣装を着た人がタスキの代わりになるってことは、可愛い格好なんじゃないかな。 少なくともあんこうスーツみたいなのではないと思うけど 」

あゆみ 「 あんこうスーツはもう嫌だ…… 」

優季 「 あれ、体のラインがぴっちり出ちゃうからね〜 」

桂利奈 「 山郷っぱいが4DXで楽しめちゃうレベルだよね 」

あや 「 ぐぎぎ……(血涙) 」

紗希 「 あや、ないものねだりはダメ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:22:40.44 ID:hCip+/ix0<>
20:45〜

あゆみ 「 参加形式が個人戦じゃなくてチーム戦になっちゃったから、ウサギさんチームの全員では出れなくなっちゃったよ 」

梓 「 確か、リアカーを引く走者は1年生から3年生まで1人ずつ、計3人。 それと、タスキ役で1人、だっけ? 」

紗希 「 そう 」

あや 「 1年生枠は1人、タスキ役を入れたとしても2人までか 」

優季 「 人選はどうするんだろうね〜 」

紗希 「 西住隊長たち、どうしようって言ってた 」

梓 「 うん。 まずは有志の応募を待ってみるって言ってたけど、誰も手を上げなかったら隊長命令でチーム組みするしかないかもって 」

あや 「 1年生から3年生まで1人ずつ、っていうのが曲者だよね 」

あゆみ 「 そうだよね。 ウチの戦車道チームって、だいたい戦車ごとにグループが出来ちゃってるから…… 」

優季 「 グループをまたいでチーム組みをするのって、難しいかもね〜 」

梓 「 アヒルさんチームは? 運動得意なアヒルさんチームならちょうど4人なんだけどな 」

あや 「 あそこは磯辺先輩が2年生、あとは1年生だね 」

あゆみ 「 3年生がいないんだね 」

梓 「 うーん、他にちょうど良さそうなチームって言うと…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:23:14.99 ID:hCip+/ix0<>
20:54〜

桂利奈 「 あ 」

優季 「 どうしたの? 桂利奈ちゃん 」

桂利奈 「 いるじゃん! うってつけのチーム!! 」

梓 「 ああ、私もわかった (^^)/ 」

紗希 「 私も 」

桂利奈 「 アリクイさんチーム!! 」

あや 「 おお! その手があったか! 」

優季 「 確かにあそこなら、ももがーさんが1年生、ねこにゃー先輩が2年生、ぴよたん先輩が3年生だもんね〜 」

桂利奈 「 身体も鍛えているんでしょ? ベストメンバーじゃん! 」

あゆみ 「 ………… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:23:48.87 ID:hCip+/ix0<>
20:57〜

あや 「 ってことは、あとはタスキ役だけど…… (チラッ 」

優季 「 先生〜、わたし、推薦したい人がいまーす。 私の親友なんですけど〜 (チラッ 」

桂利奈 「 そういえば最初から参加する気マンマンだった人がいたよねー (チラッ 」

梓 「 あー…私、アリクイさんチームの皆さんの連絡先、西住隊長に聞いてきてあげるよ? (チラッ 」

あゆみ 「 うぅ……… 」

紗希 「 あゆみ 」

あゆみ 「 さーきー……(泣) 」

紗希 「 みんな、あゆみのこと応援してる。 私も応援する。 頑張ろう? 」

あゆみ 「 うぅ、わかった。 私、頑張ってみる 」

桂利奈 「 キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!! 」

あや 「 ワッショイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワッショイ 」

梓 「 そうだ、どうせなら、明日の訓練が終わった後に、ウサギさんチームの全員で、アリクイさんチームにお願いしに行こう 」

紗希 「 それが良いと思う 」

優季 「 さんせーい! 」

あや 「 そうだね、なるべく早くリアカー駅伝の参加メンバーを確定させた方が、西住隊長たちも楽になるもんね〜 」

あゆみ 「 ありがとう、みんな (;_;) 」

桂利奈 「 それじゃあ、明日から、アユミのタスキ役の特訓だー! 」

優季 「 桂利奈ちゃん、タスキ役の特訓って何するの〜? 」

桂利奈 「 ……なんだろう? リアカーで運ばれる練習? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:24:17.28 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:24:52.28 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第1週 木曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:25:25.39 ID:hCip+/ix0<>
21:01〜

ももがー 「 というわけで、大洗町リアカー駅伝大会に向けてのメッセージグループ、開設ナリー 」

ねこにゃー 「 >1 スレ立て乙 」

ぴよたん 「 (=゚ω゚)ノ 2ゲット  ……あ、3ゲットだった 」

ももがー 「 スレではないし、キリ番ゲットも古いナリ…… 」

ねこにゃー 「 ナイス開幕ツッコミ 」

山郷 「 あのー…… 」

ぴよたん 「 しまった! ついいつものノリで 」

ねこにゃー 「 ここには山郷さんという尊い1年生もいるんだったにゃ! 」

ももがー 「 ごめんナリね、山郷さん。 私達、ネットではいつもこんなでね。 ……あと、私も尊い1年生のハズなんだが? 」

ねこにゃー 「 あれ、ボクの尊みレーダーには反応しないにゃ? 」

ぴよたん 「 壊れているんでは? 」

ももがー 「 それナリ。 試しにハイ  つ〔理事長×役人の薄い本〕 」

ねこにゃー 「 あ、反応した 」

ぴよたん 「 それ壊れてるんじゃなくて、腐ってるんだぴよwwww 」

山郷 「 ……あのー…… 」

ねこにゃー 「 しまった、またやってしまった 」

ぴよたん 「 ごめんね、山郷さん 」

山郷 「 いえいえ! なんというか、普段の皆さんとは随分違うから…… 」

ぴよたん 「 ビックリしちゃったぴよ? 」

ねこにゃー 「 こっちの方が、ボク達の本性に近いんだけどにゃ 」

山郷 「 少しビックリしたけど、私はこういう明るいアリクイさんチーム、大好きです! 」

ねこにゃー 「 【速報】 山郷さん、ボクの中で尊み要素がストップ高 」

ぴよたん 「 【速報】 私も 」

ももがー 「 私も尊い1年生のハズなんだが? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:25:53.11 ID:hCip+/ix0<>
21:05〜

山郷 「 あらためまして、私とチームを組んでいただき、ありがとうございます! 」

ぴよたん 「 いえいえー 」

ねこにゃー 「 どういたしまして〜 」

ももがー 「 本当はこちらがお礼言わないとダメなところナリ 」

山郷 「 えっ? 」

ももがー 「 実は一昨日、そこのねこにゃー氏が山郷さんに接触を図るべく、勇気を振り絞るところだったのだけど 」

ぴよたん 「 急にリアカー駅伝大会への変更が伝えられたもんだから 『 ボクの役目は終わったのにゃ…… 』 とかヒヨったんだぴよ、この人 」

ねこにゃー 「 ちょっ、バラすなし 」

山郷 「 ねこにゃー先輩…… 」

ねこにゃー 「 ああぁぁぁん、軽蔑されたぁぁぁん 」

山郷 「 あははは、ウソです (^^) ねこにゃー先輩、かわいいなって思って 」

ぴよたん 「 あら^^〜 」

ねこにゃー 「 ちょっと穴掘ってきます 」

ももがー 「 え? どういうこと? 」

ねこにゃー 「 山郷さんが尊いって全力で叫んできます 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:26:32.61 ID:hCip+/ix0<>
21:10〜

ぴよたん 「 それにしても、昨日は訓練が終わった後にウサギさんチームの皆に囲まれたから、最初何事かと思ったぴよ 」

ももがー 「 まさか、私達を誘ってリアカー駅伝大会に出たいだなんて、そんなこと言われるとは思わなかったナリ 」

ねこにゃー 「 ボクは可愛い1年生に急に囲まれたので、ほぼイキかけました 」

ももがー 「 さすがリアカー界のイチローこと、ねこにゃー氏は言うことが違うナリね 」

山郷 「 ご、ごめんなさい、ご迷惑でしたよね 」

ぴよたん 「 違うぴよ、逆逆 」

ねこにゃー 「 ボクらなりのお礼なのにゃ。 こちらこそありがとう、山郷さん 」

ももがー 「 そうナリ! ありがとう山郷さん! 」

ぴよたん 「 ありがとだっちゃ! 」

山郷 「 え? なんで私の方がお礼をいわれるんですか? 」

ねこにゃー 「 こっちの話にゃー 」

山郷 「 ??? で、でもそう言っていただけると、私も嬉しいです 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:27:00.64 ID:hCip+/ix0<>
21:12〜

ねこにゃー 「 昨日答えたとおり、ボク達で良ければ力になるけれど……どうしてボク達に声を? 」

山郷 「 “ 1年生から3年生まで1人ずつ、計3人 ” って走者の条件に、アリクイさんチームがぴったり当てはまるっていうのもあるんですけども 」

ぴよたん 「 確かにそうぴよね。 しかも大学選抜戦のちょっと前からトレーニングとかしてるし 」

山郷 「 そう、それなんです! 」

ももがー 「 それって? 」

山郷 「 アリクイさんチームの皆さんは、私達と同じ素人で戦車道を始めて、しかも一番遅くに始めたのに、すで重要な戦力になっています 」

ねこにゃー 「 それはー……未だに戦車の台数が少ないから、ボク達なんかでも試合に使ってもらってるだけでー…… 」

山郷 「 そんなことありません! 確かにアリクイさん達は、全国大会の決勝戦では良いところなかったかもしれませんけど…… 」

ぴよたん 「 おぅふ……(´;ω;`) 」

山郷 「 ご、ごめんなさい! でもでも! その後の大学選抜戦では大活躍だったじゃないですか! 」

ももがー 「 どうしよう、照れるナリ 」

ねこにゃー 「 私、照れくさ過ぎて、なんかさっきから意味不明のヒザ痙攣で立ち上がれなくなってるんだけど 」

山郷 「 私、知っています! アリクイさんチームの皆さんが、すごい努力してトレーニングしていたのを! 」

ぴよたん 「 私なんか、そろそろ尊み要素の吸収し過ぎで子供産まれそうぴよ 」

山郷 「 一見、戦車道から程遠い感じの人達なのに、努力して、苦労して、それで戦車道が上手くなって、ごく短期間でちゃんと実績を出してるアリクイさんチームって、ある意味いちばんウチの戦車道チームらしいなって思うんです! 」

ねこにゃー 「 それを言うなら、全チームが努力して苦労していると思うけど、まぁでも、そう言ってくれると嬉しいにゃ 」

ももがー 「 私達、あまり人から褒められたことないから、なんかムズ痒いナリねwwww 」

山郷 「 今回のリアカー駅伝大会は、大洗女子学園の各科目をアピールする目的があるって聞いたので、私はそんなアリクイさんチームとなら、戦車道代表チームとして一緒に出たいなって思ったんです 」

ぴよたん 「 あー、あー、産まれた、いま産まれたぁ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:27:30.43 ID:hCip+/ix0<>
21:18〜

ももがー 「 ねこにゃーなんか、最初はこの体育イベント、サボる気マンマンだったのに、すごい気の変わりようナリねww 」

ぴよたん 「 ホント、360°超信地旋回のごとし気の変わりっぷりだっちゃ 」

ねこにゃー 「 それ元に戻っちゃってるにゃ。 あと二人だってサボる気マンマンだったにゃ 」

ももがー 「 まぁ基本的に私達はインドア派だから 」

ぴよたん 「 去年も一昨年も、マラソン大会を一緒に楽しもうとする仲間なんていなかったし 」

ねこにゃー 「 そうそう 」

ぴよたん 「 でも今年は戦車道の仲間がいるし、私達も仲間のためなら力になりたいと思うんだぴよ! 」

山郷 「 ふふっ……ありがとうございます m(_ _ )m 」

ねこにゃー 「 (*´Д`*) 」

ぴよたん 「 (*´∀`*) 」

ももがー 「 (*´ω`*) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:28:04.78 ID:hCip+/ix0<>
21:21〜

ねこにゃー 「 で、ボク達も大洗町リアカー駅伝に出場しよう、ってことになったけど、これからどんなスケジュールになるのかにゃ? 」

山郷 「 えーとですね、確か大会要領があるで、ちょっと待っててくださいね 」

ももがー 「 これナリ? 」


ももがー 〔 県立大洗女子学園 高等部 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 開催要領.pdf 〕


山郷 「 あ、それです 」

ももがー 「 学内HPにうPされてたナリ 」

ぴよたん 「 ももがーdクス 」

ももがー 「 えーっと、時系列をまとめると…… 」

ねこにゃー 「 一昨日、正式にリアカー駅伝大会が告知されて、昨日、山郷さんがボク達に声を掛けてくれて、今日、こうして作戦会議するメッセージグループ作るところまで来て…… 」

山郷 「 まずは4日後、来週の月曜までに、出場メンバーを生徒会に報告しなくちゃいけませんね 」

ももがー 「 なら明日にでも西住隊長に言って、戦車道チーム内で他に出場希望者がいないか確認してもらうナリ 」

ぴよたん 「 そうぴよね。 明日は金曜日だから、明日中に確認が取れれば、週明けの月曜にはすんなり報告が出来るっちゃ 」

山郷 「 きっと土日も生徒会の人達は学校に来てるでしょうから、土日でも報告は出来ると思いますよ 」

ねこにゃー 「 うは、生徒会の人達、休みの日まで仕事? 何の罰ゲームにゃ? 」

ぴよたん 「 そういえば生徒会の人達って、いつも誰かが生徒会室にいるぴよ。 休みの日でも深夜でも 」

ももがー 「 社畜というか生徒会畜ナリ…… 」

山郷 「 でも、生徒会のおかげで私達の学園艦は維持されているんですよね 」

ねこにゃー 「 今度 生徒会長に会ったら、ウスヤ肉店の串カツでも差し入れするかにゃ…… 」

ぴよたん 「 ウチの学校は副会長の小山さんの方が圧倒的に大変だから、副会長に差し入れた方が良いと思うぴよ…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:29:01.81 ID:hCip+/ix0<>
21:30〜

ももがー 「 そういえば、なんか特別ルールがあったナリね? 」

山郷 「 はい。 タスキ役の人が他チームから3回インク液を浴びると、その場で退場になるってルールがあります 」

ねこにゃー 「 こっちからインク攻撃する場合は、何か道具を使わないといけないんだっけ? 」

山郷 「 そうです。 “ 各科目の特徴をあらわす道具を使うこと ” っていうのが条件なんですが…… 」

ももがー 「 それ何てイカのゲーム……? (ボソッ 」

ねこにゃー 「 ヒゲの配管工がいる会社のゲーム……? (ボソッ 」

ぴよたん 「 それ以上はいけない 」

山郷 「 ??? 」

ねこにゃー 「 しまった、ゲーム好きでなければ分からないネタだったか 」

山郷 「 ええっと、それで私達も、戦車道らしい道具を使わなければいけないんですけど…… 」

ねこにゃー 「 なんだろう? 戦車道らしい道具を使ってインク液を浴びせるって 」

ぴよたん 「 普通に考えれば砲弾なんだろうけど 」

ももがー 「 さすがに砲弾にインク液詰めて投げつけるのは、無理があるナリね 」

山郷 「 そうですよね、あんな重い物、まず投げられないですしね 」

ねこにゃー 「 え、投げられるけど 」

山郷 「 えっ 」

ねこにゃー 「 えっ 」

ぴよたん 「 えっ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:29:30.97 ID:hCip+/ix0<>
21:35〜

ももがー 「 じゃあまぁ明日、私達が参加することを西住隊長に伝えて、晴れて私達が戦車道代表メンバーになったら、そのへんのことを追々考えるナリ 」

山郷 「 そうですね。 何の道具を使うかの報告は来週の金曜日までなので、まだ1週間くらいあります 」

ももがー 「 そのさらに1週間後には本番ナリね。 そう考えると意外に時間ないかも 」

山郷 「 今回、ウサギさんチームの皆も全面協力してくれるので、私達の方でもどんな道具を使ったらいいか、考えておきますね 」

ねこにゃー 「 ボク達も何か考えとくね。 タスキ役の山郷さんが扱えそうな道具か…… 」

ぴよたん 「 同時並行で、私達は少し身体を鍛えなおすぴよ。 膝を傷めない範囲で 」

山郷 「 ヒザ? 」

ねこにゃー 「 なんでもないにゃ 」

ももがー 「 ……無茶しやがって (AA略 」

山郷 「 あの、どこかケガされてるんですか? 」

ねこにゃー 「 膝の筋肉痛みたいなものだから、心配しなくても大丈夫にゃ 」

山郷 「 そうですか……でも無理はなさらないでくださいね 」

ぴよたん 「 気遣いが出来る1年生、ホント尊い…… 」

ねこにゃー 「 気遣いが出来る1年生、清らかすぎて思わず解脱しそう 」

ももがー 「 気遣いが出来る1年生と聞いて、呼ばれた気がした 」

ぴよたん 「 呼んでない 」

ねこにゃー 「 呼んでない 」

ももがー 「 (´;ω;`)ブワッ 」

山郷 「 あはは……それじゃ頑張っていきましょう! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:29:56.18 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:30:27.72 ID:hCip+/ix0<>
『 大野あや と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第1週 土曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:30:54.50 ID:hCip+/ix0<>
22:38〜

あや 「 もう寝ちゃった? 」

あゆみ 「 起きてるよー。 どうしたの? 」

あや 「 いやね、もう一回おめでとうって言っとこうと思って 」

あゆみ 「 リアカー駅伝大会の戦車道代表チームに正式に選ばれたこと? 今日の訓練後ミーティングの時にも言ってくれたじゃん。 でもありがと 」

あや 「 まぁね、仲間が偉業を成し遂げるのはやはり嬉しいのだよ 」

あゆみ 「 偉業ってなあにww 」

あや 「 ウサギさんチームから、ウチの戦車道チームの看板を背負う仲間が出たんだよ? 偉業でしょ? 」

あゆみ 「 偉業かなぁ? まだリアカー駅伝に出場するのが決定したってだけだよ。 それで一等賞取れたら偉業だと思うけどね 」

あや 「 そんときはパーティーしよう! 」

あゆみ 「 よろしくね! 楽しみにしてる♪ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:31:35.81 ID:hCip+/ix0<>
22:49〜

あや 「 西住隊長、今日のミーティングの時に小山先輩に電話掛けて、あゆみとアリクイさん達の名前を報告してたけど、ずいぶんホッとした顔してたね 」

あゆみ 「 うん。 出場希望者がいてくれて良かったって、西住隊長に何回もお礼言われちゃった 」

あや 「 その時のアリクイさんチームの3人、すごい照れてて可愛かったwwww 」

あゆみ 「 そうなんだよ! アリクイさん達は可愛いんだよ!! 」

あや 「 あゆみはすっかりアリクイさんチームの虜ですなぁ 」

あゆみ 「 素人はアリクイさんチームの良さがわからないの。 玄人ならわかるんだよ! 」

あや 「 何の玄人なの?wwww 」

あゆみ 「 ともかく、これで少しでも西住隊長達の負担が減らせたなら嬉しいな 」

あや 「 減らせたでしょう。 西住隊長だけじゃなくて、五十鈴先輩とか沙織ママとかも、なんかすごいホッとしてたし 」

あゆみ 「 それだけ先輩達の中で、リアカー駅伝のことが重荷になってたんだね。 ……そういえば、あや? 」

あや 「 なに? 」

あゆみ 「 いま気付いたんだけど……ここ数日、訓練中の紅白戦でさ、あんこうチームのW号が参加していないときあるでしょ? 」

あや 「 そういえばそうだね 」

あゆみ 「 あれも先輩達の負担軽減のためなのかな? 代わりにエルヴィン先輩や磯辺先輩、たまに梓に指揮を任せたりして 」

あや 「 うーん、どうなんだろう? ただの訓練のためって気もするけど……言われてみれば3日前くらいから急に増えたね、そんなこと 」

あゆみ 「 3週間後には黒森峰との練習試合があるのに。 あんこうチームの人達は練習しなくていいのかな? 」

あや 「 西住隊長のことだから、たぶん何か意味があるんだと思うよ 」

あゆみ 「 そうだといいんだけど……なんか気になっちゃってね 」

あや 「 あゆみはその前にリアカー駅伝があるでしょ? 今はそっちを気にしないとダメだよ 」

あゆみ 「 それもそうか、そうだよね 」

あや 「 そうそう、私たち、応援してるからさ 」

あゆみ 「 ありがと、あや 」

あや 「 いえいえ、どういたしまして。 ごめんね、寝る前にメッセージ送って。 頑張ってあゆみ! おやすみ ('ω')ノ 」

あゆみ 「 頑張る! おやすみ (*'ω'*)ノ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:32:01.22 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:32:35.67 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第2週 火曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:33:01.47 ID:hCip+/ix0<>
21:15〜

ももがー 「 ウチのチームが使う道具について、なにか考えついた人ー、挙手するナリー 」

ねこにゃー 「 無の境地…… 」

ぴよたん 「 明鏡止水…… 」

ももがー 「 つまり何も思い付かなかったってことナリね ( 溜息 」

ぴよたん 「 そういうももがーはどうなんだぴよ? 」

ももがー 「 流水制空圏…… 」

ねこにゃー 「 ほら、ももがーだって何も思いつかなかっ……え? 思い付かなかったんだよねそれ? 」

山郷 「 ごめんなさい、ウサギさんチームの皆にも考えてもらっているんですけど、みんな良い案が思いつかなくて 」

ももがー 「 どんまい! 」

ねこにゃー 「 ドンマイ! 」

ぴよたん 「 DO・N・MA・I ☆ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:33:35.08 ID:hCip+/ix0<>
21:18〜

ぴよたん 「 一応、思い付いた案があるにはあるんだぴよ 」

ももがー 「 お、さすが年長! 」

ねこにゃー 「 よっ! グラマラス美人!( 部分的に ) 」

山郷 「 部分的にって? 」

ねこにゃー 「 胸とか脇腹あたりとか二の腕とか 」

ぴよたん 「 決めた。 ねこにゃーがお昼ご飯の時に飲むペットボトルにアニサキスを入れる 」

ねこにゃー 「 やめて! あれ腸壁を食い散らかすんでしょ!? 」

ももがー 「 で、思い付いた案とは? 」

ぴよたん 「 戦車の砲弾の中にインク液を詰めて投げつけるぴよ。 着弾すると弾頭が弾けてインク液が爆散するという仕掛け付き 」

ねこにゃー 「 それ、爆散するのは相手の頭だと思う 」

ももがー 「 爆散しなくても戦車の砲弾喰らうだけで頭蓋骨が陥没するナリ 」

山郷 「 そもそも私、戦車の砲弾なんか投げられません…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:34:06.06 ID:hCip+/ix0<>
21:24〜

ぴよたん 「 生徒会による安全性チェックに合格するような物じゃないといけないから、私もダメかなーとは思ったぴよ 」

ももがーー 「 ううむ、そうナリね。 いざ考えてみるとこれがなかなか難しいナリ 」

ねこにゃー 「 インク攻撃の手段としては、何かでインク液をすくって浴びせるか、インク液を何らかの容器に詰めて投げつけるか…… 」

ももがー 「 あとは、スポンジみたいな素材にインク液を吸わせて投げつけるかナリ 」

山郷 「 なおかつ、相手がケガしないような配慮もしなくちゃいけません 」

ねこにゃー 「 うーん、難しい 」

ももがー 「 自動車部にお願いして、戦車型の放水ポンプ作ってもらうというのは? それをリアカーに乗せるっていう 」

ぴよたん 「 それ何sあるんだっちゃ? リアカー引っ張るのは私達ぴよ 」

ももがー 「 小っちゃく作ってもらえばどうナリ? 」

ねこにゃー 「 あんまり小さいと戦車っぽくなくなっちゃうし、放水ポンプ自体は戦車道で使ってる道具ってワケじゃないしにゃあ 」

ももがー 「 じゃあ、リアカー自体を戦車型の放水ポンプにしちゃうのは? 」

山郷 「 リアカーは改造禁止です 」

ももがー 「 困ったナリ……あとは考えつかないナリ…… 」

山郷 「 3日後の金曜日までには、どんな道具を使うのかを生徒会に報告しなければいけないので、ウサギさんチームの方でも真剣に考えてみます 」

ぴよたん 「 私達も、もう少し考えてみるぴよ 」

ももがー 「 そうだ、75o砲弾で考えるからダメなんだナリ。 7.7oの重機関銃弾を投げつけるのはどうナリ? 」

ねこにゃー 「 確かに1発1発は軽いけど、真鍮やら硬鉛やらで覆われているから、ぶつけられた方は痛いだろうにゃ 」

ぴよたん 「 ってことは、痛くない素材で覆われていればいいんだっちゃ 」

ねこにゃー 「 なるほど。 じゃあその辺りを軸にしてアイデアを出していこうかにゃー 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:34:36.26 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:35:12.54 ID:hCip+/ix0<>
『 宇津木優季 と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第2週 水曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:35:42.18 ID:hCip+/ix0<>
19:05〜

