無料アクセスカウンターofuda.cc「全世界カウント計画」
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫メニュー■ ■VIPService (VIPサービス)■
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みはできません。。。
HTML化した人:lain.
ほむら「幸せな明日を迎える為に」
1 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 08:16:41.14 ID:oufbTaMd0
はい。おはようございます、こんにちは、こんばんは。
魔法少女のお時間です。


またしてもまどか作品のようですが、早速注意点を幾つか。

@本編再構成のはず

Aまどかキャラ全員好きです。特定キャラを愛でる訳じゃないです。

B少しばかり、キャラが崩壊した気がする(変体ほむらとか、ギャグ的変化ではない)

C>>1が文才あると、期待はしないほうが身の為。すると、魔女化する危険性

D暇な時に読むこと。

E文章中、「は? 何言ってんの意味わからねぇ」と言うところがあるはずです。
 決して、読者の読解力が無いわけじゃないのでご安心ください。

F>>1得ss←超重要

以上7つあるけど納得した方だけ、下へどうぞ。

2 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:20:36.42 ID:oufbTaMd0
第0話

『プロローグ』


「っ……」

「ごめんね? ほむらちゃん」

私の目の前に現れた少女はそう呟く。

「私はやっぱり、ほむらちゃんを独りで戦わせたくないから。
だから、魔法少女になった」

瓦礫に挟まれた足のせいで、伸ばした手は届かない。

お願い、行かないで……。

私の願いも空しく、少女は、上空に浮かぶ巨大な敵に向かっていった……。
3 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:21:17.95 ID:oufbTaMd0
敵が去り、少女が横たわる傍らに私は座っていた。

また、駄目だった……どうして?

どうして駄目なの?

「ねぇ、どうして、救えないの?」

目の前の少女は答えてはくれない。

独りだから?

私が独りだから救えない?
4 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:21:58.04 ID:oufbTaMd0
巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子……みんなが居れば。

先輩、さやか、杏子。

私の嘗ての友達。先輩。

信頼しあっていたあの頃のように。

そうすれば……。

独りじゃなければ救える。

先輩も、さやかも、杏子も。

みんなを救って、貴女も救う。
5 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:22:32.12 ID:oufbTaMd0
私は馬鹿だった……。

誰にも頼らないとか、みんな信じてくれないって勝手に諦めてた。

だからって独りで頑張っても救えない。

なら、私は、先輩との出会いから全てをやり直す。

今度はみんなで、ワルプルギスの夜に立ち向かう。

もう一度、私を過去へ連れて行って。

私がそう願うと、目の前が真っ白になった……。
6 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:24:38.11 ID:oufbTaMd0
ここまでプロローグ

極力鬱じゃなくした。

なにこの鬱。なんて思ったらごめん。

次1話
7 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:25:27.63 ID:oufbTaMd0
  第1話

『見滝原に』


結局。

私はまた、明日を迎えることはなく。
私はまた今日を病室で迎えた。

16日。

幾度となく迎えた同じ月、日、時間。

もう数えることすら、私はやめた。

それでも、私は諦めることなんて出来やしない。

するわけにもいかない。
8 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:25:57.37 ID:oufbTaMd0
「惨めね……」

病院のベッドで半身を起こして呟く。

私の目に映るのは私の手。

意識もせず、寒いわけでもなく、
私の手は震えていた。

何回、何回私は殺せば良い?

まどかを、守るべき人を、この手で。

私は今日病院を出て、色々と転校の準備をして、
また、QBを止めに行かなければいけない。

今度こそ、今回は、今度は。

もう、そんな言葉は言わない。

私はさっさと着替えて退院の準備を終える。

そろそろ、退院おめでとう。とか言って花束を貰うことになる。
9 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:26:40.91 ID:oufbTaMd0
「暁美ちゃん」

ガラッと扉が開き、看護士達が入ってきた。

「退院おめでとう」

「有難うございます」

大して嬉しくはない。

この退院は戦いの始まりを意味するだけで、
他には何の意味も持ち合わせては居ない。
10 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:27:26.22 ID:oufbTaMd0
「あら、暁美ちゃん。三つ編み止めちゃうの?」

「ええ、ストレートの方が似合うと、言ってくれた人がいるので」

私はゴムを解いて、髪を自由になびかせる。

さぁ、行きましょう。

私の戦場。

私の守るべき人たちが居る場所に。

明日を迎えられない街。

見滝原に。
11 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:29:26.80 ID:oufbTaMd0
実は、この1話がプロローグの予定だった。

ちなみに、このほむほむはストレートの眼鏡装備の新スタイル。
何でそうしたのかは、後悔してたりしていなかったり。

12 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:31:11.80 ID:oufbTaMd0
  第2話

『先輩……』


「……」

私は白い生き物に銃を突きつけ、無表情で見つめる。

「君は一体何なんだい? どうして僕を追うんだい? 訳がわからないよ」

「でしょうね。別に解ってくれなくて良いわ」

私がそう言って撃とうとした瞬間だった……。

私の体はすぐ横の家の壁に衝突していた。

……そんな……。

いままでは、ここでQBを殺せていた。

なのに。
13 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:31:51.10 ID:oufbTaMd0
「私の大切な友達に何しようとしていたのかしら?」

なんで。

「何で貴女が……?」

先輩が、私の前に立っていた。

こんなことは今までなかったというのに。

「貴女、誰? 見ない顔だけれど」

先輩がたずねる。

でも、彼女はマスケット銃を私に向けたままだ。
14 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:32:31.30 ID:oufbTaMd0
「誰でも良いじゃない。貴女には関係ないわ」

「関係あるわよ。キュゥべえを殺そうとしていたし、魔法少女だし。
まるで私を知っているかのように、「何で貴女が?」とも言った。
これで無関係を信じる方が可笑しいわ」

先輩はそう言って私を睨む。

「確かにそうかもしれないわね」

私はそう言って頷く。

正直、先輩に対してこういうのは辛いこと。

けれど、もちろん、
素性を明かすつもりなど、これっぽっちも私は持っていない。

今のこの状況でなんと言おうと、
何が信じられるのか。
15 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:33:27.39 ID:oufbTaMd0
「ねぇ、貴女は生きたい? それとも死にたい?」

「え? なによ。急に」

私が訪ねると、困惑した表情で聞き返す。

「貴女は……弱い」

「何言ってるの?」

「心細くて、誰かに縋りたくて、
でも。貴女の周りに貴女を理解できる人なんて居ない。
魔法少女をやっているんだものね。仕方のないことよ」

私は無表情で続ける。


「キュゥべえが友達。ええ、別に構わないけれど、
私は貴女に1つだけ言っておく。
魂を差し出すという行為は、悪魔へ売るということよ」

「え?」

「それじゃぁ、またいずれ。会うでしょうけど、今はさようなら。巴マミ」

私はそう言い残し、時間を止めてそこから去り、
少し離れてから時間を進める。
16 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:34:00.80 ID:oufbTaMd0
「先輩……」

本当は貴女の傍にいたい。

でも、今のを見られた。

だからもう、貴女から見たら敵。

どうして、なぜ?

何で貴女はあそこに来たの?

明日、貴女に会いに行こうと。

孤独な私達は、協力できると。

そういうつもりだったのに。
17 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:34:30.87 ID:oufbTaMd0
でももう。

結果は決まってしまった。

だからせめて、貴女が負けないよう。

私は陰から手伝う。

だから先輩。

協力できるその日まで、私は貴女の敵で良い。

明日もまた、私は貴女の敵になる。

QBがまどかに接触を試みる明日。

私はそれを阻止しないといけないから。

だから……。

私は夕暮れに染まる見滝原の道を、
独り、歩いて行った。
18 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 08:38:07.90 ID:oufbTaMd0
ほむらが先輩って呼んでたら変?

どっちにしろこのまま進行するけど。

リアルの事情で一旦、止まります。

俺得過ぎて、読んでる人いたら、
それはとっても嬉しいなって。

どうでも良いことはさておいて、

また後で(・3・)ノシ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 08:55:09.34 ID:UsUyB4mIO
1支援一番乗り

別におかしくはないと思うよ
20 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 09:12:55.30 ID:oufbTaMd0
>>19支援?!
( ̄□ ̄;)マジ!?

さて……。

(*^ー゚)ノ<洗濯オワタ。投下

21 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 09:13:47.83 ID:oufbTaMd0
  第3話
『1つだけ貴女達に言いたいことがあるのだけど』

「暁美ほむらです」

「え? あの……」

「よろしくお願いします」

私はそう言って挨拶を終える。

25日。

そのまま席に座り、担任の話を聞き流す。

先輩には昨日。

昨日会ってしまった。

そして、今日。

また対峙することになる。

昨日残した言葉は、
私なりに暗号化したQBのこと。

解って貰えたらありがたい程度。
22 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:14:26.10 ID:oufbTaMd0
生きたい? 死にたい?

我ながら馬鹿な質問だった。

私達魔法少女はすでに死んでいるのに。

死にながら生きている。

いや、この状態なら死んでいないかもしれない。

……。

これも貴女のおかげで知ったわ。先輩。

貴女が佐倉杏子のソウルジェムを撃ち砕いた時。

それで知った。
23 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:14:55.24 ID:oufbTaMd0
そして、
このクラスに居るまどかとさやか。

貴女達のおかげで、
魔法少女の魔女化を知った。

私が美樹さやかに目をやると、
少し困った表情を浮かべていた。

HRが終ると、
私のところにクラスメイトが集まってきた。

聞かれるのは、
髪のこと、
前の学校のこと、
それに答えて、私は具合が悪いと言って、
席を立つ。
24 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:15:38.45 ID:oufbTaMd0
「鹿目まどか。貴女がこのクラスの保険委員よね?」

「う、うん」

「連れて行ってもらって良いかしら? 保健室に」

「解った」

……まどか。

私が守りたい存在。

私の目的。

私は貴女を知っている。

貴女は私を知らない。

まどかが席を立った時だった。
25 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:16:21.23 ID:oufbTaMd0
「ちょっと待って、私も行くよ。今朝、指切っちゃってさ」

さやかが絆創膏の貼られた指を私達に見せる。

「え?」

「迷惑にはならないでしょ? 別に」

「ええ……」

また、予想外のことが起きた。

毎回、私とまどかだけの保健室へ向かうことに、
さやかが加わった。

なぜ? なぜこんな……。
26 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:16:50.61 ID:oufbTaMd0
「転校生?」

「暁美さん、どうかしたの?」

「え? いや……」

思った以上に間が空いたのか、
私の顔を、さやかが覗き込んでいた。

「保健室、行くんだよね?」

まどかの言葉に頷き、私達は保健室へと向かう。
27 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:17:21.71 ID:oufbTaMd0
「ねぇ、転校生」

「なにかしら」

「その眼鏡ってだて眼鏡?」

「違うわ。度が入った普通の眼鏡よ」

さやかがなんでいるのか。

確かに、同じ時を繰り返しているとしても、
その時によって人の行動は変わる。

「暁美さんって勉強できるの?」

「ほむらでいいわ。貴女も、美樹さやか」
28 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:17:54.04 ID:oufbTaMd0
「え? あ、うん」

「じゃ、じゃぁ、ほむらちゃんも、わたし達をフルネームじゃないので呼んで」

「……」

「「?!」」

おもわず、立ち止まってしまった。

「ほむら? どうかした?」

さやかが私の名を呼ぶ。

まどかは、私に名前を呼んでと?

……まるで、初めてここに来た時のよう。
29 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:18:25.35 ID:oufbTaMd0
「なんでもないわ。さやか」

「わっ、な、なんか。嬉しい」

さやかが、嬉しそうに微笑む。

「さやかちゃん、保健室いく時間無くなっちゃうよ」

「……ねぇ、1つだけ貴女達に言いたいことがあるのだけど」

私は振り返って2人に言う。

「誰かのために、自分を犠牲にしちゃ駄目。変わろうとせず、そのままの貴女達でいて欲しい」

「へ?」

「急にどうしたの?」

不思議そうに、2人が私を見つめる。
30 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:19:00.00 ID:oufbTaMd0
「なんでもないわ。でも、今の言葉を念頭においておいて欲しい。
じゃないと、全てを失ってしまうわ」

「良く解らないけど、解った。全てを失うのは嫌だからな〜
特に私のまどか〜」

「ちょっ、やめ、くすぐったいよさやかちゃんっ!!」

きっと、さやかは冗談として受け止めているかもしれない。

急に言われても確かに。

何言ってるんだろうと思うだろうから。

でも、聞いた事は覚えてるはず。

貴女を魔女にしたくはないのよ。

さやか。
31 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:21:28.82 ID:oufbTaMd0
連投規制、残り0秒お待ちくださいに5回も引っかかるとか。
バイト行く時、宝くじでも買おう。

φ(* ̄0 ̄)ノ<次4話!!
32 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:22:15.56 ID:oufbTaMd0
  第4話

『貴女のおかげでもあるのよ?』



「まどか〜。帰りにCDショップ寄って良い?」

「また、上条君?」

「だ、だったらなんだい? 私の嫁はまどかだけだ〜」

「ちょ、ちょっと。やめ、止め、あはは」


上条……。

あのバイオリンの?

……。

「さやか、私も行って良いかしら」

「ん? 構わないけど、他のみんなが――」

「私は貴女達と帰りたいわ」

「あはは。両手に花とはこのことだい」

「さ、さやかちゃんも花だと思うんだけど」

まどかの言葉に私も頷く。
33 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:22:57.33 ID:oufbTaMd0
どうして。

どうしてこの時間軸はこうも変わったものなんだろうか。

格別、変わったことはしていない。

最初に先輩に出会って、
さやかが保健室についてきて。

2度も想定外が私に訪れた。

そして今、私が2人と共にCDショップを訪れていることも。

これも、想定外なこと。
34 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:23:26.74 ID:oufbTaMd0
本来の私は、QBを殺しに行っている。

ただ、ここにまどかと居るのだから、
キュゥべえの行動を阻止できることに変わりはない。

「……?」

「まどか?」

私が考えている時に、
まどかの名を、さやかが呼ぶ。

「誰かが、呼んでる」

……え?
35 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:23:58.96 ID:oufbTaMd0
まどかがそう呟いて走っていく。

「ほむら!」

突然のことに固まっていた私の手を、さやかが引く。

「え? あ、ええ」

まどかを追って2人で向かう。

何で呼ばれたの? 私は殺そうとしていないのに。

そんな不安を抱きつつ、あの場所へたどり着く。
36 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:24:38.78 ID:oufbTaMd0
「?!」

途端に周りが結界に包まれた。

そういうこと。

確かに、魔女はここに出て来たものね。

魔女の気配を感じてここに来て、
まどかを危機に陥れて契約。

そういうことでしょう?

QB。



「な、なにがどうなってるの? これ」

さやかの不安そうな声が隣から聞こえ、
私の引っ張られていた腕は強く握られていた。

「さやか、私から離れないで、良いわね?」

「う、うん。って、どうしたのその格好」

「後で説明するわ」
37 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:25:07.94 ID:oufbTaMd0
私はそう言い、逆にさやかの手を引っ張ってまどかの元まで走る。

途中現れた敵を蹴散らしながら、まどかの下に辿り着いた。

「まどか!!」

さやかが叫ぶと、少し遠くのまどかが私達を振り返った。

隣にQB。

まだ、無事なようだけど……。
38 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:25:36.06 ID:oufbTaMd0
「まどか、急に走って行くから」

「ごめん、でも。この子がわたしを呼んでたから」

「この子? そこの白い犬……犬?」

さやかが困惑したように繰り返す。

「でも、良く無事だったね」

さやかがそう言うと結界が消えて、
この前聞いた声が私達に届いた。

「間一髪だったわ」

あ……先輩。
39 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:26:06.90 ID:oufbTaMd0
黄色いカールのかかった髪。

マスケット銃を持って、彼女が近づいてきた。

「あと少しで契約できたのになぁ」

「あら、でも。私が居てよかったじゃない。
それに、襲われるから契約なんて勿体無いじゃない」

先輩がクスッと笑う。

つまり、先輩が知らないとはいえ、
まどかの契約を阻止してくれたってこと?
40 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:26:39.71 ID:oufbTaMd0
「ありがとう、友達を助けてくれて」

「あら、貴女のおかげでもあるのよ?」

……私?

「なぜ?」

「帰り道で貴女を見かけて追いかけたら、ここに来たのよ」

「あら、私がこの子たちに何かするって考えたの?」

「そうじゃないけど、キュゥべえを見つけたら何かするかもしれないと思ったのよ」

そういうことね。

なんだか色々とぐちゃぐちゃになりそうだわ。
41 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:27:06.41 ID:oufbTaMd0
「あの……」

まどかが困った表情を浮かべて言葉を出す。

「あぁ、そうね。話したいこともあるし、

私の家に来ない? もちろん、貴女も」

先輩が私を睨むように見て言う。

「ええ、お邪魔させて頂くわ。
まどかとさやかも、来るでしょう?」

そう言うと、2人が頷く。

今までと全く違う展開。

本当にどうなるのかしらね、一体。
42 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:30:15.35 ID:oufbTaMd0
...φ(ー ̄*)< カキカキ

( ̄□ ̄;)!!

_φ(* ̄0 ̄)ノ<5話!!

マミさんマジマミさん。
この時点で本編と全く違う。
43 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:30:51.91 ID:oufbTaMd0
  第5話

『一応の勧誘みたいなものよ』


「魔女を倒す?」

「ええ、そう。私みたいな魔法少女は、
魔女という敵を倒して街を守っているの」

さやかの質問に先輩が答える。

相変わらずの、少女な部屋だった。

相変わらずの、ケーキと紅茶。

私はそれらを口にするだけで会話には入らず、
ただ、静観する。

間違ったことは何一つ言っていない。

ただ、省略しているだけ。
44 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:31:38.50 ID:oufbTaMd0
ただ、それはQB目線の言い方であり、
先輩の目線で言うならそこまでしか知らないから。

「そうなんだ。だから、マミを手伝う為、町の人を救う為に、
君達に魔法少女になって貰いたいんだ」

QBが口を挟む。

「それは認められないわ。魔法少女になるのは危険なことだから」

「君だって、魔法少女だろう?」
45 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:32:04.46 ID:oufbTaMd0
相変わらず神経を逆なでする表情で、
そういう言葉を言う。

いますぐにでも撃ち殺したくなる。

けれど、それをするわけにはいかない。

「ええ、私はどうしてもやらなきゃいけないことがあるから」

「ぜひ、そのやらなきゃいけない部分を聞かせてほしいわ」

先輩。

貴女はあの時も、聞いてきたわね。

でも、答えたら笑われたわ。
46 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:32:48.97 ID:oufbTaMd0
ええ、私は未来から来ました。

なんて馬鹿正直に言えば笑われもするわよね。

「貴女は、初詣で願うことを口にするのかしら?」

「え? しないけれど――」

「なのに、貴女は聞くというの?」

「……失礼な事を聞いたわね」

「ほむらちゃんとマミさんって魔法少女なんだよね?」

「ええ」
47 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:33:16.57 ID:oufbTaMd0
「かっこいいなぁ。憧れちゃうよ」

まどかが微笑む。

その言葉は嬉しくも辛い。

私は拳を握り締めて、言葉を選ぶ。

「魔法少女は憧れるようなものじゃないわ」

けど、私の握り締めた拳はすぐに解かれた。

「違うよ。憧れるのは魔法少女じゃなくて、ほむらちゃんとマミさんだよ」

「私達?」

先輩が驚いて言う。

「だって、誰かの為にそんなに一生懸命になれるのは凄いことだよ」

さやかがまどかの代わりに答える。
48 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:33:45.11 ID:oufbTaMd0
「そう? 中々嬉しい言葉だわ」

「じゃぁ、2人は私達の魔女狩りを見学するってどうかしら」

「え? 見学。ですか?」

まどかが聞く。

……達?

「ちょっと待って、私は認めないといったのよ?」

「ええ、だけど。人数は多いほうがいいでしょ?

だから一応の勧誘みたいなものよ」

先輩が微笑む。

……真実をばらせば止められるかもしれないけれど……。

私の正体がばれるし、先輩がどうなるか解らない。

ここは仕方ないから承諾するしかないわね。
49 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:34:12.82 ID:oufbTaMd0
唯一の救いは、先輩が私を含めての魔女狩りと言っている事。

これなら、あの最悪のミス。

シャルロッテに先輩が殺されるのを止められるかもしれない。

「解ったわ。でも、私も参加して良いのよね?」

私はそう言って、紅茶の最後の一口を飲み込む。

「ええ、もちろんよ」

すでに日は暮れていて、私達は解散することになった。
50 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:34:43.87 ID:oufbTaMd0
先輩。

私はシャルロッテから貴女を守ったら、

まどか達の見学は止めさせるわ。

なぜ私を含めたのかは知らないけれど……。

私がQBを殺そうとしていたことを知っているのになぜ?

でも。

多分。

独りは寂しいし、怖い。

前に聞いた時、貴女はそう言った。


それに、私を傍においておけば私について知ることが出来るし、監視も出来る。

そう考えたのよね? 先輩。

おかげで、貴女を助けられる希望が見えた。

ありがとう。感謝するわ。
51 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 09:44:38.24 ID:oufbTaMd0
ズサーc⌒っ゚Д゚)っ<5話まで駆け抜けました

一応見て解るとおり、地の文形式で、話数制です。

⊂⌒~⊃。Д。)⊃<タリー……。次の投下まで少し待って。

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/15(水) 09:55:33.94 ID:rBpGBu0Ao
乙ー
投下速いし面白い
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 10:16:28.31 ID:ULSbS8iIO
乙、書き終えてるとはいっても相変わらず早いな
54 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 15:48:43.75 ID:oufbTaMd0
>>52
( *‘∀‘ )ノ <ども

>>53
もう少し遅い方が良いの?
55 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:31:48.64 ID:oufbTaMd0
(=゚ω゚=)<バイト中に鯖落ちなんてあったんだね〜。

φ(* ̄3 ̄)ノ<じゃぁ、6話いっとこうか。
56 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:32:31.17 ID:oufbTaMd0
  第6話

『皮肉と受け取っておきます』

「昨日の魔女を追うわ」

「あれは薔薇園の魔女ね」

「あら、暁美さんも会ったの?」

「結界の装飾からの予測よ」

実際はワルプルギスの夜が出てくるところまで全て知っている。

もちろん、それを教えるわけにはいかないけれど。

「なんか別次元の会話だわ。さやかちゃんは寂しいぞ!」
57 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:32:58.34 ID:oufbTaMd0
「あはは、さやかちゃん、元気だねぇ」


私達は放課後、喫茶店に来ていた。

というのも事前に少し話し合いたいというのがあるらしい。

「2人は何か持ってきた?」

「私は一応、バッドを」

「わたしは、魔法少女の衣装的なのを考えてみた」

さやかはバッド、まどかはノートを取り出した。

魔法少女になった時を想像して書かれた服装。

まさに、今まで見てきた魔法少女のまどかと完全一致の絵だった。
58 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:33:36.68 ID:oufbTaMd0
「さやか、バッドでは頼りないから、私が結界についたら別のものを渡すわ」

「え? あ、うん」

「まどかも。一応自分の身は守れるように武器を渡すけれど、
本当に危ない時以外は使わなくて良いから。解った?」

「解った」

まどかとさやかが頷く。

さてと。

私は先輩に視線を移す。
59 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:34:06.92 ID:oufbTaMd0
「話は終った? それじゃぁ、行きましょうか」

「「はいっ」」

2人が返事し、私達は店を出て行く。

とりあえず協力しているとはいえ、
一応は敵視されてる身。

特に勝手なことをせず、先輩に従う。

私が出れば良いのはシャルロッテだけ。
60 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:34:35.15 ID:oufbTaMd0
「――ソウルジェムが反応するのよ」

「本当だ、光ってる」

先輩の説明に楽しそうに話す2人の後ろをついて行く。

今までもこういう風にしていたんだろうか。

ふと、そんな疑問が過ぎる。

私がここに、この場についていくのは、
幾度となく繰り返したけれど、初めての事。
61 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:35:10.78 ID:oufbTaMd0
こういうのを見ていると、最初のころの自分が思い浮かぶ。

その時は、貴女も魔法少女だったのよ? まどか。

彼女の背中に無言で尋ねる。

私の願いは貴女を救うこと。

貴女との約束は絶対に守って見せるから。

そんな思い出に浸っているうちに、
魔女が居る場所へと辿り着いた。
62 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:35:42.73 ID:oufbTaMd0
「ここね……」

「マ、マミさん!! ほむら!! あれ!!」

急にさやかが怒鳴る。

さやかが指差す先には今にも飛び降りようとしている女性。

「大丈夫よ。任せて!」

瞬間、飛び降りたその人を、先輩の魔法で作られたネットが受け止める。

さすが。

私には出来ない、
はるかに早いネットの形成。

縛ることに特化した先輩の得意なこと。
63 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:36:17.65 ID:oufbTaMd0
「魔女の接吻があるわ。ここで間違いはなさそうね」

「ええ、ソウルジェムも反応しているわ」

先輩もしゃがんでいた状態から立ち上がる。

「じゃぁ、貴女達に武器を渡すわ」

さやかに剣。

まどかには軽めのライフル。

「さやかはバッド振り回そうとしていたのだから。
その要領でやれば倒せるわ」

「う、うん」

「まどかは、ライフル。反動はないし、敵の中心狙えばそのまま中心を打ち抜くわ」

「解った」
64 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:36:49.61 ID:oufbTaMd0
「貴女って、優しいお母さんって感じがするわ。暁美さん」

先輩がクスッと笑う。

「皮肉と受け取っておきます」

そう言って、私は彼女から目を逸らした。

私より、貴女の方がずっと優しい。

「じゃ、じゃぁ。行くんですよね?」

さやかが少し心配そうに言う。
65 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:37:20.19 ID:oufbTaMd0
「ええ、じゃぁ。見学戦開始よ。離れないようについて来て」

先輩が言う。

まるで私を指導してくれた時と同じだ。

まどかとさやか。

貴女達は私が守る。

先輩、貴女も守ってみせる。今度こそ。
66 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 16:41:21.37 ID:oufbTaMd0
(* ̄▽ ̄*)<投下完了。そしてまた少し席外す。

(`・ω・´) b <眠いから寝る。

          ではでは
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 16:46:02.56 ID:86B6Mx8DP
ほむほむが優し過ぎて泣きそう 乙
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/15(水) 16:49:18.48 ID:ynkhr9F6o
フレンドリーファイアが怖すぎるんですが
69 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 17:54:17.35 ID:oufbTaMd0
>>67
優しいほむほむをほむほむッ

>>68
誤射……なんてしないはず。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/15(水) 18:31:41.07 ID:DeUE1bX10
実に俺得なSSかも支援
71 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:41:57.51 ID:oufbTaMd0
(ノ゚∀゚)ノ<>>70ナカーマ? ナカーマ

ポイッ!! (ノ゜▽゜)ノ ⌒~7話
72 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:42:30.56 ID:oufbTaMd0
  第7話

『……全く気づかなかったわ』


「わわわ。なんか一杯いる」

まどかが呟く。

魔女の結界の中に住む生き物。

「この程度なら貴女達でも相手できるわ」

私はそう言いつつ、近づく敵を一掃していく。

「なかなか凄い武器使うね。ほむら」

「そう? 巴マミもマスケット銃じゃない。
魔法少女なんてそんなものよ」

私がそう言うと、

「魔法少女だからって杖を振るうだけじゃ何も出来ないのよ」

と、先輩が苦笑して繋げる。
73 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:43:00.33 ID:oufbTaMd0
「魔法少女の裏事情ってやつですか」

さやかが笑う。

「ええ。さっさと魔女を倒しに行きましょう」

進んでいくと、大広間に出た。

中心には、食虫植物って表現でいいかもしれない魔女が居た。

白いワンピースみたいなのを着て、背中に蝶とも言いがたい羽。

頭は薔薇の花束みたいな。

「巴マミ。貴女なら余裕でしょう?」

私は先輩に囁く。

「ええ、じゃぁ、後援お願いできる?」

「解ったわ」
74 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:43:48.32 ID:oufbTaMd0
先輩が魔女に接近していく。

「大丈夫なのかな。ほむらちゃん」

「巴マミは強い。だから平気」

油断さえ、有頂天にさえなっていなければ、
シャルロッテにだって負けはしない人だ。

先輩に近づく敵をスナイパーライフルで打ち落とす。

「ほむらって射的得意?」

「やったことはないわ。
でも、当てられなきゃ、私は生きていけないから」

「あっ、マミさんが!!」

そう言ってる間に、先輩が魔女に捕まった。

とは言っても余裕の表情。

危険性を教える為の自演……。
75 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:44:37.64 ID:oufbTaMd0
「ティロ・フィナーレ!」

相変わらず、技の名前なんてつけているのね。

私は呆れ半分、自分の知っている先輩だという安心半分のため息をつく。

「よかったぁ、一時はどうなることかって焦っちゃった」

戦闘終了後、

まどかが嬉しそうに言う。

「暁美さん、援護助かったわ」

「なくても余裕でしょう?」

私が言うと、「それでもありがたいことよ」と、
少し寂しそうな表情を交えて返してきた。
76 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:45:10.04 ID:oufbTaMd0
結界が消え、先輩がグリーフシードを使って私に渡す。

「後一回は使える筈よ」

「ええ、ありがたく受け取るわ」

私はそう言って、盾の中にしまう。

「どうやら、僕の出番はなかったようだね」

どこに居たのか、QBが現れて呟く。

「貴方に出番は与えないわ」

「それは、君ではなく彼女達が決めることだと思うよ?」
77 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:45:49.01 ID:oufbTaMd0
言っていることは間違っていない。

確かに、私が決めることではない。

でも、さやかを止めるのは私の意思でも、
まどかを止めるのはまどかの願い。

だから、まどかは契約させない。

美樹さやかも、魔女にはさせない。

「暁美さん、あなたはなぜ、契約をそんなに拒むの?」

先輩の言葉が響く。
78 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:46:20.74 ID:oufbTaMd0
「後悔。後悔はして欲しくないから。
たった一つの奇跡の為に、全てのものを失うなんてさせたくないから」

「ほむら……ちゃん?」

まどかの心配そうな声が、顔が、
私の耳に、視界に、入り込む。

「……巴マミ。今日はもう終わりでしょう?」

「え? そうね、終わりにしましょうか」

「みんな、帰りましょう。その前に私の連絡先教えておくわ」

「へ?」

巴マミに、私の連絡先を記入した紙を渡す。
79 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:46:46.65 ID:oufbTaMd0
「よほどの事がなければ平気だけれど、
もしも、独りじゃ無理だとか、何かあったら連絡して。
何があっても、私は全力で貴女を援護しに行くから」

「あ、ありがとう。大切にするわ」

私はそう言って、まどか、さやかと一緒に帰路に着く。

「ほむらちゃん、どうかしたの?」

「どうして?」

「気づいてない? ほむら、時々凄く切なく、悲しくて寂しい表情してるよ?」

さやかが心配そうに言う。
80 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:47:14.81 ID:oufbTaMd0
「……全く気づかなかったわ」

表情はもう意識して作るなんて事はおろか、
どの場面でどんな表情。

そんなことすら私はすることは出来ない。

まどか達の死を、見すぎたせいかもしれない。

いつからか、私は笑うことをやめた。

悲しくすら、感じることもなくなった。

まどか。

前回の貴女を殺す時、
私は躊躇をしなかった。

悲しみすら遠のいていた。


ただ無表情に、次は助けるからと言っただけ。

何で泣けなくなったんだろう。

悲しんで躊躇したら貴女が魔女化するという瀬戸際だった。

だから、なのかしらね……。
81 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:49:46.53 ID:oufbTaMd0
サブタイ面倒だからって、
文中台詞がタイトルなのは内緒。

次9話。
82 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:51:36.98 ID:oufbTaMd0
  間違えた。8話

  第8話

『さやか、貴女なら平気よ。』


「じゃぁ、私はお見舞いに――」

「なら、途中まで一緒に行きましょう」

「へ?」

「途中まで、道。同じだから」

私はそう言って、鞄を手に取る。

「そっか、じゃぁね、まどか、仁美!」

さやかはそう言うと、私についていくように、教室を出てきた。
83 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:52:10.33 ID:oufbTaMd0
さやかと2人で帰宅なんて、絶対にありえないはずのことだった。

いままで、嫌われることばかりだったから。

ここまで仲が良いのは最初と二回目くらい。

だから、この世界でなら伝えられる。

「ねぇ、さやかはCDが好きなの?」

歩きながら会話する。

「ん〜。まぁね。でも、恭介に聞かせる為に買うことが多いかな」

……バイオリンの子。

本当は知っているけど。

「その人は、音楽が好きなのかしら?」
84 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:52:49.98 ID:oufbTaMd0
「というか、バイオリンがすきなんだ。
でも、事故で弾けなくなっちゃったんだよね……」

悲しそうに、さやかが言う。

そう……。

それも知ってる。

初期のループで聞かされた。


「……音楽を聞かせるのはやめた方が良いわ」

立ち止まって、振り返ったさやかに言う。

「え?」

「解るのよ。私は心臓が弱くて、暫く運動が出来なかったでしょ?」

私はそう言ってさやかを見つめる。

「う、うん」

「そういう時に、他の人が自分が出来ないことをやっている。
そういうのを聞くのって辛いことなのよ。
それが自分の好きだったことなら尚の事」

「で、でも……」
85 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:53:17.68 ID:oufbTaMd0
「音楽なんて聞かせなくても、貴女が傍に居てあげれば良いじゃない。
貴女が彼の傍で微笑んであげる、励まして上げる。それで良いのよ。
彼がバイオリンしか生きがいがなくて、苦しんでいるというなら、
貴女がその生きがいになってあげれば良い」

「へ?」

不思議そうに私を見つめるさやか。

風が音を立てて流れていく。

「貴女は、彼への想いを打ち明けてあげるべき。
彼はきっと答えてくれるはずよ」
86 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:53:46.86 ID:oufbTaMd0
「で、でもさぁ、幼馴染だし、異性に見られてないよ。どうせ」

空元気なしぐさでさやかが笑う。

「貴女の想いを知ったなら、彼も気づいてくれるはずよ。
こんなに献身的な貴女なのだから。大丈夫」

数あるループのなかで、何度かは貴女達が付き合っている光景を見た。

だからこそ、私はこう言える。
87 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:54:13.47 ID:oufbTaMd0
「ほ、本当に、良いのかな?」

「あら、暁美ほむらが嘘を言う人だと?」

「そ、そうじゃないけど」

「なら、伝えてきなさい。私は貴女を応援しているわ」

「……なんでほむらは、そんなこと言えるの?」

「その、恭介? その人のことを話す貴女は、
まるで、恋する乙女のようだったから。
応援したくなった、それじゃ、駄目かしら?」

私はそう言って、彼女とは別の方向へ向かう。

暫く進んだときだった。
88 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:54:51.72 ID:oufbTaMd0
「有難うほむら!! 私、伝えてみる!!」

そんな声が背中に届いた。

貴女は前にこういったわ。

ずっと前から好きだった。

でも、勇気が、自信が無くて踏み出せない一歩だった。と。

だから私が貴女の背中を押してあげるわ。


腕を直す願いなんて必要ない。

だって、腕が治らなくとも、貴女が傍に居るだけで僕は幸せだ。

私は貴女の想い人から、そう、聞いたから。

たった一つの気持ちだけで、変えられることだってある。

さやか、貴女なら平気よ。

私はさやかが走っていく姿を視界に納めて、自分の家へと向かって歩いて行った。
89 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 18:57:53.47 ID:oufbTaMd0
こんなのほむほむじゃない!!
こんなのさやかじゃない!!!

