以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:56:02.26 ID:1M+emLR40<>建ったら投下。書きとめ完結済み。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1753700161
<>【グラブル】ガイゼンボーガ「吾輩の、騎空団の一員としての日常」 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:56:40.41 ID:1M+emLR40<>
______


グランサイファー:厨房・夕方


ローアイン「マジどんだけ探してもねンだわ。やっちまったぞ、俺等」

エルセム「っぱそうかー、しっかりチェケラったはずなんだけどなぁ」

トモイ「マジでウカツだったわなー。今から行くとなるとチョッパヤでもギリ?」

ローアイン「ギリのギリ、と言いたいトコだけど……? そうすっと一人欠ける事になるべ? つまりアウトよ」

エルセム「ですよねー。しくったなー」

ガヤガヤ ヤンヤヤンヤ

スタスタ……

ガイゼンボーガ「……ぬ? なにやら厨房が騒がしいようだが……」

<シャーネーベ

<デスヨネー


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:57:21.91 ID:1M+emLR40<> ガイゼンボーガ「……失礼するぞ」ガチャッ


エルセム「とりま、並べる時にでも説明するしかってうおおおお!?」

トモイ「意外!!それはボガっさん!」

ガイゼンボーガ「? 何をそんなに慌てておる。吾輩が厨房に顔を出す事がそんなに可笑しいか?」

ローアイン「いやオカシイっつか、ワリとガチめにレアな人が来たってカンジで流石の俺等も予想してなかったみたいな」

ガイゼンボーガ「そうか。今日は団長達と依頼の同行を頼まれたのだが、思ったより早く終わったものでな。吾輩は一足先に戻ってきた次第よ……。して、給仕の皆より剣呑な様子が伺えるが?」

トモイ「い、いや、その、べ、別にケンオウしてたワケじゃなくって、むしろボガっさんが拳王ってカンジで」

エルセム「拳王じゃねーって、ケンノンっつってンべ? あいや、別に大したことじゃないンスよ! き、気にしないでくださいッス!」」

ガイゼンボーガ「随分と含みを残した物言いをする。かえって気になるではないか。どうした、言ってみよ」

ローアイン「ちょ待てマテ、お前らビビんなし。ボガっさんに失礼だろが。あいや、大したことじゃねーのはマジなンすけどね……実は今日のシーメーのパンチに大事なスパイスを切らしてる事に気付いたンスよ」

ガイゼンボーガ「シーメー……? あぁ、夕餉の事か。なるほど、火にかかっている大鍋の薫りからしてシチューと見た」

ローアイン「ピタンコカンカンッス。で、フワっとした味の最後にシュッと潜り込んでキメてくれるナイスなスパイスがあるンすけどォ、それを今から買いに行くと時間ロスっちまうスンポーでしてェ……」

ガイゼンボーガ「なるほど。普段であれば厨房にはもっと人の姿を見るものだが………運悪く今日の給仕は貴公等だけなのか」

エルセム「そ、ソーナンデスヨ」

トモイ「だ、だから、ちょっと物足りない味になっちゃってますよー、的なカンジの、説明を、配る時に、シナイ、ト、ナーって」

ガイゼンボーガ「ならば丁度良い、吾輩が街まで買いに行って来よう。そのスパイスとやらを覚書に記してくれ」

エル・トモ「「えええええーーーっ!!??」」

ローアイン「マ、マジっすか!!?」

ガイゼンボーガ「何を驚くか。稚児でもあるまいに、買い物くらい吾輩でも出来よう」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:57:49.32 ID:1M+emLR40<>
ローアイン「ぅおっしゃ、天の助け星の助けキタぞコレ! マジ感謝ッスわ、ボガっさん!」

ガイゼンボーガ「ハハハハッ! 吾輩は天ではなく戦車だがな! ほれ、急ぐのであろう?」

ローアイン「あ、サーセン! んじゃサラサラっと……オナシャス! あ、いちおマネーはダイジョブッスか?」

ガイゼンボーガ「うむ、確かに預かった。 なぁに、香辛料も買えぬほど懐は寒くない。時は一刻を争うゆえ、駿馬の如く参ろうぞ!!」 バヒューーンッ



エルセム「わー……スターより、ずっとはやーい……」

トモイ「疾風(はやて)のように現われて、疾風のように去って行く……みたいな?」

ローアイン「エルちゃん、トモっち、オメー等マジねーわー。ボガっさんジョブ(仕事)して疲れてンのに快く頼まれてくれてンだぞ?? ビビリじゃなくてちっとはリスペクトしろって」

エル・トモ「「あっ」」

ローアイン「いつも言ってンべ? この艇に乗ってる時点で基本良いヒトなんだっつの」

エルセム「……っべーな。やっちまったなオレ等。マジダセーぞ」

トモイ「だな、やらかしすぎてテンサゲ案件だわ」

ローアイン「……まーでも、二人のビビリにボガっさん気にしてないコト山の如しだったし? 大海原的な心持ってるデケー漢(おとこ)っつーワケだな。十賢者マジパネーション?」

