以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:35:37.87 ID:TGUW7DhN0<>――おしゃれなカフェ――

<からんころん

北条加蓮「……うわ、もわっとするっ。着込みすぎちゃったかな……。さて、藍子はっと」

加蓮「お、いたいた。藍子ー、お待――」


高森藍子「じ〜…………」


加蓮「……なんであの子、店員さん相手ににらめっこなんてしてんの?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1610274937
<>高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「熱量の残るカフェで」 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:36:15.53 ID:TGUW7DhN0<> レンアイカフェテラスシリーズ第148話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんが忙しい日の、いつもではないカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「あしあとを追いかけたカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「昼下がりのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」

予定を少し変えて、前回とあまりつながらない形でお送りします。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:36:45.49 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「藍子ー、お待たせー」

藍子「じ〜〜〜〜……あっ。こんにちは、加蓮ちゃんっ」

加蓮「こんにちは。で……店員さん、何かやらかしたのかなー?」

藍子「えっ、そうなんですか?」

加蓮「いやアンタが……。って、店員さんもそんなに否定しなくていいよっ。なに、なんでそんなに私を恐がるのよ」

加蓮「……そして藍子はなんで苦笑いしてんのっ。ねえ、ちょっと。だから何なの、その分かりますって顔!」

藍子「そ、そんな顔してませんよ〜。なに言ってるんですか〜加蓮ちゃん」

加蓮「相変わらず棒読みすぎて……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:37:13.45 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「店員さんじゃないなら藍子だね。ほら、藍子。悪いことをしたらごめんなさいだよ」

藍子「……、私は何もやってないもんっ、加蓮お姉ちゃん!」

加蓮「誰がだっ」ベシ

藍子「あたぁっ!? あ、あれっ。違いましたか?」

加蓮「……何が? 何を疑問に思って、何を正解だって思ったの……?」

藍子「だって、加蓮ちゃんが大げさに言うから、いつものお芝居かなって――」

加蓮「なるほど。今年は藍子とは合わない1年になりそう」

藍子「そんなっ」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:37:44.18 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「加蓮ちゃんがそんなことを言うから、店員さんまで落ち込んでしまいましたよ」

加蓮「え?」

藍子「私のことを嫌いって言うなら、加蓮ちゃん、きっとこのカフェに来なくなるって思うから……。店員さんも、そう思ったんですよね?」

加蓮「え、ちょっと待って。そういうんじゃなくて……」

藍子「違うみたいです。よかったですねっ」

加蓮「……はぁ。もうお好きにどーぞ。注文は……どうしよっか」

藍子「また決まったら、お呼びします。……そ、そんなに構えたりしなくていいですよ〜。のんびり待っていてくれたら、嬉しいですっ」

加蓮「ってことー」

藍子「……加蓮ちゃん」

加蓮「え、私が悪いの?」

藍子「悪いかどうかって言われたら、悪くはないかもしれませんけれど……」

加蓮「うん」

藍子「加蓮ちゃん」ジトー

加蓮「悪者を見る目じゃん、それ……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:38:13.65 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「分かった分かった。しょうがない、店員さんの前でくらいは仲の良いフリをしとこっか」

藍子「……………………」ジトー

加蓮「……っていうドラマとか漫画とかなかった?」

藍子「……あったかもしれませんね。それで、加蓮ちゃんはお芝居でもそれをやりたいんですか?」

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……水でも飲もっと」ゴクゴクゴク

藍子「……」ゴクゴク

加蓮「ふうっ。よし、今の話は水に流そっか!」

藍子「はい、そうしましょうっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:38:43.94 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「なんか新年初っ端から滑った気分ー。もう新年初っ端って日でもないけど」