優季 「 あゆみ〜? 」

あゆみ 「 はいよー、ちょっと待って 」

優季 「 夕食中? 」

あゆみ 「 うん、チンジャオロースっぽい炒め物食べてる 」

優季 「 チンジャオロースっぽいって、チンジャオロースじゃないんだ? 」

あゆみ 「 冷蔵庫の中にあった野菜とウィンナーを細長く切って、チンジャオロースの素で炒めたから 」

優季 「 たしかにチンジャオロースっぽいね〜 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:36:10.41 ID:hCip+/ix0<>
19:18〜

あゆみ 「 ごめんね、お待たせ。 いま食べ終わったよ 」

優季 「 こちらこそごめんね。 そんな大したことじゃないんだけど 」

あゆみ 「 どうしたの? 」

優季 「 あゆみ、今日の昼間に、リアカー駅伝で使う道具の話してたでしょ? 砲弾を何か軟らかい素材で包むのはどうか、とかなんとか〜 」

あゆみ 「 うん、皆にいいアイデアがないか聞いたけど……もしかして、何か思いついた? 」

優季 「 思い付いたって程じゃないんだけど〜……私もね、さっきまで夕ご飯を食べてて、それで今、洗い物してたのね 」

あゆみ 「 ふむふむ 」

優季 「 それで、食器を洗うスポンジを見て、ふと思ったの。 砲弾を軟らかい素材で包むんだったら、初めから軟らかい素材だけにしちゃったらどうか、って 」

あゆみ 「 どういうこと? 」

優季 「 スポンジみたいな素材をね? 砲弾型に切り取って投げつけるのはどうかな、って 」

あゆみ 「 うーん。 それだと軽すぎて、遠くまで投げられなくない? 」

優季 「 インク液を吸わせればいいんだよ〜。 それで重みがつくから、そこそこの距離なら投げられるんじゃない? 」

あゆみ 「 なるほど! 」

優季 「 M3リーの37o砲の弾は、弾頭だけなら長さ10p程度でしょ? それをモチーフにしましたって言えば、家庭用スポンジとかで作れるし、どうかなって思って〜 」

あゆみ 「 優季、ナイスアイデアだよ! 」

優季 「 えへへ〜 ほめられちゃった〜 」

あゆみ 「 アリクイさんの皆に相談してみるね! ありがと、優季! 」

優季 「 どういたしまして〜 (^^) 応援してるよ〜 あゆみ〜 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:36:41.58 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:37:12.74 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第2週 木曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:37:38.05 ID:hCip+/ix0<>
20:38〜

ねこにゃー 「 ほんまウサギさんチームの子達は、出来る1年生ばかりやで…… 」

ぴよたん 「 コペルニクス的転回とはこのことやで…… ( たぶん ) 」

ももがー 「 ウサギさんチームの、チーム力ぅ……ですかねぇ…… 」

山郷 「 道具の件については、これで大丈夫でしょうかね? 」

ぴよたん 「 あとは生徒会がウンと言ってくれるだけだっちゃ 」

ねこにゃー 「 実物の砲弾じゃなくて、砲弾に似せたスポンジだからにゃあ。 戦車道らしくない!とか、イチャモンつけられないといいけども 」

山郷 「 あ、それは大丈夫だと思います。 今日、訓練始まる前に生徒会室に行って、これで大丈夫か確認してきましたから 」

ねこにゃー 「 ほんま山郷さんは出来る子やで…… 」

ぴよたん 「 コペルニクス的転回とはこのことやで……( たぶん違う ) 」

ももがー 「 山郷さんの、あゆみ力ぅ……ですかねぇ……( なんだこれ ) 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:38:18.63 ID:hCip+/ix0<>
20:42〜

ぴよたん 「 弾頭型のスポンジにインク液を吸わせて投げつける、って方法は良いとして、あとはそのスポンジ弾を本番までに量産しないといけないぴよ 」

ねこにゃー 「 インク液って、事前に貰うことが出来るんでしょ? 」

山郷 「 そうみたいですね。 他の何チームかは、すでにインク液を貰っていってるみたいです 」

ねこにゃー 「 ならばボク達も貰いに行って、あらかじめスポンジ弾にインク液を含ませておくにゃ。 それならあとは投げるだけで済むし 」

山郷 「 そうですね、そうしましょう 」

ももがー 「 そういえば、私たちって何色のインク液が貰えるナリ? 」

山郷 「 えーと、緑と茶色が混ざったような……確かオリーブドラブ色って聞きました。 なので、私たちのチームカラーも、そのオリーブドラブ色になります 」

ねこにゃー 「 戦車とかの軍用車両のカラーにゃ 」

ももがー 「 私達らしいナリ! 」

ぴよたん 「 スポンジ弾の製作はどうするぴよ? 」

山郷 「 アリクイさんチームの皆さんにはトレーニングに専念していただきたいので、スポンジ弾の製作はウサギさんチームで対応します 」

ねこにゃー 「 いいのかにゃ? 」

山郷 「 せめてこれくらいはやらせてください(;'∀') 今週末の休みに皆でホームセンター行って、スポンジ買い占めてきます! 」

ぴよたん 「 申し訳ないぴよ 」

ももがー 「 よろしくナリ! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:39:02.40 ID:hCip+/ix0<>
20:48〜

ねこにゃー 「 となると……生徒会への報告関係と、道具の安全性チェックはクリア出来るとして、あとは本番に向けた作戦会議だにゃ 」

ももがー 「 まず決めなきゃいけないのは発走順ナリ 」

山郷 「 西住隊長の話だと、各区に障害物が設置してあって、第一区走者はリアカーの操縦に長けた人、第二区走者は力が強い人が良いって話です 」

ねこにゃー 「 ふむ、ってことは 」

ももがー 「 ペリスコープと操縦桿を! レッツラまぜまぜ! 我こそは操縦手! できあがり! 」

ぴよたん 「 腕力と砲弾を! レッツラまぜまぜ! 我こそは装填手(と砲手)! できあがり! 」

山郷 「 了解です。 第一走者にももがーさん、第二走者にぴよたん先輩ですね 」

ねこにゃー 「 ずるぅい! ボクもプリキュアの仲間になりたぁい! 」

山郷 「 必然的に、第三走者(アンカー)がねこにゃー先輩になりますね 」

ももがー 「 山郷さんのスルースキル、ここ数日でウナギ登りしたナリね…… 」

ぴよたん 「 ちなみに第三区はどんな走者が有利なんだっちゃ? 」

山郷 「 それが、第三区の障害物のヒントだけは無かったみたいで…… 」

ももがー 「 それぞれ走る距離はどんなもんナリ? 」

山郷 「 全長約12qで、各区とも4q程度です。 ちなみにスタートとゴールの位置は、大洗港フェリーターミナルですね 」

ももがー 「 一人4q、リアカーを引っ張るナリか 」

ねこにゃー 「 それにインク液が入った容器とスポンジ弾のストック、あと山郷さんを積んで走るわけだから……結構しんどいかもにゃ 」

山郷 「 すっ、すみません……本番当日に向けて、なるべくダイエットしようと頑張ってはいるんですけど……(;´Д`) 」

ぴよたん 「 いいんだっちゃ。 山郷さんの重みは命の重み。 ありがたく引かせてもらうぴよ 」

ねこにゃー 「 普段ゲーム世界に生きている我々が、命の実感を得る瞬間でありますなぁ 」

ももがー 「 ちなみに、山郷さんじゃなくて私を積んで走る場合はどうなるナリ? 」

ぴよたん 「 スポンジ弾と間違えてぶん投げる可能性が大 」

ねこにゃー 「 スポンジ弾と間違えなくてもぶん投げる可能性が大 」

ももがー 「 アリクイさんチームのチーム力ぅ……どこいったんですかねぇ…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:39:33.30 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:40:03.43 ID:hCip+/ix0<>
『 阪口桂利奈 と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第3週 月曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:40:39.72 ID:hCip+/ix0<>
10:45〜

桂利奈 「 アユミ、大変だ! 」

あゆみ 「 ちょっと桂利奈、授業中だよ? 」

桂利奈 「 マナーモードにしてるでしょ? それにこの授業、おばあちゃん先生だから大丈夫! 」

あゆみ 「 まぁこの先生ならバレないと思うけど……どうしたの? 」

桂利奈 「 さっきトイレ行ったとき、華道取ってる子の話をチラッと聞いたんだけど 」

あゆみ 「 うん 」

桂利奈 「 ウチの学校の華道とか香道とか仙道とか、そういう文化系の科目がね? なんか一緒になって発表会やるんだって 」

あゆみ 「 へえ、面白そうだね 」

桂利奈 「 その会場に、あんこうチームの先輩たち5人と、W号戦車が派遣されるかもしれないって 」

あゆみ 「 え? えーとそれは……なんで? 」

桂利奈 「 なんかコラボするみたい。 戦車使ってお花活けたり……お茶立てたり? 」

あゆみ 「 あんまり想像できないけど……すごいね、私たちも見に行きたいね 」

桂利奈 「 問題なのは、その日程 」

あゆみ 「 日程? 」

桂利奈 「 その発表会、黒森峰との練習試合の日にかぶってる 」

あゆみ 「 え? うそ? 」

桂利奈 「 うそじゃないみたい。 私も気になったからその子に直接聞いたんだもん 」

あゆみ 「 ……西住隊長、黒森峰との練習試合を楽しみにしてたよね? 」

桂利奈 「 うん 」

あゆみ 「 W号戦車も派遣されちゃうんじゃ、あんこうチーム全員、練習試合は不参加ってこと…? 」

桂利奈 「 いや、それがまだどうも確定してないっぽい 」

あゆみ 「 ……どういうこと? 」

桂利奈 「 うーんとね、アユミとアリクイさん達にかかってるみたい 」

あゆみ 「 え? 」

桂利奈 「 あんこうチームの先輩達、今度のリアカー駅伝大会の景品になってるんだって 」

あゆみ 「 ……ちょっと桂利奈、お昼ご飯食べたら一緒に生徒会室に付き合って 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:41:23.62 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:41:57.87 ID:hCip+/ix0<>
『 角谷杏から 西住みほに送られたメール 』


10月 第3週 月曜日   送信時刻 13:05
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:42:35.01 ID:hCip+/ix0<>

西住ちゃん、ごめん。

さっき、ウサギさんチームの山郷ちゃんと阪口ちゃんが生徒会室に来て、例の勝負について聞かれちゃった。

洗いざらい喋っちゃったので、あとヨロシクね。





いつもごめんね、西住ちゃん。

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:43:08.12 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:43:43.07 ID:hCip+/ix0<>
『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第3週 月曜日
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:44:36.86 ID:hCip+/ix0<>
20:45〜

ももがー 「 えー、それではご唱和ください。 生徒会の安全性チェッククリアを祝して! 乾杯! ( カルピスソーダーグビー 」

ねこにゃー 「 いーえー ( ダイエットコーラグビー 」

ぴよたん 「 ぱふぱふぱふー ( CCレモングビー 」

ももがー 「 これでスポンジ弾は問題なく使えるようになったナリ 」

ぴよたん 「 あとは、ウサギさんチームにスポンジ弾の量産をお願いするのと 」

ねこにゃー 「 当日の作戦を立案するだけにゃ 」

山郷 「 ………… 」

ぴよたん 「 ほら、山郷さん、笑って笑って 」

ももがー 「 山郷さんは笑顔が一番似合うナリ! 」

ねこにゃー 「 そうだにゃ! 笑う門には福来る、スポンジ弾に秋の空、ってね! 」

ぴよたん 「 意味わかんないけど、なんか素敵な言い回しぴよね 」

ももがー 「 そうナリね、意味わかんないけど 」

ねこにゃー 「 そうでしょそうでしょ? はっはっはっ 」

山郷 「 ……ごめんなさい、ぴよたん先輩、ねこにゃー先輩、ももがーさん 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:45:11.71 ID:hCip+/ix0<>
20:55〜

ももがー 「 あー、どうしてこうウチの戦車道チームは、負けたらアウトな勝負ばかり受けるのだろううか? 」

ねこにゃー 「 というか、ボク達が関わる戦車道の勝負事って、全部こんな感じだよね 」

ぴよたん 「 たぶんこの中に疫病神がいる! じっちゃんの名にかけて! 」

ももがー 「 こんな信用できない奴らの中にいられるか! 私は自分の部屋に閉じこもらせてもらう! バタン! (死亡フラグ) 」

ねこにゃー 「 おいおいおい 」

ぴよたん 「 死ぬわアイツ 」

ももがー 「 以上、ここまでテンプレ 」

山郷 「 ……本当にごめんなさい。 私、そんな賭け事が裏にあったなんて、ぜんぜん知らなくて…… 」

ももがー 「 山郷さんが謝る必要はどこにもないナリよ 」

ねこにゃー 「 そうだにゃ。 強いて言えば、こんな大会を企画した生徒会が悪いんだにゃ 」

ぴよたん 「 まー、説明を聞く限りでは、生徒会だって問題山積みの現状を打破するためにやったことなんだから、今回は誰も悪くはないんだっちゃ 」

山郷 「 でも私達が負けたら……西住隊長達は黒森峰との練習試合に出られなくなってしまいます 」

ねこにゃー 「 いやまぁ……確かにそうなんだけど…… 」

ぴよたん 「 勝ったら勝ったで “ 戦車道は文化発表会に手を貸さなかったの? うーん、ダメ科目 ” っていうレッテルを貼られそうぴよ 」

ももがー 「 最近のW号戦車抜きでの模擬戦が多かった理由は、こういう事情があったナリね…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:45:42.64 ID:hCip+/ix0<>
20:51〜

山郷 「 西住隊長、今度の黒森峰との練習試合をすごい楽しみにしてたって……あんこうチームの先輩達から聞きました 」

ももがー 「 そういえば西住隊長って……このあいだ黒森峰女学園に行ってなかったっけ? 」

ぴよたん 「 行ったぴよ。 “ 全国大会でお世話になったんだからお礼を言いに行け ” って会長命令のアレっちゃね 」( ※ ドラマCD3参照 )

ももがー 「 今度の練習試合についても、その時に向こうからお願いされたって言ってたナリね 」

ねこにゃー 「 なんでも現在の黒森峰は、“ 真の西住流 ” ってのを体得したらしいので、西住さんは対戦するのを楽しみにしていたらしいにゃ 」

山郷 「 それだけじゃないんです。 先日の黒森峰訪問のときに、向こうの隊長さん達とは仲良く出来たらしいんですけど、一般隊員の方々とはあまり喋れなかったって…… 」

ねこにゃー 「 あー……西住さんのことだから、かつては向こうの一般隊員の中にもたくさん友達がいたんだろうにゃぁ 」

ももがー 「 そうか、だから今度の練習試合は、旧交を温めるチャンスだったわけナリね。 試合するのに学外との変なしがらみも無いし 」

ぴよたん 「 学外に変なしがらみは無いけど、学内に変なしがらみが出来ちゃったぴよねぇ…… 」

山郷 「 うぅ……… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:46:22.41 ID:hCip+/ix0<>
20:57〜

ぴよたん 「 その文化発表会とやらは、なんであんこうチームとW号戦車を指名したぴよ? 」

ももがー 「 そりゃまぁ、ウチの学校で知名度がピカ一だからナリよね 」

山郷 「 そうみたいです。 文化発表会を例年以上に成功させるために、言い方がアレですけど、先輩達には客寄せパンダになってもらうってことみたいで 」

ねこにゃー 「 ふむ…… 」

山郷 「 ひょっとしたら、あんこうチームの先輩達に文科系科目の愉しさを知ってもらいたい、とか、そういう目的もあるのかもしれませんけど 」

ねこにゃー 「 ふむふむ…… 」

山郷 「 第一の目的は集客だって、角谷会長は仰ってました 」

ねこにゃー 「 ふむふむふむ…… 」

ももがー 「 おや、ねこにゃー先生? ずいぶんと悪い顔をしていらっしゃいますが、どうしました? 」

ぴよたん 「 悪い顔なのは元からだっちゃ 」

ねこにゃー 「 うっさいにゃ 」

ももがー 「 で? 」

ねこにゃー 「 いやね? 知名度さえあれば、別にあんこうチームとW号戦車じゃなくてもいいのかなって思って 」

山郷 「 それはー……たぶんそうだと思います 」

ももがー 「 でも今、ウチの学校の中で、あんこうチーム以上に有名な人達はいないナリよ? 」

ねこにゃー 「 そりゃそうだけど、ちょっと思ったんだにゃ 」

ぴよたん 「 何がぴよ? 」

ねこにゃー 「 瞬間最大風速でなら、知名度であんこうチームを上回れる可能性があるんじゃないかって 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:46:51.37 ID:hCip+/ix0<>
21:11〜

ももがー 「 瞬間最大風速? 」

ねこにゃー 「 要するに、長い目で見たらあんこうチームの知名度は不動だろうけども、そのうちの1週間くらいならボク達でも話題をかっさらえるんじゃないか、ってことにゃ 」

山郷 「 え? え? 」

ぴよたん 「 あーなるほどぴよ 」

ももがー 「 わかったナリ 」

山郷 「 どうやって? 」

ねこにゃー 「 ほら、ボク達が主役になれるうってつけのイベントが、今週の金曜にあるでしょ? 」

山郷 「 あ 」

ぴよたん 「 しかも、おあつらえ向きに、大洗町リアカー駅伝大会の1週間後が文化発表会の開催日だぴよ 」

ねこにゃー 「 もしボク達が、リアカー駅伝大会で人気を集めるような戦い方が出来れば、その後1週間くらいは、あんこうチーム並みに注目してもらえるかもしれないにゃ 」

ももがー 「 そうなれば、文化発表会には私達が出席して、あんこうチームは練習試合に参加できるって寸法ナリね 」

ぴよたん 「 どうせなら生徒会の奴らに約束させちゃったらいいんだぴよ。 私達が負けたときだけ条件が付いて、勝った時のことは何も決まってないんだから 」

ねこにゃー 「 それもそうだにゃ。 もしボク達が優勝したら、文化発表会には出てやるからアリクイさんチームと三式中戦車で我慢しろ、って言ってやろうにゃ 」

ももがー 「 落ちドコロとしては、そのあたりが一番良いかもナリ 」

山郷 「 ………ぴよたん先輩、ねこにゃー先輩、ももがーさん 」

ねこにゃー 「 ん? 」

ぴよたん 「 なんだぴよ? 」

山郷 「 本当に……本当に、ありがとうございます!! 」

ねこにゃー 「 ふふふ、たまにはボクも先輩らしいところを見せるのにゃ 」

山郷 「 どうしよう、私、いま、涙で文字が見えません 」

ももがー 「 ウチの戦車道チームの中で、私達がイチバン影薄いんだから、ここらで存在感をアピールするのも悪くないナリ! 」

山郷 「 わたし、アリクイさんチーム、だいすきです!! 」

ぴよたん 「 山郷さんこそ、あまり尊いアレで私達を褒めると、そろそろ二人目の子供が生まれるぴよ 」

ねこにゃー 「 だからどういう理屈なんだそれ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:47:23.09 ID:hCip+/ix0<>
21:27〜

ぴよたん 「 そうなると、ただ単に勝つだけではダメだってことぴよね 」

ねこにゃー 「 そのとおりにゃ。 出来るだけ劇的に、観客の記憶に残るような勝ち方が必要だってことにゃ 」

ももがー 「 少年漫画の王道と言えば、最後に大逆転で勝つストーリーだけども 」

ねこにゃー 「 ザッツライト。 なので、今回はそれを最初から実践しようと思います 」

山郷 「 えーと、最初からって言うのは? 」

ねこにゃー 「 スタートからいきなりビリにつけてゴールするまでに1位になる作戦、開始しまぁす! ( 西住ヴォイス ) 」

ぴよたん 「 長い長い、作戦名が長いぴよww 」

ももがー 「 おおぅ、またシビアな作戦を提案するナリね、このニセ隊長は 」

ねこにゃー 「 いやね? 人気取りの目的以外にも、一応理由はあるんだにゃ 」

ぴよたん 「 ほう、どんな? 」

ねこにゃー 「 たぶんだけど、ボク達の戦車道代表チームって、他チームから真っ先に狙われる気がする 」

ももがー 「 なにゆえ? 」

ねこにゃー 「 まず今回、現時点で文科系5科目と敵対関係にあるにゃ。 あと最近は、戦車道チームに向けられる周囲の目が厳しいでしょ? 」

山郷 「 う…… 」

ぴよたん 「 まぁ、他科目にとって、予算が足りないことの当て擦り対象くらいには、見られているぴよね 」

ももがー 「 戦車道チームの中にふざけた格好の隊員がいる、って難癖つけられるくらいには、まぁ厳しいナリね 」

山郷 「 それは! 」

ねこにゃー 「 いいんだ、山郷さん。 ボク達は痛くも痒くもない。 それよりもボク達のために怒ってくれてありがとうね 」

山郷 「 ……アリクイさん達はずるいです。 わたし、さっきからずっと泣きっぱなしです 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:47:49.91 ID:hCip+/ix0<>
21:36〜

ねこにゃー 「 そんなわけで、他チームから集中砲火を浴びる可能性があるワケです 」

ぴよたん 「 なるほど。 それで変に中途半端な順位につけて、前と後ろからインク液の攻撃を浴びるよりかは 」

ももがー 「 ビリっけつにつけて、前方の敵を順々に片付ける、もしくはタイミングを見て抜き去るって作戦ナリね? 」

ねこにゃー 「 Exactly ( そのとおりでございます ) 」

ぴよたん 「 そうなると、タスキ役同士のバトルは不可避ってことぴよね 」

ももがー 「 山郷さんの負担を減らすためにも、他チームがどんな攻撃してくるか考えておくべきナリね 」

山郷 「 が、がんばります!! 」

ぴよたん 「 敵チームの攻撃内容をあらかじめ想定しておくのは、戦車道の試合でも同じことだっちゃ。 同じ要領でちょっと考えてみるぴよね 」

ももがー 「 あとはコースの下見ナリ。 どこでどう仕掛けるか、障害物ポイントはどの辺りになるのか、事前に見当を付けておくナリよ 」

ねこにゃー 「 あらかじめ敵チームの攻撃手段とコース内容を予想しちゃう作戦、開始しまぁす! ( 西住ヴォイス ) 」

ももがー 「 だから作戦名が長いナリwwww 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:48:20.77 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:49:05.37 ID:hCip+/ix0<>
『 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 撮影動画.mp4 』


撮影日付 : 10月 第3週 金曜日

所有者 : 大洗女子学園 放送部




【 再生 】
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:50:41.26 ID:hCip+/ix0<>
王 「 ……あーあー、マイクテスマイクテス。 アメンボ赤いなあいうえお、隣のカキは良く客喰うカキだったっと 」

放送部員 「 それどんな人喰い柿ですか。 はい、本番いきまーす。 カウントダウン、5、4、3、……… 」


( キューのサイン )


王 「 今日の大洗町は澄み渡る秋の青空が広がっております。 まさにスポーツの秋を満喫するには絶好の天気でしょう。 広いグランド光る汗、くじけずやろうよ体育祭、そんな感じの標語が今頃、全国の学校で叫ばれていることかと思います。 しかし大洗女子学園では、これから体育祭を超える体育祭、いわば超体育祭とでも言いましょうか、そんな常識を覆すようなスポーツイベントが行われようとしています!
 その名も 『 大洗町リアカー駅伝大会 』!!
 ここ、茨城県大洗町の街中を舞台に、純情可憐な本校の女子高生達が、自分の所属する科目の意地と誇りをかけて戦うという、そんなスポーツの秋に一石を投じようというイベントが開催されます!
 実況はワタクシ、県立大洗女子学園高等部の放送部に所属する王大河がお送りします! それと…… 」