トモイ「……オレ、ちょっとボガっさん用に特製デザート作る」

エルセム「あ、俺も手伝うわ」


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:58:18.35 ID:1M+emLR40<>

 ===ルリアの日記より抜粋===

今日は久しぶりにグランとジータ、ビィさんと私、みんな揃って依頼に行きました。
ガイゼンボーガさんも『此度の依頼、若者達だけでは心配だ』と言って、ついてきてくれました。
そのお陰もあって、依頼はとってもスムーズでした。
安心したガイゼンボーガさんは一足先に帰る、と言って騎空艇に戻っていきましたけど……ちょっとしてからまた街で見かけました。
『急ぎの買い物を頼まれたのだ』と言うとすぐに走り去っていってしまったんです。
そして、私達が騎空艇に着くのと同じくらいにガイゼンボーガさんは帰ってきました。
大きな樽を二つ乗せた荷車を引いて。
『思ったよりも高く付いた』と樽を運びながら呟いてましたけど、口元は笑っていて……なんだか楽しそうでした。

晩御飯のあと、ファスティバさんは団の皆にラードゥガへのお誘いの声掛けをしてまいましたけど、なんでもローアインさん達からたくさん香辛料を分けてもらったみたいでして。
『刺激的な味付けにする』と子供みたいな笑顔を浮かべていたファスティバさんがとても可愛らしかったです。
皆さん、『辛いよ辛いよー』って言ってたみたいですけど、ノイシュさんだけは満面の笑顔だったそうでした。




<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:58:48.54 ID:1M+emLR40<>

―――――


グランサイファー:甲板・早朝


ガイゼンボーガ「昇りて出でし朝日の、なんとまばゆい事か……。こうして心穏やかに雲を眺める日が来ようとはな……」


キャリーン チャキーン


 カキーン ジャキーン


アズサ「はぁ……はぁ……ま、参った」

ナルメア「はぁ……はぁ……な、なんとか、わ、私の勝ち、だね」

アズサ「ナルメアにはまだまだ及ばぬな。やはり此方は未熟だ」

ナルメア「でも、私も正直ギリギリだった……最後の方は完全に力負けしちゃってたし」


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 19:59:59.01 ID:1M+emLR40<>
ガイゼンボーガ「……戦場でもないのに、早朝より剣戟の音が響くとは」 ヌッ


ナルメア「きゃっ! ビ、ビックリした……!」

アズサ「な、なんと。早朝の甲板に人が参るとは。失礼を」オジギッ

ガイゼンボーガ「貴公等は……確か、ナルメア、とアズサ、だったか」

ナルメア「あ、はい。え、っと……ごめんなさい。ガイゼンボーガさん、ですよね」

アズサ「……此方は貴殿の名すら記憶していなかったのに、ガイゼンボーガ殿は教えが良いのですな。此方はなお未熟と言う事か……」ガクリッ

ナルメア「ア、アズサ……」

ガイゼンボーガ「そう一つ一つを背負うでないぞ、乙女よ。剣の錆は拭えば落ちるが、心の錆はいくら拭ってもこびり付いて落ちぬ。大らかに在れ」

アズサ「………その言葉、俄(にわ)かなものでないと見受けた。無礼を承知でお尋ね申する、ガイゼンボーガ殿は剣の心得が?」

ガイゼンボーガ「心得、と、な……クク、ハハハハハ……! 吾輩にとって剣とは、心など宿らん歪なモノよ!」

ナルメア「いび、つ……?」

ガイゼンボーガ「そう。戦場に於いて身を預けるには剣とは余りに脆きもの。剣とはただ敵を斬るためだけにあり、いわば敵を殺傷する手段の一つに過ぎぬ」

アズサ「なっ……! し、失礼ながら其れは違う! 剣とは己を律するものであり、また己を映す鏡にもなる。いわば……」

ガイゼンボーガ「そう言って、剣が折れた者を吾輩は幾千幾万と見てきた。そして地に伏すのもな……」

アズサ「い、戦場の剣と………我等の剣は……刀は、違う……」

ガイゼンボーガ「むしろ、刀は斬る事に関しては剣以上の代物であろう。故に、そこに自身を置くのは剣以上に危ういと知るのだ」

ナルメア「………けれど、剣の道は……」

ガイゼンボーガ「傾倒するのも結構。だが得物に心を投影しすぎるのは危うい。それを失い伏した時に立ち上がる脚が無くなるのだぞ……よもや、『自分には剣しかない』などと血迷った事を思い浮かべた事はあるまいな?」

アズサ「うっ……!?」

ガイゼンボーガ「図星か。それが、危ういと言っておるのだ。貴公の心は『剣』ではなく血が巡る肉体に宿っている………冷たき鋼にでは無い。己が手で触れ、脚で立ち、腹に力を入れて身体を律するのだ」

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:00:34.75 ID:1M+emLR40<>
ナルメア「………」

ガイゼンボーガ「……すまぬ、出過ぎた真似をした。若人が憂う様子が見ておれず、ついな……」

アズサ「……いえ、我が半生を存ぜぬ御仁に見透かされる此方の未熟さ、一層感じた次第です」

ガイゼンボーガ「いや……この艇に乗っている以上は、それを超えた位置に心が到達しているのも解ってはいる。なにせ、あの団長が認めた仲間なのだからな。一時の迷いや憂いも、また若人の特権よ」

