◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/26(土) 18:52:37.00 ID:zpNkn2bb0<>〜前回までのあらすじ〜
異世界に転生した男は仲間を募り、
世界を救うことを目標に行動する
仲間が突如救世主や魔王の力に目覚めたり、
彼も多くの神を奉ずる教団を創立したりしているが、実際に神の奇跡を代行することができる
ある魔王の仕事を受けて帝国領に突入した男は、紆余曲折の果てに勇者から魔神を信奉する教団の主導権を譲られる
複雑な事情を抱えた関係者や教徒と向き合う一方で、
男は教団の主神である白狼の神から課された修行に耐えることとなる

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<>安価とコンマで異世界転生!その12
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/26(土) 18:57:41.07 ID:zpNkn2bb0<> 雷撃の轟音がやや遠ざかり、
ノイズのようになにかの声が聞こえ始める
途切れ途切れなため、
苦痛と合わさって不明瞭でしかなかったそれが、
だんだんとはっきりとしてくる


白狼「もう限界か?」

男「が……がががっ……!」


>>下1……聞こえてきた声 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/04/26(土) 21:47:04.09 ID:zsC7UgEi0<> 『白狼。今少し加減してやったらどうだ?』 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/27(日) 01:55:32.32 ID:YTAOsXYY0<> ??『白狼。今少し加減してやったらどうだ?』


と、白狼のものよりは優しい声が聞こえた
明瞭でない視界でも、
そこには見えるものなどいないことは分かるが、
確かに声が聞こえるのだった


男「誰……っ!でっ……!」

白狼「……ほう」


男がその声を聞いたことを察したか、
白狼はこれまでで一番満足そうに微笑んで、
雷撃を打ち切った <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/27(日) 20:06:51.45 ID:fRCH4/9VO<> すみません遅れました


男「はぁーっ……はぁ……!」


未だ痺れの残る四肢をゆっくりと動かし、
どうにか男は立ち上がった


白狼「貴様にも聞こえたか」

男「いっ……今の声は……?」

白狼「>>下1だ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/04/27(日) 22:46:01.38 ID:phu2v7M00<> 私とは違う神の御使。ケツァルコアトルだ <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/28(月) 02:10:16.86 ID:EmpJefC80<> 白狼「私とは違う神の御使。ケツァルコアトルだ」

男「そ、そうですか……」

白狼「感じてみろ」


そう言葉を投げかけられる
ここにケツァルコアトルがいるのだ、
という意味と理解するのに男は数秒を要した


男「……っ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/28(月) 02:13:18.06 ID:EmpJefC80<> 雷撃がなければ、より集中することができる
地獄の中で見いだした極限の感覚を、
全力で再現しにいくことができるのだ


白狼「感じたか?」


次第に、雷だけでなく風も逆巻いていることを感じられるようになった
その中心に意識を凝らせば、
龍のような神がそこに姿を現した


男「あなたが……」

コアトル「目論見は、為ったようだな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/28(月) 02:55:19.20 ID:EmpJefC80<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/28(月) 19:26:01.42 ID:4Pd3Q+abO<> 白狼「加減などせずとも、こうして上手くいく。先代の託した男だからな」

コアトル「乱暴にすぎるような気もしするが……よかろう」

男「これが、修行の成果なんですね」


これまでは感じられなかった、
気配のようなものを男は感じ取ることができるようになっていた


白狼「いかにも。隠れんとする神々や、小さく消え入りそうな神であっても、それを知覚できるだけの感覚を貴様は身に付けた」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/29(火) 02:13:34.58 ID:EsbLkpyl0<> 男「なるほど……」

白狼「だが、これではまだ不完全だ。分かるな?」

男「神々の声を聞けるようにはなりましたが……行使には関係していませんね」

白狼「そうだ。そこでこやつの出番というわけよ」


白狼は顎をくいと動かして、
ケツァルコアトルを指した


コアトル「面倒だな」

白狼「だが、我は叩きつける以外に力の使い道を知らぬでな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/29(火) 03:27:49.63 ID:EsbLkpyl0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/29(火) 19:05:08.74 ID:EsbLkpyl0<> 男「どうにかお願いできませんか?」


男がケツァルコアトルに頼み込むと、
彼は眉間に皺を寄せて軽く唸り、
それから口を開いた


コアトル「仕方ないな」

男「ありがとうございます」

白狼「こいつも暇しているからな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/29(火) 23:45:02.01 ID:EsbLkpyl0<> コアトル「ふん……白狼よりは穏便に済ませてやる。いくぞ」


彼はそう言うと、男に向かって風の刃を飛ばした
どうにか避けることはできる速度だ


男「おおっ!?」

コアトル「避けてどうする。今貴様がすべきことは、これを相殺することだ……はぁっ!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/29(火) 23:47:20.14 ID:EsbLkpyl0<> 男「ぐぅっ!」


どうしたらいいのかも分からず、
刃をその身で受けてしまう男


白狼「使え、神の力をな」

男「神の力を……?」

コアトル「ふんっ、そら!」

男「そ、そうか!」


男は飛んでくる風の刃に向けて、
強く意識を集中させ始める <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/29(火) 23:58:26.63 ID:EsbLkpyl0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/04/30(水) 19:29:08.39 ID:4f2DC9Ff0<> 白狼「理解したか」

男「そりゃあああっ!」


がむしゃらに叫び、イメージを集中させる
すると、向かってくるものと同じような刃が現れ、
見事相殺に成功したのだった


コアトル「……うむ、成功だ」

男「はぁっ……はぁ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/01(木) 01:00:18.48 ID:+U0Sqx4r0<> コアトル「貴様ができたことであり、そしてこれから上達させていかなければならないこと……それは二つ」

白狼「神が望むと望まざるにかかわらずその力を引き出すこと。そして、それを効率的に使うことだ」


男は、目の前にいるコアトルの力を適合体質によって強引にトレースし、
不恰好ながらもそれを行使したのだった


男「わ……分かりました……」

コアトル「呑み込みが早くて助かるな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/01(木) 03:27:24.42 ID:+U0Sqx4r0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/01(木) 19:24:53.96 ID:+U0Sqx4r0<> しかし、そこで男は精神の限界を迎えた
神の世界とのコネクションが強引に断ち切られ、
現実世界へと帰還させられる


男「ぐおぉぉ……」

気弱少女「わっ……!?どうしたんですか?」


熱心に祈っていたはずの男が突如苦しみ出したので、
隣にいた彼女もひどく驚いた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/01(木) 20:37:28.89 ID:+U0Sqx4r0<> 男「な、なんでもない……心配してくれてありがとう」

気弱少女「顔色が大変悪いですが……」

男「少し腹を痛めたのさ、気にするな……」


彼はそう言って、一旦教会の外に出た
深呼吸して空を見上げれば、太陽は頂点にいた

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/01(木) 20:45:16.26 ID:t/Gso1Ng0<> 9 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/02(金) 02:23:49.14 ID:v6L9IXG00<> 男は新鮮な空気を吸ってリラックスし、
多少安らいだ状態で再び教会に戻った


気弱少女「あ……大丈夫でしたか……?」

男「心配はいらないさ、それより……」

気弱少女「どうかなさいましたか?」

男「お目通ししてきたよ、ここの神様に」


そう告げると、彼女は目を見開いたが、
一体どうして驚いたのか、彼には分からなかった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/02(金) 02:50:38.32 ID:v6L9IXG00<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/02(金) 19:20:59.78 ID:v6L9IXG00<> 気弱少女「どうでしたか……?」

男「ひどい目に遭った……でも、得るものは確かにあったよ」


意識を集中すれば、
今までには感じられなかったものを森羅万象の中に感じることができるようになったのだ


気弱少女「よかったです、その……怖いお方ですから」

男「全くだよ、はぁ……本当に死ぬかと思った」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/03(土) 01:28:20.58 ID:Yq3Lm9Ye0<> 教会に備えつけられている長椅子に、
ため息をつきながら男は腰かけた


気弱少女「それで、どのように言われたのですか?」

男「俺はまだまだ未熟者らしい、気長に精進するよ」

気弱少女「男さんが?」

男「極端な話、自立した精神と十分な力があれば、神様を拝まずとも生きていける」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/03(土) 01:33:36.21 ID:Yq3Lm9Ye0<> 気弱少女「……そうかもしれませんね」

男「だが、少なくとも俺はそうじゃない。弱いし、誰かを頼りたい」

気弱少女「私もそうですよ」

男「君ほど純真でもないさ」


そう男が言うと、彼女は黙り込んでしまった
しばらく逡巡するような素振りを見せたあと、
気弱少女は決心したように口を開く <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/03(土) 02:54:23.58 ID:Yq3Lm9Ye0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/03(土) 18:27:26.17 ID:Yq3Lm9Ye0<> 気弱少女「みんな、そう言います。私に会った人は、みんな。神様だってそうです」


ただ儚く、庇護すべき対象であるかのように見えていた彼女
しかし、
今の彼女からはどこか恐ろしいものすら感じる


男「……え?」

気弱少女「なんですか、純真って。純粋って……それが偉いんですか……!?」

男「それは……」

気弱少女「私は……弱いです!……愚かで……非力で……なにも守れやしません……!それを……勝手に正当化しないで下さい!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/04(日) 02:07:10.78 ID:AuO18+F60<> 男「……ごめん」

気弱少女「……はぁっ……はぁ……すみません……こんな……」


爆発した自分の感情に、
気弱少女本人も驚きを隠せていない


男「俺は、君の抱えているものに気付いてやれなかった」

気弱少女「気にしないで下さい……今のは……」

男「なら、今度は俺が……君を鍛えようか?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/04(日) 02:10:10.22 ID:AuO18+F60<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/04(日) 19:36:35.31 ID:AuO18+F60<> 気弱少女「えっ?」

男「まぁ、本当はうちにもっと適任がいるんだけど……みんなそれぞれ、やりたいこともあるだろうし」

気弱少女「いいんですか?」

男「あぁ、強くなりたいんでしょ?」

気弱少女「はい……」

男「じゃあまずは>>下1からだ!」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/04(日) 20:50:35.54 ID:mGEiBf270<> 精神修行 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/05(月) 02:24:02.60 ID:TJWeRmpb0<> 男「じゃあまずは精神修行からだ!」

気弱少女「精神……ですか?」

男「ぶっちゃけ、メンタルが一番大事」

気弱少女「そうでしょうか……?」


彼女にとってその説明は、
いまいち呑み込み難かったようだ


男「体鍛えるのなんて、トレーナーがついてるかどうかぐらいしか違いはなくて……結局、沢山動くのが大切」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/05(月) 02:27:34.22 ID:TJWeRmpb0<> 気弱少女「そうですか」

