◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:08:28.19 ID:A5GyuA5Jo<>
デレ・シャニ越境です
越境もの苦手な方はどうかご注意下さい

アイドルになる前の二人がアイドルになるまでの話


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1610629707
<>【デレ・シャニ】周子・摩美々「目を逸らさないで、7秒」
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:09:17.86 ID:A5GyuA5Jo<> 〜夜・街中〜

周子「……ふぅ」テクテク


周子(うーん。どうしよ)

周子(まぁちょっとの間、過ごす位のお金はあるから……どうにでもなるけどさ)

周子(いやー、それにしても)

周子「……」ハァ

周子(こんなにいきなり家を追い出されるとは……思ってなかった)


周子「喉、乾いたなぁ──」

周子「あ……自販機」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:09:51.43 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……はぁ」テクテク


摩美々(もうこんな時間かー)

摩美々(今日もまた、退屈な一日が終わった)

摩美々「……」

摩美々(何か、メンドーだなぁ)

摩美々(こうやって歩き回るのも面倒になってきた。けど帰るのも、それはそれで面倒)


摩美々「どこかで時間潰して──」

摩美々「あ……自販機ぃ」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:10:26.01 ID:A5GyuA5Jo<>
周子・摩美々「……ん」バッタリ

摩美々「お先にどうぞぉ」

周子「あ、おおきに」


周子「……」ピッ

ガシャンガラン


摩美々「……」ピッ

ガシャンガラン


周子・摩美々「……」

周子・摩美々「……」カシュッ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:10:59.99 ID:A5GyuA5Jo<>
周子(──あれ。あの子もここで飲んでくのか)

摩美々(たまたまとはいえ、知らない人と自販機横で並んでジュース飲むってぇ)


周子・摩美々『何か、変な感じ……』
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:11:37.09 ID:A5GyuA5Jo<>
周子(にしても、えらい格好の子やなー。これが都会の女の子ってやつ?)

周子(ま、どうでもええけど)ゴクッ


摩美々(脚、長ぁー。髪、真っ白ぉー。高円寺でシンガーソンクライターとかしてそー)

摩美々(ま、どうでもいいけどー)ゴクッ



周子・摩美々「……」

周子・摩美々「……」

周子・摩美々「……」ボンヤリ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:12:12.66 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「──ん?」


男A「ね、暇ならどっか遊び行かない?」

摩美々「えー。誰ー?」

男B「カラオケでも飲みでも奢るよ!」

摩美々「興味ないでぇーす」ヒラヒラ

男A「そんなこと言わずに、一回だけさ!」

摩美々(あー、もう。鬱陶しいなー……)


周子「……」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:12:46.85 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「はいはーい、ごめんねー」ズイッ

男A「……おっ、二人連れだったの?」

男B「二対二で丁度良いじゃん! お姉さんも一緒にどっか──」

周子「悪いねーお兄さん方、あたしらこれから予定あるんよー」

男A「えぇ、そんなぁ!」

男B「じゃあさ。連絡先だけでも──」

周子「あのさぁ……」


周子「あんましつこいと警察呼ぶよ?」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:13:21.78 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「んったく、ほんましょーもないわ」

摩美々「えっとー。ありがとうございましたぁ」

周子「気にせんでええよ、この位……それに」

摩美々「……?」

周子「自販機で先を譲ってもらったお礼、かな?」

摩美々「……ふふー。なんですかー、それぇ」

周子「あっはっは!」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:14:02.54 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々(なんかこの人、面白そう……)


摩美々「お姉さーん。暇ならご飯行きませんかー?」

周子「……え、二人で?」

摩美々「他に誰がいるんですかー」


周子(うぉぉ、えらい距離詰めてくるな……)


摩美々「駄目なんですかぁ?」

周子「んー……」

摩美々「?」

周子「……ま。ええか」

周子「そんならどっか、美味しいところおしえてー♪」

摩美々「ふふー」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:14:37.63 ID:A5GyuA5Jo<>
〜夜中・ダイナー〜