アズサ「ガイゼンボーガ殿………貴殿の言葉の重さと真意、不肖な此方にも伝わり申した。命は鋼よりも重い事を友より学んでいたはずであったのに……」ドゲザッ

ガイゼンボーガ「えぇい、頭を上げぬか。これでは吾輩が若人を虐めているようではないか」

ナルメア「うふふ……イジめられちゃったね、アズサ?」クスッ

アズサ「汗顔の至り……。ガイゼンボーガ殿、貴方の言葉、此方の心は痛く感じ入りました。恥を忍んで一つお願い申し上げます」

ガイゼンボーガ「な、なんだ? せめてもの詫びだ、吾輩で出来る事ならば協力しよう」

アズサ「ガイゼンボーガ殿のその『心』、此方に是非ご教授願いたく存じます………なにとぞ!」ペコリッ

ナルメア「ア、アズサ……!?」

ガイゼンボーガ「吾輩の、心を……だと?」

アズサ「はい。此方の剣は未だ道半ばの鈍(なまく)ら。ガイゼンボーガ殿の心と、その生きる道を学べば、この刀に揺らがぬ芯が通り、折れぬと悟りました」

ガイゼンボーガ「………星に、手は届かぬかも知れんのだぞ?」

アズサ「なればこの刀、地に刺し立たせ、鍔に乗って手を伸ばしましょう!」

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:01:09.84 ID:1M+emLR40<>
ガイゼンボーガ「ほう……ククッ、戦場以外で久しく心が滾るわ。燦然たる瞳に宿る若人の熱き血潮……この戦車、しかと受け止めようぞ!」

ナルメア「ガイゼンボーガさん……! アズサ……!」ジーン

アズサ「!! なんと礼を申し上げたら……!」

ガイゼンボーガ「若人……いや、アズサよ。吾輩の……いや、吾輩達の『道』は険しいぞ」

アズサ「はい、ガイゼンボーガ殿。いえ、師と呼ばせて頂きたい。此方はガムシラ師範以来の師を得たり……なんという僥倖か……!」

ガイゼンボーガ「ククッ、『師』と呼ばれるのは吝(やぶさ)かでないが、吾輩とてそれは烏滸(おこ)がましい。吾輩の事は『ガイゼンボーガ』と名で呼べ」

アズサ「はい、ガイゼンボーガ殿!」

ガイゼンボーガ「善は急げと言う。では朝餉を取ったら早速練習といこうではないか!」

ナルメア「がんばってね、アズサ!」

アズサ「ありがとう、ナルメア……! 恐悦にございます、ガイゼンボーガ殿!」

 タッタッタッタ……



ナルメア「良かったわね、アズサ……! でも、ガイゼンボーガさんの言ってた『練習』って、どういう意味かしら?」


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:01:42.87 ID:1M+emLR40<>

 ===ルリアの日記より抜粋===

グランは朝早くからの依頼があって、ユリウスさん、カリオストロさん、レナさんと一緒に出掛けていたようです。
私とビィさん、ジータは騎空艇で待機組でした。
朝ごはんの時に特別なデザートとしてアップルパイが出てきて、ジャミルさんがビィさんのために作ってくれたみたいです。
ローアインさん達が昼に依頼でお出かけするから、今日の食事当番はジャミルさん、タイアーさん、ヘルエスさん、ファスティバさんにお願いしたとか。
ビィさんがとっても美味しそうにアップルパイを食べるから、カタリナも厨房に入って特製アップルパイを作ると言い出したので、私とヴィーラさんが全力で止めました。
ノイシュさんは残念そうにしてましたけど。
朝ごはんのあと、ヤイアちゃんと一緒に洗濯物をしていたら甲板から大きな声が聞こえたので覗きに行くと、そこにはガイゼンボーガさんとアザゼルさんと、アズサさんが居ました。
てっきり喧嘩かと思ったんですけど、先に居たジータとイオちゃんに聞いたら『真剣悪魔戦車』と言うトリオを結成するので、それの練習をしているとか?
ナルメアさんも居たんですけど、固まっちゃって動かなくなってました。
通りすがったカトルさんの、引きつった表情が忘れられません。
アズサさんの表情は真剣そのものでした。

練習は夕方まで続いていて、帰ってきたグラン達も『何をしてるの?』と言う表情を…………主にアズサさんに注いでました。
カリオストロさんが呆れながら『お前、勘違いされてるぞ』ってアドバイスをしてくれましたが、レナさんはただ笑顔でした。
ユリウスさんは真剣な表情で『ツッコミの研究が足りんね。切れ味が悪い』とアズサさんにアドバイスした時、アズサさんは顔を真っ赤にしてました。
その時、急に雨が降り始め練習は中断されましたけど、きっとティアマトの仕業です。

その日の晩、明日は晴れるといいなぁって思ってたらオイゲンさんが『真剣悪魔戦車は解散だってよ、勿体ねぇ』って嘆いてました。
私は、明日も雨だといいなと思い直しました。



<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:02:18.14 ID:1M+emLR40<>

―――――――――



グランサイファー:草原に停留中・昼



ガイゼンボーガ「……ふぅ………補給として飯を食う時には感じられなかったこの爽やかさ……草を薙ぐ風の音に、吾輩の耳朶も喜んでいるわ」


ハッ トリャッ

 オラッ  セリャッ


アイル「はっ! おりゃあ!」ブンッ ブンッ ブンッ

シス「ムキになるな」スイッ スイッ


ガイゼンボーガ「あれは……?」



アイル「こ、このっ!」ブンッ ブンブンッ

シス「もっと力を抜け」ヒュンッ ヒュッ


ガイゼンボーガ「なんだ、あの少年の拳は……。あんな大きな動作ではあの者の動きは捕らえられまい」


アイル「……っしゃぁ!!」 ザシュンッ ブワッ

シス「……っ!!」 ファサァァッ

ガイゼンボーガ「……!? いかん!」 ダッ
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:03:04.01 ID:1M+emLR40<>
アイル「もらった!! ……手の、平……!?」 バシィィンン

