◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:13:25.47 ID:YEt9xaEJO<>
*初投稿です
*高岸のキャラがいまいち掴みきれていません…
*よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1600694005
<>【シャニマス】ティモンディ・高岸「放課後クライマックスガールズ……?」
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:16:48.17 ID:YEt9xaEJO<> <高岸・初のオーディション編>
高岸「素晴らしい、立地!」
高岸「素晴らしい、オフィス!」
天井(私はなぜ、こんな奴をプロデューサーに……)
高岸「そして、素晴らしい社長っ!」
高岸「ここで、人を応援する仕事ができるなんて、幸せだ!」パァァ
天井(しかし、悪い人間ではない……プロデューサーとしての資質は未知数だが……)
高岸「社長!」ズイッ
天井「な、なんだ」
高岸「僕は何をすれば、いいですか?」 <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:18:58.54 ID:YEt9xaEJO<> 天井「ああ、そういえばプロデューサーという仕事は初めてなんだったな」
高岸「はい! ちなみに、得意分野は野球です!」
天井「おい、誰に言ってるんだ」
高岸「地球のみんなに、です!」
天井(スケールがデカい……コイツは化けるか……?)
天井「ふむ……とりあえず、今日はオーディションの面接官をしてもらおう」
高岸「トライアウトですか! なんだか僕も、燃えてきました!」
天井「……本当に大丈夫なのか、コイツで」ボソリ
高岸「任せてください!」ビシッ <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:20:41.87 ID:YEt9xaEJO<> 〜283プロダクション・レッスンルーム〜
天井「オーディションはここで行う」
高岸「……」
天井「どうした?」
高岸「この大きな鏡! ピッチング・フォームを確認するのに、ピッタリですね!」ブォン
天井「高岸。オーディションに集中するんだ」
高岸「分かりました!」
天井「……よし。今日の応募者たちはみな、既に2次選考まで突破している」
天井「今日の面接が3次選考で、その後私とお前で最終選考を行う。分かったか?」
高岸「流石、社長! カウント不利の投手の、ストレートのように、分かりやすい説明でした!」
天井「それは褒めているのか……?」 <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:23:03.72 ID:YEt9xaEJO<> 〜283プロダクション・控え室〜
智代子「はぁ〜、緊張するなぁ……!」
智代子「……」キョロキョロ
智代子(可愛い子ばっかりだ〜……みんな堂々としてて、本物のアイドルみたいに見える……)
智代子(私なんかが居ていい場所じゃない気がする……)
智代子「……」ズーン
智代子(……でも)
智代子(棚ぼたとはいえここまで来たんだし……最後までやりきらないと、だよねっ!)
智代子「よし!」グッ <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:25:38.76 ID:YEt9xaEJO<> 〜283プロダクション・レッスンルーム〜
高岸「次の方ー! どうぞ!」
智代子「はっ、はい! 失礼します!」
高岸「おや? かなり緊張していますね!」
高岸「リラックス、リラックス! 無駄な力を抜かないと、自然なスイングはできません!」
智代子「ス、スイング……?」
高岸「そうです! 僕が会話のボールを投げる、あなたがそれを打つ! 面接なんて、野球と全く一緒です!」
智代子「え、えぇ〜?」
智代子(もしかして……私、試されてる? どんな前フリでも拾えるかどうかのテスト、とか?)
高岸「はい、深呼吸!」バッ
高岸・智代子「すぅー……はぁー……」
高岸「落ち着きましたか?」
智代子「えっと、はい……?」
智代子(何かよく分からないけど、緊張はなくなったかも……)
智代子「あ、ありがとうございます」ペコリ
高岸「どういたしまして! では、座ってください! 面接を始めましょう!」プレイボール!
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:27:38.62 ID:YEt9xaEJO<>
高岸「まずは、定番の質問から! 今日あなたは、ここまでどうやって、来ましたか?」
智代子(なんか、聞き慣れない喋り方だなぁ〜……)
智代子「えっと、最寄り駅までは電車で、そこからは歩いてきました」
高岸「なるほど! 千葉からだと、乗り換えも多くて、大変だったでしょう!」
智代子「……!」
智代子(変な感じの人だけど、私のことちゃんと見てくれてる……のかな?)
智代子「はい。でも一度来たことがありますし、友達と一緒だったのであまり不安はありませんでした」
高岸「お友達と! そのお友達はもしかして、このトライアウトを受けに?」
智代子(トライアウト……?)
智代子(オーディションのこと、だよね……?)
智代子「……そ、そうです。実は彼女は2次選考で落ちてしまって……」
高岸「そうでしたか。じゃあ、お友達の分も頑張らないと、ですね!」
智代子「…………はい」
高岸「……」 <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:29:24.54 ID:YEt9xaEJO<>
高岸「次の質問です! あなたは普段、何をして過ごしていますか?」
智代子「普段……趣味ってことですよね?」
高岸「はい! 僕に、あなたの趣味の話をしてください!」
智代子「分かりました。えっと、私の趣味はスイーツ店巡りです!」
高岸「スイーツ店巡り! 食べるのが好きなんですね!」
智代子「はい! 特技も大食いなので……えへへ」
高岸「なるほど! 目指すは、アフリカゾウのような大食い選手ですか?」
智代子「ち、違います! しかもアフリカゾウって、人間じゃないですしっ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:31:23.33 ID:YEt9xaEJO<>
智代子「食べるのは好きですけど……あっ、あと自撮りも得意で!」
智代子「スイーツ店巡りをしながら写真を撮って、ツイスタにあげてます! これも趣味ですね」
高岸「自撮り! 今見せてもらうことは、できますか?」
智代子「あ、はいっ! これなんですけど……」スッ
高岸「これは、すごい! この文字やキラキラは、自分でやったのですか?」
智代子「はい! 加工も私の自慢の一つなんです!」
高岸「素晴らしい! あなたなら、テレビ番組のディレクターにだってなれる!」ニコッ
智代子「それは目指してません!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:34:51.97 ID:YEt9xaEJO<>
──面接は進み……
高岸「……最後の質問です!」
智代子「はい!」
高岸「あなたの夢を、聞かせてください!」
智代子「……私の、夢……」ズーン
高岸「……?」
智代子「……」
智代子「私は……その……みんなを元気に出来るようなアイドルになれたらなぁーって、思ってます……!」
高岸「なるほど! いいじゃない!」
智代子「……!」
高岸「それは、素敵な夢だ!」ニコッ
高岸「智代子さんがそんな選手になったら、僕が一番のファンに……」
智代子「──すみません!」
高岸「!」
智代子「私、嘘ついちゃいました!」
智代子「あっ、いや、嘘ではないんですけど、その……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:36:48.33 ID:YEt9xaEJO<>
高岸「──大丈夫!」
高岸「よく分からないけど、正直なことは良いことだ!」
智代子「えっ」
高岸「どうぞ! 話してみてください」
智代子「は、はい……」
智代子「本当は私、友達の代わりなんです」
智代子「オーディションに途中から代役で出て、運良く残っちゃっただけで……」
智代子「だから私は、アイドルになんて……」
高岸「そんなこと、ありません!」
智代子「えっ……?」
高岸「代打で出たから、自分は大したことがない。そんなことを言う野球選手は、どこにもいません!」
高岸「みんな、自分が活躍してやる、打ってチームを勝たせてやる、と思ってます!」
智代子「……」
高岸「だから、胸を張ってください! あなたはもう、バッターボックスに立っている!」
高岸「このチャンスを、逃してはいけない!」グッ
智代子「……はい!」
智代子「私は……友達の夢を叶えるために、そういう私の夢のために、アイドルをやりたいです!」ニコッ
高岸「素晴らしい! あなたの夢を、僕も叶えたい!」パァァ
智代子「えっ!? じゃ、じゃあ、合格ですか……?」
高岸「すみません! それは社長と、相談します!」
智代子「あ、あはは。そうですよねっ。私の方こそ、すみません……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:39:42.66 ID:YEt9xaEJO<>
〜283プロダクション・社長室〜
高岸「失礼します!」
天井「どうだ。ティンと来る候補はいたか?」
高岸「はい!」
天井「そうか。どの子だ?」
高岸「全員です!」パァァ
天井「……馬鹿を言うな。最終的には1人に絞るつもりだ。ひとまず、私とお前で1人ずつ選ぶぞ」
高岸「それは、難題だ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:41:13.16 ID:YEt9xaEJO<>
天井「……」
高岸「……」
天井「……決まったか?」
高岸「はい!」
天井「よし、書類を見せてみろ……園田智代子……ふむ」
高岸「アフリカゾウやディレクターの才能もある凄い子です!」
天井「どういう意味だ」
高岸「そして、友達の夢も背負っている、勇気と優しさを兼ね備えた選手です!」
天井「……ふん。良いだろう。では、決まりだな」
高岸「……!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:42:02.57 ID:YEt9xaEJO<>
高岸「社長の選んだ選手は、どうなるのですか?」
天井「私は、選んでいない」
高岸「え!」
天井「……元々、お前に決めさせるつもりだったのだ。お前が担当するアイドルだからな」
高岸「……僕が、あの子の、監督!」パァァ
天井「ちが……まぁ良い。これからは一層、励むことだ」
高岸「はい! 任せてください!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:44:06.90 ID:YEt9xaEJO<>
〜後日・283プロダクション・事務所〜
高岸「おはようございます!」ガチャリ
天井「遅い」
智代子「──あっ!」
智代子(オレンジの人だ!)
高岸「君は、あのときの!」
智代子「はい! 園田智代子です!」ニコッ
高岸「うん! いい笑顔だ!」
智代子「あの、社長さんに聞いたんですけど、私のプロデューサーさんって……」
高岸「はい! 僕が、君たちの監督です!」
智代子「やっぱりそうなんですね! って、君、たち……?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:46:06.18 ID:YEt9xaEJO<>
高岸「これから選手を集めて、放課後クライマックスガールズ、というチームを、作ります!」
智代子「えぇー! ユニットってことですよね? 私、上手くやっていけるかな……」
高岸「大丈夫! やれば、できる!」ニコッ
智代子「……はいっ! 頑張ります!」
天井「ふっ。やはり、私の目に狂いはなかったな。期待しているぞ、高岸……」ニヤリ
<初のオーディション編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/21(月) 22:47:21.04 ID:YEt9xaEJO<>
一旦切ります!書き溜めたあと、また投稿します <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/21(月) 23:02:40.65 ID:HdwnAr8p0<> 全文脳内再生不可避 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/22(火) 12:37:23.42 ID:H2stklFso<> おつ
きたい <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/09/22(火) 20:22:31.77 ID:mstnRffsO<> レスありがとうございます!励みになります
第二編あげていきます <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:24:02.34 ID:mstnRffsO<>
<高岸・初めてのスカウト編>
〜283プロダクション・社長室〜
高岸「おはようございます!」ガチャリ
天井「来たか。とりあえず座れ」
高岸「アイヤァ〜ッ!」ザザッ
天井「床に体育座りをするな」
高岸「すみません! つい条件反射で、やっちゃいました!」
天井「まったく……」 <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:26:26.59 ID:mstnRffsO<>
天井「さて、今日は放課後クライマックスガールズ、愛称・放クラの残りのメンバーを探しに行ってもらう」
高岸「探す……つまり、スカウトですね!」
天井「ふむ……お前とちゃんと意思疎通が取れたのは、これが初めてだな」
高岸「では早速、全国の野球部を回って、練習を見てきます!」ダッ
天井「待て」
天井「私の思い違いだったか」ガックシ
高岸「すみません! ご指導、お願いします!」
天井「街中を歩き、ティンときた女の子達に声をかけるんだ」
天井「最初は慣れないだろうが、回数を重ねるうちに女の子の集まる場所や時間帯を覚えて、中にはスカウトを受けてくれる子も出てくるだろう」
天井「物は試しだ、とりあえず行ってこい」
高岸「さすが、社長! チャレンジこそ、成功への架け橋ですもんね!」
天井「ふん……さっさと行け」フイ
高岸「分かりました!」ダッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:30:45.06 ID:mstnRffsO<>
〜283プロダクション・事務所〜
智代子「……なるほど。スカウトですか」
智代子「良いなぁ〜……! 私も1回はそういうの、経験したかったなぁ〜」
高岸「じゃあ、一緒に行きましょう!」ニコッ
智代子「あ〜……えっと、違うんですっ!」
智代子「する方じゃなくて、される方が良いなぁ、って意味でした。えへへ」
高岸「そうでしたか」
智代子「でも、行ってみようかなぁ。なかなか経験できないことだろうし……」
高岸「確かに、スカウトはちょっと珍しいもの、ですが!」
高岸「そんなに、すごいものでもないですよ!」
高岸「ナックルボーラーの方が、よっぽど珍しいですから!」
智代子「えっ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:32:53.59 ID:mstnRffsO<>
智代子(ナックル……はともかくっ!)
智代子「……プロデューサーさん。もしかして、スカウトされたことあるんですか?!」ズイッ
高岸「はい! 高校のときに!」
智代子「あ、野球のほうですよね……って、アイドルより更にすごいんじゃ……?」
高岸「そんなことはありません! スカウトされることよりも、大事なことはいっぱいあるんです!」
高岸「僕は確かにスカウトされましたが、されたことよりも、それまでの努力を認められたことの方が、何億倍も嬉しかった!」パァァ
智代子(大事なこと……それまでの努力……)
智代子「……」
智代子「すみません、プロデューサーさん」
高岸「はい!」
智代子「私、レッスンしながら待ってることにしますっ!」
智代子「これから来る仲間に、カッコ悪いところは見せたくないですから!」
高岸「その意気です! お互い、ベストを尽くしましょう!」ニコッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:34:07.85 ID:mstnRffsO<>
〜都内・某所〜
樹里「……」
高岸「ハッ……ハッ……!」ダダダッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:34:53.06 ID:mstnRffsO<>
樹里「……」
高岸「……ハッ……ハッ……!」ダダダッ
樹里「……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:35:48.20 ID:mstnRffsO<>
高岸「ハッ……ハッ……!」ダダダッ
樹里「……っ」
樹里「──お、おいっ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:36:44.00 ID:mstnRffsO<>
高岸「はい! どうかしましたか?」クルッ
樹里「どうかしましたか? じゃねぇよ!」
樹里「同じ奴が自分を3回も追い抜いて行ったら、普通はおかしいと思うだろ……っ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:37:48.66 ID:mstnRffsO<>
樹里「アンタ、ここで何やってんだよ?」
高岸「トレーニングです! スカウトがてら、ランニングをして鍛えていました!」
樹里「へ、へぇ〜。すげー足はえーんだな、アンタ……」
樹里「──じゃなくてっ!」
樹里「ス、スカウト? アンタが?」
高岸「はい! 名刺を、どうぞ!」スッ
樹里「ど、どうも……」
樹里「高岸宏行……283プロダクション・プロデューサー……」
樹里(どうやら本物みてーだけど……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:39:08.26 ID:mstnRffsO<>
樹里「なんでオレンジのTシャツとハーフパンツなんだ?」
樹里「プロデューサーってこう、スーツでビシッと決めてるもんなんじゃねーの?」
高岸「今すぐ、野球がしたくなったとき、スーツではできません!」
高岸「だから、いつでもどこでも、できるようなスタイルを、心がけています!」
樹里「……」
樹里「……ホントはカッチリした格好が苦手なんだろ?」
高岸「あ! バレちゃいましたか? あははっ!」ニコニコ
樹里(変だけど、悪いヤツじゃなさそーだな)
樹里「……アタシも苦手だからさ、ネクタイとか」
樹里「なんとなく分かるよ」
高岸「気が合いますね!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:41:39.90 ID:mstnRffsO<>
高岸「……そうだ! あなた、うちの選手に……アイドルになってみませんか?」
樹里「ア、アイドル……!?」
高岸「はい!」ニコッ
樹里「……テメー、やっぱりこれ、手の込んだイタズラだったんだな?」
樹里「アタシみたいなのがアイドルに向いてるって、本気で思ってる奴がいるわけねーだろ!」
高岸「ここにいます!」
樹里「ふざけんなっ!」
高岸「ふざけてない! 僕の、目を、見て! ほら!」キラキラ
樹里「うっ……」
樹里(すっげーつぶらな瞳じゃねーか!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:44:11.75 ID:mstnRffsO<>
高岸「あなたのような、金髪でカッコいいアイドルは、新しい!」
樹里「……今までそういう奴がいても、失敗してただけだろ」
高岸「もしそうだとしても、そんなの、関係ありません!」
樹里「……!」
高岸「挑戦しないことこそ、失敗なんです!」
高岸「新しいことをする人は、いつだって偉大な冒険者だ!」
高岸「だから、ワクワクすることがあったら、何も考えず飛び込んで、楽しんでしまえばいいんです!」
樹里「……」
樹里(なんかよく分かんねーヤツ……だけど、説得力がある……)
樹里(新しい……ワクワクすること……か)
樹里「……良いじゃねーか」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:45:56.27 ID:mstnRffsO<>
高岸「スカウト、受けてくれるんですか?」
樹里「──その前に、アタシと勝負しろ」
高岸「!」
樹里「あそこの横断歩道の前まで走って、アンタが先に着いたらスカウト受けてやるよ」
樹里「こう見えて、運動には自信があるんだ」
樹里(これはただの強がり……と、アンタの本気を試したいって気持ち……)
樹里(受けてくれるか……?)
高岸「もちろん、受けて立ちましょう!」
樹里「……」
高岸「どうしました?」
樹里「……何でもねーよ! じゃあ行くぜ!」
高岸「はい!」
樹里「よーい……ドン!」ダッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:47:49.66 ID:mstnRffsO<>
樹里「はぁっ、はぁっ……」
樹里「やっぱ、はえーな、アンタ……」
高岸「この時のために、鍛えてきましたから!」ニコニコ
樹里「……約束だ。アイドルになるよ」
高岸「良いんですか? えーと……」
樹里「西城樹里だ。樹里って呼べよ」
高岸「分かりました! 樹里さん!」
樹里「ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ」
樹里「……プロデューサー」
高岸「はい! 任せてください!」
高岸「やれば、できる!」パァァ
樹里「……へへ、何だよそれ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:49:23.49 ID:mstnRffsO<>
〜283プロダクション・社長室〜
天井「……どうやら、初スカウトは上手くいったようだな」
高岸「はい! とても楽しい体験でした!」
天井「ふん……お前のそういう部分は、強みに違いないな」
天井「さて、放クラは5人ユニットの予定だ」
天井「あと、3人……お前の手で探してきてもらうぞ」
高岸「はい!」
天井「──と、言いたいところだが。実は一人、当てがある」
高岸「さすが、社長! 僕の新人戦のときの、母上のように、用意周到だ!」ニコッ
天井「……それはどういう意味だ?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:51:44.36 ID:mstnRffsO<>
天井「まぁいい。これが彼女の書類だ」スッ
天井「ひとまず、明日は直接レッスンルームに向かえ」
天井「そこで彼女がお前の意に沿う人間か、判断するんだ」
高岸「分かりました!」
天井「ふん……」
天井(高岸……)
天井(明日こそ、お前のプロデューサーとしての資質を見せてもらおう)
<初めてのスカウト編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/22(火) 20:52:52.83 ID:mstnRffsO<>
第三編はまた後日になります!
よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/22(火) 21:02:34.11 ID:xD1Ah5k5o<> おつ!
本当に楽しい! <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/09/24(木) 23:17:48.64 ID:8l3A8h+7O<> レスありがとうございます! 嬉しいです!
第三編いきます <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:20:10.25 ID:8l3A8h+7O<>
<高岸・初めての頂上決戦編>
〜283プロダクション・レッスンルーム前廊下〜
高岸「おはようございます!」パァァ
智代子「あ、プロデューサーさんっ! おはようございます」
樹里「おはよう、プロデューサー」
高岸「おや? どうしてここに?」
樹里「智代子がレッスンするって言うから、ちょっと見てみたくなってさ」
樹里「あ、見るだけな」
智代子「も〜、樹里ちゃんだってもうアイドルなんだから、今日から一緒にやろう! ねっ?」
高岸「お二人とも、仲が良いですね! 仲が良いのは、いいことだ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:21:56.09 ID:8l3A8h+7O<>
高岸「ちなみにいつの間に、お知り合いになったんですか?」
樹里「それは……」
樹里「昨日、あの後事務所に行っただろ? そん時に初めて会って、色々喋って……」
智代子「樹里ちゃんがスマホ苦手だって言うから、私が色々教えてあげて……」
樹里「っ……それは言わなくて良いんだよ!」
高岸「なるほど! 樹里さんに、そんな個性があったとは!」
樹里「〜〜っ……///」
智代子「ふふふ〜、樹里ちゃんってば照れちゃって〜」
樹里「あー、くそっ! もういい!」フイ
智代子「わーっ、ごめん! ちょっと言いすぎたよね……樹里ちゃん、ごめんね」
樹里「だから、もういいっての……」
樹里「……で、プロデューサー」
高岸「はい!」ニコニコ
樹里「もう部屋に入ってレッスンしてるアイツ……誰なんだ?」
高岸「彼女が、放クラの3人目の、選手ですよ!」
智代子「えぇーっ! なんかすごい場面に立ち会っちゃったのかな、私たち!」ワクワク
樹里「そう、かもな……」ドキドキ
高岸「では、入りましょう!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:23:28.26 ID:8l3A8h+7O<>
夏葉「ワン、ツー、スリー、フォー!」
高岸「失礼します!」ガチャリ
智代子・樹里「失礼します」
智代子(今の……すごいステップだった……)
樹里(ダンスのキレがハンパねー……何者なんだ?)
夏葉「……ふぅ。こんな所かしらね」
高岸「あなたが、有栖川夏葉さんですね!」
高岸「いやー! すごい熱量だ! あなたはまさに、太陽だ!」
夏葉「ありがとう。アナタが私のプロデューサー?」
高岸「はい! 僕は……」
夏葉「──いい? 目指すならトップだけよ!」ビシーッ
高岸「もちろんです! 夢は大きく……」
夏葉「──世界一以外はあり得ないわ!」バンッ
智代子(あのプロデューサーさんが押されてるなんて……!)
樹里(この夏葉ってヤツ、とんでもねーな)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:24:59.20 ID:8l3A8h+7O<>
高岸「──いいえ! 夢は、もっと大きく!」ババンッ
夏葉・智代子・樹里「!」
高岸「この銀河系に、放課後クライマックスガールズの名を、轟かせること!」
高岸「それが僕の応援する、放クラの、最終目標です!」ドンッ
智代子(プロデューサーさん……!)
樹里(こっちの方が、もっととんでもねーヤツだったな)
智代子・樹里(このプロデューサー、スケールがデカすぎる……っ!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:26:53.30 ID:8l3A8h+7O<>
夏葉「……」
高岸「どうですか? まだ足りませんか?」
夏葉「……いいえ」
夏葉「私が甘かったわね。確かに、それこそが真のトップといえる目標だわ」
智代子(あ、あれで良かったんだ……?)
高岸「はい!」ニコニコ
夏葉「良いわ。アナタのユニットに入りましょう」
高岸「ありがとうございます! それじゃあ……」
夏葉「──ただし、アナタは何もしなくて良いわ」
高岸「えっ!」
夏葉「アイドルのプロデュースなら、アナタの方が経験があるかもしれないけれど……」
夏葉「有栖川夏葉のプロデュースは、私のほうが経験が長いの。だから全部任せなさい」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:27:57.71 ID:8l3A8h+7O<>
高岸「……」
智代子「うわぁ〜……流石のプロデューサーさんも、これじゃ……」ヒソヒソ
樹里「……おい、あんま生意気言うんじゃ……」
高岸「大丈夫です」スッ
樹里「プロデューサー……?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:29:27.92 ID:8l3A8h+7O<>
高岸「──あなたは、素晴らしい!」ニコッ
樹里「……!」
高岸「さっきの足捌き、ゴールデングラブ賞を送りたいくらいの、凄いプレーでした!」
高岸「それほどの努力が、一人でもできる! あなたはとても、忍耐強い人間だ!」
高岸「そんなあなたの活躍を、すぐそばで見られる! 僕はそれだけで十分ですよ!」ニコニコ
夏葉「よく分かってるじゃない」
夏葉「じゃあ、私にしっかりついてくるのよ。プロデューサー!」
高岸「はい!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:31:17.12 ID:8l3A8h+7O<>
高岸「……それじゃあ、智代子さん、樹里さん!」
高岸「お二人は、夏葉さんと一緒に、レッスンを!」グッ
樹里「……あ、ああ」
智代子「プロデューサーさんは……?」
高岸「僕は、あと二人、スカウトに行ってきます!」
高岸「今度は、バッティングセンターで、探してみようかなぁ!」ブォン
樹里「そんなとこにアイドル志望がいるわけねーだろ?」
高岸「あははっ! そうかも、しれません!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:32:15.54 ID:8l3A8h+7O<>
高岸「それでは、また!」ガチャリ
智代子「はーい……」フリフリ
智代子「行っちゃった……」
智代子(今日のプロデューサーさん、いつもと何か違ったような……?)
智代子(気のせい、だよね……)
樹里「智代子、レッスンやるんじゃねーの?」
智代子「う、うん! 夏葉さんに負けないように、私たちも頑張らないとだよね!」
樹里「おう」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:33:24.03 ID:8l3A8h+7O<>
〜283プロダクション・社長室〜
高岸「失礼します」ガチャリ
天井「お前か」
天井「……単刀直入に聞こう。有栖川夏葉はどうだ?」
高岸「はい! 太陽のような熱さと、揺るぎない自信!」
高岸「そして、守備の要である、遊撃手のような、素早い身のこなし!」
高岸「彼女がいれば、宇宙で試合をしても、きっと勝てます!」
天井「ふっ。相変わらず意味は分からないが……」
天井「その様子だと、ユニット加入が決まったようだな」
高岸「はい!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:34:23.01 ID:8l3A8h+7O<>
天井(あの有栖川家の令嬢ですら手懐けるとはな……)
天井(高岸……お前はやはり……)
天井「ふん。残り二人のアイドルは、全面的にお前に任せるぞ。いいな?」
高岸「はい! 最高のバッテリーを、見つけ出して見せます!」
高岸「では、失礼しました!」ガチャリ
高岸「……」
<初めての頂上決戦編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/24(木) 23:35:31.23 ID:8l3A8h+7O<>
次編は明日になります!
よろしくお願いします <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/24(木) 23:57:06.18 ID:w/SA1BZPo<> おつお <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/09/25(金) 21:36:09.74 ID:h6dCP4IfO<> おつありです!
今日は二編まとめて投稿します <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:37:54.76 ID:h6dCP4IfO<>
<高岸・傷心のジャスティス・オレンジ編>
〜都内・某所〜
高岸「……ハァッ、ハァッ……ッ!」タッタッ
高岸(モヤモヤして、事務所から自宅のそばまで走ってしまった……)
子供たち「待てー!かいじん・デビロード!」ワーキャー
高岸(公園で遊ぶ子供たちの声が……)
高岸(……少し、休んでから帰ろう)ベンチニスワリー
男の子「……ふっふっふ。カンネンしたらどうだ、ジャスティス・レッド」
女の子「何をー! あたしはまだまだ、戦える! ……うぐっ」
高岸(なかなかの演技力! 次世代の宝塚歌劇団だ!)
高岸(……)
高岸(……ヒーローごっこ、か)
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:39:09.47 ID:h6dCP4IfO<>
〜高岸の回想・某大学〜
前田(相方)『高岸、キャッチボールやろうぜ』
高岸『……』
前田『高岸。キャッチボールやろう』
高岸『いや、僕は……』
前田『じゃあ、いつもの公園で』
高岸『……』
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:40:21.55 ID:h6dCP4IfO<>
〜高岸の回想・某所〜
前田『……来たか』
高岸『前田が呼んだから』
前田『俺は、来ないだろなと思ってた』
高岸『……』
子どもたち『いっけー!ジャスティス・レッドー!』ワーキャー
前田『子どもが遊んでるな。ちょっと離れたとこに行くか』スタスタ
高岸『……』スタスタ…
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:43:12.44 ID:h6dCP4IfO<>
前田『よし、ここでやろう。最初は15mぐらいで良いよな』
高岸『……前田』
前田『高岸、いくぞー』
高岸『──前田っ!』
前田『……』
高岸『……もういいよ』
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:44:12.95 ID:h6dCP4IfO<>
高岸『わざわざ、慰めてくれなくていい』
高岸『医師にも、言われたんだ。この肘じゃ、プロはもう、諦めた方がいいって』
前田『……別に慰めるつもりじゃねーよ』
高岸『違うの?』
前田『……』
高岸『もう、どうでもよくなったんだ。ずっとプロを目指して、野球をしてきて、こんな結果……っ』
高岸『……どうせこうなるなら、あのとき、スカウトを受けておけばよかった』
高岸『今の僕は、何の価値もない、ただの人だ』
前田『……』
高岸『前田も、そう思うだろ?』
前田『……』
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:45:01.46 ID:h6dCP4IfO<>
前田『──元から、ただの人だろ』
高岸『……えっ?』
前田『変わんねーよ。俺もお前も』
前田『最初から、ただひたすら野球が好きで、人よりちょっと野球が上手くて、プロに届かなかっただけの……ただの人だ』
高岸『……』
前田『だから、お前はお前だ。これからも』
高岸『……』
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:45:42.06 ID:h6dCP4IfO<>
高岸『ごめん、前田』
前田『ん?』
高岸『ちょっとよく分からなかった……』
高岸『お前は前田、ってどういう意味? 僕が、前田……?!』オロオロ
前田『は、はぁ?』ガクッ
前田『お前、俺の一世一代の慰めの言葉を……!』
高岸『やっぱり慰めてくれてたのか?』
前田『……』ブォン
高岸『いってぇ!』ドゴォ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:47:26.71 ID:h6dCP4IfO<>
男児『あっ、あそこでいじめてる人がいる!』
女児『ムキムキのくせに、わるいヤツだ!』
前田『えっ? いや、ちがっ……』
女児『ぼうりょく、はんたい!』
男児『がんばれ! ジャスティス・オレンジ!』
高岸『そ、それ、僕?』
前田『……ふっ』
前田『高岸が、オレンジ……確かに! はははっ』
高岸『前田……?』
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:51:22.04 ID:h6dCP4IfO<>
前田『あはは、ふふっ…………ふぅ……』
前田『──かかって来いよ、ジャスティス・オレンジ』スッ…
高岸(前田が、捕手の構えを……)
子どもたち『いけー! がんばれー!』ワーキャー
前田『……満員だな、観客席』
高岸『……』
高岸『二人とも、応援ありがとう!』
高岸『……よし。見ててね』ザッ…
高岸『前田……』グッ…
高岸『これが、僕だっ!』ビュン
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:52:15.43 ID:h6dCP4IfO<>
〜現在・都内・某所〜
チャーン…ジョーブ…
高岸「……?」
男の子「オレンジのお兄ちゃん、大丈夫?」
高岸「……えぇっと……?」
高岸(うたた寝してたみたいだ)
男の子「お兄ちゃん、あそこの家の人だよね? いっつもオレンジの洗濯物干してる……」ユビサシ
高岸「よく知ってるね……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:53:10.52 ID:h6dCP4IfO<>
女の子「あの……どこか痛いんですか?」
高岸「えっ?」ツー…
高岸(あっ、涙が……僕は、泣いてたのか)
高岸「大丈夫です。どこも痛くないですよ!」
女の子「本当ですか?」
男の子「カホちゃん、ボク、大人の人呼んでくるよ!」
カホ(女の子)「うん! ありがとう!」
高岸「あ、いや……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:55:09.02 ID:h6dCP4IfO<>
高岸(どうしよう……そうだ!)ピコーン
高岸「僕はジャスティス・オレンジ! 正義の味方だから、だいじょーぶです!」ドンッ
高岸(……!)
