◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:14:46.84 ID:Eu2V0CTOo<>どもども
ネタの神様が降りたので見切り発車します
カップリングは特にありませんのであしからず
ナレーターさんのCVは今回も銀河万丈さんでお願いします
今回大して書き溜めていないので更新は完全に不定期です
書き上がったら一日おきに投下する予定です
でも予定は未(ry
では、投下します
<>純憂「「さるかにがっせん!!!!!」」
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:15:36.33 ID:Eu2V0CTOo<> 「……ねぇ」
何ですか?純さん。
「私さぁ、『今回は、ラジオドラマ的な物です』って聞いてたんだけど」
いえ、その通りですが……何か問題点でも?
「問題点というか、根本的に間違ってると思われる部分があるんじゃない?」
……具体的に、どの辺りが間違っていると思われるんですか?
「……わからないの?」
はい。
「……本当に?」
本当に。
「マジで!?」
はい。『本気で』と書いてマジでわかりません。
「じゃぁ、言わせてもらうけどさ……あ、そうだ。耳、気を付けてね」
耳……ですか?
「スゥー……ハァー……スゥー……ハァー……スゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーー」
何故深呼吸を!? <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:16:12.13 ID:Eu2V0CTOo<>
「見えないんだったらぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!着ぐるみなんて必要でしょぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:16:51.02 ID:Eu2V0CTOo<>
し、至近距離で……雄叫び……される……とは……予想……外……で……し……た……。
「ハァ……ハァ……ンクッ……あ、だ、大丈夫……?」
……大丈夫……じゃ……ありま……せん……耳が……本当に……痛い……です。
「……で?私の言いたい事、わかった?」
はい……では……。
「……ねぇ、純ちゃんはこれ着るの……そんなに嫌?」
「嫌!……だってさぁ憂、考えても見てよ。蟹だよ!?カ・ニ!!」
「でも……私は、純ちゃんがこれ着ているの……見たいなぁ……。梓ちゃんもそう思うよね?」
「うん、ものすっごく見てみたい。唯先輩もそうですよね?」
「見たい見た〜い。だってさぁ、スゴく可愛くなると思うよぉ〜。ね、澪ちゃん」
「え?あ、あぁ。そうかも……しれないか……な……。ム、ムギはどう思うんだ?」
「えっとね〜、私、一度でいいから純ちゃんの着ぐるみ姿を見てみたかったの〜。りっちゃんもそうでしょ〜?」
「おぅ!それに、着ぐるみは軽音部の伝統だからな!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:17:29.09 ID:Eu2V0CTOo<>
「純ちゃん。みんなもこう言ってるんだし……ね」
「でも……」
「……私、純ちゃんとお揃いの格好したい……」
「……あぁーもぉ!そんな泣きそうな顔して見つめないでよ!わかった!着る!着るから!!」
「エヘヘ……純ちゃん、ありがと……チュッ」
……ほっぺとはいえ、お暑いですなぁ〜。
「ですなぁ〜。あ、じゃぁ……」
「却下です。唯先輩」
「あぅぅ〜、あずにゃんのいけずぅ〜」
「ねぇねぇ、りっちゃんと澪ちゃんはしないの?」
「ムギ……そんなキラキラした目で訴えられても……なぁ律」
「あぁ。てゆーか、こんな所じゃしねーし」
ほほぅ……と言うことは、こんな所でなければOKなんですね。
「へっ!?……あっ!えっと、それは、あの」
「こ、こら律!狼狽えると余計怪しまれるだろ!」
「ナレーターさん、『知らぬが仏』って言うんだから、そっとしといてあげよーよ」
「唯先輩……もしかして、『言わぬが花』って言いたかったんですか?」
「……ソ、ソウトモイイマスネー、アハハハハ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:17:57.50 ID:Eu2V0CTOo<>
えーっと……ま、まぁ気にしません。ツッコミ担当でもありませんので。
「そうですね、唯先輩の言動全てにツッコんでいたら大変ですし」
「あ、あずにゃん酷いよ……」
では、そろそろ始めましょうか。
「あ、私タイトルコールやりたい!」
「あ、私も純ちゃんと一緒にやりたい!」
わかりました。ではお二人にお願いします。
「じゃぁ憂、せーのでいくよっ」
「おっけーだよっ」 <>
◆GrFpmzFgsnI5<>saga<>2011/08/25(木) 00:19:53.46 ID:Eu2V0CTOo<>
えーっと……ま、まぁ気にしません。ツッコミ担当でもありませんので。
「そうですね、唯先輩の言動全てにツッコんでいたら大変ですし」
「あ、あずにゃん酷いよ……」
では、そろそろ始めましょうか。
「あ、私タイトルコールやりたい!」
「あ、私も純ちゃんと一緒にやりたい!」
わかりました。ではお二人にお願いします。
「憂、せーのでいくよっ」
「おっけーだよっ」
「じゃぁ……せーのっ!」 <>
>>7はミスしていた>>6の再投下です ◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:21:36.00 ID:Eu2V0CTOo<>
「「さるかにがっせん!!!!!」」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:22:14.05 ID:Eu2V0CTOo<>
……昔々、あるところに一匹のカニが居りました
「さーてと、今日もご飯を捕りに行ってこようかね〜」
あ、すみませんが語尾を変えていただけませんか?
「……語尾?」
はい。カニっぽくお願いします。
「カニっぽく!?何でそんな事しなきゃいけないのぉ?」
やはり雰囲気は大事かと。着ぐるみ姿ですし。
「……物凄く腑に落ちないんですけどー」
「まぁまぁ、とりあえずやってみようよ。ねっ」
「……じゃぁ、私の台詞をちょこっと変えてもいいんだったらやってあげる」
ちょこっとですか?構いませんよ。
「ホントに!?やったぁ!実はこの話が最初に来たときから考えてたんだよねー」
では、どのように?
「あ、それなんだけど……憂、ちょっと耳かして」
「なーに?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:23:14.82 ID:Eu2V0CTOo<>
「あのね……コショコショコショ……って感じで言ってもらえる?」
「良いけど……でもどうして?」
「もっかい耳かして。だってさぁ……コショコショコショノコショコショコショ……じゃない?」
「そっか……そうだね。じゃぁ良いよっ」
「さんきゅー!」
宜しいですか?
「おっけーで……じゃなくって、カニっぽくだから……おっけーブク〜」
あ、ブクだと子ガニっぽいので、カニでお願いします。
「別にいいじゃん、ブクだって」
ですが、後ほど子ガニも出て来ますので……。
「……わかった。じゃぁカニにするカニ」
ありがとうございます。では、改めて最初から始めますね。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:23:59.26 ID:Eu2V0CTOo<>
……昔々、あるところに一匹のカニが居りました
「さーてと、今日もご飯を捕りに行ってこようカニ〜」
「ママ!行ってらっしゃいブク!」
「美味しいご飯を捕ってくるから、大人しく待ってるカニよ〜」「はーいブク!」
ちょちょちょ、ちょーっと待ってください!
「なんだカニ?」
「どうしたのブク?」
どうしたもこうしたも……なんで憂さんがしゃべっているんですかぁ?
「何でって……純ちゃんにお願いされたからだブク」
い、今はブクいりませんから……純さん、どうしてですか?
「だから聞いたじゃん、ちょこっと変えても良い?って」
そ、そうですけど……ですが、これは無いでしょう。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:24:34.07 ID:Eu2V0CTOo<>
「えぇー?有りだよ、有り。大有りだよ」
それは、何故ですか?
「だってさ、このまま話しを進めたら……私はどうなるの?」
えー、ぶっちゃけサルに柿をぶつけられて死にますね、腹を割られて。
「それって酷すぎでしょ?それにさぁ、割れたお腹から子ガニが出てくるんだよ?」
出てきますねぇ。それが何か?
「何かって……滅茶苦茶ホラーじゃん、それって」
そうですか?
「……私のお腹が割れて、中から憂が出てくるんだよ?ホラー以外の何物でもないじゃん」
純さんのお腹から憂さんが……。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:26:17.58 ID:Eu2V0CTOo<>
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「先生!母子共に危険な状態です!!」
「お……おねがい……こども……だけは……」
「子供だけでも助けるぞ!帝王切開の準備を!!」
「はい!!!」
・・・・・・ホギャァ!ホギャァ!ホギャァ!
「鈴木さん!産まれましたよ!元気な女の子ですよ!!」
「母体の血圧が低下しています!!」
「昇圧剤を倍量投与するんだ!」
「はい!」
「鈴木さん!!しっかり!!!」
「こ……ども……かお……みせて……」
「血圧更に低下!!」
「子供ね!はい!可愛いお子さんですよ!!だから頑張って!!!」
「うい……わた……しの……か……わ……いい……む……す……め……」
・・・・・・ピィーーーーー
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:27:07.23 ID:Eu2V0CTOo<>
「おい、ナレーター」
はぇっ!?はは、はい!純さん何ですか!?
「今……よからぬ事を考えていたでしょ」
いいい、いえ、滅相もありません。
「嘘だね」
「私もそう思うよ」
そそそ、そんな、憂さんまで私を疑うんですか!?
「ま、取り敢えず……ちょっと話があるから、私と一緒に楽屋まで来て貰おうか」
「純ちゃん、私も一緒に行っていい?」
「いいよ〜。じゃぁすみませんけど、テープ止めておいて下さい、お願いします」
「じゃ、ナレーターさん♪」
なななななな、何ですか憂さん!?
「じゃぁ、憂は右腕持ってー♪」
「純ちゃんが左腕持ってー♪」
「「楽屋まで、レッツゴー♪」」
すみませんでしたぁぁぁぁぁァァァァーーーー!!!!! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/25(木) 00:29:30.53 ID:Eu2V0CTOo<> 本日はここまでです
次回は10レス分程度書き上がったら投下する予定です
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/25(木) 14:28:56.55 ID:A+S3hYkWo<> 憂と純のチョイス
内容のゴミっぷりから
お祭りボーイが思い浮かぶ <>
名無しNIPPER<>sage<>2011/08/26(金) 11:41:58.82 ID:7oKyRMcAO<> きたの <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/27(土) 13:14:10.75 ID:rx0Ye2e40<> こういうのって作者が高校生以上だったとしたら哀れ過ぎる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/27(土) 15:16:12.31 ID:ls13vOoFo<> 高校生はアウト? <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:08:39.10 ID:hBULcp+wo<> どもども
>>16
お祭りボーイを知らなかったのでググってみた
・・・ふむ、何作かは読んだ事ありますね〜
んだども、進行役に憂純ってだけで他の方々も登場しますよん
内容は・・・まぁ、仕方が無いですなぁ〜 ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
>>17
・・・きぃ?
>>18
な、なんだってぇぇぇぇーーーー!!!!????
>>19
おそらくセーフかと
では、本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:09:30.89 ID:hBULcp+wo<>
♯
「さて、仕切り直しをしましょうカニ」
「そうしようブク」
……ゴメンナサイワタシガワルカッタンデスマガサシタンデスユルシテクダサイモウニドトシマセン。
「あ……ちょっとだけ……やりすぎたカニ?」
「そうかもしれないブク」
「どうしたらいいのカニィ?」
「うーん……落ち着くまでまってみるブク?」
「舞ってみる?……カニダンスとかするのカニ?」
「舞ってみるじゃなくて待ってみるだブクゥ」
「あぁ、そっちだったカニ。踊るのかと思ってちょっとだけびっくりしたカニよ」
「イントネーションが違うブクー」
……ハッ!!わ、私は一体今まで何を?
「あ、正気に戻ったカニ」
「良かったブクゥ〜」
あぁっ!!純さんに憂さん!! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:10:06.64 ID:hBULcp+wo<>
「急に改まって、どうしたのカニ?」
「どうしたのブク?」
さ、先程は申し訳ございませんでしたぁぁぁぁーーーー!!!!
「あぁ、それならもう気にしてないカニよ」
「そうですブク」
こ、今後は気を付けますので、どうか、先程のような仕打ちだけは。
「……やっぱやりすぎたカニ?」
「そうかもブク」
もう、金輪際、あのような妄想はいたしませんので、何卒!なにとぞっ!!
「……謝るのはこっちだカニ。シナリオの書き直しをするヒマなんてないのにあんな提案をしてしまって……カニ」
「ナレーターさん、すみませんでした……ブク」
許していただけるんですか!?ありがとうございますぅぅぅぅ!!!!
「んで、シナリオの件なんだけど……やっぱ本来のでやったほうが良いですよね?カニ」
あぁ、それならばご安心ください。芸歴三十数年は伊達じゃありませんよ!
「じゃぁ……純ちゃんが言った設定でやってもいいブク?」
はい、勿論です。あ、それでは最初の部分も少々変えますので、改めて最初から始めましょうか。
「オッケーだカニィ〜♪」
「ブクゥ〜♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:10:48.48 ID:hBULcp+wo<>
……昔々、あるところに一組ののカニの親子が居りました
「さーてと、今日もご飯を捕りに行ってこようカニ〜」
「ママ!行ってらっしゃいブク!」
「美味しいご飯を捕ってくるから、大人しく待ってるカニよ〜」「はーいブク!」
母ガニがご飯を探し歩いていると、道端のお地蔵様に供えられた大小二つのオニギリを見付けました
「……お地蔵様、子供がおなかを空かせて待っていますカニ。なので、申し訳ありませんがこちらのお供え物を戴いて行きますカニ」
母ガニは二つのオニギリをそこから取りあげると、大事そうに抱えて家路を急ぎました
「ふぅ、これで二三日はおなかを空かせずに済むカニ」
母ガニは自宅へと急ぐため、本来ならば通らない草むらを横切っていました
その時です
『おぉーっと、そこのカニさん!そんなに急いでどこに行くんだッキー?』 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:11:28.53 ID:hBULcp+wo<>
「ぬわっ!!ど、どこ?どこにいるカニ!!」
『ここ、ここ!ここにいるッキー!』
「いえ、ここって言われても……てゆーかその声は律先輩ですカニ?」
『そうだウッキー!居場所はねぇ……えーっと、顔をこっちに……って顔だけじゃ向けないのか……そうそう……もう少し右……お、わかったウキ?』
「ん?……あぁっ!もぉ、そんなスタッフルームの隅っこじゃ誰もわからないですカニィ」
『ハハハ!それもそうだッキ』
では律サルさん、こちらへどうぞ。
『オッケーウキー』
「……まさか律先輩がサルとは思わなかったカニ」
「なんでブク?」
「だってさぁ、実際の律先輩は物凄く相手のことを思って行動するカニ。意図的に相手を傷つける事なんて、絶対にしないカニ!」
「そもそうだブクね〜」
「でもまぁ、どんなときでも元気一杯動き回っているイメージがあるから、その点で言えば一番役柄にあってるのカニィ?」
「ほほぅ……つまりは裏を返せば騒がしいという事ッキ?」
「そうそう、その通りですカニ。てゆーか流石ですね、自分のことをよくわかって……って律先輩!?いつの間にここに来たんですカニィ!?」
「ついさっきだッキ。……それでだ、さっき言っていた事は……本心なのかなぁ?」
「あ、あ、あの、その、です、ね、さっきの、こと、は、なんと、いうか、えっと」
「……つまり、本心だったと言うことだな」
「あ、す、すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:11:59.50 ID:hBULcp+wo<>
「あ、いや、別に怒ったりなんかしないウキ」
「そ、そうですカニ?」
「あぁ。ただ単に、後輩からはどんな目で見られてるのかなぁ?って思ったからだけだウキキ」
「はぁ、そうなんですカニ……」
「騒がしいのは自覚してるし、それに……一応、褒めて貰ったし……ウキ」
「おぉう……恥ずかしがる律先輩って……結構レアかもカニ」
「物凄くレアだブクよ」
「こっ、こら!そんなに見つめるなよぉッキー!ってナレーターさん!なんで携帯もってるんだッキ!?」
ハハハ。珍しいので記念に残しておこうかと思いまして。
「なっ!そ、そんなのはどーでもいーから!!さっさとシナリオ再開するッキィーーーッッッ!!!」
うーん、私としてはまだまだ律さんの表情を眺めていたいのですが……そこまで言われるのであれば、致し方ありませんね。
「そうだねブク」
「残念だカニ」
「さも残念そうに言うなッキィィィィーーーー!!!!」
はっはっは。……では、再開します。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:12:27.26 ID:hBULcp+wo<>
突然声をかけられたカニが慌てて辺りを見回すと、草むらに一本だけ立つ高さが大人二人分ほどの木の中程に、一匹のサルが腰掛けてこちらを見ていました
「どこにって……家に帰るところカニ」
「ふーん……あ、ちょっと待っててッキ」
サルは一声かけて木から飛び降りると、あっという間にカニのところへとやってきました
「なぁなぁ、なんでオニギリ二つも持ってるウキ?」
「えっと、私と子供の分だカニ」
「でもさぁ、母子で食べるには多すぎじゃないッキ?」
「子供が食べ盛りなもんで、これでも二三日保てばいい方なんだカニ」
「そんなに食べるのかぁ……大変だなぁウキ」
「だから、少なくとも二日に一度はご飯を探しに行かなきゃならないカニよ〜」
話を聞いたサルは、心の中でほくそ笑みながら手に持った柿の種をカニに見せました
「なぁなぁ、物は相談ウキ。ここに柿の種があるッキ。そのおにぎり一つと交換しないウキ?」
「何でカニ?そんなものおやつ代わりにもならないじゃないカニ〜」
「何を言ウッキ!ちゃんとここを見てみるッキ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:12:59.98 ID:hBULcp+wo<>
サルに言われたところを見てみると、そこには小さなマークがありました
「ま、まさか、このマークがあるって事は、あの、幻の、『琴吹印の柿の種』カニィッ!?」
「その通りだッキ!植えたら一週間で実が生ると言う柿の種だウキ!」
「ほ……本物カニ?」
「正真正銘、本物だッキ。これならオニギリと交換でも文句は無いと思ウキ」
「だ、だけど……それならサルさんが植えて食べれば良いんじゃないカニ?」
「あー、この種って毎日ちゃんと水をあげなきゃダメなんだキ。でも私は用事があって数日間ここを離れなきゃならないウキ」
「だから、オニギリと交換……なる程、わかったカニ」
「あ、でも、これはかなりの実が生るらしいから、帰ってきたらお裾分けに少しでいいから食べさせてくれるウキ?」
「モチロンだカニ!なんなら半分こでも良いカニよー」
「本当ッキ!?有り難いウキー!」
「じゃぁ、オニギリをあげるカニ」
「サンキューだッキー!じゃぁ、大きい方貰ってくウキィー!」
そう言うと、サルは大きなオニギリをカニから半ば奪い取るようにして、あっという間に草むらから去って行きました
「……ま、いっカニ。取り敢えず憂がおなかを空かせなければ大丈夫だし、これが実を付ければご飯を探しに行くこともなくなるし……カニ」
母ガニはそんな事を呟きながら、家路を急ぎました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:13:48.47 ID:hBULcp+wo<>
「ただいま〜カニ」
「おかえりなさいブク〜。お母さん、ご飯あったブク?」
「あったカニよー!はい、たーんと食べるカニ」
「わーいブクゥ〜!……あれ?お母さんの分はどこブク?」
「お母さんの分カニ?フッフッフ……だカニ。お母さんの分は……なんとこれだカニ!!」
「……柿の種ブク?でもこれじゃぁ私ですらおなかいっぱいにならないブク〜」
「ところがどっこいだカニ。これはただの種じゃないんだカニ」
「そうなのブク?」
「そうカニ!なんとこれは蒔いてから一週間で実が生る『琴吹印の柿の種』カニ!これで我が家の食糧問題は解決カニィー!!」
「やったねお母さん、ご飯がいっぱい食べられるブクよ!」
「では、早速種を蒔きに行くカニィィィーーー!!!」
「あ、待ってブクゥゥゥーーー!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/08/27(土) 22:16:02.98 ID:hBULcp+wo<> 本日はここまでです
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/27(土) 22:37:30.54 ID:XBAndqYzo<> 乙! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/27(土) 22:48:42.97 ID:ls13vOoFo<> マジで高校生なのか
若いうちからネットやってる恥をばらまいてしまうな <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:25:46.79 ID:iEWXYWIKo<> どもども
>>30
乙ありがとでございまするぅ〜
>>31
>>19の質問は>>1が高校生か否かって意味だったんかいwwww
てっきり>>18を受けての>>19だと思ったぜ・・・
あ、んでもって>>1は高校生じゃないですよん
では、本日分投下
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:26:13.31 ID:iEWXYWIKo<>
カニの親子は家のそばにある高台に来ました
「お母さん、ここなら土も適度に柔らかいし、種蒔きにはとても適しているブク」
「流石は我が娘だカニ。誰も教えていないのにそんな事を知っているとは、驚きを隠せないカニィ」
「エヘヘ〜、こんな事もあろうかと思って、図書館で調べておいたんだブクゥ」
あの……流石にこの時代、図書館は無いと思いますが……。
「え?借りてきたのは駅の近くにある図書館ブクよ〜」
「へっ!?まさかホントに行ったのカニィ!?」
「そうだよブク〜♪」
はぁ……凄いですねぇ。
「では、娘が太鼓判を押すこの場所に植えるカニ」
親子は小さな穴を掘り、そこに種を蒔きました
「はーやく芽を出せ柿の種カニィ♪」
「出さなきゃお前をほじくるぞブクゥ♪」
カニの親子は楽しそうに歌い、踊りながら水をあげて自宅へと戻りました
その翌日…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:26:39.19 ID:iEWXYWIKo<>
「今日は岩場に取り残されてた秋刀魚を捕ってきたカニ!」
「お母さん!ご馳走だねっブク!!」
「さーて、それじゃぁ種の水やりに行くカニ」
「あ、私も行くブクゥ〜」
親子が種を蒔いた所に到着すると、意外な光景がありました
「お母さん!!芽が!芽が出てるブクゥー!!」
「まさかぁ、そんな蒔いてから一晩で芽が……あら、出てるカニ」
「普通じゃ有り得ないブク。流石は琴吹印の水やり柿の種だけあるブク」
「うん、そうだカニね」
「じゃぁ、早速水をあげるブクゥ」
「おっけーカニィ。……はーやく伸びろや柿の芽よカニィ♪」
「伸びなきゃお前をちょんぎるぞブクゥ♪」
またも親子は楽しそうに歌い、踊りながら水をあげて自宅へと戻りました
そして、翌朝…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:27:26.44 ID:iEWXYWIKo<>
「お母さん!お母さん!!大変ブク!」
「はいはい、なにが大変なのカニ?」
「外にでて!柿が大変ブク!!」
「柿が!?わ、わかったカニー!」
母ガニは急いで外に飛び出しました
すると……
「ぬぉわっ!!……あれって……柿の木……カニ?」
「そうブク!葉っぱの形がちゃんと柿の葉の形をしているブク!」
そこには、昨日発芽したとはとうてい思えない程に育った柿の木がありました
「まさか子供の背丈程に生長するとは……カニ」
「流石、琴吹印のk」「それは一度だけにするカニ。何度もやるとお客さんが飽きるカニ」
「はーい、了解ブク〜」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:27:55.62 ID:iEWXYWIKo<>
その後も柿の木は日を追うごとに生長し、気付けば蒔いてから一週間経っていました
「はぁー、立派に育っちまってまぁ〜、それに実もたんまりとついてるカニィ〜」
「お母さん、その口調だとお婆ちゃんみたいブク」
「こーいったシチュエーションの時はそんな感じに言った方がいいって、近所のお婆ちゃんが言ってたカニ」
「そうなのブク?じゃぁ、しっかりと覚えておくブク〜」
嗚呼、年端もいかぬ子供に誤った知識を植え込むとは……なんと意地悪な母なのでしょうか。
「意地悪じゃないカニ!ちゃんと教えて貰ったカニ!!」
そ、そうなんですか!?
「うん……律先輩からだけど……カニ」
律さん……ウソはやめましょうよ。
「ウソじゃないッキ!」
……本当ですか?
