◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:32:12.72 ID:Hz9Qe8hjo<>初めての方は初めまして
お久しぶりの方はお久しぶりです
一応予告していた、ファニー・バレンタイン大統領「ジョースターの決闘を調べねば……」 の続編?にあたるものです
その都度説明していくので、前作は読んでも読まなくても結構です

とにかく遅筆なので暖かい目で見守ってやってください

それでは、よろしくお願いいたします……<>吉良吉影「『先生』として言わせてもらうぞ、上条君」
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:32:57.15 ID:Hz9Qe8hjo<> 私の名前は吉良吉影、カメユーデパートに勤務していた
年齢は33歳、だが結婚はしていない
『出来ない』のではない『していない』だけだ、勘違いしないでくれたまえ

いつも寝る前にはストレッチ、そして温かいミルクを一杯
それで朝までぐっすりさ……赤ん坊のように無垢なまま寝る事が出来る…
『くだらん』悩みや『無駄』な敵などに頭を悩まされる事無くね…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:33:58.61 ID:Hz9Qe8hjo<> そして、私がなぜこんな話をしているかわかるかね?
それは、私がどんなに『平穏』を愛しているかをだな……

まあいい、本題はここからだ
今、私はある『都市』にいる、そして、なぜここに来たかは分からない
何故かって?答えは簡単、『飛ばされた』からさ

まずはあの『戦い』のことを語ることから始めよう
あの、ある意味、私を『救った戦い』をね…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:35:17.84 ID:Hz9Qe8hjo<> 私の愛する杜王町……
かつて……私はあそこを逃げざるを得ない状況にあった……
クソったれ仗助に阿保の億泰、ビビりの康一に無口の承太郎……
あのクソカス共から逃げねばならなくなるとは…今でも信じがたいよ……

奴らが一同に会した時、私は『再び』バイツァダストを使用しようとした
いいか、これは断じて『逃亡』ではない
『未来への遺産』つまりは、未来へと繋げるための『第一歩』だ‼
そして、キラークイーンは『スイッチ』を押そうとした

次の瞬間、私は『白い世界』にいたのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:36:19.78 ID:Hz9Qe8hjo<> そして、いきなり殺しあう事を『自称』『大統領』に余儀なくされたのだ

そして、その『世界』は崩壊した
どうして崩壊したかは覚えちゃあいない
そして崩壊する最後の瞬間も覚えていないのだがね……
まあ、私以外の他にもその世界に生きていた人間はいただろう…
そいつの生死までは知らん、だが私は『生きている』
その事実さえ正しければ十分だよ

説明が急展開と思うかもしれないが
『私には』全ての戦いを把握出来るような状況じゃあなかったのだよ……
私に文句を言われても知ったこっちゃあないな
その辺は了承してくれ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:37:07.69 ID:Hz9Qe8hjo<> 話が長くなったな……

おそらく、私がここにいることはあの『クソカス共』にはバレてはいないだろう
とりあえず、今の所の安住の地は『ここ』とさせてもらおうか……

それではよろしくな……『学園都市』よ… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:37:56.71 ID:Hz9Qe8hjo<> さて、先に私は『平穏』を愛してると言ったな
私は平穏の為なら自らの体を張る事さえ厭わないし
あまっさえ、自ら厄介ごとに飛び込むといった趣味も無い

だが、この状況は何だ?

「ふみゅうう〜〜、もう飲めないのれすよぉぉ〜〜」

何故、私の『背中』に『幼児』がへばりついているのだッ⁉

スタンド⁉いや、この重量感‼質感‼スタンドの『それ』じゃあない‼
しかも『背中にへばりつくだけのスタンド』なぞ聞いた事もない‼ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:38:53.14 ID:Hz9Qe8hjo<> いや……落ち着け…落ち着くのだ吉良吉影……
『逆』だ……逆に考えろ………
この『小娘』がいるという事は『親』もいるはずだ……
ならば、ここでこの娘に恩を売っておけば、当面の生活場所は確保……


よし、いける‼

「え、えーと?お嬢ちゃん?親御さんはどこかな?
迷子になっちゃったのかな?」

ええい、忌々しい‼どうしてこの吉良吉影がこんなちっぽけな小娘に媚を売らねばならんのだ‼
だが我慢だ……安定と平穏の為には避けては……

「んもー‼なにをいってんれすかぁ〜‼
わたしはしぇんしぇいなのれすよぉぉ〜‼」

フェンスイ?ああ『風水』の中国読みか?

「ちがいますぅ〜〜‼先生ですぅ〜‼」

おっと、心の声が漏れていたようだな…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:39:56.76 ID:Hz9Qe8hjo<> ん?今この小娘は何といった?
『元帥』?いや違うな『扇子』……も違うし……

「れすからぁ〜‼せ‼ ん‼ せ‼ い‼なのれすぅ‼」

ああ、この子は錯乱しているようだ
こんな小娘が教師だったら、ギャングのボスがこの街にいても不思議じゃあない

「なるほどねー、で、お家はどこかな?」

まさか、営業で鍛えたこの笑顔がこんな所で役に立つとはな……
まだ何か言いたそうではあるが住所を教えてくれたぞ
クックック……まずは第一歩といった所か……

そしてタクシーを停める、運転手に
さっき聞いた住所を伝え、タクシーへと乗り込んだ

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/05/29(日) 22:41:04.72 ID:Hz9Qe8hjo<> そしてタクシーは目的地に到着した
幸いにも、ポケットの中には私の財布があったので支払う(無論、この小娘の親御さんに請求するがね……)

家に電気はついていないようだ
表札には...『小萌』と書いてあるな……
わたしはドアをノックする

「もしもぉーし、小萌さぁーん!もしもぉーし!」

「ひゃぁぁぁーい……」

この小娘が……!!そりゃ貴様も小萌に決まってるだろう……!
親子なんだからな………!!

ん?
ふと、再び表札に目を戻す
正確にいえば表札の下の『住居人欄』だが

「住居人は……『一人』!?」

馬鹿な!?最近の親はこんなにも放任主義だというのか!?
こんなどうみても6歳程度の子供を………!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage<>2011/05/29(日) 22:41:29.68 ID:se8MmF2T0<> 凄まじく濃い気がするww

支援 <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/05/29(日) 22:42:29.32 ID:Hz9Qe8hjo<> さっきまで寝ていた
小脇に抱えた小娘が目を覚ましたようだ

「あいたたたた……また飲みすぎちゃったのです……
うぅ〜〜、二日酔いぃぃ……変な浮翌遊感……」

パチクリと目を瞬かせ、小娘は覚醒したようだった

「え?何で私……え!?」

小さな体とはいえ、犬のように震えられたらこちらも落とさざるを得ない
両手をホールドアップされたように上げると、彼女の体は重力に従いコンクリートへと顔面から着陸した <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/05/29(日) 22:43:20.43 ID:Hz9Qe8hjo<> 「あいたぁぁぁぁ!?何するんですかァ!?」

目覚めの強い一発、これで起きない奴はいないだろう
私の苦手な小さな女独特の金切り声に近いような声を荒げ始める

「あなたねぇ!人には礼儀というものがあるのですよ!!
そして、お顔から落ちるように手を離すのは礼儀とは……むぐぅ!!」

正直に言おう、物凄く『爆破』したい
だが、いきなり爆破も彼女の言う礼儀には当てはまらないだろうから
とりあえず口を塞ぐ

どこから事情を説明すればいいのだろう……
そんな事を考えながらここまでの経緯を彼女に説明した

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/05/29(日) 22:45:10.33 ID:Hz9Qe8hjo<> 「うぅ……そうだったんですか……
そうとは知らず……ごめんなさいです……」

全くだ、あんな夜更けに子供を背負って歩くサラリーマン風の男など
十中八九、変質者か誘拐者のどちらかだ
ほとんどの人が通報するだろう、誰だってそーする、私だってそーする

「良いんだよ……所で、お嬢ちゃん?ご家族は?」

「うう……私は子供じゃないのです!!」

どうも気になるな、やけに子供じゃあないアピールをする……
一つ、失礼かもしれないが質問をさせていただこう

「あー……お嬢さん?今……『おいくつ』……かな……?」

張り倒される
あまりの衝撃、薄れゆく意識の中にこのクソガキの声を聞いた

「レディーに年齢を聞くなんて……!!失礼なのですよ……!」

むぅ……否定はできないが……クソ……!!
そこで私の意識は途絶えた <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/05/29(日) 22:46:15.29 ID:Hz9Qe8hjo<> とりあえずここまで
行数が少ないのはiPodのフリーズを避ける為なんでご了承……

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2011/05/29(日) 23:03:17.03 ID:Hf8TsbA2o<> すごく……楽しみです…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/05/29(日) 23:20:32.04 ID:+IuAYtJSO<> すまんが誰か前スレのURLを貼ってくれないか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/05/30(月) 00:18:32.06 ID:hc2o9YIA0<> これは期待せずにはいられないな。
乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/05/30(月) 00:26:39.93 ID:jIr6lG7AO<> 乙!続編待ってたよ。
今回はクロスなんだな。これから話がどう転がるのか楽しみだ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/30(月) 00:47:07.17 ID:K/631lpm0<> 酷い目に遭わされるオチ要員で使われる事が多いけど、吉良ってクロス物との相性が良いな。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/30(月) 06:58:04.72 ID:sOaY7Q/So<> 面白いそうだけど前作読んどいたほうがいい? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/30(月) 17:26:21.34 ID:XMPcceoHP<> 乙
前作終わったのか、頑張ったな
ところでビックリマークとハテナマークの表示がおかしい気がするんだけどまさか絵文字とかだったりする? <> 愚者
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/06/01(水) 00:15:11.96 ID:G97lxG4to<> 二、三日後に投下します

絵文字は使ってないけどな……半角の!と?は使ってるけど……
!と?をくっつけて!?にしたのがいけなかったか

前作は読んでも読まなくても大丈夫
ただ、台本形式の時は自分で見ても何語?な次元だからな……

このSSの世界の設定をまとめると

・この世界は前作の中で出来た、色々な作品(漫画、小説、ゲーム、映画)の世界が違和感なく混ざった世界
・この世界の人々は記憶が改ざんされてて、他の世界のものに違和感を感じない
・元の世界の記憶がある『かもしれない』のは前作の闘いでの生き残りのみ(無い奴もいるかもしれない)

こんな所かな
何だこれ!?ムチャクチャじゃないか!?って思われた方はゴメンね!!

まあ、こんな感じでノンビリやってきますんでよろしくです

それじゃ <> 愚者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/01(水) 00:25:13.28 ID:G97lxG4to<> お、長文が打てたので今度から長文打ちます

後、タイトルをつけ忘れてたので一応ご報告

「とある異界の来訪者(Now I'm Here)編」でよろしくお願いいたします

ネーミングセンスが無いのがお分かりいただけただろうか………
「とある いかいの なう あいむ ひあ」と読む
……深夜のイカれた命名力が恨めしいな……

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山形県)<>sage<>2011/06/01(水) 22:39:10.14 ID:PKIJ/cPjo<> 半角じゃなくしたら多分大丈夫 <> とある異界の来訪者(Now I& ◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:10:20.87 ID:ZNsSnAxUo<> 投下します <> とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:12:00.09 ID:ZNsSnAxUo<> 目の前に『事切れている女』がいた
私は右手にもった『包丁』を手首に当てがってやる
ああ……もう少しで『彼女』から余分な『パーツ』を切除出来る……
まるでサンタのプレゼントでも開ける時のような気分の高翌揚に襲われる
たまらない、呼吸の荒くなるのを止められない
気分を落ち着かせるためにペロリと唇を舌で舐める……よし……

「やるぞ……」

左手で包丁の柄を持ち、右手を峰に添え、そして………

「………夢か…」 <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:13:27.21 ID:ZNsSnAxUo<> 頬がジンジンする
ん?ここは何処だったか……?私の家じゃあ………

ああ、そういえば私はあの小娘に殴られて……
クソ……!油断していた……!!
本当は避けられたのだ…だが、あえて食らう事によって『罪悪感』を植え付けようとしたが……
まさかあんなに綺麗に気絶させられるとはな……

そこで、タバコの匂いがプンと鼻につく
それもかなり年季の入ったもののようだ

私はタバコは吸わない
何故なら身体に全くメリットが無いし、自ら肺ガンになるような自虐的な性格でも無いしな

じゃあこのタバコの匂いの元はどこだ? <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:15:51.30 ID:ZNsSnAxUo<> 1.昨日の小娘の親(一番可能性的には高い)
2.どこか外から漂ってきた(あり得るがこのハッキリとした匂いはじゃあない気がする)
3.スタンド(馬鹿か私は)

こんな所か
大穴としては4.あの小娘が実はヘヴィースモーカーってとこだな

そんな馬鹿な事を考えている場合じゃあなかった
ここで大事なのは私が追い出されもせずに
ここで布団の上で寝かせてもらっているという事なのだ

つまるところ、私は見事に小萌家に泊まりおおせる事に成功した

「クックック……我ながら…完璧だったな……
…………結果オーライというわけじゃあないが……」」

ご丁寧に掛けてあったタオルケットを剥がすと『紙切れ』が落ちてきた

「ん?」

どうやら『メモ』のようだ
読んでみよう <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:18:05.98 ID:ZNsSnAxUo<> 【『学校』があるので行ってくるのですよー!
色々お話ししたい事もありますし、家のものは好きにして構いません!
たぶん、20時には帰ってこられます!
月詠小萌】

ほう、あの年にしては中々綺麗な字を書くものだ
なるほど……名前は月詠小萌というのか……

ん?何か『奇妙』だぞ?なんだこの感覚……?
何か大きな間違いをしているような……

そういえば

私は立ち上がり、踏み場のない床を足で安全地帯を作りながら玄関へ向かう

ドアを開け、昨夜見た表札を確認する

【小萌】

そして……彼女の名前は……月詠『小萌』……だと……?

つまり……つまりだ……!
この家は彼女『一人』の家だという事かッ!?
じゃあこのタバコの吸殻はなんだ!?
彼女は両親とかと同居してはいないのだ!つまり『彼女』自身が吸ったもの!
だが、あの年で!?いや、彼女は確か……自分を『先生』と言っていたな………!!
まさか彼女は本当に『成人』というのか……!?
馬鹿な……学園都市……!!見た事もないような機械が多くあると思ったが……
ここの科学は『不老』まで可能としたというのかッ!?

恐ろしい……恐ろしいぞ学園都市ッ! <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:19:51.06 ID:ZNsSnAxUo<> 私は驚愕の新事実をどうにか胸の奥へ押さえ込む
彼女が『成人』……いや…『聖人』だったとは……
再び、鼓動が私を襲ってくる
落ち着け……何か気が紛らわせそうな物……

おお!『テレビ』だ!テレビをつけよう!
ニュースは私を落ち着かせてくれる……きっと……

ポチッとな

1ch....「本日の料理です、本日はイチゴおで」
次、2ch...「WRRRYYYY!!![ピーーー]ェェェ!」
次…3ch...「速報です!今日未明、アメリカの刑務所で脱獄が」
……4ch…「このように特定の自販機を蹴る事で、不正にジュースを得ている女子が」

ここに『平穏』はないのかァーーッ!?
『普通』な物が何一つないじゃあないかッ!
ここで落ち着けるわけがあるかァァァ!!

ハァハァ……!!全く……!
ここで暮らすのかと思うと頭痛が………

しょうがない、小萌さんには悪いが外出をさせてもらおうかな
この部屋では私の『胃』がもたないよ……

とりあえずその辺りをブラブラしてこよう
私は気の向くまま、歩を進めた
道中、ドラム缶のようなロボットを見かけたり
空に浮かぶ気球のような飛行船を眺めたり
それなりに『平穏』な一日が過ごせた

ように思えた <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<>訂正 saga<>2011/06/02(木) 23:21:04.93 ID:ZNsSnAxUo<> 私は驚愕の新事実をどうにか胸の奥へ押さえ込む
落ち着け……何か気が紛らわせそうな物……
おお!『テレビ』だ!テレビをつけよう!
ニュースは私を落ち着かせてくれる……きっと……

ポチッとな

1ch....「今日の料理です、本日はイチゴおで」
次、2ch...「WRRRYYYY!!!死ねェェェ!」
次…3ch...「速報です!本日未明、アメリカの刑務所で脱獄が」
……4ch…「このように特定の自販機を蹴る事で、不正にジュースを得ている女子が」

ここに『平穏』はないのかァーーッ!?
『普通』な物が何一つないじゃあないかッ!
ここで落ち着けるわけがあるかァァァ!!

ハァハァ……!!全く……!
ここで暮らすのかと思うと頭痛が………

しょうがない、小萌さんには悪いが外出をさせてもらおうかな…
この部屋では私の『胃』がもたないよ……

とりあえずその辺りをブラブラしてこよう
私は気の向くまま、歩を進めた
道中、ドラム缶のようなロボットを見かけたり
空に浮かぶ気球のような飛行船を眺めたり
それなりに『平穏』な一日が過ごせた

ように思えた <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:22:25.97 ID:ZNsSnAxUo<> 小萌さんの家に帰る途中、もはや、お決まりと言っても良いようなやりとりが聞こえたのだ

そう、いわゆる『ナンパ』という奴だ
ナンパと言えば軽く思えるが、実際は『婦女暴行』に近かったがね……

いいか、先に言っておく『私からは』奴らの機嫌を損ねるようなしてはいない

全ては奴らからだった

いつだって……『馬鹿』というモノは理解出来ない……
どうして、自分から厄介ごとに首を突っ込むのだろうな?
だまっていれば平和に過ごしていけるというのに………
<> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:24:09.66 ID:ZNsSnAxUo<> 最初、奴らの声を聴いた時は
あまりにも古典的な誘い方だったので笑いそうになってしまった

「よぉ〜おねえちゃぁ〜〜ん?お茶しねえぇぇ〜〜?」

馬鹿が、やたら語尾を伸ばすなうっとおしい
そう思いながら声の出先を目で追う

そこには頭の悪そうな『不良達』とそれなりに頭の良さそうな『女生徒』がいた
どこからどう見ても紳士的な会話をしているようには見えない

「ちょっとでいいからよぉぉぉ〜〜〜
一人ぼっちでサビシー俺たちに構ってくれてもいいんじゃあねぇぇかなぁぁぁ?」

当然、女生徒は腰までもある長い髪を振りながら
拒む様に逃げようとするが『手首』を掴まれる

この時から私はこの一連のやりとりが目から離せなくなった <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:26:26.42 ID:ZNsSnAxUo<> 「(貴様如きがまだ『未成熟』な『彼女』に手を出すんじゃあない!
彼女は繊細な物なのだ……少しの家事で荒れてしまったり
少しの過食で見るに耐えない『肉塊』になってしまう……
それを貴様のような脳みそが糞になったような猿が
力任せに「握っていい物』なんかじゃあないんだ!!)」

あくまで、あくまで心の中に留めたが
もう少しで白昼堂々、私の『好み』を大発表してしまうところだった……

気がつくと、目の前に不良どもがいた

「おいオッさんよぉぉ〜〜?
人がナンパしてるのがそんなに面白いかねえええ〜〜〜〜?」

この不良A(無論、アホのA)、頭の中身まで不良のようだな
動作不良もここまでいくとメーカーも引き取ってはくれまい

「ムカついたッ!すっげムカついた!!
おいオッさん!金だしな!慰謝料だ!この気持ちの慰謝料だ!」

不良B(バカの略)も中々の不良のようだ
例えるなら、同じ言葉しかコピー出来ない印刷機だ
私がこれを買った日には泣くに泣けないな
経費じゃあ絶対に落ちないだろうし…… <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:27:55.10 ID:ZNsSnAxUo<> 「聞いてんのかよてめぇーはよぉぉぉおお!?」

しかたがない……無視してもついてこられるだろうしな……
関係のない小萌さんだけは巻き込むわけにはいかない………

だったら………

「それはすまなかったね、ほら、これでいいかな?」

『一万円札』をチラつかせてやる
馬鹿共め、動きに合わせて目を動かすなど……トンボか貴様らは……

「いいかい?今から投げるからね?
いくぞー……それッ!」

幼児に話しかけるような言葉遣いで言った事を
素直に首を縦に振りながら聞くところなど、もう逆に愛おしさすら感じるレベルだな

一万円冊はまるで『風』にさらわれたように『3m』先まで飛んでゆく

「俺だ!俺の金だ!やったあ!!」

さて、

「馬鹿が!これは俺の慰謝料だ!俺の慰謝料なんだよぉぉぉ!」

どっちが

「邪魔だ!どきやがれこのッ!」

先に

「てめー!足かけやがったな!てめーもだ!
てめーも後で慰謝料だ!絶対に慰謝料だ!!」

<> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:29:16.56 ID:ZNsSnAxUo<>












『女王』の触れた金を取れるかな? <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:30:20.28 ID:ZNsSnAxUo<> 「やった!とれる!とれるぞ………
…………ウゥゥォオパァァァァァ!!!!」

おお、先に取れたのはAの方だったか
こみ上げる笑いを噛み殺しながら不良達の方を向くと
Aが口を両手で抑えていたのが見えた

おそらく口で金をキャッチしたのだろう
軽い『爆破』に押さえてやったから全身が吹き飛ぶ事はなかったが
中々のブ男っぷりを晒している………
いや、むしろ先ほどよりもかなりルックスはイケメンかもしれないぞ……

私は背を向けて家に向かおうとすると声が聞こえた

「うぉぉぉぉ!てめぇぇぇよくもぉぉぉ!!」

おそらく不良Bが向かってきたのだろう
Aは今、喋るどころじゃあないだろうからな

後ろを向くまでもない

久しぶりに、彼女の降臨だ
私は声高らかに宣言した

『キラークイーンッ!』 <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/02(木) 23:33:12.16 ID:ZNsSnAxUo<> キラークイーンは不良Bの振りかぶった『左腕』を受け止め

『へし折る』!!

乾いたマキが折れるように!
キラークイーンは優雅とも言える動きでBの腕を引き寄せ!!へし折ったのだ!!

「あぎゃぎゃぁぁぁぁ!!!
いてぇよぉぉぉ!!いてぇんだよぉぉぉぉぉ!!!」

そんな事ぐらい言われなくたってわかる

私は再び歩みを進める

だが

仮に、人との出会いが運命だとするならば
その運命を司っている神がいるとするならば


なぜ、私をほうっておいてくれないのだろうか?


「アンチスキルじゃん!!お前ら!神妙にするじゃんよ!!」

どこからともなく車が来たと思えば
あっという間に機動隊のようなものに囲まれてしまった

また厄介なのが……
アンチスキルだと……?どんな名前だ、親の顔が見たいものだよ…

「喧嘩があるとの通報を受けて来た!
当事者は大人しく出てくるじゃん!」

逃げる……のは無理だな……
しかたがない………
私は大人しく『アンチスキルさん』とやらに従う事にした
<> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/06/02(木) 23:34:49.85 ID:ZNsSnAxUo<> 以上です

とうとう明日七部が完結ゥ!!
八部も中々奇妙な始まりだったぜ!!

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/02(木) 23:42:34.84 ID:p9ol3gnJ0<> 乙!
前スレはどうなったんだ……まさか、BADEND!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/06/02(木) 23:49:46.95 ID:DelaNO/w0<> 乙
爆破に見えない攻撃…
学園都市の学生には多重能力に見えるのかもな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/03(金) 00:04:06.66 ID:gNo97AAYP<> 乙
詰んでねーかこれwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/03(金) 00:52:09.61 ID:xwUKrCQJo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/03(金) 02:19:34.76 ID:a9fOR4WAO<> 乙


爆弾つながりでフレンダとの絡みを期待してもいいかね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/03(金) 02:40:40.47 ID:/SOkX88X0<> >>45
その場合、手首に惚れるのか脚線美に惚れるのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/06/03(金) 10:05:01.87 ID:Ax2/LnTAO<> >>46
吉良なんだから手首だろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/03(金) 10:39:55.85 ID:6nlP2W2DO<> 分離した上半身からさらに手を分離させるわけだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/06/03(金) 18:04:08.16 ID:Zzi+csTAO<> 乙!
テレビ番組がカオスwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2011/06/03(金) 22:38:12.12 ID:/NmReydRo<> フレンタ /゙ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/04(土) 00:31:45.07 ID:ib4Td6cwo<> >>47
いや間を取って足首かも知れん <> とある異界の来訪者編
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/04(土) 00:49:30.50 ID:a4WQq4h6o<> たぶん……たぶん4日後に投下します…
「4」って数字は縁起がわりーがしかたねえ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/04(土) 00:57:17.26 ID:5ppXps9Do<> おお、待ってるぜ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2011/06/04(土) 02:16:53.73 ID:VFqd8XgAO<> 楽しみにしている <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2011/06/04(土) 18:54:41.34 ID:zolLBt2AO<> ………吉良って平穏な毎日を過ごすために相手は跡形もなく消滅させるんじゃなかったっけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/05(日) 08:49:05.87 ID:5uwQw+nDO<> >>55爆破する前にアンチスキルが来たんじゃね?
それに吉良は緊急時(趣味がばれた時など)以外は人目に付きそうな外では殺人しないと思う。
緊急時もシアーハートアタック等で自分の正体がばれないように殺人をするはず <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/06/05(日) 10:56:44.08 ID:G8lZmHCn0<> 吉良のスタンドは操作性からレベル4ぐらい?
あとスタンドは幻想殺しで消せるのだろうか。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/06/05(日) 22:17:05.19 ID:2Vpbu/QAO<> >>57
まずスタンドには触られないからな

スタンド使いに触れば触ってる間は使えないんじゃね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/06(月) 00:00:24.23 ID:n53/dUoOo<> クイーンの爆弾は右手で触れてたら発動しなさそうだな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 00:51:47.46 ID:XTimCuxDo<> 投下します <> ◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/06/07(火) 00:54:33.65 ID:XTimCuxDo<> 「あんたがやったんだろう!?いいかげん吐くじゃん!!」

ダムッ!!と机を叩きながら
アンチスキルさん、もとい、黄泉川愛穂は私を責め立てる

この詰め所に来た最初に、黄泉川愛穂という自己紹介を聞いた時は耳を疑った
こんなゴツい(手首が)女が『愛穂』だと?
ふざけるな、名前詐欺とはこのことだ
せめて名前のどこかに『ゴリ』は入れるべきだろうゴリ川さん

ちなみに私も自己紹介をしたが特に何も変わった『反応』は示されなかった
良かった、この世界では吉良吉影が『ニュース』に出てしまったような事は無いようだな…

彼女が刑事ドラマさながらの迫力で私を問い詰めてくる

だがその内容自体は私の耳には入ってこない
やかましいBGMを聞いているようなものだった

私の『心』はただ一つ、小萌さんが私を心配しているかしていないか
ただ、それだけが私の心を曇らせる
ここで愛想を尽かされれば私はお終いだ
あっという間にホームレス……嫌な響きだ……

さっき、電話を借りようとは思ったものの
このクソやかましい女がそれを許してはくれなかったのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 00:55:34.84 ID:XTimCuxDo<> 胸ぐらを掴まれる
揺らすな、頭痛がしてしょうがない

「おいおい……刑事さん…」

「刑事じゃないじゃん!アンチスキルじゃん!!」

おっと失礼

「じゃあ黄泉川さん、私が何かやったという『証拠』あるんですかね?」

すると目の前の女は声をつまらせる <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/06/07(火) 00:58:11.28 ID:XTimCuxDo<> 無論、あるわけがない
『スタンド』は『スタンド使い』にしか見えないのだから

私にはキラークイーンがバカ共を蹂躙しているのが見えるが
おそらく、彼女には『勝手に』腕が折れていってるように見えるのだろう

そもそも、私自身はあのバカどもを『消滅』させてしまいたかったのだ
だが、こんな地理も把握できていない場所で
そんな事をすれば誰が見ているか分からない
だからこそ、あの程度で済ませてやったのだ

そして、どうやらこの時代には『人を監視するカメラ』があるらしい
さっき、本人確認の為にその時のビデオを見たが、カメラアングルの多さに驚いた

やはり私の判断は間違っていなかったのだ!
この吉良吉影に間違いなどあってはならないッ!!そうに決まっている!!

彼女は文字通り『何百回』とそのビデオを再生していたが
やはり証拠は見つからなかったらしい
だから、私が吐く方に賭けたのだろう <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 00:59:33.46 ID:XTimCuxDo<> 「証拠は………ないじゃん……」

ほらな

「じゃあ、さっさと家に帰してくださいよ……」

彼女の不信そうな視線は止む事がない嵐のようだ
隠そうともせずに私の方に向かってくる

「分かった……今日の所は帰っていいじゃんよ…」

やった、根比べに勝ったぞ!!
この吉良吉影が敗北する事などあってはいけないのだ!!

「だが!!」

何だ!?情報を小出しにするんじゃあない!!

「あんたの『身分証明書』を見せてもらってからじゃんよ!!」
<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:01:10.10 ID:XTimCuxDo<> …………?

身分……?このわたしの………?

………ハッ!?

そうだ!そういえば!!

私はあの時に『飛ばされて』おそらく『行方不明』扱いとでもなっているはずだ!!

なら!ならそれならば!!

『この世界での私の存在はどうなっているのだ!?』

この世界は『統合』されたものッ!!
ここはいくつもの世界を『統合』し、元から統合されていたかの様に『歴史の修正』を施された世界だ!!
だが『統合』された時に私はこの世界に『いなかった』!!
ならばあの大統領がおこなった『歴史の修正』に加えられていなくもおかしくはない!!

いうなれば私は!!

『存在しない存在』とでもいうのかッ!? <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:03:40.64 ID:XTimCuxDo<> 「さあ!!とっとと見せるじゃんよ!!」

黙っていろ乳女!!今、考えをまとめている所だ!!

「どうした?何か見せられない理由でも……あるのかァ………?」

クソ!クソ!クソォ!!どうする!?
…この女………『消す』か……?

「だいたい、この街に大人がいる事自体が珍しいのに
身分すら不明なんて怪しさMAXじゃんよ!!

いやいやいや!それはマズイぞッ!!
さっきの場所ですらあんなにカメラが有ったのだ!!
ここに無いはずがないッ!!

「よォーしッ!!まずはポケットをひっくり返せェェェ!!
五秒だッ!!五秒以内に捲り上げるじゃん!!」

グオオ……何故だ……!?何故このわたしにこんな事が……!?
あっていいはずがないぞ……!!あっていいはずがないのだ……!!

とはいえ、従わなければどうなるかわかったものじゃあない……!

彼女に従い、ズボンのポケットをひっくり返す <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:05:08.69 ID:XTimCuxDo<> まずは『右』だ
見覚えのあるサイフが出てくる

「ほほォ〜?これがあんたのサイフじゃん?
中々良いブランド物じゃんよォ〜!」

やかましい、貴様に指摘されなくても分かっている
ヴァレンチノだぞ、ヴァレンチノ

サイフの中身は昨夜のタクシー代で空っぽになってしまっていた

「今時クレジットカードも無し?めずらしいじゃん………」

『くれじっとかーど』?
この吉良吉影のいた時代にそんなものはなかったぞ?

「サイフには何も無し………
よしッ!じゃあ次じゃん!『左側』を出すじゃん!!」

何かあるはずがない
渋々、再び、彼女に従う事にした

左ポケットに手を突っ込む <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:05:59.35 ID:XTimCuxDo<>





…………ガサリ!! <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:07:43.95 ID:XTimCuxDo<> 「「ん!?」」

不本意だが彼女とハモってしまったがそんな事はどうでも良い!!
『何』だ!?これは!?

「なぁーに隠してるじゃぁ〜ん?」

不審そうな目で私を見るなこの『雌牛』がァァァァ!!
私にだって分からないのだ!!貴様にわかってたまるかァァァァ!!

左腕を引き出す

これでアメでも出たら見逃してくれるだろうか…?
そんな事を考えていたが

出てきたのは

『私の身分証明書』だった

何だ……!?何時の間にこんなモノが……!?
さっきまではこのポケットは『カラ』だったはずだ………!!
思わずポケットを引きずり出すが、確かに今度は『カラッポ』だ

「ほぉーら!あったァーッ!!見せるじゃぁ〜ん!!」

身分証明書をひったくられた

相手がご丁寧に読み上げるのを聞く <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:09:36.65 ID:XTimCuxDo<>
「ふんふん……1976年の1月……30日生まれ……
血液型は……A型ね……」

何故だ!?何故、生年月日が『合っている』のだ!?
そんなモノを『作った』覚えはないぞ!?

「そして……職業は……?」

何!?『職業』!?それは少しマズイぞッ!!
いやッ!かなりマズイ!!
私がカメユーデパートに務めていた事を知ればッ!
この女は会社に『連絡』を取るだろうッ!!

だがッ!!

この吉良吉影を『辿らせる』事は絶対に避けねばならないッ!!
私は『平穏』を守り抜くのだッ!!

『キラークイーン』!!!

キラークイーンは手刀の構えを取り
黄泉川愛穂の首を切り落とさんと……ッ!!
<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:10:46.84 ID:XTimCuxDo<>








「へぇ〜、あんた『教師』じゃん?」







<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:12:13.04 ID:XTimCuxDo<> 『殺人女王』の手刀が止まる

今、この女は何と言った?
きょうし?キョウシ?
それらの言葉が私の頭の中をグルグルと回る

そして漢字に変換する事を完了した

「私が教師だとォォォォォォォォォッ!?」

不肖、吉良吉影、人生で初めて『吠えた』瞬間であった

「貸せィ!!」

身分証明書をひったくる
そこには撮った覚えのない、いつもの私の顔じゃあない『川尻耕作』の顔写真があり
生年月日、職業という欄が確かに存在した
生年月日は……合っている……
職業は……やはり『教師』だと……!?

「でもあんたさァ〜〜『居住地』の欄が『空白』じゃん?
今、あんたどこに住んでるんじゃんよ?」

わたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしが

それしか頭にない私にはその場を凌ぐ良い嘘が見つからず

「小萌……の……家…………」

そうとしかいう事が出来なかったのだ

するとさっきまで厳しかった視線が
急に噂話好きの主婦の『ソレ』となった <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:15:13.15 ID:XTimCuxDo<> 「おいおいおいおい〜!!小萌センセの家に……『同居』してるだとォ〜!?
いや……この場合は『同棲』になるじゃん!?キャー♪
小萌先生も隅に置けないじゃァ〜ん♪
しかも『呼び捨て』って………!!
よぉーし!これで小萌先生に一杯奢ってもらう口実ができたじゃん!!ラッキィィィ〜!!」

ワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシ

まだこの驚異的で脅威的な事実に支配される

「まー!小萌先生が一緒に住むような人だから
今回は『信用』して『不問』とするじゃん!
それにしても異性の教師同士で同棲とは……イカンですなァ〜♪」

そういうと黄泉川愛穂は机をバンと叩き
軽快に飲みに行こうと虚ろなわたしに伝えると
小萌さんに電話をかけ始めたのだった……
<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:16:46.05 ID:XTimCuxDo<> 気がつくと私は『屋台』にいた
どうやら、強引に連れてこられたようだった
既に黄泉川愛穂は酔いつぶれて机に突っ伏している

ベンチの左端に私、右端には黄泉川愛穂

そして

「酷いじゃあないですかァ〜!!」

ん?ああ、この人は……えーと…不老不死の……
話が飲み込めないな、何がひどいのだ?

「も〜!あなたが私の家に『住んでいる』とか言うから
黄泉川しぇんしぇいがァ〜〜……うぇぇぇぇ〜〜〜ん!!」

何だ?顔を『真っ赤』にしながら泣き始めたぞ?
とりあえず頭をスッキリさせたい

「すいません、お水を下さい……なるべく氷を多めに……」

そういうと屋台の親父というよりは『シェフ』寄りの男は

「オ・カピートォ……」

とだけ言いながら屋台の下に仕舞ったコップを取り出し、水を注いでくれた <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:18:35.63 ID:XTimCuxDo<> 「ですからぁ〜〜〜!!あなたがぁ〜〜〜〜!!
私とぉぉぉぉ……その……」

何だ?最後になんと言ったのか……?

話を遮り、親父が私にグラスを差し出してきた

「お待たせいたシました……」

出てきた、屋台には不似合いなピカピカのグラスにそそがれた水を私は飲み干す

美味い、こんな美味い水は初めてだ
これで『タダ』とは嬉しいな……

「もー、良いのですよ……
ところで………お名前、聞いてませんでしたね?
私は………」

おお、最近には滅多に見かけない自ら名乗るタイプの人間か
好感が持てるな

「貴女のお名前は知ってますよ、小萌さん
メモに書いていてくれたじゃあないですか」

おお!と可愛らしいリアクションを取りながら
小萌さんは私を見つめ直す

「じゃあ、あなたのお名前は何なのですか?」

おっと失敬

「失礼……私の名前は…」

私の自己紹介はGUUOOOHH!!!GYYAAAAAA!という雑音にかき消される
そう、黄泉川愛穂の『イビキ』だ <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:20:52.61 ID:XTimCuxDo<> 「小萌さん、ちょっと待ってて下さいね
すいません、親父さん?『握り拳大の食材』はありますか?」

「オ・カピートォ…」

そういうと親父は『モッツアレラ・チーズの塊』を渡してきた
礼を言いながら受け取り、塊を黄泉川愛穂の口に詰める

おお、快適だ

では改めて

「小萌さん、私の名前は吉良吉影
『これからも』よろしくお願いします」

営業で培った75度の礼に小萌さんもアセアセと首を振る

「そ、そんなご丁寧にしなくてもいいのですよ!!
『こちらこそ』よろしくなのです!!」

クックック……お気づきだろうか……
先ほどの会話の中に私の『テクニック』が潜んでいた事を……

いいか?私は『これからも』と言い、彼女は『こちらこそ』と言った!!
つまりだ!!もう数日は彼女の家に住む口実が出来たのだ!!
屁理屈だと!?なんとでも言うがいいッ!!
この年でホームレスの仲間入りだけは嫌だ!!私のプライドが許さないからなッ!!

我ながら完璧……そんな優越感に浸る……

「BOOOHHHUUUAAAAAAA!!!」

やかましい噴射音と共にチーズが机に転がり出る
何だ騒々しい

「こ……[ピーーー]気じゃん!?」

はて、何の事やら
<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2011/06/07(火) 01:21:18.64 ID:XTimCuxDo<> 「すいません小萌さん、ちょっと待ってて下さいね
すいません親父さん、『握り拳大の食材』はありますか?」

「オ・カピートォ…」

そういうと親父は『モッツアレラ・チーズの塊』を渡してきた
礼を言いながら受け取り、塊を黄泉川愛穂の口に詰める

おお、快適だ

では改めて

「小萌さん、私の名前は吉良吉影
これからもよろしくお願いします」

営業で培った75度の礼に小萌さんもアセアセと首を振る

「そ、そんなご丁寧にしなくてもいいのですよ!!
こちらこそよろしくなのです!!」

クックック……お気づきだろうか……
先ほどの会話の中に私の『テクニック』が潜んでいた事を……

いいか?私は『これからも』と言い、彼女は『こちらこそ』と言った!!
つまりだ!!もう数日は彼女の家に住む口実が出来たのだ!!
この年でホームレスの仲間入りだけは嫌だ!!私のプライドが許さないからなッ!!

我ながら完璧……そんな優越感に浸る……

「BOOOHHHUUUAAAAAAA!!!」

やかましい噴射音と共にチーズが机に転がり出る
何だ、騒々しい

「こ……殺す気じゃん!?」

はて、何の事やら
<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2011/06/07(火) 01:22:57.34 ID:XTimCuxDo<> 「夜も更けてきましたねー
そろそろお開きにしましょうかー」

そうですね、と相槌を打つ
今日は色々な事がありすぎた……眠りたい……

その時だった

「HHYAAAAAHHHAAAAAA!!!」

酔っている(と思しき)不良がバイクにこちらに向かって来るッ!!
改造をしているようだ、普通の車と速度が大差ない!

「死ねェェェェェ!!黄泉川ァァァァ!!
仲間の恨みじゃあァァーーーッ!!」

どうやらこの雌牛に用があるようだ
まったく騒々しいったらないな <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:24:23.48 ID:XTimCuxDo<> だが、『感心』しない!
確かに人にものを伝える事は素晴らしいッ!!
だがッ!!『許されざる』方法でなら話は別だ!!
無関係の他者を巻き込んだり無力な相手を襲う事など言語道断ッ!!
少し……いや、『タップリ』と!
『痛い目』にあって貰うぞッ!

吉良は無意識のうちに、かつて川尻しのぶに抱いたような感情を抱いていたッ!
確かに彼が言うのは『矛盾』しているということもあるだろう!!
だが!今の彼には『純粋』なる気持ち!!『月詠小萌を守りたい』!!
ただのそれだけしか頭に無かったのだ!! <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:27:04.44 ID:XTimCuxDo<> キラークイーンを発現させッ!!小石を拾いッ!!
暴走バイクの『前輪』に投げつけるッ!!

パァァァァァン!!というタイヤの破裂音の小気味良い音に続くは
前輪が沈み込んだ事によるバイクの後輪の『跳ね上がり』!!

「にゃにぃぃぃぃ!?」

不良は空高くスカイハイッ!!

後に残るは暴走バイクッ!!勢いは衰えずッ!!
こちらへ突撃して来る事をやめない!!

「きゃああああああああ!!」

小萌の悲鳴はトランペットのように響き渡るッ!!

だが!だが吉良吉影は『戸惑わない』ッ!!

問題なく!!まったく問題なくッ!!
何も来なかったかのようにバイクを『爆破』ッ!!『消滅』させる!!
音は無いッ!!後に残るはまるで指揮者が演奏を止めた後
拍手が来るのを待っている間のような静けさだった!!

そして今頃落ちてきた不良をキラークイーンでキャッチする
不良は泡を吹いていたが無視して放り投げく

そして、今までバイクの向かって来る方を向いていた吉良吉影は振り返り

ただ一言、

「帰りましょう?」

そういいながら呆気にとられる黄泉川愛穂を残して、小萌の手を握ったのだった

<> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:28:01.38 ID:XTimCuxDo<> 以上です

次はいつか分からないです

それじゃ <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 01:28:41.76 ID:XTimCuxDo<> 以上です

次はいつか分からないです

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 01:30:45.16 ID:bbbxNXhIo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 07:05:58.41 ID:OK2Ivq3Do<> 面白いです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 07:25:17.76 ID:NOSEcj5DO<> ディ・モールト・ベネッッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/07(火) 08:04:26.95 ID:9ZXjWwUu0<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 16:32:00.99 ID:P6MAWV+MP<> 乙
吉良のテンションイカれてんなwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/06/07(火) 17:17:06.94 ID:Im1cHQ8Eo<> 黄泉川流石になんかあるって気付くだろこれwwwwwwwwwwwwwwwwww
いや、大人が能力者とかありえないからそっちの発想には至らないか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/07(火) 18:33:18.96 ID:o4+BXfCro<> せっかく不問になったのにwwwwww

世紀末なスキルアウト(?)もいたもんだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 19:08:17.03 ID:NRA6prbDO<> ロリコン吉影 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2011/06/07(火) 19:41:05.56 ID:Lum+/Kkqo<> おつー

>>90
たまたま好きになった手首が幼かっただけだ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/06/07(火) 20:33:50.47 ID:Ba7Rgp4AO<> 乙!
屋台の親父がwwww <> とある異界の来訪者
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/07(火) 20:51:43.82 ID:XTimCuxDo<> >>91
吉良「まだ査定すらしていないぞッ!!」

次はだいたい5日後ぐらいかな?
あくまで目安としといて下さい

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 21:07:25.64 ID:P6MAWV+MP<> ロリ ペド影とは新しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/07(火) 21:37:05.14 ID:iI90K1YSo<> 全然上手くない!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 01:26:16.25 ID:W14Wa7SDO<> >>94 私は小萌の様な可憐な幼女を守ろうとする吉良の「愛」に感動し
敬愛の念を抱き彼を「愛の戦士(ロリコン)」と呼んだんだ・・・
「ペド」の様なクズと「愛の戦士」を一緒にするんじゃないッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 01:50:30.17 ID:rr5vje9fo<> 何言ってんだオメェ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/06/08(水) 05:14:12.51 ID:K4gddaEro<> ロリコンとペドフィリアは一線を画す
混同されては困る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 19:25:13.38 ID:rr5vje9fo<> まあ、原義としては、ペドは『総合的な子供好き』 ロリは『少女を性的に好き』だから、
逆転しているな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2011/06/09(木) 09:32:43.76 ID:LKV0H+mAO<> >>98
さすがIDがエロなだけあって説得力があるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/09(木) 16:48:01.98 ID:yWdtxuHIO<> >>99
ペドは病気、ロリコンは趣向
が通俗的な分け方だな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/12(日) 20:15:37.30 ID:gxVphk1xo<> ちょっと日をまたぐけど今日投下します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/12(日) 20:26:20.41 ID:sfdo0gpWo<> 待っていたぞ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2011/06/12(日) 21:06:16.81 ID:ZopCmgnCo<> 上条さんの右ひじあたりを爆弾化して嫌がらせしたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/06/12(日) 22:42:29.74 ID:/Mvj3oFjo<> じゃあ俺は上条さんの左足の小指を爆弾化して嫌がらせしたい <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:07:54.60 ID:Tmw9fKzdo<> 投下 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/13(月) 00:09:37.43 ID:b1a77haeo<> 迎撃 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:11:33.10 ID:Tmw9fKzdo<> 7月11日、本日は晴天なり
テレビでは少年向けのヒーロー番組をやっていたり
朝っぱらからのんびり出来る最高の曜日だ
杜王町にいた頃ならピクニックにでも行こうかと思っていただろうな

そして『今の』私はどこにいると思うかね?

サンジェルマン?だとしたら最高だね

体育館?二度といくかあんな場所、忌々しい

刑務所?吹き飛ばすぞ貴様

さて、今、私がいる場所を言う前に
一つだ、一つ『こんな場所』にいる言い訳をさせてくれ
別に信じられなかったら信じなくたって良い…だが言わせてくれ……

あの時の私は『ハイ』になりすぎたのだ……
.
..
... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:16:24.64 ID:Tmw9fKzdo<> 7月11日、日の出のまだずっと前
私は二人の女性の『エスコート』を受けていた
それも二人ともある意味、『対極』のタイプと言っても過言ではないな
それに、なかなか両方とも『上玉』だ……
しかも、二人に手を『つながれて』いると来たものだよ……

羨ましいと思うかね?
本当に羨ましいと思うかね?

失礼
説明が足らなかった
おそらく、この説明さえすれば君たちも考えが変わるだろうな
私は二人に私の『手』を『手錠』でつながれているのだ
私が『逃げられない』ようにね………

「今から吉良ちゃんには施設で『能力検査』を受けてもらうのですよー」

私は彼女を救った報酬に『検査を受ける権利』をありがたく頂いてしまったのだ

……ふざけるな、この私に能力がある事を公表されたら……
必ず誰かが『嗅ぎつけてくる』に決まっているぞ……!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:19:02.83 ID:Tmw9fKzdo<>
うう……この…この吉良吉影にこんな事があって良いはずがない……
バイクから救ったあとに小萌さんに手を差し出した結果が
『手錠でカチャリ』など……笑えるか……

ここはしらばっくれて……

「能力?何を言ってるんです?私はただの平凡な……」

「平凡な男にバイクを『消失』させることは不可能じゃーん」

このクソッタレ黄泉川が……!!余計な事を……!!!

グム………他に何か良い言い訳が…

む?

待てよ

今まで気に留めなかったが……『能力検査』だと…?


とすると……この町には『スタンド使い』が大勢いるのか…?
いや、黄泉川愛穂が私のした事が分からなかった事から
スタンド使いはいないと考えるのが妥当だ… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:22:09.81 ID:Tmw9fKzdo<> 「小萌さん、この街には能力を持った人がいるのですか?」

はぁ?と飽きれたような声でプッツン黄泉川が声を上げる
貴様には聞いていないッ!!私は!小萌さんに聞いたのだ!!

「あんた教師の癖にそんなことも知らないじゃん?
この街の学生のほとんどは、大なり小なりはあるが能力者じゃんよ
でも能力を持てるのは『子ども』だけじゃん
だから、あんたの『バイクを消失させた事』が『奇妙』なんじゃんよ!」

なるほど……『記憶』したぞ……
能力使用が出来るのは子どもだけなんだな……
つまりこの街は『能力養成』のためにあるわけだ……

しばらく無言が続く
すると一行は歩みを止めた

「ほら、着いたじゃん」

私の眼前には馬鹿でかい施設がそびえ立っていた
まるで今から私を一飲みにでもしそうな雰囲気を漂わせて <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:24:17.95 ID:Tmw9fKzdo<> 「……ゴホッ!!ゴホッ!!ゔゔ…!
小萌さん……私、どうやら風邪を……」

フハハ!!渾身の『仮病』だ!!吉良吉影の奇妙な冒険完!!

すると私の先を進む小萌さんはこちらを振り返りもせずにいう

「ここは病院も兼ねてるのですよー
ここのお医者さんにかかれば風邪なんか5、6時間で消し飛んじゃうのですー」

冒険……続いてしまったぞ………

というか、そんな薬は本当にあるのか?
もはや特効薬じゃあないか……ノーベル賞モノだぞ……

そうこうしてるうちにアホの黄泉川が手続きを済ませてしまった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:26:17.72 ID:Tmw9fKzdo<> 「ほら、あんたが一番乗りじゃん
小萌先生と一緒にさっさと行ってくるじゃんよ!」

子どもか私は

そのまま私は小萌先生にズルズルと引きずられていった
言っておくが、断じて私はこんなキャラじゃあない……!!
こんな災難は億泰のようなアホにこそあってしかるべきなのだ……!!


お?
………そうか
そうだ!!私が能力を持ってないとしらばっくれれば……
簡単な事じゃあな……

「私が見た事をやらないと家から叩き出すのですよー」

と、小萌さんが笑顔ですかさず私に叩き込む
笑顔でなんてひどい事を抜かすんだ
読心能力でもあるのかこの小娘……いや、吸血鬼め……

どうする…能力を出せばこの街では『彼女』を作れなくなる……
かといって追い出されて行く当ては……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:28:44.73 ID:Tmw9fKzdo<> 診察室に通された
クソ……まだ対策を考えられない……

中にはカエルそっくりの医者がいた
今にもゲロゲロと鳴き出しそうだな
癪だが、カエルに指示される

「じゃあ、そこのベッドに寝てくれるね?」

「……よろしくお願いします…」

ペコォーと頭を下げたところで見逃してくれるはずもない

「ちょっと電極付けるよ?」

電極にちょっともクソもあるか……
ペタペタと奇妙な感触の電極を裸の上半身に付けられる
小萌さんは見まいとしているのだろうか
両手で顔を覆っているが、指の隙間がスカスカだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:29:58.83 ID:Tmw9fKzdo<> 「はい、じゃあ『AIM拡散力場』を測るよ」

『えーあいえむ』?何か分からんが好きにしろ
もう、まな板の上の何とやらだ……

.
..
...
....
.....

静寂
静寂
静寂
静寂
静寂

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:32:26.91 ID:Tmw9fKzdo<> 「あれ?」

カエル顏の医者が怪訝な顔をしたのを見て
小萌先生が不安そうな声で聞く

「どうかしたのですか?」

カエルが禿げ上がった頭を掻きながら
困った声で小萌さんに伝える

私にとっては『天使の福音』とも言える言葉を


「彼は『能力者』じゃあないね?」


は?と私と小萌さんの間抜けな声が病室内に響いた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:36:01.73 ID:Tmw9fKzdo<> 「彼が能力者じゃあないってどういうことじゃん!?」

待合室に戻ってきた私たちの説明を受けた黄泉川愛穂は叫ぶ
やかましいぞ、病院では静かにと学ばなかったのかこのスカタンめ

小萌さんが『不思議』そうな顔で呟く

「……AIM拡散力場が発生していないのです……」

おっと、そのえーあいえむとやらは何だ?
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というからな
この辺で質問しておこう

「小萌さん、その…えーあいえむなんとかというのは……?」

ぶー、と唇を尖らせて、彼女は私に説明してくれる

「…簡単に言ったら、能力者が無意識に放つ『力の波』のようなものなのです……」

彼女が言うにはこうだった
・能力者はAIM拡散力場というモノを必ず放っている
・能力者が能力を使用するには、これが『自分だけの現実』とやらに干渉しないと出来ない
・だが私からはそれが出ていない

だそうだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:40:12.49 ID:Tmw9fKzdo<> ……フ…フフ………フハハハハ…
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!
やった…!やったぞ…!!やはりっ!!運命はッ!!この吉良吉影に味方してくれているッ!!
つまり!!この街の『能力』は『スタンド』とは一線を画するのだッ!!
つまり!私がいくらキラークイーンを使用しようと
『AIM拡散力場』という証拠は残らない!!
完璧だ……!!この街は私にとっての『理想郷』だ……!!

「吉良ちゃん?吉良ちゃーん?聞いてるのですかー?」

おおっと……いけないいけない……
また『ハイ』になっていたようだな……
小萌さんが改まった様子で私を見つめる

「疑ってごめんなさいなのです……」

小萌さんがピンク色の髪を振り下ろしながら礼をする
やはり小萌さんは良い……おっと、性的にじゃあないぞ
近頃、礼儀を解していない奴が多すぎるのだ…

「良いんですよ……疑いさえ晴れればね……」

私は上っ面だけだが寛容の笑みを浮かべる
もっとも、この気分で笑顔をこぼさないという方が難しいのだ

だが

「あんた……やっぱり『臭う』じゃん……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:42:10.28 ID:Tmw9fKzdo<> 目の前の女、黄泉川愛穂はこちらに再び『敵意』の視線を向けていた

「私は見たじゃん……タイヤの前輪がいきなり破裂したのも!!
あのバイクが消えたのも!!あの少年が『何か』に支えられる様に着地したのも!!
小萌先生!あなたも見たじゃん!?」

フン……言ってろ……
この吉良吉影、ここで食ってかかるほど間抜けじゃあない

「黄泉川先生!それは言い過ぎなのですよ!
さっきの診断でも吉良ちゃんは能力者じゃないって出たじゃないですか!!」

フフフ……『信頼』というモノは作っておくべきだな
私が危機に陥った時、支えとなる命綱になりうるようだ……
もう既に小萌さんは『篭絡』しているッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/06/13(月) 00:44:40.13 ID:Tmw9fKzdo<> 「だが!私の『心』は言っている!!
こいつは『臭い』!!『ゲロ以下の悪』の匂いがプンプンするじゃんよォ!!
少なくともこいつは『善人』じゃあないじゃん!!」

黄泉川はあくまで己の心に従うようだ
さぞかし心に自信があるのだろう……
それにしても、貴様の心とやらも当てになるもんだな…
まあ…他人に『信じられる』かどうかは置いておいてだが……

すると黄泉川愛穂は駆け出した
当てなどないのだろう、私と小萌さんのすぐそばを駆け抜ける

「待ってください!黄泉川先生!!」

小萌さんも慌てて駆け出す
私は止めない、止めたところでどうしようもないだろう
『納得』なくして『先』には進めない
そして無理やり納得する事は黄泉川愛穂の『心』とやらが許さないだろう

二人が出て行ったあと、正午を告げるサイレンが鳴り響いた
これから『ぶらつき』でもするかな……
私の足は『第七学区』へ向かったのであった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/13(月) 00:52:07.37 ID:Tmw9fKzdo<> 打ち止め
この>>1がもっと長文を打てると思ったのかこのマヌケがァァァ!!

一応ここまででとある異界の来訪者編は終了です
というか、タイトルのとある〜のセンスがなさすぎるので
とりあえずキラークイーン関連でQueenの曲名とかと絡めていこうかと思います

次回から「レイジング・オン・サンデー・アフタヌーン編」です

禁書風に付けるなら
「とある二人の買物戦争『ファーストコンタクト』」ってところかな

次回は未定です

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/13(月) 00:54:15.82 ID:f9ouRohNo<> 乙
来訪者と聞くとどうしてもバオーを思い出すな
作者繋がりでそう名付けたのかもしれんが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/13(月) 01:45:02.38 ID:Gx8GJ3JAo<> え?つまり続きがあったら
それは違うスレでってこと? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/06/13(月) 20:06:46.84 ID:rIlCumnAO<> いっそ幽霊仕様の吉良先生でも良かったかも
>>1さん乙っす <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<>sage<>2011/06/14(火) 03:47:54.04 ID:41hFXuvAO<> 乙!
今さらだけど、毎回の吉良の語りが面白いな
次回は何するんだ一体wwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/15(水) 02:21:45.62 ID:SI/mkBDqo<> 幽霊仕様の吉影先生は間違いなく仕事に生き甲斐を持ってる
でも上条さんに触られて腕が消されちゃって尼さんの腕がスペアにされちゃうんですね <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/06/16(木) 00:10:52.62 ID:BSCg0VbKo<> ちょっと間が空きます!気長に待っててね!

>>123
このスレ内で1話、2話みたいにしていこうかと
文章がおかしかった、すまんねジャーニー君

とりあえず予定としては
ある程度禁書のストーリーに沿って
途中からオリジナルに移行しようと思ってます

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/16(木) 21:06:44.48 ID:cNIXhEtjo<> うむ、期待しよう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/20(月) 04:15:37.90 ID:OMwUq21SO<> キングクリムゾン! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2011/06/24(金) 19:04:51.31 ID:TMsoi5Vyo<> 完 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/06/25(土) 19:08:21.67 ID:vpzWLASuo<> 来週の土曜に投下します
時間は未定 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/25(土) 23:36:37.79 ID:FYKAizmK0<> 了解 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/06/27(月) 22:46:53.95 ID:RzkxgfND0<> おk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2011/07/02(土) 18:47:30.42 ID:83x5MDKIo<> わくわく <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/02(土) 19:19:23.47 ID:eR9486F7o<> ちょっと日をまたぐかもだが今日投下します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 21:45:02.13 ID:FBq6IzzDO<> まっとるぞー <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/02(土) 23:56:49.22 ID:eR9486F7o<> 投下 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/02(土) 23:58:06.86 ID:eR9486F7o<> 「らっしゃーい!!タイムサービスだよー!
5分間だけ一部のパンが半額だよー!」

訪れた店先で活気に溢れた呼子の声が響き渡っている
やかましいが……悪くはない……
気の向くままに歩いていたら商店街のような場所に出た
こういう所は普通の街のようだな、親しみを感じるぞ
こういう所にこそ『平穏』はあるのかもしれないな

私は少し目を瞑り、街の喧騒に耳を傾けようとした

その時

「ちょっとまったぁぁぁぁぁぁ!!」

ん?

