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HTML化した人:lain.
京介「モデル……?」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 10:34:25.88 ID:1YNhsJfu0
ここは『俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9』ではとてもじゃないが乗せられない。
そんなssが書き溜められていく場所です。途中で断念された作品とかもたまに出てくるかもしれない…。

そんな場所です。
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/07(木) 10:35:19.90 ID:QAtuopcAo
そ、それは真か!?
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 10:41:15.12 ID:1YNhsJfu0
真です。そして今から途中で断念される可能性が高い作品を投下します(まだ書き途中)
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 10:43:11.42 ID:1YNhsJfu0
              俺がモデルになれるわけがない!!









……その日、俺は本当にどうかしていた。
その時の俺はただきまぐれで、本当にきまぐれで……顔にうっすらと化粧をし、髪の毛をちょっと立て、服装もかなりこだわって、まあ平たく言うとオシャレをして街に出かけたのだ、秋葉原に。
いや、別にナンパが目的じゃないよ!?

するとどうだろう、秋葉原についてものの十分で俺は奴らに、スカウト(捕縛)された。

そしてあっという間に俺は車に乗ってスタジオ(監獄)という場所に連行されてしまった、何処だここは、日本は何時からこんなに危ない国になってしまったんだ?
おい、政府よ、これは誘拐なんじゃないのか?、おい、どうなんだ?
それと何で車の中があんなにアニメのポスターで一杯だったんだ?、ギャップ萌えを狙ってんのか?。そんなギャップは捨てちまえ、意味を理解しろ、意味を。

そんな事を考えてても時間は進む、俺はスタジオ(監獄)の中をボディーガードみたいな奴らに手を引かれて闊歩した

そして何時の間にか俺は、手を顔の前に組んでいるオッサンの前に連れてこられていた
誰だオッサン、お前はエヴァ○ゲリオンの碇指令か?、そのポーズを辞めろ。パクリで訴えるぞ?この野郎。

なんて事を俺が言えるはずもなく、心の中に押しとどめながら俺はそのオッサンに引きつった笑いを返したのだった

そしてオッサンは俺に決定的な一言を言った
「採用☆」
何が採用!?何が採用なんですかオッサァーーーーーーーンゥンン!?
そんな簡単に言われてもひとっつも理解できないんだよ!!

その俺の心の問いはオッサンが答えるのではなく、周りのボディーガードの奴らが答えてくれた

「貴方は今日からモデルです」




……俺、今日からモデルになりました




その後、俺は部屋を出る時にオッサンに向かってこう言ったのだった
「おい、オッサン、その☆は辞めとけ、キモウザいから」

「了解☆」

マジウゼぇ、こいつは加奈子が百人いてもこのウザさは再現できねぇな
加奈子が可愛く見えてくるぜ

俺は部屋を出る時に空を仰いでため息をついたのだった



もう一度言います俺     モデル始めました。






  ・・・・
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 10:45:00.94 ID:1YNhsJfu0





あれから何十分と経っている、俺は別室のソファに座っていた。
俺が何時になったら帰れるんだろうと考えていたら、周りにたむろしていたボディーガード(?)が話し始めた

「まず最初は簡単な活動をしてもらいます、そして段々と馴れていきましょう。その手始めとして今回は数回カメラで貴方を撮影します、なに、本当に簡単なものですから安心してください」

安心できるか、安心させたいならまずは格好を改めて来い、そんなマフィアみたいな格好じゃ安心できるものも安心できなくなっちまうよ!
そんな事を小心な俺が言える筈も無く、ただ言われるままに頷いているだけだ。

「じゃ、行きますしょうか、撮影に」
サングラスを外してそう言うハンサム野郎、てかお前がモデルやれや。
眼鏡を外したらイケメンって何時の時代の漫画だ?この野郎。え?いや、まあサングラスだけども。

「私にモデルはできませんよ、役不足です」

あれ?、もしかして漏れてた?
「はい、漏れてましたよ」

そう言って爽やかに笑うボディーガード(仮)
「まぁ、とにかく行きましょう、早くしないと何時まで経っても帰れませんよ?」

おっと、そいつは困るな。桐乃に何言われるか分かったもんじゃねぇ

俺はそう考えると重たい腰をやっと上げたのだった



それからは俺が語れる事は何も無い、ただ時間だけが過ぎていった。まぁ、何かと格好を指摘されたが、馴れたらどうって事なかった。
まぁ、安全(?)な奴らっぽいな。実際俺は今、夜中に帰ったため晩御飯は抜きだったが何とか帰ってきて風呂に入っているのだから
大事な事だから二回言うが何とか無事に帰ってこれたというわけだ。

それはさておき、ここらで思い出してもらために俺の名前を言っておこう、俺はの名前は高坂京介、しがない一介の高校生だ、そしてあいつの、桐野の兄貴だ。
そしてこの話は俺と桐乃と加奈子とあやせとブリジット。そんなアイドル達(俺除外)を巻き込んだ、ある一時の、短い時間の夢のようなお話だ。





        翌日
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 10:46:49.69 ID:1YNhsJfu0





俺は今、波打ち際で走っていた
「あははは〜〜〜〜待て待て〜〜」
「うふふ〜、捕まえてみてくださ〜い」

うひゃひょひょひょ
待て待て〜あやせたーん

「そんなに遅かったら捕まりませんよ〜、お兄さ〜〜〜ん」
「言ったな〜?、よしつ〜か〜ま〜え〜た!!」
そう言って、まさに掴もうとした瞬間、とてつもない波に俺は襲われた

バチンッ!!!

俺は言いたい、これ、波に飲まれた音じゃなくね?
そう思ってもう一度目を開ける、そこには今正に叩きました、と言わんばかりの桐乃がいた

「ねぇ、話あんだけど?」

いきなりそんな事を言う桐乃

な、何で怒っていらっしゃるの?
そう聞きたくなるほど桐乃から物凄い殺気を感じる

そんな事を考えていると、桐乃はいいから、と言う様に手を扉に向けてクイクイと動かす

あぁ、部屋を出ろ……っていう訳ですね

これに逆らったら何をされるか分からないので素直に名残惜しいベッドから出る。
ちなみに今さっき時間を見たら3時だった。桐乃め、どんだけ中途半端な時間に起こすんだよ。

俺はこれみよがしにため息をつくと桐乃に話を促した
「で?、話ってなんだよ、言っとくけど俺は今日7時から予定があっから」

昨日のハンサムさん(仮)が明日朝の7時に向かえにくるとか言っていた。全く、桐乃もハンサムさんも俺が何か予定があったらどうする気だ?。まぁ無いけども。
とにかく俺はそう言って桐乃の返事を待つが、桐乃は何時になっても話し出す気配が無い

もういい加減俺から話し掛けようか、と思い出した時に桐乃は動いた
桐乃はおもむろに机の引き出しに手をかけ、一冊の雑誌を取り出して俺に突き出した。え?何?この表紙の男何処かで見た事あるなぁ。ふむふむ、顔にちょっと化粧をして?、髪の毛をちょっと逆立てて?、服装は何かスタジオで見た事がある様なのを着ていて?。ふむ、そっくりさんかな?。

何とか現実を直視しないようにするが表紙を改めて見るとそこにはデカデカと絶対に否定できない事が書かれていた
高坂京介、現在高校生、私が見つけた光る原石☆

……俺だよ畜生!

何これ?、ねぇ、なんなの?。百歩譲って俺がモデルって言う事は納得してもいい!百歩譲って!、だが!これで一番問題なのは何で昨日の夕方に撮ったばかりなのに今ここにあるかって事だ、そして何故桐乃が持っているんだ?

そんな事を考えて目を見開いている俺に桐乃はさらに問いただしてくる
「これ、凄い大手会社の雑誌なんだけど、何であんたが載ってんの?、何で表紙?、というかまず最初に何であんたしか載ってないの?」

なに!?、どういう事だそれは!?

俺は無我夢中になって桐乃から雑誌をひったくる
パラパラと一気にめくるが桐乃が言っていた通り、俺しか載っていなかった
なーにしちゃってくれてんだ碇指令ぃーーいいぃ!!!

最早言葉が出ない俺は無心で表紙を凝視する、そこには……

京介君へ、待ち遠しくて先に雑誌売っちゃった☆、モデルデビューおめでとう☆

と書かれていた
そんな俺は引きつった笑みで桐乃に伝えたのだった、たった一言を

「俺……モデル始めたっぽい」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 10:48:17.32 ID:1YNhsJfu0
以上で最早書き溜め終了、結構頑張って書いているがお先真っ暗だぜ!
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/07(木) 11:02:10.85 ID:4bNZ2s8r0
長文乙
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/07(木) 13:12:27.97 ID:2umz22y30
まぁ・・・何が言いたいかと言うと〜


めちゃ楽しみにしてます!
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/07(木) 14:20:26.40 ID:s50jqmhR0
乙!
京介の新たなる伝説か・・・、楽しみです!
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 15:10:24.64 ID:3duJTk4E0
やべえ、すげえ楽しみだww


12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 15:34:22.46 ID:QAtuopcAo
真じゃったか!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 15:42:52.08 ID:/ElxvGju0
VIPから移ってきた。
更新速度はまちまち、書き溜めなしに書けるタイミングにその場その場で書いていく予定。
それと稀に安価を出す。
とりあえずVIPで書いてた分を投下。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 15:43:25.96 ID:/ElxvGju0
うおっと、>>13誤爆。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 15:43:31.53 ID:8Trj/lMDO
さんざん地味面とか言ってた兄貴が売れたら桐乃涙目
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 16:01:03.79 ID:1YNhsJfu0
帰ってきた。
同じぐらい書き溜めたんだが……、これってもしかして他の人が書く感じになっちゃってる?

もし投下していいんだったら何かしらの合図をしてくれ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 16:02:38.45 ID:pYp0BSoxo
おk
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 16:10:55.58 ID:aqnA7RrGP
期待
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 16:12:06.17 ID:1YNhsJfu0




   ・・・・




時は過ぎ7時まで残りやく十分、俺は朝食を食べ終え、机に頬杖をつきながら家にあのハンサムさんが来るのを待っていた
桐乃は頭から煙を出しながら人形と化している、どうせ頭の回転が追いつかなかったんだろう、昨日の俺の様にな。
今の俺は違うぜ?、突発的な出来事に段々と対応できるようになってきたからな!ふはは!!

内心で笑っていると、ふとガラスに写った自分に目が留まる

今から仕事に行く身としてはなんだが、俺は格好を別にそれほど意識していない、普通のズボンに普通のシャツに普通のパーカー、ALL普通だ。
……ふむ、これでいいんだろうか?、一応モデルだしもうちょっとちゃんとしたほうがいいかな?
やっぱり代えてこようかな…。

なんて事を考えていると家のチャイムが鳴る。

ピンポーン

くそぅ、俺が着替える時間なんかありゃしねぇ
そんな事を思いながら俺はドアを開ける、するとそこには、あーら不思議……黒いグラサンをかけたマフィアがいた

「じゃねぇよ!!??、あんた朝っぱらから何でそんな格好でうろついてんだよ!?」

小便ちびっかと思ったわコンチクショウ!!
桐乃も俺の声を聞いて来たんだろう、目を見開いてハンサムさんを見ている

「おっと、これは失礼しました。京介さん、お迎えに上がりましたよ」

そうやってニコやかに言うハンサムさん

「それと桐乃さんも今日は京介さんと仕事をして頂きます、よろしいですね?、ちゃんとそちらの会社の許可は取ってありますので」

はい?
何言ってんの?、この人

そんな風に戸惑っている、というか現状についていけなくなっている俺達を気にしないかのようにハンサムさんは続ける

「京介さんと関わりのあるモデルは皆集まってもらってますよ」

そう言って見て下さいと言わんばかりに車の扉を開けるハンサムさん。
するとそこには加奈子、あやせ、ブリジットの三人が乗っていた
皆暗い顔をしていた。どうせ最初の俺の様に無理矢理連れてこられたんだろう、そうに違いない。

その後はもう何も言わなくていいと思ったんだろう、ハンサムさんが俺達の手を取って車まで誘導して乗せてくれた
ちなみに桐乃は魂が抜けているのか、何の抵抗もなしにされるがままだった

そして皆が乗り終わるとハンサムさんも運転席に乗り込んだ

「さて、行きましょうか、皆さん」
白い歯を見せて笑うハンサムさん
んー、ベリーニコヤカ

とにかく車は走り出したのだった。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 16:15:52.34 ID:1YNhsJfu0



    車内



「……」

「……」

「……」

「……」

「……」


………気まずい、走り出してから約十分、一向に皆喋ろうとしない、あの加奈子でさえもだんまりを貫き通している
何か話題でも振ろうかな…、いや、でも何て振ればいいんだ?。

と、とりあえず、一番害がないブリジットに話しかけてみるか?
話題は…、とりあえず無難なのを選んで、今日の本来の仕事……かな?

「ぶ、ブリジットちゃんは今日本当はどんな仕事が入ってたの?」

少々どもりながらも用件をちゃんと話し終えた俺は、引きつった笑顔でブリジットちゃんの方向に向く
だが、そこには俺が期待したちょっと怒って頬を膨らませたブリジットちゃんはいなかった、替わりにいたのは涙目で俺の方をギロリと睨むブリジットだった

「め、メルルのイベントですが何か!?」
「いえ、なんでもございやせん」

即座に答える俺。このまま話し続けてブリジットをこれ以上泣かせたらブリジットと同じ理由で怒ってると思われる桐乃に殺される。
桐乃よ……、あんまり力を入れ過ぎると椅子が壊れちゃうぞ。ほら、ミシミシいってんだから、その手を離しなさい。

こうなると俺に残された選択権は加奈子とあやせの二択になってしまう、はっきり言って二人には話しかけたくない

いつもなら一番話す加奈子が話さないとはっきり言って気味が悪い
でもこの選択肢なら俺は断然加奈子を選ぶね、だってあやせに何か言っても質問しか来ないと思うし

あやせはきっとこう言うだろう

「海か山、どっちがいいですか?」(ベリーストロング ニッコリ)

これだけは何としても避けなければならない、俺はあやせと遊びに行くならどっちでもいいが死に場所ならどっちも嫌だ
俺は山か海に捨てられる自分を想像して背筋を凍らせた

と、とにかく!、今回は加奈子に決定!!。バラバラ死体なんて洒落にならんからな。

加奈子にはやはり食べ物だな。とにかく食べ物で釣るとしよう

「か、加奈子、今日は仕事終わったら何か予定ってあるか?、無かったら何か一緒に食べに行くか?」

やっぱり加奈子と話していて思うんだが、こいつ、すっごい表情がコロコロ変わるのな。俺が話し始めた頃は俺の事をギヌロと睨んできたのに、今は何かウキウキしてやがる。やっぱり加奈子には食べ物が一番らしい。

「べ、べっつにぃ、予定はないけどよう」
「そっか、そいつは良かった」

そう言って笑うと聞こえてはならない音が俺の耳に聞こえてきた。

メギャッ

何だってんだ、どうやったらこんなに恐ろしい音が出せるんだ?
というか人の車だぞ、何を壊したんだ、何を

さすがに何か言ってやろうと思い振り返ると、……椅子の一部を握りつぶして鉄の塊にしている桐乃とあやせとブリジットが居た
代表と言わんばかりに桐乃が俺に「なに……?」と聞いてくるが俺が何も言えなかったのは言うまでもあるまい。
というかブリジットちゅわんまで何やってんの!?。

まさかブリジットちゃんにあんな力があったとは驚きだ。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 16:20:54.95 ID:1YNhsJfu0

「あ、あのう、ハンサムさん?」

一つ確認しておかなければ

「はい、何でしょうか」
「これってやっぱり弁償ですかね?」
「はい」

「ちなみに俺の給料はいくらくらい……なんですかね?」

頼むから今月がただ働きなんて事はありませんように……。
そんな願いを込めて俺がハンサムさんを見ると、ハンサムさんはニコリと笑いこう言った

「大丈夫ですよ、月給30万くらいなんで楽に弁償できます」
「ブフォフッッ!!(全員がむせた音)」

な、何で最初からそんなに貰えんだよ、たしか初任給って15万ぐらいだろ!?

「な、何か犯罪してんじゃねぇだろうな、この野郎」
「あはは、それは無いですよ。第一貴方の雑誌がどんなけ売れてると思っているんですか?」

そんなに売れてるのか?

「はい、売れてますよ、それも月給が30万じゃ割に合わないくらいにね」
「ま、まじで!?、この地味面兄貴の雑誌が!?」

桐乃よ、俺の傷を抉るのは楽しいか?

「ほぇ〜、世の中皆目ぇ腐ってんじゃねぇの?」

加奈子よ、お前は後で内緒でマスタードをたっぷり塗りたくったハンバーガーをプレゼントだ。

「お兄さん、山か海、どっちがいいですか?」

どっちも嫌です

「マネージャーさんの変態!!」

それはどこから俺が変態っていう結論が出たのかじっくり聞きたいな、ブリジットよ
ていうか、こいつらは俺を苛めて楽しんでんのか?

是非ともこいつらとの仕事を取り消して貰いたいものだ。いや、マジで。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 16:30:44.47 ID:1YNhsJfu0
ふうぅ、ひとまず終了。
また後で投下するぜ!、多分!!

最初に言ったようにこの作品は超不定期&途中で終わる可能性大な作品です。
覚悟して見るんだぞ☆、いや見て下さい。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/07(木) 16:37:59.36 ID:JXP9QYBdo
ブ、ブリジットが壊れてるww
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/04/07(木) 16:40:20.02 ID:afrjIKnTo
乙。投下早くていいな
俺はどんなブリジットちゃんでもついていくよ
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/04/07(木) 17:53:32.10 ID:47HaBc7AO
地の文がキモすぎる。
一人称慣れてないなら三人称使え、一人称使いたいなら、台詞と混同させるな。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 18:37:34.53 ID:/OZsLqc8o
うわぁ・・・
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/07(木) 19:04:06.56 ID:nhZ3mjYF0
うわっ・・・
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 19:10:39.27 ID:kFqywpSIO
批評家様が来たぞー
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 19:24:13.45 ID:1YNhsJfu0
>>25
うるせぇ!アーホ!!アーホアーホ!!(作者)
ここは元々『俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.9』ではとてもじゃないが乗せられない駄文を置く為に作った場所なんだい!!!(何回も言うが作者)
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/04/07(木) 19:32:02.52 ID:afrjIKnTo
大丈夫だよ。ID見ればわかるよ
>>1かわいいよ。>>1は悪くないよ



とっとと続きを書け太郎
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/07(木) 19:40:41.03 ID:TtkZ8mIVo
>>29
いいから続きを書く作業に戻るんだ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 19:57:07.58 ID:Hy3Lw6eIO
さっさと書け太郎!
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 20:06:38.53 ID:3duJTk4E0
30‐32

お前らww そんなに連携していじめてやるなよww


>>1

続きを期待して待ってる、そんなに焦るなよww
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 20:19:59.54 ID:RhOtUR+N0
なんだか面白そうなスレだなwwww
>>1
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 20:52:29.94 ID:1YNhsJfu0
あんだけ時間掛けたのに短いが、投下。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 20:53:39.52 ID:1YNhsJfu0

「さて、皆さん、無駄話はそれくらいにしてそろそろ着きますよ。準備していてくださいね」

そうニコやかに言うハンサムさん。
あんたにゃぁ無駄話かもしれないが、こっちにとっちゃ死活問題なんだよ!この野郎。
特にあやせのが!!。

まぁ、そんな事を間違って口にしたものなら俺はものの十分でただの肉塊と化していただろうがな。
冷や汗が止まらないよ、本当。

そんな事を考えながら冷や汗で体中を濡らしていたらどうやら着いた様で、俺の横のドアがハンサムさんによって開かれた
とにかく、降りるとしますか。

荷物を持って車から降りると、そこからはさらなる地獄が待っていた

「京介さぁん!!!!!!!!!!」
「握手、握手してくださぁああいぃ !!!!!」

その光景を見て俺は思わず固まった。何だ、一体何なんだ?、この状況は。一介のモデルが何でこんな事になってんだよ

「さ、行きましょう、京介さん」

こんな状況でも全く動じてないのか、いつも通りの爽やかな笑顔でそう言うハンサムさん
いや、まずは状況を説明しろ

「いやぁ、社長が調子に乗りすぎた様ですね。テレビは見てこなかったんですか?、今は殆ど京介さんのCMで一杯ですよ?」
「一体何者なんだよ、あのパクリのオッサンは」

いや、マジで何者?。頭のネジがぶっ飛んでるとしか思えねぇよ。

「まぁまぁ、今はそんな事よりもここを切り抜けるのが先決でしょう。ちゃんと着いてきてくださいよ?」

そう言ってファン(?)の間を切り抜けていくハンサムさん

「と、とにかく行くぞ!、皆!!」

「私に命令すんな!!」
「うはっ、キモッ、何こいつらババアばっかじゃん!、さすがクソマネのファン!お似合いじゃんww」
「か、かなかなちゃん!待ってよぉ!!」
「ったく、本当に気持ち悪いです!、一回と言わず三百回くらい死んでくださいお兄さん!!!!」

くそっ、後で覚えとけよお前等!!
そんな事をハンサムさんの後を追いかけながら思ったのだった
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 20:54:26.62 ID:1YNhsJfu0




「ゼハブルッチャベス」

何言ってるんだと思ってるだろ?、走りすぎて息苦しいんだよ。悪いかこの野郎。
っていうかあのクソババア共ばりしつけぇんだけど!?、何だったんだ?一体何だったんだ!?

「きょぉーーおうすけぇええくうぅうんんんん!!!!(訳:京介君)」
「京介くん私の熱いベーゼをうけとってえええぇえぇぇえ!!!!!」

思わず思い出したら気持ち悪くて吐きそうだ。記憶の中から一刻も早く消し去りたい。

「な、何だってのよ!あのクソババア共は!!」
いきなり立ち上がり掴み揺さぶる桐乃、おいおい、そんなに振るなよ、俺の肩を。取れちゃうぞ?、俺の頭が。

さすが陸上部なだけはあるな、桐乃。この中じゃ二番目に息切れしていない。
え?一番目は誰かって?、あのハンサム野郎だよ!。くそっ!!何のん気に紅茶飲んでんだこの野郎!!!

思わず殴りそうになるが何とか我慢する、GJ俺


「さて、皆さん、今日は結構な量を撮りますからね。雑誌一冊分ですから200枚程です、頑張っていきましょう!。あ、ちなみに京介さんのハーレムっぽい感じで撮りますからね」

あれから十分後、皆やっと息が整のってスタジオの中を歩いていたらそんな事をいきなり言い出すハンサムさん。

『は、ハーレム!!??』

思わず大声でそう聞き返す俺達。
っていうか、そんな事をしたら人気落ちちまうんじゃねぇか?

「その点は大丈夫ですよ。ハーレムは結構な人気ですから、皆さん京介さんのハーレムになりたいのですかね」

あのババア共が俺のハーレムに……?。

「あ、あの、ハンサムさん?トイレは何処にありますかねぇ?」

早く教えてくれないと昨日の晩に食べたカレーライス&味噌汁をここにぶちまけるぞこの野郎!!

「あはは、トイレならそこの角を右に曲がったらすぐ見つかりますよ、それに京介さんのファンは殆どが学生さんですよ。まぁお婆さん達は『かなり』熱狂してしまっているみたいですけどね」

あれは『かなり』なんてもんじゃねぇよ、はっきり言ってラリってるとしか思えねぇからな。
ほら見てみろよ、外のババア共の顔をよ、汗で化粧くずれて殆ど化物じゃねぇか。あんなけ動いたら明日にはそこの太ってるババアもガリガリのミイラだぜ。

なんて事をトイレに向かってダッシュしながら考えていた、くそっ、絶対何時か辞めてやる!!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/07(木) 20:57:05.48 ID:1YNhsJfu0
ふいぃ、今回の書き溜め分は終了。
これから投下がもっと遅くなる予定だぜ!!(何故か威張る)
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/07(木) 21:33:49.55 ID:O+nwrovIO
>>38
うん。がんばってね
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/07(木) 21:38:28.07 ID:EE/g/sR6o
期待
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/08(金) 09:13:30.93 ID:fDcuVL4j0
投下



「ただいま」

俺はトイレを出てニコやかに皆に笑いかけた
いやぁ、ハンサムさんの悪口を心の中で連呼するだけでこんなに気分が良くなるとは…。これからも利用さしてもらおう。

「まぁ、それは良いんですけど、私は童貞は卒業していますよ?」
「何ぃ!?、あんた童貞じゃなかったの!?ていうかそれ以前に何で俺がそう思ってるって知ってんだよ!?」
「企業秘密です」

そうでございますか、この野郎。





   ・・・・




「ちょっと兄貴!!、どこ触ってんの!?」
「痛い!!」


只今、スタジオのとある撮影室。俺は今さっき桐乃の肘打ちを鳩尾に喰らった所だ

ゲフッ

おいおい、マジで勘弁してくれよ……、俺は今さっき便所で昨日の飯をリバースして来た所なんですよ?

膝を着いて俺がむせていると今度はあやせが俺に突っ掛かってきた。

「き、桐乃の何処に触ったんですか!?、む、胸!?、胸なんですか!?」
待つんだ、待ってくれあやせよ、お、俺に弁解のチャンスをくれ!!

ま、俺にそんなチャンスをくれる奴がこの場に居るわけが無く、俺がただ頭にでっかいコブを作って終わったがな

「と、とにかく皆、俺とくっ付くのが嫌なのは分かるけど、そんなに嫌ならちょっとでも早く帰る為に協力しあおう、な?」
俺の身の安全の為に。

いきなりの惨状だから訳が分からなくなっているが、まぁ、簡単に言うと今は撮影中だ。ハーレム設定で。
そして撮影途中で桐乃の野郎が俺に触られたー!、とか言いだしてこの状態っていうわけだ。しょうがねぇじゃねーか、みんな水着で密着しまくってんだからよ!!

ちなみにこれを合わせて5回目だ、この惨状は。

とにかく!、俺の身の安全の為にこの撮影(拷問)を早く終わらせなければ!!
決心を固めると俺は目の前のカメラを睨みつけたのだった
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/08(金) 09:14:18.59 ID:fDcuVL4j0


パシャッ、パシャッ

あれから何枚撮られただろうか、途中から数えるのもバカらしくなったくらい撮られている
俺は今、片手にワイングラス(INトマトジュース)を持っている格好を撮っているところだ。おいこら、お前等、そんなに見んじゃねぇよ。恥ずかしいだろうが、それとも見惚れてんのか?

「バ、バカじゃん?、あんたに見惚れるのなんてこの世でチンパンジーかマウンテンゴリラぐらいよ!!」
「お兄さんの変態!!、お兄さんに見惚れるのなんかそこら辺に住んでる虫だけです!!」
「はっ、誰が見惚れるかっての、こんなクソ虫に!!」

ひでぇ、下に行けば行くほど酷くなってやがる。泣くぞこの野郎

「み、皆さんもかなかなちゃんも言いすぎです!!」

お、おぉ、ブリジットちゃん……、やっぱりブリジットちゃんは優しかったのか!!

「せめてゴキブリぐらいにして上げて下さい!!」
ちょっとでも期待した俺がバカだったよ!コンチクショウ!!!

そんな風に俺が言葉を出さずに怒ったり笑ったりと端から見たら気持ち悪い事をしていると、ハンサムさんが話しかけてきた

「さて、皆さん、もうすぐ完了なんですが…、もう京介さん以外は撮らないので、帰りたい人は帰っていいですよ?、何なら送らせますから」
何て事を言い終わると、ハンサムさんは何時もの様に俺達に笑いかけたのだった

さて、皆はどうすんのかねぇ、多分俺の予想では加奈子は残ると思うね。加奈子の事だ、どうせ俺が車の中で言った事を覚えてんだろ。
そう思いながら加奈子を見ていると、案の定、残るみたいだった

「京介くん、彼女達が気になるのは分かるけど今は撮影に集中してね」

そんなに酷かったのだろうか、カメラマンの女の人が苦笑いを俺に向けながらそう言ってきた
そこは素直に「すいません」と答えると俺は改めてカメラに向き直る。え〜と、後20枚ぐらいだっけ?

「ま、とにかく早く終わらせるとしますか」

気合を入れたのはいいけども、これは俺の性分なのか、とにかくあいつらが俺の目に入ってきた。
何やらスケッチブック?みたいなのを持っているが何に使うんだ?

俺がもっとよく見てみるとそこには何やら文字が書かれていた、え?、何々?
「きょ・う・は・焼き・肉?」

何だ?これ。と言わんばかりに皆の顔を見ると俺は一瞬で理解したね

こいつら……、俺に奢らせる気だな?
その意図に気づくと俺はすぐさま言い返す。口パクで「ふざけるな」と。

けど、口ではそう言っていたものの、もう頭では理解していたさ、逃げられない、とね。
でも、なんでかねぇ、ちょっと嬉しいんだよ。なんでかな…。

俺はそう思って自嘲気味に笑うと最早聞いていないあいつらに向かってもう一度口パクで伝えたのだった「分かったよ」と。


それからいくらもしない内に、カメラマンさんは何故か撮影終了の合図を皆に送った
何でだろ?、なんて思いながらそして内心ラッキーと喜びながら歩き出すと、カメラマンさんに呼び止められる

「なんですか?」

もしかしてまだ仕事があるんだろうか…。なんて考えながら苦笑いで振り返ると、こっちは何故かとってもニコやかに笑っていた
「京介君、最後とってもいい顔だったわよ?、やっぱりあの子達の事を考えてると目が違うわね」

そう言ってその写真を見せてくれるカメラマンさん
こんな表情を俺が?あいつらを見て?

その写真にはとっても優しそうに笑っている、世話好きが写っていた
苦笑いなのに何故か心から笑っているように見える

「どんな変化があったのかな?、貴方の心に」
そう言ってカメラマンさんはまるで可愛い動物、いや、子供を見る様に笑ったのだった
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/08(金) 09:14:46.36 ID:fDcuVL4j0



その後、帰り道。
俺は前を歩く皆を見ながら思っていた

こいつらを見ながら俺があんな表情を?

「やっぱり……、ありえねぇよな」
そんな事を言いながら歩いている俺は自分がどんな表情をしているか知らない



「ちょっと!兄貴!、焼肉忘れてない!?」
「霜降り特上の松坂牛で決定だなww」
「か、かなかなちゃんそれは高すぎだよ!、マネージャーさんじゃ払いきれないよぉ!!」
「一緒に食べてるからって調子に乗らないでくださいね?、如何わしいことをしたら引き千切りますよ?」


こいつらも今、俺にどんな表情を向けているかは知らないんだろうな…。
とりあえず、こいつらのご機嫌取りの為に
焼肉屋にでも行こうか。

「分かったよ、焼肉な。ただし松坂牛は無しだかんな!」

そう言って俺は再び歩き出した、あいつらに追いつく為にちょっと早歩きで

こんな生活も悪くないかもしんないな、これもまた一つの形なんだよ、きっと。
でも、俺はこいつらが笑えてるならどんな形でも嬉しく思える気がするよ。

そんな訳の分からない事を考えながら、俺はこの中途半端な時間に騒いでいる皆に追い付いた
そして俺の今の金銭的状況を考えた最善の選択を皆に言ったのだった

「牛太の食べ放題でどうだ?」


きっと、続くに違いない、ずっと、ず〜っとこんな生活が。皆で笑いあう、こんな生活が。




終わり
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/08(金) 09:22:07.59 ID:fDcuVL4j0
最後の投げやり感がなんとも言えない
これで徹夜して書いた作品なんだから我ながら凄い駄文だと思える、気を悪くしたならすまなかった
それと皆も何か書いてくれると非常に嬉しい。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/08(金) 09:30:32.94 ID:tDou2+FYo
この長さなら書きためてVIPの総合スレに投下でもよかったな
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/08(金) 12:54:41.84 ID:auGhboBy0

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/08(金) 13:09:00.96 ID:tPq+jv9Do
なんてこった、ここで終わりか
桐乃・あやせ・加奈子・ブリで京介を巡る争い勃発
そこへ黒猫・地味子が介入する話を期待していたのに
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/04/08(金) 14:30:04.15 ID:R5p3a9oeo
>>47
Me too

でもとりあえず
>>1

続きを読みたいな〜(チラッ
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/04/08(金) 19:32:44.30 ID:apOV7xlAO
書けばよかろうなのだぁ!

あっと、>>1
拡張性の高そうな設定ではあるね。
あのブリジットに、ここまで悪し様に言われる京介も珍しいww

シャチョサンがセト様やペガサスみたいなタイプだったらまた妙な展開をしそうと妄想してしまった
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/09(土) 00:05:37.73 ID:HFwCRpx80
今、続編を書いている、その間皆がssを書いて時間を潰していてくれ、それを見て私も英気を養いたい、頼む。
いや、頼みます。どうか書いておくんなまし

>>47>>48
出来る限り要望に答えようと頑張ってみる…つもり。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/04/09(土) 00:14:04.60 ID:hz5wg1qZo
いやいや、それなら総合スレの方で書くだろここはおまえのスレなんだから
つまり何が言いたいかというととっとと書け太郎



嘘です。気長に待ってるんでのんびり書いてくれ
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/09(土) 00:18:32.85 ID:cjiJywFLo
もう終わりかよおおおおおおおおおおおお
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/09(土) 13:37:40.61 ID:PN9hlG+DO
まだだ……まだ終わらん
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/09(土) 20:31:45.81 ID:HFwCRpx80
ちょっと切りがいいところまで書いたから投下していこうと思う
私の書くスピードは亀の5倍くらい遅い、だから全然進んでないがそれでもいいか?
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/04/09(土) 20:32:27.01 ID:asChsxWNo
そんな報告はいらんからさっさと溜めろ
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/09(土) 20:38:40.56 ID:8lJdgN3to
書かないで消える奴だっているんだ
構わん書くのだ
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/10(日) 04:18:08.53 ID:7MaotVhZo
>>47
沙織も入れてやれよ(´・ω・`)
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/10(日) 04:25:55.09 ID:7CZzS4npo
沙織は2組だからいない
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/10(日) 23:35:36.98 ID:yDdKi72T0
>>58
屋上
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/11(月) 14:12:11.24 ID:qOJC+N8R0




次の日、俺は空っぽに近い100円が入った財布を見て悲しんでいた

まぁ、最初からそんなに持っていなかったからこんな事になっているんだが…。
それでも悲しいものは悲しいのだ。

涙目なりながら俺はため息をついてもう一つの問題を思い出した、はっきり言ってこっちのんが俺の精神を蝕んでいる。それも現在進行形でだ。
前回、知っていると思うが、俺は怪しい奴ら(ハンサムさん)にスカウト(誘拐)されてモデルになった、何でかって?、そんなの知るか!

とにかく、俺はモデルになったのだ。
だけど今回の問題はそこじゃない、学校だ。
あのおっさ……、ゴホンッ、碇指令の野郎が俺をスカウトしたその当日に、何と、俺しか載ってない雑誌を売りやがったのだ。そのおかげで俺の噂は一気に広まっちまった
今さっき、俺がちょっと歩いているだけで太った豚、もといクソババアが俺に襲い掛かってきたくらいだからな

ここまで言ったら大体想像がつくと思うが、結論を簡単に言うと、俺が学校に行ったら襲われる。
いや、マジだって。

学校に行って自分が襲われるところを想像して俺が背筋を凍らしていると、何時ものように、何の前触れもなく俺の部屋の扉が開かれた

「兄貴?、飯だって」
そう言ってヒョコッと顔を覗かせる桐乃

ノックをしなさい、ノックを。
ったく、成績が悪かったらプライバシーは無くなるのか?

今回こそは言ってやる!、俺はそう意気込んで口を開く
「ノックして下さい」

決定的な格差がこの言葉に滲み出ていた。

「はいはい、分かったから早く用意して降りてきなさいよ」
桐乃は呆れたような顔をしてそう言うと、出て行こうとするが、俺はその行動を遮る様に言った

「いや、俺、今日は学校休む」
「はぁ!?、あんた何言ってんの!?、何で休むのよ!?」

俺が言った事が信じられないのか、怒っているというよりも、驚いてる桐乃が凄い勢いで聞き返してきた

「だ、だって、言ったら襲われるかもしんないじゃん」
俺が正直にそう返すと、まるで時が止まった様に桐乃がポカンとした

な、何か可笑しな事言ったか?

すると、桐乃はなにかが切れたように大爆笑しだした

「プッ…くく、あ、あんた何言ってんの?、一介のモデルがそんな事になるんだったらうちの中学校なんか潰れてるっつの…っくく」
「ま、マジで?」

「はあっ、ひぃ、あ、あんた絶対アニメの見すぎだって!!、プックク、おっかしぃ!!」
お前がそれを言うか、お前の脳内の方がアニメ祭りだろうが!
とも思わない事もなかったが、確かに、モデルのこいつが言うと説得力があるな

第一、あの天使、もといあやせが襲われてないんだから俺みたいな奴が襲われるわけがなかったのだ

そんな事を思いながら、そして俺がどんだけ自意識過剰だったのかを思ってちょっと恥ずかしくなりながら俺は朝食を食べにリビングに向かったのだった。
ってか桐乃、いい加減笑うのを辞めやがれ!
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/11(月) 14:12:47.74 ID:qOJC+N8R0



    ・・・・




「桐乃の……、嘘吐き野郎」

現在時刻はお昼時、俺は目の前にある一日じゃとても食いきれない量のお弁当を見てそう呟いた
あれから学校に向かった俺は散々な目に会っている

朝、何時も通り俺は麻奈実と待ち合わせしているあの電柱の場所に行った
「あ、おはよぉ、京ちゃん」

そしてこれも定番の麻奈実の安心する一言
俺が、やっぱり朝はこいつの声を聞かないと始まらないなぁ、何て思いながら麻奈実と取り留めのない話をしていると、今日の第一関門が待っていた
それは俺が一人の女子に話し掛けられた事から始まったのだ

「あ、あの……、サイン下さい!!」
そんな事を目の前の女の子が顔を赤くしながら言ってくる

熱でもあるのかな?、と思いながらサインなんか持ってないと言おうとしたら二人目の女子がこちらにサイン色紙を差し出していた

この時にはもう俺の顔に冷や汗が浮かんでいたのは言うまでもあるまい。
それからはもう話すのも疲れる、俺は永遠に自分の名前(フルネーム)を色紙に書き続け、そうしている間に麻奈実は何故か「もう置いて行っちゃうからね!!ぷんぷん!」と言って先に行ってしまった、相変わらず擬音語を口にしていたが、今回はかなり怒っていたらしく本当に先に行ってしまった
おかげで俺は遅刻ぎりぎり、チャイムが鳴ると同時に俺は教室に滑り込んだのだった

続いて第二関門、それは俺が教室に入って最初の休み時間に起きたのだった
授業終了のチャイムが鳴り、俺は赤城にこの前借りてたマル秘本(妹物)を返しに席を立とうとした、正にその瞬間俺は……包囲された。

さすがに近くにいた麻奈実も驚いたのか
「きょ、京ちゃん、悪い事したの?」
と目を潤ませながら聞いてきている、いや、俺はそんな事をした覚えは無いぞ?
も、もしかしてこの前図書室に俺がエロ本を隠したのがばれたのか?、た、確かにあれは俺が悪かったが皆に怒られるのは理不尽だと思うぞ!?

弁解をしようと皆の顔を見るが、皆はとてもじゃないが話しを聞いてくれる雰囲気では無くなっていた

ゴクリ……

俺は唾を飲み込むと逃走ルートを必死に探す、だがそんな道は一つも無かった
もう駄目なのか……、なんて事を考えてると、また一人の女の子が話しかけてきた

あれ?、登校中に一番最初に話しかけてきたのも確かあんただよな?