「……申し訳ありません、わたくし、ウソをついておりました!!」
……やっぱり。
「まぁ、ベタなネタだからバレバレだったカニ」
「だったブク」
「じゃぁ言うなよぉぉぉぉーーーーッキィィィィ!!!!」
さ、それじゃ再開しましょうか。
「オッケーカニ」
「同じくブク」
「……さわちゃん……スルーが一番傷付くって意味……よくわかったッキ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:28:21.24 ID:iEWXYWIKo<>
さて、噂に違わず見事に実りを迎えた柿の木ですが、親子はその実を目の前にして困りはてていました
「お母さん……これって、どうやって採ればいいブク?」
「……お母さんもそれを考えている最中カニ」
親子が二匹して頭を抱えているところに、意気揚々とサルがやってきました
「おぉ!立派に実ったなぁ〜ウキ」
「あ、サルさん久しぶりカニ!」
「カニも久しぶりウキ!……そっちのちんまいのが言ってた子供ッキ?」
「そうだカニ!さ、ご挨拶するカニ」
「えっと……子ガニですブク。サルさん、柿の種ありがとうございますブク」
「どういたしましてウキ。……んで、何を悩んでいるんだッキ?」
「実は……カクカクシカジカシカクハトウフ……カニ」
「なーんだ、そんな事ウキ?ま、そこで見てなッキ」
サルはそう言うなり幹に飛びつき、あっという間に木のてっぺんまで登りました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:28:48.93 ID:iEWXYWIKo<>
「お母さん、スゴいブクね〜」
「うん……だカニ」
「なぁ、確か半分は私にくれるって約束だったウキ?」
「え?あ、そうカニよ〜」
「そうなのブク?」
「だって、独り占めしちゃ悪いカニ」
「ずっと歩いてたから腹ペコなんだッキー。いっただっきまーすキー」
「どうぞカニー!」
「……お母さんは良いカニさんブク♪」
「そうカニ!お母さんは良いカニなんだカニ!カーッカッカッカッカーニカニー!!」
「それ……悪いカニの笑い方ブク……」
親子が話をしている間も、サルは食べる手を休めませんでした <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:29:18.11 ID:iEWXYWIKo<>
「お母さん……おなか空いたブク……」
「私もちょっと空いてきたカニ。おーい!サルさーん!!聞こえるカニー?」
「ムシャムシャパクパク……ん〜?何だッキー?」
「おなか空いたからー、私達も柿が食べたいカニー!」
「食べたいブクー」
「ふーん……で?私はどうすれば良いウキ?」
「実を下に落としてほしいカニー!」
その言葉に、サルの瞳が妖しく光りました
「実を下に……ほほぅッキ」
「そうだカニー。落としてもらえれば良いカニー」
するとサルはまだ熟していない青い実を手に取り……
「おぉーい、今から落とすッキー!」
「準備オッケーカニ!」
「おっけーブク!」
子ガニめがけて投げつけました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:30:16.93 ID:iEWXYWIKo<>
「フッ……こんな物、こうするブク!!カッキーン!!」
「打ったぁーー!!これは大きいぃぃぃーーー!!!入るか?どうか?……ファールですカニ」
「まさか、あの球をあそこまで運ばれるとは……流石は憂、私のライバルなだけあるッキ」
「チッ……次は決めるブク!!」
「九回裏、ツーアウト満塁、点差は三点、……バッターは憂、フルカウントと追い込まれているカニ」
「フゥ……ウキ」
「ピッチャーは律、キャッチャーのサインに何度も首を振っているカニ」
「それじゃ駄目ッキ。……よし、それでいくウキ」
「どうやら決まったようだカニ。律、大きく振りかぶった!完全になめているカニ!!」
「これでぇぇぇ!!決まりだぁぁぁぁーーーーーッキィィィィ!!!」
「あまぁぁぁーーーいブクゥゥゥゥ!!!」
「打った!!大きいぃーーー!!!まだ飛ぶ!まだ飛ぶ!!まだまだ飛ぶカニィィィィ!!!!」
「いっけぇぇぇぇぇーーーーブクゥゥゥゥゥゥーーーー!!!!!」
「球は遂にスコアボードを越えたぁぁぁぁーーー!!!逆転!!サヨナラ!!満塁ホームランカニィィィィィィ!!!!!」
「クッ……ま、負けたッキ……」
「一人、二人、三人!そして打った憂はゆっくりと三塁ベースをまわって……ホームベースを……踏んだカニィィィィ!!!」
「やったぁぁぁぁーーー!!!勝ったブクゥゥゥゥーーーー!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:30:42.62 ID:iEWXYWIKo<>
……あのぉ〜。
「それでは勝利者インタビューに……ってなんだカニ?」
これって……そういったお話でしたっけ?
「……ハッッッッ!!!そういえばすっかり忘れてたカニ!」
わ、忘れないでくださいよぉ。
「……スマン、私も忘れてたウキ」
律さん……。
「……あの、私も、ブク……」
憂さんまで……。
「ま、まぁまぁ、たまには脱線するのも必要だッキ」
「律先輩の言うとおりだカニ」
「そうだブク」
……はぁ……。
「ほらほら、元気だして。シナリオを再開するッキ」
……では……再開します……。
サルはまだ熟していない青い実を手に取り子ガニめがけて投げつけました
「キャァァァァーーーーブクゥゥゥゥーーーー!!!!」
「危ないカニィィィィィィーーーーー!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:31:08.69 ID:iEWXYWIKo<>
堅い実が子ガニに命中するその寸前、母ガニが子ガニの前に立ちはだかりました
そして……
「グフゥッッッッ!!!」
柿は鈍い音とともに母ガニの腹に激突し、その衝撃で母ガニは後ろに倒れ込みました
「お母さん!!しっかりするブク!!!」
「だ、大丈夫……カニ?」
「わ、私は大丈夫だブク!!」
「そう……よかった……カニ……」
「お母さん?お母さん!お母さん!!目を開けるブクゥゥゥゥーーーー!!!!!」
「あ〜あ、折角柿を落としてあげたのに……ちゃんと捕らなきゃだめだッキ〜」
その声に子ガニが見上げると、サルがさもカニが悪いとでもいいたげな顔で親子を見下ろしていました
「そんな……そんな言い方ないブク!!」
「何を言うんだッキ!実を落としてほしいと言ったのはそこの母親だッキ!」
「けど……それだったらもっとちゃんと熟した実を優しく投げ落とすのが筋ってもんだブク!!」
「ならちゃんとそう言わなきゃ、単に実を投げてとしか言わなかったからそんな事には全然気付かなかったッキ」
「でも……普通なら……ブク」
「あぁん?文句があるならここまで来て言うッキ」
「そんなの……無料だブク……」
「ウキャキャキャキャ!!ならさっさとそいつ連れて家に帰るこったウキ!それとも……また投げつけられたいウキ?」
「うぅぅぅー、……お母さん、肩に掴まるブク」
「ウゥッ……」
「……家に……帰るブク……」
子ガニは母ガニを起こすと、身体を支えながらゆっくりと家に戻りました
「あのサル……絶対に許さないブク……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/07(水) 08:31:36.02 ID:iEWXYWIKo<> 本日はここまでです
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/09/07(水) 22:26:15.00 ID:niWsyhj/0<> 憂がカニ歩きでベースを踏んで回る光景を想像したらじわじわきたぜ…
しかし語尾のせいでセリフが脳内再生されない…俺の妄想力が足りないというのか…ッ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/09/16(金) 23:27:24.09 ID:uVUBIfsro<> 憂ちゃん可愛いプク〜 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:16:07.75 ID:zu6AIzPPo<> どもども
>>44
憂がカニ歩き・・・
そ の 発 想 は な か っ た
てか確かにじわじわ来るwwwww
>>45
憂「ありがとブクゥ〜」
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:16:33.47 ID:zu6AIzPPo<>
♯
子ガニはなんとか母ガニを家に連れ帰り、布団を敷き寝かしつけました
「お母さん……これでもう大丈夫だブク」
「ウゥッ……すまないカニ……お母さんがあんなサルに騙されなければ……本当にゴメンカニ……」
「お母さんは悪くないブク!悪いのはあのサルブク!!」
「そう言ってもらえるとありがたいカニ。……ハァ……取り敢えず、今日のご飯、捕りに行かなくちゃ……アグゥッ!!」
「お母さん!無理しちゃダメブク!!」
「でも……食べるものは何もないカニ……」
「……それなら、私が捕りに行くブク!!」
「そ、そんな……お前はまだ小魚ですら捕ったことが無いカニよ?それなのに……」
「……そうしなきゃ、お母さんの怪我も良くならないブク!だから……頑張ってみるブク!!!」
子ガニは母ガニの為に自ら食料を探しに外へでました
ですが…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:17:03.41 ID:zu6AIzPPo<>
「ウンセ……ウンセ……ここも……登れないブク」
何時も母ガニが海藻を採ってくる岩場は、高すぎて上れません
「こらっ!待つブクゥーー!!!」
浅瀬を泳ぐ小魚は、近付く前に逃げてしまいます
「ハァ……ハァ……もう……痛くて……無理ブク……」
木の実を落とそうと幹に体当たりしますが、軽すぎて葉の一枚ですら落ちてきません
「ウッ……ウゥッ……グズッ……」
途方に暮れた子ガニは、とうとう泣き出してしまいました
「ウワァァァァーーーン!!!これじゃぁ、お母さんが死んじゃうブクゥゥゥゥーーーー!!!!」
と、その時…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:17:44.72 ID:zu6AIzPPo<>
『おやおや、泣いているのは誰かな?……えっと、ドスン』
「……グズッ……だ、誰?どこに居るブク?」
『ここ、ここだドスン』
「……澪先輩……スタジオの入口で何をしているんですかブク?」
『あの……扉……開けてほしいドン』
「あー、臼だから手が届かないのかウキ。ちょっと待ってな、今開けるッキ」
成る程、純さんや憂さんみたいに前面から手を出すタイプではなく、横から出すタイプの着ぐるみなんですね。
「確かにそれじゃぁドアが開けられないカニね」
「ふぅ……律、ありがとな……ドスン」
「いや、無理に語尾付けなくても良いんじゃないッキ?」
「だけど……みんなつけてるドン」
あぁ、そう言われれば雑談中も皆さん語尾を付けていますね。
「だから……私も付けたいドスン」
皆さん強引に語尾をつけたりしてますから、それで大丈夫だと思いますよ。現に律さんだって……ねぇ。
「そ、そうかぁ?……ウキ。……あ」
「今のはかなり強引だったブク」
「てゆーか私と憂が楽なだけなのカニ?」
「そうかもしれないブク」
「確かに……そうかもしれないドン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:18:17.54 ID:zu6AIzPPo<>
「……なぁ、今思ったんだが……この話って牛の糞が登場するよな?じゃぁその語尾って……何になるんだッキ?」
「うーん、想像がつかないドスン」
「……どう考えても不快感を伴うモノしか考えつかないカニ」
まぁ、それは後のお楽しみにとっておくとして、そろそろ再開しませんか?
「そうだね〜ブクゥ〜」
岩場の陰から現れたのは、木でできた臼でした
「あ、あなたは……誰ブク?」
「私かい?私は臼だドスン。そう言う君は誰ドン?」
「えと、子ガニですブク」
「……子ガニちゃんは何で泣いていたんだドン?」
「実は……カクカクシカジカ」
「マッタクリツノヤツハ……そ、そんな事があったのかドン」
「ちょっ!澪!今何て言ったッキ!?」
「ん?憂ちゃんがカクカクシカジカと言ったから、マルマルウマウマって返しただけだドスン」
「……全く律の奴はって言ったように聞こえたんだがウキ」
「気のせいだろ?さ、続き始めるから黙ってるんだドン」
「……スルーされた感再びだッキ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:18:53.71 ID:zu6AIzPPo<>
子ガニから事の顛末の説明を受けた臼は、驚きの表情を隠せませんでした
「それで、子ガニちゃんはどうしたいドン?」
「私は……サルに復讐したいブク!!」
「復讐か……。本来なら絶対に反対だけど、子ガニちゃんと親ガニさんの事を考えると、そんな事はとてもじゃないが言えないドスン」
「……だけど、ご飯すらマトモに採れない私じゃ絶対に無理だブク……」
「……よし!私もその手伝いをするドン!」
「え?でも……無関係な人……じゃなくって、臼さんを巻き込むのは気が引けるブク……」
「大丈夫、話を聞いた時点で無関係じゃ無いドスン!それに……そんな悪い大人は大人がちゃんと懲らしめなくちゃダメドン!!」
「あ……ありがとうブクゥ!!」
「……とは言え、流石に私一人では心許ないしもうすぐ日も暮れるドン。取り敢えず今日のところは家に帰るのが良いドスン」
「でも……ご飯が……ブク」
「そういえばそうだったドスン。じゃぁ……せーのードン!!!」
臼は子ガニが何度も体当たりしていた木に向かい、勢いよく体当たりをしました
「……何もおこらないブク」
「本当にそう思うドン?」
「思うブク」
「じゃぁ子ガニちゃん、さっきみたく体当たりしてみるドスン」
「う、うん……ブク」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:19:23.09 ID:zu6AIzPPo<>
子ガニは臼に促され、全力で体当たりをしました
すると……
「……やっぱり何も起こらな……イタッ!な、何ブク!?……えっ……木の実……?」
「ほら、危ないから私の後ろに来るドン」
子ガニが慌てて臼の後ろに隠れた途端、まるで雨のように木の実が落ちてきました
「わぁ〜!!すごいすごい!!!臼さんすごいブクゥゥゥゥーーーー!!!!」
「いや、子ガニちゃんが最後にぶつかったから落ちてきたんだドスン。だから本当にスゴいのは子ガニちゃんドスン」
「そうなのブクゥ〜?エヘヘ〜嬉しいブクゥ〜」
「さ、木の実を集めるドン」
「はいブク♪あ、でも……どうしよう」
「どうしたドン?」
「カゴ……ちっちゃいから……全部は持っていけないブク……」
「なんだ、それなら私の頭に乗っければ良いドン」
「え、でも……ブク」
「大丈夫、これくらい全部乗せてもまだまだ余裕が有るドン」
「じ、じゃぁ……お願いしますブク」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:19:49.02 ID:zu6AIzPPo<>
子ガニと臼は、辺りに散らばった実を臼の頭に乗せはじめました
小さな物、大きな物、整ったもの、いびつなもの
それらを次々と頭に乗せ、ついに落ちている実は一つもなくなりました
「うわぁ〜!ホントに全部乗っかったブク〜!」
「フフッ……子ガニちゃん、ちょっと頭の上を確認してほしいドン」
「確認ブク?」
「さっき『まだまだ余裕がある』って言ったドン。本当かどうか確認してほしいんだドスン」
「は〜いブクゥ〜」
腰を屈めた臼の頭の上をのぞき込むと、確かに言ったとおり子ガニ一匹を乗せてもまだ余るほどの余裕がありました
「どうドン?」
「え〜っと、私が乗れるくらい余裕があるブク」
「良かった、それくらいの余裕が有るかどうか気になっていたんだドン」
「……なんでブク?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:20:15.94 ID:zu6AIzPPo<>
「子ガニちゃんは慣れない事を沢山したドン?」
「うん……ブク」
「実はとても疲れているんじゃないのかな?……もう歩くのも嫌なくらいに……ドスン」
「そ、そんなこと……ちょっとだけブク……」
「ちょっとって言っても、疲れていることには変わらないドン。さ、私の頭に乗るドスン」
「で、でも……ブク」
「大丈夫だって、子ガニちゃん軽いんだし、いつもはもっと重いの乗せてるんだから問題ないドスン」
「じ、じゃぁ……お願いしますブク」
子ガニは臼に促され頭に登り、木の実が沢山入った窪みに座りました
「……ちゃんと乗ったドン?」
「の、乗りましたですブク!」
「アハハ、そんなに緊張しなくてもいいドン。ところで、乗り心地はどうドン?」
「あ、えと……なんだか、気持ちいいブク」
「だろ?私の頭は特に乗り心地が良いらしいドン」
「そうなんですか……ブク」
「あぁ、みんなそう言ってるドスン。さ、子ガニちゃんの家へ案内してくれドン」
「はいブク♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:21:03.14 ID:zu6AIzPPo<>
「……なぁ純ちゃん……澪のセリフ、カッコつけすぎな気がしないウキ?」
「……おもいっきりそんな感じがしますカニ」
「なっ!べ、別におかしくないだろ!?年上が年下に優しくするのは普通じゃないかドスン」
「にしても……ねぇ……ウキ」
「ですよねぇ〜……カニ」
「ウフフ、純ちゃんに律さん……もしかしてヤキモチブク?」
「そ、そんなことはないッk」「うん。そうカニ!」
「えぇっ!そこで言い切っちゃうッキ!?」
「純ちゃん……大丈夫ブク。これはお芝居なんだから……ね」
「う、うん……そ、そうだよね!これはお芝居なんだからそういったセリフも必要カニね!」
「そうブク。だから澪さんだってそんな気を持って言ってないブク。そうですよね」
「勿論だドスン。それなのに律ときたら……」
「だ、だってよぉ〜、なんか……見たこと無い顔であんなセリフ言うから……ウキ」
「……バカ律。私が本気で憂ちゃんにあんな事を言うとでも思ってたのか?」
「……うん……」
「……まったく。……律、ちょっとこっち来い」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:21:29.84 ID:zu6AIzPPo<>
「な……なに……?」
「そこじゃない、立つのは私の目の前」
「こ……ここで……いい?」
「あぁ。それでだ、律。……えっと、あの……、わ、私は、――……・・・……――」
「……うん」
「もうあんな事言ったりしないドン?」
「も、もちろんだッキ!」
……純さん、憂さん、なんだか室内の空調が切れた気がしませんか?
「そんな気もするカニ」
「まぁまぁ、良いじゃないですかブクゥ」
……それもそうですね。えー、そこのお二方、そろそろ宜しいですか〜?
「え?あ、は、はい!大丈夫ですッキ!!」
「す、すみません、ウチの律がご迷惑をおかけしましたドン」
では、再開しましょうか。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/17(土) 00:22:46.49 ID:zu6AIzPPo<> 本日はここまでです
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/09/19(月) 01:04:29.55 ID:ZqeTE7ito<> 乙乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2011/09/23(金) 21:01:21.40 ID:kAp6kBaVo<> 続きが気になる… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:03:05.28 ID:AAKV93Dro<> どもども
>>58
おつありがとござますー
>>59
続き来ましたー
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:03:36.43 ID:AAKV93Dro<>
頭に乗せた子ガニの案内で歩くこと数分
臼と子ガニはカニの家に到着しました
「……ここが子ガニちゃんのお家ドスン?」
「うん!そうブク♪おかーさーん!ただいまブクゥー!!」
「おかえりカニ……どう?食べ物は見つかったカニ?……って、えっと、どちら様でしょうカニ?」
「初めまして、わたくしは臼という者でドスン」
「こ、こちらこそ初めましてですカニ。私は母ガニと言いますカニ」
「実は、斯く斯く然々という訳でこちらに参りましたドスン」
「そ、そうだったんですカニ……ありがとうございますカニ」
「いえいえ、お礼を言われるほどではないドン」
「……ところで、当の本人はどこにいるんですカニ?」
「ここだよぉ〜ブクゥ〜」
「ここって……どこカニ?」
「あぁ、こちらですドスン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:04:12.59 ID:AAKV93Dro<>
臼は母ガニが見えやすいようにしゃがみ込み、頭を傾けました
「あらあらあらあら、こんな所にいたのカニ。全く……臼さん、重かったでしょうカニ」
「いえいえ、この程度ならば大したことはありませんドスン。餅をつくときなどは今の数倍重い餅米をしょってますからドン」
「はぁ、そうなんですカニ」
「それに、子ガニちゃんも慣れない事をして疲れ切っていたドスン。だから大目に見てあげてほしいドン」
「まぁ、乗せてくださった臼さんがそう言うのでしたら……カニ」
「さて……子ガニちゃん、降りる前にそこにある木の実を全部下に落とすドン」
「はーいブクゥ。お母さん、大きなザルを持ってきてブク〜」
「はいはい、ちょっと待っててカニ」
母ガニが大きなザルを持ってくると、子ガニは木の実を次々とそこへ落としました
「あららまぁまぁ、こんなにも沢山の木の実を採ってきたのカニ?」
「うん!臼さんと一緒に採ったブク〜♪」
「臼さん、重ね重ねありがとうございますカニ」
「どういたしましてドン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:04:48.29 ID:AAKV93Dro<>
「さてと、じゃぁこれを箱に入れるとしますカニ。。……よいしょっと、アイタタタタカニ」
「だ、だいじょうブク!?」
「……ちょっと……大丈夫じゃない……カニ」
「あぁ、私が運びますドン。うんせっと……ここでよろしいのですドン?」
「は、はいカニ……イタタタ」
「お母さん、寝てた方がいいブク」
「うん……そうさせてもらうカニ……」
「母ガニさん……子ガニちゃんから聞いたのですが、その怪我はサルに柿をぶつけられたからというのは……本当ですドン?」
「は、はい……そうですカニ……」
「だから、私はサルに復讐するんだブク!」
「復讐って……お前、そんな事を考えているのカニ!?」
「お母さんに酷いことをしたんだから、当然ブク!」
「だ、だからって……もっと穏便に解決すれば良いじゃないカニ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:05:20.48 ID:AAKV93Dro<>
「お母さん、こういった輩は甘やかすと図に乗るドスン。なので復讐……とまではいかなくとも、少々お灸を据えたほうが良いドン」
「お灸……そうですね……今回は私一人だけの被害で済みましたけど、このまま放置しておいたら今後も被害を受ける人が居るかもしれませんね……カニ」
「そういうことですドン」
「ですが、どのようにしてサルにお灸を据えるんですカニ?」
「……そこが問題なんですドスン。単純な力勝負ならばサルに負けるなどという事はありませんドスン」
「臼さん力持ちブク〜」
「ありがとドン。……ですが、素早さに於いては明らかに私の方が劣っていますドスン」
「……まぁ、臼ですから仕方が無いですカニ」
「なので、私以外の仲間が必要だと思われるのですドスン」
「そうですね……私や娘でもサルの素早さには適わないですカニィ」
「でも、仲間って……どうやって探すブク?」
「うーん……取り敢えず、サルの能力をもう一度分析してみるドスン」
「それが良いカニね〜」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:06:09.54 ID:AAKV93Dro<>
カニの親子と臼は居間で膝をつきあわせ、サルについての分析を始めました
「先ず第一に、あの素早さカニ」
「へっへーん!私に追いつけるモンなら追いついてみろッキ!!」
「目にも留まらぬ早さで木に昇り、枝から枝へと飛び移るブク!だけど地上ではイマイチブク」
「地上ではイマイチ……
―・―・―・―・―
ダカダカダカダカドコドコドコドコ
シャンシャンシャーン
『よっしゃ完璧!』
『どこがだよ……いつもよりはマシだがまだ走ってたぞ』
『えぇー?』
―・―・―・―・―
……そうドスン?」
「そうカニ。そして次に私も身を持って体験した狡猾さカニ」
「どうだッキ?これと交換ってのは……得すると思ウッキ」
「言葉巧みに相手の気を引き、完璧に相手を騙すブク」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:06:53.42 ID:AAKV93Dro<>
「完璧に相手を……
―・―・―・―・―
『あれ?確かここに……』
『どったの?』
『いや……この間ママからタコサブレ貰って……ここに置いておいたんだけど……』
『澪が食べたんじゃないの?』
『それは絶対に無い。二個貰って一個しか食べてないんだから』
『勘違いじゃないのか?或いは……寝ている間に澪しゃんが食べちゃったりとか』
『だからそんな事は絶対に無いってば!』
『な、なんでそう言い切れるんだよっ!』
『……だって……』
『だって?』
『だって……律にあげようと思って……とっておいたんだもん……』
『そ、そうか。で、でもまぁ、無い物は、しょうがないよな、うん』
『カワイイ形だったし、美味しかったからあげようと思ってたんだけどな……ハァ』
『い、いいってば!人間諦めも肝心だぞっ♪』
『ハァ……ごめんな……もし今度貰ったらあげ……ん?』
『な、何?なんでこっち見つめるの!?』
『律……口元』
『口元?……あ』
『なんでお菓子のかけらが付いてるんだ?』
『えと、その、あの……』
『食べたんだな』
『……つ、つい、出来心で……』
『全く……まぁ、さっき言ったとおり元々あげるつもりだったからいいけどさ』
『ごめん……』
『次からは食べたかったらちゃんと言うんだぞ』
『……うん』
―・―・―・―・―
うーん……それも違うような気がするドン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:07:20.58 ID:AAKV93Dro<>
「そんなこと無いカニ!サルは騙しの天才カニ!」
「でも……いつもリズム走ってるし、ウソつくのも苦手だドスン」
……あの、澪さん。
「なんドスン?」
それって……もしかして律さんの事……ですか?