男「そして、それを続けるためには、やはりメンタルが大事なんだ!集中を続けなければ、運動も疎かになる」

気弱少女「なるほど……?」

男「なんでも大切なのは量と質だ。そして、精神修行は鍛練における『質』を担保してくれる……さぁ、精神修行だ」


そう言って男は笑い、教会にあった儀礼用のナイフを気弱少女に渡した


気弱少女「これを、どうすれば?」

男「そいつで、俺を刺せっ!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/05(月) 02:35:15.13 ID:TJWeRmpb0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/05(月) 19:27:57.40 ID:6wIv4Dw0O<> 気弱少女「ええぇぇっ!?」

男「嫌だろう?」

気弱少女「はい……!」

男「普通だったら、もっと度胸試しみたいなことをするべきなんだが……君は優しすぎるので、とりあえずこれでいい」

気弱少女「……どうして、こんなこと……」

男「たとえ力を手に入れたとしても、誰かを傷つけることができなければダメだ。最後には保護するとしても、一時的には傷つける覚悟がなければ戦うことはできない」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/06(火) 03:15:38.16 ID:sbRQziuR0<> 気弱少女「それでも、私は……」

男「……やるんだ」

気弱少女「っ……!」

男「来い!」

気弱少女「……っわぁぁぁぁっ!!」


彼女は悲痛な表情のまま、
ナイフを持って男の体へと突貫した <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/06(火) 03:31:23.94 ID:sbRQziuR0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/06(火) 19:03:47.03 ID:sbRQziuR0<> 男「そうだ!」


気弱少女はなるべく男の顔を見ないようにしながら、
ナイフを持った腕を先に出して走る


気弱少女「!」


そして、その刃は確かに彼に突き刺さった
肉を引き裂く感触を、彼女は初めて味わったのだ


>>下1……刺された男の傷
1.かすり傷
2.それなりの手傷
3.そこそこ重傷
4.なぜかノーダメージ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/06(火) 19:33:38.20 ID:PqvVoJyi0<> 4 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/07(水) 01:55:27.10 ID:1FRBDuuX0<> 男「……あれ?」


だが、血は流れなかった
どうしたことかと男が傷口を覗き込めば、
確かに深々とそのナイフは刺さっている


気弱少女「……な、なぁんだ……おもちゃのナイフとすり替えていたんですね……」

男「い、いや……これ本物なんだけどなぁ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/07(水) 01:57:29.77 ID:1FRBDuuX0<> 彼女はそのナイフを腹から離す
男は服をめくって傷口を再び見たが、
やはり血は出ていなかった
だが、少しだけ肌の色合いが違うような気もした


気弱少女「……どうしたんですか?」

男「その、なんだ」

気弱少女「はい?」

男「君には、もしかしたら神様と仲良くできる以上のとんでもない力があるかもしれない!」

気弱少女「えぇ……っ!?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/07(水) 02:00:37.02 ID:1FRBDuuX0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/07(水) 19:50:29.93 ID:1FRBDuuX0<> 男「多分、確かに君は俺を傷付けた」

気弱少女「はい……」

男「だが、これは……治っている状態だと思う」

気弱少女「えっ?」

男「君は自分で俺のはらわたをえぐり、自分で治療したんだ」

気弱少女「そんなっ……私、魔法なんて使えませんよ?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 00:51:17.12 ID:dVDqkRQ10<> ただただ困惑する気弱少女だったが、
そのようにしたとしか考えられなかった


男「もしかしたら、君は戦うことはできないのかもしれないな」

気弱少女「そんな……」

男「……だが!それよりも価値がある力が君にはある……!今は鬱陶しく思うかもしれないけど、どうかそれを誇りにしてくれ」

気弱少女「……はい」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 02:22:29.07 ID:dVDqkRQ10<> 男「むしろ、そっちを鍛えたほうがいいかもしれないな」

気弱少女「どのようにすればよいのでしょうか」

男「分からない……うちに回復魔法が得意なやつはいないからな」

気弱少女「そうですか……」


結局どうしたらいいのか分からず、
気弱少女は己の無力をまたも恨んだ


男「念のため、炎魔と突き合わせてみるか」

気弱少女「あの方ですか」

男「回復というか、再生なんだけど……なにか掴めるかもしれない」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 02:24:34.11 ID:dVDqkRQ10<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 18:34:20.49 ID:dVDqkRQ10<> 男は炎魔を探すため、外に出た


気弱少女「どこにいるのでしょうか……?」

男「うーん、まだあいつの行動パターンは把握できてないんだよな」

気弱少女「そうなんですね」

男「自由だし、飛べるからね」


男たちは教会の周りを歩き回り、
森の中も探索して炎魔の姿を探し、
ついに彼女を発見した


>>下1……炎魔はなにをしていた? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/08(木) 19:18:16.10 ID:+TU6d5V/0<> 底なし沼にはまっておぼれそうだった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 20:26:12.66 ID:dVDqkRQ10<> 炎魔「うぉぶぶぶぶぶぶ!!!」


突如炎魔の絶叫が聞こえ、
駆けつけるとそこには沼があった


気弱少女「ここは……!」

男「炎魔!?どこだ!?」

炎魔「んん!んん!」

気弱少女「下です、ここは底なし沼なんです!」


ずっと辺りと上を見回していた男だったが、
気弱少女に言われて足元を確認する <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 23:20:26.65 ID:dVDqkRQ10<> そこには沼に脚を取られてもがき、
だんだんと沈みつつある炎魔がいた


男「お、おい炎魔!」

炎魔「んん!」

気弱少女「待って下さいっ……」

男「なっ……ああ!」


だが、炎魔を助けようと躍起になった男もまた、
底なし沼にはまってしまう <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/08(木) 23:23:30.63 ID:dVDqkRQ10<> 気弱少女「そんな!どうしたら……」

男「今か……今、やるしかない!」


溺れる炎魔、慌てる気弱少女
男はこの場をどうにか切り抜けるため、
精神を研ぎ澄ませていた


気弱少女「わ、私……どうすればっ」

男「祈れ!」


先ほど神々に教わったことを、
早速男は生かすつもりでいた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/09(金) 00:59:45.38 ID:NQ+vTI6y0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/09(金) 19:34:34.54 ID:NQ+vTI6y0<> 沈みゆく恐怖の中で、
その感覚はより鋭敏になっていく


炎魔「んんん……」

男「見えた!」

気弱少女「えっ!?」


うっすらと、沼の中にその姿を見た
彼は必死にそれへと助けを求める


男「沼の神よ!我々を助けてください!」

沼の神「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/09(金) 21:17:49.95 ID:328pVmuZO<> ごはんくれるならいいよ <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/10(土) 01:07:25.80 ID:tZZpc8jR0<> 沼の神「ごはんくれるならいいよ」

男「分かりましたっ!」


男は即座にバッグを漁り、
中から牛スライムとそのケースを見つけた
男はその体の一部を引きちぎって、
沼の神に投げつけた


沼の神「お肉だ!」


それが牛スライムにかぶりつくのと同時に、
沼にハマっていた炎魔と男は弾き出されるようにして解放された <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/10(土) 21:49:46.20 ID:tZZpc8jR0<> すみません遅れました


炎魔「ひぃ、ひぃ……死ぬかと思いました」

男「あれだな、死ねないから閉じ込められたら永遠に苦しむやつだ」

炎魔「怖いこと言わないでください!」

気弱少女「……な、なにがあったんですか?」

男「沼の神様に捧げ物をして助けていただいた」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/10(土) 21:53:24.14 ID:tZZpc8jR0<> 気弱少女「……すごいですね」

男「それより、泥で全身がべちょべちょだ……泉がどこにあるか分かったする?」

気弱少女「あっちです……」

男「ありがとう。じゃあ炎魔と離しててくれ」


男は、身を清め服を洗うためにその場を去った
残されたのは炎魔と気弱少女だけである
実際には沼の神も近くにいるが、
二人には感知できない <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/11(日) 03:57:27.13 ID:hsl+9LYH0<> 炎魔「話……?」


炎魔は不思議そうな顔をしている
未だ、彼女も泥まみれである


気弱少女「えっと、それより……炎魔さんもお体をすすいだほうがよろしいのでは?」

炎魔「あ、大丈夫大丈夫」


爽やかに応えると、彼女は全身を力強く燃やした
泥が渇きひびのような模様が見えた次の瞬間、
それも不死鳥の炎に飲み込まれて、
きれいなままの肉体が再び現れる <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/11(日) 03:59:37.83 ID:hsl+9LYH0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/11(日) 19:44:40.69 ID:hsl+9LYH0<> 気弱少女「すごい……!」

炎魔「ふふん、私にかかればこんなものです……それで、なんの話があるの?」

気弱少女「えっと、実は私……傷つけたものを再生してしまう体質があるようなんです」

炎魔「えっ!?すごい!」

気弱少女「それが炎魔さんの再生に似ているので……もしかしたら、なにか分かるんじゃないかと思って聞きにきたんです」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/12(月) 02:45:19.53 ID:IMP1wRXI0<> 彼女がそう自信なさげに告げると、
炎魔は笑顔で回答した


炎魔「私には分からないですね!」

気弱少女「そんな気はしてました……」

炎魔「でも、気になりますね……魔力で回復しているのか、特殊な力で回復しているかは確かめたいところですかねー」

気弱少女「というと?」

炎魔「魔力ってすぐ枯れるんだよ、でも私の再生能力は知る限り枯れたりしない」

気弱少女「あの力が有限かということですか?」

炎魔「そう。誰かを癒すことにその能力を使いたいとき、どこまで自分が無茶できるのかは分からないとね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/12(月) 04:24:17.60 ID:IMP1wRXI0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/12(月) 19:37:16.58 ID:IMP1wRXI0<> 気弱少女「そうかもしれませんね……でも、どうやったら分かるんでしょう?」

炎魔「まぁ、大抵のことは氷魔さんが知ってるよ」

気弱少女「すごい信頼感ですね」

炎魔「冒険者としては一番リスペクトしてるからね。じゃ、会いに行こうか」


二人はその場を離れ、
氷魔のいる場所へ歩き出した


>>下1……氷魔はなにをしていた? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/12(月) 21:19:11.23 ID:SMQBPGmD0<> 川で魚釣りしていた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/13(火) 02:31:59.59 ID:eiqjNcoe0<> 気弱少女「ここにいるんですか?」

炎魔「そのはずですが……氷魔さーん!」

氷魔「……んっ……!?」


そこは清流であった
氷魔はどこで用意したのか、
釣具を使ってそこで魚釣りを楽しんでいたのだ


気弱少女「あわわ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/13(火) 02:34:28.91 ID:eiqjNcoe0<> とてつもなく集中していた氷魔は炎魔の大声に驚き、
体から魔力を洩らしてしまった
川の一部が凍りついているのだ