そんな声が聞こえるー>ヽ(・∀・)ノ

こういうのを急展開だとかご都合主義だとか。
そういうんだろーなー。

小休止ゆえに我アリ(冗談。でも、小休止
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/15(水) 19:29:29.01 ID:cHS3qBzAO
更新早いし面白い
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 19:40:01.11 ID:kNzVfDy20
まどかの為なら平気で他人を犠牲にするサイコパスほむらではなく、
やさしいほむらが見たい。続きに期待。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/15(水) 20:15:47.52 ID:UC7GaapAO
朝からやって8話も投下とかすげぇ!!
けど体調とかは大丈夫ですか?

楽しく読まさせて頂いてるので無理せずに頑張ってぐたさい。
応援してます!
93 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:48:44.49 ID:oufbTaMd0
>>90
書き溜めは完結してるからね。
終るのに1週間かけたけど。

>>91
ほむほむは優しい子。
そう信じてる。

>>92
大丈夫だ。問題ない。
無理はしてないよ。
書き終えてるから、コピペで書き込むで投下完了。

ズサーc⌒っ゚Д゚)っ<9話の原稿持ってきましたぁぁぁ!!
94 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:50:09.59 ID:oufbTaMd0
  第9話

『僕と、いや。ずっと僕の傍に居てくれるか?』


……ほむらにはそう言われたけど。

私なんかで良いのかな……。

「いや、ほむらに宣言したんだ」

自分で逃げられないように、
友達で、後押ししてくれたほむらに宣言したんだから、
逃げるわけにはいかない。

当たって砕ける。

言って後悔したほうが、言わない後悔よりずっと良い。
95 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:50:37.68 ID:oufbTaMd0
私はそう決心して、病室の扉に手をかけて横にスライドさせた。

「さやかか、いつもありがとう」

恭介が笑う。

でも、どこか元気のない表情だ。

「今日もCD持って来てくれたの?」

横に座った私に、恭介が聞く。
96 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:51:14.29 ID:oufbTaMd0
私は一度だけ深呼吸して、恭介を見つめる。

「CD持ってくるの、迷惑だったよね」

「え?」

「友達に言われたんだよね。自分がしたくて出来ないのに、
他の人がやってるのを聞くのは辛い事だって」

私はほむらに言われたことを質問として聞く。
97 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:51:43.42 ID:oufbTaMd0
「そんなこと――」

「正直に言ってよ。辛かったよね」

さっき、「CDもってきてくれたの?」そう言った恭介は一瞬辛そうにしたのが解った。

だから、いえた。

「……正直、嫌だった。二度と弾けないバイオリン。なのに、他の人のを聞くなんて、苦痛だった」

恭介が、申し訳なさそうに言う。

じゃぁ、どうして聞いてくれたのか。

そんな言葉は押し込む。
98 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:52:24.62 ID:oufbTaMd0
「あのね? 実は、恭介に言いたい事があってきたんだ」

私は冗談ぽく笑ってから言う。

「ん? なに?」

自分の心臓が爆発する勢いで脈打ってるのが解る。

恥かしい、でも。

ほむらとの約束。

自分では気づいていないだろうけど、ほむらはあの時、
私ががんばるといった後、微笑んでた。

その笑顔を裏切りたくない。

あのほむらが応援してくれた。

後押ししてくれた。

だから!! 
99 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:53:24.41 ID:oufbTaMd0
「私、恭介が好きだ!」

「え?」

「恭介が好きなの。ずっと前から。
恭介は私をただの幼馴染って見てるかもしれない。
でも、私は、恭介が好きなんだ」

私は今にも恥かしくて泣きそうだった。

走って逃げたかった。

でも、私はその場にとどまって恭介を見つめていた。

風が間奏を奏でていく。

廊下の人たちの声が歌っているように響く。

「……さやか。僕は、さやかを異性としては見れていなかった」

「解ってる……」

だよね、そうだよね。

私は、幼馴染だもん。

そう、諦めた時だった。
100 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:54:10.64 ID:oufbTaMd0
「でも。今、さやかが告白してくれた時。
いや、さやかがこの病室に来てくれることが、僕には嬉しかった」

え?

おもわず、恭介の顔を見て、首をかしげる。

「僕は、さやかが好きなバイオリンを弾けない。それでも、僕が好きって言うのか?」

恭介が尋ねる。

「うん。私が好きなのは、恭介だよ。
バイオリンが弾けなくても、どんな恭介だとしても、
私は、恭介が好きなんだから」

私は微笑む。

「……僕は、バイオリンが無くなって辛かった。
でも、毎回、放課後にも拘らず来てくれるさやかが僕には支えになってた。
CDは聞きたくなかった。でも、さやかの笑顔が見れるなら平気で聞けた。
さやか、僕と、いや。ずっと僕の傍に居てくれるか?」
101 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:55:05.94 ID:oufbTaMd0
恭介が、私に微笑んで右手を差し出す。

「うん。ずっと、ずっと傍に居るよ。恭介」

私はそう言って、恭介の手を握る。

すると、思わず涙が頬を伝っていく。

「何泣いてんだよ、さやか」

「っだって、だってぇ……」

ありがとう、ほむら。

ほむらが背中を押してくれたから伝えられた。

私、恭介と付き合うことになったよ。ほむら

うれし泣きしている間、恭介は私の頭をなでてくれた。

夕暮れに染まる病室に、私の泣く声と、恭介の小さく笑う声がいつまでも響いていた。
102 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 20:58:02.64 ID:oufbTaMd0

(`・ω・´)<言いたいことは、恭介はそんなヤツじゃない。だろ?

( ゚Д゚)<でも、こんなキャラなんだ。気にしたら負けだよ。

って、10話いってないのに100か。

オメデト>>1(笑)
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/15(水) 20:58:27.02 ID:rBpGBu0Ao
   /: /: : : : : : :j: : 、: : : / !|     !| ヽ : : : |ヽ ; : : : : |: ;ハ:|
  .' : i: : : : : : :/|: :ハ : :′ |!    }|  ハ : : ! |: i: : : : :|:i:| l:!
  |l: :l: : : : -‐ナ弋{¬ー{- {      |!_斗-┼t-|.: : : : !:|:! |!
  ||: :|.:.:. : : : :| __ゝ!      厂_ノ∠_ jノ|: : : : ; :|:| }    /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
  |ハ小; : : : :〈 ̄〃 (_,ヾ         〃イ´(_ ̄〉 |.: : : ,': :|:|   _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
   }:j: /ヽ: : :| { し仭           { し仭 ′!: : :/ : :j:|     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
   |: ; {(べ、:{ c--つ        C--っ   / : /}: :.:ハ!
   l :ハヘヽ ,!\| :::::::::::::::    ′   ::|::::::::::::: /.:/ノ: :/ ノ
   `{ 〉`ー、 .|            |    ノィ イ{: :/
      |: l : : ト ;.      ´ ̄ ̄`  ノ     ノ^: :|:|:/
      |: l : : l: : :>: .          ; . . :<: : : : |:〈
      |: l : : l: : i : : : :〕  =‐-‐=  〔 : : l : : i : : :|: |
     ノ: l : : l: : l : : : } ̄ ̄`Y´ ̄ ̄{: : l : : l : : :|: |
    〆-‐、 : l: : l: 厂ノ     ||     トへ : :l : : :L-‐、
.  /     ̄「「 ̄  >'⌒Y⌒Y⌒ーく__  ̄/7 ̄    ヽ
  /   \  〉ゝ≠´  -―{  }―-  ` ̄ヾ  /
. /     `〈        ノTTゞ、       У      ',
/       \     /  } {  \     /       }
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)[sage]:2011/06/15(水) 21:05:28.78 ID:z4i6vP9co
さやかは幸せになっていい
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/06/15(水) 21:07:40.16 ID:FojCynyEo
これは良きSSですね、うん
みんな幸せになるのかな?期待
106 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:08:40.02 ID:oufbTaMd0
>>103>>104
( ゚ Д゚)<知ってる?>>1って上げて突き落とすのが好きなんだよ。

冗談はさておき、10話。いこか。>( ̄▽ ̄;)
107 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:10:23.30 ID:oufbTaMd0
>>105
QB「それは僕と契約しないとわからない。
 でも、>>1が完結させれば答えはわかるよ。それまでじらされるんだね」

じゃぁ、10話投下します
108 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:11:07.28 ID:oufbTaMd0
  第10話

『ありがとう』


「えぇぇ?! 本当?!」

「あら、おめでとうございます」

まどかと、親友の仁美が微笑む。

「というか。何で急に?」

「そういわれると、ちょっと答えにくいかも」

私はまどかへの答えをはぶらかして、
ほむらにちらっと目を向ける。
109 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:11:33.98 ID:oufbTaMd0
ほむらはというと、我関せず。

そう言いたげに、見向きもしない。

いや、単に宿題やってるだけだった。

「さやかさん、少し、良いですか?」

「へ?」

私は仁美に呼ばれ、屋上へと出て行く。

私より先に出た仁美は振り返って微笑む。
110 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:12:17.10 ID:oufbTaMd0
「上条君とのこと、本当におめでとうございます」

……?

態々それを?

でも、さっき……。

そんな風に考えていると、仁美は近くに腰掛けて続けた。

「私も、実は上条恭介君をお慕いしていましたの」

「え?」
111 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:13:02.11 ID:oufbTaMd0
仁美……。

「ですが、元々さやかさんに先手は譲るつもりでしたから、
結果だけ見ても見なくても、結局はこうなっていたのだと。
私はきっぱりと諦めがつきましたわ」

仁美が微笑む。

嘘じゃないってなんとなく解る。

仁美が言いたいことも、解る。

「ですから、上条君とどうかお幸せに。
さやかさん、どうか、上条君のことをよろしくお願い致しますわ」

「うん。解った。
さやかちゃんにどーんと任せちゃってくださいな」

「あらあら、自信たっぷりのようですわね。
私も恋を実らせたいものですわ」

仁美が笑い、私も笑う。
112 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:13:35.01 ID:oufbTaMd0
「私が言うのもあれだけど、きっと大丈夫だよ。仁美なら」

「では、さやかさんのお嫁さん。頂きますわね?」

悪戯な笑みを浮かべて、仁美が言う。

私の嫁、つまりまどか。

「ま、待って、まどかは私の嫁だぁ」

「あら、不倫ですの?」

「うぐぐ……」

「どうします?」

「ま、まどかは諦めます」

「ふふっ、さぁ。授業が始まってしまいますわ」
113 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:14:04.70 ID:oufbTaMd0
私達は誰も見ていないところでの小芝居を終え、

教室へと戻る。

教室へ戻り、ほむらの横を通った時に、

「……おめでとう」

そう、言われた気がした。

気がしたって言うのは、
振り返ってみると、すでに授業の準備を始めていたから。

だから私はその背中に、

「ありがとう」

と、小さく呟いた。
114 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 21:16:17.64 ID:oufbTaMd0
(*/▽\*)<オメデトウ

さて、少し違えば原作だってこうなってはず。
>>1は望んでいたり。

少し、席を外しますね。

魔法少女に幸あれ。

   ではでは
115 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:06:43.20 ID:oufbTaMd0
さて、11話投下します。
多分、今日はこれが最後。

では。
116 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:07:16.08 ID:oufbTaMd0
  第11話

『貴女のその髪似合ってるわ』


「あら、暁美さん」

「少し、話がしたい」

昼休み、私は先輩の居る3年の教室に来ていた。

言葉通り、話をする為に。

「……態々ここまでくるって言うことは、相当重要な話?」

先輩が鋭い視線を私に向ける。

疑っている目だ。
117 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:07:43.10 ID:oufbTaMd0
魔女化のことを話すことは到底出来そうに無い。

出来るとすれば、ソウルジェムの真実くらい。

「巴さん、お昼は……って、後輩?」

「ええ、少し相談があるって、また明日食べましょ」

「うん、解った」

悪いことしたかしら。


「いますぐじゃなくても……」

「私は今直ぐの方がありがたいわ」

先輩はそう言って私の腕を引く。

不意に、ずっと昔の記憶が蘇る。
118 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:08:09.71 ID:oufbTaMd0
_________


______


___


「ほら、暁美さん。貴女ストレートの方が良いわよ」

「そ、そうですか?」

「ええ、貴女は素のままの貴女が良いわ。
眼鏡は仕方ないけれど」

少し残念そうに、先輩が呟く。

「ほぉっ、眼鏡っ子ですかぃ、ほむほむ」

「ほ、ほむほむって……さやかさん。なんか犬みたいだよ?」

「ほむほむ、ねぇ。でも。貴女は可愛いんだから。自信持って良いわ。
この巴マミが言うんだから間違いない」

___


______


________
119 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:08:41.66 ID:oufbTaMd0
「……懐かしいわ」

「え?」

……?!

「なんでもないわ」

いつの間にか屋上に着いていて、
扉を開けるところまで来ていた。

何を思い出してるんだか。

私は先輩に聞こえないほど小さなため息をついた。

「それで? 話って何かしら」

弁当の蓋を開けて、先輩が尋ねる。
120 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:09:10.89 ID:oufbTaMd0
「魔法少女について、貴女はどこまで知ってる?」

私は風に流される髪を押さえながら聞く。

三つ編みだったら流されることは無かった。

などと、不意に思う。

「魔女を倒す、グリーフシードで浄化できる。そのくらいかしらね」

先輩が微笑む。

「……ソウルジェム」

「え?」

「なんでソウルジェムというか、解りま――解るかしら?」

前の先輩との記憶のせいか、
その時と同じになりそうだった言葉を言い直す。
121 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:09:39.51 ID:oufbTaMd0
「ソウルジェム? ソウル……魂。魔力の魂的な意味?」

「違うわ。ソウル。そのままの意味よ」

私がそう言うと、一瞬困惑し、
気づいたのか目を見開く。

「え? そんな……本当なの?」

「居るんでしょ、QB出てきなさい」

私は巴マミを見つめたまま、指示する。
122 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:10:08.12 ID:oufbTaMd0
「まったく。君は全てお見通しとでも言うのかい?」

予想通り、QBが出てきた。

私はQBに見向きもせず続ける。

「巴マミ。真意はQBに聞いてみなさい」

「話は聞いてたさ。確かに、魔法少女の本体はソウルジェム。肉体は入れ物に過ぎないよ」

「……」

先輩。

辛そうな表情を浮かべる先輩から思わず視線を逸らす。
123 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:10:34.57 ID:oufbTaMd0
「そん……な。じゃぁ? 今、私は何なの?
人間? 魔女? 違う……ただの、化け物じゃない……」

「巴マミ。貴女が化け物?」

「ええ、だって、この体はただの人形なんでしょう?!
ソウルジェムという糸につなg――」

乾いた音が、屋上に響く。

先輩の頬を、私は引っぱたいた。
124 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:11:03.01 ID:oufbTaMd0
「人形? 化け物? ふざけないで。
貴女は何を持ってる?
魔法? 違うでしょう?
貴女には人形や化け物にはなくて、
人間にしかない、心があるじゃない。
優しさがあるじゃない」

思わず、涙がこぼれる。

「貴女のその心に、救われている人がいるのよ。
貴女は人間なの。その他の何者でもない、
見滝原中学3年巴マミ。
貴女はそうでしょう?!」

「暁美……さん」

「やれやれ、僕には訳がわからないよ」

「……QB消えなさい」

「君が―――」
125 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:11:33.94 ID:oufbTaMd0
屋上に銃声が響き、QBの横に穴が開く。

「私は消えてといったのよ?」

「仕方ない。お暇するとするよ」

そう言い残し、QBが消える。

「暁美さん、私、人間なのよね?」

「ええ、貴女は人間よ」

私は先輩を抱き寄せて囁く。

「ご、め……なさい。少し……」

声を押し殺して泣く先輩を私は支える。

先輩、今は、今だけは泣いてください……。

そして、強い先輩に戻ってください。
126 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:12:05.06 ID:oufbTaMd0
_________


______


___


「だらしない姿を見せちゃったわね」

「別に良いわ。誰だって、泣くことはあるから」

私はそう言って、先輩から離れる。

「もう1つ言いたいことがあるわ」

「……なに?」

先輩が不安そうに聞き返す。
127 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:12:32.07 ID:oufbTaMd0
「私と、協力をしてくれないかしら」

「……協力? もう、してるじゃない」

「そうじゃない。見学のこととかではなく、
私と、ある魔女の討伐を手伝って欲しい」

私がそう言うと、先輩の表情が険しくなった。

疑われてる? 駄目?

私のそんな考えを他所に、先輩は私に近づいてくる。

「貴女は私と同じかそれ以上のベテランのはずよ?
そんな貴女が私に協力を求めるってどんな強敵なの?」

先輩が私に尋ねる。

まさか、先輩が私に対してベテランそれも上の可能性が有るとまで言うなんて、
この時間軸の先輩は自信過剰ではない。と?

あの薔薇園の魔女も、
私が居るから平気で自演を?
128 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:13:11.68 ID:oufbTaMd0
とにかく、そんな事を考えるのは今は余計。

「……ワルプルギスの夜よ」

「少しかじったくらいだけど、他の魔女よりずっと強力な魔女。よね?」

「ええ」

「それがこの町に来ると?」

先輩の表情がより一層険しくなる。

当然、先輩は正義感が人一倍強い。

それはもう、己の失敗でその正義が折れた反動で杏子を殺してしまうくらいに。
129 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:14:45.43 ID:oufbTaMd0
「だとして、暁美さんはどうしてそれをわかるの?」

「統計よ。色々と調べた結果。詳しくは小難しいから省かせてもらうわ」

「……その小難しい部分を知ることは出来ないのかしら」

あくまで、あくまで疑いながら、
それが来たら最悪の事態になるから、
私の言葉が真実だと知るための一手が欲しい。と?

疑いながら、相手を信じるための道を探す。

先輩らしいわ。本当。
130 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:15:23.94 ID:oufbTaMd0
私は小さくため息をついて、先輩を見つめる。

「今日の放課後。そう、見学戦の終了後、貴女の時間を頂けるかしら?
そうすれば、貴女にその小難しいを見せてあげる」

「解ったわ」

先輩はそう言って私の横を通り、
校舎内へと戻る扉に手をかけた。

私も戻ろうと振り返ると、先輩は私を見つめていた。

「ありがとう。暁美さん。私は貴女を信じるわ、戦闘においては。だけれど。
まだ気になる所があって、完全には信じられないけれど、
でも、もしこれが真実なら。私は貴女を信じることが出来るかもしれないわ」

先……輩……。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/15(水) 22:15:24.81 ID:UC7GaapAO
何か今日中に終わる勢い…
恭介×さやか
仁美×まどか or ほむほむ×まどか
マミ×… orz
132 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:16:07.25 ID:oufbTaMd0
「それと、貴女のその髪似合ってるわ。私はストレート似合わないから……羨ましいわ」

そう言って、先輩は戻っていった。

遠まわしな嘘はつかないでという警告。

それと……。

「先輩。貴女が私に言ったのよ。この方が私に似合っている。と」

誰も居ない屋上でぼそっと呟く。

私は先輩を追うように、そこから消えた。

私の声も、すでに風に流されて消えていた……。
133 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/15(水) 22:19:25.98 ID:oufbTaMd0
>>131
とんでもない!!
まだまだ終らないよ。

先に通知しておくと、まだ3分の1も投下してない。

今日は以上。

マミさん。ガンバレ!!
ほむほむも、がんばれ!!

(つ∀-)<ではではノシ
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/15(水) 22:20:22.94 ID:kirj06Qco
120レス一気投下とは……こやつ、出来るッ!
明日以降も楽しみにしてます、そんじゃお休みお疲れっ!
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/15(水) 22:23:03.52 ID:UC7GaapAO

QBが出てくる前に書き込んだから失敗した
恐らくさっきの
マミ×…←ほむほむで
杏子はどんなカップリングになるかな。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/15(水) 22:23:36.87 ID:SpIBryIao
お疲れ様でした
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 22:30:31.53 ID:uClBZ5eWo
なんという俺得なSS
続きが楽しみでしょうがない
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 22:32:57.42 ID:UkJy+razo
139 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 22:33:53.32 ID:oufbTaMd0
>>134
速さしかないけどね。
明日も、朝から投下。
多分、8時から、9時くらいまで。(7時からの時もある)
しなかったときはごめん。

>>135
どうなるんだろね。
言うなら、>>1はハブはしないよ。
みんなが幸せになるか、みんなが不幸になるか。
そのどちらかだよ。
140 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 22:35:52.60 ID:oufbTaMd0
>>137
ただの>>1得なのに。
同じ考えの人が居るのは、それはとっても嬉しいなって
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/06/15(水) 22:38:28.57 ID:152rqP280
(゚∀゚)o彡゜ほむほむ!ほむほむ!
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 22:39:06.19 ID:uClBZ5eWo
心配りができる優しいほむほむとはなんという俺得なSS
いや、これこそが本来のほむほむだと信じているけど

とにかく続きを楽しみにしています
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/15(水) 22:41:32.61 ID:uClBZ5eWo
あれ?さっきのエラー出たのに書き込めてた
二重書き込みスンマセン
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/15(水) 22:42:57.91 ID:DeUE1bX10
ホムッ!ホムッ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/15(水) 22:50:00.65 ID:UC7GaapAO
>>139
ここまで来たんだからHAPPY ENDにしようぜ!
てか杏子出るよね?
146 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/15(水) 22:54:17.98 ID:oufbTaMd0
>>145
上げて落とす。ってあるよね?

当然。
全員いなきゃ、
>みんなが幸せになるか、みんなが不幸になるか。
みんなじゃない。

どうなるかは、>>1次第。


>>143

気にスンナ。
>>1は細かいこと(連投だとか、コテハンとか)は気にしない。
批評もありがたく受け取る。
心配りできるほむほむ。これが神・ほむほむ!!
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/16(木) 08:08:55.40 ID:CXn8nu96o
お疲れ様でした
148 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:10:28.21 ID:Yh4BJeEl0
朝です。
というわけでおはようございます。

とりあえず。
12話13話を投下します。
149 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:11:15.79 ID:Yh4BJeEl0
  第12話

『僕としてはお断りだよ。』


「きょ〜すけ〜来たぞぉ」

「さやか、もう少し普通に喋れないのかい?」

「あははっ。いつも普通じゃつまらないかなって」

「普通じゃない方が普通だろ。さやかの場合」

恭介がそう言って笑う。

放課後、魔女狩り見学の前に、
私は恭介のお見舞いに来ていた。
150 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:11:53.98 ID:Yh4BJeEl0
「どう? リハビリ」

「う〜ん。足の方はいけそうだよ。

この調子で行けば、2週間後には歩けるんじゃないかって」

恭介が嬉しそうに言う。

私も嬉しい。とっても。

でも……。

私は恭介の左手をチラッと視界に納めた。

相変わらず、包帯が巻かれていた。
151 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:12:31.03 ID:Yh4BJeEl0
「左手は無理そうだって。そう言われたよ」

恭介の自嘲じみた笑いが病室に響く。

「恭介……」

私はそんな恭介を見るのは嫌だった……。

《僕と契約して魔法少女になれば、治せるよ?》

窓際に、キュゥべえがいた。

いつきたのかとか、キュゥべえにとっては無駄な質問。
152 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:13:26.53 ID:Yh4BJeEl0
突然出てきて突然消える。

そんなヤツだから。

「さやか? どうかした?」

「へ? ううん。なんでもないよ」

私がずっと窓を見ていたことが気になったのか恭介が話しかけてきた。

キュゥべえは一般の人には見えない。
153 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:14:04.82 ID:Yh4BJeEl0
「恭介、やっぱりさ。その左手が動くようになったら嬉しい?」

「ん? ああ、それは嬉しいよ。当然。
もう一度バイオリンを弾けるんだから」

恭介が笑う。

「そう……だよね」

《彼は望んでいる、君は望まないのかい?》

キュゥべえの声が頭に響く。
154 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:14:45.38 ID:Yh4BJeEl0
「けど、正直。もう直らなくて良いかなって言う風に思えてくるんだ」

「え?」

どうして?

恭介は……。

「僕は思ったんだ。直らないなら直らないで、もうそれで良いじゃないかって。
いつまでも落ち込んだり、ネガティブになってたらいけないんじゃないかって
世界には僕以上に不幸な人たちが居るんだから、
別にバイオリンが好きだからと、演奏しなくちゃいけないわけじゃない」
155 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:15:42.56 ID:Yh4BJeEl0
恭介がキュゥべえがいる窓際を見つめる。

「僕は、作曲家になろうと思う。どうかな? さやか」

恭介が私に微笑む。

後悔なんてしていない表情だった。

むしろ、希望を持っているような表情だった。

「恭介がなりたいなら、良いと思うよ」

私はその恭介に微笑み返す。
156 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:16:30.35 ID:Yh4BJeEl0
《訳がわからないよ。バイオリンが好きなのに作曲家?
君が願えば、彼は弾けるように――》

《煩い。恭介が望んでないんだから、私が余計なことするわけにはいかないよ》

「ねぇ、恭介」

「ん?」

「奇跡や魔法でその腕が直せるなら治そうと思う?」

私は何を聞いてるんだろう。

キュゥべえにああ言いながら、私は……。
157 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:17:06.12 ID:Yh4BJeEl0
「そうだね、けど。どうせあったとしても。
代償無しには得られないだろうし、僕としてはお断りだよ。
代償もなく、何でもかんでもできるのはアニメとか小説の世界だけだって
僕はそう思うから。だから、そんなことは望まないよ」

「恭介……」

やっぱり、恭介は賢い……。

そうだって解ってる。

自分のことを受け入れられてる。
158 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:18:02.50 ID:Yh4BJeEl0
《僕は失礼させてもらうとするよ》

キュゥべえが忽然と姿を消す。

別に良い。

望んでないから、望まないから。

「それに、さやか」

「なに?」

「左手が動かせないくらいでさやかが傍に居てくれるなら、
僕としては、その方が嬉しいよ」

「ばっ、ちょっあぅ……もぅ……」
159 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:18:56.62 ID:Yh4BJeEl0
私も恭介も真っ赤になって俯く。

恭介としても勢いに任せたらしい。

後先考えない言葉のなんと恐ろしいことか。

「恥ずかしいことを言っちゃったけど、それが僕の今の気持ちだ」

「うん。解った。私は恭介が何を目指すとしても応援するよ」

「ありがと、さやか」

そして私は、マミさん達の待つ喫茶店へと向かった。
160 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:20:24.43 ID:Yh4BJeEl0
はい12話。

恭介が原作とは違って現実見てるのは、
さやかと付き合ってるからということで。

次ー。
161 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:21:43.46 ID:Yh4BJeEl0
  第13話

『貴女と共に戦い続けるわ』


「巴マミ、時間が惜しい。一気に畳み掛けるわ」

「解ってるわ。じゃぁ、どうする?」

先輩が私を見て微笑む。

どうやら、戦闘における信頼は確かなようね。

「じゃぁ、私の力を貴女に貸すわ」

「え?」

私はそう言って、先輩の腕を掴み時間を止める。

「なに、これ……」

「これが私の能力。貴女が私を信用するというなら、
私は貴女がこれを公言しないと信じて教えるわ」
162 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:22:22.71 ID:Yh4BJeEl0
私はそう言って先輩に攻撃を支持する。

先輩が掴んだ銃は時間を取り戻して弾を放つ。

動き出した時間。

放たれた弾は確実に魔女イザベルを打ち抜き、消し去った。

「すっごい!!」

「かっこいい〜」

後ろのギャラリーが喜ぶのを傍目に、私達は互いに視線を交える。

「能力は?」

「秘密にしてくれるとありがたいわ。特にQBには」

私はそう言って、ギャラリーであるまどかとさやかの元へ向かう。
163 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:22:50.76 ID:Yh4BJeEl0
「かっこいいよ。ほむらちゃん!」

「惚れるねぇ。これは」

「さやか、貴女にはすでにいるでしょ」

「そうだけどさぁ」

「じゃぁ、ほむらちゃんとマミさんは私が貰うね? さやかちゃん」

「なん……だと?」

2人のじゃれあいをを見て、思わず口元がゆるむ。
164 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:23:47.56 ID:Yh4BJeEl0
そんな私を見て、2人が固まる。

「どうかした?」

「今、ほむらちゃん笑ってる」

「え?」

「今まで無愛想だったの解ってない?
まぁ悲しそうだったり寂しそうだったり。
それはあったけど、笑うのは2回目だよ」

さやかが言う。
165 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:24:23.30 ID:Yh4BJeEl0
笑う?

私が?

そんなはずは……。

「2回? わたし、見たのこれが初めてだよ?!」

まどかが残念そうに言う。

私は笑った覚えなど全く無い。

「いやぁ、あのお見舞い行くって一緒に帰ったときに。ね」

さやかが意地悪そうな笑みを浮かべて私を見つめる。
166 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:25:02.74 ID:Yh4BJeEl0
あの時?

あの時に?

そんな。私が笑うなどという場面なんて……。

「ずるいよさやかちゃん。わたしの嫁に手を出すの?!」

「ふふふ。もらったぁ!」

目の前で茶番を繰り広げる2人。

改めて、この未来だけは潰したくない。と思った。
167 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:25:29.28 ID:Yh4BJeEl0
「そろそろ帰りましょう。時間も時間だしね」

先輩がそう言って微笑む。

放課後からの魔女狩り。

付け加えて、すぐに見つけられるって言うわけでもなく、
遅いときは21時くらいに終る時もある。

今日がまさに、そんな時だ。

「は〜いマミさん、ほむら。じゃ〜ね」

「ばいばい〜」

2人と別れ、私と先輩は私の家に向かう。
168 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:26:07.21 ID:Yh4BJeEl0
QBはどこに居るのか、見当たらない。

恐らくは、また。まどかにちょっかいを出しているのかもしれない。

でも、まどかが契約することは無い。

まどかに聞いたところ、
まだ実感が湧かないし、願い事も無いから。と言っていた。

それでも懸念して、契約するなら私か先輩に一言相談して。と念を押してある。

だから、暫くは安心できる。
169 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:26:46.05 ID:Yh4BJeEl0
「着いたわ」

「中々に雰囲気の怖いところなのね」

「暗いから仕方が無いわ」

建物の外観の感想をさらっと流して部屋へと招き入れる。

「貴女って、日本人なのね」

私の部屋は普通の和室。それに加えてお風呂場、お手洗い、寝室、キッチン。

基本的な普通のアパート。

先輩は私にどんなイメージを?

とは言っても、中学生が和室を好むのは珍しかったりするのかしらね
170 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:27:13.90 ID:Yh4BJeEl0
「お茶? 貴女の場合は紅茶の方?」

私はキッチンで準備をしながら聞く。

「紅茶だと嬉しいわ」

先輩はそう言って「気遣いは無用だけど」と付け足す。

一応客人におもてなしをするのは礼儀。

気遣いじゃない。

心の中で反論をし、ティーセットを居間に持って行き、
向かい合って座る。
171 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:28:00.00 ID:Yh4BJeEl0
「余計なことは省いて本題に入るわ」

私はそう言って数枚の紙を取り出す。

それらにはワルプルギスの夜の出現を予測したような数字などが、
書かれているが、そんなものはもちろん。偽装である。

ただ、実際に出現した季節は一致しているし、
時期的観測のみは合っている。

「……なるほど」

先輩が頷いて私に紙を返す。

どうやら納得いただけたらしい。
172 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:28:29.61 ID:Yh4BJeEl0
「時期的に被っているし、そうね。あながち嘘ではなさそう。
可能性が無きにしも非ずって言うのなら、
私は貴女の情報を信じて警戒するに越したことは無いわ」

先輩が微笑む。

どうやら信じてもくれたらしい。

こうも事がうまく進むのは怖いけれど、
今までの失敗の経験が成功に結びついていると言えば、
聞こえが良い。
173 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:29:17.60 ID:Yh4BJeEl0
「ワルプルギスの夜についても、色々知っているんだね。君は」

あいかわらず、苛立たせてくれるのね。

「何しに来たのかしら。まどかを勧誘しなくて良いの?」

「鹿目まどかどころか、美樹さやかですら契約は無理そうだよ」

残念そうに、

言葉だけ聞けば残念そうに聞こえる。

ただ、感情は一切篭っていない。

言葉の主に感情が無いから当然ではあるけれど。
174 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:29:46.43 ID:Yh4BJeEl0
「鹿目まどかは、「ほむらちゃんと約束してるから」の一点張り。
彼氏の腕を直す願いが来ると思っていた美樹さやかは、
「恭介はそんなこと望んでないから、私の望みにはならない」それで追い返されたよ。
鹿目まどかはかなりの資質を持っているのに残念だよ」

「……そう」

先輩が残念そう。と言うよりは、
少しだけ安心したように声を漏らす。

「マミ? マミは残念そうではないね」

「ええ、まぁ。ソウルジェムが私達の本体で、肉体が単なる入れ物。
そんな人間とはいえないような状態にするのは、聊か勧め難いことよ」

先輩が紅茶を啜って言う。
175 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:30:29.55 ID:Yh4BJeEl0
「じゃぁ、なぜ見学ツアーを続けるんだい?」

「なんで、そうね。もう、必要ないのよね」

「……巴マミ」

「あら、私は貴女の願いを聞き入れたようなものよ?
なぜ、そんな悲しそうにするの?」

悲しそう?

そんなはずはない。

逆に嬉しいくらいだ。
176 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:31:10.24 ID:Yh4BJeEl0
「……訂正。嬉し泣き。それが正しい言葉ね」

先輩が微笑む。

「嬉しいと泣くは逆の意味じゃないのかい?
全く、訳がわからないよ」

頬を拭うと、袖が湿っていた。

「キュゥべえ」

「なんだい?」

「少し、席を外してもらえる?
こういうのは人に見られたくはないものだから」

先輩がそう言うと、QBはいなくなった。
177 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:31:41.93 ID:Yh4BJeEl0
「昼間と逆ね」

先輩はそう呟く。

そして、先輩の腕が私を包み込んだ。

「私も良く知らないけど、
でも。辛い思いをしたんでしょうね。転校前に。
でももう大丈夫、私は貴女の傍から居なくならない。
貴女と共に戦い続けるわ。だから、安心して」

先輩……。

先輩は私が転校前に辛い思いをしてきたと考えている。

真実は無限のループによる経験。

けれど、辛かったのは事実。
178 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:32:25.59 ID:Yh4BJeEl0
貴女を救いたくても救えなかった。

したくもない仲違いをしてしまった。

そんなことばかりで、私は……。

先輩、私は。私は今度こそ。

この世界で明日を迎えてみせる。

まどかはもちろん。

さやかの未来も。

先輩の未来も。

もう1人の魔法少女。

佐倉杏子の未来も。私は守ってみせる。

だからその為に。

力を貸してください。先輩。
179 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 08:34:40.50 ID:Yh4BJeEl0
こんな感じで13話終了です。
険悪な雰囲気なんて誰が書いてやるもんか!

マミさんってマジお姉さん。


ではではノシ
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/16(木) 11:54:45.47 ID:Yevl69hDO
追い付いたぜぇぇぇーーーー!!!
誰得?
俺得!!

