◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:04:32.46 ID:9IOV3NLro<>
楓「今日はもう疲れましたわ〜……」

梨璃「楓さん、二水ちゃん。なんだかぐったりしてるみたいだけど、今日はどうしたの?」

二水「わたしたち、対ヒュージ用の実技訓練で一緒になったんですけど……」

楓「百由様が訓練用の仕掛けを魔改造したせいで、わたくしの高貴な髪と肌がボロボロですの!」

二水「足を止めたリリィから次々脱落して、訓練が終わったころには誰一人として立ってませんでしたね……」

梨璃「あはは、それは二人とも災難だったね」


楓「もうやってられませんの! これは梨璃さんに癒しを求めるしかありませんわ!」 ガバッ

梨璃「ちょっ、楓さん!?」

楓「あぁ〜、布超しでも伝わる温もりと柔らかさ。訓練で疲れた身体に染み入りますわ!」 サワサワ

二水「楓さん、本当に油断も隙もありませんね」 パシャシャ

梨璃「ひゃあぁっ!? だ、ダメですってば楓さんっ! 二水ちゃんも撮らないでぇ!」


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<>【アサルトリリィ】楓「リリィをレズ化するヒュージですってぇ!?」
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:06:03.79 ID:9IOV3NLro<>
梨璃(あ、あれ? なんだか変だなぁ。今日はちょっと、身体が熱いような……)

梨璃(楓さんの指、細くて長いなぁ。もし直接触られたら、どうなっちゃうんだろう?) ドッドッ

二水「ああっ、梨璃さんの顔がだんだん赤く!」

楓「はっ、わたくしったら我を忘れてしまいましたわ! 大丈夫ですの梨璃さん?」

梨璃「はーっ、はーっ……」 フルフル

楓「うわっこの梨璃さんやらしすぎません?(まあ大変! すぐに保健室へ連れ込みませんと!)」

二水「楓さん、心の声が逆ですぅ!」

梨璃「か、楓さん……」 ガシッ

楓「申し訳ございませんわ梨璃さん、さすがに少しやりすぎ……」



梨璃「服の上からだけで……いいの?」 ピラ

楓「」

二水「」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:07:04.03 ID:9IOV3NLro<>
楓「ちょ、ちょっときなさいちびっこ一号!」

二水「ふえぇっ!? 引っ張らないでください! ご、ごきげんよう〜!」

梨璃「あ、行っちゃった……」 シュン


楓「どどど、どういうことですの!? あの奥手な梨璃さんがあれほど積極的に!」

二水「楓さんがうつったんじゃないですか?」

楓「人をバイ菌みたいに言わないでくださいまし! とにかくこれは一大事ですのよ!?」

二水「でも確かに、いつもの梨璃さんじゃなかったような気がします。なんだか具合が悪そうでしたね」


『緊急通達! 学園内のリリィが突如暴走する事態が多発しています、各生徒はこれを見つけ次第制圧してください! 繰り返します───』


楓「これは……!? わたくしたちも参りますわよ!」

二水「は、はい! 《鷹の目》! ───見えました、工廠科でリリィ同士が交戦中です! あれは……梅様とミリアムさん!?」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:08:03.21 ID:9IOV3NLro<>
ミリアム「じゃーかーらー! ワシはマトモじゃと言っとろーがぁぁぁ!」 ギィン

梅「あのヒュージ、取り付かれても理性は残るのか。やりづらい相手だな!」


楓「梅様、ちびっこ二号! これは一体どういうことですの!?」

梅「どうもこうも、さっきの放送で聞いた通りだよ! それに今、アイツにヒュージが取り付いてるのが見えた!」

ミリアム「急にCHARMを向けられたら普通反撃するじゃろうが! あとワシはそんなもんに操られてなどおらん!」

梅「楓、ふーみ! 梅に加勢してアイツの動きを止めてくれ!」

楓「なるほど。事情は大体わかりましたわ!」 ジャキン

ミリアム「チィッ! ワシがここでやられたら、百由様が……!」


二水「待ってください楓さん! ヒュージに取り付かれてるのは梅様の方です!!」

梅「───《鷹の目》のレアスキルか。やっぱ便利だよな、それ」 バッ

二水「っ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:09:02.78 ID:9IOV3NLro<>
ギィィンッ

