以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:49:44.05 ID:cH11op6o<>梓「私が桜高に入学して1ヶ月が過ぎた。
新歓ライブで感動して入部した軽音部だったが、蓋を開けてみればそこは変わり者の集会所だった。
終わらないティータイム。神出鬼没の顧問。あんまりうまくない演奏。
先が思いやられるもののなんとかこの空間に馴染みつつある私。それがいいことなのかはわからないけど。
淡い期待を込めて部室の扉を開く。今日も桜高軽音部は通常営業だ」<>梓「しょうがないです」
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:51:09.63 ID:cH11op6o<>梓「唯先輩」
唯「なんだいあずにゃん」
梓「皆さんは何をなさっているんですか」
唯「見ての通りさわちゃんの衣装の試着会だよ」
梓「澪先輩が泣きそうですが」
唯「泣き出したらりっちゃんが止めてくれるよ」
梓「今日こそちゃんと練習できると思っていたのに」
唯「まあまあ。このケーキをお食べ。おいしいよ」
梓「唯先輩もしゃきっとしてください。いただきます」
唯「そう言いながら食べるんだね。あ、いちごとバナナ交換しない?」
梓「アイデンティティを奪わないでください」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:52:23.35 ID:cH11op6o<>唯「よーし。ここは私が一喝してみんなにやる気を出してもらおうか」
梓「そうしてもらえるとありがたいんですが、唯先輩のキャラじゃありませんね」
唯「そだね。じゃあやめとく」
梓「しまった」
唯「あずにゃん。私、将来おまわりさんのお世話になったらどうしよう」
梓「婦警姿の澪先輩を見ながら何を言っているんですか」
唯「あずにゃん。今は婦警じゃなくて女性警察官と呼ばなきゃダメなんだよ」
梓「はぁ、そうですか。それで、唯先輩は犯罪者志望なんですか?」
唯「そんなつもりは……。ただ、うっかり財布を忘れて食い逃げしたりうとうとしながら運転して人をはねたり……」
梓「唯先輩ならやりかねないですから十分気を付けてくださいね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:53:25.42 ID:cH11op6o<>唯「もう。さすがの私もそんなダメな大人になるつもりはないよ〜」
梓「心配です」
唯「えへへ、ありがとー」
梓「なにがですか」
唯「あずにゃんは心配ないね。今でも十分しっかり者さんだし」
梓「私の場合、見た目で舐められそうです」
唯「大丈夫だよ。これからきっと大きくなるから。そんなに小さいままなんてことはさすがにないよ〜」
梓「どこを見て言っているんですか」
唯「成長しないなんてことはめったにないからね〜」
梓「どこを見て言っているんですか。どうして律先輩の方を見たんですか」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:55:19.20 ID:cH11op6o<>唯「あずにゃん、この前親孝行したいって言ってたよね」
梓「はぁ、そうですけど」
唯「でもさぁ、あずにゃんのお父さんとお母さんはあずにゃんにどんな子になってもらいたいんだろうね」
梓「わかんないです。うちの親は結構放任主義ですからね。やりたいようにやれ、ってとこだと思います」
唯「うちだってそうだよ〜。おかげでやりたい事は何でもできるよ〜」
梓「やりたくないことはやらなかった姉と、やれることは何でもやった妹、ですか」
唯「ほんと、どうしてこうも姉妹で差がついたんだろうねぇ。アハハ」
梓「大丈夫です。成長しないなんてことはめったにないですから」
唯「だよね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:56:43.80 ID:cH11op6o<>梓「唯先輩は先輩後輩関係で苦労したことありますか」
唯「ないよ。だって先輩はいなかったし後輩はあずにゃんが初めてだもん」
梓「そうなんですか」
唯「うん。私、部活は高校が初めてだし、軽音部に入部した時は澪ちゃんとりっちゃんとムギちゃんしかいなかったから」
梓「なるほど」
唯「何に納得したの?」
梓「先輩のいない部活ってすごく開放的ですよね。私も部活は高校が初めてなのであくまで想像ですけど」
唯「あー、私の友達も言ってたよ。先輩が修学旅行でいない時の部活は好き勝手やれて楽しかったって」
梓「そんな状態が一年も続けばどうなるか……ああ、恐ろしい恐ろしい」
唯「あずにゃん、疲れてるみたいだね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:57:51.65 ID:cH11op6o<>梓「こういうのを五月病と言うのでしょうか」
唯「う〜ん私はかかったことないからわかんないや」
梓「ですよね」
唯「羨ましいでしょ」
梓「ある意味」
唯「考えすぎるのはよくないよ。大事なのは、行き先を決めて一目散に駆け出すこと!」
梓「どんなにいい発言も、発言者は誰か、っていうので価値は大きく左右されると思うんです」
唯「私も五月病にかかりそうだよ」
梓「一緒に治しましょう」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:59:09.00 ID:cH11op6o<>唯「要するに練習すればいいんだよね練習!そうすればあずにゃんも満足でしょ」
梓「わかってもらえて何よりです。」
唯「でもね、あずにゃん。私一人の力じゃどうにもならないんだよ」
梓「どういう意味です?」
唯「私が『こんなんじゃ駄目ですーっ!』って言ったところで他のみんなが聞き入れてくれるとは限らない、ってことだよ」
梓「そんな薄情な仲じゃないでしょ、先輩方。それになんかイラっとします」
唯「女子高生は怖いんだよ、あずにゃん」
梓「私からしたら怖い先輩の方がやりやすかったかもしれませんね」
唯「あずにゃんってMなんだ」
梓「殴りますよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 01:59:46.69 ID:cH11op6o<>唯「さーて」
梓「どうしたんですか」
唯「そろそろさわちゃんも飽きてきたみたいだし先に練習始めとこうかなーって」
梓「そうですか。じゃあ」
唯「ちんたらしてんじゃねえぞ、なかのー」
梓「……なんですかそれ」
唯「怖い先輩はいかがですか?」
梓「役者不足ですね」
唯「ぶー」
梓「……しょうがないですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:00:25.91 ID:cH11op6o<>唯「ん?」
梓「練習、始めましょうか。唯先輩は忘れっぽいから絶対に忘れないように身体に叩きこんであげます」
唯「優しく……してね?」
梓「やっぱり一人でしてください」
唯「そんなぁ。一緒に弾こうよあずにゃ〜ん」
梓「しょうがないですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:01:52.42 ID:cH11op6o<>梓「私が桜高軽音部に入部してから2ヶ月が過ぎた。
夏が近付き日に日に気温が上昇しているにもかかわらず部室の温度は相変わらず。
私も順調に洗脳されつつある。澪先輩が唯一の良心だ。
でも私だって普通の高校生活は送りたい。だからまともなクラスメート達との交流も怠らない。
今日の体育祭だってクラスのみんなと盛り上がれたらいい。
軽音部のことを考えるのはそれからでいい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:02:50.37 ID:cH11op6o<>唯「あれ?あずにゃんどうしたの?」
梓「唯先輩こそ何やってるんですか、こんなところで」
唯「いやぁ、テントの中は暑くてどこか涼める場所を探してたら、いい木蔭があったから」
梓「競技、出ないんですか」
唯「午前中に全部終わっちゃったよぉ。私の二人三脚見てくれなかったの?」
梓「ムギ先輩が気の毒でした」
唯「これでもちゃんと練習したんだよ」
梓「そうですか。応援はしなくていいんですか」
唯「ここからするよ〜」
梓「さっきまで寝てませんでしたか?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:03:44.03 ID:cH11op6o<>唯「あずにゃんは真面目だねぇ」
梓「こうして見ると唯先輩が不良に見えます」
唯「あ〜体育祭なんてまじだりぃ〜」
梓「ちょっと背伸びした男子中学生みたいです」
唯「ひどっ」
梓「唯先輩じゃあワルにはなれませんよ」
唯「じゃああずにゃんがやってみせてよ」
梓「……平沢ァ。たい焼き買ってこいやぁ」
唯「かわいいね」
梓「むぐ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:04:49.86 ID:cH11op6o<>唯「あずにゃんはどうしてこんなところに?」
梓「飲み物を買いに行った帰りに唯先輩を見かけたので」
唯「へー……」
梓「……飲みたいんですか?」
唯「へへ」
梓「しょうがないですね」
唯「ありがと」
梓「おいしいですか」
唯「午後の紅茶、かぁ」
梓「どうしたんですか」
唯「いやぁ、昔を思い出してね」
梓「何かあったんですか」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:05:46.07 ID:cH11op6o<>唯「昔家族で出かけたときにね、のどが渇いた私はお母さんのバッグの中にあった水筒を取り出したんだ」
梓「はぁ」
唯「いつも通りムギ茶が入っていると思ったんだ。そのつもりで口に含んだら」
梓「紅茶だったと」
唯「想定外の甘さと初めての味に私は」
梓「嘔吐した」
唯「いやちょっとびっくりしただけだよ。嫌な思い出だけどね」
梓「そうですか」
唯「今はムギちゃんのおいしい紅茶を毎日飲んでるから嫌な思い出も忘れちゃってたよ」
梓「市販の安い紅茶が苦い記憶を引きずり出したんですね」
唯「甘い記憶だよ」
梓「ですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:06:30.86 ID:cH11op6o<>唯「あずにゃんもここで一緒にサボらない?気持ちいいよ」
梓「サボリと認めちゃいましたね」
唯「二人でサボれば怖くないよ」
梓「怖いです」
唯「あ、ういー!がんばれーっ!!」
梓「ここからじゃ聞こえませんよ」
唯「え〜、今目が合ったよ〜」
梓「ほんとですか」
唯「うん。それにしてもクラス対抗リレーのアンカーなんてすごいね〜」
梓「そうですね。一位ですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:07:26.06 ID:cH11op6o<>唯「いいなぁ。みんなにあんなに褒めてもらえて」
梓「唯先輩でもそういうこと気にするんですね。意外です」
唯「去年の栄冠を取り戻したいよ」
梓「去年?」
唯「私、去年の借り物競走で一位だったんだ」
梓「へー」
唯「興味なさそうだね」
梓「いえいえ。それで?指定された借り物はなんだったんです?」
唯「『好きな人』」
梓「……へー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:08:16.66 ID:cH11op6o<>唯「後で聞いたんだけどね、うちの高校の借り物競走では必ず一枚入ってるレアカードらしいよ」
梓「妙な伝統ですね」
唯「女子高だからこそ、なのかもね。共学だったら色々面倒なことになりそうだし」
梓「……それで、唯先輩は誰を連れて行ったんですか」
唯「和ちゃん」
梓「和さんって唯先輩の幼馴染で生徒会の?」
唯「うん」
梓「面倒なことになりませんでしたか」
唯「え?」
梓「その、変な噂が立ったりとか」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:09:18.76 ID:cH11op6o<>唯「ええと、うん。あずにゃんが想像しているようなことは何も」
梓「本当ですか」
唯「私普段から和ちゃんにはしょっちゅう引っ付いてるし私たちが幼馴染ってことはみんな知ってるから」
梓「しょっちゅう引っ付いてる時点で変な噂が立ってもおかしくなさそうですが」
唯「もしかして私とあずにゃんのことで変な噂が立ったりしてるのかな?」
梓「いいえ、ありませんよ。……今のところは」
唯「まぁ私は構わないけどねー」
梓「私が困りますからこれからは人前で抱きつくのはやめてください」
唯「えぇ〜」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:10:07.94 ID:cH11op6o<>梓「じゃあ私はそろそろ行きますね」
唯「えぇ〜? 行っちゃうの〜?」
梓「行きます。この後出番なので」
唯「そっかー、ならしょうがないね」
梓「しょうがないです。それでは失礼します」
唯「あ、何に出るの?」
梓「……借り物競走です」
唯「……当たりくじ、引けるといいね」
梓「……勘弁してほしいです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:11:09.67 ID:ZD4eB0go<>こういうのいいな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:12:56.24 ID:cH11op6o<>梓「私が地べたに張り付いたチューインガムを踏んづけてから3ヶ月たったある日のこと。
休日というのに無駄に早起きした私は外の空気を吸いに行くことにした。
河原沿いの道を自転車で駆け抜けると結構多くの人とすれ違った。
ランニングしているおじさん、犬の散歩をしているおばさん。
涼しげな風と穏やかな朝の陽ざしを全身に受けながら私はしばし解放感を味わっていた。
いたのだが。
私はどうあがいてもこの人から逃げられないのだろうか。私は足をくすぐる猫じゃらしを蹴飛ばした」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:13:39.26 ID:cH11op6o<>唯「お、あずにゃんおはよー」
梓「おはようございます。こんな時間にこんな所で会うなんて思ってもみませんでした」
唯「えへへ、今日は珍しく早起きしちゃってねぇ」
梓「奇遇ですね。私もです」
唯「それからジョギングしよう! って気分になってね」
梓「どうして河原で寝そべっていたんですか」
唯「ちかれちゃって」
梓「何がちかれちゃって、ですか。危ないじゃないですか」
唯「へ? 危ないって」
梓「草むらに女の子が寝そべっているのを見たらそれはよからぬことを……すみません失言でした」
唯「何なの?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:14:32.39 ID:cH11op6o<>梓「背中、汚れちゃいませんか。湿ってるみたいですし」
唯「帰ったらシャワー浴びるからいいよ〜。あずにゃんもおいで。一緒にこの大空を仰ごうよ」
梓「遠慮します」
唯「相変わらずだねぇ」
梓「まぁ……座るくらいなら」
唯「とりゃっ」
梓「うわっ」
唯「えへへ」
梓「はぁ」
唯「雑草もいい匂いでしょ」
梓「ないです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:15:31.13 ID:cH11op6o<>唯「夏草や えっと……」
梓「兵どもが夢の跡」
唯「そうそう、それ」
梓「私の夢も三ヶ月前に潰えてしまったんでしょうか」
唯「あずにゃんの夢?」
梓「いえ夢ってほどのものはありませんでした。ただ、幻想を追うのはよくないってことがよくわかりました」
唯「げんそう?」
梓「幻想を生み出した人と幻想を殺した人、一緒だったっていうのがひどい話ですね」
唯「よくわかんないけど、私はあずにゃんと初めて会った時、これから楽しくなりそうだなって思ったよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:16:33.73 ID:cH11op6o<>梓「……そうなんですか」
唯「うん。だってあずにゃんすごく可愛いもん。いじくり回したらもっともっと可愛くなりそうだなって思ったよ」
梓「……実際どうでした?」
唯「私の予想通り!」
梓「私の顔、すごく疲れてるように見えませんか?」
唯「寝不足? ちょっとここで休んでこうか。付き合うよ」
梓「帰ります」
唯「あ、待ってよぉ」
梓「唯先輩ももう帰ったらどうですか? 憂があたたかい朝食を用意して待ってますよ」
唯「まぁ……そうだねぇ。あっ、あずにゃん自転車で来たんだね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:17:10.73 ID:cH11op6o<>梓「はぁ、そうですけど」
唯「この時間ならおまわりさんもいないよね」
梓「もしかして」
唯「二人乗りしよっ!」
梓「失礼します。また部活で」
唯「とりゃっ」
梓「にゅあっ」
唯「よしっと。腰に手を回すね」
梓「はぁ。重いです」
唯「私二人乗りするのが夢だったのー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:17:52.92 ID:cH11op6o<>梓「おっとっと。よっと」
唯「がんばれあずにゃん」
梓「そう思うなら降りてください」
唯「もうちょっとだけー」
梓「人に見られてるんですが」
唯「手を振ってみようか」
梓「落ちますよ」
唯「風が気持ちいいね」
梓「背中が熱いです」
唯「いい匂いだよあずにゃん」
梓「嗅がないでください」
唯「心臓バクバクだね」
梓「転びそうです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:18:45.84 ID:cH11op6o<>唯「朝からあずにゃんに会えるなんて今日はいい日になりそう」
梓「それはよかったですね」
唯「そうだ。明日から毎日早起きして一緒に散歩しない?」
梓「今日はたまたま早起きしただけですよ。明日からゆっくり寝ることにします」
唯「あずにゃんのいけずぅ」
梓「唯先輩だってどうせ続けられないでしょ」
唯「続けるよ。そうだなぁ。一年間続ける!」
梓「一日坊主に終わりそうです」
唯「もー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:19:46.85 ID:cH11op6o<>梓「放課後へばったらいけないですから無理なチャレンジはよしてください」
唯「いいや。毎朝あの河原で待ってるからね、あずにゃん」
梓「はいはい」
唯「くそっ」
梓「うにゃっ、どこ触って」
唯「おおお? おおっ?」
梓「……もう降りてください」
唯「ごめんよあずにゃん。運転かわろっか」
梓「唯先輩の家、着きましたよ」
唯「おや、あずにゃんに夢中で気付かなかったよ」
梓「しょうがない人ですね」
唯「あずにゃん、楽しかったよ。ありがとう」
梓「こちらこそ」
唯「また河原で!」
梓「また部室で」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/11/26(金) 02:21:07.20 ID:cH11op6o<>これからグダグダやっていく所存です
遅筆なのとツッコミどころが多いのはご愛敬
桜高の体育祭が何月にあるかとかわからなかったんで<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 02:25:21.79 ID:ZD4eB0go<>今期期待度ナンバーワンだよ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 11:28:52.28 ID:bQaOVdgo<>期待期待。
なんかこう、ノスタルジックな感じがするね。
懐かしむ記憶もないけど、なんだか懐かしい。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 15:53:04.64 ID:BLiFsIAO<>これは楽しみなスレだ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 23:51:22.85 ID:cH11op6o<>梓「高校最初の学園祭まで一ヶ月を切ったある日の放課後。
私達5人はコンビニに寄っていた。
今日はいつもより少しばかり長時間練習した。少し、ね。
練習終了後、お腹空いたからコンビニでなんか買っていこうぜー、という部長の号令を受けて今に至る。
正直、早く帰って自主練したり休んだりしたかった」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 23:51:57.73 ID:cH11op6o<>唯「何読んでるの〜?」
梓「ひっつかないでください」
唯「かっこいいねこのギタリスト」
梓「知ってるんですか?」
唯「んーん、この髪型かっこいいね」
梓「今度CD貸しますよ」
唯「ありがとー」
梓「できればライブにも行きたいんですけどね」
唯「その時は付き合うよー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 23:52:51.25 ID:cH11op6o<>梓「唯先輩は……ファッション雑誌ですか」
唯「うん。おお、このワンピースあずにゃんによく似合いそうだよ」
梓「ちょっと身長が足りないと思います」
唯「この帽子もかぶせてやりたい」
梓「派手ですね」
唯「こういうのも履いてみたら?」
梓「唯先輩と同じくらいの目線になりそうなヒールですね」
唯「やっぱり実際に着てみないとダメだね。今度一緒に見に行こうよ」
梓「しょうがないですね。……学園祭が終わってからですよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 23:53:51.38 ID:cH11op6o<>唯「あずにゃんは初めてだもんね。ピリピリするのもわかるけどもう少し肩の力抜きなよ。ほれ、もみもみ」
梓「だから。公衆の面前でそんなにくっつかないでください」
唯「よいではないかよいではないか」
梓「ほら、店員さんに見られてますよ」
唯「よいでは……ん? あの人、どっかで見たことあるよ。確か……学校で」
梓「すごく大人っぽいですけど……高校生なんですか?」
唯「うん。たぶん私と同い年だよ」
梓「どうしてアルバイトしてるんでしょうか。何か欲しいものがあるとか?」
唯「夢の実現のためにお金を貯めてるのかもしれないよ。かっくいー」
梓「立派なもんですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 23:54:44.80 ID:cH11op6o<>唯「私もこの子を手に入れるために大変な苦労を……」
梓「唯先輩もバイトしたことあるんですか」
唯「交通量調査っていうのをね。みんなと一緒に」
梓「へぇ」
唯「コンビニのバイトもやってみたいなぁ」
梓「大変そうですよ」
唯「あずにゃん。若い時の苦労は買ってでもするものだよ」
梓「それならちゃんと練習してください」
唯「明日からがんばるよ〜」
梓「はぁ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/26(金) 23:58:28.86 ID:cH11op6o<>唯「あ、りっちゃんがあの店員さんに話しかけてる。やっぱり桜高の人みたいだね」
梓「ですね。私達もそろそろ行きましょうか。唯先輩は何を買うんですか」
唯「いちごジャムトーストが欲しかったんだけどね、置いてないみたい」
梓「なんですかそれ」
唯「時代が私に追い付いてないんだねぇ」
梓「そんな商品あるんでしょうか」
唯「だからたいやきクンにするよ」
梓「あ、そんなのもあったんですね」
唯「さあ行こうか。気になるあの子とお話ししたいし」
梓「迷惑だからよした方がいいですよ。引っ張らないでください」
唯「すいませーん。たいやきクン二つくださーい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:00:03.11 ID:lKMNWioo<>梓「11月最後の金曜日。
ツインテールが暴れ回る。顔面が歪む。吐く。
涙が流れる間もなく目が乾く。逆さ吊りにされる。きっと吐く。
ほぼ90度の角度で落下する。我慢できずに大声で叫ぶ。絶対吐く。
チラ見する。キャッキャキャッキャ。溜息を吐く」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:00:43.52 ID:lKMNWioo<>梓「はーっ……はーっ……はーっ」
唯「楽しかったね! あずにゃん!!」
梓「はぁ……はぁ、そう、ですね」
唯「よーし次は」
梓「ゆ、唯先輩。ちょっと、休みましょ。そこの、ベンチで」
唯「えー」
梓「待ってて、ください。飲み物、買って来ます、から」
唯「あ、待ってよあずにゃん。足下がおぼつかないよ」
梓「だい、じょうぶです。座ってて、ください」
唯「う、うん」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:01:24.86 ID:lKMNWioo<>梓「ぷはぁ」
唯「ぷはぁ」
梓「何笑ってるんですか」
唯「いやぁ楽しいなぁって」
梓「まぁ……楽しいですけど」
唯「ありがとねあずにゃん」
梓「お礼を言うのは私の方ですよ。タダで遊園地を回れたんですから。ありがとうございました」
唯「お隣のおばあちゃんがチケットくれたんだよ。運がよかったねぇ」
梓「そうなんですか。ところで一ついいですか」
唯「何かな」
梓「今日って唯先輩の誕生日なんですよね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:02:18.24 ID:lKMNWioo<>唯「そうだよ〜」
梓「これってお祝いになってるんですか」
唯「もちろんだよ〜」
梓「ただ遊びに付き合ってるだけですよ」
唯「あずにゃんといると楽しいもん。最高のプレゼントだよ」
梓「どうして当日になるまで教えてくれなかったんですか」
唯「あずにゃんのことだから『あ、今日唯先輩の誕生日なんだ。でもプレゼント用意してない……どうしよう……そうだ、私をプレゼントすればいいんだ!』って考えると思ったから」
梓「ないです」
唯「でも来てくれたよね」
梓「遊びに付き合ってるだけです。プレゼントじゃありません」
唯「よしよし。じゃあ次お化け屋敷行こっか」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:03:12.39 ID:lKMNWioo<>梓「冷房入ってるんでしょうかここ」
唯「寒いね」
梓「雰囲気出すためなのかもしれないですけど季節を考えてほしいです」
唯「まぁまぁ。そんなに強がらなくても私が守ってあげるから安心して」
梓「子供じゃないんですから作りものに怖がったりしませんよ」
唯「あずにゃんは澪ちゃんのこと馬鹿にするんだー」
梓「……澪先輩は唯先輩と違ってぴゅあぴゅあハートなんです」
唯「そうかもね〜」
梓「そうなんです」
唯「そういうことだから、あずにゃん。怖かったら遠慮なく私に抱きつい……」
梓「唯先輩?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:04:56.39 ID:lKMNWioo<>唯「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
梓「唯先輩!?」
唯「なまくび! なまくびぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
梓「ちょっと! 走らないでください!」
唯「うわあっ! あし! おんなのあしがころがってるううぅぅうううぅううぅうぅううぅう」
梓「落ち着いてください! ちょっとさわ子先生の足に似てますね!」
唯「ふわぁ! ちっちゃいおじいちゃんのなきごえぇええぇええぇえぇぇぇええぇえええぇぇ」
梓「静かにしてください! 中の人が泣いちゃいますよ!」
唯「あああ! あのねこないぞうがとびだしてるよおぉおおぉぉおおおぉぉぉおおおぉおぉお」
梓「転びますよ! 可愛いじゃないですか!」
唯「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
梓「あ、もう出口」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:05:46.28 ID:lKMNWioo<>唯「いやぁこういうのは落ち着くねぇ」
梓「メリーゴーランドなんて小学生以来です」
唯「へー」
梓「なんですか」
唯「別にー」
梓「私だって人が少なくなかったら乗りませんでしたよ。恥ずかしいですから」
唯「人の目なんて気にしちゃダメだよ〜」
梓「唯先輩はもう少し周りを見てください」
唯「以後気をつけます」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:06:41.68 ID:lKMNWioo<>梓「まぁ今日はスピードのあるアトラクションばかりでしたからこうしてゆったりできるのもいいですね」
唯「そだねー」
梓「次来た時は今日行けなかったところも行きましょうね」
唯「何があるかなぁ」
梓「迷路とかティーカップとか」
唯「ゴーカートとか」
梓「アイススケートリンクもあるみたいですよ」
唯「バイキングも乗りたいねぇ」
梓「勘弁してください」
唯「あ、そういえばあれに乗ってないね。そろそろ時間だし最後はあれに乗ろうよ」
梓「……敢えて最後に取っておいた、ってわけじゃないんですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:07:19.27 ID:lKMNWioo<>唯「うわあ。きれいだねえ。水面に観覧車が映ってるよ」
梓「壮観ですね」
唯「ほら見てあずにゃん。私たちの町も輝いてるよ」
梓「お腹を空かせた子供達の声が聞こえてきそうですね」
唯「憂も今頃夕飯の準備をしているのかなぁ」
梓「きっと豪華なんでしょうね」
唯「あずにゃんも来る?」
梓「いえ、家族のお祝いに割って入るほど図太くありませんよ私は」
唯「今日は夜まであずにゃんと一緒がよかったなぁ」
梓「そういうのは彼氏にでも言ったらどうですか」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:08:21.84 ID:lKMNWioo<>唯「今日は夜まであずにゃんと一緒がよかったなぁ」
梓「私は女です」
唯「よいしょっと」
梓「なんですか」
唯「となり、いいですか」
梓「構いませんけど、片方の椅子に二人座るとバランスが崩れそうで怖いです」
唯「そんなわけないじゃん。そんなゴンドラ使ってるならこの遊園地とっくに潰れてるよ」
梓「唯先輩には珍しく正論を」
唯「さてそろそろ頂上だね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:09:22.91 ID:lKMNWioo<>梓「ですね」
唯「また来ようね」
梓「来れたら来ましょう」
唯「そっけないなぁ」
梓「子供じゃないんですから、遊園地ぐらいではしゃいだりしません」
唯「『次来た時は』ってあずにゃん言ってたよね。さっき」
梓「……ハテソウデシタッケ」
唯「バイキング乗ろうね」
梓「スケートがしたいです」
唯「尻もちつかないようにあずにゃんにしがみつくよ」
梓「やめてください」
唯「……頂上だね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:10:14.51 ID:lKMNWioo<>梓「……………………ぎゅ」
唯「……ぎゅ?」
梓「手、冷たいですね」
唯「もう12月だからね」
梓「風邪、引かないようにしてくださいね」
唯「あずにゃんが温めてくれるから大丈夫」
梓「私はいつも傍にいるわけじゃありませんよ」
唯「じゃあ、この観覧車を降りるまでは離さないでね」
梓「しょうがないですね」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/11/27(土) 00:11:33.93 ID:lKMNWioo<>HBtY
2009年設定ってことで。
梓の誕生日にSS書けなかったことは今も後悔している<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:30:57.81 ID:RHsMD7go<>あぁ、いい雰囲気。まったりとは違う感じで時間がゆっくり流れてる。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/27(土) 00:31:07.18 ID:g5xYf12o<>>>36を見て、『かっこいい猫のギタリスト』ってどんなギタリストだろうと、一瞬考えてしまった<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/28(日) 18:18:27.91 ID:LmGJbtko<>はっは支援支援<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/28(日) 19:01:35.27 ID:NdPT3uwo<>良スレ発見
唯と梓の日常みたいなのが好きだからたまらん<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/28(日) 19:22:59.89 ID:peUSQKk0<>本編っぽいギリギリ感がいいよね。
いや、ギリギリ突破してくれてもそれはそれでいいけどww<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<><>2010/11/29(月) 05:23:33.61 ID:rTFILkwo<>いいねいいね<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 12:49:16.90 ID:1IVfOMMo<>また張りつくスレが増えた<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:51:32.40 ID:tWvTUTMo<>梓「今年も残すところあと6日。
商店街のクリスマスソングは鳴り止み、季節外れの熱気を放つ男女も、うつむいて身を狭めてとぼとぼ歩く独り身も、跡形もなく消えていた。
私は年越しに備えて奔走する主婦の群れの中で一人買い物かごを抱えていた。普段は広々としたスーパーなのに今は息苦しい。
人混みをかき分けて歩いているとジャイアン似の男の子にぶつかられて尻もちをついた。
慌ててコートのポケットに入れていたブツが無事かどうかを確かめる。あれ、ない。
と、思った矢先、私は突然後ろから抱きかかえられた」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:52:26.37 ID:tWvTUTMo<>唯「大丈夫? あずにゃん」
梓「唯先輩、こんにちは」
唯「ジャイアンめ……。人にぶつかっておいて謝りもしないなんて」
梓「私は大丈夫ですから。たぶん剛田君も気付かなかったんですよ」
唯「全く最近の若いもんは……」
梓「もういいですから。それより離れてください」
唯「時にあずにゃん、この箱あずにゃんのだよね」
梓「あ、拾ってもらってありがとうございます。さっき落としたみたいで。ハハハ」
唯「あ、うん。中身壊れてないかな?」
梓「きっと大丈夫です」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:53:20.76 ID:tWvTUTMo<>唯「あずにゃんと買い物なんて久し振りだねー」
梓「二週間前にファンシーショップに行ったきりでしたっけ。何も買いませんでしたけど」
唯「あのイヤリング、欲しかったんじゃないの?」
梓「唯先輩だって物欲しそうな目をしてましたけど」
唯「気のせいだよ」
梓「そうですか」
唯「あずにゃん、買い物かご重そうだね。はい、私のかごと交換」
梓「そんな、いいですよ」
唯「ほらほらぁ。これでもいつもギー太で鍛えてるんだから。ひょいっと。うわ、おも……」
梓「ロウソクにクラッカー……」
唯「そば粉に甘酒、おもち、カビ取りハイター、etc.」
梓「平沢家はクリスマスの後夜祭もやるんですか」
唯「ああ、これから和ちゃんの誕生日パーティーなんだー。あずにゃんも来る?」
梓「いえ、いいです」
唯「遠慮しなくていいよ〜」
梓「大して親しくない後輩に祝ってもらっても反応に困るんじゃないですか」
唯「和ちゃんならきっとすっごく喜ぶよ」
梓「想像できませんね」
唯「ちぇっ。あずにゃんも一緒ならもっと楽しいお泊まり会になりそうだったのに」
梓「泊まるんですか?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:54:04.15 ID:tWvTUTMo<>唯「うん」
梓「いいですね、お泊まり」
唯「おかしな表情してるねあずにゃん」
梓「そんなことないですよ」
唯「あずにゃんだって一昨日お泊りだったんじゃないの?」
梓「どこにですか?」
唯「彼氏の家?」
梓「バカ言わないでください。家族と過ごしました」
唯「でも本当は?」
梓「本当に家族とです」
唯「そっかー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:54:50.52 ID:tWvTUTMo<>梓「まぁ私だって家族以外とクリスマスを過ごしたいとは思ってますよ」
唯「じゃあ来年はうちに来る?」
梓「来年は唯先輩受験生じゃないですか」
唯「じゃあ再来年」
梓「私が受験生です」
唯「じゃあいつになってもいいから、いつか一緒にクリスマス過ごそうよ」
梓「2年以上経っても独り身って寂しくないですか?」
唯「大丈夫。私はあずにゃんを置いてどこかに行ったりしないから」
梓「私は唯先輩を放置してどこかへ行くかもしれませんよ」
唯「その時は何としてもあずにゃんを探し出して私の家に連れ込むよ」
梓「しつこい女は嫌われますよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:55:33.04 ID:tWvTUTMo<>唯「私はあずにゃんに嫌われないならいいや」
梓「唯先輩なんか大っ嫌いです」
唯「あずにゃんに無視されないならいいや」
梓「嫌でも視界に入ってくるから無視できないです」
唯「残念でした」
梓「ほんとに」
唯「おやレジ混んでるねぇ」
梓「年末セールですから。しょうがないですよ」
唯「でもあずにゃんとずっとおしゃべりできるならこれはこれで」
梓「まぁ退屈はしませんね。あ、そこの棚のキャットフード取ってください」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:56:26.05 ID:tWvTUTMo<>唯「食べるの?」
梓「違いますよ。あずにゃん2号へのクリスマスプレゼントです。二日遅れですけど」
唯「純ちゃんの家に行くの?」
梓「はい」
唯「お泊まり?」
梓「ええ」
唯「そっかー」
梓「嘘ですけどね」
唯「嘘つきあずにゃん」
梓「日頃のお返しです。面白い顔してましたよ唯先輩」
唯「ふんだ。あずにゃんなんか知らない」
梓「はいはい。……あの、唯先輩」
唯「ふん」
梓「コートのポケット膨らんでますけど、万引きですか?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/29(月) 23:57:21.86 ID:tWvTUTMo<>唯「……あずにゃん。二日遅れのプレゼントってアリだと思う?」
梓「……アリだと思います」
唯「緑でよかったかなぁ」
梓「いいと思いますよ。ところで唯先輩」
唯「なにかな」
梓「赤色好きですか」
唯「うん」
梓「レジ、なかなか進みませんね」
唯「早く進まないかなぁ」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/11/29(月) 23:58:43.11 ID:tWvTUTMo<>ネタが……ネタが浮かばない<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 00:05:20.21 ID:rFRgm1wo<>今回はここまでか?