んで・・・あんこちゃんはいつ出まつか?
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/16(木) 12:30:17.28 ID:gbG1c0fIO
追いついたー
完結してるとのことなので安心して読めますなあ
182 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:37:32.69 ID:Yh4BJeEl0
>>180
杏子?
え? だれそれ……
まだまだ先だよ。
何話かって言うとネタバレになりそうでもならないだろうけど、言わない。

>>181
安心して呼んでくだされ。
>>1得な以上。
中途半端にはいたしませぬ。
駄文披露宴の最低限のマナーです。

さて、14話投下。時間があれば15話も……。
183 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:38:23.52 ID:Yh4BJeEl0
  第14話

『先輩。とっても美味しいわ』


「え?」

朝、目が覚めるとありえない光景が広がっていた。

わ、私は昨日……。

昨日のことを思い出すが、先輩に抱き寄せられて身を預けた以降。

記憶がない。

そして、目を覚ました私は先輩とベッドで添い寝していた。

多分、泣き疲れた私は寝てしまったのだろうけど、
まさか先輩が家に泊まっているとは。

でも、彼女は心配性なところがあるし、
私を放って置くわけにはいかない。とでも考えたのだろう。
184 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:39:04.88 ID:Yh4BJeEl0
そんなことを考えていると、先輩の小さなうめきが上がり、
先輩も目を覚ました。

「あ、あら? 暁美さん、何で私の家に?」

「はぃ?」

思わず素っ頓狂な返事を返す。

優しいお姉さんで作られた先輩は寝起きはボケが激しいらしい。

これは今まで知らなかった情報だ。
185 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:39:49.94 ID:Yh4BJeEl0
__________


______


__



「そ、そういえば勝手に泊まっちゃったのよね。ごめんなさい」

色々と説明し、覚醒してくれた。

ただ、私からしてみれば、
泊まるのは構わないけれど、なぜ同じベッドに?

と言う疑問が湧く。

たしかに他にベッドはないけれど、
布団一式予備はある。
186 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:40:27.70 ID:Yh4BJeEl0
さておいて、
今日が土曜日だと言うことに感謝するべきね。

「巴マミ。何か食べる?」

「え? あぁ、私がやるわ」

「貴女は客人よ」

「勝手に泊まった。でしょ? 食材の提供をさせるんだもの。
それを調理するのは借りる者の役目じゃない?」

先輩はそう言って微笑み、キッチンへと向かう。
187 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:41:10.97 ID:Yh4BJeEl0
「そういえば、暁美さん」

「なに?」

「巴マミって呼ばれるのは嫌……かな」

調理をしている為、
振り向くことなく私に言う。

呼び名なんて、どうでも良い事ではある。

けど……

「みんなと同じ、マミさん、それとも、巴さん、マミ。どれが良いかしら」
188 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:42:02.64 ID:Yh4BJeEl0
私が言う前に先輩は口に出す。

どれも馴れ合いの呼び名だけれど。

そうね、私が呼ぶとすれば。

「マミ。は先輩である貴女には失礼かしらね」

「いまさらよ。そんなの」

先輩が作り終えた料理を居間に運びながら微笑む。

確かにそうだけれど。
189 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:42:52.09 ID:Yh4BJeEl0
意識するとなると罪悪感が湧く。

なんだか不思議な感じがするわ。

「じゃぁ。先輩。先輩と呼ぶわ」

「え?」

「不服ならマミさんと呼ぶけれど……」

「あ、ううん。先輩。嬉しい響きだわ」

先輩が嬉しそうに言う。

それは私も同じこと。
190 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:43:29.07 ID:Yh4BJeEl0
敬遠するようなフルネームではなく、
私から先輩へ。

遠い昔のループで私が先輩を呼ぶときに使っていた言葉だから。

また、あの時のような関係に戻れた気がするから。

いや。きっと戻ったんじゃなくて作った。

それ以上に親しい関係を。

「あら、暁美さん嬉しそうね」

「気のせいよ」

私はそういうけれど、
以前のような冷たさが込められた言葉ではなくなっていた。

丸くなったわね。私も。
191 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:43:57.43 ID:Yh4BJeEl0
そんな事を考えながら、
先輩手作りの味噌汁を啜る。

先輩の手料理は初めて食べた。

率直な感想を言えば。

そうね。

「先輩。とっても美味しいわ」

「あら、ありがと」

そんな風に会話しながら、私達は食事を続けた。
192 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 17:46:57.00 ID:Yh4BJeEl0
マミほむ!!

なんか勝手にマミほむになってるねー(棒
こういう関係を壊すのは>>1の役目なんですねわかります。
まぁ、それを運命だと思うしかないよ。マミ、ほむら。

15話は時間が無いというorz
と言うわけでまた後でーノシ

    ではでは
193 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:28:56.84 ID:Yh4BJeEl0
さて、15話投下。
用事は終ってない。
これ投下したらぬける
194 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:29:32.87 ID:Yh4BJeEl0
  第15話

『これからよろしく。先輩』


「朝から魔女が出ると言うことはないのよね」

「そうね、朝は疲れのある人が少なくて取り付きにくいから」

私達は、商店街を歩きながら話していた。

極自然な成り行きでこうなった。

朝は魔女がいないし、
どうせ暇だから買い物にでも。

そんな経緯。
195 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:30:00.71 ID:Yh4BJeEl0
「さてと、お昼でも食べない?」

朝に家を出たと言うのに、
適当に歩いているだけでもうすでにお昼だった。

「じゃぁ、あそこの喫茶店にでも」

「ええ、良いわね」

私が指差した場所は、まぁ。いつもの喫茶店なんだけれど。

2人だけだと、なんか。緊張する。
196 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:30:28.31 ID:Yh4BJeEl0
「買い物目的なのに、ただ散歩しているみたいよね」

先輩が運ばれてきたサンドイッチを掴んで言う。

「まぁ、特に買うものがないのだから……
自然とそうなるのも仕方ないわ」

私もサンドイッチを掴んで答える。

「ここの紅茶、私お気に入りなのよね」

私がコーヒーを飲んでいると、不意に先輩が呟く。
197 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:30:56.59 ID:Yh4BJeEl0
「そう? 美味しいの?」

「ええ、貴女だって。毎回そのコーヒーじゃない? 」

先輩が意地悪な笑みを浮かべて言う。

確かに、ここに来るたび私は必ずこのコーヒーを注文している。

もちろん、少ない私のお気に入りであるがゆえの事。

「互いに違う飲み物よね?」

「……だったら?」

「一口ずつ交換しない?」
198 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:31:33.92 ID:Yh4BJeEl0
先輩は子供っぽい笑みで言う。

「別に構わないわ」

私達は互いのカップを交換し、一口飲む。

紅茶なんてどれも同じものでは?

なんて思ったけれど、これはこれで確かに美味しい。

そんな私とは逆に、先輩は顔を顰めていた。

「……暁美さん。良く飲めるわね」

「いつの間にか、そういうのが好きになってしまっていたのよ」

私は意地悪く笑う。
199 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:32:02.96 ID:Yh4BJeEl0
私のコーヒーは無糖。つまりブラックコーヒー。

何で好きになったかって言うのは、
今まさに目の前で苦い。と半分涙目になっている先輩のせいである。

毎回ケーキやら紅茶やらと甘いものを貰っていた私にとって、
当然のごとく、甘みのないものが必要だった。

それで、先輩と会うたびに飲むようになり、
いつの間にかこの味に慣れた私は、
甘いものがなくとも飲むようになった。ということである。
200 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:32:33.54 ID:Yh4BJeEl0
私が酷い酷いと繰り返す先輩を傍目に、
コーヒーを口に含んだ瞬間だった。

「――あ。間接キスしちゃったわね」

「ごぶっ???????!!!!!」

「あ、暁美さん?!」

口に含まれたコーヒーは、
また、カップの中へと舞い戻った。否、噴出された。
201 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:33:12.49 ID:Yh4BJeEl0
「げほっ、げほっ……あ、貴女は急に何を言い出すのよ」

「え? だって、事実でしょ?」

確かに。

気づかなかったけれど、それは、
それはしたけれど。

「言う必要ないでしょ。全く。先輩は何を考えているのよ」
202 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:33:41.38 ID:Yh4BJeEl0
私はため息を零して言う。

「さぁね」

楽しそうに返事した先輩を見て悟った。

先輩は知っててやったのだと。

だからと言ってどうこう言うのもあれなので、
私は何も言わずに、流した。
203 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:34:08.18 ID:Yh4BJeEl0
「私達独り暮らしだし、同居のアパートでも探す?」

喫茶店を出た後、私達はまた歩いていた。

「何言ってるのよ」

「まぁ、冗談よ」

先輩がそう言って笑う。

正直冗談には聞こえなかったのだけれど。
204 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:34:41.13 ID:Yh4BJeEl0
などと心で呟いた時だった。

不意に先輩は私の手を引いて、アクセサリーショップへと連れ込む。

「急に引かないで。転んじゃうから」

「あ、ごめんなさい」

私が言うと、申し訳なさそうに言うが、
興味はすぐに周りのアクセサリーへと移っていた。
205 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:35:12.73 ID:Yh4BJeEl0
「何か欲しいものでも?」

「そうね、私と貴女のお揃いの何か」

え?

私と先輩の?

私の不思議そうな視線に気づいたのか、
先輩が微笑む。

「私と貴女の正式なコンビ結成記念よ。それをつけてれば、
いつだってどこだって私達は繋がってる。
そんな気分に慣れるでしょ?」
206 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:35:40.91 ID:Yh4BJeEl0
「え、ええ。まぁ」

先輩の嬉しいと言う感情の大きさにたじろぐ。

私としても、孤独から出てこれたのは嬉しい。

もちろん、さやかを救えたことも嬉しい。

でももし救えなければ、やり直し。

私の記憶だけのもになってしまう。

そんな寂しさが浮かぶ。
207 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:36:07.61 ID:Yh4BJeEl0
「でもね、貴女に聞きたいことがあるの」

「聞きたいこと?」

先輩は色んなアクセサリーを眺めながら呟く。

「貴女が2人を契約させたくない理由は解ったけれど、
なぜキュゥべえを殺そうとする必要があったのか、なんで、QBが教えていないはずのことを知っていたのか」

先輩は相変わらず、アクセサリーを弄っていた。

「それは……」

話しても良いのだろうか。
208 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:36:33.28 ID:Yh4BJeEl0
私が無限に近いループを繰り返しているという事。

私は……。

「QBを殺そうとしたのは契約するなと脅す為。
魔法少女の魂がソウルジェムと知ったのは、私の友達のソウルジェムが砕かれた時。
彼女が死んでしまったから」

私は淡々と、事実を少し捻じ曲げたことを言う。

騙している罪悪感は不思議とない。

「でも、私はQBに危害を加えないと先輩に誓うわ。
その代わりと言っては何だけれど、もしも。
もしも、あの2人が契約しそうになったら止めるのを手伝って」

私は近くにあった紫に輝く宝石がついた指輪を手に取り、
指輪を先輩に差し出す。
209 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:37:03.44 ID:Yh4BJeEl0
「いいけれど。
私は貴女を信頼するわ。戦闘でなく全てにおいて。
だから貴女も私を信頼してくれる? 全てのことにおいて」

先輩は、私が差し出したのとは色違いの黄色い指輪を差し出す。

そして同時に、私達は互いに差し出された指輪を受け取る。

「契約成立ね。これから頑張りましょう? 暁美さん」

「ええ、これからよろしく。先輩」
210 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:37:31.12 ID:Yh4BJeEl0
私は互いに言い合って、その指輪を購入する。

先輩には紫。

私のソウルジェムと同じ色の輝き。

私には黄色。

先輩のソウルジェムと同じ色の輝き。

それぞれを現す輝きを、互いの右手の人差し指は放っていた。
211 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 19:38:05.65 ID:Yh4BJeEl0
投下終了。

用事があるので抜けます。

マミほむ♪

   ではでは
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/16(木) 19:40:41.26 ID:V5LI1v4SP
仲良くなりすぎて恐い…乙いってら
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)[sage]:2011/06/16(木) 20:14:57.48 ID:SEvxD5BAO
マミほむは大好物だ、二人が仲がいいのはいい事だが…
マミさんがなんか怖く感じるのは気のせい?
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/16(木) 20:33:09.83 ID:egE5BPuvo
内容は好きだけどSS以外でゆとり臭いのがちょっとな
2chにいる以上その口調じゃ損するぞ
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/16(木) 20:37:34.00 ID:CXn8nu96o
お疲れ様でした。
216 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:34:55.00 ID:Yh4BJeEl0
>>212
マミ「もう何も怖くない」

>>213
それはどういう意味で?
ヤンデレ化? マミる可能性?

>>214
オーケー気をつける。
内容は>>1得なだけ。

じゃ、続き投下する
217 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:35:33.19 ID:Yh4BJeEl0
  第16話

『本当に甘いものが好きなのね。先輩は』


私達は指輪購入後、

私の家に戻ってきていた。

あの後、普通に別れるつもりだったのだけれど、
先輩が、どうせならもう一泊。

と言い出し、先輩の服を取りに行った後は私の家に来た。

でも、まだ私は先輩に聞きたいことがあった。

契約後に聞くのは少しずるいかもしれないけれど、
それはどうしても聞きたいことだった。
218 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:36:01.59 ID:Yh4BJeEl0
「あの店ほど美味しくはないけれど」

私はそう言って、紅茶を差し出す。

先輩は一口飲んで「十分美味しいわ」と微笑む。

なんでか緊張する。

少し、怖い。

でも……。

「先輩。私は聞きたいことがあるのだけれど」

「あら、体重は教えないわよ」

そう言って苦笑する先輩をみて、私は首を振る。
219 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:36:48.73 ID:Yh4BJeEl0
「そうじゃない」

「じゃぁ……」

「先輩は、なぜ。なぜ私を信用したの?
QBを攻撃したにも拘らず、見学ツアーに連れ出したの?」

「……」

私は抱いていた疑問を、先輩に投げつけた。

先輩は特に驚いた素振りをすることもなく、
目を閉じて、紅茶の入ったカップに口をつけた。
220 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:37:30.94 ID:Yh4BJeEl0
「見学ツアーに連れ出したのは、
暁美さんの監視が目的。あとは。
そうね、鹿目さん達を確実に守りきる為。かしらね」

先輩はそう言ってカップをちゃぶ台に置く。

私は次の言葉を待って、黙り込む。

私が一番気になっているのは信用した理由。

QBの件があるのに、どうして?

それが聞きたい。
221 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:39:21.85 ID:Yh4BJeEl0
「もう1つの方は、貴女と行動したから」

え?

「どういう……」

「解らない?」

先輩が微笑む。

解らない。

ただ行動しただけで相手を信じる。

それも、友達と言っていたQB攻撃したのに。

なのに?
222 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:39:58.82 ID:Yh4BJeEl0
「貴女に言ったわよね? 貴女は優しいって。
貴女を見てて解ったわ。
貴女は誰かを守る為に手段を選ばないだけで、
それはちゃんとした正義。善意。優しさなんだって。
キュゥべえの事だって、その通りだった。
人間じゃなくなることを知っていたから。
それを止める為だったじゃない?」

言葉が出なかった。

私はただ唖然と先輩を見つめていた。

たったそれだけのことで私を信用するなんて……。
223 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:40:43.40 ID:Yh4BJeEl0
「QBを、殺そうとしたのよ?」

「でも、殺さなかった」

「それは先輩が阻止しただけで……」

「なんにせよ、結果は生きてるんだから変わらないわ」

先輩。

貴女は。

貴女って人は。
224 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:41:25.21 ID:Yh4BJeEl0
「馬鹿すぎるわ。先輩。そんなことで信用するなんて、
間違ってたらどうするのよ」

「……あら。結局は間違っていないわ。
これが正解だったし。それに……」

それに?

「不思議と、貴女を信じても大丈夫だって思ったのよ」

先輩はまた紅茶を啜る。
225 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:41:58.96 ID:Yh4BJeEl0
「先輩。貴女は。貴女は優しい人よ。私なんかよりずっと」

「そう? でも、貴女も優しいわよ。私が今ここにいることがその証明よ」

先輩はそう言って微笑む。

先輩。

私は……。

「先輩」

「なに?」
226 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:42:34.06 ID:Yh4BJeEl0
私は先輩を見つめて口を開く。

「先輩は私にとって、きっと。
いえ、確実に。頼りになる先輩よ」

「え? どうしたの?」

私達は貴女を頼れるわ先輩。

けど、貴方は誰に頼れるの?

誰に悩みを打ち明ければ良いの?
227 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:44:03.79 ID:Yh4BJeEl0
「先輩、私を頼って。辛い時、泣きたい時。
どんなことでも、私は私が貴女にして貰える慰めを、
貴女に返すから。だから、頼って頂戴。
独りで苦しまずに、ね?」

私がそう言うと、先輩は驚いた表情で私を見て、
そして、頬を涙が伝った。

「……暁美さん、私。
ずっと独りで、悲しくて、寂しくて怖くて……
見学を誘ったのも誰かが居て欲しかったから、
貴女を誘ったのも本当はそれが理由……でも。敵だと疑っていた……」
228 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:44:33.63 ID:Yh4BJeEl0
先輩……。

先輩が私を見て微笑む。

「でも。これからは……独りじゃない……。
ありがとう、暁美さん。
頼りにさせて貰うわ。お言葉に甘えて、ね」

先輩はそう言って紅茶を一口飲む。

「本当に甘いものが好きなのね。先輩は」

私はそう言って、クスッと笑った。
229 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/16(木) 21:49:36.54 ID:Yh4BJeEl0
16話終ったけど、
時間あるからこのまま。
17、18、19、20って投下する。

途中、抜けるかもしれないけど、
その時は言う。

じゃ。
230 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:50:19.43 ID:Yh4BJeEl0
  第17話

『なんで』


「あれ? なんでマミさんが?」

さやかが私に聞く。

それは私が聞きたい。

いや、別に解っているから良いのだけれど。

今の状況を説明すると、
先輩、さやか、私、まどか、仁美。

この5人が一緒に登校している事になる。

このうち、先輩除く全員は同じ道だから当然なんだけれど、
先輩が明らかなイレギュラーだったりする。
231 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:50:46.61 ID:Yh4BJeEl0
なんで、ここに居るかと言うのは、
昨日に遡れば解る。

いや、その必要も無いけれど。

実は、昨日帰る予定だった先輩が、
独りはつまらないから帰りたくないと駄々をこね始め、
明日は学校だから。

そう言うと、「昨日の頼っていいはどこ行ったの?」と、
言われ。

当然断ることも出来ない私は、家に泊めた。

そして、ここまで一緒に登校して来たというわけ。
232 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:51:15.76 ID:Yh4BJeEl0
「さ、3年の方ですわよね? は、初めまして志筑仁美ですわ。
よろしくお願いいたします」

「あら、丁寧に有難う。初めまして、巴マミよ。よろしくね」

先輩がそう言って微笑む。

こう見ると、やっぱり先輩なんだと思う。

ただ、私は昨日一昨日と、先輩の別の一面を見ているし、
思わず笑ってしまう。
233 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:51:46.97 ID:Yh4BJeEl0
「って、不味いよ!! このままじゃ私達遅刻!!」

さやかが思い出したように叫ぶ。

「ま、不味いかも」

「結構不味いですわね」

「まぁ、頑張れば何とかなるわよ」

「そうね、みんな。走りましょう」

「「「「「お〜っ」」」」」
234 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:52:37.24 ID:Yh4BJeEl0
________

「4人とも遅刻です!」
_____

「「「「ごめんなさい」」」」
__



昼休み、私達は屋上に来ていた。

さやかは仁美も誘ったけれど、
委員会と言うことで断られた。

「マミさんは間に合ったとか……」
235 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:53:36.52 ID:Yh4BJeEl0
「先輩は私達より下の階なのだから間に合うわよ」

「そうだね。って、私達も1年後は3年かぁ」

……1年後。

さやかのその言葉が胸に突き刺さる。

もし、もし。

私が失敗したら……。

この世界も……。
236 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:54:17.99 ID:Yh4BJeEl0
「ほむらちゃん?」

「え?」

「暁美さん、少し辛そうね。大丈夫?」

わ、私は……。


思わず、顔を伏せてしまう。

「……先輩。私達のこと、話すべきだわ」

「え?」

先輩が不安そうな表情を浮かべて聞き返す。
237 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:54:45.22 ID:Yh4BJeEl0
「私達のことって?」

さやかが聞く。

「それは……」

先輩のくぐもった声が耳に届く。

私のことを誤魔化す為に酷いことをしてしまったかもしれない。

でも、先輩は決心した表情で2人を。私を見つめた。


「暁美さん。貴女が教えるべきと言うのなら、
私はそれに従うわ」
238 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:55:40.52 ID:Yh4BJeEl0
2人は私と先輩を交互に見つめ、
疑問を浮かべたまま黙っていた。

「魔法少女のこと、そして。
これからの魔女狩り見学について私達から話しがあるの」

先輩は2人を見つめて言う。

「魔法少女のこと?」

まどかの不安な声が響く。
239 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:56:18.63 ID:Yh4BJeEl0
「ええ。実はね?
私達魔法少女は人間じゃなくなってしまうのよ。
私達の本体はこのソウルジェム」

先輩が黄色く輝くソウルジェムを取り出す

「「?!」」

みんな……。

「そんなの、嘘ですよね?!」

さやかが怒鳴る。

「……嘘じゃないわ」

「ほむらちゃん!」

「ごめんね、まどか……」

心配そうに私を見つめるまどかに、
私は謝罪しか浮かばなかった。
240 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:56:58.04 ID:Yh4BJeEl0
「なんで? 何で謝るのほむら」

「鹿目さん、美樹さん。それでね?

貴女達には魔法少女になって貰いたくないの。
人間のままでいたいでしょう?」

先輩が微笑む。

「マミさん、なんで。なんで人間じゃなくなるのに?」

「それは……」
241 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:57:34.95 ID:Yh4BJeEl0
先輩が言葉を止める。

先輩。

先輩は、事故で死に掛けていて……
そうするしか――。

「先輩は――」

「私はそれでも守りたいものがあったの。
でもね? 2人は魔法少女なんかにならなくて良いのよ」

「なんでですか? マミさん……」

まどかが悲しそうに言う。

「私達は正式にチームを組んだの。
だから、貴女達の力を借りる必要はない。
同時に、魔女狩りの見学も終わりにしましょう」

私は精一杯の笑みで告げた……。
242 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:58:11.74 ID:Yh4BJeEl0
  第18話

『私達の為に戦ってくれていることを、私は記憶に刻み込みたい』


「……ねぇ、ほむらちゃん、マミさん。
2人は人間だから!
たとえ、ソウルジェムが本当の姿だとしても。
わたし達にとっては今。目の前に居る2人が。
本当のほむらちゃんとマミさんだから……」

「くだらないね。僕としては、
魂のありか、本体なんてどうでも良いことだと思うけど」

どこからともなく現れたQBが言う。

QB……。
243 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:59:02.31 ID:Yh4BJeEl0
「キュゥべえ!!」

さやかが怒鳴る。

「なんで? 何でそんなこと言えるの?」

まどかが悲しそうにたずねる。

「なんで? 何でと僕に聞かれてもね。
答えるのなら、そうだね。
僕には感情がないから、君たちの悲しいって言うものが理解できない」
244 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 21:59:50.27 ID:Yh4BJeEl0
「そんな……感情がないって……だからって、酷いよ!」

「まどか、私達はそれを承知で魔法少女になった。
だから、QBを責める必要は無いし、
むしろ、私達はそのおかげで守る為の力を得た」

「そうだよ。かん――」

「勘違いはしないでね? キュゥべえ」

先輩?
245 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:00:24.76 ID:Yh4BJeEl0
「私達は貴方に感謝はしているけれど……
同時に。ね? 解るでしょ?」

先輩が2人に悟られないようにQBを睨む。

「……マミ。君は一体何を考えているんだい?」

QBが尋ねる。

「私が望むのはこの子達の未来。
みんなの未来。私たち魔法少女が。
みんなの未来を守る……こと」

先輩が微笑む。
246 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:00:53.85 ID:Yh4BJeEl0
「その為になら、私は平気で悪魔に魂を捧げるわ。
暁美さん。そうでしょう?」

先輩が私に微笑む。

「ええ、そうね。そうよ」

私は頷く。

「全く、訳がわからないよ。
怒ったり笑ったり泣いたり。君たちは何がしたいんだい?」

QBはそう言い残して、その場から去っていった。
247 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:01:27.63 ID:Yh4BJeEl0
残された私達のもとに、昼休み終了を告げるチャイムが響く。

「さやか、まどか。先に戻ってて頂戴。
後から私も行くわ」

私はそう言い、2人に微笑む。

「……」

「ほむら。ごめんね?」

さやかが不意に謝る。

なぜ?
248 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:02:29.57 ID:Yh4BJeEl0
私が首をかしげると、
さやかはばつが悪そうに苦笑して続けた。

「私達の為、でしょ?
私達一般人の為に、2人は……」

「美樹さん。過ぎたことだから。
気にしなくて良いわ。
貴女達は元気で居てくれる、それだけで良い」

先輩が微笑む。
249 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:02:58.44 ID:Yh4BJeEl0
「ありがとうございます。
でも、迷惑じゃなければ見学続けさせてくれませんか?」

まどかが真剣な表情で言う。

「え?」

「わたし達は魔法少女にはならない。
けど、わたし達の為に戦ってくれていることを、
わたしは記憶に刻み込みたい」

「私も!」
250 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:04:22.10 ID:Yh4BJeEl0
まどかとさやかがそう言って頭を下げる。

「「……」」

私と先輩は互いに顔を見合わせて、小さくため息をつく。

「そうね、じゃぁ、今日の放課後も集まりましょう」

先輩がそう言うと、2人は「ありがとうございます」と頭を下げて、
教室へと向かった。

屋上には私と先輩の2人だけ。
251 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:04:51.36 ID:Yh4BJeEl0
風は珍しく吹いていない。

空からは太陽が眩しい光を注いでいた。

「先輩……」

「どうしたの? 暁美さん。
本当はこのことを言うつもりではなかった。でしょ?」

え?

先輩は私に微笑んでいた。

なんで?

ばれてた?
252 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:05:24.13 ID:Yh4BJeEl0
「何で震えてたの?
美樹さんが1年後。そう、未来の話をした時、暁美さんは震えていたわ」

先輩がさっきの光景を思い出しながら言う。

……図星も何も、それしかない。

どうせなら、話してしまっても良いかもしれない。

でも。

まだ、それには不安がある。
253 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:06:09.43 ID:Yh4BJeEl0
「ワルプルギスの夜が倒せなかったら、私達はみんなの未来を守れない。
それが……怖い。怖くて、あの笑顔を失ってしまうと思うと……」

私はまた震えていた。

またしても事実をひねった。

でも、そんなことよりも、
私はまたループしなければ、またリセットしなければ。

そんな状況になるのが怖かった。
254 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:07:05.98 ID:Yh4BJeEl0
そんな私を、先輩が抱き寄せる。

「大丈夫、守りましょう。絶対に。
それに、少し意地っ張りだけど、もう1人。
魔法少女がいるから」

先輩が微笑む。

先輩が言っているのは多分。

確定で佐倉杏子のことだ。
255 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:07:39.34 ID:Yh4BJeEl0
「明後日、魔女が出なければ会いに行きましょ」

先輩の言葉に頷く。

ワルプルギスの夜が来るまで、
まだ時間はある。

その間に魔女化のこと、
私のこと。

先輩を暴走させずに伝えられる?
256 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:08:09.51 ID:Yh4BJeEl0
ううん。

伝えられる?

そうじゃない。

伝える。

佐倉杏子と合流したら、
魔女化のこと、私のこと。

それを話してワルプルギスの夜に備える。

この世界のみんなの未来の為に、
失敗なんて絶対にしない!
257 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:08:52.75 ID:Yh4BJeEl0
  第19話

『一緒にこのことを伝えよう。マミさんに』



「で、だ。この時代――」

6時間目に突入していた授業。

けれど、私にはその内容は一切耳に入ってこなかった。

先輩、さやか、まどか、杏子。この4人をワルプルギスの後まで死なせない。

そう考えて行動してきた。

さやかとまどかはすでに契約はしないと私達に約束したことで、
危機回避は出来たと見て良いかもしれない。

で、さやかが救われたのなら、
杏子が自爆を行う必要も無くなる。
258 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:09:31.97 ID:Yh4BJeEl0
連鎖的に救われる。

後は、今日のシャルロッテとの戦い。

ここで先輩を守りきりたい。

私は魔法少女としては戦闘に向かない力。

それは自覚している。

武器は現代武器を拝借しているだけ。

けど、私の力で先輩を守る。

指にはめられた黄色い指輪を外し、
軽く握り締める。
259 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:10:12.33 ID:Yh4BJeEl0
先輩。

私は、諦めてた。

みんなを救うことから、
だんだんと守るのはまどかだけ。

「――み」

そうなってしまっていた。

そうよね。

そんなんじゃ、まどかだって救うことができるわけないわよね。
260 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:10:41.96 ID:Yh4BJeEl0
先輩も、杏子もさやかも、
そして。まどかも。

この4人が無事じゃなきゃ、
本当に救ったなんて、言えるわけないのよね。

「暁美ほむら!」

「え? あ、はい……」

呼ばれてた?

深く考えすぎてたみたいね……
261 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:11:13.83 ID:Yh4BJeEl0
「少し、具合が悪いので保健室に行って来ても良いですか?」

「あぁ、解った。鹿目。一緒にいって来い」

「はい」

私達は教室を出て、保健室へと向かう。

本当は具合なんて悪くはない。

それ以上に、今までにない幸運なルートに、
正直に言えば舞い上がっているほど。

だからと言って油断はしないけれど。
262 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:11:45.13 ID:Yh4BJeEl0
「あれ、保健室誰も居ないみたいだね」

「そうみたいね」

私達が保健室に着くと、
保健の先生は不在だった。

「ほむらちゃん」

不意に名前を呼ばれ、振り向く。

「なに?」

「私、凄く気になることがあるの」

「答えられる程度のことなら――」

「ソウルジェムって本体なんだよね?」

……?

何が聞きたいのかしら。
263 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:12:36.89 ID:Yh4BJeEl0
「ええ、さっき説明した通りよ」

「じゃぁ、さ。魔法使うと濁っちゃうんだよね?」

何が?

まどかは何を……。

「ええ、そうよ」

「その濁りって、溜まりすぎちゃったらどうなるの?」

え?

まさか……。

いや、知ってるはずはない。
264 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:13:05.26 ID:Yh4BJeEl0
「気になったんだよね。ソウルジェムのこと。
あれがほむらちゃんたちだって思うと、
些細なことでさえ重要なことなんじゃないかって、
不安になったの」

「まどか……」

貴女は自然な考えで、
あれの秘密に近づくと言うの?


私達が心配だからと?

貴女って人は……。
265 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:13:33.57 ID:Yh4BJeEl0
「なんの……心配もないわ」

「ほむらちゃん、嘘は嫌だよ」

え?

まどかは私の顔を見つめて、言う。

……嘘。

「ほむらちゃん、嘘つくときに少しだけ間が空くんだよ?
それに、とっても辛そうな表情で心配ないなんて。
信じられるわけないよ」
266 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:14:05.32 ID:Yh4BJeEl0
まどかが私の手を握る。

「教えて、本当のこと。
ほむらちゃん。ソウルジェムについて」

「まどか、貴女は知らなくても良い」

「そんなことないよ!」

まどか……。

「わたしは魔法少女のこと、ちゃんと知っておきたい。
知らないほうが救われるとか、そんなの嫌だよ。
ほむらちゃん達がわたし達の知らない何かで苦しんだりしてるなら、
そんなの、見逃したくなんかないの……」
267 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:14:39.05 ID:Yh4BJeEl0
まどかが少しだけ涙目になって訴える。

そんなこと言われても。

このことは……。

でも。

まどかには、話しても……。

「まどかのさっきの質問に答えるわ」

「さっき? ソウルジェムが濁りすぎるとって言うやつ?」

まどかが尋ねてくる。

緊張するようなことではないはずなのに、
鼓動が早くなる。
268 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:15:14.57 ID:Yh4BJeEl0
「でも。その前に約束して」

「え?」

「私が今から言うことは、他言しないって。
先輩やさやかに、伝えないって」

「……解った」

先輩には特に繊細な問題。

でも、まどかなら釘を刺したのだから、
伝えることはない。
269 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:16:03.77 ID:Yh4BJeEl0
「魔法少女は、ソウルジェムが完全に濁ると、
魔女になってしまうわ」

「え……?」

まどかの驚きの声が、小さく木霊した。

叫ぶのを抑えようと、
まどかは自分の口を押さえていた。

しばらくして、まどかの腕がだらんと垂れ下がる。
270 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:16:41.19 ID:Yh4BJeEl0
「そんなの、酷いよ。
ソウルジェムが本体だって言うことより、ずっと残酷だよ……」

「そうね……。自分が救った分だけ人を呪う。
悲しいけれど、魔法少女はそういうものなの」

私はまどかから視線を外し、床を見つめる。

話さなければ良かったかもしれない。

こんなのは、ただ悲しませるだけ……。
271 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:17:09.71 ID:Yh4BJeEl0
「でも、グリーフシードがあればならないんだよね?」

「……ええ」

でも、絶望してしまったら。

それだけで魔女になってしまう……。

「ほむらちゃん。マミさんもこのこと知らないんだよね?」

「ええ、知らないわ」
272 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:17:37.60 ID:Yh4BJeEl0
「一緒にこのことを伝えよう。マミさんに」

声に驚いて見上げると、
まどかは強い意志の篭った視線を、私に向けていた。

「何言ってるの?
まどか、貴女でさえどれだけ辛いと感じたか解ってて、
それでも、その魔法少女である先輩にいきなり伝えると言うの?」

少し強い口調で聞く。

けれど、まどかは「平気だよ」と微笑む。

貴女は知らないだけじゃない……。

先輩がどれだけ繊細な人か……。
273 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:18:09.40 ID:Yh4BJeEl0
「マミさんは優しいから、きっとかなり辛いと思う。
だって、自分が救う立場から襲う側になってしまうってことだから……」

「だったら……」

「でも。ほむらちゃん。支えてあげられるでしょ?
詳しくは知らないけど、魔女になるほど使わなければ良いし、
もし、なっちゃうとしても。わたしとさやかちゃんが何とかして見せるから」

そう言って、まどかが微笑む。
274 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:18:41.65 ID:Yh4BJeEl0
でも、伝えて。

「伝えて先輩が錯乱してしまったら……」

「その時は、ほむらちゃんがマミさんを慰めてあげられるはずだよ。
魔法少女じゃないわたしには無理でも、
魔法少女である、同じ気持ちのほむらちゃんなら……ね?」

私が慰める?