周子「ナンパから助けたらナンパされたわ」アハハ

摩美々「えー、言い方酷くないですかぁ?」フフ

周子「にしてもここ良い雰囲気やねー」

摩美々「私も好きなんですー。それにぃ、ここハンバーガーも凄いんですよぉ」

周子「ふぅん?」

摩美々「あ、来た来たー」

店員「お待たせしました」ドンッ

周子「……でっかぁ!!」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:15:12.05 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「この時間にこれは、中々背徳的だね……」

摩美々「ふふふー。さぁさぁ、召し上がれー」

周子「いっただっきまーす♪」

摩美々「まみみも、いただきまぁす」


周子・摩美々「……」モガモガ

周子「おー、美味しい!」

摩美々「ですよねー。けど」

周子「た、食べにくい……!!」

摩美々「そうなんですよねー」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:15:45.16 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「ふ、ふふふ……」

周子「うん? どしたん」モグモグ

摩美々「お姉さーん、口にケチャップ付いてますよぉ」

周子「……ぶふっ」

摩美々「んー?」

周子「そっちも付いとるで……ククク」

摩美々「えー、嘘ぉー」


周子・摩美々「……」

周子「あっはっはっは!」

摩美々「ふふふふふー」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:16:18.58 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「周子」

摩美々「?」

周子「"お姉さん"やなくて、塩見周子だよって」

摩美々「……ふふー。田中摩美々でーす」

周子「よろしゅうね、摩美々ちゃん」

摩美々「こちらこそ、よろしゅーこですー」

周子「なんそれ!」アハハハ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:17:00.60 ID:A5GyuA5Jo<> ──
────

摩美々「──へぇー。今時そういう話ってあるんですねー」

周子「ほんとよ! 大事な一人娘を追い出すかっての!」

摩美々「まみみの家では考えられないですぅ」

周子「ふふふ、それが普通やって」

摩美々「……あれ。そしたら今日、どこに泊まるんですかぁ?」

周子「んー? ネカフェかやっすいホテルでもとろっかなぁ」

摩美々「たくましいですねー」

周子「まぁ実家居るときも、あっちこっちフラフラしてたからね」

摩美々「うち泊まりますー?」モフモフ

周子「へ?」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:17:34.48 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「……あれ。摩美々ちゃんって独り暮らしだっけ」

摩美々「いいえー、実家ですよー」

周子「いやあ流石にあれじゃない……?」

摩美々「でもぉ、お金もったいなくないですかー?」

周子「それはまぁ……そうやけど」

摩美々「私の家そこそこ大きいのでー、別に良いですよぉ?」

周子「……」

周子「……」ウーーーン

周子「……ほんま?」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:18:10.96 ID:A5GyuA5Jo<>
〜深夜・摩美々の部屋〜

周子「お風呂まで借りちゃって、助かったわー」ホカホカ

摩美々「まみみの服、サイズ丁度で良かったですー」

周子「ほんと何から何までありがとね」

摩美々「良いですよー、お返しは出世払いでぇ」フフー

周子「……」

摩美々「……え。何ソワソワしてるんですかー?」

周子「あぁ、いや……うん」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:18:45.26 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……あ、ごめんなさぁい。まみみ、そっちの趣味はなくって──」

周子「ちっがうわ! ていうかあたしもないから!!」

摩美々「じゃあ、なんですかー?」

周子「そうやなくて、初めて会った人の家に泊まることなると思ってなかったからさ」

摩美々「あー。まぁ確かに、変な感じですねー」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:19:21.02 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「ん、まぁいいや。そろそろ寝よっか、摩美々ちゃん明日学校でしょ」

摩美々「あー……起きれなかったら、サボればいいんですけどねー」

周子「それはそうかもしれんけどさ」

摩美々「あれ。怒らないんですねぇ」

周子「うん?」

摩美々「『学校サボるなんて……』みたいなー?」

周子「あたしも似たようなもんだったしねー。それに誰かを叱れるほど、人間出来てないから」ハハ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:19:55.34 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……」