高岸(つい勢いでやっちゃった)
子供たち「……」シーン
高岸(まずかったかな……)
カホ「……わぁーっ!」キラキラ
男の子「お兄ちゃん……ホントに大丈夫?」アタマブツケタ?
男の子「カホちゃん。もしかしたらこの人、ヘンシツシャかも」
カホ「えっ!」
高岸「──ち、違いますよ!」アセアセ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:56:04.72 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「えーと、そうだ! 名刺をどうぞ」スッ
カホ「名刺っ! 初めてもらいましたっ!」
男の子「ボクも……なんかオトナっぽいね!」
カホ「うん! あの、高岸さんは……プロデューサー、なんですか?」
高岸「はい! 僕は、アイドルチームのプロデューサーをやってるんです!」ニコッ
カホ「アイドル?! すごいです!」
高岸「あはは。デビュー戦はもう少し、先ですけどね」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:56:54.53 ID:h6dCP4IfO<>
<ユウヤケ コヤケデ ヒガクーレーテー…
男の子「あっ……もう5時なんだ」
カホ「帰らないと……」
高岸「そうですね!」
高岸「僕も帰ります。2人も、気をつけてくださいね!」シュタッ
カホ「──あ、あの!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 21:59:23.77 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「……?」
カホ「プロデューサーのお仕事、がんばってくださいっ!」ニコッ
高岸「!」
・・・・・
子どもたち『がんばれー!』
前田『お前はお前だ。これからも』
・・・・・
智代子『私は……友達の夢を叶えるために、そういう私の夢のために、アイドルをやりたいです!』
樹里『ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ……プロデューサー』
・・・・・
高岸(僕は……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:00:58.36 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「……」
高岸「──はいっ! 頑張ります!」ニコッ
高岸「やれば、できる!」パァァ
カホ「ふふ! 行こっ!」
男の子「じゃあね!」フリフリ
高岸「バイバイ!」フリフリ
高岸「……よし! 家まで全力だ!」ダッ
<傷心のジャスティス・オレンジ編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:05:11.42 ID:h6dCP4IfO<>
↓第5編です↓
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:06:33.48 ID:h6dCP4IfO<>
<高岸・絆のリベンジマッチ編>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
高岸「お疲れ様です」ガチャリ
夏葉「ハッ、ハッ、ハッ!」
高岸「夏葉さん、まだ残ってレッスンしていたんですね!」
夏葉「ええ! デビュー前から手を抜いてはいられないわ!」シュタタッ
夏葉「……あの二人が手を抜いている、という意味ではないわよ」タタターン!
高岸「分かっていますよ!」
夏葉「それならいいわ! ふっ!」エクセレント!
高岸「お見事!」
夏葉「ありがとう」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:08:39.47 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「……あなたはやはり、すごい人だ!」
高岸「タケノコのように毎日ノビて、ヒマワリのように光に向かっていく!」
高岸「そして、つきたてのお餅のように、粘り強い!」ネバーギブアップ!
高岸「……だからこそ! 心配になります!」
夏葉「……」
夏葉「アナタは、何が言いたいのかしら?」
高岸「僕はただ、応援したいだけですよ!」
高岸「でも今は……あなたのプロデューサーでもある!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:10:19.35 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「あなたの夢は、僕の夢だ!」
高岸「だから、あなたが夢を見られなくなったら、僕は耐えられない!」
高岸「毎日快眠してもらう責任が、僕にはある!」ドンッ
夏葉「……私が怪我をするとでも言うの?」
夏葉「自分の身体は、自分がよく分かってるわ」
夏葉「言ったでしょう? 私はもう長い間、有栖川夏葉という人間をプロデュースしているの」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:10:57.34 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「──いいえ! 分かっていません!」
高岸「あなたの腕は、足は、もう悲鳴を上げている!」
高岸「まるで、千本ノックを受けた後に、ホラー映画を見たかのように!」ビシッ
夏葉「……!」ビクッ
夏葉「どうして、分かったの……?」
夏葉「私が、ホラーが苦手なこと……」
高岸「野球好きは、動体視力が良いんです!」パァァ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:11:39.50 ID:h6dCP4IfO<>
夏葉「……ふふ。流石ね」
夏葉「それでこそ、私のプロデューサーだわ」
高岸「ありがとうございます!」ニコニコ
夏葉「……今気づいたのだけれど、腕は重いし、足の筋肉は少し張っているわ」
夏葉「ストレッチ、手伝いなさい」
高岸「はい! もちろんです!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:13:08.89 ID:h6dCP4IfO<>
夏葉「まさか、私が自分の体調を見誤るなんて、ね」グッグッ
夏葉「もう少し、強く押してちょうだい」
高岸「はい!」グッグッ
高岸「……きっと、プレッシャーを感じていたのでしょう」
高岸「仲間が増えることは、競争相手ができることでもありますから」
高岸「……僕の現役のときの、レギュラー争いも、かなり大変でした!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:14:02.79 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「だからこそ、あなたを応援してくれる人が、そばにいることが、大切だと思うんです」
夏葉「あら。それはアナタのことかしら?」
高岸「いえ! チーム283プロのみんな、ですよ!」ニコニコ
夏葉「……そう」
夏葉(それは、アナタも含まれているんじゃないかしら?)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:14:58.32 ID:h6dCP4IfO<>
夏葉「……」グッグッ
夏葉「ねえ、プロデューサー?」
高岸「はい!」
夏葉「私、銀河一のアイドルになるわよ」
高岸「はい! 見届けます!」
夏葉「……ふふ。出来っこない、とは言わないのね」
夏葉「普通なら、荒唐無稽だと笑うところでしょう」
高岸「そんなことありません!」
高岸「僕が言ったことですから!」
夏葉「そういえば、そうだったわね」
高岸「はい! それに……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:16:10.44 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「出来ないから荒唐無稽なのではなく、挑戦しない理由づけに、バカバカしいと笑うのです!」パァァ
夏葉「……」
高岸「全力で挑戦し、ベストを尽くして、それでも出来なかったら、その時あなたはきっと……」
高岸「荒唐無稽だったな、と笑えるでしょう」
高岸「真夏の練習のあとに、シャワーで汗を流した時のような、清々しい笑顔でね!」ニコニコ
夏葉「……!」
夏葉(どうしてかしらね……)
夏葉(プロデューサーの言葉を聞くと、私の中の闘志にまた火がついたように感じられる)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:17:55.90 ID:h6dCP4IfO<>
高岸「言わずもがな! 僕は本気で、宇宙で試合をしてみたいと、思っていますが!」ニコッ
夏葉「……そうね」
夏葉「私もよ、プロデューサー」
夏葉「宇宙の果てまで、しっかりついて来なさい!」ビシッ
高岸「もちろんです!」
高岸「やれば、できる!」パァァ
<絆のリベンジマッチ編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/25(金) 22:20:17.52 ID:h6dCP4IfO<>
次編はまた後日になります
よろしくお願いします! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/25(金) 22:27:23.60 ID:le7c1y2Eo<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/25(金) 22:29:05.57 ID:Zodp5AGEo<> おつおつ
あと二人はどうスカウトするんかなぁー楽しみ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2020/09/26(土) 06:29:36.82 ID:o5XFooIl0<> おつ
高岸しか知らないけど面白い <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/09/28(月) 20:53:12.59 ID:USaHMgWRO<> いつも応援レス、ありがとうございます
励みになってます!
このスレがきっかけになって、高岸も放クラも(あと前田も)知ってもらえたら嬉しいです!
今日は幕間の5.5話と6話になります <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 20:54:38.31 ID:USaHMgWRO<>
<幕間・智代子と朝のランニング編>
〜283プロダクション・事務所そば〜
高岸(昨日の晩、智代子さんから「朝のランニングに付き合って欲しい」と、電話がありましたが……)
智代子「……プロデューサーさーん!」タッタッ
高岸「あ、智代子さん! おはようございます」
智代子「おはようございますっ!」
高岸「ジャージ姿も、似合っていますね!」
智代子「あはは、ありがとうございます。これって喜んでも良いのかなぁ……」
智代子「プロデューサーさんはいつもスポーツウェアだから、違和感がありませんね」
高岸「はい! いつでも野球ができる、この格好が、僕のユニフォームです!」オレンジ!
智代子「ふふっ」ニコニコ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 20:55:27.72 ID:USaHMgWRO<>
智代子「それで、ランニングなんですけど……」
高岸「はい! 智代子さんの好きに走ってください! 追いかけますから」
智代子「あ、ありがとうございます。私、たぶんペース遅いので、助かります」
智代子「……」
高岸「どうしましたか?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 20:58:23.06 ID:USaHMgWRO<>
智代子「……あの、聞きたいことがありましてっ」
高岸「どうぞ!」
智代子「どうして急にランニング……って思いませんでしたか?」
高岸「思いません!」
高岸「誰でも、思い立った瞬間に、スタートを切っていいんですから!」
高岸「それに……なんとなく、智代子さんの気持ちが分かるんです!」
高岸「夏葉さんの姿を見て、自分も頑張りたいと、そう思ったんですよね?」
智代子「……やっぱり、分かっちゃうんですね。すごいなぁ」
高岸「監督ですから! ちゃんと見ているつもりですよ!」
智代子「ふふっ。それはそれで、照れちゃいますね」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 20:59:18.65 ID:USaHMgWRO<>
智代子「……私、この間のレッスンで痛感しました」
智代子「夏葉ちゃんも、樹里ちゃんも、私より体力もセンスもある」
智代子「同じユニットでも、最初から大きな差をつけられちゃってる」
智代子「それで、私も負けたくない! って思ったんです」
高岸「そう思って実行に移せるのは、素晴らしいことだと思います!」
智代子「えへへ。ありがとうございます」
智代子「それで、その……」
智代子「プロデューサーさんは、大丈夫ですか?」
高岸「……?」
智代子「この前夏葉ちゃんを勧誘したとき、なんか変な感じだったなーって……」
智代子「あー、でも! 特に何もなければ良いんですけどっ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:00:08.00 ID:USaHMgWRO<>
高岸「……智代子さんは、僕のことを、よく見てくれているんですね!」
智代子「いえ、そんなこと……」
高岸「あの時は、自分を見失いそうに、なってしまいましたが……」
高岸「僕はもう、大丈夫です! 応援の大切さ、しっかり思い出せましたから!」パァァ
智代子「ふふ、それなら良かったです」
智代子「えっと……今日は、ホントはこの話をしたかっただけで……」
智代子「ランニングはついでといいますか……」テレテレ
高岸「そうでしたか!」ニコッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:02:01.92 ID:USaHMgWRO<>
高岸「智代子さんの気持ち、しっかり、受け止めましたよ!」
高岸「大丈夫! 僕たちなら、やれば、できる!」パァァ
智代子「ふふっ! それじゃあとことん、やりますよー!」
智代子「プロデューサーさん! 一緒にランニング、お願いしますねっ!」タッタッ
高岸「はいっ!」
高岸「イッチッサッシィーッ!!」タッタッ
智代子「あははっ。もう、何ですかそれー!」
<智代子と朝のランニング編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:02:37.40 ID:USaHMgWRO<>
↓第6話です!↓
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:03:56.78 ID:USaHMgWRO<>
<高岸とめぐりあわせの糸・前編>
〜某日・283プロダクション・事務所〜
智代子・樹里・夏葉「買い出しジャンケン」
三人「じゃーん、けーん」
三人「ぽんっ!」チョキ! パー! チョキ!
樹里「だーっ! 負けた!」
夏葉「樹里、アナタ本当にジャンケンが弱いわね……」
智代子「あ、あはは。こっちが申し訳なくなっちゃうよね……」
樹里「くっ……!」
高岸「買い出しなら、僕が行きますよ?」
樹里「──いいんだよ、アタシが負けたんだから」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:05:36.16 ID:USaHMgWRO<>
樹里「それに、プロデューサーはもっとやるべきことがあんだろ?」
高岸「……! そうでした!」
高岸「選手がいなければ、試合は出来ない!」
智代子「5人揃わないとデビューできない……私たちは永遠にレッスンし続けることに……」フルフル
樹里「こえー想像をするんじゃねーよ……」
夏葉「ふふ。デビューまで二人を完璧に鍛えてあげるわ!」
智代子「言わなきゃ良かった〜……」
高岸「あはは! 日々の練習も大事ですからね!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:06:29.14 ID:USaHMgWRO<>
高岸「では! 樹里さん、智代子さん、夏葉さん、レッスン頑張ってくださいね!」ニコッ
樹里「おう」
智代子「はいっ!」
夏葉「任せなさい」
高岸「では早速、スカウト行って来ます!」ガチャリ
四人「いってらっしゃーい!」フリフリ
樹里「じゃあ、アタシも」
はづき「領収書、忘れないでくださいねー!」
樹里「はーい」ガチャリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:07:16.40 ID:USaHMgWRO<>
〜都内・某所〜
樹里「んーと……スポーツドリンク、ゼリー……グミ……」
樹里「こんなもんでいっか。あんま余計なモン買うと(智代子が食べまくって)夏葉に怒られそうだし……」
樹里「……これ、お願いします。あと、領収書ももらえますか?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:07:57.39 ID:USaHMgWRO<>
ウィーン
店員「ありがとうございましたー」
樹里「よしっ。さっさと事務所に戻らない……と……」
犬「……」ジーッ
樹里(い、犬っ? さっきは居なかったのに)
樹里「な、なんだよ」
犬「わんっ!」
樹里「わっ! 急に吠えんじゃねー!」
犬「……」オスワリ
犬「ハッハッ……」シッポフリフリ
樹里「……なかなか賢いな、お前……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:08:39.71 ID:USaHMgWRO<>
樹里「よ、よし。そのまま、そのまま……」アトズサリー
犬「……」テクテク
樹里「なっ……! なんでついてくんだよ!」
犬「わんっ!」
樹里「ひゃっ……! ぅわあああぁぁぁぁ!」ダッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:10:17.48 ID:USaHMgWRO<>
・・・・・
凛世「……」テクテク
凛世「赤……赤……あっ……」
凛世「郵便ポストは……ここにございましたか」
凛世「……」トスッ
凛世「山藤は 根元を離れて 頼りなし」
凛世(「根元」は、ルーツ……「頼り」は、便り……)
凛世(……ふふ)クスッ
凛世(我ながら……凡庸な言葉遊び……)
凛世(……姉様)
凛世(凛世は、何故この街に参ったのか……それすら……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:11:02.61 ID:USaHMgWRO<>
<なっ なんでついてくんだよ!
凛世「……?」
犬「わんっ!」
樹里「……こっちにくんなぁーっ!」ダダダッ
犬「わんわんっ!」
樹里「ひっ!」バッ
凛世「……あ、あの……」
凛世「凛世の後ろに隠れられては……その……」オロオロ
樹里「──悪い! 誰か知らないけど、この犬、頼む!」ダッ
凛世「……!」
樹里「ごめんな!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:11:33.64 ID:USaHMgWRO<>
凛世(行ってしまわれました……)
凛世「……」
犬「……」ジーッ
凛世「……」ジーッ
凛世(湧き水のように……澄んだ目……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:12:37.31 ID:USaHMgWRO<>
犬「わんっ」
凛世「きゃっ……」ビクッ
犬「ハッハッ……」シッポフリフリ
凛世「……!」
凛世(撫でて、と……聞こえた気がいたしました……)
凛世「ふふ……」
凛世「初めてなのでございます……犬と触れ合うのは……」
凛世「……」ナデナデ
犬「……」ペロ
凛世「ふふっ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:13:33.72 ID:USaHMgWRO<>
凛世「そういえば……貴方の、お名前は……」
犬「ハッハッ……」キラッ
凛世(あ……首輪に、なにか……)
『マメ丸』
凛世「マメ丸さんというのですね……」
マメ丸「わんっ!」
凛世「互いに、親元を離れ一人旅……」
凛世「これもきっと……縁というもの……」
凛世「貴方の主……探しに参りましょうか」
マメ丸「わんっ!」ダッ
凛世「あっ……! マメ丸さん……!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:14:23.37 ID:USaHMgWRO<>
凛世「お待ちくだ──」
ブチッ
凛世「きゃっ……」バタッ
凛世(下駄の、鼻緒が……)
凛世(マメ丸さん……もう、あれほど遠くに……)
凛世(……また、独り……)ショボン
凛世(凛世は……)
凛世(枯れてしまいそうです……)ウルウル
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:15:46.36 ID:USaHMgWRO<>
高岸「ハッ、ハッ……」タッタッ
高岸「──おや? 大丈夫ですか?!」
凛世「……?」ビクッ
凛世「凛世の、ことで……ございましょうか……?」
高岸「はい! もしかして……」
高岸「観戦チケットをなくしてしまいましたか?」
高岸「すみません。今日は僕も、チケットは持ち合わせてなくて……」
凛世「いえ……その……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:16:46.57 ID:USaHMgWRO<>
高岸「……!」
高岸「これは、あまり見たことがない靴ですね!」
高岸「裏には、大きなスパイク……どんなスポーツで使うんですか?」
凛世「えっと……日本舞踊……で、ございましょうか?」
高岸「……? 何やらカッコいい響きですね! 魔球の名前みたいだ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:18:23.48 ID:USaHMgWRO<>
高岸「とりあえず、このままでは歩けませんし……」
高岸「僕にはこの靴は直せませんが、直せるかもしれない人を、知っています!」
高岸「だから、任せてください!」ガバッ
凛世「ひゃっ……!」
高岸「行きますよ! しっかり掴まっていてください!」ダダダッ
凛世(この殿方は……)グッ
凛世(……)
凛世(凛世は、いずこへ……?)
<高岸とめぐりあわせの糸・前編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/28(月) 21:19:17.44 ID:USaHMgWRO<>
次回は明日です!
よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/28(月) 21:20:26.16 ID:uoGI6tKlo<> おつおつ
本当に喋ってるの再生されるわ上手い <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/29(火) 00:03:01.62 ID:VSVxxYHTo<> 乙乙 <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:26:34.19 ID:hDQB5pcgO<>
乙ありです!
今日は7話になります
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:31:02.89 ID:hDQB5pcgO<>
<高岸とめぐりあわせの糸・中編>
〜283プロダクション・事務所〜
樹里「はぁっ……はぁ……」ガチャリ
夏葉「おかえりなさい」
智代子「おかえり〜」
夏葉「って、あら? そんなに息を切らして、どうしたのかしら?」
樹里「ちょっと……走ってきた……」ハァハァ
夏葉「樹里、あなた……」
夏葉「レッスン前からそんなに気合い入ってるなんて、流石だわ!」
樹里「……そんなんじゃねーよ!」
智代子「樹里ちゃん。それで、後ろのお客さんはどうしたの……?」
樹里「後ろ? ……おわっ!」ビクッ
マメ丸「わんっ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:32:10.17 ID:hDQB5pcgO<>
樹里「なっ、なんでコイツがここにっ?!」バッ
夏葉(私を盾に……?)
智代子「樹里ちゃん、もしかして犬が苦手なの?」
樹里「ちっ、ちげーよ! 急に吠えてくるからビックリしただけだ!」
智代子「そうなんだ〜。ふふふ」クスクス
樹里「智代子っ!」
夏葉「とりあえず、顔見知りではあるみたいね」
樹里「……まぁ、な……」
智代子「階段も頑張って登ってきたんだね〜えらいえらい」ナデナデ
智代子「って、廊下がワンちゃんの足跡だらけだよ! 樹里ちゃん!」
はづき「あ〜……私が掃除しておきますね〜」
樹里「すみません……」
夏葉「脚、拭いてあげるわね」
マメ丸「わんっ」シッポフリフリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:33:00.91 ID:hDQB5pcgO<>
・・・・・
高岸「ただいま戻りました!」ガチャリ
樹里「随分はえーな、って……」
樹里「アンタ、さっきの……」ボソリ
智代子「お、お姫様抱っこ?!」キャー
高岸「すみません、ずっと抱えたままで……よいしょっ、と」
凛世「いえ……」
夏葉「プロデューサー。その人は、どうしたのかしら?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:33:46.39 ID:hDQB5pcgO<>
高岸「はい! 道端で倒れていましたので、連れてきました!」
智代子「プロデューサーさん……」
智代子「それは、拉致っていうんですよ……?」
高岸「えっ!」
凛世「あの……」ボソリ
樹里「……終わったな、アタシら」
智代子「あはは、本当にデビューできないまま終わるなんて……」ガックリ
夏葉「まだよ、二人とも。もう少し、被告人の供述を聞きましょう」
夏葉「プロデューサー! 洗いざらい、白状しなさい!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:34:45.75 ID:hDQB5pcgO<>
智代子「──待った! その前に、ちょっと状況を説明しないと!」ババンッ
智代子「えーっと……私たちはこの283プロダクションのアイドルで、私は園田智代子といいます」
智代子「そしてこの背が高くてオレンジな人が、私たちのプロデューサーさん」
高岸「高岸、です!」
智代子「で、ここが私たちの事務所になりますっ。怪しい者ではありませんので……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:35:46.98 ID:hDQB5pcgO<>
凛世「……貴方さまが、アイドルのプロデューサーさま……」
凛世「そしてこちらが……アイドルの皆さま……」
凛世「私は……杜野凛世と申します」
凛世「何卒、よしなに……」シトヤカ
智代子「すごい! 凛世さんって、大和撫子って感じですね!」
凛世「いえ、そのようなことは……」
凛世「凛世は高校生の身……どうぞ、凛世と……」
智代子「おんなじ! じゃあ、凛世ちゃんで!」ニコッ
樹里「スカウトされた訳じゃねーっぽいけど……樹里だ。一応、よろしくな」
夏葉「夏葉よ、よろしく。それで……プロデューサー?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:36:36.65 ID:hDQB5pcgO<>
高岸「はい! 僕が、スカウトがてらランニングしていると、道端にこの方が倒れていました!」
樹里「……もうツッコんでいいか?」
智代子「樹里ちゃん、待て!」
樹里「アタシは犬じゃねー!」
マメ丸「わんっ!」
凛世(……あれは……マメ丸さん……?)
高岸「話をしたら、靴が壊れてしまったらしく、はづきさんに直してもらおうと……」
はづき「えぇ〜? 私ですか〜?」
はづき「これは、下駄ですね。私には直せませんよ」
高岸「そんな! 社長にお聞きしましたよ!」
高岸「はづきさんは、野球盤をバーベルで、直したことがあると!」
はづき「配電盤を、バールで、ですよ〜。あと、フタをこじ開けただけです〜」
智代子(それはそれでスゴイんじゃ……?)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:39:11.87 ID:hDQB5pcgO<>
高岸「そうですか……どうすれば……」
智代子「あ、あの。私、応急処置ならできるかも……」
高岸「智代子さん! あなたは僕の救急車だ!」
智代子「違いますよ?!」
智代子「とりあえずプロデューサーさん、ハンカチください」
智代子「あとは五円玉が必要だけど……」
樹里「ほら。買い出しのお釣りのやつ」
智代子「ありがとー、樹里ちゃん!」
智代子「あとは、ここをこうして……出来上がり!」
智代子「あっ……右が赤で、左がオレンジ……」アチャー
智代子「ちょっと変になっちゃったけど……どうでしょう?」
凛世「ありがとうございます、智代子さん……!」パァァ
凛世「皆さんも……凛世のために……」
高岸「僕からも、みんな、ありがとう!」ニコッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:40:20.23 ID:hDQB5pcgO<>
高岸「それで、さっきから気になっていたんですが」
高岸「夏葉さんが抱えているワンちゃんは、誰かのご家族ですか?」
樹里「あぁ、それなんだけどさ……」
夏葉「さっき、樹里が連れてきちゃったのよ」ナデナデ
マメ丸「わんっ」
樹里「……悪ぃ。この話、実はもうちょっとあって」
樹里「買い出しの帰りに、凛世に押しつけて逃げてきたんだ」
夏葉「……それであんなに驚いていたのね」
樹里「凛世、本当にゴメン!」
凛世「いえ、お気になさらず……」
凛世「凛世はただ……マメ丸さんが……」
凛世「主に会えなくて……寂しい思いをしていないかと……」ナデナデ
マメ丸「くぅーん……」
夏葉「そうね……今頃、飼い主も必死になって探しているはずだわ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:40:51.48 ID:hDQB5pcgO<>
樹里「──あ、あのさ」
智代子「どうしたの? 樹里ちゃん」
樹里「コイツの……マメ丸の飼い主、どうにか見つけてやれないかな?」
樹里「アタシ、凛世にも、マメ丸にも酷いことしちまったし……」
樹里「ちゃんと送り届けるとこまで、面倒見てやりたいんだ」
樹里「頼む! 手伝ってくれ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/09/29(火) 21:42:24.70 ID:hDQB5pcgO<>
凛世「樹里さん……」
智代子「樹里ちゃん、もちろんだよ!」
夏葉「そうよね。寂しそうにしている子を放っておくなんて、アイドルの風上にもおけないもの!」
夏葉「ね、プロデューサー?」
高岸「はい! 人助けも、犬助けも、立派なアイドル活動です!」
高岸「飼い主さんと、マメ丸さんの笑顔のために、頑張りましょう!」
高岸「僕たちなら、やれば、できる!」パァァ
みんな「おー!」
<高岸とめぐりあわせの糸・中編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/09/29(火) 21:43:38.06 ID:hDQB5pcgO<>
次回は後日更新します!
どうぞ、よしなに…
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/29(火) 22:16:08.26 ID:CLsoSShBo<> おつーまた明日 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/29(火) 22:23:11.96 ID:O23T+iVko<> おつおつ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/30(水) 02:41:08.56 ID:VNuNXpfSo<> 面白いの見つけれたわ! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/30(水) 10:36:26.52 ID:wd33eY4Lo<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/09/30(水) 11:34:24.22 ID:a5uvL5nco<> おつ
ちょこ先輩ははやくカホの前でえっちな服着てほしい <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:29:59.55 ID:zKrEYBCKO<>
お待たせしました!
いつもレスありがとうございます
今日は8話になります
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:31:27.40 ID:zKrEYBCKO<>
<高岸とめぐりあわせの糸・後編>
〜283プロダクション・事務所〜
夏葉「とはいえ、どうやって探したらいいのかしらね」
夏葉「普通、迷子犬は保健所などに届け出るのだけれど」
高岸「マメ丸さんに、おうちまで案内してもらうのは、どうでしょう?」
マメ丸「わんっ」
樹里「それは流石に厳しいんじゃねーか?」
智代子「ふっふっふ……」
凛世「智代子さん……?」
高岸「智代子さんが、9回表にスクイズで勝ち越しを狙う、監督のような顔をしていますね!」
樹里「どんな顔だよ」
夏葉「あら、本当ね」
樹里「……なんで夏葉は分かんだよ」
智代子「と、とりあえず、私の思いつきを聞いてもらってもいい?」
樹里「おう」
凛世「はい……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:32:33.15 ID:zKrEYBCKO<>
智代子「……夏葉ちゃんが言った通り、飼い主さんは保健所とかに連絡してると思うんだけど」
智代子「最近はネットに写真をあげて、見つけた人に直接連絡してもらうっていうのも結構あるみたいなんだ」
智代子「そういう投稿、ツイスタに結構あるから私もよく目にしてて……」
凛世「なるほど……そうした投書から、マメ丸さんを探している方を……」
智代子「そう! こっちから見つけられるかも!」
高岸「智代子さん、あなたは和製シャーロック・ホームズだ!」
高岸「今すぐここを、283探偵事務所に変えましょう!」
はづき「ダメですよ〜、プロデューサーさん」
夏葉「智代子、ナイスアイディアだわ! 早速ネットで探してみましょう!」
みんな「おー!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:33:33.39 ID:zKrEYBCKO<>
夏葉「私は関東地域の迷子犬掲示板をあたってみるわ」
凛世「では、凛世も……」
高岸「僕も、手伝いますよ!」
智代子「じゃあ、樹里ちゃんと私でツイスタだね」
樹里「お、おう!」
智代子「……? どうしたの?」
樹里「い、いや。アタシ、スマホ苦手だから……」
智代子「うん、知ってるよ」
樹里「……智代子と一緒でよかった、とか……」ボソリ
智代子「……ゴメン、よく聞こえなかったんだけど……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:34:28.64 ID:zKrEYBCKO<>
樹里「だから……」
樹里「智代子が、みんなが手伝ってくれて、すげー嬉しかった、っつーか……」テレテレ
樹里「その……ありがとな」
智代子「うん。どういたしまして」
智代子「……あーもー! そんなに照れながら言われたら、こっちも恥ずかしくなっちゃうな〜」
樹里「てっ……照れてねー!」
智代子「えー? 樹里ちゃん、顔真っ赤だよ? ね、プロデューサーさん」
高岸「はい! 猿のお尻みたいに、真っ赤っ赤ですよ!」
樹里「もっとマシな例えはなかったのかよ! まったく……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:36:10.77 ID:zKrEYBCKO<>
樹里「……チョコ、ツイスタの使い方教えてくれ」
智代子「チョコ、って私?」
樹里「他に誰がいんだよ」
智代子「た、たしかに……? ちよこ、でチョコってことだよね」
樹里「そうだよ。悪いか?」
智代子「……ふーん」
智代子「樹里ちゃんって急に人のことあだ名で呼んだりするんだ」
樹里「人をおちょくるようなのは、あだ名で十分だ」
智代子「……もう、しょうがないなー」ニヤニヤ
高岸(……あの二人、息ぴったりですね!)