「え?だって今、律のこと話してたドン?」
「澪先輩……」
「澪さん……」
「みーおー……」
「な、何?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:07:53.56 ID:AAKV93Dro<>
「「「今はサルについて話し合っているシーンですカニ!!」ですブク!!」だッキ!!」
「へっ!?……あ。そ、そう言えばそうだったドン。ちょっと勘違いしていたドスン」
「全く……しっかりしてくれよッキ」
「そうですカニ」
「でも、珍しいブク。澪さん調子悪いんですブク?」
「いや、そんな事は無いと思うんだが……ドン」
熱っぽかったりはしませんか?
「うーん……そんな感じは無いんですが……ドスン」
もし辛くなったら言ってくださいね。
「はい……ドン」
皆さんも、具合が悪くなったりしたら言ってくださいね。
「はいカニ」「はいですブク」「了解だウキ」
あ、そうだ。このシーンが終わったらいったん休憩入れましょうか。
「あー、そうしてもらえると助かるカニ〜」
律さんはともかく、お三方はそれを着続けるのも大変でしょうし。
「そうだよな〜。私は動きやすいけど澪達は動くのも大変だもんな〜」
では、ちゃっちゃと進めますか。えっと……憂さんからですね。
「あ、そうですね。じゃぁ、続き始めますブクゥ〜」
お願いします。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:08:24.94 ID:AAKV93Dro<>
「すばしっこさとずる賢さ、その二つを何とかしなきゃいけないブクね」
「そうカニ」
「では明日、その点を重視して仲間探しをするドン」
「私も手伝うブク!」
「あなたはダメですカニ。ここは臼さんに任せるのが一番ですカニ」
「えぇ〜?なんでブクゥ〜?」
「ただでさえ身体が小さくて体力が少ないのに、何時間もかけて仲間探しなんて無理カニ」
「だ、大丈夫だもん!ちゃんと手伝えるもん!……ブク」
「でもね、口で言うほど楽じゃないカニよ」
「だ、だけどブク!」
「まぁまぁ、母ガニさんも子ガニちゃんも落ち着くドン」
「あ……すみませんカニ……」
「すみませんブク……」
「いえいえ、どちらの言い分もよくわかりますドン。ですが……私のとしては、出来れば子ガニちゃんと一緒に探したいですドスン」
「それは……どうしてですカニ?」
「……私が言うよりも、当事者である子ガニちゃんに言って貰った方がよくありませんかドスン?説得力という点で」
「説得力……確かにそうかもしれませんが……カニ」
「なーに、疲れたら今日みたいに上に乗って貰えばいいドスン。ついでにお弁当もそこに入れておけば安心ドン」
「……ご迷惑になりませんカニ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:09:04.05 ID:AAKV93Dro<>
「全くありませんドスン」
「そうですカニ?……では、よろしくお願いしますカニ。ほら、お前も」
「あ、うん。臼さん、明日はよろしくお願いブク〜」
「こちらこそドスン。さ、それじゃぁ晩御飯を食べて明日に備えるドン」
「そうしますカニ」
「わ〜い!ごはんブクゥ〜♪」
臼を交えた晩御飯は、カニの親子にとって久しぶりの楽しい食事でした
そして、一夜開けた翌日……
「それじゃぁくれぐれも気をつけて、ムチャしないようにするんですカニ」
「はーいブクゥ!」
「臼さん、ご迷惑をおかけすると思いますが、あの子の事、よろしくお願いしますカニ」
「はいドン。それでは、行ってきますドスン」
「行ってきますブクゥ〜!」
「行ってらっしゃいカニ〜!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:09:42.19 ID:AAKV93Dro<>
……では、ここらで一旦休憩にしましょうか。
「ンクァァァァァーーーー……カニ」
「純ちゃん疲れたブク?」
「流石にこの格好で座り続けてると……ね。憂だってそうでしょ?」
「そだね〜ブク」
「いや、ブクはいらないんじゃねッキ」
「……あの、律先輩も……つけてますカニ」
「へっ!?そウッキ?……って今言ってたな……」
「まぁ、別に構わないんじゃないかドスン」
「……それもそうだな、別に問題は無さそうだしウキ」
「さてと、一休みしにいくドン」
「賛成カニ〜。てゆーかトイレ行くカニ!」
「あ、私も行くブクゥ!」
あ、でしたらここで着ぐるみ脱いでいかれたら良いのでは?楽屋まで行くとなると大変ですし。
「そ、それは無理カニ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:10:40.76 ID:AAKV93Dro<>
な、何でですか?
「だって、この下ショートパンツとブラだけなんだもん!恥ずかしいカニ」
「わ、私も……同じブク」
「これ着てると蒸し暑いからな……ドスン」
「……てことは、澪もそうなのウキ?」
「あぁ。……私も一度楽屋に戻って着替えようかな。かなり汗かいて気持ち悪いドン」
「そんなに蒸し暑いのか……ウキ」
「あ、あのー!澪先輩!すみませんけど先に出ていただけますカニ!」
「そ、そうしないと、私達が出られないブク!」
「あっ、ごめんドン。今出るドスン」
「お、お願いしますカニ……」
「私達、最初から居たし、暑いから結構お茶飲んじゃってて……出来れば急いで貰いたいブクゥ」
「わ、わかったドン!律!ドア頼む!!」
「オッケーウキ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:11:17.47 ID:AAKV93Dro<>
はぁ……女性は大変ですなぁ〜。
「ひ、他人事みたいに言わないでほしいカニ!!アゥッ……」
「純ちゃん、大声出したらだめだよ!!ヒァッ……」
「ほら、二人とも急ぐッキ」
「あ……あまり急げないカニ」
「で、でも急いで行かないと……」
「無理しないで、ダメならムギと斎藤さん呼んで何とかしてもらうドスン」
「そ……そこまでして……もらわなくても……だいじょうぶ……かに……」
「あ……じゃぁ……わたしたちの……がくやの……どあ……あけておいて……ください……ぶく……」
「わかったッキ!じゃぁ先に行って開けてくるウキ!!」
「すぐに……いきます……かに……」
あ、ドアは閉めておきますので、そのままにして置いて下さい。
「じゃぁ……おねがい……します……ぶく……」
はい。お気をつけてお戻りください。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:11:53.49 ID:AAKV93Dro<>
……さて、と。皆さん行かれましたね。
あ、斎藤さん、すみませんが私も一休みさせていただきますね。
えーっと、そうですね……二十分後には戻りますんで。
はい。では後ほど。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/27(火) 01:17:38.66 ID:AAKV93Dro<> 本日はここまでです
えー・・・先週みたいに連休&大雨にならなければという条件の下でですが
次回の投下は一週間弱後の予定です
>>1は通勤中しかSS書けないので・・・すみませんです
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2011/09/27(火) 01:20:24.20 ID:EwFAW+COo<> 乙 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:33:24.87 ID:zO6R0GCZo<> どもども
一週間以内に来られました〜
>>76
乙ありがとございますブクゥ〜
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:33:51.12 ID:zO6R0GCZo<>
♯
……あ、お待たせいたしましたー。
え?いえいえ……まさかぁ〜、さすがにそんな事は……そうですよぉ。
まぁ、終わったら……はい、そんな感じで……ですよねー、私達の年齢だと胃もたれ確定ですからねぇ。
……ハッハッハ!何を言ってるんですか、この間聞きましたよ……ええ、奥さん怒ってましたよ……そうした方が良いと思いますね。
さて……と、そろそろ皆さん……あ、来ましたね。お帰りなさい。
「お待たせしましたカニ」
「しましたブクゥ」
「休憩して気力体力共に回復したッキ!」
「すみません、着替えに手間取りましたドス」
大丈夫ですよ、私もつい今し方来たところなので。
「あ、始める前にコーヒー飲んでも良いカニ?私も着替えたから水物口にしていないのカニよ」
それくらいなら大丈夫ですよ。
「ありがとカニ〜」
「あ、私もお茶飲むブクゥ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:34:51.57 ID:zO6R0GCZo<>
そういえば……着替えで思い出したんですが、その……純さん憂さん……大丈夫でしたか?
「へっ!?大丈夫って……あっ!えっと、ま、まぁ、一応?とりあえずは、って感じ……カニ?」
「私は……なんとか、大丈夫でした……ブク」
「……てゆーかさぁ、何でそんな事聞くカニ?」
「そうだブクゥ」
あの……先程憂さんが『大声を出すと云々』って純さんに言ってました……よね。
「うん、言ったブク」
その時お二人がしまったと言うような顔をされていたので……その……大丈夫だったのかなと。
「それに私が着替えたって言ったから、尚更そう思った……と言うことカニ?」
えぇ、そうです。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:35:17.55 ID:zO6R0GCZo<>
「……ソンナノダイジョウブジャナイニキマッテルジャナイ、ソリャァウイハオンナノコノヒダカラチョットクライデチャッテモナンントカナルケドサ……」
あの、純さん?どうしたんですか、いきなり下を向いて……。
「……ワタシナンカトイレイクマエニハッキリトワカルクライヌレチャッテタワヨ。ヒトマエデオモラシナンテ……ハズカシクテソンナコトイエルワケナイジャナイ……」
純さ〜ん、そんな小声じゃぁ何を言ってるかわかりませんよぉ〜。
「……イザトイウトキノシタギモッテタカラヨカッタモノノ、ソレナカッタラワタシノーパンヨ……テユーカ……」
あの……憂さん。純さんは一体……?
「……そろそろわかるブクよ」
「……そうだな、私らはちょっと離れておくッキ」
「……ナレーターさん、覚悟はできたドスン?」
へっ!?あの……覚悟、ですか?それは一体……。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:36:09.06 ID:zO6R0GCZo<>
「……ソウイッタデリケートナコトヲワザワざ聞いてくるなぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」
……ぐ……ふ……あ……。し、至近……距離……は……ご勘弁……を。
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:36:43.40 ID:zO6R0GCZo<>
「ハァ……ハァ……はぁ?自分が悪いんじゃない!女の子にあんなデリカシーの欠片もない質問をしたらどうなるかぐらい!わかってるでしょ!!」
「そうだそうだブク!!」
も、申し訳ありません……。
「もぉ……次変なコト言ったらセクハラで訴えるカニ!!」
そ、それだけは……。
「じゃぁ気を付けるッキ」
「律の言うとおりドス」
か、かしこまりましたぁっ!!
「まったく……さ、それじゃぁ続き、始めるとするカニ!」
「するブクゥ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:37:09.20 ID:zO6R0GCZo<>
「……とは言え、私の出番は当分ないんだけどカニ」
「私なんか更に無いッキ」
「まぁ、仕方ないドスな。サルなんドスから」
「……なんかその言い方だと方言みたいになるウキ」
「そ、そうドスか?ドスンとドン以外で臼っぽくて語尾に付けやすいのをのを考えて、これにしてみたんドスが」
「えっと……ナレーターさん的にはどう思うッキ?」
そうですねぇ……、確かに語尾には付けやすそうですが……、私としては多少強引でもドンとドスンが良いと思いますね。
「だ、だめドスか」
はい……。ビジュアルが無いので、なるべくならイメージを損なわない語尾の方が良いかと……なので、すみませんが……。
「……わかったドン。残念だけど、ドンとドスンで頑張るドン」
ありがとうございます。
「それじゃぁ改めて……再開するカニ!!」
あ……私の台詞……。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:37:38.35 ID:zO6R0GCZo<>
♯
子ガニと臼は意気揚々と出かけました
……が、しかし……
「……臼さん……誰も仲間になってくれなかったブクね……」
「……まぁ、仕方ないドスン。今の時期、誰かの復讐を手伝うよりも冬ごもりの準備をする方が大事ドン」
お昼を過ぎ、日が西に傾き始めた頃になっても、仲間になってくれる者は誰一人として居ませんでした
「……ねぇ、臼さん……私、間違ってたブク?」
「……何がドスン?」
「復讐なんて……考えちゃダメだった……ブク?」
「それは……どうとも言えないドスン」
「……何でブク?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:38:25.52 ID:zO6R0GCZo<>
「復讐は悪い、これは間違い無いドン。だけど……今やろうとしているのは、悪いサルを懲らしめるだけドン」
「でも、それを復讐って言うんじゃないのブク?」
「……子ガニちゃんだけでやったら、そうなると思うドスン。だけど……今は私も居るし、サルを退治するわけでもないドン」
「……そっか……ブク」
「だから、子ガニちゃんはそんな事を気にしなくて良いドン」
「うん!わかったブク!」
「さ、それじゃぁ仲間探しを再開するドン」
「はーいブクゥ!」
一休みした子ガニと臼は再び仲間探しを始めました
すると何処からか臼を呼ぶ声が聞こえてきました
『おぉ!?そこに居るのは臼さんクリ?』
「ん?その声は……栗さんドン?」
『そうだクリ!いやぁ〜、久しぶりだイタァッ!!』 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:39:03.48 ID:zO6R0GCZo<>
「久しぶりに抱いただと!?唯、一体何を……いや、誰を抱いたんだッキ?」
『そ、そうじゃないよ……扉開けようとしたら開かなくておでこぶつけたんだよ……アイタタタタ』
「な、なんだ……驚かせるなよ……ウキ」
「あー、成る程。唯先輩、イスが邪魔してるから開かなかったんですカニ」
「ホントだドン。いったい誰が……ってコラ、何でそっぽ向いてるドスン」
「あ、そういえば……律さん私達が座りやすいようにってここらへんのイスをよけてくれたブク」
「そ、そんな事もあったような気がするウキ〜」
「……つまり、これは律がやったんだな?」
「……御意に御座いますウキ」
「全く……これで唯がケガしたら、一体どうするつもりだったんだ?」
『澪ちゃんい〜よ、ちゃんと確認しなかった私も悪いんだし……それよりもさ、りっちゃんイスどかしてクリ』
「あ、うん。……唯、ごめんな」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:39:32.35 ID:zO6R0GCZo<>
「いいってば〜、別に怪我した訳じゃないし。……っと、大丈夫だクリ!」
「唯、本当に大丈夫なのドスン?」
「うん。ちょっと痛かっただけだクリ!」
「なら良いんだが……律、次からはちゃんと置き場に気を付けるドン」
「了解したッキ!」
では唯さん、こちらへどうぞ。
「は〜い♪失礼しますクリ〜♪」
「いらっしゃいカニ〜♪」
「お姉ちゃん、いらっしゃいブク〜♪」
唯さん宜しいですか?
「おっけーですクリ〜」
では、唯さんの台詞から再開しますね。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:39:58.50 ID:zO6R0GCZo<>
「いやぁ〜、臼さん久しぶりだクリ〜。元気だったクリ?」
「あぁ、大した怪我もなく過ごせていたドスン。そう言う栗さんこそ元気だったドン?」
「元気も元気、毎日勝手気ままに暮らしているクリ。……っと、そちらのお子さんはどなたクリ?」
「あ、えと、子ガニって……言いますブク」
「子ガニちゃんクリ?私は栗っていうクリ。はじめましてクリ〜」
「あ、は、初めまして……ブク」
「ところで臼さん、なんでこんな所に居るクリ?」
「あー、実はドスン……」
「あ、それは私が話しますブク。えっと……カクカクシカジカマルマルモリモリ……という訳で、臼さんと仲間探しをしている途中なんですブク」
「成る程……それで?今はどれくらい集まっているクリ?」
「それが……まだ臼さん一人しか居ないんですブク……」
「流石に今の時期は自分の事で手一杯らしいんだドスン」
「そうなんだ……よし!じゃぁ私も手伝うクリ!」
「ほ、ホントかドン!?」
「うん!ホントだクリ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:40:59.29 ID:zO6R0GCZo<>
「いいん……ですかブク?」
「もっちろん!木々の恵みという物は、皆が平等に得る事を許された物クリ!独り占めなんて許さないクリ!!」
「おぉう……唯先輩が知的な事を言っている気がするカニ……」
「なんか……唯じゃないような感じだッキ……」
確かに……そうですね。
「ちょっとちょっとぉ〜!私だってこれくらい言えるんだよっ!クリ!!」
「……台詞じゃなかったら?……ウキ」
「……えっと……モチロン無理ですクリ!フンスッ!」
あの……威張るようなことでは無いかと……。
「ナレーター……」
何ですか?純さん。
「……ツッコんだら負けカニ」
……承知いたしました。では憂さんからですね、お願いします。
「はいですブク」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:41:32.70 ID:zO6R0GCZo<>
「じ、じゃぁ……仲間に……なっていただけます……ブク?」
「合点承知だクリ!!」
「それじゃ、今日はもう遅いから家に戻るとするドン?」
「その方が良いブクね〜」
「じゃぁ私はこっちだから、明日の朝にまた来るクリ」
「あ、あの、もし栗さんが嫌じゃなければ……私の家に来ていただけますブク?」
「ほぇっ!?良いけど……なんでクリ?」
「……仲間になっていただいたお礼をしたいので……とは言っても、晩御飯をご馳走するくらいしかできませんが……ブク」
「そうクリ?じゃぁお邪魔させて貰うクリ〜」
「どうぞどうぞですブク〜」
「……ねぇ、子ガニちゃん。出来れば……普通の言葉遣いで話して欲しいクリ」
「な、なんでですブク?」
「一応、仲間になったんだし、それに……丁寧な言葉遣いで話されるのは苦手クリ」
「じ、じゃぁ……えっと……ブク」
「普通に、『一緒に晩御飯食べよう』って言えば良いドスン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:44:35.34 ID:zO6R0GCZo<>
「そ、そうブクね。んと……お姉ちゃん、一緒にご飯食べよっ♪」
「う〜い〜、それじゃぁ変だクリ〜」
「あ……つ、つい……ごめんなさいブク」
「別にみんな気にしていないから大丈夫ッキ」
「そうそう。さ、もう一回やるカニ」
「あ、うん。……栗さん、一緒にご飯食べようブク♪」
「よろこんで〜!クリ〜!!」
こうして、栗を仲間にした臼と子ガニは意気揚々とカニの家へと戻りました
「おかーさーん!ただいまブクゥー!!」
「只今戻りましたドン」
「二人とも、お帰りなさいカニ」
「あのね!仲間になってくれる人、見つかったブク!」
「あらまあそうなのカニ?それで……その方は?家に戻られたのカニ?」
「あ、ここですクリ」
「ここって……あら、昨日の子ガニと同じところにいらっしゃったんですね。初めまして、母ガニですカニ」
「あ、初めまして、栗ですクリ」
「栗さん、こんな事に付き合わせてしまって……申し訳ありませんカニ。あの……ご迷惑ではありませんカニ?」
「いえいえ、物を独り占めするような輩を許すわけにはいきませんクリ。だから、少々お仕置をしなくちゃいけないクリ」
「そう言っていただけると、大変ありがたいですカニ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:45:04.03 ID:zO6R0GCZo<>
「あ、そうだブク。お母さん、今日はご馳走作るブクよ」
「ご馳走……?でもそんなに食材無いカニよ」
「その点はご心配なくクリ!私の山で採れた栗が一杯あるクリ!これで栗ご飯なんてどうクリ?」
ど、同族喰いですかぁ!?
「……なんかおかしいクリ?」
いえ、おかしいというかなんというか……。
「まぁまぁ、細かいことを気にしていたらやってられないッキ」「そうカニ。それに、そんな事を言ったらカニが木の実を食べるのはおかしいから駄目だ……って事になるカニ」
ま、まぁ、そうですね。
「というわけで……う〜い〜……じゃないや、子ガニちゃ〜ん、晩御飯は栗ご飯にしてほしいクリ〜」
「は〜い、じゃぁ早速作るから待っててブク〜」
「じゃぁ、私は食卓の準備をしておくカニ……っと……イタタタタ」
「母ガニさん、ムリしちゃだめクリ」
「そうそう。私達が手伝うから、ご飯ができるまで横になっているドスン」
「そうですカニ?……では、お言葉に甘えて……アタタタ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:46:00.98 ID:zO6R0GCZo<>
「では、食卓の準備を始めるとしますドン」
「了解ですクリ!」
「じゃぁ、私はここで晩御飯が出来るのを待ってるッキ〜!」
「……お箸やお皿はここから持って行けば良いドスン?」
「そ、そうですカニ」
「あ、私のお茶碗は大きめのでお願いするウキ〜!」
「……こ、子ガニちゃん、えっと、汁物とか有るのかなぁ?」
「き、今日は、用意していないブク」
「おぉー!いい匂いがしてきたッキ〜!」
「……い い か げ ん に し ろ っ」
「アイタァッッッッ!!!」
……やれやれ。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/09/30(金) 23:47:59.00 ID:zO6R0GCZo<> 本日は以上です
来週は色々と立て込んでいるので、次回の投下は早くても来週の土曜日前後になると思われます
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/01(土) 06:01:56.79 ID:nivde5Lgo<> 従来通りの展開でいくのか違ったオチになるのか気になる
どちらにしろ楽しみだ
乙 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:52:27.01 ID:Ek1GJXgio<> どもども
>>95
オチは最近になってようやくまとまりました
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:52:54.18 ID:Ek1GJXgio<>
栗を交えた夕食は、前日以上に楽しく賑やかな食卓になりました
そして、翌朝
「さてと、今日も仲間を探しに行くドン」
「すばしっこいサルを足止め出来る仲間を探すブク〜」
「ところで、昨日まではどこを探していたんだクリ?」
「野原ブク。森の方はサルが居るかもしれないから行ってないブク……」
「……じゃぁ、今日は森の方に行ってみるクリ?」
「だ、大丈夫ブク?」
「山裾の森育ちの私が居るから大丈夫だクリ〜。サルが居そうな所は避けて探すクリよ」
「それじゃぁ、皆さん気をつけて……娘の事もよろしくお願いしますカニ」
「了解クリ!」
「まかせるドン!」
「じゃぁ、行ってきますブク!」
「いってらっしゃいカニ〜!!」
母ガニに見送られた一行は、一路山へと向かいました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:53:26.58 ID:Ek1GJXgio<>
#
「臼さん、そろそろ休憩したらどうクリ?」
「そうブク。ずっと歩きっぱなしブクよ」
「そんなに歩いたドスン?」
「もうかれこれ一刻半は歩いているクリ」
「そんなにも歩いていたドスン?」
「ずっと話していたから、気付かないのも仕方ないブク」
「そうか……じゃぁ、ここらで一休みするドン」
臼は道端にしゃがみ、子ガニと栗を下ろしました
「ご苦労様クリ」
「はい、お茶ブク」
「子ガニちゃん、ありがとドスン……フゥ」
「栗さんもいかがブク?」
「ありがと〜、いただきますクリ〜」
「私も飲も〜っと……フゥ……あ、そうだブク。栗さん、森に行くと一体誰が居るのブク?」
「誰が……ってのはわからないクリ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:53:58.07 ID:Ek1GJXgio<>
「く、栗さん……本気ドスン?」
「うん!本気と書いてマジだクリ!……というのは嘘で、森を住処にしている鳥達に会いに行くんだクリ」
「鳥か……でも、大丈夫ドン?」
「鳥さん……怖いブク……」
「え?……あぁ、そうか……まぁ、子ガニちゃんをいじめるような鳥は居ないけど……やめておいた方が良いクリね」
「……ごめんなさいブク……」
「気にすることは無いクリ。そもそも、前もって説明しなかった私がいけないクリ」
「そうだな、そういった事はちゃんと説明しておかなくちゃいけないドン。……子ガニちゃん、間違ってもこういった大人になったら駄目ドスン」
「え?あ、うん、わ、わかったブク」
「しょんなぁ……澪ちゃ……臼さんしどいクリ……」
「酷くなんかない、それが大人って言うもんだドスン」
「うぅ……大人って……厳しいクリ……」
「あ、そ、そうだブク!こ、これからどうするブク?」
「そうだなぁ……、よし!それじゃぁ森へ行くとするドン!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:54:49.24 ID:Ek1GJXgio<>
「ほぇっ!?で、でも森は……クリ」
「でもここまで来たんだし、もしかしたら鳥じゃない誰かが仲間になってくれるかもしれないドン」
「そうだねブク!」
「ほ、本当に良いクリ?かたじけないクリ……」
「一々過ぎたことを言っていたらキリがないドン。間違いは誰にでもあるんだから、次気を付ければ良いドスン」
「そうブク」
「あ、ありがとうクリ……」
「さ、そうと決まったら上に乗ってくれドン。ぼーっとしてたらあっという間に夜になってしまうドスン」
「は〜いブクゥ〜」
「わかったクリ!」
しゃがみ込んだ臼の上に二人が乗ったその時
遠くから誰かを追いかける声が聞こえてきました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:55:16.04 ID:Ek1GJXgio<>
『コラァァァーーーー!!!待つブーーーン!!!!』
「今の声は何だクリ!?」
「森の方から聞こえたブク!」
「よし、二人ともしっかりと掴まって振り落とされないように気をつけるドスン。全力疾走するドン!!」
「了解クリ!」
「わかったブク!」
森の方へ向かい全力疾走を続けていると
徐々に声が近付いてきました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:55:56.38 ID:Ek1GJXgio<>
『こんのぉぉぉぉーーーー!!!!待てって言ってるでブーーーーーン!!!!!!』
「待ってっていわれて待つバカはいないッキーー!!!!」
「追われているのは……サルだブク!!」
「追っているのは……姿が見えないクリ」
「よし、我々もサルを追いかけるドン!このルートなら、確実に挟み撃ちできるドスン!」
「頑張れークリー!!」
「ファイトだブクー!!」
臼は走る早さを落とすことなくサルに向かって走りました
「コラァァァーーーー!!そこのサルーーーー!!!!止まるドーーーーーン!!!!」
「ウキッ!?だ、誰か知らない奴が居向こうから走ってくるッキ!」
『待てブーーーーン!!!……って、あっちから走ってくるのは……誰ブン!?』
「よし!このまま行けばサルを捕まえられるドン!!」
「こ、このままじゃ挟み撃ち確定ッキ!何とか……おっ!良いのがあったッキ〜」
逃げるサル、追う何者か、そしてそこに駆け寄る臼
三つの影が今、一つに重なろうとしたその瞬間! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:56:24.96 ID:Ek1GJXgio<>
「じゃぁなーー!!ウッキッキーーー!!!!!」
サルは近くに立つ一本の木に登ると、あっという間に姿を消しました
追っていた対象が消え、呆気にとられた二人は互いに速度を緩めようとしました
……ですが、ついた勢いはそう簡単に落とせません
その結果……
「わわわわ!!と、止まってほしいドン!!」
『それはこっちのセリフですブン!!』
「ぶ、ぶつかるブクゥ!!!」
『キャァァァァーーーーー!!!!』
カツーンと乾いた音がして、栗と子ガニの前に誰かが飛び込みました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:56:59.63 ID:Ek1GJXgio<>
『アイタタタタァイタッ!!』
「おぉう……臨場感たっぷりのセリフだカニ」
「っつー……臨場感たっぷりのセリフじゃないよぉ〜」
「セリフじゃ無いって……あずにゃんどうしたクリ!?」
「頭……ぶつけましたブゥン」
「……扉が開かなかったッキ?」
「いえ、そうではなくて……ここの扉って意外と重いですよね、なのにいつもと同じように開けようとしちゃって……」
「そしたら扉が開かなくて、でも体の勢いは止まらなくって……って感じクリ?」
「……唯先輩の推理通りにございますブン」
「……流石は梓、セリフとして言うだけでなく実際に演技までするとは……私は今、女優魂の片鱗を目の当たりにしたカニ!」
「純……刺すよ」
「……衣装が衣装なだけにシャレにならないカニ」
「でも、可愛らしいブクゥ」
「ホント?ありがとブン♪」
「あ、あれ?唯先輩どうしたんですカニ?身体が震えてますカニ!」
「ホントだ……唯、大丈夫ドン?」
あの、気分が優れないようでしたらちょっと休憩入れますけど。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:57:35.73 ID:Ek1GJXgio<>
「……ぁ……ぁ……」
「唯先輩、ナレーターさんもそう言っているんですから、お言葉に甘えて外に出ますブン」
「……ぁ……ぁ……ぁ……」
「ほら、唯先輩行きま……ん?あれ?『ぁ』?……ってまさか……!」
「梓、どうした?何かわかったのカニ?」
「え。な、なんでもないよー。あ、あの、私、ちょ、ちょーっと、外に出て、スポーツ、ドリンク、でも、買って、こよう、かなぁー……」
そうですか?では唯さんは私達が診ていますね。
「あ、お願いs」「……ぁ……ぁ……ぁぁぁあああああああずにゃぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!!」
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!おそかったぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「んもぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!ネコミミあずにゃんもかわいいけどぉぉぉぉぉーーーーーー、ミツバチあずにゃんも同じくらいかわいいよぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!!」
「ちょ、ちょっと!唯せんぱぁぁぁぁぁぁーーーーーーい!!!!!と、取り敢えず落ち着いてくださぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーい!!!!!!」
「愛称は何が良い?ミツバチのあずにゃんだから『あずバチ』とか?もしくは『あずミツ』?あるいは『ミツにゃん』?」
聞く耳持たずですねぇ。……って、最後のは梓さんの名前の欠片すら無いような気が……。
「うーん、どれもしっくりとこないねぇ……」
「べ、別に何でも良いですからぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!そろそろ離してくださいぃぃぃぃぃーーーー!!!!」
「『ハチにゃん』『ミツあず』いっその事漢字で『梓蜂』……なんか夜の女王っぽいねぇ……ん?なんで離すの?ギュッてされるの好きでしょ?」
「そ、そうですけど!!!」
「なら良いじゃん……ねっ」
「でも!そ、そろそろ限界がっ!あっ!あぁっ!……あぁ……もぅ……だめ……れすぅ……ハフゥ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:58:02.13 ID:Ek1GJXgio<>
「……梓が溶けてるカニ」
「……結構レアな表情ブク」
取り敢えず写メ撮っておきますか。
「あ!しまったぁー!!ケータイ持ってくりゃ良かったウキィー!」
……律さん、何なら後で転送しましょうか?
