◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 15:07:31.80 ID:GYV8vN900<>立て……立つんだスレ……
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1542694051
<>バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
◆GmHi5G5d.E<>sage saga<>2018/11/20(火) 15:16:39.47 ID:Jv0JlffCO<> バットマン「グランド……オーダー?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511494020/
バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517495048/
前スレをば。ここまで長くなるとは……(想像力の欠如) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/20(火) 17:25:23.43 ID:lg7jukWS0<> そして気が付けば10スレ目 <>
◆GmHi5G5d.E<><>2018/11/20(火) 19:14:44.01 ID:GYV8vN900<>
………………
霧「」ズォォォォォオ……
パラケルスス「……」タッタッ
パラケルスス「……」タッタッ……ピタッ
パラケルスス「……」ジッ
街「」…………
パラケルスス(……)
パラケルスス「……マキリ、聞こえますか」ピッピッ
通信機『パラケルススか。ああ、聞こえている』
パラケルスス「今すぐ『雷』の召喚に取り掛かって下さい。私はもう、戻れそうにない」
通信機『……そうか。分かった、召喚を開始する。さらばだパラケルスス』
パラケルスス「さようなら、マキリ」プツッ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:15:48.98 ID:GYV8vN900<>
パラケルスス「……」
パラケルスス(私に、その権利はない。私の魂には既に罪が染み付いた)
パラケルスス(やり直す事などできない。汚れた手で、美しい理想を作る……ああ、心地良い御題目だった)
パラケルスス(最後に……少しでも、貴方の理想を手伝わせてください、マキリ)
ホムンクルスA「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスB「……」ズルズル……
ホムンクルス達「「「」」」ザッ、ザッ
パラケルスス「ここの守りを固めます。彼らをこの先へ行かせはしない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:16:19.15 ID:GYV8vN900<>
………………
ナーサリー「きゃっ!?」ドサァッ
ジャック「あぶない!」ガガァッ?
ホムンクルスD「……」ブォンッ
ジャック「うわっ!?」ドシャ、ゴロゴロッ
フラン「フンッ!」ガッ、グィィィ
ホムンクルスD「!?」ドシャシャシャシャシャ……
ホムンクルスE「!!」グォッ
ホムンクルスF「!!!」ドシィ?
フラン「ウゥ……!」ガギィィィィ?
ジキル(守りが明らかに固い。この先に敵の本拠地があるのか、それともブラフなのか……このままじゃ押し切られる!)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:16:58.03 ID:GYV8vN900<>
ハイド(使えよ。あの薬を)
ジキル(……駄目だ! 逃げないと! あの薬には頼れない。絶対にダメだ!)
ジキル「皆っ、一旦屋内に退避しよう! フラン、また霧に電撃を通してもらえるか!?」
フラン「う、ウゥ……!」バチバチバチバチィ?
霧「」バチチチチチチチチチチチィ?
ホムンクルス達「「「」」」ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂィ……
ジキル(この隙に、ブルースからもらったスモークペレットで……!)ドシュゥゥゥゥゥゥゥ……
ジキル「今だ皆、隠れよう!」
ジャック「うん!」
ナーサリー「分かったわっ!」
フラン「ウゥ……!」ヨロヨロ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:17:27.46 ID:GYV8vN900<>
扉「」バタンッ
ジャック「はあ、はあ……」
ナーサリー「たい、へんね……数が多すぎて、相手取れないわ」
フラン「……ウゥ……」
ジキル「……このままじゃ進めない……」
ハイド(いつまで俺を否定してるつもりだ? 使えよ、俺がまたお前に教えてやる……肉を裂く快感、命が消える瞬間の恍惚! 覚えてるんだろ?)
ジキル(黙れ……僕はもうお前に頼らない、絶対に)
ハイド(忘れたなんて言わせねえ。俺はお前だ。罪は染み付いてる、そうだろう? 一度も二度も変わらねえさ……)
ジキル「……」
ジキル(落ち着け……恐怖ガスを吸い過ぎて、幻聴が酷くなってる……)
ハイド「俺が幻だとでも?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:17:54.59 ID:GYV8vN900<>
ナーサリー「え?」
ジキル「っ……なんでもない。なんでもないんだ」
ナーサリー「……ひどい汗よ、ミスタージキル」
ジキル「……」
ナーサリー「何だかよく分からないけど、休んだ方が良いなら……」
扉の外「」ドシ、ドシ……ドシ、ドシ
ジキル「いいや、移動しよう。このままじゃ見つかる」スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:18:35.02 ID:GYV8vN900<>
ジキル(そうだ、分かってたハズだ。僕は逃げられない。因果応報だ。分かってる)スタスタ
ジャック「どうするの?」
ジキル「敵はまだ僕たちを見失ったままだ。このまま裏口から出て……見つからないように進んで、敵の本拠地を見つけよう。うまくいけばそのまま相手の企みを阻止できる」
ナーサリー「そう上手くいくかしら……」
ジキル「……速攻で叩けば何とかなるさ。さあ、行こう」
フラン「ウゥ!」コクコク
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:19:02.60 ID:GYV8vN900<>
………………
霧「」ズォォォォォオ……
ジキル「……」コツ、コツ……
ナーサリー「……」ソロソロ……
フラン「……」スタスタ
ジャック「……」ヒタヒタ……
街灯「」……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:19:31.01 ID:GYV8vN900<>
ジキル(……静かだ)コツ、コツ……
ジキル(初めて殺人を犯した夜も、こんな静けさが漂っていた)
ジキル(ステッキで老人を殴り殺したんだ。今でも、鮮明にその感触を思い出せる。老人の命乞いも)
ジキル(僕は全てをハイドのせいにした。ハイドという人格がやったんだ。そう思い込んで、罪悪感を全て押し付けた。そして、その人格を封印した)
ジキル(……でも、僕も本当は、分かっていたのかもしれない)ピタッ
ジキル「……」
パラケルスス「……来ましたか、偽の希望を持つ者よ」
ジキル(いつか、過去が僕を殺しに来ると)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:20:10.48 ID:GYV8vN900<>
パラケルスス「この先へ行かせる訳にはいきません。あなた方には、ここで消えて頂きます」
ナーサリー「待ち伏せられてたのね……」ジリッ
ジキル「どうして本拠地に戻ってないんだ? 折角スケアクロウが囮になってくれたっていうのに」
パラケルスス「……人は、過去からは逃れられません。私は罪を犯した。穢れた魂の持ち主が、理想の世界に居る事ができますか?」
ジキル「……!」
パラケルスス「一度罪を犯せば、元に戻る事はない。言ったハズです。悪に染まった魂を、善良な心は直視できないと。私は悪鬼のまま、ここで死ぬ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:20:41.18 ID:GYV8vN900<>
ジャック「……どうするの?」
ジキル「っ……やるしかない。皆構えて、彼を倒す!」
フラン「う、ウゥゥオォ!!」バチバチバチバチィ?
ナーサリー「植物園では後れを取ったけど、今回は!」
パラケルスス「無論、そう来るでしょう。ですが……これは、どうでしょうね」パチンッ
ホムンクルスA「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスB「……」ドシ、ドシ
ホムンクルス達「「「」」」ザッ、ザッ、ザッ……
ジキル「なっ……」
ジキル(まだ、こんな量のホムンクルス達が……!?)
パラケルスス「さあ、……圧し潰しましょうか」スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:21:29.44 ID:GYV8vN900<>
ホムンクルスA「オォォォォ!」ドォッ
ホムンクルスB「アァァァァァッ!!!」グォンッ
フラン「グゥッ……」ガギャァ?
ホムンクルスC「……!!」ブォン?
フラン「がっ!?」ドシャシャシャァ……
ナーサリー「フランッ!」ギュギュギュ、ドドドドォッ
ホムンクルスC「ぐぎ……」ドシャシャシャァ
ホムンクルスX「!」バシィィィ?
ナーサリー「うッ」ガガッ、ゴロゴロ……
ジャック「くっ……」ガガッ、ガギギッ
パラケルスス「やはり貴方は特別厄介なようだ」ガィン、ギギィ?
ホムンクルスH「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスI「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスJ「……」ドシ、ドシ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:22:07.56 ID:GYV8vN900<>
ジキル「皆っ、持ちこたえてくれ……うぐっ!?」ドゴォッ
ホムンクルスL「……」ブンッ
ジキル「ぐわぁっ!?」ドシャァ?
ナーサリー「じ、ジキル!」
フラン「ウゥ……!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:22:34.40 ID:GYV8vN900<>
ホムンクルスM「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスN「……」ドシ、ドシ
ジキル「う……くっ……」
ホムンクルスL「……」ドシン
ジキル「う、ぐおおぉ……!」グググ……
ジキル(駄目だ、重い。足すら退かせられない。僕は、僕はどうしたら……)
(((分かってるだろ?)))
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:23:03.31 ID:GYV8vN900<>
(((俺を解き放て。薬だ。お前は逃げられねえ)))
ジキル(……やっぱり、そうなのか……)
(((そうだ。殺人鬼になるんだ、ジキル。恐怖ガスを吸ったところで、お前が感じてたのは仮初の恐怖。そんな恐怖、すぐに戻れる快感に塗りつぶされるさ)))
ジキル(僕は、罪を犯したから、だから)
(((ハイドになれ。片付けてやる。俺が、片付けてやる)))
ジキル(だから、二度と戻れないのか)
ドォン……?
<>
◆GmHi5G5d.E<>sage saga <>2018/11/20(火) 19:25:07.97 ID:Jv0JlffCO<> !!→?に変換されてますね……緊張感が台無しだ。最初から投稿し直すのでここまで全部無かったことにしてください。お願いします。キレそう。 <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:25:58.37 ID:GYV8vN900<>
………………
霧「」ズォォォォォオ……
パラケルスス「……」タッタッ
パラケルスス「……」タッタッ……ピタッ
パラケルスス「……」ジッ
街「」…………
パラケルスス(……)
パラケルスス「……マキリ、聞こえますか」ピッピッ
通信機『パラケルススか。ああ、聞こえている』
パラケルスス「今すぐ『雷』の召喚に取り掛かって下さい。私はもう、戻れそうにない」
通信機『……そうか。分かった、召喚を開始する。さらばだパラケルスス』
パラケルスス「さようなら、マキリ」プツッ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:26:24.73 ID:GYV8vN900<>
パラケルスス「……」
パラケルスス(私に、その権利はない。私の魂には既に罪が染み付いた)
パラケルスス(やり直す事などできない。汚れた手で、美しい理想を作る……ああ、心地良い御題目だった)
パラケルスス(最後に……少しでも、貴方の理想を手伝わせてください、マキリ)
ホムンクルスA「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスB「……」ズルズル……
ホムンクルス達「「「」」」ザッ、ザッ
パラケルスス「ここの守りを固めます。彼らをこの先へ行かせはしない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:27:06.93 ID:GYV8vN900<>
………………
ナーサリー「きゃっ!?」ドサァッ
ジャック「あぶない!」ガガァッ!!!
ホムンクルスD「……」ブォンッ
ジャック「うわっ!?」ドシャ、ゴロゴロッ
フラン「フンッ!」ガッ、グィィィ
ホムンクルスD「!?」ドシャシャシャシャシャ……
ホムンクルスE「!!」グォッ
ホムンクルスF「!!!」ドシィ!
フラン「ウゥ……!」ガギィィィィ!!
ジキル(守りが明らかに固い。この先に敵の本拠地があるのか、それともブラフなのか……このままじゃ押し切られる!)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:27:51.18 ID:GYV8vN900<>
ハイド(使えよ。あの薬を)
ジキル(……駄目だ! 逃げないと! あの薬には頼れない。絶対にダメだ!)
ジキル「皆っ、一旦屋内に退避しよう! フラン、また霧に電撃を通してもらえるか!?」
フラン「う、ウゥ……!」バチバチバチバチィ!!
霧「」バチチチチチチチチチチチィ!
ホムンクルス達「「「」」」ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂィ……
ジキル(この隙に、ブルースからもらったスモークペレットで……!)ドシュゥゥゥゥゥゥゥ……
ジキル「今だ皆、隠れよう!」
ジャック「うん!」
ナーサリー「分かったわっ!」
フラン「ウゥ……!」ヨロヨロ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:28:23.01 ID:GYV8vN900<>
扉「」バタンッ
ジャック「はあ、はあ……」
ナーサリー「たい、へんね……数が多すぎて、相手取れないわ」
フラン「……ウゥ……」
ジキル「……このままじゃ進めない……」
ハイド(いつまで俺を否定してるつもりだ? 使えよ、俺がまたお前に教えてやる……肉を裂く快感、命が消える瞬間の恍惚! 覚えてるんだろ?)
ジキル(黙れ……僕はもうお前に頼らない、絶対に)
ハイド(忘れたなんて言わせねえ。俺はお前だ。罪は染み付いてる、そうだろう? 一度も二度も変わらねえさ……)
ジキル「……」
ジキル(落ち着け……恐怖ガスを吸い過ぎて、幻聴が酷くなってる……)
ハイド「俺が幻だとでも?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:28:49.33 ID:GYV8vN900<>
ナーサリー「え?」
ジキル「っ……なんでもない。なんでもないんだ」
ナーサリー「……ひどい汗よ、ミスタージキル」
ジキル「……」
ナーサリー「何だかよく分からないけど、休んだ方が良いなら……」
扉の外「」ドシ、ドシ……ドシ、ドシ
ジキル「いいや、移動しよう。このままじゃ見つかる」スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:29:21.12 ID:GYV8vN900<>
ジキル(そうだ、分かってたハズだ。僕は逃げられない。因果応報だ。分かってる)スタスタ
ジャック「どうするの?」
ジキル「敵はまだ僕たちを見失ったままだ。このまま裏口から出て……見つからないように進んで、敵の本拠地を見つけよう。うまくいけばそのまま相手の企みを阻止できる」
ナーサリー「そう上手くいくかしら……」
ジキル「……速攻で叩けば何とかなるさ! さあ、行こう!」
フラン「ウゥ!」コクコク
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:29:47.39 ID:GYV8vN900<>
………………
霧「」ズォォォォォオ……
ジキル「……」コツ、コツ……
ナーサリー「……」ソロソロ……
フラン「……」スタスタ
ジャック「……」ヒタヒタ……
街灯「」……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:30:15.49 ID:GYV8vN900<>
ジキル(……静かだ)コツ、コツ……
ジキル(初めて殺人を犯した夜も、こんな静けさが漂っていた)
ジキル(ステッキで老人を殴り殺したんだ。今でも、鮮明にその感触を思い出せる。老人の命乞いも)
ジキル(僕は全てをハイドのせいにした。ハイドという人格がやったんだ。そう思い込んで、罪悪感を全て押し付けた。そして、その人格を封印した)
ジキル(……でも、僕も本当は、分かっていたのかもしれない)ピタッ
ジキル「……」
パラケルスス「……来ましたか、偽の希望を持つ者よ」
ジキル(いつか、過去が僕を殺しに来ると)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:30:43.67 ID:GYV8vN900<>
パラケルスス「この先へ行かせる訳にはいきません。あなた方には、ここで消えて頂きます」
ナーサリー「待ち伏せられてたのね……」ジリッ
ジキル「どうして本拠地に戻ってないんだ? 折角スケアクロウが囮になってくれたっていうのに」
パラケルスス「……人は、過去からは逃れられません。私は罪を犯した。穢れた魂の持ち主が、理想の世界に居る事ができますか?」
ジキル「……!」
パラケルスス「一度罪を犯せば、元に戻る事はない。言ったハズです。悪に染まった魂を、善良な心は直視できないと。私は悪鬼のまま、ここで死ぬ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:31:20.40 ID:GYV8vN900<>
ジャック「……どうするの?」
ジキル「っ……やるしかない。皆構えて、彼を倒す!」
フラン「う、ウゥゥオォ!!」バチバチバチバチィッ
ナーサリー「植物園では後れを取ったけど、今回は!」
パラケルスス「無論、そう来るでしょう。ですが……これは、どうでしょうね」パチンッ
ホムンクルスA「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスB「……」ドシ、ドシ
ホムンクルス達「「「」」」ザッ、ザッ、ザッ……
ジキル「なっ……」
ジキル(まだ、こんな量のホムンクルス達が……!?)
パラケルスス「さあ、……圧し潰しましょうか」スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:32:08.23 ID:GYV8vN900<>
ホムンクルスA「オォォォォ!」ドォッ
ホムンクルスB「アァァァァァッ!!!」グォンッ
フラン「グゥッ……」ガギャァッ!
ホムンクルスC「……!!」ブォン!
フラン「がっ!?」ドシャシャシャァ……
ナーサリー「フランッ!」ギュギュギュ、ドドドドォッ
ホムンクルスC「ぐぎ……」ドシャシャシャァ
ホムンクルスX「!」バッシィィィ
ナーサリー「うッ」ガガッ、ゴロゴロ……
ジャック「くっ……」ガガッ、ガギギッ
パラケルスス「やはり貴方は特別厄介なようだ」ガィン、ギギィッ
ホムンクルスH「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスI「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスJ「……」ドシ、ドシ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:32:34.19 ID:GYV8vN900<>
ジキル「皆っ、持ちこたえてくれ……うぐっ!?」ドゴォッ
ホムンクルスL「……」ブンッ
ジキル「ぐわぁっ!?」ドシャァッ
ナーサリー「じ、ジキル!」
フラン「ウゥ……!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:33:08.73 ID:GYV8vN900<>
ホムンクルスM「……」ドシ、ドシ
ホムンクルスN「……」ドシ、ドシ
ジキル「う……くっ……」
ホムンクルスL「……」スッ……ドシン
ジキル「う、ぐおおぉ……!」グググ……
ジキル(駄目だ、重い。足すら退かせられない。僕は、僕はどうしたら……)
(((分かってるだろ?)))
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:33:42.50 ID:GYV8vN900<>
(((俺を解き放て。薬だ。お前は逃げられねえ)))
ジキル(……やっぱり、そうなのか……)
(((そうだ。殺人鬼になるんだ、ジキル。恐怖ガスを吸ったところで、お前が感じてたのは仮初の恐怖。そんな恐怖、すぐに戻れる快感に塗りつぶされるさ)))
ジキル(僕は、罪を犯したから、だから)
(((ハイドになれ。片付けてやる。俺が、片付けてやる)))
ジキル(だから、二度と戻れないのか)
ドォン……!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:34:09.48 ID:GYV8vN900<>
ジキル「え?」
ホムンクルスL「……」グラリ、ドシャァ
ジキル「こ、これは……」
???「撃つの自体が久々だったから、外さないかと冷や冷やしてしまったな。だが、これで元軍人の面目躍如と言っていいだろう」
ジキル「貴方、は……」
ワトソン「やあジキル博士、事件の渦中に君達ありだな!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:34:50.30 ID:GYV8vN900<>
パラケルスス「……あれは」
ジャック「よそみッ!」タタッ、ブゥンッ
パラケルスス「チィッ」ガギギギィ
ワトソン「くっ……」ドォンドォン、ヒュンッ
ホムンクルスM「……」バタリ
ホムンクルスN「……」ドッサァン……
ワトソン「ジキル博士、立てるか!?」
ジキル「……ぐっ、くっ……無理です……」
ワトソン「一旦隠れて体勢を立て直そう、行くぞ!」ガシ、ズルズルズル
ジキル「……」ズサササササァ……
ワトソン「……失礼、ズボンに傷が付いても許してくれたまえ!」ズルズルズル
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:35:35.11 ID:GYV8vN900<>
ワトソン「よし、この物陰なら……傷の具合を診る、動かないでくれ」
ジキル「……僕は、大丈夫です。放っておいてください」
ワトソン「何を言ってる、助けない訳にいくか。……ふむ……肋骨に衝撃を受けたな、ヒビが入っているかもしれない。息をしやすいように上体を起こすぞ」グイ
ジキル「うっ……」ズリ……
ワトソン「……手ひどくやられたな。一旦麻酔を打つぞ」カチャカチャ
ジキル「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:36:34.11 ID:GYV8vN900<>
ワトソン「……どうだ、こうして治療してるし……僕にも、君達が戦う理由を教えてくれても良いんじゃないか」プスッ
ジキル「……僕たち……」
ワトソン「……」
ジキル「……僕は、もう戦えません。ワトソン医師、助けて頂いてありがとうございます。ですが、逃げて下さい」
ワトソン「……どうしたんだ? 戦えないとはどういう事なんだ、こうやって治療を……」
ジキル「……一度罪を犯せば、元に戻る事はない」
ワトソン「……」
ジキル「……僕は悪鬼のまま、ここで死ぬ。良いんです。もう、戻れはしないから」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:37:05.79 ID:GYV8vN900<>
ワトソン「……そうか。ジキル博士というのは、成程、やっぱりジキルとハイドの、あのジキル博士だったのか」
ジキル「……知って、たんですね」
ワトソン「……」
ジキル「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:38:35.13 ID:GYV8vN900<>
ワトソン「小説というのは奇妙なものなんだ、ジキル博士」
ジキル「……」
ワトソン「私が書いた小説は、たいてい犯人が罪を犯す。そしてホームズが鋭い推理で犯人を追い詰め、罪を認めさせて終わらせる。そこまでなんだ、殆どの人間が知れるのは」
ジキル「…………」
ワトソン「でも人生はそこで止まりはしない。たとえどんな犯人が、どんな罪を犯して、どんな刑を言い渡されても、たとえ絞首刑だったとしても、牢の中で改心するヤツも居る。僕も、そんなヤツを何人も見てきた」
ジキル「……だから、僕もやり直せると?」
ワトソン「違う、やり直せはしない。死人が出た。誰もその人間の生を償えないだろう、ジキル博士。貴方はそれを背負っていくんだ」
ジキル「……」
ワトソン「だけどな、博士……人間の本当の価値は、何をしたか、じゃあない。何をしようとしてるか、なんだ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:39:51.73 ID:GYV8vN900<>
ジキル「……」
ワトソン「戦争ではな、博士。僕も沢山殺して来たよ。今でも夢に見る。死ぬ直前の敵兵の、懇願するような目を思い出す。でも、それだけで今の僕を作る事なんてできない。そうだろ博士」
ジキル「……肋骨にヒビが入ってるのに、立てって言うんですね」
ワトソン「それは、うぅむ……」
ジキル「冗談です。……ありがとうございます、博士」ムクリ、ゴソ……
ワトソン「いや、礼を言われるような事じゃないさ。……なんだその試験管は?」
ジキル「少し、変身します」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:40:51.05 ID:GYV8vN900<>
獣じみた声が、濃霧のしじまを震わせた。
「今のは……?」
首を傾げ、建物の陰を見つめるパラケルスス。その足元には、既に打倒されたジャックが横たわる。このままトドメを刺すところだったが、それを取りやめ、異様な威圧感の出どころを探る。
次の瞬間、飛び出した影あり。それはナイフを構え、赤い瞳の残光を霧中に残し、凄まじいスピードでパラケルスス目掛けて飛び掛かった。
「っ」
パラケルススは短剣でナイフを受け止め、突進をいなす。受け流された影は地面に手をつき、石畳を抉りながら鬼じみたターンで再度襲い掛かる。魔術師はギリギリで受け、ナイフの切っ先を弾き逸らした。
散る火花。克明に映し出された凄惨な笑み。ジキル博士の顔を持ちながら、それはもはやジキルではなかった。パラケルススの背を恐怖が駆け抜ける。
「とうとう出て来ましたか」
「待ちくたびれたかよ、説教野郎」
ハイドは笑う。笑い、蹴りを繰り出す。パラケルススは飛び退き、魔法陣を……
「っ」
一瞬で危険を察知したパラケルススは短剣を打ち振り、飛来した弾丸を叩き切る。物陰で銃を構えているのは、ワトソン医師だ。そして……
「へッ、余所見したか?」
ぞわり。魔術師は背後へ短剣を突き出した。いや、突き出そうとした。その時既に、パラケルススの胸からナイフの刃が飛び出していた。
「……申し訳、ありません」
その死の瞬間、パラケルススの……おのれの罪が許されぬものと信じて疑う事のなかった魔術師の口から、謝罪が漏れた。それは理想の向こうへと歩む同志へ向けたものか、それとも顔もかすむ誰かへ向けた謝罪だっただろうか。それを知る術はもはやない。
呆気ないほど静かに、魔術師は倒れ伏した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:41:51.20 ID:GYV8vN900<>
ハイド「……ケッ、つまらねえな」
ワトソン「終わった……か?」
ハイド「おう、俺が終わらせてやった。おいジャック、ナーサリー、フラン。起きろ行くぞ」
ジャック「……う、うぅん……?」
ナーサリー「ちょっと、まだこっちは終わってないのだけど!」ギュドドッ
ホムンクルス達「「「」」」ドシ、ドシ
フラン「ウゥゥォォォ!」ブンブンッ
ハイド「チッ……いつまでも雑魚に構ってんじゃねえ! 行くぞ!」スタスタ
ナーサリー「ちょっと……もう!」タッタッ
フラン「ウゥゥ!」ダッ
ジャック「う……」
ワトソン「ああ、あー……来なさいキミ、危険だ!」ガシッ
ジャック「……ありがとう、おじちゃん……」
ワトソン「……おにいさんだ!」グイッ
ワトソン(ああもう、ジキル博士が活躍した手前、元殺人鬼のこの少女に文句を付けるわけにも……)
ワトソン「……これが終わったら覚えてろよ!!」ダダッ
ジャック「??」グラグラ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:42:57.78 ID:GYV8vN900<>
ハイド「……ふぅん、案外すぐ着いたな」
ワトソン「はーっ、はーっ、僕も歳かな……」
ジャック「もっと背伸びして!」グラグラ
ワトソン「肩車になってるし……!」
ナーサリー「次は私! 次は私よ!」
フラン「ウゥ……」
ハイド「おい、敵の本拠地に降りるんだ。もうちょっと緊張感持てよ……もしもし」
ドクター『もしもし、聞こえてるよ』
ハイド「そろそろ敵の本拠地が地下にある、観測してくれ」
ドクター『はいよ、ちょっと待っててね……何だかワイルドになったねジキルくん』
ハイド「黙って仕事できねえのか」
ドクター『えっ』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/20(火) 19:44:13.20 ID:GYV8vN900<>
ドクター『……よし、観測完了! どうやら大きな空間がぽっかり地下に空いてるみたいだ、魔力反応はひとつ……サーヴァントじゃないな。聖杯反応もある、黒幕が居るぞ!』
ハイド「へえ、おもしれえ。よっしゃ、ブルースの奴にもここの座標送っとけ。俺らで攻め込んでやる」
ドクター『え、本気!? 増援を待った方が……』
ハイド「悠長な事言ってんじゃねえ! 準備が整ってねえならここで叩いてやる。行くぞお前ら、誰が最初に黒幕を潰すか勝負だ!」
ジャック「しょうぶ!?」ピョコン
ワトソン「いやそれはどうかと思うぞ」
ハイド「相手はたった一人なんだろ、行くぜ!」ダッ
ジャック「わたしもいく!」ピョンッ
ワトソン「……君らはいつもこうなのか?」」
ナーサリー「大丈夫よおじさま、落ち着いてる時は落ち着いてるもの」
ワトソン「おじ……」
フラン「ウゥ……」スタスタ
ナーサリー「私も行かなきゃ……」スタスタ
ワトソン「……」
ワトソン「まさかホームズと一緒な方が安心できる、なんて思わされるとはなぁ」ポリポリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>sage saga<>2018/11/20(火) 19:46:07.30 ID:GYV8vN900<> 今回の更新はここまでです。そして訂正です。
44ですが、
ハイド「そろそろ敵の本拠地が地下にある、観測してくれ」
↓
ハイド「敵の本拠地は地下にあるみてえだ、観測頼むぜ」
に脳内変換願います。今回全体的にボロッボロで申し訳ない……次から気を付けます <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/20(火) 23:17:04.69 ID:Cacrf9FkO<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/21(水) 15:42:31.48 ID:kD0QIQ/A0<> 乙!
おじさん呼びに内心ショックなワトソンくんすこ……
ハイドも出てきてどうなるかなー
次回も楽しみにしてます! <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:48:22.20 ID:TJuPBE+k0<>
………………
私が恐怖を学んだのは、何歳の時だっただろうか。
まだ少年だった頃、父の『実験』の対象にされた私は、モルモットとして恐怖ガスを吸引した。見慣れた父親の顔は歪み果て、夕暮れを飛ぶ鳥すら酷く恐ろしく見えた。
誰かが叫んでいた。喉がかれるまで、自分が恐怖の叫びをあげていると気付けなかった。恐怖は無慈悲で、止まらなかった。その時私は、醜い夕空が世界の真理だと知った。
それから何十年経っただろうか。私の傍らには常に恐怖があった。いや、私だけではなく、全ての人間は恐怖から逃れられないのだ。恐怖を制御する術を身に付けた今でも、歪み果てた父の顔は忘れられなかった。
誰かが叫んでいるのが聞こえる。私の喉はかれてしまった。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:48:58.82 ID:TJuPBE+k0<>
………………ジキル達によるパラケルスス撃破の、十数分前。
バットマン「……ふむ……」ザリッ
バットマン(スケアクロウの血痕はこちらへ続いている。今のところ、レーダーに表示されている予測進路と大差ないか……)
マシュ「……」フラッ
モードレッド「っと、おい平気か……」ガシッ
マシュ「は、はい。大丈夫です、すみません」
モードレッド「……」
バットマン「このまま進むぞ。警戒を怠るな」スクッ
モードレッド「分かってる」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:49:24.90 ID:TJuPBE+k0<>
モードレッド「なあ、その……お前は怖くねえのかよ、ブルース」
バットマン「……何の話だ」
モードレッド「この霧だよ。人間が吸っちまったらブッ倒れちまうくらいキツイんだろ」
バットマン「当然、恐れている」
モードレッド「……何を?」
バットマン「……」
マシュ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:49:56.81 ID:TJuPBE+k0<>
モードレッド「……」
モードレッド「……オレは、オレはな、ブルース」
モードレッド「オレはずっと、憧れの影だった。要らねえって言われ続けて、余計な存在だって言われ続けて……それでも、オレは騎士として認めて欲しかったんだ」
モードレッド「憧れは簡単に歪んじまった。最初、オレの事、疑ってたよな。オレだって分かってる。裏切ってアーサー王を殺した騎士のオレを、信用するなんておかしい事だ」
モードレッド「……それでも、一緒に戦えて、嬉しかったぜ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:50:24.78 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン「……そうか」
モードレッド「そうだ。そんだけだ」
バットマン「……ベストは尽くす。お前達を死なせない」
モードレッド「それはオレとマシュの台詞だっての、なあ?」
マシュ「あ、は、はい! もちろんマスターは守ります!」
バットマン「頼りにしている。……それと」
モードレッド「?」
バットマン「私も、お前達と共に戦えるのは光栄だ。必ず世界を救うぞ」
モードレッド「……トーゼンだろ!!」バシィッ
バットマン「ふっ……」
マシュ「フフ」クスクス
レオナルド「……ブルースのスーツが凄まじい衝撃を受けたってデータが来たんだけど、あの時代はトラックでも走ってたかな……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:50:50.77 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン(精神面への影響は、緩和剤のお陰でほぼ乗り切ったか)
バットマン(あとは、どれだけメンタル管理をうまく行えるか。今はとても好ましい精神状態だが、肝心のスケアクロウを見つけた時にボロボロでは意味がない)
バットマン(……ここばかりは、計算の出番か)
(((逃げろマーサ、ブルース……)))
バットマン(……私が何を恐れているか、か)
バットマン(いや、今考えるべきではない)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:51:31.50 ID:TJuPBE+k0<>
スケアクロウ「……ハーッ、ハァーッ……」
スケアクロウ(追いつかれれば、今度こそ死ぬか……しかし、ただで死ぬわけにはいかん)ゴソ
スケアクロウ(……まだ、スケアビーストに変身するための薬は残っている。身体への負担は尋常ではない。負ければ当然死ぬだろうが、もし勝てても……)カチャ……
スケアクロウ「……ぐっ……」プシュッ……
スケアクロウ(……バベッジ、お前は最期に何を見た。この世を計算し尽くしてしまったお前は、絶望のうちに死んでしまったのか)グ、グググ……
スケアクロウ(パラケルスス。お前は、自分の罪を許して死んで行けるのか)ググググ……!
スケアクロウ(……マキリ。お前が最期まで、自分に失望しない事を祈ろう)バキバキ、バキ……
スケアビースト「……グルルルルロァ……」フシュルルルルル……
スケアビースト「ウゴォォォォォァァァアアアアアアア!!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:51:57.57 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン「!! 聞こえたか」
マシュ「はい! 近いです!」
モードレッド「チッ、街に反響して場所が特定できねえ! どっから来やがる!?」
バットマン「落ち着け、背中合わせだ!」スッ
マシュ「了解!」ドッ
モードレッド「おう!」ガッ
バットマン「全員聴覚を研ぎ澄ませろ、どこから来てもおかしく……」
ドンッ!
マシュ「今のは!?」
バットマン「っ、上だ!!」バッ
モードレッド「野郎!?」バッ
スケアビースト「グルォォォォォォォ!!!」ヒュゥゥゥゥゥッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:52:23.68 ID:TJuPBE+k0<>
スケアビースト「グンッ!!!」ドッガァ!!
モードレッド「ちいっ」ゴロゴロッ
バットマン「くっ、無事かマシュ!」ゴロゴロ、ガバッ
マシュ「は、はい。ありがとうございます、マスター」
バットマン「立て! 来るぞ!」
スケアビースト「グ……ググググ……真理モ見エヌ、愚者共……!」フシュルルルルル……
モードレッド「剣以上の真理なんざあるか!!!」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:53:26.40 ID:TJuPBE+k0<>
………………
ハイド「……そうか、それじゃアンタが今回の黒幕って事か?」
???「そうか……お前達がここに来たという事は、パラケルススは敗れたか」
フラン「……う、ウゥ……」
ワトソン「失礼、初対面なら名乗るのが常識でしょうが、今回の黒幕相手なら私もうっかり礼儀を忘れそうでね」カチャリ
???「物騒なものを向けないでくれ、ワトソン医師。私は確かに悪逆の徒であるが、しかし悪には悪の理由がある。私はマキリ・ゾォルケン」
ワトソン「まき……」
ドクター『……気を付けて、その人から聖杯反応!』
ワトソン「聖杯……?」
ハイド「こっちの話だ。やっぱ間違いねえみてえだな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:53:53.03 ID:TJuPBE+k0<>
巨大機械「」ボシュッ、ボシュッ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ナーサリー「なんて大きな機械……アレが霧を産み出してるのね」
ジャック「……いやなにおい」
マキリ「恐怖ガスでの緩慢な世界崩壊は、あくまで紳士的なやり方だった」
ワトソン「紳士的? 紳士的だって?」
ハイド「おい、」
ワトソン「紳士的だって!? 貴様よくも……よくもそんな事が言えたものだな! どの口が……アレのせいで何人の人間が……貴様……!」ギリィ
マキリ「無論、紳士的だ。だが、そちらは我々を止める気らしい。ならば我々としても、少々手荒なやり方をするしかなくなった」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:54:20.17 ID:TJuPBE+k0<>
ハイド「で、俺らが黙ってお前に『手荒なやり方』をさせるとでも思ってんのか?」
マキリ「もう遅い。全ての工程は終わった後だ。今、全ての霧が、このロンドンの中心部へ向かって集まってきている」
ハイド「……どういう事だ。テメェらは何をするつもりだ」
マキリ「君達も見てきたハズだ。その、フランケンシュタインの怪物でな」
フラン「……?」
マキリ「『電気』だ。この霧は、電気を受けて活性化する」
ハイド「……!!」
ドクター『まさか……!!』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:54:47.38 ID:TJuPBE+k0<>
ハイド「ナーサリー、援護しろ! ジャック、フラン、やるぞ!」
マキリ「さあ来たれ、我らが最後の英霊よ。我が悪逆、完成させるに足る星の開拓者よ。
汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者」
ハイド「オラァァァァッ!!!」ギュォッ
ジャック「たあっ!!」ギュンッ
ナーサリー「そこ!!」ギュドドド……
フラン「ウゥ!!!」ブォンッ
マキリ「汝三大の言霊を纏う七天! 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」ギュォォォォォォォォォォォッ
ドドォォォォォォォォ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:55:14.27 ID:TJuPBE+k0<>
ゴォォォォォォォォ……!!
ジャック「きゃっ!?」ブワッ
ハイド「うぐっ!?」ドシャシャッ
ナーサリー「ひゃっ……!!」ドシャァ
フラン「ウゥ……!」ググッ
ワトソン「なっ、いったい……」
バチ、バチバチ……バチバチバチ……
???「────……」バチバチ、バチチィ……
マキリ「……来たか。雷電の化身、二コラ・テスラ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:55:42.74 ID:TJuPBE+k0<>
テスラ「……私を。呼んだな」
マキリ「やるべき事は分かっているな、天才よ。地上へ行き、雷を落とせ。それだけで、ロンドン中心部へ固まった霧は爆発的に広まり、世界を飲むだろう」
テスラ「良かろう。私は、雷電であるがゆえに」スタ、スタ……
ワトソン「ま、待て!! 急に現れて、世界を滅ぼすだと!? 私が見逃すものか!」カチャリ
テスラ「……勇猛なる紳士よ、同胞よ。私とて抗えるものなら抗おう。しかし……」
マキリ「無駄だ。彼の召喚式には狂化を加えた。彼が止まる事はない」
ワトソン「……! 人の意思を玩具のように扱う外道め!」
マキリ「何とでも言うが良い。理解は求めていない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:56:09.73 ID:TJuPBE+k0<>
ハイド「そうかい、それじゃあ俺達がさっさとあの雷野郎を片付けても良いってワケだな……!」
マキリ「無論、させん。そのために私が居るのだ」
ハイド「お前に止められるかよ!」
マキリ「止めるのは私ではない。……破滅の空より来たれ、我らが魔神……」グ、ググググググググ……!!!
マキリ?「う、うぅ……」ズム、ズムムムムム……!!
ハイド「なんだこりゃあ……」
ワトソン「肉の、柱……!?」
ドクター『……この反応、まさか……!』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:56:36.62 ID:TJuPBE+k0<>
魔神柱「七十二柱の魔神が一柱。我が名は魔神バルバトス」
ジャック「目が、たくさんついてる……」
ナーサリー「ユニークな見た目ね」
フラン「ウゥ!」スッ
バルバトス「これがマキリの、悪逆の到達点。我らが王に見いだされた、ねじまがった善の形。醜悪の極みである」
テスラ「……」
バルバトス「行け、雷電の化身よ。時間は稼ごう。新たな世界のために」
テスラ「……」スタ、スタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:57:02.43 ID:TJuPBE+k0<>
ハイド「あー……つまり?」
ワトソン「この醜いのを片付けて、さっさとあの雷男を止める! そういう事だ!」
ハイド「アァ、分かりやすくなったぜ」ムクリ
ジャック「かいたいするよ!」
フラン「ウゥ!!」グッ
ナーサリー「負けないんだから!」
バルバトス「何を知り、何を望もうとも。友は全て消えゆく」ズォォォォォォ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:57:28.96 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン「っぐぅ!?」ゴッシャァァァァ!
スケアビースト「グロァァァァァァ!!」
バットマン「くっ……!」ムクッ、ダダッ
バットマン(ヤツの身体から常時漏れ出す、濃厚な恐怖ガスが厄介だ……マシュもモードレッドも動きを鈍らされ、まともに戦えていない!)ダダダダダ
モードレッド「っだりゃああああああ!!!」ブンッ
スケアビースト「無駄、ダ!!」ガッ!
モードレッド「クソ!!」ガガッ、ズシャシャッ
マシュ「たあっ!!」ヒュンッ
スケアビースト「無駄ダト、言ッテイル!!」ガッ、グインッ
マシュ「きゃっ!?」ドシャッ
モードレッド「うおっ!?」ドガガッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:57:54.99 ID:TJuPBE+k0<>
霧「」ズ……ググググググォォォォォォォオオ……
バットマン「!?」
バットマン(何!? 霧が、引き始めた……!?)
バットマン「どういう事だドクター、ジキル達がやったのか!?」
ドクター『違う! これは敵の手の内だ! 霧がロンドン中心部へ……ああもう、とにかく止めないと不味い! 今対応策を探してる!』
スケアビースト「……モウ、遅イ。バットマン」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:58:21.09 ID:TJuPBE+k0<>
スケアビースト「人ハ、恐怖ニ抗ウ術ヲ持タナイ。見タハズダ、醜ク争ウ人ノ本性ヲ」
スケアビースト「オ前達ノ希望ハ、ニセモノダ……!」
モードレッド「ダラァァァァァッ!!!」ブンッ
スケアビースト「グロァッ!」ガシィ!
モードレッド「ちくしょ……テメェ、離せ……!」
バットマン「モードレッド!!」ダッ
スケアビースト「フン……」ゲシッ
バットマン「うっぐぉ……!?」ドシャァッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:58:46.95 ID:TJuPBE+k0<>
スケアビースト「言ッタダロウ。オ前達ノ希望ハ、ニセモノダ」
バットマン「ぐっ……」プルプル
スケアビースト「……ダカラ、コンナ風ニ簡単ニ、折レル」グイッ、プスッ……
モードレッド「ぐぅっ!?」
バットマン「っ、モードレッ……」
バットマン(しまった、あの注射は恐怖ガスの濃縮液……!)
マシュ「モードレッドさん!!」ダンッ、シュバッ
スケアビースト「ソラ、次ダ」ガガッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:59:13.07 ID:TJuPBE+k0<>
バルバトス「無益だと、分からないらしい」グ、ググググ……
フラン「ウアアアアアアアア!!!」バチバチバチィ!
ナーサリー「くっ!!」ギュドドドドド!
ワトソン「……よし、治療完了だ!」
ジャック「ありがとう!」ダダッ
ハイド「オラァ!」ズバァッ
バルバトス「無益。何もかも。我は全てを知るがゆえに、全てを嘆くのだ。望まれぬ存在共よ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 02:59:42.69 ID:TJuPBE+k0<>
バルバトス「ある者は不完全な物語として生まれ、その不完全性ゆえに何者かに強く依存する」ドドドォッ
ナーサリー「……!!」ギュギュギュ、ギャリギャリギャリィ!
バルバトス「またある者は、母にすら求められず、生まれる事すら許されず」ボボボボボボ……
ジャック「っ!!」ギャギャギャンッ
バルバトス「またある者は、イヴとして作られながら涙すら流せず」
フラン「ウ、ウゥァァ!!」ブォンッ
バットマン「よせスケアビースト!!!」
スケアビースト「サア、恐怖ヲ思イ出セ……!」プス、ブォンッ
マシュ「ぐぅぅ……!!?」ドシャシャ、ゴロゴロ……
バットマン「マシュ……!!」
マシュ「う、う……うぅぅぅぅ……!!!」ガクガクガクガク……
マシュ(先輩……先輩……!)ガクガク、ガク……
バルバトス「……ある者は、身勝手な実験の失敗のせいで、生まれながらに寿命すら短いと決まっている。望まれぬ命というのは、実に哀れだ」
ハイド「……」
ワトソン「黙れ、きs……」
通信機『黙りなさいッ!!!!』キィィィィィィィィィ……ン
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:00:09.95 ID:TJuPBE+k0<>
ワトソン「えっ」
バルバトス「……何?」
スケアビースト「……?」ピタッ
バットマン「……所長?」
通信機『黙れって言ったのよ、さっきから黙って聞いてれば……!!! アンタねえ、望まれない命!? 哀れ!? 何様のつもりなのよ!!!!』
バルバトス「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:00:50.31 ID:TJuPBE+k0<>
ドクター「しょ、所長、急に……」
所長「確かに私達は傲慢だったわよ!! その罪は背負っても背負いきれない!! だから私は地獄に堕ちる、そんな覚悟は済んでる!! けど……」
所長「けど、それでも、一生懸命生きてる命を憐れむ権利なんて、アンタには無いのよ!! 誰にも無いの!!! 伏せってでも、這ってでも、生きようとするヤツを馬鹿にするんじゃない!!!」
マシュ「……」ガクガク……ピタッ
所長『……だから、起き上がりなさい! 立つのよ! 望まれないなんて言わせない!! アンタ達は、今、私達の希望なのよ!!』
マシュ「……」グッ、プルプル……ムクリ
モードレッド「へ、へへ……言いやがる……!」ググググ……ムク
フラン「……」ムクリ
ナーサリー「……」スクッ
ジャック「……」スタッ
バルバトス「……お前達には無理だ」
ワトソン「どうだか、そっちこそそろそろ諦めたらどうだ?」
ハイド「ったく、暑苦しい演説でこっちにも熱がこもっちまうぜ……」
バルバトス「理解、不能である……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:01:24.41 ID:TJuPBE+k0<>
ワトソン「立ったは良いがボロボロか。どうする」
ハイド「ケッ……」
ハイド(……望まれねえ、か)
ハイド「……俺が突っ込んで囮になる、その隙にジャック、テメェのスピードでケリをつけろ」
ジャック「え」
ワトソン「な……待ってくれ、囮だと? 分かってるのか、全員に攻撃が分散されていてもようやく立っていられるほどの……」
ハイド「分かってる。死ぬだろうな」
ワトソン「分かっていて何故!」
ハイド「ようやく希望になれたんだ。それなら、俺は戦いたい」
ワトソン「っ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:01:50.73 ID:TJuPBE+k0<>
ハイド「俺はハイドだ。ジキルじゃねえ。殺人者の人格で、封じ込められた悪の側面だ。なら、あのブサイクな肉塊と道連れで死ぬにはちょうどいい」
ハイド「……頼めるな、ジャック」
ジャック「……うん」カチャッ
ワトソン「……分かった。そこまでの覚悟があるなら、僕は止めない」
フラン「ウゥ!!」スッ
ナーサリー「……」ギュゥッ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:02:16.84 ID:TJuPBE+k0<>
ナーサリー(分かってる。わたしが口出ししても、覚悟を持った人は止まらない)
ナーサリー(本当に勝手な人達。勝手に納得して、勝手に消えて行く。残された人の気持ちも考えず)
ナーサリー(……でも、)
ナーサリー(……だけど、いつまでも泣いてはいられないものね。そうでしょう、アンデルセン)
ナーサリー「……ええ、やりましょう! 突破口は開くわ!」ギュギュギュオォォォォォッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:02:48.80 ID:TJuPBE+k0<>
スケアビースト「……何故ダ、何故立ツ」ジリッ
マシュ「う、うぅぅぅぅ……!!」プルプル
モードレッド「ぐぐぐぐぐがァァァ……」ガクガクガク……
バットマン「……」
バットマン(そうか。……そうだったな、マシュ。お前達は、そういう強さを持っている)
マシュ「守るって、誓ったから……! 私が、守るって!」ガシャリ
モードレッド「ムカつく、からだよ、カカシ野郎!!」ガッシャァ!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:03:20.39 ID:TJuPBE+k0<>
ゾンビじみて立ち上がったマシュ達を前に、スケアビーストはたじろぐ。恐怖ガスの濃縮液を注射したというのに、この不屈はどういう事だ。恐怖が……恐怖が、真理だったハズ。彼は咄嗟に、最も体格差のあるマシュを潰しにかかる。
対するマシュは深呼吸する。その脳は鋭敏化され、瞳には恐怖の色がありありと映る。しかし、その恐怖は彼女の動きを鈍らせはしなかった。むしろ逆だ。スケアビーストは気付けない。彼がもたらした恐怖が、マシュの『想像の世界』を完璧にしてしまった事に。
(対応策を、瞬時に)
マシュは全ての角度から打ち込まれる打撃に備え、身体をフラットに保っている。恐怖を脳に閉じ込め、身体を楔から解き放つ。それは一瞬の中で行われ、また一瞬の中で何度も繰り返された。
スケアビーストが腕を振り下ろした。その先にマシュは居ない。スケアビーストは目を見開く……胸に、拳が突き込まれている。盾の少女は、一瞬にして、最適な角度での反撃を繰り出していた。
「グゥッ……!」
怪物は吐血し、石畳を削りながら吹き飛ぶ。スケアビーストとしての維持時間が限界に近付いている。だが、まだだ。スケアクロウは吼え、地面に腕を叩きつけ、転がって起き上がる。まだだ。真理は譲らない。命に換えても。命? いかほどの価値を持つ? 真理に比べれば!!
起き上がる科学者のその目の前、既にモードレッドが迫っていた。スケアクロウは咄嗟にクロスガードの姿勢を取るが、衝撃が入ったのは脛だった。
「ぐぅっ……!」
ローキック。モードレッドの。彼女はそのまま、舞うようにスケアクロウの後方へ回り込む。恐怖の化身は歯を食い縛り、無理やり振り向こうとし……そして、目を見開き、止まった。
霧の引いて行くロンドンの向こう、夕陽が今にも沈もうと、真っ赤な光を投げていた。それはテムズ川の水面に反射し、輝いている。鳥が空を飛び、家路についている。
「ああ」
醜かった、ハズなのだが。その言葉を発する前に、スケアクロウの首は剣にはね飛ばされた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:04:12.94 ID:TJuPBE+k0<>
その死を感知したバルバトスは目を瞠った。それは、未だ残る『マキリ』としての人格がなした、最期の、人間らしい反応だった。
その隙を見た全身ボロボロのハイドが突貫し、目玉の一つへとナイフを突き立てた。血が噴き出し、報復の魔力が返る。ハイドの胴体に穴が開く。
「痛かったかよ、テメェ」
血を噴いて笑うハイドのその後方から、フランがジャックを放り投げた。それは絶妙にバルバトスの隙を突いた投擲であり、小柄なジャックは空中での姿勢制御も巧みであった。彼女は殆ど優雅に見えるほどの流麗さで、ナイフを構えた。
投げられた勢いをそのままに、バルバトスの肉を貫通し、弾丸じみてジャックが飛び出した。そして着地。肉の柱は呻き声をあげ、よろめく。絶対的な悪逆の支柱じみたその存在が、今になってようやく孤独を悟り、助けを求めるかのようでもあった。
そして、凄まじい音をあげ、倒れた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:04:46.66 ID:TJuPBE+k0<>
ジャック「おわりだよ」スッ
ハイド「……ようやくお役御免か」フラッ
ワトソン「は、ハイド!!」ダッ、ガシッ
ハイド「……ったく最期までうるせえオッサンだったぜ、テメェは……」ヒュー、ヒュー……
ナーサリー「ミスターハイド、ああ、ごめんなさい……!」
ハイド「先に言っとくが、テメェらの、力不足のせいじゃねえ。鬱陶しくメソメソすんなよ、こうするのが最善だったんだ……」ヒュー、……
フラン「ウゥ……」シュン
ワトソン「……ハイド、君は……」
ハイド「馬鹿が、チンタラしてる時間があるか……早く、行け。雷野郎を止めろ、やべえんだろうが……」
ナーサリー「……そう、ね」
フラン「ウゥ……!!」スクッ
ジャック「いこう!!」
ワトソン「……必ず止める、君の犠牲を無駄にはしないぞ!」ダッ
タッタッタッタッタッ……
ハイド「ハッ……」
ハイド「当然だぜ、チクショウめ……」
ハイド「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:06:11.34 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン「マシュ、モードレッド!!」
モードレッド「ぐっ……ふう、流石に効くな、あの注射……!」ドシャッ
マシュ「く……く、うう……」ドサッ
バットマン「大丈夫か。ドクター、二人の状態を」
ドクター『さっきまで動けてたのが不思議だよ、これじゃいつ死んでもおかしくない! 多分、死ぬ直前に身体が奮起して……』
バットマン「……」
ドクター『……けどその力も尽きた。二人共、そのままじゃ毒で衰弱死してしまう。脳へのストレスが半端じゃない、体機能もところどころ誤作動を起こしてる』
バットマン「…………」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:06:37.70 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン(解毒剤は一本。緩和剤は無い。どちらかに打ち、どちらかを見捨てねばならない)
バットマン「……」
(((キミは、世界が滅んでも……彼女を助けたいと思うかい?)))
ドクター『ブルースくん、これは……』
バットマン「……すまない、ドクター」プツッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:07:04.66 ID:TJuPBE+k0<>
モードレッド「……マシュに、打て。マシュに、打ってくれ」ゼエ、ゼエ
バットマン「……」
モードレッド「お前が、一番大切なモンを、見失うな。それは、オレじゃねえ。マシュだ」
バットマン「……」
モードレッド「……頼む、ブルース」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:07:31.57 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン「……いいや」
モードレッド「……何?」
バットマン「私はバットマンだ。モードレッド」カチャ、カチャ
モードレッド「何を……テメェ、なにしてる、やめろ! オレじゃねえ!」
バットマン「いいや、お前だ。今、世界を救える可能性が一番高いのは、お前なんだ」プスッ……
モードレッド「テメェ……テメェ!!!」ガバッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:07:58.36 ID:TJuPBE+k0<>
モードレッド「そこまで臆病だったのか、テメェは!!」ガシッ
バットマン「計算だ。早く行け、モードレッド」
モードレッド「クソが!! 見損なったぜ、そこまで外道だったなんて……!」
バットマン「見損なってもらって結構だ。だが、今、世界はお前を必要としている。騎士モードレッド、お前はこれを裏切れないハズだ」
モードレッド「……!!!」ブチィ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:08:24.89 ID:TJuPBE+k0<>
モードレッド「……っ」バシィ!
バットマン「ぐっ……」ドシャァッ
モードレッド「……卑怯者。オレ、やっぱりお前の事、嫌いだ。大嫌いだ」ググググ……
バットマン「……行け。世界を救って来い」
モードレッド「……」クルッ、ダダッ
通信機『』ピピーッ! ピピーッ!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:09:01.41 ID:TJuPBE+k0<>
バットマン「もしもし」
ドクター『もしもし!? ブルースくん、解毒剤はどっちに!?』
バットマン「モードレッドだ。今、我々のうちで最も強いのは彼女だ」ゴソゴソ
ドクター『……そう、か……』
バットマン「そうだ」ゴソゴソ……
ドクター『……その、ブルースくん。今回の件は、君にだけ責任があるんじゃない。元はと言えば、僕たちの……』
バットマン「ドクター、謝罪は後だ。私の脳波の観測を頼む」スチャッ
ドクター『うん、そうだよね……え? 何をかぶって……そ、その帽子!?』
バットマン「マッドハッターの帽子だ。マシュの精神へ潜行し、恐怖から救い出す」スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:09:30.23 ID:TJuPBE+k0<>
………………
職員B「え!? って事は、ブルースさんは初めからどっちも助けるつもりだったんですね!?」
レオナルド「どっちにしろ賭けだなあ。ようしロマニ、本領発揮だ!」
ロマニ「いや、本当に心臓に悪いなあ彼は……!」ドキドキドキドキ
職員A「何にせよ、正念場ですね」
所長「ええ! 気を引き締めてかかりなさい!」
職員達「「「はい!!!」」」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:09:55.91 ID:TJuPBE+k0<>
職員C「……んん?」
職員B「どうしたの?」
職員C「動体レーダーに感あり。カルデアの外、雪山に……」
職員B「えぇ? また雪崩とかじゃないの?」
職員C「そうか……そうかもな。こんな時に、気を逸らすべきじゃなかった。悪い悪い」
職員B「もう、しっかりしてよ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/23(金) 03:10:22.32 ID:TJuPBE+k0<>
雪山「」ビュォォォォォオオオォォォォォ……!!
ドシ、ドシ。ドシ、ドシ
ベイン「ようやく座標を割り出したぞ、カルデア……」ニヤリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/23(金) 03:11:56.50 ID:TJuPBE+k0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
(バルバトスに個としての意思はない設定らしいんですがほんのり改変してます……許してガチ勢。今更か) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/11/23(金) 09:07:07.73 ID:eHaOVW7Z0<> 乙、面白いしええんやで <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/23(金) 09:22:31.39 ID:SF//NcC/O<> ベインさんが有能すぎる <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/24(土) 10:47:21.71 ID:Iw+NGnzA0<> 乙!
さらばバルバトス、走れモーさん <>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:39:02.14 ID:cGh5K5DM0<>
ベイン(……成程、雪景色の中に施設の外観を紛れ込ませたか。おまけに結界での防護もいくつか……)ドシ、ドシ
ベイン(だが、どの結界も紙くず同然。これで守っているつもりとは笑わせる)グ、ググ……
ベイン「さあ、ミスター・ウェイン。お前の帰りが間に合うかな?」グッ
ベイン「フン!!」ドシン、ギュゴォッ!!
拳「」ゴウッ!!
バリィィィィィィィィ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:39:44.32 ID:cGh5K5DM0<>
ビィィィィ! ビィィィィ!
所長「なっ、こ、この警報は……」
レオナルド「……!! 全区画のシャッターを下ろすんだ! 緊急事態、カルデアに侵入者有り!!」
ドクター「な、なな、」
職員A「侵入者!? しかし……」
職員B「まさか、通信機の周波数から逆探知を!? 厳重に偽装してあったはずなのに……」
所長「過去の可能性の話をしてる場合じゃないわ、全職員は今すぐ退避を! 命を大事にしなさい!」
職員C「御言葉ですが、今持ち場を放棄したらブルースさん達のサポートが出来ません! お、おおっ、俺は残ります!」
職員B「私も!」
職員A「俺もです!」
所長「馬鹿! 死んでも恨むんじゃないわよ! レオナルド、足止めに行きましょう!」
レオナルド「オッケー、天才の底力を見せてやろう!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:40:11.94 ID:cGh5K5DM0<>
ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!
ベイン「……」ドシ、ドシン
ベイン(成程、シャッターが降りたか。ようやく俺の侵入に気付いたようだが、もう遅い)メリメリメリィ、バキン
ベイン(だが……このシャッター、脆い。脆すぎる。俺の力を加味したとしても)
ベイン「……」
ベイン「フフ」
ベイン(誘導しているな? 面白い)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:40:39.90 ID:cGh5K5DM0<>
所長「……ね、ねえ、アイツ、素手でシャッターを……」
レオナルド「こじ開けたね。アレは強度が多少低いとはいえ、たとえトラックが突っ込んでも傷一つ付かないように作られてるんだが」
所長「監視カメラの誤作動じゃ……」
レオナルド「ないね。折り紙付きの高精度だ」
レオナルド(……それに奴はこちらの誘導に気付いてる。気付いてて乗ってるんだ、不気味な奴め……)
レオナルド「所長、これは本当に手強い相手だ。悪くしたら死ぬけど、本気で私と一緒に戦うつもりかい?」
所長「ほ、本気よ! やらなきゃ皆が危険なんでしょ!?」
レオナルド「うん、よし……それならこちらも本気で行こう! 奴の行動を、少しでも遅らせなきゃね!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:41:24.98 ID:cGh5K5DM0<>
ピーンポーンパーンポーン……
ドクター「これは……」
職員A「区画放送だ」
レオナルド『もしもし。これから電灯や空調が消え、地獄のような寒さと暗さが襲って来るだろうけど我慢してくれ』
ドクター「よ、よーし……湯たんぽがあるから平気平気」
職員C「ドクター、こっちにも分けて下さい」
職員B「こ、こんな寒さ……平気……!」
職員A「防寒具を着用しよう。外壁があるとは言え、外は雪山だ。体温がどんどん奪われてしまう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:41:51.54 ID:cGh5K5DM0<>
レオナルド(よし。普段使ってる電力をベインの妨害にあてる。魔力を通路に充満させ、少しでも進行速度を落とさせる……)
レオナルド(だがそう上手く行くか。戦力的にはやはりマシュ、ブルースが帰って来ないとキツイものがある)
レオナルド(それに、相手は彼らを一度打ち破ってる。あぁ、控えめに言って絶体絶命か)
所長「……だっ、大丈夫よ、必ず勝てるわ!」
レオナルド「……勿論勝つとも! 天才の本領発揮だ!」ポチッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:42:33.53 ID:cGh5K5DM0<>
空間「」グニャァァァァァ……
ベイン「ふ、フフフ、フフフフフ……!」
ベイン(超高密度のエネルギー。一歩進むのすら、かなりの時間を要するか)ジリィ
ベイン「これで、これでこそ。さあ時間稼ぎに付き合ってやろう、私は破滅だ……!」ジリ、ジリ
ベイン(さあ早く来い、バットマン、マシュ。生きて此処まで来い!!)ドシ! ドシ!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:43:00.64 ID:cGh5K5DM0<>
バットマン「……」
バットマン(……)
マシュ「う、うぅ……うぅう……」
バットマン(……必ず救う。もう少しだ)
マシュ「……」
バットマン(……よし、精神を捉えた! 謝罪は後でする、潜らせてもらうぞマシュ!)ギュォォォォォォォォ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:43:28.43 ID:cGh5K5DM0<>
マッドハッター『また会ったな、バットマン。随分必死だ、時間に遅れそうなウサギみたいに』
バットマン『お前に構っている時間はない、マッドハッター。マシュを助けねば』
マッドハッター『まあ待て、今この少女は文字通りまともじゃあない。このまま深層へ降りればどうなるだろうな?』
バットマン『何が言いたい』
マッドハッター『波長の問題だよバットマン、精神は同期しあう。マシュとかいうお嬢さんの精神状態は揺らぎっぱなしだ。お前も破滅するぞ』
バットマン『覚悟している』
マッドハッター『本当に?』
マッドハッター?『本当に?』
???『本当に覚悟しているのか、お前は?』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:43:58.77 ID:cGh5K5DM0<>
父親『恐怖から目を逸らして来たお前が?』
母親『世界は救えないと分かっているお前が?』
ブルース『……』
ブルース『……これは、私の声か。いや……』
マシュ『……』ボー……
ブルース『……マシュ、お前の声なのか?』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:44:38.29 ID:cGh5K5DM0<>
マシュ『マスター……』
ブルース『マシュ、聞こえるか』
マシュ『先輩は……先輩は何処……?』
ブルース『先輩とは誰だ、マシュ。私達以外ここには居ない』
マシュ『居る……いる、居るのに!!』ガタガタ
ブルース『マシュ、しっかりしろ! くっ……』
ブルース(もっと奥へ潜る必要があるか……)ギュォォォォォォォォ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:45:19.01 ID:cGh5K5DM0<>
その日も、雪が空を覆っていた。
地球上で初のレイシフトが行われる予定だったのだ。皆が忙しく廊下を行き来し、あわただしく言葉が飛び交う。
「大丈夫、なんでしょうか」
不安からか、私は言葉を漏らしていた。そんな時でも、私の先輩はいつも通りで……ぼんやりしたような、それでいてしっかりした口調で、元気づけてくれた。
「大丈夫。いつも通り、しっかりやろうね」
「は、はいっ! 私、頑張ります、先輩!」
その時は、コフィンに入るのが遅れた先輩を待っていた。管制室の自動ドアが開き、慌てた足取りで先輩が入って来て……
最初に爆発したのは、一番奥のコフィンだった。不意打ちじみて響いた爆音に、皆が固まり、対応すら叶わなかった。次はその隣のコフィンが爆発、連鎖反応じみて手前へ手前へと爆発が連なった。やっぱり私は動けなくて、竦んだ身体と麻痺した思考で、ああ、これはまだ夢なのかな、なんて考えていた。
私の足元が光った。爆発の前兆なんて分かってたのに、それが現実だと思えなかった。一歩遅れた私を、先輩が突き飛ばして……そして、その身体が光に飲まれた。爆風で壁に叩き付けられた私は、直後に、コフィンの誤作動に巻き込まれた。
守ると誓っていた先輩は、爆弾に吹き飛ばされた。私が躱せたハズの爆弾に。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:45:52.89 ID:cGh5K5DM0<>
バットマン『……マシュ、それは……』
マシュ『……居ます、居るんです。先輩が私を見てるんです。先輩だけじゃない、皆見てる……私が守れなかった人たちが、ずっと見てる』
バットマン『……』
マシュ『マスターも……マスターも、きっと、私、死なせてしまう……!』ギュゥッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:46:30.15 ID:cGh5K5DM0<>
バットマン『……マシュ』
マシュ『……置いて行ってください、マスター。もう、私は立てません』
バットマン『断る。言ったはずだ。お前が大事で、お前を助けたいと』
マシュ『もう無理です。私は、もう……』
バットマン『……無理なものか。立つんだ。世界を守れるのは私達だけだ。戦わねば、マシュ』
マシュ『もう、やめてください』
バットマン『……』
マシュ『……お願いです。やめて、ください』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:46:59.72 ID:cGh5K5DM0<>
バットマン『……守れるものばかりではない』
マシュ『……え?』
バットマン『いいや、守れるものの方が少ないんだ。マシュ、人は必ず失敗する』
マシュ『……』
バットマン『そして、落ちるだろう。だが……だが、マシュ。人は何故落ちる?』
マシュ『それは……』
バットマン『這い上がる事を、学ぶためだ』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:48:00.15 ID:cGh5K5DM0<>
バットマン『ここは終わりではない。私の手を取れ』
マシュ『でも、私は……また……』
バットマン『落ちる事は破滅ではない。落ちた先で行動を諦める事が、本当の破滅なんだ。頼むマシュ、お前を破滅から救わせてくれ』
マシュ『またあなたを、死なせてしまう』
バットマン『……大丈夫だ。私のしぶとさは見てきただろう』
マシュ『……』
バットマン『一緒なら、必ず破滅に打ち克てる。さあ、手を取れ』スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:48:41.42 ID:cGh5K5DM0<>
マシュ『……』スッ
バットマン『……行くぞ』パシ
マシュ『勝てるでしょうか』
バットマン『必ず勝てる。お前は強くなった』
マシュ『………………あの、ありg……』
バットマン『いいや、マシュ。礼は要らないさ』シュゥゥゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:49:23.57 ID:cGh5K5DM0<>
ワトソン「はあ、はあ……階段を上るのもラクじゃないな!」ゼエゼエ
ジャック「みて、あれ!」
ナーサリー「光の……階段?」
フラン「ウゥ!?」
ワトソン「また階段!?……むむ、アレを上っているのは」
光の階段「」グォォォォォォォォ……
テスラ「……」コツ、コツ
ジャック「止めなきゃ」ダンッ
ナーサリー「ええ、行かなきゃ!」ダッ
ワトソン「こ、この階段急に消えたりしないだろうな……い、いや、行かねば!」ダダッ
フラン「……」
フラン「……」グッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:50:19.80 ID:cGh5K5DM0<>
テスラ「ふむ……高度は十分。そろそろ落とすとするか」
ワトソン「待て!! この街への狼藉は、この僕が許さないぞ!!」ダダダダダダ、ドォン
テスラ「ハハハハハ、鉛玉か。それは効かぬとも!」チュィン!
ワトソン「何ッ!?」
ジャック「たああっ!!」ヒュンッ
ナーサリー「止まってっ!!」ギュドドドッ
テスラ「……そして、小さな淑女たちよ。伏せていてくれたまえ。いかに歪んだ形と言えど、雷電の身で召喚されたのだ。使命は果たさねば」バヂヂヂヂヂヂヂヂヂ……ドォン!
ジャック「うっ!?」ヂリヂリヂリヂリヂリ……ドサッ
ナーサリー「きゃあっ!?」ヂュヂュヂュヂュヂュ……
テスラ「ふむ、終わりだな。……では、やるか」バチ、バリバリバリ……
ワトソン「させるかっ!!」ドォンドォン!
テスラ「効かぬと言っているだろう!」チュゥン、チュィン! バチチチィ!
ワトソン「っぐぅ!?」ドサァッ
テスラ「……この破壊も、見方を変えれば創造だ。電気が今の世を支えるならば、それを破壊するのも電気。悲しいが、それも道の果てだろう」パチ、パチ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:51:12.33 ID:cGh5K5DM0<>
必死に駆けるモードレッドはそれを見た。街の中心部、霧の中で青白い光が瞬くのを。それは徐々に輝きを増して行く。間に合うか? いいや、間に合わせなければ。世界を救わなければ。騎士として、信頼に応えなければ。
だが実際、連戦に次ぐ連戦のせいでモードレッドは消耗していた。走る足元がよろめき、バランスを崩しかける。毒もまだ、完全に消えていない。汗を垂らし、荒い呼吸で必死に進む。その努力をあざ笑うかのように、青白い光は一層強まった。
ドオン。ロンドン中の空に、爆発音が響き渡った。蒼い稲妻が霧を伝い、爆発的な活性化を……
……活性化を、引き起こさなかった。間に合わなかった騎士は、霧の中、黄色く輝く存在を見た。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:52:23.06 ID:cGh5K5DM0<>
『彼女』は、妨害が果たされないと分かっていた。ゆえに、そのインパクトの瞬間、予測される落雷地点へと走っていた。
「ウゥ、ウゥウゥウゥゥゥ……!!!」
とてつもない放電量を、彼女は体内へと取り込んで行く。皮膚にはいくつもの水膨れができ、抑えきれぬ電撃が彼女の体表を走り苛む。彼女は、泣く事すらできないと言われていた完璧な乙女は、まるで涙のように目から電撃を零し、限界までエネルギーを溜め込んで行く。
「何だと!?」
テスラは狼狽える。雷電の化身たる、自分の全力の落雷が受け止められている。その行動は本意ではなかったとはいえ、彼のプライドは揺らいだ。このエネルギー放出は何処まで続けられる。あの乙女は、いつまで自分の落雷を受け止めていられる?