「グフォッ!?」

衝撃、吉良の腹部に『何か』がぶつかってきた
あまりの勢いに押し倒される形となってしまう <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/02(土) 23:59:22.57 ID:eR9486F7o<> 「ああっ!?すいません!大丈夫でせうか!?」

「……これが無事に見えるなら君は大した眼球を持っているようだね…」

80%の憎しみと20%の苛立ちを抱えながら
ぶつかってきた奴の顔を見る
どうやら高校生のようだ、『ツンツン頭』に『ペッタンコ』な財布を持った彼は
ひたすら私に頭を下げている

「本当にすいませんでしたァーッ!!」

いちいち騒ぐなうっとおしい
私はスーツに着いた砂や埃を払う

「ああ……怪我もないようだから良しとしようか…」

こんな事でいちいち怒っていては胃がいくつあっても足らないよ <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/07/03(日) 00:00:58.13 ID:zXjZPQyDo<> 「ところで君?急いでいたようだったが?」

「へ?……GYYYYAAAAAAAA!!
特売のパンがァァァァァァァ!!WRY切れているゥゥゥゥ!!!」

Oh! No!とでも言いたげなオーバーリアクションで少年は頭を抱える

だからいちいち騒ぐんじゃあない……

私は大地に感謝でもしているようなポーズでうずくまる少年を尻目に
特売の対象ではない『焼きそばパン』を買う

「おい」

へ?と言いながら起き上がる少年に焼きそばパンを放る

「ふぎゃ!」

見事な顔面キャッチを決めた少年だった
いや、私が顔面シュートをしたのか?
まあ、どっちだっていい <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:04:00.32 ID:zXjZPQyDo<> 「何するんですか!?……って、ウオオオオオオオ!!
う、美しい!この均整の取れた蕎麦!それをふんわりと支えるパン!
味を高みへと導いてくださるソース!!
そしてカラフルに色を添える紅ショウガッ!!
まさに!赤い糸で小指を結ばれているようなこの組み合わせ!!
そんなこの焼きそばパンをこの私めに!?」

焼きそばパンにここまで感動するとはな

「ああ、いらないなら返してもらうが」

「いやいやいや!ありがたく頂戴仕りますですハイー!!」

………『奇妙』な男だ……
正直、このタイプの人間は苦手だ…
熱過ぎるというか……うっとおしいのだよ……
だから……『知らなくてもいい』事まで知りたがる……

「いやー…助かりましたよ…
正直、今のお財布と相談したらこんな上等な焼きそばパンは買えないし……
Oh……上条さんの『不幸体質』もここに極まれてしまいました……」

ガックリと肩を落とす少年
名前は『カミジョー』というのか? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:05:34.12 ID:zXjZPQyDo<> 「おっと!上条さんとした事が自己紹介もせずに!
俺は『上条当麻』って名前です!よろしく!」

……うっとおしいな……

「そうか、それじゃ私はこの辺で失礼するよ」

よし、私よ、そのままターンして進め
決して振り返らずに……こんなのと関わるのはごめんだ……

ガシィ!! と肩を掴まれてしまった

「あのー……ですね………
初対面の人にこんな事をお願いするのもなんなのですが………」

嫌な予感がする、というかむしろこれで嫌な事が起きないはずがない
私の心は全力でこいつから逃げろと言っているが
思いのほか、力の強いこの男の手で逃げられないようだ

するとこの男は90°、いや、120°は頭を深々と下げて

「この通りですッ!!どうかッ!どうかッ!
この後から始まる特売にも付き合っていただけないでしょーか!!」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:08:33.29 ID:zXjZPQyDo<> は?

「袖振り合うもなんとやらじゃあないですかァ〜!!
お願いしますよォ〜!!貧乏学生の上条さんは毎日を生き抜く事で精一杯なんですよォ〜!!
このすぐ近くのスーパーで『肉』が『お一人様一袋詰め放題』の脅威の『半額』大放出祭ッ!!」

ここで上条は大きく息継ぎをする
よくもまあ、あの長口上を一息で言えたものだ
ここだけは唯一感心できる

「ここで逃しちゃあ特売ハンター上条さんの名が廃るってモンですよッ!!
一人なら一つ!!だが二人なら何十倍もの力が出せるッ!!
違いますかッ!?」

知るか
何なんだ、特売ハンターとは
というか、お一人様一人なら二人だと二倍だろうこのマヌケ

……だが、悪くはないかもな…
見たところ彼はこの街の学生のようだ
色々とこの街について情報収集が出来るかもしれないしな
なあに、余計な事を話さなければいいだけだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:10:34.99 ID:zXjZPQyDo<> 「わかった、わかったよ
良いだろう、だからそのどんどん角度が大きくなる『礼』をやめてくれ
周囲に人に見られているじゃあないか……」

もう少しで180°を越そうとしていた礼をやめ
上条当麻は私を『聖人』に向けるような目でキラキラと覗く

「本当ですかァーッ!!
ありがとうございますゥーッ!!」

やかましい
誰が貴様ごときの為に買い物に付き合うか

「もう礼は良いから……行こう…」

はい〜ッ!!と返事をした上条と共に歩き出す

「いや〜、助かりましたよォ〜!!
………えーっと?お名前をまだ……?」

「『吉良』だ」

「じゃあ吉良さん!吉良さんはなんでこの学園都市に?」

……同行しようと思った事を早くも後悔してきたぞ……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:12:20.87 ID:zXjZPQyDo<> 「ああ……私は『新任教師』でね……
今度からこの街の学校に赴任してきたらしい……」

「『らしい』?」

「い、いや、『だしぃ』だ『だしぃ』!
たまには若者のように語尾を伸ばしてみようと思ってだな……!!」

こんのクソカスがァーッ!!
この吉良吉影に『冷や汗』をかかせるような質問をしてくるんじゃあないぞッ!!

「へぇ〜、まだ吉良さんは全然若いですよォ〜
ところで『どこの学校』に行くんです?」

グッ……!!このガキ……なかなかに鋭い所を突くな……
当然だが、身分証明書には『そんな事』は書いてはないだろうしな……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:14:26.10 ID:zXjZPQyDo<>

『がさり』


ハッ!?
この感覚!!突如としてポケットに何かが現れるこの感覚!!
あのアンチスキルの事務所で感じたこの感覚!!

『再び』か……!!再び、私に『何か』を与えようというのか……!!
だが、『誰から』だ!?誰が私にこんな事をするッ!?
いきなり『瞬間移動』でもしたかのようにモノを出現させるだと……!?
良いだろうッ!受け取ってやろうじゃあないか!!
この『贈り物』を私は受け入れるッ!!

「ちょっと待っててくれよ……えーっと……」

私は意を決してポケットに腕を突っ込む……
『紙』の感触!!
やはりか……!!やはり新たな【モノ』が……!!

『ソレ』を掴み、引き抜く <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:16:07.96 ID:zXjZPQyDo<> 『案の定』だ
そこには仰々しい書体で『赴任依頼状』と書いてある依頼状があった
差出人は……クソッ……書いていないか……

私は依頼状に書いてある『赴任先』を上条に伝える

「ええっ!?そこは上条さんの通う学校ですことよ!?
いやー!!『運命』って奴感じちゃうなァーッ!!」

ほほう……この上条当麻……利用できるかもしれないな……
幸いにしてこいつはあまり賢そうな『ツラ』じゃあない
ならば、私は『教師』じゃあないということは隠し通せるぞ…!

このマヌケ頭でも今、勉強はどの位進んでいるかぐらいは分かるだろう
(まあ、どこを勉強していようが教えられるという確固たる自信はあるがね)
一応、それさえ知っておけば、授業をしろと言われても対応出来るからな
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:17:12.34 ID:zXjZPQyDo<>
「ああそうだな、運命を感じるな
そんな事より、勉強は楽しいかね?」

「いやー、上条さんの頭じゃあ現代文ですら暗号文ですよー
それに最近あの『授業』分からなくなってきたんだよなー……ハァ…」

なるほど、ここも外とはあまり授業は変わらないのか

「あの授業?何だい?教えてあげようか?」

「おお!!本当ですかァーッ!?『吉良先生ェーッ!!
ありがとうございますゥーッ!!ありがとうございますゥーッ!」

やかましい

「まあ、そんなに興奮しなくても良いじゃあないか、で、どんな所だい?」

すると上条は歩みを変わらず進めながら
恥ずかしそうに頭を掻く

「それがですね……『AIM拡散力場』なんですけど……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:18:35.85 ID:zXjZPQyDo<> は?

えーあいえむ?

エーアイエム?

Aアイエム?

AIエム?

…………『AIMだとォーッ!?』

まずいぞ……!!この吉良吉影がいた『外』にはそんなモノは……
いくら私でも知らない事を教えられはしない……!!

「いやー、あの授業のせいで何回先生を泣かせた事か……
上条さんの『カン』的にそろそろ『補修』(デート)がありそうなんですよ……って聞いてます?」

「……ん!?あ、ああ!聞いているさ……!」

マズイ……マズイぞ吉良吉影……!!
どおする……?どおする…?

「なら良いですけど……
あぁー……流石にもうこれ以上、『小萌先生』泣かせちゃあマズイだろうしな……
担任が苦手な教科の担当って辛いなあ……
あれ以上泣かせたら青ピに殺られる……ハァ……不k」

どおする……!!どおするんだ……!!

……ん?

今、このウニ頭は何と言った?
『〜〜先生』?
待て……思い出せ………!

『小萌先生』?
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:20:54.32 ID:zXjZPQyDo<> 「小萌先生だとォーッ!?」

「うわっ!!いきなり大声出さないで下さいよ!!」

「うるさいッ!!今はそんな事はどうだって良い!!
上条君!!今、君は小萌先生と言ったか!?」

「え!?あ、ああ!!言いましたよ!!」

これはッ!これはもしやッ!!

「まさか小萌先生は君の学校の教師かッ!?
君は彼女の授業を受けるのかッ!?」

「受けるも何も俺の『担任』ですよッ!!
先生こそ小萌先生の事知ってるんですか!?」

「……ああ…!!神がいるとしたならばッ!!
これほど計算された『出会い』もないだろうッ!!
私はやはりツイているッ!!運命は私に味方してくれている!!」

やったぞ!!彼女がこいつに教えているのならッ!!
今日彼女の家で私が教わる事も可能だッ!!
授業内容の再確認とでも言って押し切れば良いッ!!

「質問に答えろォーッ!!先生ェェェェーッ!!!
あなたと小萌先生関係を今すぐにだァーーーッ!!
事によっては血が流れる事になるッ!!俺の友人の『両眼』からッ!!」


この二人のやりとりは周囲の人間に
イカれた二人扱いされるに十分だったという…………

.
..
...
....
.....
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:22:02.12 ID:zXjZPQyDo<> 吉良と上条のやりとりを『路地』で見ている『二人』がいた

一人は高身長の男、一人は中背の女のようだ
彼らは静かに二人を『観察』していた

「何故……神は奴にだけは『記憶を与えた』のだろうな……?
え?どう思うね君は?」

男が女に問う

「…………」

女は、答えない

「おっと……今は君は話せないんだったな
まあ、聞きたくなくても聞いて欲しい
もっとも、聞く『知能』さえないかもしれないがね」

男は続ける <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:22:57.64 ID:zXjZPQyDo<> 「昔話をしようか、そんなに長くはならないよ
かつて私は友がいてね
彼が今はどうなってしまったかは分からない
ともかく私は彼を心から尊敬し、『敬愛』していた」

男は深く息を吐く

「そして、彼は一度『死んだ』
それを聞いた私は深く嘆き、悲しんだものだよ」

男は『右眼』の『眼帯』をなぞる

「だが、彼は『蘇った』
いや、蘇らされたといった方が正しいか?
そして私と『共闘』した………!!」

男の拳が握り締められ、揺れる
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:23:59.94 ID:zXjZPQyDo<> 「だがな!!私はこの一連の戦いを一切覚えていないのだ!!
まるでモヤがかかっているように!!
その時の記憶を辿る事ができないのだ!!
だが!!私は『一部』だけ『取り戻した』!!
これのお陰でな………!!」

男は服から『ヒビの入ったDISC』を取り出した

「これは私のスタンドで作られたモノでね……
憎き宿敵の『記憶』が詰まっているのだよ……!!
『あの世界』で『奴』から奪ったモノだ……!!
あの世界が崩壊した後、この世界にきたのだろう……
私はこれを保管していた『ローマ聖教』の『最大主教』から奪う事に成功した……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:25:29.04 ID:zXjZPQyDo<> 「だが!!これは!このDISCは『不完全』なのだ!!

本来は壊れないはずだッ!!『完璧』なモノのハズだッ!!

なぜ!なぜ『重要』な部分だけ欠けているのだ!?

『人』の力で『出来る』事じゃあないッ!!
まるで『魔法』だ!!『魔術』だ!!
人知を越えた『技術』によって壊されている……!!」

男はもはや女に聞かせる気は失せ
独白のような状態であった

「『承太郎』がエジプトで読んだ『天国への行き方』は読んだッ!!
だが!!この記憶の最後!!最終場面!!
崩れゆく館にいた『DIO』に私は駆け寄り、彼から『何かを聞いている』ッ!!
それこそが『NEW・Stairway・To・Heaven』となるものだ!!」

男、『プッチ神父』は息を整える <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:26:48.25 ID:zXjZPQyDo<> 「はぁ……はぁ……
私がこの学園都市に来たのもそれが理由だ……
私はこの街に『ある少女』がいるという情報を得た……
聞くと、彼女は『十万三千冊』もの魔導書の知識があるらしいじゃあないか……
彼女ならDISCを修復出来るかもしれない……そう思ったのだよ……!!」

さて、とプッチ神父は改まった口調で女に言う

「だからだ、この街に詳しい人が一人は必要だろう?
だから、強引だったかもしれないが
君に私の言う事を聞くようにDISCを入れさせてもらったのだよ
これからも引き続き、私のサポートを頼むよ………」

プッチ神父は『花飾りの少女』の肩に手を置いた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/03(日) 00:27:18.70 ID:zXjZPQyDo<> 打ち止め
買い物してねぇじゃねえかというツッコミ大歓迎です

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/07/03(日) 00:40:33.46 ID:M9MuQxrS0<> 乙
プッチ神父だと……ッ!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/03(日) 00:55:26.69 ID:dTyUbFuDO<> 乙!
最初思ってたより設定が凝ってて、長いこと楽しめそうで何より <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/07/03(日) 01:51:08.86 ID:j/NJeJvAO<> 乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙ゥッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/03(日) 05:28:53.08 ID:OBZzKKTAO<> 神父きちゃった… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/03(日) 09:28:38.30 ID:D6dCEzODO<> これは期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/03(日) 12:26:39.55 ID:56uFzhKvP<> 乙
神父さんやたらハイテンションっすね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<><>2011/07/03(日) 16:40:37.04 ID:wQ8iyLhAO<> ブラボーッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/03(日) 22:04:55.73 ID:zlBI5p/y0<> おお・・・来てる・・・!乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/06(水) 00:16:30.76 ID:VlZr7dyIO<> 続きが気になるぜッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/07/07(木) 12:28:13.32 ID:0mbOi27AO<> 更新頻度は週1くらいかな?
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/08(金) 03:14:10.53 ID:66SsgjpWo<> 前作見てないんだけど大丈夫かな? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/12(火) 19:04:05.42 ID:X8n+Yrrso<> 今晩投下します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/07/12(火) 20:03:41.86 ID:S6DS0EVjo<> ヒャッホォォォォォォォォォウ(重低音) <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:12:24.27 ID:mMW+kVd+o<> 投下 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:12:50.87 ID:mMW+kVd+o<> 「ふう……」

買い物を終えた私たちは上条の家へと向かっていた

「いやー!ありがとうございました先生!!
この『ご恩』は『一生』忘れませんです!!」

……『一生』という言葉を使ったんなら『覚悟』をするんだな上条当麻……
貴様が私に『一生』従う覚悟をな……

「ああ、別に気にしなくていいさ
私の方も色々聞かせてもらったしね」

これで学園都市の基礎知識やら地理に問題はないぞ…
後は、ここの『監視の眼』の『盲点』を調べるだけだ…

そうこうしていると、中々に立派な集合住宅に着いた

「じゃあ俺ここなんで!『また、明日』!」

「ああ、『また、明日』な」

私は上条と別れ、小萌さんの家へと足を向ける <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:14:22.45 ID:mMW+kVd+o<> 「(確か……この通りを真っ直ぐだったな…)」

そういえば、小萌先生は黄泉川とどうなっただろうか
アンチスキルの事務所を飛び出して行ったっきり連絡をしていなかったな
それにしても、この街には『公衆電話』は無いのだろうか……
まあ、あったとしても彼女の家に電話をしても『いない』だろうがね

「家に『灯』は無い……か…」

『家』に着き、外から薄汚いアパートの『彼女の部屋』を見る

ま、そのうち帰ってくるだろう
かつん、かつんと乾いた音を立てながらアパートの階段を登る

かつん、かつん、かつん
かつん、かつん、かつん……『スン』……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:20:07.37 ID:mMW+kVd+o<> 「ん……?」

今……何か聞こえたか……?
足を止め、耳を澄ます

……、……、…『グスン』……

『啜り泣き』のようだ、出どころは特定出来ない
まるで『幽霊』が今まさに消えようとする『断末魔』の残り香のようだった

今は夕方の『6時45分』ってところだ、『幽霊』が出るには早すぎる
ま、幽霊なんて信じちゃあいないがね

啜り泣きの正体には構わず、部屋のドアノブを『捻り』、『引く』
かちゃり、と金属音を立てて部屋が私を受け入れる

『ぐすん……!!』

足元で『何か』が啜り泣いている事から察するに
『音源』はこの『部屋』だった

「一体…どうしたんですか……?」

それもこの『奇妙な』啜り泣きは
この部屋の主である『小萌月詠』が発していたのであった

....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:21:31.87 ID:mMW+kVd+o<>
私はすすり泣く小萌さんを茶の間まで連れて行き、暖かいお茶を淹れた
こぽこぽと風流ともいえる音を立て、急須が次第に熱を持ち始める

急須の立てる音が止むと、完全な静寂がこの空間に広がった
このまま黙っていても埒があかないな……しかたがない……
私の方から口を開く事にした

「どうしたんですか?小萌さん?」

再び、小萌さんはしゃくりあげ始めたが
どうにかそれを堪えられたようで、彼女も口を開いてくれた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:22:41.37 ID:mMW+kVd+o<> 「…っく……えぐ……ぉみかわしぇんしぇいがぁ……」

大きく呼吸を乱し、小萌さんの頬に涙が一筋伝う

「……黄泉川しぇんしぇいはぁ…やっぱり吉良ちゃんの事を疑っててぇ……
私が吉良ちゃんを庇うとぉ……うっうぅぅ……」

嗚咽、嗚咽、嗚咽
リズムを刻む『メトロノーム』のように嗚咽が続く
ようやく収まったのか、彼女は言った

「ぅっく…わたしにぃ……『生徒の事を本当に想っているのか?』ってぇ……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:25:11.07 ID:mMW+kVd+o<> 何だと?何故、私を庇っただけの小萌さんが生徒を想っていない事になるのだ?
小萌さんに罪はない、罪があるのは私だ(悪いとは思っていないがね)
私があのクソガキ共を『のして』やっただけの事だ

「ようするにぃ…ひっく……
…黄泉川先生は……私が生徒を庇わずに吉良ちゃんを庇うからぁ……
生徒達を『救ってやるべき』教師が……生徒の事を『見捨てているじゃあないか』って……うぅ…」

……つまり…つまりだ……
あの黄泉川愛穂が言っている事をまとめるとだ

『小萌さんが私に依怙贔屓のような事をしている』、と?
『生徒の怪我に目を背け、同居人の罪を庇っている』、と?

つまり

奴は『小萌さんは生徒の事を想っていない』と、言っているのか? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:26:21.85 ID:mMW+kVd+o<> 無意識の内に、私の手が、震えていた
馬鹿な、あり得ない、この吉良吉影がか?
この吉良吉影が、この吉良吉影が


『後悔しているのか?』


自らの感情に身を任せて自らの思うがままにやりたい事をして
その結果がこの目の前の『女』にとばっちりを食わせた事を

私が、この『女の友人』に
この『女』の『心』を裂くような言葉を言わせてしまった事を


『後悔しているのか?』 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:27:12.42 ID:mMW+kVd+o<>
「……一つ…一つです小萌さん、聞いてもいいですか…?」

「……何でしょう…?」

「貴女に……貴女にとっての『生徒』とは……何ですか…?」

今まで俯いていた彼女は私の方へ向き直る
そして、ウサギのように真っ赤に腫らした目を私に向ける
そこに、さっきまでのオドオドしていた『小娘』のような『意思』はなかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:28:24.25 ID:mMW+kVd+o<>


「『命』を、『命』を彼らの為に捧げても良いと思っています」


<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:32:52.21 ID:mMW+kVd+o<> この返答を聞いた私は『誓う』

この生まれもった『サガ』は消せない
これまでの『業』を『消し飛ばす』事だって出来ない
これまでの生き方を『変える』事だって不可能だ

だが、この街でだけでも『隠し通して見せる』と

私の『サガ』『性癖』『生き方』全てをだ
『彼女』を悲しませる事だけは許されない
他の誰でもない、『私』が『私』を許せないだろう


そしてもう一つ

『彼女だけは【一生】護り通す』と

恋人が相手に抱く様な甘っちょろい感情じゃあなく
この私に誓わせる『源』は『清らか』なるモノを守るような『清々しさ』だ
『聖人』に身を捧げるような『使命感』だ
彼女だけは全てから守り抜かねばならないッ!


ただのそれだけを、私は誓ったのだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:34:17.29 ID:mMW+kVd+o<> キーンコーンカーンコーン
小気味良いチャイムが私の耳を震わす
何十年ぶりだろうな?私がこの音を聞くのは?

「どうぞー」

『教室』のドアの向こうから明朗快活な声が私に向けて届く

がらら、と音を立てて私はドアを引いら

なるほど、なかなかに個性的なクラスだ
青髪、金髪、黒髪、『ウニ頭』色とりどりだな……

ウニ頭がこちらをニヤニヤと見てくる
気味が悪い、その薄汚い薄ら笑いをやめろ

そして、どう考えても教卓は必要がないだろう『小萌先生』の隣に立つ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:37:34.83 ID:mMW+kVd+o<> 「えー、残念でしたー野郎共ー、喜びなさい子猫ちゃん達ー
夏休みまで後、少しですが飛び入り転入してきた新任教師さんなのですよー
じゃあ、吉良『先生』、自己紹介をお願いするのですよー」

学校では『先生』呼ばわりか…
少しさみしい気もするが、まあいい
これまた何十年ぶりに握る『チョーク』で名前を書いてゆく

「新任教師の『吉良吉影』です
このクラスの『副担任』にならせていただきました
どうぞ、よろしくお願いいたします」

ペコォーッと頭を下げる
下げた頭で誰にも感づかれない様にククッと笑う
完璧だ、何もヘマをしていない
昨日、『誓った』後に必死に考え抜いたこのあいさつ……
どこも『噛んだり』はしていない……
つまり、笑われたり、いわゆる『ネタ』にされるような事は何もなかった……
完璧さ……依然問題なく………!!

頭を上げる

その途端、クラスに『笑い』が巻き起こった
それも、その『好奇の視線』は私に向けられているモノだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:42:08.96 ID:mMW+kVd+o<> 何だ?今日の朝食は『ご飯』に『味噌汁』だったはずだ……
『ジャム』のような、顔についていましたァーッ!いつのまにかァーッ!!な要素を含んだモノは口にしていないぞ?

脳内をフル稼働させて理由を導き出そうとしている私に
『青髪』が笑いながら私に言った、いや、ついつい『こぼして』しまったというべきか

「せ、せんせー……プ…くく……ウワッハッハッハ!!
だ、ダメや!こらえきれん!!ヒィーッヒィーッ!!『勇気』あるなァーッッハッハッハッハ……」

何だ!?そんな『ヘマ』をこの私が!?
何だ!?何も思いつかないぞッ!?
チョークの粉でもついていたかッ!?

そんな私の焦りを知ってか知らずか
ウニ頭、もとい、上条が私に向かって飽きれた様に言うのだった

「先生………『教師』の初登校が『髑髏のネクタイ』って……どうよ……」

後で上条から聞いたが、奴ら生徒からすると
真面目くさった、特に特徴もないような『普通』の教師が
『デスメタル』の象徴のような馬鹿でかい『髑髏』のネクタイをつけていたギャップにやられたとの事だった

「(………ヴァレンティノだぞヴァレンティノ……
ここのガキ共は『センス』ってもんがないな……)」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:43:18.77 ID:mMW+kVd+o<> その日からの一週間は大変だった
上条の『学力』が目を見張るほどの『不毛の大地』で
かと思えば『青髪ピアス』と呼ばれる生徒は
私の問いには100%の確率で正解するクセに
小萌先生の問いには%以前に答えようともしていなかったり
『おデコ』が特徴的な吹寄は
一週間内の上条に対するヘッドバッド数が3桁の大台に登る勢いだったり
アロハの土御門は義妹に対する異常な愛をところ構わずぶちまけていたり
そんな光景を日々、眺め続けていた

……本当に…『疲れた」……な……

そんな事を思っていた時だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:44:43.55 ID:mMW+kVd+o<> 【夏休み初日】
小萌先生と二人掛かりで『補習』を行ったにもかかわらず
全くの『上の空』だった上条が補習終了直後に私に話しかけてきた

「なあ…先生?今から俺のいう事を信じてくれるか…?」

こいつ…慣れたからって『タメ口』を使いやがって……
これだから『クサレ脳ミソ』は……『敬意』って奴を知らない……
若干、イラっとしつつも私は答えた

「……ああ、聞いてあげるよ、聞くだけならな……」

一体なんだ?進路か?色恋沙汰か?
この年代の子どもが話す事と言ったら大方そんな……

「ありがとう……それじゃあ言うけどさ……」

だから『タメ口』を……

「もしも……もし、朝起きたら『ベランダ』に
『腹ペコ無防備シスター』が引っかかっていたら…先生ならどうする……?」





………『最高』じゃあないか…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/13(水) 00:45:47.50 ID:mMW+kVd+o<> 打ち止め

本当は買い物を詳しく書きたかったけど
C-MOON主婦とか究極生命体SYUHUとか <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/07/13(水) 00:48:30.94 ID:mMW+kVd+o<> >>184
ミス 途中送信

色々主婦との食材の取り合いを書きたかったけど
そいつらが主役張りそうな凄みがあったので中断しました

後、皆さんのレス読んでたらこのSSの進行計画を
180°転換したくなったので間が空いちゃってましてね………
なるべく週1で来たいと思います

それじゃ <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/07/13(水) 00:50:43.33 ID:mMW+kVd+o<> ああクソ!!クソッ!クソォーッ!
レス番号とかミスだらけじゃあねーかこのクソカスがァーッ!!



打ち止め

本当は買い物を詳しく書きたかったけど
C-MOON主婦とか究極生命体SYUHUとかとの食材の取り合いを書いてるうちに
そいつらが主役張りそうな凄みができたので中断しました

後、皆さんのレス読んでたらこのSSの進行計画を
180°転換したくなったので間が空いちゃってましてね………
なるべく週1で来たいと思います

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/13(水) 01:10:18.39 ID:f2026Bcco<> 乙
180度というのが気になるな…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 14:38:18.24 ID:2ml4+HEMP<> 復帰したかな?

超像可動フィギュアの白ネクタイバージョンなら許されたな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/14(木) 18:35:45.82 ID:cWKYg1Km0<> 吉良カッコよすぎ泣いた 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/16(土) 02:39:52.99 ID:5XyW1qLSO<> 週1で楽しみが出来るのか!
嬉しい限りです!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/20(水) 22:17:23.06 ID:MNGdDvlgo<> 明日投下します <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/20(水) 22:18:51.51 ID:MNGdDvlgo<> 明日投下します <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/20(水) 22:19:57.68 ID:MNGdDvlgo<> 明日投下する

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/20(水) 22:23:51.43 ID:f5wack600<> wwktk
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/20(水) 22:24:49.10 ID:f5wack600<> wwktk
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/20(水) 22:25:53.85 ID:f5wack600<> wwktk
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/21(木) 20:43:32.09 ID:m28mRVXDO<> 今日ッスか!
楽しみッス <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:02:06.23 ID:va0pA9kqo<> 遅れた
投下する <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/07/22(金) 01:07:58.43 ID:va0pA9kqo<> 上条当麻の家へと続く道を私は歩いていた
無論、家主である上条当麻も一緒だが

「だから、なんでこの私が自ら出向いていかなければならないのだッ!?
その子は『シスター』なんだろう!?なら『適材適所』だ!
『ナース』は病院!『キャビンアテンダント』は『飛行機』!!
シスターには『教会』が第二の故郷みたいなものだろう!?
きっと彼女も今頃教会で『神父』とヨロシクやってるさッ!」

私は上条当麻に『引きずられていた』
こう表現すると馬鹿らしくはあるが事実なんだからしょうがない

厄介ごとを抱え込むのはごめんだぞ…
もう既に黄泉川愛穂には『マーク』されている
ここでヘタに揉め事を起こせば今度は『学校』に目をつけられかねんからな……

「お願いですよ吉良先生ッ!!『彼女』はどーやらこの街の地理もわかってなかった!!
それに……えーと…『何か』に追われてるとも言ってたし!!
俺が預けられる教会を探してる間に先生が彼女を見ててくださいよッ!!」

彼女というのは彼曰く『ベランダに引っかかってたシスター』の事だ
『うさんくささ』が尋常ではないぞ
こいつはとうとう妄想世界に女を作り始めたか……
まあ、そんな事を言うわけにはいかないので
私はあくまで『正論』を述べた

「待て上条君!君はさっきそのシスターは既に出ていったと言ってただろう!?
だったら君の家にいるという事はないんじゃあないか!?」

「いや!でも!」

「やかましいぞッ!!これからが結論だ!!
そう……つまりだ……!!つまり……帰らせろォーーッ!!
さっきから掴んでる右肩を離せェェェェーッ!!」

うおおおおお……!!全力を尽くすがこの『バカミジョウ』……
まさに『馬鹿力』で私に抵抗を許してはくれないぞ……!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:10:03.14 ID:va0pA9kqo<> 大体、最初に話を聞いた時から嫌だったんだ
シスターといえば私の脳内では『天使にラブソングを』のような
なんというか…その……『豪放磊落』な女性しか出て来ないのだよ…
そんな女性が『しなやか』だったり『キメの細やか』な『手首を持っているはずがない……
その時点で私の『興味』は完全に失ってしまったというのに……

ズルズルズル……ズルズルズル………
哀れな私を引きずり続ける上条当麻
お前は人の子じゃあないな

ああ……嘘だろ…
楽しい時間ほど早く過ぎるとはいうが…
こんなに楽しくもない事の時間の進みが早いのは初めてだ……

そう、奴の家に着いていたのだった

……もうしょうがない、ここまで来たら腹を括ってやるよ……
『覚悟』を決めろよ吉良吉影……この私に出来ない事は何もないのだ……!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:12:06.79 ID:va0pA9kqo<> 階段を登り、奴の部屋の階の辺りまでやってきた
ハァーハァー……何階あるんだ一体……
運動不足だな……この街にジムはあるのかな…?
結局『杜王町』のジムには行けず終いだったしな……

そんな事を思いながら歩いていると自分より前を歩いていた上条当麻とぶつかった

「どうした?まさか君の家は『向かいの住居』だったって事はないよな?
そうだとしたら私は帰らせてもらうぞ」

返事がない
私は上条当麻を見るが、彼は『ある一点』を見つめたまま動かない
何だ?奴の部屋の方を向いているようだが……?
私も彼と同じ方向を見る

『衝撃』が私を襲った

「まさか……本当に『神父とヨロシクやってた』とはな…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:13:30.38 ID:va0pA9kqo<>










『赤髪の神父』が『私の想像』とは全く『かけ離れたシスター』を踏みつけていた

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:14:34.91 ID:va0pA9kqo<> 「何やってんだよテメェッ!?」

上条当麻が声を荒げた

グリグリと小さなシスターを大きな足で踏みにじっていた神父がこちらを向く

「あれ?おかしいな……
『イノケンティウス』のついでに『人払い』も貼っておいたと思ったが……
僕とした事がウッカリってヤツだね、ハハハ」

私の耳には聞き慣れない言葉を発した神父がこちらに向き直る
全身を見て改めて思う、『デカイ』
このクソ暑い中で『真っ黒』のコートに『真っ赤』な髪などイカれてる……
奴の姿は私の愛する『平穏』とは対極なんじゃあないだろうか……

「質問に答えろよマヌケッ!!彼女に何やってんだって聞いてんだよッ!!」

なおも、上条は声を荒げる
対して、奴は自身の髪の色とは対照的に『クール』なままだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:17:24.78 ID:va0pA9kqo<> 「ハァ……『部外者』は関わらないで貰えるかな……
こっちにはこっちの『事情』ってものが…」

赤髪は気だるそうに答える
髪をクシャクシャと掻き、『神父服』の埃を落としながら答えた
それ程までに『こちら』に興味がないのだろうか

すかさず、上条は吠えた
まるで、この世の不条理さは全て奴の責任だと言及するように

「知るかよそんな事ッ!!事情だァ!?
じゃあ聞くがな!その事情とやらは誰が聞いたって『笑顔』で頷けるもんなのかよッ!?
誰が聞いたって『納得』のいくものなのかよ!?
無力な女の子を嬲って『納得』いくかッ!?俺はいかねえ!!
納得が無ければその先に『道』は無え!『光り輝く』道は無えんだよッ!!
てめえはその……ムグッ!!」

そこまでだ、話が長い
こーいう事はまるでダメなのだなこの上条は……
頭に血が上りやすいというか……『熱血バカ』というか……
こういう輩がいちゃあ話は先に進まない
私は上条の口を手で抑えながら『赤髪』に問うた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:18:42.83 ID:va0pA9kqo<> 「まずは……そうだな………
ウチの『生徒』が失礼な事をした、すまない
こーいう単純な所が彼の短所でね……私も常日頃から困ってるんだよ……

だがな、彼の言ってる事も間違っちゃあいないと私は思うんだよ
どうだ?まずはその足をその娘からどける所から始めようじゃないか?
まさか、そういう『性癖』は無いだろう?あったとしても白昼堂々とさらさないだろうしな
まあ、彼女が『足拭きマット』のように汚れを取り尽くしてくれるってんなら別だがね」

そういうと『赤髪』は静かに従った
おっと、おやおや、話がわからん奴じゃあなさそうだぞ?
こりゃあ、あの娘にも踏まれる原因があったのかもな……
よし、このままあくまで紳士的に話を進めていくとするか……

その時だった

「ウグ!?」

『左手』に激痛走る
どうやら上条当麻は自分をおいて話が進むのがお好みじゃあないらしい
私の手のひらを噛んで、晴れて自由の身となりおおせたようだ

「黙って話を聞いてれば……
てめえはこっちに何の情報もよこさねえじゃねえか!
一体、てめえはなんなんだよ!?」

あゝ…何というマヌケな質問だろうか……
人に名乗る時は自分からと習わなかったのかこいつ……

そんな事を思っていると『赤髪』は一言
色々な意味で衝撃的な言葉を発したのだった

「うん?『魔術師』だけど?」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/22(金) 01:20:38.50 ID:va0pA9kqo<> 以上です

あまりにも短すぎるので3、5日後に再び来ます
『4』って数字は不吉だからな!!

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/22(金) 01:51:03.03 ID:Lc3nw0Dp0<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/22(金) 04:06:06.53 ID:TrqTkUvSO<> そっか、じゃ4日間は待ってみるかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/07/22(金) 07:00:49.78 ID:0JQ3is5AO<> 不吉じゃしょうがない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/07/25(月) 16:03:09.03 ID:Kfmsgr+AO<> 今更だが見つけた!!!
期待!!今から読む!!!
さて、前スレと同じ様に張り付くか <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 18:24:20.44 ID:drrtH6uio<> 今日投下します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 18:37:28.89 ID:dibi12bE0<> わーい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/07/27(水) 21:44:24.27 ID:bR4TZsSR0<> wwktk
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 21:47:19.35 ID:Fx2eApN+o<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 21:49:32.67 ID:Fx2eApN+o<> 「魔術……師…?」

私と上条の表情が全く同じになった
何を言ってるんだこいつは、頭が可哀想な人なのか?

「あー……良いよ、そういう反応にもそろそろ慣れて来たから……
ま、『コレ』を見せれば一発で納得してくれるんだがね」

奴は余裕綽々といった様子で『タバコ』を取り出し、吸う
白い煙がモクモクと奴の口から抜け出て、辺りを少し白く染めた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 21:51:06.21 ID:Fx2eApN+o<> 「おっと、まだ名乗っていなかったね
僕とした事がこれは失礼した」

奴は着ていた神父服の『ヨレ』を正し、言う

「僕の名前はステイル・マグヌスと言う
覚える、覚えないは君たちの自由だ
ところでだ、僕にはある『覚悟』があるんだよ…君たちには計り知れないだろうがな……
そしてその『覚悟』を示す時に、魔術師は『魔法名』を相手に示すんだ」

ステイルは私たちに『指』を向け、『空中』に何かを書き出した

「僕の魔法名は『Fortis931--我が名が最強である事をここに証明する』だ」

瞬間、奴はタバコを投げ出し私たちに駆けてきた
どうやら『丸腰』のようだ、仕方がない…殴るのは趣味じゃあないんだが……
私はボクサーが取るようなファイティング・ポーズを取った……が

「違うッ!!先生!奴は『何か』を持っているんだァーッ!!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 21:53:51.48 ID:Fx2eApN+o<> 上条は私を左腕で庇い、奴に向かって『右腕』を突き出したッ!!

すると、パキョォォーン!と『奇妙な音』を立て何かが砕けたのだ!!

「貴様……僕が『炎剣』を出すのを読んでいたのか……!?」

ステイルは信じられないといった様子で上条を見つめる
奴らの間には『炎の残り火』とでもいうべきモノが散っていた

「知ら……ねえよ……!!何となく『予感』がしただけだッ!!」

上条は右腕をステイルに向かって振り抜くッ!!鳩尾に命中したッ!
奴と上条の距離が近かっただけにダメージはデカイようだった!

奴は上条と距離を取り、懐を探り始める

「グオガァッ!ガ……!ガハァッ……!ハァ……ハァ…
驚いたよ……僕の『魔術』が消されるなんてな……!
正直な話……君は『魔術師』にとっての『天敵』だよ……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:00:23.88 ID:Fx2eApN+o<> 魔術を……消す…?馬鹿な、上条当麻は『レベル0』のはずだぞ?
奴の資料にも書いてあったはずだった
そんな上条が『天敵』だと……?

「俺の右手はな……『幻想殺し』っていってな……
『能力』だったら何でも消せるんだよ………!
良いか、魔術師……!!この娘を置いてさっさと消えろ…!
これ以上くるなら俺だって容赦はしねえ……!!」

この答えを聞いたステイルはとても滑稽だとでもいうように笑い始める
馬鹿な、ふざけるな、僕のこの魔術を使いこなすための努力は
貴様の右腕のたった一振りで無駄となってしまうのか
そんな思いが彼を『支配』するが、彼は決して『囚われ』はしない
直ぐに思いを制御し、上条に言い放つ

「……今朝あったばかりのその娘に貴様となんの関係があるんだい?
貴様を動かすモノはなんだ?『同情』?『エゴイズム』?」

上条が何かを言おうとするがステイルは遮る

ステイルは言い放ったのだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:01:17.08 ID:Fx2eApN+o<> 「おおっと、『彼女が困ってるから』なんてトボけた事は言ってくれるなよ?
貴様にその娘の何が分かるっていうんだ?」

私はこの時、ステイルの目に『光』を見た
ゲス野郎には決して持ち得ない、『正しい行いをしている者』にだけ現れる『光』を
消えそうに震えるが、決して消えない『光』を

「少なくとも僕には分かる、だが貴様にわかるとは思えない
いいか、貴様がもし本当に『彼女の為』を思うなら今日の一件は忘れろ
貴様の『独りよがりなヒーロー気取り』の為に僕の『覚悟』を邪魔されたくはないんでね」

そして

「予言しよう、君が次に僕に向かって来るのならば
『貴様は燃え尽きて死ぬ』」

ステイルは静かにそう言った <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:04:00.26 ID:Fx2eApN+o<> 「さあ、どうする?」

上条はしばらく黙り込む
私にはそこまで分かりはしないが彼は『闘っている』事は確かだ
己の中で蠢く感情と体が必死にせめぎ合い
己の頭と心が反発しあう
かつて私と闘った『東方仗助』のように迷っているのだ

奴は正しいのかもしれない、自分が間違っているのかもしれない
確かに、彼はあのいつでも止めを刺しえた状況で
あえてあの娘を殺してはいなかった
拷問愛好者でもない限りは、こんな人通りの多い所でいたぶりはしないだろう

少しの静寂の後、上条は、答えた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:09:10.96 ID:Fx2eApN+o<> 「……せぇよ…!!うるせぇんだよッ!!
確かに俺はこの娘に出会ったばかりだよ!!そうさ!
だがな!いくら事情があろうとも!目の前で人が傷ついてたら助けにいかねえワケにはいかねえ!!
それが俺の『原動力』だッ!俺の『根源にあるモノ』なんだよッ!!
それを今更ッ!変えるワケにはいかねえ!
絶対にだァァァァァァーーーッ!!」

上条は何時の間にか距離を取っていたステイルへと『走る』ッ!!
自慢の右手を握りしめ、奴の鼻っ柱に拳を叩き込む為にッ!
目の前の男の『幻想』をぶち壊す為にッ!!

「行くぜオイ!『覚悟』しやがれェェーッ!!」

向かう上条当麻ッ!だが当のステイルはッ!!
今から殴られるはずのステイル・マグヌスはッ!!


『何もしていないッ!!』


ただただ、向かって来る上条当麻を見つめているだけだったのだッ!!
再び炎剣を作るワケでもない!!ファイティングポーズをとるワケでもないッ!!
ただ、見つめている『だけ』なのだッ!!

ついに上条はステイルのすぐ側に駆け寄った!
右手を深く握りこみ!右腕を大きく振りかぶる!
伊達に喧嘩慣れしているワケじゃあないッ!そんな貫禄が彼にはあったッ!

「覚悟は出来たかッ!このクソッタレ……」

この時だ!この時なのだ!
ステイル・マグヌスが待っていたのは『この時』なのだッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/07/27(水) 22:11:54.55 ID:Fx2eApN+o<>







「『点火』ッ!!」

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:12:53.15 ID:Fx2eApN+o<> ステイルの宣言と共に上条当麻の『左』から『炎』が吹いたッ!
左側に貼ってあった『ルーン文字』により、炎が召喚されるッ!
だが、その炎は上条にとって『脅威』ではないッ!彼には『幻想殺し』があるのだから!!

「甘いんだよ魔術師ィィィ!!」

上条は振りかぶった『右』腕をそのまま『左側』の炎へと向かわせるッ!!
ガラスを砕いたような音と共に炎は掻き消えたッ!
そして!上条当麻は炎から意識を戻し、ステイルに再び視線を戻すとッ!!

「さっきのお返しだよ、この『クソッタレ』」

さっきまでの自分と同じように『右腕を振りかぶった』ステイルが視界に入り
轟!という唸りと共に自らの頬を襲う激痛で上条当麻の意識は消え去った
.
..
...
.... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:15:43.09 ID:Fx2eApN+o<> 「ふう……」

私の近くまで殴り飛ばされた
上条当麻の事をもう忘れてしまったかのような様子で
ステイル・マグヌスは自らの右手をさすっていた

「本当は僕は『こーいう事』は専門外なんだがね……
『相方』の方が武闘派なんだよね
でも『魔術』が効かないのならこうするしかないだろう?
彼の鋭すぎる『予感』とやらに僕は救われたワケだ」

岡目八目、とでもいうべきだろうか
私が見ている限りではあの炎にさえ気づかずに
右腕を振り抜いていれば『痛み分け』という形で済んでいただろう
下手に炎に対処してしまった彼の負けといった所か
そんな風に感じるね

「まあ、貴方の『判断』は『賢い判断』だったといえるよ
あそこで僕に攻撃していれば貴方まで『火傷』していたかもしれないからね
貴方が何もしなければこちらだって何もしないさ」

そう言うと奴は懐からタバコを取り出し、口に咥える
そして指先から炎を出してタバコに火を灯した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:17:38.98 ID:Fx2eApN+o<> 「さて、その娘を『回収』させてもらうよ?」

ハハハ、私の口から乾いた笑いが出てしまう
全く、彼は何もわかっちゃあいないようだ

「君は『二つ』だ、『二つ』勘違いしているぞ
第一に君はこの小娘を連れて帰る気だろうが、それは『不可能』だ」

何か口に出そうとした彼を制して私は続ける

「最後に一つ言わせてもらおうか」

言葉を切り、ステイルを指差した


「『本当に私が何も手を出さなかったと思っているのか?』」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:19:17.90 ID:Fx2eApN+o<> ギャルギャルギャル……ギャルギャルギャル……
『何か』がステイルに近づいていく
だが彼には『見えていない』ようだ
無理もない、彼がいくら高尚な『魔術』とやらを使えても


『スタンドにはスタンドでしか触れられないのだから』

さあ、『小さな戦車』の行進だ
邪魔するモノは………『吹き飛ばせ』

「Go! 『Sheer Heart Atack』!」

私の呼びかけにシアー・ハート・アタックは
呼応する様にステイル目がけて走り出す

「!? 何か!何かが来るッ!?貴方、いや、貴様の仕業かッ!!」

私は答えない
シアー・ハート・アタックの行進は何をしようが止められはしない <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:20:57.51 ID:Fx2eApN+o<> 「『イノケンティウス』ッ!僕を守れ!!」

ステイルの前方に『炎の怪物』が現れた
姿は炎の様に形が固定されないが雄々しくはあるようだ
ま、私にはなんの関係もないがね

それに

『炎』はシアー・ハート・アタックにはとっては好都合だがな

イノケンティウスとやらの発現と共に
我が、シアー・ハート……ええい、長いな
『SHA』と呼ばせてもらおうか
我がSHAの『爆発』が始まった

「グオオ……ッ!!この『パワー』!!
イノケンティウスが押し負けているッ!?」

私にとってはSHAを耐えているイノケンティウスとやらの方が脅威だよ
ま、SHAに爆発の限界は無いからいくらでも爆発出来るんだがね <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:22:25.33 ID:Fx2eApN+o<> さて……

「オイ、オイ上条くん、起きるんだ」

私は日頃の鬱憤も込めて少し強めに上条当麻をビンタした
さーてどこまで耐えられるかな?と思った所ですぐ起きてしまった

何だ、つまらないな

「……アイダッ!!何するんですか先生!?」

パーかお前は、状況を見ろ状況を

「ハッ!?あいつは!?ステイルは!?」

私は私のスタンドの事を上手い具合に隠して
上条当麻に簡単な状況を説明した

「どうやら敵は自分の魔術とやらを制御できていないらしい
そこでだ…………」

上条に私は『作戦』を耳打ちする
まあ、SHAの爆発でステイルには何も聞こえていないだろうがね <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:24:27.79 ID:Fx2eApN+o<> 「ええー!?嫌ですよそんなの!」

やかましい、こっちはスーツが煤まみれなんだぞ
クリーニング代だって馬鹿にはならないんだぞ
ヴァレンチノだぞヴァレンチノ

そーいった事をあくまで紳士的に優しく教えてやると

「イエッサー!不肖、上条当麻!お国の為に……」

そーいうところが面倒臭いんだよお前は

「何故だあああああ!?何故爆発が止まらないんだァァァァァァ!?」

おっと、マズイ
奴ならそろそろ冷静さを取り戻して対策を立てて来かねんな

よし、作戦決行だ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:26:55.16 ID:Fx2eApN+o<> 「待てよ…まだだぞ………今だッ!!」

私は即座にSHAを解除するとイノケンティウスの動きが止まった
突然の敵の消失に本体のステイルの戸惑いが現れているのだろう
奴はイノケンティウスを
これだ、この時を逃してはいけない

『奴はイノケンティウスでこちらが見えていない』という
この時を逃してはいけない

「うおおおるぅぅぅあああああああああ!!!!」

上条当麻がイノケンティウスに突っ込む
熱そうだなとは思うが同情はしないぞ

彼の右手で一時的にイノケンティウスが消失した
もはや、ステイル・マグヌスを守るモノは何もない
ステイルは飛びかかって来る上条当麻を凝視する事しかできずに……

「どーやらテメーの予言は外れたみてえだな魔術師ィィィィ!!
こいつはお返しの『お返し』だッ!このクソッタレェェェェーッ!!」

ボガス!!と鋭い右ストレートがステイルの高い鼻をへし折ると
ステイルはそのままノーバウンドで『5m』ほど飛んでいき、壁に激突した

よくもまあ、一高校生がパンチ一発であんなに吹き飛ばせるな

上条当麻はしばらく肩で息をした後、こちらにニコリと笑うとそのまま倒れてしまった
オイオイ……アレも運ぶのか…?この小娘と一緒に……?

私はこれから運ぶ重量を想像すると
溜息が出ざるを得ないのであった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/07/27(水) 22:27:39.42 ID:Fx2eApN+o<> 打ち止め

書いてて思ったけど、ステイルって相当強くね?
次回は一週間以内だと思う

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2011/07/27(水) 22:38:23.25 ID:NZvBiy6to<> ステイルはいつも相手が悪いんだよなあ
乙、次も楽しみにしてる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/27(水) 22:49:04.89 ID:1U9erWe/P<> 乙
シアハめんどくさいってお前自分で名付けた癖に <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/27(水) 23:03:06.72 ID:WqqHIa+D0<> ステイルさんは弱くはないんだよ。弱くは。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/28(木) 00:19:59.74 ID:vb57sb/z0<> インデックスを爆弾にしないだけ丸くなったな
まあこれからとどめを刺されるのかもしれんけどさww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/28(木) 00:31:31.35 ID:N+cIHTFE0<> 乙
シアハはやはり反則級だなwwww <> 名無しNIPPER<>sage<>2011/07/28(木) 08:22:13.27 ID:C+bYtYqDO<> 元々拠点防衛型って設定なのに自分から討ってでちゃってるから…
加えて言うとSHAとの相性もわるいし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/07/28(木) 13:21:45.34 ID:yu4JzBGAO<> >>1乙
やっぱ吉良さん強いな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sage<>2011/07/28(木) 20:51:58.92 ID:gERfTkd50<> >>237
インさんを爆弾にして触ったら死亡とか恐ろしすぎるwwww

そしてさすがのシアーハートアタックさん、原作でも「治す」という手段でしか完全無力化できなかっただけあるww  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/07/29(金) 20:33:43.22 ID:T2d+4lk20<> やっぱりジムで体を鍛えるべきだったんだな吉良さん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2011/08/01(月) 03:30:16.59 ID:Vq7NeIxno<> でも、災誤先生がチ○コ触った手でトレーニングしてる器具だしなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/03(水) 14:20:50.14 ID:UOdbCuUso<> はいむらー絵が全て荒木絵に変換されて脳内再生ッッ!!
これが>>1のスタンドかッッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/03(水) 19:23:33.35 ID:RTGBMXKPo<> 明日投下しますゥ <> 名無しNIPPER<>sage<>2011/08/04(木) 00:02:45.29 ID:rL+64h8DO<> >>245
把握 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/04(木) 08:59:26.92 ID:uGFwG9iq0<> モナリザ待機
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2011/08/04(木) 23:09:16.16 ID:A+uaCoVCo<> 冬のナマズのように待機 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/08/04(木) 23:22:03.33 ID:hJnA3X6Ko<> 「柱の男」のように待機 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/04(木) 23:23:12.09 ID:Q6GF2hcFo<> ちょっと日をまたぐ <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:46:11.91 ID:KIHiKLL1o<> 投下 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:47:05.45 ID:KIHiKLL1o<> 「はぁ……やはりジムに通っておくべきだったか……」

私はやっとの事で小萌先生のアパートへ転がり込んだ
そして今だ目の覚めぬ二人を布団へ投げ込み、今に至る

肩が痛い、それに足もだ
私よりも重たいモノを持った私の体は
まるでその不満を全て私にぶつけるかの様に痛みだす <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:48:29.86 ID:KIHiKLL1o<> 「大丈夫なのですかー?」

小萌先生はとてとてと私に近寄り『湿布』を差し出してくれた
有難い、これで少しは私の苦労も報われるというモノだ

私が湿布を貼るために上着を脱ぐと
小萌先生は顔を真っ赤にして外に出て行ってしまった
なんだ?何か私がしたか?
何か分からんがともあれ、湿布を患部に貼ると
先ほどまでの反抗が嘘のように鎮圧される
これでしばらく休んでいられると思っていた

その時だった

「肉体の損傷を確認、生命活動の不可の測定の開始
………不可能と判断、対策の構築に移行……」

虚ろな目をした小娘が突然起き上がり、ワケの分からない事を話し始めたのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:50:49.52 ID:KIHiKLL1o<> 「『書庫』内を検索……対策を『二種』発見
治癒の『確実性』の高いモノを『優先的に』提示
一つ……『回復術式』…周囲の回復術式を使用可能な人物の存在を検索……
『Not Found』…対象の存在を認められない」


「よって『二つ目』の使用に移行』」


正直に告白しよう……私は呆気にとられて何も出来なかったのだった
何より奇妙奇天烈な単語が多すぎる
回復術式だと?自分の耳には馴染みが無さすぎる言葉だ
いや、馴染みたいというワケでもないが


小娘がすっくと立ち上がる


「おい、まだ寝ていないと……」

彼女は私の忠告をどこ吹く風といったように聞き流す

「『左手の型』の作成……Successed……
これより『SENDOU』の実行に移る」

そう言った彼女は左手を『奇妙』な形で握り込むと


『自らの鳩尾に叩き込んだのだった』 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:51:40.39 ID:KIHiKLL1o<> 「何をしているだァーッ!!小娘ェェーッ!!
行動はともかく理由を言えェーーッ!!」

ドムゥ!と肉を鉄パイプで叩きつけたような音とともに
小娘は自らの拳の前に倒れ伏せた

彼女の口から肺を最後の最後まで振り絞ったような『呼気』が漏れる
馬鹿な、どうして自ら傷口を再び刺激するような真似をするのだ?

私は彼女の肩を掴み、引っくり返した
こんな華奢な身体でよくあんな鋭いパンチが打てたものだと感心しながら
出血の酷かった『背中』を覗く

「……!?…馬鹿な!?何故……何故あの深い傷が……」

私は自分の目を疑った
こんな事が許されるのかというぐらい無惨だった
背中の『刀傷』が、無数の『切傷』が

「『治って』いるのだッ!?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:52:29.26 ID:KIHiKLL1o<> この小娘ッ!まさか…『スタンド使い』かッ!?
……いや、よく考えるのだ吉良吉影……
スタンド能力は一人『一能力』が基本だ……
ならばこの小娘のスタンドは
あのクソッタレ仗助と同じように『治療』出来る能力があるという事になる……

だったらなぜ即座に治療しない?
それに対策が二つとか言っていたぞ?

やれやれ……この街に来てから疑問が多すぎるな……

私が思考の海で溺れかけていると
小娘がヨロヨロと立ち上がった

「ここは………?」

「………ここは安全だ……
君を傷つける者などいやしないよ……」

改めて見ると……この小娘……『悪くない』……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:53:55.75 ID:KIHiKLL1o<> 今まで傷一つ付いた形跡の無いプニプニとした掌にしなやかな指がまた『そそる』じゃあないかそれにこの年頃の女の子にしてはバカ丸出しなネイルアートとやらはしていないのもなかなか好印象だ、程よく伸びて程よく整えられた爪がまたたまらないな……おっと大事なチェックを忘れていた…指の毛は……Good…!!『生えていない』な……おっとおやおや?それぞれの指の比率も完璧じゃあないか……これはかなりポイントが高いぞ……こんな芸術的な『彼女』は久しぶりだ、ぜひ切り……


ハッ!?イカンイカン!思わず『査定』に入ってしまったッ!

欲望をなんとか理性が押さえつける
クソ……こんな『寸止め』……辛すぎるぞ……

彼女と話でもして紛らわすか……

「あー……お嬢さん…お名前は……?」

すると彼女は上目遣いというのだろうか?
おずおずと私の方を見る

「………インデックス…」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:55:35.97 ID:KIHiKLL1o<> インデックス…?『目次』か?
是非、親の顔が見たいな……なんて『センス』だ……

「じゃあ……インデックス、君は……あー……」

聞きたい事が多すぎて何から聞けばいいか分からんな……

「あー……そう…えーと……」

「いいよ、無理に会話を続けなくて
私……行かなくちゃ……」

彼女は私に背を向けて部屋から出ようとするが
私は彼女の肩をつかんで制止する

「まあ待ちなさい、私は曲がりなりにも君の『命の恩人』だぞ?
少しぐらい言う事を聞いてくれたっていいじゃあないか?」

少し恩着せがましいが良いだろう
もし、このまま行かせてしまったら『教え子』の努力が水の泡だからな

「一つだけ聞かせて欲しい、君は一体『なんなんだ』?」

.
..
...
....
.....
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:56:40.45 ID:KIHiKLL1o<> 「なるほどな、つまり君の所持している『モノ』を
謎の『2人組』が狙っていると?」

彼女が話してくれた莫大な情報を脳内に叩こみ、要約する
正直、『書庫』だとか『宗教』だとか『魔術』は理解出来なかったがね
それに彼女が『完全記憶』の持ち主というのもどーだかなって所だ

「……信じてくれるの……?」

彼女が驚きといった様子でこちらを見てくる
ええい、やりづらい……そんな目で私を見るんじゃあない……

「ああ、信じるよ
こんな状況下で嘘を吐くメリットなんて無……」

そこまで言いかけた私の顔を『白』が占拠する
数秒後に私はインデックスに抱きつかれたという事を認識した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:57:47.82 ID:KIHiKLL1o<> 「うぅ……っく…うっく………
うえぇぇえぇぇん………」

な、な、何だ!?何かミスでも犯したかッ!?
今さっきの言動に彼女を泣かせるような事は何も……!!

彼女は涙交じりに語り出した

「私の言う事なんかぁ……誰も『信じて』くれなくってぇ……!!
私は……ずっと……『一人』でぇ………!
『こわい』……『さみしい』……
私の『思い出』はそればかりでぇ……」

……私はこの子に何て声をかけてやればいいのだ…?
………思いつかないので私は考える事をやめ、彼女の背中を撫でる事に集中した

吐き出したい事があるのなら吐き出せばいい
伝えたい事があれば伝えればいい
したい事があるならすればいい
それらが一番難しいという事を、私自身も生きて行く上で実感したが <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:58:41.76 ID:KIHiKLL1o<> 「どうだ?治まったか?」

まだしゃくり上げているが、呟きが治まった所で私は声をかけた

「……うん…ありがとう…黙って聞いてくれて……
とても……胸の奥がスッキリしたんだよ……」

目こそ真っ赤だが彼女は元気になったようだった

「そうか、じゃあこれからの事を聞いておきたい」

私は彼女の目を見据え、言った

「君はこれからどうしたい?」

沈黙、沈黙、沈黙
重い空気が部屋の中に立ち込める

返事を急ぐ必要は無い
どっちにしろ彼女の傷が完全に治るまで外に出す気はないのだから



そして、沈黙を破ったのは



「ほしゅ……『補修』は勘弁してくらさい……」



親愛なる馬鹿生徒、上条当麻の『寝言』であった

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 00:59:47.36 ID:KIHiKLL1o<> 「煮えましたよー!さあ、お腹いっぱい食べるのですよー!」

小萌先生の音頭で『すき焼き』の蓋が開かれる
小萌先生は買い出しに行っていたようだった
だが、なぜ顔を赤らめていたのかが不思議でならないが

「うおおおお!小萌先生ェーーッ!これ食べてもいいんでせうかァーッ!?」

上条当麻が歓声を上げる
先ほどの『寝言』のお礼に私とインデックスがかけた『ツープラトン』により
彼の『両頬』は『真っ青』になっているが気にしない

「おお……これがジャパニーズスキヤキなんだね……!
『オットンガエル』が入っているというのは本当なのかな!?」

どこの医療アドバイザーだというツッコミは抜きにしても
さっきまでの気張った様子が、年相応の女の子のそれとなったインデックス
カチャカチャと箸を鳴らしているので咎めると、素直に従った所を見ると
素直ではあるようだ……『食欲』の方もだが……

私も取り皿に卵を割り入れ、箸を取る

「それでは……『いただきます』!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 01:00:49.80 ID:KIHiKLL1o<> 刹那、闘いは始まった

「煮え尽きるほどBEEEEEEEEEEEF!」

謎の奇声を発した上条当麻の箸が鍋の『牛肉』を狙うッ!!

「甘いのですよォォォォーーッ!!」

それを遮る小萌先生の箸が『回転』!!
その箸と箸の間に生まれるは
圧倒的風圧の小宇宙!!
風で牛肉が浮かび上がるゥゥゥ!!
見事にキャッチした小萌とは対照的に上条当麻の箸は虚しく空を切ったッ!!