ガイゼンボーガ「そこまでだ、少年。鋭い蹴りで大量の草を切って蹴り上げ、それで目をくらませてからの攻撃……悪くはなかった」

アイル「ぐっ……は、離せよ、オッサン!」

ガイゼンボーガ「だが、ここは戦場では無い。ましてや相対している者は欠片も殺気を抱いておらぬ……『稽古をつけてくれている』のであろう?」 ギリリリリッ

シス「………」

アイル「アンタにゃ関係ねぇだろ」

ガイゼンボーガ「そうだな……と言いたいが、そうもいかん。こうして吾輩が拳を止めてやらねば、殺気に反応したこの者が少年の腕を削ぎ落していたかも知れぬからな」

アイル「くっ……」

シス「……ッ!」

ガイゼンボーガ「戦場には戦場の、稽古場には稽古場の道理があるものだ……。少年、この男と相対するにはまだ早いぞ?」ミシミシッ

アイル「……っつ!!(ぐっ、こ、このオッサン……すげぇ力だ……!)」

シス「……もういい、放してやれ。ガイゼンボーガ」

ガイゼンボーガ「ほう、吾輩を知っていたか」 パッ

アイル「くっ! いってぇ……なんつー馬鹿力だよ、ったく」

ガイゼンボーガ「互いに道理を弁えぬのならば、このような事はするでない」

シス「……俺はコイツの姉の、ジェシカからどうしてもと頼まれたから引き受けてやっただけだ」

アイル「…………」

シス「コイツの心の中には衝動とも言える闇がある。殺気を消して無意識に暴力を振るうと言う、な……。俺とは真逆の」

アイル「やめてくれ!」

ガイゼンボーガ「ほう、何やら訳ありの様子だな……それにその口振りからして、以前にも相対した事があるのか」

シス「まぁ、な……。でなければ、こんな街の拳法道場のような事はしない」

ガイゼンボーガ「ククッ、ハハハハッ! 音に聞く十天衆が少年の師事をするとは、貴重な場面を見られたものだ」

アイル「オレは……弟子になったつもりはねぇ」

ガイゼンボーガ「血気に逸るは大いに結構……。だがな、少年よ。戦場を駆けた戦車より、一つだけ進言しよう」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:03:39.94 ID:1M+emLR40<>
アイル「なんだよ、オッサンの説教なんざ聞くつもりねぇぞ」

ガイゼンボーガ「目くらましをするならば、相手の姿が見えぬほどの物を降りかけてはならん。それはすなわち、こちらも敵の姿を見失っていると同義。起死回生どころか、利用されて手痛い反撃を受ける事になりかねん」

シス「ほう………」

ガイゼンボーガ「そして先の状況であるなら、足を狙うべきだった。眼前に気を取られた者は往々にして足元が疎かになるものだからな。……無論この者には通じないであろうが」

アイル「……へぇ」

ガイゼンボーガ「忘れるな、少年。自分が思いつく行動とは大概敵も考えついているものだと。策を弄する際は、利点と欠点を踏まえた上で活路を見出すのだ」

シス「……ガイゼンボーガ。外道を説くのはそのくらいにしておけ」

ガイゼンボーガ「外道? ククッ、策を練り、計を講じ、勝利する。戦場の常よな」

シス「………」

ガイゼンボーガ「もっとも吾輩はそんなものは全て轢き潰してやったがな。戦車による蹂躙の粋(すい)よ」

シス「………ならば」 スッ……

ガイゼンボーガ「……!」

シス「その戦車の道、俺にも通じるか……試してみるか?」

アイル「なっ」

ガイゼンボーガ「ほぉう、実に興味深い申し出だが……。吾輩の拳は流星よりも速いぞ?」ニヤリッ

シス「安心しろ、俺の影は風でも捉えられん。それに、身体も存外丈夫なんでな」

ガイゼンボーガ「ククッ、ハッハッハッハ! 面白い! 少年、さがっておれ!」

アイル「な、なに二人で勝手に盛り上がってんだよ……ったく」



ガイゼンボーガ「では行くぞ……轟ッ!!」

シス「かかってこい……キェェェイッ!!」


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:04:06.92 ID:1M+emLR40<>

 ===ルリアの日記より抜粋===


今日は依頼もほぼ無く、景色の良い所でグランサイファーを停めてお休みと言う事になりました。
お昼ご飯を食べ終わった後、食堂でドロッセルさんが『最近練習してるんですの』と、皆さんに紅茶を振る舞ってくれたんです。
ロジーヌさんがそれに合うように、と甘くて柔らかいおせんべいを作ってくれて、食後のお茶会になってました。

しばらくして、甲板でユーステスさんと一緒に銃の手入れをしていたラカムさんが大慌てで食堂に飛び込んできて、私達を呼び出しました。
グランサイファーを停泊させていたのは広くて穏やかな草原だったんですけど、甲板に出た瞬間ものすごい音と一緒に風が吹きつけてきました。