ネタがうかばない時もあるだろうし気長に頑張って
まったり更新でも大丈夫だよ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 05:38:59.94 ID:fwwi5rko<>>>68
これはお互いプレゼント交換しあったって解釈でいいのかな?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:21:20.41 ID:BqxqEXEo<>梓「良くも悪くも私の世界観を一変させた出会いから早一年。
私は学校から課された課題を片付けるべく図書館へと足を運んだ。
本棚から有名な作曲家の伝記を取り出す。何でも、進路指導の一環ということで、学校指定の図書の中から一冊を選び、レポートにまとめろということ。
近くの机で読むことにしたのだけれど。さて、またもやお決まりのパターンだ。
この人は私をストーキングしているのか。いや、寧ろ私がこの人を無意識のうちにストーキングしているのか。
それは私にはわからない。机に突っ伏してすーすー寝息を立てているこの人にもきっとわからない」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:22:14.73 ID:BqxqEXEo<>唯「…すー…すー……ん。 あれ? あずにゃん?」
梓 [ 図書館なんですから静かにしてください。言いたいことがあるなら紙に書いて ]
唯 [ あずにゃん、いつのまに来たの? ]
梓 [ 30分位前でしょうか ]
唯 [ あ、私1時間もねてたんだ ]
梓 [ ノートがぐしゃぐしゃに…… ]
唯 [ よし、ねむけざましにあめちゃんなめよう。あずにゃんもどうぞ ]
梓 [ これ眠気覚ましになるんですか? ]<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:23:06.02 ID:BqxqEXEo<>唯 [ ところであずにゃんはどうしてここに? ]
梓 [ これですよ。春休みの課題 ]
唯 [ ああ、こういうのあったね ]
梓 [ 唯先輩は去年何を読んだんですか ]
唯 [ えっと、かもめさんのお話だったかな ]
梓 [ はぁ、それでレポートには何と? ]
唯 [ たしか…私はかもめになりたい、みたいなことを ]
梓 [ それでOKだったんですか ]
唯 [ うん ]
梓 [ なんか真面目に課題をやるのが馬鹿馬鹿しくなってきました ]<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:24:14.64 ID:BqxqEXEo<>唯 [ 今日はういや純ちゃんとはいっしょじゃないの? ]
梓 [ 読書は一人の方が落ち着いてやれますから ]
唯 [ そっか ]
梓 [ 唯先輩こそ、澪先輩達と一緒じゃないんですね。見たところ勉強してたみたいですけど ]
唯 [ ムギちゃんは旅行に行ってるよ。今日はりっちゃんとみおちゃんと勉強してたんだけど、りっちゃんは弟君が事故にあったらしくて先に帰って、みおちゃんも親せきの集まりがあるって言って帰っちゃった ]
梓 [ みんな帰ったのに一人で勉強なんてちょっと見直しました。寝てましたけど ]
唯 [ みおちゃんに少しは課題進めろよって言われちゃってね ]
梓 [ よく見たら数学の課題プリント20ページあるのに2ページまでしか終わってないんですね ]
唯 [ ヘルプミーあずにゃん ]
梓 [ 無理です。自分で何とかしてください ]<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:25:22.37 ID:BqxqEXEo<>唯 [ ここ1年生のハンイだよー ]
梓 [ 私は読書で忙しいんです ]
唯 [ そう言いながらもよくしゃべるね ]
梓 [ しゃべってません。書いてるんです ]
唯 [ ざ・へりくつ ]
梓 [ イラッ ]
唯 [ レポートなんて私は作曲家になりたいとか書いてればいいんだよ ]
梓 [ お断りです。唯先輩も大人しく計算式を解いてください ]
唯 [ すきのかくーりつーわりーだすーけいーさんしーきー ]
梓 [ ありません ]<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 06:26:07.76 ID:BqxqEXEo<>唯 [ ほーたーるのひーかーり まーどのゆーきー ]
梓 [ もう閉館みたいですね ]
唯 [ 今日はユウイギだったよ ]
梓 [ 課題大して進んでないじゃないですか。私もですけど ]
唯 [ でも久し振りにあずにゃんの顔見れたから ]
梓 [ 一週間もしたら毎日会えるようになりますよ ]
唯 [ ここ最近、私はあずにゃん分不足でうえてたんだよ ]
梓 [ ドン引きです ]
唯 [ 文字で書かれるとよけいにきずつくね ]
梓 [ さ、早く出ますよ。急いでください ]
唯 [ まってよ、あずにゃん ]
梓「ふぅ。それじゃ、唯せんぱ…」
唯「あーずにゃんっ」
梓「にゃっ」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/11/30(火) 06:29:02.87 ID:BqxqEXEo<>聡に恨みはない。ただご都合展開の犠牲になっただけだ
>>71
そこはまぁご自由に解釈してもらえば<>
>>76と>>77の間に<>sage<>2010/11/30(火) 06:49:23.11 ID:BqxqEXEo<>唯 [ あずにゃん、このあとひま? ]
梓 [ 予定はないですね ]
唯 [ じゃあデートしよっか ]
梓 [ エイプリルフールは明日ですよ ]
唯 [ いつもの冗談だよ〜。ちょっと楽器屋さんに行ったりアイス食べたりするだけ ]
梓 [ しょうがないですね。懐に余裕はないですけど]
唯 [ おごったげるよ ]
梓 [ 悪いですよ ]
唯 [ その代わり課題手伝って ]
梓 [ ワイロですか ]<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 10:11:32.30 ID:kD8y9QAO<>聡は犠牲になったのだ…<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:52:44.42 ID:BqxqEXEo<>梓「明後日から新学期。
……ここはどこ? 視界がぼやけている。頭が上手く回らない。
頭の下には柔らかい枕があるからきっと自宅のベッドの上なんだと思う。
でもちょっと変。うちにこんな枕あったかな。柔らかくていい匂いがする。
私は枕を舐めてみた。布の感触じゃない。状況を確認しようと右手を彷徨わせる。
私の右手は何かに優しく包まれた。覚えのある優しい感触。
私の意識は徐々に覚醒し始めた」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:53:32.04 ID:BqxqEXEo<>唯「あずにゃんおはよー」
梓「……おはようございます、唯先輩」
唯「可愛い寝顔だったね」
梓「私、どうしてここで寝てたんでしたっけぇ」
唯「まずここがどこかわかる?」
梓「……公園? あ、そっか。みんなでお花見に……」
唯「それでさわちゃんが持ってきたこれを飲んであずにゃんはばたんきゅー」
梓「それ、ジュースじゃなかったんですねぇ」
唯「私もあずにゃんが飲むまで気付かなかったよ」
梓「あ、すみません。膝借りちゃってぇ」
唯「いいよいいよー。私は満足だよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:54:31.62 ID:BqxqEXEo<>梓「でもそろそろ恥ずかしいですぅ。うっ」
唯「無理しないで休んでなよ」
梓「でも……」
唯「誰も見てないから」
梓「……皆さんどうしたんですか」
唯「私以外みんな飲んじゃってね」
梓「澪先輩、高笑いしながら律先輩の背中をバンバン叩いてますねぇ」
唯「もじもじしてるりっちゃんきもーい」
梓「ああ、あの澪先輩があんな汚らしい言葉を」
唯「めそめそしてるりっちゃんきもーい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:55:21.79 ID:BqxqEXEo<>梓「さわ子先生とムギ先輩はあまり変わってないような」
唯「テンションがいつもより3割くらい増してるけどね」
梓「珍しく律先輩を脱がしにかかってるみたいですね」
唯「普段はガードが堅いりっちゃんをこの機に乗じて……。やりますなぁ、さわちゃん」
梓「憂はずっとさわ子先生にお酌してるしぃ」
唯「新入社員とセクハラ上司みたいだね」
梓「憂の将来がちょっと心配になってきましたぁ」
唯「純ちゃんはなんか叫んでるよ」
梓「いつもより5%くらい存在感が増してますねぇ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:56:51.04 ID:BqxqEXEo<>唯「和ちゃんまだかなぁ」
梓「そういえば姿が見えませんが……。どこに行かれたんですかぁ?」
唯「『そうなんだ。じゃあ私酒屋に行くね』だって」
梓「大丈夫なんですかぁ生徒会長」
唯「私には止められませんでした」
梓「何だかぁ今の唯先輩、すっごく大人っぽく見えますぅ。相対的に」
唯「えへへぇ。何だかあずにゃんのお母さんになった気分。いい子いい子」
梓「撫でないでください。あぁ、この体勢じゃ何を言っても情けなぁい」
唯「たまにはいいじゃん。こういうのも」
梓「確かに皆さんと比べると私の醜態なんて大したことありませんねぇ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:58:20.66 ID:BqxqEXEo<>唯「来年になったら私もお酒飲むのかなぁ」
梓「大学生になったら普通飲むんじゃないですかぁ」
唯「私が飲んだらどんな風になるのかなぁ」
梓「余計にうっおとしくなりそうですから一緒に飲みたくありませんねぇ」
唯「ひどっ」
梓「でもいつも以上に無差別な抱きつき癖が出ると困りますからぁ私がついてなきゃダメですねぇ」
唯「おお、酔っ払いあずにゃんは素直だね」
梓「はいぃ? 私何かおかしなこと言いましたか?」
唯「別にぃ」
梓「そもそも唯先輩大学受かるんですかぁ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/11/30(火) 23:59:20.37 ID:BqxqEXEo<>唯「大丈夫だよ。一年間頑張れば」
梓「今のところスタートラインの100メートルくらい後ろにいるように思えますけどぉ」
唯「だ、大丈夫だよ」
梓「あ、でも唯先輩と同学年になるのもいいかもぉ」
唯「私は先輩でいたいよ」
梓「無理無理ぃ。唯じゃ無理ぃですよぉ」
唯「あずにゃん、もう休んだら」
梓「しょうがない、ですねぇ。あぁ。ひざ、きもちい」
唯「やれやれだね」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/01(水) 00:00:11.47 ID:edDRRbco<>最近考えたこと。リア充はいいSS書くなぁ。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/01(水) 07:43:18.78 ID:LlA5tvQo<>原作準拠なのにどうしてもキモイとか言う唯ちゃんに
違和感を感じてしまう・・・・<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/01(水) 07:58:52.39 ID:Q2.VrsAO<>面白いから頑張ってくれ
でもこのペースだとすぐに唯が卒業しちゃいそうだな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:37:07.57 ID:xWh3fjAo<>梓「先輩達が修学旅行から戻って来て数日後の雨の日。
遠くの空がピカッと光ったかと思うと轟音が鳴り響いた。
近くを歩いていた女子中学生二人組がキャッと抱き合って身を屈めた。
私も思わず隣の彼女に抱きつきそうになったがなんとか思いとどめた。
彼女はというと、いつも背負っている相棒が不在でそれどころではないようだ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:37:51.15 ID:xWh3fjAo<>梓「唯先輩」
唯「う〜……ギー太ぁ」
梓「雷すごかったですね」
唯「心配だよ〜」
梓「近くに落ちなかったから大丈夫ですよ」
唯「私にはギー太なしの生活なんて無理だよ……」
梓「ついこの間まで旅行に行ってたじゃないですか。ギー太を置いて」
唯「ああ、何て恨めしいのかしら、この雨」
梓「梅雨明けはもう二週間くらい待たないと駄目ですね」
唯「ちょっと雨が弱くなってきたし取りに帰ろうかなぁ」
梓「明日の朝も雨です……にゃっ!!」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:38:33.69 ID:xWh3fjAo<>唯「はぁ〜ぎぃたぁ」
梓「い、今のは凄く近くに落ちましたね」
唯「あ、あそこのアイス屋さん今日おやすみなんだぁ」
梓「定休日ですからね」
唯「さむーい」
梓「肩濡れてますよ。ハンカチかタオルありますか」
唯「ギー太も部室で一人寂しく寒さに耐えているのかなぁ」
梓「エリザベスも一緒ですけどね。はい、タオル貸しますよ」
唯「私も今夜は寂しい夜を……」
梓「もぉ、しょうがないですねぇ。ほらじっとしててください。拭きますから」
唯「はぁ〜っ」
梓「ふらふらしないでくださ……に゛ゃっ!!」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:39:32.96 ID:xWh3fjAo<>唯「あ、雷? 学校に落ちてないか心配だなぁ」
梓「避雷針があるから大丈夫だと思います。っとすみません。腕掴んじゃって」
唯「うわぁ川の水あふれそう」
梓「そうですね。早く帰りましょう」
唯「ギー太……」
梓「唯先輩、全然私の話聞いてくれませんね」
唯「うぅ」
梓「今なら普段言えないことを言っても構わないですよね。聞いてないんですから」
唯「おうまいギー太〜」
梓「じゃあ…………」
唯「あ、ねこちゃん」
梓「私は…………」
唯「雨に濡れてかわいそう」
梓「…………やっぱりむり」
唯「ね、あずにゃん」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:40:32.39 ID:xWh3fjAo<>梓「はい?」
唯「あの仔猫ちゃん、弱り切ってるみたいだけど」
梓「ですね」
唯「助けてあげなくていいのかな」
梓「大丈夫ですよ。見てください」
唯「あ、お母さん?」
梓「人間の偽善で連れて行かれたら仔猫もいい迷惑ですよ」
唯「厳しいですな、あずにゃん」
梓「唯先輩。やっと私の存在に気付きましたね」
唯「あ、あははは……」
梓「まぁいいんですけどね。でも私が傍にいなかったら唯先輩、きっと車にはねられてましたよ。ふらついてましたから」
唯「あ、ありがとね、あずにゃん」
梓「ギー太ギー太言うのもほどほどにしといてください。危ない人に見えますから」
唯「うん。気を付ける」
梓「どうして突然私に話しかけたんですか」
唯「あの子あずにゃんに似てるなぁって思って横見たらあずにゃんがいたから……」
梓「……唯先輩の中の優先順位はギー太>猫>私なんですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:41:33.74 ID:xWh3fjAo<>唯「そ、そんなことないよ。私、順位なんてつけてない」
梓「無意識のうちにそういうことになってるんですよ」
唯「そんなことない」
梓「無機物や動物に負ける私……」
唯「あずにゃん、やきもちぃ?」
梓「いえ、唯先輩の性癖に呆れてるだけです」
唯「あずにゃ〜ん。部室でのウブな反応はどこへ行ったの〜?」
梓「何のことですか。もう忘れちゃいましたね」
唯「あ、待ってよー。置いてかないでー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:42:32.74 ID:xWh3fjAo<>梓「長いような短いような夏休みも今日が最終日。
高二の夏といえば高校生活の中間地点。中だるみの最高地点だ。
部活に精を出す生徒ならば寧ろ最も充実した時を過ごす時期かもしれないが、私はそっち側の人間じゃない。
先輩達が受験生だから、という言い訳もあるにはあるが、元からそこまで熱心な部活とは言えないのが我が軽音部だ。
憂や純と好きなだけ遊んでいた私が先輩達を責められるはずもない。
おっと、電話だ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:43:18.41 ID:xWh3fjAo<>梓『はい』
唯『もしもし? あずにゃん?』
梓『どうしたんですか、こんな時間に』
唯『用がなかったら電話しちゃ駄目かな?』
梓『切っていいですか』
唯『待って! 本当に用事ないけど切らないで!』
梓『まぁ、退屈してたのでいいですけど』
唯『ふぅ。しばらく会ってないけどあずにゃんは変わらないね』
梓『唯先輩も相変わらずみたいで何よりです』
唯『それ、褒めてるの?』
梓『はい』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:44:12.61 ID:xWh3fjAo<>唯『今年の夏はどうでしたか、あずにゃん』
梓『楽しめましたよ。憂や純と一緒に色々な所へ行きました』
唯『私も一緒に行きたかったなぁ。ねぇどこに行ったの?』
梓『プールに映画に祭りに海に……ていうか憂から聞いてるんじゃないんですか?』
唯『そうだけど、あずにゃんの感想を聞きたいなぁって』
梓『感想ですか。そうですねえ。「普通」っていいなぁと思いました』
唯『どうしたのかな。改まって』
梓『私の常識感覚がこの一年半でかなり狂ってしまったんだと自覚しました』
唯『私達、そんなに変かなぁ。割と普通の女子高生だと思うけど』
梓『一見普通に見えてどこかズれている。それが私達軽音部の日常だと思いますよ』
唯『最近その手のアニメが流行ってるらしいよ』
梓『知りませんよ』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:45:07.78 ID:xWh3fjAo<>唯『ねぇ海はどうだった?』
梓『いい所でしたよ。去年の合宿で行った所ほどではありませんでしたけど』
唯『やっぱりムギちゃんのとこは違うよねぇ』
梓『プライベートビーチと一般の海水浴場ですからね』
唯『それでそれで? 海ではどうだったのかな?』
梓『どう、とは?』
唯『ナンパされたりした?』
梓『お生憎様です』
唯『どうしてだろうね』
梓『純のご両親に同伴してもらいましたし、それに憂や純はともかく私は……ねぇ』
唯『あずにゃんが、どうしたの?』
梓『言わせないでください』
唯『私だったら水着のあずにゃんを見つけたらすぐに飛びつくけどなぁ』
梓『唯先輩が男だったら無事に新学期を迎えることはできなかったでしょうね』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:46:26.56 ID:xWh3fjAo<>唯『まぁ楽しんだみたいで何よりだよ』
梓『はい』
唯『あずにゃんの寝顔写真もゲットできたし』
梓『はい?』
唯『憂がくれたんだー。帰りの車の中で撮ったらしいよ。とっても可愛かったから思わず、だって』
梓『憂……何だかんだ言って唯先輩の妹だね』
唯『できた妹を持つと幸せですなぁ』
梓『ええ。憂みたいな妹が欲しかったです』
唯『私が一人っ子だったらどうなってたかな』
梓『自分でしなきゃいけないことが増える分、もう少ししっかりした人になってたんじゃないでしょうか』
唯『あずにゃんみたいに?』
梓『私は別にしっかりしてませんよ』
唯『またまた〜。あずにゃんくらいのしっかり者さんはめったにいないよ』
梓『そんなことないです。私はただ、人に頼るのがヘタクソなだけで……』
唯『あずにゃん?』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:47:22.24 ID:xWh3fjAo<>梓『いえ、何でもないです。そろそろ寝ませんか。明日から学校ですよ』
唯『今日から、だよ〜』
梓『ああ、もう日付変わってますね』
唯『またちょっとズれた日常が始まるんだね〜』
梓『そうですね。最終回はいつになったらやって来るんでしょうか』
唯『もうちょっとだけ続くと思うよ〜』
梓『それはよくない予感がしますね』
唯『あずにゃんは早く最終回が来てほしいの?』
梓『そうですね。いつまでも子供じゃないんですから』
唯『さすがはあずにゃん。意識高いねー。でも』
梓『何ですか?』
唯『でも、私だってそんなあずにゃんの先輩だよ。あずにゃんがどう思ってても』
梓『……じゃあ今日からは真面目に練習してください!』
唯『うぅ……あずにゃん先輩厳しいっす』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 00:48:57.31 ID:xWh3fjAo<>梓『……本当は、変わってほしくないんですけどね』
唯『ん? 何か言った?』
梓『無理矢理変えるのはよくないですね、って言ったんです。全く似合ってないのに髪を金色に染めたクラスメートをこの前街で見かけてそう思いました』
唯『あ〜そういう子いるよね。どういう心境なんだろうね。夏が人を惑わすのか……』
梓『さぁ? 少女マンガチックな運命の出会いでもしたんじゃないですか』
唯『あずにゃんはその子と友達でいてあげてね。きっと人に言えない悩みごとを抱えているはずだから』
梓『その子と特別仲がいいわけじゃないんですが』
唯『じゃあこれを機に友達になりなよ。ひょっとすると面白い子かもしれないよ』
梓『どちらかというと厄介な子のように思えます。まあちょっと興味は湧きましたが』
唯『そうそう。一期一会だよ〜』
梓『しょうがないですね。でも新学期早々遅刻したらイメージ悪いですからそろそろ寝ましょう』
唯『そうだねー。じゃ、おやすみあずにゃん』
梓『おやすみなさい、唯先輩』<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/03(金) 00:50:10.08 ID:xWh3fjAo<>もうちょっとだけ続くんじゃ。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 02:15:26.65 ID:fpARprQo<>永久に続けてください<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 05:14:37.39 ID:XE5xu3I0<>DBで言うとこれからサイヤ人編だから当分続くなww<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/03(金) 20:55:42.73 ID:fdgD4wUo<>ほのぼので癒される<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:04:01.02 ID:n5jSwdso<>梓「学園祭を一週間後に控えた放課後。
先輩達のクラスは『ロミオとジュリエット』の劇をやるらしい。
ロミオ:澪先輩、ジュリエット:律先輩、脚本:ムギ先輩、木(G):唯先輩だそうだ。
色々と見所があるのは確かだけど、皆さん軽音部のことを忘れてそうでちょっと不安だ。
部室に来てるのに楽器を手にしないで突っ立っている先輩を一瞥しつつ私は一人ギターを弾く」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:04:53.63 ID:n5jSwdso<>唯「しずかなること林の如く」
梓「うるさいです」
唯「動かざること山の如く」
梓「お菓子不足でふらついてますね」
唯「おかしかすめること火の如く」
梓「お菓子を盗むって意味じゃないですよ」
唯「ときこと風の如し、あずにゃんのギタープレイ」
梓「どもです」
唯「あー、動かないって意外と大変だね」
梓「はぁ、そうですか?」
唯「そうだよ。優雅に水面に浮かぶ白鳥も見えないところでバタ足してるものなんだよ」
梓「それはクレイジーですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:05:53.66 ID:n5jSwdso<>唯「ああー、ギター弾きたいなー」
梓「弾けばいいじゃないですか」
唯「でも木の練習をサボるわけには」
梓「ちょっとくらいサボったってバチは当たりませんよ」
唯「じゃあ歌の練習だけでもしようかな」
梓「わかりました。ふわふわでいいですか」
唯「おっけー。1・2・3・4」
梓「ジャカジャカジャカジャカジャカ」
唯「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI……」
梓「ジャカジャカジャンジャン」
唯「いーつもがんーばる キーミの横顔……」
梓「ジャンッジャンッジャンッ」
唯「あぁカミサマお願い二人だけの Dream Time ください……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:06:52.65 ID:n5jSwdso<>梓「ジャーン」
唯「ふぅ。うーん久し振りに歌うと気持ちいいね」
梓「私もいい練習になりました」
唯「一人で弾いてても寂しいもんね」
梓「そうですね」
唯「珍しく素直だ」
梓「事実ですからね。しょうがないです」
唯「さすがのあずにゃんも寂しさには勝てないようだね。さあお姉さんの胸に飛び込んでおいで」
梓「さて、そろそろ休憩しますか」
唯「無視しないでよあずにゃ〜ん。今の私は縄文杉より雄大なんだよー」
梓「パック○チョでも食べててください」
唯「あむ、もぐもぐ。○アラのマーチがいい」
梓「すいません。ないです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:07:49.74 ID:n5jSwdso<>唯「うぅ。まぁパックンチ○も悪くないね。もぐもぐ」
梓「いろ○すです」
唯「ごくごく。ありがとう」
梓「何だか介護みたいですね」
唯「あずにゃん。将来私の面倒を見てくれるかい?」
梓「それはちょっと……」
唯「がーん」
梓「私の方が早死にするかもしれないじゃないですか」
唯「でも私はあずにゃんに看取られて逝きたいよ」
梓「唯先輩はそう簡単には死なない気がします。っていうかどうしてこんなに暗い話になってるんですか。学園祭前だっていうのに」
唯「あずにゃんが振った話題じゃん。私、唯先輩の面倒をみたいです、って」
梓「そんなこと言ってません」
唯「あ、水もらえるかな?」
梓「はい」
唯「ごくごく」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:08:38.95 ID:n5jSwdso<>梓「全く。唯先輩は全然変わりませんね。この一年半ずっと」
唯「そう言うあずにゃんは結構変わったんじゃないかな」
梓「まぁ、そうですね。色々な出会いがありましたからね」
唯「ま、あずにゃんはあずにゃんだけどね。あずにゃんらしさは全然色あせてないよ」
梓「私らしさって何なんでしょうか」
唯「私にもよくわからないや。抱き心地はずっとそのままかな?」
梓「それは嬉しくないですね。成長してないってことじゃないですか」
唯「あずにゃんはこのままでいいんだよぉ〜」
梓「唯先輩の好みは関係ありません」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:10:09.23 ID:n5jSwdso<>唯「出会いかぁ。そういえばあずにゃん。一年くらい前にみんなでコンビニに行ったときに会った店員さん、覚えてる?」
梓「ああ、確か唯先輩と同学年の……」
唯「今年あの子と同じクラスになったんだ」
梓「そうなんですか」
唯「うん。あの子にはいつもお世話になってるよ。授業中居眠りしてる時起こしてもらったり、お弁当のおかずと購買のパンを交換してもらったり、体育のバドミントンのダブルスで私のミスをカバーしてもらったり」
梓「いい人なんですね」
唯「うん。大好きだよ!」
梓「……出会いですか。そういえば夏休み最後の日に話したこと覚えてます?」
唯「うーんと、確かクラスメートが金髪になってたとか言ってたっけ。その子とはどうなったの」
梓「話しかけてみましたよ。あ、髪は黒に戻ってました」
唯「それで、どんな子だったの?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/05(日) 05:11:34.61 ID:n5jSwdso<>梓「話してみると……意外と真面目な子って印象を受けましたね。本当に夏休みのあれは何だったんでしょうか」
唯「そのことについて聞いてないの?」
梓「聞いてないですね。あまり踏み込みすぎるのはよくないと思いましたから」
唯「ふぅん。まぁ友達にはなれたんだよね。よかったじゃん」
梓「ええ。学園祭では茶道部の部室にぜひ来てほしいって言われました」
唯「茶道部なんだ」
梓「はい」
唯「ライブには誘った?」
梓「……はい」
唯「放課後ティータイムのファンが一人増えたんだ。やったね」
梓「ですね」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/05(日) 05:13:16.96 ID:n5jSwdso<>唯「ライブ、成功するといいね」
梓「成功させるんです」
唯「応援してくれる人がいるしね」
梓「プレッシャーになるからあまりそこは考えないようにしてます」
唯「大丈夫だよ? もう少し力を抜いても。あずにゃんのファンはきっとありのままのあずにゃんを見たいんだよ」
梓「私は唯先輩みたいに強心臓じゃありませんよ。中々不安は取り除けないです」
唯「うーん。あずにゃんがそんなんじゃ私が辛いよ」
梓「えっ?」
唯「あずにゃんには自信満々に演奏して私を引っ張ってもらいたいんだよ。あずにゃんは頼りになるからね」
梓「私、頼りになりますか?」
唯「うん! 自信持って!」
梓「ありがとうございます。じゃあステージ上ではいつでも頼ってくださいね」
唯「おっけー。よーし、学園祭成功のため、練習頑張るぞー。……」
梓「あの、木はいいですから、そろそろギターの練習をした方が……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:09:05.44 ID:1/9JEioo<>梓「先輩達にとって高校生活最後の学園祭は、最高の形で幕を閉じた(私はそう思っている)。
とはいうものの、先輩達は相変わらず部室に顔を出している。
受験勉強をするという名目で(実際はお茶時々演奏のいつもの軽音部だけど)。
私はというと、一人で練習しようとしても結局は先輩達に流されてしまっていた。
いや。白状すると、流されるというよりも私は自分の意思で先輩達の方へ歩み寄っているんだ。
私は先輩達からたくさんのものをもらっている。今日だってそう。普段より重みが増している鞄に心地よさを感じていた」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:09:58.02 ID:1/9JEioo<>唯「やっぱりプリッツはサラダ味だねぇ」
梓「ローストでしょう」
唯「わかってない。わかってないよあずにゃん」
梓「ローストのシンプルな良さがわからない人は可哀想ですね」
唯「サラダはシンプルさ+申し訳程度の味付けでより洗練されたシンプルになってるんだよ!」
梓「意味がわからないです。そもそもサラダのどこがサラダ味なんですか」
唯「それは言っちゃあいけないお約束だよ」
梓「それより、食べながら歩くのはよしたらどうです? 下品ですよ」
唯「もうなくなっちゃったよ。あ、あそこのファミレス寄ろうよ」
梓「まだ食べるんですか」