高岸(まるで、長年バッテリーを組んでいたかのような……)
高岸(僕の見ていないところでも、二人は成長していたんですね!)ニコニコ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:37:17.26 ID:zKrEYBCKO<>
・・・・・
樹里「ん……これか……?」
智代子「樹里ちゃん、見つけたの?」
樹里「……たぶんな」
夏葉「私たちにも見せて頂戴」
樹里「ああ、ほら」スッ
凛世「この写真……マメ丸さんに、間違いありません……」
夏葉「そうね、首輪の色も一緒だわ」
智代子「ということは……!」
夏葉「飼い主発見よ! お手柄ね、樹里!」
高岸「樹里さん、あなたならできると、僕は信じていましたよ!」グッ
樹里「ありがとな、夏葉、プロデューサー」
樹里「……でも、まだやることが残ってる」
智代子「そうだね! このkomiyaさんって人に、ちゃんと送り届けてあげないと」
凛世「はい……それが、樹里さんの決意……」
高岸「そうでしたね!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:38:06.39 ID:zKrEYBCKO<>
夏葉「komiyaさんには私が連絡しておくわ」
夏葉「それで、マメ丸を連れて行く人はどうするの? プロデューサー」
高岸「もちろん、みんなで、行きましょう!」グッ
夏葉「……ふふっ、その言葉を待っていたのよ」
高岸「僕も、言いたくてうずうずしてました!」
智代子「ど、どういうこと……?」
凛世「ふふ……マメ丸さん……もうすぐ、あなたの主に会えましょう……」
凛世「ですから……今しばらくは、共に……」ナデナデ
マメ丸「わんっ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:39:44.76 ID:zKrEYBCKO<>
・・・・・
〜都内・某所・公園〜
高岸(ここは、いつもの公園ですね! いい空気だ!)スーハー
樹里「……ここが約束の場所か?」
夏葉「ええ。引き渡しはこの公園で合っているわ。komiyaさんを探してみましょう」
高岸「コミヤさああああああんっ!!」
樹里「ばっ──!? なに急に叫んでんだよっ!」
高岸「すみません! これが手っ取り早いと、思ったので!」
凛世「……?」
凛世「プロデューサーさま……」ツンツン
高岸「どうしましたか?」
凛世「あちらから……人が……」
マメ丸「わんっ!」ダッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:41:38.28 ID:zKrEYBCKO<>
果穂「マメ丸っ!」ギュ
果穂「よかったぁ……! 家からいなくなった時は、どうしちゃったんだろうって」
果穂「いっぱい探して、心配したんだからね!」
マメ丸「わんわんっ」ペロペロ
果穂「……ふふっ! もう離さない!」ギュッ
果穂母「あの、連絡くださった──ジュリさんですか?」
樹里「え、あ、はい。樹里はアタシだけど……」
樹里「夏葉……じゃねーのか?」
夏葉「ほら、早く行きなさい」
果穂母「私たちが、マメ丸の飼い主の小宮です」
果穂母「本当に、ありがとうございました!」ペコリ
樹里「いや、そんな……」
果穂母「この子……果穂が朝からずっと泣きじゃくっていて」
果穂母「マメ丸が見つからなかったらと思うと、私も……」ウルウル
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:42:21.72 ID:zKrEYBCKO<>
樹里「──あ、あのっ!」
樹里「アタシも、飼い主さんが見つかって、ホントに良かったって思います」
樹里「知らない犬がずっとついてきた時は戸惑いましたけど……」
樹里「だから、その……笑ってください。果穂さんの為にも」ニコッ
果穂母「……はい! 本当に、ありがとうございました!」ペコリ
夏葉「……樹里」
樹里「な、なんだよ。柄じゃねーのは自覚してるよ」
夏葉「頑張ったわね」
樹里「……うるせー」フイ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:43:28.99 ID:zKrEYBCKO<>
果穂(あれ? あの人って……)
果穂「あ、あの……」モジモジ
高岸「はい、何でしょう?」
果穂「この名刺をくれた、プロデューサーさん、ですよね?」
高岸「あっ! あなたは、あのときの!」
智代子「えっ。プロデューサーさん、スカウトしてたんですか?」
高岸「えっ?」
智代子「えっと、果穂さん……だよね?」
果穂「はい! 小宮果穂、12歳! 小学6年生です!」
智代子「え……えぇーーっ?!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:44:17.25 ID:zKrEYBCKO<>
智代子「小学生なのに私より背が高い……じゃなくて!」
智代子「プロデューサーさん、どういうことなんですか!」
高岸「僕は、名刺をお渡ししただけです!」
智代子「あ、そうなんですか?」
果穂「はい! そうです」
果穂「それで、その……」モジモジ
果穂「プロデューサーさん、あたしも……」
果穂「──あたしも、アイドルになれますか?」
凛世「……!」ビクッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:45:29.37 ID:zKrEYBCKO<>
果穂「あたし、ヒーローにあこがれてて……」
果穂「調べてみたら、アイドルもヒーローみたいにみんなを笑顔にするんだ、って」
果穂「あたし、みんなを笑顔にできる、アイドルになりたいですっ!」ニコッ
高岸「もちろん! なれますよ!」
高岸「あなたの笑顔、僕も癒されました! そんなあなたの笑顔を待っている人が、世界中にいます!」
高岸「そして今の、アイドルになりたいという、あなたの勇気! まさに、ヒーローにふさわしいものでした!」
高岸「プロデューサーとして、あなたに背中を押された気分です!」
果穂「それじゃ……!」
高岸「はい! これから、よろしくお願いします!」ニコッ
果穂「……わぁー! やったー! あたしが、アイドル……!」キラキラ
智代子「私も嬉しいよー! 良かったね!」ギュッ
果穂「はいっ! 本当に嬉しいです!」ギュッ
果穂「もうお母さんにもお父さんにも、アイドルになりたいって伝えてありますっ!」
樹里「は、はえーな……」
夏葉「準備万端なのは良いことよ!」ビシッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:46:48.24 ID:zKrEYBCKO<>
凛世「ぷ、プロデューサーさま……」ソワソワ
高岸「はい!」
凛世「凛世も……」
凛世「凛世も、アイドルに……」
高岸「……!」
凛世「あの赤の鼻緒が切れて、また結ばれたとき……この橙が、縁の糸なのだと思いました……」
凛世「そして、心に決めたのでございます」
凛世「貴方さまに、一生、ついて参ろうと……」
智代子(もはや愛の告白だよ! 凛世ちゃん!)
凛世「プロデューサーさま……」
凛世「どうか、凛世を……」
高岸「もちろんですよ! 凛世さん!」
高岸「最初にあなたと話したとき、あなたの、カンガルーのような懐の深さに、感動しました!」
高岸「マメ丸さんに対する、あなたの優しさで、僕もみんなも、飼い主さん探しに前向きになれました!」
高岸「放クラには、あなたが必要です! これから一緒に、銀河一のチームを、目指していきましょう!」ニコッ
凛世「……はい……!」パァァ
凛世「……不束者ですが、どうぞ、よろしくお願いいたします」ペコリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:48:53.10 ID:zKrEYBCKO<>
樹里「まさか一気に二人揃うなんてな……」
樹里「でも、最後の一人が凛世で、なんか安心した」
智代子「ふふっ! そうだね」
夏葉「これでついに、五人揃ったというわけね」
夏葉「やるじゃない。プロデューサー」
高岸「僕は何もしていませんよ! 皆さんが、力を合わせた結果です!」
凛世「皆さま、これからよろしくお願い申し上げます……」
果穂「よろしくお願いしますっ!」
智代子「こちらこそ! 二人とも、よろしくね!」
樹里「ああ、よろしくな!」
夏葉「よろしく。ふふっ、みんないい顔してるわね!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:50:04.58 ID:zKrEYBCKO<>
樹里「……なあ、提案なんだけどさ」
夏葉「あら? 何かしら」
樹里「円陣、組まねーか? せっかくの結成だし、なんかやりてーなって思って……」
凛世「それは、名案でございます……」
果穂「エンジン! 楽しそうですーっ!」
高岸「良いですね! やりましょう!」
智代子「かけ声は、プロデューサーさん! お願いします!」
高岸「はい! かけ声は、そうですね……」
高岸「放クラァ! 絶対絶対優勝するぞォ! ウェイ! で!」
樹里「……」ジーッ
高岸「えっと……じゃあ……」
高岸「放課後クライマックスガールズ! 最強のアイドルに、変身! で、どうですか?」
果穂「わぁ……! カッコいいですっ!」キラキラ
夏葉「良いじゃない! それでいきましょう」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:50:45.60 ID:zKrEYBCKO<>
「……みなさん、準備は良いですか?」
「はい……」
「はーい」
「はいっ!」
「おう」
「いつでもいいわよ」
「では、いきますよ!」
「放課後クライマックスガールズ!」
「最強のアイドルに……」
「変身!!!!!」
<高岸とめぐりあわせの糸・後編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/01(木) 18:51:44.34 ID:zKrEYBCKO<>
次回更新は明日の予定です!
よろしくお願いします <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/01(木) 18:53:34.33 ID:zKrEYBCKO<>
age忘れたので再度レスを…
すみません
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/01(木) 19:06:54.10 ID:h5Z/7IBYO<> おつー <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/01(木) 19:19:12.80 ID:TmSSbESpo<> おつおつ! <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/02(金) 19:53:25.63 ID:20AhvhR3O<>
おつありです!
今日は9話になります
それでこれからの展開なのですが…
前回までが結成編、ここからはWING編ということで、高岸と放クラがWING戦を戦い抜いて一区切りにしたいと思っています
もうしばらく、お付き合いください!
よろしくお願いします
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 19:54:34.52 ID:20AhvhR3O<>
<高岸・幕開けの予兆編>
〜283プロダクション・事務所〜
・・・・・
凛世「なるほど……果穂さんは、特撮番組がお好きなのですね……」
果穂「はい! 『ジャスティスV』っていう、ヒーローが大好きです!」
果穂「こうやって……はっ! 変身! ジャスティスレッド! っていう感じで戦うんです!」
夏葉「あら、キレがあって良いアクションね!」
樹里「へー。ポーズも覚えてるなんて、本当にヒーローが好きなんだな」
果穂「はいっ!」ニコニコ
智代子「ふふっ、今日はそんな果穂のために、こんなものを用意してきたんだー」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 19:55:41.58 ID:20AhvhR3O<>
智代子「じゃーん!」
果穂「! これって……!」キラキラ
智代子「そう! ジャスティスVのコラボお菓子だよ!」
果穂「わぁー! ちょこ先輩、ありがとうございます!」
樹里「……? チョコ、なんで果穂が好きなヒーローまで知ってんだ?」
智代子「プロデューサーさんに聞いたんだ。スカウトする前に公園でヒーローごっこしてたんだって」
樹里「そうだったのか。アイツ、結構目ざといんだな」
夏葉(目ざとい……確かにそうかもしれないわね)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 19:57:28.13 ID:20AhvhR3O<>
智代子「あ、凛世ちゃんにもあるんだよ〜」
凛世「凛世に……?」
智代子「ほら、樹里ちゃん」
樹里「お、おう……とりあえず、凛世が好きそうなのを選んだつもりだけど……」スッ
凛世「……!」
凛世「これは、雀屋さまのどら焼き……!」キラキラ
樹里「気に入ってくれたみたいだな」
凛世「はい、ですが……」
夏葉「遠慮する必要はないわ。ちゃんと全員分あるから」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 19:58:36.36 ID:20AhvhR3O<>
智代子「はい! 果穂の分!」
果穂「わあ! ありがとうございますっ!」
凛世「ふふ……では、ありがたく……」ニコニコ
夏葉「三人で買いに行った甲斐があったわね」コソコソ
樹里「ああ。へへっ」コソコソ
智代子「それと、事務所からお菓子の詰め合わせでしょ〜」ガサゴソ
智代子「あと、これはプロデューサーさんからの差し入れで……」
夏葉「あら? 何かしら」
智代子「じゃん! 高級茶葉!」ドンッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 19:59:25.47 ID:20AhvhR3O<>
樹里「おー……って、『長寿祈願』って書いてあんぞ……?」
果穂「チョウジュキガン、ってなんですか?」
夏葉「これを飲んで長生きしてね、ってことよ」
果穂「そうなんですか! スゴいお茶ですねっ」
凛世「初摘み……凛世は、お湯を沸かして参ります……」スタッ
樹里「お、おい!」
夏葉「樹里、止めてはいけないわ」
夏葉「凛世、すごく気合入ってたもの。お茶に対する矜持を感じたわ」
樹里「そう、なのか……? 確かにキリッとした顔だったけど」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 20:00:12.48 ID:20AhvhR3O<>
智代子「あはは。今日は二人の歓迎会のつもりだったけど……」
智代子「凛世ちゃんがいれてくれるなんて、楽しみだしね!」
果穂「はい!」
樹里「それもそうだな」
智代子「……それでね、プロデューサーさんからの差し入れのもう一つが〜」ガサゴソ
夏葉「そんなにあるの? プロデューサーも気合い入れたのね」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 20:01:32.35 ID:20AhvhR3O<>
智代子「じゃん! マンゴー・ラッシー!」ドドンッ
樹里「ラッシー……ってアレか?! インド料理の……」
智代子「そう! 美味しいんだよー」
果穂「飲んでみたいですっ!」
智代子「はい、どうぞ!」スッ
樹里「いや美味しいのは分かるけど、なんでって思うだろ」
夏葉「あら、不満なのかしら?」
夏葉「そんな樹里に教えてあげるわ。ラッシーってすごいのよ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 20:02:59.44 ID:20AhvhR3O<>
ガチャリ
凛世「……プロデューサーさま……と、社長さま」
果穂「おかえりなさい!」
高岸「ただいま戻りました! 盛り上がっていて、なによりです!」
高岸「今日は祭りですからね!」
社長「……おっと、パーティー中だったのだな」
社長「私は出直すとしよう」
高岸「社長も、参加しましょう!」ニコッ
社長「ふっ。遠慮しておく」
社長「この空気に水を差すほど、野暮ではないのでな」ガチャリ
智代子「……行っちゃいました」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 20:03:45.38 ID:20AhvhR3O<>
夏葉「プロデューサー」
高岸「はい! なんですか? 夏葉さん」
夏葉「社長が今、『出直す』と言っていたけれど、どういうことかしら……?」
高岸「ああ、それなんですが……」
高岸「後で、社長から直接お話してもらえると思います!」
高岸「今は、パーティーを楽しみましょう!」
夏葉「そう……分かったわ」
高岸「はい!」
果穂「プロデューサーさん! またジャスティス・オレンジやってください!」
高岸「もちろんです! ジャスティス! オレンジ!」シュピーン
果穂「わぁー!」キラキラ
樹里「おー……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 20:05:03.44 ID:20AhvhR3O<>
樹里「って、それただのピッチングフォームだろ!」ビシッ
夏葉(何か、予感のようなものがあったのだけれど……気のせいかしらね)
凛世「皆さま、お茶が入りました……」
智代子「わー! 凛世ちゃんありがとー!」
凛世「夏葉さん……?」
夏葉「ありがとう、凛世。頂くわ」ニコッ
凛世「はい……」
・・・・・
<幕開けの予兆編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/02(金) 20:06:39.17 ID:20AhvhR3O<>
次回更新は後日です!
書き溜めがないので少し間が開くかもしれません
よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/02(金) 20:45:17.04 ID:vbg/Nqq1o<> おつおつ
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/02(金) 21:57:36.81 ID:NKtbFF22o<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/05(月) 04:24:21.76 ID:1SuNU+rco<> ティモンディ2人の始球式感動したわ!前田の高岸をマウンドに立たせる夢が叶って <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:16:38.45 ID:5Vzk1z8FO<>
始球式、めっちゃ良かったですね!
最初から号泣してる高岸と暖かい雰囲気の球場
高岸の投球がまっすぐ前田のミットに向かっていって、ふたりとも笑いながら泣いていて
いつの間にか、自分も目が潤んでいました
夢の形が変わっても叶えて、人に感動を与えられるティモンディが大好きです
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:17:58.64 ID:5Vzk1z8FO<>
おつレスもありがとうございます!
10話更新します
それと前回なのですが
今まで天井だったのが社長表記になってました。すみません!
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:19:01.13 ID:5Vzk1z8FO<>
<10話・ねえねえ、ちょっと話聞いて>
〜歓迎会翌日・283プロダクション・事務所〜
智代子「ふふふ〜」タムタム
樹里「スマホいじりながら何ニヤニヤしてんだ?」
智代子「ふふっ。樹里ちゃんも見る?」スッ
樹里「これって、昨日の写真か?」
智代子「そうだよ〜。この前公園で撮ったのもあるし、レッスンの時のもあるし……」
樹里「お、マメ丸の写真。なかなか上手く撮れてんな」
高岸「本当ですね! マメ丸さんが、生き生きとしています!」ニコニコ
智代子「でしょ〜!」ニコッ
果穂「マメ丸ですか? ちょこ先輩、あたしにも見せてください!」
智代子「どうぞどうぞ!」
樹里「それはそうと、こんなに撮ってどうするんだ? 記念とか?」
智代子「それもあるけど……ツイスタにあげて、放クラの広報と趣味を兼ねようと思って!」
凛世「ふふ……一石二鳥、にございますね」
智代子「そうそう! ふふっ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:19:45.63 ID:5Vzk1z8FO<>
智代子「……あれ? ちょっと待って」ピコーン
凛世「どうしたのですか……智代子さん……?」
智代子「あのね、ちょっと思いついたっていうか……」
智代子「マメ丸が事務所に来たのって、もしかして……あっ!」
智代子「──樹里ちゃん!」
樹里「なんだ?」
智代子「プロデューサーさんからもらったもの、何か持ってる?」
樹里「え? あぁ……名刺なら、財布に」スッ
智代子「やっぱり!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:20:23.75 ID:5Vzk1z8FO<>
凛世「智代子さん……?」
智代子「凛世ちゃん、あのね……」
智代子「私、ずっと気になってたんだ。何でマメ丸は樹里ちゃんを追いかけてきたんだろう、って」
樹里「それはアタシも気になるけど……なんか分かったのか?」
智代子「うん……たぶんだけど、マメ丸はその名刺の匂いを辿って、樹里ちゃんに行き着いたんだと思うんだよね」
凛世「名刺の……匂い……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:21:01.43 ID:5Vzk1z8FO<>
夏葉「確かに犬は、人の汗や足の裏の匂いを嗅ぎ分けるのが得意だけれど……」
夏葉「プロデューサーの名刺に、そんなに汗が染み込んだとは思えないわ」
智代子「そっか〜……閃いたと思ったんだけどなぁ」ガッカリ
樹里(……あれ? アタシがスカウトされた時って、確か……)ウーン?
高岸(果穂さんに名刺を渡したときは……えっと……)ムム?
凛世(樹里さんと、プロデューサーさまが……難しいお顔を……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:21:27.12 ID:5Vzk1z8FO<>
ガチャリ
はづき「──みなさ〜ん、社長がいらっしゃいましたよ〜」
高岸「遂に、スタメン発表ですね!」ドキドキ
高岸「では、社長室に行きましょう!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:22:00.52 ID:5Vzk1z8FO<>
〜283プロダクション・社長室〜
天井「……おはよう」
みんな「おはようございます」
天井「お前たちのプロデューサーには予め話しておいたが、今日は放課後クライマックスガールズの今後について、重要な話がある」
天井「心して聞くがいい」
みんな「はい!」
天井「……いい返事だ」
高岸「……」ニコニコ
天井「さて、結論から話そう。放クラには、W.I.N.G.優勝を目標に活動を展開してもらうこととする」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:22:30.93 ID:5Vzk1z8FO<>
樹里「ウィング、って……あのW.I.N.G.か?!」
はづき「その、W.I.N.G.ですよ〜」
はづき「ワンダー・アイドル・ノヴァ・グランプリ……」
はづき「その頭文字をとって、通称W.I.N.G.です」
果穂「あたし、テレビで見たことあります! すっごいキラキラしてました!」キラキラ
智代子「私も!」
凛世「凛世も、一度拝見しました……とても華麗で、煌びやかで……」
夏葉「良いじゃない。トップを目指さなければ、張合いがないもの!」
高岸「はい! 僕たちなら、優勝、できますよ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:23:11.48 ID:5Vzk1z8FO<>
天井「ふっ。W.I.N.G.はそんなに甘くないぞ」
天井「はづき」
はづき「はい! ご存知のとおり、W.I.N.G.は新人アイドルの祭典ともいわれる、すごいライブです」
はづき「そんなライブだけあって、出場資格を得るのも大変なんです〜……」
高岸「甲子園と一緒です! 地方予選を勝ち抜かないといけない!」
天井「なかなか鋭いな。その通りだ」
智代子(あ、その通りなんだ……)
天井「W.I.N.G.本戦への出場には、大雑把に4回の予選を勝ち残らねばならない」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:24:04.36 ID:5Vzk1z8FO<>
はづき「私からも説明を!」
はづき「エントリーしたアイドルは、全4回のシーズン毎に審査を受けます」
はづき「そのとき、シーズン毎の基準をクリアしていないと本戦出場への資格を失ってしまうんです〜」
果穂「シーズン……?」
凛世「審査……どういったものなのでしょう……?」
はづき「1シーズンは8週間。全体で32週間かけて4回の予選を行うということですね〜」
はづき「審査では、そのアイドルの『ファンの数』が評価されます」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:25:14.68 ID:5Vzk1z8FO<>
夏葉「多くの人を魅了したアイドルが本戦に出られるというわけね」
智代子「ちなみに、最後の審査基準は何人なんですか?」
天井「……50万人だ」
みんな「えぇーっ!?」
樹里「そんなの……」
高岸「大丈夫です! できますよ!」グッ
樹里「いや、いくらなんでも!」
天井「高岸。お前と違って、ずいぶんと弱気なようだが?」
高岸「謙遜してるだけですよ! 本当はできる人ばかりですから!」ニコッ
天井「ふん……まぁいい」
天井「私も鬼ではない。優勝への道筋を少し示してやろう」
高岸「お願いします!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:26:40.49 ID:5Vzk1z8FO<>
天井「審査はファン数で行なわれる。では、ファンを増やすにはどうしたらいい?」
高岸「練習を、頑張る! 試合に出て、打ったり、投げたり、捕ったりする!」ブォン
天井「ふむ。夏葉、お前はどうだ」
夏葉「そうね……」
夏葉「知名度と実績、その両方が必須かしらね」
夏葉「プロモーションと並行して各地でライブをするとか……」
夏葉「私たちが他のアイドルと違うことを、みんなに知ってもらう必要があるわ」
天井「……合格だ。流石だな」
夏葉「ふふ、舐めないでちょうだい」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:27:37.35 ID:5Vzk1z8FO<>
天井「さて夏葉の話を具体的にすると、営業と番組オーディションの2つの要素に分けられる」
天井「営業で地盤を広げて固め、テレビに出演することでファンを増やすということだ。実際はもっと複雑だが、認識としてはこれでいい」
果穂「……?」ウーン?
高岸「……?」ウーム?
夏葉(あら、私としたことが……)
夏葉「……果穂には後で説明してあげるわね」ヒソヒソ
果穂「夏葉さんっ! ありがとうございます」ヒソヒソ
夏葉「いいのよ。小難しい話ばかりでごめんなさい」ウィンク
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:28:55.47 ID:5Vzk1z8FO<>
凛世「テレビ番組……」
樹里「テレビ出演じゃないとファンを増やせないのか?」
天井「ほとんどの場合、そうだ」
樹里「それって、何か変じゃねーか……?」
天井「ふむ。これは説明しておく必要があるな……」
天井「W.I.N.G.はその性質上、一般的な『ファン』の定義とは少し異なる」
天井「はづき」
はづき「はい〜」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:30:03.12 ID:5Vzk1z8FO<>
はづき「普通、ファンの人数は事務所であっても完璧には把握できません」
はづき「ファンクラブの会員数やCDの売上などで、ある程度は分かるかもしれませんが……」
夏葉「確かに、そうね」
はづき「そのためW.I.N.G.では、W.I.N.G.に協賛するテレビやラジオ番組のオンエア中に」
はづき「視聴者が公式のアプリを使って投票をすることで、ファンを数値化するという方法をとっています」
天井「イベントなど、例外もあるがな」
智代子「そういえば、私も投票したことあるなぁ。まさか自分がされる側になるなんて」
智代子「……ふふ。好きなアイドルに何回も投票したりしたなぁ〜」
凛世「何回も……?」
はづき「それも出来ますね〜。番組一回につき、一人一票入れられますので」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:31:54.02 ID:5Vzk1z8FO<>
樹里「……つまり、オーディションを勝ちまくってテレビ番組に出まくればいいのか?」
天井「そういうことだ」
樹里「じゃあ、営業は? 関係あるのか?」
天井「簡単な話だ。視聴率──これに営業が関わってくる。知名度を上げるための足がかりだからな」
天井「出演するアイドルの知名度が上がれば番組の視聴率も上がり、全体の投票数も増える。つまり、一度の出演で得られるファンの数も増える」
天井「もともと視聴率の高い人気番組に出演するのも手だが、オーディションはより激しく、厳しくなるだろう」
天井「それに……営業で様々な業界の人間に顔を売るのも、お前たちにとって大事な下積みだ」
樹里「なるほどな」
天井「こうした仕事に加えて、日々のレッスンがスケジュールに組み込まれる」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:32:51.69 ID:5Vzk1z8FO<>
高岸「1シーズン目開始は来週です! ハードな32週間になりますよ!」
高岸「でも、大丈夫です! 僕たちなら、やれば、できる!」パァァ
天井「ふっ、期待しているぞ。話は以上だ」
高岸「はい! ありがとうございました!」ペコリ
みんな「ありがとうございました」
天井「……おい高岸、お前は残れ」
高岸「アイヤァ〜!」キヲツケ!
高岸(……)ブルブル
夏葉(なぜ、震えているのかしら……)
高岸(居残り練習……怖い!)ブルブル
夏葉(……?)
高岸「でっ、では、皆さんは、レッスンルームに向かってください!」
智代子「わかりました!」
果穂「行ってきまーすっ!」ガチャリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/06(火) 22:34:24.93 ID:5Vzk1z8FO<>
バタン……ススッ……
夏葉(ごめんなさい、プロデューサー)
夏葉(昨日の予感がどうしても気になるの)
夏葉(アナタが、何かを隠しているような気がしたから……)
夏葉(……)ゴクリ
夏葉(こうしてドア越しに聞き耳を立てるのは卑怯だけれど、確かめさせてもらうわね)スッ…
スススッ……
凛世(夏葉さん……?)
<10話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/06(火) 22:35:11.00 ID:5Vzk1z8FO<>
次回はあさっての予定です
よろしくお願いします!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/06(火) 22:58:15.87 ID:RmjVTRE8o<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/07(水) 00:53:52.59 ID:cfvfYZuwo<> あの始球式がさらにグッと来たの、間違いなくこのssのお陰です!
ありがとう!! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/07(水) 07:11:18.10 ID:dl++A02FO<> おつー <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/08(木) 20:10:34.02 ID:t7Thrc2+O<>
おつありです!
自分のSSがティモンディ布教に繋がったなんて光栄です
ありがとうございます!
11話、更新します!
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:12:45.37 ID:t7Thrc2+O<>
<11話・エビバディ・レッツゴー!>
〜283プロダクション・社長室前〜
天井『……放課後……優勝できなかった……』
天井『……してもらう……』
高岸『……はい! 彼女たち……信じて……』
天井『……覚悟はできて……』
夏葉(そんな……!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:14:47.11 ID:t7Thrc2+O<>
・・・・・
凛世(夏葉、さん……?)タタタッ
凛世「……夏葉さん」
夏葉「!」ビクッ
夏葉(盗み聞きを、見られた……?)
夏葉「……あら、凛世。どうしたのかしら?」
凛世「いえ……その……」
凛世「お戻りが遅いので……何かおありでしたら……」
夏葉「そう……」
夏葉(今聞いた話を凛世に……いえ、みんなに聞かせる訳には……)
夏葉「ふふ、大丈夫よ」
夏葉「ちょっとプロデューサーに聞きたいことがあって、ここで待っていたの」
高岸「──高岸、です!」ドンッ
夏葉「!」ビクッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:16:05.96 ID:t7Thrc2+O<>
高岸「夏葉さん?」キョトン
夏葉「あ、あら……ちょうど良かったわ」
夏葉「……今日からのレッスンなのだけれど、みんなのメニューを調整したいと思って」
高岸「はい! では、トレーナーさん達にも連絡をとりましょう!」
夏葉「ありがとう。助かるわ」
高岸「それと、僕たちの歌のことなんですが……」
凛世「……」
凛世(夏葉さん……やはり、何か……)
凛世(凛世は……)
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:18:17.58 ID:t7Thrc2+O<>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
トレーナー「はいワン、トゥー、スリー、フォー!」
樹里「……ッ!」キュキュッ
トレーナー「ウン、ター、ンタ、ターン」
凛世「……」シュタタッ
果穂「はっ!」クルクル
トレーナー「タッ、タッ、タッタッタッ」
トレーナー「はいフォー、メー、ション!」
夏葉「フッ……」タッタッ
智代子「……うわっ!」ドタタッ
ドシーン
智代子「いたた……夏葉ちゃん、ゴメン!」
夏葉「大丈夫よ。智代子は、立てる?」スッ
智代子「あ、ありがとう!」ギュッ
トレーナー「今、チョコちゃんの出だしが遅かったわね。注意して」ビシッ
智代子「はい!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:19:35.74 ID:t7Thrc2+O<>
トレーナー「夏葉ちゃんは……珍しく集中できてないわね。どうしたの?」
夏葉「ごめんなさい。少し考え事をしていたの」
凛世(夏葉さん……)
夏葉「でも、次こそ大丈夫よ!」グッ
トレーナー「そう。頼むわよ!」
トレーナー「あと、凛世ちゃんも少しテンポが遅れてる。けど、それ以外は問題ないかな」
凛世「……ご指導、恐れ入ります」
トレーナー「果穂ちゃんは……元気がありあまってるみたいね! ターンが一回多いわよ」
果穂「えへへっ。わかりました!」
樹里「先生、アタシは?」
トレーナー「特に課題は見当たらないわ。その調子で、頑張って!」
樹里「うしっ!」ガッツポーズ!
