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HTML化した人:lain.
鑢七花「・・・どこだ?ここ」麦野「学園都市よ!」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 15:18:02.46 ID:9Mx1j2mA0

書くストーリーの予定

―――――麦野は『0次元の極点』を遊び半分で試してみた。

すると長髪で着物のような服を着ている身長は200pは超える、体中傷跡だらけの大男が立っていた。



虚刀流七代目当主 鑢七花が学園都市に飛ばされ、いろいろな登場人物と戦います。

予定 VS美琴 VS一方通行 VS絹旗 ・・・・ect

刀語の時間軸は本編の少し後です。




どうでしょう?
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 15:18:55.44 ID:9Mx1j2mA0
言い忘れてました。

初スレです
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/04/17(日) 15:22:51.81 ID:4eiZ1Dzao
否定姫は?
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 15:26:04.71 ID:QBkKtHRDO
刀語だと……?
とりあえず期待
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 15:26:07.28 ID:9Mx1j2mA0

後々登場ということで

前半は七花だけでがんってもらいます。


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/04/17(日) 15:26:55.14 ID:4eiZ1Dzao
ほう……いいね
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 15:28:56.52 ID:9Mx1j2mA0
あと、ワタクシ、アニメと原作五巻までしか知らないので、間違いがあったら言ってください。

あとアニメでは出てこなかった技とか、設定とかあったら、言ってもらえるとうれしいです。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/17(日) 15:53:35.03 ID:9Mx1j2mA0


麦野「・・・暇ね」

麦野「・・・・暇」

麦野「・・・・・・・」



麦野「暇暇暇暇ぁぁぁぁぁああああああああ!!」




麦野「・・・今日は滝壺が風邪で寝込んでて、フレンダはその看病。
絹旗はどーしても見たい映画があるっていうからいないし・・・・」



麦野「・・・暇」

麦野「私は今、超暇なんです!」キャルーン

麦野「大丈夫、私はそんな麦野を応援してる」ボソ

麦野「結局やっぱりヒマってことなのよね!!」キャルルーン













麦野「・・・・・何やってるんだ私・・・」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/17(日) 16:07:52.20 ID:9Mx1j2mA0

キボウーノーミーチー ボクーガ ユクミーチー
アメニーウタレ カゼニフカレーテーモォ ユクンダヨォ・・・・ピッ

絹旗『あ、もしもし、麦野?』

麦野「どうした絹旗」

絹旗『ごめん、ちょっと超面白そうな映画を超発見したから、麦野もどうですか!?』

麦野「いやよ、どうせたいして面白くないC級映画なんでしょう?」

絹旗『いや、それこそが超いいんです!!いいですか?この映画は前回見たB級映画史上最高傑作の・・・・って超聞いてるんで

麦野「ピッ!」


麦野「・・・・暇ね」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 16:31:45.25 ID:9Mx1j2mA0

麦野「そういえば木原の野郎が言ってた・・・えっと・・・ 『0次元の極点』っていってたっけ?」

麦野「あれ試しにやってみようかしら」



麦野「えっと・・・たしか・・・。まぁいいや適当にやってしまえ!えい!」



ボカーン!!


麦野「うおっ!!」

麦野「・・・いててて。なによ、この爆発は!聞いてないわよ!!」





麦野「・・・・だれあんた」


鑢七花「・・・どこだ?ここ」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 17:22:33.30 ID:9Mx1j2mA0

数分前 加賀国 倶利伽羅峠

七花「ここがさっき言ってた倶利伽羅峠か」

否定姫「そう、何百年もの昔、源平合戦の頃、平家軍十万騎がここを通った時、当時そこの指揮をとっていた義仲は角に松明をつけた牛の大群をここへと解き放った。すると騎馬たちは次々とこの絶壁へと落ちて行き壊滅していった。
結果、平家は十万騎の大半を失い、大将は命からがら京の都へと帰って行った・・・。
で有名な倶利伽羅峠よ」

七花「地図には別に関係ないところだったが、少し興味があるからってしょうがなくついて見たんだが・・・。いい眺めだな」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 18:10:30.01 ID:9Mx1j2mA0
否定姫「そうよ〜。北陸はきれいな景色がたくさんあるし、おいしい食べ物が多いしねぇ〜」

七花「で、あの光の玉のようなものも、その風景の一つなのか?」

否定姫「はぁ?」

七花「だって、ほら、前に。」

否定姫「・・・何あれ?」

七花「あれ、だんだん大きくなってないか?」

否定姫「・・・そのようね」

七花「それと、こっちに向かって来てないか?」

否定姫「・・・そうみたいね」

七花「・・・・・・・」
否定姫「・・・・・・・」


否定姫「・・・・逃げるわよ」

七花「え?」

否定姫「いいから早く!!」

七花「ちょ・・まっ――――――」





七花「どこだ?ここ」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 18:58:20.25 ID:oECyfPn3o
>>1で「どうでしょう?」とか言われても困る
初スレってことを言う必要もない。読む方にとってはどうでもいい情報
予防線張りたいのはわかるけど逆効果。謙虚と感じる前に卑屈に感じる。むしろこんな風に叩く口実にされる

もっと堂々としていた方がいい。せめてネット上でぐらい
あんたのスレなんだから
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2011/04/17(日) 19:07:11.22 ID:/SVy1JsYo
姉ちゃんだったら無双だったのに
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/04/17(日) 19:18:48.19 ID:76yZLbNT0
・・・は…に直した方がいい
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 20:51:13.56 ID:9Mx1j2mA0
>>13>>15ありがとうございます。

七花「…どこだ?ここ」

麦野「……」

七花「……」


麦野「なにあんた」

七花「お前こそなんだよ。てかここどこだよ」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 21:00:57.68 ID:fhTu0z4p0
上条のなかのひとって虚刀流の創設者と同じだったな
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 21:05:25.06 ID:QBkKtHRDO
よくわからんが、書き溜めはないのかな?
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/17(日) 21:09:40.94 ID:pf6/QKOco
一つ聞くが名前欄手打ち?
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 22:09:32.24 ID:9Mx1j2mA0

七花「俺はさっきまで、加賀にいたんだけど。てかあんた変な恰好してんな」

麦野「あんたにだけは言われたくないわ。何?平成のご時世に着物?侍きどりか?」

七花「侍きどりも何も、俺は剣士だ。」

麦野「はぁ?(なんだコイツ中二病患者か)

七花「それよりも平成ってなんだ?」

麦野「はぁ?お前年号も知らねぇのか?(なんだよこの重症患者)」

七花「もう一度聞んだが、ここはどこだ?」

麦野(はぁ…なんだかめんどくさい事をしてしまったなぁ…。しょうがない、元のとこに返すか…
ってテキトーにやったから返し方わからない!……どーしよう)

七花「おい、聞いてるのか?」

麦野( …まぁいいや!コイツをどっかテキトーに吹っ飛ばしてしまおう)

七花「おい!!」

麦野「……ッッうるさいわね!なに!」

七花「ここはどこだって言ってんだよ!」

麦野「ここは学園都市に決まってるじゃない!」

七花「はぁ?なんだそれ?」

麦野「学園都市よ!学園都市!知らないの!?」

七花「知らねぇよ、なんだよそれ?」

麦野「……あーもう。はい、そこ動くなよ〜」ビュン

七花「うお!あぶねぇ!!」ヒョイ ドゴッ!!

麦野「なっ…私の原子崩しをよけるだと!?」

七花「……あぶねぇだろ!何しやがる!」

麦野「くっ」 ビュンビュンビュン

七花「うぉ!」ヒョイヒョイヒョイ ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/04/17(日) 22:30:31.48 ID:DksCSLDc0
>>1が説明してないので説明しとくと
麦野は原作では木原と一切接触してないが
PSPのゲームのオリジナルエピソード(麦野沈利編)では
木原は0次元の極点というものを研究していて
(切断した物の切り口の2次元を更に切れば1次元、その次は0次元になるというトンデモ翌理論)
麦野とはその際に協力関係だった

0次元とか、何故木原数多と知り合いなのか
ゲームをしてない人には分かりづらそうなので、一応言っておきました
以上、説明終わり
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/17(日) 23:05:38.46 ID:9Mx1j2mA0
すいません。説明忘れてました。>>21さんありがとうございます。

麦野「はぁはぁ」

七花「何なんだあんたは?いきなり」

麦野「…っうるさい!!」

七花「なんだその変な板は」

麦野「[ピーーー]!」ビューン!



麦野の原子崩しのビームが分裂するあの板なんでしたっけ?
原作手元に無いし、ネットのどこ探しても見当たらなし、だれか教えて
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/17(日) 23:14:09.97 ID:FtZmWUHFo
拡散支援半導体(シリコンバーン)な
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/18(月) 00:03:27.05 ID:EawDjPwZ0
そう!拡散支援半導体!>>23ありがとうございます!


麦野「……どうやら、今度こそやったみたいね」

麦野(さっきので拡散支援半導体なくなっちゃったか・・・)

麦野「しっかしまぁ、この部屋ものすごい大惨事になったわね」

麦野「ま、いっか、さーて帰って寝よっと」クルッ

七花「……いやしかし、危なかったな」

麦野「」

七花「…で、なんなんだ、あんた」

麦野「………ッッの野郎ォォォォォォォオオオオオオ!!!!」ビューン

七花「……」ヒョイ スッ

麦野「…ッ」

七花「―――虚刀流 木蓮!」

麦野「グフッ」ドサッ



七花「……本当になんなんだよコイツ」




本日は以上です。明日も書くつもりです。ありがとうございました。

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/18(月) 00:08:04.60 ID:AVuuaslAO
乙であった
書き溜めしてから投下した方がいいと思うぜ
つか虚刀流でのすとか流石七花容赦無いww
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/04/18(月) 00:11:44.44 ID:ZCBBbcTAO
まにわに出るかな〜?特に白鷺!




冗談デス
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/18(月) 00:29:26.89 ID:ULVGM7aq0
>>1
メ欄をsagaにすると殺 すが[ピー]にならなくなるよ
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/18(月) 00:33:21.01 ID:IZdpZKQzo
本編の後だからまにわに死んでるぞ
名前欄が気になる
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/04/18(月) 01:20:35.02 ID:ZCBBbcTAO
>>28
そうだったorz
刀語が嬉し過ぎて忘れてた…
冗談にすらならないとか…
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)[sage saga]:2011/04/18(月) 01:36:28.37 ID:YVShxmOko
saga使わないのか?

殺すとか普通に使えるようになる
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2011/04/18(月) 03:26:31.19 ID:z4ruwF3a0
妄想してたネタとかぶってるw
ねーちん戦あるなら期待
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2011/04/18(月) 03:26:56.58 ID:z4ruwF3a0
妄想してたネタとかぶってるw
ねーちん戦あるなら期待
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/04/18(月) 18:50:19.62 ID:ZCBBbcTAO
白鷺「略」

神裂「ひょっとして、貴方の忍法逆鱗探しとは一刀両断されてもなお喋り続けることが出来るという技なのですか?」

白鷺「うわあああ、い、いつの間にいいい か、神裂いいい」

神裂「唯閃、はぁ畳が汚れしまいました…」

ねーちんと聞いて妄想した
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/18(月) 19:59:54.58 ID:EawDjPwZ0

こんばんは,一晩してPC開いてみたら、こんなに多くの人が読んでくれていてビックリしました。

がんばって書いていきます。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/18(月) 20:10:57.00 ID:EawDjPwZ0

七花「しかし困ったな、これからどうしよう」ウロウロ キョロキョロ

麦野「……うぅ……」

七花「ん? なんだ、あんたまだ生きてたのか。意外としぶといんだな」

麦野「(…く、クソ、油断した……)……あん…た、何…者…?」

七花「俺か? 虚刀流七代目当主 鑢七花」

麦野「キョ…トウ…リュウ…?」ガク


七花「まぁ、死んではないだろうな」

七花「さて、これからどうしようか……」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/18(月) 22:07:56.39 ID:EawDjPwZ0
七花「お、なんだあれ?」

七花「(扉っぽいけど、俺の知ってるものとはちょっと違う…?)」ジー

七花「とりあえず開けてみようか」グッ

七花「…………あれ?開かない…」 (手前に引くドアを、横に引く戸と勘違いしている)

七花「あっれ、おかしいな。ビクともしない。……ってこの丸っこいの、なんか回るぞ」ガチャガチャ

七花「もしかしたら、これって押したり引いたりするんじゃないのか?」

七花「………あ、開いた」ガチャ


七花「…と、なんか廊下っぽいとこにでたな」

七花「(なんかまた扉っぽいものがあるな、しかも3つ)」←エレベーター

チーン
ガラッ
七花(あ、中から人が出てきた。ひぃ…ふぅ…みぃ…3人、中にはもう誰もいない…)

七花「―――――!」

七花「誰もいないはずの扉が閉まった!?」

七花(なんだ?あの扉は?どうやってしまった?)

チーン(さっきと同じ扉)

七花「―――――!」
ガラッ

乗員「ゾロゾロゾロ……」

七花(………人が…増えた?)

乗員「…ゾロゾロゾロ…」

七花(さっきより人数が増えてる…ひぃ…ふぅ…みぃ…よ…いつ…む…10人!?)

七花(誰もいないはずの部屋が勝手に閉まって、そしてそのあと開けば人が出てくる…イミワカラン)

七花「………乗ってみっか……」ボソッ





七花「さっそく乗ってみたが、使い方がわからん…」

ガラッ

七花「…うお!勝手に閉まった!」

「下ニマイリマス」

七花「…は?」
ぐんっ
七花(うおっ!なんだこの感覚!気持ち悪い!)

チーン
「1階デス」
ガラッ

七花「……ここはどこだ……」

七花(なんか広い部屋っぽい所に出たぞ?)キョロキョロ ←ホテルのロビー的な所

七花「―――!(なんであの壁は透明なんだ!?)」←ガラスのこと

七花 ボーゼン


37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/18(月) 22:08:39.82 ID:EawDjPwZ0
????「どうしたんですか?」

七花「うおっ!?なんだ? びっくりした」

????「あのー超大丈夫ですか?」

七花「なんだあんた?」

絹旗「なんだあんたとはなんですか。私には絹旗最愛と言う超チャーミングな名前があるんです!」

七花「そうか…すまん…(変な名前だとツッコミたいが、もっと変な名前の奴がいたしな…)」

絹旗「で、どうしたんですか?」

七花「あ、ああ、ちょっと、わからないことだらけで困ってたんだ」

絹旗「ああ!そうだったんですか!やっぱり外から来た人にはこっちの世界には超ついてこれないですよね!超よくいるんですよ!あなたのような人!(学園都市の内と外の世界的に)」

七花「そうなのか!よかったよかった!俺みたいな奴はよくいるのか!」

絹旗「ええ超沢山!(……しかし超変な恰好ですね)」

七花(変な口調だなぁ。まぁもっと変な口調の奴は他にもいるし…)

七花「そうだ、なぁ、ここらへんの道がわかるところってあるか?」

絹旗「えーと、このホテルを超出て、すぐ右に超曲がったら、次の超信号を左、100m位先に超コンビニあるんでそこの超近くに超噴水があります。そこにここ一帯の超土地の地図がありますよ」

七花「わかった。ありがとうな」 タッタッタッタッ

絹旗「いえいえ、超どういたしまして」

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/18(月) 22:11:14.53 ID:nIqZdo1p0
ん……?
ゲーム後って事は、主要人物のほとんど死んでね!?
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/18(月) 23:15:32.87 ID:EawDjPwZ0
それは言わない約束です♪
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/18(月) 23:36:38.65 ID:zl7OSjfPo
超説明わかりづらいです
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/19(火) 02:51:19.70 ID:qsORJB0T0
>>40 超ごめんなさい

絹旗(今日は暇だったから、麦野、超機嫌悪いでしょうねぇ)

絹旗(フフッフその場合も考えて、お土産を買ってきました!)



ガチャ

絹旗「麦野〜!さっき言ってた映画面白くなかったのでヤケクソに鱒寿司超喰いませんか〜!」

絹旗「……って麦野!?」

絹旗「麦野!…麦野!!超どうしたんですか!?」

麦野「……ぅ…絹…旗…?」

絹旗「どうしたんですか!?誰にやられたんですか!?」

麦野「……キョ……トウ………リュウ………」

絹旗「…?…キョトウ・リュウ?」

麦野「………ぅ…」ガクッ

絹旗「麦野?麦野!?……気絶してる……」

絹旗「キョトウ・リュウ……超許しませン!!」




今日はここまでです。読んでいただいた皆様、ありがとうございました。明日も書きます。


>>37をうpして、しばらくして、改めて読んでみると、声が聞こえました。

「言葉の中に“超”を沢山つけるだけで絹旗っぽくなると思うなよ」と……。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/19(火) 02:54:05.82 ID:qsORJB0T0

時に暗部メンバーの声優って誰になるんですかね?

麦のんは小清水さんでした。

絹旗や滝壺やフレンダ誰になるでしょうか?




私の帝蔵庫の脳内再生の声は鈴村健さんです。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/19(火) 03:03:12.89 ID:7Zzdc86O0
乙!
絹旗……(勘違いとはいえ)一通口調に成る程怒ってるなあ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/19(火) 09:24:15.97 ID:XCk+hhyAO
そうだえもんざえもんさんのことかー!
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/04/19(火) 09:34:25.75 ID:WxAug4cAO
まだあの口癖は残ってるのだろうか

ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/04/19(火) 10:40:10.56 ID:9G5DdpvAO
残ってるでしょあれがないと、とがめに申し訳ないし…あとはチェリオかな〜
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/19(火) 22:06:51.36 ID:qsORJB0T0

すいません遅れました。続きです。


絹旗『えーと、このホテルを超出て、すぐ右に超曲がったら、次の超信号を左、100m位先に超コンビニあるんでそこの超近くに超噴水があります。そこにここ一帯の超土地の地図がありますよ』

七花「…って言ってたよな、あいつ……」

七花(『ほてる』ってきっとさっきの建物だよな…きっと。)

七花(…じゃあ、『しんごう』とか…『こんびに』とかってなんだ?…『ふんすい』ってなんなんだ?)


七花「結局何もわからねぇじゃねぇか」

七花(さっきの『ほてる』とかいう建物から一旦出てみたら、人は多いし、鉄の猪みたいのとかが物凄い速さで走り回ってるし)

七花(一体全体どうなってるんだ?)

七花(俺がさっきまでいた加賀の倶利伽羅峠じゃねーのか?)

七花(……まるで異世界にでも飛ばされたみたいな………って、んなわけないか)

七花(……しかし…なんか目立ってるな…周りの奴らからずっと見られているような感じがする。

七花(……初めて本土に着いた時もそうだったが、今のはなんか痛い気がする……)




????「ピピピピッ!!」

七花「……?……なんだ?」

????「ピピピピッ!!……そこのデカいの!!止まるじゃんよ!!」

七花「…あ?」

????「お前だ、お前!そこの長髪着物デカ!!」

七花「…俺のことか?」

????「そうじゃんよ」

七花「なんだあんた」

????「警備員じゃん!着物を着た図体のデカい不審者がうろついているって通報を受けたから駆けつけてきたじゃん」

七花「あんちすきる?なんだそりゃ。ってか不審者ってのは酷いな」

????「そのナリを見ればどう見ても不審者じゃん」

????「お前、最近きたばかりの奴だな?」

七花「……?……ああ。ここがどこで、どういった場所かわからないんだ」

????「ああ、迷子か…わかった。私が案内するじゃん。お前、名前は?」

七花「俺の名前は、虚刀流七代目当主 鑢七花だ」

黄泉川「キョトウ…?長いな、七花でいいな。私は黄泉川愛穂だ。よろしく」スッ

七花「ああ、よろしく。……ってその手はなんだ?」

黄泉川「……ただの握手だが…嫌いか?」

七花「あ、いや…。よろしく」ガシッ


48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/20(水) 00:05:11.20 ID:wlDqRs+R0

――――――とある病院


麦野「……………」スースースー

絹旗「……………」


ガラッ
フレンダ「麦野!!」

絹旗「フレンダ!滝壺!」

滝壺「容体はどう?」

絹旗「ええ、冥土返しが言うには、ただの脳震盪だそうなんですが…一向に起きません」

滝壺「……」
フレンダ「……」

絹旗「滝壺、あなた風邪はもう超大丈夫なんですか?」

滝壺「大丈夫、もう下がった」

絹旗「そうですか…。病み上がりで超申し訳ないのですが、ちょっと付き合ってくれませんか?」

滝壺「わかった」

フレンダ「何するの?」

絹旗「麦野をこんなにした奴を探してきます」

フレンダ「私も行く!」

絹旗「いえ、フレンダは麦野を見ててください」

フレンダ「でも!!
絹旗「フレンダ!!」

フレンダ「―――!」ビクッ

絹旗「私は今、とっても超イライラしてるんです」

フレンダ・滝壺「………」

絹旗「どうして麦野がこうなる前に駆けつけてあげられなかってのだろうって。超後悔してるんです」
絹旗「呑気にクソつまらない映画見てるんじゃなくて、今日一日麦野と一緒にいればよかった…」

フレンダ「絹旗…」

絹旗「そして何より!」

絹旗「……私が現場に着いたとき、麦野が放ったとみられる原子崩しが当たった壁は、まだ熱かった…。ということは犯人はあの時まだ近くにいたはずなんです!!もしかしたら私、犯人と会ってるかもしれないんです!!」

滝壺「……」

絹旗「そう思うと…、悔しくて、悔しくて、悔しくてたまらないんです!!」


絹旗「だから私はせめてもの償いに犯人を見つけて、百倍返しにしてきます。」


絹旗「滝壺はもし犯人を超取り逃がしたら『能力追跡』で探知。フレンダは麦野が起きたら犯人の特徴を超訊いて私に言ってください」

滝壺「わかった」
フレンダ「ラジャー!」

絹旗「私は今、犯人を超グシャグシャのミンチにしなければ超気が収まれないんです」



絹旗「待っていやがれ、クソ野郎」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/20(水) 00:11:16.13 ID:cMuMeEtko
酷い逆恨みww
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/20(水) 00:19:26.71 ID:wlDqRs+R0

七花「……っひっぷしっ!!」

黄泉川「どうした風邪か?」

七花「…だれか俺のことを探してる気がする」




今日は以上です。明日も書きます。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/20(水) 08:12:06.83 ID:jygk9q+AO
チェリオ買ってきた
乙であった
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/04/20(水) 22:29:32.23 ID:qlVO6crAO
変体刀12本でてこないかな…

あと全刀錆も
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/20(水) 22:45:39.64 ID:wlDqRs+R0

>>52 すいません、全刀は棒状のものなら何でも刀にできるという設定しかわかんないです。

アニメで無かった設定はウィキで調べましたが、細かくは書いていませんでした。
よかったら、錆白兵や黒鍵や首、右足、左足、右腕、左腕や六枝やみぎり、幼少期の七実の
細かい設定を教えてください。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/20(水) 23:05:19.82 ID:wlDqRs+R0

続きです。

黄泉川「なんだその具体的な予感は…」

七花「いや、なんかそんな感じがした」

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/04/20(水) 23:05:24.07 ID:Z99epIeAO
七実は出さない方がいい

パワーバランスが崩壊するキャラだ
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/20(水) 23:14:13.34 ID:wlDqRs+R0
>>55 正直迷ってます。七実は魅力的なキャラなんですが…
七実が学園都市にいると多重能力者になっちゃいますからね
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/04/20(水) 23:18:13.15 ID:IMCbiKejo
一方通行を「見た」だけで反射されかねないぞ
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/20(水) 23:40:10.69 ID:sD3WNjeF0
めだかの過負荷版みたいな物だしな、「見稽古」って
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/04/20(水) 23:40:22.93 ID:BjBS9WvAO
全刀「錆」は虚刀「鑢」の対にあたる
とか完了形の候補だった
とか程度ならWikiに普通にあるぞ?
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/20(水) 23:52:48.03 ID:wlDqRs+R0
黄泉川「…? とりあえず、こんな街角で立ち話もなんだ、警備員の支部まで行こうか」

七花「ああ、わかった(…しぶ?屯所のことか?)」



黄泉川「……いきなりなんだが、ちょっといいか?」

七花「なんだ」

黄泉川「どうしてお前はこんなに傷跡だらけなんだ?」

七花「ああ、ちょっとあってな。……言わないとだめか?」

黄泉川「いや、嫌ならいいじゃん。じゃあ、歳は?」

七花「今年で25だ」

黄泉川「25!? (私より若い!?)」

七花「どうした?」

黄泉川「…いや、なんでもないじゃん。……あとどこから来た?」

七花「加賀だ。(気づいたらここにいたなんて言っても信じないだろうな…)」

黄泉川「加賀? 石川からか、これまた遠い所からきたじゃん」

七花「…?……あ、ああ」

黄泉川「腰にぶら下がっている白い毛みたいのは?」

七花「……これは…」

黄泉川「言いたくないなら、それでいいじゃん」

七花「………」


黄泉川「…っと、話してる間にもう着いたじゃん」

七花「えっと…ここが…」

黄泉川「ようこそ、警備員第七三活動支部へ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 00:05:03.66 ID:JPb3z7W80

黄泉川「すまんが、少しの間だけこの部屋にいてくれないか?」

七花「どうした?」

黄泉川「いや、たいしたことじゃないじゃん。私の代わりは、この 鉄装綴里がする」

鉄装「よ、よろしくお願いします」

七花「ああ、よろしく」

黄泉川「じゃあ、よろしくじゃんよ〜♪」スタスタスタ






62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 00:22:59.17 ID:JPb3z7W80
鉄装「……………」

七花「……………」

鉄装「……………」

七花「……………」

鉄装(き、気まずい〜!何か話せって言われて来たけど、お前と同年代だぞ、チャンスだぞって言われて来たけど、無理っ!無茶過ぎる!!)

鉄装(だって、怖いよ!だって体中傷だらけだもん。ものすごくデカいもん、2mいってるもん!!)

鉄装(…はっ!…だから私出会いが無いんだ…。)

鉄装(いくら先輩方が合コンや飲み会に誘ってくれても、いつも私こんなんだからダメなんだ!)

鉄装(彼氏いない歴=歳の数なんてもう言わせないって、この前の飲み会で小萌先生や先輩達に誓ったんだ。行くのよ鉄装綴里!今こそ男を見せる時!」

七花「なにブツブツ言ってんだ?お前。男を見せる時って、あんた女だろ」

鉄装「」



今日はここまでです。明日もお楽しみに。

いよいよ物語が動き出します。(予定)
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/04/21(木) 00:33:12.36 ID:4BTFVUbAO
やっぱ原作買おうかな〜12+1冊は貧乏学生にはきつな〜
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/21(木) 00:34:06.44 ID:0bLKzFde0
乙!
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/21(木) 01:26:27.86 ID:wRWRQWVJo
>>63
いっぺんに買わなくてもいいだろ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/04/21(木) 09:50:36.67 ID:VMHBay9AO
変体刀所持者は出して面白いと思うが七実だけはなぁ……

見ただけで技だけじゃなく肉体変化などの能力すらできるようになるし、それは幻想でもないし仮に幻想で幻想殺しが聴いても七実も幻想殺しが使えるようになるし

全盛期の一方やヘタ錬みたいに話しの都合上無理やり倒さないと負けないキャラだからなぁ
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/21(木) 14:15:58.74 ID:TR17PVyAO
というか時系列で死んだキャラは無理に出さなくても
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/21(木) 20:05:04.16 ID:hxuWaid4o
最初に否定姫と一緒に居たんだし出てこられても違和感すごいしな
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/04/21(木) 20:14:47.50 ID:T3L0CnoAO
見稽古って体術だけにしか有効なんじゃないの?能力も会得できるようになるの?

原作見てないからわからん
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/21(木) 20:23:06.07 ID:hxuWaid4o
爪伸ばすぐらいは出来たし交霊もやってた気がするがどこまで身体能力扱いかが微妙すぎる
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/04/21(木) 20:41:32.89 ID:NEvD1DhAO
つーか見稽古で超能力を会得できるかどうかは
そもそも世界観がまったく違う作品のクロスなんだから
書き手次第でどうとでもなっちゃう問題じゃね?

まぁ個人的な意見としては超能力は会得できないだろうな
七実の見稽古はあくまでも「技術」の範囲だと思う
忍術だって技術だしね
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 22:02:07.15 ID:JPb3z7W80


鉄装「ゴホン……//////。えっと、鑢くんはそこからお越しになられたのですか?」

七花「さっきの奴から聞いてないのか?…えっと黄泉川だっけ」

鉄装「いえ、いきなり話し相手をやってくれって言われたので」

七花「そうだったのか。で、どこから来ただっけ?」

鉄装「ええ」

七花「さっきまで加賀にいたんだ」

鉄装「へぇ、遠いところからわざわざ(加賀ってどこだっけ?)」

七花「黄泉川と同じ反応だな。やっぱり遠いのか?」

鉄装「そうですよ!」

七花「そ、そうなのか?」

鉄装「いやだなぁ、車で何時間かかると思ってるんですかwww」

七花「なぁ、その距離って歩いたら、どれくらいかかる?」

鉄装「はははっ、あなたおもしろい人ですね」

鉄装「石川から東京まで歩くって、何百年前の時代の話ですかwwww」

七花(……は? 何百年前?)

七花「……な、なぁ、それってどういう……


黄泉川「お待たせーーー!! いや〜やっと書類が終わったじゃんよ!」

鉄装「遅いですよ〜!黄泉川先生が遅いから、鑢くん待ちくたびれちゃったじゃないですか」

七花「いや、あの…

黄泉川「ああそうそう、七花、ちょっと来い」

七花「ちょっと待て…


黄泉川「いいから!!」

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/21(木) 22:22:20.89 ID:hxuWaid4o
七花にしては鋭いな
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/04/21(木) 22:47:53.67 ID:K1QHf20AO
姉ちゃんだしても良いんじゃないかな?とがめさんとセットで七花が島に残った世界の二人ってかんじでさ

そんで七花が七実に殺されたあとくらい
それで出せば無問題
あと全刀錆について…

触れたもの全てが刀になる虚刀鑢の対になる刀で錆白兵は最後の一本ってとこかな、

あとは…あんまし覚えてないんだよ…申し訳ない
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/21(木) 22:52:49.38 ID:fFamNa0bP
それなら初めから生きてる時系列でやって欲しいな
遺品纏ってる七花ととがめは遭遇して欲しくないかな
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 23:11:34.66 ID:JPb3z7W80

七花「………わかった…」

黄泉川「じゃあ、こっちじゃん」


黄泉川「鉄装、お疲れさん」

鉄装「はい、どうも…。……?」

77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 23:13:01.79 ID:JPb3z7W80
七花「黄泉川」

黄泉川「なんだ」

七花「一つ質問がある」

黄泉川「…言ってみろ」


七花「ここは、いったいどこなんだ?」

黄泉川「…?……学園都市に決まってるじゃん」

七花「だから、その『学園都市』っていうのは、どういった所なんだ?」

黄泉川「そりゃあ…学校の街だろう、文字通り」

七花「いやだから! 『学園都市』という場所は、どこに、何のための所なんだってば!」

黄泉川「……お前、何も知らずにここに来たのか?」

七花「………」

黄泉川「いいだろう、わかりやすく教えてやる」

七花「ああ」


黄泉川「この学園都市はさっきも言ったが、学校の街だ。それと同時に学生の街でもある」

七花(学校ってのは寺子屋みたいなものか? じゃあ学生ってのは子供のことか)

黄泉川「学園都市は東京都の西半分を丸々開拓して建てたものだ」

七花「なぁ、東京っていったい…



TV『では明日の天気です。東京は晴れ、埼玉、茨木、栃木は時々曇り、千葉、神奈川は晴れですが夜になると雨になるでしょう…降水確率は…』


七花「……」

七花(あのわけのわからん動く箱に書いてある東京って、武蔵国…?)


黄泉川「…おい!聞いてるのか!?」

七花「!!……ああ、聞いてる」

黄泉川「で、この学園都市の最大の特徴は『超能力』の開発だ」

七花「ちょうのうりょく?」

黄泉川「知らないのか? ほら手から炎をだしたり、瞬間移動したり、相手が何を考えてるがわかったり、透視したり」

七花(……じゃあ、初めにあったあいつのがやっていたもの、その『超能力』というやつか)

黄泉川「基本、超能力は脳を開発しなければ発生しない」

七花「…どういうことだ?」

黄泉川「学校で一定の時間割り(カリキュラム)を受ければ、超能力は発生するじゃん」

七花「……?……かりきゅらむ?)

黄泉川「要に、学校行けば超能力になれるってことじゃん」

七花「ああ、そういうことか」

黄泉川「以上だ。何か質問はないか?」

七花「ない」

黄泉川「よし、じゃあいくぞ」

七花「おい、行くぞって、どこへだ?」

黄泉川「すぐにわかる」

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 23:25:26.16 ID:JPb3z7W80

七花「なぁ、外になにがあるんだ?」

黄泉川「なにって、そこにあるじゃん。ほらそこ」

七花「なんだあれ?」

黄泉川「護送車じゃん」

七花「ごしょうしゃ?」

黄泉川「いいから乗るじゃん」ゴンゴン

七花「…?…ああ」ゴンゴン

黄泉川「七花、両手を出してくれ」ゴソゴソ

七花「ああ。なんかくれるのか?」スッ

ガシャンッ

七花「…………なんだこれ」

黄泉川「手錠じゃん」

七花「」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/04/21(木) 23:39:28.34 ID:3HeLjLbm0
逆に考えるんだ。七花が「見稽古(ビジョンロード)」に目覚めると考えるんだ。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 23:42:56.89 ID:JPb3z7W80

ゴンゴン

七花「おい黄泉川、なんであんた降りてんだ?」

キィーバタン

七花「なぜ扉を閉めるんだ」

ガシャ

七花「どうして鍵を閉める」


黄泉川「最後に七花、お前に言いたいことがあるじゃん」

黄泉川「お前のその顔や体中にある傷跡…私の経験から見て、刀傷と火傷…それと銃創の跡だな?」

七花「……そうだ…」

黄泉川「あと、お前の名前は『鑢七花』…であってたよな?」

七花「…ああ」

黄泉川「残念ながら『鑢七花』という人物は、学園都市の書庫にも、外からの訪問者のリストにも、まったく載ってなかったじゃん」

七花「…それがいったいどうした?」

黄泉川「本当に残念じゃんよ。お前を不法侵入者として起訴しなければならないなんて」

七花「…は?」

黄泉川「…お前は今から牢屋行きだってことだ」

七花「」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/21(木) 23:55:38.97 ID:JPb3z7W80

七花「…お、おい!!黄泉川!!ちょっと待て!!」

黄泉川「……すまないな。これはこの街のルールじゃんよ」

七花「……おい!!どうなってるんだよこれ!!」

黄泉川「おーい!もう出してくれ!」

ブロォン…

七花「おい!黄泉川!!」


黄泉川「……」


七花「黄泉川ぁ!!」

ブロロロロロロロrrrrr…………

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/22(金) 00:15:24.78 ID:VYkmzx4I0

七花(どうなってるんだよこれ…)

七花(道端に光の玉が出てきたと思ったら、いきなり変な世界に来て、変な女に殺されかけそうになって、そして少しはまともな奴と出会って、ついて行ったら、牢屋行き……)


七花(…ん?そういえば、あの女、何か言ってたよな…)


七花『俺はさっきまで、加賀にいたんだけど。てかあんた変な恰好してんな』

麦野『あんたにだけは言われたくないわ。何?平成のご時世に着物?侍きどりか?』


七花(明らかに俺の知って文明とは違うものが多い……。東京という街…あの箱、学園都市とかいうのはデカデカと書いてあったが、よく見たら江戸も入ってた。ということは江戸は無い)

七花(そして極め付けが鉄装とかいう奴のあの台詞…)


鉄装『はははっ、あなたおもしろい人ですね』

鉄装『石川から東京まで歩くって、何百年前の時代の話ですかwwww』


七花(………真庭鳳凰が言ってたな、俺たちの世界の歴史は実は嘘で、飛弾鷹比等がその歴史を正そうとした)


七花「……もしかしたら、この世界は飛弾鷹比等が正そうとした世界じゃないのか?」





七花「……んなわけあるか」

七花「さてここからどうやって出ようか…」








絹旗「…………見つけました」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/22(金) 00:19:18.31 ID:ZYb9raxK0
確かに、学園都市の技術なら変体刀も作れそうだな
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/22(金) 00:36:44.93 ID:VYkmzx4I0
>>82メッチャわかりにくく書いちゃいました。すいません。



――――――数十分前


絹旗「くっそ…絶対にこの辺に超いるはずです!」ハァハァ

滝壺「きぬはた、少し休もう?」

絹旗「そんな暇は超ありません!!」

滝壺「でも、ずっと走り回ってる」

絹旗「当たり前です!こうして超話してる間も犯人は超逃げていくんですよ!」

滝壺「じゃあ、きぬはた、もし犯人を見つけたとしても、あなたがバテバテにへばっていた状態で、その犯人に勝てるの?」

絹旗「ぅ…」

滝壺「むぎのに勝ってしまう相手だよ。それでも勝てる自信はある?」

絹旗「……」

滝壺「それと、そうやって走り回ってるけど、犯人の目星はわかってるの?」

絹旗「………」

滝壺「きぬはた、休もう?」

絹旗「…はい」



ボクーラーガーイターアノーヤクソクーソキーエーテーシマーイソナーァー♪……ピッ



絹旗「はい、フレンダ?」

フレンダ『絹旗ぁ〜、麦野が…麦野が…』



フレンダ『麦野が目覚めたぁ!!』


85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/22(金) 01:39:37.02 ID:VYkmzx4I0
今日はここで終わりです。明日も書きます。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/22(金) 08:56:26.23 ID:+fP/dPXDO
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/04/22(金) 20:12:23.83 ID:7Wwfv0xAO
乙 鎧と簪あたりが駆動鎧になってそうだな
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 05:54:46.79 ID:/AGz2zm70

すいません。徹夜でカラオケしてたら遅くなりました。

あと、さすがにバトルシーンで台詞オンリーはキツイので

地の文を書きます。……初めからそうしとけばよかった。



――――――さらに数分前 病院

フレンダ「 スースー 」

その時、絹旗から麦野を見ているようにと言われたフレンダは、麦野のベットに突っ伏した状態で眠っていた。

とても気持ち良さそうに。その時、街中を駆け回っている絹旗が、もしその姿を見れば、犯人の前にまず彼女がミンチにされるだろう。


フレンダ「…ん…ふぁあっ!!」

フレンダ「うわ…寝ちゃってた…」

フレンダ「……絹旗いないよね?……いたら殺される…」



????「彼女はいないけど、私ならいるよ」

フレンダ「キャーーー!!!」

冥土返し「安心してくれ、私だ」

フレンダ「…ああ、あんたか…(…よかった)」

冥土返し「なんだい?私じゃ不安かい?」

冥土返し「……じゃあ絹旗君にきみのさっきまで気持ち良さそうに眠っていたことを寝顔写真と一緒にメールで送ろうか」

フレンダ「え…?ちょっ…わかった!十分十分!!」



冥土返し「安心してくれ、君が眠っていた間は僕が彼女を見ていた。今の所は問題なしだよ」

フレンダ「ホッ…」



麦野「……ん…」

フレンダ「!!」

麦野「……ここは…?」

冥土返し「どうやら眼覚めたようだね。 ここは病院だよ」

麦野「…麦野…?どうして病院に…?」


麦野「……、……!!」

麦野「そうだ!あの野郎!!」ガバッ

フレンダ「ダメだよ麦野!無茶しちゃ!」


ベッドから起き上がろうとしている麦野、それを止めようとするフレンダ、そして、それをただ傍観しているだけの冥土返し


麦野「うるさい!私はあいつを殺さないと気が済まないんだ!」

フレンダ「それでも結局ダメっ!」

麦野「うるさい!……これは私の問題だ!お前はひっこめ!!」

フレンダ「………」

麦野はフレンダの手を強引に振りほどく、そして足を床につけ、立ち上がろうとしたその時だった」


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/04/23(土) 07:42:25.32 ID:OFdXs7kAO
逆恨みワロチ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/23(土) 11:58:01.82 ID:ptppzWQL0
個人的には七花には弟子つくってほしいな
虚刀って確か弟子は作らないかもしれないけど。
上条か浜面あたりかなぁ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 14:23:34.73 ID:/AGz2zm70

麦野は足がもつれ、派手に転んだ。

麦野「……イテテテ…」


麦野「……!! 足が…!」ガクガク


麦野は立てなかった。


膝がガクガクッと大きく震えた。まるでKO寸前のボクサーのようだ。

麦野「くそ…どうなってる!!」ガクガク


冥土返し「無理だね。今の君は立てないよ」

麦野「……んだと!!」ガクガク

冥土返し「君は脳を揺らされて、大きいダメージを負っている」

冥土返し「脳を揺らされると、人間は一時的に足が震えて動かなくなる」


麦野「一時的だと?何言ってる、あの時からもう結構な時間経ってんだぞ!」

冥土返し「そう、本来ならもう動けているはずだ」

麦野「だったらなぜ?」


冥土返し「わからないんだよ」


麦野「……は?」

冥土返し「本来なら動けるはずの足が動けない。その原因はわからないんだ」

麦野「……」

冥土返し「君の脳は相当大きな衝撃を喰らったか、そういう技なのか、そもそも君の脳はそういう風にできているのか」

冥土返し「わからないんだ」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/04/23(土) 14:45:21.99 ID:d2wYxN8AO
そういや否定姫と一緒にいるようになった時にはめんどくさいの口癖が戻ってるんだよな
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/23(土) 15:08:59.04 ID:00ECsH3v0
木蓮の効果だっけ?どっちにしろえげつない……
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 15:25:37.43 ID:/AGz2zm70



麦野「……屁理屈なんでどうでもいいんだよ!!」

麦野は笑う足を抑えながら、なんとか歩く。

だがそれは、ぎこちなく、今にも転びそうだ。


フレンダ(……志村けんみたい)

フレンダ「……とっ、ダメだよ麦野!」

冥土返し「そうだよ、今のきみじゃ歩くどころか立つこともおぼつかないんだ」

冥土返し「そんなのじゃ殺しに行くどころか、逆に返り討ちにされるね」

麦野「…!!……………くっ」

麦野は冥土返しの意見に反抗しようとしたが、言ってることが正論で押し黙った。

フレンダ「はいはい、結局病人はおとなしくベッドで休んでいなさいって訳ね」トン

麦野「うぉっととと」ボフン


フレンダは麦野の体を軽くトンと押した。

軽く押したはずだが、麦野の体はベッドに、崩れていくジェンガのように倒れた。


麦野「…なにを…!!」

フレンダ「あのオッサンと言う通り」

冥土返し「オッサンとは何かね君」

フレンダ「今、絹旗と滝壺が、その犯人を捜している……」


フレンダ「あーーーーーーー!!」

麦野「どうした!?」

フレンダ「忘れてた。麦野が起きたら犯人の特徴を聞いとけって言われてたんだった」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 16:34:00.59 ID:/AGz2zm70

フレンダ「結局私ったら大切なことを忘れてたって訳ね」

フレンダはポケットから携帯電話を取り出し、絹旗に電話をかける

プルプルプルプル…………ガチャ

絹旗『はい、フレンダ?』ハァハァ

フレンダ「あ、絹旗?」

絹旗『どうしたんですか?』ハァハァ

フレンダ「麦野が目覚めた!」

絹旗『!!』

フレンダ「今、麦野と代わるね!」

麦野「絹旗か?」

絹旗『……麦野…』

絹旗の声は今にも泣きだしそうな声だった。

絹旗『麦野、体は超大丈夫なんですか?』

麦野「ああ、まだ動けないがな。ところでアイツの特徴を聞きたいんだったな」

絹旗『はい!』


麦野「てか絹旗、特徴も知らないのに、どうやって犯人を見つけるの?」

絹旗『………それはさっき滝壺に言われました』


麦野はクスッと笑い。改めて話を戻した。

麦野「まあいい、奴の特徴だが…」

絹旗『…はい』


麦野「着物を着て、顔よ体に傷跡が沢山ある、身長2mを越えた大男だ」

絹旗『……!!』

『ドコォ!!』

電話からまるで何かが砕ける音がした。

麦野「絹旗?」

絹旗『いえ、超何にもありません』

絹旗『これだけあれば超十分です。ありがとうございます』

絹旗『麦野はそこでゆっくり休んでてください。私がアイツの死体を持ってきますから』


ガチャ……ツーツーツー


麦野「……?」

フレンダ「で、絹旗はなんて?」

麦野「…問題ないって」


冥土返し「………」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 17:01:38.54 ID:/AGz2zm70

ガヤガヤ…ざわざわ…


滝壺「きぬはた……」

絹旗「………」


絹旗の左手は、すぐそばにあったビルの壁に伸びていた。

そしてその左手は壁にめり込んでいた。


絹旗(……一番嫌な展開ですね。まさかあいつだなんて…)

絹旗「どうして気付けなかったんですかね ……」

滝壺「きぬはた・・・」


滝壺が不安そうなめ目で絹旗を見ている。

絹旗「……超嫌ですね滝壺!そんな目でこっちを超見ないでください」

絹旗「もしかして私の超心配でもしてくれているんですか?」

滝壺「きぬはた……」

絹旗「はい」


滝壺「周り、人集まってきてる」

絹旗「あ…」


二人の周りにはさっき絹旗が壁を殴った音を聞いて来た、野次馬に囲まれていた。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/23(土) 17:51:03.06 ID:ABM/7uZao
★壁殴り代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200〜 24時間営業 年中無休!

         ∧_∧ 
         (´・ω・`) _、_,,_,,,     
     /´`''" '"´``Y'""``'j   ヽ   
    { ,ノ' i| ,. ,、 ,,|,,. 、_/´ ,-,,.;;l   壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています 
    '、 ヾ ,`''-‐‐'''" ̄_{ ,ノi,、;;;ノ   筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
     ヽ、,  ,.- ,.,'/`''`,,_ ,,/    壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
      `''ゞ-‐'" `'ヽ、,,、,、,,r'   
        ,ノ  ヾ  ,, ''";l 
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)[sage]:2011/04/23(土) 18:20:07.25 ID:wARMg4sm0
>>97
壁殴りを依頼した者ですが、
隣の家の人から損害賠償請求されました。
どうすればいいですか?
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 18:27:34.36 ID:/AGz2zm70
すいません。>>96の日本語変ですいません。
そして>>97の職人さんありがとうございます!!


野次馬を抜け出し、二人は一旦、路地裏に隠れた。

絹旗「ハァハァハァ」

滝壺「……」

絹旗「ハァハァ、と、とりあえず、犯人を捜しましょう」

滝壺「はんにん、ものすごく目立つ恰好してるらしいからすぐに見つかると思う」

絹旗「はい、でもあれから超時間がたってますから、急いで捜しましょう」


絹旗「とりあえず、まずは警備員の支部への道から見て行きましょう」

滝壺「わかった」



二人はさっそく路地裏を出て、前にある信号を渡り、西へ50mほど進み、そこの交差点を曲がったその時。



七花『…お、おい!!黄泉川!!ちょっと待て!!』

黄泉川『……すまないな。これはこの街のルールじゃんよ』

七花『……おい!!どうなってるんだよこれ!!』

黄泉川『おーい!もう出してくれ!』

ブロォン…

七花『おい!黄泉川!!』


黄泉川『……』


七花「『黄泉川ぁ!!』

ブロロロロロロロrrrrr…………

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/23(土) 18:34:09.65 ID:00ECsH3v0
100!
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 18:53:23.29 ID:/AGz2zm70

絹旗「……ふふふ、あははははははは!!」

滝壺「……」

絹旗「ふふふ、警備員に超捕まっていたみたいですね」





絹旗はフーと安心したように息を吐き、

絹旗「警備員に感謝するのは超久しぶりですね」

そして

絹旗「さーて、どウ落とし前を超つけさせますかァ」

彼女の眼は爛々としていて、口は笑っていた。

例えるなら、狩る獲物を見つけた虎のような表情だった。





絹旗「滝壺、超下がっててください」



絹旗「……ふゥン!!」

絹旗は近くにあった、ポストをまるで大根のように引っこ抜いた。

そして、あたかもハンマー投げ選手よろしく、体を回転させて勢いをつけ、走って行った七花を乗せた護送車にブン投げた。

絹旗「ゥォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、りゃア!!!!!!!!!!!!!!!」


宙を綺麗な放物線を描いて飛んで行った、手紙の入ったポストは、絹旗に回されている時にどこかにぶつけたのか、手紙が出てきている。

まるで流れ星のようだ。



そしてその流れ星は、護送車のちょうど七花がいる荷台に直撃した。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 18:56:00.04 ID:/AGz2zm70

>>100とられた(泣)!!


晩飯作るんで、8時か9時くらいに更新します。


ばいちゃ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)2011/04/23(土) 20:48:49.34 ID:SZ/l3yAAO
七花死ぬぞ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/23(土) 21:42:44.82 ID:ddlxPfh9o
負けないことは出来るだろうけど勝つのは無理そうだよな
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/04/23(土) 21:43:01.66 ID:LvcxE2m9o
これは死ぬw
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/23(土) 23:46:32.53 ID:/AGz2zm70

――――――警備員第七三活動支部

学園都市の条例により、不法侵入者とみられる男――鑢七花を難無く護送車に乗せ、それを見送った黄泉川愛穂はその後、
コーヒーを飲んで、優雅な休憩タイムをとっていた。

黄泉川「お、このコーヒーうまいじゃん」ズー

鉄装「あ、今回は銘柄を代えたんです。それはわざわざ第四学区まで行って買ってきた高級品ですよ」

黄泉川「ほう、なるほどじゃん。しかし鉄装、この高級品は自分の金で買ったのか?」

鉄装「なに言ってるんですか?それいくらしたと思ってるんですか?勿論、経費で…。あ……」

黄泉川「よっしゃ、じゃあその分はお前の給料から引くじゃん」

鉄装「ちょ、やめてください。黄泉川先生〜!」


????「二人とも相変わらず仲良いですね〜」

黄泉川「なんかようか、登条」

登条「いや〜黄泉川先生にちょっと飲んでほしいのがありましてね〜」


登条秋羅 鉄装と同期の地理学を教える中学教師である。


登条「実はこのコーヒー、私がわざわざブラジルまで足を伸ばして入手してきた、本場の最高級コーヒーなんですよ〜」

登条「さささ、黄泉川先生〜これをどうぞ」ズイ

黄泉川「あ、ああ。…あ、おいしいじゃん…」ズー


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 00:29:46.74 ID:+u/zCL3E0

鉄装「なっ…ちょっと登条さん、何してくれてるんですかっ?」

登条「なにって…私はただ黄泉川先生に学園都市の外の食品の良さを教えてるだけですよ〜」


鉄装「それがダメなんですっ。せっかく私が第四学区まで足を伸ばしてこの高級品を買ってきたのに……」

鉄装「それに、学園都市のものは安全なんです。外で作られている食べ物って何が入ってるかわからないじゃないですか!」



登条「……何言ってるんですか。学園都市のものは、やれ安全第一だ、有害物質を取り除けだとうるさいんですよ」

登場「まぁ確かに安全第一は大事です。有害物質は入れてはいけません。……しかぁぁぁし!!!」

登条「行きすぎなんですよ!!学園都市産の食品は野菜から魚や肉まで何から何まで、すっっっっべて屋内で生産されたものばかり!!!」

登条「しかも屋内で生産されいるものは何もかも計算に計算を重ね重ねにしつくされている。それが気に食わないんですよ!!!!」

登条「野菜を生産するときなんてそうだ、地中の有害物質を取り込ませないように畑の土を人工土壌にし、肥料も安全に改良した化学肥料を使用している」

登条「また、本来なら天から降り注ぐ神々しき太陽の光を野菜にあてて光合成をさせ、野菜本来の甘みを作り出す…のにっっ!!!!」

登条「野菜を遺伝子改良し効率良く光合成をさせ!!しかも日光を当てさせずに蛍光灯の光だけを使って育てさせる!!!!!」

登条「そして!!私が一ッッッッッッッッ番、気に食わないのが!!!!それらの工程を全て!、丸々!!機械が自動でやっているという

登条「まさに!!!!!!農家に、いやぁ!!!!農業にかかわる、すべての人たち対する侮辱だ!!!!!!!!!!」


登条「そう思って私は先日、私の家の庭で畑と水田を作って、野菜と米を作ってたんです。それなのに!!!どこぞの分からず屋が畑に使う肥料に使う牛糞が臭いからって………畑も水田も何もかも撤去されたんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


黄泉川「………登条」

登条「はい!!!」

黄泉川「うるさい!!!!!!」

登条「…すいませんでした」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 00:55:03.10 ID:+u/zCL3E0

黄泉川「ったく、お前のそのしゃべりだすと止まらなくなる癖、本当に直したほうがいいじゃん」

登条「はい…ホントすいませんでした」


黄泉川「はいはい。んじゃ休憩終わり。さっさと残りの仕事終わらして、さっさと帰るじゃん」

パンパンと黄泉川は手を叩きながら、後輩二人に働くよう促す。

そして……

ドーーーーーーーーン!!!!!!!!!

いきなり轟音が響き、窓がビリビリと唸った。


黄泉川「なっ……!?」

登条「…ここの近くじゃないですか!?」

鉄装「わ、私見てきます!」












新キャラ出しました。

ワタクシ、警備員Aとか生徒1とかいうのあんま好きじゃないんで、折角だから作っちゃいました。

今まで、ずーとこんな風に語り続けるキャラはいなかったなーと思ったらこうなりました。

もう一人くらい出そうかと思います。


なんか登条みたいなキャラってなんか、うる星やつらにいたような気がする…。

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 00:57:45.98 ID:WQXjxds90
乙!
次回は 『無刀VS窒素』 かな、DVDジャケット風に
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 00:58:13.40 ID:WQXjxds90
乙!
次回は 『無刀 対 窒素』 かな、DVDジャケット風に
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 01:00:48.81 ID:WQXjxds90
表示されないから、失敗したかと……ごめん
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 01:42:42.61 ID:b9aI0Z6Xo
オリキャラか…
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/04/24(日) 02:14:37.34 ID:BZGa/r6AO
上条さん対七花よりも、一通さん対七花がみたいな〜

浜面と削板は弟子ってかんじでさ
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 03:39:21.05 ID:+u/zCL3E0


―――――その頃、護送車

七花「さてここからどうやって出ようか…」

七花「…ん?なんだ?あいつ。道の隅で赤いのを手に持ってグルグル回っている…。あ、投げた。………って、こっちに投げてきやがった!」

七花「ちょっ…ちょっと待て!!」



絹旗が投げたポストは護送車を直撃した。

護送車は一転、二転、もう一転とバウンドし、ゴロゴロと地面を転がってようやく止まった。

そしてガソリンが引火したのか、派手に爆発した。

もともとこの護送車は不良少年から極悪の危険人物までを二、三十人とほど詰め込められるよう、荷台は大きく設計されており、
しかも外部、内部からの衝撃に耐えられるようにもできているため、その分ガソリンの量も多い。

そのため普通の車より爆発は大きくなる。

爆発の威力は大きく、耳が割れるような爆音と身がすくむような衝撃が周囲を襲った。


115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 04:27:21.81 ID:+u/zCL3E0



黄泉川「これは派手にやってくれたじゃん」


先ほど爆発があった現場に、警備員第七三活動支部のメンバーはさっそく交通整備と現場検証を行っていた。

爆発した時、通りには人は少なく、近くには誰もいなかったことから、ケガ人は一人もいないというのはまさに奇跡だ。


先ほどの爆発で護送車は大破、大破の原因とされるポストはなんと現場から200m先のものだった。
証拠に200m間ずっと手紙が落ちている。


黄泉川「まったく、どこの誰だか知らないが仕事増やしやがって……」

鉄装「100%能力者の仕業ですね」

登条「ええ、念動力系の能力者でしょうね」


????「いや、そうとも限らん」

黄泉川「美濃谷先生……」

美濃谷「このポスト、今は吹っ飛んで何が何だかわからんが。あそこのポストは穴が二つあった、大型のポストだった」


美濃谷肖像 今年で定年を迎える第七三活動支部一番の古株。専門教科は世界史と日本史。趣味は秘湯めぐりである。


美濃谷「わしはこの道をよう使っておったから、よく覚えておる」

黄泉川「はい、私もあのポストを結構利用していましたから…」


美濃谷「学園都市製のものは防犯対策により、本来のものより硬く、重いものが多い。このポストのその一つ。このポストとそこにパンパンに詰まっていた手紙……。ざっと200kgぐらいだろう。それをここまでとは…まったく、恐ろしいことだ。レベルは大体、強能力者か大能力者だろう」



すいません。ねむいんで落ちます。
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/04/24(日) 10:27:07.61 ID:Do709I6AO
オリキャラは構わないがストーリーに関わったり主要キャラになるなら最初からオリキャラだけでやればいいと思う

文句じゃなくて忠告をしとく
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 13:34:15.50 ID:+u/zCL3E0
>>116さん、ありがとうございます。
あと、登条さんと美濃谷さんは主要じゃないです。ご安心を。

美濃谷「気になるのが、200kgもするポストをどうやってここまで飛ばしたかだ。黄泉川、ポストがあった場所へちょいと行こうか」

黄泉川「はい」




黄泉川「……ここですね」

美濃谷「…うむ、根こそぎ持っていかれとる」

黄泉川「しかし、どうやって……」


美濃谷「おい黄泉川、ちょいとここを見ろ」

黄泉川「…はい、……これは」

二人が見ているのは、とあるビルの壁だった。そしてその壁は…

美濃谷「抉れとるな」

黄泉川「なんの跡なんでしょうか…」

美濃谷「うむ……。む?」


美濃谷「おい黄泉川、これを見ろ…」

黄泉川「これは…!」

美濃谷「なるほど、これで分かった」

そこには奇麗な円状の窪みがあった。

黄泉川「…?。何がですか?」

美濃谷「どうやってあそこまで飛ばしたかをだよ」

118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 14:05:59.01 ID:+u/zCL3E0

すいません。抜かしたところありましたので、そこからやります。



美濃谷「おい黄泉川、これを見ろ…」

黄泉川「これは…!」

美濃谷「なるほど、これで分かった」

見つめる先はただの地面だった。

だが少し違う。


そこには奇麗な円状の窪みがあった。



黄泉川「…?。何がですか?」

美濃谷「どうやってあそこまで飛ばしたかをだよ」



黄泉川「?」

美濃谷「――――――ハンマー投げだ」

黄泉川「……あ、そうか!」

美濃谷「そう、犯人はここにあったポストを能力で引っこ抜き、ハンマー投げの要領で投げ飛ばした。その証拠にそこの壁と地面だ」

美濃谷「おそらくこの壁はポストを回す時にぶつけたのだろう、そこで破損したポストの穴から手紙が落ちて行った。地面の方はハンマーを投げる時の軸足の跡だろう」

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 14:53:08.33 ID:+u/zCL3E0


美濃谷「きっと犯人は念動力系じゃないな。ポストを引っこ抜くほどの能力者なら、あんな方法はしない。そもそもこんな重いポストは使わんだろう」

美濃谷「おそらく犯人は筋肉の活性化かなにかはわからんが、パワーを増幅させるような能力者だ。そこら辺を探そう」

美濃谷「さて、重要なのはどうして犯人はこの行動をとったかだ……」


鉄装「黄泉川先生ーー!美濃谷先生ーー!」

黄泉川「ん?どうした鉄装」

鉄装「はい、防犯カメラに犯人と思しき人物が映っていました。少々離れていますが……」

黄泉川「いいから見せるじゃん」

鉄装「はい!」


鉄装はすぐに小型モニターを取り出した。

鉄装「いいですか、画面の左上を見てください」


映っていたのは、小柄な少女が遠くにある護送車を見つけ、少しもう一人いた連れと何か話しをしたあと、ポストを引っこ抜き、ハンマー投げの要領で車へ投げた。

投げた後、また連れと何か話をして立ち去った。


鉄装「ん〜、犯人は後ろを向いていて顔がわかんないですね」


120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 16:12:24.28 ID:+u/zCL3E0



黄泉川「結局、犯人は何がしたかったじゃん?」

鉄装「護送車に対する妨害か、それとも護送車に乗っていた鑢七花くんを殺害するためにしたものか…」

黄泉川「結局謎は深まるばかりじゃん。とりあえず現場に戻るじゃん」



――――――――

登条「あ、黄泉川先生〜。この護送車の運転手二人ですが、一人は気絶していて、もう一人は気絶した仲間を連れて、爆発する前に逃げていて無事でした〜」

黄泉川「わかった、それじゃあ、そいつに話を聞こう」





黄泉川「あの時なにがあったじゃん?」

運転手「はい、私が運転している時、いきなり後ろから何か衝撃が来て、何かと思ってブレーキをもうとした時、車が吹っ飛んで…。そこからもう無我夢中であまり覚えていません」

黄泉川「……?ちょっと待つじゃん、衝撃は二回来たのか?」

運転手「はい。二回です」

黄泉川「…?」


美濃谷「黄泉川、ちょいとこっちへ」

黄泉川「はい。どうしました?」

美濃谷「あの若造、鑢とか言ったな?…………奴の死体がない」

黄泉川「―――――――!!」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 16:43:24.50 ID:+u/zCL3E0


その頃、事件現場から少し離れた路地裏、そこに……

七花「……危なかった。……あれはさすがに死んでいた」ハァハァ

護送車に乗っていたはずの、鑢七花が息を切らして座り込んでいた。

七花「しかし、なん…なんだ?……いったい…どうなってるんだよ……コレ」ハァハァ

七花「とりあえず、ここから逃げ……」


絹旗「逃がしませンよ」

七花「――――!」

絹旗「麦野に手ェ出してくれた落とし前ェ、超きっちり払ってもらイます…。まったく、まさかァ道を教エてあげた相手が犯人だなンて…。超かっこ悪くて涙が出ますよ」

七花「……なんだお前?」

絹旗「……私のこと覚えてないですか?」

七花「すまん、まだ人の顔覚えるの得意じゃないんだ。……お前だれだっけ?」

絹旗「――――――!!!」カァーーーッ

七花「…?…なに怒ってるんだよ」

絹旗「もウ、イイです。アなたを超ぐっちゃぐちゃのミンチにして、麦野の前に差し出せばそれで済みます」

七花「…おい、俺お前になんかしたか?」


絹旗はそこらに落ちていたパイプを手に持つと、七花に向かって思いっきり投げた。

七花「…うおぉ!」ヒョイ

顔に向かって飛んできたパイプを七花は仰け反って避けた。

パイプはコンクリートの壁に深々く突き刺さった。

七花「!!……おいおい、その小っちゃい体のどこにどんな馬鹿力あるんだよ」

絹旗「馬鹿力言わなイでください。あと小っちゃイとかも。結構気にしてるんです」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 17:24:38.35 ID:b9aI0Z6Xo
こなゆき見てるしそこまで違和感ないんじゃね?
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 18:10:28.23 ID:WQXjxds90
そういえば「人間」を見分けるの苦手だったっけか
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 18:13:15.19 ID:+u/zCL3E0

絹旗「何がともあれ、私はあなたを超殺したいンです。……黙って死ンでくれませンか」

七花「どうしてかは知らないが、あんたは俺をどうしても殺したいようだな…」

絹旗「それがどオしたって言うンです?」

七花「別に俺はいいんだけれどよ」





七花「ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな 」







絹旗「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

七花「―――虚刀流 一の構え『鈴蘭』」






絹旗が襲い掛かる、両手には二本づつパイプが握られ、七花に一本づつ投げつけた。

七花は一本一本避けて行ったが、最後の一本は自らの手で払った。

すると絹旗は七花との間合いを詰める。

絹旗は七花に飛び掛かり、顔面に向けて右ストレートを叩き付ける。

七花はそれを右に避け、次の攻撃に備えて後ろへ飛ぶ。

絹旗はそれを逃がさず、前へ進む。次は左フック。しかし七花にまた避けられ、後ろに逃げられる。次はアッパー、また避けられた。

絹旗は全弾フルスイングで襲い掛かるが、七花がそれのすべてを避け、後ろに下がる。その繰り返しが延々繰り返された。


七花「いつまでそういう風に振り回してんだ?日が暮れちまうぞ」

絹旗「イイエ、もウ、終わりです」


七花の背中にどんっと衝撃が伝わった。


七花「…!?……壁!?」

絹旗「チェックメイトです!!」


ドゴッッ!!!!!!

壁が砕ける、大きな音が響いた。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 18:55:12.24 ID:+u/zCL3E0



頭は潰れた。そう絹旗は確信した。




絹旗「……!!………いない!?」


七花「後ろだ」

絹旗「―――!!」

七花「―――虚刀流 木蓮!!」

絹旗「―――!」


七花「…妙にあっけない終わり方だったな」

絹旗「……終わってなンてイませンよ」
はら

七花「…あれ、おかしいな。前に同じ技をやった時は、あいつ一発で倒れたのに…?」

絹旗「フフフ、どォやら麦野はこの技で倒れたよォですね。残念ですね。私は麦野より体が頑丈なンです」

七花「それでも無傷ってのが気に食わねぇな。どうなってるんだ?お前の体」

絹旗「知りたイですか? 」

七花「ああ、とっても」

絹旗「なら教エて…あげましょう!!」


絹旗はまた飛び掛かる。そしてまた左右の連打を繰り出す。今度はキックもしてきた。


絹旗「イイですか?私の能力はァ『窒素装甲』。私の体には常に窒素が超取り巻いてイます。で、その窒素がポストを超吹ッ飛ばしたり、あなたの技を超防いでくれるンです」

七花は絹旗の攻撃を避ける。避ける。避けまくる。

どうしても避け切れない攻撃は正面から受けるのでなく、突き出して来た手足の側面を払って流す。

そして背後に壁を背負う形になった。



七花「すまん、やっぱり難しいわ。わからん」


そして絹旗は拳を叩き付ける。

絹旗「……お兄さン、ちょっとアホですね」

七花「認めたくないが、自覚はある。――――――まぁあれだ、全身常に鎧を着ているようなもんか」

絹旗「まァ、そォなりますね」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 19:24:03.66 ID:b9aI0Z6Xo
鎧通し窒素装甲に効くのだろうか
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/24(日) 19:27:05.05 ID:hpBm30DJo
効いたらミンチになるのだろうか
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/24(日) 19:46:47.63 ID:S2+8VzSdo
尾張幕府の鎧の人みたいになってしまうのか・・・
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 19:53:53.39 ID:+u/zCL3E0

七花はまた絹旗の背後にいた。


絹旗は振り向き、七花を追撃しようとしたが、さっき出した拳が壁に突き刺さって抜けない。




七花「……待ってやるよ」

絹旗「ええ、超感謝します」


絹旗は壁にめり込んだ拳を抜くため、七花に背を向けた。壁に足をつけ、足の力で引っこ抜いた。



絹旗「超お待たせしました。―――――どォです、超はじめてでしょう?私のような敵は。」



七花「いや。ちっこくて、力持ちで、常に鎧を着てる奴は見たことないけどよ。ちっこくて力持ちな奴と、常に鎧を着ている奴にはあってる」


絹旗「……へェ、そォなんですか。まァ私にとっては超どォでもイイ話ですが」



また絹旗は襲い掛かる、それだけ肉弾戦に自信があるのだろう。

そして七花もまた、避ける。避ける。避けまくる。

また先ほどと同じ絵だ。


だが



七花「ん〜、でも、あいつらの方が断然強かったぞ?」

絹旗「は?」



パァン!!



ハイタッチのような心地良い音が響いた。しかし、それのように平和的なものじゃない。

七花は絹旗の拳を正面から手で受け、握りしめた。


絹旗「……なっ。私の拳を受け止めた!?」


七花「うん、あの二人の方が強い」


絹旗「……くっ」


絹旗は七花の手を振りほどき、また拳を突き出す。

しかし七花はその一つ一つを左手一本で受け止め続けた。

130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/24(日) 20:12:45.54 ID:44yNMWTAO
やはり完了してると無敵感があるな
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 20:37:14.06 ID:+u/zCL3E0


パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!


心地いい音か小刻みに響いた。


七花「―――虚刀流『牡丹』!」

絹旗「……くっ…」ビリビリッ

七花の腰の回転を加えた後方回し蹴りで絹旗の体は吹っ飛び、奥のゴミ箱に突っ込んだ。


絹旗「ハァハァハァ……」


七花「………」

絹旗「……ま、まだです」


七花「なぁ、もう終わりにしないか? もう俺飽きてきたんだが…」

絹旗「まだ…まだです(こうなったら奥の手を使うしかありませんね)」


絹旗は立ち上がり

絹旗「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

雄叫びをあげながら、突進していく。

また左右の連打。

そしてまた七花がその拳を受け止める。


七花「―――虚刀流 百合」


七花の回し蹴りを喰らい、サッカーボールのように吹っ飛ぶ。

しかし「窒素装甲」の能力でたいして効いてない。

すぐに飛び起き、また左右の連打を繰り出す。





七花「―――虚刀流 薔薇」

また吹っ飛ばされ、また起き上がり、また左右の連打、そして―――

七花「―――虚刀流 桜」

また吹っ飛ばされる。


絹旗はただ、なぜかそれを繰り返す。

七花「―――虚刀流 梅」

七花「―――虚刀流 鷺草」

七花「―――虚刀流 菖蒲」

七花「―――虚刀流 石榴」

七花「―――虚刀流 桜桃」

七花「―――虚刀流 野苺」

そして吹き飛ばされ続けられた。


132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 21:42:00.23 ID:+u/zCL3E0

絹旗はまた起き上がる。

そして左右の連打。

七花「おい、もういい加減にしようぜ」

絹旗「まだまだぁ!!」

七花「もうわかってるんだろ。お前じゃ俺を倒せない」

絹旗「……」

七花「もうお前、バッテバテじゃねぇか」

絹旗「…」

七花「なぁ、終わりにしょうぜ」




絹旗「……んなことぐらい、わかってます。………しかし!!」


絹旗は拳を突き出す。

七花はその拳を掌で掴もうとする。……しかし。

絹旗は自分の拳を掴もうとした七花の手を、逆に掴んだ。


絹旗「……捕まえました」


七花「…やべっ…」


絹旗「確かに私はあなたを倒せない。………しかし、吹っ飛ばすことができます!」






絹旗「超吹っ飛べ!!!」







絹旗は七花に全身全霊を込め、タックルをかました。

七花は文字通り吹っ飛び、20M先の壁に突っ込んだ。

133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 22:51:52.88 ID:+u/zCL3E0

ドコーーーーン!!と一段とド派手な衝突音がした。

砂煙が当たり広がった。






絹旗「ゼェ…ゼェ…ゼェ…ゼェ……へへっ、さんざん人様を蹴り飛ばしてくれたお返しです。…ペッ」

してやったりという顔で七花が飛んで行った壁を見つめながら、口に溜まった血を地面に吐き出した。


絹旗「…ゼィ…ゼィ…ゼィ…ゼィ…。……ふー、さすがに疲れました。でもまぁ…すっきりしました」


壁の所には砂煙がもくもくと立ち込める。




絹旗「………でも、まだ生きてるんでしょう?」




七花「……ああ、さっきのはビビった。……油断したって言ったら言い訳になるな。あんたスゲーよ」


絹旗「お褒めにあずかり超光栄です。………しかし、それでも無傷ってのは正直いって超ショックです」


七花「いや、頭ちょっと打った」


絹旗「今ので超それだけって……一体どんな体してるんですか、あなたは」


七花「あんたにだけは言われたくねぇよ」


絹旗「ははは、そうですね」


七花「あんたが初めてだよ。俺の攻撃をモロに喰らって生きているのは」


絹旗「それは褒め言葉ですか?」


七花「そう理解してくれたら嬉しいな。…………一応、名前を聞いておこうか」


絹旗「……私の名前ですか?」




絹旗「私は絹旗最愛と言います。学園都市の超暗部組織『アイテム』のメンバーです。………あなたは?」



七花「俺の名前は 虚刀流七代目当主 鑢七花ってんだ。このナリだが、剣士をやってる」




絹旗「剣士って…刀ないじゃないですか」


七花「無刀の剣士なんだよ」


絹旗「無刀の剣士……?……なるほど、だから虚刀流ですか」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/24(日) 23:36:32.17 ID:+u/zCL3E0

七花「ああ、これからお前の為にとっておきの技を見せてやる」


絹旗「そうですか……。時に鑢七花さん、なぜ私があなたをそこに超吹っ飛ばしたか……わかります?」


七花「七花でいいよ。……わからねぇ」


絹旗「足元を超見てください」


七花「…??なんだこの箱?」


七花の足元に小さな箱が置いてあった。



絹旗「滝壺ぉーーー!!超お願いしま――――す!!」


七花がいる壁の上、壁…ビルの屋上(15M程の高さ)から、滝壺がぬっと顔を出した。


滝壺はんっしょっんっしょっと大きな袋をどこからか大変そうに出して来て、折りたたみナイフで切れ目を開けて、七花の頭上に落とした。

袋の中身の粉状の何かが出てきて、七花に大量に降りかかった。

七花は真っ白になった。


七花「うおぉ!!……ケホッ!ケホッ!……なんだ?」


絹旗「安心してください。ただの小麦粉です。死にません」


七花「じゃあなんでそんなもん……」


絹旗「さて、なぜ私はあなたをそこまで吹っ飛ばしたかと言うと……どうしても、あなたに居て欲しかったからです」

絹旗「保険のために滝壺に、ここの仕掛けの設置と待機をさせておいて正解でした……」

絹旗「それとそこにあるのは、学園都市最新の特製の火薬でできた爆弾です。範囲はそんなに広くないですが、燃焼速度がハンパじゃないです」


絹旗「あと…知ってます?空中に粉塵…例えば、そのような小麦粉が漂っている場合………そこで火を付けちゃいけないんですよ?」


七花「……?」


絹旗「その“とっておき”とやらを見られないのは残念ですが…一瞬で終わらせます!!」


絹旗はポケットから小さなスイッチ……起爆スイッチを取り出し………何の躊躇もせずに押した。


絹旗の言った通り、勝負は一瞬で終わった。
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/25(月) 00:33:04.03 ID:3T4w35chP
戦闘途中の絹旗の喋りが違和感酷すぎる
何を意識してるかは分かるが変えない方がいいように思う
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/25(月) 01:05:46.68 ID:e9Bo2eqq0

>>135すいません。以後、気を付けます。
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/25(月) 01:29:19.42 ID:e9Bo2eqq0
そこから先は、零コンマ何秒の世界だ。


絹旗は起爆スイッチを押した。


絹旗(よし、勝った!……こんなに超強い敵に…勝った!!)


勝利を確信した。








彼女の目の前に、虚刀流 鑢七花が現れた。


彼の後ろに小麦粉の線が続いている。




絹旗(――――!!!)



絹旗(――――何か来る!!が、ガードを!!)






七花「―――虚刀流 一の構え『鈴蘭』」






七花「―――虚刀流 一の奥義 『鏡花水月』!!」





絹旗は、七花の虚刀流の技で最速の『鏡花水月』をもらい、40M先のビルの壁に激突した。もし絹旗の『窒素装甲』が無ければ、心臓が潰れていた。




絹旗「……かはっ…!!(は、速い……超速すぎる!!)」



138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/25(月) 01:29:53.97 ID:e9Bo2eqq0



七花「―――虚刀流 『杜若』」






七花は虚刀流『杜若』で40Mもの間合いを一瞬で詰める。







七花「―――虚刀流 四の構え『朝顔』」






絹旗「…………!!」






七花「―――虚刀流 四の奥義『柳緑花紅』!!」





虚刀流の対鎧の奥義、『柳緑花紅』は絹旗の『窒素装甲』を貫き、彼女の腹に深く突き刺さった。





そして、虚刀流七代目当主 鑢七花の後ろで、粉塵爆発が起こった。
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/25(月) 01:58:35.88 ID:e9Bo2eqq0


それはほんの一瞬の出来事だった。




絹旗「…………」ドサッ




七花「…しかし危ねぇな。もしあの爆発の中にいたら、絶対に死んでたよ」



絹旗「ヒュー、ヒュー」



七花「…と、相変わらず頑丈だな。一応手加減したが、気絶してると思ってたのに」


それでも、立ち上がろうとしている。

絹旗は虫の息だったが、意識はある。


絹旗(…くっ、ここまでキツイのをもらったのは超初めてです)


七花「おいおい、無理するな。もう決着はついてる。むしろ、ここまでできたことを褒めてやりたいほどだ」



絹旗は立ち上がった。だが、足つきがおぼつかない、眼は虚ろだ。


それでも、七花に一撃を喰らわせようと、拳を握る。


絹旗「く………まだ……まだぁ……」ヒューヒュー


腕を振りかぶり、最後の一撃を……



そこで、彼女は糸が切れた人形のように崩れ落ちた。


それを七花が受け止める。


140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/04/25(月) 02:15:44.56 ID:s5fZjdSoo
厳しいこと言われてるし、俺は素直に>>1

刀語もアイテムもすきだから期待してる
頑張れ
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/25(月) 02:29:07.72 ID:e9Bo2eqq0


七花は絹旗の体を抱え込み、先ほど爆発があったところへ向いて叫んだ。



七花「おーい、もう出てこいよ。いるんだろ?こいつを何とかしたいから、出てきてくれ!」


すると、曲がり角から、先ほど小麦粉を落とした、滝壺理后がやってきた。


七花「ほい、こいつよろしくな」


七花は滝壺に絹旗の体を渡す。


滝壺「どうして?」


七花「ん?」


滝壺「どうして攻撃しないの?普通なら、こうゆう風には接しない」


七花「そりゃ、お前が攻撃しないって思ったからだよ」


滝壺「どうしてわかったの?」


七花「だって、もしあんたが攻撃できる奴なら、二人一緒に俺を襲ってきただろ」

七花「わざわざこいつ一人で襲って来て、お前は罠を仕掛けに行ったのは、こいつが俺を襲って、あそこまでおびき出し、さっきの爆発で倒すって計画じゃなかったのか?」


滝壺「それはあくまで保険。最初から、きぬはたはあなたを本気で一人で殺しに来ていた」

滝壺「そしてあなたが言う通り、わたしは攻撃専門じゃない」


七花「じゃあ、こっちからも聞くけどよ、どうしてあんたはこうやって俺の前にノコノコと出てきたんだ?もしかしたら、こいつもお前も殺して逃げるかもしれないんだぞ?」

七花「あと、どうして応援を呼ばないんだ?普通そうだろ」


滝壺「それは、あなたはあまり悪い人じゃないと思ったから、もしあなたのような強さの悪い人なら、きっときぬはたは瞬殺だった。あなたはたきつぼをボロ雑巾にしたけど、生かしてくれたから」

滝壺「あと、応援を呼ばなかったのは、きぬはたがとても楽しそうだったから。最初は怒りに任せて戦っていたけど、最後の方はとても楽しそうだったから。……だから」




142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/25(月) 02:41:54.56 ID:e9Bo2eqq0

>>140さん、ありがとうございます。



七花「そうか…」


滝壺「ここもきっと人が来る。早いうちに逃げた方がいい」


七花「わかった」


七花「じゃあ、俺はさっそく逃げるからよ。お前も気を付けろよ」


滝壺「大丈夫、こういうの慣れてるから」


七花「おう、じゃな……っと、なぁ一応名前聞いていいか?」


滝壺「滝壺理后。あなたは?」


七花「俺の名前は虚刀流七代目当主 鑢七花っていうんだ。…なんかお前らとは、もう一回会えそうだな」


滝壺「うん、わたしもそう思う。……じゃあ七花、私たちはもう行くから」


七花「おお、じゃあな」


こうして、二人は別れた。

























七花(あれ?絹旗って名前どっかで…しかもあの口調……)

七花「……ああ!!」

七花「そういや、道教えてくれた奴だ……。あちゃ〜悪い事したな〜」



今日はここまでです。ありがとうございました。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/25(月) 09:45:30.04 ID:Kr0vmGEZo
おつん
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/25(月) 12:15:49.11 ID:GzEzZe7AO
>>123
それもう克服されてる

さて絹旗は双刀を振るえるだろうか…一方通行は余裕だろうが
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/04/25(月) 20:20:17.48 ID:OIGF9tqAO
学園都市って、斬刀いっぱいありそうだよな
炎刀はともかく
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/25(月) 20:29:54.53 ID:4VooyFPBo

しかし七花一人だと考えないから行動がどうなるか分からんね
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2011/04/25(月) 22:14:51.45 ID:VV3JgKCoo
ぶっちゃけていとくんがいれば悪刀以外全部作れるよな
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/04/25(月) 22:45:54.67 ID:wvb3j/mR0
王刀はどうする
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/04/25(月) 23:03:37.89 ID:ZHygDiqAO
俺の未元物質に常識は通用しない、だからね〜
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/25(月) 23:21:15.59 ID:TFhUw/MO0
>>148 「人の心を律する成分を放出する木材に似た物質」で作ればいいと思う
悪刀も何とかなりそうな気がするし

追記

たきつぼをボロ雑巾×
きぬはたをボロ雑巾○

大丈夫、俺は頑張って書いてる>>1を応援してる

151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/26(火) 00:02:13.96 ID:gkNcGX/L0

今晩も書いていきます。

>>150さん、ありがとうございます。

たきつぼの台詞を書く時ちょっと目を離すと、平仮名ばっかりで見にくくてしょうがない時があります。

特に人の名前を言った後、平仮名ばっかりの台詞とか………



VS絹旗編は丸く収まってしまいましたが、当初はもっとエグイ倒し方にしようかと思ってました。

でもそうすると絹旗ファンの皆様が悲しむかなと思いやめました。


やっぱり平和が一番です。




おまけですが。

鉄装と登条が争っていた件ですが、もっと詳しく書こうかなと思ったんですが、面倒なのでやめました。


設定としては、

二人が黄泉川にどっちが旨いか飲み比べを求めます。

黄泉川は味とかは、どうでもいいので分からないの言いますが、二人は食い下がります。

困った黄泉川は美濃谷に頼み、飲み比べをしてもらいます。

しかし、味はどっちも、どっこいどっこいと言われ、納得がいかない二人はまた喧嘩になり、登条は語り、鉄装はそれを真っ向から批判し、泥沼化し……


そんな二人を見ていた美濃谷が、二人のコーヒーの容器のラベルを見ると、原産地も製造場所も同じ、ブラジルだったってオチです。



152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/04/26(火) 00:32:47.21 ID:K/0z/oiG0
まぁオリキャラやクロス予定外の作品キャラで尺稼ぐのって二次創作としては割とグレーな
裏技ですからね・・・

西尾維新ではなく刀語単体を好む身として楽しみにしております。乙でした。
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/26(火) 03:07:56.86 ID:gkNcGX/L0

―――――病院


鑢七花との戦いから半日と少したった。

朝の九時、廊下ではナースたちがせわしなく行ったり来たりしている。

スーツの入った車を押している者もいれば、朝食を運んでいる者…皆、騒がしい。



しかし、ある個室はもの静かだった。 廊下の騒がしさは遠く聞こえる。

麦野「…………………」

フレンダ「……………」


滝壺「……ということがあったの……」




麦野は今は寝間着のままだが、脳のダメージは完全に抜け、明日にも退院できるらしい。

しかし、麦野と代わるように、今度は絹旗がベットに横たわっている。腕には点滴の管が伸びている。



フレンダ「……まだか絹旗までやられるなんて……」


滝壺「…とても強い人だった」



突然、麦野はすくっと立ち上がり、速足で個室から出ていこうとした。



フレンダ「麦野、どこ行くの?」


麦野「……どこだっていいでしょ」


フレンダ「嘘だ。麦野、結局そいつを探しに行く訳でしょ」


麦野「…いいじゃない、別に」


フレンダ「……麦野…」


麦野「……言いたいのはそれだけ?……じゃあ」





滝壺「待ってむぎの」


麦野「……なに」


滝壺「むぎのじゃあ、あの人には勝てない」


麦野「なっ……!!」

フレンダ「……!?」


二人とも滝壺の言ってる意味がわからなかった。

いつも三人の言うことには逆らわず、常に三歩後ろをついていく彼女が、リーダーである麦野に『勝てない』と言ったのである。

154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/26(火) 03:38:27.04 ID:gkNcGX/L0


麦野「――――――!!!!」


麦野はツカツカと滝壺に歩み寄り、彼女の左頬に思いっきりビンタをした。


フレンダ「!!」ビクゥッ!!


麦野「滝壺……ごめん、何言ってるかわからなかったから、もう一回言ってくれる?」


滝壺「――――むぎのじゃあ、やすりしちかには勝てない」



パァンッ!!パァンッ!!パァンッ!!



麦野が滝壺の頬に往復ビンタを喰らわせる音が、病室中に響く。

もしかしたら、外の廊下にまで聞こえているかもしれない。


麦野「滝壺あなた……。わかってないの?私たち、あいつに舐められてんのよ!!……このまま引き下がったままいられるかってんだ!!!」


今度は麦野の怒号か響いた。外の騒がしさはいきなり消えた。きっとこの騒動でびっくりしたのだろう。



麦野の怒号にフレンダはビクビクと震える。そして麦野は滝壺の往復ビンタを叩き付け続けた。



頬を叩く鋭い音が響く。

そして麦野の怒鳴り声はそれよりも、もっと大きく響いた。



麦野「いい?これはもう私の問題じゃない、私達の問題なの!! 学園都市最強の七人、超能力者の一人があっけなくのされて、それの敵討ちいった大能力者はボッコボコのボロ雑巾になって病院送りになった!!」

麦野「……これはね!!『アイテム』の名が汚れたのよ!!……それだけでも、『アイテム』の価値はね、馬鹿みたいに下がるんだよ!!それをテメェはどう責任とるって言うんだ、ええ!?おい!!!」



最後に麦野は、滝壺の顔面を殴りつけた。滝壺は絹旗が眠るベッドの横のソファに突っ込んだ。


ハァハァと息をあげ、鬼のような顔で滝壺を見下ろす麦野。


フレンダ「ちょ・・・麦野やり過ぎ!!」


フレンダは滝壺をかばう。


滝壺「ふれんだ、いい」


しかし、滝壺はそれを制した。


155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/26(火) 03:58:35.35 ID:gkNcGX/L0


滝壺「むぎの、あなたはちょっと勘違いしてる」


彼女の口の端と鼻の穴から、血の滴ポタッポタッと床に落ちる。


滝壺「確かに…むぎのときぬはたは負けて、『アイテム』の価値は下がった」


滝壺「……むぎのはあの人には勝てない。………それほどの強さだった……」



滝壺「……でも、あの人…やすりしちかは…きぬはたを舐めてはなかった…!!きぬはたを凄いって称えて、それからとっておきの技で倒した!!」



滝壺「きぬはたも、最初は怒りに任せて戦ってた。でも最後は二人とも自分を名乗りあって、お互いを認め合って戦っていた!!」


滝壺「きぬはたはとても楽しそうに戦っていた。きっとあの人もそうだと思う……」



滝壺「……だから、むぎのは少し待ってっ!!……きぬはたが目が覚めるのを待ってっ!!……それから四人で話をして、どうしようか決めよう」




滝壺の両頬は赤く腫れ上がり、口の周りは血で赤く染まっていて、折角の美貌も台無しだった。……それでも眼は光っていた。



その姿を見て、その声を聴いて、麦野は何かを押し殺すかのように、叩きすぎて赤くなった右手を握りしめた。


麦野「………勝手にしなさい」


そして、踵を返し、速足で個室から出て行った。







今日は遅いんで、もう終わりです。ありがとうございました。



PS 大学生活をこうして毎晩夜更かししていると辛いので、申し訳ございませんが、一日おきの更新にします。


眠い
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/26(火) 08:03:13.62 ID:G8UrJcXLo

一応文に指摘すると 「!」や「?」は半角にしないほうが良いと思う、そっちの方が読みやすいし
あと地の文入れるなら 「」の前の名前は消してもいいんじゃない?

ついでに 
麦野「……言いたいのはそれだけ?……じゃあ」 だったら 「……言いたいのはそれえだけ……? じゃあ」
の方が読みやすいかな? 三点リーダの後に!とか?ってことです。その後の言葉を溜めるための効果も見られるし

別に指摘求めてないわけじゃなかったらでかい口きいてすんませんでした
超俺得スレなんで頑張ってください
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/04/26(火) 10:29:26.30 ID:E7M61HEAO
戦う理由がなきゃ戦えないのなら最初から戦わなければいいってのはなかなかの正論だよな
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/26(火) 21:55:29.79 ID:gkNcGX/L0

どうもこんばんは、昨日は一日おきとか言ってましたが、今日は書きます。

明日はお休みします。GWはきっと毎日書くと思います。


そうそう、GWは故郷の石川に帰ります。

最近、石川といえば『花咲くいろは』ですね。

『エンジェル・ビーツ!』といい、これといい…。石川って地味に有名なアニメの聖地があります。


石川県の金沢の山の方に聖地『湯涌温泉』があります。名産は柚子。町内で柚子小町というサイダーをブームにしようとしています。EDに出てました。

湯涌には過去二回行ってきました。いい温泉で、街のみなさんはとてもいい人ばかりです。




それと最後に、『エンジェル・ビーツ!』の聖地である金沢大学と意外と近いです。

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/26(火) 23:15:35.48 ID:gkNcGX/L0
>>156さん、ありがとうございます。

さっそく採用してみます。


160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/26(火) 23:36:01.72 ID:gkNcGX/L0

「滝壺……」


フレンダは心配そうな顔で滝壺の口元を見る。

あまりにも痛々しい。



「ふれんだ、大丈夫。でもちょっと口を切っただけ。でも拭くものあるかな…」


「ちょっと待って、ティッシュあるから」


フレンダは立ち上がり、ソファに置いてあったバックからポケットティッシュを取り出す。


滝壺に差し出すと、滝壺は二,三枚取り出し、顔を拭く。


「でも、滝壺がまさか、あの麦野に食い付いてかかるなんて思ってもしなかった」


「うん、今でも自分がしたことにビックリしてる。……顔、痛いけど」


「後悔してる?」


「ううん、もしあそこで麦野をあのまま行かせたら、麦野は負ける」


「そこまで強いの?そいつ」


「うん。………そうしたらきっと、きぬはたは悲しむと思う、勝っていればこうならなかったって。……だから私は後悔はしていない」



滝壺はさっきまでのやり取りを思い出し、ふふっっと思い出し笑いをしてみる。


……やっぱり自分には似合わなかったな。



しかし

「あれ、血が止まらない……」

「え?」

161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/26(火) 23:59:32.22 ID:gkNcGX/L0

「どどど、どうしよう。まさかなんかヤバイ事になってない?」


「まさかさっき、むぎのに殴られた時……?……まさか…」


コンコンコン…ガラッ

「失礼するよ。君たち、さっきまで何やってたんだい?怒鳴り声は病院中の至る所まで、まる聞こえだよ?」


冥土返しが病室へ入ってきた。


「あらまぁ、これは派手にやったねぇ」


「あ、結局、滝壺の血が止まらないの」


「ん〜〜?どれどれ」

冥土返しは滝壺の鼻をじっと見る。

「……ああ……滝壺さん」


「はい」


「至急、レントゲン室へ行って、写真撮ってきてくれないか」



「…………」

「……は?」


滝壺の顔がサーと青くなり、フレンダは素っ頓狂なリアクションをする。




「鼻骨が折れてるかも」



滝壺は、ちょっと後悔をした。




162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/27(水) 01:09:06.92 ID:b6qmAgyf0




ハイ、チョットダケ、イタイケド、ガマンシテネェ


アノ、マスイハ・・・・・?


ハイ、イキマスヨー


チョ、チョットマッテ、マスイ・・・・・




………イタタタタタタ、イタイ!イタイ!



…ギャーーーーーーー!!!








結局、鼻は折れていた。


出血がひどく、急きょ手術となった。



その時は、冥土返しは別の緊急手術でおらず、担当したのは、いかにも大学あがりたてホヤホヤな若い医者だった。


その若医者曰く、鼻骨骨折の場合は麻酔をかけないらしい。

それを手術後に聞いた。




麻酔無しで鼻の穴に針金を通し、ギプスで固定する。そして血を止める……。

比較的簡単な手術なので、格好はそのまま、診断室で行われた。

163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/27(水) 02:12:41.37 ID:b6qmAgyf0


帰ってきた滝壺はゲッソリとやつれていた。


鼻には肌と同じ色のプラスチック製のギプスを付けていた。

一応、顔に目立たないよう配慮したようだが、目立つ物は目立つ。滝壺の美貌は結局は台無しのままだ。




(あ〜ごめんごめん、実は鼻骨の手術は初めてでさ〜。メッチャあがってたんで、言うのを忘れてたんだわ)


手術後、あの若医者の言葉がいまだに頭の中に浮かび上がる。


(ホントのこと言うと、手術自体一人でやるのは初めてなんだよ)


沸々と湧き上がるこの感情は何なんだろう?


(いわゆる初体験ってヤツ?…私の初体験…おねぇちゃんにあげちゃった///……きゃ///)


あ、これ、イライラって言うんだ。最近イライラすることが無かったから忘れていたんだ。


(な〜んてねwwwwwwwwww冗談冗談wwwwwwww)


あれ、なんだろう?なんかスッゴク頭が熱いっていうか、なんかこうカーッっとする感じ


(いや〜、それにしても初めてにしては、完璧に上手くいったよ!すごい人は痛みなんて感じない内にススッと通しちゃうんだけれども、今回
はまさにそれだね!)


あ、そうだ、これって怒りっていうんだっけ? ここ数年怒ってないから忘れてた。


(あ、そうそう、鼻骨骨折といってもそんなに酷くはないから心配しなくていいよ!でも安静にしてないと骨がくっついてくれないからね!)





