以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:37:55.28 ID:NAfswMO00<>――おしゃれなカフェ――

北条加蓮「やっほ。急に相談って……どしたの? なんか珍しいっ」

高森藍子「うん……。ありがとう、加蓮ちゃん」

加蓮「それは終わった後に言いなよー」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1614501474
<>北条加蓮「藍子と」高森藍子「表情を見てくれるカフェで」 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:38:30.78 ID:NAfswMO00<> レンアイカフェテラスシリーズ第150話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「昼下がりのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「熱量の残るカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「ほどほどに賑やかなカフェで」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:38:59.03 ID:NAfswMO00<> 藍子「そうでしたね……」

加蓮「……?」

藍子「ううんっ。それで、相談っていうのは」

加蓮「うん」

藍子「その……」

藍子「……」

藍子「……も、もうちょっと後でもいいですか?」

加蓮「は? やだ」

藍子「うぅ、ばっさり」

加蓮「何その素人の番組構成みたいなの。CM明けすぐ! って何回も言うヤツ。私そーいうの結構嫌いなんだけど」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:39:31.68 ID:NAfswMO00<> 藍子「そういえば、モバP(以下「P」)さんも、同じことを言っていたような?」

加蓮「そなの?」

藍子「はい。といっても、休憩時間に見ていたテレビを、じっと見ていただけですよ」

藍子「自分が番組の担当なら、絶対こんなことしないのに」

藍子「いや……今から偉くなって、新しい風潮を作ってやれば――」

藍子「なんて、言っていました」

加蓮「へぇ、Pさんがそんなことを……」

藍子「私に聞かれている、って気がついた時には、ものすごくびっくりしていたみたい」

加蓮「藍子に気付かないくらい夢中になってたのかな。それとも、藍子が新しく暗殺者に目覚めたとか……」

藍子「そうかもしれませ……。……あ、あんさつしゃ?」

加蓮「よくマンガやゲームにいるじゃん。気配を消して忍び寄って……グサッ! みたいなキャラクター」

藍子「そうなんでしょうか。でも、私は違いますよ〜」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:39:59.12 ID:NAfswMO00<> 加蓮「言われてみればそうかもね。藍子は常にそこにいて、所構わずゆるふわを撒き散らし――」

藍子「もうちょっと、他の言い方にしてくださいっ」

加蓮「じゃあみんなを時間の狭間に閉じ込める魔女」

藍子「……いまいちよく分かりませんけれど、なんだか、もっとひどく言われていることは分かります」

加蓮「たははっ」

藍子「そういう、ファンタジーの世界にハマっているんですか?」

加蓮「どうだろ。っていうか、ファンタジーっていうなら藍子の方が詳しくない? ほら、かつて異世界に迷い込んだ癒やしの魔法使いさん?」

藍子「ふふ、懐かしい♪ そんなこともありましたね」

加蓮「別にハマってるとかじゃないよー。たださ、最初に浮かんだのが「泥棒」か「暗殺者」だったんだ」

藍子「どういう2択……?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:40:30.64 ID:NAfswMO00<> 加蓮「いつまでも泥棒ネタばっかり引きずるのもって思って。そろそろ藍子にも、新境地みたいなのがあってもいいでしょ?」

藍子「そうですね。行き慣れた公園にお散歩に行くのも、いつもの事務所で時間を過ごすのも、私は好きです。でも……時には、知らない道を歩いてみるのもいいかも?」

加蓮「トップアイドルを目指すなら、それくらいしなきゃっ」

藍子「……トップアイドルを目指すためには、暗殺者にならなければいけないんですか?」

加蓮「…………闇に紛れてライバルを仕留めるアイドル?」

藍子「そんな怖いことしません」

加蓮「だよね……。っていうか暗殺者……ヒットマンだっけ。ならあのバカがやってるから新しくもないかぁ。何かないかな、新しいこと……」

藍子「……新しいこと探しもいいですけれど、やっぱり、近くにある幸せを見つけるのが大切ですよねっ」

加蓮「ふふっ。そっか。やっぱり藍子らしいなぁ」

藍子「あはは……」

加蓮「?」

藍子「いえ、その……。加蓮ちゃん、うしろ……」

加蓮「……あー、店員さん。やっほー。注文取りに来てくれたの? 私は――え。なんでそんな悲しそうな顔してんの……」

藍子「加蓮ちゃんが、新しいことを見つけたり、新しい場所を探すってお話をしていたから、店員さんも勘違いしちゃったのではないでしょうか」

加蓮「勘違い」

藍子「どこか、新しいカフェを見つけたのかな……って、思っちゃったのかも?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:41:02.22 ID:NAfswMO00<> 加蓮「藍子が近くにある幸せを見つけたいって言ったでしょ。私もそう思うから……そういうことっ」