藍子「加蓮ちゃんがまたおかしなことを言うから……。でも、そういう日もありますよ。お正月のおみくじは大吉だったんですから。次はいいことがあるって、信じましょうっ」

加蓮「……あれさぁ。明らかに細工してたよね?」

藍子「ぎくっ」

加蓮「春菜とか愛梨とかも誘って、カウントダウンの次の日に神社に行こーって言った時、なんか歌鈴がソワソワしてたし、藍子もコソコソしてたし」

藍子「ぎくぎくっ」

加蓮「で、神社に着いたら先回りしてたし? 巫女の格好になってたから、その時はあぁ着替える為だったんだなってくらいにしか思わなかったけど……」

加蓮「あのおみくじ、私が引いても春菜や愛梨が引いても大吉しか出なかったじゃん」

藍子「じ、神社はお正月の時、大吉だけを入れておく場合もあるみたいですよ?」

加蓮「そうだとしても、あと愛梨が引いたヤツ。やたらメガネのことを書いてたよね。メガネを変えるといいことありますよ、メガネ越しに見ると無くしものが見つかるかも! って。あれホントは春菜に引かせるつもりだったんでしょ」

藍子「それは……。そういうおみくじがあっても、いいんじゃないでしょうか」

加蓮「あってたまるかっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:39:14.99 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「ひょっとしたら、今年のおみくじは春菜ちゃんが作ったのかもしれません。眼鏡をみんなにかけてほしくて――」

加蓮「どんな経緯があったら春菜が神社のおみくじを作ることになるのよ!」

藍子「歌鈴ちゃんに誘われたかもしれないじゃないですか!」

加蓮「それはアンタでしょ!」

藍子「私は誘われたんじゃなくて、自分から歌鈴ちゃんに手伝えることがあったらって言ったんです!」

加蓮「やっぱりヤラセじゃないのっ。私の引いたおみくじにやたら"ゆるふわ"って単語を並べやがって!」

藍子「そ、そういうおみくじがあっても――」

加蓮「あってたまるかー!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:39:43.73 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「そんなんだったら、もうアンタ達で新しい神社でも作ればいいんじゃないの……」

藍子「!」

加蓮「その手があったかって話じゃないから!」ベシ

藍子「いたいっ」

加蓮「神社って神様を担ぎ上げる場所でしょ。巫女が勝手に作るもんじゃないってば……」

藍子「担ぎ上げるって言われると、なんだかお神輿みたい」

加蓮「お神輿ってそういうものじゃなかったっけ。詳しくは知らないけど」

藍子「私も、そんなに詳しくはないから……。今度、一緒に歌鈴ちゃんに教えてもらいに行きませんか?」

加蓮「えー……」

藍子「……そんな、あからさまに嫌な顔をしなくても。じゃあ、春菜ちゃんや愛梨さんも巻き込んじゃいますっ。これならいいですか?」

加蓮「……それならまぁ、いっか」

藍子「決まりですねっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:40:14.01 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「おみくじは、もともと番組のために作ろうって目的もあったんです」

加蓮「番組?」

藍子「お散歩番組の、番外編? みたいな雰囲気で、みんなで神社を参拝するっていう番組っ。ただ、いろいろな理由があって、結局できなかったみたいで……」

加蓮「そうだったんだ」

藍子「おみくじも、そのために作ったんですよ。ちゃんと神主さんの許可は取っているので、安心してくださいっ」

加蓮「なるほどね。……それならもうちょっと本格的に作ろうよ。2行に1回"ゆるふわ"って単語を出すんじゃなくてさ……」

藍子「加蓮ちゃん、厳しい……」

加蓮「そっか、企画がボツになっちゃったんだね。歌鈴、がっかりしてなかった?」

藍子「ちょっぴりだけ、寂しそうにしていましたよ。でも他のお仕事もいろいろあって……落ち込んでる暇はありません、って!」

加蓮「ふふ。強い巫女さんだ」

藍子「それも、歌鈴ちゃんが言っていました。巫女はめげないんです、って」

加蓮「たははっ。じゃあ、藍子も着せてもらったら? 巫女服。普段は前向きな癖に大切なところで後ろ向きになる誰かさんには、ちょうどいいと思――」

藍子「……あの、とっても言いにくいんですけれど」

加蓮「えっ」

藍子「それも、歌鈴ちゃんが言いました……。あい――私……ううん。藍子ちゃんも一緒にどうですか! って……」

加蓮「…………」

藍子「あ、あはは……。怒らないであげてくださいね?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:40:47.57 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「……いや怒りはしないけどさ。逆に怒る気力が無くなるパターン……」