炎魔「わかさぎ釣りですか?」

氷魔「……そんなわけないでしょう……一体どうしたんですか……?」

気弱少女「あっ、えっと……気になることがあって」

氷魔「……なにか……重要そうな雰囲気ですね……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/13(火) 02:41:08.44 ID:eiqjNcoe0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/13(火) 18:15:24.29 ID:eiqjNcoe0<> ややうんざりした表情の氷魔だったが、
気弱少女の様子を見て真剣な雰囲気を纏った


炎魔「実は気弱少女ちゃん、誰かを傷つけても再生させちゃうらしいんですよ」

氷魔「……どういうことですか……?」

気弱少女「ナイフで刺した場所が……ナイフを引き抜いた瞬間には綺麗に治ってるんです」

氷魔「……すごい力ですね……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/14(水) 00:51:54.74 ID:95bJBJ+n0<> 不思議そうな顔をして、彼女は釣竿を近くに置いた
そして、気弱少女の近くまで歩み寄る


気弱少女「ど、どうしましたか?」

氷魔「……今のところ……魔力は感じませんね……」

炎魔「そう、それなんですよ!この力が私のものみたいな感じなのか、魔法なのか!それを確めたいんです」

氷魔「……魔法じゃないような気がしますが……無詠唱で回復なんて……夢物語ですよ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/14(水) 00:56:04.89 ID:95bJBJ+n0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/14(水) 19:18:41.64 ID:YPZ+ssDvO<> 気弱少女「そうですか……」

氷魔「……やってみなければ……分かりませんがね……」


彼女はまだ息のある魚を取り出した
さばくための小刀を気弱少女に手渡し、
それに刺すよう促す


炎魔「人間じゃないから、ちょっとだけ気分が楽ですね!」

気弱少女「え、えぇ……じゃあ失礼して……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/14(水) 21:02:08.75 ID:95bJBJ+n0<> 氷魔「……どうぞ……」

気弱少女「えいっ……!」


彼女はナイフで魚を突き刺し、
そしてそれをすぐに引き抜いた
男にしてみせたように、その傷は塞がっている


炎魔「どうですか!?魔力感じましたか!?」

氷魔「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/14(水) 22:38:36.33 ID:clR+Rlq00<> 全く感じませんね <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/15(木) 01:54:19.39 ID:PmUSazyK0<> 氷魔「全く感じませんね」

気弱少女「そうですか」

炎魔「なんなんでしょう、この能力?」

氷魔「……仮説はありますが……理論立てて説明できる分野の話ではありません……あるいは……」


と言って彼女は考え込んでしまった
ひどく難しそうな顔をしている <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/15(木) 01:57:50.98 ID:PmUSazyK0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/15(木) 19:56:31.46 ID:PmUSazyK0<> 男「ふぃー……」


所変わって男のいる泉
たまたま道中で会ったやる気に洗濯魔法で服まで洗ってもらっていたところである


やる気「底なし沼なんてあるんすねー」

男「ほんとビビったよ」

やる気「でも俺っちは底なし沼から抜けるレクチャーも受けたことがあるっすよ」

男「野戦するもんな……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/16(金) 01:47:01.81 ID:rc+h3FRD0<> やる気「まず、懇切丁寧に抜け出し方を説明されたっす」

男「へぇ」

やる気「横になって掴めそうな場所を探せってことなんすけど……まぁ入念に説明されたっすね」

男「そんなに底なし沼で死ぬやつが多いのか?」

やる気「いや、その後俺っちとか同期が一人ずつ底なし沼にぶち込まれるからっす」

男「え……?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/16(金) 01:52:35.66 ID:rc+h3FRD0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/16(金) 18:47:21.59 ID:jXkbJthpO<> 衝撃的な話の尽きない彼に、
男はいつも驚かされてばかりだった


やる気「もう夕方っすね」


彼にとって今日は、
夕方までが長かったような気がした
いつもよりゆっくりとした気分で一日を過ごしたからであろう


>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/16(金) 18:52:04.17 ID:gNrmJs620<> 5 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/17(土) 02:23:41.36 ID:3xYfTJeL0<> 男はその場を離れると、森を駆ける影を見つけた
木々の間を飛び回るそれは、
だんだんと彼に近づいてくる


怪盗「こっちでした!」

男「おおっと……」


男の後ろにある木から、
枝に足をかけてぶら下がった怪盗が声をかけてくる <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/17(土) 02:27:27.33 ID:3xYfTJeL0<> 怪盗「私の動きを追おうとは、百年早いですよ?」

男「流石に速いな……で、なにしてたんだ?」

怪盗「よっと」


彼女は幹の窪みに置いていた籠を持ち、
そのまま下に降りてくる


男「果実か」

怪盗「夕飯で使うらしいので、運動がてら集めてたんですよ」


そこには色とりどりの実が入っていた
この森でどれも採られたものだろうが、
かなりの量がある <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/17(土) 02:35:02.88 ID:3xYfTJeL0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/17(土) 19:36:34.08 ID:3xYfTJeL0<> 男「……これ、ちゃんと食べられるやつなんだろうか?」

怪盗「禁域の食べ物じゃないんですから、多分大丈夫だと思いますよ?」

男「それもそうか」


そう男が納得すると、
彼女は果実のうち一つを差し出した


怪盗「食べます?」

男「小腹も空いたし、いただこうかな」


>>下1……果実の味 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/17(土) 19:40:10.38 ID:hJvJmRqI0<> 滅茶苦茶甘い <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/18(日) 02:46:01.14 ID:tNNb0Y2C0<> 男は自然な動作でそれにかぶりついた
一拍置いて、それからどんどん表情が険しくなっていく


怪盗「どうしたの?」

男「……あっっっまい!」

怪盗「へぇ、これ甘いんだー」

男「ヤバいなこれ、甘すぎる」

怪盗「そんなに?」

男「あぁ、甘いのが好きな人は……:うん……?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/18(日) 03:01:23.96 ID:tNNb0Y2C0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/18(日) 19:40:09.19 ID:tNNb0Y2C0<> 怪盗「どうしました?」


男はしばらく考えこんだ後、あることに気付いた


男「これ、異邦人たちの街で食べた……あのお粥に似てる」


サイケデリック粥のことを思い出したのだった
その強烈すぎる甘みは、確かにそれと似ていた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/19(月) 19:45:47.97 ID:ZszaLTEX0<> 怪盗「ということは、この果物から作られてたんですね、あの食べ物」

男「うん……中華には大丈夫なのか確認したほうがいいな」


男は齧ったままのその果物を全部食べきった
一度粥で舌が慣れているので、
次に食べるときには耐性が多少できていたのか


怪盗「そうですね、食べるのは私たちだけじゃないですから」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/20(火) 01:11:00.71 ID:8aiVqZvg0<> 男「ほんじゃ行くかね」

怪盗「ほいー」


男は怪盗が持っていた籠を持ち、
二人で教会へと帰っていくのだった


中華「あっ、お帰り!」


彼は教会の外にいた
まだ教会の中では料理ができる状態ではないのか、
と二人は思った <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/20(火) 01:21:24.18 ID:8aiVqZvg0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/20(火) 19:43:51.71 ID:8aiVqZvg0<> 男「中華、この果物すっげぇ甘いけど大丈夫なのか?」

中華「うん、どうにかこれを抑えて甘だれを作るんだ」

怪盗「相当薄めないとヤバそうですが……」


彼はそれらをいくつか取り出して、
即席の調理台の上に置いた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/21(水) 02:17:31.81 ID:RR723IJj0<> 中華「まさしくその通りでね……ちょっと手伝ってくれるかい?」

男「もちろん構わないが、教徒のみんなは?」

中華「厨房にいるよ」

怪盗「……?」

男「どうして中華は外にいるんだ?」

中華「スペースが結局の所足りなくて。結局一部の調理は外でやることになったんだよね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/21(水) 02:18:57.67 ID:RR723IJj0<> 男「なるほどなぁ」

中華「よし、とりあえず果物をすりおろす所から始めよう。色んな果物があるから、ちゃんと種別ごとに分けて置いてね」

怪盗「了解っ!」


怪盗は応答するや否や、
もの凄い速度ですりおろし始めた
中華たちが石を削って作った即席のすりおろし器だが、使い心地は悪くなさそうだ


男「俺も負けていられないな!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/21(水) 02:22:05.99 ID:RR723IJj0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/21(水) 19:46:36.86 ID:RR723IJj0<> 中華「て、丁寧にやってね……?」


不安そうな彼をよそに、
二人は凄まじい勢いでこなしていく


怪盗「手に果汁の匂いが付いてきたーっ」

男「俺もだ、トロピカルハンドになってきた」

中華「ふふっ……僕もよく、手に香辛料の匂いが染み付いて取れなくなることがあるよ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/22(木) 01:59:56.85 ID:guG7Ypoz0<> それから数十分ほどして、
三人は全ての果実をすりおろしきった


怪盗「手ぇぱんぱんですよ……」

男「そうだな……」

中華「力みすぎだね……こればっかりは数をこなさないとダメだけど」

怪盗「なんでも、できるようになったら適度に脱力しながらやれるようにしないといけませんからね」

男「怪盗のスリなんかは力みすぎても気付かれるだろうしなぁ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/22(木) 02:22:14.82 ID:guG7Ypoz0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/22(木) 19:08:42.61 ID:guG7Ypoz0<> 中華「それじゃあ、次のステップに移ろうか」


すりおろされた後のフルーツを整理しながら、
中華はフルーツごとにボウルへと入れていった


怪盗「っていうか……そもそも、なに作ってるんですか?今日」

中華「あぁ、このフルーツに関しては>>下1だよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/22(木) 22:04:43.29 ID:DN83jedM0<> ドリンクとスイーツをメインにして見ようと思うんだ <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/23(金) 01:46:39.49 ID:oMqbVLly0<> 中華「ドリンクとスイーツをメインにして見ようと思うんだ」

男「へぇー……珍しいアプローチだね?」

怪盗「確かに、中華料理じゃまずありえないことですし」

中華「まさしくその通りだよ、でもそういうのもできるようにすべきな気がしたんだ」

男「これかな?」


男は、あの異常に甘いフルーツのすりおろしが入ったボウルを持ち上げてみせた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/23(金) 01:49:23.71 ID:oMqbVLly0<> 中華「そう。あの街でまったく自分の常識にない料理を食べて……自分の世界をもっと広げたいと思ったんだ」

怪盗「ってことは、中華料理以外も極める感じ?」

中華「うぅん……あくまで僕が極めるのは中華料理だけのつもりだよ」

男「その道を歩むために、必要な知識や技能に過ぎないって感じかな」

中華「そんなとこ。ただ勉強するだけでもいいけど、折角料理ができるんだから実践しないとね!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/23(金) 01:57:43.16 ID:oMqbVLly0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/23(金) 19:52:46.26 ID:KZ5SYpIkO<> 怪盗「なんて立派なんでしょう……」