藍子「だそうですよ、店員さんっ」

加蓮「……誤解が解けたっぽいのはよかったけど、もともとは藍子が言い出したのに。なんか納得いかないんだけどー」

藍子「まあまあ。私は、軽く何かを食べたいから……。なににしようかな〜……?」

加蓮「サンドイッチ2人分ー。と、ハーブティーと……私は普通のお茶でいいや。よろしくねっ」

藍子「ああっ。まだ決めていないのに」

加蓮「藍子がゆっくり選んでたら、店員さんずっとここにいなくちゃいけなくなるでしょ?」

藍子「う」

加蓮「今日は他にもお客さんがいるんだし。ま、今日は加蓮ちゃんの食べたい物に付き合ってよっ」

藍子「……そういうことなら、しょうがありませんねっ」

加蓮「うんうん。しょうがないしょうがない」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:41:31.68 ID:NAfswMO00<> 加蓮「で」

藍子「?」

加蓮「相談とやらはどうなったの」

藍子「あっ……」

加蓮「なんか、このままいつも通り駄弁ってたらそれでいい気もしてきたんだけど……。藍子、なんか落ち込んでたっぽいし」

藍子「……やっぱり、分かっちゃうんですね。加蓮ちゃんの目にかかれば」

加蓮「私じゃなくても誰でも分かると思うけど――って言うとムカつくから……うん。加蓮ちゃんの目にかかれば、一発だよ!」

藍子「あ、あははは……」

加蓮「……せめて茶化してくれないかなぁ。今の藍子に要求した私が馬鹿だったのかもね」

加蓮「で、どしたの? 今ならほら、スマフォの電源もこの通り、落としてあげるし。藍子が誰にも言うなって言うなら絶対バラさないよ?」

藍子「加蓮ちゃん、そういうところは真面目ですよね」

加蓮「誰かさんが加蓮ちゃんのことをべらべら喋りまくるからねー。こういう時は、私がやられてるポジションをキープしとかなきゃ」

藍子「……やっぱり、加蓮ちゃんは加蓮ちゃんでした」

加蓮「最初からそうでしょ?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:42:00.14 ID:NAfswMO00<> 藍子「相談なんですけれど……」

加蓮「うん」

藍子「実は……」

加蓮「ん」

藍子「……加蓮ちゃんは――」

加蓮「うん?」

藍子「加蓮ちゃんは、周りの人から、もしかしたら嫌われているのかも……とか、もしかしたら嫌がられているのかも……って思った時、どうしていますか?」

加蓮「……はい???」

藍子「…………」

加蓮「や、ちょっと待って」

藍子「だめです、答えてくださいっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:42:33.02 ID:NAfswMO00<> 加蓮「えー……。じゃあ答えるけど……嫌われてるかも、嫌がられてるかもって思った時?」

藍子「うん……」

加蓮「……私だったら距離を置くし、関わろうともしないけど」

藍子「やっぱり、そうですよね――」

加蓮「うん、そうだよね」

藍子「……、え?」

加蓮「藍子はきっと、そんな答えを望んでないよね」

藍子「っ」

加蓮「……無自覚に自分勝手なのに、変なところで優しいんだから。ま、それくらいの方が好きだけどね」

藍子「……私、どうしたらいいと思いますか?」

加蓮「んー……。とりあえず……詳しいことを教えてくれる?」

藍子「詳しいこと……」

加蓮「こういうのって勘違いだの思い込みとか、一方的な感情が積み重なってる場合が多いの。藍子を疑うとかじゃないんだけど……こういう相談を受ける時は、きっちり公平に物事を見なきゃね」