摩美々(あー。そっかぁ……)

摩美々(何でこんなに話しやすいのかと思ったら──)

摩美々(この人、何となく私に似てるんだ)
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:20:28.21 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「ところで明日から、どうするんですかー?」

周子「んー。とりあえずバイト探しかな」

摩美々「周子さんが良ければ、このまましばらく泊まっても良いですよー?」

周子「いやいや、そこまでは遠慮しとく」

摩美々「そうですかぁ……」

周子「──あ。あの人のとこ行ってみよっかな」

摩美々「……?」

周子「おー、あったあった」ゴソゴソ

摩美々「なんですかそれぇ……名刺?」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:21:11.08 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「なんとこのシューコちゃん、アイドルにスカウトされたことがあるのです!」フフーン

摩美々「へぇ……ミシロプロ──え、346プロって大手じゃないですかぁー」

周子「やっぱ? 大手は? 見る目があるんやろねー♪」

摩美々「ドヤ顔止めて欲しいんですけどー」

周子「どーせ暇だし、この人のとこへ話聞きに行ってみようかな」

摩美々「周子さんがアイドルかぁ」

周子「うふっ♪ フリフリの衣装で踊っちゃうゾッ☆」

摩美々「イメージ出来ないですねー」

周子「うはははっ! やっぱり? あたしもそうなんだよね」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:21:51.78 ID:A5GyuA5Jo<>
〜翌日・学校〜

教師「〜〜〜〜」

摩美々「……」

摩美々(はーあ。退屈……)

摩美々(そういえば周子さん、どうなったんだろう)

ピコン

摩美々「……?」



周子『シューコちゃん、アイドルとして事務所に所属することが決定しましたー!』10:36 既読

摩美々『おー。おめでとうございます』10:36 既読

周子『寮にも今日から入れるみたいだし、ひと安心だよ』10:37 既読

摩美々『トントン拍子じゃないですか』10:37 既読

周子『ほんとは面倒くさい手続きとかあるらしいんやけどね。担当さんにあの手この手で誤魔化してもらったわ』10:37 既読
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:22:32.09 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々『なんだ、それなら今日は周子さん泊まりに来ないのかぁ』10:37 既読

周子『寂しがらんといてねっ☆』10:38 既読

摩美々『ホームシックになったら、いつでも帰ってきて良いですよー』10:38 既読

周子『あれ……? 1泊しただけの家を"ホーム"扱いって、あたしめちゃくちゃ図々しい奴だと思われてない……?』10:38 既読


摩美々「──ふふっ」


摩美々「……」フゥ

摩美々「アイドル、かぁ……」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:23:16.47 ID:A5GyuA5Jo<>
〜1週間後・夕方〜

周子「……」

摩美々「お待たせでぇす、周子さーん」テクテク

周子「おっ。きたきた」

摩美々「……」ジーッ

周子「?」

摩美々「うわー、アイドルのオーラで眩しいぃー」ヴッ

周子「やめて! 雑なアイドルいじりやめて!」ウハハハ

摩美々「ふふふ」

周子「さ、そろそろ行こか」

摩美々「はぁい」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:23:57.82 ID:A5GyuA5Jo<> ──
────
──────

ファミレス店員「ご注文は他にございませんか?」

周子「大丈夫でーす」

摩美々「でぇす」

ファミ店「少々お待ちくださいませー」


周子「ふぅ……にしても、やっぱ摩美々ちゃんお洒落やなー。今日見たお店、どこも凄く良い感じだった」

摩美々「あ、本当ですかー? 良かったですー」

周子「おかげで良い買い物出来たわ」

摩美々「ふふー。試着は辛かったみたいですけどねー」

周子「ん?」

摩美々「袖に腕通すとき、ロボットみたいにギシギシでしたよぉ?」クスクス

周子「しっ、仕方ないやろぉ!? ここのところ毎日レッスンで、常に筋肉痛なのっ!///」

摩美々「ふふっ、パントマイムしてるのかと思いましたー」

周子「お店で唐突にパントマイムとか、完全におかしい人やん……」フフフ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:24:35.30 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「アイドル、どうですかぁ? 楽しいですー?」