角谷 「 はーい、みんなの生徒会長、角谷杏だよー 」

王 「 なんと、特別ゲストとして角谷生徒会長にお越しいただきました! 」

角谷 「 みんな〜 楽しんでいってね〜 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:51:37.51 ID:hCip+/ix0<>
王 「 さて角谷会長、現在、中等部によるマラソン大会が行われているところですが、高等部については急にマラソン大会ではなくなってしまいましたね? これはどんな理由があったんでしょうか? 」

角谷 「 いやー、ウチの学園艦、いろいろあってさー、お金なくなっちゃったんだよねー 」

王 「 ほほう、本校の財政が逼迫していることと、今大会がリアカー駅伝大会に代わってしまったことに、何か関係があると? 」

角谷 「 苦しい時の大洗町頼みってやつだよ。 今回、大洗町内のいろんなお店から大会スポンサー料をいただいてね? それを財源にして予算が足りなくて困っている科目を助けようって魂胆なんだ 」

王 「 なるほど! スポーツ選手がスポンサー名の入ったユニフォームを着て、それで得たスポンサー料を活動経費に充てるのと同じわけですね? 」

角谷 「 そのとおり〜。 今回ご協力いただいたお店や企業には、この場を借りて厚くお礼申し上げまっす 」

王 「 本当にありがとうございます! 」

角谷 「 なもんで、生徒会としては、スポンサー様のお名前を広くPRしなくちゃいけないんだけどね 」

王 「 コース沿いに刺さってるのぼり旗とか、会場のあちこちに設営されている屋台とかに、スポンサー様の名前が刻まれているのはそういう意味なんですね。 なぜかアンツィオ高校の屋台もありますけども 」

角谷 「 あと、様々なメディアにも取材に来てもらっているんだよ 」

王 「 えー、手元の取材受入リストを見ますとですね、茨城ケーブルテレビ、茨城インターネットテレビ、茨城ラジオ放送局、地元新聞各社、水戸地域情報誌、おっと四大紙の記者の方も来ていますね。 それとー…… 」

角谷 「 あそこに見えるのは、月刊戦車道の記者だね。 今日は戦車一台も出てこないんだけど、どうして取材に来たんだろう? 」

王 「 大洗女子学園は二度の廃艦危機を戦車道で救った、という経緯がありますからね。 それだけ注目されているのでは? 」

角谷 「 まぁ、ウチの学校は戦車道もそれ以外の科目も、みんな楽しくやってるんだよってことを伝えてもらいたいね 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:52:10.38 ID:hCip+/ix0<>
王 「 と言っている間に、中等部のマラソン大会が終わりを迎えたようです。 これから高等部のリアカー駅伝大会の準備に入るわけですが、角谷会長、この駅伝はいろいろと趣向が凝らされているようですね? 」

角谷 「 そうなんだよね〜。 このイベントは、戦車道以外の9科目も面白いんだよってことを世間に広く知ってもらいたいって目的もあるから、それに沿った工夫をしているんだよ 」

王 「 ただの駅伝ではなく、リアカーを引いたり、そのリアカーに人が乗ってインク液をかけ合ったりするのは、その工夫だと 」

角谷 「 そのとおり! 」

王 「 なるほど〜。 ちなみにインク液をかける際には、各チームともなにか面白い道具を使うと聞いておりますが? 」

角谷 「 それもそのとおりだね。 どんな道具が使われるのかは、本番までのお楽しみってやつだ 」

王 「 いやーワタクシ、実にワクワクしてまいりました! 」

角谷 「 その調子でどんどん盛り上げていってちょうだい 」

王 「 さて、コース設営中のこの時間を利用して、出場チームの紹介に参りましょう! えーと、まだ各チームともタスキ役のメンバーが現れておりませんが……? 」

角谷 「 タスキ役の人の衣装も、本番までのお楽しみだよ〜 」

王 「 とのことです! なので、各チーム、走者の皆さんの様子をカメラで映しながら、ご紹介していきたいと思います! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:52:48.42 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.1、茶道代表チーム! チームカラーは茶道の「さ」の字、茶色です!

履修生人数で言ってしまうと第9位、つまり下から2番目という、本校ではマイナーな科目に見られている茶道部ではありますが、禅の精神によって鍛えられた腰の据わりっぷりには定評があります!

その精神的、あるいは肉体的安定感が、今大会でどう活かされのでしょうか!?

それと茶器といえば様々な種類がありますからね! どんな道具を使ってインク攻撃を繰り出すのかも気になるところです!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:53:17.74 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.2、書道代表チーム! チームカラーは橙色! 習字のお稽古で先生に修正されるときの、あの鮮やかなオレンジ色です!

履修生人数で言えば第8位! やはりこちらも本校内ではマイナーに見られている書道部であります!

ご存知のとおり運動要素は一切なく、下馬評ではリアカー駅伝に最も不利な科目と評されている書道チームですが、日常的に使っている墨汁はインク液と非常に親和性が高い!!

つまり、インク液の扱いならば全科目一といっても過言ではないでしょう!

そんな書道チームがどんな戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみです! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:53:46.53 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.3、華道代表チーム! チームカラーは紅に咲き誇るバラのごとく、赤色です!!

履修生人数はなんと第2位! それもそのはず、華道といえばかつては乙女が嗜む三大道の一つとして数えられており、その人気はここ大洗女子学園でも揺るいでおりません!

ただし今大会、人気と強さは比例しない!! インク液を飛ばす道具もおそらく花瓶を使うのだろうと、そんなふうに読めてしまう単純さに今大会でどう影響するのでしょうか!?

極楽鳥花のような極彩色の派手なバトルを見せてくれることに期待しましょう! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:54:15.38 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.4、香道代表チーム! チームカラーは緑色!

本校における履修生人数は、他の追随を許さない堂々の第1位だ!

華道とともに乙女が嗜む三大道の一つとして数えられていた香道は、今でも不動の人気を維持しつつ大洗女子学園内に鎮座ましましております!!

香道は、天然香木の香りを鑑賞するその行いに、礼儀作法や立居振る舞いなどを厳しく求める一つの芸道と認識されており、茶道に近い精神性を感じるものでもありますが、しかし人気の上では茶道を大きく引き離す香道です!

我々の取材によりますと、先の廃艦騒動で大洗女子学園を救った戦車道チームの隊長、軍神 西住みほさんでさえも、戦車道を選択していなければ香道を選択していた、という噂があるとかないとか!!

香道代表者チームの強者らしい戦いに注目していきましょう!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:54:50.52 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.5、仙道代表チーム! チームカラーは紫!

世間的にはマイナーと見られるこの仙道、しかし大洗女子学園では履修生人数 第7位! そこそこ人気があります!!

仙道というと、本来の定義では不老不死の仙人になるという道教の修行法を指すわけですが、このご時世ですと、そういうトンデモチックなものに日の目が当たることは少ないのでしょう!
 
今やすっかり健康増進のための気功術、という向きが強くなってまいりまして、そんな仙道のことを 「 なんかヨガっぽい何か 」 と形容するのはさすがにザックリし過ぎでしょうか!?
 
噂によれば、気功を操るエース級がタスキ役になるとのこと。 その実力、期待いたしましょう!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:55:26.63 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.6、合気道代表チーム! チームカラーは白い胴着が鮮やかに映える、白色です!!
 
履修生人数は第6位ながら、運動系5科目の中では、今年復活した戦車道を抜かせば履修生人数は最下位です!

それならばと、今大会では人気獲得に向けて何やら秘策を練ってきたとのこと!

大いに活躍してほしいところですが、合気道といいますとインク液を飛ばすための道具がまったくイメージできません!

いったいどうやってインク液を飛ばすのでしょうか!? こちらも非常に気になるところです!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:56:00.65 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.7、弓道代表チーム! チームカラーは黄色!!

古くから大和撫子が嗜む武芸の一つとされている弓道は、ここ大洗女子学園でも履修生人数 第4位という、歴史に裏打ちされた人気を誇っております。

そして弓道をイメージさせる物と言えば、100人に聞いたら100人ともこう答えるでしょう! 弓矢であると!!

インク攻撃に使われる道具も、まず間違いなく弓矢になるだろうと目されております!

その長い長い射程距離は今大会随一です! 厄介な長距離攻撃となるであろう弓道チームの攻撃に、他チームはどう対処するのでしょうか!? 注目です! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:56:43.50 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.8、長刀道代表チーム! チームカラーは紺袴にしっくりなじむ、青色だ!! 

履修生人数は第3位ですが、運動系5科目の中では最上位!! 人気の上では運動科目最強となります!!

そしてこちらも長刀道といったらやはり長刀でしょう! すでにリアカーの上に用意されているので間違いなく長刀を使うのだと思われますが、問題は攻撃範囲の短さです!

近距離攻撃だけで果たしてゴールまで辿り着けるのか!? 長刀を持った戦乙女の戦いがもうすぐ始まります!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:57:12.11 ID:hCip+/ix0<>
王 「 出場No.9、忍道代表チーム! チームカラーは闇に紛れる黒色です!!

履修生人数は上からも下からも5番目という、大洗女子学園の中では最も平均的人気の科目です!

そんな、いまいち人気科目になりきれない鳴かず飛ばずの忍道ですが、俊敏性と動体視力なら全10科目中トップと評されております!

しかし、体力とパワーを必要とする今大会においては、果たしてその長所を活かせることができるのか!?

さあ、今日は忍びの神髄をとくと見せてもらいましょう!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:57:43.63 ID:hCip+/ix0<>
王 「 そして最後の出場No.10、戦車道代表チーム! チームカラーは戦車にふさわしいオリーブドラブ色です!!

履修生人数は全10科目中、ダントツの最下位! その数たったの32名! 我が校の高等部の生徒数は約9000人ですから、わずか0.4%です! しかしそれもそのはず、今年誕生したばかりの科目であります!

隊長の西住みほさん以外全員素人という本校の戦車道は、まったく素人とは思えない破竹の勢いをもって強豪校達を打ち破り、先の全国大会では見事 全国制覇を成し遂げました!

その後、本校存亡の危機を迎えた大学選抜戦でも勝利し、最近では本艦に乗ると試合に勝てるとかいう変な噂が広まって、神頼みに来た不法入艦者が増えた、なんて話も聞いております!!

出場してくれるのは、三式中戦車を駆っていたアリクイさんチームの3人、プラス、1年生が1人!

エンジン駆動ではなくガチの人力でリアカーを駆らなくてはいけない今大会、戦車道チームはどう戦ってくれるのでしょうか!? 大注目です!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 22:58:15.87 ID:hCip+/ix0<>
王 「 以上10チーム、この天高く馬肥ゆる秋の空のもと、大洗町内に設置されたコースを駆け抜けます。 各チームとも走者は3人。 他チームからのインク攻撃を掻い潜り、リアカーに乗ったタスキ役の子を最初にゴールへと連れて行ったチームが優勝になります 」

角谷 「 コース自体はマラソン大会のコースをそのまま使うんだけどね〜。 所々ちょーっと細工してあるから、みんな楽しみにしててね〜 」

王 「 現在我々は、ここ大洗港フェリーターミナルの大駐車場に設置されている実況席におりまして、ここから目と鼻の先、あのターミナルの入出場口がこのリアカー駅伝コースのスタート地点とゴール地点となっております 」

角谷 「 道の真ん中に受付員用のちっちゃなプレハブが設置してあるところね 」

王 「 そこから各区4q、全長約12qをリアカーで引いて走らなければならないという、非常にハードなレースになると見られている今大会です 」

角谷 「 果たして何チームが帰ってこれるかねぇ 」

王 「 おおっとぉ、角谷会長から不穏な発言が飛び出したぞ!? これは波乱必死の試合模様になりそうです! 」

角谷 「 お、カンペだ。 ……うん、おっけー。 大河ちゃん、コースの準備完了だってさ。 そろそろ始めようか 」

王 「 おお! ただいまリアカー駅伝大会のコースセッティングが終了したとの情報が入りました! 」

角谷 「 んじゃあ、まずはタスキ役の子達に来てもらおうか。 かもーん、タスキ役〜 」

王 「 実況席の横にあったステージのカーテンが、今、ちょっとずつ左右に開いて……?  ああーっっとぉ、これはぁぁぁ!? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:01:23.04 ID:hCip+/ix0<>
王 「 各科目を代表する純情可憐な乙女たちが、ななな、なぁーんとぉ!? 10人揃ってあんこうスーツだぁぁぁ!! 」

角谷 「 いやー、大洗町内を走り回るっていったら、やっぱこの格好でしょうww 」

王 「 ピッチピチ! ピッチピチです!! 体のラインが出まくりです!! 少なくとも私は恥ずかしくて着れません!! 」

角谷 「 ちなみにね、ただのあんこうスーツじゃないんだよ。 へいカメラさん! ちょっと彼女らをズームしてくれる? 」

王 「 そういえばスーツのあちこちに何やら文字が……ああーっっと!! これは!? スポンサー様のお名前だぁぁぁ!! 」

角谷 「 今回ね、支払ってくれたスポンサー料に応じて、タスキ役の子の身体のどこに名前を入れられるのかが決まっているんだよ 」

王 「 ほほう、どのようにですか!? 」

角谷 「 このフリップを映してくれる? 」


( フリップの内容↓ )


  胸 ・ お尻 ・ 額 ・ 肩 ・ お腹 ・ 太腿 ・ 腕 ・ 背中 ・ 後頭部

  スポンサー料多い ←         → スポンサー料少ない

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:02:01.45 ID:hCip+/ix0<>
王 「 このフリップを見ますと、スポンサー料を支払った金額が最も高かったお店、あるいは企業様は、あそこの乙女達が着るあんこうスーツのおっぱ……えー胸部にロゴが入る、ということですね 」

角谷 「 そのとおりだよん 」

王 「 これにはどのような意図があるんでしょうか? 」

角谷 「 ほら私達、スポンサー様のお名前をアピールしなくちゃいけないでしょ? そのお名前が女子高生のおっぱいとかお尻とかに書いてあるとするでしょ? カメラクルーがタスキ役の子を映すとき、ロゴが入るようにカメラに収めなきゃいけないでしょ? なるべくアップで。 あとはわかるな? 」

王 「 策士だぁぁぁ!! この生徒会長、女子高生のお色気を、スポンサー料というお金に替えるお色気錬金術師だったぁぁぁぁ!! 」

角谷 「 はてなんのことやら? 私はスポンサー様のお名前を効率良くアピールしたいだけだよ? 」

王 「 ともすれば耳なし芳一のような不気味さが漂いかねないこのアイデア、しかしあそこに佇む乙女達の恥ずかし気な表情は、周りすべてピンク色に塗り替える破壊力を秘めています!! 」

角谷 「 仮に画面いっぱいに、あの子たちのオパーイやらオシーリやらが映ったとしても、それはスポンサー様の名前をPRしたいだけなので合法です。 よろしくね〜取材の人たち〜 」


( 取材陣が満面の笑顔で親指をグッっとする映像 )


王 「 これは視聴率が大変なことになりそうだぁ! 我が放送部も負けていられません! カメラ班! まかせたぞ!! 」

角谷 「 ちなみにあのあんこうスーツね、一人一人違ったスポンサー名が入っているわけではなくて、全員まったく同じ衣装を着てるからね 」

王 「 すべてのスポンサー様の名前を、ゴールまで連れて行く配慮ですね!? 」

角谷 「 そのとおり。 それじゃあタスキ役の人、それぞれのチームのリアカーに乗ってちょうだいな〜 」

王 「 さあ、刻一刻とスターターピストルが鳴る時刻が迫ってきました! なお、今大会では全10機による撮影ドローンを配備しており、各チームの臨場感溢れる試合模様を詳細に撮影しております!! そちらの動画も合わせてお楽しみいただければ幸いです!! 」

角谷 「 位置についた? よし、かーしまー、あとよろしく〜 」

河嶋 「 わかりました会長! ではお前達、準備はいいか!! これより第一回 大洗町リアカー駅伝大会をスタートするが、本校生徒らしく貞淑な女性の模範として…… 」

角谷 「 かーしま、長い。 じゃあスタート〜〜 」


( パーンッ! というスターターピストルの音 )


河嶋 「 かっ、会長〜! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:02:57.51 ID:hCip+/ix0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:03:42.08 ID:hCip+/ix0<>
『 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 戦車道代表チーム撮影ドローン動画.mp4 』


撮影日付 : 10月 第3週 金曜日

所有者 : 大洗女子学園 放送部




【 再生 】
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:04:35.59 ID:hCip+/ix0<>
ももがー 「 おー飛んでる飛んでる。 そういえばこの撮影ドローン、月刊戦車道で見たナリね。 確かタンカスロンとかで使われるようになったとか…… 」

山郷 「 ……ももがーさん 」

ももがー 「 山郷さん、お疲れ様ナリ。 それじゃあ頑張っていこうナリ! 」

山郷 「 ……………… 」

ももがー 「 がっ、頑張っていこうナリ! 」

山郷 「 ………せめてこの格好に何かツッコんでください…… 」

ももがー 「 あー………ナ……ナイススタイル? 」

山郷 「 わーん!! 」( 泣 )
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:05:24.68 ID:hCip+/ix0<>
ももがー 「 まぁまぁ、確かにちょっと恥ずかしい格好だけど、ここであんこうスーツを持ち出したことには意味があるんだと思うナリよ 」

山郷 「 ぐす……どんなですか? 」

ももがー 「 いろんなアピール効果の倍増。 あとは、このスーツならインク液を被ったときに一目でわかるでしょ? 」

山郷 「 確かに、これなら他チームからインク液を浴びたときに、観客からもわかりますね 」

ももがー 「 生徒会は、よくもまぁこんな手の込んだイベントを思いつくものナリねぇ 」

山郷 「 私達の学園艦を守ろうと、必死なんだと思います 」

ももがー 「 それで自分があんこうスーツを着ることになったとしても? 」

山郷 「 ぐっ…………そ……それはっ……角谷会長達なりの、必死さの表れだと……! 」

ももがー 「 ヘッツァーに乗ってるカメさんチームを見てると、まぁそれもわかる気はする……あ、いや、どうかな? 」

山郷 「 ……ふふふっ 」

ももがー 「 へへっ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:06:02.34 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 スポンジ弾はどうなっていますか? 」

ももがー 「 あらかじめインク液を吸わせたスポンジ弾は、この箱の中に入っているナリ。 あとはそっちのインク液が入った容器に、詰められる分だけ押し込んだナリ 」

山郷 「 ということは、私はこの箱か容器に手を突っ込んでスポンジ弾を取り出して、敵チームのタスキ役の人に向かって投げつけるだけってことですね 」

ももがー 「 取り出すときにインクが手に付いちゃうけど、それはアウトカウントにならないってことだったナリね? 」

山郷 「 はい。 あくまで他チームのインク液を浴びた時がアウトカウントになります 」

ももがー 「 同じチームから連続して2回インク液を浴びた場合は? 」

山郷 「 2アウトってカウントされます。 ただし、最初のアウトから次のアウトまで5秒以上空いていないとノーカンです 」

ももがー 「 1回アウトを喰らっても、同一チームからの攻撃だったら、アウトから5秒間は無敵ってことナリね 」

山郷 「 そうです 」

ももがー 「 異なる2チームから連続してインク液を浴びちゃった場合は? ]

山郷 「 最初のアウトから5秒経ってなくても、2アウトってカウントになります 」

ももがー 「 了解ナリよ〜 」



角谷 『 それじゃあタスキ役の人、各チームのリアカーに乗ってちょうだいね〜 』



ももがー 「 さてさて、それじゃあデっ発に備えますかね 」

山郷 「 ……ねえ、ももがーさん 」

ももがー 「 どうしたナリ? 」

山郷 「 私達、同級生ですよね 」

ももがー 「 そうナリね 」

山郷 「 私、ももがーさんと、もっと友達になりたい。 だから私の事、もっと、こう、アリクイチームの人達みたいに……くだけた感じで……その…… 」

ももがー 「 ちょっ、こ、このタイミングでそんなこと言われたら、て、照れるナリ…… 」

山郷 「 ダメですか? 」

ももがー 「 あー…… 」

山郷 「 ……ダメ? 」

ももがー 「 …………アユミン 」

山郷 「 え? 」

ももがー 「 今から山郷さんのことを、アユミンって呼ぶナリ。 だから私のことはももがーで良いよ 」

山郷 「 ……うんっ、ももがー! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:07:15.16 ID:hCip+/ix0<>
( パーンッ! というスターターピストルの音 )


ももがー 「 そんじゃ行くナリ! アユミン!! 」

山郷 「 よろしくね! ももがー!! 」



王 『 さあ、ついに始まりました大洗町リアカー駅伝大会! いま高らかなスターターピストルの音が鳴り響き、各チーム一斉に走り出しました! 』

角谷 『 スタート直後は団子状態になるからね。 200m先の文化センター前交差点を右折して、サンビーチ通りを500m走るところまでは、インク攻撃は禁止になっているよ 」

王 『 全車、いま文化センター前交差点を鮮やかに右折して、どんどんとサンビーチ通りを大洗ホテル方面へと進んでいます! 』



ももがー 「 作戦通り、ビリっけつの10番目につけたけど…… 」

山郷 「 あんまり離されちゃうと挽回するのが難しくなっちゃうから、後位グループの後を付かず離れずって感じでいこう! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:07:55.41 ID:hCip+/ix0<>
王 『 各車まとまった状態のままサンビーチ通りを直進していきます。 この先、大洗海鮮市場の前まで来ますと、いよいよ血で血を争う……ではなかった、インク液をインク液で争う戦いが始まります! 』

角谷 『 タスキ役の子達がソワソワしだしたねぇ 』

王 『 現在、先頭は忍道代表チーム、やはり身体能力がものをいうのか! 続いて華道チーム、香道チームと続いております! 』

角谷 『 まだそんなに集団はバラけてないけど、ちょっとずつ後位グループが形成されつつあるよ 』

王 『 そうですね、後位グループを形成しそうになっているのは、 現在の最下位の戦車道チーム。 戦車を扱わせれば全国一だが、やはり身体を使った運動競技には無理があるのでしょうか? その戦車道チームの前を、茶道チーム、長刀道チーム、弓道チームが走っております 』



ももがー 「 そろそろ大洗海鮮市場の前に来るよ! 最初の相手は茶道、長刀道、弓道になるナリ! 」

山郷 「 うん! まかせて! 」

ももがー 「 想定通りなら、茶道も長刀道もインク液をそんなに遠くまでは飛ばせないはず! 気を付けるのは弓道ナリね! 」

山郷 「 弓矢だと遠距離からでも攻撃できるもんね。 私の力だと、スポンジ弾の有効射程は13mくらいだから、こっちの射程に入るまでは身をかがめておくね! 」

ももがー 「 その方がいいナリ! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:08:24.48 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、いま最後尾の戦車道チームが大洗海鮮市場の前を通り過ぎた! ここからが本当の闘いの幕開けだ! 』

角谷 『 この感じだと、最初は後位グループで一波乱ありそうかな? 』

王 『 後位グループにいるチームの道具を見ていきますと、まず茶道チームは……茶碗です! 茶碗でインク液をすくって、浴びせようという作戦のようです! 』

角谷 『 あの茶碗だけど、無駄に良い茶碗を持って来たらしいよ 』

王 『 落として割ったらどうするんでしょう! ううん? いまその茶碗でインク液をすくって……? 回したぁぁ!! あれはお抹茶を飲むときにお茶碗を3回くらい回すやつだぁぁぁ!! 』

角谷 『 ちゃんと走者の人からお茶菓子もらって食べてるねぇ 』

王 『 なんと! こんなリアカーの上でもワビサビの心を忘れない! 大洗女子学園の茶道は実にタフネスです!! 』

角谷 『 茶碗割った場合の補填は、100円ショップで売ってる茶碗にするからね〜 』

王 『 続いて長刀道チーム! タスキ役の人が凛々しく長刀を構えておりますが……あれはあのまま使ったら危ないですよね? 』

角谷 『 長刀の先端に付いている刃の部分を良く見てごらん? 』

王 『 刃の部分? ……あぁ! スポンジで出来ている! 』

角谷 『 あのスポンジ製の刃にインク液を染み込ませて、直接斬りかかろうってことなんだろうね 』

王 『 実に長刀道らしい! 今大会でも戦乙女を地で行く長刀道チームです!! 』

角谷 『 攻撃範囲は長刀が届く範囲になっちゃうから、あの近距離攻撃しかできない長刀じゃあ今大会では不利かもしれないねぇ 』

王 『 続きまして弓道チーム! これは見なくてもわかります! すでに弓矢を構えているぞ! 』

角谷 『 これも長刀道と同じ理屈で、矢じりの部分がスポンジで出来ているんだね。 人に当ててもケガしないことは確認済みだよ 』



ももがー 「 だいたい想定通りの攻撃手段ナリ! 作戦ポイントまではこのまま行くナリよ! 前の3チームが近づいてきた時は、スポンジ弾で牽制するナリ! 」

山郷 「 わかった! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:08:58.88 ID:hCip+/ix0<>
王 『 全車が進むこのサンビーチ通りは、この先で大きく左にカーブした後、大洗ホテルを横目に大洗鳥居下交差点を迎えます 』