藍子「……やっぱり、加蓮ちゃんに相談して正解でした」

加蓮「うわ。相当重症」

藍子「?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:42:59.16 ID:NAfswMO00<> 加蓮「ううん。ま、詳しいことはハーブティーでも飲みながらにしようよ」

藍子「あっ、店員さん。サンドイッチも、美味しそう……♪」

加蓮「……大丈夫。私がちゃんと、店員さんの大好きな藍子ちゃんの問題は解決してあげるから」

藍子「ふふ。私は、大丈夫ですよ。加蓮ちゃんとお話しているうちに……もう、心が軽くなっちゃいましたからっ」

加蓮「ね。私じゃなくても見抜けるじゃん」

藍子「うっ。そうみたいですね……。でも、楽になるだけじゃなくて、ちゃんと解決しなきゃ」

加蓮「その意気、その意気。じゃ、私は先にサンドイッチを食べてるから、詳しいことを教えてね」

藍子「……加蓮ちゃん?」

加蓮「うんっ、やっぱり美味しい! 家で食べるお母さんの卵焼きもいいけど、ここのサンドイッチの卵もホント美味しいよねー」

藍子「……そういうの、ずるいです!」

加蓮「あはははっ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:43:30.14 ID:NAfswMO00<> ……。

…………。

「「ごちそうさまでした。」」

加蓮「結局普通に食べるー」

藍子「加蓮ちゃんがおいしそうに食べるから、お話するよりも先にって思っちゃうんですよ!」

加蓮「そう? ……そんなに美味しそうに食べてた?」

藍子「はい。途中で、もしかしたらカメラが入っているの? って、辺りを確認してしまうくらいには」

加蓮「なんかキョロキョロしてると思ったらそういうことだったんだ。……って、入ってるワケないじゃん。いつものカフェなんだよ?」

藍子「分かってますけれど〜……」

藍子「相談の詳しいこと、ですよね。その……。最近、なんだか色んな方と、距離が空いてしまっているように感じるんです」

加蓮「ふうん? ……色んなって、事務所の?」

藍子「ううん。事務所では、いつも通り……。みんなと写真を撮ったり、レッスンしたり。あと、学校の話もしました」

加蓮「そろそろ3学期も終わりだもんね。テストに卒業式、ちょっと早いけど来年の入学式……。学校ネタには困らないよね」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:44:28.91 ID:NAfswMO00<> 加蓮「事務所じゃないってことは……それこそ学校?」

藍子「ううん。学校も、少しありますけれど……」

加蓮「じゃあ、現場のスタッフとかメイクさんとか」

藍子「はい……」

加蓮「…………藍子が?」

藍子「はい」

加蓮「距離を感じる……ってことは、藍子が離れてるんじゃなくて、藍子からみんなが離れてんの?」

藍子「……気のせいかもしれません。今までのように、みなさん優しくしてくださってはいるんです。私が分からないことや、戸惑った時にも、優しく教えてくれて――」

加蓮「ん……」

藍子「でも、ふとした時……。休憩時間にお菓子を頂いた時や、調子を聞かれた時とか、メイクのできあがりを鏡でチェックする時に、なんだか少しだけ……独りだな、って感じるんです。なんでなのかは、分からないけれど……それが、相談です」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:45:05.54 ID:NAfswMO00<> 加蓮「んー……。ぶっちゃけ言っていい?」

藍子「はい。思った通りに、言ってください。厳しい言葉でも、覚悟はできています」

加蓮(……?)

加蓮「正直、藍子が距離を取られるのって全く想像がつかないし、なんなら普段から距離近いなーって思うくらいなんだけど」

藍子「それって……。私、加蓮ちゃんの邪魔になっていたってことですか? そう言うなら、もうちょっと離れた方がいいのかな。今日も、私から誘うのは迷惑でし――」

加蓮「あああ、もう! こら!!」ベチッ

藍子「ひゃっ」

加蓮「私も言い方悪かったけど、そんな急にネガティブにならないの! すごくやりにくいでしょっ」

藍子「ご、ごめんなさ――あ、えっと。は、はいっ」

加蓮「ったく、もう。打たれ強いんだか打たれ弱いんだか……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:46:00.73 ID:NAfswMO00<>