楓「事情は大体理解した、と言ったはずですわよ?」

二水「楓さん!」

梅「へぇ、結構やるな楓。なんでわかった?」

楓「正直どっちがヒュージに操られていても、この中で一番ヘナチョコのちびっこ一号が真っ先に狙われるのは明白でしてよ!」

二水「えぇ……」


ミリアム「これで三対一じゃな。ムダな抵抗はやめて観念せい!」

梅「あははっ! ならムダかどうか試してみるか?」

楓(そうは言っても、ちびっこを庇いながら戦うのは正直分が悪そうですわ。それに梅様だって相当手練れ、油断は命取りですわね)

二水「きますよ楓さん! 十二時方向から横薙ぎの一撃ですっ!」

梅「作戦を読まれて、その通りに動くワケないだろっ!」 ギィン

楓「くぅっ! こちらの読みが筒抜けですわよ!?」

ミリアム「馬鹿かお主ら! あやつに対ヒュージ用の戦術は効かんぞ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:10:01.59 ID:9IOV3NLro<>
梅「ははっ、もう終わりか? 力づくってのは好きじゃないから、降参するなら今のうちだゾ!」

ミリアム「マズいのじゃ……! このままだと全滅するぞい!?」

二水「梅様に取り付いたヒュージは首筋に潜んでます。せめて一瞬でも隙を作れば……!」

楓「なるほど、ヒュージさえ倒せば梅様も元に戻るって寸法ですわね!」

梅「そんな隙、見せるわけないだろ! てりゃぁっ!!」 ゴッ


二水「そうだ、これなら……楓さん! 次は梨璃さんが最初に体を洗うところから攻撃がきますっ!!」

梅「なんだその暗号!?」

楓「なるほど! 余裕でしてよ!」 ギィィン

ミリアム「お主ら以外わかるかぁ!」

梅「くそぉっ! やっぱふーみ、まずは一番厄介なお前からだ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:11:01.78 ID:9IOV3NLro<>
二水「今ですっ! 雨嘉さん!!」

梅「なに!? わんわんまでいるのか!?」 バッ

ミリアム「隙ありじゃ梅様ぁ! 必殺! 《フェイストランセンデンス》ゥゥゥ!!」

梅(やばっ、空中だとさすがに避けきれないゾ! CHARMで防ぐしか……!)

梅「───どっちもブラフか!」 ハッ

楓「ナイスはったりですわ、ちびっこ共! これで終わりでしてよッ!」


ドシュッ


ヒュージ「ギギッ、ギィ……」 ボト

梅「は、は……結構、やるじゃん、か……」 ドサッ

楓「お父様の最高傑作であるこのジョワユーズ、狙いは髪の毛一本ほども外しませんわ!」

二水「やったぁ! やりましたね楓さん!」

ミリアム「ま、ワシらにかかればざっとこんなもんじゃな!」

楓「まったく、手間をかけさせますわ! さて、このヒュージの残骸……百由様に引き渡せば何かわかるかもしれませんわね?」

ヒュージ「」 ボロッ

<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:12:02.52 ID:9IOV3NLro<>
雨嘉「ごきげんよう梨璃、今日は一人なの?」

梨璃「えへへ。これから楓さんたちと会うつもりなんだけど、その前にちょっと雨嘉さんの顔が見たくなっちゃって」

雨嘉「えっ? そ、そうなんだ。面と向かって言われるとなんだか恥ずかしいな……」

梨璃「神琳さんは?」

雨嘉「えと、神琳は遅れてくるみたい。先にお茶でも入れてこよっか?」

梨璃「そっか。じゃあ今はわたしと二人きりだね!」

雨嘉「梨璃……?」


梨璃「ねえ雨嘉さん、ずっと気になってたんだけど、その髪止めすっごく似合ってるね!」 サワ

雨嘉「へ? ええと、ほめてくれるのは嬉しいけど……あの、梨璃?」

梨璃「うん、とってもきれいで可愛い。それに良い匂いがするよ」 スン

雨嘉「……髪留めのこと、だよね?」 ドキドキ

梨璃「雨嘉さんは、どっちだと思う?」

雨嘉(ど……どうしよう! 梨璃が楓みたいになっちゃった……!)
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:13:01.85 ID:9IOV3NLro<>
梨璃「雨嘉さん、お肌白くてすべすべだね。いいなぁ……」 ツツー