男「あぁ……俺も精進しないとな」

中華「そんな大げさな話じゃないって……もう。それより、もう二人に手伝える工程はないからわざわざここに残らなくてもいいよ」

怪盗「そうなんですね、じゃあご飯までぶらついてましょう」


そして、男もまた一旦彼の元を離れるのだった


>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/23(金) 20:04:58.12 ID:CViDRTiu0<> 8 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/24(土) 00:38:02.07 ID:vg5iDxIc0<> 男が教会の内部に戻ると、
椅子に座っている少年がいた


男「よっ」

少年「……あぁ」

男「元気ないな、どうした?」

少年「あいつさ、ものを治す力を持ってるらしいじゃん」

男「……気弱少女のことか」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/24(土) 00:49:20.77 ID:vg5iDxIc0<> 少年「正直さ、羨ましいよな」

男「……どうだろう」

少年「羨ましくないのか?」

男「これまで俺は、なにかを傷つけることでしたいことを成してきたし、これからもきっとそうだから」

少年「……それでいいのかよ?」

男「……正直なところ、心苦しいな。でも、俺は俺にできることをするしかないも思ってる」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/24(土) 01:33:21.54 ID:vg5iDxIc0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/24(土) 19:36:15.68 ID:Dt6k9fLlO<> 少年「綺麗事だな」

男「それを貫くのが一番難しいことぐらい分かってるだろう?」

少年「俺には……人を傷つけることしかできない。それが俺の力だから」

男「後天的に与えられた力に振り回されちゃいけないぞ」

少年「お前になにが分かるっ!」


男の隣を火柱が掠めた
知られたくないことを知っている、
そんな人間に自分の苦しみをえぐられる辛さは想像だにできないだろう <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/24(土) 23:57:16.97 ID:vg5iDxIc0<> 男「……教会を燃やす気か?」

少年「それも悪くないかもな……」

男「お前、本気で言ってるのか?」

少年「村一つ焼いたんだ、今さら……っ!」


男は少年に掴みかかり、一発殴った


男「バカ野郎っ!ここが気弱少女にとってどれだけ大切な場所か分かってるのか!?」

少年「どいつもこいつもあいつの話ばっかり……!」

男「違う!彼女が……あの子が、誰よりも君のことを信じているんだぞ!?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/24(土) 23:58:21.24 ID:vg5iDxIc0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/25(日) 19:35:52.78 ID:WFMMZhbw0<> 少年「……だからなんだってんだよ!」


今度はきちんと男を狙って火柱が伸びたが、
彼はちゃんとそれを見切って躱した


男「……お前がそんなことをしたら悲しむ。きっと、お前にも……あいつしかいない。お互い、本当に心を許せるのは……」

少年「………………」

男「……だが、お前がお前の意志で、その力を使って破壊の限りを尽くすというのなら……俺はその意志を止めることなどできない。どうしたいかは、結局……お前が決めることだ」

少年「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/25(日) 19:59:52.21 ID:+cIVAf130<> あいつを護れるに相応しい人間になりたい <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/26(月) 03:09:32.58 ID:p8ma5B2l0<> 少年「あいつを護れるに相応しい人間になりたい」


彼も本心では気弱少女のことを大切だと思っている
むしろ、その想いは男や集ってきた教徒たちよりも大きいはずである


男「……そう思えたなら、それで充分だろ」


そう言って、男は彼の頭を撫でた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/26(月) 03:29:51.37 ID:p8ma5B2l0<> 少年「……こんな俺でも、強くなれば……誰かを守れるのかな」

男「あぁ、もちろんそうだ。断言できるぞ」


危うく燃やされそうだった男
冷や汗が引いてきたところで教会の椅子にどっかりと座った


少年「ふぅん」

男「俺は強い仲間にめちゃくちゃ守ってもらってるからな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/26(月) 04:44:48.76 ID:p8ma5B2l0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/26(月) 19:32:35.53 ID:p8ma5B2l0<> 少年「……今の話は、内緒にしてくれよ」

男「約束できないなぁ、俺は口が軽いから」

少年「なにぃ!?」

男「気弱少女が不安そうにしてたら、今のこと話しちゃうかも」

少年「一番知られたくない相手なんだが……!?」

男「でも、一番知るべき相手でもあるぞ。まぁ……よっぽどのことがなければ話さんよ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/27(火) 01:08:53.73 ID:hnZevf8G0<> 少年「頼むぞマジで……」

男「はは……そろそろ夕飯だ、食べに行こうぜ!」

少年「そうだな、久しぶりに能力使って腹が減っちまった」


二人は教会の扉を開けると、
外では既に夕飯の準備が始まっていた
教会の中にある厨房から外に料理を運び出すにあたって、
二人がやりあっているホールを経由されなかったのは幸運だっただろう <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/27(火) 01:11:03.61 ID:hnZevf8G0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/27(火) 19:52:17.15 ID:hnZevf8G0<> 中華「ちょうどいい所に来たね、これから夕飯だよ」


彼はやってきた二人に向かってそう声をかける
急造されたテーブルが運び込まれていたようで、
そこにいくつもの料理が並んでいる
本人がドリンクやデザートをいじっていたことからも予想されたことであるが、やはりメインディッシュは彼の作ではなかった


男「こっちは中華が作ったわけじゃないのか」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/28(水) 02:14:47.74 ID:YDleJI4w0<> 中華「そうだね、まぁドリンクとかの製作以外にも理由はあるんだけど」


彼は楽しそうに微笑んだ


男「へぇ、なにか狙いが?」

中華「教徒のみんながどういう食文化をしていて、どういう料理を作っているのか知りたくてね……」


男が彼の口元から目元に視線を向けると、
その眼はギラついていた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/28(水) 02:18:17.90 ID:YDleJI4w0<> 男「筋金入りだな」

中華「褒め言葉として受け取っておくよ」


いつもと違うジャンルに挑戦したり、
他人の料理をじっくり分析したり
中華はより貪欲さを増している


氷魔「……そろそろいただきたいですね……」

やる気「確かに腹減ったっすねー」


誰かが夕食開始の音頭を取るべき状態になっていた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/28(水) 02:25:51.16 ID:YDleJI4w0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/28(水) 18:59:23.08 ID:d8cWWbvnO<> 男「じゃ、俺が行くかな!」


男は教会の屋根によじ登り、声を張り上げる


ぶりっ子「わざわざそんなとこ行かなくても……」

男「これから夕食だ!みんな席に着いたな!?」

怪盗「はーい!」

男「そんじゃ、いただきまー______」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/29(木) 01:34:55.21 ID:AU5tvOB40<> 男が『す』と言い終えた瞬間、
雷光が晴れているはずの空を駆け巡った


狙撃少女「っ!?」


次の瞬間、男はその雷撃に打ちすえられ、
黒焦げになって屋根から放り出された


男「げほっ……げほ……なんだよ、ちょっとぐらい屋根に登ってもいいじゃないすか……」

炎魔「大丈夫ですか!?」

男「おお、大丈夫だ。ちょっとだけ雷に耐性が付いたみたいでな、向かうも分かってやってると思うぞ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/29(木) 02:25:24.36 ID:AU5tvOB40<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/29(木) 18:29:29.71 ID:AU5tvOB40<> なんだか締まらない音頭となったが、
三々五々夕食を摂り始めた


少年「口封じになるかと思ったんだが」

男「はっはっは、まだ死ねんよ」


男はそう言って自分の席に着いた
今日の夕食は教徒たちが作ったものであり、
メインディッシュは>>下1だ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/05/29(木) 19:39:32.85 ID:vabTKpcq0<> ブイヤベース <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/30(金) 00:46:26.84 ID:iwrt4Ixp0<> 出されたのはブイヤベースだった
魚介の豊潤な香りが、
口内に入れる前から既に漂ってきている


中華「なるほど……ブイヤベースか……」

氷魔「……すごい集中力ですね……」


神妙な顔で彼はブイヤベースを口に運んでいく
魚を丁寧に口に放り込み、低く唸っている <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/30(金) 01:01:29.33 ID:iwrt4Ixp0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/30(金) 20:05:05.68 ID:eUxxBcxPO<> すみません遅れました


やる気「どうすか?」

中華「……むむ……」


彼はそれからスプーンでスープを掬って飲み始める
確かめるように何度も口に運ぶ


ぶりっ子「すごい集中してますねぇ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/30(金) 23:57:52.28 ID:iwrt4Ixp0<> 何度か頷いたのち、彼は小さく呟いた


中華「うまい……」

怪盗「よかったですね〜」

中華「……うまいっ!!」


今度は感動のあまり椅子から立ち上がり、
そう叫んだのだった


狙撃少女「なんで二回も……?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/31(土) 00:16:34.92 ID:pS0e4LiR0<> 少年「当たり前だけどさ、なにかを作ろうと思うやつって……よっぽどそれが好きなんだよな」

男「中華はその中でもちょっと特別かも」

炎魔「そんなに美味しいんでしょうか」


中華の様子に感化され、
どんどん食欲の湧いてきた一行は、
次々にブイヤベースを食べ始める


氷魔「……あ……本当に美味しいです……舌がじんわりと幸せになるような味がします……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/31(土) 01:36:54.40 ID:pS0e4LiR0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/05/31(土) 19:15:00.18 ID:pS0e4LiR0<> やる気「そういや、こんな森の中でどうやって魚料理なんて作ったんすかね?」

氷魔「……私たちが釣りました……」

ぶりっ子「へぇー……」

炎魔「だから魚釣りしてたんですね」

氷魔「……そんなところです……」

怪盗「確かに、冷凍できる人がいればがんがん釣れますしね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/01(日) 01:22:57.15 ID:CLQXlB/70<> わいわいがやがやと、
教徒たちも男たちも色々と話しながらメインディッシュを平らげた


中華「じゃ、デザートの時間だよー」


彼は予め用意していた、
フルーツを加工したデザートを運んできた
それから金属の容器に入れられていたジュースを、
一つ一つ木製のコップに注いでいく <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/01(日) 01:33:21.82 ID:CLQXlB/70<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/01(日) 19:26:15.36 ID:CLQXlB/70<> 狙撃少女「シャーベット状になっていますね」

炎魔「すっごく甘い匂いがします!」


大根おろしのようなデザートも、
コップに入ったドリンクも、
いずれも非常に甘い香りを放っている


少年「食べてみるか……」


彼はデザートを優しくフォークで突き刺し、
ゆっくりと口内へと運んだ


男「味はどうだ?」

少年「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/01(日) 19:45:00.91 ID:6V8nqEX90<> 悪くは無い…ただ、もう少し甘みを抑えられそうな気がする <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/02(月) 02:21:06.13 ID:fW46pXTR0<> 少年「悪くは無い…ただ、もう少し甘みを抑えられそうな気がする」