知らず知らずのうちに、テスラの口元に笑みが浮かんだ。
「ハハハハ!!! ハハハハハハハハハ!!! 面白い、天才たるこの私に挑むというのか!! 骨のある女性だ!!!」
フランの関節から光が漏れ出す。体内エネルギー、危険域。その右腕が肘先から吹き飛び、鮮血じみて電撃が噴き出す。だが彼女は倒れなかった。必ず助けが来ると信じ、耐えた。人は一人では完璧足りえない。それは分かり切った事であり、彼女の信念なのだ。
テスラは光の階段を駆け上って来る赤い稲妻に気付く。それは剣を構えた騎士の全身から迸るエネルギーだ。モードレッド。未だ残る毒を気力でねじ伏せ、恐ろしいまでの気迫で迫る。
その一瞬、気圧された雷電の化身は放電を取りやめ、迎撃に切り替えようとした。が、それは叶わなかった。地上から天へ向け、爆発的な雷撃が遡った。それはテスラの身を打ち、怯ませた。
フラン。抑え込んだエネルギーを、お返しとばかりに放出したのだ。黒い煙を全身から立ち昇らせながら、満足げに笑みを浮かべている。テスラは敗北を悟り、彼女へ無言の称賛を送った。
そして彼の胸を、剣が貫いた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:53:34.14 ID:cGh5K5DM0<>
テスラ「……ごふっ……」ドシャッ
モードレッド「終わりだ……!」ズバァ
テスラ「ふ、フハハ、終わりか! ……ようやく、不本意な務めからも解放される。礼を言おう、騎士よ!!」
モードレッド「死に際なのに元気な野郎だな……!」ズシャッ
テスラ「……体内から、聖杯の魔力が溢れるのだ。私は消えるが、この後も何か来るぞ」シュウシュウシュウ……
モードレッド「……何だと?」
テスラ「気を付けたまえ……奴らの事だ、半端なものは用意していないだろう」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
モードレッド「おい、どういう……」
聖杯「」ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:54:04.67 ID:cGh5K5DM0<>
モードレッド「チッ、落ちたか! 拾いに……」
モードレッド(……いや、これは……何か来る!!)
バチバチバチ……ギュォォォォォォォオッ!!
モードレッド「クソッ、何が来てる……!? おいジャック、ナーサリー、ワトソン! フランも、起きろ、起き……」
モードレッド「……!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/25(日) 20:54:34.66 ID:cGh5K5DM0<>
モードレッド(嘘だ。そんな)ダダッ
モードレッド(見間違いだ。それとも恐怖ガスの影響がまだ残ってやがるのか? いや、でも、あれは、間違いなく……)ダダ、バッ
槍を持った女性「……」
モードレッド「……父、上?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/25(日) 20:55:13.99 ID:cGh5K5DM0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/11/25(日) 21:54:51.32 ID:tmFAfhvr0<> 乙、4章もクライマックスだし5章も楽しみだ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/25(日) 22:52:12.31 ID:dVf0pT+Bo<> 原作やってないから知らんのだけど女なのに父なの? <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/25(日) 23:00:15.78 ID:cGh5K5DM0<> 字面がシュールで申し訳ない……原作事情が色々と重なりまして、女性の御父上なのです。女性とは書いてありますが、このSSでの扱いはほぼ男性なので目を瞑って頂けると幸いです。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/26(月) 01:47:58.32 ID:qQw8KegoO<> 黒乳上… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/27(火) 15:28:51.06 ID:fdIPOMRA0<> 乙でした
父上はあのおっぱいで男を名乗るの無理すぎる……鎧で隠して……
大した霊基じゃなさそうなのにがんばるワトソンくん素敵だなって思いました(コナミ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/27(火) 18:40:22.14 ID:7WzLKl+5o<> FGOのほうはよく知らないんだけどゲームのストーリーとどんぐらい違うの? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/27(火) 22:10:10.35 ID:chvGVVaxo<> だいたいテキストが充実してくるのが3、4章からでそれまではソシャゲという形態もあってシナリオ面は簡素に纏まってるからだいぶ加筆されてる
後は味方サーヴァントが本来の脱落時期より早く消滅したり、逆に敵対で終わってたのが加入したり <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:27:51.99 ID:UHLu638i0<>
アーサー王……「アルトリア」は英雄だった。ブリテンからローマ兵を追い出し、ケルト人の誇りを取り戻した伝説の人物。全ての騎士の尊敬の的。オレはそんな人の息子だった。
息子だった? いいや、息子であろうとした。だが、モルガンの息子であるオレを、あの人は認めはしなかった。オレは王の器ではなく、息子でもなく、何者にもなれないと。
だから叛逆したのかと、そう尋ねられれば違うと言える。だが明確な理由など分からない。とにかく、大事なのは、あの日オレがカムランの丘で、アルトリア王と刺し違えたって事だ。王は死に、統治は終わった。
だから、オレが父上に認められる事は永遠になくなった。それだけの話なんだ。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:28:33.24 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「……」
モードレッド「……父上……」
モードレッド(……なんでだ、なんで今……オレが憎いのか? オレがブリテンを救うのは許せないのか? だから今、こうして出て来たのか?)
アルトリア「……」ガシャ……
アルトリア「……」チラ
モードレッド「!!!」ババッ、ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:28:59.35 ID:UHLu638i0<>
モードレッド(この鋭い殺気。間違いない。確かに、父上だ)タラ……
モードレッド(四の五の言ってるヒマはねえ。あの人の槍を止めねえと……)
モードレッド(止める? どうやって? 止められるのか、オレに?)
アルトリア「……」スタ、スタ……ダンッ
モードレッド「!!」ガシャリッ
アルトリア「……!!」ダダ、ズバァッ
モードレッド「っぐぉぉ!?」ドガシャシャシャシャ……!!
アルトリア「……」スタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:29:25.94 ID:UHLu638i0<>
モードレッド(駄目だ、強い! 聖杯の魔力も相まって、父上の力が爆発的に増幅してやがる!)
アルトリア「……」ガシャリ
モードレッド「……チッ」ムクリ
モードレッド(今回は、刺し違えるのすら難しそうだぜ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:29:51.71 ID:UHLu638i0<>
ベイン「ふむ……もう少し歯ごたえのある相手かと思っていたが」ボキボキ
所長「……」グタッ
レオナルド「くうっ……!」プルプル……
ベイン「存外、こんなものなのかも知れんな。希望というものは」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:30:18.58 ID:UHLu638i0<>
ベイン「ではそろそろ、ここも滅ぼすと……」ドシ、ドシ
ベイン「……?」ピタッ
光る壁「」ブォン……
ベイン「……立ったか。しぶといな、貴様」
所長「お生憎様、しぶとさだけはどの職員より上よ……」フラ、フラ……
所長(内臓破裂数か所。殴られる寸前に身体に保護魔法をかけてなければ、今頃壁の染みになってたわね……)ゴフッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:30:47.18 ID:UHLu638i0<>
ベイン「で、どうする? このまま俺とぶつかり合って死ぬかね?」
所長「……まさか。私達は生き残るわよ」
ベイン「フフフフ、フフフフフ!!! そう、それだ。お前達は確証もない事を平気で口にする! 今、目の前に明らかな絶望があったとしても! だから面白い!」ドシ、ドシ
所長「ハァッ……」ギュドドドドッ
ベイン「豆鉄砲だ、こんなものは!!」ベチベチ、ベチィ
所長「今よレオナルド!!」
レオナルド「よし、作動!!」ポチッ
ベイン「何」ギュォンッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:31:19.71 ID:UHLu638i0<>
レオナルド「悪いね、君を虚数空間へ飛ばす! 保護式無しじゃ存在が数秒ともたないだろうけど、アデュー!」ピピピピ、ギュォォォォッ
ベイン「ふ、フフフフ。成程、命懸けの誘導作戦だったか。これが上手く行くと良いな」グニャ……ギュォ……
所長「飛んで、行きなさい!!!」パパパ、ポチッ
ベイン「覚えておくと良い。絶望は、こんな……」ブゥン
レオナルド「……ふぅ、終わった……」バタリ
所長「っはぁ、はあ……治癒、しないと……」ドシャッ
レオナルド「ああ動かないで、オルガマリー所長。私が何とかするから」ムクリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:31:46.01 ID:UHLu638i0<>
レオナルド「しかし、強敵だった。まさかあそこまでやるとはね」ポポポ……ジュゥゥゥゥ……
所長「えぇ、こちらのフィールドとはいえ、負けるかと思ったわ……うっ」
レオナルド「けどまぁ、倒せた。かなり邪道な倒し方ではあったけどね」ジュゥゥゥゥ……
所長「……邪道でも何でも、所員を守れたなら文句は無いわ。ありがとう、レオナルド」
「そうか」
所長「え?」
レオナルド「!?」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:32:24.44 ID:UHLu638i0<>
「そこまで所員が大事か、オルガマリー。では貴様に味あわせる絶望は決まった」
空間「」バキィ! ベキィ!
レオナルド「馬鹿な……!?」
所長「レオナルド、まさか……」
レオナルド「立って所長! これは、」
空間「」バリィィィィィィィ!!
ドシ、ドシ。ドシ、ドシ
ベイン「フフフ……葬れたと、思ったか?」ボキボキ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:33:18.77 ID:UHLu638i0<>
レオナルド「……まさか突き破って出て来るとはね。脳筋にも程があるんじゃない?」ジリッ
ベイン「その顔。その絶望だ、俺が見たかったのは。全ての策は破れ、敵わないと知った時の顔だ」
レオナルド「随分と悪趣味だ!」ギュギュギュォッ!
ベイン「そうとも、俺は破滅(ベイン)だ!!」ベチベチ、ブォンッ
レオナルド「ぐあっ!?」バキバキ、ドシャシャァッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:33:46.03 ID:UHLu638i0<>
レオナルド(無茶苦茶だ。皆が逃げる時間を稼がなければ)
レオナルド「所長、逃げて!」
所長「……」
レオナルド「ここは私が食い止める、早く!」
所長「……馬鹿言わないで!!」
レオナルド「っ」
所長「アンタだって大事な所員の一人よ! 見捨てて逃げるリーダーが何処に居るもんですか!!!」
ベイン「フフフフ、フフフフフフハハハハハ!! 俺の前に立つか、所長殿!!!」ドシ、ドシ
所長「ナメるんじゃないわよ、デカブツ!!」ギュギュギュオォォォォッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:34:14.12 ID:UHLu638i0<>
ガギィン! ガィン! ドガシャァ!
フラン「……う、ウゥ……」ムクリ
フラン「……?」バチバチ、バチ……
モードレッド「だらぁぁぁぁぁっ!!!」ガギィ! ギギィィ!
アルトリア「……」ギィンッ、ギャリィンッ、ブォンッ
モードレッド「ウっ!?」ガギャァ、ズシャシャシャ
アルトリア「……」ヒュンヒュンヒュンッ
モードレッド「ぐ、うぉ!?」ギャ、ギャギャギャギャ!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:34:43.34 ID:UHLu638i0<>
ダンッ!
アルトリア「!!」スッ
ジャック「たあっ!」ギャリリリィ!
モードレッド「ジャック!?」
ジャック「おくれてごめんね!」スタッ
ナーサリー「ようやく痺れが、取れたのッ!」ギュドドドドド!!
アルトリア「……」ギャギャンッ
ナーサリー「……もう、隙を突いたつもりだったのに全部弾かれるなんて!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:35:11.30 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「……手強い敵だぜ」
ジャック「じゃあ、いつもどおりだね」
ナーサリー「大丈夫よ、私達は一人じゃないわ!!」
ダダダ、ダダダ……
ワトソン「ぜえ、ぜえ……君達、いいね、若くて……階段も、楽々だ……」ダダ、ダ……ヨロヨロ
モードレッド「……呆れた奴らだ、全くよ」
ワトソン「三十秒だけ待ってくれって伝えておいてくれ、あの槍を持ってる人にも……」
アルトリア「……」
モードレッド「伝わるか馬鹿、シャキっとしろ」
ワトソン「そうか、世の中は、厳しいな……」ゼエゼエ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:35:37.71 ID:UHLu638i0<>
アルトリア「……」ヒュンヒュンッ、ガシャリ……ジリッ
モードレッド「来るぞ! 全員構えろ!」ガシャッ
ジャック「!」スッ
ナーサリー「っ」バッ
ワトソン「ぬお!?」カチャリ
アルトリア「……」グ、ググ……
ドォン!!
アルトリア「!?」バチバチバチバチィ!!
フラン「ウゥゥゥ!!!」バリバリバリバリ!!
モードレッド(フラン!!)
モードレッド「よっしゃ今だ!! 突っ込むぞォ!!!」ダダッ
ジャック「うん!」ダンッ
ワトソン「ええい、やるしかないか!」ダッ
ナーサリー「牽制するわ!!」ギュドドドッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:36:04.65 ID:UHLu638i0<>
光弾「「「」」」ギュオォォォォッ
アルトリア「……」ガギギギギィ!
アルトリア「……」クルッ、ズバァッ
フラン「う、ウゥ……」ヨロッ
モードレッド「アーサーァァァァァァァアアアア!!!」ダダダダダッ、ブンッ
アルトリア「……」クルリ、ガキィ!
モードレッド「今だジャック!」
ジャック「かいたいするよ!!」ダダ、ズババッ
アルトリア「っ」ギギギィン
モードレッド「そこだ!」ブンッ、シュバッ
アルトリア「!!」ギャァンッ、ズシャシャァッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:36:30.41 ID:UHLu638i0<>
モードレッド(大丈夫だ、オレは怖がってねえ! このまま父上を斬る!! 斬って終わらせる!)
アルトリア「……、……」ギリギリギリギリ……
モードレッド「こんのォォォォ……!」ギリギリギリギリ……!
アルトリア「……」フッ
アルトリア「……やるようになったな、モードレッド」
モードレッド「……何?」
アルトリア「フッ!」ドゴォ!!
モードレッド「ぐわあっ!?」ドシャシャッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:36:57.54 ID:UHLu638i0<>
ジャック「やあっ!!」シュパパパパッ
アルトリア「……」ギィンッ、ドッゴォ!
ジャック「あぐっ!?」ヒュオンッ、ドガァァァァァァ……
モードレッド「はあっ、はあっ!!」ゴロゴロッ、ムクリ
モードレッド(喋った……? オレを、認めた? あの父上が?)グイ
アルトリア「……」コツ、コツ
モードレッド(オレの気の迷いが見せた幻覚か? それとも本当に? なんで? なんでだ、父上、オレは……)
アルトリア「……」ガシャリ
モードレッド(オレは、アンタを、殺したのに……)ググッ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:37:23.37 ID:UHLu638i0<>
「う、うおぉぉぉぉっ!!!」バッ
アルトリア「!!」スッ
ワトソン「させるものか、貴様!!」ドォン!
アルトリア「……」パシ、シュゥゥゥゥ……
ワトソン「……ええーい、今更弾丸を掴み取られたくらいで怯むと思うなよ!」ダッ、シュバッ
アルトリア「……」ガキィ、バッ、シュバッ
ワトソン「ぐわっ!?」ドサリ、ゴロゴロッ
アルトリア「……」グ、グググ、ググググググ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:37:49.28 ID:UHLu638i0<>
ナーサリー「何なの……? あの人の槍に、霧が吸い込まれて行く……?」
ジャック「くっ……」
フラン「う、ウゥ……?」
モードレッド「全員、オレの後ろに隠れろ!!! 宝具だ、全部吹き飛ばすつもりだ!!」
アルトリア「……」ニヤリ
モードレッド「……!! 急げ!!!」
ジャック「!!」ダッ
フラン「う、ウゥ……!」ヨロヨロ、タタッ
ワトソン「くっ、この……」ズリ、ズリ
ナーサリー「急いでおじさま!」
ワトソン「急いでるよ、見ての通り……!」ズリズリ、ズリズリ
アルトリア「『突き立て、食らえ、十三の牙』」グ、ググググ……シュゥゥゥゥゥゥゥ……
モードレッド「……父上……!」
アルトリア「……モードレッド。強くなったな。仲間にも信頼されているようだ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:38:16.76 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「意識があるなら、抗えるハズだ! それとも、本当に……」
モードレッド(本当に、オレが憎いのか? 父上)
アルトリア「お前が憎いと思った事など、一度もない。モードレッド」シュゴォォォォォォォオオオオ……
モードレッド「……じゃあ、なんで」
アルトリア「私は人間を愛している。人間という存在を」シュゥゥゥゥゥゥゥ……ギュオォォォォオォォオオ!!
モードレッド「父上!!」
モードレッド(駄目だ! オレ達の事なんて見てねえ! 父上は世界を壊すつもりだ、この世界を……いや、全てを!)
モードレッド(ならどうする、モードレッド! お前はどうする! また殺せるのか、王を!)
(((行け、モードレッド。世界を救って来い)))
(((まるで生前、誰かに認められていた自分を再現しようとしているようだ。涙ぐましい)))
(((オレはずっと、憧れの影だった)))
(((お前はブリテンの王の器ではない。私の息子としても、認めはしない)))
(((お前なんて)))
(((お前なんて、作らなければ良かった)))
(((所詮、あの人の影だもの)))
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:38:43.83 ID:UHLu638i0<>
モードレッド(まるで焼き直しだ。父上はオレを見ているようでまるで見ていない)
モードレッド(あの人を殺したところで、オレは所詮影のまま。なら、)
モードレッド(なら、オレは、)
モードレッド(オレは、勝てるハズもなかったのか?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:39:10.06 ID:UHLu638i0<>
アルトリア「『最果てにて輝ける槍』(ロンゴミニアド)!!!!」ドガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
「『ロード・カルデアス』!!!」ドゴォォォォォォォォォッ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:39:37.33 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「何……」
「遅くなったな、モードレッド」
「遅れてすみません、皆さん!!」ギギギギギギギギギ……
モードレッド「お、お前ら……!」
ナーサリー「ネコミミさん、マシュ!」
バットマン「構えろ、マシュの防御が解除された瞬間反撃に移るぞ!」
マシュ「まずこれを受け切れるかの心配もお願いします!!」ギギギギギギギギィィィィィィ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:40:02.97 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「どうしてだ……マシュを見捨てたんじゃ」
バットマン「私は人より欲が深いんだ、モードレッド。構えろ、世界を救うチャンスが来るぞ」
ドクター『ブルースくん、早めに終わらせてくれ! カルデアもそろそろベインがヤバイ!』
バットマン「必ず間に合わせる。もう少しだけ持ちこたえてくれ」
マシュ「う、うぅぅぅぅぅぅ……!!!」ジリジリ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:40:29.70 ID:UHLu638i0<>
アルトリア「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォ……ピタッ
マシュ「!! 今です!」
バットマン「良し! チャンスだ、行くぞ!!」ダッ
ワトソン「よし、よし……! 僕だって!!」ダダッ
ジャック「たああっ!!!」ダンッ
フラン「ウウゥァ!!」ダダッ
モードレッド「……」
(((所詮、あの人の影だもの)))
モードレッド「……!!!」
バットマン「モードレッド!!!」
モードレッド「!!!」
バットマン「力を貸せ!!!」
モードレッド「……っ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:40:55.98 ID:UHLu638i0<>
モードレッド(そうだ。オレは影じゃねえ)
モードレッド(オレは騎士、モードレッドだ)
ナーサリー「行って、モードレッド!! 大丈夫、だってこれは……貴方のための物語だもの!!!」ギュォオォォォォォッ!
モードレッド(ナーサリーの魔力がオレに移って来てる……これなら、撃てる!!!)
モードレッド「……オオォオォォォォォォォ!!!!」ギュォォォォォォッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:41:22.90 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「退け、テメェら!!! 撃つぞ!!!」ゴゴゴゴゴゴォォォォォ……
アルトリア「!!!」バッ
モードレッド「『是こそは、わが父を滅ぼし邪剣』……」ググググ……
モードレッド(さようなら、父上)
モードレッド「『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!!」ゴォッ!!
ゴォォォォォォオォォォォォォオォォッ!
アルトリア「……」
アルトリア「……」フッ
ドガァァァァァァァァァ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:41:54.37 ID:UHLu638i0<>
モードレッド「はあっ、はあっ……」ドサッ
聖杯「」カラン……
ワトソン「やったか……! やったんだな!!」
バットマン「ああ、やった……」
マシュ「聖杯、確認。回収します」スタスタ
モードレッド「……ああ、終わりか……」シュウシュウ……
ナーサリー「ええ、終わりね。……さようなら、ネコミミさん、マシュ。それに皆。また何処かで会いましょうね」シュゥゥゥゥゥゥ……
ジャック「……おかあさん、きえちゃいそうだよ」シュウシュウ……
バットマン「……大丈夫だ、ジャック。また会える」
ジャック「ほんと!? なら、今度はおいしいもの、いっぱい食べさせてね! あと、ゆーえんち? っていうのと、絵本をよんでもらうのと、あと、あと……」シュゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:42:40.84 ID:UHLu638i0<>
ドクター『よし、レイシフトを終了させる! ただちにこちらへ帰還し、ベインの撃退を頼む!』
バットマン「了解だ」
モードレッド「……おい、あのな」シュウシュウ……
バットマン「どうした」
モードレッド「……その、なんだ。オレも、お前らと一緒に戦えて、光栄だったぞ」
バットマン「そうか」
モードレッド「そうだよ、最後まで愛想のねえヤツだな。……またな」シュウゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……ああ、また会おう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:43:07.18 ID:UHLu638i0<>
ワトソン「さて、……なんだか皆どんどん消えて行くな」
バットマン「ああ。……ワトソン医師、そう言うキミは何故とどまっている?」
ワトソン「えっ、僕も消えないと駄目だったのか? そんな手品師みたいな事はできないんだが」
バットマン「……人間だったのか?」
ワトソン「なんだと思ってたんだ!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:43:34.06 ID:UHLu638i0<>
マシュ「マスター、おかしいです。なかなかカルデアへの帰還が始まりません」
バットマン「確かに、妙だな……もしもしドクター、レイシフトは終了しているのか?」
ドクター『……? なんだ、おかしいな……うん? 駄目だ、AIがロンドン地下に巨大な魔力反応を検出した。それが楔となってこの時代をとどめてるみたいだ』
バットマン「成程。マシュと共に地下へ降り、原因を確かめる」
マシュ「了解!」
ドクター『迅速に頼むよ! 何度も言うけど、ベインが……』
バットマン「分かっている。急ぐぞマシュ!」ダッ
マシュ「はい!」ダダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:44:02.29 ID:UHLu638i0<>
ワトソン「ま、待て待て! 何処へ行くんだ、そっちは敵の本拠地……」
バットマン「ワトソン医師、キミは残っていてくれ! この場の安全確保を頼んだぞ!」ダッダッダッ
ワトソン「む、むぅっ……無理をするんじゃないぞ!」
バットマン「ああ!」ダッダッダッ
マシュ「失礼します!!」タタタタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:44:31.17 ID:UHLu638i0<>
フラン「……」ボロッ
ワトソン「うわっ、キミも残っていたのか!?」
フラン「ウゥ」コク
ワトソン「……酷い傷だな、治療しようか?」
フラン「ウゥゥ……」コクコク
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:44:59.66 ID:UHLu638i0<>
バットマン「……」ダダ、ダダダ……
マシュ「マスター、この魔力……」タッタッ
バットマン「……ああ、そうだろう。戦闘に備えろ、マシュ」
マシュ「はい!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:45:27.43 ID:UHLu638i0<>
ダッダッ……
バットマン「……居るんだろう、出てこい!!」
マシュ「……」ガシャリ
空間「」グニャァァァァ……バチバチ、バチィッ!!
「覚悟は、済んだようだな。ブルース・ウェイン」バチバチ……スタ、スタ
バットマン「……来たか」
ソロモン「クックッ、久しいな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:46:11.50 ID:UHLu638i0<>
バットマン「ソロモン。いや、ソロモンの亡骸を利用している者」
ソロモン?「……ほう? 気付いたという訳か?」
バットマン「こう呼んだ方が良いか? レメゲドンの原書。72の悪魔を司る者、ゲーティアと」
???「……フン」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:46:47.68 ID:UHLu638i0<>
???「その名に辿り着くのが、予想より遅かったと言っておこう。そうだ、我が名はゲーティア。意思持つ式、ゲーティアである」
バットマン「……確証を得られなかったんだ。お前の正体について……だが、ヒントをもらえた。これでようやく対等だな」
ゲーティア「思い上がるな。貴様が私の正体に気付いたとしても、何の解決にもなっていない。いずれ来る破滅の言い訳にもならん、下らん些事だ」グワァッ
マシュ「!!」ガシャリ
バットマン「……」ジリッ
ゲーティア「私が此処に来た理由は分かっているだろう、ブルース。答えを聞こう。私と共に来るか、それとも愚かな人間共と一緒に焼き尽くされるか」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:47:32.29 ID:UHLu638i0<>
ゲーティア「実際、ここまでの特異点はお遊びのようなものだ。だがそのお遊びも半分を切った。私も本気を出さざるをえん」
バットマン「……」
マシュ「マスター……」
バットマン「まだだ、マシュ……ゲーティア、ひとつだけ訊きたい。永遠の命というのは、お前自身の願いなのか?」
ゲーティア「そうだ。私の願いだ。輝く生において、死はあまりにも暗く重い。……ならばそこから死を取り除こうというのが、それほど不自然な事か?」
バットマン「……」
ゲーティア「……ブルース、見てきたハズだ。二面性に苦しむ人間を。永遠の眩しさを。エゴの醜さを。そして恐怖を。お前ならば、私と共に歩める。永遠の命を作り出そう」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:48:04.91 ID:UHLu638i0<>
ゲーティア「お前の両親の事は、悲劇だった。……私も残念に思う」
バットマン「……」
ゲーティア「それでも、ここからは二度と繰り返させまい。新たな歴史を重ねれば、お前の悲しみも薄れよう。こちらへ来い、ブルース。その少女、マシュも、永遠の命を手に入れれば、決してお前から離れる事などない。大切なものを、今度こそ守り抜けるのだ」
バットマン「……」
マシュ「……マスター……」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:48:31.05 ID:UHLu638i0<>
バットマン(……)
バットマン(……あの時、私は)
バットマン(私は、確かに地獄に居た。両親が殺されたあの時、あの路地裏で)
バットマン(マシュも死ぬのだろうか? 職員達も、殺されるのだろうか? それは分からない。いつか必ず起こる悲劇なのだろう)
バットマン(……しかし、それでも……)
(((マーサ、ブルース)))
バットマン(……それでも……)
バットマン「……それでも、私は……あの時、最期まで気高くあろうとした私の両親を、誇りに思う」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:48:57.33 ID:UHLu638i0<>
バットマン「それが、私の答えだ。ゲーティア」
ゲーティア「……フン。どうやら思っていた以上に愚かだったらしい」
マシュ「私は!! 私は、マスターに賛同します!」
ゲーティア「……」
マシュ「人はいつか死にます! だからこそ生きられる!」
ゲーティア「愚か者共め」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:49:27.91 ID:UHLu638i0<>
バットマン「……」
ゲーティア「お前達はこの日の事をいつか後悔するだろう。せいぜい、いつか来る破滅に怯えて過ごすが良い。……さらばだ、次に会う時は殺す」グニャァァァ……シュンッ
バットマン「……」シュウシュウ……
マシュ「マスター、レイシフトが終了、帰還に入りました」シュウシュウ……
バットマン「…………マシュ、ありg」シュウシュウ……
マシュ「いいえ、マスター。お礼は、良いんです」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:50:10.40 ID:UHLu638i0<>
ベイン「……」ドシ、ドシ。ズルズル……
所長「……」ズルズル……
ベイン「さて、ここが管制室か? 働いてもらおう、所長。暗証番号を」グイッ
所長「……クソ、くらえ」
ベイン「ふむ。……ああ、俺はサーヴァントだったな。拳で開けば良い話だった」ポイッ
所長「あぐっ」ドサッ
ベイン「全く、慣れない身体だ……」ググググ……ブォンッ
ドア「」ガッシャァァァァァァァァ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:50:39.35 ID:UHLu638i0<>
ドクター「なっ!?」
職員A「うわ!?」
職員B「まさか」
職員C「もうここまで!?」
破壊されたドア「」ゴワン……ゴワン……
ドシ、ドシ。ドシ、ドシ……
ベイン「ここが管制室か? 脆弱な守りだったな」ボキボキ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:51:11.45 ID:UHLu638i0<>
職員A「くっ!」カチャリ、ダダダダダダダダダダダ!!
ベイン「ん? フフフ、銃か! 懐かしい、そういうモノもあったな」ガシ、グイッ
職員A「ぐわああああああ!?」ゴキィ、プラァン……
ドクター「こ、このっ、離せ!!」ベシベシ
ベイン「無理はしない方が良い。さもないと、こうやって」ダァン!!
ドクター「うぐっ!?」ドシャッ
ベイン「……ああ、すまんな。引き金を引いてしまった。必要以上に殺しをするつもりじゃなかったんだが」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:51:37.46 ID:UHLu638i0<>
職員B「ど、ドクター!!」
ドクター「だいじょうぶ、肝臓は逸れてる……!」
ベイン「では、施設を破壊するとしようか。どれが『コフィン』だ、ドクター」ドシ
ドクター「うぐっ!?」
ベイン「早く口を割った方が良い。雑巾のように全ての血液を絞り出してしまうぞ」グリグリ
ドクター「……死んだって、言うもんか……!」
ベイン「ほう、そうか。では諦めて別の職員に尋ねるとしよう」カチャリ
ドクター「……!!!」
「ドクターッ!!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:52:48.14 ID:UHLu638i0<>
その瞬間、全員の意識がその声の方向へと向いた。ベインは青い箱じみたモノから飛び出した影を見た。それは天井を蹴り、ベインへ奇襲を掛けようとしていた。
(遅い)
だが予測範囲内。大きな手で拳を逸らし、カウンターを叩き込もうと……したところで、ベインはもう一つの影に気付いた。それは彼を回り込むように飛び、背後の壁に当たって跳ね返り、ベインの首筋目掛け……
「チィッ」
裏拳で弾いたそれは、盾だ。クルクルと回転する盾の向こう、マシュが壁を蹴り、盾を掴んで叩き付けた。ベインはそれを受け止め、数センチ後退る。
(こいつ、強くなっている)
動きが違う。そしてその瞳。輝く瞳孔には迷いがない。一直線にこちらへ向かって来る。
(戦士か。いや、希望を見つけたか)
ベインはニヤリと笑い、片手でマシュの全力の前進を盾越しに押しとどめ、拳を振り上げる。叩き潰すつもりなのだ。だが、その拳が振り下ろされる寸前……何かが飛来し、ベインはそれを弾かねばならなくなった。弾かれた『何か』が宙を舞う。
コウモリの形をした手裏剣。それは、バットラング。その向こう、コウモリの騎士が厳しい表情でこちらを睨んでいる。一瞬の隙を突き、マシュは盾を離して小さく跳躍。ベインの顔の前で回転している。
(ふむ、これは)
破滅が己の敗北を悟るのに時間は要らなかった。バットマンは右手の甲の刻印を輝かせ、叫んだ。
「令呪を以て命ずる! 全ての魔力をマシュの膂力へ変換しろ!!」
マシュの渾身の回し蹴りが、ベインの首を捉えた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:53:21.31 ID:UHLu638i0<>
ドゴォォォォォォォッ、ガッシャァァァァァァ!!!
マシュ「ふうっ!!」スタッ
バットマン「ドクター、大丈夫か!!」
ドクター「平気、平気だから……それよりレオナルドは!?」
所長「大丈夫よ、大丈夫……彼女なら、生きてる……」
バットマン「全員無事だな!?」
職員A「右腕以外は……」
職員B「無事です!」
職員C「大丈夫です!」
「そこまで心配か、ミスター・ウェイン」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:53:53.06 ID:UHLu638i0<>
バットマン「!!」
マシュ「皆さん下がって!!」ガシャリ
ドシ、ドシ……
ベイン「ふう……効いたぞ今のは。中々悪くない一撃だった、マシュ・キリエライト」
マシュ(……確実に、倒した手応えだと思ったのに……)ジリッ
バットマン「もう一度食らわせるまでだ、マシュ。二人ならやれる」
ベイン「ふ、フフフ。まさか一度敗北したというのに、こうも躊躇なく挑んで来るとはな。面白い」
マシュ「……人は何故落ちるか、ご存知ですか」
ベイン「何だと?」
マシュ「這い上がる事を、学ぶためです」
ベイン「ほう……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:54:34.88 ID:UHLu638i0<>
ベイン「……ふ、フフフ」
ベイン「フフフ、フフフハハハハハハハハハ!!」
ベイン「ハハハハハハハ……フフフ、今回は大人しく負けを認めよう。素晴らしい成長だ、マシュ・キリエライト。そして……相変わらず、病的なまでの不屈ぶり。安心したぞ、ミスター・ウェイン」
バットマン「……」
ベイン「お前達を引き留める役だったハズのゲーティアも、どうやら役目を放棄したようだ。俺も、長居する必要は無いだろう……さらばだ」ギュォォォォォォ……ドシ、ドシ
バットマン「……待て! お前の目的は何だ、ベイン! ここを滅ぼそうと思えば、簡単にできたハズだ!」
ベイン「……まだ、明かす訳にはいかない。お前達がもっと強くなり、本物の『希望』として俺の目の前に現れた時……その時、俺は話すだろうよ」ドシ、ドシ……シュンッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:55:01.63 ID:UHLu638i0<>
計器「」バチ、バチチチ……
観測器「」ヂリヂリヂリ……
ドクター「……あぁ、散々だよもう」
所長「帰った、の?」
バットマン「……ああ、帰って行った」
マシュ「早く、治療しましょう!!」
ドクター「いててて、叫ばないで……傷に響くから……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:55:29.71 ID:UHLu638i0<>
レオナルド「待たせたね! この存在抹消銃でキミの事を粉々に……あれ?」ダダダッ、ピタッ
バットマン「……遅刻だ、レオナルド」
レオナルド「あれぇ? お、お帰り……?」
バットマン「ああ、ただいま。……皆の治療を急いでやってくれ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:55:57.25 ID:UHLu638i0<>
………………
ベイン「……」ドシ、ドシ
ベイン「……」ドシ、ドシ……
???「おやおや? ベイン坊ちゃんのお帰りかな?」
ベイン「……フン」
???「そう邪険にするなよ、久しぶりに会えたんだろ、バッツと。羨ましいぜ、俺はここにカンヅメだったってのに!」
ベイン「黙って仕事をしたらどうだ」
???「ユーモアは必要だぜベイン君! 知ってるか、一日一回笑うと死神も逃げていくって……おっと失礼、死神の前で言うべきじゃなかったかな? ウフフフフフッ」
ベイン「……」
???「で、どうだったんだよ? 教えてくれても良いじゃねえか、そんなに人に聞かれたくないならコソコソ話でも付き合うからさあ!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:56:24.08 ID:UHLu638i0<>
ベイン「……バットマン。アイツは相変わらずだ」
???「へえ! 狂ってやがるのか? ウフフフ、頭の固いバッツ君は相変わらず自分の事を優等生だと信じて……」
ベイン「だが、少しだけ変わった。マシュという少女を大切にしている」
???「……へえ?」
ベイン「それだけだ。俺は前線を押し戻しに行く」ドシ、ドシ
???「……ふうん、そうか。大切なものが出来たのか、バッツ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:56:58.98 ID:UHLu638i0<>
???「……ウフ、ウフフフフフ」
???「ハハハハハハハハハハ、ヒャァーッハッハッハッハッハ!!」
???「ったく最高のジョークだぜネコミミちゃん、大切なものが出来た!? 前振りもここまで丁寧だと観客が冷めちまうよ!!」
???「だけど任せな、そんな馬鹿まじめなお前とコンビを組んでも……最高に客を沸かせられるのが、この俺様、ジョーカーだ!! 待ってろバッツ、お前の期待通りにしてやるからな!!」
ジョーカー「ハハハハハハハハハハハ! アヒャハハハハハハハハハハハ!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 00:57:38.44 ID:UHLu638i0<>
第四章
死界魔霧都市 ロンドン
生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト
死者 ダビデ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/28(水) 00:58:07.74 ID:UHLu638i0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 01:31:04.39 ID:TLWgbttvo<> 乙
4章は味方陣営がかませでしかないからssでも活躍の場面が見れて嬉しい
次は5章か・・・マン・オブ・スティールなのか、昔はコラボしてたしダブルシールダーになるか <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 02:38:30.64 ID:FsspDiZ1o<> 乙。とうとうジョーカー来たね
それにしても女が父上で娘が息子って一体このゲームの性別はどうなっとんねん… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 12:30:34.11 ID:EOyamjUMO<> 深い事情があるのよ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 15:26:55.34 ID:sq0whND5O<> 割とマジでだいたい社長のせい
詳しい説明は避けるけど、ユーザーニーズを読んだ上の決断で、その結果一大ブランドになるまで成長させたから大当たりの判断だったのよ
なおその後アーサー王とは縁もゆかりもない新撰組にまで同じ顔が増えるもよう <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 15:43:46.49 ID:X3zYOxPA0<> 乙!
ワトソンくん生身で乳上に立ち向かってたのやばすぎない……?? かっこいいね……また出ないかな……
みんな大好きジョーカーも顔出ししたし、次回も待ち遠しいぜ!
ところでFGOといえばとちくるったイベントだと思うのだけど、バットマンVSチェイテピラミッド姫路城とか……ない……のかな……? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 20:10:37.29 ID:Fbpa8jHR0<> 乙、いよいよ宿敵の登場か
アメリカならバットマン以上に有名なあのヒーローも出るのかな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 21:38:41.28 ID:UCRPsUFao<> 乙。さてマシュちゃんはデスインるのかキリングジョクるのか、続きが気になる <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 23:10:14.36 ID:UHLu638i0<>
その日も、雨が降っていた。
一仕事終えた俺は、未だに硝煙を上げる筒を前に、娘に謝罪のメールを送るところだった。この携帯のメールアドレスから送るのは初めてだが、自分からのメールだと分かってくれるハズだ。
送信と同時に、依頼完了のメールを受信した端末が震えた。用意した偽の口座にかなりの額の入金。ビジネス完了、ずらかるとしよう。
スナイパーライフルを背負い、屋上を駆け出す。もし入金が無ければ依頼者も撃てる位置を取っていたが、もう必要ない。更に震える携帯。画面には『これからも良い取引をしよう ミスターデッドショット』の文字。
娘からの着信だと思ったのに期待させやがる。走りながら携帯を捨てようかと迷ったが、もう少し持っている事にした。もしかしたら返信が来るかもしれない。俺は迷った挙句、『誕生日おめでとう』のメールも送る事にした。
あらかじめ用意した逃走ルートを走り抜け、屋根を跳び渡り、路地へ降りようとしたところで……不意に、空が輝いた。思わず足を止め、見上げたその先には、巨大な光の帯があった。
最初、その帯はもっと近くにあるものだと思っていた。それは巨大すぎる視認対象が引き起こす錯覚だと気付いた。ゆっくりと降りて来る巨大な破滅の帯は、飛んでいた飛行機に当たり、飲みこんだ。破壊の音すら立たなかった。
天罰? それとも地獄への誘い? ……直感的に、あの光は全世界を包むと悟った。その時俺は、死んだら本当に地獄へ堕ちるのだろうかとか、家族は天国へ行けるのだろうかとか、そんな事ばかり考えていたのだと思う。だから、それが目の前に迫っていても、実感がわかなかった。
光に飲まれる直前、俺の手から携帯が落ちた。娘に謝罪のメールは届いただろうか。最期まで、気掛かりだった。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/28(水) 23:10:40.71 ID:UHLu638i0<>
第五章
北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/28(水) 23:14:16.83 ID:UHLu638i0<> 短すぎて申し訳ない、今回の更新はここまでです。それと、悪役の参考資料です
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/deadshot.html <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/29(木) 00:08:11.27 ID:oXFljNIX0<> イベントはそうですね……全て書き終わって余力があれば、一考してみようと思います。
でもギャグ一辺倒とかになっても許してくださいね…… <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:07:31.60 ID:oXFljNIX0<>
………………
デッドショット「まだ飲んでやがるのか、コブルポット」
ペンギン「酒は貴重だ。貴重品こそボスが嗜まねえとな、ハハハ」
キャットウーマン「ほどほどにしなさいよ」
ペンギン「説教垂れずに酒を注げば良いんだ、売女め……」
キャットウーマン「……いつかアンタの酒に毒を混ぜてやるからね」
デッドショット「最近この辺はどうなってやがるんだ。この前はデカい氷山を見たと思ったら、今度は槍を持った侵略軍? 何世紀だ此処は」
ペンギン「無学な狙撃手に講座のお時間だ。通りの本屋に置いてある『アンクル・トムの小屋』、アレは19世紀半ば頃の著書だ。つまり、今、ここは19世紀半ば、南北戦争に近い時代のアメリカさ。分かるか?」
デッドショット「……お前こそ分かってんのか、俺達はちょっと前まで21世紀に居たんだぞ。頭が痛くなりそうだ」
ペンギン「フン、俺は全く困らんがね。俺と一緒にどうやら手下もここに呼ばれたようだし、ここで一旗揚げるのも悪くない」グビ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:08:12.05 ID:oXFljNIX0<>
ペンギン「……それにしても、聞いたか。フリーズの野郎も来てるらしいぞ」
デッドショット「ハ、まるでゴッサムの同窓会だな。……そう言えば、『彼』の噂を聞かなくなったが」
ペンギン「捕まったらしい。俺の手下が言うには、地元の子供を人質に取られて、降参しちまったとか」
キャットウーマン「何処も思うように行かないわねえ」
デッドショット「……じゃあ、『ダグザの棍棒』はどうだ?」
ペンギン「眉唾だ、あんなものは!」
デッドショット「ただの眉唾な道具のために、お相手はあんだけ動員してる。この前ここに攻めてきたヤツを拷問したら、『ダグザの棍棒目当て』と抜かしてたぞ。本当に何もないのか?」
ペンギン「……一応、俺の手下が方々を探してる。だが無理だ、見つからんだろうよ。どうもここには、俺達の時代に失われて久しい『魔術』ってのが存在してるらしいからな」
キャットウーマン「まあ怖い。魔女も出て来るのかしら」
ペンギン「フン……俺の目の前に居るヤツが魔女だった気がするぜ」
キャットウーマン「よく言うわ、テディベアさん」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:08:38.42 ID:oXFljNIX0<>
ドォン……ドォォ……
デッドショット「……奴ら、また手勢を送り込んできたらしい。少し出て来る」スクッ
ペンギン「せいぜい死なんようにな。俺の手下も殺さんように」ヒラヒラ
デッドショット「俺の射線に出なきゃ平気だ」スタスタ……
スイングドア「」ギィ、グォン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:09:07.07 ID:oXFljNIX0<>
ヒュォォォォォォォオォォ……
太陽「」ジリ……ジリジリ……
通り「」……
デッドショット「……」ザシ、ザシ
デッドショット(こういう光景は、西部劇の映画で見た事がある。ここに枯草でも転がってくりゃ、雰囲気は完璧だ)
デッドショット(強い日差し、弱々しい風。いかにもそれらしく寂れた建物……だが、これは映画じゃない。どういう訳だか、俺はここに立ってる。しかも身体は常に絶好調、まるであのスーパーマンにでもなった気分だ……)
デッドショット(ここはあの世か? ……いいや、違うよな。あの世でまで争いが起きるとは思えない)
ウォォォォォ!! ヤッチマエエエエエエエ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:09:33.23 ID:oXFljNIX0<>
ペンギンの手下A「負けるな! コブルポットさんにどやしつけられちまうぞ!」
ペンギンの手下B「テメェこそサボってんなよ、言いつけてやるからな!」バァン、バァン!!
ペンギンの手下C「おい、言い争ってる場合かよ! 押されてるぞ!」ギィン!! ガァン!!
槍を持った男達「「「……」」」ザン、ザン、ザン、ザン……
デッドショット(……ケルト兵め、また来たのか……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:10:00.76 ID:oXFljNIX0<>
デッドショット「遅れたな、状況はどうだ」カチャ、ダダダダダダダダ……
ペンギンの手下A「で、デッドショット! 助かった……見ての通りだ、ケルト兵の奴らまた攻めてきやがった! 戦闘員じゃねえ住人は街の中央へ避難させてるけど、このまんまじゃ辛いぜ!」
デッドショット「分かった。とにかくこの波は俺一人で何とかする、お前らは後退して俺の撃ち漏らしを狩れ」ダダダダダダ、カチャリ、ダダダダダダダ……
ペンギンの手下B「へへっ、了解だぜ! おい野郎ども、後退だ!」
ペンギンの手下C「俺が指示出すんだよ馬鹿! 後退しろテメェら!! 無駄弾使わずにデッドショットに任せろ!!」
デッドショット「……」ダダダダダダダ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:10:34.56 ID:oXFljNIX0<>
ケルト兵G「……」ダダッ
デッドショット「……」タァン
ケルト兵G「っ」ドシャッ
ケルト兵H「!?」ドシャァッ
ケルト兵I「ぐ!?」ゴシャッ
デッドショット「ブルズアイ」カチャリ
デッドショット(一発の弾丸で三人ずつ仕留める。いつも通り、良い調子だ)ダダダダ、タァン
デッドショット(……それにしても、今日のこいつらは様子がおかしい。まるで何かに追われるように焦っているが、どうしたんだ……?)カチャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:11:02.35 ID:oXFljNIX0<>
???「よーし、アタシ再臨リサイタルゥ! 歌ってくわよ、聴いて行きなさい!」
デッドショット「……?」
デッドショット(何だ、ケルト兵の後方に何か居るのか?)
???「スゥゥゥゥゥーッ……」
???「ボォォォォエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜ッ♪♪♪」ゴォォォォォォォオォォォォッ!!
デッドショット「!?」
ケルト兵達「「「」」」バタタタタッ……
デッドショット「な……」
デッドショット(何だ今のは、並み居るケルト兵達が一瞬で倒されたぞ!?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:11:32.53 ID:oXFljNIX0<>
???「ふう、アタシったらまた熱が入っちゃった! ついて来れなかったファンが倒れちゃってるわね、まーロックは激しいから仕方ないわっ!!」
デッドショット「……」カチャリ
デッドショット(ろっく? どういう意味だ? 今の攻撃の名前か? ふぁん……ファン? まさかコイツ、イカれてんのか?)
???「……あっ、倒れてない見どころのあるファン発見〜〜!! サインしてあげようかしら、フフッ」テテッ
デッドショット「!?」ジリッ
デッドショット(コイツ、距離を詰めてきたぞ!? 銃を向けてるのに! 馬鹿なのか!? いや、やっぱりイカれてやがるんだ! 撃つしか……)カチャッ
???「えーっと、どんなサインが良い? アイ・ラブ・エリザベートとか? ズッ友☆スーパースターとか!?」
デッドショット「……」
デッドショット(何を言っているんだ……俺はどうすれば良いんだ……?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:11:59.02 ID:oXFljNIX0<>
………………
デッドショット「……つまり、こういう事か? 急に連れて来られて、さっきのケルト兵共に襲われていたと」
エリザベート「……うん」
エリザベート(絶対アタシの過激ファンだと思ったのに……ちょっと嬉しかったのに……)
デッドショット(……参った。ここの性質がいよいよ分からなくなってきやがったぞ……悪党だけじゃなく、こんな少女まで連れて来られるとは)
エリザベート「まあでも、アンタならさっきの奴らより話は通じそうね! 名前はなんていうのよ!」
デッドショット「俺はフロイd……いや、デッドショットだ」
エリザベート「デッドショット(死の射撃)? 変な名前ね。アタシはエリザベート・バートリー! アンタ、特別にアタシのマネージャーにしてやっても良いわよ?」
デッドショット「光栄だ。行くアテはあるのか、エリザベート」
エリザベート「……もーちょっとリアクション取りなさいよね。無いわよ、来たばっかりだもの」
デッドショット「ならここに留まるっていうのはどうだ。こっちの戦力も強化できる、お前は落ち着ける。いいことづくめだと思うが」
エリザベート「あら、良いわね。アタシって冒険も好きだけど、こうやってライブ会場の周りを巡るのも……」
デッドショット「なら決まりだな。ついてこい」クルリ、スタスタ
エリザベート「最後まで言わせなさいよぉ!」タタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:12:27.25 ID:oXFljNIX0<>
エリザベート「全く、はらたつぅー……にしても、随分寂れた街ね。人の気配が少ないっていうか」スタスタ
デッドショット「ケルト兵達がここの住人を殺して行った。残った僅かな住人達の元へ、俺達が連れて来られたってワケだ」ザシ、ザシ
エリザベート「へえ〜……俺達?」
デッドショット「俺達、悪党共だよ。どうしようもない、折り紙付きのな」
エリザベート「えぇ〜。アンタ悪党なの?」
デッドショット「……露骨に嫌そうな顔をするな。これから会う奴らは俺よりもっと凶悪だぞ」
エリザベート「よくそんな悪党だけで街を守れてたわね」
デッドショット「どうしようもない奴らの方が、こういうのには適任なんだよ。ようこそ、ヴィランストリートへ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:12:58.56 ID:oXFljNIX0<>
………………
バチバチ……ギュォォォォォォォオオッ
バットマン「ふっ!」スタッ
マシュ「わっ!!」スチャッ
バットマン「……もしもし、ドクター。今回のレイシフトも無事に完了した」
ドクター『もしもし……オッケー、二人共バイタルサインは正常だ。何か見えるものはあるかい?』
マシュ「いいえ。見渡す限りの荒野が広がっています……それと、空を覆う大きな光の帯は相変わらず」
ドクター『うぅむ、前回の特異点は霧で見えなかったからな……久々に観測すると、改めてその異常さが分かるよ。あの帯は一本で出来てるんじゃなく、凄まじいエネルギーを持つ光線が束になって現れたものだ。あんなものが地上に降りて来たら世界滅亡じゃ済まないぞ……』
バットマン「危険だな。降りて来る兆候はあるか?」
ドクター『いいや、今のところはないね。……それより、君達よりかなり前方で戦闘が起こってるみたいだ。様子を見に行ってくれるか?』
バットマン「了解。行くぞマシュ」
マシュ「はい!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:13:39.65 ID:oXFljNIX0<>
ドクター『気を付けてよ。今回はマシュ以外のサーヴァントは居ないんだ……ベインにボロボロにされたカルデアの復旧が。もっと早ければ良かったんだけど。ごめん』
バットマン「過ぎた事だ」スタスタ
ドクター『……カルデアを虚数空間の中に分離させて初めてのレイシフトだけど、本当に違和感とかない?』
マシュ「今のところは……ありません。ね、マスター」
バットマン「ああ、正常だ。そちらこそ、何も異常はないのか?」
ドクター『うん、大丈夫。ごめんね、僕たちがもっと強ければこんな対策を取らずに済むんだけど……』
バットマン「ベインはカルデアの座標を割り出したんだ。いつまた襲撃に来るか分からない以上、このやり方が一番安全だろう」
ドクター『うん……よし、いつも通り頼むよ二人とも!』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:14:13.36 ID:oXFljNIX0<>
バットマン「……伏せろマシュ。岩に隠れろ」サッ
マシュ「はい……アレは」ジッ
槍を持った男達「「「ウォォォォォォォォォ!!!」」」ドドドドドド……
ロボットの兵隊「「「……」」」ガシャン、ガシャン、ガシャン
バットマン「……文明の差が著しいな。ドクター、あの陣営のどちらかにサーヴァント反応はあるか?」
ドクター『んーと、待ってよ……えーと、槍を持ってる男達の方に二人。ロボットの方に一人』
バットマン「成程……聖杯反応は?」
ドクター『どちらにも感知できないな。武装レベルを見るに、どちらもこの時代に適した武器を使ってるとも思えないし……どっちがどっちとも言い難い。どうする?』
バットマン「……このまま少し、観察を続ける。マシュ、いつでも戦闘に参加できるよう準備しておけ」
マシュ「はい」ガシャ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:14:56.48 ID:oXFljNIX0<>
太陽「」ジリジリ……
バットマン「……」
マシュ「……」
マシュ(あつい……)
バットマン「……! マシュ、アレが見えるか?」
マシュ「はい! え? えっと……」ジッ
赤い服の女性「……」バシィ! ガシッ、グルグル、バッシィン! ドォン!
バットマン「……何をしているように見える、アレは」
マシュ「えー、えーっと、その……男達を殴って、蹴って、ロボットの首を取って……怪我人の治療をして、その人が襲い掛かって来たらまた殴ってます……」
バットマン「……やはりか。すまない、私も見えてはいたが暑さによる幻覚かと思ったんだ。ドクター、あの女性の観測を頼む」
ドクター『サーヴァントだね。バーサーカーみたいだ』
バットマン「……バーサーカーは確か、話が通じにくいタイプだったか?」
マシュ「は、はい。少しその、独特の世界観を持っている方が多いクラスです……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:15:36.54 ID:oXFljNIX0<>
バットマン(さあ、どうしたものか……)ジッ
マシュ「……あっ、マスター! 見て下さい、アレ……」
ピンク髪の女性「も〜〜っ、さっさとこの戦線を叩き潰してクーちゃんに戦勝報告するつもりだったのに台無しよ! アンタ何なのさっきから!」プンプン!!
紫髪の少女「ちょっとちょっと、もう! 困るわよ、ロボットは治療できないんだから!」
赤い服の女性「……」チラッ
バットマン(両陣営のサーヴァントが出て来たか。よし、これで見極めを……)
赤い服の女性「困るのはこちらです!!!!!!!!!」ゴォッ
女性「!?」ビリビリッ
少女「!?」ビリビリッ
マシュ「!?」ゴォッ
バットマン「!?」ジリッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:16:02.96 ID:oXFljNIX0<>
赤い服の女性「ずっと怪我人ばかり出し、終わらない戦いは不毛!! これが分からないのですか!!!!」
女性「な、何よ、説教するっての!?」
少女「勢いの良い人ね!? 私だってできれば戦いたくないけど……これは仕方ない戦争よ、ミセス!」
ドクター『ちょっと、カルデアにも響いてきたよさっきの怒声……』
バットマン「マシュ、いけるか」
マシュ「え? は、はい! いけます!」
バットマン「行くぞ、あの赤い女性を助け出す」
マシュ「た、助けるんですか!?」
バットマン「彼女なら理由もなくこちらを攻撃しないだろう。それに、長い間この戦争を見て来たのなら、事情にも詳しいハズだ。情報収集も出来る」
マシュ「成程!」
バットマン「行くぞ!」
マシュ「はいっ!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:16:43.89 ID:oXFljNIX0<>
女性「良い度胸じゃないの……一人っぽっちのくせにこのスーパーケルトヒロインにお説教なんて、気に入ったわ!! 叩き潰してあげるッ!!!」
少女「話が通じるタイプじゃなさそうね……武力行使って嫌いなんだけど、やるしかないわね」
赤い服の女性「かかって来なさい。あなた方の病気、根本から叩き直して差し上げましょう!!!」
「たああっ!!!」
三人「「「!?」」」
盾「」ヒュォンッ
女性「チイッ」バッ
蹴り「」ゴォッ
少女「きゃっ、危ない!?」ババッ
マシュ「初撃、どちらも躱されました!」スタ、タタッ
盾「」ヒュンッ
マシュ「どちらも手練れかと思われます、マスター!」パシィ
バットマン「サーヴァントは任せたぞ。私は雑魚を処理する」スタッ
赤い服の女性「あなた方は?」
バットマン「敵ではない。今のところは」
マシュ「助太刀に来ました!」
赤い服の女性「助太刀……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:17:50.16 ID:oXFljNIX0<>
赤い服の女性「……何にせよ、助かります。彼女らを止めましょう」スッ
バットマン「ああ」
マシュ「……」ガシャリ
女性「も〜、何なのかしら……クーちゃん呼んじゃおっかな……いやでも……」ボソボソ
少女「あら、変わった格好してるわね! マハトマの導きによるものかしら? それは……猫の耳?」
バットマン「……」
マシュ「気が抜けると言うべきでしょうか……」
バットマン「……来るぞ、油断するな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:18:29.55 ID:oXFljNIX0<>
女性「きーめたっ。私帰るわね! それじゃ!」
赤い服の女性「待ちなさい! まだ治療は終わっていません!」
女性「治療て。ここは戦場よ、クイーンはまだまだこんな序盤じゃ取られちゃ駄目なの。だから『ナイト』を出すわね。ヨロシク、ナイトちゃん!」
ダダンッ、ズッサァァァァ!!
土煙「」モクモク……
女性「それじゃあね〜(はぁと)」ヒラヒラ
バットマン「ドクター!」
ドクター『気を付けて、サーヴァント反応! かなり強大だ!』
マシュ「!!」ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:18:55.84 ID:oXFljNIX0<>
???「……フン、こんなところで会えるとはな」ザシ、ザシ
バットマン「……!? その声は……」
???「俺だ」ザシ……ピタッ
土煙「」……ザァァァァ……
バットマン「……お前までここに来ていたのか」
デスストローク「勿論、来るとも。報酬も弾んで貰えてるしな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/11/29(木) 22:19:25.87 ID:oXFljNIX0<>
マシュ(……身のこなしから分かる。かなりの手練れ。マスターにも引けを取らないほどの……)
デスストローク「ほう、使いっ走りをコマドリからお嬢ちゃんに鞍替えしたのか? 賢明とは思えんが」
バットマン「彼女を嘗めていると痛い目に遭うぞ、デスストローク」
デスストローク「……フン。ではお手並み拝見といくか?」カチャ、シュリィィィィィ……スッ
少女「……」ジリッ
赤い服の女性「……治療、開始します」カチャリ
デスストローク「デヤァァァァァァッ!!」ヒュンッ
マシュ「!!!」ガシャリッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/29(木) 22:22:35.34 ID:oXFljNIX0<> 今回の更新はここまでです。
悪役の参考資料です。
ペンギン
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/penguin.html
キャットウーマン
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/catwoman.html
デスストローク
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/deathstroke.html
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/30(金) 00:49:31.41 ID:jpmjoARgO<> デスストローク=サン!デスストローク=サンじゃないか! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/30(金) 07:33:54.04 ID:lFQbYTd5O<> まさかのデスストローク
ベイン並みに強敵… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/30(金) 12:20:30.58 ID:52fnNGBAo<> 乙。アーカムビギンズのスレイドおじさんとの戦いはメッチャ興奮したな
それにしても流石バットマンのローグスギャラリーは豊富で良いね <>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:23:15.81 ID:IANAA/0D0<>
………………
牢屋「」ピチャン……ピチャッ……
フリーズ「……」
シータ「……あの、少しお話をしませんか?」
フリーズ「囚人と話す看守は居ないだろう」
シータ「それはそうかもしれませんけど、牢の中ではやる事もなくて……」
フリーズ「……」
シータ「……ではその、私が話すので、聞いていて頂けますか?」
フリーズ「好きにしろ」ガシャ、ガシャ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:23:45.64 ID:IANAA/0D0<>
シータ「ふふっ、優しいのですね。実は私、ここに来る前はインドに居たのです」
フリーズ「……」
シータ「そこで運命の人に出会って、結婚して……幸せだったのですよ? でも、鹿に変えられて攫われたり、風神様に見つけてもらったり、お猿さん達と一緒に戦ったり……」
フリーズ「……」
フリーズ(この話は聞いた事がある。確か、インドの古代叙事詩『ラーマーヤナ』の……)
シータ「……それで、挙句の果ては国民に貞潔を疑われて追放されたり! 民は国の宝とは言いますが、あれは酷いと思います!!」
フリーズ「……」
シータ「……でも、あの人は最後まで信じてくれた。お猿さん達と迎えに来た時は、ちょっぴりカッコ悪かったけど……でも、いつまでも好きな人なんです」
フリーズ「……」
シータ「なのに、呪いで幸福を分かち合えなくなっちゃったんです! 一緒に居たら駄目なんて言われて、納得できるワケないじゃないですか」
フリーズ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:24:29.54 ID:IANAA/0D0<>
シータ「……ごめんなさい、愚痴みたいになって」
フリーズ「いや……災難だったな」
シータ「! ほ、本当ですよ! アレで私の人生がどれほどくすんだか……!」グヌヌヌ
フリーズ「お前は、どれほどの犠牲を伴っても、人を好きで居たいと思うか?」
シータ「え?」キョトン
フリーズ「……いいや、何でもない」ガシャリ……
フリーズ(ノラ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:25:02.44 ID:IANAA/0D0<>
シータ「……あなたは、どうなんです?」
フリーズ「少し喋り過ぎだ。十分暇潰しにはなっただろう」
シータ「でも……」
フリーズ「もう良い」ガシャ、ガシャ……
フリーズ(……これ以上喋れば、情が移る。決心が揺らいではならない。外道共に仕えている理由を忘れては駄目だ)ガシャリ、ガシャリ
フリーズ(全てはノラのため。『聖杯』とやらでノラを治療すれば、すぐに終わる。……もう少しだよ、ノラ。また一緒に、手を取り合って歩けるんだ)
(((……でも、いつまでも好きな人なんです)))
フリーズ「……」ガシャ、ガシャ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:25:29.41 ID:IANAA/0D0<>
………………
デスストローク「これは驚いた! 確かにやるな、お嬢さん!」ヒュンヒュンッ、ヒュン!
マシュ「ぐっ……」ガシャリ
マシュ(駄目、あの棍のせいで間合いが詰められない! それにあの身軽さ、舞うような身のこなしから繰り出される強烈で的確な攻撃……この人、相当場慣れしてる!)
バットマン「フン!!」ゴッシャァ!
ケルト兵A「ぬぐ!?」ドッサァァン!
ロボットA「ガガガガガ!!」バキャァ!
紫髪の少女「ええ……あの人、鉄のロボットを粘土みたいに潰したんだけど、サーヴァントじゃないわよね……?」
赤い服の女性「隙有りッ!!!」ダンッ、シュバッ
少女「きゃ、危ない!!」ババッ
デスストローク「まだ倒れてくれるなよ、久々に滾って来たんだ!」ヒュォンッ
マシュ「!!!」スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:26:00.86 ID:IANAA/0D0<>
風切り音と共に、鉄製の棍が迫っていた。辛うじて反応し、盾で防げば、デスストロークはその反動を利用して反対の端で殴りつける。盾でガード。再度棍が襲う。再度盾でガード。猛スピードで連続するやり取りに風が巻き起こる。断続的に火花が散り、熱で棍の両端が赤く染まり始めた。
傍目には単調なその動きも、その実、恐ろしいほどの計算と予測からなる高度な防御と攻撃の応酬である。マシュは悟る。相手もまた、こちらの動きを全て予想しているのだと。
不意にデスストロークが屈んだ。直後、彼は足元の砂を蹴り上げた。マシュの視界が砂塵で覆われ、一瞬の隙を生む。次の瞬間、砂のカーテンを突き破り、棍がマシュの脳天へと振り下ろされた。
「!!!」
だがマシュとて三下の戦士ではない。数々の修羅場を潜り抜けたサーヴァントだ。盾を頭上へと振り上げ、棍での攻撃を打ち返す。必殺、パリイング。がら空きになったであろう敵の胴体目掛け、砂塵を突き破って正拳突きを繰り出す……
そして、空振った。空を切る手応えに、マシュは目を見開いた。死の傭兵はエモノを弾かれ、マシュの頭上、空中できりもみ回転している。
(やはり油断できない相手だったな)
仮面の奥に笑みが浮かぶ。マシュは敵の経験値を侮っていたとようやく知った。傭兵は回転の中で剣を引き抜き、今度こそマシュの脳天目掛けて必殺の一撃を……
「滅菌!!!」
振り下ろそうとしたところで、横合いから入った蹴りをガードせねばならず、弾かれて着地した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:26:29.30 ID:IANAA/0D0<>
赤い服の女性「無事ですか」スッ……
マシュ「は、はい! ありがとうございます」
デスストローク「野暮な女め」ザシシィ、クルッ
バットマン「そこだ!」シュパパッ
バットラング「「「」」」ヒュォォォォォォォッ
デスストローク「お前は黙って……」ガギギィ、スッ……
バットマン「爆破ジェル、塗布済みだ!」ポチッ
バットラング「「「」」」ドドドドォッ!!
デスストローク「ぬおっ!?」ヨロッ
マシュ「たあああっ!!」ヒュゴッ!!
デスストローク「ぐあ……」ドッシャァァァァァァ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:26:58.13 ID:IANAA/0D0<>
紫髪の少女「う、うぅ……脳震盪が……」ヨロヨロ……
バットマン「今だ、退避するぞ」
赤い服の女性「しかし、まだ何も解決していません!」
バットマン「ここで戦っていても何も解決しないだろう。来るか、それとも残って不毛な争いを続けるか。どちらだ」
赤い服の女性「くっ……」
マシュ「行きましょう、すぐに回復して襲ってきますよ!」
デスストローク「……やってくれる……」プル、プル……
赤い服の女性「……分かりました。行きましょう」
バットマン「よし、行くぞ。南へ撤退だ」
マシュ「はい!」
紫髪の少女「ま、待ちなさ……うっ、吐き気が……」ヨロ……
ロボットD「戦闘の続行は不可能と判断。拠点へ撤退します」ガシッ
紫髪の少女「ちょ、ちょっと下ろしなさい、まだ戦えるわよ!」ジタバタ
ロボットD「ここで消えてはエジソン様が悲しまれます」ウィー、ガシャ、ガシャ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:27:35.35 ID:IANAA/0D0<>
デスストローク「……内臓の損傷には至っていないか。油断した」ググッ……ムクリ
ザシ、ザシ、ザシ……
???「……なんだ、メイヴから連絡があって来てみりゃあ。やられたのか、スレイド」
デスストローク「かすり傷だ。貴様こそ何故ここまで来た、クーフーリン」
クーフーリン「王が国内での叛逆を看過してどうする。……テメェ、立てるんだったら追撃に行け。この上まだ反抗勢力を増やしてたまるか」
デスストローク「言われなくてもそうするつもりだ。……それよりも、ダグザの棍棒の件は忘れていないだろうな」
クーフーリン「あぁ? 忘れてねえよ、兵の半分を割いて探させてる。良いから早く行け」
デスストローク「……良いだろう」クルッ、ダダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:28:12.91 ID:IANAA/0D0<>
………………
ペンギン「それでこの乳臭い小娘を連れてきたってのか、ハハハハ! お前、これに情が移ったんじゃないだろうな!」
エリザベート「ムキーッ、誰が乳臭い小娘よ!! この臭いチビハゲペンギン!」
ペンギン「ハハハ……ハハハ!!! コイツ、撃ち殺してやる!!」ブチィ
エリザベート「ジョートーよやってみなさいよ!!」
デッドショット「やめろ二人とも。コブルポット、コイツは見た目はちんちくりんだが強さは保証する」
ペンギン「フン……下らん、ガキに頼るようになれば悪党はおしまいだ」
エリザベート「レディに対してそんな口の利き方で良いのかしら!! ただでさえモテなさそうなのにね!!!」
ペンギン「心配無用、女は金に釣られていくらでもやって来る!! ガハハハ、力に弱いのさ人間は!」
エリザベート「だから悪党なんてやってるわけね!! 力に弱いのはアンタよチビデブハゲ!!」
ペンギン「口の減らねえクソガキが、良いか……!」
スイングドア「」ギィ
ペンギン「あぁ……?」
子供達「「「……」」」ジッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:29:20.97 ID:IANAA/0D0<>
ペンギン「……ガキ共、ここは遊び場じゃねえって言ってんだろ。ヴィンスは何をやってやがる……」
エリザベート「何よ何よ、可愛い子供も居るじゃない」
子供A「だって、すごい怒鳴り声が聞こえて、おじさんが危ないんじゃないかって……」
子供B「アルがしつこいから、皆で様子を見ようって」
子供C「おれじゃない! 言ったのはエマだよ!」
子供D「あたしじゃないもん!!」
子供達「「「」」」ワーワー! ギャーギャー!!