不意をつかれて縛られたりしたら……。

でも……。

私のことを信頼してくれているなら……。
275 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:19:24.33 ID:Yh4BJeEl0
「解ったわ、まどか。今日の魔女退治を終えたら、話すわ」

「わたしも一緒にいてあげるから、絶対に大丈夫だよ」

まどかはそう言って手を差し出す。

「そろそろ授業も終わり。結局サボりだよね。これ」

嬉しそうに言うまどかの手を取る。

「たまにはサボるのも必要なのよ。
ずっと授業なんて退屈だわ」

「それは優等生だけが許される言葉だよ」

「ふふっ、私は優等生だから」

「ひ、酷いなぁ……もう」

私達は軽く笑いながら、教室へと戻って行った
276 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 22:22:02.66 ID:Yh4BJeEl0
すまん。
予定はいったから、20話はまた後で投下する。

ここら辺、話が少しグダグダで悪い。

次戦う魔女が、シャルロッテ。

じゃ、またあとで。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)[sage]:2011/06/16(木) 22:24:02.37 ID:SEvxD5BAO
とりあえず乙。>>213はヤンデレ的な意味です
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/16(木) 22:42:22.20 ID:tFbLOyWMo
そういやまだシャル前だったのかww
色々起きてるから省略されてるだけで超えてるのかと
279 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:06:42.40 ID:Yh4BJeEl0
>>277
そっちか。
マミさんって、口調からしてもヤンデレの雰囲気あるよな。
付け加えて、ボッチだったから、離れて欲しくないだとか束縛もするだろうし。
ただ、ここのマミさんは、
第11話>>117の、

「巴さん、お昼は……って、後輩?」

「ええ、少し相談があるって、また明日食べましょ」

この会話で解るとおり、友達も居るからそういう風にはならない。


>>278
まだ、シャル前です。

シャルって結構重要なイベだから、
そこに行くまでも慎重に行かないといけないからな。


じゃぁ、投下
280 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:08:09.40 ID:Yh4BJeEl0
  第20話

『やって見せて? 私に笑われないよう。頑張ってみたら?』


放課後。

私達はいつも通り、喫茶店に来ていた。

まぁ、多少違うことはあるけれど。

「あれ? ほむらちゃんコーヒーじゃないの?」

「ええ、たまには甘いのも良いかと思ったのよ。
それで、コーヒーもあれだし、紅茶が良いかなって。
合わなかった?」

私がクスッと笑うと、先輩も笑う。
281 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:08:38.09 ID:Yh4BJeEl0
「なんだなんだぁぃ? ほむら。マミさんと何かあったのかな?
仁美の言葉を借りると禁断の愛。とか?」

「変な誤解を招く言葉は控えてよ。美樹さん」

そう言いながらも、先輩は少しだけ嬉しそうに笑う。

この空間が、先輩にとっては幸せなんだと、
私は知っている。

魔法少女のことだとか、学校のことだとか。

何一つ隠さなくて良い、
周りを騙しているだとか、そんな不安に陥らない空間。

放課後、常に魔女退治で友達付き合いのできない先輩にとっては、
これほど嬉しい時はないのだろう。
282 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:09:11.98 ID:Yh4BJeEl0
「あれ? ほむらちゃんは否定しないの?」

まどか。

貴女はいつも余計なことを……。

「私と先輩は特に何もないわ」

「特に? それはつまりっ!」

「ご想像にお任せするわ」

1人テンションの高いさやかに微笑む。
283 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:09:38.32 ID:Yh4BJeEl0
最後まで付き合うのも嫌ではないけれど、
多分、つかれきってしまう。

それに、私はこれから提案しなければいけない。

みんなを、シャルロッテへと導かなければいけない。

そう思うと、僅かに恐れが浮かぶ。

今までの先輩の映像が走馬灯のように浮かぶ。

先輩が食べられる、全身を切り刻まれる……。

そんな映像が。

それが途切れると同時に、私の前に私が現れた。
284 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:10:32.96 ID:Yh4BJeEl0
(どうせ、助けられないのよ。
どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、
どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、
どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、
どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、どうせ、
どうせ助けられない)

目の前の私が、壊れたテープのように繰り返す。

うるっ……さい。

(どうして解らないの? 巴マミを助ける?
なぜ? 助けるのはまどかだけで良いじゃない)

そんなの、貴女に言われたくない……。

よくない、全然良くなんかない……。

みんながいなきゃ、まどかは助けられない!
285 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:11:19.22 ID:Yh4BJeEl0
(貴女は救いたいって思ってる? 本当に?
心から? 勝手に死んじゃえとか、本当は思ってるんじゃないの?
だって、前回も、その前も、その前も。
貴女は見捨てたじゃない、諦めたじゃない
何で今更、救う気になってるわけ?)

それは……。

それは私が馬鹿で愚かだって思ったから。

前回のループで気づいたの。

私はまどかを救いたいんだって
286 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:11:58.29 ID:Yh4BJeEl0
(なら、まどかだけで良いじゃない)

違う、違うわ。

私は、今、目の前にあるまどかの笑顔を守りたいんだって、
そう感じたの……。

みんなを犠牲に救ったって、
まどかはもう、まどかじゃないの。

そうなってしまうって気づいたの。

だから……。
287 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:12:44.02 ID:Yh4BJeEl0
私は右手にはめた指輪を目の前の私に掲げる。

私はこの指輪に誓う。

先輩を、みんなを。

私は守る。

貴女が、今までの私が!

なんと言おうとこれは曲げない。

自分勝手だ、傲慢だ。

何だって良い。


私はこの世界で、明日を迎えてみせる!

(やって見せて? 私に笑われないよう。頑張ってみたら?)

目の前の私はそう嘲笑って、消えた……。
288 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:18:38.14 ID:Yh4BJeEl0
20話はここまで。

21話で、突入。
22話で、戦闘。

じゃ、投下。
289 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:19:33.84 ID:Yh4BJeEl0
  第21話


『頼もしい限りよ。先輩』


「ほむら、ちゃん?」

「え?」

「ぼうっとして、何か考えてた?」

……。

みんな。

「少し、ね。気になることがあってね」

私は悪戯を含んだ笑みを、さやかに向ける。
290 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:20:06.70 ID:Yh4BJeEl0
「な、なに?」

さやかが一転して怯えたような、
そんな笑みを浮かべる。

もちろん、演技なんだろうけど。

「貴女の彼氏さんでも、お見舞いに行きましょう?」

私はさやかに対し、そう微笑む。

「暁美さん、そんな茶化すようなのは失礼じゃ――」

「いや、ほむら達に会ってみたいって言ってたし、
みんなが会いたいなら良いよ?」
291 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:20:34.90 ID:Yh4BJeEl0
良かった。

これで誘導できた。

「そんなことより、魔女は探さなくて良いのかい?」

QBがいつから居たのか、聞く。

「別に? 疎かにする訳じゃないけれど、
ずっと気を張ってても無駄に疲れるだけでしょ?」

私はそう言って残った紅茶を飲み干す。
292 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:21:05.93 ID:Yh4BJeEl0
「キュゥべえ、貴方もくる?
って、美樹さん達が良ければだけど」

「別に良いですよ? たまにきてるし」

「……僕の意思は無視するのかい?」

「貴方に行く当てがあるというの?」

QBを軽く追い詰める。

行く当て、少なくとも佐倉杏子の場所がある。

それを私は知ってる、先輩も知っている。
293 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:21:32.48 ID:Yh4BJeEl0
「ない訳でもないけどね?
けど、美樹さやかたちが魔女に出会った時の為について行くよ。
君たちは強いけれど、それ以上の魔女に出会うことがないというのは、
言い切ることは出来ないからね」

「ありがとうQB。でも、2人は負けないよ。絶対」

まどかが微笑む。

「行くならいこうよ。面会時間も限られてるし」

さやかが立ち上がって言う。
294 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:24:42.97 ID:Yh4BJeEl0
「そうね、行きましょうか」

私の隣の先輩が立ち上がり、私も立ち上がる。

「おいで、キュゥべえ」

まどかがQBを抱き上げる。

まどかはQBを完全に許したのかしら……。

その場面にそんな疑問を抱く。

さやかもまどかも。

以前とあまり変わらない気がする。

それはそれで先輩との約束を守りやすくなるから良いけれど。
295 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:26:24.86 ID:Yh4BJeEl0
私達は店を出て、
さやかの彼氏である上条恭介が入院している病院に来ていた。

「恭介〜入るよ〜」

「うん。どうぞ」

さやかが病室前でそう言うと、中から少年の声。

上条恭介だ。
296 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:26:51.48 ID:Yh4BJeEl0
「さやっ……?」

私達が入ってすぐ、彼は私達の方を向き、
そして言葉が止まった。

「えっとぉ、前に言った先輩と私の友達。連れてきちゃった」

「見滝原中3年の巴マミよ。よろしくね?」

「私は2年、暁美ほむらです」

「えっと、同じく2年。鹿目まどか……です」

「あっ、えっと。同じく2年の上条恭介です。
いつも、さやかが迷惑かけてるみたいで――」
297 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:27:35.82 ID:Yh4BJeEl0
「なにをぅ。恭介は私の母親かっ」

さやかが言うと、彼もみんなも笑う。

幸せそうで、何よりだわ。

「貴方が上条君?」

「え? あ、はい」

先輩が聞くと、彼が返事する。
298 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:28:07.23 ID:Yh4BJeEl0
なんか少し動揺しているみたいだけれど……。

さやかと付き合ってるのだから、
恐怖症の類はないとして……。

もしかして、物凄く慣れていない?

さやかは幼馴染で良くはなすからいいとしても、
他の、私達みたいなのと話すのは苦手なのかしら。
299 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:29:04.10 ID:Yh4BJeEl0
《みんな、この近くに魔女の反応が!》

突然。と言っても予期はしていたけれど。

QBの声が念話として頭に響く。

《先輩、行きましょう。さやかとまどかはここにいて良いわ》

《ううん。行くよ。わたし達も》
300 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:29:34.85 ID:Yh4BJeEl0
《恭介には悪いけど、やっぱ。
2人が戦っているのに、平気な顔なんて出来るわけないからさ》

さやか、まどか……。

私は交互に二人を見つめて小さく頷く。

先輩。

私は先輩と視線を交わす。
301 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:30:04.38 ID:Yh4BJeEl0
まだ来たばかりだけど……。

「あれ? もう帰るのかい?」

「ごめんなさいね? 用事があるの」

「そっかぁ、恭介。私たち送ってくるね?」

「うん、解った」

私達はそう言い、病室を後にした。

「まさかこんなところにあるなんてね……」

歩きながら、先輩が呟く。

「ほむらちゃんの提案できてなかったら大変なことになってたよ」
302 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:30:44.97 ID:Yh4BJeEl0
「ええ、良かったわ。提案しといて。
たまには意見してみるものね」

私はそう言って苦笑する。

少し余裕があるくらいで良い。

焦りすぎてもミスするだけ。

だからって余裕ありすぎたりすると、大変なことになるけれど。
303 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:31:21.64 ID:Yh4BJeEl0
因縁のシャルロッテ。

病院の外に出た私達は、その魔女の結界の入り口の前に立っていた。

「美樹さん達が早く戻るためにも、迅速かつ確実に。ね?」

「ええ、先輩。ただ、油断だけは禁物よ?」

「解っているわ、貴女との約束守れなくなるは嫌だから、
死ぬわけにはいかないもの、最初から最後まで気を抜くつもりは一切ないわ」

「頼もしい限りよ。先輩」

「さぁ、行きましょう」

先輩に促され、私達は結界の中へと足を踏み入れた。
304 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:34:29.69 ID:Yh4BJeEl0
すまそ、訂正
>>298

×>さやかは幼馴染で良くはなすからいいとしても、
他の、私達みたいなのと話すのは苦手なのかしら。

○>さやかは幼馴染で良く話すのだから良いとしても、
他の私達みたいなのと話すのは、苦手なのかしら。

21話投下終了。

22話少し待って。
305 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:46:17.22 ID:Yh4BJeEl0
戻った。

じゃ、続き。

今日はこれで最後。
306 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:47:00.43 ID:Yh4BJeEl0
  第22話

『おかしい……』


「まるで、お菓子の国みたいだねぇ」

「さやかちゃん、食べちゃ駄目だよ?」

「いやいや、ありえないから」

前方2人の些細な会話を耳に入れながら、奥へとすすむ。

使い魔とかは格別どうこう言う問題でもない。

暫く進んでいくとあからさまなドア。
307 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:47:32.75 ID:Yh4BJeEl0
「多分。って確実にここよね」

先輩はそう言い、私に振り向く。

「問題ないわ」

私はその視線の言葉に答える。

「目を合わせて会話。
くぅっ、禁断の愛、愛なのかぁ?」

「さやか、少し自重して」

「はい……」
308 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:48:20.66 ID:Yh4BJeEl0
私達はドアを開けて中に入る。

ついに、ついに来たわ。シャルロッテ。

前方に佇む巨大な箱。

その正面に高いイス。

そこに座る人形。

「さぁ、勝負よ、私。救えるかどうか、私が見せてあげる」

「暁美さん、やるわよ」

「ええ、先手は私が撃つわ」
309 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:48:55.40 ID:Yh4BJeEl0
私はそう言って、人形に対してロケットランチャーを打ち込む。

「うわぁ……えげつなぁ」

「あははは、さやかちゃん。そういうこと言っちゃ駄目だよ」

……反応はない。

私達が油断するのを待っていると言うわけ?

そんなことしないわ。

「先輩!!」

「ええ!」

出てこないって言うなら、引きずり出すだけよ!
310 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:49:25.46 ID:Yh4BJeEl0
先輩とあわせて、人形をフルで攻撃する。

なんで?

なんで出てこないの?

「ティロ・フィナーレ!!」

先輩が打ち込む。

人形が縛り上げられる。

本来ならここで……。
311 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:49:54.71 ID:Yh4BJeEl0
しかし、出てこない。

なんで?

「あら……? どういうことかしら」

私の隣で先輩が首をかしげる。

先輩も不思議に思ったらしい。

手ごたえがなさ過ぎる。

「おかしい……」

私がそう言って人形に近づいた時だった。
312 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:50:22.43 ID:Yh4BJeEl0
「ほむらちゃん!!」

「暁美さん! 逃げて!!」

先輩が走り寄ってくる。

まどかが慌ててる?

なぜ?

ただ、人形に近づいただけじゃ……。
313 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:51:00.69 ID:Yh4BJeEl0
気づいたときには遅かった。

私に黒い影が覆いかぶさっていた。

そして、気づいた。

巨大な太く長い魔女シャルロッテは、
人形ではなく、箱の中に隠れていたという事に。
314 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:51:27.87 ID:Yh4BJeEl0
そして、
先輩を何度も殺した時のように、
私に向かって大口を開けて突撃してきていることに。

目の前まで来ていたシャルロッテ。

私が時間を止める前に、私は食いちぎられる。

そう悟った。

これで終わりね……何もかも。
315 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/16(木) 23:52:45.65 ID:Yh4BJeEl0
22話ここまで。

後は明日。

明日には30話くらいにはいきたい。

じゃ。
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/16(木) 23:53:35.87 ID:UwlXklbQ0
乙!!

てか・・・何という寸止め・・・
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/16(木) 23:54:19.90 ID:CXn8nu96o
お疲れ様でした。
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/17(金) 00:14:06.06 ID:HYNkmzfTo
乙!
続きが気になって眠れねえwwww
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/17(金) 01:15:04.23 ID:TYb4s+D+o
ほむられちゃうのかな……?乙乙
まぁジェムが腕だからマミさんよりはガードしやすいかな
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/17(金) 08:58:00.85 ID:igcwPrjAO
ホムられる…
何か違和感wwwwww
321 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:08:42.59 ID:scSCPRnH0
>>316
>>1「ほむられるまえにほむほむで居て欲しい」

>>318
いつでもみれるんだから……寝た。よな?

>>319
他の部分が食いちぎられそうだけど……・

>>320
違和感は気にスンナ(汗
このssもともと、ご都合主義だし、急展開万歳。だからな。

さて、投下する。
23話と24話投下する。
322 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:09:26.89 ID:scSCPRnH0
  第23話

『大切なパートナー』


「ティロ・フィナーレ!!」

?!

シャルロッテの口には、
私ではなく、
先輩の巨大な銃が突っ込まれていた。

「――させないわよ。そんなこと。私は絶対に許さないわ」

シャルロッテの体が膨らみ、黄金の光を放って爆発。

グリーフシードが、私の目の前に落ちてきた。
323 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:09:55.11 ID:scSCPRnH0
「先――輩……」

結界が消え、私達は病院の脇の小道に出てきていた。

「間一髪。だったわね」

先輩が微笑む。

「ほむらちゃん、大丈夫?」

まどかが心配そうに聞く。

死ぬかと思った、怖くないはずなのに、怖かった。
324 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:10:21.33 ID:scSCPRnH0
この世界から消えてしまうことが……怖かった。

「ひやっとしたよ。ほむら。
でも、良かった……マミさんに感謝しなよ〜?」

「……ええ。先輩。ありがとう。おかげで――」

「お礼なんて良いわ。して当然のことをしただけよ。
暁美さんは私の大切なお友達で、大切なパートナーなんだから」

先輩はそう言って私を抱き寄せた。

「良かった、本当に。本当に無事で……」

先輩……。
325 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:11:13.12 ID:scSCPRnH0
私達はそのまま解散し、私とまどかと先輩は帰り、

さやかは病院へと戻っていった。

「まどか達には格好のつかない姿を見せたわ。ごめんなさい」

「ううん。誰だって失敗はあるから、仕方ないことだと思うよ
でも、生きてるんだから、それだけで良いよ」

「鹿目さんの言う通りよ」

……少しだけパターンが。

いや、少しの範疇には収まらないかもしれない。
326 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:11:46.62 ID:scSCPRnH0
「あっ、このアクセサリーショップ。ちょっとよって良い?」

まどかが私達にそう言い、店の中へと消える。

このことは後で考察するとして……。

それよりも、私は言うことがある。

「先輩」

「なぁに?」

「このあと、時間貰っていいかしら。話したいことがあるの」

「……あまり良い話ではなさそうね」
327 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:12:16.06 ID:scSCPRnH0
先輩が私の表情で判断したのか、
少し険しい表情で聞き返す。

私はそれに頷く。

「お待たせしました〜」

丁度、まどかが店から出てきて、
私を一瞬だけ見つめた。

「このあと、私の部屋でお茶でもどうかしら」

「ほむらちゃんの家?」

「あら、良いわね」
328 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:12:48.53 ID:scSCPRnH0
「行く?」

「行くよ。もちろん」

「ええ、お邪魔じゃないなら」

「問題ないわ」

私はそう言って私の家へと2人を導く。

先輩は来るだけじゃなく泊まった事もあるけれど、
まどかは初めてだ。

……丁重に説明しないと。
329 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:13:17.61 ID:scSCPRnH0
数分歩いて、私の家へとたどり着く。

「わぁ、洋風な見た目」

「中も。とは限らないわよ?」

先輩が意地悪な笑みを浮かべて言う。

入れば解るのだから態々言わなくても。

「遠慮しなくて良いわ。先輩、まどかと一緒に居間に居て。
私は紅茶を持っていくから」

「解ったわ」
330 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:13:45.71 ID:scSCPRnH0
「和風なんだねぇ」

私が紅茶を持っていくと、まどかが微笑んだ。

まどかも今から話すことの重さは知っているはずなのに……。

でも、重い空気にしてたって仕方が無いわね。

「さて、先輩。話があるわ」
331 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:14:14.31 ID:scSCPRnH0
「鹿目さんが居ても良いの?」

「まどかはすでに知っているので、問題ないわ」

「うん。学校で聞いたから」

まどかが真剣な表情に変わって頷く。
332 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:14:43.86 ID:scSCPRnH0
「……話す前に先輩に守って貰いたい事があるわ」

「なに?」

「私の話を最後まで聞くこと」

先輩の目を見て、言う。

先輩はただ頷いた。

色々不安はある。

けど、ここまで来たら話すしかない。

いずれ話すこと、遅かれ早かれ知ってしまうこと。
333 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:15:10.44 ID:scSCPRnH0
私は決心して、口を開く。

「魔法少女に関して、QBはとても重要なことを隠している。
先輩、私は貴女にそれを教えるわ」

「え、ええ……」

「面倒なことは一切省いて言うわ」

私は一度深呼吸をして、先輩を見つめ、まどかを見る。

まどかが頷くのが見えた。
334 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:15:41.45 ID:scSCPRnH0
「魔法少女は、いずれ魔女になってしまうわ」


「え?」

先輩が良く解らない。という声を上げた。

「魔法少女の持つ、ソウルジェム。
これが、完全に黒く染まった時、
グリーフシードへと変化するの」

「ま、待って!! じゃ、
じゃぁ……私達もいつかはそうなってしまうって言うこと?!」

先輩が怒鳴る。
335 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:16:09.55 ID:scSCPRnH0
「ええ。そういうことになるわ」

私は先輩の言葉に冷静に答える。

何でこんなに落ち着いていられるのか、自分でも解らない。

「そんなの嫌よ……魔法少女が、私達が魔女になるなら……
死ぬしかないじゃない……人を傷つけたくなんかない……」

先輩がいつかの状態と同じ言葉を吐く。

……。

――先輩。
336 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:17:01.69 ID:scSCPRnH0
「ふざけないで!!」

私は力いっぱい机を叩いて怒鳴る。

「私だって嫌よ。傷つけたくなんかないわよ……
でも、今死んでどうなるのよ!! 何か意味があるというの?
ええ、魔女になるわ、なってしまう。
けれど、今。今の私達は何? 魔女? 違うわ!
魔法少女でしょう?
今私達が死んだら、誰がみんなを守るのよ!!
貴女は未来を守るんじゃなかったの?」
337 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:17:39.44 ID:scSCPRnH0
「けど――」

「もし、貴女が魔女になってしまう時が来たのなら、
私が貴女を見取ってあげる。貴女の最後を私が送ってあげる。
人間のまま、みんなを守った貴女で逝かせてあげる!
だから、絶望なんてしないで!
貴女は私の大切なパートナーなのでしょう先輩!!」

自分で言ってて何かおかしいとは思う。

でも、このくらいしか私には言えないから。
338 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:19:08.56 ID:scSCPRnH0
「貴女の想いは私が守るから! だから、お願い……
死ぬしかないなんて、悲しいこと言わないでよ……先輩」

私はそこで、頬を拭う。

自然と泣いていたらしい。

まどかは私が怒鳴ったのが恐ろしかったのか、
縮こまっていた。

「……暁美さん……」

先輩が小さく声を漏らす。
339 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:19:34.79 ID:scSCPRnH0
「先輩……」

「本当に?」

「ええ、本当に」

「……もし、その時が貴女に来たら……。
私に貴女の最後を看取らせて……くれる?」

先輩が手を差し出す。

「ええ、お願いするわ。私のパートナーなのだから」

私はそう言って微笑み、先輩の手を握った。

「……わたし、邪魔だったかな」

居辛そうに、まどかが言う。
340 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:20:43.59 ID:scSCPRnH0
「い、いや。べ、別に問題ないわ」

「すこし、空気を壊しちゃったかな? ごめんなさい。
わたし達から2人に渡したいものがあるんです」

達?

まどかはそう言って、私達がそれぞれ指にはめているのとは色違いの指輪を4つ取り出した。

桃色が2つ。蒼が2つ。

つまり、まどかとさやかを表す指輪。
341 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:21:12.69 ID:scSCPRnH0
「昼休みに気づいて、相談したんだよ。さやかちゃんと」

「随所で変なことを口にしてたのはそういう訳なのね?」

先輩が少しだけ恥かしそうに言う。

さやかは鋭いとは知っていたから……
なるべく見えないようにしていたのに。

隠せないものね。
342 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:21:42.46 ID:scSCPRnH0
「それでね? じゃぁ、わたし達も。
って思ったから。さっき買ったの。はい、1つずつ」

まどかがそう言って桃と蒼の指輪を1つずつ私達に渡す。

「これで、例え傍にいなくても一緒に居る。そう思えるでしょ?」

まどかもそう言って、自分の右手に光る3つの指輪を見せる。

「ありがと、まどか。大切にするわ」

「ええ、鹿目さん。
こんなに嬉しいことはないわ……本当に、有難う」

先輩も涙を零しながら微笑む。
343 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:22:30.30 ID:scSCPRnH0
先輩には、魔女化を伝えられた……。

少し無理やりだったかもしれないけれど、

先輩はそれを受け止めてもなお、ここにいる。

ワルプルギスの夜は着実に近づいてきてる。

でももう、恐れない、負けない。諦めない。

私には心強い仲間が、パートナーが。

ここにいるのだから。
344 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 10:25:04.67 ID:scSCPRnH0
23話……
急展開過ぎたか?
でもま、シャル戦後に話すって言ってあったから良いということで。

思ったより時間かかったorz

すまん、学校行くから、24話投下は昼以降。

因みに、25話から杏子が出てくる。

じゃ。
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県)[sage]:2011/06/17(金) 11:11:05.36 ID:D2mBkhZdo
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 11:19:44.97 ID:GghD3iaIO

結局寝れなかった…
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 12:39:17.99 ID:D670t9jDO
乙!!!
んでもってあんこちゃん登場予告キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
勉強がんがれよぉー!
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/17(金) 17:33:38.65 ID:igcwPrjAO
乙!!
うほ!良い展開ww
349 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 17:51:40.18 ID:scSCPRnH0
ただいま。
少し前から居たけど、総合の方行ってた。

>>346
すまそ。

>>347
マミさんみたいに必殺技でも考えている授業中。

>>348
流れは断ち切るもの。だろ?

18時に抜けるから投下できねぇorz
18時30分くらいから投下する。
350 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:31:31.82 ID:scSCPRnH0
さて、少し時間過ぎたけど。
 
  じゃ、投下
351 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:32:19.27 ID:scSCPRnH0
  第24話

『機械』



私はみんなと別れ、病院の屋上に来ていた。

「キュゥべえ。あの2人みてさ、なんか思うことはあった?」

「特にないよ。僕としても暁美ほむらが
生きててくれることは、助かると言えば助かるからね。
だからといって抱きあったりすることに意味があるとは思えないよ」

「アンタって、可哀想だよね」

「何がだい?」

「そのままの意味だよ。
正直、同情するよ。確か感情がないんだよね?」

私はQBを見つめて言う。
352 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:32:59.91 ID:scSCPRnH0
「そうさ。僕達には感情がない。
極まれにそういう類のものを持つものが生まれるけれど、
それは精神病として扱われるだけさ」

QBが淡々と語る。

「私達はそういうのを、機械って呼ぶんだよね」

キュゥべえから視線を外して言う。

機械。

ロボット……。
353 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:33:38.00 ID:scSCPRnH0
「機械? 僕がかい?」

「そう」

「訳がわからないよ。僕はれっきとした生き物だ。
食べて話して、歩いて走って……機械には出来ないことが出来る」

そうじゃない。

そうじゃないよキュゥべえ。

やっぱり、可哀想なやつじゃん。

私は小さく笑って、口を開く。
354 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:34:05.84 ID:scSCPRnH0
「人はね。機械的人間っていう種類があるの知ってた?」

「アンドロイドかい?」

「そうといえばそうだし、違うといえば違う。
似たようなものだけど、少し違う」

私がそう言うと、キュゥべえが首をかしげる。

まぁ、解んないかな。

「キュゥべえって、良く解らないやつだけどさ、
みんなを魔法少女にしてるわけだよね?」

「ああ、そうさ。だからどうしたんだい?」
355 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:35:10.00 ID:scSCPRnH0
「そこだよ。ただ、相手に対して一切何の感情も持たず、
ただ、黙々と自分の役割を行うだけの人間。それが、機械的人間」

「良く解らないね、それでも人間なんだろう?」

話が進まなくなりそうだなぁ。

「そうだよ? 人間だよ。でも、機械ってさ。
ただ入力された命令を行うだけじゃない?」

「確かに……なるほどね。やっと解ったよ。
ただ命令だけを全うする人間が機械的人間ということだね?」
356 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:35:51.74 ID:scSCPRnH0
「うん。正解。じゃぁ、キュゥべえはどう?
上司とかいるか知らないけど、命令だけを行うだけの機械じゃない?」

私はそう言ってキュゥべえを抱き上げる。

「僕? 僕は僕さ。機械じゃない」

……あぁ。もう。

解らないかなぁ……。
357 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:36:23.79 ID:scSCPRnH0
「キュゥべえは、魔法少女にするよね?」

「ああ、そうさ」

「魔法少女のピンチを助ける? 魔法少女候補から外れた子を、
それ以降も見守ったりする?」

「しない……とは良いきれないけど。していないね」

「じゃぁ、『少女を魔法少女へ』この命令を全うする機械だよキュゥべえは」
358 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:36:59.52 ID:scSCPRnH0
「……良く、解らないよ」

「うん、だから。可哀想なんだよ。キュゥべえは」

「訳がわからないよ」

「それで良いよ。きっといつか解るかも知れないよ?

キュゥべえの世界にもこの感情を理解できるものが生まれることがあるんだから。

もしかしたら。だけど」
359 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:37:27.65 ID:scSCPRnH0
私はそう言ってキュゥべえを抱えたまま、恭介の所へと向かった。

「さやか、お帰り」

「ごめんね、少し遅くなっちゃった」

「いいよ。来てくれるだけ嬉しいし」

恭介はそう言って微笑む。

「みんな良い人そうで良かった。
だからって、あんまり迷惑はかけちゃ駄目だけどな」
360 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:37:56.33 ID:scSCPRnH0
「いやいや、私はムードメーカーサヤカって言う異名がですねぇ」

「くくっ、なんだいそれは。でも、さやかなら本当につきそうだね」

今、目の前で恭介が笑っていること、これは私の幸せ。

でも、これって私が人間だからできる幸せなのかな……。

ふと、そんな疑問が浮かぶ。
361 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:38:34.77 ID:scSCPRnH0
「ねぇ、恭介」

「ん?」

「私がもし、人間じゃなくなったらどうする?」

「唐突な質問だな……それはどういう意味で?
夜になると狼とかになる、条件変異系か、
それとも、元から姿が変わっちゃう、通常変異系か、
もう姿が元に戻らない、継続変異系か。
はたまた、見た目そのまま、魂やら何やらが入れ替わっちゃう。とか」
362 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:39:04.39 ID:scSCPRnH0
割とシリアスだったはずなのに、
おもわず、ため息が飛び出し、
呆れた表情で恭介を見つめていた。

「そ、そんな目で見ないでくれよ。
暇な時の読書で身についた役立たずの知識なだけさ」

何を読んだのよ何を!

そんなツッコミを押さえ、改めて恭介を見つめる。
363 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:39:39.63 ID:scSCPRnH0
「姿このままだけど、本体が別のもの。的な感じ。
たとえば、私の本体が、今私の着てる服。とかさ」

私が言うと、考えるまもなく恭介が口を開く。

「とりあえず、そばに置く」

「へ?」

「さやかだって言ったじゃないか。
例えどんな僕であろうと、僕である限り好きなんだって。
僕も同じだよ。例えどんなさやかであってもそれがさやかであり続ける限り、
僕はそのさやかと一緒に居たい」
364 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:40:06.21 ID:scSCPRnH0
《僕には理解しがたい言葉だね》

《キュゥべえ……同情するよ》

《なら、魔法少女になるかい?》

《それは断る》

《そうか。また君と話に来るよ。
君の話は僕の知識を増幅させてくれるからね》
365 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:40:44.25 ID:scSCPRnH0
キュゥべえはそう言い残し姿を消した。

「恭介、ありがと。好きだよ。恭介」

「なんだよ、照れくさいなぁ……」

夕焼けに染まり、風が吹き抜けて、私達の髪をなぞって行く。

私達はそっと、唇を触れ合わせた。
366 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:43:01.05 ID:scSCPRnH0
24話ここまで。
25話も投下しとく。
367 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:43:36.77 ID:scSCPRnH0
  第25話

『……これがプリクラ?』

「魔女退治のない日も良いわね……」

「そうね、常に気を張ってると参ってしまうから」

「だからって、喫茶店で机に頭乗せてるのはどうかと思うよ?」

シャルロッテ戦の2日後。

つまり、4月30日

明日になれば、5月。

そして、ワルプルギスの夜まで、
あと16日と半日。
368 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:44:02.26 ID:scSCPRnH0
今までにない最高な進み具合ではあるものの、
いまだ不安は拭いきれていない。

2週目の時、3週目の時。

私はまどかと、ワルプルギスの夜を撃退した。

けれど、互いに魔力は使い果たしていて、
駄目だった。

つまり、2人じゃ倒せても魔女になってしまうということ。

3人。

佐倉杏子が加われば、私達は魔女化せずに倒せるかもしれない。
369 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:44:33.07 ID:scSCPRnH0
昨日、佐倉杏子に会おうと隣町まで行ったけれど、
結局、無駄足に終った。

「この後どうする? まだお昼だけど」

先輩が聞く。

朝から集まっている理由は暇だから集まろうというさやかの提案。

私も先輩もまどかも。

特にする事が無い事は同じで、
集まったのがついさっき。
370 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:45:03.24 ID:scSCPRnH0
「カラオケとかどう?」

まどかが聞く。

カラオケ……行った事ない。

私がそんな事を考えていると、
さやかが否定した。

「朝からカラオケはないない」

いや、お昼なのだけれど……。
371 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:45:32.42 ID:scSCPRnH0
「とりあえず、4人でプリクラを取るべきだよ」

「プリクラ? なによそれ」

「「「え?」」」

「な、なに?」

何か不味いことでも言ったのかしら……。

でも、本当に知らないものは知らないし……。
372 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:46:01.75 ID:scSCPRnH0
「暁美さんに教える為に行きましょうか」

「うん。いいね、いいね」

「ほら、ほむら。行こう行こうっ」

「えっ? ちょっ……」

私は強制的に腕を引かれ、ゲームセンターへと連れてこられた。
373 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:46:30.60 ID:scSCPRnH0
「あいかわらずの音。いつ来ても頭に響くなぁ」

「私も久しぶりだわ、こういうところに来るのは」

先輩が少し悲しそうに呟いたのを、私だけが気づいた。

きっと、両親が居た時は連れて来て貰っていた。

でも、いまは……。

だからそんな表情になるのね……。
374 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:46:59.22 ID:scSCPRnH0
「さぁて、じゃぁ、入って入って」

さやかに押され、私は白い機械に押し込まれ、

続いて先輩とまどか。最後にさやかが入ってきた。

「な、何をすれば良いの?」

「ほむらちゃんはわたしの真似をしてね」

私達は互いに寄り添いあって画面を見つめる。
375 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:47:33.27 ID:scSCPRnH0
そして、


「はい、目を瞑るなよぉ。よぉく画面をみとくんだぁ。
3,2,1……ハイ、チーズ!」

さやかの声が途切れると同時に、パシャっと音が鳴り、

撮影しました。

と、音声が流れた。

「……これがプリクラ?」

撮影後、まどかから受け取った写真を見て呟く。
376 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:48:06.64 ID:scSCPRnH0
「ええ、暁美さんの携帯。貸してくれる?」

「どうするの?」

「まぁ、見てて」

先輩が私の携帯の裏蓋にプリクラを貼り付けて、返す。

「わたしたちが友達の証2つ目」

まどか達が、自分たちの携帯を見せる。

みんなの携帯にも、
私のに張られたのと同じのが張られていた。
377 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:48:33.49 ID:scSCPRnH0
「ん? なんか騒がしい」

さやかが気づいたように声を上げる。

私からしてみれば元々騒がしいのだけれど。

「そう? 気のせいじゃない?」

「ううん、ダンレボの方からだよ」

さやかがそう言ってそっちに向かう。
378 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:49:02.50 ID:scSCPRnH0
「さやかちゃん以外でダンレボで騒がれるのって一体……」

ダンレボ?

まさか!