帰ってきた滝壺はゲッソリとして目は虚ろで上の空の状態で帰ってきた。フレンダは滝壺の劇的な変貌にドン引きしていた。



滝壺はこの数時間の記憶の内、ヤブ医者の最後の言葉以外のすべてを一斉に消去した。

そしてここの病院で診察を受ける時は、絶対にあのヤブ医者なんかには診せないと心に誓った。


164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/04/27(水) 02:15:13.91 ID:b6qmAgyf0
今日は以上です。

明後日書きます。



165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 00:43:25.70 ID:JQuMhWbX0

さて、今日もがんばって書きます。


―――――


………あれ?

………あれからどうなったんだっけ?




『ああ、これからお前の為にとっておきの技を見せてやる』


あ、そうだ、私………



『―――虚刀流 一の奥義 『鏡花水月』!!』



あの時……




『―――虚刀流 四の奥義『柳緑花紅』!!』



あそこで……



『く………まだ……まだぁ……』



あそこで……







「……はっ」



絹旗最愛は倒されてから3日後、誰もいない病室で目を覚ました。

166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 01:10:19.24 ID:JQuMhWbX0


ここは……どこ……?


絹旗は空きあがり、あたりを見渡す。


(ここは……麦野が入院してた病院……?……どうして……?)


「……痛っ……!」

いきなり腹部に痛みが走った。


「イテテテ」


「………あ、そうだ、私………」



思い出した。


あの時、負けたんだ………。



ふと、ベットのそばにある棚の上にある、小さな目覚まし時計を見る。



午後八時五八分



日付が結構替わってる。


(三日経ってる……。三日間寝てたんだ、私……)


167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 01:29:26.79 ID:JQuMhWbX0




あの日のことを思い出してみる。



(確か、爆弾と小麦粉を超使って粉塵爆発させてたら、超いつの間にか七花が前にいて、40m位、超吹っ飛ばされて……)


(そしたら40mの距離を一瞬で詰めてきて、そして止めを刺された……)



「………ハハハ…」


絹旗はつい笑ってしまった。


「……しかしまぁ、超コテンパンにされましたね」




「えっと…確かこんな感じでしたね」



絹旗は片膝をつき、確かな記憶をたどり、自分を倒した時の七花の真似をする。



「…コホンッ……『鏡花水月』!! 」スッ


しかし、七花のようにはならない。


「あ、あれ…?」


しかし、絹旗は諦めない。


「……『柳緑花紅』!!」スイッ


これも、七花のようにはならなかった。



168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 01:41:20.80 ID:JQuMhWbX0


「………………………」



静寂が一瞬、あたりを包む。…でもそれは一瞬だった。




「……ふふっ、ふふふふ……あはははははははははははは!!」



絹旗は楽しそうに腹を抱えて、隣の部屋の迷惑をもお構いなしに笑った。


「あはははははははははっ……んふふふふふ………ふふっ…ははははははははははは」


楽しそうだ、本当に。何か良い事でもあったかのかのように、足をバタバタとしながら笑った。




「はーはーはー、……っ……ははははははははははははは………はははは……はは…」


やがて笑い声は途切れ途切れになり。


「はは…は……。…………………………………」


静寂になった。
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 02:11:37.07 ID:JQuMhWbX0



絹旗はぺたんと座り込んだ。


「………まさか、粉塵爆発の燃焼速度よりも超速いだなんて」

爆発が起こったとき、二人は40m移動していた。


「ったく、どんなチートキャラですか……。倒された私でも超爆笑ですよ」



絹旗はベッドの上で、体育座りをする。

自分の脚をギュッと抱きしめる。



負けた。惨敗だ。………きっと、相手――鑢七花は、全力の半分も出してないだろう。


絹旗は体育座りをしたまま、髪をギュッと握った。

三日間洗ってない髪は、ベタベタとしてて気持ち悪かった。


学園都市の能力者に勝てる人間はこの世にはいないだろうと思っていた。

その学園都市の能力者では上位だろう自分に敵う人間は精々、超能力者七人ぐらいだろうと、思っていた。………でも。




「……………って、あれ?」


ポタッ…ポタッ…と滴のようなものが膝に落ち、太腿へと流れる。


「なんで、私泣いてるんですか?」


涙は目から頬へと流れる。


「ちょっとwwかっこ悪いじゃないですか。……もう子供は卒業したんですから…」


それでも涙は、止まらない。


「ちょ…と、なんで…止まらない…んですか?……ヒックッ…。超…おかしい……ヒックッ…です」


涙は目から溢れてくる。……止まらない。


「なんで……ヒックッ……」

170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 02:29:38.42 ID:JQuMhWbX0

涙は止まらない。


ある感情が彼女を支配していく……。


「…?………??」


この感情がわからない。…いや、思い出せない。……頭の中で引っかかる。もう少しで出てきそうだが、思い出せない。


それくらい、この感情は久方ぶりだった。


「…あ………」



そして、彼女は思い出した。

その感情の名は……



「…あ……そうか……。私、悔しいんだ」



敗北感と、悔しさだった。



「そうか…私…負けて、悔しいんだ……」


敗北感と悔しさと言う、感情の正体を思い出した彼女は


「…あ、あああああ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ」


声をあげて泣いた。


「あああああああああああああ、ぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ」


悔しい、腹が立つ。自分の無力さが、か弱さが、そして何より、自分は強いとつけあがっていた自分の傲慢さが。



彼女は後悔と絶望感をまるで体の外へと追い出すように泣いた。






「……………」


171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/28(木) 02:41:10.15 ID:JQuMhWbX0
「……………」


どれくらい時がたったのだろう?

涙が涸れるまで泣き続けた絹旗は、顔を涙の痕だらけにして、うつむいていた。




さっきまで絶望感で一杯だった。


でもそれは、さっき泣いて、すべて出し切った。


そして今は……。





「私、強くなりたい……!」






希望で一杯だった。






「私強くなりたい!…あの人より強くなりたい……!」



彼女の顔は前を向いていた。



長い絶望の後に、希望が湧いた。

172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/04/28(木) 10:24:00.11 ID:cmH9GS8AO
今の七花の所有者って否定姫?所有者なし?
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/28(木) 11:48:15.93 ID:ZsNB/2rIO
>>68

「加賀」から来た、ということは、最終話の直後ぐらいで否定姫も近場だろうな。きっと。
でも深くは考えないっ。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)2011/04/28(木) 19:01:09.49 ID:0fiEcPaAO
粉塵爆発の燃焼より速い七花より速い錆白兵の爆縮地って一体
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/04/28(木) 19:05:41.82 ID:02NHxpvu0
衝撃拡散力に優れた気体の鎧と七花の手加減がなかったら絹旗も吹っ飛んでたんだろうな・・・
読んでて怖かった。

しかし虚刀全刀も幻想殺され中は発動しないのだろうか
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/28(木) 20:16:55.03 ID:j0T+fNTS0
滝壺を見て誤解しないことを祈りたいな

麦野ェ…………
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/28(木) 20:26:58.76 ID:TJXH2vbAO
>>175
虚刀は刀が使えるように全刀は使えなくなるのか
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/04/28(木) 20:58:58.44 ID:ZYub93GY0
作者が地元同じとか胸熱すぎるwwwwwwwwwwwwwwwwww
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/28(木) 21:09:07.39 ID:0fiEcPaAO
>>175
どうかって言えば虚刀全刀は体質的・技術的な能力だろうから意味ないような
見稽古はこの二つが混同した能力だし、そげぶできるとしたら
せいぜい王刀の浄化作用、誠刀、悪刀の回復力、毒刀の毒、一部のまにわにの忍法
ぐらいじゃないのか?
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/28(木) 22:25:20.93 ID:TJXH2vbAO
>>179 虚刀全刀は血刀だから効くんじゃない?

181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/29(金) 00:17:23.13 ID:XX6sw2s7o
>>178 専ブラで見ると名前欄手打ち臭い(大阪府)が細字じゃない
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/04/29(金) 00:52:29.80 ID:mXXzXGGAO
>>180
だとしても幻想殺しの特性上、常に触れ続けてなきゃ効果がない
虚刀流に関してはアレほぼ体術みたいなもんだが、七花の場合は校倉戦みたいな真似ができる程度に
元々の肉体が凄まじく強靭。加えて戦闘経験も豊富だから虚刀流なくても
上条さん程度ならフルボッコにできる実力はある
錆も全刀なくなったとしてもやはり豊富な戦闘経験と七花以上の素早さがある

つーか血刀をそげぶできるなら、例えば上条が神裂やアックア(聖人)に触れたら
聖人の力を失うことになるみたいなことが起きるんだがそんなことはない
それと同じでそげぶできないっていうかそもそも接近戦のプロじゃない上条さんでは
この二人に一撃ぶち込む前に八つ裂きにされてるかときめいてしまう図しか思い浮か(ry
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[saga]:2011/04/29(金) 00:55:29.60 ID:yRUsItDB0


こんばんは、今日も書いていきます。


>>181なんですが、ワタクシ、スレ初心者でよくわかんないんです。

>>181さんが言ってたのとか、書き留めとか……だれか教えてくださると嬉しです。



あと、>>7でも言いましたが、刀語の原作読んでないんです。禁書は読みましたが。

アニメ版での、誠刀 銓の特性がちょっとわからなかったので、それもだれか教えてくれると、助かります。


刀語よくわからなくて、すいません。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/29(金) 01:10:10.92 ID:XX6sw2s7o
>>183 名前欄は何も入れないと自動的にVIPにかわりまして〜となる
Jane Styleとかで検索すると専ブラは分かると思うが2chとか見る専用のブラウザ色々使いやすい
ここは外部板だから別に登録する必要有るけど
書き溜めってのは要するにここに書く前にPCの中に先に書いておいて溜めておく文章のストック
あるほうが好ましいのは確かだがその場で書くのはここでは保守とかの読み手側の手間は基本必要ないので自分のやりやすいようにやればいい
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/04/29(金) 01:13:04.01 ID:etNoapbD0
誠刀は向けた相手に精神修練を強いる刀、くらいの認識でいいと思います。基本的には自分に
対して使うべきもので、危ないからそもそも刀身を付けていない柄と鍔代わりのキンモクセイの
輪っか(あれどう見ても浮いてるよな…w)だけの、「勝利どころか勝負する気もない」刀。

作った記紀自身も否定的な己の在り方に向き合えず、丸投げされちゃった輪廻も困って各地の戦場
を修験場に変えてみたりしたけれど、結局奥州に埋めてみたら上に飛騨城なんかが建っちゃって。
そのせいでみょうちきりんな鷹比等親父が「歴史を」省みてしまい、何か修正とか出来そうな気が
する、くらいのノリで一年近く続く大乱をやらかしたとかそんな感じの元凶的な意味で最も厄介な変態刀です。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/29(金) 02:39:30.95 ID:yRUsItDB0
>>184さん>>185さん、ありがとうございます。

さてVS絹旗編も、もう架橋です。



『私強くなりたい!』


『…あの人より強くなりたい……!』






麦野沈利は、絹旗の病室のドアの横の壁に寄りかかっていた。


彼女は絹旗の涙と決意を聴いていた。



「……」



彼女は寄りかかっていた壁から離れ、難しい表情で歩き出した。



「……君、どこへ行く気だい?」


後ろから、年季の入った渋い声がした。


「どこだっていいでしょ」


「彼女の決意を無駄にする気かい?」


声の主、冥土返しは気の抜けた顔で尋ねる。


「……」



「君がここで動けば、彼女はどう思うかね?」


187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/29(金) 03:20:31.38 ID:yRUsItDB0


麦野は冥土返しの言葉を無視して歩き続けた。


冥土返しは彼女について来る。



彼女はそれが気に食わなさそうに吐き捨てた。


「…うっさいわね。どっか行って!あんたと私らは関係ないでしょ!!」


「いや、関係あるね。私は君を治療した。そして現にあの病室の彼女は私の患者だ。それだけでも十分関係あるね」


「………」


「それでも君が行くというのならば、止めはしない。けど、彼女たちはどうかな?」


「………!?」



ロビーには滝壺とフレンダが座って待っていた。






中途半端ですが、今日は遅いので、ここまでです。

明日からGWです。がんばって書きます。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/04/29(金) 11:27:06.37 ID:etNoapbD0
乙です。調子に乗って十二刀の特性をば。

・絶刀・鉋
「頑丈さ」に主眼。後発の斬刀か柄と刃の境目辺りに梃子の原理で負荷をかける「虚刀流・菊」でなければ破壊出来ない。
頑丈なので乱暴に突撃する「報復絶刀」の運用にも耐えられる。

・斬刀・鈍
「切れ味」に主眼。分子結合に干渉しているらしく学園都市なら普通に出回ってそう。
血糊諸共相手を切り裂ける為、刀が血に塗れると鎬と鞘の摩擦係数が減って居合いの速度が上がる「斬刀狩り」状態になる。

・千刀・鎩(つるぎ)
「多さ」に主眼。千本全て材質・重量・切れ味が同じで、何本持ち替えても使い勝手が換わらない。
辺り一帯に仕掛ける「千刀巡り」によって、戦場に散らばる刀を利用する千刀流の技を存分に発揮する。

・薄刀・針
「軽さ」に主眼。剣筋をずらさず、ずらされずに切らなければ即粉砕の、なんで白兵の下に流れ着くまで無事だったのか解らない変体刀。
巌流島半壊は全刀・錆なら出来る事の様なので、「薄刀開眼」は軽さと薄さに任せて太刀筋を自在に変える技なのかも知れない。

・賊刀・鎧
「防御力」に主眼。衝撃を足元に逃がす機能まで付いた刃と海産物満載の西洋甲冑。
鎧の稼動範囲を広げ、右肩の巻貝を向けて全力で突進する「刀賊鴎」は小説だと他の体当たりと同じ扱いをされていた。

・双刀・鎚
「重さ」に主眼。只の石刀だが、これを担わせる為だけに四季崎が凍空一族に干渉したと推測されるほど重い。
上下双方から持って使える為、持ち手を変えて自在に振り回すのが「双刀之犬」但し重量を軽減すればそれは単なるジャグリングである。

・悪刀・鐚
「活性力」に主眼。突き刺した心臓や地脈に電流を流し、ちょっとやそっと死んだ程度では力尽きない強化をもたらす。
七実はこれを使っている状態を「悪刀七実」と評した。

・微刀・釵
「人間らしさ」に主眼。生前最も愛した女性を模した記紀の工房番と推測されるが、こんなもんのモチーフにされたら百年の愛だって醒める。
四本足の高下駄をローター代わりに飛翔する「微風刀風」はどう考えてもやりすぎ。因みに、ソーラー電池式。

・王刀・鋸
「毒気の無さ」に主眼。所有者に無心の王道を授ける毒抜きの刀。
「王刀楽土」の精神をもたらすが、毒が抜け過ぎて門下生が付いて来れなくなる危険性あり。

・誠刀・銓
「誠実さ」に主眼。己を測り、試す為の禅問答の題材的な刀。彼我木輪廻も結局持て余し、終いには埋めた。
「誠刀防衛」は逃げに徹するこれまた禅問答的な戦法。攻防どちらかを捨てる戦い方はとがめ流に反転され、尾張城特攻の際に活用された。

・毒刀・鍍
「毒の強さ」に主眼。人を斬りたくなる怨念が存分に込められた妖刀らしい変体刀。
下手にサイコメトリーをすると怨念の根源である記紀に体を乗っ取られた「猛毒刀与」に陥ってしまう。

・炎刀・銃
「連射性と速射性と精密性」に主眼。日本刀と同じ要領で作られた頑丈なリボルバーとオートマ拳銃。
「断罪炎刀」は銃口を発火させて斬り付けていたが、これもアニメオリジナル。原作では不活不殺も断罪円も碌に描写されていない。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/04/29(金) 12:22:57.25 ID:6SCJsjkAO
時系列的に変体刀は全部壊れてるから別に出さなくてもいい
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]:2011/04/29(金) 17:09:10.54 ID:Rlo+opM5o
>>189
馬鹿だなぁ、☆が現代版にして再構成してるに決まってるじゃん
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/04/29(金) 17:16:00.94 ID:6Rj1rJ1qo
未来の技術使って作った刀だっけ?
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/04/29(金) 18:21:38.24 ID:1EavFN4k0
変体刀の説明があるって事は話の中で誰かが使うのだろうか
あるとすれば
土御門が悪刀の活性力で魔術の副作用が無くなり
本気出せるようになるみたいな展開もあるのだろうか
193 :188(愛媛県)[sage]:2011/04/29(金) 18:23:17.97 ID:etNoapbD0
>>189
指摘されて初めて気付いたw
それに斬刀と悪刀くらいしか有効活用出来そうな技術が無いwww
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/29(金) 18:34:23.95 ID:IZpXkikDO
未元物質で作ればいいんじゃね?
なんか未元物質で出来てる時点で噛ませ臭ヤバいけど
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage ]:2011/04/29(金) 20:38:34.63 ID:MSgjIPnP0
千刀の「全てにおいて同じ」という性質が妹達に応用されたという電波を受信した
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/29(金) 21:30:04.71 ID:y5aquN7D0

みなさん乙です。

実は>>192は今日、帰郷のバスの中で考えたネタじゃないですか(驚)!

>>100といいこれといい、先が越されまくっています…こんちくしょう(泣)


こうなったら、みなさんが考えてることの斜め上を狙ってみます。


いや、狙ってやる!!



ということで、続きです。

実家に帰り、そこにあった禁書目録、超電磁砲を読んで、キャラの口調とかをちゃんと調べてみました。


15巻を見て気づきました。

絹旗って滝壺のことを『滝壺さん』って呼んでる!

じゃあ麦野は?………って絹旗が滝壺を呼んでるシーンが見当たらないです。

15と19をもう一回見渡します。はい。



ああ、そうそう禁書の時間列はアニメの最終回のあとです。


ってことは、浜面は『アイテム』の構成員ではないです。はい。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/29(金) 22:11:48.26 ID:HjETvrPDO
おまえらネタ潰しは止めてやれよwwwwww
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/29(金) 22:43:57.27 ID:y5aquN7D0


二人は少々緊張した雰囲気を出していた。

滝壺は俯き、表情が見えない。
フレンダは難しい顔をしている。


フレンダは立ち上がり麦野の前まで速足で来た。


「……結局、麦野はどこへ行くの?」


フレンダは麦野に立ちふさがった。


「決まってるでしょ。アイツを捕まえによ」


「…滝壺言っていたよね、絹旗が起きたら四人で決めようって」


「……」


「それに麦野、最近私たちに顔見せてないよね?…何してたの?」


「……アイツの居場所の捜索よ…」


「―――!」

絶句、フレンダの表情はまさにそれだった。

麦野は滝壺との、仲間との約束を破ったのだ。



「むぎの、私の言ったこと、もう忘れたの?」

滝壺の声は震えていた。

「…忘れてなんていないわよ」

「じゃあなんで、そういう風に、きぬはたを裏切るようなまねするの?」


滝壺は悲しそうな声で訴えるように尋ねた。


しかし………




199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 01:40:09.15 ID:ni3BwG240





「……何…勘違いしてんの?」


「…は?」


麦野の発言に滝壺とフレンダはキョトンとしている。



「いやだから、私は別に奴を殺しに行くなんて今は思っちゃいないから」



麦野は鑢七花を探していた。それはフレンダと滝壺には、七花を倒しに行くと見えた。


しかし彼女はそれ以上のことをしなかった。


麦野は滝壺との、仲間との約束を破ってはいなかった。



200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 01:40:39.19 ID:ni3BwG240


「……………………な〜んだ、結局そういうことだったって訳ね」


フレンダは気が抜けて、へたっと床に座り込んでしまった。


「よかった。むぎのがもし考えていたような事してたら、私の努力は無駄になってた」


滝壺は微笑みながら、麦野の後ろから歩み寄る。


「そりゃ、私の大切な子分たちとの約束を破る訳には…いか…な…い…」


麦野は見つめていた。


滝壺の、ぷっくりと腫れた両頬に張られた痛々しい湿布と、鼻骨骨折のため、鼻に付けられたギプスで覆われた、滝壺の顔を。



「…………………………滝壺」


「なに?」


「その顔……どうしたの……?」


「……………………」




…………。

あたりの空気が冷たくなったような気がした。



フレンダは頭を抱え、当の本人である滝壺は無表情だった。


麦野だけが、頭の上に?マークを浮かべている。





滝壺は久しぶりに本気で怒っていいと思った。





「………むぎの、ちょっといい?」


後の話になるが、フレンダ曰く、この時の滝壺の眼は何よりも恐ろしかったらしい。




201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 01:55:42.68 ID:ni3BwG240

――――――――――――――――――――――――――

さっきので200!

100の雪辱は晴らせてよかった!

――――――――――――――――――――――――――



「………で、あれから私は、アイツの居場所を探してたの」



あれから一時間たった。


その一時間は滝壺による麦野への………ここからは恐ろしくて言えない。


とにかく一時間たった。


今は、麦野は絹旗が目覚めるまでの間なにをしていたかを、二人に説明している。


「あんな目立つ恰好の奴だから、目撃情報が多いからすぐに見つかるかな〜っと思ったんだけど…」


なんだか歯切れが悪い。


「実際に情報は結構来たんだけれども、情報がバラバラで肝心の居場所が割れなくてね…。結局わからなかった」


202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 02:12:24.76 ID:ni3BwG240

「だけど、やすりしちかの場所に行くってことは、わかったんでしょ?場所」


「ええ。とっても簡単で、しかも効率的な方法がね」


「へ〜、結局それはなんだった訳なの?」


「ふふっ、それはね………」





時間は、三日前にもどる。


麦野は病室を速足で出ると、さっそく携帯電話を取り出し……


取り出したところで、冥土返しと肩がぶつかった。


「…ってぇ、気ぃつけろ!……ってあんたか」


「ぶつかっておいてなんだい?その口のきき方は。それとあんたってなんだい?」


「…ったく、こっちは急いでんのに…じゃあな!」


「ちょっと待った」


後ろから腕を捉まれる。


「…なにっ!?」


「ここ、携帯電話は使用禁止だよ」


「……!」


「使うなら外でやりなさい」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 02:23:32.16 ID:ni3BwG240


「……わかったわよ!外に行きゃあいいんだろ、行きゃあ!」


「わかればいいんだ」


「…あ、そうだ、ついでに外のコンビニ行って来ようか…。んじゃあな、オッサン!」


「麦野くん。ちょっと待った」



また腕を捉まれた。


「……っ…今度は何!?」


「君、一応私は君を治療した人間だ。オッサンとは聞き捨てにできないね。目上の人にはちゃんと礼儀をわきまえるべきだ」


「…わかったわよ。…ご教授ありがとうございました、先生!」


「それともう一つ」


「まだ何かあんのかよ!」


「うん、君がどこで何をしようと構いはしないんだけれどもね、…………その恰好は恥ずかしいと思うよ」


「あぁ!?…………あ…」


麦野の恰好は、可愛らしいパジャマだった。



今日は以上です。明日も書きます。


麦のんのパジャマ姿…ハァハァ
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/04/30(土) 02:37:21.74 ID:ATsSncev0
激しく俺得だ。支援
205 :192[sage]:2011/04/30(土) 10:41:22.69 ID:jtoAJW+C0

それと、ネタかぶって申し訳ない
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 11:51:19.71 ID:ni3BwG240

そうだ、ストーリーには関係ないのですが、皆にアンケートです。

麦のんが今着ている、可愛らしいパジャマってのはどんなのがいい?

207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/30(土) 12:41:54.16 ID:wJhO4D2IO
ゲコ太の着ぐるみ?みたいなので!
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/30(土) 16:12:09.35 ID:EnPNmFdj0
鮭柄かシャケの着ぐるみで
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 17:09:09.72 ID:ni3BwG240


ちなみに私が想像したのは、フリルのお嬢様的なパジャマです。


4コマで、フレンダが麦野は寝るときお気に入りのボロボロのウサギ人形を抱いてないと眠れないと言っていたので、それを参考に考えました。


怖くて強いのに、実は可愛いもの好きという麦のんのギャップがいいです。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 22:34:02.36 ID:ni3BwG240


結局、麦野はいったん自分の部屋に戻り、いつもの明るい色の半袖のコートに腕を通し、長く、太すぎず細すぎない、奇麗な脚でベッドを踏ん付けて、黒いストッキングを穿く。


「ったく。あのオッサンは……」


さっきのやり取りをぶつくさぶつくさと言っていた。


「あのオッサンは、一々うるせーんだよまったく…」


あまりそう、オッサン、オッサン言っていると……。


「あのオッサン、どっかで聞いていたりして…」


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「なんて言って来たり…し…て…」


今、なんて聞こえた?……まさか。


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「―――――――!!」


聞こえた、確かに聞こえた、冥土返しの声が。



『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


キョロキョロとあたりを見渡す。…しかし誰もいない。とてつもなく不気味だ。


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「で、出て来いオッサン!バカにしてんのか!」
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 22:45:25.15 ID:ni3BwG240

『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


「……っくそ、馬鹿にしやがって…」


そこで、麦野は気付いた。


(声が近くで聞こえる…)


息を飲む。不気味すぎだ。


そして、音が聞こえる所は……。







麦野のポーチだった。







「………………は?」


一拍、間を開けて、麦野はそのポーチを開けた。


そこには…………。


212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 22:56:17.35 ID:ni3BwG240


ヴヴヴヴ…とバイブする携帯電話があった。そしてそこから、


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』



と声がした。いや音か。



「着信かよ!!」



思わずツッコむ麦野。

そのリアクションと、今までの行動と思考に自分でも恥ずかしくなる麦野。



(あのオッサン嵌めやがったなぁあああああああああああああああああ!!!)


心の中の雄叫びは人には聞こえない。その分、自分の中のイライラは倍に積もる。


『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


まだ着信は鳴っていた。


「ああもう、鬱陶しい!」


麦野は冥土返しのドッキリでの恨みは、今後、近い内に返すと誓い。折りたたみ式の携帯を乱暴に開き、電話に出た。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/04/30(土) 23:24:15.50 ID:ni3BwG240


「はい、もしもしこちら麦野!!」


『こらぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』



「!!!」



思わず電話を耳元から目一杯に離す。耳がキーンと鳴って痛い。


電話の主は、いつも依頼を言い渡す『電話の声』の女であった。


電話から、未だにギャーギャーワーワー騒いでいる声がする。



麦野は電話を離したまま待つ。

しばらくすると、静かになった。


「はい、もしも〜し。もういいですか?」


『こいつらときたら!真面目に聞いてるの!?』


「長い」


『こいつらときたら!………今まで何をしてたのよ!!』


「病院にいたの」


『いや、そうじゃなくて!』


『電話の声』はどうやら相当興奮しているようだ。


『こいつらときたら!なに?たった数日で、あんたと絹旗の主力二人がやられるなんて!何やってんのよ!まさかワザと負けてないでしょうね。つーか本気でやって負けたなんて言わせないわよ!』


「………」


ここから説教がずーーーーと続いた。


214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 00:26:38.87 ID:6hLBz6tN0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここは飛ばして頂いても結構です。延々お説教タイムです。

注:お説教をされているのは本編の主人公、話術サイドのトップ 上条当麻聖人ではございません。
しかし、ただ今お説教をされているのは、暗部組織『アイテム』の『電話の声』の人です。
ありがたや〜ありがたや〜と拝むのは人の勝手ですが、ウチのおかあちゃんの説教と大差ありません。
そこのところをなにとぞご理解をいただけますよう、よろしくお願いします。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




『ったく、こいつらときたら!いい?これはね、あんたら『アイテム』のだけの責任じゃあないのよ!! わ・た・し・も!!責任を負うことになるの!まったくこいつらときたら!こんなショッパイ、ショッパイへましくさりやがって!!あんたらわね、どうしてそんな自分勝手なの!?まぁこの学園都市の人間は一癖ある人間ばかり。んで、この街の闇の人間は一癖ある所に二癖、三癖ある個性豊かな人たちばっかりよ。………そしてあんたら『アイテム』はその中でも選りすぐりの曲者ばっかりじゃない!!こいつらときたら!リーダーはSM好きのシャケマニアだし、遊撃主はなんだか訳のわからん駄作映画ばっか見てるチビ助だし、チームの要はいっっっつもボーーーーーーっとしている電波少女だし、ってか今時電波少女が流行るとでも思ってんのかこのバカスカポンタン!!!しかもしかもなんかいっつもっいっつもっ意味のわかんねえ、ぬいぐるみに爆弾詰め込んだ鯖缶オタクの自称美脚線小娘とかなに!?あいつなんて福井の鯖江市とかに追放してやろうか、こんちくちょう!!鯖寿司まみれになってしまえってんだ!こいつらときたら!つーか、あんたねぇあんとき油断して負けたとかほざいていたらしいけど、ふざけてんじゃねぇえよバカスケが!!だぁーーーから第三位の超電磁砲とか常盤台のエースとか何が何だかわからん中坊の小娘に負けんのよ!あんときメッチャ勝利宣言しながら超電磁砲追い込んでたじゃん!?あんとき勝ったなとか思っていたよ!でも調子こいて自分のチームメイトの罠で橋から真っ逆さまに落ちて、結局作戦は失敗するし、ってかアンタがブッ放しまくった原子崩しのおかげで施設は風穴だらけのボロボロ蜂の巣状態じゃない!!防衛戦っつたじゃん!思いっきし破壊活動してんじゃん!!だからあんな中坊に負けんのよ!このスカポンタン!こいつらときたら!こいつらときたら!なにが『パリイ!パリイ!パリイ!てかァ?』だ!お前前回の失敗学習せぇよ!こいつらときたら!あんときも油断したから負けたんじゃない!!!ホント学習能力ねぇなホントにこいつらときたら!!だぁーーーーーーーーー!!もう腹立ってきた!!いい?『スクール』の坊ちゃん共はね、あんたらよりもいい仕事してんのよ!!それをあんたら見直せ!!こいつらときたら!!あと麦野!!あんたのその無駄な勝利宣言的なこだわりがある所!あんたの致命的な敗因なるから、絶対に!!』




はーはーはーと息が切れる呼吸がする音がする。

麦野はこのガーと流したような説教をすべて聞き流した。

215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 00:54:46.68 ID:6hLBz6tN0


「で、言いたいことはそれだけ?」


『………如何にも聞いていませんでしたって台詞ね』


「実際そうよ」


『…っホントにこいつらときたら……はぁ』


彼女は大きな溜め息をした後


『で、この後どうする気?奴を始末するなら止めないってか、支援する』


「いや、始末は後回しにしてって滝壺に頼まれてね。とりあえず奴の居場所ぐらいは調べるくらいはしないと」


『わかったわ、じゃあこちらは情報を送る。探すのはあなた達でやって頂戴。これは正式な仕事じゃないから』


「わかってるわよ。自分の尻くらいは自分で拭けるわよ」


『そう、じゃあ頼んだわよ』


「じゃあいい情報よろしく」


『任せなさい。…あと『アイテム』の仕事はしばらくお休みさせておくわね。そうね30日くらいね。じゃあ健闘を祈るわ』


「了解」


ピッ


「それじゃ、行きますか」



麦野沈利は携帯電話をパチンッと閉じ、ポーチに入れた。

ポーチを肩に掛けて、病室を出た。

ポーチはズシリと重い。中にはさっきの携帯電話と拡散支援半導体を三十枚、それととっておきの秘密兵器が入っていた。
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 01:21:28.40 ID:6hLBz6tN0
>>196で禁書の時系列はアニメの最終話とか言いましたが。それじゃあ今後予定していたストーリーには間に合わずに15巻に突入してしまうので、やっぱし7巻、九月八日ごろの話にします。


超電磁砲の05巻を見て気づきました。

表紙は美琴・布束・『アイテム』・一方通行です。



『アイテム』を見てみると……麦のん・フレ/ンダ・絹旗……あれ?滝壺いない!?


あの滝壺が、禁書四大ヒロイン(インデックス・打ち止め・美琴・滝壺)の一角の滝壺が表紙にいない!?

おかしい、いない…………と思ったら、ロゴの陰に隠れていやがった!!

さすがは彼氏である浜面の傍にいても一向に気付かれない、幽霊少女……恐るべし。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 02:09:27.43 ID:6hLBz6tN0


その頃、とある路地裏………。



「それにしても、ここも派手にやってくれたじゃん」

警備員の一人、黄泉川愛穂は路地裏…絹旗最愛と鑢七花が戦った場所に立っていた。


そこはとあるビルの壁で、爆発の痕なのか黒々く焦げていた。


そこから40m先の別のビルの壁には小さな窪み、まるで何かが当たって砕けたような窪みがあった。


そこだけじゃない。あちこちに窪みや穴や破壊されたゴミ箱など…いろいろと平和的とはかけ離れた現状があった。


明らかに戦闘の跡だ。





「しかし、なんでこの惨状がアイツ…鑢七花が原因だってわかるんですか?……美濃谷先生」


黄泉川に質問された、50代後半の男、美濃谷肖像は、うむ…と頷きそれに答えた。


「あの護送車の事件で、運転手はこう言った。『衝撃は二回起こった』と」


「はい。衝撃の一回目があった時、いったんブレーキを踏んだ。そのあとポストが飛んで来て、車が吹っ飛んだと…」


「それだ、一回目の衝撃だ」


「それがどうしたと…」


「まず、あの小僧は後ろの荷台にいた。次に奴は飛んで来るポストを見て、どう回避するか考えた……。黄泉川、お前ならどうする?」


「えっ、えっと……。車から出て逃げる?」


「そうだ。奴もそうした」


「いや、無理じゃん。…じゃなかった、無理でしょう。なんせ、あの護送車は内の外も衝撃に強い素材を使っています。そう簡単には…」


「いや、できる。現にあそこに死体はなかったし、ここにいた形跡もある」


「形跡ってどこに……」

「時に黄泉川」

「…はい」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 02:48:53.46 ID:6hLBz6tN0

「あそこの窪み…変だと思わないか?」


「はぁ?」


その窪みは絹旗が七花の『鏡花水月』を喰らって吹っ飛ばされた時についたものだ。


「あの窪みよーく見ると人型だ」


「え?……あ、ホントじゃん。人型に見えます」


「うむ、あの高さと窪みの角度からすると、きっと小僧と戦っていた奴はそうだな」

美濃谷は数歩ほど歩き、あるところで止まった。

「ちょうどここらへんからか、相手を吹っ飛ばしたのだろう…。ほれ、ここに足跡のような窪みがある」

それは七花が技を繰り出した時の足跡である。

「見ての通り、下はコンクリ、向こうの壁もコンクリ、他の全ての窪みがあったところもすべてコンクリ……。コンクリを簡単に凹ませるほどの力を持つ人間が、護送車の壁なんぞ余裕で風穴開けられるわ」


「なるほど…」


「それともう一つ、仮に護送車の壁を破った時ちょうど、ここの路地裏通じる道だった」


「まとめると、鑢七花は護送車に乗っている時、遠くからポストが飛んでくるのを見て、護送車の壁を破って路地裏へ逃げた。路地裏には敵がいて、その何者かと戦闘になったと…」


「きっとその何者とやらとポストを放り投げた犯人は同一人物だろう。そしてどっちが勝ったかは知らぬが、二人とも生きておる」


「…なぜそう思われるのですか?」


「ところどころに窪みがある。……子供の拳ほどの大きさのだ。きっとカメラに映っていたチビのだ。そして小僧とチビのどっちか、もしくは二人ともの死体が無い。回収したという線があるが、血痕が無い。………いまじゃあ血痕を消せる方法があるが、そのような時間はなかった。わしらが駆け付けたからな」




「なるほど。しかし先生はどうして、そのように簡単に推理ができるのですか?」


「推理に一番必要なのは想像力だよ。何者にも囚われずに想像し、相手が何をしたか、何がしたかったのが、そして何がしたいかを明確に想像することが大切なんだよ」




219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 02:56:39.84 ID:6hLBz6tN0


「黄泉川先生ぇ〜〜!!美濃谷先生ぇ〜〜!」


40m先から登条が走ってくる。

その姿を黄泉川が

「現場で走るなと言ったじゃん!」

と、一喝。


「すいません。実は二人にこれを。……あそこで拾いました」


登条は拾ってきたものを美濃谷に手渡す。


「…うむ、登条。でかした」


「ありがとうございます!」


「美濃谷先生、それはいったい…?」


「ああこれか、これは…」



それはビニール袋に入った。長い髪の毛だった。



「これであの小僧が何者かがわかるぞ」











今夜は以上です。ありがとうございました。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 02:59:10.61 ID:6hLBz6tN0

そうそう、あとどれくらいの人がこのスレ読んでるんですか?


良かったら、読んだら番号、1,2,3って言ってもらっていいですか?
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 03:04:46.16 ID:1IqRNFwQo
1 ですが
あ、リアルタイムだった
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/01(日) 07:09:39.26 ID:NUqh4mGco
romってるの結構いるんでないかい
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]:2011/05/01(日) 08:07:18.46 ID:bSDo+ZpAO
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/01(日) 08:10:53.25 ID:jP9/alYAO
4
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 08:11:52.50 ID:324o2MADO
ここはrom専割といるから当てにならんぞ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)2011/05/01(日) 09:11:33.89 ID:1vkI+JDAO
アンケ取るより書くほうに集中して欲しいな
刀語スレはそうそうないんだから
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 11:54:54.24 ID:G8GbKuqIO
そうだ7
書くのに集中してくれ
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 12:01:07.60 ID:6hLBz6tN0

>>222、なるほど、じゃあ結構の人が見てるかもしれないんですね。ちょっと緊張します。

>>226、了解しました。

では今日の続きです。


――――――――――――――――――――



それから一日たった。

虚刀流七代目当主 鑢七花は第七学区のとあるビルの屋上にいた。

顔と特徴が知られたらしく、あの戦いの後も警備員とか風紀委員とか名乗る者たちに捕まりそうになるが、必死に逃げてきた。時には自らの手でのして逃げた。

それが休憩なしでずっと続き、今に至る。


今は一日中走り回って、いい加減、疲れて来たので人気の無い、高層ビルの屋上で休憩中だ。

ごろんと寝っころがり、流れる雲を見ていた。


今日は快晴だ。




「しかし、なんなんだこの街は」


今まで出会った者たちは皆、異常な者ばかりだった。


ある者は風紀委員と名乗り、手から火を出して来たり、空を飛んだり。

ある者は警備員と名乗り、炎刀 銃のような鉄砲とは違って、大きくて、なんだかゴツイ感じの鉄砲で七花を撃ってきた。

229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 12:17:00.93 ID:6hLBz6tN0

「まぁ、鬼ごっこ感覚で面白いんだがな」


こう言っている七花も実は罪の意識はある。

物を壊したし、人を傷つけた。

でも人は一人も殺していない。……たぶん。



「ああ、しかしいい天気だなぁ。このまま寝ていたいな」

そして目が覚めると、今までが夢だったらいいな…なんて、都合のいいことを考えていると……。




「見つけましたわよ」




見つかってしまった。



「風紀委員ですの!」



今度は風紀委員らしい。


因みに絹旗と滝壺と別れた後、七花を襲ってきた人の人数は覚えてないが、何回襲われたかは覚えている。


風紀委員が7回、警備員が20回ほど。


見つかり過ぎだと言われるかもしれないが、しょうがない。

なんせ、200mの巨体に体中が傷跡だらけ、しかも着物を着ているといった、現代では考えられないファッションだ。

目立ってしょうがない。いやむしろ、目立たなくてはおかしい。


それでも七花は気にしない。そもそも奇異の目で見られるのは慣れている。そして最も大きいのが、着ている物は恋人の形見だ。捨てられる筈がない。


230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 12:47:07.43 ID:6hLBz6tN0

「不法侵入の疑いと護送車破壊、それと業務執行妨害で逮捕します。おとなしく捕まってくださいな」


「おいおい、不法侵入とやらは気付いたらここにいて、車の方は俺じゃないし、最後の業務なんとかはお前らが攻撃してきたからだぞ」


「そんなの私は知りませんわ」


「なんだそりゃ、てか、他の奴らもそんなこと言ってたな。お前らどんだけ身勝手なんだ。俺もう疲れて来たぞ」


「だったら、さっさと捕まればいいですのに」


「…………お前のその、人を軽く下で見るような口ぶりが、なんだかイラッっとするな」


「そりゃそうですわ。なんせ、わたくしより弱い人間になぜ、下手に出るような態度をとらなくてはならないのですか?」


「………イラッ……はぁ、つーか、その台詞は負ける奴が言う台詞じゃないか?」


「死亡フラグを踏んだ覚えはありませんわ。お姉さまと約束の用事があるので、さっさと済ませておきたいので、早く捕まってくださいまし」


「おい、その死亡フラグとやらが増えたぞ」


「さあ、大人しくその手首にこの手錠をかけさせてくださいまし」


「無視かよ。……まぁ、そこまで言うんだったら、強いのか、お前?」


「ふふ、見かけに惑わされないでくださいまし」


「そうかい、ただしその頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな 」

231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/01(日) 18:34:49.48 ID:1vkI+JDAO
>なんせ、200mの巨体に体中が傷跡だらけ、しかも着物を着ているといった、現代では考えられないファッションだ。
七花でかすぎクソワロタ
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/01(日) 18:39:23.29 ID:Y3lbc5Xwo
ガンバスター並だな
学園都市オワタ\(^o^)/
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/01(日) 19:58:01.41 ID:XOvb+4v70
いや、これは身長の低い黒子からすれば
その位大きく見えたって事を>>1が表現したかったのかも
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 20:40:54.37 ID:6hLBz6tN0

すいません、200mは素で間違えました。

マジすんません。





まぁ、楽しんでくれたから、いいか……。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 20:51:05.86 ID:g8ZuFua00
問題ないぜ11
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/01(日) 20:57:33.34 ID:3vDM7kb40
デビルリバースの倍くらいか…
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 21:10:19.02 ID:6hLBz6tN0

みんな…ありがとう…(涙)


それじゃあ、VS黒子編行きます!!




238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 21:11:39.93 ID:g8ZuFua00
無刀 対 転移  か
239 :DEF2011/05/01(日) 21:32:31.50 ID:wgxnIoKx0
元ネタわからんがおもろい
誰か元ネタ教えて
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 21:52:51.01 ID:324o2MADO
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/01(日) 22:01:12.89 ID:3vDM7kb40
ggrks
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 22:45:08.35 ID:6hLBz6tN0

その頃、風紀委員第一七七支部……。


「白井さん大丈夫ですかね」


風紀委員の少女、初春飾利はソファに座り、砂糖をたっぷり入れたコーヒーを飲んでいた。


「大丈夫よ、なにせあの子は大能力者よ。そう簡単にやられてるはずないでしょ」


初春の前の席に座り、ブラックコーヒーを机の上に置きながら問に答えるのは彼女の先輩の固法美偉である。

机に冷蔵庫から持ってきたムサシノ牛乳を置いた。


「だいたい、彼女が任務で失敗することなんて、見たことないでしょ?」


固法はムサシノ牛乳を右手に持ち、牛乳をブラックコーヒーの中に入れる。


そしてカフェオレになったブラックコーヒーをゆっくりと啜る。

「はぁ〜、うま…」


「おいしいんですか?それ」

初春は固法の飲み方が気に入らないらしく、嫌な顔をする。

「も〜そんな顔しないの。おいしいのよ、これ」

「本当ですか〜?」

どうやら信じてないよだ。



「で、目標はどんなのだっけ?」


「あ、はい。名前は鑢七花…変な名前ですね…。特徴は身長は2mを越え、体中が傷痕だらけ、あと着物のようなものを着ているようです。……恰好からして、かなりの変人さんですね」



「へ〜、いるんだ。いまだに着物来てる人。めっずらしい」


「へ?」

固法の声じゃない。この明るい声は…。


「佐天さん!!」


「やっほー」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/01(日) 23:21:44.75 ID:6hLBz6tN0

「も〜、ここは関係者以外立ち入り禁止だっけ言ってるのに、何遍言ったらわかるんですか!?」


「え〜いいじゃん。別に〜。…で、その人ってどんな人なの?」


「……ええ、この人は不法侵入の疑いでで捕まえて、護送車で拘置所へ連行するつもりだったんですが、護送車を破壊して逃げて行ったんですって。その後、逃げた路地裏で何者かと争った後、行方不明です」


「へ〜、で、その人を捕まえに白井さんが出かけているって訳だ」


「そう」

答えたのは固法

「さっきまで、白井さんは大丈夫かどうか話していたの」


「へ〜どうして?」


「だってほら、この雑誌!」

初春はいつも読んでいる雑誌の占いコーナーがあるページを見せた。

「ここの、白井さんの星座の所!」


「ん〜、どれどれ〜?」


『今日のあなたは最悪のバッドデイ。色々なフラグが立つから気を付けよう!特に口から出た言葉はフラグが立ちやすいから気を付けて!あと、あなたの友人もフラグが立つ言動は厳禁!………じゃあ気を付けてね!!』



「ふ〜ん、なるほど」


「でも、白井さんなら大丈夫ですよね!」

「ええ、あの子ならもうすぐ帰ってきてもおかしくはないわ」


「ですよね〜」

「ええ」



「……………あの〜」


「? なんですか?佐天さん。…あ、佐天さんもコーヒーですか?今入れてきます!」

初春は立ち上がるが、

「いや、そうじゃなくて!」

「?じゃあなに?」

固法は頭に?マークを浮かべる。






「二人とも、思いっきりフラグ立ててません?………しかも死亡フラグ」







「「……………あ…」」


244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/01(日) 23:59:52.98 ID:fEW+QICoo
乙かな
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/02(月) 00:16:56.84 ID:gE1b+Md2o
とがめは恋人って記述するのはなんか違う気がする
原作でもアニメでもあえて明言しないようにしてた感じがあるし
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 00:41:32.11 ID:S5zcGidn0
>>245さん、ありがとうございます。参考にさせていただきます。


あと、黒子の立てた、立てられたフラグは、
@颯爽と敵の前に登場
A敵を撃から目線で見ていて、しかも舐めている
B美琴との約束があると言った
C自分が勝つという前提で挑んだ
D初春と固法に勝つだろうから大丈夫と言われた
E今日の占いは最悪

です。

――――――――――


一方、初春と固法にフラグを立てまくられて、しかも自分からもフラグを立ててしまった白井黒子は……。




メッタメタにされていた。



「ハァ…ハァ…ハァ…」


息が荒い。体中、擦り傷だらけである。黒子は四つん這いになっている。いかにもキツそうな表情だ。



「お前、かっこつけていた割には弱いな」


「…くっ」



一方、七花は息も切れておらず、擦り傷どころか、かすり傷も無い。


黒子はムキになったような顔で立ち上がり、空間移動で七花の後ろに回り、後頭部へドロップキックを喰らわす。




247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 01:18:21.37 ID:S5zcGidn0

しかし、七花は前を向いたまま、裏拳で黒子の脇腹に叩く。


黒子は5mほど吹っ飛び、テーン、テーンとボールみたいに転がった。


ゴロゴロと転がって止まった。両手足を投げ出して倒れている。



「………っ〜〜〜〜!」


急に激痛が来たのか、脇腹を抑えている。


「うん、なるほど、この街のことがよくわかってきたぞ。あれだ、この街の子供は皆、何か不思議な力を持っている。例えば、手から火を出したり、空を飛んだり、変な光線出したり、力持ちだったりだ。お前はどうやら、自分と自分が触っている物を一瞬で移動できるようだな」


「……だったら……どうしたっていうのですか?」



「お前の攻撃はいつも単調なんだよ。後ろに回るか、釘を撃つか、俺を移動させるか。それらのどれかしかないんだ」


「………」


「まぁ、手順としては、後ろに回って攻撃か、俺に触って倒れさせて、釘で拘束する。こんな感じだろう」


「…手順を知っていても…わたくしの空間移動は見抜けませんの……」


「へぇ、これって『てれぽーと』って言うんだ。………まぁ、お前がどれだけ速かろうと、一瞬で移動できようとも、致命的な欠点があるんだよ」


「欠点?」


「お前、いつも俺の死角しか移動してないだろ」


「………!」


「お前が消えたら、まず死角に来るとわかっていれば、そこで待ち構えればいい話だ」


「……でも!」


「納得できないか?…………………お前ぐらいに速い奴に会って、戦ったことがあるんだよ」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/02(月) 01:59:47.28 ID:s5FlYPpAO
虚刀流VS陸奥圓明流
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 02:03:06.47 ID:S5zcGidn0

「錆白兵っていてな、そいつの『爆縮地』って技があるんだけどよ。………簡単に言うと、お前みたいに瞬間で移動する技だ。そいつは本当にすごい強くて、俺はそいつの爆縮地を見切ることができなくて、すげぇ苦戦した」


「じゃあ、あなたはどうして……?」


「あいつは俺に、時には真正面から、時には後ろから、横から、死角からとか、いつどこに攻撃を仕掛けてくるかわからなかったから。だから苦戦した」


七花は黒子に歩み寄る。


「それに比べてお前は、全部死角からだ。捕まえるのが簡単で助かるよ」


悔しい。と、黒子は表情でそう言っている。


250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 02:06:51.79 ID:S5zcGidn0
「それと、お前の目的はあくまで俺の『拘束』だ。お前は生かしたまま倒そうとしている」


「でも、あなたはその、錆さんでしたっけ?その人に苦戦したのでしょう?」


「ああ、確かに苦戦した。でもな。…………………………あいつを俺は殺してるんだよ」



七花は黒子を見下ろし、そして。








「そして、俺はお前も殺そうとしているんだよ」









右の貫手を黒子に向ける。


黒子はぞっと冷たい何かが背中を舐める。


それは“殺意”。


そう、まぎれもなく殺意だ。


七花の表情が逆光で見えない……。それがなおさら恐ろしい。


「ちょっ……と……。待ってくださいま……」











七花は右の貫手を勢い良く、突き刺す。



黒子の頭へと、まっすぐに……。
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 02:13:28.29 ID:S5zcGidn0

今日は以上です。ありがとうございました。


>>248 このスレでは、陸奥さんは出てきません。
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/05/02(月) 03:23:31.50 ID:XwWIhLrxo
黒子\(^o^)/オワタ
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/02(月) 03:32:19.10 ID:s5FlYPpAO
やっと虚刀鑢になってくれたか
今まで誰も殺さないなんて虚刀鑢らしくなかったが完了して安心した
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/02(月) 03:39:40.40 ID:gE1b+Md2o
>>253 完了してても皿場に手加減してたりしてたし別におかしくはないだろ
まあアイテム勢は殺されてた方が自然な気はするが話し終わっちゃうしな
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/02(月) 06:43:16.61 ID:9wm7aCkW0
>>254

ああ、>>151の「エグイ倒し方」ってそういう意味か
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/02(月) 10:47:08.42 ID:dpFAb4uoo
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/02(月) 10:49:27.53 ID:HgrjLMCAO
>>254
皿場は誠刀の効果じゃなかったっけ?
258 :20001[sage]:2011/05/02(月) 20:44:17.57 ID:Ed5iio2AO
七花は誰も殺さないと思う、あのときは自分も死ににきてたしとがめさんの敵討ちも兼ねてたからね〜
それにこの時間軸なら護るもの(否定姫)もいるし…大丈夫って信じててるよ1ってミサかはミサカは期待してみる
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/02(月) 21:34:10.03 ID:gE1b+Md2o
>>257 原作ではそんな描写はない
刃物を向けられていないから手加減する余裕があったってある
ただし奥義入れてるし確実に生かそうとは考えてないっぽい
そもそも誠刀防衛は逃げ回るので戦闘しないじゃないか?
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 22:46:41.47 ID:S5zcGidn0
みなさんこんばんは。

さあ、今日も続きを書いていきます。

所々、日本語が変な時がありますので、ご了承ください。


>>255さん、「エグイ倒し方」はもっとエグイです。


どんなのかと言うと、


まず、>>131まで同じです。

七花が絹旗の右手を受け止めて、近くにあった壁に右手を突っ込ませて、抜けないようにして、動きを止めます。




七花は右手が刺さったままの絹旗に、『石榴』から『菖蒲』までの打撃技混成接続を連続で繰り出します。


衝撃で右手は壁から外れたが、絹旗はボロボロ。


そこへ止めに『柳緑花紅』で止め。


絹旗はゲロと血反吐を撒き散らしながら倒れ、KO



そして、滝壺は空気で終わる。

終わり




と言った感じです。

エグイっていうか、えげつないです。

261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 23:08:31.93 ID:S5zcGidn0


まっすぐに…突き刺さっていなかった。



七花の右腕はアスファルトに刺さっている。


だが、その右手は黒子の耳元をかすっただけで、彼女は無事だ。


黒子は口から泡を吹いていて、股に水溜りを作って倒れていた。



「まぁ、ハッタリなんだが……ここまで効くとは」



七花は世界が違うといっても、日本一の剣豪だ。

一介の中学生には敵う筈がない。




七花は学園都市で出会って、戦ってきた全ての人たちを、まだ殺していない。



彼がとがめに連れれられて、本土に上陸した夜。山賊に襲われたが、返り討ちにした。

その山賊を殺そうとしたが、とがめに大事になると言われ、止められた。



七花にとって、絹旗も黒子も、その他の風紀委員も警備員の襲ってきた者全ては、その時の山賊と同じである。

命をとる理由がないし、価値もない。それに面倒だ。


だから、七花は黒子も殺しはしなかった。
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 23:18:30.00 ID:S5zcGidn0


「さて、ここもばれたからな…逃げるか」



七花は、このビルを登る時に使った非常用階段を使って、ここから逃げようとしたが。


ファン ファン ファン ファン……



警備員の車両がこのビルを囲んでいた。



「あらら…」



七花は遅かったか…と溜息を一つして、向きを変えた。



「面倒だが、しょうがないな……」



落下防止用のフェンスを乗り越え、隣のビルに飛び乗ろうとする。


距離は15m前後。


飛び越えられるか………?。







無論、その気になれば、一瞬で40mを移動できる人間が15mのジャンプなど、できないはずがない。




七花はぴょんぴょんとビルとビルとの上を飛び移りながら、移動し、逃げていく………
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/02(月) 23:21:40.05 ID:S5zcGidn0

>>253 鑢七花は前半は、虚刀 鑢 にはなりません。


前半は。



虚刀 鑢にならなくちゃ倒せない相手がいるでしょうwww


264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/03(火) 01:49:47.16 ID:kD2v/JcDO
アニメには無かったが、七花って音速に反応、対応できるんだよな。
んな人間いるかよとツッコんだ記憶が懐かしい。

あとアニメでなんで「あんたにはちっとも、ときめかねぇ」を無くしたんだろうな
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/03(火) 02:28:16.30 ID:WIx5fXsk0


鑢七花が立ち去った数分後、ビルには多くの警備員がビルを囲んでいた。


みな、学園都市製の機関銃と盾を手にしていた。

誰も七花が立ち去った事に気づいていない。


無駄な緊張感があたりを包む。


騒ぎを聞きつけ、面白半分で駆けつけた野次馬は『このビルに不法侵入者が立てこもってるんだって』とか『凶悪犯と風紀委員が戦っているんだって』とかいい加減な噂話をしている。


ドンっ!とドアを蹴り開ける音がした。

そして、何人かが突入する。




…………数分後


突入隊が、その凶悪犯がいないことがわかり、屋上で伸びている黒子を見つけると、すぐに救急車を呼んだ。





救急車はすぐに駆けつけ、ストレッチャーで黒子を救急車に乗せて去って行った。


266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/03(火) 02:46:56.71 ID:WIx5fXsk0


その騒ぎの全てを野次馬として見ていた少女がいた。


その少女は常盤台中学の制服を身に着け、髪のこめかみの所に髪留めをしている。




1,2分前、ぐったりとしていて、救急車に運ばれる白井黒子を見ていた。



その少女は、ポケットからカエルの形をした携帯電話を取り出し、ある番号へ掛ける。


きっちり3コールで相手は出た。


「…あ、初春さん?私。………その現場にいるんだけど。……うん…。その詳しい状況を教えて?………いいから。…お願い。………。ありがとう。…………うん……うん……うん。わかった。ありがとう」


ピッと電話を切る。


そして、ポケットに入れて、その場を立ち去った。







学園都市最強の七人の超能力者 御坂美琴は鑢七花が逃げた方向へと、歩いて行った。


彼女の額には鋭い紫電がビリビリと光っていた。










今日はここまでです。



次回、七花がちょっと本気を出します。

267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/03(火) 08:40:06.71 ID:iAo7cNKDO
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/05/03(火) 11:59:23.33 ID:Dvt/HVLW0
虚刀 対 雷電に期待乙。
にしてもまにわに十二頭領以下扱いの風紀委員ェ・・・
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/03(火) 12:05:56.55 ID:6PNBkDGko
槌全く使えてなかったボウフラよりマシ
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/03(火) 13:56:37.78 ID:g5GtDSLAO
覚悟を決めたら雷撃も耐えれるのか気になる
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/03(火) 14:26:03.68 ID:sT7eWsRAO
七花なら木原神拳をふっつーに再現できそうだな
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/03(火) 19:45:04.16 ID:GlnDi1LIO
まにわには出来る子。四話はまにわにの応援してた
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/03(火) 20:36:11.07 ID:WIx5fXsk0


こんばんは。今日は地元の祭りがあるので、短めです。


でも頑張っていきます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ここまで来れば大丈夫だろう」


虚刀流七代目当主 鑢七花は、とある列車の操車所で身を隠して、休んでいた。

寝ずに走っているのだ。疲れないはずがない。

七花はフーッと息を吐いた。


(……さすがに疲れた)


七花は幾つも積まれたコンテナに寄りかかって、座り込んだ。





七花が隠れている場所は……少し前に、とある無能力者の少年が、最強の超能力者に戦いを挑み、勝利した場所だ。


だが七花は、ただ二本の鉄の棒が並んで置いてあって、大きな鉄の箱が高く積み上げられている変な場所としか見ていない。


ただ七花の頭の中には、今は休む事しか考えていない。


目を閉じる。


とにかく長い一日だった。いや、もう一日じゃないか。



いきなり異世界に飛ばされたと思ったら、捕まって牢屋いきにされかけ、今度は命を狙われ、今は逃亡中だ。



(……と、なんだか眠くなってきた)



突然、七花に今までの疲労が祟り、睡魔が襲ってきた。



(いいかな、ここで寝ても、ここは誰も来ない……かな…)



そして、眠りに落ちていく………。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/03(火) 21:54:32.67 ID:5eiNVyoeo
乙かな
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/04(水) 01:40:07.66 ID:1BGSK55V0


……か……か……ちか……し…ちか………しちか………。


(………ぅ………)


「七花!!」


「うお!」

眠い。どうしようもなく眠い。


「七花…お前、ずっと寝ていたのか?」


声が聞こえる。それもとても懐かしいような。


「しかし、そなた珍しいな、こんなに疲れた顔をして……。どうした?」


白髪のおかっぱ頭の女が自分の顔を心配そうに覗き込んでいる。


「ああ、ちょっと色々とあってな……。でも大丈夫だ、なんとかなるよ、とがめ。……………………え?」


「ん?どうした?」


目の前には、死んだはずの、かつて七花と一緒に旅をしていた。奇策士とがめがいた。


「いや、とがめ……あんた、死んだはずじゃあ……?」


「はあ!?何言っておるのだ、そなた、寝ぼけているのか?」


「……いや…」


「ははは…。本当にそなたらしくない。……で、今回戦う敵だが」


「…?………ああ」


「相当に手強い相手だ。決して気を抜くなよ。そう今までと同じようには行かぬ」


「……? わかった」


「そうか、ならよかった。……………じゃあ私は行く」


「え?ちょっととがめ!!待てよ!!どこに行くつもりだよ!!」


「それはそなた……決まっているではないか………






「……はっ」



七花は誰もいない操車場で目を覚ました。
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/04(水) 02:35:55.48 ID:1BGSK55V0

「………なんだ、俺寝てたのか…」


なんだろう?すごく悲しい感情が心の奥に湧き出てくる。

夢を見ていたようだ、だが内容が思い出せない。

ただ、懐かしく、悲しいような……そんな内容だった気がする。



そして、忠告を受けたような……。





「―――――!!」



七花の動物的な感覚はどこからか、何かが来ると訴えてくる。



とっさに七花は右に飛ぶ。




ヒュンッ!



七花の頬に一閃、何かが光った。いや、通り過ぎて、かすめた。



その飛んできた光は後ろの巨大な鉄の箱がド派手に吹っ飛ぶ。



ドンガラガッシャーーーン と、マンガみたいな効果音を大音量で響かせて、空気を揺らした。



そして、箱が立てた砂埃がバーッと広がり、あたりを包む。




そして晴れた頃、一人の少女が光って飛んできた方向から歩いてきた。



「200cmの巨体、体中の傷跡、そして着物……鑢七花で間違いないわね」


「だれだ?あんた」


「そうね、簡単に言うと、あなたがさっきのした奴の先輩よ。………よく黒子をやってくれたわね」


「そうかい。で、それがどうした?」


「後輩の失敗を払うのが、先輩の務めでしょう?………だから後輩の敵討ちよ」


御坂美琴の額に紫電が走った。








今日は終わりです。ありがとうございました。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/04(水) 02:56:12.62 ID:scQlxjxB0
今刀語6巻まで読んでてこのスレ見てたけどとがめ死ぬのか…
なんで全巻読み終わるまで読むの我慢出来なかったんだ、俺の馬鹿野郎w
まあ120%自業自得だけどね…

>>1
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/04(水) 03:54:27.97 ID:mUr+GMRIO
原作でとがめが七花のこと「ソナタ」って言ってたっけ?かなり前に売っちゃったから確認できんけど
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/04(水) 10:12:13.08 ID:bOc6dj6mo
おまえとか名前呼びじゃね?
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/04(水) 11:45:03.54 ID:6PjEgqcuo
美琴安心のウザさだな
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/05/04(水) 15:27:21.81 ID:cqOAkVyC0
>>278
基本は「七花」2人きりの時は「そなた」も使ってたが混同してた気がする。
まぁ鑢七花のささやかな思い出って事で。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/04(水) 19:00:20.23 ID:qaw0p3LB0
>よく黒子をやってくれたわね

褒めてる!?
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2011/05/04(水) 23:53:18.76 ID:cL6d5nn1o
あれ?
噛んじゃった、かな?
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/05(木) 08:18:07.08 ID:h1ZCzXp30

すいません、寝てました。

ホントは「よくも、……」です。
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/05(木) 19:18:07.47 ID:pajOMrXDO
かみまみまん
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/05(木) 22:03:07.07 ID:ZahW1+no0

どうも、こんばんは。


田舎が農家なもので、昨日は田植えでした。…………無理やり手伝われて、昨日はダウンして更新できませんでした。すいません。


日本語が崩壊的でストーリーも変かもしれない私ですが、よろしくおめがいます。




―――――――――――――――――――――――――


「後輩の失敗を払うのが、先輩の務めでしょう?………だから後輩の敵討ちよ」


御坂美琴の額に紫電が走った。



「申し訳ないけど……最初っから全力でいかせてもらうわよ!!」



美琴はポケットからコインを取り出し、上へ指で弾いた。

落ちてきたコインを前へ弾き、音速の三倍で撃ち出した。



いきなり超電磁砲を撃ってきたのだ。



287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[age]:2011/05/05(木) 22:20:23.17 ID:AUCZ5U8L0
ぶっちゃけ御坂の攻撃って隙多いよね
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/05(木) 22:23:47.48 ID:+92Ll73k0
いつも思うけど、結構な頻度で人目掛けて撃ってるよな超電磁砲
音速の三倍が人間に直撃したらどうなるかとか考えないのか?
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/05(木) 22:53:40.86 ID:FYflA1HIO
>>288
まぁ風圧とか近くにぶつけた衝撃を利用したりもしてるから、当てる気ない方が多いんだろ
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/05(木) 23:17:44.68 ID:ZmEDiVM0o
>>288 考えてたら大規模停電とか起こすわけが無い
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/05(木) 23:29:25.71 ID:KvG6pbbQ0
美琴がウザいのはよく分かるが、ウザキャラをフルボッコにするのは清々しいもんだし結果オーライじゃん
投稿中は黙って見てようぜ
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 00:28:02.48 ID:OYR+Ps9L0

二人の距離は25m。

音速を越えるコインは、轟音と爆風と共に七花の顔面へと飛んできた。


「うおっ!」


七花は、美琴がコインを弾く前から直感で予測し、仰け反る。


鼻と顎先が熱で焦げたが、なんとか避けることができた。


しかし後からやってくる、轟音は耳を貫き、爆風は体を吹っ飛ばした。



七花はゴロゴロと10mほど転がった。受け身をとったので怪我はない。

とっさに体制を整える。


「…くっ」


焦げた鼻と顎がヒリヒリと痛い。

耳も爆音のせいでキーンと耳鳴りがし、三角器官がやられたのか、頭がくらくらする。



それでも美琴は超電磁砲を撃ってきた。



右手で一発ずつ撃ち、左手にはコインが二,三十枚握られている。

右手で一発撃てば、左手にあるコインを右手に装填して、また撃つ……。

この繰り返しだ。


光の剣は次々と七花へと襲い掛かってくる。



「……っ!!」


七花は超電磁砲こそは避けるが、後の轟音と爆風が厄介で、苦し紛れの避け方しかできない。

293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/06(金) 00:38:02.17 ID:VoPiir3io
ここはきっちり殺しといて欲しいね
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 00:51:18.86 ID:OYR+Ps9L0

それでも美琴よりも何十倍、経験を積んでいるだけはある。


例えば左右田右衛門左衛門との一戦、この世界の警備員が撃ってきた銃。

右衛門左衛門は仮面をしていてわからなかったが、撃つ者は必ず目標の撃つ部分に狙いを定めてから撃つ。


要は、撃つ瞬間に相手が見ている所が飛んでくるポイントだ。



銃の場合は銃口が向いている角度からでも、飛んでくるポイントだ。

美琴の場合は腕の角度。

彼女の場合は、この技は狙いが定めにくい技なのか、いつも腕がピンのまっすぐだ。

肩から指先の延長線……。それが彼女が狙っているポイントだ。



七花は二つのことを見て、美琴が狙っている所を事前に見極め、撃つ前に避け始める。

そうすると音速を超える超ハイスピードに飛んでくるコインが避けられる。………そういう寸法だ。



そして体と目が慣れて来たのか、だんだん超電磁砲とそれに伴う轟音爆風を完全に避け始めた。


七花は今、反復横跳びをする形で避けている。


これも超ハイスピードだ。残像が見える、七花が何人も見える。



幅は30mほどの広い空間でだ。



295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 01:06:20.87 ID:OYR+Ps9L0



「……くっそ!」


美琴は当たらなくなった自分の必殺技にだんだん苛立ちを覚えてきた。



二十発ほど撃った頃だろう。




七花は消えた。




びっくりしたように目を見開く美琴。


「――――――――!!!」


いや上に飛んだ。そして美琴の背後に回り込む。



「―――虚刀流 『牡丹』!」


意表を突いた七花の後方回し蹴りは美琴の脇腹に突き刺さる………はずだった。




美琴はニヤリと笑った。


「まってました!!」


美琴は待っていたのだ。この瞬間を、七花が接近してくるのを。

296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 01:27:44.30 ID:OYR+Ps9L0

美琴は前を向いたまま、地面に高電圧を流す。



美琴の周り4mほどの範囲で強い電流が走る。


「うああああああああああああああああああああ!!」


バリバリバリィ!!と何かが感電したような音が数秒した。



どさっと七花が膝から崩れ落ちる。



「…こんなもんか」


美琴は振り返らず、七花に語りかける。


「初春さんにあんたが今まで戦ってきた映像とデータを見させてもらったわ」


「……」


返事はない気絶しているようだ。


「で、あんたは今までずっと、遠距離から…例えば銃とか、さっきの私のとか。…それを丁寧に避けて、接近して近距離攻撃に持ち込み、仕留める」


美琴はつづけて。


「そこで私は接近してきたあんたを逆に電撃でカウンターをとって仕留める……。我ながらいい作戦だったわ」


「ほ〜、なるほど。そこを狙われたわけだ」


「そうそう!………………は?」


297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/06(金) 01:31:56.64 ID:VoPiir3io
七花の頭じゃ相手の能力なんて分からんか
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 01:34:08.04 ID:OYR+Ps9L0

「いや〜、しかしびっくりしたぜ。なんせ、いきなり光みたいのを見たと思ったら、急に体が痺れて動けなくなって倒れるなんて、初めてだからでだよ」

今度はこっちがビックリして、美琴は振り返る。

そこには地面に胡坐をかき、感心した顔でこっちを見上げる七花がいた。











今日はここで落ちます。

短いですが、今日はありがとうございました。
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/06(金) 07:40:34.56 ID:Odc+6rVIO
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 22:29:34.33 ID:OYR+Ps9L0

>>300です!!

応援ありがとうございます!
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/06(金) 22:34:23.25 ID:VoPiir3io
頑張れ
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 22:44:41.33 ID:OYR+Ps9L0

七花は立ち上がって、美琴を見下ろす。


「ここに来て初めてだよ。俺に膝をつかせたのは」


七花は笑う。




「あんたは他の奴らとは違うようだな。………あんただったら、ちょっと本気を出してもよさそうだ」




「―――――!?」



七花の台詞は軽いものだった。


しかし、美琴の顔からドッと脂汗が滝のように流れ出した。


なぜなら


(…………何あれ!?急に眼の色が変わった!?)


七花の眼は、先程とは別物。


簡単に言えば

その眼は鋭い。



例えるなら

刀の如し。



美琴からすれば、まるで……。


(まるで、刀を首に当てられているような感じ……!!)


美琴の顔は青い。背中は汗で気持ち悪い。足が動かず、ガクガクと振るえる。


303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/05/06(金) 22:59:09.30 ID:ZEBDPR7R0
鉄火場しか知らないとは言え、所詮は女子中学生だしなぁ。
無能力なのにウニ条さんと違って真剣並の殺気は怖いよなぁ。
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/06(金) 23:38:06.94 ID:qY2YVoYAO
どんな技でケリを付けるんだ
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/06(金) 23:53:18.74 ID:OYR+Ps9L0

足が動かない。まるで足の裏に根っこが生えているようだ。




「今までの奴らは、弱くってよ。俺の相手にはならなかったんだよ。まぁ骨のある奴はいたんだがな」


七花は構える。


「お前はなかなか強いからな。少しは楽しめるかもな」


七花は相変わらずお遊び感覚だった。



しかし一方の美琴は


(な、何かくる!!……でも足が…動かない!!…………動け!動け!動けぇ!)



「おい、大丈夫か?顔色悪いぞ?」


「―――はっ。…………だ、大丈夫よ!いつでもかかってらっしゃい!」


と言うもの、相変わらず顔色が悪い。


「んじゃ、お構いなく………。―――虚刀流 『野苺』!!」


七花は美琴の腹部に両肘による連続打突を喰らわした。


美琴は30m向こうのコンテナまで吹っ飛び、激突した。


しかし



「浅いな…」


七花は技が上手く入らず、納得がいかない顔をする。

306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/07(土) 00:10:46.41 ID:gJJkvg4N0


一方、吹っ飛ばされた美琴はコンテナに張り付いていた。


コンテナにピリピリッと電流が走っている。


どうやら、美琴は七花の技を喰らう前に、磁気の力で後ろのコンテナへと飛んで、威力を殺していた。


がしかし


「…!!……うぷっ!…うぇぇえええええ!!」


ボタボタボタッと地面へ嘔吐した。


完全には威力を殺していなかったら、間違いなく死んでいた。



「はぁはぁはぁ」


美琴は死の恐怖というものを感じる。

改めて今、戦っている相手と今まで戦ってきた相手とは次元が違うことを理解した。


「おい、いつまでそこにいるつもりだ?」


七花はもう、美琴の目の前にいた。



「……ひっ…!」


美琴はとっさにさっきと同じ要領で別のコンテナへと全力で飛ぶ。


「―――虚刀流 『桜桃』!」


「…きゃ…!」


今度はギリギリでかわすことができたが、前髪が少し切れた。



美琴は40m近く飛び、コンテナに足で着地した。

307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/07(土) 01:14:15.28 ID:gJJkvg4N0

ビリビリと足に振動が伝わる。


(……速い。これじゃあいつ技を喰らってもおかしくはない!)


焦りと恐怖が、美琴の脳をかき回す。

すぐにコンテナから降りる。


「はぁはぁはぁ」


息が切れる。怖くて腹が捻じ切れそうだそうだ。


(とりあえず私の周囲に100万Vの電圧を常に周囲2mに展開!)


美琴の髪は逆立ち、周りの地面の小石たちは幾つか浮かび、周囲に電気の光が美琴を中心にして広がっているのがわかる。


(そして、接近戦は死ぬ!常に遠・中距離で攻撃して、すぐに逃げる!!)




美琴は後ろにあるコンテナ…先程では着地に利用していたコンテナを、磁気の力で七花に放り投げた。


因みにコンテナは四方4,5mある巨大サイズだ。




コンテナは周囲に砂と砂利を巻き上げてながら転がりながら七花がいる方へと飛んでくる。


しかし、それを七花は右に避ける。


美琴はそれを読んでいたのか、今度は地面のレールを次々と引っこ抜き、投げつけた。


ざっと30本。一本一本が人間を串刺しにできる、巨大な凶器だ。


それでも七花は丁寧に避ける、また避ける。


何本か避け、美琴に隙ができるのを確認した七花は、走りだし、美琴の懐へと入ろうとする。



しかし美琴は七花が走る寸前に、また別のコンテナへ飛んで逃げる。


まさしく、ヒット&ウェイだ。
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/07(土) 01:23:20.21 ID:gJJkvg4N0


中途半端ですが、今日はここまでです。

明日の朝にでも書きます。
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/07(土) 01:26:23.41 ID:FgP+L8kf0
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/07(土) 01:29:47.90 ID:WRQ0Rpeoo
( 0w0)<ヒット&ウェーイ!!

乙です
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)[sage]:2011/05/07(土) 02:55:10.35 ID:CPCi+sxho
>>307
>まさしく、ヒット&ウェイだ。

・・・非常に言い辛いんだがヒット&アウェイの間違いじゃないか?
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 12:12:23.10 ID:gJJkvg4N0

>>311 ありがとうございます。

ヒット&アウェイです。

訂正します。
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 12:50:47.63 ID:gJJkvg4N0

さて続きです。頑張って書きます。


―――――――――――――――――――



「おい、逃げるのかよ!!」


七花は非常に面白くない顔をした。


(……当ったり前よ。あんなの一発でも喰らったら即死するわ!逃げて当然!!)


美琴はコンテナへと着地して、そのままコンテナを磁力で投げた。


「でも……黙って逃げるなんて……やってたまるもんですか!!」


宙に浮いた美琴は地面に着地し、今度は地中にある大量の砂鉄を取り出す。

それを3,40mの長さのある鞭に変化させて、七花にへと振るう。


美琴が振るった砂鉄の鞭は小刻みに振動する、振動刃である。


間にあったコンテナや電灯などの障害物はなんでも真っ二つにして、七花を襲う。


(この技を使ったのは、あの馬鹿ぐらいよ!…………これで終われ!!)


314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 14:55:09.66 ID:gJJkvg4N0

七花は美琴が投げたコンテナを左に避ける。


すると七花の目の前に、美琴が振るった鞭が、コンテナや街灯を切断しながら、こっちに向かってきた。


「うおっ!すっげ!」


七花は大袈裟に驚きながらも、鞭を避ける。

しかし、美琴は鞭をうねらせる。


グネグネと蠢く鞭は周囲のコンテナも地面も関係無く、斬っていく。


ランダムに動くその動きには、さすがの七花にも避けるのが難しい。


頬や脇腹、太腿…などに切り傷を負った。

それでも致命傷は避けている。



それを見た美琴は右手に持っていた鞭を左手に持ち替えた。


鞭を操りながら、磁力の力で近くにあったレールを持ち上げ、自分の目の前に持ってきた。


「……見なさい、さっきまでの小さなコインとは桁が違うわよ」


美琴は右手で拳を作り、を大きく振りかぶる。


「これが、私のぉ!!」


そして、レールを思いっきりぶん殴った。




「……全力……だぁああああああああ!!!」




いや、レールで超電磁砲を撃ったのだ。







先程のコインとは威力とは桁が違う超電磁砲は七花に真っ直ぐ進み、七花諸共80m向こうの風力発電の風車の柱に激突した。
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 15:04:35.51 ID:gJJkvg4N0


ギギギギギ…………と嫌な音がする。


風車はド派手な音をたてて、崩れ落ちた。


風車の羽は、美琴の方へと落ちてきたが、ギリギリ彼女には当たらなかった。



「ぜぃ……ぜぃ……ぜぃ……どう…よ。…これで、……参った…か……」



美琴は地面に四つん這いになり、辛そうに呼吸する。


勝利は確信した。





「………何なのよ、もう……」




鑢七花の鋭い殺気は、今だに彼女を捉えていた。

316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 15:25:16.98 ID:gJJkvg4N0

砂煙が立ち込める、崩れた風車の根本。

そこに鑢七花はいた。


「〜〜〜〜〜ぷはぁ!!」


正直、危なかった。


「おお、おお、すげぇすげぇ!ここは本当に面白い街だな!」


しかし心底楽しそうの表情だった。



実は七花は美琴の撃った超電磁砲を、虚刀流一の奥義 『鏡花水月』で威力を殺した。

しかし超電磁砲の威力は凄まじく、七花は腕を交差させて技を受けた。

そして風車に激突する寸前に流して、地面に着地。

風車の破片は大きいのは、いくつか落ちてきたが、何とか防いだ。


よって、鑢七花は美琴の必殺技である、超電磁砲を防いだのである。



(それじゃ、こっちも行きますか)


七花は走り出す。



今度はこっちの番だ。



317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/07(土) 15:40:48.11 ID:Vx/kXFLAO
>実は七花は美琴の撃った超電磁砲を、虚刀流一の奥義 『鏡花水月』で威力を殺した。
おい待て七花の攻撃翌力がインフレしてねーか
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 15:59:42.10 ID:gJJkvg4N0

美琴はこっちに走ってくる七花を見た。




殺気が…ヤツの目線がこっちに向いている。



何のために、こっちに向かってくる?何のためにそんな眼で見てくる?



私を殺しにだ。




(や、や、殺られる!…このままいけば、絶対に殺られる!!)



こう美琴の本能は悟った。



「う。う、ぅぅぅううううああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」




殺らなければ、殺られる。




美琴は本能に従い、ガラ武者に、無我夢中に、無意識に電撃を風車に、七花に浴びせた。

まさしく嵐。

震える手でポケットの中のコインを取り出し、超電磁砲を撃ちまくる。

手が震えて、いくつかコインを落としたが、それには気づかずに撃ちまくる。

すべてのコインを撃ち終わると、今度は地面から砂鉄を取り出し、砂鉄の嵐を七花に浴びせる。

砂嵐は七花を押し潰す。

続けて、周囲、いや操車場にある全てレールを操作し、七花を串刺しにせよと襲わせる。

何百本ものレールは七花の周りに華が咲いたように刺さった。

それでも美琴は手を休めない。

何tもするコンテナを磁力で操作し、七花にぶつけた。

その数、計6個。七花を囲み、挟んで潰すように襲う。


そして止めに、10億Vの雷撃を七花に落とした。

319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 16:02:51.25 ID:gJJkvg4N0
>>317
と、言うと?
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/07(土) 16:07:08.44 ID:WRQ0Rpeoo
ガラ武者ww
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/07(土) 16:11:14.49 ID:FgP+L8kf0
>>317
多分、鏡花水月で周りのコンテナを
飛んできた超電磁砲にぶつけて逸らしたんじゃない?
じゃないと、七花の腕が吹き飛ぶし
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 16:34:55.28 ID:gJJkvg4N0

「ぜぇーぜぇーぜぇー………。もうダメ………」


美琴の膝がガクガクッと笑っている。


美琴はドサッとうつ伏せ倒れた。


「でも、これなら……もう…終わった…」


周囲に展開していた電撃も切り。この戦いは終了したと思った時。


「まだ終わってねぇぞ」


「」


美琴は唖然とした。



美琴は跳ね起きた。

まだ自分にはこんな力が残っていたかと自分でも驚いてしまった。

いや、そんな余所事など考えている間など無い。


問題はなぜ鑢七花は生きている?


超電磁砲は仕方がない、初めの方で散々避けられた。

が、それ以外はどうだ?

避けれる隙など無かったはず…。なぜ?

323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 17:04:09.76 ID:gJJkvg4N0

「いや〜、本当に危なかったぜ。あの光線みたいのとか、鉄の棒とか箱とかは避けきれたけどよ。最初と最後の雷みたいのはさすがに応えたぜ」


「」


「まぁ、しばらくは両腕は使えないけどな」

七花の両腕はプルプルと震えていた。


美琴は開いた口が塞がらない。

七花は最初と最後の、美琴の放った電撃以外はすべて避け、防いだのだ。


そもそも防いだとしても、それだけですむものか?

五体満足なのはおかしい。おかしすぎる。


「いや、本当にこの街は面白い…。お前も絹旗も、えっとお前の後輩の…黒子だっけか…?みんな本当に面白い奴らばっかりだよ」

七花は楽しそうに笑う。


一方、美琴は涙目で七花を見ている。


「……あ、あんた、一体…何者、なの?」



「俺か?、俺は虚刀流七代目当主 鑢七花ってんだ」


「いや、そうじゃなくて。どうして生きているのよ!?」


「いや、避けたり防いだりすれば死なねぇだろ、普通」


「な…」


「……まぁ、俺をここまでボコボコにしたのは、左右田右衛門左衛門とお前ぐらいか。いや、本当にすげぇよ、お前」


「……」
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/07(土) 17:27:01.93 ID:Vx/kXFLAO
姉ちゃん涙目
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 17:44:58.87 ID:gJJkvg4N0



七花は虚刀流 五の構え 『夜顔』の構えをとる。


「じゃあ、今度はこっちの番だな。実はこっちの世界に来てから、ずっと戦いっぱなしで、もう俺はクタクタなんだ。全力は出せないが、今はこれが限界だ」


「………くっ」


「―――虚刀流五の奥義 『飛花落葉』!」


七花の掌底は美琴の体に………届かなかった。




七花の掌底は美琴の頭上の少し上を通過した。

「…な?」

「え…?」


二人とも困惑する。


「な、なんだ?急に、クラクラす…る…」


七花はフラフラと、足がおぼつか無い。

七花はバランスを取ろうとするも、どうしても千鳥足になってしまう。


「…おっと」

七花は足がもつれて転びそうになるが、なんとか持ちこたえた。


しかしその時、美琴に背中を向ける形になってしまった。


(……何が何だか知らないけど)


「隙あり!!」

美琴は七花の背中に飛びついた。

「しまった!」

「これで終わりよ!!」



美琴は最後の力を振り絞り、七花に直接、電撃を流した。



巨大な電気の玉が七花を包んで、爆発した。
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 17:47:05.38 ID:gJJkvg4N0
>>324 姉ちゃん忘れてました。すいません。
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 18:16:49.88 ID:gJJkvg4N0



爆発が起こった、数分後。


もともと、ここは操車場だったここは、今ではただの更地、いや焼野原になった。


その中心には、御坂美琴と鑢七花が覆いかぶさるように倒れていた。


七花は電気ショックで、美琴は電池切れで

それぞれ気を失っていた。死んではいない。



そこへ、サイレンサー付きのライフル銃を肩に担いだ少女の影が現れた。

一人ではない。二人、三人、四人。


四人とも同じ格好。

………いや同じ顔で

……いやそうでもない、そこに倒れている少女 御坂美琴と同じ顔をした少女たちが、四人肩を並べて現れた。

学園都市最強の七人の一人、御坂美琴のクローン、妹達である。


その中の一人、ミサカ10032号――とある少年から御坂妹と呼ばれている――は他の三人に指示をした。


「10039号と19090号はお姉さまと目標の怪我の応急措置。13577号は冥土返しに連絡をしてください、とミサカ10032号はグッタリしたお姉さまを担ぎながら指示します」

「了解、とミサカ10039号は10032号からお姉さまを受け取ります」

「こちらも了解、と19090号はこの大きな男の人は特に怪我がひどいので、早急に作業に取り掛かります、と重いので10032号に体を起こすのに手を貸してほしいと目で訴えながら、この巨体を起こそうとします。…………重ぃ…」

「了解です、と10032号に無視された19090号の重労働を横目で見ながら、一番楽な作業である、冥土返しの携帯番号に電話をかけます」


妹達はそれぞれの作業に取り掛かる。

328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 18:40:18.89 ID:gJJkvg4N0

「はい……はい………。わかりました、とミサカは頷きます」

ミサカ13577号は携帯電話を持ち、冥土返しと電話をしている。

「それじゃあ切りますよ、とミサカはあなたに確認をとります」

ミサカ13577号は電話を切った。


「冥土返しは救急車を手配してくれるようです、とミサカは他のミサカに報告します」


「わかりました、とりあえず二人を道路に近い場所へと移動させましょう、とミサカ10032号は提案します」

「わかりました、とミサカ10039号はお姉さまのを背中に負ぶります」

「こちらも…わかり…ました…と、ミサカ19090号はこの巨体を引きずりながら……前へと…進みます…。誰か助けて……」


ファンファンファンと遠くからサイレンの音が聞こえる。


「む、まずいです。警備員がさっきの爆発のせいで、こっちにやってきました、とミサカ10032号は一目散に逃げようと、他のミサカに提案します」

「賛成です、とミサカ10039号はさっさと逃げます」

「とりあえず私は救急車が来る場所を案内します、とミサカ13577号は駆け足で逃げます」

「それでは行きましょう、とミサカ10032号は何も持たず、何もせず、ただダッシュで逃げます」

「ちょ…まって…って…ミサカ19090号は……助け…を…」


ミサカ19090号の願いを他のミサカは無視し、一目散に逃げる。


「ええい、もうこの人だけ置いて行ってやる!!とミサカ19090号はこの人を置いて他のミサカを追います。まって〜!」



329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 19:01:24.79 ID:gJJkvg4N0


――――――――――――――


「またここも派手にやってくれたじゃん」


「今度は焼野原ですか…」


黄泉川と鉄装は現場に着いた感想はそれだった。


かつて操車場だった場所は一面焼野原になっていた。


黄泉川はここで爆発が起こったと通報があり、ここへ駆けつけた。


美濃谷と登条はビルで倒れていた白井黒子の意識が回復したらしいので、彼女が入院している病院へ行き、事情聴取に行った。

因みに彼女は心身ともに大丈夫らしい。




「……ん…?」

「どうしたんですか?黄泉川先生」

「…あれは!」

「黄泉川先生?」

「鉄装、救護班を呼べ、それと救急車だ。すぐに手配しろ」

「へ?……あ、はい、わかりました」


鉄装は救護班を呼ぶため、去って行った。



それを見て、黄泉川は走りだした。


「はぁはぁ……」

黄泉川は立ち止まった。


そこには鑢七花が倒れていた。

330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 19:18:35.04 ID:gJJkvg4N0

黄泉川は二つ手錠を取り出すと、絶対に逃げないように手と足首の二ヵ所に掛けた。


「これでよし、もう逃げられないじゃん、鑢七花」



「黄泉川先生ー!!」


遠くから鉄装が担架を持ってきた救護班の若い男性二人を引き連れて走ってきた。


「おお、ここじゃん」


「黄泉川先生、なにがあったん…って、鑢くん!?…どうしちゃったんですか!?」


「死んではいないじゃん、気を失っているだけのようじゃん」


「そうですか、よかった〜」


「何安心してるんだ鉄装、現場検証いってこい」


「え?あ、はい!」


「じゃあ、救護班よろしく」


「「はい、わかりました」」


救護班の二人は七花の巨体を重そうに担架に乗せ、救急車が待っている所まで運び出した。




黄泉川は七花が倒れていた場所に一人残った。

(あいつが倒されてた、と言うことは相手は相当強いヤツと予想できるじゃん。ここにあいつを引きずった跡があるから、きっとあいつを倒した後、どこかに運ぼうとした…)

「でも、いったい誰が?」
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/07(土) 19:23:17.46 ID:gJJkvg4N0

いったんここで落ちます。

夕飯食って、風呂入ったら、また更新します。


332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/07(土) 19:42:46.11 ID:EF0EBURL0
まさかの引き分けか…
やっぱり持ち主のいない刀なんてその程度なのかねー
>>1
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/07(土) 21:22:33.58 ID:vnWO18YD0
そういえば、素手で城を真っ二つにしてるんだから、コンテナぐらい防げるのも納得……か?