キャットウーマン「……相変わらず人気ねえ」
デッドショット「子供は可愛いものが好きだからな。ペンギンとか」
ペンギンの手下D「おいコラガキ共、何やってやがる! クソ、ちょっとでも目ぇ離したらこれだ……」
ペンギン「ヴィンス!!! 二度とこの辺にガキ共を近寄らせるんじゃねえぞ!!! 次にヘマしたら絨毯にしてやる!!」
ペンギンの手下D「は、はい、すみませんボス!! おい行くぞ!」グイ
子供達「「「はぁーい……」」」ゾロゾロ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:29:47.72 ID:IANAA/0D0<>
ペンギン「……使えん部下を持つとこれだから困るんだ! 全く……カルナも帰って来るのが遅い、遅すぎる……」イライラ
デッドショット「ああ? カルナは何処に出してるんだ?」
ペンギン「最近、ケルト兵共が鉱山を掘るのに躍起になっててな。どうにも胸騒ぎが治まらんから、偵察に出してるんだ」
キャットウーマン「あら、鉱山? ……ゴールドラッシュでもないでしょうに」
ペンギン「フン、どうせろくでもないたくらみに決まってる。俺は鼻が利くんだ」
エリザベート「鉤鼻だしね」
ペンギン「いい加減黙って……」
スイングドア「」ギィ
ペンギン「いい加減にしろガキ共、俺は今日機嫌が悪い……」
白髪の男「……すまない、タイミングが悪かったか」
ペンギン「カルナか! 遅いぞ、入れ」クイクイ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:30:28.33 ID:IANAA/0D0<>
ペンギン「で、どうだ。何か掴めたか」
カルナ「ここから北東の鉱山に大きな部隊が派遣されてる。奴らは地元の大人達も使役して何か掘ろうとしてるみたいだ」
ペンギン「その何かというのは何なんだ?」
カルナ「それは判明しなかった。鉱山に強大なサーヴァント反応があり、近付けなかったんだ。恐らく、あれ以上近付けば俺も感知されていた」
ペンギン「チッ、お前が言うほど強力な奴が配置されてるのか……よし、なら強硬手段だ」
カルナ「?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:30:57.32 ID:IANAA/0D0<>
ペンギン「デッドショット、ちんちくりん、カルナ。この三人で鉱山に忍び込め。敵の狙いも分かるだろうよ」
エリザベート「だーれがちんちくりんよペンギン男! エ・リ・ザ・ベ・ー・ト!!」
ペンギン「見つかっても戦闘で突破できるだろう。ただし、深入りは禁物だ。ケルト共の狙いが分かったら、すぐに撤退しろ。アイツらの事だ、クーフーリンもすぐに駆け付けて来るだろうからな」
デッドショット「了解。その間ここの守りはどうする」
ペンギン「俺の手下が三倍働く。さあ行け。カルナ、いつも通り冷静にな」
カルナ「分かった」スタスタ
デッドショット「行くぞエリザベート」
エリザベート「え、本気なの!? わ、分かったわよ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:31:46.58 ID:IANAA/0D0<>
スイングドア「」ギィ……
キャットウーマン「良かったの? カルナが帰って来たら労ってやるって言ってなかったかしら」
ペンギン「そうも言ってられるか。どうにも嫌な予感がする……奴ら、何か致命的な事をしようとしてるんじゃないか」
キャットウーマン「……考えすぎじゃない?」
ペンギン「俺様の勘は当たるぞ、子猫ちゃん。『彼』が降参した時期と、奴らが鉱脈を狙い始めた時期は一致してるんだ。俺には分かる……」
スイングドア「」バタァーン!!
ペンギンの手下A「ぼ、ボスゥ!!」ドタバタ
ペンギン「ドアの開け方から教えねえと駄目なのか、ウスノロ! ノックしてから優しく開け!」
ペンギンの手下A「そ、それどころじゃないんですよ! あの、あのコウモリ野郎が、クーフーリンとこのデスストロークと、エジソン陣営のエレナに喧嘩吹っ掛けたって……」
ペンギン「コウモリ野郎だとお? ……バットマン!?」
キャットウーマン「バットマンが来たの!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:32:18.01 ID:IANAA/0D0<>
………………
太陽「」ジリジリ……
バットマン「……街が見えてきたな。一旦あそこで休憩にするぞ」ザシ、ザシ
マシュ「はい。この暑さはデミ・サーヴァントの私にも強烈です……」ポタポタ
赤い服の女性「……今更ですが、あなた方は何者ですか? 先程は助けられましたが」スタスタ
バットマン「私達は、未来から来た……」
赤い服の女性「病気ですか?」
バットマン「……信じられないのも、無理はない」
マシュ「まあ、これまでの特異点でも、皆さん同じような反応でしたからね……」
赤い服の女性「特異点……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:32:52.94 ID:IANAA/0D0<>
………………
赤い服の女性「成程。つまり、人理を治療すべく旅をしているのですね」
バットマン「そうだ。全部で七つの患部がある。ここは五つ目だ」
赤い服の女性「同じく治療を志す者だというのに、失礼をしました。……私はフローレンス・ナイチンゲール。よろしくお願いします、ブルース、マシュ」
バットマン「ナイチンゲール……クリミアの天使か。あなたが居なければ看護師の重要性の認知が為されなかっただろうとまで言われている、あの」
ナイチンゲール「やらなければ人が死んでいた、それだけです。必死だったので……それと、天使はできれば、その……恥ずかしいので……」カァ
マシュ(可愛い)ガァン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:34:17.81 ID:IANAA/0D0<>
バットマン「ここで何が起きているんだ、フローレンス。槍の男や、ロボットが争っていたが」
ナイチンゲール「それは、詳しくは私にも分かりません……ただ、槍を持つ兵隊はケルト兵だとは聞きました。それと、ロボットを操っているのはエジソンという男だとも」
バットマン「エジソン……ケルト兵? その二大勢力がアメリカ大陸で戦っているのか?」
ナイチンゲール「どうやらケルト兵が突如として侵略を始めたようで、エジソンはアメリカを守るためだと声高に叫んで宣伝していると。真相は分かりませんが」
バットマン「……」
バットマン(エジソン……たまたま名前が同じだったという事もないだろう。電球の生みの親、発明王。まごう事なき天才だ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:35:02.17 ID:IANAA/0D0<>
バットマン「キミは何故戦ってる、フローレンス」
ナイチンゲール「? 治療を必要としている人が居るからです」
バットマン「いや、そうではなく……分かった。他に反抗勢力などは無いか?」
ナイチンゲール「あったとは聞いていますが……ケルト兵の侵略に潰されてしまった勢力が殆どだそうです」
バットマン「そうか……あまり増援には期待しない方が良さそうだ」
マシュ「そうですね……」
ナイチンゲール「ですが、少なからず今のロボットとケルト兵の戦争に辟易している方々が居るのも確かです。見つければ、声を掛けてみましょう」
バットマン「ああ。そのためにも、まずはあの街に到着したら……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:35:29.25 ID:IANAA/0D0<>
バットマン「……? 街の様子がおかしい」
マシュ「?? あわただしいですね。皆さん、荷物をまとめているというか……」
ナイチンゲール「血の匂いがします」
バットマン「……街の反対側で何か起こっているようだ。走るぞ」
マシュ「はい!」
ナイチンゲール「そうしましょう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:36:08.60 ID:IANAA/0D0<>
金髪の男「向かって来る者のみ無力化しろ! 物資は最低限入手したら撤退するぞ!」
ケルト兵達「「「はっ!!」」」ザン、ザン、ザン……
???「だから逃げようって言ったのにさぁ!!」ドォン、ドォン!
???2「しかし民を見捨てて逃げるなど王の風上にも……」ズバァ、ドシャッ
金髪の男「ハハハハ! そろそろ諦めてはどうかな、ビリー・ザ・キッド! そしてラーマ殿!!」
ビリー「あんのイケメン、腹立つなぁ! 撃ってもいいかい!?」
ラーマ「やめろ、今はケルト兵に集中するんだ!」
ビリー「でもジリ貧だろ! だから逃げようって」
ラーマ「だから民を見捨てて逃げるなど……」
ケルト兵D「むん」ドシャシャッ
ビリー「!?」
ラーマ「む!?」
バットマン「間に合ったか」
ナイチンゲール「ギリギリですね」
マシュ「サーヴァントの存在を三人分感知しました! 恐らく一番奥の金髪の男性がケルト兵の指揮官かと!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:36:36.41 ID:IANAA/0D0<>
ラーマ「なんだか知らんが助かった、礼を言うぞ黒猫よ!」チャキッ
ビリー「これコウモリでしょ?」
バットマン「お前達は」
ラーマ「急に攻めてきたこの蛮人共からこの街を守っていたのだ! 盗賊まがいの行為はこのラーマの前では決して許さぬ!」
ビリー「ほら聞いた今の!? これに巻き込まれたんだよ僕!? 可哀想だと思わない!?」
ナイチンゲール「とにかくケルト兵を蹴散らします。ブルース、力を貸してください」
バットマン「マシュ、連戦になるがあの金髪の男を頼めるか」
マシュ「はい、大丈夫です!」ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/11/30(金) 21:37:06.79 ID:IANAA/0D0<>
金髪の男「ハハハ、美女が二人も戦場に。失礼ですがお名前をうかがっても?」
マシュ「え? ま、マシュ・キリエライトです」
金髪の男「成程、マシュ・キリエライト! 私の名はフィン・マックールと言う!」
バットマン(フィン・マックール。フィオナ騎士団団長。親指には知恵の力が宿っている。老いた彼は戦場で五本の槍に貫かれ、死んで行った)
フィン「美しい君よ! だが美しさでは私が上だ!」
マシュ「は、はあ……?」
フィン「では、武勇ならばどうかな!?」ガシャリッ
ビリー「今気づいた!! この戦場、僕以外は変態しか居ないでしょ!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/11/30(金) 21:37:37.09 ID:IANAA/0D0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/01(土) 02:54:11.07 ID:RRnsMfMkO<> はあああなんでシータちゃんがインドの事インドって呼んでるんだ……!!
シータ「ふふっ、優しいのですね。実は私、ここに来る前はインドに居たのです」
↓
シータ「ふふっ、優しいのですね。実は私、ここに来る前はとある国に居たのです」
に脳内変換お願いします…… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/01(土) 03:22:09.25 ID:ehTF9lxvo<> 乙
ナイチンゲールの強化が9.9割減してるんじゃないかってレベルで話が通じてる・・・
まぁ扱い難しいよね <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/01(土) 12:36:40.59 ID:qgugH2cro<> 乙
バットマンの偉人の知識レベル尋常じゃないな <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/01(土) 13:26:32.76 ID:P9/YBbUt0<> 狂化レベルが原作通りだとあのままデスストロークに全滅させられてたから多少の聞き分けは許して……(軟弱者) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/01(土) 16:35:33.12 ID:YP9CMAD5O<> スレイドおじさんベインと同レベルに質悪いからしゃーない <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/01(土) 19:17:53.69 ID:Alj0k6sJo<> バットマンしか知らんからFGOやってみようと思うんだけど、無課金でも結構出来るもんなのかな?
正直邦訳買うので手一杯で課金は結構厳しいんだよね。今月はついにメタルが出るし <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 00:39:24.05 ID:WkjETvzkO<> ガチャは渋いけどまあやってみよう <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 01:10:25.33 ID:AxZdaDuYo<> 鯖デスストロークて何やっても死なないんじゃないのかコイツ <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:11:28.40 ID:JCAk4zSD0<>
フィン「ハッ!」ヒュガッ!
マシュ「くっ……」ガギィ、ズザザァ
バットマン「フンッ!」ブォンッ
フィン「遅いッ」ガガ、シュドッ
バットマン「ぐっ」ドシャァッ
ナイチンゲール「ブルース!!」ダダッ
バットマン「大丈夫だフローレンス、まだ……」
ナイチンゲール「何が大丈夫なものですか!!」クワッ
バットマン「肩で受けた、これは致命傷ではない……」
ナイチンゲール「そうなり得た一撃です! 人間がどうしてサーヴァントに挑みかかるのですか!!」クワワッ
バットマン「フローレンス、怒っているなら後で……」
ナイチンゲール「また挑むつもりだったのでしょう!!!!!!」クワワワワッ
バットマン「……」
ラーマ「何だ何だ……? 母と息子か?」
ビリー「何あのシュールな絵面……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:11:59.62 ID:JCAk4zSD0<>
マシュ「申し訳ありませんナイチンゲールさん、ほどほどにして加勢して頂けませんか!? ふざけているようで、この人、実力はかなり……!」ガガッ
フィン「ふっ……惚れさせて、しまったかな。すまない」ガガッ、ヒュゴォッ
マシュ「くうっ!?」ガッギャァァァァァ!!
ナイチンゲール「……この件については後で話しましょう」スクッ
バットマン「そうしてもらえると助かる」ムクリ
ナイチンゲール「私がサーヴァントの相手をします。貴方はケルト兵を」
バットマン「ああ、分かった」スッ
ラーマ「はっ、せりゃあっ!!」ズバッ、スババッ!!
ビリー「そらそらそら!」バァンバァン、クルクル、バァン!!
ケルト兵達「「「「……」」」」ザン、ザン、ザン、ザン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:12:26.05 ID:JCAk4zSD0<>
大人A「……な、なあ、見ろよアレ」
大人B「皆見てみろ! 奴ら、侵略軍を倒してくれてるぞ!」
大人C「良いぞ! やっちまえ!!」
子供A「いいぞいいぞー!!」
子供B「そこだー!!」
住民たち「「「がんばれーーー!!!」」」
ビリー「ははっ、見てみなよラーマ! ギャラリーの応援だ、キミの人徳じゃない?」
ラーマ「声援は有難いが危険だ! 皆の者、出来る限り遠くへ退避せよ!」
バットマン「駄目だ、熱狂のせいで聞こえていない。このラインを死守するぞ、一人でもケルト兵を通せば危険だ」
ラーマ「うむ!」
ビリー「りょーかい!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:12:52.52 ID:JCAk4zSD0<>
マシュ「たあっ!!」ブンッ
フィン「なかなかの動き!」ギャリリィ、ザシャァ
ナイチンゲール「消毒!!!」ブンッ
フィン「ぬおおお!? すごい掛け声!?」ガギィィィ!!
ケルト兵X「!!」ブンブンッ
ラーマ「やあっ!!」ガギ、ズバァッ!!
ビリー「ふぅっ、弾を込め直す暇もない!」バァンバァン、ドゴォッ
ケルト兵Y「……」ドシャッ
バットマン「そこだ!」
ケルト兵Z「!?」ドッサァァァァ……
ケルト兵O「……」グググググ……バシュッ!!
槍「」ヒュォォォォォォォオオオオッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:14:09.56 ID:JCAk4zSD0<>
ビリー「ハハッ、苦し紛れに槍投げって……」バッ
バットマン「待てビリー、躱したら不味い……」ダッ
ビリー「何?」
槍「」ヒュォォォォォォォオオオォォォォォォオ!!
子供C「え?」キョトン
バットマン(間に合え……!!)バッ
フィン「……!!!!!」ダダンッ
ザシュッ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:14:35.61 ID:JCAk4zSD0<>
ポタ、ポタ……
バットマン「……何だと……?」
フィン「……ぐっ……」ポタ、ポタ……
子供C「え……」
マシュ「な、何を……」
ラーマ「こどもを、庇ったのか……?」
フィン「……全軍撤退! 物資の強奪は中止し、撤退せよ!」スクッ
ケルト兵達「「「はっ」」」ザン、ザン、ザン……ドドドドドド……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:15:44.19 ID:JCAk4zSD0<>
ナイチンゲール「お待ちなさい、このまま逃がすとでも!?」
フィン「ははは、無論逃がしてもらいます! 割と不利ですしおすし! そらっ!」ヒュンッ
槍「」ヒュォォォォォオォォォッ
ナイチンゲール「こんなもの……」パシッ
荒野「」ヒュォォォォォォォオオオォォ……
フィン「さよ〜〜〜なら〜〜〜〜!!」タッタッタッ
バットマン「……逃げ足が速いな」
ラーマ「読めんヤツだ。何故街を襲っておきながら子供を庇った……?」
ナイチンゲール「逃がした……!」グググ……
槍「」バキィ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:16:40.56 ID:JCAk4zSD0<>
大人B「どこの誰とも分かりませんが、助かりました。ああしてケルトの民達が略奪に来たとしても、少し前までは反抗勢力の方々が助けに来て下さっていたのですが……」
バットマン「あぁ、仕方ないだろう。ケルト兵達に反抗勢力は殆ど潰されてしまったようだ」
大人B「えぇ……今回は持ちこたえられましたが、次に襲われればどうなる事やら……」
バットマン「……私達ができる限り早く何とかする。それと、次に誰か助けに来たとしても、声援を送らずに逃げろ。ここはアリーナじゃない、戦場だ」
大人B「はい……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:17:13.16 ID:JCAk4zSD0<>
バットマン「……そろそろ陽が沈むな。マシュ、身体の方は大丈夫か」
マシュ「はい、私は大丈夫です!」
ナイチンゲール「腕部への打撲傷、盾を長い間構え続けた事による姿勢の傾き、右足の微かな痙攣。どう見ても重度の疲労蓄積です、休める場所を探して休みましょう」
マシュ「そ、そんな事……」
ナイチンゲール「この街の人に頼んで、何処か宿に……」
バットマン「それはあまり良い案ではないだろう。二度もケルト兵を妨害したんだ、私達の顔も知られている。ここの住民に頼れば、彼らにも危険が及ぶ」
ナイチンゲール「……では、衛生的には賛同できかねますが、野宿にしましょうか」
「ならば余が良い場所を知っているぞ!」
バットマン「お前は……」
ラーマ「先程は世話になったな、コウモリ男よ!」
ビリー「コウモリ男って……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:17:42.02 ID:JCAk4zSD0<>
バットマン「良い場所と言ったな。あるのか、そんな場所が」
ラーマ「うむ! 実はこの近くに湧き水があるのだ! そこならば一晩過ごすのに適しているだろう!」
ビリー「ちなみに見つけたのは僕ね」
ラーマ「しかし、連れて行ってやっても良いが……一つだけ、頼みを聞いてほしい」
バットマン「……何だ」
ラーマ「実は……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:18:09.97 ID:JCAk4zSD0<>
………………
デッドショット「そろそろ陽が沈むな。どこかその辺の森に入って、隠れられそうなところで休むぞ」ザシ、ザシ
カルナ「ああ。そうしよう」スタスタ
エリザベート「ええ〜? まさか野宿?」トボトボ
デッドショット「アイドルに欠かせないたくましさが身に付くだろうよ……」
エリザベート「もーっ、アタシそういう番組NGだからぁ!! ファンの間で炎上しちゃうでしょ!?」プンプン
カルナ「薪を取って来る」
デッドショット「俺は晩飯を狩って来る」
エリザベート「え、じゃあ、じゃあアタシは……ここを誰にも取られないように見張っとくわね!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:18:56.42 ID:JCAk4zSD0<>
………………
焚火「」パチ、パチ……
バットマン「……シータか」
ラーマ「うむ……我が妻、シータ。何処に居るのかとずっと探し回り、ようやく位置を掴めたのだ。おのれケルト兵め、妻を牢に閉じ込めた報いを受けさせてやる……」
バットマン「その牢に関する情報は?」
ラーマ「ここからずっと北に、氷山がある。その中に、反抗勢力の殆どが閉じ込められているらしい」
ビリー「噂じゃ、とんでもない冷血漢が牢屋を見張ってるってさ。怖いよね」
バットマン「……そうか」
バットマン(冷血漢……氷山……ヴィクターを思い出すな)
バットマン「分かった。牢を破れば、混乱も引き起こせそうだ。やるとしよう」
ラーマ「話の分かる男だ! ふふ、余の目に狂いはなかったぞっ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:19:26.41 ID:JCAk4zSD0<>
ビリー「さーって、と! 夜も遅いし、僕はもう寝よっと!」ゴロン
ラーマ「うむ、余も寝る! おやすみビリー、ブルース!」ゴロリ
バットマン「ああ、よく寝ると良い」
焚火「」パチ、パチパチ……パチ……
「……ブルース。聞こえますか」コソコソ……
バットマン「フローレンスか?」
「はい。少し、良いですか」
バットマン「あぁ、構わないが……」ムクッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:19:55.72 ID:JCAk4zSD0<>
バットマン「どうした、やけに……気配を殺そうとしているな」
ナイチンゲール「すみません、皆さんもう寝ていらっしゃるのかと……昼間の傷を、見せていただけますか」
バットマン「昼間の……フィンに殴られた傷か? 何故だ」
ナイチンゲール「目の前でつけられた傷は、どうしても処置したいのです。駄目と言われれば……貴方の着ているスーツを引き裂いてでも診ます」
バットマン「……そうか、分かった……」ガチャ、シュルシュル……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:20:23.62 ID:JCAk4zSD0<>
ナイチンゲール「……随分傷が多いですね」
ブルース「仕方ない事だ。それで、処置というのは?」
ナイチンゲール「……これなら切除せずに済みそうですね」ボソッ
ブルース「せつ……何?」
ナイチンゲール「いいえ、こちらの話です。湿布を貼っておきますが、過度な酷使はやめるように」カチャカチャ、ピトッ
ブルース「……ああ、有難う」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:20:51.96 ID:JCAk4zSD0<>
ナイチンゲール「……何故戦うか、私に尋ねましたね」
ブルース「昼間の話か?」ガチャ、ガチリ……スッ
ナイチンゲール「貴方は何故戦うのです? 自分が非力な事は分かっているハズなのに、どうして立ち向かうのです?」
バットマン「……マシュだ」
ナイチンゲール「マシュ?」
マシュ「……」ドキドキドキドキ(狸寝入り)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:21:29.42 ID:JCAk4zSD0<>
バットマン「彼女はある男に似ている。底抜けのお人よしで、人の善性を何よりも信じていて、人間離れしたパワーを持っていて……そして、誰より人間らしい男に」
ナイチンゲール「……」
バットマン「彼女は……マシュは強いとは言えなかった。だが必死に努力し、何度負けても立ち上がり、強くなってきたんだ。……打算抜きで必死に人を守る、そんな彼女を見ていたら思い出す」
マシュ「……」
バットマン「俺も、希望の象徴に憧れたのかもしれない……と」
バットマン(……キミが今の私を見たら、どう言うだろうな)フッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:21:59.15 ID:JCAk4zSD0<>
ナイチンゲール「……そうですか」
バットマン「ああ。漠然とした答えですまない」
ナイチンゲール「それはそれとして、昼間の突撃は褒められた行為ではありません」
バットマン「あれはマシュが立て直す時間を稼ぐために……」
ナイチンゲール「貴方はマシュが絡むと周りが見えなくなるようですね?」
バットマン「そんな事はない、私は常に最善と思える策を選んでいる」
ナイチンゲール「最善があの突撃ですか。貴方はもっと冷静な性格だと……」
マシュ「ごほんっ!!」
バットマン「!!」
ナイチンゲール「!!」
マシュ「……ぐうぐう……」(狸寝入り)
バットマン「……私は冷静だ。冷静な計算の上で行動している」ヒソヒソ
ナイチンゲール「その結果がアレでは先が思いやられます。やはりサーヴァントとの戦闘は……」ヒソヒソ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:22:36.75 ID:JCAk4zSD0<>
………………
エリザベート「LaLa〜La~La~♪」
デッドショット「おい……さっきから何だその歌は」ムクリ
エリザベート「上手いでしょっ?」キャピ
デッドショット「うるさくて眠れねえから静かに……」
エリザベート「まあちょっと待ちなさいよ、こっからサビなんだから!」
デッドショット「頼むから寝させてくれ。見ろ、カルナも……」
カルナ「zzz……」
デッドショット「……寝てやがる……」
エリザベート「むー、何よ何よ。アタシの歌に文句つけるの?」
デッドショット「……はあ……分かった分かった、聴けばいいんだろ……」
エリザベート「フッフッ、流石アタシのマネージャー!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:23:20.29 ID:JCAk4zSD0<>
焚火「」パチ、パチパチ……
デッドショット「……はぁ……」
デッドショット(ったく、娘と一緒に暮らしてた頃を思い出すぜ……くたくたに疲れてても、あっちはお構いなしに俺を付き合わせんだからな……)
デッドショット「……」ヘッ
エリザベート「♪ハートがチクチク 箱入り浪漫 それは乙女のアイアンメイデン」
デッドショット「……」
エリザベート「♪愛しいアナタを閉じ込めて 串刺し血塗れキスの嵐と洒落込むの」
デッドショット「……おい、なんて歌だ。酷過ぎるぞ」
エリザベート「♪浮気はダメよ マジ恋ダメよ アタシが傍に居るんだからネ?」
デッドショット「なんでそんなに……はあ」
エリザベート「あっ、今のネ?のところ、はねるみたいに発音した方が良いわね! それでステージからこう、尻尾で観客を……」
デッドショット「そんなバイオレンスなアイドルが居てたまるか!」
エリザベート「時代はロックよ!」
デッドショット「良いか、ロックってのはな……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:23:57.95 ID:JCAk4zSD0<>
………………
ペンギン「……」カラカラ……
ペンギンの手下C「失礼します、ボス。……あれ、猫女のヤツ、姿が見えませんね」
ペンギン「アイツは行っちまったよ。ったく、コウモリが来たって聞くなり目の色変えて飛び出しやがって……何の用だ。報告か?」
ペンギンの手下C「え、ええ。それが……来客です」
ペンギン「来客だぁ?」
スイングドア「」バタァーン!!
ライオン頭の男「邪魔をするぞ!!」スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:24:26.74 ID:JCAk4zSD0<>
ペンギン「何だテメェは。悪いがな、被り物してる奴は嫌いなんだ」
ライオン頭の男「失礼、これが素顔なのだ! 我が名はエジソン!」ガオォォッ
ペンギン「……エジソン? ロボットを作ってケルト兵と戦わせてるあのエジソンか?」
エジソン「うむ、いかにも!! 我が勇名はこんな辺境まで轟いているか!」
ペンギン「……へえ、面白い。座りなよ天才さん、話をしようじゃないか」クイクイ
エジソン「いいや結構。天才には天才のペースがあってね、ここで話すとしよう!」
ペンギン「そうかい」クルリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:24:58.22 ID:JCAk4zSD0<>
ペンギン「で、そのマイペースな天才がわざわざここに来た理由は?」
エジソン「警告だ。キミ達の勇敢な反抗ぶりは、敵だけでなく我々の耳にすら届くようになっている。ここまで目立てば、ケルトの次の攻撃は凄まじいものになると予想が立つ」
ペンギン「ハハ、それで俺達にどうしろって?」
エジソン「ここを捨てるのだ。我々と共に来れば皆、無事で居られる」
ペンギン「捨てる? ガキ共はどうなる? 故郷が蹂躙されるのを黙って見させるのか?」
エジソン「それはしかし、命には代えられまい……」
ペンギン「良いか、ライオン頭の大天才どの」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:25:28.49 ID:JCAk4zSD0<>
ペンギン「故郷ってのは大事だ。それは帰る場所なんだ」
エジソン「……」
ペンギン「どんだけ酷い扱いを受けてても、最後にはその場所に帰らねえと駄目なんだ。それが無くなったらどうだ? そりゃあ魂を失うのと一緒だよ」
エジソン「……では、残って戦うのか」
ペンギン「愚かと呼ぶか? ハハハ、好きにしろ。俺はな、巣を大事にするんだ」
エジソン「分かった。……エレナ女史をここに留まらせ、危険な時は我々の拠点へ子供達の誘導ができるようにしておこう」
ペンギン「フン、御親切な事だな。さあ帰った帰った、用は済んだんだろうが」シッシッ
エジソン「……失礼する!!」ノシノシ
スイングドア「」ギィッ、ギィッ……
ペンギン「……そうとも、故郷は大事だ……」カラカラ……グイッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:26:02.79 ID:JCAk4zSD0<>
………………
「……しゅ……マシュ、起きろ。マシュ」
マシュ「ん、んん……マスター?」ユサユサ……
バットマン「起きろ。誰かが近付いている」
マシュ「え!?」ムクッ、ガシャリ
ナイチンゲール「……気を付けて下さい、かなり近いです」
ラーマ「むむ……この殺気、尋常のものではないな」
ビリー「あー、すっごい血の匂い……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:26:56.61 ID:JCAk4zSD0<>
「夜陰に乗じて一人ずつ仕留めるつもりだったが、まあいい」ザシ、ザシ
バットマン「その声は……!」
マシュ「デスストローク!!」ガシャリ
ナイチンゲール「……」スッ
デスストローク「だが、もはや闇は関係ない。俺に時間を与え過ぎたな……フィールドは完成したぞ」ザシ……ザリッ
ラーマ「何を! 数ではこちらが断然有利だ!」
ビリー「迂闊に突っ込まないでよ。あの足運び、歴戦の戦士のそれだ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:27:47.02 ID:JCAk4zSD0<>
バットマン「罠に注意しろ。ヤツの言う通り、気付くのが遅すぎた……」
マシュ「……」ジリッ
ナイチンゲール「……」ザシ、ザリィ……
デスストローク「来ないのか? ならば此方から行くとしよう!!!」ジリッ、ザザッ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:28:39.51 ID:JCAk4zSD0<>
先手を『撃った』のはビリーだった。早撃ちビリーの名に恥じず、その射撃は構え込みでコンマ0秒の中に行われていた。左目へ真っ直ぐ飛ぶ弾丸を、デスストロークは笑って見つめる……そして、火花が散った。
早業に慣れているビリーですら息をのんだ。傭兵は背中の鞘から剣を抜き、弾丸を真っ二つに叩き切ったのだ。慣性のままに弾丸が飛び、デスストローク後方の木々に吸い込まれて消える……そして、何かが切れる音。
暗殺者の後方から、ワイヤーで仕掛けられていたナイフが飛んだ。
「何だって、まさか……」
「計算済みだとも。最初は貴様が仕掛けて来るだろうと思っていた」
ナイフと共に、飛ぶような速度で駆ける暗殺者。辛うじて防ぎ、躱すビリー達を見ながら、次の瞬間には既にデスストロークがバットマンの懐に飛び込んでいた。
「何……」
「鈍ったか? フッ」
顎を柄でしたたかに打ち上げられ、バットマンが浮く。傭兵はその殴打の反動を利用し、傍に居たナイチンゲールに斬り掛かっている。バーサーカーは身を反らし、この斬撃を躱す……
「きゃ!?」
「うっ!?」
だがその回避軌道上には、突撃しようとしていたマシュが居る。ナイチンゲールと盾が激突、二人して弾かれて転がる。
この隙を埋めるように斬り掛かって来たラーマの剣を弾き、脇腹へ蹴りを入れる。が、王は肘でこれをブロック、片手に剣を持ち替えて振り抜く。
デスストロークは柔軟に身体を反らし、ほぼ九十度まで背筋を活用してスレスレで剣を躱す。その後頭部ギリギリを弾丸が通過する。
「チイッ」
「甘いな。甘い」
頭を狙って発砲していたビリーは、躱されたと知って弾丸の装填を急ぐ。バネ仕掛けじみて上体を起こし、傭兵は王の剣を弾き……そして、その心臓を貫いた。
「か、は……!?」
「まずは一匹」
「ラーマさん!」
倒れるラーマと入れ替わるようにして起き上がったのはマシュだ。暴走特急じみた突進でデスストロークに盾を叩き付ける……が、彼は数メートル横にずれるように回転して回避。そのまま舞うようにマシュの背中を斬り付けた。
「あぐっ……」
膝をつくマシュ。トドメの一撃を繰り出そうとした死の傭兵は、背後からの殺気に気付き、柄でパンチをブロックした。
「治療、させていただきます」
「これはこれは……」
尋常ではない熱を帯びた瞳で、真っ直ぐデスストロークを見つめるナイチンゲール。まともな状態ではない。治療に対する執着……怒りすら感じさせる執着。
「怒りか。御しやすいヤツだ」
いささか落胆した様子のデスストロークが。見当違いの方向へナイフを投げる。ナイチンゲールは片手を振り上げ、ハンマーじみて振り下ろそうとし、止まった。
彼女の背中に、何本ものナイフが突き立っている。暗殺者の罠にかかってしまったのだ。吐血し、鉄の看護師が倒れ込む。
ビリーが発砲した。同時にデスストロークはナイフを投げた。投擲されたナイフは、弾丸を切り裂き、ビリー・ザ・キッドの胸に突き立った。彼は歯を食い縛り、立っていようとしたが、叶わず、倒れた。
「……終わりか」
立っているのは、デスストロークだけ……いや。バットマンが、起き上がろうとしている。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:29:14.03 ID:JCAk4zSD0<>
バットマン「……ぐっ……」プル……
デスストローク「脳を揺らしたと思ったが」カチャリ
バットマン「……!」
バットマン(マシュを……マシュを、守らなければ……!)ムクリ
ムチ「」ヒュパウンッ!!
デスストローク「!!」ババッ、ズササァ
バットマン「!?」
「あらあら? 随分追い詰められてるわね、バットマン」
バットマン「お前は……!」
キャットウーマン「久しぶり、相変わらずじゃない」フフッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:29:43.46 ID:JCAk4zSD0<>
デスストローク「雌猫が何の用だ」スッ……
キャットウーマン「ご挨拶ね。走れる? バットマン」
バットマン「ああ、行ける……」
キャットウーマン「合図したら、お仲間を担いで。走るわよ」
デスストローク「俺が逃がすとでも言いたげだな!」
キャットウーマン「逃がしてくれるわよね? 優しい暗殺者さんッ」バッ
フラッシュグレネード「」ゴロッ
スモークグレネード「」ゴロッ
デスストローク「な……」
ギュガァァァァァァァァァァァァァァ!!
デスストローク「うおぉぉぉぉ!?」ヨロッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:30:12.28 ID:JCAk4zSD0<>
キャットウーマン「ほらシャキっとして! 走るわよ!」ガシ、グイッ
ラーマ「うぐ……」ブラァ
ビリー「く、こんな……」ブラブラ
バットマン「ああ、大丈夫だ。走れる……」ガシ、グイッ
マシュ「くっ、すみません……」
ナイチンゲール「……」
キャットウーマン「行くわよ」タタッ
バットマン「ああ……」ダッダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/02(日) 01:30:46.88 ID:JCAk4zSD0<>
煙「」モクモク……
デスストローク「くっ、卑怯な手を……」チカチカ、キィィィィィィ……ン
デスストローク「……クソ、逃がしたか。逃げ足の速いヤツらめ……」ゴシゴシ
デスストロークか(北へ逃げたか。さては監獄を解き放つつもりだな……)
デスストローク「……逃がしてたまるか、このまま追撃だ……」ヨロ、ヨロ……スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/02(日) 01:34:24.19 ID:JCAk4zSD0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
(FGO、無課金でも楽しめますよ。是非どうぞ) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 01:38:27.11 ID:QJEjVIapo<> おつ
気になったけど今までバットマンのヴィランって誰が出てるっけ? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 05:10:41.81 ID:aaRia4+tO<> >>289
トゥーフェイスにリドラーにベインにスケアクロウにキラークロックだったような <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 12:09:50.61 ID:3QUgzTryo<> マッドハッター <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/02(日) 13:28:56.45 ID:JCAk4zSD0<> 一章 トゥーフェイス
二章 リドラー ジョー・チル(ブルースの両親を殺害した強盗)
三章 キラークロック
四章 マッドハッター スケアクロウ
五章 デッドショット ペンギン キャットウーマン Mr.フリーズ デスストローク
今のところこんな感じだと思います(うろ覚え) <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/02(日) 13:30:33.67 ID:JCAk4zSD0<> うぇ……四章にはベインとジョーカーも追加でお願いします() <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 19:22:24.23 ID:iUhtNkcFo<> このスレでバットマンを知ったって人は是非スコットスナイダー先生のシリーズを買って読んでほしいね <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 19:32:01.80 ID:EjstgpCnO<> そういやハーレイとポイズンアイビー出てなかったな
レッドフードとかマンバット出るかな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/02(日) 19:50:13.38 ID:iUhtNkcFo<> カレンダーマンとかスカーフェイスも良いキャラしてて好きだね <>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:26:21.88 ID:yNMv26rB0<>
………………
太陽「」ジリ、ジリ……
キャットウーマン「ここまで来れば大丈夫でしょう」
ビリー「下ろして、もう大丈夫だから。回復したから」
キャットウーマン「そう? ならどうぞ」ポイッ
ビリー「っとと、乱暴だなぁ……ラーマは?」
ラーマ「余も、平気だ……平気……」
キャットウーマン「平気ですって、貴方心臓を貫かれてるのよ? むしろどうして生きてるの?」
ラーマ「……血が、止まらぬだけだ……」
ビリー「知ってる? それ致命傷って言うんだよ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:26:47.96 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「フローレンス、マシュ。大丈夫か」
ナイチンゲール「……ブルース、すみません……」グタッ
マシュ「大丈夫です、私は回復しました」フラ……
バットマン「無理をするな。傷は深くないとはいえ、出血はそれなりにしている。ここ辺りで少し、休憩を取った方が良い」
マシュ「……」
キャットウーマン「バットマン、この子少し危ないかも」
ラーマ「子ではない、王だ。余はラーマだ……平気だ」
バットマン「傷を見せてみろ」ガシッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:27:25.28 ID:yNMv26rB0<>
傷口「」ドク、ドク……
ラーマ「……平気だと言っているだろう」プイ
バットマン「これで平気だと? 心臓が……生きているのが不思議なほどの傷だ」
ラーマ「そんな事はない、余は生きている時もこれくらいの……」
バットマン「とにかく、治療と現状の把握だ。一旦腰を落ち着けられる場所を探そう」
キャットウーマン「向こうに大きな岩があるわ。そこの陰なら少しは休めるかもね」
バットマン「行こう。もう少しの辛抱だ」
ラーマ「余は平気だと……うぅ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:28:23.46 ID:yNMv26rB0<>
………………
バットマン「……フローレンス、背中のナイフを引き抜く。かなり深く刺さっている、痛いだろうが我慢してくれ」
ナイチンゲール「……大丈夫です、やってください」
バットマン「この枝を噛んでいろ」スッ
ナイチンゲール「……」カプ
バットマン「……一気に行くからな。まず一本目だ」ガシ、ズズッ
ナイチンゲール「……ぐ……!!!!」フーッ!! フーッ!!
血塗れのナイフ「」カラン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:29:11.12 ID:yNMv26rB0<>
ナイチンゲール(大丈夫。痛くない。痛くなんてない)
ナイチンゲール(こんな痛み、どれほど可愛いものだろう。まともな治療さえ施されず死んで行った兵達に比べれば、どれほどの痛みだ)
ナイチンゲール(きっとそれは地獄。私は誓ったんだ……!)
ナイチンゲール(地獄は二度と、作らせないと……!!! 私が、戦うと!!!)
ナイチンゲール「ぐぅっ……!!」ギリィィ……!
枝「」ミシ……バキィ
血塗れのナイフ「「「「「」」」」」カラ……
バットマン「……全て、抜けた。傷が一部肺に達しているかもしれない」
ナイチンゲール「いえ……大丈夫です。自分の身体の事は分かります……消毒と包帯も頼めますか」
バットマン「分かった……セリーナ、代わってくれ」
キャットウーマン「貴方がそのまま最後までやれば良いのに」
バットマン「……代わってくれ」
キャットウーマン「相変わらずねえ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:29:58.58 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「マシュ、お前は平気か」
マシュ「はい、大丈夫です。少し貧血気味にもなりましたが、今は平気です」
バットマン「そうか。……デスストロークは強敵だ。人理が健在だった頃も、私は何度か敗北した」
マシュ「そ、そんなに強い人なんですか!?」
バットマン「ああ。……あの武は完璧と言って良い。隙の無い構え、打ち込めば必ず返してくる粘り強さ。だが彼は見落とした」
マシュ「……」
バットマン「……あの場でデスストロークが最も警戒し、いち早く倒すべきだったのはお前だ、マシュ。だがヤツはそれをしなかった。お前の学習能力を甘くみたんだ」
マシュ「……クセは見抜きました。次は勝ちます」
バットマン「それを聞けて良かった。お前を信じている」
マシュ「はい!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:30:33.30 ID:yNMv26rB0<>
ラーマ「……うむぅ、血が止まらん……」
バットマン「……ドクター、ドクター。ラーマの傷の観測を頼めるか」
ドクター『うぅむ、ちょっと待ってよ……これは、確かに傷口自体は小さいけど、かなり深い傷だな……霊基にまで届いてる。これは、そうだな、極めて近い性質の魔力を流し込んで、栓のように傷を塞げば何とかなるかもしれない』
ラーマ「近い性質の魔力……」
バットマン「……シータだ。ラーマ、シータならどうだ」
ラーマ「それは、上手く行くかもしれんが……」
バットマン「……離別の呪いか」
ラーマ「うむ……というか、詳しいな?」
バットマン「ラーマーヤナは何度か読んだ。そうか、会えばシータとラーマは、どちらかが……」
ラーマ「うむ、消えてしまうのだ」シュン
バットマン「分かった」
ラーマ「分かった?」
バットマン「私に策がある」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:31:00.21 ID:yNMv26rB0<>
キャットウーマン「……あのねえ、バットマン……貴方、昔からこういう所はあったけど……」
ラーマ(with目隠し)「……」
キャットウーマン「安直すぎるんじゃなくて?」
バットマン「出会ったら消えてしまう。なら、出会わなければ良い」
ラーマ「ブルース、その、な……シータと余はドッペルゲンガーのようなものなのだ。だから……」
バットマン「お前の霊基が欠損している今がチャンスだとも言える。その霊基に、シータの魔力を流し込めば……それが楔となり、彼女をここにつなぎとめる事ができるかもしれない。戦力増強が見込める」
ラーマ「せ、戦力……」
キャットウーマン「……少し変わったかと期待してた私が馬鹿だったわ」
バットマン「?」
キャットウーマン「相変わらずでガッカリよ」
バットマン「それは……すまない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:31:28.20 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「行くぞ」
キャットウーマン「……ええ、オッケー」
ナイチンゲール「……」ムクリ
マシュ「行けます!」ガシャリ
ビリー「ふう、アイツにもう一回会ったらやり返してやらなきゃ」
ラーマ(with目隠し)「……誰か負ぶってくれ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:32:13.59 ID:yNMv26rB0<>
………………
フリーズ「……そうか。分かった、警戒を強化しよう」
フリーズ(バットマン、キャットウーマン、マシュ、ナイチンゲール、ラーマにビリーか。数は多いが、このフィールドなら私の勝ちが揺らぐ事はない)
フリーズ「……」ガシャ、ガシャリ……
フリーズ(そうだ、私の勝ちが揺らぐ事は……)
フリーズ「……」ガシャリ、ガシャリ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:32:44.10 ID:yNMv26rB0<>
(((……やっぱり、緊張するわね。人類初の治療法だもの)))
(((大丈夫だよ、ノラ。必ず治す、約束する。それまで少しの間、お休み)))
(((ええ、愛してるわヴィクター……)))
フリーズ(……あれからどれほどの年月が経ったのだろうか。あの約束を、片時たりとも忘れた事はない。ないんだ、ノラ。だから、キミを……)
(((……でも、約束してね、ヴィクター)))
(((もし、私を治す方法が見つからなかった時は……その時は……)))
フリーズ(……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:33:13.10 ID:yNMv26rB0<>
ガシャリ、ガシャリ……ガシャリ
シータ「あら……? ヴィクターさん? こんにちは、今日はなんだか外が騒がしいのですね?」
フリーズ「お前を助ける連中が来た」
シータ「え……?」
フリーズ「ラーマも、来ているそうだ」
シータ「ラーマ様が……!? ど、どうしてそれを、私に教えてくれるのです?」
フリーズ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:33:46.86 ID:yNMv26rB0<>
ガシャァァァァ……ドッガァァァァァ!!!
ラーマ(with目隠し)「シータ! シータは居るか! 何処だ!!?」
バットマン「耳元であまり叫ぶな。……よし、逃げろ」カチャカチャ
牢「」ギィィィ……
荒くれ者A「お、俺を助けてくれるのか……?」
大人B「なんだか知らんが助かったぜ!! 困った時はエジソンの陣営に来てくれ、俺が特別に話を……」
バットマン「良いから行け。……お前達は代わりに入っていろ」ブンッ
ケルト兵達「「「」」」ドササッ
バットマン「……」ガチャリ
ナイチンゲール「フン!」ギュギギギギギィ……
牢「」グンニャリ
大人C「お、おぉぉ……!」
大人D「良かった、助かったんだ! 帰れる!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:34:29.63 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「良し! 大方の解放は完了した、後は最下層だ!」
ラーマ(with目隠し)「くっ、状況が全く把握できんぞ!」
バットマン「シータは必ず見つける、安心しろ。全員列を乱すな、このまま階段を下りるぞ!」
マシュ「はい! ……それにしても、階下に行けば行くほど冷え込みますね……」
バットマン「……この先、私の予測が正しければだが……デスストロークほどではないにせよ、強敵が控えているだろう。各自、絶対に油断するな。一瞬でも隙を見せれば氷漬けだ」
ビリー「えぇ……寒いの嫌いなんだけどなぁ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:34:58.35 ID:yNMv26rB0<>
コツ、コツ……コツ、コツ
フリーズ「……来たか」
バットマン「ヴィクター」
フリーズ「……」
バットマン「今回は何故、外道に手を貸している?」
フリーズ「……」
バットマン「……ノラか? もし聖杯で治療したとしても、ノラはそんな形での命を……」
フリーズ「……勘違いするな、バットマン」
バットマン「何?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:35:38.40 ID:yNMv26rB0<>
フリーズ「私はもう、ここを守る気はない。シータを連れて行くのも、好きにするがいい」ガシャ、ガシャリ……
バットマン「どういう事だ……」
フリーズ「……分からなくなってしまったんだ」ガシャリ、ガシャリ……
ビリー「……行っちゃったよ」
マシュ「マスター、あの方は一体……?」
バットマン「……ヴィクター……」
ラーマ(with目隠し)「ど、どうなのだ!? シータは見つかったか!?」
シータ「そ、その声は……ラーマ様!?」
ラーマ「シータ!? シータ、ああ、シータなのか!?」
バットマン「その牢か」
マシュ「開けます!!」ガッシ、ギギギギギギィ……
牢「」グンニャリ
シータ「ああ、ラーマ様……どれほどお会いしたかったか……」タタッ
ラーマ(with目隠し)「シータ! 無事なのか!? 酷い事はされていないか!?」
シータ「はい、平気です……ああ、本物なのですね……」ジワッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:36:09.39 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「再会を喜ぶ時間はない。キミの力を借りたい、シータ」
シータ「わ、私の? どうすればよいでしょう」
バットマン「ラーマ、降ろすぞ。……彼の霊基に傷がついた。キミの魔力で補えるか?」スルッ
ラーマ「……」
シータ「……はい、できます。この小さな傷なら、私の魔力で蓋をすれば……」
バットマン「それを半永久的に続けるには?」
シータ「……???」
バットマン「例えば、キミの器とラーマの器を溶接させるような事は可能なのか?」
シータ「そ、それは……試した事がないので、分かりません……」
ラーマ「……ブルース、やはり……」
バットマン「100%不可能なのか?」
シータ「いえ、五分五分だと思います」
バットマン「……やってくれるか?」
シータ「……ラーマ様」
ラーマ「……大丈夫だよ、シータ。失敗しても、今度こそキミを感じていられるんだ」
シータ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:36:38.44 ID:yNMv26rB0<>
キャットウーマン「……」
キャットウーマン(やっぱり貴方、変わったわ。ブルース)
シータ「……やってみます」グッ
ラーマ「ああ。愛してる、シータ」
シータ「ええ。……私も、大好き」
バットマン「……」
マシュ「マスター」
ドクター『うぅ、良い話だなぁ……』グスグス
バットマン「まだ始まってもいないぞドクター……」
シータ「う、ぐ……」ギュ、ギュギュ……グォォォォォ……
ラーマ「……ううぅ……」グ……
シータ「は、ああ……」プルプル、ググググ……
ゴォッ……
バットマン「……」
バットマン(凄まじい光だ……だが、目を焼かれるような激しさはない。不思議と、暖かな……)
マシュ「……」ギュゥッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:37:09.27 ID:yNMv26rB0<>
シータ(駄目……駄目、このままじゃ……呪い以前に、自分の熱で焼き滅ぼされてしまう……)
シータ(……ここまで、来たのに……)
ラーマ「……シータ、手を繋いでほしいんだ」
シータ「ラーマ、様……」
ラーマ「キミと一緒なら、乗り越えられる気がするから」
シータ「…………はいっ」ギュッ
ラーマ「ああ……ありがとう」ギュゥッ
カッ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:38:40.16 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「……ドクター、こちらは光のせいで何も見えない。観測できるか」
ドクター『待ってくれ、計測が……ああ、なんてこった。凄い事になってるな……』
バットマン「……?」
ドクター『成功だよ』
目隠し「」ハラリ
ラーマ「……むう、どうなった?」ムクリ
シータ「ラーマ様……」
ラーマ「シータ? 何故……あ! そうか、余は……」
シータ「ラーマ様っ!!」バッ、ギュゥゥゥッ
ラーマ「いたた、シータ、待て待て! 余は少し混乱を……呪いはどうなっておる!? いや、なんだこの状況は!?」
バットマン「……ふむ、上手く行ったようだ」
ナイチンゲール「……」(ハンカチで目元を抑える)
マシュ「良かったですね……」グスッ、ゴシゴシ
ビリー「ありゃ、アツアツだ。見てらんないよ」
キャットウーマン「まあ」
ラーマ「し、シータ! 一旦落ち着いてくれ! 皆が見てるから!」
シータ「ラーマ様、ラーマ様……!!」ギュゥゥゥゥ……
ラーマ「シータ、これ首が……ぎぶ……」ペチペチ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:39:08.21 ID:yNMv26rB0<>
………………
バットマン「……落ち着いたか」
シータ「す、すみません取り乱して……」カァァァ……
ラーマ「……何も見ていないと言え」
バットマン「牢が破られた事はまだ知られていないだろう。フリーズが持ち場を放棄したんだ、報告するヤツは残っていない」
マシュ「はい、恐らくは」
バットマン「なら、やるべき事はひとつ。このまま敵の寝首を掻く」
ビリー「ははっ、良いね。悪党みたいな作戦だ」
ナイチンゲール「そう上手く行きますか」
バットマン「……牢に閉じ込めてあるケルト兵で情報収集をさせてもらうとしよう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:39:54.58 ID:yNMv26rB0<>
………………
バットマン「さあ、吐け。お前達の本拠地の方角、建物があるならその構造も精確にな」グイッ
ケルト兵A「……」プラァ……
マシュ「ま、マスター、流石に尋問は……」
バットマン「嘘をつけば分かるぞ。さあ言え」
ケルト兵A「誰が言うかよ、くたばれ」ペッ
バットマン「……」ピチャッ
バットマン「……全員ここから出ろ。フローレンスは残れ」
マシュ「え?」
ナイチンゲール「分かりました」
ビリー「あちゃ……」
バットマン「さあ、出ていくんだ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:40:21.93 ID:yNMv26rB0<>
………………
マシュ「……マスター、大丈夫でしょうか。あんなに沢山のケルト兵達と牢の中に」
ラーマ「ブルースめ、自分の力を過信しすぎではないか?」
シータ「面白いネコミミですよね」
ビリー「いやぁ、アレはケルト兵の方を心配してやった方が良いんじゃないかな……」
グワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
ビリー「……ほらね……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:40:54.63 ID:yNMv26rB0<>
バットマン「さあ、次はどの骨を磨り潰されたいんだ!? 言ってみろ!!」グイッ
ケルト兵A「分かった、分かったからやめてくれえええええ!!!」
バットマン「なら私達に何が必要か分かるな! 情報だ! 吐くのか! 吐かないのか!」
ケルト兵A「は、吐く、吐く……」ドサッ
ナイチンゲール「ブルース、やり過ぎです。気絶してしまいましたよ」
バットマン「……次だ」グルリ
ケルト兵B「ひえっ……お、俺は……」ビクゥ
バットマン「お前は、こいつより少しは賢いと良いがな……」スタ、スタ
ケルト兵B「わ、分かった、言うよ言うから!!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:41:30.46 ID:yNMv26rB0<>
………………
バットマン「三十人に聞き、総合的に判断した結果、奴らの拠点見取り図はこうなった」ポタポタ
マシュ「あの、マスター……血塗れなんですが……」
バットマン「返り血だ」ポタポタ
ナイチンゲール「ケルト兵達を治すのにも手間がかかりました。やりすぎはよくありませんよ」
バットマン「悪かった……セリーナは何処だ?」
ビリー「あの美人さん? ……そう言えば、姿が見えないね」
ラーマ「あの猫の女か? 外へ歩いて行くのを見たぞ」
シータ「こっそりと出て行ったような感じでしたけど……」
バットマン「……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:41:57.77 ID:yNMv26rB0<>
キャットウーマン「ごめんなさいね、ただいま」スタスタ
バットマン「セリーナ。あまり勝手に動くな」
キャットウーマン「あら、猫って気まぐれなのよ?」
バットマン「……奴らの拠点の位置が割れた。これから、隠れつつ攻めに行く」
キャットウーマン「素敵ね。略奪を繰り返して来たケルト兵の本拠地なんて、お宝が多そうじゃない?」
マシュ「……気になっていたのですが、貴女とマスターの関係は……?」
キャットウーマン「勿論、秘密よ?」
バットマン「……自警団と泥棒だ」
キャットウーマン「あら……あんなにアツい夜を過ごしたのに」
バットマン「美術館での火事の話か?」
キャットウーマン「もう、相変わらずツれないわね」
マシュ(むむ……これは、何やら信頼関係のようなものを感じます……)
ドクター(これ絶対お付き合いしてたでしょ……)
レオナルド(子供作ったのかな?)
所長(……)
バットマン「……とにかく、此処から出るぞ。作戦は移動しつつ立てる」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:42:28.23 ID:yNMv26rB0<>
太陽「」ジリジリ……ジリ……
バットマン「……」ザシ、ザシ……
バットマン(しかし、この見取り図……どうにも引っかかる点がある)
バットマン(玉座の間の、すぐ近くに牢屋がある……ここにも氷山で牢を作っておきながら、こんな場所にも牢を作るとは)
バットマン(だがケルト兵達が嘘をついているとも思えない。口裏を合わせられないように、バラバラに拷問したのだから)
バットマン(……つまり、ここの『王』が直々に見張っていたい、危険なヤツが収監されているという事なのか?)
バットマン「……」
マシュ「……ま、マスター!」ガシャリ
バットマン「何だ……、アレは」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:43:09.21 ID:yNMv26rB0<>
デスストローク「……また会えたな」ザシ……
バットマン「しつこい奴だ」
マシュ「……」スッ
ナイチンゲール「彼は、また……」ジリッ
ビリー「……」カチャリ
デスストローク「前回は上手く逃げられたが、今度はそうはいかんぞ。絶対にそうはさせん……!」カチャ、シュリィィィィィィ……スッ
ラーマ「シータ、下がっていろ! 危険だ!」カチャ
シータ「分かりました、後方支援ですね!」スッ
ラーマ「いやそうではなく……」
デスストローク「三度も逃がすものか。お前達はここで殺す。そして、ダグザの棍棒が俺がいただく」
バットマン「……ダグザの棍棒だと?」
デスストローク「お前達には関係の無い話だ。これから死ぬ、お前達にはな!」バッ
マシュ「させません!!」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:43:44.43 ID:yNMv26rB0<>
………………
ケルト兵G「……」スタスタ……クル、ジッ……
シュドッ!!
ケルト兵G「!?」ドサッ
デッドショット「おっと派手な音を立てるなよ……よし、ここに寝かせとくか」ズルズル、ドサッ
エリザベート「こういうの、スパイ映画みたいで良いわよね!」
デッドショット「あんまり目立つんじゃないぞ。……もしもしカルナか? こっちは鉱山への潜入に成功した、外から見て変化はあるか?」
カルナ『もしもし、デッドショット。ここからは特に変化は見えない。サーヴァント反応も、今回は感知できない』
デッドショット「よし、上々だな。……ここから深部へ潜る、外からの探知は頼むぞ」
カルナ『任せてくれ』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:44:11.36 ID:yNMv26rB0<>
エリザベート「……それにしても、変ねえ。ここまで下って来たけど、宝石どころか輝く石すらないじゃない」コツ……
デッドショット「確かに何かおかしいな……こんな何もない鉱山を、こんな量のケルト兵を動員して採掘させてるっつうのは……」コツ、コツ……
ケルト兵H「……!?」クル、ビクゥッ
デッドショット「うお!?」ビクッ
エリザベート「それっ!!」シュバシィン!!
ケルト兵H「ぐっ……」ドシャリ……
緑色の石「」コロコロ……
エリザベート「……? 何かしら、これ」
デッドショット「緑に光ってるな……」
デッドショット(これは……まさか)
エリザベート「綺麗ね! ひとつ貰っても良いかしら?」
デッドショット「好きにしろ。もっと奥へ降りるぞ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:44:39.46 ID:yNMv26rB0<>
コツ、コツ……コツ、コツ……
デッドショット「……緑の鉱石が多くなって来たな」
エリザベート「もしかして奴ら、これを掘るために?」
デッドショット「その可能性が高いな……」ブーッ、ブーッ
デッドショット「もしもし、カルナ? どうした?」
カルナ『強大なサーヴァント反応だ。鉱山の方へ向かってる、脱出を』
デッドショット「……よし、分かった。行くぞエリザベート」
エリザベート「え、もう良いの!?」
デッドショット「このままここに居るのは危険だ。できれば鉱山ごと潰していきたかったが、欲張るとロクな事にならねえ」
エリザベート「この宝石、もっと欲しかったのに……」
デッドショット「あまり長く身に付けすぎるな、ガンを引き起こすぞ」
エリザベート「え?」
デッドショット「それは『クリプトナイト』だ。見た事がある」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:45:11.14 ID:yNMv26rB0<>
ザワザワ……ドドドドド……
デッドショット「チッ、気付かれたか。カルナ! 戦闘だ!」
カルナ『分かった。これより擬態を解き、戦闘に入る』
デッドショット「……おい、やれるか」
エリザベート「もちろん!」
デッドショット「よし、突破して地上まで出るぞ!」
ケルト兵達「「「!!」」」ドドドドドドドォッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2018/12/03(月) 01:45:41.76 ID:yNMv26rB0<>
ケルト兵達「「「……」」」ドドドドドドドド……
カルナ「……ふむ、これくらいの軍勢ならば、目で殺せるか?」スッ……
雷の矢「」バヂヂヂヂヂヂィィィッ、ヒュォォォッ
カルナ「!!」ガギィィィィ!!
弓の男「……貴様、カルナか?」
カルナ「……アルジュナ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/03(月) 01:46:18.87 ID:yNMv26rB0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/12/03(月) 07:58:55.01 ID:m0G3ANvB0<> クリプトナイトってことは、スーパーマンくるー?
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/03(月) 15:25:25.70 ID:Sj03Z7Cjo<> 医療に携わるナイチンゲールとバットマンは何気に気が合うかもしれない
父親的な意味で <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/04(火) 15:40:13.18 ID:8RemU3dA0<> 乙っしたー!
ラーマとシータが一緒にパーティINとか夢のようだね……アンメアみたいな二人で一騎のサーヴァントになるのかなー <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/04(火) 19:13:29.21 ID:mY4+Do8n0<> クラーク・ケント君来る?
バットマンはともかくスーパーマンは知ってても違和感がないカルデアの職員の皆様 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/04(火) 21:15:04.58 ID:yAGBqKmco<> クリプトナイトっていつごろ地球に降ってきたんだろう? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/06(木) 22:07:47.98 ID:onjVogIS0<> >>332
融通の利かない性格は似てるけど行動理念は微妙に違うからな
共感できる部分ではがっちりハマるけど、共感できない部分は思いっきり反目するような <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:09:04.85 ID:S9m+e/He0<>
デスストローク(死の一撃)。俺にそんな御大層な名前が付いたのはいつだっただろうか。今ではもう、周囲から呼ばれ出したのか、自分から名乗り出したのかすら思い出せない。
俺はデスストローク。スレイド・ウィルソンという本名すら忘れるほどに人を殺して来た。かつて軍の治験で脳の使用領域を9割にまで増やされ、俺の人間としての生は終わりを告げた。身体の再生力は怪物並になり、心臓を貫かれても、トラックに突っ込まれても死ななくなった。生きる事が無味乾燥になりつつあった。
そんな人生でも、家族だけは愛していた。馬鹿な話だろう? 既に俺は真っ当な生活なんぞ営める身体じゃなかったのに。
普通の生活を持つ一方で、俺は自分の限界に挑戦するようになっていた。どんなに難しい依頼も進んで受け、進んで死地に入って行った。裏社会でも名が通るようになり、金もつぎつぎ入り始めた。全部順調だった。だから罰が下った。
ある日帰ると、息子が血塗れで死んでいた。どうやら俺が暗殺した相手が不味かったらしく、復讐として子供を手に掛けたと。妻泣きながら激昂し、俺を撃った。こうなったのは俺のせいだ、そう叫びながら引き金を引いた。
銃弾は俺の右目を潰した。痛みは感じたが、どこか他人事のような感覚だった。こうなったのは俺のせいだ……その言葉だけが、頭の中で反響していた。その残響をかき消すために、もっと激しい死地へと赴いた。いつの間にか、俺の後ろには血の道しかなくなっていた。
だから……だから、光に焼かれ、尚も蘇った俺は、ここでダグザの棍棒の存在を知り、求めた。振ればどんな者でも生き返らせると言われている、その棍棒を。息子をもう一度、この世に呼び戻すために。
息子に会った時、どんな言葉を掛ければ良いかも分からないのに。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:09:31.89 ID:S9m+e/He0<>
………………
ズドンズドン!! ダダッ!!
デッドショット「はあっ、ようやく抜けられたぞ……エリザベート、無事か!」
エリザベート「ええ、アタシは大丈夫!」
デッドショット「クソ、四方八方ケルト兵まみれか! カルナは何を……」
ドドドォォォォォォ……
デッドショット「何だ!?」ゴォッ
エリザベート「きゃー! なによこの風!?」ゴォッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:10:09.90 ID:S9m+e/He0<>
アルジュナ「ハハハハ! やはりか! 貴様が反抗勢力に居ると聞いたからこそケルト兵に味方したのだ! その甲斐もあったというもの!」バシュシュシュシュシュ……
カルナ「相変わらずだな、アルジュナ。ここは通さない」ガギギギギィ!!
アルジュナ「相変わらず貴様は弱者を救おうとしている。笑えるな、これではまるで生前の焼き直しだ!」ギチチチィ……バギュッ!!
カルナ「オレは助けを求める者の声に応える、それだけだ。今回は神々も居ない。焼き直しにはならんぞ、アルジュナ」ブォンッ、ドッゴォォォォォォォォ……
ドガァァァァァァァァァ……ゴォォォォォオォォォッ!!
エリザベート「きゃー!!! 吹き飛んじゃう!! 妖精が出す素敵な粉ひとつまみ分の体重しかないから吹き飛んじゃう!!!」
デッドショット「援護しろ! カルナと戦ってる野郎を狙撃する!」ガチャリ
エリザベート「狙撃ィ!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:10:44.58 ID:S9m+e/He0<>
エリザベート「無理に決まってんじゃない、あんなに高速で動いてんのよ!?」バシィ!! ブォンッ!!
ケルト兵A「っ」ドサァ
ケルト兵B「!?」ドシャシャァ
デッドショット「……無理……高速……本当にそうか?」キチチチ……ジッ
デッドショット(目視できないスピードではない。風……奴らの打ち合いの度に凄まじい爆風が巻き起こっている。温度、42度。湿度、殆どなし。二人の周囲を取り囲むケルト兵、数百人……)
デッドショット(重力と風、当てる場所。奴らの打ち合いのパターンの予測。当てられるか? それは可能か?)
デッドショット(……できる。弾が通る道が見えた)
(((パパ、人を撃つのはもうやめて……)))
デッドショット(……ごめんな)
ゴォォォォォッ!!
デッドショット「……」ゴォッ……
デッドショット「ここだ」カチャリ、ドォッ!!
弾丸「」ヒュォォォォォォォッ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:11:10.91 ID:S9m+e/He0<>
アルジュナ「っ!?」ドシュッ
カルナ「!!」ブォンッ
アルジュナ「くぅっ!?」ガギギギ、ドシャシャシャ……
デッドショット『カルナ! 相手に構ってる暇はねえ、奴らの狙いが割れた! さっさと撤退だ!』
カルナ「オレは……」
カルナ「……オレは残る」
デッドショット『はあ!?』
カルナ「すまない、フロイド。オレは残る」
デッドショット『馬鹿野郎が! なんで……クソ、好きにしろ! 責任なんぞ取らねえぞ!』
カルナ「ああ。すまない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:11:37.55 ID:S9m+e/He0<>
アルジュナ「……何故トドメを刺さなかった。嘗めているのか、カルナ」ムクリ
カルナ「今の弾丸一発分を、オレに攻撃しろ。それで対等だ」
アルジュナ「……貴様」
カルナ「お前とは対等な戦いをしたい。オレの我儘だ、嫌ならば良い」
アルジュナ「……」
カルナ「……」
アルジュナ「……良いだろう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:12:03.49 ID:S9m+e/He0<>
デッドショット「クソ、クソ、クソ!!」ダッ
エリザベート「ちょっ、ちょっと! 何処行くのよ!! カルナは!?」タタッ
デッドショット「あいつはここに残る! 俺達は戻るんだよ、ペンギンのところにな! もしもし!」
通信機『……ザザ……ザザッ』
デッドショット「もしもし、コブルポット!? 応答しろ!!」
通信機『……ザザ……戻ってくるんじゃねえ、デッドショット』
デッドショット「何だ!? どういう事だ、説明しろ!」
通信機『敵の襲撃だ。止めきれねえ。ヴィランストリートは終わりだ、戻ってくるんじゃねえ』
デッドショット「待て、敵の襲撃だと……」
デッドショット(馬鹿な、攻撃が的確過ぎる。俺達が出払っていて守備が手薄なのを察知したのか……?)
デッドショット「何処からだ、何処から情報が漏れた!?」
通信機『ザザ……ザザザ……』
デッドショット「チクショウめ!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:12:31.82 ID:S9m+e/He0<>
エリザベート「ちょ、ちょっと!? どうするのよ!?」
デッドショット「……」
デッドショット(……)
デッドショット「ヴィランストリートに戻るぞ、走って戻るしかねえ。行けるか」
エリザベート「あ、アタシは大丈夫だけど……」
デッドショット「じゃあ行くぞ! 急げ!」ダッ
エリザベート「ま、待ちなさいよ!」タタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:13:05.59 ID:S9m+e/He0<>
………………
ペンギンの手下A「うぐっ!?」ドシャッ
ペンギンの手下B「ぐわあ!?」ドササッ
ケルト兵達「「「……」」」ザン、ザン、ザン……
フィン「勝ちは揺らがない、でしょうな。どうかなメイヴ殿、民の命まで取らないというのは……」ジッ
メイヴ「甘い事を言っちゃ駄目よ。完膚なきまでに叩き潰してこその侵略なんだから☆」
フィン「ふむ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:13:34.94 ID:S9m+e/He0<>
メイヴ「さあ行くのよ、ケルトの勇士たち! 槍を血で染めて!!」
ケルト兵達「「「……」」」ザン、ザン、ザン……
メイヴ「……それにしても皮肉よねえ。イギリス人が元イギリス人を殺す、だなんて」
フィン「……」
ペンギンの手下C「テメェら寝てんじゃねえぞ! ボスにぶん殴られちまう、起きて戦え!」
ペンギンの手下D「スミマセン、エレナさん! ガキ共の事お願いします!」
エレナ「任せて! 皆、こっちよ! 逃げるわ!」
子供A「おじちゃん達はどうなるの!?」
子供B「おれ、ここで母ちゃんと父ちゃんを待ってないと……」
子供C「ペンギンおじさんは!?」
エレナ「……全部、あっちに着いてから説明してあげるわ! 早く逃げるのよ!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:14:01.69 ID:S9m+e/He0<>
メイヴ「ほら、逃がしちゃ駄目よ! やりなさい!」
ケルト兵F「!!」ダッ
子供B「え? うわあ!?!?」ビクッ
フィン「……っ!!」
ダダン!!!
ザシュッ……
フィン「……」ポタ、ポタ……
ケルト兵F「……!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:14:31.32 ID:S9m+e/He0<>
メイヴ「……あ〜らら。やっぱり裏切るのね、フィン」
フィン「……私には出来ない。民草を巻き込むなど」ポタ、ポタ……
メイヴ「ふ〜ん、甘い事言っちゃって。戦いにそんな理屈持ち込んじゃう?」
フィン「ははは、冗談はよしこさん。理屈ではなく、誇りの問題ですので」
エレナ「……さあ、今のうちよ。こっちに来て」コソコソ
子供達「「「……」」」ビクビク
エレナ「早く!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:15:05.12 ID:S9m+e/He0<>
フィン「逃げる時間は稼ぎましょう。今のうちにどうか」
エレナ「え、えぇ。ありがとう」
フィン「なに、当然の事です」
メイヴ「ふざけてるようだけど、アンタ結構やるのよねえ。助けを呼ぶとするわ」
フィン「ははは、持ち上げてもらって嬉しいが、そうまでせずとも……」
???「呼んだかァ……」ザシ、ザシ
フィン「来るの早!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:15:50.38 ID:S9m+e/He0<>
メイヴ「ベオウルフ。裏切り者を狩る時間よ」
ベオウルフ「へえ、おもしれえ。……てめえだったか、フィン・マックール」ザシッ
フィン「ははは。これはどうも」
ベオウルフ「裏切るなんてどうした? 気に入らなくなっちまったのか」
フィン「前々からそうだったが、今回それが強く露呈してしまったのだ。……バーサーカーであるキミには、これは少し通じないか?」
ベオウルフ「ハハッ、まあな。殴り合えりゃ満足な俺には分からん」
フィン「そうか。良いだろう……フィオナ騎士団団長、フィン・マックール。この名が伊達ではないところを見せなければな」
ベオウルフ「ハハハハハハハ……まあ、御託を言っても始まらねえよな。結局は拳(コレ)だ、やろうぜ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:16:17.82 ID:S9m+e/He0<>
メイヴ「じゃあ私は侵略を続けるわね」スタスタ
フィン「!! 待ち……」
ベオウルフ「おっとぉ、何処見てやがる!!」ブォンッ
フィン「っ!」ガギィ!!