さやかに続いて私もそこへ向かう。

「ほむらちゃん?!」

「行ってみましょ」

私の後ろから、2人もついてきた。
379 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:49:37.65 ID:scSCPRnH0
「わぁお。私の得点超えたよ……これはくっやしぃなぁ……」

「おお。初代、ダンスクイーンだぁぁ!!」

さやかの所へ辿り着くと、
ギャラリーが何人かいて、騒いでいた。

「やるじゃない。アンタ」

「ん? アタシとひと勝負するかい?」

さやかが話しかけてるのは……。
380 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:50:18.53 ID:scSCPRnH0
間違いない。

常に何か食べているし、
赤いポニーテール。

「……佐倉さん。こっちに来ていたのね」

先輩がそう言うと、彼女が振り向いた。

「マミじゃんか。この勝負終ってからで良いよな。アタシらの勝負は」

佐倉杏子はそう言うと、画面の方へと向き直った。
381 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 18:52:23.94 ID:scSCPRnH0
予告通り、杏子登場。
本編のような登場の仕方を期待してたのならすまそ。
さやかがダンレボのダンスクイーンなんていうのは、>>1の勝手な設定。


26話まで少し空く。
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 20:21:28.24 ID:72oilceIO

まだか!まだなのか!
383 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 20:59:20.21 ID:scSCPRnH0
>>382
待ってる人なんて居ないって思ってレポート書いてた。
すまそ。


どう頑張ってもレポートおわらねぇよ。
「現実から逃げれば、もう。何も怖くない!!」

じゃ、投下。
384 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:01:26.56 ID:scSCPRnH0
  第26話

『何の不自由もない飼い犬が! 野良犬に説教すんな!!』


「勝ったぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ま、負けた? ア、アタシが?」

さやかの勝利の雄たけびとは対照的に、
佐倉杏子は酷く落ち込んでいた。

大差で負けたりしたのなら、
諦めはつくのだろうけれど、僅差だった。
385 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:02:01.50 ID:scSCPRnH0
途中までパーフェクトだった両者。

しかし、佐倉杏子は一度だけGOODにしてしまい、
エクセレントを全部取ったさやかに僅差で負けた。というわけ。

私からしてみれば、正直どうでも良かったりするけど。

ただ、ここで面白いのは、
さやかと佐倉杏子の出会いが根本から違うのと、
互いの互いに対する感情も、今までと全然違うことだ。
386 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:02:56.04 ID:scSCPRnH0
「連曲したにしては上出来。ベストの状態だったら勝てないかも」

さやかはそう言って座り込んでいた杏子に手を差し出す。

「ちぇっ、強者の余裕だな。まっ、次は勝つから」

杏子はそう言って笑い、さやかの手を取る。

そして、杏子の表情は先輩を視界に入れた途端、厳しくなった。

「で? 今日も追い出す為に、来たってやつ?」

杏子が睨む。
387 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:03:22.00 ID:scSCPRnH0
「相変わらず好戦的なのね。逆よ。貴女をこの街に呼びたかったの」

「はぁ? どういう了見だ?」

結構、仲が悪いのね……。

と言っても、杏子がただ毛嫌いしているだけに見えるけれど。

「魔法少女について。と。来るべき災厄について。話があるわ」

私はそう言って佐倉杏子に近づく。
388 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:04:05.80 ID:scSCPRnH0
「アンタは?」

「暁美ほむら。見滝原の魔法少女の1人よ」

「ほぉっ、アンタが、QBの言うイレギュラー。か。

興味あるね。じゃぁ、どうする? 肉体言語でも良いぞ。アタシは」

「まぁまぁ、穏便に話そうよ。とりあえずは近くの喫茶店で、良いよね?」

さやかが私達の間に割ってはいる。

30分前に行ったばかりだけど。

まぁ、仕方が無いわね。
389 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:05:43.65 ID:scSCPRnH0
__________


______


___


「ワルプルギスの夜……か。
アタシも小耳に挟んだくらいだ」

「ええ、そのワルプルギスがここに来る」
390 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:06:20.22 ID:scSCPRnH0
「……根拠は?」

「統計よ」

「信憑性は?」

「確実」

私と佐倉杏子の一問一答が繰り返され、

そして途切れた。
391 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:06:51.94 ID:scSCPRnH0
「で? それでアタシにどうしろって?」

「佐倉さん、ワルプルギスの夜を倒すのを手伝ってくれないかしら」

「却下。なんで態々他の街の防衛に手を貸さなきゃいけない。
アタシはアタシの為にしか魔法は使わない。そう決めてる」

……手ごわいわね。

ここで佐倉杏子の私が持つ情報を使ったとしても、
逆に疑われるだけ。
392 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:07:19.97 ID:scSCPRnH0
そして、何を言っても反対されるのがオチ。よね……。

「自分の為って……杏子は自分の為に魔法少女になったの?」

「……そうだよ。駄目か?」

さやかに杏子が聞き返す。

「魔女を狩るのは、なんで?」
393 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:07:57.44 ID:scSCPRnH0
「グリーフシードの為に決まってる」

「魔法は誰の為にある?」

「自分の為」

さやかと杏子の問答が終る。

沈黙という空気が異様に重い。
394 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:08:41.27 ID:scSCPRnH0
「初めから、そういう考えだったの?」

さやかが静かに聞く。

いつも明るい声が、暗くなっていた。

「だったら――」

「そんなの、間違ってるよ。

力は自分の為にあるんじゃない、人の為に。あるんじゃないの?」

「……うるさい!! アンタに何が解るって言うんだよ!
家族もいて、友達もいて、学校にも行けて。
何の不自由もない飼い犬が! 野良犬に説教すんな!!」

杏子はそう怒鳴って店を飛び出していった。
395 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 21:13:12.72 ID:scSCPRnH0
26話投下。
杏子を仲間にするのは難しいようです。
レポート諦めれば30話までいけるな……。


小休止。
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 21:15:32.62 ID:g+DObba5o
乙だけどレポートはやっとけww
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 21:18:54.27 ID:72oilceIO

投下よりもレポート優先でいいぞww
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 21:37:19.30 ID:D670t9jDO
乙!
あんこちゃんがどう仲間になるのか気になるなぁ〜





だからレポート終わるまで気長に待ってる
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/06/17(金) 22:07:34.99 ID:VJ7Q00xC0
レポート俺と一緒に頑張ろうぜ☆
本気出すのは提出日の提出の四時間前とかマジでキツくなるぞ
400 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:14:32.45 ID:scSCPRnH0
幻想よ。私は帰ってきた……。

>>396-398
レポート?
そんなの幻想だよ。
1時間頑張ったけど、4分の1も終らなかった。

>>399
提出日は明日。
でも本気になれない。不思議(笑)


程よく諦めた所で投下する。
401 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:16:55.68 ID:scSCPRnH0
  第27話

『あら、嬉しい褒め言葉ね。』


「……」

「さやかちゃん……」

「佐倉さんって少しあたりがきついだけだから、

あんまり気にしちゃ駄目よ?」

「……はい」

佐倉杏子の印象はかなり最悪な方へ向かったわね。

やっぱり、ただじゃ世界は変えられない。
402 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:17:27.56 ID:scSCPRnH0
さやかになぜ怒ったかを教えたい気もするけれど、
生憎とそうできるような雰囲気でもないし、
第一、なぜ私が知っているのか問いただされたら何も出来ない。

暫くは傍観者か、さやかと佐倉杏子にコンタクトを取るべきかしら。

「先輩、杏子の連絡先とかは?」

「ちょっと解らないわね……」

先輩の落胆した声が私達の間に響く。
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/17(金) 22:17:48.68 ID:0aqsMAZL0
一ヶ月後くらいに酷く後悔することになるからレポートはやっとけw

404 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:18:17.94 ID:scSCPRnH0
「あたし、帰るね……」

「さやかちゃん……」

「ああ、大丈夫。全然気にしてないよ」

さやかはそう言って席を立って独りで帰っていく。

……大丈夫。

ねぇ。

貴女も自分の感情が表情に出やすいって知ってる?

全然大丈夫な表情ではなかったわ。

ただ……。
405 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:18:59.35 ID:scSCPRnH0
「今はそっとして置いてあげた方が良いのかしらね」

「そうね、美樹さんは美樹さん。佐倉さんは佐倉さんの考える時間が必要よ」

「……協力。してくれるのかな」

まどかのその質問に、私達は答えられないまま解散した。
406 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:19:27.02 ID:scSCPRnH0
……今日。

まさか佐倉杏子と会うなんてまた想定外。

「QB。貴方が呼んだの?」

私の部屋に勝手に入ってきたQBに尋ねる。

「何を?」

「佐倉杏子」
407 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:20:01.66 ID:scSCPRnH0
「いや、呼んでいないよ」

……え?

私はベッドから飛び起きてQBを見つめる。

「なんだい? 僕は嘘はついていないよ?」

「別に疑う訳じゃないわ。この程度で騙されたとしても、
貴方はもっと大きな嘘をついていたのだから」

私はそう言ってQBを睨む。
408 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:20:44.10 ID:scSCPRnH0
「まったく。君には驚かされたよ。
マミが、魔法少女の魔女化をなぜ教えてくれなかったのか。
そう問い詰めてきてね……僕としては騙している気など一切なかったんだけど」

「でしょうね。ただ、省いただけ。そう言いたいんでしょ?」

……。

「その通りだよ。話す意味の無い事を話さなかっただけ」

意味の無いこと……。

「貴方にはそうでも、私達人間にとって生死はかなり重要なものよ」

「僕に人間の価値観を教えて貰っても理解は出来ないよ」
409 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:21:31.44 ID:scSCPRnH0
「あら、貴方なら「なぜだい? 訳がわからないよ」とでも言うかと思ったのに、
どういう心境の変化かしら。興味があるわ」

「別に、何もないさ。ただ、強いて上げるのなら。
さやかと色々会話して知識を増やしたから。かな」

「それでも、感情はないのでしょ?」

私が聞くと、QBが頷く。

……貴方に同情しているのかしらね。

さやかもまどかも。

私も少し、同情したわ……。
410 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:22:05.94 ID:scSCPRnH0
「ところで、なぜ、佐倉杏子はこの町に?」

「さぁね? 言葉は貰ったけど、

行動に値しない理由だったよ」

「どういうこと?」

「「ゲーセンの機械が壊れたから、隣町に行ってくる。」彼女はそう言っていたよ」

なるほど。

彼女らしい理由ではある。
411 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:22:41.44 ID:scSCPRnH0
「次は、僕に知識をくれないか?
君の能力について……ね」

「教える事なんてないわ」

「……僕の考察では移動系魔法。それか時空系魔法。どれが当てはまるのかな?」

……戦闘中に調べたって事ね。

中々厄介になっているわね。

QBも。

けど、知られた所でQBには何も出来ない。

関係の無い事で悩み続けてれば良い。
412 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:23:09.92 ID:scSCPRnH0
「だんまり、か。まぁ、良いよ。
君が魔女と戦闘してくれる。それだけで十分役に立ってくれているからね」

「あら、嬉しい褒め言葉ね。役に立っているだなんて」

私は悪戯な笑みをQBに向けてからベッドに倒れこむ。

「君は本当に、イレギュラーだよ。暁美ほむら」
413 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:23:35.90 ID:scSCPRnH0
QBはそう言って足音も無く居なくなった。

明日の学校、さやかを出来る限り見ててあげたほうが良いわね。


そのまま、

私はゆっくりと夢の海に沈んでいった。
414 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:30:07.67 ID:scSCPRnH0
27話ここまで。

>>403
遠くの不幸を気にして今の幸福を失うより、
未来を不幸にして今を幸福にする!!(キリッ

ってのを誰かが言ってた気がする。

そのまま28話。

ここからご都合主義とか色々あるから、それが許せるなら先に進んでくれ。
415 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:34:49.42 ID:scSCPRnH0
  第28話

『ほむらちゃん、それ。アウト』

「おはよ……う」

「あら、貴女達だけなの?」

「ええ、さやかさんはまだ来ていないんです。

先に行ったのかもしれませんが……」

先に?

仁美は集合の10分前には必ず居る。
416 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:35:18.02 ID:scSCPRnH0
ということは、それより早く?

さやか……。

《QB貴方にしか出来ないこと、頼める?》

《珍しいね。暁美ほむらがコンタクトしてくるなんて》

《さやかの様子を見てきて頂戴。あの子はあの子で傷つきやすいから》
417 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:36:09.79 ID:scSCPRnH0
《何で僕に頼むんだい? 敵なんだろう?》

《停戦協定中よ。良いわね?》

《やれやれ。まぁ、珍しい君からの願いだ。叶えてあげるよ》

……これで良いわね。
418 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:36:44.20 ID:scSCPRnH0
「時間が無いし、行きましょう。まどか、仁美」

私はそう言って先を歩き、
後ろから2人が追いかけてきた。

……さやか。
419 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:37:12.94 ID:scSCPRnH0
あまり気にしすぎないで欲しいわね……。

確かに、先輩の言う通り各々の時間は必要かも知れないけれど、

貴女は貴女、彼女は彼女。

完全に理解することなんて出来ないのだから。

学校に着くと、予想通りさやかは居らず、
担任が言うには、体調不良で連絡があったらしい。

1時間目の中盤に差し掛かったときだった。
420 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:37:49.18 ID:scSCPRnH0
「じゃぁ、暁美。ここ答えてみろ」

「はい」

等比数列の和を求めよ?

初項−3、公比-4、項数5……ね。

《暁美ほむら》
421 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:38:16.97 ID:scSCPRnH0
《なにかしら?》

《美樹さやかは家に居なかったよ》

「等比数列の和の公式 S[n]=a(1-r^n)/(1-r) に
a=-3,r=-4,n=5 を代入してS[5]=-3{1-(-4)^5}/{1-(-4)}になり……」

《え?》

「どうした? 暁美」
422 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:38:52.25 ID:scSCPRnH0
《そんなはずは、今日は休みで家に居ると……》

《だとしたら、佐倉杏子にでも会いに行ったんじゃないのかい?》

……そんな。

「暁美? 解らないのか?」

《ほむらちゃん!! 授業中!!》

?!

「あっ、えっと……=-3{1-(-1024)}/5=-3×1025/5=-3×205=-615です」

「ふむ、できるじゃないか」

《ごめん、有難う。まどか》
423 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:39:21.09 ID:scSCPRnH0
念話でお礼を言い、席に座る。

《気にしないで良いよ。それより、さやかちゃんが居ないって……》

《そうね、このことは授業後先輩を呼びましょう。
先輩、1時間目が終ったらで良いけれど》

《なに?》

《3人で早退しましょう》

《へ?》

《え?》
424 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:40:05.61 ID:scSCPRnH0
私達3人はそれぞれ言い訳をし、1時間目終了後に学校を出ていた。

「前科一犯。なんか良い気しないわね」

「先輩、考え方を変えれば良いだけよ。

具合が悪かったのは学校出るまででしたっていう感じで」

「ほむらちゃん、それ。アウト」
425 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:40:33.04 ID:scSCPRnH0
「そんなことより、美樹さやかを探すんだろう?」

QBが言う。

「ええ、そうね。早めに見つけないと、
大変なことになる可能性もあるから……
手分けして探しましょ」

私達はばらけて、さやかを探すことにした。
426 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:42:04.56 ID:scSCPRnH0
途中変なきれかたしてるな……。

このまま29話投下。
427 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:43:02.62 ID:scSCPRnH0
  第29話

『勝負しようよ。正々堂々、ダンレボで』


「あっ、朝じゃん」

私は寝起きのように瞼を擦り、外を眺める。

結局。寝るの忘れた。

まぁ、徹夜って完徹すれば覚醒して眠くなることもないし……。
428 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:43:30.87 ID:scSCPRnH0
「何してんだろ。私」

私は小さくため息をつき、制服へと着替える。

鞄から教材を全て抜き出し、私服を詰め込む。

「じゃぁ、行って来ます」
429 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:43:58.67 ID:scSCPRnH0
私はお母さん達にそう挨拶して家を飛び出す。

ごめんなさい、嘘つきます。

私は少し離れた公園のトイレで私服に着替え、
携帯から学校に欠席の連絡を入れた。

みんなも騙すようにしちゃうけど、ごめん。

けど、気になるから。

あの子はなんか放っておけないから。
430 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:44:32.65 ID:scSCPRnH0
私は心の中でそう呟き、昨日あの子と出会ったゲームセンターへと向かう。

「居ない……か」

ダンレボのところ、その他のところ。

一通り見回ったものの、杏子の赤い髪は見当たらない。

喫茶店にも、居ない。

……昨日の事を思い返して情報を得るなら……。
431 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:44:58.82 ID:scSCPRnH0
家族もいて、友達もいて、学校にも行けてって言ってた。

つまり、マミさんと同じ独り暮らしでありながら、
学校にも行けていない?

それに、見滝原を他の街って言ってた。

ってことは、隣町?!

さやかちゃん、冴えてるね。
432 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:45:27.81 ID:scSCPRnH0
私は電車に乗って隣町へと向かう。

……あれ?

どっちだろ。

とりあえず、下り線に乗って向かう。

「隣町にきたは良いけど……何にも解らないんだけど
それ以前に、杏子は本当にこっちなのかな」

西と東。

とりあえず東に来て見たけれど、
杏子がそっちに住んでいるという保証なんて無い。
433 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:45:58.92 ID:scSCPRnH0
__________


______


___



「ったくもぅ。当てもなく歩くなんて馬鹿なことした」

あれから数時間どころか半日。
434 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:46:27.85 ID:scSCPRnH0
東西共に駆け回ったけれど、見つからなかった。

結局断念して、私は見滝原に帰ってきていた……。

私のこと。

色々と話そうと思ったのに……。

私は確かに、杏子のことを知らない。

知ってるのは、名前と、魔法少女だって事と、
ダンレボで私と張りあえる好敵手だって事。
435 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:47:24.61 ID:scSCPRnH0
それを話して、私は杏子に杏子のことを聞きたかった。

どこほっつき歩いてんだか……。

そんな溜息をついた時だった。

「ありがと、お姉ちゃん!」
436 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:47:54.35 ID:scSCPRnH0
女の子の声と、

「気にするなって。それより、もう財布落とすんじゃないぞ」

杏子の声。

声のした方に向かい、
建物の影に隠れて、様子を伺う。

女の子と……杏子?

財布を落とすって……。
437 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:48:24.19 ID:scSCPRnH0
自分のためにしか動かないてきなことを言うくせに、
ちゃっかり人助けしてる。

「……私は」

ん?

杏子。今なんか言ってた?

って、追いかけないと、呼び止めないと。

「杏子!!」

「?! ……アンタ」

杏子が私を睨む。
438 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:48:52.83 ID:scSCPRnH0
「私は魔法少女じゃないからさ、
戦って勝敗決めて、従わせるなんて出来ない。
っていうか、力に物言わせるのは嫌いだし」

「何が言いたいかはっきりしなよ!」

杏子が怒鳴る。

私、完全な敵かぁ。

まぁ、そっからの起死回生が私は出来る。はず。
439 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:49:30.77 ID:scSCPRnH0



「勝負しようよ。正々堂々、ダンレボで」



440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/17(金) 22:49:35.89 ID:R59eaDNDo
一通り読んだ

やっぱりこういうのがほのぼのしてて好き

応援します
441 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:50:11.01 ID:scSCPRnH0
「はぁ? なんでそんなこと……」

「負けるのが怖い? 逃げる?
別に良いよ? 逃げても。そしたらその背中に弱虫とでも張り紙を貼ってあげるから」

あははは。

私って、悪役のセンスあるかも。

「……そこまで言われて逃げるかよ! 美樹さやか!
昨日の屈辱は返させて貰うからな!」

私達は互いに並んで、戦場へと向かった。
442 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 22:52:21.93 ID:scSCPRnH0
29話ここまで。
戦場とか、かっこいいこと言ってますが。

ゲーセンです。ダンレボです。
443 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:20:02.05 ID:scSCPRnH0
書き溜めの修正……オワタ。

じゃ、予定通り、今日ラストの30話
444 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:20:47.24 ID:scSCPRnH0
  第30話

『アタシ半熟派なんだけど……』


「曲はランダムで良いよね? 杏子」

「それの方が公平だからな、後悔するなよ!」

「そっちこそ!!」

私達は互いに挑発する。
445 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:21:33.57 ID:scSCPRnH0
……う〜。

緊張する。

でも、私の思いを話すためにも、負けられない!

〔スタート!!〕

音声の掛け声と共に曲が始まる。
446 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:22:58.03 ID:scSCPRnH0
〔交わした約束忘れないよ
目を閉じ確かめる
押し寄せた闇 振り払って進むよ〕

序盤は簡単に余裕!

「はっほっ、余裕余裕!」

「へっ、とーぜん!」

余裕と言う私に、杏子が笑う。
447 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:23:45.51 ID:scSCPRnH0
淡々とステップを踏み、

次々と音は流れていく。

〔何もかもが歪んだ世界で
唯一信じれるここが救いだった
喜びも悲しみもわけあえば強まる想い
この声が届くのなら
きっと奇跡はおこせるだろう〕
448 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:24:13.05 ID:scSCPRnH0
あっと、危ない……

この連続タタタンッタッタタタンがきついなぁっと、うわっと……。

「あっぶなぁ」

「……」

あれ?

ギリギリ凌いだ私と違い、

杏子の表情は曇っていた。
449 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:24:45.53 ID:scSCPRnH0
「目覚めた心は走り出した未来を描くため〜♪
難しい道で立ち止まっても〜♪」

余裕が出来た私は歌いながら足を動かし、ステップを踏む。

タンタンタタタンッタッタッタ〜♪

「だから怖くない、もう何があっても挫けない〜♪
ずっと明日待って〜♪」

タンッ……タンっと!!
450 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:25:21.97 ID:scSCPRnH0
「ふっふ〜ん。どうだった?」

私は画面に結果が出ているにも拘らず聞く。

なんとなくそうした方が面白いかなって……。

「……畜生!! なんであそこクリアできたんだよ!!
さては、ドーピングだろ!」

あ〜あそこかぁ。

「それは、やりこまないと解らないよ」
451 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:25:59.37 ID:scSCPRnH0
「……で?
アタシの負けだよ。どうとでもしてくれよ」

杏子がショボンと項垂れて呟く。

さて、と。

そうだね、勝ったし。

どうとでもしたい気持ちはあるけど、
とりあえず……。

「喫茶店行こうよ。私は杏子と話がしたいだけだから」

私はそう言って杏子の腕を引いて、ゲーセンを出て行った。
452 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:26:34.37 ID:scSCPRnH0
「……」

「いつまで不貞腐れてるのかなぁ……まぁ、仕方ないんだって」

「正直納得行かない」

……あはは。

あの曲は見滝原のゲーセンオリジナル曲。
453 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:27:09.45 ID:scSCPRnH0
つまり、ここに来たばかりの杏子には無理で当然。

でも、ランダムだったんだから天命つきたとしか。

「まぁ、それはいつでもリベンジ待つよ。それで、話があるんだよね」

「何?」

杏子が頼んだ飲み物をゴクッと飲み、私を睨む。
454 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:27:58.75 ID:scSCPRnH0
「うん。私もね? 正直あれは馬鹿だったそう思ったんだよね。

だって、杏子の事。何も知らないわけじゃん?

なのに偉そうにしてさ。どんな風にそれを使うかなんていうのは、

個人の問題じゃん。それこそ、

目玉焼きを半熟、固めのどっちにするか? ってレベルの……ね」

私は苦笑して言う。

「……」
455 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:28:26.42 ID:scSCPRnH0
「だからさ、杏子。私は杏子のことが知りたい。
知った上で、貴女が固焼きって言うなら、半熟に誘導したい。
半熟の良さを教え込みたい。食卓のみんなが笑える方が、良いじゃん」

私はそこで言葉を切って、メロンソーダを飲み込む。

炭酸が渇いた喉には痛い……。

失敗したなぁ……。
456 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:28:59.22 ID:scSCPRnH0
「アタシ半熟派なんだけど……」

黙っていた杏子が不意に口を開く。

「んなっ……まぁ。ね? うん。じゃぁ、今の逆で」

慌てて言うと、杏子が笑う。

「でもま、面白い例えだった。
でもな、アタシは。
人の為に魔法なんて認めたくないんだ」

表情が一転して暗くなる。

……何が?
457 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:29:29.38 ID:scSCPRnH0
「魔法って、便利だよ。殆どのことは出来ちまうんだからさ。
けどさ、使い方間違えると、取り返しがつかないことになる。
アタシはそうなった」

「杏子……」

「……ちょっとさ、ついて来てくれるか?」

「うん」

私は杏子に続いて席を立ち、店を出て行く。

まだ夕方で、夕日がまぶしい。

そして、連れてこられたのは、廃墟と化した教会だった。
458 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/17(金) 23:32:22.23 ID:scSCPRnH0
30話。ここまで。
卵の話は、アニメの早乙女先生の話で思いついた。

後は、明日。
ここまできたし、言っちゃうけど。
全部で47話。
残り、17話です。

31話も、杏子とさやかしか出てこないので悪しからず。

459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/17(金) 23:36:24.57 ID:cjFCSR370
乙!
残り17話か・・・
楽しみに待ってるよ〜
460 : ◆LFImFQtWF6[sagasage]:2011/06/17(金) 23:44:59.72 ID:scSCPRnH0
すまん。追記。

明日、明後日は、
両日あわせて5話くらいしか投下できないかもしれない。

まぁ、暇な時間に投下するけど。
明日の朝9時ころに、1話投下して、夜に来れたら投下。
夜来れなければ、日曜の朝。
日曜の夜は、投下できないorz

今週中に完結は無理だった。

じゃ、また。
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/06/17(金) 23:50:00.23 ID:hfTwEQJAO
乙!
楽しみに待ってるぜ!
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 23:51:11.85 ID:72oilceIO
乙!
レポート頑張れよ!
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/17(金) 23:51:45.60 ID:hR7uIHLIO


続きが待てない
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/18(土) 00:23:17.99 ID:Ctqo9RI+o
お疲れ様でした
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/18(土) 00:42:10.48 ID:5VA6xsPQo

今日も気になって眠れねえ…
466 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:17:14.95 ID:qh6gZ+210
>>462
そんなの、幻想だった。

>>463>>465
必ず投下するから待とうぜ。

良く考えたら、9時に投下絶対的に不可能な話だった。
だから予定より早く投下する。
467 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:19:18.89 ID:qh6gZ+210
  第31話

『間違えなければ良いんだよ』


あちこちに雑草が生い茂っていて、
長年使われてないって解った。

「ここ、アタシの教会なんだ」

「え?」

杏子が教壇に寄りかかって呟く。

「正確には、お父さんの。だけどな」
468 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:19:57.58 ID:qh6gZ+210
「……杏子。何があったの?」

私は恐る恐る聞く。

今は家族が居ない、つまり。

死んでしまった、または捨てられた。

可能性が高いのは前者……。
469 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:20:36.23 ID:qh6gZ+210
「……一家心中。いや、アタシを残したんだから一家じゃないな」

そう言って杏子は苦笑する。

でも、悲しそうな表情だった。

私は目の前に居る杏子の話の続きを待つ。

夕日の伸ばす杏子の影が、暗い他の影に同化していく。
470 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:21:18.39 ID:qh6gZ+210
「アタシのせいなんだ。アタシが他人の為に願いを、魔法を使ったからなんだ」

「杏子。でも、それは杏子が悪いことなの?」

「アタシのせいだよ。お父さんの話は正しいのに、
教会からは布教以上のことを教えていると破門された。
だから、アタシはQBに頼んだ。
お父さんの話をみんなが聞きますようにって」

……杏子。

でも。
471 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:21:51.43 ID:qh6gZ+210
「でも、上手くいかなかったわけじゃ――」

「上手く行き過ぎたんだよ。逆に!」

え?

上手く行き過ぎた?

「馬鹿なアタシは単純なことを忘れてたんだ。
今まで聞く耳無しの連中が、急に聞くようになって、
貴方は凄い。なんて褒めてみろ……
確実に違和感感じて何かを疑う。こんな単純なことを、アタシは……」
472 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:22:24.49 ID:qh6gZ+210
じゃぁ、まさか?

「魔法ってことがばれたの?」

「ああ、アタシは魔女退治で夜抜け出してたからさ。
それと何か関係あると思われて、
ただ聞かれた時は、知らないよ。って通してた。
でも、尾行されたんだ、お父さんに」

……。
473 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:23:01.69 ID:qh6gZ+210
ってことは。

それで、魔法だってばれて、
杏子のお父さんは。

「それで、自殺しちゃったって事?」

「……ああ、アタシを呪うかのように、
アタシの目の前でお母さんと妹を連れて。な」

だから、だから杏子は……。

「ごめん、そんなことがあったなんて……」
474 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:23:35.16 ID:qh6gZ+210
でも。

「だから、アタシは人の為には使わない」

「でも、それを私は認められない」

「?!」

ごめん、杏子。

杏子の過去は解る。

辛いことだって解るよ。
475 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:24:01.20 ID:qh6gZ+210
でも。

だからって。

「人を助ける為に、魔法は使うんだよ」

「違う、自分の――」

「それじゃぁ、杏子は魔女と変わらないよ?」

「はぁ?! 馬鹿か!! アタシのどこが魔女だって言うんだ!」

「自分の為にしか使わない力は、
必ず人を傷つけてる、私はそれを知ってる!!」

私は思わず怒鳴る。
476 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:24:27.28 ID:qh6gZ+210
「ふざけんな! 幸せちゃんになにが――」

「解るよ!! 私だって、自分勝手な行動で傷つけてた相手が居たから!!
でも、でもね? 私は教えてもらった。それは間違いだって、
自分が良くても相手はよくないことがあるんだって!!」

「じゃぁアンタが言う、「人の為に魔法」も相手にはよくないことだってあるんだろ!!」

杏子が教壇を叩いて怒鳴る。

「そうかもしれない、でも。誰かを助ける方が、私達も相手も、嬉しいと思う」
477 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:25:00.27 ID:qh6gZ+210
「それで誰かを死なせちゃ意味が――」

「死なせない!! 杏子が言ったじゃん!! 「使い方を間違えれば」って、間違えなければ良いんだよ!!」

「そんなこと――」

「杏子は、本当は誰かの為に行動する優しさがあるはずだよ。
私は聞いたし、見たよ?
杏子が女の子にお礼言われてる所」

私はそう言って微笑む。
478 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:25:26.89 ID:qh6gZ+210
あの時の杏子は嬉しそうだった。

「あれは……」

「困ってたから助けた。違う?」

「……そんなの、魔法の行使の有無に関係ない」

「あるよ。優しさ。杏子はその子を悲しませた?
違うでしょ? 笑顔にさせた」

「だから?」
479 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:25:57.28 ID:qh6gZ+210
私は杏子の目を見つめる。

「人の為に何かをすることは、人を笑顔にすること
自分の為にしかしない行動は、人を悲しませること
そう、解ってるんじゃない?」

杏子が私を睨む。

「だから? でも、お父さんたちは死んだんだ!!
アタシのせいで、アタシの……」
480 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:26:24.77 ID:qh6gZ+210
「それは、杏子が悪いわけじゃない。
ちょっと、間違えただけ。それにさ……」

「なんだよ」

「その時は1人だったけど、今は私達が手伝う。
私達は人の為に魔法を使ってるけれど、
誰一人、不幸にさせていないよ。
なんで? それは仲間が協力してくれるから」
481 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:26:55.45 ID:qh6gZ+210
私はそう言って微笑み、杏子に手を差し出す。

「私達と協力しようよ。ほむら達は杏子を必要としてる。
必要としている所に加わって、誰かを不幸にさせることなんて、
絶対にありえない」

「そうじゃない、アタシは自分以外の為に――」

「じゃぁ、こう考えて?
杏子は私達を助けたいっていう自分の想いの為に魔法を使うって」
482 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:27:21.99 ID:qh6gZ+210
「はぁ? そんなこと思ってない」

「じゃぁ、思って」

「……断る。アタシがなんであんたたちを助ける必要があるんだよ。
巴マミはアタシよりベテランだし、暁美ほむらは良く解らないけど、
明らかにトーシローには見えない。
助ける意味なんてあんのか?」

杏子……。
483 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:28:00.33 ID:qh6gZ+210
「それは解らないけど、でも――」

「……でもま、この街にワルプルギスの夜が来るんだろ?」

「え? うん」

……?

杏子がクスッと笑う。

「じゃぁ、あれだ。この町守んないとあのゲーセンが壊れる。
つまり、アタシはあの曲でのリベンジは出来なくなる。
それは困るよ。アタシが」
484 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:28:27.62 ID:qh6gZ+210
「杏子……あんたねぇ……」

「なんだよ。自分の為に動くんだから別に良いだろ。
それとも迷惑か? 自分の為だし、なら。
アタシは好敵手の一般人。美樹さやかの為ってのはどうだ?」

え?

「私のため?」

「アンタの為にアンタを守るし、アタシは好敵手を失いたくないから、
アンタを守る。これなら、両方だ」
485 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:29:00.95 ID:qh6gZ+210
「どうして急に?」

「……仲間が居れば。あんなことはもう起こらないんだろ?
アタシと同じことが起こらないんだろ?
それを、約束してくれ。
アタシはあんな思いをするやつも、するのも、出したくないし、したくない」

杏子が言う。
486 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:29:36.93 ID:qh6gZ+210
「うん、約束するよ。みんなも絶対、協力してくれる」

「それと、あくまでアタシはアタシのために魔法を使う」

「悪いことに使う以外なら平気だと思うよ?」

って、杏子は。

「……それは」

「マミさんかほむらと暮らせば良いよ」

「は?」

「いや、杏子は身寄り無いみたいだし、
なら、独り暮らしのどっちかと暮らすべきだよね」
487 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:30:07.27 ID:qh6gZ+210
「ばっ、誰があいつらなんかとっ」

「じゃぁ、私と? って言っても親が居るから無理なんだよね」

私はそう言って苦笑する。

一瞬、悔しそうな顔を杏子がしたように見えたけど、

多分気のせい。

「いままでの食べ物とか。万引きだったりするでしょ?」

「……」
488 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:30:34.70 ID:qh6gZ+210
「境遇上仕方ないかもしれないから何も言わない。
でも、これからはそんなことしなくて良いんだよ。
杏子は優しいから、心のどこかでは傷ついてたと思う。
でももう、私達に頼ってくれて良いから」

私はそう言って杏子の手を無理やり握る。

「杏子」

「な、なんだよ」

「杏子」

「なんだよ」

「きょーこ」

「……だからなんだってば!!」
489 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:31:04.49 ID:qh6gZ+210
「名前呼んでよ」

「は?」

「フルネームとか、アンタとかてめぇとかお前じゃなくてさ。
私みたいに呼んでよ。仲間なんだから」

私はそう言って杏子を見つめる。

「じゃぁ、さやか。さやかって呼べば良いんだろ」

「うっし、上出来だぁぁぁ」

私はそう言って杏子に抱きつく。

「や、やめろ、くっつくな、暑苦しい!!」
490 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:31:44.78 ID:qh6gZ+210
「これからよろしく、杏子」

「アン――さやかは魔法少女じゃないだろ?」

「そうだけど、でも。仲間だもん」

私はそう言って微笑む。

「そうかよ、どうでも良いけど。まずは離れてくれ」

「なんで?」

「だから、暑苦しいんだってば!!」

夕暮れの教会に、杏子の叫び声が響いていた。
491 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 07:34:24.36 ID:qh6gZ+210
31話投下完了。
予定より早くてすまん。

32話……は、中途半端になりそうだから夜。

じゃ、また。
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/18(土) 08:21:23.90 ID:Ctqo9RI+o
お疲れ様でした
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/18(土) 08:38:28.17 ID:5VA6xsPQo

こんなに面白いss初めてだ
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/18(土) 09:08:15.52 ID:BUSQgNU9o


夜まで待ってる
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/18(土) 17:29:38.00 ID:Z2GjJLSAO
さやかから見て、

恭介(嫁)
杏子(愛人)
ですね分かります。


いや、ほむらホームにマミと杏子が住むのか
496 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:22:35.22 ID:qh6gZ+210
ただいま。

>>492
いつも、「お疲れ様」サンクス
励みになる。

>>493
それはおだてすぎ。
あくまで>>1得なだけだ。

>>494
少し早い…か?