「ホント!?じゃぁ、後でお願いするッキィー♪」
「あ、じゃぁ私もお願いするカニ」
「私も……ブク」
了解しましたー。……澪さんはいかが致しますか?
「わ、私は……別に……」
そうですか。
「ま、欲しくなったら私が転送するし……ウキ」
……確かにそうですね。では律さん純さん憂さん、収録が終わった後に転送しますので……。
「ちょっとまったぁ!私もそれが欲しいのでお願いしますクリ!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:58:30.65 ID:Ek1GJXgio<>
……へっ!?あ、あのー、唯さんはいつも見ているんでしょうから……必要、無いのでは?
「必要だったらあるよぉ〜!」
そ、そうなんですか?
「でも……お姉ちゃん、確か梓ちゃんの写真だけで32ギガのメモリーカード丸々一枚使っちゃったんじゃなかったっけ?」
「うん、そだよぉ〜」
い、一体今までに何枚撮ったんですかぁ!?
「んーっと……何枚だろ?あ、でもね、最高画質で撮ってるからそんなにないかも」
「はい、ここで憂先生の登場ですカニ。先生、一体何枚くらいなんですカニ?」
「えぇっと……私も、はっきりと確認した訳じゃないんだけど……どうやら動画もかなり撮影しているらしく、写真自体は800枚程度でしたブク」
写真が800枚に動画ですか……。ならばやはり必要ないのでは?
「だから必要性有るんだってばぁ〜」
えっと……それは、何故ですか?
「……だって……いつも……上から見たあずにゃんの顔しか見えないんだもん……」
「……片手を離して撮れば良いんじゃないドスン?」
「澪ちゃ〜ん、それくらい私も考えたよぉ〜。……でもね、んー……取り敢えず、片手を離すから……どうなるか見てて」
「わ、わかったドン」
「いくよぉ……ソーット……ソォーット……ソォーーーーーット……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 22:59:34.35 ID:Ek1GJXgio<>
「ハッ!!!!わ、私は今、何を……」
「ね、これでわかったクリ?」
な、成る程手を離したら即座に……なんですね。
「そう。だから……なんだクリィ……」
では、唯さんも後ほど……。
「えっと……一体……何が……どうなってるんですブン?」
「梓……まぁ、頑張れドスン」
「へっ?あ、はい、頑張りますブン」
あ、梓さんは唯さんの隣に座っていただけますか?
「はーいブン」
……よろしいですか?それでは、再開します。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/09(日) 23:01:48.69 ID:Ek1GJXgio<> 本日はここまでです
終わり方は見えたけれど、そこまでの道のりが見えないという情けなさ
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2011/10/10(月) 00:15:17.93 ID:4z5qccXjo<> 乙乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/10(月) 00:45:47.21 ID:JdNNvT6so<> 乙! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:32:08.02 ID:sv9OXGm/o<> どもども
>>110
おつありありがとうございますー
>>111
おつあり!がとうございますー
では本日分投下
短めです <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:32:34.21 ID:sv9OXGm/o<>
#
「だ、大丈夫ですクリ!?」
「は、はい……何とか……ブン」
「えっと……聞きたいことはいっぱいあるんですが、取りあえず自己紹介させていただきますブク。えっと、私は子ガニって言いますブク」
「私は栗って言うクリィ〜」
「私は臼と言いますドン」
「あ、私はハチって言いますブン。あの、臼さんすみませんでしたブン」
「いやいや、あれは仕方がないドン。まさかあそこでサルが逃げるなんて思っていなかった事ドスン」
「そう言っていただけるとありがたいですブン」
「ところで、ハチさんはなんでサルを追いかけていたんですブク?」
その質問を聞いた瞬間、ハチの顔色が変わりました
重苦しい空気が辺りを支配します
そして、ハチがゆっくりと話し始めました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:33:00.83 ID:sv9OXGm/o<>
―・―・―・―・―・―・―
……私達は、森の入口から程近いところに巣を構えていました
女王様のため、そして育ち盛りの私達の後輩のために、毎日ハチミツを集めては蓄え、集めては蓄えの日々でしたが、とても充実していました
ですが……その日々は先ほど終わりを迎えました
私が、集めたハチミツを巣の奥に納め、新たなハチミツを採りに行こうと振り向いたその時
大きな音が巣の中に響き、突然目の前が明るくなりました
最初は何が起こったのか全くわかりませんでした
ただ、何者かの襲撃があった事を知らせる偵察部隊の羽音が響いていたので、私は慌てて外に出ました
そこで、私は、信じられない光景を、目の当たりにしました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:33:26.77 ID:sv9OXGm/o<>
大きく立派だった巣は、その一部がえぐり落とされていました
その真下には大きな石が一つ
そして、少し離れた所で嬉しそうに「当たったッキ〜!!」と声を上げるサルが一匹
疑う余地はありません、私達は全速力でサル目掛けて突進しました
しかし、サルの逃げ脚はかなり速く、一匹、また一匹と仲間が脱落していき、気付いた時には隊長である私だけになっていました
どれほどの間飛び続けていたのかは覚えていませんが、私の体力も限界に近付いていました
ですがそれはサルも同じだったらしく、徐々に走る速度が遅くなっていました
私は、最後の力を振り絞り、サルを追いかけ続けました
そして…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:33:57.30 ID:sv9OXGm/o<>
―・―・―・―・―・―・―
「……後は、先程の通りですブン……」
「そ、そんな事があったのドスン……」
「えと、んと、それで、住んでた巣は……どうなったのブク?」
「……まだわからないブン。慌てて追いかけたがら、さっき言った程度にしか確認していないブン……」
「……んじゃぁさ、ハチちゃんの家を確認しに行ってみるクリ?」
「うん!行くブク!!」
「え?で、でも、悪いブン」
「いやいや、元々そっちに行く予定だったドスン。それに……」
「それに?……何かワケアリですかブン?」
「あぁ、そうドスン。……さっき私達もサルを追いかけていたのを覚えているドン?」
「……そいうえば……そうだった気がしますブン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:34:38.24 ID:sv9OXGm/o<>
「えっと……ですね、実は私のお母さんが……カクカクシカジカ」
「モナカモイイケドヤッパリタイヤキデス……はぁ、そうだったんですかブン」
「そ。だから気にすることは無いクリ。今、一番気にしなくちゃいけないのはハチちゃんの巣だクリ」
「で、でも……飛んでいけばすぐですし……ブン」
「でも、さっきの話しから推測すると……ハチちゃんは身体を起こしているのもおっくうなんじゃないドン?」
「えと、そ、そんな事……ないですブン」
「もぉ〜、嘘ついちゃだめだクリ。今のハチちゃんを見たら誰だって、かなり疲れてるなって思うクリよ〜」
「そうですブク。だからハチさんはここで休んでいるのが良いですブク」
「で、では、お言葉に甘えさせていただきますブン」
「何なら寝てても良いドスン。……っと、忘れるところだった、巣にはこの道を進めば着くドン?」
「ファ……あ、ひゃい、しょうでしゅブゥン……」
「……臼さん、ハチちゃん随分と眠そうだクリ」
「そうか……じゃぁ、なるべくゆっくり……という訳にはいかないから、なるべくグラグラしないように気を付けるドスン」
「お願いしますブク〜」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:35:04.27 ID:sv9OXGm/o<>
♯
ハチとぶつかった所から歩く事約三十分、やっと森の入り口に到着しました
「えっと、ハチちゃんは起きてるドン?」
「まだ寝てるけど……、を!そろそろ目を覚ましそうだクリ」
「じゃぁ、申し訳ないがハチちゃんを起こしてもらえないかドン?」
「ほいほーい、りょうかいクリ〜!……あ〜ず〜ny」
「ちょっと待ったぁ!……唯、それ違うッキ」
「へっ!?りっちゃん、なにが違うクリ?」
「なにがって……あのなぁ、唯は今何て言ったッキ?」
「今……えっと……。ほいほーい、りょうかいクリ〜!」
「そこじゃなくて、その次だウキ」
「その次?……あ〜ず〜ny」
「だからそこが違うんだッキ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:35:32.77 ID:sv9OXGm/o<>
「ほぇっ!?……おぉ!本当だ!!ぜんぜん気付かなかったクリ!!」
「いや、誰でも気付くから……ウキ」
「え、えっと……気付かなかった、ドン」
「あの、私も、ブク」
「同じく、カニ」
「じ、実は私も……ブン」
「……ナレーターさん」
何ですか?
「いくら何でも、ナレーターさんは……気付ていました……よね?」
……スミマセン律さん。実は私も……。
「なん……だと……?」
いやぁ〜、とても自然な流れだったので全く気付かなかったんですよ〜。
「ですよね〜、だから私も全然気付かなかったんですカニィ」
「あ、純ちゃんもナレーターさんもそうでしたブク?」
と言うことは、憂さんもそうだったと。
「そうですブク」
「あ、わ、私も……ドン」
「すみません、私もですブン」
「……何でみんな気付かないかなぁ……てゆーかさ、聞いてて何かがおかしいとか思わないウキ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:36:46.26 ID:sv9OXGm/o<>
「全くカニ」
「全然ブク」
「思わないドン」
「皆に同じですブン」
そんな考察の余地すら有りませんね。
「りっちゃん凄いクリ!」
「……なにがウキ?」
「だって、誰も気付かなかったのにただ一人だけ私の間違いを見抜いたクリ!だから凄いんだクリ!!これは称賛に値するクリ!!!」
では皆さんで拍手を贈りましょうか。
「あのそれぜんぜんうれしくないんですけど」
ではみなさん拍手ー!!
「だからうれしくないって!てゆーか拍手なんかしなくていいから!!あーもぉ!!ほら唯!!さっさとさっきの続き始めるぞっ!!!」
「ほーい。りょうかいクリー♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/19(水) 08:40:26.37 ID:sv9OXGm/o<> 本日はここまでです
夜が不安定すぎて投下しづらいのが悩ましい今日この頃ですなぁ〜
でまた後日
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2011/10/19(水) 23:23:15.25 ID:e5iMbkNXo<> 待ってたクリ
そしてお疲れクリ <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 00:56:55.61 ID:iN+TTN3go<> どもども
>>122
ありがとブーン
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 00:57:22.34 ID:iN+TTN3go<>
「ハーチーちゃん!森の入り口に着いたクリよぉー!!」
「ふにゃっ!?え?あれ?ここは……あ、そうか……私寝てしまったんですね……ブン」
「はい。熟睡だったですブク〜」
「そうだったんですブン?」
「サルをずっと追いかけていたから、仕方がないですブク」
「そういって頂けると有り難いですブン」
「ところで、ハチちゃんの巣はどの辺りにあるドスン?」
「あぁ、えっとですね……んーっと……あ、こっちですブン。ついてきてくださいブン」
ハチの後ろをついて、下草が茂る薄暗い道を歩くこと二・三分
突然目の前が明るくなり、小さく開けた場所に出ました
「あそこですブン!!」
ハチの指さす先には、その一部を崩された巣がありました
「こ、これは……酷いドン」
「あんなに大きくえぐられているとは……思いもよらなかったクリ」
「ハチさん……仲間は無事ですブク?」
「……ちょっと、報告を兼ねて確認してきますブン……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 00:57:47.94 ID:iN+TTN3go<>
巣に戻るハチを見送り、一行は改めて巣を観察しました
どうやら石は巣の上部を掠めたらしく、その部分だけが壊されていました
「……なんで、こんな事をするブク?」
「……わからないクリ」
「サルを捕まえたら、この事もしっかりと問いたださないといけないドスン」
「そうクリね」
巣を前にして色々な話しをしていると、暫くしてハチが戻ってきました
「あ、ハチちゃん戻ってきたブク!」
「お帰りドン」
「巣のみんなは無事だったクリ?」
「はい!石の当たったところが蜂蜜の貯蔵庫だったので、特に怪我をした仲間もいませんでしたブン!!」
「それは良かったですブク〜」
「でも、これからが大変じゃないかドン?」
「えぇ、まぁ……。でも、巣を大きくする代わりに修復するだけなので、それ程問題は無いですブン」
「そっか……じゃぁ、頑張ってクリ!」
「はいですブン!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:02:10.48 ID:iN+TTN3go<>
「……じゃぁ、私達はお邪魔にならないうちに戻るとするドン」
「そうクリね〜」
「それじゃ……ハチさん、またねですブク」
「……あ!そっか〜、言うの忘れてたですブン。実は先程、女王様から『サル捜索及び捕獲』の特命を受けたんですブン」
「特命ドン?」
「はい!それで、皆さんの事をお話ししましたら『共に手を携えて、目的を達することができるようお願いするのですよ』と言われましたブン。なので……もしよろしければ……」
「こ、こちらこそ、ハチちゃんがよければ……ドン」
「ほ、本当ですブン!?」
「本当だクリ〜。ちょうど素早いサルを追い掛ける仲間を探していたんだクリよ〜」
「……で、では……サルを捕まえる手伝い、お願いできますブン?」
「勿論ですブク〜♪あ、でも私達の手伝いもお願いしますブクね」
「了解ですブン。……って子ガニさん、なんか改まった言葉で話すのも変な感じですから、普通に話しませんかブン?」
「あー、そうだねブク。じゃぁ……ハチちゃん、これからよろしくブク」
「こちらこそ、よろしくブン」
「よし、それじゃぁ子ガニちゃんの家に戻って作戦会議をするドン」
「あ、でもその前に木の実か何かを採っていきたいブク」
「それもそうだな……じゃぁ、食材探しをしてから帰るとするドスン」
「あ、じゃぁ森の中を案内しますブン」
「おねがいクリ〜」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:02:38.03 ID:iN+TTN3go<>
一行は新たに仲間となったハチの案内で森の中を散策し、数多くの食料……木の実や果実を採りました
「これで当分は間に合うブン?」
「うん!これだけあればみんなとお母さん合わせても一週間は大丈ブク♪」
「それなら良かったブン」
「みんな、食料は全部載っているドン?」
「よいしょっと……これで……オッケー……ですブン!」
「では次に、みんなはちゃんと乗っているドスン?」
「うん!そっちもオッケーだクリ!!」
「よし、それじゃぁちょっと急いで帰るから、ちゃんと座っているドスン」
「了解クリ〜」
「わかったでブク」
「しっかりとついて行きますブン」
「ん?結構距離があるからハチちゃんも座った方が良いと思うドスン」
「うーん……では疲れたらお願いしますブン」
「お願いされたドスン。……じゃぁハチちゃん……お先に走ってるドドドスーン!!」
「あぁっ!!ず、ずるいですブーーーーン!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:03:03.61 ID:iN+TTN3go<>
二人を乗せた臼とハチは、楽しそうに競争をしながら子ガニの家へと急ぎました
そして、家まで約半時程の所に差し掛かったとき
「というところでちょっと待ったぁぁぁぁーーーー!!!!!!……ウキッ♪」
「な、なんだよ律……」
ここまでの展開になにか問題でも?
「いや、ここまでと言うより……これからだッキ」
これから……ですか。
「そう。シナリオで、この一行にこれから起こる事を唯答える!!」
「ほぇっ!?えっと……帰り道の途中で牛の糞を仲間にするんだよね」
「そう。そして……我々は語尾に必ず各を表す言葉をつけて喋っているウキ」
「そ、そうだねクリ!」
「それがどうしたんだドスン」
「さっきも言ったが……牛の糞の語尾って……どんなのだ?てかそれはムギが言っても良いものなのウキ?」
「そ、それは……なんか、お食事中にはご遠慮くださいな感じですカニ」
「そんな言葉を紬さんに言わせるなんて……あ、有り得ないブク」
「だよなぁ……明らかに不快だし、それをムギが口にするなんて……考えただけで恐ろしいッキ」
『うふふふふ〜、そんなに心配しなくても大丈夫なのに〜♪』
「そう言われても、やっぱり心配だッキ……ってあれ?ムギ……何処だ?」
「……ブースの外クリ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:03:53.11 ID:iN+TTN3go<>
『唯ちゃんせいかーい♪』
あぁ、紬さん。すみません、お待たせしちゃいまして……あの、出番まで後少々ですので……。
『はーい♪』
「なにゆえブースの外に居るッキ?」
『だって、中に入ったら……見えちゃう』
「大丈夫!ナレーターさんにはちゃんと目隠しをしておくクリ!!」
ゆ、唯さん!意味を取り違えてますよぉっ!!
「ほぇっ!?そうなのクリ?」
「あー、それはおいといてドスン」
「おいとかれたクリィ!?」
「……本当に大丈夫なのかドン?」
『うん♪』
「……役名の『牛糞』に間違いは無いウキ?」
『うーん……、ちょっとだけ違うわね』
「ちょっとだけ……でも大丈夫……それって一体どういう事だッキ!?」
「全然わからないドン……」
「……あのぉ〜、取り敢えずシナリオを進めませんカニ?」
「多分、これ以上考えても答えは出ないと思いますブク」
「それもそうだな……じゃぁ、シナリオ再開頼んだッキ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:04:19.13 ID:iN+TTN3go<>
あ、はい。では……えぇ〜っとぉ……。
ドコカラダッケ……エェッ!?オボエテナイノ?……ソ、ソレハソウダケド……。
「なんかもめてるカニ」
「どこまで進んだのかがわからなくなってるみたいブク」
マッテマッテ、イマオモイダスカラ……ウン、ソコハカクジツニスギテル……
「……澪はわかるウキ?」
「当然だ。ここだろ?」
「正解ッキ〜♪」
アレ?ココッテヤッッタッケ……アァ、ソウダソウダ……ジャァココラヘン?
「あの……いっそのこと教えてあげた方がいいんですカニ?」
「……ちょっと長すぎるから、その方が良いかもドスン」
「じゃぁ代表して私が伝えるクリ!!」
「……大丈夫ですブン?」
「うん♪」
「……じゃぁ、頼むドン」
「はーいクリィ!……ねぇねぇナレーターさん」
コッチマデハイッテナイヨネ……あ、は、はい!な、何でしょうか唯さん。
「あのさぁ、続きって……ここからじゃないクリ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:04:44.94 ID:iN+TTN3go<>
……ちょ、ちょっと待って下さい。スタッフに聞いてみますから。
……ココダッテイッテルンダケド……カナァ?……アァソウカ、リツサンガワリコンデキテ……ジャァ、ココカラデ……リョウカイ!