ベオウルフ「フハッ、戦いの最中に余所見かよ? 余裕のつもりか?」ギリギリギリギリ……
フィン「……王たる貴方が、民草が襲撃されるのを黙って見ているとは」ググググ……
ベオウルフ「創造の前に破壊有り。なあフィンよ、今更俺達が足掻いてどうにかなる話でもねえんだ……」グググ……
フィン「……かつては私もそう考えていた。だが、やはり、ここで戦わねば私の魂は死ぬのだ」
ベオウルフ「そうか。そんじゃあしょうがねえ、殺すとしようか」バッ
フィン「っ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:17:03.92 ID:S9m+e/He0<>
ベオウルフ「……」ジャキリ
フィン「……」カチャリ
フィン(二本の魔剣、『フルンディング』と『ネイリング』を抜いた。……来るか)
ベオウルフ「簡単に潰れんじゃねえぞ、その背に民を背負うと決めたんなら……」ググッ……
フィン「……」
ベオウルフ「男らしく戦わねえとなァ!!!」ダンッ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:17:42.67 ID:S9m+e/He0<>
ケルト兵達「「「……」」」ドドドド……
エレナ「皆走って! 向こうよ、早く逃げて!」
エレナ(駄目、追いつかれる……)
子供C「うわっ!?」ドサッ
エレナ「! 立って……」
ケルト兵G「……」ダッ
子供C「わああああ!?」
ケルト兵G「!」ブンッ
ドォン!!
弾丸「」ヒュォォォォォォォッ
ケルト兵G「!?」ドシュゥッ、ドサッ
ペンギン「ウチの若いモンに手を出すのは感心しねえな……」ノシノシ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:18:14.27 ID:S9m+e/He0<>
エレナ「アナタ……」
ペンギン「さっさと行け、無事にガキ共を連れて行くってのが約束だろうが。悪党でも約束はそうそう破らねえモンだ」
エレナ「……えぇ! 行くわよ皆!」
子供C「お、おじちゃん! ペンギンおじちゃんは!?」
ペンギン「けっ、何がおじちゃんだ。さっさと行けクソガキ、二度と俺の前に顔をみせるんじゃねえぞ」
子供C「うっ……なんで……」
ペンギン「ピーピーうるさいヤツだな。エレナ、引きずってでも連れて行け」
子供C「なんでそんな事いうんだよ!」
エレナ「いいから、行くわよ!」ガシッ、ダッ
子供C「まてよ! まだ!」ズルズル……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:18:45.75 ID:S9m+e/He0<>
メイヴ「お優しいわね」
ペンギン「何が優しさだ、鳥肌が立つからやめろ。目の前で死なれちゃ俺が胸糞悪いだけだ、カハハ……」
ケルト兵達「「「……」」」ザン、ザン、ザン……
メイヴ「悪いけど、アンタ達はここで終わり。いい加減に反抗が目障りだったのよね」
ペンギン「俺が? 終わりだと? 良いか雌犬、本当に終わりだと思ってるなら教えといてやる」
メイヴ「……」
ペンギン「俺はな、どん底に突き落とされてからが強いんだ」ニヤリ
メイヴ「殺して」
ケルト兵達「「「!!」」」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:19:13.15 ID:S9m+e/He0<>
………………
デスストローク「ハッ!」バッシィィィィ!!
ラーマ「ぐうっ!?」ドシャッ
キャットウーマン「きゃ!?」ドシャシャァ!!
シータ「ラーマ様!? セリーナさん!?」
ナイチンゲール「まだ……」ムクリ
マシュ「すみません皆さん、私に任せて下さい!」
ビリー「はあ?!」
ラーマ「何を!?」
バットマン「待て! マシュ、やれるのか!?」
マシュ「はい! 一人でやります!」
バットマン「……信じるぞ!」
マシュ「はい!」ダッ
デスストローク「血迷ったか、小娘!」ババッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:19:41.08 ID:S9m+e/He0<>
激闘の中、マシュの突然の提案に驚いたものは多い。だがマシュ自身にとって、これは至極当然の作戦であった。デスストロークは目の前の小娘が、自信に満ち溢れている事を知る。
これはブラフか? それとも本当に対等に渡り合う自信があるのか? 死の傭兵は思わず口の端を歪め、斜めに斬撃を繰り出す。マシュはそれを盾で受け止め……いや、盾を、手放した?
マシュの大盾が地面に落ち、火花を散らす。彼女の目に焦りはない。つまり、計算通り? この行動が?
(愚かな。いや、狂ってしまったか?)
無理からぬ事だ。この傭兵と、デミ・サーヴァントとして覚醒したてのマシュには、経験の差がありすぎる。その重みを感じれば、絶望もやむなし。半端に才能がある戦士ほど自棄に走ってしまうものだ。デスストロークは止まらず、舞うように跳躍。再度斜めに斬撃を叩き込む。
が、マシュはそれを腕甲の鎧で受け、いなした。この瞬間、スレイド・ウィルソンという男は己の認識を改め、敵を見くびる事をやめた。それはいずれ致命傷を呼び込むからだ。マシュの目は鋭く輝いている。
彼女がデスストロークの武に見たのは『流れ』だった。激流に下手に逆らえば、それは死を招く。流れの中に岩があれば、それは流れの変化を招く。マシュが一対一を望んだのはこれが理由だ。全ての狙いを一身に受ける事で、逆に対処を容易にしたのだ。
両者の足運びが砂塵を巻き起こす。マシュの方へ一歩。かと思えば、デスストロークの方へ三歩。跳躍が交互に行われ、突進が時に二人の位置を入れ替える。
デスストロークは背筋が粟立つ感覚を覚える。この小娘の成長……少し前まで、簡単なフェイントにすら引っかかる雛じみた技術しか持ち得なかった小娘が、こうまで喰らい付いて来るとは。喰らい付いて来る? いいや、今や彼女は自分を超えようとして……?
「デヤァァァァァァァッ!!」
焦りが剣筋を僅かに粗くした。その瞬間、マシュの脇腹を捉えたかに思われたその斬撃は、中途で岩にでも阻まれたかのように止まった。マシュの両手が、刃を両側面から挟み、止めていた。白刃取りだ。
「せやぁぁっ!!」
マシュが斜めに身体を捻じった。それはデスストロークの潰れた右目側からの一撃であり、完全に死角を、虚を突いた回し蹴りだった。躱し切れず直撃を食らい、自分の首の骨が砕ける音を聞きながら、スレイドは意識を手放した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:20:07.86 ID:S9m+e/He0<>
デスストローク「ぐあ……」ドッシャァァシャシャシャシャ……
マシュ「っはぁ、はあ……!!」ジリッ
ビリー「うわお……」
ラーマ「なんと……」
シータ「女傑ですか!」
ナイチンゲール「……彼女は……」
バットマン「……」グッ
マシュ「っ、見ててくれましたか、マスター!」バッ
バットマン「勿論見ていた。良い動きだったぞ、マシュ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:20:38.20 ID:S9m+e/He0<>
デスストローク「……」
デスストローク「……うぐ……」ムク、プルプル……
デスストローク(駄目だ。治癒に時間が掛り過ぎる……)ドサッ
ザシ、ザシ……
「なんだ、やられたのか。情けねえ野郎だ」
デスストローク「……貴様……」
クーフーリン「まだ喋れるのか、頑丈だな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:22:32.63 ID:S9m+e/He0<>
バットマン「何者だ。……いや、お前は……クー・フーリン?」スッ
クーフーリン「俺は王だ。この世界を統べる王だ」ガチャリ
ナイチンゲール「……王。あの槍。つまり、ケルト兵を率いているのは、貴方ですか」
クーフーリン「フン、なんだって良いだろうが。どうせ今から死ぬお前らに関係があるか?」
ナイチンゲール「……」ググッ
バットマン「待てフローレンス」
ナイチンゲール「……退いて下さい。ここでケリをつければ……」
バットマン「分からないのか。実力の差が大きすぎる……」
ナイチンゲール「ではこのまま放っておいて、更なる地獄を産み出させるのを容認しろと?」
バットマン「お前が死ねば、奴を止める事はできなくなるぞ。今は退かねば……」
ナイチンゲール「……」ギリィ
バットマン(ここで出会ってしまったのは計算外としか言いようがない……ヤツは強い。ベインにも匹敵する、この実力の充実……)
キャットウーマン「……あらら、まさかここに直接来るなんてね……」
バットマン「セリーナ、もう一度スモークとフラッシュを焚けるか?」
キャットウーマン「在庫切れね」
バットマン「……本気か」
キャットウーマン「流石にこんな時に冗談は言わないわよ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:23:18.66 ID:S9m+e/He0<>
クーフーリン「……『退かねば』か。俺がお前らを退かせると思ってるのか?」ガチャリ
マシュ「マスター、敵サーヴァントの魔力増大を感知。危険です」ガシャ
バットマン「全員備えろ。来るぞ、ヤツの宝具が……」
クーフーリン「デスストロークを倒したのはテメェだな」
マシュ「え?」
クーフーリン「それじゃあ、最初はお前だ。お前を殺す」グググググッ
バットマン(いかん)
バットマン「『令呪を以て命ずる』! マシュ、宝具を解放しろ!!」
クーフーリン「抉り穿つ鏖殺の槍(ゲイ・ボルグ)」ブォンッ
朱槍「」ゴォォォォォォォォッ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:23:53.07 ID:S9m+e/He0<>
マシュ「真名、偽装登録……行きます!!」ガシャッ
マシュ「『ロード・……』」ドクン
(((それは全ての疵、全ての怨恨を癒す、我らが故郷。私は誰だ、マシュ・キリエライト)))
マシュ「……っ!?」ドドォッ、ゴォォォォォオォォォォォォ……
バリィィィィィィィィィィィィィ……!!!
ザシュッ!!
マシュ「かはっ……!?」グシャァ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:24:42.08 ID:S9m+e/He0<>
バットマン「! マシュ!?」
ラーマ「何だと!?」
ビリー「なんてこった……」
バットマン(馬鹿な、あれより高出力の攻撃を何度も受け止めてきたはず……)
バットマン「大丈夫かマシュ!?」ダッ
マシュ「は、はっ、あ、ぐ……」コヒュッ、ヒュー……
ナイチンゲール「退いて下さいブルース。……心臓は僅かに逸れています。ですが、肺を片方貫通している」
クーフーリン「まずは一人。次だ」ガシャリ
バットマン「馬鹿な、連射できるのか……!?」
キャットウーマン「バットマン、伏せて!!」ガバッ
クーフーリン「抉り穿つ……」
砂塵「」ブワアァァァッ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:25:30.19 ID:S9m+e/He0<>
クーフーリン「……ああ?」ピタッ
砂塵「」ブワアアアア……モクモク……
「こっちだ! 大地の精霊と呼応して目くらましをしている、今しかないぞ!」
バットマン「何……」
シータ「迷っている暇はありません!」
ラーマ「うむ、一刻も早く撤退せねば! 行くぞ!」
ナイチンゲール「……ブルース、行きましょう。マシュは私が背負います」
キャットウーマン「さあ早く、逃げるわよ!」
バットマン「……すまない」
バットマン(すまない、マシュ……! お前の変化に、私が気付いてさえいれば……)
マシュ「……」グタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:26:23.95 ID:S9m+e/He0<>
砂塵「」モウモウ……ザアアアッ……
クーフーリン「……逃げやがったか」ザシ……
クーフーリン「おい、デスストローク。起きろ」
デスストローク「……」
クーフーリン「……チッ」ガシ、グイッ
デスストローク「……」ブラァ
クーフーリン「……」ザシ、ザシ、ザシ
クーフーリン(『報告』が無ければ動けなかった。その他の連絡は一切なし)
クーフーリン(あの女が牢の外に出てた。それでいて、氷山が消えてねえ……つまり、フリーズの野郎も裏切ったな)
クーフーリン(裏切りは許さねえ。追手を差し向けるか)
クーフーリン「フン」ザシ、ザシ
クーフーリン(反抗勢力も、所詮は些事。全部圧し潰してやる。俺が、全部)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:26:51.72 ID:S9m+e/He0<>
………………
デッドショット「……」タタッ、ダッ
通り「」シィ……ン
エリザベート「……酷い荒らされようね。これじゃあ、生き残ってる人なんて……」
デッドショット「……」ダダッ
スイングドア「」ギィィィィッ
デッドショット「ペンギン! 何処だ!」タッタッ
空のグラス「」カラン……
デッドショット「……」ダッ
スイングドア「」バタァン!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:27:35.45 ID:S9m+e/He0<>
エリザベート「……」
デッドショット「……」ダッ、タタタ……
傘「」コロ……
デッドショット「……これは」ガシッ
エリザベート「傘?」
デッドショット「……ペンギンがいつも使っていた傘だ。……まさか、本当に……ここが陥落したのか」
エリザベート「……」
デッドショット「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:28:03.22 ID:S9m+e/He0<>
デッドショット「……」
エリザベート「……ね、ねえ。こうしてても仕方ないし、ここに居ても、いつ奴らが帰って来るか分からないから危ないし……逃げて、森の中に入りましょうよ。それなら隠れられるでしょ?」クイクイ
デッドショット「……」
エリザベート「……ねえってば」
デッドショット「……ああ、そうだな。そうだな……クソ、どうしてこうなったんだ……どうして……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:28:30.34 ID:S9m+e/He0<>
………………
焚火「」パチパチ、パチッ……
デッドショット「……」
エリザベート「……」
デッドショット「……」
エリザベート「……あ、アタシ、狩りに行ってくるわね」ピョコン
デッドショット「俺の分は要らねえ」
エリザベート「そ、そう? アタシもお腹は減ってないから、……やっぱり行かなくていいわね」チョコン
デッドショット「……」
エリザベート「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:29:12.08 ID:S9m+e/He0<>
デッドショット「……お前と一緒に行動する理由も、もう無くなった。何処でも好きに消えて良いぞ」
エリザベート「そんな……」
デッドショット「ヴィランストリートは壊滅した。寄る辺もねえ。こんな生活、いつまでも続けられる訳がねえ」
(((パパ、人を撃つのはもうやめて……)))
デッドショット(……罰が当たったんだな。後悔先に立たず、当然だ。人殺しで生きてきた連中が、何かを守れるワケがねえ)
デッドショット「終わりだよ、何もかもな」
エリザベート「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:30:00.23 ID:S9m+e/He0<>
エリザベート「……アンタ、狙撃できるんだから頭良いと思ってたんだけど」
デッドショット「……」
エリザベート「アタシがそのくらいでマネージャーから離れると思ってんの? 悪評立てられたら困るのよ、ばーか」
デッドショット「……へっ、そうか……」
デッドショット(頭が良い、か……狙撃の計算は、いつもうまく行くのによ……)
デッドショット(なのに、なんで……)
(((デッドショット。お前は終わりだ)))
(((パパ……)))
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:30:28.99 ID:S9m+e/He0<>
デッドショット「悪いな、今日はまともな話ができそうにねえ。寝るよ」ゴロリ
エリザベート「……」
デッドショット「……」
焚火「」パチ……、……シュゥゥゥ……
エリザベート「……アタシも寝るわね」ゴロ
デッドショット「……ああ。おやすみ」
エリザベート「おやすみ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/07(金) 22:31:25.79 ID:S9m+e/He0<>
エリザベート(…………)
エリザベート(……)
エリザベート「馬鹿ね。本当に、馬鹿なんだから」ボソッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/07(金) 22:32:27.17 ID:S9m+e/He0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/07(金) 22:46:51.53 ID:8WEgbtFso<> 乙
デスストロークさんこんな扱い… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/07(金) 23:07:01.27 ID:cw479ALHo<> 乙
マシュの幸運がCでなければ即死だった・・・ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/08(土) 01:23:48.53 ID:6I8KcbtVo<> マシュって人造人間なんだっけ?某ガンダム種でいうところのコーディネーターみたいなもん?
そうでなきゃ歴戦の傭兵相手に強すぎだよな… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/08(土) 02:24:07.58 ID:n7qM9+G3o<> >>377
某ガンダム種で例えるならラウ・ル・クルーゼ
どちらかといえばブレア・レヴェリーか <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/08(土) 17:12:19.61 ID:iF1IJ8KpO<> こうしてデスストロークはマシュを弟子にしようと固執を… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/08(土) 20:38:56.43 ID:tnhISZHzo<> 人造人間的なヒーローはDCはあんまりいない気がする <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/09(日) 00:08:41.84 ID:yr+eGm9/0<> アメイゾとか <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/09(日) 10:45:46.89 ID:FlqMQ0SwO<> >>377
人間に英霊を憑依融合させたデミ・サーヴァント <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/10(月) 12:49:37.18 ID:h5cil+73o<> マシュはナイトウイングになるのかオラクルになるのか <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/10(月) 21:15:56.69 ID:iWkp3iPLO<> >>383
バットガールでいいだろ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/19(水) 23:59:41.45 ID:UU0zuN380<>
………………
梟「」ホーッ、ホーッ……
……ザワザワ……ザアアアッ……
デスストローク「……」ムクリ
デスストローク「……」
デスストローク(命拾いをしたか。忌々しい身体だ)チッ
クーフーリン「起きたかよ」ザシ、ザシ
デスストローク「ああ。俺を拾ったようだな」
クーフーリン「負け犬をな。無様な負けっぷりだったぜ」
デスストローク「フン。……無様、確かにな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:00:06.98 ID:nZCc8mKv0<>
デスストローク(……何かがおかしかった。あの程度の一撃、凌げない訳がない……だが、躱せなかった)
デスストローク(あの小娘の身体能力が急激に上昇したか? それとも、俺が鈍っただけか?)
クーフーリン「らしくねえな。テメェの戦闘能力を俺が買い被ってたのか?」
デスストローク「見くびるな。あの小娘の癖は見抜いた、次はない」
クーフーリン「だと良いがな」
デスストローク「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:00:33.98 ID:nZCc8mKv0<>
デスストローク「……ダグザの棍棒は?」
クーフーリン「もう少しだ。所在は掴めた」
デスストローク「そうか。……報酬は、それだ。聖杯とやらにも興味はない、ダグザの棍棒だけをくれ」
クーフーリン「フン、ご執心だな。それ以上強くなりたいのか、……それとも、蘇らせたいヤツでも居るってのか」
デスストローク「……」
クーフーリン「……図星か」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:01:06.64 ID:nZCc8mKv0<>
クーフーリン「まあ、好きにすりゃあ良い。俺には関係ねえ話だ、奴らを殲滅した後にお前が何処で野垂れ死のうが興味もねえ」
デスストローク「お前はどうするんだ、クーフーリン。この世界を滅ぼした後は?」
クーフーリン「……どうもしねえ。俺が知ったこっちゃねえ。俺は壊すだけだ。そのための王だ」
デスストローク「王か……」
クーフーリン「……」
デスストローク「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:02:21.83 ID:nZCc8mKv0<>
デスストローク「……結局、俺達に何かが残る事は無いようだな」
クーフーリン「戦士ってのはそういうモンだ。壊して回って、それで終わりだ。何故それで満足できねえ?」
デスストローク「……何故、か。フフ……」
デスストローク(……今の俺は、戦士として不完全なのかもしれんな……)
クーフーリン「……感傷か。それに飲まれてりゃ、負けるだろうな。小娘相手に」
デスストローク「感傷? ……そうかもしれんな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:02:50.25 ID:nZCc8mKv0<>
クーフーリン「……とにかく、テメェはここに残れ。俺は城に戻って、ここにケルト兵共を派遣させる」
デスストローク「ケルト兵を?」
クーフーリン「気絶してて見てなかったかもしれねえが、あのナイチンゲールの野郎共とエジソン陣営が合流しやがった。すぐに全面戦争になる」
デスストローク「そうか……分かった」
クーフーリン「じゃあな」ザシ、ザシ
デスストローク「クーフーリン」
クーフーリン「ああ?」
デスストローク「……さらばだ」
クーフーリン「……ケッ」ザシ、ザシ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:03:32.26 ID:nZCc8mKv0<>
デスストローク(感傷が戦士になる妨げとなるならば、俺はそれを切り捨てよう)
デスストローク(切り捨て、今度こそ、あの小娘に打ち勝とう。次の敗北は、絶対に無い)
デスストローク(全て殺す。殺し、そして……そして、息子を生き返らせる。そして、その時……その時こそ……)
(((この子が死んだのはアンタのせいよ!!!)))
デスストローク(……お前も俺を撃つか?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:04:01.86 ID:nZCc8mKv0<>
………………
バットマン「……」ジッ……
シータ「……」ソワソワ、キョロキョロ
ラーマ「……」スタスタ、クルッ、スタスタ
ビリー「……」ハァ……
バットマン「……」
カチャ……
ナイチンゲール「……」スタスタ
シータ「!! ナイチンゲール様!」
ラーマ「ま、マシュの容態は!?」
ナイチンゲール「大丈夫です。この拠点の設備が整っていた事もあり、ぶじ安定しました。……ブルース、傍に居てあげて下さい」
バットマン「……ああ、ありがとう。すまない」スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:04:30.23 ID:nZCc8mKv0<>
マシュ「……」スウ、スウ……
バットマン「……」スタ……
バットマン「……」
通信機「」チカチカ……
バットマン「……もしもし、ドクターか?」ピッピッ
ドクター『もしもし、ブルースくん? マシュは僕とナイチンゲールで出来る限り手を尽くした。潰された彼女の臓器も、明日には元通りになるハズだよ』
バットマン「そうか。ありがとう」
ドクター『いや、良いのさ。……それで、今回の負傷が起こったそもそもの原因だけどね』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:05:02.20 ID:nZCc8mKv0<>
………………
バットマン「……マシュの中に眠っていたサーヴァントが、起きたと?」
ドクター『宝具発動前に何度か、彼女の魔力が爆発的に高まったんだ。デスストロークと戦ってる時、クーフーリンの宝具を受け止める時に……それで不安定になって、貫通されたんじゃないのか』
バットマン「だが、何故今になって?」
ドクター『うん、多分彼女の身体が鍛えられるにつれ、徐々に強靭になって行き……サーヴァントとしての運用にも耐えられるようになって行ったんだと思う。その瞬間、恐らくマシュは「デミ・サーヴァント」から、限りなく「サーヴァント」としての性能に近付いたんだ』
バットマン「……」
ドクター『……っていうのが、今持ってるデータから立てられる最も有力な仮説かな。詳しい事は、マシュが起きてから聞いてみないと分からないけど』
バットマン「それが今後、また起きるかもしれないのか」
ドクター『うーん……こればっかりはなんとも言えない。マシュがもし、何らかの制御のコツでも掴んでいれば、不安定になる事はないと思うけど……』
バットマン「……」
レオナルド『そうだな、やっぱりここで結論は出せないね。今はともかくマシュが一刻も早く回復する事を祈っててくれ』
バットマン「……了解した」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:05:33.88 ID:nZCc8mKv0<>
???「彼女は平気か?」スタスタ
バットマン「ああ。……窮地を助けてもらった事に感謝する、ジェロニモ」
ジェロニモ「なに、大した事じゃない。キミ達が無事で良かった……ところで、団体の総司令官はキミかな?」
バットマン「まあ、間違いは無い」
ジェロニモ「来てくれ。エジソンが話をしたいと言っている」
バットマン「……分かった。向かう。少し待っていてくれ」スクッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:06:04.45 ID:nZCc8mKv0<>
………………
エジソン「やあ、キミが噂の全身真っ黒人間だね!」
バットマン「……」
バットマン(なんだこの……頭がライオンなのか……?)
エジソン「私の名はエジソン!」ガオォッ
バットマン(馬鹿な……)
エジソン「そう、電球を発明したあのエジソンである!」
バットマン(エジソンがライオンだった……? いや、コイツは狂っているのか? そうだ、狂っているに違いない)ジリッ
バットマン「……」スッ
エジソン「……エレナ女史、説得を頼めないか」シュン
エレナ「えぇ、はい。まあ、貴方の見た目で初対面の人を信用させるのは無理よね……」ハァ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:06:33.76 ID:nZCc8mKv0<>
………………
フリーズ「くっ……ぐっ……」ガシャンガシャン、ガシャンガシャン
フリーズ(このままでは奴を撒く事など出来ない……)
???「ははは!! そろそろ止まったらどうだヴィクター、まだ足掻くか!?」ダダダッ
フリーズ「くっ……」ガシャンガシャンガシャン
???「ふむ……追いかけっこにも飽いてきたのだがな!!」ダダダダ
フリーズ(この土地と私との相性が悪すぎる……常に熱帯びて乾燥した空気。フリーズ・ガンでの射撃が、いつもの半分も威力を発揮しない)ガシャンガシャンガシャン
フリーズ(ともかく、逃げねば。幸い敵はこちらを追跡し続けているが、捕捉されるほど私もノロマではないようだ……)ガシャンガシャンガシャン
廃屋「」
フリーズ(……あそこに、突っ込む!)ガシャンガシャンガシャン!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:07:04.37 ID:nZCc8mKv0<>
ドア「」ドッシャァァァァァァァァアア……
フリーズ「はあ、はあ……」ガシャ、ガシャリ……
フリーズ(水の一杯でも飲まなければ。このままでは体温を氷点下に保てず、死んでしまう)ガシャ、ガシャ
ハァ、ハァ……
フリーズ「……?」
フリーズ(この気配……先客でも居たか?)ガシャ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:07:35.65 ID:nZCc8mKv0<>
フリーズ「……」ガシャ……ガシャリ、ガシャリ
壊れかけのベッド「」ギシィ……
老婆「はぁ……はぁ、はぁ……」
フリーズ「……?」
フリーズ(老婆? こんなところに、一人で? ……病床か?)
古びた椅子「」キィ……
フリーズ「!!」ガシャ
ギシ……ギシ……
フリーズ「誰だ。誰かそこに居るのか?」ガシャ
「待て、落ち着いてくれ。敵ではない」スタスタ
フリーズ「……お前は」
フィン「落ち着いて話を……なんと、ヴィクター。きみもここへ?」
フリーズ「フィン」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:08:06.18 ID:nZCc8mKv0<>
フリーズ「……私は裏切ったのだ、ケルトを」
フィン「それは、奇遇だ。私も裏切り者として狩猟されている最中でね」
フリーズ「なんだと……という事は、私はここまで上手く逃げてきたつもりだったのに、実際は一か所に追いつめられていたのか?」
フィン「……ふふ、我々の事をよほど周到に狩るつもりなのだろう。警戒されているのは、嬉しいやら、哀しいやら」
フリーズ「……ここが、終わりか」ガシャリ
フィン「そう悲観する事もない。……いや、悲観すべきだったかな?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:08:34.15 ID:nZCc8mKv0<>
老婆「ごほっ、ごほ……」
フリーズ「……そのご婦人は?」
フィン「彼女は……私の、心の支えだったのですが。いやはや、巻き込むわけにもいかん。外へ討って出るとするかな」
フリーズ「その前に水を一杯飲みたいんだが」
フィン「それならば、ここにフィン特製の『川から直接手ですくった水』が」スッ
フリーズ「頂こう」パシ
フィン「ふふ、癒しの効果付きだ。存分に飲んで、疲れを取ってください」
フリーズ「……」ゴク、ゴク……
フリーズ(……!)
フリーズ「……そういえば、お前の宝具は」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:09:02.68 ID:nZCc8mKv0<>
………………
ケルト兵達「「「」」」ザン、ザン、ザン
ベオウルフ「ああ? 誰かと思えば、フェルグスか」
フェルグス「ふふ、ベオウルフか。ここに居るという事は、大方計算通りに行っているらしいな」
ベオウルフ「俺はフィンの野郎が裏切ったから狩りに来たんだが」
フェルグス「俺はヴィクターだ。お互い、嫌な役回りだな」
ベオウルフ「ははっ、奴らの裏切った理由に感化されちまってるか?」
フェルグス「まさか。戦場で余計な感傷に浸る戦士は居るまい。ただ、かつての友だったというだけだ」
ベオウルフ「……しっかしまあ、どうする。奴ら、あの廃屋に入ったっきりだ」
フェルグス「うむ、どうするという事もなく……」
冷気「」ズォォォォォォォ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:09:32.96 ID:nZCc8mKv0<>
ベオウルフ「……おい」
フェルグス「ああ」
ビーム「」ギュォォォォォオッ
ケルト兵G「!?」パキィ……ン
フェルグス「おお、これは……ヴィクターだな」
フリーズ「全員……」ガシャン、ガシャン、ガシャン……
フェルグス「ベオウルフ! 来るぞ!」
ベオウルフ「分かってるよ!」
フリーズ「動くな!!(Freeeeeeeeeeeeeze!!!!!)」ゴォォォォォォォォォォオォォォッ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:10:22.95 ID:nZCc8mKv0<>
ケルト兵達「「「……」」」パキィ……バキ、ボロボロ……
ベオウルフ「ぐおおおぉ……効きやがる!!」パキィ
フェルグス「なんと、あれほど用意していた兵達が半壊か。無事かベオウルフ」ザザァ
ベオウルフ「脇腹が凍り付きやがった! 甘く見てたか?」
フェルグス「なんの、まだまだこちらが有利だ!」
フリーズ「フィン、やるぞ」
フィン「よし……やってしまおうか!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:11:44.68 ID:nZCc8mKv0<>
………………
(((お前は最高の弟だ、フロイド)))
(((死因は一発の誤射……)))
(((お前は犯罪者だ、フロイド・ロートン。兄貴を殺した犯罪者だ)))
(((パパ、人を撃つのはもうやめて……)))
(((でも、パパにはこれしかないんだ)))
(((……ハッピーバースデー、これからお前はどんどん大きくなるだろう)))
デッドショット(……お前は大きくなると思ってた。たとえ嫌われても、父親とすら呼ばれなくなっても、健やかに成長して、まともな人間になってくれればそれで良いと思っていた)
ザアァァァァァ……ホーッ、ホーッ……
デッドショット(だが、理不尽だよな。生きていけると思ってた世界に、死ぬ事を押し付けられるなんて)
エリザベート「……」スゥ、スゥ……
デッドショット「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:12:25.99 ID:nZCc8mKv0<>
デッドショット「……」
デッドショット(分かってる。分かってるさ。これは俺が振りまいてきた理不尽のツケだ。世界は見逃さなかった。俺がのうのうと幸せになるなんて、許さなかったんだ)
デッドショット(計算は得意なつもりだった。だが俺にとって唯一の誤算だったのは、人生が一度きりだった事だ)
デッドショット(……許してくれ、なんて言えねえよなあ)
デッドショット「……」ムクリ
エリザベート「……」スゥスゥ……
デッドショット「……じゃあな」ボソ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:12:56.66 ID:nZCc8mKv0<>
………………
アルジュナ「はあーっ、はあーっ……!」バチバチ、バチィ……
カルナ「はあ、はあ……!」ゴゴゥッ、ゴゴゴ……
アルジュナ「随分、苦しげだな、カルナ……!」ゼー、ハー
カルナ「お前も、ギリギリのように見えるがな……!」ハア、ハア
アルジュナ「誰がギリギリなものか、まだやれる!」ガシャ
カルナ「ケルト兵も尽きた、あとはお前だけだ……!」ググッ
ブォンッ、ガシャァ……バキィ、ドゴォ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:13:26.87 ID:nZCc8mKv0<>
アルジュナ「ごふぅ……」ドシャッ
カルナ「うぐぉ……」ドサァ
アルジュナ「い、忌々しい……!」ググ、プルプルプル……
カルナ「そっくりそのまま、台詞を返す……」ムク……フラ、ドサァ
アルジュナ「貴様は昔からそうだった! 一目見た時から、こうなると分かっていたのに……ええい、あの時殺さなかった私の不覚……!」
カルナ「俺も、同じ気持ちだ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:14:52.43 ID:nZCc8mKv0<>
アルジュナ「……」
カルナ「……」
梟「」ホーッ、ホーッ……
アルジュナ「……」
カルナ「……」
アルジュナ「…………」
カルナ「…………」
アルジュナ「……」ドサッ
カルナ「……」ドシャッ <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:16:38.91 ID:nZCc8mKv0<>
アルジュナ(い、忌々しい……!! もう少し、もう少しでとどめを刺せるというのに、ここで力果てるとは……!!)プル、プル……
カルナ(……)フッ
カルナ「……アルジュナ」
アルジュナ「……?」
カルナ「……生前の俺は、神々の呪いによって阻まれ、お前と全力のぶつけ合いをできずに死んだ」
アルジュナ「……」
カルナ「……これは、俺の悲願だったのかもしれない」
アルジュナ「……」
カルナ「お前はどうだ、アルジュナ。お前は生前、俺を殺した事に納得していたか?」
アルジュナ「……分かっていてそういう事を訊くんじゃない」
カルナ「……」
アルジュナ「……全く」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:17:15.98 ID:nZCc8mKv0<>
アルジュナ「……まあ今、こうして俺の方が優れていると証明された。そういった意味では、おおむね満足だ」
カルナ「何?」
アルジュナ「こうして俺の方が優れていると……」
カルナ「異議がある」
アルジュナ「ははは、もう立てもしないヤツが何を言っている」
カルナ「立てる」ググ、プルプル……
アルジュナ「空元気を……!!」プルプルプル……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:17:48.20 ID:nZCc8mKv0<>
???「ぺっぺっ、奴らめ、遠慮も無しに殴りやがる……撒くのにここまで時間が掛かるとは」ヨロヨロ
カルナ「む……」
アルジュナ「誰だ」
ペンギン「あ? ……何だ、カルナ。こんなところに居やがったのか」ポツン
カルナ「オズワルド……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:18:21.69 ID:nZCc8mKv0<>
ペンギン「なんだ、そっちの黒いのは。敵か?」
アルジュナ「……」
カルナ「……敵だ」
ペンギン「そうか……フン、随分弱ってるな。俺が殺してやろうか?」
アルジュナ「お前一人を殺す程度の力は十分残っているぞ、小男」
ペンギン「カハハハ、ボロボロですごみやがって。……だがまあ、俺も限界だ……」ドシャリ
カルナ「……何をしに来た?」
ペンギン「逃げてきたんだ、ケルト共からな。お前を見たら安心で気が抜けた」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:18:55.29 ID:nZCc8mKv0<>
カルナ「ケルト兵が、ヴィランストリートにも……?」
ペンギン「部下が殺された。ガキ共を逃がすために俺もギリギリになっちまったが、まあ、奴らの忠誠心に救われたさ……」
アルジュナ「……」
ペンギン「カルナ、お前、今回は偵察だけだと言ったのに、こんなところで遊んでやがって」
カルナ「……乗ってしまったんだ。一騎打ちの誘いに」
アルジュナ「フン、お前から誘ってきたように思うがな」
ペンギン「どっちだって構うか、ガキみたいな押し付け合いをするんじゃねえ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:19:22.91 ID:nZCc8mKv0<>
ペンギン「……あぁ……あー、どっちかライターかマッチを持ってねえのか」ゴソゴソ、カポ
カルナ「……いいや」
アルジュナ「……」ポイッ
ペンギン「オッ、……こりゃどうも」パシ、シュポッ……
アルジュナ「フン、せいぜい寿命を縮めろ」
ペンギン「高い葉巻は体にいいんだ、知ってたか?」シュゥゥゥ、ホウッ……
カルナ「いい加減な事を言うな」
ペンギン「じゃあ言い換えとくか、我慢は体に毒だ……」フー……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:19:51.24 ID:nZCc8mKv0<>
煙「」フワァ……
ペンギン「……で、どうするんだ。一騎打ちは終わったのか」
アルジュナ「……」
カルナ「……」
ペンギン「……まあ、死ぬまでやりてえならそうしろ。見たとこ、どうにも治まらねえ因縁があるんだろ。そりゃあ理解できる」
アルジュナ「……」
カルナ「……」
ペンギン「俺も昔はそういうのにこだわっててな……」
アルジュナ「フン」
ペンギン「なんだ」
アルジュナ「興が冷める」
ペンギン「若造が!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:20:18.87 ID:nZCc8mKv0<>
アルジュナ「……」
カルナ「……」
ペンギン「……ふー。で?」
アルジュナ「……やめだ」
カルナ「もう一度やるにせよ、仕切り直しが要るだろうな……」
ペンギン「だろうな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:20:47.58 ID:nZCc8mKv0<>
ペンギン「……それにしてもお前ら、負った傷に重傷もあるだろ」
カルナ「……」
アルジュナ「……」
ペンギン「誰か治療できるのか?」
カルナ・アルジュナ「無理だ」
ペンギン「……お前ら、俺が来たことに感謝するんだな。見せてみろ馬鹿共」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:21:16.15 ID:nZCc8mKv0<>
………………
バットマン「……」
エジソン「……」
エレナ「……」
バットマン「……分かった。信じよう」
エジソン「ホッ……」
エレナ「ホッ……」
バットマン(……不審な動きがないか、監視が必要だな……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:21:48.03 ID:nZCc8mKv0<>
エジソン「キミ達の噂は前々から聞いていた。我らが労働者たちを氷山の牢から解放し、ケルトの侵略から街を守る英雄的ゲリラ勢力だと!」ガオォッ
バットマン「ロボットとケルトの無益な戦争も止めようとしている」
エジソン「むぐぅ」シュン
バットマン「……だが、そうだな。そちらも略奪の類は行っていないようだ、一般人の安全確保という点では、利害の一致はある」
エジソン「む、むむ??」
バットマン「『アメリカを守る』らしいな。それなら、私達が協力を断る道理はない」
エジソン「おお!! 協力締結か!」ガオォッ
バットマン「……だが、ロボットの数に任せたお粗末な攻め手は受容できない。地図を見せてくれ、少し戦術を見直す」
エジソン「(´・ω・`)」シュン
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:22:17.12 ID:nZCc8mKv0<>
地図「」バサァッ
バットマン「ドクター、この地図を読み込んでスーツのコンピューター機能で表示してくれ」ピッピッ
ドクター『はいよっと。少し待ってね……ダウンロード完了、表示するよ!』
データマップ「」ブォォォン……
バットマン「ふむ」
バットマン(この地図に……ケルト兵から得た敵拠点の、座標情報を組み合わせる)ピッピッ
バットマン(そして、こちらの拠点の座標情報も入れて)ピピ
バットマン「……正確な位置関係は、こうだ」ピッピッ、ブゥゥン
エジソン「ほう!」
エレナ「まあ、すごい技術ね!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:23:22.15 ID:nZCc8mKv0<>
バットマン(北は延々と続く荒野と砂漠、対して南に行くほど森がうっそうと生い茂る大陸か。こちらは東に、あちらは西に拠点を構えている。さあ、どうする)
エレナ「じゃあどうしましょうか!」
バットマン「ああ」
エレナ「?」
バットマン「……ああ」
エジソン「エレナ女史、これは……発明に熱中している時の私だ。多分何も聞こえていない」
バットマン「ああ」
エレナ「ええ……?」
バットマン(ロボットの武装を見るに、やはり南の森で戦うのは避けた方が良い。障害物が多すぎて実力を発揮しきれない……となると、主戦場は北、荒野地帯になるか)
バットマン(……)
キャットウーマン「あら、作戦会議中かしら?」
エレナ「会議というか、彼が一人で考え込んでるというか」
キャットウーマン「駄目よバットマン、いい加減人に頼る事を覚えなきゃ」シナッ
バットマン「……」
キャットウーマン「……」ペシパシ
バットマン「………………」
キャットウーマン「……ブルース」ボソッ
バットマン「……セリーナ、いつから居た」
キャットウーマン「相変わらずよね……」ハァ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:24:14.11 ID:nZCc8mKv0<>
キャットウーマン「それで、どうするの? 戦術は?」
バットマン「北だ。障害物の少ない北を主戦場に据え、戦力を半分以上投入する。槍を持ったケルト兵達は突破力に優れるだろうが、ロボットの壁を分厚くすれば阻めるだろう」
キャットウーマン「……ふうん?」
バットマン「……と、ここまでなら敵も当然考えているだろう。その裏を掻く形で、南に少数精鋭のサーヴァント部隊を用意する。これで敵を突破、拠点へ速攻を仕掛ける」
キャットウーマン「大胆ね」
バットマン「危険は伴うが、わざわざ敵の戦力が集中すると予想できる北で真っ向勝負をするのは好ましくない。デスストロークは恐らく消えていない、戦闘が長引けばクーフーリンも出て来る。主戦場を囮に使う」
キャットウーマン「……成程。流石ね」
バットマン「ああ。……どうした?」
キャットウーマン「いいえ、何でもないわ。難しい話で知恵熱が出そう、私は夜風に当たってくるわね」コツコツ
バットマン「……」
バットマン(……)
エジソン「ふむふむ成程、良い戦術だ! それでいくとしよう!」
バットマン「……いや」
エレナ「え?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:24:43.10 ID:nZCc8mKv0<>
………………
フェルグス「ははは、そろそろ終わりか!」ダダッ、ガギィ!!
フリーズ「ぐぅっ……」ズッシャシャァ、ギリィ
ケルト兵K「!」ダッ
フリーズ「クソ……」ガギャァ!!
フリーズ(まだか、フィン!?)
フィン「てやぁっ!!」ガギィ!!
フィン(もう少し、もう少しで……!)ブゥンッ、ガギィ!!
ベオウルフ「ったくしゃらくせえなァ!!」ドシリ
フィン「!!」バッ
ベオウルフ「宝具でも発動したかったみてえだが、遅かったな。俺の方が温まっちまったよ……!」ドシ、ババッ!!
フィン「しまッ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:25:32.41 ID:nZCc8mKv0<>
ベオウルフは大きく踏み込んだ。得物に対して、近すぎる間合いだ。その戦闘経験の豊富さから、フィンは戸惑いに囚われる。この距離で剣を振り抜いても、効果的なダメージなど……。
「源流(グレンデル)」
その瞬間、荒々しく踏み込んだ英雄は、両手から剣を捨てた。フィンは気付く。自分は致命的なミスを犯した。目の前の豪傑が得意な戦法は、武器を持った戦いではなく……!
「闘争(バスター)!!!」
鉄拳に頬を打ち抜かれるのを感じながら、フィンはたたらを踏む。これで到底終わりではない。ベオウルフは拳を引き戻し、更に殴りつける。鳩尾。更に殴りつける。胸。更に殴りつける。キドニー。キドニー。喉元。脇腹。脇腹。脇腹。鳩尾に強烈な一発。
「がっは……」
血を撒き散らしながら、フィンは倒れかかった。だが倒れればすかさずトドメの一撃に持ち込まれるだろう。それだけの気迫が、ベオウルフにはある。踏ん張りながら、フィンは遠い日々を目に映す。フィオナ騎士団としての栄光の日々。めとった最初の妻。一番槍、ディルムッドとの出会い。妻の死。悲しみ。二人目の妻。二人目の妻が、ディルムッドを好いていたという事実。ディルムッドとのすれ違い……そして、彼との後悔にまみれた別れ。
フィンは耐えた。倒れるわけにはいかない。彼は台風のようなラッシュをその身に受けながら、朦朧とする思考を回転させる。人は死の直前に走馬燈を見るという。それは何故だ。後悔なくあの世へ旅立つためか? それとも……?
「終わり、だァ!!」
岩盤をすら砕くかのような一撃をモロに腹部へ受けながら、それでもフィンは立っていた。ベオウルフの拳が腹から引き抜かれ、フィンはもがきながら後退る。白目を剥き、口の端から血を流しながら、彼は限りなく死へ近付いた。
(死ぬのか?)
彼は奔流じみた走馬燈の中から誇りを掴み取り、生のほとりに留まろうと足掻いた。彼にとっての誇りとは何だっただろうか。それは武勇だったかもしれない。それは名声だったかもしれない。
(((──私がお前を守ってみせるとも)))
しかし、彼は愛を選んだ。それこそが彼の足を運ばせ、死を少しだけ遠ざけ、ひとりの騎士としての意地を思い出させた。
技の反動に耐えながら、ベオウルフは目を瞠った。確実に殺したはずの相手が、よろめきながら、血を吐きながら、それでも歯を食い縛って立ち続けている。しかも不敵な笑みまで浮かべている。
「ようやく、宝具の分の魔力が、溜まり切った……」
ベオウルフの宝具を受け切ったフィンは、その身に叩き込まれた魔力を利用。みずからの宝具の助けとし、震える腕で槍を構えた。
(マズい)
フリーズを攻撃していたフェルグスがそれを見、瞬時に判断し、大技の反動で動けないベオウルフを庇いに回る。フィンの宝具は強力だが、受けきれないほどではない。このまま防御し、その後に反撃すれば良い。
「堕ちたる神霊をも屠る、魔の一撃」
フェルグスが剣を横に構え、万全の防御姿勢を取る。フィン・マックールの真に恐るべき能力は治癒と智慧であり、その宝具ではない。ならば当然受け切れる。それまでにはベオウルフも反動から脱している事だろう。楽ないくさだ。だが、フェルグスは言葉にならない不吉な予感を禁じ得ない。
「その身で、味わえ!! 『無敗の紫靫草(マク・ア・ルイン)!!』」
フィンが構えた槍から飛び出したのは、高圧水流じみた水の魔力だった。その直撃を防御しながら、フェルグスは耐える。やはり威力自体は大したものではない。横に構えた大業物『カラドボルグ』に当たった水の奔流は、砕かれ、辺り一面に撒き散らされる。
フィンは出力を最大に保ち続ける。だがカラドボルグは砕けない。フェルグス愛用の魔剣。一振りで丘三つを斬り飛ばす逸品。どうして水の奔流で砕けるハズがある? フェルグスは笑おうとし、特大の嫌な予感に顔をしかめた。吐く息が白い?
「よくやってくれた、フィン」
ボロボロになった極低体温スーツの中、フリーズが呟いた。フリーズ・ガンの銃口がこちらへ向いているのを見たフェルグスは、敗北の闇が足元にぽっかりと口を開いたのを感じ、半ば呆けたように表情を弛緩させた。ベオウルフは苦笑しながらフィンを見つめていた。
十分な水気を含んだ空気は、ケルト兵達、ベオウルフ、フェルグスを巻き込み、一瞬で凍り付いた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:26:00.54 ID:nZCc8mKv0<>
フリーズ「や、ったか……?」ガシャリ
フィン「それは、世間一般で言うフラグですので、言わない方が良いかと」ゼエ、ゼエ
フリーズ「……」
氷塊「」パキィ、パキ……
フリーズ「……やったんだな」
フィン「どうやら」
フリーズ「信じられん……」
フィン「私もです、ゴホッ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:26:29.25 ID:nZCc8mKv0<>
………………
床「」ギシ、ギシ、ギシィ……
古びた椅子「」ギィィ……
フリーズ「……よし、これで大方処置は完了した。ずいぶんと手ひどくやられたな」
フィン「ぐっ……なかなか、痛いものですな」
フリーズ「これで一旦は、落ち着けるか。我々を裏切り者として狩る者も居なくなった」
フィン「ええ、まあ、そうでしょうな……」
フリーズ「……浮かない顔だな」
フィン「……」
老婆「……げほっ、ごほっ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:26:57.50 ID:nZCc8mKv0<>
フィン「……実を言えば、私にとっては、生きるも死ぬも大した問題ではないのです」
フリーズ「……どういう事だ」
フィン「ひとつ、大きな心残りがあり……それを解決したいのですが、ひとりでは恐ろしい。付き合っていただけませんか」
フリーズ「……?」
フィン「それは、『ダグザの棍棒』と呼ばれています」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:27:29.07 ID:nZCc8mKv0<>
………………
ビリー「……」イライライライラ
シータ「〜♪」ギュッ
ラーマ「……///」カァ
ビリー「……あー砂糖吐きそう。すっごい今、砂糖吐きそう」
ナイチンゲール「……ブルースは何処へ?」
ジェロニモ「エジソンに呼ばれて指令室だ」
ナイチンゲール「……」スクッ
ジェロニモ「むっ、何処へ?」
ナイチンゲール「彼は一人だと必ず無茶をします。マシュが居ない今、私が傍に付かなければ」スタスタ
ジェロニモ「む、無茶とは……ここでどう無茶を」
指令室「」ドンガラガッシャーン!!
ジェロニモ「え?」
ナイチンゲール「……」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:28:02.82 ID:nZCc8mKv0<>
………………
エジソン「キミは! 本気で! 言っているのか!?」フーッ、フーッ
エレナ「え、エジソン、少し落ち着いて……」
バットマン「私はいつでも本気だ」
エジソン「そんな策が通るとでも……」
バットマン「だが、通してもらう。このままではいずれケルト兵の無限の物量に、こちらの生産力は追いつかなくなる。ならこうするしかない」
エジソン「もし万が一我々が負けた時、どうなるか分からんワケではあるまい! 破滅だ! 皆が死ぬ! それはアメリカの死だ!」ガオォッ
バットマン「なら失敗しなければ良い。このままこうして居ても、破滅は向こうからやってくるぞ。逃げてはならない。立ち向かわねば、エジソン」
エジソン「貴様は……!!」
ガララッ
ナイチンゲール「ブルース、どうしました」
ジェロニモ「どうした、エジソン!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:28:31.85 ID:nZCc8mKv0<>
バットマン「……いいや、何でもない」
エジソン「……」フーッ……フーッ……
ナイチンゲール「……何でもない、と?」
エジソン「……ああ、うむ。何でもない。すまない、取り乱した」フーッ……
ガラッ
キャットウーマン「どうしたの!?」
バットマン「……」
エレナ「なんでもないの、なんでも……大丈夫よ」
キャットウーマン「……なら良いけど」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:29:00.51 ID:nZCc8mKv0<>
エジソン「……ここまでにしよう、会議は。キミの策はあまりにも非現実的すぎる。この拠点は命なのだ」
バットマン「……お前の使命は理解している、エジソン。だが一度考えてみてくれ。失敗を産み出す方法はどちらなのか」コツ、コツ
扉「」ガララッ……
エジソン「……」
ジェロニモ「……どうしたと言うんだ」
エジソン「……少し、考えさせてほしい」
エレナ「……」
ナイチンゲール「……」
キャットウーマン「……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/20(木) 00:29:47.50 ID:nZCc8mKv0<>
………………
チュン!! チュンチュン!!
エリザベート「……んんぅ、おはよう……?」ムクリ
空の寝袋「」
エリザベート「……え?」バッ
手紙「」ハラリ……
エリザベート「……これ」パシ、ペラリ
エリザベート「……」
手紙『世話になったな
デッドショット』
エリザベート「……あの、馬鹿!」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/20(木) 00:30:16.02 ID:nZCc8mKv0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/20(木) 01:59:44.43 ID:Anw5OPaio<> 乙
やっぱエジソンは初見びっくりする系の鯖筆頭だよな… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/20(木) 11:22:39.41 ID:A2C5K76j0<> 乙!わくわくが止まらん <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/20(木) 16:10:26.28 ID:jw1VRidA0<> 乙乙!
フィンがかっこよくて嬉しい……フリーズとのコンビもいいね! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/20(木) 16:20:24.12 ID:MXsIBaW90<> アルジュナ、カルナから見たらペンギンの方が若造という特大のブーメランが
異父兄並に苦労してるという授かりの英雄アルジュナ…もうやだこのバトルジャンキー <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:01:39.93 ID:zR/7c36Y0<>
クーフーリン「……」
ケルト兵「王よ、完成しました」
クーフーリン「……ようやくか。見せてみろ」
ケルト兵「はっ、こちらに……」スッ
緑の槍「」
クーフーリン「……へえ」ニヤリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:02:09.91 ID:zR/7c36Y0<>
メイヴ「すごい、綺麗ね。私にも持たせて頂戴?」
クーフーリン「駄目だ。……下がっていい」
ケルト兵「はっ」ササッ
クーフーリン「……これでようやく、俺が最強か」
メイヴ「……大丈夫よ、クーちゃん。最初からアナタが最強の戦士なんだから」
クーフーリン「フン……」スクッ
メイヴ「何処へ行くの?」
クーフーリン「最後の心残りを消す」スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:03:08.62 ID:zR/7c36Y0<>
………………
緑の床「」ジリジリ……
緑の壁「」ジジジジ……
???「……ぐう、うぅ……」グッタリ
緑の扉「」ガチャリ
クーフーリン「……こいつは驚いた、まだ生きていたのか」
???「……う、う……」
クーフーリン「だがまあ、虫の息だな。もってあと三日ってところか。……このまま苦しんで死ぬのと、ひと思いに楽になるの。どっちが良い」
???「……」
クーフーリン「……楽になれるぜ、コイツを使えばな」
緑の槍「」ジジジ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:03:44.67 ID:zR/7c36Y0<>
???「……」ボソボソ
クーフーリン「……?」
???「……こど、もは……無事なのか……?」
クーフーリン「……ケッ、そうか。なら好きにしろ」
???「……」
クーフーリン「ひと思いに殺すのもやめだ。テメェは苦しませといてやる。余計なモンを抱え込んだまま、後悔にまみれて死ね」
???「……」
クーフーリン「……じゃあな」スタスタ、ガチャリ
緑の扉「」バタン
???「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:04:19.41 ID:zR/7c36Y0<>
………………
マシュ『……ここは?』
???『マシュ。マシュ・キリエライト』
マシュ『え? あなたは……』
???『聞こえるか、マシュ・キリエライト。盾を手に戦う、誇り高き騎士』
マシュ『あなたは、一体』
???『お前はこれまで、どのような敵にも立ち向かって来た。臆しはすれど、退く事もなく。その背に大切な者を護ると誓い』
マシュ『……』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:05:32.95 ID:zR/7c36Y0<>
???『……ゆえに、このような日が来ることは分かっていた。必ず、精神性だけで打ち勝てぬ敵というものはある』
マシュ『……デスストロークですか?』
???『それだけではない。お前の道には、未だ多くの強大な壁が待ち構える。ひとつ問いたい、マシュ・キリエライト』
マシュ『何でしょうか』
???『お前は、自分の命を犠牲にしてでも、人を護る事を選ぶか?』
マシュ『はい。私は、絶対に皆を守ります。マスターを』
???『……そうか』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:06:56.78 ID:zR/7c36Y0<>
???『ならば、私はこの力をお前に託そう。その命を燃やし、敵と戦うが良い』
マシュ『……』
???『……だが、心せよ、マシュ。人が戦う時、最も強い原動力となるのは────……』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:07:29.82 ID:zR/7c36Y0<>
チュン、チュンチュン……
マシュ「……」ムクリ
マシュ「……ここは?」キョロキョロ
扉「」コン、コン
ガララッ
ブルース「マシュ、起きて……いるな。おはよう」
マシュ「マスター。おはようございます」
ブルース「治ったか」
マシュ「はい、違和感はありません」
ブルース「ドクター、観測を」
ドクター『うん、大丈夫だ! 治ってるね!』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:08:02.77 ID:zR/7c36Y0<>
ブルース「宝具が不安定になった事だが」
マシュ「大丈夫です」
ブルース「……本当に?」
マシュ「はい。……あの……それとは別にひとつだけ、お尋ねしたい事が」
ブルース「何だ?」
マシュ「人が戦う最も強い原動力とは、何でしょうか?」
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:08:33.00 ID:zR/7c36Y0<>
ブルース「……それは、私にとっては、恐怖だ」
マシュ「マスターにとっては?」
ブルース「人によって違うだろう。それに私の戦う理由も変わりつつある」
マシュ「……」
ブルース「……それをうまく言語化は出来ないが」
マシュ「……答えて頂いて、ありがとうございました」
ブルース「ああ。……私も探しておく」
マシュ「私もです」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:09:02.14 ID:zR/7c36Y0<>
ブルース(こうして、スーツを着用する意味も。私にとっては、変わりつつあるかもしれないな)
ブルース「……」ガチャ、ガチャ。ガチリ
ブルース「……」ガキッ、ガシャリ。シュルッ
マスク「」
ブルース「……」スッ
バットマン「……行くぞマシュ、移動しながら状況と作戦を説明する」
マシュ「はい」スクッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:09:33.58 ID:zR/7c36Y0<>
………………
バットマン「南に行く戦力はこうだ」
ビリー「どうも」
ジェロニモ「やあ、よろしく頼むぞ」
ラーマ「うむ!」
シータ「よろしくお願いします!」フンス
マシュ「こ、こちらこそ!」ペコリ
ナイチンゲール「……ブルース、やはり私は北の主戦場へ行った方が」
バットマン「ナースはお前だけではない」
ナイチンゲール「……」ムスッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:10:03.31 ID:zR/7c36Y0<>
エジソン「対して、北の主戦場へ行くのは」
エレナ「まあ、こうなるわね」
キャットウーマン「よろしくお願いね?」
エレナ「うふふ、こちらこそ!」
エジソン「そしてロボット大軍団!」
ロボット達「「「……」」」ガシャン、ウィィィィ
エジソン「……ふむ」
バットマン「北には搦め手が得意なメンツを入れた。……判断は前情報でのみ行ったが」
バットマン(そして、確かめたい事もある。そのためのメンバー分けだ)
エジソン「ジェロニモ君はこちらに来ても良かったのでは?」
バットマン「砂での目くらましは接近戦に優位を与える。ロボットにはあまり好ましくない」
エジソン「ふむぅ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:10:40.33 ID:zR/7c36Y0<>
エジソン「……本当にやるのか、あれを」
バットマン「それはお前に任せる」
エジソン「……うむぅ……」
バットマン「……」
エジソン「……キミはこれが最善だと?」
バットマン「ああ。私が最善だと思い、それを伝えている。……私を信用できないのも分かるが、これが私の計算の結果だ。何度やり直しても揺らがないだろう」
エジソン「……」
バットマン「……『全ての事は不可能だ、誰かがやるまでは』」
エジソン「む……」
バットマン「私に賭けろ、エジソン。お前の疑いは、行動で打ち砕く」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:11:17.21 ID:zR/7c36Y0<>
エジソン「……ふむ。ふふ、ふふはははは……」
エジソン「成程、分かった。キミは大胆な男だ、ブルース。それほどの大言を、目の色一つ変えずに言ってのけるとは」
エジソン「乗った、キミに」
バットマン「そうか。……必ず成功させる、安心しろ」
エジソン「キミこそ安心したまえ。もし失敗した時は、私も共に地獄へ行くさ」
バットマン「そうか。では、地獄以外の何処かでまた会おう」
エジソン「ははは……はははははは!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:11:44.98 ID:zR/7c36Y0<>
キャットウーマン「寂しいわね、ここでお別れ?」
バットマン「ああ。そうなるな」
キャットウーマン「……もう、もうちょっと気の利いた台詞は出て来ないワケ?」
バットマン「……」
キャットウーマン「まあ良いわ、期待してなかったもの。生きてまた会いましょうね、ブルース」ヒラヒラ
バットマン「……ああ、さらばだ」
バットマン(……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:12:15.19 ID:zR/7c36Y0<>
マシュ「準備、できました!」
バットマン「よし。……南側人員、全員行けるか」
ビリー「オッケー!」
シータ「はいっ!」
ラーマ「うむ!」
ナイチンゲール「はい」
ジェロニモ「用意よし!」
マシュ「行けます!」
ロボット達「「「」」」ガシャ、ウィィィィィ……
バットマン「……行くぞ!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:12:47.56 ID:zR/7c36Y0<>
キャットウーマン「それじゃ、私達も行きましょうか」
エジソン「うむ! ……少し待ってくれ、地面の調子を確かめる……」
キャットウーマン「……地面の調子?」
エジソン「いやいや、こちらの話だ。……よしよし、ちゃんと地面をやっているな。では我々も行こう!」
キャットウーマン「???」
エレナ「あ、あはは。エジソンは時々変な事をするのよ……」
エジソン「全ロボット部隊、出撃!!」
ロボット達「「「」」」ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:13:17.71 ID:zR/7c36Y0<>
………………
デッドショット「……」タタッ、ザザァ
物陰「」
デッドショット「……」チラ
ケルト兵E「……」ザシ、ザシ、ザシ……
ケルト兵F「……」ザシ、ザシ、ザシ……
デッドショット「……」フゥ
デッドショット(勢い込んで敵の本拠地手前まで来たは良いが、まさか街ごとケルト兵に乗っ取られてるとはな。障害物が多いのが救いだが、これじゃ射線も通らん)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:13:46.31 ID:zR/7c36Y0<>
デッドショット(……)
デッドショット(……エリザベートは、幻滅しただろう。俺を追って来る事なんてないハズだ。まさか、俺が敵の本陣に突っ込んでるとも思わんだろうし)
デッドショット「……すまねえな、勝手に巻き込んで」
エリザベート「本当よ、巻き込むなら中途半端はやめてよね!」プンプン
デッドショット「はは、次に会ったらもっとマシな形で……うん?」
エリザベート「なによ」
デッドショット「……んんん?」
エリザベート「何」
デッドショット「……はあ、すまん。俺とした事が、お前が恋し過ぎて幻覚まで見るなんてな……」
エリザベート「ちょ、ちょちょ、何よ急に!? 告白!? あ、アタシそういうの慣れてないっていうかぁ!!」
デッドショット「……この馬鹿な反応、マジでお前か」
エリザベート「はああ!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:14:36.30 ID:zR/7c36Y0<>
デッドショット「……手紙残してあっただろ」
エリザベート「ああ、あれね! アンタ意外と字が綺麗なのね」
デッドショット「そうじゃねえ。普通アレを見たら『ああ、縁を切るつもりなんだな』って思って追って来ねえだろ。というかどうやって追っかけてきた?」
エリザベート「あの程度で縁切りなんてできるわけないでしょ。それにアンタ、匂いが濃いのよ。イヌじゃなくても追っかけられるわ」
デッドショット「匂い?」
エリザベート「加齢臭」
デッドショット「……嘘だろ」
エリザベート「ホントよ」
デッドショット「……」クンクン
エリザベート「……嘘だってば」
デッドショット「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:15:19.07 ID:zR/7c36Y0<>
デッドショット「……ここが何処か分かってんのか、敵の本陣ちょっと手前だぞ。地獄は目と鼻の先だ」
エリザベート「分かってるわよ、そのくらい。地獄でライブも楽しそうじゃない?」
デッドショット「……なんで追っかけてきたんだ、お前、放っといて適当なところで生きてりゃ良かっただろ。これは俺の自己満足だ。自己満足で死ぬんだぞ」
エリザベート「ならアタシだって自己満足よ。何処で死んでもアタシの自由でしょ」
デッドショット「そんなワケねえだろ、お前は……」ドクン
デッドショット(コイツは、何だ? 俺にとって、何なんだ?)
デッドショット(ああ、フロイド。駄目だ、お前は……お前は、よりによってコイツを)
デッドショット「……馬鹿野郎が」
エリザベート「フンだ」
デッドショット(コイツを、娘とダブらせるなんて)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:15:49.77 ID:zR/7c36Y0<>
………………
フィン「……ここ、です」
フリーズ「ここに? だが……」
フリーズ(ここは何も無い、岩場じゃないか)
フィン「ええ、傍目には何もないように見えるでしょうが……ここに魔術的な仕掛けが施されておりまして」
フリーズ「どうやってそれを知ったんだ?」
フィン「親指の知恵に導かれたのです」
フリーズ「親指……ああ、成程」
フィン「では、取り出すとしましょう」パパッ、ガシ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:16:18.86 ID:zR/7c36Y0<>
フィン「……!!」ガシィ、ググググ……
フリーズ「……!」
フリーズ(虚空から、棍棒が現れた……?)
フィン「ぐう……でりゃっ!」グィィッ
ダグザの棍棒「」スポンッ
フリーズ「お、おお……それが例の?」
フィン「ええ、これが多くの者が探し求める神器。ダグザの棍棒です」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:16:48.37 ID:zR/7c36Y0<>
フリーズ「……だが、随分あっさりと手に入れたな。手伝って欲しいと言われたからには、もう少し恐ろしいものを想像していたが……」
フィン「……いえ、これを手に入れるのは、恐ろしくありません。この先が……私にとっては、少し恐ろしい。まだ、付き合っていただけますか」
フリーズ「この先……?」
フィン「はい。どうか頼みます。私は、これをせねば……自分の過去の清算すら出来ない」プル……
フリーズ「……」
フリーズ(……)
フリーズ「……付き合うさ。さあ、次は何処へ行く」
フィン「ありがとうございます。……では、戻るとしましょう。あの廃屋へ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:17:29.80 ID:zR/7c36Y0<>
床「」ギシィ……ギシィ
老婆「げほっ、げほ……ごほっ……」
フリーズ「……」ガシャリ、ガシャリ……ピタッ
フィン「……」スタ……スタ、ピタッ
フリーズ「……フィン、その棍棒をどうするんだ?」
フィン「これは……これは、順手で振れば、一度に幾人もの屈強な戦士を打ち倒す神器です。ですが、これを逆手で振ると、死人が蘇ると言われている」
ダグザの棍棒「」ゴロ……
老婆「……ごほ、ごほっ……」ハァ、ハァ
フィン「ただいま、戻ったよ。グラーニア」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:18:10.66 ID:zR/7c36Y0<>
グラーニア……それはフィンの、二人目の妻の名だ。その意味を問おうと、フリーズは隣に目をやる。そして押し黙った。
彼はその時、フィンの身体の震えが止まっていた事に気付いた。その目にはさまざまな感情が去来している事が見て取れる。元フィオナ騎士団団長は、息を大きく吸い、ダグザの棍棒を逆手に握り……そして、振った。
暫くは何も起きなかった。老婆の咳き込む音だけが響くあばら家の中、不自然なほどの静けさが場を満たしていた。だが、やがて、人の握りこぶしほどの青白い光の球が、ゆらゆらと現れた。
それを見た老婆は、咳き込むのすら忘れ、目を見開いて呟いた。
「ああ、ディルムッド」
ディルムッド……確かに、彼女はそう言った。青白い光の球は嬉しそうに震え、彼女の手に触れる。彼女も確かに両手で触れ、そして、その身体から、同じような光の球が出て行った。
二つの光球は、しばらく踊るように、フリーズとフィンの目の前で回り続けた。出会えたことを歓喜するかの如く。だが、やがてそれらも消え、静寂と仄暗さが部屋に訪れた。
老婆はピクリとも動かない。死んでいた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:18:44.46 ID:zR/7c36Y0<>
フィン「……」
フリーズ「……あれは」
フィン「ふふ、妙な話です。これを振れば、死人を生き返らせることができると思っていたのに。どうやら、真っ赤な嘘だったらしい」
フリーズ「……」
フィン「ありがとうございました、ヴィクター殿。これで私の後悔はもはや無い。生きようと、死のうと、どうでも良い身になれた。この恩は忘れません」
フリーズ「……」
フィン「……少し、休ませてください。疲れてしまいました」スタスタ
フリーズ「……待て、フィン」
フィン「はい?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:19:17.18 ID:zR/7c36Y0<>
フリーズ「お前は、アレで良かったのか。あの方法で」
フィン「……良いのです。彼女が幸せで、因縁は清算された。これ以上の事があるでしょうか」
フリーズ「……」
フィン「失礼します。……世話に、なりましたな」スタスタ
フリーズ「…………」
フリーズ(……フィン、お前は……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:19:56.84 ID:zR/7c36Y0<>
………………
マシュ「たあっ!!」ズドシャァ!!
ケルト兵A’’「!!」ドッシャァァ
ジェロニモ「そらっ!」ドドッ
ケルト兵B’’「!?」グシャァ
ビリー「あーもう、ホントにロボットが役に立たないなあ!?」ドォン、ドォン
ケルト兵C’’「っ……」ドシャァ
ラーマ「これは、なかなかきついな! シータ、平気か!?」ズババァッ
シータ「大丈夫です! ラーマ様こそ、ご無事ですか!?」シュパパパッ
ラーマ「ふはは、シータが居るなら負けは無い!」ダダッ
ビリー「わー愛のパワーって凄いなぁ! このまま全部やっちゃって欲しいよ!」
ナイチンゲール「退きなさい!!!」ドドドドドドドドグシャシャシャシャシャシャ……
ケルト兵達「「「」」」ドグジャシャシャシャシャシャ……
ビリー「……あそこで真っ赤な竜巻みたいになってるのって誰だっけ」
バットマン「フンッ!! ……アレはフローレンスだ」ドドッ
ケルト兵H’’「っ!?」ドシャァ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:20:31.77 ID:zR/7c36Y0<>
ナイフ「「「」」」ヒュォォォォォンッ
ナイチンゲール「!!」パシパシパシィ!!