唯「違うよ。あずにゃんにおごってあげるんだよ。それが私からのプレゼント」
梓「はぁ、ありがとうございます」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:10:27.84 ID:1/9JEioo<>唯「あずにゃん、今日は一段と笑顔が素敵だねぇ」
梓「さて、何注文しようかな」
唯「このピリ辛ジンジャーパフェなんてどう?」
梓「ないですね」
唯「じゃあ無難にこのいちごパフェかなぁ」
梓「高くないですか? それに大きいです」
唯「今月はおこづかい節約したから大丈夫。それに二人で食べるならちょうどいいよ」
梓「二人でって」
唯「すいませーん。特製いちごパフェ一つくださーい」
梓「ちょっと」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:11:35.96 ID:1/9JEioo<>唯「あずにゃん、今日は一段と笑顔が素敵だねぇ」
梓「はぁ、そう見えますか」
唯「みんなからプレゼントもらえてうれしいのかな?」
梓「そうですね」
唯「りっちゃんからは何をもらったの?」
梓「ゲームソフトです。リズムゲームなんですけど、もう飽きたから梓にやる、って言ってました」
唯「りっちゃんも素直じゃないなぁ。ツンダレっていうんだっけ、そういうの」
梓「ちょっと違うと思います」
唯「澪ちゃんからは?」
梓「ヘアーアクセサリーです。以前私が欲しがっていたものを覚えていてくださったみたいです」
唯「それ今度学校に着けて来てね」
梓「学校に着けて来るにはちょっと派手すぎるかも……。あ、ムギ先輩からは香水を貰いました」
唯「ムギちゃんいい匂いだもんねぇ」
梓「そうですね。ちょっとくらくらするくらい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:12:29.14 ID:1/9JEioo<>唯「憂と純ちゃんからは?」
梓「憂からは手作りの手袋を、純からは駅前のドーナツ屋の割引券を貰いました」
唯「あずにゃんは愛されてるね〜」
梓「はぁ、嬉しいですね」
唯「照れちゃって。かーわいっ」
梓「そんなことないです」
唯「でもみんなのプレゼントと比べると私のは物足りないかなぁ」
梓「そんなことないですよ」
唯「そうかなぁ」
梓「去年の唯先輩の誕生日なんて、私お金使ってないですし」
唯「それは私が誕生日を教えてなかったから……。私はあずにゃんへのプレゼントが思いつかなかったからこんなことしかできなくて……」
梓「受験生なんですからプレゼントを選ぶ時間なんてなくて当然です。誕生日を覚えていてもらえただけでも嬉しいです」
唯「でも……」
梓「パフェ、来ましたね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:13:21.53 ID:1/9JEioo<>唯「うわぁ、おっきいねぇ」
梓「そうですね。ではいただきましょう」
唯「うん。いただきまーす。んっ?」
梓「あ、あーん」
唯「あずにゃん……」
梓「あーん!」
唯「もぐもぐ。あずにゃんったら……」
梓「悪いですか」
唯「んーん。はい、あーん」
梓「もぐもぐ。おいしいですね」
唯「そだねー。でも」
梓「何ですか?」
唯「他の人がこっち見てるよ」
梓「……別に気にしません」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 05:14:58.08 ID:1/9JEioo<>唯「もぐ。あずにゃん、今夜うちに来ない?」
梓「もぐ。すみません、家族との約束がありますから」
唯「もぐもぐ。そっかぁ、ならしょうがないね」
梓「もぐもぐ。すみません」
唯「いいよいいよ。もぐ。あずにゃんは愛されてるねぇ」
梓「妙なところで過保護なんですよね、うちの親。もぐ」
唯「うらやましいよ、もぐもぐ」
梓「そうですか? もぐ」
唯「残念ではあるけどね。もぐ。誕生日やクリスマスにあずにゃんと一緒に過ごせないのは」
梓「もぐ。別に夜一緒に過ごす必要は……」
唯「あっ」
梓「どうしたんですか」
唯「わかったよ。あずにゃんと一緒に過ごす方法」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/06(月) 05:16:11.96 ID:1/9JEioo<>梓「どうするんですか」
唯「家族になればいいんだよ!」
梓「はぁ?」
唯「私があずにゃんの家族になればいいんだよ!」
梓「はぁ、どうやって?」
唯「うーん。どうすればいいんだろ?」
梓「無理じゃないですか」
唯「さて困ったね」
梓「とにかく、今夜は一緒に過ごせないですね」
唯「じゃあクリスマスまでにはあずにゃんと家族になる方法を考えとくよ」
梓「そんなに早く答えは出ないでしょ。せめて来年の誕生日を目標にしたらどうですか?」
唯「うーむ、そうだね。現実的に考えるとそうだね。……それにしても」
梓「食べきれない、ですね」
唯「もうお腹一杯」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 16:08:08.38 ID:D9Auy36o<>ほんとに仲良しで、微笑ましいな。なんか来るものがある。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 20:33:31.88 ID:rHuXjsI0<>本編の唯と梓に限りなく近い関係性が表れているな
映像化されなかった日常を補完してくれているようですごく嬉しい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/06(月) 21:44:38.26 ID:KQoDB3Ao<>アニメで放送された分なんて唯と梓が過ごした2年間の、ほんの抜き出し程度だからな
こうやって色々と妄想できるのはありがたいよな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 02:03:50.27 ID:y.ZpuzIo<>梓「あけましておめでとうございます。
今日はみんなで初詣。私達軽音部のメンバーの他に憂、純、和先輩を加えた8人で近場の神社に押し掛けていた。
茶髪ロングの見覚えのある後ろ姿も見かけたが、話しかけづらい雰囲気だったので敢えて無視しておく。
お参りを終え、おみくじを引いたら解散するのかと思いきや、皆さん、屋台でお買い物を始めなさった。私もリンゴ飴を買ったけども。
受験勉強、しなくていいのかなぁ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 02:04:51.61 ID:y.ZpuzIo<>唯「わたあめいかがっすか」
梓「いただきます」
唯「賑わってるねぇ」
梓「あむ。新年ですからね」
唯「ああ、欲望渦巻く新年の社」
梓「唯先輩の食欲もほどほどにしてください」
唯「むぅ。私だって食い意地張ってばかりじゃないんだよ。18にもなれば多種多様な欲求が生まれるものなのさ」
梓「夢は大きく、欲は小さく、と言いますね」
唯「私のこの胸にははち切れそうなほどの夢が詰まってるんだよ」
梓「そうなんですか」
唯「いやん。そんなにジロジロ見ないで」
梓「勘違いしないでください」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 02:05:55.43 ID:y.ZpuzIo<>唯「あ、さわちゃんだ。一人なのかな」
梓「みたいですね」
唯「何だか熱心にお祈りしてるみたいだけど」
梓「もう三分間くらいずっとあの調子ですけど」
唯「何をお願いしてるんだろう」
梓「きっと先輩達がみんな第一志望に合格するようにお願いしているんですよ」
唯「さすがさわちゃん。我らが担任」
梓「立派ですね」
唯「うーん、やっぱりあれくらい熱心じゃなきゃ願いは叶わないのかな」
梓「いえ、ほどほどでいいと思います。ところで唯先輩は何をお願いしたんですか」
唯「色々あって迷ったんだよね。ギターが上手くなりますようにとか、アイスの値段が下がりますようにとか、たらふく食べられますようにとか」
梓「一つに絞ってください。それに肝心なのが抜けてますよ」
唯「まさかぁ、忘れるわけないよ」
梓「そうですか」
唯「あずにゃんがもうちょっと私に優しくなりますように」
梓「受験はどうでもいいんですか」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 02:06:49.04 ID:y.ZpuzIo<>唯「うそうそ。ちゃんとお願いしたよ。みんなで一緒の大学に行けますようにって」
梓「本当ですよね」
唯「あずにゃんは何をお願いしたの?」
梓「……さわ子先生と一緒です」
唯「そっか。ありがとね」
梓「唯先輩が浪人なんてしたら、気になって私が部活に専念できなくなりますから」
唯「何で私が落ちること前提なの〜?」
梓「一番心配ですから」
唯「りっちゃんもどっこいどっこいだよ〜」
梓「律先輩は世渡り上手っぽいので心配してません」
唯「私だって人生という大海原を逞しく生き抜いてみせるよ」
梓「今は海賊ブームみたいですからよした方がいいと思います」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 02:07:30.68 ID:y.ZpuzIo<>唯「いや、私は海を渡るよ」
梓「海外へ行きたいんですか?」
唯「そういうわけじゃないけど、船に乗りたいんだ」
梓「どうしてですか」
唯「解放感に浸りたいんだよ。この辛い受験戦争でボロボロになった体を癒すためにね」
梓「全然ボロボロになってませんよ。もう少し自分をいじめてもいいと思います」
唯「ああ、誰か私をこの辛い現実から連れ去ってくれないかしらぁ」
梓「私は嫌ですからね。というか今日の唯先輩は妙に芝居がかってますね」
唯「ちょっと頭よさそうにふるまってみました! 受験生ですから」
梓「逆効果です」
唯「そうっすか」
梓「そうっすよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 02:08:37.27 ID:y.ZpuzIo<>唯「船に乗りたいな〜」
梓「乗るのは受験終わってからにしてください。卒業旅行とかするんじゃないですか?」
唯「おお、そうだね。楽しみだなぁ」
梓「でも受からないと行けないですよ。みんなが旅行を楽しんでる中、一人予備校探しなんてことになったら悲惨ですよ」
唯「うぅ、なんて厳しいんでしょうこの子は。担任や進路指導の先生よりも厳しいよ」
梓「先生方、優しいんですね」
唯「あずにゃんの鬼ぃ。悪魔ぁ」
梓「はいはい。じゃあ鬼と大学で同期にならないように頑張ってください」
唯「うん。絶対に今年卒業旅行に行くよ!」
梓「はぁ。しょうがない人ですね」
唯「あずにゃんも一緒にね」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/07(火) 02:09:49.49 ID:y.ZpuzIo<>梓「……はぁ」
唯「行きたくないの?」
梓「一緒に行ってもいいんですか?」
唯「当たり前だよ。今日のこのメンバーで行こうよ」
梓「なんか気がひけますね」
唯「いいんだよ。みんなで最後の思い出作りをしようよ」
梓「最後……」
唯「あずにゃん?」
梓「いえ、楽しみですね」
唯「じゃあ早速旅雑誌を買いに本屋へ……」
梓「英語の問題集を買ってください」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:16:24.54 ID:y.ZpuzIo<>梓「先輩達は桜が丘高校を無事卒業した。
3月末、私はフェリーの甲板上を歩いていた。少々肌寒い。
卒業旅行は結局国内ということになったが、飛行機や新幹線は使わず、フェリーを使うことになった。
唯先輩と……ムギ先輩たっての希望で。
今は帰りのフェリー。明日の朝には楽しかった旅行も終わる。
私は星空の下を歩いていた。この2年間、私を惑わしてきた歌声に誘われて」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:17:41.10 ID:y.ZpuzIo<>梓「唯先輩」
唯「あずにゃん」
梓「どうしたんですか」
唯「解放感に浸ってたんだよ」
梓「綺麗な星空ですね」
唯「潮風が気持ちいいね」
梓「寒くないですか」
唯「大丈夫。へっくし」
梓「カーディガン着てください」
唯「ありがとう」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:18:41.08 ID:y.ZpuzIo<>梓「探しましたよ。夕食をとったら突然いなくなるんですから」
唯「ごめんねぇ。ちょっと一人になりたくて」
梓「私、お邪魔でしたか?」
唯「ううん。ここ、座りなよ」
梓「脚出すと危なくないですか?」
唯「どうして?」
梓「サメに食いつかれそうです」
唯「まさかぁ。この高さだよ」
梓「わかりませんよ。急に海が荒れて打ち上げられたサメにガブリといかれるかも」
唯「そんなことになったら脚だけじゃすまないね」
梓「ですね」
唯「ほら、脚に水しぶきが当たって気持ちいいよ」
梓「しょうがないですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:20:07.01 ID:y.ZpuzIo<>唯「ごはんおいしかったね」
梓「フェリーの料理はおいしくないって印象がありましたけど意外といけましたね」
唯「みんなで食べたからじゃないかなぁ」
梓「そうかもしれませんね」
唯「? あれ、今悲鳴聞こえなかった?」
梓「純の声ですね。お風呂で律先輩かさわ子先生あたりにいじられてるんじゃないですか」
唯「なーんだ。卒業旅行帰りの女子高生たちが事件に巻き込まれて……ってパターンかと思ったよ」
梓「マンガじゃないんですから。縁起でもないこと言わないでください」
唯「みんなお風呂に入ってるの?」
梓「澪先輩とムギ先輩と憂と和先輩はもう上がりました。他の3人は今入ってます」
唯「あずにゃんは?」
梓「私はまだです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:21:07.28 ID:y.ZpuzIo<>唯「どうして?」
梓「唯先輩を探してたからですよ」
唯「ごめんね」
梓「いいですよ。あまり人が多い時に入るのは好きじゃないですからね」
唯「恥ずかしがり屋さんだねぇ」
梓「悪かったですね」
唯「愛おしいよ」
梓「え?」
唯「あ、可愛いよ」
梓「はぁ」
唯「うーん、酔ってるのかな、私」
梓「そんな風には見えませんけど」
唯「あー、ちょっと私おかしくなってるかも」
梓「元からちょっとおかしい人ですよ、唯先輩は」
唯「相変わらずの辛口だねぇ、あずにゃん」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:22:22.10 ID:y.ZpuzIo<>梓「この辺りの海にサメはいるんでしょうか」
唯「さぁ? サメを見たいの? あずにゃん」
梓「いいえ。ちょっと気になったことがあるんですよ」
唯「何かな?」
梓「サメって独占欲強いのかなぁって」
唯「それは一体どういうわけで?」
梓「サメって獲物を見つけたらそれを食いちぎるまで執念深く食いついていくものじゃないですか。血のにおいを追いかけるって話も聞きますね」
唯「それが独占欲?」
梓「ちょっと違うのかもしれませんけど、狙った獲物は逃さないっていうのは人間の恋心に通じるものがあるんじゃないかと思います」
唯「あずにゃんは独特の感性をしてるんだねぇ。澪ちゃんもびっくりだよ」
梓「私も酔ってるのかもしれませんね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:23:38.96 ID:y.ZpuzIo<>唯「ふぅ」
梓「どうしたんですか」
唯「楽しかったねぇ」
梓「そうですね」
唯「あのアトラクションに乗った時の澪ちゃん、すごい驚きようだったね」
梓「驚きすぎて隣の律先輩の首を絞めてましたね」
唯「和ちゃんの眼鏡がびしょ濡れになっちゃってさぁ」
梓「さわ子先生の眼鏡にはヒビが入ってましたね」
唯「ムギちゃんと憂は何に乗っても笑顔が絶えなかったね」
梓「見てるこっちの顔がほころびましたね。純のリアクションも別の意味で楽しく見させてもらいましたけど」
唯「あずにゃんは」
梓「唯先輩は」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:27:35.83 ID:y.ZpuzIo<>唯「最初は何でも平気ですって強気な表情見せて」
梓「最初はビビって乗り気じゃなさそうな表情をして」
唯「でもだんだん我慢できなくなって頼りなさ気な顔して」
梓「やってみるとすぐに馴染んじゃって自信満々な顔して」
唯「弱気な表情を見せるのも一瞬ですぐに立て直して」
梓「強気な表情も長くは続かずにすぐに飽きちゃって」
唯「でもやっぱり怖がりさんで」
梓「やっぱり怖いもの知らずで」
唯「迷惑かけたくないのか凄く小さなサインを出して」
梓「曖昧なサインに敏感に反応して手を差し伸べて」
唯「嬉しかったらさりげなく可愛く微笑んで」
梓「嬉しかったら弾けるような笑顔を見せて」
唯「しまいには手を握ってきちゃうんだよね」
梓「最後には人の手を鷲掴みする始末です」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 06:29:18.17 ID:y.ZpuzIo<>唯「あれ? 何の話してたんだっけ?」
梓「さぁ、話している内に忘れちゃいました」
唯「酔ってるねぇ」
梓「酔ってます」
唯「もうちょっとだけ頭冷やそうかな」
梓「私もそうします」
唯「うわっ、しぶきが顔に」
梓「だいじょうぶですか。ハンカチ貸しますよ」
唯「ありがとう、あずにゃん」
梓「こちらこそ」
唯「そうだ。酔い覚ましに歌なんてどう?」
梓「いいですね」
唯「じゃあ二人で練習したあの歌でいいかな」
梓「……ああ、あれですか」
唯「ギー太とむったんも連れて来たかったね」
梓「こんなところじゃ弾けませんよ」
唯「それもそうだね。じゃ、準備はいいかな?」
梓「はい」
唯「いくよー。1・2・3」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/07(火) 06:30:58.41 ID:y.ZpuzIo<>ここから先は「ぼくのかんがえたゆいあず!」ぶりが非常に濃くなることが予想されます
悪しからず<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 12:41:39.07 ID:I4InnVYo<>とてもいいとおもいます<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 12:56:43.92 ID:RCZpx8Eo<>いやかなり期待してるよ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 21:14:31.68 ID:hHzomZQo<>存分にやってくれ!<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/07(火) 22:28:06.13 ID:SwcCydEo<>期待<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:46:43.79 ID:UxPXdhko<>梓「放課後ティータイムが一年間の休止期間に入ってから一ヶ月が過ぎた。
午前10時。私はとあるマンションの802号室の前に立っていた。女子大生の一人暮らしらしく、オートロック完備のマンションだ。
事前に教えてもらった暗証番号を入力し、インターホンからの返答を受けてマンションに入り、エレベーターで8階まで上った。
少しドキドキしながらチャイムを鳴らす。
1秒経つか経たないかのうちに扉が開き、私は例の如く抱きつかれた。
唯先輩は部屋着のままだった」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:47:48.95 ID:UxPXdhko<>唯「よく来たねあずにゃ〜ん」
梓「びっくりさせないでください。私以外が来てたらどうするつもりだったんですか」
唯「あずにゃんの気配がしたもん。間違うわけないよ」
梓「何ですかそれ。ていうかその様子だと、今起きたところ、って感じですね」
唯「えへへ、そのとーり」
梓「えへへじゃありませんよ。約束忘れてたんですか」
唯「昨晩は楽しみで眠れなくて。久しぶりにあずにゃんに会えるんだって思ったらいても立ってもいられなくなったんだよ。しょうがないよ」
梓「しょうがなくないです。子供じゃあるまいし。」
唯「ん? あずにゃん、目が赤いけど寝不足?」
梓「……とにかく早く着替えてください。時間がもったいないです」
唯「はいはーい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:48:48.76 ID:UxPXdhko<>梓「ここですか」
唯「そう! ここが私たちの新しい学び舎だよ! あそこに見える講義棟で私達は日夜勉学に励んでいるんだよ」
梓「唯先輩、ちゃんと勉強しているんですか? 今日みたいに寝坊して欠席したりしてませんか」
唯「ないよ! ……今のところは」
梓「澪先輩達に助けてもらってるんでしょ」
唯「当たりです……。みんなのモーニングコールのおかげで何とかやってます……」
梓「しょうがない人ですね」
唯「あずにゃんも気が向いたら電話してくれないかな。あずにゃんの声聞いたら嫌でも目が覚めそうだから」
梓「キンキン声で悪かったですね」
唯「天使のささやきだよぉ」
梓「背筋が寒くなりました」
唯「褒めてるんだよ〜?」
梓「そもそも、私は朝っぱらから唯先輩のことなんか考えてませんよ」
唯「私は朝から晩まであずにゃんのこと考えてるよー」
梓「……そこまではいいです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:49:57.39 ID:UxPXdhko<>唯「続いてここは体育館。ここでは毎日多くの学生がバスケをしたり卓球をしたりバドミントンをしたり筋トレをしたりしています」
梓「唯先輩は利用したことあるんですか?」
唯「もちろん。空き時間にバーベルをフンスフンスと持ち上げて鍛えてるよ」
梓「バーベルの棒だけだったりして」
唯「あれだけでも重いんだよ?」
梓「それで? パワーアップしたんですか?」
唯「見てよこの力こぶ」
梓「あんまり変わったようには見えませんね」
唯「じゃあこれならどうだ!」
梓「おわっ!」
唯「だっこ……。ほら、ちょっとだけ浮いたよ」
梓「……そりゃ浮きますよ。こんな勢いよく突進されたら」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:51:07.64 ID:UxPXdhko<>唯「お、グラウンドで何かやってるね」
梓「ラクロスですね。いかにも大学って感じがしますね」
唯「へー。あれラクロスっていうんだ」
梓「知らなかったんですか」
唯「どういうスポーツなのかな」
梓「私も詳しくは知りませんね。そういえば以前ラクロスを題材にした映画があったような」
唯「へぇ。面白かった?」
梓「さぁ、覚えてないですね。試合してるみたいだし見て行きますか」
唯「うーん、それより……」
梓「なんですか?」
唯「ご飯食べに行かない?」
梓「そういえば唯先輩朝食とってないんでしたね」
唯「もう疲れて歩けそうにない」
梓「しっかりしてください。近くにオススメのお店はありますか」
唯「学食は祝日はお休みだし……。あ、大学出てから歩いて一分位行ったところに行きつけの食堂があるよ。そこに行こうか」
梓「わかりました」
唯「あずにゃ〜ん。おんぶしてー」
梓「いやです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:52:30.07 ID:UxPXdhko<>唯「うん。相変わらずおいしいね、このお店」
梓「そうですね。特に生姜焼きが」
唯「おばさんの得意料理だしねー」
梓「店長さんと唯先輩、仲良さそうですけど親戚か何かですか」
唯「違うよ? 週4くらいで来るしよく話すからすっかり仲良しになっちゃったんだよ」
梓「唯先輩らしいですね」
唯「何が?」
梓「誰とでもすぐに仲良くなるところが」
唯「えへへ、あずにゃんに褒められちゃった」
梓「でも馴れ馴れしいとも言えますね」
唯「どうして一言つけ足すかなぁ?」
梓「ところで律先輩達は帰省してるんでしたっけ」
唯「話逸らされた……。うん。三人共昨日家に帰ったよ」
梓「唯先輩は帰らないんですか」
唯「まぁね。憂はよくうちに来るし、私も結構頻繁に家に帰ってるしね」
梓「頻繁に帰ってる?」
唯「あれ? 憂から聞いてない?」
梓「昨日お姉ちゃんに会ったとかいう話はよく聞きますけど、てっきり憂が唯先輩の部屋を何回も訪ねてるからだと思ってました。休日は私も結構憂の家に行ってますけど、一回も唯先輩に会ってませんから」
唯「私達、すれ違ってたのかもね」
梓「帰って来てるなら教えてくれてもいいのに」
唯「私に会いたかった? あずにゃん」
梓「まさか」
唯「あずにゃんだってあんまり電話やメールくれないよね」
梓「私は……唯先輩だって新しい生活で忙しいのかなと思って」
唯「私も一緒だよ。あずにゃんは新しい軽音部のことで頭がいっぱいなのかなって思ってた」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:53:44.17 ID:UxPXdhko<>梓「……すみません。自分のことを棚に上げて」
唯「私も一緒だよ」
梓「会おうと思っても中々会えない。なのに連絡は頻繁にとる。これじゃあ寂しさが募るばかりだと思いませんか」
唯「でもたまには声を聞かないと寂しいよ。電話越しでもいいから。だからねあずにゃん」
梓「これからは毎朝電話をかけることにします」
唯「毎朝は……つらいかなぁ」
梓「じゃあ二日に一度で」
唯「うん。私もこれからはもっと連絡するから。……おばちゃーん、いつものー!」
梓「なんですか、いつものって」
唯「デザートだよ。たい焼きセット」
梓「おいしそうですね」
唯「もちろんおいしいよ〜」
梓「ひっつかないでください。ほら、店長さんがニヤニヤしながらこっちを見てますよ」
唯「ダメだよ〜。会えない時には電話する。会えるときにはしっかり充電。これをしなきゃ愛が冷めちゃう」
梓「離れてください。全く。結局いつも通りですか」
唯「久しぶりのいつも通りだね」
梓「まぁ、そうですね」
唯「食べ終わったら私のお気に入りの場所へ連れて行ってあげるね」
梓「どこですか?」
唯「大学の敷地の隅っこにある原っぱ。大きな木があるところ」
梓「あ、たい焼きセット来ましたね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:55:14.64 ID:UxPXdhko<>唯「あー、くったくった」
梓「だらしないですね」
唯「いいんだよ。あずにゃんにしか見られてないし」
梓「何ですかそれ」
唯「一人の時はよくここに来るんだー。この木にもたれてギターを弾いたりしてさ」
梓「人があまり来そうにない場所ですね」
唯「まぁねー。ベンチも設置されてないし、お店や自販機も遠いからね」
梓「でも居心地はいいです」
唯「そうなんだよ。ここに来る度にあずにゃんのことが頭に浮んでね」
梓「どうして私なんですか」
唯「安心できる場所、だからかなぁ」
梓「そうですか」
唯「この間なんてここでギターを弾くのに夢中になりすぎてね。警備員さんに声をかけられた時はもう真っ暗になってたよ」
梓「しょうがない人ですね」
唯「別の時はいつのまにか寝てて起きた時は夜だったり」
梓「危ないから気をつけてください」
唯「でも今日はあずにゃんと一緒だから大丈夫かな」
梓「すいません。私もちょっと眠くなってきました」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:56:39.55 ID:UxPXdhko<>唯「あっ」
梓「どうしたんですか」
唯「明日が期限のレポートまだやってない……」
梓「もう、しっかりしてくださいよ」
唯「ちょっと待ってて。図書館に本を借りに行くから。その後私の部屋に帰るけど、いいかな?」
梓「私、もう帰った方がよくないですか。お邪魔でしょ」
唯「……できればもうちょっと一緒にいてほしいかな」
梓「しょうがないですね。唯先輩がレポートを仕上げてる間に私は部屋の掃除でもしておきますよ」
唯「おお、ありがとう。ついでに夕飯とお風呂も」
梓「夕飯はいいですけど、お風呂はご一緒できませんね」
唯「別に一緒に入ろうなんて言ってないよ〜。汗を流していけばって意味で」
梓「……いいから早く行ってください。時間がありませんよ」
唯「ほいほーい。行ってきまーす」
梓「全くもう……」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/10(金) 14:57:18.05 ID:UxPXdhko<>寒い<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 14:59:00.26 ID:E17YyjEo<>そうだ、それでいい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/10(金) 20:04:39.30 ID:DnzCLWMo<>オリジナルに突入しても相変わらず会話がリアルでいいな。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:42:48.00 ID:jv5SF2Qo<>梓「7月最初の土曜日のこと。
私達は人里離れた豪邸の庭にいた。
周囲にはフォーマルな服装の男性が多数いて、ビジネスのお話やら高級な娯楽のお話やらで盛り上がっているようだ。
海外のドラマや映画でよく見るホームパーティーみたいだ。というかここは本当に日本なのだろうか。
あらゆる意味で一般人の私の想像を遥かに超えた誕生日パーティーだった。
豪華な料理を遠慮なしに頬張っている彼女は大物と言っていいのかもしれない」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:44:17.71 ID:jv5SF2Qo<>唯「あずにゃん! このチキンおいしいよ」
梓「もうお腹いっぱいです」
唯「そんなに食べてないじゃん」
梓「食べました」
唯「あれ、りっちゃんと澪ちゃんは?」
梓「律先輩は食べ過ぎたみたいで室内で休んでます。澪先輩は付き添いに」
唯「そっかー。私達大学生は普段ひもじい思いをしているからこういう場では気が済むまで食べたくなるものなんだよ」
梓「まぁ、わかりますけど。ほどほどにしとかないとお腹壊しますよ」
唯「大丈夫。私の胃袋は宇宙だから。あ、そのワイン取って」
梓「駄目です」
唯「私お酒結構強いよー?」
梓「まだ未成年ですし、酔い潰れたら厄介です。誰が面倒見ると思っているんですか」
唯「ケチ」
梓「ケチで結構です」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:45:38.07 ID:jv5SF2Qo<>唯「んー」
梓「どうしたんですか」
唯「いや、ムギちゃんも見当たらないなぁって」
梓「ムギ先輩は他のお客様と会うのに忙しいんですよ、たぶん。しょうがないです」
唯「残念だなぁ。いっぱいお祝いの言葉を伝えてあげたいのに」
梓「もう少し待てば来てくれますよ」
唯「そうだね」
梓「それにしても、私達場違いだと思いませんか?」
唯「まぁしょうがないよ。私達が無理矢理頼みこんで招待してもらったんだし」
梓「無理矢理?」
唯「ムギちゃんの誕生日パーティーはりっちゃんの部屋でやろうって話になってたんだけどね。でもムギちゃんのお父さんが別荘でパーティーを主催して、ムギちゃんは断れなくて」
梓「そうだったんですか」