ラカムさんが指差した所を見ると、そこにはガイゼンボーガさんとシスさんと、少し離れた所にアイルさんが居ました。
音と風の正体は、二人が勝負……? しているからだったんです。
二人がぶつかると草は散って、地面もえぐれて、そこだけ竜巻が出来たみたいな、すごい事になってました。
『二人を止めないと』とグランとジータが出て行こうとした時、ルシウスさんが『危険すぎる、こういう時は他のヤツに任せるんだ』と二人を即座に引き留めました。
危険すぎるからこそ、グランとジータが行かないといけない、と言う場面だったのかもしれませんけど、ルシウスさんの意見に賛成する人達が殆どでした。
ビィさんが『そうしたら逆にお前達が危険にさらされるじゃねぇか』と冷静な意見を出してくれたんですけど………

昼間から酔っちゃってるラムレッダさんが『じゃーあの二人を止めたら、だんちょーさんが何でも言うこと聞くってのはどーお? 命張る価値あるっしょ?』と言ったのが、不味かったです。

グランも何も考えずに『あの二人を止めてくれるんなら、なんでも言う事聞くよ!』と即座に叫んでしまったから、さぁ大変です。

甲板は女性たちの戦場となりました。
そうこうしている内に、いつの間にかガレヲンさんがガイゼンボーガさんとシスさんの間に居て、拳を受け止めていました。
グランとジータが心配している、と伝えると二人はあっさりと勝負を止めて、『良い汗をかいた』と握手をしてました。
私やビィさんは良かったなぁ、と安心していたんですけど…………甲板の女性たちから、ものすごい鋭い視線がガレヲンさんに注がれていました。

ぼろぼろになった草原はロゼッタさんとユグドラシル、レナさんが元に戻してくれました。
ガレヲンさんはグランの助言を聞いてしばらく艇から離れていたそうです、ごめんなさい。



<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:04:45.10 ID:1M+emLR40<>

―――――――――



ある日のグランサイファー:





ガイゼンボーガ「なにっ! グランが怪我をしただと!?」

ジータ「こ、声が大きいってガイゼンボーガ!」

ルリア「あの島での依頼中に……わ、私を、かばって……」プルプル

ムゲン「ルリア、なかない。ルリア、わるくない。ごめん、ムゲンもたすける、まにあわなかった」

ネハン「偶々俺が同伴していた事が幸いなのか……ともかく傷は浅かった。だが、筋が傷付いている。今後を踏まえて、しばらく右腕は使わんほうが良いだろうな」

カシウス「ああ。流れに沿って切傷が走っている以上、傷が浅くとも動作によって筋からまた開いて広がる可能性も考えられる。綺麗に塞がるまで安静にしている事を推奨した」

ガイゼンボーガ「うむ……傷とは例え浅くとも、思わぬ時に尾を引くものだ。若人とは言え、油断はならぬ。完治させるが吉よ」

バザラガ「ケガをしたのが俺ならば良かったのだが……しかし、アイツは働きすぎだ。休むにはいい機会だろう。ジータ、お前もだがな」

ジータ「うっ……み、耳が痛いわ。でもバザラガ、自分だったら良かったのにとか言わないでね!」

ネハン「俺はこれから傷口に塗る軟膏を作るとする。ムゲン、悪いが手を貸してくれるか?」

ムゲン「うん、まかせて。それじゃ、みんな。またね」スタスタ…

バザラガ「……組織で使っている特製の傷薬があったな。あれを渡しにいくか」

カシウス「ああ、ベアトリクスが大量に持ち合わせているはずだ。少し分けてもらいに行こう」スタスタ…


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:05:26.71 ID:1M+emLR40<>
ジータ「ふーっ、お説教されずに助かったぁ……それじゃ、私達もグランのお見舞いに行きましょ、ルリア!」

ルリア「は、はい。それじゃ、ガイゼンボーガさんも良かったらグランの様子を見に来てもらえますか?」

ガイゼンボーガ「言わずもがなよ、心得た。ルリアも、肩を落とすで無いぞ」

ルリア「はい! ありがとうございます!」タッタッタッタ……


ガイゼンボーガ「実に純な心根よ。若人たるもの、ああでなくてはな……。さて、吾輩も団長殿への完治祈願の見舞いをしてやらねば」スタスタ…




 ――― 所変わって、グランサイファー内、グランの部屋に近い廊下 ―――


ラカム「うっし、ビィ。そこでいいぞ」

ビィ「おう、これでバッチリだな」


ガイゼンボーガ「ぬっ……なにやら細々(こまごま)と。一体何をしておる?」

イオ「あっ、ガイゼンボーガ」

ビィ「おっ、鉄腕のおっちゃん」

ラカム「おう、ガイゼンボーガか。アンタもグランのお見舞いか?」

ガイゼンボーガ「如何にも……して、何やら看板のようなものをぶら下げていたようだが……」

イオ「うん。『グランのお見舞い可能対象』『本日は○○』ってね」

ガイゼンボーガ「本日は、の後が空白なのは……まるまる、と言った所に何かを嵌めこむのか」

ラカム「ああ。まぁオレとかオイゲン爺さんとかロゼッタ、カタリナの姐さんやらの古参組は鼻が利くんで、すぐさまアイツの顔を見られたけど、なぁ……」

イオ「ジータの時もそうだったけど、団長のお見舞いってやっぱり混雑しちゃうのよ」

ガイゼンボーガ「心安らまぬ、と言う事か」

ビィ「だからこうやって、お見舞いできる連中を取り決めておくんだぜ。今日はエル−ン、明日はドラフ、みたいによう」

ガイゼンボーガ「慕われる人徳は結構。だが大所帯ゆえの欠点よな。しかし、そうやって対象を絞るのは悪手ではないか?」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:05:56.68 ID:1M+emLR40<>
ラカム「どうしてだ?」