彼はしゃぷしゃぷと咀嚼し、そう述べた


男「まぁ、元の果実が相当だからな」

中華「なるほど……よし、他の手を試してみるよ」

少年「一応言っておくけど、俺は甘党じゃない。他の人の意見も聞いたほうがいい」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/02(月) 02:29:09.64 ID:fW46pXTR0<> ぶりっ子「そうですねぇ、私はいくら甘くてもいいですしぃ」

氷魔「……ぶりっ子さんは……ちょっと規格外すぎますね……」


そう冗談めかして話しつつも、
氷魔は本当にシャーベットにしてしまったデザートを一部ドリンクに溶かし、
スプーンで混ぜて飲んだ


やる気「すげぇ食べ方してるっすね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/02(月) 02:53:13.69 ID:fW46pXTR0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/02(月) 18:57:48.95 ID:MgHhmzBMO<> 怪盗「これはこれでいいと思いますよぉ」

男「そうだな、中華料理屋を出すにしても、こういうのを置いておくと結構頼まれそうだ」

中華「……そうかなぁ?」

男「あぁ、自信あるぞ」


男は回想しながら答える
彼がまだ元の世界にいた頃、
メインは中華系の料理だがデザートが充実している店に通っていたことを思い出したのだ <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/03(火) 01:51:48.17 ID:1r2qktuC0<> 狙撃少女「いっぺんには頼みませんよね?」

男「あぁ、そうだ。一旦メインの料理を食べてもらって、それからデザートを食べるかどうかを委ねる形だな」

中華「はぁなるほど……」

男「でもアレだな。大衆店のやり方だから、本格中華でまっすぐ売っていきたいならまた別だ」

中華「僕としては、色んな人に食べて欲しいと思ってるよ」


この世界においては、
多くの地域で中華料理はマイナーである <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/03(火) 02:04:18.96 ID:1r2qktuC0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/03(火) 19:28:06.83 ID:1r2qktuC0<> あれこれと話しながら、一行は夕食を終えた
それぞれが緩やかに後片付けを行い、
賑やかだった教会前もおとなしくなりつつある


男「いい夜だなぁ……」

狙撃少女「えぇ、昔行ったキャンプの夜を思い出します」


まだ寝るまでには時間がある

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.少年と話す
9.気弱少女と話す
10.神に祈る
11.自由安価 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/03(火) 19:46:29.34 ID:RxB9hhMJ0<> 9 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/04(水) 01:04:15.23 ID:n4U8Z6e00<> 気弱少女「えいえいおー……」


教会の脇の森から声が聞こえた男は、
ふとそちらに足を運んだ
そこにいたのは、
一人でなにか口走っている気弱少女であった


男「……なにしてるんだ?」

気弱少女「へっ!?」

男「な、なんだよ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/04(水) 01:07:01.40 ID:n4U8Z6e00<> 彼女はかつてなく慌てた顔をして、男の方に振り返った


気弱少女「あ、その……聞いてました?」

男「いや、なんか言ってるなとは思ってたけど……内容までは」

気弱少女「はぁー……よかったです」

男「……女の子だし、秘密ぐらいはあるか」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/04(水) 01:22:14.41 ID:n4U8Z6e00<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/04(水) 19:45:15.43 ID:n4U8Z6e00<> 気弱少女「……なんか、おじさんみたいですね」

男「ぐっ」


その言葉はしかとその心を抉った
まだ若いつもりでいる彼にとって、
その言葉は凶器なのだ


気弱少女「ふふっ……」

男「まだ脂っこいもの食えるし……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/05(木) 00:53:50.74 ID:v3h+Qx6G0<> 気弱少女「……なんだか、隠し事をするのがばからしくなっちゃいました」

男「へぇ?」

気弱少女「私、みんなのために頑張りたいなって思えるようになりました」

男「元からじゃないのか?」

気弱少女「頼られたら……あるいは、それが使命なら私はそうしますよ……でも、それじゃいけないと思ったんです」

男「自分の意志で、ということか」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/05(木) 02:10:13.82 ID:v3h+Qx6G0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/05(木) 19:48:43.81 ID:v3h+Qx6G0<> 気弱少女「はい!私……これまで色んなことがありすぎて、自分についてよく考える時間がありませんでした」

男「そうだな、その年頃にはよくそういうことを考えるべきだ」

気弱少女「ずっとおじさんモードですね……」

男「君には人をそうさせる魔力のようなものがあるんだよ……」

気弱少女「……まぁいいです。それで、私……目標ができたんです」

男「目標?」


そう男が聞けば、彼女は優しく微笑んだ


気弱少女「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/05(木) 20:04:52.86 ID:9Wy4FjavO<> 身寄りの無い子供たちが自分の道を見つける手助けをする為に、孤児院や学校を作りたいです <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/06(金) 00:55:32.08 ID:Umrmv9vO0<> 気弱少女「身寄りの無い子供たちが自分の道を見つける手助けをする為に、孤児院や学校を作りたいです」

男「……いい夢だなぁ」


しみじみ男は感じ入った
運命に翻弄された彼女らしい夢である


気弱少女「そうでしょうか」

男「あぁ!ぶりっ子や狙撃少女なんかは泣いちゃうかもしれないな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/06(金) 02:20:18.84 ID:Umrmv9vO0<> 気弱少女「そんなにですか……?」

男「あぁ。……それなら、もっと教会のリフォーム手伝えばよかったなぁ」

気弱少女「あんまりべたべた教会いじってると、また雷に打たれてしまうかもしれませんよ」

男「はは……アレ、マジで痛いんだよね」


ご飯を食べているときも暫くびりびりしていたのを彼は思い起こす
実は、金属製のフォークに手を付けたときも彼に帯電したままの電気が静電気のようにフォークに飛び出して痛みを覚えていたりしたのだ <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/06(金) 02:22:34.82 ID:Umrmv9vO0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/06(金) 21:03:57.68 ID:Umrmv9vO0<> すみません遅れました


気弱少女「それじゃあ、そろそろ寝ましょうか」

男「あぁ、そういえば君は朝が早くて夜も早いタイプだったね」

気弱少女「やることが多いと、どんどん遅くなっていきますよね」

男「あぁ、お陰で昔は……」

気弱少女「どうしました?」

男「いや、なんでもない」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/07(土) 01:26:16.33 ID:H4WymkTu0<> それからみんなはキャンプをするなり、
教会の椅子で眠るなり、
思い思いの方法で夜を明かした


〜翌日・陰週火曜日〜


炎魔「んぁ……」


木にひっかかった状態で彼女は目覚めた
寝相は悪いがどうにか大空に飛び立たずに住んだようだった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/07(土) 19:59:11.93 ID:H4WymkTu0<> すみません寝落ちしました


それから一行と教徒たちは再び教会に集まった
男は彼らに問いかける


男「俺たちについてくる決心はついたか?」


教徒たちは顔を見合わせ、
この前のようにそのうち一人が歩み出る


教徒「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/07(土) 20:46:50.40 ID:Xml6CoA/0<> はいついていきます <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/08(日) 01:33:41.48 ID:uJJHKYD80<> 教徒「はいついていきます」


多くの教徒たちはもう決意を固めたようだった


中華「なら、行こうか」

氷魔「……はい……」


氷魔は教会から地下に繋がっているハッチを開いた
男たちが梯子を降りていき、
次いで教徒たちも降りていく <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/08(日) 01:35:57.59 ID:uJJHKYD80<> やる気「じゃ、真っ直ぐ進むっすよ!」


一行は大所帯で地下を進んでいく
こんな場所があることは、
教徒たちもほとんどが知らなかったようだ


ぶりっ子「こんな大所帯で戻ってきたら、あの魔王さんなんて言うんでしょうねぇ?」

怪盗「……あんまりぞろぞろ連れていかないほうが賢明かもしれませんね。そこまで狭量な方ではないと思いますけど」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/08(日) 01:38:41.02 ID:uJJHKYD80<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/08(日) 19:56:33.99 ID:uJJHKYD80<> それからしばらく歩いて、
一行はあの花畑へと戻ってきたのだった


気弱少女「きれい……!」

少年「なんだ、ここ……!?」

狙撃少女「魔王の居城ですよ。あそこに宮殿が見えるでしょう?」


彼女はそれを指し示したが、
にわかには信じがたいようだった
この美しき花畑を統べるものが、
魔王であるなどとは考えづらかったのだろう <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/09(月) 02:36:36.13 ID:hdhgHNHP0<> 炎魔「実は、あそこに住んでいるオネエ魔王さんに頼まれて私たちは帝国領にいたんですよ」

男「そう。届けなきゃならないもんがあってね……で、それが終わったから報告しに行くんだ」


一行はひたすら花畑の道を歩き、
その宮殿へと近づいていく
どこかから見られているような感覚を多くの人は感じており、そわそわしている <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/09(月) 03:01:54.28 ID:hdhgHNHP0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/09(月) 20:52:58.55 ID:hdhgHNHP0<> すみません遅れました


それから一行は宮殿の前へとたどり着いた
ドリアードが何人かで警備をしている


中華「ここから先は、僕らだけで行こうか」

氷魔「……そうですね……」

ぶりっ子「みなさん!絶対にここの花畑を荒らしたり花をむしったりしないでくださいねぇ!」

怪盗「これだけの支配領域のある魔王の怒りは買いたくないですからね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/10(火) 01:20:33.53 ID:gw90xoQ/0<> それから警備するドリアードたちの前に一行は歩み出た


狙撃少女「すみません、通していただけますか?」

ドリアード「確かあなた方は……」

炎魔「オネエ魔王さんから受け取ったバラを届けて参りました」

ドリアード「なるほど、それはそれは……大変だったでしょう」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/10(火) 01:23:23.66 ID:gw90xoQ/0<> 彼女が合図をすると他のドリアードも門の前をどき、
紅い金属製の門がゆっくりと開かれた


やる気「ご丁寧にどうもっす」

ドリアード「あなた方は気に入られていますから」

男「そうだったんだ?」

氷魔「……まぁ……気まぐれで捻り潰されていないだけ……確かに気に入られているのかもしれませんね……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/10(火) 01:42:46.86 ID:gw90xoQ/0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/10(火) 19:49:29.62 ID:gw90xoQ/0<> それから流れるようにオネエ魔王の部屋へと向かうのだった


やる気「双子さんにバラ届けてきたっすよ〜」

オネエ魔王「あらそう、思ったより早かったね」

中華「そういえば、あの双子は何者だったんですか?自分の領域も持っていたようですが……」

オネエ魔王「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/10(火) 21:59:01.53 ID:clKRyCzI0<> ……大昔のお友達よ。とても大切な『女性』を守って居るだけの……ね。 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/11(水) 01:55:00.09 ID:90gK5azs0<> オネエ魔王「……大昔のお友達よ。とても大切な『女性』を守って居るだけの……ね。」