雨嘉「っ、今日の梨璃、なんだか変じゃない、かな?」 カァァ

梨璃「そうかなあ? それよりも睫毛長いね雨嘉さん。目は閉じないでね、よく見えないから……」

雨嘉(何これ何これぇ! このままだとわたしまで変になっちゃう、助けて神琳っ!) ギュッ

梨璃「ほら、ダメだってば雨嘉さん。わたしのことちゃんと見てないと……」


カプッ


雨嘉「〜〜〜っ!?」 ピリッ

梨璃「えへへ、ごめんね雨嘉さん。首に歯型ついちゃった」

雨嘉(えっえっ!? いいい今っ首に梨璃がっあわわわ!) ドッドッ


「雨嘉さーん、そこにいらっしゃるのかしらー?」


梨璃「……時間だね。神琳さんには内緒だよ?」 タタッ

雨嘉(あ……梨璃、行っちゃった。まだ首に熱が残ってる……) ボーッ
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:14:02.61 ID:9IOV3NLro<>

神琳「あら、雨嘉さんだけですか? 先ほど梨璃さんの声も聞こえた気がしましたけれど」

雨嘉「うぇっ? う、ううん! わたし梨璃は見てないよ! 本当だから!」 サッ

神琳「……あっ」

神琳「………………」


雨嘉「神琳。なんとなくだけど、怒ってるよね?」

神琳「そう見えます?」 ツーン

雨嘉(わ、絶対怒ってる……ふふっ、神琳はどんな顔しても可愛いなぁ)

神琳「わたくし、たったいま急用ができました。雨嘉さんは野良猫とでも仲良く遊んでいればよろしいのでは?」 ツカツカ

雨嘉「ま、待って神琳!」 ガシッ
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:15:05.24 ID:9IOV3NLro<>
神琳「まだ何か?」

雨嘉(もっと神琳のいろんな表情が見たい。さっきの梨璃みたいなことしたら、どんな反応するんだろう?)

神琳「離してくれません? わたくし、雨嘉さんほどヒマではありませんので」

雨嘉(もっと怒るかも。それとも、神琳でも恥ずかしがったりするのかな?)

神琳「ちょっと雨嘉さん、いい加減に人の話を聞いてひゃうんっ!?」 カプ

雨嘉「んあむ。んふふ、ひぇんりんかわひい……れる」 チュブッチロチロジュルルッ

神琳「ふやぁ!? まってくださ、ゆーじあひゃっ……あぅっ! こんなところでぇ……んうっ!?」 ピリッ


『緊急通達! 学園内のリリィが突如暴走する事態が多発しています、各生徒はこれを見つけ次第制圧してください! 繰り返します───』


神琳「ま……まさ、か……」

神琳「雨嘉さんを、このように……! 下劣、な……」 ドサ

雨嘉「ごめん神琳。でもすぐにみんなも連れてくるから、一緒に気持ちよくなろう?」

<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:16:02.15 ID:9IOV3NLro<>

梅「うーん……あれ。ここどこだ?」

百由「あ、起きた! ねえねえわたしのことわかる? これ何本に見える?」

楓「百由様、病み上りの人間に鞭を打つのは控えてくださいまし!」

二水「よかった梅様、やっと元に戻ったんですね!」

梅「ふーみ、それに楓? 痛っ……なんだこれ、頭がグラグラするゾ……」

ミリアム「大丈夫か梅様? ま、あれだけ暴れたんじゃから無理もなかろう」

百由「さてと、これで全員揃ったわね。それじゃ今回のヒュージに関してわかったことがあるから、しっかり聞くように!」


楓「だいたい検討はついていますわ。わたくしたちリリィに取り付き、その思考を操るヒュージでしょう?」

百由「その通り! しかもリリィを介して疑似的に子孫を増やしていくから、放っとくと百合ヶ丘の生徒全員が感染するのは時間の問題ってワケよ!」

梅「もしかして、梅はそのヒュージにまんまと乗っ取られてたってことか?」

百由「アンタさ、何か覚えてない? 誰にうつされたとか、今まで何してたとかって記憶ある?」

梅「えーっと……たしか今日は、朝から旧校舎裏で講義サボったあとに夢結と会って……ダメだ。そっから全然覚えてないゾ」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:17:02.83 ID:9IOV3NLro<>
ミリアム「百由様、ヒュージに感染したリリィを見分ける方法とかはあるのかのう?」