「どうやらまとまったらしいカニ」
お待たせしてすみません。皆さんのおかげで再開位置が判明しました。
「……ちゃんとチェックしておいてほしいですブン」
はい。その点に於いては次回以降の課題として検討させていただく次第にございます。
「なんか……もの凄く胡散臭そうな回答だッキ」
いえいえいえいえ、政治家ではありませんのできちんと考えますよぉ〜。
「ハァ……それは良いとして、実際にはどこから始めるんだドン?」
あぁ、実際にはですねぇ……えっと……ここのナレーションからですね。
「ムギちゃんが登場する直前からだねクリ」
はい、そうです。……皆さん、よろしいですか?……大丈夫そうですね。
では……。
「シナリオ再開するブクゥ〜♪」
あぁっ!今度は憂さんですかぁ!? <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/10/26(水) 01:05:46.04 ID:iN+TTN3go<> 本日はここまでです
おかしい・・・本来ならばとっくにムギちゃん登場しているはずなのに・・・
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:49:38.82 ID:YQpm3YcHo<> どもども
重いと言われている時間帯ですが、敢えて行ってみます
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:50:13.24 ID:YQpm3YcHo<>
二人を乗せた臼とハチは、楽しそうに競争をしながら子ガニの家へと急ぎました
そして、家まで約半時程の所に差し掛かったとき、少し前を飛んでいたハチが妙な物を見つけました
「臼さん、ちょっと止まってほしいブン」
「お、おっけードスン」
ハチの声に臼はあわてて止まりました
「ハチちゃんどうしたクリ?」
「何かあったブク?」
「あ、あそこに何か落ちているブン」
「何か……ドスン?」
皆がハチの指さす方を見ると、確かに得体の知れない『黒い何か』がそこに有りました
「……なんだろクリ?」
「うーん、ここからだとよくわからないドン」
「あの、私がちょっと見てきましょうかブン?」
「……いや、何かあったときに独りだと危険ドスン。ここは皆一緒に行った方がいいと思うドン」
「賛成ですブク」
「じゃぁ……あまり音を立てないよう気をつけて、慎重に近付くクリ」
「了解ドスン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:50:48.34 ID:YQpm3YcHo<>
一行はゆっくりと、慎重に、時間をかけて『黒い何か』に近づきました
後少しで正体を見極められる
皆がそう思った瞬間、いきなりその物体が起き上がりました
『フアァァァァーーーー、よく寝たチク』
「「「「「「……チク!?」」」」」」
『……お日様があそこ……ってことは……寝過ぎたかもしれないウニ!!』
「「「「「「ウニィィ!?」」」」」」
『お、あそこに誰かいるウニ……すみませんチクゥ〜!』
体を起こしたその物は、目の前から近付いてくる臼達を見つけると小走りに近付きました
『……今からブースに入るけど、心の準備はオッケーウニ?』
「あ、うん。私は大丈夫ッキ。……みんなも……オッケー?」
「オッケードン」「同じくだクリ〜」
「私たちも大丈夫ですカニ」「ブクゥ」「ブブン」
『では……りっちゃん、カウントダウンスタートウニッ!!』
「えっ!?あ、じゃぁ……ごー!よん!さんっ!!にぃーっ!!いぃーっちっ!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:51:16.72 ID:YQpm3YcHo<>
「じゃじゃぁーん!!!ウニちゃんですウニィ〜!!!!」
「「「「「……」」」」」」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:52:10.66 ID:YQpm3YcHo<>
「えっ!?あ、し、失敗……しちゃった……ウニ?」
「……ハッ!!あ、い、いや、しっぱいなんか、してないッキ」
「あ、あぁ。ちょ、ちょっと、おどろいただけドン」
「驚いたの!?ホントにウニ!?」
「う、うん。まさかそんな可愛らしい格好で出てくるとは思わなかったクリ」
「ちょっ!唯先輩そこですブン!?」
「……あずにゃんはそう思わないのクリ?」
「えっ……ま、まぁ……そう、おもわないことも、ない、ですけど、ブン」
「でも、その格好に驚いたのは事実ですカニ。……まさかウニをイメージしたブラのビキニと……」
「ウニの『かぶりもの』で現れるなんて……思いもよらなかったですブク」
「うふふふふふ〜、作戦大成功ウニィ♪」
良かったですね、紬さん。
「ナレーターさんも、ずっと黙っていてくれてありがとうございますチクッ♪」
アイタタタタ、刺されちゃいました〜。
「クスッ、ごめんなさ〜い。ウニなのでつい……チクチクッ♪」
こ、今度は二連発ですかぁ!?
「まだまだ〜、もっと刺しちゃうわよぉ〜。……チクチクチクのチクチクチクチクゥ♪」
うわぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:53:56.71 ID:YQpm3YcHo<>
「……えー、そこで随分とはしゃいでいるお二人さん。ちょっと聞きたい事があるんだウキ」
あ、は、はい!
「な、なにを聞きたいのウニ?」
「……ムギの衣装がこれだって事、ナレーターは知っていたんだよな?……ウキ」
えぇ。……とは言え実物を見るのは今が初めてなので、一応はというレベルでですが。それが……何か?
「……琴吹グループの令嬢にこんな格好をさせる事反対意見はなかったッキ?」
多少はありましたが、最終的には本人の意見を尊重するという形で落ち着きましたね。
「本人の意見……成る程、と言う事はこのキャスティング……ムギは最初から知っていたって事か……ウキ」
「その通りよ……今回のキャスティングを決めて欲しい……そんな理由で私は会議に呼ばれたチク……」
「……なんてこった、知っているどころか決めた張本人だったのかッキ!」
「クスッ……みんなのイメージに合わせて、それぞれの役を決める……とても楽しくて有意義な時間を過ごさせてもらったウニ……」
「イメージに合わせて……ウキ?」
「えぇ、そうよ。純ちゃんと憂ちゃんがカニだという事だけは最初に決められていたけどね……チク」
「……しかし解せない。それだったら自分が一番光る役を演じれば良いというのに、何故そんな役をやるんだッキ?」
「……私しかいなかったウニ」
「私しか……ウキ?」
「そう!いなかったの!!サル・臼はりっちゃんと澪ちゃん、クリ・ハチは唯ちゃんと梓ちゃん、これは誰がどう見ても変えられないチク」
「そ、そうなのか?……ウキ」
「そうなの!だから、そう考えると……私が……私が!この役をやる以外!!残された道は無かったのウニィィィィーーーー!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:54:31.48 ID:YQpm3YcHo<>
「……ムギちゃん、りっちゃん……やっぱ語尾着けたままじゃシリアスにはならないよクリ」
「シリアスにならないですブン」
「はならないドスン」
「ならないカニ」
「らないブク」
「うぉぉいっ!!澪と憂ちゃんのはかなりムリがある気がするッキィ!?」
「……気のせいドンカラカッカ」
「のせいプクプク」
「……いや、いい。うん、突っ込んだら色々と負けな気がするし。……話を戻して、なんでムギがウニなんだッキ?」
「なんでって……わ、わかり辛かったかしら……ウニ」
「ちょっとだけドスン」
「そうですね、私も少しだけ考えちゃいましたブク」
「……すみません、全然わかりませんカニ」
「わ、わたしも……クリ。あずにゃんは……なんでかわかるクリ?」
「一応、そうだろうな程度にですけどブン」
「ほぇ〜、何のヒントも無いのにわかるなんてすごいクリねぇ〜」
「ヒントなら既にありますし、案外簡単ですブン。えっと……唯先輩、ムギ先輩の格好……というかウニについて考えてみてくださいブン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:55:17.73 ID:YQpm3YcHo<>
「ウニについて?……おいしーよねー、軍艦巻きとか海鮮丼……ウニ丼なんか食べたら……」
「うふふふ……ねぇ唯ちゃん、今度みんなで海鮮丼の美味しいお店に行かないウニ?」
「ホント!?行く!絶対に行くクリ!!あ、ちゃんと天然物のエゾバフンウニだよね?」
「勿論ウニ!……ところで、ねぇ唯ちゃん。今……なんて言ったチク?」
「ふぇっ?……天然物の……エゾバぁぁぁぁぁっっっっ!!!!わ、わかったクリィィィィィ!!!!!」
「ニャッッ!!い、いきなり大声出さないでください!!」
「ごめんごめん……、つい興奮しちゃったクリ」
「はぁ……。ま、いいんですけどブン」
「あ、私もわかったカニ!!!なるほどぉ〜、確かにちょっと考えないと難しいカニィ」
「でも、ヒントさえ有れば誰でもわかるウニ?」
「そうですね、ヒントがあれば問題なく……って律先輩、どうしましたカニ?」
「……牛糞が馬糞になって……馬糞がバフンウニになった、と……ふむ、これは見事な連想ウキ」
「本当ウニ!?」
「あぁ、本当だッキ。……これほどまでに見事な連想を、私は今まで来た事が無いッキ」
「りっちゃん……ちょっと恥ずかしいウニ……」
「紬君、恥ずかしがる必要など無いぞ。むしろ誇っても良いのではないかと思うのだがな……ウキ」
「律様……それは、本当ですチク?」
「あぁ、本当だウキ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:56:01.18 ID:YQpm3YcHo<>
「……ねぇ、ナレーターさん」
はい。何ですか?唯さん。
「なんでりっちゃんとムギちゃんの事放っておくのクリ?」
はい。先ほど律さんが言ってましたので……。
「さっき?……ねぇ澪ちゃん。さっきりっちゃんなんて言ってたクリ?」
「さっき……。もしかして『突っ込んだら負け』の事ですドン?」
はい、それです。
「だから二人がさっきからチラチラとこっちを見ているのブク?」
ええ。おそらくは『ツッコミ待ち』な状態だと思われますね。
「じゃぁ、このまま放っておくのカニ?」
いえいえ、流石にそれでは困るでしょうし。
「……でも、ツッコミ入れないでどうやって二人の言動を止めるブン?」
ま、早い話がツッコミを入れなければよいだけですので……。
「ふむふむクリ」
無視してそのままシナリオを始めましょう。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:56:29.00 ID:YQpm3YcHo<>
「ちょっ!ちょおーっと待ったぁーッキー!!」
おや、律さんどうされましたか?
「どうしたもこうしたも……何でツッコミ放棄するッキ?」
いえいえ、放棄しているわけではありません。ただ、このままではシナリオが進みませんので……。
「あ、うん。それは悪かったと思っているッキ。でもさぁ、お約束ってのm」
そうですか、わかっていただけて嬉しいです。ではシナリオを再開しまs
「だ、だから!その前にツッコミの一つでも入れてほしいんだッキ!!」
はぁ、そうですか……。ですが、それをやるとまた長くなりますので……やはり素直に再開させた方がよろしいかと。
「てゆーか、なんで律先輩はツッコミを入れられる事にこだわるんですカニ?」
「……こだわりたくもなるウキ。だって……」
だって? <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 22:57:41.72 ID:YQpm3YcHo<>
「スルー三度は流石にキツイから勘弁して欲しいウキ……」
……ウプッ……ククッ……。
「な、ナレーターさん……ウププッ……わ、笑っちゃダメだクリ〜」
「そ、そうドスン……クククッ」
「こらぁ!そこの三人は今すぐ笑うの止めるッキーーーー!!!!!!!!」
あ、し、失礼したしました……フゥ……。
「もぉ……。次こんな事やったら、ただじゃ済まさないウキィッ!!!」
わかりました。
「りっちゃんごめんね、次は気をつけるクリ!!」
「でも、脱線した律だって悪いんだからな。律も気をつけるドスン」
「ウッ……わ、わかったッキ……」
では、みなさん揃ったところで……。
「シナリオを再開するウニィ♪」
あぁっ!!紬さん!!タメている隙を狙うなんてひどすぎますよぉぉぉぉぉ!!!! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/06(日) 23:00:53.78 ID:YQpm3YcHo<> 本日は以上です
・・・あれ?予想に反してエラーが一度だけしか出ませんでした〜
うむぅ・・・今回はたまたま仮鯖のご機嫌が良かったのか、それとも安定してきたのか・・・
謎ですなぁ〜
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)<>sage<>2011/11/06(日) 23:16:00.55 ID:v9lOxH2SO<> 乙〜 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/20(日) 10:58:33.35 ID:yfzU4erXo<> どもども
>>145
おつありがとうですぅ〜
えー、二週間かけて3レス程度しか書く暇が無かったという罠www
では
生存報告も兼ねて
本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/20(日) 10:59:44.59 ID:yfzU4erXo<>
「あのぉ……ちょっとよろしいですウニ?」
「あ、な、なんですドン!?」
「えっとですねぇ、ここら辺りで『栗さん』って見かけませんでしたウニ?」
「えっと……栗なら私ですクリ……てゆーかムギちゃん、そんな台詞……台本に書いてあったっけ?」
あ、すみません!渡すのをすっかり忘れていました。……こちらが、これから使う台本になります。
「これから……?それって、台本を書き直したって事ッキ?」
書き直したというか……あ、まぁ、一部実際に書き直してはいますね。
「それって……私が最初に言ったワガママのせいですカニ?」
書き直しに関してはそうですね、ですが大幅な手直しをしたわけではないので、大した手間は取っていないようですよ。
「そ、そうですか……それは、良かったですカニ……」
「あ、じゃぁ……書き直しとかなくてもこのタイミングで台本を交換する予定だったんですブク?」
はい、そうです。台本にウニと書いてあったら意外性が無いと言われまして……。
「……ムギが提案したのウキ?」
「えぇ、そうよ。だって……ウニってわかった瞬間に素で驚いてもらえるんじゃないかなって思ったから……」
「……ま、まぁ、驚いたドン」
「……ねぇ、ナレーターさん。ちょっとだけ……十五……十二分でいいから、新しい台本読む時間をくださいクリ」
あぁ、その程度でしたら構いませんよ。いきなり読んで演じろというのも酷ですから。
「ありがとうございますドスン」
では、台本読みも含めて少々……二十分ほど休憩を入れますね。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/20(日) 11:00:12.53 ID:yfzU4erXo<>
#
さて、と。……みなさーん、そろそろよろしいですかぁ〜?
「大丈夫クリ!」「オッケーですブン!」
「私もですブク!」「元々無い出番を作っていただき、ありがとうございますカニ!」
「全てしっかり覚えたウキ!」「……律、それ本当か?あ、私も大丈夫ですドン」
「私も……って、このシナリオで覚えていたんだっけ……ショボーン……」
まぁまぁ、その分楽しめたんですから良しとしませんか?
「それもそうね……。みんなの色んな表情も撮れたし……うん!良しとするウニ!!」
・
・
・
「ちょちょちょちょーっとまったウキィ!!!」
「そ、その『色んな表情もとれた』って、もしかして今も撮影してるのかドン!?」
「いぇ〜す、おふこーす♪」
「な、なんでそんな事をするんですカニィ!?」
「なんでって……初回特典のおまけBDに収録するオフショット集の動画と静止画で使うからウニ」
「あぁ、そういえばそんな事言ってましたねブン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/20(日) 11:01:56.79 ID:yfzU4erXo<>
「そうだ……そうだったカニィィィィィィィィィ……」
「じ、純ちゃんどうしたのブクゥ!?」
「憂……忘れたのカニ?私達……休憩前に……」
「……あ。……だ、ダメ……あんな姿……誰にも見せられない……」
「わ、私も……ボケをスルーされたときの顔は……誰にも見せられないウキ……」
「律の見せられないと二人の見せられないとじゃぁ内容がつり合わないと思うドン……。ところでムギ、そこら辺はちゃんとしているんだよな?」
「当然ウニ!!りっちゃん、憂ちゃん純ちゃん、全部終わったらみんなでチェックして、まずい箇所は削除するから大丈夫チク!!」
「「「よ、よかったぁぁぁぁーーーー」」」
「……でも、『照れてるりっちゃん』は入れさせてほしいウニ♪」
「よろしい、わたしが許可をするクリ」
「ちょっ!勝手に決めるなッキ!!」
「……私もそれには反対だドスン」
「ほぇっ?澪ちゃんなんでクリ?」
「だ、だって……その……テレテルリツノカオハワタシダケノモノダカラ……」
……とてつもなく甘い空気が漂っているのは気のせいでしょうか……?
「気のせい気のせい。だからさっさと再開するカニ」
了解しました、では……。
「シナリオ再開しますクリ!!」
ゆ、唯さぁ〜ん!!!! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/20(日) 11:03:49.02 ID:yfzU4erXo<> 本日は以上です
次回投下分は・・・
電車内の位置取り確保に努めて頑張ります
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:30:14.86 ID:K14ZJoFvo<> どもども
深夜ではありますが
本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:30:45.51 ID:K14ZJoFvo<>
#
「あのぉ……ちょっとよろしいですウニ?」
「あ、はい、なんですドン!?」
「えっとですねぇ、ここら辺りで『栗さん』って見かけませんでしたウニ?」
「栗さんなら……私の上に居ますドン。おーい、栗さーん」
「ん?臼さん呼んだクリ?」
「あぁっ!栗さん久しぶりウニィー!!!」
「おぉっ!ウニさん!!まさかこんな所で……ってどうしてこんな所に居るクリ?」
「どうしてって……栗さん、そろそろ『ちくちくクリウニ会議』の時期チク」
「あれ?それって、ウニさんが長い間海から離れるのは大変だからって、今年も『入り江大会議場』でやるって事になってたはずクリ」
「……そうだったウニ?」
「確か……。家に帰れば冊子があるから、それを見れば確実クリ」
「じゃぁ早速、栗さんの家に行くウニ」
「……すまないが、もう二・三日待って欲しいクリ」
「まぁ、会議は確か五日後だったはずだから、まだまだ大丈夫ウニ。……でも、どうしてチク?」
「あ、あの、そ、それは、私が、説明しますブク」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:31:11.57 ID:K14ZJoFvo<>
「あら、可愛い女のカニちゃんね。初めまして、ウニと言います」
「あ、えと、は、初めまして。こ、子ガニって……いいます」
「あ、申し遅れました。私はハチと言いますブーーーン」
「わ、私は臼と申しますドスン」
「皆さんも初めましてウニ。それで……子ガニちゃん、栗さんが『二・三日待って欲しい』って言う理由って……どんな事なのかな?」
「えと、あの、ですね……カクカクシカジカ……」
「マァマァマァマァマァマァ……栗さん、やりますウニィ」
「六回……ん?ウニさん、今何か言ったクリ?」
「言ったウニ。栗さん……アンタ、最高に輝いてるゼ☆」
「そんな……当たり前の事だクリ」
「……そういった台詞をサラッと言える事が素晴らしいドスン」
「そ、そうなのクリ?」
「そうですブン。人情だけで動ける人なんて、近頃中々見ないですブン」
「いやぁ〜、照れますクリィ〜。ってそれはおいといてぇ〜、ちょいとウニさん」
「何ウニ?」
「ここから海までは結構遠いクリ。もし嫌じゃなかったら一緒に帰るクリ」
「い、いいのチク?」
「もちろんですブク」「問題ないドスン」「一緒の方が楽しいですブン」
「あ、ありがとウニィ!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:31:39.75 ID:K14ZJoFvo<>
#
ウニと共に帰る道は、行きと違いとても賑やかでした
特に子ガニは、今まで見た事はおろかその名前を聞いた事すら無い海の仲間という事もあり、とても楽しそうに話していました
「……すっごーい!!!ウニさんってとっても物知りだブクゥ!」
「それ程でも無いチク、海底を漂って集めた知識なだけウニ。だから私よりも知識を持っているウニはもっともっといるウニ」
「そうなんだ〜。……ねぇ、そのウニさん達に会う事とか出来るブク?」
「出来るけど、どうしてウニ?」
「……私、海のお仲間ってアサリの親分しか知らないブク。だから……」
「そっか……。じゃぁ、新月と満月の日以外ならいつでも大丈夫ウニ。……あ、でもお母さんと一緒が条件チク」
「うん!ありがとブクゥ〜♪」
「おーい、お二人さーん。話しは一段落したドーン?」
「「えっ!?」」
臼の声に、話しに耽った二人がふと前を見ると
そこは夕日に照らされた一面の大海原でした <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:32:25.24 ID:K14ZJoFvo<>
「あ……いつの間についたウニ?」
「ついさっきだクリ」
「ついたって……どこにブク?」
「ウニさんの住んでいる海ブン。栗さんが言ってたから間違いは無いと思うブン」
「うん、ここであってるウニ」
臼は砂浜に座り、頭を下げてウニを降ろしました
「臼さん、ありがとうございましたチク」
「どういたしましてドン」
「栗さん、では会議で会いましょうウニ」
「遅刻しないように気をつけるクリ」
「ハチさん、先程の『会議に参加できるかどうか』の件、議長にしっかりと伝えておきますチク」
「同じチクチク仲間としては是非とも参加したいので、よろしくお願いしますブン」
「子ガニちゃん、お母さんと一緒に来る日を楽しみにして待ってるウニ♪」
「うん!かならず行くブク♪」
「それと……皆さん、ご武運をお祈りしていますウニ!」
「うん!一番に報告するブク!」
「楽しみに待っていて欲しいドン!」
「この入り江でまたあいましょうブン!」
「おいしいお茶を用意しておいて欲しいクリ!」
「わかりました!ではまたウニィィィィーーーーー!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:33:44.68 ID:K14ZJoFvo<>
ウニは手を振る四人に見送られながら、海の中へと帰って行きました
「……行っちゃったブク……」
「ほらほら、そんな寂しそうな顔をするんじゃないドン」
「そうだクリ。またすぐに会えるんだから、悲しく思う必要は無いクリ」
「それに、今はサルを懲らしめる作戦を立てるのが大事ブン、悲しがってる暇は無いブン」
「……そうブクね!」
「さ、日が暮れる前に帰って作戦を立てるとするドン」
「でもその前に晩御飯が食べたいクリ」
「そうですね、腹が減っては何とやらとも言いますしブン」
「ふむ……それもそうだな。じゃぁ帰ったら晩御飯、その後に作戦会議をするドン」
「りょうかいブクゥ!!」
子ガニ達は最後にもう一度海を見つめ、元の道へと戻りました
「さーて、今夜のご飯は何になるのかな〜、楽しみクリ〜」
「おね……じゃなくてクリさん、ハチちゃんが持ってきた蜂蜜で栗を煮るのはどうブク?」
「おっ、いいねぇ〜クリィ〜♪」
「モチキビも採ってきたから、きびだんごが作れるドスン」
「きびだんご……じゅるりクリ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:34:58.39 ID:K14ZJoFvo<>
「生ウニ乗せて、ウニ御飯なんてのはどうウニ?」
「おぉぅ!めちゃくちゃ豪華……ってそれはまずいウキ!!」
「なんでウニ?」
「なんでって……中身を食べたらまずいッキ!」
「……でも、中身を食べるのは栗さんと一緒ウニ」
「うん、それはそうなんだけど……ウキ」
「だったら平気だチク」
「いや、栗の本体は栗の木だから……」
「だから?」
「栗は食べる専用の物を作れるけど、ウニはそうはいかないッキ」
「……あ!そ、そうだったチク」
「ま、それはまた後日に楽しむとするッキ」
「うん、りょうかいウニ!しっかりとリサーチしておくチク!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:35:33.66 ID:K14ZJoFvo<>
「……えっと、もう少しで家だから、着いたら晩御飯の支度を始めるブク」
「あ、じゃぁその時、子ガニちゃんのお母さんに自己紹介すれば良いブン?」
「うん、それで良いと思うブクよぉ」
「よし、じゃぁ今夜は私も手伝いをするドン」
「きびだんごクリ?なら私も手伝うクリ」
「手伝うって……だんご作りをブン?」
「うん。臼さんが餅粉を作る間に、私が黍粉を作るクリ」
「へぇ〜。……あの、黍粉作りの手伝いしても構わないブン?」
「もっちろん!大歓迎クリ〜♪」
一行は和気藹々としながら家へと戻りました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:37:06.79 ID:K14ZJoFvo<>
「……りっちゃん隊長」
「ムギ隊員、みなまで言わぬともわかっておる。これが、我らに課された試練なのだ」
「なんと、全て理解した上でのあの行動だったのですか……流石です!!」
「感心している暇など無いぞ、『ボケをスルーされる事に耐えるんです隊』は始まったばかりだからな!」
「はい!隊長!!」
「うむ、良い返事だ。よし、あの夕日に向かって走るぞ!!私に付いてこい!!!」
「了解です!!……あぁ〜ん、りっちゃん待ってよぉ〜!!!」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:40:25.14 ID:K14ZJoFvo<>
……ツッコンダラマケツッコンダラマケツッコンダラマケツッコンダラマケツッコンダラマケツッコンダラマケ……
「……六回クリ……」
「何がですブン?」
「え?ナレーターさんの呟きの回数クリ」
「はぁ、そですか。ところで……シナリオ再開した方が良いですよね?」
「そだね〜。じゃぁ、あずにゃんお願いクリ」
「はいです。えっと……、シナリオを、再開しますブン!」
……へっ?あぁっ!いつの間にぃ!!! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/11/29(火) 01:42:11.80 ID:K14ZJoFvo<> 本日は以上です
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/12/17(土) 22:35:49.86 ID:DQplPY04o<> どもども
少なめですが
本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/12/17(土) 22:36:25.64 ID:DQplPY04o<>
#
子ガニの家に戻った一行は、物に頼らず立ち上がれる程度まで回復した母ガニと共に、楽しい夕食のひとときを過ごしました
そして、その晩……
「では、これより作戦会議を始めるドン!」
「「「はい!!!」」」
「遂に物語が動き出したクリ」
「なんだかドキドキしてきたブク」
「私もブン」
「えっと、まず最初にドン」
「わくわクリ」
「……どうしたら良いと思うドスン?」
「「「はらほろひれはれぇ〜」」」
とからかかんかんとんとことんとんとんぽんよよよぉぉぉ〜ん
「……今のは何だッキ?」
その……、効果音が欲しいと先程言われたので……。
「……澪……」
「な、なんだよ!言っておくが提案したのは私じゃ無いぞっ!」
「へっ!?じゃぁ唯だなッキ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/12/17(土) 22:36:48.70 ID:DQplPY04o<>
「外れクリ〜」
「じゃぁ……梓?」
「違いますブン」
「てことは……憂ちゃんかよっ!!」
「えへへ〜正解ブク〜♪」
「ハァ……憂ちゃんってこんなコトするキャラだったっけ?」
「律先輩……実は私達と一緒に居るときの憂って、けっこうお茶目なんですカニ」
「マジでウキ?」
「マジですカニ」
「ですブン」
「だよクリ」
「……実の姉と親友二人が言うのだから間違いは無いはずウキ」
「……唯の家へ行った時に、私も律も何度かそういった姿を見ている気がするんだがな」
「……エヘェッ♪そうだったっけぇ?わたし忘れちゅわったぁ〜♪きゅぴりんっ♪」
「ねぇりっつぅ〜?この際だから、その変な言い回しをするクセを直しておこうか〜♪今この場で〜♪」
「……誠に申し訳ございませんでした」
「全く……」
あの、続けて宜しいでしょうか……?
