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HTML化した人:lain.
澪「合宿をします!」
1 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:05:29.57 ID:ltIw3edqo
けいおんSS百合雑談スレ企画でございます

・長さは基本的に自由。ただしあまりに長いSSは他の人の投下の妨げになるのでNG。
・百合スレ発なので必ず百合カプ要素を含むこと
・カップリングは自由(当然百合カプに限る)。他の人と被ってもOK
・事前にカップリングを示しておく(名前欄若しくは投下前)
・内容の都合上、事前にカプを明示すると都合が悪い場合はその旨を最初に言っておく
・NGワード注意(メール欄にsagaで回避可)

あんまりテーマに頑なに拘る必要はないとかどうとか

投下予定時間

17時 :◆RLqqTM6o/csr

19時 :◆fESkAzz9Po

20時 :◆iRrUdDtAr.

時のいや果て :◆Dq9zTDROkE

こんな感じです
飛び入り参加してもいいのかも知れないね!
2 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:08:18.57 ID:ltIw3edqo
では投下していきます

タイトル:純「合宿してみたいわ」
カップリング:和さわ 憂純

地の文だらだら、合宿からは随分と離れてしまいましたが、悪しからず
3 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:10:02.07 ID:ltIw3edqo
平沢憂は、朝方、クーラーを作動させて間もないリビング、そこに繋がるダイニングキッチンで、冷水に手を晒して食器を洗っていた。
どんどんと体温が奪われているような気がして、憂は窓から外を見た。
外ではじーわ、じーわ、と蝉の声が響いている。
その声はコンクリートと金属に住家を侵されているようで、心なしか寂しそうに聞こえた。

「みーんみーん」

小声で蝉の声真似をしてみてから、彼女は後悔した。
壁が声を吸いきってしまった後で彼女に残ったのは、虚しさだけだったから。

体の境界線を侵食してしまいそうな、物質的な圧力を持った静寂を、電子音が揺らして霧散させた。
憂は顔を輝かせて、急いで濡れた手を拭き、受話器を取った。
受話器から能天気な声が聞こえてきた。

『あ、憂? なんか梓が遊んでくれないんだよね。私一人だけど、憂の家行ってもいいかな?』

憂はその友人と、その日遊ぶ約束をしていたわけでは特に無い。
けれど、息苦しい空気の不動を、彼女なら簡単に崩してくれる気がして、憂は顔を綻ばせた。

「うん、是非来て」

あーい、という間延びした友人の返事を聞いてから、憂は受話器を置いた。
またしばらく、部屋には無音が闊歩した。
けれど、憂は外から聞こえてくる蝉の声に合わせて、歌うように呟いた。

「じーわ、じーわ、みんみん、つくつくぼーし」

だって、彼女は少し騒がしいもの、きっと部屋は賑やかになるだろう。
彼女なら、彼女と一緒にいる私なら。

そんな他力本願な考えを持つ憂の体温を、クーラーは少しずつ奪っていた。
4 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:11:46.71 ID:ltIw3edqo
すっかり部屋が冷え切ってしまった頃、憂は皿洗いを終わらせた。
少し肌寒く感じたけれど、それでも外の蒸し暑さを思って、憂がクーラーを切りかねているところで、インターフォンが鳴った。
憂は、はっと顔を上げて、玄関へと駆けていった。
扉を開けると、思わず顔をしかめるほどの暑さと、元気な声が飛び込んできた。

「やっほー、憂。いや、暑いねえ、たまったもんじゃなく暑いよお」

憂が渡したタオルで額を拭きながら、癖毛の女の子、鈴木純はへらへらと笑った。
楽しそうに、人差し指を立てて言う。
開いた扉から入ってくる蝉の音も、彼女の闊達さを際立たせているような気がした。

「アレだねえ、やっぱ夏はこう、空が透き通ってて気持ちいいね、思わず走りたくなる」

「そうなんだ」

空なんてまともに見ていなかった自分のことを思い出して、憂は曖昧に笑った。
純がさっさとリビングの方へ歩いて行ったので、憂は純の靴を揃えた。
靴の中にも熱気がこもっていて、やはり外はずいぶん暑いのだろう、憂は少し躊躇ってから、玄関の扉を閉めた。

「寒っ!」

リビングから声が聞こえて、憂は慌てて振り返った。
純がリビングから顔をのぞかせて、不満げな、そして心配そうな声を上げる。

「憂、この部屋寒すぎるよ……風邪引いちゃうんじゃないの」

でも、と憂は眉尻を下げて笑った。

「クーラー切ると、暑いし」

純は眉をひそめて、リビングへ顔を引っ込めた。
憂は笑顔を崩さないままため息をついて、同じくリビングへと向かう。
リビングに入ると、純が窓際に寝転んでいるのが見えた。
5 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:13:04.89 ID:ltIw3edqo
「なにやってるの?」

「日向ぼっこ」

ふうん、と返事をして、憂は冷蔵庫から麦茶を取り出して、氷を入れたグラスにそれを注いだ。
すぐにグラスは白く曇る。
暑いところと、寒いところの壁、薄いガラス一枚のその壁を憂は確かにその手に感じていた。

「憂、憂のお姉さんは、今日はいないみたいだね?」

憂は相変わらず笑顔のまま、純のいる窓際まで歩いていき、正座をして床に盆をおいた。
盆にはストローが顔をのぞかせているグラスと、ただ、冷たい麦茶だけが入っているグラスが載っていた。

「うん、なんか今度の合宿の準備するんだって。梓ちゃんが新しく入部してくれたから、凄く楽しみにしてたよ」

へえ、と気のない返事をして、純は首だけ持ち上げてストローに口をつけて、麦茶を吸い込んだ。
憂は彼女が、姉がリビングのテーブルにおいていた漫画を読んでいるのに気づいた。
純は憂の目線に気づいて、へらっと笑った。

「この漫画も合宿シーンだよ。果たして、彼らはあの強豪男子高校エースの魔球を打ち破ることが出来るのだろうか――」

純は寝転んだまま、大げさに腕を天井に向けて、ゆらゆらと振った。
憂はその様子をじっと不思議そうに見つめていた。
外の熱気をまとったままの彼女の腕が、一生懸命に部屋の空気をかき回しているようだ。

「なあんて、あっついよね、憧れるよ、合宿」

そう言ってため息をつき、純は腕を下ろした。
その腕が床についたとき、彼女は小さく悲鳴を上げた。

「冷たっ」

憂はなんとなく、掌をフローリングに当ててみた。
冷たい、だろうか。正座をしているから足に広く接しているはずの床も、彼女には冷たく感じられない。
少しずつ、少しずつ、クーラーは彼女を冷やしていったのだ。
憂は少し寂寥を込めた目で、純を、そして窓の外を見た。
6 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:15:35.71 ID:ltIw3edqo
「ういー、ういー」

純が自分の名前を呼んでいるのが、ずっと遠くでのことに感じられた。
憂は目を細めて、外の光景を見つめた。
蝉はどこにいる? 人工物の中で、一生懸命に鳴き続ける蝉は。
蝉の声はずっと聞こえていた、けれど、蝉は見つからなかった。

「ういってば……もう」

純がごろごろと、起き上がること無く移動していく。
彼女が転がっていた床は、体温と日光とで少し暖かくなっていて、憂はほっとした。
自分の太ももは、掌は、まだ温かくて、憂はほっとした。

ここだ。ここにいた。

後ろで電子音が聞こえた。
クーラーが悔しそうに、最後に大きく息を吐いて、動きを止めた。
憂が振り向いてみると、安心したように大の字に床に寝そべる純の姿が見えた。

「ふう。やっぱこんなに寒いのは駄目だよ。風情が無いもんねえ」

憂は彼女の言葉を聞いて、また外を眺めた。
歩道の脇には木があった、建物には日が当たっていた。
蝉は見えないけれど、やはり声は聞こえている。
7 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:16:56.50 ID:ltIw3edqo
「ねえ、純ちゃん……外はさ」

憂は背後の友人に声をかけて、窓ガラスに手を当てた。
ひんやりと冷たかったけれど、その薄いガラス一枚の壁は、これから確実に熱を帯びてくる、
そして、この部屋の中も。

「外は、暑いねえ」

ならば、いらない。
必要のないときは、窓を開けよう。
憂は顔に当たる熱気を感じて、明るく笑った。

「そりゃあね」

純は不思議そうに、相変わらずだらしなく寝転んだまま首を起こしてみたけれど、
窓から無遠慮に、楽しげに入ってきた熱気が額に当たって、引きかけていた汗がまたうっすらと滲むのを感じ、自然と笑顔になった。

どちらから言ったかは、どちらも覚えていないけれど、確かに彼女たちはこう言った。

「外に出よう、暑いから!」

蝉の声が膨張した空気を軽やかに揺らしていた。
8 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:18:26.79 ID:ltIw3edqo

「軽音楽部、また今年も合宿するのよ」

クーラーの効いた生徒会室で長い髪を暑苦しく思いながら、山中教諭は冷たい麦茶を飲んでいた。
どうしてこんなことを言ったのかは分からないけれど、言ってしまった以上、教諭は相手の返事を待った。
生徒会室にいるもう一人の人物、短髪の真鍋生徒会長は、反応に困ったように小さく笑った。

「そうですか」

そう言って、生徒会長はまた書類とにらめっこをし始めた。
主に夏季休業中の部活動についてだろう。
しばらくして、生徒会長は顔を上げて言った。

「ああ、そうだ。一応先生も付いて行ってくださいね。監督責任者がいないと何かと困りますから」

山中教諭はつまらなそうに頬をふくらませて真鍋生徒会長を見つめて、麦茶に視線を落とした。
生徒会長は教諭のやけに子どもじみた表情に驚き、気まずくなって、窓の外を見た。