変態刀は未来の技術を逆輸入してるなら、もしかしたら、レベル5を模倣してたりして。
電撃は悪刀、ベクトル操作は賊刀ってなぐあいで。
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/07(土) 22:47:00.42 ID:N1MijRxDO
さっさと殺せとか持ち主に言われたりしてないどころか持ち主行方不明状態だもんな

実際は刀が行方不明になってるんだが刀は馬鹿だからまだ気付かない
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/07(土) 22:47:43.53 ID:gJJkvg4N0


「ここはどこ!?」


御坂美琴はとある病院で目を覚ました。


「ここはいつもの病院です、とミサカはお姉さまに説明します」


「あんたは?」


「検体番号10032号、御坂妹です、とミサカはお姉さまに自分の身分を説明します」


「ああ、あんたか」


「私たちはあの後、救急車を呼び、ここの病院まで送りましたと私が買ってきた花を花瓶に活けながらお姉さまに懇切丁寧に説明します」


御坂妹は活けた花瓶を美琴のベッドの横の棚に置いた。


「私はあの時は病院に居たのですが、散歩中のミサカ19090号が偶然にもあなた達が戦っているのを目撃し、あまりにも不利な戦況だったので、MNWを通じて応援を呼び、お姉さまを助けに行った次第です、とミサカはとっても不甲斐ないお姉さまに説明します」


「なにその嫌な言い草…。で、アイツはどうしたの?」


「一緒にこの病院に連れてくる予定でしたが、救急車にまで運ぶ前に警備員が来てしまったので、置いてきました。今頃は留置所でしょう、とミサカは近くにあった椅子に座ります」


「まあ、なにがどうであれ、最後の方は意味が分からなかったし、相打ちっぽい終わり方だったけど、勝ちは勝ちね」


「…?」

御坂妹は首を少し傾げた。

「ミサカはお姉さまの言葉に誤りがあることを指摘します」


「はぁ?」


「まず、あの勝負、お姉さまの負けです、とミサカは勝敗の結果を言いつつ、あんだけボコボコにされて、しかも止めを刺されかけてもなお、勝ったとほざくお姉さまにドン引きしました」


「な…!」


「実はお姉さまが止めを刺されそうになった時、彼の後ろから、この冥土返し直伝の特性麻酔銃で撃っていました、とミサカはベッドの下から実際に使った銃を取り出し、お姉さまに自慢しつつ、あのお姉さまのビビり顔で思い出し笑いしながら説明します。プププッ」


「〜〜〜!!」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/07(土) 23:01:14.70 ID:YknHqoWx0
七花理不尽被り過ぎわろた
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/07(土) 23:16:01.93 ID:afy/AvXd0
むしろ背後とはいえ七花に気づかれず狙撃を成功させた個体が凄いと思う
絶対スネーク(17600号)だ
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/07(土) 23:21:34.22 ID:uOh5AWnDO
見舞いに花瓶とか、嫌がらせすぎるwwwwww
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/07(土) 23:22:32.14 ID:WRQ0Rpeoo
範馬勇次郎を狙撃したおっさん思い出した
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage  ]:2011/05/07(土) 23:30:46.26 ID:UTwgK7Z70
>>337
ジ・エンドかも
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/07(土) 23:33:43.45 ID:gJJkvg4N0
「それと、最後の爆発のあと、実はお姉さまはダウンしていましたが、相手の方は…実は健在でした。彼は気を失っていたお姉さまに止めを刺そうとしていたところを、またこの銃で撃って仕留めました、とミサカはお姉さまの勘違いっぷりにドン引きをと通り越して呆れ返ります」


「〜〜〜〜〜〜〜!!」


「……? どうしたのですか、お姉さま?」


「あんたねぇ、さっきから黙ってきいてりゃあ、いけしゃしゃあと言いやがってぇ!!」

美琴の前髪から紫電が走った。

御坂妹に電撃を浴びせようとするが

「〜〜〜ッッ痛っ!!」


「ダメですよ、無理しては。まだまだあの時のダメージが残っているのですから、と今日は何も言っても大丈夫だと確信し、ほくそ笑みます」


「〜〜〜!!」


「まあ、どうであれ、お姉さまが無事でよかったです。もし何かあったら、あの人が悲しみますから……とミサカはお姉さまの思い人を思い出だし、しんみりとします」


「な、だ、誰があんな馬鹿!」


「私は誰とは言ってませんが?、とミサカはニヤニヤしながら返します」



「〜〜〜〜!!!………まあいいわ。とにかく、アイツと話があるの、どこの拘置所か教えてくれる?」


「だめです。お姉さまは今、絶対安静です、とミサカは何のために学校にも行かずに寝ているのかわからないのか、この人はと心の中で文句を言いながら、お姉さまを止めます」


「ねえ…、今何て言ったの?」


「あ…とミサカはいけない口を抑えます」


「私、何日寝てたの?」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/07(土) 23:59:06.62 ID:uOh5AWnDO
そろそろ誰か、七花の話を聞いてやるべき。
いつもの事だが、問答無用すぎる
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/08(日) 00:06:51.28 ID:W+yOOgd/0

「丸一日です、最低でもあと一日は安静です、とミサカはお姉さまの体を抑えます」


「ちょっと、学校には言ってあるんでようね、あと寮にも!」


「なに言っているんですか、そんなことをしたらお姉さまに甚大な損失になります、とミサカはお姉さまに忠告します」


「なにが言いたいのよ!?」


「はぁ、とミサカは溜息をしながら電卓をポケットから出します」


「な…?」


「いいですか?まず、お姉さまが投げたり飛ばしたり斬ったりした、あのコンテナ…実は学園都市が外の企業に販売するはずだった、最新の精密機械が入ってました。調べてみると、一機三千万するほどのが、ざっと三十機です、とミサカは三千×三十の数字を電卓に打ち込みます」


美琴がカチーンと固まった。


「次にお姉さまが引っこ抜いて、飛ばしたレール…操車場にあった五千本すべてのレールを引っこ抜くとは…いろんな意味ですごいですね…そのレールの殆どがもう使い物にはならないようなので、一から作り直しだそうです。一本のレールは大体八万弱ですので、八万×五千っと…とミサカは電卓を叩きます」


美琴の顔がサーっと青ざめる。


「あと最後にお姉さまが焼野原にした操車場の修繕費は大体一億…いや二億くらいですかね、とミサカはその数字を電卓に打ち込みます」


美琴の目には、光るものがあった。


「全部足すと………ひぃ、ふぅ、みぃ、よ、いつ、むぅ、なな、や……。こんな数字になりました、とミサカは滅多に見られない数字に興奮しつつ、電卓をお姉さまに見せます」


「…………………………………………………」


「驚いて声も出ないですか?とミサカはお姉さま真っ青な顔を覗き込みます」


344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage  ]:2011/05/08(日) 00:07:10.41 ID:noio50+l0
>>342
だよね。
やっぱ上条さんかな。
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/05/08(日) 00:12:08.74 ID:WWpmNidAO
まぁ話の都合上問答無用にしてんじゃね?
結構無茶振りな気はするけどさ
さすがにこれ以上はないだろ
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/08(日) 00:48:32.08 ID:W+yOOgd/0

「大丈夫ですか?とミサカはお姉さまの顔色を窺います」


「………どうしたらいいの?わたし……いきなり借金地獄なんて、どこの漫画の展開よ…(泣)」


「大丈夫です。私たちはその問題への奇策を練ってきました、とミサカは胸を張って言います」


「え…?あるの?解決策が?」


「ええ、まず、『あの操車場にいたのは、あの相手の方だけ。お姉さまはいなかった』という状況を作ります、とミサカは奇策の内容を説明します」


「うんうん」


「ちょうど、ミサカ20000号が第四学区の喫茶店でお茶をしていましたので、『お姉さまはそこでお茶をしていた』ということにしておきます、と言いつつ、あの変態女朗の顔を思い出します」


「え?今何て言った?」


「しかし、お姉さまがここで入院されているので、学校には行けません。そこで、お姉さまはミサカ19090号になってもらいます」


「え?じゃあ…」





「はい、今お姉さまの学校にいるのは、ミサカ19090号です」





「」


347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/08(日) 01:14:32.38 ID:443Nynxq0
七花可哀想すぎて涙が出る
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/08(日) 01:18:12.52 ID:W+yOOgd/0

「ちょ、ちょっとま待って?じゃあ、今学校にいるのは妹達?」


「はい、少し揉めましたが、一番正常な感情を持っているミサカを選抜しました。まぁ、結局はあの相手の方を運んでこなかった罰なんですけどね、と決った瞬間の19090号の顔で今でも思い出し笑いできます。フフフ」


(うわ〜、まだあったことないけど、可哀そう…)



「さて、お姉さま。私たちがこんなに苦労して助けてあげたんです。何か見返りが欲しいです、とミサカはお姉さまに詰め寄ります」


「え?ちょ、ちょっと待って、何?……え?ちょっと、まっ――――――」







今日はここで終わりです。かなり無茶ブリでしたけれども、読んでくれて、ありがとうございました。

明日も書きます。
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/08(日) 04:22:25.46 ID:rqaXeU9No
七花が不憫で泣けてくる
350 :名無しNIPPER[sage]:2011/05/08(日) 08:09:16.42 ID:7iNTK88DO

たださすがにここまで展開上仕方ないとは言え禁書キャラがDQNすぎない?
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)[sage]:2011/05/08(日) 09:29:17.29 ID:O2PIq363o
これに限らず、西尾維新物とのクロスになると禁書側の登場人物がDQNか、かませ犬状態になるなww
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/08(日) 12:41:14.14 ID:W+yOOgd/0

こんにちは
>>350 >>351 のことなんですが、

禁書側の…てか学園都市に住む人間たちが少々DQNなのは、

学園都市って周囲を高い壁に囲まれていて、外から隔離されている状態じゃないですか。

しかも科学技術が30年ほど離れているから

学園都市の人間は外の人間には抵抗…と言うより見下している感じがあるかな…とイメージして書きました。



黄泉川や黒子や美琴は警戒心が何よりも先に出てしまっていて、

「ひとまず、捕まえてから、話を聞こう」

という感じで接していました。


でもこれはさすがに行きすぎかもwwww


これを書いていると、七花が不憫すぎて泣けてきます。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/08(日) 12:51:14.90 ID:oFXafPsUo
でも大体やってることはあってね?
ビリビリやKJさんも相手が悪いって決めつけたら真っ先に飛んでくキャラだし
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/08(日) 12:59:02.64 ID:uGL4zUiO0
占めて約15億円……一通さンの借金軽く超えたな
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/08(日) 13:05:30.82 ID:N8teDkML0
>>354
一方通行の借金は8兆円だったはず
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)2011/05/08(日) 15:00:50.98 ID:ifOdS5zAO
上条さんですら直植え野菜に違和感を覚える育ち方しちゃう様な所だしなぁ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/05/08(日) 20:35:22.74 ID:6zuNBvGI0
禁書と刀語のクロスやる様な酔狂がいるとは思わなんだ
超支援
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/08(日) 23:28:06.77 ID:W+yOOgd/0

こんばんは、今日はちょっとやらなくてはならない事があってお休みします。


因みにワタクシ、このスレのネタの他に、


禁書×ゼロ使

刀語×ゼロ使

とかも考えてました。

あと、DOG DAYSとか〇マとか…


結局、このスレを含めて、四つとも異世界に行く話ですが、

上やんは右手の関係上、異世界には行けないし

七花はチート状態で話は続かないし…


で、候補の中から、この刀語×禁書のネタでしてみました。



よかったら上のネタで誰かやってくれないかな…(ボソッ)



今後考えているのは、>>346にあった、『ミサカ19090号、常盤台中学に登校する』と言う話もやってみたいと思います。

勿論、このスレが終わった後ですが…。(……因みに、今は未だに序章です)
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/09(月) 05:04:52.38 ID:YJd3RFzDO
どのクロスSSでも禁書キャラは理不尽に襲いかかってくる傾向があるよね
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/09(月) 23:52:42.82 ID:m2CDKC0m0

こんばんは、昨日は大学のレポート書くため休みました。

今日も沢山書きます。


361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/10(火) 01:23:44.35 ID:q4HsgTy50

とあるサロン。


御坂美琴と同じく、学園都市最強の七人の超能力者の一人、麦野沈利はそこに居た。

いつも『アイテム』が拠点としているサロンだが、そこには麦野一人しかいない。


「………で、結局は見つからないの?」


『……ぅぅ…』


麦野は大きなソファに座り、いつも指令を下す電話の『声の主』と携帯で話していた。


『しょ、しょうがないじゃない!…だって、目標の行動パターンも目撃情報もバラバラだし、警備員や風紀委員の襲撃にあっても一蹴してしまうし……。情報があっても、どこにいるのかわからないのよ!』


「泣き事いってんじゃないわよ、さっさと仕事しろ。あん時豪語していたのは嘘だったのか?」


『…くっ…』


「……たっく…あんたが大丈夫だ、すぐ見つけると言ってスタンバイしていたのに」

携帯電話を肩と首で挟み、麦野は太腿に置いたパソコンのキーボードを叩いていた。

「あんたが仕事しないから、こっちがあんたの代わりに仕事してんのよ」


『…面目ない』


麦野はとある刑務所にいるハッカーの少年から、ハッキングプログラムのUSBをぶんどったのだが…。

彼女はとある風紀委員の支部をハッキングしたが、逆にこっちがハッキングされた。

もう、そのプログラムは使えないようにされた。

どこの誰がかしれないが、相当の手練れだ。


「で今、私はネットの掲示板から、あいつの情報を集めているの」


『………』


「でも、あんたはあんたで仕事しな」


『……はい…』


362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/10(火) 02:42:32.04 ID:q4HsgTy50

麦野は電話を切り、PCに向かう。


(あの後、警備員と風紀委員からの襲撃に度々あっている。範囲は絹旗と戦った場所より30km……。襲撃の全てを返り討ちにした)

麦野はPCから目を離し、カバンからお茶の入ったペットボトルを取り出して飲む。

(その範囲からさらに10km離れたビルの屋上で風紀委員一人を倒した後、行方知れず……)


「しっかし、ホントに行動範囲広いわね、こいつ……」



掲示板には『なぞの侵入者、学園都市を練り回る!目撃者、情報頼む!!』とある。

この掲示板は秒単位で更新されている。…ほとんどは興味半分面白半分のスレばかりだが。


しかし鑢七花の行動は正確にとらえていた。

絹旗最愛との戦いや、警備員と風紀委員を返り討ちにしたことや、白井黒子が倒されていたこと……。

その情報源はきっと、現場を直接みた野次馬達だ。


麦野はそこを突いた。役立たずの『声の主』のよりも情報は効率よく入ってくる。

ネットを使った人海戦術だ。


しかし、入ってくる情報はどれも滅茶苦茶だ。


そこは『声の主』が言っていたことがわかる。

例えば、『街中にいた』目撃情報Aがある。しかし、2分後には『そこの10km先の路地裏にお入っていくのを見た』という目撃情報Bが出てくる。

人間は2分で10kmは移動できない。果たして、どっちが本当の侵入者か?

情報の混乱である。


因みに混乱の原因はこうだ。

情報Aは七花が警備員や風紀委員の追跡から必死に逃げている時のものだ。当時、七花はランダムかつ全速力で逃げていた。

おわかりの通り、七花の全速力は普通のそれの比じゃない。10kmを2分で走るなんて、御茶の子さいさいだ。


普通の人から見れば、七花は空間移動したかのようだ。もしくは七花が何人かいるように見える。


ゆえに情報が混乱するのだ。現にその話で掲示板は大盛り上がりだ。



このように『声の主』が言った通り、『情報があってもどこにいるのかがわからない』構図になってしまったのだ。

363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/10(火) 03:03:17.99 ID:q4HsgTy50

麦野は掲示板の更新をした。


すると、新しいスレがあった。

「…ん〜?」

実に興味深いものだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:20--/09/05(火) 01:23:44.35

なんか、十七学区の操車場で大爆発があって、焼野原になったらしい

今回の事には関係ないと思うが、一応言っておく



つーか、ホントにいるのか?そんなマンガみたいな超人は

梁山泊のじーさんじゃあるまいしww


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


とあった。


「――――――!!」


麦野は即座に立ち上がり、サロンから速足で出て行った。


確信はない。しかし自分の直感が告げている。

鑢七花だと。










今日はもう遅いんで、落ちます。

予定より少なくて申し訳ありましせん。


ではまた明日。
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/10(火) 03:59:33.32 ID:iQf1VP8SO
おつ
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/10(火) 07:00:59.02 ID:E6Yu7vRAO
七花と長老なら長老のが強そうだ
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/10(火) 11:41:04.02 ID:jWkemDq5o
>>365
ちょっと見てみたいよなwwwwww
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/05/10(火) 19:22:48.66 ID:cwI+B1t/0
とりあえず「とがめの遺刀」として好きに生きるという一貫した心情、絶賛被害者状態による不幸だー呪撃緩和、
鍛錬由来によりぞけぶ無効の体術、天守閣すら両断し得る虚刀流の威力・・・

いかん!ビリビリの敵討ちに勇んで其の侭真っ二つフラグや!!
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/10(火) 21:20:54.77 ID:q4HsgTy50

さて続きです。今日も頑張って書きます。

0時からTVで日常が入るんで、そこまで書き進めます。

――――――――


「…チッ…遅かったか……」


麦野は十七学区のとある操車場に来ていた。

もうそこには鑢七花の姿はなく、警備員が現場検証をしていた。


警備員と風紀委員が規制をかけている。

その規制の向こうを一目見ようと駆けつけた野次馬がウジャウジャといる。


麦野はその野次馬の中にいた。


確信はないが、鑢七花絡みの事件だとすると、いったい誰が……?


麦野が物に耽っていると……。


「すげぇな、どうなったらこうなるんだよ」

麦野のすぐ傍で事件を見ていた、不良少年3人組が面白そうに話していた。

「だよな、これも超能力ってヤツか?良いよなぁ、オレもこんな能力欲しいなぁ〜」


麦野は(なんだ、ゴミクズ共がただクッチャべってるだけか、耳障りだから喋んな、蛆虫)と聞き流そうとした時だ。




「なぁなぁ、この爆発って『発電系能力者』がやったらしいんだってよ!」


「――――――――!!」

麦野は目を見開き、彼らの話を聞き漏らさないよう、注意深く聴く。


「さっき、あっちの方で警備員が話していたのをたまたま聞いた」

「お前また盗み聞きかよ!……ロクなことになんねーぞwww」


369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/10(火) 23:37:08.66 ID:q4HsgTy50


「……っふふ…ふふふふふふふふ……」

麦野は笑いそうになるのを必死に堪えた。


「……!?」

不良少年達は気味悪そうに麦野を見る。


(ああ、なるほどなるほど、そう言うことね……ハイハイ)


ついついニヤニヤとしてしまう。


(この規模の爆発を起こせる『発電系能力者』つったら、アイツしかいないわね)



『オッサンとは聞き捨てにはできないね』

『オッサンとは聞き捨てにはできないね』


電話が鳴る。この着信は、あの女からだ。

ピッ!

「もしもし?」


『あ、麦野? 情報よ十七学区の操車場で……


「遅いわよ、鈍間。こっちはもうそこについてんだっつーの」


『…え?』


「全く、アンタはねぇ。私を舐めてんの!? なんで私より早く仕事始めたのに、私より遅いのよ!!」


『ぅぅ…』


「……まぁ、あんたを今すぐクビにしたいんだけど……、私が撒いた種だから人の事いえないから、あんまり言わないけど……」


麦野は『声の主』に言い放った。



「………あんた、ダメな女ね」



『〜〜〜〜〜〜!!』


「悔しかったら、せめて私のお願いだけでも叶えて欲しいわね」


『……え?』


370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/10(火) 23:52:16.09 ID:q4HsgTy50

「警備員にスパイを紛れ込ませなさい。……んで、アイツの居場所を調べ出させるのよ」


『……ああ、はい、わかったわ。それ位は何とかできそうよ』


「…とか言って、ヘマするなよ」


『言わないでよ! 言われるとホントにしちゃうでしょ!!』


「ああ、いいからさっさと行って来い」


『………こいつらときたらぁ〜〜〜!!! お、覚えt…』

ピッ


麦野は電話を切った。


こういう手の奴は、怒らせてからの方が役に立つ。





「さ〜て、面白くなってきたわね」


先程の不良少年だ言ってた、『発電系能力者』というのは、


十中八九、『超電磁砲』御坂美琴だろう。


これは根拠のない勘だが、御坂美琴は負けたのだろう。


結局はわからず仕舞いなのか…
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 01:15:38.47 ID:wACmSEpq0


結局、鑢七花の所在はわからず仕舞いなのか……。



麦野は操車場を離れ、十七学区のとある駅の近くの喫茶店に入り、一旦休憩をとる事にした。



「……レモンティーとケーキを一つずつ…」


「かしこまりました」


麦野は奥の窓側の席に座った。

日当たりが良い、しかしきつくない、お茶をするなら取って置きの席だった。

麦野は『アイテム』のメンバーで行動する時以外のプライベートの時間、よくここの店でお茶をする。


ここは値段が安い割には美味しい紅茶が飲める、麦野お気に入りの店だ。

初めて入った時から、ずっとここへ通っている。

麦野はすっかり、この店の常連となり、ここのマスターとも顔見知りとなってしまった。


「お待たせしました。レモンティーとケーキです。………それと、ケーキをもう一つおまけしておきました」

「あ、ありがとうございます」

常連には、こういったいいことがたまにある。


麦野は『アイテムのリーダーの麦野沈利』から、『ただの女の子の麦野沈利』になった。

ここには、あの路地裏のような臭いはしない。血みどろの光景もない。


そして、自分が血で汚れるようなことはない。


ここは、そういった物騒なモノはない。

ここは平和なのだ。だから心地いい。


確かに、あの路地裏の血の臭いは嫌いじゃない。むしろ楽しいことがある。あの弱い者を徹底的に踏み躙る感覚がたまらなくなってくる。


それに、滝壺と絹旗とフレンダとも仲が良い。ずっとこのままでいられたら……、そんな、らしくないことを考える時だってある。



でも、ここの静かな雰囲気と、古いアナログレコーダーから優しいクラシック流れてくる所が、本当に気に入っているのだ。
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 01:48:56.66 ID:wACmSEpq0

麦野はレモンティーを啜る。

「うん、おいしい」

よかった、いつもと変わらない味だ。

続いてケーキの端をフォークで切り、口に入れる。

口の中が甘い香りでいっぱいになる。

甘いものを食べると、肩の力が抜け、ついリラックスしてしまう。



ふと、麦野は窓の外を見る。


もう陽は傾き始めていた。もう学校が終わり、帰宅する者、今からアルバイトがある為、急いで駅に向かう者、これから友人とカラオケしようと数人でカラオケ店に入る者、恋人一緒に一つのパフェを突いている者……。

店の近くの駅には色々な人が幸せそうな顔で過ごしていた。


(私も超能力者じゃなくて、ただの女の子だったら、友達と一緒に遊んだり、彼氏ができたら一緒にパフェを食べたりしてたのかな……)


きっと、もうただの女の子に戻るという願いは叶わないだろう。

こんな血生臭い女は一生血生臭いままで、ずっと過ごすのだろう。


そういえば、同じ超能力者である、かつて戦った、忌々しい女…御坂美琴は、自分よりランクが高いくせに、ああいった幸せそうな生活を送っている。

麦野と美琴はかつて戦ったことがある。

その後、友好関係からスリーサイズまで、彼女の素性をとことん調べ上げた。


彼女は私と同じ超能力者なのに、闇に堕ちてはいない。

そのことが腹が立って仕方がなかった。

もしかしたら、嫉妬しているかもしれない。


(……は〜、昔の私が言ったらなんて言うんだろうなぁ)


典型的な嫌な性格のお嬢様だった私だきっと『俗物』と吐き捨てていただろう。


373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 02:16:26.38 ID:wACmSEpq0

「あの〜、なにかお悩みですか?」


「え?」


麦野は急に誰かから声をかけられ、びっくりした。


声をかけたのは、この店のマスター(年は六〇代半ばの白髪と口髭が素敵なご老人)であった。




「えっと…どうして?」


「はい、お客様がとても寂しそうな表情をされていたものですから…」


「…あ…///」

麦野はちょっと恥ずかしくなった。そんなに顔に出ていたか…。


「…なにか、お困りでしたら、是非言ってください。少しならば、お役に立てるかもしれません」


「ふふふ、ごめんなさい。こればっかりは言えないわ……」


マスターは少々残念そうな顔をする。


「じゃあ、マスター。マスターから見て私ってどう見える?」


「それはそれは、とてもお美しいお嬢さんですよ」


「……そう」


「なぜそのようなことを?」


「……いえ、なんとなく……」


麦野は顔には出していないが、内心とても嬉しかった。




麦野はレモンティーとケーキ二つを食べ終え、お会計を支払おうとした、しかし


「あ、お会計は結構です」


「え?でも…」


「…実は、この店は今月で閉める事になりました」
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 02:31:43.77 ID:wACmSEpq0

「え…?」


「ここの近くの駅の中に新しい喫茶店ができまして、ここより安くて美味しいらしく…。どうやらここでの経営は難しくなりまして…」


「そうだったんですか……」


「いつも来てくださって、本当にありがとうございました」


マスターは深々と頭を下げる。


「いえ…そんな…」


「…本当に、ありがとうございました」










麦野は店を出た。


駅まで、少し歩く。


20m程歩いた所で立ち止まって、さっきの喫茶店の方へと振り返る。


(もう、ここも無くなるのか……)



すると、電話が鳴った。

『声の主』からだ。(例の着信は流石に恥ずかしいので消した)


「見つかったの?」


『ええ、確かな情報よ』


「意外と早かったわね」


『ふん、敬いなさい! こんなことがあろうかと、あらかじめに警備員と風紀委員にどれぞれスパイを入れていたのだぁ!!』


「……あんた」


『なに?』


「その存在、忘れていたでしょ。………もしそうじゃなかったら、もっと早く情報が入ってくるはずだもの」


『………』


「図星?」


375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 02:45:33.92 ID:wACmSEpq0

『はい…』


「とにかく、その詳細を教えて」


『わかったわ、それは今、地図と一緒にメールで送るから』


「わかった」













――――――――――――――――――――――――――――――


「で、今に至るの」


ここはとある病院。


麦野沈利は滝壺理后とフレンダ=セイヴェルンに今までの事を説明していた。


「で、むぎのは今からそこに行くの?」


「そ」


「でも、結局一人で行くのは危険よ」


「大丈夫、アイツがいる所は実は警備があんまりいないのよ」


「だから一人でも大丈夫と?」


「そういう事。……じゃあ、行ってきます」



「あ、麦野!」

「いっちゃった…」


「………」

三人はただ、麦野をずっと見ていた。


後ろで、絹旗最愛が見ていたことには気づかずに
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 02:46:28.21 ID:wACmSEpq0


今日は終わりです。明日も書きます。
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/05/11(水) 16:14:23.55 ID:lpootlFu0

アイテムの面々の描写が良いな
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 19:09:45.06 ID:wACmSEpq0


「……ぅぅ……、……いけね、寝てた。……どこだ?ここ…」


鑢七花は第十学区のとある留置所で目を覚ました。


(…あれ?そういえば俺どうしたんだっけ?)


御坂美琴との戦いでの…というより最後の電気ショックのせいで記憶が曖昧だ。



(…え〜と、確か寝てたら変な雷女に襲われて、返り討ちにして、もう少しで倒せるまで行って…)


七花は記憶を順々に思い出そうとする。


(止めを刺す時に、…急に背中に何か当たったと思ったら、いきなり眠くなって………そしたら、あいつに抱き着かれて、雷落とされて…)


七花は思い出そうとするが…。


「だめだ、これ以上は覚えていない………はぁ」


七花は落ち込む。


(もう少しで勝てたのに、勝てる勝負に負けてしまった…)


「はぁ」


実際には電撃を喰らった七花は、まだ意識があった。そして電池切れの美琴に改めて止めを刺そうとしたが、ミサカ17600号の狙撃に撃たれた。


麻酔銃で撃たれた七花は倒れ、警備員の手により、留置所に送られた。


そして目覚め、今に至る。
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 22:16:11.90 ID:wACmSEpq0

「……で、ここはどこだ?」


七花は立ち上がって、現在地の確認を取ろうとした。


ガシャン…


鎖が絡む音が足元から聞こえた。

「……?」

両足に短い鎖のついた足枷が填められていて、立ち上がれない。

「…な」

鎖は地面へと繋がっていて、うまく動かないようにされている。


「な、なんだよこれぇ!」


しかも腹部と首にも枷がつけられていた。


「やっと目覚めたじゃん」


「…お前は…黄泉川…」


七花は鎖の束縛を無視して、立ち上がろうとする。


「おっと、あんまり動くと…」


「…痛ってぇ!!」


「……と、遅かったじゃん」


どうやら、美琴との戦いで負傷した両腕はまだダメージが抜けていなかった。

腕が焼けるよう痛い。


腕には包帯がグルグルと巻かれていた。

380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/11(水) 22:26:27.35 ID:VDq62FoZo
がんばれ
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/11(水) 22:57:01.56 ID:Bjoqwq+I0
乙!
やっぱりスネークだったか
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 23:01:50.03 ID:wACmSEpq0

「一応、応急措置はしておいたけど、あんまり動かないことじゃん」


「ててて……って、ここはどこだ」


「ここは第十学区にある、留置所じゃん。お前は今日…と言っても、もう昨日か、ここに運ばれた。本来、不法侵入者は一晩二晩、この牢屋で過ごし、罰金を払った後、学園都市の外へ追放する……。筈だったんだが」


「なんだよ」


「お前、この街で散々暴れまくってくれたじゃん? それで修理代と慰謝料と罰金が、お前に請求されてるじゃんよ」


「は?」


「まぁ…ざっと占めて約16億円か…。要はお前に16億円の借金があるじゃんよ」


「え…?」


「もちろん、16億なんて金は一生の内には集まらない数字だ。そこでだ、お前には特別な処置が下されるらしい」


「ちょっと待て。言っていることがわかんねぇんだが……てか、お前ら俺の話一回も聞いてくれないのなぜなんだ!?」


「詳しい話は明日になったら聞くじゃん。それよりも、お前のその体を何とかするじゃん。 医者が驚いていたじゃん、どうしてそんな体で動けるんだってな」


そういって、黄泉川は去って行った。


「じゃあな、おやすみ」


「おい!ちょっと待て!!」


ガシャン……!!


鉄格子が閉まる音が周囲に響く。





「くっそ、なんなんだ……」


七花には珍しく、苛立ちを覚えた。

誰も自分の話を聞いてくれない、聞こうともしない。

襲ってくるのがあちらなのに、全てが自分が悪い事になってしまっている。

それが腹立たしくてしょうがなかった。

383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/05/11(水) 23:14:43.90 ID:hZ2PqRYIo
学園都市に話を聞いてくれる人はいないのだろうか
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/11(水) 23:24:58.79 ID:lnFNrx/h0
黄泉川さん先生なんだから話し聞いてあげて下さい
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/11(水) 23:31:34.71 ID:wACmSEpq0


とがめが死んで、尾張城での戦いを生き延び、とがめが言っていた地図作りの旅を、なぜかついてきた否定姫と一緒にしていたら、

突然異世界に飛ばされて、襲われ、逃げて、捕まって…挙句の果てには正当防衛の筈なのに借金ができたそうな…。


「不幸だ…不幸すぎる…」



何がいけなかったのだろうか、最初っから大人しく捕まっとけば良かったのか?



七花は落ち込んだ。ただただ落ち込んだ。

なぜ自分がこんなことになってしまうのだろう…。


「とがめだったら、こんな時どうすんだろう………?」




と、その時、牢屋の遠くで爆発が起こった。




「―――――――――――!!?」




「な、なんだ!?」

「侵入者です!!」

「なにぃ!? 何人だ!?」

「ひ、一人です!!…ぅ…ぅぁ……ぐわああああ!!」

「どうした!!」

「お、恐ろしく強いです!! 銃が効きません!!」

「な、なにぃ!? …ええい、俺が出る!! ショットガンで吹っ飛ばしてくれる!!」

「しかし、侵入者は学生の模様!!」

「んな…なにぃ!?………て、うわあああああああああああああああああ!!」



遠くから銃声と悲鳴と何かが焼ける音がした。

それはどんどん近づいて来た……。

煙が周囲に立ち込めた。座っている七花の口や鼻に煙が入ってきて、ゴホゴホッと咽せ返ってしまう。




そして

「はぁ〜〜い、お久しぶりね、鑢七花。元気にしてたかにゃ〜ん? よくも私の顔に膝蹴りしてくれてたわね!!」

麦野沈利は七花の牢屋の前に立っていた。

386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/11(水) 23:35:02.11 ID:xGHf1NHvo
この黄泉川は一回殴られとくべき
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/11(水) 23:44:51.98 ID:Bjoqwq+I0
この黄泉川は暗部と繋がってても違和感無いな
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/11(水) 23:58:54.34 ID:9JB0LpXVo
黄泉川先生は学生というか子供相手には、一方通行のような人間でも親身になるけど、大人相手では、こんなもん。かな?
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 00:23:59.60 ID:pAwGFRXx0


「お前……」


「なに? あまりにも王道過ぎる救出方法に、感動して涙が出てきちゃった?」


「……誰だ?」


「……………………………………………………………………は?」


「いや、ちょっと待て、なんかこう、もう少しで出てきそうなんだ……、ええと…」


「折角かっこよく登場したのに、スッゲェ萎えるわ」


「待て待て、喉に引っかかって出てこない感じ…」


「ごめん、帰っていい?」


「あ、思い出した! 俺がここに来てから最初に出会った奴か!!」


「…ふ〜、やっと思い出したか…。まぁいいわ、すぐに逃げるわよ」


麦野は鉄格子の鍵を自分の能力の熱で溶かして開けた。


中に入ると、次に七花の足、首、腹部の枷も熱で溶かして外す。


「…ぅ熱!」


「我慢しなさい」


枷を全て外して、外にでる。


そこには車が一台、止まっていた。


「こっちこっち!早くしてください! 通報を受けて警備員と風紀委員が来ます!!」


『アイテム』の下っ端組織の下っ端が車の中で早く早くと急かす。


麦野が、車を珍しそうに見る七花を先に足蹴りして詰め込む。


「っ痛てぇな、おい!」


麦野は「膝蹴りのお返しよ!」七花に吐き捨てながら車に乗る。


「出て」


車は勢い良く発進した。

そして、すぐに見えなくなった。

390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 00:25:08.47 ID:pAwGFRXx0

今日はここまでです。ありがとうございました。

391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/12(木) 00:35:49.25 ID:QG2pcxtf0

この調子だと七花は暗部墜ちかな
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/12(木) 00:36:57.82 ID:pghXbjdno
仕事って言われても言うこと聞くか微妙だがどうなんだろ
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/12(木) 01:20:01.20 ID:Q7DHBsaS0
話聞かないにしてもこの場合むぎのんが天使に見える
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/12(木) 02:25:08.77 ID:vDdOx5tIO
麦野達が虚刀鑢の使い手になるのか
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/12(木) 02:46:10.21 ID:OrFjZXXjo
否定姫だせよおい!
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/12(木) 08:27:21.94 ID:CNfCYM/AO
>>395
だなぁ
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/12(木) 08:45:43.80 ID:/0PPBKIDO
その
幻想を
否定する
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/12(木) 13:00:11.11 ID:YRgq6u+70
相変わらず御坂はウザキャラだな
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/12(木) 15:00:05.84 ID:Q7DHBsaS0
>>394
手が付けられないってレベルじゃない
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 15:22:19.32 ID:pAwGFRXx0

こんにちは、続きです。

明日は、大学の新入生の合宿があるので、お休みします。


――――――――――――――――――――――


七花が留置所を脱出した頃


「今戻りました」


黄泉川愛穂は自分が所属する警備員第七三支部に帰ってきた。


「おお、戻ったか」


支部にいたのは、上司である美濃谷肖像だけであった。


「黄泉川、ちょいとこっちに来て茶でも飲まんか。わざわざ静岡から取り寄せたお気に入りだ」


美濃谷は棚から湯呑を二つと急須を出した。

「ここの茶葉はどうも好かん。やはり、人の手で丹精込めて作ったものが一番だ」

ポットのお湯を茶葉が入った急須に注ぐ。


「登条もそんなことを言ってましたね」


「ああ、しかし彼奴が言っていることは間違っちゃあおらんが、五月蝿くてたまらん。どうしたものか…」


「あはは、そうですね」


美濃谷は急須と湯呑を盆に乗せて運ぶ。


「そこのソファに座れ」


二人はテーブルを挟んで、対になって置いてあるソファに向かい合って座った。


「…他のみんなはどこへ行ったんですか?」


「もう帰らせた。黄泉川、あの小僧はどうだった?」


「…いえ…特には…。ただ、いくら大罪人でも、可哀そうでした。……鑢七花はここに来てから、誰も話を聞いてくれないと言ってました」


「そうか…」

401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 15:50:19.39 ID:pAwGFRXx0

美濃川はお茶を湯呑に少しずつ、交互にいれる。

美濃谷は黄泉川の前に湯呑を出す。黄泉川はそれを両手で持ち、少し飲む。


「…番茶ですか」


「そうだ、出来立てだ」


美濃谷も自分のお茶を啜る。


「うん、うまい」


「話を戻しますが。一応アイツとの面会時間をとっておきました。午後には行きます」


「いや、その必要はない。お前が行く時には、小僧はおらん」


「…? それはどう言う意味ですか…?」


その時、急に机に置いてあった電話機が鳴った。

黄泉川はすぐに受話器を取る。


「はい、こちら警備員七三支部」


美濃谷は落ち着いた対応をする黄泉川を見ながら、お茶を啜る。



「………はい。…はい…え、ちょっと、それって……!?………はい…はい、わかりました」


黄泉川は受話器を置いた。


「……鑢七花が、留置所から脱走したそうです…。今、第十学区の警備員が調査と追跡をしているそうです」


「そうか」


「美濃谷先生、先生が言っていた意味はこのことですか?」


「いや、別の意味だ。流石にここまでは予想していなかったよ」


「……とりあえず、留置所に戻ります!」


黄泉川はソファから立ち上がろうとした。


「行くな!!」

しかし美濃谷が黄泉川の腕を掴み、止めた。


「な…なんですか!?」


「留置には行くな」
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 16:08:02.88 ID:pAwGFRXx0

「なぜですか!」


「いいから行くなと言ってる」


「答えになっていません! もし、あいつがまた暴れて、子供たちに何かあったら…!」


「わしは、お前の命の心配をしているのだ」

美濃谷は声色を低くして言った。

「…な…」


ただそれだけで、黄泉川は動けなくなった。


「詳しくは言えん。これは学園都市の『闇』の問題だ」


美濃谷の眼力のせいで、声のせいで、何十人、いや何百人もの人が自分の体を押さえ付けていような錯覚が起った。


「下手すると…死ぬぞ」


黄泉川は美濃谷の忠告に応じ、ソファに座る。



「別の話をしよう。登条が例の爆発現場で拾った物…なんだかわかるか?」


「あれって、髪の毛でしたよね」


「どうだ、おそらく小僧のだろう。そこでだ、昔からの知り合いの医者にDNA鑑定をしてもらったのだが…少々面白い結果が来てな」




403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 16:44:20.51 ID:pAwGFRXx0


――――――――――――――――――――――――――

その数時間前、第七学区の病院。


「麦野、大丈夫かな」

『アイテム』の構成員であるフレンダ=セイヴェルンは、先程出て行った『アイテム』リーダー 麦野沈利を心配していた。


しかし、同じく『アイテム』構成員 滝壺理后が言った。


「大丈夫、むぎのは絶対に帰ってくる」


「そうだと良いんだけど…」


そこへ、冥土返しが歩み寄ってきた。


「ちょっといいかい? ちょうど時間が空いてるから、一つ面白い話をしようかな」


「なに? せんせい」


「とりあえず、そこのテーブルの席にでも掛けてくれないか? 立ち話は年寄りには少々きつくてね?」


冥土返しが指をさす方にはテーブルと、それとセットのイスがあった。

フレンダと滝壺はそのイスに、並んで座った。

いた
「ちょっと待っててね? 昔からの知り合いの警備員から貰ったお茶葉があるから、それでお茶にしながら話そう。今、それと茶菓子を持ってくるからね?」


冥土返しは踵を返し、お茶葉と茶菓子を取りに、自分の仕事部屋に戻る。


「あと、そこのお嬢さんも一緒にどうだい?」


「「!?」」

滝壺とフレンダは同時に立ち上がる。


「バレてましたか…」


三人の視線の先には、ひっそりと隠れていた、『アイテム』の構成員 絹旗最愛がいた。



404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 17:37:05.61 ID:pAwGFRXx0


「さて、先程のことなんだけどね?」


席には、滝壺、フレンダ、絹旗が並んで座り、向かいに冥土返しが座っていた。

フレンダはどんな話だろうと、ワクワクしていた。

しかし

「その前に、ちょっと生物の勉強をしよう」


「…って、あれ? なんで? しかも私が嫌いな生物…」

フレンダがプレゼントをお預けされた子供の様な顔をする。


「まぁまぁ、そう言わずに」


冥土返しはコホンと咳払いを一つする。



「まず、ヒトの体は細胞の集合体なのは知っているよね?」


「はい」「その位は…」「それなら超常識です」


「その細胞を作る為にはDNA…いわゆる人体の設計図みたいのが必要だ。そのDNAを元に細胞が作られ、人体が作られる…ここまではいいかい?」


「はい」「超大丈夫です」「そこはこの前TVで見た」


「細胞を形成するためにはDNAだけじゃ出来ない。設計図だけで家を建てれないだろう? それと同じで、建てる為には大工や木材が必要だ。

その木材がタンパク質で、大工の役をするのがRNAというものだ。RNAは色々な働きをしている。

ここからは難しいから、あとで詳しく言うけど、

簡単に言うなら、DNA(設計図)を見て、それを元に細胞(建造物)を建てる…それがRNAだ。…色々と端折ったけど、大丈夫かい?」


「大丈夫」「なんとか」「ごめん、もうついていけない…」


「要は、大工が家を設計図通りに作るような感じだよ?……まぁ変更はするけどね?」


「???」


「まぁ、あとで調べてくれ。滝壺さん、ヒトのDNAとチンパンジーのDNAはどれくらい違うか知ってるかい?」


「1%」


「良く知ってるねぇ。じゃあ、ヒトとヒトのDNAの違いは?」


「0.1%」


「そう、簡単に言うと、フレンダさんと絹旗さんのDNAは0.1%しか変わらないってことだよ?」


「あ、そういうこと…。じゃあ結局、先生と私も、DNAはほとんど同じって事こと?」


「そう。で、問題はそのDNAの違いだ」
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 18:08:12.85 ID:pAwGFRXx0


「君たちが言っていた……鑢七花くんだっけ? そのお茶のお茶葉をくれた警備員の友人がね? 彼の毛髪を、絹旗さんと戦った場所から発見して、 一応この国の誰か調べる為だからDNA鑑定してくれって、僕の所まで持ってきてね?」


「もしかして、そのお礼にこのお茶を?」


「そうだよ。口に合わなかったかい?」


「いえ、超美味しいです」


「そうかい、なら良かったよ。…昔から強引な人だったからねぇ。仕方なく鑑定したところ、驚きの結果が出たんだよ……」


冥土返しは一旦、お茶を飲む。


「実はね、彼のDNAは…………」







「ヒトのものとは違うんだよ」





「へ?」

フレンダが素頓狂なリアクションをする。


「せんせい、それってどういう事なんですか?」


「うん、彼のDNAはヒトとは若干違っていたんだよ。およそ0.25%。小さな違いだけれど、とても大きな違いだよ?…絹旗さん、君は鑢くんと戦った時、不思議に思わなかったかい?」


「…? 何がですか?」


「うむ、滝壺さん。能力追跡で君は彼を能力者に見えたかい?」


「いや、やすりしちかから、AIM拡散力場は検出されなかった。………彼は学園都市の人間じゃない」


「な…」


「そういう事だ。滝壺さんから聞いていたけど、彼、粉塵爆発の燃焼速度より速いんだって? なぜ彼は超能力を使えないのにそこまで速く走れたのだろうね…? その身体能力は一体どこから来たんだろう?(……魔術の可能性もあるが、この子達には伏せておこう)」

406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 18:25:26.49 ID:pAwGFRXx0

――――――――――――――――――――

ここは警備員七三支部。


「と言うことだそうだ」


「……と言うことは、彼は人間じゃないと?」


「それは例えだ、確かに人間だそうだ、構造的にの話だが。 まぁ確かに生身で操車場を壊滅状態にできるなら、人間ではないな」


「……、彼はどうなるのでしょうか」


「まぁ、もしもDNAの事がバレたら、小僧は実験台にされるかもな…」


「…!」


「でも、あいつはそんなことはさせないと思うがな」


「…それはどういう…?」


「こっちの話だ、気にするな…。……飲み終わったな。もう帰れ、もう2時を回ってる」


「…あの…」


「どうした?」


「どうして、この話を…? もしも私がどこかの研究者にこの情報を金で売るかもしれないのに」


「ふん…」

美濃谷は笑う。

そして、こういった。

「それは、お前がそんなことは絶対にしないと思っているからだよ」





「さ、帰った帰った。良い子はもう寝る時間だ」


「……お、おやすみなさい…」

黄泉川は納得しなかったが、結局は帰って行った。


美濃谷は二つの湯呑と急須を盆に乗せて、流し台へと持って行った。


軽く水洗いをしてから、さっさと片づけた。
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 18:51:02.32 ID:pAwGFRXx0

――――――――――――――――――――――

その頃、第十学区の留置所。


「おい、おい、おいおいおい!! どぉなってんだぁ!?こりゃあ!?」


白衣を着た、いかにも科学者といった格好の男が大声で騒いでいた。



「はい、侵入者 鑢七花は先程ここから脱走、車に乗って逃走中とのことです。外から襲われたらしく、恐らく協力者がいるようです」


「あーそーゆーこと…。ご報告ご苦労さん!!」


男の周囲には黒装束…全身黒色の防具服を着た集団がマシンガンや手榴弾などの重装備を持って集まっていた。


「で? お前らは何をしていたのかなぁ?」


男の目の前には、麦野にボッコボコにされた、留置所の警備をしていた物たち、五人が一か所に集められていた。手足には手錠が掛けられている。


「…私たちはいつも通りに犯罪人を警護していたら、急に何者かに襲われて…気がついたらこの有様だ」


男の質問に留置所の職員が答えた。


「はい、役立たず。……やれ」


「…な、何を…?」

黒装束の一人が質問に答えた職員を引っ張り出した。

「うわっ!」


「じゃあな、役立たず君」

「ちょっと、何を…」

それが彼の遺言だった。


黒装束の三人が彼の目の前に立ち、


マシンガンで撃ち始めた。



蜂の巣になった職員はしばらくは愉快に踊ったが、マシンガンの弾が無くなると、赤いオブジェになって地面に転がった。
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 19:10:27.72 ID:pAwGFRXx0


「「「「……………………………………………」」」」


唖然と同僚の死を見た四人。


一方

「あひゃぁぁぁああああ!!!」

白衣の男は楽しそうに笑っていた。


「おいおい、聞いたかよ、今のぉ!! あいつの最期の言葉 最ッ高に笑えるよなぁ!! かっこわりぃぃ!!」


彼の問いかけには誰も応えない。


「まぁ、アイツは惨めな役立たずだったけど、最期に俺を爆笑させたからイイ人生だったじゃねえか!!」


あっははははは!!と高らかに笑う男。


「あ、悪魔だ……」

ボソリと、職員の一人が言った。 いや言ってしまった。


「ああ? オメェ、今なんつった?………アア!?」


男はその職員の胸倉を掴んだ。


「オメエさん、俺を悪魔と……ほぉ、悪魔と。……へぇ、悪魔と…」


「ひぃ」


「おい!!こいつもだぁ!!」


男は職員を先程の、処刑場へと放り出した。


「……やぁ…やめてくれぇええええええ!! 頼む!! たすけ…」


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ…………………


「ぎゃああああああああああぁぁぁぁ…………」


断末魔は発砲音にかき消され、代わりに赤い液体を撒き散らしながら肉片と化した。



「ぎゃあはははははははははははははははははははははははははははぁ!!」


そしてまた男は笑う。
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 19:29:29.37 ID:pAwGFRXx0

「なにあのお助け頂戴的な台詞はぁ!! なんなんだこの集団は!!芸人集団かコン畜生ぉ!!」


「あわわわわわ…」

怯える残り三人になった職員たち。


「おい、責任者は誰だ?」


男の問いに、麦野にショットガンをブチかまそうとした男が答える。

「お、俺だ…」

どうやら、彼がこの留置所の責任者らしい


「さて、ここで問題です!! 今、ワタクシが一番知りたいのは何でしょうかぁ!?」


やけにハイテンションな出題者に責任者はビックリしながら答えた。


「……なにぃ!……げ、現状報こk…」

「はい、ざんねーん!!」

言い終わる前に、責任者の男の顔面に膝蹴りを叩き付ける。


「ぐゎああああああああ!!! ……なにぃ……!!」

男は彼の後頭部を掴み、地面に叩き付ける。

一回じゃない、二回、三回……。

「俺が言いたいのはなぁ。現状報告じゃなくて、…その協力者の特徴とかぁ!! どこに逃げて行ったかぁ!! 奴らの目的とかぁ!!そんなモンなんだよぉ!! なーんでそんなチョー簡単なクイズがぁ!!わかんねぇのかなぁ!! テメェはよぉ!!!」


男は大声で叫び続けながら、叩き付け続ける。

ゴシャ…ゴシャ…ゴシャ…と骨が砕け、肉が潰れる音が、地面とリズミカルに奏でる音が響いていた。


「はぁはぁはぁはぁ」

男は手を止めた。


責任者の彼は意識はあるようだが、虫の息だ。


「飽きた。こいつもやってくれ」

「ラジャー」


そして、責任者の彼もまた。ただの肉片となった。


そして、また男は笑う。…………………笑わなかった。
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 19:50:27.28 ID:pAwGFRXx0

「ん〜。なんかこれも飽きて来たなぁ〜。おもろねえわ」


そして男はとうとう二人になった職員を見下ろした。


「ま、そういう事だわ。わかるよね? 俺が言いたいこと」


コクコクコクと職員二人は高速で頷く。

そして高校生位の女の子がここを襲い、鑢七花を連れて、車に乗って去って行ったことを告げた。


「よーし、いい子だぁ! お礼に命は免じてやろう」


ホッと安心する二人。


しかし、



「え〜。只今よりぃ〜第一回 こんな留置所職員はいらないから死刑だ裁判を開廷します」


え?何言ってんだこの人?という顔で男を見た。


「罪人はこの二人ぃ! 罪名は学園都市にやって来た侵入者君を取り逃がした罪だぁ!! よって死刑!! 以上裁判終わり!! 」


「………」


呆然と死刑判決を受けた二人。


「引き続いてこれより処刑をはじめまぁ〜す!! みなさん拍手ぅ〜!!」


…………………。


「拍手」


…パ、パチパチパチパチパチ…。


「はぁくぅしゅっ!!」


ウオオオオオオオオオオオオオオ!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/12(木) 19:51:29.29 ID:5XNtTGl4o
( ゚Д゚ノノ"☆パチパチパチパチ
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/12(木) 19:51:50.28 ID:GTkfg/2H0
88888888888
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 20:12:59.70 ID:pAwGFRXx0

後ろで黒装束の集団が雄叫びをあげながら、拍手する。



「ちょっと待て、命は免じるって…」


「ああ、それは、この俺の質問に答えなかったからだよぉ」


「…んな理不尽な…!!」


「理不尽だろうが、デヴィ夫人だろうがぁ!! …今はこの俺様が法律だぜぇ……。かー、言ってみたかったんだよなぁ〜この台詞!! さて、おい!こいつら黙らせろ!」


黒装束の集団から二人、職員の口に縄を噛ませ、喋られないようにした」


「んんんんんんんん!!」

「んん!!………んんんんんんんんんんん!!」



「よし、右のこいつはあそこの壁に張り付けとけ、左のこいつはテキトーに吊るしとけ」


「「んんんんんんんんんん!!」」

黒装束がそれぞれ二人を担ぎ、男の言われた通りにする。




「よーし、第一班と第三班は、壁に張り付けた奴を的に遠距離ライフルで射撃訓練だ。いきなり殺すなよ、手足から順々に当てていけ」

「ラジャー!」


「第二班のジャックとクレイジョーとミハイルは吊るされたアイツをバットでバッティング練習だ。テメーら今週の日曜の教師対抗野球大会の我がチームのクリーンナップだからな、しっかりフルスイングで練習しとけよ。 そして前回惨敗した、MAR木原ライフラインマンズのヘボピッチャーに、あたかも先日の阪神×巨人の如く、クリーンナップ三連発をお見舞いするのだぁ!!」

「「「ラジャー!」」」


「で、残りは俺と一緒に留置所の調査だ」

「ラジャー」


414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 21:53:16.74 ID:pAwGFRXx0

「あーあーあー、そりゃまぁ、派手にやってくれちゃってぇまぁ…」


留置所の中はまるでレーザーを連発したかのような痕が沢山あった。


(女子高生に襲われて…とか言ってたな、あいつら……。痕から見て、この火力は…アイツしかいねえ。……麦野だ)


「まったく変な仕事増やしやがって。 折角俺たちみんなで飲み会やって、いよいよ二次会行くぞぉ〜って時にアレイスターから電話かかって来て、仕事の依頼とか…。で、いざ来てみたらこんなのか…ふざけてんじゃあねェええよ、まったくよぉ!!……うおっとと…」


男はフラついた。

そう、この男を始め、黒装束の集団全員で第三学区の高級居酒屋で宴会をして、男の奢りで二次会にカラオケでも行こうぜという勢いだったが、急遽仕事が入り、酔ったまま、この留置所に来たのだ。



そして、仕事の内容は 留置所にいた鑢七花が逃げたので、それの追跡。それと職員の処罰である。


はずがない。



「…お水をお持ちいたしました」

「おお、すまねえな」

男は部下から貰ったペットボトルの水をグイッと一気飲みする。


「…ぷはぁ! うっめぇなぁおい!」



酔っ払い男は熱で溶けて壊れた牢屋の前まで来ていてた。


(ここに鑢とか言ったヤツがいたのか……)

男は中に入り、あたりを見渡す。


(情報によると、奴は街をウロウロしていたら、警備員に捕まってが、脱出、そのあと喧嘩を売ってきた『アイテム』の小娘を返り討ちにしたあと逃亡した。後も警備員と風紀委員に何度か襲われるが、全て返り討ちにしている。 数時間後、十七学区の操車場で『超電磁砲』とドンパチやって敗れ、警備員に捕まり、ここに収容され、脱走。そして今に至る。……こんなものか…)
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/12(木) 22:14:12.19 ID:Q7DHBsaS0
木原くンド鬼畜すぎンだろォ…
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/12(木) 22:26:23.91 ID:QWp17YXIO
七実なら木原神拳は楽勝なんだろうなー。
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 22:32:01.03 ID:pAwGFRXx0


男は溶けた鎖を見つけ、手に取る。 大分冷めたが、まだ生ぬるい。


(学園都市の防衛力の司る警備員と風紀委員が全く歯が立たなかったってか…。まったく、どんな奴か見てみたかったねぇ)




男はすくっと立ち上がり、周りで作業(と死刑)をしている部下に大声で命令した。


「おいテメーらぁ、撤収だ!! 各自、後片付けを始め、終わり次第においとますんぞ!」


「「「ラジャー」」」


(まったく、ホントに残念だよ。…使えるような奴ならウチに入れてもいいってアレイスターが言っていたのによぉ)


男は牢屋からでる。

「全くよぉ、折角人が気持ちよく飲んでたのに仕事が来て、酔ったまま頑張って出勤してきたのによぉ。結局は来てみても、何もなかったてか、何だそりゃ、どこのコメディーだよ、おい!」

ぶつぶつ小言を言いながら速足で留置所をでる。


「おい、そこのキタネェ物体もちゃんと後始末しとけよ」

彼は地面に転がったオブジェ三体と、三人のバッターにタコ殴りにされた潰れたトマトと、壁に張り付いた赤いシミを指さし、第一班と第三班とジャックとクレイジョーとミハイルにそう指示した。

後始末には30分もかからない。

日が昇る頃には、死体も赤い血痕もきれいに消え、ただ穴だらけになった留置所があるだけになるだろう。


「ああ〜〜もう、来て損した。 オメェら!それ終わり次第に宴会の続きやんぞ!! 集合場所は第四学区のスナックだぁ!!」


「「「「「「ラジャー!!!」」」」」


「俺は先に行ってるからなぁ、じゃあな!!」


男は車(恐らく留置所の職員の車だろう)に乗り、去って行った。






男の名は 木原数多。

研究者である。


そして学園都市統括理事長 アレイスターの直属部隊『猟犬部隊』の指揮官でもある。



そして、木原がここに来た理由は一つ


侵入者と思しき人物、鑢七花を拘束すること。



木原はアレイスターから使えるのならば部隊に配属させても良し、そうでなければ実験台にしても良し。


そう、伝えられていた。
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/12(木) 22:39:01.14 ID:pAwGFRXx0


今日は以上です。明日はお休みします。


木原くンをメッチャ残虐にしてみました。

でも、それだけじゃつまんないので、部下と飲みに行く、テンションの高い、ちょっとお茶目な上司にしてみました。


さて、次回か次々回で序章は終わりです。

みなさん、お楽しみに。
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/12(木) 22:58:01.21 ID:L0OSe8Tqo

今日発見して読んだ
おもしろいです
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/12(木) 23:38:54.24 ID:Ea+BE+JAO
これだけやってまだ序章…だと…!?
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/12(木) 23:53:15.76 ID:lLlnjZLDO
なん…だと…

>>1の能力測りしれん!

乙です!
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/13(金) 06:19:47.53 ID:jl6tNdpAO
木原とは恐くて飲めねー
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/14(土) 21:35:14.16 ID:YvL2rYOd0
こんばんは、続きです。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


一方、第七学区の病院。

ここでは冥土返しは滝壺理后・フレンダ・セヴェルン・絹旗最愛の四人とテーブルを挟み、向かい合わせで会話していた。

今は冥土返しは三人に『鑢七花のDNAは人間じゃない』と説明し終わった所だ。



「……という訳だ。」

一拍おいて、冥土返しは三人に訊く。

「何か質問はあるかい?」


「あの…」

絹旗最愛が口を開いた。

「鑢七花のDANが人間のと0.25%違うという事はわかりました。 じゃあ鑢七花は人間じゃないってことですか?」


「うむ、それはわからないよ。結局、人間と違う所はその0.25%だけだった。 失礼だけど、1%のチンパンジーより人間に近い」


そこへフレンダが口を挟んできた。

「わかりやすく言うと、結局チンパンジー以上人間未満ってな訳よ」


「いや、ちょっと違うね」


「ありゃ…」


冥土返しはフレンダの意見を否定する。

「確かにチンパンジー以上だが、人間未満じゃない。 話通りと男なら、彼は“人間”上の“人間”だよ」


「せんせい」


今度は滝壺が口を開いた。


「人間以上の人間って、それはもう人間じゃないじゃないんですか?」


その質問に冥土返しは答える。

「いや、実はそうじゃない。彼のDNAは確かに違っていた部分があったが、その他の部分はちゃんとした“人間”だったんだよ」


「なるほど…」

滝壺は質問の返しはちゃんと理解が出来たようだ。


「………?」

しかし、フレンダの頭の上には?マークが乱立している。
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/14(土) 22:06:14.91 ID:YvL2rYOd0

「まぁ、詳しいことは彼が来て、ちゃんと調べてから話すよ」



すると、コツッ…コツッ…コツッ……とテーブルのある、休憩室の横にある、外へと続く廊下の奥から、ヒールの踵が床を蹴るような足音が聞こえてきた。

その足音の他にズル…ズル…ズル…と何か重たい物を引きずる音も聞こえる。


「…おっと、噂をすれば帰ってきたようだね」


暗い闇に包まれた廊下の中から麦野沈利が現れた。……………鑢七花を引きずって。


「ただいま」


「お帰り、どうやら無事だったみたいだね?」

冥土返しが麦野の前に出る。


「ふん、あんな陳腐な留置所なんて私の敵じゃないわよ」


「そうかい、それはよかった」



「麦野ぉ!!」

「!!」


急にフレンダが麦野に抱き着いてきた。

麦野はバランスを崩すが何とか持ちこたえる。


「おっと、フレンダ…。離しなして、重い…!」


「麦野ぉ〜!」


「ちょっと、フレンダ…」


「むぎの、ふれんだの気持ちもわかってあげて? みんな心配してたけど、ふれんだは一番むぎのの事を心配していたの」


「滝壺……」


「そうですよ、私も超心配してたんですから…」


「絹旗…」


麦野はふっと微笑んだ。


「みんな、ありがとう」




と、その時

「あのよ、感動の再開中に申し訳ないんだけれどよ。どうして俺は縄で縛られているんだ?」

麦野の足元から声が聞こえた。


麦野の足元には、頑丈そうな縄でグルグル巻きにされた鑢七花が転がっていた。
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/14(土) 22:06:14.57 ID:YvL2rYOd0

「まぁ、詳しいことは彼が来て、ちゃんと調べてから話すよ」



すると、コツッ…コツッ…コツッ……とテーブルのある、休憩室の横にある、外へと続く廊下の奥から、ヒールの踵が床を蹴るような足音が聞こえてきた。

その足音の他にズル…ズル…ズル…と何か重たい物を引きずる音も聞こえる。


「…おっと、噂をすれば帰ってきたようだね」


暗い闇に包まれた廊下の中から麦野沈利が現れた。……………鑢七花を引きずって。


「ただいま」


「お帰り、どうやら無事だったみたいだね?」

冥土返しが麦野の前に出る。


「ふん、あんな陳腐な留置所なんて私の敵じゃないわよ」


「そうかい、それはよかった」



「麦野ぉ!!」

「!!」


急にフレンダが麦野に抱き着いてきた。

麦野はバランスを崩すが何とか持ちこたえる。


「おっと、フレンダ…。離しなして、重い…!」


「麦野ぉ〜!」


「ちょっと、フレンダ…」


「むぎの、ふれんだの気持ちもわかってあげて? みんな心配してたけど、ふれんだは一番むぎのの事を心配していたの」


「滝壺……」


「そうですよ、私も超心配してたんですから…」


「絹旗…」


麦野はふっと微笑んだ。


「みんな、ありがとう」




と、その時

「あのよ、感動の再開中に申し訳ないんだけれどよ。どうして俺は縄で縛られているんだ?」

麦野の足元から声が聞こえた。


麦野の足元には、頑丈そうな縄でグルグル巻きにされた鑢七花が転がっていた。
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/14(土) 22:07:29.29 ID:YvL2rYOd0

すいません。上の2つはダブルクリックしちゃいました。

申し訳ございませんでした。
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/14(土) 22:09:10.58 ID:N9Hn8NzLo
気にするな最近重いから書き込みミスって出た時は一回リロードするといい
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/14(土) 23:40:58.04 ID:LUGSv+ico
さあどんどんこい
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 03:40:28.89 ID:y9CeNQet0

冥土返しは彼に訊いた。

「君が鑢七花くんかい?」


「ああ、そうだが」



「へ〜、これが例の…」


「あ、フレンダは身近に見るのは初めてだったわね」


「結構体が大きいけど……意外と普通だね」


「いや、色々とおかしいでしょ、恰好とか顔とかの傷とか」


「いやいや、私が想像していたのは毛深くて腕とか足とかが丸太みたいで、メッチャごっつい大男だったんだけど…。先生、これどこからどう見ても人間じゃないですか」


「は?」

「おいそれってどういう…?」


「それは今から調べるよ。滝壺さん、さっきの説明を麦野さんに。鑢くんはちょっと僕について来てね?」


「わかった。むぎの、ちょっと来て」


「はいはい、じゃあオッサン、後はよろしく」


「君、まだ懲りないようだね? 鑢くんはついて来てね?」


「いや、俺は縛られて動けないのだが…」


「じゃあ絹旗さん、手伝って?」


「超わかりました」


冥土返しは検査室へと向かう。

絹旗は七花に巻かれている縄を持って、彼の後をついて行く。


「ちょっと、いったいどこへ行くんだ?」


「ついて来れば超わかります」


「んなこと言われても……。って絹旗じゃねーか」


「あ、名前をやっと超覚えておいてくれましたか」


「ああ」
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 03:46:28.75 ID:y9CeNQet0

「早くしないと、置いて行っちゃうよ?」


「はーい。んじゃ、早く行きますか」


「あ、ああ」


「って行っても、引きずって行くのは少々キツイですね…。…それでは、………ぃよっと」


絹旗は七花の巨体を軽々と持ち上げ、走って冥土返しの後を追って行った。










「むぎの…」


「なに?」


「どうして、あの人を縛ったの?」


「だって、急に暴れたら大変じゃない」


「……それだけ?」


「それだけ」


「むぎのって、相変わらず酷い事をするよね」

























今日はここまでです。ありがとうございました。
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/15(日) 17:15:28.61 ID:s2kcXWJuo
絹旗のセリフにでてくる「超」のつく場所がとってもとっても違和感を覚える
もうちょっと考えたほうがいいかも
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 18:21:06.14 ID:y9CeNQet0

>>431さんあ、ありがとうございます。

これを言っちゃうと言い訳にしか聞こえないのですが、どうも絹旗の台詞が書きにくいです。


まぁ、真庭忍軍のあの人よりはいいですが…。



―――――――――――――――――――――――――――――――


午前5時40分

学園都市を覆っていた、黒く染まりきっていた空がだんだん青色に変わっていく。

夜が明けた。

この学園都市に乱立するビル群の隙間に朝日が差し込んでくる。



その眩い光を窓から浴びながら、麦野沈利は朝を迎えた。

麦野はテーブル席に座り、紙コップに入ったコーヒを飲む。

向かいの席には滝壺理后とフレンダ・セルヴェルンがお互いに寄り添って眠っていた。

彼女らの肩にはそれぞれ毛布が掛けられていた。

これは麦野が掛けたものだ。


ムニャっとフレンダは寝言を言う、その拍子に毛布が肩からズルッと落ちる。

それを見た麦野は微笑みながら、さっさとその毛布を元の場所へ戻す。

まるで我が子等を見つめる母親か、小さな妹達の世話をする優しい姉のような表情だった。


そこへ

「やあ、おはよう」

「ひゃあ!」

冥土返しがやって来た。

麦野は彼の突然の登場で、少々可愛らしい悲鳴を上げる。

「な、なんだ、あんたか…。(…さっきの見られてないよな?)」ドキドキ

「驚いたよ、君にもそんな一面があるとは思わなかったよ」

「!!」

冥土返しは微笑ましそうな顔で彼女を見る。

「なんだよ、お、女がちょっと可愛い悲鳴をあげたら、ダメなのか?」

「いや、それもあるし、ダメじゃないけど。 私が言っているのは、君が彼女らに向けていた表情だよ?」

「な……!」カァー///

「いや、ホントにいい顔だったよ。君いいお母さんになれるよ?」

「……こんのぉ…オッサン…」

「いや実に善いことだと思うよ?」

「〜〜〜〜〜!!」

「君のその気持ち、忘れてはいけないよ?」

「」


麦野は驚く、なぜなら冥土返しの微笑ましい表情が一転して、急に真面目な顔になったからだ。
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 19:26:13.79 ID:y9CeNQet0

「そ、そんなことより、検査は終わったのかよ」

「ああ、きっきち全て終わったよ?」

「結果は?」

「それは後程、みんなが集まってから話すよ。とっても興味深い内容だったからね」

「……」

「しかし、今日は流石に疲れたよ。なにせ、あまりにも彼の話は医者として、とても面白かったから、つい徹夜になってしまってね?」

冥土返しは一つあくびをした。

「僕はもう休むよ。今日は運良く休みだからね、ゆっくり休ませてもらうよ?」

そして、ある病室を指でさした。

「君は彼女ら二人を連れて、そこの病室のベットで寝かせておくれ。 生憎あそこの六人部屋しか相手無くてね、鑢くんも絹旗さんもあそこで寝ているから、余っているベッドを適当に使ってね? 一人入院しているから、静かに頼むよ?」

「わかったわよ」


麦野は二人の体を一遍に肩で担ぎ、冥土返しが指した病室へ入って行った。


冥土返しはそれを確認し、クルリと踵を返して帰路につく。


病院を出て、自分の車に乗ろうとすると…。

ヴゥゥゥゥゥ…ヴゥゥゥゥゥゥゥゥ…

電話が鳴った。


この時間帯に待っていた様に電話を寄こすのは、きっと彼しかいない。


「おはよう、美濃谷くん?」

『どうだ、検査の方は。面白い結果が出たか?』

「うん、とても面白い結果がね? 君のお陰だよ、こんな楽しい思いが出来たのは…」

『礼なら、あの口煩い方方のひよっこに言ってくれ、毛髪はあいつが発見した』

「そうかい、登条くんかい…。 次、ここに来るときがあったら、サービスしておくよ」

『だからと言って、あまり甘やかすなよ。 あいつはすぐに調子乗るからな』

「いや、あの子は現代医療の大きな一歩を、僕にくれたんだからね? 本当にナイスプレーだよ?」

『そうかい……好きにしな』



「ところで、例の留置所の事なんだけど」

『ああ、猟犬部隊が出たそうだな』

「表向きでは、第十学区の警備員だけどね。 木原数多は、結局あそこにいた職員は皆殺しだろう」

『だろうな、きっと明日のニュースで流れるだろう。行方不明者としてな』

「相変わらず物騒な事ばかり…。困ったものだね」

『全くだ、黄泉川の奴が留置所から例の小僧が逃げたと知った途端に現場に行くって言いやがった。あの時は正直焦ったよ』

「ははは、若い時の君にそっくりじゃないかい? その熱くなると止まらなくなる性格がね?」

『はん、俺はもっと冷静だったよ』

「それはどうかな?」


冥土返しはハハハと笑う。電話の相手も同じように笑う。
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 19:45:28.40 ID:y9CeNQet0

『さて、これからが本題だ。 この後、あの小僧をどうする? 外へ追い出すのか? それとも、この街の闇の世界へと叩き落とすか? どの道、あの小僧からすれば地獄だぞ?』

「心配ないさ、僕の性格はわかっているだろう? 僕の患者は絶対に見殺しにはさせないし、見捨てない。 秘密裏だけど、しばらくは匿うつもりだよ?」

『しかしお前の事だ、小僧を色々と調べて、なにかするつもりだろう?』

「ふふふ、それはどうかな?」

『まぁとりあえず、検査結果は後で聞く。今聞きたいが無理だ。なにせ朝帰りだ、カミさんが頭に角を立てて玄関に仁王立ちだろうからよ』

「君も大変だねぇ?」

『お前もな。 …じゃあ切るな、あの小僧の事はそっちで任せた』

「うん、わかった。ではまた」

『ああ』


冥土返しは携帯の電源ボタンを押して、ポケットの中に携帯を突っ込む。


そして車に乗って帰って行った。

435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/05/15(日) 21:00:55.63 ID:zcFNvAaL0
支援
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2011/05/15(日) 21:56:44.93 ID:1R1C4Uyto
かいなゃじるれくてっ言をとこいし悲、はといくにき書が詞台の俺
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/15(日) 22:15:09.52 ID:VlWIzx810
                         >>436
            かーねゃじたっ思とかたしけ化字文瞬一
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 22:45:00.92 ID:y9CeNQet0

そして丸一日がたった。

時間はお昼時、麦野沈利とフレンダ・ゼイヴェルンは病院の食堂で、朝食を食べていた。

麦野は焼鮭定食。フレンダは鯖の味噌煮丼。


「あんた、鯖が好きだっていてたけど、丼はないんじゃないの?」


麦野はフレンダが美味しそうに食べている丼の中を怪訝する。


「いや、結局これはなかなかおいしいって訳よ」

しかしフレンダはご飯の上に乗せた、味噌と煮汁で煮込んで柔らかくなった鯖を大きな口で頬張る。

「んまー」


フレンダはフニャ…と満足そうな顔をする。

そんなフレンダを見た麦野は鮭の身を箸で器用に崩して、少し摘まんで口の中に入れる。


「フレンダ、あんまり気の抜けた顔をするんじゃないよ。だから任務の時なんて最後の最後で詰めが甘くなるんだ」

「だってぇ〜、メッチャクチャうまいんだもん。 まぁ、これを見つけた時はどうしようか迷ったけど…」

「……そういえばあんた、鯖は鯖でもサバ缶が好きじゃなかったっけ?」

「しょうがないじゃん、だってこの病院ってコンビニないし、外へ行こうとしても歩くの面倒クサイし」


フレンダは丼の中の、味噌の風味がタップリとついたご飯を、ガツガツと食べる。


「まぁでもぉ〜、これは当たりね、結局は世紀の大発見だったって訳よ」

「だからと言って、急いで食べると喉に詰まるわよ…っともう遅いか」


フレンダはご飯を喉に詰まらせ、ゴリラが如く胸を高速で叩く。


「ほらお水飲みな」


麦野が差し出したコップをフレンダは奪い取り、一気に飲んだ。


「………ぷっはぁ!! し、死ぬかと思った…」

「たっく」


麦野はさっさと焼鮭定食を食べ終え、そそくさと食堂から出て行った。


「ちょっと、待ってよぉ!」


フレンダは急いで丼を食べ終え、麦野の後をついて行った。
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 22:50:32.14 ID:y9CeNQet0

「。つ立腹。すでいくにき書にトンホしかし。なとがりあ、634<< 734<<」1<<
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/15(日) 23:04:36.36 ID:TjG+q5JYo
だんてしにな
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 23:35:30.94 ID:y9CeNQet0

モード二人は鑢七花がいる病室へ向かった。


「麦野、結局アイツは起きてるかな?」

「さぁね」


七花は未だに眠っていた。

なにせ、ここの世界に来てからはずっと戦いっぱなしだったし、美琴との戦いのダメージは大きかったからだろう。



「…と、ここだったわね」

ガラッと病室の戸を開ける。



昨日の麦野も寝た、あの六人部屋だ。窓側から右と左に三つずつベッドが並んでいた。左の窓に窓に面したベッドが七花のベッドである。

その隣が滝壺、その隣がフレンダ、そして滝壺の向かいが麦野のであったベッドだ。

あと、麦野の隣のベッドは先に入院していた人のベッドである。

因みに絹旗は元から入院中で、別の病室にいたからここにはいなかった。



麦野とフレンダと滝壺は、昨日はただ泊まるだけだったので、もうこのベッドは使わない。

今は窓側のベッドが使用中なだけで、他のベッドはキレイに整理整頓されている。(これは滝壺がヒッソリとやっていた)


麦野は戸を開けた時の状況は、窓側の二つのベッドがそれぞれカーテンを閉めていた。


二人は右側のベッドの前まで行き、カーテンをそっと開けると、そこには鑢七花がスースーと寝息を立てていた。


442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/15(日) 23:36:18.03 ID:y9CeNQet0
「結局まだ寝てるか…」

「しょうがない、また今度きましょう」

「しかし、何度見てもいい寝相ですね」


七花の体は掛布団から1cmも出ていなかった。


「麦野とは大違い…イタタタタタタタッ」


麦野はフレンダの脇腹をギューッと抓る。


「何か言った?」

「いいえ、何も!」

「ならいい」

麦野は脇腹から手を離した。

「さて、それじゃ絹旗の病室へいくわよ」


そこへ


「むぎの、ふれんだ、来てたの?」

「「ぅわああああああああ!」」


滝壺理后が後ろから麦野達に声をかけた。


「うるさい」

「あ、滝壺か。ホントに空気薄いね」

「やすりしちかの様子を見に来たの?」

「うん、結局先生がこの人が起きないと、検査の結果は言えないって訳だから、こうやって定期的に来ているの」

「へぇ、そうなの」

「まぁ、この様子だと結局まだ起きないと思う訳だから、また来るね」

「うん、わかった」


と、そこへ一人のナース(なかなかの美人である)がやって来た。 その手にはなぜか尿瓶が握られていた。
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/15(日) 23:58:27.71 ID:hdypHmoDO
逆さ喋り見た後、本文読むと一瞬読めなくなるな
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/16(月) 00:01:06.82 ID:HAfbPFMHo
白鷺とか正直存在忘れてたわw
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 00:01:15.62 ID:gbTYnNXl0

「あ、こんにちは〜」

ナースは笑顔でこちらに笑顔を向ける。

「あ、こんにちは」

あいさつを滝壺が返す。


ナースは七花の布団をめくり、下半身が完全に出す。

そして、七花のズボンを思いっきり脱がした。(その時は普通の病院が支給している寝間着だった。袴は美琴戦で破いた所を修復中)

「「!?」」

いきなりの出来事に、何が何だか理解不能になる麦野とフレンダ。


「それじゃ、尿をとりますね〜」

そしてナースは七花の股を広げ……。


――自主規制――


「ふぅ、結構出ましたね〜。それではまた来ますね〜」

ナースは暖かい尿持って、嵐のように去って行った。


「「………………………」」


呆然となる麦野とフレンダ。一連の事を何食わぬ顔で見ていた滝壺。


「わ、私、男の人の…あの…その…、あ、あれを…生で…見るの……初めて……」

と麦野。


「わ、私は……昔…小さい頃とかは……見た事は………あったけど…………。大人の人のは……初…」

とフレンダ。


「私は、初めて見た時は二人と同じだったけど。もう慣れた」

と滝壺。



「……………」

「……………」

「……………」

黙りこくる三人。

すると滝壺は…。


「あの人のって………結構大きい…///」

「「それをいわないでぇ」」

446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 00:16:17.95 ID:gbTYnNXl0

「…ってことがあったの」

「そうだったんですか」

「「………………」」


ここは絹旗の個室。

滝壺が先程起きた一連の事を絹旗に報告する。


忘れようとする麦野とフレンダの二人だが、また思い出してしまったのか、顔が少し赤い。


「でも麦野って、戦闘時とかで超下ネタ言ってません?」

「あ、あれは本とか小説とかで書いてあったのを、そのまま使った訳で…」

「一体どんなモンよんでるんですか」

「……まぁ、け、結局まだあの人は起きていないんだし、このままズルズル行っちゃうのもなんだから、先生にやっぱり結果の方を教えてもろおうよ」


赤い顔でフレンダは話題を変える。

その意見には、みんな賛成した。


「それじゃあ、早速行きましょうか」

絹旗はベッドから降りて、さっさと戸へと歩く。


すると



『『ああああああああああああああああああああああああああああああ!!』』



声が聞こえた。


七花の病室からだ、二人分の声が妙に協和音を奏でて響き渡る。


「な、なんですか?」

「とりあえず、いってみよう」


四人は走って、七花のいる病室へと向かう。



「どうしたんですか!?」

絹旗が叫びながら戸を開ける。



そこには………。
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 00:18:44.44 ID:gbTYnNXl0

今日はここで落ちます。

先日、今日で序章が終わりと言いましたが、結局は終わりませんでした。(涙)

明日も頑張って書きます。それでは。
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/16(月) 00:55:42.23 ID:IOEz9xkIO
ギャグの為とは言えナース一声かけろよ三人の女子に対してガン無視でやるとかおいwww
なんかの嫌がらせかよwww
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/16(月) 01:58:24.95 ID:z8mE4Iceo
wwwwwこの描写ってストーリーに関係あるのでしょうかwwwww
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/16(月) 02:52:21.08 ID:uFjJ0u8DO
面白い

オリキャラ出張らせすぎ
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/16(月) 15:52:10.48 ID:3p0+nqfM0
>>449
もしかしたらナースは猟犬部隊の可能性も
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 18:33:17.15 ID:gbTYnNXl0

さて続きです。


今日も頑張っていきます。

453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 19:02:19.73 ID:gbTYnNXl0


あれ? ここってどこ…?

森の中っぽいけど……。


てか、私って…何したんだっけ?


確か、目を覚ましてたら、妹達がいて、……確か10032号だっけ。


で、あいつの事についての話を聞いて


そのあと、昼寝をして……。



あ、そうか、これは夢の中なんだ……。たまにあるのよね、夢の中にいるっていうことがわかるの……。



スタ…スタ…スタ…


あれ?誰か来る?

とにかく隠れなきゃ…。

ガサガサ…



来た来た、こんな森のなかに何の用かしら……。

………あいつは!

鑢七花……!

どうしてここに?


…て、あれ?

顔は確かにアイツだけと、傷跡がない…恰好も大分違う…。ってか、なんちゅう大きな樽を持ってきてんのよアイツ。


ええい!直接聞くのが一番!


ガサガサ!!

鑢七花!!アンタここで何やってんのよ!!



「………………………」スタスタスタ…


……って無視!?

ねぇ、聞いてんの!?…ねぇ、ねぇってば!!


「………………………」スタスタスタ…


…もしかして見えてない?

この感じ…どこかで…。



はっ、木山晴生…。

木山春生記憶を見た時と同じ感覚……!
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/05/16(月) 19:27:18.93 ID:FE59QvSg0
島にいた頃の記憶か
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/16(月) 19:27:54.97 ID:FE59QvSg0
下げ忘れた、申し訳ない
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 20:10:41.82 ID:gbTYnNXl0

そうか、ここは鑢七花の記憶の中……。

これなら、アイツの手掛かりが見つかる。



とりあえず、ついていこう…。



「………………………」スタスタスタ…



ん、なにか水が流れる音がする…。


…あ、滝があった。


…でも、誰かいる…。

奇麗な白髪…。 でもなんで白髪?



「おい」


あ、振り向いた。

すごい美人……。

でも変な恰好…。

しかも刀さしてる。


「本土の人間か?初めて見た」


……、今の『本土の人間か?』って…。もしかして、ここって島なの?


「刀か…それも初めて見た」


私も初めて見た。


「別によそ者だろうが、誰だろうが、入ってくるのは別にいいんだけれどよ、…えっと、この島への刃物の持ち込みは固く禁じられている」


やっぱり島だったんだ…。


「そうか」

「そうだ」

「それは失礼した。知らなかったものでな、許しておけ」


うわぁ、この人、声が凄く綺麗。…恰好変だけど。



457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 20:33:49.06 ID:gbTYnNXl0





「そうだ、あんた何しに来た」

「この島に 虚刀流六代目当主 鑢六枝殿がおられると聞いたが、そなた知らぬか?」

「親父なら死んだよ。一年前に」


「……そうか」


なんか気まずいわね。



「今じゃ俺が当主だ。 虚刀流七代目当主 鑢七花」

「まぁ、及第点と言ったところだな」

「何の話だ?」

「ああ、こっちの話だ」

「親父に用事だったようだけど、悪かったな」

「ああ、確かにその通りだが少し違う。用があったのは、虚刀流当主にだ。ゆえに六枝殿の用事は、そなたへの用事に代わったのだ」

…どういうこと?

「名乗りが遅れたな、私の名前はとがめという」

「とがめ? 変な名前」

確かに変な名前…。

「コホン、幕府の軍所の総監督 奇策士を生業としておる」

奇策士ってなに?…つーか幕府って何!?

「まずは虚刀流。試させてもらう」

いきなり刀を抜いた!? いつの時代よ!?

「富岳三十六刀工の一人・壬生傘麿の初期の作品だ」

「試す?」

「言葉通りの意味だ。参る!! キエ―――!!」

そして、斬りかかった!ホントにいつの時代よ話よ!?

「ギャッフン!」

派手にコケた……。ダサッ。てかギャフンて…。






それが、美琴の夢の始まりだった。
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 22:23:45.75 ID:gbTYnNXl0














美琴は夢を見ていた。

十二本の刀を集める旅の物語と、一人の男…否、一本の刀の物語を………。

美琴は、その一年の旅の歴史を七花の記憶として見ていた。


鑢七花という刀の人生の物語を…。

それとその所有者、奇策士とがめという女の物語を……。








「―――――――はっ」


御坂美琴は目を覚ました。


むくっと、起き上がる。

「……………」

何時間寝ていたのだろう?

美琴はキョロキョロと周りを見る。

四方カーテンに包まれたこの空間には誰もいない。


枕を見ると、汗と涙でぐっしょりと濡れていた。


「……うわ…」


ベッドの傍らにある手鏡を手に取り、自分の顔を見る。

涙の痕が頬にくっきりとつき、目蓋が腫れている。


「…うっわぁ……」


溜息をつきながら布団をめくり、ベッドから降りる。


「しゃあない、顔洗ってくるか…」


そして、カーテンを引いた。



そして、そこにいたのは………。
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/16(月) 22:33:45.86 ID:8f8Xe4p0o
面白いな
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/16(月) 22:58:46.52 ID:HAfbPFMHo
丸出しなのか?ww
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 23:09:05.60 ID:gbTYnNXl0

しちかくーん、しちかくーん?


「………ぅ……」


しちかくん、おきてぇ〜


「ぅん…」


「起きなさい!」


「うわ!」

「やっと起きたわね?」

「ぇ…?否定姫?どうしてここに!?」

「まったくぅ…どうして、こうも毎度毎度、面倒なことに巻き込まれるの〜?まぁいいけど、面白いし」

「ぇ?ちょっと、なんで?」

「んまぁ、その辺は後でわかるから、今は手っ取り早く要件を言うわね?」

「え?あ、ああ」


「七花くん、この後あなたはとっても面倒くさい事に巻き込まれるわ。いや、原因はあなたかもしれないわね」


「……それって、どういう…」

「まぁ、最初のうちは何とかなるでしょう。でも後々、いくらあなたでも本当に苦しい戦いが待ち受けているわよ。気を付けなさい?」

「おい、それってどういう…?」

「あ、もう時間みたいだから、もう帰るね?じゃあね〜」

「おい!もっと説明してけよ!意味わかんねぇよ!とがめといい、あんたといい、どうして詳しくは言ってくれないんだ!!」









「――――――――――――――ーはっ」


鑢七花は目を覚ました。

むくっと起き上がる。

枕は汗でぐっしょりと濡れていた。

顔に汗がべったりと張り付いていた。

その中の一本は目に入りそうだ。


「……ところで、ここはどこだ?」

その時、七花は自分が来ているのが着物でなく、無地の寝間着のような恰好だと気付く。

「とりあえず起きるか…」

七花はベッドから降り、周りを囲み、周囲との境を区切るらしき布(カーテン)を引く。


すると、そこには……
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 23:39:25.35 ID:gbTYnNXl0


御坂美琴がカーテンを開けると、そこには鑢七花がいた。


鑢七花が布を引くと、そこには御坂美琴がいた。


「……………」


「……………」


見つめ合う二人。


「スゥー…」

「スゥー…」

同時に息を吸う。

そして




「「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」




お互いを指さしながら、絶叫した。


「あ、あんたは…や、鑢七花ぁ!?」

「あん時の雷女ぁ!?」

「ど、どどど、どうして、こ、こんなところにいんのよ!?」

「知らねえよ!てか、お前もなんでそんなとこにいんだよ!!」

「こっちは、散々あんたに苛められてボロボロになって、入院中よ!」



463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/16(月) 23:39:59.04 ID:gbTYnNXl0


「どうしたんですか!?」


「あ、絹旗!」

「ああ?こっちは今は取り込み中……よ……」


絹旗の後ろには、麦野沈利がいた。


「…あんた…第三位…。『超電磁砲』…!!」

「あ、あんたは、あん時の年増と…爆弾魔ぁ!?」

「だぁれが年増だごらぁ!!」

「お、落ち着いてください、麦野。ここは病院です。暴れては超ダメです!」


美琴に襲いかかろうとする麦野を絹旗は羽交い絞めにして止める。


「フーフーフー」

獣の如く息を荒げる麦野。



「なんだい?どうしたんだい?まるでお祭り騒ぎじゃないか?」

「ここは病院です。みなさん、静かにしてください、とミサカはあまりにも五月蝿いお姉さまを睨みつけます」

冥土返しがやってきた。その後ろに御坂妹がついて来ていた。
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 00:25:03.91 ID:NX5tNPcD0

「な、オッサン!」

「リアルゲコ太!」

「二人とも、本当に失礼だね…」


「せんせい、今日は休みじゃなかったのでは?」


「そうだったんだが、実はミサカ10032号さんの調整があったのを忘れていてね?」

「そうだったんですか。と、ミサカは自分の存在を忘れられていた事実を突き付けられ、少々ショックを受けます」


「へ〜、これが前に麦野が言っていた、妹達ですか…。超そっくりです」

「遺伝子的に同じですから、とミサカは胸を張りながら自慢してみます」

「でも、オリジナルにはスペックは超低いんですよね」

「グサッとミサカは何かに刺されたような気分になります」

「つーか、こんなのがあと一万いるとか、気持ち悪いわね」

「ぐはっとミサカは自分の存在自体を否定され、座り込んで地面を弄ります」


なんだか御坂妹の所だけ、トーンが暗い気がする。


「大丈夫、そんなあなたも私は応援しているから。さ、立って?」

「おお、まるであなたは天界におわします天女様の様だと、ミサカは涙を流しながらジャージを着ているお姉さまが差し伸ばしてきた手を取り、立ち上がります」



「そんなことより、なんで俺はここにいるんだ?それと、この雷女」

「ちょっと私には、ちゃんとした『御坂美琴』っていう名前があるんだからね!」

「ああ、それにはちゃんとした訳があってね?それは後で話すよ。それより、君たちのその恰好を何とかしないのかい?」


「あ」

美琴は汗でビショビショになった頭を思い出して、恥ずかしくなった。


「……?」

一方、七花はなんとも気にしてはいないようだ。
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 00:38:41.65 ID:NX5tNPcD0


すいません。中途半端ですが、眠いんで落ちます。


明日こそ、序章の最終話です。
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/17(火) 00:40:10.67 ID:XvIMfj5x0
フレンダが空気……
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/05/17(火) 02:44:03.68 ID:oJqS64Ve0
フレンダにはよくある事

美琴の記憶を辿るスキルがこんな形で役に立つとは
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 13:04:47.74 ID:NX5tNPcD0


「さて、早速説明を始めるよ?」


今、一同がいるのは病院内の会議室兼視聴覚室。

冥土返しは片手に資料を持ち、教壇に立つ。

「前回、フレンダさんは僕の説明について来れなかったからね、色々と編集してきたよ」

スクリーンを下げ、パソコンを操作して、パワーポイントを立ち上げる。

スクリーンには『鑢七花の検査結果発表』とデカデカとした文字が映し出された。

「おお、すげぇ」

七花は驚く。

「うん、出来るだけわかりやすく説明するからね?それでもわからなかったら、いつでも質問するんだよ、フレンダさん?」

「う…」

「じゃあ、説明を始めるよ?」



「ちょっと待った」

「なんだい?、麦野さん」

「いきなりなんだけど、質問」

「はいどうぞ」


「なんでここに部外者がいるのよ」


麦野の隣には、『超電磁砲』こと、御坂美琴が座っていた。そしてその隣に御坂妹も座っていた。

「なに、来ちゃいけないの!?」

「あったり前だ、クソガキ!!テメーはこのデカブツと200%関係ねーじゃねーか!!」

「あるわよ!!私はね、コイツとやりあってんの!!で、コイツの事が気になったから、ついてきたのよ!」

麦野と美琴は犬と猿よろしくいがみ合っていた。

「まぁまぁと、ミサカは余りにもしょうもない喧嘩をしているお姉さまを止めようとします」

「まぁまぁ、落ち着いてください麦野。先生が超困ってます」

「うるさいわよ!私はね、コイツに貸した借金の返済がまだなのよ!」

「それはこっちの台詞よ!あの時、バテッバテのグローキーの女の子に散々腹蹴ったり、ビーム撃ちまくりやがって!あん時の借り、返えさしてもらうわよ!」
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 13:49:43.12 ID:NX5tNPcD0

「なぁなぁ絹旗、こいつらってどう言う関係なんだ?」

七花は絹旗にヒソヒソと訊いた。

「二人は以前、とある事情で戦ったことがありましてね。その時は第三位はバテバテで麦野が超有利だったんでしたが、結局は勝負がつかずに終わってしまったんです」

「そうだったんだ。で『第三位』ってのは」

「この学園都市で超能力者は七人しかいません。その七人の内の三番目に強いのが、あの『超電磁砲』こと御坂美琴です。で、それに次ぐ第四位が、我ら『アイテム』のリーダー、麦野沈利です」

「へ〜、じゃあ、あの雷女の方が強いのか?」


「んなわけないでしょうが!!」

と、麦野の首だけこっちに向き、鬼の顔で怒鳴ってきた。

「いい?確かにあの時は勝負つかずで終わったけど…。それはあのバカ(フレンダ)が爆弾と導火線を回収して逃げたからよ!それが無ければテメーなんか消し炭にしてたわよ!!」

「え!?やっぱり私のせい!?」

「へ〜、なに?言い訳?年上のくせに言い訳するんだぁ〜?大人げないわよオバサン!!」

「オバ…オバサンですって!?こぉんの小娘ぇええ!」

「かかってきなさいよ年増!この前のお返しに焦げたトーストみたいにしてあげるわ!!」

「ああ、やってやるよ!テメーのような小便臭いガキなんか、真っ黒焦げの備長炭にしてやる!!」


「こらこら、いい加減にしなさい」

「絹旗、結局このケンカって何の話から始まったんだっけ?」

「ほら、あの二人は七花さんとどういう関係なのかって超くだらない話です」


「あ、そうだ。クソガキ!結局あんた、アイツとどういう関係よ!?」

「あ!?さっき言ってたでしょう!?戦ったのよアイツと!なかなかの善戦でね、もう少しで倒せそうだったわよ!」


「善戦って、最初っから最後までボッコボコにされていた奴が、なにいけしゃあしゃあと…とミサカはお姉さまの余りにも酷すぎる見栄の張りっぷりに呆れます」

と、御坂妹が溜息交じりで言った。

「な…っ」

「なに!?アンタ、アイツにボロ負けしたの!?ダッセェーー!!学園都市の第三位様が何やっているんですぁ!?」


「とか言うお前も、一発で俺にやられただろうが」

と、七花はおかしいなぁという顔で麦野に言った。

「…ぅ……」


「「……………」」

沈黙。



「まぁ、二人とも同じ穴の“ムシナ”ってことか」

「“貉”です七花さん。諺を間違えるなんて、超かっこ悪いですよ?」
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 14:12:15.36 ID:NX5tNPcD0


「それじゃ、気を取り直して始めるよ?」


冥土返しの目の前には、右からフレンダ・滝壺・麦野・絹旗・七花・美琴・御坂妹が並んで座っている。

さっき席順を変えた。また喧嘩をしてもらっては困る。


「とりあえずフレンダさん、先日の七花くんのDNAについての復習はしてきたかい?」

「…何とか滝壺に教えてもらいました」

「ふれんだが理解するのに一時間かかりました」

「うん、御坂姉妹には説明はまだだったね?内容は君たちに配った資料に書いてあるから、見ていておくれ」

「わかったわ」「わかりました、とミサカは机の上に置いてあった資料に目を通します」

パラパラパラ…

「なかなか面白いないようね」「なるほど、これはすごいですね、とミサカは驚きを隠せません」

「ちょっと、一分もかかってないのに、もう理解したの?」


「「え?速読って誰でも出来ないの?」ですか?とミサカは今度はそこのアホっぽい外人に驚きます」

「……………」



471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/17(火) 20:38:00.41 ID:2Cl3nsVAO
刀語×戯言ってある?
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 21:35:13.96 ID:NX5tNPcD0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

今、色々と読み返しました。

誤字が超あって超焦りました。

みなさん目を瞑ってやってください(泣)


さて、お昼にちょこっと書いていきましたが、

今夜も書いていこうと思います。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「さて、前回は彼のDNAは我々のとは違うということが判明したことを話した。でもわかったのはそれだけ。

しかし今回は鑢くんの協力のもとDNA鑑定以外の事もやった。それで検査結果だ出たので、早速発表したいと思う」



「先生、思ったんですけど、検査結果が出るのが超早くありません?本当にできているんですか?」

「ふふふ、僕を見くびってほしくないね?学園都市と僕の技術力と合わせれば、出来ないことは無いよ?例外を除いてはね?安心してくれ、ちゃんと検査結果は出しているよ?」






「今回検査したのは以下の通り、心拍数・肺活量・体力測定・血液検査・脳内検査……など、計30。視力検査からMRIまでなんでもやった。

そこでより一層、鑢くんの体の事が詳しくわかった。



最初に我々と変わらない所から…。鑢くんの体の成分は“一般的な人間”と同じであることがわかった。

水:65%・蛋白質:15%・脂質:13%・核酸:1%・炭水化物:2%・無機物:3%…。これらは鑢くんの体の成分であり、ほぼ平均値だった。

体を形成する物質は人間と変わりなかった。よって『鑢七花』は人間であることがわかった。



次に我々と違う所だ、先程言った通り、鑢くんの体は確かに人間だった。

しかし、絹旗さんや御坂さんが見たように、明らかに彼の身体能力は人間の領域とはかけ離れたものだった。

実際に心拍数・肺活量・体力測定で色々と調べたところ、それぞれの数値は一般人とは比べ物にはならない程にね。


まず、心拍数の最高値と最低値の差が大きい。通常時は一般的な値より下がだ、いざ戦闘になると一般人なら倒れてもおかしくない数字になった。また、肺活量の数値も高い、一般の約七倍近くあった。


そこでなぜそのような身体能力がついたか原因を探ってみると、ある事実にたどり着いた。


私は鑢くんの血液を採り、成分を見ると、血液中のヘモグロビンが酸素を運ぶ量が通常よりかなり多く、数も多かったことがわかった。

また、血管も硬く、なかなか破れにくくなっていた。これなら血液がどんなに速く流れても、血管が破れ、血栓ができることはない。


ここまではいいかい?」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/17(火) 21:47:52.45 ID:YLHlvYqAO
つまり常時トランザム(ルフィのギア2)状態みたいなもんなのか
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/17(火) 21:53:23.49 ID:s5dwJdyNo
ワニのヘモグロビンみたいになってんのか
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 22:14:18.21 ID:NX5tNPcD0

「せんせい、ふれんだの耳から煙が出てます」

「……滝壺さん、あとでフレンダさんにわかりやすく教えてあげてね?」

「わかりました」




「その次に、鑢くんの骨と筋肉について調べた。


滝壺さんと御坂さんからの供述によれば、鑢くんの身体能力は超人を超えるものだったらしい。


しかし鑢くんの体は大きいが細い。

筋肉はあるが、コンクリの壁をも貫くほどの筋力があるとは思えない。


そこで鑢くんの体の筋肉の質と骨密度と強度を調べた。


すると、両方とも我々のその性質とはかけ離れていたことがわかった。


鑢くんの骨・筋肉の長さ太さは一般的だが、強度と密度が一般の比じゃなかった。


例えば、フレンダさんが鉄の壁に貫手を思いっきり出しても、突き指か下手すれば骨折だ。

しかし彼の場合は、貫手は壁をも貫く。


まぁ、強度の数値を言ってもわからないと思うから、簡単に言うと。

僕たちの骨や筋肉は糸ならば、彼は針金ってところだ。


要は彼はヒトより何倍も強度が高いってことかな。


その他の彼の運動能力はオリンピック選手の比じゃなくてね。

動体視力・瞬発力・持久力・耐久性・耐乳酸……どれも超人の域だ」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/17(火) 23:28:13.10 ID:NX5tNPcD0


「さて、ここまで色々と検査の結果を発表した訳だが、私はある仮説を立てた。

それは、彼の遺伝子…と言うよりRNAの方に彼の身体能力の謎が隠されている。、


前回言ったように、RNAはDNAの情報を読み取り、アミノ酸で蛋白質、細胞を作る…

そして、鑢くんのDNAはヒトと0.25%の違いがあると言う話をした。


原因はそこにある、0.25%の違いにあると見た。

さっき言った我々との身体の違いは、その0.25%だろう。


じゃあその、0.25%の変化の原因はなにか?