□ ■ □ ■ □


藍子「最初は、あれ? って思って……そういう日もあるのかな、ってくらいでした」

加蓮「男の人も女性も同じ?」

藍子「う〜ん……。たぶん?」

加蓮「んー」

藍子「でも、同じように感じることが何度もあって……そのうち、気のせいではないのかもって思ったんです。そうしたら、寂しいなって思って」

加蓮「うん」

藍子「いろいろ考えているうちに、距離を置かれているような気が――」

加蓮「ホント、そーいうとこ。でもなんだろうねー……」

藍子「加蓮ちゃんは……」

加蓮「うん。私から見ても、藍子に変わったところがあるとは思えないよ。やたら落ち込み気味だし、ネガティブだなーとは思うけど、それは今回のことがあってでしょ?」

藍子「…………」コクン
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:46:31.88 ID:NAfswMO00<> 加蓮「……さっきは離さないって言ったけどちょっと誰かにヘルプ出していい? もちろんダメならダメで、もっとよく考えてみるから……」

藍子「ううん。大丈夫。こういう時の加蓮ちゃんが、いたずらで言いふらしたりしないことは知ってますから」

加蓮「もちろん。そこは加蓮ちゃんだよ? 代わりに別の藍子の秘密を言いふらすだけだから♪」

藍子「…………」

加蓮「……調子狂うんですけどー」

加蓮「スマフォの電源入れて、っと。こういう時に相談できて、うっかり言いふらしたりしない相手って言えば――」

藍子「本当に、電源を切っていたんですね」

加蓮「ん? さっき見せたじゃん」

藍子「加蓮ちゃんのことだから、どこかでこっそり電源を入れていたかもしれない、って思っていました」

加蓮「……やる意味なくない?」

藍子「あ、確かに。……会話を録音するため、とか」

加蓮「そこまで酷い人間になったつもりないんだけど……。ネガティブになりすぎて、ちょっと人を酷い目で見すぎ」

藍子「……そうかもしれませんね。気をつけなきゃ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:48:00.30 ID:NAfswMO00<> >>16 1行目誤字
「離さないって言った」→「話さないって言った」



加蓮「そんなことするなら、藍子の望む酷い人間に成りきってやるからね。私」

藍子「望んでなんてないですっ」

加蓮「どーだか。思えば藍子、よく目でも口でも私にいじってーからかってーって言ってるとこあるし」

藍子「言ってません! 目は……無意識なところがあるって否定できませんけど、口で言ったことは絶対ないです!」

加蓮「そだっけ。なんか、からかってくるかと思ったら何もしてこないから調子狂う、みたいなこと言われたことあるけど」

藍子「……そ、そういえば、そんなお話をしたことも。でもそれも、加蓮ちゃんがいじわるを言ったからです」

加蓮「そんなことしたっけなー。覚えてないやー」

藍子「都合のいいところだけ覚えているのは、ズルっ」

加蓮「ホント、都合のいいとこだけしか見せないでいる大人って最悪だよねー……っと、藍子につられて私までネガティブモードに」

藍子「ネガティブだったんですか?」

加蓮「こーいう話をする私はネガティブモードかな? って、思ってみたりっ」

藍子「……あぁ、昔のお話」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:48:33.26 ID:NAfswMO00<> 加蓮「認めるところは認めて、そうじゃないとこはバッサリ切り落とさなきゃ……って、これも都合のいいところだけ見せてる嫌な大人?」

藍子「じゃあ……いつもみたいに、考えを変えてみましょう。みんなに見せてあげたいところや、見せると喜ぶところを見せてあげてる、優しい人ってことで♪」

加蓮「お、調子戻ってきたね。……なんかその言い方だと、少しいやらしい感じもしちゃうけど」

藍子「へ?」

加蓮「さて、藍子のことは誰に聞いてみよっかな。藍子、誰がいいと思う? ちなみに未央と茜はパス。なんとなくね」

藍子「あの……それ、私に聞くんですか。私も、加蓮ちゃんに相談しているのに」

加蓮「その方が藍子も安心できるでしょ? まかり間違って菜々さんなんて選んだら、明日から藍子の元に大量の心配メッセージが届いちゃうよ」

藍子「…………あぁ〜……」

加蓮「ね」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:49:31.98 ID:NAfswMO00<> 藍子「でも、菜々さんはこういう時、とても頼りになりますよ」

