◆6QdCQg5S.DlH<>saga sage<>2017/10/07(土) 22:38:09.56 ID:8C1mveqc0<>前の
乃々「心の声が聞こえるんですけど……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504313285/

寺生まれのPの番外編です。教会生まれのCさんの話です。

教会生まれのCさん前の
クラリス「教会生まれのCさん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501868659/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507383489
<>薫「教会生まれのお姉ちゃんにお礼したい!」
◆6QdCQg5S.DlH<>saga sage<>2017/10/07(土) 22:39:42.12 ID:8C1mveqc0<> クラリス「……」

クラリス(……歌鈴さんたちと出会って、1ヶ月ほど経ちました)

クラリス(助けてもらった日から、歌鈴さんは教会に遊びに来てくれるようになって、ほんの少し騒がしくなりました)

クラリス(彼女はとても可愛いらしくて、面白い方でした)

クラリス(そばにいるだけで、つい笑みがこぼれてしまうほど……ふふ)

クラリス「……」

クラリス(……その際に、彼女たちのこれまでの話も聞きました)

クラリス(歌鈴さんもまた、妖怪や神にめちゃくちゃにされていたようです)

クラリス(……私からしたら本当に神かも疑わしいのですが……まあそれは良いでしょう)

クラリス(それよりも……彼女たちはそんな人生を送ってきたのに……)

クラリス(それなのに、彼女は妖怪を……前川みくを仲間としてみている)

クラリス「……」

クラリス(確かに、あの妖怪は彼女たちをたくさん助けていたようです)

クラリス(……とはいえ)

クラリス(妖怪を仲間だと思える、その感情だけはどうしても理解しがたいものがあります)

クラリス(……)

クラリス(……人ではないものに、散々危害を加えられ)

クラリス(それでも、妖怪を仲間だといえるのはどうしてなのでしょう……)

クラリス(……)

クラリス(……私の中に渦巻く黒い気持ちがすべて消えたら理解できるのでしょうか)

クラリス(……) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:41:11.44 ID:8C1mveqc0<> クラリス「……」

クラリス「……あら」

クラリス(目の前に倒れてる子が……いえ、あれは……)

クラリス「妖怪……」

クラリス「……」

クラリス(……動きませんね)

クラリス(死んでいるのでしょうか?)

クラリス「……」

クラリス(……動きませんね)

クラリス(……怪我もしてるみたいですし、血も流れてる……)

クラリス(これなら、近寄っても問題は無いでしょう)

クラリス「ふむ……」

???「――」

クラリス「……生きているようですね」

クラリス(このまま放置していても死んでしまいそうですが……)

クラリス(……いえ、妖怪ですし、むしろ全治するかもしれません)

クラリス(それならば、誰かに危害を加える前に……)

クラリス「……」

???「――うぅ」

クラリス「……」

クラリス「……」

クラリス「……」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:42:01.73 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

???「――ん」

???「ん〜っ……?」

???「……ここ、どこ?」

クラリス「……目覚めたのですね」

???「わっ!?」

???「……お姉ちゃんは?」

クラリス「クラリスと申します」

???「クラリスお姉ちゃん……」

クラリス「お姉ちゃん……ですか」

???「だって、かおるよりお姉ちゃんでしょ?」

???「……はっ!? もしかしてそんなおっきいのにかおると同い年!?」

クラリス「いえ、そんなことは……無いと思いますが」

???「だよねー。だからお姉ちゃん!」

クラリス「……」

薫「……あっ! えっと、かおるは薫だよ! よろしくおねがいしまー!」

クラリス「えぇ、よろしくお願いします」

クラリス「……お腹が空いたでしょう?」

クラリス「今、朝ごはんをお持ちしますね」

薫「わぁ! ありがとうございまー!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:44:25.33 ID:8C1mveqc0<> クラリス(……まさか、私が妖怪をここに連れ込むとは)

クラリス「……」

クラリス(……見たところ彼女はまだ子供)

クラリス(人を襲えるような力は持ち合わせていないかもしれません)

クラリス「……」

クラリス(怪我を負わされていたことから考えても、そこまで強い力は無いでしょう)

クラリス(それどころか、誰とも知らぬ者に襲われ倒れていたと考えれば、脅威はそこまでありません)

クラリス「……」

クラリス(とはいえ、妖怪)

クラリス(……もしかしたら、あの場で放置していたら自然治癒して、また誰かを襲っていったかもしれません)

クラリス(それならば、傍に置いておいたほうが、万が一の時にすぐ対処できます)

クラリス「……」

クラリス(……なんて後付の理由はたくさんつけられます)

クラリス(けど、どれもあのときの私の考えとは別)

クラリス(あの時私は……)

クラリス(……)

クラリス(……)