クラスメイトの顔も覚えてないのか?、と聞かれると非常に答えづらいのだが、俺ははっきり言って関係のある奴しか覚えていない。

「あ、あの!、一緒に写真撮ってもいいですか!?」
ちょ、辞めてくれ、そんな血走った目で俺を見ないでくれ、怖いから。

俺が怖くて返事を出来ないでいると、相手はどうやら返事を待っていなかったらしく勝手に俺の腕を取って手に持っていたカメラで撮ったのだった
ていうか、返事を待たないなら最初から聞くんじゃねぇ!
なんて内心では凄んでいるものの、現実ではただされるがままだった。情けないと思うが仕方ない、多分あの血走った目を一度でも見たならそんな事は言えなくなるさ。

その後の事で話す事なんて無いね、ただ引っ張り回されただけなんだから、見ろ、制服の肩の下がほつれてるじゃねぇか。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/11(月) 14:13:35.96 ID:qOJC+N8R0


そしてその次、名称は黒猫風に言ったら『最後の暗黒門(ラストデスゲート)』こんな感じだろうか
これは俺の前に積み立てられているこの弁当の原因だ

それは一瞬の出来事だった、俺は何時も通り昼飯を食べようと麻奈実の席に移動しようとした、その瞬間俺の顔面に何かがぶち当たった
何なんだ?、と思いながら目を開けるとそれは弁当で
恥ずかしくて目を閉じている女の子が俺に向けて放った一撃だった。

おいこら、ちゃんと目を開いて見ながら渡せ

そんな気持ちを視線に乗せてジトーっと見ていると、やっと自分が何をやっているのか気づいたのか慌てて俺に弁当を手渡して去っていった
その女の子の行動が皮切りとなって俺が合計十数個の弁当を貰って現状に至るのだ

「あ、あのっ、これ食べて下さい!!」
「こ、こ、こ、これどうぞ!!」

思い出して見ると、うむ、何ていうか、皆必死だなぁ
まぁ、非常に可愛いのは認める、近所に住んでる体脂肪率100%のクソババアに襲われかけた時と比べれば天国と地獄だな。
でも俺は女の子にモテた事が無い、ラブレターを貰った事も無いし?、校舎裏に呼び出されて告白された事も無い、俺の前に突然許婚が現れる事も無ければ?、昔気まぐれで餌をやった猫が人間になって俺に恩返しをしに来た事も無い
平たく言えば恋愛経験が無いに等しいのだ

はぁ、どうしたもんかねぇ

なんて事を考えながら弁当をパクついている時、俺はふと麻奈実を見た
今日の麻奈実は何故かとても機嫌が悪い。見てみろ、頬をまるでリスのようにプクーっと膨らませているじゃないか

今日は麻奈実のお婆ちゃんオーラで是非和みたい気分なんだが、どうやらそれは叶いそうに無いな。

俺は弁当を3個目の半分まで食べると、はしたないとは思うが「ケプッッ」っと一息ついた
もはや俺の腹は限界を通り超えて漫画の様に膨れてしまっている
皆俺が男子ってことで多めに作られていて、とてもじゃないが十数個なんて俺の腹の中に入りきるはずが無く今のこの状態になるわけだ。

「ふぅ、なんでこんな事になったんだか…」

俺は普通を愛してるっつーのに、なんでこう最近は慌しいんだ
誰かこの現状をどうにかしてくれないかなぁ、何て虫の良い事を考えて俺はもう一度ため息をついたのだった。





時は過ぎ、放課後


俺の下駄箱は朝も絶滅したと思われていたラブレターで一杯だったが、放課後、俺がもう一度開くとどういう仕組みなのかまたもや一杯になっている
さすがに漫画の様に開けた瞬間手紙が溢れ出す事は無かったが、変わりに俺が見たのはもっと見たくない、非常に汚い現実だった

潰れてるのだ。手紙が。

つっかえていたのを無理矢理押したのか、奥にあった手紙はもはや形を失って紙くずと化している。

俺はこんな現実見たくない!、と言わんばかりに走り出す
だが俺はそのまま走り続ける事は出来ずに、目の前に居た障害によって派手に後頭部からすっ転んだ

それは相手も一緒なのか俺が倒れきる直前に『ゴンッッ』という派手な音が聞こえてきていた。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/11(月) 14:14:19.43 ID:qOJC+N8R0


「な、何だってんだよ……」
俺はズキズキと痛む後頭部をさすりながら立ち上がる
すると目の前に徐々に見えてきたのは……

黒猫だった。


わぁお、これは色々と……、おっと鼻血が。

今の黒猫はどんな勢いで転んだのか、スカートは太ももの付け根部分まで捲り上がり、目元からはよっぽど痛かったのか涙が流れていた、そして極め付けに胸元のボタンが何故か取れているという事実!
何て芸じゅ……、もとい官能……ゴホンッ、はしたない格好なんだろうか。

「と、とにかく起こさないと…」
周りの目も集まってきた事だし、早くこの状況を打破しなければならない
高校生になっても思春期を脱していない奴らには少々目の毒だ。

俺はなるべく加減して黒猫の頬をペチペチと叩いた
が、それでも中々起きる気配が無く、仕方なく俺は黒猫の肩を持って揺すぶった
でも考えてみてほしい、胸元が開いた女の子がとても大きな動作をしたらどうなるか。見えそうで見えないチラリズムに俺は滅法弱いんだ。

と、とにかく早く起きてくれ、黒猫!

いくら俺といえどもこの状況は非常に恥ずかしい、嫌でも顔が熱くなってしまう
俺が最後の理性を失うまで後5秒という所で黒猫の表情に変化があった

「ん……ぅ、ん?……先輩?何をしているの?」

俺は返事をせずに黙って黒猫の胸元を指差す、黒猫は最初「何をやってるのかしら?」と俺を訝しげに見ていたが俺の指先をたどり、自分の胸元に行き着くと……、一瞬で沸騰した
始めて見たぜ『ボフンッ』という効果音がつきそうな場面を。

「こ、この変態!、その汚らわしい目つきを今すぐ辞めなさい!」
黒猫は慌てて胸元を両腕で包むように隠すと真っ赤な顔で俺を睨んできた

え?そんなに俺目つき気持ち悪かったか?
と、とにかく落ち着いて頂かなければならないよ!?
このままでは俺が無理矢理襲った、ってな感じの在らぬ噂が広まってしまう
その噂が学校の奴らにだけ広まるならまだ良い
でもその噂が桐乃やあやせに伝わったなら俺は確実に社会的生命や実質的命を刈り取られてしまうだろう。

そんな事態は絶対に避けなければならない

「く、黒猫!!、落ち着いてくれ!!頼む!!」

俺は涙を流して懇願したのだった。

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/11(月) 14:16:00.25 ID:qOJC+N8R0
ひとまずここまで投下
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/11(月) 14:19:34.23 ID:I4jgdi50o
わっふるわっふる
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/11(月) 14:36:55.17 ID:goqVqSJIP
さいこうだねぇ!
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/11(月) 15:22:31.23 ID:zIS8QskD0
京介△

そして爆発しろ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/04/11(月) 16:36:17.40 ID:/RWDA05co
京介の一部に対する言動が荒みすぎわろた
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/11(月) 16:39:28.67 ID:DtFcwz2RP
今までまともに相手にもしてなかったくせに学校の女共手のひら返しすぎwwww
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/13(水) 00:17:08.36 ID:SjYLu4qs0



「お、落ち着いたかしら?先輩」
「おう」

只今下校中、俺は本当なら慰める立場なんだろうが何故か逆に慰められていた。
こうやって無事に下校できているのも俺の頼み方が良かったからに違いない
ていうか、あの時は大変な事になったから聞けなかったけど、何であんな所に黒猫がいたんだろうか

まぁ大体想像はつくけれども一応聞いておこうか?

「なぁ、黒猫、何であんな場所にいたんだ?、俺に何か用事でもあんのか?」
できれば他の理由であってほしいが、まぁあんだけ大騒ぎになってんだからあれしか無いな

「そ、その、貴方がモデルになったって聞いたものだから……」
予想的中、最近はこの質問ばっかりだから嫌でも分かってしまうのは仕方が無いだろう。無いに違いない。
でもやっぱり黒猫は他の奴らとは違うみたいだな、他の奴らが聞いてきた俺の心を抉る様な質問はしてこない

「どうしたら貴方のような地味面が………って」
やっぱり聞くのか黒猫よ、お前だけは違うのかな?何て期待した俺がバカだったよ!

まぁ、答えない訳にはいかないんだけどさ…。

俺はその後大体の経緯を黒猫に話した。あの碇社長の口癖とか如何にキモいかとかを重点的に。
「気持ち悪いわね……、その社長さん」

よく伝わったみたいで何よりだ。

「それはそうと先輩?、一つ聞きたい事があるんだけどいいかしら?」
「何を改まってんだ?いいから聞けよ」

俺は即座に返事をする。
だってこれ以上別に聞かれても困る質問なんてないしな。

「それじゃ聞くけど先輩はもう部活には来れないのかしら?、できれば今回作っているゲームの製作を手伝ってほしいんだけど」

困る質問があったらしい
この質問ばっかりは俺にもなんて答えたらいいか分からない、だってあの野郎共は俺の予定なんて関係無く突然来やがるからだ
あいつらは全員桐乃だと思ったほうが良い。

…………………ほらな?

「こんにちわ、京介さん」
俺達の目の前にワゴン車が止められ、その扉が開いたのだった。
もう俺は驚く事は無く、至って冷静に現状を受け入れている

「さて、行きましょうか」

そう言ってハンサムさんは二人の手を引き……?
「ちょっと待て、おいハンサム?何で黒猫の手を引っ張っているんだ?」

「そ、そうよ、その薄汚れた手をお放しなさい!」
黒猫もちょっと遅れてハンサムに向かって叫んだ
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/13(水) 00:18:21.25 ID:SjYLu4qs0

それに対してハンサムさんは何時も通りとてもクールな対応で切り返す、まるで黒猫の剣幕が効いていない
「貴方には京介さんの衣装作りを頼みたいんですよ、コスプレの」

「せ、先輩の……?」
おい、黒猫、反応が違うぞ、ここはふざけるな!!と怒るところだ
そんな風に頬を染めてウジウジするところじゃないんだ。

「く、黒猫?、まさか付いて来る気か?」
是非遠慮していただきたい、こいつらの事だ、黒猫が馴れてきたら「採用☆」の一言でモデルにしかねん。

「あ、衣装選びは沙織さんにお願いしていますので」
そうハンサムさんが言った瞬間沙織が扉から顔をだして「おや、京介氏も黒猫氏も奇遇ですなぁ」とか言い出しやがった

またとんでもない事をさらりとしやがって、これだったら殆ど桐乃の裏表の友達が勢ぞろいじゃねぇか
いっそ黒猫を連れて逃げてやろうか…、交番に。

なんて事を考えているとやっぱり表情に出てしまうらしい、俺の頭に紙パックのジュースが当たった、当然中身も俺の頭に被っちまってる
人間が怒りの臨界点を超えると逆に冷静になるっていう噂は本当ならしく、俺は無言で頭から落ちて道端に転がっているジュースを見た

ドロリッチだった。

「加奈子ぉおおおおぉぉおおお!!!!」
もはや限界だった。俺は地面を思い切り蹴り上げると加奈子に向かってジャンプした

そして加奈子に焼きを入れれる一歩手前
正に触れるちょっと前、その瞬間だった、あの事件が起きたのは。

俺の前に突如現れた靴裏によって俺の顔が蹴られたのだ。

力なく倒れる俺

「お、お前なぁ、そ、その……そういう事はもっとムードのある所で、その、あの…分かるだろ?」
加奈子よ…、お前は何を言っているんだ?
仕返しは皆の前でしないでくれってか?そんな都合の良い事言うなよ、見ろ俺のドロリッチでベトベトになった髪を。

「こ、こ、こ、この変態!!、何行き成り加奈子に襲い掛かろうとしてんのよ!!」
何言ってんだよ桐乃、あんな事されたら誰だって襲うだろうが。女なら何でも許されると思ったら大間違いだぞ!!

俺は意識が朦朧とする中、必死で言葉を言おうとしたが出る事はなく
最後に桐乃が蹴った直後に見えたの縞パンを思い出しながら意識を手放したのだった
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/13(水) 00:19:04.49 ID:SjYLu4qs0
短いけれど小まめに投下。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage saga]:2011/04/13(水) 00:44:41.52 ID:oOGU2YHro
>>69 その昔、某アニメで「秘技! 手の平返し!」というのがあってだな……。

>>72 乙ー。しかしみんな現実⇒脳内変換のスキルが半端ないな。なんでも自分の都合の良い(or悪い)方向に瞬時に決定、即時行動とは……。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/17(日) 07:23:24.59 ID:/4hG4Y1AO
まだか
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/04/17(日) 16:52:37.31 ID:ZH+Dtjcv0
>>74
お前別のスレにもいただろ
似たような書き込みしてたし

俺らは読み手なんだから黙って待ってりゃいいの
主に催促していい立場じゃない
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/04/17(日) 17:05:33.47 ID:m6DGVUgJo
書き手からすると案外そういう一言がモチべうpにも繋がったりするから一概にそう言ってしまうのもどうだろうか
ここの>>1はどうだかわからないが
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/04/17(日) 17:05:40.38 ID:sQMbLYooo
主wwwwwwwwwwwwwwww
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/04/17(日) 17:08:57.27 ID:ZH+Dtjcv0
>>76
そういう考え方もあるのな
サンクス

>>77
あれ、スレ主っていわない?
俺が間違ってた?
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 19:39:23.99 ID:wJLev1L4o
>>78
ニコ厨乙
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/04/17(日) 21:00:44.26 ID:k7PC23ig0
>>79
言わないのか…
まじか…
しばらくROMるわ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/18(月) 11:07:01.35 ID:h/8Ufx8H0


あれは……いつの事だったけか…
そうあの時の俺は赤いランボルギーニカウンタックに乗っていた、海沿いの道をスピードなんて気にせずかっとばし
流れる景色に思いを馳せていた

だが俺の意識はある一瞬で奪われた、ガードレインにもたれ掛かっていたあやせに見とれて

その時のあやせはまるで天使の様に白いワンピースに白い帽子を着ていた。それに相反するように黒い髪、黒い瞳。
…全てが美しく見えた

俺は急いで車を止めるとそのあやせの元に走って行った

「お、おい、こんな所で何してんだ?」

ここは道路の真っ只中、当然わいてくる質問だ
俺が手始めに、と思って聞いた質問にあやせはこっちをちらっと見て素っ気なく答えた

「別に、ただの散歩」
「そうか、でもここからだと帰るのは苦労するだろ?、送って行こうか?」

すかさず俺は提案する、こっからだと帰るのに少なくても20分はかかる、確実に。断る事は無いだろう。
だがそあやせの答えは俺の予想と反していた

「いえ、私の家はすぐそこなの」
「な、何言ってるんだあやせ……」

俺は思わずあやせの手を握る、あやせの目はその瞬間に光彩を無くした
「離せ……」

身震いしてしまう程怖いが俺は手を離さない、離したら居なくなってしまう気がした。

「離してくれないなら……」
そう言って持っていた鞄の中を探りだすあやせ、手は探っていても目はこちらを見ていた、まるで今ならまだ間に合いますよ、と言わんばかりに

あやせはため息をつくと、俺の前にある物を突き出した。
銃だ。

あやせは俺の顎に銃口をつけて
もう何も感じないかのようにいとも簡単に引き金を引いたのだった


バァアン!!


「ウワフゥ!!」
「あ痛!」

もはや意味が分からなくなっていると思うが、今のこの状況を簡単に説明すると、俺が悪夢から覚めて跳ね起きる、跳ね起きた勢いであやせの顎に俺の頭が当たった
……そんな感じだ。

あやせは俺の事を恨めしげに見ている、いや、睨んでいる。
「な、何するんですか…」

掠れた涙声で言ってくるが俺は全く気にならなかった、だって考えてみろ?俺が起きた瞬間頭があやせの顎に当たるって事は……どういう事だと思う?
……そう、膝枕だ。

「ついにデレ期が来たんだな!!あやせぇえええぇえ!!」
「近づかないで下さい!!」

あやせはそう叫んでくるが、こちとらもう跳んじまってるから止まれるわけもなく……『撃たれた』。あやせよ、銃刀法違反だぞ。

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/18(月) 11:12:52.67 ID:h/8Ufx8H0



すぅっと俺は目を開く、そこには我が妹、桐乃がいた
やはりあれは夢だったらしい、さもないと妹がこんな所にいるはずがない。チッ、ダブル罠だったのか。
なんで二回もあやせに撃たれにゃならんのだ、どうせなら片方ぐらいは幸せな夢を見せてくれればいいのによぉ。

っていうか桐乃、何でお前が俺を膝枕してんだ?
まぁ大体想像はつくけどな、どうせ皆で俺を押し付けあってジャンケンで負けた桐乃が俺を膝枕した。…そんなとこだろう。

なんて事を考えてちょっと半泣きになっていると、俺が起きた事に気がついたのだろう、ハンサムさんが話しかけてきた

「あ、起きられましたか、京介さん、もうすぐ到着なので用意していてくださいね」

了解と言おうとしたら、俺が言うより早く俺は桐乃に突き落とされた。

「あんた起きたんならさっさとどきなさいよ!!、このシスコン!!」

俺を膝枕するのがどんだけ嫌だったんだ、そして何故俺に怒りをぶつけるんだ、ここは押し付けた俺以外の人に当たるべきだろう
だからそんなに顔を真っ赤にしてまで怒らなくてもいいじゃないか。

どうやって俺が言いたい事を伝えようか悩んでいると加奈子が話しに割り込んできた

「じゃぁ次からは桐乃の参加は無しな!、クソマネの所有権をかけたジャンケン!!」

何が所有権だ、俺は物じゃないんだぞ
っていうか何だその人身売買は、人権の侵害にも程があるわ!!

俺達がそんな風に騒いでいると、ある一人がゴソゴソと身じろぎをした
「ふわぁ……、一体何なんですか〜?この騒ぎわ」

そう言ってさっきまで寝ていたのであろうブリジットが起き上がった
まだ眠たいんだろうか、目は虚ろとしていてまるで操り人形の様だ

「マネージャーさん!、また何かやったんですかぁ?、そんなマネージャーさんにはこうです!!」
そんな意味の分からない事を変に間の抜けた口調で言ってきて、ブリジットは行き成り抱きついてきた。子供のくせに何故か発育のいい胸が俺のお腹の部分に押し当てられた。実にけしからん。

っていうか辞めろ、お前はどっかの酔っ払いか!
「ブ、ブリジット!?、は、離れてくれ!」

「や〜で〜す!、ムヒャヒャ」
制御不能だ。
だがありがたい事に他の皆も何を思ったのか急いでブリジットを引き離そうとしてくれている

「むひゅー、離しません!」
辞めろブリジット、そんな力で抱きしめられたら俺の腹の中身が出てきてしまう
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/18(月) 11:13:59.34 ID:h/8Ufx8H0

皆もそれが分かったのだろう、ひとまず離して何かを話し合っている
何か作戦が決まったにか、桐乃がいきなり叫んだ

「よし、皆!、爪を引き剥がすのよ!!」
「辞めろ!!」

一体何をどう間違えたらそんな結論になるんだ?、不思議にも程があるわ!

「それとお前らもマジになってんじゃねぇ!!」
桐乃が言った一言を本気で実行しようとしている皆に思いっきり叫ぶ。こいつらマジ怖えぇ。

「じゃぁどうしろってのよ!、このままじゃ絶対離れないわよ!?」

何をいきり立っているのか、桐乃が怒りで顔を真っ赤にして叫んでくる

「いや、分かんねぇけども……。なにか交換条件でも付けて起こしたらいいんじゃね?」
「そんな単純な手に引っかかる訳ねぇじゃん」

呆れた様に言い返してくる桐乃

「うっせ、分かんねぇだろ?そんなの」
ちなみに俺だったら起きる。

でも条件っつったって何が欲しいんだ?ブリジットは。
服?、……いや、なんか一杯持ってそうだもんなぁ。ご飯?、いや加奈子じゃねぇんだから。

やっぱり女の子なんだしアクセサリーか……?。それしか思い浮かばんな…。

あまり自信はないがそれしか思い浮かばなかったので、取り合えずアクセサリーに決定。
反応してくれなかったらまた別の条件をつければいいのだ。

「おーい、ブリジット?、今起きてくれたら今度空いた時にアクセサリー買ってやるぞ?」
「起きました!!」

早い、さすがは俺といった所か……、自分の才能が怖い…フッ。
って痛い!、何?、何すんの!?

俺が笑っていると桐乃を先頭に皆が俺の脛に集中攻撃を仕掛けてきた。

「な、何すんだ!、ちゃんと離れたじゃねぇか!!、これは俺のおかげだぞ!?」

俺が正論を言ってもこいつらは全く反応しなかった、今現在も俺の脛にブーツやらハイヒールやらで攻撃を仕掛けてきている
辞めろ、立てなくなったらどうする気だ?、仕事が出来なくなっちまうぞ?

「京介さんの言うとおりですよ、皆さん辞めて上げてください。それに…」

そう言って何故か間を空けるハンサムさん

「もうすぐスタジオ(戦場)に着きますから」

あぁ、無情。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/18(月) 11:21:11.00 ID:h/8Ufx8H0
自分から書き出してなんだがこの話がどこに向かっているのか全く分からない
最近全然思いつかなくてやっと書き溜めたのがこんなけ……すまない

それと83の11行目の「そんな単純な手に引っかかる訳ねぇじゃん」を
「そんな単純な手に引っかかる訳ないじゃん」
に脳内変換してくれ

平凡なミスをすまない、京介の口調と混ざってしまった

85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/19(火) 02:15:24.02 ID:jMrChgFV0
乙かれ


とりあえず一人ずつ絡んでいってほしいぜぃ
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/20(水) 02:14:13.91 ID:q8hmML+To
乙乙
待ってる
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/21(木) 20:17:43.46 ID:+yVqO0kIO
もうすぐ……
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/21(木) 23:22:50.08 ID:Ssxv0SET0
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/22(金) 01:30:59.66 ID:i9Po+C+IO
なにこのクソスレ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/25(月) 15:21:37.88 ID:DjxX2amSO
まだかな?
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/26(火) 21:27:48.54 ID:nEeRnEySO
やる気ないならスレ建てんなカス
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/27(水) 15:57:22.18 ID:GAe7hqhn0
>>91さげろカス
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/28(木) 01:26:10.26 ID:1XohO1ZJ0



・・・・




「急げ!!」
そう言って俺は黒猫の手を思いっ切り引っ張った

よっぽど運動神経が悪いのか黒猫は一番遅れて俺の後をついてきている
だから黒猫には来て欲しく無かったんだ、ただでさえ危ないこの状態で俺が黒猫を守りながら走るのは辛い

「せ、先輩!、私の事はいいから先に行ってちょうだい!!」

息も切れ切れな状態で黒猫がそんな事を言うが俺は体内酸素を無駄遣いしたく無かったから無視して走り続ける

こんな状況で黒猫だけをおいてけって?、嫌に決まってんだろこの野郎。
ちなみに今の状況は後ろにババア共が30人程度と、左右に20人程度で挟まれている状況だ。


「京介さん、こちらですよ、ここまで来たら安全なので頑張って下さいね」
またもや余裕な顔でそう言うハンサム、ちきしょう、何故か無茶苦茶ムカつくんだけど!
っていうかあんた一応俺のマネージャー的存在なんだろ!?、ちゃんと守れやこの野郎!!

まぁそんな事を言っている余裕が俺にある筈も無く、俺はただ一言、「くそぉおおおおぉおお!!!!」と叫んで爆走したのだった




「ぜはぁぜはぁ」
ここはとある待合室、俺はいまさっきなんとか無事に入って息を整えている

どうにかならないのかこの状態は、毎回スタジオに入ろうとするたびにこれじゃ身がもたねぇ。

「うーん、そうですねぇ、じゃぁ今度からはバリケードでも張りましょうか」
何て事を今回も余裕で切り抜けたハンサム野郎が言い出した。
なんかもっとあるだろ?、テレビでやってた様に警備員みたいな奴らをつけるとか……

「っていうか何でババアばっかなの?、減らせねぇのかよ?」

「ふむ、それは前にも言った様に、実質的ファンの多さで言ったら若い方の方が多いんですけど、何故か熱烈的なファンはババ……ごほんっ、お婆様方が多いんですよね
減らす事は出来ると思いますけど多分減らす事は無いですね、ファンは多ければ多い程良いですから。グッズも売れるし、雑誌も売れるし、良い事ずくめですね」
「よく見ろ、この状況を。外のババア共を。あいつらは今も地球の酸素を無駄遣いしてモデルを追いかけて息を荒くして汗を流して温暖化を進めてるんだぞ?、何が良い事ずくめだこの野郎。地球と俺達の精神の為に是非ともあいつらを駆除しやがれ、いや、してください。」

この状況がどんなに危険か間髪入れずに説明する俺

「そうですね、また社長に相談してみましょう」
そう言ってニコッと笑うハンサムさん、やっぱあんたいい人だったんだな。ちなみに俺が考えている対策では初の18禁を考えている、18歳以下でないと買えないのだ。グッズを。
え?、そんなのは不可能だ?、黙れ、努力はきっと実を結ぶんだよこの野郎!。

「ふふっ、まぁとにかく今はこんな所で油を売ってる場合じゃないわ、はやく指定された服に着替えて撮影室に来てちょうだい」

俺が一人でガッツポーズをとっていると、女の人がいきなり話しかけてきた、前回ではカメラマンの女の人としか出て来ていない、宮 泉水(みや いずみ)さんだ。
何故か一人でクスクスと笑っている

「な、何で笑っているんですか?」
あまりにも笑っているので聞いてみる
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/28(木) 01:27:19.78 ID:1XohO1ZJ0

「いやぁね、手を繋いで仲が良いのね、と思って。後ろの子達が嫉妬してるわよ?」

そう言われて慌てて手元を見ると、確かに言われたとおり握りっ放しにしていたようだ、黒猫の手を。
それに耳をすませてみると、さっきまでハンサムさんとの会話に夢中になってて聞こえなかったが、黒猫が何かを呟いていた

「そ、そ、そ、そ、そろそろ、は、放してくれないかしら」
「わ、悪い!」

俺がそう言って慌てて手を放すと少し黒猫は何故か少し不機嫌になった
頬をちょっと膨らましてそっぽを向いているのだ。
やっぱり最初無視していたのがよっぽど気に食わないらしい。

どうやって機嫌をとろうか考えていると、泉水さんが話しかけてくる
「ま、早く帰りたいなら、早く来てちょうだいね」

どんだけ笑うんだ、と突っ込みたくなるほど笑って去っていく泉水さん

なんだったんだ、一体。
ここに勤める人は不思議な人ばっかりなのか、ハンサムさんといい泉水さんといい、変態社長といい。

これも何とか改善してほしいところだな。

そんな事を思いながら、賛同を得んと「なぁ皆」と言って振り返ると、何故か凄い勢いで近づいてくる皆が居た

一発目
「ふんっっ!!」
桐乃が俺の首に向かってラリアットを決めた

凄い勢いで後頭部が地面にぶつかる俺

二発目
「えいっっっ!!」
ブリジットが天高くジャンプして俺を踏みつけて来た

胃の中を危うく吐き出しかける俺

三発目
「クソマネェェエエ!!」
加奈子が俺の髪を思い切り引っ張り頭を地面にぶつけた

脳味噌をシャッフルされて前後左右の位置が上手く掴めなくなった俺

四発目
「………死んでください」
あやせが俺の男の象徴に向かって足を踏みつけて来た

一瞬天国を見る俺

五発目
「ヌフフ、それでは拙者も便乗してちょいと一発」
俺は見た、沙織が振り上げた足を俺の顔に向かって振り下ろすのを。

着足してから鼻血が勢い良く流れ出す俺

六発目?
「し、しょうがないから先輩を私の魔力で治療してあ、あげるわ」
そう言って真っ赤になりながら俺に向かって顔近づけてくる黒猫、ちょ、おま、何する気?

「ち、ち、治療よ」


あ……やっぱり黒猫って綺麗な顔してんなぁ、なんて考えていると額に柔らかい感触を受けて鼻血の量が増す&気絶する俺
今なら言える気がするぜ、あの偉大な人の言葉を

わ、我が生涯に…一遍の……悔い無し。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/28(木) 01:29:05.41 ID:1XohO1ZJ0
「ふふ、お若いですねぇ、これでもマネージャーですし運んで差し上げるとしますか」

マネージャーとしての自覚があるならちゃんとその他諸々の仕事もしやがれこの野郎




        ・・・・




カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ

おいこら、文字数稼ぎはもう辞めやがれ
そうツッコみたくなるのを抑えて俺は今の状況を整理すべく重たい瞼を開いた

おぅ、黒猫、何で顔が赤いんだ?、調子が悪いならこんな所からは早くおさらばして家でゆっくりした方が良いぞ?

なんて考えていると泉水さんが俺が気がついた事に気付いたのか声を掛けてきた

「あら、遅いお目覚めね。まぁそのおかげで今こうして貴方のそんな格好を撮れてるんだけど」

何て事を言っている
格好?、俺は今日は学校の帰りに拉致られて来たから制服のはずだが?

何言ってるんだ?、と思いながら自分の体を見ると、そこには自分が想像した姿は無く
表を歩いてたら一発で警察行きにな様な姿の自分が居た

その格好は上半身は裸、下半身には何やらビリビリに破れた布が巻かれた様な格好だ

……な
「なんじゃこりゃぁあああぁぁああぁああぁああぁ!!!!??」

ひ、ひ、ひ、人が寝てる(気絶してる)間になんて事をしてくれんだ!?
こらじゃ殆ど真っ裸じゃねぇか!、俺に警察のお世話になれってか!?

「京介くん、はいピーズ!」
「YEEEEEI!!!」

……………………
「じゃねぇえよ!!!」

くそぅ、何だか泉水さんのペースに嵌りっぱなしだぜ
何とかしなければ…

ってか黒猫、そんなにガン見しないでくれ。超恥ずい。
「み、みみ、見てないわ!、そんな汚物!!」
おふぅ!!、俺、黒猫に何かしたっけか。何かいきなり俺の心を深く抉ってきたんだけど…。

俺が黒猫に何をしたか考えていると、何故か全く関係無い質問に行き着いた、どうでも良くない、かなり重要な問題だ。
これだけは確認しとかなければ……。俺の為に。

「あの………、俺の服脱がしたのって誰なんすか?」
「私よ!」

即答された。

「ついでに言うと他の皆も見てたわ!!」

そこまで聞くと俺の精神は完全に外界から遮断された、黒猫の「わ、私は何も見てないと言ったでしょう!!」という叫びがやけに遠くに聞こえる。
そうか、だからか、だから黒猫は『汚物』って言ってたのか……。

  納得。

「畜生!!」
俺が死ぬ時の遺書には絶対にこの事を書き込んでやる!、絶対に!!(大事な事だから二回言った)


「よぉし!、今度はもっと複雑な格好をしてみようか!。貴方が寝てるとできなくてさぁ!」
なんて事を言い出す泉水さん。
誰がやるかそんな事。

「更衣室はどこですか」

俺はそう言うと更衣室に向かって歩き始めた
「じゃぁ今度は最初に着て貰う予定だった奴でお願いねぇ!!」

はいはい、分かりましたよ根畜生

俺はそこで今日何度目か分からないため息をついたのだった。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/28(木) 01:29:38.52 ID:1XohO1ZJ0





所変わって更衣室
俺は指定された服を着て頭を悩ませていた、それは至ってシンプルで、本当にこんなのでいいのだろうか、と思ってしまう程だった

下のズボンはカーゴ色のダボッとした感じのジーンズで、上半身はそれに相反する様にピチッとしたシャツで斜めに一本チャックらしき物が縫ってある


ふむ、かなり地味な気がするんだが……、ま、俺よりもファッションセンスの良いプロの人が選んだんだ、間違いは無いだろう
俺はそう結論付けると、内心ビクビクしながら更衣室から出た

ふむ、やはり俺の感は的中してしまったらしい、それは何故かと言うと、俺が出て行った瞬間、何かと皆が俺の事を見てくるのだ
やはり地味過ぎたんだろうか、プロのブランクって奴か?

っていうか手前ら!、ジロジロ見すぎなんだよ、これは俺が選んだ服じゃねぇんだ!俺のセンスじゃねぇんだよ!


っおおぉ!桐乃!!、良い所に!頼むからこいつらをどうにかしてくれ!

何をしに来たのか、桐乃は撮影室を出た所に居た

「……?」

でも何やら様子がおかしい、顔を真っ赤にして何やらこっちを向きながら口をパクパクと金魚の様に開け閉めしている
最近は風邪でも流行っているんだろうか、黒猫といい加奈子といい桐乃といい

ふうぅ、病気なら休めばいいのに。なんでこう俺の周りには意地っ張りな奴が多いんだ。
とにかくどうにか説得して帰らせるとするか。

俺はそう心の中で意気込むと桐乃に向かって口を開いたのだった

「おい、桐乃?、調子悪いんだったら………」

俺がその続きを口にする事は無かった、何故なら桐乃が俺を思い切り殴り飛ばしてきたからだ「こ、こ、ここ、こっち来んなぁ!!」と言いながら。

吹き飛んで不時着する前に俺は思ったぜ もう絶対に誰も心配してやらん!! と。



「くそっ!、一秒でも早く終わらして帰ってやる!」
俺はそう決心すると、もう一度撮影室の扉を勢い良く開いたのだった。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/28(木) 01:34:42.12 ID:1XohO1ZJ0
はい、今回もこんなけしか書けていません
91さんの様に遅すぎて悪口を書いてしまいそうな方は即時Uターンでお願いします、それ以外の遅くてもOKという方は今後とも生暖かい目で見守ってやってください
どうぞよろしく
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/28(木) 01:48:41.21 ID:CiPFS7BIo
人肌程度の生暖かさで宜しいでしょうか?
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/28(木) 02:16:28.01 ID:JjyHFTHy0
お疲れ
でもせめてもうちょっと文章見直して
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[sage]:2011/04/28(木) 03:49:09.05 ID:zo8Nj769o
ピーズってなんだ?
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/04/28(木) 07:34:30.05 ID:1XohO1ZJ0
>>100
チーズだった……
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/28(木) 07:59:35.77 ID:V+tmsBcJP
乙です〜
ん〜、ギャグとして見ればまあそんなものかもしれないけどなあ……
作者が贔屓したいキャラはなんとなくわかるけど、ちょっと乱暴描写がひどくね?
せめてビンタとかつねるとか耳引っ張るだとかもうちょっとソフトなほうがいいかなと思った
照れ隠しや嫉妬にしてもこれはやりすぎなような……
まあ、個人的な感想なので作者さんのやりたいようにやるのが一番ですが。
次回の更新も気長に待ってます
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/04/28(木) 23:01:53.43 ID:acvx7cGAO
乙でふ。

話がどこへ向かってるのかいまだに全然わからないのが、ここの魅力のような気がががが

なにせ1当人も言ってるぐらいだしねwwww

あと100突破オメ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage saga]:2011/04/30(土) 02:51:41.71 ID:5dJHlj9Lo
行末に句点がないと、次の行に続いているのかそうでないのかが、判りづらいな。
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 09:33:01.63 ID:kvsZ2XH+0
暇つぶし作品を投下

本編はまだ少し時間が掛かる
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 09:34:29.05 ID:kvsZ2XH+0
はぁ、暇だなー

私は何もする事が無くバタンと机に突っ伏した
ただパソコンの画面を見て好きなカップリングの小説を探すだけ
マウスのクリック音とキーボードの打鍵音、その二つの無機質な音が部屋にやけに大きく響く

早く兄貴帰ってこないかなーー

そんな考えが頭によぎるが自覚した瞬間、ちょっと頬を赤く染めて、頭を振ってその考えをかき消した
やがてパソコンも飽きて電源をおとした

コトンと音をたてて私は顔を机にピッタリとつける
机はひんやりしててとても気持ちが良かった
「気持ちいぃ」
思わずそんな声が漏れてしまう

なんかしなきゃ寝ちゃいそう………

閉じられそうになった瞼をムリヤリ開いて、何か気を紛らわせようと机に置かれていた白紙とペンを手に取った

なんか書くもん無いかな〜

そう思って適当にペンを走らせる
紙の上には知らず知らずの内にこう書いてあった

『兄貴って私のこと好きなのかな?』

それを見た瞬間私の脳は一瞬フリーズしたかと思うとまた動き出し、混乱した

な、な、な、何書いてんの!?私!!

私はすぐに消しゴムを取り出し、書かれている事を消した。
消された頃には私は運動をした訳でもないのに肩で息をしていた

な、何動揺してんのよ!私!
そ、そう!きっと今さっきのは何かの間違いよ!、なんか兄貴っていう文字って書きやすいし、うん、きっとそれが理由に違いないわ!

ムリヤリそう決め付けると、私は頭を冷やそうと、リビングに行こうと部屋を出た
…だがそれが不味かったらしい。

私の家は自分の部屋からリビングに行くにはどうしても玄関の前を通らなくちゃならない、今回はそれが仇になった
私が部屋を出てリビングの扉にてを掛けると、狙い済ましたかのように兄貴が玄関を開けて入ってきたのだ
今さっきの事もあってか私の顔は一瞬で真っ赤になって、焦って兄貴のアソコに向かって思いっきり蹴りを入れてしまった

結果、兄貴は気絶して倒れて今私の前で寝ている
さすがにそのままほっとく事はできないのでリビングのソファに寝かす

「う……ん」

兄貴は最初の苦悶の表情が嘘のように静かに眠っていた
やっぱり……、以外とかっこいいよね、睫毛だって長いし、顔も意外と整っているし
私は思わず見惚れてしまった
その事に気ずく、すると私は兄貴の顔を憎らしげに見た
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 09:35:00.62 ID:kvsZ2XH+0

なんでそんなに涼しげに寝てんのよ。
あんたは私の事どう思ってんのよ、なんで、そんなに優しいのよ、なんで……こんなに気になる様な事ばっかり言うのよ
そんな思いがどんどんこみ上げてきた

私はこいつの発言を思い返していた


『別に?おかしくないんじゃねぇ?』

『お前がどんな趣味もってようが、俺は絶対バカにしたりしねえよ』

『…………何も言うな。………………お前はよく頑張ったよ』


そんな、優しくて、ぶっきらぼうで、暖かい、そんな言葉を思い返していた

こんなに優しくされたら気になるに決まってるじゃない………。

「桐、乃………、今、度……は、なんだよー」

このシスコン兄貴は夢の中でも私の世話を焼いているらしい
なんかそれだけで全部がどうでもよくなった、なんか嬉しさが溢れてくる

「ふふ……、このシスコン、あ、に、き!」
私はそう言って兄貴の鼻をちょっとつついた

ったく、このシスコン兄貴
しょうがないからもうちょっとだけ世話になってあげる

私はちょっとずつ兄貴との距離を縮めていって………静かに兄貴のオデコにキスをした
「ちょっとだけサービス、今回だけ、うん………今回だけ」

そう静かに呟くと、私はこみ上げてくる笑みを隠すことが出来ずに自分の部屋に戻ったのだった



今も私の部屋にある紙にはこう書かれている

『ちょっとだけ……好き』

誰がとは書かれていない
だって書いて、ばれたら嫌でしょ?

あの…『兄貴』に。
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/04(水) 12:20:57.01 ID:nVs/0STuo
そういうのは
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301131029/
ここに投下すればいいんじゃないの
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/04(水) 13:52:54.96 ID:s2rGN+X00
京介がモデルって設定で今の話を読むんだろうが



本編も期待してる
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 14:53:46.32 ID:kvsZ2XH+0
投下
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 14:56:27.28 ID:kvsZ2XH+0


・・・・


「着替えて来ましたーー」

俺がそう言って話しかけると皆が一斉に俺の方に振り向いた
「…………」

皆ポカーンとして目を見開いている、その中で一人、泉水さんだけが俺の方を見て笑っていた
笑い声を上げる方じゃなく口端を上げる、よく悪人がやっているような笑いかただ。

チッ、何だよ、似合わねぇってか!?

「メイク師さん、ちょこっとやっちゃって下さい。薄めでお願いしますね」

泉水さんがそう言うと俺は数人がかりで何やら狭い部屋に連れて行かれた
何やら良い匂いがする、でも俺にとっちゃ嫌いな匂いだ。香水っぽい匂いは。

ちょっ、こらっ、やめろ、そんな物を俺に塗るな!

何やら青い入れ物を取り出したメイク師さんはそれを自分の手に振り掛けると、俺の服の内側に塗ってきたのだ。

っていうか香水って撮影に関係なくね?
「いやいや、撮影は精神からだっつの、なめてっと知らないよ?」
「うおっ!?」

その声を聞いた瞬間俺は体を跳ね上がらせた。

「い、いきなり話し掛けんじゃねぇよ、桐乃!!」

メイク師さんが無口なだけに余計にビクついちまったじゃねぇか。

「いいじゃん、話しかけるぐらい。第一先輩である私が直々に指導してあげてんだから感謝されても文句を言われる筋合いはないでしょ?」
「いや、そうなのか?」
「そうなの。ま、一応似合ってるしカッコいいんじゃない?、及第点ってとこかな」
似合ってても及第点かよ……。
手厳しいねぇ。

突然ですまないが
こんな妹だが時々思う事がある、こいつがもし妹じゃなかったら、とかだ
そんな環境だったら俺達の関係はどんな関係になっていたんだろうか?
恋人?、無いな、確実に。

友達?、これも無いな、絶対に喧嘩ばっかで話にもならないだろう。

俺の予想では悪友…かな?、ま、どっちにしろ俺は今とあんまり変わんないような気がするよ
多分そんな世界があっても結局はあいつの人生相談に乗ったり、あやせとの仲を取り持ったり、そんな事ばっかりの様な気がする
おっと、見過ぎたかな、桐乃も何か怒ってるっぽいし目を逸らさなければ。

そう思って目を逸らす俺。

「でも、やっぱり時々思っちまうな、お前が俺の妹じゃなかったらって」
「………え?」

あ、やべ。つい口に出しちまった。

「あ、あ、あ、あんた、な、何言って」

俺は真っ赤になっていく桐乃の顔を見ながら冷静に考えた、俺の精神は悟りを開いたのかもしれん。
取り合えず現状を整理してみよう

1、俺が口を滑らして「桐乃が妹じゃなかったら」と呟いてしまう

2、何故か真っ赤になる桐乃

ふむ、さっぱり分からん
っていうか何で桐乃は顔を赤くしてるんだ?
怒ってるのか?

そんな事を考えていると桐乃が再び喋りだした

「そ、そ、そ、それってもしかして……わ、私と結婚したいから?」
「待て、どうしてそんな結論になる?、色々段階をすっ飛ばしすぎだろうが」
お前の脳内はどうなっているんだ?どこかで宇宙人にでもさらわれてキャトルミューティレーションされたのか?
だが……、待てよ?、一旦こいつの立場になって考えてみよう
相手がいきなり見つめてきて?、目を逸らして行き成り「妹じゃなかったら」と言われてたら?

ふむ、別段変な所は無いな。
だが相手はあの桐乃だ、どうせあいつの事だ、こんな感じに違いない
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 14:57:23.41 ID:kvsZ2XH+0

「でも、やっぱり時々思っちまうな、お前が俺の妹じゃなかったらって」
              ↓
          妹エロゲー脳内変換
              ↓
    「妹じゃなかったら結婚できたのにな……」

うっわぁ、何か凄ぇ納得してしまった
よし分かったところで誤解を解かないと、後々絶対ややこしい事になるな
特にあやせになんかばれたら俺は明日の日の出を拝めなくなっちまう。

「いや待て、桐乃?、今さっきのはそういう意味じゃなくてだな」
「ちょ、兄貴、いきなりプロポーズはまずいって!、そういう事はもっと順序を守って」

話を聞けこの野郎

「わ、私的にはまずはお父さん達に認めてもらってからの方が」
「ちょっと待て!、段階をすっ飛ばし過ぎだ!!」

くそぅ、何なんだこの状況は、そりゃ俺も軽率な発言をしてしまったとは思うけども。
それにしてもこの状況は納得いかない、いくら何でも理不尽すぎるのではないだろうか。

俺がそんな風にこの現状を呪いながらどうやって打破するかを考えているとメイク師さんが話しかけてきた

「京介さん、出来ましたよ。イチャラブするのは撮影が終わった時にして下さいね」

無表情でそう言うメイク師さん
ん?、いや、よく見れば口端が2o程上がってる気がする。あまり自信は無いが。
笑っているのか?