唯「でもムギちゃんは私達と一緒に祝いたいって言ってくれて、どうにか私達もこのパーティーに出席させてもらえたんだ」
梓「そういう経緯があったんですか。私までお招きいただいてよかったんでしょうか」
唯「当たり前だよー。あずにゃんも仲間なんだから」
梓「ありがとうございます。でも人前ですからもう少し離れてください」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:46:31.81 ID:jv5SF2Qo<>唯「えっ? いえ、違います。私はムギちゃ……紬お嬢様のお友達ですよー」
梓「私はお嬢様の高校の後輩です。お嬢様にはいつもお世話になっています」
唯「……はーっ、びっくりした。あずにゃん。私って名家のご令嬢に見える?」
梓「いえ、全然」
唯「だよねー。何だったんだろうあのおじさん」
梓「やっぱり私達は場違いなのかもしれませんね。それより唯先輩」
唯「なに?」
梓「もう、口元にソース付いてますよ」
唯「あ、ありがとね、あずにゃん」
梓「あの人もどうかしてますね。唯先輩をお嬢様と思うなんて」
唯「それはどういう意味で?」
梓「庶民的、ってことです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:47:12.64 ID:jv5SF2Qo<>唯「まぁさておき。ムギちゃんが来るまではあずにゃんとおしゃべりしとこうかな。積もる話もあるでしょう」
梓「会うのは2ヶ月ぶりですからね」
唯「部活はどう? 確か新入生が二人入ったって言ってたよね」
梓「ええ。一人目はゴールデンウィーク後すぐに入部しました」
唯「どんな子?」
梓「大人しめの子です。経験はないそうですがドラムをやりたいと言って入部しました」
唯「大人しめのドラマー、かぁ」
梓「雰囲気はムギ先輩に近い感じの子ですね。ちょっと怖がりなところは澪先輩っぽいかも」
唯「りっちゃんと会わせたらどうなるかな?」
梓「たぶん律先輩のテンションにビビって憂の後ろに隠れちゃいますね」
唯「これまた可愛らしい新入生だね」
梓「ええ、可愛いですよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:48:14.76 ID:jv5SF2Qo<>唯「もう一人は?」
梓「もう一人は……昼休みに音楽室でピアノを弾いている子を見つけて勧誘しました。先月のことですね」
唯「どんな子なの?」
梓「何でも昔からピアノをやってたそうなんですが、音楽系の部活をいくつか見て回っても自分に合う部が見つからなかったとか。どの部もピアノが目立たないからいやだって」
唯「へー。その子は軽音部にも見学に来たの?」
梓「いえ、軽音部は最初から眼中になかったみたいですね。ピアノは使わないだろうって。私は去年までキーボードを弾いていた先輩がいるんだよって言ってやりました。そしたら」
唯「そしたら?」
梓「どうせ地味だったんでしょう、って言われました。カチンと来ましたよ」
唯「それはカチンと来るね」
梓「その日の放課後、一年生の教室にその子を捕まえに行って、部室に連れ込みました。それから今までのライブのDVDを全部見せてやりました」
唯「で、どうだったの?」
梓「最初その子は黙りこんでました。しばらくすると立ち上がって『私、軽音部に入部します!!』って」
唯「よかったね」
梓「はい。今は『目指せムギ先輩!』って言って元気にキーボードを弾いてますよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:49:22.43 ID:jv5SF2Qo<>唯「その二人に、憂に純ちゃんかぁ。賑やかそうで羨ましいよ〜」
梓「先輩達がいた頃ほどじゃありませんよ。でも楽しくやってます」
唯「よかったぁ」
梓「先輩達はどうですか。軽音サークルに入ったんですよね」
唯「うん。まだライブとかはしてないけど、変わらず4人でバンドやってるよ」
梓「澪先輩も律先輩もムギ先輩もあまり変わったようには見えませんね」
唯「いやー、みんな少しずつ大人になっているんだよあずにゃん」
梓「合コンにでも行ったんですか」
唯「行ったよ」
梓「えっ」
唯「先輩に誘われて断れなくてねー。あ、何もなかったけどね。ただ飲んだり食べたりしただけ」
梓「本当ですか」
唯「本当だよ〜」
梓「確かめさせてください」
唯「どうやって?」
梓「あー、無理ですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:50:17.91 ID:jv5SF2Qo<>唯「でも最近はあまり誘われないなぁ」
梓「どうしてでしょうか」
唯「私達、基本的に4人でいることが多いからかなぁ。高校時代と変わらずね」
梓「大学でも入り込めないオーラを出してるんですか、先輩達」
唯「あ、でもハブられてるわけじゃないからね」
梓「唯先輩や律先輩の性格ならそんな心配はしませんよ」
唯「ムギちゃんと澪ちゃんもかなり積極的だよ。特に澪ちゃんはがんばってるよ」
梓「澪先輩が恥ずかしがり屋を克服したんですか?」
唯「克服、はしてないと思うけど、うーん、ちょっとオープンになった? 結構趣味の合う人を見つけてるみたいだよ。音楽とか小説とかで」
梓「大学って色んな人がいそうですもんね」
唯「楽しみになったかな?」
梓「ええ、そうですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 01:51:30.40 ID:jv5SF2Qo<>唯「今は4人グループだけど、来年は5人グループになるのかな?」
梓「高校の時と同じですね」
唯「でもあずにゃんなら私達以外の友達もたくさん作れるよね」
梓「友達作りに自信はありませんけどね」
唯「大丈夫だよ、あずにゃん。迷えるピアニストを軽音部にスカウトした時と同じ感覚で声掛ければいけるよ。あずにゃんは可愛いし」
梓「それ、関係あるんですか。あ、別に自分で自分のことを可愛いと思ってるわけじゃありませんよ。言っておきますけど」
唯「ダメだよ。自分に自信を持たなきゃ」
梓「いえ、そういう問題じゃないと思います」
唯「あずにゃんみたいに好奇心旺盛な子は大学に来ても楽しめるよ。待ってるからね」
梓「……はい。でもその前に」
唯「うん、学園祭ライブには絶対行くから」
梓「見せてあげますよ。新しい軽音部を」
唯「あずにゃんかっこいー」
梓「すいません、今のセリフは取り消しで」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/13(月) 01:52:40.30 ID:jv5SF2Qo<>唯「あ、りっちゃん達戻ってきたよ」
梓「ですね」
唯「さぁみんなに聞かせてあげて、新しい軽音部の話」
梓「……わかってますよ。あ、言い忘れてましたけどトンちゃんはひとまわり大きくなりました」
唯「あずにゃん、愛情注ぐのはいいけどね」
梓「わかってますよ」
唯「そういえば来年からトンちゃんはどうするの?」
梓「それはこれから考えます」
唯「私のマンションはカメなら飼っていいらしいよ」
梓「そうなんですか」
唯「あ、ムギちゃんも来たね。さてさて」
梓「はい」
唯「ムギちゃーん! 誕生日おめでとーっ!!」
梓「ムギ先輩、誕生日おめでとうございます!」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 07:21:40.96 ID:mPxmZVko<>良いなこの空気。おつおつ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/13(月) 07:54:28.21 ID:8bwoU8oo<>徹底して唯と梓の会話のみっていうのがおもしろいな。<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:30:33.01 ID:wJmRb92o<>梓「私は今、3度目の学園祭のステージに立っている。
一曲目のふでペンのボーカルは私。二曲目のカレーのボーカルは憂。
三曲目のホッチキスはまた憂。今演奏中。
次のU&Iも憂。憂に負担をかけすぎて申し訳なく思っている。
それに、結局新曲を作らずにかつての軽音部の曲を引き続き使っていることに後ろめたさを感じている。
でも、私達のバンドにだって先輩達に負けない良さがある。それを先輩達に示したかった」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:32:32.53 ID:wJmRb92o<>梓(ちょっとドラム弱いかな、ドラ美)
唯(りっちゃん、少しは落ち着きなよ。あの子は恥ずかしがり屋さんなの)
梓(リズムはしっかりキープしてるんだけどなぁ。自信持っていいんだよ)
唯(あずにゃんが目配せしてるでしょ。ほら、あの子も本気を出せばあんなにパワフルに叩けるんだよ)
梓(この子は練習に真面目に取り組んでいたからね。上達は凄く早かった)
唯(どうしたの、りっちゃん。膨れちゃって。もしかして嫉妬? 大丈夫、りっちゃんにはりっちゃんの良さがあるから)
梓(でも、少し物足りなさはあった。ドラムにも、性格にも、あの人ほどの刺激がないというか)
唯(手がかからなそうな子だよね)
梓(誰よりも早く部室に来て先に練習を始めるけど、誰かが来たら遠慮して叩くのをやめちゃう。ある意味手がかかる子だったね)
唯(あの子、どうしてドラムを始めたのかな)
梓(でも、これだけ大人しい子がどうしてドラムなんて激しい楽器を選んだのか、私には疑問だった。この子はきっと……変わりたかったんだと思う)
唯(あ、またちょっと弱くなってきた。がんばれー)
梓(目立とうとしたら、人に怒られるんじゃないか。でも控えめな自分が嫌い。そういう気持ちを行ったり来たりしてたんじゃないかな。入部が遅かったのもギリギリまで自分自身と格闘してたから?)
唯(今度は純ちゃんが目配せを)
梓(私達はドラ美のことを認めてるけど、ドラ美自身はそうは思っていない。自分は下手なんだって気負いすぎてしまう)
唯(もっと笑顔を見せてもいいんだよ〜)
梓(でもね、いいんだよ。下手でも)
唯(あずにゃんがまた後ろを見た?)
梓(ドラムなんてストレス解消に叩くもの、くらいに考えてもいいんだよ?)
唯(なんか、あずにゃんすごくいい笑顔なんだけど……。あの子困惑してるよ)
梓(なんかドラム叩きたくなっちゃってさー、とか言っていきなり叩き始めたっていいんだよ)
唯(あの子の表情も和らいできたね)
梓(そしたら、みんなも自分の楽器を弾き始める。そのうち音も心も一つになる。バンドってそういうものだよ)
唯(あ、笑った)
梓(さぁ、楽しもうよ、ドラ美)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:34:18.47 ID:wJmRb92o<>唯(しかしあのキーボードの子、楽しそうだなぁ)
梓(ちょっと落ち着きなさいよ、鍵子。ちゃんと目立ってるから)
唯(あずにゃん、今度は私に向けるような呆れた視線をキーボードの子に)
梓(憧れのムギ先輩が来てくれる、って教えたからいつも以上に張り切ってるのかな。そういえば先輩達が見つからない)
唯(ふおぉ!? ムギちゃんまでハイテンションに?)
梓(だから落ち着きなさいって。そんなに興奮したらぶっ倒れるよ)
唯(あ、あの子こっちに気付いたみたい)
梓(まぁ、先輩達が来てて落ち着かないのはわかるけどさ。……私だってそうだし)
唯(あずにゃんは気付いてないのかな。手を振ってみようか)
梓(この子は才能もあるし、努力も人一倍する。でも何かが足りなかった)
唯(うぅ、あずにゃんがまた思案顔に。こっちに気付いてくれない)
梓(何が足りないか……。強いてあげるとすると、「安定感」かな。モチベーションがなくなると全く弾けなくなる)
唯(あの子、凄い汗。激しすぎじゃないかな)
梓(でも、目標を定めたら行きすぎと言っていいくらいのめり込む。両極端なんだよね)
唯(また呆れた視線をキーボードの子に)
梓(そういう風には微塵も思ってないだろうけどさ、鍵子)
唯(あずにゃん、ニヤリ)
梓(鍵子はドラ美に似てるよ)
唯(これまた困惑してるよ、あずにゃん)
梓(自分を保てるものがなくて必死にあがいてる。不安に駆りたてられて自己表現が上手くできない)
唯(泣かせちゃダメだよ、あずにゃん)
梓(大丈夫だよ、鍵子)
唯(でも、あずにゃんもすっかりお姉さんだね)
梓(だって鍵子は鍵子だもん)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:35:55.23 ID:wJmRb92o<>唯(ムギちゃん、どうしたのかな。真剣な顔つきだけど)
梓(ムギ先輩になれなくてもいいんだよ。鍵子の鍵盤だって魔法を奏でることはできるんだよ)
唯(んー。キーボードの音色がちょっと変わった?)
梓(ま、鍵子の鍵盤には76人の小悪魔が住み着いてるみたいだけどね)
唯(あずにゃん、またもニヤリ)
梓(あ、それと新部長はドラ美に任せようと思うんだ。鍵子じゃ不安だから)
唯(あずにゃん、またまたニヤリ)
梓(おーおー怖いよ、その目。あずにゃん泣いちゃうよー)
唯(あずにゃん……。何か見てはいけない顔を見た気がするよ)
梓(でも、二人が入ってくれて本当によかった。楽しかったよ。ありがとう)
唯(ららまたあしたー)
梓(軽音部を、よろしくね)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:37:56.52 ID:wJmRb92o<>唯(次の曲はなんだろう)
梓(次は……U&I)
唯(U&I かぁ)
梓(憂もこの半年で大分変わったと思う)
唯(がんばって、憂)
梓(憂のギターは私が教えることもないくらい完璧だった。2年前の学園祭前に聞いたときよりさらに上手くなっていた)
唯(憂はがんばってたからね)
梓(あの後も、家で唯先輩と一緒にギターを弾いていたんだろうね)
唯(上手上手)
梓(でも今の憂を表現するのに「完璧」なんて言葉は似合わない)
唯(それに……楽しそう)
梓(技術的には完璧であることには違いない。でも、それ+αを表現できるようになったと思う)
唯(私もあんな顔でギターを弾いて、歌ってたのかな)
梓(他でもない「憂自身」を歌とギターで表現できるようになった、というのかな)
唯(いや、私とは似てないかも)
梓(憂はいつも人を陰から支えていた。本人はそれを苦痛とは思ってないだろうし、寧ろ喜んで引き受けていたと思う)
唯(憂は憂だもんね)
梓(でも、自分が表に出ることがないよう、無意識的に自分を抑えつけている面もあったんじゃないかな)
唯(うーん)
梓(私や純と一緒の時でさえ、半歩くらい後ろに立っていたような気がする)
唯(憂、なんだか……)
梓(少しずつ、少しずつだけど、憂は自分を見せるようになった。ちょっぴりわがままな憂を見れた時は嬉しさがこみ上げてきたよ)
唯(あどけない表情、だね。子供の頃、私と走り回ってた時の顔)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:39:27.02 ID:wJmRb92o<>梓(唯先輩のお世話から解放されたから、なんて思ってないよ。そんなこと言ったら唯先輩は泣いちゃうからね)
唯(はて、どうしてあずにゃんの口元が緩んでるのかな)
梓(憂を輝かせた一番の要因は、お姉ちゃんへの憧れだと私は考えてる)
唯(今度は憂の方を見てるね)
梓(楽しそうなお姉ちゃんを見て自分も同じステージに立ちたい。そういう子供っぽい気持ちが憂の中にあったんだと思う)
唯(あずにゃんも楽しそうだなぁ)
梓(今の憂は唯先輩と同じように、人を引き付ける演奏をしているよ。憂自身の個性を発揮してね)
唯(私も……)
梓(私も……)
唯(あのステージに立ちたい)
梓(楽しい)
唯(憂……大きくなったねぇ)
梓(振り返ってみると、私がこのステージに立っているのは、あの時憂が手を引いてくれたからだ)
唯(あずにゃん、純ちゃん、今まで憂を支えてきてくれてありがとう)
梓(その後も、いつも傍にいてくれたし、何度も励ましてくれた)
唯(これからも憂のこと、よろしくお願いします)
梓(憂、今までありがとう。これからもよろしくね)
唯(……口に出さないと伝わらないよね)
梓(……ライブが終わったら感謝の言葉を伝えよう)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:40:46.94 ID:wJmRb92o<>唯(あ、純ちゃんミスった?)
梓(ミスっても顔色一つ変えないのはさすがだね、純。さすがの図太さ)
唯(あずにゃんのジト目に余裕の笑みで返す純ちゃん……。さすがです)
梓(純のマイペースさには呆れを通り越して尊敬の念さえ抱くよ)
唯(失敗してもすぐに持ち直す。いい腕してるね。ね、澪ちゃん)
梓(澪先輩の後任のベーシストであることに何らプレッシャーを感じていない。寧ろ、私が澪先輩の後継者だーってはしゃいでたね)
唯(澪ちゃんとは全然違う、何て言うか……味があるね)
梓(夏フェスの時も純が一番はしゃいでた。今までのうっぷんを晴らすように思う存分楽しんでた)
唯(純ちゃんって意外と気が利く子なのかも)
梓(純はいつだって自由気ままだ。けど、妙に気が回るところがある)
唯(みんなのことよく見てるよね)
梓(ただ無神経なだけかもしれないけど、私達が言えないようなことも平気で口に出せた。後で考えると、そのおかげで助かったっていう場面がいくつもある)
唯(さっきもドラムの子のミスをすぐにカバーしてたね)
梓(動機は不純だけど楽しむ時は純粋に楽しむ)
唯(純ちゃんってかっこいいよね、澪ちゃん)
梓(澪先輩ほどじゃないけど、いいベーシストだと思ってるよ、純)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:42:07.11 ID:wJmRb92o<>唯(そういえば純ちゃんってジャズ研じゃなかったっけ)
梓(まさかジャズ研を抜けて軽音部に来てくれるなんて思ってもみなかったよ)
唯(そっか、あずにゃんのために……)
梓(ジャズ研の友達とちょっと気まずくなってたのも知ってるよ。隠してるつもりかもしれないけど)
唯(さっきのジャズ研の演奏の時とかどんな気持ちで聞いてたんだろう)
梓(ジャズ研に未練がないはずはない。私も純には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。だから……)
唯(でも……)
梓(だから、純には最高の思い出を軽音部で作ってもらいたかった。それが私にできる罪滅ぼしと恩返し)
唯(今、純ちゃんはすごく楽しそうだね)
梓(……なんてことは本人の前じゃ口が裂けても言えないけどね)
唯(いい友達を持ったね、あずにゃん)
梓(そうでしょ、純。私が突然感謝の言葉を口にしたら、気味悪いよね)
唯(音楽っていいよね)
梓(私達には言葉に出さなくても思いを伝える手段があるんだから、それで勘弁してよね)
唯(純ちゃんとあずにゃんを見てたらそう思うよ)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:44:15.52 ID:wJmRb92o<>梓(次が最後……)
唯(次で最後、かな?)
梓(これで最後、なんだよね)
唯(あずにゃん)
梓(最初は不安だった。一人取り残された部室でトンちゃんに餌をやるばかりで。そのうち私の居場所が消えてしまうんじゃないかっておびえてた)
唯(よくここまでがんばったよ、あずにゃん)
梓(でも、この5人で新しい軽音部を作ることができた。胸を張れるような音楽を紡ぎ出すことができた)
唯(胸を張っていいよ、あずにゃん。……でも)
梓(もっとこのメンバーでバンドを続けたいと思った)
唯(あずにゃんが私達以外とバンドを組んでるのを見て、寂しくないと言えば嘘になる)
梓(去年も同じ気持ちだったかな)
唯(放課後ティータイムのことはすっかり忘れてしまってるんじゃないかって不安な気持ちもあるよ)
梓(先輩達との思い出はまだ私の脳裏に鮮明に焼き付いてる)
唯(私達のところに戻って来てくれるの? あずにゃん)
梓(でもね、憂、純、ドラ美、鍵子)
唯(あずにゃん……)
梓(私にとって、このバンドが世界で一番……)
唯「あずにゃーんっ!!」
梓(!! …………ごめん、みんな。やっぱり……一番、とは、言えないよ)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 05:45:48.95 ID:wJmRb92o<>唯(あずにゃん?)
梓(……私にとっての一番は放課後ティータイム。これは一生変わらないよ)
唯(どうしたんだろう)
梓(もし出会う順番が逆だったら、なんて意味もない仮定はしない)
唯(もしかして私のせい?)
梓(私は凄く幸せ者なんだと思う。ずっと続けたいと思えるようなバンドが二つもできるなんて)
唯(そんな悲しい顔しないで、あずにゃん)
梓(でもどちらか一つを選ばなければならない時が必ずやってくる。その時私が選ぶのは……)
唯(ほら、みんな笑ってるよ)
梓(だから、みんな)
唯(みんなあずにゃんのこと、立派な部長だと思ってるよ)
梓(今日までは、いや、卒業するまでは、このバンドの一員でいさせて? わがままな部長でごめんね)
唯(みんな、あずにゃんのことが大好きだよ)
梓(ありがとう)
唯(あずにゃん……)
梓(もう少し待っててくださいね、唯先輩。私にはまだここですることがあるんです。しょうがないです、よね?)
唯「ごめんね、あずにゃん」
梓「最後の曲! 聞いてください!! ふわふわ時間!!」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/14(火) 05:46:47.10 ID:wJmRb92o<>難しい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 06:19:04.76 ID:neGehdIP<>ドラ美にうろたえはしたけど問題無いぞうん<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 08:07:41.70 ID:eHZJLac0<>唯視点をうまく使うことで客観的に見たステージの様子を読者に伝えているな
構成にかなり苦労したと思われるがあずにゃんの部長姿が生きていて素晴らしい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/14(火) 13:03:29.98 ID:4pXwzhso<>なんていうか、すげえ
すげえとしか言えないのがくやしい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/16(木) 02:10:47.38 ID:Y2r93kEo<>泣いてもよかですか?<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 11:55:56.17 ID:52EELv.o<>梓「クリスマスイヴ。
焼き芋屋さんの屋台が家の前を通過したみたいだ。
シャーペンをノートの上に置く。時刻は午後5時。
大きく伸びをして身体を倒す。コタツから出るのがおっくうだ。
と思ったところでチャイムの音が響いた。他人の家とはいえ無視するのはいけないから、しぶしぶコタツから出る。
ふらふらした足取りで玄関に辿り着き、覗き窓を通して相手を確認する。
フードを被ったこの家の長女の笑顔が見えた」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 11:56:32.58 ID:52EELv.o<>唯「ただいまーっ! う…い……?」
梓「……おかえりなさい」
唯「どうしてあずにゃんが?」
梓「一緒に勉強してたからですよ。憂から聞いてませんか?」
唯「聞いてないよ」
梓「唯先輩が帰って来るなんて話も聞いてませんよ」
唯「憂には伝えてたんだけどなぁ」
梓「憂……ひょっとしてわざと?」
唯「そういえば憂は?」
梓「買い物に行ってます」
唯「そっかぁ」
梓「とりあえず上がってください。……って私が言うのも変ですね。唯先輩の家なのに」
唯「おじゃましまーす。おお、ぬくいぬくい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 11:57:38.64 ID:52EELv.o<>梓「……まずは部屋に荷物を置いてきたらどうですか?」
唯「まずはコタツで身体をあっためてから。お、こんにちは、純ちゃん」
梓「たぶん夕飯の時間まで寝てますよ。そっとしておいてください」
唯「勉強がんばってたんだね〜」
梓「まぁ、はい」
唯「そんながんばる受験生にはこれをあげよう」
梓「焼き芋ですか」
唯「そこで買ったんだー。半分こしよっか」
梓「二個しか買ってなかったんですね」
唯「うん。もう一個は憂と純ちゃんの分ね。はい、召し上がれ」
梓「いただきます」
唯「う〜ん、おいしいね〜」
梓「ですね〜」
唯「でもクリスマスイヴに焼き芋っていうのはちょっと変だよね」
梓「まぁいいじゃないですか。夜はクリスマスらしいごちそうを食べられますよ。憂は張り切ってましたから」
唯「あ、クリスマスらしいと言えば……」
梓「どうしたんですか、唯先輩」
唯「ちょっと待っててね、あずにゃん」
梓「? はい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 11:58:23.09 ID:52EELv.o<>唯「おまたせ〜。冷蔵庫に入れるのを忘れてたよ」
梓「ケーキも買って来たんですか」
唯「んーん、バイト先でもらったんだよ」
梓「唯先輩、バイトしてたんですか」
唯「うん。9月から近所のケーキ屋さんで働いてるんだけど、言ってなかったっけ?」
梓「聞いてませんよ」
唯「ごめんね。忙しかったから」
梓「そういえば憂が、お姉ちゃんあまり帰ってこなくなったって言ってましたね」
唯「憂の方も部活に勉強に大変だったろうし、邪魔しちゃ悪いかなーって」
梓「憂は寂しそうでしたよ」
唯「もうちょっとの辛抱だよ。去年は私でさえギー太を封印しようとしたんだから」
梓「『しようとした』って未遂ですか」
唯「結局憂に預かってもらいました」
梓「憂は唯先輩のように誘惑に負けたりしませんよ」
唯「あずにゃんはどうかな?」
梓「私は……私も憂寄りです」
唯「そうかな?」
梓「そうです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 11:59:54.82 ID:52EELv.o<>唯「今日明日と年末年始はうちにいるつもりだから憂に寂しい思いはさせないよ」
梓「今日からずっといるわけじゃないんですね」
唯「まぁね。バイトとか友達との約束もあるし」
梓「唯先輩もすっかり大学生ですねー」
唯「そんなにしみじみ感傷に浸らなくても」
梓「唯先輩がケーキ屋さんですかー」
唯「むー。なにその生温かい笑顔。私だって頼りにされてるんだよ」
梓「バイトって売り子だけですか?」
唯「作るのも手伝ってるよー」
梓「……大丈夫なんですか?」
唯「なんなら今度私の手作りケーキをご馳走してあげるよ」
梓「…………たのしみですねー」
唯「その間は何?」
梓「それより、そろそろ荷物を部屋に持って行ったらどうですか」
唯「うん、そうするよ。よいしょっと」
梓「何ですか」
唯「ん?」
梓「なんでで私の手を掴むんですか」
唯「一緒に来てよ」
梓「コタツ出たくないです」
唯「私の部屋には入りたくない?」
梓「興味ないですね」
唯「またまた〜」
梓「あぁもうしょうがないですね」
唯「それでこそあずにゃんだよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 12:01:16.32 ID:52EELv.o<>梓「うぅ、やっぱり寒い」
唯「ヒーターつけたらすぐあったまるよ。ポチッとな。適当に座って」
梓「ベッドでいいですか」
唯「どうぞー。よっこらせっと。ふかふかだねぇ」
梓「綺麗に片付いてますね。意外です」
唯「憂に感謝しなきゃねー」
梓「あぁ、やっぱり」
唯「私が今住んでる部屋だってそんなに散らかってないよー?」
梓「どうでしょうか。憂が頻繁に訪ねてた5月でさえあれだったんですから、今はどうなってる事やら」
唯「そんなに気になるならうちに来なよー」
梓「受験が終わってからですね」
唯「そうだ。うちの大学に受験しに来るなら前日から私の部屋に泊まれば遅刻の心配はなくなるよ」
梓「唯先輩の部屋だとせいぜいもう一人しか寝られないですよ。憂を誘ったらどうですか」
唯「憂は寝坊しないから大丈夫だよ」
梓「私だって寝坊はしませんよ」
唯「わからないよ? あずにゃんはちょっと危なっかしい子だからね〜」
梓「……そもそも唯先輩と一緒だと余計寝坊しそうです。泊まるなら澪先輩かムギ先輩のところですね」
唯「また私とりっちゃんをバカにしてー。私達が何をした!」
梓「受験前日にお酒飲まされたりしたら洒落にならないですからね」
唯「私達だって分別というものはわきまえているよ。そういうのは合格祝いの時にやるから安心して」
梓「その時は合格取り消しにならない範囲でなら付き合います」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 12:03:09.58 ID:52EELv.o<>唯「うーん。たぶんさわちゃんが呼んでもいないのに乱入してきそうだからそれは難しいね」
梓「さわ子先生だって先生らしいところはありますよ」
唯「さわちゃん、今年はあずにゃん達の担任だったんだっけ」
梓「はい。またお淑やか系のキャラで通そうとしてたみたいですけど、しょっちゅう地が出てたのであまり意味なかったみたいです」
唯「私達がいなくてもさわちゃんはさわちゃんだねぇ」
梓「でも、ギターは教えてもらいましたし、進路のことも親身に相談に乗ってもらいました。ついでに学園祭の衣装も……」
唯「可愛かったよね、あのフリフリミニスカ」
梓「今思うとなんであれを着れたんでしょうか」
唯「そこがさわちゃんの魔翌力なんだよ」
梓「教師以外でも食べていけそうな人ですよね」
唯「でも確かにさわちゃんがいたから私達は好き勝手やれたのかもね」
梓「それがよかったのかどうかはわかりませんけど、いなかったらものすごく寂しくなっていたと思います」
唯「最近ちょっとさわちゃんが恋しくなってたところなんだよ」
梓「それならもっと会いに来ればよかったじゃないですか。先生も先輩達に会えなくて寂しそうでしたよ」
唯「ごめんね」
梓「私に謝ってどうするんです」
唯「来年はもう少し桜高を訪ねるようにしようかな」
梓「はい。私も軽音部のことが気になりますから一緒に行きますよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 12:04:14.01 ID:52EELv.o<>唯「そうだねー……っと」
梓「メール? 誰からですか」
唯「りっちゃん。あ、澪ちゃんとムギちゃんと和ちゃんからも来てた」
梓「全く、しっかりしてくださいよ」
唯「あー、そうだよね」
梓「どうしたんですか」
唯「今日うちでパーティーしない?って誘ってたんだけど、受験生のお邪魔になっちゃうからって断られちゃった」
梓「なんか気を遣わせちゃったみたいで悪いですね」
唯「もしかして私も、あずにゃんの勉強邪魔しちゃった?」
梓「いえ、ちょうど休憩時間でしたから。一人だとあまり集中できないんですよね」
唯「じゃあ私が教えてあげよっか」
梓「さて、そろそろ憂が帰って来る時間かな?」
唯「あずにゃ〜ん。今夜はオールナイトでみっちりコーチしてあげるつもりだったのに〜」
梓「あ、すみません、親から電話みたいです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 12:05:34.31 ID:52EELv.o<>唯「うん」
梓「もしもし、お母さん?」
唯(お母さん、かぁ。そういえばあずにゃんのお母さんと会ったことないなぁ)
梓「うん。まだ平沢さんの家。……そんなことないよ。ちゃんと勉強してたってば」
唯(そうですよー)
梓「あ、夜?」
唯(晩ごはんなんだろう)
梓「……ねぇ、お母さん」
唯(なにかな?)