クラリス(……) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:46:08.21 ID:8C1mveqc0<> クラリス「お待たせしました」

クラリス「パンとスープ……なんて簡単なものですが――」

薫「わぁっ! 美味しそう……!」

薫「これ食べても良いの!?」

クラリス「――えぇ。あなたのための朝ごはんですから」

薫「わーいっ!」

薫「それじゃあ……あむっ!」

薫「んーっ、おいしーっ!」

クラリス「……ありがとうございます」

クラリス「それでは私も……はむ」

薫「あむあむ……あっ、クラリスお姉ちゃん!」

クラリス「……食べながら話すのは行儀が悪いですよ?」

薫「ぎょーぎ?」

クラリス「えぇ、行儀」

薫「えっと……どういうことー?」

クラリス「……そうですか……こういう考えも無いんですね」

薫「?」

クラリス「いえ……」

クラリス「……口の中に入ってるものが相手に見えてしまいますから」

クラリス「薫さんもそんなものを見たくないでしょう?」

薫「あ、うん。あんまりみたくな……」

薫「――あっ……むぐっ!」

クラリス「……落ち着いて飲み込んでくださいね」

クラリス「時間はたくさんありますから」

薫「……」コクコク <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:47:12.36 ID:8C1mveqc0<> 薫「……んくっ」

薫「それでね、クラリスお姉ちゃん!」

クラリス「はい、なんでしょう?」

薫「ここ、どこ?」

クラリス「ここは教会です」

薫「教会……」

クラリス「道端で倒れている薫さんを見かけたので、介抱しようと思いまして」

薫「お姉ちゃんが助けてくれたんだ!」

クラリス「……私がしたことは包帯を巻いたりしたくらいです」

クラリス「後は全部勝手に……いえ、自然治癒したようですから。私は何も」

薫「でも、助けてくれたんだよね?」

クラリス「……まあ、そうですね」

薫「えへへっ、ありがとうございまー!」

クラリス「……困っている方を助けるのは当然の……」

クラリス「……」

薫「当然の?」

クラリス「……いえ」

クラリス「ところで、薫さん。私からも一つ質問しても?」

薫「うん! なになにー?」

クラリス「……昨日、どうしてあんなところで倒れていたのですか?」

クラリス「それも……たくさん怪我をして」

薫「んーっと……あの日ね、かおる迷子だったの」

クラリス「……迷子」

薫「そう……気がついたらみんないなくなってて……」

薫「どうしよー、お腹空いたなーって歩いてたらね」

薫「急にガーンって来て、目の前が真っ暗になっちゃって……」

薫「気がついたらベッドの上だった!」

クラリス「なるほど、そうでしたか……」

薫「だからね……何で倒れてたかはよくわかんないの」

クラリス「……別に人を襲って返り討ちにあった、とかじゃないんですね」

薫「かおる、人に攻撃したことはないよー?」

クラリス「……それは失礼しました」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:47:56.55 ID:8C1mveqc0<> 薫「だからね、やっぱりクラリスお姉ちゃんにはありがとうなんだー」

クラリス「……?」

薫「お姉ちゃんが助けてくれなかったら、かおるまだ迷子のままだったし……」

クラリス「……今も迷子ですけどね」

薫「でも、今は二人だもん!」

薫「クラリスお姉ちゃんがいるから、しょんぼりさんじゃないよ!」

薫「えへへっ!」

クラリス「……」

クラリス「……薫さん、怪我の調子はどうですか?」

薫「えっ、怪我?」

薫「んー……まだちょっと痛いかも」

クラリス「そうですか」

クラリス「……それなら、治るまではここでゆっくりしていてください」

薫「……いいの?」

クラリス「ええ」

クラリス「その体だと、仲間を探すのにも一苦労でしょうから」

薫「わぁ……!」

薫「クラリスお姉ちゃんって本当に優しいんだね!」

薫「かおる、すーっごくうれしい!」

クラリス「……私は優しくなんてありませんよ」

薫「えー」

薫「でもでも、クラリスお姉ちゃんと会ってから優しくしかしてもらってないよ?」

クラリス「……」

薫「えへへっ、かおるお姉ちゃん大好きになっちゃった!」

クラリス「……ありがとうございます」

クラリス「……おっと、そろそろご飯も食べてしまいましょうか」

薫「あ、そうだった!」

薫「お話に夢中になっちゃったね」

クラリス「ええ」

薫「それじゃ、えっと……しゃべらないようにして……」

クラリス「……ふふ」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:53:36.35 ID:8C1mveqc0<> クラリス(……こうして、教会に一人……新しい住人が増えました)

クラリス(といっても、傷が治るまでの間……おそらく3日もあれば完治するでしょうが)

クラリス(つくづく妖怪というのは恐ろしい生き物です)

クラリス(……)