角谷 『 今のところは各車、適度な間隔が空いているね 』

王 『 そうですね。 やはりアウトが積み重なるのが怖いのか、まだどのチームも目立った行動には移っていませんね 』

角谷 『 いまは様子見ってとこだろうね。 近寄らないと攻撃できないチームは、その分、反撃も食らいやすいから迂闊に近づけないんだろうね 』

王 『 そうしている間にも、先頭グループは大洗鳥居下交差点を右折して、大洗海岸通りへと入っていきます! 」



ももがー 「 この先の交差点を右折するから、しっかり捕まってるナリ! 」

山郷 「 了解! ……って、ももがー? あのリアカー、なんか近づいてきている気がする! 」

ももがー 「 長刀道のリアカー! 交差点を過ぎた辺りで攻撃を仕掛けてくる気ナリね! アユミン、迎撃翌用意! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:09:31.41 ID:hCip+/ix0<>
王 『 大洗磯前神社の御祭神、大己貴命(おおなむちのみこと)にまるで見下ろされているかのような、ここ県道108号線、大洗海岸通りでは、各チームのリアカーがしのぎを削って一歩でも前へと駆け抜けていきます 』

角谷 『 大洗シーサイドホテルの弾痕が痛々しいねぇ。 思わずプラウダ高校に損害請求したくなる有り様だね 』

王 『 あの状態でも一応営業はしているみたいですよ? 』

角谷 『 全室、窓ガラス吹っ飛んでるのに? 』

王 『 その大洗シーサイドホテルの前を、先頭の忍道チームが通り過ぎようとしています! そして!? おおぉっと、後位グループの方で動きがあったみたいだぞ!? 」

角谷 『 おおー、今大会のファーストバウトだねー 』



ももがー 「 アユミン! これ以上スピード落としたら挽回出来なくなるから、タイミング見て抜き去るナリよ! 」

山郷 「 長刀の攻撃範囲には なるべく入らないでね! 」

長刀道チーム 「 いざ尋常に勝負! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:10:01.35 ID:hCip+/ix0<>
王 『 長刀道代表チームのリアカーが戦車道チームへ近づいていきます! 』

角谷 『 そろそろ山郷ちゃんの射程範囲に入るね 』



山郷 「 今日までウサギさんチームのみんなと修行してきた成果、見せてやるんだから! 」

ももがー 「 修行っていっても、ゲーセンのストラックアウトで肩のコントロールを鍛えただけナリが 」

山郷 「 いいの! 10球に1球は狙った的に当たるようになったんだから! 」

ももがー 「 そうだったナリね。 そんじゃま、砲撃開始ナリ! 」

山郷 「 えいっ! このっ! このっ! 」



王 『 さあ、戦車道チームのリアカーに乗る可愛らしいあんこうスーツのタスキ役が、スポンジ弾を投げ始めました! 』

角谷 『 足場の不安定なリアカーの上で投げているから、数撃たないと当たらないと思うけど……おや、意外にストライクが入ってる 』

王 『 有効弾コースがちょいちょい混じる戦車道チームの攻撃! 一方の長刀道のタスキ役は……おおこれはスゴイ!! 』



山郷 「 うそ!? 」

ももがー 「 マジナリか!? あの変な長刀でスポンジ弾を叩き落としているナリ! 」

長刀道 「 そろそろこちらからいくぞ! 」

山郷 「 きゃっ!! 」


王 『 おおぉーっとぉ! 長刀による横薙ぎの一撃! だが戦車道チームのタスキ役、ギリギリでかわしたぁ! 』

角谷 『 至近距離での戦闘は、戦車道チームに分が悪いね 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:10:38.76 ID:hCip+/ix0<>
王 『 長刀道 VS 戦車道、ギリギリの攻防を続けながら、リアカーは大洗ゴルフ倶楽部へと続くY字路を大洗公園側へと進んで行きます! 』

角谷 『 第一区もそろそろ半分を消化するね。 中継地点まで残り約2qだけど、その前に障害物が設置されているポイントがあるよん 』

王 『 おや、後位グループにいる茶道チームと弓道チームが、長刀道チームと戦車道チームの争いに近づいていきますよ? 』

角谷 『 障害物ポイントに到達する前に攻撃を仕掛けようって腹なのかも 』



山郷 「 ももがー! このままじゃ茶道チームと弓道チームからも攻撃受けちゃうよ! 」

ももがー 「 弓の射程範囲に入っちゃう前に、この長刀道チームをなんとかしたいナリね……! 」

山郷 「 スポンジ弾を投げても全部はたき落とされちゃうし…… 」

ももがー 「 ってことは、はたき落とされないようにすればいいわけナリね 」

山郷 「 え? 」

ももがー 「 アユミン、捕まって 」

山郷 「 ちょっ、なにする…… 」

ももがー 「 ……もぉーーもぉーーがぁぁぁぁぁっっ!! 」


王 『 ああぁぁーっと! 戦車道チームのリアカーが長刀道チームに体当たりだぁぁぁ!! その反動でタスキ役の子達がバランスを崩している!! 」


ももがー 「 アユミン、いま!! 」

山郷 「 くっ、了解! えいっ!! 」


王 『 ヒットォォォ!! 長刀道チームのあんこうスーツに、オリーブドラブ色の弾痕が付いたぁぁ! 戦車道チーム、長刀道チームに初インクを付けました! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:11:41.75 ID:hCip+/ix0<>
ももがー 「 チャンス! このタイミングナリ! おおおおおおぉぉぉぉぉ!! 」


王 『 さあ戦車道チーム、ここでチャンスだとばかりに長刀道チームを抜き去り、どんどん距離を離していく! そして今、茶道チームから距離を取りながら……これも抜いたぁぁ!! 』


長刀道チーム 「 ぬかった! しかしまだ……ぐぅっ!? 」


王 『 あーっとぉ!? 長刀道チームに黄色いインクの矢が刺さった! 弓道チームが放ったスポンジ矢が長刀道チームを狙い撃ちぃ! 長刀道、あっという間に2アウトだ! 」

角谷 『 あらら、まだピンチは終わらないみたいだね 』

王 『 後がなくなった長刀道チーム……ですが!? そんなピンチの長刀道チームに茶道チームが近づいていくぞ!? 』

角谷 『 あ、茶道チームのタスキ役の子、茶碗でインク液をすくって、律儀に3回まわしているねwwww 』

王 『 そして攻撃態勢になる茶道チーム! 一方の長刀道チームも長刀を構え直す! 』

角谷 『 茶道チームもあれじゃあ射程距離は短いからね。 近距離での殴り合いになるね、これ 』

王 『 両チーム、得物を振りかざしてぇ、いまっ……相打ちだぁぁぁ!! 』

角谷 『 やっぱり、まぁこうなるわな 』

王 『 茶道チームのあんこうスーツに青い斬撃痕を付けた長刀道チーム! しかし代わりに茶色いインクのお抹茶を浴びてしまったぁぁ!! これで茶道チームは1アウト、長刀道チームは3アウトです! 早くも脱落チームが出てしまいました!! 』

角谷 『 今の、弓道チームと茶道チームによる連携攻撃のように見えたね 』

王 『 連携攻撃? ということは、弓道チームと茶道チームは協力体制にあるということでしょうか!? 』

角谷 『 そうみたいだね。 でも文化系の茶道チームが運動系の弓道チームと結託したっていうのは驚きだ 』

王 『 それはなぜでしょう? 』

角谷 『 今大会ね、文化系科目同士の結託なら不思議じゃないんだけどさ、それ以外に結託しているチームがあるとするなら、たぶん、共通の倒したい相手がいるんだろうね 』

王 『 力を合わせて共通の敵をやっつけようと!? その共通の敵とは一体どこのチームなんでしょうか!? 』

角谷 『 良くも悪くも話題が尽きない戦車道チーム、だろうねぇ。 他の科目にとってはここぞとばかりにアレコレできる絶好の機会だし 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:12:28.11 ID:hCip+/ix0<>
王 『 長刀道チームが早くも脱落し、残り9チームとなった大洗町リアカー駅伝大会! 大洗ゴルフ倶楽部を左手に、大洗公園を右手に見ながら、全車とも海沿いの道を軽快に駆け抜けていきます! 」

角谷 『 現在の順位を上から見ていくと、忍道、華道、香道、合気道、仙道、書道、弓道、戦車道、茶道 って順番になっているよ 』

王 『 その中で先頭グループは忍道、華道、香道。 中位グループは合気道、仙道、書道。 後位グループが弓道、戦車道、茶道、ですね 』

角谷 『 まぁこの順位も、この先の障害物ポイントで変わると思うんだけどねぃ。 ほら、まずは1つめの障害物が出てくるよん 』

王 『 おや、コースが大洗公園内へと引き込まれていきます。 先頭グループがいま、大洗海岸通りを外れて大洗公園へと入っていきました 』



ももがー 「 アユミン! 茶道チームは引き離したからいいとして、前にいる弓道チームの射程には入ったままナリ! 」

山郷 「 わかってる! 」

ももがー 「 弓道チームの真後ろにつけるので、私を盾にして矢を防ぐナリよ! 」



王 『 戦車道チームの第一区走者、ももがー選手! 後ろに乗るタスキ役の子に指一本触れさせまいと、走りながら自分自身が盾代わりになってスポンジ矢の攻撃を防いでいます! 』

角谷 『 走者はインク攻撃をくらってもノーカンだしね〜。 その陰に隠れちゃえば、直線的な攻撃しか出来ない弓矢じゃ狙えないってわけだ 』



ももがー 「 アユミン、この先の大洗公園だけど……はぁっ、はぁっ 」

山郷 「 予想通り、障害物ポイントになってるみたい! 」

ももがー 「 そうナリね。 だから作戦通りここで仕掛けるナリが、何が起こるかわからないから警戒を厳とするナリ! 」

山郷 「 了解! 中継地点までもうちょっとだから頑張って! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:13:04.28 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、いま後位グループも大洗公園に入り、コースはそのまま大洗海岸へと続いていく!! 』

角谷 『 大洗海岸は、夏には海水浴客で賑わう砂浜が広がっているんだけど、今回はそこに鉄板を敷いて、リアカーを走らせやすくしてあるんだよ 』

王 『 秋の陽光に照らされながら、全車砂浜を駆け抜けていきます。 そして……おおぉっと? 先頭グループの先に何かが見えてきました! 』

角谷 『 第一の障害物ポイントだよ〜 』

王 『 砂浜に直径40m程の、浅くて大きな窪みが掘ってあります! そしてその窪みに、幅10p程の板のような物が一定の間隔で何本も渡されている! 』

角谷 『 あの細長い板の設置間隔は、リアカーのタイヤの間隔に合わせてあるよ。 ちなみに穴の深さは30p程度だから、リアカーが落ちてもまぁケガとかはしないだろうけど 』

王 『 これはつまり、あの細長い板にリアカーのタイヤを上手く乗っけて、そのまま板を渡り切らねばならない、ということですね? 』

角谷 『 そのとおり〜。 板から脱輪した場合は、その場で走者とタスキ役の人が協力して脱輪復帰させてね〜 』

王 『 ちょうど板を渡る少し手前の位置に、水着を着た女の子がプラカードを持っています。 プラカードには “ ここからインク攻撃禁止エリア ” と書いてありますね 」

角谷 『 板を渡っている途中のチームにはインク攻撃しちゃダメってことね。 ちなみに水着の女の子は水泳部の子に協力してもらってるよ〜 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:13:31.33 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、先頭グループがこれから板渡りに挑戦します! 上手くタイヤを板の上へ乗っけて……あぁーっと脱輪! 華道チーム、脱輪です! 』

角谷 『 その先でも忍道チームが脱輪してるね 』

王 『 必死に脱輪を復帰させようと、走者、タスキ役の子が協力してリアカーを持ち上げていますが……その横をゆっくりゆっくり、香道チームが追い抜いていきます! 』

角谷 『 でもおっかなビックリ板を渡ってるから、ずいぶんノロノロ運転だ 』

王 『 そんな先頭グループを視界に収めながら、いま中位グループが障害物ポイントに到着しました! 合気道チーム、仙道チーム、書道チームがこれから板渡りに挑戦します! 』

角谷 『 どのチームの走者も足にきはじめちゃってるからね。 リアカーの操縦がブレブレになっちゃってるだろうから、香道チームみたいにゆっくりでも着実に進んだ方がいいのかもね 』

王 『 なるほど! いやしかし合気道チーム、ズンズンと進んでいきますね! 体幹バランスならば任せておけとばかりのスピードですが……ああぁっと! 合気道チームも脱輪だぁ! 』

角谷 『 いわんこっちゃない 』

王 『 合気道チーム、素早く脱輪復帰作業に取り掛かります! そんな合気道チームを、ゆっくりした調子で仙道チームと書道チームが追い越していきます! 』

角谷 『 こういう精神集中が求められるアトラクションは、文化系科目の方が得意かもしれないねぇ 』

王 『 そんな文化系科目の一つ、香道チームがいま板を渡り切りました! 一呼吸ついて、最初の中継地点に向けて元気に駆け出していきます! 』

角谷 『 お、続いては華道チームか。 忍道チームを抜かして2位で板を渡り切ったね 』

王 『 その後ろを慌てて忍道チームが追いかけます! そしてここで、この障害物ポイントに後位グループが姿を現したぞぉ! 』



山郷 「 あの板を渡れってことみたい! 」

ももがー 「 なるほど、そういう障害物ナリか! 」

山郷 「 脱輪しちゃうとかなりの時間ロスになっちゃうけど…… 」

ももがー 「 上手くいけば、逆に順位を上げるチャンスナリ! ノンストップでいくナリよ!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:14:27.69 ID:hCip+/ix0<>
王 『 先頭グループに続いて、いま、書道チームと仙道チームが板を渡り切りました! 先程脱輪してしまった合気道部も少し遅れて……いま板を渡り切った! 順位を一つ下げ、慌てて中継地点へと駆け出します! 』

角谷 『 お、弓道チームが脱輪したね 』

王 『 弓道チーム、脱輪復帰作業に取り掛かります! そしてその後ろを……ああぁぁっとぉぉ!? 』



ももがー 「 おおりゃぁぁぁぁぁぁ!!! 」

山郷 「 いけえっ! 」

ももがー 「 これがアニメなら、瞳の中で桃のシードが割れるところナリよ!! 」



王 『 これはすごぉぁい!! 戦車道チーム、まったくスピードを落とさず、板を渡り切ろうとしています!! 』

角谷 『 いやぁ、さすがアリクイさんチームの操縦手だ 』

王 『 戦車の操縦手だと、この障害物ポイントは有利なんですか!? 』

角谷 『 戦車ってのは馬鹿デカいのに公道走ることがあるからね。 それの操縦手は車体感覚が磨かれるんだよ。 だからリアカーの車幅を把握して真っ直ぐ走らせることくらいワケないってことだね 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:14:59.15 ID:hCip+/ix0<>
王 『 戦車道チーム、いま弓道チームを追い越して……ノーミスで板を渡り切ったぁぁ! そしてまったく勢いを落とさず中継地点へと向かいます! 』

角谷 『 合気道チームに追いつける距離だ。 これは中継地点までにもう一波乱あるかな? 』



ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ! 」

山郷 「 すごい! すごいよももがー!! 」

ももがー 「 はぁっはぁっ……ま……まあね……はぁっはぁっ 」

山郷 「 中継地点まであと1q! これならまだもう一チームくらい抜かせ……きゃぁ!! 」

ももが 「 !? 」


王 『 ああぁぁっとぉぉ!? 戦車道チーム、1アウトぉぉ!! あんこうスーツの背中に茶色いインク! これは、茶道チームだぁぁ! いつのまにか茶道チームが戦車道チームのすぐ後ろに付けていたぁぁ!! 』

角谷 『 なんとまぁ、茶道チームも勢いを殺さないでノーミスで板を渡り切ったんだ。 やるねぇ〜 』

王 『 これは凄いぞ茶道チーム! やはり集中力が桁違いなのか!? それとも肉体的精神的安定感が抜群だからなのか!? いやいやジャパニーズ・ワビサビの精神が何かアレしたのかぁぁ!? 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:16:02.29 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 ゴメンももがー! 油断してた……! 」

ももがー 「 ドンマイ! でもこの近距離はマズい! スピード上げて茶道チームを引き離すナリよ! 」

山郷 「 うん! 前の合気道チームはどうする!? 」

ももがー 「 合気道チームはインク攻撃に使う道具が見当たらないナリ! どんな方法でインク攻撃するのかわからないけど、射程はそう長くないはずナリ! 」

山郷 「 わかった! そしたら私は、ひとまず茶道チームを迎撃するね! 」



王 『 茶道チームのお抹茶攻撃を喰らってしまった戦車道チーム、反撃開始です! しかしこれは……スポンジ弾が防がれている! 射線を茶道チームの走者が邪魔しています!! 』

角谷 『 あー、あれだと茶道チームの走者が盾になっちゃってるねぇ 』



山郷 「 えいっ! このっ! もうっ! 」

ももがー 「 どうしたナリ!? 」

山郷 「 いっぱい投げてるんだけど、茶道チームの走者が邪魔で、その後ろにいるタスキ役の子に弾が当たらないよぅ! 」

ももがー 「 ……曲射!! 」

山郷 「 え? 」

ももがー 「 だから曲射! いっぱい!! 」

山郷 「 !!! ……オッケー!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:16:42.05 ID:hCip+/ix0<>
王 『 おや戦車道チーム、スポンジ弾を投げるのを止めてしまったぞ? そして……アンダースローで上へ放り投げ始めた? それもいっぺんに沢山だ! 」

角谷 『 なるほど、迫撃砲か 』

王 『 角谷会長、迫撃砲とは!? 』

角谷 『 障害物の向こうにいる相手を攻撃するため、山なりに弾を撃って、敵に上から弾を当てるって武器だ。 ここではスポンジ弾を沢山投げることによって、面攻撃で相手の逃げ場を無くそうって魂胆だね 』

王 『 上へと放り投げられた沢山のスポンジ弾が、いま茶道チームのリアカーへと降りそそぐ!! 』

角谷 『 いくらバランス感覚が良いっていっても、狭いリアカーの荷台じゃ逃げ場所がないね 』

王 『 ヒットォォォ!! 茶道チーム、2アウト!! オリーブドラブ色の砲弾の雨からは逃れられなかったぁ!! 』



ももがー 「 さすがはM3リーの砲手ナリね! 」

山郷 「 M3リーはこんな曲射出来ないよぅ! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:17:17.88 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、正面にはアクアワールド大洗水族館を捉え、コースはまた大きく左にカーブします。 その先、祝町交差点を左折しておよそ250m、大洗祝町郵便局の前が第一中継地点となっております 』

角谷 『 先頭グループが交差点に差し掛かったよ 』

王 『 レースはもう間もなく次の第二区走者へと引き継がれるところに来ております! そして……後位グループではまだ戦闘が続いていますね! 」

角谷 『 中継地点もインク攻撃禁止エリアだから、その前にやっちまおうって考えだろうね 』

王 『 戦車道チームと茶道チームが争いながら、いま合気道チームの後ろに付いたぞぉ! 』



ももがー 「 はぁっはぁっはぁっ……合気道チームの真後ろに付いたけど……さすがにこの近距離はマズイナリかねっ……はぁっはぁっ 」

山郷 「 ど……どうしよう……! 」

ももがー 「 はぁっはぁっ……どうしようって……いったって……ん? 」

山郷 「 あれ、合気道チームのタスキ役の人……なんかジェスチャーしてる? 」

ももがー 「 タイミング合わせて、横にどけ……ってことみたいナリね……はぁっはぁっ 」

山郷 「 どうする? 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ……信じてみるナリ……アユミン、カウント指示して 」

山郷 「 わかった! いくよ? 3……2……1……いま! 」

ももがー 「 ぬりゃぁぁぁぁ!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:17:50.17 ID:hCip+/ix0<>
王 『 おぉぉっと戦車道チーム、急に車線変更だ!! そしてぇ!? ……あぁぁヒットォ! 茶道チーム、3アウトです!! あんこうスーツに白色のインクぅぅ!! 』

角谷 『 合気道チームの攻撃だね。 戦車道チームが車線変更して場所が空いたから、合気道チームの射線が茶道チームに通るようになったんだ 』

王 『 え!? いや、しかし、合気道チームは道具を使った形跡がありませんよ!? 一体どうやって!? 』

角谷 『 合気道チームのタスキ役の子、手の平に白インクが付いているでしょ? あれが答え 』

王 『 それはどういう……? あ、ここでリプレイが見れるようです。 ……おぉぉぉ!? これはなんだぁぁ!? 』



山郷 「 なに……あれ……? 」

ももがー 「 マジナリか……手の平でインクをすくって、それをちょっと曲がる波動拳みたいに飛ばしやがったナリ! 」



王 『 ワタクシ、ひとつなぎの大秘宝的な漫画で見たことありますよ!? アレ! 』

角谷 『 撃水だね。 魚人空手の 』

王 『 なんと大洗女子学園の合気道!! 極めると魚人空手が使えるようになるのかぁぁぁ!? 』

角谷 『 人気獲得に向けて秘策を練ってきたってのは、このことだったんだねぇ 』

王 『 ともあれ、これで茶道チームは脱落!! 第一区残りわずかで、今度は合気道チームと戦車道チームが戦闘を始め……いや、していないぞ!? 』

角谷 『 なるほど、合気道チームはパフォーマンス狙いで来たか 』

王 『 どういうことでしょう、角谷会長!? 』

角谷 『 今大会、優勝しても特に賞金とか無いからねぇ。 だったら始めから勝負を捨てて、観客へのアピールに徹しようと考えたんだね 』

王 『 しかし、なにか戦車道チームのピンチを救うような行動も見えましたが、あれは? 』

角谷 『 ただ単に、敵チームを討ち取る見せ場が欲しかっただけかもしれないけど……戦車道チームに感謝の気持ちを見せたかったのかも、って思いたいね 』

王 『 あれ? 先程、戦車道チームは共通の敵だとかって仰っていませんでしたか? 』

角谷 『 敵視してるチームもあれば、感謝してるチームもあるってことだよ 』

王 『 そんな凄いワザを繰り出した合気道チーム、戦車道チームに道を譲るように、少しずつ後退していきます 』

角谷 『 このまま後位グループで最後まで戦うつもりかもしれないね。 その方が長くレースできて、見せ場を稼げるし 』

王 『 さあ、先頭グループではすでに走者のバトンタッチが行われている! 1位、香道チーム! 2位、華道チーム! 」

角谷 『 忍道チームもよくやるなぁ。 3位通過だ 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:18:35.95 ID:hCip+/ix0<>
王 『 走者が次々と第二区走者へ移り変わっていきます! 命のバトンならぬ命のあんこうスーツ! ここでそんなおっきなバトンを無事受け渡すことが出来るのは、合計8チームになりそうだ! 』

角谷 『 後位グループが中継地点にやってきたよ 』

王 『 すでに大激闘を繰り広げている戦車道チーム!! 長刀道チームと茶道チームに攻撃を命中させ、弓道チームと合気道チームを追い越して、なんとビリから6位に追い上げてきました! さすがは戦車道チーム、生身の脚にも無限軌道が付いていると言わんばかりの、そんな逞しい突破力を見せております!!』

角谷 『 ももがーちゃん、1年生であの走りっぷりは大したもんだね〜 』



ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ!! 」

山郷 「 ももがー! ラストスパート!! 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……おおおおおおお!! 」

ぴよたん 「 ももがー! こっちだっちゃー!! 」



王 『 戦車道チーム、中継地点へと到着しました! いま、リアカーを第二区走者へ引継ぎます! 』

角谷 『 6位通過ならまだまだ上を目指せるね 』



ぴよたん 「 ナイスランぴよ! あとは任せるぴよ!! 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ!! 」