ぎらぎらと太陽が照っている。
めらめらと地面は熱されている。
ゆらゆらと熱くなった空気が揺れている。

薄い窓ガラスと、一生懸命動くクーラーがその熱を完全に生徒会室から締め出しているのを確認して、生徒会長は微笑んだ。
彼女には蝉の声も聞こえていなかった。
聞いているのは、ただ、かつかつと鳴り響くシャープペンシルの音と、クーラーの立てる低い音だけだった。
9 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:19:44.05 ID:ltIw3edqo

「のーどーかーちゃあん」

それと、教諭の歌うようなきれいな声。
冷たい大理石のような、透き通った声。
少し気だるそうな、つまらなさそうな声だった。

「どうしました?」

「合宿で泊まる別荘の傍にはね、海もあるの」

そういえば、軽音楽部が泊まる、とある部員の別荘は随分と広いと幼馴染から聞いた。
きっと大きな冷房やら、風呂場やら、色んな物があるのだろう。
ちょっと、羨ましい。

生徒会長はくすりと笑った。

「羨ましいですね」

教諭は顔を輝かせて、身を乗り出して言った。

「でしょう! それでね、良かったら和ちゃんも来ましょうよ。水着、選んであげる」

生徒会長は苦笑して、首を振った。
教諭の表情が曇った。

「私はあまり泳ぐのは……それに、暑そうだから遠慮しておきます」

最後まで言い切らないうちに、教諭はぐい、と麦茶を一息に飲み干して、一つ大きく息を吐いてから、呟いた。

「つまんないの」

生徒会長は、あんなに一気に麦茶を飲んでしまって、胃が冷えすぎやしないか、そればっかりを気にしていた。
自分もやろうかしら、そんなことばかりを考えていた。

10 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:20:46.48 ID:ltIw3edqo

二人の女の子が日の照り返す道路を元気に歩いていた。
柔らかい髪を縛って、ショートポニーにした女の子は、優しく笑って言った。

「暑いね……どこ行こうか?」

憂はコンクリートのヒビから草が顔を覗かせ、車のタイヤの叫び声の間に蝉の求愛の歌が聞こえているのに気づいて、嬉しくなった。
まだまだ外は暑い。

暑さに顔をしかめて――自分から提案しておいたくせに、だ――癖毛を二つに縛った女の子は、うーん、と唸った。
彼女は空を見上げた。空には道路もビルも、車も人ごみも何もなくて、彼女は楽しい気持ちになった。
空に浮かぶ雲のうち一つが、やけに丸っこい形をしていたから、彼女は思いつくままに言った。

「グラウンド……学校の。そんで、キャッチボールでもしようよ」

「じゃあ、グローブとボール持ってこないとね?」

純は思ったより乗り気の憂に驚き、一度家に帰る手間を考えて、猫背になりながら言った。

「面倒くさい……適当にソフト部の友達から借りようよお」

そんな純とは裏腹に、憂の声は不自然なほど明るく、大きかった。

「よっし、じゃあ急いでいこう! 楽しみだね?」

少し歩調を上げた憂についていきながら、純はため息を付いた。
あんまり暑くて、楽しい気持ちも訳が分からなくなってしまいそうだ。
額にうっすらと汗が浮かんできて、ちょっとばかり涼みたいとすら思った。

「うい、暑すぎるよう……」

11 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:22:22.06 ID:ltIw3edqo

早歩きで高校へ着き、自主練をしていたソフト部に頼み込んで、予備のグローブとボールを貸してもらった頃には、二人は汗で襟元を湿らせていた。
憂は相変わらずにこにこと笑った。

「よーし、じゃあ行くよ。胸元の高さに、こう、しゅっ、だね」

大げさに動作の確認をして見せて、憂は大きく腕を広げ、膝を曲げて体を沈めさせ、腰を回して球を放った。
乾いた音を立てて、ボールは純のグローブに収まった。
純は、わあ、と短く声を上げた。

「上手いね、やっぱ流石は憂だね」

グラウンドはやけに暑かった。
運動部の空気特有の熱気が残っているようで、純は少し気が引き締まるように感じた。
だから、子供っぽく飛び跳ねる憂を見て、純は顔をしかめた。

「えへへ、ソフト部入ればよかったかもね」

憂は大きく手を振って、純にボールを催促した。
純は手元のボールを見つめて、球を放った。
力の無い球はひょろひょろと放物線を描いて憂の元へ届いた。

「純ちゃん、真面目にやってよね」

憂が頬を膨らませた。
一直線にボールが純のもとへ戻ってくる。

あれ、と純は首をかしげた。
それでも、もう一度ボールを投げた。
えへい、と妙な声が出た。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 17:23:26.77 ID:ltIw3edqo

「純ちゃん、変な声」

くすくすと憂が笑った。
憂はグラウンドから見える並木や、雑草や、鳥がみんな暑さに歓喜して踊っているように思った。
彼女はとても楽しかった。

「純ちゃん、私……」

だから、胃の中に残っている氷を、クーラーの置き土産を、とっとと溶かしてしまおうと思った。
ボールを放りながら、言った。

「私ってさ、大人っぽいかな?」

ボールは真っ直ぐに純の胸へと向かっていった。
純はボールを右手に持ち替えて、しばらく憂を見つめた。
気の抜けた動作でボールを投げて、言った。

「しっかりしてるよね」

憂は放物線上を旅してきたボールを、真っ直ぐに投げ返した。

「それは、大人っぽいってことなの?」

また、力のない軌道で純から憂へボールが放られる。

「そうなんじゃない。なんかよくわかんないけど」

真っ直ぐに憂から純へ。

「それはさ、なんでだろうね。私もみんなと同じ高校生なのにね」

ゆっくりと純から憂へ。

「そりゃあ、お姉さんがあんな感じだから」

13 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:25:24.91 ID:ltIw3edqo

そこでボールは一旦止った。
ぎゅっと強くボールを握りしめて、憂は精一杯笑った。

「じゃあさ」

戸惑いがちな、小さな声は、それでもしっかりと純へ届いた。
純は耳を澄ませた。蝉の声が聞こえた。

「今はお姉ちゃんいないから……最近は部活で忙しいみたいだから」

憂は大きく足を開いた。
しなやかに腕を振って、ボールを放る。
ボールは遠慮がちに、山なりに純へと向かっていった。

「ちょっとだけ、子供っぽくてもいいかな?」

純は腕を上へ伸ばして、少し的を外れたボールを捕って、憂を見た。
相変わらずにこにこと笑っていた。
時折、いたずらっぽい、子どもじみた表情が覗いた。

純は手元のボールを見つめて、あれ、と思い笑った。

なんだか、可愛いじゃない。

14 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:26:08.62 ID:ltIw3edqo

「どうぞ!」

純は嬉しさに、外気以上に内側から体が熱くなるのを感じて力いっぱいボールを投げた。

きっと、憂はこの話を私以外にはしていない。
私以外は憂のこの話を聞いていない

それって、嬉しいな。

にやにやと笑いながら投げたボールは、憂を通り越して、蝉の声が、夏の日差しが、熱気が、雲が満ち溢れる空へと飛んでいった。
憂はそれをぼうっと見上げて、そしてそのまま後ろへ倒れこみそうになり、なんとか足で体を支えた。
後ろを向いて、純が暴投したボールを拾いに行こうとして、ちらと純のほうを見た。

「……ありがと」

戸惑いがちな、小さな声は、やはり純のもとへ届いた。
純が親指を立てて、走って近づいてきたから、憂は大きく声を張り上げて、笑って言った。

「ありがとう、純ちゃん!」

15 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:27:26.65 ID:ltIw3edqo

生徒会室はいよいよもって冷え切って、山中教諭は肩を摩っていた。
全く、夏に寒い思いをしなきゃならないなんて、馬鹿馬鹿しい。

「和ちゃあん……クーラー切りましょうよお」

山中教諭はクーラーを睨んで、また批難がましく言った。
生徒会長は、困ったように笑った。

「でも……切ったら暑くなりますよ」

山中教諭は口を開いて、そして何も言わずに閉じた。

暑いなら暑いで、いいじゃないの。
そう、私が言ってもいいのだろうか。

そんなふうに考えてみると、今、少なくとも子供でない自分には、そんなことを言う資格はないような気がして、教諭は少し悔しくなった。
彼女たちなら……軽音楽部の子たちなら、言えるだろうか。

言えるだろうけど、言わないだろうな。

「の……」

教諭が声をかけると、目にかかった前髪を払って、生徒会長は微笑んだ。
山中教諭はそれを見て、なんだか無性に悲しくなった。

かたや、海ではしゃぎ回ろうとする女の子たちがいるのに、こんな風にやけに涼しい部屋で、字のぎっしり詰まったプリントとにらめっこする子がいるなんて。

「……和ちゃん、お茶頂戴」

生徒会長は、夏季休業中だというのに生徒会室に入り浸る教諭を疎んだりはしない。
けれど、教諭は、さわ子は少しだけ、軽音楽部の子たちのようになってみたかった。
それなのに、生徒会長はそれをさせてくれない。

生徒会長は冷えた麦茶を、氷の入ったグラスに注いで、軽く揺らした。
かん、と氷とガラスがぶつかって、高い音を立てた。
部屋が一層冷えた気がした。

16 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:28:36.83 ID:ltIw3edqo

「どうぞ」

生徒会長が歳不相応に大人びた笑顔で差し出した麦茶を受け取って、さわ子は目を伏せた。
口をつけて、グラスをくいと傾けると、冷たい水が体を内側から冷やした。

「……おいしい」

さわ子は優しく笑った。
彼女自身、こんな風に笑えるだなんて、思っても見なかった。

「夏は冷たい麦茶ですよね」

小さく首を傾げる生徒会長を見て、さわ子は、こういう付き合い方もありかも知れない、なんて思った。
どっちも必要以上に踏み込まずに、不必要な不快感を与えずに、程よい距離で、無難に微笑むような付き合い方も、いいのかもしれない。

