以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:46:28.15 ID:m7qz78Dc0<>満月が照らし出す、午前2時 <br>  <br> 薄暗い明かりの下、ルビィは毛糸を紡いでいた <br>  <br> 何かに憑かれたように、せっせと使い慣れた編み棒を取りまわしていく<br><br>SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505997987<br><>ルビィ「愛を込めて」
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:47:49.82 ID:m7qz78Dc0<> 編み物は心を織り込んでいく、なんて言葉を読んだことがある <br>  <br> 単純作業、何十何百もの繰り返しの中…贈る相手、想う相手のことを考えながら形作っていく <br>  <br> ルビィが今回贈るのも、その想う人 <br>  <br> 人生を共にした、大好きな人 <br>  <br> ずっといっしょの、最愛の人 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:48:17.85 ID:m7qz78Dc0<> 「ルビィ、こちらがわたくしからですわ」 <br>  <br> 当日の夜 <br>  <br> 真っ赤な包装紙に包まれたプレゼントを、お姉ちゃんから受け取る <br>  <br> 断りを入れて、丁寧に紙を開き中身を取り出す <br>  <br> 中から出て来たのは…ピカピカのソーイングセット <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:48:52.05 ID:m7qz78Dc0<>  <br> 「あなた、中学の時買ったやつのままでしょう…？良かったらそれを使いなさいな」 <br>  <br> 「うん、ありがとう…！お姉ちゃん」 <br>  <br> この歳になっても、誕生日プレゼントがとっても嬉しい <br>  <br> 新たな自分のものが増えるワクワクと <br>  <br> 自分の事を見て、考え、選んでくれたその気持ちに胸が熱くなる <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:49:46.43 ID:m7qz78Dc0<> 「それじゃ、あまり遅くまで起きてないで…早く寝なさい」 <br>  <br> プレゼントを渡してくれて <br>  <br> いつものように軽く言葉を投げかけ、寝る支度に入るお姉ちゃん <br>  <br>  <br> …その袖を軽く引っ張って、引き留める <br>  <br> 「待って、お姉ちゃん」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:50:49.78 ID:m7qz78Dc0<> 「……はい、お姉ちゃん」 <br>  <br> 「…これは？」 <br>  <br> 訝し気な目で見てくるお姉ちゃんに、少し照れながら説明する <br>  <br>  <br>  <br> 「これから寒くなるし…ルビィからお姉ちゃんに、プレゼント」 <br>  <br> 「……」 <br>  <br> それでも、まだ表情に？印を残した、お姉ちゃん <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:51:31.66 ID:m7qz78Dc0<> 「……今日はルビィの、誕生日よ…？」 <br>  <br> 「うん、でも…」 <br>  <br> 「でも……？」 <br>  <br>  <br>  <br>  <br>  <br>  <br>  <br> 「今日はお姉ちゃんが…ルビィのお姉ちゃんになってくれた日、だから」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:52:02.66 ID:m7qz78Dc0<>  <br> 「ルビィ！早くしないと置いていくわよ！」 <br>  <br> 「待って！お姉ちゃん」 <br>  <br> 誕生日も過ぎ、いつもと同じ朝が来る <br>  <br> 寝ぼけた目をこすりながら食パンを咥え、駆け足で玄関までへと向かう <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:52:35.23 ID:m7qz78Dc0<>  <br> 外履きの靴を履き、既に姿の見えないお姉ちゃんを追う <br>  <br> お姉ちゃんは、ルビィのことなんか構わず先に行ってしまったみたい <br>  <br> バスを逃したら最悪、歩いて学校まで向かわなければならない…そうなったら遅刻確定 <br>  <br> 少し青ざめた顔で石段を駆け下り、いつもの道を走って進む <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:53:08.88 ID:m7qz78Dc0<> たおやかな所作で先を行くお姉ちゃんの背に向かって走る <br>  <br> お姉ちゃんの後姿が見えてきた <br>  <br> いつもの黒セーラー、いつもの通学鞄 <br>  <br> ただいつもと違うのは……首を覆う一枚の布 <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:53:44.89 ID:m7qz78Dc0<> 少し立ち止まって食パンを一思いに口に詰め込むと再度駆け出し、お姉ちゃんの横へと並ぶ <br>  <br> その首元に結わわれた真紅のマフラーと <br>  <br> 追いついた時の、少し恥ずかしそうにするお姉ちゃんの横顔で <br>  <br> ルビィの胸は、いっぱいになりました <br>  <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2017/09/21(木) 21:54:10.03 ID:m7qz78Dc0<> おわり <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/22(金) 00:26:30.43 ID:I92bK5xlo<> 乙 <br> 姉妹愛好き <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2017/09/22(金) 01:12:05.10 ID:6LSPs6npo<> すばらしい <>