「あ、すみません。お願いしますドン」
えーっと、唯さんからですね。ではお願いします。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/12/17(土) 22:37:27.13 ID:DQplPY04o<>
「どうしたらって……臼さんはどんな感じにしようと思っていたんだクリ」
「その……大まかにこんな感じっていうイメージならあるんだが……上手くまとまって無くて……ドン」
「ふむ。じゃぁ、まずそれから教えて欲しいクリ」
「えっと、場所は未定だけど……栗さんとハチさんでサルを上手く足止めして、そこに私がのしかかって懲らしめる……って感じドスン」
「成る程、結構良いアイデアかも知れないクリ」
「そ、そうドスン?」
「私も良いアイデアだと思いますブン。これをベースに作戦を立てれば良いんじゃないでしょうか」
「そうだね〜。んじゃぁまずはどうやって足止めをするかを考えるクリ」
「……屋外だと難しいですブン」
「だよね〜。ってことは屋内……いっそのことサルの自宅ってのはどうクリ?」
「……有りかも知れませんブン」
「えと、ホントに私のアイデアなんかで良いのドン?」
「勿論クリ!」
「そ、そうか……良かったドン……。あ、そうだ、自宅ってのは私もありだと思うドン」
「……どうしてクリ?」
「屋内には必ず『梁』があるドスン。二人にはそこの下で上手く足止めしてもらって……」
「上からドスンと……それは良いかもしれないクリ」
「じゃぁ場所はサルの自宅という事で……メモしておきますブク」
「子ガニちゃん、ありがとう。さて、次なんだがドン……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/12/17(土) 22:37:48.55 ID:DQplPY04o<>
臼達は遅くまで作戦会議を行いました
この作戦だけは失敗できない
皆の頭はその思いでいっぱいでした
そして……
運命の朝を迎えました
「皆さん忘れ物などしてないクリ?」
「大丈夫……てゆーか持っ行く物なんてありましたブン?」
「言われてみれば……無かったクリ」
「『物』は無いが『手筈』があるドン。皆ちゃんと覚えているドン?」
「そりゃぁもちろんクリ!!」
「同じくですブン!!」
「お母さん……行ってきますブク!」
「いい?無理だと思ったらすぐに引き返すんだカニ」
「わかったブク」
「あと、皆さんの言う事をちゃんと守って、いざという時のために地面のチェックもしておくんですカニ」
「うん」
「皆さんも、くれぐれも無茶……というか無謀な事は控えて下さいカニ」
「わかりましたドスン」「りょうかいですクリ」「心に留めておきますブン」
「では……皆さんお気をつけて!無事戻る事をお祈りしていますカニ!!」
「「「「行ってきますブクゥ!」ドスン!」クリィ!」ブーン!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2011/12/17(土) 22:38:56.27 ID:DQplPY04o<> 本日は以上です
・・・年内に完結出来たらいいなぁ〜
ではまた後日 <>
以下、あけまして<>sage<>2012/01/04(水) 20:29:12.06 ID:U6qQbgLSO<> 続きまだですか? <>
◆GLPLA.M.6I<>sage<>2012/01/11(水) 00:18:53.91 ID:ewQruW3No<> 年内なんて幻想でしかなかったんや!!!
・・・すみません、金曜日辺りに投下しますんで少々お待ち下さい
(o*。_。)oペコッ <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/01/14(土) 01:13:04.78 ID:qi46qFiho<> どもども
とりあえず3レスのみ
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/01/14(土) 01:13:46.04 ID:qi46qFiho<>
意気揚々と出発した一行は、サルの自宅を目指して順調に……
「あ!あそこの実は甘くて美味しいクリ!」
「じゃぁ取ってきますブン」
「あ!あの上の方にある実はちょっと酸っぱいけどお料理には最適クリ!」
「ならば私の出番ドスン。せぇーーーのぉーーーードッスーーーーーーン!!!!!!!!!」
「すごいすごい!!さすがは臼さん、力持ちブクゥ〜」
「これだけあればしばらく食べ物には困らないクリ〜」
……もとい、多少の寄り道をしながらも歩みを進めました
「ハチちゃん、こっちであってるドン?」
「はい。仲間の話ではこの先にある一本杉を山側に曲がって、その先の道祖神を右に、そうすると川に突き当たるので上流へと歩いて、三本松の所で左に曲がると突き当たりに林があるのd」
「……ごめん、その場その場で確認させて貰うドン」
ハチの案内はとても正確で、皆は迷うことなくサルの家に着くことが出来ました
「さて、ここからが正念場ドスン。栗さん、ハチちゃん、偵察頼んだドン」
「頼まれたクリ」「了解ですブン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/01/14(土) 01:14:15.39 ID:qi46qFiho<>
栗とハチは上と下から慎重にサルの家へと近づき、屋根裏と床下から侵入しました
「あれ?ハチちゃん、サルって居ないクリ?」
「……栗さん、居なさそうですブン」
どうやら主であるサルは日課の散歩に行っているらしく、家はもぬけの殻でした
「よし!じゃぁサルが帰ってくる前に作戦で使う物が有るかどうか確認するクリよっ!!」
「ハイですブン!!」
二人は手分けをして室内を捜索し、計画に必要な物があることを確認すると急いで臼達のもとへ戻りました
「た、ただいまクリ」「ただいまですブン」
「お帰りなさいブク」
「どうだったドン?」
「えっと、サルは留守だクリ!」
「裏口には隠れるのに丁度良い薪置き場と適度に伸びた雑草、家の中には火が消えた囲炉裏と水が少ない瓶がありましたブン!」
「えっと、じゃぁ作戦で使う物が全部あったブク?」
「そーゆーことクリ!!だから早く!!」
「サルが帰ってくる前に!!急ぐブン!!!」
「よしきたドスン!じゃぁ子ガニちゃん、行くドスン!!」
「りょうかいブク!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/01/14(土) 01:14:49.55 ID:qi46qFiho<>
皆は急いでサルの家まで駆け寄り、事前の打ち合わせで決めていた持ち場に各々移動して身を潜めました
自らを爆ぜさせて一撃目を与える栗は
囲炉裏の消し炭を一本脇に寄せて灰の中に
顔を冷やそうとしている時に二撃目を喰らわせるハチは
水瓶の中に大きめの葉を一枚入れその上に
飛び出してきた所で足止めさせる役の子ガニは
雑草を結わえた罠を数個作り付近の茂みに
とどめの体当たりで引導を渡す臼は
薪を十数本移動させて作った隠れ場所に
皆、息を殺してじっと待ちます
そして、数十分後……
遂に、その時がやってきました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/01/14(土) 01:18:02.31 ID:qi46qFiho<> 本日は以上です
・・・実のところ、あと数レス分が書き上がっているんですが
読み返して明らかにおかしい表現の部分がありまして・・・
手直しが間に合いそうにないので今回はこれだけになりました
次回はなるべく早めに投下出来るようにがんばります
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)<><>2012/01/31(火) 22:00:19.42 ID:GMuOT/ll0<> さっさと書け、これでも結構楽しみにしてるんだから <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:14:49.79 ID:OIBagBQMo<> どもども
>>175
お待たせしてしまい済みませぬ
通勤中以外に書く事が難しいので遅くなりました・・・
自宅で書くと色々大変でしてのぉ〜
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:15:49.85 ID:OIBagBQMo<>
「よいしょっと。……ハァ、今日は良い食材がなかったウキィ…」
サルはそう呟き、およそ発言とは釣り合いの取れない大きな袋を背負い直して家へと入りました
「さてと、戦利品のチェック……の前にっと。♪帰ったら〜、うがいと〜手洗い〜、わっすれっずに〜」
荷物を床に降ろして中身を確認しようとしたサルは、何かを思い出したらしく突然立ち上がりました
目指すのは僅か数秒歩くだけでたどり着く水瓶
そこに隠れるハチの所にはサルの声しか届いていません
今ここで何が起こっているのかを把握しているのは囲炉裏に潜んだ栗のみ
徐々に水瓶との距離が縮まります
ハチは先程までと変わらず浮かべた葉の上に座ったまま
栗は必死に打開策を練ります
そして、サルが残り数歩まで近づいた時……
「ちょーっとまったぁ!!『うがいと手洗い』じゃなくて『手洗いとうがい』!!間違えちゃダメだクリィ!!!!!」
「ぬぉぅわぁぅっっ!!!!いきなりなんだッキ!!てか誰だぁっっっっ!!!!」
「えっと……さ、さすらいの風邪予防アドバイザーだクリ!!」
……はい!?
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:16:19.23 ID:OIBagBQMo<>
「だからぁ、さすらいのk」
いえ、だからといわれても……。そもそも、このシーンは見つかりそうになったハチのために……。
「唯……じゃなくて栗がサルを上手く引きつけて……って展開なのはわかっているッキ」
「でも、シナリオに書いてある台詞じゃ今一つな感じクリ」
「とゆーわけで、さっきのネタ振りを入れさせてもらったウキ」
はぁ……。
「……どうしたのカニ?」
あ、いえ、その……今一つと言われたのが……。
「……今まで何度も脱線していたでしょう?今更そんな事を気にしても無意味チクゥ」
「ム、ムギ先輩……。そこまで言っちゃって良いんですカニィ」
「別にこのくらいは問題無いと思うわ。ね、そうチクゥ?」
……そうですね、今まで自由奔放なシナリオ進行を放置していたのに、ここの部分にだけこだわるのも変な話しですね。
「そうそう。だから元気を出して、シナリオを再開するチク♪」
はいっ!!
「うん♪それでこそナレーターチク!!」
「……なんか、心配して損した気分カニ……」
「まぁまぁ、気にしない気にしないクリ」
「じゃぁそろそろ続き始めるウキ!!」
「そうですブン!!」
「じゃぁ、えっと……、澪さんお願いしますブク!!」
えぇっっ!?私じゃないんですかぁぁぁぁぁぁ!?
「で、では……コホン。……シ、シナリオを!再開するドン!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:16:46.04 ID:OIBagBQMo<>
「さすらいの……ウキッ?」
「そうだクリ!!東のおばあちゃんや西のボウヤ!北のお姉さんに南のあずにゃん!!色んな人n」
「ちょっ!!何で私が出てくるんですブン!?」
「えっと……ノリで?って感じクリ」
「あの……ノリで私が登場すること自体おかしい気がするんですg」
「あ、成る程。つまり唯先輩はそれだけ梓のことを日々想っているんですカニね?」
「……う、うん……純ちゃん、正解クリ。……てゆーか、直接指摘されると流石に恥ずかしいクリ……」
「……私だってそうですブン……」
「えっと、話を要約すると、いかに梓のことが好きかを皆に知らしめるアドバイザーということウキ?」
「そうそう……じゃなくてぇ」
「えっ?違うのウキ?」
「違うクリ!!」
「じゃぁどんなアドバイスをしてくれるのウキ?」
「えっと、……なんだっけ……あ、そうだ。とにかく色んな人に歯磨き指導をしている栗だくり!!!」
「そういえばそんな栗が居るって聞いたことがあるウキ。と言うことは……あなたがその……」
「そう!そのとーr」
「ってそんな嘘に騙されるヤツがどこに居るんだッキ!!!」
「……流石、そういった事に長けたサルだけはあるクリ」
「フッ……当然だッキ」
「……だが、私の言葉に一つだけ、真実が含まれているクリ」
「ほほぅ……ならば聞こうか。……一体、どこが真実なんだウキ?」
「……『手洗いとうがい』。これが正解なのは間違いないクリ!!」
「何でだウキ?別にどっちが先でも構わないんじゃないk」
「ノォォォォウ!!!ダメダメデース!!!サキニテノバイキンヲオトシテカラジャナイトォォォォォ、イミガァァァァァァ、アリィィィィィマセェェェェェン!!!……くり」
「微妙にクリをつけなくてもいいウキ……てかそうだったのか。ありがとう、勉強になったクリ」
「ど、どういたしましてクリ。では私はこれで……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:23:50.62 ID:OIBagBQMo<>
「ではまたウキ……なーんて、言うと思ったッキ?」
「……やっぱ、駄目クリ?」
「当然ウキ。不法侵入をした罰として甘露煮にして喰ってやるッキ!」
サルはそう叫ぶと一気に飛びかかり素早く片手を伸ばしました
しかし栗はそれを見事にかわします
それを見たサルはもう片方の手で上から掴みかかります
ですが栗はその指の隙間を器用にすり抜けました
「ちょこまかと小賢しいウキ!!」
「おほめにあずかり恐悦至極クリ!!」
「褒めてないッキ!!!」
攻めるサル、いなす栗
二人の位置は徐々に水瓶から遠ざかり、いつしか対角の隅近くまで来ていました
「ふっふっふ、そろそろ逃げ場もなくなってきたウキ!!そろそろ観念してつかまれぃ!!!!」
「だが断るクリ!!ハチちゃん!!!!」
ひときわ大きく振りかぶったサルの手をかいくぐると、栗は大声でハチの名を呼びました
「呼ばれて飛び出てブブブブーン!!さーるさーんこーちら、はーおとーの方へー」
「むっ!?誰だッキィ!!」
「あなたに巣を壊されたハチですよぉ〜!!と、い・う・わ・け・で……いざ、尋常に勝負!!!!!」
「ははっ!たった一人で何が出来るというのだウキ?……随分と私も舐められたものだな、返り討ちにしてくれるわっっっっ!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:24:50.56 ID:OIBagBQMo<>
サルは囲炉裏に刺さった火箸を取ると、ハチのもとへ歩み寄りました
それを見て、ハチも素早く身構えます
かたや、サル流剣法若葉の構え
こなた、ハチ流拳法熊蜂の構え
二人を包むは静寂
二人にたぎるは焔
二人を繋ぐは極限まで張られた目に見えぬ糸
二人を阻むは果てない大きさの目に見えぬ壁
永劫とも思える沈黙
ですが物事には終わりが必ず訪れます
崩れる消し炭が発した小さな声
それを切っ掛けに
糸が断ち切られ
壁が崩れ落ちました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:25:21.94 ID:OIBagBQMo<>
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!」
始めに仕掛けたのはサルでした
雄叫びを上げながら、ハチめがけて火箸を振り上げます
速度・角度・間合い、全てが完璧に決まりました
「とったぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっっっっっっ!!!!!!」
「あまぁぁぁぁぁーーーーーいっっっっっっっっ!!!!!!!」
「なっ!!!なにぃぃぃぃぃ!!!!!」
サルが驚くのも無理はありません
自身が完璧と確信する一撃
ハチはそれをいとも容易くかわしたのです
「ならばこれを喰らうッキィ!!!ウキキキキキキキキィッ!!!」
サルは矢継ぎ早に斬りかかります
しかし、ハチはその全てを紙一重の所で避けきりました
「フッ……卑怯な手を使えねばその程度でしかないと言うことか」
「……なんだと?……もう一度言ってみろ」
「何度でも言ってやる。所詮この程度だったのだな、お前の実力は!」
「……勝手に決めんな。そんなにも見たいのなら、今見せてやるッキ」
そう言い、サルは先程とは違う構えをとりました
「……いざ、覚悟ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「フンッ……まだまだぬるいっっっっっ!!!!」
一瞬の間を置き、一筋の光がハチの胸元に走りました
ハチは先程同様それをあしらいます
しかし…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:25:49.94 ID:OIBagBQMo<>
「甘いのはそっちだッキィ!!!」
「ぬぅっ!!」
今までに感じた事のない違和感、ハチは慌てて身をよじりました
すると突然、ハチが後方に流した筈の火箸が目の前に現れたのです
「な……何故ここに?折り返したにしては早すぎるブン!!」
「ウキキッ!そんなボーッとしてて良いのウキ?……くらえぇっ!!タァッ!トォッ!ヤァッ!!」
休む事無く繰り出されるサルの攻撃
先程までのハチの攻勢はどこへ行ってしまったのでしょうか
かわした後、確実に自分を狙ってくる一撃
それを避ける事で手一杯になってしまいました
「どうだ!『落葉の構え』からの奥義、『紅葉舞』を喰らった感想は!!」
「『紅葉舞』……聞いた事が有るブン。確か、歩く人の後を追いかける紅葉を見て編み出されたという物……既に使い手は居なくなったと聞いていたが、まさかこんな所でお目にかかれるとはな!!」
「感心している暇は無いッキ!!ウゥーッキキキキキキキキキキキキキ!!!!」
戦いの主導権が自分に移った
そう確信したサルは気合いの声をあげ更に激しく撃ちかかりました
「せいっ!ていっ!やっ!はっ!とぉっ!」
「くっ!ぬっ!むぅっ!うぉっ!ふんすっ!!」
何かしらの得物を持ってさえいればこれを崩すことが出来るのに……
そんな事を考えても後悔先に立たず
ハチは現在出来る最良の手が整うまで火箸を躱し続けました
しかしそれにも限界はあります
気付けばいつの間にか土壁が背後に迫っていました
「フッ……これでぇ!!終わりだっキィィィィィィィィ!!!!!!!」
「……はたしてそうかな?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:26:16.55 ID:OIBagBQMo<>
「だ、誰だウキッッッ!!!!」
不意に上がった声、それに驚いたのでしょう
とどめの一撃を与えんとしていたサルの手が一瞬止まりました
「誰か……だと?……まさかこの俺の顔を忘れたとでも言いたいのか……?」
「うん、忘れたウキ」
「ちょっ!!律!!!!」
「だってさぁ〜、臼の形なんてみんな一緒じゃ〜ん?」
そ、それはそうですけど……。
「……これだけの長丁場を出ずっぱりだから、そろそろ限界なんじゃないかと思うドン」
「限界ですカニ?」
「あぁ。おまけにまじめなシーンの連続だったドスン。だから余計に……ドン」
「あの……律さん、もう少しで次のシーンですよ」
「憂ちゃんの言うとおりだぞ。だからもう少しだけ頑張るドン」
「……それだけじゃ頑張れないウキ」
「……じゃぁ、終わったらマッサージしてやるから……ドスン」
「……なら、頑張るッキ」
「……それで良し。そのかわりちゃんと最後までやらなかったらスペシャルコースになるからな、覚悟しとくドン」
「えぇぇぇっっっ!?しょ、しょんなぁぁぁぁぁーーーー」
えっと……再開しても宜しいんですかね?
「あ、はい!お願いしますドン」
では……もう一度澪さんの台詞からお願いします。
「了解ですドン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/07(火) 01:28:37.07 ID:OIBagBQMo<> 本日は以上です
今週末も連休なんですよね〜
・・・2週以内に投下する事を目標として頑張ります
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/21(火) 23:52:53.15 ID:PpM802nAo<> どもども
ギリギリ2週間で来られました
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/21(火) 23:53:19.91 ID:PpM802nAo<>
「誰か……だと?……まさかこの俺の顔を忘れたとでも言いたいのか……?」
「お、お前はあの時の臼!!」
「臼さんだけじゃないブク!!」
「カニの娘!?どうしてお前がここに!!」
「私も居るクリ!!」
「……ん?あぁっ!!い、いつの間に……」
「ハチちゃんが引きつけてくれたお陰で楽々出られたクリ!!」
「そして私もここに居るブン」
「へっ!?あれ?……ってしまったぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!!」
「油断大敵とは正にこの事だブン」
自らの過ちを嘆いても後の祭り
目の前にはハチを含めた総勢四名
先程までの形勢が再び逆転しました
「……成る程、『敵討ち』と言う訳か。そして臼は助っ人、栗は……まぁいいか」
「良くないクリ!!おまけにだれも敵討ちが目的だなんて言っていないクリ!」
「そんな事、顔ぶれを見れば一目瞭然だッキ」
「でも、違うブク」
「……へっ!?」
「最初は敵討ちのつもりだったブク。でも、臼さんや栗さんがお母さんと話してるのを聞いて考えが変わったブク!」
「つまり、我々としてはお灸を据えに来たと言う立場ドスン」
「同じくクリ」
「……だがハチ、お前は敵討ちなんだろう?」
「残念ながら、違うブン」
「……だ、だけどよぉ!俺様の投擲で巣が壊れただろ?それを恨んでここに来たんじゃないのウキ!?」
「あぁ、その事?確かに壊れましたね、貯蔵庫付近が」
「貯蔵庫!?」
「そう、なので特に怪我をしたハチもおらず……それに私がここに居るのは、女王様から『サルの捕獲』を命じられたからだブン」
「捕獲……ウキ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/21(火) 23:54:08.71 ID:PpM802nAo<>
「先程も言ったとおり、貯蔵庫付近が壊れたのでそれを直さねばならない。だが我々だけでは少々大変なので、壊した張本人に手伝わせよう……と言う事だブン」
「……だが、どのような理由にせよ俺を捕まえる事には変わりないウキ」
「そのとおりドン」
「……俺が簡単に捕まるとでも思っていたウキ?」
「いや、思っていなかったドン。だから色々と作戦を練ったんだが……まさか最初の一歩でつまずくとは思っていなかったドスン」
「ではどうするつもりウキ?まさかまだ何かの隠し球があるとでも言うのか?」
「……もし、そうだと言ったらどうするドン?」
「……言わないってわかりきっているからこそ聞いたんだウキ」
「わかりきって……か。確かに隠し球などは無い。だがしかし、我々の『次の手』だけは絶対にわからないドン!!」
「絶対にだと……?」
その言葉に思わずサルは身構えました
現時点での攻撃方法として可能性の有る物は二つだけ
栗かハチの不意打ち、若しくは何かしらの飛び道具による攻撃
それ以外は有り得ないとサルは踏んでいましたし、確信もしています
しかし、臼は『絶対にわからない』と言っている
もしかしたら自分が気付いていないだけで既に相手の術中に陥っているかもしれない
そんな考えがよぎったからです
「ならば……いつでも来い!!」
「言われなくとも!!だりゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!」
臼は大声を上げながら、サルめがけて走り出しました
「まさかの正面からだとぉ!?」
しかし、サルが驚いて防御の姿勢を取ろうとした瞬間
「と、思わせておいてぇぇぇーーー!!!退却じゃなくって戦術的撤退ドーーーーーーーーン!!!!!!!」
「……はぁっ!?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/21(火) 23:55:23.20 ID:PpM802nAo<>
臼はくるりと向きを変えると、全力で道を戻り始めました
「ちょちょちょちょっっっ!!!!!ちょっと待つッキィィィィィィーーーーーーーー!!!!!!!」
「待てないドォォォォォォォーーーーーーーーーーン!!!!!!!」
「逃げるなんて許さないウキィィィィィィィィーーーーーーー!!!!!待てぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーー!!!!!!!!」
サルは走り去る臼を追いかけようと慌てて走り出しました
ですが……
「ぬぉーーっとっとっとっとっとっとっとぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!!!……セーフ……てか一体何につまづいたんだッキ?」
サルをつまずかせた物、それは草を結んだ小さな輪っかの罠でした
「おぉ!!子ガニちゃんの仕掛けた罠が役に立ったクリ!!」
「えっ!?本当ブク?」
「ホントだ!お陰でかなりサルを引き離したブン!!」
「子ガニちゃん、お手柄ドスン!!」
「そ、それ程でも無いブクゥ……」
「よっし。じゃぁ一気に行くドスン!!しっかりと捕まっているドン!!!」
臼は宣言通りに休む事無く走り森を抜けると、少々離れた茂みに身をかがめて辺りをうかがいました
「……大丈夫ドスン?」
「……恐らくクリ」
「あ、ハチちゃんが戻ってきたブク」
「円を描いて飛んでいる……という事は、追って来ていないということクリ!」
様子を伺うために一人残ったハチの合図に、一同はようやく安堵の色を浮かべました
しかしそれは僅かな間だけ
作戦失敗という逃げる事の出来ない現実が目の前にあるからです <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/21(火) 23:55:49.42 ID:PpM802nAo<>
「……さて、これからどうするクリ?」
「……作戦の練り直しが一番大事……ドン」
「……ですね。では、子ガニちゃんの家に戻りますブン」
「……でも、お母さんに……なんて……言うの……ブク?」
「それは……正直に、失敗したって言うしか……無いと思うドスン」
「……お母さん、がっかりになっちゃうブク……」
「しょげないしょげない、それにお母さんだって一度でうまくいくなんて思っていないと思うクリ」
「ホント……ブク?」
「ホントだクリ。みんながみんな初めての事をするんだから、最初から成功するなんて有り得ないクリ」
「そんな事よりも、全員無事に戻ってくる事の方が重要ドン」
「そうなのブク?」
「そうドスン。だって……考えてもごらん?戻ったみんなを迎えたときに、もし誰か一人でも怪我をしていたら……」
「そ、それは嫌ブク」
「だよね。……多分、お母さんも同じ気持ちになると思うドン。だから……」
「お母さんはがっかりにならない……ブク?」
「そーゆーことクリ。それどころか笑顔で出迎えてくれるかも知れないクリよ」
「えー?笑顔は無いと思うブクゥ」
「ふふっ……。さて、それじゃぁ栗さんの言ったとおりかどうかを確かめるためにも早く帰るドスン」
「帰ったら晩御飯クリ!」
「その後は作戦の練り直しですブン!」
母ガニが悲しむ事は無いにせよ、笑顔で出迎える事など有るのだろうか?