「快進撃も、ここまでだ」
バットマン「!! 全員戻れ、陣形を組め!」
マシュ「!!」バッ
ジェロニモ「はっ!」ダダッ
ビリー「っ」ダッ
ラーマ「シータ、後ろに!」ババッ
シータ「はいっ!!」サッ
ナイチンゲール「……貴方ですか」ジッ
デスストローク「よう、また会えたな」スタ、スタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/22(土) 23:21:25.46 ID:zR/7c36Y0<>
デスストローク「嬢ちゃん、あの回し蹴りは効いた。正直お前の事を嘗めていた。まさか数回打ち合っただけであそこまで成長するとはな」
マシュ「……」ジリッ
デスストローク「だがな、お前も学習したかもしれんが……俺も、学んだぞ。お前達一人一人がどういう動きをするか、どういう戦い方か、どういう人生を送って来たか……」カチャ、シュリィィィィイ……
バットマン「……」
デスストローク「俺は戦士だ。殺戮の徒だ。俺の人生には何も残らない。だからこそ、俺はもう迷わん」スッ
マシュ「……なら、私は貴方に負けません!」
デスストローク「試してやる、行くぞ!!」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/22(土) 23:22:48.89 ID:zR/7c36Y0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/23(日) 01:38:33.80 ID:H65lUk/ao<> 乙
やっぱり来てたか・・・ <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:20:50.17 ID:G22OK9G00<>
照り付ける太陽の光を、木々のとばりが細切れにする。落ちて行く明かりの下、地面に飛び散った血液が輝く。
マシュは天才だった。ブルース・ウェインから受けた教えをこの数か月の内に全て消化し、教えられた以上の戦果を出し、並の敵ならばもはや数秒で片付けてしまうほどの実力を身に付けていた。その非凡な学習能力は、デスストロークを相手にも牙を剥き、事実、彼女は彼を超えかけていた。
だがマシュは、追い詰められた戦士の恐ろしさを知らなかった。デスストローク……スレイド・ウィルソンは、自らの負けで腐るような三下ではなかった。魂を敗北というやすりにかけ、余計なものを削ぎ、精神を鍛え直し、経験を見つめ直し、再度立ち上がった。それはまごう事なき強敵。マシュは気付くべきであった。一度破った敵が再び目の前に立ち塞がるとは、どういう意味なのか。
「俺は戦士だ」
デスストロークはもう一度、確かめるように呟いた。その目の前、脇腹を深く斬り付けられたマシュが膝をつき、額から冷たい汗を、傷口からドクドクと血を流しながら倒れまいとこらえている……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:21:42.84 ID:G22OK9G00<>
ビリー「この前みたいにはいかないよね、流石に!!」ドォン!!
デスストローク「フン」ギャリィ
ビリー「……ねえ、本当に弾丸ってあんな感じで切れるもんなの?」カチャリ
バットマン「ナイチンゲール、ジェロニモ、マシュの回収を! ラーマ、デスストロークに攻撃を頼む! シータとビリーは奴を遠距離から牽制しろ! 全員、罠に注意するんだ!」
デスストローク「さて、総崩れまで秒読みだな」ダッ
バットマン「カバーする、ラーマ!」バッ
ラーマ「助かる!」ダダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:22:21.03 ID:G22OK9G00<>
デスストローク「ははっ、貴様、人間のくせに俺に立ち向かうのか!?」ギャリィ!!
ラーマ「でぇい! 今だブルース!」ギュギィ!!
バットマン「そこだ!」ブンッ
デスストローク「下らん!」ヒュババッ
バットマン「ぐおっ!?」ドシャァ
シータ「かばーします!!!」ヒュパパパパ
ビリー「早撃ちは得意だけど狙撃はね!!」ドォンドォン!!
デスストローク「遅いわ!」ガギギィ、ババッ
ラーマ「そこ!」ズバァッ
デスストローク「食らうか!」シュッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:22:48.60 ID:G22OK9G00<>
ジェロニモ「目くらましをする! 今のうちだ!」ズオォォォォォ……
ナイチンゲール「……大丈夫ですか」ズルズル、ドサッ
マシュ「ぐ……少し、油断しました」プルプル
ナイチンゲール「治療を開始します。動かないで。必ず救います」カチャカチャ
マシュ「……ありがとうございます」
バットマン「シータ、ビリー、足元だ! ヤツの足元を狙え!」ムクリ
デスストローク「ははは、それで俺をどうにか出来るとでも!?」
ラーマ「嘗めるなよ、学習するのはお前達だけではない!」ガシャリッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:23:17.47 ID:G22OK9G00<>
ラーマが斬り掛かる。デスストロークはいつも通り柔軟に回避しようとし……目を細め、動作を中途で止めた。ラーマの太刀筋が、進化している。以前までは軽く躱せていたその剣が、食らいつくかの如く致命的な軌道を描き直す……!!
バットマンも起き上がり、実に厄介な立ち位置から掌打を繰り出そうとしている。そのスピードは速くはない。だが、厄介極まりない攻撃範囲。このままこれを食らえば少なからず隙を生み、そこにラーマがトドメを持ち込んで来る……
さらに追い打ちをかけるかの如く、銃弾と矢がデスストロークの足元へ殺到する。これでは思った通りの柔軟な回避など不可能。ではどうするか? ここから最適な回避をするには? ……たやすい。
死の傭兵はつま先の足裏だけで地面を打ち、その力だけで数メートル跳躍した。そのままスピン回転、飛来する弾丸や矢を弾き返しながら、まずは蹴りを繰り出した。バットマンはそれを手甲で防御、衝撃の8割を受け流すも、残りの2割を受けて吹き飛んだ。
次に回転の勢いを利用した斬撃を、ラーマの首へ。ギリギリで反応したラーマは剣を縦に構え、それを受ける。そして威力に耐えきれず、吹き飛ばされる……
死神が、着地した。同時にバットマンが木に背を打ち付け、吐血してうつ伏せに倒れる。ラーマはケルト兵を数人巻き込みながら吹き飛び、地面に転がった。
近接戦闘組、全滅。デスストロークは仮面の奥で笑う。
「さあ、総崩れだ」
後は作業のみ、そう考えていた彼は直後、寒気を感じて反射的に防御姿勢を取った。その瞬間、赤いつむじ風じみた存在が飛び出し、拳を叩きつけた。
「こんにちは。あなたを治療します」
ミシミシと拳をめり込ませながら、ナースの冷たい挨拶が通る。ナイチンゲールだ。その瞳に浮かぶ相変わらずの狂熱に、デスストロークは苦笑いしながら一歩退く。
ナイチンゲールは極端なまでの前傾姿勢を取り、死の傭兵へ拳を押し付け続ける。デスストロークは一瞬の隙を突き、拳をいなして回転。そして跳躍。姿勢がブレた看護師のその首を、剣が刈り取る……その一瞬前に、矢と銃弾が飛来。デスストロークの腕に命中し、跳ねのけた。
「っ」
今度はデスストロークが怯む番だった。ナイチンゲールは大きく踏み込み、敵の首を掴んで地面に叩き付ける。揺れる地面。振動は木々に伝播し、森の上から枝葉が落ちる。
「ケルト兵! この戦線は俺に任せ、敵本拠地への進軍を再開しろ!」
少なくないダメージに身をよじりながら、デスストロークは吼えた。途端、ゲリラじみて潜伏していた多数のケルト兵は、サーヴァントたちを囲むのをやめ、エジソンの拠点目掛けて進軍を開始する。
当然、動けるエジソン勢力はこれを無視するわけにはいかない。ビリー、シータは一旦援護射撃を中止し、進み始めたケルト兵を倒し始める。だが数が多すぎる。進軍が、止まらない。
マシュが治癒しきるまで魔術的防護を張ろうと残っていたジェロニモも、この看過できない事態に動く。ケルト兵を切り、大地の精霊に力を借り、狼を呼んでケルトを倒す……だが、足りない。この物量。まるで南側には、最初から戦力が居ないと知っていたかのような、この物量……
「余所見か」
ナイチンゲールはおのれの胸を貫いた冷たい感触に驚き、身体を見下ろした。剣が貫通している。デスストロークは一瞬の隙を突き、彼女の急所を攻撃した。力が入らなくなる身体を支え切れず、彼女は倒れた。
デスストロークは立ち上がり、ナイチンゲールにトドメを刺そうと剣を振り上げた。だがその一瞬前に、爆発的な存在感が蘇ったのを感じ取り、目を上げた。
脇腹を包帯でくくったマシュが目を光らせ、歩いて来る。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:26:17.36 ID:G22OK9G00<>
「学習しました」
マシュはたった一言だけ言い放ち、重い音を立てて盾を放った。ビリー達がケルト兵と戦う音が遠くなり、二人の周囲の空間は断絶されたかの如く静まり返る。一対一。以前の焼き直しになるか? いや。デスストロークもまた、無限に学習する戦士。
「そうか。お前は強いからな」
デスストロークも剣を放り捨てた。アレは近距離戦闘では僅かに取り回しが悪い。素手で戦わねば、若干の有利を相手に与えてしまう。そして何より、マシュの前で素手で戦った事は『ない』。未だ学習されていない戦闘スタイルだ。慣れる隙も与えず、一気に圧し潰す。
風が通り抜け、葉がこすれて音を鳴らす。マシュとデスストロークは睨み合う。マシュが一歩、踏み出す。デスストロークも一歩、踏み出す。だが互いに飛び掛からない。この一歩は互いにフェイントじみた動作。カウンターを呼び、それにカウンターするための布石。だがどちらも慎重であり、そうやすやすと敵の思惑には乗らない。
さらに一歩、互いに踏み出す。互いに臆する色は瞳に無い。既に素手での攻撃範囲内。だが互いに手を出さず、相手の心を読もうと努める。さながら居合の瞬間、達人同士でどちらが速いかを極限まで計算するかの如く……一瞬を読み合う時間が続く。マシュの筋肉が動いた。デスストロークが霞んだ。
その瞬間を先んじたのは、やはりデスストロークだった。彼は余計なものを捨てており、ゆえに彼に迷いはなかった。マシュの拳に先んじて、傭兵の拳がその喉を打った。
彼女はよろめいた。勝機と見るや、彼は容赦なく飛び掛かる。拳を繰り出す。マシュは辛うじて防御。二段の蹴り上げ。マシュは辛うじて防御。ソバット。躱し切れず、頬に直撃。体勢を崩した彼女の頭部へ、更に蹴りが直撃。更に蹴りが直撃。更に蹴りが直撃。
耳鳴りが満たす思考の中、マシュは後退しながら必死に腕を上げようと試みた。デスストロークが力強く踏み込み、破滅的威力の正拳突きを彼女の鳩尾へと叩き込んだ。マシュは吐血し、心臓が止まった事を自覚した。
(嫌だ。まだ)
いかにも単純な思考で、だが強い力で、マシュは死に抗った。そしてその言葉を思い出した。
(((心せよ、マシュ。人が戦う時、最も強い原動力となるのは────……)))
マシュは命を燃やした。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:27:00.13 ID:G22OK9G00<>
デスストロークは戦いが終わったと確信していた。彼女は死体に変貌した。これで周囲の者を片付けられる。
まず彼が感じた違和感は、手首にあった。何かに掴まれている。そして次に、マシュの息遣いを感じた。死んで、いない? 何故? デスストロークには理解できない。それを余計なものと断じ、切り捨て、省みなくなってしまった戦士には、それを理解できない。
マシュは目を鋭く光らせ、歯を食い縛り、全身に力を籠め、死の傭兵に抗った。デスストロークは腕を引き戻そうとする。できない。マシュの力が、跳ね上がっている。
「学習、しました」
デスストロークは……スレイド・ウィルソンは、この瞬間、初めて戦慄した。自分は何かを見落としたのか? それは何だ? この力は何だ?
凄まじいパワーのパンチが、デスストロークの顔面を捉え、仮面を弾き飛ばした。右目を眼帯で覆った初老の男性の顔が露になる。その顔は殆ど呆然としていた。それは自分が負ける理由を、今になってもう一度探し始めたかのようでもあった。
マシュは情け容赦のない連続パンチをスレイドの顔面に叩き込み続ける。スレイドは何とか距離を離そうともがくが、マシュは彼の腕を放さず、至近距離に置き続ける。
「貴様!!」
スレイドのフックがマシュの脇腹に突き刺さる。一瞬の力のゆるみに乗じ、体をもぎ離すと、彼は落ちていた剣を拾い上げた。格闘戦すら学習されたのならば、近距離戦にこだわる道理など無し! 少し離した間合いから徹底的に潰すのみだ!
それは事実、見事なまでに冷静と呼べる切り替えだった。スレイドは勢いを盛り返し、マシュへと飛び掛かる。中距離からでも届く蹴りの連打だ!
獰猛な蹴りの嵐の中、マシュは防御姿勢を取り、決して崩さなかった。顔中血みどろになり、鎧の節々の肌から痛々しい内出血の痕が見える。だが彼女は耐え続ける。スレイドは敵の不屈を不可解に思う。とうに限界のハズだ。頭部へのダメージは深刻なまでに蓄積され、今にも気絶するほどだろう。だというのに、これは?
「これで、どうだ!」
スレイドは美しいまでに均整の取れた姿勢で、ムチのようにしなる蹴りをマシュの頭部へと叩き込んだ。強烈な音が鳴り響き、マシュの姿勢が揺れる。勝機! その瞬間を狙い、スレイドは剣をマシュの顔に振り抜いた。一瞬後、彼女の頭部は半分に両断され、湿った音を立てて地面に落ちた。
…………そうなるハズ、だった。スレイドは軌道上で止まった剣を訝しみ、視線をやった。彼女は歯で刃を噛み締め、止めていた。
「馬鹿な」
マシュは体を捻り、回し蹴りを繰り出した。その蹴りはスレイドの首を目掛け、猛烈に加速して行く。それはデスストロークの潰れた右目側からの一撃であり、完全に死角を、虚を突いた回し蹴りだった。それは以前と同じ敗因であり、遡ればあの時点で、彼はこの戦いに負ける事が決まっていたのかもしれない。
…………遡れば? デスストロークの脳に走馬燈じみて生前の出来事が去来する。遡れば、この右目が潰れていた事が敗因であり、遡れば、自分が傭兵を始めた事が敗因であり、遡れば……
「ああ」
スレイドは自らが振りまいてきた理不尽に押しつぶされるのを感じながら、その一撃を受け入れた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:27:50.86 ID:G22OK9G00<>
マシュ「はあっ、はあっ……!」ドサッ
ナイチンゲール「……ぐっ……」プルプル
バットマン「マシュ、フローレンス……!」ムクリ
ビリー「駄目だ、ケルト兵を止められなかった! 連中、僕たちの拠点に行っちゃったぞ!?」
バットマン「……このふたりを回復させねば」
ジェロニモ「退いてくれ、ブルース。少しなら回復させられる」
バットマン「フローレンスは頼んだ。マシュ、『令呪を以て命ずる』。回復しろ」
マシュ「ありがとう、ございます」ジュゥゥゥゥゥゥ……
ジェロニモ「……」ポウッ
ナイチンゲール「……」ジュジュゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:28:22.63 ID:G22OK9G00<>
バットマン「動けるか、マシュ。フローレンス」
マシュ「……はい、いけます。大丈夫です」
ナイチンゲール「……まだ少し難しいかと」
バットマン「フローレンスは私が背負う。全員、このまま敵の拠点へ向かうぞ」
ジェロニモ「ま、待て待て。我々の拠点へ向かったケルト兵はどうするんだ?」
バットマン「放っておけ。聖杯が最優先だ」
ジェロニモ「そうは言ってもだな、あそこには民間人も居るんだぞ!?」
バットマン「……少々の犠牲は仕方あるまい。それよりも早く聖杯を入手すれば良い話だ」
ジェロニモ「……!!」
マシュ「ま、マスター……!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:29:02.58 ID:G22OK9G00<>
ジェロニモ「……キミは本当にそれで良いと思っているのか?」
バットマン「何一つ、問題はない」
ジェロニモ「……」
マシュ「マスター、なんで……」
バットマン「全員行くぞ。聖杯を取り戻す」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2018/12/23(日) 22:29:49.65 ID:G22OK9G00<>
バットマン(……デスストロークが、南の森へ来た。何の情報もなく? それは考えられない)
バットマン(……)
バットマン(誰が信用できるか、しっかり考えなければな)
バットマン(我々の中に居る裏切り者の尻尾が、見えてきた頃だ)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2018/12/23(日) 22:30:20.04 ID:G22OK9G00<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/25(火) 14:28:03.11 ID:juxc0MtEO<> 乙!そろそろクライマックス? <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:23:16.72 ID:Elqc4oHU0<>
………………
ケルト兵達「「「」」」ドドドドドドド……!!
ロボット達「「「」」」ババババババババ
エジソン「フンッ!! ……思ったより敵の攻勢が緩いな。これならば行ける!」ドグシャァ
ケルト兵A「っ」グシャァ
エレナ「油断しないでエジソン、緩いと言ってもロボット達と互角以上の勢力よ。私達が頑張らないと支えきれないわ」ギュドドッ
ケルト兵B「!?」ドシャァ
エジソン「うむ、平気だ! 私は油断していないとも! ……ところで、猫の御婦人は何処へ?」
エレナ「え? セリーナ? ……あら、何処に行ったの?」
エジソン「……まさか、はぐれた?」
エレナ「まさか……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:24:18.42 ID:Elqc4oHU0<>
キャットウーマン「……」タタタタ
キャットウーマン「……」タタタタ……
キャットウーマン(……許される事ではない、わよね)
キャットウーマン(……でも、それでも)
キャットウーマン「愛してるわ、ブルース」タタタ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:24:48.73 ID:Elqc4oHU0<>
………………
メイヴ「……あの女からの連絡だと、やっぱり南側に本命が出て来たんだって。どうする、クーちゃん?」
クーフーリン「……フン、北を囮に使ったのか。イカれたヤツが居たもんだぜ……俺が潰しに出る」
メイヴ「そう来なくっちゃ。じゃあ私も出るわね!」
クーフーリン「来ても良いが、足手まといにはなるんじゃねえ。全員、槍の準備をしろ」
ケルト兵達「「「……」」」ガシャリ
クーフーリン「……殺戮の時間だ」スク……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:25:17.77 ID:Elqc4oHU0<>
………………
太陽「」ジリジリ……
エリザベート「……っ、奴が拠点から出て来るわよ」
デッドショット「よし、伏せろエリザベート。狙撃する」
エリザベート「本当にここから狙撃できるの? 遠いし、何より……射線が通ってないと思うけど」
デッドショット「射線を通す必要はない。跳弾角度の計算、弾速、威力と不意討ちが最高のパフォーマンスを発揮するのはこの屋上だ」カチャリ……
デッドショット(ここから撃つ。クーフーリンとかいうクソ野郎の頭に一発風穴を開いてやる……)
デッドショット(向こうからこちらは視認不可能。対してこちらは、町の中の各所に隠したミラーのおかげで全部見通せる……)
デッドショット(お前の墓場はここだぜ、クーフーリン。要人を殺したのは一度や二度じゃねえ。お前も、俺の呪われた功績に仲間入りさせてやる)
(((パパ)))
デッドショット(……黙れ、黙れ、今だけは! 俺だって黙っていられるか! 他人に理不尽を押し付けてきた事は知ってる! それでも、俺にだって意地がある……!!)カチャ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:25:48.18 ID:Elqc4oHU0<>
エリザベート「……ねえ」
デッドショット「何だ」
エリザベート「震えてるわよ、デッドショット」
デッドショット「……」
デッドショット(……)
デッドショット「……お前なら撃てる、そう言ってくれるか? 頼む」
エリザベート「……」
デッドショット「……」
エリザベート「……大丈夫よ、デッドショット。アンタなら撃てるわ」
デッドショット「……ありがとう。すまねえ」
デッドショット(……ごめんな)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:26:16.50 ID:Elqc4oHU0<>
小さなミラーに、ケルト兵達を引き連れて城から現れる大男が映った。右手に持った朱色の槍、左手に持った緑の槍。それは間違いなく、ケルト兵の王、クーフーリンであった。デッドショットは瞬間的に沸騰しかけた怒りを無理に鎮め、深呼吸してスコープを覗き込む。
スコープの中、拡大された狙撃ポイントは、民家の壁にかけられた仮面だ。あれが第一跳弾ポイント。クーフーリンが狙い通りのポイントに差し掛かった瞬間、撃つ。準備は完璧。あとは自分との戦いだ。
フロイドはトリガーに指を掛け、息を殺してその瞬間を待った。ひりつくような太陽が容赦なく照りつけ、彼の思考を陽炎に変えて立ち昇らせる。集中力を高める必要がある。彼は狙撃の瞬間、心を落ち着ける記憶に浸る。娘との、ひと時の記憶に。その瞬間、彼は真に狙撃手足りうる。だからこそ、その瞬間、彼は謝罪する。
(ごめんな)
指がトリガーを引く……その時、デッドショットの目は信じられぬものを捉える。小さなミラー越しにクーフーリンが振り向き、フロイドをまっすぐ見据え……にやりと、笑ったのだ。脳からの電気信号は止まらず、指がたたまれ、サイレンサー付きの銃口から弾丸が飛び出した。
仮面に銃弾が当たり、跳弾。家屋の壁に当たり、跳弾。弾丸が標的に到達する僅かの時間に、デッドショットは自分の敗北を悟った。奴はこちらの狙撃に勘付いていた。この一撃は、防がれる……
果たしてその通り、小さなミラーの中、人外じみた柔軟性で振り返ったクーフーリンは飛び来た銃弾を槍で弾いた。そのまま周囲のどよめきを置き去りに、槍を投げる体勢に入る。
(逃げねえと)
逃げて、何処へ? 一種の自殺願望じみた思考が、デッドショットの思考を鈍らせた。ここで死ねば楽になれる。地獄のような現実ともおさらばだ。このまま、アイツが投げた槍に、胸を貫かれてしまえば……
クーフーリンは槍を投げた。それは二者の間にあった建物を次々に突き破り、あっという間にデッドショットの目の前に飛来した。デッドショットは、フロイド・ロートンは、静かに目を瞑った。これで死ねる。娘を傷付けずに済む。
だがその瞬間はいつまで経ってもやって来なかった。デッドショットは頬に散った生温かい感触に、ゆっくりと瞼を開いた。
彼の目の前、小さな背中から朱色の槍が飛び出していた。ドラゴンのような尻尾が苦しげに動く。
「エリザベート?」
死の高揚から引き戻されたデッドショットは、ひきつる喉から声を絞り出した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:26:47.62 ID:Elqc4oHU0<>
か細い声に、エリザベートは振り返り、笑って返そうとした。代わりに口から血が溢れ、屋上を濡らす。
「エリザベート、お前、」
「なんて顔、してんのよ」
おのれを強いて笑みを浮かべ、エリザベートはさらに咳き込み、吐血する。生々しい血の色が屋上に広がって行く。デッドショットは真っ白になった頭で、とにかく行動を起こそうとした。
「掴まれ、逃げるぞ」
「ええ、ええ……逃げて、ゴホッ」
「馬鹿言うな、お前も逃げるんだ」
自分の声が何処か遠く聞こえるのを感じながら、エリザベートを抱え上げる。フロイドはこの白昼夢のような現実感のない光景に、必死になって追い付こうとしていた。
「大丈夫、大丈夫だ」
大丈夫ではない。
「絶対に助けるぞ」
コイツはもう、助からない。
「だから、生きるんだ。分かるな」
コイツは、死ぬ。
「情け、ないわよ、デッドショット」
「そうだな、そうだ……もっと軽口を叩け、お前が治った時に倍にして返してやる」
彼は走った。ケルト兵の追撃が途中に何人か来たが、反射的に撃ち殺し、走った。そうして、彼は極力背中のエリザベートから目を逸らした。彼女が致命傷を負った事実を受け入れられなかったのかもしれない。
デッドショットは街はずれの岩陰まで走り、ようやく止まった。その時、エリザベートの鼓動はもはや、殆ど感じ取れないほどに弱まっていた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:27:23.18 ID:Elqc4oHU0<>
デッドショット「……エリザベート、聞こえるか。エリザベート」
エリザベート「……聞こえてるわよ」
デッドショット「……なあ、逃げ切ったぞ。悪かったな、ヘマして。次は絶対成功させる」ギュッ
エリザベート「……本当、駄目ね。アンタは、アタシが居ないと……」シュウシュウ……
デッドショット「そうだな。その通りだ。なあ、お前は良くなるからな……」ギュゥ……
エリザベート「……」シュゥゥゥゥゥ……
デッドショット「待て、エリザベート、待て……待て、待ってくれ」スカ……
光の粒「」フワァ……
デッドショット「…………頼む……」ギリィ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:27:52.16 ID:Elqc4oHU0<>
………………
メイヴ「……どうする? 追撃、もっと出す?」
クーフーリン「フン、下らねえ。……だが危険だな。万が一あの狙撃手が戻って来て『アイツ』を解放でもしたら、俺達がこの世界を滅ぼすのはかなり難しくなる」
メイヴ「それじゃあ、どうする?」
クーフーリン「俺は戻って拠点を守る。テメェはあの女と合流して攻め込んで来る勢力を叩け」
メイヴ「分かった。気を付けてね、クーちゃん」
クーフーリン「何にだ?」
メイヴ「……ふふ、心配する必要ないわね。あのクーフーリンだもの」
クーフーリン「フン……」ザシザシ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:28:20.35 ID:Elqc4oHU0<>
クーフーリン(……余計だ。全部余計だ)
クーフーリン(余計なモンばっかりだ。壊さねえと、邪魔で見えやしねえ)
クーフーリン(壊して、終わらせりゃあ、見えて来る)
クーフーリン(俺が誰なのか)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:28:47.42 ID:Elqc4oHU0<>
………………
バットマン「……」ダダダダ……
マシュ「……」ダダダダダ
ビリー「……」タタタタ
ラーマ「……」タタタタ……チラッ
シータ「……」タタタタ……ハァ
ジェロニモ「……」ダダダ……
マシュ「……」ダダダダ……
マシュ(……不信感だ。皆今まで、マスターを信じてついてきたけど……ここで、信じられなくなってる)
ナイチンゲール「……ブルース」ユッサユッサ
バットマン「喋るな、フローレンス。回復に専念しろ」
ナイチンゲール「大事な話です」
バットマン「……」ピタリ
全員「「「……」」」ピタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:29:19.68 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「……なんだ」
ナイチンゲール「今まで私は、目的のためなら命を投げ出す事もいとわない覚悟でした。この世から怪我や病気で苦しむ人を無くせるなら、この命ひとつ、惜しくなどないと」
バットマン「……」
ナイチンゲール「ですが、今、この背に命を置き去りにして……私は悩んでいます。答えて下さい、ブルース。ある目的のために命を犠牲にする事は、果たして正しいのですか?」
バットマン「……」
ナイチンゲール「……」
ビリー「……」
ラーマ「……」
シータ「……」
ジェロニモ「……」
マシュ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:29:48.49 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「……正しくなどない。それは自己満足だ。残された者の気持ちを考えない、最悪の手だ」
マシュ「!!」
バットマン「私にはまだ、よく分からない。だが、いかに命を犠牲にする選択肢が容易で、そして確実であったとしても……それは、取るべき行動では決してない」
ジェロニモ「……」
バットマン「……人は、本当に死ぬからだ。それも簡単に」
マシュ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:30:16.73 ID:Elqc4oHU0<>
ビリー「……うん、やっぱり」
バットマン「何だ」
ビリー「キミについてきて良かった、って思うよ」
バットマン「……?」
ラーマ「ふふ、余の人を見る目に狂いはなかったという事だ」
シータ「不器用な方なんですね」クスクス
バットマン「何の話だ?」
ジェロニモ「まあ、なんだ。今の話を聞いて思ったが、お前ほどの男が無策で敵に本陣を明け渡すハズがない。何か策を施して来たんだろう?」
バットマン「……何故分かる」
ジェロニモ「キミは、ふふっ……なんというか、鈍い男だな」
バットマン「どういう事だ……?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:30:44.75 ID:Elqc4oHU0<>
マシュ「……」
マシュ(……やっぱり、マスターはマスターですね)クス
ナイチンゲール「……お答えいただき有難うございました。参考にします」
バットマン「何故今その質問を?」
ナイチンゲール「さあ、自分の胸に手を当てて考えてはいかがですか?」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:31:18.03 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「……時間が無いんだ。行くぞ」
マシュ「はいっ!!」
ビリー「うん!」
ラーマ「ああ!」
シータ「はい!」
ジェロニモ「おうとも!」
ナイチンゲール「よろしくお願いします」
バットマン(何故士気が高まった……?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:31:50.33 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「……見えたぞ、あれが」
マシュ「あれがケルト兵の本拠地の……町、ですか?」
ナイチンゲール「どうやら町単位で拠点にしているようですね」ヒョコ
ラーマ「うん? ……むむ、あれは、セリーナ?」ジッ
バットマン「……」
キャットウーマン「……来たのね」
メイヴ「ああ、ようやく来たの? 遅かったわね……それじゃ兵士たち、歓迎の準備をしなさい!」
ケルト兵達「「「!!」」」ザザザザザザ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:32:17.74 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「セリーナ」
キャットウーマン「こんにちは、ブルース。その顔、この展開は予想済みだったかしら?」
バットマン「我々の中に裏切り者が居る事は分かっていた。……キミだったようだな」
キャットウーマン「ふぅん、あんまり驚いてないのね」
バットマン「全員が裏切る予想は立てていた。その予想の内のひとつになっただけだ」
キャットウーマン「……相変わらずねえ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:32:46.46 ID:Elqc4oHU0<>
ケルト兵達「「「……」」」ザザザザザ……
マシュ「マスター、まずいです。囲まれました」ガシャリ
バットマン「……」
キャットウーマン「そう、私よ。南を少数精鋭で突破すると分かったから、ケルトにその情報を流したの。だから南にデスストロークを配置できたし、数の暴力で突破して本陣まで攻撃を及ばせる事もできた。……でも、スレイドは失敗したみたいね」
メイヴ「あら、それだけじゃないでしょ? ヴィランストリートが手薄になる時期まで知らせてくれて、ホントに助かっちゃったわ」
キャットウーマン「……」
バットマン「……」
キャットウーマン「……何か言ったら? バットマン」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:33:15.35 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「……分からないのは、セリーナ。キミが何故、ケルトの側についたのか、だ」
キャットウーマン「……」
バットマン「武力の差か? ……違う。キミはそんな考えで動く女ではない。ではキミを動かした理由は、何だ。キミの行動には、いつも何かしらの善意が、ひとかけらだけでも含まれる。たとえその善意が間違いであっても」
キャットウーマン「……はあ。本当に、何でもお見通しよね」
バットマン「……付き合いが長いからな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:33:42.36 ID:Elqc4oHU0<>
キャットウーマン「そうね、武力の差じゃないわ。でも、お宝目当てでもない。私がこっちについたのは、私の願いのため」
バットマン「願いだと?」
キャットウーマン「……小さな願いよ。くだらない、馬鹿らしいほどの」
バットマン「……」
キャットウーマン「……あなたの両親が殺された過去を、消したいの」
バットマン「……!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:34:09.21 ID:Elqc4oHU0<>
マシュ「なっ、それは……!」
キャットウーマン「自己満足? 私の我儘? そうでしょうね。分かってるわ、マシュ。でも」
キャットウーマン「……でも、惚れた男の、悲惨な幼少期を消して、幸せに過ごして欲しいなんて、そんなにおかしな願いかしら?」
マシュ「……っ」
キャットウーマン「……あなたになら分かるでしょう、マシュ? あなた、ブルースの事を心から慕ってる。『あの人』から聞いたでしょ? それとも見せられたかしら? ブルースの両親が殺されたのを」
マシュ「……」
キャットウーマン「……ねえ、こっちに来て。大丈夫、あなたのマスターは殺さないわ。今より幸せな記憶の中で、生き続けるだけ……」
バットマン「マシュ」
マシュ「っ」
バットマン「愛と哀れみを履き違えるな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:34:36.62 ID:Elqc4oHU0<>
キャットウーマン「……」
バットマン「セリーナ。私は確かに不幸だったかもしれない。両親を生き返らせて欲しいと願った事も、一度や二度ではない」
マシュ「……」
バットマン「……だが、私は今、この状況に感謝してすらいる。私はカルデアに来て、ドクターに、レオナルドに、所長に、職員達に、マシュに出会えた。その今を哀れむ事など、誰にも許さない」
マシュ「……マスター」
キャットウーマン「……そう」
バットマン「私は戦う事を知らない腑抜けではないぞ。……お前こそ、こちらへ戻って来い。セリーナ」
キャットウーマン「ムリよ。まだ諦めきれていないわ」
バットマン「なら、その願望ごとお前達を叩き潰す。行くぞ」
マシュ「はい!」
ビリー「よし!」
ラーマ「いくぞ!」
シータ「はいっ!」
ジェロニモ「ああ!」
ナイチンゲール「ブルース、降ります」
バットマン「まだ駄目だ」
ナイチンゲール「ブルース」
バットマン「駄目だ」
ナイチンゲール「……」グググググ……
バットマン「……駄目だ」ギギギギ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:35:09.76 ID:Elqc4oHU0<>
………………
デッドショット「……」
デッドショット(……いつまで座ってるつもりだ、馬鹿野郎。立て。エリザベートは死んだ。お前は生きるんだ)
デッドショット(怒り? 怒りはない。無力感だけがある。俺の自殺願望で人が死んだ。止める事もできなかった)
デッドショット(……生きる事への、最も強い原動力はなんだ? 人はどうしたら生きられる?)
デッドショット(俺の命は、何故まだ途絶えていない?)
デッドショット(俺は立てるのか?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:35:40.11 ID:Elqc4oHU0<>
デッドショット「……」スクッ
デッドショット(ああ、立てた。僥倖だ。なら次はもっと簡単だ。戦え)
デッドショット(怒りはない? ないだと? 大嘘だ。立てば、湧いて来る。足元がぐらつく溶岩になったみてえだ。怒りで全身が熱い。燃えるようだ)
デッドショット(自分への怒り? クソ喰らえ。今まで散々理不尽を押し付けて来て、今更殊勝に自分を省みようってのか。俺は悪党だ。デッドショットだ。フロイドじゃねえ)
デッドショット(クソッタレのケルト兵共め、目にもの見せてやる。お前らが奪ったエリザベートの命、取り戻すまで鬼になるぞ)
デッドショット「殺してやる」カチャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:36:09.26 ID:Elqc4oHU0<>
………………
マシュ「はあっ、はあ……!!」ガシャリ
ラーマ「くっ、なんという……!!」ギリィ
キャットウーマン「……もう無理、ね。逃げなさい、メイヴ」シュウシュウ……
メイヴ「あら、どうも。それじゃあ失礼するわね」タタッ
キャットウーマン「……」フッ
バットマン「待て! ビリー、逃がすな!」
ビリー「よーし、狙い撃ち……」カチャリ
ケルト兵B「!!」ババッ
ビリー「ってもう、邪魔だなぁ!」ドォン!!
バットマン「くっ……」ダダッ
キャットウーマン「行かせないわよ」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:36:38.58 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「……」スッ
キャットウーマン「結局、人なんて何処まで行っても『自分のため』よ。本物の愛がこの世にあると思ってる?」シュウシュウ……
バットマン「問答か。似合わないな、セリーナ」ジリッ
キャットウーマン「答えて、バットマン。貴方は本気でこの世界を救うの? どうしようもないほど不平等で、汚れきっていて、救いようのない世界なのに」シュウシュウ……
バットマン「救う。私の両親が愛した世界だ」
バットマン(そして、カルデアの皆が愛した世界だ)
キャットウーマン「貴方は頑固ね。意地でも自分を見ようとしない。本当に助けが必要なのは貴方よ、それに気づかないと……」
バットマン「……その通りだ」
キャットウーマン「……え?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:37:13.32 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「私には何も分からない。暗闇の中を手探りで進んでいるような感覚だよ、セリーナ。こんな事は、初めてだ」
キャットウーマン「……」
バットマン「……いつかまた、私の『家族』は死ぬのだろう」
キャットウーマン「なら……」
バットマン「だが、それでも、私はもう躊躇いはしない。私は怪物ではない、セリーナ。人間なんだ」
キャットウーマン「……」
バットマン「……必ず、世界を、救う」
キャットウーマン「……ふふっ」シュウシュウ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:37:41.73 ID:Elqc4oHU0<>
キャットウーマン「……なら、お行きなさいな。頑固なのは変わらないんだから」
バットマン「……」
キャットウーマン「……そこの女の子、マシュって言ったかしら?」シュウシュウ……
マシュ「え? は、はいっ!」
キャットウーマン「よろしく頼むわね」シュゥゥゥゥゥ……
マシュ「……はい!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:38:09.82 ID:Elqc4oHU0<>
………………
デッドショット「……」ダダダ……
デッドショット(? なんだ、あの集団は)
盾の少女「」シュバッシィィィ!!
赤い服の看護師「」ゴォォォォッ
赤髪の少年「」ズバァッ!!
赤髪で目がハートの少女「」シュババババ……
デッドショット「……」
デッドショット(笑ってくれ、エリザベート。お前が死んだショックで妙な幻覚が見え始めた)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:38:37.60 ID:Elqc4oHU0<>
バットマン「? あれは……」ピタッ
デッドショット「……」
バットマン「……フロイド?」
マシュ「すみませんマスター、今は戦っているので集中を!」
バットマン「あ、ああ、すまない……」バシィ!!
ケルト兵F「!?」ドシャァッ
バットマン(まさかマシュに集中を指摘されるとは……気が逸れた。疲れているのか? まさかな……)
デッドショット(ああ、バットマンの幻覚まで見えやがる。クソッ、俺はとことんショックを受けたらしいぜ、エリザベート……お前の声が恋しいよ)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:39:05.86 ID:Elqc4oHU0<>
デッドショット(けど、こんなところで止まってる時間はねえ。奴らの根城の裏口から突破して、クーフーリンを暗殺する。お前の無念晴らしてみせるぞ、エリザベート)
デッドショット(全部終わったら俺も自殺する。地獄に落ちる。……それで許してくれとは言わねえよ。けど、俺は満足だ)
デッドショット(まあ、自殺なんざするまでもなく、死ねそうだけどな……)タタッ
バットマン(……行ってしまった。まさか私は、連日荒野を歩き続けて、暑さで脳がやられたのか……?)
バットマン(ああ、駄目だ。自己不審に陥るのは良くない。だがまさか、デッドショットの幻覚とは……)
バットマン(……)
バットマン「マシュ、お前はそこに居るな?」
マシュ「え? は、はい……え?」
ナイチンゲール「治療ですか?」
バットマン「いや……うむ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/01/16(水) 01:39:44.21 ID:Elqc4oHU0<>
ラーマ「ブルース、ボケている場合ではないぞ! そろそろ敵の本拠地が近い!」ズバァッ
ケルト兵H「っ」ドグシャァ
シータ「そうです! しゃんとしないと駄目ですよ!!」
バットマン「あ、ああ……そうだな、その通りだ。全員陣形を組み直せ!」
ジェロニモ「ブルース、敵陣の中には三騎のサーヴァントを感知したぞ! 恐らく敵の幹部級だ!」
ドクター『おまけに聖杯反応! 大詰めだ、気張ってくれ!』
バットマン「よし……では、」
ナイチンゲール「行きましょう」スタスタ
バットマン「待て、息をそろえて……」
………………
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/01/16(水) 01:40:17.67 ID:Elqc4oHU0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。あけましておめでとうございます。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/17(木) 01:28:58.44 ID:5FgaZb8G0<> 乙。
バットマンが人間に戻っていくのが、妙に不穏なフラグに見えてしまうのは何故なのだろうか。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/17(木) 15:22:15.20 ID:BTy6tK6A0<> あけおめ乙!
デッドショットとエリちゃんの雰囲気好きだなぁ…… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/21(月) 01:01:27.74 ID:StVkCVbco<> 良かった…家でひとりで夕食をレンジでチンするブルースさまはもういないんだね… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/25(金) 01:56:09.40 ID:prKtt5iio<> 乙
一応聞くけどキャットウーマン戦はスキップでいいのよね?
何度か戦闘無しで消滅シーンのみかと思ったら投稿忘れてた云々があるから判断に困る <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/20(水) 18:05:51.51 ID:A+yvLRSPo<> やっとおいついた…とてもおもしろい
ズーインアーとか出たりするかな? <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/04/25(木) 02:08:58.72 ID:YcegZolL0<>
目覚めた時、俺は既に「王」として決定づけられていた。朱色の槍を与えられ、歪んだ意志を授けられ、そして「クー・フーリン」としてある事を求められた。
世界は歪んでいた。俺の持つ力も歪んでいた。だが何より歪んでいたのは、常に俺の隣に居る女だった。
「クーちゃんは王になるの。貴方はこの世界に突き立つ一本の槍になる」
奴はそう言っていた。彼女が聖杯にそう願い、俺は創られた。
人の願いだ。そこには不純物が混じる。奴は俺を「王」として召喚したが、そこに邪悪さを、そして愛をつけ足してしまった。おかげで俺は兵器足りえず、余計な思考を持ってしまった。
勝手な女だ。そう思った。だが、俺はそれ以上を考える事は無い。何故なら俺は王であり、常に奴の隣に存在する邪悪であり、……そして、それだけだからだ。
……だが、俺の意志から遠い場所で、誰かが常に叫んでいた。俺は誰なのか、と。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/04/25(木) 02:09:25.79 ID:YcegZolL0<>
………………
ラーマ「それで、どうする。まさか真正面から突っ込むのか?」
マシュ「マスター、どうしましょう」
ナイチンゲール「なぜここで立ち止まるのです?」グググ……
バットマン「当然、作戦はある。ナイチンゲール、お前は止まれ」グググ……
ビリー「力すごく強いんだけど……!」グググ……ズリズリ……
シータ「ナイチンゲール様、どうか……!」グググ……
ナイチンゲール「……」グググ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:09:51.82 ID:YcegZolL0<>
…………
バットマン「……つまり、裏口や奇をてらった突入はしない。堂々と、真正面から突っ込む」
ビリー「キミ、暑さで正気失った? 敵の本拠地に、真正面から突っ込むだって?」
バットマン「私は極めて正気だ。まず、敵は私達の奇策を一度目の当たりにしている」
ジェロニモ「北の主戦場を避け、少数精鋭で南を通り抜けた事か?」
バットマン「そうだ。奴らは恐らく警戒している。私達は奇策を使い、裏口や、その他の予想だにしない場所から攻めて来るだろう、と。
だからこそ、予想の中心を攻める」
マシュ「灯台もと暗しという奴ですね!」
バットマン「その通りだ」
ラーマ「……むむ、少し待て。今の流れで思い出したが、我々の拠点は今頃どうなっているのだ?」
バットマン「それは……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:10:18.44 ID:YcegZolL0<>
………………
ケルト兵達「「「」」」ザン、ザン、ザン……
エジソンの拠点「」シィィ……ン
ケルト兵A「内部を徹底的に調べろ」スタスタ
ケルト兵達「「「ハッ」」」ザン、ザン、ザン
ケルト兵A「もしもし、こちら南部本隊。エジソンの拠点に到着しましたが、人の気配がありません……」スタスタ
廊下「」……ッ、ピッ……
ケルト兵A「……? いえ、少々お待ちを。何か、物音が……」
廊下「」……ピッ、ピッ、ピッ
ケルト兵A「何でしょうか……赤い発光体じみたものが……」
爆弾「「「」」」ピッ、ピッ、ピピピピピピ……
チュドドドドドドドドォォォォォ!!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:10:46.43 ID:YcegZolL0<>
………………
エジソン「フンッ!」シュドッ!!
エレナ「無茶しないでエジソン! ……ブルース達からなかなか連絡が来ないのが気がかりね、今頃南側はどうなって……」
チュドォォォォォ……
エレナ「……ああ……」
エジソン「む……罠が発動したか」
エレナ「拠点を囮にしたの? 驚いたわ。よく同意したわね」
エジソン「私とて本意ではなかったが、ここで一気に勝負を付けるためには致し方なし! 責任は全て私が背負おう!!」
エレナ「なら、私達もここが正念場ってわけね!」
エジソン「勿論だとも!! ……キミ達に賭けたぞ、ブルース!!」ガオオッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:11:12.21 ID:YcegZolL0<>
チュドォォォォ……
バットマン「……罠が発動した」
爆煙「」モク……
ジェロニモ「なんという破滅的な策に出たものだ……一つ訊くが、拠点で働いていた民衆は無事なのか?」
バットマン「全員事前に脱出させた。ある種賭けだったが、うまく行ったようだ」
マシュ「突入タイミング、今が最高と思われます」
ナイチンゲール「……」グググ……
シータ「うううう……」グググ……
ラーマ「……落ち着け……!」グググ……
バットマン「シータ、ラーマ、離してやれ。突入するぞ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:11:38.80 ID:YcegZolL0<>
………………
デッドショット「クッ……」ダダダ!! ダダダダダダダッ!!
ケルト兵達「「「」」」ザン、ザン、ザン
デッドショット「チクショウめ、撃っても撃っても湧いてきやがる! 一人特攻は無謀だったか!?」ガシャリ
デッドショット(どうなってやがる、わざわざ手の薄そうな裏口から入って来たのに……むしろ正面より警備が厳重だぞ)
デッドショット「舐めるなよ、雑魚が何匹群がっても的が増えただけだ!」ダダダダダダダ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:12:05.64 ID:YcegZolL0<>
………………
バットマン「マシュ!」
マシュ「はいっ!!」ブォンッ
ケルト兵D「!?」ゴッシャァ
ビリー「よっと!」タァン、タァン!!
ケルト兵E「っ……」ドシャァ
バットマン「全員隊列を崩すな! このまま廊下を突き進み、玉座に突入を……」
ラーマ「!! 止まれブルース!!」ガシッ
バットマン「!?」
ムチ「」ヒュパンッ!!
ラーマ「ぐっ……」グラ……
バットマン「ラーマ!?」
「……ふーん、やっぱりここまで来ちゃうんだ。面倒な奴らね」
バットマン「お前は……」
メイヴ「まさかデスストロークをあっさり退けるなんてね。アイツも所詮そこまでの奴だったって事かしら」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:12:32.01 ID:YcegZolL0<>
マシュ「敵の女王です! メイヴ!」
バットマン「女王メイヴ。お前は終生クー・フーリンとは相容れず、敵同士だったハズだ。何故お前達が行動を共にしている」
メイヴ「あ、そういう無粋な事訊いちゃうの? セリーナが惚れてるっていうから、どんな男かと思ってたら……こんなつまらない奴だったなんてね」
ビリー「あはは、質問に対する答えになってないなぁ」カチャリ
メイヴ「ふふ、目の前にある事象を事実として受け入れるのよ。いちいち『これはこうだ』『あれはああだ』なんて、理解してたらつまらないでしょ?」
バットマン「……」
ラーマ「ブルース、どうするのだ」
バットマン「構えろ。奴を叩き潰す」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:12:58.32 ID:YcegZolL0<>
メイヴ「叩き潰すですって? 生憎だけど、潰されるのはアナタ達の方よ。ノコノコ敵の本陣まで踏み入っちゃって、蟻より軽い命になっちゃったわね」
ナイチンゲール「命の重みは平等です」
メイヴ「ああもう、初めて会った時からアナタの事が嫌いだったわ。邪魔よ。戦争の邪魔なのよ。全部奪って私のモノにするハズだったのに、アナタ達は本当に……!」
ケルト兵達「「「」」」ザザザザ……
ジェロニモ「……ブルース、囲まれたぞ」
バットマン「全員、背中合わせだ。マシュ、ラーマ、シータ、ナイチンゲール。お前達はメイヴを。ジェロニモ、ビリー、ケルト兵をやるぞ」
ビリー「りょうかいっと」
マシュ「はい!」
ラーマ「任せろ!」
メイヴ「今度は抵抗なんてさせないわ。王の元になんて行かせない。私の戦争にケチはつけさせない。奪って、殺して、愛すのは私。命は私が愛でるのよ」
ナイチンゲール「命は救うものです」ジリッ
メイヴ「ほざいていればいいわ!!」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:13:24.75 ID:YcegZolL0<>
………………
デッドショット「はあ、はあ……」
死体「「「」」」ゴロ……
デッドショット「ふう……」
デッドショット(あらかた片付けたか。しかし戦ってるうちに、随分奥の方まで来ちまったな……)
緑の扉「」ジリジリ……
デッドショット(……おいおい、あれは何だ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:13:51.18 ID:YcegZolL0<>
緑の扉「」ギゴゴ……
緑の天井「」ジリジリ……
緑の壁「」ジリジリ……
緑の床「」ジリジリ……
デッドショット(なんてこった、緑一色の部屋だ……こんなところ、一日だって居たら気が触れちまう)
???「……」グッタリ
デッドショット(……誰か倒れてやがる)
デッドショット「おい、アンタ。大丈夫か」ガシッ
謎の男「……」ゴロリ
デッドショット(胸にSのマーク……? 青いコスチュームじみた服、赤いケープのマント……おい、おいおい、おい)
デッドショット「アンタ、まさか……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:14:33.76 ID:YcegZolL0<>
………………
マシュ「たああっ!!」ヒュゴッ
メイヴ「くっ……!!」ズシャァァ
ナイチンゲール「そこ!」シュバッ
メイヴ「遅いわよ!」ガギィィィィ!!
バットマン「フンッ! ビリー!」ガッシィ!
ケルト兵W「!?」ジタバタ
ビリー「オッケー!」バァン!!
ケルト兵W「っ」ドシャァ
ジェロニモ「ブルース!」ブンッ
バットマン「よし!」ガシッ、ドゴォ!!
ケルト兵X「!?」ドッサァァァン
バットマン「ビリー、ジェロニモ、このラインを死守するぞ! メイヴのところに増援を辿り着かせるな!」
ビリー「了解!」
ジェロニモ「任せろ!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:15:40.51 ID:YcegZolL0<>
ラーマ「シータ!」ヒュンッ
シータ「はい!」シュパパッ
矢「「「」」」ヒュォォォォッ
メイヴ「うっ……!」ドシュゥッ
マシュ「そこ!」ダンッ、シュバッ
メイヴ「この……!」ズササァ、タタッ
ナイチンゲール「甘い!」ヒュババッ
メイヴ「うっ、とうしい!!」ガシィ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:16:08.31 ID:YcegZolL0<>
ナイチンゲール「……!!!」ググググ……
メイヴ「……本当に邪魔ね、アンタ……!」ググググ……
ナイチンゲール「貴女の行為は既に無益なモノになっています。投降しなさい」ググググ……
メイヴ「お断りよ。戦争は終わらない。終わらせない」
ナイチンゲール「もはや取る国すら失ったというのに、貴女の戦争にいかほどの意味があるのですか。死者と痛みばかり生み出す地獄に何の価値があるのですか」ギリィ
メイヴ「国が無くなったのなら、次は世界よ。跪かせて、私に服従させる。従わせてみせるわ」ググ……
ナイチンゲール「貴女は破綻しています。根底が病んでいる。世界を消してまで、自分が愛されているという確証が欲しいのですか!」
メイヴ「人は愛を求める生き物よ。私は世界を愛してる。だから奪うのよ!!」
ナイチンゲール「ならば、私は貴女を治療しましょう……! たとえ貴女を殺してでも!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:16:36.14 ID:YcegZolL0<>
マシュ「やあっ!!」ブォンッ
メイヴ「あぐっ……!」ゴッ、ズシャシャァ
ラーマ「そこだ!」シュバッ
メイヴ「ちっ、この」バッ
シータ「とどめ!」シュバッ
矢「「「」」」ヒュオォォッ
メイヴ「しまっ……」ドシュシュッ
ナイチンゲール(心臓を矢が貫通。死は免れず……)
メイヴ「か、はっ」ビチャッ
ナイチンゲール(……いや)
ナイチンゲール「マシュ! 避けなさい!」
マシュ「!!」バッ
ムチ「」ヒュパンッ!!
メイヴ「こ、の……!!」ギリィ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:17:04.01 ID:YcegZolL0<>
ナイチンゲール「心臓部へのダメージは壊滅的なハズです。動けば苦しみが長引きますよ」ジリッ
メイヴ「諦めて、死ねっていうの? ありえない。ありえないわ。クーちゃんを残して、死ねない」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「貴女の苦しさは分かります。その症例は何度も診て来ました。地獄のような痛みと苦しみのハズです」
メイヴ「だから……だから、どうしたってのよ!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:17:42.86 ID:YcegZolL0<>
メイヴ「こんな痛み! 世界に焦がれる、あの人に焦がれる痛みに比べれば小さいものよ!」ザシィ
メイヴ「いつだってそう! 何処までだってそうだった! 『持てるモノに満足しなさい、人を羨むのはやめなさい!』 下らない教えのせいで、世界は色あせていた!!」
メイヴ「私は違う! 私は手に入れる! 想い人を、世界を! 後悔なんてするもんですか! 進んだ果てが破滅でも、たとえ他に正しい道があっても! 私の王道を邪魔するのは、許さない!!」
マシュ「っ……!」
メイヴ「ひれ伏しなさい! コノートの女王の前に!!」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:18:11.38 ID:YcegZolL0<>
マシュ「くっ、」
ラーマ「危ない!」バッ、ガギィィィ!!
シータ「なんて生命力……!」シュパパ
矢「「「」」」ヒュオッ
メイヴ「ぐっ……」ドシュシュシュ……
シータ「とうに致命傷のハズ!」
ラーマ「油断するな、シータ!」ギリギリギリ……!!
メイヴ「邪魔……邪魔よ! 邪魔、邪魔、邪魔なのよ!!」ギリギリギリ……バッ、ギャギャァン!!
ラーマ「うおっ!?」ズシャァッ!!
マシュ「なんて執念……! これはまるで、バーサーカーか、アヴェンジャーじみて……霊基が、変質している……!?」ジリッ
ナイチンゲール「……」ジッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:18:39.28 ID:YcegZolL0<>
ナイチンゲール「……成程。献身こそ全てと思っていた私には、理解のできない話ではありますが……それでも、納得はできます」
メイヴ「邪魔! 邪魔! 全部よ! 全部が!!」ダッ、ブンッ
ナイチンゲール「貴女はやはり病気です。必ず救います」ガシィ!!
メイヴ「ああああああああああ!!」ギチギチギチ
ナイチンゲール「苦しいものだったでしょう。形は違えど、貴女も決して叶わぬ愛を追った身」
メイヴ「黙れ! 黙れ!! 知ったような口を利くな!!」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「人は満たされれば、必ず乾きを知ります。私が治療した兵士たちの多くは、また前線に赴き、死んで行った。救えない命の多さは、届かない希望の辛さは、よく分かります」
メイヴ「私は……!」
ナイチンゲール「だからこそ、貴女を救ってみせる。女王メイヴ。地獄はもう作らせない。それが私です」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:19:06.99 ID:YcegZolL0<>
マシュ「たあっ!!」シュンッ
メイヴ「!!」ゴシャァ、ゴロゴロッ
ナイチンゲール「フンッ!!」ガシッ、グイッ
メイヴ「ぐうっ」ブラァ……
ナイチンゲール「……終わりです!!!」ドゴッシャァァァァァ!!
メイヴ「っぐは……」グシャァァ
バットマン「……!!」
ケルト兵達「「「!」」」ヨロッ
ビリー「終わった!?」
ジェロニモ「そのようだ!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:19:42.99 ID:YcegZolL0<>
メイヴ「なんで……これで、終わり……?」
ナイチンゲール「終わりです。貴女の夢も、ここで潰えた」パッ
メイヴ「……あぁ、終わっちゃったんだ……」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「……人は必ず、叶わない夢を見ます。貴女のこれは夢だった。ですが、貴女は夢に命を懸けた。敬意を表します」
メイヴ「……ふふ、あぁ、終わっちゃったんだ……ごめんね、クーちゃん……」シュウウゥゥゥゥ……
ナイチンゲール「さよなら、女王メイヴ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:20:26.57 ID:YcegZolL0<>
マシュ「戦闘、終了。……ケルト兵達も、消えて行く……?」
ケルト兵達「「「」」」シュウゥゥゥゥゥ……
バットマン「終わったか」
ラーマ「ああ、恐ろしい相手だった」ハァ、ハァ……
ナイチンゲール「ええ。後は玉座の間に居る『王』だけですね」
ジェロニモ「しかし、何故ケルト兵達も連動して消えるんだ?」
バットマン「ドクター、何か仮説は?」
ドクター『えっと、多分だけど、そのケルト兵達自体がメイヴの存在に引っ張られて召喚された……とか? だから、消える時は連動して消えるって感じ……かなあ?』
バットマン「成程」
シータ「という事は、北の戦線に居るケルト兵達も?」
バットマン「どうだろうな。聖杯から生じたケルト兵と、メイヴに付属するケルト兵では性質が違うかもしれない。何にせよ、早急な決着が望まれる」
マシュ「行きましょう! 玉座の間は目と鼻の先です!」
バットマン「ああ。全員、気を引き締めろ。大詰めだ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:20:55.25 ID:YcegZolL0<>
………………
???「……」ピクッ
???「……」ノソリ、スクッ
扉「」ギギギギギ……
バットマン「……ラーマ、マシュ、先頭を。ビリー、シータ、ジェロニモ、ナイチンゲール。後方支援を徹底しろ」
マシュ「はい。……暗いですね」ジリ、ジリ
ラーマ「……注意しろ、皆。前方に何か居る」
松明「」ボッ
バットマン「!!」
松明「「「」」」ボボボボボ……
「……お前らが此処に居るって事は、メイヴはやられたか」スタ、スタ
バットマン「……お前は」
クー・フーリン「フン。アイツが引き際を見誤るとはな」スタ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:21:22.55 ID:YcegZolL0<>
クー・フーリン「……ったく、勝手に俺を王に祭り上げといて、挙句に勝手に死んだか」
ナイチンゲール「誇り高い最期でした。夢に殉じた、女傑と呼ぶにふさわしい執念だった」
クー・フーリン「どう呼ぼうがテメェらの勝手だ。だが、そうか……アイツはそこまで熱中して消えて行ったんだな」
ナイチンゲール「……」
クー・フーリン「……フン、俺も所詮奴に喚ばれた存在だ。どうせもう、長くはもたねえ。願いの大元が消えた以上、王である意味も無くなったしな」シュウシュウシュウ……
バットマン「ならば、大人しく聖杯を渡せ。クー・フーリン」
クー・フーリン「うるせえぞ。テメェら、誰に喧嘩を売ったのか忘れてねえだろうな」ガシャリ
マシュ「!!」ガシャッ
クー・フーリン「俺はアルスターのクー・フーリン。クランの猟犬。何より鋭い一本の槍だ。たとえ王でなくなっても、俺は戦士だ。戦いの果てに何も残らねえとしても、俺はお前達を叩き潰す」
ラーマ「……ブルース!」
バットマン「全員構えろ! 奴から目を離すな! ビリー!! 牽制だ! マシュ! 突撃を!」
ビリー「了解!」タァン!!
マシュ「はい!!」ダダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:21:56.86 ID:YcegZolL0<>
クー・フーリン最大の武器はその「投擲術」である。槍を投げ、敵の心臓を貫き、然して殺す。百発百中の殺技であり、当然バットマンはこれを警戒した。ゆえに、牽制としてビリーに先手を打たせ、マシュの近接格闘戦に持ち込もうとした。
だが、クー・フーリンはこれを無視した。他の全てを無視し、うずくまるように屈み込み、地面に両手をついた。それはまるで、エモノに飛び掛かる直前の肉食獣じみていた。
自らの経験に無い敵の動きに、マシュは思わず立ち止まる。狙いを外した弾丸が壁に当たり、火花を散らす。一瞬の静寂。ブルースでさえ、敵の次の動きを予測しかねた。
まず聞こえたのは、くぐもった、不快な音であった。バットマンは気付く。それは、肉と骨が軋む音である。マシュは見る。クー・フーリンの背中から真っ赤な棘が生え、骨格が歪み、筋肉が醜く膨れるその様を。
「……」
その怪物は、巨躯を有していた。顎は頭ほど肥大化し、片目は顔に埋もれ、反対の目は大きく突出していた。突出した目の中には七つの瞳が現れ、全身は赤黒く染まり……
彼の者は、蒸気じみた息を大きく吐きながら、その顔を上げた。あまりの殺気に、空気がビリビリと震えた。ラーマは思わず息を飲み、シータは震える手で弓を握り締めた。
怪物が消えた。マシュは反射的に盾を持ち上げた。そして、殆ど不可視じみたスピードの一撃を受け止めた。
火花が大きく散り、甲高い音が鳴る。マシュはたった一撃で弾き飛ばされ、吹き飛ばされて壁にめり込む。怪物は歪んだ笑みを浮かべる。
皆の心に絶望が生じかけたその時、怪物へと進んでいく赤い存在があった。彼女は、一人の看護師は、重圧をものともせず、怒りにも似た執念と共に突き進んで行く。
その姿に、皆が鼓舞された。ジェロニモが戦士を称える古い詩を叫び、ビリーが弾丸を込め直し、ラーマが剣を構え、シータはラーマと並び立ち、マシュは瓦礫をふるい落とし、戦闘が始まった。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:22:25.37 ID:YcegZolL0<>
………………
廊下「」ゴゴゴォ、パラパラ……
???「……っ」ビクリ、ガバッ
デッドショット「ようやくお目覚めか。世話が焼けるぜ、正義の味方サンよ」
???「ここは……キミは? 僕は、確か……子供達を助けようと……」フラ……
デッドショット「アンタは奴らに負けて、クリプトナイトで出来た部屋に閉じ込められてたんだ。覚えてるか?」
???「……クリプトナイト……そうだ。キミが助けてくれたのか? 確か、名前は……フロイド・ロートン」
デッドショット「……いちいち小悪党の名前を覚えてるんじゃねえってんだよ。スーパーマン様ともあろうものが」
スーパーマン「……ありがとう。これでまた、戦える」ヨロ、ヨロ
デッドショット「何? 馬鹿言うな、さっきまで死にかけだったんだぞ。休んで行かねえと」
ゴゴォ、パラパラ……
デッドショット「……畜生、なんだってんだ。さっきから城が揺れっぱなしだ」
スーパーマン「行かなければ。奴らは危険だ、僕が止めるしかない」
デッドショット「無理するな。誰かは知らねえが、この城じゃ俺達以外にも戦ってる奴が居るらしい。休む時間くらいはある」
スーパーマン「……しかし、僕は……」
デッドショット「今のお前じゃ足手まといだ。……俺が代わりに行く。動くんじゃねえぞ」タタッ
スーパーマン「なっ、待て……」フラリ、ドサァッ
デッドショット「そのまま寝てろ! お前の出番は無えさ!」タッタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:22:58.31 ID:YcegZolL0<>
………………
マシュ「たあああっ!!」ヒュンッ
クー・フーリン「ガアアァッ!!」ガギィィィ、シュババッ
マシュ「くっ、ダメです! 敵のスピードが速い!」ズバァ、ドシャシャ
ナイチンゲール「下がりなさい! 貴女のダメージは深刻です!」ダッ
マシュ「フローレンスさんこそ!」ムクリ
ジェロニモ「精霊たちが怯えている……! 何て強大な敵だ!」
ビリー「ああもう、的の動きが速すぎる……!」
シータ「あれではまるで、魔王(ラーヴァナ)……」
ラーマ「マシュ! フローレンス! 数の利点を活かすのだ! 囲い込むぞ!」ダダッ
マシュ「はい!」タッ
ナイチンゲール「分かりました!」ザザァ
バットマン「駄目だ! 屈め、ラーマ!」
ラーマ「何っ!?」
クー・フーリン「ゴガァァァァ!!」ブォンッ
ラーマ「っぐわ……!?」グサァ、ブシャァァァ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:23:40.17 ID:YcegZolL0<>
シータ「ラーマ様!?」
バットマン「ビリー! ジェロニモ! ラーマを援護だ! シータ、矢の射出を止めるな! 少しでもクー・フーリンの動きを制限しろ! マシュ! 予測だ! 敵の筋肉の動きを見るんだ!」
バットマン(囲い込めば、それだけ敵も攻撃機会が増える。自分達より数段速く強い相手に、それは悪手……!)
バットマン(だが、クー・フーリンも消滅が始まっているハズだ! だというのに、ここまで戦えるものなのか!?)
ナイチンゲール「治療を!」ガシッ、ズルズル
ラーマ「ぐ、ぶっ、あ……!」ブシッ、ブシィ
ビリー「ジェロニモ! 何かないの!? こう、一発逆転できる精霊とかさぁ!」タァン、タァン!!