ガイゼンボーガ「ヒューマンにしろハーヴィンにしろ、限定したところでこの騎空団では人数が多い事に変わりはない。なおかつ対象が限定されれば、我ここぞとばかりに長居する者も現れよう」

イオ「なるほどね。確かに限定スイーツ食べ放題とかってお店に行っちゃうと、つい欲張っちゃうし……」

ビィ「イオのそれはちょっと違うんじゃねえかな……でもまぁ鉄腕のおっちゃんが言う事も解る気がするぜ」

ラカム「イオの話はちょいとズレてるが……まぁ、それもそうか」

イオ「ふ、二人してなによ、もう! そ、それに私達が勝手に制約かけちゃうのも、不平や不満が募るかしら?」

ガイゼンボーガ「聡いな、乙女よ。貴殿等の団長想いの心と行動は理解できるが、そう思わぬものも居る。そしてその想いを汲めぬ者も」

ビィ「じゃあどうしたらいいんだよ?」

ガイゼンボーガ「吾輩に名案がある。無記入の板を寄越すのだ」

ラカム「お、おう」



ガイゼンボーガ「……これで良し、と」


ビィ「『グランのお見舞い可能対象』『本日は”その他”』ぁ?」

ガイゼンボーガ「クク、ちょっとした頓智(とんち)と言うものだ。星の獣……星晶獣でも天司でもない、ましては遍く種族でも無し。生けとし生けるもの全てに当てはまらぬ者こそ、面会を許す、とな」

イオ「つまり、誰にも当てはまらないってこと?」

ガイゼンボーガ「左様。これで面会できるものは平等に居ない……グランもゆるりと休めよう」

ラカム「なるほど、なかなか洒落てるな。意味が分からないヤツは引き返すし、意味が解るヤツだったら気を遣って立ち去る、と」

イオ「ふふ、悪魔戦車の時から思ってたけど、ガイゼンボーガって結構お茶目よね」

ガイゼンボーガ「戦場の喜怒哀楽、そして謀略……全てを司ってこそ一流の戦士と言うものよ。ククク」


 ワハハハハ ウフフフフ クハハハハッ



ビィ「まぁせっかくだから飾るけどよぉ………オイラは上手くいかねーと思うぜ……?」カチャカチャ



<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:06:25.54 ID:1M+emLR40<>


 ===ルリアの日記より抜粋===

今日停留した島での依頼で、私のせいでグランが怪我をしちゃいました。
幸いにも命に別状は無いほどでしたけど、しばらく右腕が上手く使えない状態になってしまって……
一緒に居た皆さんや、グランも『気にしないで』と言ってくれましたけど、せめてものお詫びにと、右腕が動かない分つきっきりで看病をする事にしました。
カタリナやヴィーラさんもそれが良いって背中を押してくれたので、ビィさんも一緒に居るだろうからリンゴを持ってお部屋に向かいました。

グランの部屋の近くに看板が立てられていて『グランのお見舞い可能対象 本日は”その他”』とありました。
その場に居たビィさんやイオちゃん、ラカムさん、ガイゼンボーガさんから事情を聞き、私もそれに従ってグランにゆっくり休んで貰おうと引き返そうとしました。
するとそこにカリオストロさんが来て、『俺様は天才美少女ってカテゴリーだから問題ないな』ってグランの部屋に入ろうとした所を皆に止められてました。
サラーサさんも『アタシはアタシだから、その他だな!』って入っていこうとして止められてました。
ジークフリートさんも『俺は竜みたいなものだからな……』と言いながら、しれっと入ろうとしてたので止められてました。
その後もジョイくんやロボミさん、オーキスちゃんとか色んな人が来て、全部止められてました。
最終的にビィさんが『みんなの気持ちはありがてえけど、ここはオイラに任せてくれよ。そうすりゃ波風立たねえだろうし』って宣言して収まりました。

この看板はガイゼンボーガさんのアイディアだったみたいですけど、途中から『吾輩も戦車であるが故、”その他”扱いで良いか?』と言いだして、イオちゃんに怒られてました。




<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:06:53.55 ID:1M+emLR40<>

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とある島で停留中のグランサイファー:甲板・夜




ガイゼンボーガ「憩いの夕餉を終えてからの眺むる星……なんとまばゆい事か……」


スター「……ガイゼンボーガ」スー…


ガイゼンボーガ「極星か。貴様も束の間の微睡みを堪能しに来たか?」

スター「マドロミ……」

ガイゼンボーガ「うむ……吾輩もすっかり丸くなったものよ」

スター「ダガ……以前ヨリモ、イイ顔ヲ、シテイル……」

ガイゼンボーガ「それもこれも、あの若人たち……団長であるグランとジータのお陰よな。ククッ」

スター「ソレダケデハナイ……汝ハ、コノ艇デ、新タナ友モ見ツケタ……」

ガイゼンボーガ「友……友人、か。戦友と表すなかれと言いたいのか? ククッ」

スター「……」

ガイゼンボーガ「だが……思い返せば、数多の戦場を駆けし頃にもそう言った存在は居たのかもしれん。敵味方双方から疎まれていた吾輩を気に掛けようとしてくれていた稀有な者がな……」