まぁ良いか
俺はそう結論付けると勢いよく立ち上がって部屋の出口へと向かったのだった

「おい、桐乃、行くぞ」
「え!?、式場に!?」

勝手に行ってろ。




「…………あら、随分遅いお帰りね。妹と何やら口には出来ない事でもしてたのかしら?」

俺が狭い部屋の中から出てくると黒猫がそんな風に妙に嫌味っぽく行ってきた
俺もそれに乗る様にちょっと苦笑いしながら言い返してやった

「メイク師さんが居るあの狭い部屋で桐乃と俺がどうやったら口にも出来ない事を出来るか俺は是非とも知りたいね」
「ハ、ハ、ハ、ハレンチな!!、行き成り三人プレイなんて!!」

最早ツッコむまい。

「何にもねぇよ、さっさと終わらして帰って寝る。それだけだ」

そう言って俺は一箇所だけライトに照らされて明るくなっている、今日の撮影場所に向かって歩き出す
「ちょっと待ちなさい!、話は終わってないわ!!」

「ちょっと待てコラ!、クソマネのくせに私らの事忘れてただろ!、調子にノンなよ!?」

「拙者も影ながら見守っていますぞ?、京介氏のハーレムを」

「ねぇマネージャーさん?、今回の撮影私マネージャーさんの膝に座りたいなぁ!!、ずっと忘れられてたし!!!」

「ちょ、ちょっとブリジットちゃん!?、それはいくらブリジットちゃんでも許せないよ!?、今回兄貴は私を膝枕するんだから!!」

「………お兄さんは今回私を……ウフフ」

何て言葉を背に受けながら。
俺は今日の撮影場所に一歩、足を踏み出したのだった。





   ・・・・




113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 14:58:11.66 ID:kvsZ2XH+0
拝啓、お父さん、カレーママ へ。


今現在、俺の周りは激しく様々な事が変わり、俺はモデルをしています。
皆はモデルは撮られているだけの簡単な仕事だと思っているかもしれませんが俺はこう思います、モデルで大変なのは交友関係だと。

今も俺は自分の軽はずみな発言を後悔しています、あぁ、日曜に夕飯?アクセサリー?、言うんじゃなかった。

そのおかげで俺はこいつらに財布男として連れてこられているんだから。
いくらこいつらが顔が良くても財布目的で呼ばれてもはっきり言って何にも嬉しくない、こいつらが全員俺のハーレムとかなら俺は地球一周旅行でも連れて行ってやる所存なんだが。
とにかく、俺の周りはこんな感じです

そちらはお変わりありませんか?、はい、無いですね、毎日会っていますから分かります。

ていうかこれ書いてるのも自分の部屋だから。


 ピンポーン


おっと、早速今日のお相手さんがやって来たらしい

俺は机にペンを放り出し玄関に向かった
続きはまた今度だな。

今日は確か加奈子に金をたかられる日だ。

そんな事を考えて鬱になりながら玄関に近づくと何やら外が騒がしい。

「クソマネェ!!まだかぁ!?」ウキウキ

ふむ、加奈子が叫んでたから騒がしかったのか。っていうか今日の加奈子は扉の向こうからでも分かるくらいウキウキしているらしい、どのくらいたかられるか分かったもんじゃねぇな

銀行カードも持っていくか。

「ま、今回でモデルがどんだけ稼げるか嫌というほど分かってるし、軍資金には困らないだろ。」

俺はそう呟くと玄関の鍵に手を掛けた





では、行って来ます。

俺の平凡な日々よ、さようなら。
俺の日常よ、さようなら。

まだ俺は何か嫌な予感がするんだが、まぁそん時はそん時って事で、それまでこの非凡な非日常を楽しむさ。



この時の俺は知らない、この後、麻奈実をも巻き込む事になるとか、約束していない奴にまでたかられる事とか、アメリカまで行って桐乃の『ライバル』に会うとか。
そんな事をまだ知らない。



俺は玄関の鍵を開けると、今回の軍資金の調達方法を考えながら扉を開いたのだった
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/04(水) 14:58:39.72 ID:kvsZ2XH+0





        
        兄貴!!
        クソマネ!! 
        マネージャーさん!!
『おはよう!!、お兄さん!!     』
        京介氏!
        先輩! 





ふむ、でもまぁ、こいつらの為なら何とか頑張れそうな気がする。多分。
頑張ってみればいいさ。

とにかくそれもこれも今日を乗り切ってからだ。

「さて、この際何でお前らがいるかは聞くまい。とにかく、行くか?」


「「うん!」」


今日はどのくらい俺の財布は薄くなるのだろうか
こいつらみたいに金銭感覚が狂わない様に気をつけなきゃな。

とにかく行こうか、財布を薄くする旅へ。


拝啓、お父さん、カレーママ

今日も非日常へ

「行ってきます」

  




  『了』
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/04(水) 18:18:59.71 ID:uGMQeyUAO
お、終わってしまった?

乙!
どうなるかと思ってたけど無難な着地だったかな。

きりりん歪みねぇ……

随分ラフな京介さんだが、これはこれでわからなくもない。あの環境じゃ、そりゃ荒れるわ。
このまま週番制にでもなりかねない高坂京介の明日はどっちだwwww

ギャグ一辺倒ってのも案外悪くないと思えた
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/04(水) 19:35:49.37 ID:cBftg7hio
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/05/04(水) 21:17:47.08 ID:+M5EKZkAO
個人的には初めて俺妹SS最後まで読めた作品だから乙が少ないのは残念
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/04(水) 21:23:37.30 ID:6Y2HIJUHP
>>114
これで終わりなのかな?
乙! また何か書くことがあるなら楽しみにしてる
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/05(木) 11:13:10.67 ID:3joiprNIO
乙面白かったぜ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/05(木) 14:52:55.28 ID:aVPIltup0

京介鈍すぎだろwwww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage saga]:2011/05/06(金) 00:11:15.00 ID:wcJ8pgMIo
乙。カレーママに吹いたw
あと、『気づく』な。『気ずく』ではなく。
――というか良く変換できたな。AT●K先生は警告してくるので。

あとは>>114の挨拶時に違和感があるなぁ。
あやせやブリジットならどんな時だろうと「おはようございます」だろうし、黒猫は感嘆符(!)が付くのが希なので。

> この後、麻奈実をも巻き込む事になるとか
PSPの○○○○な麻奈実か。あれは別人だよなー。

なにはともあれ、最後まで書ききったことに敬意を表して、再度>>1に乙でした。
次回作も頑張ってください。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/06(金) 01:37:23.38 ID:C1k+NDPpo
>>1

>>121
キモい
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/06(金) 05:02:32.48 ID:3itkLZYW0
加奈子が「クソマネェ!!」って言ってるとこ想像して
にやにやしてる俺よりはキモくない

>>1終わっちまったのか……
次回作があるとしたらここでやってくれるのかしら
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/06(金) 10:20:28.66 ID:2Nfcakgg0
今第三部を考えてみてる、でも書く暇が無くなるので暫く放置してしまうと思う。

思いつかなかったらこのスレは削除するので、放置国家にするつもりは無いので心配なさらなくても大丈夫です^^
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/06(金) 18:25:30.62 ID:3vliXv440
どこから第二部だったのかは知らんが期待してるぜ
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/09(月) 16:23:35.54 ID:PIlsEXVb0
無い時間の中で合間合間に書いた物を投下
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/09(月) 16:24:04.12 ID:PIlsEXVb0
俺がこんなにモテるわけがない 第三部




拝啓、お父さん、カレーママへ


一応これは日記的な物なんだが、始まりはこれで行くと決めました

まぁ、そんな些細な事はさておき
今回は俺、高坂京介の日常について書きましょう

最近は、外を出歩いてもクソバ……、もとい婆さん達に襲われる事は滅多に無くなりました
それだけでも十分俺にとっては嬉しいのだが、俺の生活はあれからまだまだ変化し続け、今では殆ど跡形も無くなりました

学校には俺の手紙専用なるロッカーや、弁当保存用の冷蔵庫が先生陣によって作られていたし、麻奈実と一緒に帰っても、多少周り視線が鋭くなっている気がするが問題無くなった
麻奈実は何やら「私、死んじゃうのかなぁ」何て事を呟いていたが、心配のし過ぎだろう。

とにかく、何が書きたいかというと、俺も今の生活に馴れ。日々青春を謳歌しているという事だ



「ふぅ」

俺はここまで書くとペンを多少乱暴に放ってベッドへとダイブした
現在時刻は午前十時半、土曜日だ。ついでに言うと非常に久しぶりの休みだ。

本来なら清清しい気分な筈なのだが、俺はひとっつも清清しい気分になどなれない。
改めて振り返ってみるとどんだけ自分が異常な環境に居たのかが分かるのだが、今はそんな事はどうでもいい

よく考えてみろよ?、俺は今までモテた事があったか?
……いや、無い!、無いんだよ畜生!!!!

でも今は自分で言っちゃなんだが多分モテていると思う
そりゃぁモデルなんて今でも辞めてやりたいけど、それのおかげで俺は今モテ期という奴が来ているんでは無いだろうか?

ラブレター?、貰っている。

告白?、されている。

お弁当?、貰っている。

だがこれらのイベントが起きたのは全部俺がモデルを始めてからだ。
非常に認めたく無いのだが、こうなった以上認めるしかあるまい

俺が今モテているのは俺がモデルをしているおかげだと。

どうする?、モデルは是非とも辞めさせていただきたい。でもこのままモテてもいたい
ここまで考えて俺は一つの結論に辿り着いた




「……今の内に彼女作っちまえばいんじゃね?」

この作戦じゃ俺の理想のハーレムエンドは迎えられんが仕方あるまい。
非常に残念だがな。

とにかく明日から行動だ。

久しぶりに部活に顔を出してみよう、何かしらのイベントが起きるかもしれん。

俺はそこまで考えると明日の英気を養うためにもう一度寝ようとベッドにダイブしたのだった。
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/09(月) 16:24:37.94 ID:PIlsEXVb0



  ・・・・




「あ……兄貴が彼女を!?」

だ、駄目!!、兄貴は私を彼女……じゃなくてそんな事になったらモデルの仕事に支障をきたしちゃうじゃん!!

私は壁から体を離して何とかしなければ!、と頭を悩ませた。
………な、何も思いかばないんですけど……。

どうしたらいい!?、早くしないと手遅れになる!!

時間が過ぎ去っていく中、私は最初に思いついた確実なんだがやりたくない、そんな作戦の事を考えていた
これは一人では出来ない、最低でも助けが二人は必要なのだ。

だけどこの情報を出来る限り他の人には言いたくない

兄貴が彼女を欲しがっているなんて知ったら皆絶対に積極的になるに決まってる。

でもこのままだと絶対に兄貴に彼女が出来てしまう、だって最近の兄貴は私から見てもかなりモテる
多分次学校に兄貴が行っても靴箱の中は手紙で一杯だろう(桐乃は京介の手紙専用ロッカーがある事を知らない)

なら私に残される道はどうにかして兄貴に一番遠いっぽそうな奴を選んで兄貴の邪魔をするしかない。
まず兄貴の学校に先回りして靴箱の中の手紙を一掃する

直接行動する奴は変装して兄貴の学校に潜り込んで、偽の兄貴に彼女がいる情報作戦で仕留める。

お弁当はまぁ許してやっても良いだろう、兄貴はチキン&鈍感だから殆ど好意に気付かない、気づいたとしても勘違いが怖くて「俺の事が好きなの?」とは聞けない。渡したりする側も同じく怖くて遠回りな好意表現をしているので自分から告白は無い。
だから遠回りな好意表現をする奴はこの際無視でいいだろう。

まぁ作戦はこんな所だろうか、そして次はメンバー決めだ。
一人はもう決まっている、加奈子だ。

加奈子は一番兄貴の好みから遠いし感情を表すのが下手だ。よって兄貴は加奈子の好意には気付いていないし、多分それはこれからも変わらないだろう。

問題は二人目だ、あやせはどうだろうかと思ったが結果的に却下だ
多分この中で一番兄貴の好みに近いのはあやせだろう、よって却下決定。

ブリジットはどうだろうか、いや、これも却下だ、兄貴の性格的好みが一致し過ぎている。

黒猫?、却下決定、多分この中で好意表現が一番上手いのは黒猫だからだ

よって……、沙織に決定。
沙織も外見がかなり良いが普段はあのメガネのせいで隠れているためセーフ、性格も兄貴は良い奴とは思っているけど友人的好意なのでオーケー

かなりきわどいけれども何とか全てクリア。
という事で今回のメンバーは加奈子と沙織に決定。

この三人で朝から手紙を処分したり、告白する側には偽情報で処分。
これで決定だ。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/09(月) 16:25:37.76 ID:PIlsEXVb0
ここまで。
少なくてすまない、またちょっとずつ書き溜めて投下する
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/09(月) 16:31:49.86 ID:MwriyTkpo
モテるとモデルを掛けていたのか!
今気が付いた
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/09(月) 17:15:42.62 ID:jo8dhwwc0
>>130天才か
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/09(月) 20:26:03.56 ID:0DOUrNwP0
乙!
天才の集うスレときいて
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/10(火) 23:56:56.97 ID:8ZqQcfgg0
すまん、書く暇が無いからあれからほとんど書けていない。
皆さん暇ならここに来てくれ、結構ssを書き溜めてるからちょっとは暇つぶしになると思う。
(何気に自分のブログの広告)

http://blog.livedoor.jp/kai662/

来てくれたら嬉しいなぁ、ちらっ
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/05/11(水) 00:54:32.43 ID:vMq1vszEo
ブログってSS読みづらくて嫌なんだよね。
読むけど!
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/12(木) 00:54:23.89 ID:hBER0N3N0
なんか見たことあるのが多いんだけど総合にも投下してた?
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/12(木) 07:20:56.09 ID:Y9k/Oskb0
おう、たまに自信作が出来たら投下してたぜ
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[sage]:2011/05/12(木) 12:02:09.88 ID:lukllWKZo
>>133
話は良いけど、誤字が多過ぎっぞ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/12(木) 13:17:37.30 ID:Y9k/Oskb0
>>137

ははは、俺も今読み返してみたらかなり酷い事に気付いた、桐乃が桐野になってたしな^^;
これからは調子に乗ってキーボードを連打するのは止めよう

忠告サンクス
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/12(木) 14:23:44.37 ID:Y9k/Oskb0
さて、そうと決まれば早速連絡だ、兄貴の事だ、どうせ「有言実行!、早速明日部活で何かしらのイベント確保だぜ!!」とか言って明日から行動するに決まってる。
うん、我が兄貴ながらアホだな。

そんな事を考えながらまずは加奈子に電話をする

prrrrrrrrr
prrrrrrrrr
prrrrrrrrr

何回かコールするが出る気配がない
ただでさえ時間が無いのに出る気配がないので私はイライラが募っていくばかりだ。

チッ、何してんのよ加奈子の奴!!


私がそんな風に愚痴っていると加奈子が合計15回目のコールでやっと出た

『あーい、もしもしぃ?どったの?。プッ、アハハハ』

出たと思えばこれだ、どうせ昼ドラでも見ているんだろう。そうに違いない。

「もうちょっと早く出ろっつの!」
『えぇ?、だって今加奈子ってばドラマ見てたしさぁ』

まだ笑っていた余韻が残っているのか、息が荒い。どんだけ笑ってたんだ。

向こうはドラマが気になるのか、雰囲気的に早く切りたいのが分かった
だけどこれを聞けばドラマなんて一瞬で頭の中から消え去るだろう。

「折角兄貴に関する情報持ってきてやったのに教えてやんないよ?」

私がそう言うと電話の向こうで何かぶつかる音がした、焦って机に足でもぶつけたんだろう
『いってぇえ!!、きゅ、急にそんな事言うから足ぶつけちまったじゃん!!』
やっぱりね。

ってそんな事より用件を伝えないと

「で?、聞くの?聞かないの?」
『……ど、どうしてもって言うならき、聞いてやっても良いけど?』

はいはい、ツンデレ乙。
まぁこのまま加奈子をいじって楽しむのもいいがそろそろ本題を言うとしよう。

「実は兄貴が彼女を作りたがっているみたいなんだ…」
『え!?、マジで!?、だったら早く行動しないと駄目じゃん!!』

「まだ続きがあんだっつの。兄貴の奴が彼女を作りたがってるのは良いんだけど、どうせ兄貴の事だから明日には行動し始めると思うんだ。言っちゃなんだけど兄貴って今結構モテるでしょ?、だから今積極的になられたら多分ヤバいと思うんだ、だからちょっと協力して兄貴の計画を潰そうって言いたかったの」

私がここまでまくし立てると加奈子は情報を処理仕切れなかったのか、返事まで結構の間が空いた
最初は『あ……う……』とうめき声を上げていたが、やっと頭の中を整理できたのか話し始めた。自信が無いのか小さな声だったが。

『つ………つまり京介…』
「京介?」
『あ………』

加奈子のこの発言から暫く間が空く

へ〜、ほ〜。

「加奈子ってば家では兄貴の事京介って呼んでんだぁ」
私がニヤけているのが電話越しでも分かったのか慌てて加奈子が言い訳をし始めた

『ち、違くて!、ただ桐乃の前でクソマネって言ったら桐乃はブラコンだから怒ると思ったからだよ!?』

だがそんなに慌ててたら何の説得力も無いのは明らかで、そんな状態でブラコンと言われてもはっきり言って全く気にならなかった
っていうか逆に加奈子をからかえる話題が出来たので愉快なくらいだ。

でも残念ながら今の私にそれだけの時間の余裕は無い
このまま加奈子をからかいたいのは山々なんだが、それはまた今度の機会にした方が良いだろう

私はそう決めると話題を元に戻すために再び話し始めた

「はいはい、分かったから、で? どうなのよ、行くの?行かないの?、兄貴の彼女作りを邪魔しに」
『しょ、しょうがないから行ってやっても良いかな、ふふん、感謝しろよ』

何故威張っているのかは分からないが一人目確保、多分沙織は簡単にOKを出してくれるのでもう決まったも同然だ。

「まぁとにかく、来るんだったら明日の6時に私の家に来てよね」
『お〜う』
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/12(木) 14:31:16.50 ID:Y9k/Oskb0
私はここで電話を切るとすぐさま手馴れた動作で沙織の電話をコールした

prrrr…

『はいもしもしこちら沙織バジーナこと沙織でござる』
…………早っっ!!、僅かワンコール目で出るなんて流石ね

『それで、どうしたのでござるか?、まぁ桐乃氏の事ですから京介氏に関わるのでござろう?』

何でそんな事を知ってんのよ、あんたは。
『ぬふふん、勘でござる』

あ、そう。

「まぁいいわ、それで、用件なんだけど…………」

私が呆れながらも全部話し終えるとまるで話が終わるのを待ってましたと言わんばかりに二つ返事でOKをくれた。
やっぱり沙織も兄貴の事を好きなんだろうか。

『ぬふふふ、当たり前でござろう?。拙者も京介氏の事が大好きでござるよ』

ふっ、ミスったな…………、私とした事が用件が終わって安心して電話を切り忘れるなんて……。
まぁでもこの口調なら好きと言っても友人的な意味だろう、うん。
私がそう思って一人で頷いていると、またもや私が何を思っているのか読んだみたいに沙織が話す

『いいえ、わたくしも京介さんとは恋仲になりたいと思っていますわよ?』

い、何時の間にかメガネを取ってお嬢様口調になっている?
ってそんな事より

「ちょっ、あんた何言っ……」

この先に「てんのよ」と続けようとしたが、それを私が言う事は無かった、何故かって言うと沙織が割り込んできたからだ

『だから………わたくし達は 『ライバル』 です』

一方的に沙織はそう言うと『ではまた明日』と言って電話を切ったのだった


――――ふむ、何故か沙織を誘ったのが失敗に思えてきた

そんな事を考えるが時既に遅し、最早取り返しはつかない。今から沙織に「やっぱ勘違いだったぁ」なんて言ったとしても明日の朝にはちゃっかり居るだろう。
ていうかもしかしたら今回の事も私が連絡する前から知っていたんではないだろうか。そんな気がする。

「うがぁああああ!」

私は何かとやりきれない思いを奇声に変えてベッドへとダイブした
はぁ、兄貴がモデルになってから生活が一層大変になった気がする。……はぁ。

そこで私は寝ようと無理矢理、意識を手放したのだった。


    ・・・・


ふむ、良い朝だなぁ

昨日何時もよりかなり早く寝たおかげか俺は日曜だというのに6時半には起きていた、久しぶりに早く起きて何か得した気分だ。
でもいくら6時半とは言えそんなに悠長にはしていられない、7時半には部活が始まっているからな。別に遅刻しても何のお咎めも無いだろうが俺はそんな無駄は許さない。
ちょっと早めに出て黒猫との早朝出会いイベントを確保だ。だがこのイベント発生にはたまたま出会わなくてはならないという結構難易度の高いミッションをこなさなければならない。俺はそんなに運がよくないので早めに出てわざわざ待ち伏せしようというのだ。

そんな訳で只今時刻は6時45分、俺はくだらない事を考えながらもちゃんと用意していた訳で、もう制服にも着替えたし、食パンもくわえた
準備万端だ。

何で食パンをくわえてるかって?、そんなのは簡単だ、黒猫イベントの前にあわよくば見知らぬ女子高生との衝突イベントをするためだ。転んだ時に「きゃぁっ!。あ、私の朝ご飯がぁ〜!!」何て事を言ってくれたら尚良い。
「とにかく!、俺は今日から彼女作りに励む!!」

そんな事を言いながら俺は玄関の扉を勢い良く開いて走り……………出した途端にぶつかった

最早唖然とするしか俺に選択肢は残されていない、これが黒猫とか桐乃なら分かる、黒猫は俺を部活に誘いに来たりするし、桐乃に至っちゃあここは桐乃の家だ、だから納得できる
だが俺が唖然としている原因はここにそのどちらでもない奴が居たからだ、ていうか俺はこいつとそんなに接点が無い、ていうかこいつが何でこんな所に居るかが分からない。こいつはアメリカで走っている筈だろう?

はあぁ、分かってるって、うん。もう黒猫イベントor謎の女子高生と衝突イベントは無しなんだろう?。分かってるって。
俺は今日行われる筈だった数々の恋愛イベントを思って涙目になった。
まぁとにかく、挨拶でもしておこうか。気絶してるけど。

俺は脳内で今日のプログラムを大幅修正しながら倒れている人物に向かって挨拶をしたのだった。

「よぉ、久しぶりだな『リア』」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/12(木) 14:33:24.94 ID:Y9k/Oskb0
今回も短いけどここまで
また書き溜めてくる
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/12(木) 19:14:52.11 ID:uZj0oZmz0
乙!

なぜ此処でリアがぁ(棒

143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/12(木) 19:19:41.27 ID:/3QEN+Swo
なん…だと・・・!?
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/13(金) 02:16:21.91 ID:4iBs4VfO0
やっぱかなかなちゃんはサイコーだわ^^
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/17(火) 01:38:40.32 ID:BgwEKZgD0



この突然やってきたアメリカからの来訪者は一体誰に、何の用で来たんだろうか。
俺には嫌な予感しかしないんだが。

「帰ってくんねぇかな」

俺が思わず呟いたその台詞はこのリビングで響く事なく空気に溶けた
時刻は9時、あれから結構な時間が経っているのだがリアは一向に起きる気配が無い
一応ソファから俺のベッドに移した方がいいだろうか

いや、桐乃が帰って来るまで待ってた方が良いな。
もし俺がここでリアを自分のベッドに連れてってみろ?、こうなるに決まってる。

バタンッ!!(桐乃が何時も通り俺の部屋のドアを勝手に開く音)
「ちょ…!?、何でアンタのベッドにリアが寝てんのよ!?、このロリコン!!!」
「待て!、桐乃!!、これは……」
グキャベシッ!!(桐乃が俺の腹を叩く音)

こうなる。確実に。
だから俺は自分のベッドには連れて行かない。連れて行けない。

俺は溢れてくるため息を止める事無く吐き出した

「はぁぁ、本当のお前何しに来たんだよ」
「助けてもらいに……だよキョウスケおにいちゃん」

起きてたのかよ。何でこう寝たまねばっかするのかねぇ、俺の周りの奴らは。

「寝たふりしてたのは今回だけ許してやる、で?、何を助けてほしいんですか?、世界一足の速い小学生さん」
この際だ、ちょっとで早く助けてお帰りしていただくとしよう
そんな風に俺が適当に考えていると、リアは前来た時の様な活発さを見せる事無く話始めた

「……もう、世界一じゃ無くなっちゃったよ、負けちゃったんだよ、だから、キョウスケおにいちゃんをスキになりに来たんだよ」

……ふむ、この神妙な空気なのに悪いがツッコんでも良いだろうか、駄目なのか?
いや、駄目でもツッコむけどな。

「落ち込んでるとこ悪いけど、一つ聞いていいか?」
「なに…?」

ちょっと涙目&上目遣いで見てくるリア
うぐ……、か、可愛い

でも可愛いからこそ言わなければ!

「お、俺を好きになると足が速くなるのか?」
「うん、桐乃もそうだし」

はい即答、即答いただきました。
それにしても改めて思うんだがこいつらは勘違いをし過ぎだな。その理論は桐乃が俺を好きじゃなきゃなりたたん、桐乃は俺を絶対に好きじゃないので確実にありえないのだ。
そんな事を考えて俺は桐乃の最近の行動を思い返した


146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/17(火) 01:39:16.68 ID:BgwEKZgD0

三日前ぐらいのリビング



リビングで麦茶を飲んで俺は部屋に帰っていた、だが一つの問題点に気づいた。コップ……、浸け忘れたなぁ
家はそういうところが何かと厳しいのでこのまま放置すると非常に面倒な事になる、お袋の野郎が言葉では無く行動でネチネチ攻撃して来るのだ

例えば晩御飯の時に俺のだけ少なかったり、洗濯の時に俺のだけ後回しにして俺の洗濯物が帰って来なかったりと、色々あるのだ。

「しょうがない、非常に面倒くさいが行くしかないな」
俺はそう呟いて居心地の良いマイ・ルームを出るため立ち上がった

部屋から出るとリビングに行く為に階段を下る。丁度階段を半分ぐらい降りた時だっただろうか、その声が聞こえてきたのは
俺が階段を下りているとリビングからやたらでかい声が聞こえてきたのだ

「そ、そそそ、それでは、いただきます!!!」

いわずもがな。桐乃だ。
何故かかなり声が上ずっている、何かあったんだろうか?

俺は多少心配になり階段を早めに降りるとリビングの中を覗いた。
するとそこには何故か頬が真っ赤な桐乃が麦茶を飲んでいる姿があった、ふむ、どうせ部屋でメルルでも見て興奮して真っ赤になったんだろう。

兎にも角にも、今はそんな事はどうでも良い、さっき気付いたんだが俺のコップはどこに行ったんだろうか。っていうか桐乃が使ってるやつが俺の使っていたやつではないのか?
まぁそれならそれでお袋が俺にネチネチ攻撃を仕掛ける事も無くなるし、お袋も洗う分がちょっとでも減るので良いんが、桐乃は良かったんだろうか?
もしかして俺が飲んだやつって知らないのではないだろうか。

今更言ったって手遅れだが……、しょうがねぇ、言ってやるか。

俺はそう結論付けると改めてリビングの扉を開いた、するとどうだろうか、桐乃は慌てて後ろを振り返り、俺の姿を確認すると何故か知らんが焦っているではないか

「あ、あ、あ、あんた、何でっこ、ここに!」

桐乃は今まで以上に真っ赤になり拳に力を入れ始めた
ま、待て、待つんだ桐乃!!、ここは落ち着いて話し合いをしようではないか!!!

俺はそう言おうと口を開いたが、言葉を発する事は無かった

「バ、バカァアアアアァアア!!!!」

この掛け声と共に腹を殴られて気絶したのだから。



――――回想終了



147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/17(火) 01:39:54.38 ID:BgwEKZgD0

……ふむ、やはり桐乃が俺を好きなんてありえないな。
このコップ事件以外にも数え切れないくらい桐乃が俺を嫌いって事を証明する話はあるが、この話だけでも分かってもらえるだろうから他はいいだろう。

まぁとにかく何が言いたいかっていうと桐乃が俺を好きなのはありえないっていう事だ。

俺はそう確信するともう一度リアにむかって口を開いたのだった

「リア、残念だがそれはありえない、桐乃が俺を好きじゃないんだから」

言った瞬間リアが俺を何か不思議な物を見るように見てきた。ん?、何か変な事を言ってしまっただろうか?
俺が自分の言動を振り返っていると、リアが不意に笑って喋りだした

「アハッ、そっか、キョウスケおにいちゃんって唐変木ってやつなんだね!!」
「ちがうっ!」

どこで覚えてきたんだそんな言葉を。
俺はエロゲの主人公じゃ無いんだぞ、あんなに鈍感でも無ければフラグも立てて無い!、っていうか立てれない!!

そんな風に俺が内心で泣いているとまたリアが話し始める

「とにかくっ!!、私、リア・ハグリィはキョウスケおにいちゃんを好きになりに来たんだよ!、ヨロシクね!!」

そう言い終わるとリアは俺に思い切り抱きついた。オグフッ!。さすがにあの脚力での抱きつきは色々ときつい。でも、しょうがねぇよな。元気がとり得のこいつあんな顔されちゃぁ断れねぇよ。
苦笑いすると俺はリアの頭に手を置いたのだった

ふぅ、今回も色々面倒な事になりそうだ。

ん?、ちょっと待てよ?、流れで忘れてたがまだ大事な事を聞いて無いじゃないか。

リアはどこに泊まるんだ?

はい、これはかなり、いや、無茶苦茶大事ですねぇ

「リア、……お前どこに泊まるんだ?」
「キョウスケおにいちゃんの部屋!!」
「却下」

当たり前だこの野郎。

「キョウスケおにいちゃんのベッド!!」
「却下」

尚更悪いわこの野郎。

まぁ、だけどこの家に泊まるのは仕方無いだろう
桐乃にでも頼めば部屋の問題も解決だ

親父もお袋も事情を話せば嫌とは言えまい。

俺は自分の中で問題を解決すると、リアをどかして立ち上がり、ポケットから携帯を取り出すと親父にコールしたのだった。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/17(火) 01:41:03.36 ID:BgwEKZgD0
はい、何も思いつかなくてもとにかく小まめに投下
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/17(火) 01:47:06.16 ID:ixkjp+pk0
早く続き乙プリーズッッッ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/18(水) 00:10:02.72 ID:LE74lTNAO
一週間近く空いてるのに小まめにとはこれいかに
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/05/18(水) 00:11:56.86 ID:ypVKWBLBo
小さい豆とか・・・
ヒャーガマンデキネー
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/20(金) 00:54:29.93 ID:YEfPfjgx0
「――――――うん、分かってるって、それじゃ」

俺は最後にそう言って電話を切った。隣ではリアがよっぽど暇だったのかウトウトと船を漕いでいた、確か俺が電話をしていたのは十分かそこらだった筈なんだが。
まぁいいか。俺はそう思い込むと座りながら寝ているリアを横に寝かしつけ、毛布を掛けてやった。
リアも何やかんやで疲れたのだろう。

さて、次は桐乃に説明しなきゃな。何て説明したらいいんだ?、朝出かけようとしたら誰かにぶつかってその相手がリアでした、とでも言うのか?。いや、却下だな、もっと簡略化して説明しよう。こんな感じに。
朝チャイムが鳴って出てみたらリアが来てたんだ。
ふむ、これなら問題もないだろう。

そうと決まれば早速連絡だな。面倒事は早めに処理するに限る。
俺はそう決めるともう一度携帯を取り出し今度は桐乃の番号をコールする

prr

『ちょっと兄貴!?、今何処にいんのよ!?』
「いきなりなに!?」

いきなり何を叫んでいるんだ、我が妹よ。

『いいから!!、さっさと答えなさいよ!!!」
「い、家のリビングだが?」
『すぐ行くからそこを動くんじゃないわよ!?、分かった!?』

桐乃はそう叫ぶと一方的に電話をブチる。最早俺の耳には電話からの無機質なプーー、プーー、という音しか聞こえなくなっていた
まずい、この展開は全く予想していなかった。桐乃の勢いに負けて居場所だけ言ってしまったがこの状況で桐乃が帰ってきてみろ?、俺はどうなるか想像もしたくないね。

そんな事を考えながら無機質な機械音が流れる携帯を片手にドバドバと冷や汗をかいていると、ピンポーンという俺の気分とは真逆の軽快な音が響いた

どこから走ってきたのかは知らないが流石陸上部、お早いお着きですね、この野郎。
どこをどう走ったらこんなに早く着けるか一度伝授して頂きたいよ。
でもどんなに早く来ても鍵をかけておいたから大丈夫。リアを隠す時間稼ぎにはなるだろ。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピピピピンポーン。
「こらぁああ!!、早く開けなさいよこのシスコン!!!」

前言撤回、やっぱり鍵をかけておいても無駄だった、に変更さしてくれ。
だってそうだろ?、こんな短い時間に俺が何かする余裕なんてある筈無いじゃないか。それに精神的にもこのチャイムが鳴っているのに出ないっていう状況は耐えられないんだ、俺は。
とにかく、何が言いたいかというと、この状況では俺は出るしかない、という事だ。


はぁ、と俺は諦めのため息をついて玄関に向かって歩みを進め始める。
さて、どんな言い訳をしようか、いや、っていうか今気付いたんだがこれは言い訳とは言わなくね?、だって俺は本当の事を話してるだけなんだから。

うん!、そうだ、俺はただ本当の事を話せばいいだけじゃん!!


そう意気込んで俺は玄関の鍵を勢い良く開錠したのだった




   ・・・・
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/20(金) 00:55:12.68 ID:YEfPfjgx0




「あんた……、エロゲで頭バグっちゃったわけ?」
「そうですぞ京介氏、ゲームは一日24時間まででござる」
「そ、そ、そんなに年下がいいなら……、か、かか、加奈子……」


現在時刻は10時、俺はリビングで正座中、リアは相変わらず爆睡中。こいつは本当に悩んでいるのだろうか、何故だか寝顔が可愛いんだが可愛くないぞ。
そして今さっき喋ったのは桐乃→沙織→加奈子、って感じだ。

言葉からして分かると思うが俺は今現在怒られている真っ最中だ。

え、いや、ちゃんと言ったよ?、ありのままを。だけど俺が甘かったんだ、こいつらがそんな事で何もしなくなるなら今までの俺がとっくにやってるんだよ。
こいつらの言い分ったらそりゃ無かったぜ?

俺が「チャイムが鳴ったから出たらリアがいたんだ」って言ったらこいつらはこんな事を言ってきやがった

「へぇ〜、あんたは突然やってきた少女を寝かしつけてウハウハしてたって訳ね」
「むふぅ、京介氏、さすがにそれは犯罪でござるぞ?」
「か、かか、加奈子でウハウハ」

「ち、ちが……」

それに対して俺が言い訳をしようとするとすぐさま桐乃が俺の事をギロリと睨み精神攻撃を仕掛けて来る

「喋んな、このロリコン」
「すみません……」

それはもう、凄い冷たい目でしたよ、氷より冷たかったね。視線に温度があるなら言葉通り本当に氷付けになっているに違いない。

「で?……リアをどうするつもりなの?」
「そこはリア『を』じゃない、リア『は』だ。まぁそれは見逃すとして、リアは今日からホームステイだそうだ。」

俺がそう言うと皆さん一斉に誰一人漏れる事なく固まった
まぁ理由も聞かずにこれだけ聞いたらビックリするのも仕方が無いだろう

だがリアが負けて俺を好きになったら足が速くなると思ってやって来た、なんて言ってみろ?、確実に俺がそう吹き込んだって皆が言い出すに決まってる。確実に。
という事で

「理由はリアの許可を取ってからないと皆に話せないんだ、悪いがリアが起きるまで待っててくれるか?」

ひとまずこう言っておいて後で適当にリアと相談して理由を決めよう
そんな事を考えていると皆も渋々納得したのだろう、皆桐乃を先頭に「し、仕方ないな」みたいな顔をしている。

さて、俺はこの隙に適当な理由を考えるとしよう

まぁ一番妥当な案としてはこれだな『強化合宿に来たんだぁ、たまには自由な環境で自由に走った方が良いんだってぇ』というでっち上げ理由だ。
これが一番リアっぽいし多分行けるだろう。
でもリアが気に入らなかったら台無しなので後何個か考えたほうが良いだろう

うむ、第二候補としてはこんなのとかはどうだろうか?、『桐乃ん所に遊びに来たんだぁ!、たまには休まないとって事でね!!』。
かなり良い感じなのではないだろうか
このどっちかならリアも別に文句は無いだろう

俺がそう考えて一人でうんうんと頷いていると、リアが「う……ん、ん」と唸りを上げた。
その瞬間に俺を含めて皆がリアの方へと集中した、当たり前だ、この作戦を成功させるにはまず最初にリアがいらん事を喋らない様にするために相談して理由を二人で考えるのが必須条件なんだから。
他の連中もどうせ俺が良い訳を出来ない様に我先にと質問をする為だろう。

だからこの勝負はリアが起きたところを誰が一番最初に確保できるか、という勝負なのだ。


誰も喋らないこのリビングという空間でリアの寝言がやけに大きく響く
皆が何時リアが起きても飛び付ける様体制を整えていると、リアはまたもや寝言を呟いた
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/20(金) 00:55:48.04 ID:YEfPfjgx0

「う…きゅ、きょ、キョウスケおに……ちゃ。ちょー…す…き」

そう、そんな言葉の爆弾をリアは投下して俺を吹き飛ばしたのだ。ちなみにこの爆弾の攻撃は俺にしか効果が無い。
そして第二波、それは投下本人では無く、俺の周りの人間が急に俺に対する闘志をたぎらせるという効果がある

ほらな?、桐乃の奴が最早拳を硬く握り締めているだろ?