周子「うーん……どうなんやろ。思ってたよりは、悪くないかも」

摩美々「へぇ」

周子「変な人がいっぱいいてさ。飽きないよ、結構」ニコッ

摩美々「そうなんですかぁ」

周子「摩美々ちゃんは? 最近何か楽しいことあった?」

摩美々「まみみは……そうですねぇ」

周子「うんうん」

摩美々「……えっと……私は──」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:25:10.04 ID:A5GyuA5Jo<>
ファミ店「お待たせしました、ハンバーグとドリアです」

摩美々「あ、ほらー。来ましたよぉ周子さん」

周子「食べよ食べよー♪」ワーイ


摩美々「……」ホッ

摩美々「?」


摩美々(なんで私──答えず済んだことに、安心してるんだろう)
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:25:50.39 ID:A5GyuA5Jo<> ──
────
──────
〜数週間後〜

ピコン

摩美々『周子さーん』21:57 既読

周子『はいよー、どしたん?』22:02 既読

摩美々『明日のお昼とか、暇ですか?』22:03 既読

周子『ごめーん! 明日はライブの手伝いだー……』22:03 既読

摩美々『あれ。それは残念』22:03 既読

周子『次の水曜の夕方とかは? そこなら大丈夫よー』22:04 既読

摩美々『それならそこで』22:04 既読
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:26:23.74 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……」ハァ

摩美々(最近、周子さんとの予定が合わない)

摩美々(それ自体は、別にいい。タイミングもあるだろうし)

摩美々(けど……)

摩美々(周子さんはあんなに楽しそうにしているのに)


摩美々「──私は一体、何してるんだろう」ゴロン
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:27:05.68 ID:A5GyuA5Jo<>
〜昼・レッスン室〜

ベテトレ「1、2、3、4──塩見! 指先まで意識っ!!」

周子「うっへー……きっつぅ……」ハァハァ

ベテトレ「泣き言を言う余裕があったらそのエネルギーを踊りに回せ!!」

周子「ひぃぃ〜〜……!」


〜同時刻・カフェ〜

摩美々「……」ボー

店員「カフェラテのお代わりはいかがですか?」

摩美々「あ……大丈夫でーす」

店員「失礼いたします」

摩美々「……」

摩美々「……」

摩美々「……はぁ」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:27:47.95 ID:A5GyuA5Jo<>
〜昼・グラウンド〜

周子「ハァ……ハァ……っ」

デレP「よーし。とりあえずはこのペースで30分走れるようになるのが目標な」タッタッタ

周子「あ、あたし……」

デレP「ん?」

周子「強豪校の部活にでも入ったんだっけ……?」ゼェ…ゼェ

デレP「あっはっは! まぁそう言うな。新人アイドルは何よりまず、体力つけないとな」

周子「何で──良い年したおっさんの方が、息切らしてないん……?」ゲホッ

デレP「これでも意外と鍛えてるんだよ。ほら、周子にばっか苦しい思いさせられないだろー?」

周子「こんの……筋肉ダルマめ……!」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:28:23.18 ID:A5GyuA5Jo<>
〜同時刻・街中〜

摩美々(──あ。あのブラウス良い感じー……中も覗いていこうかな)

テクテク……ピタッ

摩美々「んー……やっぱり、いいや」

摩美々(何か、急に面倒臭くなったし──)


摩美々「……」

摩美々「……はぁ」

摩美々「なんか、つまらないな……」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:28:57.70 ID:A5GyuA5Jo<>
〜数週間後〜

周子「うお、このクレープうっま!」パァ

摩美々「あまー。うまー」モグモグ

周子「なんか久々に会うよねー。時間合わなくてごめんね?」

摩美々「別に良いですよー。そっちは最近、どうでしたー?」

周子「そういやこの間、初めてバックダンサーしたんよ」

摩美々「え、すごー」

周子「もー、ド緊張したわ。ゆるっゆるが売りのシューコちゃんなのにさー」アッハッハ

摩美々「いよいよ本格的にアイドルって感じですねぇ」

周子「いやー、まだまだよ」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:29:34.71 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……」ハァ