梓「今夜、平沢さんの家に泊まっちゃダメかな?」
唯(ん?)
梓「あ、お姉さんに代わるね」
唯「え? あ、えーと、はじめまして。平沢と申します。はい。梓ちゃんには姉妹共々お世話になってます。えー……」
梓「もしもし。そういうことだから、夕飯はいらない。それじゃ……え? お姉さんに? うん、わかった」
唯「もしもし? あの……梓ちゃんのことは私に任せてください。必ず無事にお返ししますので。……はい、大丈夫です。ありがとうございます。では失礼します」
梓「じゃあね、お母さん。……ふぅ」
唯「どういうことなの? あずにゃん」
梓「私、元々泊まるつもりはなかったんです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 12:07:07.67 ID:52EELv.o<>唯「えっ?」
梓「純が寝てましたから留守番をしてましたけど、憂が帰ってきたら私はお暇するつもりでした」
唯「どうして?」
梓「去年までと同じ理由です」
唯「……そっか。来年は親元を離れるかもしれないし、親御さんもできるだけあずにゃんが目の届く範囲にいてほしいんだろうね。しょうがないよ」
梓「しょうがないんでしょうか?」
唯「あずにゃん?」
梓「来年だってクリスマスには帰って来いって言われるかもしれないし、再来年だってそうです。もういい加減私は子供じゃないってわからせてあげたいです」
唯「あずにゃんのことが大切なんだよ。お母さんの声、凄く悲しそうだったよ」
梓「唯先輩が私の母親だったらクリスマスイヴに私と一緒に過ごしたいですか」
唯「……その質問、意味ないよ」
梓「どうしてですか」
唯「だってさ……だって、私はいつだってあずにゃんと一緒にいたいもん。私がどんな立場にあったとしてもきっとそう思うに違いないよ」
梓「……確かに意味のない質問でしたね」
唯「あずにゃんは?」
梓「えっ?」
唯「私と一緒にイヴを過ごしたい?」
梓「……見ての通りですよ」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/18(土) 12:08:52.30 ID:52EELv.o<>唯「あずにゃんも誘惑に弱いタイプだったんだね」
梓「ただ唯先輩に勉強を教えてほしかっただけです」
唯「よーし、今夜は寝かさないぞー」
梓「それよりちょっと眠くなってきたのでベッド借りてもいいですか」
唯「いいよー。よいしょっと」
梓「唯先輩もですか」
唯「ダメ?」
梓「いいんじゃないですか?」
唯「ありがとー」
梓「なんだか眠気が覚めてきました」
唯「私のせい?」
梓「いえ」
唯「ごめんね、離れた方がいいかな」
梓「いえ」
唯「あずにゃん?」
梓「ごめんなさい、わがままで」
唯「いいんだよ。……ねぇ」
梓「何ですか」
唯「憂はいつ頃帰って来るのかな」
梓「40〜50分後だと思います」
唯「そっか。……」
梓「……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 15:00:31.64 ID:filSkrko<>ニヤニヤが止まらねぇ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 16:28:10.55 ID:rV8Qs6M0<>この何とも言えない距離感が良いな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:39:35.19 ID:52EELv.o<>梓「2月22日。猫の日。
スーパーを出て平沢家の方へと歩き出す。
私と純と憂の3人は無事N女子大に合格し、今日は先輩達が合格祝いをしてくれるそうだ。憂の誕生日祝いも兼ねて。
お祝い事だと大抵料理をするのは憂だが、今日はさすがにさせるわけにはいかず、律先輩達がごちそうを振舞ってくれるそうだ。
憂は純の家に待機している。誕生日祝いに関しては憂に秘密にしているからだ。バレてるとは思うけど。
私も純の家で待つように言われたものの、手伝わせてほしいと先輩達に頼みこんで、今こうして買い物袋を抱えている。
隣を歩く唯先輩に卵を割らないように気をつけてくださいと注意する」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:40:54.92 ID:52EELv.o<>唯「大丈夫だよ〜。雑誌で見た通りの袋詰めをしたから割れる心配はないよ」
梓「いくら綺麗に袋詰めしても、転んだり落としたりしたらどうにもならないですよ」
唯「私はそんなドジっ子じゃないよ〜。いくつだと思ってるの?」
梓「19……なんですね」
唯「そうだよ。大学生なんだよ。春休みが2ヶ月近くあるんだよ」
梓「私達だってもう春休みに入ったみたいなものですよ」
唯「そうだね〜。一年前のこの時期はあれもしたいこれもしたいで頭がパンクしそうだったよ」
梓「私もです。やっと気が晴れましたからね」
唯「でも、気を抜いて羽目外しすぎちゃ駄目だよ。最悪もう一年軽音部部長をやることになっちゃうから」
梓「あ、それもいいかもですね」
唯「わ、私は早くあずにゃんと一緒にギターを弾きたいな〜」
梓「冗談ですよ。軽音部はあの子達に任せます」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:41:56.20 ID:52EELv.o<>唯「あの子達に会うのは今日が二度目だよね。学園祭以来」
梓「どうですか、あの子達の印象は。さっき話してたみたいですけど」
唯「う〜ん、何て言うのかな。二回しか会ってないのに昔からの友達みたいな……そんな感じ」
梓「よくわかんないですね」
唯「つまりね、軽音部の匂いがするってことだよ!」
梓「はぁ」
唯「傍にいるだけでおしゃべりしたくなるような、一緒に演奏したくなるような、遊びに行きたくなるような。そういう不思議な香りがしたよ」
梓「そうなんでしょうか」
唯「あずにゃんが私達の遺産を綿々と引き継いでくれたおかげだね〜」
梓「そんなつもりはないですけど」
唯「じゃあさわちゃんのおかげ?」
梓「たぶんそうです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:44:21.08 ID:52EELv.o<>唯「それにあの二人仲いいよねー。ええと……」
梓「ドラ美と鍵子です」
唯「そうそう。一見すると正反対なのになぜかウマが合うみたいだね」
梓「先輩達4人もそんな感じに見えますよ。バラバラなのになぜかぴったりハマる関係」
唯「そうかな?」
梓「そうだと思います」
唯「私達はいつの間にやら仲良くなってたけど、ドラ美ちゃんと鍵子ちゃんはどうやって仲良くなったの?」
梓「あの二人は元は話すことすらほとんどなかったですね。ドラ美は憂に懐いてました。生意気な鍵子は私や純が手を焼いてました。二人がお互いを認め合うようになった転機は学園祭だったと思います」
唯「ライブをやってから?」
梓「はい。大舞台で音を合わせて初めて見えたものがあったんじゃないでしょうか。根本的に似てるところがある二人ですからね」
唯「そうなの? どこが似てるの?」
梓「自信のなさ、でしょうか」
唯「鍵子ちゃんとか自信満々に見えたけどねぇ」
梓「虚勢を張ってたんですよ。あの子、本当は澪先輩以上に憶病なんですよ」
唯「そうなんだ」
梓「なのにそんな素振りを周囲に見せようとはしなかった、というより見せられる相手がいなかったんですよ。一人でピアノを弾いてましたから。私も昔は一人でギターを弾いてましたから、あの子の気持ちはよくわかりました。でも言葉で解決できるような話でもないので敢えて口出しすることはありませんでした」
唯「鍵子ちゃんも、ちゃんと見つけられたんだね。弱さを見せられる人が」
梓「はい。ドラ美も、鍵子の今まで見たことない姿を見て目を見開いてました。きっと自分を見てるような気分だったんだと思います」
唯「ライブの、ほんの数分で変わるものなんだね」
梓「アンコールも事前に打合せしてなかったのに、あの子達がお互いアイコンタクトをとって弾き始めましたからね」
唯「羨ましい関係だね」
梓「そうですね」
唯「来年以降も楽しみだ」
梓「ええ、きっと仲良くやっていくと信じてます」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:46:19.19 ID:52EELv.o<>唯「あ、仔猫ちゃん。かーわいー」
梓「そうですね」
唯「デートかな?」
梓「あれ2匹とも雌ですよ。姉妹か何かじゃないですか?」
唯「へー。確かに長年寄り添ってるみたいなオーラが出てるね」
梓「唯先輩と憂みたいです」
唯「そうかなぁ? おっと危ない」
梓「大きい方が危なっかしいのもそっくりじゃないですか?」
唯「え〜? あ、なんか大きい子が小さい子に説教されてるみたい」
梓「気のせいですよ」
唯「『もう、しっかりしてください。危うく塀からまっさかさまですよ。ブルドッグの餌になりたいんですか? お喋りなら後で好きなだけできるんですから、今はちゃんと前を向いて歩いてください』」
梓「なんで敬語なんですか」
唯「なんとなく」
梓「まぁ小さい方もちょっと鈍臭そうですから憂には似てませんね」
唯「猫にしては随分恐る恐る塀の上を歩いてるもんね、二匹共」
梓「これから家に帰る所なんでしょうか」
唯「うーん、私の勘ではこれから二人の秘密基地に向かうところなんだよ。あ、裏道に入っちゃった」
梓「って追いかけるんですか。皆さん待ってますよ」
唯「ちょっとだけだから。ね、お願い」
梓「はぁ、しょうがないですね。ちょっとだけですよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:47:29.55 ID:52EELv.o<>唯「確かこのへんに……」
梓「こんな道あったんですね。知らなかったです」
唯「誰にも邪魔されない秘密基地を作るにはぴったりの場所だねー」
梓「どういう猫ですか。そんな秘め事抱えている仔猫がいるわけな……」
唯「あ、向こうから鳴き声が聞こえたよ」
梓「ゆ、唯先輩! 待ってください!!」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:48:55.32 ID:52EELv.o<>唯「みーつけた! 突撃!隣の……」
梓「あ……」
唯「……あ、あれってもしかしてエッ…」
梓「こ、交尾です」
唯「う、うん」
梓「交尾です」
唯「うん、わかったから」
梓「……もどり、ましょうか」
唯「うん……そうだね……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:50:15.12 ID:52EELv.o<>梓「……さ、皆さん待ちくたびれてますよ。行きましょう」
唯「……うん。……あずにゃん」
梓「何です?」
唯「女の子と交尾したことってある?」
梓「な、何を言うんですか。私は人間ですよ!」
唯「あ、私は憂とああいうことしてないからね。念のため言っとくけど」
梓「わかってますよ!」
唯「もしかして猫同士ならああいうのも普通なのかな」
梓「さぁ、わかりません。発情期に身近な所にオスがいないとああなっちゃうんじゃないですか」
唯「好き同士だからやってるってわけじゃないのかな」
梓「さ、さぁ、どうなんでしょう。あの子たちは好き同士に見えましたけど」
唯「でも子供を作れるわけじゃないよね」
梓「そうですね……」
唯「じゃあただの遊び、なのかな」
梓「……そう考えるとちょっと辛いですね。いや、単なる猫のじゃれ合いですよ? 難しく考えなくてもいいじゃないですか」
唯「あの子たち、ああいう誰にも見られないような場所じゃなきゃくっつけないのかな?」
梓「猫社会がどうなっているかなんて私にはわからないです。でも、人間社会より厳しいのかもしれませんよ。動物は命を繋ぐことを何よりも優先して生きていますからね」
唯「何も残せないなら、生きる意味なんてないのかな」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/18(土) 23:51:42.83 ID:52EELv.o<>梓「もうこの話はやめましょう。せっかくのお祝いが台無しになっちゃいます」
唯「うん、そうだよね。さっきのことは私とあずにゃんの秘密ね」
梓「ええ、わざわざ引っ張り出すことはないですよ。心の奥深くに鍵をかけてそっとしておくのが一番です」
唯「そうだね。よーし、景気付けに歌でもうたおーっ!」
梓「もう唯先輩の家に着きますよ」
唯「あ、ほんとだ」
梓「もう、しっかりしてください」
唯「ごめん、しゃべるのに夢中で周りが見えなくなってたよ。じゃ、あずにゃん。その袋貸して」
梓「どうしてですか?」
唯「あずにゃんのお仕事はここまで。主役の一人に事前に料理や飾りつけを見せるのはちょっとね。悪いけど純ちゃんの家に行っててくれない?」
梓「それならしょうがないですね。はい、落とさないでくださいよ」
唯「おわっ、重い」
梓「気をつけてくださいよ。卵を割らないように」
唯「大丈夫。待っててね。盛大に祝ってあげるから」
梓「いいからちゃんと前を向いて歩いてください。楽しみに待ってますから」
唯「うん。じゃあまた後でね、あずにゃん」
梓「がんばってください」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/18(土) 23:52:33.19 ID:52EELv.o<>この物語はフィクションです<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 00:38:36.68 ID:gbajMXMo<>キュンときた<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/19(日) 11:03:15.51 ID:n8Q6Ddoo<>もどかしくていい<>
!kab-<>sage<>2010/12/19(日) 13:06:14.68 ID:Xvbe0sMo<>乙乙<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:03:06.71 ID:GZv2Qkgo<>梓「星がきれいな春の夜。
明日から4月になるというのに空気はひんやりとしている。マフラーを口元まで上げる。
手を擦りながら待ち合わせ場所の公園へと向かう。手袋も着けてくればよかった。
こんなに身体が震えるのは親に黙って家を抜け出したことから来る罪悪感のせいかもしれない。
親鳥が18年もの間、風通しはいいけど頑丈で、愛情に満ち溢れた巣を作り上げてきたというのに、
ひな鳥は親鳥の苦労も何のその、うきうきしながら遠い土地へ飛び立とうとしている。
おまけに旅立つ前夜に深夜徘徊。とんだ親不孝者がいたものだ。
公園のベンチには明日から隣人となる人物が既に座っていた。待たせちゃったかな」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:04:00.86 ID:GZv2Qkgo<>梓「お待たせしました、唯先輩」
唯「あずにゃん。私も今来たとこ」
梓「嘘ですよね。手もほっぺも真っ赤ですよ」
唯「こんな時間に呼び出しといて遅れるのもなんだしね」
梓「いいですよ。私も今夜は散歩したい気分でしたから」
唯「うそ」
梓「本当です。最近は入学準備とか引っ越しとかで忙しかったですからね。のんびり街を歩くことも滅多にありませんでした」
唯「この町にお別れを言う時間もなかったってことだね」
梓「そうですね」
唯「じゃ、行こっ。まずは商店街に」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:04:55.10 ID:GZv2Qkgo<>梓「このお店……」
唯「私、ここのアイス全種類食べたことあるよ」
梓「私は4種類くらいしか食べたことないです」
唯「放課後はよくみんなで寄ったねぇ」
梓「このお店、今度潰れるそうです」
唯「そうなの?」
梓「はい」
唯「寂しくなるなぁ」
梓「思い出の場所がなくなるのは辛いですね」
唯「私はこのお店のアイスの味、一生忘れないよ」
梓「48種類すべてですか」
唯「うーん、10種類くらいが限界かな」
梓「まぁそうですよね」
唯「そこのコンビニにも度々寄ったね」
梓「お小遣いの無駄遣いでしたね」
唯「青春の有効活用だよ」
梓「はぁ」
唯「あずにゃん部長だって、毎日部員を連れて押し掛けたんでしょ?」
梓「毎日じゃありません。私達は唯先輩達みたいに放課後遊び回っていたわけじゃないですから」
唯「お堅いねぇ」
梓「普通です」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:06:12.21 ID:GZv2Qkgo<>唯「あっ」
梓「あそこの洋服屋は唯先輩お気に入りのお店でしたね」
唯「あずにゃんだってたくさん買ってたじゃん」
梓「憂に勧められたからです」
唯「ふーん。おっ」
梓「ここにもよく来ましたね」
唯「ムギちゃんがバイトしてたとこだね」
梓「去年の夏休みに何回かここでムギ先輩に会いましたよ」
唯「へー、お客さんとして?」
梓「いえ、働いてました」
唯「え? ムギちゃんは向こうでもバイトしてるんだけど」
梓「こっちに帰って来た時はたまにここの仕事もやるって言ってました。愛着があるんでしょうね」
唯「あずにゃん、そういうことはもっと早く教えてくれてもいいのに」
梓「先輩達はご存知なのかと思ってました」
唯「いくら親しくなっても、お互い知らないことってたくさんあるものなんだね」
梓「先輩達は比較的秘密の少ない間柄だと思いますよ」
唯「そうかなぁ」
梓「羨ましいですよ」
唯「うーん……まぁいいや。それより、ちょっと寄ってかない?」
梓「こんな時間にですか。お腹空いてないですよ」
唯「ドリンク一杯だけでもいいから。ね」
梓「しょうがないですね。お客さんも少なそうですしちょっとの間休憩させてもらいますか」
唯「よーし、いこー」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:07:07.56 ID:GZv2Qkgo<>梓「びっくりしましたね」
唯「うん。まさかムギちゃんがいるとは」
梓「何だかんだ言ってセットを頼んじゃいましたし」
唯「ムギちゃんは商売上手だねー」
梓「従業員が揃いも揃って風邪を引いたそうですね。私達も気をつけましょう」
唯「うん、寝るときは身体を冷やさないようにね」
梓「でもこんな時間にフラフラしてたら明日は体調崩すかもしれないですね」
唯「それはダメだよ。明日はあずにゃんの旅立ちの日なんだから」
梓「もう帰りますか?」
唯「せめて桜高にはお別れを言わなきゃね」
梓「見えてきましたよ」
唯「校門は閉まってるかぁ」
梓「当然ですよ」
唯「じゃあ敷地の周りをぐるっと回ろうよ。この校舎と、ここで生まれた思い出を、じっくり胸に刻み込むんだよ、あずにゃん」
梓「そういうのは卒業式で済ませました」
唯「私もあずにゃんの泣き顔見たいからもう一回卒業式やろうよ。二人だけで」
梓「泣いてませんよ、今年は」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:08:15.96 ID:GZv2Qkgo<>唯「はぁ〜、意外と広いもんだねー」
梓「ですね。やっと半周ですよ」
唯「疲れちゃったからもう一度ムギちゃんの店に寄る?」
梓「帰ります。早く帰って寝たいです」
唯「しょうがないなー。ん?」
梓「どうしたんですか?」
唯「見て。校舎の壁の隅の方」
梓「落書き、ですね」
唯「相合傘、だね」
梓「名前見えますか」
唯「見えない」
梓「まぁ、詮索するのは野暮ですよね。あんな所に書いてるんですから秘密にしたいんでしょう」
唯「……やっぱり女の子同士、なのかな。女子高だし」
梓「もしかしたら先生と生徒、とか。……あまり考えたくないですけど」
唯「自分の名前と校外の彼氏の名前を書いた、っていうのもあるかもね」
梓「何にせよ、可愛いものですね。母校に自分がいた証をさりげなく残していくって」
唯「あずにゃんも何か残したりした?」
梓「物は残してませんよ。……ただ、先輩達が残してくれたものは、私も同じように残すことができたと思います」
唯「来年は廃部になったりしないかな」
梓「大丈夫です。軽音部はなくなりません」
唯「そう、よかった」
梓「唯先輩」
唯「なに?」
梓「私、もう放課後ティータイムに戻ってもいいんですよね」
唯「もちろんだよ。……がんばったね、あずにゃん」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:09:47.77 ID:GZv2Qkgo<>梓「はぁ、もうすっかり身体があったまってしまいました」
唯「マフラーが暑苦しくなってきたね」
梓「風邪引くといけないので外さない方がいいですよ」
唯「そうだね。ん、どうしたの、あずにゃん」
梓「ここも思い出の場所、ですね」
唯「あぁ……。あの時のあずにゃんの顔が忘れられないよ」
梓「どの時ですか」
唯「『ゆいあずってどうですか?』」
梓「私そんなこと言いましたっけ」
唯「言ったよ〜。ふわふわとぅああ〜いむ」
梓「言ってません」
唯「あずにゃん、歌上手になったよね」
梓「そうですか? ありがとうございます」
唯「ここで一曲歌ってく?」
梓「草木も眠ってる時間なんですから止めましょうよ。またの機会に」
唯「マンションの部屋で歌うのは近所迷惑だしなぁ」
梓「どこかいい場所ないんですか」
唯「う〜ん、あ、いつか一緒に行ったよね。大学構内の大きな木がある場所。あそこなんてどう?」
梓「いいですね。ここと雰囲気が似てますし」
唯「うん。じゃああそこで『ゆいあず』再結成だね」
梓「はい。暇があれば」
唯「早起きして時間作ればいいんじゃないかな?」
梓「唯先輩には厳しいんじゃないですか」
唯「頼りになる隣人が越して来るから大丈夫」
梓「しょうがない人ですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:11:16.41 ID:GZv2Qkgo<>唯「あずにゃんの家だ」
梓「もう私の家じゃなくなりますけどね」
唯「そんなことないよ。ここがずっとあずにゃんの家であることに変わりないよ」
梓「そうであってほしいですね」
唯「時間があったらちゃんと帰って来て、お父さんとお母さんと笑顔で食事するんだよ」
梓「はい。たまには唯先輩も招待しようかと思います」
唯「う〜ん、私は……」
梓「いやですか?」
唯「私、あずにゃんのご両親に嫌われてないかな?」
梓「どうしてですか?」
唯「娘をたぶらかした泥棒猫、みたいに思われてないかな?」
梓「ただの先輩としか思ってませんよ」
唯「ならいいけど」
梓「でも確かに私は唯先輩にたぶらかされてるのかもしれませんね」
唯「えー……」
梓「でも」
唯「ん?」
梓「自分で選んだ道ですから、しょうがないです。唯先輩を放っておくのはすっきりしないですから、もう少しだけ付いて行っても構いませんよね」
唯「ご両親は納得してるのかな?」
梓「納得させられるように頑張ります」
唯「そっか。私も出来る限り協力するよ」
梓「じゃあ夕食に招待した時はちゃんと来てくださいね」
唯「うーん……わかったよ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:11:50.87 ID:GZv2Qkgo<>梓「では、おやすみなさい、唯先輩」
唯「おやすみ、あずにゃん。また明日」
梓「えぇ…………唯先輩」
唯「んー?」
梓「これからも……よろしくお願いします」
唯「……こちらこそ」<>
◆iONwKUDJew<>yuiazu<>2010/12/22(水) 20:13:27.81 ID:GZv2Qkgo<>もっとマシなタイトルはなかったものかと考え込む今日この頃<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 20:56:25.84 ID:ITTy5Ywo<>きてた!乙!