藍子「あははは……」

加蓮「ま、いっか。それなら私も歌鈴も、気合たっぷりのアイドルさんを応援してるってことで♪」

藍子「わ……」

加蓮「応援っていうよりは、何事もなく頑張ってほしいって気持ちなのかな? 落ち込むようなことが起きませんように、転びませんように……なんてね」

加蓮「っと。歌鈴の気持ちまで勝手に代弁しちゃった。ホントはどう思ってるかは、神社の講義を受けるついでに聞いておこっと」

藍子「…………、」

加蓮「……? どしたの。足の裏なんて気にしちゃって。なんかくっついてた?」

藍子「ううん。なんだか、ちりちりって熱い感じがしちゃって……。加蓮ちゃんに応援されると、他のみなさんの活躍を見ている時と同じくらい、私もやりたい、って気持ちになっちゃうんです……」

加蓮「焚き付けちゃったか」

藍子「でも、焦らない、あせらない……。年末は、とってもばたばたしていて、私たちもたくさん頑張りました。今くらいは、加蓮ちゃんとのんびりしたいって思っても、いいですよね」

加蓮「どーぞ」

藍子「よかった♪」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:41:14.55 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「私も、きっと歌鈴も……藍子が、藍子のやりたいようにやれればいいなって思ってるよ。無理に背中を押すことなんてしないって」

藍子「そっか……ありがとう、加蓮ちゃんっ。歌鈴ちゃんも」

加蓮「いや、本人には本人に言いなさいって」

藍子「ふふ、そうでしたね」

加蓮「次に会ったらまず最初にお礼を言ってあげるといいと思うよ。変な前置きとかしたら、何の話? ってなっちゃうもんね」

藍子「そうですね。そうしま――……? 加蓮ちゃん。出会って、急にお礼を言われた方が、何のお話? ってなっちゃいませんか?」

加蓮「ちっ」

藍子「……じと〜」

加蓮「最初に何の話かって興味を惹かせて、それから説明した方が話を聞いてもらいやすくなるでしょ? これ、モバP(以下「P」)さんと一緒に挨拶回りとかして、気難しい大人相手に覚えた交渉テクニックなんだー」

藍子「なるほど〜……って、歌鈴ちゃんはそんなことしなくても、普通にお話を聞いてくれます」

加蓮「ちぇ」

藍子「もぉ〜……くすっ♪」

加蓮「ん?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:41:44.08 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「加蓮ちゃんって、やっぱり加蓮ちゃんですね」

加蓮「うん、そりゃまぁ加蓮ちゃんは加蓮ちゃんだけど」

藍子「……あの、怒らないで聞いてくださいね?」

加蓮「うん」

藍子「加蓮ちゃんって……こうしてお話していると、よく冗談を言ったり、楽しそうに笑っていたり……。すごく、身近な女の子って気がするんです」

藍子「カフェで過ごした時間が、いっぱいあるからかもしれませんね。家にいる時も、よく、お母さんやお父さんとのお話に名前が上がったりして――」

藍子「……それでも、加蓮ちゃんがアイドルとして輝いている時に、今でも少しだけ、距離を感じちゃうんです」

藍子「すごいなぁ、って……」

藍子「カウントダウンライブの時も……すぐ近くで見ちゃったから」

藍子「あっ、でも本当に一瞬だけですよ? それにっ、あの時歌鈴ちゃんと合流していて、一緒に加蓮ちゃんのステージを見ていて……すごいね、頑張りたいね、ってお話したんですから!」

加蓮「…………」

藍子「だ、だから、その〜……」

加蓮「……はぁ。えい」ベシ

藍子「きゃっ」

加蓮「これで許してあげる」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:42:14.91 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「痛い……。加蓮ちゃん、今けっこう強い力で叩い――」