トレーナー「じゃあ、一旦休憩ね! 5分後再開するわよ」ガチャリ
みんな「……はぁ〜」バタタ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:21:19.93 ID:t7Thrc2+O<>
智代子「凛世ちゃんも果穂も、体力あってスゴいなぁ〜。私、足がもつれちゃって……」
果穂「えへへ。みんなでダンスするのが楽しくって、ずーっと踊っていたいです!」
凛世「ふふ……凛世も、果穂さんと同じ心地にございます……」
智代子「さっきも、二人とも楽しそうに踊ってたよね! すごく伝わってきた!」
智代子「私も早く追いつきたいよ〜……」
夏葉「あら。最初に比べたら、智代子もかなり成長したわよ」
樹里「そうだな。三人のときはすぐへばってたけど……今のチョコは、ちゃんと踊れてる」
智代子「ほ、ホントに?! 二人ともありがとう!」テレテレ
智代子(毎日のランニングの成果が出た、ってことなのかな?)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:22:24.81 ID:t7Thrc2+O<>
樹里「……そういや、夏葉が注意されたの初めて見たな」
智代子「確かに、そうかも。ボーカルレッスンとかでも、夏葉ちゃんはいつもバッチリなのに」
果穂「夏葉さん……」
凛世「…………あ、あの」
夏葉「──みんな、心配してくれてありがとう。でも、私は大丈夫よ!」
夏葉「カトレアのこと、ちょっと考えてただけなの」
凛世「……」
樹里「カトレア……?」
夏葉「あら、話したことなかったかしら。うちで飼っているゴールデン・レトリバーなのだけれど……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:23:32.71 ID:t7Thrc2+O<>
高岸「──失礼します!」ガチャリ
凛世「プロデューサーさま……と、トレーナーさま」
夏葉「来たわね」
高岸「はい!」ニコニコ
高岸「……皆さんに、大事なお知らせがあります!」
樹里「な、なんだよ……改まって」
トレーナー「安心して。嬉しいニュースよ」
高岸「これを見てください!」ドドンッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:24:31.76 ID:t7Thrc2+O<>
樹里「5人分の、衣装?」
果穂「キレイですっ! 可愛いですっ!」キラキラ
樹里「制服っぽいけど……悪くねーな……!」
智代子「それでこっちは……音楽プレイヤーかな? 全員分あるみたいだけど」
凛世「プロデューサーさま……これは……?」
高岸「この中に、皆さんが歌う曲がひとつ、入っています!」
智代子「そそ、それって、私たちの曲ってことですよね!」
高岸「はい! 皆さんへの、応援歌です!」ニコッ
樹里「どっちだよ」
凛世「ふふ……主題歌でございますね」
果穂「わーっ! 主題歌!」キラキラ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:25:45.32 ID:t7Thrc2+O<>
夏葉「早速、聴いてみてもいいかしら?」
高岸「もちろんです!」
高岸「曲名は、『夢咲きAfter school』です!」
エビバディ レッツゴー!
ビバアフター スクール イェーイェー……
ネーネー チョット ハーナーシキイテー……
……ワタシターチ サーイコウチョー! イェー!
みんな「おー……!」
夏葉「素敵な歌詞ね。私たちにピッタリじゃない!」
樹里「これ……アンタが準備したのか」
高岸「はい! 応援歌を聴けば、やる気がどんどん、湧いてきますからね!」
高岸「ファンの方だけじゃない……聴いた人全員に、元気になってもらいたいです!」パァァ
凛世「聴いた人、全員に……」
智代子(みんなを、元気にできるアイドル……!)
智代子「ふふっ! そうですね!」ニコニコ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:27:13.66 ID:t7Thrc2+O<>
樹里「へへっ。心配しなくても、こっちはやる気十分だ!」グッ
果穂「はい! 早く歌ってみたいですっ!」ワクワク
高岸「気に入ってもらえたなら、僕も嬉しいです!」
トレーナー「お披露目に向けて、今日からこの曲の練習をしていくから」
トレーナー「気合い入れていくわよ!」
みんな「はーい!」
*・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人
一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと33週
・・・・・・・・・・・・・・*
<11話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/08(木) 20:28:08.36 ID:t7Thrc2+O<>
次回はあさっての予定です!
よろしくお願いします!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/08(木) 20:34:01.04 ID:21JpAG0io<> おつー! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/08(木) 20:59:15.19 ID:xYIWATrco<> おつ乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/10(土) 18:16:08.98 ID:GK3gcWLzO<>
おつありです!
今日、明日、あさってと、12話の更新をしていきます
<>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/10(土) 18:17:16.93 ID:GK3gcWLzO<>
<12話前編・みんなで輝いて>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
トレーナー「はいワン、エン、トゥー、エン、スリー、エン、フォー」
トレーナー「ストップ。凛世ちゃん、もっと頭下げられる〜? ……うん、それで良いわ」
トレーナー「智代子ちゃん、3拍目の踏み込みはもっとダイナミックに」
智代子「こうですか!」ドン
トレーナー「うーん……1拍目に身体を大きくスウィングさせる感じで。その反動を使って〜」
智代子「こっ、これ以上はっ!」ググ…
トレーナー「そんなんじゃ、W.I.N.G.優勝は夢のまた夢よ!」
トレーナー「私は優勝を目指して、最高のパフォーマンスを求めているの! それに応えてみせて!」
智代子「うぅっ! はい……!」グググ…
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:17:58.97 ID:GK3gcWLzO<>
高岸「頑張れ! 智代子さん! 出来るよ! 智代子さん!」ニコニコ
トレーナー「ほら、プロデューサーさんも応援してるわよ!」
高岸「失敗したっていいんだ! 限界まで挑戦しよう!」
高岸「その経験が積み重なって、いつしかバウムクーヘンのような、大きな年輪になる!」
高岸「積み重ねるからこそ、美味しくなるんだ!」ファイト!
樹里「なんか最後おかしかったけど……チョコ、がんばれ」
果穂「ちょこ先輩! ファイトですっ!」
凛世「智代子さん……応援、しています」グッ
智代子「みんな……」
夏葉「智代子」
智代子「夏葉ちゃん……」
夏葉「みんなも聞いてちょうだい」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:18:51.22 ID:GK3gcWLzO<>
夏葉「私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい」
夏葉「とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!」ビシッ
「はい……!」「だな!」「はいっ!」
夏葉「──さあ、やるわよ! 一緒に!」ニコッ
智代子「うん!」ニコッ
高岸「……ひとりひとり、一本一本が団結して、僕に感動を与えてくれる!」
高岸「うどんのような放クラに、感謝だ! ありがとうっ!」パァァ
樹里「食いもんばっかじゃねーか。腹減ってんのか?」
高岸「はい!」グゥ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:19:48.07 ID:GK3gcWLzO<>
トレーナー(社長には、『最大級に厳しく指導しろ』なんて念を押されたけど……)
トレーナー(……この子達と、このプロデューサーなら、どんな壁も乗り越えてしまう。そんな気がする)
トレーナー(本当に、優勝してしまうかもしれないわね)
トレーナー「準備は良いかしら?」
みんな「はい!」
トレーナー(みんな、良い顔をしてる……)
トレーナー(彼女たちの熱にあてられて、私の心にも火がついたみたい)
トレーナー「……ふふ」
トレーナー「じゃあ、また最初から!」
トレーナー「いくわよ! ワン、トゥー、スリー、フォー!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:20:41.52 ID:GK3gcWLzO<>
・・・・・
トレーナー「……ふぅ。みんな、頑張ったわね」
トレーナー「15分休憩。その後、ボイストレーニングね!」
みんな「はぁ〜い……」ヘトヘト
樹里「さ、流石にキツい……」
夏葉「ええ。でもその分、成長を実感したわ」キリッ
凛世「智代子さん……」
智代子「……」グッタリ
果穂「ちょ、ちょこ先輩っ……」ガーン
樹里「今は、休ませてやろうぜ……」
果穂「はい……あたし、トイレに行ってきます!」
凛世「行ってらっしゃいませ……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:21:55.00 ID:GK3gcWLzO<>
ガチャリ
高岸「本当……はい!……」
果穂「……?」
果穂(プロデューサーさん……?)
高岸「ありがとうございます!」
高岸「頂いたチャンス、無駄にはしません!」
果穂(誰かと電話中みたい……)
高岸「……それも、大丈夫です! 新人だから、なんて関係ないですよ!」
高岸「やれば、できる! 子達ですから! ……はい!」
果穂(……)ソワソワ
高岸「では、また! 失礼します!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:22:54.67 ID:GK3gcWLzO<>
高岸「……よし!」ガッツポーズ
果穂「プロデューサーさん……?」
高岸「!」
高岸「果穂さん!」ニコニコ
果穂「今の、お仕事の電話ですか?」
高岸「よく分かりましたね! そうですよ!」
果穂「おつかれさまですっ!」
高岸「ありがとうございます! ばっちり、チャンス掴みました!」
果穂「もしかして……ライブ、できるんですかっ!」パァァ
高岸「はい!」ニコッ
果穂「やったーっ! みんなに知らせてきます!」ダダッ
果穂「……の前に、お手洗いに行ってきます! えへへ」タタタッ
高岸「はい! 行ってきてください!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:24:11.44 ID:GK3gcWLzO<>
・・・・・
果穂「──みなさん、聞いてください!」ガチャリ
樹里「戻ってきていきなりだな」
凛世「果穂さん……?」キョトン
果穂「さっき、プロデューサーさんがお電話してて……」
高岸「僕たちの初ステージが、決まりました!」
智代子「えぇーっ!?」ガバッ
樹里「……おっ。起きた」
智代子「嬉しいですけどっ! どういうことですか?! プロデューサーさん!」
高岸「はい! とある劇場で、ヒーローショーがあるのですが」
高岸「途中の休憩のタイミングで、セッティングなどを、しなければならないようで……」
高岸「その間の10分を、埋めて欲しいと!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:25:04.53 ID:GK3gcWLzO<>
凛世「ヒーローショーの、合間に……」
凛世「楽しみでございますね……果穂さん」
果穂「はいっ! やる気全開です!」キラキラ
樹里「早速、本番って訳か……」
智代子「樹里ちゃん、緊張してる?」
樹里「……ちょっとな」
樹里「でも、アタシは……プロデューサーと夏葉の言葉を信じて、やるしかねーと思う」
夏葉「……ふふ。ありがとう、樹里」
夏葉「プロデューサー。いつもの、お願い」
高岸「はい!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/10(土) 18:26:20.43 ID:GK3gcWLzO<>
高岸「初めての舞台。みなさんなら、会場いっぱいに、笑顔を届けられます!」
高岸「放クラは、笑顔のプロテインですから!」
樹里「また食べ物かよ」
智代子「笑顔のプロテイン……ふふっ」
夏葉「なかなか良い比喩ね!」
高岸「たとえ失敗しても、大丈夫!」
高岸「最後まで笑って、踊って、歌いましょう!」グッ
高岸「みんななら、やれば、できる!」パァァ
みんな「おー!」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人
一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと33→30週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<12話前編・終わり>
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/11(日) 09:05:02.64 ID:f0HISAgPo<> 乙乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/11(日) 20:06:49.64 ID:dcYu6LIlO<>
乙ありです!
続き書いていきます! <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:07:38.83 ID:dcYu6LIlO<>
<12話中編・トラブルもスイッチして>
〜ドームシアター・キャスト控え室〜
高岸「では皆さん! 本番まで、ゆっくり休んでいてください!」
みんな「はーい」
果穂「……」ゴクゴク
果穂「ぷはー……」
樹里(すげー水飲んでんな……)
凛世「プロデューサーさまは……」
高岸「はい! 皆さんは、着替えなどもありますし」
高岸「僕は、スタッフ控え室にいますので、何かあったら呼んでください!」
夏葉「分かったわ。じゃあ、また後で」
高岸「はい!」ガチャリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:09:15.33 ID:dcYu6LIlO<>
夏葉「……じゃあ、それぞれの準備の前に、軽くセッティングの確認をしましょう」
みんな「はーい」
夏葉「今日の公演の時間は、予定では10分。舞台の後方は幕で隠されていて、そこでスタッフが後半の演出の準備をするの」
凛世「中引幕……」
夏葉「そう。だから、私たちはステージの前半分で踊ることになるわ。フォーメーションの時は、いつもより狭いから気をつけて」
みんな「はーい」
樹里「予定では、って言ってたけど……もしかして、準備が長引いたらアタシらが場を繋がなきゃなんないのか?」
夏葉「ええ。そのつもりでいた方が良いわね」
智代子「おおう……初仕事なのに、結構大変な役回りだね……」
凛世「その分、期待されている……ということでございましょう……」
夏葉「その通りよ! 私たちの実力が試される、良いチャンスだわ!」
智代子「……そうだね! 頑張っていこー!」
みんな「おー!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:10:45.90 ID:dcYu6LIlO<>
〜ステージ裏〜
智代子「見て、果穂! 『ジャスティスV』が戦ってるよ!」
果穂「は、はいっ!」ドキドキ
樹里「控え室にいる時から静かだったけど、緊張してんのか?」
果穂「えっと……えへへ。ヒーローショーは大好きなので、嬉しすぎましたっ」ニコ
樹里(笑顔が硬いな……)
樹里「なんだよ、そんな嬉しかったのか〜」グニグニ
果穂「ずゅりちゃん、あたひであそばはいでふだはい〜」ウニャウニャ
樹里「へへっ」
樹里「……そんな緊張しなくていいんだよ。みんな、ヒーローを見に来てるんだしな」
樹里「言ってみたら、アタシらもジャスティスVの応援団みたいなもんだ。気楽にいこーぜ」
果穂「樹里ちゃん……はいっ!」
夏葉「樹里もなかなか良いこと言うじゃない」
樹里「なかなか、ってなんだよ。なかなかって」
智代子「私も良い言葉だと思うよ! 樹里先輩!」ニコッ
樹里「チョコ、お前なぁ……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:12:15.49 ID:dcYu6LIlO<>
智代子「えへへ。それにしても、ヒーローショーって本当にすごいね!」
智代子「さっきなんて、テレビで見たアクションそのままだったよ!」
凛世「実際に拝見すると……とても、感動致します」
夏葉「みんなで予習した甲斐があったわね。生で見ると、更に良さが分かるわ!」
高岸「……」ポロポロ
智代子「ぷ、プロデューサーさんっ?!」
樹里「なんでアンタが泣いてんだ?!」
高岸「ジャスティスV……あんなに身体を張って、人々を怪物から救っていました……」
高岸「みんなの笑顔を守るために、ボロボロになって……ありがとう、ヒーロー!」ポロポロ
樹里「いや、まだ後半があるからな?」
凛世「ヒーローは……負けません……」
夏葉「そうよ。ジャスティスVを応援するためにも、私たちも頑張るわよ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:13:29.73 ID:dcYu6LIlO<>
・・・・・
果穂(みんな励ましてくれたけど)
果穂(あたし、ちゃんと上手くできるかな……)ドキドキ
果穂(客席でお父さんもお母さんも見てるから……がんばらないと……)ドキドキ
果穂(えっと、最初のセリフは……えっと……)ドキドキ
智代子(果穂の顔が険しい……樹里ちゃんがフォローしてくれたけど、やっぱり緊張してるんだ)
智代子「果穂、お水飲む?」スッ
果穂「あ、ありがとうございます! でも、大丈夫です!」
智代子「そっか。了解!」
夏葉「……」キリッ
智代子(夏葉ちゃんも、どこか雰囲気にトゲがあるような……気のせいかもだけど……)
智代子(万が一を、考えておくべき……?)
夏葉(……あんなに練習して、みんな本当に良いパフォーマンスが出来るようになったんだもの)
夏葉(私たちなら大丈夫。ここで躓くなんて、ないわ)
夏葉(そうよね、プロデューサー……)チラッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:14:39.36 ID:dcYu6LIlO<>
凛世「……」
凛世(練習のとおりに、舞い、歌うだけ……)
凛世(どなたが凛世を見ていても、それだけでございます……)
高岸(控え室から出ていく、みんなの晴れ姿を見て……さっきは、つい涙が出てしまいました)
高岸(初めての舞台、それに立ち会えるなんて、こんなに嬉しいことはありませんよ!)ポロポロ
高岸(みんなには、楽しんで、やりきって欲しい! それだけです!)グッ
樹里(……なんか、気持ちわりぃ)
樹里(歯車が噛み合ってねー時みたいな……)
樹里(……こういう雰囲気の時のバスケの試合は、パスもシュートも決まんねーし、最悪だったな)チラッ
智代子「……!」
智代子(樹里ちゃん……)コクリ
樹里(チョコも気づいてるか。今、何か言わねーと……)
スタッフ「放課後さん、スタンバイお願いしまーす」
樹里(……行くしかねーか)スタッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:18:09.46 ID:dcYu6LIlO<>
〜ステージ上〜
アナウンス「ジャスティスVヒーローショー・第2部の前に、放課後クライマックスガールズによる、特別ステージをお楽しみ下さい」
タッタッタッタッ……
観客A「なんだ……? アイドル?」ザワザワ…
女の子「見てー、ママ。あの子かわいい」ユビサシ
ママ「あら、ホントねぇ」
男の子「あたらしいヒーロー?」
果穂(わっ……すごい……)
果穂(いっぱいの人が、見てる……見られてる……)ドキドキ
果穂「はぁ……はぁ……」
果穂(心臓が、すごく早く……)ドクンドクン…
果穂(あれ? 何するんだっけ……えっと)ドクンドクン
果穂(──あっ!)
果穂父母「……」フリフリ
果穂(お母さんたち……笑ってる、手振ってる……!)ドクンドクン
ザワザワ……
女の子「おねーちゃんたち、何もしゃべんないね」
ママ「ねー、どうしちゃったのかしら」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:19:16.20 ID:dcYu6LIlO<>
果穂(──そうだ! セリフ……)
果穂「ぁ……」
果穂(えっと、えっと……)ハァハァ…
果穂「ぁの……わ、た……」
果穂(口の中が、からから……っ)ハァハァ…
果穂「……は、ぁ……っ……!」
果穂(のどが、苦しいっ……)ハァ…ハァ…
観客B「どうしたんだ?」ザワザワ
観客C「トラブルか?」ザワザワ
果穂「ハァ…ハァ…はぁっ……」
果穂(どうしよう……誰か……)ドクンドクン
果穂(プロデューサーさん……)ドクンドクン
果穂(助けて……!)グッ…
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/11(日) 20:19:57.59 ID:dcYu6LIlO<>
「──こんにちはーーーっ!!!!!」
キ──────────ンッ……
<12話中編・終わり>
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/12(月) 10:43:34.20 ID:83HeHsatO<> ゴクぷは果穂可愛すぎか? <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/12(月) 21:30:41.49 ID:ecHVy5wsO<>
お母さんに持たされた水筒の半分くらい飲んで、お腹たぽたぽになってそうです😌
12話後編書いていきます!
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:32:06.58 ID:ecHVy5wsO<>
<12話後編・ハートが泣きそうでも>
〜ステージ上〜
シーン……
スタッフ(ハウリングで耳が死ぬとこだった……)
果穂(ちょこ、先輩……)
智代子「あ、あはは。すみません、大声出しちゃいました……」テレテレ
観客A「……は、はは……」
観客B「耳が……っ!」
男の子「うるさー……」
智代子(はぁ……心臓がドキドキする)ドキドキ
智代子(……こんな気持ちだったんだね、果穂……)
智代子(大変だったね、ゴメン……)
智代子(人前でアイドルとして話すのって、こんなに怖いんだね)
果穂(……!)ウルウル
智代子(……私、失敗しちゃうかもだけど……見ててくれたら嬉しいな)ニコッ
スタッフ「……大丈夫か、あの子ら……」
高岸「……智代子さん」
高岸(あなたなら、大丈夫! やれば、できる!)グッ
智代子(深呼吸……)スゥー…ハァー…
智代子(……よし!)キリッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:33:42.44 ID:ecHVy5wsO<>
智代子「みなさん、初めまして!」フリフリ
智代子「誰も私たちのことを知らないと思うので、最初に自己紹介させてください!」
智代子「私たちは、アイドル戦隊・放課後クライマックスガールズ!」
智代子「略して、放クラですっ!」ニコッ
観客C「放クラ?」
観客D「アイドル……」
男の子「戦隊……!」
智代子「私は放クラのピンク、園田智代子!」
智代子(樹里ちゃん、お願い! 繋いで!)ウィンク
樹里(プロデューサーの用意した、この衣装の色……で良いんだよな?)
樹里(……任せろ!)コクリ
智代子「こっちは放クラ・イエロー……」
樹里「──西城樹里だ! よろしくな!」
樹里「次は……静かなるブルー!」ジャン
凛世「杜野凛世と……申します……」ペコリ
智代子(ナイス、凛世ちゃん……!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:35:07.42 ID:ecHVy5wsO<>
智代子「四人目は〜……!」ジャジャン
夏葉「有栖川夏葉! 夏葉の葉は、グリーンの葉よ! よろしくね」
智代子「そして最後は〜! 我らがレッド! 元気ハツラツ・小宮果穂!」
果穂「……!」
智代子(果穂! がんばれ!)コクリ
果穂「小宮果穂です! えっと……ジャスティスVが大好きです!」ニコッ
観客A「おー……」
観客B「みんな、キャラ立ってんなぁ……」
観客C「レッド、可愛いな」
観客D「ピンクは中学生?」
女の子「ねえママ〜。わたし、イエローがすき〜」
智代子「私たちは今日、ジャスティスVを応援するために来ました!」
樹里「そう! アタシ達は、人を応援するヒーローなんだ!」
観客B「なんだそりゃ」
男の子「人を応援する……ヒーロー」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:35:54.89 ID:ecHVy5wsO<>
夏葉「私たちの歌を聞いて、みんなに元気になって欲しい!」
夏葉「そして一緒に、ジャスティスVを応援して欲しいの!」
観客ら「……お、おー……」
智代子「果穂……」ヒソヒソ
果穂「はいっ!」
果穂「では、みなさーん、聴いてください!」
果穂「私たちの歌! 『夢咲きAfter school』!」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:37:48.54 ID:ecHVy5wsO<>
放クラ「私たち 最高潮!」
果穂「いぇーい!」
放クラ「ビバ・アフター・スクール・イェーイェー!」
夏葉・樹里「ハイ! ハイ! ハイ! チーズ!」
放クラ「ビバ・アフター・スクール・イェーイェー!」
智代子・凛世「ハイ! ハイ! ハイ! ピース!」
果穂父母「果穂〜!」フリフリ
観客A「おー……」パチパチ
観客B「意外とちゃんと踊ってたな」パチパチ
観客C「そうだな」パチパチ
観客D「好きになっちまうよ……」パチパチ
男の子「……すごい」パチパチ
女の子「もーいっかい見たい〜」パチパチ
ママ「そうね〜」パチパチ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:38:53.34 ID:ecHVy5wsO<>
智代子(はぁ……はぁ……)アセダク
智代子(ところどころ失敗したけど……な、なんとか形にはなったかな……)
智代子(後ろのセッティングは……)チラッ
スタッフ(OKっす!)フリフリ
智代子(良かった……)
果穂「みなさーん! 聴いてくれて、ありがとうございましたーっ!」
凛世「元気に……なりましたでしょうか」
夏葉「じゃあここで、みんなでジャスティスVに声援を送りましょう!」
樹里「準備はいいかー?」
「はーい……」
智代子「聞こえないよー! もう一回!」
樹里「準備は、良いかぁーっ!」
「はーい!!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:39:58.31 ID:ecHVy5wsO<>
果穂「ジャスティスV、頑張れー! で、お願いしますっ!」
果穂「せーのっ!」
「ジャスティスV、がんばれー!」
ゴゴゴゴゴ……
智代子(幕が、上がる……!)
智代子(みんな、捌けよう!)ウィンク
放クラ(……)コクリ
タッタッタッタッ……
<12話後編・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/12(月) 21:40:28.78 ID:ecHVy5wsO<>
次回は明日更新します!
よろしくお願いします <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/12(月) 22:31:54.87 ID:vDisEZ3Zo<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/12(月) 23:19:55.98 ID:stYf750Xo<> ちょこセンパああああああああイ!!
かっこよ…!! <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/13(火) 21:35:36.32 ID:FZ09iPdiO<>
乙ありです!!
智代子は高岸の影響か イケメンシーン多めなので、可愛いところももう少し見せていきたいと思っています。熱くてカッコイイ部分も凄い好きですが☺
13話書いていきます! <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:36:39.41 ID:FZ09iPdiO<>
<13話・いい事あったんでしょう?>
〜キャスト控え室〜
ガチャリ……
みんな「はぁ〜……」グッタリ
みんな「……」
シーン……
果穂「……あ、あのっ」
智代子「──果穂、ゴメン!」ペコリ
果穂「えっ?!」
智代子「……私、果穂が緊張してるって分かってたのに、何もできなかった」
夏葉(……!)ピクッ
智代子「……大勢の前に立って喋るのがあんなに怖いんだって、今日、初めて分かったの」
智代子「セリフ分けとか演出とか……もっとよく考えておくべきだった。本当にごめん!」ペコリ
果穂(ちょこ先輩……違うんです……)フルフル
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:38:11.55 ID:FZ09iPdiO<>
樹里「それはアタシも、同じだ……果穂が緊張してるの、アタシが一番先に気づいたから」
樹里「フォローしきれなかった。果穂に背負わせすぎた。ゴメン……」ペコリ
果穂(違う……違うんです、樹里ちゃん……!)
夏葉(……)
夏葉(……何をやっているの? 有栖川夏葉!)
夏葉(私が率先して謝罪しなければならないのに)
夏葉(……私の『焦燥』が、みんなを……果穂を追い詰めたんだから)
『私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい』
『とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!』
夏葉(根拠もなく発破をかけて、焚きつけて)
夏葉(それが、今日の失敗の原因……そうでしょう?)
夏葉「……」
夏葉(──あのとき私が、真っ先に果穂を助けなきゃいけなかったのに)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:40:22.17 ID:FZ09iPdiO<>
夏葉「……っ」
果穂「──ゴメンなさい!」ペコリ
夏葉「!」ビクッ
智代子「か、果穂……?」
果穂「実は今日、お父さんとお母さんが来てて……」
果穂「あたし、カッコイイところを見せるよ、って約束して……頑張らなきゃって……!」
樹里「……そう、だったのか」
果穂「でも、本番になったら、息が苦しくなっちゃって……声もっ、出なくて──!」ポロポロ
凛世「果穂さん……!」
果穂「だから、ごめんなさい……!」
果穂「うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:41:21.41 ID:FZ09iPdiO<>
樹里「な、泣くなよ……果穂のせいじゃねーって……」ナデナデ
智代子「そうだよ! 果穂は悪くないよ!」ギュッ
夏葉「……2人の言う通りよ。今日の失敗は、果穂のせいじゃない」
凛世「全員の……責任でございましょう」
夏葉「……」
果穂「うぅ……ひっぐ……」ズビ…
樹里「……ほら。鼻水拭けって」
果穂「……樹里ちゃーん……わぁぁぁん……」
樹里「だからもう……泣くなよぉ……」ウルウル
樹里「ほ、ほら……今日は、チョコのおかげで何とかなっただろ?」
樹里「アタシらは一人でやってる訳じゃねーんだし……」
智代子「まぁ、私もいっぱいいっぱいだったけどね……」アセアセ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:42:31.16 ID:FZ09iPdiO<>
智代子「樹里ちゃんにも、凛世ちゃんにも、夏葉ちゃんにも助けられたし。えへへ」ニコニコ
夏葉「そんなこと……」
智代子「だから、ね! もう泣かないで?」
智代子「反省会とかも後にしよう! 今日はお菓子たくさん持ってきたんだ!」ドサッ
凛世「実は、凛世も……ふふ」ドサッ
樹里「うおっ、すげー量だな」
智代子「今日ぐらいは、いっぱい食べても夏葉ちゃんも怒らないよね……?」
夏葉「……」
智代子「夏葉ちゃん……?」
夏葉「……ええ。ありがとう、智代子」
夏葉「今日は、パァーっとやりましょう!」
智代子「お墨付きが出たよ! 果穂、食べよー!」
果穂「……はい……!」ニコッ
夏葉「……」
凛世(夏葉さん……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:44:30.38 ID:FZ09iPdiO<>
〜ステージ裏〜
高岸「本日は、ありがとうございました!」ペコリ
責任者「こちらこそ、急なオファーに対応して頂いて助かりましたよ」
責任者「新しい演出に挑戦しようと思ったのですが、準備に思いのほか時間がかかると分かって、右往左往していたのでね」
高岸「新しい挑戦! 素晴らしいですっ!」
責任者「それにしても……初仕事だと聞いていたのに、良いパフォーマンスでしたな」
高岸「はい! 僕も、そう思います!」
責任者「はっはっ。謙遜しないんですね、高岸さんは」
高岸「僕は、本気ですよ! 彼女たちなら、やれば、できる!」ニコッ
責任者「いやはや、面白い人だ」
責任者「……いやしかし。出てきて最初に黙っちゃった時は、ハラハラしましたなぁ」
高岸「それは、すみませんでした!」
責任者「ああ、いえ、謝って頂くことはないんですよ」
責任者「新人とは聞いていましたし、お互いボランティアでやっとる訳じゃないでしょう」
責任者「それに、こちらの期待以上のものを見せてくれましたし、何より観客の皆さまが喜んでいました」
高岸「そうなのですか?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:45:54.00 ID:FZ09iPdiO<>
責任者「ええ。私はいつも、客席側で皆さまの反応を確認しているのですよ。だから、分かります」
責任者「お客様の喜ぶ顔以上の評価はない。それは、私たち劇団もアイドルも変わらないでしょう?」
高岸「はい! そう思います!」
責任者「……ですから、私としては感謝以外にありません」
責任者「ありがとうございました」
高岸「こちらこそ、チャンスを与えて頂いて、ありがとうございました!」ペコリ
高岸「……それで、一つだけお願いがあるのですが、良ければ聞いていただけませんか?」
責任者「ええ。実現については、中身によりますが」
高岸「ある女の子を、ジャスティスVに会わせてあげたいんです!」
責任者「ああ、確か真ん中の子が、大好きだと言っていましたな」
責任者「……構いませんよ。うちは、子供にはみな平等に、がポリシーですからね」
高岸「あはは! あなたは、大黒天のように太っ腹だ!」パァァ
責任者「はっはっは」
責任者「……どういう意味ですかな?」メタボ?