その後、俺は三人分の攻撃を受け宙を舞った。




「――――――ちゃん!!、……キョウ……いちゃん!!」
「う…………ん?」

現在時刻は…何時なんだろうな?、まぁとにかく俺はなにやらうるさい声に起こされかけている。嫌だ、まだ俺は寝ていたい。
俺はそんな意思を言葉で表さず声と反対方向に体を向ける事によって表した

「むぅ〜、キョウスケおにいちゃんがそんな態度なら勝手にキョウスケおにいちゃんのエロ本を漁っちゃうよ?」
「何故に!?」

思わず跳ね上がる俺。こいつ、なんて恐ろしい事を提案しやがるんだ。
そんな俺の気をひとっつも分かっていないのか、当の起こした本人、リアはニコニコと無邪気に笑っている

「キョウスケおにいちゃん!!、そろそろお昼ごはんが食べたいな!!」

リアがそう言ってから時計を見てみると、成る程、確かにお昼時だな。十二時半、まぁ一般的にはこのくらいの時間に食べている人が多いのではないだろうか?
俺がそんなくだらない事を考えているとリアが俺の服の裾を掴んできた、何だ?。

「キョウスケおにいちゃん!、作って?」


グパアアァァ!!!(何かが俺の中で破裂した音)

そんな状況で俺がキッチンに爆走したのを誰が攻めれるのだろうか、答えは否!、断じて否である!。
その後、俺が落ち着いてきた頃にやっと分かったんだが、桐乃達は俺が気絶している間にリアによって説得されていた様だ。こんな事ならもうちょっと昼飯を豪華にしてやれば良かったな、まぁこれから暫く一緒に住む訳だから作ってやれる機会はあるだろ。

俺はそう考えて昼飯の鳥唐揚の蒸しスパゲッティを頬張ったのだった。
うん、うまい。
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/20(金) 01:21:11.51 ID:YEfPfjgx0
すまない、今回はここまで
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/20(金) 02:18:41.34 ID:Owolb4LR0



俺ロリコンだけどリアには反応しないんだよな
なんでだろ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/20(金) 09:09:33.52 ID:nxaHK8Szo
可愛くないからじゃないの
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/20(金) 16:17:33.75 ID:nf2FEcoIO
>>157

屋上
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/20(金) 16:50:20.21 ID:gPrOd9PTo
リアには恥じらいが足りない
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/05/20(金) 17:30:48.95 ID:Rpg210bho
リアはどこか惜しい
何か足りない
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/05/20(金) 19:40:35.58 ID:Cvd6gDrAO
おつ〜

この京介はいつも思い描いてる京介像と一味違う言動を見せてくれるから、楽しみ。

リアかぁ…
ブリジットとはまた異なる方向性の萌えを探れる子だとは思うけど。
年が年だけに、シリアスな初恋を描くのも躊躇わせるものがあるような
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/21(土) 00:55:19.00 ID:yHPXRsWn0
「それで?、好きになるっつったって具体的にはどうすんのよ?」

何故か皆何も喋らなかった昼食中、桐乃は喋ったかと思ったらいきなりリアに対して質問を投げかけた
俺は気まずい空気が無くなったのに内心喜びながら話に耳を傾ける、実はこの話題は俺も気になっていたところなのだ。

好きになるって言ったってただ一緒に居るだけで好きになるんなら世の中カッポーで埋め尽くされてしまうからな。リアはそこらへんをどう考えているんだろうか、ただ漠然としか考えていないのか、それとも結構明細に考えているのか。どっちにしろリアの意見を聞かなければ対処の使用がない。

多分俺の予想ではリアは前者の漠然としか考えていない状況だと思う。

「ん〜……デート?」
「反対!!」

リアがデートと言った瞬間凄い勢いで立ち上がった桐乃はいきなり叫んだ。何をそんなに必死になっているんだろうか、最近桐乃の挙動不審さが際立ってきている気がする。
なぁ皆、と言わんばかりに加奈子と沙織を見るとこの二人も例外では無かったらしい、半ば尻が浮いていた。

はぁ、何でこう俺は信用が無いのかねぇ、俺が小学生を襲う奴に見えるか?、安心しろ、俺はどっちかと言えば年上好きだ。
何でかと聞かれると答えに困るが、多分俺の予想では俺の周りの奴らが年下ばかりだからだろう。人間その状況に馴れてしまえば逆を体験したくなってしまう物なのだろう。
まぁ何が言いたいかというと俺はリードされたいのであってリードしたいわけでは無い、よって年下より頼れるお姉さんの方が好きって事だ。

俺はそんな事を一人で考えて深く二・三回頷くと、リアの援護にまわった

「別にいいんじゃねぇの?、デートっつったって一緒に買い物に行くとかぐらいだろ?」

第一お前らと買い物に行くよりも絶対楽そうだしな。と一言心の中で付け足しておく。

「っ……、だ、だったらダブルデートにしなさいよ!!、それだったら譲ってやらない事も無いけど!?」
何を譲るんだ、何を。

そんな事を心の中で思うが、声に出してのツッコみは控える、ここでそんな事を言ったら何をされるか分からんからな。
まぁ、とにかくそんな事より

「そのもう一組のカップルはどうすんだよ?、誰か候補でもいんのか?」

そう、そこが問題である。別に俺はダブルデートだろうとトリプルデートだろうとカルテットデートだろうと構わんのだが、いかんせん、そのカップル候補がいなければどれも成立しない。

「それでしたら彼氏役に拙者、沙織バジーナが立候補するでござる!」
「それじゃ、仕方が無いから私が沙織の彼女役に立候補してあげる!!」
「か、加奈子はクソマネの彼女役に!!」

いきなり立ち上がったと思ったら大きな声でそんな事を言い出す桐乃達。
俺はそんな皆に一言こう言ったのだった

「却下」

当たり前だ、まず第一に沙織が彼氏役で桐乃が彼女役のカップルを想像してみろ、シュール過ぎるわ。俺はそんな奴らとダブルデートするぐらいなら家に引きこもって抗議の声をご近所に向かって叫び散らしてやる。
そして第二に加奈子の意見。根本的に間違っているので却下、今回俺はあくまでリアの彼氏役なのであしからず。

と、ここまで考えたところで俺は何やら叫んでいる桐乃達に意識を集中させた。ここ最近聞きたくない話が多すぎたせいか、俺は聞きたくない話を右から左に流すスルースキルを獲得していた、感覚的に言うと本に集中し過ぎて周りの声が聞こえない感じだ。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/21(土) 00:55:58.92 ID:yHPXRsWn0
とにかく何やら騒いでいるこいつらを宥める為にも俺が知っている中で一番妥当なペアを言ってやるとしよう。

「まぁそんなに怒るなよ、別にお前らが無理してカップルのふりしなくてもこっちで何とかするからさ。赤城なんかどうだ?、結構妥当な提案だと思うが」

俺がそう言うと狙い通り騒がしさは無くなり、何やら三人で相談を始めた
仲が良かったり悪かったり、気ままな連中だねぇ。

「あ、赤城?、それって兄貴の友達だよね?」
「はい、そうでござるな。拙者の情報によると何やら重度のシスコンらしく、妹の瀬菜さんに似たラブドールを買うかどうか検討中との事でござる」
「うはぁ、何それキメェ、流石の加奈子でもそれは引くわ」
「って、今はそんな事どうでも良いのよ!!、その妹の赤城瀬菜って子は兄貴とは何も無いんでしょうね!?」
「その点は大丈夫でござろう、まぁ時々京介氏と浩平氏のいけない想像でウハウハしているみたいでござるが」
「うはww、兄妹揃って変態かよww」
「まぁとにかくその二人なら特に問題は無いでござろう」

俺がまたもやスルースキルを使い、ボーっとしていると、話が終わったのだろうか俺に話しかけてきた

「ま、まぁその二人なら問題無いんじゃない?」

当たり前だ、少なくともお前と沙織のカップルよりかは何倍も良いよ。いや、マジで。
兎にも角にもまずは浩平の野郎が行けるかどうかが問題だな。
俺は適当に「そうかよ」と返すと一応確認の為浩平に電話をかけるために携帯を取り出す

まぁこんな誘いをシスコンの浩平が断る筈も無く、返事は一瞬で返ってきて、五分も経たない内に俺は電話をきる。ちなみにデートの日時は明日の午前9時、何時もの公園だ。
携帯を閉じ、ポケットへとしまうと、俺は明日どうなるんだろうか、と考えながらすっかり覚めてしまったスパゲッティをフォークに絡めたのだった
思う事があるとすれば、嫌な予感しかしねぇ、だな。はぁ。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/21(土) 00:56:37.04 ID:yHPXRsWn0
短くても投下
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/21(土) 01:29:58.42 ID:i9A+TKm20
いつからお兄ちゃんと名前で呼ぶ関係になっていたんですか……ハァハァ///
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/21(土) 09:14:06.45 ID:yHPXRsWn0
訂正、『覚めてしまった』を『冷めてしまった』に
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/22(日) 14:18:45.21 ID:mGNj+DSAO
現実に腐女子なんているわけねーよwwwwwwww

ない…よな……?
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/24(火) 16:31:16.59 ID:Mg7FRwEx0


   ・・・・




「さて、これから一緒に生活していく訳だが、そこで注意事項がある」

昼食を食い終わり、只今自分の部屋、もとい俺の部屋に俺とリアは居る。何やら桐乃の部屋の方からガサガサとゴキブリのでかい奴が這いずり回る様な音がするがこの際無視で良いだろう。別に盗み聞きされても困る事は何一つ無いからな。

「其の一、お風呂の後に全裸で歩き回らない!」

はいこれ重要!!

「え〜と、それってタオ――」
「この家ではタオル一枚も全裸同然だ!!」

アメリカではタオル一枚で部屋の中を闊歩する奴がわんさか居るんだろうか、もしも本当にそんな世界なら是非一度は死ぬ前に言ってみたいものだ。
まぁ、それはともかく

「其の二、むやみに俺に抱きつかない!」
「またまた〜、それはキョウスケおにいちゃんも嬉しいくせに〜!!」

「嬉しいけど!!」
嬉しくない!!

―――――――しまった。つい心の声と口から出た言葉が逆になってしまった。
やっちまったぜ。

案の定、リアの奴は俺がそんなに素直に認めるとは思っていなかったのか、耳まで真っ赤にして俺の事をポカンという効果音がつきそうな目で見つめてきている。
……まずいな。俺は注意事項だけ言ってさっさと解散するつもりだったから桐乃達の盗み聞きを許していたんだが、こんな状況は想定外だ。このままだといつ桐乃達が乱入してきて俺を袋叩きにするか分かったもんじゃない

「り、リア?」

今さっきからリアの行動が危ない、完全にトリップしていらっしゃる。何故腰をクネクネと動かす?、何故頬を両手で隠している?。お前は恋にときめく女子高生か。
とりあえず正気に戻っていただこう
うん、それがいい。

「大丈夫か……?」
「うひゃい!!、け、けけ、結婚はまだ大丈夫じゃないです!!??」

………駄目だこりゃ。

そんな諦めの言葉が頭に浮かび、遠い目で窓の外を眺めていると俺が予想していた通り桐乃達が扉を壊れるんじゃないか?、と思ってしまう程勢い良く開き俺の部屋へと乱入してきた

最近よく思うんだが、ため息をしたら逃げていくっていうのは間違いだと思うんだ、俺はこう思うね、幸運が逃げようと口をこじ開ける現象をため息と言うんだ。
だからため息をして幸運が逃げていくんでは無い、幸運が逃げた後にため息は出るのさ。

って言う事で、幸運が逃げたのでさぁ、いっちょ言ってみますか
さん、はい。

「はぁぁ」

その後俺は女子三人による袋叩きにあった。
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/24(火) 18:37:22.27 ID:MjMzxQGIO
モデルとモテるをかけているのか…
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/24(火) 20:33:09.84 ID:hoYLwM0IO
電波女と青春男に影響され……?
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/05/24(火) 21:57:34.36 ID:rZEk4Em90
しえん
?の後はスペース開けて 、 は入れない方がいい
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/25(水) 12:17:08.22 ID:p8aKJ8AFo
いいラブコメだ
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/26(木) 22:40:10.88 ID:vqy8gSC80
「どう? 反省した? この変態エロ兄貴!」
「Yes」

顔にあざが残っていないかちょっと気にしつつ桐乃に意味的な選択肢が一択しか用意されていなかった返事を返す
ここで反省していないなんて答えたら今さっきのリピートの様にもう一度俺が袋叩きにされる。まぁ実際は反省するも何も俺に後ろめたい事など一つも無い訳だが、そんな常識が通用しないのは今までで充分理解しているので無駄にエネルギーを消耗するより大人しく反省しているふりをした方が身の為だ。

……ん? 何だ? 

何か用なんだろうか、なにやら加奈子の奴が俺の事を睨んでいる。というか顔が赤いんだが大丈夫なんだろうか、まぁ一応顔見知りではあるので心配なのは心配なのだ。

「第一なぁ、クソマネもロリコンならロリコンらしく可愛いツンデレ加奈子ちゃんにもっと反応しろよなぁ」

なにやら加奈子がほざいているがこの際だ、適当に返事をしとけばいいだろう。っていうか心配した俺がバカだった、バカは風邪引かないと言うではないか。
それに何がツンデレだ、お前がデレた事なんて無ぇじゃねぇか、お前なんかツンツンで充分だ。どうせ顔が赤いのも熱いとかそんな初歩的な理由に違いない。うん。

「あっははは、そうだ――――」

そこまで言って最後の『ね』を言う前に俺は加奈子に小突かれていた。
何しやがる。

「だれがツンツンだ!」
「俺口に出してなかったよね!?」

前にも思ったんだがこいつらはエスパーなんだろうか、ていうか女子という生物がエスパーなんじゃないだろうか。
加奈子だけじゃなく、桐乃にあやせにブリジットに沙織に黒猫にリア、とにかく俺の周りにいる女子という女子は全員俺の心を読んでくる傾向があるのだ。
早めに何故こいつらが心を読めるか究明しなければならないな、俺の平安のために。

「簡単よ、あんたってば顔にですぎなんだよねぇ、どうせババ抜きでも負けてばっかでしょ?」

うぐっ、何故そのことを。
言っていることは合っているのだが非常に顔が気に入らない、何だ、その得意気な顔は。止めろ。

「ていうか、そんなに怒るんだったらお前らからリアに禁則事項を説明してくれよ。このままだと何をするか分からないぞ?」
ひとまず流れの悪いこの話を切り替える。さっさと終わらして俺は寝るのだ。

それにこのまま何も話さずに俺の生活が無茶苦茶にされるのだけは勘弁だしな。

「………しょうがない、仕方ないから私達から話しといてやるわ!」
「おう、それじゃ頼むわ」

そっちの方が俺は楽なんでね。
そう心の中で付け足すと俺はベッドに寝転がろうとした。だが、俺の行動がうまくいかないのはもう自然の摂理なのか、俺の体が完全に寝る体制に入る前に桐乃によって俺は首根っこを掴まれていた

「あのぉ、何でせうか桐乃さん」
「あんたなに一人だけ寝ようとしてんのよ、話に参加はしなくてもいいから黙って見とけっての」

Yes理不尽。別に良いじゃないか寝るくらい。
桐乃への文句を心の中でぼやきながらも俺は体制を元に戻す、………仕方ない、仕方ないんだ。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/26(木) 22:47:00.55 ID:vqy8gSC80
少ないがここまでしか書けていない、すまない。
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/27(金) 00:21:36.85 ID:xBHZC/7c0
あれ?
沙織空気じゃね?
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/27(金) 14:54:22.15 ID:6ZiKX3P90
すまない、次の投下では沙織を結構目立たせてみる。
何故か俺はリアとか加奈子とかに走る傾向があるのでまたそんな事があったら言ってくれ
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/27(金) 18:21:29.47 ID:Whuid/F/o
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 加奈子!加奈子!
 ⊂彡
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/31(火) 14:56:04.28 ID:Oem5C08f0

「あっははは、すっかり尻に敷かれてるでござるなぁ? 京介氏!!」

後に「実に 愉快愉快」とつけんばかりに大爆笑する沙織。気分的には一発お見舞いしてやりたいが、そこは一応女の子なので自粛。
爪が食い込んだ手が痛い。

「うるせぇ」

手が痛かったので力を緩めるとちょっと小さめの声でそう言い返す。
事実なので否定できないのが非常に辛い。

「まぁまぁ、そう不貞腐れず、一緒に空気とかしましょうぞ!!」
「――――ごめん」
思わず謝罪してしまった。

あれ?、目からしょっぱい液体が流れてきやがる。
とりあえずこの湿った気持ちを何かで吹き飛ばしたい、お笑い番組なんかだと俺的に非常に嬉しい。

最近のテレビは一体何をやっているんだろうか、世間に疎いのも考え物である。

「なぁ、下に行っててもいいか?、テレビでも見とくからよ」
「何言ってんのよ、私は私達が真面目に話してんのにあんたが一人だけノホホンとしてるのが許せないって言ってんの!」

どんだけ心が狭いんだ。プンスカプンッ。
いや、きもかったのは自覚している。すまなかった。

「ほんと、やめてよね!、見なさいよ鳥肌たっちゃったじゃない!!」

心を読んだお前が悪い、と言ってやりたいがキモかったのは事実なので、またもや自粛。人間時には我慢も必要だ。
第一だな、我慢を忘れ『ガチャッ』たら人間終わり『ガチャッ』だと俺は思うのですよ、忘れた者の『ガチャッ』馴れの果てがこの『ガチャッ』俺の前に……って

「何なんだ!?、この礼儀知らずのスカポンタンめ!!」

ガチャガチャガチャガチャうるせぇんだよ!!、チャイムを鳴らせチャイムを!!!!。
折角俺が人生を心の中で語っていたというのに邪魔してくれやがって。

そんな怒りを込めて俺は部屋の扉を勢いよく開けた

「き、京介氏!、今玄関に行くのは危ないのでは!?」
「あぁ、うん。大丈夫。大体誰か予想ついてるから」

どうせあの誘拐会社だろう。

「で、では念の為拙者もご一緒するでござる」
怖いのだろうか、真っ青な顔で沙織は俺にそう言ってくる。

「いや、いいよ。怖いんだろう?」
そう言って俺は沙織の頭に手を乗せた。
ったく、何時もお前は心配し過ぎなんだよ。

「今回は本当に安全な奴だから心配いらねぇよ」
ちったぁ心配の加減を覚えないとお前が倒れちまうぞ?。

「で、でも、もし……もし京介さんに何かあったら!!」
素に戻ってますよ〜。

メガネかけてんのに素に戻るぐらい心配してくれてんのか?。まぁそれはありがたいんだが、今回は本当に安全なのでそこまでシリアスになられると色々反応に困るのですが。
後ろの桐乃と加奈子なんか見てみろ、心配のしの字も見つからねぇじゃねぇか。

179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/31(火) 14:56:55.97 ID:Oem5C08f0
「大丈夫大丈夫、本当に心配いらねぇって」
俺はそこまで言うと沙織の耳元に顔をよせてこう呟いたのだった

「俺が無事に戻らなかったら今度皆に内緒でクレープでも奢ってやるよ」

そう言って笑うと沙織はやっと何も言わなくなり、俺はその隙に玄関に向かったのだった。

ちなみに沙織とのやり取りの間も『ガチャッ』という音は始終鳴りっぱなしだったが、そこはあれだ、気分的に除外させてもらった。その『ガチャッ』という音は現在進行形で鳴り続けているのだが無視している。

あ〜うるさいうるさい、はいはい今出ますよ〜

「…………」

ん?、でも待てよ?、このまま開けるんじゃちょっとしょうもねぇな。
奴は今扉の取っ手をガチャガチャしているんだろ?、という事は扉のかなり近い位置に奴は居る事になる。
という事はやる事は一つしかあるまい。

「日頃の恨みも込めて全力で扉を開く」

はい決定。よし決定。
「という事で高坂京介、行きまぁあす!!」

そう小さな声で叫ぶと俺は鍵を一瞬で開けて扉を壊れそうな勢いで開いたのだった

扉の風を切る音が耳に届くと外の景色がやっと俺の目に映りだした。
おかしい、今頃本当なら手ごたえをとっくに感じている筈だ、だが俺の手にそんな感触は一切無い。扉を開く前にも俺はちゃんとガチャガチャという音をこの耳で聞いている、だからあいつは確実に扉の前に居るはずだ。

『ゴンッッ!!!』

だが居ない、いや、居なかった。
居なかったから俺は今扉に顔面を強く打ちつけ鼻血を出しながら地面を這いつくばっているのだ。

「な、何故だ…」
「あっははは、簡単ですよ。ちゃちゃちゃちゃっちゃちゃーん(ドラエ○ンが何かのアイテムを出すときの音)マジックハンド〜〜(ドヤ声)」

殺したい。

「まぁ、そんな些細な事は置いといて」
「その些細な事のせいで俺は鼻血を流してんだよ!!」
「あっははは。今日はちょっと報告に、明日リアさん達と京介さんが一緒にスポーツしているところを撮影します!」

……こいつ「あっははは」で俺の鼻血の件をスルーしやがった

「撮影地はアメリカ、明日出発です」
「はいぃいいいい!!??」

「今日この家に居る人以外は話しておいたんで。京介さんはこの家にいる方々に説明して今日のうちに用意しておいて下さいね」

一方的にそう言ってニコッと笑ったハンサムは用事は終わったと言わんばかりにあの最悪な思い出が詰まった車に乗り込んでいった

ちょ…ま…
「待てぇえええハンサムウゥウウゥゥウウウウウウウウウウ!!!!」

まぁ待つわけもなく、俺が叫んで何秒もしないうちにハンサムが乗った車の姿は見えなくなった。
車が見えなくなって暫く固まっていたが、そうしてても現状に何ら変わりは起きないのでしかたなく家の玄関を見る。
ふむ、あいつらに何て説明しよう。
とか考えている俺は最早病気なのかもしれん、近々病院の精神科にでも行ってみるとしよう。

何て事を考えながら俺は皆に今回の事を説明すべくちょっと立て付けが悪くなった気がする玄関の扉を閉めると自分の部屋に向かうべく足を動かしたのだった。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/05/31(火) 21:46:19.90 ID:Oem5C08f0
書き忘れてたが、今回はここまで
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 23:01:21.39 ID:dUFomFneP
おつ
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/03(金) 15:10:29.85 ID:TyyaJg2o0
時は現在、場所は自分の部屋。俺は

「俺、アメリカに行く事になりました」

そうニコやかに皆に告げていた。反応は予想通り、皆ポカンと呆けてアホ面を晒している。こうなったらいくらモデルになれるくらい綺麗な顔でも許容値を超える時があるのはいたしかたあるまい、佐織なんか特にメガネ着用時の時にそんな顔をしたら軽く許容値を超えてしまうのは必然だろう。

ほら、そのだらしなく開いたお口を閉じなさい。そう言いたい。言えない。

「そ、それでだな、その…、皆も連れて来るようにと言われたんだが……どうする?」
仕方なく規定事項だけ口にした

断ってくれ、これ以上人数が増えたら俺の精神が崩壊する危険性が80%を超えてしまう。
そう切に願うが、悲しきかな、やはり俺の願いは叶う事無かった

「「「行く!!」」」

そう元気良く声を揃えて言われたのだから。今現在、俺の精神崩壊率、90%強。
俺の精神が崩壊するのは最早決定事項と言っていいだろう。


さて、俺の精神崩壊率を確認したところで、どうせだから今回の参加メンバーも確認しておこう。うん、説明もふまえて。



一人目、リア・ハグリィ(Ria Hagry)


桐乃のライバル 兼 妹。
多分、今回のアメリカ行きにはこいつがかなり関与してくると思われる。
まぁ、その、なんだ。アメリカでこいつの悩みを解決できるのならばしてやりたいと思っている。
ちなみに俺の事は兄貴的な意味で好いてくれていると思われる。


二人目、高坂桐乃

俺の妹。
そして最近、俺を嫌っていくスピードが半端無く速いと思う、最近なんかだと俺が何気なくリビングに入っただけで殴られる事件が多発している。
多分この事件が原因だろうと思われる、この前俺のパンツが無くなっていく事件が発生した時、俺が「何か知らねぇ?」と桐乃に聞いたら顔を真っ赤にして「し、知らないに決まってんじゃん!!!」とキレてどっかに行ってしまった事があるのだ。今では俺も反省している。自粛。


三人目、黒猫(五更瑠璃)

桐乃の裏の友達
黒猫は俺とのイベント数が多分一番多い。キ、キスもした事あるしな。
だが最近、俺が何かしたのだろうか、前にも増して俺を嫌っている気がする。俺が載っている雑誌を氷点下の眼差しで見て「この雑誌のせいで先輩が調子に…」とか呟いていたぐらいだ。黒猫の俺にたいする好感度は上空から急激に落下して今頃地面を掘り進んでいるに違いない。


四人目、沙織・バジーナ(槇島沙織)

桐乃の裏の友達。
数年代前のオタク格好、ござる口調、メガネを取ると美少女。などなど色々時代が遅れている気がする俺の友達である。
だが格好はともかくとても気が利き、助けてくれた回数は数え切れない。それと言い忘れていたが沙織はメガネを取ると性格まで変わり本物のお嬢様になるのだ。


五人目、田村麻奈実

俺の幼馴染。性格がノホホンとしていてどうしてもおバアちゃんっぽく感じてしまう。
擬音を口にするという変な性質をしているが、特に個性は無く俺が一番気を緩めて話せるのは麻奈実だろう。
う〜む、本当はこんな事を言いたくは無いが今までやってきているので好感度の話をしよう。好感度は、高い?だろう。多分、まぁそこらへんの奴よりかは確実に仲が良い事を断言できる。
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/03(金) 15:12:00.59 ID:TyyaJg2o0


六人目、新垣あやせ

桐乃の表の友達 兼 俺のラブリーエンジェル。
上記で分かると思うが容姿がまるで天使の様に美しい。だが美しい花には棘がある、と言う様にあやせも棘があるのだ。とてつもなくでかいのが。俺は何回も罵られ通報されかけ殴られ殺されかけているのだから。
ちなみに好感度は上記同様無いに等しい、ていうか確実に嫌われている。


七人目、来栖加奈子

糞ガキ、以上。と言いたいが色々因縁があるのは事実なので説明。
初対面から印象が少しも変わらないこいつ、だが仕事の方は天才じゃないのかと思う事が多々ある、ちょっとみただけで踊りの歌をマスターしたりした時は素直に驚いてしまった。
……それと最近分かったのだがこいつは俺以外には意外と優しいらしい、話によるとブリジットには特に甘いとの事だ。この情報からして分かると思うがこいつもあやせ達と同じく俺の事を嫌っていると思われる。


八人目、ブリジット・エヴァンス(Bridget Evans)

ブリジットちゃんは最近意外な面を見せ続ける傾向がある、椅子を鉄くずと化したりした時は冷や汗が止まらなかったのをまるで昨日の様に記憶している
結構懐かれている自信はあったのだがこの前のメルルイベントを俺のせいで行けなくなってから何かと嫌われている気がするのは気のせいではあるまい。
好感度は今急降下中で最早嫌いの域に入っているので大嫌いにシフトするのにそんなに時間はかからないだろうと思われる。




以上が今回の参加メンバーだと思われる、多分。
何故多分かと言うとハンサムの野郎がどういう思考で人選をしているか分からないからである、まさか本当に俺の知り合い全員を誘ったりはしていないと信じたい。

ただでさえ八人もいるのだ、これ以上増えるなら俺の手におえる事態ではなくなるのは自明の理なのである。

「で、まだ聞いていないのでござるが出発は何時なのでござろうか?」

沙織が首を傾げて聞いてくる、メガネ着用時だがちょっと可愛い。

「?、京介氏? 聞いているでござるか?」

っおうっ、そうだった、俺としたことが大事な事を話し忘れていたらしい
早くしらせないと間に合わなくなるところだった、さすが沙織だな。

「あぁ、出発時は明日だってよ」
「「「あ、明日!?」」」

いきなり大声を出して騒ぎ出す桐乃達。ん?、何でそんなに焦ってんだ?。別に着替えとか歯ブラシとか適当に持ってけばいいだけだろう?

「お、お前なぁ!!、加奈子達はお前と違って時間かかんだよ!、化粧とかもいるし、下着とか服とかもじっくり選びたいの!!」

加奈子が他の皆がリアを起こしている間俺に何か説明(叫んで)してくるが結局何も分からなかった。だってそんなの一時間あったら楽勝で出来るじゃんねぇ?。
俺がそんな事を思っていると俺に説明は無理だと断念したのか、皆は俺に一発くれると早足で俺の部屋から立ち去った。

意味が分からん。俺は間違った事は言ってない……筈だよなぁ?。本当にこれだから女子は、未知過ぎるだろ。
今度のアメリカではこれが八人になるんだぜ?、本当、ぞっとしないね。

そんな事を考えて、俺は痛む頭を撫でながら一際大きなため息を漏らしたのだった。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/03(金) 15:15:45.61 ID:TyyaJg2o0
ここまで。

やる気起きない。コメくれ。
それと誰に絡んで欲しいかもついでに書いてくれ、これだけの人数を一遍に相手するssを書くのは無理だから別々に絡んでいく事にする。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/03(金) 15:19:48.30 ID:rejqwbmGo
ラブリーエンジェルあやせに1票だ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/06/03(金) 15:29:44.32 ID:h3leGWONo
黒猫とあやせみたいな水と油みたいな組み合わせが見てみたい
あとデレデレの加奈子とか
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[sage]:2011/06/03(金) 15:39:49.00 ID:x22dgTefo
無理して全員一緒に絡ませろ
大丈夫、おまえなら出来る
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 16:40:05.76 ID:ltf9xJ6to
全員が無理なら加奈子だ加奈子
加奈子さえいれば一週間は戦える

それはともかく、地味子と加奈子って案外気が合いそうじゃね?
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/03(金) 18:18:12.90 ID:L2JxHzFg0
せっかくこんなにいるんだから3Pくらいはいけるだろ?
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 18:22:23.13 ID:tW75X7eao
お前ならハーレムも出来るって頑張れ
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/06/03(金) 22:14:29.10 ID:8DrneebJ0
あやせたんを書いてくれ!
くださいOTL
お願い...
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 08:43:39.21 ID:r6hrCcMq0
ここは変態紳士の社交場か?
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/04(土) 23:59:47.73 ID:WIwHTU1h0






・・・・







「は〜い、皆さん書けましたか?」

俺が名前を最後に書き込むと皆が血眼でハンサムにむかって頷いた。どうしてこうなった。と、俺は問いたい。
事の始まりは朝、俺達が7時に空港に着いた時に始まった

俺は別に何もしていない、今回もハンサム兼マネージャーの一言によって始まってしまったのだ。




『皆さんは今回専用機で移動してもらいます、さて、ここで問題になるのは席順ですね。ちなみにリアさんが京介さんの隣なのは決定事項です』最後の口調がハートがつきそうな感じなのを是非とも止めていただきたい
そして何故席順が問題になるのか小一時間程問いただしたい。そんなので喧嘩するのなんか小学生までだろう。

「あ、兄貴!、やっぱり妹の私が隣の方が落ち着くでしょ!?、こ、ここ、今回だけ隣になってあげてもいいよ!?」
行き成り俺に飛び掛ってくる桐乃。どうやら席順で喧嘩するのはこいつらも一緒らしい。
それと、やめろ桐乃、服の袖を引っ張るんじゃない。
伸びるだろうが。

「っな!、桐乃ずっけぇぞ!!、クソマネ!加奈子んとこ来るよな!?」
抱きつくなぁ!!?
当たってるのがちっぱいだとしても柔らかいのは柔らかいし、一応女の子の匂いもするので俺の顔が熱くなるのは致し方無いに違いない。違いないんだ。決して俺がロリコンという訳ではない。

……加奈子は恥ずかしく無いのだろうか。
うん、やっぱり恥ずかしいらしい。今頃になって加奈子は顔を赤くして俺と自分の胸の距離を離そうとモゾモゾと体を動かしているのだから
か、可愛い………。
?、いや、待てよ俺、相手はあの加奈子だぞ?、あの煙草を吸ったり口が悪いあの加奈子だぞ?
「可愛いとか思ってないからな!?」
ひとまず否定しておこう。
「い、いきなりどうしたんだよ、クソマネ」
「いや、何でもなイヨ?」

ま、まぁとにかくこれ以上いらん事を考えないように話題を変えよう。うん。今の加奈子はやばすぎる。

そう考えて頭を振って邪念を振り払うと改めて今の現状を振り返る、すると一つの事実が見えてきた
こいつら、まるで反発しあう磁石みたいだ。
今回の事も桐乃が俺の隣に座ろうとしたら皆が邪魔をしようと口々に俺の隣が良いみたいな事を言い出しているし。
ふむ、そんなに桐乃の思い通りになるのが気に入らないのだろうか?、ていうかその反発に俺を巻き込むのを是非とも止めていただきたい。うん。
結論はやっぱりそこなのだ。

そんな事を思ってうんうんと一人頷いていると、今度はあやせが何か言い出した。もう勘弁してくれ。
「お、お兄さんは何時変態的な行動をするか分からないので私が隣で見張っておきます!!」
そう言って桐乃とは反対の袖を掴むあやせ。ん〜、シャンプーの香りがかぐわしい。

っじゃねぇ!!、何でだ、何でそんなに俺に引っ付く!?、お前らは本当に磁石で体が出来ているのか!?
反発ばっかし過ぎなんだよ!、たまには仲良く引っ付けや!!

「出来れば拙者も京介氏の隣が良いでござるなぁ」
そう言って何やら意味ありげにこちらを見てくる沙織。
そんな期待の篭った目で俺を見つめても無理だ。この事に限らず俺の事なのに俺に決定権は無いからな。だから俺に期待しても無駄だ、諦めろ。

「むっふぅ!、リアはもう隣決定してルもんね!!」
そう言って俺の横っ腹に抱き付いて(突進して?)くるリア。
これ以上俺の負担を増やすのを止めていただきたい。

猿かお前らは、俺は木じゃないんだぞ?。
そんな疑問を抱かずにはいられない、嬉しいのか嬉しくないのか分からない微妙な異常事態だな。
まぁ一人は俺の事をただ見ている奴がいるみたいだが、それも止めて欲しいと思うのは致し方あるまい。

「わ、わわ、私もその奴隷の隣に立候補してもいいかしら?」
なにやら頭から湯気を出しながら黒猫が聞いてくる。ちなみに俺にではない。
誰に聞いているかは不明だ。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/05(日) 00:00:38.48 ID:4hxqSpYM0






・・・・







「は〜い、皆さん書けましたか?」

俺が名前を最後に書き込むと皆が血眼でハンサムにむかって頷いた。どうしてこうなった。と、俺は問いたい。
事の始まりは朝、俺達が7時に空港に着いた時に始まった

俺は別に何もしていない、今回もハンサム兼マネージャーの一言によって始まってしまったのだ。




『皆さんは今回専用機で移動してもらいます、さて、ここで問題になるのは席順ですね。ちなみにリアさんが京介さんの隣なのは決定事項です』最後の口調がハートがつきそうな感じなのを是非とも止めていただきたい
そして何故席順が問題になるのか小一時間程問いただしたい。そんなので喧嘩するのなんか小学生までだろう。

「あ、兄貴!、やっぱり妹の私が隣の方が落ち着くでしょ!?、こ、ここ、今回だけ隣になってあげてもいいよ!?」
行き成り俺に飛び掛ってくる桐乃。どうやら席順で喧嘩するのはこいつらも一緒らしい。
それと、やめろ桐乃、服の袖を引っ張るんじゃない。
伸びるだろうが。

「っな!、桐乃ずっけぇぞ!!、クソマネ!加奈子んとこ来るよな!?」
抱きつくなぁ!!?
当たってるのがちっぱいだとしても柔らかいのは柔らかいし、一応女の子の匂いもするので俺の顔が熱くなるのは致し方無いに違いない。違いないんだ。決して俺がロリコンという訳ではない。

……加奈子は恥ずかしく無いのだろうか。
うん、やっぱり恥ずかしいらしい。今頃になって加奈子は顔を赤くして俺と自分の胸の距離を離そうとモゾモゾと体を動かしているのだから
か、可愛い………。
?、いや、待てよ俺、相手はあの加奈子だぞ?、あの煙草を吸ったり口が悪いあの加奈子だぞ?
「可愛いとか思ってないからな!?」
ひとまず否定しておこう。
「い、いきなりどうしたんだよ、クソマネ」
「いや、何でもなイヨ?」

ま、まぁとにかくこれ以上いらん事を考えないように話題を変えよう。うん。今の加奈子はやばすぎる。

そう考えて頭を振って邪念を振り払うと改めて今の現状を振り返る、すると一つの事実が見えてきた
こいつら、まるで反発しあう磁石みたいだ。
今回の事も桐乃が俺の隣に座ろうとしたら皆が邪魔をしようと口々に俺の隣が良いみたいな事を言い出しているし。
ふむ、そんなに桐乃の思い通りになるのが気に入らないのだろうか?、ていうかその反発に俺を巻き込むのを是非とも止めていただきたい。うん。
結論はやっぱりそこなのだ。

そんな事を思ってうんうんと一人頷いていると、今度はあやせが何か言い出した。もう勘弁してくれ。
「お、お兄さんは何時変態的な行動をするか分からないので私が隣で見張っておきます!!」
そう言って桐乃とは反対の袖を掴むあやせ。ん〜、シャンプーの香りがかぐわしい。

っじゃねぇ!!、何でだ、何でそんなに俺に引っ付く!?、お前らは本当に磁石で体が出来ているのか!?
反発ばっかし過ぎなんだよ!、たまには仲良く引っ付けや!!

「出来れば拙者も京介氏の隣が良いでござるなぁ」
そう言って何やら意味ありげにこちらを見てくる沙織。
そんな期待の篭った目で俺を見つめても無理だ。この事に限らず俺の事なのに俺に決定権は無いからな。だから俺に期待しても無駄だ、諦めろ。

「むっふぅ!、リアはもう隣決定してルもんね!!」
そう言って俺の横っ腹に抱き付いて(突進して?)くるリア。
これ以上俺の負担を増やすのを止めていただきたい。

猿かお前らは、俺は木じゃないんだぞ?。
そんな疑問を抱かずにはいられない、嬉しいのか嬉しくないのか分からない微妙な異常事態だな。
まぁ一人は俺の事をただ見ている奴がいるみたいだが、それも止めて欲しいと思うのは致し方あるまい。

「わ、わわ、私もその奴隷の隣に立候補してもいいかしら?」
なにやら頭から湯気を出しながら黒猫が聞いてくる。ちなみに俺にではない。
誰に聞いているかは不明だ。
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/05(日) 00:03:08.10 ID:4hxqSpYM0

「き、京ちゃん!!、私も隣がいいよ〜!!」
やめろ、そんな潤んだ目で俺を見るんじゃない。何か罪悪感が沸いてきちまうだろうが。
俺は慌てて目を逸らすと自分の体の現状を改めて見てみた
ここまでで俺の体積に納まりきらない程の人数が俺に抱きついてきている。俺の体から何か特殊なガスが出てきていると言われても今なら納得できる気がする。
だが七人、まだ七人なのだ。そう、あと一人残っているのだ。
でもここまでで俺の体はほとんど占領されてしまっている、取り付く所がまだあるのだろうか。
諦めてくれたらあり難いのだが。

ていうかわざわざくっ付く意味が全く分からない。
お前らは子泣き爺かと問いたい。問えないがな。

……?、何だ今さっきの感覚は。一瞬背中から痛みが走ったんだが
って痛っ!?、え、何?、何かが俺の背中をよじ登ってる!?、異常に痛いんだが!?

俺の予想が正しければこのよじ登っているやつは靴のまま足に力を入れまくっているんだろう。
ふっ、痛さで大体予想がつくのさっ。

「ふふ、マネージャーさんの特等席ゲットです!!」

俺の首に座りながら、…まぁ簡単に言えば肩車の状態でそう叫んだのは言うまでも無いだろうがブリジットちゃんである
あの背中の痛みはよじ登って行く時に発生したのだろう。背中に抱き付いていた黒猫は大丈夫なんだろうか、ちょっと気になる。

とにかく、はい、今俺の体に八人の女の子が抱きついています。そう頭の中で纏めて自嘲気味に笑う俺。
もうどうにでもな〜れ〜。

さて、訳が分からなくなってきている皆の為に今の状態を簡単に纏めてみようと思う。

妹、桐乃!。ポジションは右腕!

ヤンデレ、あやせ!。ポジションは左腕!

幼馴染、麻奈実!。ポジションは背中!

ロリ、加奈子!。ポジションは胸!

ロリ2、ブリジット!。ポジションは肩車!

ロリ3、リア!。ポジションは右腹!

邪気眼、黒猫!。ポジションは左腹!

ヲタク、沙織!。ポジションは……視線?



うん…まぁこんな感じかな?、我ながら何で倒れないかが不思議だ。
確かに普通の人から見てウハウハな状態なのかも知れないが、今の俺の現状は例えると反発し合う磁石の中に鉄の塊がポツンと棒立ち状態なのだ。そりゃくっ付くっつ〜の。
何が言いたいかというと俺の現状は決してハーレムではないという事だ。嫌われてるしな。

そんな状態の俺達を見かねたのか、ハンサムはやっと俺達を止めるために口を開いた。
「さて、皆さん。そんなに京介さんの隣が良いならここは公平にクジで決めようじゃないですか」

そんなのがあるなら最初から出せやこの野郎、と思わない事も無かったがここは何も言わずに自粛。わざわざ現状をややこしくして自分の首を絞める事もあるまい。
まぁ、とにかくそんなこんなで俺達はクジの名前欄に名前を書き込んでいって。


それで現在、冒頭に至るのだった。
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/05(日) 00:04:29.28 ID:4hxqSpYM0

「き、京ちゃん!!、私も隣がいいよ〜!!」
やめろ、そんな潤んだ目で俺を見るんじゃない。何か罪悪感が沸いてきちまうだろうが。
俺は慌てて目を逸らすと自分の体の現状を改めて見てみた
ここまでで俺の体積に納まりきらない程の人数が俺に抱きついてきている。俺の体から何か特殊なガスが出てきていると言われても今なら納得できる気がする。
だが七人、まだ七人なのだ。そう、あと一人残っているのだ。
でもここまでで俺の体はほとんど占領されてしまっている、取り付く所がまだあるのだろうか。
諦めてくれたらあり難いのだが。

ていうかわざわざくっ付く意味が全く分からない。
お前らは子泣き爺かと問いたい。問えないがな。

……?、何だ今さっきの感覚は。一瞬背中から痛みが走ったんだが
って痛っ!?、え、何?、何かが俺の背中をよじ登ってる!?、異常に痛いんだが!?

俺の予想が正しければこのよじ登っているやつは靴のまま足に力を入れまくっているんだろう。
ふっ、痛さで大体予想がつくのさっ。

「ふふ、マネージャーさんの特等席ゲットです!!」

俺の首に座りながら、…まぁ簡単に言えば肩車の状態でそう叫んだのは言うまでも無いだろうがブリジットちゃんである
あの背中の痛みはよじ登って行く時に発生したのだろう。背中に抱き付いていた黒猫は大丈夫なんだろうか、ちょっと気になる。

とにかく、はい、今俺の体に八人の女の子が抱きついています。そう頭の中で纏めて自嘲気味に笑う俺。
もうどうにでもな〜れ〜。

さて、訳が分からなくなってきている皆の為に今の状態を簡単に纏めてみようと思う。

妹、桐乃!。ポジションは右腕!

ヤンデレ、あやせ!。ポジションは左腕!

幼馴染、麻奈実!。ポジションは背中!

ロリ、加奈子!。ポジションは胸!

ロリ2、ブリジット!。ポジションは肩車!

ロリ3、リア!。ポジションは右腹!

邪気眼、黒猫!。ポジションは左腹!

ヲタク、沙織!。ポジションは……視線?



うん…まぁこんな感じかな?、我ながら何で倒れないかが不思議だ。
確かに普通の人から見てウハウハな状態なのかも知れないが、今の俺の現状は例えると反発し合う磁石の中に鉄の塊がポツンと棒立ち状態なのだ。そりゃくっ付くっつ〜の。
何が言いたいかというと俺の現状は決してハーレムではないという事だ。嫌われてるしな。

そんな状態の俺達を見かねたのか、ハンサムはやっと俺達を止めるために口を開いた。
「さて、皆さん。そんなに京介さんの隣が良いならここは公平にクジで決めようじゃないですか」

そんなのがあるなら最初から出せやこの野郎、と思わない事も無かったがここは何も言わずに自粛。わざわざ現状をややこしくして自分の首を絞める事もあるまい。
まぁ、とにかくそんなこんなで俺達はクジの名前欄に名前を書き込んでいって。


それで現在、冒頭に至るのだった。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/05(日) 00:06:54.43 ID:4hxqSpYM0
ハーレムってこんな感じか?、今までと全く変わっていない気がする。
まぁ加奈子の支持が多かったからちょっと加奈子に気合を入れて見たりしてみたりした。

コメくれ。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/06/05(日) 00:24:33.68 ID:MwAIFWEAO
いやー、前から加奈子は気合い入ってた気がするけど?
出番けっこう偏ってたしね、いいぞもっとやれ。GJ

多人数を絞るなら、くじ引きのほか椅子取りゲーム式もありかと思う。
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/06/05(日) 00:25:10.39 ID:MwAIFWEAO
いやー、前から加奈子は気合い入ってた気がするけど?
出番けっこう偏ってたしね、いいぞもっとやれ。GJ

多人数を絞るなら、くじ引きのほか椅子取りゲーム式もありかと思う。
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/06/05(日) 00:51:58.72 ID:1cem4DcSo
ブリジットが上ってくるときに黒猫の心配してるけど、背中に抱きついてるのは黒猫じゃなくて麻奈実だよね?
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/05(日) 00:58:16.29 ID:4hxqSpYM0
すまん、その通りだ。俺も書いている途中で多分こんがらがったんだ(言い訳)。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/06(月) 08:44:22.36 ID:8KCBol4IO

だが最後は作者の痛い気な一言のせいで皆がコメしにくいという状況に陥ってしまっているな(; ̄ェ ̄)
南無
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/07(火) 13:54:30.61 ID:1b5bdsWko
加奈子!加奈子!
ブリジット!ブリジット!
あやせ!あやせ!
黒猫!黒猫!
リア!リア!
沙織!沙織!