ジェロニモ「あったら使ってるさ! 神話は万能じゃないんだ!」ダッ
ビリー「駄目かぁ! やっぱり銃で解決するしかないよね!」
クー・フーリン「ググググ……グラァッ!」ダンッ
ビリー「消えた!?」
マシュ「ビリーさんっ、後ろです!」
ビリー「なに……」
クー・フーリン「ガァァァッ!!」ズバァッ
ビリー「ぐあ……!?」ドシャァッ
ジェロニモ「ビリー!?」ジリッ
クー・フーリン「ツギハ、オマエダ……」ドシ、ドシ
ジェロニモ「くっ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:24:09.05 ID:YcegZolL0<>
マシュ「そうは、させません!」バッ
クー・フーリン「グロォ……」
マシュ(仲間は全滅寸前。敵は強大。今こそ、命を燃やす時……!)スーッ、ハーッ
マシュ「マシュ・キリエライト、交戦します……!」ジリィ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:25:28.79 ID:YcegZolL0<>
怪物を前に、マシュは半身になった。はちきれんばかりの緊張感の中、殺気と覚悟がぶつかり合う。
クー・フーリンが床を蹴った。遅れて床が爆ぜ、破片を撒き散らす。そのスピードはこの場の誰にも見えぬほどであり、バットマンには疾風じみた影しか見えない。
が、マシュはそれを予測していた。構えた盾と醜い爪がぶつかり合い、火花を散らす。マシュの筋肉が軋み、クー・フーリンは歪んだ笑みを浮かべる。
次の瞬間、台風のようなやり取りが始まった。爪が盾を掠り、槍を拳が捉え、尻尾がマシュの脇腹を打ち、頬を拳が打ち抜く。
風が吹き荒れ、瓦礫が吹き飛んで行く。マシュの瞳の輝きが増し、クー・フーリンの全身から禍々しいオーラが噴出する。
ここへ更に、凄まじいスピードで参戦する影があった。ジェロニモ。精霊の力を借り、風のように素早く、山のように力強く、火のように荒々しく踏み込む。
三人はもはや常人の目には見えず、食らい合うような攻撃で身を削りながら戦い続ける。
シータも覚悟を決め、矢筒から矢を引き抜く。そして、もはや霞む色としか思えない乱戦の中に目を凝らす。
(神々よ。そしてラーマ様。どうかご加護を。私にこの一矢を撃つ勇気を)
シータは目を開き、しっかりとその乱戦を見据えた。マシュが槍を受け止め、生じた隙にジェロニモがナイフを振り抜く。クー・フーリンは爪で受け止め、尻尾を振り抜こうと地面を踏みしめる。
そして、矢が放たれた。空気を裂き、その一矢はクー・フーリンの首を目掛けた。怪物は意外そうに目を開き、その一撃を見ていた。
矢が、彼の喉を穿った。クー・フーリンは血液を口から漏らす。致命傷だ。もはや勝負あった。マシュは動きを止める。
だが、直後に尻尾がマシュの頬を打ち据え、弾き飛ばした。ジェロニモが飛び退いたコンマ1秒後、それまで彼が立っていた場所に槍が突き刺さった。
クー・フーリンはもはや己の命にすら頓着せず、血を撒き散らしながら吼えた。彼は血走った目を開き、ジェロニモへと向かって駆けて行く。
不死身じみた怪物の暴動。しかし終わりは見えていた。クー・フーリンの背中から立ち昇る光の粒が、加速度的に増えて行く。それは消滅へのカウントダウンだ。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:26:00.62 ID:YcegZolL0<>
(ようやく見えた。ようやく見えたんだ。命が終わろうとしてやがる。俺は終わりだ。余計なモンが全部消えて行く)
クー・フーリンは歓喜しながら、爪を振るう。下手にガードしたジェロニモは吹き飛び、壁に突っ込んで粉塵を撒き散らす。
(終わりだ。だが、終わらせるのも俺だ)
クー・フーリンは、次いでバットマンに目を移す。殺気に打たれ、片膝をついていたバットマンは立ち上がる。だが、彼が立った時には既に、怪物はバットマンの目の前で爪を振り上げていた。
そこへ、マシュが飛び込み、盾で爪を受け止めた。バットマンはマシュの頭上を跳び越え、怪物の顎へと蹴りを繰り出す。
怪物は無造作にその蹴りを掴む。一動作。マシュはその隙を突き、正拳突きでクー・フーリンの鳩尾を抉る。こらえきれず、吐血が散る。
バットマンは素早く蹴り足を戻し、空中で回転しながら怪物の喉に突き刺さった矢へと拳を繰り出した。更に深々と突き刺さり、クー・フーリンはよろめく。
バットマンは着地し、マシュがそれを庇うように立つ。万全のコンビネーションであり、これを破るのは難しいだろう。
そして、死が近い。怪物は今や全身を赤く染め、立っているのもやっとな状態である。魔力はとうに枯渇し、消滅の光粉は止まらない。だが、それでも、怪物は立ち続ける。
「俺はクー・フーリンだ。俺は。クー・フーリンだ」
下らねえ。ヘドが出る。自分の言葉に笑いながら、それでも怪物はうわ言じみて呟き続ける。お前がそう願ったなら、俺はそうあろう。王であり、槍であり、一人の男であろう。たとえ歪んでいたとしても。
ラーマが起き上がり、剣を構えた。ジェロニモも壁から抜け出し、シータは弓に矢をつがえる。ビリーも床に手をつき、ナイチンゲールは怒りと共に怪物へ向き直る。
誰かが吼える。静寂を破り、またしても全員が動き出す。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:26:39.93 ID:YcegZolL0<>
クー・フーリンはシータへと飛び掛かった。が、ラーマがそれを庇い、袈裟懸けに切り裂かれた。
ラーマは膝をつくかに思われた。だが、開いた傷は煙を噴き上げ、音を立ててふさがっていった。
クー・フーリンはその原因に目をやる。戦場の中心、燃える瞳で自分を睨む赤い看護師へと。
「貴方はもう、何者をも害する事は無い。戦の禍よ。これが終わりです」
「終わりだと。終わりだと!!」
怪物が吼える。槍が輝く。ナイチンゲールは決してひるまず、歩いて距離を詰めて行く。
「貴方は病気です。私は救ってみせる。全ての命を」
「終わりだと!! これが!!」
「私は天使ではない。女神でもない。それでも私は、全ての毒あるもの、害あるものを絶ち、人々の幸福を導きましょう」
宝具だ。怪物は気付く。看護師の宝具が、周囲の者を癒している。傷を癒している。地獄を癒している。
ラーマが斬りかかる。ビリーが撃ち込む。クー・フーリンは片手でそれを払いのけ、今や一人の看護師とまっこう向かい合う。
ジェロニモが飛び掛かる。シータが射る。マシュが殴りかかる。怪物は三人分の圧力と組み合い、なおも看護師を睨む。
「もう、傷付けさせない。私が居る限り!」
「黙れ! 終わるか! 俺は、まだ!!」
不意に、銃撃音が響いた。クー・フーリンは自分の身体を見下ろした。そうして、胸に空いた穴を見た。遅れて穴から血が噴き出し、床を染めていった。
怪物は、未だ理解が及ばないといった体で、後ろを振り向いた。そこには、いつぞやの狙撃手が立っていた。
「仇は取ったぞ、エリザベート」
狙撃手は独りごちた。怪物は崩れ落ちた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:29:20.09 ID:YcegZolL0<>
クー・フーリン「……ちっ、終わりか……」シュウシュウシュウ……
クー・フーリン(メイヴ、お前はどんな気持ちだった。俺と同じ気持ちか?)シュウシュウシュウ……
クー・フーリン「……」フッ
シュゥゥゥゥゥ……
聖杯「」カラン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:29:49.23 ID:YcegZolL0<>
バットマン「……フロイド?」
デッドショット「動くな。テメェら、全員だ」カチャリ
ビリー「ちょっちょっちょ、待ってよ。味方なの? 敵なの?」カチャリ
シータ「ラーマ様!」バッ
ラーマ「こやつ、相当できる……あの距離から、心臓を撃ち抜くとは」ガシャリ
マシュ「マスター、指示を!」
バットマン「待て、全員止まれ! フロイド、何故ここに居る!?」
デッドショット「そいつはこっちの台詞だ、コウモリ野郎め。忌々しいぜ、こんなところでも因縁が付いてきやがる」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:30:17.34 ID:YcegZolL0<>
バットマン「……事情は分からないが、今までのお前の動きを見る限り、敵とは思えない」
デッドショット「どうかな? 聖杯ってのは万能の願望器なんだろ? なら、俺の家族とエリザベートを呼び戻す事も出来るって訳だ」
マシュ「……! それは……」
デッドショット「世界を救う? クソ喰らえだ。俺は自分の願いを優先させるぜ。お前らみたいな聖人君子ってワケじゃねえからな」
バットマン「この人数差だ。やれると思うのか、フロイド」
デッドショット「やれねえと思うのか、バットマン。俺は切羽詰まってるぞ」カチャリ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:30:49.28 ID:YcegZolL0<>
ナイチンゲール「……家族、ですか。戦争に巻き込まれ、殺されでもしましたか」
デッドショット「黙れ」
ナイチンゲール「では貴方は、他の皆に地獄を押し付け、自分一人が楽となる事を良しとするのですか」
デッドショット「黙れ。俺は慣れてるぞ」
ナイチンゲール「貴方の家族はどうです? エリザベートとやらは、他人に理不尽を押し付けるのを良しとしますか?」
デッドショット「……黙れ! お前の眉間から撃ち抜いてやろうか!?」チャキ
ナイチンゲール「それは貴方の願いです。目を逸らしてはいけません。少なくとも、ここの王も、女王も、自分の願いを誤魔化しはしなかった」
デッドショット「……!!」
マシュ「ま、待ってください! 皆さん、聖杯を……!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:32:52.75 ID:YcegZolL0<>
聖杯「」コロコロ……
???「ふむ、参ったものだ。まさか、五つ目の特異点まで攻略されてしまうとはな」コツ、コツ
バットマン「お前は……!!」
レフ「くくく、久しいな。黒衣の騎士に、マシュ・キリエライト。健闘してるようだ」
マシュ「レフ・ライノール!? 第二特異点で、アルテラに両断されたハズじゃ……」
レフ「ははは、主のおわす『玉座』に接続し直せば、このような身体はいくらでも作り直せる」
バットマン「……ゲーティアか」
レフ「ああ、お前達はもうあの方の言葉を聞いたのだったな。あの提案を蹴るとは、愚かしさも極まったものだ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:33:24.50 ID:YcegZolL0<>
ナイチンゲール「ブルース、彼は」
バットマン「人理の病気の原因だ。しつこい奴だよ」
デッドショット「何者だ。その杯から手を放せ」カチャ
レフ「ククク、人間程度がこの私に指図かね。面白い、実に面白い。この聖杯の真なる使い方も分からん猿が」
バットマン「また聖杯を取り込んだ肉の柱と戦わされるという事か? 芸がないな、レフ・ライノール」
レフ「あぁ〜、それも良いが……今回は少し趣向を変えるとしよう。諸君らも気付いているだろうが、今回の特異点は神話絡みが多かっただろう?」
バットマン「……」
レフ「ククク、因果律というものがあってな。意図せずとも、関連性のあるものが引きずり出されるという事はままある」
バットマン「何が言いたい」
レフ「おや、では要点を言うとしよう。全ての世界の終わりとは、神話の終わりとは、どのような日になる?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:34:04.91 ID:YcegZolL0<>
ラーマ「……? どういう事だ?」
バットマン「……! まさか、貴様……!」
レフ「そう、審判の日(ドゥームズ・デイ)だ。キミが居てくれてよかったよ、バットマン。そして、意図せず召喚された、神の如き『彼』もまた……十分な因果を作ってくれた事だろう」
バットマン「全員、奴の聖杯を全力で奪取しろ! マシュ、令呪を以て……!」
レフ「もはや遅い!! 来たれ、全ての終焉よ! 星の終わりよ! そして、神々の絶望よ!!」
聖杯「」ギュオォォォオォォォオオォォ!!!
マシュ「この、魔力反応は……!!」
ドクター『!! 観測機器が故障したのか!? なんだコレ!?』
レフ「では、さらばだ。また会えると良いな、バットマン」シュンッ
バットマン「待て……!」
聖杯「」カッッッッ!!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/04/25(木) 02:34:43.23 ID:YcegZolL0<>
シュゥゥゥゥゥ……
バットマン「げほっ、ごほっ……」
マシュ「マスター、無事ですか。召喚の衝撃波が、今までとは比べ物にならないくらい……」
バットマン「……」
マシュ「……マスター?」
バットマン「……マシュ、構えろ……」
???「……」ムクリ
マシュ「……!? マスター、あれは、一体……この魔力は!? こんな、滅茶苦茶な……まるで、世界そのもののような……」
バットマン「マシュ! 構えろ! 集中するんだ!」
バットマン(不味い。アレは、この世界にあってはならないものだ……!)
バットマン(ドゥームズデイ……!!!)
ドゥームズデイ「……」ユラリ……ドシ、ドシ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/04/25(木) 02:36:06.45 ID:YcegZolL0<> 間が開いて申し訳ない、今回の更新はここで終わりです。
キャット戦はスキップです。度重なるミスのせいで疑心暗鬼にさせて申し訳ありません。 <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/04/25(木) 02:42:30.10 ID:YcegZolL0<> ドゥームズデイ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%87%E3%82%A4_(DC%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/doomsday.html
今回の悪役の参考資料です <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/04/25(木) 02:58:10.94 ID:YcegZolL0<> スーパーマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3
https://warnerbros.co.jp/franchise/dccomics/characters/superman.html
すみません、ヒーローの参考資料を忘れていました <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/25(木) 11:12:35.93 ID:YCgYOrAOo<> おつおつ
こうやってちゃんと投下しに来てくれるんだから
待ってたかいがあるもんだ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/25(木) 13:50:39.03 ID:LIJkG9tkO<> 更新きたか! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/25(木) 15:34:22.38 ID:MZueujoWo<> おつ!
スーパーマンはやっぱ安心感半端ないな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/26(金) 19:38:47.06 ID:qbiKSO4A0<> 乙乙!
婦長がかっこよくてよかったです(コナミ
あとデッドショットがほんとすき……
これからもやりやすいペースでいいのよ、俺らは待ってるからさ <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:15:01.93 ID:69VCOY9o0<>
………………
その異様な気配を感じ取り、『彼』は目を覚ました。彼はまず、空気の匂いを嗅いだ。朝の匂いだ。彼はその中に、無意識にナパーム弾の匂いを嗅ぎ取ろうとしている自分に気付き、止まった。
彼は森の中、横たわったままで暫く動けず、何故自分がこのように……無様に、地面に転がっているのかを思い出そうとしていた。
燃え上がるような闘志の少女との激突。二度にわたる敗北。迫る回し蹴り。因果応報などという、陳腐な言葉。彼は吹き飛ばされた仮面を遠くの地面に見つけ、己の顔に手を当てた。指に触れる眼帯の感触に、初老の男性は苦笑いを浮かべる。
ならば、己は敗北したのだろう。デスストロークは地面に手を突き、苦労して体を起こす。そうして、棍を杖じみてつき、仮面を取って顔に付けた。
異様な気配の出どころは、自分達の本拠地である。クー・フーリンの気配は既にない。つまり、自分達は敗北したという事だ。世界ごと滅ぼす策など、破れかぶれも良いところなのだから。
(では、俺はどうする。因果の裁きすら受け、周りに何もなくなり、戦士としての拘泥すらなく、スレイドとして行動する時、俺はどうなる)
スレイド・ウィルソンは溜息を吐き、上を見上げた。そして身体を奮い立たせると、戦場で培ったカンを活かし、素早く駆け出した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:15:35.88 ID:69VCOY9o0<>
………………
フリーズ「!!」ビリビリビリッ
フリーズ(なんだこの……嫌な感覚は!? 何が起きている!?)
フリーズ(方角は、あちらか? フィンを連れて行かねば……いや、だが、しかし、フィンは……)
フリーズ(どうすればいい? どうすれば……)
………………
ペンギン「よし、それじゃあ第二ラウンドは俺が審判だ。良いか、お互いに……!?」ビリビリビリッ
カルナ「!?」ビリビリビリッ
アルジュナ「っ、なんだコレは!?」ゾワァ
ペンギン「お、おぉ、なんだ……!?」ヨロ
カルナ「嫌な、感じだ。向こうの方角から」ジッ
アルジュナ「カルナ、貴様らの陣営か!?」
カルナ「馬鹿を言うな。俺達は知らない」
ペンギン「何が起きてる!? おいっ、神通力か何かで分からんのか!」
アルジュナ「……ともかく、行くしかないだろうな。どうだカルナ」
カルナ「異論はない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:16:02.65 ID:69VCOY9o0<>
………………
ケルト兵達「「「」」」シュウシュウシュウ……
エジソン「……? ケルト兵が、消えて行く? いったい、何が起きて……」
エレナ「あ、ああぁ、あぁ……ダメよ、そんな、ダメ……」ガクガク
エジソン「エレナ女史? どうしたと……!?」ビリビリビリッ
エレナ「見えたわ。見えたの。だって、あんな大きな存在、見えない訳がない……マハトマも、ハイアラキも、皆消されてしまう……」ブルブル
エジソン「ど、どういう事だ?! 何が見えたというのだ!? こ、この嫌な感覚は!?」
エレナ「来る……アレが、来る……!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:16:35.88 ID:69VCOY9o0<>
………………
『それ』が召喚された瞬間……否、正しくは召喚の手順を踏んでいる間も、絶え間なく見えない力は働いていた。地球を守らんとする力、人類を守らんとする力である。それらは普段、我々には見えず、大いなる力で我々を守る……と、されていた。
だが、その大いなる力は、純粋にもっと巨大な力でねじ伏せられた。存在格が、違い過ぎるのだ。『それ』が地に足をついた時、大いなる力は、まるで敗北を受け入れたかのように静まった。
おおよそ人とは思えぬ巨躯。体毛一本すら無い、筋骨隆々の身体。殺意と憎悪に燃える瞳。全身でもって、生命への敵対を表す究極の悪。
新約聖書には、明確に人々の『最後の日』が定められている。その日、人類は天使と悪魔の最終戦争で引き起こされる災厄によって、殆どが息絶える事となる。
ドゥームズ・デイ。人々はもはや、逃げまどう他に無い。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:17:05.05 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ
デッドショット「……なんだ、コイツは……」
マシュ「敵、接近してきます! マスター!?」
バットマン「マシュ! 盾を構え、決して崩すな! ビリー、ラーマ、シータ、ジェロニモ、ナイチンゲール!!」
ラーマ「あ……あ、あ……」
シータ「ラーマ様! ラーマ様、お気をしっかり!」
ビリー「これ、は、ちょっと、ムリかもね……」プルプル
ジェロニモ「馬鹿な……こいつは、一体……」
バットマン「全員! 聞け! このままでは人理救済が不可能になる! ビリー! 牽制射撃だ!」
ビリー「あ、お、おうとも!」タァンタァン!!
弾丸「「」」ヒュォォォォォオッ
ドゥームズデイ「……」キキィン……
ビリー「……あの、目に当たったと思うんだけど……」
バットマン「……!! 全員、退避だ! 退避しろ!! マシュ、ナイチンゲールを抱えて逃げるぞ!」
ナイチンゲール「いいえ、逃げません!!」
マシュ「フローレンスさん!!」
ナイチンゲール「私は置いて行きなさい!」
バットマン「くっ……フロイド! 行くぞ!」
デッドショット「ち、くしょうめ!」ダッ
ドゥームズデイ「……」ググッ、ダンッ
デッドショット「う、ごっ!?」バギャァッ、ドシャシャシャシャァ……
バットマン「フロイド!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:17:32.38 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」スタッ、ググッ
バットマン「!!! 次が来るぞ! シータ、矢を……」
壁「」ドガァァァァァァ!!!
???「うおおおおおぉおぉぉぉおぉお!!!」ヒュォォォォオォォッ、ドガァァァァァ!!!
ドゥームズデイ「!?」ドッシャアアアアゴシャシャシャシャ……
バットマン「な……」
ドクター『ブルースくん、その敵の解析結果が出た! そいつは超高密度の……ま、待った、その人は!?』
バットマン「クラーク!?」
スーパーマン「まだまだ……!!」ググッ
ドゥームズデイ「……!!」ブォンッ
スーパーマン「ぐわっ!?」ドシャァァァァァ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:18:06.70 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……グルォォ……」ググ、ダァン!!!
ドガァァァァァ!!
バットマン「くっ……ドクター、敵が天井を突き破って跳躍した! 何処へ向かっているのか解析してくれ!」
ドクター『ま、待ってくれよ、えーと……なんてこった、この大陸の中心地へ向かってるぞ。恐らくだが、奴は特異点ごと我々を消滅させる気だ!』
バットマン「予測される敵着地地点を仮想マップ上に表してくれ!」ピ、ピ、ピ
ドクター『オーケー! これだと……多分、北の主戦場だった地点に着陸する! そこでどでかい何かを一発ぶち上げるつもりだろう! そうなると、こちらのリミットが破壊される恐れも出て来る!』
バットマン「リミット!?」
ドクター『シバの観測できるエネルギー量には限りがあるんだ。あまりに強大なエネルギーが発生すると、レンズが割れて特異点の観測そのものが不可能になる。つまり、人理消滅だ! 早く敵を止めなければ!』
バットマン「……了解した」ピピッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:18:37.61 ID:69VCOY9o0<>
ナイチンゲール「無事ですか。起きられますか」
デッドショット「……」グタッ
ナイチンゲール「……気絶しているようです」
バットマン(命に別状は、無いか。……だが、しかし、これは……)
バットマン「……クラーク。起きられるか」スッ
スーパーマン「あぁ、有難う……キミは、ブルース? 何故ここに?」パシ、ムクリ
バットマン「こちらの台詞だ。何故……ドゥームズデイが現れた時に、キミが……」
スーパーマン「何にせよ、助かった。キミが居るなら百人力だ。一緒に来てくれ、あの怪物を止めなければ」
ドクター『待った、待った! キミってスーパーマンだよね!? あの、伝説の!』
スーパーマン「? 伝説? いつから僕たちは伝説になったんだ、ブルース?」
バットマン「……キミだけだ。私を一緒にするのはやめてくれ」
職員A『え!? スーパーマンがそこに!?』
職員B『ほほほ、ホントに!? 本物のスーパーマンですか!?』
職員C『うわ、マジかよ! 子供がアンタ……じゃなくて、貴方の大ファンで……!』
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:19:05.96 ID:69VCOY9o0<>
マシュ「……聖杯反応、あの敵性体の内部からです。やはり、アレを止めないと」
ラーマ「すくんでしまった自分が情けない……」
シータ「仕方ありません。あれほどの存在を目にすれば、たとえ神々と言えど……」
マシュ「追いますか、マスター」
バットマン「ああ。……しかし、追いついたところで、対抗できるか……」
スーパーマン「僕とキミが居る。急ごうブルース、僕たちなら止められる」
バットマン「……しかし、クラーク。ずいぶんと、調子が悪そうに見えるが」
スーパーマン「少し、クリプトナイトの部屋に閉じ込められていたんだ。だが大丈夫、少しずつ調子は戻って来てる」
バットマン「成程な……では、行こう」
ナイチンゲール「待ってください。狙撃手の彼は?」
バットマン「フロイドは、目覚めても我々と行動を共にするとは考えにくい。今は一刻を争う。……回復するのなら、置いて行くぞ」ダダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:19:33.17 ID:69VCOY9o0<>
………………
フリーズ「……」ガシャ、ガシャ、ガシャ……
フィン「……今のは」
フリーズ「分からない。だが私は行く。止めねば」ガシャ、ガシャ、ガシャ……
フィン「……」
フリーズ「……短い間だったが、お前と行動を共に出来て良かった。お前の行動は、私に影響を与えた。確かに、その通りだよ。自分の幸せより、己の押し付けるような愛より、優先すべきものはある」
フィン「……!」ググッ
フリーズ「愛を与える時、相手を思いやれなければ、それは自己満足だ。……お前という男を、私は忘れまい」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:20:02.22 ID:69VCOY9o0<>
フィン「……ヴィクター殿は」
フリーズ「……」
フィン「何故、行くのです。このように異常な力の波に、何故立ち向かう。親指の智慧を使うまでも無い。立ち向かえば、死ぬでしょう」
フリーズ「……」
(((……でも、約束してね、ヴィクター)))
(((もし、私を治す方法が見つからなかった時は……その時は……)))
(((最期の一瞬は、世界を感じさせて。冷たい氷の中なんて嫌。貴方と一緒に、暖かい日向を歩かせてね……)))
フリーズ「……私も、約束したんだ。きっと彼女の世界を守ると。それだけで、私の生きる理由になる。死ぬ理由になる」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:20:29.15 ID:69VCOY9o0<>
フィン「……ああ。やはり、かなわないものだなぁ」
フリーズ「……私は行く」ガシャ
フィン「いいえ、待ってください。私も同行しましょう」スクッ
フリーズ「来るのか? 何故?」
フィン「決まっているでしょう、ヴィクター殿。仕方ないと誤魔化していたが、私もやはり、愛していたのです」スッ
フリーズ「……止まれないぞ、フィン」
フィン「止まるつもりもありませんとも! 我らの勇猛を止める者が何処にありましょうや!」
フリーズ「……」フッ
フィン「さあ、行きましょう!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:20:56.23 ID:69VCOY9o0<>
………………
マシュ「……あの、スーパーマン……さんと、お知り合いだったんですか?」タッタッタッ
バットマン「ああ。そう深い仲でもなかったが」ダダダ……
スーパーマン「ジャスティスリーグという組織を結成してたんだ。ええと、ダイアナと、ハルと、アーサーが居たな……」ヒュォォォォォオォォォォォォ
バットマン「……キミ自身は、どれほど覚えているんだ。以前の事を」
スーパーマン「? 僕たちは平和を守るために、ジャスティスリーグを発足させたばかりだっただろう?」
バットマン「……」
スーパーマン「……ブルース?」
バットマン「……クラーク、キミは……」
スーパーマン「……」
マシュ・スーパーマン「「何か隠しているな?(いますね?)」」
バットマン「……」
ビリー「あはは、綺麗にハモった」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:21:23.50 ID:69VCOY9o0<>
マシュ「だってマスター、何か隠しごとをしている時は表情が動かなくなるんですよ」
スーパーマン「心音も少し速まった。分かりやすいな、ブルース」
バットマン「……」
ナイチンゲール「……まだ隠し事は良くないと学べませんか、ブルース」
バットマン「……士気を下げると思ったんだ」
スーパーマン「構わないさ、ブルース。僕が居る」
バットマン「キミが居るからだよ、クラーク……」
マシュ「ですが、今は秘密の方が士気を下げるかと思われます、マスター……」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:22:01.18 ID:69VCOY9o0<>
バットマン「……クラーク。ジャスティスリーグ発足直後で記憶が途切れているらしいな」
スーパーマン「ああ、その通りだよ……どうしたんだ? やけに思わせぶりじゃないか、ブルース」
バットマン「実際には、ジャスティスリーグは解散した。発足したすぐ後に、とある事件が起きたんだ」
マシュ「……とある事件?」
スーパーマン「……」
バットマン「スーパーマンとドゥームズデイが相討ちになって、死んだ」
スーパーマン「……あぁ、成程」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:22:29.81 ID:69VCOY9o0<>
ドクター『それは、僕も聞いた事がある。LAでの死闘だ、テレビ中継もすごかった。あの戦いだけで、何十万もの人々が死んだとも聞いている』
バットマン「キミを失ったジャスティスリーグは長続きしなかった。分かるだろう、私は……あまり、人をまとめるのが上手くなかったからな」
スーパーマン「……そうか? キミほど優れたリーダーは居ないと思っていたが」
バットマン「持ち上げるな。……そういう事だ。このまま行けば、キミは死ぬかもしれない」
マシュ「……」
スーパーマン「……だが、今回はキミ達が居るだろ? 頼りにしてるさ、ブルース」
バットマン「……はぁ。キミに何を言っても止まらない事くらいは知っていた……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:22:58.49 ID:69VCOY9o0<>
ナイチンゲール「ジャスティスリーグ、ですか。そのような組織が現代に存在していたとは、驚きです。衛生面での保全活動はどなたかなさっているのでしょうか」
スーパーマン「うーん……皆で出来る当たり前の事をやってた、くらいのものかな。ははは、そんなに難しい話はなかったと思う」
ナイチンゲール「素晴らしい理念です。当然の事が出来ない人はあまりにも多い」
スーパーマン「そう言ってもらえると嬉しいよ。でも、同時に悲しくもなる。皆がヒーローになれる訳じゃない」
マシュ「……そうですね、その通りです」
ラーマ「うむ、英雄(ヒーロー)とは難儀なものであるよな。プライベートの時間もそうそう取れる訳で無し」
シータ「それでも、私はラーマ様が居てくれるだけで……」
ラーマ「……余も、シータが傍に居てくれるから頑張れるのだ」
ビリー「あーー!! すごい砂糖!! どんな話題からでも甘い空気!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:23:28.61 ID:69VCOY9o0<>
………………
エジソン「む! ロボット達の対空レーダー網に感あり! 飛来物だ!」
エレナ「エジソン、無茶よ! 逃げましょう、今なら間に合うわ!」グイグイ
エジソン「……エレナ女史、キミを巻き込むつもりはない! だが、私はきっと、どんな逆境の中でも立って戦うだろう!」バッ
エジソン「こんな言葉を知っているかね!! 『私たちの最大の弱点は、諦める事にある』と!!!」ガオオッ
エレナ「……!」
エジソン「今の人類史は!! 守るべき発明品であり、私達の宝である! そうは思わないか、エレナ女史! 先達として、世界を見守るのは私達の役割であり……!!」
エジソン「それを守る機会が我々に回って来たというのは、とてつもない名誉であると!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:24:04.07 ID:69VCOY9o0<>
エレナ「……言っておくけど、貴方の格言を皆が知ってると思ったらダメよ」
エジソン「うむ、それは反省しておこう!!」
エレナ「でも、名誉はそうね。マハトマに選ばれたのなら、相応の働きをしなきゃ……」
エジソン「うむ! 自分が決して曲げられぬと思うものにすがり、戦うのが一番だ! 逃げてもどうせ追いつかれるしな! 電流戦争みたいに!!」
エレナ「……はぁ。それさえなければ、あなたたちの事はもっと好きよ……」
エジソン「全ロボット、対空砲火よーーーーい!!」
ロボット達「「「」」」ガシャシャシャシャシャシャシャ……
エジソン「……放てエ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドォォォォォ……
ドゥームズデイ「……」ギギギギギギギィン……ドッサァァァン……
エジソン「……弾丸が全部体表で弾かれたように見えたが」
エレナ「ええ、そうね」
エジソン「やはり撤退も一考して良かったやも……」
エレナ「今更何言ってるの。私はもう覚悟を決めたわよ」
エジソン「うむぅ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:24:32.34 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」ムクリ、ドシ、ドシ
エジソン「えーと、エレナ女史は格闘戦はイケる口……」
エレナ「ムリよ! あなたこそ、そんな良い体格なのにダメなの!?」
ドゥームズデイ「……」ググッ
エジソン「む、むむ……私は本来サポート型なのだが……ここは直流式格闘術をご覧に入れるとしよう!」スッ
ダダッ
ヒュォンッ!!!
ドゥームズデイ「!?」バッシィィィ、ユラッ
「フン、あのスーパーマンを殺したと聞いていたが、俺の聞き間違いだったか?」クルリ、スタッ
エジソン「なに!?」
エレナ「あ、あなた!?」
デスストローク「随分腑抜けと戦う事になっちまったもんだ」ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:25:04.37 ID:69VCOY9o0<>
エジソン「キミは敵だと思っていたが、仮面の紳士よ!」
デスストローク「……フン、何のために戦おうが俺の勝手だろう。しっかり役割を果たせ、サポート型共」チラ
エジソン「サポート型共ではなく、エジソンである! その辺の名前はきちっと呼んでもらいたい!」
エレナ「そうよ、人の名前を呼ばないのは失礼よミスター!」
デスストローク「ちっ、面倒な奴らだ」イライラ
ドゥームズデイ「……」ドシドシ、ダンッ
デスストローク「!!」バッ、
ドゴォッ!!
デスストローク「うっぐぉ……!?」ドシャシャシャシャ……
エジソン「!! しまった、唯一の格闘可能戦力が!」
エレナ「サポートしましょう、サポート!」
デスストローク「ええい……!」バッ、クルクル、スタッ
デスストローク(なんという怪力だ。俺が不死身でなければ死んでいたぞ)ゴキ、ゴキリ
ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ、ドシ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:25:31.62 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」ググッ
デスストローク(……? なんだ、上体を逸らした?)
ドゥームズデイ「……!!」ギュゴォォォォォォオォォォォォ!!!
デスストローク「!!!」ガッギャァァァァァァァドシュシュシュシュシュシュシュゥゥゥゥ!!!!
エジソン「何! 目からビーム!?」ギュオオオオオッ
エレナ「あの原理は興味深いわね、後で考察しましょう!」ギュドドドッ
光弾「「「「「」」」」ギュオオオオオッ
ドゥームズデイ「……」ドシュシュゥッ、クルリ
ビーム「」ビィィィィィィィイィィィィィ!!
ロボット達「「「」」」ドガァァァァァガッシャァァァァ!!!
エジソン「まずいっ、伏せたまえ!」ガバッ
エレナ「きゃっ!?」ドドッ
ビーム「」ビィィィィィィイィィィゴシャァァァァァァ!!!
エジソン「うむぅ、迂闊に振り向かせたのは下策だったか!」ジリジリ
エレナ「そ、そうはいっても、なんとかしないと!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:26:02.58 ID:69VCOY9o0<>
デスストローク(あの、野郎め。やってくれやがる……!)ジュウウウウウゥゥゥ……
デスストローク(ああ、クソ、意識が、途切れそうだ……)
(((……この子が死んだのはアンタのせいよ……)))
(((スレイド・ウィルソン。被検体番号、80218……)))
(((……畜生め、クソ喰らえ。死ぬだと、俺は、ここで……)))
デスストローク(ダメだ。起きろ、スレイド・ウィルソン、下らない感傷にはノーを突きつけろ。立つのに理由は要らん。命を燃やすのに、理由は要らん)ググッ、ムクリ
ドゥームズデイ「……?」クルリ
デスストローク「……」フラフラ、ユラリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:26:34.91 ID:69VCOY9o0<>
デスストローク「オレを、殺したと思ったか。スーパーマンのように?」
ドゥームズデイ「……」
デスストローク「下らんぞ。俺はデスストロークだ。最強の暗殺者だ。俺は奴のように誰かを守る事なんぞ無い。ただ……」
デスストローク「俺はただ、生きると決めた。何も残らん、空虚な生だとしても」
ドゥームズデイ「……?」
デスストローク「笑いたいか。笑うと良い。そもそも、ナパーム弾一発で何十もの命が消えるのを見て来た俺だ」
(((嫌だ! 助けてくれ!!)))
(((スレイド、頼む、俺はまだ……)))
(((お父さん、また行くの……?)))
(((アンタのせいよ!!)))
(((……何故、俺は死ねない。何故俺は死ねないんだ。命とは何だ。それは今まで、何より軽んじられてきたものだったハズだ)))
(((……ならば、)))
デスストローク(ならば、この俺に言い訳がましい死など不要! この世に永遠の命など不要!!)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:27:11.72 ID:69VCOY9o0<>
デスストローク「生きている幸運くらい、自由に使わせてもらう」フッ
ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ
デスストローク「かかってこい。この世を滅ぼすだと? お前には少し荷が重いぜ、兄弟」カチャ、シュリイィィィ……
デスストローク(さあ、何秒時間稼ぎが出来るかはお前達に掛かってる。しっかりやるんだぞ、サポート型共)スッ
エジソン「ま、待て、今サポートのロボット達を呼び寄せる……」
エレナ「エジソン! 今からは間に合わないわ、援護射撃とサポートに徹して!」
エジソン「ええいっ、駄目か!!」
デスストローク「……!!」ダッ、ブォンッ
ドゥームズデイ「……」ジッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:27:43.84 ID:69VCOY9o0<>
デスストロークは跳びかかり、目にも止まらぬ神速の一閃を繰り出した。が、ドゥームズデイは防御すらせず、それを首で受け止める。火花が散り、甲高い音が鳴り響く。
(固い表皮。ならば)
デスストロークは剣を放り捨て、棍を構えた。怪物は身動き一つなく、目の前の羽虫じみた敵の動きを見る。
スレイドは身体を捻り、跳躍と共に棍を振り抜く。速度と威力が十分に乗った一撃がドゥームズデイの首筋を捉え……そして、鉄の棒が折れた。破片が飛び散り、スレイドは驚愕に目を見開く。
ドゥームズデイの無造作な前蹴りが、デスストロークに叩き付けられる。咄嗟にガードしたものの数メートル弾かれ、彼は歯を食いしばって威力に耐える。
(無理だ)
遠方から見ていたエジソンが不可能を悟り、助勢に駆け付けようとする。が、察したデスストロークは、それを手で制した。
「余計な、フゥー……余計な助太刀だ。俺はまだ倒れていないぞ」
冷たい声色で拒否しながら、デスストロークは拳を構える。実際、彼は今の蹴り一発で既に意識が朦朧としており、危険な状態だった。
だが、彼は他者の介入を拒んだ。おぼろげな意識の中で、スレイド・ウィルソンは仮面の奥、笑みを浮かべる。
絶望的な敵を前に、スレイドは拳を繰り出す。直撃した拳が逆に砕け、血を撒き散らす。ドゥームズデイは首を傾げ、虫けらじみた敵を見下ろす。
が、スレイドが拳を止める事はない。拳が砕けたならば逆の拳で、それも砕けたならば脚で、脚が砕けたならば再生が始まった拳で……絶え間ない激痛が彼の意識をたびたび揺り戻し、また彼岸へと押し流し、彼を死と生のはざまで行き来させる。
スレイドの視界には幻が映る。殴る先に居るのは、これまで殺した者達、大物、小物、何の罪もない市民、バットマン、盾を持った少女、そして、あの日に殺された息子。
ならばこれは罰か。スレイドはしかし、決して認めなかった。
「なにが罰だ」
仮面の奥から声が漏れる。ドゥームズデイが煩わしげに手で払うのを躱し、スレイドは両拳を敵の脇腹へと叩き込む。
ここで初めて、ドゥームズデイの姿勢が揺らいだ。効果あったか。……いや、体勢のバランスを崩したか。ならば畳みかける!
「知っているか、ドゥームズ・デイ。人はお前が手を下さずとも、死んでゆく」
デスストロークは跳躍、回転しながら蹴りをドゥームズデイの頬へ叩き込む。怪物はよろめき、崩れて膝をつく。エジソンたちのサポート効果もピークを迎えつつある。ここで決める。デスストロークは着地する。
「ジャングルで、朝早くに、丸焼きにされるヤツも居る。モルモットのように、薬の実験台になって死ぬヤツも居る」
デスストロークは踏み込み、強烈な正拳突きを繰り出す。が、ドゥームズデイはそのパンチを捉え、握り込んで潰し、離さない。
しかしデスストロークは、一切の迷いなく手首を千切って自由を取り戻すと、もう一方の腕で鋭い突きを繰り出した。ドゥームズデイは目を突かれ、苦悶の声と共に仰け反る。
「あるいは、父親の犯した愚かな罪で、復讐として殺されるヤツも居る。お前が手を下さずとも、ここは地獄だ」
ドゥームズデイは怒りを露に、デスストロークを睨み付ける。デスストロークは怯まず、真向から見返す。
「だが、天国にどんな生き甲斐がある?」
ドゥームズデイは吼え、目を発光させながらレーザーを発射した。スレイドは減衰してゆくサポートの力を感じながら、絶望的なガード姿勢を取ろうとし……
両者の間に白髪の男が割り入り、槍でレーザーを防御した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:28:10.94 ID:69VCOY9o0<>
白髪の男「ぐっ……アルジュナ、急げ!」ガガガガガガガガガ……
黒髪の男「フ、良い眺めだ。もっと苦しめ」
小太りの男「おいっ、夫婦漫才は後でやれ! さっさとカルナを助けろ、アルジュナ!」
アルジュナ「……フン、今回限りだぞ」シュパパパパッ
雷の矢「「「」」」バヂヂヂヂヂヂィィィィッ!!
ドゥームズデイ「……」ドシュシュシュッ、シュゥゥゥゥゥ……
カルナ「……効いていないように見えるな。鈍ったか、アルジュナ」
アルジュナ「黙れ。奴が規格外なだけだ」
デスストローク「な、貴様……」
ペンギン「カハハハハハハハ、貸しひとつだデスストローク!!」
アルジュナ「正確には、私からの貸しだ」
カルナ「……更に正確に言うと、俺が助けた」
デスストローク「なんだこいつらは……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:28:44.53 ID:69VCOY9o0<>
………………
デッドショット「……」ピクリ、ガバッ
デッドショット(ちくしょう、なんだ?! どうなって……置いて行かれたのか!? クソ、バットマンめ、相変わらずな野郎だ……!!)ムクリ
デッドショット「ぐ、くっ……」ヨロ
デッドショット(聖杯を……いや、聖杯がドゥームズデイになって……ああクソ、今まで分からんなりに耐えてきたが、いよいよ理解の範疇を超えそうだ……)
カタッ
デッドショット「!! 誰だ!?」カチャリ
デッドショット(誰か残ってやがったか!?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:29:13.38 ID:69VCOY9o0<>
ヒソヒソ……ヒソヒソ……
デッドショット「……?」カチャ、ジリジリ
(……でも、あのおじちゃん、魔王を倒したんだよ)
(馬鹿! 声を出したら気付かれるだろ、黙ってろよ!)
(ホントだよ、怖くないよ。絶対、大丈夫だから。声を掛けてみようよ)
デッドショット「……誰かいるのか、そこに」
シーン……
デッドショット(……幻聴じゃねえ。誰か居る)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:29:41.32 ID:69VCOY9o0<>
デッドショット(……この、玉座の目の前の壁が、少し違和感があるな)コツコツ
壁「」ブワァァァァァァ……
デッドショット「!? 何、なんだこいつは……!?」
牢屋「」ズォォォォォォ……
デッドショット「馬鹿な……」
デッドショット(玉座の間のすぐ前に、牢屋だと? どんな構造をしてやがる)
デッドショット(……しかも)
子供達「「「……」」」ジッ
デッドショット「……」
デッドショット(……中に居るのは、子供達ばかり?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:30:16.95 ID:69VCOY9o0<>
子供A「……」
デッドショット「……おい、ここで何してやがる」
子供A「ヒッ……」ジリッ
子供B「大丈夫、大丈夫よ。怖くない。おじさん、助けに来てくれたんだよね?」
デッドショット「ここで何をやってるか教えてくれりゃあな。何をしてやがる」
子供B「何もしてないの。ホントなの。魔王がね、赤いマントのお兄さんの抵抗をやめさせるために、私達をいつでも殺せるようにしてたって……」
デッドショット「……??」
デッドショット(赤いマントのお兄さん……スーパーマン? 魔王は、つまり、クー・フーリン……って事は、コイツらは……)
デッドショット「……お前ら、人質か。だからスーパーマンは負けたんだな」
子供C「あの青いお兄さんは無事なの!? 僕らを助けてくれたのに、僕らのせいで捕まっちゃったんだ!!」
デッドショット「ああ、無事だ。ぴんぴんしてやがる、忌々しい……出ろ。さっさと親の元に帰れ」カチャカチャ、バァン
牢屋「」ギィィィィ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:30:47.04 ID:69VCOY9o0<>
子供A「や、やったぁ!! 帰れるんだ!!」ダダッ
子供B「ありがとうおじさん!」タタッ、ギュッ
子供C「ありがとう、おじちゃん!!」ダッ、ギュウッ
デッドショット「おい、やめろ、離せ。ガキ共……」
子供D「ぼ、僕、家が壊されちゃって……お父さんとお母さんと離れちゃったんだ。どうすればいいの?」
子供E「僕の家は焼かれちゃった……おばあちゃんが寝たきりだったのに、焼かれて……もう、知ってる人が居ないよぅ……」グスグス
デッドショット「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:31:29.27 ID:69VCOY9o0<>
デッドショット「おい、坊主。泣くな。良いか、これが全部終わったら『エジソン』って野郎のところへ行け。そこに皆居る」
子供D「ほ、ほんとう?」
子供E「おばあちゃんも、そこにいるの?」グシグシ
デッドショット「……そうだ。皆居る。だから泣くな。男だろ」グシャグシャ
子供E「う、うん……泣かない」グシャグシャ
デッドショット「……」
子供B「おじさんは、どうするの?」
デッドショット「俺は……俺は、片付ける仕事がある。行かなきゃならん」
子供A「え……」
子供C「い、嫌だよ。おじちゃんまで居なくなったら、どうすればいいの……」
デッドショット「……」
(((パパ、お願い、もう行かないで……)))
デッドショット「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:31:56.31 ID:69VCOY9o0<>
デッドショット「……ハートがチクチク 箱入り浪漫 それは乙女のアイアンメイデン」
子供B「……え?」
デッドショット「愛しいアナタを閉じ込めて……あー……なんとかかんとか、キスの嵐と洒落込むの……」
子供C「な、なに?」
デッドショット「元気が湧いて来る歌だろ。俺の周りで流行ってた歌だ」
子供A「……そ、そうなの?」
デッドショット「そうだ。良いか、皆で歌いながら、とにかく東を目指せ。東っていうのは、つまり、今お日様があるのと反対側だ」
子供D「で、でも」
デッドショット「いいか、この歌は特別な歌なんだ。歌っていれば、どんな困難も、どんな怪物も、怯えて寄り付かねえ。本当だ。だから、」
(((本当、駄目ね。アンタは、アタシが居ないと)))
デッドショット「……だから、とにかく走れ。大丈夫だ、俺が知る限り一番の加護が付くさ」
子供達「「「……」」」
デッドショット「……さあ、行け。立ち止まるな。大きな音がしても、振り返らずにな」
子供達「「「……」」」ゾロゾロ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:32:28.55 ID:69VCOY9o0<>
デッドショット「お前、待て。少し」
子供B「わ、わたし?」
デッドショット「……お前、見たところ、子供達のリーダー格だな? コイツを渡しておく」カチャ
拳銃「」ズシ……
子供B「こ、これは……?」
デッドショット「……良いか、コイツを使うのは、あまり良い事じゃねえ。使い方はこうだ。ここを引いて、この『引き金』を引く」カチャカチャ、カチッ
子供B「……こ、こう?」カチャカチャ、カチッ
デッドショット「そうだ。いいか、じゃあ……いま、安全装置を外した」カチッ
子供B「……」
デッドショット「……良いか、本当に危ない時に、本当に覚悟を持って、背負い込みすぎないように撃つんだ。敵に狙いを定めて、深呼吸して、……お前が一番守りたいと思うものを想像して撃て」
子供B「……そしたら、どうなるの?」
デッドショット「……最低な事が起きる。これは本当に最悪の手段だ。ギリギリまで使わずに居るんだぞ」
子供B「……う、うん」
デッドショット「分かったなら、良い。行け、アイツらを東に導いてやってくれ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:33:05.70 ID:69VCOY9o0<>
デッドショット「……フー……」
デッドショット(……今からすべき事は、バットマン達を追いかけ、ドゥームズデイとの戦いで疲弊した連中を片っ端から撃ち殺し、聖杯を手に入れ……)
デッドショット(……家族と、エリザベートを蘇らせて……)
(((ぼ、僕、家が壊されちゃって……お父さんとお母さんと離れちゃったんだ。どうすればいいの?)))
(((僕の家は焼かれちゃった……おばあちゃんが寝たきりだったのに、焼かれて……もう、知ってる人が居ないよぅ……)))
デッドショット(……ああ、クソっ!! いつからこんなに脆弱になっちまった、フロイド!)
デッドショット「どうしてこうなる!! ああ、クソッ!!」ドガッ!!
デッドショット(……)
デッドショット(……クソ、エリザベートめ。あの世で笑ってやがるだろうな)カチャリ
デッドショット「行かねえと……」スッ
ガラン……
デッドショット「……?」
緑の槍「」ジジジジジジ……
デッドショット「……クソ、エリザベートめ。お前、今頃、あの世で笑い死んでるだろ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:33:37.29 ID:69VCOY9o0<>
………………
ドゥームズデイ「……」ギュゴォォォォォォオォォォォォ!!!
カルナ「ムチャクチャな」ガギィィィィィィ!!
アルジュナ「この程度で音を上げるのか? 笑えるな」シュパパパパッ
ドゥームズデイ「……」ドシュシュシュシュッ、シュゥゥゥゥゥ……
カルナ「少しは有効打を放ったらどうだ?」ギギギギギギギギギギィィィィ!!
アルジュナ「私の攻撃はひとつひとつが次への布石なのだ」
カルナ「だとしたら布石が多すぎるぞ」
ペンギン「カハハハ、ここまで滅茶苦茶だと逆にせいせいするぜ! どうだエジソン、一本吸うか!?」ボロッ
エジソン「戦場で葉巻を吸うな! どこまで豪胆なのだ!!」ボロボロ
エレナ「く、ううぅっ……ごめんなさいエジソン、そろそろ限界よ……!!」シュウシュウシュウ……
エジソン「!! エレナ女史!!」
エレナ「アナタの理念、立派だったわ。一緒に戦えて、良かった……」シュゥゥゥゥゥ……
エジソン「何たることだ! 戦場の柱が一本折れたに等しい……!」
ペンギン「ええい、俺も少々気張るしかねえか! デスストローク!」
デスストローク「……」
ペンギン「死んだふりはよせ! 不死身の癖しやがって!」
デスストローク「……いくら不死身でも、限度がある」ムクリ
ペンギン「行くぞ、隙を開いてやらにゃならん! 手間のかかる神話出身者共め!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:34:09.64 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」ダンッ、ブォンッ
カルナ「!? ぐお……!」ゴッシャァァァァァズシャシャシャシャ……
ドゥームズデイ「……」ブオンッ
アルジュナ「うっ、ぐあ……!!」グシャァッ、ヒュオンッドガァァァァァ!!!
デスストローク「せやっ!!」ガッ、ドガガッ
ドゥームズデイ「……」ヨロ
ペンギン「食らいやがれ!!」シュドッ
ドゥームズデイ「……」ガシッ、ブオンッ
ペンギン「おおぉ!?」ドッシャァァァァン……
デスストローク「使えんテディベアだ!」ダッ
ペンギン「お前の、ゴホッ、お前の踏み込みが足りんかったんだ!」パラパラ……
ドゥームズデイ「……」グググッ
高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!
ドゥームズデイ「!!」ガガッ、ズシャシャシャ……
フィン「間に合ったか!」ザザァッ
ドゥームズデイ「……」ズシャシャシャァ……ピタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:34:48.05 ID:69VCOY9o0<>
冷気「」パキ……パキパキ……
ドゥームズデイ「……」パキパキ……
フリーズ「動くな、怪物め」パキパキィ……
フィン「どうですか、奴を凍らせられそうですかな」
フリーズ「コンマ数秒ならな。たとえ全身を凍り付かせても、奴にとってはいかほどのダメージにもなるまい……」
ペンギン「こいつは驚いた! 全身冷蔵庫野郎め、まだ干からびてなかったのか!」
フリーズ「驚いたぞ、コブルポット。貴様は今頃魚の餌になっているかと」
フィン「ははは、仲良き事は美しきかな! ですがご注意を、未だ敵は健在です!」
デスストローク「……うるさいのが来たな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:35:21.72 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」グ、グググ、パキィ、パキ……
カルナ「……アルジュナ」スッ
アルジュナ「黙れ、みなまで言うな。方法なら、私も浮かんだ」
ペンギン「なんだ、ようやく神話らしいところでも見せてくれるってのか? 待ちくたびれるぜ、下々の民はよ!!」
カルナ「時間が掛かる。コブルポット、皆を率いて少しでも時間稼ぎをしてくれ」
ペンギン「どれくらいだ?」
アルジュナ「できる限り長くだ。これは『神話』の再現であり、太陽への冒涜であり、その失墜だ。私も、カルナも、時間が掛かる」
ペンギン「カーッ、その気取った訳の分からねえ説明はどうにかならねえのか! ……良いぞ、乗ってやる!」
デスストローク「フン、力を貸してやる。これで貸し借り無しか?」
ペンギン「……働き次第で考えてやる」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:35:51.55 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ
フィン「やはり怪物……」
フリーズ「大した化け物だ。薄皮一枚凍らせた程度ではどうにもならないという訳か」
フィン「……おかしいですな、親指を舐めても何の解決策も浮かびません」
フリーズ「時に、人は思考以上の何かを求められる。今こそその時だ」
フィン「ははは、全く怖がる隙も無い!」
フリーズ「最期まで生きるという事だ。難しい話ではないよ、フィン」
フィン「……ふ」
エジソン(……エレナ女史の犠牲は決して無駄にできん! アメリカを守り、もって世界を守る!)
エジソン「嘗めるな、怪物め! 大人しく白熱電球の光も届かぬ闇の中へ引っ込んでいるがいい!!」ガオオッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:36:30.42 ID:69VCOY9o0<>
エジソンも、もはや消滅の危機に瀕していた。背中から光の粒が立ち昇り、彼の身体は削られて行く。
だが、それでも、彼は集中した。愛する彼の故郷を守るため……世界を、守るため。枯渇する魔力、身を絞られるような苦痛に、彼は呻きながら抗う。天才とは、1%の閃きであり、99%の努力である。ならば戦うべし。
そうして全力で放たれたサポートの光を、デスストロークは背に受けた。彼もまた、とうに限界を迎えた身体に鞭打ち、拳を構えてドゥームズデイに向き合う。
「審判の日か。さしずめここは裁判所だな」
「笑えるジョークだ」
軽口を叩くペンギンに、デスストロークは真顔で返す。二人は互い違いにすり足で移動し、ドゥームズデイの周囲を衛星じみて回り出す。ペンギンもまた、油断ならない戦闘力の持ち主。
だが、ドゥームズデイは小癪とばかりに吼えた。空気の震えが戦士たちの肌を打ち、一瞬の怯懦を生んだ。一瞬。十分すぎる隙。
直後、ペンギンの腹部に拳がめり込んだ。何が起きたか理解する暇もなく、彼は吹き飛ばされ、地面深くへとめり込んで行った。
デスストロークは低姿勢で駆け、今しがたコブルポットを殴りつけたドゥームズデイへと拳を叩き付けようとする。だがドゥームズデイは信じがたい速度でデスストロークへと向き直り、カウンターの蹴りを……
「っぜええええい!!」
そこへ、ギリギリでフィンが割って入り、横に構えた槍で蹴りを受け止めた。衝撃が彼の全身を突き抜け、大きく弾き飛ばす。
デスストロークは瞬時に判断し、流麗な動作でフィンを回避。回し蹴りでドゥームズデイの顔を狙う。
ドゥームズデイはこれに反撃しようと、腕を持ち上げようとした。が、動かない。凍結している。コンマ数秒の遅れが生じ、ムチのような蹴りがドゥームズデイの頬を打った。
手応え、あり。デスストロークは反動に耐えながら、姿勢を戻そうとする。だが直後、隕石のような拳が彼を直撃し、スレイドの体構造を滅茶苦茶に破壊しながら振り下ろされた。
デスストロークは吐血にまみれながら、それを見る。ドゥームズデイの、怒りに見開かれた瞳を。所詮は焼け石に水だったか。
しかしそこへ、電撃じみた速度で何かが飛来。それはライオンのたてがみをたなびかせながら、ドゥームズデイへ拳を叩き込む。
エジソンである。彼は消滅しながら肉弾戦を挑んだのだ。
「う、グアァァァァァァァア!!」
苦悶の声と共に、拳が振り抜かれる。直撃した拳は砕け、儚い光粒となって消える。だが、それでも、エジソンは最期の一瞬まで、責任を放棄する事はなかった。
ドゥームズデイは反撃のビームを目から射出した。そのエネルギーの奔流はエジソンを直撃し、粉々に打ち砕いた。
光の粒の残滓が舞う中、スレイドは自らを支えていた最後の魔力が消えた事を知った。もはや彼の肉体は原動力を失い、不死性のみが残る苦痛の檻と化した。
だが、それでも、スレイドは彼が見た命の輝きに殉じると決めた。もはや人間とさほど変わらぬ肉体になり果てても、否、なり果てたからこそ、彼は起き上がる。
(見たのだ。俺は命の真実を見たのだ)
ナパーム! 生きたまま焼かれる仲間! 右目に飛来する弾丸! 血塗れの息子! 今、立ち上がる自分の怒り! それらに何の違いがあろう? 怒る権利ならば持ち得るハズだ! 怒り、命を燃やす権利ならば!!
デスストロークは地面に手を突き、叫びながら起き上がる! フィンも体勢を立て直し、ドゥームズデイへと飛び掛かる。だがもはや、残った数人だけでは何の時間稼ぎにもならない事は明白であった。
そんな中、カルナとアルジュナは、戦況が絶望的であると知りながらも集中を深めて行く。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:37:00.63 ID:69VCOY9o0<>
カルナ「……」ゴゴゥッ、ゴゴゴゴゴゥ……
アルジュナ「……」バチチチィ……バチ、バチバチバチ……
アルジュナ「……あの日、不本意でもお前を射った」バチバチバチ……
カルナ「……」ゴゥゥゥ……ゴゴゴゴゥッ……
アルジュナ「神々がお前を弱らせていると知りながらも、それでも弓引いた。そうして、お前を殺した。カルナ」バチバチバチバチィ、バチバチバチ……
カルナ「……知っている。覚えている」
アルジュナ「私はあの日の出来事を、クリシュナ(黒)のせいにしてきた。己の中に潜む黒のせいに」
カルナ「そうか」
アルジュナ「だからこそ、私はもう一度貴様を殺す。やり直しが効かぬのは承知している。だが、それでも……それでも、私は『これ』と向き合わねばならないのだ」
カルナ「……俺としては、お前が鈍っていないのを願うばかりだ」
アルジュナ「……フン」バチチチチチチチチィ!!
ペンギン「おいっ、まだかかるのか!」ズリズリ
カルナ「……まだだ。まだ、掛かる……」ゴゴゴゥッ、ゴゴゴゴ……
アルジュナ「……」バチバチバチチチチチチチヂヂヂヂヂヂ……!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:37:39.32 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「……」ブォンッ
デスストローク「ぐおぉぉ……っ」ゴシャシャシャシャァ……
フィン「くっ、フリーズ殿!」
フリーズ「待て、今撃つ!」ビィィィィィ……
ドゥームズデイ「……」パキィッ……バキン、ドシドシ
フィン「くっ、この怪物ももはや本気という事か……!」
フリーズ「フィン! 退け!」
フィン「まさか! 今や私がただ一人の近接戦闘役! 友を背に庇い、おめおめと逃げるワケにもいきますまい!」スッ
ドゥームズデイ「……」ドシ、ドシ
フリーズ「フィン! 本当に死ぬぞ!」
フィン「……ならば、私も所詮そこまでの……!」
???「少し落ち着いた方が良い」ポン
フィン「?? え、っと、誰でしたか……」
スーパーマン「大丈夫、間に合った。もう安心して良いよ」ニコッ
フリーズ「す……」
ペンギン「な……」
デスストローク「は……?」
カルナ「む……」
アルジュナ「なんだ、この力は……」
ドゥームズデイ「……」ジリッ
スーパーマン「安心して。世界は僕が守る」グッ
ドッッッッガァァァァァァァァァ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:38:09.23 ID:69VCOY9o0<>
「マシュッ! 宝具発動、衝撃波から全員をガードしろ!」
「はい!!」ギュォォォォォォオオッ!!!
衝撃波「「「」」」ゴォォォォオォッ!!!
マシュ「う、ううぅぅう!?」ビリビリビリビリビリッ
バットマン「エジソン! エレナ! 何処だ!!」ダダッ
ペンギン「てめえっ、バットマン!?」ビクゥッ
バットマン「コブルポット!?」
フリーズ「……お前まで来たのか、バットマン」
バットマン「ヴィクター……それに、そこに居るのは」
デスストローク「……フン、何か言いたそうだな」
バットマン「……スレイド、何故ここに」
デスストローク「下らんな。俺の願いは世界無しでは成就せん、そういう事だ」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:38:35.47 ID:69VCOY9o0<>
スーパーマン「フンッ!」ドゴォオォ!!
ドゥームズデイ「!!」ガシィッ、ドッゴォ!!
スーパーマン「うっぐわ!?」ヒュオンッ、ゴシャァッ!!
バットマン「……詳しい話はあとだ! マシュ、ガードを解除してスーパーマンのサポートに! ビリー、ジェロニモ、ラーマ、シータ! 行けるか!」
ラーマ「ああ!」ザッ
シータ「いけます!」スッ
ビリー「オッケー!」チャキッ
ジェロニモ「行くとしよう!」ザザッ
ナイチンゲール「アナタを治療します」ガシッ
デスストローク「……恐ろしい話だな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:39:07.08 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「■■■■■■■■■■■■■■!!!」ゴォォォォォッ!!!
ビリー「ハッハー、耳元で大砲鳴らされたみたいだ! ビリビリ来るね!」
ジェロニモ「油断するなよ! ラーマ、いけるか!?」
ラーマ「無論だ! 行くぞ、クラークに後れを取るな!!」ダダッ
シータ「はいっ!!」シュパパパッ
ジェロニモ「よし! ……大地の精霊よ、この地を作りし息吹よ……!!」ググググッ
ジェロニモ(二度と誰にも汚させまい。二度と誰にも壊させまい。この地を。悠久の命根付くこの大陸を!!)
ジェロニモ「今ひと時、我に力を貸し与えたまえ!!! 『大地を創りし者』(ツァゴ・デジ・ナレヤ)!!」
ビリー「……えっと、何も起きないんだけど」
ジェロニモ「……」
―――ァァァォォォォォオオ……
ビリー「え?」
……ッ、ルドッ、ドドッ、ドドッ、ドドッ!!
大狼「グルルルァ!!」ドドッ、ドドッ、ドドッ!!
ビリー「えぇ!?」
ジェロニモ「さあ行くぞ! 恐れはいまや無用と化した!!」
ビリー「ハハ、ムチャクチャだなぁ!」
大狼「グルアァァァオオオオオオ!!!」ゴォォォオッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:39:35.76 ID:69VCOY9o0<>
ラーマ「せいっ!」ズバァッ
ドゥームズデイ「っ!」ヨロッ
ラーマ「やはり通用する! シータ!」
シータ「はい!」シュパパパッ
ドゥームズデイ「……!!」ドシュシュゥッ、グラリ
大狼「ガァルッ!!」ガブゥ
ドゥームズデイ「■■■■……」ガシッ、グォンッ
大狼「グラッ……」ドッシャァァァ……
ラーマ「ぬわあっ!?」ドッシャァァァ!!
シータ「ラーマ様!?」ギョッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:40:03.05 ID:69VCOY9o0<>
マシュ「たああっ!」ドシュゥッ
ドゥームズデイ「……」ガシィッ、ドゴォ!!
マシュ「っきゃぁ……」ドガァァァァ!!
ガシッ!!
マシュ「……って、あれ?」ピタッ
フィン「無事、でしたか?」キラリ
マシュ「あ、ど、どうも……」ペコリ
フィン「ふっ、気にする事はない。そも、花を守ろうとするのは自然な行いですから!」キラリ
マシュ「は、はあ……」
フリーズ「フィン! 悪い癖が出かかっているぞ、今は我慢するんだ!」
フィン「これは手厳しい! ではお嬢さん、後ほど!」ダッ
マシュ「は、はあ……じゃなくて、私も戦います!!」ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:40:30.06 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「■■■■■■■!!」
大狼「グルルルル……」ゴロリ、ムクッ
ラーマ「ぜえ、はあ、狼の下敷きで死ぬかと思った……」ムクリ
シータ「ご、ご無事ですか?」
ラーマ「うむ、余は平気だ!」チャキリ
ビリー「弾丸は弾かれるけど、弾丸の威力で相手の身体に圧力がかけられるね。よーし、これなら戦いようはある……!」
ジェロニモ「……よし、私も準備が整った。いざ、精霊と舞うとしようか」フーッ
地面「」ドゴォンッ
スーパーマン「おおおおおおおぉぉぉおぉぉ!!」ドッゴォォォォォォ!!!
ドゥームズデイ「■■■■■■■……!!!」ドッシャシャシャシャシャ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:41:06.57 ID:69VCOY9o0<>
ヒュォンッ
ドガァァァァァ!!
ドゴシャァァァァァ!!
ナイチンゲール「……」カチャカチャ、クルクル
デスストローク「……」
ナイチンゲール「……心変わりをしたものですね」カチャカチャ
デスストローク「……黙って仕事をしろ。治りゃあ戦える」
ナイチンゲール「アナタの身体の治癒力はけた外れに高い。軽い処置で完治までいくでしょう」
デスストローク「なら行くぞ」ムクリ
ナイチンゲール「……ですが、アナタの根本の病気までは治せません」
デスストローク「……」ピタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:41:34.82 ID:69VCOY9o0<>
ナイチンゲール「アナタは病気です。根本の部分で、生への意味を見出せていない」
デスストローク「……」
ナイチンゲール「アナタは、死にたいと思っているのですね。自分に裁きが下される事を望んでいる」
デスストローク「ハッ、治療の次はメンタリストの真似事か? 当ててやろう、看護師。お前も病気だ。不治の病だ」
ナイチンゲール「……」
デスストローク「……お互い、絶対に手に入らないものを手に入れようと必死になっているんだろう。なら、お互い口出しは無しだ」
ナイチンゲール「……良いでしょう」
デスストローク「話の分かる女だ」
ナイチンゲール「私の事を怒っている、と言いましたね」
デスストローク「……」
ナイチンゲール「自分を棚上げするのは良くない事です」
デスストローク「ハン!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:42:16.75 ID:69VCOY9o0<>
スーパーマン「ぐっ、ふう……」ツー……ポタ、ポタ
スーパーマン(これは、ちょっとキツイかもしれないな。ブルースが心配するわけだ)ドサリ
ガシッ
バットマン「クラーク! 無事か!」グイッ
スーパーマン「あ、あぁ、大丈夫……というか、キミはここに居ない方が良いぞ!? 戦いの衝撃波で死んでしまう!!」ギョッ
バットマン「仲間が命を懸けているんだ、クラーク。それに私はスーツで守られている、しばらくは死なずに済むさ。さあ、手を掴め」スッ
スーパーマン「な……」
スーパーマン(何処からツッコめばいいんだ!? キミってそんなキャラじゃなかったよな、とか、しばらくは死なずに済むなんて、確証の無い事を……)
スーパーマン「……ぷっ」
バットマン「……??」
スーパーマン「は、ははははは!! ははは、は、いたたたた、傷が……!」
バットマン「こ、この大事な時に何を笑って……キミを時折本当に図りかねるぞ、クラーク」ガシッ、グイッ
スーパーマン「ははははは……あぁ、すまない。ありがとう、ブルース」ムクリ
バットマン「無事か。この程度で音を上げるキミではないな?」
スーパーマン「勿論だ。キミが立つなら、僕も立つよ」
バットマン「なら、私ももう少し踏ん張るとしよう」ニヤリ
スーパーマン「ふふ、任せろ!」ニッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:42:46.31 ID:69VCOY9o0<>
マシュ「たああっ!!」ゴォッ!!
ラーマ「でやああっ!!」ズバァッ!!
ドゥームズデイ「……!!」ズシャシャシャァッ
シータ「そこっ!!」シュパパパパッ
ビリー「くたばれ!!」タァンタァン、タァン!!
大狼「グルォァアアウッ!!!」ドシィッ!!
ジェロニモ「せやっ!!」シュババッ!!
ドゥームズデイ「■■■■■■……!!!」ドシ、ドシィ、グラァ……
フィン「これが最後の、魔力だ……!!」ギュィィィィィィイイイッ!!
フィン「『無敗の紫靫草』(マク・ア・ルイン)!!」ズバシャァァァァァァァァ!!!
高圧水流「」ピシァァァァァアアアアア!!!
ドゥームズデイ「!!」バッ、ドシャシャシャシャ、ズシィ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:43:13.06 ID:69VCOY9o0<>
カルナ「……いけるか」ゴゴゴゴゥ……
アルジュナ「いける」バヂヂヂヂヂヂヂィ……
カルナ「コブルポット。いけるぞ」ゴゥゥ……
ペンギン「よし、やっとだ! テメェら全員、そのデカブツの動きをできるだけ長く止めろ!! デカいのを撃つぞ!!」
フィン「フリーズ殿!!」シュウシュウシュウ……
フリーズ「フィン!!」
フィン「私の最後の魔力です! どうか有効に!!」シュゥゥゥゥゥ……
フリーズ「……!!」ガシャリ
フリーズ(フィン・マックール。愛と武勇に生きた騎士。私はお前を忘れないだろう……!)キュイィィィィィィ!!
フリーズ「怪物め……!」
フリーズ「動くなァァァ!!(Freeeeeeeeeeeeeze!)」ギュオォオォォォォオオオオオォォォ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:43:47.95 ID:69VCOY9o0<>
ドゥームズデイ「!!」バキバキバキィィィィ……ン
スーパーマン「うおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!!」ガシッ、グググググ……
ドゥームズデイ「……!!」グググググ……
スーパーマン「僕なら大丈夫だ! その『デカいの』を撃ってくれ! 早く!!」グググググ……
カルナ「行くぞ、アルジュナ」フワリ
アルジュナ「……ああ」スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:44:17.08 ID:69VCOY9o0<>
アルジュナは弓を構え、電撃迸る矢を弦へ番えた。そうして、空中、燃える太陽じみて力を発するカルナへと狙いを定める。
アルジュナは生前、卑怯な方法でカルナの命を奪った。めぐり合わせとはいえ、神々の思し召しとはいえ、それは卑怯であり、アルジュナの心に深い傷を残した。
そして今、アルジュナはまたしてもカルナを殺そうとしている。だが、彼の矢じりが震える事は無かった。
(ならば、それが結果ならば、立ち向かうほかあるまい。それが取り返しのつかぬ一線であり、消せぬ罪であるというのなら……)
「己を受け入れろ」
アルジュナは目を見開き、空中に浮かぶカルナを見た。太陽のような存在は、燃えながら、微笑みながら、あの時のようにアルジュナを見ていた。
「己を受け入れろ。英雄よ」
「……全く、貴様は度し難いほどに憎たらしい奴だ」
アルジュナは思わず歪んだ笑みを浮かべ……そして、全身全霊を込めた一矢を、太陽を射落とす最高の一矢を放った。
それは雷めいて空を翔け、過たずカルナの胸を刺し貫いた。カルナはそれを受け入れるかのように両手を広げ……そして、燃える炎の中に飲まれて行った。
アルジュナはもはや全魔力を込めた一矢により存在を保てず、光とともに消えて行く。カルナもまた、その一撃を受け、炎の塊となりながら燃え尽きて行く。
だが空中の炎塊は消えない。それどころか、あたりに雷を撒き散らしながら、もっと大きくなってゆく。まるで本物の太陽じみて、大きく、強く、そして深く。
太陽は『射落とされた』。標的めがけ、その強大な力の塊はゆっくりと落ちて行く。ドゥームズ・デイへと。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:44:43.41 ID:69VCOY9o0<>
「うぅぅぅぅぅぅうおおぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」
スーパーマンは吼えながら、ドゥームズデイを拘束する力を強める。だがドゥームズデイも必死である。己を阻む氷塊と格闘しながら、スーパーマンを押しのけようと力を込める。
その間にも、ジリジリと太陽が迫る。ドゥームズデイはとうとう氷塊を破壊し、スーパーマンを叩き伏せようと拳を振り上げる。
だが、そこへ、宝具を解放したマシュが突っ込んだ。全身を光の防護で覆い、ドゥームズデイの片手を塞ぐべく決死の突進を行う。
ドゥームズデイは煩わしげに片手で払おうとする。そこへ、ラーマが剣を振り抜き、ジェロニモと大狼が加勢する。三人と一匹でようやく一つの腕が止まりかける。
太陽が迫り、ドゥームズデイの背中が焦げ付き始める。破滅が、近い。
「■■■■■■■!!」
しかし、ドゥームズデイは目を光らせ、全エネルギーで拘束に対抗する。マシュ達が圧され、スーパーマンですらあまりの力に目を見開く。
そこへ、ビリーが銃を連射し、ラーマの剣を、ジェロニモのナイフを、マシュの盾を後押しし始める。
「■■■■■■■……」
そんな努力をあざ笑うかのように、ドゥームズデイの両目が激しく発光を始める。だが、
「撃て! 目だ!」
バットマンの声が響くと同時に、シータの矢が、ペンギンの弾丸が、それぞれドゥームズデイの両目に命中し、閉じさせてレーザーを封じ込めた。
ドゥームズデイは今の戦況を、こうなった理由を、己の慢心を探ろうとした。だがその時すでに、彼の背中を太陽が呑み込んだ。
「やった……」
一瞬の気のゆるみ。そこを突かれ、まずラーマが弾き飛ばされた。
「ラーマさッ」
「■■■■■■■!!!」
「キャインッ!?」
そして、マシュ、ジェロニモ、大狼が吹き飛ばされる。
「なんて化け物だ……!!」
スーパーマンは肌を焼かれながら、その怪物を見上げた。背にプラズマ太陽を背負い、全身を燃やしながら、それでも敵意と憎悪を止めぬ怪物を。
「なすすべはないのか……」
バットマンですら絶望しかけた、その時。遠くで発砲音が響いた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:45:34.83 ID:69VCOY9o0<>
『その発砲』の直前、デッドショットは最適な着弾ポイントを探す必要があった。その一発は最高の一発でなくてはならず、そして世界を救う一発でなくてはならないからだ。
(おいおいおい、頼むぞ。悪党ですら世界を救う気になってんだ、ヒーローが負けてんじゃねえ)
刻一刻と悪化してゆく状況を俯瞰しながら、デッドショットはスナイパーライフルを組み立てる。そして、作業を終え、スコープを覗き込み、そして、……そして一瞬、祈るように目を閉じる。彼の娘を想う。
(すまねえ)
デッドショット。死の射撃。だが彼は、フロイド・ロートンでもある。だからこそその瞬間、彼は謝罪する。そうして、付け加えるように思考する。
(……おい、世界最高の暗殺者。同業者なら、ちったあ根性見せろよ……!)