それはRNAにあった。

RNAには色々は種類があって、

一つ目はDNAの情報を正確に読取り、翻訳する、メッセンジャーRNA(mRNA)。

二つ目は原料となるアミノ酸を運搬するトランスファーRNA(tRNA)

三つ目はmRNAが翻訳した情報を読取り、tRNAが持ってきたアミノ酸で細胞を作る、リボソームRNA(rRNA)

そして、それらを指揮している、最も重要なRNAである、ノンコーリングRNA(nRNA)


そんなRNAを鑢くんの細胞は一般人より多くあった。



滝壺さんは大工が家を建てるのを例にしてたよね?

それを使って詳しく言うと、

DNAは設計図、mRNAは指示書、tRNAは運搬業者、rRNAは大工…。

そしてnRNAはそれらを指揮する親方の様な存在だ。


実はそのnRNAは唯一、蛋白質を形成する能力はない。その為、長年注目されずにいたが、最近急に注目され始めた。

なぜかと言うと…。


nRNAにはDNAの命令文を書き換える能力がある。


人間の細胞の核の中にはDNAとRNAがある。

RNAはDNAの命令文の通りに動き、細胞を作る。

しかし、どうしても周りの環境の変化や何らかの事情により、変更しなければならない。

そこでnRNAの出番だ。

nRNAは環境や事情にに合わせて、DNAの命令文の内容を付け加えたり、消去していく。

因みに現代では、癌やエイズなどの細胞の病気を治す特効薬としての研究が進められているんだよ?



鑢くんはヒトよりRNAを多く持っている。

…と言うことは、ヒトより細胞を多く作れるし、DNAの情報の変更もヒトより早くできる。


きっと、君の人生…または君の親、祖父…の世代から続けられてきた、DNAの情報の変更が君の体の作りを変えて来たんだ。


だから、鑢くんの体は一般人より超人的に優れているんだ。



これで、僕からの発表を終わるよ?わかったかい?」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/17(火) 23:37:19.27 ID:i76eaK0DO
とがめなら分かるかもしれんが、七花は分かって無いな
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/17(火) 23:43:24.49 ID:cqTbttrAO
ダメだ…耳から煙出た
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/17(火) 23:45:13.34 ID:s5dwJdyNo
>>477 七花の頭の良さなんか分からんから一緒に聞いてんだろうけど無駄もいいとこだなww
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/17(火) 23:54:57.45 ID:XvIMfj5x0
……速読しても、何となくしかわからない
だからフレンダ(の頭)も別に悪くないと思いたい
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/18(水) 00:21:13.34 ID:8/O1ApuAO
そもそもわからない専門用語(未来の言葉)が多すぎて理解不能だろ
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 00:30:31.93 ID:EVQx49rR0

「ええ、理解したわ」

「なんとか…」

「要はそのRNAが七花さんの…いや、七花さんの血筋の者のDNAを変えたんですか…。超わかりました」

「……………………」プシュー…

「せんせい、ふれんだが耳からだけじゃなく、鼻と口からも煙が出てきました」


「まぁあれね、一族揃って超人って訳か…(…なるほど、四季崎って奴はこれを狙てたんだ)」

「お姉さま、それはちょっといきなりすぎでは?とミサカはお姉さまの大雑把っぷりに呆れます」


みんな、なんとか理解できたようだ。…………一人を除いてだが。


「鑢くん、君の体の事だけど、わかったかい?」

「いや、難しい話はわからなかったけどよ、まぁあれだ、俺の親父が強くなればなるほど、親父が生んだ息子の俺は親父ぐらいに強くなり、俺がもっと強くなればなるほど、俺の息子が俺くらいに強くなるってことか」

「そう言う事」

「なるほど、これで虚刀流が四季崎記紀の血刀だってことが納得できたぜ」

「…は?」

「シキ…ザキ…?」

「いや、こっちの話だ」

七花は誤魔化そうとする。

「それについてだが、検査の間に鑢くんの半生を聞かせてもらってね?」

「そうなんですか?」

「まぁな」

「そこでだ鑢くん。君、今ここで君が僕にしてくれた話をしてくれないかい?」

「ああ、別にいいが…」


そして七花は一同に、自分の歩んできた人生を話そうとするが。


「ああ、ちょっと待って?御坂さん?」

「あ、はい。なんですか?」

「君、鑢くんの記憶を読み取ったでしょ?」

「え?なんでそのこと…!?」

「木山春生の例があるからね?実験を兼ねてやってみなよ?」

「え?御坂さん他人の記憶を読めることが出来るんですか?超凄いです」

「お姉さまは身体に流れる電気を伝って、記憶を読み取ることができるのです、とミサカはお姉さまの代わりに説明します」

「で、私にその逆をやれと?」

「うん、できるでしょ?」
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 01:16:39.98 ID:EVQx49rR0

冥土返しは美琴に、美琴が見た七花の過去の夢を他のメンバーに電気を介して送れと言っていた。

「いやでも、何があるかわかんないでしょ?」

「できないのかい?」


「………やってやろうじゃないの。みんな、私が電気を送るから捕まって!」


麦野や絹旗を含め、冥土返し以外のメンバーは美琴の身体に触る。……フレンダは未だに頭の回路がショート中なので、その時は椅子の上で煙を目・鼻・耳・口から焚いていた。


そして、美琴はそれぞれの体に電気を流し、記憶を流す。

「行くわよ!」

ビリッ…



「「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」」」」



麦野・絹旗・滝壺・七花は美琴の電気に感電した。


「「「な、なにしやがる…」」」プスプスプス…

麦野達は髪の毛がチリチリになった頭で美琴に抗議する。

「しょうがないじゃない!木山の時だって、偶然だったし、高電圧を流した後だったんだもん!!」

「じゃあ、そこのお前の妹は無事なんだ!?」

「私はお姉さま同じ電撃使いですので、その位の電圧なんて何でもないです、とミサカは一人優越心に浸ります」




「もういい、俺が直接言う」

七花はチリチリ頭になった髪などどうともせず、直接口で説明する。








484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 01:25:24.14 ID:EVQx49rR0











「なるほど、これが七花さんの過去ですか。超壮絶ですね」

「まさか、こんなことがあったなんて…」

「意外です、とミサカは驚きます」

「自分の過去を他人に言うのって、結構恥ずかしいんだが……」


「終わったかい?」

「ああ」

七花は冥土返しに知らせる。

「うん、僕が思うに、君のご先祖様である鑢一根は、きっとさっき言った君の体のこと…RNAの体質であって、他は僕たちと一緒だった。そこへ四季崎記紀なる人物は君の鑢一根に接触し、虚刀流という流派を起こさせることを薦めたんだろう」

「なるほど」



「で、一応聞きたいんだけど、麦野さん?」

「なに?」

「彼を君が呼んだのかい?」

「ええ、まあそうなるわね」

「で、帰し方がわからず、証拠隠滅のため消そうとしたと…」

「ま、まあそうね…」


「うん、君が悪いね」

「麦野が超悪いです」

「アンタが悪い」

「あなた、さっきから思ってたのですが、本当に極悪ですね、とミサカは麦野沈利の行動にドン引きします」


「…ぅ」


「結局は私は麦野の尻拭いの為にボロボロになったんですか…」

「…ぅぅ」


「麦野さん、鑢くんに何かいう事があるんじゃないのかい?」

「わ、悪かったわね……」ボソッ

「よろしい」


すると冥土返しはドアへと歩いて行った。

「みんな来てくれ、見てほしいものがある」
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 01:59:48.44 ID:EVQx49rR0

「ここは?」


「ここは私が病院の地下に密かに作らせた訓練所兼避難所だよ」


ドーム状の建物をそのまま地下に入れた様な建物だった。

野球が余裕でできそうな位の広さだった。


「この地下は特殊な構造でできていてね?あるビルに使われている素材を使っている。御坂さんの『超電磁砲』でもビクともしないと踏んでいるよ。試してごらん?」


美琴は早速、超電磁砲を壁に向かって撃ってみた。

「あ、ホントだ壊れない」

「うん、ここでどんなに暴れても、被害はないし、迷惑も掛からない」

「これが見せたいものか?」

「そうだよ?」



「で、麦野さん。試しに鑢くんを呼んだ時の様に何か読んでみたらどうだい?そうすれば、鑢くんが元の世界に戻れる手掛かりが見つかるかもしれないよ?」

「……無理ね、あの時は本当に適当にやったから、どうやってこの世界に呼んだかは覚えてないわ」

「……そうかい…。残念だよ、あの学園都市最強の七人の一人である麦野さんでも無理か…しょうがないね。しかたのない、君ならできると思ってたんだけどね」

「……わかったわよ、やるわよ!やればいいんでしょ!?」


「わかればいいんだよ」

「ったく…」



486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 02:11:55.21 ID:EVQx49rR0


「じゃあ、始めるからどいてて。……………えっと、…えい!」

ボンッ

突然爆発が起こる。


「……?……!!なにか出てきた!」

「これは……」

何かが床に落ちている。


それは小判だった。


「小判!?」

美琴がその小判を拾う。

「…こんな小判、見たことないんだけど…」

「七花さん、この小判ってあなたの世界のじゃありませんか?」

「ん?どれ…。…………………………ああ、こんなのを俺見たことあるよ」

「て事は…?」

「ええ」

「……麦野さっきの様なのをもう一回やって、七花さんを帰せないですか?」

「……一応やってみるわね」



「……………えい!」



ドォオン!!


と先程より大きな爆発が起った。


「------------!?」


そのあと、何かが風を斬る音を立てながら降ってきた。

そしてキィィィン…と床に刺さる音を立てて落ちた。


爆発による砂煙が晴れ、落ちてきた物の正体が現れた。

「「「「「「-------------!?」」」」」」」




それは黒かった。


それは黒い煙を立てていた。


それは長細かった。


それは刀だった。


それは毒刀 鍍だった。



四季崎記紀が造りし完成形変体刀十二本が一本、毒刀 鍍は麦野の目の前で床に刺さっていた。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/18(水) 02:14:35.49 ID:xHO30DPzo
色んな時間軸と繋がるのか?
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 02:17:42.95 ID:EVQx49rR0

とりあえず序章は終わりです。

ここからが本番です。



さて、七花の体の仕組みについてですが、先日NHKの番組でRNAの事をやってたのをみて「これ行けるかな?」と思って、採用してみました。


説明下手ですいません。

だれかわかる人がもっと分かり易く書いていてくれると嬉しいです。



PS。今日の天秤座はブーイングの嵐だそうです。
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/18(水) 02:18:34.09 ID:xHO30DPzo
日付変わる前じゃないのか?ww
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/18(水) 02:20:05.02 ID:uU7z9sX80

やべえもんが来ちまった…
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/18(水) 02:34:24.39 ID:JjJaHhuf0

よりにもよって最も毒の強い一振りを……
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/18(水) 07:44:58.69 ID:MU1vAvrbo
どうせなら否定姫呼べよ、、いや、かごめよ呼べそうだな
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)[sage]:2011/05/18(水) 08:46:27.45 ID:JMjOGNDAO
壊された物も呼べるならとがめもできそうだな
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/18(水) 09:32:08.54 ID:YXq2ijWAO
否定姫だしたげて!…まぁ順当にとがめか
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/05/18(水) 09:53:39.58 ID:BvFxe61Ho
とがめ呼んでアニメ版みたいな嫉妬全開ラブコメを見てみたい、あれは可愛かったww
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/18(水) 10:58:56.93 ID:SmeLiTlLo
鋸の時だっけか
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/18(水) 12:12:53.95 ID:onZvrxWfo
>>491
毒刀だけにってかww
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/18(水) 13:19:22.31 ID:URkrhqdj0
これなら初代喰鮫もいけそうだな
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/18(水) 14:17:23.72 ID:xkP7eGBAO
使い手もこないかな?

アイテム、七花、美琴vs今までの使い手(蝙蝠〜鳳凰まで)
まにわにも全員集合で大乱闘

読んでみたいな

500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 15:02:49.18 ID:EVQx49rR0


みなさんこんにちは。

さて、昨日(日付上なら今日)で序章が終わりました。

今日からが本編です。

これから、『とある魔術の禁書目録』の世界に『刀語』の世界が大きく喰い込んでいきます。


鑢七花はこれからどうなるのでしょうか?

それと彼に巻き込まれた人達の運命はどう動くのか?


本編第一章はじまりはじめり〜♪



501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 15:41:40.72 ID:EVQx49rR0

ここは第七学区のとある病院。

そう、ここはとあるカエル顔の医者が在籍している病院だ。


虚刀流七代目当主 鑢七花はその病院の地下にいた。

そこで七花をこの世界に呼んだ、学園都市最強の七人の超能力者 麦野沈利は元の世界に戻どそうとしていた。


しかし七花は元の世界に戻れなかった。






代わりに、四季崎記紀が造りし完成形変体刀 十二本が一本、毒刀 鍍が麦野の目の前の床に刺さっていた。


「――――な…!!」

七花は驚く。


「なにこれ?……刀?」

麦野は鍍を掴もうとする。



「…ッっ!!お、おい!!それを持つなっ!!!」


七花は吠える。


すぐ横にいた絹旗はビックリして耳を塞ぐ。

「…え?なんですか?七花さん。いきなり…、耳鳴りしちゃったじゃないですか」


「それどころじゃねぇ!麦野それには触るな!!!」

七花は顔を真っ赤にして叫ぶ。


502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 15:42:46.73 ID:EVQx49rR0



しかし、麦野の手は鍍の柄を握っていた。

「……ぁ」

七花の顔は赤から青にサーッと変わった。


「どうしたのよ?そんなに叫んで…」

「おいその刀を今すぐ離せ!!」

「はぁ!?あんた、何言って…」

麦野は七花が何を言っているのか理解できなかった。

そして…。



ドクンッ…


「な……、なに…?」


ドクンッ…


「…ぅ…ぁ……」


ドクンッ…



麦野はいきなり苦しみ始めた。

「な?麦野!?どうしたんですか!?」

「ちょっと、なによ!?どうなってんのよ!?」

「わかりません、とミサカはガクガクと私の体を揺らすお姉さまに言います……」

「鑢くん……これは一体?」

「毒刀 鍍だ…。俺が言った十二本の内の一本だ」

「え?それって、七花さんが全部壊したって…」

「ああ、その筈だったんだが…。とにかく、みんな逃げろ」
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 16:01:22.11 ID:EVQx49rR0

「でも麦野が…」



「わ、私の体に…何か…何かが入ってくる……っ」


麦野は刀を持ったまま悶える。


「…ぅ…ああああああああああああああああああああ!!!」


彼女はビクビクッと痙攣し、

「……………」

静かになった。


「………麦野?」

絹旗はそっと麦野に言葉をかける。


「…ぁ…」

「麦野!よかった無事なんですね!麦野!」

絹旗は安堵の表情で叫ぶ。


しかし



「あー、麦野ってぇのはコイツの事か?」



声は麦野だ、しかし立ち振舞いや口調は彼女の物とは全く違う…。

「麦…野…?」

「ああ、残念だったなぁ…。コイツの体は、今じゃあ俺のモンだ」

「そんな…なんで…?」

絹旗は麦野…いや麦野の体を乗っ取ている者が言っていることがわからなかった。

「おい、そこのにぃちゃんから聴いてねぇのかよ?コイツの記憶にはあったぜぇ?………毒刀 鍍の事とか、その特性とかよ…」

「な…?」






「まぁとりあえず、久しぶりだなぁ、虚刀流」


「ああ、こっちこそ久しぶりだな。………四季崎記紀」


そう、四季崎記紀は毒刀 鍍の力で麦野沈利に憑依したのだ。
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 16:19:14.65 ID:EVQx49rR0


「いやぁしかし、コイツの記憶を見たんだけれどよぉ。この街ってぇのはスゲェおもしれぇな!!」

麦野…いや四季崎の顔がニヤニヤと歪む。

「……ん?…んん…?」

と、四季崎は急に考えるように黙り込んだ。


「………ははははは!!……いやぁ、いやぁ…いやぁ…ホントにおもしれぇこと考えちまったよ…」

「………」


絹旗は麦野の変わり果てた姿に唖然とし、御坂姉妹は何が何だかわからずに突っ立ている。

ただ、七花は四季崎を睨み、冥土返しは興味津々で見ている。

話について来ているのはこの二人だけのようだ。



「おい虚刀流…てめぇ、あの後も散々暴れまくったようじゃねーか。相方殺されたつって怒って、尾張城を潰しに行ったとか…。まったくスゲェ話だよ」

「俺はそんなことのために尾張城に行ったんじゃない。死に場所を求めて行ったんだ」

「まぁ、それも俺の計画通りだよ。………しかし、歴史に負けちまったとは思わなんだけどな…。そこでだ、お前におもしろぇことをしてやろう!」

「何が言いたい?」

「まぁ見ておけって……」
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 16:51:29.20 ID:EVQx49rR0

「させるかよ…」

七花は四季崎が行動を起こそうとする前に倒そうと、前に出る。

が、


「おっと、近づくなよ。近づくとこの娘が毒刀で串刺しだぜ?」

四季崎は自分の…いや麦野の体に刃を向ける。


「…くっ」

「おかしいなぁ?以前のお前なら人質諸共斬り殺すはずだったよなぁ?……まぁいい、そこで見てろ」


四季崎は刃を降ろす。

「しかし、コイツの体を乗っ取る時は苦労したぜ。なんせスゲェ抵抗してくるから、つい小娘相手にムキになっちまった。真庭鳳凰の時はすんなり行けたんだけどなぁ。スゲェ精神力だよコイツ。

で、コイツの能力はえーと『原子崩し』っていうのか…。この能力を利用して虚刀や毒刀をこっちに呼んだか…なるほど…。

しかし、全力を出すと体に負担がかかり、体は崩壊する……便利だが、ちと厄介だな…。まぁいいや。………えい!」


ドォォォン!と、また爆発した。

何かを呼び出した。



「―――――――…………!!」

七花たちは麦野が人質を取られている以上、動けない。



そして、四季崎が呼び出したのは……。

「―――――――ッッ!!?あ、あれは……。悪刀 鐚!!?」


四季崎の掌の上には悪刀 鐚があった。

それを迷いも躊躇もせず、脇腹に刺す。

「…………ッ!?…なっ」

絹旗は何かを叫ぼうとする。

「安心しろ、コイツは死なねぇし、急所も外しておいた」

と、四季崎は絹旗に言った。

「さて、これで体は崩壊しない。準備は整った!」

四季崎は両手をあげて、まるで何かのショーか何かが始めようとするように。


「おい!なにをするつもりだ!?」

七花が叫ぶ。


「言っただろ?おもしれぇことだよ!!……安心しろ、死にはしねぇ」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 17:04:28.23 ID:EVQx49rR0

「この時代ではこんなことをする時、こんなこと言うんだろ?」

四季崎は高らかに叫んだ。

「Ladies & Gentlemen!!只今より、ショーを始めます!!」



そして、四季崎は


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


また、何かを呼び出した。


四季崎の周辺から光が広がっていった……。
























光が収まる。



おかしい爆発はなかった。

しかも四季崎の周りにも七花の周りにも、何もなかった。

「……??」

七花はあたりを見渡す。

絹旗・滝壺・冥土返し・美琴・御坂妹。全員いる。(フレンダここにいない。頭がショート中だったので連れてこなかった)

失敗か?


「はぁはぁはぁ、ふぅ…。何とかできたぜ」

四季崎は荒い息で呼吸し、座り込んでいた。

「あぶねぇあぶねぇ、悪刀が無かったら三回は死んでたな…」

「四季崎…お前、何をした?」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/18(水) 17:14:24.34 ID:h3rqlzGNo
やべぇワクワクしてきた
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 17:24:27.50 ID:EVQx49rR0

七花は四季崎に訊く。

「なにって、おましれぇことだよ」

「それが何だって訊いてんだ!」

「まぁ後になってわかる…焦るな」


と、そのとき、四季崎の体は大きく仰け反った。

「………っな!?」

「!?」

「おいおい、未だに抵抗して来るぞ、この小娘…。まぁいい、そろそろ終わりにすっか…」

「麦野!」

絹旗が叫ぶ。

「むぎの…」

滝壺は心配そうな目で見つめる。


「心配すんな、コイツは生きてるよ。おい!お前医者だろ?」

四季崎は冥土返しを呼んだ。

「こいつは、しばらくは起きねえからよ。色々面倒見てくれや。俺コイツ気に入ったよ。おもしれぇ」

「心配せずともその子はみるよ。僕は医者だからね。…まぁ僕の患者をそういう風にする君の指図は受けないよ」

「そうかい」

四季崎は脇腹に刺さった悪刀 鐚を抜く、ジワジワと血が出る。

そして、麦野の能力を使って鐚をどこかに飛ばした。


「虚刀流!今回てめぇにおもしぇことをさせてやる」

「……なんだ…?」

「テメェが壊した、俺が作った完成形変体刀十二本を全てこの世界にバラ撒いた。ついでにテメェと戦った奴らもこの世界にいる。真庭忍軍から左右田右衛門左衛門までなぁ…」

「…………ッッな…!!?」

「変体刀も真庭忍軍も右衛門左衛門も、コイツらがいるとこの世界のバランスは大きく崩れる。それを食い止めろ」

「な、なんでそんな面倒くさいことを…」

七花は激昂する。

「なんでって、おもしれぇからだよ」

「さっきからおもしれぇおもしれぇって、なにがそんなにおもしれぇんだ!?」

「ふふふ、そのうちわかる…」
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 17:41:54.44 ID:EVQx49rR0

「時間だ…。俺は消える」

「おい!」

「そうだ虚刀流、テメェに手土産を持ってきた」

「なっ」

「さっきまでテメェが寝てた部屋にいる。楽しみにしておけ。じゃあな」

「おい!!」


四季崎は毒刀 鍍を麦野の能力で飛ばした。



すると、毒刀 鍍の能力が消えた麦野の体は糸が切れた人形の如く倒れた。



「む、麦野!!」

「むぎの!」

絹旗と滝壺は麦野の所へ走っていった。


「ちょっと!これってどういう事よ!?」

「この世界に厄災が舞い降りてきたと言うべきでしょうか。フフ、ノストラダムスの予言は今日でしたか…とミサカは一人ごこちます」

御坂姉妹は二人でギャーギャーやっている。



そして七花は。


『七花くん、この後あなたはとっても面倒くさい事に巻き込まれるわ。いや、原因はあなたかもしれないわね』

夢で見た、否定姫が言った言葉である。




「俺のせいか………」




510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 17:42:49.79 ID:EVQx49rR0

ひとまずここまでです。

夕飯と風呂に入ってから更新します。
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/18(水) 17:46:43.01 ID:335yrhfDO
とがめ来たな
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/18(水) 18:17:48.59 ID:8/O1ApuAO
他はともかく、錆一家と姉ちゃんまで召喚されてたら
巡り合わせによっては世界が終わるな
最悪のパターンだと錆母子がカーテナ二本、姉ちゃんは黄金錬成か幻想殺しをコピられる…
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/18(水) 18:39:39.55 ID:URkrhqdj0
ヤバい めちゃくちゃ楽しみ
ここからが本番か
居る人間は
真庭忍軍 12
家鳴将軍家御側人 11
変体刀所持者 10

その中で手伝ってくれそうなのは
汽口、こなゆきぐらいか 彼我木、迷彩は知らん

というか、とがめも呼び出されたのか気になって仕方無い
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/18(水) 19:53:33.95 ID:xHO30DPzo
死人生き返っちゃったのか
一気に微妙になりそう
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/18(水) 20:30:19.90 ID:MU1vAvrbo
あれだヘタなジャンプ漫画みたいにグダグダ進むんだろう。
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/18(水) 20:51:34.91 ID:+yRIq2Rwo
wktk
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/18(水) 20:59:15.04 ID:JjJaHhuf0
学園都市組で賊刀・鎧を着れるのって削板ぐらいだよな
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 20:59:20.97 ID:EVQx49rR0

お待たせしました。

続きです。

519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/18(水) 21:39:40.66 ID:uU7z9sX80
こなゆきと絹旗は仲良くなりそうだな

>>517
アックアかもしれんぞ…
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 21:52:49.88 ID:EVQx49rR0


あの後、冥土返しの指示により麦野は集中治療室へ向かわせた。

麦野は四季崎の言った通り、しばらくは眠ったままだそうだ。


「…………」

黙り込んだままの七花。


「七花さん、そう落ち込まないでください。七花さんが言っていたことを聞かなかった私達が悪いんです」

慰める絹旗。


「いや、別に落ち込んではないんだけれどよ…。やっぱりあん時、力ずくでも離させておくべきだったって、後悔している」

「七花さん…」

「あのね、それを落ち込んでいるっていうのよ」

「お姉さま、それは言い過ぎなのでは?とミサカはお姉さまの言葉に疑問を浮かべます」

七花と絹旗の後ろに美琴と御坂妹がついて来ている。


今、4人は自分の病室に向かっていた。麦野の方は滝壺に任せてある。


「そういえば、あいつ最後になにか言ってましたね?」

「ああ、『手土産を持ってきた』…だったっけ?」

「気になるわね…」

「一体、なんなのでしょうか?とミサカは考えます」

「いや、ぱっとは思いつくんだけれどよ…」


4人は病室の近くまで来る。

すると、部屋の入口には人だかりができていた。

病人やらナースやら医者やら職員やら…老若男女、色々な人たちが何かを見ていた。


「…?」

「なに?」

「一体なんなんでしょう?」

様子が気になる女子3人。しかし七花は

「大体予想がついた……。嫌な予感がするけど」

と言った。

しかしそういったものの、なんだかうれしそうな顔であった。


521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/18(水) 23:08:30.07 ID:EVQx49rR0

病室の中から、何やら怒鳴り声が聞こえた。

「………な…に…!……お…っ………!!……ぉ……!?」

「………を………で…………き……!!」

何やら言い争っている様にも聞こえる。


「………しょうがねぇな、もう」

七花は人ごみの中に入っていく。


「え!?七花さん?ちょっと待ってください!」

絹旗は七花を追った。



七花は人ごみを掻き分け、病室の中に入った。

絹旗は「すいませーん通りまーす」と謝りながら人ごみを掻き分け、やっと七花に追いついた。


病室の中には一人の女が、ナース3人相手に言い争っていた。


「もう、何度言ったらわかるんですか!?警備員呼びますよ!?」

「だから言っておろう!!一体ここはどこだ!?」

ギャーギャーワーワー


その女は余りにも特徴的な恰好をしていた。

まず、この時代には不釣り合いな着物を着ていた。

しかし本来の着方とは違う。

まるで着物を重ねて重ねて、十二単の様なコテコテな着こなし方をしている。

そして何よりもっとも特徴的なのは、ざっくりと切ったようなおかっぱ頭で、

その髪の色は、白髪だった。


522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]:2011/05/18(水) 23:10:27.50 ID:xHO30DPzo
面白かったのに残念だ
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/18(水) 23:27:00.41 ID:Y9ZT0ayKo
wktk
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/18(水) 23:31:09.29 ID:uU7z9sX80
ちぇりおおおお
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/05/18(水) 23:56:10.82 ID:dyGebEnu0
人鳥くんぐらい捻った配役にするか、危篤継続、意識不明続行くらいはやってほしかった
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/19(木) 00:07:22.71 ID:TwfOLZjDO
遅い
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 00:20:25.01 ID:5Dm0Fg+Y0

「七花さん、なんなんですか?この人は……?」

絹旗は変なモノを見る目で女を見、七花に質問する。


「ん?七花…?」

と、女の耳に入ったのか、絹旗の声に女は反応する。

「七花!?七花か!?鑢七花か!?」

女は振り返り七花の所へと走ってくる。



「しーちかー!!会いたかったよぉーーー!!」


その女…、奇策士とがめは蔓延の笑みで七花に飛びついた。



「なんだ、やっぱりとがめか…」


しかし、飛びついたとがめは七花の体には届かず、七花の手前で墜落した。

「ぐほぉあああ!!」

とがめは七花の足元でヘッドスライディングをする形で着地した。
「……………」

とがめは無言で立ち上がり、七花を睨みつけて叫んだ。


「なんだってなんだぁ!お前には久しぶりに会った主との感動の再開を果たしたのに、その第一声はなんだぁ!何とも思わんのか!」

「いや、別に何とも…」

「ああそうだろう?いくらなんでもどんなものでも、一年をずっと共に過ごしてきた主と配下だ。なにも思わね訳が無い。古の武僧である武蔵坊弁慶も主を守るため敵を一人で向かい、無数の矢を受けてもなお立っておったという…。やはり愛で動く配下は命をもって主を守るものだ。七花も少しばかりだったが、私とはぐれていたのだ。いくらお前とて寂しかったに違いない…って何とも思わんのかい!!」


「ああ、そうだ」


「…七花ぁ…本当にそうなのか?寂しくなかったのか?ひもじい思いはしなかったか?辛かった時はなかったのか?」


「ああ、まったく」


「そうか!そうだったであろう!当たり前だ、例えお前でも私がいなければ何もできまい!ふふふ、やはりお前には私が必要か!!…てないのかい!!」



528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/19(木) 00:32:17.27 ID:SwwC+uxAO
前々から思っていたが投下速度が遅すぎる
書きだめしとけよ
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 00:32:32.14 ID:5Dm0Fg+Y0

「何なんですか?この人」

「何だとはなんだ。七花、この小娘はだれだ?」

絹旗が変な人を見るような顔をしてとがめを見る。

「ああ、こいつは…」


「なになに?」

「どうしたんですか?とミサカは人ごみを掻き分けてやっとここまで出てきました」


「…………七花、これはどういう事だ?」

「…はい?」

「どういう事だと言っている!?………ああそうか、わかったぞ!そなた、私というのがありながら、浮気か!!しかも全員年端のいかぬ者ばかり…そなたは少女趣味だったのか!?そうかそうか、私のようなオバアサンでは満足はできなくて、若い女に乗り移ったのかぁああああ!!」

「いや、そういう事じゃなくて…」

「そういう事だろう!?どう見たってそうではないかぁ!!」

「落ち着けとがめ!!」

「これが落ち着いていられるかぁあああああ!!」

とがめは七花の腹をポカポカと叩く。

「とがめ!」

「うるさいうるさいうるさーい!!」

すると、

「ぎゃん!!」

とがめの体がいきなりビクッと痙攣し、倒れた。

「うるさかったから、一応電撃食らわしておいたけど…。大丈夫だった?」

美琴の指から、ピリピリと紫電が光った。

530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 00:33:07.10 ID:5Dm0Fg+Y0

すいません
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/19(木) 00:37:24.89 ID:YDy2xpaao
大体1日おきに投下してんだから早い方だろう
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 01:07:35.78 ID:5Dm0Fg+Y0

しばらくたって、目が覚め、気持ちが落ち着いたとがめに七花は今まで起こった事と、今の状況を話した。


「なるほどな。要はこの世界では私達は異物な存在で、この世界に混沌をもたらすから、それを食い止めよと…」

とがめは御坂妹が買ってきた紙コップに入ったお茶を啜る。

「まったく、どうしてこうも面倒くさい真似をするのだ、あの男は……」

「なぁとがめ、なんで四季崎は俺のもとにお前と寄こしたんだ?」

「それはあれだろう、四季崎はお前がこの世界で苦戦すると見たんだろう。保険として、そなたの相談役としてここへ飛ばしたのだろう」


「あの…七花さん、この人は一体?」

と絹旗が七花に訊く。

「ああ、ほら、言っただろう?」

「私は尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督 奇策士とがめだ。以前、七花と共に完成形変体刀十二本を集めていた」

「え?で死んだんじゃ…」

今度は美琴が訊く。

「そうだ、確かにあの時私は死んだ。なのにここにいる。七花、私が死んだあと、私の亡骸をどうした?」

「近くの寺に墓を作って埋めた」

「そうか…。そうなれば体は腐って土に還るはずだ。しかしなぜかここにいる」

「あんたじゃわかんねぇか?」

「わからん。私はあくまでも奇策士だ。その分野の専門家じゃない」

「じゃあこれからどうするのよ?刀集めしなくちゃいけないんじゃないの?」

美琴はとがめに訊く。

とがめはう〜んと考えた。



そして口を開いた。

「そうだな、とりあえず待とう」

「…………は?」

「第一に未だにこの世界の事が右も左もわからん。これじゃあ、いざ戦いになれば不利になる場合がある。また変体刀十二本の在り処もどこにあるのかもわからんし、こっちの世界の者も誰がどこにいるのかもわからん。とにかく今は情報を集めるのが先だ」

「なるほど…」

「時にとがめ、とっちの世界の者って一体誰が来ているんだ?」

「それは調べなくてはわからんが。まず真庭忍軍は絶対に来ておる。あと錆白兵と左右田右衛門左衛門もな…。あとは調べるしかない…」

「そうか…」

「とりあえず、ここの世界に慣れるまで、おとなしくしておこう」


「七花さん」

「なんだ絹旗」

「七花さん達がこうなったのは、もとはと言えば私達『アイテム』の責任です。……その…情報収取はこちらでしておきます」

七花の代わりにとがめが応えた。

「それは助かる。…しかし、刀がどの範囲で散らばったかはわからん。この学園都市とやらの中なのか、それとも外なのか…。でもまぁ、中のことだけでもしてくれれば助かる」

「…は、はい」

533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 01:10:16.90 ID:5Dm0Fg+Y0


「そうだ、七花」

「なんだ?」

「そなた、あの否定姫と一緒にいたのだな?」

「ああそうだ」

「今は?」

「知らない。はぐれたままだ」

「そうか…。まぁあの女の事だ、どこかで私達の事でも見ているのだろう…」

「そ、そうか?」

「そうだ。そうでなくては気持ち悪いくらいだ」


534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/05/19(木) 01:12:14.84 ID:9w//WqPzo
別の時間軸のとがめとかじゃなくて実際死んでたのか
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/19(木) 01:19:02.07 ID:gelpTOxAO
いいねいいねぇ最高だね〜

早くね―ちん対姉ちゃんの戦いがみたい
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/19(木) 01:22:39.80 ID:7l8GQ7IQ0
>>535
「見稽古」で剣術や聖人の力習得されて姉ちゃんの圧勝だろ
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/19(木) 01:24:59.43 ID:gelpTOxAO
まじ姉ちゃん強す…
ならステイル対えもんざえもんなら分があるはず

538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/19(木) 01:25:40.31 ID:JL2ptzmv0
なんだかんだでまにわに意外は結構協力してくれそうだよな
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 01:27:33.45 ID:5Dm0Fg+Y0



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ー


その頃、とある学生マンション…。


その夕日の日差しが差し込む部屋に着物を着た女が座っていた。


『そうか…。まぁあの女の事だ、どこかで私達の事でも見ているのだろう…』

『そ、そうか?』

『そうだ。そうでなくては気持ち悪いくらいだ』


女の目の前には、大きな円が書かれた大きな紙が置いてあり、その円の中には、七花ととがめと絹旗と御坂姉妹のやり取りが映っていた。


「ふふふ、さすがにわかってるわね〜。奇策士は…」


その女の金髪は短く切られていて、横に『不忍』と書かれた面が掛けられていた。


その女の名は否定姫という。



「ただいま〜」

「ただいま〜」

部屋に誰かが入ってきた。どうやらここの住人のようだ。

一人は買い物袋を持った、高校生くらいのツンツン頭が特徴の少年。もう一人は十代前半の幼い容姿の修道服を着た女の子だった。


「おかえり〜」

「ひていひめ〜、知りたいこと分かった〜?」

「うん、ありがとうね、インデックスちゃん」

否定姫はインデックスの頭を優しく撫でる。

「ふう、上条さんは今日も疲れたんですよ〜」

と、少年は手にしていた買い物袋を床に置き、床に座る。

「こら上条、休んでないでさっさと夕飯つくりなさい。ちゃんと頼んどいたの買ってくれたわよねぇ」

「仰せのままに買ってきましたよ、姫様……はぁ」

「そこ、溜息つかない」

「ぎゃふんっ」

否定姫は少年の頭を扇で叩く。


少年…上条当麻は頭をすすりながら台所に向かい、買ってきた食材で料理を作り始める。

540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/19(木) 01:41:08.16 ID:5Dm0Fg+Y0


「インデックスちゃん、今日はありがとうね。未来予測の魔術と特定の人の夢の中に入れる魔術を教えてくれて」

「いいよ、ひていひめの頼みなら何でも聞くから」

「ふふふ、ありがとう」

「にしても、なにをしていたの?」

「ん〜?それは、な・い・しょ♪」

「もう、ひていひめったら〜」

キャキャッキャキャッ


(インデックスの子守りを引き受けてくれるのは有難いのですが、上条さん的にはこの状況はしんどいのですよー)

「何か言った!?」

「いえ、なんにでもありません!!(俺何も言ってねえ!!)」


「凄いひていひめ、とうまの心を読む魔術も使えた!!」

「インデックスちゃん、これは女の勘よ♪」

「わーすごーい」

キャイキャイワイワイ


(ちくしょう……)


「にしてもひていひめってすごいよね、あたし教えた魔術を全て一発でできちゃうもん」

「それはきっと、家計が占い師だからじゃない?」

「へ〜どうなんだ〜」

アハハウフフフ…


(この生活…いつまで続くのでせうか?)






つづく



















今日はここで落ちます。明日は少し休んで、明後日書こうと思います。

541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/19(木) 01:43:25.96 ID:JL2ptzmv0

更に面白くなってきやがった
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/19(木) 01:46:17.94 ID:7l8GQ7IQ0

否定姫と右衛門左衛門は上条さん家か

『その幻想を、否定するわ』といった台詞パロが今後いくつか出るのだろうか
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/19(木) 02:43:13.77 ID:Cu8PgTmw0
姉ちゃんの病気も冥土返しだったらかなりの数減らす事が出来そう
そしたらついに姉ちゃん無双ktkrってなるのに
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/19(木) 02:45:44.67 ID:KMJ6ClmAo

やべぇなこりゃ楽しませてくれよ
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/19(木) 08:29:01.11 ID:P8MdC0eDO
上条さんは変態刀をそげぶできるのかが気になるな
七花とは戦いにすらならないから刀をそげぶ出来ないと役に立たない
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/05/19(木) 08:51:32.52 ID:USmUxEUho
ダークマター的なもので出来てるなら出来るんじゃないかと
まあその辺をどうするかは>>1の裁量次第だから楽しみにすればいいんじゃないかな?
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/19(木) 10:58:01.81 ID:sLra1AwIO
否定姫は上条さんのところか。
これは面白くなってきた。
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/20(金) 06:32:55.54 ID:13/KrKOAO
否定姫は俺の嫁


強姦陵辱膣内射精妊娠出産結婚新婚生活
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/20(金) 07:57:43.75 ID:lEMxvu+AO
>>548
ただしその頃にはあんたは八つ裂きになってるけどな
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/20(金) 15:43:34.32 ID:3VqrMmdPo
七花と聖人の戦いが気になるな
同じ肉弾戦闘系だし
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 18:24:07.47 ID:k3a+lc7D0

こんにちは、今日は一日空けてお送りします。

頑張って書きます。


あと、>>521さんの要望で、書き溜めて書きます。

今まで、書いて投下、書いて投下…という風にしていたので、結構、遅くなっていました。

これからはなるべく書き溜めていきたいと思います。


しかし、途中で用事が出来てしまった場合あったり、アニメを見るときは遅くなってしまいますので、ご了承ください。


今から書き溜めるので、7時半ぐらいには投下します。

次は8時半。

その次は10時に投下する予定です。


予定より遅れてしまった場合があるかも知れないので、申し訳ございませんが、そこもご了承ください。
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 18:26:26.48 ID:k3a+lc7D0
>>551 すいません>>528さんでした。
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 19:35:14.49 ID:k3a+lc7D0



―――――――――第七学区の学生寮。


「はい、出来たぞ。あんたのリクエスト通り、鯛の姿煮だ」


「はい、ありがとう…。結構かかったわね」

「そりゃ、姿煮だもの」

「わーい、今日はごちそうだー!!」


否定姫は、学園都市にいる高校生 上条当麻の部屋に居候していた。

「とうま、とうま、どうしたの?今日はごちそうだよ!」

「インデックス落ち着け、暴れるな。せっかくできた姿煮がこぼれるっ」

上条は暴れるインデックスを押さえ付ける。

「インデックスちゃん?今日はお姉さんの奢りよ♪」

「やったー!ありがとう、ひていひめ!」

インデックスは否定姫に抱き着く。



「んじゃ、いただきますか」

「いただきまーす」

「いただきます」

上条と否定姫は鯛に箸を入れる。………インデックスはかぶりついた。


「おいひー!」

「そりゃ良かった」

インデックスは口の周りをカスだらけにして、美味しそうに食べる…いや喰らいつく。

「おら、汚いぞ」

上条は彼女の口の周りを近くにあったティッシュで拭いてあげる。


「………ねぇ」

と、否定姫が上条に

「この鯛、どこの鯛?」

「え?近くの魚屋のだけど?」

「どこで買ったのじゃなくて、どこの産地よ?」

「?学園都市産だけど?……口に合わなかったか?」

「いえ、ちょっと違和感があって……」

「そうか…。美味しいか?」

「いえ、中の下よ」

「さいで…」

どうやら、上条の料理の腕では否定姫の舌を唸らせることは出来なかったようだ。

554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 19:36:15.31 ID:k3a+lc7D0

「しかし、最初は驚いたよ。部屋に戻るとベランダにお前が引っ掛かってただからな」

「ひていひめ、あたしと同じだ!」

「でも、ホントに感謝してるわ。だって住む所と食べ物をくれるんだもの」

否定姫は鯛の身を少し箸で摘まみ、口で持っていく。

「っておい」

上条は否定姫の言葉に反論した。

「それはお前が強制的に…」

しかし。


「何か言った?」


と、否定姫は上条を睨む。

「…イイエ、ナニモイッテマセン」

蛇に睨まれた蛙のように、身をちじ込ませる上条。



「はぁ〜。美味しかった」

「…って速っ!喰うの速っ!」

インデックスの鯛は身どころか、頭と尻尾以外すべてが無くなっていた。

「おいインデックス!どういう喰い方したら、そんな形跡になるんだ!?」

「え?普通」

「お前の場合は普通じゃないの!丸齧りなの!アブノーマルなの!獣なの!」

「…食べたりないから、とうまも分も食べていい?」

「聞いてんのか!?つーか食べたらダメだ!こればっかりは譲れん!」

「ちょうだい!」

「だめ!」

「え〜」

「え〜じゃないの!ダメったらダメ!」

「ぶ〜」

「ぶ〜でもダメ!」

「何でもするから!」

「…そうか。じゃあ、これからは3時のおやつはなしな?」

「…………とうまのケチ」

「どうと言え!今の上条さんはドケチ上条さんなのですよ〜。お前が何を何と言おうが、この1尾 2500円もした真鯛の姿煮を渡すものかぁ!!」


555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 19:36:54.47 ID:k3a+lc7D0

「さ〜て、さっそく食べますか!」

上条は鯛に箸を入れる。

さっきは箸を入れたが、口には持って行けず仕舞いだった。


「あーん。んん!おいしい!!俺って天才じゃないのぉ!?ここまで上手く行けるとは…」

自分が作った料理が美味しく出来たら、それは嬉しいものだ。

最初の一口目を飲み込み、また箸で身を食べる。


「うん…うん……」

幸せを、文字通り噛み締める上条。

しかし、『不幸』が代名詞の彼に、

「……ふごっ!?」

不幸が例にならってやって来た。


「歯…歯に…刺さった…」
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 19:49:16.00 ID:k3a+lc7D0

魚の骨が、上条の歯に刺さった。


上条は焦る。

なぜなら、その骨は奥歯の歯茎に深く突き刺さっていたのだ。


「イテテテテテ……(一旦口にあるのを飲み込んでから抜こう)」

目に涙を溜めながら、口にある者を飲み込む。

しかし…。


「ぎゃあああ!!今度は喉に刺さったぁあああ!!」

ドタドタとのた打ち回る上条。

それを見たインデックスは…。

「隙あり!!」

上条の鯛にかぶりつき、むさぼる様に喰らつく。


「ムシャムシャムシャ…ん〜おいしい〜…ムシャムシャムシャ…」

「ああ…ああ…あああああ……」

それを見た上条はこの世の終わりの様な顔をしてインデックスを見た。

「お…お前…俺の…俺の鯛を……」

「ふん、隙を見せたとうまが悪いんだよ!」

「ああああああああああ…」

崩れ落ちる上条

557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 20:00:26.25 ID:k3a+lc7D0

しかし


「お…お…れ…の……俺の…俺の鯛を…返せぇえええええええええ!!!」

上条は諦めていなかった。


すぐさまインデックスが喰らう鯛を奪取しようとする。




「残念、もう食べ終えた」

「くそぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


そして、上条は最後の一手にでる。


「否定姫!!」

上条は否定姫の方へ体を向け、怖い顔で彼女を見る。

そして、上条は言った。



「どうか、私めに恵んでください!!」



土下座だった。


「嫌よ」

「即答!?」

「なんで私がアンタに恵んでやんなくちゃならないのよ」

「くそ、ドケチ!こうなったら力ずくで…」

「それと私の鯛、もうないわよ」

「………………………………………………………」

上条当麻 撃沈。
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 20:01:12.05 ID:k3a+lc7D0


次は30分に投下します。




559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 20:38:35.10 ID:k3a+lc7D0

その頃、病院の七花の病室では。


「…ごめん、滝壺。もう一回言って?」

「だからね?しちかさんの体のRNAは…」


滝壺理后は先程から、やっと頭のショートから回復したフレンダ=セイヴェルンに冥土返しが鑢七花についてのことを、もう一回説明していた。


「…ごめん、専門用語ばっかりでわかんない…」

「…これ以上、噛み砕いて説明するのは無理だよ…」

「…うう…やっぱり、私の様なバカはバカのままなのね…」

「ふれんだ、ふれんだはバカじゃないよ?諦めずに頑張ろう?」


そして、もう一回説明する。


「……………」

フレンダの頭は、またショートした。

「おーい、フレンダー。しっかりしてー」

滝壺は、バンバンッと壊れたテレビの様にフレンダの頬を叩く。

「……………っは!私は何を!?」

すると、フレンダは急に意識が戻る。

本当にテレビの様だ。

「もう、ふれんだは私の説明を聞いてるの?」

滝壺は困った顔をする。

だんだん壊れたフレンダの扱いにも慣れてきてしまった。



「何を言っておる。簡単ではないか」


と七花のベッドから女の声が聞こえた。

奇策士とがめだ。

彼女は七花のベッドに乗り、周りを小学校低学年の教科書から大学の参考書まで、ありとあらゆる書物の山で固めていた。

彼女の今の恰好は余りにも目立ち、奇抜なので、季節外れだが浴衣にしてもらった。…………まぁ派手なのだが。

「あの蛙顔の医者が言いたいのは、人間というものの体は何百何千何万という年月で、土地や環境に合わせて少しずつ進化していく。

それを鑢七花の一族はたった七代でしてきたのだよ。あの文字通りの鋼の肉体にな」


「ほほう、そういう事か…」

「しかしわからん。虚刀 鑢は七花の代で完了したのではないのか?じゃあなぜ、四季崎はこのような試練を与える…?」

とがめブツブツと呟いた。

「…やっぱり、わからん。情報が少なすぎる」



560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 20:39:55.47 ID:k3a+lc7D0

「ねぇ、滝壺…。あの人って結局だれ?」

「ああ、ふれんだには紹介してなかったね。しちかさんの時代にいた人で、とがめさん」

「ああ、あの自分は策は打たぬが奇策は打つと言っておいて、活躍したのは二回だけ。しかもその内一回は物凄く卑怯な手で相手を倒した、あの奇策士とか言った人か」

「……おい、それは七花が言ったのか?」

とがめは声を低くして尋ねる。


「ふれんだ、七花はそこまで言ってない……」

「えっ?そうじゃなかった?」


とがめはベッドから飛び降りた。

「七花はどこだ?ちょっと、七花に訊いてくる」

と言って、出ていった。


「あ、ちょっと…」

「いっちゃった…」


「ふれんだ、あれは言い過ぎ…」

「……あんな感じじゃなかったっけ?」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)[sage]:2011/05/20(金) 21:01:58.23 ID:lEMxvu+AO
>>560
錆と姉ちゃんと日和号と汽口だから4人
日和号は奇策かどうか判断しにくいが
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/05/20(金) 21:04:32.55 ID:+zkbQJFY0
日和号は太陽電池に気づいただけですごいと思う
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/20(金) 21:51:33.94 ID:uqTVMnl20
あの時代に太陽光がエネルギーなのを
気付くなんてすごいよな
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 21:53:27.61 ID:k3a+lc7D0



とがめが七花を探し回っている頃、病院の中庭…。


七花は空高くに上がっている月を見ていた。



「今日は満月か……」


「いいえ、満月は明日です」


「……だれだ!?」

「私です」

「なんだ、絹旗か…驚かすなよ」

「ビックリさせてすいません。………あと、ほら少しですけど、左の方が欠けてますよ?」

「あ、ほんとだ」

「……欠けてますけど、超奇麗ですね。今日の月」

「そうだな」

「明日は超奇麗になるんでしょうね」

「そうだといいな」

他愛のない会話がトントンと続いていた。

しかし会話は続かず、しばらくは静かに月を見ていた。




565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 21:53:58.80 ID:k3a+lc7D0




何分か経った。

すると、絹旗が口を開いた。


「…………七花さん」

「なんだ?」

「今もまだ、落ち込んでます?」

「いや、もうそんな気持ちはねぇよ」

「そうですか、それは超よかったです」

と絹旗はホッと息をつく。

そして顔をキッとしかめて七花の顔を見た。

「しかし、七花さんをこの世界に呼んでしまったのも、今日の麦野のことも、全て私達のせいです。本当に、超すいませんでした」

絹旗は頭を深く下げる。

「お、おい、頭をあげてくれよ。別にこっちはあんた達に怒ってていたり、憎んでいてたりしてねぇから」

七花は絹旗の両肩を持ち、体を起こす。

「確かに面倒なことになったけどよ。ここへ来てからは楽しいことの方が多いんだぜ?」

「え?」

絹旗は目を大きく見開いた。返ってくる言葉は色々と予想はしてきたが、この答えは予想をしていなかった。

「ほら、なんていうか、このワクワクとした感じとかがするんだよ。俺はよ、あっちの世界でも色々な変な奴と戦ってきたけどよ、この街みたいに、みんながなんらかの能力を持ってはいなかった。けど、この街には面白れぇ奴らがいっぱいいるんだよ。だから楽しい。ワクワクする」

七花の顔は溌剌としていて、生き生きと笑っていた。

「………」

絹旗はこの笑顔がとても不思議に思えた。

絹旗は生まれてきてから十三年。色々な人の顔を見てきた。


例えば昼間の路地裏――――――――何の罪のない少年を七、八人でタコ殴りにしている、不良の顔。

例えば人気のない公園―――――――家に帰る途中の女子中学生を集団で拉致して行った、大人たちの顔。

例えば放課後の学校――――――――無能力者を的にして、3、4人の強能力者達が能力で的当てをしている時の彼らの顔。

例えば闇夜の裏街―――――――――任務で人を殺す時、殺そうとする人物の脅えた顔。

例えばとある研究室――――――――私の頭の中を弄っている時の研究者のニヤニヤとした嫌な顔。



例えば私の家―――――――――――任務から家に帰って、風呂に入った時、鏡に映った、私の人殺し様な顔。



絹旗は、七花のこんな顔は見たことがなかった。

そしてとても羨ましく思った。
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 21:56:16.28 ID:k3a+lc7D0

――――――――――――――――――――――――――――


今度は十一時に投下します。



――――――――――――――――――――――――――――

567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/20(金) 22:55:44.79 ID:SW1qb/xV0

楽しみにしてる
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 23:09:34.03 ID:k3a+lc7D0

きっとこの人は、私と同じくらい………いや、私よりも人を殺しているのかもしれない。

なのになぜ、このような顔ができるのだろうか?


「七花さん、ひとついいですか?」

「なんだ」

「七花さんは、なぜそういう風な顔ができるんですか?」

「……なんだ?いきなり」


「七花さん、私があなたと最初にあった時に言いましたよね。学園都市の超暗部組織『アイテム』のメンバーだって…」

「言ってたっけ?」

「言ってましたっ……で、その暗部っていうのはですね……学園都市の闇の組織なんですよ」

「……と言うと?」

「簡単に言うと、汚れ仕事です。私達は学園都市の不穏分子の削除及び抹消を任されています。要は人殺しです」

絹旗は自分のことを自ら笑うように話した。


そして七花に問う。

「七花さんは、私と同じ人を殺しているのに、どうしてそんなに笑っていられるのですか?」


「…………」

「答えてください」

「絹旗、お前は人を殺すことを自ら望んでやってるのか?」

「……」

「俺はまだ島から出てばっかりだった時……人を斬り殺すのに、なんの罪悪感も違和感も無かった。そうそう、俺ととがめが夜道を歩いていたら盗賊が襲ってきて、俺が斬ろうとしたら、とがめが止めた時があったなぁ」

「……」

「俺は確かに人を斬り殺した。決して少なくない数字だ。その中には俺の父ちゃんや姉ちゃんもいる。………俺が人をむやみに殺し過ぎたと教えられたのは、刀集めの最後らへんだよ」

「……」

「そいつは誠刀 銓の所有者の仙人で、こう言ってたんだ。

『君は刀集めの途中で決して少なくない人数の人間を殺しているんだよ?生きるという人間という最大の目的を阻害して、わかるかい?

人は殺したら死ぬんだよ?そんな簡単な原理から目をそらしている。覚悟が足りない。

秤ってのは、天秤って意味だ。君は自分のやっていることが、どれほどの何と釣り合うのか、考えてみることだ』

ってな。要は人間を一人殺すのに必要な覚悟と理由がないって言われたんだ」

「………」

「で、俺は思い知らされたよ。本当に人を殺す覚悟がないってね」

「……」

「だから俺は、斬るに値しない事では人を斬らないし、斬る時には覚悟をする。斬る相手の今までの人生を、これから歩いていく筈だった人生を、俺はすべて奪っていく覚悟をな」

「……」

「話はこれだけか?先に俺はもう寝るから中に入ってるぞ」

七花は踵を返し、中庭から去っていく。

「待ってください!!」

しかし絹旗は止めた。

569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 23:12:43.88 ID:k3a+lc7D0

「今度はなんだ?」




「わ…私を…弟子にしてください!!」



「はぁ!?」

「だから、私を弟子にしてください!!」

「」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/20(金) 23:52:00.15 ID:k3a+lc7D0


その頃、とがめは病院内と歩き回っていた。

「まったく、七花の奴はどこに行ったというのだ!?」

先程までは走っていたが、小太りの中年ナースに『走らない!!』と怒鳴られた。

ここは三階の病棟。

今は『走ってないですよ!歩いてるんです!………ギリギリ』という感じの、俗に言う“早歩き”で病院内を練り歩く。

スタスタスタスタと病室から履いてきたスリッパがうるさい。

それよりも、一刻も早く七花を見つけて、先程の暴言の真実を暴かなければ。

スタスタスタと競歩選手よろしく歩く。



しかし自称、「障子紙の如く弱い」「戦闘力はうさぎ以下」の女である。だんだん速く動いていた足は遅くなり、最後はフラフラとなって、ゼイゼイと息を苦しそうにして、窓に寄りかかった。


「ゼイ…ゼイ…ひ、久しぶりの…運動…は…堪えるな…」

とがめはふぅと息をつく

そして、ふと窓の向こうの月を見た。

「うむ、明日は満月か……」

その見上げる視線をそのまま下へ移す。

「――――ッ!!?」


七花が一人の少女と二人っきりで話していた。

二人っきりで。


「し、七花ぁああああ!!」


とがめは、疲れた身体なんてなんのそのと言わんばかりに全力疾走した。

落ちる様にして階段を降りる、その速度を保ちつつ中庭まで走って行った。

中庭まで行くと、七花と少女の話し声が、そこの曲がり角から聞こえる。


(七花め、七花め、七花めぇえええ!!やっぱり…やっぱり少女趣味だったのか!!くそ……こんな三十路の女なんていらないのか!?腐った果実はいらぬの言うのか!?……しかしパッと見て十八にもいっておらぬ、ケツの青い子供に尻尾をふりやがってぇええええ!!)

とがめは七花から2,3m程しか離れていない曲がり角で息を潜む。


(七花の奴、あんなに楽しそうに喋りおって…。よーし機会をうかがって、後ろから脅かしてやろう……フフフフフ)


571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 00:04:51.76 ID:idcxESTb0


そこには、七花と13歳くらいの少女が話していた。

(む?あの子は確か…絹旗とか言った奴か…。一体なんの話をしておる?)



「七花さんは、私と同じ人を殺しているのに、どうしてそんなに笑っていられるのですか?」

「…………」

「答えてください」


「―――――――――ッ!!?」


(な、なんなのだ!?この重たい空気の話は…!?)


「絹旗、お前は人を殺すことを自ら望んでやってるのか?」

「……」

「俺はまだ島から出てばっかりだった時……」



(しかも、七花が絹旗の相談に乗っておる………ありえん…。明日は雪が降るのではないか?)









「話はこれだけか?先に俺はもう寝るから中に入ってるぞ」


(七花よ、よくぞ言った…よくぞここまで成長したものだ……)グズッ


「待ってください!!」


(お?なんだ?どうした?)


「今度はなんだ?」

「わ…私を…弟子にしてください!!」

「はぁ!?」

「だから、私を弟子にしてください!!」

「」


(な、なにぃいい!?)
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 00:08:14.09 ID:idcxESTb0


――――――――――――――――――――


次で今日はラストです。

1時に投下します。


――――――――――――――――――――
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/21(土) 00:20:22.80 ID:9j1G4zF50
乙 次の投下も楽しみ
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:00:28.33 ID:idcxESTb0

「わ…私を…弟子にしてください!!」

「はぁ!?」

「だから、私を弟子にしてください!!」

「」



「おねがいします!」

絹旗は頭をさげる。

「私は七花さんと戦って自分の弱さに気づきました。だから麦野はあんな風になってしまいました。………でも今の私じゃあ、もうレベルは上げられない。もう能力を上げるのは無理なんです」

彼女は頭を下げたまま、七花に頼み込む。

「でも、でも強くなりたいんです!!麦野も滝壺さんもフレンダも!!みんな!!……でもレベルが上がらない…だったら、体を鍛えれば強くなれると思ったんです!!守れるものを守りたいんです!!」

その声は悲痛なものだった。

守れるものをただ、守りたいのだ。

絶対に取りこぼさないように。

「…………お願いします!!」

叫び続けて、かすれてしまった絹旗の声は、中庭に響いた。




しかし

「だめだ」

七花は断った。



「…!!」

「だめなんだ」

「なぜなんですか!?」


「それは、虚刀流は鑢家の者にしか使えないからだ」

「」

「虚刀流ってのは初代が全く刀の才能がなかったから、初代は『刀を使わない剣術』を編み出したんだ

そもそも虚刀流は四季崎記紀の血刀だ。そう簡単に余所の人間に教えちゃあならねぇ代物なんだ」


「そんな…」

「第一、俺がお前に全てを教えたとしても、お前は虚刀流の技を使えることはできない。これは鑢のものでしか使えないからな」

「…………」

絹旗は悔しそうに項垂れる。


と、そこへ……

575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:17:49.07 ID:idcxESTb0

「七花よ、その辺にしておけ」

とがめが曲がり角から出てきた。

「…とがめ…!いつからそこにいた!?」

「最初っからだ。……時に絹旗とか言ったか」

「………はい」

絹旗はがっくりとした顔で、今でも泣きだしそうな顔をしていた。

「そなた、七花に弟子入りするとはなかなかやるな」

「はぁ」

「まぁそんなに落ち込むことはない。どうだ、君のために、この奇策士とがめ様が奇策を伝授してやろう!」

とがめはエッヘンと腰に手を当てる。

「え?」

「おいとがめ、一体何をするつもりだ?」

「なぁに、簡単なことだ」


「絹旗よ、おぬし……七花と戦え」


「はい?」

「おい、とがめ!」

「別に殺し合いをしろとは言っておらん。ただ組手をやっていればいい。勿論、絹旗は全力で殺すつもりでかかっていけ。七花は絹旗の稽古をつけやれ。虚刀流のではない、あくまで組手だ、ただ絹旗を強くする為の稽古だからな、殺すでないぞ」

「わかってるよ、そのくらい」

「だったらできるな?」

「ああ、虚刀流を教えるんじゃなくて、絹旗を強くする手助けをしてやればいいんだな?」

「そうだ」

「ならいい」



576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 01:17:58.72 ID:yOnGNAKIO
支援
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:18:07.22 ID:idcxESTb0
「うむ、それでいいな?絹旗」

「はい!!ありがとうございます!!」

「さっそく稽古は明日からだ、場所はどうする?」

「ああ、地下に訓練所があるから、そこ使えるんじゃないか?」

「わかった、あの蛙顔の医者に許可を取らしてもらおう」


「それじゃ、お先に失礼します!!」

「ああ、おやすみ」

「おやすみ」



「七花よ」

「なんだ」

「この街は悲しいな」

「そうだな」
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:28:19.81 ID:idcxESTb0


「ふん、まさかおねしが人の相談役などを買って出るなど……」


「明日は雪が降るってか?」


「…まぁいい。……時に七花」


「なんだ?」


「おねし、あの娘らに私の事を『活躍したのは二回だけ。しかもその内一回は物凄く卑怯な手で相手を倒した』とか言ったようだなぁあああ!?」


「とがめ、俺の後ろに回って飛び乗って、首を絞めるなぁ!苦しい…」


「うるさいうるさい!……ていうか、私が活躍したのは、錆と姉ちゃんと日和号と汽口と戦った時の4回だ!!…まぁ確かに汽口のときは反則臭かったが、錆の戦いでは私の奇策は大活躍だったではないかーーー!!」


「わかったわかった、それ以上首を絞めんな!!」


ギャーギャーギャー………
















579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:45:38.92 ID:idcxESTb0

「七花よ、これから忙しくなるぞ」

「人を絞殺しかけておいて、しれっと無かったことにするんだな」

「そこでだ、そなたには私の命令で動いてほしい」




「嫌だ」




「…な…!?」

「嫌だ」

「…一応聞いておく、なぜだ?」

「だってあんた、俺のこと解雇したじゃないか」

「………」

「だから嫌だ」


「…じゃ、じゃあ七花、契約のし直しだ。七花、もう一度…な?」

「嫌だ」

「キーッなんでだ?どうしてだ?七花、私に惚れているのではないのか?」

「そりゃ、惚れているよ」

「だったらなぜ?」

「とがめ、あんた俺に一つ謝らなくちゃいけないことはないか?」


「??……別にないが…?」

「そうか、お前とも今日が最後か…」

「待てぇい!ちょっと待ったぁ!わかった、わかった!言う!言うから!」

「はいどうぞ」

「えっと……。旅の途中で、七花が楽しみにしていた草団子を食べてしまってごめんなさい」

「もうお別れか。とがめ、今日まで楽しかったよ」

「待てぇえええええええい!!すまん七花!わからん教えてくれぇえ!!」

「たっく…。しょうがないな…」

七花は一つ溜め息をついて言った。


580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:56:02.36 ID:idcxESTb0

「とがめ、なんであの日、一人で生きろっていった?」

「」

「そして、勝手に死ぬな…。すげえ寂しかった……」

七花は泣き出しそうな顔をして言った。

「……それと、あんな、悲しいことを言わないでくれ…」

「……」

「それを約束するなら、もう一度あんたの下で戦うよ」

「………しょうがない、わかったよ」



「鑢七花!」

とがめは七花の正面に立ち、気を付けをした。

「あの時は、勝手に死んでしまってすまなかった!!これから二人で一緒に戦ってくれるか!?」

「ああ、戦う」

「それともう一つ!!」

「なんだ」


「あの…その……///」

とがめはいきなりモジモジし始めた。

そして……。


「七花…まだ……私に惚れているか?」

「ああ」



「ありがとう」

「どういたしまして」

「それじゃあ、もう遅いし、中に入ろうとするか!」

「ああ」









一連のやり取りを病院の窓から、冥土返しと呼ばれる医者はずっと見ていた。


「いや本当に、青春してるねぇ?」
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 01:57:24.11 ID:idcxESTb0

今日は以上です。

明日は夜に用事があるので、あまり書けないと思いますが。

暇が出来たら書きます。
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 02:01:32.31 ID:XjxQcXnDO
乙 

なんかいい雰囲気だがこの一件すべてが片付いたらとがめ死んじゃうんだろうな
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/05/21(土) 03:05:41.96 ID:7Dtkb0LAO
一方通行なら斬刀狩りくらい出来るかな
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/21(土) 04:14:16.33 ID:vR1sQUvho
楽しみだ今後も
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 06:06:31.65 ID:AGa7Y6MDO
おぬし
おねし
おねしょ

…ッハ
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/21(土) 08:02:04.23 ID:NCRsm/OIO
とがめが生き返って、微妙だなとか思ってたけど。
とがめと七花みててなんかジンときたわ。

畜生!>>1乙!!
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/21(土) 14:15:14.45 ID:7HY8WFYAO
やっぱしちりんにはとがめだよな
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 14:50:27.74 ID:idcxESTb0

お知らせ。

今日はあまり暇じゃなくなったので、お休みします。

明日の午後から書こうと思います。



おまけを投下します。
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 15:03:53.45 ID:idcxESTb0

上条日記 9月9日


『法の書』のゴダゴダのあとワタクシ上条当麻は寝不足の目をこすりながら家に帰り、すぐさま学校に行った。

ついつい授業中寝てしまった、しかも小萌先生の授業で。


小萌先生は悲しい目をされ、クラスメイトには睨まれ、吹寄には頭突き3連発をお見舞いされた。


放課後、寝てしまった罰として、学校の清掃活動をやらされた。


学校の玄関でインデックスが俺を迎えに来てくれた。………と思っていたが、

実際は腹を空かせて、ここまでやって来たようだ。

思いっきり噛みつかれた。

590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 15:13:12.26 ID:idcxESTb0


――――――――――――――――――――――――――――――――――


家に帰ると、スフィンクスが俺が土御門から借りていた漫画で詰めを研いでいた。土御門曰く、もう滅多に手に入らないレアものらしい。


スフィンクを漫画から力尽くで引き離したが、時すでに遅く、漫画はただの紙屑になっていた。


こっぴどく怒鳴られると思うが、あとで土御門に謝りに行こう。……………不幸だ。



しょうがない、紙屑を掃除するついでに部屋でも掃除するか。

そう思い立って、掃除機を取り出した。

ついでに喚起をするためベランダの窓を開けた。


と、そこには着物を着た金髪の女の人がベランダの手すりに引っかかっていた。

その人は小さく「み、水ぅ…」と呟いていたので、すぐにコップに水を入れて渡した。

女の人は水を一気飲みした。

591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 15:24:02.45 ID:idcxESTb0

その女の人は否定姫と言うらしい。

……思いっきり偽名じゃないか。と思ったが、もう一人偽名を名乗っている居候がいるので、そこはツッコまないでおく。


否定姫にはなつかれた。優しくて奇麗な人だな〜というのが第一印象だった。


俺は今晩のおかずの買い出しに行った。

冷蔵庫の中は空っぽだ、何か買いに行ってこないと、暴食シスターが暴れ出すだろう。




スーパーで色々と買い物をした。今日はお肉が安かった。

帰る途中、警備員の数が異様に多い。何かあったのだろうか?


そう思った直後、御坂に見つかった。速攻逃げた。

しかし逃げる途中でドブに足を突っ込ませてしまった。

脛の所まで泥だらけになる。


御坂に追いつかれ、爆笑された。…………不幸だ。
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 16:00:53.71 ID:idcxESTb0

家に帰り、すぐに汚れた制服のズボンを洗濯機に入れよう…。

明日は授業だから、急がねば…。


そう思って洗濯機がある風呂場の脱衣所へ行った。


脱衣所に入ると、脱がれた着物が一式。恐らく否定姫が風呂に入っているんだろう。


急がねば、彼女が風呂から出てしまう。


さて、さっさとズボンを脱いで…洗濯機に突っ込んで、洗剤も入れて、洗濯開始のボタンを押してさっさと出よう。


ぽちっ…………シーン………

あ、あれ?

ぽちっ…………シーン………


あ、あれ?動かない?


洗濯機が壊れていた。


おい、しっかりしろ洗濯機!

と、バンバン叩いていると………。



全裸の否定姫が、風呂場から脱衣所に入ってきた。


…………………………………………。結構、胸あるんだな。



否定姫が顔を真っ赤にして殴りかかってきた。が、否定姫は濡れた足を滑らせた。

その時なぜか俺のパンツを掴み、ずり落とした。


否定姫の目の前には……、もうわかるだろう。

俺がビックリして股を抑える前に、否定姫はキャーーーーーーー!!と悲鳴を上げ、立ち上がった。


が、また否定姫が滑って転んだ。

何でかはわからんが、俺も巻き添えを喰らい、すっ転んだ。


そして何でか…否定姫の体は、俺の体に覆いかぶさるような体勢になった。



頭と足は逆の位置で。


593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/21(土) 16:09:35.24 ID:idcxESTb0

簡単に言うと、俺の頭の方向には否定姫の足があり、否定姫の頭の方向には俺の足があるのだ。

ということは………。



俺の顔のすぐ前に、否定姫の“恥部”というものがあるのだ。



夏休みに神裂の裸を見た時はこっそり見えていたが、こんなアップで見るのは初めてだ。



…………?

ということは・・・・・…。

否定姫の目の前には、俺の………。


てか、俺の息子に、人の顔の様なものが当たっているのは、気のせいだろうか?


首を下に向ける。

否定姫は、顔をさっきよりも真っ赤にしていた。

そしてこっちを向いて………。






ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!






気が付いたら、朝だった。


その日から、否定姫は俺にたいして冷たくなった。


ホントに不幸だ………。



終わり
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/21(土) 16:18:51.18 ID:H953flW+0
もげろ…もげろ…
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/21(土) 16:24:10.66 ID:M3XVuKczo
これだから上条さんは・・・もげろ
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/21(土) 19:58:03.92 ID:lF2snKmAO
クラスの皆(主に男子)にボコボコのベコベコにされて冥土返しのところに行く前に絶命しやがれクソヤロウ
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄)2011/05/21(土) 20:47:05.14 ID:swjewhiAO
いやもうここまできたらどっかのガチホモに掘られちまえ
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/22(日) 08:53:32.68 ID:Hz81LPUzo
もぎ取ってくる
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 18:17:59.78 ID:T0NpDJto0

こんにちは、今日は昼に投下するつもりでしたが、事情により遅れました。


さて、今日も頑張って書いていきます。
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 18:20:35.16 ID:T0NpDJto0

そうそう、このスレもとうとう600まで来ました。


応援ありがとうございます。


これからも、このスレをおもしろく盛り上げますので、皆様のこれからの応援をよろしくお願いします。
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/05/22(日) 18:50:55.23 ID:nL724tn2o
よし、楽しみにしてるよ!
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/22(日) 19:34:28.36 ID:m8PCpuCAO
今更だがトリ付けてた方がいいんじゃね

603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 19:49:25.33 ID:T0NpDJto0



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


学園都市に朝がやって来た。


今日も快晴である。雲は一つもない空がずっと続いている。


ここは第七学区のとある病院の個室、学園都市の大能力者の少女、絹旗最愛は目を覚ました。

今日は目覚めがよく、すっきりと起きれた。


絹旗はん〜っと体を上に伸ばし、ベッドから降りる。

着ていたパジャマを脱ぎ、滝壺が家から持ってきてくれた、着替えの入ったボストンバックから、白のTシャツと赤いジャージを取り出した。

これは以前、滝壺が買ってきてくれた物だ。因みに滝壺は次いでにと、他のメンバーの分まで買ってきていた。

麦野は黄緑。フレンダは青。

フレンダは喜んでいたが、麦野はいらないと拒んだが、渋々受け取った。


その数日後、フレンダが麦野の家に行ったときの話だが、麦野はちゃんと着ているようで、外で洗濯物として乾かしてあったらしい。



まったく、素直じゃないんだから………。



ふふっとつい、笑ってしまう。

でも、その麦野は今は眠っている。冥土返し曰く、精神に大きなダメージがかかったらしい。しばらくはあのままだそうだ。




今日から鑢七花との稽古が始まる。

そう思うとワクワクしてきたと同時に、身の引き締まる思いが込み上げてきた。


強くなって、麦野や滝壺やフレンダを守ってみせる!

「………うっし!」

絹旗はジャージを纏い、病室から出て行った。





絹旗は寝たきりだった体を叩き起こす為、病院の周りをランニングをしようと外に向かう。


と途中で、ある病室に立ち寄った。

虚刀流七代目当主 鑢七花はこの病室で寝ている。

604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 19:50:13.75 ID:T0NpDJto0

少し覗いていこうかな…。


そっと静かに病室のドアを開ける。


病室の奥の左右2つのベッドには、カーテンが掛けられている。


右が七花のベッド、左が美琴のベッドである。

関係ない話だが、美琴は今日で退院するそうだ。昨日はミサカ10032号と何か話しをしていたらしい。

滝壺は美琴のすぐ近くにいてて、詳しくは聞こえなかったらしいが、その会話を聞いていたそうだ。


ミサカネットワークで19090号が報告したこと、例えば

授業の内容とか

昨日、今日は何があったかとか

今日の給食とか

初春飾利と佐天涙子とのやり取りとか

美琴の身代わりとなったミサカ19090号が後輩である白井黒子に危うくバージンを奪われる寸前だったとか

上条当麻にラッキースケベされたとか

偶然会った、海原光貴に追い掛け回されたとか………。

そんな他愛のないことを、美琴が学校に復帰しても19090号と入れ替わってもばれないように、

美琴に報告していた。
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 20:13:54.22 ID:T0NpDJto0

話が脱線したが、絹旗は寝ている美琴を起こさないように、差し足忍び足で七花のベッドの前へと足を進める。


こういう時はなぜか無性にワクワクするものだ、テレビでやっていた寝起きドッキリをするお笑い芸人の気持ちがわかる。


絹旗はとうとうベッドの前まで来た。


そしてベッドをかこっているカーテンを持って、思いっきり引いた。


「七花さん、おはようございます。超いい朝で…す…ね…」


絹旗の台詞はとぎれとぎれになった。

無理もない、なぜなら絹旗が見たものは



ベッドの上で仲良く抱き合ったまま気持ちよく眠っている、七花ととがめだからだ。



口をパクパクさせる絹旗。

「な……な…な…、何してるんですかぁ!!?」


つい、大声を出してしまった絹旗。

ハッと大声を出してしまったが、今更もう遅い。


606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 20:39:18.37 ID:T0NpDJto0

「……ぅぁ…なんだ?…ああ、絹旗か、どうした?」

「……なんだ?人が気持ちよく寝ておるのに……」


ええい、こうなったらトコトン追及してやる。


「し、し、し、七花さん、とがめさん…な、なぜそんな…」

「なんだ?これのどこがおかしい?」

とがめは、寝起きの、眠そうな顔で答えた。

「いや、おかしいでしょ?だ、だ、だ、男女が同じベッドで寝ているのって、超おかしいでしょ!?」

「そうか?俺は旅の時はいつもこんな感じに寝ていたが?」

「そ、そうなんですか!?」

「ああそうだ……って、もしやお前、何か厭らしいことを考えていたのではないだろうな?」

「な、何言っているんですか!?」

「図星か?」

「な、だから…!」

「おい、あんまり大きな声を出すなよ。あいつが起き…」


「うるさぁぁぁぁい!!!」


美琴は自分のところのカーテンから、機嫌が悪い顔でこっちを睨んできた。

「昨日の衝撃の報告を聞いてこっちは一睡もできなかったのよ!?…でさっきやっとウトウト状態にまでになったのに、うるさくて結局目が醒めちゃったじゃない!!」

美琴はズカズカと七花のベッドに歩いてきた。

「まったく、この責任はどうして…くれ…る……」

そして、ベッドの上にいる、七花ととがめを見た。

「な…な…何やってんのよ!?」
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 21:07:59.84 ID:T0NpDJto0

美琴は二人を指さした。

「あ、あんた達ね、ここは病院よ!?な、何やってたのよ!?この変態!」

「そ、そうですよ、第一なぜ隣のベッドをつかわないんですか!?超おかしいですよ!」


思春期真っ盛りの二人の台詞を聞いていたとがめは一つ溜め息をして、こう言った。

「あのなぁ、私が七花と一緒に寝ておるのは、昔、島を出かばかりの頃のこいつは人間と区別ができなくてな、戦いで誰が誰だかわからんで巻き添えを喰らっては困るからな。私の体臭を嗅がせていた名残だ。お前らの想像している厭らしい事ではないよ」

「いや、犬かよ」

「とがめさんって、超変わっています」

「しょうがないだろ!……まぁあの時は此奴の体に髪を巻き付けていたのだがな。……まぁいい、誤解も解けてたところで、絹旗よ何か用か?」


「…あ、はい!………………なんでしたっけ?」

「おい」

「超すいません…」

「まぁいいさ。ああそうだ、下の訓練所の使用許可は取れたぞ。今日から使ってもよいそうだ」

「あ、ありがとうございます!」

「じゃあ、早速行って来い」

「え、今ですか?」

「ああ、こういうのは早ければ早い方がいい」

「わかった」

「わかりました」


絹旗と七花は病室から出て行った。


「ねぇ、あの二人どこ行くの?」

「ああ、お前には話してなかったな。下の訓練所に行って、七花に稽古をしてもらいにだ」

「へ〜、面白そうね。私も行ってきてもいいかしら」

「別にいいが、今は見るだけにしろよ」

「わかったわよ〜♪」


美琴も二人の後をついて行った。
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 21:44:57.38 ID:T0NpDJto0


―――――――――――――――――――――訓練所



「さて、準備はいいか?」

「ええ、いつでもいけます」


七花と絹旗は地下の訓練所の中心で向かい合っていた。

隅の方では美琴がコーヒーを飲みながら見学している。


「じゃあ…来い」

「でやぁあああああ!!」


絹旗が七花に拳を振りかざして、向かってくる。


勿論七花は手加減するが、絹旗の方は七花を殺すつもりでかかる。


絹旗の拳は七花の腹へと向かっていく。


七花は闘牛士のように右に避ける。

体勢を崩した絹旗に七花は右脚で蹴りを入れる。

「――ー虚刀流 『鬼百合』!」

七花の爪先が鳩尾に当たる。


「………!!」

絹旗の窒素装甲がビリビリと震えるのがわかる。

「…くっ」


絹旗はすかさず反撃に出る。

絹旗は七花の顔面へと右拳を振るう。

しかしそれは七花に受け止められる。

七花はその拳を握った。

絹旗はもう片一方の拳を突き出すが、それも受け止められ、七花にまた手を取られた。


七花は取った両手を捻りあげ、肩と肘を同時に極めた。

「―――虚刀流 『桔梗』!」

「ああああああああああああ!!」

絹旗は痛みで悲鳴を上げる。


「………こぉんのぉお!!」

絹旗は上に飛び、体を捻って七花の腕を振りほどく。

609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 21:59:57.31 ID:T0NpDJto0


「はぁはぁはぁ」

「おいおい、それじゃあこの前と同じだぞ」

「…へ、わかってます…。でも、同じと思わないでください!!」


絹旗は七花に向かって走り出す。そして拳を振り回す。

七花はそれを避けるか受け止めるかで対処していく。


「おい、どう見たって同じだぞ」

七花は絹旗の拳を避けまくる。


「ここからが違うんです!!」

絹旗は七花の鳩尾めがけて拳を突き出す。

七花はそれを左に避ける。

絹旗は体勢を崩した……その時、絹旗は七花の右足を取った。


「これで、簡単には避けれませんね!!」

「…なっ…!」

脚を取られバランスを崩す七花。

絹旗は体勢を崩した七花の鳩尾にフルスイングの右ストレートをだした。


「……ヵは…!」

七花は5mほど吹っ飛んだ。

「…ててて、油断してた…」

が、ピンピンしていた。

「やっぱお前は面白いな、それじゃこっちからも行くぜ!!」








610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 22:12:10.08 ID:T0NpDJto0







「お、さっそくやっているね?」

「あ、リアルゲコ太先生」

「君、そんな風に呼ばないでくれないか?……で、どうだい?彼女は」

「いや、見事に一方的ね。さっきから吹っ飛ばされまくってる」

「まぁ、初日だからね?このまま稽古とやらをしていけば、順調に彼女は強くなるよ。肉体的にも精神的にもね?」

「いいなぁ、私も戦いたくなってきた」

「そうかい?ただ一方的に吹っ飛ばされるだけだよ?」

「だって、あの二人とっても楽しそうだもの。…私も後で頼んでみようかな…」

「無理だね、これは絹旗さんの窒素装甲があってこそ出来ることだよ?普通あれだけ吹っ飛ばされてもピンピンしていられるかい?君だったら今頃首の骨が折れてるよ?」

「まぁいいわ、これ以上強くなりたいなんて思ってないし…」

「若いのに向上心が無いね?」

「あの馬鹿よりはマシよ。私がいっつも勝負を仕掛けても逃げてばっかだし、ついこの前も私に会っただけでスタコラと逃げてったのよ?」

「君、本当に彼の事が好きなのかい?」

「はぁ!?な、なななな、なに言ってんの!?なななな、なんで、あ、あんな、や、奴の事…」

「君の妹さんから聞いたよ」

「あんのぉおおおおお!!」


611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 22:25:59.99 ID:T0NpDJto0


「さて、もうそろそろかな……」

冥土返しはドンパチやってる二人へ大声で喋りかけた。

「おーーい、二人とも、とりあえず休憩にしよう!!」



「おい、終わりだそうだ」

「…はい…あ、ありがとう…ございました…」

絹旗はゼイゼイと息をしながら返事する。

「大丈夫か?」

「いえいえ、…大丈…夫で…す」


そこへ冥土返しが歩いてきた。

「君たち、朝ご飯まだだろう?準備がもうすぐできるから、一旦終わって食べてきたらどうだい?」

「わかった、ちょうど腹が減っていたところだ」

「わかりました…ゼイゼイ…」

「鑢くんと絹旗さんは汗をかいたからね、ここは避難所としても機能しているから一応シャワー室もあるから、そこをつかってきてね?」


「ありがとうございます…」

「ああ、わかった」

「とりあえず、先行ってるよ?」


冥土返しはそう言って、上へと戻って行った。

「それじゃあ、私も先に行ってるから!!」

美琴も上に戻って行った。


612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 22:49:53.89 ID:T0NpDJto0



「………それじゃ、行きますか」

「ああ」

二人は冥土返しの言っていたシャワー室に向かった。


「……つーか七花さん、汗なんて超かいてないじゃないですか」

「いやぁ、シャワー室ってのはどんなのか気になって…」

「そうですか…。しかし疲れました」

「飯食った後は休むか?」

「なに言ってんですか、やるに決まってるじゃないですか。………っておわっ!!」

その時、七花から受けたダメージで足がきていて、絹旗はつまずいき、転びそうになった。

「おっと…」

それを七花が受け止める。

「大丈夫か?」

その時の二人の顔の距離、20cm

(か、顔が近い…。ちょっと、汗のニオイとか嗅がれたらどうしよう…。恥ずかしい…///)

「大丈夫か?顔が赤いけど」

「あ、大丈夫です!はい!超大丈夫です!」

がばぁ!と飛び起きる絹旗

「…?…ならいいけど」




七花と絹旗はシャワー室に入った。


シャワー室は十二の個室があり、その中は広くはないが狭くもない、シャワーを浴びるならちょうどいい空間に分けられていた。


「なぁ絹旗、これってどう使えばいいんだ?」

「七花さん、シャワー知らないんですか?……って知らないですよね…超昔の人ですから」


絹旗は七花にシャワーの使い方の説明をする。


「ああなるほど、これで温度を調節できるのか…」

「はい、それじゃ私はこっちに入りますんで」

「そうか、じゃあ俺はその隣に行くな?」

「え?隣ですか?」

「?ダメなのか?」

「(デリカシーって言葉を知らないんですか!?)……ああ、いいですよ。お好きにどうぞ」
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/22(日) 23:34:17.36 ID:T0NpDJto0


二人はそれぞれ個室に入る。



絹旗は汗が染みこんだジャージと下着を脱ぎ、温かいお湯を浴びる。

隣の七花がいる個室から、お湯が七花の体に当たる音が聞こえてくる。


なんだかドキドキと心臓が小走りする。


実は先程つまずいて転んだとき、七花に受け止めてもらった時から、ずっと心臓がドキドキしている


(そういえば、あの人、ちゃんと服は脱いで入ったのでしょうか…。服を着たままで入ってましたなんてギャグ的展開なんてないでしょうね……?)

まぁそれはないだろうと、絹旗は考えた。

(いくらなんでも考えすぎか…。ん?てことは今あの人は裸…?…で、私も裸で……、隔てる物はこのプラスティックでできた壁のみ…。

てか、私がお湯浴びている音があっちにも超まる聞こえじゃないですか!!いやぁ超恥ずかしいぃ///

聞こえてないですねぇ!?シャワーの音聞こえてないですよね!?……てか、襲ってなんて来ないですよねぇ!?

……ハッ!……もしかして…わざと?……わざとこのポジションをとって、私を辱める為に…?もしくは音を聞いて何か厭らしい事でも考えているのでは!?いやだぁ超超超恥ずかしい…超恥ずかし過ぎる……///


でも……恥ずかしいのに……普通なら気持ち悪って罵るはずなのに…なんで……なんで、こんなにドキドキするんですか?

というより、さっきから、なんだか頭がぼーってするし…何なんですか、これは!?)


絹旗はお湯に打たれながら、赤くなった顔をブンブンを振る。


(ええい、しっかりしろ絹旗最愛!!)

絹旗は緩んだ気を引き締めようと、浴びていたお湯の温度を落として、冷たい水にした。

(こんな邪念なんて気合いと根性で吹き飛ばせ!!)


「絹旗ぁ」

七花が壁の向こうから呼んできた。

「…ふぇ?……あ、はい!!」

「どうしたんだ?さっきからブツブツと…なにかあったのか?」

「!!………いえ!何も!!なんっにもありません!!超ありまひぇん!!」

(噛んじゃった…。ってかさっきの口に言ってたっけ!!?………どうしよう、変な誤解されたらどうしよう!!)

「あ、あの…さっきの超聞こえてました?」

「いや?」

(ああ、よかった〜)

「でも、すんげぇ鼻息荒かったからよ、気になって………」

(ぎゃああああああああああああああああああ!!聞こえていた方がよっぽど超良かった……超恥ずかじぃぃぃ(泣))

「いえ、なんでもありませんよ!!」

「?……そうか…ならいいんだ…」

614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 00:01:50.60 ID:gv/m+leB0




絹旗は冷たい水を浴びながら後悔した。

(ああ、超失態だ……)

しかし、水は冷たいのだが、どうしてか絹旗の体の火照りが収まらない。

(なんなんですか、もう。……ええい、こうなったら朝食を食べた後、七花さんともう一回組手して、この気持ちなんて超吹き飛ばそう。

……七花さんと言えば、あのとがめさん…一体二人の関係ってなんなんでしょう…。七花さんは雇い主だって言ってたけど、超詳し事は言わずにあやふやなままで話してたし……一体…。

てか、今朝一緒に寝てたし…ああもう、超気になるぅうううう!!

………もし、今朝の件…七花さんの横にいるのがとがめさんじゃなくて、私だったら………。

って、ぎゃあああああああああああああああああ!!超何考えているんですかぁああ!!)


絹旗はグシャグシャグシャアと髪を掻く。



(はぁなんなんですか、こんな気持ち超はじめてです…。超ドキドキしてて、頭が超ボーッてしてて。仕舞には気が付いたら七花さんの事ばかり超考えている………。……これって俗に言う………だぁあああ!!だから何考えているんですか!!)


絹旗は壁を思いっきり叩いた、七花と自分の間にある壁をだ。


その壁は木端微塵に吹き飛んだ。

そして、二人の隔てる物はなくなり、絹旗と七花のお互い体がに見える様になった。


「あ…」

「あ?」


しばらく沈黙する二人。


「あ、あ…あ…あああああああああああああああああああああ!!」

「おい、どうした絹旗、絹旗、おい、ちょっとまて」

「超死に晒せえええええええええ!!!」

「おい、ごふっ!!」


混乱した絹旗は七花の個室に乱入し、七花の顔面を殴りつけた。

七花吹っ飛び個室を三つほど壊した。


絹旗は我に返り、七花を殴ってしまったことを今気付いた。

615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 00:20:32.73 ID:gv/m+leB0


鑢七花を一人で倒れ伏せさせた人間は、この世界では初めての人間だった。


「七花さん、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

絹旗は、シャワー室に掛けてあったバスタオルで体を隠して七花が吹っ飛んだ所へ行った。


「本当に超すいません!!」

「ああ、びっくりした」

「超すいません」

「いや、いいよ。別に大した怪我もないし」

(そう言われるとなんだか傷つくな…。一応全力だったのに)





二人は別の個室へ移り、シャワーを浴び直して、体を拭いた。


七花は元々着ていた服を着て、シャワー室を出た。

が、絹旗は出てこない。


「おい絹旗、どうした?」

「あの〜、七花さん…。ちょっとお願いが…」

「なんだ?」

「はい、私…実は着替えを持って来てないんですよ…で、このままだと、超汗臭いジャージを着ることになるので、私の部屋から持って来てほしいんですが…」

「ああ、わかった。今持ってくるよ」

「ありがとうございます」

七花は絹旗の着替えを持ってくるため、絹旗の病室に向かう。

すると

「おお、滝壺か。どうした?」

「せんせいが、きぬはたが着替えを持って来ていないっていうから、持ってきた」

「おお、ありがとう」

「しちかは先に行ってて、きぬはたの方は私がやっておくから」

「ありがとう。じゃあ先に行ってるぞ」





616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 00:30:23.12 ID:gv/m+leB0



一方、絹旗は


(うう、とんでもない事をしてしまった…。…ってあれ?何か重要なことを忘れているような…)


そうだ、壁を壊してしまった時……。鑢七花はどんな格好をしていた?