ふぅ……
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/08(水) 01:16:17.17 ID:Ei7SJAvW0
「ジャカジャカジャカジャカ」

空港の人混みの中で異彩を放つこの声のせいで周りの視線が物理的質量を伴って俺につきささってきている気がする。
でも俺が何を言っても止める事が出来ないのは今までのやり取りの中で学んでいるので俺はできるだけ自分の存在感を消すように肩を狭くしてこの声が止むのを待っている

30分経過し……たと思える5分が経ち、やっとハンサムの声が止む気配を発しはじめた

「ジャジャン!!」

よし!、オワッタァ!!
俺は肩を狭くしながら小さくガッツポーズをする

「パラパラパラパラ」
「もういいわぁああああ!!、早く結果を言えやコラ!!」

思わず熱狂的なツッコミをしてしまう。
そのせいで俺の存在は結果としてハンサム達よりも目立ってしまい俺の今までの肩をせまくする行為は無駄になり、地球の栄養となるために循環する事もなく空気に溶け込み消えていった。

「も、もういいから早く結果言って出発した方がいいって!」

桐乃も羞恥に耐えているのだろうか、頬が赤み掛かっている。
周りを見てみると桐乃だけでは無い、皆頬が赤い。恥ずかしいと思っていたのは俺だけでは無かった様だ。
良かった、俺はもうこいつらは常人には分からない領域に達してしまっていると思っていたらから、恥ずかしいという感情も無くなってしまっていると思っていたがどうやらそうでは無いらしい、こいつらも一応常識人としての知性はまだ残っているようだ。

そう思って俺が安心の笑みを浮かべると、若干頬の赤みが増した気がする桐乃たちが目を逸らすようにハンサムに向き直った。どうしたのだろうか。
ちょっと気にしつつ俺もハンサムに向き直る、視線に早くしろという意思を込めて。

「ふぅ、分かりましたよ。それでは結果を発表します」

そう言って肩を竦めるハンサム。
さすがに俺の血走った目を見ると、何を言わんとするか理解したんだろう

「ジャカジャカジャカジャカ」
『「それはもういいから」』

全員の声がハモりハンサムの声を妨害する。
どんだけ言いたいんだ、それ。

思わず呆れる俺。
そんな俺達を見て初めて残念そうな顔をしたハンサムは今度こそ簡単に席順を発表して下さった。

「それでは発表します、席順は

  空席   空席   空席

  空席   空席   空席

  桐乃  ブリジット 麻奈実

  リア   京介   加奈子

  沙織   黒猫   あやせ

  空席   空席   空席


です」

「いやったあぁあ!!」

何がそんなに嬉しいのか加奈子は本当に飛び上がり喜びを全身で表現し始めた。
周りの桐乃達はリア以外羨ましそうに加奈子の事をハンカチを噛みそうな勢いで見詰めている。

まぁこの状況で俺が皆に話しかけるとどうなるか分からないので、とりあえず見送って無視モードに移行する事にした。

「席が決まったんだ、早く移動しようぜ?」

俺はこの台詞をハンサムに言ったつもりだったんだが、桐乃達にはそう聞こえなかったらしく「分かってるっつの」という桐乃の言葉を皮切りに皆移動をし始めた。ちなみにリアと加奈子は「うん!!」「おう!!」と何故か喜色満面で返事をしてきた。
そんなに桐乃達と競って勝ったのが嬉しいのだろうか。その年からそんなに底意地悪いなんてお兄さん困っちゃう。
あぁ、そういえば加奈子はあんななりでも桐乃と同い年なんだっけ?。


なんて下らない事を考えながら俺は自分の席に乗り込みシートベルトを着用した
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/08(水) 01:17:09.35 ID:Ei7SJAvW0
短くても投下
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/08(水) 07:20:16.30 ID:6h5ZMjl0P
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/08(水) 07:25:29.28 ID:VZr5hG7l0
この席割り……



この>>1できるッッッ
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/08(水) 08:56:14.24 ID:hOL9p6oIO
前後左右をロリ系で固めたか
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2011/06/08(水) 21:53:28.29 ID:zrrtSfZqo
 乙。毎度短いけどもきちんと続いてくれているようで何よりです。

>>195
> 背中に抱き付いていた黒猫は大丈夫なんだろうか
> 邪気眼、黒猫!。ポジションは左腹!
 矛盾してない?
 あと、京介的にあやせには嫌われている認識なのに、ヤン“デレ”って表現するのは変な気が……。

 しかし段々みんな暴力的手段に訴えるのが普通になってきているのが気になるなぁ。
 原作でも暴力的な行為に及ぶのは、桐乃、あやせくらい? いやあやせは暴力までは振るってないか。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/08(水) 22:29:25.59 ID:yx96ufx/o
ポジションボテ腹に見えた
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/06/09(木) 02:06:09.60 ID:GQwlkaZio
>>209
>>200-201
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/09(木) 04:59:32.17 ID:6oROAnHy0
さぁ、もうすぐ離陸だ。

本当だったら今頃、俺はリアと家でノンビリしたりダブルデートもどきをしている筈だった、何故こうなったと思っている方も多いだろう。俺もそう思う。
だが今更そんな事を気にしていても始まらない。
え?、赤城達(笑)の事も忘れてる?、それも上記同様気にする必要はない。
何故なら現実の時は今も動き続け今正に俺達を空へ飛び立たせようとしているからだ。

車輪が回りだした感覚が体を駆け巡る、どうやらもう走り出したらしい。これをもって脱出は不可能となった。
今度はちょっとした重力が圧し掛かってくる感覚が体を巡る、俺達が乗る飛行船『運命』(今命名)はいよいよ空へと駆り出たらしい

出発進こ〜〜う

そんなやる気の無い心の声が俺の中を這いずり回って行った。



離陸してやく30分ぐらい経った気がする現在、俺はまたもやハンサムの策略に嵌った事に気がついていた
これは正当に決まった座席では無い。
考えてみると最初からおかしかったのだ、なんで俺が都合よく中心に来ているんだ?

「おうクソマネ、これ食ってみろよ、意外といけんぞ?」

そう言って何やら棒状のジャガリコらしき物体をキラッキラッした目をして俺の顔に近づけてくる加奈子。ひとまず無視。
この鬱憤を心の中の嫌味で発散しなければとてもじゃないが相手をする気分にはなれないのである。

だが続いて沙織までもが俺にコンタクトを計ってきた

「京介氏!、暇なんでしたら一緒にガンプラでもどうでござるか?」

………うん……まぁ、わかってたけどね?。俺がいくら気分じゃなくても俺が中心に居る以上こいつらのちょっかいから逃れる事は出来ないと。
この現状を例えると虫の群れの中心に蜂蜜を塗りたくった木が一本、まるで無防備に突っ立っている様なものだ。

「はあぁ」

二酸化炭素がどうやって酸素になって返ってくるかも知らないで俺は大量の二酸化炭素をため息という形で吐き出す

離陸時から俺の肩身の狭さと、俺への悪戯の酷さっていったらそれはもう凄いものだった。離陸して5分経った頃に態勢を楽にしようと肘掛に肘を乗せようとしたら最早全部埋まっていて、俺の手は行く当てが無くなり膝の上へと滑り込み
もうちょっと深く座ろうとシートに体を沈めようとしたら前を加奈子の足が我が物顔で占領していたのでそれも叶わず背筋を伸ばす。その結果、俺の体制は背筋をピシっと伸ばして手は膝の上、まるで卒業式の時の体制の様になってしまっている。校歌が聞こえてきそうだ。

それに加えて前後左右斜めからの一斉ちょっかい、これのせいで精神までもが肩身をせまくしてしまっている。
これではトラの檻の中に生肉を放置していくのとなんら変わりないのではないだろうか。

おい、こら、ジャガリコで俺の頬を突っつくんじゃない。やめろ加奈子。

俺が加奈子の攻撃を止めさせるべくジャガリコをへし折ろうとしていると、気にしていなかった反対の斜め前から攻撃を受けた

「ア痛ァアア!!」

思わず絶叫。
そのくらい痛かったのだ。

……沙織よ、お前もなのか。お前だけは俺と同じく常識人だと信じていたのに。
今回ではお前が一番性質悪いぞ?、なんでザクの頭のツノっぽいものを俺の頬に向けたんだ。最低でももっと丸っこい物にしてくれよ。

そんな事を考えながらも俺は仕返しとして沙織からザクヘッドを奪い取りツノをへし折った。ザクよ、安らかに眠れ。

「何をするでござるかぁああ!!??」

俺はそんな沙織の叫びを無視すると今度は後ろからの攻撃の武器であるチョコポッキーをへし折る。チョコで顔がベタベタする。
ちなみに加奈子のジャガリコは沙織のザクヘッドと共に葬った。

ポッキーをへし折った際に手についたチョコをふき取っていると、今度は前から声が掛かってきた。
もういい加減にしてほしかとです。

「せ、先輩、こ、小腹がすいたならこんなのはいかがかしら」

ん?、今度はどんな攻撃を仕掛けてくる気だ?
何て事を考えながら顔を上げたため、思わず目の前にあるお握りを見て目をまん丸にしてしまう俺。

これを、黒猫が俺に?

「い、いらなかったかしら」
ちょっと不安そうに眉をハの字にしながら聞いてくる黒猫

213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/09(木) 05:00:01.78 ID:6oROAnHy0
「いやいや、いるって!!」
俺はそう言うと思わず緩んでしまう頬を隠しながらお握りを受けとった。

いつ食べよう?、今すぐ食べた方がいいか?

何て事を考える程女の子手作りのご飯は特別なのだ。
久々に女の子に対して可愛いと思えた気がする。思えば今までよく心が折れなかったなぁと思える苦行を数え切れない程味わってきているのだ、やっと、ちょっとしたお返しが神様から帰ってきたんだろう

そんな事を考えて、気が緩むといつ涙が溢れるか分からない状況になりながら俺はやっとこさ笑顔を作って黒猫にお礼を言う
「ありがとな、黒猫」

ちょっと鼻声になっていた気がして後味が悪いが、なんとか言えたのでまぁ良しとする。

「ふ、ふんっっ!、ありがたく食べるがいいわ!!」

俺のお礼にたいして黒猫はリンゴ顔負けの真っ赤さでそんなありがたい言葉を下さった。
照れているのが丸分かりである。

ちょっと微笑ましく黒猫がボスンッという効果音と共に座るところを見届けると俺は後で餓死寸前に食べようと鞄にお握りをしまい込み、小説でも読もうかと入れた場所を適当に手で探る
何分か探すが見つかる気配がない。
あれ?、おっかしいなぁ、確かここらへんに入れてた筈なんだが。なんて事を思いながら若干顔をしかめていると横からジャガリコらしき物体が二・三本俺の目の前に差し出された。
なんだ?、くれるのだろうか。
何て疑問に思いジャガリコを呆然と見ていると反対からもお弁当箱がさしだされてきた、いや、お弁当の残りと言った方が良さそうだ。トマトらしき物体とピーマンしかそのお弁当箱には入っていなかったのだから。

「なに?、くれるのか?」

ひとまず質問しておこう、これで無断で食べて何か言われても困るしな。
俺の質問にまず反応したのは加奈子の方だった。
加奈子はただ簡潔に「ん」と頷くと「やる」と言って俺とは反対の方向に視線を向けた。
まぁくれると言うんだったら貰うが一体どうしたんだろうか。やけに優しいが。

ちょっと加奈子を心配していると、リアも便乗するように俺に言葉を発してくる

「私のもあげるね」
「自分で食べなさい」

即座に言い返すと俺はリアにお弁当を押し返した、口にジャガリコをくわえながら
うん、結構いける。

「ん、結構いけるな、サンキュー加奈子。ところでこれって何味なんだ?」

たまにはこっちから話題をふるか、と思って適当に話しかけてみる
加奈子は肩をピクッと震わせると俺の方に改めて向き直り話し始めた。

「明太子味。結構うまかっただろ?」

どうやら今は機嫌が良さそうだ、良かった。何でか俺が黒猫と話していると不機嫌になっていた加奈子だが、何とか本調子を取り戻したらしい。
それどころか雰囲気から分かるくらい今の加奈子は喜色ばんでいる。
何がそんなに嬉しいのか、満面の笑みで「ニシシ」と笑い声をあげているのだ。
変な奴だな。と思う
だがそんな頬を赤くして笑っている加奈子を見て可愛いと思ってしまったのも事実として俺の中に存在していた。

俺は頬をポリポリと人差し指で掻きながら「ああ、結構うまかった」と言って目を逸らした。

こいつらが俺の事を嫌っているという考えを改めないといけないのかも知れない。
だってそうだろ?もし俺があいつらの立場になってみろ
それで俺に好意を素直に表せと言われても絶対に「出来ない」と言い切れる自信がある。

もしかして俺はこいつらにちょっとは好かれているのかも知れない、好いてくれているから俺にちょっかいをだしてきて、好いてくれているから自分なりの好意表現としてちょっと意地悪をしてしまう。
そんな感じなのかもしれない。もしそうじゃなくても俺は今後、この考えでこいつらと接してみるとしよう
そうすれば何かが変わるのかも知れない。
気分的にも楽だしな。

そう考えてちょっと俺は自虐的に笑ってみる、ふむ、頑張れ俺。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/09(木) 05:08:10.04 ID:6oROAnHy0
今回は結構気合を入れて投下。

下記は作者が気まぐれで書いたお握りを渡す時の黒猫。(ツイッターに登録してないと多分見れない)
絵の下手さが気にならない人だけこのURLから見てくれ。

http://twitvideo.jp/05kSo
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/09(木) 14:06:32.43 ID:sJo1L7o5o
                  ヽ人人人人人人人人人人人人人人人ノ
         / ̄(S)~\  <                      >
       / / ∧ ∧\ \<  嫌なら見るな! 嫌なら見るな!  >
       \ \( ゚Д,゚ ) / /<                      >
         \⌒  ⌒ /  ノ Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Yヽ
          )_人_ ノ  
          /    /
      ∧_∧ ■□ (    ))
     (   ; )■□  ̄ ̄ヽ
   γ⌒   ⌒ヽ  ̄ ̄ノ  ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/09(木) 14:32:32.61 ID:F1mHPtsIO
ん?、なにこいつ(^^;;
まったく言いたい事が分からんとです
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/09(木) 14:35:37.96 ID:fgK1Uo0xo
あげてんじゃねぇよ糞もしもしが
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/09(木) 16:10:44.10 ID:6oROAnHy0
荒・れ・と・るww
理由はなんだ?、やっぱり俺の絵が下手だったからか?
このスレが荒れたのは初めてでは無かろうか。
ちょっと目を離したらこんな事になっていようとは思わなんだ
仲良くしろよww。
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/09(木) 16:44:13.33 ID:EidrdJe1o
よくわからんが書き溜めする作業に戻るんだ
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/09(木) 17:00:46.06 ID:lpZrSS+xo
荒れてるわけじゃないんです!
215が己の肉棒を曝け出し、それを見た216が大興奮
その痴態で217が己の欲望を216に向かってぶちまけてるだけなんです
ハァハァ
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/06/09(木) 17:05:05.21 ID:hnHVXGk1o
この程度で荒れてるとは言わないだろ
大丈夫だから気にせず書きためてくれ
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/09(木) 21:37:07.29 ID:JHacbMtAO
>>1のスルースキル低すぎんだろ

お前は大人しくブリジットちゃんを可愛く書いとけください

他はいらないんで
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/09(木) 21:52:38.30 ID:NAm1iNGSO
>>222
テメェ、俺のあやせディスってんのか!?

>>1面白いよ。頑張って書いてくれ。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/10(金) 19:31:11.09 ID:+6aaINqAO
あやせ(笑)
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/12(日) 00:22:15.00 ID:Eamv/O980

「兄貴!、暇だしトランプの相手しなさい!!」
行き成り立ち上がり俺を指差しながらそんな事を言ってくる桐乃。

お前はどこかの団長様か?。なんてことを考えながらも有言実行として今の言葉を照れ隠しとして脳内変換してみる『と、トランプを一緒にしたいんじゃないんだからねっっ!」(ツンデレ風)よし、変換完了。続いてそれを脳内保管。

…ふむ、可愛いやつめ。ぬふふ。

「よし分かった、お兄ちゃんに任せなさい!!」
「キモ。何か背中を悪寒が走り抜けたんですけど」

そんな言葉でさえも脳内変換で「なんかゾクッとしちゃった(ハート)」にしてみるとかなり可愛げがある。
俺は顔に力を入れてニヤけるのを何とか止めて桐乃から渡されたトランプを無心になって繰りはじめる。邪念よ去れ!。

悟りを開こうとせんばかりに俺が己の中の邪念を振り払っていると、何を思ったのか皆も口々に参加の意を唱え始めた。
まぁ確かにこんな旅行気分にトランプは付き物と言っていいがそこまで目を血走らせなくてもいいんじゃないかな、と俺は思うのですよ。楽しくいこうぜ。

どうする?皆も混ぜる?、という言葉を乗せて桐乃に視線を送るが、何故かつっけんどんとしていてそっぽを向いてしまった。これは俺に判断を任せていると判断していいのだろうか。
もしそうなら俺は皆を混ぜて楽しくする方を選ばせて頂き等ござる。

ちょっと間俺は桐乃に対して以心伝心を試みていたが、どうやら反応を示す気は無いらしい。
しかたがないので繰り終わったトランプを皆に配り始める、どうも桐乃の不機嫌度が大幅上昇した気がしてならないが今更配ったカードを集める様な度胸は残念ながら俺には無いのでそのまま続行。

ちょっと間経って配り終わるがそこで大事な事に気がついた、遅かった気もするが。

「これってよく考えたら何をするか決めてなかったよな」

そう肝心な事を失念していたのだ、いくらトランプを配り終わってもやる事を決めていなかったらトランプなんて物は何の役にもたたない紙屑に過ぎない、むしろツルツルしているので紙屑にも劣る、そんな劣化製品へと変化を遂げてしまうのだ。

さぁ、このトランプ達が俺の汗ばんだ手の中で無用の異物となる前にこいつらの存在意義を見つけ出してやろうではないか。
無意味な事に気合を入れて握り拳をつくる俺。

だがここでも一つの問題に気がつく、そう、自分自身の問題に。
俺は皆から顔をそらして雲を見ながら爽やかに笑った。

ははは。
……俺ってそんなに種類しらないんだよねっ。えへっ。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/12(日) 00:22:51.90 ID:Eamv/O980

ってなもんである。我ながら情けない。
俺が知っているとすれば、まぁ代表的な物だとババ抜き、ジジ抜きあたりだろう。そして俺が唯一知っている皆が知らなさそ〜な奴といばページワンぐらいだろうか。

無知な自分が憎いぜ。

これは誰かに意見を求められる前に自分から何か簡単な物を言った方が良さそうだな。わざわざ待って自分の無知を晒す事もあるまい。

そう考えて俺は「ババ抜きでもしよーぜー」なんて軽い乗りで言おうとしたら、どうしたのか、ブリジットちゃんが珍しく自分の意見を言おうと挙手していた。
ここは学校じゃないんだからそんな挙手しなくてもいいよー、なんてツッコみをしてしまうところだったが相手はまだ幼い子なんだ。わざわざそんな事を言わなくてもいいだろうという俺の理性が何とか開きかけた口を止めてくれた。

さて、話が脱線して地球の裏側に行きそうな勢いで暴走しかけたがそれを力尽くで引き戻して話も元に戻そうではないか。

まぁとにかく俺が何を言いたいかと言うと、折角ブリジットちゃんが勇気を出してんだ、見届けてやろうぜ。って事だ。
だが、しかし、しかしだ、このままブリジットちゃんを放っておいていいんだろうか?大丈夫なんだろうか?
答えは否である。
このままだと何時まで経っても話し出さないのは目に見えているではないか。
さっき見届けると言ったばかりでなんだが、俺達の為にも、ブリジットちゃんの為にも少々力を貸してやろう。

そう考えると内心がちょっとだけ踏ん反り返って偉そうにしているのが分かったが俺は気にせずブリジットちゃんに一声かけた。

「はい、ブリジットちゃん意見どーぞ!!」

俺がそんな感じでおどけて先生風に言ってみるとブリジットちゃんはピクッと体を跳ねさせ「ひゃ、ひゃいっ!!」と奇妙な声を上げて席を立った。
緊張し過ぎだ。

「じ、じつは私………」

何故溜めるのか分からないが、その溜めがわざとだろうがなかろうが、どちらにせよそんな雰囲気を出されるとこちらも緊張してくるのは避けられない。
俺達はゴクリと息を飲み込んで先を促すようにブリジットちゃんを見た


「ババ抜きしか出来ないんです!!!」

この答えを聞いてずっこけた俺達を誰が攻められよう、そう、攻められるわけがない。ないんだ。
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/12(日) 00:33:48.23 ID:Eamv/O980
ここまでしか書けていない。あはは。はは……。

また頑張る。
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/12(日) 00:49:42.62 ID:coyLd1AAO
ブリジットちゃんが可愛すぎる……

よくやった、乙
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/12(日) 17:38:17.63 ID:xl2bUDDAO
横に座ってる加奈子の足がどうやって京介の前に来るんだ?
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/12(日) 18:35:29.79 ID:n/2dcKsao
横向きに腰掛けてるんじゃね?
肘置きに足を乗っける感じで
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/06/12(日) 20:25:25.82 ID:1isy9Okpo
つまりは京介にパンツを見せつけてるというわけか・・・
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/12(日) 20:44:27.02 ID:0YqnYwVl0
マセてるふりして実はウブなかなかなちゃん可愛いっ!
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/12(日) 21:58:56.12 ID:Eamv/O980
バスなどを想像してみてくれ、な?
普通に足を広げて座るだけで隣の奴の領域を侵略できるだろ?

そんな感じで想像してくれ。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/16(木) 15:12:15.39 ID:zmAUAzH80
俺がやっと立ち直って自分の席に座り直すと、そんなに恥ずかしかったのだろうか。何やらモジモジしているブリジットちゃんがこちらの顔色を伺っていた。
はっはっは。そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫。俺も似た様なもんだからな。

そんな『お仲間だな』的な視線をブリジットちゃんに飛ばしていると何を思ったのかポッと頬を染めて指先をモジモジと絡め始めた。

「こ、今夜お待ちしていまス」
「ぶふふぉっふぁぁあ!!」

気道を通る筈の酸素が食道を無理矢理開いて乱入してきた。いや、この様子だと乱入どころか俺の喉でフィーバーダンスしていやがる。
思い切りむせて言葉にならない声が出てきた。でもそれだけでは食道に入った酸素は許してくれないらしい、俺は咳が止まらず口に手を当てるのが精一杯で、誤解を解く言葉を口にする事が出来ない。

な、何だ、一体ブリジットちゃんの中で何がどうなってそんな言葉が出てきたんだ?。
ブリジットちゃんの言葉を俺的に解釈したら今夜「ピーーーーーーーーッ」をしようと言っている様に聞こえたんだが。

……うん、いや、分かってるって。ブリジットちゃんがそんな行為を知っている筈が無いって。
きっと別の意味があるって。分かってんだよ。
でも、でもなぁ。
お兄さん、もうちょっと言い方を考えてほしかったかなぁ。

隣で拳を固く握り締めているリアと加奈子を涙目で見ていると、とうとう俺の頭は故障したのだろうか、何も考える事ができなくなり、何故か知らないが乾いた笑いが咳と共に出てくる。
「は……は、ケホッははは。ケホフッ」

ここまで来ると俺は諦めて、潔く目をつむる。
さぁ、ばっちこぉい。
心意気充分、何時でも来いと言わんばかりに目をつむって何処に攻撃が来るか分からないので全身に警戒信号を発令、危険度SSに指定して筋肉痛を恐れずに力の限り筋肉を酷使して肉壁による防御壁を展開した。
だが数十秒、数分間、かなり経っても全く来る気配が無い。どうしたのだろうか。

そろそろ全身に力を入れっ放し状態は辛くなってきたのでやるなら早くしてほしい、そしてやらないでいてくれるなら俺は更に嬉しい。
なんて淡い期待を込めてうっすらと目を開くと……

そこには加奈子の満面の笑顔があった。

「ババ抜きしようぜっ!」
キラッ、という効果音が付きそうな感じで加奈子がそう言う。ゾクリと背中を悪寒が走った。

なんか絶対裏があるっっっ!!。一体どんな悪巧みしてやがる!?、そんな事を考えながら慌てて周りを見渡してみるとどうだろうか、皆笑顔、超笑顔、ウルトラ笑顔。怖い。
そう思った俺を誰が攻められる?。想像してみてほしい、家で桐乃のジュースを思い切りこぼしてしまった時、桐乃が笑顔で「いいっていいって、兄貴!」なんて笑顔で言ってきてみろ?、俺はその夜、闇討ちが怖くて寝付けない自信があるね。

そのくらいの違和感があるのだ、今のこの状況は。

「ははははは、兄貴。早く手札出さないと始まらないよ?」
「サー・イエッサー」

即答、そして桐乃の目の光彩が消えている事を確認した。
もう嫌だあああああぁあぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁあああああああああああっっっ!!


内心絶叫、今、恐怖のババ抜きが始まったのだった。







「ん、兄貴の番」
本来なら楽しい筈のトランプ、だが今私達がやっているのはそんな甘ったるい物ではない。
何故ならこれには今夜の兄貴の所有権がかかっているからだ。

そのせいか皆の顔は暗く、何時にも無く真剣だ。多分私も同じ様な顔をしているだろう。

何故こうなった?、それを説明するにはほんの少し時を遡らなければならない。そう、それは兄貴が攻撃に備えて全身に力を入れまくっていた時の事だ。





235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/16(木) 15:12:54.61 ID:zmAUAzH80
その時私は兄貴のお仕置きは前の二人に任せて、心を痛ませてブリジットちゃんに詰問していた。
「こ、ここ、今夜ってなに!?、何なの!?、私の京ちゃんをどうするつもりなのぉおお!?」

少々壊れた地味子と一緒に。

「ちょっ、桐乃さん!麻奈実さん!、やめて、そんなに振らないで!?」
「ならちゃっちゃと白状しなさい! どうしてこうなったかを!!」

声に少々の怒気を含めながらそう言う。
ブリジットちゃんは最早サラババ(よく知らないけど使ってみたかったんだよね!)を踊っている様だ、首をカックンカックンさせながら「ちょ、は、はな、話しま、すからぁ、離してぇえ」と言っている。ちょっと面白い。

私と地味子が肩を離すと、目が回ったのだろうか、ブリジットちゃんは頭をクラクラさせながらフラフラしている。
擬音だらけで訳が分からなくなってきたが、簡単に言うとブリジットちゃんが倒れかけって事だ。

「さ、どうやって京ちゃんを垂らしこんだか白状して!、ムフン!!」
さもないともう一回するよ!、と言わんばかりに腕を組む地味子。


「マ、マネージャーさんが直接言っていたんじゃないんですけど、そ、その、目がそんな感じの事を言っている気がしたんです」
ガクッ。
まるで漫画かアニメの様に私の体は椅子から落ちた。
な、何よそれ、絶対勘違いじゃない。第一あいつが視線で語るなんてそんな器用なまねできる筈が無いのよ。もしくはやろうとしても勘違いされてお終いなのよ!。

「違うよ!、それは私に京ちゃんが目線で語ってたんだよ〜」
「それ間違ってるから!?」
何をサラリと言っているんだこの地味子は。

「いや、よくよく考えたら拙者にだった様な気がするでござる、京介氏が拙者に目線で結婚してくれと言っていたのを今さっき思い出したでござる!」

あんたは絶対にありえないでしょ!?、後ろ向いてた兄貴がどうやって前にいるあんたに視線で語るのよ!!。

「そ、そういえば加奈子だった様な気が……する様な」
「ふふ、皆さん何言ってるんですか!、私なんか視線でどころか口で何回も結婚してくれと言われてますよ?、だから今回もきっと私に違いありません!!」
「皆勘違いやさんだなァ、キョウスケおにいちゃんは私に言ったンダヨ!!」
「先輩は…私に…ウフフ」

なにやら皆が口々に好きな事を言い始めた。

こ、ここ、こここ、こうなったたら私も言うしかなくなるじゃん!?。
「何言ってんのよ!、兄貴はシスコンなのよ!?、私に決まってんじゃん!!!」

「ムフフ、ならば丁度良いでござる!、トランプで今夜の京介氏の所有権を決めましょうぞ!!」
まるで計算通り!、と言わんばかりに用意した様な言葉を口にする沙織。今思えばもうこの時には沙織に私達は嵌められていたのだ。

『上等!!!』
私達は声を揃えてそう叫ぶと手元のトランプを勢い良く掴み取ったのだった。



そして現状に至るのだ。
沙織に乗せられた事には気づいているが今更引き返す事など出来る筈もなく、私は負けない様に今までで一番真剣にババ抜きをしている。

ちなみにババ抜き用の席順はこんな感じだ。




  あやせ ブリジット 

  桐乃  麻奈実

  リア  加奈子

  沙織  黒猫   
    京介
          

席は回転して動かす事が出来るタイプなので自由に移動できる、なので今回は皆が向かい合う形になり兄貴はまるで社長の様な位置に座っている。
決め方は相も変わらずくじ引きだ。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/16(木) 15:13:32.14 ID:zmAUAzH80
相も変わらず短いが投下。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga]:2011/06/16(木) 16:49:08.45 ID:SxQZswkuo
こんな時間に、乙です。
安易な暴力的展開にならなかったのは良いけども、若干麻奈実の言動&行動がおかしい気が。
彼女には今までに培った幼馴染としての経験があるので、ラスボス的にどーんと構えていて欲しいところ。
原作でもそんな感じだし。
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/16(木) 19:21:29.29 ID:u6O+QYNh0
ここのキャラはみんなぶっ壊れてるからそれが持ち味な気もするけどね
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/19(日) 23:27:46.61 ID:SaxG1YXL0
ぶっ壊れてなんか……無いもんっ!!
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/23(木) 01:01:50.51 ID:l7nOEuEAO
座席回せるとかどんな高性能旅客機だよ
あと麻奈実は京介呼ぶときはひらがなできょうちゃんだ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/23(木) 10:36:19.43 ID:0XhW18Ec0
ひらがなできょうちゃんきょうちゃんとか書いてるとややこしいんだよ!
文句言うなら帰れタコ。
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/23(木) 12:23:02.16 ID:MPwtEh3B0
いいから早く書けよ
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/23(木) 20:28:39.36 ID:sOGH8UK8o
>>240みたいなのってすんごく気持ち悪いと思います
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/24(金) 00:21:24.04 ID:Fy3rb81IO
>>240
地味子だから適当でいいじゃん
原作でも京介と結ばれることのないラスボス的障害物なんだし、な!
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/24(金) 01:45:48.08 ID:Bsx4n07+o
ゲテモノかと思ったら普通に美味しい料理なんだな
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/25(土) 08:58:38.78 ID:O2zkYEBE0
まぁとにかく、ここからが勝負の始まりだ。
ここからは雀荘みたいな雰囲気と考えて頂きたい。

ある時、一人の男が自分の席へと舞い戻った。
机に予め用意されていた札を手に取り先に席に着いていた皆の顔を見回してきた、その中には私も混じっている。目が合う、鋭く、冷たい、そんな目が真っ直ぐ私に突き刺さる
私は目を逸らして赤くなった頬を誤魔化す様に男に向かって声をかけた

「お帰り…」

その言葉に対して男は微妙な、笑っているような、泣いている様な顔になると「ただいま」と返してくる。
この勝負で自分の運命が決まるというのになんなんだろうか、この男の表情は。
諦めているのではなく、失望しているのではなく、淡い期待に縋っている訳でもない、微妙な、表情。

そこで私はある考えに辿り着いた

「そうか」

この男は、全てを『受け入れた』のだ。もうどうにでもなれ、とかそんな感情では無い、それはどんな感情なのかは私には分からないが受け入れたのだ、この男は。
だからこんな嬉しそうで、悲しそうで、楽しそうで、辛そうな、そんな全てが混ざり合った様な表情を出来るのだろう。


「さ、続けようか。皆」

男………………………………………………………………っもう辞め!!、この乗り疲れた!!

私は勢いよく立ち上がり、今までの乗りを打ち消す様に頭を左右に振る。
するとどうだろうか、あやせ達は私の事を不思議そうに、兄貴は「え!?、何!?、俺なにもしてないよな!?」と言いながらこちらを見ている。

確かに考えてみると行動が奇抜すぎたかもしれない。
そう考えた私は誤魔化すようにニコリと笑う。

さ、兄貴、続きをどうぞどうぞ。

手を兄貴に向けて動作でそう言うと、私は座りなおして何事も無かったかの様にトランプと向き直ったのだった。

「さ、続けような、皆」

兄貴も仕切りなおす様に、若干弱気になりながらも切り出した。

今私の手元に死神はいない、という事は残りの八人の中に死神を手の中に持つ仲介人が居る。
まぁ今そんな事を気にしていても始まらない

私はあやせの手札から一枚手に取る、ハートの7、揃ったので真ん中の捨て札の山に向かって放り投げた。
次はリアの番だ、隣のあやせに見られないように気をつけながら手札をリアに向けて引くのを待つ。リアが引いたのはキング。揃ったのだろう、リアも揃ったカードを捨てた。
次は沙織の番だ、どうも手強い、何時も笑っていて表情は読み辛いし、あんなメガネをかけているから視線による観察もできない。これはかなりの武器だろう。
「ぬふふ」沙織はそう不気味に笑うとリアの手札から一枚を抜き取って自分の手札の一枚と合わせて捨て山の中へと投げ捨てた。

「よし、次は俺だな」

兄貴は強張った顔をしながら沙織の手札の中から一枚引き抜く、するとどうだろうか、表情が一瞬で変わって満面の笑みに変わったではないか。揃ったのだろう。

「分かりヤすっ!」

多分思わず口をついてしまったんだろう、リアがそう言うと兄貴は取り繕う様に揃ったカードを仏頂面で捨て札の山へと投げ捨てた。
よし、これで万が一にも兄貴が勝つ可能性は消えた。後は誰が一番最初に上がれるかって事だ。

今更言っちゃなんだが、ババ抜きなんてのは結局運だ。と私は思っている。他の勝負事も同様だ。
だからどうやって運をこちらに引き寄せるかが鍵になるのだ。たとえばババ抜きだとババを一枚だけ目立つように持つ、すると相手はこれがババかどうかを疑いだす。
そんな風に相手を騙し、騙されの繰り返しが賭けなのだ、相手が引っかかるかは時の運としか言いようが無い。

だが一つだけババ抜きにも出来る事がある、それは記憶力による相手の手札の読み取りだ。
相手が自分の手札を取って捨てなかった、となると相手は私の手札から取ったカードを持っていないという事になる。それの繰り返しで相手のカードを読み取り、奪い、上がっていくのだ。

まぁこの作戦を実践できる者は限りなく少ないだろう、さすがの私も無理だ、一体どんだけ記憶力がよかったら実践できるのだろうか、検討もつかない。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/25(土) 08:59:48.23 ID:O2zkYEBE0

「次は私の番ね」

黒猫は兄貴の手札の一枚一枚に手を伸ばし兄貴の表情を見ている、すると、ある一箇所に黒猫の手が伸びると兄貴がまたもや満面の笑みになった。

こいつ死神持ってんぞおぉおおおおお!!

多分私と同じ事をここの兄貴以外全員が思っただろう。
一瞬、黒猫は兄貴に哀れみの視線を送る、だが勝負は勝負、やはりここで死神を我が身に宿すわけにはいかぬのだ。
「ごめんね、先輩」
黒猫はババの隣のカードを手にとって捨て札置き場へとカードを捨てた。

残念そうな顔をしていた兄貴は取り繕う様に引きつった笑顔を黒猫に向けた。全く取り繕えていないのは言うまでもあるまい。

次は誰だ?、加奈子だ。
加奈子も兄貴と同じタイプだから別に敵対視しなくても大丈夫だろう、ほら。

「ふおぉ」

加奈子は何をするつもりなのか、力を入れ過ぎて手がプルプルと震えている、やっぱり兄貴と一緒だ。
黒猫の手札の中から一枚カードを取った。すると揃わなかったのか加奈子は眼に見えてシュンとしている。

「ふっふっふ。加奈子め、表情でどんな状況なのか丸分かりだぞ?、ポーカーフェイスがカードゲームの鍵だというのに」

まるで自分が表情に出てないと思っているのか兄貴は加奈子を見ながらそんな事を呟いている。
多分ここに居る兄貴と加奈子以外は皆『お前が言うな』と思っただろう。当たり前だ。

「次は私の番だね、頑張るからね!京ちゃん!」

そう言ってニコッと笑う地味子

「おう、まぁ頑張れ」
それに対してはにかみながら笑い返す兄貴。………なんかムカつく。
さっきまでの緊張した空気こいつら独特のホンワカっていうかノホホンというか、そんな表現し難い空気に侵食されていくのが分かる。気に食わない、イラつく。

いつまでも笑いあっていそうな二人に私はちょっと怒気を含めた声で先を促した

「もういいからさっさとしてよ!」
「さっさとしろよな!」
「姉さん遅いです!」
「さっさとしないと私の魔術で暗黒街に叩き落すわよ」
「早くしてください!、私の番が回ってこないじゃないですか」
「麻奈実氏、早くしないと決着がつかないでござるぞ」
「キョウスケおにいちゃんに色目使っちゃ駄目だよ!」

どうやらこの空気が気に入らないのは私だけではなかったらしい。
皆の声が混ざり合って何を言っているのか全く分からなくなった言葉でも、何かしら感じ取ったのか兄貴は顔を逸らしてカードに目を向けた、地味子も「ご、ごめんね」と言ってブリジットちゃんに向き直る。

地味子は一度深呼吸したかと思うと「ゴゴゴゴゴ………とうっ」と言ってブリジットちゃんのカードを引き抜いた。揃ったカードを捨てる。
それを見た兄貴ははにかんで頬杖をついていた。多分和んでいるのだろう。
瞬発的に兄貴のスネを思い切り蹴る。

「ふぬぉぉおおお」

てめっ、何しやがる。と言わんばかりにこちらを睨んでくるが桃色の空気を量産していた兄貴が悪いので無視。
さぁ皆続きをしようか。

「次は私の番ですね!」
ブリジットちゃんはそう言うとあやせのカードを一枚引き抜いた、カードを捨て、特に何も無くブリジットちゃんの番は終了。

さて、ここからちょっと話を飛ばそう。このままずっと皆の番をやり続けたら切がないので、ここは一気に話を飛ばして最後の二人の状態からスタートだ。
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/06/25(土) 09:32:39.76 ID:O2zkYEBE0
投下
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/25(土) 10:57:00.53 ID:qIFT8xQn0
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/03(日) 08:26:48.99 ID:gvLQvXUI0
一週間か...
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/04(月) 15:06:02.21 ID:JGCGZ7n30

「ふぅ」

ババ抜き開始時刻から早三時間、未だにあの二人の決着は見えない。
『どうしてこうなった』私がこう思っているように私以外も皆そう思っているだろう。

あの二人は永遠にババの受け渡しを繰り返す気だろうか。

あれから兄貴と加奈子はババの受け渡しをずっと続けていて、終わる気配が全く無い。今も加奈子が兄貴の表情を見て「ぬふふ」と笑ってカードを引き抜いた、当然ババじゃない。
その次の兄貴も全く一緒で加奈子の表情を見てほくそ笑んでババじゃないカードを引き抜く。無限回廊。
イッツァエンドレス。

え?なに?、一番最初に上がった人が兄貴を好きに出来るんだから別に二人の戦いなんかどうでもいいじゃないか?。そうだけど決着がつかなかったら次の遊びを兄貴と一緒に出来ないじゃないか。
ちなみに一番最初に上がったのは私。

そんな事を考えていると沙織から何やら殺気を含んだ視線を感じる。…

………ごめん、嘘。本当は沙織だ。沙織です。
残念ながら。

―――――とまぁ、現状はそんな感じなんだが、終わらないでほしいという気持ちもはっきり言って私の中には、ある。あっちゃったりする。
このままずっと決着がつかなかったら勝負が有耶無耶になってくれるかもしれないからだ。

有耶無耶になるなら現状も全然受け入れられる。なら無いなら次の遊びで兄貴と遊びたい。

そんな気持ちが今、私の中でひしめき合っているのだ。

「ねぇ、これって終わらなかったらどうなんの?」
「一番最初に上がった人が所有権を得るのに変わりは無いでござる」

まぁ聞いてみれば大体分かるでしょ。
という事で聞いてみたところ、今さっきの様に沙織の即答が帰ってきた。

やはり加奈子とかとは違って忘れたりはしないらしい。と言う事で早く終われ。そして私と遊べ兄貴。

「っふ、良い勝負だな」
「ほんとだなっ!」

何時終わるか分からない、低レベルな戦いを繰り広げているくせに何やら額に汗を光らせながら互いに笑い合っている加奈子と兄貴。
いや、こいつらには低という言葉すら生易しい、低いとかそんなレベルじゃなくマイナスなのだ。こいつらのバカさを高いとか低いで例えるのは不可能なのだ。何故なら掘っている内に何時の間にか地球の反対側に出てしまうのだから。

まさに底が知れないというやつなのだろう。

まぁとにかく、この何時終わるか知れないババ抜きをどうやって終わらすかを考えながら、ちょっとだけ感情を吐き出そう。
感情の篭らない呆れた、関白な息で、質素な目で、腹の底に溜まった感情を一気に息として吐き出そう。

さん、はい。

「はあぁ」








―――――――――到着。あれから何時間経ったかははっきり言って覚えていない。

唯一覚えているとしたらあたし、加奈子がかなりの高レベルの戦いを繰り広げた事だ。
意外に強かった加奈子の相手、クソマネ……いや、し、思考の中でぐらい名前で呼んでやらないと可哀そうだな。うん。
き、きょ、京介

加奈子はそこまで考えたところで頭から湯気を出てくる。

っつぁ、や、やっぱり辞め!、加奈子はやっぱりクソマネの方がしっくりしな!!