クラリス(……悪しき者が、この教会に入りました)

クラリス(いいえ、引き入れたのは私です)

クラリス(……歌鈴さんたちと出会わなければ、このようなことを起こすことも無かったでしょう)

クラリス(……)

クラリス(……私は、薫さんを引き入れて)

クラリス(どのようになることを望んでいるのでしょうか)

クラリス(……)

クラリス(……) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:54:08.39 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


薫「〜♪」

クラリス「……」

薫「……ん?」

薫「お姉ちゃん、かおるのことじっと見てどうしたの?」

クラリス「いえ……」

クラリス「……薫さんはどのような妖怪なのですか?」

薫「!」

薫「どうして薫が人間じゃないってわかるの!?」

薫「……尻尾もないし……耳も出てないのに……」

クラリス「……そういったことには慣れていますので」

薫「へー……」

薫「……もしかして、かおる追い出されちゃう?」

クラリス「……」

クラリス「……いいえ」

クラリス「ただ、知っておきたかっただけですから。追い出すなんてしませんよ」

クラリス「怪我も治ってませんからね」

薫「……よかったぁ」

薫「えへへっ、やっぱり優しいね!」

クラリス「……それで、どのような妖怪なのですか?」

薫「あ、えっとね……かおる、狼なの」

クラリス「……狼」

薫「うん……月を見るとね、がおーってなるんだー」

薫「だからいつもはあんまり見ないようにしてるの」

クラリス「あら、そうなのですか?」

薫「うん……みんなが教えてくれたんだ」

薫「……」

クラリス「……大丈夫です、きっとそのうちみんなのところへ戻れますよ」

薫「……うん」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:55:14.16 ID:8C1mveqc0<> 薫「でもびっくり……かおる、ここに来てからもぜんぜん月を見てないのに……」

薫「なんで妖怪ってわかったのー?」

クラリス「……私も普通ではありませんから」

薫「そうなの?」

薫「……もしかして、クラリスさんもかおるたちの仲間……?」

クラリス「……!」キッ

薫「」ビクッ

薫「あ……ご、ごめんなさい……」

クラリス「……いえ」

クラリス「こちらこそ、すいませんでした」

薫「う、うん……」

クラリス「……」

クラリス「……話を戻すのですが、どうして月を見ないようにと教わったのですか?」

薫「あ……え、えっとね!」

薫「周りの人に驚かれないようにするためだって!」

クラリス「……狼になったとき、どのような姿になるのかは知りませんが」

クラリス「確かに、普通の人なら驚いてしまうでしょうね」

薫「うん……」

薫「かおるたちも人間たちの中に溶け込まないといけないから……って」

クラリス「……人を襲うためにですか?」

薫「むっ、違うよー!」

薫「かおる、襲ったこと無いもん!」

薫「食べちゃダメって言われてるんだから!」

クラリス「……そう」

クラリス「そんな妖怪もいるのですね……」

薫「かおるも良く知らないけどね、そんな決まりだって、ずーっと小さいころからいっぱい言われてたの」

クラリス「……」

薫「……そんなかおるたちを馬鹿にする人たちもいるみたいなんだけどねー」

クラリス「……では、薫さんを襲ったのも?」

薫「どうだろう……んー……」

クラリス「……いえ、覚えてないのならそれで結構です」

クラリス「無理して思い出そうとしなくても大丈夫です」

薫「ん、わかったー」

クラリス(……)

クラリス(……妖怪も多種多様、なんですね)

クラリス(彼女の言うことが本当ならば、ですけど) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:56:55.03 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


クラリス「お待たせしました、お夕飯ですよ」

薫「ありがとうございまー!」

薫「……シチュー?」

クラリス「ええ」

クラリス「……お嫌いでしたか?」

薫「ううん、好き!」

クラリス「それはよかった……ふふ、召し上がれ」

薫「うん! あむ……ん〜♪」

クラリス「ふふ……」

クラリス「……薫さんは料理だと、何が好きですか?」

薫「美味しいものは何でも好き!」

クラリス「……そうですか、ふふ」

薫「でも一番好きなのはお肉かなー」

クラリス「……」ピクッ

薫「あっ……に、人間のじゃないよ!」

薫「前もいったけど、かおる人間襲ったこと無いもん!」

クラリス「……ではどのお肉が好きなのですか?」

薫「鹿!」

クラリス「鹿……ですか」

薫「うん、大好きっ!」

クラリス「……ふむ」

薫「……どしたの?」

クラリス「……いえ」

クラリス「せっかくなら、薫さんの好きなものでもと思ったのですが……」

クラリス「鹿肉は難しいですね……」

薫「あ、そうだったんだ……優しいね、お姉ちゃん」

クラリス「いえ、そんな……」

クラリス「……しかし、やはり鹿肉は難しいですね」

薫「かおる、美味しいものなら何でも好きだよ?」

クラリス「……そうでしたね」

クラリス「それじゃあ、明日も腕によりをかけてご飯を作りますね」

薫「えへへっ、ありがとうございまー!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:58:46.04 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


