以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2022/02/25(金) 22:52:52.53 ID:DZbW6XUkO<>「……バカシンジ」
睡眠は人間にとって三代欲求のひとつに数えられるほど必要不可欠なもので大多数の人は夜眠ることに困る必要はない。それなのに。
(どうしてあんたが居ないと寝れないのよ)
寝返りを打った拍子に目が覚めて寝ぼけ眼にシンジの寝顔が映り何故か多幸感を覚える。
「……ほんとに寝てる?」
一応訊ねるも、返ってくるのは寝息だけで。
「絶対起きないでよ。わかった?」
寝ているシンジに念を押してから、囁いた。
「……愛してる」
紡がれた言葉がなんだか薄っぺらく感じて。
「私はあんたのことを、愛してる」
確かめるように、自分とシンジに言い聞かせるように、想いと感情が一致するように。
「愛してるわ……シンジ」
「むにゃ……臭い足で踏まないでよアスカ」
こ、こいつ!? 思わずキレかけるも、我慢。
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<>式波・アスカ・ラングレー「愛してる」
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2022/02/25(金) 22:55:45.23 ID:DZbW6XUkO<> 「く、くく、臭くないわよ」
そう言いつつも一応確認。臭くない。平気。
「足が臭いのはミサトよ。ミ・サ・トッ」
「むにゃ……綾波はもっと綺麗だったよ」
ダメだキレそう。でも我慢。愛してるから。
「私のほうが綺麗でしょ」
「むにゃ……綾波の足は舐めても平気」
「私の足だって平気よ。ほら」
そう言って足の親指を近づけると吸いつく。
「ん……アスカ、爪切りなよ」
「切ってるわよ。たまに」
爪切りは苦手だからシンジに切って欲しい。
「そうだ。私があんたの爪を切るわ」
「くぅ……くぅ……」
「えっと……爪切りは……あった!」
爪切りを発見してシンジの爪先に当てがう。
「ごくり。いくわよ……シンジ」
「やだ……やめてよ、アスカ」
「大丈夫。だって私はあんたのことを……」
証明するのよ、アスカ。口先だけじゃなく。
「えいっ」
パチンッ!
「ぐぎっ!?」
うるさいわね。男でしょ。我慢しなさいよ。
「好き。好き。大好き。愛してる」
パチパチパチパチッ!
「こあっ!? なにしてんだよ、アスカ!?」
「あ、起きた」
シンジか飛び起きた。褒めてくれると思う。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2022/02/25(金) 22:59:27.87 ID:DZbW6XUkO<> 「えっ? 待って。何を手に持ってるの??」
「なにって爪切りよ」
「なんでそんなもの持ってるの?」
「爪切ってあげようと思って」
「???? 僕が寝てる間に?」
「そうよ。気が効くでしょ?」
えへんと胸を張るとシンジが震え声で問う。
「あの……僕、爪伸びてた?」
「さあ。暗くてよくわからなかったわ」
「寝る前に爪切ったばかりだったんだけど」
「そうなの? 全然気づかなかったわ」
「おかげで思いっきり深爪だよ!?」
なによ。細かいわね。褒めてくれないの?
「わ、私はただ、あんたのために……」
「余計なお世話だよ! だいたい寝てる人の爪を勝手に切るなんておかしいよ!?」
おかしいのだろうか。私は、おかしいの?
「……悪かったわよ」
「アスカ……?」
「もう寝るっ」
背中を向けて横になった。泣きそうだから。
「……アスカ。その……ごめん」
「私は、おかしくない」
「うん……アスカの気持ちは嬉しいよ」
私の気持ちはあんたにはわからないでしょ。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2022/02/25(金) 23:01:32.85 ID:DZbW6XUkO<> 「でも、次からは起きてる時にして欲しい」
「……恥ずかしいから、無理」
寝てるからこそ出来て、言えることもある。
「じゃあ、今度は僕が切るよ」
「……私の足は臭いんでしょ」
「まさか。誰がそんなことを」
あんたよ、あんた。あんたが言ってたのよ。
「大丈夫。少しくらい臭くても平気だよ」
「だから、臭くないって言ってるでしょ」
「うん。じゃあ確認させてね。くんくん」
シンジが私の足を嗅ぐ。征服感に震えた。
「うん……アスカの足の匂いだ」
「ミサトのよりはマシでしょ?」
「ミサトさんのは父さんより強烈だから」
(あーあ。あとでミサトに言いつけてやる)
「じゃあ、切るよ」
「……シンジ」
「大丈夫。痛くしないから、安心して」
怖かった。だから手を握って、目を瞑った。
「ほら、痛くない」
パチンッ。
「こうやって切るんだよ」
「……上手いじゃないの」
「マリさんのおかげだよ」
「他の女の話をしないで」
パチンッと、シンジのほっぺを軽く叩いた。
「痛いよ、アスカ」
「あんたが悪いの」
悪いことだと痛みでわからせるのは教育だ。
「僕は痛くしてないのに」
パチパチ軽快に。シンジは優しく爪を切る。
「私は……不器用なのよ」
私はコネメガネみたいに器用じゃないけど。
(それでも私が1番、あんたを……愛してる)
「終わったよ、アスカ」
「っ……ふ、ふんっ。ご苦労だったわね」
ふっと吹きかける吐息の甘さに身悶えした。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2022/02/25(金) 23:04:03.71 ID:DZbW6XUkO<> 「じゃあ、寝ようか」
「うん……むこう向いて」
「わかってるよ。おやすみ」
わかってない。こっちを向いて欲しいのに。
「……バカシンジ」
「なに? 眠れないの?」
あんたのおかげで眠れることに感謝してる。
「あんたのせいで、私は明日遅刻する」
「朝になったら僕がちゃんと起こすよ」
「えっち」
「なんでそうなるのさ……自意識過剰」
寝顔を見られるのが恥ずかしいってわかれ。
「アスカ」
「なによ、黙って寝なさいよ」
「うん……あのさ」
「だからなによ」
「僕が寝たらまた言って欲しいな」
「はあ? なんのことよ?」
「その……あ、愛してるって」
(信じらんない。寝たふりなんてサイテー)
「愛してる」
「へ?」
「愛してるわ」
もはや取り繕う必要はない。その代わりに。
「深爪されて漏らしたあんたを、愛してる」
「フハッ!」
臭いの私の足じゃなくて、あんたのお尻よ。 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2022/02/25(金) 23:05:54.74 ID:DZbW6XUkO<> (不思議ね)
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
不潔で不謹慎で不快極まりない愉悦なのに。
「たとえ糞を漏らしてもあんたを愛してる」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
こんなの絶対おかしい。でも理屈じゃない。
「ふぅ……僕もア『スカ』を……愛してる」
「っ……黙って寝なさいよ……バカシンジ」
(その響きだけで、私はたっぷりと眠れる)
「おやすみ、アスカ」
「おやすみ、シンジ」
鼻腔をくすぐるうんちの香りに愉悦を抱きつつ私は眠りに落ちる。闇の中でも怖くない。
目の前にミサトの臭い足があっても安眠だ。
「……シンジ、もう寝た?」
「くぅ……くぅ……」
「……愛してる」
「……僕もアスカを、愛してる」
真っ暗な闇の中、手探りで口づけを交わす。
【脱糞した闇の中で】
FIN <>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2022/03/15(火) 00:37:56.26 ID:s0hWq0SYO<> 乙 <>