スター「ガイゼンボーガ……」

ガイゼンボーガ「しかし、それらも全て巻き込み蹂躙してきた。歩く災厄とでも言うべき我が戦車の道を後悔はしておらぬが、ふと考える時もある。他の方法もあったのではないかと」

スター「……ダガ、ソノ道ノ果テニ、団長達ト会エタ……」

ガイゼンボーガ「……”星”の導きとでも、言うべきか。皮肉なものよな」

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:07:56.68 ID:1M+emLR40<>

  カツンカツンカツン……

ガイゼンボーガ「ぬ、こんな時間にタラップから音が……誰かが外出より帰ってきたのか?」


ニーア「……あっ……」

ガイゼンボーガ「……ニーアか。随分と遅い時間に戻ったものだ」

ニーア「うん……ちょっと、お買い物してたの」

ガイゼンボーガ「それは……花、か」

ニーア「そう。グランの……回復祝いに、と思って……。ジータやルリアも付き合ってくれるって言ったんだけど、どうしても一人で選びたくて……」

ガイゼンボーガ「そう、か……貴公の誠意の込められた一輪と言う事であるな。団長も……グランもさぞや喜ぶだろう」

ニーア「ふふ……それじゃ、またね」

ガイゼンボーガ「うむ、早く渡してやるといい。ではな」


 テクテクテク……



ガイゼンボーガ「……極星よ、何故隠れた?」

  スー…

スター「……イヤ、他意ハ無イガ……」

ガイゼンボ−ガ「何処かこそばゆいか? 同じアーカルムシリーズを抱える者と相対するのは」

スター「素直ニ言エバ、ソウナル……」

ガイゼンボーガ「クハハッ、初心な童のような事を。……だがあの者も、この艇に来て運命が大きく変わったと聞く」

スター「アーカルムシリーズ……”死”……全テノ者ニ、死ヲ齎(もたら)ス……狂気ト執着ノ、存在ダ……」

ガイゼンボーガ「あの者の存在には、グランやジータから釘刺されたものよ」

スター「……”死ニタガリノ、ガイゼンボーガ”……」
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:08:27.81 ID:1M+emLR40<>
ガイゼンボーガ「うむ。故に、その性質を聞いた時には如何なものであろうかと歓喜に身震いしたものだったが……まだあの頃の吾輩は今ほど丸くは無かったのだが、何故かあの”死”に挑む気にはなれなかった」

スター「……モシモ挑ムトシタラ、我ハ汝ヲ止メタダロウ……」

ガイゼンボーガ「思い返せば、初めてこの艇に乗った時から既に吾輩の心には楔(くさび)のようなものを打たれていたのかもしれんな……」

スター「一度ハ、艇カラ……騎空団カラ離レカケタノニカ?」

ガイゼンボーガ「……初心な童が、育まれた親より自立しようと反発し、そして振り返り、親の偉大さと己の慢心を思い知る………あの時の吾輩は正に、そう言った状況であろうか」

スター「ガイゼンボーガ……」

ガイゼンボーガ「吾輩もまだまだ未熟だった。ただただ、それだけの事であったな……。だが、今やあの鎧に袖を通して戦場に赴いても、怨嗟の声など蚊の羽音程にも聞こえぬ」

スター「強クナッタナ、ガイゼンボーガ……」

ガイゼンボーガ「ククッ、極星め。よくぬかすわ。しかし、いかんな……過去の感傷に浸るなど。吾輩はこれからの未来だけを見て進むと決めていたのだがな」

スター「時ニハ、振リ返ルノモ悪クナイ……前ニ進ンデイル証ダ」

ガイゼンボーガ「フハハハ……! よもや星の獣が人を慰めようとは! 貴様も俗に塗れたものよ!」

スター「……コレハ慰メナドデハナイ……友トシテノ言葉ダ」

ガイゼンボーガ「やれやれ。よくもまぁ舌が回る」


  フハハハッ  フフッ

ナッ、キサマ、ワラエタノカッ!?  アア、ワラエルゾ フフフ…




ルリア「……急にスターさんの気配を感じたと思ったら……」コソコソ

ビィ「へへっ、邪魔しないであげようぜ」ヒソヒソ


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:08:59.09 ID:1M+emLR40<>


 ===ルリアの日記より抜粋===

今日の晩御飯の後、クルーニさんとリチャードさん、レ・フィーエさんから誘われて一緒にすごろくをやる事にしました。
ビィさんも混ぜて欲しいとお願いしたら、レ・フィーエさんの顔が青ざめていました。
悲鳴をあげる事は無くなりましたけど、相変わらずみたいです。
なので私は参加しないで、通り掛かったテレーズさんにお願いすると快く引き受けてくださって、リチャードさんの顔が赤くなってました。
私はビィさんと一緒に食後の散歩する事にして、しばらくするとニーアさんが綺麗な一本のお花を持って帰ってきました。
グランの怪我の完治のお祝いの贈り物だそうで、とっても素敵で良い香りのするお花です。
あの時の優しくて眩しいニーアさんの笑顔、とってもとっても素敵で……お花よりも綺麗でした。
その後、突然甲板からスターさんの気配を感じたので、もしかしたら魔物とかが出たのかと心配になり、ビィさんと一緒に走って向かいました。