周子「──摩美々ちゃん、何かあった?」

摩美々「?」

周子「なんとなく、元気ない気ぃして」

摩美々「えー、そうですかぁ?」

周子「何かあったらさ……話くらいは聞くからね」

摩美々「ふふー。ありがとうございまーす」


摩美々「……」

摩美々(違うんですよー。周子さん)

摩美々("何もなかった"から……私は──)
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:30:12.81 ID:A5GyuA5Jo<>
〜346プロ・事務所〜

周子「……」ボンヤリ

デレP「ふんふふーん」カタカタ


周子(最近、摩美々ちゃんの元気がない)

周子(最初は中々一緒に遊べないことを、拗ねてるのかと思ったけど……違うみたい)

周子(元々あたしは、あんまり人に深入りする質じゃないけれど──)


周子「……」ハァ


周子(けどあの子が悩んでるのを見るのは……少し苦しい)

周子(まるで、実家で腐ってた頃の自分を見ているみたいだから……)
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:31:05.19 ID:A5GyuA5Jo<>
周子「……ねぇ、Pさん」

デレP「うん? どうした」カタカタ

周子「仲良い友達がさ、苦しんでたら……どうしてあげればいいんだろね」

デレP「……?」カタ…

周子「その子が何かに悩んでいたり、あたしじゃ何もしてあげられないとき──どうすればいいんだろう」

デレP「……」

周子「あっはは! ごめんごめん。変なこと言った──」

デレP「何もしないであげれば、良いんじゃないか」

周子「えっ?」

デレP「何もしないで、いつも通りの周子でいて、いつも通りの態度でいてあげる……それも一つの優しさだと、俺は思うよ」

周子「……」

周子「そっか……」

周子「うん、そっか。ありがとPさん」ヘヘヘ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:31:56.91 ID:A5GyuA5Jo<>
ピコン

周子『摩美々ちゃーん、今度の土曜遊びいかーん?』21:37 既読

摩美々『えー。どうしたんですか、急に』21:41 既読

周子『摩美々ちゃんの顔、見たくなったんよ。うふっ☆』21:42 既読

摩美々『冗談は顔だけにしてくださーい』21:42 既読

周子『これでもプロデューサーに褒められた顔面なんやけど!!』21:42 既読

<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:32:30.58 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々『それSNSで言ったら、炎上しません?』21:43 既読

周子『だいじょーぶ、だいじょーぶ。ウチの事務所、炎上担当のアイドルおるから』21:43 既読

摩美々『一体何を担当してるんですかそれ笑』21:43 既読

周子『あ、そうそう。脱線したけど土曜空いてる?』21:43 既読

摩美々『その日、予定入ってるんですよねぇ。ごめんなさーい』21:58 既読

周子『あれ、残念! そしたらまた今度ご飯行こうねーん♪』21:59 既読
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:33:04.68 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……」ゴロン

摩美々(なんで、断っちゃったんだろう)

摩美々(本当は予定なんてなくて……遊べるのに)

摩美々(この感覚は、なんなんだろう──劣等感? 後ろめたさ? それとも……)


摩美々「……」ハァー

摩美々「あー、もう……っ!」

摩美々(何だか私だけ、足踏みしてるみたい)
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:33:48.99 ID:A5GyuA5Jo<>
〜土曜・夜〜

摩美々「……はぁ」テクテク

摩美々(周子さんの誘い断っておいて、一人で街をほっつき歩いて)

摩美々(ほんと、何がしたいんだろー……私)

摩美々「……」

摩美々(まぁ、部屋でモヤモヤしてるよりは、よっぽどマシかぁ)


摩美々「どこかで時間潰して──」チラッ

摩美々「……あ。」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:34:24.05 ID:A5GyuA5Jo<>
ピッ、ガシャンガラン