クラリス「調子はどうですか?」

薫「えいっ、えいっ……うん、バッチリ!」

薫「もうどこも痛くないよー!」

クラリス「ふふ、それは何よりです」

薫「クラリスお姉ちゃん、ありがとうございまー!」

クラリス「どういたしまして」

薫「それでね、かおる、お姉ちゃんにお礼したいの!」

クラリス「お礼……別にかまいませんよ」

薫「えー……でもでも、かおるいっぱいお世話になったからー……」

薫「だから、お礼したいの! 何かできることないかなー?」

クラリス「……薫さんの仲間のところに戻らなくて良いのですか?」

薫「んー……どこにいるかわかんないし、連絡もとれないし……」

薫「それに、お礼したいし……」

クラリス「……」

クラリス「……薫さんは優しい子なのですね」

クラリス「わかりました……では、お願いごとがあるのですが、良いですか?」

薫「あっ、うん! なになにー?」

クラリス「この洗濯物を干すの、手伝ってもらっても良いですか?」

薫「はーいっ!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 22:59:31.59 ID:8C1mveqc0<> 薫「んしょ……んしょ……!」

クラリス「……」

薫「えいっ……よしっ、できたーっ!」

薫「こんな感じでいーい?」

クラリス「えぇ……ありがとうございます」

薫「どういたしましてっ!」

薫「よーしっ、この調子でがんばるぞー!」

クラリス「……」

クラリス(……明るくて、素直な良い子ですね)

クラリス(それに、優しい心も持ち合わせて……純粋な、本当に良い子……)

クラリス(……これで、妖怪でさえなければ……)

クラリス「……」

薫「んしょ……んしょ……!」

クラリス(……いえ)

クラリス(そのような考えは……)

クラリス(……)

クラリス(……ない、なんていえません)

クラリス(妖怪が憎い……その気持ちはまだ残っている……いますが……)

クラリス(私は……薫さんを……)

クラリス(……) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:00:36.95 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


薫「お姉ちゃん! 窓拭き終わったよ!」

クラリス「ふふ、ありがとうございます」

クラリス「……まあ、綺麗に磨けましたね」

薫「えへん!」

薫「それでそれで! 次は何をすればいーい?」

クラリス「そうですね……」

クラリス「……ではこれを倉庫まで運んでもらってもいいですか?」

薫「はーいっ!」

クラリス「……ふふ」

クラリス「本当に良い子ですね……」

クラリス「……」

歌鈴「おじゃましまーす……」ギィ

クラリス「……あら、歌鈴さん」

歌鈴「あっ、クラリスさん!」

歌鈴「えへへ……遊びに来ました」

クラリス「まあ、ありがとうございます」

クラリス「……でも、ごめんなさい。今ちょっと掃除の最中なので」

歌鈴「あ、そうでしたか!」

歌鈴「……ちょっと間が悪かったかな」

クラリス「もう少し待っていただければ――」

薫「――お姉ちゃん、終わったよー!」

歌鈴「……あれ?」

歌鈴「あの子……」

薫「わっ、お客さん……?」

歌鈴「う、うん……えっと、歌鈴って言います」

薫「歌鈴さん……」

薫「あっ、かおるは薫だよ! よろしくおねがいしまー!」

歌鈴「ふふっ、よろしくお願いしますね」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:02:16.96 ID:8C1mveqc0<> 薫「それでそれで! 次はなにをやればいーい?」

クラリス「……いえ、少し休憩しましょう」

クラリス「歌鈴さんも来たことですし、ね?」

薫「はーい!」

クラリス「それでは、私はお茶を持ってきますので。少しお待ちください」

歌鈴「あ、はいっ、ありがとうございますっ!」

クラリス「いえいえ」

歌鈴「……」

薫「……歌鈴さんはクラリスお姉ちゃんのともだちなの?」

歌鈴「あ、うん」

歌鈴「……薫ちゃんも?」

薫「かおるはね、お姉ちゃんに助けてもらったの!」

歌鈴「お姉ちゃん……クラリスさんのこと?」

薫「うん!」

歌鈴「へぇ……!」

歌鈴「クラリスさんが……」

薫「だからね、かおるはお礼をしてるんだー」

薫「いーっぱい優しくしてくれたクラリスお姉ちゃんに!」

歌鈴「そうなんですね……」

歌鈴「薫ちゃんも優しいんですね」

薫「えへへー!」

薫「……でも、そんなかおるとお姉ちゃんだから……」

薫「ともだち……って言われるとどうなんだろ……?」

クラリス「お待たせしました」

クラリス「……あら、難しい顔してどうしました?」

薫「あ、えっとね……かおるとクラリスお姉ちゃんってともだちなのかなーって?」

クラリス「!」

クラリス「……」

クラリス「……友達、ですよ」

歌鈴「!」

薫「わぁ!」

薫「えへへっ、よかった! そう思ってるのがかおるだけじゃなくって!」

クラリス「……ふふ」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:04:34.34 ID:8C1mveqc0<> 歌鈴「ふふ、二人ともとても仲が良いんですね」