「何ィィィィィ!?だが!甘い!甘いぜ!小萌先生ィィィ!
貴女の取り皿を見てみなッ!貴女は根本的な所でミスを犯しているゥゥゥゥ!!」

「フン!上条ちゃんのハッタリ如きで
この道ン十年の私に精神的動揺は……ハッ!?」

そう!上条当麻は決してハッタリをカマしたワケじゃあなかったッ!!
彼女の!小萌の取り皿には!!


『卵が入っていなかったッ!!』


これでは肉を『冷やせない』!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2011/08/05(金) 01:01:52.45 ID:pD8AHrKdo<> ステイル戦より熱いバトルが始まったか <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 01:02:12.46 ID:KIHiKLL1o<> 「MMUUUUUU!!だが関係ないィィィ!!
この肉の熱さ如き支配出来ずに『年齢』を支配……」

小萌は躊躇わずに口へと突っ込んだッ!

「………熱いィィィィィ!!ひた(舌)がァァァン!
わらひのひたがァァァァァァ!!
HHHEEEEYYYYYYYYY!!あぁぁぁんまりですぅぅぅぅぅ!!」

ベロを出し悶える小萌ェェェェ!
それをニヤリと笑い!上条当麻は突き抜けるゥゥゥゥ!!

「もらった!!このすき焼き!!完!」

今度こそと上条当麻の箸は肉へと一直線ンンン!!

だがァァァァァァ!それを邪魔する箸が一膳!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 01:04:35.71 ID:KIHiKLL1o<> 「ほーう?ひゃあ、はへがこのふきひゃきのふいーんをふほへふんへふ?
(ほーう?じゃあ、誰がこのすき焼きのクイーンを務めるんです?)
ひはへいほうほう(気化冷凍法)れふよッ!!
上条ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
『何を食べられるのですか?』貴方は『食刑』ですゥゥゥゥゥ!!」

小萌は!ああ!何という事だろう!小萌は何とッ!!


『上条当麻の皿に『小松菜』を突っ込んだのだッ!!』


「追加は皿のモノをちゃんと食べてからですよォォォォーーッ!
お残しはゆるしませェェェェン!!」

「残念だったなッ!先生!貴方の皿も見てみなッ!
どうも貴女は『一手』遅れる傾向にあるようだッ!!」

小萌は皿をみて驚愕するッ!!

「何ィィィィィ!?これはッ!まさかこれは!
『汁をタップリ吸ったしいたけ』!?」

「フフフ……汁入りのしいたけは熱かろう……!
そして言わせてもらうぜッ!!『お残しはゆるしませェェェェン!!!』ってヤツだァァ!!」

はたして勝者はどちらだッ!?勝利の女神はどちらに微笑むのだろうかッ!?
それは神のみぞ知る事だろうッ!
彼らの闘いは終わらない!!

....................<完>......................

.
.
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 01:05:45.90 ID:KIHiKLL1o<> 「さあインデックス、取り箸が使いにくいだろうから取ってあげたよ
バランス良く入れてあるから残さず食べなさい」

避難させておいた皿を私はインデックスに差し出した
自分でいうのもなんだが、栄養バランスは完璧なように思う

「はーいなんだよ」

舌を出してノックダウンしている二人の分も隔離しておく
だから争いというのは無駄なのだ………

インデックスのシャクシャクと小気味良い音を立てる咀嚼音を聞きながら
そんな事を思った、そんな夏の夜の出来事だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/05(金) 01:07:01.29 ID:KIHiKLL1o<> 打ち止め

地の文がテンション高かったらナレーション
低かったら吉良吉影の心中って事でお願いします

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2011/08/05(金) 01:12:44.70 ID:pD8AHrKdo<> 乙
楽しそうな食卓だ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/05(金) 01:37:56.47 ID:z7dCG9lL0<> 乙
小萌先生wwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2011/08/05(金) 01:56:06.86 ID:/g4Jv3Oxo<> 乙
吉良サイドは平穏だなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/08/05(金) 02:18:54.30 ID:cQow3HyAO<> 吉良は金八並み <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/05(金) 11:15:05.08 ID:rN9115z2P<> 乙
しかし鈍感吉良はムカつくな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/05(金) 12:38:08.61 ID:mAlSPtMDO<> パラメディックインさんww

そしてさっそくインさんに死亡フラグが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/05(金) 18:55:48.04 ID:1xU/25LD0<> さて神裂さんにはどう対処するのか・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2011/08/05(金) 20:55:54.51 ID:F9oZPxbMo<> 乙

波紋やっぱすごいな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/10(水) 17:55:06.13 ID:pmipcFjJo<> 10日ほど頂きたい……
いざ書いてみるとかんざきさんじゅうはっさい強え…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/11(木) 09:21:31.96 ID:YWsL5HcM0<> おk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/08/12(金) 00:41:15.89 ID:7u6FuFjAO<> 遅れたが了解 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)<><>2011/08/12(金) 23:54:37.25 ID:KTtCtDHAO<> >>277
肉弾戦あんまり経験してないしな吉良とキラークイーン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/13(土) 04:37:45.50 ID:CrIJTgybo<> 原作準拠で負ければいいのでは・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/08/13(土) 11:01:16.32 ID:Covqu2CAO<> >>281
原作はぶん殴ってただろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/08/13(土) 12:22:02.16 ID:FaHiX+M10<> シアーハートアタックに任せて逃げてしまえばどうかな
あるいはスタンドが見えないんだからは命乞いするふりをして触れてしまえば…
まあ殺しちゃまずいんだろうけどww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/13(土) 16:54:47.58 ID:3q/OChba0<> >>283
ある意味最強だけどきたねえwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/13(土) 18:22:18.07 ID:xG/90Sd5o<> まあスタンド使いと一般の差はそれぐらい酷い物だからな…
一般人は早人みたいに前知識を持って戦闘を避けて駆け引きに持ち込まないとまず勝てない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/13(土) 22:04:55.17 ID:9L4Wc/RV0<> 聖人である神裂さんの「幸運」もチート級だけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/13(土) 22:30:26.79 ID:mkHmZJO/o<> [幸運]lackと[勇気]plackの刀、七天七刀か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/08/14(日) 00:20:14.27 ID:b0un8vvL0<> ワイヤーの代わりに髪の毛を使うんですねわかります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/14(日) 02:41:18.89 ID:A80HxIQUo<> lackておま
そういう綴りの単語が無いわけじゃないが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/14(日) 12:07:24.11 ID:ISgv7dHH0<> luckだ… 二度と間違えるな!  つづりはluckというんだ! lackでもrackでもない! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2011/08/14(日) 14:24:01.00 ID:w4Uq4G8t0<> ワイヤーの一本でも掴むか触れるかすれば爆弾にして勝てそうだが… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/15(月) 17:17:58.59 ID:taq0UcrKo<> 吉良と上条はこれからも絡むのかな?
ダブル主人公だと活躍とか補正とかで読んでても忙しくなりそうだから、できれば別がいいな
上条は別件で活躍(=原作での)を伝聞とかの扱いでいい

でも、そこは完結の実績がある>>1の好きなようでいいんだけどね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/08/16(火) 00:24:38.80 ID:UA6tS1wg0<> キラークイーンの爆弾って爆弾自体が爆発するものと爆弾に触れたものが爆発するタイプの2種類があるんだよ
実は後者のタイプを利用すると吉良って原作ではやらなかったが接近戦では無敵なチート技が出来るんだよな

自分自身を後者のタイプの爆弾にしておくと相手が攻撃叩きこんできた瞬間に…
早い話が炸裂装甲だがこれやると物理攻撃完全無効になるww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/16(火) 00:29:20.75 ID:pxV2WWsoo<> 仗助と同じ理由だろう。そこまで都合よくは無いよってこと
それが出来たなら迷わず使うだろう、吉良なら

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/16(火) 07:29:06.79 ID:796B5l7DO<> 四部スタンドは自分自身にできないタイプの多かったしな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/16(火) 09:13:30.23 ID:Tpc509qwo<> 炸裂装甲は敵の攻撃を綿密に計算された角度から炸裂させた装甲で押し返すことで威力を無効化させる


なんてことだ…吉良は一方通行だったのか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/08/16(火) 09:39:11.62 ID:UEcWgYqAO<> >>293が言ってるのは重ちーの時みたいに自分の服(あの時は100円)を爆弾にすれば無敵ってことだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/16(火) 10:10:07.06 ID:796B5l7DO<> 服だとまず吉良が爆発するんじゃねww
エステシンデレラの時のように <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/08/17(水) 22:13:25.03 ID:Py2RR2nSO<> 吉良ってあの時片手無いままで他人に成り済ますつもりだったんだろうか
まあ治されたから結果オーライだが <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/19(金) 18:32:15.30 ID:K32xpzAPo<> 明日か明後日投下します
レスが多くて感動した <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/19(金) 22:44:07.35 ID:8tInl7+To<> 楽しみでぐっすり寝れなくなるな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 00:51:43.71 ID:kFlL/0rCo<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 00:52:36.32 ID:kFlL/0rCo<> 「プレゼント……だと……?」

昨夜のすき焼きの際に浴びるように飲んだ酒と
今頃きっと夢の中でパーティーでも開いているだろう小萌先生の傍で
私は上条当麻の言った事を聞き返していた

「そうですよ!先生って一緒に住まわせてもらってるんでしょ?家賃も払わずに!
よーするにそれってアレですよね!……えーと……『ヒm』」

瞬間、私は上条当麻の口を塞ぐ
彼がもし仮に、次に母音の『o』を発していたら
側で聞いているインデックスが必ず意味を聞いてくるか、辞書並みの正確な意味を私に投げつけてくるだろう
そんな事をされたら、私の心が持つだろうか?いや、持たない

「それ以上言葉を発するんじゃあないぞ上条君………?
君のウニ頭からウニが出るのは嫌だろう……?
それで……私が『日頃の感謝の気持ち』を……?プレゼントで表せと……?」

事態を理解できていないインデックスが
私たちを不思議そうな眼差しで見るが気にしない <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 00:54:04.92 ID:kFlL/0rCo<> 「……ブハッ!ゲホッゲホゲホ……
すいません…口が滑りました………
えーと、まあそういう事ですよ…小萌先生にプレゼントをくれるような彼氏もいないようですし……
ここで吉良先生がプレゼントでもしておけば『切られz』」

黙れェェ!!断じて!私は!ヒ……もういい……
だが、名案かもしれないぞ?一応、住まわせてもらってる恩義もあるしな
『家賃』代わりと考えれば……

「まあ……悪くはないんじゃあないか……
『純粋』に!『感謝』を!『形』で!示したいと思っていたしな!!」

さいですか……という上条の呟きは聞き流す
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 00:55:28.19 ID:kFlL/0rCo<> 「ねぇねぇ!?ショッピング!?ショッピングに行くんだね!?」

インデックスが妙に興味を示してきた
目が謎の輝きに満ち、尻尾があれば振りちぎれんほどに振っているだろう

「いいなあ〜こもえだけプレゼントかぁ〜〜いいなあ〜
私に買ってくれる人は……いないだろうなぁ〜〜」

……?何故こっちをチラチラと見てくるんだ?
欲しい物があるのなら買えばいいのに……

私は上条に耳打ちをする

「なぁ……?彼女は何を求めてるんだ……?」

「さぁ……?上条さんにはサッパリですよ……」

ううむ……………?
………ハッ!分かったぞ!分かったぞ彼女の真意が!!

「そうか!インデックス!そういうことか!」

インデックスがパァ!と顔を輝かせた

「『外食』がしたいんだな!?そうかショッピングの後といえばそうだな!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 00:56:34.60 ID:kFlL/0rCo<> 同じくハッ!と息を飲むと共に上条が私に続いた

「そうか!外食か!いやー!気づきませんでしたよォ〜!
そりゃ無理もない!腹が減っては何とやらですし!
流石は吉良先生!感情を読むのが……」

上条がそこまで言った時だった

「…………よしかげの……」

ん?そんなに喜んだのか?
『三軒』か?三軒も外食に行きたいのかこのいやしんぼ……

「馬鹿ァァァァァァァーーッ!!」
.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 00:58:52.00 ID:kFlL/0rCo<> 頭が痛い、いや、比喩ではなくてだな
彼女の健康的な『歯型』が私の頭に刻み込まれ、それが熱を帯びているようだ
私が一体何をしたと言うんだ

どーもこの街に来てから私の『キャラ』が崩れているぞ……

まあ、いい

今、私と上条とインデックスは『セブンスミスト』とやらに向かっている
実際のセブンスミストは『服屋』だとからしいが
目印にはピッタリだからとりあえず向かう場所となっているらしい

私がインデックスと手をつなぎ、上条もインデックスと手をつないでいる

「この光景………『アレ』だな……」

何だったか……思い出せない……
いや、思い出してはいけないような気がする……

私がうーむと考え込むと
上条は自信ありげに口を開く

「ああ!分かりますよ先生!えーと確か……そう!『宇宙人捕獲』でしたよね……」

哀れ、上条の腕から先がインデックスの口へと消える
言わなくてよかった………心から安堵する <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:00:33.71 ID:kFlL/0rCo<> 「うう……不幸だ………なんで上条さんばっかり……
……あっ、着きましたよー!ここがセブンスミストであっちが……」

上条の説明を聞くと、ここら一帯はいわば商店街のようなモノらしい
色々な種類の店が集まっているので買い物がしやすいな

「それじゃあ……何から見ます?」

うーむ、そうだな…じゃあまず………

「ソフト!『ソフトクリーム』買って欲しいんだよ!!」

……決まりだな……、鶴の一声という奴だ

私はソフトクリーム屋に声をかける

「イラッシャイマセ……ゴ注文ハ……?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:02:30.60 ID:kFlL/0rCo<> ん?

「君?どこかで会ったことはないか?」

この『外人』……どこかで会ったような……?

「イエ……会った記憶はゴザイマセン……」

そうか、まあ思い出せないのなら重要じゃあないのだろう

インデックスはソフトクリームの味を決めるのに夢中だった

「んーと!んーと!リンゴソース味に……プリン……
ああ!トマトってのもあるんだよ!!」

言っておくが、一つしか買わないからな

「……よしかげのケチ…」

何とでも言うがいい

結局、インデックスは『雪解け』味とやらを選んでいた

「オ・カピートォ……」

ものの十秒でソフトクリームを持ってきた店員に金を払った

アルプスの雪解け………美味いのか…?
まあ、鼻の頭に付いてる事も気にせずに食べてる様子で美味さは分かるよ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:03:49.99 ID:kFlL/0rCo<> 「さて……今の内にプレゼントを選んでおくか…」

インデックスはベンチに座らせ、上条と私は品定めだ

少し歩くと雑貨屋を見つけたので入ると

「イラッシャイマセ……」

ん!?さっき……まあいいか……

店の中で私は上条と別れて、各々で探す事にした

うーむ……よく考えれば……彼女の『趣味』を知らなかったな…
上条に聞いておけば良かった……

すると、上条が何かを持ってこっちに走って来た

「適当に見繕って来ましたァーッ!」

ほう、上条にしてはやるじゃあないか……!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:06:30.86 ID:kFlL/0rCo<> 「えーと…とりあえず女性が喜びそうな物って事で……
まずはラバーソウル社製の『美顔器』!!
余分な物がグジュルグジュル潰れてェーッ!」

却下、今のままで十分に彼女は小顔だ

「まーそうですね……じゃあこれは!?
ていとうこ.com製品の『付け爪』!
なんとこれは爪の先から護身用のレーザーを……」

却下、彼女は既に美しい『手』をしている

「………じゃあこれは!?
アウターヘブン・コーポレーションの『無限・美容フェイスペイント』!!
これを顔に塗るだけで……」

却下、彼女はもう可愛らしい顔をしている

「……………まあいいです……
……倉院の里限定品の『クライン・リバース』………これをつきつけ……」

却下、もう既に「デレデレじゃあねーかァァァ!!」

なんだ、人が話している時に

「さっきから黙って聞いてりゃ先生!
俺が持ってきた物を全部『却下』で済ませたあげくに小萌先生を褒めあげるし……!
もう何も言いません!何も言いませんから先生が決めてくださいよォォォォ!!」

彼はこの鈍感教師ィィィ……と叫びながら何処かへ去って行った
彼は一体、何がしたかったのだろう……?

一人残された私はおとなしくプレゼントを探すのだった……
.....
....
...
..
.
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:07:31.22 ID:kFlL/0rCo<> 「『コレ』にしたが……いいのだろうか……?」

私は上条とインデックスと共に帰路についていた
といってもインデックスは何故か、待ち合わせ場所で眠りこけていたので
私がおぶっているがね

プレゼントは結局私自身のセンスで選んだが
我ながら良いセンスなんじゃあないか?
きっと彼女も気に入ってくれるだろう <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:08:24.55 ID:kFlL/0rCo<>









『どくん、どくん、どくん』 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:09:54.03 ID:kFlL/0rCo<> ………?
なんだ?この『奇妙な』感覚は……?
この道は家への最短距離なのだが……妙に『近づきたくない』ぞ……?
なぜだ?特に理由はない…のだが……『通りたくない』……だと…?

思わず立ち止まってしまった私を見て
上条当麻は問いかける

「先生?どうしたんですか?気分でも悪いんですか?」

いや、これは病気の症状ではない
ではないのだが、説明できない思いでいっぱいになる
とにかく通りたくないのだ
純粋にそれだけが私の身体を支配する

「いや……そういうんじゃあないんだ、ありがとう
だが、ちょっと私は回り道をして帰ることにするよ……
先に帰って小萌先生に言っておいてくれないか?」

わかりました、と上条は了解してそのまま帰っていった
私はすぐにこの場を立ち去り、近くの休めそうな場所を探した
幸運なことに『三沢塾』という塾の前に、公園があったのでそこのベンチで座り込む

気づくとあの奇妙な感覚は消えていた
何だったのだ一体?

そう思った時だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:10:46.95 ID:kFlL/0rCo<> 「やあ、また会ったね
確か……そう…ヨシカゲ・キラとか言ったっけ?」

赤髪の魔術師、ステイル=マグヌスが立っていた

「おやおや……いつかの雪辱戦というワケか…?」

私は静かにインデックスをベンチへ寝かせ、キラークイーンを発現する

ここなら人通りも少なそうだ
奴が私を殺してでもインデックスを奪うのなら……『容赦』はしない

だが魔術師の返答は違った <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:11:46.04 ID:kFlL/0rCo<> 「馬鹿な、君と争う理由はないよ
第一に僕を二度もぶん殴ってくれたのは、あのカミジョーとかいう奴だしね」

なるほど、確かに『殺意』は感じられないな
私は臨戦体制を解いた、まあキラークイーンはまだいるがね

「そうか、じゃあ何の用だね?
まさか、しがない教師からカツアゲというワケじゃあないだろうな?」

私が軽い冗談を飛ばしても奴は反応しなかった


ただ、彼が言ったことは


「説明をさせてほしい、僕が…『僕ら』がインデックスを追っていることについて……」

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:12:39.30 ID:kFlL/0rCo<> なるほどな
彼女の絶対記憶能力のせいで記憶を消さなくてはならなかった

だから追って、捕まえないとインデックスが死ぬ所だった

ちなみに、脳の内容量を%で表すと魔導書が85%、記憶が15%
その周期はおよそ『1年半』である


……ん?
待てよ……何か見落としていないか……?

「ステイル君、君は一年半で15%を丸々使い切ると言ったな?」

タバコの灰を落としながらステイルは肯定した

「だったら……『矛盾』が生じないか……?
なにかで読んだが、世の中にはインデックス以外にも完全記憶が出来る人はいるそうだ……
だが、そいつは少なくとも10歳の誕生日を迎えているぞ?
君の言うとおりに完全記憶だと1年半で15%も脳を使うというのなら……」

そこまで言いかけた時だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:13:19.60 ID:kFlL/0rCo<>

















「ハイジョスル」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:14:18.88 ID:kFlL/0rCo<> ステイルが炎剣を取り出し、斬りかかってきたのだ!

「何を……!?」

私は奴の瞳を見て、違和感を覚える
経緯を語る彼の瞳には『光』があった
騙し討ちをしかけてくるようなクズには決して現れない光が

だが、今の彼にはそれがない
まるで死んだ昆虫の虚ろな眼のようだ
私をただの標的としか見ていない

「ハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスル」

ステイルは吉良に向かって再び飛びかかるッ!
狙うは吉良の首!ただそれだけが彼を満足させるものだったッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:16:31.94 ID:kFlL/0rCo<> 「ハイジョスルゥーーッ!!」

しかたがないと吉良は呟き、キラークイーンで応戦しようとしたッ!!
吉良に久方ぶりの『敵意』が発生!
さっきまでの話はデタラメだったのか、そこまでのゲスだったのか!
こんなゲスに生きる価値はないッ!消えてもらうッ!!
吉良吉影はステイルを殺しにかかろうとした!

だがッ!吉良は再びステイルの『瞳』を見てしまった!

そこにあったのは『涙』だった!
とめどなく流れる涙は彼のローブをひたすら濡らすッ!!

ついさっきまでは流していなかった涙ッ!
この涙を見て、吉良の心は……

「うおおおおおおーッ!
キラークイーンッ!『守れ』ェェェーッ!!」

揺らぎ出したのだったッ!!

彼は守りに転じる!
彼は『ワケ』が!『ワケ』が聞きたくなってしまったのだ!
なぜそこまで堕ちてしまったのに『涙』を流すッ!?
理由によっては……小萌先生への『誓い』破らざるを得ないッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:18:06.32 ID:kFlL/0rCo<> 「来い!魔術師ィィィ!!」

吉良は決めていたッ!この戦いで『SHA』は使わないッ!
一発……!奴に一発叩き込んでしまえばこちらのものだ!
一瞬で彼をまどろみの世界へと送り出せるッ!!
だが……ああ……何ということだろう……!


『一発が遠い……遠すぎるのだッ!』


奴の火炎は自由自在だった!
炎剣が吉良の顔の側まで来ると『火力』が上がりッ!吉良の『肩』を炎が舐めるッ!!

「グッ……!!やはり……シンプルなのが強いか……!!」

事実、吉良は押されていた…!
彼のキラークイーンは『近距離型』!射程はせいぜい2m!
だが奴の炎剣に『限界』が見えないのだったッ!
奴は見境なしに魔術を注ぎ込み!炎剣はグングン『伸び』てくるッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:20:46.11 ID:kFlL/0rCo<> 「(クソッ…!左肩が重すぎる……!動かない…!!
この戦い……!!さっさと終わらせたいが……!近づけばやられる……!)」

キラークイーンの能力は爆弾を作る事ッ!
だが!『素材』が無いのなら話は別だッ!

「(砂利でも何でも良いが……奴が『拾う』隙を与えてくれるワケが無い……!!
それに、砂利ではダメージが少ない……かといって消し飛ばすのも……!!)」

どうする!?逃げるか!?いや、それは無理なのだッ!
吉良はインデックスを守らねばならないッ!
だが!インデックスを拾っている間に殺られてしまう!

だが!彼の脳内に悪魔がいるのならば!こう囁くだろう! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:22:22.59 ID:kFlL/0rCo<> 『インデックスを見捨てろ』

なんて心地よい『可能性』だろうかッ!?
そうだ、元々はただの行きずりだ!
逃がしてしまおうじゃあないかッ!
彼らの世界の住人なのだ!彼らの世界の『掟』に従わせればいいのだ!!

だが、吉良吉影は見捨てないッ!

いや!見捨てなかったのは吉良吉影自身の『思い』だけの功績では無い!
『上条当麻』の熱いインデックスに対する思いがッ!吉良の『何か』をプッシュしたのだろう!

上条当麻の優れている所はそこなのだ!
彼は知らず知らずの内に周囲に『波紋』を広げる!
影響される者も少なからず存在するのだッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:24:01.77 ID:kFlL/0rCo<> 「クソ……!!やるしかないのか…!
これだけはやりたくなかった……いつかの『アレ』を思い出すんだよ……!!」

吉良吉影は足元の砂を蹴り上げるッ!
だが『砂』を爆弾にしても!ステイルを完全に消し飛ばすか、ほんの少しのダメージしか与えられないのだッ!!
何事も都合良くいくワケではないのだッ!!

なら彼の選択はどっちだ!?
ステイルを『見極める』のはやめるのかッ!?
それともチマチマと攻撃して、お互いがボロボロになるまで続けるのかッ!? <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/08/21(日) 01:32:10.24 ID:kFlL/0rCo<> だがッ!彼はその『どちら』も取らない!!


『メリメリメリメリ……!!』
『メリメリメリメリ……!!』
『メリメリメリメリ…』『ブシャァァァーッ!!!』

「うう……!!痛いよ……!!すごく痛い……!
やっぱり『何回やった』って慣れやしない……」

砂埃が収まり、ステイルが吉良を発見した時はもう遅かった


『ペチャリ』

『何か』が神父服に飛んできた
ステイルは自分の腹に飛んできた物を見る


「やっぱり……『自分の肉体』を『千切る』のは痛いよ……!!」


『ステイルの神父服には吉良の【左肩】がくっついていたのだった』


「うう……クソ……絶対に治せよ学園都市……」


ステイルが逃げるにはもう遅かった


吉良は宣言する


『着火!!』

何という『憎き肉片』だろうか
『肉』が『肉』、『骨』を焼き尽くす
普通の人間なら泣き出すか、痛みのあまり即、失神であろう

ステイルは仁王立ちのままタバコを取り出し、喫う
そしてタバコを取り落とし、絞り出すように言った

「アリ……ガトウ………」

吉良は倒れ伏しているステイルの側へ寄っる
吉良はゆっくりと『手首』を取り、脈を採った


……………………『トクン』……


「良し、ギリギリ死んではいないようだ……」

念のため、『首筋』の方の脈も採っておこう
彼はそう思い、神父服を脱がす

『ストン』

ステイルの首筋から『何か』が落ちる
『ソレ』は、よく今まで、この神父服からこぼれ落ちなかったなと感心させるような大きさだった

吉良吉影が『ソレ』を拾い上げ、確認する


『ソレ』の正体は


『ドス黒い色をしたDISC』であった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/21(日) 01:34:57.71 ID:kFlL/0rCo<> 打ち止め

http://i.imgur.com/mOAVo.jpg
宇宙人捕獲ってのは捕らえられた宇宙人の事ね
真ん中がインデックスさんです

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/08/21(日) 01:35:52.85 ID:RmzE8tlSO<> 吉良やディアボロ改心させまくってる上条さん凄すぎるだろ <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/08/21(日) 01:45:03.99 ID:kFlL/0rCo<> >>327
すまん、言わせてほしいが
吉良は改心はしてないんだわ、ただの「上条がああ言ってたしなあ」程度なんだ
深く書きたかったけど、あそこで長々と書いても蛇足かなあと思っちゃって……
性格を「隠してる」程度と考えてくれたらすごく嬉しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/21(日) 01:47:03.51 ID:QdeKXv/DO<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/08/21(日) 02:09:48.06 ID:JRceCaTHo<> 吉良は「自分が悪い事してる」て思ってないからな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/08/21(日) 03:26:17.57 ID:mq5bKyWAO<> 乙
吉良さん覚悟してるだけあって格好いいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/21(日) 09:53:08.27 ID:FotZrtCDO<> ふと思ったんだが、誰か適当な空力使いとコンビ組めば原作以上に高性能な空気爆弾ができるんじゃね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2011/08/21(日) 09:59:37.02 ID:Yx0sm8POo<> 吉良は悪いわけじゃない
社会が許さないだけ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/21(日) 11:32:08.17 ID:I0qLH2BnP<> 乙
プッチの存在完璧に忘れてたわwwww

>>333
悪じゃん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sage<>2011/08/21(日) 11:41:42.21 ID:4zmvjXCn0<> 原作でも[ピーーー]とまずい状況だって頭で分かっていても我慢できずに無意識のうちに首絞めようとするくらいだからな
もって生まれたサガは止められない、それこそ人が自分の爪が伸びるのを止められない様にと言ってる様に割と仕方ないことなのかもしれんな

それこそ社会が許さないが、ある意味では純粋なのだろうww

そしてねーちんは上条さんが頑張るのかww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/21(日) 12:24:55.70 ID:UoQiMkd7o<> でもあの鈍感っぷりは明らかに上条さん混じってるぞww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/08/22(月) 00:02:59.13 ID:dsHspvLSO<> 吉良は自分の欲求が悪である事は自覚しているし、社会的に許されない事も理解している
しかしそれを自らの抑えられないサガと受け入れたうえで自分の幸福と心の平穏のために全力を尽くす
最悪の自己中なのに実力や頭脳が伴ってるから質が悪い


自らを悪だと理解していないのはプッチ神父
これが正義で自分は正しい事の白の中にいると信じて疑わない
マックイィーンへの言葉がまんま自分にブーメランしてる残念な人 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/22(月) 00:22:58.12 ID:VHAHZkCao<> 悪だと気づいているのに前向きにその悪癖と付き合おうとしてる
字面だといい事の様に聞こえるけど、荒木がずっと言っている悪そのもの
自分だけの為だけに他者を利用し踏みつける。まさに吉良吉影のこと

他の作品で似たタイプにからくりサーカスの白金がいる。違うことは自分が悪として認識してないって事だけど
どっちが最悪かな
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/22(月) 12:41:35.18 ID:+yb+6BjDO<> 実際心の平穏を保つには開き直るしかないし
生まれついてそういうのだからむしろ可哀想ちゃ可哀想なんだよな
プッチ神父は完全に自分の目的を果たすためにやってるけど吉良は自分じゃ抑えられない部分があるからな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/08/22(月) 13:43:59.61 ID:7CR7uC0Oo<> 自分の心は抑えこむ事はできても確変する事はできない
世間はいつだってロリコンに厳しい、ロリコンに生まれたものは[ピーーー]と言わんばかりだ
しかし解決策なんてない、性癖の時点で人生詰んでる、吉良もシチュエーションはそう変わらない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/22(月) 14:46:43.12 ID:VHAHZkCao<> そこで一般人なら二次元に走るが、吉良は何らかの絶対にばれない、足のつかない方法でロリに近づく <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北陸地方)<>sage<>2011/08/22(月) 20:25:03.41 ID:myhb3LlAO<> 吉良ッ! おまえの命がけの行動ッ! ぼくは敬意を表するッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/08/26(金) 16:39:32.64 ID:I0rV0lN00<> http://jump.vip2ch.com/http://gigazine.net/news/20110826_jojos_bizarre_adventure_movie/
ジョジョ、実写化て正気だろうか?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/08/26(金) 17:03:18.21 ID:WpNLTeeBo<> 世の中には言っていいことと悪いことがある
世の中には知っていいことと悪いことがある <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2011/08/26(金) 19:10:04.84 ID:NybJBvJdo<> 死んでもやっちゃいけないコトと死んでもやらなきゃいけないコトがあるんだ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/28(日) 01:00:24.83 ID:ELke8P6nP<> マダー <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/28(日) 14:58:22.32 ID:lCs8V3b2o<> 近日中に投下

ジョジョ実写化……豪華アイドル……
たぶん、緑の赤ちゃん起動させる為のキーワードに違いない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2011/08/28(日) 15:33:51.46 ID:lq1ByLF3o<> これは試練だ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/28(日) 15:35:58.98 ID:kt20BVG8o<> 映像化に打ち勝てと・・・俺は受け取った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/08/28(日) 17:15:21.85 ID:LxHkGiYd0<> 実写化なんてゲロ以下のにおいがぷんぷんするぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/28(日) 18:35:45.42 ID:OEU4AwwDO<> 実写化して変なの増えなきゃいいな〜……… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/08/28(日) 20:53:04.66 ID:dTmTb7Gqo<> はっきり言ってDBよりむずかしいだろ
しかも一部ってスタンドないから分かり難いし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2011/08/28(日) 23:14:20.54 ID:/BreCByVo<> 実写は俳優がジョジョ立ちできてればそれで成功でいいよもう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/29(月) 00:05:51.62 ID:orpq6HvXo<> とにかく完全再現&雰囲気作りに注意してもらいたいね
ゲーム二作、映画一作とこけてるんだから <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/29(月) 09:55:21.91 ID:WsKpnuYDO<> 作者は映画も意識してるし実写はそんなに気にしなくていいと思う
役者は知らんがまあ必死に生きてる様が撮れればいいんじゃあないかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/29(月) 10:00:05.60 ID:WsKpnuYDO<> 作者は映画も意識してるし実写はそんなに気にしなくていいと思う
役者は知らないけどまあ必死に生きてる様が撮れればいいんじゃあないかな
常に試練の嵐だし案外やり易かったりして
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/30(火) 18:26:27.83 ID:DmI3mFvoo<> ちょっとテスト
ローカルルール云々が出る?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/08/30(火) 18:55:35.51 ID:DmI3mFvoo<> なんか変なの出るから今晩の投下はやめときます

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/31(水) 19:43:33.16 ID:2udxSDlR0<> まだ当分投下はないって事か・・・・・・
見辛いけど他のスレじゃ普通に投下してる人も多いし早く続きが読みたいジレンマ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/08/31(水) 22:16:03.44 ID:V8C1zu+Do<> 良い機会だから『とある異界の来訪者編』の終わりまで書いてから投下するわ
たぶん、これもその頃には消えてるだろうし⇨
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2011/08/31(水) 22:17:01.38 ID:ZirOXF+jo<> おk
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/31(水) 22:26:32.75 ID:q2URt74to<> 期待して舞ってる

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/08/31(水) 23:29:35.39 ID:7X3XiwSAO<> キテタ!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/05(月) 16:48:03.56 ID:l/87Y4Z0o<> 下表示されなくなったな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 19:37:51.36 ID:Xzn+2avfo<> ……正直に告白しよう……
『最後まで書ききれていない』……
でも今夜投下するよ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/09/05(月) 20:25:26.62 ID:1KD+e0yAO<> 覚悟完了 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2011/09/05(月) 21:39:19.65 ID:2arOZnI8o<> 当方に徹夜の用意あり! <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:49:19.41 ID:Xzn+2avfo<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:50:14.14 ID:Xzn+2avfo<> 「おい、起きろ」

おかしいな、猫草の時とは同じようにいかないか……?
タバコを鼻の前に近づけても起きる気配はゼロだ

それにしてもである
吉良は自分の手の中にあるDISCが気になって仕方がない
人体からヌルリと出てきたこの『DISC』
彼にはその『用途』というか、『意味』が分かりかねていたのだ

「(魔術とは無縁のように思えるがな……)」

DISCは市販のCDが巨大化したようなモノだった
唯一、CDと違うといえば『弾力』がある事ぐらいだろうか?

しかたがない、こいつを起こすのは後回しにせざるを得んな…

ステイルが起きるまで、吉良はDISCを調べ始めたのだった

.
..
...
.... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:51:16.19 ID:Xzn+2avfo<>
時間は彼が小萌の家への帰路についていた時に遡る
突然の吉良の行動の理由を不思議には思いながら
特に詮索する必要もなかろうと、他の事について考える事にした

「インデックス……か……」

ベランダに引っかかっていた時の事
赤髪の魔術師に踏みつけられていた時の事
無邪気にすき焼きに喜んでいた時の事

どうして彼女が巻き込まれねばならない?
どうして彼女はそんな重荷を背負わねばならない?
どうして彼女は『泣かない』といけない?

上条当麻は自らの事を『不幸』だと称してきた
実際に、それは正しいのだろう
彼自身も『外』では酷い目にあってきたのだから
そんな彼にはインデックスの事が、どうも他人事とは思えなかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:52:50.52 ID:Xzn+2avfo<> 上条当麻は『バカ』である
困っている人がいれば自分が傷つこうが助ける『バカ』である
だが、必死に自らの苦しみを隠している人に気づかない程の『バカ』ではない

彼は、『誓う』
インデックスを守り抜く事を、インデックスを泣かせない事を
彼は、『祈る』
インデックスがこれから笑って暮らせるようにと

彼は、彼は、彼は、彼は
筆舌に尽くし難いインデックスへの『思い』が彼を満たす
それは『恋』だなんだという甘っちょろい『感情』じゃあなく、純粋な『思い』だった

彼の『思い』を止められるものはあるだろうか?
彼の『心』を止められるものはあるだろうか?

その問いに我こそはと立候補するかのように
『何か』が音を立てて空から降ってきた
アスファルトを砕き、体に良さそうではない煙で辺りが覆われる


「上条……当麻…ですね……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:54:48.38 ID:Xzn+2avfo<> 煙が止み、上条は改めて目の前を見ると『女』が立っていた
ジーンズを片方、どこかに引っ掛けてきたような『非対称』な服装の彼女は言う

「手短かに言わせていただきます、インデックスを渡しなさい」

彼女は『刀』の柄を握りしめ、いつでも抜けるような体制をとる
心なしか、上条には『刀』が光り輝いたように見えた

「いきなり誰だよお前は……?
一体、インデックスの何なんだよ!?」

彼の問いに、決して構えは解かず彼女は言う

「『神裂火織』
それ以上は答えるつもりはありません」

今度はこちらの番とばかりに
改めて、彼女は言い放つ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:56:26.38 ID:Xzn+2avfo<> 「インデックスを、渡しなさい」

ダラリ、嫌な汗が上条の頬を伝う
まるで得体のしれない『何か』が、後ろで舌なめずりをしているようだ

お前の命は私の手の上だと脅しつけてくるような『ソレ』が上条当麻の心臓を掴んだ
決して一思いには潰してくれそうにはないようである

彼の心臓の常務を乱す『ソレ』に上条当麻は小さな抵抗を試みた

「……嫌だと言ったら…?」

「斬ります」

即答だった

彼女の表情は無機質な『鉄』のように動かず、感情を伺わせない
その『鉄』が冷やされているのか熱せられているのかは定かではないが……

ポツリと、上条当麻は呟いた

「……お前はさ……出来んのか……?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 21:59:12.84 ID:Xzn+2avfo<> 上条当麻は拳を握りしめる
ぴきりぴきりと青筋が立ち、ぷるぷると拳が震えだしていた

「大事なモノを壊してやるから渡せと言われて渡せんのか……!?
大事な人を……悲しんでいる人を見殺しにできんのか……!?

もう遅いんだよ…インデックスは俺の中で大きくなりすぎちまってんだよ……!!
もう、悲しませたくはねえんだよ……!!
もう…アイツを……泣かせたくはねえんだよ……!!

俺はなッ!てめえの『命』の為にッ!『プライド』を差し出すようなマネはしたくはねえッ!!

俺はなッ!いいか!?俺はなッ!!

『自分』に逆らう事は出来ねえんだッ!

『自分』に逆らうくらいならッ!『自分』に嘘を吐くぐらいなら『死』を選んでやる!!
お前らから見ればバカかもしれない!
だけどなッ!!俺から見れば『お前ら』の方がどうかしてるとしか思えねえッ!!」

上条当麻は肺の中の空気を吐き出すように叫ぶ

「お前らのようにッ!ただの女の子を『理由もなく』……」

叫びを遮り、神裂も同じように叫んだ

「やかましいんだよッ!このド素人がッ!!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:00:43.42 ID:Xzn+2avfo<> 彼女は巨大なダムの決壊のような勢いで叫ぶ

「私が本当にあの子の事をただ傷つけるだけとでも思ってるんですかッ!?
あの子を理由もなく……!!追い回してるとでも……!!!
私たちはッ!!『あの子の為』に行動を……!!」

上条当麻は問い返す

「何を言っているんだッ!?インデックスの背中を斬ったのはてめーらじゃあねーのか!?
そんな事をしておいて『あの子の為』だと!?ふざけてんじゃあねーぞッ!!」

瞬時、神裂は『刀』の鋒を上条の鼻先へと突きつける
黙れ、黙らないとお前の顔を平らにしたって構わないんだぞ?
目の前の口やかましい男を『物』に変えたって構わないんだぞ?
そんな鬼気迫る様子で彼女は声を荒げる

「何も分かってないのに口を出さないでくださいッ!!
こうでも……こうでもしないと彼女を『救え』……」

その時だった

「おぉ〜っと〜?神裂ちゃんよォ〜?
ちょ〜っと話しすぎのようじゃあねえかァ〜?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:03:06.45 ID:Xzn+2avfo<> どこからか声がすると共に、神裂は地面にストンと膝をついた
その、いわば『脱力状態』とでも呼べる状態は糸の切れたマリオットのようである
そんな神裂の様子を知ってか知らずか、『声』は続ける

「まぁったくよォ〜これだからこの姉ちゃんは向いてねえんだよなァ〜
闘いの時に敵の話を聞くのはド三流ってもんよォ〜!
何百年も闘いを見てきたがなァ〜そーいう奴は真っ先に死んだがね、ギャハ!」

突然の『第三者』の声に上条当麻は戸惑いを隠せない
どこからだ?どこから声がしているのだ?
声は『男』のようで『女』のようでもあるが
『赤ん坊』のようで『老人』のようでもあった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:05:02.28 ID:Xzn+2avfo<> 「誰だッ!?姿を表しやがれッ!!」

上条当麻をバカにした口ぶりで『ソイツ』は言う

「姿だ?もうてめーには見えてんじゃあねーか」

上条当麻は辺りを見回す
自分たち以外は誰もいない事に気づいたが、今はどうだって良い

道路、街頭、歩道橋、座り込む神裂……


そして


「まさか……!?」

声の『発信地』は眼前からであったのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:06:43.87 ID:Xzn+2avfo<> 「そぉうだ!やっと気づいたかッ!
最初っから俺はてめーの前にいたんだよォ〜ン!」

『刀が喋っていたのだ』

「我が名は『アヌビス神』ッ!!」

神裂が不意に立ち上がり、首だけでこちらを向いた

彼女の口が動く、今まで話していたのは彼女だったのだッ!!
だが、明らかにその声は刀に『憑かれて』いたッ!!

「命によりッ!!貴様を[ピーーー]ッ!トーマ・カミジョォォォォ!!!」 <>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2011/09/05(月) 22:08:36.48 ID:Xzn+2avfo<> 「そぉうだ!やっと気づいたかッ!
最初っから俺はてめーの前にいたんだよォ〜ン!」

『刀が喋っていたのだ』

「我が名は『アヌビス神』ッ!!」

神裂が不意に立ち上がり、首だけでこちらを向いた

彼女の口が動く、今まで話していたのは彼女だったのだッ!!
だが、明らかにその声は刀に『憑かれて』いたッ!!

「命によりッ!!貴様を殺すッ!トーマ・カミジョォォォォ!!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/05(月) 22:09:12.82 ID:Xzn+2avfo<> その勢いは疾風ッ!辺りに風を吹き起こし、上条当麻に向かってきたッ!!

上条はとっさに選択肢を作り上げた!
受け止めるかッ!?向かっていくかッ!?
否、両方とも不可!どちらの行動にしろ、上条当麻の頭は唐竹のように割られるであろうッ!!

上条は右へと飛びのいたッ!!

無音ッ!上条の元いた場所が無音で二つへと割れるッ!!

「(こいつは……ッ!!マズイ……!!)」

上条は『神裂withアヌビス神』の恐ろしさに気づくッ!
『アヌビス神』自体の切れ味も素晴らしいッ!だがッ!神裂の身体能力は『異常』だったッ!
レベル5の肉体強化でもここまでは強化出来るはずがない!

「『すまん』ッ!先に謝っとくぜェーッ!」

上条当麻ッ!渾身の力で神裂の鳩尾を打ち抜いた!
だが!神裂にまったくダメージは無いッ!


それどころか!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:10:49.11 ID:Xzn+2avfo<> 「『捕まえた』ぞ……!!ウオシャアアアアアアアアアアアッ!!」

神裂は刀を持ってない方の手で上条の頭を掴みッ!!刀を振り下ろすッ!!
狙うは『首』!そう!上条当麻の頭と胴を繋ぐ『首』!!

「やられて……たまるかよォォォ!!」

その時ッ!上条の『生存本能』が彼の『右腕』をプッシュするッ!

『刀の柄を掴み返したのだッ!!』

普段の彼なら決して出来るはずはないッ!
上条の『中』の何かが危機に反応したのだろうか!?
その実は彼自身にも分かってはいないだろうッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:12:29.55 ID:Xzn+2avfo<> 「はっ!?私は……!?」

神裂が『元の声』に戻るッ!
彼女に憑いていたアヌビス神はどうやら『消え去った』ようだったッ!!

上条はその様子に安堵!安堵!安堵ォッ!!
その『安堵』は上条当麻の『右手』を緩ませる事に成功してしまったッ!!

「ウバシャアアアアアアッ!!」

アヌビス神ッ!!復活ゥゥーッ!!

アヌビス神は逃さないッ!この『緩み』を逃さないッ!!

神裂の脅威の筋力をフルに使った一閃!!
肩から胸にかけての一文字斬りッ!!
タフではあるが、ただの一高校生である上条当麻を狂い悶えさせるには十分な一撃ッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:14:28.44 ID:Xzn+2avfo<> 「うっぐゥゥ……!!」

上条当麻が地面に膝をつくのも無理はないッ!!
達人による『剣技』ッ!『鋼鉄』を『気軽』に斬り払う『剣』ッ!
そんな『2力』の調和による『一撃』をモロに食らってしまったのだ!
今、こうして上条当麻が生きているだけでも不思議なほどである!

一方の神裂withアヌビス神は距離をとった!
アヌビス神は求めているのだッ!上条当麻の『右手』について考える時間をッ!!

「うー……ハァァァァ……」

神裂withアヌビス神は呼吸を整え、思考の海へと潜る

「(ヤバイぞ……『奴の右手』は……!!
あのクソッタレ神父に聞いた以上じゃねえか……!!
スタンドに『干渉』出来るだと……!?スタンドを『押さえ込める』だと……!?)」

アヌビス神は上条当麻に触れられた瞬間、一種の『眠り』のような状態に陥った
それも薬かなにかで無理やり眠らされたような『強制力』により
一時的に神裂を支配する事が『不可能』となってしまったのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:16:29.69 ID:Xzn+2avfo<> 「(だが…それも『触れられている間』だけのようだぜ……)」

ならばとばかりにアヌビス神は神裂を『構え』させる

「(『簡単』な事だ…!ヤツに勝つのはな……!!
『純粋』に触れられないほどのスピードで斬り裂きゃあいいんだ……!!
そうだ……!俺は……俺は……『絶対』に……!!)」

神裂の暗い瞳が『光る』

「ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇったぁぁぁぁぁぁぁぁいにィィィィィィィィィ!!!
負ァァァァけんのだァァァァァァァァァァァァーッ!!」

神裂withアヌビス神は上条へと向かうッ!!
その距離ッ!およそ『50m』ッ!周囲は『街』ッ!
『武器』になりそうなものは何一つとしてないッ!!

ならば!ならば上条当麻はどうすればいいッ!?
腕を出せば腕がッ!脚を出せば脚が叩き斬られるッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:18:59.28 ID:Xzn+2avfo<> 上条当麻は動けなかったッ!
それが痛みによるものか、多量出血によるものかは定かではない!!
その『贄』として選ばれた子羊のように、おぼつかない足で立ち上がる様子は
アヌビス神に『勝ち誇らせる』には十分であったッ!!

「クソガキィィィ!てめぇはもう!『チェック』」

アヌビス神は声高らかに『宣言』しようとするが
上条はアヌビス神の言葉を遮りッ!!『継いだ』ッ!!

「『メイト』にはァァァ!!まだ早いぜェェェェーッ!!」

眼前へと迫る神裂へ向かって
上条当麻が取った行動!その行動とはッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:21:14.93 ID:Xzn+2avfo<>








「『血』のォォォ!!『目潰し』しかねえだろうがァァァーーッ!!!」





<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:21:44.98 ID:Xzn+2avfo<> 右手にベッタリと付いた血糊を神裂の『顔面』へと振り抜くッ!
視覚を『共有』していたアヌビス神の視界は血に染まるッ!!

「ぬ……!!拭えねえッ!!拭う暇が……!!」

悶えるアヌビス神ッ!!
ああ!悲しいかな、アヌビス神に『失策』があるとするならば『二つ』あるッ!!

一つはッ!アヌビス神が『覚えた』行動を『再使用』されなかった事ッ!
彼は一度された事ならば『絶対に』食らう事はないッ!

もしも上条当麻が掴みにいっていればそれは『悪手』ッ!!
上条の掴む動きはさっきの柄を掴んだ際にッ!
完全に『覚えられて』いるのだから!
そうなっていたのなら、まさに『チェックメイト』となっていただろう!

そして!最後の『二つ目』はッ!!
実にッ!実に簡単な事であるのだッ!

それは上条の口から語られるッ!!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/05(月) 22:23:52.97 ID:Xzn+2avfo<> 「俺はな、チンピラと『喧嘩』する時の経験から学んだ事がある……!
いいか?てめーが言っていた『戦いの時に話すな』という事も正しい
だがな、『喧嘩』には、もっとシンプルな『法則』みてーなものがあってな……!!」

上条当麻の右手が
顔を抑え悶える神裂の持つアヌビス神を奪い取り、鞘へと収めた
そして、彼は今は動かぬアヌビス神へ言った


「『勝ち誇った』時には、もう、そいつは既に『敗北』してんだよ」
<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/09/05(月) 22:25:24.73 ID:Xzn+2avfo<> 打ち止め

きっと、まだ消えないだろうと思って余裕かましてたらこの少なさだよ!
今の気分はマックイィィーン!

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2011/09/05(月) 22:47:19.33 ID:wobEIpOAO<> 乙&追いついた。

続き待ってます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/09/05(月) 23:18:21.20 ID:qX2xpyTZ0<> 乙です
>>安堵!安堵!安堵ォッ!!
全然安堵してるように見えねぇ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/09/05(月) 23:58:08.92 ID:pCDhSTijo<> しかしまた無駄にテンションたけぇな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/06(火) 00:55:02.12 ID:XpTXYkeAO<> >>1乙
続き楽しみにしてます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/07(水) 03:54:36.08 ID:vEBRYZUSO<> おつ!
次も楽しみにしてます! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/14(水) 21:36:11.30 ID:enH9HQjNo<> 遅れた、明日投下する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/14(水) 23:18:40.54 ID:8f4siieD0<> ガタタッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/14(水) 23:34:40.56 ID:w0tc4t/k0<> wktk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/15(木) 00:31:10.25 ID:Nvlwpg7DO<> アヌビス神って強いよな
歩く教会とか反射膜も透過して切れるのかな

防がれても覚えて切れるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/09/15(木) 02:15:19.48 ID:1RYby2bmo<> 反射は当たる寸前で引けばいいからアヌビス神にとっては楽すぎるだろ <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/15(木) 20:21:44.65 ID:kw8LPV2po<> だいぶ日をまたぐ <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:45:55.06 ID:x8PR9XAvo<> 短いが投下 <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:46:47.57 ID:x8PR9XAvo<> 「……とは言ったものの……」

私はグニグニとDISCを手でこねくり回す
やはり『魔術』とやらでないと、作動しないのだろうか?
ううむ、かったるいな、キラークイーンで『消し』とばしてしまおうか?
いやいや、そんな事をしては大切な情報源が消えてしまう
かといって、地面にこすりつけようが、水に漬けようが、全く作用しないコイツをどうするというのだ?

これを読み取る『媒体』のような物でもあるのだろうか?
そもそも、これは何のために作られた物なんだ?
魔術師が首に仕込むような物だぞ?『防御』の為か?
もしかして、『魔翌力』とやらの向上に役立ったりするのか? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:47:32.76 ID:x8PR9XAvo<> 「イン……デッ………」

突如聞こえた声の主はベンチで横たわるステイル=マグヌスだった
額からは玉のような汗が噴出し、苦しそうに顔を歪めている

やかましい、私だって肩が抉れているんだ
悪夢ぐらい我慢するのは普通じゃあないか?
もう一発食らわせて、深い深い夢の底に叩き落としてやろうか?
さぞかし良い気分で寝れるだろうな……

ステイル=マグヌスは唸り、再び口を開いた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:48:35.28 ID:x8PR9XAvo<> 「すまな……い…すまない……」

…………フン、やかましい寝言だ
残念ながら、私にはグズる子供をあやす『義務』は無いんでね
いつまでも貴様の寝顔を拝むような『趣味』だって無いさ

吉良は立ち上がり、DISCに指を差し込み、くるくると回す
キラリ、キラリとDISCは反射光を放つ


「そのまま寝ていろクソガキ、ここからは」


吉良は公園の入り口の方を見やり、言った <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:49:20.88 ID:x8PR9XAvo<>



































「『私たち』だけの時間だ、そうだろう?『神父』さん?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:50:25.31 ID:x8PR9XAvo<>
公園の入り口には黒い『神父服』で身を包んだ『男』がいた
彼は被っていた、つばが長めの帽子を取り、小脇に抱える
今まで隠されていた顔が露わになるが、夜の闇の濃さに飲まれて見えなかった

「この『科学』の街に『宗教家』とは、なかなかのミスマッチっぷりじゃあないか?
まともな脳みそがあるのなら、この街では『神父服』は脱ぐべきだと思うがね」

「………善処しよう…」

そう言いながら、彼はこちらへと一歩ずつ歩を進めようとするが
吉良は手を、遮るように神父に向かって突き出した

「おおっと、近くに寄るんじゃあないぞ
もう、私は散々な目にあってきたんだ
これ以上酷い目にあったら、次は病気休暇の申請を理事長にでも頼むハメになりかねん」

軽口を叩く吉良だったが、その神父を見据える『瞳』は揺らがず、ただただ神父を捉えていた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:51:34.06 ID:x8PR9XAvo<> 「単刀直入だ、シンプルが好きなんでね
一体、あんたはこんな夜中に何をしにここへ来た?
神父様なら、幸運な明日が来るようにとでも祈っているべきじゃあないか?」

神父は、動かなかった
………いや、訂正しよう
彼はゆっくりとこちらに『指』を指してきた

「その……DISCについて教えてあげよう……」

神父の指は吉良の持つDISCへと伸びていた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2011/09/16(金) 01:52:00.02 ID:/2LgD1pWo<> こんなに早く会うことになるとは <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:52:39.65 ID:x8PR9XAvo<> 「君はこれを知っているのか?」

吉良は声のトーンを変えずに問う
決して欲している事を悟られてはならない
いつだって人は『価値』のある物事を人に差し出す時には『見返り』を求めるものだ
それが相手の欲しがっているものならなおさらだ
吉良は子供の時から既にそれを悟っていた
だからこそ、彼は誰にも『負い目』を作らずに『平穏』に暮らせてきたのだ

寄付ぐらいは求めてくるかもな……
どうやら、この街に『信心』という言葉はありそうにないしな
必要なものは『神の恵み』ではなく『科学の結晶』によってもたらされているのだから。
吉良は一応、ポケットに小銭でも無いかと探し出す

だが、神父の返答は吉良の予想とは違った <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:53:40.23 ID:x8PR9XAvo<> 「『頭』だ、DISCを『頭』に差し込んでみろ」

………は?
今、この神父は何と言った?
『どこ』に『何』を『差し込む』と言ったのだ?

「聞こえなかったか?」

神父は、先ほどよりはハッキリとした声で繰り返す

「DISCを、頭に、差し込むんだ……理解できたか?」

私に、差し込む場所を提示しているのか、こちらをおちょくっているのかはわからないが
神父はこめかみをトントンと指先で突つきながら説明してくるのだった

「では、失礼する」

そう言うと、帽子を深く被り直した神父は
再び街の闇の中へと消えて行こうとする
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:54:37.61 ID:x8PR9XAvo<>
「待て、どうも話がうますぎるんじゃあないか?
そっちには何の得もないだろう?
それに何故このDISCについて知っているのだ?」

立ち去ろうとしていた神父は
決してこちらを振り向かずに言う

「最初の質問にだけ答えてやろう
こちらに得は無いと言ったな?それは間違っている
『無償の愛』などは決して存在しない
なぜなら、全ては『天国』へ行く為の『見返り」だからだ」

神父はそう言い残し、再び街の中へと消えていった

「………待てよ、あの神父……『どこか』で……」

先ほど神父がやったように
私も、こめかみを突つきながら思い出そうとするが出てこない

まあ、良い
思い出せないのならどうでもいいという事だろうからな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:55:23.29 ID:x8PR9XAvo<> 「これを……差し込む…か……」

改めて、DISCをまじまじと見つめるが
どう考えても人間の頭に入るような大きさではないぞ?
それにこめかみに差し込むだと?馬鹿な

DISCをこめかみに当てがってみるが、何もDISCに変化は訪れない
そう、『DISCには』だ

【突如、私の頭が裂け、DISCは私の頭の中へ、中へ、中へ……】

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:56:40.72 ID:x8PR9XAvo<> 「…ネン……ガツ…ニチ……むぉくゆぉうび……
コノ良キ日にィくわぁぬぉじょぬぉ……」

「ナニヲスルンでス!?さぁいどぅあいしゅきょぉう」

早送りと巻き戻しを交互に行ったような声で、私は目覚めた
最初は、擦り切れる寸前のビデオのような光景だったのが
今ではちゃんと像を結びつつある
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:57:35.90 ID:x8PR9XAvo<> 「ステイル、これはしょうがなき事なりけるのよ
私たちの為にも、貴方たちの為にも、『あの子』の為にも」

さて、今、私はどこにいるのだ?
ここはどこだ?さっきまでいた場所からどうやってここまで来たのだ?

「理由を!理由を説明して下さい!
なぜ、あの子は『記憶』を奪われねばならないのですか!?」

状況を把握し直さねばなるまい
ここは部屋だ、四隅に燭台が有る以外は何も無い
そしてこの部屋にいるのは私と赤髪のクソガキ、ステイル=マグヌス

そして

「……あの子はね、記憶が『害』になりゆけるのよ……
あの子は七歳を越えて少し経ちければ『容量切れ』で死に……」

美しい金髪を携えた『女』だった
いや、髪などどうでもいい、問題は『手 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 01:58:49.23 ID:x8PR9XAvo<> 「馬鹿な!世の中にも『完全記憶能力者』はいます!
ですが……!…ですが彼らの中には『天寿』を全うした者も…!
貴女の理論では、魔術を抜きにした記憶容量でも『成人』にすら成り得ませ……」

危ない、赤髪のお陰で『アチラの世界』に行かずに済んだか……
落ち着いて、もう一度整理しよう
今日は女が言ってた事を正しいとすると、今は…年……月…日だとッ!?
あの女!狂っているのか!?
いや!違う!この場において『異質』なのはこの『私』だ!
こいつらは私の身体を通して会話しているというのにッ!

『こいつらの瞳には私は写っていない!!』

つまりだ!ここは…!!この『空間』は!『過去』なのだ!!
おそらくはあのDISC!あれは『ステイル=マグヌス』の『記憶』を閉じ込めているモノ!
私は『記憶の中』にいるッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 02:02:39.08 ID:x8PR9XAvo<> ………だが、気になる点もいくつか有るぞ
ここが過去だとするならば、既にステイルは『記憶の矛盾』について気づいていた事になるな……
だが、彼の態度から察するに『本日時点』での彼は記憶の矛盾に気づいてはいないようだったが……

「失礼する」

部屋の隅のチェック柄の扉が開き、男が入って来る
女と男は目配せをしあった後、入れ違うように女が部屋から出ていった

こいつは………まさか……
この『奇妙』な風格、白人ではあるが浅黒い皮膚に神父服……
こいつは………まさか………!
私とさっき話し、私にヒントを与えた男……
こいつは……!こいつはまさか……!!