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/13(火) 21:47:15.24 ID:klHtIS5DO<> それ下手すると仕事なくすぞ <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:48:29.38 ID:FZ09iPdiO<>
〜キャスト控え室〜
樹里「……おい、食べ過ぎじゃねーのか?」
智代子「えー? もぐ、そんなもぐないよ?」
樹里「この腹は、取り戻すのが大変だな……」
智代子「怖いこと言わないで!」モグモグ
コンコン
樹里「なんだ? ……どうぞ」ガチャリ
スタッフ「失礼します!」
果穂「!」
果穂「──ジャスティス・レッド!」
夏葉「あら……どうして」
凛世「レッドさま……」
レッド「果穂ちゃん! 放クラのみんな! 今日は僕達を応援してくれてありがとう!」
レッド「君たちのおかげで、怪人・デビロードから人々を守ることができた」
スタッフ「レッドさんは、まだ握手していない子供がいる! って、探しに来てくれたんです」
果穂「あたしを、レッドが……!」
レッド「握手してくれるかい?」スッ
果穂「でも……」フルフル
樹里「……」
樹里「ほら、レッドが困ってるぞ。ヒーローを困らせちゃダメなんじゃねーの?」ポンポン
果穂「樹里ちゃん……」
果穂「……はいっ!」ギュッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:50:12.51 ID:FZ09iPdiO<>
〜283プロダクション・事務所〜
ガチャリ
はづき「おかえりなさい、プロデューサーさん」
はづき「みんなは、もう?」
高岸「はい! 僕の全力の笑顔で、見送ってきました!」ニコッ
はづき「そうですか。プロデューサーさんも、今日はお疲れ様でした〜」
高岸「いえ、僕は大したことはしていません!」
高岸「みんなが、頑張っていただけです!」
高岸「……はづきさんも、いつもサポートありがとうございます!」
はづき「私は、大したことはしてませんよ〜」
はづき「……では、私は社長のところに行ってきますね。業務報告書、お願いします〜」
高岸「分かりました!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:51:12.63 ID:FZ09iPdiO<>
高岸「……」
高岸(今日の初ステージ……)
高岸(放クラのみんなは、お客さんを元気にできました。きっと、夢も与えられたはずです)
高岸(だから、成功なんだと思います)
高岸(でも……)
高岸(みんなは、どうだったのでしょう?)
高岸(舞台の袖から見た果穂さんは、とても怖がっていた……)
高岸(僕は、本当に……みんなを前向きに、できていたのかな……)
\ ピコン /
高岸(スマホに、通知……)
高岸(智代子さんのツイスタ……みんなの、写真ですか)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:52:42.25 ID:FZ09iPdiO<>
園田 智代子
いいね!:Timon_Chan_ ほか2件
houkago_climax_pink
今日は私たちの初めてのステージ。みんな緊張で、それぞれちょこっとずつ失敗しちゃいました…
でも、これも経験なんだって思います
明日への糧にして、精進! バウムクーヘンのように年輪を大きくしていきます!
みんなを元気にするために!
写真は公演後に控え室で撮りました
みなさんも、ドームシアターでレッドと握手!
#放課後クライマックスガールズ #放クラ #ジャスティスV #初ステージ #小宮果穂 #西城樹里 #有栖川夏葉 #杜野凛世 #園田智代子
1分前
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:53:52.87 ID:FZ09iPdiO<>
高岸(智代子さん……)
高岸(……)グッ
高岸「ただ、応援するだけじゃない……」
高岸「きっと僕には、まだできることがある」
高岸「それを、見つけるんだ」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人
一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと30→29週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<13話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/13(火) 21:55:05.56 ID:FZ09iPdiO<>
次回は後日になります!
よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/13(火) 21:57:59.75 ID:eT94y3O4o<> おつー! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/13(火) 22:25:27.78 ID:OmY/QOMmo<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/14(水) 06:59:49.11 ID:3tNWZ7KIO<> おつー <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/16(金) 22:33:41.59 ID:p/DCZsfTO<>
乙ありがとうございます!お待たせしました
14話更新します! <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:35:15.44 ID:p/DCZsfTO<>
<14話・少し遠回りさせてよ>
〜都内・商店街〜
樹里「悪ぃ、凛世! 待たせたよな」
凛世「樹里さん……」
凛世「あの、汗が……」
樹里「え? あぁ……学校から自転車で飛ばしてきたからさ」
凛世「そうなのですか……」
凛世(凛世との約束のために……樹里さんは、お優しいのですね)
樹里「それで、買うもんは……」
凛世「おぼえ書きでしたら、ここに……」スッ
樹里「サンキュ。これなら、ドラッグストアに行くだけで間に合いそうだな」
樹里「──ってそういや、お金……!」
凛世「それも、寮母さまから……」スッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:36:58.72 ID:p/DCZsfTO<>
樹里「……悪ぃな。全部任せちまって……」
凛世「ふふ……凛世は……」
凛世「樹里さんが供をして下さるだけで、十分でございます……」
樹里「そ、そっか。お詫びに、荷物持ちはアタシに任せてくれ」
凛世「樹里さん……ありがとうございます」ニコッ
凛世「……では、参りましょうか」
樹里「おう! じゃ、アタシが案内するよ。この辺はだいぶ詳しくなったからな」
凛世「ふふ、では……お言葉に甘えて……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:39:57.07 ID:p/DCZsfTO<>
・・・・・
店員「樹里ちゃん、いつもありがとねー」
樹里「おう! またなー」
樹里「ハンドソープ、柔軟剤、芳香剤……よし、これで全部だな」
凛世「はい……」
樹里「凛世も一緒に寮に戻るか? 何か用があるなら、ここで……」
凛世「あ、あの……凛世は、買いたい物が……」
樹里「お、そうなのか。付き合うぜ」
凛世「ありがとうございます……では、八百屋に……」
樹里「八百屋? 案内はするけど、野菜でも買うのか?」
凛世「はい……」
樹里「料理でもやんのか……? でも、うちの寮の食事って全部食堂だよな」
凛世「存じております……凛世は、寮の台所をお借りして、お料理の練習をしておりますゆえ……」
樹里「へー……」
樹里(アタシもやろうかな……最近、包丁握ってねーし……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:42:06.17 ID:p/DCZsfTO<>
テクテク……
樹里「──おっちゃん、野菜買いに来たよ」
八百屋のおっちゃん「おう! 樹里ちゃんじゃねーか!」
八百屋「隣のべっぴんさんは?」
樹里「アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ」
八百屋「ほう! この子が凛世ちゃんか。ホントにお花みたいに綺麗な子だ!」
樹里(お花みたい? 間違ってはいないけど)
樹里(なんで凛世のこと知ってんだ……?)
凛世「お会いできて光栄です……樹里さんの、叔父さま……」ペコリ
八百屋「……へ?」
樹里「ちょっ、凛世! おっちゃんはただのおっちゃんだ!」
八百屋「おう、ただのおっちゃんとはご挨拶だな!」
樹里「そ、それは……言葉のあやで!」
樹里「……ああぁーっ! この話は終わりだ!」
八百屋「はっはっはっ!」ガハハ
凛世「……?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:43:09.65 ID:p/DCZsfTO<>
八百屋「ところで、凛世ちゃんは何を探しに来たんだい?」
凛世「大根と、じゃが芋を……」
八百屋「よっしゃ。じゃあ、ただのおっちゃんが良いのを包んでやっからな」
樹里「頼むぜ。アタシの顔を立ててくれよな」
八百屋「へっ。任せとけ」
凛世「……ふふ」
樹里「……? なんで笑ってんだ?」
凛世「その……樹里さんとおじさまの、掛け合いが……」クスクス
樹里「良かったな、おっちゃん。アンタ、面白いって」
八百屋「あたりめぇよ。ほら」スッ
樹里「ありがとな……確かに、良い野菜みたいだ」ゴソゴソ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:44:28.80 ID:p/DCZsfTO<>
八百屋「凛世ちゃんには、贔屓にしてもらわにゃならんからなっ!」
樹里「ただの目の保養目的だろ」
八百屋「バレたか」ニッ
樹里「まったく……じゃあ行こうぜ」
凛世「あの、ありがとうございました……」ペコリ
八百屋「おう! プロデューサーさんにも、よろしくな!」
凛世「はい…………?」
樹里(なんでプロデューサーのこと知ってんだ?)
凛世(どうして、プロデューサーさまのことを……?)
樹里(アイツと一緒に来たことなんて無いはずだけど……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:46:09.79 ID:p/DCZsfTO<>
テクテク……
肉屋のおばちゃん「──樹里ちゃん! コロッケ、揚げたてのあるよ!」
樹里「あー、悪い……揚げ物は、しばらく控えたいんだ」
肉屋「あら、ダイエット?」
樹里「いや……アタシ、これでもアイドルだし」
肉屋「そういえば、そうだったわね」
樹里「そういえばって……」ガクッ
和菓子屋の爺「樹里ちゃん! 揚げまんじゅうあるよ!」
樹里「だから、揚げ物厳禁だっての!」
和菓子屋「なんだい、遂にデビューかい?」
樹里「まだテレビには出てねーけど……一応な!」
和菓子屋「そりゃあ、めでたい! ほら、これ持ってきな!」スッ
樹里「これ、おかきか。ありがとな!」
肉屋「うちも、牛の良いとこ包もうか?」
樹里「いや、気持ちだけで十分だよ。ありがとな」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:47:38.42 ID:p/DCZsfTO<>
凛世「樹里さん……もう有名人でございますね」
樹里「そ、そんなことねーよ」テレテレ
樹里「まあ……みんな、いい人達だからな」
樹里「こっちで生活するようになって、色々世話になってるし……」
肉屋「樹里ちゃん、そっちの子もアイドルなの?」
樹里「ああ。同じ放クラの凛世だ」
凛世「お初にお目にかかります……」ペコリ
肉屋「あら。樹里ちゃんに負けないくらい、綺麗な子ね〜」
凛世「いえ……」
肉屋「それにしても、あなたたちの……プロデューサーさん?」
肉屋「この間、良い食べっぷりだったわよ〜」
樹里「え?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:48:47.01 ID:p/DCZsfTO<>
肉屋「うちのコロッケ、美味いですね〜って5個ペロリ! それで、もう5個買って持って帰ったの」
樹里「へ、へぇ……」
肉屋「あとね、お米の炊き方を聞いてきたの! 自炊でも始めたのかしら」
和菓子屋「俺も見たよ、あの恰幅の良いオレンジの兄ちゃん!」
和菓子屋「そこのラーメン屋で、大食いに挑戦してたんだけど」
和菓子屋「3.8キロの大盛りラーメンを、『やれば、できる!』って食っちまったんだよ!」
和菓子屋「もう、ホレボレしちゃったね!」
樹里「何やってんだアイツ……」
凛世「プロデューサーさま……」
凛世「この商店街にも、いらしていたのですね……」
樹里「そうみたいだな……しかも、かなりの有名人だ」
樹里「……アタシら、プロデューサーのこと全然知らなかったな」
凛世「……」
凛世(プロデューサーさまのこと……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:51:09.61 ID:p/DCZsfTO<>
肉屋「樹里ちゃん。良かったらこれ、プロデューサーさんに」スッ
樹里「コロッケ……」
肉屋「またいっぱい買ってね、ってよろしくね」
樹里「……分かった。任せとけ」
肉屋「あと、これもあげる」
樹里「何だこれ? 祭りのチラシ?」
肉屋「そう。夜市っていって、お昼すぎから夜までやる、ちょっとしたお祭りでね」
肉屋「色々なイベントもあるのよ」
樹里「夏祭りとかとは違うんだな」
肉屋「そうね。夏はここでお稲荷様のお祭りもあるけど、これは商店街が主催なの」
凛世「商店街の、催し……」
肉屋「そう! だいぶ先なんだけどね。来てくれるでしょ?」
樹里「……気が向いたらな」
樹里(これ、事務所に貼っとこうかな)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:54:27.35 ID:p/DCZsfTO<>
樹里「じゃあ、また」
凛世「では……」
肉屋「またねー!」
和菓子屋「また来てくれよー!」
樹里「……」フリフリ
凛世「……ふふ」フリフリ
テクテク……
樹里「なあ、凛世」
凛世「……?」
樹里「……このあと、一緒に事務所行かねーか?」
凛世「はい……」
凛世「凛世も……同じことを、考えておりました」
樹里「そっか。へへっ」ニコッ
凛世「ふふ……」ニコニコ
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1人
一回目の審査まで あと999人
W.I.N.G.本戦まで あと29→28週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<14話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/16(金) 22:55:22.37 ID:p/DCZsfTO<>
次回はあさってに上げる予定です!
よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/16(金) 23:10:35.08 ID:D8vP/lVmo<> おつ!
よかった、ラーメンは激辛じゃなかったんだな! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/17(土) 19:40:47.41 ID:MJdTJzBbo<> 乙乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/18(日) 20:51:13.09 ID:Vp13bF5xO<>
おつありです!
他のユニットだったら激辛を食べさせられていた可能性があったので、放クラで良かったです😌
この世界の高岸には美味しいものを食べていて欲しい…
それと、15話なのですが
この話からマイナーなアイマスキャラ(名前だけ)とオリジナルモブキャラ(ライバルユニット)が出てきます
書いては上げ、書いてはあげ状態なのでどうなるか自分でも不安なのですが、解説役だったり高岸たちの掘り下げ役としての出番が多くなりそうです(メタい)。安易なヘイト集め役にはしません
よろしくお願いします
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 20:52:55.76 ID:Vp13bF5xO<>
<15話・ねえねえ、テスト何点だった?>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
樹里「……ダンスのアレンジ?」
夏葉「そう。今度のオーディションで出される課題のようなものなのだけれど……」
夏葉「課題曲のうち指定された部分の小節を、私たちのオリジナルの振り付けで踊らなくてはならないの」
樹里「……んー?」
果穂「カダイキョク、ってなんですか?」
夏葉「課題曲っていうのは、W.I.N.G.のオーディションで使われる曲のことよ」
夏葉「いくつかあるのだけれど、曲の長さや審査員の好みから『Spread the Wings!!』や『Ambitious Eve』が採用されることが多いみたい」
果穂「それって……!」
智代子「両方とも、『夢咲きAfter school』の前からレッスンでやってた曲だね!」
果穂「はい! 知ってる曲でした!」
智代子「知らないうちにW.I.N.G.のための練習してたんだ、私たち」
夏葉「うふふ。無駄な練習なんて一つもない、ということね」
凛世「……全ての道はローマ……いえ、W.I.N.G.に通ず……」
智代子「凛世ちゃんに座布団一枚!」
凛世「ふふ、恐れ入ります……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 20:54:40.45 ID:Vp13bF5xO<>
樹里「それにしても、なんで夏葉はそんな詳しいんだ?」
夏葉「それは、私たちの先生に色々教えてもらっているからよ」
樹里「へぇ……そうだったのか」
凛世「夏葉さんは、凛世たちのレッスンや日程も、先生方とお話ししていて……とても頼りになると……」
智代子「──えっ! そうだったの?!」ビックリ
夏葉「凛世……知っていたのね」
凛世「以前、プロデューサーさまとご相談なさっていたのを拝見して……恐らくは、そうなのだろうと……」
夏葉「そう……」
夏葉「ごめんなさい。みんなに伝えていなくて」
智代子「あ、そうじゃなくてっ! むしろありがたいといいますか……」アセアセ
果穂「今までのレッスンって、夏葉さんが考えてくれてたんですか?」
夏葉「いえ、内容はプロにお任せするわよ」
夏葉「でもスケジュール管理や疲労調整……これは、みんなのコンディションを見ながら、いつ、どういうレッスンをするか決めることね」
夏葉「その辺りは、ほとんど私がやっているわ」
果穂「……スゴい! スゴいですっ、夏葉さん!」キラキラ
夏葉「ありがとう、果穂。でも、そんな大層なことじゃないのよ」
樹里「──そんなことねーよ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 20:56:15.30 ID:Vp13bF5xO<>
樹里「レッスンに加えて、そういう作業をしてたってことだろ?」
樹里「夏葉は一人で、アタシらのために動いてくれてたってことじゃねーか」
夏葉「樹里……」
智代子「樹里ちゃんの言う通りだよ! 夏葉ちゃん!」
凛世「夏葉さん……」
夏葉「……?」
凛世「踊りの振り付けは……凛世たちに、任せて頂けないかと……」
智代子「──凛世ちゃん! ナイスアイディア!」
果穂「分担、ですね!」
夏葉「みんな……」
夏葉「ありがとう。でも、気持ちだけ受け取っておくわ」
樹里「……なんだよ。素直じゃねーな」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 20:57:44.97 ID:Vp13bF5xO<>
夏葉「ふふっ、確かに意地もあるわね」
夏葉「でも……」
夏葉「ここでみんなに頼るだけなんて、有栖川夏葉らしくない。そうでしょう?」キリッ
樹里「!」
樹里「……そうだな!」
凛世「ふふ……」
果穂「夏葉さん、カッコイイです……!」キラキラ
智代子「じゃあ、夏葉ちゃん! みんな!」
智代子「一緒に振り付け、考えよっか!」
夏葉「ええ! 1位目指して、頑張りましょう!」
みんな「おー!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 20:59:08.21 ID:Vp13bF5xO<>
〜オーディション会場・控え室〜
ガヤガヤ……
「フン。みんな、不景気な顔して。こんなんで私たちのライバルが務まると……」
「──えーちゃん、しーっ!」
「そういう自信過剰系キャラは、きょうび流行らないよ!」
「う、うるさいわね!」
「早く帰ってゲームしたい……」
ザワザワ……
智代子「結構、人多いね〜……」
夏葉「そうね……書類選考を通った選抜組とはいえ、私たちを含めて6ユニットいるはずよ」
樹里「この中から、1位と2位が残るんだよな……」
智代子(雰囲気がスゴいなぁ……この大部屋全体がピリピリしてる)
智代子(はづきさんは『新人アイドルの入口的な番組なので、あまり気負いせずに〜』なんて言ってたっけ)
智代子(……当たり前だけど、みんな本気なんだ)ゴクリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 20:59:55.00 ID:Vp13bF5xO<>
果穂「ついにオーディションですねっ! 凛世さん!」
凛世「はい……」
凛世「果穂さん……緊張、していませんか……?」
果穂「……えへへ。ちょっとしてます」テレテレ
凛世「ふふ……凛世が、肩を揉んでさしあげましょう」モミモミ
果穂「ありがとうございますっ! 次はあたしが、凛世さんにやってあげますね!」
樹里(……今日は、いい雰囲気だな。なんとなくだけど)
樹里「……」
夏葉「樹里、どうしたの?」
樹里「え? ……まあ、なんでもねーよ」
夏葉「樹里……アナタ……」ピコーン
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:01:15.41 ID:Vp13bF5xO<>
夏葉「──自分も肩を揉んでもらいたい、そう思っているのね?」
樹里「……は? ちっ、ちげーよ!」アセアセ
夏葉「遠慮する必要はないのよ? 肩を揉みながら、緊張をほぐすツボや疲労回復のツボを教えてあげるわ!」
樹里「や、やめろ! 誰も頼んでねーだろ!」
智代子「あはは……うちは相変わらずだなぁ」
智代子(でも……)
智代子(どんな時でもいつも通りでいられるのって、スゴい強みだよねっ!)
智代子(夏葉ちゃんも……この前みたいなトゲトゲしい感じもないし)
智代子(……今日の私たちは、最強な気がします! 見ててくださいね、プロデューサーさん!)グッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:02:25.64 ID:Vp13bF5xO<>
コンコン……ガチャリ……
スタッフ「失礼します。オーディション参加者のみなさんは、一旦こちらに注目してくださればと思います」
アイドルたち「……」ザッ……
スタッフ「ありがとうございます。今日の審査をして頂く、3人の先生方をお呼びしています」
スタッフ「先生方のお話をしっかりと聞いて、今日のオーディションに臨んでください」
アイドルたち「はい!」
スタッフ「……では、歌田さんからお願い致します」
歌田「ありがとう。ボーカル審査を担当する歌田 音です、よろしく」
歌田「みなさんに言いたいことは、一つだけ。このオーディションを、入門編と思ったら大間違いだから」ドンッ…
アイドルたち「……!」ゾクッ
歌田「あなた達に誰も上手さなんか期待していない。だからこそ、私はあなた達の基礎力を見ている」
歌田「いつも機材の整った、狭いスタジオで歌えるなんて思わないで」
歌田「今日は野外ステージだと仮定して、腹から思いっきり声を出しなさい」
歌田「──良いわね?」
アイドルたち「はい!!」キヲツケ!
歌田「いい返事じゃない! 頑張ってね♪」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:03:42.87 ID:Vp13bF5xO<>
スタッフ「では次に、山崎さん、よろしくお願いします」
山崎「はーい。ビジュアル審査を担当する、スタイリストの山崎すぎおよ! よろしくね」
山崎「うーん……今日は、と……」ジロジロ…
山崎「綺麗どころが揃ってるわねぇ。で・も……」
山崎「ぜんっぜん素材が活かせてないわ!」
アイドルたち「……!」ビクッ
山崎「良い? ビジュアルというのは、単なる見た目の事じゃなぁ〜いの」
山崎「ポージング、衣装、髪の流れ方から、表情、視線、感情の作り方まで」
山崎「自分が相手に刻みつけたい印象を、視覚情報のトータルで作り上げるのがビジュアルなの」
山崎「……ま、初心者に全部を理解しろとは言わないわ! 今日は一つだけでも、頑張ってみなさい」
山崎「じ〜っくり、見てあげるわよ♡」ネットリ…
アイドルたち「……はい!」ゾワリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:04:46.49 ID:Vp13bF5xO<>
スタッフ「……では、最後に軽口哲也さん。よろしくお願いします」
軽口「Hey,Yo!」
軽口「俺が審査員? ガチの審査良い? 全員落第、ルーキーには人災?」ギュイーン
アイドルたち「……」シーン
軽口「ダンスにゃノリ大事、ズレたら一大事、チームワーク大丈夫? 異常丸見えだぜ」チェケラ
アイドルたち「!」
軽口「気持ち繋がる、ダンシングガール、みんな見たがる、突破軽々! Hoo!」
軽口「技術だけじゃない、気持ちだけじゃない、両方あれば優勝夢じゃない」
軽口「Welcome to the W.I.N.G....」キマッタ…
アイドルたち「わぁ〜……」パチパチ
軽口「センキュー……」
スタッフ「三人の先生方、ありがとうございました」
スタッフ「ではオーディションに移りますので、5分後にステージにお集まりください」
ガチャリ……
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:06:22.44 ID:Vp13bF5xO<>
智代子「なんか、すごい人達だったね……」
夏葉「三人とも業界のエキスパートね」
樹里「知ってるのか?」
夏葉「ええ」
夏葉「……でも今は、『Ambitious Eve』で気をつけるところ、最終チェックをしましょう」
樹里「そうだな」
果穂「はいっ!」
凛世「油断大敵……」
夏葉「凛世の言う通りよ!」
智代子「そうだね! ギリギリまで詰めておこう!」
樹里「ところで夏葉……」
樹里「今日は『目指すはもちろん一番よ!』とか言わねーのか?」
夏葉「……あら、忘れていたみたいね。うふふっ」
夏葉「2位まで通過できるけれど……私たちが目指すのはもちろん、一番よ!」
夏葉「頑張っていきましょう!」
放クラ「おー!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:08:51.61 ID:Vp13bF5xO<>
〜オーディション会場・ステージ〜
スタッフ「では6組の皆さん、各ステージにスタンバイしてくださいね」
スタスタ……
アイドルたち「……」ゾロゾロ
夏葉(……)ゾクッ…
夏葉(W.I.N.G.協賛のオーディションは、円形に組まれた6つのステージとその中央にある審査員席という、特殊な形で行われる)
夏葉(中央の審査員に向けて、6組のユニットが同じ曲──課題曲を同時に歌い、踊り始める……)
夏葉(見渡すと、流石に圧巻ね。うふふっ)
スタッフ「……準備できましたでしょうか」
スタッフ「審査員の皆さまは……準備万端、のご様子ですね。よろしくお願い致します」
夏葉(プロデューサー……)
夏葉(どこかで見ているのでしょう?)
夏葉(感想……しっかり聞かせてもらうわよ)キュッ…
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:09:59.75 ID:Vp13bF5xO<>
スタッフ「では、カウントのあとに曲が流れ始めますので、頑張ってください」
……1.2.3.4……〜〜♪
果穂「どこまで行けるの〜♪」
果穂「眺めてた〜♪」タタッ…
果穂「空に飛び込んだ〜♪」
果穂「あの日から〜♪」パーフェクト!
夏葉(その調子よ、果穂!)
夏葉(……マイクは常にONになっているわけじゃない。各組ランダムにONになり、ボーカル審査員はそれを聞き分ける)タタンッ
歌田「……」キイテマス…
夏葉(だから、常に全力で歌わなくてはいけない)スゥッ…
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:11:51.69 ID:Vp13bF5xO<>
夏葉「高鳴ってる〜♪」
放クラ「ざわめいてる〜♪」
夏葉(更にダンスは……6組それぞれが重ならないタイミングで、オリジナルパートを組み込むことが指定されている)
軽口「……」ジーッ…
夏葉(つまり、課題で決められた振り付けはできて当たり前。オリジナルの部分こそが、ダンス評価のポイントになるはず……)キュキュッ
樹里「心の光は〜♪ 消えてない、ほら」
放クラ「消えない〜♪」グッド!
智代子(来る! オリジナルパート……!)
夏葉(……行くわよ! みんな!)
放クラ(──私たちは、ここから!!!!!)リンクアピール!
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/18(日) 21:12:58.33 ID:Vp13bF5xO<>
一旦、切ります!
続きは火曜にあげる予定です! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/18(日) 21:56:46.29 ID:YJwULwy4o<> おつおつ
丁寧な説明たすかる <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/18(日) 22:10:17.86 ID:F9VyDdzfo<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/18(日) 23:51:58.89 ID:Y4tWjOHlo<> おつ!
ほんの少ししか喋ってないけどライバルユニットのリーダーはえーちゃんだな俺は詳しいんだ <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/20(火) 22:28:02.32 ID:u+Y4MsNWO<>
おつありです!
すごい見る目のある読者さんがいますね😆
続きあげていきます!
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:32:03.03 ID:u+Y4MsNWO<>
〜オーディション会場・控え室〜
ガヤガヤ……
高岸「皆さん、お疲れ様でした! タオルです!」スッ
高岸「オーディションはどうでしたか?」
夏葉「もちろん、全力を出し切ったわ!」グッ
高岸「それは良かった!」
果穂「プロデューサーさんっ! プロデューサーさんから見て、あたし達はどんな感じでしたか?」
高岸「僕は、ステージ裏でカメラ越しに見ていましたが」
高岸「曲が終わったとき、みんな、フルマラソンを走った後のような顔をしていました!」
高岸「それを見て、やり切ったんだな、良かったぁっ! と感じましたよ!」
智代子「ヘトヘトだったもんね〜、私たち……」
凛世「はい……しばらく、立ち上がれませんでした……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:33:20.49 ID:u+Y4MsNWO<>
樹里「具体的には、どんな感じだったんだ? ダンスとか……」
高岸「僕のおばあちゃんより、断然上手でした!」
樹里「……?」ウーン?
樹里「──って、盆踊りじゃねー!」
凛世「ふふ……」
智代子「樹里ちゃん、一瞬考えたね」
樹里「分かりづらかったんだよ!」
高岸「すみません! でも、本当に上手でした!」ニコッ
高岸「結果発表はすぐ始まりますが、休んでいてください!」
放クラ「はーい!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:34:31.24 ID:u+Y4MsNWO<>
・・・・・
スタッフ「では、本日のオーディションの結果を発表いたします」
ドンドコドコドコ……ドン!!
スタッフ「1位26ポイント、放課後クライマックスガールズ。2位24ポイント、エルビヨンド」
放クラ「やった! イェーイ!」ハイタッチ!
「やったね、えーちゃん!」
「なんで2位なのよ……!」
「……あれが放課後かー……」
スタッフ「以上になります。呼ばれなかった皆様は、残念ですがご希望に添いかねる結果となりましたこと、ご了承ください」
スタッフ「後ほど、1位と2位のマネージャーの方と収録の打ち合わせを行います。よろしくお願いします」
スタッフ「では……失礼します」
ガチャリ……
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:36:47.74 ID:u+Y4MsNWO<>
ワァァァァ……ウエェェェン……ドウシテ……ガンバッタノニ……
果穂「……っ」
高岸「良かったですね! 皆さん!」
夏葉「ええ……」
放クラ「……」シュン…
夏葉「……申し訳なさそうにするのは、一緒に戦った人達に失礼よね」
高岸「確かに、そうかもしれません……」
高岸「でも僕は、いつでも人を思いやれる、優しい放クラが大好きです!」
高岸「……喜びを分かち合うのは、事務所に帰ってからにしましょうか!」
果穂「……はいっ!」
樹里「ああ」
高岸「では、皆さんは帰り支度をしていてください!」
高岸「僕は、スタッフの方とお話をしてきます!」ダダッ
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:37:58.89 ID:u+Y4MsNWO<>
〜オーディション会場・廊下〜
高岸「えーと……打ち合わせ場所は、どこでしょうか」キョロキョロ
「こっちよ。オレンジの人」トントン
高岸「……! ありがとうございます!」クルッ
高岸「おや? あなた方は……」
「分からないの? アナタのアイドルの隣で踊ってたのに」
「えーちゃん……普通、自分の知り合い以外はそんなに見ないって」
「ボクたち、無名だしね……」
「今はね、い・ま・は!」
高岸「なるほど! 隣の……」
高岸「確か、エルビヨンドだ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:39:01.61 ID:u+Y4MsNWO<>
高岸「放クラに負けないくらい、素晴らしいパフォーマンスでした!」パァァ
エイル「何よ、ちゃ、ちゃんと覚えてるんじゃない」テレテレ
シイナ「エイル、照れてる……」
シイナ「あ、ボクはシイナ。こっちがエイルとラビィ」
ラビィ「えーちゃん、すぐに顔に出るからね〜……」
エイル「う、うるさいっ! 本名加奈子のくせに!」
ラビィ「それバラすのやめてよ〜!」ウルウル
高岸「あはは! 皆さんは、仲がいいんですね!」
シイナ「別に、良くはない……と思う」
高岸「ところで、皆さんのマネージャーさんは……」
エイル「そんなの、いないわよ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:39:52.21 ID:u+Y4MsNWO<>
高岸「えっ!」
ラビィ「私たち、セルフプロデュースなので……事務所には入ってますけど、活動自体は自分たちでやってます」
ラビィ「もちろん、大人の方に頼るときもありますけどね。なんだかんだいって高校生なので……」
高岸「それは……すごい!」パァァ
高岸「エルビヨンドさんは、自分が自分のマネージャーであり、プロデューサーなんですね!」
高岸(夏葉さんみたいだ!)