百由「機械で検知するのは難しいわね。普段はリリィのマギと一体化して、上手いこと隠れてるみたいなのよ〜」

百由「あ、でも知覚系のレアスキルでじっくりよーく見れば判別できるみたい。たとえ本体が見えなくても、首元に傷があれば十中八九間違いないわ!」

二水「だけど、直接会って確かめてみないと感染しているかどうかわかりませんね……」

楓「ま、多少は頼りにしてますわよ。そうと決まればこのままサーチアンドデストロイですわ!」


百由「いや、そうでもないわよ!」

ミリアム「他に方法あるんかいっ!」

百由「いやまあ、この方法は誤認が多いからあんまり推奨はできないんだけど〜……それでも聞く? 聞いちゃう?」

梅「梅たちはいま一刻を争ってるんだ、もったいぶらずに教えてくれ」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:18:04.05 ID:9IOV3NLro<>
百由「オホンっ! 古来より寄生虫ってのは、自分たちが繁栄しやすくなるように宿主の行動を操るもんなのよ〜」

百由「例えばカマキリを水辺に誘導したり、カタツムリを鳥に襲われやすいよう高いところに上らせたりとかね。あとあと……」

ミリアム「百由様?」

百由「ああっ、ごめんねこれ話の枕だったわ! ついでにこのヒュージも例外に漏れず、リリィからリリィへ接触しやすいよう宿主を操ってるみたいね」

百由「実験の結果、感染したリリィからはホルモンバランスの変化や一種のフェロモン物質が検出されたほか、その……性的趣向に変化が見られたわ」

梅「……つまり?」


百由「要するにこのヒュージは、感染したリリィをレズ化するのよ!!」 バァァン

楓「リリィをレズ化するヒュージですってぇ!?」


二水「楓さん……」 サッ

梅「楓、お前……」 ススッ

楓「失敬な! わたくしは梨璃さん一筋ですのよ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:19:02.18 ID:9IOV3NLro<>
百由「ま、リリィはほぼ女性しかいなから合理的っちゃあ合理的よね〜。アンタたちの中にも、最近急に積極的になった娘いる? もちろん性的に!」

ミリアム「そんなリリィ、いたら一発でわかるじゃろ。それでわかったら苦労せんわい」

楓「まったくですわ! 現に梅様はそんな素振りカケラもありませんでしたし、アテにはならなさ……そう……」

二水「……あっ……」


梨璃『服の上からだけで……いいの?』


楓「なぜでしょう、ものすごく頭痛と嫌な予感がしますわ……」 ズキズキ

二水「はは、奇遇ですねぇ……楓さんもですか……」

百由「その様子だと、誰か心当たりあるみたいね?」

楓「あの人たらしを放っておくと、間違いなく百合ヶ丘は壊滅しますわよ……!」

<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:20:02.24 ID:9IOV3NLro<>
ミリアム「本当にワシらだけで乗り込むのか?」

楓「百由様は特効薬の模索で手が離せませんし、夢結様を探している余裕はありませんわ。まったく、どこをほっつき歩いているのやら!」

二水「神琳さんと雨嘉さんもさっきから連絡がとれません……」

梅「ま、なるようになれだ! お前ら、梅にぜんぶ任せろ!」

楓「あら、わたくしが遅れを取るとでも? さっさと梨璃さんを連れ戻しに行きますわよ、全員わたくしについてらっしゃいな!」


二水「着きました。一柳隊、控室です!」

ミリアム「まさに敵の牙城ってワケじゃな。お主ら、準備はいいかの?」

梅「ああ、梅はいつでも大丈夫だ!」

楓「当然! さあ、参りますわよ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:21:02.45 ID:9IOV3NLro<>
楓「梨璃さん! お迎えに上がりましたわ!」 ガチャ


梨璃「わっ! 楓さん?」

神琳「あら〜、皆様方お揃いのようですね?」

雨嘉「よかったぁ。楓たちもここへ籠城しにきたの?」


楓(ちびっこ一号、どうですの?) ヒソ

二水(あ、あ……ダメみたいです楓さん、三人とも手遅れですぅ……!)