子ガニは頭の上に疑問符を浮かべたまま、臼の頭上で揺られながら皆と家路につきました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/02/21(火) 23:59:01.48 ID:PpM802nAo<> 本日は以上です
次回も2週間以内を目標にしようと思います
・・・もう少し多い量を投下出来るよう努力いたしますです
ではまた後日
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:37:09.52 ID:/RALV3tSo<> どもども
丁度2週間で来ました
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:37:47.94 ID:/RALV3tSo<>
#
「えと、ただいま……ブク」
「あ、おかえりカニ〜。怪我とかしなかったカニ?」
「……ほんとだったブク……」
「ホントって……何がカニ?」
「おかあさん……ウッ……ヒグッ……お、おがぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーん!!!!!」
「わととととっとととっとっとぉぉぉっっっっ!!!」
臼達の言葉通りに笑顔で出迎えた母ガニの姿を見て安心したのでしょう
子ガニは号泣して母に抱きつきました
「グズッ、こわぐで、おっがげで、ヒグッ、さる、にげで、ウグッ」
「うんうん、がんばったね。えらいえらいカニ」
「エグッ、でも、じっばい、しぢゃ、ヒッグ、おがしゃん、がっがり、グスッ」
「……がっかりなんてしませんよ。ちゃんとみんな無事に帰ってこられたでしょ?母さんはそれだけで一安心どころか百安心ですカニ」
「……ヒック……がっかり……してない……グズッ……ブク?」
「してませんカニ」
「でも……グスッ」
「もぉ……じゃぁ、もし今日これからお母さんががっかりしてる様子を見せてたら、明日の朝ご飯のもずくスープをあげるカニ」
「……えっと……おかかのおにぎりもほしい……ブク」
「おっけー、いいですカニ!」
「いいのブク!?」
「えぇ。だって……お母さんは全然がっかりしてませんカニ。だからどっちもとられる心配がありませんカニ」
「ホントブク?」
「ホントですカニ」
「ホントにホントブク?」
「ホントにホントですカニ」
「ホントにホントにホントブク?」
「クスッ……ホントにホントにホントにホントにホントにホントにホントにホントですカニィ♪」
「エヘッ……じゃぁホントのホントだブク♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:38:19.43 ID:/RALV3tSo<>
少し離れたところから様子をうかがっていた臼達は、笑顔の戻った子ガニを見て安心した表情を浮かべていました
「……良かった良かったクリ」
「本当ですブン」
「でも、これからが大変ドン」
「その事なんだけど……どうクリ?明日ウニさんに相談してみるってのは」
「そうだな……そうしてみるか。我々だけではいいアイデアが浮かばないかもしれないからドスン」
「……子ガニちゃんはどうしますブン?あれだけ怖い目に遭ってるわけですし……」
「……でも、我々だけで勝手に事を進めるのは不味いと思うドスン」
「なら、今夜にでも確認してみるクリ?今後どうするかを」
「うん。それが良いと思うドン」
「でも、もしその時に一緒に行くと言われたら……どうしますブン?」
「うーん……連れて行くけれども、なるべく今日みたいな目には遭わせないよう気をつける……くらいしか出来ないドスン」
「ま、今ここで色々考えても仕方が無いクリ。その時になったら考えるで構わないと思うクリ」
「……それもそうドスン。じゃぁ、この話題は夜まで保留という事で」
「了解クリ」「かしこまりましたブン」
少々難しい話を終えた臼達は、楽しそうに語り合っている二人のもとへと向かいました
「ただいま戻りましたドン!」「クリ!」「ブン!」
「おかえりなさい、皆さんも大変でしたね。早速晩御飯にしますから入って待っていて下さいカニ」
「お母さん、大丈夫ブク?」
「まだ八割方って感じだけどね、でも家事くらいならもう問題無いカニ」
「わーい♪おかーさんのごはんだいすきブクゥ〜♪」
「そういえば、母ガニさんの手料理を食べるのは初めてクリね」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:38:58.05 ID:/RALV3tSo<>
「あー、そういえば作り置きのお総菜ですら無かったですカニィ。よっし、じゃぁ今日は腕によりをかけて作りますカニ!」
「だけど、無理は禁物ですブン」
「重々承知していますカニ。辛くなってきたら娘にバトンを渡しますカニ」
「いつでもオッケーブク!」
「お、頼もしい返事が聞こえてきたドスン」
「ホントだクリ」
「でも実際、私が昨日見た様子だけから考えても憂……じゃなかった、子ガニちゃんの手際はかなり素晴らしい物だブン」
「私、こうみえても出来る子ガニですブク!フンスッ!!」
憂さん……アドリブは良いとしても、そこでどや顔をされても……。
「別に見えなくても構わないブク。大事なのは気持ちだって律さんが言っていたブクゥ」
……成る程。あの何度スルーされてもめげずにボケを入れる隙をうかがっている姿勢などはそれのたまものですねぇ。
「フッフッフ……どうやら私の実力が認められ始めた様子だウキ!」
「隊長!おめでとうございますチク!」
「ありがとう、ムギ隊員。だがまだまだ気が抜けないウキ」
「そ、そうなんですウニ!?」
「そうだ。現に今でも我々には全く触れてこないウキ」
「た、確かに……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:39:32.93 ID:/RALV3tSo<>
「……いいんですカニ?放っておいても……」
「隊の名前が名前だから良いんじゃ無いクリ?」
「私もそう思うドスン」
「はぁ、そうですカニ」
そうです。なのでさっさとシナリオを再開させましょう。
「りっちゃん隊長、やはり隊の名前が問題なのではないかと思いますウニ!」
「確かに、彼らの言い分ももっともだ。……だがしかし!隊名と言う物はその隊にとって命とでも言うべき物!!おいそれと変えるわけにはいかぬのだ!!!」
「そ、そうだったんでありますか!不肖、そのような事全く考えておりませんでしたチク!」
「なにおぅ!?ムギ隊員!!懲罰としてお茶くみを命じる!!!」
「は〜い、よろこんでウニィ〜」
……澪さん、ちょっとこちらに来ていただけませんか。
「あ、はい。なんですか?」
……ちょっと耳をおねがいします。あのですね……ガ……トキ……。
「はぁ……。えと、じゃぁ……デ……タラ……ニシテ……」
……そんな感じでお願いします。
「わかりましたドスン」
では、シナリオを再開しますね。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:40:47.37 ID:/RALV3tSo<>
母ガニの作る晩御飯は、子ガニが作ったそれ以上に美味しく
疲れ切った心と身体を癒してくれる……そんな味でした
そして、その晩……
「……というわけで、私達は明日ウニさんの所へ行ってくるクリ」
「そこでドスン。……子ガニちゃん、君は……どうしたいかな?」
「どうしたいって……どういう意味ブク?」
「私達と一緒に行くか、家にのk」「一緒に行くブク!!!!」
「……まさか即答するとは思わなかったドン」
「でも本当に良いのクリ?今日みたいな目に遭う可能性はかなり高いと思われるクリよ」
「で、でもっ!一緒に行きたいブク!!仲間はずれはイヤブクゥゥゥ!!!」
「こらこら、そんな大声出さなくてもちゃんと聞こえていますカニ。少し落ち着くカニ」
「だ、だって……ブクゥ」
「だってもあさっても無いカニ。ちゃんと皆さんの言う事を聞きなさい、誰か一人でも『連れて行かない』なんて言ってたカニ?」
「言って……ない、……ブク」
「でしょう?だから、安心して皆さんの言う事を聞きなさい。ねっ」
「わ……わかったブク」
「じゃぁ、どうしてウニさんの所へ行くのかって所から話すドスン」
臼達は先程三人で話し合っていた事を親子に伝えました
親子はとても真剣な顔で聞き、時折質問をしてはその回答に納得した表情をうかべていました
そして、説明を始めてからおよそ一刻…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:42:08.95 ID:/RALV3tSo<>
「……一応、これで全てを説明できたと思う……ドスン」
「うん、私もそう思うクリ」
「……では、肝心の質問をするブン。今の説明を聞いて、それでも一緒に行きたいと思うブン?」
「しっかりと考えるクリよ」
「う、うん……ブク……」
先程と同じ質問をされた子ガニはうつむき考え始めました
猿をこらしめたい
けれども襲われるのはイヤだ
だからその時はみんなが守ってくれるって言ってた
……でも、もし今日みたいにバラバラだったら?
……もし、今日、自分一人の時に、猿が、私を、見つけていたら?
……こわい……こわいよぉ……
……行きたく、無いよぉ……
「……あの、私からも一言宜しいですカニ?」
「あ、はい。何ですドン?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:43:35.05 ID:/RALV3tSo<>
「猿を懲らしめる手伝いを、私にもさせていただけませんカニィ?」
・
・
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・
・
・
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・
・
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・
・
・
「「「は、はいぃぃぃぃぃぃぃ!?」」」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/06(火) 00:44:58.34 ID:/RALV3tSo<> 本日は以上です
次回はやはり2週間後に
てゆーか、気がつけば200・・・いつ終わるんだろうか・・・
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/22(木) 23:30:24.99 ID:OfWAyg1Ho<> どもども
2週間を少々過ぎましたがきました
駄菓子菓子、きりの良いところまで書ききれないというどうしようもなさ otz
なので少ないですが4レスほど・・・
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/22(木) 23:30:51.66 ID:OfWAyg1Ho<>
母ガニの告白に、臼・ハチ・栗そして子ガニは思わず耳を疑いました
「おかーさん……それって、本気……ブク?」
「えぁ、本気ですカニ」
「でも、どうしてドスン?」
「……こう言ったら失礼かも知れませんが……、我が子を守りたいからですカニ」
「……我々だけでは不安が残る……ということクリ?」
「そう……捉えていただいても、構いませんカニ」
「だ、だけど、身体の具合は大丈夫なんですブン?」
「まぁ、無茶をしなければ大丈夫ですカn」
「それって、無茶をしたらダメだって言ってるようなものブクゥゥゥゥゥッッッッッッッ!!!!!!!」
子ガニの悲痛な叫びが室内に響き渡ります
臼・栗・ハチはまるでその叫びが我が身に突き刺さるかのような表情を浮かべ、思わす顔を伏せました
しかし、母ガニはそれに全く動じることなく子ガニを優しく抱きしめて話しを始めました
「……ねぇ、お母さんの事……心配?」
「心配ブク!だって、だって……グズッ……おか、おがしゃん、ヒグッ、けが、いたいの、エグッ、なおざなぎゃ」
「……そうだよね、早く元気にならないとね……」
「そうブグゥ!!ぞ、ぞうじないど、グズッ、おがしゃ、ウグッ、じ、じんぢゃうブグゥゥゥゥゥウァァァァァァーーーーーーーーンンンンン!!!!!!!!」
「……おまえは優しい娘だね……。でもね、子ガニ。私も心配なんだよ、子ガニの事が」
「ヒグッ、どう……エグッ……して?……ヒッグ」
「……ねぇ、子ガニ……おまえは今、無理をしていないカニ?」
「……グズッ……して、ない……ヒック……ブク」
「……おかーさん、うそつきさんはきらいですよ?」
「……グスッ……ごめん、なざい、ブク……ヒック」
「もぉ……変なところまでお母さんに似なくても良いのに……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/22(木) 23:31:57.71 ID:OfWAyg1Ho<>
そう言い、母ガニはより深く子ガニを抱きしめ、頭を撫でながら話を続けました
「あのね……最初、お前が臼さんと一緒に行くって言ったとき、お母さん反対したよね」
「……うん」
「どうしてだか、わかるかな?」
「……わたじが、こども、グスッ、だから?」
「……そう。こども、だから……」
「……そう、だよね。グズッ……こどもずぎるよね、ヒッグ、ちびちびなのに、ばがみだいだよねっ……ウグッ」
「……背の高さとか、年齢なんて、関係ない、関係ないよ……」
「で、でも!エグッ、おがじゃん、いま、ヒグッ、わだじどごど、ごどぼだっで、ゥグッ……いっだでじょ、グズッ」
「えぇ、言いましたよ」
「じゃぁ、どうじで……ヒッグ」
「だから、言ったでしょ。子供だから、心配しているんだって。……我が子の心配をしない親なんて、どこにいますか」
「……グズッ」
「いくら年を重ねても、いくら背が高くなっても、……たとえ、いくら遠くに離れていても……子ガニ、おまえは私の子供で、私はお前の母親」
「ヒグッ……ゥグッ……」
「だからね……いつだって、どんなときだって、甘えたいときはあまえていいんだよ……」
「グズッ……エグッ……おか、おがぁしゃーーーーーん!!!!!!!!!!」
「……よしよし、いーこいーこ……」
「ヒック、ごがに、グズッ、うずざん、みんだ、だかよぐ、エグッ」
「うんうん……」
「ぐりざん、ヒグッ、はぢじゃんぼ、いっじょ、だかぁ、グズッ、がんばぅ」
「そうなんだ……えらいえらい……」
「でぼ!……ウグッ……おがしゃ、いないど、グズッ、やだ、ヒグッ、おがしゃど、いっじょ、エグッ」
「……みんながいても……?」
「ヒッグ、やらぁ!!ウグッ、おがじゃ、いらい、グズッ、やらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「そっか……」
「エグゥ、ら、らけど、おがじゃ、いだいいだい、だかぁ、グズッ、こがに、がんばぅ、ヒッグ」
「……がんばらなくてもいい、もぅ、むりしてがんばるひつよう、ありませんよ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/22(木) 23:34:02.66 ID:OfWAyg1Ho<>
「れ、れも!!グズッ」
「さっきもいったでしょ?おかーさんもいっしょにいくって」
「ヒグッ……でも、おかしゃ、けが、いたいいたい……グスッ」
「……そうだねぇ」
「じ、じゃぁ、エグッ、おがじゃ、いっじょ、ウグッ、できだいぶぐぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」
「……だいじょうぶ、おかーさんとこがに、ふたりでひとり、それなら……ね」
「……グズッ……おかしゃ、むちゃ、しない?」
「もちろん。あ、でも……もし、おかーさんがむちゃしそうになったら……ちゃんととめてほしいな」
「グスッ……う、うん!!こがに、ちゃんととめる!!」
「おねがいね……。さて、おかーさんはこれで何の心配も無く一緒に行く事が出来ます」
「……ヒック……」
「子ガニは……どうしてもらいたい?」
「……いっしょ……ヒック……いっしょに……グズッ」
「いっしょに?」
「い、いっじょに、ヒッグ、いっでぼじい、エグッ、ぶぐぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」
「うん。じゃぁ、いっしょにいこうね……」
「ヒグッ、あじだだげ?」
「あしただけ……じゃ、やだなぁ〜」
「グズッ、ずっど!!いっじょ!!エグゥ、いっじょじゃだぎゃ、やらぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーウァァァァァーーーーーーーンンンン!!!!!!」
「ほらほら、そんなになかないの……おかーさんもそのつもりですよー、ずっとじゃなきゃ、いや、です、よぉ〜……グスッ」
「ヒッグ……ほんど?うぞづいじゃ、グズッ、やらぉ」
「……うそなんか、つくもんですか、こがにが、いやだっていっても、グスッ、ぜったいに、はなさないんだから、ねっ!」
「グスッ……こ、こがにも……ヒック……ぜったい……はなさない……んだから……」
「ずっとずっと、このさきずーーーーーっと、いっしょ、だよ……」
「うん……グスッ……ずっと……おかしゃ……いっ……しょ……ブ……ク……」
昼間の疲れに加え、泣き叫んだ事もあるのでしょう
しばらくすると腕の中から安らかな寝息が聞こえてきました
「頑張ったね……、明日に備えてしっかりと寝ておこうね……。さて……と。では、みなさん……ってどうしたんですカニィ!?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/22(木) 23:34:54.00 ID:OfWAyg1Ho<>
「グズッ……感動的だクリィ……」
「グスッ……ほんとですブン……」
「……まさか、実際に演技するなんて……グスッ……思わなかったウキ」
「……二人を見て、泣かないでいられるなんて……グズッ……とうてい無理ドスン」
「グスッ……こんなにも感情豊かに演技してもらえるなんて、自ら台本を書いた甲斐があったウニィ……グズッ」
「アハハ……まぁ、その方がやりやすそうだったんで、さっき憂と相談して決めたんですカニィ」
そうだったんですか……実のところ、私も少々危なかったんですよ
「ナレーターさんもですカニ?」
えぇ。まぁ、なんとかこらえましたが……
「百戦錬磨のナレーターさんをウルウルさせるとは……流石、憂と純ちゃんだクリ」
「そ、それほどでも無いですカニィ。……あ、そうだ。シナリオを再開するの、ちょっとだけ待ってもらえますか?」
時間にもよりますが……何か忘れ物でも?
「いえ、そうじゃなくて……演技に没頭するあまり、そのまま今でも演じ続けてる娘がここに居るんで」
今も……演じて?……あぁ、確かに。
「……スー……スー……ムニャ……おかしゃ……いっしょ……」
「……演技してるクリ」
「唯先輩、シーですブン」
「本気泣きしてたし、ここ数日の疲れも出たのかなぁ〜」
「ここ数日?なにかあったのウキ?」
「大した理由じゃないんですけど、試験が近いから二人で勉強してたんですよ」
「……勉強疲れドン?」
「私はそこそこで寝てたんですけど……ね」
「うふふ、憂ちゃんらしいウニ」
では、少々休憩としましょうか。
「休憩と言う名の憂ちゃん観察ウキ」
「りっちゃん、それは言わない約束ウニ」
「ムニャ……おかしゃ……スー……」
「クスッ……よしよし……いーこいーこ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/22(木) 23:38:17.27 ID:OfWAyg1Ho<> 本日は以上です
次は2週間以内に来る事を目標に
ではまた後日
<>
◆GLPLA.M.6I<>sage saga<>2012/03/29(木) 20:04:12.97 ID:Hj1j+dpDO<> どもども
携帯から失礼します
えー、投下分を書き上げて、読み直したところで
とんでもない勘違いというか致命的なミスをしている事に気付きました・・・orz
前回投下分で、純が憂を抱きしめている描写がありましたが
そういや、この二人って
カニの着ぐるみきたまんまじゃね?
・・・修正レスを投下します
<>
◆GLPLA.M.6I<>sage saga<>2012/03/29(木) 20:06:01.63 ID:Hj1j+dpDO<> >>196から
「あ、ちょっとだけ待っててもらえますカニ?」
え?あ、はい、構いませんが。
「ありがとカニ〜。……じゃぁ憂、脱ごっか」
「うん♪」
「「「「「……えっ!?」」」」」
ちょちょちょーっとまって下さい!!
「どうしたのブクゥ?」
どうしたもこうしたも……、なんで脱ぐんですか!?しかもここで!
「なんでって?……残念ながら、それはヒミツですカニィ」
「ですブクゥ」
な、なら戻ってくるときに脱げば良かったのでは?
「それも考えたんだけど……途中で脱いだ方がインパクトあるカニ?って思ったから」
「いや、どう考えてもありすぎだと思うブン」
「今の発言は流石のお姉ちゃんでもびっくりだクリー」
「ぬ、脱ぐなんて……そんな大胆な事……とてもじゃないけど私には出来ないドスン」
「澪、安心しろ。誰も澪に脱げなんて言ってないウキ」
「特典の撮影してて……本当に良かった……ウニ……」
紬さん!気を確かに!!
「……純ちゃん、なんか勘違いされている気がするブク」
「……ま、無視してさっさと脱いじゃおう。のんびりして迷惑かけても何だし」
「そだね〜。じゃぁ純ちゃん、押さえているからどーぞブクゥ」
「ではお先に……シュルリカニィ♪……じゃぁ次は憂ね〜」
「はーい。……すぽーんブクゥ♪……ふぅ、さっぱりさっぱり」
「やっぱ脱ぐと涼しいし重くないからいいよね〜。……って皆さんどうされたんですカニ?」
「あー、水着ねー、だよね−、ふつーそーだよねー。……ちょっとだけドキドキした自分が情けないブン……」
「あずにゃん、私も同じだから安心するクリ」
「……そう言えば、最初の休憩の後に、いつでも脱げるようタンキニ着たって言われてたのを忘れてたドスン」
「澪、出来れば次はちゃんと覚えておいてほしいウキ……」
「でも、二人の水着姿って素敵だわぁ〜」
確かに、眼福である事にはかわりありませんなぁ〜。
「……なんか失礼な事を言われた気がするけど、まぁいいカニ。よいしょっと……」
「んしょ……お待たせしましたブクゥ」
では改めて、シナリオ再開しますね。
>>197へと続く <>
◆GLPLA.M.6I<>sage saga<>2012/03/29(木) 20:08:51.55 ID:Hj1j+dpDO<> 前回の続きはもう一度見直してから週末に投下します
ではまた、週末に <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:52:48.86 ID:K6c3xuKZo<> どもども
ちゃんと週末に間に合いました
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:53:39.23 ID:K6c3xuKZo<>
それにしても……幸せそうですね〜。
「見ているこっちまで幸せな気分になるドスン」
「……どんな夢みてるのかなぁ?」
「うふふっ、やっぱりお姉ちゃんとしては気になるウニ?」
「うーん……、ちょっとだけ……かな?」
「どんなところが気になるんですブン」
「楽しい夢見てるのかな?とか……、怖い夢見ていないかな?とか……そんな感じクリ」
「やっぱり姉としては弟や妹は気になるよな〜」
「……と言う事は、りっちゃんもそうなのクリ」
「もっちのロンロン!聡と一緒の時なんか、寝付くのを確認してからじゃなきゃ寝られなかったくらいだッキ!!」
「律、静かに!。憂ちゃんが起きちゃうドスン!」
「み、澪だってうるs」
「……ンン……ムニャ……ファ……ン……スー……スー……」
「もぉ……りっちゃんも澪ちゃんも、しー、だよ」
「うん……すまなかったウキ……」
「同じく……すまなかったドスン」
「……ねぇ純、その体勢って辛くないブン?」
「ん、平気。てゆーか憂をこうやって抱きしめるなんて初めてだから、なんか……こう、動きたくないなーって感じがして、ね」
「そっか。……でも、辛くなったらちゃんと言うんだブン」
「おっけー。ありがとカニィ」
それにしても……よく寝てますね。
「ね−、これにはさすがの私も驚きウニ!」
つ、紬さん、声を抑えて……。
「あ、ご、ごめんなさい。ついいつもの調子で……」
次を気をつければ大丈夫ですよ。……って、何だか口がムグムグと動いてますねぇ〜。
「何か寝言でもウニ?」
ちょっと聴いてみましょうか。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:54:06.45 ID:K6c3xuKZo<>
「……スー……スー……ムニャ……じゅんちゃ……いっしょ……ムニャ……ずっと……だよ……スー……スー……」
「……おあつい事だッキ」
「同意するドスン」「同じくチク」
「も、もぉ……ちょっと憂、ホントは起きてるんでしょ?急にそんな事言われると……さすがの私でも、恥ずかしいカニィ……」
おやおや、母ガニさんお顔が真っ赤ですよ?