さわ子は諦観か、安堵か、彼女自身も判断がつかないような気持ちを込めて、窓から外を見た。

「あ」

さわ子が間抜けな声を上げた。

17 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:30:05.62 ID:ltIw3edqo

窓の外には空があった、雲があった、鳥もいたし、緑もあった。
けれど、冷房で冷やされたガラス窓が、そんな夏の暖かさを完全に遮断していて、さわ子はその明媚な光景を見ても何も感じることが出来なかった。
何かを感じたいとは思っていた。

「……キャッチボールだ」

さわ子は呟くように言った。
生徒会長は窓の外を見た。
生徒会長は、空を見上げては飛行機雲に焦点を合わせ、木を見てはその傍に立てられた、木の名前の書かれたプレートに目を凝らした。

「そうですね」

ビルや、道路や、道行く人を見てから、ようやく彼女はグラウンドの真ん中で、二人の少女がボールを投げ合っているのに気がついた。
少女たちが汗だくなのに気がついて、生徒会長は少し眉を潜めた。

「暑くないんでしょうか」

少し批難がましい口調で言う生徒会長を見て、さわ子は立ち上がり、窓ガラスに手を当てた。
冷たい。不自然なくらいに冷たい。

「でも、ほら、和ちゃん、楽しそうよ」

「そうですね……片方、随分と手を抜いて投げてる感じがしますけど」

生徒会長は頬杖を突いて、つまらなそうに少女たちを見つめていた。
さわ子は、ちらと生徒会長を見て、また、窓ガラス越しに少女たちを見つめる。

「……楽しそうよ、やっぱり」

窓ガラスは冷たい。
まだ夏で、これから秋が来て、冬がくるのに、もうこんなにこの部屋は冷たい。
少し、急ぎすぎていやしないか。

「まあ、そうかもしれませんね」

そっけない生徒会長の口調に、さわ子は寂しそうに笑って、窓ガラスを、一気に開けた。

18 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:31:22.37 ID:ltIw3edqo

さわ子は熱気を感じた。
顔にむんとした空気が当たって、額にうっすら汗が滲んだ。
ああ、化粧が落ちてしまうかも知れない、そんなことを思ったけれど、さわ子は楽しそうに笑った。

「暑いわねえ!」

くすくすと笑うと、湿気て重くなった空気が、ゆっくりと、優しく揺れた。
自分でも、まだこんなことが出来るんだ、とさわ子は嬉しくなった。

生徒会長は横目にさわ子を見て、咎めるように言った。

「クーラーつけてる意味がなくなりますよ。閉めてください」

さわ子は生徒会長のほうを見て、くつくつと、次いで、けらけらと笑った。
夏の暑さに、膨張した空気に持ち上げられて、空まで飛んでいけそうな気がした。

「じゃあ、クーラー切りましょうよ。そんで、息抜きにキャッチボールしましょう」

「まだ書類がありますから」

そう断って、生徒会長はぷいと顔を背けた。
その仕草は彼女が自分で思っているよりも、年相応に子どもらしい、さわ子を微笑ませる笑顔だった。

さわ子の子供っぽさに失望する気持ちと、思ったより心地良い夏の暑さにうっとりとするような、懐かしむような気持ちが、確かに生徒会長の中にあった。
夏は少しずつ、生徒会長の体温を上げていった。

「いいじゃないのよ、ちょっとくらい。私キャッチボールしたこと無いのよ、してみたいわ」

すす、と体を摺り寄せて、さわ子は和の耳元で言った。
和はふふ、と息を漏らして笑った。
19 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:32:31.82 ID:ltIw3edqo

「壁当てでもしたらいいじゃないですか。一人で出来ますよ」

「壁当て?」

「ええ、壁にボールを当てて、跳ね返ってきたボールを取って、また投げるんです……それの繰り返しです」

さわ子は口を尖らせて、和の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
髪が乱れて、熱い空気が、和の一瞬むき出しになった頭皮を温めた。

「独りでそんなことするなんて、嫌よ。それともなに、年増女はそれで十分だって言いたいわけ?」

早口でまくし立てるさわ子に、和は微笑みかけた。

「なにいってるんです」

さわ子が微笑んで、和も微笑んだ。
二人の口元の動きが完全に一致して、口から漏れでた息が部屋の温度をまた少し上げたとき、ごん、と低い音が生徒会室に響いた。
窓ガラスが揺れている。

「なにかしらね?」

そう言って、さわ子は窓際まで歩いていき、身を乗り出して外を見ると、大声で笑った。
腰を曲げて外から何かを拾い上げ、和に見せた。
大きめの、真っ白なボールだった。

「ふふ、ラッキー、って感じね」

さわ子は手首だけでボールを宙に投げて、また手に収めた。
和は、窓の外に、二人の少女が走ってこちらへ近づいてきているのを見た。
さわ子が大きく手を振ると、片方の少女が、大きくグローブをはめた手を上げた。

20 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:34:09.31 ID:ltIw3edqo

和は見た。
さわ子の細い、長い腕が、質量はそのままに体積だけ大きくなった、薄い柔らかい夏の空気を纏って、しなった。
ふっ、と高い音がなった。ぱん、と綺麗な音が響いた。
ボールは相手の胸元に真っ直ぐに届いた。

和は聞いた。
さわ子が、小さくガッツポーズをして、小声で呟いていた。

「やった!」

和は見た。
さわ子の長い髪の間に見える額には、一滴の汗が浮かんでいた。
強すぎる太陽の光を、ぎらぎらと反射させていた。

「あ……」

和は聞いた。
自分の声と、高い電子音を。
クーラーの断末魔、熱気の勝鬨、僅かな間だけ、誰もが子供に戻れる、暑い夏の日の始まりを、聞いた。

和は感じた。
自分の右手は知らぬ間に冷房のリモコンに伸び、その電源を切っていた。
腕に浮いた汗は我先に蒸発し、和の体温を下げようとしていた。

それでも、さがらない。

「和ちゃん……やっぱり、楽しいわよ?」

さわ子が小さく首をかしげた。
そのまま、言葉をさがすように窓の外へ目を遣った。

和は見た。
まだ少しだけ形を残している飛行機雲が溶け出していく先には、真っ青でだだ広い空があった。
木には蝉が、青葉が、そしてもしかしたら、眼に見えないほど小さい何かが、地中にいる何かが、一生懸命に夏を謳歌していた。

21 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:35:07.73 ID:ltIw3edqo

和は麦茶を飲んだ。ぐい、と一気に。
それでも下がらない、彼女の体は火照るばかりだ。

「そうかも、しれませんねえ」

和は小さく息を吐いて、微笑んだ。
さわ子は嬉しくなって、ついつい、強引に和の手を引いて外へ出た。

「ちょっと、あぶない、ですって!」

そう言いながらも、和は分かっていた。
自分の体から汗が滲んで、その汗が気化するまで、体温はどこまでも上がり続ける。

きっと、もっとずっと。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 17:36:11.33 ID:ltIw3edqo

「あれ、和ちゃ……さん……汗だくだ」

純の投げたボールを取って、憂は、急に走ったせいで肩で息をしている和に声をかけた。
隣では、さわ子が、こちらも息を弾ませて、けれどげらげらと可笑しそうに笑っていた。

「はあ……ふう。ねえ、憂、私たちも混ぜてもらっていいかしら?」

純は少し眉を潜めた。
けれど、憂が楽しそうなのを、そして、少し引き締まった余所行きの顔をしているのを見て、安心した。
それで、憂の代わりに純があっけらかんと答えた。

「どうぞどうぞ!」

和とさわ子がグローブを用意して、それから彼女たちはずっとボールを投げ続けた。会話をし続けた。
日が傾いて、夕陽を受けた雲がやけにぼやけて見える頃になって、さわ子が笑って言った。

「うふふ、年甲斐もなくはしゃいじゃったわねえ」

そのときになって、和は、もう今から明日の早朝にかけて、気温は下がっていくしか無いことに気がついた。
憂も同時にそれに気づき、不安そうに純を見つめた。

23 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:38:58.49 ID:ltIw3edqo

「そうですね……うん、そうですね」

和はグローブを外した。
蒸れた空気は外気に侵食され、あっという間に彼女の汗は乾いてしまった。
けれど……けれど、体温が下がりきるまでには、まだもう少し時間があるから。
さわ子は和の、そして自分自身のための言葉を探した。

明日も明後日も、きっと楽しいよ、なんてことを、もっと優しい確信に満ちた響きで伝えられるような言葉だ。

「……あ、」

答えは見つからず、憂も泣きそうな声を出して、グローブを外した。
そのとき、純は、大丈夫、きっともう少し素直に甘えられるようになるよ、なんてことを憂に伝えようとは、これっぽちも思っていなかった。
ただ、あの面白い漫画を思い出して言ったのだ。

「そうだ、合宿がしたいんだった!」

しばらく沈黙が流れて、哄笑がそれを粉々に砕いた。
冷え始めた重たい空気を、力強く揺らして、そこに熱を生むような笑い声は、哀愁を帯びた夕陽には中々溶け込まなかった。

「なにさ」

純が口を尖らせた。
彼女の笑顔もいつもより少しだけ暖かかったように、憂には思えた。

24 : ◆RLqqTM6o/csr[sage]:2011/01/23(日) 17:40:28.11 ID:ltIw3edqo
                :ハ_ハ:ハ_ハ:.
                :(;゚∀゚)゚∀゚;):  ヒィィィィ 夜がキタ──!!
                :(´`つ⊂´):..
                :と_ ))(_ つ:

たのしいにちようび と とうか
                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 17:41:47.70 ID:ltIw3edqo
そんなこんなで終わりです
それでは、他の方々も頑張ってくださいノシ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 17:57:01.23 ID:PpD6xOOeo
おーつ
27 : ◆fESkAzz9Po[sage]:2011/01/23(日) 19:51:28.65 ID:9elumrKDO
前の人おつです。遅れましたが、投下します
和憂っぽいお話
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 19:52:28.17 ID:9elumrKDO
憂「……」

和「……」

憂「……」

和「……」

憂「……暇だね〜」

和「そうね。唯もいないし、静か過ぎるくらいに静かだわ」

憂「お姉ちゃん、明々後日まで帰って来ないんだよね……はぅ」

和「こらこら、落ち込まないの。軽音部の合宿で唯がいないなんて初めてのことじゃないでしょう?」

憂「そうだけど……やっぱり寂しいよ」

和「はあ……憂も相変わらずのお姉ちゃんっ子ね」

憂「えへへ〜」

和「褒めてないからね?」

憂「え〜……」

和「拗ねないの」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 19:53:04.63 ID:9elumrKDO
憂「……ところで和ちゃんはいいの?」

和「何が?」

憂「和ちゃんだって忙しいんでしょ?それなのに家に来てくれて……別に大した用事もないのに」

和「う〜ん、まあ生徒会もあるし勉強もしなきゃいけないし、暇ではないわね」

憂「やっぱり……」

和「でもね」

憂「え?」

和「憂が寂しい思いをしないように側にいてあげる……これは私にとってはとても大切な用事だから、気にしなくていいのよ」ナデナデ

憂「あ……。え、えへへ……何だか照れちゃうなあ」

和「ふふっ」

憂「和ちゃ〜ん♪」ギュウッ

和「あらあら、甘えん坊ね憂は」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 19:54:55.20 ID:9elumrKDO
……

憂「……」ギュウ

和「……いつまで抱き着く気なの?」

憂「……」ウトウト

和「憂?」

憂「はっ!?ね、寝てないよ?」アセアセ

和「嘘。明らかに目を閉じようとしてたじゃない」

憂「うう、だって和ちゃんって温かいし……」

和「はいはい……あら?憂、携帯鳴ってるわよ」

憂「えっ?」

ダイスキー、ダイスキー、ダイスキーヲーアーリーガートウ♪

憂「お姉ちゃんっ!?」パカッ
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 19:55:59.56 ID:9elumrKDO
和「唯から?」

憂「うんっ!お姉ちゃん、無事に向こうに着いたって!」

和「嬉しそうね……あら」

憂「どうしたの?」

和「私にも唯からメール来てたわ。マナーモードにしてたから気付かなかった」

憂「む……」

和「あはは、憂をよろしくねだって。唯はいいお姉さんね」

憂「……」

和「憂?」

ゴーハーンーハ、スーゴイーヨ♪

憂「梓ちゃんからメールだ!」パカッ

和(この子の着信は全部唯の歌なのかしら……らしいといえばらしいけど)
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 19:57:01.30 ID:9elumrKDO
憂「お姉ちゃん、すっごく楽しそうにはしゃいでるんだって!よかった〜♪」

和「その様子が目に浮かぶようだわ……梓ちゃんも大変ね」

憂「お姉ちゃんをよろしくねっと……」メルメル

和「後輩に世話を託される唯って……あら、またメール」

憂「えっ?」

和「澪からね。唯と律が暴れて手がつけられない、助けてくれ。何でそれを私に言うのよ……」

憂「むむっ」ポチポチ

和「何してるの?」

憂「べ、別に何も。あっ、またメール!律さんと紬さんからだっ」

和「あの二人が憂に?」

憂「えへへ、私は4人からで和ちゃんは2人からだから、私の勝ちだね!」

和「何の勝負よ。律たちは何て?」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 19:57:55.90 ID:9elumrKDO
憂「えっ?えっと……その、お姉ちゃんのことは私たちに任せろって」アセアセ

和「……ちょっと携帯見せて」

憂「あっ、ダメ!」

『憂ちゃんからメールなんて珍しいな!唯のことだけじゃなくて私たちも気遣ってくれるなんて、本当に出来た子だ……!』
『憂ちゃん、心配しなくても大丈夫よ♪お土産楽しみにしててねっ!』

和「憂、あなた……」

憂「だってえ……」

和「まったく、変なところで張り合おうとするわね」

憂「ごめんなさい……でも、相手が和ちゃんの時だけだよ?」

和「あら。それは私が特別って言ってくれてるのかしら?」

憂「う、うん……///」

和「ふふっ、みんなが知らない憂の一面を見せてもらえるなんて光栄ね」ナデナデ

憂「あ……和ちゃん……♪」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 20:06:46.27 ID:9elumrKDO
憂「でもいいなあ、お姉ちゃん楽しそうで」

和「……憂は私といて楽しくないの?」

憂「そ、そんなことないよっ!和ちゃんと一緒にいるとすっごく楽しいよ!」

和「ふふっ、冗談よ」

憂「ええっ!?……和ちゃんの意地悪」

和「ごめんね、私も憂と一緒にいれて楽しいわ」

憂「む〜……」
35 :ミス…[sage]:2011/01/23(日) 20:11:12.56 ID:9elumrKDO
……

憂「でもいいなあ、お姉ちゃん楽しそうで」

和「……憂は私といて楽しくないの?」

憂「そ、そんなことないよっ!和ちゃんと一緒にいるとすっごく楽しいよ!」

和「ふふっ、冗談よ」

憂「ええっ!?……和ちゃんの意地悪」

和「ごめんね、私も憂と一緒にいれて楽しいわ」

憂「む〜……」

和「唸らないの。そういうところは唯にそっくりなんだから……」

憂「姉妹だもん」ベー

和「あらあら、嫌われちゃったかしら」

憂「……和ちゃんを嫌いになるわけないじゃん。でも……」

和「でも?」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 20:11:50.63 ID:9elumrKDO
憂「意地悪した分、私に……その……」

和「ん、分かったわ。どこか行きましょうか。エスコートさせてもらうわね」

憂「うんっ!和ちゃん大好き!」

和「あらあら……私も憂のこと大好きよ」

憂「う……。ま、真顔でそういうこと言うの反則……///」

和「ふふっ、それじゃあ行きましょうか?」

憂「どこに行くの?」

和「憂の行きたい場所ならどこでも。あ、それとも唯たちに対抗して合宿にでも行く?」

憂「え?」

和「二人っきりで、泊まりがけで、ね……」ボソッ

憂「そ、それって……///」

和「どうするの?憂はどこに行きたい?」

憂「も、もう……和ちゃんのバカっ!」

おしまい
37 : ◆fESkAzz9Po[sage]:2011/01/23(日) 20:13:39.64 ID:9elumrKDO
失敗しまくった……時間喰っちゃってすみません
次の方どうぞー
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 20:14:18.17 ID:ltIw3edqo
まさかのかわ憂話だった
39 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:31:40.09 ID:Au1blAvj0
前の人ら乙
なんか今回和ちゃん大人気だなwwwwww

唯和、純梓、律澪でさらっといくわ
40 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:33:19.08 ID:Au1blAvj0

澪「・・・」ムクッ

澪「・・・といれ」

澪「・・・」スクッ

澪「・・・」テクテク


ガチャ・・・バタン・・・


澪「・・・ちょっと怖いな」テクテク

澪「・・・りつ、呼んでこようかな」ピタッ

澪(い、いや・・・駄目だ、これくらい一人でできる・・・)テクテク

澪(電気のスイッチ、どこだろう・・・暗い・・・)

澪「着いた・・・」

澪(早く済ませよう・・・)キィィ・・・バタンッ
41 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:34:30.66 ID:Au1blAvj0

澪(明日はちゃんと練習できるかな・・・)

澪(あぁ、一緒になって遊んじゃいそうだ・・・)

澪「はぁ・・・」カラカラ


ジャー・・・

キィィ・・・バタンッ


澪「よし、早く戻ろう」キリッ

澪(はぁ・・・またこの暗い廊下を歩くのか・・・)

「・・・で・・・だも・・・」

澪「!!?!?」ビックゥ!?

澪(なななななななな!?)
42 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:35:37.04 ID:Au1blAvj0

「あっはっは」

澪(笑い声!?)

澪(って・・・この声、まさか・・・)

澪(・・・ベランダにいるの、唯だよな?)テクテク

唯「んー、かもねー」

澪(誰かと電話してる・・・?)

唯「えー?そんなこと言わないでよー」

澪(・・・?)

唯「そうだね。そうそう、帰ったら宿題見せてね」アハハ

澪(・・・和かな?)

澪(って、なんでこんなコソコソしてるんだ!部屋に戻ろう、うん。そうしy)

唯「え?浮気?・・・面白いこと言うんだね、和ちゃん」

澪「」
43 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:36:16.85 ID:Au1blAvj0

澪(え?なに?今なんて?)

唯「そっかー、和ちゃんでもそういうヤキモチやいちゃうんだ?」

澪(え、えっと・・・え?)

唯「安心してよ、私こう見えて結構一途だよ?」

澪(唯、なんか普段と違う・・・)

唯「あー、でも・・・」

澪(なんか、ちょっとかっこいい・・・?)