ミリアム(やはりか。予想はしとったが、最悪の展開じゃな)


梨璃「警報、みんな聞いてるよね。でも大丈夫! ここはわたしたちだけだから安心して!」

雨嘉「うん。みんなと一緒なら心強いよね!」

神琳「ここまで逃げ込んできてお疲れでしょう。アイスティーでも淹れましょうか?」


楓「いいえ、それには及びませんわ。───あなた方、全員CHARMを置いて手を頭の後ろへ回しなさい!」 ジャキン

<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:22:04.90 ID:9IOV3NLro<>
神琳「……なんの冗談です?」

ミリアム「お主らこそ何の冗談じゃ。そんなサル芝居でワシらを騙そうとは、100年早いわ!」

雨嘉「みんな待って! 疑心暗鬼になってるのはわかるけど、いったん落ち着こうよ!」

梨璃「ひどい……楓さんはわたしよりも二水ちゃんを信じるの?」

楓「愚問ですわね。わたくしは純朴な梨璃さんを信じているからこそ、どこの馬の骨にも騙されかねないことを確信を持って言えるのですわ!」

楓「そしてその梨璃さんを信じたお二人がヒュージの手にたやすく落ちることなど、レアスキルなど使わなくとも明白ですのよ!」

ミリアム「いや、お主が何言っとるのかさっぱりわからんぞい?」

楓「とにかく! わたくしは梨璃さんを、そして仲間を信じていますわ! 手荒な真似はしたくありません、投降なさい梨璃さん!」


梨璃「……楓さん、CHARMを下げてください。でないとわたし……このまま楓さんに向かって歩きます」

楓(!! このヒュージ、梨璃さんのお身体を人質に……!)

梨璃「あと数歩で、わたしの胸に楓さんのCHARMが刺さります。楓さん、もう一度言いますね……CHARMを、下げてくださいッ!」

楓「お……お止めくださいな、梨璃さん……!」 カタカタ

梅「おい楓! もう無理だ、こうなったら強硬突破するしかないゾ!」

二水「梨璃さんの言うことを聞いちゃダメです楓さん! ヒュージの思うツボですよ!」

梨璃「楓さん!! 仲間を疑うようなマネはやめてくださいッ!!」

楓「っ!! む、無理ですわ。わたくしにはとても……」 スッ


ダァンッ

<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:23:01.95 ID:9IOV3NLro<>
梅「楓ぇっ!」 ドン

楓「きゃぁぁぁっ!? う、げほっ! 小癪、なぁ……!」

梨璃「……惜しかったね雨嘉さん。もうちょっとだったのに」

雨嘉「ごめん梨璃。たぶん直前で気づかれてたと思う」 ジャコン

神琳「気にすることはございませんわ雨嘉さん。ここまで持ち込めただけでも上出来ですよ」


二水「楓さん!」

楓「しくじりましたわ……! 総員構えなさい、きますわよっ!」

ミリアム「じゃからワシは初手で抑え込めと言っておったのに! 連戦続きで体力が持たんぞい!?」

梅「お前ら下がってろ! 梅が出る、せりゃぁぁぁっ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:24:02.61 ID:9IOV3NLro<>
神琳「やらせるとお思いですか?」 ガキィン

梅「くそっ、受け止められたか! ───うわぁっ!?」 ダァン

雨嘉「行って、梨璃!」 ジャコン

梨璃「そこです梅様! やぁぁぁっ!!」

梅「防ぎきれなっ……あぐぁっ!」 ズダァン


二水「どうしましょう、どうしましょう!? 梅様までやられちゃいそうです!」

ミリアム「あやつら、なんであんな息ぴったりなんじゃ!?」

二水「リリィ同士のマギがヒュージを介して繋がってます! それにおそらくですが、宿主のリリィが保有するレアスキルも使えるのではと……!」

ミリアム(梨璃の《カリスマ》か。敵にすればこれほど厄介なレアスキルとはのう!)
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:25:03.24 ID:9IOV3NLro<>
神琳「さて、これでこちらが優勢ですね。負けを認めるのなら今のうちですよ?」

雨嘉「できれば傷つけたくない……お願い、CHARMを捨てて降伏して!」

ミリアム「抜かせ! ここで諦めたら百由様にどやされるわい!」

二水「こ、怖い……だけど、わたしだって百合ヶ丘のリリィです!」

梨璃「そっか。それじゃあ力づくでも、押し通ります!」


梅「よく言った、ふーみ!」 バッ

楓「わたくしもまだ諦めてませんわよ!」

神琳「なっ!? しぶとい方々ですね……!」

二水「楓さん、梅様!」

ミリアム「お主ら、まだ生きとったか!」

楓「生憎とわたくし、梨璃さんと添い遂げるまでくたばる予定はありませんの!」

雨嘉「それは諦めたほうがいいと思うっ!」 ダァン
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:26:02.39 ID:9IOV3NLro<>
梅「もう見切った、そこだぁ! だりゃぁぁぁっ!!」 ガキャァン

雨嘉(そんな、アステリオンが!)