直後に、『それ』は撃ちだされた。
――全員が、その発砲音を聞き、意識を一瞬そちらへ向け、何が射出されたのかを見た。
発射されたのは、緑に光る槍だった。バットマンは察する。アレはクリプトナイト製の槍であると。
戦場へと走るデスストロークは、苦笑いの後に唇を引き結ぶ。アレは『自分宛て』だ。
槍は正確にデスストロークの頭上へと飛来した。死の傭兵は走りながら跳躍し、それを掴み、破滅へと飛び掛かった。
そして、クリプトナイトの槍を、ドゥームズデイの胸へと突き刺した。
「悪党の力も必要だろう」
「……」
スーパーマンは驚きに目を開く。ドゥームズデイは吐血する。
「■■、■■■■■■■!!」
「ぐ、ううぅ!!」
ドゥームズデイが苦痛に怯む。一方、スーパーマンも無事ではない。クリプトナイトはただその存在だけで彼らに悪影響をおよぼすのだ。
両者の力が減じ、均衡は破られないかに思われた。しかし、スーパーマンの背後から、マシュが突撃した。マシュの光の防護の内側から、ジェロニモが、ビリーが、ラーマが、シータが、バットマンが突撃した。それが違いだった。
ドゥームズデイはもはや抵抗する力もなく、よろめき、プラズマ太陽の中へと後退って行く。デスストロークは緑の槍を突き刺したまま、踏ん張ってドゥームズデイを押し込んで行く。
「スレイド! 戻れ!」
「断る」
素っ気なく言い放ち、デスストロークはクリプトナイトの槍と共に太陽の中へ沈んで行く。ドゥームズデイは苦悶し、地獄から這い出ようともがく。しかし槍が、それを許さない。
「念のためだ。化け物と死ぬのは、化け物の宿命だな」
ひとりごち、デスストロークは更に踏み込む。彼は全身が焼かれるのを感じながら、一瞬だけ、家族の幻影を見た。
(これがお前の怒りか)
誰に向けた懺悔だっただろうか。スレイド・ウィルソンはようやく心からの笑みを漏らし、……直後に、太陽ごと、二人の化け物は消滅した。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:46:19.32 ID:69VCOY9o0<>
聖杯「」カラン……
バットマン「……やっ、たのか」フー、フー
スーパーマン「ふう、ちょっと、きつい相手だったな」ドサリ
マシュ「聖杯、確認。回収します」ゼエゼエ
フリーズ「……終わったか」シュウシュウシュウ……
ペンギン「カハハ、俺のおかげだ。知ってたか?」
フリーズ「置物ペンギンめ。手柄を誇張する事にだけは長けているな」シュウシュウシュウ……
ペンギン「フン、ここにはナマイキな野郎しか居ねえな……」シュウシュウシュウ……
ペンギン「……あー、なんだ? 俺の身体はどうなってる……」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……
フリーズ「……成程、そうなるのか」シュゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:46:48.51 ID:69VCOY9o0<>
ビリー「ふう、ようやく終わりかぁ。次はもっと気ままに遊んで襲って、って感じにやりたいなあ」シュウシュウシュウ……
ジェロニモ「私の故郷でそれは許さないぞ、ビリー」シュウシュウシュウ……
ビリー「ちぇー、冗談だよ。半分はね。……ブルース、一緒に戦えて良かった。また何処かで」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……ああ、また同じ側でな」
ジェロニモ「ふふ、私もまたキミ達と出会えるだろうかな。精霊の導きは気まぐれだ」シュウシュウシュウ……
バットマン「……旅を続けていれば、また必ず会う日が来る」
ジェロニモ「ああ、その答えは気に入った。今度使わせてもらうよ、ははは……」シュウゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:47:15.32 ID:69VCOY9o0<>
ラーマ「……ふむ」シュウシュウシュウ……
シータ「あ……」シュウシュウシュウ……
ラーマ「……そう悲しそうな顔をするな、シータ。こうして一度、我らは出会った。ならば、二度目は遠くない」
シータ「……はい……」
ラーマ「……次に会ったなら、今度はもっとゆっくりしよう。二人で茶を飲み、甘味を楽しみ、心行くまで共に語らおう。お前のために歌を作るのも良い。きっと、そうしよう」
シータ「!! ……か、必ずですよ?」シュウゥゥゥゥゥ……
ラーマ「ああ……きっとだ」シュウゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:47:42.04 ID:69VCOY9o0<>
ナイチンゲール「ご苦労さまでした」スタスタ
バットマン「世話になったな、フローレンス」シュウシュウシュウ……
マシュ「私達はあまり長く、この世界に留まれません。もう、行かねば……」シュウシュウシュウ……
ナイチンゲール「……ええ、そうなのでしょう。ですが、これだけは。まず、毎回の外出が終わり、室内へ戻った時は手洗い・うがいを忘れず。室内にこもりがちな作業の時は換気を。何かものを食べる時は、手を洗うように。殺菌に余念なく、傷口を洗うのは迅速に」
バットマン「あ、ああ、……うむ……」
マシュ「そ、そうします……」
ナイチンゲール「……それから、決して死なない事。良いですね」
バットマン「……」
ナイチンゲール「良いですね?」ガシッ
バットマン「……約束する」グッ
ナイチンゲール「ならばよいでしょう」パッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:48:11.51 ID:69VCOY9o0<>
スーパーマン「あはは、なんだか言いたい事はだいたい言われてしまったな……なあ、ブルース、キミはリーダーに向いてないと言ってたかな?」
バットマン「ああ」
スーパーマン「……ふふ、キミに鏡を見せてやりたいよ」
マシュ「(深い頷き)」
バットマン「……どういう、」
スーパーマン「おや! そろそろ時間切れか、全く思うようにならないな!」
バットマン「……」シュウシュウシュウ……
スーパーマン「……バットマン、正義はひとつじゃない。キミになら、出来るよ」
バットマン「……分かっている」シュウゥゥゥゥゥ……
スーパーマン「まあ、だろうね。……彼の事、よろしくたのむよ」
マシュ「あっ、は、はい! 任せて下さい!! あとよろしければ、盾の裏側にサインを……」シュウゥゥゥゥゥ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:48:39.87 ID:69VCOY9o0<>
スーパーマン「……やれやれ。一仕事終わったな」ググッ
ナイチンゲール「動かないでください。治療を開始します」ガシッ
スーパーマン「え、本気か? もう戦わなくて良いのに」
ナイチンゲール「平和を楽しむ体を残さず、何のために戦うのですか」カチャカチャ
スーパーマン「……確かにね」ポリポリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:49:07.61 ID:69VCOY9o0<>
………………
デッドショット「……」ドサッ
デッドショット(どうだよ、エリザベート。あの世で見てやがったか、これを)シュウシュウシュウ……
ハートガチクチク アイアンメイデン……
デッドショット「……」チラ
子供の集団「」キスノアラシトシャレコムノ……
デッドショット「……ハッ」シュウゥゥゥゥゥ……
デッドショット(まあ、悪くなかったと言える出来だろ?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/05(日) 03:49:51.48 ID:69VCOY9o0<>
第五章
北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト
死者 無し
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/05(日) 03:50:25.59 ID:69VCOY9o0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage <>2019/05/05(日) 08:36:50.94 ID:FaWDZooU0<> 乙
この世界のバットマンとスーパーマンの知名度の差...
まぁ確かにブルースは目立ちたがり屋では無いけどさ... <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/05(日) 09:01:31.22 ID:qME01EVA0<> 乙、メイヴ生き残ったのか
スーパーマンとバットマンはやってることが真逆だから仕方ないよね
これの亡きF先生のパロ地味に有名だよね <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/05(日) 15:02:20.02 ID:J+Wglt22o<> 恐怖を与えるためにはバットマンは噂話というか都市伝説のような存在であるべきだからな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/05(日) 15:36:46.37 ID:ZXUX/1bAO<> ジャスティスリーグで勲章もらった時思い切り姿出してなかったか? <>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:33:47.01 ID:blXc9I6X0<>
………………
ピピピ!! ピピピ!!
ブルース「……」ムクリ
ブルース「……」チラ
時計『06:00』ピピピ!! ピピピ!!
ブルース「……フー」ググッ、ムクリ
ドア「」コンコン
ブルース「入って良いぞ」
「失礼します」スタスタ
ドア「」ウィーン
マシュ「おはようございます、マスター」
ブルース「ああ、おはよう」スクッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:34:16.80 ID:blXc9I6X0<>
………………
レオナルド「……」チュィィィィィィィィ……
電灯「」チカチカ、パッ
レオナルド「……ふー。よしよし、これでC区画の電力は復旧したね」
マシュ「おはようございます、ダ・ヴィンチちゃん!」
レオナルド「おや、おはよう。二人とも朝早いね」
ブルース「ああ、おはよう。カルデアの復旧作業の進捗はどうだ?」
レオナルド「7割ってところかなぁ。ベインのヤツ、何処を破壊すれば効率的かよく把握してたらしい」
ブルース「……しかし、襲撃直後よりはかなりマシになったな。復旧、残るはあと1区画のみか」
レオナルド「もうすぐ終わるよ、大丈夫。そういえば、二人とも今日は休息日だったかな?」
マシュ「はいっ!」ニコニコ
レオナルド「ふふ、楽しむと良い。大事なのはメリハリだ、ちゃんと休んでね」
ブルース「ああ、ありがとう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:34:44.59 ID:blXc9I6X0<>
マシュ「どうしましょうか、マスター!」ニコニコ
ブルース「私は図書館で過ごす。ではな」スタスタ
マシュ「えっ」ガァン
ブルース「……どうした?」クル
マシュ「いっ、いっしょ……」
ブルース「……イッショ?」
ドクター「やあブルースくん、マシュ! 廊下の真ん中で向かい合ってどうしたの?」スタスタ
ブルース「……??」
マシュ「……イッショ……」
ドクター「……ホントにどうしたの?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:35:11.62 ID:blXc9I6X0<>
………………
職員C「それはブルースさん、気持ちを汲まなきゃダメッスよ」
職員B「そうですよー。言葉に出さなくても分からなきゃ」
職員A「それが信頼関係ってものでしょう」
ブルース「……そうなのか」
ドクター「まあ、マシュも苦労するよね……」
マシュ「……」モジモジ
ブルース「……悪かった、傷付ける意図は無かったんだ」
職員達(((だから厄介なんだよ!)))
ブルース「今日は何がしたい、マシュ。お前に付き合おう」
マシュ「え、えっと、マスターがしたい事が良いです……」モジ
ブルース「……」
ブルース(……マシュが休む事が出来て、なおかつ私のやりたい事だと……?)ジッ
ドクター「そ、そんな真剣に考えこむとこなの?」
ブルース「……ドクターならどうする」
ドクター「え? ええっと、そうだな……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:35:40.77 ID:blXc9I6X0<>
………………
〜レクリエーションスペース〜
テレビ「」グワハハハハ、カンネンセイ!!
マシュ「映画を観るのは初めてです!」キラキラ
ブルース「初めて?」
マシュ「はいっ、これみたいな長編の放送プログラムの事ですよね!」
ブルース「まあ……間違いではない。ポップコーンが余っているぞ、食べるといい」ガサ
マシュ「ありがとうございます!」パァァァァ
………………
テレビ「」ガッズィーラ……
マシュ「こ、怖い怪獣ですね……」ビクビク
ブルース「そうだな。放射線を浴びたからといって、イグアナがああなるとは考えられんが」
マシュ「でもこんなに強くて脚が速いんですよ!? もし本当にこんなのが出たらどうすれば……」
ブルース(……ディックと映画を観た時の事を思い出すな……)
ブルース「……確かに、対処は困難を極めるだろうな」
マシュ「ですよね!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:36:10.31 ID:blXc9I6X0<>
テレビ「」バーラムユー バーラムユー
マシュ「うぅっ、子豚さんの想いが……」
ブルース「豚が喋る世界か……」
マシュ「動物さんは皆お互いに語り掛けているのかもしれませんね……人間に聞こえていないだけで」
ブルース「それは動物学上の観点から……いや、ゴホン、そうかもしれないな」
マシュ「可愛いです……」
ブルース(……明日の朝食がベーコンなのは黙っておこう)
………………
テレビ「」ヤツニハ「ミャク」ガナイトイエ!!
マシュ「スパイってかっこいいですよね……」
ブルース「スパイか……私も何度か相手にした事があるが、連中は手強いんだ」
マシュ「ああいうお洒落さには憧れます……」
ブルース「何事にもああいった余裕は必要だな」
………………
テレビ「」ヒトノホンシツハ、コウドウデキマル
マシュ「……」
ブルース「……」
マシュ「……この人、マスターに似てますよね?」
ブルース「……何の話だ」
………………
テレビ「」クルー、キットクルー
マシュ「……」ビクビク
ブルース「……マシュ、あまり腕にしがみつくのは」
テレビ「」キャァァァァァァァァ!!
マシュ「きゃあああああああ!!!」グググググググ
ブルース「マシュ、落ち着け! マシュ!!」グググググググ
ドクター「おーい、晩御飯だから呼びに……って、ちょっと!? マシュ、いくらブルースが鈍いからって殺すのは……ちょっと!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:36:38.76 ID:blXc9I6X0<>
………………
〜食堂〜
所長「遅かったわね」
ブルース「すまない」
所長「別に、良いけど。休めたかしら?」
マシュ「はいっ、しっかり休みました!」
所長「なら良いわ。今日も全員揃ったわね?」
職員A「はい」
職員B「居ます」
職員C「ウッス!」
ドクター「揃いましたね」
レオナルド「居るよ〜」
所長「では、今日もご飯を食べられる事に感謝して。頂きましょう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:37:09.00 ID:blXc9I6X0<>
カチャカチャ、カチャカチャ
職員A「久々の牛肉ですね」
所長「ええ。味わって食べなさい」
レオナルド「うまく再現出来てるか不安だけど、どうだい?」
職員B「とっても美味しいです!」モグモグ
レオナルド「ははは、良かった!」
職員C「うめえ……うめえ」ガツガツ
ドクター「のどに詰まらせるぞぅ、水は十分かい?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:37:37.50 ID:blXc9I6X0<>
マシュ「美味しいですね、マスター」
ブルース「ああ、とても良い味だ。……今日はゆっくり休めたか、マシュ」
マシュ「はいっ、楽しい休日で……した……?」
ブルース「……? どうした、ま……」
マシュ「……」ドサッ
ブルース「!? マシュ!?」
ドクター「どうした!?」
レオナルド「何があった、ブルース」
ブルース「分からない……マシュ、聞こえるか!? マシュ!?」ユサユサ
マシュ「……」グタッ
所長「っ、ロマニ! 早く治療室へ! 所員達は担架を用意しなさい! 急いで!」
職員A「は、はい!」
ブルース「マシュ……マシュ! マシュ!!」
マシュ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga <>2019/05/06(月) 08:38:05.37 ID:blXc9I6X0<>
第六章
神聖円卓領域 キャメロット
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/06(月) 08:39:32.32 ID:blXc9I6X0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
メイヴは消滅させたつもりだったのですが、私の描写力不足が原因で誤解を与えているかもしれませんね…… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/07(火) 02:38:12.20 ID:C2GCXxpco<> いや、普通判るから気にすんな
見落としにまで一々気を使ってたら精神力持たないぞ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/07(火) 20:26:28.26 ID:Hk2TEWCYO<> あー……そういえば6章はその前にマシュの真実が語られるシーンがあったな…… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/08(水) 15:28:30.92 ID:+ROhUZ4A0<> おつおつ!
5章最後、敵味方入り交じっての総力戦ってやっぱりシビれる……みんなよかった(コナミ
マシュと映画見るブルースさんにほのぼのしてたら急展開に震えてるぜ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2019/05/10(金) 20:12:36.79 ID:l64krlNl0<> 多分、ジョーカーにまた人間から怪物に戻されるんだろうなぁ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:39:39.61 ID:RF0g7SSA0<>
………………
扉「」ガチャリ
ドクター「……」スタ、スタ
ブルース「……ドクター」
ドクター「ブルースくん」
ブルース「マシュは。無事なのか」
ドクター「ああ、今は安定してる。……少し、彼女の事について話そう。皆も知る必要があるから、管制室で」
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:40:06.64 ID:RF0g7SSA0<>
………………
職員A「ドクター、マシュは大丈夫なんですか?」
職員B「マシュちゃん、もう目は覚めましたか?」
職員C「アイツ、無理してたんじゃないんですか!?」
所長「落ち着きなさい、全員よ。……ロマニ、こうして集めたって事は、大事な話ね?」
ドクター「……はい、かなり大事な話です。今後のレイシフトの運用にも関わって来る」
レオナルド「なら、皆座って。落ち着かなきゃ、話も聞けないよ」
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:40:36.23 ID:RF0g7SSA0<>
ドクター「今回のマシュの急な昏倒の原因について、先程ようやく解明が済んだ」
ブルース「……」
ドクター「……彼女の魔力回路を精査した結果、マシュの肉体は『サーヴァント化』による急激な消耗の下にあったようだ。彼女、大分無理をして戦ってたみたいだ」
ブルース「……」
所長「……」
ドクター「恐らくそれは、寿命を削って戦うのと同じ意味だ。……彼女は文字通り、命を燃料のように扱って戦っていたのだと思う。今回の昏倒は、その反動だ」
レオナルド「ふぅーむ……」
ドクター「こんなところだよ。彼女には、この理由はまだ知らせていない。……そこで重要になってくるのが、」
ブルース「マシュを、次の特異点攻略に参加させるか否か。という事だな」
ドクター「……うん、そうなる」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:41:03.02 ID:RF0g7SSA0<>
職員A「現実的ではないですね。次の特異点で昏倒が起きたなら、それは致命的な隙になる」
職員B「で、でも、マシュちゃんはずっとブルースさんの隣で戦って来て……」
職員A「感情で世界の命運を左右するわけにはいかない……お前はどう思う?」
職員C「お、俺? 俺は、その……分からない」
所長「……」
ドクター「僕も、正直、あの状態のマシュを特異点攻略に向かわせるのは賛成しかねる。彼女の身体はとうに限界と言って差し支えない」
レオナルド「しかし、今や彼女はカルデアに欠かせない戦力の一人だ。カルデアの復旧もまだ十全じゃない。新たなサーヴァント召喚も出来ないような状態で、ブルース一人を特異点に向かわせるのこそ現実的ではない」
ブルース「では、カルデアの復旧を完璧にしてから新たなサーヴァントを呼べばいい。私も、今のマシュを出撃させるのには反対だ」
所長「……けど、いつ敵の人理焼却準備が整ってしまうか分からない現状、素早い解決が求められるわ。それに、カルデアごと虚数空間を漂ってるこの状態も、正直言って望ましくない。長期の漂流が、人体にいかなる影響を及ぼすかも分からないのに」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:41:29.53 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「では、彼女が死にかけているのをおしてでも、死地に向かわせるという事か」
所長「そうは言ってないわ……」
レオナルド「ブルース、冷静になってくれ。キミはそれが得意だったハズだ」
ブルース「私は冷静だ。いいか、現実的でないというのなら、いつ倒れるか分からない仲間を柱にして戦う事ほど現実的でない策はない」
所長「でも、このままじゃどうにもならないわよ」
ブルース「必要ならば、私一人で行こう」
レオナルド「それこそ現実的ではない。やはり冷静ではないね」
ブルース「ならどうしろというんだ。マシュを無理に連れ出し、死んでゆくのを後ろから見ていろとでも……!」
扉「」ガタッ
職員達「「「!!」」」
ドクター「え!?」クルッ
ブルース「!」バッ
マシュ「……」ヨロ、ヨロ……
ブルース「……マシュ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:41:58.72 ID:RF0g7SSA0<>
マシュ「ます、たー……」ヨロヨロ
ブルース「マシュ、何故……」タタッ、ガシッ
マシュ「マスター……」ヒシッ
ブルース「……ドクター、これは……」
ドクター「ま、マシュ、キミは安静にしてなきゃ駄目なのに……麻酔も打ったし、眠ったとばかり……」
マシュ「マスター、私、戦えます。歩いてます、今も、歩けます」ヨロヨロ
ブルース「マシュ、しかし……」
マシュ「戦えます、大丈夫です、お願いします……置いて行かないでください、戦えます……」
ブルース「……」
レオナルド「……マシュ、とにかくキミは休まなくちゃ。不安にさせてすまないね、きっとキミの意見も反映させるよ」ポン
マシュ「……」グタッ
ブルース「……」
ドクター「……気絶、した?」
レオナルド「元々、麻酔で意識が朦朧としてるのに歩いてきたんだ。無茶をするよ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:42:41.69 ID:RF0g7SSA0<>
所長「……皆、今日はあまり冷静ではないわね。時間も遅いし、休んで明日これを協議するものとします。良いわね」
職員A「……はい」
職員B「はい……」
職員C「……分かりました」
ドクター「……」
レオナルド「……」
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:43:09.38 ID:RF0g7SSA0<>
レオナルド「……マシュを運んで来るよ。今日はキミもゆっくり休んでくれ、ブルース」
ブルース「……ああ、すまない」
レオナルド「謝る事じゃないさ。……また明日にね」スタスタ
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:43:41.58 ID:RF0g7SSA0<>
………………
時計「」カチ、カチ、カチ、カチ
ブルース「……」
時計「」カチ、カチ、カチ、カチ
ブルース(……マシュをもっとよく観察していれば、気付けただろう。当然彼女が無茶をしているという事に)
ブルース(デスストローク。クー・フーリン。ドゥームズデイ。無茶をしない訳がない。分かっていたハズだ)
ブルース(……マスターだと? 笑わせる、その資格すらない……)
時計「」カチ、カチ、カチ、カチ
ブルース(結局、こうなる。ディックも、ジェイソンも、ティムも……壊れる寸前まで負担をかけて、ようやく気付くんだ。マシュも)
ブルース「……ふー……」
ブルース(言われた通り、冷静ではない。少し頭を冷やしに行こう)スクッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:44:13.31 ID:RF0g7SSA0<>
………………
ブルース「……」スタスタ
ブルース(……)
(((マスター、私、戦えます)))
ブルース「……」
ブルース(……信じるとは、どういう事だったか……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:44:40.75 ID:RF0g7SSA0<>
自動ドア「」ウィーン
ブルース「……」スタスタ
職員C「……あ」
ブルース「む」
職員C「ど、どうも」
ブルース「……すまない、邪魔だったか」
職員C「いえ、そんな事はないッス……ですよ」
ブルース「……そうか」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:45:22.17 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……」
職員C「……」
ブルース「…………」
職員C「…………」
ブルース「………………」
職員C「……ぶ、ブルースさんも、眠れなかったんスか?」
ブルース「……そうだな。キミも?」
職員C「俺、その……はい、俺もッス」
ブルース「……そうか」
職員C「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:45:52.58 ID:RF0g7SSA0<>
(((お願いします……置いて行かないでください)))
職員C「……あんなの見ちゃったら、眠れないッスよ……」
ブルース「……そうだな」
職員C「……皆、自分の意見っていうか、自分の根っこを持ってるし。しっかりしてるし、俺なんかが此処に居て良いのかって、時々思っちゃいます」
ブルース「いつも助かってる。キミ達のサポート無しでは、ここまで来れていないだろう」
職員C「……そう、ッスかね」
ブルース「そうだ」
職員C「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:46:21.35 ID:RF0g7SSA0<>
職員C「……俺、」
ブルース「……」
職員C「俺、実は、世界が炎に包まれた最初の頃は、諦めてたんです。もう世界は焼かれたのに、どうして一生懸命にならなきゃダメなんだ。どうせ死ぬんだから、諦めりゃあ良いのにって」
ブルース「……」
職員C「でも……アナタが来た。黒いスーツ着て、死ぬなんて恐怖、まるでないみたいにコフィンに入って行った。俺、理解出来なかったッス。今でも出来てないんスよ」
ブルース「……」
職員C「……でも、最近、ようやく分かって来たんです。マシュもブルースさんも、きっと、未来とか、相棒とかを信じてるから強いんだって」
ブルース「……どうかな」
職員C「俺はそう思います。……だから、マシュの想いの強さが、俺は怖い。死なんて怖がらないほどの強さは、きっと、諸刃の剣です」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:46:55.57 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……キミはよく見ているな」
職員C「ははは……観測してたら、自然と分かって来ます。俺、シバのレンズ係だし」
ブルース「そう、だな。マシュはきっと、死も恐れていない」
職員C「……」
ブルース「……だが、世界には、死ぬより恐ろしい事など山ほどある」
職員C「想像つかないっすよ」
ブルース「たとえばそれは、手が届かない恐怖だ。何か行動を起こせるハズの場面で、手を伸ばす事すら出来ないのは、想像を絶する苦痛だ」
ブルース(ああ、そうか。マシュ、私とお前はよく似ているな)
ブルース「……きっと、分かる時が来る」
職員C「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:47:36.35 ID:RF0g7SSA0<>
職員C「時々、ブルースさんが分からなくなるッス」
ブルース「私も、自分が分からなくなる。……話し相手になってくれてありがとう、私は休むよ」
職員C「おやすみなさいッス」
ブルース「ああ、おやすみ」スタスタ
職員C「……死ぬより怖い事、か」
職員C「……」
職員C「……分かんねえよ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:48:15.16 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……」スタスタ
ブルース(理性は、やめた方が良いと叫んでいる。分かっている。マシュを連れて行けば、彼女への負担は計り知れない。元々短い寿命を、薪のように使っているんだ)
ブルース(……しかし、感情は彼女を連れて行くことを支持している。全く鈍ったものだ)フー……
ブルース「……これを望んだのは、お前自身だ。マシュ・キリエライト」
ブルース(やりようは、いくらでもあるさ。覚悟するんだな)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:48:58.61 ID:RF0g7SSA0<>
………………
マシュ「……」パチリ
時計『07:00』ピピピ! ピピピ!
マシュ「……ここ、は……」ムクリ
扉「」コン、コン
「入っていいか」
マシュ「マスター? ど、どうぞ……」ムクリ
ガチャリ
ブルース「目覚めたか。調子はどうだ」
マシュ「だ、大丈夫です。あの、何がどうなっているのか……昨日の記憶が無くて」
ブルース「これから説明する。理解しろ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:49:42.55 ID:RF0g7SSA0<>
………………
ブルース「……という訳だ。今、お前を特異点に連れて行くか行かないかで意見が割れている」
マシュ「そ、そんな……私は大丈夫です!」
ブルース「だが、現実的な話、お前は無茶をしていた。それに気付けなかった私にも責任はあるし、報告を怠ったお前にも責任はある」
マシュ「……」
ブルース「……お前は、戦いたいか。マシュ」
マシュ「私……私、戦いたいです。だって、そうじゃなきゃマスターを守れない……」
ブルース「なら立て。シミュレーションルームへ行くぞ」
マシュ「えっ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:50:34.48 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「つまるところ、無理をせざるをえないお前の実力の不足が原因とも言える。まだトレーニングの期間はある」
マシュ「つ、つまり?」スクッ
ブルース「お前を鍛え上げる。無理をする余地も残らないほどに、極限の戦士になってもらう」
マシュ「きょ、極限の……」
ブルース「それはもはや膂力だけの話にはとどまらない。……お前には私を超えてもらう。そうでなければ、次の特異点攻略には連れて行けない」
マシュ「……!!」
ブルース「やるのか。やらないのか。どちらだ、マシュ・キリエライト」
マシュ「やります! やらせてください!」
ブルース「ならば、来い。泣き言は一切受け付けないぞ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:51:22.62 ID:RF0g7SSA0<>
………………
ブルース「……」ピッピッピッ
コンピューター『カルデアサポートシステム、起動。対象の魔力回路を確認中』シュォォォォォォォ……
ピーンポーンパーンポーン
館内放送『おぉーい、ブルースかい? ちょっと、そのサポート機能は未調整なんだけど』
ブルース「もしもし、レオナルド。シミュレータールーム内ならなんとかいけないか。マシュを鍛えたい、私もサーヴァント並の身体能力にならねば」ピッピッ
レオナルド『うーん……わかった、短波に変換してやってみよう。ダメ元だし、身体への負担は半端じゃない。もし成功しても馴染むまで苦痛だろうけど、ホントに本気?』
ブルース「私は常に本気だ」
レオナルド『まあ、知ってたよ……オッケー、調整完了。サポート魔力を回すよ』ピピピッ
シュォォォォォォォ……
ブルース「ぐっ……!!」ミキミキミキミキ……
レオナルド『キミの身体機能も観測を開始した。……うーん、結構負担かかってるな』
ブルース「……いや、この程度の痛みならばたいした事はない。このまま訓練に移行する」ミキミキミキ……
レオナルド『本気? ……まあ、こっちはデータがとれるから良いんだけど』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:51:49.94 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「マシュ、構えろ。この状態の、フー、私を打ち倒してみせろ……」ミキミキミキ……
マシュ「……」ガシャリ
ブルース「良いか、手加減は無用だ。私はお前を『殺すつもり』で攻撃する。お前も、『殺すつもり』で来い」
マシュ「それは……」
ブルース「私は敵だ。使える手を全て使い、私を倒しに来い」
マシュ「……」
ブルース「……行くぞ」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:52:18.77 ID:RF0g7SSA0<>
………………
マシュ「か、はっ……」ボロッ
ブルース「立て。今すぐに」ポキポキ
マシュ「う、うぅ……!!」グググッ、スク
ブルース「来い。いいか、敵がお前を待つと思うな」
マシュ「う……」ガシャリ
ブルース「……」ゲシィッ
盾「」ガシャァァァァァ……
マシュ「あっ……!」
ブルース「甘ったれるな。お前の得意な武器をみすみす使わせると思うか」ガシッ、グイッ
監視カメラ「」ジジジジ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:53:02.69 ID:RF0g7SSA0<>
カメラ映像『』ジジジジ……
職員A「……やりすぎですよ、アレは」
職員B「マシュちゃんが、死んじゃう……」
職員C「……」
ドクター「……ブルースくんへのサポート魔力は安定した」ポチポチ
レオナルド「うーん……」
所長「少なくとも、今の私達には何を言う権利もないわ。実際にレイシフトを行うのは、彼ら自身よ。彼らの中で決着をつけてもらうしかない」
カメラ映像『』ジジジジ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:53:37.88 ID:RF0g7SSA0<>
マシュ「う、うぅっ……」フラフラ
ブルース「そんな実力で私を倒すつもりか? 笑わせる」ジリジリ
マシュ「スーッ……」ヨロ
マシュ(命を……いのちを、燃やして……でも、相手は、守るべきマスター……)
ブルース「無茶な力は使えないだろう。それも計算づくだ。お前の手の内は把握している」ガシッ、ドスッ
マシュ「がっ……」ビチャチャッ
ブルース「……素の力で、今の私を超えてみせろ。そうでなくては、任せられない」
マシュ「う、うああああ!!」ブオンッ
ブルース「それが攻撃のつもりか」パシッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:54:15.17 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……ナイチンゲール、デスストローク、メイヴ、クー・フーリン」
マシュ「はあっ、はあっ……」ヨロッ
ブルース「何故彼らが強かったか、分かるか」
マシュ「……」ジリッ
ブルース「彼らには狂気が宿っていた。狂気的な信念があった。お前には何がある、マシュ。お前は何を柱とする」
マシュ「私は……」
ブルース「かつてお前は、私の戦う理由を聞いたな。私の目には土砂降りの路地裏が未だに焼き付いている。あの日、両親を撃ち殺した弾丸が私の原動力だ」
マシュ「私は……!!」
ブルース「お前は何故立つ。死地を前にし、命すらも省みないその力の源は何だ」
マシュ「あなたを、守りたい!!」
ブルース「なら証明してみせろ!! お前はその力を持ち、私と共に来る事が出来ると!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:55:00.65 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース(殺意をもって敵と対する。これまで教えて来なかった戦闘方法だ。私が、良しとしなかった戦闘方法だ)
ブルース(……だが、それをしなければ、もはやこの先の特異点は超えられまい。……これしかできない私を許してくれ、マシュ)
ブルース(お前に殺意を教える事を、許してくれ)
ブルース「立て。お前が遠慮するならば、私はお前を殺す」ザシ
マシュ「……!」ヒュー、フー
マシュ(マスターは本気だ。当然、いつだって本気だった)
マシュ(なら、私は? 覚悟、できてる?)
ブルース「……マシュ」
マシュ「……」
ブルース「お前を、信じているぞ」バッ
マシュ「……!!」ググッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:56:29.38 ID:RF0g7SSA0<>
ブルースは瞬時に身を沈め、相手の心臓目掛けて掌底を繰り出した。彼は矜持を曲げ、信念を曲げ、殺意のこもった一撃を放つ。それは一重に、相棒を信じているからである。
マシュもまた、それを汲み取る。強くならねばならない。手を伸ばさねば。デミ・サーヴァントとして生まれた意味を、守りたい人を守るという自由を……。
では、マシュの原動力とは何だ。
彼女のマスターは、それを恐怖だと語った。
かつてアメリカで共に戦った看護師は、地獄を作らないためと言った。
ロンドンで共闘した剣士は、恐怖をもひねりつぶす怒りを体現していた。
共に航海した女海賊は、エゴを謳歌し、一瞬を全力で生きる事。
とある国の皇帝は、凍てつく永遠を否定し、皇帝たる者となるため。
遠い国の聖女は、人の美しい面を肯定するために。
では、マシュの力は何だ。彼女が盾を持ったのは何ゆえだ。
マシュの全身の細胞が沸き立ち、時間が引き伸ばされる。ブルースの掌底が極度にゆっくりとマシュの心臓を目掛ける。
マシュは一瞬、恐ろしい想像に身を浸した。彼女の盾の後ろが害され、なすすべもなく蹂躙されてゆく様を思い描いた。
直後、彼女は目を見開き、決死の思いでブルースの腕を弾いた。ブルースは、身体強化の魔術をかけられてなお追い切れないマシュの動きに、目を見開いた。
マシュは身体を捻り、地面に突き刺すように足を振り下ろす。そして、腰の捻りを解放し、巨人の鉄槌じみた盾の一撃を繰り出した。
(『本物』だ)
その一撃を目前にし、ブルースはぞっと背筋を粟立たせる。彼の相棒は『殺意』を覚えた。その最初の一撃が、彼を目掛けている。
「くっ」
ブルースは両腕を開き、広い面積で衝撃を受ける。そして吹き飛ばされ、壁に叩き付けられるようにして全身で衝撃を流した。
(やはり彼女は天才だ。手加減せず、良かったと言うべきか)
ブルースは膝をつき、口の端の血を拭って目の前の少女を見る。彼女が素の力で自分を超える日は遠くない。いや、もうじき超えられる。
だが、今は。
「……やはり、詰めが甘い」
ブルースは手の中の起爆スイッチを押した。直後、マシュの盾に塗布された爆破ジェルが爆発し、彼女は弾き飛ばされた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:57:04.26 ID:RF0g7SSA0<>
マシュ「あぐっ」ドシャッ
ドクター『……マシュ・キリエライト、気絶』
ブルース「サポートの魔力を打ち切れ。ここまでだ」ハァ、ハァ
レオナルド『……了解』ピッピッ
ブルース「……」シュオォォォォォ……
マシュ「……」グッタリ
ブルース「……」
ブルース(……)クル、スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:57:33.40 ID:RF0g7SSA0<>
………………
所長「……」
職員A「……」
職員B「……」
職員C「……」
レオナルド「……」
ドクター「……」
ブルース「……」
AI『特異点、特定完了。特異点、特定完了。所長、職員は結果の確認をしてください』
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:58:00.63 ID:RF0g7SSA0<>
ガガガガ……ピラッ
所長「……今回のレイシフト先を観測、シバのレンズも角度調整が完了しました。この観測結果によると、予想される脅威度はEXクラス。前回のアメリカ大陸は、AA+でした」
ブルース「……」
所長「非常に高濃度かつ多彩な性質の魔力が入り乱れており、今回もレイシフト後の環境については予断を許さないでしょう」
レオナルド「ブルースくんのスーツなら、調整すれば極限環境にも対応できるようになる。だが、問題は」
ドクター「……マシュ」
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:58:37.30 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……私個人の見解を述べるとするなら」
ドクター「……」
レオナルド「……」
所長「……」
ブルース「彼女は、やはり連れて行かない方が良いだろう。今回のレイシフト先で彼女が昏倒すれば、今度こそマシュは死ぬ。実力もまだ十分とは言えない。未熟な部分がある」
職員A「……」
職員B「……」
職員C「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:59:04.60 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「だが、戦力的な観点から言うなら、彼女を連れて行くべきだと私は思う」
所長「その理由は?」
ブルース「天秤にかけ続けてきた。彼女を連れて行くリスクと、連れて行かないリスクを。彼女はこれまで何度も死ぬような目に遭いながら、切り抜けてきている」
ブルース「……私も、戦えないワケではない。彼女が数瞬戦線を離脱したところで、それをカバーする程度の働きは出来る」
ドクター「……しかし、それは……」
レオナルド「んっん〜〜、ゴホン! ちょっとイイかな、私すっごく良い案思いついちゃったんだけど!!」
所長「あの、レオナルド……いますごく真面目な話をしてるから、そういうのは」
レオナルド「いやいやいや! なにさ、皆して辛気臭い顔してるけど、一人レイシフトできそうな人の事を忘れてませんか!?」
ドクター「?? どういう事だい?」
レオナルド「いやまあ、かくいう私もさっきまで忘れてたんだけどね!? どうよブルース、ちょっと聞いてみないか?」
ブルース「……話してみてくれ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 22:59:44.19 ID:RF0g7SSA0<>
………………
マシュ「……」パチリ
マシュ(ここ、は……)キョロキョロ
マシュ(ああ、私、マスターと戦って……負けたんでした……)
扉「」コン、コン
マシュ「あっ……は、はい」
「マシュ、私だ。入るぞ」
マシュ「はい、どうぞ」
ガチャ
ブルース「……おはよう。体は大丈夫か」
マシュ「はい……身体は、大丈夫です」
ブルース「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:00:12.50 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……見事な一撃だった」
マシュ「ですが、負けました」
ブルース「そう結論を急ぐことはない……少なくとも、今回はサポートが付いてくれる事になった」
マシュ「サポ……え? でも、召喚に必要な電力が足りないって……」
ブルース「その件は、解決した。……マシュ、恐らく私は、とても困難な道をお前に歩ませることになる」
マシュ「……」
ブルース「……私と共に来てくれるか。特異点を、ともに解決してくれるか」
マシュ「っ、はい!!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:00:39.67 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「なら、今日はもう休んでくれ。急ぐようだが、明日にはレイシフトだ。協議も済んでいる」
マシュ「分かりました!」
ブルース「ああ。……おやすみ」スタスタ
マシュ「……あの!」
ブルース「……どうした?」クル
マシュ「……絶対に、失望させません。信頼に応えてみせます」
ブルース「……疑っていないさ、マシュ」フッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:01:23.28 ID:RF0g7SSA0<>
………………
ブルース「……」シュドッ、シュドドッ
サンドバッグ「」グラァ、グラグラ……
木人「」ガラララララ……
ブルース「……」シュタタタ、ドシュシュ、バシ、ドゴォッ
ブルース(マシュだけには頼れない。私が強くならねばならない)
ブルース(彼女に負担を強いて来たのは確かだ。強くあらねば)
ブルース「……」シュバッ、ゴギィ、バッシィ
ブルース(……少し前の俺なら、絶対にマシュを連れて行くことは無かっただろう。認めねばならない。俺は、揺らいでいる)
ブルース(問題は、何処までその揺らぎを認める事が出来るのか。信じるという意味と、依存するという意味は違う)
(((まともなフリをするなよ、バッツ! 俺達は化け物だ! ウフフフフッ、ゲームに他人を巻き込んで殺すのは良くない事だって習わなかったのか?)))
ブルース(……何故やつを思い出す)ドゴォッ
サンドバッグ「」バッギャァァァァ、ドシャシャシャァ……
ブルース「……」
カラン……カラン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:01:53.42 ID:RF0g7SSA0<>
………………
所長「今回のレイシフト先は、13世紀後半のエルサレムです」
レオナルド「うわぁ、また宗教的に面倒な時期だし、場所だし……」
ブルース(エルサレム……また、ゲーティアと縁深い場所だな)
所長「ええ、とても厄介な時期よ。恐らく、第八、第九十字軍が遠征をおこなっていた年代の周辺です。戦火には十分に注意し、できるだけ介入を避ける事」
ブルース「了解した」
マシュ「はい!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:02:21.84 ID:RF0g7SSA0<>
所長「レイシフト要員、分かったわね? では……」
職員C「待ってください。少し、知らせておきたい情報が」
所長「何?」
職員C「えっと、先程シバのレンズの焦点がかなり精確に絞られた時があって、少しだけ地表を見る事ができたのですが……観測結果によると、本来村や町があった場所には、大きなクレーターじみたものが出来ているようです」
ブルース「クレーター?」
職員C「はい、直径は……えっと、観測した限りでは、どれも5キロ四方ほどの」
マシュ「5キロ……」
ブルース「とてつもなく巨大な破壊エネルギーだな……」
職員C「何が待ち受けているかはまだ分かりませんが、この情報は耳に入れておくべきかと思いました。以上です」
所長「……分かりました。ブルース、マシュ、良いわね? いつでも防御に回れるよう、今回も気を付けておく事」
マシュ「はい!」
ブルース「了解した」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:02:55.87 ID:RF0g7SSA0<>
所長「では、レイシフト班への説明を終わります。9時までにコフィンへのスタンバイを終える事、良いわね! 次、サポート班!! ……」
ブルース「……初のレイシフトか?」
レオナルド「ああ、ワクワクしちゃうね! 未知を体験するのって快感だよ!」
マシュ「今回はよろしくお願いします、ダ・ヴィンチちゃん!」
レオナルド「こちらこそ! 色々と世話になるし、世話をする事にもなるだろうね!」
ブルース「頼りにしているぞ、メカニック」
レオナルド「私にお任せさ!」ドンッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:03:23.09 ID:RF0g7SSA0<>
ブルース「……」ガチャガチャ、カチャリ
ブルース「……」カチャリ、ガシッ、スルッ
マスク「」
ブルース「……」スッ
バットマン「……では、あちらで会おう」
マシュ「はい。失礼しますね、マスター」ペコリ
レオナルド「うん、じゃああっちでね!」スタスタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:04:11.05 ID:RF0g7SSA0<>
………………
ドクター「時刻、08:55。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、レオナルド・ダ・ヴィンチの三名がコフィンにスタンバイ完了」
職員A「存在証明式、スタートしました! 肉体の証明は順調です!」
職員B「電子機器類には異常なし! 電力量もクリア、ハッキングも無し!」
職員C「シバ、時代特定良好! レンズの角度固定!」
所長「では、エルサレムへのレイシフト、カウントダウンを開始しなさい!」
職員達「「「了解、カウントダウン開始!!」」」
ドクター(……よしよしよし。マシュのバイタルは正常、ブルースもレオナルドもオッケーだ……)
ドクター(隣にレオナルドが居ないの、なんだか違和感あるなぁ……不安だ……)
ドクター(……エルサレム、かぁ……)
ドクター「……」ソワソワソワ
所長「そわそわしない!!」
ドクター「はいぃっ!!」ビクゥッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:04:43.29 ID:RF0g7SSA0<>
………………
バットマン「……」
ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』
バットマン(……マシュは、私が守らねば)
ドクター『3! 2! 1!』
バットマン「……」グッ
『0』
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:05:10.54 ID:RF0g7SSA0<>
………………
ギュォォォォォォオオォッ
ドサササァッ!!!
マシュ「くっ……」ムクリ
レオナルド「いたたた、あんなに乱暴に落とされるとはね。これは改良の余地ありかも……落ちた先が砂漠で助かったよ」ムクッ
マシュ「段々慣れてきました……マスター? 何処ですか?」キョロキョロ
???「俺の上から退きな……おい、お嬢ちゃん」
マシュ「え? は、はわ!? ごめんなさい!?」バッ
???「ったく、いきなり上から降ってくるとはな。洒落た登場だ、ブルースを思い出すぜ」
マシュ「ごめんなさい、人が居るとは……って、え? マスターを、ご存知なんですか?」
???「あ? お前、奴を知ってんのか?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/05/10(金) 23:05:38.21 ID:RF0g7SSA0<>
レオナルド「おや、早速味方を発見かい? こんな時にブルースは何処へ行ったんだか」
マシュ「えっと、ブルースさんは私の……相棒というか、何と言うか」
???「……ハン、アイツはまた相棒を変えやがったのか。節操のない男だぜ」
マシュ「そ、そういうアナタは一体」
???「俺? 俺は、そうだな……」
レッドフード「ひとまずは、レッドフードとでも呼びな」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/05/10(金) 23:10:30.53 ID:RF0g7SSA0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
今回のアンチヒーローの参考資料です
レッドフード
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/11(土) 07:44:32.17 ID:yRVfvDI9o<> バット次郎くんではないか! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/11(土) 09:06:05.07 ID:4XK+QwuPO<> ディックに恥ずかしい手紙送ったジェイソンじゃないか <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/11(土) 17:07:36.39 ID:aIjI05SA0<> レッドフードいつ和解したんだっけ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/11(土) 18:03:21.22 ID:36sP4kC+O<> レッドフード&アウトローズの未邦訳話で和解したはず <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/14(火) 15:43:42.85 ID:Gk2GWiJA0<> おっつ!!!
バットマンはいったいどこに…… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2019/06/24(月) 23:42:18.38 ID:VAzsXjno0<> 不穏だなぁ
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/26(水) 01:54:06.85 ID:mDkARzjl0<> えたった? <>
sage<><>2019/07/04(木) 23:17:21.91 ID:Ag8sWtj70<> えたりましたお疲れ様でした <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/16(火) 02:51:28.56 ID:tq2R/duL0<> おつかれっした <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/05(月) 10:55:07.33 ID:pqYaz+eQo<> 1スレ目から振り替えると、メタルが出たりホワイトナイトが出たり、いろんな事があったんだなぁ
いつかダークナイツが出てきそう <>
◆GmHi5G5d.E<>sage saga<>2019/08/08(木) 16:06:18.85 ID:yywmM9fPO<> 更新が遅れて申し訳ありません。決して忘れているというわけではなく、今更ながら「キャラクターを私物化している」という悩みにぶち当たり、どうにかして解釈の補正を行おうと四苦八苦しています。双方のファンから不快に思っているという意見が出ているのを見ましたので、どうにか直したいです。もしお待ちくださっている方が居るなら申し訳ないです。 <>
◆GmHi5G5d.E<>sage saga<>2019/08/08(木) 16:29:38.36 ID:yywmM9fPO<> すみません、気が変わりました。気にしないでいきます <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/08(木) 17:05:57.41 ID:mPKWwLQk0<> そこは2次創作なんで好きにやってよろしいかと <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/08(木) 22:55:52.53 ID:XLwZRfXbo<> 真面目な話、既存のストーリーを元にしたオリジナル展開をやってる時点で、読者からの解釈違いを受けるのは避けようがないからね……
そこは好き勝手していいとまではいかなくとも、自分の納得出来る範囲でやればそれでいいと思う <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/08(木) 23:44:40.41 ID:VKDXRkAmo<> あくまで二次創作な上に5chのSS板は自分の好きなものを好きなだけ書ける場所だからね
金とってるわけでも無いし嫌なら見るなで良いんですよ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/08(木) 23:56:34.16 ID:tyAX0xPAo<> バットマンしか知らんからfgoの元の話とどれぐらい差異があるかわかんねぇべ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/09(金) 01:31:04.27 ID:9c3xRElD0<> 不快に思ってる人間もいるかもしれんけど
楽しみに待っている人間もいることを忘れんでくれ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/11(日) 14:38:39.77 ID:Qipw4GTm0<> 待ってるやつはここにもいるゾ〜
俺はこのシリーズ好きだから続けてくれたら嬉しいなって
無論イッチの負担にならない範囲でね <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:47:33.19 ID:5un44TpH0<>
………………
バットマン「……っぐ、む……」ムクリ
バットマン(……ここは。マシュは? レオナルドは……?)キョロ
バットマン(……まさか、はぐれてしまったのか。マシュを必ず守ると誓っておきながら、なんとも間の悪い)
バットマン「ともかく、ドクターに連絡を……」スッ
潰れた通信端末「」バチチチィッ、キュゥーン……
バットマン「……不幸は重なるとは言うが、全く」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:48:24.64 ID:5un44TpH0<>
バットマン(さて、困ったことになった。ここには私ひとり、他に頼れるサーヴァントはおらず、カルデア頼りだった探知器の類も使えない)
バットマン(……だが、諦めるには少し早い。周囲を観察し、状況を把握して最善の動きを取るとしよう)
バットマン「……」グルリ
荒野「」ヒュオォォォォォォオォォ……
バットマン(なんとも味気ない灰色の荒野だ。詩人がこれを見れば、『地獄』と形容するのだろう。……しかし、ここまでの荒れ地は……)
バットマン(雲の動きや温度から判断して、今は夏頃か。太陽は……南中する少し前。この風の吹き方は、近くに山でもあるな)
バットマン(……そして何より異常なのが、『アレ』だ)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:49:09.32 ID:5un44TpH0<>
巨大な城「」ズォォォォォォォォォ……
バットマン(……距離感が狂いそうだ。あんなに巨大な城は、少し普通ではないな)
バットマン(明らかに、エルサレム史上に存在しないものだ。まさか私だけ、おかしな場所にレイシフトしたというワケでもないだろう)
バットマン「……さて、どうしたものかな」
バットマン(ここからの行動候補、その1。城へ向かう。……いや、これは却下だな。危険が大きすぎる)
バットマン(行動候補、その2。集落を探す。事情聴取が可能で、さらにはマシュたちと合流できる可能性もある。ふむ、これは考えておいて良いな)
バットマン(行動候補、その3。……ここはエルサレムに近い。なら、『例の場所』も近いということだ。少し寄ってみる、ということも可能だが……)
バットマン(……いいや、どちらにせよ『あの場所』には戦力が不十分なまま行きたくはない。ここは行動候補その2に従おう)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:49:37.06 ID:5un44TpH0<>
バットマン「……」スタスタ
道「」
バットマン「……」スタスタ
バットマン(いかに荒野とはいえ、このように人の使っていた道の痕跡はある。辿っていれば、いつかは集落にたどり着くだろう)スタスタ
荒野「」ヒュオォォォォォォオォォォ……
バットマン「……」スタスタ……ピタッ
巨大なクレーター「」グオォォォォォォ……
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:50:12.01 ID:5un44TpH0<>
バットマン(……これはまた、巨大なクレーターだ。ちょうど集落がありそうだ、と思った箇所をえぐるようにできている)
バットマン(こうして見てみれば、この荒野にはクレーターだらけか。……どうにも、このクレーターは『集落があったであろう』場所への攻撃痕にしか見えないな)
バットマン(つまり、誰かがこの特異点の集落を破壊しているということか? 何故だ?)
バットマン(まさか、前回の特異点のような戦争狂が居るのか? ……いや、まさかな)
バットマン「……」フム
バットマン(しかし、参ったな。このままでは事情聴取もままならない)
ザシ、ザシ。ザシ、ザシ
バットマン「……誰だ」スッ
???「お待ちを。敵意はありません。ただ、話をしたいだけなのです」
バットマン「……」ジリッ
バットマン(目深にかぶったフード。ブロンドの髪。片腕は……義手か?)
バットマン「……何者だ」
???「我が名はルキウス。放浪の旅人」
バットマン(偽名だ。……だが、この男から殺気が感じられないのは事実)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:50:39.17 ID:5un44TpH0<>
バットマン「……そうか、ルキウス。私はブルース・ウェインという」
ルキウス(?)「ブルース。質問をお許しいただけますか」
バットマン「質問はするといい。答えるとは限らないが」
ルキウス「……確かに、それもそうだ。いえ、その……この惨劇について、何かご存知ではないかと思ったのですが」チラ
クレーター「」グオォォォォォ……
バットマン「……残念だが、私も今ここに来たばかりだ。知っていることはあまりない」
ルキウス「そう、なのですね。時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした。これで失礼を……」
ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ
鎧の騎士「」ガシャリ、ガシャリ、ガシャリ
バットマン「……!!」ピリピリピリッ
バットマン(肌に感じるほどの殺気。……これは)
ルキウス「っ、ブルース、下がってください。危険です」バッ
バットマン「馬鹿を言うな、ルキウス。お前こそ下がっていろ」ババッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:51:06.05 ID:5un44TpH0<>
鎧の騎士A「」ガシャリ、ガシャリ……
鎧の騎士B「」ガシャ……
鎧の騎士C「」ガシャリ……
鎧の騎士D「」ガシャン、ギシィ……
バットマン「……囲まれたか」ジリッ
ルキウス「申し訳ありません、ブルース。悠長に会話していなければ、気付けたものを……」
バットマン「過去は過去だ。……ルキウス、腕に覚えはあるか」
ルキウス「多少は」
バットマン「なら、そちらの二人は頼めるな」
ルキウス「勿論。お任せを」
バットマン「では私はこちらの二人だ。いくぞ」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:51:35.91 ID:5un44TpH0<>
ルキウス「ハッ!!」シュバッ
鎧の騎士A「!」ガッギャァァァ!!
鎧の騎士B「!!」ブオンッ
ルキウス「セイッ!!」ガギャギャッ、ヒュヒュンッ
鎧の騎士B「!?」ギャリリィ、ヨロッ
ルキウス「そこ!!」バババババババッ
鎧の騎士B「」ゴシャアアアアアドシャシャシャシャ……
バットマン(見事な剣さばきだ。あれほどの使い手となると、何処かの騎士か)
鎧の騎士C「っ!!」ブウン!!
バットマン「フッ、」トトッ
鎧の騎士C「……!?」ヨロッ
バットマン「……フンッ!!」ギュゴォッ
鎧の騎士C「っ」ドゴシャァァァァ!!
鎧の騎士D「!!」ズオォッ
バットマン「遅い!!」バッ
マント「」グワアッ
鎧の騎士D「!?」グラッ
バットマン「シィッ……」シュド、ド、ド、ドドドドドドドドドドドドッ
鎧の騎士D「っ、……」ヨロ、ヨロ……
バットマン「……リアッ!」ドッゴォッ
鎧の騎士D「」ドシャァッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:52:06.29 ID:5un44TpH0<>
ルキウス「ふうっ」カチャリ
バットマン「……フゥー……」
ルキウス「驚きましたよ、ブルース。いえ、おこがましいと思われるかもしれませんが、まさかここまでお強いとは」
バットマン「お互い様だな。お前もすさまじい腕前じゃないか、一体どこの騎士なんだ?」
ルキウス「……それは、申し訳ありませんが、言えません」
バットマン「そうか。……なんにせよ、助かった。あの数相手に私ひとりは少しきつかっただろうからな」
ルキウス「ふふ、それは私もです。……私はもう行きますが、貴方の旅路が良いものでありますよう……」スタスタ
バットマン「……ああ。さらばだ」
バットマン(……謎多き騎士か。正体は一目瞭然のような気もするが、彼が露呈を望まないなら余計な口出しも不要だろう……)
バットマン(しかし、彼なら良い戦力になってくれると踏んだのだが。……彼には彼の目的がある以上、止めるわけにもいかないか)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:52:34.24 ID:5un44TpH0<>
バットマン(しかし参った。集落が無いなら、私もどこか適当な場所を見繕って……)
……ぃ〜〜〜〜や〜〜〜〜……
バットマン「……」
???「いやぁぁーっ、何なのよこの化け物! だからこの国って好きじゃないのよ〜〜っ!!」タッタッタッ
目玉の化け物「」スイスイスイスイ
目玉の化け物2「」スイスイスイスイ
???「ぎもぢわるいいぃぃ……!!」タッタッタッタッ
バットマン「……」
バットマン(誰かは知らないが、助けないわけにもいかん)グッ、ダダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:53:02.78 ID:5un44TpH0<>
………………
砂嵐「」ビュオォォォォォオォォォ……オォォォォ……
マシュ「な、なるほど……つまりマスターの相棒だった人なのですね?」スタスタ
レッドフード「ああ、そうさ。あっちの世界じゃ、そりゃあ仲の良い相棒だった」
レオナルド「うーん、なんだろうか。『仲の良い相棒だった』のところ、すっごい皮肉を感じたんだけど」
レッドフード「……へッ、どうだかな。アンタ、名前は?」
レオナルド「私かい? 私はレオナルド・ダ・ヴィンチ! あの天才さ、聞いたことない?」
レッドフード「まさか。聞いたことくらいあるさ、死刑囚をデッサンして有名になった趣味のいい画家崩れだろ?」
マシュ「あ、あはは……」
レオナルド「うーん、これはブルースに似た厄介コミュニケーション者と見た!」
レッドフード「悪いな、場を和ませようとした冗談ってヤツさ……」ククッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:53:30.04 ID:5un44TpH0<>
レッドフード「にしても、急に虚空から出てきたのには驚いたよ。あれがレイシフトってやつか?」
レオナルド「おや、詳しいね。そうとも、あれこそ我らがカルデアの誇る技術、レイシフト! 調整とかはかなり大変だけど、自分で体験してみると案外楽しいもんだね!」
マシュ「……マスターと連絡が取れないのが心配ですが、大丈夫なんでしょうか」
レッドフード「あいつは殺しても死ぬようなヤツじゃない。心配なんてするだけ無駄な男だ」
レオナルド「ふふ、その意見には同意しそうになっちゃうなあ。まあ、この砂嵐の中に出てこなかったのは逆に幸運とも言えるかも……」
砂嵐「」ビュオオォォォォォォォォォォォ……ォォォォォォオオオオオ……
レッドフード「……なあ、頼みがあるんだが。万が一連絡が取れても、俺のことはあいつに言わないでくれるか?」
マシュ「え? な、なぜでしょうか?」
レッドフード「……なあ、人には人の事情ってモンがあるんだ。あいつの相棒だったとはいえ、決して仲の良い時期ばっかりじゃなかった。……頼むよ、話すのは直接会ってからだ」
マシュ「え……えっと……」
レオナルド「まあまあマシュ、いいじゃないか。そもそも現状じゃ、ブルースと合流しなきゃ連絡の取りようもないんだし」
マシュ「……それもそうですね」コクリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:53:57.10 ID:5un44TpH0<>
砂嵐「」ビュオォォォォォォオオォォォ……
レオナルド「さて、しかしこの砂嵐にはまいったね。どうにかして抜けたいものだが」
レッドフード「参ってるのはこっちもさ。天才さんよ、秘密の道具でも発明してくれて構わないぜ?」
レオナルド「あはは、信頼してもらえるのは嬉しいけど、そもそも材料がないことにはね……っ、マシュ、レーダーに感あり。動体だ」
マシュ「え!? ……! き、聞こえます! 三時の方向から何か来ます!」ガシャリ
レッドフード「息をひそめろ。……おっと、こいつはさっそく狙ってたヤツが来たかもな……」カチャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:54:26.53 ID:5un44TpH0<>
???「むー! むーーー!!」モゴモゴ
???2「ええい、暴れるな! 全くこの砂嵐、息が詰まるような敵意を持っている……!」タタタッ
???3「……百貌様、前方に何か!」タタッ
マシュ「ストップ! 待ってください、少し話を……」バッ
???2「!!」ババッ、シュババババッ
ナイフ「「「「」」」」ヒュオォォォォォッ
マシュ「なっ」
レッドフード「退きな」バッ、タタタタタタァン!!
ナイフ「「「「」」」」ギャリリリィ、カララララァン……
レオナルド「ワオ、銃使いだったのかキミ。いい腕してる」
レッドフード「大したモンだろ? まあバットマンは喜ばねえけどな」
マシュ「あ、ありがとうございます」
レッドフード「ひとつ貸しだ、嬢ちゃん。しゃきっと立て、殺気くらいは感じ取れるだろ」
マシュ「は、はい!」
部下「百貌様、ご無事ですか!?」
部下2「おのれ何奴!?」
百貌「……? 貴様……レッドフード?」
レッドフード「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:55:01.61 ID:5un44TpH0<>
百貌「どういう事だ。ここで何をしている、レッドフード」
部下「……? れ、レッドフード様?」
部下2「なにゆえレッドフード様がここに?」
???「むー!! むーーー!!!」モゴモゴ
マシュ「え、え、えっ……ど、どういう事ですか? お知り合いですか?」
レッドフード「……あぁそう、そうだった、知り合いだ知り合い! 久しぶりだな、えぇっと……どの『ハサン』だったかな、お前は」
百貌「……いつもの冗談なのか、本気なのか、それとも……」チャキリ
レッドフード「おいおい、つれねえヤツだぜ。嬢ちゃんからも一言いってやってくれ……ああ、初対面だったか、お前ら」
マシュ「え、ええっと、……ど、どういったご関係です?」
レッドフード「仲間さ、分かるだろ。はは、城相手にレジスタンスやってたんだったか?」
レオナルド「ほう、城? というと、……なるほどね、砂嵐で視認しにくいが、向こうのアレか」
砂漠の向こうの城「」ズオォォォォォォ……
百貌「……貴様、本当にレッドフードか。だとすれば、牢の解放任務はどうした」ジリイ……
レッドフード「なんだ、知らないのか? 作戦の変更があったんだ。俺たちは今から聖都へ向かう」
百貌「何を馬鹿な……貴様、気でも狂ったのか?」
レッドフード「……ククククク、疑うのか?」カチャリ
マシュ「……?」ゾワリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:55:30.49 ID:5un44TpH0<>
マシュ「ま、待ってください、とにかく仲間だという事で良いのですね?」
レッドフード「そう言ってるだろ、なあ?」
百貌「……仲間ではない。単に利害の一致から行動を共にしていただけだ」
レッドフード「へッ、つれねえやつだ」
レオナルド「うーん、まあ即座に殺しあう関係ではないってだけで十分かな。色黒アサシンくん、少し質問良い?」
百貌「……待て。貴様、そこの娘」
マシュ「……え? あ、わ、私ですか!?」
百貌「その盾の紋様……貴様、さては『聖都』の」
???「ムグ……プハッ! スフィンクスよ、此処へ!」ジタバタ
部下「なっ、こ、コイツ……申し訳ありません百貌様! すぐに黙らせます!」
百貌「な、何をやっている! 愚か者、召喚を許してしまったのか!?」
???「さらにホルスの名において……むぐぅっ!?」
部下2「黙れ!」ガシッ
百貌「ちいっ、なんと面倒な……!! 全員散開! 各々目の届く距離から離れず、異変を感じたら即座に知らせろ!」
部下1〜20「「「はっ!!」」」ザザザザザァ
レッドフード「おいおい、間抜けな部下をずいぶんたくさん抱えてるな?」
百貌「黙れ貴様!」
マシュ「ど、どうしたら……」
レオナルド「マシュ、レッドフード、私のそばから離れないように。ミニレーダーを持ってきた、今はこっちのほうが視界より有能だ」スッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:55:57.49 ID:5un44TpH0<>
砂嵐「」ビュオォォォォォオオォォォォォオオオオオ!!!ビュゴゴゴオオオオオオオオオオオ!!!
部下4「くっ、こ、これでは視界も、聴覚も……!」ジリッ
部下5「い、いま何か動いたように……き、気のせいか」
百貌「くそっ、砂嵐がひどくなってゆく……貴様ら、これが終わったらゆっくりと話を聞かせてもらうぞ!」
レオナルド「それはどうも! 全く、こんな状況でもたくましいアサシンだね!」
レオナルド(全く状況は好ましくない。いや、最悪と言っていい。スフィンクスを、魔獣を相手にする、だって? それは幻獣の上位存在、竜種すら凌ぐ怪物だ。この人数でどうにかできるとは思えない……! 本来ならもっと装備を整えてから挑むべきなんだ)
レオナルド(……いいや、今は考えすぎるのは良くない。しっかりレーダーを確認して……)
マシュ「……!!」ピリピリピリッ
マシュ(殺気。来る)
マシュ「ダヴィンチちゃん!!!」
レオナルド「!? っ」
レーダー「」ポーン……ポーン……
レオナルド「ほんとに来た!? 二時の方向、そこのキミ気を付けて!!」
部下6「!?」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:56:29.02 ID:5un44TpH0<>
砂塵「」ドバッサァァァァァァァァァアアアア!!
スフィンクス「ゴグガアアアアアアアアアア!!!」ルドッ、ドゴォッ
部下6「うわああ!?」ドシャッ
マシュ「ッ退いて!!!」バッ、ガギャアアアアアア!!!
スフィンクス「グググググググ……!!」ギャリギャリギャリギャリ……
マシュ「うぐぐぐうううううう!!!!!」グググググググ……
部下6「な、な、貴様……」ワタワタ
レッドフード「ほお! 助けるのか!!」
レオナルド「感心してる場合じゃないよ、加勢加勢!!」
レッドフード「あ? ああ、もちろんだ。人助けはイイことだしな」カチャ、ダタタタタタタタタ……
スフィンクス「ゴグッ、ガァァァアアアアア!」ドシュシュシュシュシュッ、ヨロォ
マシュ「ったああああああ!!」グイッ、シュドッ
スフィンクス「ッギ……!!」ヨロッ、ジリィ……
マシュ「お、重い……!?」ビリビリ
スフィンクス「グガアアアッ!!!」ガオオッ
マシュ「きゃっ!?」バッ
レオナルド「おっとぉ!」ガギイィィィィィ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:56:57.78 ID:5un44TpH0<>
マシュ「あ、ありがとうございます、ダヴィンチちゃん!」
レオナルド「キミのサポートに入ったんだ、私だって戦えるさ! この万能の籠手でねっ!!」カチャッ、ブシューッ!!
籠手「」ガチャガチャァッ、ブシューゥゥゥゥ……!!!
スフィンクス「!? ッギアアァ!?」ジリィッ
マシュ「おお、かっこいい……!!」キラキラ
レッドフード「ほらよ!」タァン!!
スフィンクス「ギッ、ギアオオオオオオオ!!!」ダンッ!!
レッドフード「おっと、こりゃまずい」タタンッ、スルッ
マシュ「っ」
マシュ(レッドフードさん、かなり強い……! 通常時のジョーク多めの言動からは想像もできなかったけど、あの身のこなしは尋常じゃない!)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:57:26.99 ID:5un44TpH0<>
百貌「そらっ!!」ヒュオンッ
ナイフ「「「「」」」」ヒュオオオオオッ
スフィンクス「っ……」グササササッ
百貌「何をぼさっとしている! 動け貴様ら!!」
部下3「あ、は、はい!!」チャキリ
部下2「無論!」チャキッ
スフィンクス「グギギ、ギ、ギギギィ……」グググググ……ダンッ
部下4「っぐっ」ドサッ
部下2「えっ?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:57:55.62 ID:5un44TpH0<>
マシュ「っ」
影「」ヒュンッ
部下7「ぐげっ」ドシャッ
部下8「あが……」ドッシャァ
百貌「! 全員下がれ、固まれ!! くそ、ここまで……っぐ!?」バッシィィィ、ズシャシャシャシャァ
部下9「百貌さm……うが!?」ドゴシャァ
マシュ「……!!」
マシュ(敵の動きがわかる。気が他に逸れたり、次にとびかかりやすかったりする対象を選別して、一番狩りやすい人から倒してるんだ)
レッドフード「おっと、コイツは面倒だな」チャキッ
レオナルド「いよいよスフィンクスも本気ってところか! 油断しないようにね!」ジリッ
???「……」モゴモゴ……ドヤァ
百貌「貴様、拘束されているくせにその得意満面の顔はなんだ!!」
レオナルド「ちょっと、漫才はあと!!」
マシュ「……」ジッ
マシュ(次はどう来る? 敵の考え。筋肉の動き。アレは疾風じゃない、スフィンクスだ。では次に来る場所は? ……違う、考えるべきなのはスフィンクスじゃない。視点を変えなきゃ)キョロッ
マシュ(味方を見なきゃ。あの人は注意散漫。だけどスフィンクスからは遠い)キョロッ
マシュ(あの人は警戒できてる。けど、砂嵐で視界が塞がれがち)キョロッ
マシュ(あの人は視野が狭まってる。肩に力が入りすぎなんだ)キョロッ
マシュ(考えて、マシュ。いま、一番狙われるのは誰?)キョロッ。キョロッ。キョロッ。キョロッ
マシュ(いま、一番、殺しやすいのは誰?)
レオナルド「まsy……!?」ゾワリ
百貌「……っ」ゾワアッ
レッドフード「……!!」ゾクゾク
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:58:25.03 ID:5un44TpH0<>
影「」ヒュンッ
部下18「えっ……」
マシュ「ったああああああああああああああああ!!!!」ババッ、ガッギャァアアアアァァァアアア!!!