加蓮「相談が終わった瞬間記憶を吹っ飛ばせる装置があれば、ね」

藍子「……志希さんや晶葉ちゃんに頼んで、作ってもらいましょうか」

加蓮「いやいいから……。そもそも他に頼むし」

藍子「菜々さん、ごめんなさいっ。今度また、別のことで相談させてもらいます」

加蓮「ふふっ、変な言い方。相談って、例えば?」

藍子「…………おいしいご飯の炊き方?」

加蓮「せめてウサミン星関係の何かにしてあげなさい……。宇宙を旅する方法とか」

藍子「でも、それを聞いたら菜々さん、きっと慌ててしまいます」

加蓮「ダメだあの人とことん相談に向いてない。ま、菜々さんだって絶対秘密にしてって言ったら大丈夫でしょ、多分」

藍子「そうですよ。菜々さんは、優しい大人なんですからっ」

加蓮「…………17歳だからね?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:49:59.13 ID:NAfswMO00<> 藍子「あっ。え、えっと……今のは、こんなに優しい大人もいるんだよって、加蓮ちゃんに教えてあげたかったからで」

加蓮「Pさんがいるので間に合ってまーす」

藍子「……くすっ」

加蓮「?」

藍子「ううん。Pさんも、優しい大人ですよね……でも、この間Pさんに叱られちゃっていた加蓮ちゃんが、そう言うのが少しだけおかしくって♪」

加蓮「あれは、まぁ……。私が悪かったことだし」

藍子「そうなんですか? そういえば、あの時の原因って結局――」

加蓮「はいはい今は藍子ちゃんの相談コーナー。加蓮ちゃんのお悩み相談回はまた今度」

藍子「次回は、ゲストと司会が逆になっちゃうんですね」

加蓮「なんないわよ……って、言い切れないのが藍子だね。そして、Pさんもだ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:51:33.04 ID:NAfswMO00<> 藍子「交代した後は、どうしましょうか。新しいゲストの方に来てもらって、私と加蓮ちゃんで、お悩みを聞いてあげますか?」

加蓮「お悩み相談室かぁ。Pさんに言えば企画してもらえるかな」

藍子「たくさんのお客さんのお悩みを、解決してあげたいな……。もしかしたら、私のファンになってくださるかもっ。そうしたら、今度は握手会とか、ファンレターのお返事で別のお話をするんです。お悩みとかじゃなくて、とりとめのないお話も――」

加蓮「……うん?」

藍子「?」

加蓮「あぁ、うん。そうだね。……気が進まないけど、ここにでも相談してみよっかな」

藍子「誰に送ってみることにしたんですか?」

加蓮「ん」

藍子「……そろそろ、名前くらい呼んであげればいいのに」

加蓮「藍子の前じゃやだー」

藍子「えぇ……」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:51:59.63 ID:NAfswMO00<> ……。

…………。

加蓮「とりあえず送信、っと。……そういえば、撮影とかは大丈夫なの?」

藍子「?」

加蓮「や、距離を感じるって言うならぎくしゃくしたり、気まずかったりしないかなって……。なんて、藍子の活躍を見てれば分かるか」

藍子「はい。お仕事は、いつも順調にやらせてもらっています。それどころか、最近は撮影にかかる時間や、打ち合わせの時間が短くなったくらいなんですよ」

加蓮「そうなの?」

藍子「Pさんがてきぱきとしてくださって、スタッフさんもすぐに頷いてくれるんですっ。その後で、私へしてくださる指示もとても分かりやすくて……」

藍子「あと、最近NGがほとんどなくなったような気がしますっ」

藍子「……この前、1回でOKって言われた時は、大丈夫なんですか? って、私から聞いちゃって、みなさんに笑われちゃったり……恥ずかしかったなぁ」

加蓮「ぷぷっ」

藍子「加蓮ちゃんまで〜っ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:52:59.08 ID:NAfswMO00<> 加蓮「その時の藍子、絶対きょとんとしてたんだろうなって思い浮かべたら……くくくっ。それは笑う、笑っちゃうってっ」