エイル「まあ、そういうことになるのかしら」
エイル「……ところで、アナタはマネージャーじゃなくてプロデューサーよね?」
エイル「どうしてここに……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:40:56.38 ID:u+Y4MsNWO<>
「──Hey, Yo! スマイルマン!」
「やっと見つけたわ。283プロダクションのプロデューサーさん♡」
「……と、エルビヨンドの子たち」
高岸「!」
シイナ「……オマケみたいな扱い」
エイル「ちょっと! いくらなんでも酷いわよ!」
高岸「……お二人は、イエローマンとブルーマン!」
高岸「初めまして!」ニコッ
エイル(この3人、キャラが濃すぎでしょ!)
エイル(私の印象が薄くなっちゃうじゃない!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:42:37.59 ID:u+Y4MsNWO<>
山崎「イエローマン、って失礼しちゃうわねっ」
軽口「レッドウーマン、別件で退場! スマイルマン、謁見に拝聴!」
高岸「僕に、お話がある、ということですか?」
エイル「私たちは?」
山崎「……良いわ、あなた達も聞きなさい」
山崎「今日のオーディションの得点、覚えてるかしら?」
ラビィ「はい! 放課後さんが26ポイント、私たちが24ポイントでした」
山崎「そう。1位と2位の差は、星2つ分……あなた達は、この差をどう考える?」
高岸「差、ですか」
エイル「アナタたち審査員がエコヒイキでもしなければ、実力差よね」
山崎「何ですって?」ピキッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:44:29.28 ID:u+Y4MsNWO<>
軽口「俺たちゃ、いつでも真剣に採点! W.I.N.G.で一番、マトモな配点!」
軽口「舐めてんじゃねーよ?」イェア
シイナ「でも満足したらオーディションの途中で帰っちゃうこともある、って聞いたしなー……」
軽口「それは反省、いつかは更生……」ソーリー…
ラビィ「せ、先生方を疑うのはやめようよ!」
エイル「……はぁ」
エイル「……分かってるわよ」
エイル「私たちより放課後のパフォーマンスの方が良かったことぐらい」
山崎「……あら、あんなに動きながら他人を見る余裕があったなんて、なかなか見所があるじゃない♡」
エイル「ふん……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:45:46.09 ID:u+Y4MsNWO<>
山崎「で、あなたは? オレンジマンさん」
高岸「僕は、皆さんに放クラの良さが分かってもらえたんだと、そう思っています!」
山崎「良さ、ね」
軽口「アマイぜ、スマイルマン!」
高岸「甘い……?」スンスン…
軽口「おい嗅いでんじゃねーぜ、匂いじゃねーぜ、俺のツッコミは皆伝だろうぜ?」
山崎「あ・な・た……自分のアイドルのこと、ちゃんと見れていないという自覚はある?」
高岸「ちゃんと、見れていない……?」
高岸「僕の視力は2.0ですよ!」ドンッ
エルビヨンド「……」
軽口「HAHA!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:47:24.93 ID:u+Y4MsNWO<>
山崎「正直な話、放課後とエルビヨンドの間には星4つ分の実力差があったのよ」
山崎「でも、ある理由で差が埋まってしまった……」
山崎「正確には、放課後が得るはずだった星が2つ減ってしまった」
ラビィ「実力差を埋めてしまうほどのマイナスポイントがあった、ということですか?」
山崎「ええ、その通りよ」
山崎「放課後には、アイドルとして必要なものが欠けていた。私たちはそれを見逃さなかった」
高岸(アイドルとして必要なものが、欠けていた?)
シイナ「どういうこと? 訳わかんないよ……」
シイナ「ていうか、審査員の人とこんな話していいの? ルールとかないの? ボクたち大丈夫?」アセアセ
山崎「問題ないわ、今はプライベートだし。それに、1位か2位の片方だけにアドバイスしている訳じゃない」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:51:06.04 ID:u+Y4MsNWO<>
エイル「ふーん……じゃあ、私たちにもご指導を頂こうじゃない」
エイル「ライバルにだけドンドン塩が送られている状況は、いくらなんでも見過ごせないわ」
ラビィ「……ライバル?」キョトン
山崎「そうね。軽口、お願い」
軽口「OK。俺がダンスの構成変更からレクチャーしてやるぜ。Come on!」タタッ…
ラビィ「あ、ありがとうございます。じゃあ私とシイナで聞いてくるね」タタッ…
エイル「ありがとう。任せるわよ」
山崎「……じゃあ、本題に戻りましょ」
山崎「実力……言い換えれば、鍛え上げた技術や持ち前のセンス、天性の美貌。それは相対的な価値でしかない」
山崎「なぜならW.I.N.G.は減点方式じゃなく、限られたポイントを奪い合う戦いだから」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:52:00.94 ID:u+Y4MsNWO<>
高岸「……?」ウーン?
エイル「アナタ……プロデューサーなのに、分かってなかったの?」
高岸「すみません!」
エイル「し、仕方ないわね……」
エイル「さっき、山崎……さんが言っていたでしょう? 『星』って」
高岸「はい! 覚えています!」
エイル「星がつまりポイントな訳だけど、実は星の総数は決まっているのよ」
エイル「ユニット毎に100点満点で採点する訳じゃないから、審査員が『より良い』と思ったユニットにしか星は入らないの」
高岸「なるほど! だから奪い合いなのですか! ありがとうございます」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:53:49.63 ID:u+Y4MsNWO<>
山崎「分かったかしら? 相対的な価値、という意味が」
山崎「誰かより上手い、誰かより優れている、誰かより綺麗……じゃあ、6組全員が同じレベルで並び立ったら?」
高岸「……!」ピコーン
高岸「甲子園は、みんながハイレベル……技術やセンスだけでは、勝敗は決まらない!」
山崎「あえてツッコまないけれど……野球で例えたら、その通りね」
山崎「つまり決勝に近づくほど、今の放課後が持ち合わせている星4つ分のリードは価値を失っていくの」
山崎「……もちろんそれは、どのユニットも一緒。ね?」
エイル「……ええ」
エイル「だから相対的な価値じゃなく、絶対的な魅力があれば良いんでしょう? なぜなら……」
エイル「W.I.N.G.の決勝は、審査と──観客の投票で優勝が決まるから」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:56:40.63 ID:u+Y4MsNWO<>
高岸「えっ! そうなのですか?!」
エイル「……これも知らなかったのね」
山崎「ふふ♡ とはいえ、今から決勝の心配をする意味はないわ」
山崎「今の放課後は、ちょっと足が早い程度のウサギさん……」
山崎「途中で居眠りどころか、W.I.N.G.決勝にたどり着くことさえ叶わないのだし」
高岸「それはやっぱり、『何か』が足りていないからですか?」
山崎「そう。アイドルにとって最も基本的で、最も必要なものが」
高岸(……分からない)
高岸(『何か』ってなんだろう?)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 22:58:02.23 ID:u+Y4MsNWO<>
山崎「オンエアをしっかり見ることね、プロデューサーさん」
山崎「……アイドルの世界は、綺麗事では生き残れない。シビアな戦いを勝ち抜くには、あなたが頑張らないと」
高岸「……はい!」
山崎「じゃあ、私は行くわ。二人とも、またオーディションで会えることを願っているわよぉ〜♡」チュッ
スタスタ……スタスタスタ……
エイル「……入れ替わりで帰ってきた」
高岸「おかえりなさい!」
軽口「I'm back…」
ラビィ「えーちゃん、プロデューサーさん、ただいま戻りました」
シイナ「これ、メモ。後で動画も事務所に送ってくれるって……」
エイル「ふーん。思いのほか親切なのね……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:01:13.37 ID:u+Y4MsNWO<>
軽口「──暗い顔だな、スマイルマン!」
軽口「山崎のアドバイス! いつも的確、マジでヤバイ! でもお前にゃデスボイス?」
高岸「……はい。録音した自分の声を、初めて聞いた時よりも、キツかったです」
高岸「それに……大事なことに気づけていない自分が、情けない……!」
高岸「でも……」
軽口「……?」
高岸「僕は、彼女たちのプロデューサーですから! 絶対に、W.I.N.G.決勝まで一緒に行きたいです!」ニコッ
エイル「……!」
高岸「だから、頂いた課題も、絶対に乗り越えてみせます!」パァァ
軽口「Fooh……」ニヤリ
軽口「Good luck, スマイルマン!」
軽口「お前なら、課題もクリアできるさ」フリフリ
スタスタ……
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:02:44.62 ID:u+Y4MsNWO<>
エイル「……」
エイル「ねえ、放課後のプロデューサー」
高岸「はい!」
エイル「アナタの連絡先、教えなさいよ。あとで動画送るから」
高岸「えっ!?」ビクッ
ラビィ「えーちゃん?!」ビックリ
エイル「何をそんなに驚いてるの? 今のままじゃフェアじゃないのだから、当然でしょ?」
シイナ「敵に塩が〜、とか言ってたの自分なのに……」
シイナ「これ敗北フラグだよ絶対……」
エイル「うるさい。ほら、早くしなさいよ」
高岸「えっと、では名刺を……」スッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:04:16.24 ID:u+Y4MsNWO<>
エイル「高岸……うん、覚えた」コクリ
エイル「──私たちのことも覚えておきなさいよ、高岸!」
エイル「そして次のオーディションでは、正々堂々、私たちが1位をとってやるんだから!」ドンッ
高岸「はい! 頑張ってください! 僕は、応援していますよ!」グッ
エイル「……いや、あなたは自分のアイドルを応援しなさいよ!」ビシッ
シイナ「高岸さんって面白いね……」
高岸「ありがとうございます!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:05:11.23 ID:u+Y4MsNWO<>
エイル「……何だか肩透かしを食った感じだけど」
エイル「また会いましょう! 行くわよ、2人とも!」クルッ
ラビィ「行くって、えーちゃん……私たち、打ち合わせに来たんだよ?」
エイル「ぁ……っ」カーッ
シイナ「顔赤っ」
高岸「あはは!」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1,052人
一回目の審査まで あと999→0人
W.I.N.G.本戦まで あと28→25週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:06:14.97 ID:u+Y4MsNWO<>
〜後日・ネット掲示板〜
【新人】明日のアイドル一番星・反省会★2【発掘】
1:774プロダクション@夢いっぱい
無かったので
※前スレ:http://pigeon.5ch.net/…
2:774プロダクション@夢いっぱい
見てなかったがどうだったん
3:774プロダクション@夢いっぱい
両方のセンターが可愛かったんだ🥰
4:774プロダクション@夢いっぱい
どっちも並
でも光るものもあった
5:774プロダクション@夢いっぱい
お前らちゃんとWINGの投票したか
俺はアプリすら入れてなかったから焦った
6:774プロダクション@夢いっぱい
したぞ
7:774プロダクション@夢いっぱい
1スレ完走とかヤバい
キャプ画貼りまくりだったが
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:07:35.21 ID:u+Y4MsNWO<>
8:774プロダクション@夢いっぱい
283プロ=翼は分かるが
109プロって何だ?東急か?
9:774プロダクション@夢いっぱい
凜世ちゃんとかシーナちゃんみたいな
無気力系しゅきしゅき
生まれてきてくれてありがとう😊
10:774プロダクション@夢いっぱい
凛世とシイナな
11:774プロダクション@夢いっぱい
キャラならともかく、元気な方が良いな俺は
12:774プロダクション@夢いっぱい
前スレに貼られてた奴
放クラのピンク↓
https://twista.com/houkago_climax_pink
エルビヨンドのシイナ↓
https://twista.com/ell_beyond_Shiina
13:774プロダクション@夢いっぱい
>8
109は東急で正解
エルビヨンドはこの前
一日駅長しててめっちゃ可愛かった
14:774プロダクション@夢いっぱい
略称放クラか
放課後呼びしてた
15:774プロダクション@夢いっぱい
>12
ピンクって武士キャラなの?
16:774プロダクション@夢いっぱい
>13
東急もアイドル事業に参入したのか…
さすがアイドル戦国時代
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:08:44.87 ID:u+Y4MsNWO<>
17:774プロダクション@夢いっぱい
武士で草
18:774プロダクション@夢いっぱい
ピンクフォロー確定
19:774プロダクション@夢いっぱい
他のメンバーもツイ垢作れ
20:774プロダクション@夢いっぱい
放クラは素人同然
カメラの前で笑えないのもマズい
クール系ユニットじゃないだろし尚更
21:774プロダクション@夢いっぱい
エルビヨンドは
略すとしたらLBとかになるのかな
22:774プロダクション@夢いっぱい
放課後ってことは学校でライブとかある?
学祭で夢咲き聞きたい
23:774プロダクション@夢いっぱい
まあトークとかはこれからだろうよ
24:774プロダクション@夢いっぱい
グリーンだけ大人?
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:09:56.95 ID:u+Y4MsNWO<>
25:774プロダクション@夢いっぱい
>20
全然楽しそうじゃなかったのは残念
26:774プロダクション@夢いっぱい
イエローはうちの娘の推しです
27:774プロダクション@夢いっぱい
色で喋るな
戦隊モノかよ
28:774プロダクション@夢いっぱい
>25
緊張してたんだろ…新人だぞ?
29:774プロダクション@夢いっぱい
これからコイツらの時代が来る
俺には分かる
30:774プロダクション@夢いっぱい
エイルが噛んだ時のラビィのフォローワロタ
・・・・・
<15話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/20(火) 23:12:06.42 ID:u+Y4MsNWO<>
バトル漫画の解説回並に長くクドくなってしまった
すみません…
次回は後日更新します!よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/20(火) 23:20:57.87 ID:xO6GCpVfo<> 乙乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/21(水) 01:15:07.67 ID:I56vpEvWo<> 一発ネタかと思ったけどストーリーちゃんとしてるな…すまん侮ってた
ティンディ見るわ
おつ <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/21(水) 01:15:38.28 ID:I56vpEvWo<> ティモンディだ <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/23(金) 23:53:47.70 ID:MEATrBFOO<> 乙ありがとうございます!
そう言ってもらえて嬉しいです!頑張って考えた甲斐があります
ティモンディのTwitterもYouTubeも面白いのでぜひ!
16話更新します! <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/23(金) 23:54:50.68 ID:MEATrBFOO<>
<16話・DON'T BE SHY>
〜283プロダクション・事務所〜
凛世「……」カキカキ
凛世「……」カキカキ…
果穂「凛世さん……終わりましたっ」
凛世「……はい」
凛世「では、いざ……」スッ…
果穂「……」ジーッ
凛世「……」
果穂「……」ドキドキ
凛世「……」ペラ…
果穂「……っ」ビクッ
凛世「……」
果穂「……」ドキドキ
凛世「……ふふ」コクリ
果穂「……!」
凛世「お見事で、ございます……」ニコッ
凛世「では、花丸を……」キュキュッ
果穂「わぁー! やったー!」パァァ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/23(金) 23:56:38.19 ID:MEATrBFOO<>
凛世「果穂さんは……お勉強も、得意なのですね」
果穂「えへへ」
果穂「凛世さんに教えてもらったので、分からないところも簡単に解けちゃいました!」
凛世「いえ……凛世は、何も……」
果穂「そんなことありません!」
凛世「……!」
凛世「ふふ……」
凛世「果穂さんは、飲み込みが早く……とても、教え甲斐がありました」
果穂「ふふふっ、ありがとうございますっ!」
果穂「あたし、次は算数の宿題を頑張ります!」
凛世「果穂さんなら、やれば、できます……」ギュッ
凛世「凛世も……見ていますから」ニコッ
果穂「はいっ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/23(金) 23:57:54.37 ID:MEATrBFOO<>
凛世「……」カキカキ
果穂「……あの、凛世さん」
凛世「はい……」
果穂「凛世さんは、何を書いてるんですか?」
凛世「これは、手紙でございます……」
果穂「お手紙……?」
凛世「凛世の父母と、姉様に向けて……したためております」
果穂「お父さんとお母さんとお姉さん、ですか?」
凛世「はい……」
凛世「凛世は、しばしば……実家や姉様に、手紙を送るのです……」
凛世「今日は、この間のオーディションのことや……日々のあれこれ……」
凛世「そして、放クラの皆さまのことを……」
果穂「……あたしのことも!」
凛世「ふふ……」
凛世「とても元気なこと、誰にでも優しいこと、ヒーローがお好きなこと……」
凛世「果穂さんのことを書くと……楽しい気持ちが、あふれて参ります……」
果穂「そうなんですか! えへへ」テレテレ
果穂「……あ、あたしも」
凛世「……?」
果穂「誰かにお手紙、書いてみようかな……」
凛世「……!」
凛世「はい」ニコニコ
凛世「ぜひ……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/23(金) 23:59:10.69 ID:MEATrBFOO<>
ガチャリ
樹里「おはようございまーす」
凛世「おはようございます」
果穂「樹里ちゃん! おはようございます!」
樹里「二人だけか?」
凛世「はい……プロデューサーさまは、社長さまとお話を……」
果穂「ちょこ先輩は電車で移動中で、夏葉さんはもうすぐ着くそうです!」
果穂「って、プロデューサーさんが言ってました!」
樹里「そっか。二人は何してたんだ?」
果穂「あたしの学校の宿題を凛世さんに見てもらってました!」
樹里「へぇ……どれどれ……?」
樹里「おー……全部当たってる。さすが、アタシらの果穂は優秀だな!」ナデナデ
果穂「わぁー! 樹里ちゃん、くしゃくしゃしないでくださいー!」ニコニコ
樹里「へへっ」ナデナデ
凛世「ふふ……」ニコニコ
樹里(そういや、今日のレッスンは何やるんだったかな)
樹里(……?)
樹里(ホワイトボードのスケジュール表、更新されてる……)ジーッ
樹里(……って)
樹里「──はあぁっ?!」
凛世・果穂「?」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:00:32.77 ID:ld2ZwCvNO<>
〜283プロダクション・社長室〜
高岸「失礼します!」ガチャリ
天井「……お前か。座れ」
高岸「アイヤァ〜!」ストン
天井「床に座……」
天井(ちゃんと椅子に座っている、だと?)
天井「……ひとまず、1次審査の突破おめでとう。よくやった」
高岸「ありがとうございます! 放クラのみんなが、頑張った成果です!」
高岸「僕ではなく、みんなを、褒めてあげてください!」パァァ
天井「ふっ。相変わらずだな」
天井「……こうしてお前と話をするのも、久しぶりのような気がするな」
高岸「社長がお忙しい身ですし……放クラも、ありがたいことに、仕事が増えましたから!」
天井「ああ。それはお前の報告書からも把握している」
天井「ところで……」ペラ…
天井「この間のオーディションの報告書だが……『審査員の山崎さんや軽口さんから、多くの御指導を賜り〜』……」
天井「……なんだこれは」
高岸「はい! お二人から、プロデューサーとしてのアドバイスや、課題を頂きまして……」
高岸「『放クラには、アイドルとして足りないものがある』と」
天井「そういったことはコレに書かずとも良い」
高岸「そうなのですか! すみません」
天井「まぁ、いいだろう。それで……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:01:42.76 ID:ld2ZwCvNO<>
天井「お前はその『課題』について、どう思う?」
高岸「はい! オンエアを見て、僕にも分かりました!」
高岸「放クラのみんなは、いつも素敵な笑顔を見せてくれているのに」
高岸「テレビの中のみんなは、全然、笑っていませんでした……」
天井「『課題』は、笑顔か」
天井「……」
天井「……単純なように見えて、根深い問題だな」
高岸「はい」
天井「それで。お前はどうしたい?」
高岸「僕は……」
高岸「みんなに、笑っていて欲しいです!」
高岸「テレビの前の人々にも、放クラのみんなの良いところを、知って欲しい!」ニコッ
天井「アイドルは人々の前で笑顔を振りまくのが仕事だ」
天井「それが出来ないならW.I.N.G.で勝ち残ることはおろか、アイドルを続けることも難しいだろう」
高岸「……同じことを、山崎さんもおっしゃっていました!」
高岸「でも、僕には……無理にでも笑え、なんて言えません!」
天井「……ふん」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:02:48.35 ID:ld2ZwCvNO<>
天井「やれば、できる。これはお前のフレーズだろう?」ビシッ
高岸「はい! でも、違うんです!」
天井「……何が違う」
高岸「僕はみんなに、挑戦を楽しみながら、ベストを尽くして欲しい!」
高岸「その先に、『やってみたら、できた!』という、幸せな結果が待っている!」
高岸「そういう意味を、込めているんです!」グッ
天井「……なるほど。ならば、現実としてどうする?」
高岸「みんなが笑えるように、僕がなんとかしてみせます!」
天井「ほう……」ニヤリ
天井(お前ならそう来ると思っていた……が)
天井「高岸……それは所謂、修羅の道だ。お前にとって良い結果を招くとは限らないぞ」
天井「それに……私との『約束』もあることを忘れるな」
高岸「『W.I.N.G.で優勝できなければ、僕はみんなのプロデューサーを、辞めなければならない』……」
高岸「忘れていませんよ!」ニコニコ
天井「……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:04:01.01 ID:ld2ZwCvNO<>
天井(……自分が辞めることなど、微塵も恐れていない……それほどまでに、彼女たちを……)
天井(お前の覚悟は、揺るがないのだな)
天井「……そうか」
天井「さて……私は知っての通り、甘くはない」
天井「だが試練だけを与えるのは、私の好むやり方ではない」
天井「それに、件の2人……いや、3人には……私も浅からぬ因縁がある……」ボソリ
高岸「……?」
天井「高岸、私からのアドバイスだ」
高岸「はい!」
天井「お前の初心を思い出せ」
高岸「僕の、初心……?」
天井「そうだ。面接、スカウト……」
天井「ただひたすらにお前らしく突き進んでいた頃を」
天井「今のお前は、あの頃に比べて少し…………」
高岸「……社長?」キョトン
天井「いや……何でもない。忘れろ」
天井「考えるな、とは言わない。ただ、お前の持つ愚直なまでの真摯さが、お前の進む道には必要だろう」
高岸「僕の、真摯さ……」
天井「そうだ。今まで通り、ひたむきにアイドルと向き合い続けるんだ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:05:11.89 ID:ld2ZwCvNO<>
天井「そして……お前に限ってはありえないが……アイドルをコントロールしようとはするな」
天井「……理解したか?」
高岸「はい!」
天井「ならいい。分かったなら、さっさと行け」
高岸「はい!! ありがとうございました!」
ガチャリ……シーン……
天井「『アイドルをコントロールしようとはするな』……」
天井「よもや私の口から、あんな言葉が出てこようとはな……」
タバコ……トリダシ……カチッ……ボッ……
天井「……」スパー…
天井(高岸……お前なら、この試練を乗り越えられる)
天井(不思議だが、そんな確信があるのだ……)
天井「ふっ……」
天井「私は……夢を見ているのか。アイツに……」
『ごめんなさい……プロデューサー……っ……!』
天井「……」
天井「あの時、壊れてしまった夢を……」
天井「……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:06:52.27 ID:ld2ZwCvNO<>
〜283プロダクション・事務所〜
高岸「ただいま戻りました!」ガチャリ
凛世・果穂「おかえりなさい」
樹里「──プロデューサー!」
高岸「はい!」
樹里「なんだよ、アレ!」ユビサシ
高岸「アレ?」
高岸「……ああ! 取材のことですね! 今朝電話があって……」
樹里「ち、ちげーよ!」
樹里「あ、いや、それも気になるけど……夜市の話だっ!」
高岸「なるほど!」
高岸「樹里さん達が喜ぶと思って、商店街の皆さんと、以前からお話ししていたんです!」
高岸「それで、やっと話がまとまって」
高岸「夜市で行われるミニライブの、前座をやらせていただけることになりました!」
樹里(プロデューサーが、アタシらの為に……)
果穂「ライブ……!」キラキラ
凛世「商店街の、みなさまの前で……」キラキラ
高岸「もしかして、嫌でしたか?」
樹里「い、嫌じゃねーけど……」
樹里「急だったから、ビックリしたっつーか……」ボソリ
高岸「すみません」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:07:56.84 ID:ld2ZwCvNO<>
果穂「……プロデューサーさん」
高岸「はい! 何ですか? 果穂さん」
果穂「プロデューサーさんが帰ってくる前、樹里ちゃん、スゴく嬉しそうにしてました!」
樹里「──か、果穂!」
果穂「ふふっ、くしゃくしゃのお返しです!」ニコニコ
凛世「ふふ」ニコニコ
樹里「……っ」カァッ
高岸「喜んでくれたなら、良かった!」パァァ
樹里「あーもうっ!」バッ
樹里「プロデューサー!」
高岸「はい!」
樹里「……アタシが、商店街のみんなに世話になってることも知ってるだろ?」
樹里「アンタはあそこの人気者だしな」
高岸「樹里さんほどではないですよ!」ニコニコ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:08:40.69 ID:ld2ZwCvNO<>
樹里「っ……ともかく!」
樹里「やるからには、全力だからな」グッ
高岸「……はい!」
高岸「もちろんです!」ニコッ
凛世「プロデューサーさま……」
凛世「……凛世も、商店街のみなさまに……日々の恩返しをしたく……」
高岸「はい! 一緒に頑張りましょう!」グッ
凛世「……!」ニコニコ
果穂「プロデューサーさん! あたしも!」
高岸「はい! もちろん、果穂さんの力も必要です!」
高岸「みんなで、夜市を!」
高岸「リオのカーニバルよりも、盛り上げてみせましょう!」
高岸「僕たちなら、やれば、できる!」サンバ!
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉1,052人
二回目の審査まで あと8,948人
W.I.N.G.本戦まで あと25→24週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<16話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/24(土) 00:09:11.41 ID:ld2ZwCvNO<>
次回は後日です! よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/24(土) 10:37:16.02 ID:xtt+3QfBo<> おつー
シャニマス全然知らんので申し訳無いけど社長は何処までオリジナル要素なんです? <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/24(土) 13:22:14.72 ID:y6vZ2xXko<> 乙乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/26(月) 21:33:13.41 ID:RLJ0UJj6O<> 乙ありです! お待たせしてすみません
社長まわりの設定に関しては、
・W.I.N.G.編で負けたり途中審査をクリアできなかったりするとその時点でプロデュースが終わり、というシステム的な部分
・アイドルの個性を大事にし、会社やプロデューサーの方針をアイドルに押し付けないという信念
・過去にアイドルのプロデューサーをしておりそれなりに実績を残したが、大きなすれ違いを経てアイドルが引退するという過去
この辺りが公式からパクっているもので、あまりブレないように注意しています!
余談ですが、対照的に放クラメンバーと高岸はだいぶブレてるので、今までの文章を読み返しながら自分でも葛藤してます。でも開き直って書きます!