摩美々「……」

摩美々「……」カシュッ

摩美々「はぁ」

摩美々(あの日たまたま、二人並んで立ち尽くしてた自販機の脇──)


摩美々「……今は一人、かぁ」ゴクッ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:35:06.73 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「私。最低だなぁ」

摩美々「……」


摩美々(──私は一体、どうしたいんだろう。このモヤモヤは一体、なんなんだろう)

摩美々(分からないけれど、苦しい。苦しさがどんどん積み重なっていく……)

摩美々(重く、重く、重く積み重なって──)

摩美々(まるで暗い夜の澱みに沈んでいくみたい)


摩美々「〜〜っ!」

摩美々「もう…………お願いだから、誰かたす──」ボソッ


×××「あのー」

摩美々「……?」

×××「ちょっといいですか?」

摩美々「…………何か用ですかぁ?」ジロッ
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:35:57.04 ID:A5GyuA5Jo<>
〜昼間・街中〜

テクテク

周子(……もう随分、摩美々ちゃんと会ってないなぁ)

周子(あたしも予定詰まってきて、仕方ないのもあるけど)


周子「……」


周子(元気にしてると、いいんだけど)
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:36:40.50 ID:A5GyuA5Jo<>
デレP「──ゅうこ。周子ってばっ」

周子「うわ! はいよ、どうしたん?」

デレP「おいおい大丈夫か、ボーッとして。もうすぐオーディションだぞ?」

周子「ごめんごめん。まー任しときなって、ユルッとビシッと決めてくるからさ」

デレP「ほんと、肝だけは座ってるよなぁ」ハハハ

周子「ふふ、それ褒めてるん? ……お。このビルじゃない?」

デレP「だな。三階が会場だとさ」

周子「ほーい」

デレP「何か最後に確認しときたいことはあるか?」

周子「うーん……や、別に大丈──」


シャニP「失礼、ちょっと通ります」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:37:15.87 ID:A5GyuA5Jo<>
デレP「おっと! 申し訳ない」サッ

シャニP「すみません、ありがとうございます」

周子「ちょっとぉ、Pさん。無駄にゴツいんだから、入り口塞いじゃだめじゃーん♪」ニヤニヤ

デレP「うるせ。無駄にって言うな、無駄にって」

シャニP「あれ……おーい! 早くおいで──」


シャニP「──摩美々!」

周子「!?」バッ
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:37:50.57 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「プロデューサー、別にオーディションは逃げないですよぉ? ふふー」テクテク

シャニP「分からないだろ? もしかすると、足が生えて逃げていっちゃうかも」

摩美々「ふっふふ……たまに意味分からないこと言い出すの、やめて欲しいんですけどー」


テクテク


周子「摩美々ちゃん……?」

摩美々「えっ」
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:38:23.38 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「あ……周子、さん」

周子「なんで──え? ていうか、オーディション受けるってことは……」


摩美々「っ!」

摩美々「いや、あの……えっと」

摩美々「別に周子さんがアイドルしてるの見て、やってみようとしたとか……そういうのじゃなくって──」

周子「……」

摩美々「……」

摩美々「その…………ごめんなさい」
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:39:00.91 ID:A5GyuA5Jo<>
バッ

シャニP「おぉ……!?」

デレP「ちょっ……」


摩美々「っ!」

周子「よ、良かったぁ……!!」ギュゥゥ
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:39:48.34 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「な、周子さん……なんで……抱きつい──」

周子「……しんどかったやろ。何も出来んでゴメンね」

摩美々「っ!」


摩美々「……」

摩美々「なんで──何で周子さんが、謝るんですか」

摩美々「謝らなくちゃいけないのは……こっちの方なのに……」

周子「あたしにも分かるから。"それ"が苦しいこと」

摩美々「……」

周子「摩美々ちゃんが溺れなくて良かった。またこうやって会えて……良かった」

摩美々「…………はい」
<>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:40:23.62 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「……っ」