ぴよたん 「 おっし山郷さん、準備はいいっちゃ!? 」

山郷 「 はい! ……ももがー! ありがとう!! 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ……と……とっとと……パンツァーフォーナリ……はぁっ、はぁっ、はぁっ…………いってらっしゃい…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:19:16.70 ID:hCip+/ix0<>
王 『 まるでF1のピットインのような素早さで各チーム走者交代し、リアカーが出発していきます。 それにしても第二区走者はガタイの良い子が多いですね、角谷会長 』

角谷 『 第二区の障害物ポイントは、ちょっと力のある子じゃないと厳しいからね〜 』

王 『 しかしそんな中、戦車道チームの第二区走者はそれほどガタイが良いようには見えませんが 』

角谷 『 って思うでしょ〜? ぴよたんは脱いだら凄い系なんだよ〜? 』

王 『 確かに力強い走りを見せています、戦車道チーム! 第二区ではどんな波乱を巻き起こすのか、期待して見ていきましょう! 』



山郷 「 よろしくお願いします、ぴよたん先輩! 」

ぴよたん 「 こちらこそヨロシクぴよ! 山郷さん! 」

山郷 「 あゆみでいいです! 」

ぴよたん 「 え? 」

山郷 「 私達、仲間です! だからあゆみって呼んでください! 」

ぴよたん 「 ……じゃあ、アユミンで! 」

山郷 「 ……ふふふっ 」

ぴよたん 「 え、嫌だった? 」

山郷 「 ううん、嬉しくて! さっき、ももがーにも同じこと言われました! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:19:42.29 ID:hCip+/ix0<>
王 『 各チーム、祝町いささかりんりん通りを南西の方角へと走っていきます。 コースはこの先、東光台前交差点を右折して磯浜さくら坂通りへと入り、臨海大洗鹿島線 大洗駅方面へと続いていきます 』

角谷 『 先頭グループでもそろそろバトル勃発しそうな雰囲気なんだけど、香道と華道が共闘路線をとっているみたいで、忍道チームが迂闊に仕掛けられないでいるねぇ 』

王 『 中位グループを見ますと、やはり仙道チーム、書道チームが近距離にいるにも関わらず、戦闘に至っておりませんね 』

角谷 『 やはり文化系科目は手を組んでいると見て間違いないね。 さらにはそれに、弓道チームも手を貸しているときたもんだ 』

王 『 残りの忍道チーム、戦車道チーム、合気道チーム、これらはいずれも運動系科目ですが、その共闘体制にそれぞれ単独で挑まなければならないと、そういうワケですね! 』

角谷 『 文化系科目の本気っぷりが垣間見えるね。 勝負はレース前から始まっていたんだねぇ 』



ぴよたん 「 前にいるのは仙道チームと書道チームぴよね 」

山郷 「 事前の作戦会議では、どちらのチームも射程は長くないと予想しましたけど…… 」

ぴよたん 「 ならばあとで順位を上げやすいように、予定より少し早めに仕掛けるぴよ! 」

山郷 「 わかりました! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:21:00.66 ID:hCip+/ix0<>
王 『 いま、先頭グループの左手には大きな松林が見えておりますが、その中には 「 大洗町 幕末と明治の博物館 」 という町営の施設が設置されています。 幕末の志士であり、のちに宮内大臣になった田中光顕伯爵によって昭和4年に創立され、80年以上の歴史を持っているというこの博物館は、様々な日本画や工芸品などが展示されています 』

角谷 『 この松林の中には町営の大洗キャンプ場もあるんだよね。 廃艦騒動の際にはお世話になりました 』

王 『 あの時はウチの学園艦住民全員が大変でしたけど、生徒会も大変そうでしたねぇ 』

角谷 『 大洗女子学園の学園艦は規模が小さいながらも、生徒数が中高合わせて1万8千人もいるからさ。 あの時は既存の施設をいくつも借り上げて臨時校舎とさせてもらったんだけど、それでも収容キャパが足りなくてね。 キャンプ場で青空教室となったクラスがいくつかあったんだよ 』

王 『 いまこうして笑い話に出来ることが本当にありがたいと、そう思わずにはいられません! そして大洗リアカー駅伝大会は先頭グループが東光台前交差点に差し掛かり、レースは中盤戦を迎えようとしています! 』



ぴよたん 「 あの交差点を右折したら、ココス大洗店があるぴよ! そこでスピード上げるから…… 」

山郷 「 アタック開始地点はそこってことですね! 」

ぴよたん 「 よろしく頼むっちゃ! アユミン! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:21:37.18 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、中位グループも東光台前交差点を右折して、磯浜さくら坂通りへと入りました。 コースはここから大洗駅へと続く1本道となります! 』

角谷 『 あそこに見えるココス大洗店さんは、ウチの戦車道の隊員達を写真パネルにして飾ってくれてるんだよね〜 』

王 『 戦車道チームの隊員達は、全国大会でも大学選抜戦でもあれだけ活躍しましたからね。 今や大洗町内でもファンが沢山いると聞いております! 』

角谷 『 おお、そんな戦車道の代表チームが戦闘を仕掛ける気だよ 』

王 『 前に立ちふさがるのは仙道チームと書道チーム! 戦車道チームが近づいていって……いま砲撃を開始しました! 』



山郷 「 えいっ! えいっ! 」

ぴよたん 「 えっほっ、えっほっ! 」



角谷 『 うーん、山郷ちゃん疲れてきちゃったかな? なかなか当たらないねぇ 』

王 『 仙道チーム、書道チームのタスキ役二人とも、余裕を持ってスポンジ弾を回避していますね。 ……ん? 仙道チームが何か取り出しましたよ? 何か四角い座布団のような……? 』

角谷 『 あぁ、あれね〜 』

王 『 いや!? ような、じゃないぞ!? あれは正真正銘、座布団だぁぁ! 』

角谷 『 仙道って瞑想とかするから、その時に使う座布団を持ってきたんだね〜 』

王 『 そういえばよーく見ると、あの座布団、インク液が滲んでおります! ということは、あれが仙道チームの武器ということだぁ!! 』

角谷 『 ただ、あれを投げつけるっつったって、あんなに重くてかさばる物、まず当たらないと思うんだけどねぇ。 それに替えの座布団も少ないみたいだし 』

王 『 確かに仙道チームのリアカーには、あと3枚しか座布団を積んでいませんね 』

角谷 『 ……あぁなるほど、こういう使い方をするためかぁ 』



山郷 「 えっ!? 」

ぴよたん 「 ちょっ!? あれズルくないっちゃ!? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:22:39.78 ID:hCip+/ix0<>
王 『 なんと仙道チーム! 座布団を盾代わりにして、スポンジ弾を防いでいるぞ!? 』

角谷 『 考えたね、仙道チーム 』

王 『 あれはルール違反じゃないんですか? 』

角谷 『 相手のインク攻撃を道具で防いじゃいけないってルールは無いよ。 ほら、さっき長刀道チームも長刀でスポンジ弾を防いでいたでしょ? 』



山郷 「 くっ、このっ! 」



角谷 『 たまにストライクが入っても、あの座布団で全部防がれちゃってるねぇ 』

王 『 鉄壁の構えを見せる仙道チーム! できるものならこのイージスの盾を粉砕してみせよとばかりに、戦車道チームの前へと張り付きます! 』

角谷 『 書道チームを庇うようなポジションだね。 書道、仙道、戦車道って順で、3チームが近い距離で1列に並んじゃってる 』

王 『 戦車道チーム、これでは書道チームを攻撃しようにも、あいだの仙道チームが邪魔で射線が通りませんね! 』

角谷 『 さっきみたいな曲射攻撃なら……いや無理だ。 ちょっと距離が離れすぎちゃってる 』



山郷 「 全部あの座布団に防がれちゃう……! 」

ぴよたん 「 厄介ぴよね……! 」



角谷 『 ん? 書道チームのタスキ役の子が、何か合図を送ったね 』

王 『 この位置関係だと、戦車道チームにはそれが見えていませんね 』

角谷 『 ということは…… 』

王 『 ああぁぁっっと!? 仙道チームが急に車線変更! そしてぇ!? 』



ぴよたん 「 アユミン伏せて!! 」

山郷 「 !? 」



王 『 書道チームのオレンジビィィム! 仙道チームがどいた瞬間を見計らって、戦車道チームにオレンジ色のインク攻撃だぁぁ!! 』

角谷 『 さっきやったことを、すっかりやりかえされちゃったねぇ、戦車道チーム 』

王 『 書道チームのタスキ役の子が手に持っているのは……墨汁のボトルです!! あのボトルからビーム状のインク液を飛ばしたようです!! 』

角谷 『 ボトルの口の部分がすぼまってるから、強く押し出すとピューってビーム状に出るんだね 』

王 『 あの線状の攻撃は厄介そうです! あたかもオレンジインクのバスタービームだぁ!! 』

角谷 『 どうもあのインク液、比重を弄って飛距離が出るようにしたんだって。 さすが墨汁を扱わせたら右に出るものは居ない書道チームだね。 インク液のことも良く知ってらっしゃる 』

王 『 しかし戦車道チーム、タスキ役の子が走者の影に隠れたので、間一髪逃れました!! お陰で走者はオレンジ色のインクまみれです! 』



山郷 「 ご、ごめんなさい! 」

ぴよたん 「 いいってことぴよ! それより、これじゃ迂闊に仕掛けられなくなっちゃったぴよ! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:23:14.30 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ戦車道チーム、強力な矛を持つ書道チームと、絶対の盾を持つ仙道チームに悪戦苦闘! いったん諦めたか、前2チームから少し距離を取ります! 』

角谷 『 これでは追い抜こうにも抜けられないやね。 現状じゃ打つ手が無さそうだ 』

王 『 磯浜さくら坂通りを爆走する中位グループが膠着状態に陥ったまま、先頭グループは大洗駅入口交差点へと差し掛かります 』

角谷 『 さあさあ、もうすぐこの区の面白ポイントがやってくるよ〜 』

王 『 ということは、障害物ポイントですね!? 』

角谷 『 鹿島臨海鉄道さんにお願いして、大洗駅前のターミナルを貸し切らせてもらったよ〜 』

王 『 相変わらず生徒会は無茶をしますね……と言っている間に、中位グループも大洗駅入口交差点を過ぎて、大洗駅前通りに入りました! そして先頭グループの香道、華道、忍道チームが、間もなく駅前ターミナルに到着します! 』



ぴよたん 「 はぁっ、はぁっ……予想どおり、この先の大洗駅あたりが障害物ポイントになっていると思うぴよ! 」

山郷 「 ってことは、またインク攻撃禁止エリアになるんでしょうね 」

ぴよたん 「 だから当初の予定どおり、障害物ポイントで仕掛けるっちゃ! 」

山郷 「 了解です! ここを越えたら中継地点までもうすぐです! 頑張ってください、ぴよたん先輩!! 」

ぴよたん 「 応ともよ! 力勝負ならまかせるぴよね!! 」



王 『 先頭の香道チーム、いま大洗駅前ターミナルに入り……あぁーっと!? 何やら大きな坂が駅前に設置されています! そして香道チーム、その前で立ち止まってしまったぁ!! 』

角谷 『 長さ20m、傾斜角度は30度! その坂を、リアカー引っ張りながら登っていってもらいます! 』

王 『 続いて華道チーム、忍道チームもやってきますが、同じように立ち止まってしまいました! これは相当勢いつけて上らないと、坂の途中で立ち往生必至です!! 』

角谷 『 もちろんタスキ役の子は、リアカーから降りちゃダメだからね〜 』

王 『 駅前ターミナルの入り口のところには、駅員さんの格好をした女の子がプラカードを持って立っていますね。 なるほど、ここもインク攻撃禁止エリアですね 』

角谷 『 ウチの学校の鉄道同好会に協力してもらったよ。 あの制服、本物を真似て自分で作ったんだって 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:23:44.24 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、まずは香道チーム、呼吸を整えた後に助走をつけて、坂をよじ登りにいった! ……あぁ! しかし坂の真ん中で失速! その場で止まってしまったぁ! 』

角谷 『 ここからが力勝負だ。 傾斜に負けないように、一歩ずつ坂をよじ登っていくしかない 』

王 『 続いて華道チームもチャレンジしますが……やはり坂の真ん中辺りで止まってしまいます! 』

角谷 『 運動系の忍道チームならどうかな? 』

王 『 忍道チームも同じように助走をつけて……さぁどこまでいくか!? ……だめだ! 香道チーム、華道チームと同じところで止まってしまった! 』

角谷 『 だめかぁ〜、忍道チームは俊敏性ならピカ一だけど、パワー勝負になると厳しいねぇ 』

王 『 3チームともまるで氷壁にピッケルを食い込ませるかのごとく、一歩ずつ坂に足を打ち込んで、上へ上へと登っていきます! 』

角谷 『 この障害物ポイントのキモはね、タスキ役の子の体重なんだよ。 リアカー自体もそれなりに重いけど、それに人間一人分の体重を加えて登らなきゃいけないからね 』

王 『 ここで中位グループがターミナルにやってきました! 書道チーム、仙道チームがいま坂の前までやってきますが……やはり立ち止まってしまう! 傾斜角度は30度といえども、一呼吸置いて力を溜めてからでないと、ここを登るのは厳しいということでしょう! 』

角谷 『 馬がソリ引いて競い合うばんえい競馬と同じ要領だよ。 障害坂の手前で立ち止まって、呼吸整えてから登り出すわけだ 』 

王 『 両チームとも助走をつけて……やはり坂の途中で失速! ここから地球の重力との闘いが始まります! 』

角谷 『 おっと、先頭グループの方で順位の変動がありそうだよ 』

王 『 あぁっと! 華道チーム! いま香道チームをゆっくり抜いて、ここでトップに立ったぁ!! 頂上まであと2m! 』



山郷 「 うわ!? なにあの坂!? 」

ぴよたん 「 アレをリアカー引いてよじ登れってことぴよね……はぁっ、はぁっ……力勝負って、このことぴよか…… 」

山郷 「 ぴよたん先輩、私達も手前で止まって、いったん呼吸を整えましょう! 」

ぴよたん 「 ……いや、このまま行くっちゃ 」

山郷 「 このまま行くって……大丈夫なんですか!? 」

ぴよたん 「 まぁ、坂の途中で止まっちゃうぴよね 」

山郷 「 じゃあ!? 」

ぴよたん 「 でもここで仕掛けないと、書道チームと仙道チームの防御線を抜けられないっちゃ。 大丈夫! 策はあるから! 」

山郷 「 さ、策ですか? 」

ぴよたん 「 坂を登っている途中で合図出すから、そしたらアユミンは振り落とされないようにリアカーに捕まって! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:24:18.01 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、ちょっと遅れて戦車道チームがやって来た! 』

角谷 『 およ、止まる気配がない。 あのまま行く気だよ 』

王 『 なんと戦車道チーム! 休憩なんかしなくてもここをクリアしてやるというつもりなのでしょうか!? 』



ぴよたん 「 ぬぁぁぁぁりゃぁぁぁぁああ!! 」

山郷 「 頑張って、ぴよたん先輩!! 」

ぴよたん 「 ぬぁぁぁぁっっ……くっ……!! 」



王 『 しかし、やはり止まってしまったぁぁ! 地球の重力は分け隔てなく戦車道チームにも襲い掛かりました! 』

角谷 『 いや、でも結構な距離を登ったよ 』

王 『 そうですね、先に登っていた書道チーム、仙道チームとほぼ同じ位置まで一気に駆け上がりました! この勢いで先頭グループに追いつきたいところですが……! 』

角谷 『 あー、でもやっぱり先に登ったチームの方がクリアは早いね。 華道チームが一抜けだ 』

王 『 乱戦模様の中位グループに先んじて、華道チーム、頂上到達! 』

角谷 『 しかし、試練はまだ終わらないんだなーこれが。 次は魔の下り坂だよ〜 』

王 『 なるほど! 登ったということは当然、下らなければならない! 傾斜角度30度の坂を、今度は降りる番です!! 』

角谷 『 今の急な登り坂で足はガックガクだろうねぇ。 そんな状態でリアカーを引きながら下り坂って、相当に厳しいと思うんだよねぃ 』

王 『 生徒会、オニです! 確信犯で出場選手を苦しめにきているぞ!? 華道チーム、いま猛烈に足を踏ん張りながら、坂を下っていきます! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:25:18.77 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 頑張って! 頑張ってぴよたん先輩!! 」

ぴよたん 「 くぬぬぅぅ……あと……少し……ぴよ……!! 」



王 『 続いて、香道チームが頂上到達! 下り坂にチャレンジします! そして次に頂上へと到達するのは忍道チームか!? 』

角谷 『 ……いや、違うな……仙道チームだ 』

王 『 なぁんとぉ!? 仙道チーム、坂を登るスピードが速いぞ!? いま……忍道チームを追い抜いたぁぁ!! 先程まで中位グループにいたのにどういうことでしょう、角谷会長!? 』

角谷 『 あの仙道チームのタスキ役の子、座禅を組んで、特殊な呼吸しているように見えるでしょ? 』

王 『 確かに何だか瞑想しているように見えますが……リアカーの上で 』

角谷 『 たぶんだけど、あれ、軽気功だね 』

王 『 軽気功!? 聞いたことがあります! 確か、スプリガンとかいう漫画で! 』

角谷 『 自身の存在を限りなく 「 無 」 に近づけ、体重を一枚の葉より軽くする特殊な気功だね。 仙道チームのタスキ役の子は、この軽気功で体重を激減させて、走者に掛かる負担を減らしたんだね 』

王 『 すごぉぉぉい! 大洗女子学園の仙道チームには、どうも仙人を目指すS級スプリガンが混じっていたようだぁーー!! その仙道チーム、いま頂上到着! 中位グループの乱戦から一歩抜きん出たぁー!! 』



山郷 「 頂上まであと7m……! 6m……! 」

ぴよたん 「 ……5m!! ココぴよ、アユミン! つかまって!! 」

山郷 「 はいっ!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:26:41.63 ID:hCip+/ix0<>
王 『 いま華道チームが必死の形相で坂を下り終え、晴れて第二障害物ポイント、クリアです! 次の中継地点へと向けて走り出しますが……あぁ、足がツラそうだ!  続いて香道チームがクリア! 華道チームの後を追いかけます! 』

角谷 『 仙道チームは、下り切るまでにもうちょい掛かるね 』

王 『 その後ろ、忍道チームがいま頂上到着! そしてその後ろは書道チームの戦車道チームですが……おおぉぉっとぉ!? 』

角谷 『 ん? なんだ? 戦車道チーム、急に方向転換したね? 』

王 『 戦車道チームの走者、ぴよたん選手! その場でグルっとリアカーを方向転換し、リアカーを引く体勢から、リアカーを押す体勢にチェンジ!! 』

角谷 『 180度の超信地旋回……リアカーをバックさせるように押す体勢…………まさか…… 』

王 『 ぴよたん選手、腰を落とし込んで、力を溜めるような姿勢! 何をする気でしょうか!? 』



ぴよたん 「 いくっちゃ!! 」

山郷 「 はい! ……えっと、そういえば何を? 」

ぴよたん 「 ぴぃぃぃぃよぉぉぉぉたぁぁぁぁぁぁぁんっっ!!!!!! 」

山郷 「 うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?? 」



王 『 リアカーを押し跳ばしたぁぁぁぁ!? 』

角谷 『 ひゅぅ♪ ぴよたん、やるぅ♪ 』

王 『 戦車道チームのリアカーが、まるで砲弾のごとく飛んでいく! タスキ役の子を乗せてそのまま頂上へまっしぐらだぁぁ!! そしてぴよたん選手、その後ろをダッシュして付いていきます!! 』

角谷 『 あの動作は、装填だ 』

王 『 装填!? 装填と言うと、弾を装填するとかっていうあの!? 』

角谷 『 パワーだけなら、アリクイさんチームはウチの戦車道チームでイチバン強い。 そして彼女はそのアリクイさんチームの装填手 兼 砲手だもの。 たぶん戦車道チームの中で最も怪力の持ち主だね 』

王 『 まるで花山薫の渾身の一撃のような、もしくは上半身のバネだけで繰り出す牙突ゼロスタイルのような、そんな力強いフォームでリアカーを打ち出したぴよたん選手! リアカーは頂上の忍道チームを追い越して、今度は勢い良く下っていく!! 大丈夫かこれ!? 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:27:58.37 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 ひょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

ぴよたん 「 ………ふぅぅんっっっ!!!! 」



角谷 『 下り坂の途中で追いついた! 』

王 『 ぴよたん選手、リアカーの引手バーをガッチリ掴み、足を踏ん張って急ブレーキ!! 』

角谷 『 この勢いだと、仙道チームとほぼ同時に着地するかな? 』

王 『 仙道チーム、戦車道チーム、いま同時に坂を下り切りました!  戦車道チームは勢いを利用して180度の超信地旋回! リアカーを押す体勢から、再び引く体勢へと戻します! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:29:01.76 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 ………!!……………!!! 」

ぴよたん 「 はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! ……アユミン、大丈夫だっちゃ? 」

山郷 「 ……思わず体のアチコチからっ……水分が漏れ出るところでしたっ……! 」



王 『 凄い展開となってきました、大洗町リアカー駅伝大会! まだまだどのチームが優勝するか、まったくわかりません! 』

角谷 『 ここから次の中継地点まで、残り750mってところだ。 第二区走者のみんな、ヘロヘロだろうけど、もうちょっと頑張れ〜 』

王 『 コースは再び大洗駅前通りに入って南下します。 そして県道106号線、大貫勘十掘通りとぶつかる交差点を左折して、350mほど進んだエネオスのある交差点を右折しますと、すぐにホテル大洗 舞凛館が見えてきます。 そこが次の中継地点です! 』

角谷 『 いまの障害物ポイントで、だいぶ順位が変わったね。 にしししし 』

王 『 角谷生徒会長、実に悪い顔をしております! ではここで順位を見てみましょう! まず先頭をひた走るのは、華道チーム! 』

角谷 『 その後ろをちょっと距離空けて走るのが香道チームだね。 この2チームはスタートから順位が安定しているねぇ 』

王 『 さすが我が校の人気ナンバー1、2を争う科目だけあります! それだけ履修生の層が厚いということでしょう! 続いて第3位は仙道チーム! 』

角谷 『 前を走る香道チームを射程圏内に収めているね。 だけど同じ文化系科目同士だ。 共闘路線を踏んでるとみていいだろうね 』

王 『 その後ろ第4位は、ビリっけつの第10位から6つ順位を上げた戦車道チームだ! 廃艦騒動において波乱を乗り越えてきた戦車道チームは、この大会でも大波乱の中心軸を務めております! 』

角谷 『 いやー盛り上げてくれるねぇ。 おかげで動画生配信の視聴者数、スゴいことになってるみたいだよ。 ありがとう〜 視聴者のみなさん〜 』

王 『 そして第5位は、先ほど坂を下り切った忍道チーム! 戦車道チームの後を追いかけています! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:29:55.10 ID:hCip+/ix0<>
角谷 『 第6位は……あれ? 合気道チームだ。 しかもすでに2アウトだね 』

王 『 第7位は弓道チーム、しかも1アウト取られてますね? ……ああ! 中位グループにいた書道チーム! 上り坂の途中で立ち往生しているー!! 」

角谷 『 筋力の限界がキちゃったか。 重力に抗うだけで精一杯そうだ。 やっぱ力勝負は向いていなかったか〜 』

王 『 合気道チームは現在、第二障害物ポイントの下り坂を踏ん張りながら降りているところ。 その後ろ、弓道チームはいま坂の頂上に着きました。 ……えー、ここで別の映像ドローンが撮影した動画があるそうです。 見てみましょう 』