梅「CHARMを手放したな! 捉えたゾ、わんわんっ!」

神琳「雨嘉さん!!」

ミリアム「どこを見ておる? お主の相手はワシらじゃあ!」 ガキン


梨璃「きゃあぁっ!」 ドサ

楓「うふふ、こうして組み敷いてしまえばCHARMを持ったリリィも無力です。こんな状況でなければ最高なのですけれど……」 チャキ

梨璃「───ぅ……あ、あれ? 楓さん、どうして……え!? 何!?」

二水「梨璃さん、まさか正気に戻ったんですか!?」

梨璃「や、やめてください! どうしちゃったんですか楓さん、これは一体どういうことですか!?」

楓「っ……まだそんな茶番を! 二度もこのわたくしに通じると思ってらっしゃるのですか!?」

梨璃「やだ、いやだぁ……! 助けてお姉様! 助けて……楓さん……!」

楓「だ……黙りなさい! それ以上梨璃さんのフリを、しないでくださいまし……!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:27:02.43 ID:9IOV3NLro<>
神琳「梨璃さん! いま加勢しますっ!」

ミリアム「マズい! 奴がそっちに向かっておるぞ!」

楓(しまっ……こんな時間稼ぎに!) バッ

梨璃「───本当に楓さんは優しいなぁ。こんな手に何度も引っかかってくれるなんて」 ジャキン

二水「楓さぁん!!」

楓(ぐぅぅっ! わたくしは何をしていますの!? 見え透いた罠にかかり、仲間を危険にさらすとは!)

楓(せめて梨璃さんだけでも……! この方が無事ならきっとなんとかしてくださる、そんな奇跡を起こしてしまわれる方なのですから───!)

梨璃「これで終わりです! 楓さんは少し、眠っててください!」

楓「そこですわ! わたくしの想い、届いてくださいまし!」 ジャキン


ギィィンッ


鶴紗「よう、苦戦してるみたいだな。手助けが必要か?」


二水「あ、あれは……鶴紗さん!?」

楓(このタイミングで敵の増援!? なんてことですの、これ以上はもう……!)

<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:28:02.61 ID:9IOV3NLro<>

夢結「……遅いわね。あの娘は何をしているのかしら」 ズズ


梨璃「見つけましたよ、お姉様!」

夢結「待ちくたびれたわよ梨璃。わたしを呼び出しておいて、まさか迷子になったわけじゃないでしょう?」

夢結「……他のみんなもいるのね」

梨璃「お姉様……」

梅「やめとけ梨璃、説得が通じる相手じゃない」

夢結「何の話かしら? それにどうして……」



夢結「全員、わたしに向けてCHARMを構えているのかしら。返答によっては……斬るわよ」

一柳隊「「…………」」


<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:29:01.64 ID:9IOV3NLro<>
梅「お前ら気を抜くなよ。夢結相手に出し惜しみしてると、マジで全員やられかねないゾ」

神琳「そうですね。ここで夢結様を止めないと、いずれわたくしたちは全滅するでしょう」

二水「ほ、本当にやるんですか? わたしたちで夢結様をやっちゃうんですかぁ!?」

楓「下がってなさいちびっこ。まったく、誰かに似て本当に手のかかるお方ですこと!」

夢結「そう、あなたたち……すでに全員、敵の手に落ちたというワケね」

ミリアム「まあ、こうなるのはわかっておったことじゃがな」


夢結「御託は結構よ。全員まとめてかかってらっしゃい、一人残らず返り討ちにしてあげるわ!」

鶴紗「くるぞ! 総員、作戦通りに動け!」

雨嘉「なんて気迫……でも、絶対に負けない!」

梨璃「待っててくださいお姉様、わたしが必ず……!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:30:02.48 ID:9IOV3NLro<>
夢結「せいッ!」 ギィィン

神琳「くぅっ! レアスキルを発動してないのに、なんて重たい一撃……耐えきれません!」

雨嘉「避けて神琳っ!」 ダァン

夢結「甘いわね、もっと当てる気で撃ちなさい!」 ギャリィ

雨嘉(うそ、至近距離から撃ったアステリオンの弾を叩き斬るなんて!?)


鶴紗「ならわたしが相手だ夢結様! いくぞ、《ファンタズム》!」

夢結「ふふっ、あなたが万が一にもわたしに勝てるかしら?」

鶴紗(ちぃっ! 勝てる未来がまったく視えない、バケモノか夢結様は……!)