薫「うん!」

薫「お姉ちゃんは本当のお姉ちゃんみたいで、かおるとーっても好き!」

クラリス「……」ナデナデ

薫「えへー!」

歌鈴「……あの、歌鈴さん」

歌鈴「薫ちゃんって……」

クラリス「……貴方の思ってるとおりですよ」

歌鈴「あ、やっぱり……」

歌鈴「……ふふふっ!」

クラリス「……どうしたのですか、急に笑って」

歌鈴「ううん、ちょっとうれしくって……!」

クラリス「……」

歌鈴「ふふ……」

薫「何の話?」

クラリス「いいえ、なんでもありません」

クラリス「……歌鈴さん。その話はまた今度しましょう」

歌鈴「あ、はい……ごめんなさい」

歌鈴「えっと……あっ、じゃあ!」

歌鈴「この前面白いことがあったんですけど――」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:05:30.46 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


クラリス「……」

クラリス(……目が覚めてしまいました)

クラリス(気持ちよく寝ていたのですが……)

クラリス(……ふむ)

クラリス(このまま目を閉じていても眠れそうにないですし……少し夜風に当たりましょうか)

クラリス「……」

クラリス「……」

クラリス「……!」

クラリス(誰かいる……妖怪……!)

クラリス(……)

クラリス(いえ、あれは……)

クラリス「……薫さん?」

薫「えっ……あっ、クラリスお姉ちゃん」

クラリス(耳も尻尾が生えて……体も狼のように毛が生えていて……)

クラリス(……やっぱり妖怪なのですね)

薫「……驚かせちゃった?……ごめんなさい」

クラリス「いえ……薫さんが狼であることは知っていましたから」

クラリス「それより……こんな時間まで起きていると、明日起きれなくなっちゃいますよ」

薫「あ、うん……そうなんだけど……」

薫「眠れなくって……」
<>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:07:25.67 ID:8C1mveqc0<> クラリス「それで月を眺めていたんですか?」

薫「……うん」

薫「見ちゃダメって言われてたけど……クラリスさんは知ってるし、大丈夫かなって」

クラリス「……」

薫「……あとね」

薫「さみしくって……」

クラリス「……仲間の皆さんに会えなくて……ですか」

薫「うん……」

薫「……みんな、今何してるのかな?」

クラリス「……」

薫「……」

クラリス「……見つかるまでは」

薫「えっ?」

クラリス「……」

クラリス「……見つかるまでは、ここにいても。かまいませんよ」

薫「……ほんと?」

クラリス「……困っている方を助けるのは当然のことですから」

薫「……ふふ、ありがとうございまー!」

クラリス「いえ……」

クラリス「……今度、一緒に探しに行きましょうか」

薫「……うん」

薫「お姉ちゃん、本当に優しくて、かおる大好きっ!」

薫「お姉ちゃんに助けてもらってよかったー……」

クラリス「……」

薫「……」

薫「ふぁ……」

クラリス「……そろそろ戻りましょうか」

薫「うん……」

薫「……ベッド、毛だらけになったらごめんなさい……」

クラリス「洗濯すれば大丈夫です」

薫「そのときはかおるもお手伝いするね」

クラリス「ええ、ぜひとも……」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:09:21.13 ID:8C1mveqc0<> 薫「それじゃあ、お休みなさーい」

クラリス「ええ、また明日」

薫「……」

クラリス「……」

薫「すー……」

クラリス「……」

薫「すー……」

クラリス「……」

クラリス(私は妖怪が憎い)

クラリス(故郷を滅茶苦茶にした妖怪が大嫌い)

クラリス(なのに……)

クラリス(……)

クラリス「私は、優しくなんかありません」

クラリス「妖怪は嫌いですから」

クラリス(……)

クラリス(……言葉にしても、やっぱり変わりませんね)

クラリス(私の中のこの思いは……)

クラリス(……)

クラリス(……今なら、歌鈴さんたちの言ったことも……)

クラリス「……」

薫「……すー」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:09:53.72 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