ちょっと話がずれたが、まぁ何が言いたいかというと加奈子とクソマネが伝説に残る程の名勝負をしたって事だ。

「なにぶつくさ呟いてんだ?加奈子」

加奈子が考えて一人悦に浸っていると、目の前にぬっと出てきた顔。
隣を歩いてたから聞こえてしまったんだろうか。

「なんでも無いっつ〜の。それよりさ、今回決着つかなかったじゃん?、後でもう一勝負しねぇ?」
「よし、了解!、次こそは俺が勝つからな!!」

人がどれだけ気を引こうと頑張ってるかも知らないでクソマネは満面の笑みで嬉しそうに答えてきた。
さすがに夜になったら勝負に負けた加奈子は手が出せないけど夜までだったらいいよな。

加奈子はそう考えて苦笑い気味な笑顔をクソマネに向けたのだった。
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/07/04(月) 19:57:01.27 ID:Lm0xLseAO
おっつー

仮にも主役のはずなのに、めっきり鈍感ヒロインポジを確立しつつある京介さんパネェ


ところでババ抜きってそんな延々と決着が先送りになるゲームだったっけ??
千葉カスタムルールとかかな

まぁ何にせよ、勝てなかったならドベ争いを楽しむってのも味があって良いね。
加奈子はそこまで計算しては…出来てはないようだけど
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/04(月) 20:02:05.02 ID:FpngPTEJP
あれ?ババ抜きを二人でやっててババじゃないカード引き抜きあってたら終わるんじゃ?
ババを引き抜きあってるならわかるけど

とりあえず乙
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/04(月) 20:27:30.13 ID:X7bRkYIPo
ババ抜きってババ引き続けないと終わらね?
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)[sage]:2011/07/05(火) 00:11:55.67 ID:kophJxsB0
うしろからこっそり二人のカードを補充する、忍者マスター
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/06(水) 13:39:41.36 ID:rar3ew1e0

それから加奈子は手持ち無沙汰だったのでクソマネとなんか雑談でもと思って話しかけようととすると、加奈子の声に割り込む様に桐乃の声が聞こえてきた。

「ちょっと、何二人だけで決めちゃってんのよ。私もまざるからね!」
「だってよ、加奈子」

片目を瞑りながら笑いかけてくるクソマネ。たまにキザったらしい事をするから困る。
そんなクソマネにちょっと赤くなった顔で加奈子は笑い返す。

「わかってるって、旅館に着いたら皆でもう一回ババ抜きな」
「ん?、皆さん?、何言ってるんですか?。旅館についたら皆さんには早速リアさんと特訓してもらいますよ?」

―――――――?

今何て言ったんだ?、特訓って言ったか?
普通外国に行ったら時差とかもあるしちょっと休憩を入れたりするんじゃないのか?

もし本当にそんな事をするってなると加奈子の《昼間なのにウフフ計画》を実行できなくなる。それは大いに困る。

ここは加奈子の意地に賭けても阻止しなければ。

「ちょっと、それは無いんじゃね?。加奈子ってば〜、時差とかでちょっと疲れちゃってるし今日ぐらい休憩入れた方が良いと思うんだよね〜」

なんとか阻止しようとそんな事を言うが……ん?名前なんだっけ?

「ふむ、本当は筒賀 道程(つつが みちのり)と言うのですが。呼びにくい様でしたら京介さんの様にハンサムで結構ですよ」

笑ってそう言うハンサム。まぁ本人がそう言ってんだからこれでいいだろ。
ってそうじゃねぇ、危なく話を逸らされるところだった。

取り敢えず話を元に戻そうとし息を吸い込み言葉を発し様としたら、またも割り込む様にハンサムが言葉を紡ぐ。

「話を戻しても無駄ですよ。これはもう決定事項です。帰ったら皆で特訓ですからね」

決定事項らしい。

はあぁ、着いたら特訓か。はっきり言って全然やる気でねぇ、だって加奈子ってば体育もサボりがちだしよぉ。
やる気なんて出る訳ねぇだろ?

そんな事をグチグチ言っていると、余程しつこかったのか、ハンサムが「しょうがないですねぇ」と呟いた。
え?、なに?、もしかしてしなくてもいいわけ?

なんて事を考えて目を輝かせていると、ハンサムが続きを喋り始めた。

「そこまで言うなら致し方ありません。やりたくない方は参加しなくて結構ですよ。ただし、リアさんと京介さんは強制参加ですのであしからず。それでは、参加しない方はこちらにサインして下さい」

そうハンサムが言い終わり用紙らしき物を出すと、リアとクソマネ以外は皆サインしようと体を動かし始めた。

「あぁ、でもリアさんと京介さんが二人で特訓となると……どうなるんでしょうねぇ。輝く汗、透けるシャツ、荒い息、人気の無い隅の更衣室。ふむ、非常に官能的ですねぇ」

何を思っているのかハンサムは何時もよりニヤケ度が増した気がする笑みでそんな事を喋った。
するとどうだろうか、皆の動きが一斉にピタッと止んだではないか。

もちろん加奈子も動きを止めてハンサムの話に耳を傾ける。

そんな中、「京介さんは強制参加」と聞いてからボーっとしていたクソマネが独り言を喋りだす

「旅館って事は浴衣、かなぁ。もしそうだとしたら外国人の金髪美人と日本の浴衣の夢のコラボが……フッ」

声は小さかったが、注意を傾けたら小さくても聞こえてくる。ましてやあんな張り詰めた空気の中でそんな事を呟かれたら嫌でも聞こえてしまう。
ハンサムも聞こえてたのか苦笑いをしている。
あぁ、駄目だ、こんな奴とリアって奴が一緒に特訓なんかしたら絶対過ちを犯す。
初めてが更衣室なんて……じゃなくて、どうせなら加奈子と……、ってそれも違くて、過ちを未然に防ぐ為、そう、過ちを防ぐ為にも加奈子も参加しなくては。
加奈子は決心を決めると深く頷く。

「はは……まぁ京介さんの独り言はさておき。どうします?皆さん」
『参加します』

加奈子達は声を揃えて参加の意を唱えたのだった。




257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/06(水) 13:40:26.48 ID:rar3ew1e0

       ・・・・





「はっはっふー、はっはっふー」

知っている人が聞いたならそれは子供生む時の呼吸法だろ!、とツッコまれそうな息のつぎ方をしている加奈子。
他の呼吸法も試してはみたが、結果、この呼吸法が一番楽だったので実行している。

どんだけ走ったかは覚えていない、日頃授業をサボっているせいか加奈子とクソマネは息が上がるのが他の皆に比べてかなり早かった。
まぁクソマネに授業をサボる度胸があるとは思えないのでどうせ日頃の運動不足のせいだろう。

そんな事を考えて周りを見渡すと、そこには案の定クソマネの本日三度目の休憩をしている姿があった。
だらしなく足を伸ばしていかにもダルそうだ。

さ、さーて、加奈子もそろそろ体力の限界だし休憩しようかなぁ。
たまたま加奈子が体力の限界を迎えたので休憩しようと、そしてたまたま近くにクソマネがいたので、スポドリを分けてもらおうとクソマネの元に歩を進める。

クソマネの間接キッ……、もとい水分補給源まで、もう少し。後ちょっと。
よっしゃ到着!。

加奈子はそう思ってクソマネの隣に腰を下ろそうとするが、その動作を行う前に邪魔がはいった。

「加奈子ぉお!!、休憩?、だったらこれ飲みなよ!」

桐乃が必死な表情で走ってきたかと思うとそんな事を言い出したのだ。
くそぅ、もう少しのところで!!
加奈子は内心悔しさで一杯になりながらも何とか笑顔を作り出すと「ありがとう」と言おうと口を開こうとするが、加奈子が言う前にまたもや誰かが割り込んできた。

「えっ、いいなぁおい。俺のやつ切れちゃってさぁ、良かったら俺もくれよ」

そう、クソマネが割り込んでそんな事を言ってきたのだ。

数秒間加奈子達の思考が停止し、思考が一分後ぐらいにやっと作業を再開しだす。
作業を再開したと思ったら桐乃は顔を真っ赤にして「ふひゅー、ふひゅー」と過呼吸に陥っている。

そんな桐乃から加奈子はスポドリを無理矢理奪い取って一口飲む。

「そら、飲めよ」

そう言って加奈子がニコヤカにクソマネにスポドリを渡そうとすると、正気に戻った桐乃が正に鬼の形相で加奈子からスポドリを奪い取った。そして一口飲む。

「はい、兄貴」
「させるかぁ!!」

それを加奈子達が5・6回繰り返すとクソマネが呆れた様に「……お前ら何やってんだ?」と呟いた。

「それにもう無くなってんじゃねぇか」

太陽に透けて見えたのだろうか、専用の容器に入れられた飲料はもう底をついていていた。
それを見た加奈子達は二人揃って溜息をつくとクソマネの傍からトボトボと去っていったのだった。

あ、そうそう、いきなりこんな状況で説明が足りなかったな。わりぃわりぃ。ここは、え〜と、何だっけ、何て名前かは忘れたけど……、まぁ簡単に言ってドームみたいな運動場、って所だ。
あれから旅館に行き、まぁ何かといざこざ(部屋割りとかご飯の時の席順など)はあったがなんとか無事終わり。今ドーム?で練習しているって訳だ。

クソマネの話だと社長さんはかなり無茶苦茶な奴らしいけど、さすがに今回はドームを貸切なんて事はしていなく、加奈子達以外もかなりいる。
それでもカメラとか撮影道具が揃っているとやはり人目につくらしく、加奈子達はかなり注目されている。

その中でも一際目立っているのはやはりと言うか何と言うか、クソマネだった。

「あれってCMに出てた京介さんじゃない!?」
「サインもらえるかな!?」

なんて声が聞こえてくるがクソマネは馴れたのかまともに取り合っていない。
まぁその視線に加奈子達も次第に馴れていって、冒頭の様な普段と同じ態度に戻ってきて現在に至るのだ。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/06(水) 13:45:44.16 ID:rar3ew1e0
投下

一日で投下できたのは久しぶりなのでちょっと感慨深い。
こんな駄目スレに見に来てくれている暇人達よ、ありがとう。
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/07/06(水) 15:03:59.46 ID:Hzx28EsP0
>>1
次の投下も待ってるぉ
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/06(水) 16:05:44.68 ID:eKhUsriIO


やっぱ桐乃と加奈子のチョロ子シスターズはかわいいなあ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/06(水) 18:36:17.42 ID:hpzBxeEv0
乙!

...って暇人だとぉ?

毎日チェックしてます。楽しみに待ってるよ
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/06(水) 19:41:52.76 ID:7dhC/teF0
加奈子視点ってのはなかなか新鮮でいいな
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/07(木) 04:34:36.16 ID:2KPKRn9k0

「って、今思えば加奈子ってば休むとか言っときながらひとっつも休めてないじゃん」

振り返ってみると確かに有耶無耶になってしまって休む事をすっかり失念していた事に気づく。
出来ればもう一回クソマネの所に行って休みたいが桐乃と、今さっきのやり取りを見ていたのであろう複数の殺気の篭った視線がこちらを向いているのでそれは叶いそうに無い。
加奈子はハンサムの所に行って飲料を適当に頼むと隅っこの日陰に引っ込んだ。もちろんハンサムに場所も教えてあるので安心だ。

時差のせいだろうか、昼間だというのにジッとしていたせいで眠気が凄い勢いで加奈子に襲い掛かってきた。
眠気眼を擦りながら言い訳めいた言葉が口から出ていく。

「ちょっと、うん、ちょっとだけ寝っかな。休憩も必要だし」

加奈子はそう呟くと重い瞼を押し上げるために使っていた力を抜く。
自然に落ちてきた瞼が真っ暗な闇を作ったかと思うと加奈子はすぐに意識を手放したのだった。






「うん……ぐ」

あれからどのくらい経ったのだろうか。ふと目が覚め、重い瞼を力任せに一気に開くと、そこには思っていた眩しい光は無く、代わりに見えた風景はオレンジ色に染まった世界だった。
夕刻。

そんなに寝たのか、全然気づかなかったな。

今度は体を起こそうと力を込めるが上手い事上がらない。なにやら肩の辺りに重たさを感じるな、と思い視線を向けると、そこには桐乃の顔があった。
どうやら加奈子に寄りかかって寝ているらしい。
反対を見てみるとそこにもブリジットがいた。

加奈子は枕かなんかか。なんて事を苦笑いで考えていると目の端を誰かが通り抜けた。
追いかけるように慌てて視線を正面に向けるとそこには二人居た、リアとクソマネだった。
今まで走っていたのだろうかクソマネはシャツが透けて正にビショビショと言った風体だ、クソマネと同じまではいかないがリアも汗を掻いていてちょっとだがシャツが透けている。
それがまた夕日を反射してキラキラと輝いていて一層綺麗に見えた。二人がまるで一心同体みたいに綺麗な絵を作り出していた。

「ずっりー」

加奈子はそう呟くと二人の頭を優しく持ち上げてなるべく衝撃を与えない様に肩からどかす。寝ている状態から座っている状態になるとリアとクソマネ以外は皆ここで寝こけている事が分かった。起こさない様に気をつける、これ以上人数が増えたら面倒だしな。

勢い良く立ち上がると加奈子は二人に向かって駆けて行った

リアにばっか美味しい思いさせるかっての!

「おーい!、二人で何やってんだよ!!、加奈子もまぜろよな!」
「えー、もう終わるつもりだったんだが……」

何か不満を言っているが、加奈子は無視してクソマネの手を取って無理矢理走り出す。

「いいから!、あと一周ぐらい良いだろ?」

ニシシと笑って加奈子はそう言う
クソマネはまだ不服そうに「一周ってここ無茶苦茶広いんだが…」と言っている。
でももう分かってんだよ、クソマネは嫌だ嫌だと言っておきながら結局やってくれるって。

優しすぎるんだよ。

264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/07(木) 04:35:05.74 ID:2KPKRn9k0
それに一番厄介なのは優しさは寄こすだけ寄こしてくるのにこっちからの優しさや好意は貰ってくれないところだ。
いや、貰ってくれないじゃないな、それ以前にこちらの優しさや好意に気づきもしないんだから。
それじゃまるで毒だよな。

その優しさが癖になったらどうしてくれるんだ?

なんて事を考えていると、諦めた様なクソマネの溜息が聞こえてきた。

「しゃぁねぇ、一周だけだかんな」
なんて事を加奈子に手をひかれながら、そして優しく微笑みながら言ってきた。

その笑みに思わず熱くなった頬を空いている手で隠すように覆う。あっつぃ。

うぅ、前言撤回、これ、もう手遅れだわ。
加奈子、もう『癖になっちゃってる』っぽい。

だって、今さっき充分 毒《優しさ》を貰ったばかりなのに、もう次の毒《優しさ》が欲しくなっているんだから。

「クソマネェ!!、ちゃんと責任取れよな!!」
「ん?、何のことだ?」

クソマネが不思議そうに首を傾げていると、後ろから慌てて追いかけてきたのだろう。リアの姿が見えた。
すげぇ早い、リアが呆けている内に結構離したと思ったんだけど、この調子だともって後数秒だろう。

「キョウスケおにいちゃん、待って!、リアも一緒に走る!!」

加奈子が追いつかれたっ!、と思った頃にはもうリアはクソマネの腰に抱き付いていた。

「あはっ、やった! 追いついた!!」
加奈子達が動きを止めた事を確認してからリアは腰から手を放し、空いているクソマネ左手の方へとまわった

「一緒に走ろ!!」

リアのその言葉を聞いて加奈子達は笑い合うと走り出す。
まぁたまにはこういうのも悪くないかもな。

気分が良く、妙な高揚感を感じながら、そして熱くなった頬を冷やすために、少しでも多く風を浴びる為に加奈子は走りだそうとする。
だけど無事に出発は出来なかった、クソマネが派手にずっこけたのだ。

「ん?、どした?」
「……二人共手を放してくれ」

あぁ、そりゃこけるわな。
加奈子達が慌てて手を放すと、のそのそと立ち上がり膝の砂埃を払ったクソマネが「よし準備OK、行くぞ。 次からは気をつけろよ」と言って苦笑いで再び走りだす

遠ざかって行く背中に追いつこうと加奈子も再び走り出した。
クソマネ、これからもちょっとでいいからその優しさを加奈子に分けてくれ。もうその優しさが無いと駄目っぽいんだ。
頼むな。

そんな乙女ちっくな事を考えている自分に呆れながら加奈子は追いついた背中を勢い良く叩く

「おっせぇぞ!、クソマネ!!」
「うるせぇ!、こちとらお前と違って一睡もしてねぇから疲れてんだよ!!」
「むぅ、リアはまだ本気だしてないんだかんね!?」

そんな会話をしながら加奈子達はハンサムが迎えにくるまで走り続けたのだった。
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/07(木) 04:45:47.09 ID:2KPKRn9k0
と言う事で投下。
今回はちょっと自信作が出来た気がする。

また書き溜めてくる。
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/07(木) 08:21:19.04 ID:Roz/yPFS0
もう来てたとは...

乙すぎるぞ!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/07/07(木) 19:07:03.02 ID:t5w5TaWAO
乙乙
加奈子かわいいよ加奈子
派生スレ幾つもあるのに、うち3ヶ所で加奈子優勢とか俺得

桐乃とキャラが近い面もあって対にしやすいんだろうなぁ
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/12(火) 15:49:22.35 ID:jEAbZVN30


一日目、初めての特訓終了






カチャカチャ……、カチャカチャ……。

無機質な食器と箸がぶつかる音が、これまた異様な雰囲気の空間に空虚に響く。
正面には京介氏……とハンサム殿。

拙者左側に3人、そして右側に4人。
今回の席順はまさに男と女を仕切った形となっている。しかもこれが結構距離があり、いつもみたいにちょっとした事を話そうとしてもちょっと大きな声で言わないと聞こえない始末。
これで拙者達が不満が無い訳が無く、今回全てを決めたハンサム殿を睨みつけるが、やはりというかなんというか柳に風の様でござった。今も涼しそうに爽やかに笑っている。
隣の京介氏と談笑しながら。


「兄貴ぃ!!、醤油とって!!」
「無理!」

いきなりきりりん氏が何か言い出したと思うとそれに対して京介氏も即答で返す。
少しでも多く京介氏と話していたいその気持ちは分かるのでござるが、いくら何でもその振りは無茶なのでは?

そんな事を考えて呆れていると、きりりん氏は何に怒ったのか更に声を荒げる。

「何でよ!!?、いいからさっさと取んなさいよ!!」
「何でって、遠いからに決まってんだろ!?。こんな所からそっちに醤油届けるとなると投げるしかないぞ!?、いいのか!?投げていいのか!?、醤油が飛び散って染みになるぞ!?、その真っ白い服に染みがついちまうぞこの野郎!!」
「あんたがこっちに歩いてきなさいよ!!」
「嫌に決まってんだろ!!、それだったらお前が取りに来いや!! ていうか隣に自分専用みたいなのあるだろが!!」

隣席にとってはうるさくて仕方が無い音量で言い合いをする京介氏ときりりん氏。
京介氏の隣に座っているハンサム殿がそそくさと耳栓を取り出しているのが見える。

まぁ、拙者の場合真ん中と端っこという距離が在りますゆえましなのでござるが。

ん〜、この味噌汁美味しいでござるなぁ。
拙者は即座にうるさい声を意識の外へと除外して今晩のおかずに改めて目を通す。
そこには食べなれた、とは言わないが、まぁ食べた事のある食べ物が並べられていた。


山菜の味噌汁。

炊き込みご飯。

猪の天ぷら 山菜添え。

ミニ鍋。
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/12(火) 15:49:58.51 ID:jEAbZVN30


まさか外国に来てまで日本食を食べる事になるとは……。
まぁアメリカの食べ物などハンバーガーとかステーキ、そういう肉料理ぐらいだから別に食べたいとは思わないでござるが……。
でもなんか物足りないでござるな。外国に来たっていう実感が感じられないでござる。
アメリカもアメリカでござるな、もっと自分の国だけのオリジナリティー溢れる料理を作ってほしいものでござる。
そんなんだから肥満者が多いんでござるよ。


っと、まぁそんな事はどうでもいい事でござった。
拙者は拙者で今夜の計画を立てなくてはいけないのでござった。
何せ今夜は京介氏と二人っきり、何が起こるか分からないでござるからなぁ。

やはり……勝負下着は大胆な物の方が良いのでござろうか?、それとも純情を表すような縞パン?真っ白?苺?クマちゃん?
京介氏は拙者が見たところMなのでござるが実際はどうなんでござろうか、Sだとしたらこちらとしても心の準備をしときたいのでござるが……。
どうも男性の思考は分からないでござるな。
まぁ、なんにせよ。

「ぬっふっふ、京介氏、今夜は寝かせませんぞ」

どうも最近皆さんにサービスし過ぎて遅れをとっているでござるからな。
今夜は本気で行かせてもらうでござる。

あわよくば既成事実を作って……デュフフ。


「あ、貴方いったいどうしたのかしら?、何腰をクネクネさしているの やめなさい気持ちが悪いわ」
「いやぁ、何でも無いでござるよ〜」
「そうは見えないのだけど……」

黒猫氏は何か変な物を見る様に拙者を見てきたが、やがて「まぁいいわ」と言って食事を再開した。
拙者は最後の竹の子の天ぷらに黒塩をちょっとつけて租借すると両手を合わせて「ご馳走様でした」そう言ってハンサム殿の所へと向かうために立ち上がる

「それではお先に失礼するでござる」

皆にそう言うと歩いてハンサム殿の所へと向かった。
念の為に今夜仕事が無いか聞いとかなければ。
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/12(火) 15:50:57.79 ID:jEAbZVN30
今回からは沙織視点でお送りします。

投下でした。
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/12(火) 18:20:21.08 ID:N1uO4NH/0
もちろんエロはありますよね
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/19(火) 15:54:32.59 ID:ITBkJW2f0
結果、仕事は無かった。と言う事で拙者は今、夜の為のセッティングをしている。
「この部屋の電気は〜っと、うむ、ちゃんと明るさを変えれる奴でござるな」

一度部屋を薄暗くして確認。これで電気の色を白からオレンジにできたらもっと良かったのだが、この際高望みはしまい。
薄暗くなるだけでも充分雰囲気は出るでござるからな。

セットした布団は隣のふすまにしまって。
よし、これで準備OK、後は京介氏が風呂に入る前に風呂に入って、風呂に入った京介氏が出る前に布団を出しセッティングする。
ふむ、完璧でござるな。

一人納得して頷くと、拙者は風呂に入る為にそそくさと京介氏の部屋から退散する
部屋のふすまを閉め、ホッと一息ついて横を向く

きりりん氏が何とも言えない目で拙者を見ていた。

「アンタ、いったい何してるわけ?」
「いえ、なにも」
「いや、絶対なんかしてたっしょ」
「あっははは、何を言いますかキリリン氏!、拙者別に何もしてないでござるよ?」

拙者がそこまで言うときりりん氏の不機嫌度がかなり上がった

「ま、いいよ、それで。自分で調べるから。ちょっとそこのいて」
「?、ここは京介氏の部屋でござるぞ?」
「だから何?」
「他人の部屋に勝手に入ってはいけないでござるよ」
「あんたが言うな!!」

その会話が終わるときりりん氏は無理矢理拙者を跳ね除けて京介氏の部屋の中へと入って行った
すると程なくして何やら叫び声の様な呻き声の様な声が聞こえてきたではないか。

ふむ、逃げた方が良さ気でござるな。

そう思い拙者が部屋に背中を向けるのときりりん氏がふすまを思い切り開いたのは同時だった

ひとまず走り出そうとした格好のまま固まって話し出すのを待つ

「あ、あ、あ、あた、あんたなんて事してくれちゃってんのよ!!?、あ、あれじゃまるで結婚したての夫婦のしょ、しょしょしょ初夜みたいじゃない!!?」

そんな事を言いながら拙者がセットした布団の斬死体を廊下に放り投げる、飛び出た綿がまるで臓器みたいでござる。
きりりん氏はそれを指差しながら頭からプシューと煙を出している
どうやら言いたい事はあるのだが、あり過ぎてどれから言ったらいいか頭が追いついていないらしい。

「然らば、失敬して」

拙者はきりりん氏を残してその場を後にする
頭の中ではこの後どうするか作戦をねっている。ふむ、今回の『×××作戦』は失敗でござるな。

どうやら勘違いでは無いようでござるな。
結論を言うと、今、拙者は監視されている。さもなければあんな所できりりん氏と遭遇する訳が無いのでござる。

そうなると振り切るのはまず不可能と言っていいだろう、きりりん氏達は普段は良い人達なのでござるが京介氏が関わると、まるで別人の様になり「他人? 敵じゃないの?」と素で聞いてきても不思議じゃない人物に変貌する。
拙者が京介氏を連れて姿を消したら北極だろうと南極だろうとエベレストの天辺だろうと活火山の火山口だろうと平気で探しに来るだろう。

まぁ別に良い、今夜は京介氏の所有権を拙者が握っているのだから後をつけられても邪魔は出来まい。

でもさすがに他人の目がある中で×××は出来ないので、今回の問題は何をするかと言う事だ。
キス?、却下だろう。それこそ殺される。
添い寝?、朝になったら皆が並んで寝ている姿が目に見える様でござるな。

「ふうぅ、しょうがないでござるな。ここは無難に夜景を二人で楽しむって言う事で手を打つとしましょう」

それだけでも結構な差をつけれるからまぁ納得できる。
あぁ、時間が惜しい。早速京介氏を迎えに行くとしましょう。

そう結論付けると拙者はきりりん氏の「あれ!?沙織が消えた!?」という言葉を背後に京介氏がいると思われる座敷に向かったのだった。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/19(火) 15:56:46.28 ID:ITBkJW2f0
投下

連休をとったので、その時にはもっと書き溜めてくる所存であります。
今回だけと言わず、全体的に短くてすまない。

274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/07/19(火) 16:23:57.53 ID:JYC1uxHAO
楽しみにしてる
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/19(火) 20:12:03.67 ID:cYruhwr20
乙!
楽しみだ
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/24(日) 07:50:06.62 ID:dHmHwoaIO
やっと追いついた
次回の投下楽しみにしてる
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/25(月) 00:42:21.92 ID:/x313Zf00
座敷に着くと、そこには思ったとおり京介氏がいた。
できるだけ皆と食べ終わる時間をずらそうとしたのか、まだご飯を食べ終わっていない。

拙者はこっそりと近づくと、息を吹きかけるように話しかける。流石京介氏でござるな、こんな距離に来てもまだ気づかないなんて。

「京介氏」
「どわひゃっっ!?」

余程驚いたのか食べていた白米をまるでスイカの種の様に口から吐き出し、思い切り咳き込み始める。
まぁそんな事はどうでもいいでござる

「いや、どうでもいいってお前、ごほっ、お前のせいだろ!?」

蒸せながらも反論してくる京介氏、そんな京介氏を無視すると拙者は用件を話し始める

「まぁ、それは置いといて。今夜、予定は空いているでござるか?、無かったら一緒に散歩にでも行きましょうぞ!」
拙者はそこまで言うとボソッと「まぁ予定があっても無理矢理連れ出すでござるが」と付け足すとニコリと笑いかける。

「あぁ、どうせ俺に拒否権なんてねぇんだろ?」
「それでは今夜拙者が京介氏の部屋まで伺いますので、絶対待っていますよう」

拙者がそう言うと「はいはい」と京介氏は呟くと食事を再開したのだった。

一先ず部屋に戻る、用意などをしなければ。




「まぁ、これで良いですわね」

服もちゃんと薄手にしたし、メガネもちゃんと外したし、髪もちゃんと下ろした。
恥ずかしいけど致し方ありませんね。京介さんがこっちの私の方が好きなのは明白なのですから。

私は鏡に写る頬が赤くなった私に笑いかけると皆に向かいなおした。

「それでは、皆さん、行って参ります」

それだけ言うとそそくさと部屋の扉に向かった。これ以上何か言うと爆発しそうなのだ。
私が行って参りますと言っただけでも桐乃さん達はギリギリと歯軋りをしていたし。

私は鼻歌を歌ってしまいそうなのを我慢しながら京介さんの部屋に向かう為に廊下をひた歩いたのだった。




その頃、沙織の居なくなった女子部屋では……

「よし、私達も行くわよ、びこu……、もとい散歩に」
『確かに、なんか丁度、何故か物凄い行きたくなって来た』
桐乃の声が聞こえた瞬間皆が言い訳を口々に言い始めた。

皆がひとしきり言い訳みたいなのを言い終わると、桐乃が先頭に立ち
「行こっか、散歩」
と、笑いかける。

皆は黒い笑いを顔に貼り付けながら桐乃を先頭に部屋を出たのだった。




コンコン、と軽く扉を叩き、相手の入室許可を待つ。
暫く待っていると中から何か絹擦れの音が聞こえ始めた

ちょっと想像してしまい、頬を赤くしていると中から返答があった
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/25(月) 00:44:12.50 ID:/x313Zf00

「今着替えてるからちょっと待ってくれー」

言わずもがな、京介さんからの返答だ。
私は「はい、分かりました」と答えて、火照った頬を冷まそうと廊下の窓を開いた。

天気は上々
神様の思し召しか、月も満月で淡い光を地上へと降らせていた。

「良い天気、ですね」

小さく笑って空から外の庭に視線を落とす。
とことん日本を意識しているのか、庭には池に鯉、桜の木やアベマキなど、色々な日本気の多い物が揃っていた。
よっぽど儲かっているのか結構広い。

当然の様にベンチも至る所に設置されている
どこに座ろうか、などと考えていると後ろからガチャリと扉の開く音が聞こえた、すぐに申し訳なさそうな声が聞こえてくる

「わりぃ、待たせたな」

後ろを振り返ると苦笑い気味の京介さんが目を見開いた
私はそれに気づかない振りをして京介さんに笑いかける

「いえ、大丈夫ですよ」
「おま、な、なんで、メガネ外してんの?」

慌てふためきながらも質問を私に投げかけてきた
予想していたので予め考えていた言葉を返した。

「京介さんがこちらの方が好きだからです」

私の台詞を聞いて京介さんは「ぶぅー!!」とお決まりのリアクションを返してきた

「ち、ちげぇよ!?」

このまま話し続けてたらきりが無いので適当に京介さんをいなすと腕を組んで歩き出す

「ちょ、何で腕組んでんだよ!?」
「今夜の京介さんは、私のもの、なんですよ? だから良いんです!」

我ながら恥ずかしい台詞だ、と思い熱くなる頬を京介さんの腕で隠すと、ちら、と京介さんの様子をばれない様に伺う
鈍感な京介さんも流石に今さっきの言葉は効いたらしく、プシュー、と頭から煙を出しながら顔を真っ赤にしていた。

ちょっと嬉しく思い、気を抜いたら緩んでしまいそうな顔を引き締める。
京介さんの腕を再び引いて改めて庭へと歩き出した。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/25(月) 00:51:20.75 ID:/x313Zf00
連休突入、明日も投下するからヨロシク頼む
ここで、また改めて御礼と謝罪をしようと思う。

こんな駄目すれに付き合ってくれている暇じn……もとい、良い人達よありがとう
そして投下が遅くてすまない。

それでは、また明日に逢おう。
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/25(月) 01:32:09.85 ID:l1KRUy/D0
むしろ暇を潰してくれる>>1に感謝
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/25(月) 04:25:08.08 ID:AixqcVj40
いいなぁ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/25(月) 08:05:55.84 ID:SBRVBeQIO
待ってるぞ
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/25(月) 08:46:46.79 ID:ED0Yzawr0
>>279乙!

だから暇じゃないとあれほど...
って、明日も...だと?
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/25(月) 16:10:07.54 ID:/x313Zf00
道程では特に話すことは無い。
目指す所は一つ、桜の木だ。京介さんに話しかけられたため、ちらっとしか見えなかったが、桜の木の周りはかなり凝った作りになっていて、ちらっと見ただけでも印象に残っていた。
そこは桜の木の周りに円の池を作っていて小さな石のベンチが一つ置かれている所だった、そこに行くための渡り橋も石でできていた。
一瞬見ただけなのに目を奪われた。

「そんなに急いで何処行くんだよ」
「いいから、ちゃんと着いてきてくださいね。多分、この並木を抜けた所にあったと思いますから」

細々とした並木の道を突き進む、幻想的な雰囲気を出したかったのか前の視界は木や草で見え辛い
もうちょっと。後ちょっと。

胸がドキドキとしてくる、これがここを設計した建築士の狙いなら私はその狙いにドップリはまってしまっている。

期待を胸に京介さんと歩き続けると、池の音だろうか、チャポンという音が聞こえてきた
「もうすぐです!、京介さん、早く行きましょう!!」

腕に入れる力を更に強めて京介さんを早く早くと促す

突然。
本当に突然視界が広がった。

桜の花びらが視界を埋めたような錯覚を起こしてしまう

それ程壮観、かつ綺麗な風景だったのだ

上から見た時より桜は大きく感じ、池は清らかに見えた。
この中ではありふれた鯉さえ荘厳さを出している

時より鯉が跳ねてできる水波ねの音が心に静寂をくれる。

隣の京介さんを見ると、目を見開いて固まっていた
現実に引き戻す様に話しかける

「京介さん、取り敢えず座りましょう?」
「あっ、あぁ」
やっと現実に戻ってきた京介さんは、それでも気の抜けた返事を返してきた。

腕を引っ張り一緒に石の橋を渡る。
空気が冷たく、肺まで届いてまるで広い自然の中で二人だけの様な錯覚をしてしまいそうになる

すぐに見えてきた石のベンチに座って暫く桜を眺めた。
どっちも何も話さない。

だけど気まずい沈黙では無かった、京介さんをちらりと見てみると桜を見ながら優しく笑っている
視線に気づいたのだろうか、京介さんはこちらを見ると笑いながら話しかけてくる

「こんな場所よく知ってたな、前に来た事があんのか?」

他愛も無い、ちょっとした話題だ。
話し始めたら京介さんの視線はもう一度桜に戻った、ちょっと頬が赤い気がするのは気のせいだろうか? 暗いのでよく分からない。

「いいえ、来た事は無いです。でも京介さんを待ってたら廊下から偶然見えたものですから………、ふふ、ラッキーですね」

なんて冗談めかして返事をする。
京介さんも最初は一緒になって笑っていたのだが、どうしたのだろうか、いきなり私を真剣味を帯びた目で見つめてきた。
笑顔も無くなっていて、手が私に近づいてきた

頬が急激に赤くなっていくのが自分で分かる。
目を逸らそうとするが、まるで縫い止められたかの様に視線が外れなかった。

京介さんの顔がどんどん近づいてくる。思わず呻き声がもれた

「ぅあ……」

吐息が掛かる所まで京介さんが来ると、もう何も出来ずにただ目を閉じた。
京介さんの暖かい息遣いが手に取る様に分かる。
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/25(月) 16:14:22.11 ID:/x313Zf00

「動くなよ、もうすぐだから」
「は………ぃ」

もう後には引けない。身を任せてその時を待つしか私に選択肢は無かった。
嬉しい、やっと京介さんに思いが通じたんですね

鼻がツンとして泣きそうになるが我慢して顎をちょっと上に向けた。


だけど暫く経っても何も起こらない、不思議に思っていると何故だろうか、京介さんが離れていくのが分かった
え?、なんで?

混乱して固まっていると京介さんが話しかけてきた

「沙織? もういいぞ、ほら、取れたから」

何が? と思って目を開けるとそこには手の平に幾枚か桜の花びらを載せた京介さんが自分に笑いかけていた。
ピシっッ

思考どろこか体も固まる。

再び思考回路が復活しても混乱だけが支配していた

ってことはなんですか? 全部私の勘違いって事ですか?
でも、っでも!、普通あんな事されたら勘違いしてしまうじゃないですか!!

っっうぅ、酷いですわ。

「ははっ、この花飾り、結構似合ってたぞ?」

肝心の京介さんといえば私の髪の毛についていた桜をみながら話しかけてきている。
自分の中にあった怒りが急速に消えていくのを感じる。

内心、溜息をつくとさっきの事は水に流した。
まぁちょっとくらいの意地悪はさしていただきますけど。

そう考えてニヤリと笑うと私は大きく息を吸った。

「きゃーーーー、京介さんこんな所でなにをーーーーーーー」

大声で悲鳴をあげる。
するとどこからかザッザッザッと走ってくる音が聞こえてきた。

その間に私は服のボタンをギリギリまで開き、戸惑っている京介さんに顔を近づけると
「お仕置きです」
と呟いてベンチに横になった。

近くの茂みが揺れたと思うと桐乃さん達が揃って姿を現した。
そして沙織の姿を見るなり皆は歯軋りをした

「なぁぁぁああにしてんのよぉおおおおお!!」
桐乃さんが叫んで皆は京介さんに飛び掛った。


その後、皆が京介さんを引きずってどっかに行ったのを確認すると、私は花びらを数枚拾って大切に持ち帰った
折角京介さんが似合ってると言ってくれた思い出の品なんですから、帰ったら栞にでもしましょう。

私は再び静かになった桜の木の下で、一人静かに笑ったのだった。
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/25(月) 16:21:01.39 ID:/x313Zf00
やっとトランプの景品の話が終わった。
多分もうすぐこの話も終わる。
この連休で終われる様に頑張るから励ましのコメよろです。もしかしたら無理かもだけど^^;

次からはリアの視線でお送りします、ヨロシク。

それじゃ、また明日に会おう。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/25(月) 17:57:58.63 ID:l2PzjxMxo
見てるよ頑張ってくれ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/25(月) 17:58:38.44 ID:l2PzjxMxo
見てるよ頑張ってくれ
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/25(月) 18:17:33.54 ID:YiM4Hu540
これはいい沙織だ……

支援
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/25(月) 18:39:58.23 ID:WSaCzRI6P
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/25(月) 22:25:13.10 ID:SBRVBeQIO

応援してるから終わらせないでくれ
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/26(火) 23:12:14.49 ID:GepAoSm70
皆は寝たのか、静かになった部屋にリアだけが起きていた。
今は、『キョウスケおにいちゃんが沙織おねえちゃんを襲った事件』が終わった後の夜だ。


こっちにキョウスケおにいちゃんと一緒に来て暫くは無かったのに、リアは今、現 世界一足の速い小学生、ミーネ・グロッサの事を考えて落ち込んでいた。
ミーネの走りは今思い出しただけでも寒気がする。
あの走りには無駄が一切無かったのだ、あくまで機械的に無機質にただただ速さだけを求めた結果の走りだった。
だけど感情面だけはリアと同い年なのか、とても豊かだった。
勝った時のミーネの顔は今でも忘れられない。

あそこまで相手を見下した笑顔は生まれて初めてだった。
思い出したら悔しさで鼻の奥がツンとしてくる。

「悔しいなぁ、ここのところキョウスケおにいちゃんのおかげで思い出す事無かったのに。やっぱり思い出すと悔しいよ」

目頭が熱くなったが、何とか我慢するとちょっとでも早く眠りにつこうと目を固く瞑った




気づくと、そこにいた。
この夢も最近は見る事が無かったのに…。
見過ぎたせいか、夢を夢と自覚できるようになってきた。

そこは暗い、どこに地面があるかも分からない空間だった。その中でミーネの声だけが響き渡るのだ。


――――――――――――クスクス、頑張ってね、前世界一の小学生さん。
―――――――――楽しいだけじゃこの世界、やっていけないんだよ。
――――――やっぱりこの程度なんだ?

――――一回『楽しい』なんて感情じゃなくて血反吐吐く気持ちで走ってみなよ。

――この甘ちゃんが。



「ち、違う!」
お前にリアの何が分かるんだよ!? リアだって楽しいだけでやってこれるわけ無いだろ!!
リアだって頑張った、頑張ってきてここにいる!!

思わず叫んで腕を横に薙ぎ払った。
だけど姿も見えないのにそんなので追い払えるわけも無く、声は消える事無く響き続ける


どうせそれが限界でしょ?
貴方みたいに笑いながら走る人には絶対に負けない、この世界は苦しんで、苦しんで、やっと勝てる世界なんだから。
私は貴方より苦しんだ、泣いた、頑張った、だから貴方よりも早く走れたんだ。



「や、やめろぉおおおおおおお!!!」


叫ぶと、何の光も無かったこの世界が急に白み始めた
やっと夢から覚めたみたいだった。

「っ眩し」

目を開くと、夜が明けたばかりなのだろうか、カーテンの隙間から真っ白な光が入り込み鳥の囀りが聞こえてきた
これからどうしよ、先に風呂に入ってこの陰鬱とした気分をどうにかしようか?
でもどうせ朝のランニングに行くんだし、入っても無駄かな。

リアはランニングに決めるとダルい体を無理矢理動かして布団から抜け出して、早く走りに行って夢の事を忘れようと着替え始めた。

タンクトップに短パン、朝なんだから出来るだけ軽くする。
流石に足につけた重しは外さないが。

用意が終わると皆を起こさないように静かに扉を開いて廊下に出た
廊下の窓からは強い光が入る事は無いので、若干暗く感じた。そのせいで余計に気分が沈んだ。

「はあぁ」

思わず出る溜息を隠す事もせずに薄暗い廊下を進んでいった

出口は廊下と違って、朝日ともろに向かい合わせとなっているのでとても明るい
何も考えずに取っ手をとってドアを開くと思わず顔を顰めるほどに明るかった。

リアは手で影を作って門まで歩いていった。
手で視界が狭くなったせいか門で座り込んでいる人には気づかずに素通りする
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/26(火) 23:17:53.02 ID:GepAoSm70

門を出て人通りを確認してから準備運動に掛かった。
今度は門の下の人がこちらに歩いてくるのを視界の端で捕らえた。そんなにジッと見る事は無く、さして気にもしないで準備運動を続ける。

その人はリアの横を通り過ぎたと思った。
だけど実際は違ったらしく、リアの頭は急にワシワシと撫でられた。

結構強い力で撫でられたせいか頭が揺すぶられる。


ビックリして振り返るも、朝日のせいでよく見えない

「なんで無視してくかねぇ、折角早く起きたんだから一緒にランニングでも行こうぜ」

こ、この声って。
もしかして、と思い眩しいのを我慢して目を凝らす

ちょっと大きめのTシャツ、ちょっと細い目、とても優しい眼差し。

「っやっぱり!!」

そこには苦笑いしたキョウスケおにいちゃんがいた
一瞬で今までの暗い気分が吹き飛んで行くのが分かった。

嬉しくて、とても嬉しくて思わず抱きつく。


「キョウスケおにいちゃん!!」
「おほぉ!?」

強く抱きつき過ぎただろうか?、キョウスケおにいちゃんの口から変な声が漏れた。
でも我慢出来なかったのだ、あんなタイミングで出てくるキョウスケおにいちゃんが悪いんだ。
そうだよ、そうに決まってる。

いっきに気が緩んだせいか、力を入れとかないと涙が零れてしまいそうだ
ちょっとだけ鼻をすんと鳴らすと抱きしめる力を強くしてキョウスケおにいちゃんの服に顔をより深く沈めた。

キョウスケおにいちゃんも今回は何時もの様におどけたりせず、ただゆっくりと頭を撫でる

暫くして、落ち着くとリアはキョウスケおにいちゃんに向かってはにかむとお礼を言った。

「ありがとねっ、キョウスケおにいちゃん!!」
「………おう」

そのお礼に対してキョウスケおにいちゃんは目一杯の笑顔を返してくる。

ドクンッッ!!