梅「くらえ夢結! いくらお前でも、この一撃は避けられないだろっ!」

夢結「見くびられたものね。目で追えなくても気配と予測で捉えられるわ!」 ガキィン

梅「うっそだろ!? 人間辞めすぎだろお前ぇ!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:31:05.32 ID:9IOV3NLro<>
二水「ダメです、個々の力では夢結様にかないません! もっと連携して立ち向かうべきです!」

夢結「もう終わりかしら? なら次はこっちの番よ!」 ガキィン

梨璃「危ない二水ちゃんっ! お姉様、もうお止めください!」

楓「ムダですわ梨璃さん! 夢結様が可愛いシルトの言うことを、はいそうですかと素直に聞く性格と思ってらっしゃるの!?」

ミリアム「ええい、ムダ口を叩くでないわお主ら! 三人がかりでも持ちこたえられんぞい!」


雨嘉「銃口で着弾点が予測されるのなら……!」 ダァン

神琳「こうするまでですっ!」 バシュ

夢結(! マソレリックで弾き返した銃弾を───軌道が読みきれない!) ギャリィ

二水「今です、鶴紗さん! 作戦通りに!」

鶴紗「《ファンタズム》───視えた! 夢結様、お覚悟を!」

夢結(レアスキルで予言した未来を視て向かってくるということは、わたしが負ける可能性があるということ! ここはいったん回避を……!) バッ

鶴紗「ふっ……らしくないな夢結様。一体わたしがどんな未来を視たと思ったんだ?」

夢結「! わたしを誘い込むための囮だというの……!? まさか本命は!」
<>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:32:12.81 ID:9IOV3NLro<>
ミリアム「こっちに逃げてくるのを待っとったぞい! 必殺! 正真正銘の《フェイズトランセンデンス》じゃあぁぁぁ!!」 キィィン

夢結「ぐぅっ!? さすがにっ……手が痺れるわね……!」

梅「隙だらけだゾ夢結! でぇぇぇい!!」 ギャリィィッ

夢結(マズいわ、受け身が取れない!)

梅「夢結が態勢を崩した! いまだやれえっ、梨璃!!」

梨璃「すー、はーっ……後で許してくださいね、お姉様ぁっ!」 バッ


夢結「こうなった以上、あの手を使うしか……! 《ルナティックトラン、んむっ!?」 チュム

梨璃「んんっ、はむっ……おねえ、ひゃまっ───!」 チュル

楓「んなぁっ!?」

二水「わあああっ、梨璃さん大胆です! 大胆すぎますぅぅぅっ!?」

夢結(えっ!? わたしいまっ梨璃にキスされて!? や、柔らかいわ……いやそうじゃなくっ!)

梨璃(あああ! わたわた、わたしお姉様とキスしちゃってるぅぅぅ! こ、これは作戦……! 仕方がないことだからぁっ!) カァァ
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◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:33:03.40 ID:9IOV3NLro<>
夢結(けれど、かえって都合が良いわ。このまま喉から侵入して、梨璃を───!) ズズ…

梨璃(きたっ! マギを、歯に集中ッ……! 絶対に助けます、お姉様ぁっ!!)


ガチンッ


ヒュージ「ギギィッ!」 ズルンッ

神琳「夢結様の口からヒュージが!」

梨璃「ぷあっ! 今です、楓さぁん!!」

楓「あああ、梨璃さんと夢結様がぁ……絶対に……!」 ワナワナ


楓「ぜーったいに許しませんわよぉぉぉ!! 土に還りなさい! このド変態ヒュージめですわぁぁぁッ!!」 ドシュッ

ヒュージ「ギ、ギッ……」 ボト

夢結「なんて、こと……ヒュージに操られていたのは、わたしの方だった、の……」 ドサ

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◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:34:21.00 ID:9IOV3NLro<>

二水「最初は梨璃さんが、皆さんにヒュージを広めていると思ってたんです」

二水「だけど、それだとわからないことがいくつか出てきて……」

ミリアム「朝からサボってた梅様がどうやって梨璃と会ったのか、そもそも梨璃は誰にうつされたのか? じゃな」

神琳「そこで仮説を立てました。お二人がヒュージをうつしあったのではなく、共通する第三者を介して感染したのでは、と」

楓「そういえばお二人方と仲が良く、元孤高の一匹狼で出撃三昧。いかにも外から妙なヒュージを貰ってきそうなリリィが一匹いましてよ?」 チラ

夢結「そういうことだったのね……ごめんなさい、みんなには迷惑をかけたわ」 ズーン

梅(あれっ、ということは夢結が梅に……)