「貴様ッ!!『プッチ』ィィ!!ただの神父風情が何をッ!
貴様が来てから全てがおかしくなってしまった!!
神裂は『七天七刀』を手放しッ!!『教会』の仲間はどこか『機械的』となりッ!!
そしてッ!…そして……!!」

吠えるステイルが息をつまらせ、声が途切れる
その言葉をプッチが引き継いだ

「君の愛しの『インデックス』の体調不良が始まった……だろ?」 <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/09/16(金) 02:06:34.32 ID:x8PR9XAvo<> 「貴ッ様ァァァァァァ!!」

ステイルは懐に手を突っ込み、ルーンが描かれたカードを……

「安っぽい感情で動くんじゃあないぞッ!!
ステイル=マグヌス!貴様の『藁の家』の如き薄っぺらな感情などどうでもいいのだッ!!」

刹那、神父の傍から『奇妙』な男が突然現れ、ステイルの首を締め上げた
パラパラとカードが、ステイルの手から落ちていくのは、どこか美しかった

「『全て』は『天国』の為にあるッ!!
その架け橋となる『NEW・Stairway・To・Heaven』をッ!!
貴様は愚かにも破壊しようとしているのだ!!
悔い改めよッ!ステイル=マグヌス!
邪魔するヤツは………呪われるのだッ!!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 02:09:16.91 ID:x8PR9XAvo<> ステイルの首が、肉が、皮膚が
『彼には視えない』何かによって締め上げられる


「……グッ!!なんだ……!?なにを……ガハッ!!
一体、『何が起きているんだ』ッ!?」

これは、まさか、いや、決して不思議な事ではない
……だが、『信じたく』はないな……これは……

『神父もスタンド使いだったのだ』

ステイルには自分が何に何をされているか分からないだろう
目の前の男が、自分を殺しにかかっている事すら気づけずに死んでいくのだ
だが私には『視える』、視たくなくとも視えてしまうのだ

【スタンドはスタンド使いにしか視えない】 <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/09/16(金) 02:24:56.33 ID:x8PR9XAvo<> 「クソォォォォーッ!!イノケンティウスッ!!
僕の『首の皮一枚』ッ!!焼き払ってしま
えーーッ!!」

私がそんなルールを思い出していたと同時に
足元のカードがステイル指揮により『群』をなし、火の化け物と変貌する

【ウォォォォォ………!!】

私が驚かされたのはここからだ
何と、イノケンティウスは『神父のスタンド』に『食らいつく』

【スタンドはスタンドでしか傷つかない】


主人には視えずとも、『感じる』外敵に対して、主人を守り抜こうと闘いを挑んでいたのだ

【ヴァァァヴォォォォーッ!】
もっと、もっと、もっと
主人を襲うものを襲うんだ、僕が主人を守るんだ
『魔術』に『意志』はないかもしれない
だが、私には『少年』を『愛犬』が救うような光景に見えていた
『恩』を、『愛』を返す為に
『恩』に、『愛』に報いる為に

「フン……コンナ『魔術』如キデモ『スタンド』に干渉デキルノカ……
『性質』ガ似テイルカラナノカ……?
ダガ、無意味ッテヤツダナ……小僧………」

「口を慎め、『ホワイトスネイク』
黙って仕事をこなすんだ、いいな?」

なるほど、神父のスタンド名は『ホワイトスネイク』というのか
確か、聖書では蛇は『邪悪の化身』として描かれていたな……
それが聖職者のスタンドとは面白いものだ……

それにしても不思議だ
魔術がスタンドに干渉できるとはな……
二つを生み出す『意志』が同じだからだろうか?
スタンドの語源には諸説ある、だが私はこれから来ているんじゃあないかと思うのだ

【『Stand Up To』(立ち向かう)】

平穏を邪魔するものに立ち向かい、消す
それだけで私は『幸せ』でいられるのだ

魔術もそうなのではないだろうか?
私には、魔術が【神ならぬ身で神に立ち向かう能力】のように思えて仕方がない
私には、彼らも『一種のスタンド使い』のように思えてくるのだった

「了解シマシタ」

ホワイトスネイクは何気ない、いつもの事だといった様子で、手刀一閃
ステイル=マグヌスの『額』は割れ、彼は膝から地面へ崩れ落ちたのだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/16(金) 02:25:22.30 ID:x8PR9XAvo<> 打ち止め

また、近日中

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/09/16(金) 02:29:57.23 ID:5kapcDnY0<> 乙
DISKが便利すぎるwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/09/16(金) 12:19:16.42 ID:3hpDpyZAO<> >>1乙
この展開は胸熱
キラークィーンVSホワイトスネイクに期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/16(金) 19:50:06.18 ID:MyIX27H50<> 「6M進んで破裂しろ」とかの呪いじみた命令も与えられるからなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/22(木) 21:49:00.50 ID:YpUwb89IO<> 引き込まれるなァ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <><>2011/09/23(金) 10:18:58.98 ID:CPLE0HzM0<> 画像も欲しいよなァ・・・・・・・・・・ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/09/26(月) 01:08:48.31 ID:CnOM8jyIo<> 生存報告
書く時間が無いから気長に待っててくれ

>>423
あれ使ったら軽く最強だよな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)<>sage<>2011/09/26(月) 02:16:50.55 ID:OSKoNzqko<> 生きてたか…全く『グレート』な奴だぜ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/09/26(月) 15:05:27.75 ID:TT2HA06AO<> 了解
wwktkして待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/10/06(木) 10:59:49.98 ID:Eq5jSKQao<> ほ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2011/10/06(木) 17:30:38.35 ID:w3B0iKaNo<> ストーリーはともかく文章そんなに良くないな
読むけどさ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 17:51:59.20 ID:oJSGfG1E0<> 素人(と思われる人)に何を期待してるの <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2011/10/14(金) 17:18:36.00 ID:k0em79a60<> まあ気長に待つわ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/14(金) 20:01:44.12 ID:vo9WkLtqo<> >>432
こーいう言葉にグッと来るぜ……

3日以内に投下する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/14(金) 20:03:13.34 ID:KV2PPSUvo<> 嘘だろ!?>>1!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/14(金) 20:25:33.37 ID:mMrsYxOSO<> ホントかよ>>1!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/14(金) 21:43:56.45 ID:zYelc2h4P<> うそだろ>>1太郎! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/16(日) 11:53:23.50 ID:Elp0QDcS0<> ああ嘘だぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/16(日) 17:52:34.48 ID:ZsEBS/zao<> だが間抜けは見つかったようだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/17(月) 07:46:26.74 ID:vnHiZxvzo<> !!!!!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/17(月) 22:17:10.44 ID:0VK0qnvDo<> ちょっと日をまたぐ

>>434->>439
お前らwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/17(月) 22:50:40.50 ID:3uAdzY9po<> >>440
渋いねぇ・・・お宅まったく渋いねぇ・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/17(月) 22:55:07.31 ID:3uAdzY9po<> >>440
渋いねぇ・・・まったくおたく渋いぜ・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/17(月) 23:06:28.07 ID:3uAdzY9po<> 恐怖!投稿失敗の巻き <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/10/17(月) 23:07:13.55 ID:KzX2ruf9o<> 多重カキコで渋い顔になってますよ <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:13:32.33 ID:ULxv3C/po<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:15:45.20 ID:ULxv3C/po<> 「あ、あ……う……うあああ……」

ステイル=マグヌスがホワイトスネイクに額を抉られる
その時だ、私には見えたのだ
ステイル=マグヌスの額から『DISC』が出てきたのが
ただ、今現在私が『視ている』DISCとは『少し違った』がね

「『抜けた』ようだな」

プッチ神父が床へ落ちたDISCを拾い上げ、自らの額へ『挿入』する

静寂、静寂、静寂……

誰も言葉を発さない
この沈黙を崩す者は誰もいなかった
強いて言えばステイル=マグヌスが
自らが発声できると知った赤ん坊のように、声にならない声を発している事ぐらいか <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:18:27.14 ID:ULxv3C/po<> 「……やはり、このステイル=マグヌス……
全てに『気づいて』いたようだな……」

神父はじっとりと『汗』をかいていた
それはこの部屋の温度によるものではない
まるで乗り遅れた『バス』が『谷底』へ転落した事を知った時の様な
安堵とも興奮とも恐怖とも似た、一種の『幸福感』
そんな感情が神父の中には湧き上がっていた

「もう少し気づくのが遅れていれば
ローラ、君も私と共に『火あぶり』だったかもしれなかったようだ……」

ローラ、そう呼ばれた女は静かに返事をする

「おお、それは恐ろしけるのよ
でも、魔女は炙られても『聖職者』が炙られるというのはありえなき事」

「冗談を言っている場合じゃあない
もう少しで『計画』が全て破綻する所だったんだぞ?」

ローラは神父の言葉に耳を貸さず、逆に神父に問うた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:20:33.70 ID:ULxv3C/po<> 「そんな事よりも、神裂の方はどうするつもり?
あの子は『聖人』、貴方の『すたんど』とやらでも捕まえるのは難しき事よ?」

「何の事はない、彼女には『コレ』を与えるだけで良い」

プッチはどこに隠していたのかと疑問な程の大きさの『日本刀』をローラに手渡した
その刀は素人目の私でも『名刀』と分かるような『凄味』を放つと共に
どこか……そう、その刀は『妖し』かった……

「これは『KATANA』?
こんなナマクラ、彼女の『七天七刀』の方が……」

ローラはスルリと刀を『抜いた』、その時だった

「だーれが『ナマクラ』だと?
切り裂いてやろうかこのクソアマァ!!!」」

部屋の中に『男』の声が響き渡る
突然の第三者の存在に私は姿を探すが見つからない
だが、プッチは全く動揺せずに語りかける <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:22:33.15 ID:ULxv3C/po<> 「……アヌビスよ、川底から回収してやった恩を忘れたか?」

『男』は下卑た声で返す

「ヘッヘッヘ…忘れちゃあいねえぜ神父様よォ……
あんたがいなけりゃあ、今でもずっと『蟹』を『口説き』続けてるか
ナイル川を漂う錆にでもなってただろうしなァ!
でもアンタ、よく俺を『見つけられた』よなァ!?『運命』って奴を信じちゃいそうだぜ!!」

男は神父の返事を待たず、さらに話し続ける

「ところで神父様?あんたはこの『赤髪の小僧』をどうするおつもりで?
秘密を知ったからには…………」

男は、あえて言葉を継がなかった
だが、よほどの間抜けじゃなければ
その先の言葉は想像がつくだろう

だが、神父は否定した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:24:35.32 ID:ULxv3C/po<> 「いや、こいつはまだ利用させてもらう
とりあえず、こいつには『矛盾に気づけない』という命令を記したDISCと……
………そうだ、こいつには『守護者』になってもらう
『矛盾』に気づいた者は、発見次第[ピーーー]ようにDISCを作っておこうか……」

神父の側にホワイトスネイクが出現する

「ホワイトスネイク、今言った通りにDISCを書き換えるん」

神父の言葉が終わるかと思われた刹那
突如、世界が『崩れだす』

ぐにゃり
ぐにゃ〜り
ぐぅにゃあ〜り
ぐぅにぃやぁ〜り
ぐぅ〜にぃやぁ〜り

何だ……!?『部屋』が……『世界』がまるで『渦』のように……『ねじれている』だと……?
私は感じる、吐き気、めまい、頭痛……
そう、それらもまた渦のようにねじれ、ねじれ、ねじれ………


そして、『世界』もまた『白』へ、『白』へ、『白』へ………

気が付くと私は『ステイルの記憶』から『退出』させられ、公園へと意識が戻っていた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:27:08.93 ID:ULxv3C/po<> だが、既にそこにはあの『神父』、プッチはいなかった
彼は一体、私に何を伝えたかったのだろうか?
自分が犯人ですと自白したようなものじゃあないか?
それによって、あの神父はどう『得』をするというのだ?

「うぐッ!?」

思い出したように『肩』がグジュルグジュルと痛みだす
血こそ止まっていたものの、私の意識を刈り取るには十分なようだ

だが、まださっきのDISCについての考えがまとまっていないのだ……
こんな所でこの吉良吉影が倒れてなるものか
両掌で膝を握りしめ、震える足を押さえつける

「はぁ……クソ、なんでこの私がこんな目に……」

痛みを無視する為に右手の時計を確認する
今はなるべく傷の事は忘れたい、忘れねばならないのだ
傷には出来る限り意識を向けたくはないからな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:28:58.01 ID:ULxv3C/po<> 「フム……まだ、上条と別れてそんなには経っていないようだな」

どうする?家に帰るか?
おそらく、彼の『不幸体質』がフル稼働したとしても、流石にもう既に家には着いているだろう

いや、ダメだ
帰り道をつけられて、魔術師共に彼女の家を知られるワケにはいかない

「それに……このステイル=マグヌスとやらに
『試して』みたい『仮説』が出来たしな……」

.
..
...
....
.....

私がステイルの頬を、奴の髪の色ぐらいになるまでひっぱたくと奴は起きた

「…………頬が痛い……」

「ああ、君がいきなり暴れだして街路樹に頬をぶつけ始めた時には驚いたよ
あれも魔術に必要な事なのかい?」

嘘だ、奴の頬は私のビンタによって赤くなったのだ
だが、それを素直に伝えて私に得があるか?
私は起こしてやったのだ、悪くはないさ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:30:42.77 ID:ULxv3C/po<> 「何故だ……?そんな記憶は……」

ゴニョゴニョと呟くステイルを制し、私は彼に問いかけた

「そんな事はどうでもいいんだ
ところでね、私は君にとって『良い情報』を知っているんだよ」

「……情報…?」

ステイルは私の話に興味を示す
よし、これで敵だの味方だのという余計な『境界線』をとっぱらえたはずだ
まあ…………『今のところ』は…だがな…

「ああ、その……何と言ったかな?
君の大好きな………そう…『インデックス』も関わる事なんだが……」

刹那、視界が揺れ、目から星が飛び出し、脳が揺れた
出処不明の衝撃を、揺れる脳が『痛み』と認識すると共に理解する

ああ、私は殴られたのだな、と

拳を振り上げたステイルが憎々しげに私を睨む
視線で私を焼き殺してやりたいというのが、ヒシヒシと伝わって来るぞ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:32:30.09 ID:ULxv3C/po<> 「………『脅迫』か…?このゲスめ………」

きょう……はく……?
キョウ……ハク……?
……『脅迫』と言ったのかこいつは?
インデックスを保護してる私が?このクソッタレ魔術師を脅迫?
この誰よりも『平穏』を愛する吉良吉影が?
小銭稼ぎの為に『安心』を捨てると言うのか?
馬鹿なのか?この魔術師とやらは馬鹿なのか?
最近の学校では『話は最後まで聞きましょう』と教えていないのか?
外国では『礼儀』という概念が無いワケでもあるまい……

痛む頬を押さえ、私は続ける

「突然殴るとは酷いじゃあないか…
それに脅迫だと…?馬鹿馬鹿しい、話にならないね
人がせっかくインデックスを『救う』方法を教えようというのに
信頼もしてくれない相手に教えるワケにはいかなくなってしまったなァ……?」

もう痛みは引いたが、殴られた顎を大げさに擦る
この程度のパンチ…『東方仗助』の一発に比べれば……

あの運命が『奴ら』に味方した戦いが脳裏に蘇ってきた
他者を癒すという『矛盾』に満ちたあのパンチ……
出来れば『一生』食らいたくはないあのパンチ……
思い出すだけで心の底から『殺意』が湧いてくるあのパンチ……

……ダメだ…殺意は押さえねばならない……
全ては『私が』平穏に暮らす為なのだ……こんな感情などクソの役にも立ちやしない……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:34:24.21 ID:ULxv3C/po<> 「あの子を……救う…?馬鹿な……!!
あの子は記憶が限界量になれば死んでしまうんだ……
だから……だからこそ僕達は……ずっと…ずっと……!!」

涙、ステイル=マグヌスの頬を涙が伝う
懺悔?怒り?後悔?無力感?
その涙の意味する所は私には計り知れない……
ま、計り知ろうとも思わないがね

そして、今、奴は『大事』な言葉をこぼしてくれた



『あの子は記憶が限界量になれば死んでしまうんだ』




「……ふうむ…私が『指摘』した事は『覚えていない』……
もう一度指摘すれば……さっきの戦いがもう一度……ってワケだな……」

こいつに『完全記憶に関する矛盾』を問えば、襲ってくる
そして、こいつは襲いかかった事、指摘された内容については
戦いが終われば綺麗さっぱり忘れてしまうようだ
あの神父……なかなか上手い事を考えるものだ……

私の呟きにステイルが反応する

「何の話だ?」

奴の問いかけは無視する
さて、『仮説』を試してみるか… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:36:34.31 ID:ULxv3C/po<> 「ところで…君、このDISCに見覚えは?」

「無い」

即答だった

「そうか……そうかそうか………
このDISCに見覚えが無いのか……なら…しょうがないな……」

私は、大きく息を吸い、吐き出す
質問の意図をはかりかねているステイルを見つめ、『呼ぶ』

「キラークイーンッ!!」

『側』に現れた私のスタンド、キラークイーンがステイルを羽交い締めにする
突然の事に驚き、見えないスタンドを振りほどこうと
ステイルはもがく……が、無駄である

私はすかさず懐のルーンカードを没収させてもらう
これで、こいつに出来る事といえばせいぜいライターの真似事程度しか無くなった

「何をするッ!?離せッ!!離すんだ!」

おいおい、これじゃまるで私が悪者みたいじゃあないか
誤解を招くような事はやめてほしいね
今から『真実』を『見せて』やろうというのに

「あんまりギャーギャー騒ぐんじゃあないぞ
なあに、今からする事に痛みは無いさ、私が身をもって試したからな
私は言わば『実験台』になってやったんだ、少しは感謝してくれたまえよ」

私は手に持ったDISCを彼に『挿入』した
抵抗を続けていたステイルはDISCが完全に挿入されると
その場に膝をつき、祈るような体制で硬直した


今、彼の意識はDISCの中にある
いわば、彼は彼の記憶を『再体験』しているのだ <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/10/18(火) 00:37:57.38 ID:ULxv3C/po<> さて、ここで私の『仮説』を確認しておこう
DISCによると彼は既に完全記憶の矛盾に気がつき、ローラに『申し上げ』をしていた

さて、この『ステイル自身』が言った『申し上げ』を
今現在の、『ステイル』が聞いたらどうなるのだろうか?

私はDISCの内容は全て記憶している、というか記憶『させられた』ようなのだ
まるでDISCの中身を脳に『焼きつけ』られたようにな
神父の額のシワからローラのシャンパンゴールドの髪のツヤまで思い出せてしまう

だが、ここで『矛盾』が生じる

記憶DISCによると神父はステイルに『矛盾に気づけなくなる』命令DISCと
『矛盾を指摘した者を抹[ピーーー]る』命令DISCの二種類を挿入した

ここで問題なのは前者のDISC、『矛盾に気づけなくなる』命令DISCである

今、ステイルは記憶の中で『矛盾に気づかされている』だろう
いや、正しく言うのならば『矛盾を記憶させられている』はずだ
だが、彼には『矛盾に気づけない』命令が下っている
彼のさっきの、襲った事を『忘れて』いる様子から
『矛盾の指摘を自動消去』するようにもなっているんだろう

つまり、彼は『矛盾を記憶している』のに『矛盾を記憶出来ない』というややこしい状況に陥ってるワケだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:39:30.55 ID:ULxv3C/po<> 以上が私の仮説だが、なにぶん、即興で考えたモノだ
『穴』が多々あるとは思う、だが、ここで重要なのは一つだけである

『このDISCを見終わった後のステイル』だ

私としては……そうだな……

ステイルの『処理落ち』を期待している……とでも言っておこうか
つまりは、矛盾を記憶する→記憶した矛盾を消去する→DISCによって、再び記憶する……
というループから抜け出さないで欲しいというのが私の『願い』だ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:40:55.35 ID:ULxv3C/po<> この学園都市に来て、私の中でたくさんの心情の変化があった事は事実だ
それが小萌先生や上条からの『影響』でもあった事も否定しない
小萌先生の顔を立てて『クズ共』を消さないように努めてきたりもした
街の中で何人もの『美しい』『女性』を見てきたが
その都度、『欲求』を消すという事だってしてきた

だがな、やはり私は『私自身』には逆らえないようだ
生まれもった『サガ』だけは変えられなかった
私は『平穏』を愛する事をやめられない
たとえ、それが他人の犠牲の上に成り立つとしてもだ

今回だってそうだ、確かにステイルは苦しんでいる
だが、それは私には関係の無い事なのだ
テレビで見かける貧困の中、喘ぎ苦しんでいる子ども達のようなものだ
同情はするだろう、だが視聴者の中に彼らの為に行動する奴が何人いると言うのだ?
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:42:02.32 ID:ULxv3C/po<> その時だった
ステイルに異変が起きていた
微動だにしなかったはずの彼が、頭を抱えうめき始めていたのだ

「(マズイな……襲いかかってくるかもしれない…)」

静かにスタンドを発現させる
これで迎撃する準備はひとまず整った

だが、その迎撃体制は無意味となったのだった

「ゴッ……!!!ガアアアアアアアーーッ!!」

ステイルの奇声が発されると同時に彼の額から『何か』が飛び出す
いや、何かというのは嘘になるな
少なくとも私は『ソレ』を知っていた
ま、『色』こそ違ったがね


出てきたのは『ドス黒いDISC』だったのだ、それも『二枚』もである

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:42:58.68 ID:ULxv3C/po<> フーッフーッと息を荒げるステイルを観察する
良し、少なくとも襲ってきた時のような『目』じゃあないな
これなら近寄っても大丈夫だろう
そう思い、私はステイルの側に近寄った

「…………した……」

ん?何か言ったか?

「思い出したぞ……!!完璧に………!!」

力強い言葉と共に持ち上げた、ステイルの伏せていた顔は
さっきとは違う『涙』でグシャグシャだった
こちらの涙も私がはかり知る事は出来ないが
少なくとも『マイナス』な涙ではない
これから『プラス』へと向かって行くような涙だった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:44:10.11 ID:ULxv3C/po<> 「礼を言わせてもらうよ、ヨシカゲ
お陰で……『進むべき道』を見つけた……
光り輝く……『未来への道』をね……」

ええい、下の名前で呼ぶな気持ち悪い
ワケのわからない事を言っている、このクソガキにどんな嫌味を言ってやろうか?
そんな事を考えていた時だった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:45:12.76 ID:ULxv3C/po<> ぐらり

足元がふらつく
視界もブレる
物の焦点が合わない
呼吸をしても息苦しい

何だ?
どうした?
風邪でも引いたか?
この吉良吉影が体調を崩す?
馬鹿な、私に限ってそんな事はあり得ない
体調管理は万全のはずだぞ

【ジクリ】

ああ、わかったぞ
こんな分かりやすい原因だったとは
我ながら間抜けと言わざるを得ないなこれは

【ドロリ】

『肩からの出血』を『再確認』した後に
私の意識はプツリと途絶えてしまった
.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:46:15.67 ID:ULxv3C/po<> 『空間』
それ以上、形容しようのない場所にいた
何もない、あるのは地面だけだ
いや、これは地面なのか?それすらも確信出来ない場所に私はいた

キョロキョロと辺りを見回すが
人も、動物も、植物すら存在しないようだ

空間に声が響く

「例えば………私が『赦す』ことをやめたとしよう……
だが……結果的には『赦さざるをえない』という状況になってしまうのだ……
世界はな……世界は元の通りになる事を『望む』からね……」

なんだ?お前は誰だ?姿を見せろ
だが、これらの文字を言葉にする事は出来なかった

「吉良吉影……君は『死なず』にいられるかな?
私は『君の死』の助けになる事を『せざるを得ない』のだよ……
私がいくら君を『赦そう』としても『赦す』事を諦め『ざるを得ない』……
君を赦す事は本来では『無かった』出来事だからね……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:47:09.02 ID:ULxv3C/po<> .
..
...
....
.....

目を開けると『純白の世界』が広がっていた
なんだ?私は死んでしまったのか?
案外、死ぬというのはあっけないものだな

「ん?」

純白の世界が、スルスルと音を立てて『ズレて』いく
いよいよ私の頭も狂ってきたか?

さっきも何だか意味の分からない事を見ていた『気がする』しな
たしか……誰かが赦す赦さないとかワケの分からない事を……
………ダメだ、思い出せない……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:48:36.46 ID:ULxv3C/po<> 「あッ!!起きたのですかーッ!?
だいじょうぶですか!?吉良先生!?」

純白の世界、もとい、『包帯』を剥がしてくれたのは小萌先生だった
どうやら、私はまだ生きているようだな

「小萌先生……貴女、ホラー映画がお好きなのですか…?」

横目で近くの鏡をみると
鏡の中から『ミイラ』がこちらを見ていた
スタンドと思ったがどうやらそうではないようだ
じゃあ、あのミイラは誰だ?答えは簡単、『私』だ

「んもーッ!看病のお礼とかの前にそーいうことを言っちゃうのですかーッ!?
もう先生はプンプンなのです!」

そう言って頬を膨らました小萌先生の近くには
お粥を持ったインデックスがいた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:49:37.12 ID:ULxv3C/po<> 「よしかげ!起きたんだね!?
良かったー!あの魔術師がよしかげをウチに届けに来た時はビックリしたんだよ!
てっきり、私は魔術師がよしかげに『罠』をしかけて……」

ああ、ステイルが私を送り届けてくれたのか
そう思いながら頭を掻く
どうも頭が痒い……風呂ではしっかり洗ったのに……
それに……『だるい』……異常なほど……
まるで『寝すぎた』かのような………
だが、私は睡眠時間はかならず『9時間』を厳守するよう……に……


頭の中で、稲妻が走った
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:50:45.28 ID:ULxv3C/po<> 「小萌先生!インデックス!今日は何月何日だッ!?
私がッ!私がここに運ばれてから何日経ったッ!?」

若干、二人が怯えた表情を見せたが今はどうでもいい
今は無事なようだが、インデックスの記憶が限界に達するのは時間の問題だ
それに、さっきは流してしまったが魔術師がこの家に私を届けにきたという事は
ここの家は奴らに知られてしまったという事だッ!!
直ぐにでも、魔術師とその仲間がここにインデックスを奪いに来るだろうッ!
もしもそうなった時ッ!小萌先生と上条が抵抗しないワケがないッ!!

もしも!もしも小萌先生が傷つくような事が有ればッ!
肉体的、精神的に傷つくような事が有ればッ!!
私は魔術師共を『消さない自信』が無いッ!!
騒ぎを起こす事だけはしたくはないぞッ!!

私の問いは、意外な人物から答えられた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/18(火) 00:53:08.86 ID:ULxv3C/po<> 「七月……『二十八日』だよ……『ヨシカゲ』……」

声の主は『ステイル=マグヌス』だった
だが、声の出処があまりにも近いようだ
私は身体に何重にも巻きつけられた包帯のせいで動けず
目だけでステイルを探す事となったが
思いのほか、早く見つかった

「君は……包帯をインデックスに巻かれたようだね……
…………………ウラヤマシイ………!!」

ステイルは私の隣の布団でアグラをかいていた
それに包帯の巻き方が私のようなミイラではなく、キチンとした巻き方であった
これが格差社会か………?

「………………羨ましい?」

私には彼の言った言葉をオウムのように繰り返す事しか出来なかった <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/10/18(火) 00:55:22.50 ID:ULxv3C/po<> 打ち止め

一ヶ月待たせたわりには少なくてすまん

そういや、ジョジョリオンの単行本が出るより
新訳の方が発刊スピード速いってどういうことなの……
おのれ、ウルトラジャンプ……

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2011/10/18(火) 01:01:55.53 ID:prNbX9h90<> >>1乙!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 01:04:57.18 ID:Mx92SBpDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/10/18(火) 03:35:33.76 ID:SoEJGly10<> オイツイタゾッ!キヒヒッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 05:52:19.12 ID:ywCligwDO<> >>473
そんな気持悪いハーヴェストは嫌だ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2011/10/18(火) 10:30:38.10 ID:PUWOc1tGo<> 乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 21:20:54.25 ID:pDlKnX1Uo<> 再点火したな・・・!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/10/19(水) 00:50:41.83 ID:vK8WL7qno<> 乙!相変わらず面白い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/10/20(木) 19:14:28.40 ID:iyqwfnGAO<> >>1乙
続き気長に待ってるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)<><>2011/10/23(日) 19:30:50.58 ID:9h1s3o2AO<> まだカー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/23(日) 20:05:16.99 ID:ayhyimcSO<> 急かせばいいってもんじゃない <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/24(月) 22:58:05.27 ID:cSlStFNZo<> 乙レスが多ければ多いほど狂い悶えるのだッ!喜びでな!
レスッ!励みにならずにはいられないッ!!

明後日投下します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/10/25(火) 13:58:59.45 ID:G1zZLkPAO<> おっしゃゃゃゃゃあああああ
キタァァァァアアアアア
りょぉぉぉぉかぁぁぁぁい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/10/25(火) 23:30:12.92 ID:7IERJVme0<> wktk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2011/10/26(水) 16:38:37.53 ID:OBvaUj2z0<> 早く書けよ、この・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)<>sage<>2011/10/26(水) 18:14:24.77 ID:GRG+GEt30<> チンカスがぁぁぁっ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/26(水) 19:02:46.13 ID:wcRPYVNOo<> お前が投稿するのを楽しみに待っているぞッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/26(水) 20:00:02.91 ID:LsdVodhk0<> >>1!
明後日って今さ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 22:06:26.88 ID:yefEQOheo<> ちょっと日をまたぐ <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 23:51:27.90 ID:yefEQOheo<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 23:52:21.51 ID:yefEQOheo<> 「……………なるほどな……
つまり……今日があの子の……」

「………ああ、今日がインデックスの『命日』であり
………『誕生日』に……なるのかな」

小萌先生とインデックスには買い物に行ってもらい
私はステイルに改めてインデックスの事について話してもらっていた

彼の話が進むにつれ、私は事態の深刻さを再認識する事が出来たが
再認識から先へ進む事ができるような事は、何一つ見つかりはしなかった

「他に情報は無いのか?例えば……『どのようにして』インデックスは死ぬんだ?
単に心臓が止まるのか?それとも………」

ステイルは目を伏せ、首を振る
まあ、当然といえば当然か
まだ、このステイルも『子ども』なのだ
子どもは無意識のうちに『最悪の事態』を避けると何かで聞いた事がある
まだ『心』の発達しきっていない彼にそれを求めるというのも酷か

…………困ったな……このままでは『小萌先生』が悲しむぞ……
住わせてもらってる私としては『家主』が悲しむのは……『困る』な……
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 23:53:54.06 ID:yefEQOheo<> 「そういえば『上条当麻』はどうした?
また、あの無自覚男はどこかで女でもはべらせているのかね?」

場を和ませる……ワケではないが
少し別の事に目を向けねば、煮詰まりきってしまうからな
煮詰まり、考える事をやめた瞬間、インデックスの命も続く事をやめてしまうのだ
そうなってしまえばあの忌々しい『神父』の思うツボだ
奴の『策略』にマンマとかかってしまうのは癪なのだ

「いや……彼は……『病院』を駆け巡っているだろう……
このだだっ広い『学園都市』中のね……
フフン、彼はそんなに『モテる』のかい?
僕からしたらただの『冴えない男』としか見えないが」

ステイルが初めて『笑み』を見せる
この仏頂面でも笑う時は笑うのだな
彼は懐から『タバコ』を取り出し口に付け、『火』を探す
………私は『非喫煙者』なんだがね……
このクソガキに私の『肺』を汚されると思うと……
ああ…!!イライラするぞ………!!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 23:56:02.37 ID:yefEQOheo<> 「ああ、奴は相当モテるな
学校でも奴を好きな女子が何人いるだろうか……
いくつ『手』があっても数えきれないな…」

そうだ、奴の忌々しい『特技』とも言えるアレがあったな

「それに、奴は妙に『ラッキー』というか『不運』というかだな……
そう…例えば『女子の着替え』に遭遇するというのは日常茶飯事で……
そうだ、奴は家でも『インデックスの裸』を……」

電光石火、という言葉は彼のとった行動のためにある言葉では無いのだろうか
それほど次の瞬間に奴のとった行動は速かった

【ステイルの、タバコが、一瞬にして、『灰』に、なったのだ】

「ヨシカゲェェェェェェェッ!!
貴ッ様ァァァァァ!!今、何と言ったァァァァーッ!?
今ッ!!貴様はッ!!何と言っただァァァァァーッ!?
インデックスッ!!のッ!!何を見ただァァァーッ!?
俺がッ!私がッ!ワシがッ!!ヴォクがッ!!僕がッ!!
聞こえた言葉通りに君が言ったとすればァァァァーッ!!
『生きながら』にして貴様の『脳』だけを焼いてやるゥゥゥーッ!!
くぉんのッ!!『イカれヘアー』がァァァァァァァァーッ!!」

……前々から思っていた事で
あえて今日まで口にしなかったが………
………『こいつ、イカれてるぞ』……

奴の『一人称』が安定していないのはこの際どうでもいい
奴のルーンが私のこめかみの周りを『クルクル』と『旋回』し始めた事だってどうでもいい
奴の『眼球』が右だけ『上』を向き、左だけ『下』向きなのもどうでもいいさ

奴のインデックスに対する『思い』は本物だ
だが、だがしかしだ
これは『思い』で済むものなのか?


いや、まさか


まさか……これは……私には理解できないが……『アレ』…か…?
『思春期』特有の……『アレ』……なのか……?
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 23:57:19.53 ID:yefEQOheo<> 「あー……ステイル君?ステイル=マグヌス君?
二つほど言いたい事があるのだがね?
一つはだな、インデックスの裸を」

「やはり見たのかァァァァァァァァァァ!?
ィィィィインデックスのォォォォォォ!!」

顎を殴りつける
気の毒に、舌でも噛んだのだろうか?
フゴフゴと悶え苦しむ神父というのはなかなか滑稽だな

「話は最後まで聞けと教わらなかったのか?
インデックスの裸を見たのは『上条当麻』だ、私じゃあない
奴の頭を『焼きウニ』にしたいのならすればいいじゃあないか
私だってそれは見てみたいしな、そして『二つ目』だ」

私は言葉を切り、『上条当麻調理計画』を練り始めたステイル=マグヌスに問うた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/26(水) 23:58:40.51 ID:yefEQOheo<>





















「君、インデックスの事が好きだろ」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:00:14.39 ID:hwgMTVYRo<>
【ガチンッ!!】

歯と歯が景気良く噛み合う音が響き渡る

「ばばばばばばあばばばばばばばかなななあなななななな
そそそそそそそそそそそそすうをかぞえるんだだだだだだだだだ」

こいつ……『ギャグキャラ』だったか……?
『クール』という言葉が似合っていたステイルはそこにはなく
代わりに、震える顎と共に震える指で『素数』を数えるステイルがいた

「いちちちちちちちちちち………ににににににににに………
スススススススリリリリリリイイイイイイイイ……
フォフォフォフォオオオオオオオオオオ……」

……色々おかしいのは気のせいだろう……
まさか、こいつがここまで『ウブ』だとはな……
ええい、このままでは元の話に戻れないじゃあないか……
まさか、ここまで大きく話が逸れるとは予想もしなかったぞ……
私だってそう話が簡単に浮かぶワケがない……
………ああ、そういえば気になってた事があったな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:01:25.47 ID:hwgMTVYRo<> 「あー、ステイル君!ステイル君!
ずっと気になっていた事を聞いてもいいかッ!?」

大声で素数を数え続ける奴の声に負けないように
私も声を張り上げ返す

「ににににににににおくくくくくくくくくくく………」

ああクソッ!聞いていなかろうが話し続けてやるぞッ!!
私はさっさと対策を練り直したいのだッ!!

「インデックスにも『あった』が
君の宗派では『刺青』というか『タトゥー』をするのかねッ!?
すき焼きの際に彼女の『喉』を見た時にはビックリしたがッ!
いったいどうやって、あんなところに『彫った』んだッ!?」





素数を読み上げる声が、止んだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:02:25.39 ID:hwgMTVYRo<> 「………ヨシカゲ、それはどんな『形』だったか言えるかい?」

『形』だと?あの『象形文字』のような形を口で伝えるのは………

「『絵』でも良い、僕に伝わるのならなんだって良い
とにかく、教えてくれないか」

どうしたものか
彼の声のトーンが急に変わったのも驚いたが
形を伝えるというのもなかなか難しい……

困ったものだ……

あの『呪文』のような形はどうやって伝えたものだろうか……? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:05:55.23 ID:hwgMTVYRo<> 「ん?『呪文』?」

その刹那、私の脳内で、伝わる
ドミノが倒れるように情報が、繋がる
今まで私が体験した事、感じたこと、聞いた事
それらが答えを知り尽くしたジグソーパズルのようにハマって、形を成し始める

そして『思いつく』
全てを、どうにかする方法を
どうにか、どうにか収拾をつける方法を

だが、問題はそれを『どうにかする奴』がいないという事だ

「頼む、早く教えて欲しい」

問うてくる奴の声に苛立ちが混ざってくるがどうだっていい
最後のラストピースの人物が思いつかない事の方が重要なのだ

考えろ……考えろ吉良吉影……
今まで、この吉良吉影がぶち当たった問題に解決出来ない事はなかった……
考えろ……考えろ吉良吉影……


そうだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:07:33.45 ID:hwgMTVYRo<> 簡単なことがあるじゃあないか
全てがうまく行く方法があるじゃあないか
全てが解決する方法があるじゃあないか
全てを『ぶち壊してくれる奴』を知っているじゃあないか


「ちょっと出てくる
ステイル君、君はそこにいたまえ」


私は食い下がろうとするステイルの延髄に
キラークイーンの手刀を叩き込み、眠らせた

奴の傷は私が一番良く知っている
数ヶ月は再起不能になってもらおうと思っていたのだ
まさか、ここまで正常な思考を保ちつつ話せるとは思わなかったが
やはり、言葉の節々に『詰まり』があったしな(まあ、途中の『発狂』は驚いたが)
私は立ち上がり、顔の包帯だけ取り、スーツを羽織って外へ出た

「たぶん……あの辺りだろうな」

ドアを開けると、夏真っ盛りだというのに『奇妙な』寒さを感じたので
小萌先生へ『プレゼント』を買った時に、一緒に買っておいた『帽子』を被り

街へと旅立った

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:08:29.34 ID:hwgMTVYRo<> 上条当麻の取る行動はいつだってシンプルだ

倒して気絶した神裂は危険の無い場所へ連れて行った
鞘へ納めたアヌビス神は駅のコインロッカーへ預けた

そして家に帰った
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:09:37.35 ID:hwgMTVYRo<> 家に帰ると、眠る吉良と吉良を看病する女性陣を確認した
そして近くでタバコを吸おうとして、小萌に没収されたステイルを発見した

彼がここにいる理由を聞き、上条当麻は彼を信じた
彼は、上条当麻にインデックスの『期限』について説明した

それを聞いた上条当麻は再び立ち上がろうとした
だが、彼は立ち上がれなかった

布団へへたり込んだ

そして、眠りについた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:11:00.18 ID:hwgMTVYRo<> 彼は眠った、眠り続けた
疲労を、全身を支配する疲労を消化し続けた

そして、目覚めた

彼は、絶望した

彼は小萌に教えられた
今日は『七月二十八日』だと教えられた
彼は寝ぼけた頭を震わせた
寝る直前にステイルから伝えられた事を思い出した
彼は今日が期限だと思い出した

思い出した彼は、何をすべきかを考えた
自分がインデックスに何をしてあげられるだろうか考えた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:12:04.25 ID:hwgMTVYRo<> 彼は、知らなかった
いや、知っていたはずだった
困る人を助ける方法を知っていた

だが、知らなかった
彼はインデックスを助ける術を知らなかった

不良に絡まれる人には身体を張ってやった
迷う人には道を教えてやった
困る人には相談に乗ってやった
泣く人には支えになってやった

だが、彼は出会ってしまった

いや、出会わなかった
いや、出会えなかった
いや、出会いたくなかった

いや、出会ってしまった
死にゆく人に出会ってしまった
救えぬ人に出会ってしまった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:13:00.40 ID:hwgMTVYRo<> 死に出会ってしまった
どうしようもない、死に、出会ってしまった
抗う事のできない、死に、出会ってしまった

上条当麻は死に触れた事はなかった
だが、死の恐怖に近い感情は感じた事があった

外で、感じた事があった
いじめられた事があった
痛みを感じた事があった
敵意にさらされた事があった
悪意にさらされた事があった

それらは上条当麻の中へ溜まっていった
溜まるべきではないモノを溜めてしまった

両親は優しかった
だが、優しさは上条当麻を潤し、救いきる事は出来なかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:13:48.48 ID:hwgMTVYRo<> その結果、彼は知った
人を救うのは人だ
だが、人の手では人を救いきることは出来なかった

それを、知っているからこそ、上条当麻はインデックスを救いたかった
救われぬ者に救いの手を、と、誰かが言った
上条当麻は救われぬ者だった
だが、上条当麻は救いたかった
救われぬ者が救いの手を差し出そうと思った
救われぬからこそ、救いたかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:14:57.99 ID:hwgMTVYRo<> だが、彼は死は味わったことがなかった
彼は実感した、死から救う事は出来ないと実感した

だが、彼は抗いたかった
緩やかに死にゆくインデックスを見捨てたくはなかった

上条当麻はインデックスだった
上条当麻の境遇はインデックスだった
彼にはインデックスと共感できることが多すぎた


彼らを救おうとする手はすり抜けていった

彼らは、一人ぼっちだった

彼らは、悪意にさらされた

彼らは、彼らは、彼らは、


さみしかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:16:08.19 ID:hwgMTVYRo<>
だから、せめて、せめてだ
彼女の助けにはなりたかった
彼女は救えないと聞かされた
だが、行動を起こさずにはいられなかった

彼はどこかで無意味とは知りつつも病院へと走った
学園都市中の病院へと走った
名医と言われる医者にもかかった
最新鋭の技術が揃う病院へも走った

だが、無意味だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:17:11.67 ID:hwgMTVYRo<> 最後の病院のロビーから出た
病院の近くに公園があった
彼は公園のベンチに座った

彼は、自らの無力に泣いた
彼は、自らの無力を嘆いた
彼は、自らの無力へ憤った
彼は、自らの無力が悔しかった

彼は
彼は
彼は
彼は
彼は


ただ、救いたかった



彼は、呟いた


「もう………」

風がブランコを揺らした
風がシーソーを傾けた
風が街路樹を揺らした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:17:56.73 ID:hwgMTVYRo<>








風が、呼び寄せた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:18:41.41 ID:hwgMTVYRo<>





「『先生』として言わせもらうぞ、上条君」







かぜは、男を、呼び寄せた <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/10/27(木) 00:20:04.10 ID:hwgMTVYRo<>







「君は国語をやり直した方がいいな
今度からは私がマンツーマンで見てやろう
国語力が無いというのは辛いな上条君?こんな時にも言う言葉を間違えるとは驚きだよ」







「いいか、君が発して良い言葉はただ一つだ」








かれは、男を、呼び寄せた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:21:00.10 ID:hwgMTVYRo<>






「『彼女を救う』、ただのそれだけだ」








彼は、不幸な彼は <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:21:49.93 ID:hwgMTVYRo<>







「『友人』としても言わせてもらうぞ、上条当麻」








「君は、『彼女を救える』」









不幸な彼は、『幸運』を引き寄せた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:22:38.37 ID:hwgMTVYRo<> 「俺が……救う……?」

「このマヌケめ、さっき私が言った事を忘れたか?」

吉良吉影は頭を押さえながら首を振った

「いいか、君は既にインデックスを救っている
いや、救う一歩手前と言った方がいいかな」

「君は見ていないか?すき焼きをした時に彼女が開けた『大口』を
人体構造的にあんなに開くというのは
教師として納得いかないが、まあ、ここはおいておこう
おおっと、君は小萌先生と戦っていたんだったな」

吉良は頭を押さえていた手で自らのノドを押さえた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:24:53.64 ID:hwgMTVYRo<> 「ならば、教えてやろう
彼女の『ノド』には『紋章』のようなモノがあった
そして、君はステイル=マグヌスから聞いたはずだ
彼女は一定の期間しか記憶を保存出来ない
そして、記憶を消さずに一定の期間をすぎれば彼女は死ぬ」

吉良の右手が大きく開かれ、爆発したようなジェスチャーがなされた

「だが、ここで問題なのは彼女は『どのような原因』で死ぬのかと言う事だ
まあ、イメージで考えれば脳が破裂するとかが浮かぶだろうが
だとすれば、記憶による爆発という世にも珍しいものが見られるだろうな?
私たちは人類初の記憶が物質化したものの発見者というワケだ
そうすれば我々を世界中の学者は、今世紀最大のホラ吹きが来たと思って下さるだろうな」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:26:30.42 ID:hwgMTVYRo<> 「つまりだ、一定期間経過はあくまでリミットとしか意味が無いし
脳に記憶が直接作用する事は無い
そして、改めて彼女の周囲を見てみろ
彼女を追っているのは誰だ?」

「魔……魔術師……!?」

「このヌケサクが、言って良い言葉はただ一つだといっただろう
まあ、正解だ
奴らが魔法か何かをかけたのだろうと考えられるだろうな
ただしステイルは『シロ』だ、髪は『アカ』だがね
『奴の上司』がインデックスが情報ごと盗まれないようにしたんだろう
もし、インデックスがさらわれて悪用でもされたら困るだろうしな
あまり良い気分ではないが、完璧な『鍵』と言えるだろう」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:28:08.75 ID:hwgMTVYRo<> 「話を戻すぞ
私は今、君に情報を与えた、整理してやろう
一つ、彼女には鍵がかかっている
二つ、その鍵が作用して彼女を[ピーーー]
三つ、彼女のノドには『紋章』があった
ここから導ける事は……言わずもがなだな
【『鍵』は『紋章』で『ノド』にある】」

「だが、困った事にその紋章は『魔術』で書かれたモノなのだよ!!

ああ、困ったぞ!私には魔術は解除出来ないし
あのステイルがやるにしても、一からのスタートからでは
今日中という期日には間に合わないだろうなあ!

どこかに『右腕』で見ず知らずの『女の子』を『全裸』にした奴がいればなあ!
どこかに『タダの右腕』に『なんとかブレイカー』とか名付けている奴がいればなあ!
どこかに『神の奇跡』だろうが『打ち消せる右腕』を持っている奴がいればなあ!」

吉良は、息を吸い直し、自らの言葉を継いだ

「どこかに『彼女』を『救いたい』奴がいればなあ!
なあ!?上条君!君は心当たりはないか!?
君はッ!言いたい事はないかッ!?」

上条は返した
ニヤリと微笑みながら返した
先ほどまでの顔とは全く違うその顔で返した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:32:24.41 ID:hwgMTVYRo<> 「言いたいこと……俺の言いたい事は……」


上条当麻は、言った


「彼女を………!!救う!!」



続ける、上条は言葉を吐き出し続ける
弱々しかった口調が力を取り戻す
右手を握りしめ、言の葉を紡ぐ

「俺が…!この『不幸』な俺が……!!
『死』からッ!『孤独』からッ!!『不幸』からッ!!!
インデックスをッ!救うッ!!救えるんだッ!!」

流れる涙など気にもせず
頬が帯びた熱もものともせず
ただただ、彼は噛み締める
自らの力を再確認する

彼の心は、死んでいた
緩やかに死んでいくだけだった彼の『心』が息を吹き返す

「ああ…俺は………」

心が、動き出す

「『幸せ』だ…………」

心はもう止まらない
上条当麻も止まりはしない
彼の心は蘇り、彼の心には『覚悟』が出来ていた

上条当麻は、救いたがりの上条当麻は、今、ここにいた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/10/27(木) 00:33:16.48 ID:hwgMTVYRo<> 打ち止め

吉良に帽子を被せたのは思いつきです
デッドマンズQ見てたらやりたくなった、後悔は無い

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage saga<>2011/10/27(木) 00:34:56.72 ID:5uUEeGDT0<> 乙(おつ) 雅三 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/27(木) 00:39:16.89 ID:EXxWOXcy0<> ねえねえ乙させて <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2011/10/27(木) 00:48:30.92 ID:yL2FXgwg0<> >>1乙!

この調子で次も頼むぜ・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/10/27(木) 00:54:53.19 ID:E+hC3Nlgo<> >>1!君に乙を贈ろう! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/27(木) 01:16:06.69 ID:v+3RqBkeo<> 熱い展開!乙せずにはいられないッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/27(木) 08:10:25.19 ID:DXImCXhd0<> よくよく考えたら右手に何とかブレイカーとか名付ける人って…
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/10/27(木) 16:37:07.56 ID:yoCVdVxAO<> >>1乙
続き楽しみにしてる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/27(木) 22:50:03.70 ID:PTz0yMf90<> あの帽子いいよな
後上着の襟元

>>525
お前は世のスタンド使いに謝れ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/10/28(金) 02:12:55.71 ID:SwZuQzAvo<> ルビまで自分で考えたんだぜ?幻想殺し(イマジンブレイカー)なんだぜ?
好きな音楽とかから名前取ったであろうスタンド使いとは痛さの格が違うわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山陽)<>sage<>2011/10/28(金) 10:33:53.31 ID:W1Dw+WhAO<> どっちも痛い事には変わりないんだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2011/10/28(金) 16:57:55.48 ID:a/ArkaWz0<> いや偽善使い(フォックスワード)のほうが妙にひねくれた感じで痛い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/28(金) 18:37:29.70 ID:1XSGqc6/o<> おっとアホレイツォの悪口はそれまでだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/28(金) 18:57:19.75 ID:KbGFsbzDO<> >>531
スペースリパースティンギーズアイ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/28(金) 19:25:50.52 ID:D/a39Bxmo<> このアホレイツィオ、容赦せん!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/28(金) 19:36:23.13 ID:SpPRsVPto<> アイズじゃなかっけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大分県)<>sage<>2011/10/29(土) 09:31:05.99 ID:/V/jfxLi0<> あーんスト様が痛い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/29(土) 10:04:16.27 ID:gFoO3dcEo<> しかも自分で開発した技じゃなくて他人からパクった技というのがまた痛いよな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/30(日) 13:39:55.91 ID:7jd0ijE50<> まあそんなに喧嘩すんなよ
俺が一番痛いんだからさ(ドヤァ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/10/30(日) 17:23:54.95 ID:7qL6Zpjvo<> 痛さでいうなら俺のほうが上だぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2011/10/30(日) 19:05:01.47 ID:0PoPG6qAO<> いや、私の方が痛い! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2011/10/30(日) 23:23:32.99 ID:DTMVedjQ0<> じゃあ俺が(ry <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/31(月) 06:28:32.89 ID:kMV955YSO<> >>540
スレageちゃったみたいだし、お前が一番痛いよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/03(木) 15:01:13.36 ID:xKN0K8jDO<> >>530
それは名前が痛いとかそれ以前の話だな、上条さんのは性格は能力かよ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:18:47.54 ID:CaGnZ8fto<> 遅れた、投下する <> ◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/11/08(火) 01:19:38.10 ID:CaGnZ8fto<> 木枯らしが吹く
ひゅるり、ひゅるりと吹き続く

日の照りが失われてゆく
じわり、じわりと消えてゆく

こんな簡単な事すらインデックスは忘れるのか
こんな当たり前の風景への思いも消えていくのか

私は小萌先生のウチへ走り続けながら、そんな事を思っていた

困ったものだ

最初は小萌先生を悲しませないというだけのつもりでやってきたはずだ

だが今はどうだ?

この吉良吉影が女の子を救おうとしているだと?
小萌先生に頼まれたワケでもないのに?
女の子を助ける事が自分に対する大きなメリットになるワケでもない
女の子を助ければ永遠の『平穏』が約束されるワケでもない

この私も甘っちょろくなってしまったものだな
反吐が出そうになるよ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:20:39.14 ID:CaGnZ8fto<> だが、今回の事さえ片付けば良いのだ
今回の事が片付いたら私は『ただの一教師』へ戻るのだ
上条の『厄介ごと』にも関わらず
土御門の『妹トーク』も出来るだけ受け流し
……名前を忘れたが、あの青髪ピアスの下らない『性癖暴露』は無視をする

悪くない、いや、むしろ良いじゃあないか
社会的地位で他人に『ナメられる』事も無い
給料が大幅に変動する事も無い
突然の『リストラ』だって無いのだ
幸いにしてうちの学校に『モンスター・ペアレント』と呼ばれる人種もいない
教師……なかなか『平穏』な職業じゃあないか…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:22:20.71 ID:CaGnZ8fto<> そんな事を考えていた時だった
突如として『脳』に『モヤ』がかかり何も考えられなくなる
この感覚は……この感じは……以前…にも………

モヤが脳内を覆い尽くすと、脳が『誰か』を映し出したのであった

.
..
...
....
.....
......
.......
........



【これは『試練』だ】

【君は、乗り越えねばならない】

【いや、乗り越えるだろう】

【たとえ、自らが『滅ばざる』を得なくとも】

【君が、君でなくなろうとも】



.......
......
.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:23:40.69 ID:CaGnZ8fto<> 「ハッ!?」

まただ、また『奇妙』な夢を見た気がするぞ……!?
走りながら見る『夢』というのもおかしいが、あれは確かに『夢』だ…!
内容は……クソッ!!思いだせない……
………『誰か』に『忠告』を…されたのか……?
なんか分からんがそんな気がするぞ……

「先生ッ!!何してるんですッ!?着きましたよ!」

どうやら『夢』を見ている間にアパートに着いてしまっていたようだ

私たちはそのオンボロアパートの一部屋
小萌先生の部屋のドアの前に立ち、ドアノブを捻り、引いた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:25:04.25 ID:CaGnZ8fto<> 「き、吉良先生!どこいってたんですか!?
シスターちゃんが…!シスターちゃんがぁ………!!」

そこにいたのは布団で苦しげに呻くインデックス
そして、彼女を取り囲むように座っている小萌先生と魔術師たちだった

「ヨシカゲ……もう…ダメだ……
さっきから神裂とコモエで『回復魔術』を試みたが……」

そこまで言ったステイルはうつむき、肩を震わす

それと共に『神裂と呼ばれた女』が膝を叩く
まるで、自分は無力だと体に刻み込ませる様に叩き続ける
とめどなく流れ落ちる涙が彼女のジーンズにシミを作る

「また……またなのですか……!!
また……『最初』から……!もう……『ゼロ』はイヤ……!!」

残念だが、私に彼らの悔いを慰めている暇は無い
私は彼らの脇をすり抜け、小萌先生の目の前に座った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:26:21.23 ID:CaGnZ8fto<> ウルウルとした瞳
への字になった唇
スンと鼻息を立てる鼻
それらを見て、私は溜息を出してしまいそうになる

どうして『そんな顔』をするのですか小萌先生?
私がどうして、ずっと『おとなしく』してきたと思っているのですか?
私がどうして『手を選ぶ』のをやめたと思っているのですか?


あなたのそんな顔を『見ない』為なのですよ?


そして、私があなたのその顔を『見てしまった』のなら
あなたにこんな顔を『させて』しまったのなら


その『原因』は取り除きましょう、『誓って』です


私は口を開く <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:29:00.90 ID:CaGnZ8fto<> 「小萌先生、今すぐここから出ていってください」

ああ

「ハッキリ言わせていただくと」

何故だろうな

「あなたは今からする事の『邪魔』です」

最初は

「むしろ『足でまとい』にしかなりません」

ただの酒癖の悪い女としか思っていなかったのに

「貴女とは一切関係無い事です」

どうして

「貴女に手伝える事はありません」

こんなにも

「これだけ言ってもわからないんですか?
じゃあ、シンプルな言葉に置き換えてあげましょう」

私は



「今すぐ、私の前から消えろ」




辛いんだろうな? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/08(火) 01:30:03.26 ID:CaGnZ8fto<> 小萌先生は無表情で口を押さえ、固まっている
私が言った言葉を『反芻』しているのだろうか?
あの聡明な小萌先生でも処理が追いつかない事もあるのだな


小萌先生はすっくと立ち上がり、部屋から飛び出していった



部屋に静寂がもどった次の瞬間、私は上条に頬を張り倒されていた

「吉良ァーッ!!小萌先生になんて……!!」

私は、すぐさま上条を殴り倒す
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:31:22.01 ID:CaGnZ8fto<>
「このマヌケがッ!!小萌先生まで巻き込みたいのかッ!?
インデックスの『仕掛け』がすんなり消えるだけとでも思っているのか!?
全く『反撃』もしてこないで終わると思うのかッ!?」

私は上条の胸ぐらを掴み、揺さぶる

「反撃がただの怪我で済まなかったらどうするッ!?
掠っただけで『廃人』になってしまうものだったらどうするッ!?
何も出来ない小萌先生をここに置いておくメリットを言ってみろッ!!
出来る事はあるかッ!?もし、貴様が私を納得させられるメリットをあげられればッ!!
小萌先生がインデックスを救う決定的な事ができると言うのならッ!!
喜んで小萌先生を呼び戻してやろうじゃあないか!!
さあッ!!言ってみろ上条当麻ッ!!
危険を犯してまで彼女を残すメリットを言ってみろッ!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:32:11.76 ID:CaGnZ8fto<> これは私のキャラじゃあない
私は生まれてからこんなクサイセリフを吐いた事はない
そんな事ぐらいわかっているさ
だがな、本当に気づかないうちにだ
私が意にも解さない、そんな間にだ
私の中での『優先順位』は変わってしまっていたのだ
私の『大切なモノ』は変わりつつあったのだ



つまりだ


つまり、彼女は私の『平穏な暮らし』に欠かせない存在になっていたのだ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:33:12.50 ID:CaGnZ8fto<> アパートに二人で帰り、交代で夕飯の用意をする

嗜む程度と決めている私とは違い、浴びるように彼女は酒を飲む
だんだん酒癖の悪くなってきた彼女に水を飲ませる

その間に布団を敷いて、その上に寝かせてやる

私は翌日使う教材などの確認をした後、私も彼女の寝顔を見ながら就寝する

これが、いつのまにか『普通』になっていたのだ
私は『普通』を愛する
激しい喜びもなければ、深い絶望も無い
そんな『普通の生活』を愛している
もしも、私からこの生活を奪う者がいるのならば
徹底的に『争わねば』ならない
たとえ、それが『神の意思』であろうと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:34:10.45 ID:CaGnZ8fto<> 「……………すいませんでした」

俯きながら、上条は謝ってきた

「でも先生、必ずです……
必ず、後で小萌先生に謝ってください
小萌先生ってあー見えて、結構抱え込むタイプなんです」

知ってるさ、そんな事ぐらい
だからこそ、だからこそ彼女は『良い先生』なんだよ

「私も殴ってすまなかったな上条君
もう少し深く謝りたいが『時間』だ、始めないといけない」

私と上条は魔術師達に事情を説明した
幸運な事に神裂は『刀』に操られていただけなので(アヌビス神とか言ったか?)
ステイルの時のように暴れる事はなく、すんなりと聞いてくれた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:35:17.01 ID:CaGnZ8fto<> 「……つまり、上条が『紋章』を打ち消す
そして『反撃』があれば僕が援護をする……
要するに、挟み撃ちの形になるのか……」

ま、反撃が無いに越した事はないがね
一人呟いた後、若き指揮官は即興で作戦を立て始める

「分かった、僕はイノケンティウスで援護するよ
まあ、インデックスには『魔翌力』が無いから
『防御網』といってもたいした事は無いかもしれない
だが、『油断』は決してするんじゃあないぞ」

ステイルの作戦発表の後、神裂はオズオズと手を上げた

「あの……私は何をすれば……?」

ああ、そう言えばこの女も『魔術師』だったな
だが、彼女は『刀』を使って戦う筈だが……? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:36:40.99 ID:CaGnZ8fto<> 「神裂、すまないが今回、君に出来る事はない」

神裂はハッと息を飲み、ステイルに怒号を浴びせた
何故、自分が参加出来ないのか
自分は『せいじん』(私にはこう聞こえた)なのだ
刀ごとき無くたって自分には『体』がある
まとめると、このような趣旨の事を言っていた

だが、ステイルにも言い分は有ったようだ
体といっても『仕掛け』が触れるだけで効果が出る危険なものかもしれない
自分は『火』、上条当麻は『異能』で身を守れる
だが、彼女にはそれがない
インデックスも目覚めた時に彼女が『廃人』だったら悲しむだろう?