その瞬間、リアの心臓が大きく跳ねた。

い、いきなりは反則だよ!!

反射的にキョウスケおにいちゃんから目を逸らすが心臓の鼓動が収まる気配は全く無い
むしろ酷くなってきている、頬が熱い、っていうか全身が熱い!

「お、おい、大丈夫か? 顔真っ赤だぞ?」
キョウスケおにいちゃんが心配そうに顔を覗きこんできた
リアは混乱して「ひゃ!、ヒャイ! 大丈夫!!」と叫ぶと足に力を入れて全力で走り出す

あ、あた、頭からキョウスケおにいちゃんの笑顔が離れないよ!!?

「って、え、えぇぇ!?、ちょ、リア、待って! 俺追いつけないから!?」

キョウスケおにいちゃんが何か叫んでいるがこっちもこっちで大変だ、今さっきから心臓が破裂しそうに勢いで運動しているのだ。
今キョウスケおにいちゃんの顔みたら死ぬ!、死んじゃう!!

そんなわけで逃げるリア、そしてそれに追いつこうと必死なキョウスケおにいちゃん。
そんな二人のランニングがここに開催された。

まぁ開催されたといってもそんなのが長続きする訳も無く
30分も経つとリアとキョウスケおにいちゃんは旅館でくたびれていた。
本当だったらリアはまだまだ走れるんだが、運動以外で心臓が早鐘をうちまくっていたのですぐに息が切れてしまったのだ。


『つ、疲れたあぁぁ』

二人はロビーのソファーで寝転びながら声を揃えたのだった。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/26(火) 23:40:51.94 ID:GepAoSm70
ギリギリ今日に間に合って良かった^^
作者はコメを見たらもっと頑張れる気がすると言っていますw

チラッ

それじゃぁ、また明日。

295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/26(火) 23:58:37.26 ID:80VePIxb0
コメが欲しいか?

コメが欲しいなら...

くれてやる!!

乙でした!
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/27(水) 00:06:54.40 ID:555VT0NCo
おつおつ
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/27(水) 00:42:07.98 ID:oelPmQbI0
>>296Φファイズだッッッ
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/27(水) 04:07:36.30 ID:tMcxQd8IO

コメしたら書くんだな?書いてくれるんだな?
リアのターン期待してる
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/27(水) 21:39:55.77 ID:HG5NaMBl0
ソファーの上、あれから何分も経っていないのにキョウスケおにいちゃんはウトウトし始めていた、瞳に光彩が無くなりトロンとしている
リアはといえば、特にする事もなく、そしてキョウスケおにいちゃんみたいに睡魔に襲われる事も無く、ただその横顔をボーっと眺めていた。

それから何分経っただろうか、数えてはいないがそんなに経っていないのだけは言える。
なのにキョウスケおにいちゃんはもう完全に夢の世界に旅立っていた。
瞼は完全に閉じられ、規則正しい呼吸音だけが聞こえてくる

「お〜い、キョウスケおにいちゃん?」

念の為に確認してみるも、反応は無し。
リアはそっと席を立つとキョウスケおにいちゃんの顔の前に座り込んだ

周りを見回して誰も居ないことを確認。うん、大丈夫、朝早いおかげで誰も居ない。

リアはキョウスケおにいちゃんの頬にそっと触れると、プニプニと突っつく
とっても柔らかくってスベスベだった、本当に男の肌かと疑ったぐらいだ。
多分リアよりも綺麗な肌だ。
ちょっとムカついたので今度は抓ってみる。
キョウスケおにいちゃんの肩がピクンッと跳ねた

眉間にもちょっと皺がよっていた

反応が一々面白くって思わず色んな悪戯をしたくなってくる。
リアが次はどんな事をしようかなぁ、なんて笑いながら考えていると視界の端に何かがチラついた

それは黒かった、凸みたいな形をしていて最近見慣れてきた物だった。

見間違いかな?、とも思ったがどうやら違うらしい。
さっきまでキョウスケおにいちゃん弄りに夢中で気づかなかったが、パシャリという音が聞こえてきたのだ。

ガバッと振り返るとそこには
「っ!?」

……カメラを構えたハンサムさんがいた

「おはようございます、リアさん。 あぁ私には気を使わずにどうぞ、続きをやってください」

バレたのにそれを意に返さず堂々とそんな事を言ってくる。
こんな状況で続きなんて出来るか!
っていうかバレたのになんでまだ写真撮ってんの!?

リアは溜息を隠すことなくつくと、ハンサムさんに向き直った

「で、なんのようなの? リアはキョウスケおにいちゃん弄りで忙しいんだけど?」
「あ、はい、もうすぐ朝食の時間ですので起こしに、と思いまして。
それにリアさんにはしっかり食べて体力をつけて貰わないといけませんから。今日は大事な事が起こりますから特に、ね」
ハンサムさんは言い終わると涼しげにニコリと笑う

そんな意味深な言葉を呟かれると気になるのは仕方の無いことで、リアは思わず聞き返す

「大事な事って…」
「まぁその話は置いといて、とりあえず朝食ですよ。それと、京介さんはリアさんが起こしてきて下さいね、15分後に集合ですから急いでくださいよ?」

だがその質問を言い終わる前にハンサムさんは無理矢理言葉を被せると、話を中断させた。
そしてそのまま何も言わせまいと階段へと早足で消えていってしまった。

こうなると残されたほうは悶々とするしか選択肢が無くなる、大事な事っていうのが何なのかを暫く考えるが当然分かるはずもなく、後ろ髪引かれる思いでやむなく考えるのを中断した
結局答えなんてのは言い出した人にしか分からないものなのだ。
リアはそう結論付けると、早くこの事を忘れようと頭を振った

さて、何はともあれ朝ごはんだ、ハンサムさんは15分後と言っていたからこれから結構急がなければならない。
まず第一にキョウスケおにいちゃんを起こして、第二にリアが風呂に入らなければならない。別に風呂なんか後でも良かったんだがどうにも汗をかきすぎて気持ちが悪い、折角の朝ごはんなんだからこのまま食べたくは無かった。
少なくとも今さっき悩んでた時間は2.3分はあったから、後は12分程度だろう。いくらリアが風呂にあまり時間を掛けない方だからといってもかなりキツイ事に変わりは無い。
これは風呂と言うより本当に汗を流すだけの湯浴みみたいになってしまうだろう。下手をしたらそれすら出来ない可能性だってある。

しょうがない、キョウスケおにいちゃんには悪いけど結構乱暴に起こさせてもらおう。そんな事で時間をかけている暇は無いのだ。

「キョウスケおにいちゃん!!、起きて!!」
リアは急いで駆け寄って思い切り平手打ちを食らわした
それに対してキョウスケおにいちゃんは泡を食った様に驚いてソファーから転げ落ちる

「え!?、なに!? あのアイス食ったのは俺じゃないよ!?」

そんな意味の分からないことを言っているキョウスケおにいちゃんにリアは「今から朝ごはんだから座敷に集合ね!!」という事だけを伝えると急いで自分の部屋へと向かった

部屋につくと急いで着替えのタオルを手に取る。
これまでの所要時間は訳2分、と言う事は残り時間は後10分程度だって事だ。

間に合うかな?

リアは足に力を入れて風呂に向かって走っていったのだった
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/27(水) 21:44:12.12 ID:HG5NaMBl0
ソファーの上、あれから何分も経っていないのにキョウスケおにいちゃんはウトウトし始めていた、瞳に光彩が無くなりトロンとしている
リアはといえば、特にする事もなく、そしてキョウスケおにいちゃんみたいに睡魔に襲われる事も無く、ただその横顔をボーっと眺めていた。

それから何分経っただろうか、数えてはいないがそんなに経っていないのだけは言える。
なのにキョウスケおにいちゃんはもう完全に夢の世界に旅立っていた。
瞼は完全に閉じられ、規則正しい呼吸音だけが聞こえてくる

「お〜い、キョウスケおにいちゃん?」

念の為に確認してみるも、反応は無し。
リアはそっと席を立つとキョウスケおにいちゃんの顔の前に座り込んだ

周りを見回して誰も居ないことを確認。うん、大丈夫、朝早いおかげで誰も居ない。

リアはキョウスケおにいちゃんの頬にそっと触れると、プニプニと突っつく
とっても柔らかくってスベスベだった、本当に男の肌かと疑ったぐらいだ。
多分リアよりも綺麗な肌だ。

ちょっとムカついたので今度は抓ってみる。
キョウスケおにいちゃんの肩がピクンッと跳ねた

眉間にもちょっと皺がよっていた

反応が一々面白くって思わず色んな悪戯をしたくなってくる。
リアが次はどんな事をしようかなぁ、なんて笑いながら考えていると視界の端に何かがチラついた

それは黒かった、凸みたいな形をしていて最近見慣れてきた物だった。

見間違いかな?、とも思ったがどうやら違うらしい。
さっきまでキョウスケおにいちゃん弄りに夢中で気づかなかったが、パシャリという音が聞こえてきたのだ。

ガバッと振り返るとそこには
「っ!?」

……カメラを構えたハンサムさんがいた

「おはようございます、リアさん。 あぁ私には気を使わずにどうぞ、続きをやってください」

バレたのにそれを意に返さず堂々とそんな事を言ってくる。
こんな状況で続きなんて出来るか!
っていうかバレたのになんでまだ写真撮ってんの!?

リアは溜息を隠すことなくつくと、ハンサムさんに向き直った

「で、なんのようなの? リアはキョウスケおにいちゃん弄りで忙しいんだけど?」
「あ、はい、もうすぐ朝食の時間ですので起こしに、と思いまして。
それにリアさんにはしっかり食べて体力をつけて貰わないといけませんから。今日は大事な事が起こりますから特に、ね」
ハンサムさんは言い終わると涼しげにニコリと笑う

そんな意味深な言葉を呟かれると気になるのは仕方の無いことで、リアは思わず聞き返す

「大事な事って…」
「まぁその話は置いといて、とりあえず朝食ですよ。それと、京介さんはリアさんが起こしてきて下さいね、15分後に集合ですから急いでくださいよ?」

だがその質問を言い終わる前にハンサムさんは無理矢理言葉を被せると、話を中断させた。
そしてそのまま何も言わせまいと階段へと早足で消えていってしまった。

こうなると残されたほうは悶々とするしか選択肢が無くなる、大事な事っていうのが何なのかを暫く考えるが当然分かるはずもなく、後ろ髪引かれる思いでやむなく考えるのを中断した
結局答えなんてのは言い出した人にしか分からないものなのだ。
リアはそう結論付けると、早くこの事を忘れようと頭を振った

さて、何はともあれ朝ごはんだ、ハンサムさんは15分後と言っていたからこれから結構急がなければならない。
まず第一にキョウスケおにいちゃんを起こして、第二にリアが風呂に入らなければならない。別に風呂なんか後でも良かったんだがどうにも汗をかきすぎて気持ちが悪い、折角の朝ごはんなんだからこのまま食べたくは無かった。
少なくとも今さっき悩んでた時間は2.3分はあったから、後は12分程度だろう。いくらリアが風呂にあまり時間を掛けない方だからといってもかなりキツイ事に変わりは無い。
これは風呂と言うより本当に汗を流すだけの湯浴みみたいになってしまうだろう。下手をしたらそれすら出来ない可能性だってある。

しょうがない、キョウスケおにいちゃんには悪いけど結構乱暴に起こさせてもらおう。そんな事で時間をかけている暇は無いのだ。

「キョウスケおにいちゃん!!、起きて!!」
リアは急いで駆け寄って思い切り平手打ちを食らわした
それに対してキョウスケおにいちゃんは泡を食った様に驚いてソファーから転げ落ちる

「え!?、なに!? あのアイス食ったのは俺じゃないよ!?」

そんな意味の分からないことを言っているキョウスケおにいちゃんにリアは「今から朝ごはんだから座敷に集合ね!!」という事だけを伝えると急いで自分の部屋へと向かった

部屋につくと急いで着替えのタオルを手に取る。これまでの所要時間は訳2分、と言う事は残り時間は後10分程度だって事だ。

間に合うかな?

リアは足に力を入れて風呂に向かって走っていったのだった
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/27(水) 21:44:55.28 ID:HG5NaMBl0
ソファーの上、あれから何分も経っていないのにキョウスケおにいちゃんはウトウトし始めていた、瞳に光彩が無くなりトロンとしている
リアはといえば、特にする事もなく、そしてキョウスケおにいちゃんみたいに睡魔に襲われる事も無く、ただその横顔をボーっと眺めていた。

それから何分経っただろうか、数えてはいないがそんなに経っていないのだけは言える。
なのにキョウスケおにいちゃんはもう完全に夢の世界に旅立っていた。
瞼は完全に閉じられ、規則正しい呼吸音だけが聞こえてくる

「お〜い、キョウスケおにいちゃん?」

念の為に確認してみるも、反応は無し。
リアはそっと席を立つとキョウスケおにいちゃんの顔の前に座り込んだ

周りを見回して誰も居ないことを確認。うん、大丈夫、朝早いおかげで誰も居ない。

リアはキョウスケおにいちゃんの頬にそっと触れると、プニプニと突っつく
とっても柔らかくってスベスベだった、本当に男の肌かと疑ったぐらいだ。
多分リアよりも綺麗な肌だ。

ちょっとムカついたので今度は抓ってみる。
キョウスケおにいちゃんの肩がピクンッと跳ねた

眉間にもちょっと皺がよっていた

反応が一々面白くって思わず色んな悪戯をしたくなってくる。
リアが次はどんな事をしようかなぁ、なんて笑いながら考えていると視界の端に何かがチラついた

それは黒かった、凸みたいな形をしていて最近見慣れてきた物だった。

見間違いかな?、とも思ったがどうやら違うらしい。
さっきまでキョウスケおにいちゃん弄りに夢中で気づかなかったが、パシャリという音が聞こえてきたのだ。

ガバッと振り返るとそこには
「っ!?」

……カメラを構えたハンサムさんがいた

「おはようございます、リアさん。 あぁ私には気を使わずにどうぞ、続きをやってください」

バレたのにそれを意に返さず堂々とそんな事を言ってくる。
こんな状況で続きなんて出来るか!
っていうかバレたのになんでまだ写真撮ってんの!?

リアは溜息を隠すことなくつくと、ハンサムさんに向き直った

「で、なんのようなの? リアはキョウスケおにいちゃん弄りで忙しいんだけど?」
「あ、はい、もうすぐ朝食の時間ですので起こしに、と思いまして。
それにリアさんにはしっかり食べて体力をつけて貰わないといけませんから。今日は大事な事が起こりますから特に、ね」
ハンサムさんは言い終わると涼しげにニコリと笑う

そんな意味深な言葉を呟かれると気になるのは仕方の無いことで、リアは思わず聞き返す

「大事な事って…」
「まぁその話は置いといて、とりあえず朝食ですよ。それと、京介さんはリアさんが起こしてきて下さいね、15分後に集合ですから急いでくださいよ?」

だがその質問を言い終わる前にハンサムさんは無理矢理言葉を被せると、話を中断させた。
そしてそのまま何も言わせまいと階段へと早足で消えていってしまった。

こうなると残されたほうは悶々とするしか選択肢が無くなる、大事な事っていうのが何なのかを暫く考えるが当然分かるはずもなく、後ろ髪引かれる思いでやむなく考えるのを中断した
結局答えなんてのは言い出した人にしか分からないものなのだ。
リアはそう結論付けると、早くこの事を忘れようと頭を振った

さて、何はともあれ朝ごはんだ、ハンサムさんは15分後と言っていたからこれから結構急がなければならない。
まず第一にキョウスケおにいちゃんを起こして、第二にリアが風呂に入らなければならない。別に風呂なんか後でも良かったんだがどうにも汗をかきすぎて気持ちが悪い、折角の朝ごはんなんだからこのまま食べたくは無かった。
少なくとも今さっき悩んでた時間は2.3分はあったから、後は12分程度だろう。いくらリアが風呂にあまり時間を掛けない方だからといってもかなりキツイ事に変わりは無い。
これは風呂と言うより本当に汗を流すだけの湯浴みみたいになってしまうだろう。下手をしたらそれすら出来ない可能性だってある。

しょうがない、キョウスケおにいちゃんには悪いけど結構乱暴に起こさせてもらおう。そんな事で時間をかけている暇は無いのだ。

「キョウスケおにいちゃん!!、起きて!!」
リアは急いで駆け寄って思い切り平手打ちを食らわした
それに対してキョウスケおにいちゃんは泡を食った様に驚いてソファーから転げ落ちる

「え!?、なに!? あのアイス食ったのは俺じゃないよ!?」

そんな意味の分からないことを言っているキョウスケおにいちゃんにリアは「今から朝ごはんだから座敷に集合ね!!」という事だけを伝えると急いで自分の部屋へと向かった

部屋につくと急いで着替えのタオルを手に取る。これまでの所要時間は訳2分、と言う事は残り時間は後10分程度だって事だ。

間に合うかな?

リアは足に力を入れて風呂に向かって走っていったのだった
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/27(水) 21:49:38.61 ID:HG5NaMBl0
300、301は皆の記憶から削除してくれ。
投下失敗なんて黒歴史は俺の記憶の中でも削除しておく。だから皆もこの事は忘れろください。

それと今回は短くてすまない。
リアの立場で書く小説の難しさに打ちのめされちまった^^;

それじゃ、多分また明日。
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/28(木) 00:58:40.79 ID:8mJHJcpC0
大事なことなので(ry
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/07/28(木) 01:00:39.60 ID:C3HJLmgxo
エラーになっても更新して確かめるってあれほど言ったじゃないですかーーーーー
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/28(木) 01:10:50.01 ID:kDmmOalIO
投下ミスなんて珍しくもないから気にすんな
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/07/28(木) 09:10:40.84 ID:eWRwH0qAO
頑張って書いてくれたら忘れるかもしれない
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/28(木) 11:36:35.50 ID:Al0B1U2+0
あやせェ…
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/28(木) 16:29:15.32 ID:XBLqR4FC0
>>307

ゴメンよ、俺の腕ではどうしてもこの展開だとリア一筋になってしまうんだ。
あやせ以外もまた叱り。

ちゃんと最後は皆出させるので安心してくれ。
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/28(木) 22:07:57.11 ID:ouduW66Z0





  ・・・・






「リアさん、人として時間は守らないといけませんよ?」


只今、リアは正座中だ。
皆がご飯を前にして思い思いの姿勢をしている中、リアは遅刻をした事に対してのお説教を受けていた。それもかなりの時間だ、ふと部屋の時計を見てみると訳30分近くお説教を受けている事が分かる

そんな中、皆も腹が限界になったのか口々に文句を言い始めた

「おいハンサム、いい加減食おうぜ? リアも反省してんだしもういいじゃねぇか」

キョウスケおにいちゃんはその後に「もう飯も冷め切っちまってんじゃねぇか」と愚痴を溢すとハンサムさんを睨みつけた
ハンサムさんはビビる事は無かったものの、肩を竦めると素直に謝った。

「すみません、ちょっと言い過ぎました、マネージャーの仕事柄かどうも時間には敏感になってしまいまして。でも遅刻が駄目なことに変わりはありません、リアさん、次からは気をつけてくださいね」

リアに一言言うのも忘れなかった。それに対しては完璧にリアが悪いので何も言い返せないし、言い返すつもりも無かった。
「はい」と返事をすると自分の席へと歩いていく

ハンサムさんが全員が座ったのを確認すると、手をあわせて皆で「いただきます」と声を揃える。
ご飯は冷めていたけど、ちゃんととっとかないと朝練まで体力が持たないので口の中に掻き込んだ


最後に余った漬物を口の中に入れようとしたら、先に食べ終わったのだろうハンサムさんが今後の予定について話し始めた。

「皆さん、食べていても構いませんので、耳だけこちらに傾けておいて下さい。この後なんですが、朝練はしません。皆さんはご飯を食べ終わったら風呂にでも入ってゆったりしていて下さい、練習はお昼からいたしますので、それまでは休憩です」
――――――――っ!?
「な、なんで!?」

ハンサムさんが言った事にリアは思わず我を忘れて大声で聞き返す
駄目なんだ、リアは練習しないと駄目なんだ。それじゃないと追いつけない!

今朝夢を見たせいか、どうしようもない焦燥感がリアの中で渦巻いていた。キョウスケおにいちゃんのおかげで少しは落ち着いたものの、完全に無くなったわけではなく、まだ心の中に残っていたモヤモヤした物が今さっきのハンサムさんの話で一気に弾けた

「何で練習しないの!?、早く、早くしないと何時まで経っても追いつけないよ!!」

皆がびっくりしてこちらを凝視しているが、それすら気にならずに必死にハンサムさんに訴えた。
とにかく練習しなくちゃいけないのだ、それじゃないと追いつけないどころか離される一方だ。
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/28(木) 22:08:50.60 ID:ouduW66Z0

酷く焦る心に任せてハンサムさんに叫んでいると、リアの肩が誰かに強く掴まれる

「っ邪魔するな!!」

顔も確認せずに手を払いのけようとするが、いくらやっても手が離れる事は無かった
体力が無くなって荒い息を吐き出す

「何で……、邪魔するの」
「っま、まぁ落ち着けって。多分いくら言ったってこの決定には逆らえねぇからよ」
ちょっと間を空けて「分かってるだろ?」と聞いてくる

分かってる、分かってるけど!!
駄目なんだよ、と言おうとして顔を上ると、そこにはキョウスケおにいちゃんの顔があった

その表情を見ると、喉から出掛かっていた言葉が出ること無く、空気に溶けて消えてくのが分かる。

なんで………そんな顔をしてるの?

たまらず顔を背けるが、一度見て目に焼きついたその表情が私の記憶から消えることは無い
悲しそうで、辛そうで、苦しそうな、そんな…顔だったんだ。

誰のせいでそんな顔をしているの?
リアだ。

リアのせいで、キョウスケおにいちゃんは悲しんでいるんだ
「っく、ぅ」

思わず嗚咽が漏れてくる、たまらずキョウスケおにいちゃんの胸に飛び込んだ
ごめんなさい。
そう言いたかった、けど、口からでるのは嗚咽ばかりでその言葉が出る事は無かった。

「もう飯……終わってんだろ?、俺の部屋来いよ、話ぐらい聞いてやるから」

キョウスケおにいちゃんはリアの顔を隠すように腕をとると、短く溜息をついてそう聞いてくる。
本当はまだ漬物が残っていたがそんな事は最早記憶から消えていた。

リアが首をちょっとだけ動かして頷くと、キョウスケおにいちゃんはリアの腕に込める力をちょっとだけ強くしてリアを引っ張っていく。
ちょっとだけ体が軽くなった気がした。
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/28(木) 22:16:20.22 ID:ouduW66Z0
シリアスは嫌いだ、自分の文才の無さを改めて思い知らされる事になるから。
だけど展開上やらないと先に進めない。

と言う事で何か変な所があってもあまり追求しないように。それは作者の製作意識を低下させ、かつ作者の心をエグるという行為だからあしからず。

作者はコメントがあれば有るほど力がみなぎります。
それじゃぁまた明日。
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/07/28(木) 22:26:38.56 ID:C3HJLmgxo
尻assだと・・・!?
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/29(金) 00:58:29.32 ID:sgy+mY5zo
おつ
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/07/29(金) 01:15:43.33 ID:8J3vb4MAO
この京介さんはハーレムルートの道筋わかってんのかってくらい的確な選択してるな

くそっ現実に選択肢があれば俺だって・・・・・・
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/29(金) 02:54:46.21 ID:xKjRxyjIO


>>314
選択肢ってイベントがないと発生しないんだぜ…
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/29(金) 03:01:32.57 ID:bPt+e3Pt0
またか

本当に...ここの>>1

毎度、毎度















乙!
シリアルもいいが、一番の持ち味は勢いとキャラ崩壊なんだし
ここも勢いで突っ走ってくれ
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/29(金) 23:19:59.58 ID:ld+5Hu9d0
……ごめ、今日無理……。

絶対明日には投下するから…。

じゃぁまた明日。
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/30(土) 21:59:21.97 ID:+cGua+Q10
部屋につくと、キョウスケおにいちゃんは「そこらへんに座っててくれ」と言ってお湯を沸かしにいった

この旅館はどれだけ日本を意識しているんだ、っていうほど日本用品が揃っていた。
急須 緑茶の葉 団扇 扇子 その他諸々etc

「なんじゃこりゃぁぁあ!!?」

急にキョウスケおにいちゃんが叫ぶ。
リアは何事!?と思って振り返るが、すぐに無駄な事をしたと後悔する事になった

「こ、ここ、これあ割烹着じゃねぇかあ!! こんな日本でももうあまり見ない物までそろってんのか!!?」

なんで叫ぶ必要がある。

と突っ込む気力も無くリアは机に突っ伏した。
それから、何分も経たない内にやかん独特のお湯が沸いた高い音がしてくる。

急須にお湯を注いでいるんだろう、部屋に独特の匂いと音が広がった。

凄いな、外国人のリアでもこの匂いには落ち着く。
ちょっとホウッとしていると湯呑二つと急須を持ってキョウスケおにいちゃんがリアの目の前に座った。

緑茶を両方の湯呑に注いでいく、注ぎ終わると今までの空気が嘘の様に、重たく張り詰めていくのが分かった

「で?、一体何があったんだ? こちとら今さっき叩かれまくった腕が痛いったら無いんだぞ? こりゃ明日になったら絶対青たんになってるね。うん、確実に。と言う事で、こんな被害を被った俺にはその理由を聞く権利が充分過ぎるぐらいにある。さぁ話せ、今話せ、全部話せ」

キョウスケおにいちゃんは腕に息を吹きかけ、すっ呆けた態度で理由を聞いてくる。
普通ならもっと怒っても良いのに。
自分でも面白いほど肩の力が抜けていくのが分かる

本当、キョウスケおにいちゃんは

「優しいなぁ」
自然と零れる笑みにちょっとだけ涙を浮かべながら思った言葉が知らず知らず口から出た

キョウスケおにいちゃんはちょっと頬を赤く染めて反論する
「う、うっせ。いいから早く理由を話せ、理由を」

リアはそっと息を吸い込む
キョウスケおにいちゃんのおかげでこんなにも軽い気持ちで話せる、思い出すだけでも辛かった話を、ちゃんと話せる。

「うん、大丈夫」

それが、とても嬉しかった。



319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/30(土) 22:00:51.07 ID:+cGua+Q10



リアが勝負をして、負けて、言われた事、言われて悲しかった事。
夢に出てくるようになった事

それを一から順番に丁寧に話していると、かなりの時間がかかった
時間にしてみると10分ぐらいだろうか、10分ぐらいと言うとかなり短く感じるか、喋ってみるとかなり長い事が分かる。

話し出して、途中からキョウスケおにいちゃんの顔を見れなくなって下に俯いてたので、顔は見ていないのだが、多分呆れているだろう。
相手の言葉にこんなにもうろたえて、焦っているんだから。

リアがキョウスケおにいちゃんの立場でも絶対に呆れる。

そんなことを思って、キョウスケおにいちゃんの溜息をついている想像しながら顔を上げる

そこには………

「……ぅくっ、くぁ」

首をカックンカックンさせながら寝ているキョウスケおにいちゃんがいた
「………へ?」

思わず口から変な声が出た
え……ちょ、マジ?

これが現実の事かさえ認識できなくなってきてリアはオロオロしてしまう
立ったり、座ったり、キョウスケおにいちゃんの周りを無意味に回ったり顔を覗き込んだり。

そんなことをしていると不意に襖が吹っ飛びそうな勢いで開かれた

ドォオオオオオン!!!!

耳を塞ぎたくなるような音が鳴る
続いて同じく耳を塞ぎたくなるような大音量がこの空間に響いた

「あぁぁぁぁにぃいぃぃぃぃきぃぃぃいいい!!!!!!!!」
「クソマネェぇえええ!!!!!」
「京介氏!!!!」
「マネージャーさん!!」
「……お兄さん…………!」

5人が桐乃さんを先頭に騒音と共に部屋に乱入してきた
目を瞠って思考停止していると
皆の後ろに居た黒猫さんと麻奈実さんが肩を竦めているのが見えた

「自業自得ね、軽い体罰だけで地獄の試練が無いことに感謝すべきだわ」
「う〜ん、これは京ちゃんが悪いから助けれないかな」

そんな二人の言葉を皮切りに五人が地面を蹴った
リアの位置から足の裏がはっきりの見えた。

その五人の足の裏がどこに向かったかは言わなくても分かるだろう。

「っっぎゃぁあああああああ」

そんなキョウスケおにいちゃんの悲鳴が今までで一番大きくこの部屋を揺るがしたのだった。
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/30(土) 22:08:56.65 ID:+cGua+Q10
昨日はすまなかった。
そして今回も短くてすまない。

また良かったらコメしていってくれ。

それじゃぁまた明日?
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)[sage]:2011/07/30(土) 23:31:59.39 ID:AFbfgZomo

短くても良いから続けてくれ
で、明日なんだな?
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/07/31(日) 00:02:05.26 ID:lCLwL5HAO
あダメだ作者ニコ厨かよ

切るわ
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/31(日) 00:58:25.98 ID:CBYRFCBH0
ニコ厨じゃねぇよ。

どっちかってーとユーチューブのんが好きだ。
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage saga]:2011/07/31(日) 02:20:00.27 ID:NSwd1pObo
「コメ」じゃなくて「レス」な
後、ちょいちょいあるら抜き言葉が気になるかな
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/31(日) 08:05:31.81 ID:dLSK/rcj0
乙乙

今日?も書くの?早くきてね
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/07/31(日) 09:41:48.30 ID:CBYRFCBH0
リアが黒猫の事なんて呼ぶが知ってる人いる?

いたら教えろください
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/07/31(日) 19:22:17.78 ID:l1Kdwwc80
リアと黒猫に接点なかったし普通に「あなた」とかでいいんじゃないか
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/01(月) 00:07:56.46 ID:4SgIVPwc0
それから10分後。


「ったく!、あんたはあんな感動する話を聞きながらよく寝れたわね!!。可哀そう 泣ける 感動 この三つが揃ってたじゃない!!ちゃんと聞いときなさいよ!!」
「だ、だから、最初だけ聞いてたら充分だって言ってんだろ?」

今はあのとび蹴り事件後。
キョウスケおにいちゃんは桐乃に説教をくらっていた。

「第一にだな、リア」

リアが「可哀そうって……」なんて呟いていると、キョウスケおにいちゃんがリアに急に話を振ってきた。
頭がついていかず間の抜けた返事しか出来なかった。

「お前ってそんな性格だったっけ?」

キョウスケおにいちゃんは簡潔に聞いてきた。
性格?、変わってないよリアは。

リアが疑問符を浮かべていると、キョウスケおにいちゃんは後ろの桐乃を押さえつけながら短く溜息をついた。
「相手を気にしすぎだ。走るの楽しいか?、楽しめてんのか?」

キョウスケおにいちゃんは「あぁ、こういうの性に合わねぇ!」なんて言うと頭をガシガシと手で掻いた
急に拳を私に向けてくる。

コツン

リアの頭に小さな衝撃が響く

「とにかく! 辛気臭ぇ顔してんじゃねぇよ。そんなにそいつの事を気にするな、楽しめ。以上」

そう簡単に言うと、キョウスケおにいちゃんは本格的に桐乃の攻撃から身を守り始めた
「お前なぁ!、鳩尾とか急所を必要以上に狙うんじゃねぇよ!!」と言いながら。

楽しむ?、楽しんでるよ。走る事もちゃんと……

「楽しんでる?、本当かしら」

ビクッと肩を揺らして振り向くと、そこには前に居たはずの黒猫ちゃんがいた
まるで自分の心を読まれたみたいで気持ち悪い。

「今一人で走ったら貴方、きっととてもつまらない顔で走ってるわよ。貴方にとって何が輝いていたのか、何が楽しかったのか、ちゃんと考えてみる事ね。……きっとそれが見つかったら世界の全てが輝いて見えると思うわ」

そう言った黒猫ちゃんは優しく笑うとリアの方をポンと叩いて行った

「ほら、貴方もさっさと行くわよ」

桐乃の襟を掴んでまるで猫の様に持つと無理矢理キョウスケおにいちゃんから引き剥がしていく。桐乃はムガーと暴れていったん脱出するも今度は沙織さんも手伝って引きずられていく。

「お邪魔したわね、私達はこれで退散するわ」
「あぁ、是非ともそうしてくれ」

赤くなった頬を擦りながら反対の手で黒猫ちゃん達に向かってヒラヒラと手を振るキョウスケおにいちゃん。

「京ちゃんあまりリアちゃんを苛めちゃ、メだよ?」
「次こんな事があったら蹴りだけではすみませんから、覚悟していてくださいね」
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/01(月) 00:11:19.95 ID:4SgIVPwc0

「あぁ、分かったから不法侵入者なら不法侵入者らしくぱっぱと帰れ」

皆はまだ何か言いたそうだったが、黒猫ちゃんが目をふせて「行きましょ」と言うと皆部屋から出て行った。
まぁ桐乃は相変わらず暴れていたが。

「さて、うるさい奴らも帰ったことだし、寝るか。お前も寝たら?、昼まで体力温存しとかないと」

そう言って畳の上にゴロンと寝転がるキョウスケおにいちゃん。布団を出す事も出来たのにやらなかったのは面倒くさかったからだろう。
リアは何もする気にならず、黒猫ちゃんが言っていた言葉の事を考えていた。

世界が輝いてみえる? どんな風に?

最近走った時に見えるのは自分が進むべきレーンと抜かす相手だけだ。
昔は大好きだった競走も今は自分から競走したいとは思わない。練習は自分から参加したいと思えるのにどうしても本番だけは敬遠してしまうのだ。
したとしても、世界が暗く感じて、狭く感じた。土を蹴る足も重く感じて知らず知らずの内に自分から遠ざけていた。

なんで?

なんて考えた事も無ければ、そんな機会も無い筈だった。
でも今、リアは自分で考えている。

何で競走なんてものが存在しているんだ。走るだけなら皆で仲良く走ったら良いじゃないか。

「―――――い」

なんで優劣をつける必要があるんだ。必要の無いことをなんで皆はしたがるんだ。

「――――おい」

そんなんで楽しいのか、嬉しいのか。だとしたらなんでそんな事で喜べるんだ。

リアが自分を棚にあげて他人の悪口を思考の中で言っていると、なにか黒い物がこちらに向かって飛んできた。
気付くことが出来ずにリアの顔面に当たるとそれは重力に従って膝の上に落ちてくる

座布団だった
その事にリアが気付いてすぐにキョウスケおにいちゃんが声をあげる

「何回も読んでんだろうが、返事ぐらいしろ」
「ご、ごめん」

咄嗟に謝罪を返すとキョウスケおにいちゃんは今日何度目か分からない溜息を隠す事なくついた

「もういいから寝ろっつーの。それかどっかではしゃいで来い」
「畳は嫌」
謝っていてなんだがちょっとムカついたので思ってもいないことを口にする。

あ〜あ、これだからガキは。とでも言いた気に肩を大仰に竦めているがキョウスケおにいちゃんはノソノソと立ち上がると、布団を出しに行く。
最早性格とかじゃなくて病気なのではないだろうか?、お人好し病みたいなかんじで。

「あ、布団は一組でいいからね!、キョウスケおにいちゃんと一緒に寝るから」
「あ〜、はいはい」

頭をボリボリと掻いて『二組』の布団を敷いていくキョウスケおにいちゃん。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/01(月) 00:18:03.75 ID:4SgIVPwc0
>>327ありがとう

それと明日からまた仕事だ。終わらせる事が出来なくてすまない。
後2,3回の投下で終われると思うからよろしくたのむ。

それじゃ、また今度。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/01(月) 01:23:40.51 ID:stzqrsCO0


終わるってのはリア編がってことだよな?
まだまだ続くんじゃ?
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/17(水) 18:53:25.09 ID:sN9MR5rJ0
続きは?
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/17(水) 21:16:57.26 ID:Kke/CW9u0
もうすぐ最後まで書き終わる。
その時一気に投下する。
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/18(木) 01:25:14.75 ID:7tcwBVBn0
超 期 待
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/08/18(木) 04:35:08.67 ID:vvMNQjzo0
くる?

ほんとに?
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/18(木) 16:17:18.32 ID:YPvlETKIO
どうせ昨日のうちには来ないだろうなぁ、って思ってた。
そして今日来てみたら案の定来ていない。

いつ投下するつもりんだ、早くしやがれ。
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/18(木) 18:33:16.90 ID:O5Cn8Vhv0
333が本人なら俺は待っているゾー!!
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:27:03.34 ID:Ex9JJeod0

それでも突き放したりするわけではない。
寝るときには面白い程真ん中に寄ったキョウスケおにいちゃんがいた。

「にゅふふ」

思わず漏れる笑い声を手で抑えると、リアは布団に潜り込んでキョウスケおにいちゃんの服をちょっとだけつまんだ。
お昼まであと少し、だからこのままで、ちょっとだけ。うん、ちょっとだけ。

リアはキョウスケおにいちゃんの肩に頬を擦りつけ、落ち着く匂いを目一杯吸い込むと眠気に身を任せて夢の世界に旅立ったのだった。






翌日の朝

まぁはっきり言ってキョウスケおにいちゃんが桐乃達にシバかれたのは言うまでもあるまい。
「このバカ兄貴がぁあああああ!!!なんでリアと寝てんじゃこらぁぁああああ!!!!」

思い返すと騒々しくてたまらないな。そしてあんな攻撃を受けてキョウスケおにいちゃんが無傷なのはどうしてなんだろうか。
今隣を走っているキョウスケおにいちゃんは掠り傷一つ無く何時も通り綺麗な肌だ。

滴る汗がまるで宝石のよう……綺麗……

っじゃない!!

いらない事を考えて少し運動とは違った意味で顔が火照ってしまい、リアはキョウスケおにいちゃんに顔を見られない様に真横から斜め前に移動した。
急に離されたのが悔しいのかそれに喰らい付いてくるかのようにキョウスケおにいちゃんもスピードを上げる。
そしてリアも火照った顔を見られたくなくてスピードを上げて離す

前にもこんな事があったような気がするがそれは気にしない、気にしないったら気にしない。


今はもう大体の人が気付いていると思うが、お昼の練習中だ。
リアとキョウスケおにいちゃんが昼寝から覚めた後は色々あったが、その事はまぁいいだろう。
何時も通りキョウスケおにいちゃんが殴られただけのことだ。


「ってかさぁ、ちょっと気になってたんだけど今回最初に日本に来た時ってどうやってこっちまで来たんだ?」

キョウスケおにいちゃんは隣に並ぶ事を諦めたのか、斜め後ろで一定のリズムで走りながらそんな事を聞いてくる

それはまぁ簡単だ。
だってリアってば意外とお金持ってるからね。貯金の口座見たら確か○○○○○○○ぐらいあったから日本くらい有名な観光地でも結構簡単に来れたりする。
そう思った事を口にするとキョウスケおにいちゃんの顔に滴っていた汗の量が少しだけ増えた様な気がした
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:27:44.54 ID:Ex9JJeod0

「は、ははは、そうなんだぁ」(ちぃい、このブルジョワジーがぁ!!)
「リアの仕事は走る事だからねっ!」

良い仕事でしょっ!、と言って後ろを振り返り笑いかけると、日差しが眩しかったのかキョウスケおにいちゃんは顔を少し顰めるが、すぐに笑顔を作って笑い返してくる

「あぁ、そうだな。お前の天性の仕事に違いない」
「なに甘っちょろい事言ってんの?、バッカじゃないのかなぁ?」

キョウスケおにいちゃんに「リアもそう思う!」と言い返そうとして口を開く。
だがその言葉を言う前に言葉を被せられ言い返すことは出来なかった。

………?

それは後ろに見えたと思った時にはもうどこにも居なく、リアの目には顔と砂埃しか写らなかった。

いくらリアが練習中で、本気を出していなくても、疲れていてもそれは明らかにリアよりも早かった
意識が追いつくと空気を撫でるように目を動かしてその姿を確認しようと辺りを見回す

だがそこには誰も居なく、何も無い、だだっ広い空間が広がっているだけだった。

ぽん………。

「こっちだよ、リアちゃん」
「っっ!!!」

急に肩を叩かれた、ゾワッと嫌な感覚が体中を這いずり回る
目を見開き、冷や汗を滴らせながら振り返ると、そこには空虚な赤色が広がっていた。

どこまでも冷たく、広く、浅く、限りない虚無。

それが瞳だと知るのにどれくらい掛かっただろうか。
距離、鼻が触れ合う程近い。

リアが覗き込んでいたのは瞳だったのだ。

「おっひさぁ!」

間近で思い切り本気の大声を放つ相手。

耳鳴りが鳴り止むまで後何分?、この心臓の鼓動が鳴り止むまであと何分?