薫「おっさんぽおっさんぽ〜♪」

クラリス「……今日の目的は薫さんの仲間を探すことですよ?」

薫「わかってまー!」

薫「〜♪」

クラリス「……ふふ」

薫「あっ、見てみて! 美味しそう!」

クラリス「ん……ああ、焼き芋ですか」

クラリス「……食べたいですか?」

薫「食べたい!」

クラリス「ふふ……それでは買いましょうか」

薫「わーい!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:11:23.79 ID:8C1mveqc0<> 薫「いただきまー!」

薫「ん〜♪」

クラリス「ふふ……」

クラリス「……薫さんの仲間も、狼なんですよね?」

薫「そうだよー」

薫「でも、普段はかおると同じでこんな感じだけどね」

クラリス「そうですか……」

クラリス「んー……手がかりなどがあれば良いのですが……」

薫「手がかり……んー……」

薫「みんなかっこいいよ!」

クラリス「……そうですか」ナデナデ

薫「わっ!」

薫「えへへ……クラリスお姉ちゃんのおててあったかいから好きー」

クラリス「ふふ……」

クラリス「……さて」

クラリス「では、薫さんの気配と同じで、格好良い人を探しましょうか」

薫「おー!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:11:54.30 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


クラリス「見つかりませんでしたね……」

薫「うん……」

薫「……」

薫「……みんなかおるのこと忘れちゃったのかな」

クラリス「……それはないでしょう」

薫「ほんと……?」

クラリス「ええ。貴方のように可愛らしくて優しい子を忘れるはずがありませんから」

クラリス「きっと……みなさん忙しいのだと思います」

薫「……そっか」

薫「……」

クラリス「……大丈夫です、心配しないで」

クラリス「一緒に探しますから」

薫「……ありがとう、お姉ちゃん」

クラリス「いえいえ」

クラリス「……薫さんに暗い顔は似合いませんから」

クラリス「もっとニッコリしてましょう、ね?」

薫「にっこり……こう?」

薫「にーっ!」

クラリス「ふふっ、そんな感じです」

薫「えへへっ!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:12:47.32 ID:8C1mveqc0<> 薫「それじゃあ、帰ろっ、お姉ちゃん!」

クラリス「えぇ」

クラリス「……ああ、ちょっと待ってください」

薫「どうしたの?」

クラリス「いえ……用事があるので先に帰っててもらえませんか?」

薫「えー……」

薫「……かおる、待つよ?」

クラリス「いえ、少し時間がかかるかもしれないので」

クラリス「……鍵は渡しますから、ね?」

薫「……わかった」

クラリス「ふふ、ありがとうございます」

クラリス「それでは、少しの間だけ留守番よろしくお願いしますね」

薫「はーい!」

薫「おうちで待ってるね!」

クラリス「えぇ」

クラリス「……」

クラリス「……」

クラリス「……さて」

クラリス「そろそろ出てきてはどうですか?」

クラリス「……ずっと見ていたのはわかってます」

クラリス「……」

「……」ヌッ <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:16:05.38 ID:8C1mveqc0<> クラリス「……やはり妖怪でしたか」

「……」

クラリス「どうして私たちのことをずっと見ていたのでしょうか」

「……仲間が君の隣にいたからだ」

クラリス「そうですか……」

クラリス「それにしては、貴方とあの子では気が大きく違うようですが」

クラリス「種類も違いますよね?」

「……確かに、彼女は狼の妖怪だ」

「だが、仲間が狼だけってわけじゃない」

「彼女たちの思いに賛同した他の妖怪だっている」

クラリス「……なるほど」

クラリス「では、一声かければよかったのでは?」

「君がこっちをずっと警戒していたから」

「あの場で出たら襲われると思ってね」

クラリス「……」

クラリス「……あなたは、本当に薫さんの仲間なのですが」

「ああ」

クラリス「……そうですか」

クラリス「失礼しました――」

クラリス(――と、警戒を解いたその瞬間、その妖怪は姿を消しました)

クラリス(そして、後ろから強い衝撃が襲いました)

クラリス(……くるりと後ろを向けば、下衆な顔をしている妖怪が)

クラリス(……)

クラリス(……だから、妖怪は嫌いなんです)

クラリス(……)

クラリス(……) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:17:36.19 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


薫「……」

薫「……クラリスお姉ちゃん、まだかなー」

薫「……」

薫「……あっ!」

薫「鐘の音……帰ってきたのかな!?」

薫「急がなきゃっ!」

薫「えっほ、えっほ」

薫「お帰りっ、お姉ちゃん!」

クラリス「――っ!」ドサッ

薫「……お姉ちゃん?」

クラリス「に、げて――」

薫「えっ……」

薫「……っ!」バッ

「……避けられたか」

薫「だ、誰っ!」

「この前と良い、運の良い奴だ」

薫「この前……?」

クラリス「!」

クラリス「……そうですか、あの時の怪我は――」

「うるさい」ゲシッ

クラリス「――ぐっ!」

薫「お姉ちゃん!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:20:47.48 ID:8C1mveqc0<> 薫「お姉ちゃんを離して!」