加蓮「ふぅん。グーがいいの?」

藍子「わ〜っ。ごめんなさいごめんなさいっ、違います!」

加蓮「よろしい。あのねー……。いつまでそんなこと言ってんのって話もだけど……そうやって怯えさせるために、私はステージに立ってる訳じゃないんですけど?」

藍子「……あっ」

加蓮「ったく」

藍子「……ごめんなさい、加蓮ちゃん」

加蓮「さっきので許してあげるって言ったでしょ?」

藍子「そうでしたね……。うんっ」

加蓮「だいたいカウントダウンライブのMCに抜擢までされておいて、何を怯えてるんだか」

藍子「それとこれとは別ですよ〜……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:42:44.65 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「ちょっと目を離した隙にいつものラジオ感覚で喋り出すしっ。ちびっこ達なんて待ってる時にまだかなまだかなってずっとそわそわしてたんだから。何度文句を言いに乱入してやろうかと――」

藍子「……あ、あの、加蓮ちゃん?」

加蓮「だいたい歌鈴も歌鈴よっ。藍子が暴走した時にブレーキをかけたりしようとは思わないの? 今度会ったら言ってやるんだからっ」

藍子「……喧嘩とかしないでくださいね?」

加蓮「そっか、バトルになった時に備えて先に春菜と愛梨に声をかけとかなきゃ」

藍子「具体的な方法を考えないでくださいっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:43:13.94 ID:TGUW7DhN0<>
□ ■ □ ■ □


加蓮「……ん? スマフォになんか来てる。えーと……うん……?」

加蓮「ねえ藍子。なんか愛梨から、仲良くしないとダメですよ〜? とか言われたんだけど。藍子、なんか送った?」

藍子「送りました。加蓮ちゃんが、歌鈴ちゃんと喧嘩しそうになっています、って」

加蓮「えー」

藍子「加蓮ちゃんが先回りするって言うなら、私だって……!」

加蓮「……しまったなぁ。さっき無策でトイレに行ったのが間違いだったかー」

藍子「ほら、愛梨さんもこう言っているんです。歌鈴ちゃんと、仲良くしてあげてくださいね」

加蓮「はぁい。……あれ、もう1通来てる。えーっと、『それと、春菜ちゃんが2人用のメガネを探しているようです』。ほっとこ」

藍子「一応、春菜ちゃんにも送ったんですが……。どうして、眼鏡を選ぶお話に?」

加蓮「春菜だからじゃない?」

藍子「あぁ……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:43:44.20 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「さてとっ。注文しよっか」

藍子「そういえば……さっき店員さんにおことわりしてから、まだ何も注文をしていませんでしたね」

加蓮「最近こんなことばっかりだよね。藍子と会うと、ついお喋りしちゃう」

藍子「今日も、1時間以上すぎちゃいました」

加蓮「来るだけ来て喋りまくるお客さんとか、出禁にされても文句は言えないよ」

藍子「出禁にはされないと思いますけれど……。やっぱり、何か1つくらいは注文してからの方がいいですよね」

加蓮「ってことで」

藍子「限定メニュー、チェックしますか?」

加蓮「もっちろん。えーと……おっ、なんか和風なページ。セットで見慣れたヤツだー」

藍子「写真の縁も、正月飾りみたいな柄になっています。1月のメニューだから、お正月を意識しているのかな……?」

加蓮「でも中身はパフェみたい」

藍子「パフェに……お、おもち?」

加蓮「白玉じゃなくて、おもちパフェって……さすがに初めて聞いたなぁ。美味しいの……?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:44:44.40 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「加蓮ちゃん。写真のここ。これ、きなこに見えませんか?」