「…………〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


絹旗は言葉無く悶える。

そこへ

「きぬはた、着替え持ってきた…。きぬはた?」

滝壺理后がやって来た。


「あ、滝壺さん。超ありがとうございます!!」

絹旗がシャワー室から顔を出した。

「七花さんは?」

「先に上に戻った」

「そ、そうですか…」

「きぬはた顔が真っ赤、どうしたの?」

「いいえ、な、なんでもありません!」

「??」

























今日はここまでです。

明日も書きます。
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/23(月) 01:01:50.05 ID:Ozo7VZ31o
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/23(月) 18:28:29.43 ID:YrytrhCY0

絹旗いいね
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 20:40:34.58 ID:gv/m+leB0

さて、続きです。

今日も書きます。


620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 21:03:44.44 ID:gv/m+leB0


絹旗が自分の病室に着くと、机の上に朝食が置いてあった。


絹旗はベッドに座り、朝食を食べる。

しかし朝食はもう冷めてて、あまり美味しくない。


「………」

美味しくない朝食を一人寂しく、黙々と食べる。


きっと七花の病室では、七花と美琴ととがめで騒がしく朝食を食べているのだろう…。

「………寂しいな」

絹旗は、ついボソッと言ってみる。


「きぬはた?」

とそこへ滝壺がやってきた。

「あ、滝壺さん!どうしたんですか?」

「きぬはたが寂しいかなって思って…」

「ははは…」

さっきの呟きは聞こえていただろう。

(本当に優しい人なんだから…)


「あ、そうそう。さっきせんせいに言われたんだけど、ご飯食べ終わったら来てくれだって、しちかと一緒に」

「なんですか?」

「さぁ?」




621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 21:47:20.29 ID:gv/m+leB0





「あれ?とがめは?」

「あ、さっきリアルゲコ太に呼ばれて出て行ったわよ」


七花は部屋に着くと、そこにはしょうもない病院食を上品に食べている美琴だけがいた。


「なにか、あったんじゃない?」

「ふーん、まぁ頭脳労働はあいつの仕事だからな、俺には関係ないか…」

七花は美琴の向かいの、自分のベッドの机に置いてある朝食を食べた。

少し冷めているが、彼は食べれる物は何でも食べる。

島にいたころは、魚や兎などを自分で狩って食べていた。時には蛇も食べたこともある。


「しかし、あんたも容赦ないわね、私や絹旗さんとかの女の子を躊躇せずに蹴り飛ばすなんて…」

美琴は固い白飯をお茶で流し込む。

「いや別に俺はそんなの気にしないしな、もしお前らよりも小さいのに、俺よりも強い奴と出会ったら、そんな覚悟じゃあ俺が死んじまう」

「そんな奴はこの世にはいないわよ」

「それはわからねぇよ」


七花は病院食のおかずをバクバクと食べる。


「………なあ、お前…ゴクッ…俺の記憶を見たんだったな。本当か?」

「………ええ本当よ」

「じゃあ訊くけどよ………」


七花は箸を置いた。



「お前から見て、俺の、とがめの人生ってのはどう見えた?」



「…………壮絶な人生ね」

「それだけか?」

「あのね、私の様な世の中なんて全くわからないガキンチョに人生論なんて訊くんじゃないわよ」

「そうか、すまなかったな」

(でも、あいつならなんていのかしら…)


622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 21:47:49.55 ID:gv/m+leB0

美琴は最後にデザートの青りんごゼリーを食べた。

「御馳走様でした」

と行儀よく合掌し、「着替えるから見ないでよね」と言ってカーテンを閉めた。



「………………」

黙々と、ただ飯を食べる七花。

どうやら、ここの飯は少々薄味のようだ。味がしょうもない。


七花は茶碗に米粒一つ残さず朝食を平らげた。

「御馳走様」

一番おいしかったのは青りんごゼリーだった。昼に出るかな…。


とその時、美琴がカーテンを開けて出てきた。


「どうしたんだ?その恰好」

「学校の制服よ。知らなかったっけ?今日で私は退院。もうあんた達とはおさらばよ」

「そうか、寂しくなるな」

「そ、じゃあまた会ったらよろしくね」

「ああ」

「ああそうそう、操車場の事なんだけど、全部アンタもちだからね!そこんところはわかってなさい」



そう言って美琴は病室から出て行った。


「…………なんか、もう一回出会いそうな気がするな…」
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 22:07:21.39 ID:gv/m+leB0


「ふう……」

七花は息をつき、お茶を一口飲む。

(さて…絹旗との組手の続きでも行きますか)

七花はベッドから降りた。

(っと、そういえばまだ俺、寝間着のままだったな…。着物…はないんだっけ)


と、そこに絹旗がいつものフワフワとしたニットのワンピースでやって来た。

「七花さんいますか?いたら超返事してください!」

「ああ、いるよ」

「修理に出していた着物が出来ました」

「おお、ちょうどよかった」

「フレンダが超急いで持って来てくれたんですよ」

「ありがとうな」

「いえいえ、それはフレンダに言ってください。そうそう、奥の休憩室で先生が呼んでます。着替えたら来てください」

「ああ、わかった」





624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 22:34:57.83 ID:gv/m+leB0





「おお来たかい」

「超遅れました」


二人が休憩室に着くとそこには、冥土返し、とがめ、フレンダ、滝壺が並んで待っていた。


「おい、どうしたんだ?」

「まぁ座ってくれ。今から大事な話がある」

「?」

七花と絹旗は並んで、とがめの隣に座った。

座ると同時に、冥土返しは話を始めた。


「うん、君たちには言っておきたいことが3件ある。まず今入院している二人の件だが…」


七花と絹旗が顔を合わせる。

一体なんなのだろう?

「まず、君たちは今日で退院してもらう」

「え?」

「だって、絹旗さんの鑢くんも体の心配なんて必要ないじゃないか、病院は怪我人病人の為のものだよ?健康な人は退院するものなんだよ?」

冥土返しはそういった。確かに正論だ。だが問題が一つ、それは絹旗が言った。


「………ふと思ったんですけど、七花さんの入院代はどうなるんですか?」

そうだ、七花は今は一文無し、しかも数十億の借金を負っている。


「ああ、それなら心配しなくていい」

と、とがめが口を開いた。

「七花、そなたは私が死んだあと、すぐに地中に埋めたんだな?」

「ああ」

「それと、私が今着ている服は私が死んだとき着ていた物だと思うが、そうだ?」

「う〜ん、とがめの服は同じ様なものばっかりだから、いまいちわからん」

「………。まぁいい、私はあの時、銃で撃たれて、その時の出血多量で死んだ」

「ああ」

「七花よ、私の服の腹のところ……わかるか?………穴が開いておる」

「……?……!………本当だ…穴がある」

「そうだ、しかも銃で撃たれた所に穴がある。…………ということは、私は死んだ時の状態でこの世界に来たのだ」

「ほうほう」

「それ即ち……袖には財布があるのだよ」

とがめは袖の中から花柄の可愛らしい財布を取り出す。


……………今風の、派手な、センスの悪い財布を。



625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/23(月) 22:56:17.95 ID:tuVLDaI0o
つまり髪も…
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 23:01:09.66 ID:gv/m+leB0

「「「「「……………………………」」」」」」

とがめの財布を見た一同は黙り込んだ。

「なんだ」

「とがめ…財布…変えたのか?」

「なんだ、悪いか?」

「いや」


「まぁいい。で、この財布の中に入っておった大判・小判を全て医者の知り合いの骨董屋と『ねっとおーくしょん』なるものに売った。それでできた金で入院代を払うという寸法だ。どうだ?なかなかの奇策だろう?」


「へ〜、そのお金は結局いくらになった訳なの?」

とフレンダはとがめに訊いた。


「え〜と、この世界で言うと……大体、1300万円くらいか…」


「…ぅぇ…なんで、そんなお金を持ち歩いていたの?」

「なんでって、七花が常におったからな、強盗だろうが盗賊だろうが山賊だろうが、みんなこいつが追い払っておったから、盗まれることはなかったのだよ」

「と言っても、よく宿に忘れてていたけどな」

七花が茶々を入れる。

「七花!それをいうなぁ!かっこ悪いでわないか!」

「はいはい。で、その金でその財布を買ったと」

「そうだ!いいだろう!結構高かったのだぞ!」

「いや…別に…」

七花は目を反らして答える。

そこへ、一緒に買い物に付き合っていた滝壺理后が口を挟んだ。

「正直、その財布を手に取った時は正気かと思った」

「あ、やっぱりこの世界でもとがめの趣味は異常か」

「七花ぁ!」
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/23(月) 23:05:04.67 ID:F2BVdr+No
ゆっかりーん
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 23:12:08.45 ID:gv/m+leB0
すいません、遺髪の件忘れてました。
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/23(月) 23:29:13.37 ID:gv/m+leB0

「………ねぇ七花さん、七花さんってとがめさんの遺体を埋めるとき、遺髪をとったんでしたよね?」

「な、なにぃ!?七花、それは本当か!?」

「あ、ああ」

「お前、髪は女の命という言葉は知らんのかぁ!?」

「おい、とがめ!そんなにポカポカ叩くな!!」

「どおりでこの世界に来たとき、『あ、頭がすっきりしたな〜』って思ったわ!?貴様の仕業か!!どの位切った!?どの位切った!!??」

「わかった、わかった。うるさいから静かにしてくれ。えっと、あの時、肩に届く位の長さだったから…大体これくらいか」

七花は人差し指と親指で長さを表す。


大体、15cm


「な、なぁああ!!貴様、なんてことを…なんてことをしてくれたのだぁああ!!七実に切られた時よりも短くなているじゃないかああああああああ!!!」

「しょうがないだろ……」


「ねぇ絹旗」ヒソヒソ

「なんですか、フレンダ」ヒソヒソ

「やっぱあれって、結局わざとじゃなかった訳だったんね」ヒソヒソ

「まぁ、私、最初は木村カ〇ラのマネかと超思ってたんですけど…そうじゃなっかったんですね」ヒソヒソ

630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 00:02:16.52 ID:dHsbPBTi0

「話が脱線したね。話を戻すよ?」

冥土返しは一つ咳払いをして言った。

「絹旗さんは自分の家があるとして、鑢くんととがめさんは、このまま病院を出たら路頭に迷うことになる。そこでだ、誰か二人をしばらく泊めてやってほしい」


「おお、それは有難い。私達はこの世界の事は右も左も知らんからな、そういう者がおれば本当に有難い」


とがめは明るい声で、助けを求めた。

しかし、

「あ、うちはパス。だって狭いもん」

「ごめんなさい。私は学生寮だから…」



「…………」

「冷たいな」



「あ、絹旗の家って。マンションだったよね?」

と、フレンダが絹旗に訊く。

「え?……ええ、確かにそうですけど…。大人二人なんて入る空間なんて…」

「絹旗、結局絹旗の部屋って何畳なの?」

「えっと……。2LKの6畳+7畳ですね」

「十分だね?」

「なんだ結局十分な訳よ」

「じゅうぶん」

「よし決まりだな」

「ああ、決まりだな」


「ちょっと、勝手に決めないでください!!」

631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 00:05:09.94 ID:dHsbPBTi0

ロッテのおもちゃ見ますんで、0時半以降に投下します。
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 00:49:51.96 ID:dHsbPBTi0



「絹旗…」

七花は絹旗を見て言う。

「俺がお前のウチに行ったら…だめ…なのか?」


「(ドキッ…)…え…あの…ベ…別に…七花さんなら…いいですけど…」

「よし、いいってよ」

「へ?」

「よし、住む所は決まった所で、次のことだよ?」



「奇策士さん?あの話をよろしく」

「ああ」

とがめは話を始める。

「先日言っておった、四季崎記紀が造りし完成形変体刀十二本とこちらの世界の者の目撃情報を掴んだ」

とがめは写真を数枚、懐から出す。

「まずは人間の方だ。近頃、変な恰好をしている者がいるという話が『ねっと』とやらで騒がれていてな。滝壺に調べさせてもらっていたんだが………。見つかったのはこの者たちだ」

とがめは写真を七花の机に置く。

写っていたのは、


真庭鳳凰

真庭人鳥

真庭蝙蝠

真庭蝶々

真庭白鷺

真庭狂犬



真庭忍軍十二棟梁の五人だった。

「こいつらいるとなると、他の七人もいる可能性が高い。しかも、こいつらの他にも『着物を着た眠そうな男』や『傘をさした男』や『巫女装束の女』やがいるらしい」

「……あいつらか…」

七花には聞き覚えのある者ばかりだった。

「とりあえず、もう少し探りを入れてみる」

「ああ、よろしくな」




633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/05/24(火) 00:54:25.36 ID:nwhOlsuAO
五人・・・?
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 01:21:05.48 ID:dHsbPBTi0

「次に完成形変体刀十二本の話だが…少々厄介な事になった」

「…というと?」

「今、が発見されておるのは、この三本。『千刀 鎩』『賊刀 鎧』『微刀 釵』だ」

「日和号か…厄介だな」

「今、第十九学区とやらの一角にいるそうだ。そこは幸いにも日の光の無い所でな、今は立ち入り禁止にしてあるらしい。あとの二本は発見はできたが、今はどこにあるのかは知らない」


「そうか…」


「とにかく、それも探りを入れてみる。とにかく、今は情報収集に徹する事だな」

「ああ、わかった」

635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 01:21:46.05 ID:dHsbPBTi0

「次に完成形変体刀十二本の話だが…少々厄介な事になった」

「…というと?」

「今、が発見されておるのは、この三本。『千刀 鎩』『賊刀 鎧』『微刀 釵』だ」

「日和号か…厄介だな」

「今、第十九学区とやらの一角にいるそうだ。そこは幸いにも日の光の無い所でな、今は立ち入り禁止にしてあるらしい。あとの二本は発見はできたが、今はどこにあるのかは知らない」


「そうか…」


「とにかく、それも探りを入れてみる。とにかく、今は情報収集に徹する事だな」

「ああ、わかった」

636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/24(火) 01:24:04.72 ID:fxKBvubc0
大事な事なので
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 01:45:32.70 ID:dHsbPBTi0

「今は敵の情報を掴むことに専念して、お前はとにかく絹旗の稽古をつけてやれ」

「…え?なんで?絹旗は関係ないだろ」

「いや、この戦いの貴重な戦力だ。奴らとの戦いで勝てる様に鍛えておけ。別にいいな?絹旗」

「ええ、こっちは別にいいですよ。むしろ超願ったり叶ったりです」

「よし、これで話はまとまったな」

「なあとがめ、3つ話があるとか言ってたけど、もう一つは何なんだ?」

「ああ、そうだった。七花よ、そなた色々と物を壊していたようだな」

「ちょっと待ってくれ、それはあっちが仕掛けてきたことで」

「つべこべ言うな。いいか七花、お前は麦野沈利が目覚めるまでの間、絹旗最愛・滝壺理后・フレンダ=セルヴェルンの組織『アイテム』と行動を共にしろ」

「それってどういう…」

「ようは麦野沈利の代わりだ」

「おい、それじゃあ……」

「安心しろ、いいか七花、これは絶好の機会だ。『アイテム』に入ることによって、変体刀や現在の所有者、真庭の者たちと戦う機会が増えるという事だ」

「………わかった」


「よし、私の話はこれだけだ」

「うむ、ありがとう。ああそうそう、絹旗さんにこれを渡しておく」

冥土返しは右ポケットから何かを取り出した。

「……カード?」

「これは地下の訓練所の鍵だよ。しばらく、あの部屋を君にあげるよ。滅多な事が無ければ使わないし。これで好きな時に鑢くんと組手をやればいい」

「あ、ありがとうございます」

絹旗は冥土返しからカードをもらった。
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/24(火) 01:50:20.20 ID:6Qyp6TnAO
そこはかとなくRPG臭がする…













…ところで絹旗さんの超☆初H はまだですか?
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 01:59:32.99 ID:dHsbPBTi0


「とりあえず、今日はここで解散だよ?なにかあったら、すぐに僕に電話すること、死んでないなら、どんな怪我や病気も治せるよ」


「――――――――――!」

七花は一瞬、姉の顔を思い出した。


「さて、僕は仕事に戻るよ?」

「じゃあ、私はさっさと帰る」

「私はむぎのの様子を見てくる」

「しょうがないけど…行きますか。七花さん、とがめさん。ウチにいきますか…」

640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 02:06:47.22 ID:dHsbPBTi0

今日はここで終わります。

明日も書きます。


では
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/24(火) 02:15:21.50 ID:HD1s8rmto
乙です
しかしこの>>1は頻繁に投下してくれて嬉しい
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/05/24(火) 09:19:30.47 ID:ODf3hVgAO
喰鮫さんが噛ませで終わりませんように
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 20:33:41.51 ID:dHsbPBTi0

こんばんは、今日も続きを書きます。


早めに終わる可能性があるので、ご了承ください。
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 20:58:52.27 ID:dHsbPBTi0





「ふふふ、楽しいことになってきたわね」


ここは、上条当麻宅。

否定姫は部屋の中で、怪しげに笑っていた。


「ひていひめ、何やってるの?」

「ああインデックスちゃん、今、おねえさんは面白いものを見てるの」

否定姫の目の前には、大きな円が書かれた画用紙と、円の上に乗るように置かれた四枚の色紙があった。

その円の中には、病院で会話をする、鑢七花・奇策士とがめ・冥土返し・絹旗最愛・滝壺理后・フレンダ=セルヴェルンがいた。

「おもしろいもの?なになに!?」

インデックスは否定姫の隣に座り、円の中を喰いつくように見た。


『今は敵の情報を掴むことに専念して、お前はとにかく絹旗の稽古をつけてやれ』

『…え?なんで?絹旗は関係ないだろ』

『いや、この戦いの貴重な戦力だ。奴らとの戦いで勝てる様に鍛えておけ。別にいいな?絹旗』

『ええ、こっちは別にいいですよ。むしろ超願ったり叶ったりです』


六人の会話が流れてくる。

「……ん?ひていひめ、これって私が教えた探索魔術……。いや違う、微妙だけどパワーアップしてる。ひていひめ、もしかして…」

「ええ、インデックスちゃんに教えてもらった魔術を少しばかり工夫したわ。教えてもらった魔術は、さすがに音は拾えなかったしね」

「すごーい!素人なのにここまでできるなんて!ひていひめはもしかして天才!?」

「ふふふ、そんな大層なもんじゃないわよ…。まぁ自覚はあるけど」


「で、なにをみてたの?」

「ん〜、インデックスちゃんには関係ないけど、特別に教えてあげる」

「わーい!」

「この魔術でね、私の旅の連れの行動を見てたんだけど、ちょっと面白いことがおきてねぇ〜。ちょっと、高見の見学でもしようかと思ってね〜」

「へ〜、おもしろいことって?」

「ふふふ、それは、ヒ・ミ・ツ♪」

645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/24(火) 21:05:56.07 ID:p5/nLrdn0
そういえば、姉ちゃんの病気も治せるんだろうか冥土返し
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/24(火) 21:41:57.24 ID:hRhLWI5DO
ここまで読んだけど
書いてるやつも読んでるやつもなんか痛々しくて見てるこっちの方がキツくなってきた
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 22:04:54.07 ID:dHsbPBTi0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


場所は変わって、第七学区のとある路地裏にある、バー。

ここは武装無能力者集団と呼ばれる者たちの根城だ。いや、根城の一つと言った方がいい。

そこに、三人の少年がいた。三人とも、カウンターチェアに並んで座っていた。


「なぁ、この前、チャットで色々と騒がれていた、学園都市の侵入者ってのはどうなったんだ?」

一人の少年が缶チューハイを飲みながら、隣にいた少年に訊いた。


「ああ、十七学区の操車場で何者かと交戦して敗れたらしい。でも拘束されてた留置所から協力者と一緒に脱走したらしい。しかも留置所の職員は全員行方不明になった話だ」

少年の問いに、もう一人の少年がグラスに氷とウィスキーを入れながら、軽い口ぶりで答えた。



「でも、その話題は古くなった。今じゃあ学園都市にいる伝説の剣の所有者と忍者たちってのが話題の中心だ」

少年はグラスを口にへと傾ける。

「はぁ!?なんだその中二臭がハンパないのは。今頃流行らねぇぞ、そんなマンガは」

「いや、どうやら本当にあるらしい。実際に着物を着た侍みたいな男の目撃情報があったり、他の学区のスキルアウトの奴らの何人かが、侍や忍者にのされたって話があるようだ」

「……マジかよ…」

「しかも、その剣を手に入れた者は、どんな超能力者よりの強くなれるらしい」

と言いながら、空になったグラスを置く。

「おいおい、そりゃホントの話か!?ウソだったら許さねぇぞ!!」

「ああ、しかもその剣は何本かあるらしい」

その言葉に喜び、缶を握り潰す少年。

「それほどスゲェ代物だ。これを全て手に入れたら…」

「ああ、俺達は最強だ!!」






「なぁ、そうだろ!?駒場のリーダー!!」





「………ああ、もしそのような物があったならば、是非とも手に入れたいものだ」


駒場のリーダーと呼ばれた少年は……筋肉隆々で、大きな、まるでゴリラの様な体つきだが、陰鬱な口調でコピー用紙を吐き出すような口調で応えた。

どうやらこの少年が、この武装無能力者集団のリーダーのようだ。

648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 22:15:47.49 ID:dHsbPBTi0


「よし、なら決まりだな。さっそく情報を集めてくる」

ウィスキーを飲んでいた少年の一人が立ち上がる。


「おお、気ぃ付けてなぁ!!」

そう言いながら、缶チューハイを飲みながら少年に手を振る。


「………今はとにかく、力を蓄えなければならない。そうしなければ俺たち無能力者は生きてはいけない…」

駒場はグラスに酒を注ぎ、グイッと一気飲みする。


「……………ってか、駒場のリーダー、あんたは何を飲んでんだ?」

「………カミュ。……………情報によるとハードボイルドな男は、カミュを飲むらしい」




スキルアウトと呼ばれる、学校に行かず、学校に行っても夜になると活動する、いわゆる不良少年少女たちだ。

しかし、一部の無能力者は違う。


何らかの事情で武装し、能力者に対抗しようとする集団だ。


そして、第七学区を統べる武装無能力者集団の中心人物は三人いる。

まずはリーダーの駒場利徳。彼は襲撃の指揮を担当。

次にウィスキーを飲んでいた、半蔵。彼は作戦計画担当である。

そしてチューハイを飲んでいたのは、浜面仕上。彼は車やバスなどの移動手段の確保担当だ。


彼らは、無能力者狩りから無能力者を守る為に行動している。

649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 23:01:49.25 ID:dHsbPBTi0


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

所代わって、とあるホテル最上階のスウィートルーム。


窓を背負う恰好で、ソファに座っている影が一つ。


はぁ…と溜息をつく。

別に不幸ことがあったような溜息じゃないし、困ったことがあったわけでもない。


まるで、なにかに見惚れているような溜息。


「ああ、本当にいい拾い物をしたわ」


そしてまた、溜息をした。

「計画が始まる前に、こんなものが急に出て来てくれるなんて……」



彼女は十代後半の高校生ほどの女の子だ


彼女がなぜ高校生だとわかるかいうと、彼女の恰好は学校のブレザーだ。胸についている校章を見ると霧が丘女学院の生徒だとわかる。

しかし、その制服の着方が普通のそれと違う。

上半身は、桃色の布で胸を隠して、その上にブレザーを肩に引っ掛けるような着方をしている。

校則に厳しい先生が来たら飛んできて、説教でも始めてしまうような、そんな恰好だった。


「ああ、本っ当についてる!!まるでサンタクロースがちょっと早いクリスマスプレゼントを私にくれたみたい!!」



彼女は両手をあげ、全身で喜びを表現する。

しかし、彼女の眼だけは違った。

まるで獣の様な、爛々とした眼だった。

その眼で下に置いてある“拾ってきた物”を見た。



それは刀だった。

一本じゃない。

だからって二本でもない

三本でもない。





千本の刀が床に山積みにされていた。





女子高生はそれを見て笑う。



彼女の名は、結標淡希。

学園都市最強クラスの空間移動能力者である。


彼女は数日後、ある計画を実行する。
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/05/24(火) 23:09:40.81 ID:mWXTd14G0
今さらの質問なんだが、何故もう一度
刀を12本集めなきゃいけないワケ?
もう幕府に献上する必要もないわけだし。禁書の世界に刀語の世界の影響を与えないため?
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 23:28:43.29 ID:dHsbPBTi0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

また場所が変わって、とある窓の無いビルの中…。


「アレイスター、今の状況がわかっているのか?」


そこには、少年が一人。

恰好は学校の制服のズボンにアロハシャツ。

首に金のネックレスに、目にサングラス姿の少年。


土御門元春が、部屋の長い筒に問いかけていた。


いや、厳密には“筒に”じゃない。“筒の中にいる人物”に問いかけていた。


筒の中には、人が入っていた。

髪は長く、色の抜けた銀色の髪、男性にも女性にも、子供にも大人にも、聖人にも罪人にも見える奇妙な人物が、筒の中で逆様になって入っていた。


「ああ、わかっているとも」


アレイスターと呼ばれた人物は、土御門の問いに軽く答えた。


「どう見ても、そのようには見えないのだが

「いや、わかっているとも。今回のはとても興味深い」

「そういう事を言っている場合か!」

「……」

「いいか、こんなものがこの街の至る所に散らばってんだ。いずれこの街は混乱するだろうし、死人もでる。実際、十九学区では何人かが斬り殺された」

「死人の一人や二人、この街では日常茶飯事だろう」

「テメェ………!・・・・・…………まぁいい、いずれ困るのはお前だからな。俺は俺のやり方で、あんな物騒なモンを回収する」

「好きにしたまえ」


そうして、同伴の空間移動能力者を引き連れて、土御門はこの部屋から出て行った。



そして、一人になったアレイスターはボソリと呟いた。

「………………本当に面白いことになってきた」

とても楽しそうに…。
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 23:44:48.14 ID:dHsbPBTi0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そして、とある研究室。

「ははははは!!」

一人の男が大声で笑っていた。

「面白れぇ!!面白すぎるぜ、あんた!!」

男、木原数多は笑っていた。


木原は誰かと喋っているようだ。

しかし研究室には木原しかいない。

一体誰と?


「そうだろう?なかなかだろう?」

誰かが答えた。


誰が?子の声は誰の声だ?どこにいる?


「しかし、学園都市の科学は世界一と思っていたが、まさかそんな法則があったなんてなぁあ!!」

木原が“誰か”に問う。

「いや、ここの“科学”とやらは面白ぇ。お前らの頭なかなか飛んでんだなぁ!?」

「はは、お前にだけは言われたくねぇな!!」


「ははははははは…」

「ははははははは…」



この部屋には木原以外、誰もいない。

もう一度言おう、木原以外誰もいない。


もし今、他に第三者がいたとすると、彼はとても気持ち悪い顔をするだろう。




なぜなら、木原数多は一人で喋っているのだから。




「っははは、いやぁ本当に、あんたとは美味い酒が飲めそうだぜぇ。四季崎さんよぉお!!」

「いや、お前とは怖くて酒が飲めんわ」

「ははは、そりゃ確かにそうだ!!」


木原の右手には、毒刀 鍍が握られていた。

653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/24(火) 23:53:58.90 ID:hR+wZ/+AO
流石木原君
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/24(火) 23:56:51.51 ID:fxKBvubc0
このスレ長い間読ませてもらってるけど
読んでて一番テンション上がったかも
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/24(火) 23:59:59.65 ID:dHsbPBTi0


木原は毒刀を上に掲げ、まじまじと見る

「しかし、この刀は本当に面白れぇな!こんなのがあと十一本もあんのかよ!!」

「ああ、試しに集めてみるか?」

「おお、そりゃあいい!!他にどんな刀があるんだ!?」

「おいおい、なんな為にお前の精神を乗っ取らずに、わざわざ共有させると思ってんのか!?お前の記憶を俺が読める様に、お前も俺の記憶を読める様にする為だぜ!?俺にゃ、お前が必要だからよ!!」


「おお、そうだったか……。ほう…ほう…。こりゃたまげたぜ!こんなもんあるってんなら、集めなくっちゃならなくなるじゃねーか!!」


「ふふん、俺の人生を賭けて打った刀を気に入ってもらったなら、それで十分だよ」

「いや、好きだよ?そういうの。いやはや…一刻も早く拝めたいねぇ。イチ科学者として」


その時、木原の携帯が鳴った。

「ん…もしもし?……ああ、アレイスターか………………………リョーカーイ」

木原は幾つか話した後、電話を切った。


「喜べ四季崎!!お上の許可も取れたぞ!!これで思う存分暴れられるぜぇ!!」

「おお、おめでとう。兄弟!」


「はっはぁ!楽しくなってきやがったぜぇえ!!」


656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 00:17:41.73 ID:C48sDT5g0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そして、上条当麻宅。


「ふふふふふ……あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」


「うおぉ!!?」


否定姫はいきなり大笑いし始め、床に転がり、腹を抱えている。

突然の事で、学校の宿題をしていた上条当麻はビックリして飛び上がった。


「なんだ!?人が宿題をしている間ぐらいは静かにしてくれ!」

「ははははは!!………ヒー…ヒー…。ふぅ…黙ってなさい変態」

「な…なんだとぅ!?」

「息をするな覗き魔」

「あれは不可抗力だ…」

「露出狂」

「あれは、あんたがパンツをズリ落としたからだろ!!」

「インデックスちゃんはどう思うかな〜」

「ああ、やめてくれ〜!!」


因みにインデックスは小萌先生のマンションにいる。焼肉パーティだそうだ。


「わるかった。俺がわるかった」

「ならよろしい」

「で、なにがあったんだ?」

「アンタには関係ないでしょう」

ピシャリと一蹴。

「ッぐ…(耐えろ…耐えろ…耐えるんだ上条当麻。我慢だ。さもないとインデックスに嫌われちまう…)」

「アンタは黙って私の世話だけやってればいいの。わかる?ゴミクズ」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

上条は顔を真っ赤にして睨む。

「インデックスちゃんはどう思うかなぁ〜!」

「すいませんでした(涙)」

「よろしい」

上条は目に涙を浮かべ、宿題に向かう。



そして否定姫は、画用紙に書かれた円の中を見る。

そこには爆笑している、木原数多がいた。

(にしても、本当に面白くなってきたわね……。本当にこの世界は面白いわ…。ふふふ…)
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 00:39:54.05 ID:C48sDT5g0

今日はここで終わりです。


質問・感想があれば、是非言ってください。

でも、あまり棘のあるのは止してください。

ワタクシ、精神面は弱い方ですから…。


さて、今日でこの世界の最初の構図が出来てきました。




鑢七花・奇策士とがめ・『アイテム』サイド

七花ととがめは、四季崎と変体刀がこの世界に混乱を起こすのを止める為に刀集めを始めます。


『アイテム』は七花と四季崎を呼び出してしまった責任を感じ、その尻拭いの為、七花の手伝いをする形となりました。

実際は、麦野の代わりに七花ととがめが入ったようなモンです。





土御門サイド

学園都市の混沌を阻止するべく、独自で刀集めを開始します。




駒場・浜面・半蔵サイド

無能力者狩りから無能力者を守る為、自分たちのスキルアウトを強くする為、刀集めを実行します。

今は半蔵が情報収集を始めました。




アレイスター・木原・四季崎サイド

木原と四季崎が意気投合し、木原が完成形変体刀十二本に興味を持ったため、また、アレイスターの指令の為、刀集めに乗り出します。




上条・インデックス・否定姫サイド

今のところ、ウニとニートシスターは、この物語には殆ど関係なし。

関係のある否定姫は、高見の見物体制。








さて、これから面白くなってきます。



きっと
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/05/25(水) 01:01:12.22 ID:9Yw1JMk70
>>1 乙です
面白くなってきましたね。
期待してます。
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/25(水) 01:13:23.30 ID:cF7JXDA/o
浜面はまだスキルアウトなのか
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/25(水) 07:25:19.10 ID:ttvWmEYIO
否定姫最初は優しかったのに、、、
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 17:32:16.14 ID:C48sDT5g0

こんにちは、>>1です。


投下は午後7時から8時の間にします。



そこで、今から晩飯の仕度の合間でおまけを書こうとおもいます。



662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 18:02:24.11 ID:C48sDT5g0

浜面仕上日記 七月二十日


今日から夏休みだ。

まぁ俺らからすればカンケーのない話なんだか、あちこちにイチャイチャしてるバカップルどもがウザったくてしょうがない。


腹いせに、女を二、三人つれた、チャラチャラしたバカみたいなカッコウをした奴のエキゾチックカーのタイヤを全てスぺヤタイヤにした。


小さいことだってことはわかっている。

だってケンカ強そうだったもん。





浜面仕上日記 八月一日


今日から八月だ。

街に出て、次にパクるクルマをえらんでいた。

このごろ街でるのがこらい。

そこらへんじゅうにバカップル共がイチャイチャしてるからだ。

ウゼー、ホントにウゼーんだよアイツらは、このクソ熱ッチィのにイッチャイッチャしやっがて、

熱苦しいんだよ。はなれろ、メッチャはら立つ、メッチャイライラする。







浜面仕上日記 八月七日

今日はあまりにもヒマだから、街をでた。

あいかわらずバカップルどもはイチャイチャしてる。


イライラていると、ぐうぜん、あるものと出会った。


そう、オレたちモテない男たちのオワシス。



『買い取りまっくす』




がくえんとしにもあったなんて…。


今週末にも行こうと思う。

663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 18:32:39.53 ID:C48sDT5g0

浜面仕上日記 八月十七日

この前、買い取りまっくすに行こうとしたが、あいにく仕事が入り、行けなかった。

しかし今日は行ける。

ルンルンとスキップしながら店内に入った。


買ったDVDは、

いつもイチャイチャしてやがるバカップルどもに、日ごろの恨みを込めて、

彼氏の目の前でキモイ男どもに犯されるという、なかなかコアな内容な物をはじめとする、数々のお宝ものを買った。


凌辱・束縛・強姦・輪姦・近親相姦………


日ごろから、他のスキルアウトのメンバーにも借してやっているオレはたくさんDVDを買う。

そろそろ浜面コレクションもダンボール3つぶんとなったと思う。

しかし、オレはぜったいにお宝を捨てない。売るなんてことは同語両短!

大切に補完しておくのが、オレのポリシーだ。


そして返りに、クスリのアオキでティッシュを大漁に買って返った。








浜面仕上日記 八月二十七日

今日は先日買ったDVDを半ぞうにかした。


アジトでは、こま場のリーダがマンガを読んでいた。

題名は『ヒートガイジェイ』ってマンガだった。

リーダーから少しかりて、よんでみたが、ハードボイルドなマンガだった。

オレは昔からヒーローものしかよまない。

きょうみがなかったから、すぐにかえした。
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 18:50:03.22 ID:C48sDT5g0

浜面仕上日記 八月二十八日

昨日からなんだか、こま場のリーダーのようすがおかしい。

言っていることや、やっていることが、強引ににかっこつけようとしているようにみえる。

きっと昨日のマンガのえいきょうだろう。

いしきてきにセリフをかっこよくしている


でも、すべってばっかりだった。


リーダーはなみだ目だった。





浜面仕上日記 八月三一日

今日で夏休みはおわりだ。

まぁオレたちにとっちゃあカンケーネー話だが。


今日は日記張をいつものバーにわすれてきた。

すぐに鳥に返った。

バーには、こま場のリーダーと半ぞうがいた。

2人はかなしそうな目でオレを見て、なにも言わずに方をたたき。出て言った。

なにがなんだかわからないが、まぁいいだろう。





浜面仕上日記 九月一日

今日から新楽器だ。

でもまぁ、いつものようにオレ達にはかんけいのないはなしだが…。

いつものバーに行くと、こま場のリーダーと半ぞうがオレに本をわたしてきた。

マンガか!?とおもったがちがった。

半ぞうは家に返ってからよめと言われたので、家に返ってからさっそく、本のつつみ紙をやぶいた。

その本のひょうしは、


『バカでもわかる、小1からの漢字』


だった。


いっしょにてがみも入っていた。

『お前の国語能力の低さにはビックリした。俺と半蔵の二人で買ってきたこれで、勉強してくれ。頼む 駒場利徳』

…………。

オレは日記をさいしょっから見なおした。

ところどころ、赤ペンでてんさくされている。

でも、てんさくされているのはさいしょの方だけだった。





終わり
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/25(水) 19:25:41.48 ID:J8gzFXQe0

かいとりまっくすってww
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 20:48:33.94 ID:C48sDT5g0

さて、本編続きです。

頑張っていきます。
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/25(水) 20:54:51.29 ID:S8iafgK40
この上条さんはマジで不幸
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 21:22:26.88 ID:C48sDT5g0

「さあ、着きましたよ。これが私の家です」

絹旗最愛はとあるアパートの一室のドアを開けながら言った。

彼女の後ろには、鑢七花と奇策士とがめが付いて来ていた。

「超狭いけど、自分の家みたいに思ってもらっても結構です。………でも汚したらダメですよ?」

「ああ、わかっておる」

とがめが応える。

「ここがリビング、トイレと風呂場がそこを右に、七花さんは奥の方の部屋です。私ととがめさんはその隣の部屋にいますんで、超用事があったら呼んでください」

「ああ、ありがとう」

今度は七花が応えた。

「……………ん?ちょっとまて、なんで七花と私が別々の部屋で寝なくてはならないのだ!?」

とがめが絹旗に抗議する。

「別に問題ないでしょ?まさか、年頃の女の子がいる隣の部屋で、何か超厭らしい事でもするんですか?」

「…なっ、そんな訳が無かろう///!!」

「ならいいですね!………七花さんもいいですよね」

「ああ、いいぞ」

「七花!」

「別にいいだろう?絹旗は信頼できる奴だし、誰かが襲ってきても、隣の部屋に俺がいるんだ、問題ない」

「そ、それはそうだがな……」

「決りですね(…………よし、これで今朝のようなシチュエーションは無くなった。超でかした私!」

絹旗は心の中でガッツポーズをとる。




絹旗は、ふと思い出したように冷蔵庫を開ける。

「うっわ…腐ってる…。七花さん、とがめさん、今から私は今日の昼食と夕食の食材を買ってきますんで、ここで休んでいてください」

絹旗は七花ととがめにそう言った。

「ああ、気ぃ付けてな!!」

と七花が絹旗に向かって大声で言った。

「……はいっ!」

絹旗は満面の笑みで応え、部屋の鍵を閉め、出て行った。

669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 22:05:13.00 ID:C48sDT5g0

「…………絹旗の奴、私に冷たくないか……!?」

「そうか?」

「ああ、そうだ。なぜなんなに毛嫌いをするのだ?意味が分からん…」

「まぁいいじゃねぇか。住む所と食べるものをくれるっていうんだからよ。ありがてぇじゃねぇか」

「……それはそうだが…」









―――――――――――――とあるスーパー

「〜♪〜♪」

絹旗は鼻歌混じりで、スーパーで買い物をしていた。


(今日のご飯は和食にしましょう、何がいいかな……。お、カボチャが超安いです)

と、カボチャを籠にいれる。


(しかし、今後の進展が超気になります…。確かに情報収集は大事ですが、一刻も超早く行動に移すべきじゃないかとおもうんですけど…)


と、今後の事について考えながら、棚にあったジャガイモとネギをそれぞれ四つずつ籠に入れる。


(とがめさんのいう事はイマイチ信用ならないんですが、七花さん達は刀や敵の事は超熟知してるから心配はないですが……)


続いて、ニンジン、タマネギ、ホウレンソウ、鶏肉・牛乳・ヨーグルト・食パン・コーンフレークをポイポイッと籠に入れる。


(………もし、刀が強い人に渡ったら……、例えば学園都市最強の七人の内、誰かが刀を手にしたら……)


七花の話を思い出す。

例の十二本の刀には“毒”というものがあるらしい。

人を斬りたくて斬りたくてしょうがなくなるとか…。


刀の中でも、毒刀 鍍は一番毒が強く。持っただけでも狂人廃人にしてしまうらしい。

現に麦野はその刀を持ってしまい、今は眠っている。


(麦野みたいな人が出てくる前に、死人が出ないように、超一刻でも早く刀を集めないと…)







670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 22:52:49.17 ID:C48sDT5g0

絹旗はは急いで、走り出そうとした。

と、その時。

「…………ん…?」

不審な人物を見かけた。

「………」

金髪の男だ。

男は路上に止めてあった高級スポーツカーのドアの部分にへばり付き座っている男がいた。


絹旗は男の後ろに回る。

「………ういしょ……もう少し……クソ……」

男は鍵穴に針金を差し込み、ドアを開けようとしている。

車上狙いのようだ。


「…………はぁ…」

絹旗は溜め息をついた。

しょうがない、止めてやろう。

気紛れだったが、彼女に妙な正義感が湧いてきた。


「………何やってるんですか?」

「!!」

男はビックリして飛び跳ねる。

「な…なんだ、おまえ」

「それはこっちの台詞です。何やってるんですか?車上狙いですか?」

「……な、こ、これは…」

「車上狙いですか、そうですか。超犯罪者ですね」

「う、うるさい!!」


671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 23:04:46.92 ID:C48sDT5g0

男の頭は茶髪で、鼻にはピアスが開けられていた。見た目から、高校生くらいか。

「恰好から見ると、どうやらスキルアウトのようですね」

「そ、それがどうしたってんだ!?」

「いや、超情けなくって。無能力者の犯罪組織の奴に犯罪を止めようとした自分が」

「…な……テメェ…!!」

男は絹旗に殴りかかろうとした。


しかし、

「おーい浜面ぁ!アシは確保できたかぁ!?」

「うおっ、やべっ忘れてた!!……今はテメェに構っている暇はねーんだ!」

「はいはい、それではまた」

絹旗はそこから去って行った。



「……超無駄な時間を過ごしてしまいました。急がないと」







「…………ックッソ…」

「おい、まだか!?早くしないと追手が来ちまう!!」

「わーってるよ。ちょっと待ってろ半蔵!!………よし、出来た!!乗れ!!」

「よし来た!」


二人は、浜面仕上と半蔵はスポーツカーに乗り込み、猛スピードで逃げて行った。
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 23:32:47.42 ID:C48sDT5g0



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


駒場利徳が率いるスキルアウトの隠れ家であるバー。

そこに駒場利徳がいた。

彼はバーカウンターでグラスを傾けている。



その後ろのには、ざっと百人弱の少年少女たちが顔を並べていた。

彼らは静かに、ある者たちとある物の到着を待っていた。


すると、バァン!!と勢いよくドアが開けられる音が響いた。

「今戻った!!」

「た、たすかったぜぇえ!!」


浜面仕上と半蔵の二人だ。

半蔵の手には、長い筒の様な物を布で包んだ物が握られていた。


「おお、浜面さんだ…」「半蔵おかえり」「良く帰ってきたな」…………。

と、駒場の後ろにいる百人の少年少女たちは二人が帰ってきたことに安堵した。


しかし、駒場は眉一つ動かさずに言った。

「………例の物は?」

「ああ、勿論!!」

駒場の問いに半蔵は、嬉しそうに答える。

半蔵は手に持っていた物の布を剥いだ。布に入ってたのは筒だった。

そして筒を閉じていた蓋を開け、中に入っていた物を取り出す。



「とりあえず、一本だ!!」


半蔵は物を駒場に見せつける様に前に出す。






半蔵の手には

四季崎記紀が造りし完成形変体刀十二本が一本。



『絶刀 鉋』が握られていた。






673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/25(水) 23:56:27.78 ID:C48sDT5g0

「おお、」「ナイスッ!」「よくやった!」……とバックが称える。



「まったく、大変だったんだぜ?この刀が別のスキルアウトが持っていて、それを奪いに行くなんて。本当に無茶な仕事だったぜ」

「いいじゃねー浜面。こうやって生きて帰れたんだし」

「まぁそうか。ははははは」

笑いあう二人。


「で、そっちはどうだったんだ?駒場のリーダー」

と、浜面は駒場に訊く。


「………ああ、作戦通り上手くいった。問題ない」

駒場は親指で後ろを指した。

「………こちらも、上手く手に入った」





駒場が指さす方には、刀があった。


しかし、刀とは違う。


「おいおい、これだ刀だって?冗談じゃねぇよ」

浜面が駒場に文句を言う。

「………いや、これは刀だ。実際にこれの部品のつなぎ目には鋭利な刃がついている。一見はただの趣味の悪いガラクタなのだがな。立派な刀だ」

駒場は立ち上がり、その“刀”とやらに近き、それを撫でた。



その刀は大きな体格の駒場と同じ位の大きさのドデカい“刀”だった。

そしてその刀は確かに“刀”なのだが、“刀”とは違う。

一般の者が思う“刀”とは全く違う、むしろ正反対の位置に存在するもの。



それは“鎧”


そう、その“刀”とは…。






『賊刀 鎧』だった。





674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/26(木) 00:00:28.75 ID:wLBrFamAO
絹旗は七花ととがめが両想いって知らないんだよな
かませ犬のモアイちゃん可愛いよチュッチュッ
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/26(木) 00:08:59.00 ID:GJUsRKDf0
鎧着れるのは駒場さんか横須賀さんだけだな
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 00:30:28.44 ID:jPLDsCYt0


「………ここに、二本の刀が集まった」

駒場は浜面と半蔵をはじめとする、自分の仲間に振り向いた。


「………半蔵、情報ではこのような刀はあと何本ある?」

「俺がわかっているのは、あと二本。まず一本は結標淡希っていう、空間移動系最強クラスの大能力者が持っている。次の一本は十九学区にある。これは危険だそうだから、後回しだ」

「………そうか。どちらかを取っても、俺たちには危険だな…。しょうがない、とりあえずこの二本で動くか。………半蔵は今後も刀の情報を探ってくれ」

「ああ、わかった」


「なぁ半蔵、試しにその刀で試し斬りしようぜ!」

と浜面が半蔵に言った。

「そうだな、やってみるか。……じゃあ、その空き缶をこっちに投げてくれ」

「わかった、ほれ」

浜面は空き缶を半蔵に向かって投げる。

それを半蔵は、剣道の面の様にたった斬る。



空き缶はスパァン!と軽く真っ二つになった。


「おおお…」

「なんちゅー斬れ味だよ…」


感動する二人。



「なぁ駒場、この刀、俺がもらっていいか?」

と半蔵が言った。


「………ああ、別に構わんが」

「おい半蔵、お前ってそんな派手なモンは嫌いじゃなかったっけ?」

「いいだろ別に、そんなもん、俺の勝手だ」

と半蔵は“刀”をまじまじと見る。

と、その時。

「……………………『絶刀 鉋』……」

「なんだ?半蔵」

「いや、この刀の名前だよ、急に頭に浮かんできた。……うん、この刀は『絶刀 鉋』だ」

「変な名前だな」

「うるせぇ。……………で、そっちの鎧は誰が着るんだ?」
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 00:52:22.38 ID:jPLDsCYt0
「……………俺が着よう。この中では、俺しか着れないからな」

駒場は鎧を見て答える。

「ああ、リーダーであるアンタが着るべきだ」

半蔵は『絶刀 鉋』を筒の中に入れる。

「とりあえず、着てみなよ」

「…………そうするか」

駒場は鎧を着始めた。


「………むぅ…いささか重いな…」

重い鎧を何とか着終わり、感触を確かめるように手をグッパグッパしてみる。


「…………うむぅ、意外と着心地がいいな。しかも着ていた時の重さが嘘のように感じない」

ピョンピョンと……いや、ガシャンガシャンと飛んでみる。



「…………気に入った。これはいい」

駒場の表情はわからないが、声は少し弾んでいるように感じた。


「…………半蔵」

「なんだ?」

「…………お前の気持ちがわかったぞ、なるほど、これは面白い。…………賊刀………そうか、『賊刀 鎧』だ。この刀の名前は『賊刀 鎧』だ。

「そのまんまだな」

と浜面は茶々を入れる。



とその時




「駒場さん!大変です!!鎧の方を持っていた奴らがこっちに来てます!!みんなマシンガンとかミサイルとか持って来てきてやがる!!」


「…………そうか……。みんなは裏門から撤収。浜面班と半蔵班の二手に分れて逃げろ」

「おい、駒場のリーダー!あんたは!?」

浜面は駒場に問う。

「俺はみんなの足止めをする」


「駒場さん!」「駒場のリーダー!!」「リーダー!」「リーダー!?」

バックのメンバーが心配する声がバーの中で響く。




「………おいおい、合唱するなら、そんな寂しそうな歌にするな。せめて歌うなら、俺も含めて、みんなで楽しい歌を歌おうじゃないか」


そう言い残して、駒場利徳はバーを後にした。

仲間を助ける為に。
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 00:59:52.80 ID:jPLDsCYt0




今日はここまでです。

最後の駒場のリーダーのハードボイルド(?)っぽくしてみました。

どうだったでしょうか…。



絹旗といい、浜面といい、七花といい、とがめといい、

主要キャラのキャラが変わって行ったり、口調が安定しなかったり、

しかも地の文もワンパターンと来た。

大変読み難いと思いますが、そこは目を瞑ってください。



あと、上条当麻日記に続き、浜面仕上日記を投下しました。


感想を言ってくれると嬉しいです。(ソフトにお願いします)


では、また明日。
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/26(木) 01:12:45.14 ID:rBTH1F8U0

とりあえずまとめ
絶刀 半蔵     斬刀 ??     千刀 結標
薄刀 ??     賊刀 駒場     双刀 ??
悪刀 ??     微刀 ??     王刀 ??
誠刀 ??     毒刀 木原     炎刀 ??
あと8本か
なんとなく予想できるのは双刀、悪刀ぐらいか
王刀は声優つながりであの人…はないか

とりあえず、これからも楽しみにしてる
>>1、頑張れ
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 01:19:30.55 ID:jPLDsCYt0

ありがとうございます。

実は、この頃スレを書いてくれる人が少なくなって寂しかったんです。

もしかして、誰も読んでないんじゃないの!?って思う時が時々あって……(涙)

いつも、読んでくれている方々がいるという事は、感謝感激の言葉では足りないぐらいに嬉しい事です。



これからもがんばります。
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/26(木) 01:33:11.21 ID:/662zwDIO
乙!今回も面白かった
期待している
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/26(木) 02:58:40.54 ID:EbCLH+pAo

基本的にROM専だがいつも見てるぜ
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[sage]:2011/05/26(木) 06:52:58.54 ID:GFFmUiQ30
乙!これでようやく4本か……

684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/26(木) 07:48:25.90 ID:bhyZ+s0i0
乙〜
俺も普段書き込みはしないがお気に入りに入れて毎日チェックしとるよ
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/05/26(木) 08:11:57.49 ID:MsQIXdX3o
薄刀使えそうな禁書キャラっているかなあ…
つか適当に振り回して速攻で壊れそうな気がするwwwwww
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/26(木) 12:54:44.51 ID:kdhvz9TIO
>>1おつ
最初からずっと見てるよ
更新楽しみにしてる
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/26(木) 13:41:03.33 ID:FjUGRTuAO
主人公三人はどれを持つかな?
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/05/26(木) 14:46:54.55 ID:GTLX/u9AO
微刀に所有者はいらないだろう
いたら弱くなるし
改造する奴はいそうだな
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 15:29:58.19 ID:jPLDsCYt0

こんにちは、今日も続き書いていきます。

今日スレを見たら、マジで泣きそうになりました。

頑張っていきま。
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/05/26(木) 15:46:45.19 ID:Siw73P5g0
頑張ってくれ
毎日見てるよ、期待してる
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 15:58:02.31 ID:jPLDsCYt0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


九月十三日 鑢七花がこの世界に来て、数日過ぎた。


ここ、第七学区の病院の中の訓練所で、ドゴォォォオオン!!と、何かがぶつかったような轟音が響く。



虚刀流七代目当主 鑢七花は、学園都市の大能力者で、暗部組織『アイテム』の構成員 絹旗最愛と組手をしていた。


さっきの轟音は七花が絹旗を掌底で吹っ飛ばした音だ。



「おーい、大丈夫か?」

七花は絹旗に話しかける。


「イテテテテ、超大丈夫です。超惜しかったです、もう少しで一本取りそうだったのに……」

絹旗はクラクラする頭を抑えて、立ち上がる。

「ああ、確かにさっきのは危なかった。でも、俺はお前を吹っ飛ばしたぜ?ほら来いよ」

七花はニヤニヤと笑いながら、絹旗を挑発する。

「……あとで油断したなんて言わないでください!!」

絹旗は猛ダッシュで七花にへと駆ける。

しばらくは絹旗も七花と応戦していたが、

やはり吹っ飛ばされる。


「あああああああ、もう!惜しいいい!!」

「ははは!」

「もう一丁!!」

「おお、来い!!」


ガッガガガガガガ!!ドゴォ!!ヒュン!ドゴォォォォオオオン・・・・・…!!










692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 16:37:18.06 ID:jPLDsCYt0


「しかしまぁ、良く続くものだな」

訓練所の隅のベンチに、奇策士とがめが座って、彼らの組手を見学していた。


「いや、全ては君のおかげだよ?」

「おお、来ておったのか」

後ろから、冥土返しがやって来た。

「君のおかげで、彼女の『強くなりたい』という願いが叶うかもしれない」

「いやいや、私は提案しただけで、行っているのは絹旗本人だ。私は何もやってなどおらぬ」


そうだ、初日の絹旗は酷かった。七花にボコボコにされていたのだ。

夕方には終わったが、七花がボロ雑巾になって気を失った絹旗を負ぶって帰る始末。

その次の日もそのような感じだった。

掌底を喰らえば吹っ飛び。

腹を蹴られればゲロを吐き。

頭を叩かれれば気を失う。

そんな日々が三日ほど続いた。


「しかし、君も考えたものだねぇ?これが奇策って奴かい?」

冥土返しは感心したように、向こうの組手を見ている。

「何が言いたい?」

とがめはニヤニヤとにやける。


「ははは、そう隠さないでいいよ?わかってて提案したんだろう?」

冥土返しは楽しそうに言う。




「あれが、奇策士流の脳開発かい?」




とがめは彼の言葉を聞いて、

「ははははははははは!!気付いておったか!!そうかそうか!」

楽しそうに笑った。

「そうだ、聞いたところによると、この学園都市は“超能力”という、摩訶不思議な力を、子供の頭の中の脳を弄ることで発生させておる」

「弄るなんて聞き捨てならないね?せめて『開発』と言ってほしいね?」

「大して変わらんだろう?しかし、それでは限界がある」

「そうだ、現に全く能力が発生しない…というのは本当に稀だが、本当に小さくて役に立たない位の能力しか出せない子達が六割もいる。そして能力者の頂点の超能力者は七人しかいない」

「うむ、どうやらこの街は、『どう脳を開発すればレベルがあがるか…』しか考えておらぬようだ」
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 17:28:22.62 ID:jPLDsCYt0

「そこでだ、『私は脳をどう弄るか能力が強くなるか』ではなく、『脳以外をどう鍛えれば強くなるか』と考えたのだ」

とがめは腕組みをして、自慢げに語る。

「私は『彼女の脳の伸びしろはもうない』と踏んだ。しかしそれは『脳を弄って能力を伸ばす方法』での話だ。私はそういう方向とは真逆の『戦闘で強制的に能力を伸ばす方法』を提案した。絹旗は今まで、戦闘での本当の命の危険にされされたことがない。そこで七花が絹旗と戦い、ボコボコにされ続けることで、絹旗の中で眠っていた潜在能力を恐怖心とそれに回避しようとする、人間が元々持っている本能で抉じ開けようと考えたのだ」


向こうでは、絹旗が七花の踵落としを喰らっていた。


「本来、彼女は『戦って成長する人間』だ。それを学園都市の『机に向かっただけで成長する方法』での“脳開発”だけでは完全に成長できん」

「しかし、絹旗さんは日ごろから殺し合いばかりしている、暗部の人間だよ?なんで今まで成長できなかったんだい?」

「それは恐らく、今まで自分より強い相手と対峙してこなかったからだろう。しかもその殺し合いとやらは短期決戦ですぐに片が着く。これじゃあ成長できん。……………って、わかっていて質問するなっ!」

「ああ、ごめんごめん。ようは、鑢くんと長時間戦わせて、生命の危険による成長で、絹旗さんの超能力と戦闘能力を上げさせるんだろ?」

「ああ、そういう事だ。実際に、もうその兆しは見えて来ておる。例えば、最初は七花の動きにまったく着いていけなかったが、もうそれについて来ておる。また、体を包んでいた窒素の量が多くなってきておるし、質も高くなってきておる。以前は七花の掌底をモロに喰らっていては気絶しておったのに、今じゃあピンピンしておる」


そして…ととがめは絹旗を指さした。


「絹旗は能力を工夫して使っとる。以前より足が速くなっておるだろう?それは、ただ足が速くなってきたということもあるが、殆どは足の裏に窒素を集めて、地面を蹴る力を強くしておる。そうすれば七花の異常な移動速度にも対応できる。むしろ七花を追い込む場面も出てきた。いずれは七花が絹旗に殴り飛ばされる場面も見れるかもしれん」

とがめは鼻息を荒くして語る。

「なるほど…。しかし絹旗さんとは面識が短いのに、よくそこまで彼女の性格を把握できたね?」

「ふん、私を誰だと思っておる。奇策士だぞ?頭が良くて機転が良く、人間を見る目が無いわけがなかろう」


とがめは、がっはははははぁ!!と古いアニメの悪役よろしく高笑いする。


694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 18:34:35.60 ID:jPLDsCYt0

「まぁ、あんな無茶な稽古…いや修行と言うべきか、そんなのが出来るのは、絹旗の才能があるからだよ。普通の人間なら、とっくの昔に死んでおる」

「まぁ、そうなるだろうね?………あ、そうそう」

と、冥土返しが何かを思い出したようだ。


「君たちが言っていた、『賊刀 鎧』と『千刀 鎩』の話…聞いたかい?」

「ああ、『千刀 鎩』は結標淡希という大能力者が持っており、『賊刀 鎧』は駒場利徳という『武装無能力者組織』とやらの頭が持っておるらしいな。しかもその組織には『絶刀 鉋』もあるそうな。滝壺から聞いたよ」

「ああ、それがね?結標淡希が動き出したそうなんだよ」

「なに?」

冥土返しは胸ポケットから一枚の紙を取り出し、それの内容を見ながら言った。

「以前、『樹形図の設計者』という、学園都市最高の演算機器なんだけどね?それが何者かに破壊されてしまったんだけど、その残骸を集めようとしているようなんだよ」

「そうか……。それは恰好の機会だな」


とがめはスクッと立ち上がり、殴りあっている七花と絹旗に向かって叫んだ。


「七花!!絹旗!!一旦、終了だ!!こっちに来い!!」




「あ?」

「なんでしょうか?」

とがめの声は彼らに聞こえてたようだ。二人は走ってとがめへと向かってくる。


「なんだよとがめ、折角いいとこだったのに…」

七花と絹旗はとがめの目の前に来た。

「この前言っていた『千刀 鎩』の所有者である結標淡希が動き出した。そこで今夜、私達は彼女が持っている変体刀を奪うぞ」

「おい、なんで今じゃないんだ?」

と七花が訊く。

「きっと昼間はあちらはあちらで戦いを始めるだろう。そうすれば戦闘を見れば結標の戦い方もわかるし、戦力もいくつか落ちているだろう」

「ああ、なるほど」

七花は納得したように、拳を手の中でポンッと叩く。


「とにかく、七花と絹旗は休んでおけ。日が沈んだら動くぞ!!」

695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 18:35:43.53 ID:jPLDsCYt0

夕飯喰うんで、八時半には戻ります。
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/26(木) 19:07:06.41 ID:hpp31oGho
はい おつ
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/26(木) 19:26:25.17 ID:rBTH1F8U0

時系列は妹達編〜残骸編あたりだったのか
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 20:55:38.16 ID:jPLDsCYt0
さて、夕方の続きです。
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 21:39:26.94 ID:jPLDsCYt0

――――――――――――――――――――――――――――――――

九月十四日‐夕方。

見事な夕日が学園都市を包む。

明日は晴れだろう。


しかし、二人の少女がいる、この路地裏はそんなことなど関係なかった。



結標淡希はある者と対峙していた。

白井黒子。風紀委員第一七七支部に所属している、常盤台中学一年の大能力者。

十数日前、虚刀流七代目当主 鑢七花と戦い、負けている。


「…………大人しくそのケースをこっちに渡しなさい」


黒子の右肩にはワインのコルク抜きが、左脇腹にはダーツが、それぞれ痛々しく刺さっていた。

黒子の表情は痛みで歪む、額には脂汗がにじんでいる。

しかしその痛々しい体とは逆に眼は、鋭い。

その視線で、キャリーケースの上に座る、結標を睨む。



「ふふ、あなたには何を言ってもしょうがないのね……」

結標は、黒子の台詞に呆れ返っていた。

「あなたはあの女に利用されいているだけってなんで気づかないの?」

「…………お姉さまは、そんな方ではありません」

「ふん、あなたは大層その“お姉さま”にご執心なのね。いいわ、殺してあげる♪」


その時、白井黒子は気付いた。

結標淡希は肩に何か担いでいる。

「………?」

「ふふ♪これが気になる?」

結標は肩に担いでいるものを黒子に見せた。

700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 22:13:56.31 ID:jPLDsCYt0

それは、野球のバットケースの様な……一つで十本ぐらい入る物だ。

そのケースは野球のそれの三倍の大きさがあった。

チャックで蓋を閉められたそれを、結標は自慢げに黒子に見せびらかす。

「なんなのですか…?それは。ケースだけじゃ、わかりません………」

「ふふふ、そう焦らないの。いいわ、見せてあげる♪」

結標のテンションがさっきから妙に高い。

そのテンションに、黒子はついていけなかった。

「〜〜♪」

結標は鼻歌を歌いながら、チャックを開ける。


「……それは!?」

「ふふふ、さすが風紀委員さんね、これの噂は聞いている様ね」


ケースの中には、『千刀 鎩』が三十本ほど入っていた。


「そうよ、これがあの“刀”よ」

結標はその『鎩』の一本をケースから取り出し、抜いて見せた。

「あなたも聞いたことがあるでしょ?今、学園都市じゃ、謎の人物と一緒に、謎の刀が現れてた…って言うのを」

「あ、あんなの…ただの噂ですわ!?刀を持っただけで、超能力者や大能力者よりの強くなれる筈がありません!!……ッ痛っ」

「あんまり大きな声をださないの、傷口開いちゃうわよ?」

結標は『鎩』の刀身をうっとりと見つめる。

「……第一、あなたが喧嘩を売って、カッコ悪くボロ負けした、鑢七花はどうなのよ。彼の名前、書庫には無かったそうね。あなた、能力者じゃないどころか、学園都市の人間でもない人間に、オシッコチビって敗けちゃったのよ?かっこ悪くってありゃしないわ」

「…………くっ」

「悔しそうな目で見ないの。あ〜怖い怖い。良かったわねぇ、『お姉さま』に尻拭いしてもらって」

「あなた……もう許しませんわ…。こんな屈辱は初めてです…」

黒子は顔を真っ赤にして、目を限界にまで見開き、結標を睨む。彼女のツインテールの髪を逆立たせて叫ぶ。

「死ねぇええええええええええええええええええええええええ!!!!」

黒子は結標に特攻していく。

手にはダーツが握られていた。

ブゥンッ!!と黒子は拳を振るう。

しかし、結標はそこにはもうおらず、黒子の拳は空振りした。

黒子はその反動で、盛大に転んだ。

701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 22:42:29.01 ID:jPLDsCYt0

「あっははははは!!流石は風紀員様、気迫の籠った拳ですこと。あははははははは!!」

結標は足をバタバタさせながら笑う。いや、哂うと言った方が正しい。

「しかし、一年前までランドセルを担いでいた小学生ってのは本当らしいわね。まったくこんな小便臭いお子様にまで働させるとは、風紀委員も落ちぶれたものね。ほら、さっさと起き上がって、もう一回さっきの根性を見せてよ?」


しかし黒子は立ち上がってこない。

泥だらけになって、地べたを這いつくばる。

「あら、どうしたの?まさかさっき転んだとき、肩に刺さっていたコルク抜きが最後まで刺さっちゃったの!?」

どうやらそのようだ。血が彼女の方から指先までダラーと流れている。抜いたら出血多量で死ぬだろう。


「あら、一生の不覚だわ。せっかく考えてきたネタの練習台を見つけたのに、練習する前に戦闘不能にさせてしまうなんて……」

結標は手を頭に当てて悔やんだ。

「しょうがないわね、それじゃ一発本番で第三位をやっちゃいましょうか……」


ピクンッと黒子の肩が動いた。

「い…今…なんて、言いました?」

黒子は右肩を左手で抑えながら、立ち上がる。


「ふふふ、もう一回、わかりやすく言ってあげましょう」

結標は黒子に哂いながら言った。

「この刀、『千刀 鎩』で、学園都市最強の超能力の一人、第三位 御坂美琴を倒すっていうの。わかる?」

「……なんの為に?」

「それは決まっているでしょう?彼女がこの残骸を組み立てるのを妨害してくる可能性があるからよ。そんな人物、放っておく訳が無いじゃない」

とキャリーケースをコンコンと叩きながら説明する。


「……………そ……と……」

「なに?聞こえないわ」

「………………そんなこと、させませんわ」

「出来るの?私より、遥か弱いあなたに」

「…………なにがあろうと、絶対にお姉さまのところへは行かせませんわ!!」


「いい、心意気ね。気に入ったわ」


702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 23:16:30.76 ID:jPLDsCYt0

黒子は太腿に隠してあったダーツと、ポケットにあった呼びのダーツをすべて出した。

(………1、2、3、4、5……ダーツは全部で一五本。あっちはざっと三十本。能力ではこっちが負けている。どうこの状況を打破しましょうか………)

黒子は自分の状況を整理する。……が

(……………っく…血を流し過ぎで…クラクラするですの…)


「ふふっ♪どうやら血が足りなくて困っているようね。お姉さんが助けてあげましょうか?」

「ハンッ!こんなもの屁でもないですわ。さぁ、かかって来てださいな。速攻で終わらせます」

(強がってはみたものの、流石にキツイですわね。こういう時は速攻勝負で方をつける!!)


「いいわ、お望み通り、速攻で終わらしてあげる。後悔しても遅いわよ?」

と結標は『鎩』が入ったケースを前に出した。



「これから、とっても面白いものを見せてあげる♪」



突然、『鎩』三十本の刀身が消えた。

いや、違う。結標淡希が自分の能力である『座標移動』で刀をどこかへ移動させたのだ。




三十本の『鎩』は、黒子、結標の周りの地面や壁に突き刺さっていた。



「―――――………ッッッ!!?」

黒子は辺り一面に散らばまられた『鎩』に驚く。

自分の足元にまであるのだ、まるで自分の武器を使ってくださいと言っているようだ。



「余所見なんて、余裕ね。もう戦闘は始まっているのよ?」

と、両手に『鎩』を持った結標は笑いながら言う。


そして、黒子に向かって右手に持っていた『鎩』を思いっきりブン投げた。

「……………!?」

『鎩』はブンブンブン…!と風を斬り裂く音を奏でながら回転し、黒子の胴に向かって襲ってくる。



703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/26(木) 23:42:05.64 ID:jPLDsCYt0

「なんなのですか?それ」

それを黒子は空間移動で上空に飛び、避ける。


「簡単すぎて、欠伸が出ますわ!」

黒子は、今度は結標の上後ろに空間移動し、後頭部にドロップキックを食らわそうとする。

が、しかし


「読んでたわよ。それ」

「――――――!!」


いきなり黒子の目前に、回転する『鎩』が一本飛んできた。

結標が投げた物だ。

「……ぅわ!!」

黒子はドロップキックを止め、体勢を崩して、仰け反るようにして避ける。

ドテッっと背中から着地した。

「――――〜〜〜〜〜〜!!」

しかし衝撃は傷口に響き、激痛が黒子を襲う。


「何やってんのよ、ぼーっとしてると首が無くなるわよ?」

「…な!?」

そう、黒子の目の前には斬首をしょうと、『鎩』が回転しながら落ちてくる。

黒子はそれを転がりながら避けた。……肩と脇腹の傷には気を付けて転んだので問題ない。


「……………っぷはぁ!!」

「そらぁ!まだまだ!!」


今度は後ろのから『鎩』が二本、黒子を突き刺そうと、ダーツの如く向かってくる。

それをマトリックスよろしく避ける黒子に、今度は上から五本の『鎩』が落ちてくる。

それを空間移動で5mほど奥に避ける。しかし下から『鎩』が回転しながら上がってくる。顔を上げて避けるが、顎をかすめた。

そして上から、ギロチンの様に『鎩』が刃を下にして落ちてくる。

それを空間移動で避ける。しかし、そこにはまた『鎩』が待ち構えていた。

704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 00:00:31.42 ID:IVbycCIz0



「……??!……!!?」



どこから攻撃が来るのか、わからない。

いきなり“刀”が現れ、自分を斬り殺そうとする。

空間移動して避けても、先を読まれてそこで串刺し。

空間移動を使わずに、体を捩じって避けても、そこで斬首。


それを避けるために、また空間移動しても『鎩』が待ち構えている。
もう何が何だかわからない。


どのみち、白井黒子は結標淡希の半径3mも近付けない。

いや、近付こうとするが。“刀”がそれを邪魔する。



しかも、空間移動の十一次元の演算はこう連続で使うと、相当負担がかかるのだ。


そして、白井黒子は…………。

「ヒュー…ヒュー…ヒュー…」

虫の息だった。


「あら、もう終わり?お姉さんまだ満足してないわよ?」

「………うる…ヒュー……さい…ヒュー…ですわね……」

「もういいわ、終わりにしてあげる」


結標はハァと溜め息をついた。まるでつまらない物を見るような目つきだ。


すると。

「―――――――――…………ッッ!!?」

目の前にあった、三十本もの『鎩』が消えた。

結標が『座標移動』させたのか…!?どこに!?



「上よ」

「!!」


上から、雨の様に、大量の『鎩』が降ってきた。

ズドドドドドドドドドドドドド…………!!!。

と、金属の豪雨はド派手な音を立てて地面に突き刺さる。


白井黒子は……。
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 00:18:36.42 ID:IVbycCIz0

白井黒子は上にいた。

最後の力を振り絞り、空間移動して避けたのだ。


「……どうですか…、あなたの攻撃を最後まで避けましたわよ!さぁ、今度はこっちから……」


が、しかし。


「悪いけど、それも読んでるわよ?」

黒子の背後から、一本の『鎩』が遅れて落ちてきた。

「………っな!?」

もう空間移動は使えない黒子には、空中での身動きが取れない。

「しまっ…!」



落ちてきた『鎩』は、黒子の体を貫いた。



「ぐ、ああああああああああああああああああああああああああ!!」

刺された黒子は、そのまま地面に落下する。

「かはぁっ!!」

重力によって、地面に叩き付けられた黒子は、悶絶する。

いや、悶絶しようにも、両腕が動かない。



しかし、そこに結標淡希が近づいて来た。

「ほらお嬢さん。おねんねにはまだ早いわよ」

と言って、黒子の髪を持ち、引きずった。


「ああああああああああああ!!?」


黒子はただ、痛そうに叫ぶだけだ。

疲労で抵抗すら出来ない。


結標は黒子の髪を離した、その代りに足首を持ち、体を一回転回してから壁に叩き付けた。

「ぐはあ!!」

そして、『鎩』で黒子の脇腹へ『座標移動』させる。脇腹には峰が向けられていて、体を傷つけないようにした。
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 00:40:04.88 ID:IVbycCIz0

「さっきの上空で刺さったところ、左肩か……。よかったわね、あなた運がいいわ」

結標は黒子の足元の壁に『鎩』を左右に三本づつ、並んで突き刺す形で座標移動させ、それの柄の上に立った。


「さて、これからどうしようか……。ふふふ♪良い事思いついた♪」

と、結標は何か思いついたようだ。


結標は手に、『鎩』を一本手に座標移動させる。

それを黒子の制服の中へとツッコミ、制服を斬った。


「あら、あなた貧相な体の割には、なかなかいい趣味の下着着てるのね。年の割にガンバるわね…ふふふ」


「〜〜〜〜〜〜〜///!!」

黒子は顔を赤くして結標を睨む。

「……安心しなさい、私はあなたと違ってレズじゃないの。襲わないわ。ただ、面白いことをするだけ…」

「な…何を…?」


結標は足元に刺さっていた『鎩』を座標移動させた。



黒子の股の下に。刃を上に向けて。



「〜〜〜〜〜///!!?」

結標は黒子の耳元でささやく。


「ねぇ、もしあなたの脇の下にある、二本の『鎩』を抜いたら、あなたの体はどうなると思う?」


「……………」

黒子の顔は朱から青へと、サーッと変わった。


「××××から頭の先へと、体は真っ二つになるよね?」

結標淡希は白井黒子の耳元でささやいた。甘噛みでもしているのかように。



707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 00:57:04.56 ID:IVbycCIz0

「ねえ、これ、抜いていい?」

結標は股の下の『鎩』の刃を撫でる。

と、結標の指先が斬れ、刃に少しの赤い血が滴った。


「あ、血が出ちゃった…」

「……………ガチガチガチガチ……」

黒子の目は迸り、瞳孔が開いている。

さっきから顎の震えが収まらない。


「ねぇ、こんな斬れ味のいい刀で斬ったら、文字通り真っ二つになるわね。……何か言いたいことはある?」


「ど、ど、どうして、こんなこと……」


「ふふ、知りたい?簡単よ?『鎩』っていう字は、金偏に殺すと書くわ。私は『千刀 鎩』の所有者。私が殺したい者は殺し、殺したいと思ったら殺す。ただそれだけよ。ね?簡単でしょ?」


「そんなことの為に……、お姉さまを…?」

「まぁそれも違うくはないわね。でも、第三位を殺すのはちゃんとした理由があるからよ」

「………」

黒子は俯いた。

「ねぇ、死ぬ覚悟はできた。…………まぁ、私達の仲間になるっていうんなら、助けてやってもいいけど」

「…………」

「ねぇ、聞いてるの?」

結標の問いに、黒子は。

「………ペッ」

黒子は結標の顔に唾した。




「…………」

「あなたの様なクズ人間にしたがうなら、お姉さまの為に死んだ方が一千万倍マシですわ!!」

黒子の眼は強く、気高いものだった。



「……………そう、残念ね」

結標は無表情で、そういった。
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 00:57:45.49 ID:IVbycCIz0
























































709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 01:04:24.32 ID:IVbycCIz0


周りに、警備員たちが集まっていた。

その中に初春飾利もいる。


「白井さん!!」


初春は黒子の方へと走って向かって行った。


「初春…」

「白井さん!!」

警備員に毛布を掛けられ、それに包まった黒子に、初春は抱き着く。


「白井さん……こんなに怪我して……」

初春は泣きじゃくりながらギュッと抱く。


「初春…わたくしは…生きているのでしょうか…?」

「生きてます!!生きてなかったら、こうして抱き着いてないでしょう!!」

「……………生かされましたか……また……」






710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 01:11:32.88 ID:IVbycCIz0

経緯はこうだ。


結標淡希は白井黒子の脇の下にあった『千刀 鎩』に手を掛け、一気に引っこ抜き、殺害しようとしたが、


ウゥ〜ウゥ〜……!

『……ッチ!警備員か……、白井さん、命拾いしたわね。あなたとはまたどこかで会いそうだわ』

と言って、地面や壁にあった、全ての『鎩』を保管してあった野球のバットケースのようなケースの中に座標移動させた。


『それでは、また……』

と言って、ケースを肩で担ぎ、キャリーケースをもって、消えた。




その後、白井黒子は駆けつけた警備員に助けられた。


そして今に至る。
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 01:27:38.82 ID:IVbycCIz0

(悔しい…悔しい…悔しい…)


「白井さん?」

「え?…あ、初春、どうしましたの?」

「どうして、泣いてるんですか?」

「え…?」

黒子の目には確かに、涙の滴が、目じりにあった。


「ああ、すいません、恥ずかしい所を…」

「恥ずかしくないですよ」

「!!」

「恥ずかしくありません、だって死んでしまっては、そんな感情、持てないでしょう?」

「……!」



「だから泣いていいんです。大声出して泣いていいんです。鼻水垂らして泣いていいんです。だって、私達はまだ、子供じゃないですか」


その言葉には、なぜか心の中にあった楔を外してくれた。

そんな気がした。


ただ正確にわかることは、初春の姿が滲んで見えることと、『泣きたい』という感情が止まらないという事だった。





「…………ぁ、ぁ、あ、うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」





黒子は泣いた。ただ泣いた。大声を出して、鼻水を垂らして、泣いた。


「はい、はい、よしよし…」


初春は黒子を抱き寄せ、背中をポンポンと優しく叩く。


眼から涙が止まらない。

悲しい。悔しい。辛い。怖い。

そんな感情が黒子の涙と一緒に流れた。
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 01:35:12.68 ID:IVbycCIz0






――――――――――――――――――――――――――――――――


「本当に手助けしなくても良かったのか?」

「ああ、おかげで目標の攻撃方法がわかった」

「あんたも鬼だな」

「なにをぉ!?私のどこが鬼だというのだ!?」

「性格」

「…………それは自覚はある。そもそも私が死んだ時に話しただろう。私の全ては駒であると」

「そうですかい」

「七花さーん、いきますよ〜!?」

「おお、今いく!!」



ここは先程、白井黒子と結標淡希が戦っていた路地裏の壁の上……様はビルの屋上。

そこに鑢七花・奇策士とがめ・絹旗最愛がいた。

彼らは、最初の目標である、結標淡希の偵察にやって来た。

おかげで良いデータがとれたそうだ。


そして、彼らは戦場へと赴く。

目標は、結標淡希。

目的は、結標淡希が所有している『千刀 鎩』の回収である。


713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 01:39:42.80 ID:IVbycCIz0

今日は以上です。


書いている途中から、「あれ?これ本当にあわきん!?」と思っちゃいました。

ワタクシ、禁書キャラの中で最も大好きなあわきんを、あんな変態キャラにしてしまうとは……。

よりによってあわきんを…(泣)


全国の結標淡希ファンの皆さん、本当にすいませんでした。

こんな変態キャラにしちゃって、本当にすいませんでした。
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/27(金) 01:42:28.96 ID:rHcDfPdg0

あわきんはきっと刀の毒に当てられただけなんだ
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/27(金) 01:45:37.67 ID:sNpxPLAIO

やっぱ書き溜めして一気に投下って形にしてもらいたいなー
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/27(金) 01:46:51.65 ID:sNpxPLAIO
ごめん、sage忘れた
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/27(金) 01:57:37.06 ID:4UwGWlhjo
リアルタイムで見ないと死んでしまう病気か?
さっさと寝て翌日見ればいいだろ
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/27(金) 02:20:47.73 ID:Q6Y3vj9IO
今回も面白かった!
強敵オーラが出てるあわきんがSSで描かれる事は新鮮だから楽しめたよ。
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/27(金) 13:18:16.11 ID:CJi6jz7Oo
時期的にそろそろ一方さん出てクルー?
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 18:07:05.22 ID:IVbycCIz0

こんばんわ、今日も必死こいて書いていきます。
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 18:08:48.06 ID:IVbycCIz0

と、言いたいとこでしたが、ご飯焚くのを忘れていたので、外食してきます。


七時から七時半には戻るかも。
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/27(金) 18:15:02.77 ID:BNobLXAAO

あわきんのアンリミテッドブレイドダンス激ハマりじゃん

後ろ姿で決めポーズが脳裏に浮かぶ
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 19:49:24.79 ID:IVbycCIz0

帰ってきました。

いざ、書きます。
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 20:05:47.54 ID:IVbycCIz0

「………そう、………うん、わかった。ありがとう、初春さん」

御坂美琴は携帯電話を閉じ、ポケットに入れる。

初春飾利から、『今日、白井さんは忙しいので帰ってこれない』という電話だった。


「…………そんなの、嘘に決まってるじゃない……」

恐らく、結標淡希とぶつかって戦ったが、敗けたのだろう。

「……………私のせいだ……。……ごめん黒子…」


ここは常盤台中学の女子寮の、美琴と黒子の部屋。美琴は自分の机の引き出しを開け、ゲコ太貯金箱を取り出した。


「これは、私が撒いた種。始末はきっちりとる………。覚悟していなさい…………結標淡希」


美琴は貯金箱の底についてあった蓋を取り、中に入ってあったゲームのコインを二十枚ほど取り出し、左右のポケットに入れた。

そして、貯金箱を机の上に置いたまま、美琴は部屋化から出て行った。


725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 20:41:48.39 ID:IVbycCIz0



―――――――――――――――――――――――――――

その頃、虚刀流七代目当主 鑢七花は通学用に使われるサイズの小型バスの中にいた。


七花の他には、奇策士とがめと、この世界で知り合った能力者『アイテム』構成員 絹旗最愛と、同じく『アイテム』構成員 滝壺理后が一緒に乗っていた。


「なぁとがめ、あいつ…結標淡希って奴の攻略法はわかったのか?」

「……いや、これはやってみなくてはわからんものでな、おすすめできん。しかし、あの摩訶不思議な攻撃のタネがわかった」

「どんなのだ?」

「絹旗よ、結標淡希の能力、『座標移動』は物体を別の座標に移動するのであったな?」

「ええ、超その通りです。『座標移動』はA地点にある物体をB地点に超移動する事です」

「すまん、言っている意味が分からん」

七花が困った顔をした。

それをとがめは呆れた。

「しょうがないな。七花よ、例えるなら将棋の五の三にある駒を、七の二に移動させる感じだ」

「将棋はわからん」

「…………だめだ、座標どころか表もわからん奴に説明しても無駄だな」

「……面目ない」

因みにとがめは小学校の教科書から大学の参考書を全て読破した。その内容を頭の中に詰め込み、理解している。


「まぁ、超簡単に言ったら、物体を別の場所へ超飛ばすんです」

「ああ、なんとなくわかった」

「七花!なぜ私の説明がわからんで、絹旗の説明がわかるのだ!?」

「さあ?」

「さあじゃないだろう!?」

「まぁまぁ……」


と、車の隅の方でチビチビとお茶を飲んでいた滝壺理后がピクっと眉を動かした。


「………東北東から信号がきてる……。何者かが、戦闘を行っている模様…」
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 21:00:29.19 ID:IVbycCIz0

「……超本当ですか?運転手、至急そこに行ってください!!」

絹旗は、ハンドルを握っていた運転手に指示をだす。

因みに運転手は『アイテム』の下っ端組織から派遣されたチンピラである。



「そこってどこですか!?」

と運転手は曖昧な注文にツッコみを入れる。

「滝壺さん、助手席に行ってください!」

「わかった」

滝壺は絹旗に言われた通り、助手席に移動する。



「で、結標淡希の、あの摩訶不思議な攻撃は何なんだ?」

「ああ、それはだな?」



その時、急に爆発音が響いた。


ドォォォォオオオオン!!



車が振動に、ビリビリと共鳴する。

「うぉ!なんだ!?」

「結構近いぞ!」

七花ととがめと絹旗は爆発した所を探す。

「!!ありました!七花さん、とがめさん、あそこ!!」

絹旗はあるところを指さす。


そこは、モクモクとビルの間から昇って行く煙をだった。


「あそこは……?」

とがめは運転手に訊く。

「ああ、あそこは建設途中の建物です。あそこは人がほとんど通らないから、隠れ家としてはちょうどいい所かと」

「そんなことはどうでもいい!!とにかくあそこへ進め!!」

「は、はい!!」


727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 21:57:57.86 ID:IVbycCIz0




煙がモクモクと上がっていく、きっと警備員がすぐにでもやってくるだろう。

そう、御坂美琴は思った。

ここはとある建設途中の建物を建てる工事現場。

その太い骨組みの陰に、五十人くらいの拳銃やマシンガンを持った者たちが身を潜めていた。


その中の一人が前に出て来て、拳銃を撃ってきた。

しかし、美琴は磁力の力で防ぐ。

そして、指でコインを弾き、超電磁砲を撃った。


「……ぐわぁぁああああ!!」

数人が吹っ飛んだ。

心配せずとも、殺してはいない。ちゃんと外した。


美琴は鉄骨の上にいる、ある人物に向かって叫んだ。

「ねぇ、出てきなさいよ卑怯者!!」

「なに?呼んだかしら、常盤台の『超電磁砲』さん?」

そこには、結標淡希が鉄骨の上に、足をブラブラさせながら座っている。

「しかし卑怯者とは心外ね。あなただって、あなたを慕ってくれる、可愛い後輩を私に当てさせて、ボロ雑巾にさせたじゃない……。まぁさせたのはあたしだけど」


「………あれは、私がアンタらを足止めしようと信号を止めたら、アンタらが走って逃げだした。黒子はたまたま風紀委員の仕事で来ただけよ」

「言い訳にしか聞こえないわね」

「アンタがどう思っているかは知らないわ……」


「それより、ちゃんと言ってあげなかったの?あの日、八月二十一日の事…。可哀そうに、大好きな先輩の事をなんにも知らないで……」

「アンタに私と黒子のなにがわかるっていうの!?とにかく、こっちに降りてきなさい!!」

「それは無理な相談ね、だってそこに降りたら『どうぞ私を殺してくださ〜い(涙)』って言っているようなもんじゃない!私は自殺するつもりもないし、する予定もないわ!」

結標は哂いながら美琴に言う。

「あなた、怖いんでしょ!?七月二十八日に破壊された“樹形図の設計者”の残骸を組み立てられ、またあの『悪夢』を呼び覚まさせたくないんでしょ?」

結標は美琴を哂う。哂い続ける。美琴は手を握りしめる。強く握りしめすぎて、掌から血が、タラ…タラ…と流れている。

「だったら私を早く殺しなさいよ!そんなところでボーゼンと突っ立っているんじゃなくて!あなたは超能力者なんでしょ?第三位の常盤台のお嬢様なんでしょ?だったら私なんて雑魚、瞬殺じゃない!」

美琴は黙って結標の言葉…暴言を聞く。

「まぁ、私はさっき言った通り、ここには死にに来たんじゃなくて、あなたを殺しに来たの。ねぇ、さっさと殺されてくれない?」

728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 22:18:28.90 ID:IVbycCIz0


結標淡希の言葉に美琴は……。



「あははははははははははははははははは!!」



大きく笑っていた。

「な…!」

さすがの結標も驚く。


「ははは……“樹形図の設計者”が組み立てられるのが怖いですって?あの『イカれた実験』が再開されるのが怖いって?」

美琴は何かを吐き出すように、思いっきり笑った。

「ははははははははははははははははははははははははは!!!!!!……………………はぁはぁはぁ」

美琴はようやく笑うのを止めた。

「な、何が可笑しいの!?」

結標が叫ぶ。


「……はぁ……そんなの、当たり前じゃない!!」


美琴は叫ぶ。


「なに?アンタ、私が怖くないって思っていたの!?っざけんじゃないわよ!!あんなの、怖いに決まってるじゃない!!アンタみたいな雑魚に、イチイチ確認されんでもわかっとるわ!!」


美琴の周りに高圧電流が流れる。彼女の髪は逆立ち、眩い光を放つ。


「黒子にそのことを話さなかったのは、この学園都市の“闇”の存在のことを隠すため。………あの子たちの平和を守るのが先輩の役目でしょうがぁぁぁぁあ!!!」


美琴はポケットからコインを取り出し、全力の『超電磁砲』を放った。



光と熱の矢は、爆風と爆音を伴って結標の頭まで飛んでいく。



矢は、鉄骨の建物を貫き、暴風で骨組みはバラバラになった。

ガラガラ…と鉄骨だけで作られた建造物は崩れていった。




729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 22:48:03.32 ID:IVbycCIz0

「はぁはぁはぁ」

美琴は荒い息を整える。


バラバラに崩れ、ただの鉄骨置き場となった工事現場に砂煙で覆われた。



「…………そんなモンで、死んでなんかいないわよね!?」

美琴は遠くまで聞こえる様に話す。

誰に?決まっている。

「いや〜凄いわ、流石♪。これが『超電磁砲』ね?凄い威力ね」

「次が外さないわよ?」

「ふふっ♪怖い怖い」

結標は哂う。

「でもねぇ?私にはこれがあるのよ!?」



結標は手元に『千刀 鎩』五百本を座標移動させた。



「ふふ♪あなた、串刺しと斬首……どっちがいい?」



結標はその内の二本を持ち、他を美琴の周囲に座標移動させる。


「―――――――――――…………………ッッ!!?」


美琴は辺りの刀を見る。


「………!!これってまさか!!」

「あら、あなたの耳にも入っていたの?………まぁその内、公で報道されるかもせれないわね……」


「アンタ、これで何をするつもり!?」




「ふふふ♪Let's showtime♪」
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/27(金) 22:49:46.51 ID:IVbycCIz0

今日は早いですが、これで終わります。

明日は早くから書こうと思います。


それではまた…
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/28(土) 01:35:04.65 ID:TvKlmYbWo
おつ
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/28(土) 01:35:53.13 ID:TvKlmYbWo
おつ
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/28(土) 01:36:37.53 ID:TvKlmYbWo
おつ
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/28(土) 01:42:26.75 ID:NUhzDnon0

つか、連投しすぎ
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 12:12:52.02 ID:QKgj4iid0

こんにちは、前回は中途半端に終わっちゃったので、今日は長く書きます。
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 13:14:12.76 ID:QKgj4iid0

一方その頃、鑢七花が乗るバスの中。


「なぁとがめ、結局結標淡希のあの、摩訶不思議な攻撃ってなんなんだ?」

「ああ、忘れておった」

奇策士とがめは、あっとした表情で応えた。

「よいか七花、絹旗。ちゃんと聞いておけよ?」

「ああ」「はい」

「まず、結標淡希の能力『座標移動』は他の『空間移動』の能力より自由度が高い。しかも始点と終点が固定されておらんため、物体に触れることなく移動ができる。それは先程の戦いで見たな?」

とがめの問いに二人はそれぞれ頷く。

「しかし、その超強力な能力の裏にはある欠点がある」

「欠点?」

と、七花は訊く。

「そうだ、欠点だ。奴の能力は確かに超強力で、自由度も高い。しかしそれ故に、演算による負荷が大きいのだ」

「と、言うと?」

「七花さん、超簡単に言うと、失敗する確率が超大きいんです。失敗すれば大惨事になる確率が超高くなるんです」

七花の問いに絹旗が答えた。

「うむ、まぁそういう事だ。結標淡希は過去に演算失敗で足の皮を剥いでしまったという大怪我をしてしまった経歴がある。これは滝壺が調べてくれた」

「おい、それが今回のことについて関係があんのかよ?」

「まぁそう焦るな……。あの戦いで、同じ空間移動系の能力者と戦っていたが、先にへばったのはどっちだ?絹旗」

「えっと…相手の方でしたね?」

「そうだ。じゃあ手数が多かったのはどっちだ?七花」

「断然結標の方だろう」

「そうだ。しかしおかしくないか?」

「なにがだよ」

七花はとがめの言っていることに疑問を持つ。

「結標の方が圧倒的に手数が多かったんだ、相手が反撃できずに、ただボロボロにされるほどだ。相手が先にへばってもおかしくないか?」

「いや、私が言っていることはそこじゃない」

とがめは七花の顔を見る。


「私が言いたいのは、手数が多い…即ちその分だけ能力を使っているのだぞ?演算負荷が大きくかかる能力のだ」

「…………!」

「わかったようだな」

とがめが言いたいのはこうだ。例えばボクシングの試合で長時間、全フルスイングのパンチを繰り出したら、絶対に相手より先にへばるはずだ。

と言いたいのだ、1500mをスタートから全力疾走したら、100m程でバテバテになるのと同じだ。

「普通、空間移動系の能力者は短時間に多く能力を使うと演算が雑になり、失敗する。または疲労で動けなくなる。相手の方はまさに後者だ」


「しかし、結標の方は相手より手数が超多いのに、超ピンピンしていたと…」

と絹旗は口を開いた。

「そういう事だ。さすがは大能力者、呑み込みが早い。……では、なぜ結標淡希は長期間戦っておって疲れなかったのか?」

737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 13:34:14.66 ID:QKgj4iid0

とがめは言う。


「簡単だ、奴は能力を使っていなかったのだ」



「………………は?」

「なに言ってるんですか、とがめさん」

「だから言っておろう、結標淡希は相手の半分も能力を使っていない」

「どういうことだよ、とがめ」

「超わかりやすく説明してください」


「いいだろう」

とがめは腕組みをして、説明する。

「いいか?結標淡希は最初、何本『鎩』を持っていた?」

「えっと…二本」

七花は、自分の記憶を辿って答えた。

「では、その内の一本をどうした?」

「相手に向かって投げた」

「じゃあ相手はそれに、どう対応した?」

「空間移動して避けた」

「そのあと、刀はどうなった?」

「相手の後ろの刀に当たった」

「絹旗よ、何か妙とは思わんか?」

「なにがです?超普通じゃありませんか?」

「わからぬか?自分と同じ空間移動系の能力者に『鎩』を投げたのだぞ?………空間移動で避けられるとわかってて」

「……あっ」

絹旗は気付く。七花はまだわかっていないようだが。

「では、なぜ結標淡希は刀を投げたのか?………実は結標の狙いは相手に当てることではなく、後ろの刀に当てることだったのだよ」


738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 13:45:49.38 ID:QKgj4iid0

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ふふふ♪Let's showtime♪」

結標淡希はそう言って、右手に握られていた刀を、美琴に向けて……否、美琴の後ろにある三本の『鎩』に向けてブン投げた。


「……っぅお!!」

美琴は足元に飛んできたそれをジャンプして避ける。


「……っと、危ないわねっ!!」

美琴は叫ぶ。

すると結標の方はニヤニヤとした表情で言った。

「そんなこと言っている間があるの?…後ろがお留守よ?」


ヒュンヒュンと何かが風を斬る音が、後ろからやって来た。

「―――!!?」




ザクッ!!



「ぅあ!!」

美琴は振り返る前に、何かに斬られた。そして前に倒れる。

「????」

一体なにが起こった!?

背中が熱い。背中から何か熱いものが流れていく感じがする。


美琴はいきなり背中から、斬られたのだ。

三本の『鎩』に。

739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 14:13:52.24 ID:QKgj4iid0

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「いいか?まず、結標は刀を投げる。それを相手は飛ぶなり伏せるなり空間移動するなり、何らかの方法で避ける。すると相手の後ろの地面に刺さっていた『鎩』に当たる。当たる場所はちょうど刀身の地面に近いの所だ」

とがめは七花と絹旗に説明する。

七花に分かり易いように、ジェスチャーをしながらやっているので、幼い容姿のとがめは妙に可愛くみえる。

「そこに当たると『鎩』は回転しながら地面から抜かれ、避けた者を斬る。空間移動したなら、そこに投げた方か当たった方の『鎩』を座標移動させればよい」


740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 14:54:09.22 ID:QKgj4iid0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……??」

美琴はどこから攻撃されたかわからなかった。

彼女は投げられた『鎩』が後ろの『鎩』にあたって、それが美琴の背中を斬った…という事に気づいていない。


「なにやってんのよ?いつまでそこで寝ているつもり!?」

結標淡希は手を大きく振って美琴を挑発する。

「……こんのぉ!!」

美琴は立ち上がる。しかし…。

上空から、『鎩』の刃が美琴めがけて落ちてきた。

「…………ぅぅぅおああ!!」

美琴は間一髪で転がって避けるが、脇腹をかすめた。

「何やってんのよ!?早く逃げなさい?さもないと串刺しの刑よ!」

「……っく…。……って、ぉわ!?」

転がる美琴の首に、回転する『鎩』が襲う。

美琴は跳ね起きてそれを避ける!