この2人の関係が少し進展(?)してるみたいで良かった<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/22(水) 22:37:07.07 ID:pw8l3kYo<>スレタイなんか飾りですはい<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/23(木) 13:53:49.20 ID:gpv/wboo<>乙やで<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:41:45.33 ID:G3zNG2Io<>梓「私がN女子大に入学して二週間が過ぎた。
今夜は2,3年生の先輩(唯先輩達はいなかった)が催した新歓コンパだった。一次会は9時頃に終わり、先輩達に二次会に誘われた。
私は二次会にも参加することにした。女の子だけだしそんなに遅くまではかからないだろう、という軽い気持ちだった。
しかし、ついて行った店では他大学の男子学生が数人たむろしていた。聞けば先輩達の知り合いで、偶々居合わせたらしい。
せっかくだから一緒に飲もうという話になった。私は乗り気じゃなかったものの、適当に付き合って帰るつもりだった。
だが先輩達は男子学生と話しこんで中々帰る気配がない。私以外の数人の新入生も絡まれていた。
私は痺れを切らし、門限があると嘘を言ってお金を先輩に渡し、店を出た。
しばらく歩いていたら突然後ろから手首を掴まれた。振り向くとさっきの男子学生集団の一人だった。いかにも軽薄そうな人だった。
ひどく酒臭くてよくわからない言葉を発していたが、断片的に聞き取れた単語を繋げると、どうやらお誘いのようだ。
丁重にお断りをして帰ろうとしたが離してくれない。大声を出してみたが、助けは来ない。まずいと思う間もなく路地裏に……。
突然男の力が緩んだ。そして別の手が私を引っ張り走り出した」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:42:46.24 ID:G3zNG2Io<>唯「はぁはぁ、ここまで来れば大丈夫、かな?」
梓「……唯先輩」
唯「大丈夫だった? あずにゃん。何もされてない?」
梓「……はい。危なかったですけど」
唯「よかったー」
梓「……どうしてここに?」
唯「バイト帰りにあずにゃんの声が聞こえたから。あんな所で何してたの?」
梓「……新歓コンパの帰りです」
唯「こんな遅くまでやってたの?」
梓「……二次会です」
唯「どうして二次会に行ったの?」
梓「……行ってもいいじゃないですか」
唯「ごめん」
梓「……すみません。二次会に行かなければあんな目に合わなかったのに。調子に乗ってました」
唯「大学生になったばかりなんだから好奇心旺盛なのはわかるよ。しょうがないよ」
梓「……しょうがない、んですか」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:43:39.14 ID:G3zNG2Io<>唯「これからは気をつけようね。食べ過ぎない。飲み過ぎない。遅くまで飲まない。暗い道、狭い道は避ける。一人では歩かない。必ず年上の信用できる人と一緒に帰る」
梓「……気をつけます」
唯「ほら、元気出して。無事だったんだから」
梓「……唯先輩、格闘技できたんですか?」
唯「ん。えーと、ごしんじゅつ? バイトの先輩のお姉さんがね、ちょっとだけ教えてくれたんだ。一人暮らしの女の子は身につけておいた方がいいって」
梓「……今度私にも教えてください」
唯「いいよー。でも誰にだって通用するものじゃないから気をつけてね。さっきの人は細身だったし、一人だったし、酔っ払いだったし、ふいうちだったから何とかなったんだよ」
梓「……でも……かっこよかったです」
唯「え?」
梓「……何でもないです」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:45:22.00 ID:G3zNG2Io<>唯「憂たちとは一緒じゃなかったんだっけ?」
梓「……クラスの集まりでしたからね。純はクラスが違いますし、憂は学部が違いますから」
唯「新しい友達はできたかな?」
梓「……ええ。話してみると趣味が合う人が何人かいました」
唯「一緒に食事するとその人の意外な部分が見えたりするからね。飲み会はいいよ〜」
梓「……よくないこともありますけどね」
唯「あー……忘れた方がいいよ。教訓にはした方がいいけど」
梓「……私が子供だったんですよ。みんなともっと仲良くなれると思ってホイホイついて行ったから」
唯「子供じゃないよ。仲良くなりたいって気持ちを持つのは悪いことじゃないよ」
梓「……唯先輩は大人ですよね」
唯「え?」
梓「……上手に友達を作って、もしもの時の対策もちゃんと立てて、他の人も守れて」
唯「私だって最初からできたんじゃなくて、この一年の経験があって」
梓「……だから、いやなんです」
唯「あずにゃん?」
梓「……ごめんなさい。唯先輩は今も私が見てなきゃ不安な人だと思ってたのに……。ごめんなさい。思い上がった考えですよね」
唯「あーずにゃんっ」
梓「にゃっ……」
唯「私にはまだまだあずにゃんが必要だよ〜」
梓「……そんなこと」
唯「そんなこと、あるよ。ギター教えてもらいたいし、朝起こしてもらいたいし、それに」
梓「……何ですか」
唯「あずにゃん分が足りな〜い」
梓「……もう、道の真ん中でひっつかないでくださいよ」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:46:36.59 ID:G3zNG2Io<>唯「あまりお酒臭くないね、あずにゃん」
梓「醜態をさらしたくありませんでしたから」
唯「醜態?」
梓「一昨年のお花見と二ヶ月前の合格祝い。ひどかったらしいですからね」
唯「可愛かったよー」
梓「そこまで親しくない人に見せられるような顔じゃないと思います」
唯「そういう顔を見せられる人が増えるといいね」
梓「私はそこまで増やしたいと思わないです」
唯「萎縮することはないよ」
梓「そういうわけじゃないです」
唯「視野を広げることも必要だよ」
梓「少しずつやっていくつもりです」
唯「うん、焦らずね」
梓「でもその前に」
唯「なあに?」
梓「そろそろサークル活動を始めたいです」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:48:16.94 ID:G3zNG2Io<>唯「んー……」
梓「今まで先輩達は私が来ることを拒んでましたよね」
唯「拒んでた、っていうかね」
梓「大体の理由はわかります。サークルを始めるのは今日みたいな集まりを通して同期の友達を作ってからでも遅くない、って考えだったんですよね」
唯「うん。まぁそういうことだよ。最初が肝心だからねー。あずにゃんがしっかり大学生活をスタートさせてから迎えようってみんなで決めてたんだよ」
梓「もう私はスタート地点に立ちましたよ」
唯「うーん、私だけで判断することはできないからねぇ。りっちゃん達に相談しないと」
梓「唯先輩の目から見た私はどうですか? まだ高校生のままですか」
唯「うーん……」
梓「正直に言ってください」
唯「正直に言うと……あずにゃんはまだ危なっかしい子かなぁ」
梓「そうですか」
唯「最初が肝心だからね。今の内に私達以外との交友関係も広げておかないときっと後悔すると思うんだ。もちろんあずにゃんが私達と一緒にいたいって気持ちもわかるし、私達だって同じ気持ちだよ。でも……」
梓「わかりました」
唯「あずにゃん」
梓「もう少しだけがんばってみます。先輩達が不安がらないくらいたくさん友達作って、たくさん遊びます」
唯「でもほどほどにね〜。私達のこと忘れないでね〜」
梓「忘れるわけないです。何のためにこの大学に入ったと思ってるんですか」
唯「うん。あずにゃんなら大丈夫だね。よーし」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:49:49.50 ID:G3zNG2Io<>梓「どうしたんですか」
唯「今夜は飲もう!」
梓「もう遅いですよ」
唯「お店で飲むわけじゃないよ。私の部屋においで」
梓「今日は飲みすぎましたからこのへんで」
唯「全然飲んでないでしょ。明日は休みだし、部屋には私と憂しかいないから遠慮することはないよ」
梓「唯先輩」
唯「部屋にお酒残ってたかなぁ。ちょっとコンビニで買ってこうか」
梓「まっすぐ帰った方がいいと思います」
唯「だねー。夜遅いし危ないもんね」
梓「全く危なっかしい人ですね」
唯「えへへ〜、すみませんねぇ」
梓「しょうがないですね。ちょっとだけなら付き合います」
唯「やったー! じゃ、いそご。憂が待ってるよ」
梓「うわっと、引っ張らないでくださいよー」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:51:22.27 ID:G3zNG2Io<>梓「私が大人の世界に足を踏み入れてから3ヶ月が過ぎた夏の日の夜9時。とあるマンションの803号室。
大学生活にも慣れ始めて先輩達からサークル加入の許可も得た。一年以上のブランクを経て、放課後ティータイムは復活した。
まだライブはやってないけど、高校時代より幾分か熱心に練習に取り組む私達。
先輩達は色々な人との触れ合いを通して音楽に対する取り組み方が変化したみたいだ。私がびっくりするくらいに。
でも根底の部分は変わっていない。ミーティングと称したティータイムはいまだ健在で、その緩み切った空間は外野を寄せ付けない。
呆れるべきなのか喜ぶべきなのか。悔しいことに喜びの方が大きいみたい。
自室でレポートと格闘している今も頭から放課後ティータイムが離れない。期末試験も近いのに、こんなんじゃあの人に説教できるご身分じゃないや。
頬を軽く叩いて気持ちを切り替えようとしたところで玄関のチャイムが鳴った。こんな時間にこの部屋を訪ねる人は一人しかいない」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:52:47.62 ID:G3zNG2Io<>唯『こんばんは〜、お時間よろしいでしょうか〜』
梓『新聞なら間に合ってまーす』
唯『宅配ピザ持ってきましたー』
梓『頼んでませんよ。きっとお隣さんと間違えたんじゃないでしょうか』
唯『お隣さんはお留守みたいでーす』
梓『へー。お姉さんはどこぞをほっつき歩いているのかもしれませんが妹さんはどうしたんでしょうか』
唯『J.S.さんにレポートの応援を要請されたそうでーす。明日提出だそうですがおたくは大丈夫でしょうかー』
梓『たぶん私が取ってない科目ですよ。私は明後日提出のレポートを仕上げているところです』
唯『あら。お邪魔だったかしら?』
梓『もうすぐ終わりますけど……。あなたもレポートや試験勉強で忙しいんじゃないですか?』
唯『さっきまでやっていたのですが……栄養失調で倒れそうなんです。至急このドアを開けてもらわないと生き倒れてしまいます』
梓『それは困りますね。人の部屋の前で寝られては非常に困ります」
唯「たくはいびんでーすっ!」
梓「こんな大きな荷物受け取れませーん」<>
MerryChristmas!!(明石家サンタやってるよ!)<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:53:44.85 ID:G3zNG2Io<>唯「はかどってるかね、あずにゃん」
梓「ええ、5分前まではすごく」
唯「そんなこと言って、実はバンドのことが頭から離れなくて勉強に集中できなかったとかだったりしてー」
梓「……唯先輩じゃないんですよ」
唯「これは失礼しました」
梓「それで、何の用ですか」
唯「うん。実はね……」
梓「はい……」
唯「トンちゃん分が足りなくなってたんだよ〜。お久しぶりトンちゃ〜ん」
梓「そっちですか」
唯「おっと、こっちがよかったかな」
梓「いえ、全然」
唯「素直じゃないんだから〜」
梓「さてトンちゃん、餌の時間だよ〜」
唯「私があげるよ〜」
梓「加減してくださいね。……はい、それくらい」
唯「もっと食べたいんじゃない?」
梓「これくらいが適量なんです!」
唯「ご、ごめん……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:54:52.51 ID:G3zNG2Io<>梓「用が済んだなら帰ってください。全然勉強進んでないんでしょ」
唯「進んでるよ。見て。レポートと試験対策ノート」
梓「……誤字がいっぱいです」
唯「あれ」
梓「大学に提出するレポートに『あずにゃん』という単語が入ってるのはおかしいと思いませんか」
唯「ありゃ……ボーっとしてたかな」
梓「それと、カラフルにまとめるのはいいんですけど、これ自分でも読めるんですか」
唯「読めるよ〜。えっと、7003年、目木径斉はみぞゆうの危械を……」
梓「しょうがないですね。手伝いますよ」
唯「面目ないです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:56:07.52 ID:G3zNG2Io<>梓「お茶です」
唯「お、ありがとー」
梓「ひと段落ついたみたいですね」
唯「あずにゃんのおかげだよー。ありがと」
梓「こんな調子でよく一年もちましたね。澪先輩達に手伝ってもらってたんでしょうけど」
唯「そうなんだけどね。去年は一人でもある程度はできたよ」
梓「何で今年は駄目になっちゃったんですか」
唯「うーん、まずはこの暑さがね」
梓「確かに今年は例年になく暑いですね。でもそんなこと言ってもしょうがないですよ」
唯「もう一つの理由。これが大きいと思うんだ」
梓「何ですか」
唯「ズバリ! あずにゃんのせい!」
梓「はぁ?」
唯「あとは憂のせい! あずにゃんと憂が来てから私はすっかり安心しきっちゃって、思う存分だらけられるようになったんだよ」
梓「私と憂は引っ越した方が唯先輩のためになりそうですね」
唯「嘘です。言い訳です。ちゃんとします」
梓「少し操縦を誤ったら簡単に谷底に転落しそうな人ですね、唯先輩は」
唯「上手く操縦してね、あずにゃん」
梓「私には荷が重いです」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:57:07.81 ID:G3zNG2Io<>唯「あずにゃんの方も済んだかな」
梓「ええ。今日の分は終わりました」
唯「それじゃあ……」
梓「嫌な予感……」
唯「映画見よっ」
梓「やっぱり」
唯「TSUYOSHIで借りてきたの。これ見たことある?」
梓「ないです。有名な作品だってことは知ってますけど」
唯「私も名前だけは聞いたことがあったから興味本位で借りてみたんだよ」
梓「長そうですね」
唯「うん、確かに長いね」
梓「もう遅いですからまた今度でいいじゃないですか」
唯「明日返却なんだよ〜」
梓「どうしてこんな時期に借りるんですか」
唯「今までずっと貸し出し中だったからつい」
梓「はぁ、明日が休みでよかったですね」
唯「やったぁ。じゃさっそく。うわぁ、いいテレビだね。映像きれい」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:58:30.57 ID:G3zNG2Io<>梓「……唯先輩。唯先輩!」
唯「んん……むにゃ?」
梓「終わりましたよ」
唯「おおっ。面白かった……ね?」
梓「内容覚えてますか?」
唯「うん、幾多のすれ違いの末二人は結ばれ……」
梓「結ばれませんでしたね」
唯「うん。そうだったね」
梓「長々やってましたけど、結局のところ二人が素直になれなかった、ってだけの話のように思えますね」
唯「もったいないねー。愛し合ってたのに」
梓「ほんとですね」
唯「でも、主人公とヒロインの話よりヒロインと女中さんの話の方が面白かったよね」
梓「そうですか?」
唯「すごくいい関係だと思わなかった? 自分のご主人様であるヒロインに遠慮なく小言を言う女中さんと、それを無視したり反発したりしながらも結局言うこと聞いちゃうヒロイン」
梓「本当の親子以上にお母さんと娘みたいでしたね」
唯「うん。わがままで周りを振り回してばかりなのに、いつも自分の傍にいて世話してくれたお母さん代わりのおばさんには頭が上がらない。こういうの何て言うんだっけ……もえる、よね?」
梓「確かに微笑ましい関係ですね」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 20:59:31.59 ID:G3zNG2Io<>唯「女中さんの出番が減ってきたから終わりの方は寝ちゃったよ」
梓「極端な人ですね。他にも見所はありましたよ」
唯「でも女中さんがいないとつまんない」
梓「一応最後の方も出てはいましたよ、女中さん」
唯「結局どうなったの? 女中さん」
梓「どうって?」
唯「ヒロインとの関係は? そのまま?」
梓「ええ、ヒロインにずっとお仕えするみたいでしたけど」
唯「そっか。うん、それでいいんだよね」
梓「何を期待してたんですか」
唯「うーん、えっとね。もう少し踏み込んだ関係にはならないのかなーって」
梓「踏み込んだ関係ってどういう関係ですか」
唯「私にもよくわかんない。ただ、あれだけ一緒にいて、信頼し合っていても全く関係が変わらないってちょっとさみしいかなーって」
梓「身分も歳もまるっきり違うんですからしょうがないです。それに女同士なんですから。あれが最高の関係だと思いますよ」
唯「そうだよね。ごめん、変なこと言って」
梓「いえ、そこまで変じゃないと思います」
唯「そうかな。ならいいけど。……うぅ」
梓「唯先輩?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 21:00:54.22 ID:G3zNG2Io<>唯「おなか、ペコペコだよ……」
梓「私もです。カップ麺でも食べますか」
唯「おぉ、すまないねぇ。遅くまで付き合わせて、その上お夜食までいただいちゃうなんて」
梓「いいですよ。面白かったですから。○ちゃんでいいですか」
唯「うん、赤いき○ねだね」
梓「私は緑のた○きを。アイスもありますよ。カップ麺の後に食べましょうか」
唯「大盤振る舞いだ。なんかあずにゃんってさ」
梓「あの女中さんに似てる、ですか」
唯「ばれちゃった」
梓「生憎私は唯先輩のお母さんでもなければ奴隷でもありませんよ」
唯「わかってるよ。私もお嬢様でもなければ悲劇のヒロインでもないからね」
梓「そうですね。でも……でももし私があの物語の女中だったとしたら」
唯「どうなるかな」
梓「私だったら……欲におぼれるかもしれないですね」
唯「欲におぼれる?」
梓「唯先輩の言う『踏み込んだ関係』を目指すかもしれません」
唯「あずにゃんが?」
梓「変ですか?」
唯「変じゃないよ。でもイメージできないや」
梓「私、物事に優先順位をつけるのが苦手なんです。できることなら目の前にあるもの全部手に入れたいと思ってしまう」
唯「不器用なんだね」
梓「未熟なんですよ」
唯「ううん。誰だってそういうところはあると思うよ。私だって」
梓「唯先輩も?」
唯「私だって好きな人とはずっと一緒にいたいって思うもん。特別な関係になれるならなってみたいって思うもん」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 21:01:59.61 ID:G3zNG2Io<>梓「もし唯先輩があの物語のヒロインだったら男主人公の立つ瀬がないですね」
唯「いいじゃん。そっちの方が面白そうだよ」
梓「唯先輩が将来映画監督になって女中さんメインのスピンオフを制作したらどうですか」
唯「スピンオフって何?」
梓「わからないならいいです。カップ麺できましたよ」
唯「ありがとー。いただきます」
梓「召し上がれ」
唯「あっちっち」
梓「もう、気をつけてくださいよ」
唯「えへへ、お腹がすくとつい、ね」
梓「いやしんぼですね、唯先輩は」<>
◆iONwKUDJew<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 21:03:10.10 ID:G3zNG2Io<>キリストの誕生日? 知ったことか
それより明日は和ちゃんの誕生日だ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/25(クリスマス) 23:21:17.95 ID:3HaGBHoo<>おっつん
今日のも素敵だな<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/28(火) 06:32:47.62 ID:lK8OI0co<>なにこの良スレ…<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/28(火) 11:47:24.52 ID:iaIy.ZAo<>乙〜
ほんわかとよい感じだ<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:36:21.84 ID:YmNBgb.o<>梓「真夏の太陽が笑顔でこんにちはする8月21日。
私達はガラガラのバスの後方を陣取っていた。目的地は海。
律先輩、澪先輩、ムギ先輩、憂、純、ドラ美、鍵子、軽音部の新入部員二人、そして私と唯先輩の総勢11人。他の乗客はお婆さん2名。
今年の合宿はムギ先輩の家の別荘ではなく一般の旅館に泊まることになった。
後ろからは律先輩が今後の予定を提案する声が聞こえる。私は寝たふり。
律先輩やら純やら鍵子やらが私に声をかけてきても寝たふり。
別に面倒だから寝たふりをしているわけではない。律先輩ならこの大所帯を取り仕切ってくれるという信頼の表れだ。
リーダーは一人でいい。
もう一つ理由を挙げるとすれば……声を出したら肩にもたれかかるこの人を起こしてしまいそうだから……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:37:23.64 ID:YmNBgb.o<>梓(午前中は遊ぶぞー、って例年通りですね、律先輩。と言いつつ夕方まで遊ぶであろうことは目に見えてるけど)
唯「…すー…すー…」
梓(新入生がビビってるのが声だけでわかる。彼女達からしたら大学2年のOGなんて中学校の生徒指導の先生並みに畏怖すべき存在に違いない)
唯「…むみゃぁ…」
梓(ムギ先輩と澪先輩は美人で近付きづらいし律先輩はドラムのパワーアップのためなのか前より若干がっしりした体になった気がする)
唯「…ん…」
梓(……唯先輩は別か)
唯「…ぃ…」
梓(でもこの合宿が終わる頃には先輩達とあの子達も打ち解けているだろう。だって軽音部なんだから)
唯「…ぐびー…」
梓(憂が言うには唯先輩が昨夜布団に入った時刻は10時らしいけど……)
唯「…すん…」
梓(肩がしびれてきた)
唯「…ぅ…」
梓(なんかお婆さん達がこっちを見てる)
唯「…ふ…」
梓(騒いですみません。うるさいようでしたら注意しますから)
唯「…ぁ…」
梓(ものすごい笑顔で見られてる……)
唯「…じゅ…」
梓(私達って周りの人の目にはどんな風に映ってるんだろう)
唯「…にゃん…」
梓(そろそろ起きてください)<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:38:39.33 ID:YmNBgb.o<>唯「だ〜る〜い〜。ま〜ぶ〜し〜い〜」
梓「寝過ぎなんですよ。しばらく休んでたらどうですか」
唯「ダメだよあずにゃん。こんなきれいな海を前にしたら、私、もう、我慢できない!」
梓「転びますよ〜。待ってくださ〜い」
唯「新入部員@ちゃんその水着かーわいいっ」
梓「唯せんぱーい。嫌がってますからよしたらどうですかー」
唯「あ、あずにゃんも今年はついにセパレートなんだ」
梓「今気付いたんですか。まあ大学生ですからね。さすがに去年までのはちょっと……」
唯「でもあんまり成長してな……ぶべぇ!?」
梓「すいません、手が滑りました。このビーチボール磨き方が足りませんね。ズルズル滑ります」
唯「ビーチボールは磨くものじゃないよ……」
梓「そうですね」
唯「あ、新入部員Aちゃん、水着のお尻破れてるぅ〜。あはは、うそうそきゃうんっ!」
梓「あ、ムギ先輩がネットを用意してくれたみたいですね。みんなでバレーしましょうか」
唯「うん……そうだね……」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:40:35.87 ID:YmNBgb.o<>梓(負けたチームが昼食をおごるという罰ゲームを設けて、第一回軽音部対抗ビーチバレー大会が始まった。チーム分けは、澪先輩、唯先輩、憂、ドラ美、新@、新Aチームと律先輩、ムギ先輩、純、鍵子、私チームで分かれたのだが)
唯「とぉっ! あれっ?」
梓(唯先輩は置いとくとして、澪先輩と憂のコンビネーションが意外にもぴったりハマっていた)
唯「うぉっと」
梓(ドラ美と新@、新Aも運動が得意のようで、そつのないプレーを披露した。一方私達のチームは……)
唯「憂、澪ちゃん、ナイス!」
梓(運動が比較的得意なのは律先輩だけ。しかもチームとしてのまとまりも向こうと比べるとイマイチ)
唯「あ……」
梓(しかし私達だってみすみす昼食をおごるつもりはない。穴は徹底的に突くのが勝負の定石だ)
唯「いいよいいよドラちゃ〜ん!」
梓(それでも点差はなかなか縮まらず律先輩はタイムアウトを取った)
唯「みんなこの調子!」
梓(罰ゲームなんて関係ない! このままで終わるのは悔しいじゃないか! あっちの真面目軍団(一人を除く)の鼻を明かしてやろうぜ! 律先輩は熱く檄を飛ばす。私とムギ先輩はどちらかといえば向こう側の人間だと思いたいものだが)
唯「みんな!もう一息だよ!もうひと踏ん張りでタダ飯にありつけるんだよ! ハンバーグもオムライスもスパゲティもパフェもドリンクも好きなだけ頼めるよ! 前部長さんと前々部長さんは太っ腹だからねぇ〜」
梓(いえ、今月はピンチです。というか何で唯先輩が円陣の中心にいるんですか。キャプテン気取りですか)
唯「さぁ行こーか」
梓(15対18……。21点先取した方が勝ちであることを考えると中々厳しい。でもこのまま諦めるつもりはない。チームフリーダム(律先輩命名。私も含まれるんですか?)は諦めない)
唯「ほっ」
梓(!? 唯先輩の動きにキレが……。そうだ。この人の上達の速さを侮ってはいけなかった。でも負けるわけには)
唯「さぁもう一点だよみんな!」
梓(19対20……。通常のバレーのように2点差がつくまで試合を続けるタイブレーク方式だからまだ望みはある)
唯「ふおおおおおおおお!」
梓(間の抜けた叫び声ですね! 万事休す!です……)
唯「いくよあずにゃぁぁあぁあん!!」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:41:22.38 ID:YmNBgb.o<>梓「おいしいですね。このラーメン」
唯「うん……」
梓「元気出してください。210円×11÷6のたったの385円じゃないですか。毎月21日は210円なんですね、このお店。いいめぐり合わせでした」
唯「うん……。そうだね……」
梓「味噌ラーメンおいしそうですね。少しもらってもいいですか」
唯「どうぞどうぞお好きなだけどうぞ」
梓「元気出してくださいよ唯先輩」
唯「ごめんねあずにゃん」
梓「気にしてませんよ。事故なんですから」
唯「顔大丈夫? 痛くない?」
梓「大丈夫です。ビーチボールですから」
唯「でも……」
梓「私の顔面レシーブのおかげで逆転できたんです。万々歳ですよ」
唯「それならいいけど……」
梓「鼻血は心の汗というじゃないですか」
唯「そうなの?」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:42:19.59 ID:YmNBgb.o<>梓『もしもし』
唯『やっほーあずにゃん。げんきー?』
梓『はい元気です』
唯『それは何より』
梓『唯先輩もいつもの調子に戻ったみたいで何よりです』
唯『海は人を移ろわせるものなんだよ』
梓『はぁ』
唯『あずにゃんも今日はいつになく楽しそうだからね』
梓『気のせいです』
唯『そかな。ところでもう5時だけど、準備の方はどう?』
梓『順調です。憂と新@と新Aは料理を、私と鍵子は広間の飾りつけを、純とドラ美は買い出しに行ってます』
唯『いい旅館に泊まれてよかったねぇ』
梓『ええ。部屋にはキッチンがついてますし。火は使えませんが憂なら問題ないですからね。大広間を貸し切らせてもらえたのもよかったです』
唯『ムギちゃんががんばってくれたおかげだね』
梓『そういえば……今年はどうしてムギ先輩の別荘じゃないんですか。ムギ先輩は自分から理由を話してくれなかったので敢えて私から聞くことはしなかったんですけど。唯先輩は何か聞いてます?』
唯『私も聞いてないよ。でも……うーん、どうだろう』
梓『なんですか』
唯『これは私の予想なんだけどね』
梓『はい』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:44:32.42 ID:YmNBgb.o<>唯『うんとね。私達は今でこそ現軽音部との関わりが深いよね。部室に顔出したりこうして一緒に合宿したりね』
梓『はい』
唯『でもいつまでもそうしてるわけじゃないよね。私達だって自分の人生があるし、後の世代の軽音部のみんなだっていつまでもOGに干渉されたくはないよね。いつかは縁が切れるし、切らなきゃいけないんだと思う』
梓『私はできる限り切りたくないと思っていますよ』
唯『でもムギちゃんは切りたいんだと思う。だから自分の家の別荘じゃなくて一般の旅館とか海水浴場を自分の力で探したんじゃないかな』
梓『よくわかりませんね』
唯『要領を得ない説明でごめんね。なんて言うのかなぁ。ムギちゃんはね、きっと「自分のことは自分でしなさい!」って言いたいのかも』
梓『……ああ、何となく掴めてきたかもです』
唯『うん。ドラちゃん達はムギちゃんの別荘を知らないけど、だからこそ自分達で行きたい場所を決めることだってできるはずだよ。今回はムギちゃんが探してくれた旅館に泊まるけど、これからはあの子達が自分で探していくはずだよ』
梓『そういえばさっきムギ先輩がドラ美や新@達に話しかけてましたけど、ひょっとするとこれからのことをアドバイスしていたのかもしれませんね』
唯『かもねー。ムギちゃんは4月から色々調べてたみたいだし、かなり詳しいみたいだよ。設備とか安全性とか値段とか時期とかを十分考えた上でここを選んだみたいだから』
梓『でもムギ先輩のお家は承知してるんでしょうか。こんな片田舎に女だけで旅行なんて。SPとか付いて来てそうですね』
唯『まさかぁ。それっぽい人はいな……あずにゃん。少し離れたところでムキムキのおじさん二人が戯れてるんだけど……』
梓『……おかしくはないと思いますよ。私達だって寂びた定食屋に女二人で入り浸ってるじゃないですか。男二人で海水浴に行くことだってありますよ……たぶん』
唯『うん……そうだよね。私達みたいなもんか、うん』
梓『私達みたいと言われるとあまりいい気がしませんね』
唯『あ、りっちゃん達が呼んでるから切るね。あずにゃん達のこと、りっちゃんに怪しまれたらいけないよね』
梓『律先輩はとっくに気付いてそうですけどね』
唯『え、そうなの?』
梓『きっと気付いてないふりをしてるんですよ。私達への気遣いとかいい歳してみんなに祝われることから来る照れ臭さとかがあって知らんふりしているだけで』
唯『そっかー。でもりっちゃんもきっと楽しみにしてるよ。あ、私もね』
梓『期待しててください』
唯『うん、じゃあねー』
梓『また後で』<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:46:43.76 ID:YmNBgb.o<>唯「おお〜、すごいね!」
梓「え〜、先輩方。本日は私達が催したパーティーに参加して頂きありがとうございます。新入部員の二人は戸惑うことも多かったと思いますが今日は大活躍してくれました。2年生の二人も先輩としての自覚が出てきたのか、後輩をよく引っ張ってくれました。憂と純は企画の段階から私を支えてくれました。澪先輩と唯先輩にも貴重な意見を多数いただきました」
唯「あずにゃ〜ん、長いよ〜」
梓「(もう少し待ってください)。何よりこんな素晴らしい場を設けてくれたムギ先輩に感謝したいと思います」
唯「あずにゃ〜ん。りっちゃんが涙目だよ〜」
梓「(最後まで聞いてください)。そして本日の主役。いえ、私達軽音部の主役と言ってもいいかもしれません。私達が出会うきっかけを作ってくれた人。みんなをよく見て、常に場を盛り上げようとしてくれた人。次の世代への橋渡しにも積極的に協力してくれた人」
唯「あらあらりっちゃん照れちゃって」
梓「そんな私達の部長に、お祝いと感謝の意を表すため、本日はこうして場を整えました。では、みなさん。グラスを持ってご起立ください」
唯「んしょっと」
梓「律先輩」
唯「りっちゃん!」
梓「お誕生日おめでとうございます!」
唯「おめでと〜りっちゃん!」
梓「かんぱい!」
唯「かんぱーい!」
梓「今夜は盛り上がりましょう!」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:48:16.99 ID:YmNBgb.o<>唯「…………かぽーん」
梓「……唯先輩、今日はどうでしたか」
唯「楽しかったよ〜」
梓「律先輩には喜んでもらえたでしょうか」
唯「もちろん。あずにゃん達の思いは十分伝わったよ。りっちゃんも心の中では涙を流してるに違いないよ」
梓「それならいいんですが」
唯「あずにゃん、不安だった?」
梓「二十歳の誕生日を祝うにしてはちょっと子供っぽ過ぎた気がしますしそれに」
唯「それに?」
梓「あんな恥ずかしいこと言っちゃいました! あ〜、後で絶対いじられますよ私」
唯「いいじゃんいいじゃん。今まで以上に仲良くなれたってことで。こういう場じゃなきゃあずにゃんは素直にならないからね」
梓「はぁ。そう捉えることにします」
唯「露天風呂もあるんだね〜。本当に何でもそろってる旅館だ」
梓「空が曇ってて残念ですけどね。星も月も見えません」
唯「ん〜、でも月は雲の裏側でぼぉっと輝いてるよ」
梓「隠れてないで出てきたらいいのに」
唯「月が?」
梓「はい」
唯「面白いこと言うねあずにゃん」
梓「律先輩もそういう気持ちで澪先輩を表に引っ張り出したんじゃないでしょうか」
唯「う〜ん、わかったようなわからないような。要するにりっちゃんは雲を吹き飛ばす風みたいな存在だと」
梓「そよ風にもつむじ風にもハリケーンにもなれる人ですね」
唯「トラブルメーカーだからね、りっちゃんは」
梓「人のこと言えないでしょ」
唯「てへっ」<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 14:49:55.30 ID:YmNBgb.o<>梓「はぁ、そんなんじゃ後輩達に示しがつきませんよ」
唯「大丈夫だよ、あずにゃんや憂みたいな立派なギタリストがいるんだから」
梓「私は唯先輩のこともあの子達には見てもらいたいです」
唯「ん?」
梓「えーと、世の中には変わった人もいるってことを知ってもらいたいんです」
唯「ひどい」
梓「明日はちゃんと練習しましょうね。じゃないと後輩たちの頭の中にダメなイメージしか残さないですから」
唯「うぅ、わかりましたぁ」
梓「今日はしょうがないですよ。親睦を深めることも大事ですし、私も練習時間は最初から取れると思ってませんでしたから」
唯「あずにゃんらしからぬ発言だね」
梓「私も丸くなったのかもしれませんね」
唯「まるまるあずにゃん」
梓「髪を丸めないでください」
唯「でも胸のふくらみはちょっと丸みが足りな……あたっ!?」
梓「手が滑りました」<>
◆iONwKUDJew<>yuiazu<>2010/12/31(金) 14:51:39.37 ID:YmNBgb.o<>だいぶ間が空いてしまいました。次の更新もまた遅れるかも
何はともあれ今年はこれで最後
皆さんよいお年を<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 15:22:14.02 ID:TCU2JI2o<>おつおつ
良いお年をー<>
以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします<>sage<>2010/12/31(金) 20:45:34.09 ID:ipnnBQso<>乙〜
来年もよろしくお願いします<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:08:33.03 ID:IRGW5vUo<>梓「小雨が降りしきる11月の夕方。
私達は学祭の野外ステージで演奏していた。
大学生になって以来初めてのライブ、ではない。ライブハウスやイベントで経験済みだ。
でも「学祭ライブ」に特別な意味を見出しているのは私だけではないだろう。
たとえここが桜高の講堂じゃなくても」<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:09:42.62 ID:IRGW5vUo<>梓(澪先輩の力強い歌声には惚れ惚れする)
唯(ノリノリだね、澪ちゃん)
梓(ベースも歌も上手いのに人前に立つのは苦手。澪先輩のそういうところは未だに抜けきっていない。だいぶマシにはなってきたけど)
唯(曲が始まれば自信満々に演奏するのに普段はビクビクしてるね、澪ちゃん)
梓(何も怖がることはないのに)
唯(今の衣装ならパンチラの心配もないよ)
梓(いいじゃないですか、パンチラも)
唯(あずにゃん、なにニヤニヤしてるの)
梓(気のせいです)
唯(澪ちゃん、あずにゃんが熱い視線を送っているよ)
梓(!? 澪先輩にウィンクされた? どれだけノリノリなんですか澪先輩)
唯(まるでふるさとに帰って来たみたいなはしゃぎっぷりだね、澪ちゃん)
梓(澪先輩にとってバンドは自分のあるべき場所と言っていいのかもしれない。生まれて15年でやっと見つけた自分の居場所)
唯(思えば澪ちゃんとバンドを組んでもう5年目になるのかぁ)
梓(私の想像だけど、澪先輩は放課後ティータイムをみんなに自慢したいって思ってるんじゃないかな。寧ろそうであってほしい)
唯(澪ちゃんが誇りに思えるくらいのバンドになれたかな?)