藍子「もう。そんなこと言うなら、この前のオフショット、見せてあげませんよ?」

加蓮「おっ、なになに?」

藍子「実は、まだ誰にも公開していない写真があるんです。……じゃん♪」

加蓮「へぇー、これが秘密の写……普通の1枚じゃない?」

藍子「そ、そうですか? ちょっとぎこちない顔になっちゃって、カメラマンさんからも、もっとリラックスしてって言われるくらいの……」

加蓮「普通に藍子が笑顔でいる写真だと思うけど……」

藍子「ちなみに、最後に決まった写真は……ええと……あった。これですよ、はい」

加蓮「……見せていいヤツなの?」

藍子「大丈夫っ」

加蓮「ならいいや。おー、確かにこっちの方がいい顔してるね!」

藍子「でしょ? って、自分で言うのはヘンなのかな……? でも私も、こっちの方がアイドルらしい自分って感じがして、好きなんです!」

加蓮「なんていうか、目の輝きとか表情が違うよね。キラキラしてるアイドルだ……」

藍子「加蓮ちゃん、Pさんと同じこと言ってる♪」

加蓮「だってそう見えるもん!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:53:59.60 ID:NAfswMO00<> 加蓮「アイドルの顔かぁ……。ふふっ、そっか……」

藍子「……あ、あの、加蓮ちゃん。さすがに、ずっと見続けられるのは、ちょっと……」

加蓮「っと、ごめんね? なんか感慨深くなっちゃって」

藍子「感慨……?」

加蓮「私って、もともとアイドルに憧れてアイドルになった身だもん」

加蓮「普段はもう意識していないっていうか、いちいち言いふらしたら軽くなって重たくなるだけだし、そのためにもできるだけ気にしないようにしてるけど……」

加蓮「言っちゃえば、最初はアイドルを見たところから始まったんだよね。だから、アイドルの煌めきを見たら……つい、色々思っちゃって」

藍子「アイドルそのものの、ファンってことですね♪」

加蓮「そう言われると……少し違うかも?」

藍子「くすっ」

加蓮「でも悔しいなー。藍子の写真を見て、そう思わせられるなんて」

藍子「む……。加蓮ちゃんから見たら、私はまだまだかもしれませんけどでもっ」

加蓮「たはは、ごめんごめん。いつもの意地っ張りだと思って?」

藍子「……それこそ、加蓮ちゃんが言うとヘンな感じがしますね」

加蓮「藍子に言われる前に言った方がムカつき度も減るかなって」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:54:30.50 ID:NAfswMO00<> 加蓮「藍子ってさ――」

藍子「?」

加蓮「……ゆっくりでも良いから坂道を登り続けるって言って、結構経つじゃん。もちろん、前からアイドルだったけど……なんかすごく、アイドルらしくなったよね」

藍子「そ、そうでしょうか……。今でもまだ、ときどき自信をなくしちゃうくらいなのに」

加蓮「それはアンタが、ポジティブなのにネガティブなだけ」

藍子「うぐ」

加蓮「っていうか、普段ポジティブだからこそネガティブになった時の落差がひどいってヤツなのかもね。ま、それはいいけど」

加蓮「さっきからちょっと話す度にアイドルの考えとか、顔になってるなって思って。……みんなが距離を置いちゃうのも、そういうところがあるからじゃない?」

藍子「えっ……?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:54:59.43 ID:NAfswMO00<> 加蓮「藍子が、いつの間にかすごくアイドルらしい顔つきになったから、どう接すればいいか分からなくなっちゃった――」