「あ、やっぱり斬首のほうがお好き?」

相変わらず結標は哂いながら、美琴を眺める。

「……っくそぉ!」

美琴は結標を睨む。

しかし、そうしていると、『鎩』は美琴の体を貫かんと、斬り殺さんとしている。

今度は正面から『鎩』が顔に迫ってきた。

首を曲げて避ける。髪を少し斬った。

次は後ろから『鎩』が下から突き上げてきた。

『鎩』は美琴の背中の傷を抉る。

「…っぐぅ!!」

美琴は顔をゆがめる。

しかし美琴の状況を無視するかの如く『鎩』は後ろ上から、美琴の背中にまた、傷をつけた。

「ああああ?!」

(おかしい、確かに結標淡希は空間移動系の能力者だけど、こんなに能力を使ったらばてる筈)

美琴は悔しそうに、歯がゆい顔をする。

しかし、反撃しようにも、する暇が無い。

一瞬でも止まれば、串刺しまたは斬殺だ。

しかも、避けようとするも、そこら辺中に散らばる『鎩』が邪魔で、避ける場所が限定されている。

「…………まさか!!」
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 15:35:25.12 ID:QKgj4iid0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「結標淡希は、相手が『鎩』を避けても、避けた『鎩』が別の『鎩』に当たり、当たった『鎩』が相手を傷つける様にしておるのだ」

「…は?」

「七花には難しいか…」

困ったとがめの代わりに絹旗が説明する。

「七花さん、超簡単に言うと、投げられた『鎩』は別に相手に超避けられてもいいんです。その代り『鎩』は別の『鎩』に超当たって、超当たった『鎩』が相手を斬る。それで超斬られればそれでよし、超避けられても、また先ほどの過程を繰り返す」

とがめは絹旗の言葉を引き継いで説明する。

「それを繰り返していけば、相手は疲れ、足が動かなくなる。そこで止めをさす。………本当に残酷な殺しかただよ」

「でもよ、それじゃあ都合がよすぎないか?偶然当たったならまだしも、わざとそんなことが出来るなんて…」

七花は疑問符を頭に浮かべる。

しかしとがめは、

「いや、それができるのだよ」

と言った。

「七花、結標のあの地面ビッシリに刺した『鎩』の配置を見て、どう思った?」

「いや、避ける所が限定されるなって…………あ」

「気が付いたか。そうだ、あの『鎩』の配置にすべての鍵があったのだよ」

とがめは腕を組んで、七花と絹旗に説明する。

「あれはただ単純に地面に刺したのではない。相手の行動と回避を限定させるために、計算に計算を重ねられて配置させられたものだ」

とがめは今度は足を組んだ。

「例えば、正面からの攻撃に右に避けても、後ろから攻撃が来る。それを避けても、今度は左から攻撃がくる…それも繰り返しを延々と繰り返されるのだよ」

「将棋で言うなら、超最初っから詰みの状態で戦わせる様なものですか?」

「ああ、それに近い」

「じゃあ、どう対策をとれって言うんだよ?」

七花はとがめに問う。

「ああ、そんなの簡単だ。それはだな――」

742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 16:30:37.57 ID:QKgj4iid0

――――――――――――――――――――――――――――――


「ゼー……ゼー……ゼー……」


美琴は冷たく感じる肺からでる息を、辛そうに吐く。

何分たっただろうか、何時間も全力で走った気がする。

虚ろな目で結標を見る。



「ほら、まだまだ終わらないわよ!」



ああ、アイツはなんでこんなに元気なのかな…。

おかしいな、どうして私はこんなにバテバテになるまで走ってんのかな…。


あれ?何か飛んでくる…。あれってなんだったけ?

ああ、私あれを避けてたんだっけ…。なんでだっけ?

てか、あれってなんだったけ……。

あれって……。

ああ、そうだ。私、あの刀を避けていたんだっけ?

なんでだっけ?……ああ、そうか刀が当たったら私、死ぬからか…。ああ、私、死ぬのか…。

死ぬんだ、私。

そういえば、死ぬってなんだったけ?

ダメだ、ピンと来ない。

死ぬ。死ぬ。死ぬ。死死死死死………。



「って、死んでたまるかぁ!!」


美琴は飛んできた『鎩』をマトリックスで避ける。


「…………ぬぬぬ…っぷはぁあ!!」

息を吹き返した美琴は次に来る攻撃に備えて構える。

どうやら結標は飛んでくる『鎩』を別の『鎩』に当てさせ、その『鎩』が自分を襲うようにしているようだ。

(まったく、最初っから詰まれている状態で将棋やってる様なもんよ!ややこし言ったらありゃしないわ!!)

前から『鎩』が回転しながら向かってくる。

「……でもアンタ…こんなことされるなんて、思ってもいないわよねぇ!!?」

美琴は向かってくる『鎩』を無視し、自分の後ろの…次に自分を襲う『鎩』を引っこ抜いた。

当たっただけで引っこ抜かれるほどの深さしか刺さっていないから、簡単に抜かれた。

743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 16:55:35.71 ID:QKgj4iid0

美琴はそれで向かってくる『鎩』を叩き付けた。

そして、その手に持った『鎩』を投げつけた。


ただ投げつけたのではない。刀身に電気を浴びさせて殺傷力を高め、しかも磁力の力で高速に投げた。


そうだ、この『千刀 鎩』でできた攻撃が延々に繰り返される無限の回路を断ち切ればいい。

そして、油断しまくりの結標淡希に攻撃すれば、形勢は逆転できる。


美琴の投げた『鎩』は結標へと、真っ直ぐに、高速に、確実に貫こうとしていた。


しかし、


「ねぇ、忘れていない?私は『座標移動』という、空間移動系の大能力者だってこと」


美琴の投げた『鎩』は、結標に届かずして消えた。



「……しまった!!」

「お返しするわ♪」


『鎩』は美琴の後ろに座標移動した。

それに美琴は気付いていない。



「―――――――バイバイ♪常盤台の超能力者さん♪」




744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 17:04:52.98 ID:QKgj4iid0

「―――――――……………ッハ!!?」

美琴は振り返り、飛んでくる『鎩』の存在に気付いた。


美琴はとっさに避けようとする。

「遅いわ!!」


ザンッ!!

「ぐああああああああああ!!」

美琴の右足に『鎩』が、履いていた革靴ごと貫いた。結標淡希が座標移動させたのだ。

これでもう動けない。万事休す。


もしこの『鎩』が頭に当たったら、まず頭は半分無くなるだろう。

ふと、美琴はそう思った。


いやだ、死にたくない。死にたくない。死にたく……ない!!

助けて…誰でもいい!!誰か!!


『鎩』は高速で美琴の顔面に向かってくる。


もう…だめ…。






「……………あれ?」

おかしい、『鎩』が来ない。

ふと前を見ると、誰かが立っていた。


男だ、高校生くらいの。

彼はツンツン頭がトレードマークの少年で、美琴と、お互い、良く知る中である少年である。





上条当麻は『千刀 鎩』を美琴の鼻先寸前で止めていたのだ。


「テメェ……何しやがる…」

上条は『鎩』を投げ捨て、結標淡希の方を向いて、叫ぶ。


「御坂になにしたって言ってんだよ!!」
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 17:06:05.96 ID:QKgj4iid0

とりあえず、昼の分は終わりです。

夜になったら書きます。
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/05/28(土) 17:09:39.13 ID:QKgj4iid0
言い忘れていましたが、

あわきんのあの技は、『ソール・イーター』に出てくるミフネの『無限一刀流』をモデルにして書きました。


もし、わからなかったら。………と言っても、あんなヘタクソな説明文じゃあ、わからないですよね。

ニコ動やユーチューブとかで見て頂くと、分かり易いかとおもいます。
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/28(土) 17:19:00.87 ID:7Y7XflMIO
なるほど、そうだったのか。
てっきりテレポートさせまくってると思ってた。
748 :名無しNIPPER[sage]:2011/05/28(土) 17:26:11.51 ID:lUQNJ6iDO

無限の剣制もどきかと思ったら無限一刀流もどきだったでござる。
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/28(土) 18:19:12.13 ID:NUhzDnon0

俺もミフネをイメージしてた
黒星に使ってた乱立の並みたいなもんか
750 :名無しNIPPER[sage]:2011/05/28(土) 19:19:30.93 ID:pHC+1s0AO
結標は千刀の使い方を間違ってるな
千本あっての千刀だろうに

七花も原作じゃ一本壊して終わりじゃなかったか?
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/28(土) 19:31:11.47 ID:Uy9yk6WAO
地形効果千刀巡りをぶち壊してるから、七花は千刀を壊してるよ尾張城でね

てかあわきん…士郎を目指して欲しかったんだよ
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/28(土) 19:31:43.48 ID:Uy9yk6WAO
地形効果千刀巡りをぶち壊してるから、七花は千刀を壊してるよ尾張城でね

てかあわきん…士郎を目指して欲しかったんだよ
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/05/28(土) 19:37:55.75 ID:CkJ3sXpRo
アニメだと使い手ぶっ飛ばす時に千刀壊しながら接近しとるな
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 19:47:25.76 ID:QKgj4iid0

夜になりました。書きます。
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 20:49:10.82 ID:QKgj4iid0

―――――――――――――――――――――――――――――


いったん時間を遡る。


美琴が寮を出たとき、ミサカ10032号、御坂妹は走っていた。

どこへ向かっているかと言うと、上条当麻がいる学生寮。

ミサカネットワークを介して今の現状を聞き、病院をこっそり抜け出して来た。


(お姉さまの危機を回避してくれる方はあの方以外思い浮かびません、とミサカ10032号は心の中でその人顔を思い浮かべます)

御坂妹は寮の前まで来た。この寮に住む、とある人物の部屋まで、さらに走る。



入院で訛った体に階段ダッシュはキツイ。それでも御坂妹は走った。

「………はぁ…はぁ……。着きました…とミサカは荒れた息を…鎮めます」

大きく深呼吸する。

そして、インターフォンを押した。


『あ?誰だ?』

『いいからでなさぁい』

『ああ、わかってる』


「……?(女の人の声?とあのシスターの幼い声と真逆の声を聞いてミサカは疑問符を頭に浮かべます。…もしや、お姉さまという人がいながら、浮気しているのでは?)」


ガチャ…とドアが開いた。

「はいはい……あれ、御……坂……?」


「お願いがあります」

「ん、お前、妹の方か」

「とあなたの目を真っ直ぐに見て、心中を吐露します。ミサカとミサカの妹達の命を、助けてください」

「……どういうことだ?御坂妹」

と、上条はわからない顔をした。


と、その時奥から、例の女の人の声が聞こえた。

「………ねぇ、そこの女の子、こっちにあがってきなさい」

「?」

「いいから。お姉さん、今回のことにちょっと手伝いたくなってきちゃったから」

大人の女の人の声だな…と御坂妹は思った。

「??……わかりました、いいですよね?とミサカは家主であるあなたに確認をとります」

「ああ、別にいいが…」

「じゃあお邪魔します、とミサカは玄関で靴を脱ぎます」

756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 21:27:19.09 ID:QKgj4iid0

御坂妹は声が聞こえた、部屋に行く。

「こんばんは」

そこには、着物を身に纏った、金髪が綺麗な女の人が床に座っていた。

「あなたがミサカ10032号さんね?初めまして、否定姫よ?」

「どうして私のことを?とミサカはあなたに問います。あなたですか?とプライバシーの管理能力の低さに呆れます」

御坂妹は上条を睨む。

「な?俺じゃねーぞ?」

「安心しなさい、私が知っているのはあなたの名前だけよ?」

ふふふ、と面白そうに、否定姫と名乗る女性は、続けてこう言った。

「ねぇ、鑢七花くんは元気だった?」

「どうしてそのことを?とミサカはポケットに隠していた小型拳銃を、怪しい女性に向けます」

「わわわわわ!!御坂妹!仕舞え!それを仕舞え!!」

上条は御坂妹の手を持ち、下げさせる。

「ふふふ…大丈夫、七花くんとは知り合いよ?」

「そうですか…。ではあなたが『あの』否定姫さんでよろしいですね?」

「ええ、『あの』否定姫でいいわ」

「あの…話について聞けないのですが……」



「で、実は今日、七花くんとあなたのお姉さん、偶然にも戦う相手が同じなのよねぇ〜」

「どういうことですか?とミサカは否定姫に問いかけます」

「お姉さんは後輩である白井黒子って子の敵討ちをしているの」

「ああ、あの変態ですか、とミサカは19090号から、MNW内に流れてきたミサカ20000号並の変態女朗の顔を思い出します」

「で、その敵っていうのが結標淡希っていう、空間移動系の大能力者なんだけだ……って説明いらないか」

「はい、すでにMNW内で他のミサカまで伝わっています」

「ついでに今いうことも流しちゃってぇ〜」

「もう流れていますよ、とミサカは否定姫に答えます」

「うん、じゃあ言うけど、その結標淡希が所有している、『千刀 鎩』を七花くん達は回収しようとしているの。そこであなた達にそれの協力をしてもらいたいの」

「それが私たちに何のメリットがあるのですか?」

「私はその疑問を否定するわ〜。あなたが知っているように、七花くんは恐らく、この街で一番強い人間…否“刀”ね。七花くんとお姉さんが共同戦線を張ったら、二人の目標は達成する…。損することはまずないわ〜」

「わかりました。それではお姉さまと鑢七花氏を協力させる方向で……。あとこの人も連れて行きますと、ミサカこの人の腕を組みます」

御坂妹は上条の腕を組む。

「ええ、好きにしなさい」

「では借りてきます」

「え?おい!話が見えないんですけど!!」
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 21:46:33.13 ID:QKgj4iid0

「ああそうそう、上条!あんたの携帯番号教えときなさい!」

「え?なんで?」

「一通り区切りついたら電話するから!」

「ああ、別にいいが…」

上条は台所に置いてあった固定電話の横にある、小さなメモ帳に自分の電話番号を書き、否定姫に渡した。

「ほいよ」

「よし、じゃあ行ってらっしゃい」

「ああ」

上条は御坂妹と一緒に出て行こうとした。

しかし、御坂妹は立ち止まった。

「?どうした御坂妹」

「はい、少々否定姫に二つ、言い残したことがありまして…とミサカは振り返り、否定姫を見下ろします」

「なぁに?」

否定姫は可愛らしく首を傾げ、笑っている。

「まず一つ目、あなたのその、人を馬鹿にしているような口調と態度、気を付けた方が良いと思いますよ、とミサカは警告します」

「そりゃどうも、でも、その警告を否定するわ〜。だって私がいくら人を馬鹿にしたって、逆らえないもの〜。そこの男みたいにね♪…で二つ目は?」

「はい、二つ目は、先程あなたは、『鑢七花氏はこの街で最も強い』とおっしゃいましたね?とミサカは確認を取ります」

「ええ、そうよ。間違いも変更も無いわ〜」

「その考えでは今後、この街で痛い目を見ます。この街を甘く見ない方がいいとミサカはまた警告します」

「その警告も否定……しないわ。警告ありがとね、気を付けるわ」

最後の言葉はやけに真剣だった。

そのことに上条はわからなかった。

「それでは行ってきます、とミサカは手を引いて走りだします」

「おい、ちょっと待てよ。御坂妹!!」


トトトト…ガャチャン……。


そうして、二人は出て行った。

静かになった部屋に、否定姫は一人になった。


「ふふふ、本当に退屈しないわ〜♪」
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 21:54:00.99 ID:QKgj4iid0


「おい!場所わかってんのか?」

「ええ、すでに他のミサカも現場に集まってきてます。お姉さまは大変ピンチだそうです、とミサカは走りながら状況の説明を始めます…」






759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/28(土) 22:40:58.40 ID:jZk3NMneo
がんば
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/28(土) 22:50:56.27 ID:dk6R+8ZZ0
メモ帳かなにかに数話分書き溜めとくと楽よ
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 22:52:19.71 ID:QKgj4iid0

「テメェ……何しやがる…」

上条は『鎩』を投げ捨て、結標淡希の方を向いて、叫ぶ。

「御坂になにしたって言ってんだよ!!」

「なにって見ればわかるでしょ?……………殺していたに決まっているじゃない」

「テメェ…」

とその時、美琴の体が傾いた。

「っおっと…」

美琴が倒れる寸前に、上条は彼女の体を受け止めた。

「…………!」

体が熱い…。しかも生傷だらけ…。息も今にでも止まりそうだ。

「御坂……」

ふと、上条は美琴の足元を見る。

「……なっ…!!」

そこには、一本の日本刀が美琴の足に革靴ごとザックリと刺さっていた。

足の甲から、血がドクドクと流れていた。

「……………〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

上条の表情は険しく、目は大きく見開いた。


上条は足に刺さっていた『鎩』を、優しく、ゆっくりと抜いた。

「ぁああああ!!」

美琴は痛みで悲鳴を上げる。

「ごめん、御坂」

上条は美琴の体を抱き上げ、安全な場所へ移す。

「ごめん、御坂。遅くなった」

上条はもう一度謝る。そして立ち上がり、結標淡希の方へ体を向けた。

「すぐに終わらしてくる」

「だ…め…行ったら…」

美琴はゼィゼィと息を吐きながら、上条を止めようとする。

それを見た上条は、笑っていた。

「俺は大丈夫だ、それに周りには御坂妹達がいる。だから大丈夫だ。安心しろ」

上条は結標の方へ歩いて行った。

そう、『千刀 鎩』が乱立する場所へ。

「だめ…」
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 23:06:16.45 ID:QKgj4iid0

「…もう一度聞く、……テメェ御坂に何をした…」

上条は吠える。

「……御坂に何をした!!?」

上条は鬼のような顔をして、額には青筋を立て、目を見開き、指が掌を貫くほど拳の握り、奥歯が砕ける程に歯を食いしばった。

そして、また上条は吠える。

「なんでだ!?どうしてだ!?御坂が何をしたって言うんだよ!!テメェに御坂をこんな風にボロボロにする理由があんのかよ!!?答えろ!!」


上条の叫びに結標は、

「…ぷっ…あははははははははは!!愚問ね、決まってるじゃない。私の計画には、そこの女がとっても邪魔なの…、それが理由…。わかる?」

「……一体、なんの計画だ!!」

「全貌は言えないけど…まあいいわ、なんでそいつが邪魔なのか…それだけは答えてあげる」

結標は手元にキャリーケースを座標移動させた。

「ねぇこれ知ってる?」

「ああ聞いたよ、『樹形図の設計者』の残骸なんだろ?」

「そう!で、これで何をしようかわかる?」

「組み立てようとしているんだろ?」

「ご名答!!……じゃあ話は早いわね。八月二十一日のこと、覚えてる?」

「ああ、忘れるわけねーだろ」

「ホント話が早いわね。恐らく彼女はあの『実験』の再開を恐れているのよ。それで私たちを襲い、敗れた…」

「それだけか……?」

「ええ、それだけの理由でよ?……なにか問題でも?」



「おおアリに決まってるだろ、大馬鹿野郎!!」



上条は吠える。

「そんな単純な理由だけで、人が殺されていいはずがねぇだろ!!テメェ、人の命なんだって思ってるんだ!!?」

「そんなの簡単よ?私は殺したいと思ったから殺しているの。ただそれだけ♪」

「テメェ……歯ぁ食いしばれ!!」

上条は結標の方へ走る。

「おぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」

拳を握り、結標を殴りつけようと、走る。
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/28(土) 23:42:06.84 ID:QKgj4iid0


上条は拳をフルイングで振るう。

しかし、上条の拳は結標には届かなかった。

結標淡希は座標移動で消えた。


上条は派手に転び、奥の鉄骨に突っ込む。

ゴォォォォォォン!!

と金属と頭が奏でる音が結標の耳をくすぐる。

「ああ、いい音ね。あなた、わざわざ頭で鐘を鳴らしにここまでダッシュしてきたの?酔狂ねぇ」

あははははっと結標は哂う。

「…ッくっそ」

額から血を流しているが、上条は立ち上がる。

クラクラした頭を押さえつける。

結標はそんな上条に追い打ちをかけるように、近くにあった『鎩』を座標移動で上条の頭上に落とす。

「……ぉわ!!」

上条はそれを飛んで避ける。

結標は続けて、『鎩』と投げつける。

上条はそれを必死に避け続ける。

「あはははははははは!!」

結標はそんな上条を哂う。

彼女はただ遊んでいるだけだ。

計算なんて全くしてない。

ただ『鎩』を投げて、遊んでいるだけだ。

「あははははは、本当に気持ちがいいわぁ!女が男をボコボコにしている時ってなんだか気持ちいい!!たまらなく気持ちいい!!」

764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/05/29(日) 00:05:18.97 ID:y0DeffTAO
がんばれあわきん
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/29(日) 00:13:12.58 ID:nPqtTgWm0

「はぁ…はぁ…はぁ」

上条は避け続けた、しかしその分、体力は削られていく。


「テメェ…自分でかかってこいよ…」

「いやよ、だって殴られるの痛いんだもん♪」

「テメェ!!」

上条はまた、結標に向かって走り出す。

しかし走ろうとした上条の足元に結標は『鎩』を刺した。

「…ぅお!」

上条は危うく足を串刺しにされかけた。


そして、結標は大きく手を振って言った。

「ああ、もう飽きたから、これで終わりにするわね?」

と。


「……!?―――――――――………!!」

上条は驚いた。

なぜなら、周囲にあった『鎩』が全て、消えていたのだ。

「……な!?」

上条は周囲を見渡す。しかし『鎩』はない。

「ふふふ…」

と結標は嗤った。

「『鎩』がどこへ行ったか知りたい?…………上よ」

「――――――――――――……………………ッっっ!!?」

上条はとっさに上空を見た。


夜空に眩い星が光っている。

それはなぜか一カ所で固まっていて、大きくなってきているような……。

違う!それは星でなく、刀身が月明りに照らされて光っているだけだ!!


「『千刀 鎩』の内……五百本の刀の雨よ…これで終わりにするわ……避けれるのもなら、やってみなさい♪」


(ヤバい!これはさすがに避けられんっっ!!)


「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」


766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/29(日) 00:38:43.98 ID:nPqtTgWm0


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨………………………………………………………………………。



上空50mから落とされた『鎩』は上条を飲み込む。

そして、地面に深く、深く突き刺された。



「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」

結標は大きく笑っていた。

「まさしく絶景ね!!こんなもん、滅多にお目にかかれないわぁはははははははは!!」

腹を抱えて笑う結標。

「んふふふ…んふふ…あははは………………」

ようやく笑いやむ結標。

「さて、砂煙の中にはどんなオブジェがあるのでしょうか……」

ワクワクと結標は上条の死体を見る………が。


「……………な、し、死体がない!?」


そう、死体がなかった。

地面に刺さった『鎩』だけが、そこにあった。


「ど、どこへいった!?」

結標は辺りをキョロキョロと見渡すと



「こっちだ」



と声が聞こえた。

結標はその声がした方向を見ると、上条当麻を右手に御坂美琴を左手に抱える男がいた。


その男は長身で、着物を着ている。体は細いが痩せているのではなく、長い髪を後ろで縛っている。

そんな男、結標淡希は一人しか思い浮かばない。



虚刀流七代目当主 鑢七花が、そこにいた。
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/29(日) 00:57:41.10 ID:fkylZ4V0o
ついに・・・きた
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/29(日) 01:09:48.98 ID:nPqtTgWm0

「……あ?なんだ?」

上条当麻は真の抜けた声を発した。

「お、気が付いたか…」

七花は上条に話しかける。

「うおっ!?なんだこれ!?どうなってんの!?俺浮いてる!?」

「おい、いったん落着け」

その時、初めて上条は七花の存在に気付く。

「ぅわ!あんた誰!?」

「安心しろ、俺は見方だ」

七花は工事現場の隅にいた御坂妹を見つけ、呼んだ。

「おい御坂妹、こいつらをあそこに車があるから、連れて行ってやってくれ」

「わかりました、とミサカは鑢七花氏の頼みを叶える為、お姉さまを受け取ります。あなたは自分で動けますよね?とミサカは確認を取ります」

「ああ、………ってこの人があの!?デケー…」

「さぁ、ボサっととせずにさっさと逃げましょう…とお姉さまを担いで逃げます」

「ちょっと待ってくれ。………おい、あんた」

上条は七花の方を向く。

「なんだ?」

七花は上条を見る。


「あんた、あいつを殺さなぇよな………?」

「………………」

「もし、あんたがあいつを殺そうとしてんのなら、俺は死んでも止めるぞ!」


上条はわかっていた、いや第六感が伝えてきた。

この人は平気で人を[ピーーー]ことができる人間だと。


「………どうして、おまえを殺そうとしてきた奴を庇うんだ?」

逆に七花が問う。その問いに上条は。

「当たり前だ!俺の目の前で人が死ぬんだったら、止めるのは当たり前だろ!!」

上条の答えに、七花は目を丸くした。

「っは、ははは!!」

「なんだ!」

「お前、面白れぇな」

そう言って、七花は結標淡希がいる方へある行ていった。
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/29(日) 01:12:29.60 ID:nPqtTgWm0

すいません、下げてなかったです。

なんで!?
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2011/05/29(日) 01:13:13.35 ID:nPqtTgWm0
「……あ?なんだ?」

上条当麻は真の抜けた声を発した。

「お、気が付いたか…」

七花は上条に話しかける。

「うおっ!?なんだこれ!?どうなってんの!?俺浮いてる!?」

「おい、いったん落着け」

その時、初めて上条は七花の存在に気付く。

「ぅわ!あんた誰!?」

「安心しろ、俺は見方だ」

七花は工事現場の隅にいた御坂妹を見つけ、呼んだ。

「おい御坂妹、こいつらをあそこに車があるから、連れて行ってやってくれ」

「わかりました、とミサカは鑢七花氏の頼みを叶える為、お姉さまを受け取ります。あなたは自分で動けますよね?とミサカは確認を取ります」

「ああ、………ってこの人があの!?デケー…」

「さぁ、ボサっととせずにさっさと逃げましょう…とお姉さまを担いで逃げます」

「ちょっと待ってくれ。………おい、あんた」

上条は七花の方を向く。

「なんだ?」

七花は上条を見る。


「あんた、あいつを殺さなぇよな………?」

「………………」

「もし、あんたがあいつを殺そうとしてんのなら、俺は死んでも止めるぞ!」


上条はわかっていた、いや第六感が伝えてきた。

この人は平気で人を[ピーーー]ことができる人間だと。


「………どうして、おまえを殺そうとしてきた奴を庇うんだ?」

逆に七花が問う。その問いに上条は。

「当たり前だ!俺の目の前で人が死ぬんだったら、止めるのは当たり前だろ!!」

上条の答えに、七花は目を丸くした。

「っは、ははは!!」

「なんだ!」

「お前、面白れぇな」

そう言って、七花は結標淡希がいる方へある行ていった。
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[saga]:2011/05/29(日) 01:29:40.90 ID:fkylZ4V0o
殺す sagaじゃね
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 01:55:15.33 ID:nPqtTgWm0


鑢七花は結標淡希と対峙した。

「ふふふ」

「何がおかしい」

「ねぇ、あなたって、あの学園都市の侵入者さん?」

「まぁ、そう言われていた時もあったな」

結標は「ははは」とまた笑った。

「あんた、良く笑うな」

「いや、ごめんなさい。今日は本当に気分がいいわ♪」

「時に、その手に持っている『千刀 鎩』なんだが……」

「ああこれ?誰も聞いてこないし、地の文にも全く無かったかったから。私も忘れていたわ……これが何?」

「それ、ずっと持ってんのか?」

「ええ、これが無いとなぜか不安になるの。逆にこれがあると力が湧いてくるの!!これがあるからこそ、私は自分自身を座標移動できる!それにドクドクと血が走るような感じが、たまらいの!今本当に神様に感謝しているわ!神様ありがとう、こんなプレゼントをくれて!!」

「そうかい、残念だな。その刀、俺がもらって行くぞ」








「ふふふ♪そんなこと、させると思っているの?………しかし、あなた殺し甲斐がありそうね」



「それはどうも。………まぁ、ただしその頃には――あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」







鑢七花

結標淡希


二人の間にピリピリとした空気が包む。

773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 01:57:08.87 ID:nPqtTgWm0


続く。







今日はここまでです。

明日も書きます。
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/29(日) 02:00:22.16 ID:fkylZ4V0o
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/29(日) 02:55:49.45 ID:pEZoQ0UZ0

上条と七花の意見の食い違いはいいな
776 :名無しNIPPER[sage]:2011/05/29(日) 10:42:48.10 ID:DCs6gyIDO
なんであわきんが自分を移動できてんのかとおもったら刀の毒による洗脳とブーストアップが原因か
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/05/29(日) 11:36:33.79 ID:PVPdB2ak0
そういや迷彩さんは刀の毒を薬として使ってたな
コラボが絶妙で面白いわ
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 14:19:59.87 ID:nPqtTgWm0

続きです。


4時くらいまで書きます
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 14:57:53.24 ID:nPqtTgWm0


ピリピリとした空気が二人を包む。

上条はその空気に呑まれかけながらも、七花がいる方へ走って行き、肩を掴む。


「おい![ピーーー]なっていってんだろ!」

「…安心しろ、殺さねぇよ。命令で止められている」

「は…?」

「とりあえず、お前は車の中にいろ、そして中にいる奴等に話を聞け」

「………」

「早く」

「わ、わかった。……[ピーーー]なよ!?」


そう言って、上条は走って去って行った。



「さあ、邪魔者はいなくなったし、さっさと『千刀 鎩』を貰っていくか」

「邪魔者はどっちよ?折角、人が気持ちよく遊んでたのに……」

結標淡希は右手で頭を抑えて、困ったような顔をする。

「しかも、あなたと戦う理由もないし、私じゃああなたに敵わないわ」

「なんだ、戦う前から逃げ腰か?」

「違うわよ」

結標は声を高くして言った。



「戦力的一時撤退よ!」



780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 14:58:47.73 ID:nPqtTgWm0


(消えるつもりか!!)

「させるかよ!!」

七花は結標との間合いを一瞬で詰めた。


(速い!)


「―――虚刀流 『百合』!」

七花は結標に回し蹴りを繰り出す。

しかし、

「―――……!?」

結標は座標移動で消えていた。


「いきなり不意討ちとは卑怯ね」

「殺し合いに卑怯も糞もあるかよ。それにあんたの攻撃だって、十分卑怯じゃねーか」

「ふふふ、あれは私のスタイル♪あなたが卑怯と言おうがなんだろうが―――」


その時、結標の背後に絹旗最愛が拳を振るって襲ってきた。


「―――――――――――………………ッ!!」


結標はとっさに反応し、拳が当たる寸前で座標移動した。


拳は空振りし、地面を殴った。

地面は陥没し、周囲2mの地面にひび割れを作った。

「……っチ。外したか…」


「へぇいいパンチね。でもお姉さんに当たらなかったら、全く意味がないわね」

結標はニヤニヤと絹旗を見る。

「ふーん、あなたが絹旗さんね……。あなた、こんな小さい子をフルボッコにしたの?かわいそうね…」

「まぁ、それは両者の同意上でやったからな」

「それにあの敗戦があったからこそ、私は七花さんのもとで超強くなるって決めたんです」

「へぇ〜、まるでどこかの功夫映画の師匠と弟子ね……。嫌いじゃないわよ?そういうの」

「それは超どうも」

「………………そして、それをぶち壊すってのも、最ッ高に楽しそうで失禁しそうだわ♪」

結標はあははは、と笑う。

781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/05/29(日) 15:14:55.24 ID:X1k4MWMAo
メール欄に「saga」(サガ)って入れると「[ピーーー]」とかも表示されるようになるよ
「sage saga」ならサゲと併用できます
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 15:38:35.65 ID:nPqtTgWm0

「でも、とりあえず撤退するわ……。そこのお弟子さんは片手で潰せるけど、お師匠さんの方はここでは絶対に勝てないから――――」


その時、結標は体を反らした。

その直後、ダァンッッ!!と大きな音と共に、地面に穴が開いた。


銃痕であった。



結標は弾が飛んできた方向を見る。

そこはビルの屋上だった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「…………ッチ…外したか……とミサカ17600号は舌打ちします。―――――…………ッッ!!?」


ミサカ17600号は体をライフルを手放し、体を起こす。

その直後、ライフルに『鎩』が三本刺さった。


「……なっ…!」

そのあと、『鎩』は消えた。


「……………クソッ…とミサカ17600号は悪態をつきます」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「それに、戦力の差が大きいからね♪」


その時、工事現場に二、三百人の妹達が入ってきて、結標達の周囲をグルリと囲んだ。


「へぇ〜これが例の妹達って言う奴ね…初めて見るけど、ホントそっくりね。流石はクローンと言ったものか…」

「私達、ミサカ10032号から20000号までの妹達があなたの周りと、ここから半径10kmを包囲しています。まだ遅くはありません、とミサカ10032号は結標淡希に投降を薦めます」

「ふふふ、なに?どこの刑事ドラマよ。あんた達みたいなおもちゃの兵隊が私に敵うとでも!?」

「おもちゃではありません。人間です、とミサカ14768号は怒りを露わにします」

「その怒りを鎮めてください。今はこの標的を駆逐…げふんっ…捕獲することが先決です、とミサカ12446号はこのツインテールもどきに銃を構えながら14768号を宥めます」

「そう言うあなたも怒っているじゃないですか、とミサカ17544号は12446号が構える銃を下させます」
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 16:14:51.43 ID:nPqtTgWm0

「そこの一角のミサカ三人、静かにしなさい、とミサカ10032号はその三人に銃を向けます」


「あんた達、私にコントでも見せに来たの?別にいいけど、そんなのはDVDの映像特典の中だけにしなさい」

「私達はコントをしに来たのではなく、あなたを捕まえに来ました。二度とこんな真似はさせないために、とミサカ10032号は結標淡希に言います」

ミサカ10032号は結標淡希に言った。。

「ふふ、まったく……自分達が死にたくないから、こんなに頑張っているのね……。ホント、実験動物か家畜みたい。知ってる?稲作に良く使われる合鴨は、雛の時は人間に可愛いに可愛がられて水田に放されるの。でも稲刈が終わった途端に食用として扱われ、殺されていく……。その時の合鴨たちは『死にたくない、死にたくない』って足掻いて足掻くらしいの………。私から見れば、あんた達はそれと同じに見えるわ!!」

結標は哂いながら、クルクルと踊るように廻りながら、周囲を囲む妹達、全員に万遍なく話す。

それを見て聞いて、周りの妹達から殺気の様なものがジワジワと放たれた。

一番の年長者…いわゆる姉的存在のミサカ10032号 御坂妹は、殺気立つ妹達を代表して答えた。


「そうでしたか。しかしあなたがどう見ようがどう評価しようが、私達は合鴨でも家畜でもない……正真正銘の人間です、とミサカ10032号は冷静に対処します。………………ミサカ14768号とミサカ12446号、気持ちはわかりますが今は銃を下しなさい、とミサカは妹二人を言葉で抑えます」

ミサカ14768号は黙って銃を構える。隣のミサカ12446号はフーッフーッ鼻息を荒げて銃を構える。彼女らの殺気はこの集団の中でも一番だ。



「あら怖い怖い。まぁ、この戦力差で正面からドンパチやってもしょうがないから、逃げるわね?……………それでご機嫌よう、異邦人とそのお弟子さん?それと哀れなお人形さん達?」


「待ちなさい!!」

と、絹旗は飛んできて、結標の顔面めがけて拳を振るう。

しかしすでに遅かった。結標は座標移動で消えいた。いつのまにか、周りにあった五百本の『鎩』も消えていた。
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 16:39:39.36 ID:nPqtTgWm0

「クソ…超逃げられました…」

絹旗は歯痒い顔をする。


とその時

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ………………


「あだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだっ!!」


ミサカ14768号とミサカ12446号は絹旗に向かって銃を乱射した。




「あ……間違えた…、とミサカ12446号はあのツインテールもどきではなく、味方のチビの方に銃を撃ってしまいました」

「おい、とミサカ14768号は隣にいた御坂12446号に釣られて撃ってしまったと、責任転嫁します」


「ちょっと待てぇえええええええええええ!!あんたら超ごめんさいって言えないんですかぁあああ!!?」


「ごめんなさい、とミサカ14768号は目を頭を下げて謝ります」

「すいませんでした、とミサカは12446号はこの目の前にあるチビ助に謝ります。ドーモスイマセンデシタ」

「テメェら超謝る気ないんですか!?…ってかあれ実弾ですよね!?もし私じゃなくって七花さんだったらどうするんですか!?」

「ああ、大丈夫です。私達みんなの銃の弾は全部ゴム弾です。向かいの妹達に当たったら大変ですからね?とミサカ14768号は自分の銃のマガジンを見せます」

「ああ、ゴム弾ですか。それは超よかったです。……………って、明らかに実弾の感覚があるものが混じっていた気が超するんですけど………っておい」

「ミサカ12446号、なんで顔を絹旗女子に合わせず、明後日方向を向いているのですか?とミサカ14768号は不審な目をミサカ12446号に向けます」

「………ちょっとマガジンを超見せてもらいましょうか」

「いやです、とミサカは断ります」

「いいから、超出してください」

「いやです」

「超出せって言ってンだよォ、コォラ」

「断固拒否します」

「私よりお姉さんなんですから、素直に出すべきですよ、とミサカ14768号はミサカ12446号に注意します。絹旗女子の顔が怖いです」
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 17:11:27.27 ID:nPqtTgWm0

「それでも私はやっていない」

「あなたは痴漢の容疑者ですか、とミサカ14768号は絹旗女子の殺気に脅えながら早くマガジンを出すよう要求します」

「絶対に嫌です」

「……テメェ超イイ加減にしやがれェエエエエ!!」

「ぎゃぁああああああああ!!」






「あっ!やっぱり実弾を超ぶっ放してやがった!!」

「ああ……」

「なんで黙っていたんですか?とミサカ14768号はミサカ12446号を叱ります」

「だって……とミサカ12446号は歯切れの悪く言葉を発します」

「もし向かいの妹達に当たったりしたらどうするんですか?とミサカ14768号は向かい側のミサカは誰か見てみます………あ」


向かいにいたのは…………ミサカ10032号 御坂妹、いわゆる彼女らの姉であった。


御坂妹は無表情で、速足でこっちまで歩いてきた。


「あ、あの……、とミサカ12446号は……」




ガンッ!ゴンッ!










「どうも、先はミサカの妹達がご無礼を働いてしまい、申し訳ございませんでした、とミサカ10032号は頭を下げます」

「いえいえ、超終わった事ですから」

「ぅう…痛い……とミサカ12446号はミサカ10032号の拳骨を貰って、タンコブが出来たところを摩ります……」シュン…

「…イタタタ……なんで私まで…?とミサカ14768号は涙目でミサカ10032号を見上げます」

「連帯責任です。タンコブ程度で済んだことに感謝しなさい、とミサカ10032号は姉としての責務を全うします」

と御坂妹は額に青筋を作って、痛む右拳をフルフルする。

「絹旗さん、本当にすいませんでした。………ほら、あなた達も頭を下げなさい、とミサカ10032号は馬鹿な妹二人の頭を押さえ、下げさせます」

「イタタタタッ、そこタンコブのとこ!とミサカ12446号は悲鳴を上げます」

「我慢しなさい、と10032号はさらにミサカ12446号の頭をさらに下げさせます」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/29(日) 17:31:05.37 ID:nPqtTgWm0




もしかしたら夜にまた始めるかもしれないですが


今日はここまでです。



787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/29(日) 20:14:06.24 ID:pEZoQ0UZ0

いんでっくすたんネタに笑った
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 16:42:13.92 ID:fCi/9/CC0

続きです。

とりあえず6時まで書きます。
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 17:40:10.09 ID:fCi/9/CC0

「……この車か…」

上条当麻は工事現場の外にヒッソリと泊めてあった小型バスを見つけた。

このバスに、御坂妹は御坂美琴を担いで行ったようだ。さっきこのバスからマシンガンを持って出て行ったのを覚えている。

「お邪魔しまーす……」

そっとバスのドアを開ける。

「おお来たか。…そなたが御坂の妹が言っていた上条当麻だな?」

そこには、ド派手な着物らしき服を着て、ショートカットにした白髪が目立つ女性が乗っていた。

上条はバスに乗る。

白髪の女性の隣の席…席を挟んだ席には、席をベッドの様に寝かせて、その上に御坂美琴が俯けで寝ている。……背中の傷は大丈夫だろうか。

と、その時

「あ、みこと来てたんだ」

上条の後ろからピンク色のジャージを着た、自分と同い年くらいの女の子がいきなり現れた。

「…っうわ!?」

「あ、あなたがみさかいもうとが言っていた、かみじょうくん?わたし、たきつぼりこう」

滝壺は手を差し伸ばして、左手で握手を求めてきた。

「え?、ああ、初めまして…」

上条も滝壺に挨拶をし、左手で彼女と握手をした。

「………ああそうそう、ちょっとみことの怪我の応急処置をするから、出て行ってもらえる?」

「ああ、手伝うよ!」

「え?」

と、滝壺は困った顔をする。

「?」

上条は首を傾げる。何か変な事でも言ったか?

と、白髪の女性が上条へと歩み寄ってきて、上条の腕を引いた。

「ほれ、さっさと出て行くぞ」

「え?なんで?」

と上条は言うと、女性は上条をキッと睨んで言った。

「そなた、そんなに女子(おなご)の裸が見たいか?」

「あ…、失礼しました」

そうだ、美琴の傷は背中にある。一旦上半身を裸にしなければ傷の応急処置は出来ない。

「ほれ、出て行くぞ」

上条は女性に襟首を掴まれて、バスから出て行った。
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 18:42:31.74 ID:fCi/9/CC0

…バタンッ


女性は上条の顔を見て、言った。

「さて、そなたに話しておかなければならないことがある」

「いや、その前にあんた達は何者なんだ!?あのデケェ奴とか」

「ああ、申し遅れた、私は奇策士とがめだ。先程そなたを助けた男は鑢七花だ」

「……それだけ?」

「それ以外の事も話す。とにかく話を聞け、質問はそのあとだ」


奇策士とがめは、これまでにあった事から今の現状を、包み隠さず話した。


「………………という事だ、質問はあるか?」

「いや、別にないが…」

「そうか?私は質問の一つや二つぐらいあってもおかしくはないと思っておったがな…」

「ああ…、俺は頭が悪いからそういう難しいことを考えるのは嫌いなんだ」

(なんだ、こやつ七花と同じ頭の回路か…)

とがめはそう思った。

「そうか…。では、なぜそなたはこの命を懸ける戦いに来た?」

とがめは、ふと気になって上条に訊く。



「ああ?そりゃ…御坂妹が助けてって言ったから来ただけだけど?」

「…は?」

と、上条の答えにとがめは目を丸くした。

なんかさっきもこんな表情されたような…。と上条は思った。

「はははははは!!」

「……なにがおかしいんだ?」

「いや…ははは、ああ、悪い。…そんな考えだけで、命を懸ける奴がいたとはな……。ははは」

とがめはつい笑ってしまった。

なぜなら、上条は何の利益もなしに命を懸けるのだ、とがめから見れば馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう。

そういえば、彼女の父もそうだった。改竄された歴史を本来の歴史に戻す為に一族諸共の命を捨てたのだ。金が欲しいのでなく、領地の拡大の為でも、天下をとらんとしたのでもなく。ただ歴史の為に死んだのだ。

(なにか、父に似ておる…)


「どうしたんだ?」

「あ…いや、なんでもない」
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 19:00:38.10 ID:fCi/9/CC0

とがめは笑って固くなった頬を緩め、真面目な顔で上条を見る。

「とにかく、そなたは私達に協力してくれるのか?」

そう、とがめは訊いたが、内心は…

(……御坂の妹が信頼に足る男だと言ったが、どうも強そうには見えんな…。だいたい一五、六歳程か…こやつに一体何ができる?ただの功名心で来ているのか?)


と、上条を軽く見ていた。

それはそうだ。上条当麻という人間は無能力者の、ただの高校生である。

「ああ、そのつもりだ。御坂があんなことになったんだ、このまま帰ってたまるかよ」

とがめの問いに上条はそう答えた。

「………………」

(………前言撤回だ)

とがめはそう思った。

確かに上条はただの無能力者の高校生だ。

しかし彼の眼はそれと違う。

ただの高校生はこんな眼はしない。

決意のある眼だ。死に物狂いで何かと戦ってきた眼だ。


(この男には何かがある…)


とがめはそう、直感した。



792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 19:08:42.17 ID:fCi/9/CC0


夕飯の準備があるので、いったん終わりです。

八時か九時には戻るかも。
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 19:11:27.83 ID:rSscddbF0
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)[sage]:2011/05/30(月) 19:30:19.32 ID:HN6X356AO
うぅむ否定姫と共闘なのか…
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 20:53:27.21 ID:fCi/9/CC0

戻ってきました。

では続き書きます。
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 21:22:10.45 ID:fCi/9/CC0




………ガラッ

とその時、バスの中から滝壺がドアを開けて顔を出してきた。

「終わったから入っていいよ」

滝壺が上条ととがめを手招きする。

「ああ、わかった。?どうした、とがめ」

「ああ、すまん。呆けておった」

「…?」


とがめが入ろうとしたとき、工事現場から先程、上条を『鎩』の雨から助けてくれた大男、鑢七花が走ってきた。

彼の後ろには、中学生くらいの女の子と御坂妹をはじめとする妹達が何人かがついて来ていた。


「すまねぇとがめ、逃がしちまった」

とがめに詫びる七花。

「うむ、そう簡単に捕まるとは思っておらんかったよ。とにかく皆は乗れ」

「わかった」

「わかりました」

「わかりました、とミサカ10032号はバスに乗車します」

と、ぞろぞろと七花たちは小型バスの中に入っていく。

しかし……。


「ちょっとまて」

その時、上条は口を開いた。

「このスペースにこの人数はいささか狭いのでは?」

と。


上条の言葉にとがめは、「ああ」と頷いた。

「……確かに…七花は体が大きいし、御坂の方は寝ておるし…どうしたものか…」

とがめは悩む。

このバスの定員人数は八人。

運転手はいるし、滝壺はそのナビ、寝ている美琴は二人分使っている。

運転手と滝壺は置いておいて、とがめや七花や上条ら六人の内から一人、

誰かこのバスから出なければならない。

「…………」

誰もが顔を見合わせた。

誰が出て行く?

その時、御坂妹が口を開いた。
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 21:44:44.92 ID:fCi/9/CC0

「実は私、10032号以外の妹達はここまで冥土返しから借りてきた、これより一回り大きなバスで来たんですが、そこに誰かを乗せていく…というのはどうでしょうか、とミサカは提案します」

「でかした御坂の妹!じゃあそこに転がっている、お前らの姉を運んでくれ!」

と、とがめは御坂妹に指示した。

「わかりました、とミサカはさっそく仕事に取り掛かります」

とそこに、上条が口を出してきた。

「ちょっと待て御坂妹。お前免許どうした?そもそも運転できるのか!?」

「モチのロンです。私は先の実験の時、一緒に車の運転のスキルも手に入れていましたから、とミサカはお姉さまをおんぶして車から出て行きます」

「おい!免許は!?…………行っちゃった…」


「いいじゃないですか。超運転できるならそれで良しです」

と、七花の隣にいた女の子が上条に話しかけてきた。

「あの〜、あなたは?」

「ああ、まだ自己紹介が超まだでしたね。私の名前は絹旗最愛っていいます」

絹旗は上条に、右手で握手を求めてきた。

「ああ、よろしくな」

上条は絹旗の右の手を、同じ右の手で握る。

その時、絹旗の『窒素装甲』が消えた。

「―――――………ッッ!?」

絹旗の表情がいきなり、驚きの表情に変わり、バッと手を引っ込める。

「どうした?」

「いや…超噂で聞いていた通りだなって思って…。流石は『幻想殺し』ですね。正直いって超気持ち悪いです」

「あれ?俺の右手の事知ってたの?」

「まぁ、そういう環境にいますから」

「どういうこと?」

「それは言えません」

「……そうか…」



798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 22:33:42.01 ID:fCi/9/CC0


ガラ……。

「ただ今戻りました、とミサカはバスのドアを開けます」

と御坂妹が帰ってきた。

「よし、さっそく乗れ」

と、とがめは御坂妹に命じた。

「では、隣良いですか?とミサカはあなたに訊きます」

と、御坂妹は上条がいいと答える前に隣に座った。

「あぁそれと、結標淡希が移動したとされる場所がわかりました、とミサカは指揮官の奇策士とがめに報告します」

と御坂妹がとがめに報告する。

「へぇ、あんた指揮官だったのか」

と、上条はとがめに言った。

「だから言っておるだろう、奇策士と。策を練らずに奇策を練り、皆が必ず勝つ方法を編み出すのが私の仕事だ。……で、場所は?」

「はい、ここから東北東8kmの地点、半径50mの範囲です。滝壺さん、その範囲なら大丈夫ですね?」

「あれ?滝壺さん体晶は?それがあれば滝壺さんなら、一発で超早く発見できるのに…」

と絹旗は助手席にいる滝壺に訊く。

「前の任務で使い切って、そのまま…今はないの。ごめんなさい、準備不足で……」

しょぼん…とした声で滝壺が謝る。しかしとがめはそんな滝壺をフォローする。

「いやいい、それは身体の負担が大きいのだろう?だったら使わんほうがよい」




「なぁとがめ、どうして結標の居場所がわかったんだ?」

と、七花は質問した。それにとがめは答える。

「ああ、それはだな?周囲10kmに妹達を配置させたのは知ってるな?」

「ああ」

「それは結標があの工事現場から逃げられないように包囲する為だったが、本当の理由がある。それがわかるか?七花よ」

ニヤニヤした顔のとがめ、それの表情は七花をイラッとさせた。

「わかんねぇから訊いてんだよ、勿体付けずに言ってくれよ」

「ふふふ、それはだな。もし結標淡希が座標移動して逃げたとしても、奴の一回の移動距離は800mだそうだ。だったらここを中心に800m毎に二人一組の妹達を配置させ、周囲を見張らせる。そして座標移動して移動している結標を見つけては報告する。そして最後に発見した所が奴の隠れ家だってわけだ」

「ああ、なるほど。そういうか。でもその範囲の外に出たらどうするんだ?」

と今度は上条が訊いた。

「いや奴はその範囲には出んよ。なぜなら『千刀 鎩』を五百本も一緒に移動させておるからな、相当目立つし、疲労も大きい。だから出ない、とりあえず近場に寄って、ある程度休んだらまた出るはずだ」

「で、その前に私たちが超速攻で叩くと…」

と絹旗。

「そういうことだ。……ふふふ、見ろ七花よ。久し振りにとがめちゃんの奇策が活躍したぞ!!」

「ああ、そうだな」

七花はブスーッとした表情で応えた。

「なんだその愛想無い態度は!!」
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 22:54:43.24 ID:fCi/9/CC0

とその時、誰かの携帯が鳴った。


マヨラーソノテーヲ ヒークーモナードイナイ

カミガクダース ソノコターエハー

フコウダッタ

ソース ソレコッソ カーミカーラーノオクリーモーノー

ノリコエーナーキャ ミエテコナーイー

ダカライーマースーグー ノーパーンツ!


「ああ、悪ぃ悪ぃ。俺だ」

上条の携帯だった。

「…ピッ…はい、もしもし。………今取り込み中……、え?………おい、ちょっとまて……。ダァー!わかったよ!」

誰かと争っているようだ。

「はい!あんたに電話」

と上条はいきなりとがめに携帯を差し出す。

「は?私?」

とがめは自分を指さし、携帯を受け取る。

「……もしもし…?」

実はとがめにとって、電話で誰かと話すという体験は、これが初なのだ。緊張した顔で言葉を発す。

さて、いったい誰なのか…?



『はぁ〜い♪ご機嫌よう、奇策士さん♪』



「……………」

とがめは黙って電話を切る。


800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 23:09:14.46 ID:fCi/9/CC0

マヨラーソノテーヲ ヒークーモナードイナイ

カミガクダース ソノコターエハー


ピッ!

「なんだ!やかましい!」

とがめは携帯に怒鳴る。

『なぁに〜?なんで切るの〜?新種の嫌がらせか何か?…………奇策士さん♪』

「お前が私とこうしてまた話をすること自体が嫌がらせだよ。…………否定姫」

とがめは本当に嫌な顔をする。

『ひっどぉ〜い。……ところでそこに七花くんはいる〜?』

テンションがバカみたいに高い否定姫の声に頭を痛めながらとがめは受け答えをする。

「ああ、いるぞ。それがどうした?」

『………いや、なんにも?気になっただけ』

「………?」

急に否定姫のテンションが低くなった。

「どうした?」

『い〜や?なんにも』

と、さっきのテンションに戻った。

『そうそう、今頃は結標淡希の居場所がわからないかな〜と思って、教えてあげようかな〜っと思って』

「はんっ!そんなこと、奴の居場所何て大体は掴んでおる。残念だったな」

『あ、そうなんだ〜。“結標淡希の居場所は、そこから東北東8kmにあるホテル”にいるってことは掴んでたんだ〜。へ〜わかったわ〜ホントに残念だわ〜。骨折り損ってこのことね〜?』

「………………」

『……あれ、どうしたの?まさか、正確な場所は掴めなかったと?そんなまさかね〜』

「………要件はそれだけか?」

『ああ、そうね。とりあえず、そこにいるツンツン頭の馬鹿に代わって?』

「上条、お前にだと」

と、震えた手で上条に携帯を渡す。

「あ、ああ……もしもし?」

801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 23:28:39.47 ID:fCi/9/CC0

「七花……」

「なんだ?とがめ」

とがめは隣にいた七花に話しかけた。

「さっきの…聞いておったか?」

「ああ、バッチリ音が漏れてた」

「………ろ……れろ…」

「あ?」

「忘れろ忘れろ忘れろぉぉぉ!!」

「!!」

「!?」

「!?」

「!?」


と、とがめは七花の体を両拳でポカポカポカッと叩く。

「忘れろぉぉぉ!頼む、忘れてくれぇ!恥ずかしい…恥ずかしいよぉお!!」

「おい、やめろよがめ!あまりにもお前の態度が豹変しすぎて、他のみんながビックリしてるぞ!!」

「「「「「「…………ポカァーン…………」」」」」

「おい、忘れろ!忘れるんだぁ!いいか!?この数分間の出来事!>>798から>>800まで、つるっと丸々忘れるんだぁあああ!!頼む!拝む!忘れてくれぇぇえぇええ!!」

とがめは涙を流しながら他のメンバーに訴える。………とても齢三十の女とは思えない。

「すまねぇなみんな。とがめは極度に興奮すると、心が子供に戻るんだ」


「ああ、どうですか……」

と、一同ドン引きしながら七花の腕の中で泣いているとがめを見ていた。


802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/30(月) 23:52:25.47 ID:fCi/9/CC0





とがめが一同にドン引きされている時、上条は否定姫との電話していた。

『で、わかった?私の言った通りの事をしなさい?』

「ああ、でもとがめが別の指示出したらどうすんだ?」

『その時はあいつの指示に従いなさい♪』

「わかった。…あんたの心意はわからねぇが、とにかくやってみる。しかしそれで、あの一件の事を許してくれるんだな?」

『ええ、許してあげるわ〜♪むしろ、それ以上の事をしてやってもいいわよ♪』

「いらねぇよ、そんなもん。じゃあ切るぞ」

『ああちょっと待って』

「なんだ?」

『言い忘れたことがあったわ。音声をみんなに聞こえる様にして♪」

「?……ああ」


上条は携帯電話を前に出した。

「みんな、この電話の相手が言い残したことがあるってよ…………………………………………………って、みんなどうした?」





とがめは号泣、他のメンバーはドン引きしていた。

上条はその光景にドン引きしつつ、携帯の通話設定をハンドレスモードにした。

「おい、いいぞ」

と上条は否定姫に合図を送る。

『はぁいどうも、声を聴くのは初めてって人もいると思うから、自己紹介するわね?私は否定姫。…まぁ私の事は知ってると思うから、詳しいことは省くわ。今はケータイを持っている馬鹿の家にお世話になっているわ〜♪』

「おい、御託はいいから。さっさと話せ」

と、とがめは否定姫に文句を言う。

『そんなことわかっているわよ。…………時に今どこにいるの?』

「え?工事現場の前……ああ!!運転手っさっさと出発しろ!!」

と、とがめは運転手を怒鳴る。

『早くしないと逃げられちゃうわよ〜』

そうだ、早くしないと結標淡希が逃げて行ってしまう。

『ああ、でもやっぱりいいかぁ〜』

「どっちだ一体?」

と、とがめは今度は否定姫に怒鳴る。





『だって今、白井黒子とかいう、御坂美琴の後輩さんが、結標淡希と戦っているの♪これはいい足止めになるわぁ〜♪まぁ彼女死ぬけどね?』
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 00:26:11.55 ID:JlqTFO0U0


「――――――――――――――………………なっ!!?」

上条はつい、言葉を上げてた。

「それを先に言えよ馬鹿野郎!!…………………おい運転手!さっさと出ろ!!」

「あ、ああ、わかった!」

ただの高校生であるの上条の怒声に運転手のチンピラはつい、従ってしまった。


『あなたは……御坂さんの……』


上条はとある男との約束を思い出す。

(やらせるかよ…絶対に…!!)

そして、歯を食いしばり、拳を握る。




上条達を乗せたバスは、颯爽と夜を駆けてゆく。

804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 00:30:22.54 ID:JlqTFO0U0


さて、なぜ白井黒子が結標淡希の居場所が分かったかということを説明するには、少し時間を遡らなくてはならない。


時間は鑢七花が小型バスに乗った時まで遡る………。





805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 01:22:21.38 ID:JlqTFO0U0


「……………折角の冥土返し特性の麻酔銃が…とミサカ17600号は残念な表情で穴だらけになった可哀そうな麻酔銃を持ち上げます。あとで供養しなければ…」

と、ミサカ悲しそうな目で腕の中の銃を見つめる。

「まったく、酷いことをしてくれる…とミサカは相棒の一丁だったこのライフルをそっと抱きます」

ミサカ17600号はそっとライフルをそっと地面に置き、手を合わせる。

「いままでありがとうございました、とミサカは我が愛銃の死を惜しみます」



ミサカ17600号は、銃やナイフなどの武器や道具を人一倍大切にする人間だ。

元々、彼女はミサカは狙撃銃を得意にしている。しかし、目標を狙撃するには確かに実力も必要だが、時には運も必要な時もある。

それは銃の故障や風の向きの急な変化、弾道に鳥が通って当たって目標を仕留め損ねたり、運悪くたまたま目的がこちらを先に見つけたり…。

狙撃手には必ず運というものがついてくる。

不運を寄せ付けない為には、こうした、道具を大切に思っている心と行動が必要なのだ。


また、ミサカ17600号は手を合わせる理由にもう一つ、理由がある。

以前に読んだ歴史小説で、主人公の男が言った言葉で『武器には命はないが、魂は宿っている。武器を神と崇めれば、それはいずれ自分を助けるであろう』と彼女はそれを読んでから、その主人公の言った通りのことをした。

すると数日後から、狙撃の失敗が無くなった。嘘の様に目標に直撃する。

以前、あの鑢七花の背中に二発も銃弾を直撃させたのは、それのおかげだと彼女は思っている。

それでミサカ17600号は銃に手を合わせるのだ。

他のミサカに理解されなくても、武器・道具の手入れと感謝の意を込めることはやめない。

そしてミサカはこの銃に語るのだ、――――いままでありがとうと。


数分たった。

すると、ミサカ10032号から指令が下される。

工事現場を見ると、もうバスの姿はなかった。



「…………………とりあえず、ミサカ17600号はそのホテルにいる、結標淡希を狙撃できる位置まで移動すればいいのですね?とミサカ17600号は確認をとります」


『はい、それでは各自行動に移ってください』

「了解、とミサカ17600号は早速行動に移します」


と、ミサカ17600号はビルの端に置いてあったザック(登山用のリュック)の開けた。

中から、闇夜に紛れられるように黒く塗ったハンググライダーと

自分が飛んでいるのが下にばれないようにするための、黒い上下のウィンドブレイカーを取り出した。

806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 01:47:40.85 ID:JlqTFO0U0




とその時!

(――――――――――………殺気っ!?)


ミサカ17600号はとっさにザックの中に入っていたリヴォルバーを取り出し、殺気を感じた方へ…後ろへ構える!


「……………(いない?とミサカは周囲を見渡します)」


ふと、急に肩を叩かれた気がした。


そして気が付くと、ミサカ17600号は床に倒れていた。


「(………こ、これは……!!)………………っふん!」

ミサカ17600号は素早く後転しながら立ち上がる。


立ち上がると、さっきまで寝ていたところにはダーツが刺さっていた。


「………やはりあなたでしたか…出て来てください。白井黒子さん、とミサカは屋上から下へ降りる階段がある部屋の陰に隠れている、あなたにい言いながら銃を構えます」

「……………」

ダァン!と、ミサカ17600号は一発、黒子が隠れているらしき壁に銃を撃つ。

「出て来てください、とミサカは二発目の弾を撃つため、ハンマーを上げます」



「………そんなに出て来てほしいなら、喜んで出て行きますわ」



と、上後方から声が聞こえた。

ミサカ17600号は前を向いたまま、腕を上に曲げ、銃口を上後方に向けた。

そして、そこにいた黒子に弾丸をブチ込む!


しかし外れた。


「空間移動能力者は……本当に厄介ですね、とミサカは悪態をつきます」

『ミサカ17600号、どうしたのですか?とミサカ10032号はミサカ17600号に訊きます』

「いえ、心配ご無用です、とミサカ17600号は答えます」

807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 02:45:20.89 ID:JlqTFO0U0

「何の用ですか?とミサカは問いかけます」

ミサカ17600号は黒子に訊く。


「その質問の前に、まずはこちらの質問に答えてもらいませんか?」

と、真正面から声が聞こえた。

白井黒子はミサカ17600号の正面に現れた。

「ああそれと、これは没収しますね?それとあなたを銃刀法違反で拘束します。風紀員として」

その手には先程ミサカ17600号が持っていたリヴォルバーが握られていた。

「(………いつの間に…)さすが風紀員ですね、しかしその銃は私が生まれた時から形見離さず持っていた、いわゆる私の分身です。返してください」

「だったら、私の質問に答えてくださいな。…………あなたは何者なんですか?なぜ、御坂美琴お姉さまと同じ格好でいるのですか?」

「いちいち質問が多いです。それとその質問たちには答えられません」

「だったらこれは返せませんよ?……まぁ質問の事は聞かせてもらいますわよ?」

「私のリヴォルバーは必ず帰してもらいます、と背中に隠してあったコンバットナイフ二本を両手に持ちます」







「「勿論、力ずくで」」









808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 02:52:17.75 ID:JlqTFO0U0

今日はここまでです。

>>805にあった、歴史小説ですが、宮城谷昌光先生の『太公望』の一文です。………3年前に読んだのなので、うろ覚えですが…。

でも、言っていることはほど同じです。

よかったら読んでみてください。
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/05/31(火) 02:52:29.30 ID:SH5/wON9o
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 03:00:30.79 ID:JlqTFO0U0
ああそうそう、言い忘れてましたが、時間軸に間違いがありました。

ミサカ17600号VS白井黒子の場面ですが、その時まだ、七花と当麻が乗っているバスは一寸たりとも動いていません。

間違えました。申し訳ございません。
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 17:54:13.67 ID:JlqTFO0U0

さて、今日も続きを書きます。


駄文で、しかも糞展開のストーリーですが、ついて来ていくれている皆様に感謝しつつ、

頑張って書いていこうと思います。


あと、感想や要望があったら、是非スレを書いて行っててださい。

812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 18:36:07.08 ID:JlqTFO0U0


ジリジリ……と二人は距離を詰める。


ミサカ17600号はナイフを逆手に持った左手を前に、順手に持った右手を体の側面に沿える。体勢は低くし、いつでも全力疾走できるような構えをとる。

黒子はミサカ17600号と名乗った女を拘束する為、太腿に隠してあったダーツを六本持つ。


ミサカ17600号は考える。きっと、自分が彼女より早く仕掛ければ、空間移動で攻撃を回避し、カウンターをとるように自分の体をあのダーツで拘束するだろう。

だから彼女が仕掛けるのを待つ。正面から走ってくればそれに対処すれば良し、空間移動で後ろに飛べば後ろに向いて、こっちがカウンターをとれば良し。

要は白井黒子の後手に回ろうと、ミサカ17600号は考えた。


黒子は予測する。きっと、自分が先に仕掛けたら、御坂美琴の偽物はカウンターをとりに来る。前から行こうが後ろに回ろうが関係無しにだ。

黒子の経験だが、銃やナイフに頼っている者に限っては、無能力者や異能力者だ。黒子の相手ではない。

しかし銃の腕は今まで相手にしてきた者たちの中でもピカイチだ。そこだけは注意しておこう。

そのみち大能力者の自分の相手ではないが、カウンターに警戒する必要がある。

だから、ミサカ17600号の後手に回れば勝てると、黒子は予測する。


「………………………」

「………………………」

針でも刺したような緊張感が、汗となって二人の頬から垂れた。

相手は動かない、いや動こうとしない。


(なるほど、白井黒子も私と同じく後手に回るつもりですか、とミサカは足をジリジリさせながら牽制します)

(……くっ…あちらも後手に回る方法をとってきましたか…しょうがないですね)



(ここからは、我慢比べですね、とミサカは歯痒い感情を隠しながら、無表情で相手との距離を詰めます。距離、およそ7,4m)

(……時間が無いって時に……。しょうがないですね、我慢比べと行きますか……)

813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 18:54:52.84 ID:JlqTFO0U0






数分たった。

二人の距離は、約5m。



ジリジリと二人は距離を詰める。

二人の汗は、額にある前髪を濡らし、頬を伝う。



黒子の額より、一滴の汗が額から流れ、頬を伝い、顎から滑る様に落ちた。



ポタッと滴は地面に落ちる。



とその時!

ジリジリ……ダッ!

地面を蹴る音がした。


音はミサカ17600号からした。



先に仕掛けたのはミサカ17600号だった。

いや違う!

我慢できずに仕掛けてしまったのはミサカ17600号だった。



颯爽と駆け、ミサカ17600号は白井黒子との距離を詰める。


ミサカ17700号は左手のナイフを黒子の腹めがけて突く!


(……貰いましたわ!)


白井黒子はナイフが腹を突く前に空間移動してミサカ17600号の後ろに回る。

(彼女の体に触れ、地面に伏せさせてから、ダーツを刺して拘束すれば、私の勝ち!!)

彼女はミサカ17600号の体に触れる!

814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 20:25:13.38 ID:JlqTFO0U0

しかし、おかしい。

おかしいのだ。

なぜおかしいのか?

それは……。


(なぜ彼女がこっちに向いているのですか!?)


そうだ、ミサカ17600号の体が黒子の方に向けられ、

が右手のナイフを前にして白井黒子に刺そうとしていた。


右のナイフが黒子の脇腹を刺そうとする。

黒子はそれを空間移動で避けようとする!

「…………痛っ!」

足に痛みが走る。

「……ッ!」

黒子は下を見てみれば、ミサカ17600号が黒子の左足を右足の踵で踏んでいる。

これは黒子が動けないようにする為ではない。

痛みで空間移動の演算をさせない為である。

(しまった…!)

黒子の右脇腹にナイフが刺さる。


いや、刺さっていない。

「甘いですわよッ!」

黒子がナイフを両手で挟むようにして取った。

「これで、お終いですわ!!」

黒子はナイフを右手に持ち替え、左手でダーツを握り、ミサカ17600号の顔に刺す。

(決まった!)

そう黒子は確信した。



「甘いのはそちらです、とミサカはあなたの攻撃を首を動かし避けます」

「……な…」

ミサカの頬に一閃の赤い線が走った。

そこから血がタラ…と出る。



それを
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 20:58:24.75 ID:JlqTFO0U0

それをミサカ17600号は肩で拭う。

「これで終わりです、とミサカは決め台詞を言います」




バチィッ!!




………ドサッ。


黒子は倒れた。

「……な、体が動かない…?」

まるで、痺れているようだ。

「安心してください。ただあなたに電気を流しただけです、とミサカはあなたのポケットの中に入っていたリヴォルバーを探し当てます」

「……く…」

「この右手に持っていたコンバットナイフは私が改造したナイフで、私が電流を流すと刀身に100万Vで電流が流れる仕組みになっています。簡単に言うとナイフ型のスタンガンです、とミサカはそのナイフを見せます」

「………こ、のぉ……!」

「無理に立ち上がらない方がいいですよ。いくら御坂美琴お姉さまの二十万分の一しかないと言っても、一応5万Vで電流を流すこともできるんです、とミサカは立ち上がる白井黒子にその5万Vで電流を浴びせます」

「ああああああああ!!」

悲鳴を上げ、大人しくなった黒子は、地面に倒れる。


「はぁ…はぁ…はぁ………、あなたは何者…なんですの…?」

「それは言えません、とりあえず言えることは、御坂美琴お姉さまとは遺伝子が同じだということだけです」

「…………噂で聞いたとこがありますの……確か…常盤台の第三位のDNAマップを使って軍用クローンを作ったという……噂…」

「それだけ知っていれば十分です。詳しくは、お姉さま本人に訊くか、あの日の関係者に訊いてください、とミサカはここから立ち去ろうと、踵を返します」

「ちょっと待ってほしいのですの!!」

黒子はミサカ17600号の足首を掴む。

「他に何か、とミサカは振り返ります」

「……あと最後だけ………あなた達…結標淡希の居場所を知っているのでしょ?……だったらせめてそれだけでも教えてください…!!私はそのために来ましたの…!」

「今のボロボロのあなたに何ができるのですか?とミサカは足首を掴む手をほどきます」

ミサカ17600号は手をほどこうとするが…。

「手を放してください」
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 21:42:43.55 ID:JlqTFO0U0

「嫌ですの!!このまま引き下がったら、私のせいで傷を負ってしまったお姉さまに合わせる顔がありませんの!!」

「…………見ていたのですか?下の戦いを、とミサカはお姉さまがピンチになっても助けに行かなかった、お姉さまの後輩を見下ろします」

「なんとでも言ってくれても結構です、私にはその責任があります。お姉さまがボロボロになっているのに、怖気づいて助けにも行けなかった私をなんとでも言ってくれても結構です」

「そんな人間が結標淡希の居場所を知ってどうするのですか?彼女の仲間に入りたいなんて言ったら、あなたをここで殺しますよ?とミサカは手にした我が愛銃をこの臆病者に向けます」

「……がい…ますの」

「聞こえません。大きな声で言ってください。とミサカはリヴォルバーのハンマーを上げます」



「……違いますの!!…結標淡希から!!お姉さまを助けたいに決まってるでしょう!?」



黒子の目には涙があった。

「…………」

「私はずっと、自分の事をお姉さまの後ろをついて行って、『お姉さま』『お姉さま』としつこく付き纏っていました。そして、お姉さまの隣には私しかいないと思っていました……しかし、今回の事件で思い知りました。私は弱い。体も心も…。お姉さまの事を何も知らず、いや知らな過ぎました!さぞかしお姉さまとしたら私という存在は重い錘だったでしょう…。だから、私は今度こそ!お姉さまんの不安を払拭させたいのです!払いたいのです!……だから……だから、どうか…結標淡希の居場所だけでも…教えてください…」


「…………結標淡希は今、ここから東北東、7kmの半径50mの範囲……」

『こちらミサカ10032号、目標 結標淡希は東北東に7kmのホテルにいる模様です、とミサカ10032号は全ミサカに報告します。繰り返します…』


「いえ、そこのホテルに身を隠している模様です、とミサカは独り言を言います」

「……え…?」

「なお、結標淡希はそこで休憩中だという事、ある程度たったら、また逃げるでしょう。そうなったらもう見つかりません、とミサカは足首から白井黒子をどかさせます」

ミサカはザックから出しっぱなしだった、黒のウィンドブレイカーを着て、そのあとハンググライダーを組み立てる。

「一応、警備員風紀委員に連絡しなくていいんですか?とミサカ17600号は妹達最年長であるミサカ10032号に訊きます」

『そうですね、一応保険として連絡しておいた方がいいですね。ではミサカ17600号は警備員と風紀委員に連絡を入れておいてください、とミサカ10032号はミサカ17600号に指示します』

「了解です。次いでに結標淡希と繋がっている外の組織と能力者がいることも伝えておきます、とミサカ17600号は答えます」

ミサカ17600号はグライダーを組み立てる。動力として自分が流す電気で動くプロペラがついている。

「……できた、とミサカは満足気にグライダーを見つめたあと、ザックの中にある、ある物を取り出します」

ミサカ17600号は『ある物』を黒子に投げた。


それはペットボトルに入った、液体だった。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 22:34:45.05 ID:JlqTFO0U0

「それは冥土返し…と言ってもわからないですか…あのリアルゲコ太特性の痛み止めです。その500mlのペットボトルに入ってある痛み止めを全て飲み干して2分後に効果が表れます。効果は1時間、その間はどんな怪我の痛みも感じない優れものです。しかし一時間経つと、体中に地獄の様な激痛が走るというものです、とミサカは要らなくなった道具を適当に投げました」

ミサカ17600号はハンググライダーを持ち、10mほど下がった。

「では、さらばです、とミサカは地面に這いつくばるお姉さまの後輩を見下します」

ミサカ17600号はそう言って、グライダーの動力源のプロペラを自分が流す電流で動かして、走る。



そして、ビルから飛び立って行った。






(少しずつですけど…痺れが治ってきましたわ…)

ビルの屋上に一人残された黒子はまだ少し痺れる体に鞭打って、なんとか立ち上がった。

黒子は、震える手でミサカ17600号が『捨てて行った』ペットボトルを掴み、キャップを開けた。

「……まったく、いくら遺伝子レベルで一緒だからって……素直じゃなところまで一緒なんだなんて…笑ってしまいますわね…」

そう呟いて、黒子は痛み止めを一気飲みした。

「ゴクゥ…ゴクゥ…ゴクゥ……ぷはぁ!」

痛み止めを飲み干した黒子はペットボトルを、近くにあったゴミ箱に空間移動して捨てた。

「………苦くて気持ち悪いですわ…。しかし、嘘のように痛みが引いていきますわ」

黒子は飛んだり跳ねたりする。

うん、まったく痛くない。

「さて、早速行きますか…………ん?」

黒子はその時気付いた。

「あの…ミサカ17600号とかいう女のザック…?」

そう、ミサカ17600号のザックが主人から見捨てられた様に、そこにちょこんと置いてあった。

その中を、黒子は覗く。……………その中には…。

「トランシーバー?」

黒子はザックの中に入ってあった、小型のトランシーバー(無線機)を取り出す。

これはイヤホンの様に耳に掛けるタイプのもので、いちいち手で持たなくても会話ができる型のようだ。



「まったく、素直じゃありませんの…」

そう呟いて黒子はそのトランシーバーを耳に掛ける。

そして黒子は真剣な顔をして呟いた。





「さあ行きますわよ白井黒子、必ず帰ってくるため。戦場の一番奥へと…」



818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 23:03:34.57 ID:JlqTFO0U0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

みなさん、ワタクシ大事な事を書き忘れていました。

白井黒子VSミサカ17600号で、なぜミサカ17600号が勝ったかというと。



まずミサカ17600号(以下スネーク)が左手を前にして、半身の状態で突進してきます。

それを黒子はスネークの後ろに回り、拘束しようをしますが、いつの間にかスネークが黒子の方へ向いていて、ナイフを刺してきた。

というのが>>813>>814の黒子視線からの話。


ではスネークはどうして後ろに回った黒子を捕らえることができたのでしょう?


鍵は構えです。>>812

『ナイフを逆手に持った左手を前に、順手に持った右手を体の側面に沿える。体勢は低くし、いつでも全力疾走できるような構え』

ようは半身の状態です。

スネークはその状態のまま突進して行きます。

この状態で、例え黒子が空間移動せずに左のナイフを避けても、接近戦で分のあるスネークは、すぐさま右のナイフで仕留めます。


しかし、黒子は後ろに飛びました。

スネークはどう対処しのかというと、実は最初から『白井黒子は空間移動で自分の後ろに飛ぶ』ということを読んでました。

まぁこれは読んでいたというより勘ですが…。




で、スネークは黒子が空間移動で飛ぶ間合を読み、

黒子が飛ぶ直前に『左(黒子がいた側)への進行方向』を『右(黒子が飛んで来る側)への進行方向』に切り替え、黒子にナイフを刺そうとしました。


この構えは、前後の攻撃に対処できる構えだったのです。




「な…あなたの強度は精々、異能力者……なぜ?」

といって倒れる黒子にスネークは決め台詞を言うのです。



「確かに私はあなたより強度は低い。しかし、能力の強弱は総合的な戦闘力には比例しません、とミサカはナイフを喉元に当てながら決め台詞を言います。……あと私は強能力者です」




これを書く予定でしたが、忘れていました。


……………惜しいことをしてなぁ…。
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 23:08:39.90 ID:JlqTFO0U0
とりあえず今日は終わりです。

感想や意見・要望があれば是非書いて行ってください。

お待ちしております。




次回はいよいよ、鑢七花&上条当麻&絹旗最愛&白井黒子 VS 結標淡希です。





あわきん、一人に四人も……これって苛めじゃね?
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/31(火) 23:15:48.00 ID:CEbmGqino
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/05/31(火) 23:40:31.00 ID:Fin8+uVb0

糞展開のストーリーって書いてるけど
俺は好きだよ
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/01(水) 00:37:49.83 ID:VIoctKnso
もう七花一人でいいんじゃないかな
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/01(水) 15:01:51.13 ID:z3XEkxKAO
千刀破壊したら駄目だっけ
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 16:01:29.11 ID:DqiQ9d4n0
こんにちは、>>800さん、>>821さん、>>822さん、>>823さん、ありがとうございます。

>>823さんの質問は後々、答えようと思います。


では、続きを書いて行きます。
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 17:13:23.04 ID:DqiQ9d4n0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ここはとあるホテルの一室。

結標淡希はこの部屋のテーブル席で、休憩していた。

「はぁ…はぁ…はぁ……、流石に……この量の『千刀 鎩』を……ここまで飛ばし続けるのって……正直辛いわ……」

結標は頭から大量の汗を掻き、重たく感じる体の体重をを全てイスに預けるような体勢で座っていた。


「はぁ…はぁ…でもまぁ、あいつ等から何とか逃げ切れたし、追手が来るような気配はない。……しばらくここで身を隠して…。体力を回復させたら、……学園都市の外の組織と合流したら……。私の完全勝利ね…」


苦しそうに息をつく結標。

その顔は、とても嬉しそうに、そして怪しく笑っていた。


「ふふふふ、ふ、あはははははははははは……。ダメよ?結標淡希。まだ勝利した訳じゃないのだから、そんなに嬉しそうにしないの…。ああ、でも私、本当に嬉しい…♪だって、夢が叶うのだもの…。ああ、でも気を抜いちゃダメ……ふふふ………」


ふははははははは…





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「本当に気味の悪い人ですね、とミサカは目標 結標淡希の様子をライフルのスコープで覗きながら見ています」

一方、ミサカ17600号はホテルにいる結標淡希を見ていた。

「ああ、早くこの引き金を引いて、さっさとこの仕事を終わらせて帰ってご飯でもあり付きたいな、とミサカは待機命令を下したミサカ10032号を恨めしく思います。………ああ、お腹減った……」

彼女はハンググライダーを小さく畳み、黒のウィンドブレイカーを着て、耳には小型トランシーバーを掛け、大きな狙撃銃を女の子らしい小さな体で抱き締めるように、地面に伏せて構えていた。


ミサカ17600号がいるのは結標淡希がいるホテルから850mという、結標淡希が『座標移動』で一回に飛ばせる距離の範囲外にある、結標を少し見下ろしす程度の高低差があるビルの屋上にいた。

彼女が持っている銃は学園都市の最新型の対人用遠距離狙撃銃である。

この銃の特徴は反動が少ないし、こうした遠距離からの命中率が高いことだ。

これは最近彼女がバイトや任務で貯めた貯金を叩いて買ったもので、今日はデビュー戦だ。


「…………でも、このまま構えただけで終わり。なんてこともあり得ますね……、とミサカは呟きます」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 18:08:57.68 ID:DqiQ9d4n0




とその時、耳に掛けていた小型トランシーバーに声が聞こえた。


『…ガー…もしもし?聞こえていますの?』

「はい、もしかして白井黒子ですか?とミサカ17600号はトランシーバーから聞こえた声に反応します」

『そうですの』

「どうやらあの痛み止めを飲んじゃったようですね。しかも人のトランシーバーを盗むとは……風紀委員の風上にも置けないですね」

『何を言ってるのですか?私はただ、捨ててあった口もつけていないペットボトルをもったいないから飲んだだけですの。それにトランシーバーは落し物にあったものを借りているだけですわ?』

ミサカの耳に、白井黒子の声が聞こえた。その声は少々冗談混じりの声であったが、

『……………で、今はどこにいますの?』

と、その声は真剣な物になった

「今は目標から815m離れたビルの上で、目標を構えているライフルのスコープで監視しています、とミサカは教えます。そちらは?」

『こっちは今丁度、その目標がいるとされるホテルの目の前に来ています。目標…結標淡希は今どうしているか、わかりますの?』

「はい、目標…結標淡希は今、4階の道路側の部屋で休んでいます。彼女は今、油断していて、突入には持って来いです、とミサカは白井黒子に言います。……えっと、そこの部屋は……高級レストランのようです。今日は閉まっていますが、なかなか美味しいそうです、とミサカは手元にあったホテルの部屋と構造が書かれてある設計図とパンフレットを見て、報告します」

『そうですか、ではこの一件が終わったら一緒に食べに行きませんか?』

「冗談を、私よりもお姉さまと言った方が良いのでは?しかもそれは死亡フラグです、とミサカは白井黒子の急な態度の変化に戸惑います」

『はぁ…連れないですわねぇ………では、そのお部屋はどこにあるか知りたいので、そのホテルの設計図を、携帯のメールアドレスを教えますので、送ってくださいまし』

「わかりました、ではメールアドレスをどうぞ」

『aa.oneesama.oneesama.watashi-no-oneesama@gkt.co.jpですわ』

「酷いアドレスですね、とミサカは白井黒子のセンスの無さに引きつつ、設計図のデータを送ります」

『非道いですわね、私のお姉さまへの“愛”がわからないのですか?』

「ミサカ17600号が最も嫌いなのはレズです、とミサカは吐き捨てます。届きましたか?」

『ええ、バッチリと………。で結標淡希は4階の道路側の高級レストランでしたわね?ここにいると…』

「そういう事です、とミサカは頷きます。もうすぐ他の妹達を始めとする味方がそちらに来ると思いますので、それまで何とかして持ってください、とミサカは白井黒子に言います」

『わかりました、何かあったらこのトランシーバーで連絡しますので』

「わかりました、御武運を祈ります、とミサカは柄にもなく、白井黒子が無事に帰ってこれるよう祈ります」

『ありがとうございますですの。ではまた…………ガー…」

「……………と言ったものの、嫌な予感がします。早く来てください、とミサカはあの日、約一万のミサカ達を助けてくれたあの人の顔を思い出します」

と呟いて、ミサカ17600号は声が聞こえないトランシーバーを切った。
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 18:16:02.69 ID:DqiQ9d4n0

夕飯の仕度をするんで、いったん終わります。

8時には戻りますので…。
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 20:08:51.68 ID:DqiQ9d4n0

戻ってきました。

続きを書きます。
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 20:52:13.26 ID:DqiQ9d4n0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「あはははははははははは!!」

結標淡希は笑っていた。


楽しそうに、嬉しそうに、喜ぶように。

自分の中から湧き出る感情の操作が出来ない。



「はははははははは……はぁ…」

数分経って、ようやく落ち着いた。

「はぁ、飛び疲れたと思ったら、今度は笑い疲れたわ……。どうしちゃったんだろ私、近頃感情が高まったらすぐこれだわ…。困ったものね」

結標はふと、目の前にある、『千刀 鎩』を見つめる。

「ねぇ、もしかして、これってあなた達のせい?まぁあなた達のおかげで強くなれたんだけど、この調子でテンション上げっぱなしだったら私、笑い過ぎて狂っちゃいそうよ…」


結標の目の前には、先程持ってきた五百本の『鎩』を始め、全ての『鎩』が床に山積みにされていた。

彼女は前に手を伸ばす。

その手に一本の『鎩』を座標移動した。

「でも…でも、落ち着くわぁ♪なぜかこの一本だけ持つと、本当に落ち着く……。他の『鎩』には悪いけど、この一本を持つとなぜか落ち着く………落ち着く?…いや、落ち着くじゃないわね。…なんて言うのかしら…これを持つと、体中の血が一斉に廻り出して、頭を覚醒させる感じ………。ふふ、まるでジャンキー(薬物中毒者)みたいね、私………」

結標はその『鎩』を抜き、刀身をうっとりと見つめる。

「この感じ、これで初めて人を斬った時からなんだけど………。もしかしてこれが、殺人中毒って奴?あら、どうしましょ………。まぁ、例え中毒だとしてもこの刀は私のもの♪誰にも渡さないわ♪………誰にもね…」

最後の言葉だけが小さく、殺意をもって呟かれた。

「……………さて、もう十分に休んだし、さっさと逃げますか…」

と結標は立ち上がったその時……。
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 21:16:25.24 ID:DqiQ9d4n0


グサァ!っと何か、肉の様なものが刃物に刺されるような音が聞こえた。

「…………?」

ふと、結標は肩を見る。

そこには


ワインのコルク抜きが刺さっていた。



「……痛っ!!」

結標はとっさに肩を抑える。

抜こうと思ったが、抜けば一緒に肩の肉が抉れるから止めた。

くそ…痛い。誰だ、こんなことをする奴は!?

結標は一瞬で頭に血が上る。

いやそれよりこのコルク抜きには見覚えがある。

しかし結標は一旦落ち着く。

そうだ、このコイル抜きは……。

でも、ここに来れるはずが…。


タカッ……と音がした。

結標はビクゥ!と肩を跳ねさせる。

「………だ、誰だ!?」

「あら、あなた推理能力がありませんの?そんなの無能力者の小学生でもわかりますわよ?」

声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。

「……あなたがそのコルク抜きを使ったのは、私と戦っているとき…いや、その前ですわね?不意討ちとは小賢しくて卑怯な手を使った時の物ですわ」


そこでやっと、声の主が現れた。

結標淡希の前に、白井黒子が現れた。


「風紀委員ですの!」

「」

「銃刀法違反及び器物破損、殺人容疑で逮捕します!……さぁさっさとお縄についてくださいな」


黒子の右手にはダーツが四つ、左手には手錠が一つ。

それぞれ握られていた。

831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 21:53:27.61 ID:DqiQ9d4n0


黒子の登場に戸惑う結標。

しかし

「は、はは、あはははははははは!!」

いきなり盛大に笑いだす。

「なに?誰かと思っていたら、あなたじゃないの!!どうしたの?改まって…。さっきのカッコつけた台詞とか……ププッ…ははは!!」

「………」

黒子は哂う結標を見る。怒ったり反論はせずに。

「あなた、夕方の路地裏で分かったでしょ?あなたじゃ私に勝てない!!これは絶対の法則!!……しかもわかっているのよ?あなた、自分が大好きで大好きでたまらな〜い先輩が、私にボッコボコにされている様子を、ただ黙って見ていたってことを!!もしかして白井さん、ビビッてチビって動けなかったの!?だっさ〜い!………………良くそんなハンパな覚悟でここまで来たわね」

「半端じゃございませんの。しっかりと堅い覚悟を決めて、ここまで来たのですよ?」

「はんっ、チビっていたガキがいけしゃあしゃあと一丁前に………言ってんじゃないわよ!!」

結標は『千刀 鎩』の内、三十本を黒子のすぐ上に座標移動させる。

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドドッ!!

三十本もの『鎩』が落下し、黒子を串刺しにせんと襲った。

敷いてあった絨毯は蜂の巣となり、床を刀畑にした。


しかし白井黒子の姿はなかった。


「……くっ…どこへ行った?」

「ここですわよ?」

黒子は結標のすぐ後ろにいた。


「…なっ……、舐めないで!!」

結標は手に持っていた『鎩』を、黒子を、ウザったい小蠅を払うかのように右から横一線で斬った。

しかし黒子はそのにはもういなかった。

「くそ…」

「あなたも哀れな物ですわね。こんな骨董品を持ち歩かなくては、自分の能力も発動できないなんて…」

「…なんのこと?」

「隠しても無駄ですわよ?『結標淡希 霧ヶ丘女学院二年生。能力は『座標移動』強度は大能力者。二年前のカリキュラムにおいて転移座標の計算ミスにより片足が壁にめり込み、それを不用意に引き抜いてしまったことで密着していた足の皮膚が削り取られるという大怪我を負った』合ってますか?一応私が所属している風紀委員支部の情報収集のスペシャリストが調べたことなんですけど、あってるか不安で…」

「何がいいたいの?」

「いや?ただこの情報が事実なのか疑ってまして………なんせ、あなたの様な強力な能力者がこんな初歩中の初歩の凡ミスをかますかと思いまして………で、あってますの?」

「……………」
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 22:15:11.79 ID:DqiQ9d4n0

「あらまぁ!本当でございましたの!?これは失礼しました」

「あなた、本当に何が言いたいの?」

「…ふふ、さっきも言いましたでしょう?こんな骨董品なんかを持ち歩かなくては、ロクに能力が使えないって…。あなたにとってこの刀はおしゃぶりの様なもの、これが無いとだめなんでしょう?」

黒子はニヤニヤと笑い……いや、哂いながら言った。




「これが無いと、自分が飛ぼうとしても、ビビッてチビってしまうのではないんですか?」




ブチィ!と音がした。

結標淡希は鬼のような顔をして、額に青筋をつけながら叫んだ。


「あなた……人の台詞を盗るんじゃないわよ!!」



その時、床に置いてあった『千刀 鎩』消えた。

すべての『鎩』がだ。


「いいわ、殺してあげる。そんなに死にたいなら………首チョンパして串刺しにして焼き鳥にしてやる!!」


その瞬間、部屋一面に、『鎩』が刺さった。

言われずとも結標の座標移動だろう…しかし、刺さっている『鎩』の数が半端ではない。

床は勿論、壁・天井一面にどころか、テーブルやイス、カウンター席や燭台やランプまでもに刺さっていた。


「今この部屋にいる『鎩』の数は千本よ!!そもそも『千刀 鎩』は千本あって一本の刀なの!!あの路地裏での三十本とは比べものにならないわ!!すぐにバラバラ死体にしてあげる!!」


「そうですか…千本で一本ですか……本当に馬鹿みたいな話ですわね。…………まぁいくら数が増えたとて、私には勝てませんわよ?あなた」

「何を小癪なこと言ってんのよ!!あんたはたった……たった!!三十本に負けたじゃない!!」

「あれは単にあなたが刺したコルクをダーツの痛みで演算が雑になっただけですわよ。本気なんて全く使っていないですわよ?」

「はんっ!!」

結標は黒子の言葉を鼻で笑う。




「そんなの、子供の言い訳にしか聞こえないわよ。クソガキ!」


「いいえ?これは言い訳ではなくて、真実ですわ。現実を見ましょ?オバサン」




833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 22:44:03.28 ID:DqiQ9d4n0


お互い睨みあう。


結標は怒りの色で顔を染め、手に持っている『鎩』がカタカタカタ…となるほど柄を握りしめている。


一方黒子は、いつ攻撃が来るか注意しつつ、体内時計を見ていた。

(と言ったもののヤバいですわね。制限時間は大体あと十分ほど…それまでの間に終わらなけでばならない……)

恐らく結標は怒りに任せて、大きな技を連続で繰り出してくるはずだ。

大きな技には、その分だけ大きな隙ができやすくなる。

黒子はそこを突く!


だから散々、結標を挑発したのだ。

怒って大技を出してくる結標に隙を作らせて、突く!

黒子には時間がない。

もうじき痛み止めを飲んでから一時間が経つ。

『一時間経つと、体中に地獄の様な激痛が走るというものです』

ミサカ17600号の声が頭の中で木霊する。

恐らく、その時がしたら黒子は、痛みで悶え、決定的な、致命的な隙を与えてしまい、殺されるだろう。

それを防ぐため、黒子は相手の隙を突く、“短期決戦”と言う方法をとったのだ。



「…………………」

「…………………」



睨みあう二人。


黒子は額に汗を掻く。


相手の隙を突く戦法だ。

相手より先に手を出しては、警戒されて相手の攻撃が小さくなり、隙が小さくなる恐れがある。

それじゃあ本末転倒だ。

だから、相手から先に攻撃をさせなければならない。


しかし、結標淡希は攻撃を仕掛けてこない。

これじゃあ制限時間が来てしまう。

でも焦ってはダメだ、顔にも出してはダメ。感づかれてしまう。


しかし時間がない。早く、時間がないんだ。早く、動いてくれ早く………。

早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く…………



早く!!
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 23:00:07.81 ID:DqiQ9d4n0

と、黒子は何ともないように結標を睨んでいる内心、ものすごく焦っていた。


ポーカーフェイスを貫く白井黒子。

怒りで顔を歪める結標淡希。


黒子の手に持っているダーツと手錠。

結標の手に握られている『鎩』。


そして、部屋一杯に刺さっている『千刀 鎩』。


緊張感と焦りと怒りと殺意が、この部屋に奇妙な空間を作り出す。




「…………………」

「…………………」



呼吸を十、数えた時だった。




怒りで見開いていた結標の顔が急に

ふっと、真顔になった。


「!?」

一瞬驚く黒子。


そして結標は黒子でなく、別の何かを見ているように、顔をすーっと横に向けた。


黒子はなんだ?と釣られて首を横に向ける。






「…………あ」



違う、向けてしまった。


結標はわざと横を向いた。黒子を釣らせて、視線を横に移させる為に。


「…しまった!!」
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 23:32:50.69 ID:DqiQ9d4n0

後ろから、刃物が空気を斬って向かってくる音がする!