梓(ここでなら澪先輩は心おきなく叫ぶことができる)
唯(私の歌を聞いて!! って)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:10:40.65 ID:IRGW5vUo<>梓(澪先輩の歌は唯先輩の歌とはどこか違う)
唯(澪ちゃんの歌は不思議だね)
梓(唯先輩の歌は無秩序に放たれる歌。澪先輩の歌は聞く人の心に絡みつく歌)
唯(甘い香りを放ってるんだよね、澪ちゃんの歌は。だからついつい釣られてフラフラ近寄っちゃう)
梓(澪先輩は……こう言っちゃなんだけど悩みがあるようで悩みがない人だと思う)
唯(あずにゃんがまたニヤけてるよ)
梓(だって悩む必要がないくらい豊かな心を持ってるから。心を決めて手を伸ばしさえすればマイクを掴めるんだから)
唯(それにしても澪ちゃんほんとに生き生きしてるねー)
梓(だから魅力的なんだ、澪先輩は。同じステージに立てることが嬉しい)
唯(あ、澪ちゃんがあずにゃんに微笑みかけた)
梓(これからもよろしくお願いします、澪先輩。私も一緒にいい音を作り上げていきます)
唯(むー、私だって……私だって負けないよー)
梓(どうしたんですか唯先輩。心配しなくても放課後ティータイムは5人です)
唯(あずにゃん?)
梓(私達の歌を聞いて!! って思ってますよ。澪先輩は)
唯(澪ちゃん……!)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:11:40.17 ID:IRGW5vUo<>梓(さぁ次の曲行きましょう)
唯(よーし)
梓(澪先輩は憧れの人。でももう一人、私が羨望の眼差しを向ける相手がいる)
唯(うん、喉の調子はバッチリだよ)
梓(その人は……新天地に独り身を置くことになってもめげずに自分の居場所を作ろうとした人)
唯(みんな、いい感じだよ)
梓(私も同じような境遇だっただけに余計にその人の姿勢には心惹かれた)
唯(まるで高校時代に戻ったみたい)
梓(好きなことにのめり込むことにかけてはこの人の右に出る人はいないだろう。それこそ唯先輩だって敵わない)
唯(朝から晩までバカやってたあの頃)
梓(あの笑顔は仮面じゃない)
唯(みんないい笑顔)
梓(心底楽しんでる顔)
唯(特に……)
梓(そんな顔を見てると私も笑顔になっちゃいますよ、ムギ先輩)
唯(ムギちゃん)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:13:14.44 ID:IRGW5vUo<>梓(私もムギ先輩のようになりたい。でも敵いそうにない)
唯(ムギちゃんは私達の中で一番まっすぐな子だ)
梓(作曲したりティーセットを持ち込んだりなんてことを私はやれてない)
唯(同時に一番不思議な子、だと思う)
梓(言葉で場を動かす人ではない。でもムギ先輩はいつも、私達が一つになれるように考えて行動していたように思う)
唯(ムギちゃんはずるい)
梓(当たり前になっていて気付かなかった)
唯(お礼を言う機会を中々くれないんだもん)
梓(私達は餌づけされてたんだ)
唯(ねぇムギちゃん)
梓(音楽がないと笑うことができなくなっていた。いつの間にか)
唯(恩返ししたい、なんて言ったらムギちゃんに怒られそう)
梓(この仲間とずっと一緒にいたいと思えた)
唯(友達だからね)
梓(止まれませんね、私達)
唯(私は、私達はムギちゃんがやめるっていうまでずっと止まらないつもりだけど、どうかな?)
梓(唯先輩、さっきから後ろをチラチラ。ミスりますよ)
唯(どうしたのあずにゃん。もう、心配しないでよ〜)
梓(相当ハイになってますね、唯先輩。私も人のことを言えませんけど)
唯(ムギちゃんだって)
梓(澪先輩も律先輩も。まだ2曲目なのに飛ばしますね)
唯(まだまだ行くよ〜)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:14:42.88 ID:IRGW5vUo<>梓(3曲目)
唯(永遠の女子高生、なんて言ったら痛々しいおばさんみたいかな?)
梓(唯先輩は今も女子高生みたいだ)
唯(でも歌ってる時は若返った気分になるんだよ!)
梓(構わないけどね。老けこむより若返る方がずっといい)
唯(またあずにゃんが素直じゃないオーラを出してるね。楽しんでるぅ?)
梓(唯先輩? 何ですかその顔)
唯(ん? 私の顔変かな?)
梓(表情がコロコロ変わりすぎです。元の顔が思い出せません)
唯(何がおかしいのあずにゃ〜ん。ライブ、そんなに楽しいー?)
梓(唯先輩はライブで出せるものを全て出し切る人だ。今までの放課後を全部解き放ってるんだ。だから面白い)
唯(私も楽しいよ、あずにゃん)
梓(だから……やめられない。あの日の放課後を思い出させてくれるから)
唯(うん、特訓の成果出てるね!)
梓(あの日の唯先輩は珍しくが練習熱心でしたね)
唯(放課後っていいね)
梓(何千時間過ごしたかわからない放課後が今このステージで再生されてるみたい。こんな風に考えてるのは私だけかもしれないけど)
唯(忘れたくても忘れられないもん。あの日もあの日も)
梓(いや……きっと先輩達だって私と同じ気持ちだ。そう信じたい)
唯(大好きだったから)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:15:42.80 ID:IRGW5vUo<>梓(ふふ。私も大好きだったんだなぁ、放課後が)
唯(今日のあずにゃんはよく笑うね)
梓(単なるノスルタルジーではない。だって放課後は永遠なんだから)
唯(あずにゃんがドヤ顔に)
梓(こんなこと恥ずかしくて口にできないけどね。でも、唯先輩の歌が呼び起こす放課後は、幻想なんかじゃなくて確かな現実だ。確かに私達が積み上げてきたもの)
唯(あずにゃん?)
梓(すみません。ちょっと浸ってしまいました)
唯(あずにゃんでもライブ中気が抜けちゃうこともあるんだ)
梓(奇跡みたいなものだったんだよ。あの時間は)
唯(元気出してよあずにゃん)
梓(だからちょっぴり不安になる。どうすればいいのかなって)
唯(テンション上げようよ)
梓(どうすればいつまでも……)
唯(あずにゃん)
梓(唯先輩?)
唯(……うたおうよ)
梓(唯先輩……)
唯(私達は放課後ティータイムだよ)
梓(そうだ。まだまだ終わってないんだ)
唯(今は楽しも! あずにゃん)
梓(そうだ。楽しむんだ、私)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:17:25.73 ID:IRGW5vUo<>唯(ふぃー。じゃ、澪ちゃん頼むね)
梓(4曲目。この曲を始めて聞いたのは一年前の学祭)
唯(そういえば去年……)
梓(受験が近かったし心配かけたくなかったから、先輩達には言わずこっそり見に行ったんだけど……)
唯(あずにゃんが見に来てた、ってりっちゃんが言ってたなぁ)
梓(律先輩と目が合ってしまった)
唯(あずにゃん、来るって言ってなかったのに)
梓(あの時の律先輩の目は、私が今まで見たことのない目だった)
唯(りっちゃんもあまりあの日のこと話したがらないし)
梓(仲間外れしてごめんな、そう言っているように見えた)
唯(きっと何か理由があるんだと思う。りっちゃんもあれで結構考えてるから)
梓(律先輩は強引な人だ。きび団子を持ってない桃太郎みたいなものだ)
唯(あずにゃん、りっちゃんに見つめられてるよ)
梓(一方で責任感が強い人だ。一度仲間になったら簡単には離してくれない)
唯(あ、りっちゃん、恥ずかしそうに目を伏せた)
梓(律先輩、リズムが乱れてます。怠けないでください)
唯(あずにゃんが厳しい視線をりっちゃんに)
梓(しかし、今となっては、律先輩みたいな人が部長でよかったと思える。本能任せなこの人でよかったと)
唯(りっちゃんが渋い表情に)
梓(決してうまく部を仕切っていたわけじゃない。やりたいことをやっていただけ、のように見えた)
唯(りっちゃん、がっくし)
梓(でも、それがいい結果につながっていたんですよ、律先輩。おかけで私達はのびのびと過ごすことができました)
唯(りっちゃん、復活)
梓(今まで意識することはありませんでした。でも、律先輩が私達に見えないところで盛んに動いていたことを、最近になってようやく理解しました)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:18:25.62 ID:IRGW5vUo<>唯(りっちゃんは、私と一番ウマが合う相手と言っていいかな)
梓(律先輩は人の見えない部分を引き出すのが得意だ)
唯(だってりっちゃん見てると楽しくなって来るもん)
梓(逆に律先輩の内面はまだわからない部分が多い)
唯(話してて飽きないし)
梓(律先輩自身、見せたくない感情が多いのかもしれない)
唯(演奏してると楽しいし)
梓(でも、律先輩)
唯(あずにゃん?)
梓(私は敢えて律先輩の中身を見ようとは思いません)
唯(りっちゃん、キョトン)
梓(きっと律先輩は見られるのを嫌がるでしょうから。だから私はずっと生意気な後輩でいるつもりです)
唯(あずにゃん、ニヤリ)
梓(だから、練習サボって怠けてたら遠慮なく注意しますよ、今まで通り。それが私達の立ち位置だと思いますから)
唯(あずにゃん、嬉しそう)
梓(私達は変わりませんよね、部長)
唯(りっちゃん、コクリ)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:19:23.20 ID:IRGW5vUo<>梓(あと2曲か)
唯(雨、止んだね)
梓(この曲は曇り空が似合う曲だ)
唯(この曲、最近作ったばかりだから練習不足なんだよね。だから集中しなくちゃ)
梓(唯先輩が気を引き締めている)
唯(フンス)
梓(……時々現れる大人の顔。普段子供っぽいだけにいきなり大人の顔を見せられたら身構えてしまう)
唯(さ、あずにゃんも)
梓(! ヘアピンがないと余計に)
唯(いくよー)
梓(ダメダメ。集中しなきゃ)
唯(やっぱり今が一番だね)
梓(子供と大人の境界線。唯先輩を見てるとそんなものを意識してしまう)
唯(だって今のみんなが愛おしいから)
梓(過去と未来に押しつぶされそうになる時がある)
唯(今を愛さないと何も愛せないよ)
梓(先輩達が高校を卒業する、というだけで私は壊れてしまったんだから)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:21:23.32 ID:IRGW5vUo<>唯(どうしたの、あずにゃん。澪ちゃんの歌声に心臓揺さぶられちゃった?)
梓(唯先輩。私ムカついてます)
唯(ん?)
梓(私がどんなに悩んだって)
唯(怒ってるような、笑ってるような、泣いてるような、よくわからない顔)
梓(唯先輩は自分のペースを崩しませんから)
唯(私に何か言いたいことがあるの? あずにゃん)
梓(何も言いたいことなんてありません。ただ……ただいつか見捨てられるんじゃないかとおびえているんです)
唯(あずにゃん……残念だけど今は抱き締められないよ)
梓(唯先輩?)
唯(あずにゃん、私達いつの間にか大学生になっちゃったね)
梓(卒業……か)
唯(でもね、何度卒業したって私達はやり直せるでしょ。だって……)
梓(うん、決めたもんね。今を楽しむって)
唯(放課後はいつまでも終わらないんだから)
梓(思い出も未来予想も今はいらない)
唯(ステージ上のミュージシャンのやることは一つ!)
梓(ギターを弾こう)
唯(私達は一つ!)
梓(今が私の一番なんだから)<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 13:23:01.10 ID:IRGW5vUo<>唯(これで最後)
梓(もっと演奏したい)
唯(あずにゃん、デパートのおもちゃ売り場でダダこねてる子供みたいだよ)
梓(何ですか唯先輩。しょうがないじゃないですか。好きなものは好きなんです)
唯(大丈夫だよ。これからもライブはできるよ。何度だって)
梓(明日からしばらくはティータイム漬けかも)
唯(今夜の打ち上げ楽しみだなぁ)
梓(あぁその前に今夜はきっと……)
唯(ま、これ含めて放課後ティータイムなんだからあずにゃんも許してくれるよね)
梓(でも練習もしますよ! もっと真面目に!)
唯(あずにゃんの目……あれは「練習!」の目だ)
梓(私達のためなんですよ)
唯(わかってるよ。練習練習言わないあずにゃんはあずにゃんじゃないもん)
梓(澪先輩もそうですよね。練習が大事ですよね)
唯(でもちょっと休みたいよね、りっちゃん)
梓(ムギ先輩もニコニコしてないで何か言ってください)
唯(ムギちゃんは私達の味方だよね)
梓(はぁ。結局私達はいつまでも女子高生だなぁ)
唯(嬉しそうだね、あずにゃん)
梓(でもこれこそ私が望んだものなのかもしれない)
唯(晴れてきたね)
梓(日差しが……眩しい)
唯「ラスト! “Cagayake! GIRLS”」
梓(できるならば……ずっと、女子高生のままでいたい)<>
◆n5dGNMG5kGRx<>yuiazu<>2011/01/09(日) 13:24:49.60 ID:IRGW5vUo<>あけおめ<>
◆n5dGNMG5kGRx<>sage<>2011/01/09(日) 13:28:21.72 ID:IRGW5vUo<>あれ? 酉ミスった?<>
◆n5dGNMG5kGRx<>sage<>2011/01/09(日) 13:35:48.99 ID:IRGW5vUo<>まぁいいや、このままで
ことよろ<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 15:44:32.13 ID:N.wYs9Ao<>ことよろー
乙ですー<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/09(日) 15:56:39.37 ID:dMpx.swo<>乙乙<>
◆n5dGNMG5kGRx<>sage<>2011/01/13(木) 23:13:41.73 ID:lcyLN793o<>サボりすぎすみません
↓への引っ越しを今夜中にしたいと思います
SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
<>
VIPにかわりましてGEPPERがお送りします<>sage<>2011/01/13(木) 23:20:00.05 ID:Jl2xi4wSo<>おつおつ
読み進めるのがもったいなく思えるぐらい応援してるんで無理せずがんばってほしいです
移転先でも心待ちにしてます!
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
<>
真・スレッドムーバー<><>移転<>この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:15:16.81 ID:/PE5L9t4o<>梓「2013年が始まる。
学祭が終わり、しばらく真面目に練習することはないだろうという私の懸念は当たらなかった。
学祭の二日後には、示し合わせたわけでもないのに5人集まって演奏した。
ゆるい雰囲気は相変わらずなのだが、音楽に対する熱は気温に反比例して上昇していった。
毎日音合わせに夢中だった。あの学祭ライブの感覚を忘れることないよう、全身に焼きつけるかのようにただひたすら。
大晦日だった昨日も、朝からライブイベントに参加した。そしてさっきまで唯先輩の部屋で打ち上げ兼忘年会。
新年を迎える前に眠りに就いた律先輩と純とさわ子先生は唯先輩の部屋で寝かせて、澪先輩とムギ先輩と和先輩には私の部屋に泊まってもらうことにした。
メールだ。さきほど新年のあいさつをしたばかりの隣人から。ベランダに出て?」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:16:07.38 ID:/PE5L9t4o<>梓「唯先輩」
唯「あずにゃん」
梓「寒いですね」
唯「うん」
梓「電話じゃ駄目なんですか」
唯「星空眺めながら話そうよ」
梓「風邪引きますよ。明日帰省するのに」
唯「10分だけでいいからぁ」
梓「はぁ、わかりましたよ」
唯「ありがとー」
梓「憂はもう寝たんですか?」
唯「洗い物とおせちの準備をしてるよ」
梓「手伝ったらどうですか」
唯「邪魔になるだけだから……」
梓「確かに」
唯「ちょっとはフォローしてよ……」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:18:33.72 ID:/PE5L9t4o<>梓「憂は自分の料理を唯先輩がおいしく食べてくれるだけで嬉しいんです。それ以上は望んでません」
唯「でもさ〜、たまには台所に姉妹並んで料理とかさ〜」
梓「じゃあしてきたらどうですか」
唯「来年はそういう事やりたいかなーって」
梓「もう2014年の目標を立てたんですか」
唯「揚げ足取らないでよー。今年ね、今年。今年の目標」
梓「今年の目標ですか」
唯「あずにゃんの今年の目標は?」
梓「決めてません。まだ去年の総括も終わってませんから」
唯「忙しかったもんね」
梓「あっという間でした。振り返る暇がないほどまっすぐ駆け抜けてきた感じです」
唯「誰も身体壊さなくてよかったよ」
梓「こんな時間に夜風に吹かれてたら簡単に風邪引きそうですけどね」
唯「だぁいじょうぶだよー。憂の料理とおみかんさまがついてるからねー」
梓「憂の苦労を台無しにするようなことだけはしないでくださいね」
唯「わかってるよー。ちゃんと着こんでるから大丈夫……ういっくしっ!!」
梓「……もう寝ますか」
唯「……もうちょっとだけ話そうよー」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:19:59.86 ID:/PE5L9t4o<>梓「この一年、色々なことがありましたね」
唯「そだねー。その度に助けてくれる人がいたね」
梓「1月、2月は入試で」
唯「あずにゃん。受験の日、結局私の部屋に泊まってくれなかったね」
梓「泊まったら落ちてましたよ、きっと」
唯「ぶー」
梓「憂がいてくれてよかったです。教えるの上手だし」
唯「おいしいお茶を出してくれるし?」
梓「……まぁ否定はしません。憂の入れてくれるお茶やコーヒーはおいしいです」
唯「受験のノウハウを姉から引き継いでいたし?」
梓「それはないです」
唯「即答!?」
梓「後輩達も快く部室を使わせてくれました」
唯「あずにゃん達も私達と同じだったんだー」
梓「私達は唯先輩や律先輩みたいにサボってません。……まぁたまに」
唯「んー?」
梓「なんでもないです。何はともあれ合格できて3月には……」
唯「あれ?」
梓「どうかしましたか」
唯「純ちゃんの活躍は?」
梓「純は……私達のペースメーカーでした。純が眠りに就くのが休憩の合図でした。おかげで無理なくやれました」
唯「気が利く子なんだね〜、純ちゃん」
梓「そうでしょうか」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:21:42.89 ID:/PE5L9t4o<>唯「3月は卒業旅行に行ったね〜。と言っても私達も一緒だったけど」
梓「先輩達の旅行にも連れて行ってもらったんですから当然です」
唯「ありがとー」
梓「私達の行きたい所に行って先輩達が満足できたのか不安でしたけど」
唯「私達の旅行はレジャーがメインであずにゃん達の旅行は観光がメインだったからねー」
梓「退屈じゃありませんでしたか?」
唯「もちろんそんなことないよ! 私達に楽しめないものはないよ」
梓「ああ、確かに振り返ってみると唯先輩と律先輩は走り回って澪先輩とムギ先輩は二人を必死に追いかけてましたね」
唯「うぅ、ごめん。旅行になるとテンションが上がっちゃうんだよ」
梓「しょうがないです」
唯「逆にあずにゃん達が楽しめてたのかどうか心配になってきた」
梓「楽しめましたよ。私達の方は、盛り上げてくれた先輩達に感謝してますから」
唯「それはよかった」
梓「旅行から帰ったら息つく間もなく大学生になって」
唯「あずにゃんのスーツ姿、かわいかったよ〜」
梓「可愛いと言われて喜んでいいのかわかりません」
唯「きっと就活でも高得点だよ〜」
梓「どういう採用基準ですか」
唯「私が面接官だったらあずにゃんを雇うよ」
梓「私は唯先輩の部下にはなりたくないです」
唯「しょぼん」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:23:25.64 ID:/PE5L9t4o<>梓「5月の連休は……あぁ。初めて唯先輩の運転を……」
唯「私の運転に酔ってたねあずにゃん」
梓「確かに酔いました」
唯「ごめん。でもあれは他人の車だったし、不慣れだったというか、何というか」
梓「律先輩が、私の車が唯に壊されないか冷や冷やしてたって言ってましたよ」
唯「これでも傷一つつけたことないよ!」
梓「唯先輩の運転する車にはあれ以来乗ってませんけど、これからも乗りたいとは思いませんね」
唯「じゃあ二人でドライブに行きたい時はどうすればいいの」
梓「私が運転します」
唯「え〜、あずにゃんの運転、遅くてたいくつ〜」
梓「安全運転です」
唯「私だって」
梓「こういう話は私達のどっちかが車買ってからにしましょうよ」
唯「お金貯めなきゃね〜」
梓「そうです。6月なんてピンチでしたからね」
唯「しょうがないじゃん。服も買わなきゃギターメンテしなきゃ食料買わなきゃだったんだから」
梓「雨のせいで気軽に買い物行けないからって、一度のお出かけで何時間もお店に居座って高い買い物してましたもんね。そのせいで憂が働きに出る羽目に……」
唯「人聞きの悪いこと言わないで! 元々この時期からバイト始めようって言ってたよ!」
梓「本当ですか」
唯「そう言うあずにゃんだって6月からバイト始めたよね」
梓「私も予定通りです」
唯「ほんとに〜?」
梓「本当です」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:24:50.64 ID:/PE5L9t4o<>唯「夏は暑かったね」
梓「ええ。オリンピックがありましたからね」
唯「遅くまで見たねー」
梓「わざわざ私の部屋に来て……」
唯「憂は早めに寝てたから……」
梓「私も録画はしてましたけど」
唯「でもリアルタイムの方が盛り上がれるじゃん」
梓「はぁ」
唯「体操で日本がメダルを取った時なんてあずにゃんの方から抱きつ……」
梓「でも全体的に日本は残念でしたね!」
唯「ほぇ? 私は勇気をもらったよ。競技もだけど選手のドキュメンタリーには心を打たれることが多かったよ」
梓「そうですか? 確かに感動的な話が多かったですけど。でもドキュメンタリーは美談に仕立てているのもありそうで」
唯「でも一流の姿勢というかな。そういうのは十分伝わってきたよ。全然知らないスポーツとか知らない選手でも」
梓「唯先輩らしくないですね。一流へ憧れるなんて」
唯「一流にならないとさー、生きてけないじゃん」
梓「そんなことはないと思いますけど」
唯「うーん、ごめん。ちょっとうまく言えないや。普通に生きてくなら一流なんて目指さなくてもいいよね」
梓「唯先輩は普通じゃない人生を望んでるんですか。今でも普通とはちょっとずれてる人ですけど」
唯「人を変人みたいに……。普通……ではないかもね、きっと」
梓「よした方がいいんじゃないですか」
唯「やるにしてもやらないにしても早めに決断しなきゃダメだと思うんだー」
梓「……あまり思い詰めないでくださいね」
唯「あずにゃんは私が思い詰めるような人だとおもうの〜?」
梓「今の唯先輩の顔を見てみたいです」
唯「……残念。ベランダには仕切りがあるんだよ〜」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:26:09.19 ID:/PE5L9t4o<>梓「9月は……」
唯「まだ夏休み!」
梓「大学生さまさまですね」
唯「もう一回くらい旅行行きたかったんだけどな〜。温泉旅館とかに」
梓「そんなこと言ってなかったじゃないですか」
唯「だってあずにゃんが練習練習って」
梓「ライブが近かったんですから当たり前です。律先輩達だってそうだったじゃないですか」
唯「あずにゃんは余裕なくなってたからね〜」
梓「すみません」
唯「んーん。私達だって大学の初ライブは緊張したもん。高校の時より人が多いし、大人の人もたくさんいるからね」
梓「野次飛ばされるんじゃないかってびくびくしてました」
唯「でもうまくいったね」
梓「はい。おかげで2回目は力を抜いてやれました」
唯「学祭の時はほとんど緊張してなかったね」
梓「慣れって大事ですよ」
唯「休みの生活に慣れたせいで10月は辛かった」
梓「毎朝私と憂を待たせて。10月末まで元の生活に戻れなかったじゃないですか」
唯「小学生じゃないんだから、わざわざ待ってくれなくてもよかったんだよー。同じ時間に講義が始まるわけでもないんだし」
梓「小学生じゃないんですから、ちゃんと自分で起きてくださいよ。同じ時間に寝てるのにどうして唯先輩だけ寝坊するんですか」
唯「すみません」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:27:11.87 ID:/PE5L9t4o<>梓「まぁ11月にはライブモードに切り替えてくれましたからよかったんですけどね」
唯「寒くなってきたからね〜」
梓「関係あるんですか?」
唯「寒くなるとね、頭は凍りついて動かなくなるけど身体は勝手に動き出すんだよ。手足が凍ることのないようにね」
梓「だから唯先輩は11月に生まれたんですか? じっとしてられない! って」
唯「あずにゃんだって〜」
梓「そもそも人体にそういう性質はあるんですか?」
唯「ないんじゃない? 私の思いつきだし」
梓「やっぱり」
唯「でもじっとしてられない! って気持ちは確かにあったよ。だって」
梓「一体感を味わいたかったから」
唯「学祭ライブでね」
梓「きっと唯先輩は学祭で燃え尽きるだろうと思ってたんですけどそうでもなかったですね」
唯「学祭ライブが不完全燃焼だったわけじゃないよ。でもね、火種はまだ残ってたんだよ」
梓「どうしてでしょうか」
唯「消そうとしてもすぐ点けようとする子がいるからね」
梓「誰ですか」
唯「あずにゃん」
梓「身に覚えがないです」
唯「じゃああずにゃん似の妖精さんが私の心に火を点けたのかも」
梓「きっとそうですよ」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:28:17.45 ID:/PE5L9t4o<>唯「へっぷしっ!!」
梓「もうそろそろ入りましょうよ」
唯「グスッ、うん。時にあずにゃん」
梓「なんです?」
唯「一年を振り返ってみて思ったんだけどさー」
梓「はい」
唯「あずにゃん、同期の友達と遊んでる?」
梓「……遊んでます」
唯「ならいいんだけど」
梓「心配しないでください。勉強のことや流行りのことでの乗り遅れはないですから」
唯「でもそういう表面上の付き合いしかしてないんじゃ……?」
梓「先輩達だって結局いつものメンバーじゃないですか」
唯「まぁ確かに。今夜だって、クリスマスだってそうだね」
梓「優先順位が生まれるのはしょうがないことです。寧ろはっきり決めとかないと中途半端になってしまいます」
唯「あずにゃんはオッケーなの? 今のあずにゃんは高校時代の影を追ってるだけなのかもしれないんだよ」
梓「唯先輩、星見えますか」
唯「え、うん。きれいだね」
梓「バイクの音、うるさいですね。暴走族でしょうか」
唯「ほんとだね。寂しい人達だね」
梓「いい匂いがします。憂の作った煮しめでしょうか」
唯「鼻が詰まっててわかんないや」
梓「唯先輩、そこにいますか」
唯「いるよ」
梓「よかった」
唯「うん?」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:29:31.11 ID:/PE5L9t4o<>梓「影なんかじゃないです。私が追ってきたのは皆さんの背中なんです」
唯「あずにゃん?」
梓「何でもないです。さぁもうおそ…くしゅん!」
唯「あはっ、あずにゃんかわいいくしゃ…ういっくしっ!!」
梓「唯先輩ほんとにだいじょ……あれ? 今のくしゃみ唯先輩だけじゃなくて……」
唯「あー! りっちゃん純ちゃんさわちゃん憂!」
梓「えっ? って澪先輩ムギ先輩和先輩! 起きてたんですか!?」
唯「寒いから中に入ってなよ〜って私が言えたことじゃないか。あはは」
梓「いつから聞いてたんですか!? いえ、聞かれてまずい話はしてないですけど」
唯「せっかくいいムードだったのに台無しだよ〜」
梓「誤解を招くようなこと言わないでください。何もありません!」
唯「しょうがないなぁ。みんなで星空観賞会でもしよっか!」
梓「なんでそうなるんですか。もう遅いです! 私寝ます! 皆さんも寝てください!!」
唯「え〜〜」
梓「えーじゃないです。おやすみなさいっ!」
唯「しょうがないなぁ。おやすみあずにゃ〜ん。えっ? さっきの話?それはね純ちゃん……」
梓「なんでもないから!!」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:31:11.76 ID:/PE5L9t4o<>梓「新年を迎えて2週間経ったある日の夜。
私達は澪先輩の部屋に集まっていた。
何を隠そう今日は澪先輩の誕生日。
平日の夜ということで家が遠い和先輩は流石に来れなかったが、昨日の成人式で会った時にお祝いの品は贈ったそうだ。
憂とムギ先輩が料理を運んで来た。純は我慢できなさそうな表情をしている。
澪先輩は照れ臭そうに頬をかいている。
ちなみに律先輩は風邪を引いて、扉の向こうで横になっている」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:33:25.22 ID:/PE5L9t4o<>唯「じゃあ、澪ちゃんの二十歳の誕生日を祝って……かんぱーいっ!!」
梓「かんぱーいっ!」
唯「ごくごくごく……ぷはーっ」
梓「おじさんくさいですよ」
唯「いいのいいの。あずにゃんと違って私達は大人なんだから」
梓「ならもうちょっと女性らしくしてください」
唯「さて! ここで主役の澪ちゃんから一言いただきたいと思います!」
梓(流された)
唯「うんうん。ううん、そんなことないよ〜。澪ちゃんは自分の力でここまでやってきたんだよ。私達はちょっとお手伝いしただけだよ」
梓「そうですよ。今の私があるのは澪先輩のおかげです。お世辞じゃないですよ」
唯「さぁさ、どんどん飲んで澪ちゃん。これからは合法的に飲酒できるんだから」
梓「無理強いはよくないですよ。澪先輩、このピラフなんてどうです」
唯「このサラダもいいよー。憂特製ヘルシーサラダ!」
梓「この唐翌揚げも…………。唯先輩、食べてばっかりなのもよくないんじゃないですか。澪先輩、混乱してます」
唯「あー、うん。じゃあみなさんゆっくりお食事とおしゃべりを楽しんでください。私はちょっとりっちゃんの様子を見に行ってきまーす」
梓「はい、いってらっしゃい」
唯「憂ー。お粥はこれかな? うん。大丈夫だよ、私一人で。みんなは澪ちゃんと楽しんでて」
梓「後で代わりますね」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:35:04.14 ID:/PE5L9t4o<>唯「りっちゃ〜ん? 気分はど〜お?」
梓「全く。忙しない人ですね」
唯「あはは、私だって病人の前でなら大人しくできるよー」
梓「影響? そんなことないです! 唯先輩からの影響なんて悪影響しかないです!」
唯「お粥はどう? そっか。ちょっとおしゃべりしよっか」
梓「それより律先輩はどうして風邪を? あ、もしかして元旦の……」
唯「成人式だからって無理して出なくてもよかったんじゃないの? 健康第一だよ?」
梓「あぁ、それは関係ないんですか。昨日無理したせいでこじらせたんですか」
唯「りっちゃんにとっては今日の方が大事だったんじゃないの?」
梓「講義には出てないのにパーティには来て……。無茶しますね」
唯「澪ちゃん? 楽しんでるよ。ムギちゃんもあずにゃんもいるんだから」
梓「律先輩が風邪を引いてなかったらこの場はもっと盛り上がってたかもしれませんね。澪先輩、寂しいんじゃないですか」
唯「楽しんでたら楽しんでたで複雑? 顔に出てるよ、りっちゃん」
梓「いいんですよ、わかってますから。私達は律先輩ほど澪先輩の『祝い方』を心得てはいませんから」
唯「この部屋寒いね」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:36:34.29 ID:/PE5L9t4o<>梓「雪、止みませんね」