加蓮「なんてことなのかもねっ。どう? パッと思いついただけだけど、意外と自信あるんだー♪」

藍子「私が、アイドルらしくなったから……」

加蓮「藍子にわかりやすく例えるなら、連休明けに急にナチュラルメイクで可愛くなったクラスメイトの顔を見た時のリアクション」

藍子「……、」

藍子「……!」

藍子「なるほど、それならわかりやすいですっ」

藍子「……え、それが私?」

加蓮「それが藍子」

藍子「……?」

加蓮「ピンと来ない?」

藍子「正直に言えば……。それに」

加蓮「それに」

藍子「私……今日、ちょっぴり怖かったんですよ。もしかしたら、加蓮ちゃんからも距離を置かれちゃうのかも? って、不安になって――」

加蓮「なんで昔の私みたいにまでなってんの、アンタは……」

藍子「それくらい、不安だったってことですから」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:55:30.18 ID:NAfswMO00<> 藍子「でも、加蓮ちゃんはいつもの顔で、私の正面に座ってくれました」

藍子「さっきのお話って、加蓮ちゃんは私のことを、ほめてくれているんですよね」

藍子「……ずっと、何か悪いことをしたり、何か良くないことを言っちゃったかな、って思っていたから……」

藍子「でも、ううんっ。加蓮ちゃんの言葉が、やっと入ってきました。……うんっ♪」

加蓮「な、なんかすごく遠回りして悩んでた気がするけど……。ま、いつもの藍子の顔になってよかった」

藍子「そっか、ふふ……。私、思っていたよりもうちょっとだけ、早歩きで進めてるのかも!」

加蓮「そうそう。自己評価が低いと、自分がどこに立ってるかすら分からなくなりがちって言うからね。Pさんからの受け売りだけど」

藍子「そうなのかもしれません。Pさんにも、今の私がどれくらいか聞いてみることにしますっ」

加蓮「あ、それなら私も付き合うー。今の藍子がPさんから見てどれくらいなのか、興味あるし?」

藍子「……聞いてみるのも、任せちゃっていいですか?」

加蓮「はー?」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:56:59.33 ID:NAfswMO00<> 藍子「落ち着いて考えてみたら、今の自分のすごさを聞くのって……」

加蓮「藍子はそれくらい、もうちょっと自分を認めていいと思うけど。そういう事なら貸し1つね」

藍子「今度、オススメのカフェをまた紹介しますねっ」

加蓮「それで手を打とう」キリッ

藍子「……加蓮ちゃん、口元が緩んでる」

加蓮「気のせい気のせい。……ん?」

藍子「?」

加蓮「いや、スマフォが。そういえばさっきメッセ送ったんだっけ……」

藍子「解決しちゃったので、もう忘れちゃっていましたね。なんて送られてきたんですか? 加蓮ちゃん以外の考えも、聞いてみたいな」

加蓮「……解決したし既読無視でいい?」

藍子「駄目です」

加蓮「じゃあ未読無視」

藍子「加蓮ちゃん。スマートフォン、貸して」

加蓮「ああもう、なんで私あいつに相談したの。どう考えても違うじゃん!」

藍子「相談したんだから、仕方ありませんよ。なんて返事をくださったんですか?」

加蓮「はぁ、開いてみ……どうしよう藍子。10行くらいのガチ返事が来た」

藍子「加蓮ちゃんの相談だから、仕方ありませんね……」

加蓮「藍子の相談でしょうが!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2021/02/28(日) 17:57:38.98 ID:NAfswMO00<> 加蓮「しかも初っ端なんか私が不安がってることにされてるし……『最近大活躍だよね、ぼやぼやしてたら加蓮も負けちゃうんじゃないの?』」

加蓮「はあぁ!? 藍子、ちょっと事務所に乗り込むよ! アンタのすごさを見せつけて凹ませてやるんだから!」

藍子「あの、そういうことなら加蓮ちゃんがやった方が――」

加蓮「店員さん、会計!」

藍子「……あっ。もしかして、実際にやってみたらもっと自信につながるから……とか」

加蓮「うん?」

藍子「そういうことなら、Pさんにも今の私を見てもらいたいな……。それから、加蓮ちゃんのことも見てもらうんです。みんなで、私たちはもっと頑張れるよって、教えてあげちゃいましょう!」

加蓮「え、ちょっと待ってなんで燃えて……。さっきまで散々ネガティブだったから、ぶり返しが来たとか?」

藍子「店員さん、ごちそうさまでした。加蓮ちゃん、行きましょうっ」

加蓮「……はは。いいや、振り回されてあげよっと。でも貸し2つだからね?」


【おしまい】 <>