黒子は顔を横に向けたまま、横にお辞儀をするように『鎩』を避ける。

何とか避けたが、ツインテールの左片方の髪留めが斬れ、髪が解ける。


すると前から一本の『鎩』が下から突き上げてきた。

それも紙一重で避ける。しかしもう片方のツインテールの髪留めも斬れて、髪が解けてしまった。


今度は横から来た、これは空間移動で避ける。

しかし、結標はそれを読んでいたらしく、空間移動した所へ『鎩』が三本、三方から飛んできた。

これも空間移動で避ける。

しかしまた移動場所で『鎩』に襲われる。それをまた、空間移動で避ける。

だんだん、『鎩』の攻撃が鋭く、多くなってきた。

それでも黒子は空間移動で避け続ける。


……黒子はもう、空間移動でしか避け切れないような猛攻にあっていた。


黒子は空間移動をし続ける。

大体1秒に2回はしている。



「ふふふ、あはははは!!なによ!あなた、あんなに啖呵切ってそのザマは何!?笑わせないでもらいたいわね!!」

そう言って哂う結標。

その言葉を避けながら聞いていた黒子はこう言った。

「30km」

「………は?」

「この数字は何の数字かわかります?」

「知らないわよそんなの」

「朝15km。昼5km。夜10km。あと筋トレや持久系のトレーニングと、大学レベルの演算練習をテキスト20ページ程をを毎日死ぬほどやっているのですよ?わたくし」

「……」

「確かに空間移動系の能力は演算が難しいので、連続で使用すると疲労がたまり易いです、頭も体も。そこでわたくしは長時間連続して空間移動できるように、体力づくりから計算を早く正確にする訓練までをやっておりましたの」

「…………まさか」

「そうですの、わたくしは最長、30分程連続して空間移動できるのです。………風紀委員ともあろう人間が、自分の欠点を考慮しない訳が無いでしょう?」
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/01(水) 23:54:21.34 ID:DqiQ9d4n0

「そんな、そんな訳がないでしょう!?」

「では、実際にわたくしが行っているのは何ですか?こんな猛攻を受けているのにケロリとして避けているのはなぜですか?」

「ははっ!も、もし、ほ、本当にそうだとしても、あ、あ、あなたはここまで来れない!!あなた、い、今、防戦一方じゃない!もしそんな余裕があったら、すぐにこっちに攻めているでしょう!!い、今あなたは細かく空間移動して避けているだけじゃない!!」


「……確かに今はこのようなみみっちぃ空間移動しかできませんが……それ、あなたとわたくしを見て言っているのですか?」

「」


結標は彼女が言っていることがわからなかった。

が、すぐにわかった。

「……あ」

黒子がいい事…それは。

「近付いてきている……」

そう、攻撃を始めた時は10m程だったのに、3分がたった今じゃ5mもない。


「その通り」

「む、無理よ!そんなことで、私を倒すのは無理!!だって、あなたがここに来る前に別の所に飛べば、いいじゃないの!!」

「しかし私はまた、あなたの所へこうして迫っていきますわよ?」

「だったらまた飛ぶまで!」

「しかし、それであなたは持つのですか?」

「持つわよ!だって私はこの『千刀 鎩』で自分を飛ばすことを克服しているんだもの!!」

「わたくしが言っているのは、そこではありませんの」

「」




「わたくしが言いたいのは、あなたがこの『千刀 鎩』とやらを私が力尽きるまで持続できるのですか?と言っているのです」




「」

「図星ですか?」

「ちが――

「じゃあその汗はなんですの?」

結標の顔から、汗が滝の様に流れていた。

「もしや、あまりにもわたくしの予想が当たっていたから焦っているのですか?、それとももう『千刀 鎩』の制御の持続の限界時間が来たのですか?」
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 00:11:21.30 ID:G+nrIEm+0

「な…」

「ああ、両方ですか…。だってそうでうわよねぇ。最初、私と戦っていた時は三十本。お姉さまと戦っていた時は五百本…でしたわよね?」

黒子は連続空間移動で襲い掛かる『千刀 鎩』を避けながら、話す。まるで歌うように。

「あれ?おかしいですわね。確かあなた、この刀は『千本で一本』と仰いましたわよね?」

黒子は訊く。すぐそばで、顔を怒りで赤くしていたのに、急に真っ青になった結標淡希に。

「ではなぜ、わたくしの様な格下と、しかも狭い戦場での場面はともかく、御坂美琴お姉さまの時の様な、上位能力者との戦いで、しかも広い戦場での戦いで、あなたは『千本で一本』が特徴である『千刀 鎩』の千本すべてを持って行かなかったのですか?」

「…な……」

「もしかしてあなた、千本すべてを操作しきれないないのではありませんか?」

「」

「図星のようですわね。だったらわたくしにも勝ち目がありそうですわ……ああでも、いい加減に飽きて来たので、欠伸がでそうですわ」


最後に放った黒子の挑発に、結標は再度顔を真っ赤にして絶叫した。

「………こ、このぉ!!そんなに死にたいなら!!殺してやる!!」


「その台詞、さっき聞きましてよ?」

「〜〜〜〜〜!!」


とその時、部屋を縦横無尽に駆け回っていた『千刀 鎩』が消えた。


「」

驚く黒子。


「…………死んでしまぇえええええええ!!!」


結標淡希は喉が裂けんばかりに叫んだ。
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 00:18:44.81 ID:G+nrIEm+0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ミサカ17600号はふと、ホテルの上空を見上げた。


そこには信じられない光景があった。


「――――――――――――…………!!」


ホテルの上空50mほどの所から、日本刀が…『千刀 鎩』が雨になって降っていた。


「な、なんなのですか?とミサカは呟きます」


そしてその雨はホテルに直撃する前に忽然と消えた。


「…………嫌な予感が当たりませんように、とミサカは白井黒子の無事を祈ります」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 00:34:03.01 ID:G+nrIEm+0

刹那。


千本の刀が、『千刀 鎩』が、いきなり部屋に、黒子の頭上に現れた。



「!!!」





ダカァァァァァァァァァァァァァアアアアン!!




と爆発音の様な音が、周囲に広がった。












「あは、あは、あっははははははあっははははははははははは!!」


結標淡希は片手で顔を覆い、今までにないまでの大爆笑をした。


「すっごいわぁ!!本当にすごい!!あははははは!!すごいわ!だって!」


結標は床に指をさしてはしゃぐ。





「だって、床が無くなっているんだもの!!」







そう、彼女が指さしている方には、床などなかった。

ただの穴だった。



きっと『千刀 鎩』の数と重量に耐え切れず、床が抜けたのだろう。

「殺った。殺ったぁ!殺ったぁぁぁあ!!これであいつは死んだぁ!!」

結標は、黒子の死体を確認するため、床が抜けた所に行った。
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 00:43:36.89 ID:G+nrIEm+0




「」

一瞬で彼女の顔が蒼白の無表情になる。

「奴の…白井黒子の死体が無い!!」


そう、穴の下には白井黒子の死体が無かった。

あるのは下で刺さっている『千刀 鎩』のみ。

「ど、どこへ行ったぁ!?」

手に一本の抜き身の『鎩』を両手で持って、

キョロキョロと黒子を探す結標。






「ここですわよ?」






と、後ろから声が聞こえた。

「」

結標はとっさに振り返る。



そこには脚があった。



バキィ!



結標の体が吹っ飛ぶ。

3m転がり、すぐに起き上がる。

すぐに蹴られたとわかった。

一体誰に?と思って前を見る。



目の前には死んだはずの白井黒子がいた。



「」
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 01:00:26.43 ID:G+nrIEm+0

「さすがにあれは危なかったですわよ?」

と笑って見せる黒子。


「あ…あ…な…なん…」

それに比べ、口をパクパクさせる結標。

「まるで幽霊でも見ているような顔は止してくださいな。ちゃんと足はついていますのよ」

「そうじゃなくて!どうして!!?」

「どうして避けれるかって?簡単ですわよ。わたくしの能力を何だと思っているのですの?空間移動能力者があんな隙のだらけの攻撃、避けられない訳がないせしょう?」

「」

「あの時、一旦この建物の外へ避難していたのですの。で、ある程度収まったから、ここに戻ってきた。それだけですわ」

「……」

「さぁ、もう降参の時間ですわよ!!観念しなさい!!」



「…………ふふふ、誰が。まだ終わってなんかいないわよ!!」

結標は絶叫し、座標移動して黒子を襲おうとしたが。


「遅い!」

黒子は手に持っていたダーツを、結標の足や腕に空間移動させた。

「うっ!!」

「この痛みで、座標移動の演算は難しくなりましたね?」

「……このぉ!!」

結標は黒子に手に持っていた『鎩』で斬殺しようと、黒子へ向かって走ってきた。

「ぅおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「特攻なんて、敗者のすることですわよ」

と言い残して、黒子は結標の後ろに空間移動し、彼女首根っこを掴み、窓に叩き付ける。

「ぐぁ!」

そして、結標の首を腕で抑えて叫ぶ。

いや、耳に掛けてあったトランシーバーに向かって叫ぶ。




「わたくしごと撃ってくださいまし!ミサカ17600号さん!!」




『了解』
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 01:09:28.02 ID:G+nrIEm+0



『ああそうそう、突入前にお願いがありますの』

『なんですか?とミサカは問いかけます』

『わたくしが合図をしたら………―――――』




ちょうど結標の後方810m。

ミサカ17600号は白井黒子の合図を聞き、ライフルの引き金を引く。

白井黒子の計画通りだった。



弾丸は、ライフルの銃口から発射し、ビルとビルの間を潜り抜け、まっすぐと結標淡希の背中に向かって進んでいった。







パリィィィン!!





ガラスが砕ける音がする。


その瞬間、結標の体は白井黒子の体ごと吹っ飛んだ。



ゴロゴロと2,3m程転がった二人。

















「安心してください、麻酔銃です、とミサカは新入りの銃の性能に満足しながら、カッコつけます。今日もいい仕事したぜ」
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 01:21:33.74 ID:G+nrIEm+0






「ぅう…」

黒子はうめき声を上げる。

どうやらミサカ17600号は自分が頼んでおいた通り、結標淡希の背中を打ち抜いたようだ。

黒子は起き上がる。

痛み止めのせいで痛みが無い。

自分の体をよく見ると、右肩や左脇腹の傷が開いているようだ。血がダラダラと流れている。



黒子は手錠を取り出した。

結標淡希を拘束するためだ。

「さて、さっさと仕上げの仕事を終わらせますか……」

よっこらせっと黒子は立ち上がり、結標淡希が気を失っていて転がっている方を見た。








黒子の目の前には、無表情の結標淡希が立って、黒子を見下ろしていた。






「」





彼女の右手には一本の『鎩』が握られている。

そのまま、黒子の顔面を『鎩』の鞘でぶん殴った。

メキィ!と頭蓋骨が歪む音がする。

5mほど吹っ飛ばされる。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

鼻から血を流し、悶絶する黒子。

その目の前に、結標淡希が座標移動でやって来た。


『鎩』に全体重を乗せて、黒子の上に。
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 01:45:09.00 ID:G+nrIEm+0

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

メキメキメキメキィ!!………バキバキッ!!と肋骨が何本か折れる音が部屋の中で響く。


結標淡希はすぐに降りて、すぐさま鞘で黒子を殴り続けた。

バキィッ!バキャッ!ボゴォッ!ドガッ!!………

「あなたは、………………」

結標淡希は無表情で呟いた。

「あなたは……あなたは…あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは、あなたは………」



無表情のまま、機械の様に呟き、黒子を殴り続ける。


「私をこんな目に会わせた。逢わせた。遭わせた。遇わせた。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い!痛い!!痛い!!痛い!!!!」


結標淡希は大きく眼を見開いて、無表情で殴り続ける。


「怖い怖い怖い…能力…怖い……人を傷つける……怖い!………私を傷づける…………怖い!!!!」


結標淡希が黒子を殴る力がだんだん強くなってきた。


「だから排除。消去。デリート。削除。死亡。殺害。撲殺。殺。殺。殺。殺。殺。殺殺殺殺殺殺!!!!!!!!!」


今度は笑いながら殴ってきた。

「あははははははははっは!!いい様、よき様、すごい様!!あっははははははは!!良いわねぇ♪ふふふ、あなたにやられた分を千倍返しで返してあげる……ふふふ」

結標淡希は手を止め、大笑いする。

「あははははははははははははははははははははははは!!」

「っがはっ!!」

と、黒子は口から溜まった血を吐き出す。

「あら、まだ息があったの?」

「まぁ、少しは頑丈にできていますの……」

「ああ、もしかしてあなた、痛み止め飲んできているの?ああ、だからそこまで動けたんだ、そして今でも何とか動けると……。なるほど、謎は解けたわ♪じゃああなたが死ぬまで殴ってあげる♪ふふふ、あははは。ああ楽しい!」

ドガッ!

「ぐッ!……………ふんっ、止めてくださいましそんな顔。そんな重度のヤンデレ顔のあなたを見たら、世の中の男共が泣いて逃げ出さしますわよ?」

「うるさいわねぇ!」

バキッ!



845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 02:01:25.05 ID:G+nrIEm+0

「っう!!」

ぜぇー…ぜぇー…ぜぇー…と黒子は息を吸うのが辛くなってきた。

とその時、




ドクンッ!!





「!!」

急に心臓が暴れ出すように動き出した。

体が熱い。

頭が痛い。

血がグルングルンを高速に廻る感覚がする。


「ぐぅがああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


「!!」

いきなり悶えだした黒子に結標は戸惑った。

「………っは……?」


結標淡希はしばらく考えた。


「ああそうか、痛み止めの効力が切れたのか。なるほどね、納得したわ♪」


「がああああああああああ!!」

黒子の表情はまさに“苦悶”の一言。

いやそれだけでは現せられない。


眼は見開き、涙を溜め、口は開きっぱなしだった。

額には青筋が何本も立ち、体がビクンビクンッと水揚げされた魚のように跳ねる。



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


「ふふふ、そんなに苦しいなら、もっと殴ってあげましょうか…♪」

バキィ!!

バキャ!!

ドスッ!!


「……………〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


痛みで声も上げられぬのか。

結標淡希は殴り続ける。

「あはははははははは!!!」

そして、結標は『鎩』を鞘から抜いた。
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 02:13:50.14 ID:G+nrIEm+0

「もいいわ♪私にはまだ仕事があるから、これで終わりね?」


結標淡希は『鎩』の突き立てようと、黒子の首へと、思いっきり『鎩』を突き刺す!




とそこへ。



缶ビールの様な容器が転がってきた。



「??」


思わず手を止める結標。


と、いきなり缶から煙が出てきた。



「…………な!?煙玉!?」



と、結標淡希の背後から忍び寄る影があった。


「――――――………ッッ!!?」

それに気づいた結標はとっさに座標移動して、避けた。


さっきで結標がいた場所から、爆発が起きた。


「あなたたち、何者?」

結標は訊く。



そこにいたのは……。



「この人は一旦こちらが超預からせてもらいます」



絹旗最愛だった。


「」

(彼女がいるってことは……)


「すまねぇが絹旗、そいつを一旦、下まで運んでくれないか?」

「わかりました」

と絹旗をもう一人の会話を訊いた結標は覚悟を決めた。

(やっぱりいたか…。戦いはこっから本番ね!)
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/02(木) 02:19:32.24 ID:G+nrIEm+0

結標淡希の目の前には、身長200cmを超える大男、長髪に着物、体中の傷が特徴の男。

鑢七花がいた。



「で、七花さんは超どうするんですか?」

「こいつは俺に任せてくれ、そいつを任せた」

「超了解です」

こうして、絹旗最愛は部屋から白井黒子を抱えて出て行った。



























――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

今日はここでお終いです。


明日で、『千刀 鎩』編がクライマックスになると思います。
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/02(木) 02:29:35.87 ID:J+jxlNMYo

マジぱねぇ戦闘だった
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/02(木) 19:19:03.78 ID:VCgNiocK0
>>846はちょっと無駄に区切りすぎじゃね?
〜た。
〜た。
よりも、
〜であり、〜だった。のがすっきりして読みやすいと思う
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 19:28:06.99 ID:G+nrIEm+0
>>849さん、アドバイスありがとうございます。

まぁ、言い訳を一つするなら、あの時は半分寝ていました。

そのせいで、文章が読み難くなっていしまったと思います。

夜遅くまで書いているのって、本当にツラいです……はい。

でも、この物語が完結するまで、頑張って書こうと思います。



さて、今日も書きます。

今から夕飯を摂るので、九時には更新しようと思います。
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 21:40:20.61 ID:G+nrIEm+0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


数十分前。


「おい皆の衆、少し聞いてくれ」

そうとがめが言った。

「なんだ?とがめ」

そう言ったとがめに、鑢七花は訊いた。

他のメンバー…上条当麻・絹旗最愛・滝壺理后・御坂妹がとがめの顔を見る。

「皆に渡したいものがある」

とがめはどこからか、ダンボールをだした。

「これは何ですか?」

と絹旗。

「ああ、これはだな……」

とがめはダンボールに手を突っ込み、あるものを取り出す。


「これは…、トランシーバー?」

「そうだ。……しかしこの世界は楽になったものだな、遠く離れた人物を話ができるようになるとは……」

「どこでこれを?」

絹旗は浮かび上がった疑問をそのままとがめに訊いた。

「ああ、実は先程……上条が車に乗ってくる前、御坂の妹に頼んで取り寄せたものだ」

とがめはトランシーバの一つを手に取った。

それは耳に掛けるタイプのようだ。…………後にミサカ17600号が白井黒子に渡したものと同じものだ。

「結標淡希の能力で、もし皆がバラバラに飛ばされたら厄介だからな。皆に渡しておく。耳に掛けてみろ」

とがめは上条・七花・絹旗・御坂妹にそれぞれ、トランシーバーを手渡す。

それを受け取った四人は、さっそく耳に掛けてみる。………七花は苦戦したが。

「あー。あー。…聞こえるか?あー」


『『『あー、あー』』』


「ああ、聞こえるぞ」

「超聞こえます」

「聞こえます、とミサカはOKサインします」

「よし、私も皆の声は聞こえておるよ。……………………………で、どうした上条」

「………俺のだけ声が聞こえないんですけど……」
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 22:10:23.24 ID:G+nrIEm+0

「はぁ?……ほれ、貸してみろ」

上条はとがめにトランシーバを渡す。

「……あれ?音が鳴らない…」

とがめはトランシ−バをコンコンを叩く。

でも鳴らない。

「…………」

今度はムキになってブンブンと振ってみる。

それでも鳴らない。


「貸してください、とミサカは手をだします」

と今度は御坂妹がトランシーバを見てみる。

しばらく、あちこちと調べてみると…。

「…………これ、不良品ですね…とミサカは検査結果を報告します」

「え!?」

「うわ…超縁起悪いですね…」

嫌な顔をする上条と絹旗。

「不良品か…まぁよい、代えのものがあるかなな」

と、とがめはダンボールから新たなトランシーバを取り出し、上条に渡した。

「ほれ、もう一回確認するぞ?あーあー」


『あーあー』


「ああ、聞こえるよ」

「よし、それでは各自に作戦の説明をする」

とがめは地図をメンバーそれぞれに配った。

「今から結標淡希がいる建物に突入する訳だが、突入するのはさっきトランシーバを渡したお前たちだけだ。滝壺と他のミサカは私達の援護だ。御坂妹よ、他のミサカにもMNWで伝えたか?」

「はい、すでに伝えています、とミサカは報告します」

「よし、まず最初に………絹旗」

「はい」

「お前は結標がいるとされる4階の高級食堂に、この煙が出る缶を投げて、絶対絶命であると見られる白井黒子を救出してくれ。それで彼女を安全なところまで運んだ後、またそこに戻って結標と交戦してくれ」

「わかりました」

「七花は絹旗と一緒に突入してくれ、お前はすぐに結標と交戦してくれ」

「あいよ」

「そして―――――――
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 22:33:39.62 ID:G+nrIEm+0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


煙が舞う。


結標淡希は、そんな煙たい空間の中にいた。

そしてもう一人…。


「よう、またあったな」

鑢七花がいた。


「言ったじゃない。あなたとはもう一度会えると思うって」


『ガー……どうだ七花、奴の感じは?』

耳に掛けてあるトランシーバから音がする。

とがめからだ。

「ああ、もう遅い。刀の毒に犯されているようだ」

『そうか……とりあえず、刀を回収してくれ』

「極めて了解」



結標は七花に笑いかける。

「ああ、そうだっけか?」

「まぁ、私としては会いたくない相手のトップ3には入るけどね♪」

「そりゃどうも。……でも俺らからすれば、とっても会いたい相手だよ」

「それは光栄ね。でもなんで?」




「それ決っているだろう………お前が持っている『千刀 鎩』を取りにだ」


「ふふふ、やっぱりそうよね。…………でも、させると思うかしら?」


「させるかさせないの問題じゃなくて、俺はただその刀を取りに来ただけだ」


「それをさせないと言っているの。………まぁその前にあなたを、串刺しにしてあげるわ♪」


「そうかい。それは別にいいんだけどよ……ただしその頃には――あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」

854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 22:55:22.74 ID:G+nrIEm+0



ジリ…ジリ…




二人は睨みあう。


しかし、強さも経験も気迫も、全てが七花が圧倒的に勝っている。

結標は顔には出さないものの、背中には大量の汗が流れていた。


(……くっ…まるで喉に刀でも突き付けられているような感触ね……。敵ながらすごい気迫だわ…)


結標は感じている。

この男、鑢七花は、右手を軽く振り下ろすだけでも十分に人を殺せる人間だと。

この男は強い事は知っている。

しかし、超能力開発を受けていない人間がそんなに簡単に人を殺せるのもか……と思っていたが、直感がそう伝えている。

この男は危ない。

すぐに逃げるべきだと。


しかし、大能力者であるプライドと七花の気迫が、結標の足を床に縛り付ける。





とその時。


どかぁ!!

後ろから衝撃と、それに伴う音が聞こえた。

「ッッ!!?」

結標淡希は後ろからの衝撃で吹っ飛んだ。

「ぅぐぁああ!!」

大体4mほど吹っ飛んだ。

「な、なんだ!?」

結標は振り返る。しかし誰もいない。


「こっちです」

「!?」

ダダダダダダダダダ!!

なぜか上から銃声が聞こえる。

「っが、がぁああ!!」



『そして、御坂妹は七花が戦闘を始める前に突入し、七花に気を取られている結標淡希に奇襲を掛けてくれ』




「作戦通りです、とミサカは奇策士の策略…いや奇策がここまで上手く行ったことに感心しつつ、目標 結標淡希からマウントをとります」
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 23:27:00.06 ID:G+nrIEm+0

「…なっ!?」

「そして、結標淡希に5万Vの電流を流します」

バリバリバリバリィッ!!

「ぎゃぁぁぁああああああ!!」

「それに続いて、手持ちのマシンガンでゼロ距離射撃を慣行します、とミサカはドロップキック→射撃→マウント→電気ショック→ゼロ距離射撃の外道コンボで目標を駆逐します」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!

「ぁぁぁぁああああああああああああああああ!!」


御坂妹はとがめが言った通り奇襲をかけた。

彼女は屋上からロープをかけ、走って飛び降り、ブランコの要領で勢いよくこの部屋に侵入し、勢いをそのまま結標の背中にドロップキックを畳み込んだのだ。

そして彼女が言う『外道コンボ』で結標淡希を喰らわす。


『行け行けぇええ!!とミサカ12446号はミサカ10032号に応援します!』

『そうだそうだ!!とミサカ10420号はミサカ12446号と一緒にミサカ10032号を応援します』

『ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!とミサカ10771号は掛け声を出します!ミサカっ!ミサカっ!』

『おお、いいですね、とミサカ16084号も掛け声を出します!!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!』

『この女朗ぉ…人様たちを散々侮辱しやがって!それの報いだ!!このブライアン=ホークめ!!とミサカ11111号は野次を飛ばし、ミサカ10032号にエールを送ります!ミサカっ!ミサカっ!』

『わぁ!面白そう!!ってミサカはミサカはみんなと一緒に叫んでいたり!!ミサカっ!ミサカっ!』

『『『『『『ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!』』』』』』


「うるさいです、とミサカ10032号はMNW内でどんちゃんやっている妹達に一喝します」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!…………カチッ!

「ッチ、弾切れですか、とミサカは舌打ちします」

とその時、弾切れのマシンガンが結標淡希に掴まれた!

「」

「舐めてんじゃ……ないわよ!!」

結標は御坂妹の顔面に固く握った拳を叩き付ける。

「ぐっ!!」


856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/02(木) 23:58:24.70 ID:G+nrIEm+0

ミサカは後ろに倒れる。

「流石に…ゴム弾では倒しきれないですか…とミサカは呟きます」

「イッテテテテ…まったく、なんてことをしてくれるのよ、あなたは。ゴム弾だけど、当たると痛いの…よ!!」

結標は御坂妹に追討ちをかけるかのように、右ストレートを御坂妹の右頬骨にお見舞いする。

「ぐわぁ!!」


『大丈夫ですか!?とミサカ19090号はミサカ10032号を心配します!』

『くそ、敵もなかなかやりよる!とミサカ17335号は悔しがります!!』

『小僧!怯むなぁ!!教えたとおりに前へ出ろぉ!とミサカ11111号は某ボクシング漫画の某会長の如く叫び、リバーブロー→ガゼルパンチ→デンプシーロールの完成系コンボに期待します。っていうかやってくれ!!』

『がんばれー!!ってミサカはミサカは応援してみたり!!』



『『『『『『『ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!ミサカっ!』』』』』』』



「みなさん五月蝿いです。ケツの穴増やしますよ?とミサカ10032号は先日見たマンガのセリフで吐き捨てます。…ミサカ11111号、台詞が厨二臭いですよ」

と呟きながらミサカは立ち上がる。

「意外とタフなのですね、とミサカはそう言いながら口に溜まった血を吐きます…ペッ」

「………ペッ」

と結標淡希も血を吐きだした。

「なに一人でブツブツブツブツ喋っているのよ。気持ち悪いったらありゃしないわ」

「これは失礼しました、とミサカは詫びながら、腰に隠していたデザートイーグルを構え、発砲します!!」

パン!パン!


しかし、結標はもういなかった。

「」

「ねぇあなた忘れていない?私が空間移動系の能力者だってこと…」

と、結標の声が御坂妹の背後から聞こえた。

「しまっ…!」

御坂妹は振り返り、銃を構えようとするが……。

「遅い!!」

結標は手に持っていた『鎩』で、御坂妹に斬りかかった。




「なぁ、お前も忘れていないか?俺がいること……」

「」

結標淡希の横には、鑢七花が待ち構えていた。

「…っ!」

結標淡希は顔を青ざめ、すぐに座標移動させようとするが。

「遅い―――虚刀流 『野苺』!!」

「がぁあああ!!」
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 00:20:09.11 ID:7r0/uhbo0

結標淡希の体が10m吹っ飛び、壁に叩き付けられた。

「ガハァッ!!」

そしてズルズルと倒れた。

「………ひ、卑怯な……」

結標は頭だけ動かして七花を見て、非難する。

それを七花は何でもないように応えた。

「言っただろ、殺し合いに卑怯も糞もあるかって。それにこれも言った、あんたの技は全てが卑怯だってな」

「………はんっ…、それ…は…私の……スタイル……なの………よ………」

ガクッ…と結標の頭が落ちた。


「お亡くなりになられたのですか?とミサカは鑢七花に問いかけます」

「安心しろ、手加減しておいた」


どうやら、結標淡希は気絶しているようだ。



とその時

ダダダダダダダダダダダダダダダ………

誰かが走ってくる音がした。

「ん?」

「なんだ?」

バァン!

と勢いよく部屋のドアが開けられた。

「七花さん!超大丈夫ですか!!?」

と、絹旗最愛が大声でやって来た。


「絹旗遅かったな。もう終わったぞ」

と、一歩遅くやって来た絹旗に、七花はそう言った。

「ええ〜。そんなぁ〜。せっかく稽古の成果が超発揮できるいい機会だったのにぃ……(泣)」

「まぁそれは次の機会だな。刀はあと十一本あるんだし。それまで我慢だな?」

「………はい」


858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 00:51:25.00 ID:7r0/uhbo0

『ガー……もしもし、七花か?結標淡希はどうなった?殺ってはいないだろうな?』

「安心しろ、生かしてある」

『よし、それでは七花と絹旗よ』

「おお」「はい」

『とりあえず、そこら辺に散らばっておる『千刀 鎩』を運んできてくれ』

「ああ、わかった。………とがめ、もしかして二人だけでか?」

『ああそうだが…』

「」「」

『…なにか問題でもあるか?』

「大ありだ!!」

「そうですよとがめさん!!千本ですよ千本!!超どれだけの数だと思っているんですか!?」

「てか、ミサカ達に手伝わさせればいいじゃねぇか!なんで俺たち二人だけなんだよ!!」

『何を言っておる。いいか?『千刀 鎩』と言う刀はだな、千本で一本だ。即ち千本全て扱われなければ『千刀 鎩』はそれ本来の能力を発揮できない。と言う事は千本を扱って初めて『千刀 鎩』の毒は持ち主の体に巡る』

「それがどうしたんだよ」

『だから私がいいたいのは、そなたらは刀を一本しか…ましてや七花など、一本も使える人間だが…そなた達は一本一本扱えばなんの支障もない。しかし妹達は違う。あやつらの脳は全員と繋がっておってな、一人が一本持つと全員が一人一本持つことと同じになる。二人一本持つと全員が一人二本持つことになる』

「とがめの話は長い。もっと簡単に言ってくれ」

『要はだな、“彼女らが『千刀 鎩』を全て、一人一本持つと、全員が千本を一人で持つのと等しくなる”のだ!彼女ら約一万人がそなたらに襲い掛かってくるかもしれぬぞ?』

「……それは嫌だ」「超嫌です」

『だったら働け、さっさと働け。あと半刻したら夜が明ける。その時までになんとしてでも刀を回収しろ』

「はいはい、わかったよ」

はぁと溜息をする七花。

「人扱いが荒いですね、とがめさん」

「ああ、昔っからそうなんだ」

『聞こえておるぞ。さっさと働け』

「へーへー、じゃあしょうがないからやっちまおうか、絹旗」

「そうですね。さっさと片付けて、帰りましょう」

『そうそう、そっちに滝壺が結標淡希を運びに言っているから…』


ととがめはそう言いかけたその時…
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 01:00:22.69 ID:7r0/uhbo0


『はぁ〜い♪』


とがめとは別の、女の人の声だった。

しかし聞き覚えがある。



「…なっ」

「この声は…」


『何の用だ、否定姫』


『ふふふ〜♪さすが奇策士♪一発でわってくれるなんて嬉しいわぁ〜』


声はトランシーバから……違う、直接脳に語りかかってくるような感じだった。


『まぁいいわ、時間が無いのでちゃちゃっと行きますか』

『そうだ、要件を言って帰れ』

『まぁ!酷いわぁ!まぁ負け犬の遠吠えとして受け取っといて』

『な、何をぉ!?』

『……………上条当麻をちょっと借りているわ』

『は?』

『いやだから、あのウニ頭の馬鹿よ。ちょっと用事があるのを思い出したから、そこへ向かわせているわ。もうそっちには戻らないと思うけど、いい』

『別にいいよ。大して役に立たんかったしな』

『そう、だったらいいわ。では、御機嫌よう…♪』



そして、否定姫の声は途切れた。
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 01:10:44.24 ID:7r0/uhbo0

「なんだったんだ?さっきの」

と七花はとがめに訊いた。

『さぁな、というかさっさと仕事始めんか!!』

「へいへい」

と七花は返事をする。


とその時。



「七花さん……」

絹旗は七花の袖をクィックィッと引っ張る。

「?……どうした、絹旗」




「結標淡希が…………超いないんですけど………」




「」

七花は先程まで結標淡希が倒れていたはずの所を見る。



しかし、そこには誰もいなかった。



「しまった!」

しかも、残骸が入ったキャリーケースも無くなっていた。

結標淡希は気絶したフリそしていたのだ!

「超一杯喰わされましたね……」

『…どうした』

「とがめ…すまん……実は……」

ゴニョゴニョ…

『そうか…だから…』

「追おうか!?」

『いやいい』

「どうして?」

「そうです。今なら超追いつけます!」

『落ち着け、私達の目標はあくまで『千刀 鎩』の回収だ』

「でも…残骸は」

『心配するな、策は練っておる。な、御坂妹』

「はい、とミサカは自信ありげに頷きます」

「「?」」
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 01:33:36.86 ID:7r0/uhbo0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ぜぇ…ぜぇ…」

結標淡希は、戦いのあったホテルから10km離れた場所にある路地裏に来ていた。

手に持っているのは、旧型のトランシーバーと残骸が入ったキャリーケース、そして鞘におさめられた『鎩』が一本。

「こ、こちらA001からN000へ、座標の確認のあと状況の確認に……」

『ダダダダダダダダダダダダダダダダ…………』

「……ッッ!!?」

銃声が聞こえた。

『子ども誑かせて安全席から御見学とは、いい御身分じゃん!!』

そして女の声が聞こえた。

『…ぅぁ…』『ぁあ』『がぁ…』

マシンガンの音とそれにに撃たれる自分の部下の悲鳴をBGMにして。

「…………」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


全滅だろう。

結標淡希はそう思った。

もう、学園都市内には自分の味方はもういないだろう。

そして、先程戦った者たちも、警備員も、風紀委員も、みんなが揃いに揃って自分を狙ってくるだろう。

連想ゲームの様に順々に最悪のシナリオが築き上げられていく。


「…………………最悪だ…」


結標は今、『鎩』を持ち、キャリーケースを引きながら街を歩いている。

デパートの壁に取り付けられている時計を見る。

午前5時前。

もうじき夜が明ける。


いつもなら、徹夜しても夜明けの時には眠気で頭がボーッとするのに

今日はガンガンと目が醒めている。


最悪のシナリオ。

それは『死』

もしくは『それ以上の地獄』
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 01:48:38.75 ID:7r0/uhbo0

十七年生きてきた。

後者の方はパッと思いつく。


『拷問』『凌辱』『実験台』………etc.


考えただけでも悍ましい。

いずれも人間として扱われず、家畜同然の運命が訪れているだろう。


「……〜〜〜!」

思わず『鎩』とキャリーケースを握る手が震える。

カチカチと顎が震える。



怖い。




結標に恐怖の刀が襲い掛かる。


「で、でも大丈夫よ!!が、学園都市の外へ行けば………、そうよ!学園都市の外へ行けば、外の組織が私を匿ってくれる!!」


大声で、自分の勝利条件を確認する。

まるで恐怖を振り払うかのように。



しかし、今は『千刀 鎩』は手元にない。

あるのは形見離さず持っていた『鎩』の一本だけ。

もう、あの強大な力はない。



「ははは、大丈夫、大丈夫よ。簡単よ、たかがゲートを突破するだけじゃない……」


結標は首をフルフルと振る。


「はははは……そうよ、ゲートをくぐるだけ………。途中で誰かと……超能力者の七人の誰かと出会わなければ、大丈夫………」


結標はそう言って、横断歩道を渡ろうとした。

その時…
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 02:13:01.94 ID:7r0/uhbo0


カッ…カッ…カッ…カッ…


大きな車道の奥から微かながらも、杖を突いて歩いてくる音がした。

結標はその音の正体を見るため、その方向を見る。


「―――――――………ぁ…ぁぁ…」



昔の人は言った。

言葉には魂があると。

口に出したことの魂はたまに、現実となると。

いや、彼女の場合は『なってしまった』の方が正しい。

まさに今起きている状況がそれだ。



「つーかよォ、ちっとばかし無理して出て来たってのによォ。なんだァ?このバカみてェな三下はよォ」

「…………まさか…」

呆然と立ち尽くす結標。

その目線の先には……。


白い男がいた。

白だ。髪の色から肌の色、服装に至るまで、真っ白な男だった。

華奢な体で杖を突いている。

眼は赤く。

そして、彼の身に纏う空気は狂気というものだった。

まるで死者を集める死神。地獄で人を焼く悪魔。人を喰らう鬼。

連想できるのはそれだ。


あとは恐怖と言う言葉しか出てこない。



そして、その男の名は

(……一方通行…………!?。超電磁砲ですら敵わないっていう学園都市最強の超能力者…!?)

結標は後ずさる。
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 02:35:55.80 ID:7r0/uhbo0

「む、無理よ…!あんなのにまともに相対出来る訳……!」

白い男…一方通行は結標淡希に近づいてきた。

ただ、ただそれだけなのに、結標淡希はヒステリックに陥る。


「……ぁ…はっ…はは……知ってるわ!!」

「アア?」

「あなたは八月三十一日に力を失っているはず…。そ、そう、あなたにあの演算能力はもうない…かつての力なんてどこにもないのよ!!」

震える声で、脅える様に叫ぶ結標。

その格好悪い声を聴いた一方通行はと言うと、杖を突いていた逆の手を頭に当てて言った。

「哀れだな…」

「」

「本当に哀れだわ…本気で言ってンだとしたら、思わず抱き締めたくなっちまウほど哀れだわァ」

コキッコキッと頭を曲げる一方通行。

彼の赤い目は憐みの目だった。

「確かに俺はあの日、脳にダメージを負った。今じゃ演算も外部に任せてある」

しかしその目は、だんだん…

「だけどよォ…」

狂気に染まって行く。

「俺がいくら弱くなったところで、別にオメェが強くなったわけじゃァ…ねェだろォがよぉ!……アア!?」

一方通行は地面を軽く踏む。

すると、地面はたちまち地割れを起こし、結標を襲う。

結標はとっさに座標移動でその場から街頭の上に非難する。

と、移動したすぐあとに、後ろのビルの全てのガラスが砕けた。

「」

ガラスの破片から逃げるため、また座標移動する。

今度はビルより少し高い場所…しかし。

目の前には、一方通行がいた。
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 02:50:35.65 ID:7r0/uhbo0

「ぎゃははははははははは!!」

狂気に満ちた目で、気が狂いそうな笑い声を発し、彼は拳を握って、襲い掛かってきた。


結標は思わず、守るべき残骸が入ったキャリーケースを盾に使ってしまった。

一方通行の拳はキャリーケースに触れた瞬間、

針を突いた風船のように爆発した。

残骸が四散する。


「―――――――……〜〜〜っっ!!」



「悪ィがァ!こっから先は一方通行だァ!!」


一方通行は出した拳を引いた。


「大人しく尻尾巻きつつ泣いてェ、無様に元の居場所へ引き返しやがれェ!!」


そして、引いた拳を結標の鼻めがけて突き出した。


グシャア!!


鼻が潰れる音がした。


結標淡希は文字通り吹っ飛び、数十mのビルに激突し、そのまま落ちて行った。



彼女は落下し、ビルの玄関らしきものの屋根に墜落した。

彼女はピクピクッ…と蠢き、気絶していた。

866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 03:12:29.93 ID:7r0/uhbo0


整備されたコンクリートの車道が、戦争跡地の様になった中、一方通行は落ちていた杖を拾った。


「……まァ、確かにこのザマじゃア学園都市最強は引退かもしンねェなァ……」

拾った杖を持って、一方通行は歩き始めた。



「でもなァ、それでもあのガキの前じゃ最強を名乗り続けるって決めてンだ……………………………………………クソッタレが……」



そして、彼も元の居場所へ帰って行った。















とその時、


プリッキュア プリッキュア

プリキュア プリキュア プリキュア

プリキュア~……


携帯が鳴った。

一方通行は高速で携帯にでる。

知らない番号だ。一体誰からだ?

「…だれだ?」

『は〜い♪』

「誰だテメェ!?ご立派に非通知で掛けてきやがって…しかもご丁寧に着信も弄りやがった。こンな着信買った覚えがねェンが何だが!?」

『非通知で掛けるのが基本中の基本よ?それに着信はお宅にいるオチビちゃんでしょう?』

「で、なンの様だァ?」

『ええ、あの女の子、ちゃんと出迎えてくれた?』

「ああ、あンたこのォ一件の依頼主だな?」

『正解!!…で、殺っちたたの!?』

「依頼通り、ちゃンと生かしてオイたよ」

『わかったわ、今回収部隊を向かわせているから』

867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 03:13:21.52 ID:7r0/uhbo0








今日はここで終わります。

明日も書きます。
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/03(金) 03:50:33.73 ID:udjteOpO0

一方さん着信台無しすぎる…
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/03(金) 22:25:43.84 ID:Lfjk539So
ってことは次の着信は今度はおジャ魔女どっかーんだな
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 00:42:11.53 ID:4la+N9Nx0
BLACK LAGOONNを見てたら遅くなりました。

続きを書きます。
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 01:47:25.50 ID:4la+N9Nx0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



コツッ…コツッ…コツッ…。





「………ぅ…………………」



目蓋を開けると、暗く、闇に呑まれていた空がが、東から青、紫、群青とグラデーションが奇麗に描かれ、

周りの景色は段々と、黒から薄い水色へと色が変わり、闇夜で奪われていた視界が明るく照らされた。

冷たくも無く、暑くもない、そんなこの季節の朝の風が、髪を揺らす。

視界一面に広がるビルの群れの谷間の一つが、やけに光っている。



もうじき夜が明ける。



コツッ…コツッ…コツッ…


さっきから足音がする。そして体がその音に合わせて揺れているのがわかる。


あれ?なんで体が揺れているの?



ふと気づき、前を見てみる。


目の前には、ツンツンとした人の後頭部があった。

それが顔に当たっていて痛い。

その人は男のようだ。

彼は白いカッターシャツを着ていた。所々土で汚れてはいるが。

その汚れたカッターシャツからは乾いた男の汗の臭いがする。

でも、彼のその背中がなぜか心地がいい。

サーッとそよ風が吹く。

自分たちが歩いている歩道の隅ににある並木や草が、それに撫でられた。


足…脹脛に感覚がある。

目線を下に向けると、背中の彼が自分の脹脛の下を外側から持っていた。

次に、目線を上にあげる。自分の両腕は、背中の彼の肩に掛けられていた。



あれ?私、おんぶされているのか……。




目覚めたばかりのボーッとしていた頭が、スーッと醒めていく……。
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 02:29:00.87 ID:4la+N9Nx0

「………なに………?」

「お、気が付いたか。よかった」

彼は明るい声で言った。

「………あ、あなたは……?」

あれ?この声、聞いたことがある……。

背中の彼は、明るい声で言った。

「ああ、俺は……」

その時、彼はいきなりズッコケた。


ズサァアアア!!


「ギャァアアアア!!」「キャァアアアア!!」


二人は顔から転がる。


「イテテテテ……何すんのよ!?」

頭を押さえて悶絶する。

誰だ一体…。いきなりドジをかますなんて……。

彼を顔を見る。

「って、あああ!!」

「くっそ…なんだってんだ………、ってなんだ?」

「あなた!!工事現場にいた……!!」


上条当麻


結標淡希の目の前に、彼はいた。




873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 02:29:53.70 ID:4la+N9Nx0
究極に短いですが、今日はここで終わります。
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 15:21:26.30 ID:4la+N9Nx0

「どうしてこんな事にいるのよ!」

「うるせぇ!気絶しているお前をここまで運んでやったのは誰だと思ってんだ!?」

「……な…!なんで!?」

「命令だよ!無理やり脅されてんだよ!!」

上条は怒鳴る。

「つーか、俺がお前を見つけて逃げたあと、いきなり軍隊つれた白衣着たオッチャンが登場してお前を探してたんだぞ!?そして今丁度、必死こいて見つからずに逃げ切ったとこだ!!」

「…〜〜っ!」

恥ずかしい、敵に助けられるなんて。

その白衣を着た男、恐らく木原数多だ。軍隊とは猟犬部隊だろう。

この男に、あの刀を使った自分が実験動物として回収されるところを助けられたのだ。

「べ、別にあなたが助けなくても、なんともなかったんだから…」

「嘘つけ。あのオッサン、言ってたぞ『YAHAAAAAAAAA!!テメェらぁさっさと実験動物回収して帰って、早速生きたまま解剖しようぜぇえええ!!』って」

「………〜〜〜〜〜っ///」

結標は顔を赤くした。



「まっ、まぁ、助けてくれて、ここま運んでくれたのは、か、感謝しているわ。……でもここからは一人で大丈夫」

と言って、結標は立ち上がる。

「おい、無理するなって。まだ体のダメージが抜けていない……」

と上条が止めた。

「うるさいわね……」

結標は上条の忠告を無視し、立ち上がる。

「きゃっ……」

しかし、結標の膝がカクンッ…と落ちた。

「ぅおっと…」

頭から崩れ落ちる結標を、上条は受け止める。

「ほら、言わんこっちゃない」

「……〜〜〜///」
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 15:52:42.80 ID:4la+N9Nx0

「う、うるさいわね!あなたになんの義理があってこんなことをしてんのよ!?」

結標は顔を赤くして上条を睨む。

彼女の問いに、上条は答える。



「そりゃ、お前を助けたいと思ったからだよ」



「………え…?」

結標はキョトン…とした表情になる。

「さっき言ったあのオッサン、お前を『実験動物』と言った。」

上条の声は低く、表情は真剣だった。

「俺は人を家畜みたいに実験するのを見たことがある。それを知っちまったから、お前が『あいつら』と同じ目に合わせたくないって思ったかからだ」

「」

どうしてこの、自分の目の前にいる男は、自分を殺そうとした人間に情けをかける?

私は、あなたを殺そうとしたのに。あなたの身内を殺そうとしたのに。

なぜ?

「それによ、お前あの時、なんだか自分の意志で動いていない感じがしたんだ。まるで操られていたように見えたんだよ、俺には」

「……どういう事?」

その時また、サーッとそよ風が吹いた。

「いや、俺は全然知らないけど」

二人の髪は、そよ風に撫でられる。

「ある奴が言ってたんだ。お前が持っていた刀……『千刀 鎩』っていうだっけ?それの『毒』に当てられたんじゃないか…って」

「『毒』…?」

「まぁ詳しいことは詳しい奴に訊けばいいさ………。とにかく、早く帰ろうぜ」

上条は結標に手を差し伸べる。

結標はその手を取った。

「あ…ちょっと待って、まさかまたおんぶ?」

「ああ、そうなるな…」

「は、恥ずかしいから、べ、別の奴にして!!」

「ああ?しょうがねぇな……」
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 16:39:19.30 ID:4la+N9Nx0

やれやれ…と上条は掴んだ結標の手を肩に回す。

そして彼女の背中と両膝を持って抱える。

って、この体勢は……。

「ちょっと!これって、お、お、おひぇ様抱っこじゃない!!」

「お姫様抱っこな。悪いか?」

「ちょっ……顔が…近…い…から……///」

「?」

上条は顔をかしげる。

「っと…ちょっと掴まってろよ…」

「へっ?」

と、上条はいきなり背中に回していた手を離した。

「きゃっ!」

結標は上半身が落ちそうになるのを阻止するため、上条の首にしがみ付く。

上条は離した手を、結標の額に当てた。

「じっとしてろよ…お前の前髪にゴミついてる……」

「………(顔が…近いぃ!)」

その距離、わずか十五センチ。

「おし、やっと取れた」

と、上条は額に当てた手を背中に戻した。

(よかった、やっと解放される……)

結標が安堵したその時。

上条の足が地面の窪みに取られる。

上条は転びかけるが、なんとかそれには至らなかった。

が、上条の体勢は低くなった。


結標淡希と上条当麻との顔の距離が急激に近くなる。

お互いの鼻先がくっつくほど。

「…なっ……///」

あと数ミリ動かせば、キスができる。

上条の吐息が、結標の唇にあたり、くすぐったい。

「…ぁ…ぁ……///」

結標の頭がオーバーヒトするほど熱くなる。

「……は…は……」

「おお、悪ぃ。足元が見えないから躓いちまった」

「早く…離しなさいよぉ///!!」
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 17:08:48.42 ID:4la+N9Nx0

上条は体を戻し、結標との顔の距離を離す。

「な…何すんのよぉ///!!」

結標は上条の頬にビンタする。

「あべしっ!」

「お、お、おんぶでいいから、おんぶでいいから、お姫様抱っこやめなさい!!」

「イテテテ…わかったよ」

上条は腰を下ろして結標を降ろし、代わりに背中で担ぐ。

(これ、背中に胸があたるから苦手なんだよなぁ…)

上条は溜息一つし、よいっしょっと立ち上がる。

「なによ、その溜息」

「いや、なんにも…」

上条は歩きだす。

数歩ほど歩いたところで、上条は何かを拾った。

「……よいっしょっと」

「あなた、それ……!」

「ああ、これか?」

それは、『千刀 鎩』の中の一本だった。

「俺がお前を見つけたとき、お前はこれを大事そうに持っていたからな。ついでに持ってきた」

上条はそれを後ろに回し、結標を支えるように尻に当てた。
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 17:14:26.33 ID:SwIHvBfIO
荳頑擅辷逋コ
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/04(土) 18:47:23.27 ID:DY/PFi+fo
かわいい
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 19:09:17.75 ID:4la+N9Nx0




200m程歩いた頃だろう。

上条が口を開いた。

「なぁ、お前は何をしたかったんだ?」
上条は静かに訊いた。

「……………」

結標は少し驚いた。

「それとなんでお前はこれを使ったんだ?」

「……」

「お前がそこまで一生懸命になってまでやらなくちゃならない事ってなんだったんだ?」

「…………」

黙っていた結標は呼吸を十ほどした後に答えた。

「私ね、この能力が嫌いなの」

その声はくっついている上条しか聞き取れないほど小さな声だった。

「私の能力…まぁ他の能力者の能力も、人間を傷つけてしまうものばかり……。時には人なんて紙屑みたいにバラバラにできるものもある」

上条の首に結標はぎゅっと抱き着く、恐いものを思い出した子供の様に。

「私はね、その超能力がなんで人間にしか扱えないのか。なぜ人間に近い脳を持つイルカやチンパンジーではなく、人間の年端のいかぬ子供なのか……。それが知りたかった」

結標の声が低く、悲しく声で話す。

「だからね?私はその可能性を確かめる為、最高のシュミレートマシンが欲しかった。すると七月二十八日に“樹形図の設計者”が何者かに破壊されたという極秘情報が耳に入った。私は十中八九、その残骸を米国や仏国を始めとする主要国がこぞって盗みに来る前に、学園都市が回収すると踏んだ私は、残骸を盗み、それを組み立てるための技術と知識を持つ、外の反学園都市組織に持ち出そうとする計画を建てた。私と同じ悩みを持つ同志がいて、それに喜んで賛同してくれたわ……」

上条は下がってきた結標の体を持ち上げた。

「でも計画は難航だった。国内にいる組織とは連絡は取れなかったの。なぜかと言うと、その組織はすでに学園都市の圧力で潰れていたの。そこで仕方なく、海の向こうの中国のマフィアと手を組んだわ。ハッキリ言って信用出来なかった。その中国マフィアは日本の学園都市とアメリカの学芸都市に負けない、新しい都市計画を建てていたの。そこで飛び込んできた私達の計画はまさに天の恵み、喜んで引き受けていたわ。でもきっと組み立てても、私達は使い捨てカイロみたいに捨てられ、殺されるか、よくて豚の如く扱わされる可能性があった。それでも……」

鼻を啜る音が上条の頭の上でした。

「それでも、私達は知りたかった。どんな危険が待ち受けても、知りたかった」

結標はそこだけ、力強く言った。

「……なんで私達がこんな化け物にならなくちゃいけなかったのか?どうして私達にした能力が与えられない?……私達は自分の運命を呪っていたわ」

結標の声は震える。

「動かなくても自問と後悔で身も心を食い荒らされる地獄、だからって動いても、失敗したら死刑台に立つか手術台の上で寝るかの地獄、例え成功しても捨て犬のように銃で蜂の巣か拷問凌辱の悪夢の地獄、どの道私達には地獄しかなかった」

結標は腕の力を入れる。

「最後は迷った。私達はどの道に進んでも地獄は地獄だから……。でもどの道死ぬのならば、願いを達成できる方を選んだ。………決断した夜は眠れなかったわ」

上条は街を抜け、階段を登る。階段を登りきったところには展望台があった。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 20:45:35.45 ID:4la+N9Nx0

「その夜、私は眠れないから外へ散歩し行った。まぁ気晴らしにコンビニに行くだけだったけど………好きな雑誌と紅茶を買ってさっさと帰ろうとしたの。でもその帰り道、ふと裏路地が気になったの。いつもなら気にもせずに通り過ぎるのに……」

上条は階段を登り切った。一息入れ、展望台の手すりに沿って歩き出した。

「ちょっと見るだけで、すぐに引き返すつもりだったけど…足が止まらなかった。まるで足が生きていて勝手に目的地に向かっているような感触だったわ………。裏路地ってほら、たまに広い空間があるじゃない?空き地みたいな……十分くらい歩くとそれがあったの。まぁ空き地自体はそんなに珍しくはないわ、だってどこにでもあるのだもの………。でもそこの空き地は違ったわ。………何が違うかですって?…………そこにはなぜか、日本刀が鞘ごと刺さっていたの。一本じゃないわ、だからって二本じゃない、三本でもない。………千本の日本刀が空き地の地面や壁いっぱいに刺さっていたの、敷き詰められているように。私はその内の一本を抜いた、興味本位でね。月夜に照らされていた刀身が、骨董や刀剣にまったく興味がない私でも、うっとりしてしまうほど奇麗に思えた。それがあなたが今持っている物よ」

その『鎩』は今は結標淡希の尻に敷かれている。

「すると、後ろからゾロゾロと無能力者のチンピラが…武装無能力者組織じゃなくて、普通のスキルアウトだったんだけど…そいつらが来たの。すると哂いながら私を襲ってきた。彼らは私を犯そうとして来たの。虚を突かれたからね、上半身を裸にされたわ。で、私は能力を使って脱がした奴をのしたんだけど、他の奴は怒って、奥からスピーカーを持って来て、何か不協和音を大音量で流してきたの。その音はどうやら強力な能力者の演算を邪魔する為にある様で、案の定、私は能力が使えなくなったわ。そして奴らは私を集団で…二十人くらいで襲ってきた……」

結標はその時の状況を思い出し、怒りで声が震えた。

「あっという間に素っ裸にされたわ。両手両足を押さえ付けられて、乳首を吸われて、恥部を指でグシャグシャに弄繰り回されて……屈辱だったわ。あなただって知っているでしょ?この街の能力者は強度が高ければ高いほどプライドが高い。ましてや無能力者に凌辱されるなんて頭が爆発しそうになるくらい許せないことよ。でも私は気持ち良くなってしまった……イッてしまった……。私はそれが許せなくてやるせなくて……情けなくて……。涙が出たわ」

結標の体が震える。

「今度は奴ら、自分がズボンを脱いで、汚いナニを私の恥部に入れようとしたわ………。私、処女だからその時本当に怖かった……。その時私は誓った。計画の前にこの豚共を殺してやるってね。グシャグシャの肉片にして、文字通り犬の餌にしてやるって…。泣いても許さないって、縋っても許さないって、死んでも許さないって」

結標の手に力が入り、血管浮かぶ。まるで狂気に駆られた殺人者の様に。

「奴らにナニを私のビショビショになった恥部に当てられ、いよいよ処女膜が破られそうになったとき………。空き地にあった日本刀が鞘だけ残して一斉に消えたの。でも周りの豚共はそれに気づかなかった…なにせ私の様な上物を犯そうとするのに必死だったからね。………で、その私の初めてになろうとしたキモチワルイ顔の男の頭に……一本の日本刀が降ってきて刺さったの。旋毛から丁髷が生えているように、鍔まで刺さっていたわ。それを見た他の豚共は一瞬なにが起ったのかわからなかったようで、呆然としていたわ。そして私も。…………呼吸を三つした時、一斉に他の日本刀も降ってきた。日本刀は豚共に降りかかり、串刺しにしていった。でも私にはなぜか振ってこなかった。まるで豚共をピンポイントで狙っていたように………。あの豚共の悲鳴が讃美歌の様に心地よかったわ………。『ぎゃぁぁあ』『助けてくれぇええ』『オカァサーン』ってね。ふふふ…当然の報いよ。私にあんなことをさせたのだから…」

結標の口が歪んだ。

「しばらくたって、日本刀の雨が降りやんだ。私は何とか立ち上がった。そして唖然としたわ。だって奴ら一人も死んでいないのよ?豚共の両手両足に無数の日本刀が刺さっていたけど、それでも奴らは死んでなかった。…………びっくりして、私はペタン…と腰を抜かすと、上空から一本の日本刀が…最後の日本刀が、私の目の前、数センチの所へ降ってきた。…………その時、思わず女の子らしく悲鳴を上げちゃったわ……。その時、その日本刀が話しかけてきたの…。そんな訳ないのに…、無機物が言葉を喋るかと思ったけど、確かに私に話しかけてきた。『私の名前は『千刀 鎩』と申す』って……。それが私と『千刀 鎩』の出会い。私はその刀の柄を握って、抜いた。その時、理解したわ……。『この刀…『千刀 鎩』は私を助けに来たんだ』って……」

結標の声が弾む。まるでその時の出会いが、運命の恋人との出会いを語るように。

「私は手始めに、握っていた『鎩』で、そこら辺に転がって汚い呻き声を発していた豚の一匹の首を刎ねたわ…。切り口からブワァァァア!!って暖かい血が噴水の様に出て来たわ……。あれは見物だったわぁ♪つい面白かったから、もう二、三人の首も刎ねた。穢れた血が私の奇麗な肌にかかるのは嫌だったけど、あいつらの脅えきった顔を見るのが面白くって面白くって……んふふふふふっ……ああ、思い出しただけでも哂ってしまうわ……。でも折角だから、ただ首チョンパするだけじゃ面白くないと思って、いろいろ試したわ…」

うふふふふふ……と結標は不気味な笑い声を発す。
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 21:31:04.59 ID:4la+N9Nx0

「例えば…豚の一匹を座標移動で壁に磔にして、生きたまま、蛙の実験よろしく腸を引きずり出したり……。手の指、手首、肘、肩、足の指、足首、膝、腰、胴、首…人間のパーツと言うパーツを全てバラバラのしたり…。眼を刳り貫いて眼が見えなくして、体のあちこちを『鎩』でバースデーケーキの蝋燭みたいに刺していったりしてた………ああそうそう、あの本物の豚の気持ちを体験させようとして、豚バラ・肩ロース・豚トロ…色々な部位に解体したりした……。一番楽しかったのは生きたまま四肢の肉を骨から削いだ奴かなぁ?………あの断末魔が耳の中で踊っているの。ああ、とっても心地いい音色だったわ……。あの豚共の恐怖と絶望に染まった顔なんて、世界のどこのコメディ映画よりも愉快痛快だったわ!!」

結標は上条の耳元で大声で笑う。



「数時間たって…すべての豚を惨殺し終えたとき…何もかも真っ赤だったわ……。豚も地面も壁も、『鎩』も裸の私も、なにもかもが!その時、私は気付いてしまった。………私は能力を使わなくても、十分化け物だったんだって……。人間をここまで惨殺できる私って、正真正銘の化け物だったんだって!!」

上条の肩がどこからか濡れていく。結標の目からだ。

「……じゃあ今まで私が建ててきた計画はどうなるの?私が最初っから化け物だったんだってことは、私達の計画を根本的に覆す事実なのよ!?超能力が使えなくとも、人は人を殺せる。その事実に気づいてしまった…。でも私はこの計画を止めることができない。だって止めるという事は今まで私に誠実にしたがってくれたあの子たちを自分から裏切る事になるのだから!!」

ひっぐ…ひっぐ…としゃっくりをしながら懺悔する。まるで上条が教会の神父かの様に。

「でももう止められない。私がこの殺人を起こしたことがバレタなら!学園都市は私を拘束し、死刑にする!そして私が建てたこの計画のメンバーが解れば、あの子たちも拘束され、下手すれば全員仲良く絞首刑よ!!」

上条は涙で濡れる肩など気にせずに歩き、彼女の懺悔に耳を傾けた。

「だからもう計画は実行するしかない。一刻も早く計画を実行して、学園都市から離れなければ、私はともかくあの子たちの命が危ない!!………そう思った私は、できるだけ事件を隠すため、真っ赤になった体を近くにあった水道水で洗い、水滴を座標移動で飛ばして、服を着た。その次に死体を血痕ごと、地下800mまで飛ばして逃げた……。『千刀 鎩』を持って…」


結標淡希はふぅと息をついた。
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 21:51:23.73 ID:4la+N9Nx0


「これがあたなの質問の答えよ?どう思った?」

結標淡希はフフフッと笑う。

「これで私はあなたが助ける必要もない殺人鬼なの……わかる?私は化け物よ」

結標は声を低くして、耳元で言った。

「いい?助けないで。放っておいて。捨てて行って。さもないとあなたが持っている『鎩』を奪って、あの豚共と一緒な目に合わせるわよ?」


「……………なぁ」

彼女の脅しに、上条はボソッと答えた。

「お前…そんなことして楽しいか?」

上条が両手で持っている『鎩』を強く握った。『鎩』はカタカタカタッと鳴いている。

「そんなこと言って、嬉しいか?」

「何が言いたいの?私は人を惨[ピーーー]るのが楽しくて楽しくてしょうがないって思っている人間のクズなのよ?ヘンリー・リー・ルーカスよりも残酷な人間よ?」

「……ねーだろ……」

「…?」

「そんな訳ねぇだろが!!!」

上条は吠える。

「」

「そんな訳がねぇ!!テメェ、さっき散々泣いていただろうがっ!!」

上条は展望台の奥にあるベンチへ行き、そこへ結標を無理やり座らせた。

「…痛っ!」

結標は無理やり座らせた上条を睨む。

「なに?あなたには私が可哀そうで弱々しい、あたかもファンタジー小説のお姫様とか言うじゃないでしょうね!!?」

「ああそうだよ!!テメェのさっきの涙はその証拠じゃねぇか!!」

「」

「テメェの涙はなんだった?なんで泣いた!?」

「そ、それは…」

「怖かったんだろ!?自分の手が赤く染まるのが!!悔しかったんだろ!?それを止められない自分が!!後悔してんだろ!?そうしてしまった事実を!!」

上条は結標の肩を強く掴む。


「だったらお前はまだ化け物じゃねぇええ!!未だに可哀そうな女の子だ!!」


「…な…に…いって…」

結標の目は大きく見開かれる。
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 22:08:48.54 ID:4la+N9Nx0


「泣いたっていいじゃねぇか!!恐がっていいじゃねぇか!!」

上条は結標の肩を揺さぶる。

「誰だって後悔する!!誰だって罪を背負う!!それが人間ってもんだろう!!?」

そして、上条は結標の頬を両手で持つ。

「俺の目を見ろ!!」

「」

「俺が、お前を化け物みたいに見る目か!?違うだろ!!お前を見ているのは上条当麻と言う人間の男で、俺が見ているのは結標淡希っていう人間の女の子だ!!その事実は誰にも変えられねぇ!!誰にも変えさせねぇ!!」

「………ぅ…ぅっ…!」

結標の眼に涙が浮かぶ。

「だからお前は泣いていいんだ!!涙を流していいんだ!!人間らしく!女の子らしく!!それは誇っていいんだ!!否定したらダメなんだ!!」

「…ぁ……ぁぁ……」

「もし誰かがお前の涙を哂う奴が現れたら!お前の泣き顔を蔑む奴が出てきたら!!この俺がぶっ飛ばしてやる!!!!!!!」

上条は結標を抱く。ぎゅっと抱く。強く、優しく。

「だから泣け!!ここで泣け!!俺は哂わない!!蔑まない!!俺はお前が泣き止むまで一緒に泣いてやる!!!!」

「…ぁ……ぁ…ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


結標は上条の体を強く抱き返した。

そして、眼に溜まった大粒の涙が一斉に溢れれ来た。

「わぁぁぁぁぁあああああぁあああああああああああああ!!わああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


そして、上条は結標が泣き止むまで、ずっと、ずっと、強く、優しく抱き続けた。
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 22:40:22.51 ID:4la+N9Nx0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

朝だ。

時刻は6時半。


上条当麻は、帰路についていた。

早く帰って、インデックスと否定姫に朝飯を作ってあげなければ…。

…っと、いけない、この子の分も作ってあげなければ……。


上条の背中には結標淡希という女の子が眠っていた。

泣き疲れたのだろう。

涙の痕を頬につけて、ぐっすりと眠っている。

顔でも洗ってやりたいが、生憎ハンカチは持ち合わせない質で、拭こうにも拭くものが無い。


もうじき家に着く。

帰って飯作ってから、すぐに学校に行かなければならない。

徹夜で走り回ってクタクタの状態で帰って、トンボの様に学校へ行くのは些か辛いものがある。


「ああ、そういえば始業式の日もそうだったっけ?」

あの日も散々だったな〜っと呟き、やっとことで学生寮に到着した。

「お〜っす、我が学生寮よ〜ただいまぁ〜。元気にしていたか〜?俺はクラクラだ〜」

と一人ごちながら足を進める。


(ああ、まったく、日常と非日常の掛け持ちみたいなこの生活ってホントにキツイな〜。今日学校休んじゃおうかな〜もう)

しかしそうボヤいていても、出席日数と成績が崖っぷちの上条に神は休息を許さない。

(まったく、神様っていうのは働き者の俺に休息という幸せをくれずに不幸というトラブルをくれるんだよな〜)

「……ってぁあ!今日って七限の小萌先生の小テストがあんじゃん!!………下手すりゃ、また放課後のスケスケみるみるじゃねぇえか!!」

そしてもう一つ、上条は思い出す。

そうだ、しかも今日は七限終了後の30分後に卵の特売があるのだった。

(スケスケみるみるやってたら、貴重なタンパク源を買うチャンスが無くなる)

「…………不幸だ」


と、その時!
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 23:10:14.68 ID:4la+N9Nx0

ダァン!!

足元に銃弾が撃たれる!!

「っうわ!!」

危うく足にトンネルが出来る所だった。

「なんだっ!?」

上条は後ろを振り返る。

そこには…。


「よぉ兄ちゃん。ちょっといいかい?」


男が立っていた。

白衣を着た、顔に刺青を入れた男が。

「テ、テメェ…」

その男の周りには鴉の様な漆黒の装備を着た軍隊がズラリといた。

「あん時いた…奴…」

上条は呟く。

そうだ、あの時……上条が結標を発見し、担いで逃げようとした時に、結標を実験台にしようと連れ去ろうとした男だ。


木原数多は、まるでニヤニヤと笑いながら言った。

「おいおい、あん時いたんなら、声の一つ掛けてくれれば良かったじゃねーかぁ」

木原はあたかも昔ながらの友人の様に上条に言った。


「まぁ、俺は今、お前さんには興味がねぇし、用もねぇ」

「どういう事だ?」

「用事があるのはお前さんの背中にいる、エリザベート・バートリーも真っ青になって裸足で逃げだして、崖からダイブしちまうような女にだよ」

「……テメェ…!!」

「そう怒るなよ!怖ぇな!実際にそこの女は何十人の男共を挽肉にしてんだぜ!?」

「テメェ…撤回しろ!!」

「はんっ…まぁ俺としちゃ…そこの女をおとなしーく渡してくれたら、命だけは勘弁してやる」

「馬鹿野郎ぉ…なんでテメェになんかこの子を渡してやんなくちゃならねぇんだ!!」

「……兄ちゃん…お前…そこの殺人鬼に肩ぁ持つのか?」

「この子は誰も殺しちゃあいねぇ」

上条は結標を降ろし、彼女の体を壁に寄り添わせる。

「すべての元凶はこの刀だ!!」

上条は持っていた『鎩』を木原に見せた。
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 23:36:03.46 ID:4la+N9Nx0

「ほう…」

「こいつが全て悪いんだ!こいつが、これがお前の言う殺人鬼の正体だ!!」

上条は木原に吠える。

それを聞いた木原は……。

「……ぷはっ!……あははははははは!!」

爆笑した。

「そうかいそうかい…。それがねぇ…」

「なにが可笑しい!!」

「以前の俺なら、斬新奇抜なギャグかと見るが…。今の俺はちと違う」

「何が言いたい!」

「はは〜ん、それが『千刀 鎩』か…」

「な!…なぜそれを!?」

「いや、正確には違う!それは『千刀 鎩』の内の一本で、残り九百九十九本は別の所にある……だろ?」

「」

「図星か!いよぉし!いいぞ!今日の頭脳は冴えてるねぇ!……まぁそういう事だ。大人しくそこのガキ残して帰んな」

「さっきから何言ってやがんだ、このクソ野郎!誰が見す見すこの子をテメェらみてぇのに渡さなくっちゃならねぇんだ!!そっちこそそのまま回れ右して帰れ!!」

「へぇ…お前さん、度胸あるねぇ…。いいぜぇそういう男、………風穴開けたくなる!」

木原はポケットから拳銃を取り出した。

「気ぃ付けな…こいつがドタマに当たると、風穴どころか潰した完熟トマトみたいになるぜ!?」

パァン!!


木原が放った弾は上条耳を掠り、壁を砕いた。

上条は瞬き一つもせず、怯まずに、木原とその周りにいる者たちを睨みつける。

そんな上条を見た木原はもう一度笑い、こう言った。

「はははは!!いいねぇ!その目つき!!何が何でも守り通すか…気にいった!!これからテメェは公開処刑だ!!」

木原の周りにいる者たちは一斉にマシンガンを構えた。

「女共々蜂の巣になってしまえ!!」

彼らの狙いは上条と結標だ。

「――――……ッッヤバッ!!」

「………テメェら!!撃てぇえ!!」


そして、彼らは引き金を容赦なく引いた。
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 00:12:09.65 ID:hcrEhdIP0


上条はとっさに結標を庇い、地面に伏せる。

例え伏せても、銃弾は容赦なく二人を貫くだろう、しかし上条は万に一つの可能性を信じて伏せる。




しーん……。




「あ、あれ?」

隊員の一人がそう呟いた。

引き金は引かれたが、肝心の銃弾が出てこない。

「何をしてんだ!さっさと撃てぇえ!!」

木原は怒鳴る。

しかし銃弾が出ない。

「ええい!貸せぇえ!!」

隣にいた隊員からマシンガンを奪い取る。

そして容赦なく、上条に引き金を引く。



カチッ!

しーん……。




「なぜだ!なぜ弾が出ねぇ!!」

木原は怒鳴る。

「なぜだ!?なんで弾が出ねぇんだ!!」

木原は戸惑う。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 00:46:44.93 ID:hcrEhdIP0

「てめぇ!!何か小細工したのか!?」

木原は隣の部下の胸倉を掴む。

「し、しませんよそんなこと!第一俺たちになんのメリットがあるんですか!?」

部下は脅えた声で反論する。

そんな部下を地面に叩き付け、唾を吐く。

そして、上条に怒号を飛ばした。

「テメェ何をした!?何人様の銃に細工をしたぁあ!?」

無論上条は何もしていない。結標もだ、彼女はずっと眠ったままだし、上条は生まれてこのかた、マシンガンどころか拳銃も拝めた事が無い。

「ふざけんな!俺達は何もしていない!!」

「嘘をつけ嘘を!!テメェら以外に誰がいる!?」

とその時、いきなり声が聞こえた。


「はぁ〜い♪おはよう。なんだか賑やかねぇ〜、私よ好きよそういうの♪それと、あんたの言っていることを否定するわぁ〜♪」


女の声だ。

「誰だ!?出てこい!!」

「そう怒鳴らないの、近所に迷惑よ?それともう出て来ているわ♪こっちよ、こっち」

「誰だテメェ!」

「ふふふ…」

声の主は、学生寮に植えてある木の太い枝の上に座っていた。

「私は否定姫。以後お見知りおきを……」

「何モンだ?…もしかして、そこで女ぁ抱いて寝ているガキの女か?」

「それを否定するわぁ〜。そいつは私の下僕よ。安心しなさい」

「ああそうかい、だったらさっさと死んじまいなぁ!!」

木原は否定姫に拳銃を向けた。


「汝、ソノ弓ヲ向ケルベカラズ。我、ソノ矢ニ当タラズ」


カチッ

しーん…。


「女ぁ、テメェ何をした?」

木原は問う。

「さぁ?例え言っても、あなたの様な岩石頭には、一千年かけてもわかんないかもね」

「ムカつくねぇ…あのクソガキ並にムカつくねぇ…」

一方、上条は知っている。

否定姫がしたこと、それは……。

「ま、魔術か…」

そうだ、否定姫はインデックスから魔術を教えられていた。

十万三千冊と言う魔導書を全て記憶している、魔導図書館にだ。
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 01:13:36.57 ID:hcrEhdIP0

「ふふふ、他にもこんなこともできるわ♪」

否定姫は笑って呪文を唱える。

「汝、右ノ手デ自ラノ首ヲ獲リ、我ヲ、大イニ楽シマセヨ」

すると途端に木原以外の隊員の内、半数が一斉に自分の首を右手で絞め始めた。

「がぁぁあ!!」「ぁあああ!」「ぉぉおあ!!」

隊員たちは声にならない悲鳴を上げる。

「あはははははははは!!」

否定姫は楽しく笑う。

「テメェ…いい加減にしやがれぇ!!」

「いいわぁ〜、やめさせてあげる♪」

と、否定姫は歌うようにまた、呪文を唱える。

「汝、手ヲ休メ、速ヤカニ地ニヒレフセ、我ヲ、退屈サセヨ」

と、それを聞いた首を絞めていた隊員たちは一斉に倒れた。

「……………」

それを見た否定姫は退屈そうな表情で木原に言った。

「ねぇ、もうわかったでしょ?今の内よ?さっさと帰ってお母さんのおっぱいでも啜っていなさぁい♪」

「はっ!俺にはおかぁちゃんとかいうもんはとうの昔に仏さんよ!!そしてテメェもそれ倣って逝くんだよぉお!!」

木原の手にはロケットエランチャーが握られていた。

「汝、タダチニ打チアガリ、我ヲ、感動サセヨ」

「木端微塵になれぇぇええ!!」

ロケットが発射された。

しかしロケットは否定姫ぬ向かわず、上昇した。

「…なっ!」

ロケットは遥か上空で花火の様に爆発した。

ドォォォン!!
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 01:50:34.70 ID:hcrEhdIP0

「奇麗な花火……」

否定姫は花火を見る。

「さて、程々にしないと死人がでるわよ?」

「てめぇえ!!」

「そうねぇ…例えばあなたの後ろで使えない銃を握っている部下たちの首が圧し折れるわよ♪」

「やれるもんならやってみやがれぇええええええ!!」

後ろの部下たちは一斉に持っていた手榴弾を持った。


「………忠告しいたわよ」


と否定姫は冷たく言い放った。

すると、部下たちは手にしていた手榴弾を落として倒れた。

ドサドサドサッ…

彼らの首は有り得ぬ方向に圧し折られていた。

「……な…何が起った!?」

と、誰かがピンを抜いたのか、手榴弾が爆発し、他の手榴弾も一斉に爆発した。


大爆発を起こして、木原を吹っ飛ばした。

「ぎゃぁあああああ!!」

テーンテーンと木原はサッカーボールの様に転がる。

「あははははは!!」

否定姫の笑い声が聞こえる。

「ねぇ、あなた面白いわね。弥次さん喜多さんみたいよ?」

転がって行った木原はどういう訳か、生きていて、立ち上がった。

「うるせぇええ!!テメェなんざ、この俺がそのムカつく顔面を削ぎ落としてやる!!」

木原が吠えた。しかし



「不叶。その願いは叶わず。むしろ貴様が姫に触る事どころか、近づくことすらも叶わん」



と言う声が木原の背後から聞こえた。

892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 02:38:21.50 ID:hcrEhdIP0

男の声だった。

「誰だテメェ…」

「不答。その答えには答えぬ。貴様の様な野蛮な者に名乗る名は無い」

「いいから答えろ!!」

木原は後ろに振り返る。

しかし、

「な…消えた!?」

声の主は文字通り消えていた。


「不消。私は消えてはいない。」

また、木原の後ろから、声が聞こえた。

「いい加減にしねえと、怒るぞ!!」

木原は後ろにいる謎の男に前を見たまま、拳銃を突き、発砲する。

パァン!

「!!」

突然の発砲に男は驚いた。

しかし、

「不当。貴様の様な杜撰な奇襲では、私の眉間には当たらん」

ようやく、木原の目の前に男が現れた。

「なんだぁ?奇妙奇抜な恰好しやがって…」

木原の言う通り、その男は奇抜な格好だった。

昔の欧州の執事のような時代外れの洋装のような格好だ。

そして『不忍』と書かれた仮面で顔を隠していた。

まさに奇妙奇抜。

「不勝。貴様の恰好には流石に負ける」

「いや勝ってるだろっ」
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 03:49:34.24 ID:hcrEhdIP0

その時、否定姫が口を挟んだ。

「ねぇあんた、もう退散したらどう?」

「なんだとぉ!?」

「まったく三下の台詞ね。このままいけば一分もかからずに首が飛ぶわよ♪」

「……〜〜〜っ!!」

「不追。例え貴様が尻尾を撒いて逃げても私は追わん」

「…テメェら!!あんまり舐めてっとぶっ飛ばすぞ!!」

「不飛。貴様が姫に髪一本でも触れてみろ、その瞬間私や姫でなく、貴様が飛ぶことになるぞ」

「…くっ…。覚えてやがれぇ!!」

木原は踵を返し、彼らが乗ってきた車に乗り込んだ。

「転がっている奴らはテメェらで処分しやがれ!!」

木原が乗った車は颯爽と去って行った。

「その要求を私達は否定するわぁ〜」

と否定姫。

「汝、直チニ起キ上ガリ、死シテイル者共ヲ抱エ、我ヲ関心サセヨ」

否定姫の呪文で、倒れていた者達が一斉に立ち上がり、首を折られた者達をお姫様抱っこした。

「うん、関心するわ」

「汝、速ヤカニ先程去ッテ行ッタ者ヲ追ッテ姿ヲ消シ、我ノ、邪魔ヲスルベカラズ」

と、続けて呪文を唱える。

すると、彼らは走って木原の後を追った。

「さて、邪魔者は消えましたっと♪」

否定姫は背伸びする。そこへ謎の男は彼女がいる木の、下へと瞬きをする間もない瞬間で移動した。

「ご立派でした。そしてお久しぶりです、姫様」

「久しいわね、右衛門左衛門♪」

と言いながら否定姫は木から降りようとする。

右衛門左衛門と呼ばれた男は否定姫に手を差し伸べる。

「姫様、お手を……」

「あ、ありがとう…」

右衛門左衛門の手を否定姫は取り、彼の助けで木から降りる。

降りた否定姫は汚れた尻をパンパンと叩き、結標淡希を庇って倒れている上条当麻の向かって叫んだ。
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 03:59:02.62 ID:hcrEhdIP0

「おーい、いつまで寝てんのよ?さっさとご飯作りなさい。私は今、お腹が減っているのよ!?」

「あ?あいつもう大丈夫か?」

「ええ、今日はもう大丈夫よ」

「そうか〜。あ〜死ぬかと思った。それと一つ訊いていいか……?」

「姫様。畏れながら、一つお伺いしてよろしいでしょうか……?」



「こいつは誰だ?」

「この少年は何者でしょうか?」



両者ほぼ同時の質問。

彼らの質問に、否定姫は…。



「あ〜、答えるは面倒だから、先にご飯にしましょ?」




それが彼女の答えだった。



895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 04:15:58.93 ID:hcrEhdIP0
今日は以上です。

今日はいつもより大量に書きました。

特にスゲーエグイ件はしんどかったです。目が痛いです。

まぁあれはぶっちゃけ飛ばしてもらっても十分結構です。(だったら何で書いたの?)


今日か明日…まぁ今週には1000行くと思うので、さっさとVS結標淡希『千刀 鎩』編を終わらして、次の章に続けたいと思います。




あと、木原ファンの皆様、木原くンが負け犬っぽくなってしまって申し訳ございませんでした……。



これからも、頑張って書いて行きますので、よろしくお願いします。





PS.

『結標淡希、中国マフィアに連れられて、ロアナプラで張さんの紹介でラグーン商会に入社』ってのを考えました。

だれか書いてくれないかな……。
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/05(日) 10:54:52.39 ID:nY2OOlxCo
お疲れ頑張ったな
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 12:43:21.12 ID:Zqe/E3F1o
>>895
>>ラグーン商会に入社

よし早くかけ
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 20:30:47.42 ID:hcrEhdIP0

こんばんは、今日も書いて行きます。


>>895>>897のネタはやってみたいんですが、ワタクシ銃の知識とかあの作品独特の言い回しの元ネタが殆どわからなかった人間ですので、

書くのは知識を付けてからだと思います。


なので、ワタクシじゃなくて、他の人が書いてくれたらなぁ〜。

と思っています。
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 21:35:00.82 ID:hcrEhdIP0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「で、お前は一体なんなんだ?」

上条当麻はちゃぶ台に、白米が盛られた茶碗を出した。

「不答。貴様の様な下賤な者に名乗るななど無い」

仮面の男、左右田右衛門左衛門は答えた。

「テ、テメェ……ッ!」

上条は頬をヒクヒクさせながら、作り笑いした。




上条たちはあの後、とりあえず朝食をとる為に部屋に行った。

その時からこの二人、上条と右衛門左衛門は仲が悪い。

右衛門左衛門はどうやら否定姫が上条の部屋で厄介になっている(文字通り上条にとっては厄介だ)のが気に入らないようだ。

突っ掛る右衛門左衛門に売り言葉に買い言葉で上条は喰いつく……そういう構図になってしまった。


先程も、上条が先頭にでて部屋に向かおうとしていたが、右衛門左衛門は

「貴様、姫様よりも先に出るとは何事か」

と叱責された。

それからだ、二人はつんけんしているのは。




上条はちゃぶ台に自分の茶碗を置いて座った。

彼の正面には否定姫が座り、その後ろに右衛門左衛門が座っている。

「なんだ?テメェ…朝飯抜きにすんぞ!」

「不困。そんなこと、私にとっては何も困らない」

「はぁ!?」

「私は隠密の任務を遂行するのは勿論、姫様が如何なる場合でも安全に且つ快適に過ごせるよう、日頃から一流の料理をお出しし、お着になされる物には染みを一偏も残さず洗濯し、床には針なんぞ一つも残さず掃除していたのだ。貴様の様な小童が居ろうが居まいが全く関係ない」

「………テメェがそんなに甘やかすからコイツ、こんなにワガママになったんじゃねーの?」

「不許。貴様、姫様に向かって此奴呼ばわりなど、その汚い舌を引抜いてやろうか」

「おお上等だバカ野郎。人様のウチにゾロゾロと上り込んでさっそく文句をタラタラ流すその口を針で縫ってやろうか!?」

二人は立ち上がり、メンチを切る。

「やめなさ〜い。右衛門左衛門、座りなさい。そこの馬鹿もさっさと座りなさい」

「姫様の仰るとおりに……」

「…バ…カ…だと……?」

上条が怒りでフルフルと震えていると、彼の袖をクイクイッと引くものがいた。

「とうま…」

クイクイッ

「とうま…」

「なんだ!?今忙しい……とこ…」

「この人たち、誰?」

「インデックス……さん?」

上条の隣に“ずっと”“ずっと無視されていた”インデックスがいた。そして、彼女が纏うオーラはなぜか黒かった。
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/05(日) 21:44:00.79 ID:ndPadNjQ0
不飛はとばずだよな
ふひwwと脳内変換された
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 22:43:11.27 ID:hcrEhdIP0



ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ……………!!




上条の悲鳴は、学生寮の外にまで響いていたという。


「とうま!なんでさっきから無視するの!?どれだけとうまのことを呼んでいたと思っているの!?」

「イタタタタタ!!インデックス!だから噛み付くな!!イッタタタタタタ!!つーかいつの間にいたんだよ!?」

「ああ、インデックスちゃんなら、この部屋に帰ってきた時からずっとあんたの隣にいたけど?」

と否定姫。

「………………」

「………………」

「……姫、それは真でございましょうか…」

と銀髪碧眼の姫に問う上条。

「そうなんだよ!とうまが帰って来たとき!おかえりって言ってあげたのに無視して!あげくの果てにはずっと、ずーっととうまを呼んでいたのに、無視を強行するし!!」

「ぎゃぁああ!!わかった、わかったから!すまんかった!あん時は頭に血が昇っていてお前の事忘れていたんだ!!」

「忘れていた!!とうま、それってどういうこと!?ひどい!ひどいよ、とうま!!」

「ぎゃぁあああああああ!!だから噛み付くなぁああああああ!!」



数分後…。

「二人とも、紹介するわね♪ この男は左右田右衛門左衛門。私の下僕よ♪」

と否定姫だ右衛門左衛門を指さして言った。

「左右田右衛門左衛門だ」

と、彼は少し頭を下げる。

「で、こっちの銀髪の子がインデックスちゃん。こっちのウニ頭の方が……なんだたっけ?」

「上条当麻だ!いい加減覚えろよ!!しかもウニ頭ってなんだ!?一応、俺流でオシャレしての髪型だ!!」

「……まぁいいわ。二人とも私を助けてくれたの」

「無視かい!」

否定姫は話を続ける。

「そうでしたか」

右衛門左衛門はインデックスの方へ向いた。

「我が主を助けていただき、礼を言う」

「いえいえ、教会に属する者なら当然のことをしたまで!」

なぜだろう、自分がこの部屋にいない気がする。

そう思った上条であった。
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 23:48:42.52 ID:hcrEhdIP0
今日は短いですが、ここで終わります。
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/06(月) 01:12:07.85 ID:JRAv0UKGo
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/06(月) 10:15:07.45 ID:KcKyLfyIO
上条さんかわいそうだ
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/06(月) 22:51:18.22 ID:aN//sRtt0
すいません、ネタを練るので今日は休みます。
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)[sage]:2011/06/07(火) 03:17:25.86 ID:JSBbI6an0
上条xあわきんは見ていて癒されるなぁ・・・
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/07(火) 21:52:33.90 ID:w2scWVrE0
こんばんは、今日はがんばっていきます。
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/07(火) 22:33:53.11 ID:w2scWVrE0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねぇねぇひていひめ、その敵をどうやって倒したの?」

そう、インデックスが訊いた。

彼女の右手には箸が、左手には白米が入った茶碗が握られていた。

口の周りをご飯粒だらけにしていて、大変汚い。

しかし否定姫は嫌な顔をせずに、そのご飯粒達を摘まんだ。

「……ふふふ。知りたい?」

と、その時上条が「ごちそうさま」と合掌して立ち上がった。

「どうせまた魔術だろ?あの感じは十中八九そうだ」

上条は自分の食器を重ね、台所に持っていく。

「俺も馬鹿じゃない……勉強はできないけど……、感覚でわかる。伊達に今まで死にかける程のケンカを多くしちゃいねぇよ」

食器を水につけて、今日の昼食の弁当を出す。

これから学校に行く上条の分は勿論、インデックスと否定姫、それと今日追加された右衛門左衛門と、今は上条のベッドで寝ている結標の分だ。

「俺は今から学校へ行く、昼はここに置いてある弁当を喰っておいてくれ。結標のは、目が醒めて喰えるかどうか様子見てから出してやってくれ。もし喰えなかったらインデックスが食べる。OK?」

「うん!わかったよとうま!」

とインデックスは食事が増えたとこが嬉しいのか、声を弾ませた。

「あと否定姫!帰ったら昨日のこと、ちゃんとすべて丸々報告してもらうからな!もちろん今朝のも!!」

上条は汗で臭くなった体を洗いに行くついでに、砂と埃まみれの制服を奇麗な制服に着替えに風呂場へ行く。

「ああそうそう、インデックス!早く食べ終わらないとその飯を取り上げるからな!!」

「ええ〜とうまのイジワル〜!」

「早く喰い終わらないお前が悪い!お前これで飯五杯目だぞ!?」

「いいじゃないとうまのケチ!!」

「そうよ?」

と否定姫。

「育ち盛りなんだから、いっぱい食べないとねぇ〜?」

「ねぇ〜?」

「「ねぇ〜?」」

「『ねぇ〜?』じゃねーよ!さっさと喰えよ!喰ってくれよ!!こっちとらスクールバスの時間にギリギリなんだよ!!」

「だったらさっさと着替えてきなさい?」

「ええいクソォ!!」

ダダダッ…。

バタンっ……!
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/07(火) 23:50:39.28 ID:w2scWVrE0
数分後……。


「じゃあ行ってくる!留守番頼むぞ?」

「はぁい、いってらっしゃーい」

「いってらっしゃーい、とうま気を付けてねぇ〜?」

と満腹になって床に寝転ぶインデックスと、インデックスと並ぶように寝転がってテレビを見ている否定姫は上条を声だけで見送った。

「…ぅ…心無いない見送り…」

しかしもう慣れた、そのことにもなぜか悲しくなってきた上条はドアノブに手を掛ける。

その時、否定姫が声を掛けてきた。

「ああそうそう、上条!」

「あ?なんだ?」

「昨日のこと、今朝のこと、いずれも他言無用よ。それだけはお願いね?」

「ああ、わかったよ。そんなモン誰に言ったって信じちゃくれねぇよ……。じゃあ行ってくる」

バタン…。

と、上条は出て行った。

と思ったらすぐに引き返してきた。

「なに?忘れ物?」

「財布忘れるところだった」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



自分はつくづく不幸な人間だと思う。

先程、財布を取りに部屋まで行ったが、結局なかった。

そうだ、それはすなわち……。


「財布落としたぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」


今、上条当麻は走りながらダッシュしている。

財布を探していたせいで、バスはタッチの差で出てしまい。

と言うか、金など一銭もないのにどうやってバスに乗ろうとしたのだろう?


「…くっ…ポケットに奇跡的にバス代があったから良いものの…バスが無かったら意味無ぇじゃねぇかぁぁぁぁあ!!」


上条は走る。現在時刻八時〇五分。出席数・内申点・成績、全てがレッドとイエローを混ぜたような色なのだ。

毎度の事件のせいで度重なる入院。

元々出来の悪い頭に追討ちを掛ける様に襲ってくる睡魔との激戦のせいで授業は頭に入らず。

しかしそれでも頑張って徹夜で勉強して臨んだ小テストは解答欄が一つずつずれていて結局赤点。

遅刻をせまいと早めに学校へ行こうとも、途中で鴉や野良犬の大群に追いかけられ、遅刻。


そして今、通学路の全ても信号に引っかかっていた。

そのことに弄らしいと近道を通ろうとするも、通る道々は道路工事で通行止め。

引き返しては進み、引き返しては進み……。

結局はいつもの正規の道を進めば一番速かったなんて、今は言ってられない。
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/08(水) 00:35:52.27 ID:FpnUJF7h0

「あははははぁ!あるある!あるよね!みんなあるよね!?そんなこと!あはははははははっ!!」

泣き笑いしながらいつもの通学路を突き進む。

周囲の怪しい目なんぞ気にする場合か。そんなことよりも遅刻の方が嫌だ。

とにかく今は走れ、メロスの如く走るのだ、上条当麻。

メロスは沈む太陽よりも速く走ったらしい。

そうだ、メロスになれ。メロスになるのだ。

走っている途中で山賊に襲われたり、川に落ちたり、服が破けて裸になったりはしたくないのだが。

というか実際にそうなってしまいそうだと思ってしまう自分がいるのが嫌だ。

「だっしゃぁぁぁぁぁぁあああ!!」

上条はその襲い掛かってくると予測できる“不幸”を追い払おうと、絶叫しながら……訂正する、ヤケクソに全力疾走する。


まぁ、某アニメOPで主人公が走っているシーンを、視聴者が何秒で走っているのか計算した所、

ジャマイカのボルトさんが真っ青になるタイムで走っていたことを、彼は知らない。


「ふふふふふ、あはは、あはははははは!!………不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」


上条は顔の上半分は泣いて、下半分は笑い走っていた。

すれ違った人たちは気味悪そうな顔で上条を見る。

(あはははは!不幸だ、ああ不幸だぁ、こんちくしょぉぉぉぉぉおおおお!!)

とそこへ、一台のタクシーが上条の横へ追ってきた。

プププッーーー!

クラクションを鳴らし、タクシーの後部座席の窓が開いた。



「おうおう、朝っぱらからジョギングとは精が出るにゃー、上やん?」



と、後部座席に乗っていた奴が喋り掛けてきた。

「このふざけた喋り方は…土御門か!?」

「そうだにゃー?」

土御門元春は全力疾走の上条を、フザケタ顔で応援する。

「ほーれほれほれ、上やん頑張れにゃー」

「テメーこの野郎!!乗せてきやがれ!!一人でタクシーなんざ乗りやがってぇ!!」

上条はつっ走りながら土御門を睨みつける。

「………いくらだ?」

「…はぁ!?」

「いくらで乗る?」

「テメェ!金取んのかよ!!」

「当たり前ぜよ、これはタクシーだぜぇい?金を払ってタクシーだよなぁ、上やん?」

「あーくそ!!五〇〇円!!」

「………なにも聞こえないにゃー」

「七〇〇!!」

「え?なんだって?」
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/08(水) 00:44:25.26 ID:FpnUJF7h0

「あーもう!千!千円でどうだ!?」

「運転手さーん?もうHR始まっちゃうから飛ばしてくんないかにゃー?」

「あいよー」

「あああ!?わかった!!わかったから!!お前が望む条件でぇえ!!」

「よし乗れ!」

キキィッ!!