「お前が殺されるなら、解放してやる」

薫「……っ」

クラリス「――だから、嫌いなんです」

クラリス「貴方みたいな下衆ばかりだから、妖怪なんて大嫌いです」

薫「お姉ちゃん……」

「黙れ」ゲシッ

クラリス「――っ」

薫「お姉ちゃん!」

薫「……どうしてかおるたちにこんなひどいことするの!?」

「……そろそろ溜め込んでいた食料が尽きかけて来たからな」

「本当はこの前の時点でお前は食料に出来たんだが……」

「お前をエサにしたら他の食料も増えるかも、と思ってな」

クラリス「……」

「女一人と、ガキの狼一人分があれば……まあしばらくは持つだろう」

「……おっと、女は解放するんだったか」

薫「……最低」

「なんとでもいえ、どうせすぐに無くなる口だ」

薫「……」キッ

「……どこをにらんでいるんだ?」

「そっちには……」

薫「……う」

「……そうか、月か」

薫「うぅぅぅぅ……!」

クラリス「!」

クラリス(耳に尻尾が生えて……体も……)

クラリス(……なるほど、こうして薫さんは狼になるのですね)

薫「うぅぅう……ああああああっ!」

薫「許さない……許さないっ!」

薫「お姉ちゃんを傷つける人は許さないんだからっ!」

薫「お前なんか……殺してやるっ!」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:21:48.29 ID:8C1mveqc0<> 薫「きらいっ!」ダッ

「!」

薫「きらいっ、きらいっ!」

「……さすがは狼、動きが素早いな」

薫「大っ嫌いっ!」

薫「お姉ちゃんにひどいことして……絶対許さないっ!」

クラリス「……薫さん」

「このままだとまずい……が」ガシッ

クラリス「!」ビクッ

「おっと、それ以上動くな」

「動いたら、この女の命は無いぞ」

クラリス「……く」

薫「お姉ちゃん!」

「動くな!」

薫「……」ビクッ

「……それでいい」

薫「……」

「確かに人狼の身体能力は脅威的だ」

「……が、動かなければどうということはない」

薫「……」

「くくく……さて、それじゃあ――」

クラリス「……よかった」

「――は?」

クラリス(この至近距離なら……手負いでも、はずすことはない……っ!)

クラリス「滅ッ!!!」

「なっ、これは……!?」

薫「……!」

薫(クラリスさんの手から……光が……!) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:22:44.84 ID:8C1mveqc0<> 「なんだ……力が抜けて……!?」

クラリス「ごめんなさい、今の私だとこれが限界です……!」

クラリス「だからっ……薫さん……っ!」

薫「あ……う、うんっ!」

薫「うぅぅ……お前なんか……お前のことなんか……!」

「くっ……体が動かな……ま、まてっ!」

薫「だいっきらいっ!」ザクッ

「が――」

薫「っきらい! きらいきらいっ!」ザクッザクッ

薫「きらいきらいっ! だいっきらいっ!」

クラリス「……薫さん」

薫「しねっ、死んじゃえっ!」

薫「このっ!……このっ、このっ!」

クラリス「……」

薫「はぁ……はぁ……」

薫「……だいっきらい」ゲシッ

クラリス「……」

クラリス(……原型をとどめないほどぐちゃぐちゃになってますね)

クラリス(やはり、彼女も妖怪……なのですね……)

クラリス(……) <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:23:16.10 ID:8C1mveqc0<> 薫「……ととっ」

薫「それより、お姉ちゃん……大丈夫!?」

クラリス「えぇ……」

クラリス「……ごほっごほっ!」

薫「お姉ちゃん!」

クラリス「……心配しなくても結構です」

薫「でっ、でもっ……こんなにいっぱい血が……!」

歌鈴「お待たせしました、大丈夫で――」

歌鈴「――クラリスさん……!?」

薫「あっ……!」

歌鈴「いったいこれ……どういう……?」

歌鈴「っもしかして、貴方が――」

薫「かっ、歌鈴さん!」

薫「お姉ちゃんを、助けてっ!」

歌鈴「えっ……?」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:25:00.98 ID:8C1mveqc0<> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