>>495
さぁ、どうだろうか。
全ての結末はエピローグに。


また出掛けるかもしれないから、とりあえず、32話投下
497 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:24:46.57 ID:qh6gZ+210
  第32話

『そう、ね。可哀想。私も思うわ』


「全く! 貴女は何を考えているのよ」

「ご、ごめんなさい」

私達は、さやかを見つけることに成功した。

というよりも、
彼女達が喫茶店でのほほんとしている所を、
QBが見つけた。

そして、今は私の家に全員集まっていた。
498 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:25:16.84 ID:qh6gZ+210
「まぁまぁ。さやかちゃんだって無事だったんだし」

「まどか、貴女は甘すぎるわ。けど、私はそんなに甘くは無いわ」

「暁美さん、程ほどにね、
美樹さんが佐倉さんを説得してくれたんだから」

先輩が微笑む。

確かにそうね……。
499 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:25:43.72 ID:qh6gZ+210
「とりあえず、協力してくれるのね?」

「別にアンt――痛いっ?!」

杏子が悲鳴を上げると、さやかが微笑む。

「だから「アンタ」は禁止」

「だからって、太もも抓るなよ!」

……色々と大丈夫なのかしら。
500 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:26:09.92 ID:qh6gZ+210
でも、杏子とさやかが仲が良いこんな世界。

さやかが魔法少女じゃない、
先輩も今、隣で笑ってる。

まどかも、前で笑ってる。

こんな世界は初めて……。

「マミたちに協力するわけじゃないからな。
あくまで、アタシにはこの街を守らないといけない理由があるだけだ」

「それでも、ありがたいわ。貴女が協力してくれれば、
私達はきっと、ワルプルギスの夜に勝つことが出来る」
501 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:26:53.21 ID:qh6gZ+210
「ほむら。アン。ほむらは一体何者なんだ?」

「私? 何か気になるの?」

杏子が私を見つめる。

「いや、気のせいなら良いけどさ。
どうも、アタシにはほむらが物知りすぎる気がするんだよね。
ワルプルギスの夜の統計って言うけど、
そう転がってるわけ無いじゃんか。魔女のことなんて」

っ……。
502 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:28:14.53 ID:qh6gZ+210
無駄に鋭いのはさやかに似たの?

どうでもいいけれど。

「私の先輩達が教えてくれたのよ。
……もう、いないけれど」

私はそう言って俯く。

私の先輩達。

今までのループの、
先輩、杏子、さやか、まどか。

みんなが教えてくれたこと。
503 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:28:52.01 ID:qh6gZ+210
そろそろ、私のことを話しても良いかもしれない。

ワルプルギスの夜まであと15日。

「……悪い。嫌なこと聞いたな」

「気にしなくて良いわ。
忘れるわけにはいかないことだから、
聞かれても問題なんてないわ」

シュンとした杏子に微笑む。
504 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:29:51.42 ID:qh6gZ+210
「で、貴女に言っておくことがあるわ」

私はそう言って、さやかと杏子、
まどかと先輩を見つめる。

「佐倉さん、貴女は人間じゃなくなってしまっているわ」

先輩が冷静に、静かに言う。

だけど、杏子はおどろくどころか、
逆に苦笑していた。
505 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:30:38.51 ID:qh6gZ+210
「知ってるよ。そんなこと」

「「「「え?」」」」

まさか、そんなはずは。

ループの記憶を持ってると?!

「な、なぜ?」

「だって、アタシ一回自殺しようとしたから」

?!
506 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:31:13.34 ID:qh6gZ+210
そんな、そんな過去があるの?

「杏子……貴女」

「止めろよ、さやか。アタシは今はもう死のうとするつもりはないし、
死ぬつもりも無いから」

杏子が笑う。

今までに無かったことだわ。

「あぁ、それと、ソウルジェムがアタシらの本体だって事も聞いてる」

「うん、確かに。僕は「何で死ねないんだ?」と聞かれて教えたからね」

QBが頷く。
507 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:31:39.99 ID:qh6gZ+210
正直、今貴方がここに居ることが解せないのだけれど、
いても居なくても変わらないし、どうでも良いわ。

「それじゃ、魔法少女のもう一つのことは?」

「? 何のことだ?」

やっぱり、これは教えていないのね。

私がQBをみると、相変わらずの表情で私を見つめ返してきた。
508 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:32:05.62 ID:qh6gZ+210
「魔法少女は、いずれ魔女になる」

「は?」

……。

「佐倉さん、真実よ」

先輩が追い討ちをかけるようにつなげる。
509 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:32:32.29 ID:qh6gZ+210
「あ、あっはははっ、おっもしれぇ!!
中身どころか、見た目も心さえも。
アタシ達は化け物になるってことかよ」

……杏子。

杏子の握り閉められた拳がQB目掛けて振り下ろされた。


――が。
510 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:33:01.36 ID:qh6gZ+210
「待って!!」

さやかがそれを掴んだ。

「?! さやか、殴らせろよ!!
アタシ達を化け物にしたんだ!! QBは!」

杏子が怒鳴り、

声が部屋全体に響く。
511 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:33:32.27 ID:qh6gZ+210
けれど、さやかは放さず杏子を見つめる。

「キュゥべえは何も悪くないよ。
ただ、可哀想なだけなんだよ」

「ふざけんな、こいつが悪くない? 可哀想? どこが?!」

「それはどういうこと?」

私も尋ねる。

私も、QBが可哀想だとは思えない。
512 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:34:19.06 ID:qh6gZ+210
「だって、キュゥべえはただの機械だから……」

「何言っているの? QBは――」

「それはこの前、君が僕にくれた知識の、機械的人間と言うやつかい?」

QBが首をかしげる。

機械的人間?

ただ命令を行うだけの……。
513 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:34:51.56 ID:qh6gZ+210
「そう。キュゥべえは確かに生き物だけど、

少女を魔法少女にする命令しかこなせないようにされちゃった、

可哀想な生き物だって私は思うんだよね。

感情が与えられず、仲間の死すら悲しむことが出来ない、

可哀想な生き物。ただ、出会い、死を目撃し、また出会う。

それしか出来ない、可哀想な生き物なんだよ」
514 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:35:42.19 ID:qh6gZ+210
さやかがそう言って杏子の手を放す。

杏子も、殴ろうとしていた手を、引っ込める。

「? 僕を殴るんじゃなかったのかい?」

「うるせぇ、殴っても仕方が無いだろ……」

驚いた……。

まさか、さやかがそんな考え方してたなんて。

まどかも頷いてるし、同じ考えなのね……。
515 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:36:34.03 ID:qh6gZ+210
「そう、ね。可哀想。私も思うわ」

「先輩……」

「で? ほむら。魔女化の条件は?
そうならないよう注意すれば避けられるんだろ? 当然」

さっきと打って変わって冷静になった杏子が聞く。
516 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:36:59.43 ID:qh6gZ+210
さやかが居てくれて本当に助かったわ……。

いままで邪魔だとか考えていた私は大馬鹿者ね。

私は頷いて口を開く。

「まず、ソウルジェムが完全に濁ってしまった場合。
これは、グリーフシードで浄化可能だから、使いすぎたりしなければ平気」
517 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:37:27.47 ID:qh6gZ+210
問題は……。

でも、みんななら。

「問題は私達が絶望してしまうこと。
人間、絶望するなと言われてしないのは難しい。
けれど、してしまえば。魔女化する」

私が放った言葉は部屋に響き、

暫くの間漂っていた。
518 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:37:56.00 ID:qh6gZ+210
「アタシは問題ねぇ。さやかにダンレボで勝たない限り、
絶望なんて頼まれても絶対にしない」

「私も、平気よ。自信持って言える訳じゃないけれど、
みんなが居てくれる限り、絶望なんてするはず無いから」

杏子と先輩がそう言って微笑む。

頼もしい。

そんな言葉が与えられるわね、2人には。
519 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:38:25.09 ID:qh6gZ+210

「僕としても君たちが魔女を狩ってくれるのは助かるよ。頑張って欲しいね」

QBはそう言い、部屋から消えた。

さやかの話を聞いて感じたけれど……。

本当に可哀想だわ。QB。

貴方も貴方で、辛いのでしょうね。

ただ、感情が無いせいで、
その辛ささえも理解できないのだろうけど……。
520 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 18:40:59.81 ID:qh6gZ+210
32話ここまで。
長かったorz
最悪中途半端になるとこだったけど、無理言って何とか。

じゃ、またでかけるので。
夜に投下できればそれはとっても嬉しいなって。
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 19:36:11.65 ID:6Aq5a7jSO
こんな良作があったとは!

続きも楽しみにしてる
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 20:13:50.99 ID:9alYP+oDO
乙!

あんこちゃんにそんな過去が有ったなんて・・・
おにーさんびっくりだぁー
523 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:20:47.29 ID:qh6gZ+210
>>521
ども。
これよりも良作は沢山あるぞ。

>>522
それは勝手な>>1の設定だから。
杏子も、若いうちに親と妹自殺されたら死にたくなるだろうなって……。
逆にならないのは凄い。と思ったからつけた設定。

じゃ。
帰ってこれたし、投下!!
524 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:23:54.66 ID:qh6gZ+210
  第33話

『私はこの暁美ほむらでいなければいけないのよ』


「ほら、起きなさい」

「ん? あ。あぁ……」

私のベッドで寝ている杏子に声をかける。

私としては少し、不服だけれど、
さやか達に頼まれてしまったし、
じゃんけんで負けた私が悪いのだけれど……。

「いい加減起きて朝食食べて頂戴」
525 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:24:30.81 ID:qh6gZ+210
結局、起こしてから5分経って杏子は寝室から出てきた。

「おはよ。ほむら」

「はいはい、良いから食べて。食器が洗えないわ」

「頂きます」

あれからすでに1週間。
526 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:24:58.06 ID:qh6gZ+210
ワルプルギスの夜が出てくるまで、あと6日。

……勝てるわよね?

ワルプルギスの夜……。

みんながいる安心があるのに、
みんなのこの、だらけているというか、
こういうのを見てると不安になる……。
527 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:25:48.16 ID:qh6gZ+210
「杏子、貴女は今までどんな生活を?」

「んー? 別に話しても面白くないよ?」

味噌汁をかきこみながら、杏子が言う。

「面白くなくて良いわ。
全てが全て面白い日常なんて、そうそうあるわけ無いから」
528 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:26:19.32 ID:qh6gZ+210
「この家の宿主にしては、ロマンチックなこと言うのな」

杏子がそう言って笑う。

私は、別に……

思わず、赤くなってしまう。
529 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:26:47.89 ID:qh6gZ+210
昔の自分は病院でする事が無くて、
良く本とかを読んでて……、
満天の星空の下、草原で涼む。

なんていう夢を見たりしたくらいだ。

確かに、そうかもしれない。

全ての自分を押し隠すなんて、出来ないものね。

「関係ないでしょ。貴女には」
530 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:27:14.36 ID:qh6gZ+210
「そうだけどね、って。アタシの話だったっけ」

杏子がそう言って思い出したように続ける。

「親がいなくなってからは、朝も夜も外で動き続けてた。
朝は魔女がいないから……
言った通り万引きとか、そういうことしててさ」

そういう杏子の表情が少し、暗くなる。
531 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:28:02.42 ID:qh6gZ+210
罪悪感はあった。

でも、それしか生きていく方法が無いから。

そういうこと……かしらね。

杏子、貴女とこんな話をするのも初めてね。
532 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:28:30.91 ID:qh6gZ+210
「……ん? 何笑ってんだ?」

そんな事を考えていると、杏子が尋ねてきた。

「別に、なんでもないわ。
そんなことより、食べ終わったのなら貸して。洗うから」

私が杏子の食器に手を伸ばすと、
その手は空をきり、杏子は食器持って席を立った。
533 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:29:26.50 ID:qh6gZ+210
「良いって。アタシがやるよ。作ってもらったしな。それに……」

キッチンに向かい、私に背中を向けていた杏子が振り返る。

「それに?」

「性格に似合わず、美味しかったよ、ほむらの料理。
アタシと一緒だな、ほむらは」
534 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:29:53.16 ID:qh6gZ+210
……?

一緒?

「どういう意味よ」

「本当の自分を隠してるって事。
アタシの場合はさやかにばれちまったけどな」

杏子はそう言って台所で洗い物を始めた。
535 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:30:32.07 ID:qh6gZ+210
杏子は本来優しくて周りを気にかける。

でも、過去の経験から周りの為に。って行動はしないようにしてる。

私の本当の自分。ね。

「曝け出したいわ、私も。でも、
そうするわけにはいかない。
ワルプルギスの夜を倒すまでは、私はこの暁美ほむらでいなければいけないのよ」

私の言葉はキッチンで流れる水の音にかき消された。
536 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:32:21.42 ID:qh6gZ+210
33話ここまで。
良く数えたらエピローグ入れて48話だった。

なんにせよ。
木曜日には完結すると思う。
537 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:53:31.84 ID:qh6gZ+210
次、34話。
明日もあわせて5話しか投下できない?
そんな幻想ぶち殺す。
538 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:54:07.63 ID:qh6gZ+210
  第34話

『趣味なんて、私は飽きたわ』


「私、あまり好かないわ。ここ」

「まぁまぁ、アタシは好きだぜ? こう、胸に響く感じが」

だから嫌なのよ。

私は元々心臓が弱いからこういうところはなれないのに……。
539 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:54:45.48 ID:qh6gZ+210
私達は現在、ゲームセンターに来ていた。

というのも、杏子に行きたい所を尋ねたら、ここになった。

「ほむら」

「なによ……」

「隣、空いてるんだけど」
540 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:55:26.79 ID:qh6gZ+210
杏子が自分の隣を指差す。

杏子が遊んでいるのは、
ダンレボとかいうダンスゲーム。

私もやろうと思えば出来なくも無いだろうけれど、
今まで一度もやったことが無いわけで。
541 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:56:08.34 ID:qh6gZ+210
「遠慮するわ、私はこんなことはしないの」

「つまんないやつだなー」

杏子がそう呟くと同時に、曲が始まる。

私の目の前で杏子がこのゲームをしている。
542 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:56:45.53 ID:qh6gZ+210
最近のループは、ずっと暗い気持ちだった。

先輩が亡くなってからしか、
あなたに会う機会が殆ど無くて。

でも、今は先輩がいるのに、貴女は私の前で踊っていて、
さやかと敵対しているわけでもなくて、
私との関係も悪いわけじゃない……。

「食べる?」

「え?」

踊り終わった杏子がステージから降りて言う。
543 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:57:17.69 ID:qh6gZ+210
その手には、トッポと書かれたお菓子の箱を持っていた。

「チョコだよ。別に毒殺とかする気ないからな?」

杏子が苦笑する。

その笑顔すら、私にはありがたかった。

「ええ、1つ。頂いて良いかしら」
544 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:57:51.72 ID:qh6gZ+210
私は受け取ったトッポを銜えてポキッと折る。

「美味しいだろ」

「お菓子なんてどれも変わらないわ」

私はそう言い、杏子とともにゲームセンターを出て行く。

かといって特にする事も無い私達、ただ適当に歩いている時だった。

「杏子ー! ほむらー!」

背後からの呼び声。

振り向くとさやかが走り寄ってきていた。
545 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 21:59:34.28 ID:qh6gZ+210
「何してるのよ。貴女」

「私は恭介に会いに行った帰り。恭介がお昼だから、

私もお昼食べに行こうかなって思ってさ」

「アタシ達はゲーセンの帰り。ほむらったら何にもやろうとしなくてさ

何が趣味なんだろうって悩むよ」
546 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:00:16.09 ID:qh6gZ+210
「それは私が隣にいると忘れて言っているの?」

苦笑する杏子を軽く睨む。

「でも実際気になるよ。ほむらの趣味」

「私の趣味?

特に無いわ。今まで魔女を倒すことだけしか考えてきていないから」
547 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:00:49.24 ID:qh6gZ+210
「本読んだりは?」

「しないわけじゃないわ。

ただ、これが趣味と聞かれるとyesとは言い難いわ」

私がそう言うと、さやかがつまらなそうに溜息を吐く。

「何よ」
548 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:01:18.99 ID:qh6gZ+210
「寂しい子だなって、よし。私の家に来るんだ2人共!」

「は? え?」

「良いからくるくる!」

私は強引に腕を引かれ、杏子とさやかと共に、
さやかの家へと向かった。
549 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:02:02.34 ID:qh6gZ+210
「ただいまー」

「おかえりって、お友達連れてきたの?

まどかちゃんと仁美ちゃんでもないし……」

「ふふん、この才色兼備さやかちゃんにメロメロの2人だよ」

「2人? そんなのどこに居るの? 少なくとも、私は違うわ」

「右に同じ」

「な、ん……だと?」

「ふふっ、お部屋で待っててさやか。飲み物とかを持っていくから」

さやかの母親はそう言って部屋の奥へと消える。

「はーい」
550 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:02:35.99 ID:qh6gZ+210
「で? なぜ私達を連れてきたの?」

さやかに尋ねる。

あの話の流れで私がここに来るという意味が解らない。

「ほむらに流行の趣味を身につけて欲しいから」

「そう、じゃぁ、帰るわね」

「ちょっ――」

さやかが立ち上がろうとした私の腕を掴んで止める。
551 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:03:36.54 ID:qh6gZ+210
「そうだ、ほむら。

ほむらはなんのゲーム機持ってるんだ?」

杏子が聞く。

ゲーム機?

「そんなもの持ってないわ」
552 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:04:27.35 ID:qh6gZ+210
「ほむら、うん。ドンマイ」

「な、何よ」

「まさか、ゲーム機すらないなんて……私は思わなかった。

確かにめちゃくちゃ地味な家だったけど……」

さやかが頬をかいて呟く。
553 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:05:00.97 ID:qh6gZ+210
「地味で悪かったわね……」

私は拗ねたように言葉を吐き、
小さく溜息をついて続ける。

「趣味なんて、私は飽きたわ」

私の声がさやかの部屋に木霊する。

「何度も同じことするのなんて、私はもう嫌なの。

なんどやってもクリア出来ないゲームを私はしてる。

私はこのゲームに勝つまで、趣味を持とうとは思わないわ」
554 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:05:50.07 ID:qh6gZ+210
私がそう言って部屋のドアを開けると、
丁度さやかの母親が近づいてきていた。

「お手洗い?」

「いえ、今日は用事が出来てしまったので失礼します。

杏子、私の家か先輩の家。どちらか選ぶのは、貴女に任せるわ」

私はそう言い残し、さやかの家を後にした。
555 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:07:29.80 ID:qh6gZ+210
34話以上ここまで。

で。
このまま35話行く。
556 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:08:13.91 ID:qh6gZ+210
  第35話

『うん、助けることなんて、絶対に無理』


あら、いつの間にか夜になっていたのね。

気づかないうちに辺りは闇に包まれ、
街灯の光がてんてんとしていた。
557 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:08:39.74 ID:qh6gZ+210
「なにしてるのかしら、私は」

何度やってもクリア出来ないゲーム。

私は今度こそ、クリアする……。

できるの?

本当に?
558 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:09:11.44 ID:qh6gZ+210
(無理だよ。 出来ないよ)

確かにみんないる。

でも、本当にワルプルギスの夜に勝てるの?

(無理だよ。だって、貴女は弱いもの)
559 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:10:13.99 ID:qh6gZ+210
勝てない?

勝てる?

本当に勝てるの?

(無理だよ。みんな死んじゃうよ。絶対に)
560 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:10:46.15 ID:qh6gZ+210
?!

いつの間にか、私はあのシャルロッテと戦った空間に居た。

先輩が戦ってる。

私の横には、さやかとまどかがいて、
先輩の戦いを見ていた。

「これで終わりよ! ティロ・フィナーレ!」

先輩の必殺技が、シャルロッテを打ち抜いて縛り上げる。
561 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:11:37.39 ID:qh6gZ+210
そして……巨大な本体が現れ――

「先p――?!」

時間を止めようとしたけれど、止まらない。

目の前で、それは起きた。

先輩の首から上が、シャルロッテの口の中に消え、
そこから下は地面へと落ちていく。

「せ、せんぱ……い……」

(ほら、簡単に死んじゃった)
562 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:12:06.69 ID:qh6gZ+210
?!

また、場面が移動した。

「杏子!!」

「……ごめん、足手まといとは一緒に戦わない主義だろ?」

「待って!! 待ってよ杏子!!」
563 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:12:36.09 ID:qh6gZ+210
杏子の張った赤い結界の柵に掴みかかり、
杏子の名を呼ぶ。

杏子の前に居るのは、
オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ。

さやかが魔女化した際、うまれる魔女。
564 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:13:01.18 ID:qh6gZ+210
「杏子!!」

「独りぼっちは……寂しいもんな……」

杏子がそう呟くと、
大爆発が起こり、全てを吹き飛ばした。

あっ……ああ……

(また死んじゃった)

先輩も、杏子も……
565 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:13:43.05 ID:qh6gZ+210
「ほむらちゃん」

「?! まどか?!」

なんで?

なんで魔法少女に?!

私の名前を呼んだまどかは、
魔法少女の衣装に身を包み、
微笑んでいた。

「今まで、楽しかったよ。ありがとう」

「まどか!!」
566 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:14:08.54 ID:qh6gZ+210
「ごめんね? ほむらちゃん。
やっぱり、わたしは独りで戦うのをただ見守るなんて事、できない」

「待ってよまどか……お願い、行かないで!!」

私の叫びも届かず、
まどかは空に浮かぶ巨大な敵、
ワルプルギスの夜へと向かっていった……。

ま……どか……。

(結局、守れなかったね)
567 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:14:34.66 ID:qh6gZ+210
「暁美さん、守ってくれるんじゃなかったの?」

「仲間が居れば、平気? とんだ大嘘つきだな」

「私、ほむらのこと信じてたんだけどなぁ……

後押ししてくれた時、こうなるって解ってたんだよね?」

「ほむらちゃん、

ほむらちゃんじゃ、わたしを助けるなんて不可能だよ」

い、いや……。

そんなこといわないで……。
568 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:15:16.46 ID:qh6gZ+210
「先輩を守る!!

さやかも応援して、杏子も支える!! まどかも護る!!」

「でも、守れてない」

先輩がそう言うと、
頭がシャルロッテに食われ、

「嘘だった」
569 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:15:42.59 ID:qh6gZ+210
さやかがそう言うと魔女になり、

「支えられてない」

杏子がそう言うと、
さやかとともに赤い光に包まれて砕け散る。

「力不足だった」

まどかはそう言うと、魔法少女となって飛んでいく……。
570 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:16:12.76 ID:qh6gZ+210
あっあぁぁぁぁぁぁ……。

いやっ……いやぁ……。

まもれ――

(無理だよ。護れないよ。

解ってるでしょ? 何度も繰り返したんだから、きっと解るはずだよ)

そんなこと、ない。
571 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:16:47.62 ID:qh6gZ+210
(あるよ。あるんだよ。ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある

ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある

ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある

ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、ある、あるんだよ)
572 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:17:14.81 ID:qh6gZ+210

あぁぁ……いや。

助けられる、助けられるの……。
573 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:17:50.91 ID:qh6gZ+210
(無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理

無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理

無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理

無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理、無理)
574 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:18:28.85 ID:qh6gZ+210
無理……?

私は、助けられ……ない……?

(うん、助けることなんて、絶対に無理)

その空間に、甲高い笑い声が響いた。
575 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/18(土) 22:21:41.96 ID:qh6gZ+210
以上35話。

言い忘れてたけど。

「」←会話文

《》←念話

〔〕←映像の音声

()←魔女の囁き

こうなってる。

以上。今日はここまで。
もしかしたら明日の朝は無理だったりする。

無理だったらすまん。

576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/18(土) 22:49:27.45 ID:atw44tCQo


いつの間にかハコの魔女の結界に迷いこんでたってことか

つーか良SSなのにも納得、作者ってこの間までなのはとのクロス書いていた人じゃないか
この作者のほむほむ愛は信用できる
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/19(日) 00:35:41.76 ID:V0xwX9ZOo
お疲れ様でした
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/19(日) 00:36:39.95 ID:AiChbcoqo

今日も気になるけどさすがに寝るわ…
おやすみ
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/19(日) 02:36:41.83 ID:vXZdqbWSo
580 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:44:38.42 ID:sYtPvDsN0
>>576
魔女の結界に迷い込んでる。
書いてたのばれたorz
その愛は歪愛かも。

>>578
寝とけ。


よし。
睡眠時間を削れば何とかなった。
36話投下。
581 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:45:42.74 ID:sYtPvDsN0
  第36話

『暁美ほむらが、このままだと魔女化するかもしれない』


私は今、佐倉さん、美樹さん、鹿目さんと共に、
暁美さんの元へと走っていた。

「どういうことよ!!」

「暁美ほむらは今、魔女の結界に閉じ込められているんだ」

抱えているキュゥべえがそう言う。

余りにも突然なことだった。
582 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:46:15.19 ID:sYtPvDsN0


__________


_______


___


583 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:46:47.70 ID:sYtPvDsN0
夕方になって、佐倉さんと美樹さんが、
帰ったはずの暁美さんが居ない。

と、私のところに来たのが始まりだった。

暁美さんは良く解らない所はあるけれど、
きちんと行き先を告げるはずだし、
なにより、携帯に電話をしても繋がらないことが、
私達の不安をかき立てた。

何かあったと考えた私達は、
鹿目さんと合流して捜索を始めた。
584 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:47:15.77 ID:sYtPvDsN0
夜になっても何の手がかりも得られず、
解散しようとした時に、キュゥべえが私達のところに来た。

「暁美ほむらが、このままだと魔女化するかもしれない」

「え?」

キュゥべえが言ったのは、そんな脈絡も無い言葉だった。
585 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:47:42.45 ID:sYtPvDsN0


__________


_______


____

586 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:48:24.29 ID:sYtPvDsN0
あの暁美さんが?

そんなこと、天地がひっくり返らないとありえない。

「僕の言葉を信じるかどうかは自由さ」

暁美さんが魔女の結界に閉じ込められるのは、
ほぼありえないと考えていた。

暁美さんほどの実力なら、
そう易々と捕まるはずが無いから。

けど、現実は非常だった。
587 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:48:57.42 ID:sYtPvDsN0
魔女の結界に入った私達を待っていたのは、
最深部で、鳥かごのようなものに閉じ込められ、
うずくまって頭を抱えている暁美さんだった。

「魔女は……どこ?」

ただ、殺風景な空間だった。

大広間で、中心にさっき言った、
暁美さんが閉じ込められた鳥かごがおいてあるだけ……。

「どういうことだよ、QB。ほむらに何があったんだ?」
588 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:49:40.97 ID:sYtPvDsN0
佐倉さんが聞く。

「僕にも良く解らない。

魔女の気配の中に、暁美ほむらを感じ取っただけさ」

「ねぇ、ほむらちゃんはどうなってるの?」

「かなりやばいと思う……

でも、アタシらが助けるから安心してろ」
589 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:50:07.84 ID:sYtPvDsN0
佐倉さん……。

「?! みんなあれ!!」

不意に、美樹さんが大声で呼び、壁を指差す。

「な、なんなの? 一体……」

大広間全体が巨大な画面のように、映像を映し出した。
590 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:50:34.29 ID:sYtPvDsN0
〔あ、あの……あ、暁美……ほ、ほむらです……

 その、ええと、どうか、よろしく、お願いします…〕

暁美さん?

でも、あれは……。

「三つ編みのほむらちゃん? 見たことない……」

鹿目さんが呟く。
591 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:51:01.97 ID:sYtPvDsN0
〔え? な、なに? きゃぁぁぁ〕

暁美さんが魔女の結界の中に?

でも、あの驚きよう……。

もしかして、魔法少女前の記憶?

でも、だとしたら。

彼女の転校前の先輩って言うのは?

疑問ばかりがうまれる。
592 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:51:36.70 ID:sYtPvDsN0
〔ほむらちゃん!!〕

〔――間一髪だったわね〕

「「えっ?!」」

画面の中の暁美さんを助けたのは私達だった……。

しかも、私ともう1人は、
魔法少女になっていないはずの、鹿目さんだった。
593 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:55:01.43 ID:sYtPvDsN0
36話ここまで。

次37話投下。
594 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:57:43.76 ID:sYtPvDsN0
『たった一つの願いを叶える為に』


「ど、どういうこと?

まどか、まどかは魔法少女だったの?」

「そんなはずは無いよ。僕と鹿目まどかは契約をしていない。

それに、暁美ほむらと違ってソウルジェムの気配すらない」
595 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:58:17.04 ID:sYtPvDsN0
キュゥべえが言う。

こんな所で嘘はつかないだろうから、真実。

だとしたら、あれは一体。

夢にしては、リアルすぎる……。
596 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:58:55.89 ID:sYtPvDsN0
「おいあれ! ほむらが見せたワルプルギスの夜じゃねぇか?!」

佐倉さんの声に現実に戻り、画面を見つめる。

そこには、たしかに暁美さんが見せたワルプルギスの夜が映っていて、
私が横たわっていて、それを挟むように鹿目さんと暁美さんがいた。

〔ねぇ…逃げようよ……だって、仕方ないよ…誰も、鹿目さんを恨んだりしないよ…〕

〔それでも、私は魔法少女だから。みんなのこと、守らなきゃいけないから 〕
597 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 07:59:25.40 ID:sYtPvDsN0
……鹿目さん。

そして場面が変わり、浅瀬が映った。

横たわる鹿目さんに、暁美さんが泣きついていた。

今の暁美さんには考えられない場面。
598 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:04:32.26 ID:sYtPvDsN0
〔どうして…?死んじゃうって、わかってたのに…。

 私なんか助けるよりも、あなたに……生きててほしかったのに…〕

〔彼女たちは、魔法少女。

 魔女を狩る者たちさ。それが役目だからね〕

〔……あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?〕
599 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:05:17.76 ID:sYtPvDsN0
〔そうとも。君にはその資格がありそうだ。

 教えてごらん。君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?〕

〔私は……。私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。

 彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい〕

〔その言葉は本当かい?暁美ほむら。君のその祈りの為に、魂を賭けられるかい?
 
 戦いの定めを受け入れてまで、叶えたい望みがあるなら。僕が力になってあげられるよ〕
600 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:06:53.35 ID:sYtPvDsN0
暁美さん……貴女はまさか……。

そしてまた場面が変わり、魔法少女となった
暁美さん、鹿目さんがワルプルギスの夜に立ち向かっていた。

そこからまた、浅瀬になり、2人が映し出された。

横たわっていた鹿目さんが、急に苦しみだした。

〔どうしたの?ねぇ、鹿目さん?しっかりして!〕

〔うっ?! あっ、ああぁぁぁ……あぁぁぁぁ!!!〕
601 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:07:36.41 ID:sYtPvDsN0
?!

鹿目さんのソウルジェムが割れ、グリーフシードが出現し、
そこから黒い煙が噴出した。

「な、んだよ。ありゃぁ……」

「まどかが魔女になった……?」

「私……が?」

〔魔法少女が魔女になるなんて……

 伝えなきゃ……みんなキュゥべえに騙されてる!〕
602 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:09:15.24 ID:sYtPvDsN0
「暁美さんはここであのことを知ったのね……」

「みたいだな……」

そして、今度は美樹さんも魔法少女として加わっていた。

〔あのさあ、キュウべえがそんな嘘ついて、一体何の得があるわけ?

 私達に妙な事吹き込んで仲間割れでもさせたいの?〕

「私、いきなり最低だ……」
603 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:09:43.62 ID:sYtPvDsN0
〔ち、違うわ!〕

〔さやかちゃん。それこそ仲間割れだよ〕

鹿目さんが美樹さんを止める。

〔はあ、なんにせよ、私この子とチーム組むの反対だわ。

 まどかやマミさんは飛び道具だから平気だろうけど、

 いきなり目の前で爆発とか、ちょっと勘弁して欲しいんだよね。何度巻き込まれそうになった事か〕
604 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:10:18.88 ID:sYtPvDsN0
そしてまた場面が変わり、魔女との戦闘中だった……。

今度は佐倉さんも戦闘に参加していたけれど、
美樹さんがいない。

それどころか、みんなは、魔女に美樹さんの名前を呼びかけていた……。

〔ごめん…美樹さん…〕

暁美さんの声が流れ、直後に魔女が爆発して吹き飛ぶ。

暁美さんは、あんなのを繰り返していたというの?
605 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:11:25.70 ID:sYtPvDsN0
結界が消え、画面の中の私達は外に出たらしい。

けれど、次の瞬間。

暁美さんが縛り上げられ、佐倉さんのソウルジェムが打ち抜かれた。

今のは……私の仕業……?

〔ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない! 貴女も、私も!〕

そう言って、暁美さんに私は銃を向けていた……。
606 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:11:53.26 ID:sYtPvDsN0
駄目、撃っちゃ駄目!!

そして、
トリガーがひかれる前に、ピンク色の矢が、
私のソウルジェムを撃ち砕く。

〔嫌だぁ〜…もう嫌だよ、こんなの…〕

〔大丈夫だよ。二人で頑張ろ?一緒にワルプルギスの夜を倒そう?〕

暁美さんが鹿目さんに駆け寄り、声をかけると、
鹿目さんは静かに頷いた。
607 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:12:20.47 ID:sYtPvDsN0
そしてまた、ワルプルギスの夜との戦闘後が映し出された。

〔私たちも、もうおしまいだね〕

〔グリーフシードは?〕

暁美さんの問いに、鹿目さんが首を横に振る。

〔そう…。ねぇ…私たち、このまま二人で、怪物になって…こんな世界、何もかもメチャクチャにしちゃおっか?

 嫌なことも、悲しいことも、全部無かったことにしちゃえるぐらい、壊して、壊して、壊しまくってさ…。

 それはそれで、良いと思わない?〕

暁美さんが自嘲気味な笑みを浮かべて言う。

「?! え?」

鹿目さんはそれに答えることなく、
隠し持っていたであろうグリーフシードを暁美さんのソウルジェムに使う。
608 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:12:52.69 ID:sYtPvDsN0
〔そんな…!何で私に!?〕

〔私にはできなくて、ほむらちゃんにできること、お願いしたいから

 ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?

 こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって、言ってたよね〕

鹿目さんが泣きながらも、微笑む。

〔うん……〕
609 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:13:37.49 ID:sYtPvDsN0
〔キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けてあげてくれないかな?〕

〔約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。

 何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!〕

暁美さんが鹿目さんの手を握って誓う。

〔もう一つ、頼んでいい…?

 私、魔女にはなりたくない。嫌なことも、悲しいこともあったけど、

 守りたいものだって、たくさん、この世界にはあったから……〕

〔ま……どか……〕

〔ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。嬉しい…な〕

そして、銃声が響き、
また、暁美さんがベッドで目覚める……。
610 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:14:07.35 ID:sYtPvDsN0
「時間逆行者……いわゆる、タイムトラベラーっていうやつだね。

彼女はきっと、永遠といえる時間を、繰り返してきたんだろうね。

たった一つの願いを叶える為に」

キュゥべえが呟く。

「ほむらちゃん……。みんな!! 早く、早くほむらちゃんを!!」
611 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:14:50.21 ID:sYtPvDsN0
私達が暁美さんに近づいた時だった。

「よだりむ、よだりむ、よだりむ、よだりむ、よだりむ、よだりむ、よだりむ」

暁美さんが、呟いてる?