「ひ、久しぶり」

震える声で言い返す、未だに鳴り止まない耳鳴りが辛い。
助けを求める様にキョウスケおにいちゃんを見るが、キョウスケおにいちゃんはまるで現状を分かっていないらしく、行き成り前に現れた女の子に疑問の視線を投げかけてい

た。

後ろを向いたリアにペタリとくっついてくる。そして耳元で息を吹きかけるように言葉を紡ぎ出す

「ま〜だこんなオママゴトをしてたんだ、無駄だよ?、分かってるでしょ?、………私には勝てないって。分かってるでしょ?、……貴方がどうして私に勝てな……」
「はいストップ、お前は何なんだ?、あれか、もしかしてあれか、もしかしてお前がリアに勝って只今世界一の小学生なのか?」

リアの肩から見える頭をキョウスケおにいちゃんはガシッと掴むとリアから引き剥がす
心なしかべリッという効果音が聞こえた気がした。
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:29:00.44 ID:Ex9JJeod0

「あっははは、わぁお、あんた力持ちなんだねぇ。片手で持ち上げられたの初めてだよぉ。あっははは」
「いいから質問に答えなさい、笑ってないで答えなさい」
「あいたたたた!?、駄目だよあんたロリコンなうえにSMプレイとか人間的に終わって…あいたたたたた!!!」

まるで知り合いだったかのように繰り広げられるコントにリアは目をぱちくりとさせながら成り行きを見守る

「さぁ、早くしないとお前の頭から真っ赤なトマトジュースが吹き出るぞ?」ギリギリギリ
「わ、わぁったから離してぇ!?」

自分に持ちうる限りの力を全て握力に注ぎ込んでいるのか、どうにも痛がっているのは演技では無いらしい。
足をジタバタさせながらもがいている姿がそう物語っていた。

「デュフフフフフ」
「キョウスケおにいちゃん帰ってきて!?」

本当にSMプレイにはまってしまったのだろうか?

なにやら顔が恍惚としていていかにも満足そうな顔をしだすキョウスケおにいちゃんを引き戻す。
現実に。

「っは!? あ、危ねぇ、どうやらいけない禁断の扉をもうちょっとで潜ってしまうところだったらしい。だがもう大丈夫。その証拠にほれ、今さっきまでの自分を思い出し

て鳥肌がたっているだろ?」

冷や汗なのだろうか、なにやら額に汗を滲ませているキョウスケおにいちゃん。

「っお、おいあんたそんな無駄話にしゃれ込むくらいなら手をはなしてくれよ!!」
「いや、それは駄目だ。まだ話を聞いていないからな」
「この状態で話すの!?」
「当たり前だろ?(笑)」
「その(笑)ってなにぃいいい!?」

なにやらまた漫才をやり始めた二人にいい加減うんざりしてくる

「もういいから話を進めるの!!」
「はいはい。分かったっての。質問に答えりゃいんでしょ? そうだよ、私が今現在世界一足の速い小学生、『ミーネ・グロッサ』だよ」

薄く笑ってこちらに視線を投げかけてくる。
猫眼なんていうのは全体的に可愛らしい印象だが、それは表情によって多彩に変わる

目の前のミーネなんかはそれの典型的な見本だろう。

だってこんなにもパッチリとした眼が怖く見えるのだから。

「おい、一言いいか?」
「ん〜、なんだよ。ていうか質問に答えたんだから下ろせや」
「俺は暗い話が大嫌いだ」
「完全に無視された!? ていうかなんでそんな事を今更言ってんの!?」

後に「今までずっとやってきたじゃん!!」と言って呆れ顔をするミーネ

「だから俺は今からおこる全てのシリアスイベントを笑い飛ばしていく事を、今ここで約束する。まぁ俺の活躍するシーンは別だがな。
と言う事で、あっはははははは。はい、この話終了。」

何か色々間違ってる!!

「お前世界一足が速いんだろ?。まぁ、つってもせいぜい小額生の中でだけど」
「いや、キョウスケおにいちゃん字が間違ってるよ? 小学生だからね?」
「だったら俺と勝負するか? ていうか俺達と」
「へぇ、なにそれ? チーム戦ってやつ?」
「そう!、それはチーム戦というデスマッチ!! 負けた方は勝者の言う事を何でも聞かなければならない!!」
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:29:43.61 ID:Ex9JJeod0

そう言い放ったキョウスケおにいちゃんの目が怪しく光る

「キスでも、チューでも、接吻でもぉ!!! 何でも有りだこの野郎!!」
『その話、乗った!!』

キョウスケおにいちゃんが叫ぶと同時に何時の間に集まったのか、桐乃や黒猫さん、沙織さんに加奈子さんと言った皆が集まって声を揃えて参加の意を唱える

「と言っても、そんなに大勢で走るわけでは無い、というか面倒くさい。
というわけなので、二人二人で走る事にする。その他は勝つと思うチームの応援団に入るんだ。
それで万事OKだ 負けたチームは勝ったチームの言う事を何でも聞かなければならない、ただし、仲間外れをする様な命令は無しだ。誰々に近づくなとか、誰々と行動を共に

するなとかそういうのな。」

まるでルールを最初から用意していたかのように雄弁に喋るキョウスケおにちゃんを見て愕然としながらも皆はルールを聞き込んでいった

「というわけで、チーム決めターイム!! まぁ当然俺とリアは同じチームなのでよろしく」

そう言い終わるとこちらを振り返ってウインクしてくるキョウスケおにいちゃん
完璧に調子に乗っている

第一キョウスケおにいちゃんは前にリアを追いかけてきた時にリアに全く追いつけていなかった、なのではっきり言って全く頼りにならない。
それどころか足手まといな可能性の方が格段にデカイ。
多分皆は今回リアとキョウスケおにいちゃんがチームを組んでも何の文句も言わないだろう
だって負けた方が勝った方の言う事を何でも聞くのだから。それならキョウスケおにいちゃんの敵になったほうが良いに決まっている

リアがその立場でも絶対に敵にまわるしね。

そんな事を考えながらキョウスケおにいちゃんのウインクに苦笑いを返してミーネの方を見た。
どうやら今自分が組む相手を見定めているのだろう。なにやら低い息遣いをしながら皆の方を見ている。

そこからは早かった、ミーネは一度短く頷くとまっすぐに桐乃に向かって歩き出した。流石に桐乃に気付かないでくれと望むのは高望み過ぎたらしい。
あの中で加奈子さんやブリジットちゃんを選んでくれていればまだ勝機があったのだが、これでははっきりいって万に一つも勝ち目は無いだろう。

「流石にチビのくせに世界チャンピオンなだけはあるな。その中で一番足の速い我が妹を選ぶとは」
「当たり前だよ、はっきり言って筋肉の質で全部丸分かりだよ。………名前は知らないけどあんたの妹だけは走るための筋肉をしていたからね
それで分かったわけ。それとチャンピオンってなに? ボクサーじゃないんだからね?」
「けど甘いな!! 俺はあれから猛特訓をしたんだ、今なら桐乃にさえ負けねぇ!!」
「いや、キョウスケおにいちゃんには無理だと思うな………」

キョウスケおにいちゃんと桐乃じゃ積み上げてきたものが違う、そりゃ男の人の方が早いのは分かるが やはり毎日練習してきた人と、最近特訓した人では筋肉のつき方が違



「駄目だよ、この勝負は……負……」
「負けても良いんだよ」

リアの頭を力強く撫でてくる

「負けても良い、負けてもいいんだ」

淡く微笑んで「前言ったろ?」と言う。

それじゃ駄目だ、駄目なんだよ。
と内心で言おうとするがどうにも上手くいかない、この微笑を見てしまうと何も出来なくなる。
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:31:03.40 ID:Ex9JJeod0

「っし、それじゃチーム決定だな。俺達のチーム名は《走楽》だ。
さぁ、そっちもチーム名を決めろよ?」
「はい質問、それって必要なの?」
「なに甘い事言ってんだぁ!!? 桐乃、よく聞けよ? チーム名を決める事によって生まれるのは連帯感、やる気、チームワークだ。この三つが揃った時、そのチームは想

像を絶する速さを体験する事が出来るんだ!! よく覚えとけ!!」

質問を発した桐乃に対して人差し指を立てると、堂々とそんな事を言いだした
桐乃とリアが呆れた顔をしていると、どうだろうか、ミーネが何やら雷に打たれた様な顔をしているではないか。
どうしたんだろうか、キョウスケおにいちゃんの話に何か共感するものがあったのだろうか?

「ま、マジか? チームプレイをすることで人は想像を絶する早さを手に入れる事が出来るのか?」
「あぁ、マジだ。噂によるとあの南部忠平もチームプレイを内密で重点的に行っていたらしい。南部忠平だけじゃない、他の金メダリストも皆チームプレイを極めているらし

い」

真っ赤な嘘にも程がある。
そんなリアでも分かる嘘をミーネは目を見開いて信じきっている

「おいキッリーノ! 早速チームワーク練習だこの野郎!!」
「キッリーノって誰!!?」

目の中の炎をメラメラと燃やしながらジャンプして桐乃の襟を掴むと無理矢理引きずっていくミーネ
そんなミーネにキョウスケおにいちゃんは勝負の時間帯を伝える

「おーい、勝負の時間は今から二時間後だからな!! 俺達の息のあった速さを見て小便漏らすなよ!!」

デリカシーの欠片も無いとはこの事だ。
女の子に向かって小便は流石に駄目だろう

「そっちこそ大便漏らすなよ!!」
「お前までそんな事言うの!!?」

思わず全力でツッコんでしまう。
デリカシーのデも知らなさそうな二人に。

さぁ、二人きりになってしまったが、どうしようか?
練習と言っても今からやることなんか準備運動ぐらいだろう。
何の特訓をしてもただたんに筋肉の負担が増えるだけだ、今から過激な特訓なんてしたら逆に不利になるだけなのだ。

だからリア達に出来ることは勝負前の準備運動ぐらいのものだ。

「リア、寝るか」

どうやってその事を切り出そうかと考えていると、突然キョウスケおにいちゃんからまさかの睡眠の提案が来た。
キョウスケおにいちゃんの事だから「さぁぁ!!!特訓だぞこの野郎!!!」とか叫びだすと考えていたから、思わず目を見開いてポカンと見つめてしまう。

提案としてはこれ以上ないくらい良い提案だ。
こっちは今さっきまで練習していたのだから、寝るのはかなりの休息になって良い。

だけどまさかキョウスケおにいちゃんからそんな提案がくるとは思っていなかった。

「……今から何かやってもどうせ付け焼刃だしな。それなら疲れない方がまだましだろ? だから、寝ようぜ。ちょっと寝不足気味でな」

そう言って苦笑いするキョウスケおにいちゃん
付け焼刃どころの話では無い、錆びていた刀を使って出来たばかりの真剣とやりあうみたいな物だ。
そんな事をするぐらいなら、寝て休息を取り、錆取りで錆をちょっとでも取った方が何倍も有意義なのだ。
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:31:29.20 ID:Ex9JJeod0

「うん、そうだね。リアもちょっと寝不足気味だから丁度良いよ」
そう言って笑いかけると、キョウスケおにいちゃんはちょっと赤くなった顔でぼそりと呟いた

「ま……、お前が隣で寝てたせいでなんだけどな」
「ん? 何か言った?」

気になって問いかけると、ピンクに染まった顔のままキョウスケおにいちゃんは「なんでもねぇ」と言った。
キョウスケおにいちゃんが無言で先に歩き出し、昼寝に丁度良さそうな木陰に寝転がった
リアもそれに続いて寝転がる

寝る前にチラッとだけ見えたが、皆がこちらを気にしているみたいだ。
いつもの様な嫉妬もあるにはあったが、何とも微妙な視線だった。

「変なの。いつもみたいに乱入してくれば良いのに。ねぇキョウスケおにいちゃん」
「それはそれで俺は嫌だよ」

苦笑いを返してきた

「それに、気を使ってくれてるんだろ? 今は大勢より二人きりの方が都合も良いしな」
「? なんで?」
「ん〜……、チームワーク?」

昼寝を二人でしたらチームワークが上がるとでも思っているのだろうか?

「ま、いらん事は気にしないで、なんでも良いから寝とこうぜ」

大口を開けて欠伸をしながらやる気が無さそうに呟く
「どうせ、今回は負けるとか思ってんだろ? ならいっそ何も考えなけりゃいい」

目の端に涙を溜めながら何もかも見透かした様な目で見つめてくる

「とにかく楽しく走れりゃそれでいい」

最後の方は尻すぼみ気味になりながら話す、もう精神のほとんどは夢の世界に旅立っているらしい。
リアも寝よう。

キョウスケおにいちゃんの言ったとおり走る事を楽しめると信じて。

軽く目を閉じて、日の光を瞼の裏に感じながら、ちょっとずつ夢の世界に引きずり込まれていった。





   ・・・・
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:32:34.42 ID:Ex9JJeod0





……………苦しい、辛い、痛い、重い。……悲しい。

目の前のレーンは狭くて暗い、前を行くミーネの背中は果てしなく遠く感じる。

ゴールは見えているのに、もうすぐなのに。

「無理だよ……」

そう思っている自分が大嫌いだ。







「さぁ、行くぞ」

そう言って勢いよく立ち上がるキョウスケおにいちゃん。
二時間が経つのは寝ていたせいかとても早く感じた、実際はキョウスケおにいちゃんも疲れが完全には抜けていないだろう。

「大丈夫? まだ疲れてるんじゃない?」
「おいおいリア、俺を誰だと思っているんだ? あの汗にまみれたクソババア共と何回も戦ってきた百戦錬磨だぜ? あの匂いと重圧感に比べればこんなの屁でもないね」

キョウスケおにいちゃんが言っているのは多分ファンのおばあさん達の事だろう。
何回か見たことがある。

確かに凄いのは認めよう。

「と言う事でこんな疲労感なんて俺にとっちゃ屁でもないのさ」

奇妙な決め顔をしながら歩き出した
決まった……とか思っているらしい。

理由が理由だけにあまり格好良くないのは仕方が無い。

リアもキョウスケおにいちゃんにならって歩き出した、やはり足が重く感じた。
行きたくないとまだ心のどこかで思ってしまっているのだろう。

ちょっとま歩くと、次第に見知った顔が順々に見えてきた、もうレーンに立っているのはミーネだろう。
桐乃はというと、よっぽど疲れているのだろうか、げんなりした顔で体育座りをして空を見上げてらた。
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:33:16.17 ID:Ex9JJeod0

「遅いぞ、悪役ツインズ!!」
「誰が悪役ツインズだ! 俺達のチーム名は《走楽》だっつってんだろ!!」
「というか、どっちかと言えばミーネの方が悪役だからね?」

リアはそう言うとキョウスケおにいちゃんと向かい合った
ルールは大体分かったのだが、やり方をまだ聞いていない、一人は何処から何処まで走ったらいいのか。どっちが先に走るのか。

「一人の走る距離はどんだけなの?」
「ん? 半周でいんじゃね?」

半周となると、結構な距離になる。
一周が結構広いため、キョウスケおにいちゃんや、桐乃の様な短距離型の人は結構辛いものがあるだろう。

まぁリアやミーネは何回も走っているためそうでもないが。

「んじゃ、早速順番を決めるとしますかぁ。まぁはっき言って、もう決まっているも同然だけどな」
「へぇ、もう決まってるんだ、どんな順番?」
「そりゃ、俺と桐乃が一番に走って、最後がリアとミーネだろ」

どうしてそうなるの?

と視線で訴えかけると、気付いたのだろうかキョウスケおにいちゃんが理由を話し始めた

「まぁ理由は簡単だ、速さ的にバランスが取れているのは明白だし、これの方が盛り上がる」

そう言うとクイッと顎でカメラを指した

「ここらでいっちょ、勝ちに行くとするか」

ニヤリと笑うとスタートラインに向かって歩きだすキョウスケおにいちゃん
桐乃もようやく立ち上がりキョウスケおにいちゃんと一緒にスタートラインに向かった。

「さあ、私らも行こうか。負け犬ちゃん」
相も変らぬ、蔑んだ視線。それをぶつけながら話しかけてくるミーネ

「うん、勝負だ、ミーネ」

リアはそう小さく呟いてミーネの後ろを歩き出した。
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:34:20.44 ID:Ex9JJeod0




カチャ。

黒猫さんがスタートを示すための銃を空に向かって構える
「用意」

クラウチングスタートの準備をしていたキョウスケおにいちゃんと桐乃が本格的に走り出す姿勢をする

パアアァン

空気を振るわせる音が鳴り響くと同時に走り出す二人
やはり桐乃の方がやや早い。

ちょっとずつ、ちょっとずつだけど確実に離されていく。
自分の中の黒い、ドロっとした何かが首をもたげた。

何かを押し出す様に、次から次へと頭の中を言い訳が横行する。

凄いよ、桐乃にそこまで喰らい付くなんてたいしたもんだよ。
だから

そんなに頑張らなくてもいいよ。

次第に顔が下を向いていく。

ここで差が開けば負けた理由になる。追いつけなかったっとしても言い訳が出来る。
だから

頑張らないでよ。

言い訳ぐらい、残しておいてよ。


半分を過ぎた時位だろうか、地面を蹴る音のリズムが変わったのは。

思わず顔を上げてキョウスケおにいちゃんを見る。
荒い呼吸をしながら必死に喰らい付いていたキョウスケおにいちゃんのスピードがちょっとずつだが上がりだしていた
目を瞠って見つめていると、空気を大きく吸うように、顔を上にあげだした

「負けて………たまるかぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」

叫び声が鼓膜を震わす。
徐々に、徐々にだけど差が縮まって行く。

視界が霞んだ。

思考の泥沼に嵌って、もがいて、苦しんでる時、いつも、いつも、いつも。
そうやって手を差し伸べてくれるんだ。

今も。
きっとこの先も。

ずっと、ずっと。

リアは涙を拭うと、間近に迫ったキョウスケおにいちゃんのバトンを取るために走り始めた。

ちょっと前に走り始めていたミーネに追いつくように、バトンを貰うと一気にスピードを上げる。
だけど追いつく気配がない、全力で走っているのに近づける気がしない。
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:35:13.04 ID:Ex9JJeod0

差し出してくれたキョウスケおにいちゃんの手の暖かさも記憶の奥深くへと沈んでいく


ギシギシという音が足から鳴っている気さえしてくる中、必死に追っていたミーネの背中が遠くなって行くのが分かる

背中は遠いのにゴールだけが早く近づいてくる。

届かない。
近づけない。

ミーネの背中が笑っている気さえしてくる中、涙で視界がボヤけてくる。

ごめんね、キョウスケおにいちゃん、リアはもう駄目だよ。足が重たいんだ、もうすぐ動かせなくなりそうなぐらい重たいんだ。
こんなんじゃ追いつけないよ、キョウスケおにいちゃんが頑張ってくれたのに、ごめんね。

頬を伝う暖かい涙。
諦めの涙。

もう……いいや。

スピードを緩めようと、足の力を抜こうとする。

「お前は……!!」


皺枯れた声がゴールから空気を震わした、走っていた時に全力で叫んだせいか、ガラガラ声になっていた。

「お前は俺が、好きじゃないのか!!?」

痛いのを我慢して叫んでいるのだろうか 声の節々から痛みが伝わってきている気がした

「好きなら! 勝て!!
その為にお前は俺の所に来たんだろ!! お前が負ける、それは俺が好きじゃないって事だ!!
だから負けるな! 勝て! 勝って俺が好きだって事を証明してみろ!!!」

恥ずかしいのだろう、赤くなった頬がそれを物語っている。
ましてやカメラで撮られているのだ、恥ずかしくない筈が無い。

「俺が好きなら……勝てぇええええええ!!!!」

真っ赤になったキョウスケおにいちゃんが思い切り叫んだ。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:36:30.38 ID:Ex9JJeod0


目の前の道が開けた。


狭かったレーンがまるで別世界の様に感じた。
早かった呼吸がゆったりと、大きくなる。まるでこの世には酸素しか無い様に感じた。
重かった足が、まるで羽の様に軽く感じた

このセカイ全てが

自分の庭の様に感じた。

頬が熱い、キョウスケおにいちゃんの言葉がまだ耳に張り付いて離れない。

リアはキョウスケおにいちゃんが、大好きだ。

今なら、勝てるよ。
やっぱりキョウスケおにいちゃんは凄いね。
言葉一つでここまで、リアをドキドキさせて、赤くさせて、救ってくれる。


「ありがとう、リアは勝って来るよ」


リアの足が、全力で地面を蹴った。


グングンとスピードが上がり、ミーネの背中が近づいてくるのが分かる
周りはスローモーションの様になり、軽い足をまた一歩、また一歩と踏み出していく。

さぁ、後ちょっとだ。

ミーネとゴールの近さも後わずか、このまま走り続けられても、勝てるとは限らない。
でもこの早さだと、リアにも勝てるチャンスはある。


流石にこれ以上速さが上がる事は無く。
最後。

肩を並べて、ゴールの白紐を切った。


「ど、どっちが先に!?」
慌てて勝敗を確かめようと、黒猫さんを見る

審判たる黒猫さんは慌ててミーネとリアを見比べるが、分からないのだろう。
視線が定まる事は無かった。

「まぁ、あんだけ綺麗に同時にゴールインすりゃぁなぁ、分からなくもなるだろ」

呆れたように肩を窄めて「仲が良いんだか悪いんだか」とボソリと言うキョウスケおにいちゃん。
声はまだ枯れていた。

「納得がいかない!! どう考えても今さっきのはミーネの勝ちでしょ!? このバカ兄貴、ちゃんと見なさいよ!!」
「そうだ、この加奈子がそう見たんだから間違いない!!」
「拙者もそう見えたでゴザルなぁ」

何やら口々に不満を言い出す皆、どうせキョウスケおにいちゃんとキスがしたい為、結果を偽っているんだろう。

「はぁ、お前らなぁ、俺を扱き使いからってそんなでたらめを言うんじゃねぇよ」

完璧に勘違いをしているキョウスケおにいちゃん、「なぁ、二人共」と言うとリアとミーネに話を振ってきた
だが、リアを見た後にミーネを見ると、ピシッという効果音と共に固まってしまった。

気になったので、話を振るのを言い訳にミーネの様子を伺う、すると……

「リ、リアはどうか分かんないけど、審判は黒猫さんなんだから、ジャッジは守らないと! ね! ミーネ!!」
「し、知らねぇやい!!! 私は、ま、まだ本気を出していなかったんだから、あのまま走ってても私が勝ってて、だから、その、ゴールがもうちょっと先にあったとしても

ミーネは勝ってたって事が言いたいんだからな!!」

えぐっ えぐっ
嗚咽と涙を溢しながら、真っ赤な顔でこちらを睨んでいるミーネがいた
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:38:23.33 ID:Ex9JJeod0

「why!? your no cry!??」
「キョウスケおにいちゃん落ち着いて!! 英語になってる、そしてその英語間違ってるから!!!
そしてミーネも泣き止んで!? 引き分けだったんだし、負けたわけじゃないんだから!!」

「な、泣いてないやい!!」

大きな猫眼から大粒の涙を溢しながらそんな事を言われても……

対応に困っていると、さっきまで焦っていたキョウスケおにいちゃんが歩き出すのを目の端で捕らえた。

何時もの天然女殺しが出る。
そう直感が告げてきたので、止めようと体が勝手に動こうとするが、なんとか押しとどめて成り行きを見守る事に専念する。

キョウスケおにいちゃんは、ミーネの目の前に座ると、グシャッと髪の毛を撫でる。

「お前、早ぇなぁ。俺なんかお前と走ったら確実に負けちまう。絶対にな」
「当たり前だろ、私がお前なんかに負けるか」

何言ってんだ? バカじゃねぇの? とでも言いたげな口調で言い返すミーネ
だがそんな口調に怯む事なくキョウスケおにいちゃんは次の言葉を紡ぎ出す。

「うん、だけどそんなお前も絶対に負けないなんてのは、絶対に有り得ない。負ける事もあるんだ。
リアにも言ったが、お前らなんてまだ小学生だ。だから、楽しめ、走ることを全力で。お前も走る事が大好きなんだろ?」

そう言ってミーネに笑いかける。
何やら赤くなりだすミーネ、耳からなにか煙が出てきた

「ま、ままま、ま 負けてねぇっつの!! 引き分けだ、引き分け!!」
「おう、分かった分かった」

適当に流すと、ミーネの頭をポンポンと叩く

「おちょくってんのかてめぇ!!」

とうとう恥ずかしさが臨界点と突破したのだろうか、真っ赤な顔でキョウスケおにいちゃんに殴りかかるミーネ。
リアも我慢の限界が来てキョウスケおにいちゃんに殴りかかる、他の皆も同様に。

『この天然女垂らしがぁああああ!!!!』

最早習慣化されたキョウスケおにいちゃんの悲鳴が、夕空に空虚に響いたのだった。







              ・・・・
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:39:53.57 ID:Ex9JJeod0







翌日、日本。


あれからあっちに泊まる事などは無く、ハンサムの意向により本当に一瞬で帰ってきた。気がつくと荷物は纏まっていて、飛行機の中に詰め込まれていたのだ。
想像以上に大変だった今回の仕事により体が悲鳴を上げていたので、ハンサムの労いにより俺は数日の休暇を満喫していた。

自分のベッドに寝転び、グ〜ッと伸びをする。

「くはぁっ、駄目生活最高っっ!!!」

思わず漏れる心の声。
現在時刻は、時計を見てみると11時半だった。
このお昼近くまで寝ていられる環境というのは本当に有り難い。俺の精神にとってな。

とりあえず、俺は起き上がると自分の机へと向かった。
昨日日記を付け忘れていたのだ。
ベッドに入った瞬間グッスリだったからなぁ。

そんな事を思いながら、そろそろ歳なのだろうか、ギシギシと悲鳴を上げる椅子に腰掛ける。
筆記用具を手に持つと、日記帳の最後の1ページを開いた。

昨日は一瞬で帰ってきた、と言ってもやはりあれから色々あった。
ミーネが俺に「帰るな!! ここに居ろぉ!!」と泣きついてきたり。
やはり帰りの飛行機の中での席順決め等でも結構もめた。

そういえば、なんでミーネが泣きついて来た時、リアは一つも別れを惜しんでくれなかったんだろうか? それがちょっと寂しかったりする。
別れ時だっていうのにリアの奴は始終笑っていたのだ。怪訝に思いながらもその時は疲れていたためあまり気に留めなかったが、今思うとちょっと酷いのではないだろうか?

思わず筆記を止め、考え込む。
それでも理由が分かる事は無く、結局考えるのを辞めて筆記に戻った。


まぁ、何だ、アメリカでも色々とあったが楽しかった……とは言えないなぁ。
だって良く考えてくれ、俺はアメリカに行って何をした!? はっきり言ってなんかゴチャゴチャした迷惑事に巻き込まれただけだよね!?

感情的に日記に書き込み、手が止まったところで思わず溜息が漏れる。
落ち着こうという事で、下に行って飲み物でも飲もうと思い、扉に向かう。

するとどうだろうか、ドアまで後一歩という所で誰かがノックをしてきたではないか。

コンコン

コンコン

コンコン

しつこいくらいに立て続けにノックする訪問者に疑問を覚えた。

だって桐乃じゃねぇんだもん。この訪問者。
良く考えてみろよ、桐乃が、あの桐乃が………ノックするわけねぇだろがぁああああああああああああ!!!

思わず内心で絶叫する。

「は、はい? 誰ですか?」

恐る恐る質問すると、どうだろうか、なんかへんな返答が帰ってきたぞ?

コン カッ コンココン ココン

え〜、何々
いいから開けてみて?

何故伝わるんだ俺!? そんな自分がすげぇ嫌だ!!

「おいおい、マジで洒落になってねぇよ。どんどんあいつらに侵食されてんじゃねぇの? 俺」

手を伸ばしてドアノブに手を掛ける、内心で自分は普通だ、自分は普通だと自分に言い聞かせながら一気に扉を開いた

そこには………
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:42:07.76 ID:Ex9JJeod0


「よっっ! キョウスケおにいちゃん!!!」
リアがいた。

………はい?

「あはは、ドッキリ成功ぉ!!」

リアは無邪気に笑うと呆けている俺に思い切り抱きついてきた
いささか懐かしく感じる痛みに、これが現実なんだと気付かされた。

「っえぇええええ!? り、りりり、リア!? 何でお前がここに!!?」
「私 リア・ハグリィは本日より日本にアメリカに帰る予定未定のホームステイに来ました!!」

リアは俺のおなかに顔をスリスリしながらそんな事を叫んだ。

「っだ、駄目に決まってんだろ!?」
「え〜、でもリア以外にも沢山ホームステイに来てるんだよ? もうお父さんには許可も貰ってる」

嬉しそうにニシシと笑うとグリグリと俺のおなかに顔を押し付けるリア。
俺は呆然となってその言葉を聴いていた、だが他にもと言うのはどう言う事なのだろうか?

「ほ、他にもって?」
「決まってるじゃん! 黒猫さんに沙織さんに桐乃にブリジットちゃんに麻奈実さんに加奈子ちゃんにあやせさんだよ!」

俺は途中で聞くのを止めていた。
耳疲れで耳から血が噴水の様に出てきそうだ。

「お、お前ら、どこに泊まる気なんだ? 言うとくけどここにそんな大人数は泊まれないぞ?」

帰れという思いを言外に込めてそう言うと、リアはニコニコと笑いながら衝撃的な事を言い始めた

「何言ってんの? キョウスケおにいちゃんの社長さんが寮を作ってくれてるよ!」
「ブファッッ」


むせた。

あんの糞社長ぉぉおおおお!!

よく見てみると、どうだろうか? 寝起きで気付かなかったのだろうか、俺の部屋は大きな家具以外ほとんどが消失していた
ど、どうなっている。マジでホームステイしなくちゃならんのか? 日本に住んでるのに日本にホームステイって何なんだよ、はっきり言ってもうホームステイでもなんでも

ねぇじゃねぇか。

「お、俺は行かないぞ?」

最後の力を振り絞って否定の意見を言う。
これ以上俺の平穏を邪魔されてなるものか、断固拒否だ。

「何言ってんの? あんたも行くに決まってんじゃん」
「お前は何時俺の部屋に入ってきたんだ?」

何時の間にか俺の目の前に立っている我が妹に呆れた声を返す
瞬間移動でもしたのだろうか?

「もう、皆待ってるよ」
「待ちくたびれたからこうやってあんたを迎えに来てあげたんでしょ?」

そう言うと屈託無く、こちらに向かって笑いかけてくる桐乃。
その笑みを見て、俺は力無く笑った

………………………………もう、諦めよう。
ちょっと不自由な暮らしになるだろうけど、良いじゃねぇか。

そう、思えた。

「分かったよ、行くから、ちょっとだけ時間をくれ。日記だけ書いちまわねぇと」
俺はそう言うと、ポンとおなかに抱きついているリアの頭に手を乗せる。

「後何分ぐらい?」

おなかで言ったせいか、ちょっとくぐもって聞こえた声。

「5、6分程度だ。なんなら家のリビングで待ってればいい、誰だって自分の日記は見られたくないだろ?」
「うん、絶対5、6分で来てね」
「来なかったら、死刑だから」
「分かった分かった」

俺は苦笑いで二人を見送った。
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:43:13.47 ID:Ex9JJeod0

どうせ日記も最後の1、2行ぐらいしか無ぇんだ、後一言だけ書いて、ここに置いて行こう。

俺は一行、ちょっとだけ書いて、日記を机の引き出しに大切に閉まった。
扉を開いて、階下に向かう。
リビングを見てみても誰も居なかった。と言う事はこの炎天下の中外で待っているらしい。

そう考えて、ちょっとだけ早足になって玄関の扉に向かう

扉を開く。

外の光に顔を顰める。
だけど日の暑さに浸る事なく、俺の体は手を引っ張られて無理矢理手外に連れ出された。

心の準備などしている訳が無く、視界が真っ白になる。
手を引いているのは誰か確認しようと目を凝らすが、いかんせん、輪郭だけしか見出せなかった。

「京ちゃん、行こう?」

その声、その呼び方でやっと誰か分かった。
麻奈実だ。

ようやく目も慣れてきたのか、徐々にだが周りを見れるようになってきた。
そして目の前に広がった光景は

加奈子の足の裏だった
「ふがっっ」

そして謝りもせずに文句を垂れ流し始める。

「遅い! 何やってたんだクソマネ!!」
「本当です、おにいさんは何時もマイペース過ぎます、自重しないと通報しますよ!?」
「拙者もこの炎天下の中待ち続けるのはいささか辛かったでござるなぁ、京介氏?」
「マネージャーさん酷いです! 今日凄い暑いんですよ!」
「兄貴、あれから軽く十分は経ってるからね?」
「貴方は闇の眷属である私の光に対する弱さを知っているでしょ? もうちょっと遅ければ私は干乾びてしまうところだったのよ?」
「キョウスケおにいちゃん!!」

黒猫の長すぎる文句の途中でリアは再び俺に飛びついてくる
相変わらずの威力に「うっ」という声が漏れるが、俺の体も慣れたのだろうか、あんまり気にならない。

そしてこの罵詈雑言にも最早馴れているらしく、俺の耳は右から左へと聞き流していた。
はっきり言ってこいつらが何を言ったか全然覚えていない。


麻奈実に引っ張られて俺は再び歩きだし、皆の輪の中に加わった。

「わりぃわりぃ、ちょっと日記に手間取ってな」

まぁ取り合えず謝っておこう、こいつらが怒ったまま新居に行くなんてのは真っ平ゴメンだからな。
折角すむんだ、第一印象は良く行きたい。

俺が謝ると、皆はまだ愚痴を溢していたが、ちょっと間経つと納まり、こちらに手を出してきた。
おなかに抱きついているリアは引きずって行くにしても、片方は麻奈実に掴まれているため俺の手は後一つしかない。

だから残りの六本の手を全て取れる筈も無く、俺は皆の手を見て固まった

まぁそんな状態が長く続くわけも無く、手は俺の手を握ること無く、俺の服を掴んできた。
無理矢理引きずられていく。

もうこの服は処分するしかないな。
伸びに伸びてベロンベロン状態になるであろう、今着ている服の事を考えて苦笑いをする。

本当、皆妹みたいな奴等だな。
手が掛かって、我侭で、生意気で、でも放っておけなくて。

きっと、俺はこの先ずっとこいつらの面倒を見続けるのだろう。
困った事があったなら助けて、鬱憤がたまったなら吐き出すのを手伝って。

きっと、そんな事を繰り返すに違いない。


俺は一人で納得すると、首を何回か縦に振った。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:44:11.01 ID:Ex9JJeod0












そこは老朽化した建物の中。
ある一人の俺がオルゴールを聴きながら何冊目になるか分からない日記に文字を書き綴っていた。

そのページは最後の1ページ。


さて。
もう書くスペースも無くなって来た、だから新しい日記帳を買うまでの一区切りをしよう
まだまだ続く俺の物語の一区切りをしよう

あの時の俺はまだ知らないが、この先にはまだまだ物語が待っている。
今回はリアがメインの物語だったが、桐乃や加奈子や麻奈実や黒猫やブリジットに沙織にあやせ、そして俺自身の物語。
色々な事がある。

もうすぐあるのはドラマの話だ。
リアと俺の物語がハンサムによって公開された拍子に、俺に対するドラマのオファーが殺到する。


ヒロインの決定

ドラマの練習

近所のババア共の攻撃


まだまだあるが、その話はまた今度。またいつか。またどこかで話そう。


そこまで書くと未来の『俺』は薄く笑った。


サービスだ。
最後にあの時日記帳に書かれた最後の一言を書き綴って行こう


あの時の俺はどんなことを思ってこれを書いたんだろうか? 思い出せはしないがなんとなくなら分かる気がするよ。




                『俺の妹達がこんなに可愛いわけがない』




それじゃぁ、何時かまた会おう、どこかで。

部屋のドアが誰かによって叩かれた。




fin
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/19(金) 12:56:03.16 ID:Ex9JJeod0
終わりw
やったぁあああ!!

ここまで付き合ってくれた方々に感謝を。
それじゃ、また縁があったら会おう。
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/08/19(金) 13:25:06.25 ID:6xQ9YzPXo
>>1
最後は一気に投下か
ずっと読んでたけど楽しかったよ
また>>1のSSが読めることを楽しみにしてる
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/19(金) 18:23:10.83 ID:RBNySrII0
なん…だと……

そんなに後のエピソードがあるのになんで書かないんだッッッ!?

とりあえず>>1乙!!
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/08/19(金) 18:46:32.97 ID:LhOaDo4V0
面白かった

>>1乙
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/08/19(金) 19:34:13.76 ID:RGXQoWzAO
乙乙でふ

ここのキョウスケおにいちゃんは何かえも言われぬおかしな味わいがあって良かったよー
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/19(金) 20:39:32.64 ID:j2bKhgDpP
otu
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/19(金) 22:23:48.04 ID:YRdfw7cIO
乙でした
とりあえず一区切りだよな?よな?
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/08/19(金) 23:59:16.88 ID:HhXPLFcM0
乙〜
よくたどり着いた!
あなたやればできるこだったよ
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)[sage]:2011/08/20(土) 00:32:01.28 ID:4mwd7hJbo

次回作も楽しみにしてるよ
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/20(土) 02:54:59.77 ID:4j06d6Eh0
オマケ



新しい住居に移り住んで次の日。

「何だ………これは」

俺はファンなのであろう、女の子達に囲まれて思わずそう呟いた。



俺は今日、買い物のために街を歩いていた。そんな中、ある事件が俺の身に起きた。
その事件はある一軒の電気屋の前を通った時におこった。
誰も連れてきていない&付いてきていない為、久しぶりにノンビリと、悠々と自分のペースで道を歩いていると、ある音が俺の耳の中へと入ってきたのだ。

『俺が好きなら……勝てぇええええええ!!!!』
「ッっっ!!!!?*==〜*|〜=」

声にならない声を上げて俺はその音がした方向へと顔を向けた。
並べられていた新商品のテレビには俺の顔がデカデカと映っており、恥ずかしくて思わず耳を塞ぎたくなる声を大きく上げていた。

自分の顔が赤くなってくのが嫌でも分かる。

俺は出来るだけ自分の存在を消そうと肩身を狭くしてその場を離れようと早足になる。

まぁ、不幸の星に生まれてきたのであろう俺が無事にその場を切り抜けれる訳もなく、女の子達に取り囲まれた。

「きゃぁっ、京介よ!!」
「ほ、本物!!?」
「さ、ささ、サインください!!」

まるで波の様に押し寄せてくる女の子達に気おされて俺はオロオロとうろたえるだけだ。
そんな中、俺の耳に届いたのは、久しく聞いていないあの声だった。



『京介、久しぶりだね 私の事は覚えているかね? そう、京介君が所属している会社の社長だよ。
見ているかね? 見ていないならそれはそれでいい、見ているなら今から言う事をしっかり聞くんだよ。
京介 君の……』


妙な間を作る社長。
思わず生唾を飲み込んで言葉の続きを待つ。


『ドラマ出演が決まったよ☆ おめでとう☆』
「えぇええええええ!!!?」

聞いた瞬間絶叫。
周りの女の子達はいささかビックリしていた様だが、それでも怯む事は無く、俺の周りから居なくなる事は無かった。

まぁそんな事ははっきり言って問題じゃない。今問題なのはあくまでドラマの事だ。

何故そんな事を勝手に決めるんだあのクソ社長!!
心の中でそう愚痴ってみるが、それで現実が変わるわけもなく、俺は今回も諦めるしか選択肢は残されていなかった。

くそぅ、あの社長、何時か絶対殺してやる。

改めて決意する俺。

なんにしても、分かっているのはこの女の子達の輪の中から抜け出さなければ何も始まらないっていう事だ。
俺はどうやってこの女の子達の輪の中から抜け出そうか考えながら、ちょっとだけピンクに染まった空を見上げる。
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/20(土) 02:55:30.60 ID:4j06d6Eh0

「ちょっとだけ、こんな状況も悪くない、なんて考えてる俺自身が一番嫌だ」

漏れる溜息を隠す事もせず吐き出しそう呟くと、俺はあいつらと一緒に作るドラマを想像して思わず笑ってしまったのだった。



その日、俺が女の子から開放されたのは、軽く2時間後だった。
俺はすっかり暗くなってしまった道を歩いていく、山の中だから余計に暗い。

早く寝たい。

やっと家に着いて、ドアに手を掛けて開く。
事前に分かっていたとしても、真っ暗の道を歩いてきた俺にとって電気が作り出す明かりはやはり眩しかったらしい。

世界が白く歪んだ。

そんな中、大きな声が俺の耳に届いてくる

『おかえり』

皆から聞こえてきた賑やかな「おかえり」の言葉に目を瞠る。

あぁ、やっぱり俺はもう変になっちまってるらしい。
だってこんなにドラマをこいつらと作るのが楽しみでしょうがないんだから



俺は緩んでしまう頬に力を込めて普通の表情を作って、力強く返事をした

「あぁ、ただいま」

ドキドキと高鳴る心臓はこれから作るドラマのせいなのだろうか?
それとも別の理由なのだろうか?

理由は分からない、でも、今のこの世界がとても輝いて見えたのは確かだ。

そんな事を考えていると、とうとう頬の緩みが我慢の限界が来てしまい
思い切り皆に笑いかける俺なのだった。





寝る前。
買ってきた日記帳を机にしまう。

明日から、この日記帳に書いていくのはどんな物語なのだろうか?
楽しい? 悲しい? 嬉しい?

まぁきっとどんな事があっても最後は皆で笑っているのだろう。

………きっと。……ずっと。


今度こそfin
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga]:2011/08/20(土) 02:56:54.99 ID:4j06d6Eh0
オマケを書くつもりが、ちょっとしたその後みたいになってしまった。
まぁ、今度こそさようなら。

見てくれてありがとなw
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)[sage]:2011/08/20(土) 06:41:36.84 ID:4mwd7hJbo

まさかオマケ付きとは思わなかった
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/20(土) 11:13:49.35 ID:x6CvGawj0

第 一 部 完 ッ !!


意味はわかるな?
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 20:50:51.59 ID:nznEub6so
>>367
まさかッ…第、2部があるのか…!?
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/20(土) 21:15:14.01 ID:cACt5VyIO
期待( ̄▽ ̄)
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/08/21(日) 11:10:28.46 ID:4VbVYMKa0
次はドラマ編だな
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/25(木) 01:22:47.96 ID:eh2ZiHfm0
マジで終わりならちゃんと依頼しとけよ
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/09/03(土) 12:25:21.02 ID:PwKuiTr20
続きはよ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[sage]:2011/09/05(月) 21:06:00.49 ID:mdLTHGPY0
つづきないんか?
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/09/05(月) 23:01:38.41 ID:1u+TH4bjo
ドラマ編期待



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