彼は物憂げな眼差しを虚空へと向ける
その先にあるのはあの二人なのか、
それとも『女性』なのかは本人にか分からなかった


ぶりっ子「………………」

オネエ魔王「ちょっと湿っぽくなっちゃったわ」


彼女はカップに口をつけ、
残っていた一杯を飲み干すと立ち上がった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/11(水) 01:58:32.92 ID:90gK5azs0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/11(水) 19:48:11.83 ID:90gK5azs0<> 怪盗「聞いたのは私たちですから……すみません」

オネエ魔王「いいのいいの。それで……頼み事を聞いてくれたんだし、子供たちをここに連れてきてもいいわ」

狙撃少女「ありがとうございます……」

炎魔「子供の頃にこんなところで過ごせたら、きっといい経験になるんじゃないでしょうか」

オネエ魔王「そう?そういうふうに庭を見たことはなかったわ……でも、褒められるのは嬉しいことね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/12(木) 01:14:25.59 ID:+eODO/6s0<> 男「それじゃあ行きますね」

オネエ魔王「……体力は大丈夫?」

中華「お気遣いなさらず。まぁ、向こうに行って戻ってきたら分かりませんが」

オネエ魔王「じゃ、お部屋の用意はしておくわね」


そうして一行は彼と別れ、
宮殿を出て外の教徒たちの所へと戻るのだった


氷魔「……さて……ここからが長いですよ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/12(木) 01:24:08.92 ID:+eODO/6s0<> 教徒たちはそう告げられると、やや不安そうにした


ぶりっ子「またハッチを開けて地下に戻り……移動します」

怪盗「で、次の目的地まで結構かかるんですよね」

狙撃少女「私たちが全力で走るのと同じくらいのスピードで滑走して……二時間?」

炎魔「歩きなら6時間はかかるでしょう!」


彼女が計算すれば、一部の教徒たちは遠い目をした
滑走移動ができるメンバーだけで行ったほうがよさそうだ、と男は感じた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/12(木) 01:25:12.71 ID:+eODO/6s0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/12(木) 19:26:59.46 ID:+eODO/6s0<> 少年「その滑走ってのはどうやるんだ?」

男「氷魔に地面を凍らせてもらって、そこを滑っていく。結構コツがいるんだ」

気弱少女「へぇ……」

中華「君たちがやって転んだら怖いし、僕たちだけでいくよ」


一行は花畑に教徒たちを残して、
ハッチの中へと向かっていった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/13(金) 00:01:23.50 ID:9x4fkrAa0<> 一行は急いで地下を滑走し、
図書館の街まで戻ってきた
そして、市長がいるオフィスに入っていく


氷魔「……ただいま戻りました……」

市長「予想はしていましたが、かなりかかりましたね」

やる気「えっと……期待に添えなくて申し訳ないんすけど、まだ極東には着けてないっす」

市長「なんと……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/13(金) 19:10:17.14 ID:YakJd4+aO<> すみません寝落ちしました


ぶりっ子「あっ、でもぉ、帝国に繋がるハッチがありましたよぉ」

市長「そうなのですか?それはとても有益な情報ですね」

怪盗「そういえば、帝国で市長の妹さんに会いました!」

市長「あぁ、確かに今潜入していますね」

狙撃少女「一体なんの目的であそこにいたんでしょう?ものすごい怪力で甲冑の人も連れてましたが……」

市長「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/13(金) 19:45:58.80 ID:6Bzh8jvH0<> …『妹』は、『少女』を元の世界・元の時代に帰そうと奔走しています <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/14(土) 00:02:44.45 ID:lBc6hn850<> 市長「…『妹』は、『少女』を元の世界・元の時代に帰そうと奔走しています」

炎魔「少女……?」

男「多分あの連れてた子じゃないの?」


全体主義者のような雰囲気を纏っていた彼女だったが、
実際には誰か個人のために戦える存在だったのだ


中華「やっぱり、いい人だったんだ」

氷魔「……帰すために行動しているとなると……異なる世界線から来た人々が住むあの街にいたのも頷けるところです……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/14(土) 00:16:39.19 ID:lBc6hn850<> 市長「彼女、私についてなにか言っていませんでしたか?」

やる気「や、特には……」

市長「そうですか。私はかなり彼女に迷惑をかけているので……」

ぶりっ子「そうなんですかぁ?」

市長「私が帝国と対立しているせいで、彼女の調査にも影響が出てしまっています」

怪盗「そりゃどっちも正しいことますから、市長さんか気に病むことはないです!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/14(土) 00:39:56.87 ID:lBc6hn850<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/14(土) 18:26:53.55 ID:lBc6hn850<> 市長「そうですか?それならいいのですが」

狙撃少女「それと、子供たちを一時預かってくれる方を見つけました」

市長「つまり……子供たちを連れてまっすぐ歩くには極東は遠すぎるおそれがあるということですね?」


何段階か思考を飛ばして質問をしてくる
実際合っているので、一行は頷くことしかできない


炎魔「そうですね……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/15(日) 02:15:46.81 ID:dfZbS8bT0<> 市長「ちなみに、どんな方なのでしょうか」

男「魔王だよ」

市長「……魔王?」


市長は首を傾げた
魔王がそれほど慈悲深い存在だとは思っていないようだ


中華「それだけじゃ伝わんないでしょ?」

男「あぁ、そうか……」

中華「市長さん、オネエの魔王だよ」

市長「オネエの魔王??」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/15(日) 02:17:13.89 ID:dfZbS8bT0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/15(日) 18:58:45.06 ID:dfZbS8bT0<> より訳が分からないという顔をする
確かにそうだろう


氷魔「……はい……オネエの魔王です……」

市長「そうですか……信頼できるのですか?その……魔王は」

やる気「気品のある方っすし、節度を持って接していれば相手も優しくしてくれる感じっすね」

市長「……魔王らしくないですね」

ぶりっ子「そんなんばっかじゃないですかぁ?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/16(月) 01:08:56.92 ID:r5n0A3+r0<> 実際、ここにいる二人の魔王もあまり物騒なタイプではない
時折その片鱗が見えることもあるが、
よほど追い詰められなければ、
邪悪な魔王らしい態度を取ることは少ないだろう


市長「……そうですね」

怪盗「ま、そういう訳で……子供たちを連れていくために戻ってきました」

市長「分かりました。では出発の支度をさせますね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/16(月) 19:02:29.04 ID:zy2W8hlnO<> すみません寝落ちしました


それから三十分ほど待てば、子供たちは全員揃った


狙撃少女「それじゃあ行きましょう!」

炎魔「ハッチを降りるのが怖かったら、私が支えますからね!」

子供A「あ、ありがとう……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/16(月) 19:05:15.67 ID:zy2W8hlnO<> それから地下水道に降りて、
一行と子供たちは歩き始めた


男「ううん……」


だが、暗くじめじめとしたその道は、
まだ小さな子供たちにとっては不気味すぎた
何人かは足がすくんでおり、
このまま歩くのは彼らの精神をただ磨耗させることにほかならないと何人かは気付いた


中華「よし!なにか楽しい話をしようか!」

子供B「楽しい話……?」

中華「あぁそうさ!どうかな、なにか極東での楽しい思い出とかないかい?」

子供B「え、ええっと……>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/16(月) 19:22:19.18 ID:OOsBsIGZ0<> 働く石像さんの話

昔、村々を作る際にその村の御神体を奉納する決まりがあった時代に、人々のお願いを聞いて働く石像が祀られていた村の逸話 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/16(月) 23:50:51.04 ID:r5n0A3+r0<> 子供B「昔話でもいいですか……?」

中華「もちろん!」


そう言うと控えめに子供は笑って、
それから話し始めた


子供B「昔……極東には働く石像さんがいたの」

氷魔「……働く……石像……?」

子供B「うん、昔……極東では新しい村を作るときに、その村に大きな社を作ってたんだ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/16(月) 23:57:26.97 ID:r5n0A3+r0<> ぶりっ子「へぇー、村ごとに神様がいるんですかねぇ?」

子供B「そうだと思う……それで、社には御神体を奉納することになってるんだ」

怪盗「聞いたことありますね、東国の社には神様を象徴するものが置かれていると」

子供B「それで、そこの社で祀られていたのは……働く石像さんだったんだ」

狙撃少女「働く、とはどういうことなんでしょう?農作業とかしてくれるんでしょうか?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/17(火) 00:53:08.73 ID:Ixl9d9AQ0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/17(火) 19:44:18.46 ID:x29GDB3NO<> 子供B「あんまりそういうことはしないみたいだよ。大きくて邪魔な岩をどかしたりとか」

狙撃少女「へぇ……」

やる気「誰かが操作してるんすか?」

子供B「ううん、みんなのお願いを聞いて動くんだ。命令する人がいるわけじゃないんだよ」

氷魔「…………?……変わってますね……まるでゴーレムのようですが……マスターがいないのでしょうか……?」

子供B「ごぉれむ?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/18(水) 02:02:14.27 ID:W1sbw4Zk0<> 男「魔法使いのために働いてくれる、石とかでできた像だね」

子供B「働く石像さんに似てるね」

やる気「そっすねぇ」

中華「でも、御神体として備えられてたってことは神様なの?」

子供B「うーん……石像さんは神様じゃないと思う」


そこまで話すと、別の子供が声を上げた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/18(水) 02:33:49.41 ID:W1sbw4Zk0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/18(水) 19:48:25.94 ID:W1sbw4Zk0<> 子供C「みんなが神様にお願いすると、石像さんが働いてくれるんだよ!」

氷魔「……なるほど……」

ぶりっ子「ところで、その石像さんって今もいるんですかぁ?」

子供B「いない」

怪盗「えぇ、どうしてなくなっちゃったの?」

子供B「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/18(水) 20:10:08.78 ID:L2h9eRmo0<> 大地震が起こった時に村の人達を助けた後に地割れに飲み込まれちゃったんだ…… <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/19(木) 00:37:08.17 ID:lzYOll0P0<> 子供B「大地震が起こった時に村の人達を助けた後に地割れに飲み込まれちゃったんだ……」

狙撃少女「なんと……」

炎魔「ってことは、地の底にはまだ石像さんがいる可能性があるんですね!」


彼女は悲しそうな顔を一瞬したが、
すぐにそう言って明るいいつもの顔になった


男「極東に行ったら助けたいとか、そういうこと考えてるでしょ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/19(木) 00:39:29.29 ID:lzYOll0P0<> 炎魔「分かってるじゃないですか」

男「どこにいるか分かったらやろうか」

炎魔「話が分かりますね!」


それからも、一行と子供たちは極東のお話や、
その他種々の楽しい話をして歩き続けた
暗さも恐怖を呼ぶものではなく、
余計な視覚を遮断して話の世界に入り込むための、
ある種の暗幕のような効果を果たした <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/19(木) 00:43:32.34 ID:lzYOll0P0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/19(木) 19:52:54.88 ID:lzYOll0P0<> お陰で進むのも少し早くなったのか、
予定より一時間ぐらい早く目的地に着いた