加蓮「ホントだ。っていうか、底におもちがあるパフェってもうお汁粉とかじゃない?」

藍子「お汁粉パフェですね」

加蓮「余計ワケの分からないものになってるっ」

藍子「他には……[お正月の名残]? 伊達巻と、昆布巻きと……」

加蓮「納豆……は、さすがに外で食べるものじゃないよね。アイドルとして」

藍子「お正月が過ぎても、力を抜いてのんびり気分で……そっか。お正月に食べるものを注文して、肩の力を抜いてほしいってことなんですね♪」

加蓮「へぇー。面白い発想だね。これ、藍子が考えたんじゃないの?」

藍子「違いますよ〜」

加蓮「藍子が書いても違和感ないなって思っちゃった。すみませーんっ」

藍子「おもちパフェにしますか?」

加蓮「そのつもり。藍子は?」

藍子「私も、そのつもりですっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:45:14.49 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「……店員さん、来ないねぇ」

藍子「やっぱり、何も注文せずに1時間いたから、怒っているんじゃ……!?」

加蓮「ないない。ないってば。っていうか、逆にあの店員さんが藍子に怒るところなら見てみたいくらいだよ」

藍子「そんな。怒らせちゃ駄目ですよ」

加蓮「ダメって言われると?」

藍子「駄目なものは、駄目です。……あっ、店員さん」

加蓮「全然待ってないよー。こっちこそ待たせちゃってごめんね。おもちパフェを2つ、お願いしますっ」

藍子「…………、」

加蓮「店員さんの後ろ姿がそんなに気になる?」

藍子「わ!?」

加蓮「いや、藍子がじーっと見つめてたから。そういえば、ここに来た時も店員さんとにらめっこしてたよね。何かあったって風でもなさそうだし……。なんか気になることでもあるの?」

加蓮「……んー。ここから見る限り、別に変わったメイクやネイルをしてるようでもないし、実は別人ってこともなさそうだし」

藍子「店員さんのことが、ちょっと気になるなって。それだけですよ」

加蓮「……うん?」

藍子「?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:45:43.69 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「えーっと。……どういう意味で?」

藍子「え? どういうって……。店員さんが、気になるなぁってだけですけれど」

加蓮「え、えぇ……?」

藍子「……??」

加蓮「…………あ、あぁそっか。店員さんって、カフェの店員さんがってこと?」

藍子「はい、そうです。この前も、1人でカフェに行った時、店員さんをのんびり眺めていて面白いなぁって思って……」

加蓮「びっくりしたー……。店員さんかぁ」

藍子「今は……。姿が見えないみたい。厨房に行ったのかな?」

加蓮「パフェを用意してくれてるのかな」

藍子「ゆっくり待ちましょうか」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:46:14.70 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「〜〜〜♪」

加蓮「〜♪ ……ん、またメッセだ」

藍子「あれっ、私にも……」

加蓮「……あのねぇ春菜。メガネが映った写真だけを送りつけてくるなっ」

藍子「加蓮ちゃんのところは、どんな眼鏡の写真が?」

加蓮「青色……っていうより深青色の、縁が薄いヤツ」

藍子「私のスマートフォンには、橙色と、ちいさなひまわりの飾りがついた眼鏡でしたっ」

加蓮「こーいうのってOL風コーデと一緒にかけると格好いいんだよね」

藍子「これ、確かこの前に春菜ちゃんがデザインしたって話題になった……ううん、あれとは色違いですね。もしかして、私をイメージしているのかな?」

加蓮「……ねえ藍子。私達って、こんなメガネとか、メガネコーデのことに詳しかったっけ?」

藍子「そういえば……。春菜ちゃんが、たくさん教えてくれるから?」

加蓮「誰かさんの影響でカフェを見れば足が止まるようになったし。神様だとか神社の知識まで身についちゃうしっ。もー、いい迷惑だよっ!」

藍子「なんて言って、加蓮ちゃん、すっごく楽しそう♪」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:47:15.93 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「言っとくけど。絶対にお菓子作りだけはしないから。私は食べる係なの」