歌鈴「……ふぅ」

歌鈴「一応、応急措置はしました」

クラリス「……ありがとうございます、歌鈴さん」

薫「ありがとうございまー!」

歌鈴「い、いえいえっ!」

薫「かおる、どうしたらいいかわかんなくなって」

薫「だから……歌鈴さんが来てくれてほんとに良かったー!」

クラリス「えぇ……」

歌鈴「そ、そんな……わ、私なんて!」

歌鈴「ひどいことも考えちゃったし……」

クラリス「……ひどいこと?」

歌鈴「……もしかして、薫さんがクラリスさんをこんな風にしちゃったんじゃないか……って」

薫「かおるそんなことしないよ!」

歌鈴「そっ、そうですよね! ごめんなさいっ!」

クラリス「……仕方ありません」

クラリス「私たちにとって、妖怪は敵なのですから」

歌鈴「……」

薫「敵……」

薫「……」

薫「……お姉ちゃん、妖怪きらい……って」

薫「さっき言ってたの……ほんと?」

クラリス「……はい」

薫「そっか……」

薫「……じゃあ」

薫「じゃあ、かおるのことも……きらい?」

クラリス「……」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:28:53.04 ID:8C1mveqc0<> クラリス「……妖怪は嫌いです」

クラリス「残虐で、残忍で、自分のことしか考えない……」

クラリス「最低で最悪で……この世でもっとも嫌悪しています」

薫「……そっか」

クラリス「……ですが」

クラリス「貴方だけは別です……薫さん」

薫「!」

クラリス「私が知る妖怪とまったく似ても似つかない心を持っている貴方は……」

クラリス「優しくて、良い子の貴方だけは……」

クラリス「私……信じることができます」

薫「お姉ちゃん……!」

クラリス「……さっき、助けてくれてうれしかった……」

クラリス「それだけじゃなくて……なんでもないことにも一つ一つお礼を言ってくれて、本当にうれしかった……」

クラリス「貴方といる時間が、本当に楽しかった……」

クラリス「だから、ね、薫さん」

クラリス「私、薫さんのことは大好きですよ」

薫「わぁ……!}

薫「かっ、かおるもっ! かおるもお姉ちゃんだいすきっ!」

クラリス「ふふ……」ナデナデ

薫「えへへっ!」
<>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:29:43.37 ID:8C1mveqc0<> 薫「よーっし!」

薫「この前はたくさん看病してもらった分、今度はかおるがいーっぱい看病するね!」

クラリス「ふふ……お願いしますね」

クラリス「でも、危ないことをしたらだめですよ?」

薫「はーい!」

薫「……ねぇねぇ、クラリスお姉ちゃん! 何かして欲しいことある?」

クラリス「そうですね……」

クラリス「……少しのどが渇いたかもしれません」

薫「じゃあ、かおる水もってきまー!」

クラリス「ありがとうございます」

クラリス「……」

クラリス「……歌鈴さん」

歌鈴「は、はひっ!?」

クラリス「どうしてそんなに驚くのですか?」

歌鈴「いえ……ちょっと、びっくりしちゃって」

歌鈴「空気になってたつもりだったから……」

クラリス「残念ながら、ばっちり見えてましたよ」

歌鈴「うぅ……や、やめてくださいっ!」

クラリス「ふふ……」

クラリス「……私、今なら貴方たちの気持ちがわかります」

クラリス「妖怪だってみんながみんな同じじゃない……って」

歌鈴「クラリスさん……」 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga<>2017/10/07(土) 23:30:49.54 ID:8C1mveqc0<> クラリス「……もしも、歌鈴さんたちに会っていなかったら……私は薫さんと出会った番に滅していたことでしょう」

クラリス「こうして出会うことも無ければ、このように気持ちが変わることもなかった……」

クラリス「……貴方たちに会えたから、私は信じてみよう……って思えたんです」

クラリス「だから……歌鈴さんに会えて……友達になれてよかった」

歌鈴「……わっ、私もっ!」

歌鈴「私もですよっ!」

クラリス「ふふ……」

薫「もってきたよー!」

クラリス「まあ……早いですね」

薫「急いで持ってきたの!」

薫「はい、クラリスお姉ちゃん!」

クラリス「ありがとうございます」ナデナデ

薫「えへへっ!」

歌鈴「……ふふっ」

歌鈴「やっぱり、二人はとても仲が良いんですね」

歌鈴「こうしてみると、本当の姉妹みたい……」

薫「ほんと!?」

薫「わーいっ、うれしーっ!」

クラリス「……ふふ」ナデナデ





おしまい <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga sage<>2017/10/07(土) 23:34:06.71 ID:8C1mveqc0<> 教会生まれのCさんとか、人狼薫ちゃんとか、クラリスさん薫ちゃんの姉妹とか、書きたかったものを混ぜました。

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。 <>
◆6QdCQg5S.DlH<>saga sage<>2017/10/07(土) 23:34:37.35 ID:8C1mveqc0<> 最近書いたの
モバP「指パッチンで催眠にかけられるのか……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506603612/

フレデリカ「ありすちゃんが人形をぎゅってしてる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506083320/

まゆ「まゆ、変わったでしょう♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504785734/

茄子「ど根性ほたる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502459311/

よかったらこちらもよろしくお願いします。 <>