ステイルがそう言うと神裂はションボリと頷いた

そうだ、と私の方をチラリと見て
彼は彼女に『小萌先生の保護』を頼んでくれた
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:38:32.81 ID:CaGnZ8fto<> 「『救われぬ者に救いの手を』が君のモットーだろう?
今、あのチビッコ教師には『救い』が必要じゃあないかな?
女教皇自らが救いにいくというのも中々贅沢だ

あ、そうそう、必要ついでに君にはチビッコ教師と『買い出し』に行ってもらおう
インデックスが目覚めた時に腹ペコだったら困るしね
もちろん、領収書は『ローラ・スチュアート』当てでだよ」

ニカッと笑ったステイルの顔は幼く『年相応』のモノだった

「神裂、インデックスが起きたら今までの事を全部謝ろう
今までしてきた事が許されるとは思わない
だが、僕は出来る事をするつもりだよ
インデックスが忘れる前にした事だって、もう一度してやるつもりさ
遊園地にだって行ってやろう
映画館にだって行ってやろう
彼女が望むならどこだって行ってやろう
彼女が望むなら何だってしてやろう
馬鹿馬鹿しいが、それくらいしか僕らには出来そうにないしね
ま、食事関連の場所は遠慮したいところだけど」

神裂もつられて頬を緩ませた
そして、頼みましたと私たちに一礼した後
彼女はこの部屋から出ていった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:39:59.03 ID:CaGnZ8fto<> 「ところで、ヨシカゲ
君は一体何をするつもりだい?
また、あの僕にしてくれた『爆破』でもするのかい?」

おおっと、まだこいつらにはスタンドの事を話してなかったか?
だが、説明は長くなりそうだ
とりあえず無視しておこう

「………もう、時間は無さそうだぜ……」

ちょうどいいタイミングで上条が口を挟む
見ると、インデックスの顔には玉のような汗が吹き出ており
苦悶の表情を浮かべていたのだった

上条当麻は私たちを見回した
ほう、いつのまにか顔つきが『変わった』じゃあないか
公園で一人、泣きそうになっていた時とは別人のようだ

「ステイル、準備は良いか?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:41:15.22 ID:CaGnZ8fto<> 愚問だな
今のステイルの『瞳』には『意思』がある
DISCに操られていた時には無かった『意思』がな
今、奴は『自分自身の意思』で生きている
仮に奴がこの作戦でくたばろうが『後悔』はしないだろうな

「…………行くぞ」

上条はゆっくりとインデックスの口を開き、指を差し込む


【バギン】


瞬間、上条の右手は電流で弾かれたかのように後ろへ吹き飛ばされた

おそらく、今までこんなことは無かったのだろう
『異能』に『幻想殺し』が押し負けることなど

「………作動したようだぞッ!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:42:52.58 ID:CaGnZ8fto<> 彼は魅入ったようにインデックスを見つめながら叫んでいた
私もつられてインデックスを覗き込む
インデックスの瞳を見た私は思わず声をあげていた

「なんだ……!?こいつの……『目』は……!?」

インデックスの眼球には『魔方陣』のようなモノが輝いていた
それは、赤く、暗く、『理解』というモノから遠いものであった

「ヨシカゲッ!!避けるんだァーッ!!」

ステイルが私に吠えた時には、遅かった

『爆発』が私へと飛び込んできたのだった
キラークイーンを出す暇もなく、無防備のまま後ろの壁へと叩きつけられる
グゥ………シスターがこんな乱暴をして良いのか………? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:44:05.82 ID:CaGnZ8fto<> 「----------警告、第三章第二節。
Index-Librorum-Prohibitorum------禁書目録の『首輪』
第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備………失敗
『首輪』の自己再生は不可能、現状、十万三千冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

インデックスではない『ソレ』は防御策を講じ始めていた
彼女の周囲に『魔方陣』が広がり、真っ黒な『亀裂』が入る
ソレが何か人では理解出来得ないであろう『何か』を歌う度に亀裂は増えていく
いつのまにか、亀裂は『防壁』となっていたのである

それの名は『聖ジョージの聖域』と言った

爆発の痛みで動けない私とは違い、魔術師は『衝撃』で動けないようだ

「何故……この子が…これほどの術式を…!?」

奴の驚く理由はなんとなく分かる
この魔方陣、素人の私にでも分かる事があるからだ
いや、分かるというのは違うな
これは……『本能』と言う奴だろうか?
『本能で理解』してしまうと言う奴だろうか?

私が確信した事、それは

【あの亀裂の中にあるモノを直視すれば、私という存在は消える】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:44:59.99 ID:CaGnZ8fto<> こんなシンプルにして最悪な事実は
私を爆発の痛み以外で動かなくするには容易であった
恥ずかしいが、『恐ろしくて』動ける気がしない

だが、私は言いたかった
今のインデックスを見て思った事をありのままに叫びたかった


【………こいつは…『誰』だ?】と。



あの無邪気な性格はどこへ行ったというのだ?
あの天真爛漫な微笑みはどこへ行ったというのだ?
断じて認めるわけにはいかない
こいつはインデックスじゃあない
私の目の前にいるのはインデックスであってはいけない
インデックスにあって『こいつ』に無いものは明白だ

生憎、その答えは上条当麻に取られたが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<><>2011/11/08(火) 01:46:02.65 ID:CaGnZ8fto<> 「インデックス……じゃあない……
お前はインデックスじゃあない!!
てめえはただの『ロボット』にすぎねえんだよ!!
クソッタレのイギリス正教の『仕掛け』で作動する!
てめえはただの『ぬくもり』の無い『傀儡』だッ!!
『書庫』だと!?『保護』だと!?そんなものは俺には関係ねえんだ!!
どっかの魔術師がイギリス正教の書庫を根こそぎ持っていこうが!!
イギリス正教ごと書庫を滅ぼし尽くそうが俺には関係ねえさ!!
聞いてやがるかイギリス正教のお偉いさんよ!!
いいかッ!!俺はなッ!!そんなモノよりも大事なモノを知ってる!
いやッ!『大事にしなけりゃいけないモノ』を俺は知ってるんだよ!!
それが無ければ人は誰だって『ロボット』だ!
それが無ければ人は!人である事が出来ないんだッ!!
だがイギリス正教ッ!!てめーらはそれをインデックスから『奪い』やがった!
許さねえッ!!それだけは許しちゃいけないんだ!!
てめーだけの都合でッ!!他人の『心』を奪うような事をする奴こそッ!!
俺はそういう奴らこそ『悪』だと思っているッ!!
何が『正教』だッ!!何が正しいって言うんだよッ!!
てめーらの教えでは『他人』を『利益』のために犠牲にする事が『正しい』って言うのか!?
こんな罪も無い女の子をッ!!何も知らない友人達をッ!
騙しッ!惑わしッ!!傷つける事が『正しい』って言うのか!?
ふざけるんじゃあねーぞッ!!
思い上がるんじゃあねーぞッ!!
この世界はてめーらの思い通りに動くと思ってんじゃあねーぞッ!!
この世界がッ!!てめーらの作った『筋書き』通りに進むと思ってるのならッ!!

上条は『防壁』に『幻想殺し』を突き出しながら、走る
目の前の『大切なモノ』へと手を伸ばしながら、走る


そして、叫ぶ








「まずは、その幻想をぶち[ピーーー]!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>saga<>2011/11/08(火) 01:52:36.36 ID:CaGnZ8fto<> 「インデックス……じゃあない……
お前はインデックスじゃあない!!
てめえはただの『ロボット』にすぎねえんだよ!!
クソッタレのイギリス正教の『仕掛け』で作動する!
てめえはただの『ぬくもり』の無い『傀儡』だッ!!
『書庫』だと!?『保護』だと!?そんなものは俺には関係ねえんだ!!
どっかの魔術師がイギリス正教の書庫を根こそぎ持っていこうが!!
イギリス正教ごと書庫を滅ぼし尽くそうが俺には関係ねえさ!!
聞いてやがるかイギリス正教のお偉いさんよ!!
いいかッ!!俺はなッ!!そんなモノよりも大事なモノを知ってる!
いやッ!『大事にしなけりゃいけないモノ』を俺は知ってるんだよ!!
それが無ければ人は誰だって『ロボット』だ!
それが無ければ人は!人である事が出来ないんだッ!!
だがイギリス正教ッ!!てめーらはそれをインデックスから『奪い』やがった!
許さねえッ!!それだけは許しちゃいけないんだ!!
てめーだけの都合でッ!!他人の『心』を奪うような事をする奴こそッ!!
俺はそういう奴らこそ『悪』だと思っているッ!!
何が『正教』だッ!!何が正しいって言うんだよッ!!
てめーらの教えでは『他人』を『利益』のために犠牲にする事が『正しい』って言うのか!?
こんな罪も無い女の子をッ!!何も知らない友人達をッ!
騙しッ!惑わしッ!!傷つける事が『正しい』って言うのか!?
ふざけるんじゃあねーぞッ!!
思い上がるんじゃあねーぞッ!!
この世界はてめーらの思い通りに動くと思ってんじゃあねーぞッ!!
この世界がッ!!てめーらの作った『筋書き』通りに進むと思ってるのならッ!!」




上条は『防壁』に『幻想殺し』を突き出しながら、走る
目の前の『大切なモノ』へと手を伸ばしながら、走る




そして、叫ぶ








「まずは、その幻想をぶち殺す!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>saga<>2011/11/08(火) 01:53:12.84 ID:CaGnZ8fto<> 「インデックス……じゃあない………!
お前はインデックスじゃあない!!
てめえはただの『ロボット』にすぎねえんだよ!!
クソッタレのイギリス正教の『仕掛け』で作動する!
てめえはただの『ぬくもり』の無い『傀儡』だッ!!
『書庫』だと!?『保護』だと!?そんなものは俺には関係ねえんだ!!
どっかの魔術師がイギリス正教の書庫を根こそぎ持っていこうが!!
イギリス正教ごと書庫を滅ぼし尽くそうが俺には関係ねえさ!!
聞いてやがるかイギリス正教のお偉いさんよ!!
いいかッ!!俺はなッ!!そんなモノよりも大事なモノを知ってる!
いやッ!『大事にしなけりゃいけないモノ』を俺は知ってるんだよ!!
それが無ければ人は誰だって『ロボット』だ!
それが無ければ人は!人である事が出来ないんだッ!!
だがイギリス正教ッ!!てめーらはそれをインデックスから『奪い』やがった!
許さねえッ!!それだけは許しちゃいけないんだ!!
てめーだけの都合でッ!!他人の『心』を奪うような事をする奴こそッ!!
俺はそういう奴らこそ『悪』だと思っているッ!!
何が『正教』だッ!!何が正しいって言うんだよッ!!
てめーらの教えでは『他人』を『利益』のために犠牲にする事が『正しい』って言うのか!?
こんな罪も無い女の子をッ!!何も知らない友人達をッ!
騙しッ!惑わしッ!!傷つける事が『正しい』って言うのか!?
ふざけるんじゃあねーぞッ!!
思い上がるんじゃあねーぞッ!!
この世界はてめーらの思い通りに動くと思ってんじゃあねーぞッ!!
この世界がッ!!てめーらの作った『筋書き』通りに進むと思ってるのならッ!!」



上条は『防壁』に『幻想殺し』を突き出しながら、走る
目の前の『大切なモノ』へと手を伸ばしながら、走る



そして、叫ぶ






「まずは、その幻想をぶち殺す!」 <> 連投の上にトリ消えてた…
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:54:35.99 ID:CaGnZ8fto<> ベギリ、ベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリ

………呑気な例えで申し訳ないが、私には『ゆで卵』の殻を剥いでるようにしか見えなかった
一つ剥がせばつられて二つ
二つ剥がせばつられて四つという風に。
亀裂はどんどん剥がれていくのだった


唐突に、『ソレ』は口を開いた


「『竜王の殺息』の発動」


亀裂から『光の柱』が降り注いだ
上条は超人的と言ってもいいほどの速度で光の柱へ手を伸ばす
おそらくだが、彼の中の『生存本能』が奴の『幻想殺し』をプッシュしたのだろう
これで竜王の殺息は打ち消した
お次は何だとばかりに上条は右手を引こうとした時

既に『異変』が起きていた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:56:01.43 ID:CaGnZ8fto<> 「おいッ!魔術師ッ!何だこの魔術はッ!
どうしてッ!どうして俺の幻想殺しで消せないんだッ!?」

呆然としていたステイルは意識を取り戻し
上条当麻の問いに『叫び』と言っても良いような必死さで答えた

「そもそもだッ!そもそも、その術式は人の身で勝てるようなモノじゃあないッ!!
絶対的な対処法は無いんだよッ!!」

ステイルは懐からルーンを飛び立たせ、天井や床を埋め尽くした

「魔女狩りの王ッ!!」

魔女狩りの王は意思無き聖女から放たれる光の柱を身を張って防ぐ
光の柱の勢いを少し殺し、上条の体制を整わせるよう手助けした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:57:24.42 ID:CaGnZ8fto<> 「イノケンティウスでも竜王の殺息は打ち消せないッ!!
せいぜい威力を減らす事しか出来ないぞッ!!」

事実、イノケンティウスは光の柱に消し飛ばされそうになっていた
だが、執念としか言いようのない状態で粘れていたのだ

「ああクソッ!鬼が出るか蛇が出るかならまだ良かったッ!!
まさか、こんなとんでもないものが出るなんか聞いてないぞッ!!」

そんな苦しそうな台詞を吐きながらも
ステイル=マグヌスの表情は『笑顔』であった
口に咥えた煙草を食い千切らんばかりに噛み締め
『喜び』に打ち震えていたのだ

「感謝するよ上条当麻ッ!!僕に『可能性』をッ!!
彼女を『1%』でも救える『可能性』をくれた事にねッ!」

イノケンティウスが光の柱を押し返す
イノケンティウスの咆哮もまるで歓喜しているようだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 01:58:52.50 ID:CaGnZ8fto<> 心なしか、上条当麻は前進に成功しているようだった
押された分の距離を取り返し、ソレへと進んでゆく

だが、突然ソレは言った

「------------警告、第二二章第一説。
炎の魔術の術式を逆算に成功しました。
曲解した十字教の教義をルーンにより記述したものと判明。
対十字教の術式を組み込み中………第一式、第二式、第三式。
命名、『神よ、何故私を見捨てたのですか』、発動。」

光の柱の色がどんどん変わっていく
汚れなき『白』は血のような『紅』へ
猛きイノケンティウスの勢いもまた弱まっていった

ソレは続けて言う

「対象の減衰を確認、最優先対象の変更を開始
ステイル=マグヌス以外の、近辺の敵兵の戦闘力を検索……『一名』は十分な敵兵になり得ると確認。
戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。
現状、最も難度の高い敵兵『上条当麻』の破壊を最優先します」

ソレの宣言と共に上条の『前進』は止まる
光の柱の勢いは増し、上条当麻を留めていた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:00:24.88 ID:CaGnZ8fto<> だが、私の意識はそんなところにはなかったのだ
私の意識はソレの『言った言葉』に奪われる
ていた

…………『一名』……か……
ステイル=マグヌス以外の敵兵が……『一名』……
そして……その……一名は…『上条当麻』……なるほど……
つまり……この吉良吉影が……この場の戦闘力では……『最下位』……?

私の底にある、いつもは隠しているものが煮たつ
『それ』は私の中を駆け巡り、血液のように循環を始める
私自身も気づかない内に、私は『爪』を噛み始めていた

「私は………『一位』になってはいけない……
何故なら……目立つという事はとても愚かな事だからだ……
目立てば余計な敵を引きつけるかもしれないからな……
だが……!!『最下位』というのにもなってはいけない……!
何故なら…!!!『勘違い』したバカがつけあがり、私を『ナメる』かもしれないからな……!!」

プツン、音とともに私の中の『決定的な何か』が切れた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:01:37.27 ID:CaGnZ8fto<> 「ロボット如きが私を見下してんじゃあないぞ……!!
行けッ!!『シアー・ハート・アタック』ッ!!」

小さな戦車はギャオンと音を立てて
ソレの足元へ一直線!!……と思われたが

「(何故だ…?何故ソレの直前で『後退』を……?
ああ…!イノケンティウスの『温度』か……!
やはりそちらに引き寄せられるか……!!)」



【カチリ】


【ドッグォォォォォォーン!!!】


我ながらいつも思うのだが
この吉良吉影の行動に『間違い』は無い……!!
傍目から見れば攻撃に『失敗』しただけのように見えるかもしれない
だが、私は『成功』していたのだ
『SHA』の爆風により上条当麻に降りかかろうとしていた『羽』を、
光の柱による『副産物』である『羽』を巻き上げ、上条を救っていたのだ

……決して『結果オーライ』ではない
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:03:01.98 ID:CaGnZ8fto<> 「もう一発ッ!」

今度はSHAをソレの後ろへと放り投げる

「ナゲルモンジャアネーゼェェェェ……」

SHAはアパートの壁へめり込む、が、すぐさま帰ってこようとする

「ステイルッ!!ソレの背後に『火』を灯せッ!!」

ステイル=マグヌスは言われるままに火を出現させる

すると

「スタンドヅカイアライゼチクショォォォォ……!!!」

【カチリ】


【ドッグォォォォォォーン!!】

SHAはソレの『足元』での爆発に成功する
畳が爆風でめくれ上がり、ソレの足場は大きく傾く
足場を失ったソレは後ろへ倒れこみ、上条を狙う光の柱は
『空の彼方』に狙いを大きく外してしまった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:04:43.27 ID:CaGnZ8fto<> その時である





【これは『試練』だ】

【君は、乗り越えねばならない】

【いや、乗り越えるだろう】

【たとえ、自らが『滅ぼう』とも】

【君が、君でなくなろうとも】



『既視感のある言葉』が私の思考を埋め尽くす
ああ、これは帰路で見た夢か
だが、何故、今思い出すのだ?

『試練』?
『私が乗り越える』?
『自らが滅ぶ』?
『私が、私でなくなる』?

どういう事だ?
これはまるで『占い』……
いや、もっと確実な……そう、『予言』…?
馬鹿な、これが予言だと?
自分が滅ぶと分かって乗り越える試練など




この吉良吉影には <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:05:52.10 ID:CaGnZ8fto<>


















「ただいまですー!」




<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:06:32.03 ID:CaGnZ8fto<>





まさか








「吉良ちゃーん!さっきはごめんなさいでしたー!」





<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:06:59.60 ID:CaGnZ8fto<>






ふざけるな








「代わりと言ってはなんですが
おいしーいお肉をいっぱい買ってきたのですよー!」


<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/11/08(火) 02:07:48.95 ID:CaGnZ8fto<>











どうして













「神裂ちゃんが買い物手伝ってくれたのですよー!
さあ、みんなでいただきましょー!!」

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:08:16.56 ID:CaGnZ8fto<>









小萌先生の頭上には『一枚の羽』が漂う











私は、止められなかった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:08:44.94 ID:CaGnZ8fto<>


















「………吉良……ちゃん……?」





<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:09:30.20 ID:CaGnZ8fto<>



















『私自身』を
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:11:04.58 ID:CaGnZ8fto<> 『羽』は、小萌先生に覆いかぶさる様にかばった私に頭へ舞い降り
承太郎の『スタープラチナ』の一撃の如く揺らした
指、手、腕、肩、上半身、全身に至る全ての力を失い
彼女の上へと倒れかかる




まるで人が人に「愛を伝える』為に抱きしめる様に



羽が何十枚と私の背中に降る <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:13:01.63 ID:CaGnZ8fto<>


不思議だな




小萌先生がこんなに近くにいるなら
この人を守れたのなら、私は死んでいいとさえ思えてしまうよ




ま、ついでに上条当麻も助けておいてやるか
キラークイーン………奴に降りかかる…羽を……払え…
この羽を味わうのは……私だけで……



あいつは……上条は……傷つけるワケに…は……いかない……
何と言っても……奴は……私の……『生徒』…だからな……


この夜。


自分で言うのはなかなか滑稽ではあるが


私は『死んだようだ』
.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:14:04.40 ID:8wIVLH4Jo<> 俺こと上条当麻は『333号室』の前で立ち往生していた

ここ、333号室には『吉良先生』が入院している

『あの一戦』の後、救急車で運ばれてから俺は吉良先生に会っていない
そして、面会許可が出た今日、小萌先生と一緒に病院まで来たのである
ステイルによれば、吉良先生が『何か』してくれなかったら
このわたくしめも病院送りだったとのこと
ま、何をしてくれたのはわからないけどな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:16:58.28 ID:CaGnZ8fto<> さて、『身元保証人』ということで小萌先生が先に入っていったのですが
もう既に『三十分』は経ったワケであります


………クックック……


こんだけ待ったんだからァ〜
『ドアの鍵穴』に目を近づけて中を覗くのはいけないコトでせうかァ〜ッ!?
いやー!遅い!遅いなァーッ!!
ハッ!?もしかして!中で原因不明の『能力』で二人が倒れてるとか!?(カエル顏の医者もいますが)
しょうがないなァーッ!能力ならこの上条さんの出番ですよォーッ!!
もし、中で『イチャコラ』してても『対応しだい』じゃ黙って差し上げますしーッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:17:55.93 ID:CaGnZ8fto<> ガチャリ!と景気の良い音と共にドアを開くと



中にいたのは



【泣き崩れる小萌先生】


【焦った顔で電話をするカエル顏の医者】

【空っぽのベッド】


ただのそれだけだった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:18:59.82 ID:CaGnZ8fto<> 「小萌先生ッ!吉良先生はッ!?」

ちょうど電話を終えたカエル顏の医者が代わりに答えた

「もう、彼女には事情を話したんだよ?
君にも説明がしたいから部屋に来てくれるね?」


小萌先生は看護師に休憩所の様なところに連れていかれ
俺はカエル顏の医者の部屋へと連れていかれた

部屋に通されると医者に飲み物はいるかと聞かれたが
正直、俺の頭はそれどころではなかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:19:59.17 ID:CaGnZ8fto<> 「吉良先生が脱走ってどういうコトです!?」

「それより、君には話さないといけないコトがあるんだよ?
正直、君には辛いかもしれないが聞くかな?」

そんなこと、決まっている

「大丈夫です、聞かせてください」

そうか、と医者は冷めたコーヒーを啜りながら
自分の机の上で綺麗に整頓された『棚』を漁る

やがて、彼は一枚の『紙』を取り出して俺に渡した

「読んでみるんだね?」

紙は『問診票』というのだろうか?
医者と患者の会話が綴られているものであった

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:20:56.04 ID:CaGnZ8fto<> 患者No.333
患者名【吉良吉影】
性別:男
病名:???(脳に重大な損傷あり)

問診者名【プライバシー保護の為、記載せず】

病院に搬送され、2日後に意識を取り戻す
本誌のやり取りは意識を取り戻した次の日に記録したものである
なお、記録は音声から機械が自動記録したものである

Q.ご気分は?

A.最高です

Q.それは良かった、ご飯は食べられましたか?

A.ええ

Q.ちなみに大好物とかあったりしますか?

A.はい?(小首をかしげた)

Q.好きな食べ物のことですよ

A.すみません、わかりません

Q.分からない?貴方自身のことですよ?

A.ですから、自分の好きなものなど覚えておりません(冗談の様子は無し)

Q.……貴方、ご自身の名前は分かります?

A.吉良吉影(即答)

Q.では、質問を変えます
貴方の出身地はどこです?

A.M県S市杜王町

Q.そこであった一番楽しかった記憶はなんですか?

A.……………

Q.どうしたんです?

A.………思い出せない

Q.では、何でも良いので思いでを教えてください

A.………思い出せない

Q.全く?

A.………

Q.吉良さん、貴方はエピソード記憶が(患者に遮られる)

A.そんなことより……『貴女』……
いや……貴女の『手』……綺麗ですね………

Q.は、はあ。ありがとうございます

A.うーむ………でも…問題が残るなあ……

Q.問題?何がです?

A.手『以外』をどうするかということですよ

Q.は?な、何を言っているんです?

A.どうにかして……『消せ』ればなぁ……

Q.消ッ……な、何を言うんです!?

A.『こうやって』撫でるだけで『消しとべば』なあ……

以上がやりとりの全容である
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:23:15.76 ID:CaGnZ8fto<>
.....
....
...
..
.

「さて」

医者はこれまたカエルのような指を二本突き出す

「その一、患者は『頭部への一撃』で『記憶喪失』になってしまった
その二、患者が撫でた医者、彼女の『手の無い遺体』が今朝に発見された」

カエル顏の医者は問いかけてきた

「聞かせてくれ、彼は一体『何』だ?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/08(火) 02:25:58.66 ID:CaGnZ8fto<> 以上

次回から【Too Much Love Will Kill You(愛ゆえに)】編の始まり始まり

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関東・甲信越)<>sage<>2011/11/08(火) 02:35:22.02 ID:3JhxsAzAO<> 乙!
吉良先生マジ人生ハードモード <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(東京都)<>sage<>2011/11/08(火) 03:02:29.19 ID:zzOvjowjo<> 発見して一気にここまで読んでしまった
今回最終回?と思ったらまだ続きが。やったね!
しかしこれまでを無に還すようなことにならなければいいが……

なにはともあれ乙乙乙の三重乙だ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(愛媛県)<>sage<>2011/11/08(火) 10:17:51.33 ID:ReLfloJuo<> 小萌先生の優しさが裏目に
吉良はどうなるのだろう、楽しみだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西地方)<>sage<>2011/11/08(火) 12:59:05.17 ID:2KsOqSQi0<> 殺人鬼にもどっちゃった。なんてこったい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区)<>sage<>2011/11/08(火) 14:21:09.69 ID:KhwzaJFPo<> 『小萌先生の保護』を頼まれたのに先に小萌先生を行かせた神裂
このビチグソがァ〜〜〜〜〜っ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)<>sage<>2011/11/08(火) 14:21:43.95 ID:KhwzaJFPo<> 『小萌先生の保護』を頼まれたのに先に小萌先生を行かせた神裂
このビチグソがァ〜〜〜〜〜っ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(千葉県)<>sage<>2011/11/08(火) 14:28:13.15 ID:2zAhJAXwo<> おつ
腕はまだ千切って投げたままなのかな。次で分かるか。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/08(火) 16:02:50.30 ID:jsCv1Tpto<> とりあえず神裂の処罰を決めようか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/08(火) 16:11:14.44 ID:9ZFSkzIfo<> ここで殺人鬼に戻るとか完全に俺得
続きが楽しみでしかたない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/08(火) 16:33:04.36 ID:eD5gnKzsP<> 乙
人殺しやっちまったか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2011/11/08(火) 17:53:04.46 ID:QgmvS62S0<> >>1乙!
吉良さん本性キター <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(関西・北陸)<>sage<>2011/11/08(火) 22:49:31.32 ID:+ql1ItcAO<> やっべwwwwww面白すぎワロタwwwwwwwwwwww
とりあえず>>1乙!!!
続き楽しみにしてます!!!!!!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)<>sage<>2011/11/09(水) 01:22:00.62 ID:jI22l+cR0<> 神裂が悪いんじゃあない………人は『運命の奴隷』だ…
吉良はこうなる『運命』だったんだ……記憶を無くそうと、正義の心に目覚めかけようと…
いずれ殺人鬼の本性が芽を出してただろう……
過去は…バラバラにしても石の下から『ミミズ』のように這い出してくる…
逃れることは出来ない……特にそれがとてつもない『悪党』だったなら…
決して真実の平穏にたどり着くことは許されなかったはずだ…

でも、ねーちんと小萌てんてーすれ違ったのか連れ立って戻ってきたのかははっきりさせてね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(チベット自治区)<>sage<>2011/11/09(水) 01:23:28.43 ID:jI22l+cR0<> って『連れ立って』なのは書いてあるじゃねーかごめんなさい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(三重県)<>sage<>2011/11/09(水) 18:51:11.36 ID:arAsM+Vqo<> ねーちんド低脳過ぎワロタ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/09(水) 19:03:10.75 ID:W1Y6x/Jvo<> 連れ立ってる癖に聖人の癖に助けられないド低脳さん… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/10(木) 20:10:08.92 ID:3wqQ3MDIO<> ねーちん…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋)<>sage<>2011/11/11(金) 10:22:55.46 ID:Eh6FVsmj0<> >>606-608
うっせえんだよド素人どもがッッ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
(愛知県)<>sage<>2011/11/11(金) 10:35:45.57 ID:q63uXrcko<> 言い淀むといの一番に罵るクセDQNみたいなんでなんとかしてください(笑) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/11/13(日) 12:02:27.92 ID:RUA3bL6wo<> 数多のとある二次SSを見てきたがここまで糞の役にも立たない神裂さんは初めてだ・・・
もうおっぱい以外いいとこないですね^q^ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海・関東)<>sage<>2011/11/13(日) 22:44:05.36 ID:Rsq+7YcAO<> おっぱい意外役立たずか……ねーちんの搾乳なら見たいかも <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 01:35:51.33 ID:dsy6GErwo<> たぶん、今日の21:00に投下出来る <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)<>sage<>2011/11/17(木) 02:16:05.72 ID:gkbXBd+L0<> えっ、搾乳が!?やだ、超期待しちゃう <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:22:40.81 ID:dsy6GErwo<> 遅れた…投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:23:45.94 ID:dsy6GErwo<> あれは『アルタイル』
そして、あれが『ベガ』

もう一つの『星』は何と言ったか……
後、一つさえ分かれば『夏の大三角』の出来上がりなんだがなあ……

ドスン

空を見上げながら歩を進める私に『誰か』がぶつかる

「いってえなクソ親父ッ!!前見て歩きやがれこの野郎ッ!!」

クソ親父……?親父とは確か……『初老の男性』を指すのだったな……
ならあのチンピラが言ったクソ親父とは私じゃあない

なら、なんの問題もないな
さて………あの星は何と言ったかな……
もどかしい……ここまで出てるんだがなあ……

私の背中にチンピラの『怒声』が飛ぶ

<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/11/17(木) 23:25:08.90 ID:dsy6GErwo<> 「ぶつかっといて挨拶も無しかあぁーん!?」

振り向いた私の胸ぐらをチンピラが掴む
やめてほしいな、このスーツは結構気に入ってるんだ
ま、『私のスーツ』かは『知らん』がね

掴んだ奴を見るとなるほど、これはまた頭が悪そうな顔をしている
頭が悪いからこいつは『チンピラ』なのか?
それとも、チンピラだから『頭が悪い』のか?
ううむ、気になるところだ

「おいオッサン、肋骨折れちまったよ?
金出しな金、今なら『五万』で手ぇ打ってやっからよォ!!」

路地裏にチンピラの声が響きわたる
そんなに大声を出さずとも聴こえるんだがな

私は殆ど無意味とは分かっていたがチンピラに話しかけた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:26:42.24 ID:dsy6GErwo<>
「困ったな、私は『星』を見ていただけなんだがね」

チンピラがはぁ?とこれまたアホの様な声を出すと、私の顔に奴の『呼気』が直撃した
……こいつはもう少し『歯』を磨いた方がいいな……

「ところでだ、君は夏の大三角知ってるかい?
どうも、星の名前が出てこなくてね
アルタイル、ベガ、後もう一つなんだが」

彼に質問をすると同時、いや、それよりも早かったかもしれない
突如、視界が揺れ、頬が熱を持ち始める



どうやら、私は殴られたようだ

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:27:44.70 ID:dsy6GErwo<> 「ふざけてんじゃあねえぞ、一回痛い目見るか!?」

もう既に『痛い目』を見させてくれたじゃあないか?
これが『痛い目』に『換算』されないなら
どうやら、『痛い目』にあうというのはとてつもなく恐ろしいのだろうな

「…………手を……『打つ』……か……」

「ああ?」

「いや、『手を打つ』とさっき君が言っただろう?
手を打つというのは『妥協』みたいなモノじゃあないか?
そんなコトの例えに『手』が使われては
『手』自身も結構辛いと思うんだが、どう思うね?」

「ワケわかんねえ事ほざきやがって……!!
本気で痛い目見たいようだな……!」

チンピラの目が血走る

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:32:07.07 ID:dsy6GErwo<> 「おっと、今の『どう思うね?』は『君』に言ったんじゃあないんだよチンピラ君
私は『本人』に聞いたつもりだったんだ、まぎわらしかったのなら謝るさ」

「イかれてやがんのか………?
クスリでもキメてやがんのかクソ親父がァァァァァ!!!」

分かってないなこのバカは

私は『妥協』のほぼ同義語に使われて辛くないかと『本人』に聞いたと言ったのだぞ?
それなのに、どうしてこの『ドチンピラ』は私に殴りかかってくるのだ?
お前がいつから私の『彼女』になったというのだ?
こいつはもう少し『落ち着き』というモノを覚えた方がいいな

「うっげぇ!?」

またバカみたいな声をあげるなこいつは
そんな『キャッチャーフライ』みたいな『パンチ』を
この『吉良吉影』が受け止められないと思ったか?

「へえ……君はなかなかお洒落な『指輪』をしているじゃあないか」

奴の振るった右拳に付いていた『指輪』を
私は受け止めた手の指で『弄ぶ』
『髑髏』か………ま、趣味は良いんじゃあないか <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:33:10.14 ID:dsy6GErwo<> 「触ってんじゃあねえェェェェ!!ぶっ[ピーーー]ぞォォォォ!!」

私の手を振り払い、チンピラは私から距離をとる
おいおい、さっきまでの威勢はどうした?
威勢が良いのは声だけか?

私の中でチンピラに対する興味が一気に失われる
いつまでたっても『能力』の一つも出しやしない
いわゆる『落ちこぼれ』という奴か?
せっかく『対能力者用戦闘』の練習でもしようかと思ったのだが



もう、いいか



「残念だよチンピラ君
もう、時間なんだ、すまないね」


【ポチリ】


「それでは、おやすみなさい」

私の『声』と共に、チンピラ君は私の目の前から『消失』した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:34:15.01 ID:dsy6GErwo<> 「しまったな……
あの指輪は『爆弾』にせず貰っておけば良かったな……」

ま、今の私には『彼女』がいるからいいがね

「今夜はどこへ行こうか?ン?
そうだ、さっき私が『質問した件』だが
『どういう気分』がするか『教えて』くれないかな?」

私の『彼女』は答えない
それも『当然』だ
私の彼女とは『病院のナース』の『手首』なのだからな
.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:35:17.51 ID:dsy6GErwo<> 私、吉良吉影は『記憶喪失者』だ
まあ、その事は目覚めた『病院』で聞いたのだがね
どうしてこんな所にいるかも分からない
どうして私はスーツを着ているのかさえ分からない

だが、こんな私にも分かるコトは少しある

【私は、平穏に暮らしたい】
【私は、手をこよなく愛している】

この二点はハッキリと自覚できるのだ

それにしても病院では『興奮』したなあ……
まさかあんな所で『こんな美人』に出会えるとはね
あれこそ『運命』って奴なのだろうか?

だが、反省するべき点があるのも事実だ
もうすこしやり方ってモノが有っただろうと自分を責めたくなるよ

・『ナースの残りカス』の処理
・証拠になりうるモノの滅却

他にもあげればキリがないので割愛するが、これだけは『処理』すべきだった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:36:27.85 ID:dsy6GErwo<> あの時の私はどうかしていた………
あんなに見境が無くなるとは……
『記憶を失う前の私』は余程『溜まって』いたようだ……

だが、過ぎた事を悔やんでもしょうがない
問題はこれからなのだ
私の『本名』を病院は知っている
つまり、通報されれば『逮捕』は容易という事である
顔は……撮られた覚えは無いが『記憶』されているだろうな……

今の私に必要なモノは『二つ』だ
それは『住居』と『経験』の他ならない <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2011/11/17(木) 23:37:49.02 ID:dsy6GErwo<> 住居は言わずもがなだろう
住まいを借りるには『名義』が必要なのだ
だが、こうなってしまった今、私の名義は使えない
そしてこの街のセキュリティは『完璧』だ
私が他人の名義を奪っても無駄な事だろう
即ち、『アカウント即凍結』になるだろうという事だ

そして、最後に『経験』だが
経験は『今の私』には特に必要だろう

この街には『能力者』という存在が多々ある
つまり、この街で生きていく以上は『能力』の対処を学ばねばならない

幸運な事に(何故だか分からんが)私は『能力』の使用法や条件を知っている
『AIM拡散力場』や『自分だけの現実』などの関係だって『理解』している
また、『風紀委員』や『警備員』の対応なども熟知しているのだ

何故かは分からん
推測だが、おそらく『以前の私』は何か……

そう、『教師』のような立場だったんじゃあないのだろうか?
残念ながら確かめる術は無いがね
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:39:00.55 ID:dsy6GErwo<> 結局のところ、私には『知識』は十分にある
だが、問題は先に上げたように『経験』が無いのだ

こうすればいいという事はわかるが動けない
どうやって動けばいいとわかるのに動けない
『脳』は働けど、『身体』が動いてくれないのだ

だったら『慣れ』ざるを得ないだろう
だったら『馴染まねば』ならないだろう
だったら『体験』しなければならないだろう

私は平穏に生きてみせる
その為なら私は何だってしてみせるぞ

そう決意した時だった

「君……今の『少年』はどうやって『消した』?」

不意な方向からの声に私は驚きを隠せなかった

見られていたのか……『全て』……!?
クソ……ここはすっとぼけるか……? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:40:04.15 ID:dsy6GErwo<> 「いやいや……『良いモノ』を見せてもらったよ……」

声が……『ほくそ笑んでいる』ようなトーンだぞ……


………マズイな………『消す』か……?


人が消える事を『良いモノを見た』だと?
アレを良いモノと捉える奴は二種類だ
『狂人』か『脅迫目当てのゲス』
恐らく奴は……『後者』だろうな……


そう思っていただけに、私は次の『声』を信じられなかった


「どうだ?君、『ウチ』で働いてみないか?」

世界が、止まった

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:40:55.91 ID:dsy6GErwo<> 【ピィィィ〜〜ンポォォォォォ〜〜ン】

俺は間延びしたチャイムの音で目覚めた
おのれ……この上条当麻の睡眠を奪った罪は重いぞ……
これがただの新聞屋だったりすればもう……!!

くぁぁと欠伸を一つする
新鮮な酸素が全身に巡って眠気を排除にかかってくれた
伸びをすると全身がポキポキと音を立てる


ああ、それにしても


本当に『昨日』は大変だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:42:11.19 ID:dsy6GErwo<> 結局、吉良先生の行方は『不明』
彼の『IDカード』は『謎の衝撃』(多分、あの羽だろう)で故障
『身分証明書』や本人を『証明』するモノは吉良先生の『ポケットの中』だろう

俺たちの元に残った吉良先生の『跡』は何一つ残ってはいなかった
強いて言うならば、あの人が『残していったモノ』が有るとするならば
それは小萌先生の心の中にある『哀しみ』ぐらいなものだろうな

悔しいが、俺じゃあ吉良先生の跡を『埋める』事はできない
俺に出来る事といえば、泣きじゃくる小萌先生の背中に手を回す事ぐらいだった

俺は小萌先生一人では不安だったので
先生のアパートに小萌先生と一緒に帰ったが
当然、暮らせるような状態じゃあない
部屋を一言で表すなら『穴、穴、穴』
後で小萌先生に聞いたのだが、アパートの管理人さんの『口』も『穴』のようになっていたらしい

『ブルーシート』でとりあえずの補強が終わった後
俺は先生に『提案』をした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:43:34.11 ID:dsy6GErwo<> 「小萌先生、一緒に俺のウチに住むってのはどうかな?」

瞬間、インデックスが俺の『後頭部』に齧りついた

「ふぁふぁ、ふぉうふぁふぁふぉーふぃふふぉふぉぉぉぉーーっ!!
(また、とうまはそーいう事をぉぉぉぉーーっ!)」

ガジガジと俺の後頭部に齧りつく暴君、インデックス公を振りほどこうと
『ヘッドバンキング』を試みる私めの頭に歯が食い込む………
あゝ、思い出すだけで………
正直、『ヘヴン』がこの眼前に……な寸前まで行ったぞ…

ま、小萌先生が『笑って』くれたから良いんだけどな

結局、『えっちな事をしたら承知しないのですよー』という
小萌先生による恥ずかしそうに『爆弾発言』という荒技の末
小萌先生は今、インデックスと一緒に『俺のベッド』で寝ているワケである
……ちなみに『家主』の俺は『風呂』で寝たのですがね……ええ、気にしてませんとも……

【ピィィィ〜〜ンポォォォォォ〜〜ン】

おおっと、忘れてたな

変な『寝癖』が付いていないか確認しながらドアを開ける


ドアの前にいたのは


「……………」


無言で立ちすくむ『神裂』だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:44:50.14 ID:dsy6GErwo<> 「よお!……えーと…確か神裂だったよな?
こんな朝っぱらからどうしたんだ?」

神裂は俺を見つめ、言った

「メッセージが有ります」

「メッセージ?誰からだ?」

「読み上げます」

おいおい……『会話』になってねえじゃあねえか……



「『吉良吉影』に気をつける事だ」




は?今、神裂は何と言ったんだ?
吉良吉影に気をつけろ?
馬鹿な、気をつけるどころか俺は先生の『居場所』すら知らないのに……

そんな事を考えていただけに
俺は神裂の次の言葉が信じられなかった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:46:17.77 ID:dsy6GErwo<>




















「奴は、『殺人鬼』だ」


<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:47:06.90 ID:dsy6GErwo<> ……………ハァ?
この『痴女』ファッションの魔術師さんは
朝っぱらから何を言ってるんでせう?
吉良先生が、殺人鬼?
そんなコト、インデックスが『絶食』するぐらい有り得ない

「そして、『コレ』を君にあげよう
『上手く』使いたまえ、私からのプレゼントだ」

まるで『男』のような口調の神裂は『何か』を俺に差し出す

「これは……?」

手渡されたのは『DISC』だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:48:04.90 ID:dsy6GErwo<> 「お、おい神裂、これって何だよ?」

「なお、この『メッセンジャー』は『自動的』に……」

こいつ……やはり『おかしい』……?
さっきから……なんというか……『虚ろ』というか……

「おい、俺だって良い加減に怒るぞ……
無視ばっかしてんじゃあ………」

刹那、俺は『気づく』
我ながら何故気づけたのかは分からないが、ともかく気づいたのだ

「神裂………!?お前………!!」

信じられなかったが、事実
信じたくなかったが、事実

「『身体』が………『沸騰』してるぞッ!!」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:49:10.00 ID:dsy6GErwo<> 神裂の『肉』が、『骨』が、『血管』が
神裂が神裂であるための『全て』が『ボコボコ』と『煮たち』始めていた

「自動的に……『爆発』し、し、シシシシシシシシシシシシシシシシシシシシシシシシ」

この時、俺の中の『直感』とも言うべき『感覚』は

「うおおおおおおおおおおおッ!!」

神裂の『頭』へと『右腕』を伸ばさせた

「しシししししシシシシシシ死死死死死死死死……」

俺が神裂の『頭部』へ触れた瞬間

【パァン】

俺の身体に『赤いナニカ』が飛び、滴る
俺の学生服に『ソレ』がデロリとくっつく事を見届けた後
俺の意識は、消えた

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:50:44.75 ID:dsy6GErwo<> 「………残念だが……」

俺は……気絶していたのか……?

薄く開いた目の先でステイルが残念そうな顔で首を振るのが見えた

「ウソ……ウソなんだよ……」

インデックスも又、フルフルと首を振る
その声は、とても、か細かった

「シスターちゃん……世の中にはどうしようもない事だって……」

この声は……小萌…先生……?
一体……何の話を……
っていうか……俺は何で…『気絶』……





赤、赤
赤、赤、赤
赤、赤、赤、赤
赤、赤、赤、赤、赤
赤、赤、赤、赤、赤、赤
赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤
赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤





「ウアアアアアアアアアアアアッ!!」


叫び声をあげながら、俺はかけられていた布団を跳ね除ける
目覚めにはキツすぎる『フラッシュバック』だった
自らの服は…やはり……『赤』が乾き切っていない……
ステイル、小萌先生、インデックスがこちらへ『視線』を向けるが気にしていられない











【自動的に……『爆発』……】 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:52:11.89 ID:dsy6GErwo<> 再び、フラッシュバック
やめてくれ、もう俺にあの光景を見せないでくれ

馬鹿な、嘘だろ?
インデックスの問題がやっと解決したばっかりじゃねえか……
今までの事を謝るんじゃあなかったのか……?
何だよ……何だよコレは……
なんで……『ぶっ壊れてんだよ』……
まだ、まだインデックスに『思いで』を作ってやってねえじゃあねえか……!!

「何でだよォォォォォォォォ!!」

「落ち着けッ!!上条当麻!
君がいくら『悔し』がった所でもう『無駄』なんだよ!」

どうしてこいつはこんなに簡単に『割り切れる』んだ?
『仲間』じゃあなかったのか……?
インデックスを救おうとしてきた『仲間』じゃあなかったのかよ…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:53:26.96 ID:dsy6GErwo<> 「とーま……!叫んだ所で『還って』来ないんだよ……!
こればっかりは『神様の奇跡』でだって……!!」

お前までもか……?インデックス……
お前までそんな『無慈悲』な事が吐けるのか……
お前までそんな簡単に『割り切る』のか……?

「上条ちゃん……失われた『モノ』はどうやったって『還らない』のですよ……
でも……先生は嬉しいです……
私の可愛い生徒が、そういう『精神』を持てる事が……」

先生まで……やめてくれ……
俺は……俺は……!!
俺の眼前で……神裂は……
確かに……『生きていたんだ』……!
でも……俺は…!『救え』なかった………!!

『想い』が俺の中で溢れる
色んな感情がごちゃ混ぜになって、整理しようとして
でも結局整理する事が出来なくて <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:55:11.32 ID:dsy6GErwo<> 「うあああああああああ!!!」

俺には、ただ叫ぶ事しか出来なかった

ステイルが俺の肩を掴む

「落ち着けッ!!上条当麻!君は一体……!?」

「うるせえッ!!お前は何も感じないのかッ!?
神裂は大事な『仲間』だろッ!!」

涙が頬を伝う
だが、構っていられるか

「神裂は……!!神裂は……!!」

涙で視界が歪む
部屋の中がまるで『洪水』みたいだ
心配そうに俺を見つめる人、人、人、人…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:57:01.02 ID:dsy6GErwo<> ん?


人、人、人、人……




おかしいな?




人、人、人………『人』?



涙を袖で拭う



えーと……左から……



ステイル、インデックス、小萌先生……





『神裂』ッ!? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/17(木) 23:58:48.00 ID:dsy6GErwo<> 「神裂ッ!?無事だったのか!?」

「へ?私は別に『怪我一つ』負っては……」

待て待て待て!落ち着けッ!考えを整理するだァーッ!!
んーと……確かに神裂に目立った外傷は……ない……?
でも……神裂は『自爆』するとか言って……
それで………俺が頭を触った瞬間に…俺の服に……

「そうだッ!じゃあ俺の服に付いてる『液体』は何だよッ!?」

「それは、僕が持ってきた『ワイン』さ」

ステイルは相変わらずの『気取り顏』で俺にそう答えた

「不本意だが、君に少しはお礼をしないといけないと思ったからね
確か、日本での『飲酒』は『十歳』からOKだったろう?」

そんな『ベタ』な事があるかァーッ!?
そんなタイミング良く話が進んでたまるかァーッ!!
それに飲酒は二十歳からだこの不良神父ッ!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:00:07.00 ID:x2peo09+o<> 「じゃあ!じゃあ、さっきインデックスが言ってたのって……?」

「ああ、ワインだけじゃあ味気ないと思って
色々、果物とかも持ってきたんだがね
君の住んでいる『階』まで来た時に、君たちの方から『何か』が飛んできたんだよ
それが『僕』の手に当たって『詰め合わせのカゴ』ごと、はたき落とされたってワケさ」

………じゃあ……………さっきまでの俺って………
ただの…………………

「『ド低脳』なんだよ!」

やかましいぞ暴食シスタァァァァーッ!!
勝手に俺の言葉を継ぐなァァァァーッ!!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:01:47.67 ID:x2peo09+o<> 「……でも…神裂が生きてて良かったよ……」

俺は神裂の手を握り瞳を覗く
神裂は『何故か』頬を赤くし、モゴモゴと何かを呟く

握りしめた神裂の手は『暖かかった』

それが実感できただけで……俺は……

「うう……うおおおおォォォッ!!神裂ィィィィィィィィィ!!」

「か、かかか上条当麻ッ!?
いきなりっ……!抱きしめ………!」

「心配したんだぞ神裂ィィ〜〜!!
お前が……『お前がいなくなったら』俺は…もう……!!」

お前がいなくなったら俺はもう、ステイルとの『潤滑油』が見つからないんだよ……!!
あの『カタブツ』と「一体一』ってのは気まずすぎるし……!!

「ま、まって、まってください…!
いきなり…そんな……わたしにだって…こっ、心の…」


良かった……本当に………

ん?

何か……俺の……背後から……

ゾゾゾゾゾと俺の背中を『何か』が這い上が……って…?

俺はホラー映画の主人公がドアを開けるように
ゆっくりと首を後ろに回す <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:03:12.70 ID:x2peo09+o<> 「かーみじょうちゃァ〜〜ん?」
「と〜〜うまァ〜〜ン?」

そこには『阿修羅』が『一対』そびえていた

あれ?これ?え?
この上条当麻めはただ……『感動』…していた……だけ…で……

『阿修羅's』の『気迫』は俺の『ツンツン頭』を『ヘナヘナ』に
一瞬で俺の学生服は『冷や汗』でグショグショになってしまっているわけで……


「「ちょっと、お話しましょうか(するんだよ)」」


あ、これは死んだ

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:04:23.06 ID:x2peo09+o<> 『お話』は『拷問』へと変わっていた
『内容』は筆舌に尽くし難いというか……『オラオラWRY』というか……

まあ、凄かった

見ていたステイルも流石の『アレ』にはビビっていたようで

「あ、あの……小萌……『様』?」

「小萌『先生』でいいのですよステイルちゃーん♪」

「え、えーと……僕ももう『十代』なんで……
さすがに…その……『ちゃん付け』は……」

「えー?ダメなのですかー?」

「いえ」

という風になってしまっていた

ちなみに私、上条当麻は『お話』の内容は『途中』からは知りません
いや、お前が『お話』されたんじゃあないかと自分でも思うのですが
『脳』が記憶する事をやめるほどの『内容』だったとステイルに教えてもらいましたのです、ハイ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:05:45.19 ID:x2peo09+o<> 「じゃあ……小萌先生……
あのー…『上条君』も……『勘違い』してたようなんで……
その……もう許してあげては……?」

……ステイルが…俺の事を『君』付け……?
……あいつもなかなか『錯乱』してるようだな……

「むー、まあステイルちゃんがそーいうんなら許してあげしょう!
もう、上条ちゃんはあんな『猥褻行為』しちゃあ……」

小萌先生は『某機械超人』の如き微笑みを浮かべる

「分かってます!分かりました!分からせられました!!」

「なら……シスターちゃんも許してあげるのです!いいですよね!?」

「はーいなんだよ!」

……いつからこのコンビはこんなに仲良くなったんだ……?
こいつら……将来的に俺のウチを乗っ取るんじゃあないか……?

「神裂ちゃんもいいですよね?」

ベッドの上で毛布を頭から被った神裂の方を見やって
小萌先生は『天使』のような微笑みを向けた

「うぅ………まあ……今回だけは……チョットウレシカッタデスシ」

ん?何か最後に『呟いてた』気がするが気のせいか? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:06:54.69 ID:x2peo09+o<> 「そ、そうだ!小萌先生!インデックス!
ワインが割れちゃったから新しいのを買ってきてくれないか!?」

ステイルが若干上ずった声で阿修羅'sに買い物を頼む

「せっかくだから今日はみんなで『ご飯』でも食べようじゃあないか!
ついでに、その食材も買ってきてくれ!!………たら……嬉しいです……」

ステイル……やっぱりさっきの『恐怖』は拭えないか……

ステイルが急に『敬語』になった事も気にせずに
阿修羅'sは『買い出し』へと出て行った <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:07:58.20 ID:x2peo09+o<>
「………行ったか……」

「みたいだな………」

「上条当麻……君のこれからの生活に幸ある事を祈ってるよ……」

「………急にお前が神父らしく見えてきたよ……」

さてと、とステイルは気を取り直し真剣な顔になる

「上条当麻、さっきの話だが」

「さっきの話?」

「ああ、何かが飛んできて僕の手に当たったって話だよ」

「それがどうかしたのか?」

「すまない、あれは『嘘』だ」

「嘘!?おいコラ神父!『汝、嘘をつくんじゃあない』って『聖書』にあっただろ!」

「『嘘も方便』って知ってるかい?」

「うわ、サラッと神の教えを流しやがったぞこの悪徳神父」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:11:13.03 ID:x2peo09+o<> 「まあ、そんな事はどうだっていいんだよ
それでだ、実は僕はあの時『ワイン』など持ってきてはいなかったんだよ」

ワインを……持って来なかった……?
じゃあ……じゃあ、俺の服に付いた『液体』は……?

「察する事ができたかい?そう、それは正真正銘『血液』さ」

血………液………?
やっぱり……俺の身体が浴びたのは……血液だったのか……
でも……その血液の……『持ち主』は……?

「その血液の持ち主の事を考えているのかい?
安心したまえ、そこらへんを飛んでいた哀れな『カラス』だからね
ま、君が鳥類愛好家ってんならお悔やみ申し上げるが」

「待てよ……何でカラスの血なんか……」

「『DISC』だよ、神裂に入っていたDISCの中の命令にそうあったんだ
それで君が彼女の頭を触ってDISCを『強制排出』
たまたま通りかかった可哀想なカラスは『流れDISC』に当たったというワケさ」

「待てよ……一体誰がそんなモノを神裂に……?」

「ああ、それが『本題』なんだ
神裂、君から話すかい?」

うつむいていた神裂はコクリと頷き
俺に全てを話し始めた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:13:11.72 ID:x2peo09+o<> 「……恥ずかしい話ですが………
私は……『油断』していたのです……
そう…小萌先生と買い物に行った時の事です……
私は……あの子が……インデックスが………」

神裂はヒックヒックとしゃくりあげはじめる

「インデックスが……また、昔のようになると……
それだけを考えて、買い物に付き添っていました……
でも……帰り道、そう……帰り道に『それ』は起こりました……」

神裂はゆっくりと腕を振り上げ、『ちゃぶ台』の上に振り下ろした
ちゃぶ台はメキリ!と音を立て、まるでモーセの割った紅海のように真っ二つになる

「『プッチ神父』です
あの神父が……私に………コレを……」

そういうと神裂は何かを俺に差し出す
それは、またもや『DISC』だった

「私への命令はシンプルなものでした………

【上条当麻にメッセージを伝え
『スタンドDISC』を与えた後、自爆しろ】

ただ……それだけでした……
ですから……今更言ってもしょうがありませんが……
貴方の先生だった『吉良吉影』の失踪する原因を作ったのは…『私』なのです……!!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:14:11.05 ID:x2peo09+o<> 「ま、待てよ!それがどうして吉良先生が失踪する原因に………!!」

そうだ
思えば不自然だったのだ

どうして

どうして、あの場に

あの『戦場』とも言える危険な場に

【神裂は黙って小萌先生を行かせたのだ?】

外から見たって魔術的な知識があるなら分かるはずだ
あの時はまだ、魔方陣も完全には消えてなかったし
直接の原因である『羽根』も、まだ舞っていたのだ

『まともな思考回路』をしていれば………!!
『まともに考える余地』さえあれば……!!


吉良先生は……『吉良先生のまま』で……いられたのか……? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:15:30.38 ID:x2peo09+o<> 「分かっていただけたでしょうか……?
許してもらおうとは思いませんし、許してもらえるとも思いません……
でも……『謝る事』だけは……『許可』して欲しいのです……
謝る事さえ出来ないのなら……私は………」

神裂はうなだれて、唇を噛み締めていたが
俺の言うべき言葉は、俺の『心』は決まっていた

「悪いな、神裂
俺には許す事は出来そうにはない」

神裂はより一層うなだれる
まるで、死刑を待つ囚人が首を垂れているようだ

「だってさ、お前は間違ってるよ
お前に『謝るべき事』なんか『一つもない』じゃねえか
謝る事がないのに許す事は出来ねえよ
悪いのはさ、その『プッチ神父』って奴なんだろ?
じゃあ、別にお前に謝る事なんかないんじゃあないのか?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:16:53.54 ID:x2peo09+o<> 「で、でも!もしかしたら小萌先生が『標的』になっていたかもしれないのですよ!!」

「うーん……それはそれで怖いけど
そうなったら、いの一番に吉良先生が『プッツン』してただろうしな
知ってるか?結構あの二人『イイ関係』だったんだぜ?

ま、どうしても謝りたいんなら吉良先生に謝れば良いよ
まずは吉良先生を見つけてからだけどな!」

「上条……当麻………」

「さーて、お涙頂戴のメロドラマもどきは終わったかい?
僕としては話を進めたいんドゥワガッ!?」

瞬間、涙を拭っていた神裂の『右腕』がステイルのアゴを抉りとる
あれは『ぶつけた』というなまっちょろいモノじゃあないと
『不良に絡まれ歴数年』の上条当麻の神経が全力で伝えていた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:18:11.16 ID:x2peo09+o<> 「………邪魔すんじゃあねーぞこのド素人が……」

………上条さんにはとても恐ろしい呟きは聞こえませんでした
ええ、聞こえませんでしたとも……

「えー……ゴホン
とにかく……ありがとうございます……上条当麻……
結構……優しい所もあるんですね……見直しました…
ゴホンゴホン!!ほ…本題に戻りますが……
私が渡した『スタンドDISC』を持っていますか?」

DISC?ああ、あの時神裂から貰った奴か
あれなら……あった

「一応、解説しておきますが……
『DISC』というのは頭に挿入する事で効果を発揮します
私達が把握していたのは『記憶DISC』、『命令DISC』の二つで
挿入すれば記憶を改ざんしたりできるというモノだったり
命令を『必ず』実行するといったモノでした

ですが、このスタンドDISCはハッキリ言って『未知』です
挿入するというのは同じでしょうが
それで何が起こるのかさえ分かりません
そもそも『スタンド』とはなんなのかさえ分かっていないのです
あのプッチが貴方に渡せと言ったくらいですから
挿入が『即死』につながる可能性もあります……ってえええーッ!?」

正直な話、俺には神裂が何を言っているのか『サッパリ』です
でも、俺は感じたんだ
このDISCには何かあると
何か……そう、まるで『引力』のようなモノを感じたんだ


俺はゆっくりとDISCを頭に挿入した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:19:21.31 ID:x2peo09+o<> .
..
...
....
.....?
....
...
..
.

なにも……起こらない……?

「……無事ですか?」

「ああ、身体には何も『異常』は……ないな…」

変だな
その黒幕のプッチ神父ってのが俺にくれるんだ
きっと、ろくでもないモノじゃあないのか?

「私にもやらせてくれませんか?」

んー…まあ、俺がやって大丈夫なら
神裂の時だけ、危険になるって事もないだろうしな

俺が自分の頭を撫でると
DISCは強制排出され、近くに転がり落ちる

転がり落ちたそれを神裂に手渡した時だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:20:45.29 ID:x2peo09+o<> 「うう………」

おっと、ステイルの事を忘れていた
そういえば、あいつは見事な『エルボー』を食らっていたんだったな

「待ってろ、今、『冷やすモノ』を持ってきてやるから」

ステイルは患部を抑えたまま、力無く頷いた

たしか『氷枕』がこの辺にあったような……あった!
しばらく使わなかったから『カチコチ』だな、『キンキン』に冷えてやがるぜ

それと……『固定するモノ』も欲しいな……

「おーい……なるべく早く頼む……
ああ……川の向こうでマリア様が……」

マズイ、ステイルが色々おかしい所にいってしまう!
そこにだけは行くなよステイルゥゥゥ!!