唯「そんな和ちゃんも見てみたいかも」

唯「・・・」

唯「なんてね、冗談だよ」

澪(動くに動けなくなってしまった・・・)
44 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:38:16.42 ID:Au1blAvj0

唯「うん、わかってるよ」

澪「・・・」

唯「だからさ」

澪「・・・」

唯「『わかってる』って、わかってよ」

澪「へっくしょん」

唯「!?」クルッ

澪「」
45 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:38:59.24 ID:Au1blAvj0

唯「・・・澪ちゃん?どうしたの?」

澪「え、えっと・・・トイレに・・・」

唯「トイレならあっちだよ?」

澪「行った帰り道で、なんていうか、その・・・」

唯「ん?あぁ、ごめんね。こっちの話」

澪「ごめんな、和との電話邪魔しちゃって」

唯「・・・」

澪「え、唯・・・?」

唯「なんで和ちゃんだって知ってるの?」

澪「あ、私って実はエスパーなんだよ」

唯「立ち聞きしてたの?」

澪「ごめんなさい」
46 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:39:45.38 ID:Au1blAvj0

唯「んーん、別にいいよ」

澪「うぅ・・・」

唯「あ、もしもし?それじゃ、私そろそろ部屋に戻るね。うん、おやすみ」

澪「・・・いいのか?」

唯「うん、ちょうど切るところだったから平気だよ」

澪「本当か?」

唯「ほーら、気にしないでって」

澪「あ、あぁ」

唯「部屋に戻ろう?」

澪「そうだな。・・・唯ってさ」

唯「?」

澪「いや、なんでもない」

唯「和ちゃんの話?」
47 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:40:31.20 ID:Au1blAvj0

澪「あ、あぁ・・・その、付き合ってる、のか?」

唯「・・・知りたい?」

澪「・・・ちょっと、気になる」

唯「えへへ、内緒」

澪「えっ」ガーン

唯「ほら、行こ?」グイグイ

澪「そ、だな」

唯「・・・電気のスイッチどこだっけ?」テクテク

澪「私も探したんだけど、見つからなかったんだ」テクテク

唯「あ、これじゃない?」カチッ

澪「!?うわっ、眩しい」

唯「うーん、目が痛いねー」

澪「・・・あ、あれ?」

唯「うん?」

澪「あそこにいるの、梓じゃないか?」
48 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:41:55.76 ID:Au1blAvj0

唯「あ、本当だね。・・・影になって見えないけど、ムギちゃんもいない?」

澪「・・・だな」

唯「私も澪ちゃんの真似しちゃおっかなー」

澪「私の真似?」

唯「うん、立ち聞き」

澪「本当にごめんってば」

唯「怒ってないって」アハハ

澪「でも・・・なんの話してるんだろうな?」

唯「やっぱり気になるんじゃん」

澪「うぅ・・・」

唯「近づいちゃおっか?」

澪「・・・う、うーん」

唯「ほら、行こ行こ」グイグイ

澪「ちょっと、唯・・・!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
49 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:42:49.98 ID:Au1blAvj0

梓「って感じです」

紬「うーん・・・まぁ、純ちゃんはそういう子なんでしょう?心配しなくても・・・」

梓「心配はしていません。嫌なんです、生理的に」

紬「そうは言ってもねぇ・・・」

唯「あずにゃん、怒ってるのかな?」ボソッ

澪「っぽいな・・・」

唯「あずにゃんは牛乳飲んだほうがいいね、色んな意味で」

澪「それ梓が聞いたら泣くぞ」

梓「付き合ってるのに、片想いしてるみたいで・・・」

紬「そんなこと言ったら純ちゃんが可哀想よ」

梓「なんで純が可哀想なんですか」

紬「話を聞いてて思ったんだけど・・・純ちゃんも同じことで悩んでそう」

梓「純が?それはないですよ」

紬「どうしてそう言い切れるの?」
50 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:43:16.61 ID:Au1blAvj0

梓「だって・・・純ですし・・・」

紬「うーん・・・」

唯「なんか真面目な話してるね」

澪「そうだな。梓って純ちゃんと付き合ってたのか・・・?」

唯「さぁ?どうなんだろう」

澪「もしそうだとしたら唯と梓ってある意味、仮面夫婦みたいな感じだな」

唯「怒るよ」
51 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:43:59.44 ID:Au1blAvj0

紬「梓ちゃんは純ちゃんにそういう話した?」

梓「して、ないです・・・」

紬「それはどうして?」

梓「女同士ですし・・・同性に嫉妬なんてしてたらキリないじゃないですか」

紬「それで?」

梓「鬱陶しいかなって・・・」

紬「本当にそれだけ?」

梓「・・・」
52 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:44:49.87 ID:Au1blAvj0

紬「意地、張ってるんじゃない?」

梓「かも、しれません・・・」

紬「二人とも、もうちょっと素直になればきっともっと素敵な関係になれると思うんだけど・・・」

梓「本当は・・・私ばっかり純のこと好きみたいで、ちょっと悔しいんです」

紬「・・・それは純ちゃんに失礼かも」

梓「え?」

紬「いいから、純ちゃんと話してみて?」

梓「・・・解決、しますかね」

紬「しないわ」

梓「」
53 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:46:14.57 ID:Au1blAvj0

紬「解決とか、そういう問題じゃないもの」

梓「・・・まぁ、そうですね。他の人と仲良くしないで欲しいなんて、無理な話ですし」

紬「そうよ。でもそういう話はした方がいいわ」

梓「・・・はい」

紬「たまには素直になって気持ちを改めて伝えた方が、ね」

梓「ですね」

紬「すれ違ったままなんて、悲しすぎるじゃない」

梓「・・・」

紬「それじゃ、私はそろそろ部屋に戻るわね」

梓「・・・はい」

紬「梓ちゃんはどうする?」

梓「・・・純に、電話します」
54 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:47:04.34 ID:Au1blAvj0

紬「そう。頑張ってね」

梓「はい。おやすみなさい」

紬「えぇ、おやすみ」

梓「・・・ムギ先輩」

紬「?」

梓「どうも、ありがとうございました」

紬「・・・」クスッ

梓「・・・?」

紬「私は何もしていないわ。おやすみ」

梓「・・・」

唯「こっち来ちゃったよ・・・!?」

澪「どどどどうしよう・・・!」

唯「とりあえず逃げようっ」ダッ

澪「え!?ちょっと、唯!?唯ってば・・・!」ダッ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

55 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:47:54.47 ID:Au1blAvj0


唯「ここまで来れば大丈夫かな」ゼェハァ

澪「本当に広いよな、この家」

唯「ねー、和ちゃんにも見せてあげたかったなー」

澪「惚気るなー?」

唯「んー?なんのことー?」

紬「こんばんは」ニコッ

唯澪「」

紬「二人とも、トイレ?」

唯澪「・・・」

紬「?」

唯「えっと、そうそう!我慢できなくなっちゃってねー」

紬「二人は梓ちゃんの話どう思う?」

唯澪「」
56 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:52:08.31 ID:Au1blAvj0

澪「おいっ、バレてるぞ」ボソッ

唯「ね」ボソッ

紬「あ、大丈夫よ。多分梓ちゃんは気づいてないから」

澪唯「ごめんなさい」

唯「その、悪気はなかったっていうか・・・」アハハ

紬「えぇ、わかってるわ」ニコッ

唯「えっと、あずにゃんの話ってs」

紬「やっぱりその話はまた今度しましょう」

唯澪「えっ」

紬「唯ちゃん、私たちはお部屋に戻りましょう」

唯「え」
57 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:54:54.78 ID:Au1blAvj0

紬「いいから」

唯「でも」

紬「澪ちゃん、おやすみ」ニコッ

澪「え?あ、あぁ、おやすみ」

唯「え、ちょっと」

紬「ほら、明日も早いから。ね?」グイッ

唯「ええぇー?」

澪「??」

澪「・・・」

澪「行っちゃった・・・」

澪「・・・もう一回トイレ行こうかな」テクテク

澪「・・・」

澪「あれ・・・?」

澪「だ、誰かいるのか?」

「みぃおー?」
58 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:56:22.74 ID:Au1blAvj0

澪「なんだ、律か」

律「・・・」ギュッ

澪「!?///」

律「どこ行ってたんだよ」

澪「え、えっと・・・トイレ・・・」

律「起きたら・・・誰もいなくて・・・ビックリしたんだぞ・・・?」ギュー

澪「あぁ、そっか・・・ごめんな?」ギュッ

律「ん」

澪「寂しかった?」

律「うるせー」

澪「なぁりつ」

律「・・・なんだよ」
59 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:56:56.36 ID:Au1blAvj0

澪「私、夜中に一人でトイレ行けたんだぞ」

律「そっか」

澪「すごくないか?」

律「・・・」

澪「いや、当たり前のことだよな、ごめん・・・」

律「すごいよ、頑張ったな」

澪「・・・」

律「でも、あまり嬉しくないな」

澪「え・・・?」

律「・・・なんてな。なんでもないよ」

澪「え?でも、今のどういう」

律「いいから」
60 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 20:57:57.08 ID:Au1blAvj0

澪「・・・さっきな、色々あったんだ」

律「色々?」

澪「あぁ。唯とか・・・梓とか、ムギとか・・・」

律「よくわかんないけど・・・それがどうしたんだ?」

澪「色々あって・・・その、律に、会いたくなったんだ」

律「・・・?会えてよかったな?」

澪「うん」

律「・・・?」

澪「・・・あのさ」

律「ん?」

澪「律、ちょっと話があるんだけど・・・外に出ないか?」



おわり
61 : ◆Dq9zTDROkE[sage]:2011/01/23(日) 21:00:11.71 ID:Au1blAvj0
というわけで
次の人にバトンタッチ
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 22:46:53.45 ID:0qwnACvpo
「合宿という名の懇談会」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 22:52:46.21 ID:0qwnACvpo
梓「合宿ってそもそも何をするべき機会でしたっけ?」