周子「──あれ、摩美々ちゃん? もしかして泣いてるん?」

摩美々「はぁ……? 泣いて……ないですよぉ」

周子「えー。でもさぁ」フフフ

摩美々「目にゴミ、入っただけですしー」

周子「……うん。そういうことにしとこっか」
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:41:02.68 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々「──もー」ズズッ

周子「?」

摩美々「いつまで抱きついてるんですかー?」フフ

周子「あっははは! それもそうやね。熱烈なハグはこの辺でしゅーりょー♪」バッ

周子「ふふ……ちゃんとメイク直してからオーディション受けるんよー?」

周子「それから──」



周子「負けないからね。摩美々ちゃん」ニヤァ

摩美々「!」

摩美々「……ふふー。こちらこそー」ニタァ


──────
────
── <>
◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:41:54.97 ID:A5GyuA5Jo<>
〜夕方・オーディションの帰り道〜

テクテク

デレP「──それにしてもビックリしたなぁ。周子がいきなり知らない女の子に抱きついた!! って思ったよ」

周子「あはははっ! ちょっとー、事案みたいに言わんでー?」

デレP「珍しいよな」

周子「?」

デレP「周子が友達に、あんなベタベタするの」

周子「ん……あー。まぁ、久しぶりに会った友達だったからね」

デレP「へぇ、そうなんだ」

周子「……」


周子「ね、Pさん」

デレP「うん?」


周子「──あたしを拾ってくれて、ありがと」

周子「目ぇ離さないでね。誰にも負けないくらい楽しむから」フフッ
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:42:53.55 ID:A5GyuA5Jo<>
テクテク

シャニP「──摩美々が涙ぐむのなんて、初めて見たよ」

摩美々「えー。何の話ですかー」

シャニP「そんなに大事な友達だったのか?」

摩美々「そもそもぉ。涙ぐんでなんてないですー」

シャニP「そうかなあ」フフ

摩美々「プロデューサーを目に入れても痛くないか、試してただけですよー」

シャニP「ははっ、どういう誤魔化し方だ! 意味分からないぞ」

摩美々「まぁ、大事な友達ってのは……あってるかもですね」

シャニP「そうか」

摩美々「……」


摩美々「ねー、プロデューサー」

シャニP「なんだ」


摩美々「──私、もっとレッスンしたいです」

摩美々「目を逸らさないで下さいねー。誰にも負けないくらい、笑ってみせますからぁ」フフー
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:43:28.60 ID:A5GyuA5Jo<>

ピコン

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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:44:01.88 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々『次に会うときはアイドルの高みで、って感じなんですかね』20:29 既読

周子『あ、確かに。競合相手さまと一緒に、フラフラ遊び回るのもよくないかもだしねー』20:32 既読

摩美々『そういうことですー』20:32 既読

周子『ん。じゃあ次は、仕事で一緒になるの楽しみにしてる』20:34 既読

摩美々『はーい、それじゃあまた会う日までー』20:35 既読
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:44:36.63 ID:A5GyuA5Jo<>
「……」

「……」
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:45:13.93 ID:A5GyuA5Jo<>
摩美々『そういえばワッフル美味しいお店見つけたんですけど、今度行きます?』21:57 既読

周子『うっそ!! 行く行くー♪』21:57 既読


周子・摩美々「……ふっ、ふふふふ」



【終わり】
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◆RZFwc/0Dpg<>sage saga<>2021/01/14(木) 22:46:04.08 ID:A5GyuA5Jo<> 摩美々と周子に振り回されまくりたい人生だった
もし良ければモーモールルギャバンの7秒聞いてみてください

それではありがとうございましたー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2021/01/15(金) 00:26:58.89 ID:xmNWmczXo<> おつつ
越境すき
もっと頂戴こういうの! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2021/01/15(金) 10:58:34.93 ID:2v06H5vr0<> 控えめに言って最高だからまた書けください <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2021/01/18(月) 06:55:27.14 ID:ZM6wnuIE0<> よき <>