唯「大丈夫だよ〜。ほら、カイロあるから。もうちょっと話そうよ」
梓「あれ? 窓際の雪だるま……」
唯「絶好の雪合戦日和だね」
梓「澪先輩が作ったんですか。可愛いです」
唯「りっちゃんも子供の頃はよくやったんじゃないの?」
梓「え? プレゼントが雪だるま?」
唯「へ〜、いいんじゃない? りっちゃんらしくて」
梓「確かに一日で消えちゃいますけど」
唯「きっと澪ちゃんにとっては最高の思い出だったと思うよ」
梓「逆に二度と再現することができないオンリーワンのプレゼントですよ」
唯「毎年最高のプレゼントを贈ってきた? へ〜、じゃあ今年はどうするの?」
梓「毎年驚かされてばかりだった? 幸せ者じゃないですか。ね、ムギ先輩」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:38:59.34 ID:/PE5L9t4o<>唯「パーティーでは澪ちゃんよりりっちゃんの方がいっぱい食べてたんじゃない?」
梓「澪先輩、どんどん食べてください。今日は澪先輩が主役ですよ」
唯「その割にはりっちゃん全然成長しないけどね〜」
梓「あ、今は控えめなんですか。すみません」
唯「澪ちゃんのママさん、りっちゃんの好みをすっかり熟知してそうだよね」
梓「澪先輩、電話鳴ってますよ。誰からでしょうか、ムギ先輩。ああ、親御さんですか」
唯「去年や今年は寂しがってるんじゃないかなぁ、パパさんママさん」
梓「何か悪いです。ご家族から澪先輩を奪っちゃって」
唯「喜んでる? 過保護そうだけど、そういうものなの?」
梓「嬉しい、んでしょうか。一人娘が巣立って」
唯「りっちゃんが言うならそうなのかな。私は澪ちゃんのパパさんママさんとほとんど会ったことないからわかんないや」
梓「……ムギ先輩のご両親はどうなんですか? 今のムギ先輩を見て喜んでるんですか?」
唯「私の親? うーん、元から放任主義だから私達にどうなってほしいなんて願望は最初からないんじゃない?」
梓「だましだまし……ですか。大変なんですね、ムギ先輩も」
唯「あずにゃん?」
梓「私ですか? 私は……親とうまくいってますよ」
唯「大丈夫だと思うけど……。けど……」
梓「迷惑?」
唯「迷惑、かけてないかなぁ?」
梓「そんなことないです!」
唯「そ、そう? でも私達、特に私はあずにゃんをよくない方に持っていってるようでたまに不安になることが……」
梓「あ、すみません。大声出して。澪先輩、お電話済みましたか」
唯「うん……。がんばってみるよ。あずにゃんのためだもん」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:40:21.04 ID:/PE5L9t4o<>梓「じゃあそろそろプレゼントを」
唯「ごめん。今日は澪ちゃんの誕生日なのに」
梓「私からはこれを……。澪先輩、おめでとうございます。これが少しでもいつものお返しになれば嬉しいです」
唯「私? 手作りケーキだよ」
梓「髪飾りです。ちょっと子供っぽいかもしれないですけど、可憐で厳格だけど、それでいて無邪気な、そんな澪先輩にぴったりだと思って選びました」
唯「大丈夫だよ〜。私、これでもしっかり修行してるし。澪ちゃんのためなんだから、最大限の注意と愛情を込めて作ったよ〜」
梓「和先輩からは時計をもらったんですか」
唯「澪ちゃん、喜んでくれるかなぁ」
梓「唯先輩からのプレゼントはまた後で」
唯「りっちゃんはどうするの?」
梓「律先輩はどうするんでしょうか?」
唯「そっか。私達は早めにお暇したほうがいいのかな?」
梓「そうですか。長居をするつもりはありませんから、安心してください」
唯「別にからかってないよ〜」
梓「そんなつもりはないですよ〜」
唯「いっぱい祝ってあげてね、りっちゃん」
梓「特別、なんでしょ?」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:41:50.36 ID:/PE5L9t4o<>唯「じゃあそろそろ戻ろうかな。料理残ってるかな〜?」
梓「あまり料理減りませんね。まぁ唯先輩が片付けてくれるでしょう」
唯「ん? なぁに? りっちゃん」
梓「なんですか、澪先輩?」
唯「……うん。あずにゃんはどうしたいのかな」
梓「バンドの方向性……ですか?」
唯「その時は私が話すよ。ううん、りっちゃん。私が」
梓「まだはっきりとは見えてないです。でも……できるだけ長くやりたいとは思ってます」
唯「そんなんじゃないってばー。私が一番あずにゃんに迷惑かけてるから、責任取りたいだけだよ〜」
梓「唯先輩? あの人は大して考えてないんじゃないですか?」
唯「あずにゃんにひどいこと言われるのは慣れてるから」
梓「……素直ですよ、私は」
唯「わかりやすいけどね、あずにゃん」
梓「そんなことないです」
唯「本気で嫌われてたら悲しいけど」
梓「まぁ……嫌いじゃないです」
唯「私は大好きなのに」
梓「生きがい? 唯先輩が?」
唯「ま、昔より少しは印象よくなってると思うよ、たぶん」
梓「冗談きついです、澪先輩。憂もニコニコしないで」
唯「はいはいがんばりま〜す」
梓「何をがんばるんですか。もう。澪先輩がこんなに意地悪だったなんて知りませんでした」
唯「じゃ、ゆっくりおやすみ。りっちゃん」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:43:39.48 ID:/PE5L9t4o<>梓「あ、おかえりなさい、唯先輩。遅かったですね」
唯「まぁねー。りっちゃん寂しがり屋だから」
梓「唯先輩が病状を悪化させてなければいいですけど」
唯「献身的な看病をしました!」
梓「ならいいですけど」
唯「あ、結構料理あまってるね。遠慮しなくていいんだよ、純ちゃん」
梓「純はずっと食べてましたよ」
唯「私のために取っててくれたのかな? 純ちゃんありがと〜」
梓「食後に抱きつくと戻しますよ」
唯「さぁ、私も食べますかぁ」
梓「あと10分くらいしたらケーキ出しませんか?」
唯「えぇ〜? 私まだほとんど食べてないのに〜」
梓「じゃあ20分で」
唯「30ぷ〜ん」
梓「どれだけスローフードなんですか」
唯「せっかくのごちそうなんだから味わわないと。もぐもぐ」
梓「はぁ。じゃあ待ってる間テレビでも……」
唯「ゴホッ! ゲホッ」
梓「あぁ何やってるんですか」
唯「ごめん。おいしかったからついつい箸が進んで」
梓「スローフードじゃなかったんですか。はい、お水です」
唯「ありがと、あずにゃん」
梓「しょうがない人ですね」
唯「えへへ〜」
梓「……澪先輩? どうしたんですか? 素敵な笑顔浮かべて」<>
◆n5dGNMG5kGRx<>yuiazu<>2011/01/15(土) 23:44:39.52 ID:/PE5L9t4o<>みおたん!<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/15(土) 23:54:34.65 ID:dHsDpbZvo<>おめでとう!<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/16(日) 00:34:21.94 ID:7FZZ1XWJo<>今回は妄想難易度高かったぜ
乙、そして澪誕生日おめでとう!と言おうと思ったら過ぎてたでござる<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/16(日) 17:30:40.27 ID:KHVEmsXzo<>乙乙<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:23:37.79 ID:MVxIEanwo<>梓「雪がすっかり溶けた3月半ば。
薄雲が太陽を隠し始めた。ゆっくりと。
唯先輩はコロッケ(チーズ入り)を頬張った。
私もカニクリームコロッケを口に含む。唯先輩の実家のお隣のおばあさんに頂いたものだ。
いつぞやの放課後のように、私達は河原に腰掛けてだらしくなく頬を緩ませていた。
薄雲が太陽の前を通り過ぎた。
ミニライブを終え、私達は一服していたのだ。ミニライブと言っても、観客は子供と主婦とおばあさんだけだったけれど」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:25:51.88 ID:MVxIEanwo<>唯「オフは今日で終わりかぁ」
梓「休み足りないんですか?」
唯「ううん。十分休んだよ。でもさ」
梓「私も名残惜しいです。面白い体験でしたから」
唯「2週間前、一人の女の子に会ったことがきっかけだったね」
梓「二人での秘密特訓のはずだったんですけどね」
唯「しばらく来ないうちに、ここは子供の遊び場になってたんだね」
梓「ここは静かで広々としてて空気がおいしくて……子供たちが遊ぶには適してますから」
唯「大学の近くの河原なんてね」
梓「あそこでも子供達は遊んでますけど……」
唯「川沿いに怪しげなホテルが並んでちゃあ風流とは程遠いよ」
梓「私達もあそこでギターを弾くのはためらってしまいますよね」
唯「やっぱりここが一番だよ」
梓「既に私達の城ではなくなっていましたけどね」
唯「私は城より公園がいい」
梓「望みが叶ったんですね」
唯「うん」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:26:54.27 ID:MVxIEanwo<>梓「あの子。ええと、6歳のあの子です」
唯「あの子が最初のお客さまだったね。友達とはぐれて泣きながらここに来て」
梓「でも私達のギターを見たら途端に泣き止んで」
唯「弾いて! 弾いて! って」
梓「面白いように表情が変わりましたよね。泣き止んだかと思ったら目をクリクリさせて、はじけるように笑いだして」
唯「子供って面白いよね〜」
梓「唯先輩だって普段からあれくらい表情変えてますけどね」
唯「なにさ〜。私が子供だって言うの?」
梓「純粋で羨ましいです」
唯「おませさんのあずにゃんにはわかるまいよ」
梓「わからないです」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:28:15.85 ID:MVxIEanwo<>唯「次の日からはどんどんギャラリーが増えていったね〜」
梓「あの子の友達にお母さん、噂を聞きつけた子供たちにママさん方におばあさん達」
唯「ここって田舎なんだなぁって実感したよ」
梓「いつの間にか私達、『ぎたーのおねえさん』になってましたからね。クチコミってすごいです」
唯「木曜日に雨が降ってミニライブは中止になって」
梓「翌日に来てみたら水曜日よりずっと多くの子供たちが集まってましたね」
唯「よっぽど楽しみにしてたんだね〜」
梓「3日くらい雨が続いてたらどうなってたんでしょうか」
唯「町中の子供たちが集まってたかも」
梓「そんなことになったら席が足りなくなってたでしょうね」
唯「人気者はつらいよ」
梓「まぁ現実味のない話ですけど」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:29:36.34 ID:MVxIEanwo<>唯「月曜日から来るようになったあの子。5歳って言ってたね」
梓「迷って辿り着いたわけでもなければ母親に手を引かれて来たわけでもない、あのちょっと変わった子ですか」
唯「あの歳で一人で遊びに出かけるのは変だよね」
梓「保育園を抜け出して来たって言ってましたよ。ママが迎えに来るのが遅いからって」
唯「へ〜、そういう子もいるんだ」
梓「私も経験があります」
唯「へ?」
梓「たまに、ですよ。先生の目を盗んでこっそり保育園を抜け出して遊びに行ってました。15分くらいですけどね」
唯「冒険者だね〜」
梓「今思うと危ないことやってたと思います。だからあの子にもこういうことはもう止めようって言いました」
唯「でも毎日来てたよね、あの子。今日も」
梓「おねえちゃんたちがここにこなくなったらやめる、って言ってました」
唯「不思議な子だね〜」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:30:49.17 ID:MVxIEanwo<>梓「もっと不思議なことに、あの6歳の女の子と仲良くなってましたね、5歳の子」
唯「そこはあんまり不思議じゃないかなぁ。あの二人なら仲良くやれそうだって思ってたよ」
梓「そうですか? アンバランスな感じがしましたけどね」
唯「正反対だからこそバランスがとれるものなんだよ、人間関係って」
梓「子供の友達作りにも言えることなんですか、それ」
唯「あの子達が証明してたじゃない」
梓「まぁそうですけど」
唯「でも出会って間もないのにあんなに仲良くなれるのはすごいよね〜」
梓「6歳の子が積極的でしたからね」
唯「5歳の子も最初は煙たがってたみたいだけどねー」
梓「でも6歳の子がちょっかい出さなくなったらなったで寂しがって」
唯「5歳の子の方が折れちゃったんだよね」
梓「おせっかいって得ですね。人の目を勝手に奪っちゃうんですから」
唯「子供の愚痴はよそうよあずにゃん」
梓「私はおせっかい一般について言っただけです」
唯「そう?」
梓「そうです」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:32:12.84 ID:MVxIEanwo<>唯「この2週間で、一番印象に残ったのはあの子達だったね」
梓「ライブの後、いつも最後まで残ってましたからね。今日だって」
唯「『わたしたち、おとなになったらおねえちゃんたちみたいになる!!』だってね〜」
梓「私達、子供の手本になるような大人なんでしょうか」
唯「そもそもまだ大人になってないよ、私達」
梓「哀しいですね」
唯「そんな私達でも子供たちに夢を与えられたんだし、オッケーじゃない?」
梓「オッケーじゃないですか?」
唯「私はこっちの方が好きだよ。大人の人を満足させるような演奏より子供たちを笑顔にさせるような演奏の方が」
梓「私もです」
唯「でもさ」
梓「わかってます」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:33:41.70 ID:MVxIEanwo<>唯「あずにゃん、プロになりたい?」
梓「はい」
唯「私もだよ。プロになりたい」
梓「そうですか」
唯「どうしてプロになりたいの?」
梓「……いつまでも放課後ティータイムを続けたいからです」
唯「そっか」
梓「唯先輩はどうしてですか?」
唯「お金を稼ぎたいから」
梓「……そうですか」
唯「軽蔑した?」
梓「いいえ」
唯「この2週間でわかったのかも。私が本当にやりたいことって仕事とは別の所にあるって」
梓「公私混同はしないってことですか」
唯「もちろん、『目指せ武道館!』は一つの夢だけどね。もう一つの夢ができちゃったんだ」
梓「ぎたーのおねえさん、ですか」
唯「どうかな?」
梓「悪くないんじゃないですか」
唯「いいと思わない?」
梓「いいと思います」
唯「よかった。あずにゃんは賛成なんだ」
梓「私が賛成したって夢を叶える手助けにはなりませんよ」
唯「そんなこと、ないんじゃないかな」
梓「……私に何を期待してるんです」
唯「私を応援してくれたらうれしいな」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 04:34:54.54 ID:MVxIEanwo<>梓「コロッケ、おいしかったですね」
唯「うん。おばあちゃんの得意料理だからね〜」
梓「今度教えてもらいたいですね」
唯「あずにゃんコロッケ、食べたいよ〜」
梓「憂にはごちそうになってばかりですから偶にはお返ししないといけませんからね」
唯「私には〜?」
梓「そうですね。新作ケーキの試食のお返しをしないとダメですよね」
唯「あぅ……あ、あれはちょっとしたミスで……わざとじゃないんだよ……」
梓「お店で出さなくてよかったですね」
唯「私もおばあちゃんに料理習って腕を磨かなきゃね」
梓「じゃあその時はご一緒させてください」
唯「いいよ〜。一緒にお店出せるくらい修行しよっか」
梓「また夢が増えましたね」
唯「よくばりかな?」
梓「しょうがない人ですよ、唯先輩は」<>
◆n5dGNMG5kGRx<>yuiazu<>2011/01/19(水) 04:37:30.06 ID:MVxIEanwo<>話 年・月 唯 梓
01 2009・5月 16 15 >>1
02 2009・6月 16 15 >>11
03 2009・7月 16 15 >>22
04 2009・9月 16 15 >>35
05 2009・11月 17 16 >>41
06 2009・12月 17 16 >>61
07 2010・3月 17 16 >>72
08 2010・4月 17 16 >>81
09 2010・6月 17 16 >>91
10 2010・8月 17 16 >>97
11 2010・10月 17 16 >>108
12 2010・11月 17 17 >>117
13 2011・1月 18 17 >>128
14 2011・3月 18 17 >>135
15 2011・5月 18 17 >>149
16 2011・7月 18 17 >>161
17 2011・10月 18 17 >>173
18 2011・12月 19 18 >>188
19 2012・2月 19 18 >>201
20 2012・3月 19 18 >>214
21 2012・4月 19 18 >>227
22 2012・7月 19 18 >>234
23 2012・8月 19 18 >>248
24 2012・11月 19 19 >>261
25 2013・1月 20 19 >>281
26 2013・1月 20 19 >>292
27 2013・3月 20 19 >>304
原作確認したら梓入学年は2008年だったけどここではスルーしてほしい
見直すと手直ししたい部分が多いけれど、後ろを振り返らずやっていきたいです<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/19(水) 16:09:38.59 ID:3hubrVdG0<>乙乙
このまま二人で夢に向かって突っ走って欲しい<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/20(木) 00:18:51.96 ID:ZgcsQnAx0<>早く結構してくれ<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/20(木) 01:39:19.03 ID:3zhFtYeso<>乙〜<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:27:14.20 ID:27iMC7gGo<>梓「大学生活二年目が始まって2ヶ月が過ぎた。雨模様の土曜日。
ギターを弾く手を止める。りんごジュースが入っていた紙パックをゴミ箱に放り込む。
コップとお箸を洗う。カップ焼きそばを食べたのは2時間前。
トンちゃんに餌をあげる。あ、なくなった。買いに行かなきゃ。
窓の外を眺める。雨雲は通り過ぎたみたい。
でも太陽はまだおやすみ中のようだ。さてこの洗濯物をどうしようか……。
チャイムだ。のっそりと立ち上がり、一歩一歩に時間をかけて玄関に向かう」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:28:55.46 ID:27iMC7gGo<>唯「あずにゃん! コインランドリー行こう!」
梓「いいですよ」
唯「あれ……? 意外とあっさり承諾?」
梓「ちょうど行こうと思っていたところなんです。ここ最近、雨のせいで洗濯物溜まってますから」
唯「それじゃあさっそく……」
梓「あれ、唯先輩」
唯「何?」
梓「それ私のパーカーじゃないですか」
唯「ほぇ? 違うよ」
梓「違いません。なんで唯先輩が着てるんですか」
唯「あれ〜? このパーカーこの間あずにゃんと一緒に買いに行って……あっ」
梓「唯先輩のは赤、私のは緑です」
唯「ごめん。たぶんあずにゃんの部屋にあったのを間違えて着て帰っちゃったんだね」
梓「もう。しょうがない人ですね」
唯「洗って返すよ」
梓「別に洗わなくてもいいですけど」
唯「そういうわけにはいかないよ。親しき仲にも礼儀あり! だよ」
梓「はぁ、それならいいですけど」
唯「でも今日は着ててもいいかな」
梓「部屋着のまま行くんですか」
唯「いいじゃ〜ん。すぐそこなんだから」
梓「しょうがないですね」
唯「あずにゃんも部屋着のまま?」
梓「唯先輩だけそれじゃあ恥ずかしいでしょ。付き合います」
唯「ありがと〜」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:30:44.93 ID:27iMC7gGo<>梓「お待たせしました。行きましょう」
唯「うん。ってあれ?」
梓「なんです?」
唯「赤のパーカー……」
梓「私の部屋のテーブルの下にありましたよ」
唯「なんであずにゃんが着てるの?」
梓「私のパーカーは唯先輩が着ていますから」
唯「それもそうだね」
梓「まぁ今日くらいは交換しててもいいですよね」
唯「そうだよね」
梓「また雨が降り出す前に行きましょうか」
唯「焦ることないよ。ランドリーまでたった5分なんだから」
梓「じゃあ階段でゆっくり下りますか」
唯「え〜エレベーター使おうよー」
梓「たまには健康のために階段使うのもいいんじゃないですか」
唯「私は憂の料理のおかげで年中健康ですっ!」
梓「そういえば今日憂は?」
唯「純ちゃんとこ。練習してるんじゃない?」
梓「そうですか」
唯「あずにゃんも呼んでほしかったのかな?」
梓「私が行っても邪魔なだけです」
唯「憂と純ちゃんがあずにゃんのことを邪魔に思う? まさか、ね」
梓「私はもうあの二人とバンドを組むことはないでしょうから。それに憂と純以外のメンバーにも迷惑かけるでしょうし」
唯「でもさ……」
梓「エレベーター来ましたよ。行きましょう」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:32:35.41 ID:27iMC7gGo<>唯「……あー、ひまだー」
梓「本でも持って来ればよかったですね」
唯「はぁ〜〜」
梓「帰りに向かいのペットショップに寄っていいですか。トンちゃんの餌を買うので」
唯「うん……。コインランドリーにいると、なんだか他の人の服を着せられてる気分になるね」
梓「実際私達他の人の服着てますからね、今」
唯「あ……あのお店最近できたのかな」
梓「……ウェディングドレス?」
唯「あ、そういえば」
梓「なんですか」
唯「今日りっちゃんの弟君の結婚式なんだって」
梓「そうなんですか。ああ、だから今日練習休みだったんですね」
唯「りっちゃん、今頃おいしい料理を食べてるんだろうなぁ。羨ましい……」
梓「そっちに憧れを抱くのは、唯先輩らしいです」
唯「他に何があるの?」
梓「花嫁、とか」
唯「花嫁、かぁ……」
梓「唯先輩?」
唯「あのドレス、かわいい……」
梓「やっぱり唯先輩は唯先輩です」
唯「ねぇ、あのお店見に行かない?」
梓「洗濯物、盗まれちゃいますよ」
唯「防犯カメラがあるよ」
梓「油断はできません。行くなら唯先輩一人で行ってください。私は残ります」
唯「え〜。う〜ん、しょうがないなぁ。ちょっと待っててね」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:34:18.99 ID:27iMC7gGo<>梓(唯先輩、まだかなぁ)
唯(あずにゃん! あずにゃん!)
梓(……。声は聞こえないけど呼ばれたような……。あ、唯先輩が手を振ってる)
唯(あずにゃ〜ん、このドレスどう? かわいいでしょ!)
梓(……なんで着てるんですか)
唯(ねぇ、かわいい?)
梓(綺麗ですね。そのドレス)
唯(お姫様のドレスみたいだよね、これ)
梓(馬子にも衣装というか)
唯(ほらほら見て〜)
梓(クルクル回らないでください、見苦しい。……意外と露出多いんだなぁ)
唯(でも歩きにくいなぁ)
梓(大人しく立っていられないのかな)
唯(あ、ポーズをとってみようかな)
梓(ブーケなんて持って来て何を)
唯(えへへ〜)
梓(ブーケを胸の前に抱えてもそんな顔じゃ格好がつきませんよ)
唯(ふんすっ!)
梓(それもなんか違います)
唯(…………あずにゃん)
梓(……唯先輩)
唯(どう?)
梓「…………かわいいですよ」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:36:03.28 ID:27iMC7gGo<>唯「ただいまーっ」
梓「おかえりなさい」
唯「あ、こんにちはー!」
梓「え、あ、こんにちは」
唯「どしたの、あずにゃん」
梓(男の人……。いつからいたんだろう。全然気付かなかった)
唯「あずにゃ〜ん?」
梓「あ、すみません。というか唯先輩、何やってるんですか」
唯「ほぇ?」
梓「ウェディングドレスです」
唯「ああ。私、あのお店のお客さん第一号なんだよ! だから特別に、自由に試着させてもらえたの」
梓「いいんですか。唯先輩、結婚の予定があるわけでもないのに」
唯「わからないよ? 一週間後、電撃結婚するかもしれないよ?」
梓「……誰とですか」
唯「さぁ?」
梓「唯先輩に限ってそんなことありえないです」
唯「え〜?」
梓「はぁ。乾燥、まだ時間かかるみたいですね」
唯「そうだねー。というわけであずにゃん」
梓「はい?」
唯「あずにゃんもウェディングドレス着てきなさい。 今度は私が留守番するから」
梓「え……いえ、いいです」
唯「でも私、店員さんにもう一人来るって言っちゃったし……」
梓「また人の都合も聞かずに……」
唯「さあさ、いってらっしゃーい」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:38:25.44 ID:27iMC7gGo<>梓(来てしまった……。そして着てしまった)
唯(やっほー、あーずにゃんっ!)
梓(恥ずかしい)
唯(ほら、笑って。ポーズとって。クルッと回って)
梓(髪型までセットしてもらわなくてもよかったのに)
唯(アップのあずにゃんも新鮮だね。かわいいっ!)
梓(ドレスのふくらみが邪魔で足元が見えない)
唯(ちょこちょこ歩いちゃって。かわいいっ!)
梓(ん? これってよく見たら)
唯(あれ? あのドレスもしかして)
梓(唯先輩が着てたのと同じ?)
唯(私が着てたやつ?)
梓(店員さんに聞いてみよう)
唯(私がさっきまで着てたのをあずにゃんが……)
梓(あ……やっぱりそうなんですか)
唯(あずにゃんの方がかわいいね! 私より)
梓(なんだか変な気分)
唯(かわいいからいいんだよ、あずにゃん)
梓(唯先輩、さっきから「かわいい」としか言ってないような。気のせいかな)
唯(でも、顔がよく見えないなぁ。ベールがジャマで)
梓(喜べばいいのかな? でも違うことも言ってもらいたい。……違うことって何よ)
唯(ん? あずにゃんがベールを?)
梓(自分でベールを上げるのはおかしいかもしれないけど……)
唯「…………綺麗だよ、あずにゃん」
梓「……なにやってるんだろ、私」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 04:39:32.38 ID:27iMC7gGo<>唯「おかえりー」
梓「戻りました」
唯「かわいかったよー……ってあれ?」
梓「……おみやげ、だそうです」
唯「……ドレスって高いんじゃないの?」
梓「お客さん一号二号だし、二人に良く似合ってたからあげる、だそうです」
唯「気前がいいですな〜」
梓「元々売り物ではなかったそうです。店長さんが試着者にプレゼントするために用意してたとか」
唯「そうなんだー」
梓「さ、乾燥も終わったみたいですし帰りましょう」
唯「うん」<>
◆n5dGNMG5kGRx<>yuiazu<>2011/01/25(火) 04:41:29.94 ID:27iMC7gGo<>唯「お、晴れてきたねー」
梓「はい。明日も晴れてほしいです」
唯「でも雨だったらまたランドリーに行って、それからあのドレス屋さんに行く口実ができるよ」
梓「デパートの試食品じゃないんですから。そんな気軽に試着しに行ったら迷惑ですよ」
唯「じゃあ次はいつ行こっか」
梓「それこそ結婚が近くなってからでいいんじゃないですか」
唯「いつになるんだろう」
梓「当分はないでしょうね」
唯「え〜、あの店員さんにまた会いたいよ〜」
梓「じゃあ迷惑がかからない程度に会いに行けばいいんじゃないですか」
唯「そうだねー。あずにゃんも一緒にね」
梓「……貰いものがありますからね。お礼は言いに行かないと駄目ですよね」
唯「今日は楽しかったね」
梓「はい。パーカーにスウェットで入るようなお店じゃありませんでしたけど」
唯「おままごとみたいだったけどさ」
梓「そうですね」
唯「でも、綺麗な花嫁を見れたよ!」
梓「私もかわいい花嫁を見れました」
唯「あはは」
梓「ふふ」
唯「ランドリーにいた男の人には奇異のまなざしを向けられてたけど気にすることないね!」
梓「……そこは気にします」<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/25(火) 13:59:35.47 ID:YUn9AOv8o<>聡結婚はやww
ちょっと離れた場所から花嫁姿を見るっていいな
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/01/27(木) 00:32:52.58 ID:Y9HFM4yUo<>乙乙<>
◆n5dGNMG5kGRx<>yuiazu<>2011/02/02(水) 16:17:06.42 ID:Z3VwuT8Lo<> 今まで読んでくださった皆さん、申し訳ありません
>>1の力不足のため、これ以上続けることができません
中途半端ですが、このスレはここで終わりたいと思います
本当にすみません。そしてありがとうございました <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/02(水) 17:27:19.98 ID:LQejrd3lo<> 梓「しょうがないですね。特別ですよ?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/02/02(水) 18:17:20.84 ID:YY7SKxyL0<> >>329のレスの後だと言いづらいけど、力量不足とか言わず、
唯梓と一緒に成長するくらいつもりで続けて欲しかったな。
別の話でもいいか次回作待ってるよ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/02(水) 20:45:22.90 ID:9Ay0ZwrXo<> >>329
え?
え? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/02(水) 20:51:46.75 ID:ZN0ZblSo0<> おつー、ここでの終わりは半端かもしれないがよくやった
また>>1の唯梓が見たいから、次回作に期待してるぜぇ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/02(水) 22:09:41.10 ID:ZkN4NAEz0<> 今日みつけて一気に読んでしまった
二人の会話の雰囲気とかすごく良かったよ、面白かった!
乙かれさんでした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/03(木) 00:51:25.47 ID:APy4G0vCo<> まじか……かなりショックだ……
次回作に期待してます
今までおつかれさまでした <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/03(木) 06:42:19.39 ID:ByXHGqp3o<> ちょっとまってくれ・・・
時間がかかってもいいから続けてくれ。この先二人が結ばれないような気がして怖いんだ。
このままでは不安のあまり鬱病になってしまう。俺のような人間を救ってくれ>>1よ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/02/04(金) 22:47:23.99 ID:Ris/fde5o<> 終わりか残念
また気が向いたら短編でも書いてくれると嬉しい
とりあえず今まで乙でした <>