しょうがない、とりあえず神裂に氷枕を当てがっててもらう間に
俺は固定するモノを探しておこう <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:21:48.70 ID:x2peo09+o<>
「神裂ー、どうだー?何か起きたか?」

「いえ……挿入した所で特には……」

「そうか、じゃあステイルに氷枕を当てがってくれないか?」

「ああ、了解です」

俺は神裂に氷枕を投げてやる
神裂は渋々といった様子でステイルのアゴに氷枕を叩きつけた

「ゴッガアアアアアアアアアァァァァ!!」

「我慢してください」

何だかんだ言ってあいつらは仲が良いのな
さーて、ここらへんに『包帯』か何かあったっけ……

その時だった

「『熱』ッツァァァァァァーーッ!!」

ステイルの声が部屋に響く

「熱いぞその『氷枕』ッ!!貴様ッ!!上条当麻ァァーッ!!
お前らそこまでして僕を虐めたいかァァーッ!!」

ステイルは何を言っているんだ?

俺と神裂は顔を見合わせた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/11/18(金) 00:22:19.38 ID:x2peo09+o<> 打ち止め

次回はちょっと間があく

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 00:22:57.71 ID:OUd0rHQDO<> 乙
今日も楽しかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(長崎県)<>sage<>2011/11/18(金) 00:24:04.65 ID:5QFAMbkwo<> 乙!
DISCの中味が気になるぜ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2011/11/18(金) 00:27:59.61 ID:zX2loqI90<> >>1乙!
はやく帰ってきてくれよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 00:28:32.14 ID:aw84b90Jo<> 乙
固定っていうからクラフトワークかと思った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(山陽)<>sage<>2011/11/18(金) 03:48:19.57 ID:/JeK68xAO<> FFをやったあのディスクか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)<>sage<>2011/11/18(金) 12:23:03.78 ID:jYxtd10AO<> >>663
それだったら雑魚過ぎワロエナイ

とりあえず>>1乙!
続き楽しみにしてます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/18(金) 18:22:08.90 ID:WRwEY/0DO<> 水を沸騰させるやつっぽいけども…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(三重県)<>sage<>2011/11/18(金) 19:35:13.89 ID:kwli+2jco<> ねーちんド低脳じゃなかった……良かった…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)<>sage<>2011/11/18(金) 20:12:43.94 ID:/JeK68xAO<> 乳しか取り柄のない乳牛とかいった奴!出て来い!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<><>2011/11/18(金) 21:39:43.49 ID:/kTW5uxDO<> お呼びですか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東)<>sage<>2011/11/18(金) 22:40:05.79 ID:eowgEdkAO<> 呼んだかい? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)<>sage<>2011/11/20(日) 12:33:24.28 ID:dHSX/sVAO<> 私だ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)<>sage<>2011/11/20(日) 19:06:25.94 ID:1WM8jfdAO<> >>668-670
このど素人がッ!!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(愛知県)<>sage<>2011/11/20(日) 19:13:27.70 ID:TZ/ANlujo<> なんか凄まれるとむしろ反抗したくなりません?
さっきまで謝るつもりだったけど気付いたら粗探してたわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(山陽)<>sage<>2011/11/20(日) 19:46:52.92 ID:7STjskLAO<> いったいなんの素人なんだろうか。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2011/11/30(水) 16:30:06.64 ID:pyP6v3ef0<> 続きまだかなー <> ◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/03(土) 19:07:02.29 ID:nKt4Cd/so<> 生存報告

リアルが忙しくて投下が無理だった
一応、失踪はしないのでそこの所よろしくです

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(三重県)<>sage<>2011/12/03(土) 19:54:49.87 ID:e+gjZw7ao<> 待つと言った、二度も言わせるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)<>sage<>2011/12/03(土) 20:15:10.14 ID:Mx1zf7vXo<> 俺のエピタフが>>1は完結させると言う未来を見せてくれたから大丈夫さ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県)<>sage<>2011/12/03(土) 20:21:41.82 ID:xR8qQpUn0<> ディアボロのほうもHTML化したから心配だったが大丈夫そうだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福井県)<>sage<>2011/12/04(日) 11:04:20.93 ID:V/eEGxAi0<> 次の投下を待ってるぜ……>>1
しかし本作のスレタイってカッコ良いよな
荒木画で脳内再生余裕ってヤツだ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/20(火) 01:12:06.32 ID:50PuseGFo<> まだかのぅ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/22(木) 01:00:37.39 ID:5q24W1QCo<> 近日投下 <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/22(木) 01:08:59.25 ID:kIQJAoxko<> 超絶wktk
正直、今まで読んだ禁書×JOJOの中で一番面白くて続きが気になる <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/22(木) 03:50:19.72 ID:HN/iqk2fo<> 年内かなわくわく <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/22(木) 12:06:14.74 ID:902Pb7cAO<> これは>>1からのクリスマスプレゼントのヨカーン <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/22(木) 17:46:40.20 ID:hfl8YUIGo<> >>1のお陰で新年を越えられそうだよ感謝 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:00:52.52 ID:7hnmERqSo<> 遅れて申し訳ない
投下する <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:01:48.98 ID:7hnmERqSo<> 「続いてのニュースです……」

『ぼく』は『目覚まし』がわりにセットしておいた『ラジオ』のニュースで目を覚ました

『くはあ』と欠伸を一つ、それと共に新鮮な『酸素』が口内を満たす
続いて伸びをしながら、今日は何をして過ごそうかなどと考える


幸いにして今日は『オフ』という奴なのだ


『取材』でもしたい気分だな
最近は『変わった』人に出会えていない
そうだな……出来れば『亡霊』ぐらいにインパクトの強い相手に取材してみたいもんだ…… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:03:00.68 ID:7hnmERqSo<> 「『震災』の影響で避難している住民の元に可愛らしい『ワンちゃん』が」


ニュースを聞いたぼくの口から、ははは、と乾いた笑いがこぼれる
『犬っころ』如きで癒されるのなら苦労はしない
ぼくなら『食料』の一つでも贈ってもらえた方が嬉しいに決まっている

いや、あの犬っころが『食料』なのだろうか?
だとすれば『可愛らしい』ってより『美味しそうな』の方が表現としてはいいだろう

そんな事を考えながらぼくは寝床から立ち上がり、冷蔵庫の前へ行く
開くと空っぽ同然ではあったが、中心で『ミネラルウォーター』がふんぞりかえるように冷蔵庫内を独占していた


生意気な奴め、ぼくはこういう奴が嫌いなんだよなあ
ぼくはどうも生意気な奴は受け付けない
そしてぼくが『最も』嫌うのは………まあ、これはどうでもいい

ぼくはペットボトルを手に取り、冷蔵庫を閉じた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:04:54.59 ID:7hnmERqSo<> 「それではCMを挟んだ後、『七不思議』特集でぇ〜す」

お、キャスターがマヌケそうな声の女に変わったぞ
こーいうタイプの女は一回取材してみたいもんだなあ
さぞかし『中身が無い』女に違いない

ペットボトルのキャップを捻ると、かりりと音を立てて開いた

水を一口、一口、また一口
砂が水を吸収するようにように喉が水分を吸収していく
穏やかなリズムで喉は『自己主張』するかのように鳴り続けた

今やラジオは『黒蜜』というお菓子のCMを流していた
『老舗』、『伝統』などと菓子自体の味に触れない宣伝からすると
味にはあまり自信は無いのだろうか?
ぼくはだんだん、消極的とすら言えるCMにムカッ腹が立ち
ラジオのスイッチをオフにしようと指を伸ばした

その時だった

突如、『ラジオの中のキャスター』は『叫びだす』
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:06:19.81 ID:7hnmERqSo<> 「り、り、臨時にゅっニュースですっ!
さ、さ、さ……『殺人』ですっ!『殺人者』ですっ!」

ぼくは電源をオフにしようとしていた『人差し指』を下ろし、ラジオに意識を向けた

『殺人事件』なんか全国で起きている事だろうと思うかもしれない
朝起きて、ニュースを見れば割と高い頻度で『殺人事件』は起きている
仮にそれが自分の街で起きていようと『興味』が少しだけ増減する程度の事だ


それが自分にでも『関係』しない限りは、だ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:07:18.72 ID:7hnmERqSo<>
ぼくにはこのニュースに『引かれる』ものがあった
『興味』なんてチャチなものじゃあない
ぼくはこの事件に『引力』すら感じていた
ぼくを引きつけて離さない、『運命』とすら言える『引力』を


結果、ぼくの『予感』は的中することとなる


「き、『吉良吉影』という男がっ!
さっさっさ……昨夜未明っ!学園都市内の病院で『猟奇殺人』を犯して逃亡中っ!!
彼は……『この街』っ!!「杜王町』の出身だそうです!!
犯人についてご存知の方h」


ラジオの声が終わるか終わらないかの刹那
ぼくはラジオを叩き切り、玄関へと駆け出していた

.
..
...
....
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:08:52.39 ID:7hnmERqSo<> 「いや、正直に言うとだね
『従業員』が一人もいなくって困っていたんだよ」

私は私を雇ってくれるという『男』と共に路地を歩いていた
どーも『胡散臭い』気がするが仕方あるまい


どちらにせよ、この男には『私のしたこと』を黙っていてもらわねばならないのだ


無論、後々『消す』つもりではある
だが、この男が『広い』交友関係を持っていれば話は別だ
この男が『消え』て『捜索』されてしまっては困るからな

「さあ、着いたぞ」

男が指差す方を見ると大きな『看板』がどっしりと構えていた

私は看板に書いてあった文字を読み上げる

「………『BAR.D'』?」

突如、男は私を睨み、怒鳴りつけてきた

「『バーディー』じゃあないッ!!『ダービー』だ!」

男はさらに続ける

「これだから困るのだッ!!『人の名前』を覚えない奴はなッ!!
君もいい大人だろうがッ!『他人の名前』ぐらい一度で覚えろ!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:10:18.10 ID:7hnmERqSo<> 「いや、私は看板を読んだだけなんだが……
それに私は一度も君の『名前』を聞いた覚えは無い」

ウムッ?と男は途端に落ち着きを取り戻す

「あ……ああ、そういうことか……
すまない、取り乱してしまった」

男は私に向き直り、恭しく頭を下げる

「自己紹介が遅れてしまったな
私の名前は『ダニエル・J・ダービー』
そして、君に働いてもらうのはこの『BAR.D'』(バー・ディーダッシュ)だ
小さな個人経営のBARでね、一人でもやっていけたんだが近頃は客足が『妙に』増えてな」

男、ダービーはポケットから鍵を取り出し店のドアを開けた

ドアを開けると狭い店内をカウンターが占拠しており、手前に居場所無さそうにテーブルが鎮座していた
カウンターの向こう側には古ぼけた酒瓶と
『埃』の積もったコップが何対か『揃い』で並んでいた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:11:37.36 ID:7hnmERqSo<> 「………本当に客足は多いのか……?」

私にはどう見ても客足どころか、人が来ているかすら疑わしい
もしかして、この男は幻覚が見えているのかもしれないぞ

「ククク……誰も『バーの客足』とは言っていないぞ?
実の所、私の『本職』はこれでね」

すると、ダービーはいきなり口を抑え始める

「気分でも悪いのか?」

私が彼を覗き込んだ、その瞬間だった
ぱららぱららららと彼の『口の中』から『トランプ』ががさがさと溢れ出る
『ハート』『スペード』『クローバー』『ダイヤ』が色とりどりに『床の上』へぶちまけられた

「どうだ?これで私の職業がわかっただろう?」

「……………」

「……………………」

「………………………………」

「………………………………………」

「……………………………………………『芸人』……か……?」

「『ギャンブラー』に決まっているだろうがッ!!」

ダービーはブツブツと小言を吐きながら、トランプを拾いはじめた

……さっきのどこにギャンブラーの『要素』が……?
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:13:07.04 ID:7hnmERqSo<> 湧いた疑問を振り払い
拾うのを手伝ってやろうと、私は床に散らばったカードを手に取る

『ハート』の『クイーン』『クラブ』の『エース』『クラブ』の『キング』『ダイヤ』の『ジャック』
『スペード』の『エース』『スペード』の『キング』『スペード』の『エース』『ダイヤ』の『クイーン』
『クラブ』の『キング』『ハート』の『キング』『スペード』の『ジャック』『ダイヤ』の『キング』


「ん?」

何故か『違和感』を感じる……が、まあ良いか
拾い終わったカードをダービーに渡してやる

「だが、私はギャンブルはしない……『はず』だ
いや、私はギャンブルはしないぞ?
だから何も私に出来る事などないと思うんだが」

『嘘』は言っていない
生憎、記憶が無いので絶対とは言えないが
ギャンブルには『心』が惹かれない
自分が出来ない事を進んでするような『マヌケ』でもないしな

ダービーは急に『入り口』に目をやりはじめ、小声で私に答えた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:14:20.88 ID:7hnmERqSo<> 「いや、君には『アシスタント』をしてもらうつもりだ
色々な…………『手助け』を……な」

彼は指を立て、シィーッと音を発しはじめた

「どうした?体の具合でも悪いのか?」

「いいか、そのまま声を上げずにゆっくりとカウンターの後ろに隠れるんだ
いいか、ゆっくりとだぞ、壊れかけたレコードが回るようにゆっくりだ」

なんの事だか分からないが私はダービーに従い、カウンターに隠れる
カウンターの下は何年も掃除をしていないようで『蜘蛛の巣』がビッシリだった
小さな蜘蛛がぴょんぴょんと私の『スーツ』に飛び乗ってくる
確か……この蜘蛛は……そうだ、『オニグモ』だったな

「おいダービー、あんたはオニグモにカウンターの下を『宿』として提供しているのか?」

「いいか若造、それ以上喋ればお前の顔面を『蜘蛛の巣』のようにしてやるぞ」



たったった、かつん <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:15:42.22 ID:7hnmERqSo<> 私達の会話に割り込むように『ドア』の前に『来訪者』が現れたようだった
ダービーは『汚れてもいない』テーブルを、どこからか取り出した『布』で拭いていた


こんこん


ドアが叩かれる
だが、ダービーは構わず拭きつづける


どんどん


今度はさっきより若干強めに叩かれる
が、ダービーは気にも止めない


だんだんだん


ドアが軋まんばかりに叩かれる、いや、これは殴っていると言った方がいいだろう
ダービーは髪をクシャクシャと乱し、ようやく立ち上がった


「ブチ破るぞォォーッ!!」


今度はノックじゃあなかった
ノックの代わりに『来訪者』は足を『古ぼけたドア』に叩きつけたのだ
ドアは案外あっけなく外れ、埃まみれの『窓ガラス』が年季のこもった音と共に砕け散った
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:17:46.92 ID:7hnmERqSo<> 「………もう閉店時間なんだがね」

まるで、さっきまで熟睡していたかのようなフリをするダービーに構わずに
『来訪者、アンチスキル』は警棒を突きつけた

「ダニエル・J・ダービーだなッ!?
最近、病院で『看護婦』が殺された事件を知っているなッ!?」

「………ああ、知っていますよ
ですが、最近は『看護婦』じゃあなく『看護師』で統一されているらしいですがね
でも、それと私の店のドアを蹴り破る事となんの関係がおありで?
まさか、このドアが犯人って事はないでしょうし……
第一に、このドアには『アリバイ』が……」

言い過ぎた、ダービーは少し言い過ぎてしまったのだ
彼の余計な言葉はアンチスキルの血管を煮えくりかえらせるには十分だったのだ
アンチスキルはダービーの頬に警棒を振り下ろしていた
決してバキィなどいう音ではなく、形容しがたい鈍い音が響いた

「本官を……ナメるなよ………
本官がな……『目撃』してやったんだ……
さっきこの路地で……!本官だけが貴様と『クソッタレの犯人』が歩いていたのをな……!!
これが事実ならサイッコウだぜ……!!凶悪犯ならよ…!!『何したって』いいんだ……!
『殴ろうが』『斬ろうが』『折ろうが』『捻ろうが』
『燃やそうが』『抉ろうが』ァ……!そしてぇ……!!
『殺そうが』なァァァ……ハァ……ハァー……
ぜぇーんぶ、『正当防衛』って奴になんだぜェ〜……!!」

じゅるりとヨダレを垂らしながら喋るその姿は
私の記憶している『知識』の中の『人間』ではなかった
だが彼は『人間』だ、『犬』でも『ネコ』でもない
私の知識が間違っているのか?
間違っていないのなら、あのアンチスキルは、『何』だ? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:19:20.81 ID:7hnmERqSo<> 「………お宅、『ギャンブル』はおやりで?」

「ああ?うるっせえんだよこのシミッタレがァー!
てめーは黙ってさっさと素直にすっきりはっきり犯人の居場所を言やあ良いんだよォーッ!!」

「じゃあこうしましょう
もしも、貴方が今からするギャンブルで勝てたら
あいつの居場所を教えようじゃあないですか」

「うるせえェェーッ!!俺はッ!『今』ッ!!聞きてえんだよォーッ!!
さっさとしねーと他の奴らが嗅ぎつけて『拘束』しちまうだろォーがこのダボッ!!
そーなったら俺の『楽しみ』が消えちまうじゃあねーかァーッ!!」

「……私も曲がりなりにもギャンブラーでね……
一度『賭け』たモノを『タダ』で『引っさげよう』とも『差し上げよう』とも思いません……
もう、私は『勝負』を始めたんだ……貴方が言うべき事はただの『二つ』…
…………『YES』か『NO』………ただのそれだけ……」

唇から垂れる血を拭おうともせず、ただただ、ギャンブラーは来訪者を見据えた
彼の目には『覚悟』、ただのそれだけが渦を巻く
アンチスキルも彼の目のただならぬ『凄味』にたじろいだようだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:20:50.91 ID:7hnmERqSo<> 「ぅぅぅうあああああめんどくせェーなァーチクショーがッ!!
やりゃあいいんだろーがよ、やりゃあよォ〜!!
でェ〜!?『勝負内容』はなんにしやがんだァ!?」

「ふーむ、そうですね………」

そういうとダービーは手元のトランプの束をシャッフルする
その手際は実に良く、興奮していたアンチスキルが見とれるほどの滑らかさであった


「よし、じゃあ『ブラックジャック』なんてのはどうです?」


【ブラックジャック】

・『配り手』は『二枚』だけ『賭け手』に『カード』を渡し、自らも『二枚』取る

・『配り手のカードの値』と、『賭け手のカードの値』で勝負するのがこのゲームである

・そのトランプに書いてある『数字の数の合計』が『21』に近ければ近いほど良い

・また、『新たに』一枚配ってもらう事も可能であり
相手と自分のカードの『数の合計』が『同じ』ときは『カードの枚数』が多い方の勝ちである

・『21』を超えてしまった場合は『バーストアウト』、つまりは『即敗北』してしまう

・絵札は全て『10』で計算される <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:21:56.27 ID:7hnmERqSo<> 「お分かりいただけました?」

「うるせェェーッ!!ブラックジャックのルールぐらい知ってんだよォーッ!!
黙ってとっとと始めやがれェェェーッ!!」

「まあまあ……そう焦らずに……
おっと、『大事な事』を言うのを忘れていました……
いいですか、『エース』は『1』か『11』、好きな方で計算して結構なのでそのつもりで……」

「『1』か『10』だァ〜?『マヌケ』かテメーはよォーッ!!
そんなもん誰だって値の小せえ『1』で計算するに決まってんじゃあねーかよォーッ!!
その方がバーストアウトの危険も無えしなァーッ!!」

「そこらへんは、ま、お好きにどうぞ」

そう言うと、ダービーは流れるように自分とアンチスキルにカードを配っていった

「よぉーしッ!これでテメーが負けたら『吉良』の居場所を吐けよォーッ!!」

獣のように唾液を吐き散らかしながら、アンチスキルはテーブルに着く
幸運な事にアンチスキルはカウンター側、つまりは『私に背を向ける格好』で座ってくれた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:23:18.79 ID:7hnmERqSo<> 「ええ、それは構いません、約束しましょう
ですが…これは『賭け』ですからね……私ばかり賭けるというのもおかしい話じゃあないですか……?」

「おおっと!言っておくがなァーッ!俺は『一文無し』だぜェーッ!!
無い袖は振れねーなァー!!悪いがよォーッ!!」

「いいえ……金など私は要りません……
そうですね……一文無しの貴方が持ってるモノ……フーム……


そうですね



『魂』なんかどうでしょう?」


思わず、私は大声をあげそうになった
ダービーが提案をした時だ、そう、彼が『魂』という単語を出した瞬間だ
彼の背後に突如、『巨大で青っちろい大男』が現れ、アンチスキルに『指』を指したのだ
だが、アンチスキルはヘラヘラと笑い、大男を見ようともしない
いや、あれは見ようとしていないのではない、『見えていない』のだ

「ハァ〜〜?魂だァ〜〜?ああ〜いいぜェ〜!
魂なんかよォ〜!いくらでも『賭けてやる』ぜェーッ!ヒャハハハハハ!!」

大男は、動いた
アンチスキルの頭に手をかざし、『何か』を引き抜いた
私は目を凝らしてその煙状の『何か』に焦点を合わせる



その『何か』は



『アンチスキル』だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:24:19.10 ID:7hnmERqSo<> いや、この表現は正しくないのかもしれない
今、私が『アンチスキルと形容したモノ』の足元では、しっかりアンチスキルは『存在』している
だが、掴まれているのは間違いなく『アンチスキル』なのだ
ガッシと掴まれたその様子は、決して振りほどけない圧倒的な『パワー』がヒシヒシと伝わってくるほどである


「GOOD!!ではゲームを始めましょうか!」

ダービー、アンチスキル共にカードを見る

私もアンチスキルに気づかれぬ様にカウンターから身を乗り出し、アンチスキルのカードを見た <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:25:11.31 ID:7hnmERqSo<> .
..
...
....
.....

さて、ご存知の通り、これは『吉良吉影』の物語だ
『上条当麻』でもなければ『小萌月詠』でもない
彼が『感じ』、『生き』、『闘う』物語だ
だが、ここで少しだけ、彼以外の『心』を読んで行こうと思う
どうか、お付き合い願いたい

.....
....
...
..
.
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:26:22.32 ID:7hnmERqSo<> ウギャッハッハッハ!悪くねえ!こいつは悪くねえぜ!!
手札が【5】【6】とかツイてやがるぜこの俺はよォーッ!!
もし、ここでもう一枚引いた所で最大でも【21】にしかならねえだろォーッ!!
悪くねえッ!悪くねえなァ〜!!こいつはよォーッ!!

大体、この俺に運が向かねえ訳がねえんだよ!

テキトーにこの学園都市で『用務員』でもして暮らして行こうと思ったらよォーッ!!
あの『黄泉川』がアンチスキルにいるのを見つけたのが運の尽きィィィーッ!!
テキトーに口説いてテキトーに『やっちまおう』と思ってアンチスキルに志願したのが間違いィィィーッ!!

めんどくせークソガキ共におべっか使ってよォーッ!
めんどくせー書類を書かされたりしてよォーッ!!
めんどくせー訓練だなんだを受けさせられてよォーッ!!

気がついてみりゃあ、俺も年を取ってるよなそりゃあよォーッ!!
俺みてえな『初老』でアンチスキルに入るバカなんざいねえもんなァーッ!!
俺は黄泉川の『乳』に生涯を捧げたっていうのかよォーッ!!
笑えねえぜチクショォーッ!!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:27:27.54 ID:7hnmERqSo<>
だがよ……こんな仕事にも良い事ってのは見つかるんだよなあ……!!
アンチスキルが法を取り締まってんならよォーッ!
その『締め付け』を緩めてやる事だって出来るよなァーッ!!
『万引き』したガキがいりゃあよォーッ!!脅しゃあ『イイコト』出来るしなァーッ!!
『犯罪行為の見逃し』すりゃあよォーッ!!『袖の下』だって貰えるしなァーッ!!

よぉーし決めたッ!!この賭けに勝っちまったらこのクソッタレを脅してやるッ!
『違法賭博』だなんだ、難癖つけてやりゃあ『飲み放題』にでもしてくれるかもしんねえしなァーッ!!
こいつはイイィィーッ!!スッゲーイイィィーッ!!

よしッ!!『もう一枚』だッ!!さっさとよこしなクソッタレがァーッ!!
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:29:05.93 ID:7hnmERqSo<> .
..
...
....
.....
......

…………悪くねえ……!!
なんだおい、今夜の俺は『バカツキ』なのかよオイッ!!
イヤッハァァァーッ!!『エース』だッ!!『エース』が来やがったッ!!
ってこたぁよォ〜!!このエースを『1』として計算してやりゃあよォ〜!!
まだ俺の手札はたったの『12』じゃあねーかッ!!
これなら………えーと……そうだッ!!
『絵札』でも出ねえ限りは俺の勝ちだッ!!
まッ!!確率的に来るわきゃあねぇーがなぁ!!
よぉーしよしよし……今のうちに『吉良』をどうやって痛めつけるか考えとかねーとなァ〜!!
まぁ、とりあえず『歯』の二三本は……

ん?おいどうしたクソッタレ?
なんで、もう自分のカードをテーブルの上に置きやがるんだ?
あ?『もうこれ以上は引かない』だぁ?
クケェーッ!!『チキン』がよォーッ!!
よくそんなんで『ギャンブル』が出来たもんだぜェーッ!!
それでも『男』なのかねェーッ!?クキィーッ!!

カァーッ!なっさけねえ!
その点、俺はちげぇーんだよォーッ!!
『迷ったんなら突っ込んじまえ』
それがこの俺の『人生哲学』って奴だぜェーッ!!文句あっかー!?
さーて、そろそろ『ザマミロ&スカッと爽やか』な勝利をあげさせてもらうかねェーッ!!

おいクソッタレチキンッ!!もう一枚だッ!!
ちゃっちゃと配りやがれこのウスノロッ!!
今から来るだろう俺の輝かしい『手札』を見て吠えづらかきやがれェーッ!!

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:30:06.01 ID:7hnmERqSo<> オイ
オイオイ
オイオイオイ
オイオイオイオイ
オイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ

待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
待て待て待て待て待て待て待て待て待て
待て待て待て待て待て待て待て待て



待てよォォォォォォォォォ!!!
待ちやがれってんだ畜生ッ!!
ふざけてんじゃあねーぞクソッタレがァァァ!!!
ありえねーだろーがクソッタレェェェェ!!
何でだよォォォォォォォォォ!!!ありえねーんだよォォォォォォォォォ!!
『イカサマ』だろォォォォォォォォォがァァァァァァァァァァァ!!!!
どォォォォォォォォォ考えてもよォォォォォォォォォ!!
来る訳ねェェェェェェんだよォォォォォォォォォ!!
この状況でェェェェェェェェェェェェ!!!
こんなカードがァァァァァァァァァァァ!!
来る訳ねえだろォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
この俺に来る訳ねェェェェェェんだよォォォォォォォォォ!!

うぎゃああああはははははっはははっはははっはははははうはあはふあはうあふああふあはうあはうあはうはうあはうあははうあはっはうあはうはうあはうあはうはいあはうあはうあはうはうあはうはうあうはははうあはうはうあはうああっはうあはうあはうあはうあはうあはうはあうあはうあふあはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあふあはうあはうあはうあはうあはうあはあうはうああはうあふああはうあはうはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあふあはうあはうあはうあはうはうあはうあはうあうあはうあうはうあはうああひあはあうあふあはうあはうあはうああふあはうあはうあはうはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあはうあははうぉぽへぇぇぇぇっへへっへへへへへへへへへへへへへへへへえへへへっへへへへへへへへへへっへへへっへえへへっへへへへへへへっへへっへえっへへへへえっへへへへへへへへへへえへへっへえへっへへへ

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. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:31:24.08 ID:7hnmERqSo<> ガターンとマヌケな音を立てて
アンチスキルは泡を吹きながら倒れた

カードがパラパラと彼の顔に降り注ぐ

「………よっぽど自分に自信があったのだろうな……
『心』が折れてしまえばあっというまだった……」

ダービーはどうやら勝ったようだった
ゆっくりと立ち上がり、こぼれたカードを拾い上げる


すると



【タァーン】

乾いた音

【チュン】

弾ける音

【パリン】

割れる音


おや?
どうしたのだろうか?
どうして私の背後の『酒瓶』が割れたのだろうか?


答えは簡単

「フゥー……!!フゥー……!!
ふざけんな……!!ふざけてんじゃあねえ……!!」

アンチスキルがダービーに向けて『発砲』したからだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:32:53.90 ID:7hnmERqSo<> 「イカサマじゃあねえワケがねえ………!!
この俺が……!!負けるワケはねえんだ……!!」

奴の手が震えていたからだろう、銃弾がダービーを貫く事は無かった
だが、今度は奴の狙いはハッキリしている
今度は逃す事は無いだろう

「………完璧に『折れて』いなかったか………」

小声で何かをつぶやくと、ダービーはおとなしく両手を上げた

「いいか……!!これは『イカサマ』だ……!!
いいか……俺がてめえみてえなクズに負けるわきゃあねえんだッ!!
いいか……俺は知ってんだ……!!
てめえ、途中でカードを置いただろ……?
あれだって……どーせ……『ブタ』だろーがッ!!」

アンチスキルは銃を構えていない方の手でダービーの手札をめくる


すると


「ご満足……頂けたかな……?」


手札は【A】【K】


つまりは


「ブラック……ジャック………?」


「そう、貴方は負けたのです!
いいですかッ!?貴方はッ!!負けたのですッ!!
貴方は『敗北者』なのですッ!!
こんな場末のバーのギャンブラーに負けるようなッ!!『三下』なのですよッ!!
貴方にその『自覚』はありますかッ!?
貴方はッ!!『生涯』ッ!!私を乗り越える事は出来ないのですッ!!
『屑』は『屑』らしくッ!!『一生』負け続けるのがお似合いなのですよッ!!」


ダービーはアンチスキルに指を向け、言い放つ


「お前はッ!!『負けた』のだッ!!」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:34:28.72 ID:7hnmERqSo<> 「クソッタレがァァァァァァァァァァァ!!!
死にやがれェェェェェェェェェェェェ!!」

私は知っている
アンチスキルがダービーに向けている銃が『M10』という銃だと知っている
『装弾数』が『6発』だということも知っている


だが私は知らない


わずか『1m』程度の距離の人間に
それなりに訓練を積んだであろう人間が『当てる』事が出来ないとは


私は知らない


銃を向けられた『人間』が
銃を向けている『人間』に向かって歩き始める理由を


私は知らない


銃を向けられた人間が、こんな当たらないという確信に満ちた『眼』を持てる事を


眼の持ち主、ダニエル・J・ダービーは『一発』も『被弾』しないまま
アンチスキルの銃を掴み、奪い、投げ捨て、胸倉を掴み、引き寄せ、言った


「ほら、な」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:35:29.59 ID:7hnmERqSo<> その時だった



ダービーという男の『側』にいた『大男』が
改めて、アンチスキルから『アンチスキルに似た何か』を引きずり出す

【ウォォォォ〜ン】

声、いや、どちらかといえば音に近い雄叫びをあげ
『大男』は『アンチスキルに似た何か』を『両掌』で押し潰しす


すると


【チャリィィーーz______ン】


アンチスキルが糸の切れた人形のようにへたり込むと同時に
奴の頭上から『コイン』が落ちてきたのであった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:36:42.20 ID:7hnmERqSo<> 「よし、出てきていいぞ
えーと……さっきこいつがお前の名前を言ってたな……
確か……『キリャー』?いや、『キリィー』だったような……?」

「『吉良』だ、『吉良吉影』」

「おお!そうだ!『キルゥーア』だったな!」

「『吉良』だ」

「『キロォーアー』?」

「『吉良』」

「『キル・アント』?」

「………好きに呼べ」

「そうか!じゃあ今日から君は『キル・アー』だ!
よろしく頼むぞ!『アー』!」

……さっきまでの雰囲気はどこにいったのだろう……
全然、さっきのような『覇気』が伝わってこないじゃあないか……

まあ、いい
私はそんなちっぽけな事より聞きたい事が有るのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:37:39.89 ID:7hnmERqSo<> 「なあ、オービー」

「ダービーだ」

「ジャーニー」

「ダービーだ」

「ルーキー」

「ダービーだ」

「ポーキー」

「ダービーだ」

「バービー」

「ダービーだ」

「ターキー」

「……さては、根に持つタイプだな……?」

やかましい、これでおあいこだ

「そんな事よりもだ、単刀直入に聞かせてもらう
さっき、お前の『背後』に現れた『大男』、あいつは何だ?」

途端、ダービーの目が変わる
奴の目が、私をまじまじと見つめる
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:38:46.87 ID:7hnmERqSo<> 「ほう、やはり……か……
やはり……吉良…お前も『スタンド使い』なのか……」

『スタンド使い』?

「なるほど、『無自覚』なのだな
無自覚であれだけの『能力』か……恐ろしいな……」

無自覚?能力?

「すまない、ダービー
貴方の言ってる事が何一つ理解出来ないのだが」

「ふーむ……少し待ってろ……」

そう言うと、ダービーはカウンターから『グラス』を取り出し『水』を注ぐ
『色あせたグラス』が私の前に置かれた

「吉良、君は『喉』が『乾いている』としよう
この状況、君ならどーする?」



何を言ってるんだこいつは
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:40:13.72 ID:7hnmERqSo<> 「………まあ、飲むな」

「『どうやって』だ?」

ますます、こいつが何を言いたいのかわからない

「それは……こう……『手』を伸ばして……」

「そうだ!『それこそ』が『スタンド能力』なのだッ!」

………イかれてるな、こいつは確実に……

「いいか?人には『欲』というモノが必ず存在するッ!!
『色欲』『金』『楽をしたい』と言ったモノがな!!
スタンド使いはその『心』の中の欲望を『変わった』方法で『実現』し得るッ!!

例えばだッ!!もしも君が『さっきの状況』で指一本も動かせなければどうするッ!?
喉も乾くが『動けない』ッ!目の前に水が有るのに『飲めない』ッ!!
君は『心』から願うだろうッ!!『水を取りたい』『水分を得たい』となッ!
憶測だがッ!!お前は『獲得』出来るだろうッ!!
『何かを引き寄せる能力』ッ!または『何かから水分を奪う能力』をなッ!

つまりだッ!!スタンドとは『己の欲望を実現させる能力』なのだッ!!
少なくとも『私』はそう思っているッ!!信じているのだッ!!

私の場合は『賭け』だッ!!『賭け』で『相手を永遠に支配したい』と思っているッ!!
すると私は『獲得』したッ!!『相手の魂をコインにする能力』をッ!!」

ダービーは自分の信念を語るように荒々しい口調でまくし立てた
そして、急に声のトーンを落とす

「………君も『獲得』しているだろう……?『既』に……な……」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:41:33.58 ID:7hnmERqSo<> とすると、とするとだ
私は、いや、『前の私』からなのか?
『望み続けて』いたという事なのか?
『消し』、『爆破し』、『隠し』続ける事を?
私の『サガ』を、『私自身』を?
そんな……そんな『人生』は『幸福』と言えるのか……?
『偽り』は『幸福』に繋がるのか……?
私は……『正しい』のか……?
『間違って』いるんじゃあ……ないのか……?





否、否、否





ああ、私は何と見当違いな事を考えていたのだろう?
『自分』の為に生きずに何が『人生』なのだ?
『他人の基準』如きで自分を測ろうという時点で何が『正しい』というのだ?
その基準が正しいと誰が証明できる?
そうだ、私は『幸せ』に生きてみせるぞ
私のサガに『正直』に、私の欲望に『正直』にだ
邪魔するものは『消し飛ばせば』いいじゃあないか

誰も私を止める事は出来ない
誰も私のサガ、『彼女への愛』を止める事は出来ないのだ
私を動かす原動力、それは『愛』だ
『愛』の為なら『全て』を犠牲にしようじゃあないか
『愛』存在す、故に『私』有り、だ
『誰か』が私の『愛』を『否定』するのなら『消さねば』なるまい………『愛ゆえに』…な… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:42:44.22 ID:7hnmERqSo<> 「ほう……良い『眼』になったじゃあないか……
そうだ、吉良、君のあの能力に『名前』はあるのか?」

「いや、無い」

「そうか、じゃあ私が『名付け親』になってやろうッ!!『雇用祝い』って奴でなッ!!
ふーむ……そうだな………」

ダービーは『魂』の抜けたアンチスキルの近くに落ちていたカードを拾い
拾ったカードを見た後、ニンマリと笑った

「良しッ!君のスタンドの『名前』は『コレ』だッ!!」

カードが投げてよこされる
そのカードはアンチスキルを『敗北』させたカードであった

「…………フン、『クイーン』か………
……………まあ、悪くない………か…………」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:43:35.35 ID:7hnmERqSo<> スタンド名【クイーン】
スタンドタイプ【無像型】
スタンド使い名【吉良吉影】
特徴:吉良の『愛』により、『復活』した能力
キラークイーンの『爆弾化能力』と同じであるが
爆弾化するには吉良が『右手』で『直接』触れなければならない

今現在の吉良自身の『欲』が『彼女を綺麗に切り取りたい』のみなので
元のスタンド、キラークイーンは『復活』出来ない
吉良の今後の『欲望』がキラークイーンが復活するかどうかに関わってくるだろう
今はまだ、吉良にキラークイーンを必要とするような『欲望』は無いのだが……

破壊力:無し スピード:無し 射程距離:吉良の手の長さ
持続力:解除されるまで 精密動作生:A 成長性:??? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2011/12/28(水) 01:45:07.67 ID:7hnmERqSo<> 打ち止め

長い間お待たせした割にはこのクオリティ……
ハイウェイ・トゥ・ヘルが欲しくなってくるな……

この一年お付き合い下さりありがとうございました
来年もコツコツ書いてくんでどうかよろしくお願い致します……

それじゃ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 01:55:35.52 ID:EPcVHqDDo<> 相変わらず読ませて≠ュれるスレだねェ〜〜ッ!

ダービーがなんかかっこよくてワロタww
乙乙ぅ! <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 02:40:12.39 ID:reDxks4ho<> 乙
今回読んでて疲れたぜ… <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 07:33:32.58 ID:P38sh8O80<> ダービー兄大好きだ!
どことなくデッデマンの臭いがするのは淡々とした吉良の口調かしら <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 21:42:13.00 ID:a9qq5gizo<> GOOD!!乙
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/28(水) 22:06:15.37 ID:HbCGKW390<> >>1乙!!
新年までに読む事ができて良かったぜ・・・ <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) <><>2011/12/29(木) 15:50:25.78 ID:Vn1xsqAO0<> >>1
新年、飽きずに越せるゼッ! それと、「クイーン」じゃなくて「QUEEN」にした方がカッコイイと思うよ。
<> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 21:29:47.73 ID:6X+zXXoAO<> >>1乙!!!
凄く良かった!
吉良さんも格好いいしダービー兄好きの俺としては良く読み込んでるなぁと感心させられた!!
続きも気長に待ってる!!!! <> SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/29(木) 23:35:58.95 ID:Ep1mH5r6o<> なんだろう
読んでてワクワクするな <> 以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 00:29:01.89 ID:6MKbFAxSO<> はよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/01/06(金) 13:40:26.30 ID:cnrVBFRAO<> >>729
急かしてんじゃねーよks
>>1が来るまで待ってろ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/10(火) 21:47:42.16 ID:bFtExTJYo<> 近日中に投下します

>>723
デッドマン吉良意識して書かせてもらってたから、そう言ってもらえると凄く嬉しい

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/01/10(火) 22:35:05.48 ID:zoi8NYjU0<> やっぱ生存報告してもらえると安心感が違うな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/01/12(木) 23:27:35.77 ID:MjcONKqf0<> wktk <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:46:36.02 ID:jFbB1Xhpo<> 少ないが投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:49:13.68 ID:jFbB1Xhpo<> 『不本意』だ

まったくもって『不本意』だ

どうして、この『ぼく』が家で指をくわえて待っていなきゃいけないんだ?
大体、ラジオを聴いて『みんな』に知らせたのはぼくだぞ?
それというのに、どうしてぼくはお留守番なんだ?

イライラするなあ

それというのも、あの『アホ』が行きたいと言うのが悪いんだ
あのクソッタレめ、良いところだけ持っていくとは全く呆れる

問題はあのアホが『騒ぎ』を起こさないかという事だ
あいつの『頭の悪さ』は筋金入りって奴だからな
すぐにでも『トラブル』を起こしそうなモノだ
だが、その点はぼくが『魔法』をかけておいたから
あの『学園都市』とやらに行っても『問題』は無いだろう
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:50:49.66 ID:jFbB1Xhpo<> あいつとは『古い付き合い』だ、嫌でもあいつの『性格』は理解せざるをえない
正直、ぼくが『吉良吉影』が『学園都市』にいるかもしれない事を
みんなに伝えた時はあいつが行きたがるだろうとは思っていた
それが『あの男』の性格だからな



………そういえば、まずはどこから当たるって言ってたかな……?
ええと……どこだったっけか………?




ああ、そうだ、確か………… <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:51:36.99 ID:jFbB1Xhpo<> .
.
.
.
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.
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.
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:53:15.15 ID:jFbB1Xhpo<> 「悪いねえ〜兄ちゃ〜ん、こんなに貰って良かったのかい?」


「…………………」


がたがたと揺れる『トラック』の中で、『運転手』が『助手席の男』に声をかける
だが、助手席の男はその声に答える事はなく
静かに『毛布』に包まる姿はどこか『奇妙』であった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:54:12.61 ID:jFbB1Xhpo<> 「ところで兄ちゃんよォ〜あんたの『髪の色』って染めてんのかい?
いや〜日本じゃあまず見かけねえなあ、そんな頭はよォ〜?
それとも、あんたあれかい?『ガイジン』さんかい?」

また、沈黙
だが、運転手は構わず話し続ける

「おおッ!もうちょっとで『目的地』だぜ!
『検問』があっから、ちょっと毛布に包まってジッとしてな!」

トラックは検問で一時停止し、窓を開ける
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:55:48.13 ID:jFbB1Xhpo<> 「ほら、これが『通行証』だよッ!
腹ァ痛えんだ!さっさと通してくれや!!」

「お気持ちはわかりますが、少し質問にお答えください」

「ああァーッ!?手短かに頼むぜェーッ!」

「それでは、お名前は?」


検問の形式ばった質問に運転手はぶっきらぼうに返していく


一方、助手席の男は息をしているのか疑問に思うほど静かだ
だが、全く動いていないワケではない
彼の両の目は彼の手の中にある『写真』へと向けられていた


検問の質問が終わったようだ
トラックがゆっくりと動き出す
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:57:22.66 ID:jFbB1Xhpo<> 「いや〜あの検問しつっこくてなァ〜!
ちょっと時間かかっちまった!悪く思わねえでくれや!
その代わりに好きなところで下ろしてやっから!な!?」

助手席の男はペコリと頭を下げ、地図を広げる
すると、彼の手にあった『写真』がハラリと落ちた

「おおッ!兄ちゃァ〜ん!あんたも隅におけねえなァーッ!?
この『女の子』可愛いじゃあねえかよッ!一回おしゃべりしてm」

言葉が発せられるや否や、助手席の男はただならぬ眼光で運転手を射抜く
まるでそれ以上余計な事を言えば口を縫い付けるとでも言うかのように。
さっきまでヘラヘラしていた運転手の顔には大粒の汗が流れ落ちた

「す、すまねえ……余計なこと言っちまったか………
そこまで大事だったとは思わなくってな………
そ、そんなに大切な人なのかい……?」

運転手の問いに助手席の男は眼光を和らげ
遠くを見るように
雲の中に『思いで』を見いだすかのように


そう、その時だけは


彼の口が動く時だけは、彼の瞳は『清らか』だった


「『当然』、我が命と等しい」

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/17(火) 23:58:51.61 ID:jFbB1Xhpo<> 「ふむ……案外、暇なモノだな………」

カウンターに頬杖をついてからどのくらい経ったろうか?
どうしてか、このバーには時計が無いようだ
辺りを見回せど、あるモノといえば『埃』『埃』『埃』のオンパレードである

「それにしても、あの店主は一体どこまで買い出しに行ったのだろうか……?」



『留守中に店のモノに手を出したら出て行ってもらう』



そう言い残してダービーは私を置いて何処ぞへと出て行ったきりだ
暇で暇で仕方がないというのが現状である

客の一人でも来てくれれば暇も潰せるのだがな………
まあ、『昼間』から飲みにくるような奴はこの学園都市には少ないだろう <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:00:24.18 ID:GRKqYkJCo<>
私はじっと自らの『右手』を見つめる
そこにあるのは『指紋』『シワ』、それと……当然だが『指』しかない
当たり前、平凡、普通、そんな言葉しか出てこない『手』


だが、私は疑問に思ってしまうのだ


【この手の中で、どうやって『触れたモノ』が『爆弾』になってしまうのか?】


昨夜、私は改めて『意識』しながら『アンチスキル』を『爆弾』に変えた
正確にいえば、奴の『服のボタン』を爆弾にしたのではあるがな
ダービーにも確認してもらったが、どう見ても『外見』は何も変化は無いのだ
ボタンに爆弾のような『導線』が張り巡らされるわけではない
時限爆弾のように『時計』が付いたりするわけではない <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:02:24.66 ID:GRKqYkJCo<>


ただ、私には『理解』出来るのだ




これは、間違いなく『爆弾』になっていると



そして、スイッチを押すように親指を下ろすだけで『消えてしまう』と


そして、実際にアンチスキルの肉体は『消えた』


『音』も無く


爆弾といえば『盛大な爆発音』が出るイメージがあった(少なくとも、『知識』によるとそうなのだ)
だが、私の爆弾は対象を『消して』しまうようなのである

ダービーによると『願望』が現れているのではないかとの事だ
なるほど、確かに私は盛大に爆発させたい訳ではない
『特撮』のような砂埃が巻き起こるほどの爆発は求めてはいない

それで、『消失』してしまうというのか?
私が『そう望んだ』能力だから?
ならばだ、だとすればだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:04:42.72 ID:GRKqYkJCo<> この……『スタンド』とか言ったか?
まあ、呼び名なんてどうでもいいが
この私のスタンドである『クイーン』は私の『願望通り』の『能力』になるという事か?
私が『自動で対象を追尾する爆弾』や
『私の存在を知った者は爆死させる爆弾』を望めば、クイーンは『そうなってくれる』のか?




私はこれをダービーに問うた




すると彼は笑って言った
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:07:31.58 ID:GRKqYkJCo<>













「お前は、そんなに簡単に『精神』が成長するのか?」

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:08:10.11 ID:GRKqYkJCo<> 彼が言うには、スタンド、つまり『精神』が『成長』でもしなければ
そのスタンドに新たな能力が芽生える事などないらしい

続けて彼は言う

「だから、スタンドは人に簡単に晒すモノではないのだ
『能力が一つしかない』という事は『弱点』を知られればお終いだからな

私は『ギャンブル』さえ出来れば『世界最強の男』でも『[ピーーー]』自信がある
だが、もしも相手が『乗って』こなければ『レベル0』にすら殺されるだろう
スタンドとは『極端』なモノなのだ」
<> ミスタ
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:08:55.78 ID:GRKqYkJCo<> 彼が言うには、スタンド、つまり『精神』が『成長』でもしなければ
そのスタンドに新たな能力が芽生える事などない

続けて彼は言う


「だから、スタンドは人に簡単に晒すモノではないのだ
『能力が一つしかない』という事は『弱点』を知られればお終いだからな

私は『ギャンブル』さえ出来れば『世界最強の男』でも『[ピーーー]』自信がある
だが、もしも相手が『乗って』こなければ『レベル0』にすら殺されるだろう
スタンドとは『極端』なモノなのだ」
<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/01/18(水) 00:09:41.25 ID:GRKqYkJCo<> 彼が言うには、スタンド、つまり『精神』が『成長』でもしなければ
そのスタンドに新たな能力が芽生える事などない

続けて彼は言う

「だから、スタンドは人に簡単に晒すモノではないのだ
『能力が一つしかない』という事は『弱点』を知られればお終いだからな

私は『ギャンブル』さえ出来れば『世界最強の男』でも『殺す』自信がある
だが、もしも相手が『乗って』こなければ『レベル0』にすら殺されるだろう
スタンドとは『極端』なモノなのだ」
<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:11:16.13 ID:GRKqYkJCo<> ここで、ダービーは思い出したように付け加えた

「ああ、そうそう。
ありえない事ではあるがな、『使い方』を『忘れて』いれば
元々あった能力でも『使えなくなっている』だろう
記憶喪失した状態からすれば『思い出す』=『新能力発現』と捉えてもいいかもしれんな

ま、『記憶を失った状態』で『失う前の能力』を使いたいとでも思わん限り『無理』だが

それも、私が今言ったように『失う前の能力を使いたい!』とだけ思うのではダメだろう
<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:14:25.41 ID:GRKqYkJCo<>
仮に、お前が記憶喪失だとして
『自分が願った相手の足元が滑りそうで滑らなくなり、それを相手が不快に思うと、不快が周囲に伝導して、辺り一面のモノが微妙に傷つき、その傷が相手に触れれば倍の不快感が相手を襲うが自分は死ぬ』という
果てしなく手間がかかる能力をを失っていたとする

お前がその能力を取り戻したければ
『ああ、もし、自分が願った相手の足元が滑りそうで滑らなくなり、それを相手が不快に思うと、不快が周囲に伝導して、辺り一面のモノが微妙に傷つき、その傷が相手に触れれば倍の不快感が相手を襲うが自分は死ぬ能力が発現したらなあ』と思わなければ発現しないだろう


だが、お前はその『条件』をクリア出来るか?
『一言一句違わない能力』を望めるか?
それは『一万桁』ある『南京錠』を『目隠し』で解くようなモノだ
『ほぼ』無理だと言っていいだろう」 <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:15:55.52 ID:GRKqYkJCo<>
世の中は思い通りにはいかないという事だな
ともかく、私に『今』、出来る事は『触れたモノ』を爆弾にする事しかできないという事だ

………いや、待てよ………
爆発程度なら自分でも自由に『調節』出来るんじゃあないか?
『彼女』だって彼女だけを切り取れるように爆発させたじゃあないか
『爆発』の『音』や『大きさ』については今度試してみようか……






【ガタン】 <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:17:11.48 ID:GRKqYkJCo<> 何だ?『ドア』が揺れているぞ
………ダービーは『裏口』から入るしな……



…………もしかして………



『客』か?


【ガタガタ】


そうだ、ドアはアンチスキルに蹴り倒されたから『応急修理』しただけだった
立て付けだってさぞや悪いだろう

「ちょ、ちょっと待ってくれないか、ドアは私が開けよう」

カウンターから立ち上がり、ドアの近くまで歩み寄り



ドアノブを捻る <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:19:06.85 ID:GRKqYkJCo<> 「………誰も……いない……?」

目の前には薄暗い路地が広がるのみで
客のような人影は辺りを見回しても、どこにも………


【グイイ】

『足』が、私の『足』が引っ張られる
『プニプニ』としたモノが私の足を『覆う』


<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:19:41.44 ID:GRKqYkJCo<>


















「うおッ!?」















私が情けない声を上げ、足元に視線を移す


<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:20:16.76 ID:GRKqYkJCo<>












すると















「……………ん」

<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:20:51.64 ID:GRKqYkJCo<>












かすれた声で













「……………ぜん」
<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:21:16.70 ID:GRKqYkJCo<>


















ソレは言う


<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:22:07.89 ID:GRKqYkJCo<>

















「………もく……ぜん、美しき川が我が眼前に………」













『緑髪の男』が、私の足に『頬』を擦り付ける様に『行き倒れ』ていた <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/18(水) 00:24:17.28 ID:GRKqYkJCo<>
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.


「唖然、いったいどうなっているのだこの街は」

テーブルに置かれた山盛りの『白飯』と『水』を掻き込むその男は
『アウレオルス・イザード』と名乗った

「憤然、似たような建築が多すぎるぞ?これでは迷うのも当然というモノだ」

「いきなり、飢えたから飯を寄越せと押しかける君に憤然したいね」

「依然、他の食事が出てこないだと?
この店には『サイドメニュー』は無いのか?」

「ここは『ファミレス』じゃあない」

「そうだな、ライスに合うかは分からないが『カプレーゼ』を一つ」

「話を聞け」

カプレーゼとは新鮮な『モッツアレラチーズ』と
若い『トマト』を『ドレッシング』で和えたものだが、今はそんな事はどうでもいい <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:25:20.78 ID:GRKqYkJCo<> 「どうして行き倒れていたんだ?」

「間然、どうして出会ったばかりの貴様にそんな事を告げねばならないのか」

「『ご退店』願いますお客様」

「『人探し』です」

初めからそういう態度でいれば良い
見たところ、成人しているようだが
外国人の外見はあてにならないからな
うっかり、酒でも飲ませてアンチスキルに知られれば
ダービーのトランプが飛ぶ事になるだろう

「この人が多い学園都市で人探し…………
年齢によっては不可能に近いぞ………
その人の年齢はどの位なんだ?」

「『十代』」

「無理だな」

「自然、なるようになる」

こいつ、見た目の割りにバカなのか? <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:26:39.05 ID:GRKqYkJCo<>




「おい、一人で何を話してるんだヨシカゲ?」




店主のお帰りだ




「おっと、お客様でしたか?
これは失礼致しました……おいヨシカゲ、丁重におもてなしするんだぞ」

「おいダービー、こいつは金を持っているとは一言も言っていないぞ」

「なんだとッ!?このクソガキめッ!!
金も無いのに飯を食っているだとッ!?ふざけるんじゃあ………」



【ポトン】 <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:28:33.42 ID:GRKqYkJCo<> 「こ、こ、これはッ!?この『お方』はッ!!
この印刷された『高貴なお顔』ッ!!このダービーを見つめるお方はッ!!



『福沢諭吉』ッ!!



福沢諭吉がッ!!『何百人』もの福沢諭吉が私を見つめているッ!!
まさかッ!この『紙の束』はッ!!『札束』だとォーッ!?」



アウレオルスは『あって当たり前』という風に札束を投げ出した
<> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:33:08.87 ID:GRKqYkJCo<> 「当然、日本は初めてだからな。『物価』もローマとは違うだろう」

「………どうやって、こんな金を?」

アウレオルスは食事を止め、静かに呟く

「………『職業柄』、支払われても『使う』事は少ない
『偶然』、共に使う『人』でもいれば違うだろうが」

その目は『深かった』
まだ若いというのに、この世の全ての『哀しみ』を味わったような『目』
絶望を嫌というほど噛み締めさせられたその『目』


この目、この目に似た目を私は………
いつか………どこだったか…………
見た…………ような…………………


アウレオルスはその目のまま、私に向き直った <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:37:51.40 ID:GRKqYkJCo<> 「ヨシカゲ……とか呼ばれていたな?」

「年上には『さん』を付けるのがジャパニーズマナーだ」

「サン・ヨシカゲ?」

「わざとか?………吉良で良い」

「ではキラ、まだ私は『金』を大量に持っている
その金で君にこの街の『ガイド』を頼めるか?」

…………嫌な予感がしてきたぞ……
私の中の何かが全力で避けろと叫んでいる………

「…………あー、すまないな。
生憎なんだが、私は今日はこのバーで働かなくてはいけなくてね
深夜までずっと働き通しというワケなんだよ
だから、ガイドならそこらのアンチスキルにでも頼んだ方が………」

その時だった

「ヨシカゲ、お前は今日は『休み』だッ!!
アウレオルス君を全力でおもてなしして差し上げるんだぞッ!!」


私はこの時ほど、このダービーという男を消し飛ばそうと思った事はなかった <> ミスタァァァーッ!!
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/18(水) 00:39:09.70 ID:GRKqYkJCo<> 打ち止め

とりあえず、キャラは全員一回はぶっ壊そうと思う

後、アウレオルス君の『〜然シリーズ』が切れそう、ヤバイ

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/01/18(水) 00:54:40.51 ID:JKSv2AD70<> >>1おつ!
今回もサクサクよめました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/01/18(水) 01:39:23.93 ID:KYGMsXo10<> 乙
アウレオルスさんかわいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/18(水) 12:13:29.79 ID:kvhgT4eM0<> つ逆引き辞典
ネットの辞書なら「後方一致」
これでいくらでも出てくるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/18(水) 16:02:28.82 ID:Y1h88/f70<> さあ続きを書く作業に戻るんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2012/01/18(水) 16:24:48.94 ID:OzzV43wAO<> >>1乙ー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/01/18(水) 16:57:05.30 ID:17gDEUn2o<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 20:56:34.67 ID:LMj4CWrso<> >>1乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 12:59:33.40 ID:C7P4lp9IO<> >>192

あ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/01/24(火) 15:44:06.36 ID:dsH4b/kMo<> 大統領が脱落した…… <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/24(火) 19:15:56.58 ID:fkanUOvzo<> 三日以内に投下する

>>775
え……?とある×大統領の……?嘘だろ>>775太郎……楽しみにしてたのに…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 22:59:07.83 ID:2ciTyjhBP<> ここに残ってるジョジョ×禁書も半分は消滅したな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 00:07:51.21 ID:kKOBzbtZ0<> 吉良さんの記憶が戻ってきますよーに・・・ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 00:54:36.50 ID:8YimJI48o<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 00:56:15.32 ID:8YimJI48o<>

「…………それで、ここが……あー、なんだったかな……」



何が悲しくて、昼間から男二人で街を仲良く観光せねばならないのか

それも、私はガイドをしなければならないというオマケ付きだ



バーから半強制的に追い出された私はアウレオルスと共に歩いていた

彼は私には目もくれずに、休日で人が溢れかえっている辺りをキョロキョロと見回している <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/27(金) 00:57:18.49 ID:0Xwb8blAO<> きたなッ <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 00:57:42.66 ID:8YimJI48o<> 歩いて早半日、アウレオルスはずっとこの調子なのだ

デパートでキョロキョロ、スクランブル交差点でキョロキョロ………
私のガイドも聞いているのか聞いていないのかという状態である


そもそも、こんなに多くの人がいる所で人探しをする方が無理なのだ


写真を見てみたが、どうもあの『少女』ぐらいの年では
この学園都市ではゴロゴロいるというものだ
彼女を見つけるなど、砂漠の中で一粒の塩を探すに等しい
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:01:44.75 ID:8YimJI48o<> 「おっ?」

私たちの目の前を『女生徒』の集団が通る

「おいアウレオルス、あの中には」

「いない」


即答だった


「少しぐらい目を向けたっていいじゃあないか
あの髪の色とかなかなか似てるんじゃあないか?
ほら、あの大柄な子供の隣で歩いている……」


「いない」



クソガキめ、『女生徒のいそうな場所』をガイドしてくれと言っておいてこの態度か?