すると、そこにはガイゼンボーガさんとスターさんが、笑顔でお話をしていました。
何事もなかったようで、ホッとしました。
お二人が楽しそうにお話をしている姿をみていて……本当に良かったなって思いました。
夜空を見上げると、星がキラキラと輝いていて、それはまるで今のお二人の様でした。



<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:09:31.61 ID:1M+emLR40<>


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ある日の依頼:魔物の巣と化した場にて――殿(しんがり)




敵1「キシャーーッ!」

敵2「シャーーッ!」

敵3「グオォォオォッ!」

グラン「くっ……まだまだ来るか! ジータやルリア達が無事に逃げられてると良いんだけど……!」

イルザ「この程度の連中、我々の腕ならば問題は無い。だが、終わりが見えないと言う点だけは危惧すべき所か……」チャキッ

デリフォード「ええ、いつ撤退するかの判断がしにくい状況ですな。このままジリジリ消耗する事は避けたい……!」

カルテイラ「ひぇ〜……ウチとした事が、とんだ貧乏クジ引いてもうたなぁ」


ワシャワシャ……ゾロゾロ……


敵4「シャーーーッ!」バッ!

イルザ「来るぞ! 総員、備えろ!!」

グラン「よし!!」


ドドドド「そこのけそこのけぇっ!!」ドドド ドガーーン!

敵4「ウギャーーッ」

グラン「なっ……!?」

デリフォード「おお!!」

カルテイラ「な、なんや? えっらい土煙あげてからに」


ガイゼンボーガ「ククク……戦場の匂いに釣られて、戦車見参!!」


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:10:05.14 ID:1M+emLR40<>
デリフォード「ガイゼンボーガ殿!」

ガイゼンボーガ「水臭いではないか、吾輩を置いてこのような心躍る場に呼ばぬとは」

グラン「い、いや、ガイゼンボーガには別の依頼をお願いしてたし……そ、それに」

ガイゼンボーガ「心配無用、そちらの片は付けてある。偶然出会った先に撤退した若人達より事情を聴いて馳せ参じた次第!」

イルザ「ともあれ救援はありがたい。感謝する、鉄腕戦車」

カルテイラ「せやな! 助かったで、鎧のオッチャン!」

デリフォード「うっ!?」

グラン「そ、その鎧は……」

ガイゼンボーガ「安心せい、グラン。呪われし鎧からの怨嗟の声はもう聞こえぬ……吾輩を駆り立てるのは、騎空団の仲間の危機よ!」

グラン「ガイゼンボーガ……!」

ガイゼンボーガ「さぁ皆々よ。この場は吾輩に……いや、吾輩『達』に任せよ。そして然るべき先の行動を頼むぞ」

カルテイラ「達って、鎧のオッチャンじぶん一人やないかい」

スター「……我モ、居ル。安心シロ」スー……ッ

デリフォード「し、しかしガイゼンボーガ殿。いくら貴方が強靭な戦士とは言え、この数は……」

イルザ「ああ、彼の言う通りだ。この状況ならば、一人だけが抜けて速やかに本隊へ救援の要請を」

グラン「いや、皆。ここはガイゼンボーガ達に任せよう」

ガイゼンボーガ「フフフ、流石は団長殿。解っておられる」

カルテイラ「本気かいなグラン!? ウチとしてはこの場からちゃっちゃと離れられるんは大歓迎やけども……」

グラン「大丈夫、ガイゼンボーガならば!」

イルザ「団長殿から信頼されているのだな、鉄腕戦車殿。ならばお言葉に甘え、殿(しんがり)をお願いしよう」

デリフォード「団長殿がそこまで言うからには……。すまぬ、ガイゼンボーガ殿……感謝する! すぐに手勢を加えて参ろう!」

カルテイラ「おおきに! 帰ったら何か奢ったるさかい、楽しみにしといてな! 鎧のオッチャン!」

デリフォード「うっ!?」

ガイゼンボーガ「互いの利は一致している、さぁ行けぃ!!」



  タッタッタッタッタッタ……
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:10:37.19 ID:1M+emLR40<>
ガイゼンボーガ「クククッ、振り返りもせずに往くとは……吾輩も信頼されたものよ」

スター「フフフ……ソノヨウダナ」


ワシャワシャ……ゾロゾロ……


ガイゼンボーガ「フンッ、有象無象が星の数より集まっておるわ」

スター「ダガ、奴等ハ早々ニ墜チル運命……」

ガイゼンボーガ「頼りにしているぞ、我が右腕よ!」

スター「任サレヨウ」






ガイゼンボーガ「我が名はガイゼンボーガ……『悪魔戦車』にして、グランサイファーの……若人達の敵を潰す戦車よ!」



<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2025/07/28(月) 20:16:27.47 ID:1M+emLR40<>

投下終了です。
グラブルのサイドストーリーが好き&ガイゼンボーガが好きと言う気持ちから書きました。
近々ですが十賢者関連のサイドストーリーが配信されるとの事なので、ユーザーの皆さんは是非ガイゼンボーガを推してやってください。
環境によって心が荒れ果て、死にたがりとなったガイゼンボーガは、グラサイに来た事によってギャグ堕ちしたのではなく、元々こういう気質だったのではないかと思うのです。
ガイゼンボーガは無課金でも取れます。ガイゼンボーガ一人いる事によって倒せなかった相手も倒せるようになったりします。ガイゼンボーガは本当に強くてカッコよくて優しい素敵なキャラですので、皆さんも是非ガイゼンボーガを楽しんでください。 <>