中華「それじゃ、梯子を昇っていってね」

やる気「落ちたら俺っちがキャッチするっすから、安心して上るっすよ!」


子供たちは心配をよそに、
するするとみな梯子を上っていった


氷魔「……すごいですね……私……小さいころはどうしても梯子がダメで……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/20(金) 00:38:59.64 ID:h5n81TFH0<> 一方、地上に上った子供たちはその光景に目を奪われた


子供A「わぁぁ……!」

子供D「きれい……!」


どこまでも続く花畑と地平線
そこに呑み込まれていく太陽
世界の終わりがこんな感じだったらいいのに、
と思う者もいるほどの美しさだった


ぶりっ子「確かに、これは綺麗ですねぇ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/20(金) 00:43:40.34 ID:h5n81TFH0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/20(金) 21:00:40.54 ID:h5n81TFH0<> すみません遅れました


怪盗「それじゃ、着いてきてくださいね!」


彼女は子供たちを先導して歩き始める
向かうは魔王の居城であった


狙撃少女「まるでピクニックみたい」

炎魔「ふふ、確かにそうですね!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/21(土) 01:17:20.44 ID:/KC2STWn0<> 男「見えてきたぞ、あれが目的地だ」


彼が指し示す先にある魔王の宮殿
子供たちは初めて見る西洋風巨大建造物に目を奪われた

子供E「すげー……」

子供D「あんなところに住みたいな……」

中華「住むのは無理だけど、しばらく君たちはあそこで暮らすことはできるよ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/21(土) 01:27:29.83 ID:/KC2STWn0<> 近付けば、待たせていた信徒たちが反応する


氷魔「……みなさん……待っていてくれたんですね……」

やる気「いやぁ、時間かかって申し訳ないっす!」


子供たちはおびただしい数の人に少し怯んだが、
一行が仲良くしているのを見て悪い人たちではないのだろうと安心した <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/21(土) 01:40:32.34 ID:/KC2STWn0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/21(土) 19:06:45.54 ID:/KC2STWn0<> 少年「俺と同じくらいじゃないか」

気弱少女「なんだか懐かしい気分になりますね」


完全なる合流を果たし、
みんなで宮殿の中へと入っていく


ドリアード「みなさんお揃いのようですね」


と、ロビーで待機していたドリアードが礼をする <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/22(日) 05:46:36.16 ID:pQKnCM1b0<> ぶりっ子「随分待たせちゃいましたねぇ」

ドリアード「構いませんよ、それでは着いてきて下さい」


彼女に先導され、
これまで入ったことのない廊下へと通される
その天井はとても高く、
なにやら抽象的な絵も描かれている


怪盗「芸術、お好きですよねー……ここの魔王さま」

ドリアード「えぇ、本当に好まれるのは芸術であることを自覚している芸術ではなく、自ずから芸術になってしまうものなのですが」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/22(日) 05:47:40.37 ID:pQKnCM1b0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/22(日) 19:51:12.67 ID:pQKnCM1b0<> 狙撃少女「雪の結晶みたいな感じですかね?」

ドリアード「そうですね。生きているとなおよいそうです」

炎魔「生きて……?」


あれこれと話しているうちに、
一行は一つの部屋の前に到着した


ドリアード「ここが、子供たちに案内するように言われている部屋です」


彼女は扉の隣に立つと、
ツタを伸ばして横から開け放った


>>下1……部屋の内装 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/22(日) 23:33:33.01 ID:j4O7hR630<> ホテルの一室と思わせる程広く綺麗で、草原かと思わせる色の壁、家具も大人数で使える程にはおおきかった
窓から見る景色も明るくて見晴らしも良い
ただ…七基程気になる石像…と言うか恐らくガーゴイルと言うのだろう、半人半魔の女性を模った石像があった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/23(月) 02:14:32.60 ID:ebg3c3o60<> 子供A「わぁ……!」


誰もが、そこから青く清浄な空気が吹き抜けたかのように錯覚した
ほぼ夜なのに、その部屋の壁は昼の晴天のようだった
どこまでも広がっていくような草原が、
壁全面に表現されていたのだ


男「圧倒されるな……」


子供たちは吸い込まれるように部屋に入っていく
一行や教徒たちも、
その内装が気になる一心で入室した <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/23(月) 02:21:02.46 ID:ebg3c3o60<> 中華「うひゃあ、すっごいねこれ」


とにかく部屋が広く、
だがそれに応じて家具の一つ一つが大きかった
まるで縮尺の違う世界に迷い込んだような感覚を受けるが、
そのおかげで沢山の子供たちが使用できるようになっている


氷魔「……ちゃんと……窓もありますね……」


かちゃり、と音を立てて氷魔は窓を開いた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/23(月) 02:55:26.38 ID:ebg3c3o60<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/23(月) 19:45:35.87 ID:ebg3c3o60<> 外側の窓枠の上にある壁面には、
魔力で発光するライトが取り付けられていた
外の眩しすぎる夕陽は、
どこまでも続く草原に差し込んで、
存在しないはずの郷愁を誘う


やる気「最高の部屋っすね!」

ぶりっ子「そうですねぇ!」

怪盗「私もここに泊まりたいです!」

狙撃少女「えっ……もしかして、この石像が見えてないんですか……?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/24(火) 02:04:07.54 ID:KrOyFRWx0<> 彼女は部屋内に安置されている石像たちを指した


炎魔「まぁ……これは魔王らしいセンスだよねー」


その姿は一見すればヒトのようであったが、
その背には翼が生えていた
しかも、天使の持っているような柔らかな見た目のものではない
魔族に特有の、蝙蝠のような翼だった


男「男の子はこういうの好きなんじゃないか?」

少年「女の像じゃなけりゃなぁ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/24(火) 02:26:58.25 ID:KrOyFRWx0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/24(火) 19:54:16.35 ID:KrOyFRWx0<> その像は全て女性を象っている
しめて七基のそれが部屋の各所に置かれているのだ


氷魔「……これは……恐らく……ガーゴイルでは……ないでしょうか……?」

中華「ガーゴイル?」

やる気「あぁ、でっかい屋敷の前とかに置いてある、魔物っぽい像のことっすね」

ぶりっ子「ですねぇ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/25(水) 01:32:03.85 ID:Vd8W6bsW0<> 氷魔「……あれは……ああ見えて邪なものを退けるために置かれているのです……」

怪盗「なるほど、つまり……」

氷魔「……これらの像も……子供たちを守るという気概で置かれているのではないかと……」

狙撃少女「な、なるほど……だからみなさん言葉に出さなかったんですね」

中華「いや、触れたらまずいかと思って言わなかっただけだよ」

やる気「そっすよ」

狙撃少女「……………………」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/25(水) 01:35:44.88 ID:Vd8W6bsW0<> 炎魔「落ち込まないでください!私はあなたの味方ですよ!」


なんとも言えない顔の彼女を、
炎魔は優しく抱き締めた


男「……ん、よし。子供達もこの部屋を楽しんでるみたいだし、俺たちは出るかな」

気弱少女「あ、はい……」

少年「おう!」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/25(水) 01:55:57.38 ID:Vd8W6bsW0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/25(水) 19:46:10.98 ID:Vd8W6bsW0<> そうして、一行と教徒たちは部屋を出た


ドリアード「気に入っていただけたようでなによりです。主にも伝えておきます……」

ぶりっ子「えぇ、ここが美にこだわってらっしゃる魔王の居城でよかったですねぇ」

中華「ちなみに、教徒たちの部屋もあるよね?」

ドリアード「はい、ご用意しております。ただ、子供たちの部屋に比べると見るもののない部屋でございますが」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/26(木) 00:02:44.65 ID:GBE0IiIl0<> 教徒G「はっはっは、そりゃ楽しみですな」

教徒F「ええ、きっとここの主なら……」


一行の話や花畑の様子、
子供たちに与えられた部屋などから、
謙遜していてもオネエ魔王ならば、
きっと素晴らしい部屋が用意されているのだろうと彼らは思ったのだった


氷魔「……そうですね……私も気になります……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/26(木) 01:09:22.57 ID:GBE0IiIl0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/26(木) 19:48:41.45 ID:GBE0IiIl0<> それから、皆はドリアードに案内されて、
別の部屋へと向かうのだった


ドリアード「こちらになります」

やる気「どれどれ……」


部屋に入り込むと、そこはまるで教会のようだった
面積が広く、天井はアーチになっている
神の像は置かれていないが、
部屋の中央には大理石でできた祭壇が置かれているのだった <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/27(金) 01:56:17.78 ID:kV8pA9HJ0<> ぶりっ子「うわぁ、すごいですねぇ〜!」


部屋の両隅には全員が眠れるだけのベッドがずらりと並べられており、
それらに飛び込んで転がることができたら、
どれほど気持ちよいかを考えずにはいられないほどだ


怪盗「ここに住みたいぐらいですね」

狙撃少女「そうですね……あぁ、透き通るような部屋です」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/27(金) 19:32:31.98 ID:WdB0zNAKO<> すみません寝落ちしました


それから一行と教徒たちは、
その部屋でくつろぎ始めた


炎魔「部屋なのに飛び回れます!」


ホテルや旅館ではしゃぐ子供のように、
炎魔は部屋を動き回って興奮している


男「さて……」


まだ夕食までには時間がある

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.自由安価 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/27(金) 19:39:16.37 ID:VHm2QsZz0<> 6 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/28(土) 02:51:51.07 ID:c5vbXFCK0<> 狙撃少女「………………」


彼女は部屋の片隅、
ベッドに乗って手帳になにかを書いていた


男「よっ」

狙撃少女「っ……あ、男さんでしたか」

男「おう。大丈夫か?」

狙撃少女「はい、まったく平気ですよ」


手帳を懐にしまいながら、
彼女は男に優しく笑いかける <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/28(土) 02:52:29.95 ID:c5vbXFCK0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/28(土) 19:11:52.11 ID:ET5JgiB4O<> 男「書いてたのか?小説」

狙撃少女「はい。最近はなかなか刺激的ですから」


ベッドに両脚を投げ出して、彼女ははにかんだ


男「……幸せそうな顔してるな。俺も嬉しいよ」

狙撃少女「……あの、お願いがあるんですけど」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/29(日) 05:08:25.48 ID:pHecaM740<> 男「なんだ?」

狙撃少女「もし私が死んだり、失踪したら……必ずこの手帳は燃やして下さいね」


彼女は使い込まれたそれを取り出した
ところどころ縁がボロボロになって、
革製の装丁の中身が見えてしまっている


男「気持ちは分かるがな、縁起でもないこと言うもんじゃないぞ」

狙撃少女「本当に恥ずかしいんですよ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/29(日) 05:10:21.28 ID:pHecaM740<> 男「じゃあ、そうだな……逆に見てやろうかな」