私はそれに従った上に人探しまで手伝ってやってるというのに
こいつははずっとキョロキョロとしているだけなのだ
それも、決して女性が『いない』場所ばかりをだ

それに、ここでこいつのキョロキョロは少しマズイ
『あいつら』に『嗅ぎつけられる』恐れがあるしな……


私は彼に警告する <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:05:22.23 ID:8YimJI48o<>

「おい、あまり挙動不審だと『お上りさん』だと思われて物を売り……」


遅かった


ほとんど一瞬と言っていいほどの間
その間に私たちの周りを『露天商』が取り囲み、各々持ち寄った『ガラクタ』の宣伝を始める


「アイヤー!緑髪の兄ちゃん!科学の粋を集めた『能力饅頭』はいかがアルネー!!
一口食えば思うがままの能力が発現するヨー!!
この街の『レベル5』は全員これを食べてあんなに強くなったのネ!!」

「科学ならこっちだって負けちゃあいないぜ!
この街は何かと物騒だ!兄ちゃん、せっかくこの街に来たんだから無事に帰りてえよなあ!?
ならこれを買えば良い!!こいつの名前は『メタルイーター最新版(試作品の横流しだけどな)』ッ!!
分厚い鉄板だって一発で貫通なこの『名銃』!!今ならオプションとして『暗視ゴーグル(これも怪しげな科学者からの横流しだがな)』も付けてやろうッ!」

「ふふん、結局、このお兄さんにはこのヌイグルミ、『AIMY』がピッタリって訳よ!
このヌイグルミはただのヌイグルミじゃあないの!
抱き心地が超最高な上に、囮用に『マスタードガス』を噴射ッ!!
もしも、それ以上をお望みと言うなら『水素爆d」


「アウレオルスッ!!行くぞッ!走れェーッ!!」


私はハイエナのようにたかる露天商どもからアウレオルスを引き剥がし
とりあえず、全速力で走り出したのだった

.
.
.
.
.
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:09:14.19 ID:8YimJI48o<>

「……憤っ……!!然…………!!
いきなり……ハァッ……走り出すとは………ふざけるんじゃあ……」

とりあえずは人気の無い所に抜ける事に成功した
ここは『初めて』来る所ではあるが構わない
やかましいクズどもからさえ開放されればそれで良いのだ


「………あー、アウレオルス?
ところでだな、いくらか……聞きたい事が有るんだが………?」

アウレオルスは今だに肩で息をしている
着ている服も汗でグシャグシャになっていた
きれいなオールバックも嵐の後のように乱れて、整備していない青芝のようである <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:15:19.44 ID:8YimJI48o<> 「……………何だ?」

アウレオルスは髪を整えながらこちらを睨む
恨むなら露天商どもを恨むのだな、中に一人『危ない奴』も混じっていたが


私は息を整え、話し始める


「最初からどうも気になっていたんだがね
どうも私には腑に落ちない事が有るんだよ
私の勘違いだったら申し訳ないとは思う、だが、私にはそうとしか思えなくてな」



アウレオルスに指をさし、ゆっくりと、時計の短針のようにゆっくりと
私の中で組み立てられた仮説をゆっくりと彼に投げかける






「お前、『少女』なんか探しちゃあいないな?」 <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/27(金) 01:16:31.83 ID:8YimJI48o<>

アウレオルスはカッと目を見開き、私を睨む

「おっと、睨んだって腑に落ちないモノは落ちないぞ
じゃあ理由を聞かせてもらおうか?
どうして女生徒の集団に一度も目を向けなかった?」


「当然、あの中に彼女がいなかったからで」


私の声がアウレオルスを遮る <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/01/27(金) 01:18:58.28 ID:8YimJI48o<>

「いや、違うな
お前は『既に知っていた』のだ
少女はあの集団の中にいない、いや、『いられるはずがない』という事を




お前が探している少女はおそらく『不法侵入者』やその類だろう?




気づかなかった私もバカだったがな、この学園都市の人間には『ID』という奴があるのだ(私は持っているかわからないが)
そのIDをしかるべき所で調べれば『住所』なんか直ぐにでも教えてくれるしな



そして、その子が不法侵入者だという事が事実だとしよう
すると、ここでまた疑問が発生してしまうのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:20:47.33 ID:8YimJI48o<>




『どうして、小娘一人探すのにアンチスキルやジャッジメントを使わないのか?』




おっと、ジャッジメントを知らないか……
………そうだな、警察のようなモノと考えてくれ

普通なら『不法侵入者』の彼女を探すのなら『警察』を使うだろう?
この広大な学園都市をお前が一人で探す事と、警察が『人海戦術』で探すのなら当然後者が楽で確実だ

そして、お前はそれをしようとはしていない
だが、お前は『何か』を探している

つまり、お前は少女なんか探しちゃあいない
探しているのは……少女じゃあない『別の人間』とか………
そう、学園都市の人間じゃあなく、IDを持っていない『外』の人間だろう?



どうだ、違うか?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:22:57.30 ID:8YimJI48o<> アウレオルスは私の目を見つめ、大きく息を吐き出した
くくくと含み笑いをした後、乱れたスーツの懐に手を突っ込む

「愕然、なかなかの推察力に驚きを隠せないと言わせてもらおう

が、少し『間違っている』所があるな
キラ、貴様は私は少女を『探してはいない』と言った

これだけは言わせてもらおう


【そんな訳が無い】


確かに、私は『あの子』は女生徒の中に混じってはいない事を知っていた
そして、その辺りを歩き回ってもいないだろうという事もな」


アウレオルスは言葉を区切る
すると、待っていたかの様にひゅるりひゅるりと風が吹く
青々とした針葉樹の葉を揺らし、近くを転がる空き缶をからころと転がした


再び音が止んだ後、アウレオルスは口を静かに開いた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:25:45.87 ID:8YimJI48o<>




「依然、彼女は、『生き続け』ながら『死に続け』ているのだ」





「………何だと?」


「『思いでの無い人間は死人と同じ』、そうは思わないか
人は過去を悔いて未来に繋ぐ生き物だ
思い出から学び、思い出から人を愛し、思い出から何かを生み出す
だがな、思い出が無い人間はどうなるか?
何も学べず、何も愛せず、何も生み出せない
そんな人間は『生きている』と言えるか?
それは、ただ心臓が活動しているだけでしかない

……………ただの『死者』だ」



「死に『続けている』と言ったな
つまり、その子は今も………」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:27:10.31 ID:8YimJI48o<> 「当然、『ある事情』で記憶を『失わされ』続けている
皮肉なものだ、私が彼女の為に注ぎ込んだ『知識』が彼女の『害』になるとは……
彼女は今も厳重な監視の中で苦しんでいるのだろう

だがキラ、私は出会ったのだ、彼女を救える『人物』に」

アウレオルスは再び呼吸を置く
そして、さらに静かな口調で言った

「キラ、古代アステカのある部族は『一夜』で滅んだと言う
病、他民族による襲撃、仲間割れなどと言った下らぬ理由ではない
全ては、『コレ』が引き起こしたのだ」


そう言うとアウレオルスは懐に突っ込んでいた手を引き抜く



その手に握られていたモノは



おどろおどろしい『仮面』であった


「紹介しよう、『石仮面』だ」


「……石……仮面………?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:28:29.34 ID:8YimJI48o<> 「彼は言った

【私は記憶を抜く事が出来る、無論、『有害な記憶』だろうがな
つまりはアウレオルス、私なら彼女の『負の連鎖』を断ち切れるのだ

そこで君に頼みがある、『交換条件』だ

私には『友人』がいたのだが『死んで』しまった
その死んだ友人が『ある仮面』を持っていたのだが壊してしまってね
その仮面があれば彼が生前に望んだ『夢』を実現する助けになるかもしれないのだ
これは『豊富な知識』を持つ君にしか頼めない
『お互いの為』に一つ手を組まないか?】と

そして私は必死に調べ、この仮面の存在を知った、そして」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:29:50.38 ID:8YimJI48o<>

















「フッフッフーン♪ジュース♪ジュース♪ジュース♪」


<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:30:51.04 ID:8YimJI48o<>


……………ありのまま、起こった事を話そう
『厳重な監視の中で苦しんでいるはずの薄幸の少女が
100円硬貨を握り締めて自販機の前でハミングしながらジュースを選んでいた』
何を言っているか分からないとは思う、私だって分かりはしない



特に



「………イ………ン…………?」



この



「………イン……デ………?」



マヌケヅラの



「インデ…………ス……?」



『捜索者』には



「インデックス……!?」

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:31:35.11 ID:8YimJI48o<>

シスター服の少女はくるりと振り向き、こちらを見る

「あーーー!!」

インデックスと呼ばれた少女はこちらに大声と共に走り寄って来た


「インデックス!!どうして!ああ!!インデックス!!インデックス!!」


アウレオルスも走る、走る、走る


感動の再会が出来て良かったじゃあないか
これで私も再び平穏な暮らしへと戻る事が出来る
再会を邪魔しては悪いと私は来た道へ向かって踵を返し、ゆっくりと歩み出した



【むぎゅう】



………なんだ?この感覚は?
私のスーツをじんわりと『温かい液体』が侵食してくるこの感覚は?
腰を柔らかい何かが『覆う』ようなこの感覚は?


「よしかげぇぇぇぇぇー!!心配したんだよー!!」


もしも、もしもの話だ


『貴方と共に行動していた友人の探し人が見つかり
その探し人が友人を差し置いて、全く見ず知らずの貴方に抱きついてきた』


貴方ならどうする………?


「キラ…………キラァァァァァァァーッ!!
貴様ァァァァァーッ!!『私の』インデックスに何をしただァァァァァァァァァ!!!!」



…………最悪だった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/01/27(金) 01:32:23.45 ID:8YimJI48o<> 打ち止め

大統領の人には是非カムバックして欲しい

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/27(金) 01:32:54.91 ID:18Cc5x6eo<> 乙

クッソワロタwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/27(金) 01:39:59.48 ID:cT2TI72qo<> 乙

どう転がるか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/27(金) 01:44:50.75 ID:18Cc5x6eo<> てかアウレオルス怒りのあまり言葉が訛ってやがるwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 02:05:35.80 ID:yz6kYrwuo<> なにこの笑えるのによく考えるとシリアスなシーンwwwwwwwwwwww

『殺人鬼』である吉良にインデックス以下、記憶をなくす前に知り合った人々がどんな反応をするのか
wwktkがとまらないッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 08:09:45.95 ID:npY2erR2o<> というかフレンダ何やってんだwwwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 17:27:10.92 ID:CkYWzg5I0<> 何をしただァー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/02/04(土) 21:35:43.84 ID:00g7UvvH0<> ついに、スーパサイヤ人になるのか!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/06(月) 22:33:41.11 ID:KSfURbxl0<> はやくするだァァァ! <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 01:58:05.14 ID:xK659d2Io<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 01:58:42.43 ID:xK659d2Io<> 「だからだな、私はこんな小娘など知らないと言っているだろう……」


「ひどい!一緒に『スキヤキ』食べた仲なのにひどすぎるかも!」


「当然……神に祈る間もやらぬと思え………」


………この状況を一言で言うなら『混沌』って奴だろう
誰一人として他人の意見を聞かないままに、自らの意見を垂れ流しているのだからな


それにしても、この小娘は何を言っているというのだ?
さっきから馴れ馴れしく『よしかげ』と連呼してくるが、私は貴様の『顔』すら知らないというのに……

大体、こいつはアウレオルスの探し人じゃあなかったのか?
その本人とは一言も声を交わさずに、私とばかり口を聞くとはどういうことだ


思考にふける私を尻目に小娘は話し続ける
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 01:59:48.59 ID:xK659d2Io<> 「むー!じゃあじゃあ!『とうま』は覚えてるよね!?
あんなに『仲』が良かったんだから覚えてて当然なんだよ!」


トーマ?とーま?とうま?
この小娘は錯乱でもしているんじゃあないのか
私にそんな知り合いはいない『はず』だ


「お嬢さん?さっきから貴方は私を知っていると言うがね
それは貴女の『記憶違い』って奴じゃあ……」


「愚然、そんな事はありえない」


また、面倒な奴が口を挟んで来たぞ
人が話してる最中に話を割り込むということは
逆に割り込まれてもしかたがないということを知らないのか


「ヨシカゲ、先に彼女は記憶を失い続けていると言ったな?
その理由を教えてやろう、答えはとても単純にして明快だ」


アウレオルスはキョトンとした顔で彼を見つめる小娘の視線を知ってか知らずか
一切、彼女の方を向かずに淡々とした口調で答えを言い切った


「彼女は、『完全記憶能力』保持者なのだ」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:00:59.43 ID:xK659d2Io<>

………完全……記憶………?
聞いたことがあるぞ……いや、この『身体』が既に知っているのか……
『サヴァン症候群』の亜種だったか……物事を限界無く記憶出来る能力……


そんな大層な能力を彼女が持っているとは驚きだな……


待て

……ということはだ


………その彼女が私を『知っている』……!?
では……彼女は『以前の私』と知り合いというのか………!?
『記憶を失う前の私』を知っているというのか……!?


アウレオルスは話を続ける


「依然、彼女は記憶し続けている
が、それが非常に彼女にとって危険なのだ
彼女の記憶は彼女を蝕む『毒』へなりうる


ヨシカゲ、貴様が一年間の記憶を全て劣化せずに覚えていたとしよう
舞う木の葉の一枚一枚……川の飛沫の形……
貴様の脳はそれに耐えられると思うか?『人間』如きのチッポケな脳で耐えようという方が愚論だ
つまり、彼女は一年周期で脳内情報を消さねば『脳』が……」


そこまでアウレオルスが言いかけた時だった
今まで口をつぐんでいた彼女が、静かに、よく通る澄んだ声で言葉を紡ぎ出す <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:01:54.32 ID:xK659d2Io<> 「ねえ、あなた」


アウレオルスはゆっくりとシスターへ顔を向ける
その時私は気づいた、彼の顔は、『歪んでいた』
まるで小さな子が意地を張って涙をこらえるように
目を細め、頬を引きつらせ、唇をかみしめていた


そんな彼にシスターはニコリと笑って言った



「『いつ』の話をしてるのかな?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:02:53.11 ID:xK659d2Io<> 「……今、何と言った?」


アウレオルスは絞り出す様に問いかける
汗が一筋、彼の顔を伝い、流れ落ちた



「えっとね、私はもう『記憶』を失わなくても『大丈夫』なんだよ?」




「この街に来てね、『とうま』と『よしかげ』と『ステイル』と『かおり』に助けてもらったんだよ!
だからね、もうね、『忘れなくて』いいんだよ!」


屈託のない笑顔で彼女は笑った
心の底から楽しそうな笑顔、心の底から楽しそうな声 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:04:00.89 ID:xK659d2Io<> 「馬鹿な………」



彼は、アウレオルスは整った髪をグシャグシャと掻き回す
乱れ、乱れ、乱れ、それと共に彼の『表情』も乱れる



馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な


そう、ブツブツと呟き出す


「馬鹿な、ありえん!一体いかなる方法にて禁書目録を救う方法がある!?
魔術師でも無理だった!錬金術師でさえも無理だった!
それが何故、彼女を救いえたと言うのだ!」


彼女は彼の挙動に少しだけ怯えを見せながら答える


「『とうま』はね、不思議な『右手』を持ってたんだよ
そう、『神様の奇跡でも打ち消せる』すごい右手をね……」

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:05:19.74 ID:xK659d2Io<> 「ふざけるなァァァァッッ!!!」


アウレオルス=イザードが『吠えた』


「私はッ!!これまで一度も『忘れて』はこなかった!!
禁書目録ッ!いや!!『インデックス』!!『君自身』の言葉だッ!!
君は『三年前』私に言った言葉を覚えていないのかッ!!
君は言ったぞッ!!『忘れたくない』と!!震える声で!私に言ったぞ!!!
私は………!!私は…!その言葉だけを糧にして……!!!
うううう……ううううがああああああああああああああああ!!!!」


私は少女、インデックスを抱き寄せる
この男、『壊れかけている』
おそらくは闘っているのだろう、己の中の『何か』と

そして私はインデックスを守らねばならない
以前の私を知る唯一の手がかりを、みすみす壊させるわけにはいかないからな



「私がどれほどの犠牲を払ったとッ!!どれほどの苦行を積んできたと思っているのだ!!
『神父の条件』の石仮面を作る事にどれほどのッ!!どれほどの……!!
私だって……!石仮面を作っている時に幾度も思考した!!


【これをあの子に使えば、溢れる情報量に耐えられるのではないか】となッ!!


だが……だが、私には出来なかったッ!!!
そんな事をして……そんな事をして、君が『笑う』姿を想像しえなかったからだ!!
私はッ!!『ただ、生きている君』と再び日々を過ごしたかったのではない!!
『活きている君』とさえ……!!ただ……それだけで……!!!


それなのに……!!!どこの馬の骨とも知らぬ奴が…!!
そう易々と彼女を救っただと……!ふざけるな……!!!
ふざけるなァァァァァァァァァァァァァァァーーーッ!!!」



その時、私の元からインデックスが駆け出した
私は止めようと手を延ばしたが、遅かった <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/02/07(火) 02:06:24.97 ID:xK659d2Io<> インデックスは壊れゆくアウレオルスの側へ近づき





「『ありがとう』」





そう、ただの一言だけアウレオルスに捧げた
文字にして『五文字』、発するに『五秒以下』
ただのそれだけを心を失いそうな『元パートナー』に捧げたのだ


彼が言った様に彼女の記憶が消されていると言うのなら
目の前の男はただの『狂人』に過ぎないはずだ


『勝手』に自分に会いに来て
『勝手』に自分を救おうとして
『勝手』に狂いだしているのだ


それでも彼女は言ったのだ
彼の言葉が全て『心』からの叫びという事を悟ったのかもしれない
それとも、彼を『哀れんだ』だけかもしれない
だが彼女は言った、言わずにはいられなかった



『ありがとう』、と <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:07:24.47 ID:xK659d2Io<> .
.
.
.
.



「………知ってしまったか……」



「ならば、私も動くとするかな……」



「残念だよ、アウレオルス……君とは『良い友達』になれると思ったが……」


.
.
.
.
.

<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:08:31.43 ID:xK659d2Io<> 「………見苦しい所を見せた、詫びよう」



「全くだな、恥ずかしくて私はバーに帰ろうかと思ったよ」


そこには、すっかり落ち着きを取り戻したアウレオルスがいた
乱れた髪を整え、乱れたスーツを着直した彼に、インデックスが話しかける


「えーと……あうれれ……?」

「アウレオルス、アウレオルス=イザードだ、………インデックス」

「アウレオルス!良かったら今度、一緒に『ご飯』を食べたいんだよ!」

「フフフ……間然、君は『大飯喰らい』だったからな
一つの店が壊滅する覚悟はせねばなるまい」

「むー!アウレオルス!私をバカにしてるかも!」


………『性格』が崩壊したな…アウレオルス……
お前のその紳士然とした態度を見ると反吐が出そうだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:09:49.39 ID:xK659d2Io<> 「ヨシカゲ、世話になった、礼を言う」

「最後まで上から目線だったなお前は……
……で、これからはどうするんだ?」

「当然、この『石仮面』を『破棄』する為に一度帰国する
『魔術』で葬らねば『復元』される恐れがあるからな
………その後は、ここへ再び訪れる
インデックスと、『約束』したのでな」

「二度とお前の顔を見たくはないが
ウチの『金の亡者』は大歓迎だろうからな、またバーに寄ると良い
白飯だけなら浴びる程出してやろう」

「ご遠慮願いたい」

そう言うとアウレオルスは元来た道へ歩みを進める
すると、インデックスは彼の背中へと走り出した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:10:58.43 ID:xK659d2Io<> 「ム、どうしたインデ……」


インデックスは、先ほど私にしたようにアウレオルスを抱擁していた
アウレオルスも最初は戸惑いを見せたが、すぐに受け入れたようだあのロリコンめ


「………『ありがとう』…インデックス……」


何がありがとうだあのロリコンめ
少女に抱きしめられて礼を言うのはどこぞの『変態』ぐらいと相場は決まっている


抱擁を終えたインデックスは、とてとてとこちらに帰ってきた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:11:57.80 ID:xK659d2Io<> 「………惚れたか?」

「な、何でそういう事を言うのかなよしかげは!!」


軽口を叩いた時にはアウレオルスの姿は消えていた



さて


「インデックス……と言ったな……?」


「………?それがどうしたの、よしかげ?」

「さっき、『とうま』と言ったな?」

「うん!それがどうかしたのかな?」



「その……『とうま』の元へ……案内してくれないか?」

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:13:08.09 ID:xK659d2Io<> 「フフン……『約束』か………『悪くない』」

アウレオルス=イザードは歩いていた

「あの子はあの頃のままの『食欲』なのだろうか…?
面白い、私の『預金』と彼女の『胃袋』のどちらが勝利するか試させてもらおう……」

彼は預金には自信があった

なんせ、今までは『最低限』の物しか求めなかったからだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:14:05.66 ID:xK659d2Io<> パン一つ分腹が減ればパンを一つ食べた
コップ一杯分の水分を失えばコップ一杯の水を飲んだ
家に帰れば『魔導書』を書き上げるか、ベッドに入るかのいずれかだ

彼の仕事の給与は少ないかもしれない、だが三年分となれば話は別だ
『0』の多い預金通帳は今まで何の意味もなさなかったが
今の彼には『宝の箱』のように思えた

インデックスに何をしてあげようか
食事だけではない、彼女だって『お年頃』という奴だ
『アクセサリー』や『化粧』だってしたいだろう
シスターが羽を伸ばしても『神』も咎めはしないはずだ
そんな心の狭い神など神の器に足らないというモノだ

彼はあの子が自分をどう思おうが構わない
ただ、あの子が笑ってくれさえすればそれで良いのだ
それだけで、それだけで彼は『満たされる』のだから
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:15:04.75 ID:xK659d2Io<> いや、言葉を『訂正』しよう



正しくは




満たされる





「やあ、アウレオルス」




『はずだった』


アウレオルスが声に反応し、前を見ると『眼帯』を付けた男が立っていたのだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:16:03.57 ID:xK659d2Io<> 「えーと……そうそう、久しぶり……と言う奴か?」


声の主は


「貴様……!!『プッチ』……!!」


プッチ神父、その人であった


すかさず、アウレオルスは『リメン=マグナ』を構える
彼は『戦闘要員』ではないが、リメン=マグナを扱う事が出来た
本来なら触れた物は『金』になってしまうのだが
今の『設備』も何もない彼には『射出』だけで精一杯だ
しかし、その速度は一秒に十回射出を繰り返せる程だ、常人が喰らえばたまったものではない <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:17:58.01 ID:xK659d2Io<> 「おおっと………その物騒なモノを私に向けるんじゃあない……
それで……どうだった?インデックスは?元気だったか?」


「………クズめ…この私に『嘘』を吐いたな……
貴様は私がこの街に来る直前に言ったな、『彼女は今だに苦しんでいる』と……」


「ほう……知ってしまったか……
それは…残念というものだ……
まさか、あそこで『吉良吉影』と出会うとはな……
私も予想しえなかったよ………これも『引力』という奴か?
そして……私と君が出会ったのも『引力』かな?」


「憮然、貴様のような奴と『引力』だと?ふざけるんじゃあ……」


その時だった


「君に良い事を教えてやろうアウレオルス
戦闘中に相手がペラペラ話す時は用心したほうが良い
闘いの中で『無意味』に見える事ほど『恐ろしい』事はないのだから」



プッチ神父のスタンド、『ホワイトスネイク』が
アウレオルスの腹部を貫いていた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:19:18.81 ID:xK659d2Io<> 「馬……鹿な…………!?
貴様は………『魔翌力』を……使う術を知らない……はず……!!」


「魔翌力?ああ、私には必要はないんだよ
魔術というのは人が『異能』に憧れて近づこうとした際の『副産物』だったか?まあ、どうでもいいが

私はね、既に『異能』を持っていたのだよ

君たち『魔術師』はあくまで『近づこう』とする者達だ
その君たちが近づこうとしている『目標』を君達は超えられるか?
まだ、近づく事さえ出来ていないというのにな……」


プッチがそう言い捨てるとホワイトスネイクがアウレオルスの胸元を探る
スタンドの見えないアウレオルスにとっては、とても奇妙な事だっただろう
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:20:33.51 ID:xK659d2Io<> 「や………め…ろ……」


アウレオルスのかすれる声も虚しく
ホワイトスネイクは『石仮面』を取り出し、主の元へ帰って行く


「ご苦労、ホワイトスネイク
……さて、アウレオルス……君はこれから死ぬわけだが……
正直な話……『今』が一番怖いのだよ……
死ぬ間際の人間の行動という物は侮れないからな……
そこで、こうさせてもらおう」


ホワイトスネイクはアウレオルスのリメン=マグナの『鏃』を引きちぎる


「これで後に残るは『鎖』のみか……?
まあ、それは死にゆく君への私からの手向けとでも思ってくれ……
それではな……アウレオルス=イザード………」




神父は石仮面を片手に歩き出した
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:21:35.92 ID:xK659d2Io<> 自らの血だまりにアウレオルス=イザードは沈みつつあった
不思議と痛みはない、あるのはこれから自分は死ぬのだという確かな実感だけだった
血液が流れ出すにつれ、周囲が歪みだす
酸素の運搬役が流れ出、後に残るはそれを循環させていた肉体のみだ
先ほどまであんなに元気だったというのに、人体とは不思議な物だ
今では瞬き一つでさえ億劫となってきた


「(私は…………死ぬ………か………
愉快、なんと無様な事だ…………
偉大なるパラケルススの子孫ともあろう者が……こんな異国の片隅で散るか………
私の人生は……いったい…何の『為』にあったのだろうな……)」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:22:42.52 ID:xK659d2Io<>
【…………ルス!】




声が聞こえた




【………オル……!!】




まただ




【アウレ………!!】





この声には、聞き覚えがあった




【アウレオルス!】



彼は『走馬灯』というモノを見ていた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:23:43.43 ID:xK659d2Io<> 【私の名前はね!インデックスって言うんだよ!!】


【貴方はアウレオルスって言うの?よろしくね!アウレオルス!】


【アウレオルスー!お腹すいたんだよー!】


【アウレオルスー!今日もお仕事なのー!?】


【アウレオルス……苦しいんだよ………】


【アウレオルス……私……忘れたくないよ……】


「(インデックス…………
彼女は私が死んだ事を知ったら何と言うだろうか……
彼女にとっては出会ったばかりだ……何も気にしないだろうな………
………………すまないなインデックス………
君との『約束』………守れそうに……)」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:24:54.09 ID:xK659d2Io<> 【ありがとう】



「(…………)」




【ありがとう】





「(…………)」





【ありがとう】






「(………………ない………)」





【ありがとう】




「(タダでは…………[ピーーー]るか……………!!
私は……どうしようがこのまま死ぬだろう………!!
だが……このまま神父をほうっておけば…………
彼女に……辛い……思いを……させて……しまう………!!
それだけは……!!それだけは避けねばならない………!!)」



ぐらり、ぐらりと彼の身体は動いた
まるで『吊られた男』のようだ
彼自身の意思が無理やりに彼の身体を持ち上げているのか
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:26:14.13 ID:xK659d2Io<> 「(…………大切な人との『約束』を破るのだ………
『埋め合わせ』は………せねばなるまい…………
サヨナラだ………インデックス………
どうか………君の人生に……………『幸』あらんことを…………)」



アウレオルスは握り締める
血濡れの手で『鎖』を握り締める
『思い』を、彼の『思い』を鎖へ刷り込む様に
純粋な思いを、大切な人への思いを込める様に



彼は『叫んだ』
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:27:16.44 ID:xK659d2Io<>









「リメンッ!!!マグナァァァァァァーッ!!!!!!」




真っ赤な鎖は伸びる、『目標』へと伸び続ける



「ハッ!?まだ生きていたかッ!?」


プッチは振り返ると眼前に鎖が迫っていることに気づく


「うおおおおおッ!!!ホワイトスネイクッ!!
私を守れェェェェェェェェェェェェーッ!!!」



ホワイトスネイクは迫り来る鎖から本体を『両腕』で守ろうとした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:28:23.21 ID:xK659d2Io<>

刹那、鎖は『曲がった』
プッチの眼前へ向かっていた鎖が曲がったのだ




曲がった先は…………





「狙いはッ!!『石仮面』かァァァーッ!!!」




もう遅かった




『血濡れ』のリメン=マグナは石仮面へと絡みつき、グイグイと締め上げていった
石仮面は次第にミシミシと音を立て始めた



【ガシュン】



これをアウレオルスは計算していたのかは分からない
これは計算で計れることではないのかもしれない



だが、『起きた』ことは事実だ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/02/07(火) 02:30:26.36 ID:xK659d2Io<>
「グ………グォォォォ!!!この……死に損ないがァァァァッッ!!!」



石仮面は『作動』した
本来、石仮面は『被って』『作動』させる


だが今回、神父は『右手』で持っていたのだ
リメン=マグナに付いた『血』が、石仮面へ滴った



そして、石仮面は役割通りに『骨針』を射出し、神父の『右腕』をもぎ取った
役割を終えた石仮面はリメン=マグナにより『締め壊される』




「………………やってやったぞ………インデックス…………」







錬金術師:アウレオルス=イザード【死亡】






To Be Continued.....
<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/02/07(火) 02:31:31.23 ID:xK659d2Io<> 打ち止め


アウレオルス大好きだからメインばりに動かそうと思ったけど
黄金錬成されちゃあアウレオルスの奇妙な冒険になっちゃうので退出させてしまった………申し訳ない……


それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/07(火) 02:32:52.20 ID:h95mXwdDO<> アウレオルスゥゥ!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/07(火) 07:35:58.48 ID:/nFZsb5wo<> 相変わらずのクオリティだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/02/07(火) 18:40:14.37 ID:dcswWy3k0<> >>1!
君のその投稿!ボクは敬意を表するッ!!

だがッ!今度からは、NGワードなど『ない』と思っていても!
常に!常にだ!メール欄に『saga』を入力することを強く奨める!

……シリアスなシーンで『[ピーーー]』だの『魔翌力』だのなんて…
フフ…台無しじゃあないか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/07(火) 19:46:44.06 ID:RM9y3WfQo<> 乙!

吉良は指名手配されてるんだっけ?
上条さんに会ってこれからどうなるんだろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/07(火) 22:54:23.80 ID:nFO0xfnoo<> アウレオルスかっこよすぎ濡れた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/07(火) 23:24:17.14 ID:ET8B+aYHP<> 乙

今更だけどジョジョ原作に関する時間軸の矛盾とか住んでる場所とかは一切気にしない感じで構いませんね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<><>2012/02/08(水) 23:13:19.70 ID:nwuFroKAO<> 『今』だッ!たった『今』追いついたぞッ!
囚人が脱獄するようにチマチマと!
だがッ!『今』追いついたぞッ!

>>1、君にはステルンベルギアの花を捧げよう。
『期待』の言葉と『待ちきれない』の言葉を持ったステルンベルギアの花をね…
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/09(木) 00:01:25.00 ID:lQ7VF311o<> 上げるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/09(木) 02:08:25.80 ID:hnnJqROdo<> ヘタ錬いやアウレオルス・・・べったべたな死亡フラグ立てやがって・・・ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/10(金) 03:55:28.26 ID:7X+bbJ1IO<> ドギャ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乙_____ンッッ!!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 23:30:01.74 ID:3xeXM7rY0<> おい、バレンタイン終わったぞ!はよはよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(青森県)<>sage<>2012/02/19(日) 20:53:47.14 ID:ma7d3VEjo<> 生存報告ぐらいはして欲しいものだ <> ◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/02/21(火) 21:04:47.58 ID:TFhPzb3ro<> ……トルコ行ってました……

近日投下したいが遅れるか、も……いや、遅れるだろうから
気が向いた時にでも読んでいただけたら幸いでございます

あと、訂正なのですがアウレオルス登場〜死亡までのタイトルは【Love Of My Life】(永遠の愛)でした


次からは【Bohemian Rhapsody】(来訪者達の狂想曲)となります


訳がおかしいのは存じております、仕様だよ仕様

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/21(火) 21:07:31.40 ID:G8fQSDwHo<> トルコに吸血鬼でもいたのか?待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/02/21(火) 21:16:34.71 ID:+3UWczWFo<> トルコ風呂とトルコアイスの感想kwwsk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/22(水) 07:04:36.63 ID:jcxCEvqpo<> 取材に行ってきたってことか
乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/02/22(水) 11:40:55.51 ID:Ku3Yy4pAO<> 了解!
wwktkして待ってます! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)<>sage<>2012/02/22(水) 12:37:44.15 ID:NdKsltryo<> 乙です

もしかして>>1はQueen好きなの?
だとすれば一番好きな曲を教えてほしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 08:45:11.27 ID:+VlJXNQIO<> ボヘミアンラプソディーが良すぎてもうね <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/01(木) 18:43:23.82 ID:9286Xvbro<> 今晩投下する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2012/03/01(木) 18:46:54.25 ID:vZZcNNPGo<> 待ってましたあ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/03/01(木) 19:48:01.55 ID:C/zeH1EGo<> 俺のエピタフの予言通りだッッッ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/03/01(木) 22:27:46.44 ID:H1LeP63F0<> 今晩って今さッ!! <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:12:20.45 ID:DOb5lq96o<> 遅れて申し訳ない

投下する <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:13:51.82 ID:DOb5lq96o<>








【Bohemian Rhapsody】(来訪者達の狂想曲)





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/02(金) 00:14:23.95 ID:LcDMzb480<> 待っていたぞォォォォーーーーッ!!
>>1ィィィィーーーーーーーーッ!!!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:15:00.09 ID:DOb5lq96o<>

『俺』は学園都市にいる



いや、今は『ぼく』か?それとも『私』の方が良いのか?

………ダメだ、あんだけ細かく言われたのに思い出せねえ……
いちいち自分を呼ぶのでさえこのザマかよ……

おっと、この『話し方』も『違った』よなあ……
もっと……『俺』には合わないような…お堅いというのか……
まるで、『坊ちゃん』みてえな話し方じゃあねーと……
ああ、もうこの際だ、『ぼく』で行こう


これから『俺』は『ぼく』になる



気を取り直して行こう、ぼくは学園都市にいる <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:17:46.84 ID:DOb5lq96o<>
夏に着る奴は脳の異常が疑われるような『スーツ』を羽織り
『ズボン』も『学生』の時にだって履いた事の無いようなキッチリとしたモノだ

ぼくはもっと風通しの良いような服装が良いのだがな


まあ、こうしろとの『ご命令』だ、黙って従うほかは無い


それにしてもこの学園都市の技術力には目を見張るばかりだ
ぼくの住んでいた『M県S市』と同じ日本だとは思えない
科学も突き詰めればここまでの境地に至る事が出来るのか……


さて、どこから『捜す』べきだろうか?
私の捜す『ソレ』はひょっとすれば『街中』で見つかるかもしれないし
はたまた、『路地裏』で発見できるかもしれない

だが、私にはこの街の地理はサッパリだ
そもそも、今、私が何処にいるかさえ把握出来ないというのに
『ソレ』を捜す事などできるのだろうか……?


【たらり】


『汗』が額から滴り落ちる
私の手は反射的に拭おうとしたが、どうにかこらえた
危ない危ない……『そんなこと』をしてしまえば一巻の終わりだった……
仕方がない、この不快感は気にしない事にしよう

.
..
...
....
..... <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:19:48.76 ID:DOb5lq96o<>

『俺』、上条当麻は街を歩いていた
身体のどこにこれ程の汗があったのかと我ながら信じられない量の汗をかき
服がペタペタと皮膚と一体化を始めている

正直、俺だってこんな暑いのなら、日の当たらない自分の部屋で考える事をやめていたい


だが、今は部屋には居られないのだ


何故なら我が担任にして同居人、『小萌月詠』大先生がおられるからだ


彼女は、俺が部屋で寝ながら『骨董品の鑑定番組』や
趣味でもない『将棋』や『囲碁』の対局を見つめていると
いつも、俺の前に小さな身体で立ちふさがり、言うのだ



「お勉強しましょうか〜上条ちゃ〜ん?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:21:51.38 ID:DOb5lq96o<>

……不肖、上条当麻はあまりお勉強は好きではない
いや、あまりという表現は柔らかすぎるか?


それじゃあ訂正しよう、『大嫌い』なのである


今はまだ『八月の初頭』なのだ
誰が好き好んで、さっさと宿題を終わらせるような優等生めいた事をするか

とは言ったものの、そんな俺のちっぽけな自由意志は
小萌先生の心温まるハートフルな宿題の差し出しに屈しそうにはなる


そして、その大嫌いなお勉強をする事も
いたいけな担任のお言葉を無視して
部屋に居座る事にも限界がきたというワケだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:24:10.03 ID:DOb5lq96o<> 「………よし、今日は遊ぶか!」


誰に宣言をするワケではないが上条は一人つぶやいた
こないだの『神裂爆裂』騒ぎやら
『DISC』やらで
彼の頭も身体も疲れきっているのだ

今日一日ぐらい遊んだって良いじゃあないか!と彼は一人で納得する


「『クレープ』〜、クレープいかがでスか?
クレープはいかがでショウか〜?」


ちょうどいい
クレープでも食べながら今後の予定でも立てるとしよう
彼はそんな事を思いながらクレープ屋へと近づこうとした


「待てよ………このミスターアンラッキーである上条さんにだぞ……
こんな渡りに船な事があるか…………?
もしかして……これはアレでせうか……不幸の『予兆』って奴でせうか……?」



熟考開始
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:25:52.74 ID:DOb5lq96o<>
「そうだ………これは『そう』に違いない……
どーせ、後ろから『究極暴食体禁書目録』が
【と〜ま〜?一人で何食べようとしてるのかな〜】(裏声)とか言いながら来るに違いないんだ……」


振り向く、だが周囲に人こそ多くあれど
中に『聖職者』の身なりをした少女は居なかった


「じゃあ………ミス・エレクトリカルパレードなアイツが勝負を挑んで来たり……?」


見回す、だが常盤台はおろか、そもそも『女子中学生』自体が居ない


「いやいや……ここで油断させといて………
実は『クレープ屋』自体が金髪アロハか青髪ピアスな『野郎』だとかッ!?」


クレープ屋の中を覗く、中にいたのは確かに『野郎』は『野郎』だが
あまり外国人の顔立ちについて詳しくない上条でも分かる
『笑顔』の素敵な立派なイタリア人のお兄さんであった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:27:36.96 ID:DOb5lq96o<>

もしかして?もしかして?
これはひょっとするともしかして?


上条当麻は両拳を握りこみ
某伝説のサイヤ人が戦闘力を振り絞るかのようなポーズを取り、叫ぶ


「うおおォォ〜〜!!これはもしかして『神』がお与え下さった『ハッピー』で『うれピー』な『ラッキー』って奴ですかァーッ!?
神はまだこの哀れな高校生を見捨てておられなかったのですねェーッ!!
クレープを一人で美味しく楽しむだけの『幸福』は確保してくれていたワケだァーッ!!!」


店の前で騒ぎ立てる上条に少しも嫌な顔はせず
クレープ屋の店員は彼に話しかける <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:28:50.05 ID:DOb5lq96o<> 「イラッシャイマセ……何に致しまスか……?」


「ンッンー♪何にしようかなァーッ!!
最高にハイな気分だからな〜!ちょっと『リッチ』に行きたいってのが『人情』ってもんですよォォ〜!」


「フゥム……『リッチ』………でスか……
それではこれはいかがでス?
『バナナクレープ〜プリン・ア・ラ・モード添え〜』は?
ワタシの店では最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最もお高くなっておりマス…………」


「買ったァァァァァァーッ!!
今の上条さんを止められる者はいないもんねェェー!!」


「オ・カピートォ(承知いたしました)……」


それから待つこと『5分』 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:30:24.03 ID:DOb5lq96o<> 「オ待タセ致しました……」


うおお、クレープがッ!クレープがでけえ!
バナナをまるごと5、6本は使ってんじゃあないか!?


何重ものクレープに包まれたバナナ達が円を描くように配置されていて……!!その円の中心にはプリン……!!
濃厚な『カラメルソース』の色合いがまたそそるぜ……


すげえ……今年入ってからこんな贅沢なモノ食べた事が無い………!
本当にこれを食い切る事が出来るというのか………?


フフフ……何を馬鹿な事を言っているんだ俺は……
食えるかどうかじゃあない、そんな次元で悩む事など『愚の骨頂』ってヤツよ!


良いぜ『俺』……!てめえがこれを食えるかどうか分からねえってんなら……!!まずはそのふざけた幻想をッ!!! <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:31:56.97 ID:DOb5lq96o<>






【ニュルン】








しまった



強く『握り』すぎた



そりゃ、あんだけバナナ入ってるんだもんな



ニュルリとドジョウみてえに俺の掌中から飛び出すワケだよ



それも、バナナとプリンがラン[ピザ]ーだぜ




その上、よくよく考えてみれば『フラグ』ビンビンだったもんな


『たまたま』邪魔者がいなかったり
『たまたま』気分がハイになってたりしてたもんな


ハハハ、恨むぜ、神様
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:33:48.46 ID:DOb5lq96o<>

上条当麻の掌中にあったクレープは、生地のみ残して中身は全て宙を舞っていた

そう、例えるなら『無重力下でのバレエ』のようである
『縦横無尽』にクルクル回る『それら』は、もはや芸術の域だった


それはそれは美しく、審査員も全員『10』を上げるような見事な滑空である



【グチャリ】



上条当麻の『不幸』は『連鎖』する


彼の飛ばした『それら』は、ものの見事に『背中』に直撃した
だが、『背中』といっても上条当麻の背中ではない


『それら』が着地した『背中』とは


「んん〜〜?変な…感触が……したよなあ……?
後ろから……『ぼく』の背中にさあ……?うん?こいつは何だろう……?」


『見も知らぬ』『スーツの男の背中』に直撃したのである


審査員も思わず『10』を『100』にするようなこの『偶然』
果たして、上条当麻はどうなるのか、乞うご期待

.....
....
...
..
. <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:35:24.05 ID:DOb5lq96o<> 「いやあ〜、そんなに謝らないでくれよォ〜〜
謝られてるこっちが申し訳なくなるからさァ〜〜〜?」


「ほんっっとうに申し訳ないです!!!」


ペコォォォ〜〜と上条当麻は頭を下げる
謝られた男は【どうしてこの男はこんなに滑らかに頭を下げる事が出来るのだろう?】と疑問に思いながら
上条に頭を下げる事をやめるよう頼み続けていた


「いや、本当に気にしなくて良いんだよ
君が弁解してくれた内容に全くオカシイ所は無かったしさ
何より、君はちゃんと『謝ってくれている』じゃあないか
それだけでぼくは十分だよ」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:36:54.83 ID:DOb5lq96o<>
「いや……本当に申し訳ないです………
まさか、不幸が『伝染』してしまうとは………」


「はは、なんだよ不幸の『伝染』って
不幸ってのは『病気』みたいに『うつっちゃう』もんじゃあないだろう
幸、不幸は気の持ちようじゃあないのかな?」

「いえ……この上条当麻は『不幸体質』ってヤツでして……
道を歩けば犬の尻尾を踏んで追いかけられるわ、その道中で財布を落とすわ、その財布の中に生活費が入ってるわ……
全部挙げていけば、ちょっとした『小説』になりますよ……」


男は上条の言った『小説』という言葉に反応したようで
懐をゴソゴソと探りだし、しょげかえっていた上条に何かを手渡す <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:38:49.32 ID:DOb5lq96o<>
「ええ〜と、さっき上条当麻って言ったね?
じゃあ上条くんと呼ばせてもらうが、君は『不幸体質』ってヤツならさ
たくさん『不幸体験』してきたワケだろう?
その『不幸体験』の中でさ、『良いネタ』は無いかい?


『悪の科学結社に因縁をつけられた』でも
『科学実験の実験台にされた』みたいなでも何でもいい


そういう『この街ならでは』って感じの『リアル』な体験が知りたいんだよ」


上条は手渡された何か、そう、『名刺』を読む


「これはあなたさまの名刺でせうか?」


「『あなたさま』なんてよしてくれよ上条くん
そうだな……ううむ、自分で『あだ名』を考えるというのも変な気分だね……
じゃあ……無難に決めさせてもらおうかな……




今度からぼくの事は









『荒木』とでも呼んでくれよ」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:40:22.40 ID:DOb5lq96o<>

名刺にあった名前の持ち主、『荒木飛呂彦』は
『モナリザ』のような微笑みを浮かべながら、そう言った


「えーと…『あらき』……『あらきとろひこ』……?」


「『ひろひこ』!『飛ぶ』『呂律』『彦星』で飛呂彦だよ!
ぼくは所謂『漫画家の卵』ってヤツでね、君は知ってるかなあ………?
『岸部露伴』って漫画家の『弟子』やってるんだよね
『ピンクダークの少年』描いてるんだけどさ……知ってるかい?」


「たしか、ジャンプの後ろの方で連載してるヤツですよね?
俺はあんまり好きじゃあないんだよなあ〜、頭使いすぎる漫画はどうもなあ……
そんなに人気もあるようには思え……あ、すいません!
荒木さんにとっては『師匠』ですもんね」


「いやいや!良いんだよ!ぼくだってピンクダークは大嫌いさ!
なんで、あんな漫画が連載し続けられるのか不思議に思ってたしね!

あ、あとさ、『敬語』はやめてくれないかなあ〜〜?
この『スーツ』汚しちゃった事を『負い目』に思うのは分かるけどさあ
〜〜
君『十六歳』ぐらいだろ?ぼくは『十八歳』だからそんなに年も違ってないのに
わざわざ『敬語』使われるっていうのはねえ〜〜?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:43:59.09 ID:DOb5lq96o<>
「んー……それじゃあ、お言葉に甘えようかな
でもさ、なんで岸部露伴なんかに弟子入りしたんだよ?
荒木はピンクダーク嫌いなんだろ?
どうせだったら、好きな漫画家に弟子入りすればいいのに」


「……ん〜…………なんでだろうなあ………なんでだろうね?」


「ハハ、なんだよそれ、自分でも分からないのかよ
それじゃあ、なんで『この街』に来たんだ?」


その時上条は感じ取った
この質問は『しちゃあいけない』質問だったようだ


荒木から『オーラ』めいたモノが生まれるのを
上条当麻は肌、骨、心で感じ取った


かつて、彼はこれを『ある男』から感じ取った事がある
普段はひょうひょうとして捉えどころが無いというのに
いざとなると、全力で敵に対応し、打ち勝ってきた『あの男』から感じ取ったモノが

今は、荒木から『煮えたつ火山』から出る『蒸気』のように
『馬力のある車』のマフラーから出る『煙』のように
あの『オーラ』を、荒木は発散していたのだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:45:45.47 ID:DOb5lq96o<> 上条は自然と身体がこわばるのを感じる
『肉食獣』に見据えられた『草食獣』が死を覚悟するように
上条は、荒木の中に『死』を見た

今から行動を一つでも間違えれば
自分はたちまちにして、この確かな『死』に飲み込まれるだろう
それだけの『何か』が、荒木にはあった

荒木は口を静かに開く



「………上条くん……さあ……

漫画って『どうやって』描くか知ってるかい?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:47:52.65 ID:DOb5lq96o<> 「いやね、これは岸部露伴からの『受け売り』だけどね
彼曰く、【リアルな体験をしてこそリアルを描ける】だとさ……

ハハハ、笑っちまうよなあ…………
口だけだと思うかい?思うだろうなあ
俺…おっと、ぼくも初めはそう思ったんだよね
それでね、あいつの漫画で『蜘蛛』を『食べる』シーンがあったんだけどさ
彼はどうやってその『シーン』を描いたと思う?


簡単さ


彼も『蜘蛛』を『食べた』んだ


それも、ペンで『腹』を『裂いて』中に入っているモノを引きずり出してさ
ほら、あるだろう?『内臓』だよ
内臓をじっくりと舐めまわした上で初めて『蜘蛛』を『描いた』んだ」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:49:42.73 ID:DOb5lq96o<>
「ぼくも、こういう所だけはあの『漫画家』を尊敬していてね
つまりは『体験』だ、何かをするにはまず『体験』だよ


生憎、彼とは違ってぼくには『明確なテーマ』が無い
彼は、彼のキャラクターに『蜘蛛』を食べさせて
読者に『こいつは異常な奴だぞ』という印象を付けさせたいからこそ、彼は『蜘蛛』を食べるという行為に出たんだ


ぼくはまだ何を描きたいかすら決まっていないのさ
だから『体験』よりは『調査』の方がいいんじゃあないかと思ってね

だってそうだろう?『アクション』を描きたいのに
『ラブロマンス』の体験をしていちゃあ、とんだ無駄だ

『調査』なら得られる知識の濃さこそ薄いかもしれない
だが、情報の『範囲』は体験しているよりは遥かに広い
だからぼくは色々な『調査』をして『知識』を付けたいんだ





そこでだ、上条くん







君はさ、出会った事は無いかい? <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:52:34.58 ID:DOb5lq96o<>




『不幸体質』だからこそ出会えそうな『人種』なんだがね





『漫画を描く』上で、どんなジャンルでも
ストーリーに『絡んでくる』事があるんだよ……その『人種』
ぼくとしては、是非『抑えておきたい』んでね





えーと…たしか……ニュースでもやってたから知ってるよね?








君、出会った事無いかい?
















『殺人鬼』『吉良吉影』に、さ」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:54:29.25 ID:DOb5lq96o<>




吉良吉影
俺の知人
俺の先生




俺の『恩人』



ステイルは言っていた


方法こそ分からないが、インデックスの生み出した『羽』が
俺に降りそそごうとした時、吉良先生は俺を『守った』と


小萌先生を守ったと共に俺も守ったと


その吉良先生は病院に担ぎ込まれた後
ナースを『爆殺』して、挙句に『手首』を奪って逃走したのだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:56:43.32 ID:DOb5lq96o<>

よく考えてみれば、俺は吉良先生の事を何も知らなかったのだ
生年月日、出身、趣味、etc、etc、etc...



だが、俺には彼が人を[ピーーー]ような人には見えなかった
隠していたのか?『殺人癖』を?


手首だけ奪う殺人者など己の『快楽』にのみ従う『ゲス野郎』だ


そのゲス野郎が、己の快楽に抗ったというのか?
馬鹿な、だとすれば、そもそも彼はゲス野郎に『堕ちない』

それとも、隠さざるを得なかったのか?
それとも、彼は殺人鬼じゃあないのか?


それとも



それとも




それとも
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/02(金) 00:57:50.07 ID:DOb5lq96o<>

よく考えてみれば、俺は吉良先生の事を何も知らなかったのだ
生年月日、出身、趣味、etc、etc、etc...



だが、俺には彼が人を殺すような人には見えなかった
隠していたのか?『殺人癖』を?


手首だけ奪う殺人者など己の『快楽』にのみ従う『ゲス野郎』だ


そのゲス野郎が、己の快楽に抗ったというのか?
馬鹿な、だとすれば、そもそも彼はゲス野郎に『堕ちない』

それとも、隠さざるを得なかったのか?
それとも、彼は殺人鬼じゃあないのか?
それとも、彼は本当に殺人鬼だったのか?


それとも



それとも




それとも
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 00:59:24.65 ID:DOb5lq96o<>

「答えろ」



荒木の言葉で我に返る
気付けば、荒木の瞳は俺の瞳の奥を読んでいるかの如くに顔を近づけていた



「どうだ、心当たりはあんのか?」



荒木の口調が、今までの気さくなモノから荒々しい『不良』のようなモノに変わる



「心当たりがあんならよォォ〜〜言ってくんねえかなあァァ〜〜?」



どうする?素直に答えるか?
そもそも、荒木はどうしてこんなに吉良先生の事を聞きたいんだ?
答えてしまったら、『何か』が終わってしまいそうな気がした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 01:01:13.12 ID:DOb5lq96o<>


「ハッキリ答えやがれッ!!」






俺は、心に従った
『吉良先生』が救ってくれた、『俺』の持つ、心を





「俺は、知らない」




「本当か?」





「……ああ」




「…………」




「…………」




「…………クク…」




「…………?」




「アーッッハッハッハッハッハッハ!!クヒィィィーッ!!フハハハハハ!!!
か、上条くん!き、き、君って奴はァーッッハッハッハッハッハ!!!
ちょーっと、シリアスな雰囲気になったら真顔になっちゃってさァーッ!!


【……ああ】だって!!いやァァーッッハッハッハ!!
君のさっきの表情も『作品』の参考にさせてもらうよォォーッ!!ご協力ありがとォォォォーッ!!



言っておくけどね!大人は嘘をつくんじゃあないんだよ?
大人は『間違い』をするだけなんだよね!
君も後学のために覚えておくんだねェェーッ!!」



この漫画家の卵は、一生『孵化』しないでくれ
俺こと、上条当麻は深くそう願った <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/02(金) 01:05:48.27 ID:DOb5lq96o<>
打ち止め


自分は『オリキャラ』嫌いなんで出しません
このSSに『オリキャラ』は『一切、出ていません』

トルコ行ったのは単なる旅行でしてカッパドキアという所に行ってきました


吸血鬼探すならやっぱり、ルーマニアかウィンドナイツロットの二択ですな


QUEENは全部良いね
中でも「手を取り合って」とか良いよ
手を……取り合う……フフフ、下品なんですが(ry


それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/02(金) 02:07:42.54 ID:9A0/TucDO<> 誰だろ?
ジャンケン小僧じゃあなさそうだし…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大分県)<>sage<>2012/03/02(金) 13:59:00.16 ID:nRpAY6P4o<> 荒木こんなにエキセントリックな奴じゃないだろwwww多分 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/02(金) 17:39:37.34 ID:4vclQ67Ko<> まさかの新撰組副長登場ww
18とかサバの読み過ぎにも程がありますよ先生 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/03/02(金) 22:29:41.56 ID:2osUFK/So<> 究極生命体の癖に18歳だなんて酷い嘘だな荒木先生 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/03/03(土) 00:32:19.67 ID:MtruJHaQ0<> カッパドキア!
いいなあ 俺も行きたいわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <><>2012/03/03(土) 22:29:56.91 ID:dy0x61if0<> 4部キャラの誰かが演技してるんだろうけど、『不良』ならどっちだろうな
露伴先生が何か書き込んでるっぽいし、口調だけじゃ分からんな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/03(土) 23:09:35.68 ID:babHQO9IP<> まあ展開的に仗助じゃないし18歳とかヒントあるから消去法でいけば誰かわかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/03/19(月) 20:53:32.33 ID:kr1D8UpQ0<> 次の更新マダー? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/26(月) 00:34:26.31 ID:v8kJoXVN0<> 早くするだァァーーーー <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:24:06.49 ID:C/UgqUOPo<> 投下する <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:25:17.10 ID:C/UgqUOPo<>

「だからさ、よしかげは『異常』なんだよ
ふつーは『魔術師』に『一般人』が『生身』で立ち向かったりはしないかも!」


はあ、という声しか出す事が出来ない
というより、受け入れる事を脳が拒否していると言うべきか


私はずっと(といっても『以前』だからよく分からないのだが)『平穏』を愛している
その私がだ、その私が『自らの利益』さえ無しで『炎使い』や『魔術』などと戦ったというのか?


『馬鹿げている』の一言だ


今の私なら『自らの利益』があろうと、そんな『危険地帯』に身を投げるような事はしないだろう <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:27:26.14 ID:C/UgqUOPo<> 「むー、信じていないねー?
初めて会った時の『とーま』と同じ顔してるんだよ!」


「いや、そんな事はないさ
そうだインデックス、ちょっと聞きたいんだがな
私の『能力』について、どのくらい『知っている』?」


「え!?よしかげも『魔術』が使えたの!?」


「い、いや、そういうわけじゃあないんだ……
ほ、ほら、私は『記憶喪失』だろう?
自分にだって能力があったかも知れないと考えるのが普通じゃあないか?」



……これは『吉』と取るべきか……?



元々、私が持っていた能力さえ『自覚』出来たなら、私は完全に『力』を取り戻せただろうに………
(ま、私はこの『クイーン』しか持っていなかったのかも知れないがな)


だが、私と親しかったらしいこの小娘が何も知らないという事は
私の『クイーン』を知るものは存外に少ないのかも知れないな <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:28:30.22 ID:C/UgqUOPo<> 「うーん……私が『覚えている』限りは、よしかげが能力を使った事はないんだよ!
残念だったね!これでよしかげが『凡人』って再確認出来たかも!」


えへんと胸を張るインデックスだった


話変わるが、この吉良吉影、自分でも不思議なのだが
妙なほど『数字』にこだわりが有るのだ

いや、意識をしているわけじゃあない
特に数字関連の出来事が有ったというわけでもない
だが本能ともいっていい部分が私に告げる


【『1』は避けろ】


と。


世間一般では『1』は良いもののように認識されている
『1位』、『1等』、『1番』
しかしだ、私は、私の中の何かは、これらを全力で避けたがっているのだ


突然、どうしてこんな事を思ったのかは分からない
だが、これらは確固たる信念のように私の中に根付いているようである


『閑話休題』だ、話を元に戻す


要するに、私はやすやすと『真の能力』を晒してはいなかったという事だ
今の所は喜ばしい事と取っておくべきだろうな
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:29:42.02 ID:C/UgqUOPo<> 「あーーーーーーーー!!」


「どうした?」


「『カナミン』!!カナミン!カーーナーーミーーンーー!!
うっかりしてたんだよ!!今日はカナミンの放送日なんだよ!!
うううー!とうまが『唯一』見る事を『許してくれてる番組』なのにー!!
これを逃したら、私は一週間もの間を『先週のカナミンの思いで』で乗り切らなきゃいけないんだよ!!」


「テレビを見る事を『制限』されているのか?」

「うん!とうまが【物騒なニュースはお子ちゃまに悪い影響を及ぼすのですよー】って見せてくれないんだよ!
とうまは色々、『ニュース』とか見ているくせに卑怯かも!」


「そうか………」


インデックスは私の数歩先へ駆け出し、振り向き様に言った

「よしかげ!悪いけど私はここまでかも!
とうまは『トラブル』の有る所に必ずいるから、そこを探すと良いかも!
ごめんね!それじゃあバイバイなんだよ!」


砂埃、いや、砂嵐を足から巻き起こす彼女は
『絶対的宇宙の歯車的な走方』で私から去っていったのだった


「………行ってしまった……」



…………トラブル……か………

.....
....
...
..
.
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:31:41.58 ID:C/UgqUOPo<> トラブル、トラブル、トラブル
簡単な事じゃあないか、『シンプルな事』じゃあないか
この吉良吉影、トラブルを避ける事に関しては『一日の長』がある
ならばだ、なら簡単な事じゃあないか
『徹底的』にトラブルを『避けなければ』良いのだ


「『クイーン』」


私はそう呟きながら足元の『小石』を握りこみ


「『爆破』だ」


『真上』に放り投げた


【ヴゥォオン】


唸るように、響き渡る様に、


オーケストラの『テューバ』のように音を立て
小石は『開幕の狼煙』のように弾け飛んだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:32:54.50 ID:C/UgqUOPo<>

静寂


静観


そして気づく


「…………しまった、『アンチスキル』が来るかもしれない
この吉良吉影とした事が……クソッ………!!」


ここはひとまず隠れるか………?
悲しいかな、ここは『裏路地』なのだ
近くにある遮蔽物といえば『室外機』程度なものだ


ふうむ、困った


これからは後先を考えて行動するべきだな、反省しよう



その時だ


冬の朝の『革靴の足音』の様に良く通り
響き渡る声が私の背後から飛んで来た
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:34:23.35 ID:C/UgqUOPo<>

「『爆音』がしたから来てみれば……」


声のした方を向く


「………また会った『じゃん』?吉良吉影」



……
………
…………?


「誰だ?」


【パシィ】


アンチスキルは『警棒』をビルの側面へ叩きつける
それなりにアスファルトが『削げた』事から鑑みるに
この『女』はなかなかに身体を鍛え抜いているようである


「…………『女看護師殺害』」


「……」


「お前、この件に関わりがあったそうだな?