タクシーは止まる。

「ああ助かったぁあ!」

タクシーの後部座席のドアが自動で開き、上条はそこから突撃するかのごとく入る。


そして、タクシーは上条と土御門を乗せて走って行った。


























―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今日はここまでです。

わかる人はわかるのですが、某アニメのとあるシーンをウニとロリコン軍曹でやってみました。

わかる人はわかります、…………きっと。
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/08(水) 20:39:49.37 ID:FpnUJF7h0

さて、続きです。今日も頑張っていきます。
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/08(水) 21:30:09.97 ID:kbH8tUbpo
うむ頑張れ
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/08(水) 22:10:48.09 ID:FpnUJF7h0

「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ……あ〜助かった」

上条は土御門の隣に座り、暴走する心臓を宥める。

「いや〜助かったよ土御門。あそこでお前がいなかったら完全に遅刻だった」

上条は土御門に礼を言いながらカバンに入ってある水筒を取り出した。

「いや〜お褒めにあずかって嬉しいにゃー」

土御門はヘラヘラしながら右手を胸ポケットに忍ばせている。

「そう言えば土御門、どうしてタクシーなんかに?」

「ああそれはちゃんとした理由があるからぜよ?」

「理由?」

土御門は胸ポケットから携帯電話を取り出し、上条に見せた。

「上やん、お前に一つ話しておきたいことがあったからだ」

「……」

土御門の声が低くなった。あのフザケタ口調は微塵もない。

どうやら真面目な話の様だ。

「どうした?」

土御門は携帯のワンセグでテレビ番組を見せてきた。

学園都市のテレビ局が毎朝やっているニュース番組だ。

「これを見てくれ」

「これは…?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『では、今日のニュースです。近頃学園都市に謎の“刀”のような物が現れたようです。数日前から各地で傷害事件が相次いで報告されていました。当時の捜査ではそれぞれの事件は関係ないと見られていましたが、昨日の夜、第七学区の三ヶ所で日本刀での傷害事件が発生した模様で、犯人はまだわかっていません。

また先日、同じ第七学区の裏路地で日本刀と大きな鎧を持った二人組のスキルアウトが傷害事件を起こし、そのまま逃走したという事件と、第十七学区では日本刀を持った大きな人形が人を襲うという事件があり、学園都市統括理事会はこれらの事件には何らかの関係性があると見て捜査しています。

生徒の皆さんはもし怪しい物を発見した場合は近くの警備員に通報し、絶対に近付かないようにしてください。

さて今日の解説は伊勢之守大学助教授 疋田景兼さんです。おはようございます』


『どうも』


『先生から見て、今回の事件は……』



「ふ〜ん……やっとこの街は私達の……否、四季崎記紀が造りし完成形変体刀十二本の存在に気付き始めている……。ふふふ♪やっと面白くなってきた♪」

上条が土御門とタクシーに乗っている頃、上条宅にいた否定姫は寝っころがってテレビを見ていた。

上条達が見ているニュース番組だ。
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/08(水) 23:02:00.00 ID:FpnUJF7h0

「ひていひめ〜、この子の傷を治す魔術の準備ができたよ!」

と否定姫の後ろのテーブルでインデックスは

上条のベッドで眠っている結標淡希の先の戦いで負った傷を治す魔術を

発動する為の神殿を作っていた。

「ああありがとう、インデックスちゃん。お礼に、ハイ!アメちゃん♪」

「わーい!」

インデックスは否定姫から飴玉を貰う。

完全に否定姫はインデックスの扱い方を覚えていた。

何か食べ物を与えれば何でもいう事は聞くだろうと。


否定姫はインデックスから数々の魔術を教えてもらった。(と言うより、お菓子で釣って教えてもらった)

今回はあの日、七月二十日でインデックスの傷を癒した魔術だ。

あの魔術は色々と危険だが、否定姫には問題ないだろう。

「ねぇ、ひていひめ」

「なぁに?インデックスちゃん」

「昨日何があったの?とうまは何も話してくれないし…。いつもそうなんだよ?勝手に私をスルーしてどこかに消えるし、見つければ大概は病院にいるし、怪我ばっかりしているし…」

「大変ね〜、まぁ突っ走ってコケて怪我をしても何が何でも言わないってのが男って生き物だから……」


しかしそう言った否定姫はふと思った。

だったら、あの女はどうなのだろう…。

自分の復讐の為に、煮湯も泥水も飲んできていたのに、道半ばで格好悪く死んでいったあの奇策士の女は何なのだろうかと……。

まぁいいか、そのあと虚刀流の男が代わりにその復讐をやってのけたのだから。


「それは後で言うわ。それよりこの子を治しましょ♪」

そして、結標淡希から『千刀 鎩』のことについて洗いざらい話してもらおう……。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「という訳だ、上やん」

昨日の事件のことのニュースが流れていた。

(やっべぇ〜、昨日のことだ……。そういえば否定姫の奴、いずれ世間に知られるとか言ってたけど……そういう事か!)

上条の表情は平然を装うとしているが、顔中の大量の汗と、引き攣った表情がより、怪しく見える。

「へ〜そんな事が起ってたんだ〜。知らなかったよ」

「上やん、何か知らないか?」

「いや〜上条さんは、な〜んにも知りませんよ?」

「上やん、何か隠してないか?」

「いや?まったく」

「上やん、汗が凄いぞ」
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/08(水) 23:34:59.78 ID:FpnUJF7h0

「それはさっきメロスの如く突っ走ってたからじゃない?」

「上やん、顔が引き攣ってるぞ」

「それは相変わらずの土御門のファッションセンスに笑いを堪えているからさ」

「上やん、さっきから震えているぞ」

「実は昨日テレビで、激しい運動の後に貧乏揺すりをしたら、乳酸が取れるっていうのを見たから。それだよ」

「上やん、顔が真っ青だぞ」

「それはあれだ、このタクシーのクーラーが寒いからだよ。運転手のオッチャン、クーラーを暖房にして〜」

「あいよ〜」

「上やん、それはやめてくれ、そとは残暑で灼熱地獄だぞ」

「あそうなの?ごめん」

「上やん、最初っからずっと、台詞が棒読みなのだがどうしてだ?」

「………それはあれだよ、俺は……そう!ロボットの練習だよ!この前、吹寄に頼まれて第六学区の遊園地のマスコットのアルバイトを頼まれていて、それの喋りかたの練習だよ!!?」

「上やん、そこの遊園地のマスコットにはロボットはいないはずだが?」

「………行ったことあんの?」

「夏休みの最終日、舞夏と一緒に一日中そこの遊園地にいた」

「…………」

「上やん、もう一度聞く。何か隠していないか?」


『昨日のこと、今朝のこと、いずれも他言無用よ。それだけはお願いね?』


上条の脳裏に、あの女の声が聞こえてくる。

恐らく否定姫は魔術でこのことをずっと監視しているだろう。

もし、もしもだ、このグラサンロリコン軍曹にあの事を話したりしたら…。


上条家に俺の居場所がなくなる。


俺のウチなのに……。


(つーかコイツ、俺があの日散々な目に会っていたのに義妹と一緒に遊園地だとぉ?舐めやがってぇ…)

「お、俺はなんにも知らん!!何もしてないし、関係もない!!」

土御門はグイッっと上条に顔を近づけて来て、ドスの効いた声で訊いた。

「上やん……じゃあどうして、ウチの学生寮に軍隊が来んだ?」

「」

「そして、なんでお前は、結標淡希を担いでいたんだ?」

「……」

「そして、数日前からお前のウチに住み着いているのは、一体誰なんだ?」
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/09(木) 00:12:05.64 ID:gnZ7VfKm0

「ナ、ナンノコトデショ……」

「しらばくれんな、こちとらすべて丸々御見通しなんだよ。で、ヒテイヒメってだれなんだ?」

「………は、はぁ?ど、どどど、どこのお姫様なのかにゃー」

「人の口調パクってんじゃねーぞ。数日前から、お前の部屋からしゃべり声がずーっとうるさかったんだが」

「」

「あと、お前のウチから魔術を使ったような痕跡があったんだが…」

「し、知らねぇ…」

と上条が言うと、土御門はいきなり彼の喉にナイフを当てた。

「」

「上やん、お前、ふざけてんのか?これは学園都市の危機だ。もしもあんなモンがどっかの反学園都市組織に渡ったら、十中八九攻めてくる。ヘタすりゃ甚大な被害を受ける。死人もでる」

「や、やめろ、つ、土御門!ほら、関係ない運転手のオッチャンがいるんだぞ!?」

「安心しろ上やん、このオッサンは俺の同僚だ」

「」

「マジ?」

「ああ、マジだ。大マジだ。……なぁ?」

と土御門は運転手のオッチャンに訊く。

「ええ、そうですよ。……しかし土御門の旦那、ここで人を脅すってぇのは別にいいんですけどねぇ?このタクシーを血の海にするのは頂けねぇや。この車には愛着があるし、掃除するのは私ですぜ?」

「そ、そうだ土御門!運転手のオッチャンに免じて、ここは勘弁してくれ!な?」

「安心しろ、金は払う」

「ならいい」

「ノォォォォォオオオオオオ!!」

薄情者め…。

「上やん、運転手のオッサンの許可も得た。あとはお前の意志だ。話してお前さんのお姫様に泣いて謝るか、話さずして喉を掻っ切られて一生声が出ない生活を送るか」

冷たいナイフの刃が、上条の首に当たる。

「……ヒッ…」

上条はグラサン越しの土御門の眼を見る。

「どっちだ、上やん」

この眼は…………殺る眼だ。

「わ、わかった!!話す!話すから!!」

「ならさっさと言え」

「その前にナイフをしまえ!!」
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/09(木) 00:41:55.54 ID:gnZ7VfKm0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「なるほど、そういう事だったのか」

「…………」

上条は昨日、今朝起ったことを洗いざらい話した………いや、吐かされた。

(こ、殺される……ぜってぇ殺される…)

顔を真っ青にして、地面にめり込むんじゃないかと言うくらいにテンションが下がった上条は、帰宅後になるだろう自分の現状を呪っていた。

「……なるほど…わかった。とりあえず、結標淡希はお前のウチにいるんだな?」

「ああ…そうだよ…」

「そんなにゲンナリすんなよぉ、上やん!」

バシバシッと土御門は上条の背中を叩く。

「まるで連敗中の阪神ファンだぜぃ?」

「うるせぇ、俺は横浜なんだよ…。今を時めくベイスターズなんだよ…。……つーかこのテンションはテメェのせいだ」

「いいじゃねぇか、毎度毎度の“不幸”だぜぇい?そんなもんいつものことじゃねぇですたい」

「あーもーうるせぇよ。………で、俺に何をしようっていうんだ?ただ話を聞くだけじゃないんだろ?」

「おお、察しがいいねぇ上やん。明日からの土日の話にゃー」

「おい、大覇星祭の準備はどーした」

「そんなもんサボっちまうにゃー、今はそれどころじゃねーんですたい」

「と、言うと?」

「実は学園都市に数人、この街の者でない輩がいる」

「」

「そいつらは妙な恰好をしているらしく、すぐに見つからないらしい」

「………おい、まさかそいつらの捜索じゃねぇだろうな」

「ピンポーン!今日はさっしがいいにゃー」

「いや、自分がこれから会うかなと思った不幸を言ったまでだ………不幸だ…」

「まぁそう言うなよ上やん、お前は数々の女の子を救ってきた英雄ぜよ?今度は学園都市を守るのだ!!それいけ上条当麻!今度はどんな女の子を落とすのか楽しみだにゃー」

「お前、実は遊んでいるだろう」

「はは〜ん、何のことですたい?」

「………もういい。勝手にしろ」

「はいは〜い。……っと上やん、学校に着いたぜよ」

とタクシーは学校の玄関に止まった、遅刻ギリギリなので、登校する生徒は少ない。

そんな中、上条は溜息をつきながら、土御門は笑顔でタクシーから降りた。

「はぁ〜、不幸だ」

「オッサン、電話したらまた頼むぜぃ」

「はいよ〜」

タクシーのドアは閉められ、颯爽と去って行った。

それを見送るこのなく、二人は校門を潜る、そしていつもの日常へと戻って行くのだ。
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/09(木) 00:48:39.00 ID:KAZhvQeIO
日常から非日常、そして日常に自然に移動できるのが上条さんのすごい所だな
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/09(木) 00:51:52.30 ID:gnZ7VfKm0
今日はここまでです。

金曜日にテストがあるので、休むことがあるかもしれません。また、更新しても短かったり、半端に切ったりするかもしれないので、ご了承ください。

では
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/06/09(木) 01:20:52.76 ID:2fkPGIe80

そういえば、日和号って
四季崎の好きな女性を模してるって言ってたけど
この世界で出会ったらどうなるんだろうか
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/10(金) 23:00:05.99 ID:GYRePVwM0
帰ってきました。

テストは散々だったけど、このスレは頑張って書きます。
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/11(土) 11:07:02.74 ID:MElx0zqFo
おう
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 14:05:47.01 ID:MnnJrEEq0
では書いて行きます。
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 16:49:45.84 ID:MnnJrEEq0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ここはどこ?」

「いつもの病院ですよ?お姉さま、とミサカ10032号はお姉さまにいいます」

御坂美琴はいつもの病院、そして前回と同じ病室で目を覚ました。

「またか……」

前回もこのような感じではなかったか?と美琴は思った。

「丸一日寝ていました、とミサカはお姉さまに報告します」

と言いながら、御坂妹は花を生けた花瓶を美琴のベッドの横の棚の上に置いた。

「入院しているのは私だけ?」

と美琴は聞く、まさか私ひとりじゃないだろうな…。

「いえ、心配せずともお姉さまの後輩の方もいらっしゃいます、とミサカはお姉さまの隣のベッドを指さします」

御坂妹が指さすベッドには、白井黒子が眠っていた。

しかしおかしい、美琴は疑問に思った。

なぜなら顔色が悪い。また、体中で掻いている汗は半端ではない量だった。

「どうして黒子が入院しているのよ?黒子の怪我は酷かったけど、入院しするような怪我じゃないって聞いたわよ」

「詳しくはわかりませんが、私から言えることは、この人はこの状態になるまで戦ったのです、とミサカは言います」

「どういうことよ?」

美琴は訊く。

御坂妹は、彼女の問いに答える為、美琴が倒れた後の状況を全て話した。

「……で、時は遅く、私たちが駆け付けた時には、彼女は酷くもがき苦しんでいました。恐らく痛み止めか何かで体の痛みを和らげて戦っていたのですが、途中で痛み止めが切れ、蓄積されたダメージが一気に押し寄せてきたのでしょう…とミサカは状況から予測したことを言います」

「そう…。で、黒子はどうなるの?」

美琴は心配そうな目で黒子を見た。

御坂妹はそんな姉を見て少し笑い、黒子のベッドに座り、彼女が掻いている汗で濡れた顔を拭いてあげた。

「命には別状はありません。ある程度のダメージと薬物の副作用が抜けたら目を覚ますと冥土返しが言っておられました、とミサカはお姉さままに言います」

御坂妹は立ち上がり、美琴の横の椅子に移った。

と、美琴は御坂妹の言葉の中にあった、気になるワードについて訊いた。

「副作用って何なの?」

美琴の問いに、御坂妹は真剣な顔で答えた。

「しばらくの間、体中の痛点が敏感になる事と、脳の痛みを感じるホルモンが大量に分泌されるそうです」

「ちょっ…それって覚醒剤の禁断症状じゃない!?」

「いえ、少し違います。確かにそのような類の薬物に近い種類の薬ですが、症状は一時的なもので、中毒性は無いようです。安心してください、目覚めたら違う人格になっていた…なんてことはとありません、とミサカはお姉さまを安心させます」

「そう…ならよかったわ」

「しかし心配なことが一つ」
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 17:45:22.58 ID:MnnJrEEq0

「」

美琴はドキッとした表情をした。

もしかして、黒子の体に何か悪いものが……?

「いえ、そうではなくて……」

御坂妹は少し、気まずそうな表情で、美琴にある事を報告する。

「この方……白井黒子さんは………、私達の存在を知ってしまいました……」

「」

「彼女は結標淡希との戦いの一部始終を見ていたようです。そのあとミサカ17600号とも一戦交えています」

美琴は自分にかかっていた掛布団を強く握りしめた。

「きっと、目覚めたら訊いてくるでしょう……とミサカは何とも言えない表情になります」

「………………」

「もしもの時があれば、ご覚悟してください。私達はお姉さまが決めたことに従うつもりです、とミサカはお姉さまの顔を真っ直ぐ見て、10032号から20001号までの妹達全員の総意を伝えます」

「……………」

美琴は顔を俯かせ、口を堅く結んだ。

「……………」

姉の言葉を待つため、御坂妹もずっと黙っていた。

数分経った頃だろう、美琴は口を開いた。

「ごめんね?少し時間を取らせて?考えたいから……」

相当動揺しているのだろう、言葉の語順がバラバラだ。

「わかりました。しかし時間がありません。冥土返し曰く、明日か早ければ今日にも目を覚ますそうです、とミサカは立ち上がりながら言います」

「わかった、ありがとう……」

「では、お大事に………。とミサカはお姉さまに一礼します」

ガラララ……バタン……

そう言って御坂妹は出て行った。

美琴は布団に顔を埋めた。

呼吸を三十回ほどし、ベッドから降りた。

すると、ある事に気が付いた。

『鎩』で刺された右足は、包帯でグルグル巻きにされていたのだ。良く体を見ると体中に包帯が巻かれている。

見るからに重症だ。一生傷が残る者あるかもしれない。

しかし、黒子はもっと重症だ。自分よりも苦しんでいただろう。

なんという事だ……。

美琴はベッドに眠る黒子の手を取って、それを額に当てた。

「ごめん…黒子……ごめん……ごめん……」

私は…黒子に、学園都市の“闇”を見せてしまった…。

「本当にごめん…」

美琴の懺悔は、そうして、ずっと続いていた。
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 17:47:15.21 ID:MnnJrEEq0
――――――――――――――
夕飯を喰いに行きます。
8時には更新する予定です。
――――――――――――――
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 21:06:04.72 ID:MnnJrEEq0

その頃、地下の訓練所。



ドゴォォォォォォオオオン!!



爆発音が響く。

鑢七花と絹旗最愛は今日も稽古をしていた。

絹旗は七花に飛び掛かり、拳を振り落す。



ダァァァァァァァァアン!!



絹旗の拳が床を砕く、半径2mの窪みが出来た。

「超避けないでください!七花さん!」

「避けなかったら痛ぇだろ!?」

七花はそれを紙一重で避けた。

それよりも痛いじゃすまされないだろう……というツッコミはもう何十回もしたから誰もしないのだが…。

絹旗はめり込んだ拳を支点にして七花の足に向かって水面蹴りをする。

七花はジャンプして避けたが、絹旗はそれを読んでいたのか、すぐに立ち上がって七花のボディに右ストレートを突き出す。

七花は何とかガードしたが、奥の壁にまで吹っ飛んだ。


「…………強くなったな、絹旗」

壁から、声が聞こえる。

「そりゃ…毎日の様に超吹っ飛ばされちゃあ誰だって強くなりますよ!」

絹旗は自慢げに話す。

「それに、昨日は全く活躍が無かったですからね、今日は七花さんをボコボコにするまで終わらないですよ!?」

「そうか…じゃあこっちも、もう一段階上げて行こうか」

と、いきなり絹旗の目の前に七花が現れた。

「」

完全に虚を突かれた絹旗は半歩反応が遅れる。

七花はそれを見逃さない!

「―――『虚刀流 木蓮』!」

「ガハッ!」

今度は絹旗が吹っ飛んだ。

「舐めんなよ絹旗、俺は本気の一割も出してないんだからな。ほら、来いよ」

七花は手を前に出し、おいでおいでと挑発する。

「俺をボコボコにするんだろ?」

すると、壁に激突した絹旗は前に出てきた。

「そっちこそ舐めないでほしいですね……泣いて謝っても知らないですよ!?」



ドガァァァァァァァァァァァァァァァン!!



929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 22:45:34.47 ID:MnnJrEEq0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

七花と絹は旗がドンパチしているのを、奇策士とがめは見学していた。

「いや〜相変わらず元気にやっているねぇ?」

そこへ冥土返しがやって来た。

「ああ、まったくだ」

とがめは返事をする。

「絹旗も強くなった、しかし結標淡希との戦いで自信をつけさせたかったのだが、流れてしまったのが痛手だな」

「いいじゃないか、彼女はあんなにも楽しそうだ」

「それではないのだよ、私が彼女に求めているのは」

と、とがめは冥土返しに反論する。

「これは遊びではない。真剣にしてもらわらければ死に関わる。麦野がいい例だ」

そうだ、麦野沈利は今も昏睡状態だ。

「今の絹旗には、“勝利”というものが必要だ。それがあれば彼女の『強くなろう』という向上心が高まる」

「だったら絹旗さんじゃなくて、鑢くんを白井さん救出に向かわせなかったんだい?」

「……そうなのだよ……あの時、七花が結標と戦いたいとかいうから、絹旗は『七花さんがそういうなら…』と言って、結局、作戦は絹旗が一番槍に行って白井を救出し、七花と御坂妹で結標を倒す…と言うのになってしまったのだ!」

「君も日本人なんだねぇ?周りの空気を読んでしまうところがそうだ」

「まぁあの時は結標を倒すのにそう時間がかからないと思ったのだが、実際は三分も経っていなかった…。これが私の誤算だよ」

「まぁ無事に『千刀 鎩』を蒐集できたんだ、結果オーライだよ」

「いや、あと変体刀は十一本ある、油断は禁物だ。それに物事は大局を見定めなければならない」

とがめは立ち上がった。

「しかし絹旗が始めの頃より段違いに強くなってきておる。それだけは評価できる」

しかし、ととがめは付け加える。

「もう少し、死に物狂いでやってほしいな。あれでは私の奇策が死んでしまう。何とかならぬものか…」

そんなとがめの言葉に、冥土返しは……。

「……君、わかってないね。わかっていない」

「…なっ!?」

冥土返しはそう、反論した。

「なにがわかっていないのだ!?私の奇策通りに行けば……」

「いや、わかっていないね?人が強くなる理由はそれだけではないよ?」

「な…?」

「まぁ、君はまだ若いんだから、その内わかるよ?……いや、若かった…だね?」

「………」

「じゃあ、僕は御坂さんと白井さんと麦野さんの容体見てくるからね?二人のことをよろしく頼んだよ?」

と、冥土返しは訓練所から出て行った。

「……………」

とがめは、出て行った冥土返しの背中を睨んで見送った。
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/11(土) 23:04:43.83 ID:CEoLuNxmo
乙かしら
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/11(土) 23:21:15.48 ID:MnnJrEEq0
今日はここまでです。

明日も書きます。


………乙かしら…ってwww
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/11(土) 23:48:35.83 ID:BCjOjggno
あと十数分で明日だな
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/06/11(土) 23:56:07.46 ID:6XosD3gw0
乙かしら
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/06/12(日) 17:49:40.60 ID:ZLvXtCcO0
乙頭
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/12(日) 23:37:01.39 ID:ZQntB5KE0
こんばんは、今日は短いですが書いて行きます。
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/06/12(日) 23:47:54.17 ID:InSEcdfuo
キタコレ
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/13(月) 01:17:19.46 ID:/tjACWE70
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「………不幸だ…」


上条はそう、呟いた。

「上条ちゃん!聞いているんですか!?」

と、前方から上条を呼ぶ、小学生くらいの、幼い声がする。

「だって小萌先生、ワタクシ上条当麻は昨晩は徹夜だったんですよ?クッタクタの状態からの補修って鬼ですか?」

上条はその声に楯突く。

「今日の授業のほとんどを寝てて聴いていなかった上条ちゃんが悪いんです!」

「小萌先生〜!今からスーパーの特売が〜!!」

「だめです!しかも、この補修を受けているのは上条ちゃんだけですよ?」

上条の前方、教壇の上に立っていて、上条に説教をしている人物…月詠小萌は、上条へ近付いて行った。

「大体、上条ちゃんは開発の成績どころか、一般教科の成績も危ないんですよ?徹夜でゲームばっかりしていると、本当に落第しちゃいますよ?」

「……ぅ…」

上条は言葉を詰まらせる。

この上条の目の前にいる人物、月読小萌は上条の担任の教師である。

しかしこの人物、パッと見たらどうも小学生に見える。

ランドセルを担がせ、小学校の教室のど真ん中に座らせても、絶対に誰も“大人”とは気付けないだろう、そういう位の容姿なのだ。


と、その時、ガラッ…と教室のドアが開いた。

「月詠先生……ちょっと…」

「黄泉川先生!?どうしたんですか?」

廊下から顔を出してきたのは、隣のクラスの担任の黄泉川愛穂だ。警備員もしており、よく小萌先生と呑みに行っているらしい。(青髪ピアス談)

その黄泉川先生がどうしたんだろう?と上条は彼女の方を見た。

「今日の朝のニュースのことで、緊急の職員会議があるそうですので、至急に職員室に来てください」

「あ、はいわかりました!……しょうがないので、上条ちゃんは帰っていいです。黒板を奇麗に消してから帰ってくださいね?」

「え!?やったぁああ!!ラッキー!」

と上条は大喜びする。しかしそれを見た小萌は…。

「……………上条ちゃんは……私の授業が……面白くないんでですか……?」

と、今にも泣き出しそうな顔をする。

「……」

ヤバ…どうしよう…。

「上条、何しているじゃん。さっさと謝れ」

と、黄泉川が上条を睨む。

「は、はい!すいませんでした!!」

「それと?」

「これからは!一層日頃の学問に対する姿勢を改めたいと思います!!」

「……グズッ……本当ですか?」

「本当であります!!」

「ならいいです………行きましょう、黄泉川先生」

と、小萌は黄泉川を連れて、去って行ってしまった。
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/13(月) 01:51:43.84 ID:/tjACWE70

「気まずくなったな……」

上条は黒板を奇麗に消し、教室から出て行った。

スーパーの特売はもう、とうの昔に終わっているだろう。

「はぁ…」

上条は一つ、溜息をつく。

やっぱり、自分はダメな人間なのだろうか。いつもいつも誰かに心配を掛けさせてしまう。

インデックスであったり、さっきの様に小萌先生の様に、やっぱり俺はダメなんだろうか。

確かに今まで、“多く”とは言い難いが、不幸な人たちを助けてきた。

特殊な血を持ってしまった姫神だったり、とある実験に翻弄された御坂やその妹達だったり、ゴーレムに襲われた風斬だったり、呪いを掛けられた女性と彼女を助けようとした闇咲だったり、宗教裁判にかけられそうになったオルソラだったり、千本もの刀を持ってしまった結標だったり……。


しかし、人を悲しい気分にさせてしまった。

これは本当に気まずい。後ろ髪を引かれる思いだ。

「……不幸だ…」


「なにブツブツ言ってんだ?上条当麻」


とその時、後ろから声が聞こえた。

「?」

上条は振り向く。

「吹寄…」

「まったく、いつもいつも、口を開けば『不幸だ』とばかり言って……。本当に嫌な男だな」

「ははは…」

上条を吹寄に愛想笑いをする。

彼女の名は吹寄制理。上条のクラスメイトである。大きな胸とオデコがチャームポイントだ。

「お前、今から帰りか?」

と吹寄が上条の隣に追いつき、一緒にに歩く。

「ああ、そうれがどうした?」

「いや、今から私の家の近所のスーパーの特売があるのだが、そこは一人タマゴが一つまでなんだ。そこで、お前にも手伝ってもらいたい。……いいか?」

「ああ、むしろ助かる。ちょうど今日の特売に行きそこなったところなんだ………お前のウチの近くのスーパーって、今日は肉が安かったよな…?」

「ああそうだ。来てくれるか?」

「ああ、もちろん!」

傍から見れば、まるで恋人同士の会話なのだが………二人はまったく気づいていない。


と、そんな二人は階段を降りようとした、その時………。
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/13(月) 01:52:29.73 ID:/tjACWE70
今日はここまでです。明日はもしかしたら書きます。
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/13(月) 14:48:52.14 ID:8ejUsYSa0
乙かしら
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/14(火) 17:54:08.39 ID:jpyJX9vN0
こんにちは、昨日は書けなかったので、今日は長く書きます。
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/14(火) 19:08:29.92 ID:jpyJX9vN0

二人は階段を降りようとした、その時………。



上条は足を踏み外した。



「ぅわ!」

上条は階段から落ちそうになる。

「な、何やってんだ!?」

吹寄は落ちないように上条の手を取る。

「!」

しかし吹寄は上条の体重に耐え切れず、二人一緒に階段を落ちる。


ズダダダダダダダダ……


派手に落ちた音がした。

(イタタタタタ…)

上条は大きな瘤を作った頭を押さえる。

「大丈夫か?吹寄………え?」

上条は固まる。

「…ぅん………どうした、上条当麻……イタタタタ……相変わらず、ドジな奴だ…」

「お前…」

「」





ここでアンケート。

下から選んでください。


1.パンチラ。

2.パンツの中身が見えた。

3.オッパイ掴んでた。

4.3の生バージョン。

5.1〜4の全部。

6.俺がアイツでアイツが俺で……。
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)[sage]:2011/06/14(火) 20:04:24.02 ID:zVEmaxU0o
>>942
5
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/06/14(火) 20:11:53.72 ID:eLEP2saLo
3だぜ
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)[sage]:2011/06/14(火) 20:19:23.30 ID:KcJV9GGao
5以外あり得ない
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/14(火) 20:40:04.81 ID:s7dWuuCko
6だろ
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/14(火) 20:41:20.33 ID:4crewT2co
5しか選択肢が見えない
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/14(火) 23:05:10.25 ID:jpyJX9vN0
まだ、票が集まらないので、大体8から10くらい集まったら、書きます。

でも、12時までに集まらなかったら、明日書きます。

………長く書けなくてごめんなさい。
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/14(火) 23:08:44.92 ID:lPyxmrHvo
6
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/14(火) 23:41:48.31 ID:kSFq2zTD0
4だろ
乳神様だし
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 00:23:44.62 ID:N9+sBJbIO
5
>>1の表現力に期待
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 01:06:16.50 ID:yRKKaNUIO
まあ4だな
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 16:31:08.86 ID:IDP7mpGt0

二人は階段を降りようとした、その時………。



上条は足を踏み外した。



「ぅわ!」

上条は階段から落ちそうになる。

「な、何やってんだ!?」

吹寄は落ちないように上条の手を取る。

「!」

しかし吹寄は上条の体重に耐え切れず、二人一緒に階段を落ちる。

眼を閉じ、吹寄を衝撃から守る為に彼女の体を抱きかかえる


ズダダダダダダダダ……!!


派手に落ちた音がする。


ドガッ!


と、上条が壁に激突する音もあとからした。




(イタタタタタ…)

上条は後頭部にできた大きな瘤から激痛がする。

クワンクワンとする頭を何とか抑え、上条は目を開ける。

「大丈夫か?吹寄………え?」

上条は固まる。

「…ぅ………」

吹寄は、そーっと目を開ける。

「……上条当麻……イタタタタ……お前は…本っ当に相変わらず、ドジな奴だ…」

どうやら吹寄は無傷のようだ。

「……」

「?」

固まっている上条を見た吹寄は、首をかしげる。

「どうしたのだ?」

返事がない。

上条はなんだか、吹寄の体を見ているようだ。

「…?」

吹寄は視線を下に下げる。

「……ヒッ…!」
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 17:32:01.63 ID:IDP7mpGt0


自分は、本当に不幸な人間だ。自他ともにそれを認める。

マンホールに落ちたり、上空からカラスの糞が頭にテクニカルヒットしたり、空き缶を踏ん付けてせっかく買ったタマゴを全滅させたり……。

そして今、階段から落ちた。

(イタタタタタタ……)

頭がクワンクワンする。

「大丈夫か?吹寄………え?」

そして、上条は頭は真っ白になった。

「……」

上条と吹寄の今の状況……。

今は、吹寄が怪我をしないように上条は彼女を庇った状態だ。

即ち……吹寄の体は、上条の体に覆いかぶさるような体勢になっている。




上条の視線は、吹寄を…いや、吹寄の下半身へと向けられていた。

上条の立てられた膝が、吹寄のスカートを器用に上げて、純白の三角形(無地の白パンツ)を曝け出していた。

(……ぉふ…)

危ない……。危うく鼻の下を伸ばすところだった…。

そんなのを吹寄に見られたら、速攻でボッコボコにされて、犬の餌にされてしまう。

「……ヒッ…!」

吹寄は、珍しく女の子らしい悲鳴を上げる。

それも無理じゃない、彼女も女の子だ。他人に自分のパンツを見られたらそんな悲鳴の一つや二つ……。

(……って、…あれ?)

上条はある異変に気付いた。

(吹寄は……パンツの方を見てない…?)

彼はそう疑問をしたが、その答えはすぐにわかった。



(嗚呼、なんということでしょう……)



上条の両手は、吹寄の大きな胸を鷲掴みにしていた。


しかも…なんでこうなったのかはわからんが、右手だけが服の中に入っていた。

………あれ?なんだろう……右の掌になんだか、コリコリしたものが……。


「〜〜〜〜〜〜///」

吹寄の顔はカーッと紅くなっていった。
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 19:03:36.24 ID:IDP7mpGt0
(………え!?…もしかして、生!?俺って吹寄のオッパイを生で触ってんのかぁ!?)

どうやら上条の右手は、どういう訳か吹寄のブラジャーの中に侵入していて、引っ掛かって取れないようなのである。

………そして、吹寄のオッパイを揉んでいるような形になってしまったのだ。

幻想殺しの右手は偶然にも、男の幻想(ユメ)を叶えたのである。

(……あ、柔らかくて……キモチイイ…)

と上条はつい、鼻の下を伸ばしてしまった。

「……ッは!」

上条は吹寄の顔を見る。

彼女の真っ赤の顔は俯かれていた。

ふるふるふるっ……と、吹寄の体が震えている。

「あ…あの吹寄さん!?……これは、ふ、不可抗力です!!」

上条は『怒』のオーラが立ち込める吹寄に、自分の潔白を訴える。

「……か……か……か………」

しかしその甲斐なく、彼女は潤んだ目で上条を捕らえた。

「上条…当麻……貴様……って、奴はぁぁぁあああああ!!」

吹寄は上条の顔面を殴りつけようとする。

「ぎゃぁぁああ!!止めろ吹寄ぇええ!!」

上条は両手で吹寄の拳をガードしようとする。

……グイッ!

と、上条の右手に引っかかった胸は引っ張られた。

「…へ?」

と吹寄が間抜けな声を出す。

直後、上条の右手とくっついている吹寄の胸は、そのまま上条の顔に『モフッ』と突っ込んだ。

「」「」

一瞬何が何だかわからなくなる二人。

(………な、なんだ、このシュチエーションは……スー…ハー…スー…ハー…。あ…やべぇ……いいにおいがする……)

顔を大きな(Fカップはいっているだろう)胸に突っ込んだ上条は、男の性に流されかけた。

「は…離れろ馬鹿野郎ォォォォオオオオ!!」

しかし、吹寄は上条の肩を掴んで無理やり離れる。

「正気に戻らんかい!上条当麻!!」

「…ッは!」

「なにを野生の猿みたいに発情してんだ!?」

「…す、すまん」

と、吹寄に罵倒される。

(……そういえば白井黒子は自分のことを『類人猿』とか言っていたな…)

「と、とりあえず…上条当麻!……この手を…は、放してくれないか……///」

と、紅い顔で上条を見下ろして頼んできた。

「あ、ああ。わかった///」

上条も顔を紅くした。
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 20:59:28.52 ID:IDP7mpGt0
上条は早速、右手をブラから抜こうとするが……。

「……ひゃ……///」

吹寄は甘い声を出す。

「か、上条当麻!…も、もっとちゃんと出来んのか!?」

はぁ…はぁ…と、紅い顔で吐息を吐きながら、吹寄は言った。

「なっ、しょうがねぇだろ!?」

今の上条は冷静ではなかった。

それも仕方ない、なにせオッパイを直に見るのは色々とあるが、こうして思いっきり揉んでいるのは人生初だ。(記憶を失う前は知らないが)

吹寄にそれを言うと、赤面する顔を反らした。

「……す、少しは我慢するから……は、早く抜いてくれ……///」

ヤバい、本人は気付いていないが、『抜いてくれ』は別の意味に聞こえてしまう。

「わ、わかった…///」

上条は湧き出てくる感情をグッと堪え、右手をブラから抜こうとするが、吹寄はどうやら大きな胸なのに、なぜかわざと一回り小さなブラを着てきているようだ。

これでは抜けようにも抜けない。しかし、上条はそれでも、無理やり抜こうとする。

「……はぁ…ぃや……ぁぁああ……ぁん!///」

しかし、どうにも抜けない。むしろ上条の右手は吹寄の胸を激しく揉んでいるようになってしまう。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

吹寄の喘ぎ声が耳をくすぐる。心臓がバクバクバクとマッハで暴走しだす。

「上条…当麻……はぁ…はぁ………ま…だか…?……………ひゃう!///」

吹寄は暖かい吐息を上条に掛る。

その息が、上条の耳に当たっていた。

「(……やっべぇ…)………す、すまねぇ吹寄」

「は、早くしてくれ……はぁ…はぁ……///(……頭が真っ白になってきた)」

吹寄の体はビクッビクッと電流が流れたようになる。

無いのか、この状況を打破できる。奇策は無いのか。

(………えぇい!!ちきしょう!)

上条は左手を吹寄の左胸に当てて、一気に引抜こうとする。

でもまだ抜けない。

両手で胸を揉んでいる絵になってしまっているが、上条はそれでも湧き上がる野生を抑え、手を抜こうとする。

「…ぁあ///」

「ぅわ!す、すまん吹寄///(……がんばれ俺の理性…)」

吹寄は勝手に喉から出る喘ぎ声を我慢する為、右手の指を噛む。

「〜〜〜〜〜!!///」

それは、健全な男子高校生の上条にとって、さらに野性を掻き立ててしまう表情だった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜///(ギャァアアア!抑えろ!!抑えるんだ俺も野生よ!!息子よぉぉぉお!!)」

しかしその上条の願いとは裏腹に、上条の下半身のとある一部は熱くなってきていた。

(ダメだ…吹寄の胸……柔らかすぎて気持ち良すぎる……。このまま押し倒したら………ダァァアアアアアア!!変な事を考えるなぁ!!何やってんだ俺の理性!!ちゃんと働けぇえ!!)

しかし上条の手は抜けない。

(そ、そうだ、吹寄と目を合わせなければいいんだ!!そうだ!下を見れば……)

と、上条は足ものに視線を向ける………と。

「」
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 21:50:27.63 ID:IDP7mpGt0
上条の膝で捲れたスカートの中の白のパンツは、

ビッショビショに濡れていて、縦のラインがクッキリと映し出されていた。


「……///!!」

高速で顔を上げる。

我慢だ、それ以外に道はない。

このまま長期戦に持ち込めば、いずれは抜ける!

そう、上条は決意する。

しかし

と、右の掌の中に、コリコリしたものが、さらに固くなっていた。

「」

予定変更、短期決戦に持ち込む。

このままじゃあ俺が持たない。


上条はとある方法を思いついた。

「ふ、吹寄ぇ!ぶ、ブラを外せ!」

上条は吹寄に叫ぶ。

「〜〜〜〜〜〜〜///!」

ダメだ、声が聞こえていない。

「えぇい!こんちきしょう!!」

上条は吹寄に抱き着く。

「……なっ!?か、上条///」

もし、こんな恰好を土御門や青髪ピアスなんかに、ましてや姫神や小萌先生に見られたら、俺は社会的に抹殺されるだろう。

しかし、もう遅い、これで決着をつける!

上条は吹寄の制服の中に手を回し、背中にあるブラのホックを外す。

そして、ブラの束縛から解放された右手を引抜いた。


「終わったぁ〜…」

上条は息をつく。

「大丈夫か?吹寄」

と、ストンッと腰を落とした吹寄に上条は話しかけた。

「……………」

が、返事がない。

「吹寄?」

「……き…ん」

ボソッとした声だった。

「はい?」

「責任」

「」

「責任をとれ。上条当麻」

「あの…吹寄さん?」

「この責任だ上条当麻!貴様、この私に恥を掻かせおって!!……責任をとれ!さもなければ訴えてやる!!」
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 22:20:11.98 ID:IDP7mpGt0

吹寄の眼には涙が浮かばれていた。

「」

「上条当麻!!」

「はいっ!!」

「貴様はこの私を辱めた。だから貴様も同じ目に会わせてやる!!」

「……なっ!?///」

「赤くなるな!」

吹寄はガクガクガクッと震える足を抑え、なんとかして立ち上がる。

「お、覚えていろ上条当麻!」

そして、そのまま立ち去ろうとしたが……。

「っ痛ぅ!」

右足を抑えてしゃがみ込む。

「だ、大丈夫か吹寄!?」

どうやら、階段から落ちた時に足を挫いた様だ。

「く、来るな。この変態!」

「………ぅ、うるせぇよ!てめぇ、怪我してんじゃねぇか!」

「」

「怪我してんだったら無理すんな。お前大覇星祭の実行委員だろ?ここで大きな怪我なんかされたら、俺どころか、土御門や青髪ピアスや姫神が困る事になるんだ」

上条はそう言いながら、吹寄の肩を持ち、体をおんぶする。

「さっきのは俺が悪かったし、謝る。でも、これくらいはさせてくれ………よいっしょ」

「ぅ…うすさい、さっさと降ろせ!」

「やなこった」

「貴様〜〜〜!!」

「どうと言え、首も絞めていい。でも降ろさねぇよ、絶対に。…………とりあえず保健室いくぞ」

「…………くそっ」

「なんか言ったか?」

「なんにもない!」


そうして、上条は吹寄を背負って保健室まで行った。

どうやら吹寄は軽い捻挫の様だったようだが、しばらくは歩けないだろう。

結局、吹寄は足に湿布を張って、衣服が色々と濡れていたため、保健室で体育のジャージに着替えた。

二人はそのまま帰った。


そうそう、その保健室で二人はもう一悶着していたのだが、

詳しい内容は読者の皆さまの御想像にお任せするとしよう。
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 22:33:05.76 ID:IDP7mpGt0
――――――――――――――――――――
今日はここまでします。
どうだったでしょうか、感想をお待ちしております。


…………いつからこのスレはエロスレになった……?

と、書いている途中、そう思ってしまった……。
――――――――――――――――――――
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/15(水) 22:50:28.65 ID:EZrFPe6h0
この一連のくだり必要だったのか?
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/15(水) 22:55:05.33 ID:IDP7mpGt0
>>960 ぶっちゃけ全く関係ないですね。ノリだけで書いちゃいました。ちょっと後悔してます。
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/16(木) 01:50:16.62 ID:39mjyHHSO
ほほう…
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/16(木) 01:51:40.71 ID:hLbTyQJNo
責任とって爆発しろうらやまけしからん
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/06/16(木) 19:43:35.36 ID:QW3PekbX0
>>1

>>960
もしかしたらこの一連のくだりは
吹寄が変体刀を手に入れる前の伏線かもしれんぞ
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/17(金) 00:24:32.00 ID:Qw292rHh0
>>964
あるあ・・・ねーよ、俺の吹寄ちゃんが戦うわけねーだろ
とりあえず今の所有者まとめてみた、まとめるほどいないけど
駒場:鎧、鉋
数多:鍍
蒐集済み:鎩
不明:鈍、針、鋸、鐚、銓、鎚、銃、
例外:釵(日和号)
こうやって眺めてると特性に当てはまりそうな人想像できて面白いね
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/17(金) 17:47:08.50 ID:RGBjMaEq0
続きです、今日こそ長く書けるといいな…。
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/17(金) 19:23:26.67 ID:RGBjMaEq0
上条は、背中に吹寄をおんぶして女子学生寮までの道のりを歩いていた。

そういえば今朝のことと既視感を感じる。

あの時と同じ道だ、無理もない。

あの時と同じ道、同じ風景。

あの時とは別人だが、あの時と同じ異性。

体重もあの子と同じ軽さで、あの子が髪を降ろしたら丁度、吹寄と同じ長さだろう。

背中に当たる胸の感触も……こっちの方が大きいか。

ただ、違っている点は……、二人とも顔が紅い事だ。

「…………」

「…………」

二人とも無言である。

無理もない、保健室であんなことがあったから……。

「………なぁ上条当麻…」

吹寄がこの重たい空気の中で、口を開いた。

「…な、なんだ?」

「…………明日の土曜日…暇か?」

「」

上条は驚いた、なにせついさっきまで女の子(特に吹寄)が嫌がる事し沢山してしまったからだ。

なんで急に吹寄はそんな自分に、こんなことを聞いてくるのか?

「………実は…最初から聞こうと思っていたんだ……」

「ああ」

「どうだ?たまには二人で……」

「すまねぇ吹寄、明日と明後日は土御門と一緒に出掛ける予定なんだ」

「………そうか……何しに行くんだ?」

「」

おっと、これは秘密事項だった。

「………遊びに…」

「……そうか…」

よし、何とか誤魔化せた……。

「じゃあ、私も行っていいか?」

「」

「………ダメか?」

「……(どうしよう…)ふ、吹寄、明日はきっとお前にはつまらないと思うぞ?」

「………そうか……」

「(よし、ひとまず、なんとか乗り切った…)………ホッ…」

上条はつい、ホッと息をつく。

「…上条当麻…さっきホッとしただろう…?」

しかし、吹寄はそれを見逃さなかった。

「ギクッ」

「ギクッってしただろう…?」
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/17(金) 21:23:03.41 ID:RGBjMaEq0
インデックス然り、美琴然り、否定姫然り…本当に女って生き物は、どうも鋭い。

なぜわかるのだろう……?

「そんなもの、見ればわかる」

「……吹寄さん……どうしてワタクシの考えていることがわかるのでしょうか?」

「そんなもの、見ればわかる」

「お前は読心能力者か!無能力者だろ!」

「……嘘を言う時は顔や体の筋肉が少し硬直する。それと、その嘘が通った時、少し安堵した表情になる」

「……」

「私はいつも、月詠先生に心理学を個人的に学んでいてな……。それでわかった」

「…ああ、なるほど。……でも、なんでそんなもん勉強してんだ?」

上条の問いに吹寄は一瞬、顔をグッと固くする。

しかし、上条はそんな吹寄の表情をおんぶしている為、見ることができない。

「…………私は…」

吹寄は、少し言葉を溜める。

そして、何か決意したような表情で、口を開いた。

「……私は、昔、心理系の……読心能力者になりたかったんだ……小さい頃の話だけどな」

「……」

「そこ頃、テレビのドラマで、読心能力者の探偵が事件を解決していくって番組があっただろう?」

上条は一瞬ヒヤッとした。記憶が無いから、そういう事は合わせるしかない。そこで、適当に「ああ」と答えたが…。

「……嘘だろ」

あっさり嘘を見破られた。そんなに分かり易い人間なのだろうか自分は。

「…仕方ないさ、小さい頃だったからな、4、5歳の子がドラマなんて見ているはずがない」

良かった、どうやら吹寄は『そのドラマを見ていない』と思っているようだ。

記憶喪失の事はばれていない。

「…あの頃はただ単純に憧れていた。だから私も学園都市に入学して、あの探偵みたいに活躍したい…って思っていたんだ。…まぁ子供考えだ、仕方ない」

「……」

「でも…実際は違った……。研究員の方はこう言った。『残念だが、君には才能がないって』とな。私は一晩中泣いたよ、悔しくて」

上条はふと思った。もしかして、記憶を失う前の自分もそう言われて、どういう気持ちだったのだろうかと、悔しかったのだろうなのかと。

「……まぁ無能力者が何を言ってもしょうがない、超能力者や大能力者には私達が何を訴えても、虫が鳴いているのと同じ扱いなんだろう」

「………」

「中学生の時は、能力を持っている奴はさぞかし、私達を馬鹿にした目で見ているんだろうなって……そう思っていたんだ。……本当の事を言うと今もそうだ。だから私は超能力じゃない、他の方向の『チカラ』が欲しくて、私は心理学を学んでいるんだ」

吹寄は首だけで空を仰いだ。

「私は負けず嫌いなのはお前も知っているだろう?」

そして、自分を嘲笑する様な顔をした。

「どうだ?情けないだろ?私は、嫉妬と自己満足で生きているんだ」

その時、吹寄は思った。

……そうして、私はこんな男に自分の話を…月詠先生ではなく、姫神でもなく、クラスでも最も素行の悪い男に話したのだろうか。

まぁいいか、もう遅いか。
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/17(金) 23:16:12.70 ID:RGBjMaEq0
きっと、上条当麻は私のことを嫌いになったのだろうか。……別にどうってことはない、私にとっては友人でもなければ家族でもない。ただのクラスメートだ。ただ、日頃からよく話しているだけの……。

試しに訊いてみようか。

「なぁお前、私が嫌いになったか?」

ああ、言ってしまった。きっとこいつは私を変なモノを見る目で見るのだろうか。



「………ふ…ふふ…あはははははははははははははははははははははは!!」



「」

上条はいきなり笑いだした。

「な、なにが可笑しい!?」

「ははは!……いや…ごめん…ははははははははは!!」

「〜〜〜〜!」

上条はお笑いしながら歩く。今、歩いているのは通学路にある展望台だ。

「ははは…すまんすまん……あまりにも言っていることが逆で……ははは!!」

「はぁ!?」




上条は立ち止まり、展望台から望む、ビルとビルの間に消える夕日を眺めた。

「なぁ、なんで今日、俺が残されていたかわかるか?」

「?……寝不足で月詠先生の授業中に居眠りしていたからだろう?」

「ああ…それはそうなんだが、じゃあなんで俺が寝不足だったかわかるか?」

「お前が月詠先生に怒られていたとき、夜中ゲームばっかしていたって言っていたじゃないか」

「実はそうじゃないんだ」

「」

「知りたいか?」

「……そこまで言われたら知りたいに決まっているだろう?」

「はは、それはそうか…」

上条は歩きだした…。

「実は…俺は昨夜、あるヤツを助けに行ってたんだ」

上条の言葉に、吹寄は驚いた。いつも自分を困らせる行為ばかりしてくる上条しか見ていなかった吹寄には新鮮だったからだ。

「詳しいことは言えないけど……、俺は助けに行った奴の為に行ったんだが……結局はそいつの敵だった奴をおぶって帰って行ったんだけどな…」

吹寄は上条の話を黙って聞く。

「その時、あの子が言っていたことが、お前がさっき言った事のまるいっきり逆のことを言ってんだ……これが」

「……どんなことを言っていたんだ?」
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/18(土) 00:11:38.31 ID:z36DEtpW0
「ん?……あの子は空間移動系の大能力者だったんだ」

「…なっ!?」

「驚いたか?……まぁその子は自分の能力は、人を容易に傷つけてしまうから怖いって言っていたんだ…。私はこの能力を持った時から、化け物になったんだって、そう言っていたんだ」

「………」

「その子は自分の能力を嫌がって、お前は自分は能力が欲しくて欲しくてしょうがない…………な?ホントに逆だろ?」

上条はまた立ち止まり、展望台の隅にあるベンチを顎で指した。

「ちょうどあそこのベンチだ。そこに座らせて、俺は言ったんだ。『お前は化け物じゃねぇ。ただの女の子だ』ってな」

上条はベンチから目を離し、再び歩き出す。

「………お前はお前だ。それ以上でもそれ以下でもない。吹寄制理は吹寄制理だよ。お前が今まで何をしてきても、これからどんなことをしてきても、もしお前が超能力者になっていたとしても、もしお前がこれからどんな『チカラ』を手に入れようとも……」

上条は夕日に体を向ける、吹寄は余りにもの眩しさで目に手を当てる。

「俺の友達の吹寄制理だ。そればっかりは変わらない。んで、俺もお前も無能力者だ。馬鹿にはできねぇよ」

「上条当麻……」

「それに、必ずしも超能力者や大能力者が俺達、無能力者を馬鹿にした眼で見ている訳じゃないさ」

「そ、そうなのか?」

「ああ、それにお前が日頃から頑張って心理学を学んでいるんだ。それはきっと将来役に立つよ」

「………ありがとう///」

上条は展望台の奥の階段を登る、そこを向けてしばらく歩いたら女子寮だ。

「上条……」

吹寄はぎゅっと上条の首を抱いた。

「!………どうした?」

上条は背中に当たる胸から来る鼓動を何とか抑えた。

「このことを言って、最初は嫌われると思っていた…。でも、今は言って良かったと思っている。…………ありがとう///」

上条はふっと笑った。

「どういたしまして」

「それともう一つ」

「なんだ?」

「お前の背中……暖かいな///」

「それもどうも」

「………本当に…ありがとな……」ボソッ

「?…何か言ったか?」

「いや、なにもない。気にするな」

「そうか…」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/18(土) 00:21:45.42 ID:z36DEtpW0
今日はここまでです。
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/18(土) 01:04:55.77 ID:OTHuuCpvo
あああああもうカワイイなああああ
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)[sage]:2011/06/18(土) 01:28:04.50 ID:MXssKkAao
誰がどの変態刀を使うか考えてたら
何故か鈍を使って吸血鬼を倒す姫神を想像した
BLOOD+姫神主人公バージョンみたいな
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/18(土) 02:19:24.04 ID:z36DEtpW0
>>973イイですねww採用しようかしらw
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 02:44:01.50 ID:EDQB7pBIO
■■「巫女+学生+刀…完璧に主役、ふふふ、やっと私の時代が来た」
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)[sage]:2011/06/18(土) 10:15:50.13 ID:MXssKkAao
>>974
いやいや無理だろwww
対人戦で能力が役に立たない
吸血鬼相手なら武器も要らない
武器持っても武器を活かす技術や知略、体力も無い

あれ?姫神さんの存在価値って…
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 11:01:35.83 ID:Vtkya8tIO
吹寄可愛いいい>>1乙!
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/19(日) 18:38:47.84 ID:RFIH4Chf0
続きです。
がんばって書いて行きます。
昨日はefを全話ぶっ続けで見ていたので書けませんでした。申し訳ございません。
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/19(日) 19:48:48.54 ID:RFIH4Chf0
「よっと…ふ〜。やっと着いた…」

上条は吹寄をおぶって、無事に女子寮までたどり着いた。

「よし、もう少しだ…」

と、上条は女子寮へ入ろうとした。

しかしそんな上条を吹寄は止めた。

「あ、ここまででいい」

「え?いいのか?」

「ああ……降ろしてくれ」

「あ、ああ」

吹寄は上条にそう言って、上条の背中からゆっくりと左足から地面に足をつけた。

「じゃ、今日はありがとな」

と、吹寄は右足を引きずって寮の入口へと進む。

「おい!大丈夫かよ…その足で階段は…」

「ああ、いい、エレベータがあるからな」

「ああ、そうか…」

と、吹寄は上条の方へと体を向けた。

「……上条当麻」

「なんだ?」

「………今日はすまなかったな…」

申し訳ない。といった顔だった。

「…いや、それはこっちのセリフだよ。本当にごめんな」

「…いや、あれはもう過ぎたことだ、いいさ。……送ってくれてありがとう、この礼は後で返す」

吹寄は踵を返し、寮の中へと入っていった。

「……あ……。いっちゃった……」

上条は「まあいいか」と呟いて、自分が住む男子寮へと足を向けた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


どさっ……、とベッドが揺れる音がした。

吹寄制理が、ベッドに倒れ込んだ音だ。

「…………」

吹寄は帰ってきた後すぐにシャワーを浴びた。

シャワー上がりで濡れた髪で、ベッドのシーツが濡れる。

「…はぁ…」

顔が紅い。それは風呂上りだから…ではない。実は帰ってきてからずっと紅いのだ。

「上条…当麻…か…」

ずっと、男なんて唯の馬鹿としか見ていなくて、今日みたいに男…上条当麻をこんなに意識した時は無かった。

「………暑い…」

体が暑い…帰ってきてからずっと体が火照っている。

「なんなんだ……一体…?」

そう考えている間に、吹寄は眠りについた。
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/19(日) 20:34:40.44 ID:RFIH4Chf0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夕方、第七学区のとある病院の一室…。

しんと静まり返った病室の中にあるベッドに座っていた御坂美琴は、隣のベッドで眠っている後輩 白井黒子をじっと見つめていた。

美琴は出された夕飯も手に出さず、黒子が目を覚ますのを待っていた。

「……黒子…」

と、そこへ、一人の人物がやって来た。

「おい、あまり無理すると、自分の怪我に響くぞ」

「アンタ…」

奇策士とがめだった。

「そなた…先程出された夕飯を口にしなかったそうだな、それでは治る怪我も治らんぞ」

「いいじゃないそんなの…自分の後輩がこうなっているのに、一人で呑気にご飯食べている場合じゃないでしょ…!」

「……そうか……まぁ、好きにすればいいさ」

とがめは黒子のベッドの横にあるイスに座った。

「……私達が『千刀 鎩』を蒐集できたのはこの者が戦ってくれたからだ…。そして、この様な容体になってしまったのは私達の責任だ……。本当にすまないと思っている。そして、言葉をいくら重ねても足りぬくらいに感謝しておる」

「」

とがめのその真剣な表情に、美琴は驚いた。

すると、とがめはスクッと立ち上がり、この部屋の出口へと出て行った。

「今のところはまだ目を覚ましていないようだし、また出直すとしよう。………私達はもう帰る、もし彼女が目を覚ましたら私達が礼を言っていた事を伝えておいてくれ………では」

バタン…

とがめが出て行って、また静かになった。

と、その時……。

「…………ぅ…ん…」

黒子の目蓋が動いた。

「……く、黒子!?」

「………お姉さま…?」

黒子は、うっすらと目蓋を上げた。

「大丈夫!?黒子…黒子!」

美琴は黒子に抱き着く。

「よかった……よかった……!」

美琴の眼には涙が浮かんでいた。

「お姉さま……?」

「心配したんだからね!?」

「お姉さま……」

美琴は黒子の体をギュッと抱き、黒子はそれに応える様に抱き返す。

「お姉さま…」

「黒子…黒子…」

「お姉さま……」

「黒子…!」

「お姉さま……」

「黒子……」
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/19(日) 21:58:30.98 ID:RFIH4Chf0
「お姉さま……ハァハァ…」

「黒子…!」

「お姉さまぁん……ハァハァ…」

「黒子…え?」

「お姉さまぁん♪やっとわたくしの“愛”に気付いてくださいましたの!!ああ、わたくし白井黒子、一生の至福!!お姉さま、ああお姉さま、お姉さま……愛しのお姉さまとこうして愛を語れるなんて……黒子最ッ高し幸せですの!!………さぁお姉さま、愛のキスを……ぅう〜〜〜ん♪」

と黒子は口を尖らせ、美琴の唇へと顔を近付かせる。

しかし美琴はその気持ち悪い顔の両頬を両手でぱぁんと掴む。

「アンタ…人があんだけ心配してやって…ご飯も食べずに……一睡もせずに………なのに…なんでアンタはそんななのよ!!」

ビリビリビリビリ!!

ぎゃあああああああああああああああああ!!

美琴は黒子に電流を浴びさせた。

「ああ…お姉さまの電撃も……幸せなのですの〜……」

顔を真っ赤にした美琴は松葉杖を持って、さっさと出て行った。

「………ふん!」

バタンッ!!

怒りが込められた、ドアを閉める音が黒子の耳を刺した。

「……………」

また再び、静寂が戻る。

と、黒子は起き上がった。

「……はぁ…まったく、酷い目に会いましたの…まさか副作用があんなに酷い者とは思いもしませんでした……」

黒子はベッドの傍にある棚の引き出しを引き、中を漁った。

「…………えっと……あ、あったあった…」

引き出しの中から小さなフォルムの、自分の携帯電話を取り出した。

そして、とある人物に電話を掛けた。

トゥルルルルルル…トゥルルルルルル…トゥルルルルルル……ガチャッ

『……はいもしもし?』

きっちり3コールで出た。

「あ、もしもし初春ですの?」

相手は、同じ風紀委員一七七支部所属の黒子の同僚に当たる、初春飾利だった。

『どうしたんですか?…パリッ……あ、白井さん大丈夫でしたか?いきなり入院するっていうからびっくりしました!……パリッ…バリバリ…』

「そんなことより、初春に調べて貰いたいことがありますの!」

『なんでふか?……パリッ…パリッ…ムシャムシャ……』

「………初春?さっきから変な物音がするのですが……」

『ああ、これですか?この前、新発売したパテチです!なかなか美味しいんですよ!?……白井さんもどうですか?……って、病人にはダメですね、失敬失敬ww』

「………退院したら覚えてくださいまし……」

『…で、調べてほしい事とは?』

「ああ、そうでした!…………まず、八月二十一日の十七学区の操車場で起こった事の全て。次に御坂美琴お姉さまの軍事クローンがいるという都市伝説がありましたわよね?それの真相と詳細を…。その次に昨日の九月十四日に起きた結標淡希が企てた騒動の原因と結果と今後の彼女らの処分についてを……これら三つを調べてほしいのですの!」

『…うっわ……いつもよりハードな依頼ですね……、報酬は?』
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/19(日) 22:33:29.37 ID:RFIH4Chf0
「学舎の園のポワソノルージュのケーキ食べ放題チケット」

『乗りました』

即答だった。

『じゃあ、調べがついたらこっちから電話しますね?』

「わかりましたわ、ではまた…」

黒子は電話を切った。

「………ふ〜」

一つ、息を吹いてみる。

「………」

昨日の光景は一体なんだったのだろう……?

御坂美琴には、彼女のDNAサンプルを使って生みだされた軍用クローンが存在するという噂は一時期だが流行った。

昨日見た光景……それは結標淡希を取り囲む美琴そっくりの容姿の、銃を持った女の子たち……。

そして、『ミサカ17600号』と名乗った、あの人物……。

それに彼女が名乗った、“ミサカ”というのは……美琴に関連があるのだろうか……。

「…………わかりませんわ…?」

なぜ、御坂美琴のクローンがいる?

その目的は?用途は?

なぜ彼女らは武装している?

しかもなぜ何等かの訓練を受けたような動きをしている……?

「……………」

黒子は携帯を枕元に転がし、ゴロンと寝っころがった。

そして、そのままスーッと、睡魔に襲われ、眠りの中に呑まれていった。









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今日はここまでです。ありがとうございました。
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/20(月) 17:02:11.73 ID:4QCgXPA20

そろそろ次スレを作る頃だな
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage]:2011/06/20(月) 19:42:59.55 ID:m4ofhpj/o
もう2ヶ月か
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 00:54:00.42 ID:9QD/NwBo0
続きです。あのエロスレのせいで、尺がなくなってきました。ヤバいっす…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「………クソッタレぇええ!!!」

ドンガラガッシャァアアン!!

テーブルがひっくり返された音がした。

「あのクソガキ共ぉ…!!」

木原数多は自分の研究室に帰ってきた時から荒れていた。

「必ずぶっ殺す……!!」

木原はドカッと自分専用の牛革の高級そうなチェアーに座った。

「クソ…『毒刀 鍍』があれば…あんの雑魚共…」

そう、今の木原には『毒刀 鍍』を持っていなかった。

そこへ、一人の部下……木原が指揮をしている暗部組織 猟犬部隊の一人がドアを開けてやって来た。例に倣って勿論、黒尽くめだ。

「木原さん、お帰りなさいませ…」

「なんだ、何か用か…バース」

バースと呼ばれた男―――バースというのはコードネームなのだが―――は数枚の書類を出してきた。

「先程調べがついた、完成形変体刀十二本の内の一本の在り処がわかりました」

「……そうか…どれ、見せてみろ」

「はっ」

バースは書類を出す。それを木原はパラパラと速読する。

「………ハッ……そうか…なるほど、こんなもん俺が出る幕じゃねーな…。おいバース、お前が指揮をして、その『なんでもよく斬れる刀』とやらをよぉ、いっちょ取って来いや。……明日からでいい」

「ラジャー」

とその時、また一人の黒尽くめの男がやって来た。

「どうした、ウィリアムス」

ウィリアムス(勿論コードネームだ)は木原のすぐ後ろまで歩み寄ってきた。

「木原さん、お客さんです」

「誰だ?」

「『博士』と名乗る方が…」

それを聞いた木原は、スクッと立ち上がった。

「やっと来たか!よし、客室に通せ!!」

木原がそう、ウィリアムスに言った時……。


「その様な事はしなくて良い、木原少年」


そう、ドアのから声が聞こえた。

「よう、クソジジィ」

木原は『博士』と呼ばれる男をそう呼んだ。

「相変わらず、口のきき方がなっておらんな、木原少年」

「テメェこそ、いつまで人をガキ扱いしてんだ」

「ふん、君に科学のいろはを教えたのは誰だと思っている?……その時はまだ12、3の可愛い少年だったのに……今じゃもう……美しくない…」

「うるせぇよクソジジィ、山に捨てて行くぞ。つーかいつの話してんだボケジジィ、テメェに教鞭振るわれたのはたったの一年だけだったじゃねぇか、しかもロクなモン教えねぇ…。だからテメェのとこなんざ、さっさと辞めて行ったんだよ」

「あの時は本当にショックだった…。……特にショックだったのは去っていく時に暴走能力者を数人置いて行って、研究所を壊滅状態にして行く……、まったく仕方の無い子供だ」

「子供だった…だろ?」

「今でも子供だ。……やっていることはあの時から、てんで変わっていない」
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 03:03:43.89 ID:9QD/NwBo0

「おっと、こんな無駄な会話などをしている間など無い…」

と博士は何か思い出し方の様に、ある物を取り出した。

「ほれ、前から預かっていた物だ」

と、桐の箱を木原に投げ渡した。

木原はそれを片手で掴み取った。

「君がいきなり連絡寄こしてくるんだかから、吃驚したよ」

「へっ」

木原は一つ鼻で笑った。

そして、その手で掴んである箱を開けた。

その中にあるのは……。

「しかし、それは不思議なものだったよ。その柄を掴んだ瞬間…この刀から脈々と、まるで血が流れてくる様な如く、新たな力……新たな法則……新たな情報………それらが手へと流れてきたのだよ」

「ああそうかい」

その箱の中に入っていたのは…。

『毒刀 鍍』だった。

「木原少年よ、私は感謝しておるよ。その刀…『毒刀 鍍』とか言ったか、それを私に一時期だけだが預けさせてもらって、本当に感謝しておる。その刀のおかげで、私の限界を軽く超えさせてくれよった」

「そいつはどぉも」

木原は『鍍』を鞘から抜いた。

博士は木原に数枚の紙を手渡した。

「…君が言っていた通り、その刀から得た知識は、この学園都市の技術では解明不可能の知識が詰まっておった…。……礼として、その知識を使って、強大で、斬新な、美しい、武器を造ってくれ…という君の要求を呑もうと思う」

「ヘっ、そうでこなくっちゃあ面白味がねぇからな……。テメェが武器を造り、俺が使う。そして、そいつの欠点をテメェが改善し、俺がそれを使う……。こんなもんか」

「いいだろう…。ギブ&テイクという奴だ」

銀縁の眼鏡をクイッと上げた博士と『鍍』を肩に当てた木原は、握手をした。

「とりあえず、共同戦線だ。よろしくなぁ博士」

「ああ、よろしくな木原少年…」

ふふふ…あはははははははははははは………。

二人は笑いあう。

数十秒くらいか笑いあった。

その後は、二人ともふ〜と息を吐いた。

と、そして…。



「…………つーか、その呼び方止めてくんねぇかな…?」



木原が本当に迷惑そうに言った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今日はここまでです。……博士っていうのは、あの博士です。垣根少年に瞬殺されたあのジーサンです。
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 14:15:05.26 ID:9QD/NwBo0
少し書きます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「では、早速帰って作業に取り掛かるとしよう」

博士はそう言って、踵を返した。

「物が出来るまでには時間がかかる。……それまでに、残りの刀を集めているがよい」

「ああ、そのつもりだ…全部で十二本ある、精々頑張るわ」

木原は博士を一つも見ずに、ずっと『鍍』を見ている。

それを見た博士は呆れたような表情をした。

「……じゃあな、武運を祈っておるよ」

「ああ、楽しみに待っているぞ」

バタン…。

「………」

木原は立ち上がり、あらかじめ沸かしておいたコーヒーメーカーからコーヒーをいれた。

「……で、どうだった、あのクソジジィは…」

『ああ、最高に頭のネジが弾け飛んだ爺さんだったぜ……テメェと同じくらいにな…』

「ああ、そうだろう?ガキの頃はよく人体実験なんかをさせられてよぉ……やっぱし、一番ヤバかったのは確か洗脳器の性能の最終テストだったっけか……。洗脳させたガキに自分の妹をいかに残酷に殺せるかって実験をやったなぁ……、ああ懐かしい…」

『ははは、それをお前さんにやらせる爺さんも爺さんだが、それを爆笑しながらそのガキを操っていたお前さんも、本当に鬼みたいだったぜ?お前さん方、いつかは地獄に落ちるぞ?』

「はん…、それを言っちゃあ。テメェもそうじゃねーか」

木原は『鍍』に向かって……いや、四季崎記紀に向かってそう言った。

『木原よ、今の俺はその『毒刀 鍍』の中にはいないぞ?今の俺はお前の中にいるんだ。刀に喋っていても無駄無駄……』

「そうだったな…悪ぃな」

『…つーかおいおい、お前さんさっき、俺も地獄に落ちるとか言ってくれたな…。人聞きの悪い事を言うなよ兄弟!俺は生まれてこの方、この手で人なんざ殺した覚えはねぇよ』

四季崎は木原に語りかける。

『人を斬るのは剣客の仕事だ。俺は刀鍛冶だぜ?刀鍛冶は刀を打ってなんぼの商売だ、人を斬るのは専門じゃねぇ』

「おいコラ、俺が見たテメェの記憶にはフツーに人体実験やってたじゃねーか」

『俺がやったのは、ただ俺が打った刀を同じ釜の飯を喰ってきた二人の兄弟剣士に持たせて、一方が死ぬまで延々と戦わせたくらいだよ。言っただろ?俺は生まれてこの方、“この手で”人なんざ殺した覚えはないってな』

「はははっ…そうかいそうかい」

木原は笑う。やはりこいつは俺と同類だ。と、四季崎はある事を訊いた。

『時に木原よ。なんでお前さんは俺の記憶を読んで、変体刀の精製方法を知っているくせに自分で刀を造らないんだ?』

木原はコーヒーを啜りながら答えた。

「俺は確かに猟犬部隊を持っているが、専門はあくまで能力開発だ、武器の開発じゃねぇ。だから、おのクソジジィに依頼したんだよ。あいつはあの手のことなら大好きな変態ジジィだ、変体刀の精製方法を知ったらすぐさまにマネをしようとすると踏んだんだが……予想以上だ」

『ああ、まさかあんなにノリノリで引き受けてくれるたぁ、思ってなかった』
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage ]:2011/06/21(火) 17:06:28.95 ID:BP5MSMYjo
何か急激につまんなくなったな
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 18:09:04.75 ID:9QD/NwBo0

「ああ、あのジジィは前から超能力とは別の法則の力に興味があったからな」

『しかし、この時代の技術を駆使してでも俺の刀を超えられんか…』

「そうガッカリすんなよ。もうじき越えられるさ…きっと……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


その頃、博士は木原の研究所から出て、タクシーを拾って自分の研究所へと向かって行った。

そのタクシーの運転手は、ビクビクしている。

なぜなら、乗せたお客さんが、ニヤニヤと不気味な笑顔で後部座席に座っているからだ。

(……ふふふ…楽しみだ……早く研究室に戻り、早速作業に取り掛からなければ……)

「ふふふふふふ………」

不気味な笑い声が車内を不気味な色に彩る。

(この世のどこに、絶対に折れず曲がらず、刃毀れもしない刀がある?)

『絶刀 鉋』の様な、象が乗っても折れない頑丈な刀は造れないだろう。

(この世のどこに、どんなものでも否応なく一刀両断できる刀がある?)

『斬刀 鈍』の様な、全てを真っ二つにする鋭い刀は造れないだろう。

(この世のどこに、材質・質量・切れ味…。千本全てが同じ刀がある?)

『千刀 鎩』の様な、同じ物質の刀を千本も量産することはできないだろう。

(この世のどこに、刀身を透かせれば向こう側が見える刀がある?)

『薄刀 針』の様な、薄く、脆弱な、脆い刀はできないだろう。

(この世のどこに、絶対の防御力を持つ鎧…刀がある?)

『賊刀 鎧』の様な、巨大で、どんな攻撃も効かない刀はできないだろう。

(この世のどこに、落としただけでも地面にめり込むほどの重い刀がある?)

『双刀 鎚』の様な、大の大人が何十人で持ち上げても上がらぬ重い刀はできないだろう。

(この世のどこに、己を刺せば、決して死なぬ体になる刀がある?)

『悪刀 鐚』の様な、活性力に溢れた禍々しい刀はできないだろう。

(この世のどこに、人間を見つけしだいに殺戮を延々と繰り返す刀はある?)

『微刀 釵』の様な、全自動で人間を殺害していく、美しい人形の様な刀はできないだろう。

(この世のどこに、あの持っただけでも王道を貫くという刀がある?)

『王刀 鋸』の様な、まったく毒気の無い刀はできないだろう。

(この世のどこに、自分の戦闘能力の全てを防御に回せる刀がある?)

『誠刀 銓』の様な、誠実な刀はできないだろう。

(この世のどこに、毒々しく、且つ持った人間を乗っ取ってしまう刀がある?)

『毒刀 鍍』の様な、毒気に溢れている刀はできないだろう。

(この世のどこに、絶対に狙った標的を打ち抜く銃の様な刀がある?)

『炎刀 銃』の様な、最高の連射性と精密性を兼ね備えた、銃の様な刀はできないだろう。


「ふふふふふふ……」

博士は笑う、楽しそうに、残忍に。

(ああ、頭の中にアイディアが湧水の様に湧いて出てくる……。これが泡のように消える前に、早く、新たな刀を、あの十二本を超える刀を造るのだ………。ふふふ…木原め…この為に私を呼んだか…気に食わんが、私のこの消えかけた野望の火をもう一度付けようでわないか。おお、煮え滾る血が血管を走る走る……)

「ふふふふ…ふはははははははははは!!」
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 18:43:37.21 ID:9QD/NwBo0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
すいません…寄り道に寄り道を繰り返していて、気がついたら変な茶番になってしまいました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……!!」

ここはどこだ?

白井黒子はそう思った。

「………?」

黒子は地面に仰向けで寝ていた。

「…?」

黒子は起き上がる。

………なにかおかしい、頭の中で何かが引っ掛かる。

「………」

黒子は辺りを見渡す。

どうやらここは、第七学区のとある本屋の裏路地だった。

………なんでこんなところで寝ていたのだろう?

黒子はそう思った。

でも、それは他愛のない事かと考え、さっさと寮に帰ろう……。

そう思った、その時。


ダダダダダダダダッ!!


「!!」

―――銃声っ!!。

風紀委員である黒子は条件反射で、銃声がなった場所へ向かう。

ダダダダダダダッ!!

マシンガンを乱射したような銃声が辺りに響く。


「なンだァ?どの逃げ腰は…愉快にケツ振りやがってェ、誘ってンのかァ?」


と、銃声と硝煙の臭いが立ち込める場所に、男の声が聞こえる。

誰かいるか?

その時、また銃声が聞こえた。

それが鳴りやんだ直後、女の子の悲鳴が聞こえた。

これは間違いない、男が銃で女の子を撃っている。

黒子は風紀委員の仕事を成し遂げる為、現場に飛び込んだ。

「風紀委員ですの!!」

と、黒子は叫ぶ。……がしかし、

「」

二人は全く振り返らなかった。

黒子はもう一度叫ぶ。しかし二人は振り返らない。

まるで、自分が二人には見えないかのようだった。
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 19:21:12.91 ID:9QD/NwBo0
いや、それよりも。被害者の女の子が肩から血を流して倒れている。

「ちょっそこの人、止まりなさい!!」

と叫ぶ…が、案の定二人には聞こえていないようだ。

「……ちょっと!!」

……ふと、黒子は思ってしまった。

もしかして、今の自分は声が出ていないのでは?…と。

黒子は喉に手を当てて叫んでみる。

やはり、声が出ていない。

「……!!」

その時、男は喋りだした。

「問題です。この俺、■■■■は果たしてナニをやっているでしょう?」

なぜだか、一部分だけうまく聞こえない。

と、黒子は前を見た。女の子は大丈夫だろうかと…。

「」

瞬間、黒子は唖然とした。

女の子が銃を持っていたのだ。

男が銃で女の子を撃っていたのではない。

女の子が男から逃げる為に銃を撃っていたのだ。

(………な…!)

その時、倒れていた女の子が、持っていた銃を男の顔面に向けて撃った。

しかし、男はなんとしなかった。しかも、撃った方の女の子の眼につけていた分厚いゴーグルに銃弾が掠る。

銃が効かないとわかった女の子はすぐに持っていた銃を男に投げつけた。

しかし、銃は男の体に当たるや否や粉々に砕け散った。

その光景に驚く黒子は呆然とした。一方、女の子は黒子の様に呆けず、鼠のように逃げて行った。

男はそれを追いかける。黒子もそれを追いかける。

女の子は曲がり角を曲がった所で立ち止まり、追ってきた男に向かって、電撃を放った。

(………お姉さまと同じ、電撃使い!?)

しかし、女の子が放った渾身の一撃は男に届かず、壁に当たったテニスボールの如く跳ね返った。

「ああああああああああああああああ!!」

悲鳴を上げ、転がり回る女の子。

「………反…射?」

女の子は男にそう訊く。

「残念、惜しいけどォ、俺の本質とは違うンだよねェ…」

男は女の子に歩み寄りながら、笑って女の子の回答を解説する。

「正解は『向き変換』。……運動量・熱量・電気量…あらゆる力の『向き』は俺の皮膚に触れただけで変換可能……デフォじゃァ反射に設定しているけどなァ………。それでは敗者復活戦の問題です…」

と、男は女の子の肩の傷に指を突っ込んだ。女の子の痛そうな声がする。

「俺は今、血液の流れに触れている……。これを逆流させるとォ…どォなっちまうでしょうォか!……フヒィ!」

血液…逆流……。まさか!!

黒子は叫ぼうとする。しかし声が出ない…。もどかしさに怒りを覚える黒子。

とその時、黒子は倒れている女の子の顔を見た。

「」
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 20:01:37.32 ID:9QD/NwBo0
黒子は唖然とする…。

だって、あの顔は…あの容姿は……。

黒子は叫ぶ、早く逃げろと。

しかし、そんな黒子を無視して、男は笑う。

「正解者には………安らかな眠りを……」

そして、女の子は赤く弾け飛んだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「お姉さま!!」



白井黒子は、第七学区のとある病院のベッドの上で目を覚ました。

ハァハァハァ……と落ち着かない息と、バクバクバク……と暴走する心臓をどうにかして宥めようとする。

「夢……ですの……?」

なんと質の悪い夢だろう。

「………あれ?どんな夢を見ていたのでしたっけ?」

さっきの悲鳴で、何の夢は忘れてしまったのだ。

「……なんだったのでしょう……?」

夢の内容を忘れることなんて、いつもなら良くあるし、忘れても気にしない質の自分なのだが、なぜか気になった。

とその時、枕元に置いていた携帯電話が鳴った。

ピピピピピピッという無機質な音だ。よく友人の佐天涙子にそう言われる。

「はいもしもし」

『もしもし、白井さん?初春ですけど』

初春飾利だった。

「ああ、初春ですか」

(そういえば、昨日の事件についてと、美琴お姉さまの噂について捜査を依頼していたんでしたっけ)

「で、どうでしたの?」

『はい、まずは今日の事件の原因と結果、それと結標淡希の処分についてです』

初春は事件の内容を淡々と報告する。

『事件の発端は結標が人間以外の生物に超能力が扱えるかのシュミレートをさせる為に残骸を奪った事でした。

結局、結標たちの計画は失敗、結標の計画に参加した生徒たちは全員捕らえられ、少年院行きとなりました。

また、計画に協力していた中国マフィアというのは『三合会(トライアド)』という組織でした。その組織の人間を尋問したところ、結標たちを回収した後、タイのとある港町へ飛ばして島流しにする計画だったようです』

「そうですか……。結局、計画が成功してもせずとも、彼女たちの夢は叶わなかったようですわね」

『それと、首謀者の結標淡希の行方なのですが、未だにわかっていません。………しかも、学園都市上層部は彼女の処分はお咎め無しにしたようです』

「…な!?なぜですの!?」

『そればかりはわかりませんが、恐らく何か裏があるのでしょう……。まぁ結標淡希を所属していた霧ヶ丘女学院は退学にしたようですけど…』

「そうですか……。まぁいいです、それよりあと二つの件は?」

『はい……。あの…白井さん……?』

「なんですの?初春」

『私の口から言うのがちょっと言いづらいので……、資料をメールで送りますので、それを読んでください』

「……わかりましたの…」

と、黒子の頬に、冷や汗が一筋垂れた。
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 21:22:05.06 ID:9QD/NwBo0
すぐに初春からメールが来た。

資料が、二つある。

パンドラの箱が二つ。


片方のパンドラの箱を開けるように、メールフォルダの中にある、片方のメールを開く。


それは『量産型能力者計画』という資料……。

黒子は一つ唾を呑んだ。

その内容とは……。

「…………な……なんなんですの?これは………!?」


それは、御坂美琴の毛髪から摘出されたDNAサンプルを用いてクローンを作り、超能力者の量産を計ったものだった。


「ふ……ふざけているのですの?こ、国際法で禁止されているクローンを……?」

携帯を握る黒子の手がフルフルの震える。

黒子はベッドの上で立膝を立てて、資料を読み続けて行く。

そして、最後の一文は……。

“……理論を確立し、量産体制を構築しようとした計画最終段階で、樹形図の設計者の予測演算により、 『妹達』の能力は超電磁砲のスペックの1%にも満たない欠陥電気であることが判明。遺伝子操作・後天的教育問わず、クローン体から超能力者を発生させることは不可能と判断された為、すべての研究は即時停止し、研究所は閉鎖、計画は凍結する。”


その一文を見た黒子はヘタン…と座りこんだ。

「……………なんだ……このイカれた実験は失敗だったのですの……」

黒子はハァァアと息をつく。


さて、今度はもう一つの資料だ……。

ふぅと一回息をつく。

メールフォルダの中に入っていた、残りのメール。

もう一つのパンドラの箱を、黒子は見る。


その資料は『絶対能力者進化計画』と書かれていた。

黒子は、キッと目を見開いて、書かれた文章を読んでいった。…。

「………………〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

そうか、そういう事か。

その内容は、樹形図の設計者の算出したプランに従い、学園都市最強の超能力者、一方通行を絶対能力者(レベル6)へ進化させる実験だった。

実験というのは『二万通りの戦闘環境で同じ超能力者である御坂美琴の量産能力者を二万回殺害する』というとても正気の沙汰とは思えない内容。


「…………これが、学園都市の闇…」

どうしてこのような実験が行われていたのか。

どうしてこの実験が公式に採用されたのか。

黒子はメールフォルダを閉じ、初春へ電話を掛ける。

「…初春」

『はい、見ました?』

「ええ……。少し、この街が嫌いになりました」

『ええ、私もです。…………白井さん、白井さんはその欠陥電気と呼ばれる人達と会ったことがあるのですか?』

「ええ…、一度手合せしました」

『実は、白井さんが入院している病院に、その一人がいるようなのです』
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 22:08:52.27 ID:9QD/NwBo0
と、その時。

ガラッと病室のドアを開ける音がした。

誰かが入ってきた。

「…!!………初春、後で電話しますの!」

『…え?……ちょっと!!……白井さん!?』

黒子は電話を切り、枕の下に隠した。

「………(いったい誰ですの?)」

人が一人、入ってきた。…が、暗くて顔が見えない。

黒子は入ってきた人物の顔をジッと見る。


そこにいたのは、御坂美琴だった。


「……っはぁぁ……なんでしたの、お姉さまでしたの……いきなり入ってくるものですから、ビックリしましたわ」

「……………」

美琴は無言だった。

「………」

黒子も口を閉ざす。

数秒たった。

「…………あの…一つ、お伺いしてよろしいでしょうか?」

黒子は、一つ尋ねる。


「あなた……御坂美琴お姉さまではありませんわね?………恐らく、欠陥電気と呼ばれる人達の一人……なのでは?」

黒子はベッドから降り、目の前にいる人物にそう尋ねた。


「はい、御察しの通り、私は御坂美琴お姉さまではなく、お姉さまのDNAマップから生み出されたクローン、妹達です。因みに私は検体番号10032号です。……とある方からは御坂妹と呼ばれています、とミサカはお姉さまのご友人に挨拶します」


「ふん、顔から背格好、髪型……おまけに恰好も常盤台中学の制服ですか……。一見本当にお姉さまと見違えますの。………ところで、何か用ですの?」

「………もう、あの実験の全てを知ってしまったのですね?とミサカは問いかけます」

「………ええ、全てバッチリと……。ちょうどいいですわ、あの日、八月二十一日のことを……!」

黒子は御坂妹の眼を真っ直ぐ見て言った。

「………わかりました、昨日は色々と私の妹がお世話になったお礼に、あの日の…あの事と、八月三十一日の事をお話ししましょう…、とミサカは話が長くなるので、お姉さまのベッドに座ります。……どうぞ、おかけください……」

と、御坂妹は黒子にベッドに座るように促す。

「そうですね……まず、ある方が私達と出会う所から話しましょうか、とミサカはあのツンツン頭の少年の顔を浮かべて語り始めます……」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 22:32:24.84 ID:9QD/NwBo0


「……という事だったのです、とミサカは今日までの経緯を全て話しました」

「………」

どれくらい経っただろうか…。

きっと小一時間は経っているだろう。

「………御坂妹さん?」

膝に肘を置いて俯いた体勢の黒子は御坂妹に、訊く。

「…………もう、終わっっていたのですね?」

「ええ、もう終わっていました」

「もう、お姉さまは、この学園都市の闇に泣かなくてもいいのですね?」

「ええ、泣かなくてもいいです」

「そうですか……」

黒子は顔を上げ、天井を仰いだ。s

そして、立ち上がった。

「わかりました。今日はありがとうございました」

黒子は一礼をする。

それを見た御坂妹は一瞬目を丸くし、微笑みながら立ち上がり、礼を返した。

「いえ、どうも、とミサカは礼をします。……これからも、お姉さまをよろしくお願いします」

と、御坂妹は一礼した後、病室の出口へと歩いて行った。

「ああそうそう、この事は他言無用でお願いします、とミサカは忠告します……なにせ、クローンは国際法違反なので」

「わかりました。でも、あの実験を知ってしまった、私の友人がいますの。信頼できる人物なので、話してもよろしいでしょうか…」

黒子は俯いたまま、そう訊いた。

「ええ、いいですよ?しかし、その方にも他言無用だと、固く言っておいてください、とミサカは再度忠告します」

そういって、御坂妹は病室から出て行った。

それから数分、黒子は天井を仰いだ。

それから、思い出したように携帯電話を取り出し、連絡を今か今かと待っているだろう初春飾利の番号をかける。いつもならキッチリ3コールで出るはずの初春だったが、今回は1コールで出た。

『…もしもし!?白井さん!?』

「もしもし、初春ですの?」

『どどど、どうしたんですか!?大丈夫でしたか!?』

「そう焦らなくてもよろしくてよ、わたくしは大丈夫ですの。………時に初春、少し物語を聞かせましょう…、とある少年と少女達の物語です」

『……はい?』

黒子は窓へ向かい、閉まっていたカーテンを開いた。

「そうですわね……、とあるツンツン頭の少年が、とある少女達を出会うところから始めましょうか……」

窓から眺める空には、満月が昇っていた。

黒子は珍しく、この月が奇麗だと思った。

そして、黒子の眼から一筋の滴が垂れた。

しかし彼女の表情の穏やかで笑っていた。


――― 第一章 終 ―――
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 23:13:48.91 ID:9QD/NwBo0
こんばんは、やっと序章・第一章が書き終りました。

そしてみなさんごめんなさい。駄文な上、お粗末なストーリー、あげくの果てに中途半端な終わり方……、お詫びの言葉しか出てきません。

しかも、最後の木原クンと博士の件は、本ッッ当につまらない物ですいませんでした。

さて、続きも書いて行きたいと思っています。

感想・要望をお待ちしております。

文章能力が無いワタクシですが、よろしくお願いします。


―――――――――――――――――――――
次回予告

海だ。

船の上から、二人の幼い少年と少女が海を見下ろす。

少年の方はショートカット、少女の方は腰まで下がるロングヘアー。髪の色は二人と銀髪だ。

二人とも黒い高そうな子供用の洋服を着ていて、外国語…英語ではない、どこかの国の言語だろうか、歌を楽しそうに歌っている。

「おい坊ちゃん、嬢ちゃん、その歌はなんて曲なんだ?」

と、煙草を吹かした中年の水夫が、奇麗な歌声に釣られてやってきて、そう尋ねて来た。

「ふふふ、教えないよ、おじさん」

そう、男の子の方が答えた。奇麗な、愛らしい顔つきだった。

「じゃあ、その言葉は何語だい?」

「ふふふ、ルーマニア語よ、おじさん」

今度は女の子の方が答えた。こっちも奇麗な愛らしい顔つきだった。

そして、二人とも同じ顔だった。

「……君たち、もしかして双子かい?」

水夫はそう訊く。

「「うん、生まれた時から一緒だよ」」

この可愛いらしい二人の回答に、水夫はつい微笑んでしまう。

「二人とも、この船でどこまで行くんだい?」

「「東京、学園都市」」

「へぇ〜、何しにいくの?」

「「遊びに」」

「そうかそうか。そういえばもう大覇星祭だったね?……っと、そうこう言っている間に着いたよ?さっさと降りないと、船がこのまま乗せて行っちゃうよ?」

「「は〜い!」」

可愛らしく返事をした二人は、甲板に置いてあった自分達の荷物を手に取った、男の子の方は大きな旅行鞄。女の子の方は長い筒の様なものを可愛い布でくるんだ物、クマのストラップが着いている。

二人は、船が港に着いた瞬間に飛び降りた。

「「じゃーねーおじさーん!!元気でねーー!!」」

可愛い双子が先程の水夫に手を振る。その可愛らしい姿を見た水夫は手を振りかえす。………とその時。

ドカァァァァァァァアアアアアン!!!

船が大爆発した。

「ふふふ…姉様…学園都市って、とっても面白い所なんでしょう?」

「ふふふ…そうよ兄様。そこの超能力者のお兄さん、お姉さん達と一緒に楽しく、お遊びしましょ?」

と、可愛く、奇麗に、…そして悪魔の様に笑う双子は、燃え盛る船を全く見ずに、去っていった。


“嘘”次回予告。―――ヘンゼルとグレーテル、学園都市に荒ぶる―――
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/21(火) 23:33:19.61 ID:eheYyotvo
次スレ来るまで怖くてレスできない
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2011/06/21(火) 23:55:46.41 ID:9QD/NwBo0

真 次回予告
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ここは学園都市内のとある繁華街…。

「はぁ〜」

溜息をつく声がする。

「困りました…。いきなりこんな異世界に飛ばされるなんて…」

そういって、困り果てた表情でボヤいている影が一人。

「鳳凰様や、他のみんなは何処へ行ったのでしょう……」

真庭人鳥は、真昼間の繁華街で彷徨っていた。

「右を見ても左を見ても、知らない土地、知らない人ばかり……とほほほ…」

人鳥はトボトボ…と歩く。

「……ここは何処だろう…」

辺りを見渡す。

擦れ違う人たちは皆、奇怪な目で彼を見る。

それもそうだ、真庭忍軍の装束は、いささか特徴的だ。

ヒソヒソヒソ……。と声が聞こえるのがわかる。きっと自分を白い目で見ているのだろう。

(別にいいさ!人のことなんか気にしている場合じゃない!!)

人鳥は心で決意する。

(わたしはあの時、間違いなく死んだ。……だからここは、きっと死後の世界だ!!………だから他のみんなもいるはず!!)

人鳥はそう心の中で推理した。でも実際(鳳凰様は寂しいけど、死んでいてほしくないな…)と思っている。

実際には鳳凰は死んでいるし、この世界は死後の世界ではない。

彼の推理は外れているが、ただ一つ合っているのは、『他のみんながこの世界にいる』ということ。

人鳥はただ一つの希望を胸に、街を歩く。


と、その時、怪しい影が人鳥を狙っていた。

その者はニヤリと邪悪に笑っていて、両手をまるで獲物を狩る梟の様に広げていた。

まるで、人攫いの様だ。

人鳥は、その存在にまったく気付いていない。

彼のその様子を見て、その怪しい人物はさらに邪悪に笑った。


――――――そして、その者の手は人鳥の体を襲った。

999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/06/22(水) 04:29:57.59 ID:31Ks30WZo
人鳥の強運は過去にしか適用されんのね;;
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 18:58:15.01 ID:3Yfb5Nuro
1000^^
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 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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通院と愉快な仲間たち。謝罪編 @ 2011/06/22(水) 17:08:11.10 ID:VVDMNXlDO
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糞スレ立てて運営翻弄して目立とうと思ったら総スルーされて涙目だわ @ 2011/06/22(水) 16:48:11.98 ID:l+4kDIRmo
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ペプシ「まずは、その幻想をぶち殺す!!」 @ 2011/06/22(水) 11:58:54.46 ID:x9OgdSwK0
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