角谷 『 ……えーとこれは……第一障害物ポイントのあと、合気道チームが茶道チームを撃退して、戦車道チームに道を譲った後だね 』

王 『 合気道チームは、その後ろから追いかけてきた弓道チームとバトルになって……おおぉ! すごい! 体を半歩だけズラして矢を避けた! 』

角谷 『 合気道の選手は相手の呼吸を読むことに長けているからねぇ。 それで矢の発射タイミングをつかんで、最小の体捌きで矢を躱したんだね 』

王 『 しかし、さすがに懐には飛び込めないようです。 そうこうしているうちに中継地点へと入って…… 』

角谷 『 第二区、ココス大洗店に来た辺りで、合気道チームが弓道チームに吶喊したね 』

王 『 合気道チームのタスキ役、なんとか矢を躱しますが……ああ! ここで合気道チーム、1アウト! 矢をもらってしまった! 』

角谷 『 でも相打ち狙いで撃水を放った。 これで弓道チームも1アウト 』

王 『 アウト後、5秒間の無敵時間を利用して、急いで離脱を図る合気道チームですが…… 』

角谷 『 ああー、避けきれなかったか。 これで2アウトだ 』

王 『 で、その後は合気道チームが矢を避け続けながら、この第二障害物ポイントに来たってワケですね 』

角谷 『 頑張れば、次の第三区でまだ挽回できるかもしれないから頑張ってほしいね 』

王 『 第8位は坂で立ち往生中の書道チーム! 運動要素が少ない書道では、さすがに今大会厳しかったようです! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:30:51.47 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、大貫勘十掘通りを南下する各チーム! 先頭の華道チームはもうすぐエネオスの交差点を右折して、インク攻撃禁止エリアに入ります! もう間もなく中継地点です! 』

角谷 『 その後ろの4チームが、ずいぶん距離を縮めてきたね 』

王 『 第2位の香道チーム、第3位の仙道チーム、第4位の戦車道チーム、第5位の忍道チームが、集団を形成しようとしています 』

角谷 『 案の定、仙道チームが香道チームのカバーに入った。 さっきから山郷ちゃんがスポンジ弾投げてるけど、例の座布団で防がれちゃってるね 』

王 『 このまま、また膠着状態に陥ってしまうのでしょうか? 』

角谷 『 うんにゃ、中継地点前でもう一波乱あるかな、こりゃ? 』

王 『 香道チーム、いま交差点を右折し……ん? 何か投げましたね? いま山なりに仙道チームの頭上を飛び越えて…… 』



ぴよたん 「 はぁっはぁっ……香道チームが何か投げてきたっちゃ! 」

山郷 「 何でしょう? 事前の作戦会議では、香道チームの道具が予想出来ませんでしたが…… 」

ぴよたん 「 はぁっはぁっはぁっ……わからないけど、直撃コースではないからとりあえず様子見…… 」


忍道チーム 「 右に大きく避けろ!! 」


ぴよたん・山郷 「 !? 」



( ガシャン! と何かが割れる音 )



王 『 ああぁぁぁぁっとぉ!? なんだぁ!? 突然、緑色の煙幕が発生したぁぁ!! 』

角谷 『 煙幕じゃないのよ、アレ。 灰ね 』

王 『 灰……って!? あれ緑色ですよ!? 』

角谷 『 うん、だから緑色のインクが含まれた香木の灰だよ。 それを香炉に詰めて投げつけたんだね 』

王 『 ということは、あの緑のモクモクに包まれた空間一帯は…… 』

角谷 『 香道チームの攻撃ってことだ。 さながら香炉手榴弾ってところかね 』

王 『 なんというアタリ判定の大きな攻撃でしょうか、香道チーム!! こんな攻撃手段を、今の今まで温存していましたぁぁ!! 』

角谷 『 香炉がぶつかったらケガしちゃうから、人には直接当てちゃいけない条件で使用OKにしたんだけどさ。 それでも強力だねぇ 』

王 『 地面にぶつかった衝撃で中身をまき散らして攻撃する、というと、ナパーム弾のようでもありますね! あんな攻撃を連発されたら他チームは厳しいでしょう! 』

角谷 『 でも香炉って高いから、残弾数はそんなにないハズだよ 』

王 『 香道チーム、インク攻撃禁止エリアに入ります! そして無傷の仙道チームも! その後ろ、戦車道チームは……ギリギリで躱していたようだ!! 』

角谷 『 あー、でも忍道チームが食らっちゃったね 』

王 『 緑色のモクモクから出てきた忍道チーム! あんこうスーツのピンク色がほんのり緑色がかって、なんだかキショい色になってしまったぁ!! 忍道チーム、1アウトです!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:31:50.57 ID:hCip+/ix0<>
王 『 そしてここで華道チームが、ホテル大洗 舞凛館前の中継地点にやって来ました! いま、第1位でリアカーを3人目の走者に引き継いで、最後の4qを駆け出していきます! 」

角谷 『 香道チームもやって来た。 第2位通過だ 』

王 『 インク攻撃禁止エリアに入る直前で、強力な攻撃を繰り出した香道チーム! 忍道チームから1アウトを奪って、まるで逃げ込むようにして中継地点へ入ってきた! 続いて仙道チーム! 戦車道チーム! 忍道チーム! 』



ねこにゃー 「 こっちこっちにゃー!! 」

ぴよたん 「 はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! 」

山郷 「 あと10m……! 5m……! 」

ねこにゃー 「 乙にゃー! ぴよたん乙!! 」

ぴよたん 「 はぁーっ! はぁーっ! はぁーっ! はぁーっ! 」

山郷 「 ぴよたん先輩! ありがとうございました!! 」

ぴよたん 「 ……い……いいってことぴよ……それよりあっち………なんか……ウサギ………はぁっ、はぁっ」

山郷 「 うさぎ? 」


梓 「 あゆみぃーー! 」

優季 「 わー! あゆみすごーい♪ 」

あや 「 ナイス格好! いいよーセクシーよー! 」シャメパシャー

桂利奈 「 うぉぉぉぉ! あゆみーすげぇぇぇ!! いけー!! やってまえー!! 」

紗希 「 ………………………ファイト 」


山郷 「 みんな!? この中継地点に応援に来てくれたの!? 」

優季 「 さっきまで、大洗アウトレットのライブビューイング会場にいたんだけどね〜 」

梓 「 あゆみ! 受け取って!! 」

山郷 「 え? ……なに? 手紙? 」

梓 「 さっき、忍道の頭領って人からあゆみに渡してくれって頼まれたの!! 」

山郷 「 え? 頭領? え? 」

ねこにゃー 「 出発するにゃー! 」

梓 「 インク攻撃禁止エリアを抜けるまでに読んでくれ、だって!! 」

山郷 「 わ、わかった! よろしくお願いします! ねこにゃー先輩!! 」

梓 「 あゆみ! 頑張れ!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:32:41.50 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、先頭の華道チームを追いすがる形で、香道チーム、仙道チームが最後の第三区を駆けていきます! その後ろ、先ほどの香炉手榴弾が嫌なのか、少し距離を開けて戦車道チーム、忍道チームが続きます! 』

角谷 『 この先の松澤精肉店あたりから、インク攻撃禁止エリアを抜けるからね。 この第2位以下の集団がどう立ち回るのか、見物だねぇ 』



ねこにゃー 「 それで、手紙には何て書いてあるにゃ!? 」

山郷 「 ちょっ、ちょっと待ってください!? えーと……達筆すぎてよくわからない……けど……! 」

ねこにゃー 「 もうちょいでインク攻撃禁止エリアを抜けちゃうにゃ! 」

山郷 「 “ 我らは主君 角谷杏に仕える身。 ゆえに戦車道チームを助太刀致す ” って書いてあります! たぶん! 」

ねこにゃー 「 んん!? っていうことは、忍道チームはボク達の味方だってこと!? 」 

山郷 「 この手紙を信じるなら、そうみたいです!! 」


忍道チーム 「 …………………… 」 ( ← ハシビロコウみたいな視線 )


ねこにゃー 「 うっそだぁ! あの視線、何人か闇に葬り去ってきた目をしてるにゃ!? 」

山郷 「 そ……そうかもしれませんけど! 前を走る香道チームと仙道チームは、私達だけじゃ追い抜けません! こちらも共闘しましょう!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:33:13.33 ID:hCip+/ix0<>
王 『 いま、第2位以下のグループが松澤精肉店の前を通り過ぎました。 ここからインク攻撃が再開できるようになります 』

角谷 『 この道はセンターラインが無い狭い道だからね。 さっきの香炉手榴弾で攻撃するには有利な地形なんだろうけど、残弾数が少ないから、香道チームは 「 ここぞ! 」って時に攻撃する気みたいだね 』

王 『 コースはこの先、この狭い道を1.3qほど直進すると、国道51号線と県道2号線が立体交差する、大洗サンビーチ入口交差点にぶつかります 』

角谷 『 その交差点を左折してサンビーチ通りに入っちゃえば、あとはこの大洗港フェリーターミナルにあるゴール地点まで、ほぼ一直線だ 』

王 『 大洗サンビーチ入口交差点というと、先月のエキシビジョンマッチでカモさんチームが操縦するルノーB1bisが、スーパー風紀アタックを繰り出したことで有名ですね! カモさんチームファンの間では、ここでその必殺技名を叫ぶのが流行っているんだとか! 』

角谷 『 え、スーパー風紀アタックって必殺技だったの? っていうか、そど子達にファンなんていたの? 』



ねこにゃー 「 とりあえずこの狭い道だと、忍道チームと共闘したとしてもこちらから攻撃するのは難しいにゃ! だから山郷さん! 仕掛けるタイミングはサンビーチ通りに入ってからって忍道チームに伝えるのにゃ! 出来る!? 」

山郷 「 なんとかやってみます! それとねこにゃー先輩!? 」

ねこにゃー 「 ハイにゃ! なぁに!? 」

山郷 「 アユミンって呼んでください!! 」

ねこにゃー 「 えぇぇっ? 」 ///テレテレ

山郷 「 理由はももがーとぴよたん先輩に聞いてください! 」

ねこにゃー 「 ちょっww ボクの時だけ雑くないwwww!? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:33:59.44 ID:hCip+/ix0<>
王 『 先頭を走る華道チーム! なんとここまで1度もアウトを取られず、そして1回も攻撃をしないまま、ここ大洗サンビーチ入口交差点にやって来ました! 』

角谷 『 本当に大したもんだ。 現在のトップ3が、華道、香道、仙道って、コレ全部 文化系科目でしょ。 茶道も書道もスゴかったけど、いやあウチの文化系科目は見どころあるねぇ 』

王 『 そんな文化系5科目による共同イベントが、来週の週末に行われるそうですね!? 』

角谷 『 そのとぉり! 今年も大洗町総合体育館で、文化系5科目共同による文化発表会が行われるんだよ! 様々な展示や体験イベントが企画されているから、これ視てる皆さんは是非遊びに来てね! 』

王 『 以上、ダイマでした! そして華道チームはサンビーチ通りをひた走ります! 右手に見えるのは天然温泉 潮騒の湯、そして道路は左にカーブして……見えました! 我々の学園艦です!! 今日も元気に大洗の港に浮かんでおります!! 」

角谷 『 大洗サンビーチの白い砂浜、大洗マリンタワーの青い輝き、それらを眼下に収める我らが学園艦……うん、やっぱりこの光景が一番美しいねぇ 』

王 『 しかしこの美しい光景を守ったことで、我々は今なお、廃艦騒動で付けられた傷痕に苦しんでおります。 だからこその、この大洗町リアカー駅伝大会! このイベントで少しでも傷を癒そうと、大洗町の大変多くの皆さまに支えられて、我々は今日に至っております!! 』

角谷 『 そんな第一回目の栄えある大洗町リアカー駅伝大会、優勝するのはこのまま華道チームになるのか…… 』

王 『 それともまたまた波乱が巻き起こって順位が覆るのか! 第一回 大洗町リアカー駅伝大会、最後まで目が離せません!! 』



ねこにゃー 「 そろそろサンビーチ通りに入るにゃ! 準備はいい!? ア……アユミン 」 ///テレテレ

山郷 「 もう! 照れが入ってますよ! いつでも行けます!! 」

忍道チーム 「 …………………… 」 コク ( ← ハシビロコウみたいな視線のまま頷く )

ねこにゃー 「 怖い怖い! だからあの視線怖いって!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:34:48.23 ID:hCip+/ix0<>
角谷 『 第2位以下のグループがサンビーチ通りに入ったよ 』

王 『 先を行く華道チームに続いて、第2位を走るのが香道チーム! そしてその香道チームを守るように、鉄壁の座布団を掲げるのは第3位の仙道チームです! 』

角谷 『 戦車道チームと忍道チームは、第二中継地点から一緒にいるのにバトってないね。 なるほど、手を組んだか。 まぁわからんでもない 』

王 『 おや角谷会長。 そんなニヤリとした顔でどうしました? 』

角谷 『 なんでもないよん。 それよりも、香道・仙道チーム VS 戦車道・仙道チーム のバトルが見れそうだよ 』

王 『 まずは戦車道チームがオリーブドラブ色の砲弾攻撃だ! 』



山郷 「 なるべく上半身の上の方を狙って……えいっ! えいっ! 」

仙道チーム 「 何度やっても効かん! 」


忍道チーム 「 ……………! 」 キラン



王 『 戦車道チームのスポンジ弾、先程と同じように、全部あの座布団に防がれてしまっています! 』

角谷 『 ……攻撃を上半身に集中させてる? 下半身がガラ空き……なるほど、見事な連携攻撃だ 』

王 『 忍道チーム、何かを投げ……あぁぁーっとぉ!? 仙道チームのあんこうスーツ、膝小僧あたりに黒い染みぃぃ!! 仙道チーム、1アウトだ!! 』

角谷 『 忍道チームの道具はスポンジ手裏剣。 忍者にとって手裏剣は100発100中の投擲武器だ。 あれだけ相手に隙があるなら、まぁ狙ったところに当てられるわな 』

王 『 忍道チーム、そのまま黒いスポンジ手裏剣を投げ続けます! 堪らず座布団で防ぐ仙道チーム!! 』

角谷 『 そうやって手裏剣を防いでいれば、当然上半身に隙が出来るので…… 』

王 『 ヒットォォォ!! 仙道チームのあんこうスーツの肩の部分に、オリーブドラブ色の弾の痕ぉ! 仙道チーム、あっという間に2アウトです!! 鉄壁を誇ったイージスの盾にヒビが入ろうとしているぅぅ!! 』

角谷 『 山郷ちゃん、 ナイスストライク! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:35:32.31 ID:hCip+/ix0<>
香道チーム 「 くっ……!! 」

仙道チーム 「 おのれっ!! 」



角谷 『 さすがにこの状況、香道チームも見過ごせないか 』

王 『 さあ、香道チームが仙道チームの助けに入ろうと、残り少ない香炉手榴弾を取り出しました! 威力は先ほど見た通り、抜群に広範囲です! それを今振りかぶって…… 』



忍道チーム 「 ………………!! 」 ギラン
  


角谷 『 忍道チームの方が早い! 』

王 『 えっ? あっ、忍道チームがスポンジ手裏剣を投げている! コースは……香炉手榴弾の手元だ!! 』



香道チーム 「 あっ 」 ポロッ

仙道チーム 「 えっ? 」

ねこにゃー 「 退避ー!! 」



王 『 誤爆だぁぁぁ!! 香炉手榴弾を投げようとした香道チーム! 忍道チームの攻撃で香炉手榴弾を取り落とし、その場で爆発させてしまったぁぁ! 』

角谷 『 香道チームのすぐ後ろを走っていた仙道チームは、モロに被害を受けちゃったね 』

王 『 香道チーム、1アウトです! そして誤爆に巻き込まれた仙道チーム、ここで3アウト!! 脱落だぁー!! 』

角谷 『 寸前に左右へ逃れた戦車道チームと忍道チームは被害なしか。 よかったよかった 』

王 『 これで座布団防御は最早ありません! 香道チーム、一転して大ピンチに陥ってしまいました!! 』

角谷 『 さあ、このチャンスを逃すなよ〜? 』

王 『 戦車道チームと忍道チーム、ここぞとばかりに香道チームへ集中砲火! あぁぁ、手裏剣がヒット! 香道チーム、堪らず距離を取ろうとするが……またまたヒットォ!! 最後はスポンジ弾を喰らってしまった!! 香道チーム、3アウトで脱落であります!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:36:05.91 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 きゃーっ! やったやったぁ!! 」

ねこにゃー 「 お見事にゃ! 山郷さ……アユミン!! 」

忍道チーム 「 ………………! 」 オヤユビグッ



王 『 戦車道チームと忍道チーム、実に鮮やかな連携攻撃でした! これで残るは前を走る華道チーム、ただ一つ! 』

角谷 『 戦車道チームも忍道チームも互いに1アウトずつ。 華道チームはノーアウトだけど、2対1なら十分に撃破可能だよね〜 』

王 『 先頭の華道チームは現在、大洗海浜公園の前を通り、間もなく大洗リゾートアウトレットに到達しようというところです。 その後ろを、戦車道チームと忍道チームが猛烈な勢いで追い上げています! 』

角谷 『 これは大洗リゾートアウトレットで、大逆転が起きちゃうかな? 』

王 『 まだレースは最後の障害物ポイントを残した状態です。 ということは角谷会長? 最後の障害物ポイントはもしや……? 』

角谷 『 大洗リゾートアウトレットの大駐車場だよん! 』

王 『 なんとぉ! では華道チームはそこで否が応でも足止めを食らってしまうということですね!? その最後の障害物ポイントの結果次第では、戦車道チーム、忍道チームとも十分に逆転可能と言えそうです! 』

角谷 『 まぁ、最後の障害物は今までとちょっと趣向が違うので、なんとも言えないんだけどねぃ 』

王 『 さあ、狩られる立場となった華道チームはどう戦うのか!? 角谷会長!! 優勝候補はこの3チームに絞られたといっても過言じゃありませんね!? 』

角谷 『 そうだね〜、優勝を掛けた決戦はこの3チームで…… 』



( トスンッ )



角谷 『 え? 』

王 『 え? 』

山郷 「 え? 」

ねこにゃー 「 え? 」

忍道チーム 「 え? 」



王 『 ……………えええぇぇぇ!!?? 戦車道チームのあんこうスーツの背中に、黄色いスポンジ矢の痕だぁぁ!? 戦車道チーム、2アウトォォォ!!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:36:45.99 ID:hCip+/ix0<>
弓道チーム 「 南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神!  願はくば、あの扇の真ん中射させてたばせたまえ! 」


王 『 弓道チーム、見参だぁぁぁ!! 第二障害物ポイントのクリア時点では第7位、実質最下位だった弓道チームがここで再登場!! 』

角谷 『 なんと、あれから追いついのか! 』

王 『 いやしかし、戦車道チームまではまだ随分と距離があります! 150mはありますよ!? なぜ!? この距離をどうやって攻撃したのでしょう!? 』

角谷 『 今の口上は那須与一だね。 追い詰められた時限定の、彼女らなりの精神統一の方法なのかもねぇ。 あれ唱えてから矢を撃つと 「 必中 」 が掛かるらしい 』

王 『 それ、第何次スーパーロボット大戦だぁぁぁ!? 』

角谷 『 いやー、ウチの学校は文化系科目だけじゃなくて、運動系科目も凄かったんだねぇ。 わたし生徒会長なのに、今回のイベントで初めてちゃんと知ったよ〜 』

王 『 弓道チームが使う弓矢は今大会随一の長距離射程道具! レース終盤のここにきて、遂に凶悪な牙をむきました! そのターゲットは、ここまで並み居る強敵を戦車のごとき突破力で蹴散らしてきた戦車道チーム!! 鋼の装甲の僅かな隙間を穿つような、見事な一射でありました!! 』

角谷 『 こりゃ戦車道だけじゃなくて他の科目もちゃんと支援すれば、ウチの学校、全科目でかなり凄い成績を残せるんじゃない? もうちょっと生徒会で考えてみるか〜 』

王 『 そういえば弓道チームの一つ前にいた、合気道チームはどうしたんでしょう? 』

角谷 『 あ、また別のドローンが撮影した動画があるって。 見てみよう 』

王 『 ……えーと、第二障害物ポイントをクリアした合気道チームと弓道チームは、その後、合気道チームが先行する形でレースが進んだけど…… 』

角谷 『 弓道チームが、道幅の広い大貫勘十掘通りで、矢による牽制攻撃を連発して、それで合気道チームを脇に退かせて、その隙に逆転に成功、と 』

王 『 そのまま第二中継地点でアンカーにバトンタッチして……弓道チームはここまで追い上げてきたワケですか! すごいですね弓道チーム! 』

角谷 『 共闘している文化系5科目のうち、残りは実質、華道チームだけになっちゃったから、慌てて助けに来たってところだろうね 』

王 『 さあ、そうこうしている間に、弓道チームが二の矢を放とうとしています! 』



山郷 「 えっ? どうしてっ!? なんで私、矢に当たったの!? 」

ねこにゃー 「 落ち着いてアユミン!! またすぐに矢がくるにゃ! よく見て避けて!! 」

弓道チーム 「 いくぞ! 大洗ゴーガン、束ね撃ちだ!! 」



王 『 弓道チームのタスキ役、いま二の矢を……いや、いっぺんに凄い本数の矢を放ったー! どういう理屈だこれぇぇぇ!? 』

角谷 『 理屈はともかく、あれはー……戦車道チーム直撃コースだ。 やばい 』



忍道チーム 「 させん!! 」 ギラリ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:37:27.00 ID:hCip+/ix0<>
王 『 おやぁ!? 戦車道チームに襲い掛かろうとしていた沢山の矢が、すべて空中で落下したぞ!? どういうことでしょう!? 』

角谷 『 ……忍道チームが、スポンジ手裏剣で迎撃したんだね 』

王 『 うっそでしょ!? 飛んでくる矢全部に手裏剣を投げて、全部当てたってことですか!? 』

角谷 『 そうみたい 』

王 『 マジですか!? 』

角谷 『 私も信じられないけど、飛んでる砲弾を砲弾で撃ち落とすっていうバケモノじみた技能を、どっかの戦車道の家元が持ってるって噂、聞いたことあるから、たぶん可能なんじゃないかな? 』



山郷 「 助かっ……た……? 」

ねこにゃー 「 助かった……というか、助けてもらったにゃ 」

忍道チーム 「 ……そこの戦車道チームのお方! 」

山郷 「 ひゃっ……ひゃいっ!! 」

忍道チーム 「 あの弓矢による攻撃は至極厄介なれば、我々はこの場に留まりてこれを迎撃する所存也。 先に行かれよ! 」

山郷 「 えっ? 」

忍道チーム 「 今こそ恩を返すとき。 ここは我らにまかせて、見事、華道チームを討ち取ってまいれ! 」

ねこにゃー 「 ……いいのかにゃ? 」

忍道チーム 「 …………… 」 バイバイ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:38:11.39 ID:hCip+/ix0<>
ねこにゃー 「 ……行こう、アユミン 」

山郷 「 でも…… 」

ねこにゃー 「 ボクらはまだ成すべきことがある。 やることやったら後でお礼を言いに行こう。 アリクイさんチームとウサギさんチームのみんなでにゃ 』

山郷 「 ……はいっ! 」



王 『 戦車道チーム、仕切り直して前進開始!! そして……なんだ忍道チーム!? Uターンして来た道を戻り始めました!! 』

角谷 『 たぶん、戦車道チームのために弓道チームを抑え込みに行ったんだね〜。 ……なんだ、お頭……ようやく忍びらしい仕事ができそうじゃないか……ふふっ 』

王 『 えーと……? 』

角谷 『 義理人情は施せずとも、恩に報いる忍びの掟、ってね♪ 』

王 『 よくわかりませんが、第三区に入ってから今まで共闘体制を取っていた戦車道チームと忍道チーム! ここで分かれて、それぞれの戦場に向かいます! 』

角谷 『 しかし山郷ちゃんとねこにゃー、これでツラくなっちゃったな。 最後の障害物ポイントがアレだからなぁ…… 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:38:49.95 ID:hCip+/ix0<>
王 『 先頭の華道チーム、いまマリンタワー南交差点を通過し、そして大洗リゾートアウトレットの大駐車場へと続くコースに入ります! 』

角谷 『 大洗リゾートアウトレットは、ウチの学校の生徒らにとっては憩いの場所ってのもあるけど、エキシビジョンマッチの時や今日なんかも特設会場を設置させてもらったりしてるから、私らにとってはここも大切な場所なんだよねぇ。 本当にいつもお世話になっております〜 』

王 『 戦車道チームのメンバーが製作協力した様々なグッズが、大洗まいわい市場で売られているんですよね! 』

角谷 『 それだけじゃなくて、なんとウチの戦車道チームを讃えたギャラリーまで設置してもらっちゃってるよん 』

王 『 おおー! では、さぞかしお客さんで賑わっていることでしょうねえ! 』

角谷 『 ……う……うん……そうかな…… 』

王 『 歯切れが悪い 』

角谷 『 で、でもね!? 今日は20**年の10月第3週の金曜日なんだけど、なんか昨晩夢を見てね!? 大洗シーサイドステーションって名前に変えて、2017年の8月5日に再オープンする(した)ってことだったから、これからまたスンゴイ賑やかになるヨ! 』