唯「え? 肝試しに遭難に異世界に迷い込んだりする機会だよね」

澪「いやそれは何か違う気がする」

律「合宿といえば、花火にスキーにバーベキューだろ」

紬「スキー以外はやったわね」

梓「では、スキーでも行きましょうか」



3日後


唯「北海道だよ! 北海道!」

澪「寒いな! 北海道だな!」

律「耳いてー! 手冷たいな、ほら」

紬「きゃ、りっちゃんの手冷たい」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 22:56:35.80 ID:0qwnACvpo
唯「まずは荷物を置いて着替えよう」

紬「あ、今回は使える部屋が3つしかないの」

澪「え、じゃあどうするんだ」

紬「くじびきで決めましょう」

律「これまた計画性のない合宿だな」

唯「私1だよ!」

律「私も1だ」

澪「……2」

梓「私も2です」

紬「……3、しょぼーん」

唯「ムギちゃん、誰かと一緒が良かったの?」

紬「……うん」

唯「じゃあ私が3になるよ!」

紬「ありがとう、唯ちゃん」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 22:58:14.02 ID:cO088/YW0
カップリング書いてよ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:00:57.50 ID:0qwnACvpo
律&紬

律「しっかし、部屋の中は広いんだよな」

紬「ツインベッドも用意したの〜」

律「ってことは一緒に寝るってことか?」

紬「そうよ、りっちゃん」

律「えっちなこと、するなよ」

紬「……えっちって例えばどんなの?」

律「……胸をもみ合ったり」

紬「///」

律「いきなりキスしてきたと思ったら押し倒されてたり」

紬「り、りっちゃん! そんな恥ずかしいことなんて私できないわ!」

律「だよな! 女の子同士だし、そんなことするわけないよな!」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:06:09.56 ID:0qwnACvpo
澪&梓

澪「――ちょ、梓落ち着け!」

梓「え、なんのことですか?」

澪「着替えになぜ私の胸を揉む必要がある!」

梓「そこに、夢があるからです」

澪「意味がわかんないよ!」

梓「意味なんて考えること自体無意味です」

澪「りつぅ〜、助けてぇ!」

梓「無駄ですよ、ここの部屋は見た所、防音仕様になっていますから」

澪「ひ、一人の部屋になっておけばよかったよ〜!」

梓「もみもみきゅきゅきゅきゅ」

澪「あ///」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:11:20.44 ID:0qwnACvpo


唯「こんな広いところに一人は寂しいかも……電話でもかけよう」

torururururu

憂『お姉ちゃん? 今合宿中だよね? どうしたの?』

唯「憂の声が、聞きたくなっちゃって」

憂『お姉ちゃん……///』

唯「ねえ憂は今何してる?」

憂『私は今、居間でお茶を飲んでるよ』

唯「そのお茶が、飲み終わる前に憂に言いたいこと、あるんだ」

憂『……なにかな?』

唯「好き」

憂『え? 聞こえないよお姉ちゃん』

唯「すーきーだーぁ!」

憂『もう一回!』

唯「好きだよ〜憂〜」

憂『私も大好きだよ〜お姉ちゃ〜ん!』
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:16:00.99 ID:0qwnACvpo
全員に戻る

唯「……みんな、準備はおっけー?」

律「ああ、おっけーだ」

澪「……」

紬「澪ちゃん、どうかしたの?」

梓「体調が良くないみたいです、私が看病しておきましょうか」

澪「……ひ」

唯「それはダメだよ! 澪ちゃんの体調が悪いなら室内で遊ぼうよ」

紬「そうね、合宿と言ってもみんなで遊べなきゃ意味ないわよね」

梓「……っち」

律「梓ー、なーんか黒いオーラがちらちら見えてるぞー」

梓「いやですよ律先輩、私はあずにゃんですよ」

唯「あずにゃーん!」

梓「ちょ、抱きつかないで下さい!」

唯「すりすりすり」

梓「oh Yes///」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:23:30.90 ID:0qwnACvpo
律「それで、結局何をするんだ」

梓「大富豪をやりましょう!」

唯「でも大富豪ってルールがいっぱいあるよね」

梓「ダイヤの7を持ってる人から始めます。イレブンバックにジョーカーへの3返しあり、
  記号が連続した場合は縛りありのルールでどうでしょうか」

紬「ダイヤの7を持ってる人は強制的にだす必要性がありそうね」

梓「そうですね、7を持ってる人は全員だしちゃいましょう、それでダイヤ持ちの人からはじめることにしましょう」

律「なぁ、罰ゲームありにしようぜ」

梓「勿論です! 大貧民になるたびに服を脱ぎましょう!」

澪「……ひぃ」

紬「澪ちゃん、そんなにおびえなくても……」

唯「よーし、私やるよーちょうやるよー」

律「じゃあトランプをサクっと切っていって配るぞー」

梓「お願いします」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:28:48.40 ID:0qwnACvpo
唯「……はいあがりぃ!」

律「また唯が大富豪か……」

澪「……うぅ」

紬「澪ちゃん、頑張って!」

梓「澪先輩、すでにパンツ1枚ですよ、この勝負に負けたら……」

澪「り、りつぅ! 私を助けると思って、負けてくれぇ!」

律「澪、勝負は戦争の世界なんだ、諦めろ……」

澪「そ、そんなぁ」

唯「でもさ、全部脱いじゃったら終わりだよね、どうするの?」

梓「銭湯に入ります」

紬「ここの露天風呂は凄いのよ〜、ツララを見ることができるの〜」

律「へぇ〜、じゃあその銭湯とやらに行くために2のスペード」

澪「……パス」

律「4のスリーカード!」

澪「ぱすぅ!」

律「5のスリーカード」

澪「うわぁあああん」

律「はい、あがり」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 23:32:37.43 ID:cO088/YW0
>事前にカップリングを示しておく(名前欄若しくは投下前)
>内容の都合上、事前にカプを明示すると都合が悪い場合はその旨を最初に言っておく
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:35:14.22 ID:0qwnACvpo
梓「――これで、また澪先輩の負けですね」

澪「あ、あ、あ」

梓「脱がして差し上げましょうか? それとも脱ぎたいですか?」

紬「……どきどき」

澪「じ、自分で脱ぐから!」

唯「澪ちゃんって本当におっぱい大きいよね、立ち上がっただけでぷるんぷるん揺れるし」

律「……」

梓「……」

紬「あんまり大きいと肩凝っちゃいそうよね」

梓「律先輩」

律「……ああ」

唯「ん?」

紬「きゃ、な、なに!?」

律「あるものへの嫉妬というのは、実に醜いとは思う次第」

梓「ですけど、私はその醜さを受け入れて揉みます、あますところなく揉みます」

紬「……あっ、だ、ダメよお、りっちゃ〜ん」

唯「……楽しそうだよ〜」

澪「は、はっははやく銭湯に行こう! 寒いよ!
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:44:31.53 ID:0qwnACvpo
露天風呂

唯「あったけー」

律「なんか言葉遣いがおっさん臭くなってるぞ」

澪「うぅ、もう嫌だ帰りたい」

梓「この合宿は1泊2日ですからあと24時間くらい残ってますよ」

澪「ぷしゅー……」

紬「澪ちゃん、体調が悪いみたいだけど、大丈夫?」

澪「ありがとうムギ、そ、そうだ! 私を一人部屋にしてくれ!」

梓「ダメですよ、一人部屋は唯先輩なんですから」

唯「そうすると私があずにゃんと一緒ってことになるのかな?」

紬「唯ちゃん、どうするの? 澪ちゃんを一人にした方がいいかしら?」

律「病気なら看病できるやつが必要なんじゃないか?」

澪「なら、律がいい」

紬「あら、やっぱりりっちゃんはモテモテね」

梓「ダメです! 私は認めません!」

唯「あずにゃん、私じゃイヤ?」

梓「ばっちこいです!」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:52:02.54 ID:0qwnACvpo
澪&律 夜

律「結局、こうなるわけか」

澪「いいじゃないか、私は律と居るときが一番落ち着く」

律「そうだな、澪と一緒にいるのって安心するんだよな」

澪「律はずるいよ……誰と一緒にいても不自然じゃないし」

律「澪だって、別に不自然じゃないだろ」

澪「私が、不自然になっちゃうんだ……梓だってあれは普段より近づきたいって甘えてきたのがいい例だ」

律「じゃあ自然になればいじゃないか」

澪「簡単に言うな、私が人見知りなのは知ってるだろ」

律「大丈夫だよ、失敗したら謝ればいい、怒らせちゃったなら笑わせられるように頑張れ」

澪「……」

律「私はいつだって、澪の横にいてやるから、もう一歩、踏み出してみようぜ」

澪「……うん」

律「じゃあ今日は寝るぞ、明日はみんなでスキーしよう」

澪「うん」

律「おやすみ、澪」

澪「おやすみ、大好きな律」

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/23(日) 23:59:10.29 ID:0qwnACvpo
梓&唯 夜

梓「ところで唯先輩」

唯「なーにー、あずにゃん?」

梓「唯先輩って、どうして誰とも仲良くなれるんですか?」

唯「んー、素直になればいいんじゃないかな、そうすれば誰だって自分自身を見てくれるようになるよ」

梓「でも、私にはそんな勇気はありません」

唯「あずにゃん、笑ってみて」

梓「……え?」

唯「にぱーって笑うの」

梓「に、にぱー」

唯「ん〜、もっと口元を目一杯開いて、目元をくるくるさせるの」

梓「こ、こうですかぁ!?」

唯「あっはっは、あずにゃん変な顔〜」

梓「なっ! 唯先輩がやらせたんじゃないですかぁ!」

唯「だってさ、こーんな顔してたんだよ、ほら」

梓「や、やめて、っくっくっ私そんな変な顔してませんよぉ、っふふ」

唯「……そうやって、笑ってるだけであずにゃんには人が集まってくるよ」

梓「……唯先輩には敵いませんね」

唯「先輩ですから!」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/24(月) 00:00:40.07 ID:nGVxuPCno
紬 夜