狙撃少女「えっ!?」

男「そんとき俺にコネがあったら出版までしてやる」

狙撃少女「えぇっ!?」

男「……くくく、これで狙撃少女はもう死ねまい」

狙撃少女「お、おのれぇ……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/29(日) 05:13:02.63 ID:pHecaM740<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/29(日) 20:00:04.93 ID:pHecaM740<> 男「……まぁ、半分冗談だ」

狙撃少女「半分だけなんですか……」


彼女は顔を引きつらせている


男「最近どうだ?……これだけじゃ答えづらいな。今の、このみんなで移動する環境……どうかな?」

狙撃少女「楽しいですよ。子供たちと一緒にいると」

男「ふぅん……子供、好きなのか?」

狙撃少女「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/06/29(日) 20:16:19.09 ID:Kf7WRLi4O<> 将来多くの子供達と関わる仕事に就くのも悪くない程度には好きですね <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/30(月) 01:19:49.52 ID:Dbw0Fbkb0<> 狙撃少女「将来多くの子供達と関わる仕事に就くのも悪くない程度には好きですね」

男「へぇ……いいかもね」

狙撃少女「まぁ、なれるかは別の話ですけれど」

男「なれるよ。優しいし、面倒見いいし」

狙撃少女「……でも、物騒すぎませんか?」


彼女は自分の獲物を一瞥して、不安げにそう述べた <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/30(月) 01:44:59.93 ID:Dbw0Fbkb0<> 男「はは、そりゃ無用な心配だ」

狙撃少女「そうでしょうか……?」

男「子供はそういうの好きだぞ。まぁ、親御さんには隠したほうがいいかもしれないけど」


いつも優しくしてくれるお姉さんが、
実は凄腕の狙撃手だった……
非常にロマンのある展開である


狙撃少女「少しだけ自信が付きました」

男「そりゃあいい。……子供向けのお話も、狙撃少女なら作れそうだしな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/30(月) 01:49:08.02 ID:Dbw0Fbkb0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/30(月) 19:41:07.93 ID:Dbw0Fbkb0<> それから夕食の時間になった
部屋にドリアードが入ってきて、
ダイニングホールに案内されるのだ


中華「なるほど……」


そこはまるでテラス席のようであった
屋外との仕切りがない場所に、
椅子とテーブルが遠くまでずっと連なっている <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/06/30(月) 21:02:15.62 ID:Dbw0Fbkb0<> それぞれ案内されて、一人一人席についていく


ドリアード「ここにどうぞ」

男「ありがとうございます」


男もまた、ドリアードから案内された席に座る
なぜか目の前の席には誰も案内されなかったが、
しばらくするとそこにオネエ魔王がやってきた


オネエ魔王「失礼します」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/01(火) 03:06:34.37 ID:bBHLIwD80<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/01(火) 18:56:09.45 ID:Rv45Yw7jO<> 男「これはこれは……」


盛大にもてなしてくれている、
その主が登場したのである
男は感謝と畏れをこめてうやうやしく頭を下げた


オネエ魔王「ほほ……そうかしこまらないで。ちょっとお話がしたくてきただけなの」

男「話、ですか」

オネエ魔王「ええ、>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/07/01(火) 18:59:21.28 ID:6xGgfZDCo<> この先に待ち受けるものについてちょっとね <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/02(水) 01:08:35.23 ID:7iBXuF8v0<> オネエ魔王「この先に待ち受けるものについてちょっとね」

男「この先に待ち受けるもの……?」


そう聞けば、答えが来るよりも先に料理が出てきた
パスタやステーキなどが並ぶ、
非常にボリューミーな夕食だ


オネエ魔王「食べながら話しましょうか」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/02(水) 01:14:38.45 ID:7iBXuF8v0<> 男「そうですね……」


数分無言で美食を楽しんだあと、
やはりオネエ魔王から声を発した


オネエ魔王「あなたたちは、非常に多くの因果の中にいるの」

男「そうかもしれませんね」

オネエ魔王「えぇ。あなたたちを助けてくれるような存在は沢山いる。けれど……その逆もいる」

男「帝国とか、ベリアルの一派とか……そういう感じですね」

オネエ魔王「そう。運命はね、花のようなものよ……それも、つる植物ね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/02(水) 01:50:45.84 ID:7iBXuF8v0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/02(水) 19:43:04.34 ID:7iBXuF8v0<> 男「つる植物……アサガオなら育てたことがありますよ」

オネエ魔王「ならお分かりでしょうけど、アレには支柱がいるの」

男「そうですね、巻きついて育ちますから」

オネエ魔王「運命もそう。あなたたちも真っ直ぐだから、運命が絡みつくの」

男「なるほど……」

オネエ魔王「綺麗な花を咲かせればいいけど、運命は時に獰猛よ。支柱が折られてしまうかもしれない」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/03(木) 00:19:04.92 ID:dWoI7idb0<> 男「……しかしながら、俺たちは貪欲です。全ての花を手にしたい」

オネエ魔王「ふふ、他の支柱が折られるのを見たくないだけでしょう?」

男「そうですね、否定できません」

オネエ魔王「だからね、つるに締め潰されないうちに、きちんと花は咲かせてあげないとダメ」

男「……風情のない言い方をすれば、『片付けられる問題から一つ一つ片付けていけ』ということですね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/03(木) 00:23:03.98 ID:dWoI7idb0<> ナイフでステーキを切り分けて、
男は一つずつ口へと運んだ


オネエ魔王「ふっ……それがあなたの見つけた花ならば、否定しません」

男「あなたの言の葉は、きちんと花をつけましたよ」

オネエ魔王「あら……今のあなた、とっても素敵。そこいらの酒場に行ってみなさいな、いい思いができることでしょうね」

男「生憎、興味が薄いんです」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/03(木) 00:35:13.55 ID:dWoI7idb0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/03(木) 19:53:07.21 ID:dWoI7idb0<> オネエ魔王「まぁ、辛気臭い話ばかりしていても美食に悪いし……食べましょう」

男「はい、折角こんなにいい日なんですからね」


二人は談笑をしながら、夕食を食べ終えるのだった
大量の皿をドリアードたちが回収しにやってくる


オネエ魔王「それでは、私はこの辺りで」

男「えぇ、お気遣いなく……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/03(木) 23:32:50.42 ID:dWoI7idb0<> 男が伸びをして、席から立ち上がると、
同じく食事を終えた仲間が集まってきた


氷魔「……随分楽しそうに……話してらっしゃいましたね……」

男「内心どきどきだったよ」

やる気「おかわりしなかったっすもんねぇ」

男「言われてみればそうか……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/04(金) 01:04:52.62 ID:BRdvWxyO0<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/04(金) 21:32:48.60 ID:7lUf3qd3O<> すみません遅れました


それから、一行と教徒たちは部屋へと戻った
ご丁寧に、部屋を開けている間に掃除がされていた


ぶりっ子「なんか、行き届きすぎてて逆に怖いですねぇ」

怪盗「ここの贅沢に慣れたら危険かもしれませんね」


まだ寝るまでには時間がある

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.海神教団の神に祈る
9.白狼に祈る
10.自由安価 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/07/04(金) 21:34:18.08 ID:AFGB5jDK0<> 9 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/05(土) 04:55:54.60 ID:lZaySmZ40<> 男は、折角なのでここの祭壇でも祈りを捧げることにした


男「………………」


暴風と雷撃の只中へと飛び込んでいく
二度目の体験ゆえに少しは慣れた面持ちで眼を開ければ、そこにはやはり白狼がいた


白狼「……貴様は遠慮がないな」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/05(土) 04:58:54.88 ID:lZaySmZ40<> 男「え、遠慮ですか?」


突然苦言を呈されたので、
男もただ言葉を返すことしかできなかった


白狼「あの娘はわざわざこの領域まで来ずに意思を交わせるというのに、貴様はどうしても入ってきたいらしい」

男「いやぁ、そうしない方法が分からなくて……」

白狼「であろうな。貴様の魂は磁石のようなものだからだ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/05(土) 05:03:03.74 ID:lZaySmZ40<> 男「磁石……引かれあってしまうんですか?」

白狼「あぁそうだ。一方の極の磁石に、もう一方極を持つ磁石に付くなと言い聞かせても無理だろう」

男「……つまり、これはコントロールできないと」


望むと望まざるとにかかわらず、
男は神の世界へと侵入してしまう


白狼「あぁそうだ。……貴様、肉体のある生き物でよかったな」

男「は、はぁ……」

白狼「貴様がもし死んだとして、その魂がどこへ行くかは我にも分からぬ。あるいは……」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/05(土) 05:21:28.82 ID:lZaySmZ40<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/05(土) 19:55:57.72 ID:lZaySmZ40<> 男「あるいは?」

白狼「……いや、止しておこう」


と、なにやら不穏なことを言われてしまった
だが、本人がこれ以上話すつもりがないなら、
追及するべきではないのだ


男「ああそうだ、聞きたいことがあったんですよ」

白狼「言ってみろ」

男「>>下1」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2025/07/05(土) 20:15:41.00 ID:RjgQv8pM0<> 此処の魔王殿って人間くさいと言うか友好的と言うか魔王というには敵意が無いんだけど、何か知らない? <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/06(日) 02:32:27.62 ID:uxXE3S940<> 男「此処の魔王殿って人間くさいと言うか友好的と言うか魔王というには敵意が無いんだけど、何か知らない?」

白狼「ふむ……」


彼はいつも寄っている眉間の皺を、
さらに強く引き絞って思索を始めた
そして、しばらくしてそれが弛む


男「どうです?」

白狼「正確なことは言えん。だが、出自に答えがあるのではないか?」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/06(日) 02:33:50.52 ID:uxXE3S940<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/06(日) 18:45:27.75 ID:bkAKkx4NO<> 男「出自、というと……」

白狼「魔王を名乗る者の全てが好戦的なわけではない。大抵、その者の出自によって魔王としての性質も変わってくる」


男は、中華ややる気のことを思い出した
人間として産まれ、育っている二人だ
それゆえに魔王となっても平和的でいられるのだろうか、そう考えた


男「元人間、なんですかね」

白狼「可能性としてはあるだろうな。……だが、魔族でも人族でもない者も世界にはいる。だから、確実はことは言えんのだ」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/07(月) 00:55:25.17 ID:07YTaoV10<> 男「なるほど……」

白狼「我も、かつては魔王の力を欲していた」

男「なんか、そんな感じはしますね。どうするつもりだったんですか?」

白狼「聞かずとも分かっておろう?」


正確なところは、彼にも分からなかった
ただ、その力で全てをねじ伏せるつもりであったことだけは、なんとなく理解できた


男「今はもう、いらないんですね」 <>
◆UEqqBEVZVY<>saga<>2025/07/07(月) 02:26:34.73 ID:07YTaoV10<> 本日はここまでです
ありがとうございました <>