よ・だ・り・む?

無理だよ?


「暁美さん!! 無理なんかじゃないわ!!

私達が、貴女を助けてみせる!!」


私達の、鳥かごを壊す攻撃が始まった……。
612 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 08:18:02.33 ID:sYtPvDsN0
37話ここまで。
多少展開が走り気味だけど、気にスンナ。

今日の夜と、明日は多分無理。
明日は確実に無理で、今日の夜はもしかしたら無理。

今日の夜。投下できたらそれはとっても嬉しいなって
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/06/19(日) 08:24:51.50 ID:RauLLNsz0
お疲れ様でした
いつまでも待ってます
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/19(日) 09:27:17.08 ID:6aalp0SIO
乙!
こんなに続きが気になるSSがあるなら夜寝れないじゃない!
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/19(日) 09:50:47.69 ID:V0xwX9ZOo
お疲れ様でした
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/19(日) 10:05:04.83 ID:HbhpWLvAO

やべぇ、ちょっと感動した。コレは良スレだわ
ここまで細かく、しかもちゃんとしてるやつを前スレから考えていただと!?
作者さん恐ろしい子…
続き無理せずに頑張って!!
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/19(日) 11:12:20.40 ID:vXZdqbWSo


夜まで待ってる
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/19(日) 14:27:20.78 ID:FGj3Z/31P
第十話鑑賞会とは…
619 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:18:52.15 ID:sYtPvDsN0
本当は時間無いけど。
期待されてるんなら、学校なんて行ってる場合じゃない。

講義までの残り1時間。
学校まで30分。
よし、投下。
620 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:22:38.39 ID:sYtPvDsN0
>>613
今、1話だけ投下。
1話しか無理ですまん。

>>614
完結はするから、ゆっくり眠ってくれ。

>>616
他のスレ見てるうちに書きたくなった。
もう、書き溜めは終ってる。後は投下のみ。

>>617
夕方ですまん

>>618
ん?
どういう?

じゃ、投下。
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/19(日) 17:22:40.00 ID:00KQ2ab1o
……無茶はしない方が良いと思うけどね
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/19(日) 17:23:31.97 ID:gRQn9kvlo
リアル優先!
1の現実がやばくなったらそれこそ悲しいぜよ
623 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:24:55.15 ID:sYtPvDsN0
>>621
問題ない。
講義に遅れるつもりは無い。
最短で25分でつける。
単位も足りてるし。

じゃ、投下。
624 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:25:57.50 ID:sYtPvDsN0
  第38話

『仲間がいる』


私は暗い闇の中に居た……。

無理……そう。

私がやってることは無駄で。

私がやろうとしてることは、絶対に無理なこと……。

まどかを救うなんて無理。

先輩を救うのも無理。

杏子を救うのも無理。

さやかも救うのは無理。
625 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:26:24.53 ID:sYtPvDsN0
ふふっ、あははははは。

無理、無駄だったんだ……私がしてきたことは。

笑うしかないわ……。

何度も何度も繰り返してきて……。

それでも、救えないで。
626 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:27:03.32 ID:sYtPvDsN0
どこに自信持って、私は救うなんて言ったの?

救えるなんて思ったのよ?

ねぇ、教えなさいよ。暁美ほむら……。

結局、私は守られることしか出来ない……。
627 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:27:40.86 ID:sYtPvDsN0
「そんなこと無い!!」

え?

「まどか?」

「守られる事しか出来ない?

違うよ、わたしは、ほむらちゃんに助けられてきたよ!!」
628 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:28:09.67 ID:sYtPvDsN0
「そうだよ。私だって、

ほむらの後押しがあったからこそ、

自分の隠してきた気持ちを伝えることが出来たんだから」

さやか……。
629 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:29:01.89 ID:sYtPvDsN0
「私もよ?

真実を聞いて絶望しかけた私を包み込んでくれたのは、

他でもない、貴女じゃない……。

貴女は私の、私達のなんだったのか思い出して」

先輩……。

「なぁ、ほむら。アタシ達は確かに独りじゃ何にも救えない。

けどさ、今のアタシらは独りじゃねえ」

杏子……。
630 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:29:48.94 ID:sYtPvDsN0


「「「「仲間がいる!!」」」」

631 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:30:15.87 ID:sYtPvDsN0
みんなの声のみが空間に響く。

みんな……。

「本当に? 私はみんなを助けられる?

これからも、守っていける?

ワルプルギスの夜を倒して、明日を迎えることが出来る?!」

私はそう叫び、声のした方向へと手を伸ばした……。
632 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:31:03.72 ID:sYtPvDsN0
「――っ?」

病室?!
またループしたかと不安になった時だった。

「ほむらちゃん!!」

ま、どか……?

目を覚ました私は、まどかに抱き寄せられた。
633 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:31:32.36 ID:sYtPvDsN0
「やっと目、覚ましたか。この馬鹿!」

「杏子……言い方ってものが」

怒鳴った杏子に、さやかが注意する。

「それだけ心配だったってことよ」

先輩が笑う。
634 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:32:15.88 ID:sYtPvDsN0
私、生きて?

あれ?

確か、魔女に……。

「覚えてる? 4日前、貴女は魔女に捕まってしまった。

そして、私達が救出してから今まで。ずっと眠り続けてた」
635 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:32:44.56 ID:sYtPvDsN0
先輩が神妙な面持ちで言う。

「ごめん……なさい」

「謝るのはアタシ達だ」

私がそう言うと、
杏子達が申し訳なさそうに口を開いた。
636 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 17:34:44.47 ID:sYtPvDsN0
以上38話。
また気になる所で終った?
だとしたらすまん。

じゃぁ、準備して学校行く。
これなら間に合う。

夜に投下できたらそれはとっても嬉しいなって。
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/19(日) 18:14:04.70 ID:4T6c5zSco
乙!
もう講義中だろうけど頑張ってな!
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/19(日) 19:24:01.20 ID:+dv7QmaJo

面白過ぎて禿げそうだ
そして眠れねぇ
講義頑張れよ
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/19(日) 21:22:00.12 ID:V0xwX9ZOo
お疲れ様でした
640 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 21:26:49.20 ID:sYtPvDsN0
>>637
頑張ってきた。

>>638
寝ろ!!

ただいま。
少ししたら投下する。
641 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 21:54:41.34 ID:sYtPvDsN0
  第39話

『揃いも揃って、私達は謝ることばかりなんですね……』


「なぜ?」

「実は、ほむらが捕まっていた魔女が、

私達に見せたんだよ……ほむらの過去」

さやかが俯く。
642 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 21:56:42.33 ID:sYtPvDsN0
え?

それじゃぁ、全部……。

「ごめんなさい、わたしのせいで、わたしのせいで……

ほむらちゃん、ずっと頑張ってきてくれたんでしょ?

わたしの馬鹿なお願いの為に、ずっと……」

まどかが泣きながら言う。
643 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 21:58:30.19 ID:sYtPvDsN0
「私達が貴女を信じないせいで、余計に繰り返すことになっていたのよね……」

「まどか、先輩、さやか、杏子……

私は、私は謝ってもらう価値なんて無い……

だって、諦めて見捨てることもあったのよ?」

「それだって、元を辿ればアタシらの不信のせいだ。

そんなこと言われたら、守られる価値が無いってもんだよ」

杏子が苦笑する。
644 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 21:59:07.98 ID:sYtPvDsN0
「そうだね、魔法少女の私の態度。

あれは酷かった……ごめん」

「私も、取り乱して佐倉さんを殺し、

暁美さんにまで手をかけようとしてしまった……

謝罪しても仕切れないことよ……」
645 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 21:59:48.84 ID:sYtPvDsN0
みんな……。

「揃いも揃って、私達は謝ることばかりなんですね……」

私はそう言って微笑む。

「ほむらちゃん、口調が……」

「これが本当の私の口調。でも、いつの間にか、

私は強がって、先輩を呼び捨てにしたりしてしまっていたわ」
646 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 22:00:19.45 ID:sYtPvDsN0
「あら、私はこっちの方がかっこいいし、

貴女に似合うと思うわ」

先輩が微笑む。

「そう? 髪を三つ編みからストレート。

そう言ったのも、先輩だった……」
647 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 22:00:49.72 ID:sYtPvDsN0
「確かに、見慣れてるせいかもしれないけど、

向こうよりこっちの方が似合ってるよ」

さやかが私の髪を弄りながら言う。

「……あの日から4日って言ったわよね」

「ええ」

先輩が頷く。
648 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 22:01:23.54 ID:sYtPvDsN0
つまり、ワルプルギスの夜まで、2日も無い……。

「今日は14日。午後3時……」

さやかが呟く。

「ギリギリだけど、目が覚めてよかったわ。

幸い、私に接触してきたのは精神攻撃しかしなかったから助かったわ」
649 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 22:01:49.58 ID:sYtPvDsN0
「でも、ほむらのソウルジェム……」

杏子が私が取り出したソウルジェムを見て俯く。

「私達も、魔女退治でずいぶんと消費してストックが……」

先輩が悔しそうに言う。

私のソウルジェムは、魔女の精神攻撃で真っ黒になっていた……。
650 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/19(日) 22:07:35.52 ID:sYtPvDsN0
短くてすまん。
これで39話終了。

1時間くらい寝るんだが、そのまま寝ちゃうかもしれない。

明日はほぼ確実に無理。
様子見くらいならできるかもしれないけど。
投下なんて余裕は無い。

午前2時から朝10時までバイトなんだ。
シフトフリーにしたのが馬鹿だったorz

12時30分までに起きれたら投下するよ。

じゃ、また。
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/19(日) 22:08:34.48 ID:UDZM25/U0
乙!
しっかり寝て体力回復しとけよ〜
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/19(日) 22:10:14.01 ID:vXZdqbWSo


ほむらの記憶が見られたのは大きなプラスに働きそうだな
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/19(日) 22:12:43.47 ID:V0xwX9ZOo
お疲れ様でした

ああ・・・・これで、ほむほむさんの経験の他にも、黒歴史もまた知られてしまったわけですね・・・・・・。
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/19(日) 22:15:05.19 ID:TIZ7oDYqo
乙!
気になり過ぎてつむじの髪の毛が抜けてきた
割とガチで
たぶん寝てないからだろうけど
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/19(日) 22:21:28.73 ID:w4h4dUtDO
お、乙するだァーーーッ!
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/19(日) 23:00:04.54 ID:66867l7mo
乙としかいえない
657 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:27:56.03 ID:29gkDfK60
おはよう……?

>>651
たった2時間じゃ逆にだるいだけだった件。

>>652
だなー。
もうすでに、今までのことで謝ってるし。

>>653
黒歴史って……。
ここのほむほむは、変態ほむほむとかじゃないから、
真面目にみんなを助けようとしてる記憶しかない。

じゃ。
投下。

658 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:28:46.72 ID:29gkDfK60
  第40話

『先輩と初めて協力した記念品みたいなものね』


「問題ないわ」

私はそう言って、魔法少女の服装に着替える。

「問題ないって、どうするの?」

まどかが不安そうに聞く。

「以前、私は先輩から残り一回のグリーフシードを頂いたわ」

「え?」
659 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:29:56.28 ID:29gkDfK60
「先輩と初めて協力した記念品みたいなものね」

私はそうクスッと笑って、グリーフシードを取り出す。

「まさかこんな時に使うとは思わなかったわ。

先輩、先輩に私は救われたってことね」
660 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:31:16.58 ID:29gkDfK60
グリーフシードが私のソウルジェムの穢れを全部吸い取る。

「QB、よろしく」

「お安い御用さ」

QBにそれを渡して、元の服装に戻る。

「これで、私も戦えるわ」
661 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:31:57.50 ID:29gkDfK60
「暁美さん、もう、ループなんてさせないわ」

「うん、私達がついてるからね」

「アタシ達がみんなで協力すれば」

「絶対に大丈夫。そうでしょ。ほむら」

「ええ」

今までのループの先輩達……。

有難う。
662 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:32:36.55 ID:29gkDfK60
今までの経験があったからここまで来れたんだと思う。

全部無駄なんかじゃなかったんだと思う。

だから、

今までの全てのみんなに、ありがとう。

そして、私……ううん。違う。

私達は、ワルプルギスの夜を乗り越えて、

明日を迎えてみせる。
663 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:33:47.25 ID:29gkDfK60
暫くして、先輩達は帰っていき、

まどかだけが、ここに残っていた。

「ほむらちゃん」

「なに? まどか」

まどかは少しだけ不安そうな表情をして、躊躇していた。

少し、もじもじと体を動かしている姿は、可愛い。と、思う。
664 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:34:18.10 ID:29gkDfK60
「今回は、大丈夫。だよね?」

……。

「ええ、平気よ」

「本当に?」

「だって、みんながいるから。

私はもう、独りじゃない。

先輩と2人では相討ちになっていたかもしれないけれど、杏子も居るから」
665 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:34:47.37 ID:29gkDfK60
それに、貴女の。

さやかの、先輩の、杏子の。

みんなの笑顔がここにあって。

また。

学校に行く。

そう、私は心に決めたから。

「本当に大丈夫。私たちは絶対に、負けたりなんかしない」

私はそう言って、微笑んだ。
666 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:35:50.50 ID:29gkDfK60
40話は短いから、早く終った……。

これなら、41話もいける。
667 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:36:35.43 ID:29gkDfK60
  第41話

『行ってきます』


「ついに来た……わね」

「ええ、長かったし、短くもあったわ」

私は先輩の言葉にそう答える。
668 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:37:18.47 ID:29gkDfK60
強い風が吹き付ける中、私達は見滝原の避難所に居た。

強い風、スーパーセル。と、一般人は言っているけれど、

それは違う。

スーパーセルは、ワルプルギスの夜。

私達が倒すべき敵。
669 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:38:11.75 ID:29gkDfK60
「私達は、ここで、恭介ところで待ってるから」

「うん、だから、絶対帰ってきて」

さやかとまどかが心配そうに言う。

「絶対帰ってくるよ。まどか、さやか。私はもう独りじゃないから」

「ええ、3人もいるんだから」
670 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:39:38.72 ID:29gkDfK60
「だから、安心して待ってて。私たちは、近くに居なくても、

この指輪がある限り繋がっていられるから」

先輩が微笑む。

杏子、さやか、先輩、私、まどか。

私達の指にはそれぞれ、自分の色を抜いた指輪がはめられていた。

私達が、私達を。

信頼しているという証拠。

仲間である証。
671 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:40:17.44 ID:29gkDfK60
私達は互いに顔を見合わせて、

その指輪のはめられた手を重ねる。

「私達は、生き残る、そして必ずここに帰ってくる」

3人一緒に、ここに必ず」

私達は掛け声のように言い、そして離れ、出口へ向かう。

そして、

「「「行ってきます」」」

私達3人は、振り返ることなくそう言い、

決戦の場へと向かった。
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/20(月) 00:41:07.90 ID:4Djh25tWo
…….
673 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:41:12.40 ID:29gkDfK60
「静かだな……」

杏子が言い、

「ええ」

私が呟く。

「嵐の前の静けさ。ね」

先輩が呟く。

「QBは?」
674 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:41:52.60 ID:29gkDfK60
「QBなら、まどか達のところだろ。巻き込まれたくは無いだろうし」

杏子が苦笑する。

「キュゥべえのことだから、全部避けるんじゃないかしら」

「当たっても、別に痛くない。とか言いそうね」

って、QBは死んでもスペアの体があるから問題ないけど。
675 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:42:37.85 ID:29gkDfK60
「そろそろ来るわ」

白い煙が、前方から吹き込み、私達の後ろへと流れていく。

「……だな」

「きたわね」

杏子と先輩も頷く。

魔女の結界内の生き物達で作られたのであろう、パレードの集団が、

私達の横を通っていく。
676 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:44:28.80 ID:29gkDfK60
「出てきたわ」

「みたいだなぁ」

「暁美さん」

先輩がそう言って微笑み、

手を差し出す。

「ええ」

私はそれに微笑み返し、

先輩と、手をつなぐ。

「さて、アタシは一旦下がるよ」

杏子がそう言ってバックステップで下がる。
677 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:45:08.16 ID:29gkDfK60
「きゃはっきゃはははははっ!!!」

上空に現れた敵。

巨大な歯車を回転させ、

青と白のツートンカラーのドレスを着たような女性をイメージさせる魔女。

ワルプルギスの夜。

「さぁ、始めましょう。

私達が明日を迎えるための、大勝負を!!」
678 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 00:47:32.30 ID:29gkDfK60
>>672
どうかした?
変な点あったら言ってくれて構わんよ?


41話以上。
月曜日の投下はこれ以降は多分ない。
火曜日には投下したいけど、最悪できない可能性もある。

じゃ、バイトの準備してくる。
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/20(月) 00:52:44.94 ID:4Djh25tWo
>>678
見てるよというのを暗に示してみた

楽しみにしてるよ
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/20(月) 00:56:58.74 ID:svgCCgTmo
お疲れ様でした
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/06/20(月) 01:03:01.45 ID:bizGiKVKo
おつおつ

>>私達の指にはそれぞれ、自分の色を抜いた指輪がはめられていた。

メリケンサック想像しちまったよちくしょー
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/20(月) 07:16:00.47 ID:aDg/rGRDO
乙!!
無理せんでもいいぞ〜
続き投下までマターリしてるから
683 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 10:55:00.27 ID:29gkDfK60
バイトオワタ。
どうも。
コメの返事くらいしか出来ない>>1を許せorz

>>679
何かと思って焦ったぞ。

>>681
そんなわけあるかー。
普通の指輪だよ。

>>682
本当にマターリになるorz

>>671訂正

×>「私達は、生き残る、そして必ずここに帰ってくる」

3人一緒に、ここに必ず」

○>「私達は、生き残る、そして必ずここに帰ってくる。

3人一緒に、ここに必ず」


ほかにも訂正あるかも。

じゃ、このまま学校orz
684 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:12:59.73 ID:29gkDfK60
ただいま。
帰ってきた。

物凄く寝たい。

だから、
投下したら寝る。
685 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:13:29.30 ID:29gkDfK60
  第42話

『まだ、終らない!!』


「先輩!!」

「ええ!!」

私達は互いに呼び合い、あたり一面に武器をばら撒く。

時間停止!

私の魔法、時間停止を使用。

私と手をつないでいる先輩と発動者の私しか動くことが出来ない空間。
686 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:14:03.41 ID:29gkDfK60
時間停止限界まで、

互いに当たりにばら撒いた武器を、片っ端から撃ち続ける。

そして。

「きゃは――」

大量のミサイルじゃ、銃弾がワルプルギスの夜に直撃する。
687 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:15:12.80 ID:29gkDfK60
「よっしゃ、次はアタシだ!!」

先輩と手を掴んだまま杏子とも手を繋ぎ、

ワルプルギスの所まで一直線に駆けていく。

「きゃはははっ、きゃははは!!」

「その声は耳障りだ!!」

時間を止め、杏子の大量の槍が、降り注ぐ時を待つ。

「私も援護するわ」

「同じく」
688 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:15:41.81 ID:29gkDfK60
私達もそれぞれ武器を出し、至近距離からの連続射撃を打ち込む。

「杏子、先輩!」

時間再動直前に、離れ、動き出した瞬間。

ワルプルギスの夜が爆発で吹き飛び、

建物に衝突する。

「まだ、終らない!!」

ワルプルギスが吹き飛んだ方向に設置しておいた数千のC4爆弾を全部同時に爆発させる。
689 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:16:12.44 ID:29gkDfK60
建物なども巻き込んでいるけれど、

人がいないことは確認済みだ。


「うわっ、凄いの仕掛けたな……」

「けれど、まだ油断はしないで。ここからは時間停止を使用せず、数でせめるわ」

「ええ、解ったわ」
690 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:16:39.21 ID:29gkDfK60
「先輩、杏子、無理だけはしないで。

グリーフシードがない今、温存しなければ帰れないから」

「「了解」」

「きゃははははははは!!」

ワルプルギスの夜が笑いながら、また空に浮上する。
691 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:17:23.22 ID:29gkDfK60
「行くわよ!!」

私達は散開し、3方向からワルプルギスの夜を攻める。

「これでもっ……くらいなさい!!」

展開したパトリオットを10数発全弾打ち込む。

そして、念話を使い、呼びかける。
692 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:17:49.13 ID:29gkDfK60
《杏子!》

《大丈夫、下がってるよ!》

《先輩!!》

《大丈夫、任せて!》

「ティロ・フィナーレ!!」

先輩の声が響き、巨大な弾丸がワルプルギスの夜に直撃し、

黄色い糸が縛り上げる。

「ぶっ飛びなさい!!」

そして、私の放ったミサイルが直撃した……。
693 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 21:20:59.38 ID:29gkDfK60
42話。
短いけどここまで。
43話は22時中に投下する。
しなかったら、寝たってことで投下はない。

じゃ。
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)[sage]:2011/06/20(月) 21:31:33.44 ID:PvmByeORo
お疲れー
…やったk(ry
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/20(月) 21:50:12.97 ID:4Djh25tWo
生存フラグだと……
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/20(月) 21:54:56.69 ID:6eFHO0VAO
ヤーさんとかのところからミサイルとか調達できるの…か!?

まさかの自家製だったり…wwwwwwwwwwww
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/20(月) 21:59:04.80 ID:svgCCgTmo
ほむらさんは、自衛隊とか在日米軍とかからも兵器調達をしていたかと。
698 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:06:38.45 ID:29gkDfK60
>>694
それは言っちゃいけない……のに。

>>695
なん……だと?

>>696
自家製爆弾もあるけど、軍隊とかから調達してるよ。

じゃ、投下。

43話。
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[sage]:2011/06/20(月) 22:06:49.12 ID:D7VQ+G7oo
どう考えてもあの世界の在日米軍司令と幕僚長の首は飛んでるよな
700 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:10:06.10 ID:29gkDfK60
  第43話

『私が来なきゃ、ほむら達の守りたい未来は守れないからね』


「はぁっ……はぁっ……」

私達3人の肩での呼吸が響く、

上空ではいまだワルプルギスは余裕だといわんばかりに笑っていた。

「全火力ぶっ放してこの程度って、まじでなんなんだよアイツ」

杏子の悪態が耳に届く。
701 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:10:54.14 ID:29gkDfK60
ワルプルギスの夜の周りを、建物が、車が、

あらゆるものが旋回し、私達の攻撃からワルプルギスの夜を守っていた。

厄介なことに攻守共に可能なそれは、

私達の息が切れ、着地するたびそこに降り注ぐ。
702 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:11:38.00 ID:29gkDfK60
この見滝原に存在するすべての物質は、

ワルプルギスの夜というマシンガンの薬室につめられる弾。

弾薬、際限なき弾薬は私達の戦意、否、魂奪うべく放たれる。

魔法少女でないのなら、確実に私達は死んでいると思う。

QBに感謝しないといけないわね……。
703 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:12:03.82 ID:29gkDfK60
敵の攻撃は、

私達の体を少しずつ削り取っていく……。

いずれ、腕や足や首が弾け飛ぶ。

そんな恐怖が体を鈍らせようと絡み付いてくる。

いたるところから流れる血に気づき私達はそれを止血し、また動く。
704 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:12:40.14 ID:29gkDfK60
魔法で治療をしたくても、止まって治療できなければ、

まともな治療は出来ず魔力の無駄遣いになるし、

なんにせよ、ワルプルギスを削る方に魔力を使いたい。

回復した所でまた削られるだけ……。

「先輩……アレは何発撃てそう?」
705 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:13:07.39 ID:29gkDfK60
私はすぐ横にいる先輩に尋ねる。

「良くて3発ってくらいかしらね……」

先輩が辛そうに言う。

3発。

残魔力を使い果たせばって、ことかしらね。
706 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:15:26.81 ID:29gkDfK60
「先輩は出来るだけ温存を。

ティロ・フィナーレ1発使っても生き残る使い方をお願いするわ」

「ええ、解ったわ」

「アタシはどうする?」

杏子が私に尋ねる。

「きょ――?!」

あぶっ……。

ゆっくり作戦会議は許さないってことね。
707 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:16:04.56 ID:29gkDfK60
「杏子は、先輩の防衛お願い、先輩の一撃に全てを懸ける。

撃つ時に、私と杏子、先輩三人の魔力の一撃を打ち込む!」

私は動き回り、襲い掛かってくる使い魔や、

降り注ぐ瓦礫を蹴散らす。

「解った!!」

杏子の声が私に届く。

「あなた達居加減しつこいわ!!」

取り出した機関銃で敵を撃ちぬく。

なんとしても、ここでワルプルギスを……?!
708 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:18:23.85 ID:29gkDfK60
「おいおい、何する気だよあいつ!!」

杏子が怒鳴って空を見上げる。

え……?

見上げると、

ワルプルギスの大きな歯車が向けられていた。

「暁美さん! アレは一体何を?!」

先輩の声が私を呼ぶ。
709 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:18:49.16 ID:29gkDfK60
しかし、私には答えられなかった。

あんな行動は未だ嘗て一度も見たことなかった……。

「きゃはは、きゃははははははっ!!」

ワルプルギスの叫びと共に、

歯車の前方に集束した黒き闇の砲撃が杏子と先輩を狙う。
710 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:20:18.60 ID:29gkDfK60
「ま、不味い!!」

不味いと思って時間を止めて杏子達の前に躍り出る。

2人同時に移動なんて手立ては無いのだから仕方が無い。

そして、時間は動き出す。
711 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:21:57.29 ID:29gkDfK60
「ちょっ?!まず――ほむら?!」

「私の後ろにいて。私が2人を絶対に守るから」

私はそう言って前方に防御の結界を張る。

瞬間、放たれていた黒い弾丸が、

その結界を打ち砕かんと衝突する。
712 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:22:27.97 ID:29gkDfK60
ぐぅっ……。

かなり重い一撃、生身でビルでも衝突したような……でも。

私は受けきってみせる。

みんなを、守るんだから!!

「きゃははは!!」

「?!」
713 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:23:10.85 ID:29gkDfK60
失念、と言うだけで表すならどれだけ簡単なんだろう。

私は全意識を、2人を守る結界に集中していたがゆえに、

使い魔は私の真横に迫ってきていた。

それに気づけなかった。

動けば、結界が崩れる。

動かなければ、私はやられる。
714 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:23:50.87 ID:29gkDfK60
どっちを選ぶのも、いい結果でないことは明らかだった。

なら、

使い魔の攻撃も、魔女の攻撃も。

私が受ければ良い。

そう、諦めようとした時だった。

「――あーもう、やっぱり見てられないって言うか。

ほむら、1つのことに集中しすぎ。まぁそれが言いところでも。あるんだけどさ」
715 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:24:23.06 ID:29gkDfK60
そう、声が聞こえたかと思うと、

周りの使い魔が消えて私の結界に重なるように青い防御の結界が張られた。

青。それはつまり……。

「さやか……」

私の隣に現れた魔法少女に。私は呟く。

「きちゃった。別に後悔とかはして無い。

私が来なきゃ、ほむら達の守りたい未来は守れないからね」

彼女はそう言って、微笑んだ。
716 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/20(月) 22:27:04.09 ID:29gkDfK60
以上で43話終了。

>>699
防犯カメラでも捕らえられない窃盗なんだから、

ギリギリ……ないか。

じゃ、今日の投下は終了。

明日は多分出来ない。
っというよりも、今週投下できる可能性があんまりない。
木曜日には完結って言ったし、
後5話なのに、時間がね。

じゃ、また。
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/20(月) 22:37:26.40 ID:svgCCgTmo
お疲れ様でした。
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)[sage]:2011/06/20(月) 22:39:30.34 ID:D7VQ+G7oo
乙華麗
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/20(月) 22:40:02.47 ID:eetyOPAJo
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/20(月) 23:12:29.43 ID:4Djh25tWo
おおう、さやか参戦か

721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/20(月) 23:48:42.01 ID:aDg/rGRDO
乙!!
終わりが近付いている・・・
嬉しいけどちょっと寂しいなぁ〜
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/21(火) 00:05:03.68 ID:DpdCirUIO
乙!
後5話か…
このSSアニメ化して欲しいぐらいクオリティ高いな
ってかアニメ化してくれ
723 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:28:58.79 ID:GDz5y0Q00
どうも。
多分出来ない=投下できるになりつつある>>1

>>721
まぁ、htmlしても、いつでも見れるし。
終わりを喜ぼう。

>>722
そこまで言われると、次の作品を書きづらいorz

44話、45話を、今日中に投下したい。

44話を今から投下する。
724 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:29:52.33 ID:GDz5y0Q00
  第44話

『絶対に、僕の所に帰ってきてくれ』


「スーパーセル、か。凄いね……」

「うん」

みんな、無事だと良いけど……。

「さやか?」
725 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:30:20.98 ID:GDz5y0Q00
「へ?」

急に恭介の右手が、私の手を掴んだ。

「浮かない顔してるけど、大丈夫か?」

「うん、私は平気だよ」

私はそう言って微笑む。
726 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:31:14.35 ID:GDz5y0Q00
「……さやか」

「なに?」

「何か心配なことでもあるのか?」

恭介の不安そうな声が耳に届く。

……うん。あるよ。

あるけど……。

「何にもないよ」

いえないよね……。
727 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:32:06.78 ID:GDz5y0Q00
《さやかちゃん!!》

《まどか?》

《このままじゃ、みんなやられちゃうかもしれない》

《どういうこと?!》

《結構近くまで、ワルプルギスの夜が近づいてきてるの……

 つまり、みんなが――》
728 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:32:35.72 ID:GDz5y0Q00
っ?!

そんなの……。

《そんなのただの仮説だよ。みんななら……》

《いや、このままじゃ多分負けるよ》

《キュゥべえ?》

《君達に今の戦況を送ってあげるよ》
729 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:33:13.70 ID:GDz5y0Q00
キュゥべえが言うと同時に、

マミさん達の戦っている映像が頭の中に流れ込む。

え?

嘘……。

3人ともぼろぼろになって、

普通の人間なら、かろうじて立っていられる状態。
730 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:33:54.11 ID:GDz5y0Q00
でも、みんなは魔法少女だから、そんなの気にせずに戦ってる……。

《魔力も底なしじゃない。切れてしまえば魔女になる。

 どうする? 美樹さやか、鹿目まどか》

どうするって、私達は……。


「……恭介」

「ん?」

「私が、もしも魔法少女って言うのになったらどう思う?」
731 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:34:21.69 ID:GDz5y0Q00
「なんだい、急に。まぁ、かっこいいんじゃないか?」

恭介が笑う。

「それが、肉体を改造されて、魂が別のものに封じ込められたやつでも?」

「……さやかの魂がどこにあったって、

その魂と繋がっているなら。僕は、それをさやかだと思う」

「え?」
732 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:34:50.71 ID:GDz5y0Q00
「何で悩んでるか知らないけど、前言った通りさ。

僕は、どんなさやかであっても、それがさやかである限りって」

恭介が微笑む。

「わ、私。人間じゃなくなるんだよ?

魔法少女って言う化け物になるんだよ?

しかも、何でそんなことを信じるの?」
733 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:36:01.55 ID:GDz5y0Q00
普通信じない。

これだって、冗談だって思って――。

「僕は、さやかの嘘、冗談、本音、真実。それを見ぬ抜けるって自負してるよ。

そんなSFチックなことだろうと、

さやかの言葉を僕が真実だって思ったらそれは真実だ。

現に、さやか。君は嘘をついているかい?」
734 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:36:29.47 ID:GDz5y0Q00
「ついてない……けど」

「なら、僕に遠慮することなく魔法少女になってくれて構わないよ。

さやかが気にしている「何か」そこまでは知らないけど、

少なくとも、今。さやかが行かないと大変なことになったりするんだろ?」


私は首を縦に振って答えた。
735 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:37:02.87 ID:GDz5y0Q00
「じゃぁ、いきなよ。

あぁ、そうそう。

もし、奇跡や魔法で僕の手を直すって言うことなら勘弁して欲しい。

代償が、さやかが人間じゃなくなる。

僕の手は、そんなに高い代物じゃないからね」
736 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:37:38.38 ID:GDz5y0Q00
「恭介……うん。解った……

こんな馬鹿みたいなこと、信じてくれてありがと」

私は恭介にそう言って微笑む。

踵を返した時だった。

「ただ、これだけは守ってくれないか?」

「え?」

「絶対に、僕の所に帰ってきてくれ」

私は俯く……こんな時に。

「うん、絶対戻ってくるよ!!」
737 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:38:18.33 ID:GDz5y0Q00
私はそう言ってその場から駆け出す。

そして、出口にはまどかとキュゥべえがいた。

「まどか、待っててくれたの?」

「うん」

「さぁ、君たちの願いを聞くよ。僕に教えてほしい。そして、魔法少女になってよ」

キュゥべえが囁く。

私の願いは、恭介の手を直すこと。

でも、それは要らないって断られた。
738 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:39:24.40 ID:GDz5y0Q00
みんなを救うことは魔法少女になれば出来る。

なら?

うん。これにしよう。

「美樹さやか、君の願いはなんだい?」

「私の願いは、キュゥべえ達に感情を与えること!」

「?! 君はそんな願いで良いのかい?」
739 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:39:55.10 ID:GDz5y0Q00
「うん、恭介に腕は治すなって言われたから、

じゃぁ、可哀想なキュゥべえ達に感情を。私はそう、思った」

私はそう言って微笑む。

「解った。契約は成立だ。君の祈りはエントロピーを凌駕した。

さあ、解き放ってごらん。その新しい力を!」
740 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:40:22.75 ID:GDz5y0Q00
私の……力。

「……ソウルジェム」

私の手には青く輝くソウルジェムが握られていた。

「さやかちゃん」

「うん、行って来るよ!!」

私はそう言って魔法で上げたスピードで、ほむらたちの元へと向かった。
741 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 19:43:26.17 ID:GDz5y0Q00
以上44話。
さやかの願いでした。
恭介はこんなキャラじゃない。
そう言いたい場合は言ってくれて良いよ。

45話は22時くらいになると思う。

途中「ん?」ってところがあったりしたら報告してくれて構わない。

ただ、訂正は出来ないと思う。


じゃ。
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/21(火) 20:13:41.29 ID:DpdCirUIO
乙!
さやかがカスじゃない…だと?
まどかが魔法少女にならなくてよかった…
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/21(火) 20:15:55.42 ID:LWx4OtW9o
ここまでやってなおカスだったらまどかでも腹パンするレベル


乙カレー空間
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/21(火) 20:20:41.11 ID:RjfCcmfoo
乙上条△
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/21(火) 20:23:32.87 ID:f1S4mbSRo
乙。恋人同士になってるならこんなもんじゃね?
つーか本編でも改めて聞かれればこんな反応だと思うけど
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/21(火) 20:39:23.53 ID:rDKWJ9bLo
願いが気になるところだな
747 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:45:30.62 ID:GDz5y0Q00
>>742
え?
まどか?
……すまん。

>>743
まどかが腹パン……だと?
想像したら以外に似合った。

>>745
そう……かな。

>>746
成就してる。はず。


じゃ、45話
748 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:46:19.41 ID:GDz5y0Q00
  第45話

『舞台の幕を。下ろしに行こう』


「……」

「どう?」

私は目の前の手すりに座るキュゥべえに尋ねる。

キュゥべえはついさっきまで無かったものを、手に入れた。
749 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:46:49.29 ID:GDz5y0Q00
「どう。どうと聞かれると、聊か答えにくいものがある……」

キュゥべえはそう言いつつ、表情が暗くなっていく。

「今まで僕が持っていなかった新しい感覚。

それゆえに不安定なだけかもしれない。

僕は、美樹さやかたちが魔法少女になったことが嬉しい嬉しいはずなんだ。

それが僕の目的でもあったからね」

でも、っとキュゥべえが区切る。
750 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:47:20.25 ID:GDz5y0Q00
キュゥべえは俯いていた顔あげ、私を見つめてきていた。

「なんだかとっても、救われない気持ちだ。

何かが欠けてしまうような、震えてしまう何か……

目の前のものに、触れられなくなってしまう恐怖。

恐怖? これが恐怖?」
751 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:47:50.01 ID:GDz5y0Q00
キュゥべえの体がかすかに震える。

「キュゥべえ、このままだと、みんなはどうなる?」

「……僕の推察では、勝てない。

万が一に、勝てたとしても魔力を使い果たして、魔女になるだろう」

キュゥべえが悲しそうに言う。
752 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:48:19.26 ID:GDz5y0Q00
「ねぇ、キュゥべえ、私の願いも叶えてくれるよね?」

私はそう言って微笑む。

驚いたキュゥべえの表情が私に向けられる。

「駄目だよ! 君を魔法少女にしたら……」

「今までそれを望んでたんでしょ?」
753 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:48:52.31 ID:GDz5y0Q00
「そう……だけど。

暁美ほむらを君は悲しませたいのかい?