『手首』だけを現場から持ち去り、女看護師は死亡
病室には当然だが監視カメラが無い、だからお前に会った時に聞こうと思ってたじゃん


ま、これは個人的な興味も入っているが……まあ良いじゃんよ






…………お前、『何』だ?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:35:43.99 ID:C/UgqUOPo<> 「何だ、という質問もなかなかマヌケなモノだな」


「………お前は質問にだけ答えてれば良いじゃん」


「質問に対する答え方が分からないね」


「そうか、それならそれでもいいじゃん
どっちにしろお前には……『お縄』についてもらうじゃんッ!!」


そう言うと、アンチスキルは私との距離を即座に詰めてくる
『警棒』を右手に、『盾』を左手に持っているというのに、その『速度』は圧巻の一言だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:38:24.66 ID:C/UgqUOPo<> 「食らう……じゃんッ!!」



警棒を私に振り抜くアンチスキル


「やれやれ………『争い』は避けたいんだがな……
だが、『彼女』について知っているのなら………『始末』せねば……」


ひとまず後ろへ数歩下がって、アンチスキルの振る警棒を片手で受け止めた


【バチィ】


一瞬、何が起きたか分からなかったが
気がつくと私は『ビルの壁』へ『叩きつけられて』いたのである


…………確かに『警棒』は受け止めたはずだ………


「『油断』したな?大方、『女』が『棒』を振り回してきた程度の考えで『身構え』もしなかったな?
そういう考えの『バカ』が多いから、こちらは『ありがたい』と言わざるを得ないじゃん
この街は能力者の街、そりゃあ『肉体強化』みたいな能力もわんさかだ
そんな奴に『力』のみで挑もうなんて愚の骨頂」


アンチスキルは再び警棒を振る
すると、先ほどは気づかなかったが
警棒の刀身が『青白く』光ったのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:39:46.45 ID:C/UgqUOPo<>
「スタン……ロッド………?」


「見えたか?気づいたか?その通りじゃん
この警棒は『振るだけ』で、成人男性を吹き飛ばすほどの『電流』が流せる………
いや、これは身をもって実感したお前ならわかる事じゃんよ」


迂闊……だった………
良い『勉強』になったよ……
いや、実に恐ろしいな、『思い込む』という事は……
特に自分を『優位』だと思い込む事は………な……!
これは『心』に刻んでおこう……どんなクソカスでも……一抹の油断すらしてはならない……とな……


「さて、『お眠り』の時間は済んだじゃん?」


気が付くと、崩れ落ちた私の首筋に『スタンロッド』が当てられていた
かなり強く当てられているようだ、どけようと思ってもビクともしない
そしてもう片手には用心深く『盾』が構えられている
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:42:25.76 ID:C/UgqUOPo<> 「『盾』……か……それも……『防弾仕様』……
まさか、この街では『銃』が横行しているのか……?」


「時によりけり、じゃん
腐った大人が持ち込んで子供を腐らせる事もある
能力者が『擬似的』に作り出す事もある
まあ、この盾は『銃対策』のみじゃあないじゃん
お前のような『未知』の『来訪者』にだって使われる」


アンチスキルは用心深く、私にゆっくりと『盾』を近づけた


「これで、『詰み』じゃん
そうだ、そういえば私はお前について考えていたんだが
吉良吉影、お前は『能力者』だろう」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:50:07.20 ID:C/UgqUOPo<> 「ま、返事はいらないじゃん、これはただの私の『戯言』とでも思えば良い
私はな、お前がいつか『小萌先生』をチンピラのバイクから助けた晩を忘れはしない」


【コモエセンセイ】


「唯一の謎は、お前がどうやって【小萌先生】をたらしこんだかだが、今は良い
問題はだ、問題はお前がどうやって迫り来るバイクのタイヤのみを的確に『破裂』させたかという事じゃん」



アンチスキルの言葉を聞くと『頭痛』がした
何故だ?急に頭が割れる様に痛み始めたぞ?
『病気』や『ぶつけた』なんて生っちょろいものじゃあない
『文字通り』に頭が割れてしまいそうだ



「お前は『小萌先生』を守りながら、バイクのタイヤを破裂させた
これは『書庫』に載っていない能力ではあるが
あの場の状況から見て……そうだな…『遠隔破裂』とでも言うべきか……?
いや、違うな、そんな能力だったら
今頃、私の『頭』でも狙って、腐ったカボチャのように弾けさせてるじゃんよ」


頭が痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い




【コモエセンセイ】



そうだ…………これだ………この言葉を聞いてから………頭が………
何故だ……?何故、こうも頭が………?
まさか………コモエセンセイとは私の言葉が『記憶』に関係するのか……?
そして、こいつはコモエセンセイを知っている………
問い……たださねばなるまい…………!!


「無機物のみを『遠隔』で……いや、これも違う
だとすれば、この『スタンロッド』や『盾』もイケる筈だがそうしない……」



「おい」



「ん?まさか自ら答える気になったじゃん?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 00:52:05.46 ID:C/UgqUOPo<>








「おしゃべりが過ぎるぞ」









自分でも驚くほどの『無機質な声』が私から発せられる
だが、そんな事は気にしていられなかった



今、私の心を占めている言葉はただ一つ



【コモエセンセイ】


さっきから【コモエセンセイ】という単語を聞くたびに
私の頭で『無数の蟻』が行進しているように『脳』が疼くのだ


素早く右手でアンチスキルの首を掴み
左手でスタンロッドの刀身を掴む


そして言う
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 00:53:38.70 ID:C/UgqUOPo<>

「これは、『振るだけ』で良かったんだったな?」


私は右手を大きく振り、『刀身』を壁へ叩きつけた


瞬間、右手から入ってきた『今の私』にとっては『心地良い』『刺激』が私の中を駆け巡り
同時に、『左手』、つまりはアンチスキルの『首』へと電流は流れて行った


ビクリと痙攣したアンチスキルの両手から
盾と警棒は落ち、どこからか機械がショートしたような音が聞こえた


恐らくは『無線機』か『携帯電話』という奴に電流が流れたのだろう
願っても無い『好都合』、これでこの女は完全なる『一人』となった


私は手持ち無沙汰となった『右手』を左手へ添える
このアンチスキルは女にしてはなかなか大柄であったが、楽々と私の両手で持ち上げる事が出来た


形成逆転、先ほどまでどこか
『強者の余裕』とでも形容すべきモノを放っていたアンチスキルは
今や、屈辱と敗北感がない交ぜになったような視線を私に向けていた <>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 00:55:04.27 ID:C/UgqUOPo<>

「クッゥゥ………殺す…なら……殺ッ!?」



私は両手の内にある柔らかい首を絞める



人間、呼吸を急に止められた時ほど無防備な時は無い
ライフラインを止められた身体は、『本人の意思とは無関係』に救援を求める『SOS』を発する
それは『目の充血』といったり、『頬の紅潮』だったり、『拍動の促進』などである


つまりは、全身から『助けて』という声なき声を発し始めるのだ


私はこらえきれずにクスクスと笑いながら彼女に問いかける


「『殺せ』?君は今、殺せと言ったか?
まさか、まさかとは思うがハッキリさせておこうじゃあないか


いいか、今更、君の『意思』で死ねると思うなよ?


君の『生殺与奪』は私が握っているんだ
私が良いというまで死ぬ事は『許可』しない」


持ちあげた両手をゆっくりと緩めてやる
『酸素』が届き始めた彼女の脳は冷静に現在の状況を整理しているようだ
彼女の表情がまるで『万華鏡』のように変わっていく様は『痛快』だった <>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 00:56:55.35 ID:C/UgqUOPo<>

「ンン〜、君は知っているかなァ〜?
人が死ぬ瞬間っていうのはだね、案外にあっけないものなんだよ
『ヒューズ』が落ちるようなものでね、『気がついた頃』にはもう死んでいる

ただ、私は思うんだよ
よくテレビで老人が家族全員に看取られて死ぬシーンがあるだろう?
考えてみれば、あれはなかなか素晴らしいものじゃあないかとね」


再び、絞める


「自分という『存在』がこの世から消える
ああ、自分は何を残せたのだろう、この『世界』にどんな『影響』を与えられたのだろう

考えてもみてくれ、君が死んでも『世界』は何も変わらず回り続ける
君のアンチスキルでのポジションには『他』の隊員が就くだろう
君の住んでいるところも引き払われて、『どこかの誰か』が住むだろう

どうだ?君は何を『遺せた』?
見たところ、君に子供はいないだろう?(エンゲージリングが無いしな)


つまり、君の何十年間にも及ぶ日々の積み重ね、苦労の積み重ねは、『全くの無意味』だ」


少し、緩める
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 00:58:13.64 ID:C/UgqUOPo<>
「ああ、本人にとっては『意味』があるかもしれないな
君の中には今までの『楽しかった思いで』や『甘酸っぱい恋』とかがあるだろうな



ま、それも全て『無』に帰るんだがね



改めて聞かせてくれ、どうだ?『自分以外の意思』で『消される』気分は?」


強める、首の骨が折れんばかりに。


「いいか?よく考えてみてくれ、こんな薄汚れた路地裏で『君の人生』は終わらせ『られる』んだ

誰も看取ってくれず、誰にも気にかけられず
誰も助けてくれず、誰も、誰も、誰ものオンパレードだな

『孤独』、辛いよなあ?孤独は人を『フヌケ』にするとはよく言ったものだよなあ!
おっと、誰かが助けに来てくれると期待されちゃあ困るからな!先に言っておこうか!

君はッ!『一人』でッ!!死ぬんだ!!いいかッ!!『一人』でだッ!!」


弱める
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 00:59:39.51 ID:C/UgqUOPo<>

「まあ、私も『鬼』じゃあない
ここで君に『助け』をやろうじゃあないか

いや、そんな期待した目を向けられても困る
君の『死』は確定しているから避けられはしないんだ


でも、私は君に『何か』『残させてやろう』


このまま、一人で死んでいくのは嫌だろう?
私なら、たとえ敵だろうと何かを伝えて、自分という存在を他者の記憶に残らせて死ぬがね

なあ、いいだろう?どうせ死にゆく君には関係ないじゃあないか?




さあ、教えてくれ、コモエセンセイとは、なんだ?」




手を緩めて彼女が口をきける程度に酸素を送り込んでやる
彼女の目の焦点が定まらなくなってきていた
私は『こうなった人間』が長くない事を『知っていた』(何故かは分からないが) <>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 01:01:24.59 ID:C/UgqUOPo<>
「小萌先生の事を……知って……ッ……どうする……つも………」



「どうする?決まっている、『調べる』さ
どうして、コモエセンセイという単語がここまで脳を疼かせるか知りたいからな」


「………小萌先生を……貴様の様なゲスに教えると……ウグッ!?」


強く、強く、首を締め上げる


「ほほう、かばうというのか?
素晴らしいなコモエセンセイという人物は、よほど『信頼』されているらしい


だがな、アンチスキル。
君は小萌先生を信頼しているようだが、あっちはどうかな?
『友情』というものは一人じゃあ成立しえない、当然だ、自分と相手の二人で初めて成立するものだからな


だがな、『信頼』というものは違う
一人が一方的に相手を慕えば、それは『信頼』だ
君は所詮『信頼止まり』なんじゃあないか?


だってそうだろう?
この場にコモエセンセイはいるか?
もしも、君の携帯電話が使えたとしてコモエセンセイは来てくれるのか?
わざわざ君のために来てくれると思うか?


そういう意味でも君は『一人』なんじゃあないか?」
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 01:02:56.37 ID:C/UgqUOPo<> 「私が………一人………?」


「ああ、君は一人だ
誰からも必要とされていない、『不要』な人間だ
『連絡』が無いのに君の『同僚』は君を心配していないようだしな


誰からも必要とされていないというのは辛そうだな?
そんな奴に『生きる価値』はあるのか疑問だね」


カクリ、途端にアンチスキルは全身の力を抜いた




殺してしまったか……?




私は念のためにスタンロッドと盾を遠くに放り投げた後
アンチスキルをゆっくりと地面へ下ろす


「ック………ック…………」


結論から言おう



アンチスキルは生きていた



『生物的』には、だが
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 01:04:26.54 ID:C/UgqUOPo<>
「さあ、コモエセンセイについて教えてくれないか?」


「ック………ック………」


「ふうむ………」


「ック………ック………」


どうやら『やりすぎた』らしい
私はアンチスキルを『屈服』させたかったのだが
ついつい『心』を壊してしまったようだ


私の『言葉』だけなら確実に『屈服』で止められていただろう
だが、私はガラにもなく……そう、『興奮』していたのだ……
初めて『看護婦』を殺した時ほどじゃあないがね……
恥ずかしい話だが、私はアンチスキルの『首を締める』事に『夢中』になっていた


私に首を締られるという『思考力』の欠如
この状態での私の言葉が『響きすぎた』のだろうな




反省しよう
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 01:05:58.29 ID:C/UgqUOPo<>

「有益な情報は聞けそうにないな………」


アンチスキルの顎をつまみ、眼球が覗きやすいようにする
焦点があっていないようだな………


「………私は………私は………」


「うん?なんだ、言ってみたまえ」


「………………『死にたい』………」


「そうか、まあ、こうなったのは私の責任ではあるからな
どれ、楽にしてあげようじゃあないか」


私はポケットから『100円硬貨』を取り出し、つぶやく <>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/03/28(水) 01:07:27.15 ID:C/UgqUOPo<>

「『クイーン』、出番だ」



100円硬貨は即座にアンチスキルをあの世へ導く『チケット』へ変化する
残念ながらこのチケットに『帰りの便』はない、『一方通行』なのだ



「それでは『名も知らぬアンチスキル』さん……
……………良い『旅』を…………」



空高く、私は100円硬貨を投げる
大空へ吸い込まれそうなほど高く飛んだ100円硬貨は
やがて、『重力』に従ってアンチスキルへ落下するだろう
そうなれば、アンチスキルの心は『救われる』


アンチスキルを背に、大通りへ歩を進めた

.
.
.
.
.
.
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 01:09:48.90 ID:C/UgqUOPo<>

「信じたく……なかった………」


振り返る


「本当に……信じたく………」


『男』が、『右拳』を『空』へかかげていた


「どうして……どうしてだ……」


男はゆっくりと『右手』を開く
すると、私が先ほど投げた『100円硬貨』が音もなく落ちた


「こんなことするなんて……嘘だろ……吉良……『先生』………?」


「…………この場合はなんと言うべきかな………
確かに『この身体』は君と会っているようだが………
すまないね、『この私』は君の事を全く知らないんだ」


「……それは……知ってる………」


「ほう、知っているのか、だったら話は早いな
改めて確認させてもらうが、私はいわゆる『記憶喪失』という奴らしくてね、『自分の情報』を一切知らないんだよ


フム……どうやら君は私を知っているようだね……
すまないが、『以前』の私について何か聞かせてもらえないかな?」


「…………」


「おいおい、黙ってちゃあ分からないだろう?
大人がこうやって頼んでるんだ、答えてくれるってのが筋じゃあないかね?」


「………………じゃあさ、『吉良』……
『先』に、聞かせて欲しいんだけどさ………」


「………質問に質問で返す事は感心しないが良いだろう、一応、こっちの方が立場は下だしね……
よし、今の私で答えられる事なら答えてやろうじゃあないか」



「………じゃあ、教えてくれよ……」






「…………アンタ、『誰だ』……?」




私に尋ねながら『上条当麻』は静かに『泣いていた』
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/03/28(水) 01:11:43.87 ID:C/UgqUOPo<> 打ち止め


リアルが忙しくって更新出来ず申し訳ない
あと、黄泉川って警棒使う描写無いんだけど
アニメで警棒らしきものを携帯してたので登場させました、すまんねバービー君


それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/28(水) 04:12:38.51 ID:lXwfmw4IO<> うん、イイんじゃあないかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<><>2012/03/28(水) 05:38:46.68 ID:aVmwwb8ho<> キチョーメンな性格でね、次の投下前にちゃんと「乙」をして、ピタッと待っていたいんだ…………
おまえは一枚のCDを聞き終わったら、キチッとケースにしまってから次のCDをきくだろう?

誰だってそーする、おれもそーする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/28(水) 08:37:48.74 ID:0Byq6x6DO<> あなた……覚悟してる人ですよね……
『投下する』って事は、常に『乙』される事を覚悟してきてるんですよね…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/03/28(水) 13:44:09.47 ID:yzCi9P3Zo<> このスレは既に俺によって「乙」されてしまっているのだからね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/03/28(水) 16:12:35.14 ID:s9fYfCk60<> 乙!

書き込むと思ったときには乙は終了しているんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/03/29(木) 14:34:29.02 ID:IoF4JqENo<> 乙
このスレとは関係ないけど何処かで大統領続きやってないかな……もう来ないのかな…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/03/31(土) 23:51:41.00 ID:5wai38+J0<> 投下に乙で返せーーーーーッッ!!
やっといてなんだけど伝わりにくいよなこれ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:31:47.57 ID:5snTvr1wo<> やべえ、遅筆すぎる

投下します <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:32:24.86 ID:5snTvr1wo<>

「君は、正直か?」



上条当麻は目の前の男に『恐怖』していた
かつて『見知った仲』の男だと言うのに。



人が恐怖する時はどんな時だろうか?


それは『見知らぬモノ』に出会った時だ
自分の理解が追いつかないモノは『無意識下』で『拒絶』されるのだ



その事実を踏まえると、上条当麻は吉良吉影を『知らない』
正確に言えば、『こんな』吉良吉影の『一面』をだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:33:36.65 ID:5snTvr1wo<>

『この世界』の上条当麻は『記憶を失ってはいない』


だから、覚えているはずなのだ、この『吉良吉影』という男を
忘れてはいないのだ、自分に様々な助言を与えてくれた事を
忘れたくはなかったのだ、彼と過ごした『日々』を




「んー、答えてもらえないかな
ま、当然と言えば当然か………
さっきの問いなんだが私自身は『Yes』なんだよ」



吉良は首元のネクタイを整える
その様子だけ見たならば、ほとんどの人は『しがないサラリーマン』にしか見えないだろう
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:35:06.18 ID:5snTvr1wo<>


だが、上条当麻は『そこ』も恐ろしかった



彼の、吉良吉影の『違和感の無さ』は『狂っている』
『違和感が無い』というのに『狂っている』というのも妙な表現ではあるが
『狂気じみた違和感の無さ』は、この男にとってどんな便利な事なのだろう


どんな人間だって、話した事の無い相手を判断するのは『見た目』からだ
そこから相手とコミニュケーションを取って、相手の人物像を作り上げる



だが、この男は別だ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:36:37.16 ID:5snTvr1wo<>

『見た目とのギャップ』というものは不思議なものである
恐ろしい格好の大男が子供好きとなれば『好感』を持たれやすいように。
連続殺人犯の顔が普通だった時の『意外さ』のように。


人はギャップに好感を持ったり不快感を覚えたりもする
ギャップによって『印象付けられる』といっても過言ではないだろう


吉良吉影にはそれがない
この男にはギャップが『存在しない』
いや、正確に言えばギャップを『感じさせない』のだ


『見た目』は普通のサラリーマンで『中身』も普通のサラリーマン
特に大きな成果を見せる事もないが、大きな失態を犯す事も無い
特に好かれもしないように、特に嫌われもしないように
この男はそんな風に生きてきたのだろう


それが上条当麻には恐ろしく感じられたのだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:38:11.95 ID:5snTvr1wo<>

人は、ここまで完璧に『人格』を変えることが出来るのだろうか?
上条と過ごした、月詠小萌と過ごした時の『吉良吉影』は一体『誰』だったのだろう?


今となってはわかりはしない
今でさえ、上条にはわかる事はないのだ
吉良吉影という男の『サガ』を、吉良吉影の『生き方』を


だが、その生き方はまだ『徹底』されていない
『以前』の吉良吉影だったのなら、人に『見つかる』ようなヘマはしない



今でこそ記憶を失って間もない、だからこそ『上条当麻』に『現場』を見られる失態を犯したのだろう



だが、この『殺人鬼』が『経験』を積んでしまえばどうなるのだ?



『愚か者』は恐ろしいと言う、確かにこの言葉には一理ある
なぜなら『愚か者』の行動は『一般人』には予測出来ないからだ

だが、『賢者』だったらどうだ?
賢者の行動だって一般人には読めやしないだろう
さらに『恐ろしい事』がある、これは『愚か者には無い事』だ


賢者の恐ろしい点は『反省』にある
賢者だって『失敗』はある、だが、賢者はそれを『失敗』としてキチンと覚えている


そして、『二度と』同じ失敗はしないのだ


果たして、吉良吉影は『どっち』なのだろうか?
『愚か者』か?『賢者』か?


答えはきっと、きっと、きっと
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:39:39.44 ID:5snTvr1wo<>

「学生の君なら『馴染み』はあるだろう?
ほら、『美術』の時間に教科書にでも載っている『アレ』を見たはずだ、思い出してみてくれ
私は『記憶』を失ったがね、『知識』はあるようなんだ
いつだって、あの『絵』を『思い出す』……という表現は正しくないか……まあ、どうでもいい」


語りながら、吉良は跪いて『女アンチスキル』の襟を持ち上げる
彼女の意識は覚醒しているようだ、だが、その目はとても『虚ろ』だった
『蛇』に巻きつかれて、生を諦めた『獲物』のようなその目は、焦点を合わせる事すらしない


「うーむ、この女は『ダメ』だな………
『荒れてる』上に『筋肉』が付きすぎている………
やはり……『アレ』には勝てないな……」


吉良は口角を少し吊り上げ、言った


「私が…初めて『アレ』……そう、『モナリザ』を見た時………正確には『思い出した』時だが……
フフ………その………下品なんだがね………」



「『勃起』しちゃってね………しばらくは、学園都市内でモナリザの『レプリカ』でもないかと探してたよ……」



「ところで……君のその『不思議な右手』……
私の『爆弾』を……解除したその『右手』…………
モナリザの時のように『勃起』こそしないが……
不思議だ………ひどく……『欲しい』……!
…………『神々しさ』すら感じるぞ………!!
その右手……この街の『クソ下らない能力』のようなチンケな存在じゃあないな……
まるで『イエス・キリスト』でも目の前にしているようだ………
……………興奮してきた………『貰って』いいかい……?」


吉良の異常な『愛』は『幻想殺し』へと向けられる
吉良が『聖人』にもなぞらえたその『手』は
『別の世界』では『奪い合い』にすらなった『手』だ
吉良吉影にも『何か』感じとるところがあったのだろう


対する上条はポツリと言葉をこぼす
<>
◆tyuVXY5AEU<>saga<>2012/04/20(金) 00:41:22.41 ID:5snTvr1wo<>

「驚いたよ………ハハッ……自分の先生がこんなに『サイコさん』だったとはな……
見抜けなかった自分に腹が立つぜ…………
……もういい……もう忘れなきゃな………」


ポカリと、上条は『右手』で『自らの頭』を殴りつける
何度も、何度も、何度も、何度も


「なんで消えないんだろうな………『幻想殺し』なのにさ……
楽しかったのにな……『すき焼きパーティ』………
面白かったのにな……『買い物』………
嬉しかったのにな………俺の『幸せ』に気づかせてくれた時……

こいつらは……『幻想』だったって分かっているのに……!!
『嘘つき』に創り出された『幻想』に過ぎないっていうのに……!!
ああッ!!クソッ!!クソッ!!クソォォォォォォ!!!」


彼の『殴る力』は徐々に増していく


「ふざけるんじゃあねえッ!!バカにしてんじゃあねえッ!!
ずっと笑ってたってのかよッ!!『騙されている俺達』を見て笑ってたってのかよッ!!
そうだよな!滑稽だよなあ!『殺人鬼を先生と慕うバカ』なんていねえよなあッ!!

こんな事ならッ!!俺がッ!!『偽善使い』のこの俺が記憶を失えば良かったッ!!
忘れさせろよッ!!あんな『幻想達』なんかッ!!
忘れさせてくれよッ!!『幻想殺し』ッ!!てめえの存在意義だろうがッ!!

『未練』なんかねえッ!!!『見知らぬ誰か』に偽善を押し付けてよ!
『感謝』されるでもないッ!『頼まれた』わけでもないッ!!
そんな『無意味』な『人生』ッ!!
そのちっぽけな『人生』の『記憶』なんて『幻想』だろうがッ!!消せよッ!消してくれよォォォォォォ!!」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:42:42.27 ID:5snTvr1wo<>

上条当麻は自らの頭を殴り続けていた『右手』を握りこみ
吉良へと突進していった、策など無い、だが走らずにいられないのだ


彼の中で自覚していた事を、とうとう彼自身が言ってしまったのだから。
彼の感情の嵐は、進路を決めかねたまま、自らの『過去』へと向かって行ったのだ


いつか、『偽善』と言われた時は笑って受け流した
その時はまだ『偽善』の重さを理解していなかったから。


だが、今はどうだ?今の上条当麻の『精神テンション』は
インデックスに対して行った行為すら『偽善』に感じられる始末だ


そして、その『偽善』の結果に失ってしまった『今までの吉良吉影』
『今までの吉良吉影』を失い、代わりに得たものなど、『小萌先生の悲しみ』と『看護婦の死』ぐらいだ



そうだ


この状況を作ったのは




『自分』じゃあないか
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:43:40.18 ID:5snTvr1wo<>
最初から、インデックスなど気にかけなければ良かったのだ
『赤の他人』の苦しみなど、どうして『自分』が感じなければいけない?
地球の裏側で赤ん坊が何人飢えようが何もしないじゃあないか
それと同じだ、何も気にしなければいい
そうしさえすれば、自分は『傷つかず』に済むのだ



そうしさえすれば
そうしさえすれば
そうしさえすれば
そうしさえすれば
そうしさえすれば



言葉に出来ない感情を、力に変えて
右手に溢れんばかりに高まる力を込めて
当たるならどこでもいいとばかりに、振り抜いた <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:44:57.07 ID:5snTvr1wo<>

「……そんな『キャッチャーフライ』みたいに軽い攻撃……
そんなもの、『右手』を献上しにきているようなものだッ!!」


吉良はいつのまにか握り込んでいた『砂利』を上条へと振りまいた
『クイーン』が『爆弾化』させられるのはその中の『一粒』しかない
だが、それが『良い』それこそが吉良の『狙い』だった


「どれかは『当たり』だ、受け取りたまえ」


すると、すかさず上条は振り抜きかけていた右手を目の前に『突き出した』


恐れなど無い、今彼の頭を占拠しているのは純粋な『怒り』だ
余計な事を考えられるスペースなど存在しない


爆弾は、作動しなかった
『奇妙な鳥の鳴き声のような音』と共に『爆弾化』が解除されたようだ


間合いに到達し、再び上条は右手を振り抜く
が、なんなく避けられてしまった
続いて左手を突き出す、が、これも避けられる <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:46:00.47 ID:5snTvr1wo<> 「そこらへんのドチンピラの攻撃とこの私を一緒にするんじゃあない」


吉良は『単調』な上条のラッシュをいなし、鼻に『肘鉄』を叩きつける
どうやら『脳』を軽く揺らしたようだ、上条は急激なめまいに襲われる
これをチャンスとばかりに、吉良はつま先を上条の鳩尾に叩き込む


「私は目立つ事は嫌いだがね、ナメられるのも嫌いなんだよ」


前のめりになった上条の首元を持ち上げ
吉良は渾身の右ストレートを上条の頬に打ち込む


哀れ、上条当麻はビルの壁面へと叩きつけられた
無理もない、大人と子供の実力差だ
その上、お互いの『精神状態』は天と地の差で違うのだ
『冷静さ』を欠いた上条に勝てるわけがない
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:47:30.07 ID:5snTvr1wo<>

「さて、どうしたら君の『幻想殺し』とやらは『取れた』ものかな?」


たらり、上条の鼻から血が流れ落ちる
鼻血は上条の口元を赤く染めていった


「おっと?鼻血かね?それはいけない
鼻血ってのは一つも良い事がないそうだ、脳への『酸素供給量』だって少なくなるしな」


そう言うと吉良はポケットから『ティッシュ』を取り出して、倒れている上条の側へ投げた


「使えよ、『右手』に血がかかっちゃあいけないからな」


左手で上条は鼻をこする
みるみるうちに、手のひらが『真っ赤』に染まっていった
<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/04/20(金) 00:48:54.05 ID:5snTvr1wo<>

「(俺は、何を、『感じてた』んだ?)」


上条当麻は分からない
分からない事がこんなに腹立たしいなんて
自分の感情が自分で分からないとはどういう事だろう


「(俺は、吉良に『どうして』ほしいんだ?)」


『サプライズ』でしたとニッコリ笑ってくれる事を待っているのか?
実はこれこれこういう事情があってね……と弁解してくれる事を待っているのか?


俺は、何を待っているんだ?


さっきから自分の中には『怒り』しかないと思っていた
それは違う、これは怒りなんかじゃない


今、俺の心を満たしているのは、一体、なんなんだ
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:50:56.81 ID:5snTvr1wo<>

「ティッシュを使えばいいものを、まあ良い」


吉良が眼前に近づいてくるのが見える
だが、自分には何もできる気がしなかった


不良に囲まれた時だってこんな事にはならない
これよりもっと酷い目にあった事だってある
だが、自分はその度に『逃げおおせた』
つまり、今の自分が動けないのは『痛み』なんかじゃあない



今の俺を止めているもの、それは



「俺を、[ピーーー]のか?」



「ああ、顔を見られちゃあ生かしておけないんでね、すまないな、『少年』」




『俺自身』だ


自分を止めていたものの存在に気づいた時の上条の動きは速かった
上条は、即座に立ち上がり、吉良吉影の『ネクタイ』を引き下ろした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:52:31.63 ID:5snTvr1wo<>

「うおおおッ!?」


完全に『右手の取り方』に心奪われていた吉良に突然の『揺れ』は効いた
世界がゆらめき、顔から大地に激突する
すかさず上条は距離を取って離れた


「あんたは『吉良先生』じゃあねえよ『吉良吉影』
もう、あんたは『敵』だ、もうあんたに俺の心が動くことはない
どこかで思ってたさ、この人は記憶を失ったショックでこうなってるだけだと
錯乱してしまっているだけなんだってな
だが、それも違うようだぜ吉良吉影、あんたは『思いで』に未練』がないようだ
『思いで』の無い人間なんか『ゾンビ』と一緒だよ
『自分の為』だけに生きて『他人』を貪る『ゲス野郎』だぜッ!!」


「それの何が悪い?」


「何だと?」


「それの何が悪いと言ったんだよ
私はな、『平穏』に生きてみせるんだ
毎日を特に大きな事件も起こさずに過ごし、悩みだって作らない
その為なら私はどんな事だってしてみせる
その事の何が悪いというんだ?」


「ふざけんじゃあねえッ!!
じゃあ、自分の為の『殺人』が許されるっていうのか!?
そんな事許されるワケが……」


「そんなもの、知った事ではない
自分の人生だ、自分の『快楽』の為に生きて何が悪いというんだ?
驕るなよ『偽善者』が、貴様も他人である私の『邪魔』をしているじゃあないか
いいか、『正義』がいつも自分にあると思うな
私の中ではな、私の『サガ』こそが『正義』だ」


言葉を切ると、吉良は自分のネクタイを整える
髑髏模様のネクタイがうねる、まるで生きているようだ



「ふう………これだから『争い』は無駄なんだ無駄無駄……
後に残るは『ストレス』ぐらいだ……」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:53:43.05 ID:5snTvr1wo<>




「…………『小萌先生』」






ネクタイを整える手が、止まった



「今、何と言った………?」



「『小萌先生』といったんだよ……吉良吉影」


「………そこに転がっている女も『そいつ』の名前を……言ってたかな………
君も……知っているのか……その……小萌先生を……?」


「ああ、知ってるよ
良い事を教えてやるよ吉良吉影
いいか、よく聞けよ、小萌先生はな
『毎晩』、てめーの『名』を呼んでるぜ、『泣きながら』な」


「…………」


「もう一つ、良い事を教えてやるよ
てめーのズボンの『ポケット』に何か『入ってる』だろ?」


吉良は上条の言葉を不審に思おうともせず
ゴソゴソと自らのポケットに手を突っ込んだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:55:21.08 ID:5snTvr1wo<>

「…………?」


吉良吉影は何かをさぐりあてたようだ
ポケットから綺麗に『ラッピング』された『ソレ』を取り出す


「これは………?」


「おっと、『開けていい』のかよ?小萌先生に『渡さなくて』いいのかよ?」


「………渡す…………?」


「ああ、そうそう、てめーは記憶喪失だったな
すっかり忘れていたよ、悪いな」


「おい、貴様、何か」


「ああ、知っているぜ吉良吉影、てめーが小萌先生にどう思われていたのか
ああ、知っているぜ吉良吉影、てめーの学園都市での生活の中心に、小萌先生がいつだっていた事を」



「………言え……」


「言うかよ」


「…………言え………!」


「言うかよ…!」


「………言えェェェェェ!!」


「言うかよォォォォォォ!!」


吉良は上条へ駆ける
さっき上条当麻がしたように、右手を振り上げて
殺人鬼は拳を握り、偽善者へと駆ける
偽善者は、上条当麻は、同じように右手を握り、構える <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:56:29.72 ID:5snTvr1wo<>

「………さっきの仕返しな」


顔面を狙った吉良の拳を屈んで避け、上条は吉良の鳩尾へ拳を叩き込む
肺腑の中の息を絞り出す様に吉良は苦悶し、離れる
上条は止まらない、追い、再び拳を振るう


が、今度は当たらない
吉良がボクシングにおける『スウェーイング』の要領で避けたからだ
吉良は両の手を重ね、上条の首へ振り下ろし、地面へ叩きつける


倒れる上条に追撃
『喉』を持ち上げるように蹴り上げた
軽く吐血した上条だったが、転がり、二撃目を避ける


上条の動きと共に、吉良の体制が揺らぐ
なぜなら上条は吉良の靴紐を握ったまま転がったからだ
無様にも吉良は尻餅をつくようにこけてしまった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:58:02.70 ID:5snTvr1wo<>

「この吉良吉影がこんな『赤っ恥』をォ〜〜〜!」


「赤いのは『恥』だけじゃあないようだぜ……………」


かすれる声で上条当麻は吉良の首元を指差す
そこには血で赤く染まった『スーツ』
吉良の唇から流れる血は、彼お気に入りのスーツに『シミ』を作っていた


「…………このスーツは…」


吉良の言葉を上条が引き継ぐ


「……『ヴァレンチノ』………だろ……?」


目を丸くする吉良吉影
その言葉のショックではないだろうが、吉良はガクリと身体を曲げる
鳩尾への拳がかなり効いたようだった


その時だった <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 00:59:33.98 ID:5snTvr1wo<>


「ウグッ!?」



声をあげたのは『吉良吉影』だった
彼のスーツがどんどん『赤く』なっていく
何故だろうか?『唇の血』?


馬鹿な



それにしては





『量』が多すぎる



そして、血液が溢れ出したのは『唇』からではない



どこか?





それは




「……………『テレポート』………と言ったかな………?」




『肩』に『出現』した『鉄杭』からだったのだ <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 01:00:51.39 ID:5snTvr1wo<>


「『確保』………『ですの』」


ツインテールの少女が腕章を付けながら、上条の後ろから歩いてくる
肩を片方ずつ回すその姿は『一仕事』終えたように見えた


「おい!危ないからどっかに行ってろ!そいつは!」


「知ってますの、『看護婦』……今は『看護師』でしたっけ……?
まあいいですの、看護婦殺しにして
『アンチスキル暴行』、さらには『暴行』の『現行犯』
どうしてか、『顔写真』が『一枚』も存在しませんが……名前は………そう……」


『腕章』を倒れる吉良へ見せるように引っ張り、彼女は言った


「『吉良吉影』、三件の罪により貴方を拘束しますの
肩を狙ったのはお許しくださいまし」


そういうと少女はスカートの裾を
どこかの貴族のように少しつまみ上げ、深々と礼をする <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/04/20(金) 01:02:01.19 ID:5snTvr1wo<>


「そう……か………この街は……アンチスキルだけじゃあなかった………な……」



這いつくばる吉良が、少女を見上げながら言う



「名は………たしか…………」



少女、『白井黒子』は殺人鬼を見下ろしながら言う




「『ジャッジメント』ですの」 <>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/04/20(金) 01:03:15.22 ID:5snTvr1wo<> 打ち止め


ジョジョリオン読んでたらこんなに遅く(ry


出来ればまた近日に


それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/20(金) 04:17:50.07 ID:Wr+rSa8IO<> ドギャ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乙_____ンッッ!!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/20(金) 11:38:20.76 ID:QA4+QuKDO<> 乙!
広島はウルジャン今日発売なんだよなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大分県)<>sage<>2012/04/20(金) 19:58:12.21 ID:EYD2Ue4Mo<> この吉良にはなんだかんだでバイツァ・ダスト取り戻して何人か始末して
最後まで平穏がどーのこーの言ってヘタレずに惜しい所まで行った上で負けて欲しいな
エピローグ 学園都市はとても深く傷ついてなんたらかんたらみたいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/04/20(金) 20:49:05.36 ID:/qQXZBtoo<> >>956
予想とか希望とか書くなよ
気持ち悪い妄想書くならお前がスレたててそういうSSを書けばいいんじゃないかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)<>sage<>2012/04/20(金) 21:11:23.53 ID:SgQVHl/A0<> >>1乙!
今月来てもらえてよかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東北)<>sage<>2012/04/27(金) 18:27:24.36 ID:bcM7e9KAO<> お前は次に>>1乙と言う

俺「>>1乙…はッ!?」 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 01:45:20.86 ID:ZWaAq8zqo<>
今日明日投下する

禁書全巻大人買いしたら、三週間ほどキンクリしちゃってましてね……

それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/05/09(水) 01:58:31.81 ID:cXltvXAF0<> あなた…『覚悟してきてる人』ですよね…
投下を『予告』するってことは
逆に『乙』されてしまうかもしれないということを
常に『覚悟してきている人』ってわけですよね… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/05/09(水) 14:53:16.31 ID:Oa8qqIoV0<> 待ってる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/09(水) 19:47:30.85 ID:00WR+BmJo<> 『明日』って『いつ』の『明日』よ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/09(水) 19:52:49.11 ID:XBYqo71DO<> ねーちん 明日って今さ! <> ◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:19:02.42 ID:ZWaAq8zqo<>
こいつはいかぁーん!!21時に投下予定だったのが遅れてしまったァーーッ!!
大総統様に叱られるゥーッ!!


投下します <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:19:57.07 ID:ZWaAq8zqo<> 「キリストも……こんな気分だったんだろうな……」


『杭』の刺さった『私』の肩から生暖かい血が滴り落ちる
いったい私の身体のどこに、これほどまでの量があったというのだろう
血は吹き出しはしないが、まったく止まる様子がない


「貴方みたいな『クズ』に共感されるキリストに同情しますの」


目の前の小娘、ジャッジメントは倒れていたアンチスキルを介抱している
だが、アンチスキルは生気の無い顔のままだった
よほど、私の言葉が『効いた』のだろうな

人間というものは『意識』が不明瞭な時ほど、他人の言葉を信じ込みやすいらしい
インチキ占い師の側には必ずと言っていいほど、怪しげな『香』が焚かれているのが良い例だろう



彼女の場合は、脳に『酸素』が行ってなかったからだろうが
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:21:22.58 ID:ZWaAq8zqo<> 「それにしても……テレポーターか……これは『未経験』だ……」


私が戦ってきた『チンピラ』はほとんど『肉体強化』ばかりだった
まあ、当然といえば当然なのだろう
高位の能力者が『あんな所』で時間を無駄にするわけがない


私は『努力』しなければならない
なぜなら、落ちこぼれてしまえば『見下される』だろうし
突出してしまえばいらない『注目』を浴びるだろうからだ
常に『中間』、『平凡』、『普通』を心がけねばならない


今回のように目立つことが、『今後一切』あってはならないのだ


だから、こんな所で捕まるわけにはいかない
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:22:46.38 ID:ZWaAq8zqo<> 「しかたがない……クイー………ッ!?」


「無駄ですの」


大人げなく、『悲鳴』をあげてしまう所だった
突如として『二本目の杭』が『左手の甲』に出現したからである


「キリストだって、このくらいは『されて』いただかないと、共感されたくはないでしょうから」


澄まし顔の小娘は、アンチスキルの介抱を諦めたのだろうか
改めて、這いつくばる私を上から『見下していた』
そして小娘は腰の辺りに携帯していた『手錠』を取り出そうとする




ガサゴソと小娘の『手』が動く
<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/05/09(水) 22:24:25.98 ID:ZWaAq8zqo<> 『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が』が、『手』が
『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が
『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が
『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が、『手』が、『手『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が』が、『手』が
『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が、『手』が『手』が、『手』が




私の脳内にはこんな知識がある



【死に瀕した人間が無意識の内にしてしまう行動】



一体何だと思う?
『失禁』?『歯の震え』?『涙を流す』?
いやいや、そうではない、もっと人として『原始的』な部分だ



そう、それは『勃起』である



死ぬ寸前になってみると、人が無意識に考えることは『生殖行動』なんだそうだ
つまり、今の私のように『命が保証されていない』状態では『勃起』するのが当然なのだ


そんな私でも言える事がある


唯一にして、絶対的な事だ



この小娘の『手』は





この死に瀕した私にとっても






……………無いな



いや、普段の私なら気にせず『頂いていた』だろうが
『幻想殺し』という『美』を見た後だ、その辺の『雑草』程度にしか見えない <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:26:46.82 ID:ZWaAq8zqo<>













従って、『生かす意味』もない
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:28:42.94 ID:ZWaAq8zqo<>

私は『右手』で肩に突き刺さる鉄杭を『撫でる』


【しゅぅ】


『クイーン』で『鉄杭』を『消滅』させて、傷口を『焼いた』


「…………!?……あなた……『能力者』ですの………?」


「答える必要はあるかね?」


「…………鉄杭を消したのも不思議ですが……
……どうして………傷口からの『出血』が止まっているんですの……?」


私は立ち上がり、スーツに付いた土などを払う


「さあ、な」


私の答えに少し苛立ちを見せたジャッジメントは、静観していた上条当麻に問う
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:30:27.03 ID:ZWaAq8zqo<>
「………貴方、吉良の能力はご存知で……?」


「………分からねえ、だが、『あいつの触れたモノ』は『ヤバイ』」


「何故ですの?」


「………『直感』だよ……」


私の攻撃が今頃効いたのだろうか?上条は一言を残して倒れた


……この男、直感だけであれだけの『対処』をしてみせたというのか………
………こいつは…こいつだけは確実に『処理』せねばならない………
いずれはこの吉良吉影に『害』をもたらす可能性が高い………


だが、今、ジャッジメントに加え『幻想殺し』を相手取るのは少しハードだと思っていた所だ
案外、私には『幸運』が付いているのかもしれない
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:32:15.66 ID:ZWaAq8zqo<> 「さて……どうしたものかな」


「『どうしたものか』?貴方、気は確かですの?
出血こそ止まっているものの、貴方の肩には『穴』が空いていますのよ?
その穴から向こうの風景でも見えそうなほどのケガだというのに
貴方はこの状況を『打破』出来しようとでもおっしゃいますの?」


「私を見くびらないでもらいたいね
いいかいお嬢さん、『油断』というモノはとても恐ろしい
そう、ボクサーが序盤に食らったボディブローのようにジワジワと効いてくるモノでね……」


「ふん、私がボディブローを食らっているとおっしゃるのなら
貴方は既に『決定打』を何度も打ち込まれてグロッキー寸前といった所ですの
貴方にこれからできる事はただ一つ………」


ジャッジメントは言葉を区切ると腕章を握り、そして言う


「私の前に膝を屈する、ただのそれだけですの……よッ!!」


突如、ジャッジメントが私の眼前から消える
後に残るは、フラフラで、目の前の光景を認識できているのかどうかすら分からない上条だけだ


一体、ジャッジメントはどこへ………?



後ろから声がした


「お粗末な反応ですのね」


肩にポンと手をおかれた時はもう遅い
私の視界はグルリと反転し、地へ叩きつけられた


「………テレポートで私を………?」


「後頭部を強く打っていただけるように、上下逆さまで『落とさせて』いただきましたの」


私は右手で地面を握りしめ、ゆっくりと立ち上がる <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:34:10.83 ID:ZWaAq8zqo<> 「まだ立ち上がれますの?頑丈な方ですのね」


蹴りを、放った
ジャッジメントの鼻っ面を狙って。
だが、やはりジャッジメントはテレポートする
そして、私の背後に立ち、再び『飛ばす』


今度は『背中』から落としてくるか
胃の中身が口元へ込み上げてくるが我慢だ


拳を振るう
ジャッジメントは消え、私はビルの壁面をもろに右手で殴ってしまう


「無駄、ですの」


背後に来ると予測し、さっきジャッジメントの頭があった位置へ
振り向きざまに肘鉄を食らわせる


が、いない


「『上』ですのよ」


頭上からジャッジメントが降ってきた
穴の空いている方の肩に蹴りを入れ、私はまたも倒れる
再び、血液が穴から少しずつ流れだそうと傷口を濡らしはじめたのだった



気を失うほどの痛みだったが、どうにか、こらえねば





まだ『終わっていない』のだから

<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/05/09(水) 22:35:45.14 ID:ZWaAq8zqo<>
「まだ立ちますの………?」


「…………ケホッ…」


咳き込む事しか出来なくなってきたか
もう少し、働いてくれ私の身体よ
まだ『仕掛け』の時間だ、中途半端に事を為す事だけは避けたい



立ち、攻撃し、かわされ、倒される
この流れを数回繰り返した後、私は『行動』に出る事にした


もはや流れ作業のように私を倒していたジャッジメントは
私がルーチン通りに来なくなった事をいぶかしみ、警戒を始めた


「…………来る気に……なりましたの………?」




私は言った



「いいや、『逃げる』よ」


スタァーッ!という足音と共に、私はジャッジメントに背を向け、走る
無論、全力で走るので多少は無様な姿であるのは否めないが


「なッ……!?なんてッ!」


後ろから声が聞こえたが気にする事はない
今は全速前進だ、今の私を止めるモノは


「なんてッ!!愚かなんですのッ!!」


目の前に出現した <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:44:36.41 ID:ZWaAq8zqo<>






『これ』を待っていた
正直な話、私が好む所ではない『博打』ではあったが
私は賭けに『勝った』、いや、ジャッジメントが『負けてくれた』のだ
この吉良吉影の『逃走経路』の『要』を、このジャッジメントは果たしてくれたのだ



私は、力の限り『叫んだ』



「『クイーン』ッ!!」



私をテレポートさせようと、私に手を伸ばしていたジャッジメントは
一瞬、肩をピクリと震わせた後に、私に『触れた』


……………『やはり』、何も起こらない!


「いや………本当に恐れ入ったよジャッジメント………
まさか、こんな所でテレポーター、それも『高位』のが来るとはな………
だが、私は知っていたのだよ…………
テレポートというのは『繊細』らしいな………
まあ、当然といえば当然だが、かなり多くの『演算』と並々ならぬ『集中』がいるようだ………」


ジャッジメントの腕を引き、よろけた、スキだらけの『横っ腹』に蹴りを叩き込む
すると、案の定、テレポートで避けられなかったジャッジメントは
先ほどまでの私のように地面へ転げ、倒れ伏せる


キッとこちらを睨み、再び立ち上がろうとしたが
私は『胸元』から『プレゼント』を千切り、くれてやった



そう、『爆弾化』した『服のボタン』だ
私が下手投げで放ったボタンを、ジャッジメントは目で追った



そして、『ボタン』を起爆する



『爆弾』が小さかったからか、『爆風』は小さなものだった



だが、その爆風は






ジャッジメントのクリクリとした『眼球の表面』を『炙る』には十分だった
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:45:58.95 ID:ZWaAq8zqo<>

「うああああああああああああああああァァァァァ!!!」


叫ぶジャッジメントだったが、私は話を続ける
生憎、話を途中で勝手に切られるのは『精神衛生上』良くないのでね



「だったら、簡単じゃあないか?貴様の『集中』を乱せばテレポートは封じられるんだよ
だから言ったろう?『油断は恐ろしい』とな
何回も私が『無意味』に向かっていったと思ったか?
やはり貴様は思ってくれたのだろう?『ああ、私はこいつに負けることはない』と
心の何処かで思ってしまったのだろう?
その私が突然、『自分の予想』と違うことをするんだもんなッ!!」


再び、目を押さえてうめく彼女の横っ腹を蹴る
ここで肋骨でも折っておけば、痛みで『集中』は難しくなるだろうしな
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:48:12.07 ID:ZWaAq8zqo<>



【とぉぉぉぉぉぉるるるるるるるるるるるるん】




ジャッジメントのポケットが震える
…………これは、確か……そうだ、『携帯』という奴だ
私はジャッジメントのポケットに手を突っ込み、携帯を奪い、画面を見る



【初春から着信】



「おい、これに出るにはどうすればいいんだ?」


ツインテールの片割れを握り、持ち上げ、耳元で囁く


「……レディの電話に……勝手に…出るなんて……恥を……知りなさい……」


女の頭を地面に叩きつける
質問に質問で返す奴もだが、『返答以外』を返す奴も腹立たしいのには変わりない


……この『液晶』に触れればいいのだろうか?
とりあえず、私は触れてみる事にした <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:50:19.67 ID:ZWaAq8zqo<>


「あー……私は」



「もーう!!しーらーいーさーん!?
どーしてこんなにパトロールがなーがーいんでーすーかー!?
『支部』に私一人っきりでさびしーんですからねー!?
先輩は先に上がっちゃいましたし、今日に限って御坂さんも佐天さんも遊びに来ませんしー!!」



こっちの声は聞こえているのか……?


「……あの、もしもし?」


「もしもしじゃあないですよー!!何が悲しくて、せっかくのお休みを潰さないといけないんですかー!!
私だって遊びに行きたいですよーー!!ウィンドウショッピングしたいですよーー!!ケーキ巡りしたいですよー!!」


‥……『嵐』が止むのを待とう



「もー!!明日は絶対に私はお休みしますからねー!!!
佐天さんに『教会』に行こうって誘われちゃったんですよー!
なんでも、『礼拝』の後に『クッキー』がタダでもらえるとか『イケメン神父様』がいるとか………!!
全く、佐天さんは食いしん坊なんだからー………
あ!いや!食いしん坊ってのは『変な意味』じゃあなくてですね…!!
って、白井さんきーいーてーまーすー!?」


「やっと聞いてもらえそうだね」


予期せぬ声に、電話口の女が息を呑む音が聞こえた


「…あなた、誰ですか?これ……白井さんの………」


「ああ、確かにこれはシライさんの携帯だよ
そして、そのシライさんなんだが………どうやら、『暴漢』に襲われたみたいでね……」


「白井さんが!?暴漢!?そんな!だって白井さんは『レベル4』なのに!」


そんなに高位能力者だったのか
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:52:00.76 ID:ZWaAq8zqo<> 「だが…実際に起こっているワケだからね……
それで……ウイハルさんだったっけ?ちょっと『救急車』を呼んでもらいたいんだがね」



「え……でも、白井さんの携帯を使えば……」


「おいおい、電話に出られた事すら『奇跡』に近いんだ
その私がこの携帯を操作して電話をかけるなんて『不可能』だよ」


「じゃあ………今いる場所を教えてください…!
そ、それでッ!白井さんは……!白井さんのケガは酷いんですか………?」


左手で、うずくまる白井のツインテールを持ち上げ、見る
ああ、これは『酷い』部類に入るのだろうな
割りと『整っていた』顔が、今では『コールタール』みたいにグチャグチャだ


私は悲痛な声を作り、言う


「………残念だが……ご友人でも彼女とは『判別』がつかないかもしれない………
だが……『命』に別状は無い…そう、思う」


「しらい……さぁん………!」


「………ここは『第二十三学区』の『裏路地』だ
すまない……自分はこの街に来たばかりでね……『地理』に詳しくないんだよ………
『どのビル』の裏路地などと指定は出来ない……」


無論、『嘘』だ
ここは『第七学区』、ジャッジメントの支部がすぐ近くにある
だから、本当の事を言えば『トンズラ』する前に『ウイハル』のご到着だ
この街の『地理』にそれほど明るくないのは事実だが
第二十三学区がここより遠くにある事は知っているがね
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:55:07.19 ID:ZWaAq8zqo<>

「……………」


通話口から、音が消える
うっかり電話を切ってしまったかと焦ったが、画面には『通話中』と表示されている


「…………貴方、『お名前』は?」


名前だと?なぜこの状況で私の名前を聞くのだ?
貴様は一刻も早く、いもしない場所に『シライサン』を探しに行かなければならないはずだ
だというのに……何故……?



この女……もしかして………





私を『疑っている』?



感づかれるような事でも言ったか………?
……いや、言っていないはずだ…‥‥


【私が到着した時には既に暴漢に襲われた後だ】【白井の顔が判別がつかないかもしれない】
【私は携帯電話を使えない】【第二十三学区の路地裏にいる】


その後、『無言』を挟んでこの質問だ
もちろん、無言の時に白井は呻き声一つあげなかった(『あげさせなかった』のだが)
そして、後ろの方で倒れている上条やアンチスキルも気絶していた
つまり、こちらからの『音の情報』などは『一切無い』


いや、これは私の思い込みか?
単に『第一発見者』の名前を知りたかっただけか?
この後に話でも聞こうとしたのか?
そう考えれば『話の辻褄』が合わないでもないが………
ま、私はこの場から逃げるから、話は聞けないがね
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:56:38.03 ID:ZWaAq8zqo<>

「私の名前は…………そう、『カワジリ』だ
私の名前は………『川尻』……しがない『サラリーマン』だよ」


とっさに『考えついた』名前だが仕方がない
『本名』を言うわけにはいかないのだ
なにせ、指名手配されているらしいからな


「………『カワジリ』……下の名前は?」


「おいおい、今はそんな事はどうだっていいだろう?
君のお友達が『血反吐』吐いて苦しんでいるんだよ?
君がするべき事は『救急車』を呼ぶ事であって、私の『尋問』じゃあないだろ?」


「ッ………!わかりました、『第二十三学区』の『路地裏』……ですね……?」


「ああ、そうそう、君には関係ないんだが
同じ暴漢にやられたと思しい『一般人』が『二人』倒れている
彼らの分も『救急車』を頼みたいんだが」


「一般人が………?……分かりました……」


「よろしく頼むよ、……それにしても怖いなあ……
『ジャッジメント』がここまでボロボロにされるんだ
一般人の方はもっと『重傷』かもしれない
『たまたま』通りかかってよかったよ」



「………白井さんはッ!白井さんは何か言っていませんでしたか!?」



「今は『気絶』してるが……私が発見した時は『泣きながら震えていた』よ
まあ無理もない、ジャッジメントとは言っても、まだ『小さい』」


「そう……ですか」


再び、無言 <>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:58:11.67 ID:ZWaAq8zqo<>


「………」



「………」



「………」



「………」



無音



「…………そろそろですかね」


口を開いたのは、ウイハルからだった


「………何がだね?」












「………『超電磁砲』って、知ってます?」
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 22:59:45.62 ID:ZWaAq8zqo<>

「質問に質問で返さないで欲しいんだが」


「この学園都市での順位は『3』、そして常盤台の女王とも呼ばれている彼女を知らないんですか?」


「………ああ」


「…な、……ら、知って、おい、タ、方が、イイト……オモイマスよ…」


何だ?急に『電波』が悪くなってきたが………








「ナゼッテ、イマ、あな、た、のうしろに、イルの、が、『レー、」









「『超電磁砲』だから」



気が付くと、背後に誰かがいた
ブレザーを着ているそいつは、遠くからこちらへ歩いてきている
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 23:03:55.70 ID:ZWaAq8zqo<> 「………初春さんって…『ホンワカ』しているけど……頭はキレるのよねえ〜〜………
アンタ……『第二十三学区』にいるって言ったらしいわね……
残念でした、『第二十三学区』に『一般人』は入れない。
それに、あそこに『ビル』は数えるほどしかない………
だって、あそこは『飛行場』だらけなのよ?たくさんビル立てても、入居しようなんて馬鹿は、よほどの『騒音愛好者』ね」


『電撃娘』は言葉を紡ぐ
『コイン』を手の中で弄びながら。
そうでもしないと、彼女は、彼女は


「初春さんがあんたとの会話でおかしいと思ったのはね
あんたと話してて『無音』があったからなのよ
だって、おかしいわよね?飛行場は海に面しているのに。
『潮風』は、吹き荒れているというのに。
『風音』が一つもないってのはおかしい話よねえ〜〜〜?」


「そこで初春さんは黒子の携帯がどこから『発信』しているのかを調べた……
そうして『第七学区』のここから発信されてるって事を知って、私に知らせてくれたってワケ」


女の、髪留めが、割れて、落ちた
<>
◆tyuVXY5AEU<><>2012/05/09(水) 23:05:30.86 ID:ZWaAq8zqo<> 「初春さんが『最初』に知らせてくれたのが私で良かった
理由は『二つ』、一つ目は黒子の『身体』に傷を負わせたこと………」


女は、栗色の髪を、かきあげた


「二つ目は、あんた、言ったらしいじゃない?
黒子が『泣きながら震えてた』って。
確かに……黒子はあんたに勝てなかったかもしれない……
でもね……あんたはやっちゃいけないことをしたッ!!
あんたはッ!!『白井黒子』を『侮辱』したッ!!白井黒子の『精神』までもッ!!
ヘドが出るわッ!!白井黒子という人間はッ!!敗北しても『屈服』して『泣く』事などはしない!!
あんたは、『嘘』で黒子を侮辱したんだァーーッ!!
だから……だから私はッ……!!あんたを………潰すッ!!」



コインの、跳ねる音がした
<>
◆tyuVXY5AEU<>sage<>2012/05/09(水) 23:09:22.25 ID:ZWaAq8zqo<>

打ち止め


約十五レス余って勿体無いけど、このスレでの投下はこれで終わり
また新スレ立てるんで、『吉良』でスレ検索してくだされば幸いです


このスレが>>1000まで行く事があれば
『ジョジョキャラ限定』ではございますが、新スレで『短編』を書かせていただきとう存じます


それじゃ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/05/09(水) 23:16:52.99 ID:fafXziIro<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/05/09(水) 23:20:07.23 ID:Oa8qqIoV0<> 吉良さんえげつねえ、えげつねえよ……
黒子の顔は戻るんですかァ……
美琴が仇を討ってくれるのを期待
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)<>sage<>2012/05/10(木) 02:21:34.79 ID:jGXZpMUV0<> もしかして『→TO BE CONTINUED』ってヤツですかァ〜!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)<>sage<>2012/05/10(木) 07:51:37.56 ID:ymAXXOpso<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/10(木) 08:36:34.11 ID:tAgjRPJIO<> ズギュ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乙_____ンッッ!!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/05/10(木) 11:57:25.70 ID:WpLW0Tiro<> 後7レス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/10(木) 12:31:41.91 ID:s8rDtjc2o<> 新スレ立てたらこっちに貼ってくれたりすると嬉しかった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)<>sage<>2012/05/10(木) 21:11:00.23 ID:EUs5IZARo<> ヘヴンキャンセラーなら… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)<>sage<>2012/05/10(木) 21:57:00.83 ID:EHIy0IHwo<> むしろ仗助が <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2012/05/10(木) 22:52:22.27 ID:kyXxprcuo<> それでも玉美なら・・・玉美ならきっと何とかしてくれるはず・・・! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/10(木) 22:53:12.45 ID:BtOpY5ky0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/05/10(木) 23:01:25.33 ID:kv5BblDyo<> メイドインヘブン!!
スレは加速する <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/05/10(木) 23:04:42.39 ID:oiMWv0gVo<> 1000ならクレイジーダイヤモンド登場 <> 1001<><>Over 1000 Thread<>               /|\
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          ∨:::::|            |:::::∨
          V:::|            |:::∨       SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
             ー'           `‐'        http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>【過疎と言いつつ】安価で何かをうpするスレ【気づけば30】◆31(sage進行) @ 2012/05/10(木) 23:01:27.72 ID:N3tnRcQIO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1336658485/

こいつキチガイすぎだろ...潰そうぜ @ 2012/05/10(木) 22:45:25.70 ID:e5bHXJVF0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1336657525/

【Fate】慎二「何やってるんだ、ライダー!!」 32ワカ目【┌(┌ ^o^)┐】 @ 2012/05/10(木) 22:32:12.87 ID:LwliRG83o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1336656732/

男「よお!wwwww」 女「おはよう幼馴染の男くん」 @ 2012/05/10(木) 22:17:26.72 ID:jD0xhOVr0
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仮面ライダーG「全戦隊は僕が倒す」アキバレッド「なら俺は…」 @ 2012/05/10(木) 22:07:43.83 ID:6FJzdpE0o
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打ち止め「お姉様」 @ 2012/05/10(木) 22:04:35.11 ID:sEnJHyy00
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引きこもりの友達をひっぱりだしたい @ 2012/05/10(木) 22:00:48.07 ID:WneCm/lX0
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舞妓になりたいんだけと親に反対されてる @ 2012/05/10(木) 21:59:02.46 ID:H/SMKIcu0
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