王 『 で、ですよネ!! 』



ねこにゃー 「 なにかメタい波動を感じる…… 」

山郷 「 なんですか、メタい波動って…… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:39:32.01 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 もうすぐアウトレットモールです! ここでも予想通り、障害物ポイントがあるみたいです! 」

ねこにゃー 「 はぁっ、はぁっ……一区も二区も三区も、障害物ポイントの場所が全部的中したね。 みんなで歩き回って下見した甲斐があったにゃあ 」

山郷 「 西住隊長は試合前に必ず自分の足で下見しますもんね。 それがどれだけ有効なことなのか、今回良くわかりました 」

ねこにゃー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ……あとは、前を走る華道チームを、その障害物ポイントで抜き去るだけ…… 」

山郷 「 きっとまたインク攻撃禁止エリアになると思います。 2アウトの私達にとって、これ以上の戦闘はリスクが大き過ぎます。 アウトレットモールからゴールまでの1q弱を戦わないで切り抜けるために、障害物ポイントで華道チームを引き離して、ゴールまで逃げ切りましょう!! 」

ねこにゃー 「 はぁっ、はぁっ……第三区だけ障害物の内容を予想できそうなヒントが無かったんだよね……生徒会のことだから、また意地の悪いヤツが出てくるんだろうにゃあ…… 」

山郷 「 ねこにゃー先輩なら大丈夫です! どんな障害物でも、華道チームを追い越せます!! 」

ねこにゃー 「 嬉しいこと言ってくれるじゃないの……はぁっ、はぁっ……ちなみに、まだ華道チームはどんな道具を使うのか見せてないんだよね? 」

山郷 「 はい。 事前の作戦会議では、おそらく花瓶だろうって予想しましたよね。 だから茶道チームの茶碗と同じような使い方をするのでは……って 」

ねこにゃー 「 うん、そうなんだけど……はぁっ、はぁっ……なんか嫌な予感がするにゃ。 最後のバトルでどんでん返しはゲームの基本……だから、油断しないでいくにゃ! 」

山郷 「 はい! ねこにゃー先輩!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:40:44.51 ID:hCip+/ix0<>
王 『 いま、第2位の戦車道チームが大洗リゾートアウトレットの大駐車場に入りました! 右手に大きなショッピングモールを眺めながら、カラーコーンで示された道を進んで行きます! 』

角谷 『 ここの駐車場はすごい広いからね。 障害物ポイントは大洗まいわい市場の建物前エリアに限定しているよ 』

王 『 先を走る華道チーム、いまちょうどそのエリアに到着しました! ……が? ……んん? 何もない? 』

角谷 『 ニヤリ 』

王 『 え、これはどういうことでしょう? 華道チームの子達も戸惑っている様子ですが……おや? 水着の女性が出てきましたね? 実にグラマラスな…… 』

角谷 『 小山だよ。 生徒会副会長の 』

王 『 どうりで! あの可愛さ120%童顔フェイスの下に凶悪な魅惑のボディーを兼ね備えた人間は、本校において小山副会長以外に存在しません!! いま、取材陣が重機関銃のようにシャッターを切っております!! 』



小山 「 会長〜〜これ私が水着になる必要あります〜〜!? 」(泣)



角谷 『 (ガン無視) 注目してほしいのは、小山が持ってるプラカードの方ね 』

王 『 そういえば小山副会長、何か持っていますね。 えーとなになに…… 』



山郷 「 そこが障害物ポイントみたいです! 」

ねこにゃー 「 はぁ、はぁ……よし! いくにゃ! 」

山郷 「 はい! ……え? ……でも……何にも無い? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:41:19.13 ID:hCip+/ix0<>
ねこにゃー 「 はぁーはぁーはぁー……これは……どういうことだろう…… 」

山郷 「 向こうにいるのは華道チームですね……あと水着の女性? 」

ねこにゃー 「 はぁーはぁー……あれ、小山先輩じゃない? 」

山郷 「 あ、ホントだ。 あの8.45口径600o砲みたいな威圧感のある胸をしたのは小山先輩ですね 」

ねこにゃー 「 胸にカール自走臼砲をぶら下げているのか、ウチの学校の副会長は 」

山郷 「 何かプラカード持っていますよ? 」

ねこにゃー 「 はー、はー……どうせまた “ ここからインク攻撃禁止エリア ” とかだにゃ 」


角谷 『 それが違うんだなぁ 』


山郷 「 会長の声!? どこから!? 」

ねこにゃー 「 スピーカーからだね 」


角谷 『 ここの障害物ポイントには名前を付けていてね。 その名も………大洗コロッセオ!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:41:57.68 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 コロッセオ? 」

ねこにゃー 「 えーと、 古代ローマの闘技場の……? 」


角谷 『 そのとおり! 小山〜、戦車道チームにもプラカード見せてやってー 』

小山 「 はーい 」


ねこにゃー 「 えーとなになに……ここでのクリア条件は “ 他チームからアウトを1つ以上獲るか、もしくは、アウトを1つ以上獲られるか ” ? 」

山郷 「 …………えぇぇ!? 」

ねこにゃー 「 ってことは…… 」



王 『 なんということだぁぁ!! 最後の障害物ポイントは、他チームからアウトを奪うか奪われるかしないと抜けられないという、見えない金網デスマッチとなっておりましたぁ! 』

角谷 『 これなら障害物の製作コストは掛からないし、お客さんも盛り上がってくれるからね。 ナイスアイデアでしょ〜 』

王 『 先にこのリングへと入場した華道チームは未だノーアウト! 対する戦車道チームはすでに2アウトです! 』

角谷 『 この場にいるのは華道チームと戦車道チームだけ。 だから戦車道チームは、華道チームから先にアウトを1つ奪わないと、この場で脱落ってことだね〜 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:43:01.22 ID:hCip+/ix0<>
ねこにゃー 「 すぅー、はぁー……結局、こういうことになるワケだにゃー。 まあスンナリいくはずはないよにゃぁ 」

山郷 「 ど……どうしましょう、ねこにゃー先輩!? 」

ねこにゃー 「 戦うしかないにゃ。 アユミン、スポンジ弾はあとどれくらい残ってる? 」

山郷 「 えーと……23個です! 」

ねこにゃー 「 なんとかこの場で華道チームからアウト1つ奪ったとしても、大洗港フェリーターミナルにあるゴールまでは、まだ1q弱あるにゃ。 そこまではバトルが続くだろうから、逃げ切る途中の牽制用として多少残しておかないといけない……ここで使える弾は7〜8発ってところか 」

山郷 「 ……やるしかないんですね 」

ねこにゃー 「 そのとおり。 よろしくね、アユミン 」

山郷 「 こちらこそよろしくお願いします! わたし、頑張ります!! 」

ねこにゃー 「 ふふっ、うん、頑張ろう。 ……ああ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ 」

山郷 「 は、はい 」

ねこにゃー 「 安心して? 大丈夫、ボク達は負けないよ 」

山郷 「 な……なんでですか? 」

ねこにゃー 「 このコロッセオだって、残り1q弱の追いかけっこだって、結局はゲームでしょ? 」

山郷 「 は、はい 」

ねこにゃー 「 ゲームならばボク達、アリクイさんチームは負けない 」

山郷 「 …………はいっ!! 」

ねこにゃー 「 よっし! それじゃあ、ゲームを始めるとするにゃ!! 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:43:56.92 ID:hCip+/ix0<>
王 『 ここ、大洗まいわい市場前の駐車場に、風雲急を告げる大洗フェリーの汽笛がこだましております。 うららかな10月第3週の金曜日、本来ならば多くの家族連れや観光客で賑わう大洗リゾートアウトレットでありますが、今この決戦の場にいるのは、互いの誇りを掛けてぶつかり合う大洗女子学園の生徒達であります! 』

角谷 『 両チームとも、すっかり息は整ったみたいだね 』

王 『 片や、文化系科目ながらも安定してトップグループをひた走ってきた華道チーム! リアカーの荷台に佇むあんこうスーツの女の子は、鬼百合のような艶やかな色香を漂わせつつも、一輪差しでそっと存在感を主張するような、そんな華やかさの中の凛々しさを感じさせます! 』

角谷 『 心に思い描く理想の形を活花で表現する華道は、理想、つまりゴールに至るまでの道筋をイメージすることに長けている。 ここまでノーアウトで来たことについて最初から狙ってやったってんなら、華道チームはウチの科目の中で、イチバンの食わせ物かもね 』

王 『 さらにここまで、1度も道具を使った攻撃を見せていませんね。 前評判では花瓶を使うだろうといった声が多かったですが…… 』

角谷 『 その答えはいま見れそうだよ。 ほら 』

王 『 華道チーム、リアカーの荷台から取り出したのは……あれは……バラの花束? 』 

角谷 『 造花のバラね。 切り花を束にしたヤツ 』

王 『 あれでどうやってインク液を飛ばすというのでしょう? 』

角谷 『 まぁ見てなって 』

王 『 いま、あの造花のバラの束を……インク液に浸けた!? 』

角谷 『 そして取り出して……そのまま袈裟斬りのように振るったでしょ? 』

王 『 おお! 激しく飛沫が舞い散った!! 』

角谷 『 造花のバラの束にインク液を絡ませて、それを振るって飛び散らせることで攻撃するんだね 』

王 『 飛距離は10mいかない、というところでしたが……弧状に放たれたあの飛沫の密度、とてもじゃないが躱せるものではありません! 』

角谷 『 弧状に放てる飛沫のショットガンみたいなもんだ。 攻撃範囲に入っちゃったら、避けるのは難しいだろうねぇ 』

王 『 なんと華道チーム!! このクライマックスの場面で初めて取り出した道具は、来るもの全てを紅のバラの色で染め上げるかのような、赤色インクの広範囲ショットガンだったぁぁぁ!! 』

角谷 『 わざわざ自分達の攻撃手段を戦車道チームに見せたのは、彼女らなりの礼節なのかな? 』

王 『 ん? もう1回花束をインク液に浸け直していますね? 』

角谷 『 ああ、あのバラの造花、スポンジも何も使ってないただの造花だから、インク液を保持できないんだよ。 だから、あの造花のバラの束でインク攻撃したら、次また攻撃する前に、インク液へ浸け直さないとダメらしい 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:45:14.92 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さて一方、そんな華道チームに対するは、第10位というドン底から逆転に次ぐ逆転を重ねて、第2位に駆け上がってきた、戦車道チームです!! あの試される大地で大学選抜チームを撃破し、大洗女子学園の存続、という馬鹿デカいお土産を手に携えて、あそこに見える 「 さんふらわあ号 」 で大洗に帰ってきたのがつい先月のことであります! そんな勝利の女神に見初められた彼女達は、今大会でも勝利に向かって突き進む! 』

角谷 『 いやはや、アリクイさん達は ただのゲームオタクじゃなかったねぇ。 山郷ちゃんとのチームワークも抜群だったし、こりゃ伸びしろ期待大だ。 西住ちゃんも喜んでるんじゃないかな? 』

王 『 荷台に乗るあんこうスーツの山郷選手、すでに2アウトを貰ってしまっていますが、これまでに長刀道、茶道、仙道、香道チームからアウトを奪っています! 』

角谷 『 まだ1年生ながらもM3リーの主砲手だしね。 「 狙いを定めて物を当てる 」 ってことが得意なんだよ。 いや、得意になったのかな? 頑張れ〜 山郷ちゃ〜ん 』

王 『 さあ! 決戦の舞台はここ、大洗リゾートアウトレット! その大駐車場の一角で、華道チームと戦車道チームが50mほど間を空けて、正面で相対します! 』

角谷 『 戦車道チームがアウトをとられたらその時点で脱落。 華道チームはゴールまでウィニングランだろう。 逆なら、残り1q弱の追いかけっこだね 』

王 『 両チーム、お互いを見つめて、仕掛けるタイミングを図る! 決戦の火蓋がいま…… 』



合気道チーム 「 ちょおぉぉぉぉっと待ったぁーーーー!!! 」



王 『 え? 』

角谷 『 え? 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:46:49.53 ID:hCip+/ix0<>
王 『 えぇぇぇぇぇ!? 合気道チームが乱入してきたぞぉぉーー!? 生きとったんかワレぇ!? 』

角谷 『 びっくりした。 黒森峰のお姉さんが来たのかと思った 』

王 『 なぜ!? なぜここで、後位グループに転落したはずの合気道チームが間に合ったのでしょう!? 』

角谷 『 合気道チームは、てっきりあのまま弓道チームにやられて、すでに脱落したんだと思ってたんだけど 』

王 『 あ、またここで、別ドローンが撮影した動画があるそうです。 見てみましょう 』

角谷 『 合気道チームはリプレイ多いなー 』 

王 『 えー……、合気道チームは第二中継地点の入る前で弓道チームに抜かされて第7位へ後退、そのままアンカーにバトンタッチしますが…… 』

角谷 『 あー、大洗サンビーチ入口交差点までは道が細いし、長距離射程で速度があるスポンジ矢は近づいちゃうと躱せないので、そのまま弓道チームの後ろをあいだ空けて、ずっと走ってたんだね 』

王 『 で、合気道チームにとって目の上のタンコブとなった弓道チームは、スピードを上げて先頭グループを猛追。 戦車道チームに一矢報いることに成功 』

角谷 『 しかし弓道チームは、戻ってきた忍道チームと中距離での乱射戦になって、その場にくぎ付けされちゃったね。 あ、すごい、本当に手裏剣で矢を全部撃ち落としてる 』

王 『 そうして忍道チームが弓道チームを抑え込んでいるうちに、その横を合気道チームが追い抜いて、今この場に現れた、ということですね 』



合気道チーム 「 手を貸すよ 」

山郷 「 あっ……ありがとうございます! 」

ねこにゃー 「 ありがたいけど……いいのかにゃ? ボク達を討ち取ってゴールに向かうことも出来るのに 」

合気道チーム 「 救世主への私達なりの感謝の気持ちってヤツだよ。 そっちこそいいの? 私達からアウト取らなくても 」

山郷 「 あいにく大洗女子の戦車道チームに、仲間を見捨てる作戦はありませんから、ふふっ 」

ねこにゃー 「 そうそう、ボク達の隊長、仲間を助ける為に川へ身を投げちゃうようなお人好しだしにゃ 」

合気道チーム 「 わかった、よろしくね。 それでどうする? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:47:31.95 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 あの花束を振るった時の飛沫……射程は10m弱ってところでしたけど、攻撃幅が広いので接近戦は無理です 」

合気道チーム 「 私の撃水みたいなあの技も、射程だけなら同じくらいだね 」

山郷 「 私の射程は13mくらいですけど……10m超えたら精度がガクンと落ちちゃうし…… 」

ねこにゃー 「 ボク達も合気道の皆さんも2アウト。 一方、向こうはノーアウト。 相打ち狙いでも分が悪いにゃ。 うーん 」

合気道チーム 「 ……なら、私達が盾になるよ 」

山郷 「 え!? それではそちらのチームが……! 」

合気道チーム 「 いいのいいの、どうせ私達、優勝狙ってないし。 目立てればいいのよ。 来年、履修生がいっぱい来てくれるようにね 」

山郷 「 合気道チームの皆さん……! 」

合気道チーム 「 私達以外の他の科目もね、たぶん戦車道のみんなには感謝しているんだよ。 だけど、廃艦騒動のときに何も出来なかった悔しさと、戦車道チームを褒め称える事しかできない情けなさがゴッチャになってね。 『 私達もこんなにやれるんだぞ! 』 って、戦車道のみんなに見せつけたくなっちゃったんだと思う 」

ねこにゃー 「 だから生徒会はこんなイベントを企画したんだろうにゃ。 みんなのガス抜きのためにね。 お陰でこっちは良いサンドバックだにゃ 」

山郷 「 フフッ、しょうがありませんよね。 生徒会のトップ3人が、戦車道やってるんですもん。 そりゃまぁ私達は生徒会にコキ使われますよね 」

ねこにゃー 「 ボク達、これまでさんざん生徒会に応援してもらったから、せめて今日くらいはその恩に報いるとするかにゃあ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:48:43.80 ID:hCip+/ix0<>
合気道チーム 「 で、話は戻るけど、結局どうするの? 私達が盾になるっていっても、あの攻撃じゃ攻撃密度が濃すぎて完全には防ぎきれないよ? 」

山郷 「 ……ねぇ、ねこにゃー先輩。 ねこにゃー先輩の好きな花って、確かバラでしたよね? 」

ねこにゃー 「 え、なに、どしたの? そうだけど、っていうか何で知ってるの? やだ、どうしよう 」 ///テレテレ

山郷 「 選手プロフィールに書いてあったんです! 月刊戦車道 特集号の! 」

ねこにゃー 「 アッ、ハイ。 それで? 」

山郷 「 あのバラの花束……本物に見えますか? 」

ねこにゃー 「 ……いやー……あれ、ただの造花だにゃあ 」

山郷 「 ……さっき、あのバラの花束をインク液に浸け直していましたよね? 」

ねこにゃー 「 ……なるほど。 次の攻撃に移る前に、もう一回インク液に浸け直す必要があるんだにゃ 」

山郷 「 まるで戦車みたいですね、再装填するまでに時間が掛かるって。 これ、何か作戦に組み込めませんか? 」

ねこにゃー 「 ……戦車、2対1、再装填、1輌は犠牲にできる……そしてラストステージ。 ……ああ! なんだ、大学選抜戦の応用問題だにゃ 」

山郷 「 大学選抜戦の応用? 」

合気道チーム 「 ??? 」

ねこにゃー 「 えーっとね、耳かしてくれる? ゴニョゴニョゴニョ……… 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:51:22.15 ID:hCip+/ix0<>
王 『 合気道チーム、このインク液ぶっかけサバイバルレースを生き残り、最後の最後でトップグループに追いつきました! その合気道チームですが、この大洗コロッセオに到着してからというもの、先に着いていた戦車道チームと何やら話し込んでいるように見えますね、角谷会長? 』

角谷 『 戦車道チームと手を組もう、ってことだろうね 』

王 『 おお、なんとこの最終盤の局面で、お互い2アウト同士のチームが手を組みました!! そして作戦会議でもしているのでしょうか!? 何やらヒソヒソと耳打ちし合っています! 華道チームは動かず律儀に待っている! 』

角谷 『 正々堂々と迎え撃とうって気だね。 華道も礼儀作法には厳しいからねぇ。 卑怯な真似はしたくないんだろうさ 』



合気道チーム 「 わかった、それでいこう。 お手柔らかにね 」

ねこにゃー 「 チャンスは1回。 アユミン、合気道のみなさん、よろしく頼んだにゃ! 」

山郷 「 はっ……はいっ!! 」



王 「 戦車道チーム、合気道チーム、いま作戦会議が終わったようです。 両チームが並び立って、華道チームに相対します 』

角谷 「 いよいよだね〜 」

王 「 全長12qに渡るこの長い闘いも、大洗コロッセオと、ここからゴールに続く1q弱の道を残すのみとなりました。 多くの歓声に囲まれて、各リアカーの上にいるあんこうスーツのピンク色が、いまこの時ばかりは攻撃色へと色を変えて、相手を圧倒してやるぞという、そんな気迫が伝わってきそうであります! 果たしてどのチームがいちばん最初にゴールテープを切り、勝利の栄光を掴むのか! 全てのチームが……いま、駆け出しました!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:53:55.48 ID:hCip+/ix0<>
王 『 華道チーム 対 戦車道・合気道チーム、お互いがどんどん近づいていきます! 』

角谷 『 戦車道チームがフォーメーションチェンジ!? 』

王 『 戦車道チームのリアカーが合気道チームの真後ろに付きました! 目と鼻の先! ねこにゃー選手が手を伸ばしたら合気道チームのリアカーが触れそうなほどの至近距離です! 』

角谷 『 戦車道チームは合気道チームを盾に使おうというのかな? しかし華道チームの飛沫ショットガンは、例え合気道チームを盾にしても、細かい飛沫の流れ弾まで防ぎきれないはずだよ 』

王 『 どんどん近づいて……あと30m!……20m!…… 』

角谷 『 華道チームが造花バラの束を構えた! 合気道チームも構える! 』

王 『 ……15m!………10m!! 』



山郷 「 いまっ!! 」

ねこにゃー 「 ねぇぇぇこぉぉぉぉにゃっっっっっっ!!!!! 」



( ドカァッ!!! )



王 『 蹴ったぁぁぁぁぁ!? 戦車道チームの走者、ねこにゃー選手! 目と鼻の先を先行していた合気道チームのリアカーのケツを、もの凄い威力で蹴り上げたぁぁぁ!! 合気道チームが前へ前へと吹っ飛んでいきます!! 』

角谷 『 タイミングを合わせて迎え撃とうとしていた華道チームの攻撃が、見事にタイミングを外された! 』

王 『 このままでは華道チームにぶつか………らない!! ここで合気道チームの走者が、足を踏ん張って急ブレーキ!! 前つんのめりになるぞ!! 』

角谷 『 違う! わざと前つんのめりにさせたんだ! その慣性の力を利用して、合気道チームのタスキ役が……! 』

王 『 空を……飛んだぁぁぁぁ!? 』



合気道チーム 「 私のこの手が真っ赤に燃える! 爆熱! 大洗フィンガァァァァ!! 」



王 『 空中で撃水発射ぁぁぁぁーー!!  空中波動拳のような撃水ぅぅぅーーーー!!! 』

角谷 『 あぁでも! 華道チームの対空射撃が間に合うよ!! 』

王 『 あああぁぁぁぁっとぉぉぉ!! 合気道チーム、バラの紅い散弾に包まれたぁぁ!! これで3アウト!! 脱落だぁぁぁ!!!』

角谷 『 そのかわり撃水が華道チームにヒットだ! 合気道チームがアウトになる直前に放ったから、あれは有効打だよ! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:55:23.41 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 ありがとう、合気道チームのみなさん! 」



王 『 ええぇぇっ!? 戦車道チーム、飛沫の流れ弾を喰らってないぞぉ!? 』

角谷 『 そうか! 華道チームの飛沫ショットガンを対空射撃に使わせて、攻撃方向を上へ向けさせたんだ! 山郷ちゃんはしゃがんだ姿勢でその弾幕を掻い潜り、そのまま合気道チームの横を通り抜けて……!! 』

王 『 ここで戦車道チームに気付いた華道チーム!! 慌ててバラの造花をインク液に浸け直して再装填を図りますが……!? 』

角谷 『 このチャンスを逃す戦車道チームじゃないね!! 』

王 『 戦車道チーム、渾身の力を込めたオリーブドラブ色の一撃!! ヒットォォォぉぉ!!! 華道チーム、一気に2アウトぉぉぉ!!! 』

角谷 『 いくら華道チームの飛沫ショットガンが広範囲に攻撃できるって言っても、銃口が上に向いてるならタイミング合わせて伏せてりゃ当たらない! シビアなタイミングだったけど……考えたね! 」

王 『 戦車道チーム! そのまま脱兎のごとく大洗まいわい市場の建物前から駆けていきます!! そして、してやられた華道チーム!! 余裕のノーアウトだったのが急に崖っぷちの2アウト!! 」

角谷 『 まさかこの土壇場の状況で、愛里寿ちゃんを空砲ブーストで撃破した西住姉妹アタックの応用を思いつくなんて、いやはや、お見逸れしたよ! 」

王 『 逃げる戦車道チーム! その後ろを、この恨み晴らさでおくべきかと言わんばかりに華道チームが追いかけます!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:55:51.92 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 やった! 上手くいった! やりました、ねこにゃー先輩!! 」

ねこにゃー 「 さすがアユミンだにゃ! あとは逃げ切るだけ……づうっ!?」

山郷 「 え!? ねこにゃー先輩!? 」



王 『 大洗マリンタワーのある交差点を右に曲がり、コースは再びサンビーチ通りへと戻ります! ゴールまで残り700m!! 後ろ20mくらいには華道チームが追い上げる!! さあ戦車道チーム、逃げ切れ…………おやぁ!? 』