「こんな雰囲気のキャラクターなんだな」ぐらいに読んでもらえたら嬉しいです <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:34:30.55 ID:RLJ0UJj6O<>
<17話・高鳴ってる、ざわめいてる>
〜283プロダクション・レッスンルーム〜
智代子「……なるほど」
智代子「商店街のために、夜市を盛り上げたいと」
樹里「……頼む。チョコと夏葉にも、手伝ってほしいんだ」
夏葉「そんなに深刻そうな顔をしなくていいのよ、樹里」
夏葉「私たちは仲間なんだから」
智代子「そうだよ! 樹里ちゃん!」
智代子「ライブもあるんだったら、頑張るのは当たり前だもん!」
樹里「……サンキューな、二人とも」ニッ
夏葉「うふふっ。それに……」
夏葉「樹里と凛世がいつもお世話になっている方々に、お礼をしないといけないものね!」
智代子「ふふっ! そうだね!」ニコニコ
凛世「凛世たちのために……ありがとうございます……」ペコリ
樹里「そ、そういうお節介はいらねーよ」
果穂「それで、あたし達は何をしたらいいんでしょう?」
智代子「そこだよね〜……うーん……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:35:20.53 ID:RLJ0UJj6O<>
凛世「お店のお手伝いは、いかがでしょう……?」
樹里「売り子なら、たぶん手伝わせてくれるだろけど」
夏葉「名案ね!」
樹里「オッケー。手伝わせてくれるとこがないか、あとで聞いて回るとして……」
果穂「ライブの宣伝をして、いっぱい見に来てもらいましょう!」
智代子「私たちが広告塔になるってことだね! 賛成!」
樹里「宣伝か……どうすりゃ良いかな」
みんな「うーん……」
夏葉「私にひとつ、考えがあるわ」
樹里「なんだ?」
夏葉「簡単なことよ。私たちのファンを増やせばいいの!」
凛世「なるほど……ファンの皆さまに、来ていただくと……」
智代子「──あっ! それなら私もアイディアがあるよ!」
智代子「あのね、だいぶ前からやってる私のツイスタなんだけど……」
智代子「最近、すっごくフォロワーが増えてるんだ! みんな放クラのピンクで覚えてくれて……」
凛世「ふふ……凛世も、拝見しております」
夏葉「私も見ているわよ。智代子は写真を撮るのがとても上手だから、参考にさせてもらっているの」
果穂「あたしも! プロデューサーさんのスマホを借りて見てます!」
果穂「ちょこ先輩のツイスタは、放クラのアルバムみたいで大好きですっ!」ニコニコ
智代子「三人とも、ありがとう! えへへ」テレテレ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:36:42.45 ID:RLJ0UJj6O<>
樹里「チョコ……」
樹里「……ふぉろわー、ってなんだ?」
智代子「私のツイスタを見てくれてる人、って意味だよ!」
樹里「なるほど……悪い、水差しちまったな」
智代子「そんなことないよ、樹里ちゃん! それでね……」
智代子「ツイスタで夜市の宣伝をしたら良いんじゃないかなー、って」
夏葉「あら、素敵じゃない!」
智代子「でしょ!」
果穂「あたしもやりたいです!」キラキラ
智代子「うん! 一緒にやろう、果穂!」ニコッ
凛世「……樹里さん」
樹里「ああ」コクリ
樹里「……みんな、ありがとな」
凛世「ありがとうございます……」
樹里「とりあえず整理すると、当日の売り子とツイスタでの宣伝、そしてファンを増やす……」
樹里「順番的には、アタシらのファンになってもらって、ツイスタを見てもらって、当日来てもらうって感じになると思う」
みんな「……」コクリ
樹里「だからまずは……デカいオーディションを受けて、またテレビに出たい」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:37:34.63 ID:RLJ0UJj6O<>
夏葉「ええ。プロデューサーには私から頼んでおくわ」
智代子「オーディションに出るなら、レッスンも頑張らないとだね!」
果穂「やることがいっぱいで、ワクワクしてきましたー!」
樹里「……」
智代子「樹里ちゃん」
樹里「な、泣いてねーよ」
智代子「何も言ってないよっ!?」ドキッ
凛世「ふふ……」
夏葉「泣くにはまだまだ早いわよ!」
樹里「だから泣いてねー!」
果穂「ふふふっ!」
果穂「樹里ちゃんと、凛世さんのためにも!」
果穂「みんなでがんばりましょー!」
みんな「おー!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:38:28.09 ID:RLJ0UJj6O<>
智代子「……じゃあ、話がまとまったところで休憩再開ーっ!」
智代子「今日はね、美味しいチョコレートをみんなと食べようって……」ゴソゴソ
トレーナー「──話は聞かせてもらったわよ!」バンッ
智代子「……先生っ?!」ビックリ
トレーナー「オーディションを受けるなら、そのぶん私も気合い入れていくから」
トレーナー「覚悟決めて食らいついてきなさい!」
みんな「はーい!」
智代子「お菓子タイムが……」
凛世「ふふ……」
凛世「頑張ったあとのチョコは……なおさら格別でございます……智代子さん」ニコニコ
智代子「チョコだけにね……っ!」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:39:13.57 ID:RLJ0UJj6O<>
夏葉「どんな……憧れも……」タタッ
夏葉「全部……叶える〜♪……」キュキュッ
ガチャリ……
高岸「失礼します」
高岸「……!」
夏葉「あら、プロデューサー」スタ…
高岸「すみません、邪魔してしまいましたか?」
夏葉「うふふっ、そんなことないわよ」アセダク
高岸「それなら良かったです。ドリンクを、どうぞ!」スッ
夏葉「ありがとう」
夏葉「……」ゴクゴク
高岸「……」
高岸「今日もこんなに遅くまで、一人で居残り練習ですか?」
夏葉「ええ。夢は銀河一のアイドルだもの、立ち止まっていられないわ」
夏葉「……他の四人を揶揄しているつもりはないわよ?」
高岸「分かっていますよ!」
夏葉「……そう」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:40:47.01 ID:RLJ0UJj6O<>
高岸「……」
高岸「……夏葉さん、無理してはいませんか?」
夏葉「プロデューサーには、私が無理しているように見えるの?」
高岸「とても、頑張っているように見えます!」
夏葉「……やって当たり前のことをしているだけよ」
高岸「そんなことありませんよ!」
高岸「僕には見える! あなたの流した汗が、努力という名の、湖を作っているのが!」
高岸「その努力湖がいつか努力海になったとき、とても綺麗な日の出が、見られるはずです!」パァァ
夏葉「……!」
高岸「でも……それとは別に、心配もしているんです!」
高岸「太陽はいつだって、自分のペースで昇って、自分のペースで沈みます」
高岸「太陽のように熱いあなただから、自分のペースを守って、頑張ってほしい!」
夏葉「ふふっ……ありがとう」
夏葉(そんなことを言ってくれるのは……アナタだけね)
夏葉(外からは、私たちの努力の「結果」しか見えないのに……)
夏葉「でも、プロデューサー。本当に心配は要らないの」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:42:48.51 ID:RLJ0UJj6O<>
夏葉「実はこの居残りもね、私のスケジュールに含めてあるのよ?」
夏葉「アナタも知っている通り、みんなのレッスンのスケジュールは私が管理しているけれど」
夏葉「アナタに咎められたあの日から……私のスケジュールも、先生にちゃんと指導を受けているわ」
高岸「そうだったんですか」
夏葉「ええ。だから……」
夏葉「私は、大丈夫」グッ
高岸「……はい!」
夏葉「……それよりも。プロデューサー」
夏葉「これは何?」ピトッ…
高岸「えっ?」
夏葉「クマ、出来てるわよ。私よりアナタの方が無理してるんじゃないかしら?」
高岸「そんなことないですよ! 毎日夜10時には、しっかり寝ています!」
夏葉「……うふふっ。もう……」
夏葉「どんなに忙しくても、睡眠はしっかりとること」
夏葉「私たちのためとはいえ、アナタが無理をしているのなら見過ごせないわ」
夏葉「……それとも、私がアナタのスケジュールを管理してあげたほうがいいのかしら?」
高岸「いえ、大丈夫ですよ!」アセアセ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:44:21.00 ID:RLJ0UJj6O<>
夏葉(こんなこと、私が言えた義理ではないわね……)
夏葉(だからといって……無理がどうのと言っていられる場合でもない)
夏葉(私は、一番にならなければならないのだから)
天井『もし放課後クライマックスガールズが優勝できなかった場合……』
天井『お前にはプロデューサーを退職してもらう』
高岸『はい! 僕は、彼女たちを信じていますから! 大丈夫です!』
天井『ふん。覚悟はできているようだな』
夏葉(……)
夏葉(私は、W.I.N.G.で優勝しなければならないのだから)
夏葉(次のオーディションも負けられない)
果穂『でも、本番になったら、息が苦しくなっちゃって……声もっ、出なくて──!』
果穂『だから、ごめんなさい……!』
果穂『うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁん……』
夏葉(っ……)
夏葉(もうみんなに負担はかけられない)
夏葉(……頑張るしかないのよ、有栖川夏葉)
夏葉(私ができることを、限界までやるしかない)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:45:23.99 ID:RLJ0UJj6O<>
夏葉「……」ニコッ
夏葉「ねえ、プロデューサー」
高岸「はい!」
夏葉「今日、みんなと話し合ったの」
夏葉「夜市を盛り上げるために、私たちに何ができるかって」
高岸「僕ももちろん、お手伝いしますよ!」
夏葉「ありがとう。それでね、夜市の前に大きなオーディションに出てみようって案が出たのよ」
夏葉「……正確には、私が言い出したのだけれど」
高岸「オーディションですか!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:46:19.75 ID:RLJ0UJj6O<>
・・・・・
山崎『今の放課後は、ちょっと足が早い程度のウサギさん……』
山崎『途中で居眠りどころか、W.I.N.G.決勝にたどり着くことさえ叶わないのだし』
高岸『それはやっぱり、『何か』が足りていないからですか?』
山崎『そう。アイドルにとって最も基本的で、最も必要なものが』
高岸(……僕の出した答えは、みんなの笑顔)
高岸(でも、これが山崎さんの課題の答えなのか、確証はない)
天井『アイドルは人々の前で笑顔を振りまくのが仕事だ』
天井『それが出来ないならW.I.N.G.で勝ち残ることはおろか、アイドルを続けることも難しいだろう』
高岸(……課題はまだ、乗り越えられていない)
夏葉『私たちは……出来るかどうか、なんて考えなくていい』
夏葉『とにかく、ひたすら、やってみる。それだけでいいのよ!』
高岸(……!)
高岸(そうだ……)
高岸(夜市のために、みんなが前向きになっているんだ)
高岸(やれば、できる!)
高岸(勝ち負けなんかよりも、みんなの挑戦したい気持ちを、大事にしていこう!)
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:47:07.84 ID:RLJ0UJj6O<>
夏葉「ファンが増えたら、私たちを見るために夜市に来てくれる人が増えるかもしれないでしょう?」
夏葉「……どうかしら?」
高岸「……」ニコッ
高岸「はい! 僕も賛成です!」
高岸「この間よりも、大きなオーディション! 受けましょう!」
高岸「放クラなら、やれば、できます!」パァァ
夏葉「ええ! やってみせるわ!」
夏葉「だから、ちゃんと見ていてちょうだい」
高岸「はい! もちろんです!」
夏葉「うふふっ! じゃあ居残り練習も、もう少し付き合ってもらおうかしら?」
高岸「任せてください!」
高岸「──そうだ! 歌は僕が歌いましょうか?」ピコーン
高岸「セザッウィーン! いこう♪」
高岸「今、羽ばたく時間〜♪」エクセレント!
夏葉「あら、プロデューサーは歌も上手なのね」
高岸「ありがとうございます!」
高岸「ちなみに僕の十八番は、上を向いて歩こう、です!」ドンッ
<17話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/26(月) 21:47:48.63 ID:RLJ0UJj6O<>
次回は水曜日に更新します! よろしくお願いします!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/26(月) 21:51:28.77 ID:XB3fWnqho<> 乙乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/10/28(水) 19:14:49.79 ID:uV0iKxtAO<>
乙ありです!
18話、更新します!
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:15:47.54 ID:uV0iKxtAO<>
<18話・全員で存分にハイテンション>
〜オーディション会場・廊下〜
夏葉「……じゃあ、プロデューサー。楽屋挨拶、行ってくるわね」
高岸「はい! 審査員の皆さんにも、放クラの笑顔と元気を、わけてあげてください!」
果穂「はいっ! 行ってきます!」ニコッ
放クラ「……」フリフリ
スタスタ……
高岸「……」フリフリ
エイル(……)コソコソ
ラビィ「えーちゃん、何してるの……」ヒソヒソ
シイナ「ストーカー」ヒソヒソ
エイル「違うわよ! あ、こっち来る!」ヒソヒソ
タタッ
エイル「──あら! 偶然ね、高岸!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:17:18.87 ID:uV0iKxtAO<>
高岸「エイルさん! エルビヨンドのみなさんも、このオーディションを受けるんですね!」
エイル「ええ、そうよ。再戦の機会は意外と早く訪れたってワケね」
エイル「やっぱり私たちは運命のライバル……」
シイナ「まあ、ここで高岸さんと会ったのは完全に意図的なんだけど」
エイル「や、やめっ!」
ラビィ「あ、あはは……すみません、相変わらずこんな感じで……」
高岸「仲が良くて、素敵なチームだと、僕は思いますよ!」パァァ
ラビィ「そんな……ありがとうございます」テレテレ
エイル「……こほん」
エイル「ところで、高岸……この間私が送った動画は、ちゃんと役に立ったのかしら?」
高岸「はい! おかげでレッスンの質というか、レベルが上がった気がします!」
エイル「そう。それなら良かったわ」
エイル「相手が強くなきゃ、叩きのめす甲斐もないってモノよ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:18:49.37 ID:uV0iKxtAO<>
シイナ「いい加減、そのビッグマウスもやめて欲しいんだけどなー」
シイナ「付き合うほうもしんどい……」ゲッソリ
高岸「……?」ジロジロ
シイナ「な、なに……ボクの顔に何か……?」ビクッ
高岸「皆さん、少し目が赤いような……充血、ですか? 大丈夫ですか?」
エイル「!」
ラビィ「……高岸さん、すごいですね」
ラビィ「実を言うと、今日のために睡眠時間を削って練習してきたんです」
ラビィ「それに……何度かオーディションも受けて、ファン人数も7000人を突破しました!」
高岸「それは、すごい! 頑張ってきたんですね!」
シイナ「めちゃくちゃ大変だった……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:19:28.15 ID:uV0iKxtAO<>
エイル「……まったく、なんでそんな目ざといのよ」
高岸「野球好きは目が良いので!」グッ
シイナ「あー……なるほど」
エイル「納得するな!」
高岸「……みなさん、それぐらい気合いを入れてきた、ということですね!」
エイル「まあ、そうね。今日は公開オーディションだし」
エイル「お客の前でみっともないステージはできないから」
シイナ「……」コクリ
ラビィ「そうだね」グッ
高岸「はい! お互い、ベストを尽くして戦いましょう!」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:20:36.45 ID:uV0iKxtAO<>
〜オーディション会場・ステージ〜
ガヤガヤ……ザワザワ……
観客A「……え? アイドル、生で見れないの?」
観客B「ああ。会場そのものがステージみたいなもんでさ」
観客B「ドームとかのセンターステージ形式に似てるけど、客席はないんだよ。ドームほど広くないから」
観客B「つってもここはステージ裏だから声は聞こえるし、デカいモニターはあるし、ライブビューイングみたいなもんだな」
観客B「……てか、ちゃんと説明あったはずだけど」
観客A「なんだよ〜、せっかく抽選当たったのに……」ガッカリ
観客B「無料じゃ文句言えねーって」
観客A「……そんなもんかぁ。テンション下がるなぁ」
観客B「シーッ……始まるぞ」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:22:08.65 ID:uV0iKxtAO<>
智代子「……うぅ〜……」ブルブル
夏葉「智代子、緊張しているの?」
智代子「む、武者震いだよ!」
智代子「……って言いたいところだけど、ダメだ〜。足震えてるよ、あはは……」ガクガク
樹里「実はアタシもだ。2回目でも慣れないもんだな……」
智代子「うん……それに、今日はお客さんも見てるんだもんね……」
樹里「ああ……凛世は、落ち着いてんな」
凛世「いつも通りで……ございます……」
果穂「──みなさん! アレ、やりましょう!」バーンッ
智代子「アレ?」
果穂「円陣ですっ!」
樹里「……おお! やるか!」
凛世「ふふ……景気づけに、ぴったりですね」
夏葉「うふふっ、そうね! やりましょう!」
智代子(果穂……私たちを盛り上げる余裕ができてる……!)
智代子(いつの間にか成長しちゃって……嬉しい反面、少し寂しいよ……!)
果穂「ちょこ先輩……?」キョトン
智代子「あ、ゴメン! 私も混ぜて!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:23:14.13 ID:uV0iKxtAO<>
「放課後クライマックスガールズ! 最強のアイドルに…… 変身!!!!!」
エイル「……」ジーッ
シイナ「ちょうど対面だからよく見えるね」
エイル「そ、そうね」
シイナ「……」
ラビィ「良いね、ああいうの」
シイナ「うん。なんか一丸って感じ……」
ラビィ「……私たちも考えてみよっか、かけ声」
エイル「ふふっ、それも悪くないわね」ニコッ
エイル「……」
エイル「……ラビィ、シイナ。カメラはあそこね。審査員席の前」
ラビィ「分かった」
シイナ「おっけー……」
エイル「……ふぅ」
エイル「っ……」キリッ
エイル「──届けるわよ、向こうまで」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:24:28.48 ID:uV0iKxtAO<>
ビジュアル審査員(……さてと。前評判だと放課後とエルビヨンドの2トップだけど)
放クラ「Spread the Wings 行こう!」
エルビヨンド「今 始まる奇跡〜♪」
ダンス審査員(ふむ……)
ビジュアル審査員(出だしから、2組とも存在感を放っている……)
樹里・智代子「Start Up‼」
果穂「新しい夢に あつまった〜♪」タタッ
凛世「You & Me YES‼」キュッ
夏葉「やわらかい羽を」
放クラ「ぎゅっと つないで〜♪」パーフェクト!
ラビィ「Look Up‼」
シイナ「誰も見たことない翼〜♪」
エルビヨンド「私たちの空に 広げよう〜♪」パーフェクト!
ダンス審査員(実力は噂通りだな)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:25:44.39 ID:uV0iKxtAO<>
夏葉「どんな憧れも〜♪」ジャンプ!
樹里「全部 叶える〜♪」キュキュッ
夏葉(踊れてる……)
夏葉(今までのステージの中でも、一番上手に)
夏葉(このまま完璧に踊り切れれば、きっと……!)
果穂(夏葉さん……スゴい!)
果穂(あたしも、もっと、もっと!)
智代子(夏葉ちゃんのダンス、いつも以上にキレてる)
智代子(私も食らいついていかないと、置いていかれる!)
樹里(みんなが夏葉の勢いに引っ張られてる)
樹里(アタシも、負けてらんねぇ……!)
凛世(凛世は、どなたが見ていても……)
凛世(ただ……プロデューサーさまのために……)
果穂「そんな未来〜♪」
果穂「信じてみない?」ニコッ
凛世(…………)
凛世(果穂さん……激しいダンスの中で……)
凛世(あれほど、楽しそうに……)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:27:51.35 ID:uV0iKxtAO<>
歌田「……」
歌田「放課後……悪くない。ポテンシャルはやっぱり、図抜けている印象ね」
ダンス審査員「同感です」
歌田「それに拮抗するエルビヨンド。だいぶ場慣れしているように見えるわね」
ビジュアル審査員「以前、別のオーディションで見かけました。実力がついてきたんでしょう」
歌田(『明日のアイドル一番星』のときとは一味違う、ということね)
ラビィ「強く 願えたら〜♪」フリフリ
シイナ「それはもう」
エイル「本物だよ!」ウィンク
歌田「ダンスの間に手を振る余裕さえある」
歌田「でも、それ以上に気になるのは……」
歌田「──私たちの方を見ている彼女たちと、全く目が合わないこと」
審査員たち(……!)ハッ
ビジュアル審査員(彼女たち、一体どこを……)
ビジュアル審査員(──まさか……!)
ダンス審査員(カメラの先にいる、客に向かって……!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:29:29.72 ID:uV0iKxtAO<>
・・・・・
観客A「……ヤバい」
観客A「ヤバいヤバいヤバい! 今目が合った! エイルと目が合った!」
観客A「俺のこと見て手振ってた!」
観客B「は? んな訳ないだろ」
観客A「いやいや、マジだって!」
観客B「嘘だろ……」ジーッ
ラビィ「翼を広げて〜♪」
エイル「君とどこまでも〜♪」フリフリ
観客B「……うわ」
観客B「マジじゃん。俺のエイルじゃん。エイルVRじゃん」
観客A「……は?」
観客B「モニター越しなのに、なんか、目の前にいるみたいな……」
観客B「すっげーリアル感……」
観客A「これステージ最前列と変わんねーよ!」
観客A「今日、来てよかった!! ありがとう!」パァァ
観客B「……お、おう」
観客B「俺も……来てよかった」ニコニコ
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:31:01.34 ID:uV0iKxtAO<>
エイル(聞こえる、ファンの声が)
エイル(私たちの歌がちゃんと届いたって、分かる!)ニコニコ
エルビヨンド「あの空の彼方〜♪」エクセレント!
歌田(文字通り、他の5組と見ているものが違う)
歌田(初めから審査なんてレベルでは戦っていなかったのね)
歌田「……」ニヤリ
歌田(エルビヨンド……)
歌田(一足先に、アイドルの本質に気づき始めたということかしら)
歌田「ふふっ♪」
歌田「……」スタスタ…
ビジュアル審査員「……歌田さん? どこに……」
ダンス審査員「止めるな」
ダンス審査員「審査が終わったんだ」
ビジュアル審査員「えっ?」
ダンス審査員「……もう満足したんだよ、あの人は」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:32:29.44 ID:uV0iKxtAO<>
〜オーディション会場・廊下〜
……ダダダッ
「──待ってください!」
歌田「……」クルッ
歌田「……283のプロデューサーね」
高岸「はい!」
高岸「歌田さん! まだステージの途中ですよ!」
歌田「ええ。でも審査は終わったの」
歌田「これ以上見続けても、星の配分は変わらない。だから帰るわ」
高岸「そんな!」
歌田「あなたに私を止める資格はない」
歌田「私を止められるのは、魂を揺さぶるようなアイドルのステージだけ」
高岸「魂を、揺さぶる……」
高岸「放クラはそうじゃなかった、ということですか?」
歌田「放課後だけじゃないわ。どのユニットも、まだそのレベルには至っていないわよ」
歌田「でも……」
歌田「レッスンルームの鏡の前でやるようなパフォーマンスに、感動するわけがないでしょう?」ドンッ
高岸「!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:35:32.84 ID:uV0iKxtAO<>
歌田「──あなたたちには誰も上手さなんて期待してない」
歌田「新人アイドルに、私が必ず言う言葉よ」
高岸「上手さ……」
歌田「もちろんダンスや歌の上手さだって、最終的には必要になるし、審査の対象よ」
歌田「だけど、私が言いたいのは……」
歌田「目指す頂(いただき)を間違えないように、ということ」
歌田「あなた達がなりたがっているのは、歌手でもダンサーでも……ましてやモデルでもない」
歌田「そうでしょう?」
高岸「……!」ハッ
歌田「じゃあ、失礼するわ」スタスタ……
高岸「……」
・・・・・
スタッフ「参加者の皆様、お疲れ様でした」
スタッフ「審査の結果を発表いたします」
スタッフ「『ゆうがたワイド・アイドル一番』オーディション、第1位……26ポイント」
スタッフ「──エルビヨンド!」
スタッフ「第2位……24ポイント、放課後クライマックスガールズ!」
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人
二回目の審査まで あと8,948→0人
W.I.N.G.本戦まで あと24→22週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<18話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/10/28(水) 19:36:11.92 ID:uV0iKxtAO<>
次回は後日です。よろしくお願いします!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/28(水) 20:55:01.84 ID:RfonNWSyo<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/10/28(水) 21:13:14.25 ID:ce4U4raeo<> おつー
ドンッのタイミング草 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/11/02(月) 18:52:25.27 ID:DsRZggHFO<>
おつありです!お待たせしました!
予期せずギャグになってしまいましたかね
今後もドンッは乱用していきますw
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 18:54:36.00 ID:DsRZggHFO<>
<19話・世界 サイジョウ 最愛 掴みたい>
〜283プロダクション・事務所〜
「……エルビヨンドの皆さん、ありがとうございました!」
「さて、お次のアイドルは……新進気鋭の自称・アイドル戦隊!」
「ほう……アイドル戦隊とは、斬新ですね」
「見た目も中身もバラバラな五人、コンセプトも奇抜と……」
「そんなユニットが、今日はどんな5色の爆発を見せてくれるのか!」
「では、放課後クライマックスガールズの皆さん、お願いします!」
「はい! みなさん、聴いてくださいっ!」
「夢咲きAfter school!!!!!」
「〜♪」
高岸「……」ジーッ
高岸「……」ニコニコ
ガチャリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 18:55:45.19 ID:DsRZggHFO<>
樹里「お疲れ様でーす」
はづき「お疲れ様です」
高岸「お疲れ様です! 樹里さん」
樹里「ん、プロデューサー……」
樹里「この間の収録見てたのか」
高岸「はい!」
「ビバアフタースクールイェイェー♪」
樹里「……あ」
樹里「ちょうどアタシが映った。ひでー笑顔……」
高岸「そうですね……とても苦い飴を舐めているような……」
樹里「……ちょっとくらいは、フォローしろよな」
高岸「あはは! すみません!」
樹里「……」
高岸「……」
「ねえねえ、ちょっと話聞いて〜♪」
樹里「……」
樹里「……な、なんだよ」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 18:57:00.27 ID:DsRZggHFO<>
高岸「……?」キョトン
高岸「どうかしましたか?」
樹里「え? いや……」
樹里「きゅっ、急に黙るから、アタシに言いたいことでもあんのかと思って……」
高岸「言いたいこと、ですか……あ!」
高岸「今日の樹里さんは、いつもと違う匂いがしますね!」
樹里「!」ビクッ
高岸「これは、柑橘系……?」クンクン…
樹里「〜〜っ」カァッ
樹里「──嗅ぐなっ!」
樹里「ア、アタシは先に行ってるからな! アンタも時間までにはちゃんと来いよ!」
ダダダッ……ガチャリ……
高岸「樹里さん……」
高岸「何をしに事務所に……?」
はづき「……ふふふっ」クスクス
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 18:58:02.25 ID:DsRZggHFO<>
・・・・・
〜数日前・オーディション後〜
高岸「──エルビヨンドの皆さん、一位おめでとうございます!」ニコッ
ラビィ「ぁ……」
エイル「……ええ。ありがとう」
エルビヨンド「……」シュン…
高岸「おや? 皆さん、元気がないみたいですが……」
シイナ「いや、気にしないで……」
シイナ「勝てるとは思ってなくて、びっくりしてるだけだから」
高岸「そうでしたか!」
高岸「僕は、どちらが勝ってもおかしくないと、思っていましたよ!」
エイル「……ふふっ」
高岸「……エイルさん?」
エイル「……はぁ……」
エイル「……なんかね」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 18:58:56.23 ID:DsRZggHFO<>
エイル「アナタが……負けたことを全然気にしてないみたいで、吹っ切れたっていうか」
エイル「あんな風に喧嘩を売っておいてなんだけど、アナタに対して変に気を遣おうとしてて……」
エイル「……とにかく、ありがとう。私たちを気持ちよく戦わせてくれて」
高岸「そんな! 僕は、何もしていませんよ!」
高岸「エイルさんがそう思うのは、皆さんが全力を尽くして、ステージをやりきったからです!」
高岸「だから、自分たちの頑張りに、胸を張ってください!」ニコッ
エイル「……!」
高岸「それに、負けたことはやっぱり悔しいです。でも、それ以上に……」
高岸「今日のオーディションは、見ていてとても興奮しました!」パァァ
高岸「放クラが、とても熱くなっていたのを見れて、嬉しかった!」グッ
エイル「……そう」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:02:33.45 ID:DsRZggHFO<>
エイル「分かったわ」ニコッ
ラビィ「私たち、次も負けませんからね!」
高岸「はい! また全力で、戦いましょう!」
シイナ「もう睡眠時間を削るのはやめようね……」
エイル「……それはそうと、今日は来ないのね」
シイナ「何の話……?」
エイル「審査員よ、審査員」
エイル「この間は、まるで高岸を探していたみたいに話しかけてきたじゃない」
ラビィ「そういえば……確かに?」
ラビィ「高岸さん、お知り合いだったんですか?」
高岸「いえ! あのとき、初めてお会いしました!」
高岸(そういえば、山崎さんや軽口さん……歌田さんまで、一目で僕を「283のプロデューサー」と……)
高岸(……どうしてでしょう?)
ラビィ「そうなんですか」
シイナ「まあ、あの人たちはW.I.N.G.でも特別だし……高岸さんを知っててもおかしくない……かも」
高岸「特別、ですか」
シイナ「うん」スッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:03:50.45 ID:DsRZggHFO<>
シイナ「山崎すぎおは、有名アイドルお抱えの敏腕スタイリスト……彼の経営する都内4つの美容室は、もれなく予約半年待ち……」ペラ…
シイナ「軽口哲也は青森出身のダンサー……全盛期は世界大会5連覇、今はヒップホップ界の異端児と呼ばれている、とか……」ペラ…
シイナ「そして歌田音……元ミリオン歌手の超有名ボイストレーナー……今も曲を出してて、現役の時と同じくらい売れてる……」ペラ…
シイナ「そしてこの3人はW.I.N.G.決勝の審査員を歴任している、審査員の中の審査員……」
シイナ「一部では神のごとく信奉され、ゴッド3(スリー)と呼ばれているらしい……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:04:47.67 ID:DsRZggHFO<>
エイル(……神、ね)
ラビィ「おー! 流石、メモ魔のしーちゃんだ」
高岸「すごい! シイナさんは情報通ですね!」
シイナ「……別に」フイ
シイナ「勝ち抜くには、審査員を知ることも必要だから……」
高岸「データ野球は、強いですからね!」グッ
エイル「──で、その歌田って審査員が今日、途中で帰ったのよ」
エイル「まったく。受けた仕事は最後までやり遂げなさいよね! いい大人のクセに!」
シイナ「……せっかく一位取ったのに、今日はアドバイスもらえないからイラついてる」
エイル「違うわよ!」
「──プロデューサー、ここにいたのね」
エイル「!」
エイル(この流れは、まさか……!)
エイル(……来たわね、歌田音!)ニヤリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:07:42.01 ID:DsRZggHFO<>
高岸「夏葉さん!」
エイル(って、違うのかい!)ガクッ
ラビィ(えーちゃんが1人で顔芸してる……)
夏葉「エルビヨンドの皆さんも一緒だったのね」
高岸「はい! 打ち合わせの前に、少しお話をしていました!」
高岸「みなさんにご紹介します! こちらが、放クラのグリーン、有栖川夏葉さんです!」
夏葉「初めまして」ペコリ
夏葉「この前はダンスの動画をありがとう。何度も見返して、参考にさせてもらったわ」
エイル「……別に感謝なんて要らないわ。フェアな戦いをするためのハンデよ」
ラビィ「だから、そういう不遜系キャラは流行らないって……」
エイル「うるさいわね」
ラビィ「ゴメンなさい、夏葉さん。気を悪くしないでください」
夏葉「うふふ、私は平気よ。むしろ……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:18:45.58 ID:DsRZggHFO<>
夏葉「アナタのような人は好きよ! だって、まるでライバルみたいじゃない?」
夏葉「私は、ユニットの仲間もよき競争相手だと思っているけれど」
夏葉「ただの敵じゃなくて、お互いに高め合いながら一位を目指すライバルは貴重だもの……」
夏葉「だから私は、こういう出会いを大事にしたいと思っているわ」
エイル「……!」
ラビィ「か、カッコいい〜……!」キラキラ
シイナ(あー……この2人、根っこがおんなじタイプなんだ……)
シイナ(髪も、赤とオレンジのロングで似てるし……雰囲気も喋り方もどことなく……)
エイル「やっぱり、ライバルというのは惹かれ合う運命みたいね」
エイル「……私はエイル。よろしく、夏葉」スッ
夏葉「こちらこそ、エイル」ギュッ
ラビィ「わ、私も握手してください! ラビィです!」
ラビィ「えっと、エルビヨンドのピンク髪で覚えてください!」スッ
夏葉「ツインテール、とても似合ってるわね! よろしく、ラビィ」ギュッ
ラビィ「ありがとうございますっ!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:20:02.61 ID:DsRZggHFO<>
シイナ「じゃあボクは『銀髪のシイナ』で……」スッ
夏葉「よろしく、シイナ。今までに見たことないくらい綺麗な髪ね」ギュッ
夏葉「どんなケアをしているのか、気になるわ」
シイナ「ありがとう。これは地毛で、まあ、特に何もしてないんだ……」
シイナ「あっ、エイルは赤髪のちびっ子で覚えてね」
エイル「ちびっ子いうな!」
シイナ「でも業界の人たちは、大体そんな感じで覚えてくれてるみたいだけど」
ラビィ「『あの〜、真ん中の小さい赤い子!』 って言われるもんね」
夏葉「ふふっ」
高岸「あはは!」
エイル「笑うなー!」ギャー
高岸「大丈夫ですよ! エイルさんは、小さな巨人ですから!」ニコッ
エイル「どういう意味よ?!」
エイル「ていうか、アナタたちが大きすぎるのよ!」ビシッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:21:12.57 ID:DsRZggHFO<>
夏葉「……」ニコニコ
夏葉(……三人がお互いの持ち味をよく理解していて、とても良いユニット……)
夏葉(ステージは見れなかったけど、きっと素晴らしいものだったのだと思う)
夏葉(……負けたのよね、私……エルビヨンドに……)
夏葉(動画のハンデまでもらって……)
夏葉(……っ)
夏葉(……悔しい。悔しくて仕方ない!)