藍子「まだそんなことを言ってるっ」

加蓮「他の企画なら乗るからって、愛梨にはよく言っておいてね」

藍子「は〜い。でも、それなら加蓮ちゃんから言えばいいのに。愛梨さんも、きっと喜ぶと思いますよ」

加蓮「……私が言ってもニコニコしながら聞き流してくるし、藍子どころじゃないマイペースで押し切られるの」

藍子「あ〜……」

加蓮「別に、それで嫌いとかじゃ全然ないんだけどね。反則だなってだけ。……お。パフェが来たみたい」

藍子「ありがとうございます、店員さん。……じ〜」

加蓮「そういうのはせめて店員さんがあっち向いてからね?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:47:43.94 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「さて、いただきますっ」

藍子「いただきます。上の方は……普通の生クリームですね」

加蓮「アイスの部分は、代わりに餡子……いや、これ餡子餅になってる!? パフェの容器で餡子餅を食べるのって、すごく変な感じ……」

藍子「まるで、お正月をいっぱい詰め込んたパフェみたい」

加蓮「お正月パフェ? って、言いにくいかな」

藍子「ニューイヤーパフェ、とかどうですか?」

加蓮「んー……もうひとひねりっ」

藍子「では、ニューパフェっ」

加蓮「いいじゃん。新しいパフェなのは間違いないし、ニューパフェっ。みんな興味を持ってくれそう!」

藍子「新しいパフェって言われたら、きっとみんな食べに行きます」

加蓮「……よく考えてみたら、おもちパフェって言われた方が面白そうって思わない?」

藍子「確かに、私と加蓮ちゃんもそれで注文しましたね」

加蓮「やっぱりこれはおもちパフェだ」

藍子「ですねっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:48:13.77 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「ん? スコーンから抹茶の味……。おもちの上の層が、抹茶味になってるみたい」

藍子「抹茶とおもちの組み合わせも、和風でいいなぁ……」

加蓮「抹茶味の部分を食べ終わったら……いよいよ、おもちだねっ」

藍子「パフェに入っているおもち……いったい、どんな味わいなのでしょうか……!」

加蓮「……えーっと」

藍子「じ〜……」

加蓮「藍子。気持ちは分かるけど、それは食べにくいでしょ?」

藍子「だ、だって、私も気になって〜。私、まだようやく、あんこもちを食べ終わったところですから」

加蓮「相変わらずゆるふわすぎる……」

藍子「加蓮ちゃんに、どんな味か教えてほしいですっ」

加蓮「えー、食レポの依頼? 今をときめくアイドルにタダでやらせるのー?」

藍子「お礼ですか? それなら……。今度、愛梨さんにお願いして、加蓮ちゃんが食べる役になるプチパーティーを開いてもらうってことで♪ もちろん、私も作りますから」

加蓮「うわ、大きく来たね。じゃあ、歌鈴も食べる役に回してくれるなら」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:48:44.39 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「加蓮ちゃん、歌鈴ちゃんと一緒に食べたいの?」

加蓮「いい匂いがしたところで台無しにされたら包丁で刺しかねないし」

藍子「だ、大丈夫ですよ、たぶん。では、歌鈴ちゃんには食べてもらう役になってもらって……春菜ちゃんは?」

加蓮「愛梨の作るケーキにメガネ型のお菓子を乗っける係」

藍子「め、眼鏡の形のお菓子……」

加蓮「逆にメガネを食べるなんてとんでもない! とか言い出して、お菓子を食べる用のメガネとか用意し始めちゃうかもね」

藍子「……お菓子を食べる用の眼鏡って?」

加蓮「……汚れにくいとか?」

加蓮「って、そうじゃなくて今はおもちの話! もう……すぐ話が迷子になるんだから」

藍子「そうでしたね。加蓮ちゃん、食べちゃってくださいっ」

加蓮「いただきます」

藍子「どきどき……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:49:13.82 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「んー……」