紬「今回も面白い映像がいっぱい撮れそうでよかったわ〜」REC







終わり
78 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:10:28.80 ID:QVNROLoP0
>>77
投下乙です

それじゃこっちも投下始めます

タイトル:紬「キラキラと輝くもの」
カプ:律紬

注:一応原作の合宿を基に書いたものです
79 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:13:07.50 ID:QVNROLoP0
律「さ〜て、梓の寝顔も納めたことだし……次はムギだな」

澪「まだ撮る気なのか……」

律「へっへ〜ん、ムギもまさか協力者の自分が撮られるとは夢にも思ってないだろうし!」

澪「……おいおい」


二年目の合宿。
去年に引き続き私は、皆の寝顔をカメラに収めている。


律「っと、ここがムギの部屋だな……」

澪「眠い……もうこんなことやめてさっさと寝ようよ……」


今回無理やり起こして付き合わせている澪は、かなり眠そうだ。


澪「ていうかなんで私起こしたのよ……やるなら一人でやってよ……私もう寝ていい……?」

律「ダ〜メダメ、こういうワルダクミには、相棒役が必要なの」

澪「わるだくみって分かってるなら付き合わせるなよ……というかやるなよ……」

 
そう言いつつも強く止めないのは、眠くて頭が働いてないからか、はたまた諦めているからか。
まあどの道やめるつもりはないから、賢明な判断だろう。
80 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:15:26.41 ID:QVNROLoP0
律「さてと、それじゃ早速――おじゃましまーす……て、あれ?」

澪「……? どうしたんだ、律?」

律「いやその……鍵が掛かってないし……ムギもいないみたいだ」

澪「トイレにでも行ってるんじゃない……? 諦めて、今日はもう寝よう」

律「うん、そうだな。今戻って来られたら言い訳できないし」

澪「……そもそも、言い訳しなきゃならないようなことをするなよ……」


ごもっともな意見だが、聞き流すことにしておく。
でないと、私という存在が成り立たなくなる!


律「仕方ない、また次の夜にリベンジしよう」

澪「……だから、するな!」


怒られた。
けど、拳のツッコミが無かったのは、やっぱり眠かったからだろう。
81 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:18:15.39 ID:QVNROLoP0
――


律「さーてムギめ……今日こそその寝顔をこの手に収めてくれよう」


軽くボケを呟いてみるが、今回はそれに返してくれる相方はいない。
流石に二日連続で起こすと真面目にキレられてしまいそうなので、起こせなかったのだ。


律「……うん、やっぱり一人ボケは寂しいな……」


そんなこんなで、昨夜に引き続き再びムギの部屋。
いざ参らんとドアノブに手をかけるが――


律「――あれ、また……?」


またもや鍵は掛かってないし、ムギも居なかった。


律「またトイレ……じゃあなさそうだな」


しかし、二日連続で偶然私が来たタイミングでトイレ行ってる、なんてことはちょっとありえない気がする。
寄り道してない分、昨夜とは時間帯もずれてるし。


律「となると、どっか出掛けてるのか……?」


いや、今は深夜だから出掛けてるってことはないか。
店も閉まってるだろうし。


律「つまりは屋敷のどっかにいるってことだけど……どこにいるやら」


といっても、こういうパターンのときにいる場所なんて、一つしか心当たりがない。
もうそこに居なかったら、どこに居るんだってぐらいの勢いで。


律「ま、隠れて練習なんてよくある話だよなー」


ムギの部屋に最後のセリフを残して、私はスタジオへと足を向けた。

82 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:21:12.59 ID:QVNROLoP0
>>81
微妙にミス発見したのでこっちにチェンジで

――


律「さーてムギめ……今日こそその寝顔をこの手に収めてくれよう」


軽くボケを呟いてみるが、今回はそれに返してくれる相方はいない。
流石に二日連続で起こすと真面目にキレられてしまいそうなので、起こせなかったのだ。


律「……うん、やっぱり一人ボケは寂しいな……」


そんなこんなで、昨夜に引き続き再びムギの部屋。
いざ参らんとドアノブに手をかけるが――


律「――あれ、また……?」


またもや鍵は掛かってないし、ムギも居なかった。


律「またトイレ……じゃあなさそうだな」


二日連続で偶然私が来たタイミングでトイレ行ってる、なんてことはちょっとありえない気がする。
寄り道してない分、昨夜とは時間帯もずれてるし。


律「となると、どっか出掛けてるのか……?」


いや、今は深夜だから出掛けてるってことはないか。
店も閉まってるだろうし。


律「つまりは屋敷のどっかにいるってことだけど……どこにいるやら」


といっても、こういうパターンのときにいる場所なんて、一つしか心当たりがない。
もうそこに居なかったら、どこに居るんだってぐらいの勢いで。


律「ま、隠れて練習なんてよくある話だよなー」


ムギの部屋に最後のセリフを残して、私はスタジオへと足を向けた。

83 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:23:22.38 ID:QVNROLoP0
――



律「――って居ないのかよ!! うおーい!!」


思わず突っ込んでしまった。
いやだって、100%居ると思ったのに居ないんだもん、仕方ないさ。


律「……まあ軽い逃避はここまでにして……ホントにどこに居るんだムギのやつ……?」


スタジオに居るんでもなければ、一体どこに居るというのだろう。
こうなってしまうと、見当もつかない。


律「もしかして、マジにトイレだったとか……?」


だとしたら、かなり恥ずかしいぞ私。
さっき方『ちょっとありえない』なんて寝言抜かしちゃったよもう。

84 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:26:12.40 ID:QVNROLoP0

――



律「しかしムギは居ないのでした、チャンチャンっと」


再び部屋に向かってみたものの、ムギは戻っていなかった。
念のため途中トイレにも寄ってみたけど、そこも空振り。
とりあえず、無駄に恥をかくことは避けられたけど――


律「でもなあ……ホントどこに居るんだムギのやつ……」


最初の目的はムギの寝顔を激写するという軽いものだったけど、
こうなるとムギがどこで何をしているのかが気になってしょうがない。


律「――ええい、ここまで来たら意地でも探し出してやるぜあのお姫様め!」


……明日には家に帰るというのに、私の夜更かしは決定事項となった――

85 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:28:27.67 ID:QVNROLoP0
――



律「い、いねえ……どこにも……」


さっきの決心から数十分。屋敷中を探し回ったけど――影も形も見当たらないとはこのことで。
結局、私が疲れただけに終わったのだった。


律「てあれ、影も形も見当たらないなんて言葉あったか……?」


何かどこかが間違っている気がするが、っていやそんなことはどうでもいいんだ。
ひょっとすると、私はかなり眠いのかもしれない。


律「だーもう……ムギのやつー、どこにいるんだー」


このセリフも何回目だろうか。
しかし屋敷内を(明らかに居ない場所除き)ほとんど捜索した後と前では言葉の重みが違う。
……疲れてる所為で、言い方はかなり軽いが。


律「しっかし……屋敷の中には居ないし、出掛けてる線もないってなあ……」


もうさっぱり、お手上げである。
――ん? ちょっと待てよ……


律「屋敷の『中』……?」


そういえば。
外にはいないって先入観から一つ、『屋敷内に』探してないトコがあった。


律「……はあ。そこに居てくれないと、もう探してあげないからなー」


思い浮かんだ場所に、見慣れた笑顔があることを祈って。
私は、『テラス』へと足を向けた――

86 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:31:41.54 ID:QVNROLoP0
――



律「……いよう。探したぜーお姫様」

紬「え――? ……り、りっちゃん!?」


私は何とか正解を引き当てられたようで、やっとピーチ姫――もとい、ムギに会うことが出来た。
まったくもって、長い道のりだった……


律「何やってるんだ、こんな夜中に」


いままで聞きたかった疑問を、ストレートに投げかける。
このためだけに、どれだけ迷走したことか……


紬「……りっちゃんこそ、どうしてここに?」


……ううむ、質問を質問で返されてしまった。
しかしまあ、ムギからすればそれは当然の疑問だろう。
ムギの回答は、しばしお預けか……


律「お前を――ムギを、探してたんだ」

紬「……え……わ、私を……?」


おー驚いてる驚いてる。
……そして、顔を赤くしている。
いや、確かにそれっぽい勘違いさせちゃうような言い回ししたけどね。

87 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:35:11.00 ID:QVNROLoP0
律「ムギの寝顔撮ろうと思ったら、居なかったからさ」

紬「あ……もう、りっちゃんってば」


私が正直に話した理由にムギは、首から下げられたカメラを見て納得したようだった。
久々に見た気がする笑顔が、やけにかわいく感じられた。


律「で――ムギは何をしているんだ?」


今度こそ、私のターン。
さて、どんな答えが返ってくるやら。


紬「――星をね、見ていたの」

律「星?」


言われて、見上げてみる。
するとそこには、キラキラと輝く星たちが、これでもかという位夜空に散りばめられていた。


律「……これは……すごいな。すごい、キレイだ……」

紬「うん、綺麗。とっても、いつまでも眺めていたいくらい、綺麗」


……おいおい。
いつまでもって、ムギ――


律「まさかだけど、昨日もここにいたのか?」

紬「え? そうだけど……もしかしてりっちゃん、昨日も撮ろうとしたの?」

律「は、ははは……図星です」

紬「――もう、りっちゃん!」


昨日に引き続き、今度はムギに怒られてしまった。
とはいえ、澪みたいに本気で怒っているわけではないのはわかるけど。
セットの笑顔がやけにかわいらしいのは、ムギだからだろうか。
88 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:37:59.48 ID:QVNROLoP0
律「隣、いいか?」