雨嘉(わたしと神琳、誰にうつされたんだろ……) モヤァ


梅「あははっ! まあこれで一件落着ってことだな!」

鶴紗「まったく、人騒がせな連中だ」 モグモグ

夢結「そうね。これでこの件はおしまい、みんなお疲れ様。梨璃もそんなところにいないで、こっちへいらっしゃい?」

梨璃「むむむ、無理ですぅっ! 今お姉様のお顔を見たら、わたし死んじゃいますぅぅぅ!」 シュウウ

夢結「……? いったいどうしたのかしら。まさかヒュージによる後遺症?」

ミリアム「いや、梨璃が患っとるのは別の病じゃろ。放っておいても問題あるまい」
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◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:35:10.96 ID:9IOV3NLro<>

楓「あらちびっこ、こんなところで何をなさってますの?」

二水「あ、楓さん。結局ヒュージに最後まで感染してなかったの、わたしたちだけでしたね……」

ミリアム「ワシもおるぞい!」 ヒョコ

二水「あの、わたし今回は皆さんの足を引っ張ってばかりで。もしわたしが強いリリィなら、もっと早く解決できたんじゃないかな……?」

楓「何をおっしゃっているのやら。今日一番の功労者は間違いなくあなたでしょうに、もっと自信を持ちなさいな!」

二水「でも……」


楓「うふふっ。そんな湿っぽい表情をしていたら、せっかくのお顔が台無しですのよ?」 サワ

二水「そんなことは……えっ、なんか楓さん顔近くないですか?」

楓「梅様がシルトにしたいというお気持ち、少しわからなくもないですわね。本当に小動物みたいで、いじりがいがありそうですわ……!」 ニィ

二水「ちょっ、楓さん! 梨璃さん一筋じゃなかったんですか!? うそです、そんな……!」

楓「えいっ♪」 カプ

二水「ひゃうぅんっ!?」 ピクッ
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◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2020/12/31(木) 16:36:04.03 ID:9IOV3NLro<>
二水「うわぁぁぁっ!? まさか楓さんがヒュージに操られていたなんてぇぇぇっ! もうダメですぅ、おしまいですぅぅぅ!!」 ゴロゴロ

楓「おーっほっほっほ! これはほんの仕返しでしてよ! わたくしよりも活躍したくせに、寝言は寝てからおっしゃりなさいな!」


梨璃「あれ、楓さん。それに二水ちゃんも」 ガチャ

楓「へっ? 梨璃さん、なぜここに?」

二水「わぁぁぁん! 楓さんにキスされたぁぁぁ!」 ゴロゴロ

梨璃「あっ、二人ともそういう……ごめんねっ、お邪魔だったみたい!」 バタン

楓「」

二水「うわぁぁぁ……あれっ、なんともない?」 ピタ



楓「お待ちになって梨璃さぁぁぁん! これは誤解っ! 由比ヶ浜の海底より深い理由がありますのよぉぉぉ!!」 ダダッ

二水「待ってください楓さぁぁぁん! わたしとはただの遊びだったんですかぁぁぁ!?」

梨璃「二人ともごめんなさぁぁぁい! 誰にも言いませんし、すぐに忘れますからぁぁぁ!」

ミリアム「あやつら、ほんと相変わらずじゃの……」


おわり

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2021/01/01(金) 02:25:03.75 ID:BrfbeIQbo<> おつ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2021/01/01(金) 22:16:46.31 ID:TVyk9ApLO<> 乙 面白かった
結局鶴紗は感染してなかったの? <>
◆0OFFzs.gSU9k<>saga<>2021/01/02(土) 02:56:04.52 ID:26Cvz8Szo<> 楓さんが勝手に動きまくるので書いてて楽しかった
推しは神琳さんだけどメイン盾を活躍させるのは難しい……

>>34
敵だと思った鶴紗が実は味方で加勢→全員正気に戻ってる、ていうアニメ的表現を文字に起こしたら分かりにくくなったので反省 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2021/01/02(土) 17:12:13.48 ID:iBfdrm8VO<> >>35
なるほどね
アサリリのSS珍しいからもっと増えてほしい <> 紅茶ジャンキー
◆0OFFzs.gSU9k<>sage<>2021/04/19(月) 21:12:22.34 ID:CWz0j2fso<> ディスコ用証明レス <>