加蓮「んー?」

加蓮「……おもちだ」

藍子「おもち?」

加蓮「いや、だってこれおもち……。白玉っぽくもあるけど、食べてみたら分かるよ。これ、おもちだよ」

藍子「な、なるほど。白玉みたいなおもちってことなんですね」

加蓮「味は白玉に近いんだけど、食べたらおもちだって納得できる雰囲気……? これで伝わるか分かんないけど」

藍子「なんとなく、分かるような……。食べた人だからこそ分かる答え、ってことでしょうか」

加蓮「……ああもうっ。焦れったい。ほら! 藍子っ、あーんっ!」

藍子「あむあむっ……」

加蓮「……なんか乗せられた気分なんだけど。わざとじゃないでしょうね……。わざとな訳ないっか。藍子だし」

藍子「ごくんっ。確かに……これは……おもちです!」

加蓮「だよねだよねっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:49:46.04 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「白玉みたいな柔らかさと、ゆっくり染み渡るちいさな甘みがあって……だけど、これは確かに、おもちなんですっ」

加蓮「これはおもちだ、としか言いようがないよね!」

藍子「加蓮ちゃんの言いたいことが、いま全部わかりました」

加蓮「よかった」

藍子「お正月を、いっぱい詰め込んたパフェですけれど……。これはやっぱり、おもちパフェですね」

加蓮「これはやっぱりおもちパフェ」

藍子「やっぱりおもちパフェ♪」

加蓮「……流行る? このフレーズ」

藍子「う〜ん……。秘密のカフェの、秘密のメニューってことにしておきましょう」

加蓮「そうだね。そうしちゃおうよ」

藍子「はい♪」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:50:15.96 ID:TGUW7DhN0<> ……。

…………。


「「ごちそうさまでした。」」

加蓮「藍子おばあちゃん、口の端にきなこがついて……いますよ」

藍子「えっ、どこですか――って、おばあちゃん!?」

加蓮「くくっ。おもちを慎重に食べてるところを見たら、なんかおばあちゃんみたいって思っちゃった」

藍子「私は、いつも通り食べていただけですけれど……」

加蓮「喉をつまらせるとヤバイから慎重に食べるおばあちゃん的な?」

藍子「えぇ……」

加蓮「ふふっ。……はい取れた」

藍子「ありがとう、加蓮ちゃんっ」

加蓮「どう致しまして」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:50:44.77 ID:TGUW7DhN0<> 加蓮「店員さん。カップありがとね。……おもち? うん、美味しかったよ。おもちって感じがして」

藍子「ごちそうさまでした。……ふふ。店員さん、ほっとした顔になってる♪」

加蓮「ちょっとチャレンジしたメニューだったのかな」

藍子「……じ〜」

加蓮「って、また?」

藍子「あっ……。あんまりじろじろ見たら、ご迷惑なのは分かっていますけれど……」

加蓮「店員さんに限ってそこら辺はいいと思うけど……。そんなに気になってるんだ」

藍子「クリスマスの時は……ほんのお芝居みたいなものですけれど、私が店員でしたから」

加蓮「あー」

藍子「1回やってみると、やってみたいって思うことや、気になることがたくさん生まれるんです。そうしたら……つい、目で追ってしまって」

加蓮「演じてるうちに、もっと極めてみたいって思っちゃうんだね」

藍子「はいっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/01/10(日) 19:51:14.17 ID:TGUW7DhN0<> 藍子「じ〜〜」

加蓮「あーあ。すっかりそういうモードになっちゃって……。そんなに店員さんを眺めたいなら、前に1人で行ったカフェだっけ? 今度一緒に行ってみよっか」

藍子「本当ですかっ!?」

加蓮「藍子の話を聞いてたら気になるし、藍子も何か勉強になるかもしれないでしょ? 今度はコラムとかじゃないんだし、気軽にできるもんね」

藍子「うんっ。加蓮ちゃん、今度のオフの予定は? Pさんにお願いして私もお休みをもらって、あと準備はっ――」

加蓮「……カフェの話になるとすぐこうなっちゃうんだから」

藍子「へ?」

加蓮「いいよいいよ。今年も、いっぱい付き合ってあげる。よろしくね、藍子」

藍子「それなら私も、加蓮ちゃんのやりたいことを一緒にやりたいですっ。今年もよろしくお願いします、加蓮ちゃん♪」


【おしまい】 <>