夏葉(ここで負けているようじゃ、W.I.N.G.では勝てない……!)
夏葉(どうすれば、一位に……)
夏葉(私は……どうしたら良かったの……?)
高岸(夏葉さん……求めていた出演枠が取れたのに、あんまり嬉しそうじゃない……?)
高岸(やっぱり、何か……)
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:23:08.20 ID:DsRZggHFO<>
「……プロデューサーさん……」
「お〜い……」
高岸「……?」
はづき「あの〜、起きてください〜」ユサユサ
高岸「!」ガバッ
高岸「……はづきさん」
はづき「気持ちよさそうだったので、ちょっと申し訳なく思ったんですけど」
はづき「もうすぐ時間なので起こしちゃいました」
高岸「時間……あっ! ありがとうございます」
はづき「いえいえ。相当、お疲れみたいですね〜」
はづき「最近たまにクマが出来てますし、ちゃんと眠れていますか?」
高岸「はい! 大丈夫です!」
高岸「僕はいつでも、全力全開ですよ!」ニコッ
はづき「ふふっ。無理はしないでくださいね」
はづき「……配信用の機材は全部、ここに揃えておきました」ジャン
高岸「ありがとうございます! これでみんなを、バッチリ撮影できます!」
はづき「はい〜。プロデューサーさんも、楽しんで来てくださいね」
高岸「はい! 行ってきます!」
ガチャリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:25:59.19 ID:DsRZggHFO<>
「……それで、アイドル戦隊っていうのはどういう意味なのかな?」
「はい。私たちの初ステージが、とある戦隊ヒーローの応援をする公演で」
「そのときに『人を応援するヒーロー』、という意味を込めてアイドル戦隊と名乗り始めました」
「人を応援するヒーローねぇ……」
「で、今もそのまま、戦隊モノのコンセプトでアイドルをやってる訳だ」
「ちなみに、これは誰が考えたの? プロデューサー?」
「ちょこ先輩が考えてくれました!」
「ちょこセンパイ……?」
「あっ、私です……園田智代子、の『ちよこ』から、チョコって呼ばれてます! えへへ」
「ちよこでチョコ。良いね〜、俺もそう呼ばせてもらおうかな」
「はい! ぜひっ!」
はづき「……」ジーッ
はづき「みんな可愛いな〜……」ニコニコ
「さて、一旦CM挟みま〜す。CMのあとは!」
ピッ
はづき「よ〜し、お仕事がんばりますか」グッ
<19話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/02(月) 19:32:26.16 ID:DsRZggHFO<>
次回からはやっと楽しい回が始まる…予定です
後日更新します!よろしくお願いします <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/11/02(月) 20:03:34.13 ID:gTh5sGY/o<> おつー!
えーちゃん!ちっちゃいえーちゃんカワイイ!
前田は元気でやってるのかきになる… <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/11/03(火) 17:07:34.43 ID:uM3Xznvwo<> 乙乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/11/07(土) 18:52:12.61 ID:aFpqLnN4O<>
乙ありです!いつもありがとうございます!励みになります
この世界の前田は…今のところ自分でも謎ですね…
また出るかは分かりませんが、お楽しみにということで…
20話更新します! <>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 18:53:35.83 ID:aFpqLnN4O<>
<20話・待ち合わせた景色>
〜商店街〜
高岸「……準備、できましたよ!」
果穂「画面に『ちょっと待ってね』って出てます」
智代子「それ私が設定したやつ! そのままで大丈夫だよ!」
果穂「分かりましたー!」
高岸「ファンの方が、もうコメントを入れてくれていますね!」
果穂「『放クラ待機』、『初見です』……えーと……」
高岸「しょうげき、ですね!」
果穂「ありがとうございます! 『衝撃に備えろ』……って書いてあります!」
高岸「視聴者数も、100人を超えましたね」
智代子「そっか、もう見てくれてる人が……」
智代子「よ、よーし……」ドキドキ
高岸「──智代子さんっ、リラックス、リラックス!」
智代子「は、はい……!」
智代子「すぅ……はぁ〜……」
果穂「ふぅー……はぁー……」
高岸「お二人とも、楽しんでいきましょう!」
果穂・智代子「はい!」ニコッ
智代子「こほん。あー、あー……」
智代子「プロデューサーさん、お願いします!」
高岸「はい!」ピッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 18:55:00.07 ID:aFpqLnN4O<>
智代子「──皆さん、こんにちは!」
智代子「放課後クライマックスガールズのピンク、園田智代子と!」ピース!
果穂「小宮果穂です! レッドです!」バーン!
『始まった!』
『きたー』
『こんにちは』
『2人が画面に近くてドキドキした』
『チョコちゃん!』
『果穂ちゃんかわいい〜〜♡♡』
智代子「チョコです! お忙しい中、ご視聴いただきありがとうございます」
智代子「声のバランスとか、大丈夫ですか……?」
果穂「ちゃんと映ってますかー?」フリフリ
『大丈夫だよー』
『自撮り?じゃないよねこれ』
果穂「カメラマンさんは、あたし達のプロデューサーさんです!」
高岸(……b)グッ
果穂「……カオダシはしないそうです!」
『プロデューサーってこういうこともやるんですね』
『カメラマンさんもファイト!』
『うわ、返事くれた!やば』
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 18:56:22.59 ID:aFpqLnN4O<>
智代子「ふふっ、お返事もバンバンしていきますよー」
智代子「今、果穂が持っているタブレットで、皆さんのコメントを見ながら配信していきますので!」
果穂「これです!」ズイッ
『初配信なのに段取りがいいね!』
『しっかり者チョコちゃん』
『お前ら変なコメントすんなよ』
智代子「えへへ、ありがとうございます!」
智代子「放クラ初めての配信は、ここ! 中谷銀座商店街からお送りします!」パッ
『おー』
『ここ行ったことあるかも』
『会社のトイレから見てます』
『今日は他のメンバーはいない感じ?』
智代子「あ、えっと……実はですね……」
智代子「……別の場所で今、撮影の準備をしているところなんです」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 18:57:30.33 ID:aFpqLnN4O<>
智代子「その様子は明日以降に公開の予定でして、日によって生配信だったり〜動画だったり〜……」ゴニョゴニョ
果穂「──今日はあたしが、ちょこ先輩を独り占めします!」ギュッ
智代子「か、果穂っ?!」
高岸(ナイスフォローです! 果穂さん!)
『あら〜♡』
『やったぜ』
智代子「……あ、あと! アーカイブなどもツイスタでお知らせしますので」
智代子「途中からの皆さんも、途中で見れなくなっちゃう皆さんも、楽しんでいってくださいね!」
智代子(こ、こんな感じで大丈夫ですかね……?)チラッ
高岸(智代子さん、いい感じです!)
高岸(流石、放クラのディレクターですね!b)グッ!
智代子(……この調子で頑張ります!b)グッ!
『ありがとー!!』
『しっかりしてるね!』
『安心しました。仕事いってきます』
果穂「お仕事、頑張ってください!」
智代子「……じゃあそろそろ、今回の企画の発表にいきますか!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 18:58:53.09 ID:aFpqLnN4O<>
『お?』
『なになにー?』
智代子「果穂、パネルどうぞっ!」
果穂「はいっ!」
果穂「中谷銀座カウントダウンチャレンジー!!」ドンッ
『おー』
『カウントダウンチャレンジ?』
『とは』
智代子「説明しますね!」
智代子「ここ中谷銀座商店街では、2週間後に夜市というお祭りが行われるのですが」
智代子「そこで放クラがミニライブをさせて頂けることになりまして……」
智代子「そのライブに向けて毎日、放クラメンバーが何かに『挑戦』するという企画になります!」
『なるほど』
『ライブ?マジ??』
果穂「マジですっ!」
智代子「ライブといっても、AMELIAさんという超有名なバンドさんの前に一曲歌うだけなんですけど」
果穂「あたしたちは前座です!」
智代子「そう! よく知ってるね!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:00:23.26 ID:aFpqLnN4O<>
果穂「えへへ、凛世さんに意味を教えてもらいました!」
智代子「なるほど!」
果穂「みなさん、よかったら見に来てくださいっ!」
智代子「絶対、後悔はさせません!」キリッ
『アメリア?』
『アメリア知ってる!』
『引退したんじゃなかったっけ』
『おっしゃ、行きます!』
『生放クラ楽しみ!!』
『地方民だけど遠征するぜ』
果穂「いっぱいコメント、ありがとうございます!」
智代子「ありがとうございます!」
智代子「遠くからいらっしゃる方は、無理だけはなさらないようにお願いします!」
智代子「……説明も済んだところで、今日のチャレンジに参りましょう!」
智代子「今日は果穂の担当なんですが、実は私もまだ知らないんですよね〜……」
高岸(ちなみに僕も、知りません!)ドンッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:01:31.45 ID:aFpqLnN4O<>
智代子「……果穂、お願い!」
果穂「はい! 今日は、『大食いチャレンジ』です!」ドンッ
智代子「──えっ!?」ビクッ
高岸(!?)ビクッ
『!?』
『えぇ』
『草』
『画面揺れたけどプロデューサーさんも知らなかったのかなw』
『初回から飛ばすねぇ』
『…がんばれ!』
果穂「ちょこ先輩には、あそこのラーメン屋さんで、3.8キロの大盛りラーメンに挑戦してもらいます!」
智代子「えっ、私? えっ!?」
『ドSかな?』
『いっぱい食べるちょこちゃんが好き』
果穂「ちょこ先輩、行きましょー!」ダダダッ
智代子「えっ……確かに特技は大食いだけど────!?」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:03:18.06 ID:aFpqLnN4O<>
〜ラーメン屋『荻上』〜
店主「お待たせしました……大盛り一丁!」
ドドンッ‼
智代子「ありがとうございます!」
智代子「……うわぁ〜!」アングリ
智代子(食べられるかな、私……)
果穂「スゴい、大きいです……!」
智代子「大きいね〜……!」
『おいしそう』
『すごい量』
智代子「確かにとっても美味しそうです……ドンブリは、比べるならうちの炊飯器より大きいですね……」
智代子「そしてネギが富士山のように高く積もっていて、存在感がすごいです……!」
智代子「……」スンスン
智代子「ん〜〜!!」
智代子「とても芳醇な味噌の香りが鼻をくすぐって、何枚も乗ったチャーシューに涎が止まりません」ニコニコ
智代子「麺は中太でちぢれていて、スープとよく絡みそうで……」
果穂「わぁ〜……!」ジュルリ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:05:24.41 ID:aFpqLnN4O<>
『レビューが上手!』
『グルメリポーターちょこ』
『大食い…これがアイドルのやることなのか』
智代子「私、グルメ番組を見るのが結構好きで、よく見てるんです! 今のはそれの真似といいますか……」
智代子「……って、アイドルらしくなかったですよね。あはは……」
智代子「でも私、食べることが大好きなので、大目に見てください!」テレテレ
高岸(アイドルらしくない……)
高岸(──いえ、そんなことありません!)
高岸(食レポ中の智代子さんの笑顔も、とても素敵ですから!)ニコッ
智代子(プロデューサーさんが笑ってる……よし、このまま頑張ろう!)
智代子「では! 伸びないうちにいただきます」
智代子「……ずるずるっ」
智代子「あづっ」
智代子「ずずっ……んっ、おいしい〜!!」キラキラ
果穂(おいしそ〜……!)
果穂(ちょこ先輩が食べてる物って、なんでこんなに美味しそうに見えるんだろう……?)
果穂(レッスンの休憩に食べるお菓子だって……)
果穂(あれ……ちょこ先輩って、いつも何か食べてる?)
果穂(じゃなくて……!)
果穂(見ているだけで幸せな気持ちになるのは、なんでだろう?)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:06:53.44 ID:aFpqLnN4O<>
高岸「……こちらの麺は、こだわりの自家製麺、なんですよね? ご主人!」
店主「はい! 今の形にするまで3年かかった、うちの自慢の麺になります」
智代子「3年!! そのご苦労の重みが、味の深みとおいしさに繋がっているんですね」
『すごい』
『うまそー!』
『食べ方めちゃくちゃ綺麗だね』
『今の、プロデューサーさんの声かな?』
『腹減ってきた』
『美味しそうに食べるなぁ』
果穂「ちょこ先輩、食べ方綺麗だねってコメントが!」
智代子「えへへ、ありがとうございます! 母によく躾けられました」
智代子「それでは、チャーシューも頂きます!」
智代子「……はむっ」
智代子「!」ピクッ
智代子「──口の中で、溶けちゃいました!」
果穂「あたしも! あたしも、食べてみたいですっ!」ワクワク
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:08:21.48 ID:aFpqLnN4O<>
智代子「良いよー! はい、あーん」
果穂「あー……むっ……」
果穂「ん! ホントに、なくなっちゃいました!」
店主「チャーシューも自家製なんですよ。美味しいでしょう?」
智代子・果穂「はい!」キラキラ
智代子「このとっても美味しいラーメン、じっくり味わいたいところですが」
智代子「今日は大食いチャレンジなので、頑張って1時間以内の完食を目指します!」
果穂「ちょこ先輩が食べ切れなかったら、あたしも食べます!」
智代子「ありがとう、果穂〜!!」
智代子「では、いざ! やれば、できる!」グッ
高岸(頑張って、智代子さん! アフリカゾウのような大食いを!)
店主「よーい……スタート!」カチッ
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 19:09:15.55 ID:aFpqLnN4O<>
すみません、一旦切ります!
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/11/07(土) 19:31:40.77 ID:OGETNGwko<> 旦乙 <>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/11/07(土) 21:02:26.92 ID:EzsohnAQO<>
〜数日後・商店街・振興組合〜
八百屋「……おう、プロデューサーさん!」
高岸「理事長! こんにちは!」
八百屋「また、いつものかい?」
高岸「いえ! 今来たのは、ライブの打ち合わせでして」
八百屋「そうかい。あんたも大変さね」
高岸「好きでやってることですから!」ニコッ
八百屋「……そんな笑顔で言われちゃ、敵わねぇなぁ〜」
八百屋「そういや、凛世ちゃん達の動画、見させてもらってるよ」
高岸「……! どうでしたか?」
八百屋「いやぁ、最高だ!」
八百屋「俺ぁ料理はあんまり自信がねぇんだが、凛世ちゃんと樹里ちゃんが考えたメニューなら、ってんで頑張って作ってさ」
八百屋「それが美味いのなんのって……」
高岸「そうですか!」
八百屋「それに、あのチョコちゃんって子の食いっぷりなんて、傑作だねェ! はは!」
高岸「本人も、やり甲斐があったと、喜んでいました!」
八百屋「そうかいそうかい」ニコニコ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:03:34.75 ID:EzsohnAQO<>
八百屋「……いやぁ、プロデューサーさんにこんな話をするのもなんだが」
八百屋「うちの商店街も、再開発の話を持ちかけられて久しいからね」
八百屋「周りが次々に看板を下ろしていく中で」
八百屋「俺も、もうここいらで……なんて思う日もなかった訳じゃないが……」
高岸「……!」
八百屋「プロデューサーさん達のおかげでまた頑張れそうだ! なんて、うちの年寄り連中も色めき立っててな」
八百屋「はっはっはっ!」ガハハ!
高岸「嬉しいです……!」
高岸「放クラの頑張りで皆さんを元気づけられたなら、これ以上のことはありませんよ!」
八百屋「そういうあんたは、ちょっと見ないうちにだいぶやつれたんじゃねぇか?」
高岸「……そうですか?」
高岸(夏葉さんに、はづきさん……)
高岸(色んな人に似たようなことを言われてる気がするなぁ、あはは……)
高岸(夜市のライブが終わったら、心配されないようにいっぱい食べよう!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:04:54.07 ID:EzsohnAQO<>
高岸「……トレーニングで、顔が引き締まったんですかね! あはは!」
八百屋「へっ、強がっちゃいけねぇよ」
八百屋「毎日遅くまで、この事務局でライブの準備してんだろ?」
八百屋「色々手作りしてるとか、なんとか……」
高岸「そこまでご存知でしたか。さすがですね!」
八百屋「あと、うちのカミさんが教習所のそばであんたを見たって」
八百屋「組合の若いもんと一緒だったらしいが」
高岸「!」
高岸「……実は、一緒に夜間講習を受けている方がいまして! 僕よりとても、上手なんですよ!」
高岸「免許も、もう少しで取れるところなんです!」
八百屋「……」
八百屋「それも、樹里ちゃんたちの為かい?」
高岸「そうかもしれませんね! あはは!」
高岸「これが僕の、やりたいことなので!」
八百屋「……そうか」
八百屋「……」
八百屋「プロデューサーさん……俺の話、ちょっと聞いてくれるか?」
高岸「はい! 何でしょう?」
八百屋「樹里ちゃんのことなんだけどな」
高岸「樹里さんの……?」
八百屋「樹里ちゃん……ここに越してきた頃な、あんな風じゃなかったんだ」
高岸「あんな風……」
八百屋「ちょっと陰があるっつうか、なぁ……」
高岸「!」
高岸(あの樹里さんが……!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:06:42.00 ID:EzsohnAQO<>
・・・・・
〜八百屋のおっちゃんの昔話〜
八百屋「おう! そこの嬢ちゃん!」
樹里「……」キョロキョロ
樹里「……アタシ?」
八百屋「そうそう。見ない顔だなぁ、と思ってよ」
八百屋「最近、ここいらに引っ越して来たのかい?」
樹里「うん、まぁ……」
八百屋「なんだ、元気ねぇなぁ」
八百屋の奥さん「あらアンタ……この子、あれよ。アイドルの!」
八百屋「アイドルぅ?」
奥さん「すぐそこの283プロダクション……でしょう? 私、入ってくのを見かけたのよ」
樹里「ああ……今、そこの寮に入ってる」
八百屋「本当なのか。こりゃすごい子に声かけちまったなぁ。未来の大スターだ!」
樹里「そんなんじゃ……まだ、デビューもしてねーし」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:07:32.32 ID:EzsohnAQO<>
奥さん「そういえば、あの時一緒にいたお団子の子……あの子もアイドルなの?」
樹里「え?」
樹里「お団子……」
樹里「ああ……智代子っていって……」
樹里「同じユニットになる予定なんだ」
八百屋「ユニ……?」
八百屋「まあいいか。今度はその子も連れておいで! 野菜、安くしとくよ!」
奥さん「またアンタはそうやって……ゴメンね〜、お節介好きの若い子好きだから」
八百屋「おい……!」
樹里「いや、大丈夫……ていうか」
樹里「智代子は……友達じゃないし……」
八百屋「……ほ?」
樹里「同じユニットなだけだから」
八百屋「……そうか。そりゃ……すまなかったなぁ」
樹里「いや……あ、アタシ用事あるから」
樹里「じゃ、じゃあまたな」タッタッ…
八百屋「おう! また来てくれよー」
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:09:14.02 ID:EzsohnAQO<>
高岸(まだ智代子さんと樹里さんしか居なかった頃、でしょうか)
高岸(放クラを結成する前の……)
高岸(樹里さん……何か理由が……)
高岸(……)
高岸(それに……『友達じゃない』、か)
高岸(そんな二人が、今では……)
高岸「……そんなことが」
八百屋「でもな、プロデューサーさん」
八百屋「この前、樹里ちゃんが凛世ちゃんを連れてきた時……」
樹里『アタシの友達で、同じアイドルの凛世だ』
八百屋「って言ってな」
高岸「!」
八百屋「……樹里ちゃんは、この商店街のみんなの娘みたいなもんでさ」
八百屋「まあ……今となっちゃ、5人全員大好きなんだけどよ」
八百屋「樹里ちゃんが今みたいに明るい子になったのは、あんたのおかげだって、みんな思ってる」
高岸「そんな……僕は……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:10:55.54 ID:EzsohnAQO<>
高岸「僕じゃないです。きっと、放クラのみんなのおかげですよ!」
高岸「それに、樹里さんは元から明るい人でした!」
高岸「眩しいくらい明るく輝いていたから、スカウトしたんです!」パァァ
八百屋「へっ。上手いこと言うねぇ」
八百屋「そんだけ言うなら……プロデューサーさん」
八百屋「実の親でもないのに勝手極まりないとは思うが……」
八百屋「樹里ちゃんのこと、頼んでもいいか?」
高岸「……!」
高岸「──はい!」
高岸「樹里さんの笑顔、守ってみせます!」パァァ
高岸(約束、しましたから!)
八百屋「……おう」
八百屋「任せたぜ。俺たちはテレビ見ながら応援するからよ」
八百屋「ちゃんと、ウイング? っつーのも勉強したんだぜ? すごい大会に出てるんだろ?」
高岸「……はい! そうなんです! ありがとうございます!」
八百屋「なに、大したことじゃねぇよ」
八百屋「──そうだ。この後、飯に付き合ってくれねぇか? 凛世ちゃんたちの話も聞かせておくれよ」
高岸「あ、打ち合わせの後は、樹里さんと待ち合わせをしてまして……」
八百屋「おっと。そっちのが大事だな!」
八百屋「振られちまった! はっはっは!」
高岸「すみません! 次は僕から、お誘いさせてください!」
八百屋「おうよ!」ニッ
・・・・・
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:11:50.16 ID:EzsohnAQO<>
〜商店街そばの神社〜
樹里・高岸「……おー!」
高岸「夕日が綺麗ですね!」
樹里「ああ……ここ、アタシのお気に入りの場所なんだ」
高岸「よく来るんですか?」
樹里「うん……」
樹里「境内まで長い階段を登るから、その間に色々考えたり……」
高岸「……大切な時間ですね」
樹里「……」コクリ
樹里「ここからだとさ。建物に隠れてた太陽が、はっきり見えて」
樹里「この街を……好きなものを一度に全部見られて……好きなんだ、アタシ」
樹里「……って、何言ってんだろな。夕日見たら、無駄にセンチメンタルになっちまった」
樹里「へへっ」
高岸「とても素敵な景色ですね」ニコッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:12:39.53 ID:EzsohnAQO<>
『……はぁ、はぁ……』
『残り15分!』
『……ふぅ……うっ……』
『ずるずるっ……』
『──ごふっっ!!』
『あ゛ーっ! ちょこ先輩のお腹がパンッパンにな゛ってますーっ!』
樹里「……ふふ」
樹里(果穂がカメラの前に出て、上手い具合にチョコを隠したな……)
高岸「面白かったですか?」
樹里「ああ。このシーン、何回見ても笑っちゃうよな」
樹里「……スマホ、返すよ。ありがとな」スッ
高岸「どういたしまして!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:14:15.25 ID:EzsohnAQO<>
高岸「……智代子さん、すごく頑張ってました!」グッ
樹里「……チョコはさ……」
樹里「いつも……誰かの為に、って頑張ってくれるよな」
樹里「ジャスティスVの公演のときも……いや、最初からか……」
高岸「智代子さんだけじゃないですよ」
樹里「……そうだな。みんな優しくて、すごくて……」
高岸「──樹里さんもですよ!」
樹里「アタシは、別に」
高岸「聞いてください!」
高岸「樹里さんと凛世さんのお料理チャレンジも、大食いに負けないくらい、すごい再生数なんですよ!」
高岸「八百屋のおじさんも、お二人の考えたメニューを作って食べてるんだって、言ってました!」
高岸「……それに、樹里さん達がオススメした野菜、売れ行きが良いそうです!」
樹里「……」
高岸「夏葉さんと果穂さんの、トレーニング・フードチャレンジも……」
樹里「見たよ。夏葉の『ここのコロッケは完全食よ!』ってセリフが、頭から離れないんだよな」
樹里「ツイスタでも『完全食』が流行ったらしいし……」
高岸「あはは! やっぱりすごいですね! 放クラのみなさんは!」ニコニコ
樹里「……」シュン…
高岸「……?」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:15:49.41 ID:EzsohnAQO<>
高岸「樹里さん?」
樹里「……実はさ」
樹里「料理動画は、凛世が考えたんだ。自分の練習してる分野なら、皆さんにお見せできるかもしれません、って」
樹里「アタシも料理はそこそこ出来るつもりだし、それに乗っかっただけで……」
樹里「アタシ、何もしてねーんだよな……」
樹里「……みんなと違って、アタシは、何にも……」ボソリ
高岸(樹里さん……あんなに張り切っていたのに、あのときの元気は……)
高岸「そんな悲しい顔をしないでください!」
高岸「それに、樹里さんは何もしてないなんて、ありえません!」
高岸「凛世さんだって、僕と同じように言うと思います!」
樹里「それは、そうだと思う。けど……」
樹里「アタシが自分に納得できないんだ」
樹里「……悔しいんだ。言い出しっぺの自分が、みんなの役に立ててないのが」
高岸「……」
樹里「夜市のことだけじゃない。アタシだけ、みんなと違う」
樹里「アタシだけ、ぼんやりしてる。アイドルになった意味も、目標も……」ウルウル
高岸「……!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:18:11.39 ID:EzsohnAQO<>
高岸(……樹里さん……今までに見たことがないくらい、切なそうな顔を……)
高岸(それほど……)
高岸(……たぶん、自信がないんだ……今の樹里さんは……)
高岸(……)
高岸(……僕は、約束したんだ)
樹里『……約束だ。アイドルになるよ』
高岸『良いんですか? えーと……』
樹里『西城樹里だ。樹里って呼べよ』
高岸『分かりました! 樹里さん!』
樹里『ちゃんとアタシを、アイドルらしくしてみせろよ』
樹里『……プロデューサー』
高岸『はい! 任せてください!』
高岸『やれば、できる!』パァァ
樹里『……へへ、何だよそれ』
高岸(僕が……樹里さんを前向きにする!)
高岸(商店街のアイドルを、笑顔にするんだ……!)
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:19:03.23 ID:EzsohnAQO<>
高岸「……」
高岸「樹里さんの目標、僕にも教えてください」
高岸「樹里さんは、どんなアイドルになりたいですか?」
樹里「どんな、アイドル……」
樹里「……」
樹里「アタシは……」
樹里「……自分の周りの人を笑顔にしたい……アタシの好きな人たちに、笑っていてほしい」
樹里「……かな」
高岸「それは、ファンの皆さんですか?」
樹里「うん……あと放クラも、商店街のおっちゃんたちも、プロ……──とにかく、みんなだ」
樹里「な? ぼんやりしてるだろ」
高岸「……そんなことありません!」
高岸「自分の力で、人を笑顔にしたい! 樹里さんはもう、立派な夢を持っていますよ!」
樹里「夢……」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:20:06.48 ID:EzsohnAQO<>
樹里「でもアタシは……自分の力じゃ、人を笑顔にできなかった」
高岸「そんなことないですよ!」
高岸「それに……」
高岸「樹里さんなら、みんなを笑顔にできます! 樹里さんの、大好きな気持ちさえあれば!」
樹里「……そんな簡単な話じゃねーって」
高岸「いえ! 簡単ですよ!」
高岸「樹里さんが、この商店街の大好きなところを、紹介すれば良いんです!」
樹里「大好きなところを紹介、っつったって……」
高岸「試しに、好きなところを挙げてみてください!」
樹里「……ん……」
樹里「全部、かな……」
高岸「全部ぅ!?」
樹里「ほら、無理だろ?」
高岸「──無理じゃない! できます!」
高岸「全部好きだなんて、素晴らしいじゃないですか! やりましょう、樹里さん!」ニコッ
高岸「樹里さんが好きなところ! 商店街の全部、紹介しましょう!」グッ
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:21:00.85 ID:EzsohnAQO<>
樹里「そんなこと……」
高岸「できますよ!」
高岸「だって……ここからなら、商店街も全部見えますから!」
樹里「!」
樹里「……」
樹里(確かに、プロデューサーの言う通りだけど……)
高岸「この絶景と、商店街と、樹里さんのお気に入りの場所……」
高岸「全部、ファンの皆さんに紹介しましょう!」
高岸「タイトルは……そうですね……」
樹里「おい、勝手に話進めんなって!」
高岸「……すみません。嫌でしたか?」
樹里「そうじゃねーけど……」
樹里(……違う……)
樹里(あーもう……何でアタシは、いつもこうなんだよ!)
樹里(くそっ……)
樹里(恥ずかしいけど……チョコや果穂みたいに、素直に……)
樹里「……その……」ソワソワ
高岸「……?」
樹里「……ありがとう、プロデューサー」
高岸「!」
<>
◆60viGNJ69k<>sage saga<>2020/11/07(土) 21:25:16.64 ID:EzsohnAQO<>
樹里「アンタの案に乗る……じゃなくて……やるよ、アタシ」
樹里「プロデューサーと一緒に……」
樹里「好きなとこ全部、紹介する」ニコッ
高岸「……はい!」パァァ
高岸「──あっ!」ピコーン
樹里「こ、今度は何だよ……?」
高岸「タイトル、思いつきました!」
高岸「『樹里さんぽ』、はどうですか?」
高岸「樹里さんと、散歩を、かけてるんですが!」チェケラ
樹里「それは分かるけど……どうなんだ?」
高岸「あはは……微妙でしたね」
高岸「『挑戦』、『チャレンジ』の方をかけたほうが良かったかな……」
樹里「あ、いや。まあ、アタシは悪くないと思うけど……」ボソリ
高岸「樹里さんなら、良いタイトルもきっと、思いつきますよ!」ニコッ
高岸「すぅー……」
高岸「……樹里さんならっ!」
高岸「やれば、できるううううあああぁっ!」
夕日「……」ピカー
樹里「夕日に向かって叫ぶとか……!」
樹里「は、恥ずかしいからやめろ……ばかっ!」カァッ
*・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後クライマックスガールズ
〈ファン人数〉11,367人
二回目の審査まで あと0人
W.I.N.G.本戦まで あと22→20週
・・・・・・・・・・・・・・・・*
<20話・終わり>
<>
◆60viGNJ69k<>saga<>2020/11/07(土) 21:26:34.46 ID:EzsohnAQO<>
次は夜市回です!
また後日更新します!よろしくお願いします
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/11/07(土) 21:38:17.35 ID:WJSOZJBR0<> 乙! <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2020/12/23(水) 14:54:51.95 ID:DW3TjQlKO<> 復活してくれー! <>