彼女は君を人間のままで居させてあげたいと」

「騙されてなんかいないから、良いんだよ」

「けれど、僕は認めるわけには!」

「優しいんだね、キュゥべえは。

感情があるってどれだけ素晴らしいことかって解った?」
754 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:49:28.29 ID:GDz5y0Q00
私は茶化すように笑う。

「……どうしてもと言うのなら。

僕は君の願いをかなえるよ。

君の資質はどんな無理難題でさえ、聞き入れることが可能なはずだ」

キュゥべえが俯く。
755 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:49:55.10 ID:GDz5y0Q00
ほむらちゃんの為に、私の契約は許可したくない。

今までとは真逆の立場だね、キュゥべえ。

「どんなことでも?」

「あぁ、君が神になりたいと言えばなれるかも知れない。

そのくらいのレベルのことだ……。

だが、僕としては、君はその人間のままで居て欲しい」

キュゥべえが自嘲気味に笑う。
756 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:50:35.10 ID:GDz5y0Q00
「僕がこんなことを言うのは、眉唾物というか、

馬鹿らしい、かもしれない。

でも、僕は。

君と出会ってから、いや。マミと出会ってからの今までの僕。

感情を持ったのは今さっきだ」

キュゥべえが呟く。
757 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:51:04.25 ID:GDz5y0Q00
「でも、このありふれた日常、

マミが紅茶を飲んで、ほむらがコーヒーを飲んで、

さやかと杏子がケーキを取り合い、まどかが止めに入る。

そんな何の変哲も無い、どうでも良いような日常が消えてしまうのが怖いんだ!

君が、神になれば世界は救われる、でも。僕達はそんな解決じゃ救われない……

お願いだ、鹿目まどか。

君は君のままで居て欲しい……」
758 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:51:42.75 ID:GDz5y0Q00
そう言い終えたキュゥべえの頬を涙が伝う。

「そうだね、私も。そんな日常が大事だからこそ。重要なお願いがあるの」

「……まどか」

キュゥべえの心配そうな瞳が私を見つめる。

「みんなが幸せになるには、世界を作り直すなんて意味は無い。

私達がここにいて、誰かがここにいて。

なにもせずに、全員が永遠に幸せなんてありえるわけ無い」

「まどか? 何が言いたいんだい?」
759 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:52:09.01 ID:GDz5y0Q00
「誰かが幸せなら、誰かが不幸になってる。

それが世界。

幸せがあるから不幸があって、不幸があるから幸せがある。

ただ、魔女のせいで、その均衡は崩れちゃってるだけ。

なら、如何すれば良いか。わかるよね? キュゥべえ」
760 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:52:37.50 ID:GDz5y0Q00
「待ってくれ!!

それじゃ、魔女を消し去るんだろう?

過去も未来も、現在も!

そんなことすれば、君の体は……」
761 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:53:07.09 ID:GDz5y0Q00
「未来? 過去?

ううん。違うよ。キュゥべえ。

現在だけで良い。

過去を変えれば、世界を変えるのと同義。

現在を変えれば、未来を変えるのと同義」

私はそう言って、キュゥべえに微笑む。
762 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:54:37.80 ID:GDz5y0Q00
「ねぇ、キュゥべえはどうして私達を魔法少女にしたかったの?」

「それは、宇宙全体のエネルギーを確保するためだよ。

例えば、焚き火で得られる熱エネルギーは、木を育てる労力と釣り合わないってことだよ。

エネルギーは形を変換する毎にロスが生じるんだ……。

つまり、宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方。

それを、補う為に……。

簡単に略して良いなら、こういうこと」
763 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:55:08.52 ID:GDz5y0Q00
「そっか、じゃぁ。魔法少女を無くしたら?」

「宇宙は枯れ果ててしまう。

なるという確証があるとは言えない。

けれど、可能性が高いとはいえる」

キュゥべえが少し辛そうに言う。
764 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:55:37.88 ID:GDz5y0Q00
「じゃぁ、新しいエネルギーを私達は差し出すよ。

人は必ず、不幸になるし、絶望もする。

それらは何かしらの形を成して、世界に飛び出す。

だったら、その不幸を絶望を。

私達魔法少女が、幸福と希望に変える。

その時にうまれる「幸福」というエネルギーを私達は差し出すよ」
765 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:56:04.42 ID:GDz5y0Q00
「幸福……?

それは、そんなに大きいものなのかい?」

「大きさでなんて測れないよ。

キュゥべえは言ったよね?

日常を失うのが怖いって。

その失いたくない日常。それも幸福なの」

「……僕は、君を魔法少女にしたくない。

でも、ならなければならないんだろ?」
766 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:56:34.86 ID:GDz5y0Q00
「うん。絶対に」

「じゃぁ、願いを聞こう」

キュゥべえが囁いた。

「じゃぁ。

私の願いはソウルジェムのいらない魔法少女。魔女なんて居ない世界を!!」

「……解った、叶えるよ。みんなで生きて、明日を見るために」
767 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:57:04.14 ID:GDz5y0Q00
キュゥべえがそう微笑むと、私の体がピンク色に輝く。

「……力を、感じる」

「君は魔法少女の力を得たよ。

さぁ、僕たちも行こう。彼女達の元へ」

キュゥべえが私の肩に乗る。
768 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:57:35.06 ID:GDz5y0Q00
「君の願いでも、ワルプルギスの夜は消えない、

こんな誰も幸せになれない、舞台の幕を。下ろしに行こう」

キュゥべえが微笑む。

「うん、行こう。キュゥべえ!!」

私達は避難所から駆け出し、みんなの所へと向かった。
769 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/21(火) 21:59:58.48 ID:GDz5y0Q00
以上、45話。
やっぱり、まどかも魔法少女にならないと駄目だろ。多分。

色々矛盾とかあるかもしれないけど、
指摘してくれて構わないよ。
訂正できるかわからないけど。

感情持った瞬間にQB変わりすぎた?

あと、3話だ……。

じゃ、また。
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)[sage]:2011/06/21(火) 22:03:21.07 ID:JmShi6UBo
なんという綺麗なQB
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/21(火) 22:07:26.06 ID:/22yQAPFo

でも結局世界改変してね?
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2011/06/21(火) 22:14:14.54 ID:iYk5eRbz0
変えたのは開発したもの。ひょっとしたらそれもアップデートだけかも知れない。
QBが仕組みとして確立しているやも知れんが、世界への干渉も本編よりは軽いだろう。
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]:2011/06/21(火) 22:14:15.82 ID:NdstiIRXo

あと三話か名残惜しいな
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/21(火) 22:17:57.05 ID:kYTp1Msbo
乙。感情持って尚外道じゃなくてよかった
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/22(水) 00:27:50.84 ID:FgXJPCWIO

まどか…
でも!でもハッピーエンドならいい!
そうだ!ハッピーエンドなら!
…ハッピーエンド…だよな?
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/22(水) 00:38:01.33 ID:HTcHdO3ho
お疲れ様でした。
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/22(水) 02:28:17.92 ID:WDMctjP7o


なるほど……
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/22(水) 11:20:22.33 ID:DdxcnhbAO
さやかからまどかへ
コンボがつながった!
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/22(水) 12:37:25.84 ID:U++Rp2qIO
いよいよクライマックスだが>>146が怖い
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/22(水) 14:01:32.45 ID:DdxcnhbAO

QBのいままで貯めていたGSのエネルギーを全解放してワルちゃんを倒す
QBは全エネルギーを使い果たし消滅
ありがとうQB!貴方のことは忘れない!!
あなたは最高の仲間だよっ!!








wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
781 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 19:20:18.90 ID:Y/0EqzWW0
なんか想像以上にコメが来てた……。

>>770
綺麗なキュゥべえは嫌い?

>>771-772
したと言っても、
現在いる魔女の消滅と、魔法少女のソウルジェムの消滅くらいしかしてない。

>>773
惜しんでも3話なんだよね……。

>>774
感情持って尚外道。
そんな鬱……好き。
ただ、思いつかなかったというorz

>>775
えっ?
マミ「そんなわけ無いじゃない!!(多分)」

>>778
コンビネーションアサルト(笑

>>779
上げて落とす。
けど、いつ落とすかなんて、>>1は明言してないでありんす。


投下は21時くらいだと思う。

少なくとも、今日中に1話投下する。



782 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 21:59:16.21 ID:Y/0EqzWW0
少し遅くなったが、投下。
783 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:00:09.81 ID:Y/0EqzWW0
  第46話

『私達はあの舞台で演じてる役者ということよ』


「さやか……」

「杏子、マミさん、ほむら。みんな、無事?」

さやかが微笑む。
784 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:00:45.57 ID:Y/0EqzWW0
「美樹さん、

人間ではなくなってしまうというのに、

なんで、何で魔法少女に?」

「恭介が、認めてくれたから。私はここに来ることが出来た」

あの人が?

さやか。貴女は……。
785 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:01:10.49 ID:Y/0EqzWW0
「なってしまった以上、今更どうこう言うことは出来ない。

協力、してくれるのね? さやか」

私はそう言ってさやかに微笑む。

「とーぜん!!」

さやかはそう言って、ワルプルギスの夜を睨む。
786 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:01:48.19 ID:Y/0EqzWW0
「じゃぁ、行きましょうか、私達の戦いのフィナーレを迎えに」

先輩がそう言って立ち上がる。

「じゃぁ、アタシと」

「私は前衛を勤めるから」

「私と暁美さんは後衛をってことね」

「みんな!」

私は思わず叫ぶ。
787 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:02:20.96 ID:Y/0EqzWW0
みんなが不思議そうに私を見つめていた。

「みんな、ありがとう。

やっとここまで来れた。

みんなのおかげだって私は思ってる。だから――」

「とーぜん、死ぬわけにいかないよな!!」
788 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:02:58.75 ID:Y/0EqzWW0
私の声をさえぎって杏子が叫ぶ。

「もちろん!! みんなとの楽しい人生はまだまだ終らないから!」

「ふふっ、帰ったらお茶会でもしましょう。家にケーキがあるから」

先輩がそう言うと、杏子とさやかが喜ぶ。

避難勧告がきえない限りは戻れないでしょうに……。
789 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:03:30.54 ID:Y/0EqzWW0
まったく、緊張感のかけらも無いのね。

でも、なんか不思議と。大丈夫な気がする。

このみんななら、全員で生きて帰れる気がする――

「え?! どういうこと?!」

そんなことを考えていた私は、先輩の声で現実に戻された。

「どうした?」

杏子が尋ねる。
790 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:03:55.73 ID:Y/0EqzWW0
「ソウルジェム……佐倉さんのはどこに?」

「はぁ?……?!」

え?

杏子の胸のちょっと上についているはずの、
赤いソウルジェムが消えていた。


それだけじゃなく、先輩の黄色いソウルジェムも、

さやかのお腹に光るはずの、ソウルジェムもない。

そして、私のソウルジェムもなくなっていた。
791 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:04:24.71 ID:Y/0EqzWW0
「まさか、まどかが契約を?!」

「多分、というか絶対だよ」

さやかが私の叫びに頷く。

そんな、最後の最後で……どうして……。

また、やり直さなくちゃいけないの?

でも、ソウルジェムが無いのなら……。

私がそう、心の中で呟いた時だった。

「みんな!!」

「「「「?!」」」」
792 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:05:01.88 ID:Y/0EqzWW0
ピンクと白の衣装に身を包んだまどかと、

キュゥべえが、私達のところへとやってきた。

「まどか!! なんで!! なんで契約を?!」

「必要なことだったから、かな。

でもね、ほむらちゃん、もう繰り返す必要なんか無いから」

まどかはそう言って微笑む。
793 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:06:16.67 ID:Y/0EqzWW0
必要が無い?

「なんで?」

「私は騙されてない、私の意思でこうしたからだよ。

それにね? もう、魔女なんてこの世界には生まれなくしたかったから」

「ど、どういうこと? 鹿目さん」

先輩が尋ねる。

「ソウルジェムがなくなったのが、その理由って事? まどか」

さやかが聞くと、まどかが頷く。
794 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:06:49.96 ID:Y/0EqzWW0
「ソウルジェムがないんだもん。

グリーフシードになるものが無いんだから、

魔女は必然的にいなくなるってこと。

でも、みんなは魔法少女だから安心してね」

「ソウルジェムの要らない魔法少女ってこと?」
795 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:07:20.08 ID:Y/0EqzWW0
「うん」

「じゃぁ、ワルプルギスの夜は何でまだいやがるんだ?」

杏子が尋ねる。

「それは、アレが舞台装置であるがゆえのことさ」

QB……?

「どういうこと? それはちょっとわかんない」

さやかが小首を傾げる。
796 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:09:01.12 ID:Y/0EqzWW0
「あれは、この世界という舞台。

いわば、私達はあの舞台で演じてる役者ということよ」

私はそっと口を開く。

「君は気づいていたのかい?」

「ええ、仮定ではあったけれどね」

私はそう言って頷く。
797 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:10:37.11 ID:Y/0EqzWW0
私はそう言って頷く。

「暁美さん、あれが舞台で私達が役者?」

先輩が不思議そうに尋ねてきたのに対し、

私は微笑む。

「先輩、正確に言うと、あれは。

ワルプルギスの夜は暁美ほむら。私自身みたいなものなのよ」

私がそう言うと、ワルプルギスの耳障りな笑い声が響いた。
798 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 22:16:23.59 ID:Y/0EqzWW0
以上、46話ここまで。
多少の矛盾はスルー対象……で。よろしく。

明日……投下できると良いけどっていう感じ。

関係ないけど、

レポートの文字数少ないから。って怒られたから、
>>1「大切なのは文字量じゃない。その少ない言葉に籠められた思いの量だ(キリッ」
っていったら笑顔で再提出にされたorz

次はワルプルvs見滝原魔法少女連盟(決着編)

因みにタイトルじゃないけど、大体こんな感じ。

とりあえず、乙。
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/22(水) 22:19:02.58 ID:F72+9Dq2o
乙マミ

そういや一時期流行ったな ワルプルギスの夜=魔女っ子ほむらちゃん説
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/22(水) 22:30:53.04 ID:FgXJPCWIO

これなら勝てるよ!
ハッピーエンドだよ!!
やったね!









だよな?
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/22(水) 23:15:17.44 ID:hV44lpYNo


レポートワロタwww
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/22(水) 23:17:27.41 ID:HTcHdO3ho
お疲れ様でした。
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/06/22(水) 23:29:24.28 ID:CTa7VNXOo
マミ「ワルプルギスの夜=暁美さんだって言うなら、みんな死ぬしかないじゃない!」

っとそういえばソウルジェム無くなったってことは皆魔法使い放題で本体無しの不死状態?
804 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/22(水) 23:37:16.46 ID:Y/0EqzWW0
>>799
え? まじ?

>>800
さぁ、どうだろう(笑

>>803
なのはと同じような感じ。
魔法は使い放題だけど、
不死身ではないよ。
まぁ、心臓吹き飛ぶ以外では多分死なない。
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/22(水) 23:58:00.64 ID:6AlQr5XDO
乙!!

レポートがんがれ


んでもって次も文字数足りんかったらこう言えばよい
「敢えて全てを見せない、そこにチラリ(ry」







冗談っすよ
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/22(水) 23:58:57.40 ID:F72+9Dq2o
本放送中ネット上に溢れた予想の一つだ、気にしないで言い
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/06/23(木) 00:28:32.93 ID:7F74G9tAO
こりゃ面白い
まどマギ見てないけど純粋に面白いわ
作者さんおつんこ
続き楽しみにしてます
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/06/23(木) 18:18:47.76 ID:0ZVEqDZMo
レポートの内容に困ったらおいしいカレーの作り方が鉄板らしいぞ
809 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:41:59.78 ID:w2FQjlMr0
>>805
お前は俺の単位を消すつもりか。
>>806
そうなのか……
確かに考察wikiに乗ってた。
>>807
サンクス
みようぜ、まどマギ。
>>808
待て、
お題があるんだ。
全然違うから、それ。


じゃ、47話投下する。
810 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:42:29.97 ID:w2FQjlMr0
  第47話

『上演期間はもう、過ぎたのよ』


「あれは、私が世界を繰り返すことが運命付けられた証明。

永遠と繰り返される演劇を、私達は行っていたのよ」

「僕の仮定でいうなら、あれは、彼女が世界を修正する起点だよ。

あの舞台の幕を下ろすほど納得の行く結果しか認めないという、

暁美ほむらの潜在意識が生み出した化け物さ」
811 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:42:58.22 ID:w2FQjlMr0
……。

「それで、間違いは無いと思うわ」

「なんにせよ、アタシらであの幕を下ろしちゃおうってわけか」

杏子が笑う。


「杏子、そう簡単にはいかないよ」

「キュゥべえ、どういうこと?」

先輩が尋ねる。

「この世界の暁美ほむらが幸せであればあるほど、

ワルプルギスの夜は強くなる」
812 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:43:33.26 ID:w2FQjlMr0
「え? じゃぁ、今のワルプルギスの夜って物凄くやばくない?」

さやかが苦笑いを浮かべて呟く。

今の私は、物凄く幸せだから。

あのワルプルギスの夜は物凄く強い……。

「じゃぁ、どうすればいいの? キュゥべえ」

まどかが尋ねる。
813 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:43:59.68 ID:w2FQjlMr0
「君たち全員が本当の力を発揮すればいい。

さやかの断ち切る力、まどかの貫く力、

ほむらの守る力、杏子の幻の力、マミの繋ぐ力。

その全てを全力で引き出すんだ」

QB貴方……。
814 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:44:25.45 ID:w2FQjlMr0
「QB、もしかして、感情を?」

「ああ、さやかが僕にくれた。

僕としては彼氏の腕を直すかと思ったんだけどね。

彼氏には断られたから、僕に感情をってね」

QBが苦笑する。
815 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:45:22.75 ID:w2FQjlMr0
「でも、アタシ達の力はばらばらだぜ?」

杏子が言う。

確かに、ばらばら。

ばらばらだけど。

「ええ、ばらばらだけど、私の力で繋いで見せるわ」

先輩が微笑む。
816 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:45:50.80 ID:w2FQjlMr0
「じゃぁ。アタシの幻の力で、アタシ達の幻影を大量に!!」

杏子がそう言うと、周りに大量の私達の幻影が出現した。

「……私の守る力で、幻影の武器に強度を」

私はそう呟く。

「私は幻影と実体の壁を貫いて、幻影を実体化させる!」

まどかがそう言うと、幻影たちが幻から私達と同じく実体化する。
817 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:46:17.01 ID:w2FQjlMr0
「行くわよ、みんな!!」

私が叫ぶと、大きな返事が返ってくる。

数千以上の私達の分身。

「邪魔な小道具は、アタシらが片付けようか!! さやか!」

「うん!! 杏子!」

杏子とさやかがそう叫ぶと、大量の槍と剣がワルプルギスの夜の元へと放たれ、

周りの遮蔽物になりうる使い魔や瓦礫を消し飛ばす。
818 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:46:46.08 ID:w2FQjlMr0
「では、フィナーレへのカウントダウンを!!」

先輩がそう叫ぶと、先輩含め先輩の分身たちがいっせいに、

巨大な銃を構える。

「「「「「「「ティロ・フィナーレ!!!」」」」」」」

数千に及ぶ弾丸がワルプルギスの夜に直撃し、黄色い糸が絡みつく。
819 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:47:31.81 ID:w2FQjlMr0
「運命って因果を。私が断ち切る!!」

さやかが怒鳴って、

分身たちと共に、

ワルプルギスの夜を切り刻む。

切り裂かれたワルプルギスの歯車が真っ二つに裂ける。

細切れにされたワルプルギスの夜は、

再生しようと集まっていく。
820 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:48:16.48 ID:w2FQjlMr0
そんなこと、させない。

「後はわたし達だね。ほむらちゃん」

「ええ」

微笑むまどかの手を握る。

ワルプルギスの夜は先輩の縛り付けのせいで動けない。

絶対に逃がさない。

「行くよ。ほむらちゃん」

「ええ、いつでも」

私達は顔を見合わせ、2人で弓を構える。
821 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:48:47.47 ID:w2FQjlMr0
徐々に魔力が込められていく、桃色と紫色に輝く矢。

その照準は、ワルプルギスの夜。

「「貴女の舞台にフィナーレを捧げるわ!! 上演期間はもう、過ぎたのよ!!」」

私達はそう叫び、分身達と共にワルプルギスの夜を二色に輝く矢が貫く。

数千以上の魔法少女の一斉攻撃。

どれだけ強力な魔女だろうと、これを耐えられるはずが無い。
822 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:49:21.70 ID:w2FQjlMr0
ワルプルギスの夜の体は、私達の矢に撃ちぬかれ、

再生することなく、消滅していく。

ワルプルギスの夜のうみだした生き物達は消え去り、風が、雨が止む。

一転して静けさに包まれた見滝原に私達の歓声が響いたことを知っているのは、

そこにいた私達だけ。

やっとフィナーレを迎えた永遠の舞台。

私達は、それに喜びながら避難所へと向かった。
823 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 20:50:51.76 ID:w2FQjlMr0
以上、47話。

色々とおかしな所がある気もするけど、
とりあえず、気にスンナ。
指摘してくれても良いけど、
次で最後だから訂正は出来ないと思う。

エピローグは、22時ころに投下する。

じゃ、またあとで。
824 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:13:58.12 ID:w2FQjlMr0
すまん。

出かけることになった。
30分くらいに投下する。

必ず。
825 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:28:39.01 ID:w2FQjlMr0
戻った。

じゃ、投下
826 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:30:14.00 ID:w2FQjlMr0
  最終話

『また明日も、幸せでいる為に』


「ふぅ……中々美味しいわねこれ」

私はそう言って、紅茶の入ったカップを机に置く。

「でしょ、カンヤム・カンニャムっていう紅茶。取り寄せたのが、昨日やっと届いたのよ」

先輩が嬉しそうに語り始めた。
827 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:30:55.31 ID:w2FQjlMr0
「あぁぁ、さやか!! アタシの苺取っただろぉ!!」

「へっへ〜ん。最後まで残しとくのがいけないんだよ〜」

「こんのぉ〜!!」

杏子とさやかが苺のことで争う。

争うと言っても、じゃれあい程度。
828 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:31:29.77 ID:w2FQjlMr0
「あははは、仕方ないね〜」

それを見て、まどかが呆れたため息をつく。

「毎度毎度、良く飽きないものだね。あの2人」

QBが呟く。

「ふふっ、仲が良い証拠よ。キュゥべえ」

「だね。僕としても、見てて笑えるから別に良いけど」

QBがそう言って笑う。
829 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:32:05.31 ID:w2FQjlMr0


……あれからもう、1週間過ぎていた。


あのワルプルギスの夜討伐後、さやかは恭介に、まどかは両親に怒られていた。

私達は……察してくれれば良いわ。

それからというもの、まどかによって魔女ではなく、

人の絶望から、魔獣というものが現れるようになった。

QBも私達も。
830 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:32:58.27 ID:w2FQjlMr0
全員が幸せになるには、

私達の魔女化によるエネルギー以外のエネルギーが必要だったらしく、

まどかは、人の絶望が救われる際に発生する「幸福」というのをエネルギーとすることにしたらしい。

その幸福は、今までよりも遥かに膨大なエネルギーが得られるらしい。

QB曰く、「感情がこんなに素晴らしいとは思わなかった」とのこと。
831 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:33:36.56 ID:w2FQjlMr0
さやかの願いで手に入れたらしいそれは、

かなり役に立っているみたいで、さやかはかなり喜んでいた。


それから、

先輩と杏子と私は3人で暮らしている。

独り暮らしは何かと便利ではあるかもしれないけれど、

みんなで暮らした方が、楽しいものね。
832 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:34:10.33 ID:w2FQjlMr0
ただ。

先輩は相変わらず、紅茶とケーキが好きだし、

杏子は何かと食べてるし……。

糖分、塩分をとり過ぎるのは少し問題かなと思っていたり。

ゆえに、夕飯の糖分、塩分。

調整が面倒だったりする。
833 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:34:39.11 ID:w2FQjlMr0
さやかはというと、恭介とは上手くいっているみたいで、

時折、彼の演奏したCDを持ってくる。

なぜ演奏できるのかって私も驚いたけれど、

恭介曰く「頑張ってリハビリを続けてたからかな」といっているけれど、

多分、違う。

とある人物曰く。

「僕なりのお礼」との事。

そして、

まどかは、今も普通に家で暮らしている。
834 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:35:04.81 ID:w2FQjlMr0
まぁ、私達は少し。普通じゃないのだけれど。

絶望である、魔獣を倒すことが私達の役目。

魔法少女はみんなの希望でいなければいけないから、

救いでなければいけないから。

絶望という魔獣を倒し、幸福に変える。

それが私達、魔法少女の役目。
835 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:35:39.70 ID:w2FQjlMr0
「どうかしたの? ほむらちゃん」

まどかの微笑みが視界に映る。

「ううん、なんでもない。ただ幸せだなって、思っただけよ」

私はそう言って微笑む。

「ふふっ、暁美さん。良い笑顔ね」

「そうだね」

「ああ」

「僕もそう思うよ」
836 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:36:08.31 ID:w2FQjlMr0
「みんなにそういわれると、少し照れくさい……わ」

「ただ、眼鏡は外した方が良いと思うよ。

ほむらちゃんは眼鏡が無い方がかっこいいから」

まどかがそう言って微笑む。

「そう? なら……」

私は魔力を目に送り、視力を直す。
837 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:37:07.69 ID:w2FQjlMr0
そして、

「これで、いいかしら」

私は眼鏡を外して、そう微笑む。

「ええ、似合っているわ、暁美さん」

「ありがとう」

私はそう言って、窓の外の夕日を眺める。
838 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:38:12.89 ID:w2FQjlMr0
魔獣は永遠に生み出され続ける。

それは、私達が人間である限り、

消え去ることの無い、永遠のシステム。

人は絶望するし、希望を持つ。

希望があれば、絶望がある。

その絶望が、魔獣なのだから。
839 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:38:42.39 ID:w2FQjlMr0
幸福と不幸。

プラスとマイナス。

その均衡は魔女がいなくても崩れてしまう。

一人の不幸で幸福になる人数は、

一人の幸福で不幸になる人数より少ないから。
840 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:39:09.57 ID:w2FQjlMr0
第一、それじゃみんなは救われない。

全てのマイナスを、プラスに。

マイナスの無い世界なんてことは驕りだとは思うけれど、

それを叶える為の、私達魔法少女。

私達魔法少女の働きでそんな世界が得られるのなら、

それはとっても嬉しいなって私は思う。
841 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:39:36.63 ID:w2FQjlMr0
簡単なことじゃない。

大変だし、辛いことだと思う。

でも、これが私達の望み。

過去は変えないというまどかの願い。

私達が魔法少女であることは決して消えない現実。
842 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:40:07.20 ID:w2FQjlMr0
でも、

誰一人それを後悔していない。

それどころか、そうじゃないなら改めて契約する。

みんなそう言う。

誰かの役に立ちたいとか、そういうのじゃなくて、

私達それぞれの変わらない共通の願い。
843 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:40:37.36 ID:w2FQjlMr0
不幸に幸福を、絶望に希望を。

それを叶える為に、必要なことだから。

だから私達はこれからも魔法少女であり続ける。

自分達の望み、世界の幸福。その為に。

私達は魔法少女になったのだから。

明日も明後日も、来週も、来年も。

全てが幸福に包まれるように……。
844 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:41:03.32 ID:w2FQjlMr0
「そろそろ行きましょう」

私が言うと、みんなが立ち上がって頷く。

「さぁ、今日も僕らの戦いが始まる」

QBがそう言って、机から飛び降りて玄関に向かう。

「「「「「また明日も、幸せでいる為に」」」」」

私達はそう言って、家を後にした。
845 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 22:43:38.02 ID:w2FQjlMr0
以上最終話でした。
意外に長くて>>1も驚いた。

これにて、

ほむら「幸せな明日を迎える為に」

は、閉幕です。
最後まで読んでくれてどうも。
最初から最後まで>>1得で申し訳ない。

では、また。
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/23(木) 22:44:33.46 ID:Xo5OJ8/bo
お疲れ様でした。
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/23(木) 22:45:36.93 ID:wsAvZL/e0
乙でござった
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2011/06/23(木) 22:45:47.37 ID:Nfk5XxpX0
乙乙乙!!!!!!

スレ立てからずっと読んでたけど凄く面白かったよ!

・・・出来れば、こんな感じにアニメも終わって欲しかった・・・
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/06/23(木) 22:49:35.86 ID:o5CzYbbAO
ハッピーエンドとか俺得すぎるww
上げて落とすとか言ってたからちょっぴり不安だったよ
まあなんにせよ>>1乙!
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/06/23(木) 22:51:14.57 ID:pp49OW1zo
乙!
ハッピーエンドにしてくれると信じてたよ!
次の作品もぜひ読みたいわ
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/23(木) 22:51:16.45 ID:mtSMYdhCo
乙でした
普通なら数ヶ月かけそうな大作なのに一週間とは
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/23(木) 22:51:49.79 ID:Spfxt10SO
乙です!
853 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 23:10:43.16 ID:w2FQjlMr0
>>848
それを望んだからこそ、書いた。
>>849
もちろん、ただの冗談。
原作があれな以上、BADの気は微塵もなかった。
>>850
次?
そうだなぁ、次は来週……ごめん無理。
まぁ、次の作品できたらここで知らせる。
>>851
執筆一週間、投下一週間。
数ヶ月かかるって……そんな大作だった?
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/23(木) 23:27:59.95 ID:u4E4YYdSO
乙乙!
俺はこんなハッピーエンドが見たかったんだ!
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/06/23(木) 23:28:36.20 ID:8ANjGzLWo
一週間で850レス……それは、充分すごいなって、思ってしまうのでした



完結お疲れ様!
色んなSS見てきたけど「魔法少女まどか☆マギカ」の終わりとしてはこれが一番ハッピーかなって思いました、本当にありがとう
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2011/06/23(木) 23:30:03.37 ID:XWZ9o2EIo
乙‼

ハッピーにしてくれたか
ありがたい

幸福をエネルギーに、の件はモンスターズインクみたいなところがあるな
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/23(木) 23:32:26.61 ID:jNAq8Vw9o
乙なんだよ
これは本当に面白かったよ
次回作、楽しみに待たせてもらうよ
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/23(木) 23:45:17.72 ID:F0x8iG+xo
乙乙。
前作前々作含めて楽しませてもらったよ。
幸せをありがとう。
859 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 23:45:50.12 ID:w2FQjlMr0
>>854
全員生存で、QBも仲間はずれにされない。
そんな世界を望んだ。
>>855
一応書き溜め終えてから投下したからね。
そこまで言ってもらえると、
>>1得でも嬉しい。
>>856
モンスターズインク……だと?
見たことない。
>>857
また今度。
このトリップみつけたらぜひ読んでくれ。
文才は保障しない。
860 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/23(木) 23:49:11.40 ID:w2FQjlMr0
>>858
そんな前から読んでくれてたのか……。
どうも。


まどか作品は全部で3作品か? 書いたの。
もう本編再構成は書かないと思う。
書くとしたら、
クロスか、オリジナルだな。
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/24(金) 00:45:25.08 ID:BgxehrFIO

すごい面白かったよ
それにしても前作、前々作…だと?
めっちゃ読みたいんだけどどっかで読めないかな
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/24(金) 00:56:46.15 ID:p0bEjo4IO
乙!

始めのなのはの奴から見てたぜ!
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/24(金) 15:10:34.10 ID:CKL4mYZAO
>>1
が凄すぎる…底が見えない!
また>>1の作品を読みたいんだが、
これとまどマギ×なのはとA′s以外でなんか在りますか?
在ったら載せて下さいませぬか
後、まだ何か書くならタイトル教えて下さい
864 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/24(金) 22:35:38.14 ID:1eGvzTIF0
>>861
わかんない。
まとめとか頼んでないからね。
>>862
サンクス
>>863
まどマギはそれだけ。

あとは、

なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」

これくらいかな
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/24(金) 23:46:04.85 ID:ypI8LnpBo
>>864
あの上条×フェイトもアンタだったのか!
866 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/25(土) 00:20:53.78 ID:TktlzGL40
>>865
そうだったりする。
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage]:2011/06/25(土) 00:43:58.72 ID:PZ1k4QtHo
てか意外とまどマギの>>1の作品上条×なのは以外はリアルタイムで最初からみてたなwwww
もはやまどマギのSSといえば>>1だな
今までROM専だったけど感謝の気持ちをこめて書き込む
今までずっと乙でした〜
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/25(土) 10:21:37.64 ID:5Ga/1ae9o
過去作品を見るに>>1のギャグパートはかなり秀逸
是非まどかマギカふもっふを書いてほしい
869 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/06/25(土) 23:58:19.10 ID:TktlzGL40
>>867
サンクス
またいつかよろしく。

>>868
落ち着け。
>>1はほのぼのが苦手だ
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/28(火) 12:43:05.01 ID:Xz6qlm9IO
乙っちまどまど!
いっきに読ませてもらったぜ
面白かった
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/06/28(火) 21:57:18.93 ID:Ca1CdWnbo
乙なんだよ
872 : ◆LFImFQtWF6[saga]:2011/07/01(金) 04:45:30.87 ID:FqeIRyWR0
どうもおひさ〜。

次の作品。
ってか、1スレ終っちゃったけど……。
魔法少女まどか☆マギカ―運命を越える者達―
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309148484
で、
魔法少女まどか☆マギカ―運命を越える者達―2スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309405150/

     ↑今ここ。


じゃ、ここはHTMLだすよ。

873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage]:2011/07/02(土) 22:49:59.57 ID:zZShBKIEo
てかあっちの安価スレも>>1だったのか



Pastlog.cgi Ver2.0
Powered By VIP Service
Script Base by toshinari