紬「ええ、もちろん」


許可を貰って、ムギの隣に腰を下ろす。
……別に隣に座るのに許可が必要な関係ではないけども、なんとなく、必要な気がした。


律「……」

紬「……」


そして、しばしの静寂。
でも、けっして心地の悪いそれじゃなくて。
しばらくの間、二人で静かに星を見ていた。


紬「……ねえ、りっちゃん」


ふと。
ムギが、口を開いた。


律「どうした、ムギ」

紬「私ね――ずっとずっと、輝いてる星たちを見ていたいの」

律「ん……?」


ムギの目は、真剣で――だけどどこか、物悲しそうだった。
ずっとずっと、か……
だから、昨日も今日も、こんな時間まで起きていたのだろう。
89 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:40:21.13 ID:QVNROLoP0
律「……好きなのか? 星を見るの」

紬「ええ。でも、星だけじゃないわ。――キラキラ輝いてる、綺麗なものを見るのが、好きなの」

律「ああ、なるほどな」


それで、女子同士の絡みとか澪のコスプレとか見てうっとりしてたのか……
納得の理由だ。


紬「でもね――」

律「ん?」

紬「どんなに頑張って起きていても――朝がくると、星たちは見えなくなってしまうの」

律「……ムギ……?」


もしかして、それは、


紬「ふふ、わかってるけどね? わかっているけど、悲しいの。――星たちが、見えなくなるのが」


私たちの……?


律「……」

紬「私は……いつまで、星たちを眺めていられるのかな」


――だったら。

90 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:44:30.66 ID:QVNROLoP0
律「心配しなくても――大丈夫だよ、ムギ」

紬「……え?」

律「大丈夫、私たちなら。いつまでも、輝いていられるさ」

紬「りっちゃん……」

律「それに」

紬「?」

律「――ムギも、一緒に輝いてるから」

紬「わ、私も……?」

律「ああ。――知ってるよな? 星は朝がきても見えなくなるだけで、ちゃんとそこにいて、ちゃんと輝いてるって」

紬「……うん」

律「だから、さ。大丈夫。ずっと一緒に輝いて――ずっと一緒にいられるさ」

紬「――うん、そうね! ありがとう、りっちゃん!」

律「!! ――っへへ、どういたしまして」


満天の星空をバックにしたムギの笑顔は、輝いていて。
一瞬――ほんの一瞬だけど、私は見惚れてしまった。
ていうか、ストレートにお礼言われると照れるなこれは……

91 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:47:15.21 ID:QVNROLoP0
律「そ、そうだムギ――せっかくだからさ、一緒に写真とろう」

紬「写真?」


ちょうどいい照れ隠しに、カメラの存在を思い出す。
というか、元はといえばムギの写真を撮るんだったな。


律「そ、写真。星空をバックにさ――二人だけの、秘密の写真!」

紬「……二人だけの、秘密――うん、私、撮りたい!!」

律「お、ノリがいいなー……よし、じゃあ肩組むぞー!!」

紬「おー!!」


――そして私とムギは、これでもかってくらいギュっと密着して、写真を撮った。
誤魔化しと勢いで写真撮ろう、なんて言ったけど――シャッターの瞬間。
私は、これが今回の合宿で一番の宝物になるって。
そう感じた。

92 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:49:34.12 ID:QVNROLoP0
――



律「――ふわ〜あ、眠い。今何時だ……?」

紬「ふふ。明日帰るのに、夜更かししちゃったね」

律「明日ってか、今日だけどな」


ムギと写真を撮ってから少しの間また、二人で星を眺めていたけど――いかんせん、眠い。
そりゃあ、仮にも合宿ということで昼間練習したりとかもあったから、眠くて当然なわけだが。


紬「じゃあ、そろそろ寝よっか」

律「ん、そうだな」


あっさりと、眠ることが決定する。
まるで、この星空には未練なんて無いみたいに。


紬「ねえ、りっちゃん。……お願いがあるの」

律「ん、なんだ?」

紬「あのね……一緒に、寝てくれる――?」

律「――もちろん!!」

93 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:51:29.19 ID:QVNROLoP0
――



律「こ、れは……」


合宿が終わって、数日後。
私は澪たちに見せる前に、一人で出来上がった合宿の写真をチェックしていた。


律「……どう考えても、あの時……だよな」


その中で、私の目に真っ先に飛び込んできたものが、一つ。
それは――ムギと一緒に撮ったあの写真。
……ではなく。


律「やられたーーーー!!!」


――私の寝顔が写った写真、だった。
あの後ムギが、「合宿の写真、絶対見せてね」と言った真の理由が、今判明した。


律「あーあー……ま、いっか」


脱力して、大の字にドサッと寝転がる。
風圧で少しばかり、写真が飛ぶ。
……かなり悔しい。けど、怒る気にはなれない不思議な気持ちだ。

94 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 00:53:26.00 ID:QVNROLoP0
律「まったく、お茶目なことしてくれるな……」


まあ、怒ってないけど――りっちゃんらしく、何か仕返しは考えておくか。
なーんて考えて、再び起き上がり胡坐をかく。すると――


律「……ん?」


今度こそ、ムギと一緒に撮ったあの写真が目に入った。
肩を組んで、カメラに向かって二人でVサインをしている、そんな写真。
それを拾い上げて、しばし眺める。


律「はは、我ながら――眩しい笑顔だな」


その中では、ムギも私も――眩しいばかりに輝いていた。
後ろの星たちなんて、目じゃないくらいに。


律「――ずっと一緒に、輝いていような……ムギ」


終わり

95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/24(月) 00:55:07.67 ID:WTC33irXo
こういうの、好きなわけです
96 : ◆/eWo7C4LOA[sage]:2011/01/24(月) 01:00:18.83 ID:QVNROLoP0
終わりです
前に書いた方々も乙です
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:24:49.81 ID:rq8H9RAe0
投下します。和憂です。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:25:28.04 ID:rq8H9RAe0
和「お邪魔します」
憂「あ、和ちゃんいらっしゃい!」
和「唯の家も久しぶりね。クリスマス会以来かしら?」
憂「そうかも、あっ急に呼び出してごめんね!」
和「いいのよ、唯が合宿で留守だからさびしいんでしょ?私じゃ力不足でしょうけど。」
憂「そんなことないよ、さあ、あがってあがって!」
憂「今お茶入れてくるから、くつろいでてね。」
和「(……唯なら、寝転がりながら『うい〜あいす〜』とかやってるんでしょうね。
それにしても、あの子の服のセンスは一体どうなってるんだろう。いくら部屋着だからってねえ、
今度服でも買いに誘ってみようかしら。」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:26:00.39 ID:rq8H9RAe0
憂「はい、お茶どうぞ。」
和「ありがとう。ふぅ暖かいわね。」
憂「そうだ、おやつ持ってきますね。」
和「気つかわないくていいわよ。……憂ちゃんは気が利くけど、ストレスたまらないか心配ね。」
憂「お待たせ、はいどうぞ!」
和「な、鍋?しかもなにこれ、しらたきがぎっしり。」
憂「えへへ、夕べ作りすぎちゃって。よかったらどうぞ。」
和「い、いただきます。(どういうこと?なんでおやつにしらたき?
しかも4玉以上あるわ、作りすぎといっても限度があるでしょうに。)」
憂「しらたきは食物繊維が豊富だから健康にもいいよ、お通じの改善にも…
ってああ!食事中だったよね、ごめんなさい!」
和「気にしてないわ、それより便秘に見られたことのほうがショックだわ。」
憂「……なんだか和ちゃん、しんどそうに見えたから」
和「表情が暗いのは元からよ、気にしないで。」
憂「そんなことないよ、いつもの和ちゃんは目がキラキラと輝いてるもん!」
和「…よくそんな恥ずかしいこと平気な顔して言えるわね。」
憂「えっへへー。…と、とにかくっ、今の和ちゃんはとっても寂しそうなの!
……お姉ちゃんのことでしょ?」
和「それを言うならお互い様じゃない。寂しくて私を呼んだくせに。」
憂「うぅ、和ちゃんのいじわるぅ。」
和「ふふ、憂ったら。ほら、私に思いっきり甘えてごらんなさい」
憂「え?」
和「昔、よくやってたじゃない、ほら、おいで。」
憂「あ、あれか!じゃあ、いっくよ〜、和ちゃ〜ん!!」
和「あ、あぶない!鍋が!?」

ゴッチーン!!
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:27:16.24 ID:rq8H9RAe0
和「あいたたた……ってあれ?ここは…うちのお風呂?
そっか、私お風呂で寝ちゃってたのね、それで浴槽に頭ぶつけて、
……何やってんだろう私。」
和「あぁん、でも、このニュルニュルの感触がたまらないせいよ。あ、ああっ、ひゃん!」

和「……しらたき風呂、最っ高!」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:27:50.65 ID:rq8H9RAe0
飛び込み失礼しました。
もはや合宿関係ない上に意味がわからないという二重の迷惑。すみませんでした。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/24(月) 09:27:44.58 ID:AIxGMCWDO
これで終わりかな
皆さん乙
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/24(月) 09:28:55.69 ID:AIxGMCWDO
一番手:◆RLqqTM6o/csr
純「合宿してみたいわ」>>3-23

二番手:◆fESkAzz9Po
和「暇ね…」>>28-36

三番手:◆Dq9zTDROkE
「合宿の夜に」>>40-60

四番手
「合宿という名の懇談会」>>62-77

五番手:◆/eWo7C4LOA
紬「キラキラと輝くもの」>>79-94

六番手
和「しらたき風呂、最っ高!」>>98-100


タイトルがないものは適当につけた。ごめんね



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