スフィンクス「ゴアアアアアアアアオオオオオオオオ!!!」ギャリリリリリリリィ!!!
マシュ「捉、えた……」グググググッ
レオナルド「うっそ、はや……」
レッドフード「……イイじゃねえか」
百貌「なんたる……」
マシュ「ぐぅぅぅぅうう!!!!」
マシュ(一撃を。この重い魔獣にも通用するような、強い一撃を!!)ググゥッ!!
ドクンッ!!
マシュ「っそこ!!!」ギュドドドォッ!!!
スフィンクス「……、……、……」ヨロ、ヨロロッ
マシュ「ッハアーッ、ッハアーッ……」ジリ、ジリィ
マシュ(……だめ、また一瞬だけ命を使ってブーストしてしまった。こんなのじゃ、だめなのに……)ヨロ
スフィンクス「グル、ロアァ……」ヨロ、ドシャアッ
百貌「……修羅か……」ジリッ
???「……!」モゴモゴ……ピタァッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:58:53.63 ID:5un44TpH0<>
マシュ「はあっ……」スッ
レオナルド「す、すごいじゃないか、マシュ……」
レーダー「」ピピー!! ピピー!!
レオナルド「!? おっと、えっと、この反応は何だったかな……!?」
ドクター『もしもしレオナルド、聞こえるかい!? 聖杯反応がゆっくりとだが接近中だ、気を付けてくれ!』
レオナルド「おおっとマジ!? マシュ、レッドフードくん、百貌くん! ちょっと今いいかな……っていうか、この魔力反応ヤバいな……!! ちょちょ、その、説明の時間がないんだけど!」
マシュ「どうしたんですか、ダヴィンチちゃん!?」
レオナルド「聖杯持ちのサーヴァントだ! それも、素の魔力が規格外の怪物だよ!!」
レーダー「」ピピピピピピピ!! ピピピピピピピ!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:59:27.14 ID:5un44TpH0<>
レッドフード「へえ、そいつは……ああー、不味いか?」
レオナルド「不味いね! 正直言って魔獣なんてメじゃないよ!」
マシュ「どどど、どどっ、どうしましょうか」フラ
レオナルド「……! 百貌くん、部下を下がらせて! 撤退の準備を!」
百貌「ちっ……! 全員、この場から退くぞ!」
部下1「し、しかし、負傷者たちが……!」
百貌「速度は下がっても構わん、互いにカバーして退却するのだ!」
マシュ「どうしましょうか!?」
レオナルド「彼らが仲間なら致し方ない。砂嵐がひどいが、我々がしんがりを努めつつ、極力聖杯持ちとの接触を避けて……」
ザシ、ザシ。ザシ、ザシ。
砂嵐「」ビュオオオォォォォォォオオオォォォ……ピタッ
レッドフード「……おっ、砂嵐がやんでくれたぜ。ジャストタイミングだな」
レオナルド「……あ、あー、……」
マシュ「……う……」ゴクリ
レッドフード「……ああ、まあ、そんな都合の良い話はないだろうよ……」
夕陽「」ジリジリジリィ……
ザシ、ザシィ。ザシ、ザシィ。
「まさかファラオを出向かせるとはな。暗殺者風情が、誇ると良い」ザシ、ザシ。ザシ、ザシ
百貌「……オジマンディアス……!!」
オジマンディアス「身構えるな。余は戦いに来たのではない。ただ、我がピラミッドの内にあるべきものを、取り戻しに来ただけのこと」ザシィ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 01:59:59.01 ID:5un44TpH0<>
???「……」モゴモゴ……
オジマンディアス「そこに居たか、ニトクリスよ。いまその戒めを解いてやろう」スッ
百貌「させるな! 全員警戒を……」
???「ぷはあっ!!」ハラリ
百貌「な……」
オジマンディアス「『させるな』? 余になにをさせぬというのだ、影に生きる者よ。余は太陽だ。太陽の行いは当然、民を照らすかの如く絶対である」
百貌「くっ、て、撤退だ……!! ニトクリスは捨て置け! 全員撤退しろ!!」
部下1〜20「「「「はっ!!」」」」ザザザァッ
ニトクリス「も、申し訳ありません、ファラオ・オジマンディアス……」
オジマンディアス「頭を下げるな、ニトクリス。そも、このような事態は未然に防ぐのが余の役目。起きてしまったこと自体が不足なのだ」
マシュ「……」
レッドフード「ははは、こいつはまともじゃねえな。さっさと逃げるか?」
レオナルド「あ、ああ、何にせよ敵意はないようだ! 今の内!!」
マシュ「……はい!」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:00:28.01 ID:5un44TpH0<>
百貌「くっ、貴様らが現れてから歯車が狂ったのだぞ! きちんと説明しろ!! なぜここに居る、レッドフード!?」ダダダダダ
レッドフード「おいおい、俺は知らねえよ。けど、『山の』から直接命令が下ったらしいぜ?」タタタタッ
百貌「な、しょ、初代様からの……!?」
マシュ「え、えっと、全然話が把握できないのですが!」タタタタタ
レオナルド「うーん、察するに……キミたちはあのファラオたちと敵対してるのかな?」
百貌「……ファラオだけではないがな。とにかく、レッドフード、詳しく聞かせろ。作戦は?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:00:56.29 ID:5un44TpH0<>
………………
オジマンディアス「……ふむ、しかし手ひどくやられたな。まさか我がスフィンクスがこうも痛めつけられるとは」
スフィンクス「……」ピクピク
ニトクリス「はい……恐ろしいほどの腕前でした。確かあの娘は、マシュと呼ばれていたようです」
オジマンディアス「ほう、マシュか! その名は知っている。ふむ、しかし……この弾丸は、なんだ?」
弾丸「「「」」」ポロポロ……ドロォ……
ニトクリス「……なんでしょうか。泥のように見えますが」
オジマンディアス「……まあ良い。玉座の間に戻るぞ、ニトクリス。そろそろ『首』も限界だ」ザッ、ザッ
ニトクリス「は、はっ! 重ね重ね、申し訳なく……」テテテッ
オジマンディアス「やめよ。ファラオは太陽の如く堂々としておればよいのだ。……無論、本当の太陽は余であるが」
オジマンディアス(……マシュか。その身にとりつく虫、厄介なものだ)
オジマンディアス(しかし、奴らがカルデアからの勢力なら……それなら、もう一人の黒猫の男はどこに居る?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:01:24.15 ID:5un44TpH0<>
………………
バットマン「……さて」
目玉の化け物「」チーン
目玉の化け物2「」ピクピク
袈裟の女性「はあ〜、助かっちゃった……こう、目はイイんだけど、このにょろにょろがダメなのよね。あ、助けてくれてありがと! 命の恩人だわっ!」
バットマン「いや、大したことではない。……それよりも、こんな場所でひとり、何をしている」
袈裟の女性「あ、そ、それはその……えっと、ほんとは一人じゃなくて、弟子が居たんだけど。話すと長くなるんだけど、いい?」
バットマン「……聞こう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:02:06.72 ID:5un44TpH0<>
………………
バットマン「……つまり、今の話を要約すると……お前は、あの『城』で賓客としてもてなされていた。それも約二か月」
女性「はい」
バットマン「だが、拘束された生活が嫌になったのと、この特異点の実態を探るために半ば無理やり抜け出してきた。これが一週間ほど前」
女性「その通りです」
バットマン「……その一週間の間に、放浪していたと。道中で弟子を取っていたものの、砂漠の砂嵐の中で怪物たちに襲われ、すぐに弟子ともはぐれた。そういう事か?」
女性「ぎゃてえ……だって、あんなにすごい砂嵐見たことなかったんだもの! 黄風大王だってあんなにひどい砂嵐を巻き起こさなかったし!」
バットマン「責めているわけではない……名前は?」
女性「あ、私? 私はね、玄奘三蔵っていうの! 今は仏典のオリジナルを持ち帰ろうと……」
バットマン「……玄奘三蔵? 『西遊記』の、三蔵法師か?」
三蔵「? ええ、そうよ? まあ、自分で『法師』なんて名乗っちゃうのはちょっとむずがゆいけど」
バットマン「……サーヴァントなのか?」
三蔵「……あぁ、そのこと。ええ、はい、確かに私は『召喚』されました。この地獄のような世界で目覚めたのは、半年ほど前よ」
バットマン「半年だと」
バットマン(半年も前だと……この特異点は、一体どこまで『進んで』しまっているんだ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:02:38.24 ID:5un44TpH0<>
三蔵「アナタは? なんだか、その、個性的な恰好だけど」
バットマン「私はブルース。ブルース・ウェインだ」
三蔵「へえ、ブルース・ウェイン! 変な名前……あ、ごめんなさい! 別に馬鹿にするつもりじゃなくて……」
バットマン「分かっている。この辺りではなじみのない名前だろう」
三蔵「うんうん、そうそう、それだけだから! うんうん、アナタっていい人ね!」
バットマン「……それは分からないな」
三蔵「分かります。これでもそこそこ長く御仏に仕えてきた身なんだから、言葉を交わした人間の人となりなんて見えてきちゃうものなの」
バットマン「それは……厄介だな。生きにくい」
三蔵「だから宣言します! アナタを私の一番弟子に……あれ? 二番弟子? まあいいわ、弟子にしてあげる!」
バットマン「……」
バットマン(正直に言って、このパターンは全く予測していなかった)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:03:06.09 ID:5un44TpH0<>
バットマン「そうか、法師の弟子にしてもらえるのは光栄だ」
三蔵「あ、はぐれた弟子も同じことを言ってたわ! そういえば、恰好もアナタとちょっと似てたかも……えっと、なんて名前だったかしら……」
バットマン「……私に似ていた?」
三蔵「そうそう、すっごく似てた。えっと、顔っていうか、雰囲気っていうか……なんだか物悲しげで、赤い兜みたいなのをかぶってて……そう、銃っていうのかしら! そうよ、銃を使ってたわ! 御仏的にすっごくNGだから叱ったんだけど、ぜんぜん聞いてくれなくて……」
バットマン「……」
バットマン(……いや、まさかな。まさか……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:03:37.74 ID:5un44TpH0<>
三蔵「……〜〜だったんだけど、もう雰囲気がそっくり! まるで親子みたいね、アナタたち」
バットマン「そうか……他人の空似というヤツだろうが、そこまで似ているというのは面白い。ところで、先ほど助けた貸しを返してもらっても良いか」
三蔵「え? えぇ、構わないけど……何かしてほしいの?」
バットマン「ここからそう遠くない場所に、とある施設がある。そこへ共に来てほしい」
三蔵「しせつ? どんな?」
バットマン「『アトラス院』と呼ばれる……っ!?」ピリピリピリッ
バットマン(殺気……!?)バッ
スタ、スタ、スタ……
「……こんなところにいたのか。探したぜ、法師サマよお」スタ、スタ
三蔵「え? ……あ、あなた……」
バットマン「……三蔵、下がれ。危険だ」
三蔵「えぇっと、多分いまはサーヴァントじゃないキミの方が下がるべきだよね?」
「ああ? なんだてめぇ、余計なヤツまでついてやがるな……まあいいか、揃って首を取りゃいい話だ」スタ、シュリィィィィ……
バットマン「……変わらんな。なぜここに居る、モードレッド」
モードレッド「……なんだと?」チャキッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:04:16.49 ID:5un44TpH0<>
………………
月「」シィィィ……ン
ザシ、ザシ。ザシ、ザシ
百貌「つまり、我々が門の前で騒ぎを起こしている間に、初代様が来て聖都に侵入してくださると?」ザシ、ザシ。ザシ
レッドフード「そういう事だ。要約が上手いな、さすがアサシン……いや、それは関係ないか」ザシザシ
百貌「無駄口が多いヤツだ。ともかく、そういう話なら最初から言え。……フン、私も前々からあそこのやり方は気に食わなかったんだ。民を避難させるついでになって良い」
マシュ「え、ええっと……つまり、どういう事です?」
レッドフード「あそこの城が見えるだろ、嬢ちゃん」
巨大な城「」ズオォォォォォォオオォォォ……
マシュ「は、はい。砂漠に居たときから大きかったですが、荒野に入ってからは見え方が大きすぎて距離感が狂いそうになります……」
レッドフード「あそこの城主様がそれはもう悪いヤツなんだ。人を殺してなんとも思わないサイコパスの集団がいる……おっと、悪いな。お前らのことじゃないぜ」
百貌「……分かっている」
レオナルド「うーん、対象物との距離……は、およそ5キロくらいかな? それでももうすぐ到着するよ、門があるならそろそろだ」
レッドフード「……まあ、実態は自分の目で確かめてくれ。かなり酷いからな……」プルプル
マシュ「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:04:43.49 ID:5un44TpH0<>
百貌「しかし、今日は『聖抜』の日なのか?」
レッドフード「おいおい、俺を誰だと思ってやがる。情報収集は抜かりなく、ブルースから学んだことさ」
マシュ「あの、すみません。その『聖抜』とは?」
百貌「……ああ。まず説明せねばならないのは、あの『城』の周囲には都が広がってるという事だな。それは『聖都』と呼ばれる街なのだが」
レオナルド「ほうほう、城下町ってところか。あれだけ立派なお城の周りの街なんだ、立派な都なんだろうね」
レッドフード「噂じゃ『理想郷』って言われるほどらしい。無いものが無いとか……へッ、誰が流した噂だろうな」
百貌「当然だが……いや、少し待て。到着したぞ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:05:10.57 ID:5un44TpH0<>
人々「「「」」」ワイワイ……ガヤガヤ……
レオナルド「……ワオ。予想はしてたけど、やっぱり多いね。すごいな、まるでこの辺りに住んでた人々が皆ここに集まったみたいだ」
マシュ「うわわ、夜なのにすごい活気ですね……テントを張ってキャンプしてる人もいます」
レッドフード「ここも完全に安全ってわけじゃねえ。うろつく怪物に襲われることだってあるだろうに、もうここしかねえのさ。酷い話だろ」
百貌「全員、そのままでは目立つ。この外套をまとえ」スッ
マシュ「あ、ありがとうございます!」
レオナルド「おお、これはまたそれらしい服装だ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:05:45.82 ID:5un44TpH0<>
マシュ「……そ、それにしても、こんなに人が居るなんて……」
レッドフード「大した話じゃない。生きる希望がここしかないのさ。砂漠の砂嵐はきついし、かといって荒野にとどまっていればいつかは干からびて死んじまう。狂ってるぜ、この世界も」
マシュ「……ひどい」
レオナルド「うーん、荒野にいくつかクレーターが開いているのを見たけど、アレは一体?」
レッドフード「……ああ、アレは『流れ星』さ」
レオナルド「流れ……?」
門「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
レッドフード「おっと」
難民A「おお……おお、聖抜が始まる……!!」
難民B「ありがたや、どうか『獅子王』のめぐみを、どうか……!!」
難民C「どけ! 俺が一番前に出るんだ!!」
百貌「……当然だが、その都に入れる者はそう多くない。あそこに入れる機会といえば、騎士共が『聖抜』と呼ぶ見定めを行う、このタイミングに限られる」スッ
レッドフード「飛び出すタイミングは?」
百貌「……どうかな。誰が出てくるかによる」
マシュ「え……?」
レオナルド「おっと、レーダーに反応あり。魔力を持った存在が出てくるぞ」
レーダー「」ポーン……ポーン……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:06:13.33 ID:5un44TpH0<>
太陽「」パアァァァ……
マシュ「っ、ダヴィンチちゃん、私の記憶では先ほどまで夜だったと思いますが」
レオナルド「うーんちょっとタンマ。……ああ、これは厄介な反応だな。『場』に影響を及ぼす魔力を帯びてる。強力だ」
レッドフード「ふーむ……ってことは」
百貌「ああ、ヤツだ。全員、待機しろ」
部下1〜20「「「はっ」」」ゾロゾロ
難民D「ど、どうなってるんだ? さっきまで夜だったのに……」
人々「「「」」」ザワザワ……
騎士A「」ガシャリ、ガシャン
騎士B「」ガシャン、ガシャン、ガシャン
「落ち着きなさい。これは、獅子王がもたらす奇蹟」スタ、スタ
「常に太陽の祝福あれ、と。我が王が、私に与えたもうた祝福(ギフト)なのです」
レッドフード「やっぱりアイツだ」
百貌「ガウェイン……!!!」
レオナルド「ガウェイン? それってあの『円卓の騎士』のガウェインで合ってるかな?」
百貌「ああ、そうだ。太陽が出ている間はまさに無敵じみて強い男……それを『獅子王』め、ギフトでヤツの周囲に常に陽の光を呼び出すようにしたのか……!」
マシュ「……??」ドクン
マシュ(なに、この、感覚……)ドクン、ドクン
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:06:43.56 ID:5un44TpH0<>
難民E「よ、よかった、円卓の騎士、ガウェイン卿!」
難民F「やった! 聖抜が始まるんだ! 聖都に入れるんだ、俺たち!!」
マシュ「……っ」ピリピリピリッ
マシュ(殺気!? なんで!? どうして、何か、おかしい、私)ドクン、ドクン
レッドフード「いつ出る」
百貌「待て、もう少し……! 隙をさらした直後でなければ」
レオナルド「……っ、ああ、そうか。聖抜というのは、そういう事か……!!」
ガウェイン「皆さん。自ら聖都に集まっていただいた事、感謝します」
ガウェイン「人間の時代は滅び、また、この小さな世界も滅びようとしています。
主の審判は下りました。もはや地上のいかなる土地にも、人の住まう余地はありません」
ガウェイン「……そう。この聖都キャメロットを除いて、どこにも」
マシュ「……」ドクン、ドクン、ドクン
マシュ(ああ、だめ。そんな、それではダメだ。ガウェイン卿、そんなやり方をしては)ググッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:07:12.93 ID:5un44TpH0<>
レッドフード「おい、まだか」
百貌「まだだ! 我慢しろ、もう少し隙を伺うんだ!」
レオナルド「……! マシュ?」
マシュ「……」ブツブツ……
レオナルド「……マシュ、どうしたんだ」
ガウェイン「我らが聖都は完全、完璧なる純白の千年王国。この正門を抜けた先には理想の世界が待っています」
難民G「噂は本当だったんだ……!!」
難民H「円卓の騎士……なんと神々しい……異郷の騎士だとしても、あの輝きは本物だ……」
ガウェイン「……ありがとうございます。ですが、あなた方を受け入れる前に……」
難民I「……なんだ? 門の上に、誰か立っているぞ……?」
ガウェイン「……我が王からの、見定めを受けてください」
門「」ズゥゥゥゥゥゥゥゥ……ン……
???「……」ジッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:07:52.46 ID:5un44TpH0<>
???「……最果てに導かれる者は、限られている。
人の根は、腐り落ちるもの。
ゆえに、私は選び取る。決して穢れない魂。あらゆる悪にも乱れぬ魂。
……生まれながらにして不変の、永劫無垢なる人間を」
ガウェイン「……」
人々「「「……」」」
マシュ「……」ゾワァ
レオナルド「あ、アレ、は、ヤバい、レーダーが振り切れちゃってる」
百貌「馬鹿、黙っていろ……!」ダラダラ
レッドフード「……いつ見ても壮観だな、王サマってのは……」
???「……」ブゥン……
???「……残念だ、今回は一人たりとも居ない。ガウェイン卿」クルリ
ガウェイン「……は」
難民A「……え? あ、あの王様、何処行ったんだ……?」
騎士D「」ガシャリガシャリ、カチャ……
難民A「……え?」
騎士D「」ズバァッ
難民A「うぎっ」ドシャァ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:08:48.95 ID:5un44TpH0<>
難民B「う、嘘だろ!? 嘘、嘘だ!?」
難民C「う、うわああああああああ!! こ、殺しやがった、殺したんだ! ちくしょう、なんで!?」
難民D「理想郷じゃないの!? なんで、どうして……うッ」ドシャッ
騎士E「」ズバァッ、ズバン
騎士F「」ガシャリ、ガシャリ、ズバァ
人々「「「」」」キャアアアア!! タスケテクレ!! ダレカァ!!
レオナルド「やっぱりか! 奴らめ、『聖抜』で選ばれなかった人々をあんな風に……!!」
レッドフード「まだか」
百貌「まだだ! まだだ、ガウェインが隙を見せない……!」
レオナルド「……っ、マシュ!? マシュ、何処だい!?」
百貌「なに、あの小娘はこんな時に何処へ……!?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:09:35.88 ID:5un44TpH0<>
ガウェイン「……」ピクリ、バッ
ガッギャァァアアアアァァァァァァアア!!
マシュ「……!!!」ギリギリギリギリギリ……!!
ガウェイン「……おや、貴女は」グググググ……
マシュ「サー・ガウェイン。今すぐにこれを止めてください」グググググッ
ガウェイン「……ほう」
タァン!!
ガウェイン「っ」ババッ、ガギャギャギャァ!!
弾丸「「」」ポロポロッ
レッドフード「お前なら飛び出すって思ってたぜ、嬢ちゃん」カチャリ
百貌「全く、なんという事をしてくれたのだ貴様……! 目先の犠牲を止める事だけにとらわれたか!? コイツがどれだけの強敵か分かって……」
レオナルド「はいはい、責任探しはあとだ! 今はどうにかこの虐殺を止める!」
百貌「言われなくともわかっている! お前たち!」
部下1〜20「「「はっ!!」」」ゾロゾロッ
百貌「民たちを山へ誘導しろ! 一人でも多く逃がすのだ!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:10:05.34 ID:5un44TpH0<>
ガウェイン「……なるほど、では貴方たちが噂に聞いていた『レジスタンス』の者ですか」
百貌「残念だがここまでだ、騎士よ。初代様が来る」
レッドフード「フン、まあ年貢の納め時って事だ」
ガウェイン「……? 失礼、貴方はどこかで?」
レッドフード「……ククッ、どうかな?」
ガウェイン「……」
マシュ「サー・ガウェイン。なぜこのような事をしているのです」
ガウェイン「それが我が王の望みなれば。そこに疑問をさしはさむ余地はない」
マシュ「民を守ってこその騎士だったはずです!」
ガウェイン「もはや死んだ人理の中、人を守る方法はこれしかない」
マシュ「……どういう事ですか」
ガウェイン「さて、貴女が知る事ができるでしょうか……」ガチャ、チャキリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2019/08/12(月) 02:10:33.18 ID:5un44TpH0<>
レオナルド「マシュ。何があったのかは分からないが、アレは敵だ。警戒するんだ」
マシュ「……はい」ガシャリ
ガウェイン「私の前に出たからには、相応の覚悟を示していただきましょう。どうか剣の一振りで倒れる事のなきよう」ジリッ
レッドフード「賭けるか? 俺は5回耐えられると思うぜ、30ドルだ」
百貌「黙って警戒しろ! アイツの実力は本物だ!」
ガウェイン「では、行きましょうか」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2019/08/12(月) 02:11:54.15 ID:5un44TpH0<> 今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。
また、読んでくださっている方にこのような情けない愚痴を吐いて申し訳ありませんでした。今後は無いように努めます。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/12(月) 12:30:36.85 ID:KN0p6jFpo<> 乙
これからも楽しみに読ませてもらうわ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/13(火) 15:10:32.59 ID:PyyDZ7fUo<> 乙
アメコミ勢から誰が出てくるのかとてもとても楽しみにしながら読んでおります <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/13(火) 19:59:11.14 ID:pox4kIwZ0<> おつおつ!
レッドフードさんが何だか不穏な感じ?
レイシフト開始から別行動って何が起こるかわかんなくてわくわくするな〜これからも楽しみに待ってます! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/15(木) 10:39:17.78 ID:JyMV3ApO0<> このジェイソンのりのりだな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/15(火) 23:36:57.81 ID:TCef99+ro<> やっぱFateのマスターは少しぐらい頭おかしい方が面白いな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2019/10/30(水) 21:36:17.89 ID:xM/yOAD00<> 待ってる <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/02/17(月) 18:45:44.90 ID:tOfrfu1uo<> CIA職員「んほぉ〜〜この娘を持って心が和らぎ始めたバッツたまんねぇ〜」 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2020/05/23(土) 22:01:42.27 ID:m+I2YS33O<> 待ってます <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 15:59:48.33 ID:LW5FqCKG0<>
………………
ピッピッピッ……クオォォォォォォオン……
所長「……」
ドクター「……」ソワソワ……
職員A「……」ハァ
職員B「……」キョロキョロ、ソワソワ
職員C「……」イライライライラ
所長「それで、ブルースの位置は。特定できたの」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:00:19.56 ID:LW5FqCKG0<>
職員C「いえ、その……いまシバのレンズを最大限に活用していますが、しかしそもそも特異点をそのまま映すというのは非常に負担が大きく……」カチャカチャカチャ、タン
所長「そう」
職員C「……えと、その……できうる限りの努力はしていますが、この特異点は大気中の魔力の濃度が高く、これ以上焦点を合わせてしまうとレンズが耐え切れず割れる危険性があり……その、今のところ、全く成果が無いというのが現状です」
所長「ふむ……」
ドクター「……ブルースくんのスーツから送られてくるバイタルサインに問題はない。生きているようだ。……だが、先ほどから何度か交戦を示すシグナルが送られてきている。マシュとはぐれて、一人で戦っているのかもしれない」
所長「……」
所長(ムードメーカーであるレオナルドが居ない今、私がシャキッとするしかないのよね。……いえ、そもそもこれは所長である私の役目だわ)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:00:48.01 ID:LW5FqCKG0<>
所長「……全員、聞いて」
職員A「……?」
職員B「は、はい」ソワソワ、クルリ
職員C「……」イライライラ
ドクター「……」
所長「ブルースが心配なのは分かります。けど、お通夜みたいな雰囲気になるのは良くないわ。気を引き締め直して。我々のサポート如何で、彼らの生死が決まるのよ」
職員A「……」
職員B「……すみません」
職員C「で、でも……」
所長「自分のチームを信頼しなさい。ブルースやマシュ、レオナルドはこんな事では絶対に負けないわ」
職員C「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:01:17.22 ID:LW5FqCKG0<>
職員A「……なあ、大丈夫か」
職員B「え、ブルースさん? 大丈夫でしょ、あの人が参ってるところなんて想像できないし……」ソワソワ
職員A「違う、お前だよ。さっきから、何度も爪を噛んでる。冷静じゃないんだろ」
職員B「……だって、心配だし……」
職員C「……」
職員A「……なあ、お前も。大丈夫か?」
職員C「え? ああ、大丈夫。俺は平気だから……」
職員A「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:01:43.78 ID:LW5FqCKG0<>
職員C(……最初はイカれ野郎だと思ってた。猫の仮装して世界を救う? よっぽどの狂人か、あるいは誇大妄想にとらわれた馬鹿野郎だ)
職員C(……でも、だんだんと、あの人の事がわかっていった。わかってしまったんだ。ブルースさんはいつだって本気で、俺たちの事をずっと見てて、冗談が下手で、心配性の男なんだ)
職員C(くそ、なんでこうなった。諦めて、死にゆく世界で、気楽に最期を迎えられたらってずっと思ってたのに。焼かれた世界で、人の心配をするなんて)
職員C「……無事で居てください、ブルースさん……」カタカタ、カタカタ、タンッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:02:14.25 ID:LW5FqCKG0<>
………………
バットマン「……私の事を覚えていないのか、モードレッド」
モードレッド「はあ? 何言ってやがる、初対面だろうが。覚えてるもクソもあるか」
三蔵「ブルース、下がって。あの子、すっごい魔力を秘めてる」
モードレッド「へッ、城に居る時は気に食わなかったが、なかなかどうして……こうして殺す気で向かい合ってそのツラ見ると、悪くねえ顔してるじゃねえか。覚悟ができてやがる」
バットマン「なぜだ。なぜ殺す。誰に命令された」
モードレッド「てめぇは正反対だな! 何かを殺す覚悟もねえツラしてやがる! ムカつくぜ、前に会った時も……ぐうっ!?」ズキン
バットマン「……『前に会った時』?」
モードレッド「う、うぐ、頭、が……畜生てめえ、何しやがった……!?」ヨロッ
バットマン「……???」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:02:41.28 ID:LW5FqCKG0<>
(((行け。世界を救ってこい)))
(((……私も、お前達と共に戦えるのは光栄だ)))
(((恐怖に飲まれるな)))
モードレッド「……くうっ、誰だ……てめえ……誰だ、てめえは!!?」ヨロヨロッ
バットマン「……」
バットマン(何が起きているかは全くの不明。だが、チャンスに違いない)
バットマン「三蔵、こっちだ」
三蔵「えっ?」
バットマン「逃げるぞ」ダッ
三蔵「え、え、ちょっちょっと!?」ダダッ
モードレッド「……! てめ、待て!!!」ダンッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:03:08.08 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン(ルート取り。山の方角、星座の位置から判断して、西南西へ向かうこのルートが最も『近い』)
三蔵「どこに向かってるの〜!?」タッタッタッタッ
バットマン「アトラス院。迷宮だ、ヤツを撒くにはちょうど良い」タタタタタ
バットマン(しかし、砂で足が取られる……)
モードレッド「この野郎、逃げるなんてそれでも男かてめえ!! 真っ向から向かってきやがれ!!」ダダダダダッ
バットマン(無茶を言うところも全く変わっていない。アレは間違いなくモードレッドだ)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:03:44.62 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン「フッ!」シュパパパッ
バットラング「「「」」」ヒュオオオォォォオッ!!!
モードレッド「こんなもんっ……!?」ガギギギィッ、プシューーウゥゥゥゥゥ……
煙幕「」モクモク……
モードレッド「な、なんだ!? 煙!? げほっ、くそっ、なんだコレ!?」
三蔵「ええ、何あれ何あれ! 面白い事になってるじゃない!?」
バットマン「バットラングにスモークペレットを混ぜて投げた。剣に貼り付いて、しばらくは視界を曇らせる……それより走れ」ダッ
三蔵「あ、ちょっと待ってって!」タタッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:04:12.25 ID:LW5FqCKG0<>
モードレッド「げほっ、くそっ、きたねえ搦め手使いやがって……!」ズキン
モードレッド(クソっ、なんなんだ! 頭がいてえ……!! 何か、思い出しそうな、気がする……)
(((お前の行動が士気を乱すものになると言っている)))
(((私が気に食わないだけか?)))
(((何か異論があるなら聞くが)))
モードレッド(……なんだか無性に腹が立ってきやがった。あいつ、さては相当なクソ野郎だな……??)
モードレッド「……ぶっ殺してやる!!」ダダンッ、ダダダダダダ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:04:48.30 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「ねえねえ、他には!? なんだか神器みたいで貴方の道具がすっごく気になるんだけど!」タタタタッ
バットマン「神器ではない。これはユーティリティベルトと言って、私の活動を補助してくれる道具が多く納められており、」ダダダダダ……
三蔵「うーん? 難しいのね? あ、この玉は!?」スッ、カチャ
バットマン「!! 何を、今すぐ投げろ! 危険だ!」
三蔵「えっえっ、ええぇ!? えいっ!」ポイッ
球体「」ヒュゥゥゥゥウ……ドッガァァァァァァアアアアアァァァァン……
モードレッド「ぐわああっ!?」ゴオオッ
三蔵「えええ!? なにあれ、すっごい爆発!?」
バットマン「……アレはスーツ越しでも自決できるようにしていた爆弾だ……!!」
バットマン(なんという事だ、もしもの事態に備えてカルデアに秘密で少しずつ作成していたというのに……!)
三蔵「自決!? いけません、自殺なんて御仏的にNGもいいところよ!!」
バットマン「ああ、そうかもしれんな……」
バットマン(……これで情報を引き出されそうになった場合の最終防衛手段は無くなったか。自分を信じるしかないのは、少し心細いものだ。いや、心細すぎる)
三蔵「……なんだか貴方って、結構捻じれてる?」
バットマン「法師のカウンセリングか? またあとにしてくれ」ダダダダダッ
モードレッド「野ッ郎、爆弾やら煙幕やら卑怯くせえ!!!」ブチィッ
三蔵「うわあああああん、ごめんなさーい!? わざとじゃなかったのよ!!」タタタタタタ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:05:25.40 ID:LW5FqCKG0<>
モードレッド「逃がすか、この野郎……!! 『是こそは、我が父を滅ぼせし邪剣』……」シュゴォォォォォォォォォオォォォ……
バットマン(いかん!!)
バットマン「三蔵、掴んで引けっ!!」バッ、シュポッガシッ
三蔵「え!? え、は、はいっ!!」ガシッ
モードレッド「ッ『我が麗しき父への叛逆』(クラレント・ブラッドアーサー)!!!」ゴゴゴゴオオオオオォォォォォォォォォッ!!!
バットマン(ここだ!)グィィィッ
ゴオオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:05:54.78 ID:LW5FqCKG0<>
パラパラパラパラ……
モードレッド「……いってえ……!!」ギチギチギチギチ
ロープ「」ビイィィィィィィィィィ……ン
バットマン「……!!!」ギチギチギチギチギチ
モードレッド(くそったれが、放出の寸前に肩に何か撃ってきやがった……!?)ギチギチギチギチ
バットマン(どんな大砲も、発射前に砲の向きを変えれば無力。グラップネルガンは改良してある、ロープもそうそう千切れはしない……!)ギチギチギチギチ
バットマン「三蔵、タイミングを合わせるんだ。激突から5秒後で良い、地面を叩け!!」ギチギチギチ、グイィィィッ
三蔵「なんだか分からないけど、了解ッ!!」グイィィィンッ
モードレッド「っちくしょ……!?」ヨロォッ
バットマン「フッ」ダンッ、フワアッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:06:59.58 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン「……シィッ」バサササッ、シュバッ
モードレッド「ちっ」ババッ、ズササァ
バットマン「逃がさん」ダダン、ズシャシャ、バッ
モードレッド「、しつけえ、野郎だ!」ババッ、ズバァッ
バットマン「ふっ……相変わらず直線的な剣の軌道だ、モードレッド」ババッ、ヒュンッ
モードレッド「余裕のつもりか、むかつく野郎だな!」シュバババババババッ
バットマン「っ、直線的で力強い。やはりお前は世界を救った騎士だ」ギャリリリリィ、ズササシャシャシャ、ババッ
モードレッド「ワケわかんねーなお前! 貶してんのか褒めてんのかどっちなんだ!」ダンッ
バットマン「分析している。お前の剣を」ダダッ
モードレッド(くそっ、コイツ、やりづれえ。懐かしい感じもするし、けど、俺は覚えてねえし……!! ダメだ、内心で迷いが生まれる!!)
バットマン(三蔵の膂力で肩を負傷させているのは大きい。宝具の連発は不可能だろう。ならばここで畳みかけ、撃退もしくは打倒する)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:07:38.04 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン「フッ!」ガッギャアアア!!
モードレッド「ゼェアッ!!」ガギギィィィィ!!
バットマン「グッ……今回は……誰に仕えている、モードレッド」ドシャァッ、ギリギリギリギリ
モードレッド「ああ? 父上以外の誰に仕えるんだ、俺が」
バットマン「…………なんだと。父上とは、つまり、アーサー王か?」
モードレッド「おう、そうだ。あのアルトリアだ。悪いか、陰気顔」ギリギリギリィ……
バットマン「……意外だな。叛逆はしないのか」
モードレッド「……てめえ……はは、殺したくなってきたぜ」ギュギュウウゥゥゥ、ギュウォォォォオオオオオオ!!!
バットマン「! なにっ」
バットマン(モードレッドの剣が輝きを増して……まさか、宝具は供給源がなくともノータイムで連発可能なものだったのか!?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:08:08.54 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「ブルース!! 行くわよ!!!」ギュオオオオオオオオオッ
モードレッド「あぁ!?」
バットマン「ああ! やれ、三蔵!!」ギャリリィ!!
三蔵「どっせい!!」ビュゴッ!!
モードレッド(なんだ!? 地面に攻撃……いや違う!)
バットマン「相変わらず、搦め手への意識が低いようだな。サー・モードレッド」バッ
モードレッド「テメッ……」
バットマン「さらばだ」
地面「」ビキィ、ビキビキビキビキ……ガラガラガラガラッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:08:49.14 ID:LW5FqCKG0<>
モードレッド「崩落!? これを狙ってやがったのか!?」グラグラ
バットマン「三蔵! 掴まれ!!」バッ
三蔵「わわわわわ、どうなってんのよぉ!」ガシッ
モードレッド「……!! てめえ、勝ったと思うな……!!」
バットマン「お前は」バサッ
モードレッド「っ」
バットマン「負けてからが強い。油断しないようにしよう」バササササササ……
ヒュオォォォォォォォォォォォ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:09:21.18 ID:LW5FqCKG0<>
モードレッド「……落ちていきやがった……」
(相変わらず、搦め手への意識が低いようだな。サー・モードレッド)
モードレッド「……!!」
(お前は負けてからが強い。油断しないようにしよう)
モードレッド「……るっせーバーカ!!! バーカ!! なんでテメーにそんなこと言われなきゃならねえんだ!! そもそも負けてねえよ!!」
砂漠「」シーン……
モードレッド「……クソが! 絶対逃がしてたまるか!」ザッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:09:52.67 ID:LW5FqCKG0<>
………………
ガウェイン「……さて」ガシャリ
マシュ「……っ、は、っ……」プルプル
百貌「……、……」ピクッ、ピクッ……
レオナルド「……ここまで、とは……」ボロッ
レッドフード「あーあー、参ったなこりゃ」トットッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:10:19.82 ID:LW5FqCKG0<>
ガウェイン「我が部下である粛清騎士が全滅。それは賞賛に値するでしょう。私と戦いながら、素晴らしい動きだったと言える」
太陽「」ジリジリジリ……
ガウェイン「だが、場所が悪い。条件が悪い。実力もまだまだ甘い。そこの赤い兜の方以外は、ここに来るべきではなかったでしょう」ジャキッ
レッドフード「褒められるってのは悪くない気分だが、俺はお前と真っ向勝負なんてのはごめん被るぜ」ジリ、ジリ
ガウェイン「さて、どうでしょうか。私は未だに貴方の実力を測りかねています」ジリ
レッドフード「ははは、ずいぶん買われたな。俺はそんなに大したモンじゃないさ。何処まで行っても、アイツの『裏』の存在でしかない」ジリジリ、ジリィ
ガウェイン「……アイツ?」ジリッ、ズサッ
レッドフード「知らねえか? 知らねえか。オイ、そろそろ良いだろ。位置も完璧だぜ」
ガウェイン「? !!」
マシュ「たああっ!!!」バッ
ガウェイン「ちぃッ」ガッギャア!!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:11:03.61 ID:LW5FqCKG0<>
ガウェイン(しまった……! 奴との対話に夢中になるあまり、立ち位置を調整されて、)
レオナルド「そこだねっ!!」プシューーーーーー!!!
ガウェイン「ち、ぃっ……!?」パキパキィ、パキ……ン
ガウェイン(凍結? 相手にするまでもない!)
ガウェイン「舐めないでいただきたいッ!」バキィ、ブゥンッ
マシュ「せあっ!!」ガッギャアアアア!!!
ガウェイン「……!!」ギリギリギリ
マシュ「ぐうううううううう!!!!」ギャギャギャギャギャ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:11:34.91 ID:LW5FqCKG0<>
マシュ(ここだっ、この力を利用して!)グッ
マシュ「っ」シュッ
ガウェイン「なに」グラッ
マシュ「せええいっ!!」ド、ドドドッ、シュドゴォ!!!
レオナルド「よし完璧に入った!! 相手の霊子解析も89%!」ダダッ、ピッピッ
マシュ「……!!」ググッ
マシュ(ダメだ。やっぱり、完璧に入ったのに)
ガウェイン「良い動きです。そこまでの武を持ちうるとは、よほど鍛えたと見える」シュゥゥゥゥゥゥ……
マシュ(まるで無敵じみた防御力。こちらが打ち込んだ数十発を、何もなかったかのように耐えてる)
ガウェイン「……ですが、やはり、陽光の元で私を相手取るというのは、そちらにとっていささか分が悪いようですね」グググ、グググググ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:12:30.13 ID:LW5FqCKG0<>
百貌「ぜえいっ!」シュパパッ
ガウェイン「もはや、底は知れた」ガギィ……ン
百貌「なっ、見もせずに……」
ガウェイン「鍛錬とは、仰ぎ見る山頂へ登ろうとする行為に他ならない。登り切ったと思えば、またそこに登る余地は生まれてくる」グググググググ……シュゴウッ、ゴゴゴゴ
マシュ「くっ……!」ガシャリ
ガウェイン「そして貴女は今、きっと私よりよほど大きな頂を見ているのだろう。危険な存在だ。貴女ほどの存在を生かしておけば、必ずや我が王の妨げとなる」
マシュ「王は、こんな虐殺を望むはずが……!!」ドクンッ
マシュ(王とは、何……!? 私は、彼らの言う『王』なんて、知らないはず……)ドク、ドクン、ドクン……
(マシュ。我が名は■■■■■■)
(我が名を呼べ。力を貸せよう)
(ながらく眠っていたが、それでも)
(騎士として)
(負けるわけには、いかないのだ)
(マシュ。我が名を呼べ)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:13:08.41 ID:LW5FqCKG0<>
マシュ「ウ、ア、アァ……ぐっ……!?」ジリ、ジリ、ドシャリ
ガウェイン「……?」
レオナルド「ま、マシュ!? どうし……」
レーダー「」ピピー!! ピピー!! ピピピピビビビビビビビビビbbbbbb
レオナルド「……!! こ、この反応……まさか、『発作』!?」
レオナルド(にしたって、こんな魔力反応は尋常じゃない……! マシュの意識が耐え切れない、潰されてしまう!!)
百貌「クソッ、撤退を……!」
難民X「ひ、ひぃ……!」
難民Y「あの子が居ないんです、あの子がどこかへ消えてしまったんです!! お願いします、助けてください……!」
難民Z「おかあさん!! おかあさーん!!」
百貌の部下A「こちらへ、ともかくこっちへ! 多すぎる、手が回らない!!」
百貌「……まだかかるか……!!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:13:43.39 ID:LW5FqCKG0<>
ガウェイン「……ふむ。なんにせよ、こちらにとっての『チャンス』でしょうね」ガシャリ
百貌「……山の……初代様のご到着には、まだかかるか……」ジリッ
レッドフード「……」カチャリ
ガウェイン「何を期待しているのかは知りませんが、あなた方の敗因は『それ』だ」
百貌「……」
ガウェイン「おのれの実力を信じず、他の要素にすがり、共に戦う仲間にすら、背中を預けられない状態で来てしまった」
マシュ「……!!」プルプル
マシュ(起き上がれない……!! マスターが……マスターが居たら、こんな状況には……)
ガウェイン「これにて幕引きとしましょう。『この剣は太陽の……』」
「ちょっと待ったぁあああああ!!」
ガウェイン「……?」
レオナルド「なんだか勝敗が決したみたいなセリフだけど、それはちょっと気が早いんじゃないかな!? ホラこれを見なよ!」ポイッ
黒い塊「」ヒュンッ
ガウェイン「なんです、それは……」
ガウェイン(……否。不味い、コレは……)
スタングレネード「」カッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:14:10.83 ID:LW5FqCKG0<>
ガウェイン(いかん、目をやられ……)ヨロッ
ヒュンッ
ガウェイン「ッ」ババッ、ガガァン!!
ヒュヒュヒュンッ
ガウェイン「チッ……」ガッギッギギギギィ、ギギィン!!!
レオナルド「……いや、目をつむった状態で弾きすぎじゃないかなキミ」
ガウェイン「五感を駆使して戦う。風切り音でどこへの攻撃かは分かります……」スッ
レオナルド「成程ね、やっぱり武人タイプってどうも苦手だ。ところでそろそろ目は治ったかな?」
ガウェイン「ご心配どうも。おかげさまでよく見えますよ」
レオナルド「ならキミ、自分の剣を見てみる事をオススメするよ。……まあ、もう遅いけど」
ガウェイン「……?」
吸着型爆弾「」ピッ、ピッ、ピッ……ピピピピピピピピピ
ガウェイン「……!!」バッ
ドッガガガガガガガァ……!!
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:14:53.57 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド「今しかない! 撤退だ、マシュ、歩けるかい!?」
レッドフード「あの爆弾はクールだな、いいアイデアしてるぜ」
レオナルド「これでも生前は兵器の開発案とかも出してたんだ、多少はやれなくちゃね。さあ走ろう!!」
マシュ「くっ、ぐぅっ……!!」フラフラ
レオナルド「……さあ、掴まって! 走るよ!!」ガシッ
レッドフード「ああ、OK」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:15:21.39 ID:LW5FqCKG0<>
百貌「……先に行け!!」
レオナルド「へっ?」
百貌「山に行けば『ハサン達』が出迎えてくれる! さっさと行け!!」
レオナルド「き、キミは!? キミはどうするのさ!?」
百貌「……ッ……」チラッ
難民たち「「「……! ……!!」」」ザワザワ、ゾロゾロ
百貌「……まだ、避難が済んでいない……! まだここから退くわけにはいかん!」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:16:01.26 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド「……くっ、すぐに逃げないと……すまないが、こちらは離脱させてもらうよ!」
百貌「元よりそう言っているだろうが! さっさと行け!!」
マシュ「……っ、……」プルプル
レオナルド「……悪いけど、マシュ、ここは我慢してもらう。世界を救うには、私たちが生き残らないとダメなんだ。行くよ」ダッ
マシュ「…………」ズルズル……
爆煙「」モクモク……
部下A「ひゃ、百貌様……」
百貌「……行け。後は任せたぞ」
部下B「……はっ。お任せ下さい」ダダッ
部下C「おさらば……」ダッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:16:41.16 ID:LW5FqCKG0<>
レッドフード「……チッ」ピタリ
レオナルド「っ、レッドフードくん!?」
レッドフード「悪いな、先に行っててくれ。俺は残る」クルリ
レオナルド「……それは……」
レッドフード「ブルースには俺の事は伝えないでおいてくれよ? 露骨に落ち込みやがるからな」
レオナルド「……分かった」
レッドフード「くくッ、ちなみに今のはジョークだ。じゃあな」ザッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:17:08.85 ID:LW5FqCKG0<>
部下E「こっちだ! 全員行くぞ!!」
難民たち「「「……」」」ゾロゾロ……
部下F「その盾の少女は!? 負傷したのか!?」
レオナルド「いや、発作だ。復帰すれば戦力になるんだが、今は無理そう」
部下F「……こちらで抱える、お前は民衆を守る位置についてくれ!」
レオナルド「成程、それは助かるね……」
マシュ「……っ」ギリィ……
マシュ(……盾に、なるって、誓ったのに……! 今度こそ、守るべきものを……)
レオナルド「……行こう。託されたものを無駄には出来ない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:18:11.74 ID:LW5FqCKG0<>
百貌「……」
レッドフード「よう。雨に降られた犬みたいな顔してるぜ」
百貌「黙れ。腹の立つヤツだ」キッ
レッドフード「そっちの方がいい顔だ。どうだ、勝算があって残ったのか?」
百貌「あると思うのか。さっさと逃げれば良かったものを、貴様まで何故残った?」
レッドフード「1人より2人の方が、時間稼ぎも捗ると思ってね……」
百貌「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:19:00.03 ID:LW5FqCKG0<>
百貌「……貴様が『初代様』の名を出した時」
レッドフード「……」
百貌「正直言って、安堵してしまった。ようやくこの戦も終わる、そう思ってしまった」
レッドフード「……」
百貌「だが、やはり、恥だな。私は自分の力不足を暗に認めてしまっていたのだ。『初代様』の力を借りねば倒せない相手だと、情けなくもそう思っていた」
レッドフード「……そうか」
百貌「今回、初代様が来られなかったのも……きっと私達を試しての事だろう。我ながら愚かな事だが、それでも」
百貌「それでも、あの盾の少女の真っすぐな瞳を見ていて、思い出したよ。私も、負けるわけにはいかない」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:20:14.61 ID:LW5FqCKG0<>
爆煙「」モクモク……ザアアアッ
スタ、スタ、スタ
ガウェイン「……どうやら、まんまと逃げられたようですね。正直に言って、侮りがあった事を認めざるをえません」
レッドフード「あっちは元気が余ってそうだぜ」
百貌「まだまだ。ここから時間稼ぎに付き合ってもらうとしよう」
ガウェイン「……彼らにはすぐに追手が出るでしょう。無駄な事は、おやめになるよう」ガシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:20:43.14 ID:LW5FqCKG0<>
………………
バットマン「……」バサササササ……スタ
三蔵「ほわぁ……すごいのね。ていうか、ここ何処?」スタ
バットマン「アトラス院と呼ばれる施設の入り口だ。落とし穴から入ってきたが」スクッ
三蔵「なんていうか、妙な感じ……なんだかムズムズして……」
バットマン「……乱暴な入場になった。何かトラップが発動してもおかしくない、注意しろ……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:21:10.60 ID:LW5FqCKG0<>
砂「」サラサラ……パラパラパラ……
洞穴「」シィ……ン
三蔵「……静かね」
バットマン「……静かだな」
三蔵「ねえ。気付いてる?」
バットマン「まあ、気付いていないと言ったら嘘になる」
三蔵「どうする?」
バットマン「つまり……そうだな。右を頼む」スッ
三蔵「じゃ、左は任せるわね」バッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:22:21.40 ID:LW5FqCKG0<>
ブルースは……つまり、推測を重ねていた。アトラス院とは魔術のるつぼ。このように乱暴な入場を果たした存在に対し、罠が発動しないというのは通常、考えられない事だ。
ということは、罠が解除されている可能性が高い。解除されているという事はつまり、先客が居る。
そして、暗闇の中から息遣いが聞こえていた。複数。三蔵は躊躇の無い動きで闇へ向かっていく。複数の気配が身じろぎする。
バットマンはマントを翻し、手元を隠しながらバットラングを投擲した。目にも止まらぬ飛来物は、しかし、闇の中から伸びる刃によってすべて千々に切り裂かれ、地に落ちた。
三蔵の向かいの闇から、影が飛び出した。口元をマスクで覆ったその人物は、空中で回転すると、法師の首めがけて刀を振るう。
「ほっ」
三蔵は錫杖でこの斬撃をいなし、相手のみぞおち目がけて反撃の一撃を突き込む。空中で衝撃を食らったその人影は、柔軟に体を曲げると、素晴らしい身体制御能力で着地し、後転で距離を取った。
バットマンの向かいの闇からも一体、同じような人影が現れ、バク転で跳びすさる。そして法師と向かい合う影に並び立ち、刀を構えた。
その立ち振る舞いを見たバットマンは、眉をひそめる。彼にとって覚えのある集団の構えだ。
「……リーグ・オブ・アサシン?」
ピクリ。その名を聞き、2名の暗殺者たちはかすかに震える。三蔵は油断なく錫杖を構え、敵の実力を見極めようとしている。
「ここで何をしている。ラーズ・アル・グールの指示か」
「……民草ごときが、あのお方の名を口にするな」
ミシリ。刀の柄が握り締められ、軋む。
「奴は何を企んでいる」
「お前が知る事はない。死ね」
次の瞬間、2人の暗殺者は一斉に膂力を解放し、完璧な対の角度で刀を打ち込んだ。 <>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:23:01.19 ID:LW5FqCKG0<>
破裂するような甲高い音の直後、二刀を受け止めた錫杖から火花が散った。三蔵法師だ。バットマンを庇うように割り込み、瞬時に二刀と拮抗状態を作る。
そして既にバットマンは斬撃の軌道上には居ない。彼は三蔵を跳び越え、2人の頭へとバットラングを投げつける。
暗殺者たちは同時に頭を傾けて躱し、似通った体捌きでするりと適切な距離へ逃れる。三蔵が一方を追い、黒い騎士は万全の構えでもう一方と向かい合う。
「……」
「……」
ジリリ。暗殺者が重心を落とし、バットマンは僅かに構えを変化させる。暗殺者のこめかみを脂汗が伝う。
「……私達を待ち伏せていた訳ではないな? 目的は何だ」
「……ッ」
一瞬の後、暗殺者が打ち込んだ。だが蝙蝠はこの一撃を完全に見切っており、手甲で刀を叩き下げると、逆の手で掌打を繰り出す。
暗殺者はこれを躱す……否。バットマンの手のひらから何かしらのスプレーが散布され、暗殺者の腹部へ付着した。
「ちっ……」
バックステップで距離を取ろうとしたその瞬間、暗殺者の腹部に付着したジェル状の『何か』は爆発。空気が歪むほどの衝撃でもって片割れを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。
(やはり)
一方、バットマン。彼は超スピードの思考の中で、相手に打ち込んだ際の微かな違和感を反芻していた。
それはすなわち、『敵は魔力を帯びた存在ではない』という事だ。暗殺者たちの身のこなしは驚異的だが、しかしそれは人間にも可能な動きばかり。
証拠に、三蔵と戦っている1人は既に追い詰められ、壁を背に戦っている。もう5秒もあれば決着がつくだろう。
「……お前達は、この時代の人間だな」
「……」
「ラーズ・アル・グールは召喚された存在ではない。お前達も、元々ここに居たんだな?」
「……答える必要はない!」
語気も激しく言い返したアサシンはしかし、冷静だった。彼女らは同時に足元に煙玉を叩きつけると、一瞬の視界混濁に乗じて撤退を開始する。
「ブルース、見えてるけど追う?」
「……いいや、追うな」
煙が晴れる中で、バットマンと三蔵法師はアサシンが逃げて行った方を見つめ、しばらく構えて立っていた。が、彼女らが逃げ、戻らない事を悟ると、やがてその構えを解いた。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:23:53.03 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「なんだったのかしら、ホント! あれがもしかして忍者ってやつ?」
バットマン「あれは……まぁ、説明すると長くなるが……ともかく、殺人集団だ。今回は何のために動いているか知らんが、警戒するに越したことはない」
三蔵「因縁浅からぬ仲ってやつ? 大変ね〜」
バットマン「私にとっては見慣れた集団だ……連中にとっては、どうやら私は新顔のようだが」
三蔵「……んん〜? まあいっか。貴方がもっとあたしを信頼してくれた時にでも、分かりやすく話して!」
バットマン「……分かった」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:24:31.69 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「にしても、真っ暗ね〜。人間のあなたは結構進みづらいんじゃない?」
バットマン「平気だ」スタスタ
三蔵「そう?」スタスタ
バットマン「……」スタスタ
三蔵「……」スタスタ
バットマン「…………」スタスタ
三蔵「…………」スタスタ
バットマン「……音と足裏の……いや……夜目が利くんだ、私は」
三蔵「そうなんだ! 凄い事じゃない、闇も見通せるって便利ね」
バットマン「ああ。……お気遣いありがとう」
三蔵「どういたしまして。フフ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:25:08.03 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「んん〜? ……なんか、水の音が聞こえるような……川でも流れてるのかしら?」
バットマン「水? ……地下湖でもあるのか……」
三蔵「ううん、違うの。なんか、そうじゃなくて…………ええっと、なんて言えばいいんだろ。もっと、ドロッとしてる何かって言うか……粘液? みたいなのが、流れてる音が聞こえる」
バットマン「粘液?」
三蔵「……ドロドロで、ブクブク泡が立ってて……なんだか、嫌な感じの音」
バットマン「……」
バットマン(通信機が健在なら、間違いなくドクターに解析を頼んだだろうが……一体、この地下には何がある?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:25:36.45 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「変な遺跡ね。振り返れば、それまでに見えなかった大量の通路が見える」
バットマン「フェイクのチューブが、本筋に次々に合流する仕組みなのだろう。行きは楽で、帰りが難しい仕組みになっている」
三蔵「これ、大丈夫? 帰れるかしら?」
バットマン「安心しろ。スーツのコンピューターが常にマッピングを行っている」
ブルース(それに、私も記憶している……滞りなく地下へ数十メートル進めているはずだが、まだ底が見えないな)
三蔵「もしその鎧が壊れちゃったら、この錫杖を立てて、倒れた方向に進みましょ!」
バットマン「……まぁ、考えておこう」
三蔵「あ! その顔、あたしの運の良さを信じてないわね? ふふん、貴方もその時になったら御仏の導きを信じるようになっちゃうんだから!」
バットマン「……」
ブルース(まったく宗教的に込み入った特異点だ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:26:08.14 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン「ひとつ訊いておくことがある、三蔵」
三蔵「ん? なぁに? 答えられる事ならなんでも答えちゃうわよー!」
バットマン「城に居る時だが……『ラーズ・アル・グール』という名前を聞いたことはなかったか?」
三蔵「ラーズ……レイシュの事かしら?」
バットマン「レイシュ? ……居るのか、その男が」
三蔵「ええ。城の中でも、かなりの上位に位置してて……見てた感じ、城主である『獅子王』、その補佐官である『アグラヴェイン』と同等くらいの力を持っていたと思うわ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:26:42.40 ID:LW5FqCKG0<>
三蔵「普通に話している時でも、ちょっと怖いくらい目つきが鋭かったのを覚えてる。あ、そういう所は貴方に似てるかも」
バットマン「……私に似ている者が多いな……」
三蔵「ホントにそうね! でも、なんだか、ちょっと違ったと思う。……なんて言うのかしら。ぱっと感じるフィーリング?」
バットマン「……そうか。レイシュは、何か言っていたか」
三蔵「うぅん、城の騎士たちと同じよ。『人類を守る』って」
バットマン「……」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:27:19.08 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン「……人類を守るのが目的なら、お前も残れたんじゃないか?」
三蔵「うーん……なんていうか、自分の居場所じゃないって感じがしたの」
バットマン「居場所じゃない?」
三蔵「うん。皆笑顔で、のびのびしてて、悪い人なんてひとりも居なかったんだけど……騎士さんに何か尋ねても『知らなくていい』『くつろいでいるだけでいい』って言われるばっかりだったから」
バットマン「……」
三蔵「くつろいでるの、嫌いじゃないけど……でもあたし、何かムズムズしちゃうのよ。だって、荒野が外に広がってるなら、その荒野にもくつろぎを届けたーい! って思っちゃうじゃない?」
バットマン「……まあ、分からない事もない」
三蔵「そういうコト! だってあたしはいずれ仏様まで成り上がる玄奘三蔵ですもの! ドーンと掌で人を救っちゃわなきゃね!」
バットマン「……フ」
ブルース(別のお人好しを思い出すものだな)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:28:27.05 ID:LW5FqCKG0<>
バットマン(それにしても、ラーズ・アル・グールがこの時代に居るとは……いや、不思議はないか。ヤツは不老不死だ。この時代も、ヤツにとっては通過した過去だろう)
バットマン(きっと我々と接触した事は報告が行く。その時、連中がどう動くか……。現代と変わっていないのなら、『デーモン』は未だ危険なテロ集団のハズだ)
バットマン(気を引き締めていかねばなるまい。そして、そんな組織と動きを同じくしている『城』の騎士たちも……やはり、危険と考えて相違ないだろう)
バットマン(……敵は多い。マシュも居ない今、どう動くのが最善だ……)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:28:54.42 ID:LW5FqCKG0<>
…………
「……、……」
「…………!! ……!! ……」
「………………!!!」
「……」
マシュ「……うぅっ……」ぴくり
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:29:26.59 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド「!! マシュ、起きたかい!?」ダダダダ
マシュ「……ダヴィンチちゃん、ここは……」
レオナルド「起きたばかりで悪いが、撤退戦だ! 聖都から追手が来てる、しつこいったら……!」
マシュ「!! 追手……くっ、お、起きます!!」ヨロッ、グラァ……
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:29:54.99 ID:LW5FqCKG0<>
騎士A「逃がすな!! 追え!!」ダカダッ、ダカダッ
騎士B「囲い込め!! 1人残らず殺すのだ!」ダダッダダッダダッ
難民A「ひ、ヒィィィッ」
難民B「お助けください!! 聖都にはもう関わりません!! どうか!!」
レオナルド「馬と人じゃ流石に機動力が違いすぎる……このままじゃ共倒れだ」ガシャリ
マシュ「ですが難民の方を見捨てるわけにはいきません! 私が出ま……!?」ヨロヨロ、ズシャァッ
マシュ(ど、どうして……意識があるのに、体が、動かない……?)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:30:25.60 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド「マシュ!? ……くっ、ガウェインとの戦いが負担だったのか……下がって! 全員下がるんだ!! 私がやる!!」
百貌の部下A「いや、我々もやれる!!」ジャキリ
百貌の部下B「百貌様がおられずとも、私達が……!!」カチャ
レオナルド「いいから下がるんだ!!! 騎士たちの中に強烈な反応がある、これは……ガウェインに、似て……」ポーン……ポーン……
ズバァッ
百貌の部下A「ぐっ……」ドシャリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:31:13.87 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド「!? 何処から……」
ポロン♪ ポロンポロン♪
ズバァッ!
難民A「……え……」グシャリ
難民B「う、うわあああああああぐッ」ドシャ
レオナルド「……!!!」
「……トリスタン卿、貴公は右を。私は左を担当しよう」
「実に悲しい……彼らにとって、この死の音満ちる荒野が最後に見る光景とは。せめて、痛みは与えぬよう殺しましょう」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:31:56.47 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド(ここに、2人……サーヴァント! よほど我々の事を逃がしたくないらしいな、聖都の連中……!)
トリスタン「ランスロット。今回は、手を抜かないでいただきたい」
ランスロット「……何の話か分からないな、トリスタン。それよりも集中すべきだ。あのご婦人は、やるぞ」
レオナルド「くっ」ジャキリ
トリスタン「ふむ……呼吸の音、心拍、そして何よりもその怒り……危険な存在ですね、貴女は」
ランスロット「……」ガシャリ
レオナルド「……見逃してくれたりしないかな……って言っても無駄だよね、勿論」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:32:41.91 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド(トリスタン、ランスロット、ガウェイン……ここまでの敵は、どれも知っている。アーサー王率いる『円卓の騎士』のメンバーたちだ)
レオナルド(そして今、立ち塞がっているのは『ランスロット』『トリスタン』……ランスロットは円卓の中でも最も武勇に優れた者とうたわれる騎士。第1特異点でブルースが遭遇したものとは違い、理性があるようだ……厄介だな)
レオナルド(もう一方、トリスタンは……ハッキリとは分からないが、あの竪琴から危険な気配がする。先ほども、竪琴の音色と共に斬撃が発生していた……ように見えた。つまり、アレは……)
通信機「」ピピピピピ!!
ドクター『レオナルド、解析結果を伝える。ランスロット、トリスタン、どちらも霊基に異常が見受けられる』
レオナルド「異常?」
ドクター『どう形容していいのか……ランスロットも、トリスタンも、通常のサーヴァント以上の性能を持っている事は間違いない。そのうえで、ランスロットは霊基が拡張されている……セイバーというよりは、まるでルーラーだ』
レオナルド「成程……」
ドクター『トリスタンは……アーチャーだったのは分かるんだが、これも奇妙だ。霊基が……反転している、と言えばいいのか……ともかく、そこに居る騎士たちが、「通常の思考」を持っていると考えない方がいい。歪まされた存在だ』
レオナルド「了解。……まぁ、難民を襲う時点で普通の交渉は期待していなかったさ」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:33:34.35 ID:LW5FqCKG0<>
マシュ「……ぐ……うぅ……!!」プルプル
レオナルド「マシュ、今キミが復帰してもフラフラだろう。足手まといになりたくなかったら、そこでじっとしていること」
マシュ「……!!」
レオナルド「どーんと任せとくんだ! なんたって、私は天才なんだからね!!」ニッ
トリスタン「話は終わりましたか」
レオナルド「待っててくれてありがとう。……そうだね、そろそろやろうか」
ランスロット「……」ザシ、ジリジリ
百貌の部下B「……」ジリ
百貌の部下C「……」ジリィッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:34:05.70 ID:LW5FqCKG0<>
レオナルド(カッコいいことは言ったけど、これじゃ勝負にもならないのが正直なところだな……霊基が拡張、反転してるだって? 敵の正体が分からないんじゃ、どうしようもない)
レオナルド(囲まれてる。……詰みか? ……ブルース、キミならどうした?)
トリスタン「……」ス……
レオナルド「!!」ガシャリ
レオナルド(竪琴を構えた! 来る!!)
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:34:54.57 ID:LW5FqCKG0<>
ドガッシャァァァァァァァァ!!!! ゴシャシャシャシャシャシャァ!!!
レオナルド「!!!?」ビクゥッ
トリスタン「!!!」バッ
ランスロット「!?」ザザァッ
巨大な拳の痕が付いた鎧騎士「ぐ……」ゴシャシャシャシャ……ズシャ……
ランスロット「何者だ!?」
レオナルド「な……」
探知機「」ピピーッ!!ピピーッ!!ピピピピピピビビビビビビbbbbb
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:35:39.55 ID:LW5FqCKG0<>
ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ。
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:36:14.06 ID:LW5FqCKG0<> ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ……
「フフフ……臆病者の匂いがするぞ、ここは……いずれ来る『破滅』に、抗いもせず引きこもる腰抜け共の匂いだ」
レオナルド「き……キミは……!」
マシュ「……!!!」
「それが自然の摂理とはいえ、悲しいものだな。騎士も、恐怖には抗えないらしい……」ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ……
ランスロット「……」ガシャリ
トリスタン「……」スッ
「安心しろ。俺は『やつ』のように残酷ではない……貴様らには、優しくしてやろう」
ドシリ!!!
ベイン「……さぁ、どちらから殺してほしいんだ?」
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:37:16.74 ID:LW5FqCKG0<>
………………
ガウェイン「……貴方は、一体」ガシャ
百貌「き、さま……違う……違う……!! レッドフードでは、ない……!?」ドロォ
レッドフード?「……クックッ、ようやく隙を見せたなァ。ほんの少し弱らせたトコに、ほんのチョッピリ優しい言葉をかけられたくらいで、お前らは……」
泥「」グジュ……グジュル、グジュジュ
百貌「あが……ぐ……、こ、この、おぞましい……気配……貴様……違う、サーヴァントですらない……!?」ドロ、ドロォ
レッドフード?「へへ、苦しいかい? 分かるよ、キツイよなァ。最初だけさ、すぐに良くなる……俺から目を逸らすな……ウフフ、ここからがイイところだ……」
百貌「……!!」
百貌(ここまでか……この泥が、体を溶かす感覚……徐々に、心地よく感じ始めてしまった。浸食されている……)
百貌(……申し訳ありません、初代様。すまない、呪腕、静謐の……レッドフード、気付けなかった……これが、『お前ではない』という事に……)
百貌(……百の貌を持つ、私ですら……)ドロォ
ベチャッ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga<>2022/03/12(土) 16:38:32.52 ID:LW5FqCKG0<>
レッドフード?「……フゥ! コイツを片せたら後は怖いモノ無しだぜ」
ガウェイン「……」ガシャリ
レッドフード?「あン? ……へっへ、厄介な敵を倒してやったんだ、コイツの首を手土産に聖都に入れてもらえねえモンかね?」
ガウェイン「戯れを。王の選定なくとも、気配だけで伝わってきます。貴方は『純粋なる悪』そのもの……ここで滅すべき『敵』です」
レッドフード?「ひ、ヒヒヒヒハハハハハハ! そうだよなァ、バレるよなぁ。……しっかし酷えと思わねえか? 『レッドフード』は俺が先に名乗ってたんだ。パクり疑惑なんてのは、コメディアンにとっちゃ致命傷だぜ」
ガウェイン「……」
レッドフード?「……けどま、許してやるさ。他にもウケるネタは沢山抱えてる……そうだ、一つとっておきのジョークを教えてやろうか?」ガシィ、ズルリ
赤いヘルメット「」ドシャァッ
ガウェイン「結構です。貴方とは笑いのセンスが違いそうだ……!」ダッ
ジョーカー「ハッハハハハハハハハハ!!! 騎士サマってのはどいつもこいつもおカタいねェ!」ジャキリ
<>
◆GmHi5G5d.E<>saga sage<>2022/03/12(土) 16:40:03.40 ID:LW5FqCKG0<> 今回の更新はここまでです。お付き合い有難うございました。
あけましておめでとうございます(震え声) <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2022/03/12(土) 18:46:18.68 ID:yNEfTzxCo<> 夜空に浮かぶシグナルは合図じゃない
>>1乙だ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2022/03/16(水) 22:02:10.37 ID:SZLjXS/U0<> 提督「嫌われスイッチ?」明石「はいっ」
http://hayabusa3.open2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1427368381/
提督「嫌われスイッチだと?」夕張「そうです!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428849410/
魔剣転生というスレの作者ですが、断筆する事に致しました。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1602503948/
外野の反応に負けてエタった先人たち
彼らの冥福を祈りつつ我々は二の舞を演じない様に注意しよう <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2022/04/06(水) 11:16:03.28 ID:548vUPYH0<> 乙、やっと追いついたわ
エタった作品かと思ってたが、(3年ぶりとはいえ)最終更新は最近で良かった
面白いから最後まで書ききってくれることを祈る <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2022/06/26(日) 21:33:30.55 ID:AskqzvRg0<> おー久しぶりに来てみたら!!
帰ってきてくれて嬉しいよ、のんびりでいいからまた書いてほしいな! 乙でした!! <>