角谷 『 ねこにゃーが びっこ引いてる!? 』

王 『 おおぉぉっとぉ!? どうしたというんだ戦車道チーム!! まさかのアクシデント発生!? 失速していくぞぉ!? 』

角谷 『 ねこにゃー!? 』

王 『 まだ戦車道チームがトップを走っていますが、このペースだとゴールまでに追いつかれてしまいそうだ! まだ! まだ最後まで勝負はわからない!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:56:19.09 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 先輩!? ねぇ先輩!!? 」

ねこにゃー 「 ぬっ……ぐぅ………!? 」

山郷 「 大丈夫ですか!? ねこにゃー先輩!!?? 」

ねこにゃー 「 くっそっ……! だましだまし使ってきたけど、さっきのアレで耐久値が尽きたってことかにゃ……!? 」

山郷 「 だましだましって……やっぱりケガしてたんですか!? 」

ねこにゃー 「 いいから、スポンジ弾の残り全部使って、華道チームを寄せ付けないようにするんだにゃ!! 」

山郷 「 ……はっ、はいっ!! 」



王 『 さあ、失速してしまった戦車道チーム!! こっちに来るなと拒絶の意思をスポンジ弾に込めて、牽制射撃を開始した!! 』

角谷 『 あと500m!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:56:51.25 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 このっ! こっち来るなっ! このぉっ!! 」

ねこにゃー 「 ぐぅぅっ……!! 」

山郷 「 ねこにゃー先輩!! 」 

ねこにゃー 「 ……いやぁ……ケガっていうか、ランナー膝って関節炎でね……ぐぅ! ……トレーニングし過ぎて炎症起こしただけだから、自業自得なんだけど……! いててっ……!! 」

山郷 「 それでこんな距離を走ってきたんですか!? 」

ねこにゃー 「 一応、今日まで治療してきたから……だましだましなら走れはするんだけど……ヒザの耐久値がある一定値を割ると、こうなっちゃうんだにゃっ……! ぐぅっ!! 」

山郷 「 ねこにゃー先輩!!? 」

ねこにゃー 「 アユミンもランニング続けてれば、そのうちわかると思うんだけど……膝って消耗品でね? ……マラソンとか、そういうレースに出る場合は、いかに膝の消耗程度をマネジメントして、ゴールまで膝を保たせるか、っていうのが完走のコツだったりするんだにゃ……っ! 」

山郷 「 膝は消耗品って…… 」

ねこにゃー 「 もちろん人それぞれなんだろうけど、ボクの場合はね……いてぇっ! ……つまりマラソンとかって、ボクにとっては、膝と体力のマネジメントゲームなんだよ……! 」

山郷 「 よくわかりませんよう! 」

ねこにゃー 「 何が言いたいのかって言うと……つまりゲームなら……ボクは負けないってことだよ……づぅっ! 」

山郷 「 先輩!!! 」



王 『 戦車道チームのスポンジ弾攻撃、ここにきて精度を失ってしまったようだ!! 華道チームはそれを簡単に躱しながら、どんどん戦車道チームに近づいていくぞ!! これは最後のどんでん返しがあるかぁぁ!? あとはもう、この先の文化センター前交差点を右折して、カーフェリーポートの看板を潜れば、ゴールテープまで直線200mです!! 』

角谷 『 がんばれ……がんばれ二人とも……!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:57:42.10 ID:hCip+/ix0<>
山郷 「 このっ! このっ! 当たれっ! このっ! 相手も2アウトなのにっ…! 何で当たらないのっっ……!? 」

ねこにゃー 「 ……ぐっ………くっ………くぅっ! 」

山郷 「 …………ぜんばい゛!! 」

ねこにゃー 「 ちょっwwww 泣くなしwwwwいでぇっ! ……っ、なにっ!? 」

山郷 「 ……スポンジ弾が……残り3発じがあ゛り゛ま゛ぜん゛ 」

ねこにゃー 「 wwwwww……あー……となると……その調子だと……交差点曲がった辺りで華道チームとエンカウントしちゃうかー……くっ 」

山郷 「 どっ、どう゛じま゛じょう゛っ!?」

ねこにゃー 「 ……んー……ボク達が華道チームの射程につかまった時点で、こちらはもう相手の攻撃を防ぐ手段が無いから負け確定だし……いててっ 」

山郷 「 ひぐっ……ぐすっ…… 」

ねこにゃー 「 ……ねぇ、アユミン 」

山郷 「 ……はい゛っ 」

ねこにゃー 「 最後に……もう1回だけ……見せ場を稼がない? ほら、観客へ、印象ダメ押しするためにね 」

山郷 「 ……??? 」

ねこにゃー 「 要するに、ここで華道チームを討ち取って、もっと人気者になろうってことにゃ 」

山郷 「 でも゛っ……私の腕じゃ……もう当だらない゛……ぐすっ…… 」

ねこにゃー 「 だからね……当たる距離まで接近するから 」

山郷 「 ………どうやって? ……ひっく…… 」

ねこにゃー 「 相手はいま、ボク達がこのまま逃げ切ろうとするに違いないって、そう思いこんでる。 油断してるってことだね 」

山郷 「 ……だから? 」

ねこにゃー 「 全国大会決勝戦で、西住さんが、お姉さんを倒した最後のシーン、覚えてる? 」

山郷 「 ??? ……はいっ……ずびっ 」

ねこにゃー 「 あんな感じのやつを、文化センター前交差点を右折するタイミングで仕掛ける。 だから、後はヨロシク頼んだにゃ 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:58:45.46 ID:hCip+/ix0<>
王 『 さあ、戦車道チームが最後の曲がり角へやって来た! しかし、ねこにゃー選手は苦しそうな表情をしている! あと少しでゴールです! ですが失速気味の戦車道チームのすぐ後ろ! 華道チームが死神の鎌を携えて近づいてきた! 」

角谷 『 やはりっ……ダメかっ!? 』

王 『 ゴールされる前に息の根を止めようと、造花の花束の射程に入り次第、戦車道チームを討ち取るつもりのようだ!! 」

角谷 『 スポンジ弾が当たらないこの状況で、この速度差じゃあ……交差点曲がった直後にやられるっ……!! 』

王 『 戦車道チーム、絶体絶命の大ピンチ!! さあどうなる!? いま、交差点を右に曲がって……!? 』



ねこにゃー 「 いくにゃ!! 」

山郷 「 はい!! 」



ねこにゃー 「 ねぇぇぇーーーーこぉぉぉぉーーー…………!! 」



王 『 え!? 』

角谷 『 え!? 』

華道チーム 「 !!?? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/26(土) 23:59:45.33 ID:hCip+/ix0<>
ねこにゃー 「 に゛ゃあああああああぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっっっ!!!!!! 」



王 『 ええええぇぇぇ!? 戦車道チームのねこにゃー選手!! 文化センター前交差点を右折しようと右に曲がり始めた直後、左足をパイルバンカーするかのように、地面へ踏ん張らせたぁぁぁぁ!? 』

角谷 『 その左足を軸にして、反時計回りに円を描くかのようにリアカーをドリフトさせた!? あ、あれは!? まさか!? 』

王 『 華道チーム、突然の出来事に浮足立っているぅぅ!! そしてぇぇぇ!? 』

角谷 『 遠心力に振り回されながら、山郷ちゃんがスポンジ弾を構えて……!! 』

王 『 交差点の真ん中で、まるでリアカーを360度ぶん回すような機動をみせる戦車道チーム! その戦車道チームの内輪側を、訳が分からないという顔をした華道チームが接近する!! 』

角谷 『 回転してきた戦車道チームのリアカーが、近づいてきた華道チームのリアカーの鼻先を掠めるように滑っていって……! 山郷ちゃん!!! 』




山郷 「 ………え゛い゛っっ!!! 」




王 『 戦車道チームの一撃っっ………ヒットオオオォォォォォォ!!!!!! 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:00:26.08 ID:r00i/9Pd0<>
山郷 「 ……………っ!!! 」

ねこにゃー 「 はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……!! 」



角谷 『 …………はははははは! 』

王 『 華道チーム!! ゴール目前、あと200mというところで撃沈だぁぁぁ!! 』

角谷 『 西住姉妹アタックだけじゃなくて、あんこうチームのドリフトアタックまで応用しちゃうとはねぇ!! 』

王 『 呆然とする華道チーム! 紅のバラで首を刈りに来た死神の鎌は、魂にまで鋼の装甲をまとわせる戦車少女達を切りさくことは出来なかったぁぁ!! 彼女達の戦車、リアカーチャリオットの見事な一撃が、華道チームのピンクのあんこうスーツに、オリーブドラブ色の孔を穿ちました!! 』



山郷 「 ………やっ……た……… 」

ねこにゃー 「 はぁっ……はぁっ……ナイス……アユミン…… 」



王 『 いま、戦車道チームのリアカーが、ゆっくり、ゆっくりと動き出し、ゴールに向かって進んで行きます!! 』

角谷 『 残り200mのウィニングランだ。 すごい大歓声だよ 』
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:01:04.55 ID:r00i/9Pd0<>
王 『 残り5m! ……3m……2m……1m……ゴーォォォル!!!!  戦車道チーム、優勝です!!!! 』



ねこにゃー 「 はぁ、はぁ、はぁ………あ゛ー……終わったに゛ゃー……はぁ、はぁ、はぁ 」

山郷 「 ねこにゃー先輩!! 」

ねこにゃー 「 うわっっと……いてて!! 」

山郷 「 ごっ、ごめんなさい!! 」

ねこにゃー 「 抱き着いてくれるのはありがたいんだけど……ボクいま……その……汗臭いから…… 」

山郷 「 全然そんなことありません! それより足……!! 」

ねこにゃー 「 ああ、大丈夫だにゃ。 抗炎症剤飲んで安静にしていれば、またそのうち良くなるから 」

山郷 「 とにかく、私の肩につかまってください! 」

ねこにゃー 「 ありがとう、アユミン……でも、アユミンには仕事が残ってるみたいだにゃ? 」

山郷 「 え? 」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:02:29.94 ID:r00i/9Pd0<>
王 『 優勝した戦車道チームの皆さんには、これから表彰台に昇っていただきますが、その前に担架が運ばれていきます 』

角谷 『 ねこにゃーをまず病院に連れてかないといけないからね。 表彰式には山郷ちゃんに出てもらうよん 』

王 『 今大会の審判団を務めた風紀委員の皆さんが、いま、ねこにゃー選手を担架に乗せ、そして山郷選手を表彰台の方へと導いていきます 』



山郷 「 えっ? ちょっ、ねこにゃー先輩!? ねこにゃーせんぱぁぁい!? 」

そど子 「 ほら、山郷さん! キビキビ歩いて! こういうイベントは1分1秒の進行の遅れが命取りになるんだから! 」

ねこにゃー 「 いってら〜 」



王 『 優勝した戦車道チームのタスキ役、あんこうスーツに身を包んだ山郷選手が、いまステージの上に現れました 』

角谷 『 そんじゃ、メダル授与の前に、取材陣のインタビューを受けてもらおうかね〜 』

王 『 取材陣のみなさーん! ステージの前にどうぞー! 』

角谷 『 では、山郷ちゃんに何か聞きたいことのある人ー! えーっと、はいっ! いつもお世話になってるから月刊戦車道の記者の人! 一番手でどぞー! 』

月刊戦車道 記者 『 えー、では山郷選手にお聞きします。 今回のイベントでは戦車ではなくリアカーで……… 』





【 再生終了 】
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:02:59.38 ID:r00i/9Pd0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:03:31.24 ID:r00i/9Pd0<>

『 大洗女子学園高等部 戦車道隊長 西住みほに宛てられた お礼状 』


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:07:36.49 ID:r00i/9Pd0<>
拝啓 西住みほ 様



鮮やかな紅葉の季節となり、秋気いよいよ深く感じられる今日この頃、なお一層ご活躍のことと拝察いたしております。

先日開催しました本校の文化発表会では、貴隊メンバーからアリクイさんチームの3名を派遣していただき、誠にありがとうございました。

彼女達には、今回の文化発表会に際して自ら派遣を申し出てくれたことに加え、先月のリアカー駅伝大会においても我々の存在感を引き立てるかのような活躍をしていただいたので、本当に感謝の念が尽きません。

お陰様をもちまして、来場者数は8千人を超える盛況ぶりを見せ、大変多くの方々に我々の活動成果を披露することが出来ました。



お礼ついでに、私達の大洗女子学園を救ってくれたことについても、この場を借りて感謝申し上げます。

先の廃艦騒動の際、私達はどうすることも出来ず、ただオロオロとするばかりで、自分達のことを考えるだけで精一杯でした。

「 学園艦を守る 」 なんて考えは微塵も生まれず、ましてや私達が情熱をかけて取り組んできた履修科目の事も、頭から抜け落ちていた次第です。

しかしそんな状況の中にあっても、自分達が出来ることで学園艦を守ろうと、戦車道の技能を駆使して学園艦を救ってくれた戦車道の皆さんは、本当にすごいと思います。

私達の学校を、私達の学園艦を守ってくれて、本当にありがとう。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:09:07.66 ID:r00i/9Pd0<>
ただ、これからもずっと戦車道の皆さんに学校を守っていってもらおうという、そんな甘い考えは持っておりません。

大洗女子学園は、私達にとっても愛すべき場所で、大事な場所で、故郷で、家です。

もしまた、この学園艦にピンチが訪れたとしたら、今度は私達の科目が、それぞれ出来ることをやって、守ってみせようと思います。

そのためには、これからもっと技術を身に付け、知識を身に付け、そしてもっと他科目の皆さんと仲良くなって、そうやっていろんな力を手に入れて、強くなっていこうと思います。

大洗町リアカー駅伝の際には、そんな私達の意気込みを見て貰おうと、西住様ならびに貴チームへ大変な無礼を働いてしまいました。 何卒ご容赦ください。



そうそう、文化発表会での ぴよたんさん、ねこにゃーさん、ももがーさん、みんな 大活躍でしたよ!

ぴよたんさんの提案からヒントを得て作った、様々な戦車を模した生菓子は茶道ブースで大人気でしたし、砲身に大きな筆を固定して臨んだ書道パフォーマンスは、周り中から拍手喝采でした。

香りを用いて主題を鑑賞しようという内容の香道ブースでは、ももがーさんの提案で砲弾型の香炉と火薬の香りを用意して、廃艦騒動の緊迫した雰囲気を表現することに成功し、あの時の苦労を多くの方に共感していただけました。

華道ブースでは、戦車の華やかさと力強い佇まいを表現した作品が並び、色とりどりの花で装飾した三式中戦車にも登場してもらって、ご婦人や子供達をあっと驚かせていました。

気功術体験を企画した仙道ブースでは、ねこにゃーさん達全員にステージへ上がってもらって軽気功体験をしてもらったんですが、何をどうしたのか、踏ん張った拍子にねこにゃーさんの手からかめはめ波みたいなのがちょっと出て、一時会場が騒然としました。



いずれの科目のブースにも多くの来場者が立ち並び、次回開催を望む声がすでに多数、寄せられています。

そしてそんな声援に後押しされて、参加したすべての履修生の心に、新たな情熱の火を灯ったようです。

大洗女子学園をこれからさらに盛り上げていこうという、この情熱の火を、貴隊と共に大きく燃え上がらせていけたら嬉しいです。

貴隊のご活躍に負けないよう、我々も頑張ります。



末筆ではございますが、西住様をはじめ、貴隊みなさまの一層のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

略儀ながら、まずは書中をもちまして御礼申し上げます。


  草々



11月吉日

華道、香道、仙道、茶道、書道  代表者一同
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:09:34.43 ID:r00i/9Pd0<>

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:10:09.34 ID:r00i/9Pd0<>

『 月刊戦車道 11月号 〜 高校戦車道 特集ページ 〜 』


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:10:48.67 ID:r00i/9Pd0<>
【 黒森峰 対 大洗女子、再び激突! 練習試合で見えた新たな星々!! 】



10月第4週の週末、茨城県鹿嶋市の臨港エリアにおいて、黒森峰女学園 対 大洗女子学園 による練習試合が行われた。

両校にとっては、今年の全国大会決勝戦で優勝を争って以来の再戦となった。


黒森峰は、戦車道の名門 西住流の流れを組む強豪校として知られているが、昨年の10連覇が懸かった全国大会の決勝戦では、不慮の事故により敗退し、再び王者に返り咲こうと臨んだ今年の決勝戦では、無名の大洗女子に敗けを喫した。

2年続けて王座から転落した黒森峰は、それまでの圧倒的な戦力差で相手を押しつぶすという戦術の基本方針を見直し、強力な砲に強固な装甲、そこに速い足と鋭い頭を加えた、より多彩な局面に対応できる戦術を執るようになった。

また、隊長車が末端車輛の仔細まで管理する指揮系統も見直し、最初に基本指示を伝えた後は、各車両で自主的に考えて行動する自由性を取り入れた。

こうした方針転換は、現 西住流当主の後継者であり、現 黒森峰女学園の隊長を務める西住まほの優れた指揮統率力が、来年度から失われてしまうことへの対策でもあると思われる。

その他、偵察目的のパンター小隊を用意する等、戦車の編成にも手を加えており、これらの方針転換によって “ 真の西住流 ” を体得しつつあるとも言える黒森峰に、関係者一同は注目していた。


そんな黒森峰が、新しい力を見せる機会がやってきた。 因縁の大洗女子と再び激突したのである。

次期隊長と目される逸見エリカは、まだ荒削りながらも指揮下の車輛を的確に動かして、幾度となく大洗女子の車輛を追い詰め、噂に違わぬ新生黒森峰の強さを見せつけた。

また、その逸見の指揮に十二分に応えた隊員達にも見どころは多く、中でもパンターG型の赤星小梅が指揮を執った偵察小隊は、絶妙のタイミングで大洗女子の戦車隊を分断させることに成功し、新生黒森峰がもはや一枚看板ではないことをアピールした。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:11:48.55 ID:r00i/9Pd0<>
一方、大洗女子は、相手を翻弄して急所に一撃を叩きこむ巧妙な戦術を得意としており、今年の全国大会、そして記憶に新しい大学選抜戦では、実に奇抜かつ奔放な作戦を駆使して勝利をもぎ取ってきた。

これまでの高校戦車道の概念には存在しない作戦をいくつも弄し、相手の常識から外れたところへ蟻の穴のごときチャンスを作りだして、そこを起点に敵チームの堤を決壊させるのである。

「 隊員のほとんどが今年戦車道を始めたばかり 」 という短所を、「 常識に囚われない発想が出来る 」 という長所に置き換えた大洗女子ならではの強さであり、その奔放な強さは黒森峰との練習試合でも存分に発揮された。


今回、大洗女子は三式中戦車を欠いた計7輌が練習試合に臨んだが、その穴を埋めるようにして活躍したのは、1年生チームのM3リーであった。

包囲の輪を形成しようとした黒森峰の偵察小隊に対し、M3リーは先んじて包囲網の外へ脱出して偵察小隊を攻撃、大洗女子フラッグ車を窮地から救ったのだ。

その際の救出の仕方も、実に大洗女子らしい奔放な方法だった。

コンテナの中にM3リーを格納し、クレーンを使って停泊しているコンテナ船へと吊り上げ、そのコンテナ船上から砲撃したのだ。

そんな奇抜なアイデアを、どうしたら考えつくのだろうか。

この時、約1300m先の標的車輛を撃ち抜いた砲手であり、このアイデアの提案者でもあるのが、M3リーの主砲手、山郷あゆみであった。

大洗女子のM3リーは、先の大学選抜戦でも 「 観覧車を敵集団に突っ込ませる 」 という奇抜な方法で味方車輛を助け、敗色が漂い始めた試合の流れに転換点を作りだした。


M3リーの主砲手、山郷は、戦車道以外でも非凡な才能を開花させつつある。

彼女は、先月行われた大洗女子学園内の体育イベントに出場し、戦車道以外のあらゆる履修科目代表チームを押しのけて、優勝をさらっていった。

その体育イベントの内容というのが、大洗町の街中を、リアカーを引いてレースするという、実に奇抜かつエキサイティングな競技で、大洗女子の生徒全員、そして多くの大洗町住民が熱狂した。

山郷が黒森峰との練習試合で活躍したことも、この体育イベントで優勝したことも、彼女自身の才能による部分があるのは確かだろうが、彼女は半年前まで戦車道もその他のスポーツも素人だった。

ひょっとしたら大洗女子学園には、生徒の隠れた才能を開花させる 「 何 」 かがあるのかもしれない。

その 「 何か 」 を探るためのヒントは、この奇抜でエキサイティングな体育イベントで見つけることが出来た。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:14:21.22 ID:r00i/9Pd0<>
大洗女子では、昨年度まで、戦車道を含めて全ての科目で、これという目立った成績を残していない。

それゆえに、文科省学園艦教育局による、学園艦の統廃合計画の対象とされてしまった。

現在、大洗女子の学園艦は、いまだ8月下旬に発生した廃艦騒動による傷が癒えきっておらず、各科目においても満足な活動が出来ないでいる。



しかし、各科目の履修生たちは、そんな苦しい中にあっても、実に楽しそうに日々の練習、訓練、お稽古、修練等々に取り組んでいる。

そうした学校生活を楽しむ姿勢は、元々、大洗女子の校風であったし、そうした生徒達を、大洗町の住人たちは昔から慈しんでいる。

生徒達と住民達には心の余裕が生まれ、親近感が生まれ、連帯感が生まれる。

大洗女子の学園艦が廃艦騒動に巻き込まれたとき、大洗町を中心とした近隣市町が大洗女子学園を無条件で支援したのは、このような心の繋がりがあったからだと言える。

大洗女子の生徒達は、心の余裕と、地域に支えられている実感を持っているからこそ、より一層、友のために、仲間のために、生徒のために、地域のために頑張ろうという気持ちが湧き起こるのだろう。

そしてそれは、何事においても全力で楽しもうとする、いついかなる時も前向きな心を形作り、そしてまたそれが心の余裕を生み出すという、善循環を生み出しているのだ。

大洗女子の戦車道チームを見ていると、それが彼女達の隠れた才能を開花させるカギになっているのでは、と思わずにはいられない。

体育イベントの表彰式での、山郷が漏らした一言が大変印象的だった。



「 このリアカー駅伝も、それに戦車道も、ゲームです。 ゲームは楽しむためにあります。 何かを楽しむことにかけては、私達は絶対負けません 」



彼女達の、どんな時でも笑って前を向く、そんな心の強さが、来期の高校戦車道にどんな波乱を巻き起こしてくれるのか、今から楽しみである。


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:15:07.49 ID:r00i/9Pd0<>

※ 終わりです。


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

よろしければ、過去に作成した私のガルパンSSもご覧ください。



【ガルパン】秋山淳五郎と西住常夫が泣いた夜
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495486652/


【ガルパン】大洗女子学園 農業科生徒による もう一つの戦い
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495949810/


【ガルパン】そして冷泉久子は華麗にステップを踏む
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496507781/


【ガルパン】西絹代の無邪気な魅力 と 邪気な人々
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498368206/

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/08/27(日) 00:16:37.72 ID:r00i/9Pd0<>
女子高生がリアカー引いて4qも走れるか? とか、俺が推してる店が出てないからダメやり直し、とかそういうアレは甘んじて聞きます ( ただ聞くだけ )

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/27(日) 00:17:06.79 ID:O03VG8nsO<> チャットでは饒舌な紗希ちゃんかわいい
アリクイさんより目立つのに認められてるカバさんかわいい
祭に集まるアンツィオかわいい
弓矢の安全確認の的になった桃ちゃんかわいい
普段目立たないのにあんこうスーツで目立ちまくりのアユミンかわいい
最後クライマックス連発よかった
一気に投下乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/27(日) 00:56:46.38 ID:uEAJhb1To<> おもしろかったー!乙 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/27(日) 02:12:35.41 ID:fBg9ZGINO<> ガルパン世界のJKは濁流に逆らって泳げたり3t以上ある戦車を2人だけでひっくり返せたりするからよゆーよゆー

大作乙でした。アイデア、構成、小ネタ全てが面白かったです
個人的には安っいダー様が一番ツボに入ったわw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/27(日) 14:40:35.55 ID:f5/deonwo<> きわめて乙!! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/08/28(月) 02:36:12.47 ID:jL/h2WVoO<> とても面白かった。チャットの会話とかリアカー競技とか見てて楽しい

ただ、あんこうスーツの胸とか尻のアップが放送されるとか柚子の水着を取材陣が撮りまくりとか
本人が嫌な思いしてるのに会長が性を売ってる感じが不快だった
そこ以外は本当に良いSSだった。乙です <>