「か、カニだから、当然、です、カニィ」
「あずにゃん、純ちゃんがめちゃくちゃ照れてるクリ」
「かなりレアですブン。基本的に照れるって事がほとんど有りませんから」
「……写真撮っておくウニ?」
「謹んでお断りしますカニ……」
うーん、それは残念ですねぇ。
「ですブン」
「同じクリ」
「ちょっとそこ!残念がらないように!」
「だけどさぁ、寝顔の憂ちゃんとツーショットになれるッキ?」
「……こっちの方がレアかも知れないドスン」
「た、確カニ……」
「なんだったら、撮ってあげるウニ?」
「うーん、でも、うーん……やっぱり……やめておきますカニ」
おや、それはまたどうしてですか?
「大したことじゃないんですけど……やっぱ、同意もなしに撮るのは反則かなって。だから、今回は見送ります。……んっ?もぞもぞし始めた……そろそろ起きるかなぁ?」
「スー……ンン……ンァ……フア……あ、あれ?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:54:36.15 ID:K6c3xuKZo<>
「子ガニ、おはよう。もう朝ですカニ」
「へっ!?朝?」
純さん、さりげなくシナリオを再開させないで下さい。
「シナリオ?……えっと……ファァァァぁぁああっ!!す、すみません!!不意に眠気が襲ってきたので……ぶくぅ」
「みんな気にしていないから大丈夫クリ〜。……でも珍しいね、憂が居眠りしちゃうなんて」
「純が言ってたけど、そんなに遅くまで勉強してたのブン?」
「自分ではそんなに遅くまでやってるつもり無かったんだけどね〜、つい気がついたら夜中の一時二時になってて……ブク」
「私達が卒業してから授業が難しくなったのウニ?」
「いえ、授業内容は大して変わってませんよ。去年、お姉ちゃんの勉強を見ていたときとほぼ同じですブク」
「……去年の事について色々と唯に訊いてみたいが、この際さておいておくッキ」
「それが良いドスン。んで、その話しからするとそんなに遅くまでやる必要は無いドスン?」
「そ、それはそうなんですけど……ブク」
「ならどうしてウキ?」
「えっと……その……ノートに……ようてん……まとめ……アノ……ント……ジュンチャンノ……」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:55:05.86 ID:K6c3xuKZo<>
……春ですなぁ〜
「ナレーターさん、『春』じゃなくて『愛』ウニ」
「『愛』があるからこそ、さっきみたいな寝言を言ったんだクリィ」
「寝言?お姉ちゃん、私何か言ってた?」
「うん。えっとねぇ、『……じゅんちゃ……ずっと……いっしょ……』だったかな?」
「……憂の声真似は必要無いと思うんですカニィ……てか間違ってますよ。正確には『じゅんちゃ……いっしょ……ずっと……だよ……』ですカニ」
「流石、いつでも憂がナンバーワンの純だけあるブン」
「うんうん、それは確かに言えるッキ。……んで、どんな夢だったウキィ?」
「『いっしょ……ずっと……』かぁ……。んーと、……あ、そうか。ということは……うんうん、なるほど。わかりましたブクゥ」
「じ、じゃぁ、どんな内容だったのチク?」
「……言っても良いのかなぁ?うーん……先に謝っておけば良いよね。……純ちゃん、ゴメンね」
「ふぇっ!?な、なんであやまるのカニィッ!?」
「えっと、夢の中で言ってた事は……」
「「「「「「言ってた事はっっっっっっ!!!!!!??????」」」」」」
「『じゅんちゃん、いっしょうけんめいやらないと、ずっとおやつぬきだよ』ですブクゥ……」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:55:37.56 ID:K6c3xuKZo<>
……純さん、その言葉に覚えは?
「……今でも週に一度は言われていますカニィ……」
そ、そうですか……。
「……ハァ、まさか夢に見るほど憂に迷惑かけていたとは思わなかったカニィ……」
「そ、そんな事無いよ!私、迷惑だなんて思った事ないもん!!」
「でも、私を叱る夢を見るくらい、印象深く残ってるって事でしょ?」
「それは……そうだけど……」
「じゃぁ、やっぱり……迷惑に思っていた……思っている、今でも……ってことじゃない!」
「だ、だけど!!本当に!!迷惑だなんて思った事!!一度も!!!ないもん!!!!」
「ならなんでそんな夢見たのさ!!」
「はいはいはいはいはいはい、そこまでそこまでウキィ」
「律先輩……」「律さん……」
「二人とも、まずは深呼吸でもして落ち着くドン」
「「……スゥゥゥゥゥゥーーーーーーーー……ハァァァァァァァーーーーーーーーー……」
「さて、落ち着いたところで確認するブン。憂は純を叱る夢を見た、純は憂に迷惑をかけたと思っている。……間違いないブン?」
「うん……見たよ」「そう……思ってる」
「でもそれってさぁ、お互いがお互いの事を想っているからこそ、じゃないクリ?」
「お互い……が……?」「お互い……の……?」
「そう。うわべじゃなく、心の一番深い場所でウニ。だから……ね」
「私は純ちゃんの夢を見て……」「私は憂に迷惑をかけたと思った……」
「ま、そーゆーことッキ」
「え?で、でも、憂があんな夢を見たという事実はかわりませんよ!?」
「……私、純は憂の事ならなんでも知ってるんだと思ってたブン」
「私もクリ。……憂の性格を知り尽くしてる純ちゃんなら、おねーちゃんも安心して憂をお嫁に出せると思ってたんだけどねぇ」
「ういの……せい……かく?……あ!」
「わかったドスン?」
「……はい。憂、……ごめん。私、憂に迷惑かけたとばかり思ってた。でも……違うんだよね。憂は心配性だから……あんな夢を見ちゃうんだよね……」
「うん……」
「私が迷惑をかけてたわけじゃない、憂が勝手に心配してた……そうだよね」
「そうだよぅ……グズッ……」
「……でもね、憂。それはやっぱり私にも責任があると思うんだ」
「だ、だけど私はホントn……じゅん……ちゃん?」
「……いーこいーこ……これなら、落ち着いて聞いてもらえるかな?」
「う、うん……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:56:12.80 ID:K6c3xuKZo<>
「あのね、憂が私の事を心配するってことは、イコール私が憂に心配をかけさせているってことだよね?」
「そう……なの?」
「そうなの。だから、憂があんな夢を見るのは決して心配性だからって理由だけじゃない、私が無意識のうちに与えてる色んな迷惑があるんだよ」
「で、でも……私……ほんとに……」
「うん。だから多分、憂自身も気付いてないんだと思う。……あのさ、時々……私を見てて『こうすれば良いのに……』とかって思ったりしない?」
「一応……たまに……ものすごーくたまに、だけど……」
「でも、それを口に出したりしないよね。どうしてかな?」
「……自分がフォローしてあげれば……大丈夫だって……思うから……」
「……そっか、……憂の性格を考えたらそうなるよね……」
「だ、だけど、実際それで問題なく出来てるし」
「……寝不足になるのは……問題じゃないの?」
「そ、それは……でも、滅多にないし、今回はたまたまだかr」
「こーらっ……滅多にないって事は、ごく希にあるって事でしょ?」
「う……うん……」
「私はね……欲張りだから、私一人が幸せってのは嫌なの。だから、できる限り、憂には幸せでいてほしい、笑顔でいてほしいんだ」
「純ちゃん……」
「あ、もちろん憂だけじゃないよ。梓、先輩達、先生、家族、私の周りに居る人みーんなひっくるめて……だよ」
「クスッ……ホントだ。ものすごい欲張りさんだ」
「そう。だからね……滅多にない、ごく希な、とても些細な事でも構わないから、私に言いたい事があったらいつでも言ってもらいたいんだ。その方が、私も助かるし」
「助かる……?」
「うん。だってさ、私が何か変な事をしてそれを指摘されなかったら……この先同じ事をする可能性が高いわけでしょ?」
「あ……そっか……」
「そーゆーこと。だから……ね」
「わかった。純ちゃん、私……頑張ってみるねっ!」
「うんうん。私も頑張って応えるように努力するよ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:56:49.11 ID:K6c3xuKZo<>
「……えっと、じ、じゃぁ、さっそく、なんだけど……」
「い、いきなりぃ!?」
「う、うん。あ、あのね、わ、わたし、もっと、ゆっくり、ながく、おおきくが、す、すき、だから、その、えと」
「……うん、わかったよ。こうやって……ゆっくり、ながく、おおきくなでてもらうのが好きって言いたいんだよね」
「そ、そうなの。……ご、ごめんね……ちゃんと言えなくt」
「きにしないきにしなーい。今までやってなかった事をしたんだからさ、うまくいかなくても当然だよ」
「当然……なの?」
「そ。だからさ……ふたりで、ゆっくり、のんびりと、ならしていこう……」
「……うん。……あ、ねぇ……『わがまま』は……ありブクゥ?」
「それは……内容によりですカニィ」
「そっかぁ……それは残念ブク」
「なんで残念なのカニ?」
「えっと……あ、そっか。間違えてた、残念じゃなかったブク」
「……本当カニ?」
「うん、本当ブク」
「なら良いけdンムッ」
「……ン……えへへ……言うのが恥ずかしかったら、実行すればいいんだブクゥ♪」
「ふ、不意打ちとは卑怯だカニィ。そんな憂にはお仕置きですカニ!!」
「お、お仕置きブクゥ!?で、でも純ちゃンンッ」
「……チュパ……ンム……ンプ……プァ……。さっき……舌入れようとして……躊躇したでしょ?だから、おしおき……だよ♪」
「も、もぉ……」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:57:18.79 ID:K6c3xuKZo<>
「……完璧に二人だけの世界ブn」
「じゃぁあずにゃん私達m」
「謹んで遠慮申し上げますブン」
「うぅ……あずにゃんいけず……」
「もぉ……そうじゃなくても隙あらば抱きついてくるんですから、こんな時くらいは自重して下さいブン」
「はーい……。じゃぁ、後でならいいクリ?」
「……ちょっとだけ、ですよ……」
「わーい♪ありがとクリィ〜」
「こ、こんなところで、き、きす……」
「……ほほぅ、みおしゃんはかなりきになるようでちゅね〜」
「なっ!?だ、誰もそんな事言ってないだろっ!」
「それにしては、随分と見入っていた気がするッキ」
「そ、それは……あるかもしれないけど……」
「実はやってみたいと思ってたりして〜」
「……うん」
「……本当に?」
「本当に……だ、だから……」
「……誰も居ないとき、うき」
「あ、ありがどすん」
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:57:45.48 ID:K6c3xuKZo<>
「みんな素敵チクゥ〜」
ですが、この状態を放置するのは宜しくないかと。
「……どうしてウニ?」
時間もありますし……。
「それもそウニ」
なので、そろそろシナリオを再開させるのが良いかと……。
「でも……」
―ジュンチャァン…ンムッ…
―ハァハァ…ウイィ…
「それに……」
―アズニャーン!ムチュチュチュー!
―ニ゙ギャー!!マダダメデスゥゥゥゥーーーーー!!!!!!
「こっちも……」
―ジ、ジャァ、アソコノハシノシタデシヨウカ!!
―ミ、ミオ…、トリアエズ、オチツコウ、ナッ。
そうなんですよね……、どうしたらよいのやら……。
「うーん……、あ!そうだ!!」
何か良い案でも?
「うん♪えっと、ちょっと準備してきますね」
準備ですか?
「ええ。だから少し待っててもらえますか?」
いいですよ。では、紬さんの考えた案を楽しみに待っていますね。
「はーい♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/03/31(土) 23:59:04.97 ID:K6c3xuKZo<>
#
……遅いですね……。一体何を取りに行ったのでしょうか……?皆さんは相変わらずですし……。
『ナレーターさーん!!ちょっと扉あけてくださーい!!!』
あ、はい。ちょっとお待ち下さい。
「……おまたせしましたぁ〜」
……成る程、ティーセットを取りに行ってたのですか。
「そう。そして、カップにお茶を注げば……」
注げば……?
「澪!お茶にしよウキッ!!」
「そうだな、のども渇いたし、ちょうどいいドスン」
「よーっし!あずにゃんを膝の上に乗せてお茶にするクリィィィィィ!!!!」
「に゛ゃぁぁぁぁーーーー!!もうすこしだけ!!!がまんしてくださいぶーーーーん!!!!」
「……うい、おちゃ、のもっか」
「……うん、そう、だね」
「ほら、全員集合できたウニィ♪」
……キスのしすぎで蕩けすぎている少女が二人に、抱きつき攻撃を避け続けてぼろぼろになっている少女が一人……。
「……全員集合にはかわらないチクゥ」
あ、そうですね、はい、全員集合で間違い有りません。
「じゃぁみんな、お茶飲んだらもうひと頑張りするウニィ♪」
「そうだよなー、ふざけるのもそこそこにしといた方がいいウキ」
「お前が一番ふざけているんだと思うんだがドン」
「じゃぁ私はあずにゃんに早くちゅー出来るように頑張るクリ!!」
「そんなの無しでも頑張って下さいブン!!」
「純ちゃん、私達も頑張ろうね。そして、終わったら……」
「うん。終わったら……また、ね」
あれだけキスし続けたのにまだしたりないんですかぁ!?
「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。とりあえず、お茶を飲んで一息入れましょ♪」
はぁ……そうですね。では、しばし休憩という事で。
「一休みですウニィ♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/01(日) 00:00:25.76 ID:3XjPJynoo<> 本日は以上です
次回も2週間以内を目指します
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/01(日) 23:54:12.37 ID:k2bCNuq9o<> おつおつ <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:40:22.69 ID:VWE2MVbYo<> どもども
今回もなんとか2週間でこられました
>>222
ありありがとうでございまするー
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:41:30.32 ID:VWE2MVbYo<>
#
……それでは、皆さん準備は宜しい……です……か?
純さんに憂さん……ちゃんと着て……ます……ね。
では……シナリオをっ!再開しまっちゅ!!
「……かんだッキ」
「タメまで作ったのに……ドン」
「まぁ、ナレーターさんぽくって良い感じクリ」
「ナレーターさんぽいってのがよくわかりませんけど、何となくわかりますブン」
「梓、わかるんだかわからないんだかハッキリさせるカニ」
「純ちゃん、二人だからこそわかるんだと思うブク」
「以心伝心っ………す・て・き……ウニ」
うぅっ……あ、改めて!!シナリオを!!!再開しますっっっっっ!!!!!
「……そんなに力込めなくてもいいチク。のどを痛めるウニ」
……そ、そうですね。では、少々抑え気味に……。シナr
「それはもういいから、さっさと始めるウキ」
あ、そ、そうですか?
「二回もやれば十分だと思うクリ」
「それに、カニの親子も苦しそうですブン」
「着ぐるみ姿だと……この体勢は……つらい……カニィ」
「わ、私も……同じくです……ブクゥ」
「二人とも着ぐるみだから、つらさも倍以上ドスン」
「えっと、純ちゃんの台詞からよね?ほら、ナレーターさん、二人の台詞の後にナレーションが入るんだから、しゃんとするウニ!」
えー、……あ!そ、そうでしたね。すっかり忘れていました。
「もぉ……ちゃんと出来ないと、仕事降ろされるクリよ」
そ、それだけはご勘弁を……。で、では、純さんお願いします!
「はーいカニ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:42:26.77 ID:VWE2MVbYo<>
#
「子ガニ、おはよう。もう朝ですカニ」
「……ン……ファァァ……おかーさん、おはようぶくぅ」
「はいおはようカニ。さ、もうすぐ朝ご飯だからさっさと支度するカニ」
「はーいブクゥ〜。……あれ?臼さん達はどこブク?」
「あぁ、多分そろそろ戻ってくると思うカニ」
「そろそろ……?」
子ガニは手早く身支度を調えると、外に出て辺りを見回しました
白い砂浜、うち寄せる波、たまり水のある岩場……いつもと変わらぬ見慣れた風景が目に入ります
ですが、肝心の臼達の姿が全く見当たりません
「臼さん達は……どこ……ぶく?」
不安に駆られた子ガニがぽつりと呟いた瞬間
「あ、子ガニちゃんおはようクリ〜」
「え?お、おはようございますブクゥ!……って、栗さんどこに居るのブクゥ?」
「ここ、ここ!ここに居るクリ!!」
「ここって……えぇぇぇぇーーーーーー????????」
子ガニが驚くのも当然でしょう
なぜなら、その声は自分の足下から聞こえたのですから
「く、栗さん!!一体何をしているのブクゥ!?」
「何って……あー、日課の『砂マッサージ』クリ」
「すな……まっさーじ?それって、なんのために、する、ぶく?」
「それはもちろん、美容のためクリ!!」
「びよ……う?」
「そうクリ。砂の粒子がいい具合にマッサージしてくれるんだクリ〜。おまけにここの砂は細かくて丸くて最高クリィ〜!!」
「そ、そう、です、か。えと、もしかして、臼さんも、です、ぶく?」
「いやいや、これをやるのは我々栗一族だけクリ。臼さんは……あ、ほら!あそこの岩場にいるクリ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:43:08.22 ID:VWE2MVbYo<>
言われるままにそちらを見ると、先程までは誰も居なかった岩場で臼が何かと格闘をしている姿が映りました
「……何をしているんだクリ?」
「……多分、海草と格闘しているんだと思いますブン」
「あ、じゃぁさっき見えなかったのは岩場の向こうにいたから……ってハチちゃん!?」
「うん、そうだブン。……あ、子ガニちゃんおはようブン」
「お、おはようぶく。……どこにいたのブク?まさか栗さんと一緒に砂のn」
「そんな事したら窒息死するだけブン。……単なる見回りだブン」
「そ、それもそうブクね〜。えと、なにかかわったところは無かったブク?」
「えーっと……サルの気配とか、そういったのはなかったブン。……強いて言えば、臼さんが奮闘してる事くらいブン」
「あれって、何をしているのブク?」
「どうやら海藻を切ろうとしているみたいブン」
「……でも、ハサミも無しに切るのは大変なんじゃないクリ?」
「……あぁっ!!そうそう!!そういえばさっき臼さんに頼まれてたブン!!」
「頼まれてた?ハサミを持っていくのクリ?」
「そうですブン!さ、子ガニちゃん行くブン!!!」
「じゃぁ私、ハサミ取ってくるブk」
「ハサミならここにあるクリ」
「え?どこにあるのブク?」
「ちっちゃくても立派なのが二つあるブン」
そう言われた子ガニは、思わず自分の手を見ました
確かに、そこには小さいながらもしっかりとしたハサミがあります
「えと……こ、これブクゥ?」
「それ以外、どこにあるブン?」
「な、無いけど……でも、私のハサミじゃとてもじゃないけど切れないと思うブクゥ……」
「そんなの、やってみなけりゃわからないブン。さ、臼さんが待ってるから一緒に行くブン」
「私も行くクリ!だから……ねっ」
ハチと栗に促され、子ガニは渋々ながらも臼の下へと行きました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:43:29.39 ID:VWE2MVbYo<>
「ぬっ!くっ!このっ!!」
「臼さん、どんなあんばいクリ?」
「みてのっ!とおりっ!どすん!!……全然切れないドン……はぁ……」
「そんな臼さんのために、子ガニちゃんを連れてきたブン」
「あ、あの……私のハサミなんかで……大丈夫ブク?」
その声を聞いた臼は、満面の笑みで子ガニに答えました
「もちろんドスン!!というか、これは子ガニちゃんじゃなきゃ出来ないことドン!!」
「そ、そうなのブク?」
「じゃぁ、物は試しにこれを……ここら辺で切ってみるドン」
臼が目の前に置いたのは全長七十センチほどのひじき
子ガニは臼が指し示す場所にハサミを入れ、気合いの声と共に力強く閉じます
「えいっっっっ!!!!」
バチンと言う音が響き、何かが落ちる音がしました
「……きれ……た……ブク?」
「どれどれ……。うん、ちゃんと切れてるドン」
「ほ、ほんと……ブク?」
「本当ドスン。ほら、自分の目で確かめてみるドン」
そう言いながら、臼は持っていたひじきを置きました
同じような長さの中に二本だけ、丁度半分程度に切断された物が有ります
「おぉー、これは見事な切り口クリ〜」
「スパッと綺麗に切れてますブン……ん?子ガニちゃん大丈夫」
ハチの声に残る二人も子ガニを見ました
具合が悪いのでしょうか、うつむいたまま小刻みに身体を震わせています <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:44:13.78 ID:VWE2MVbYo<>
「……そんなに震えて……寒いドスン?」
「……タ……レタ……」
「今日はわりと暖かいクリ。……もしかして風邪?」
「ヤッ……ヨォ……カ……キ……」
「……なんか、ちょっと違う感じがしますブン」
「キレタ……ヤッタ……キレタヨォォ……ヤッタヨォォォォォ……キレタヨォォォォォォォォォォォォォオオオオおおおおおおおおかしゃーーーーーーーんんんんん!!!!!!きれたぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
ひじきをじっと見つめながら震えていた子ガニは、突然立ち上がると大声を上げながら家へと全力で駆け戻り飛び込むようにして中に入ると母に向けて話し始めました
「おかっ!おかしゃ!おかしゃんっっっっ!!」
「はいはいはいはい、どうしたのカニ?そんなに興奮して」
「あのね!あのね!あのね!!きれた!きれたよ!きれたよ!!」
「きれた?何かが切れたのカニ?」
「これ!これ!!これきれた!!!これきれた!!!!!」
「これって……このひじきを?切ったの?お前が?ホントに!?」
「ほんと!ほんとに!!!きれた!!!きれたよ!!!!!」
差し出されたのは、子ガニによって切断され二本になったひじき
母ガニはそれを受け取り断面を観察しました
「ねぇ……本当にお前が切ったのカニ?」
「ほんとにきったぶくぅっ!!!」
「その小さなハサミで?」
「うん!えいっ!!ってがんばってきったぶくぅ!!!!」
「そっか……いつの間にか大きくなってたんだね……」
「エヘヘ〜。でも、まだまだおかーしゃんにはかなわないブクゥ」
「そんなのすぐに追いつきますカニ。……さて、それじゃ折角だから子ガニにも手伝って貰いますカニ。……って、残りのひじきはどこカニ?」
「あっっっっっ!!!!!臼さんの所に置きっぱなしだったブクゥゥゥゥゥ!!!い、今取ってくるブクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー……」
「走ると危ないから歩いt……ってもう居ない。……ホント、ついこの前まではおんぶに抱っこのちびちびだったのにね。……さて、子供の成長に浸ってないで、下ごしらえを済ませておきますカニィ」
母親が感傷に浸りつつも家事を進めるその頃
家から飛び出した子ガニは、臼達に今起こったことを報告していました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:44:39.74 ID:VWE2MVbYo<>
「……それはすごいドスン」
「でしょでしょでしょぉ〜」
「実際、あの切り口は素晴らしいものだったブン」
「エヘヘ〜、ありがとブクゥ〜」
「ところで、急いでここに来たけれどもお母さんから何か頼まれているんじゃないクリ?」
「……あっっっっっ!!!!!!!ひじき!!!!!もってくぶくぅぅぅぅぅ!!!!!!」
「持っていくって……これ全部ドスン?」
「うんっっっっっ!!!!!」
「結構量があるけど……大丈ブン?」
「……う、うん……」
「……閃いたクリ!子ガニちゃん、両腕を前に伸ばして……そうそう。んで、ちょっとだけハサミを開いて……少しだけ上に向けて……オッケー!あとはここにひじきを乗せれば完成クリィ!!」
「おぉ!!流石は栗さん、見事な考えドスン。では早速載せるドン」
三人は次々とひじきを乗せ、遂には全てがそこに乗りました
「やったー!!全部乗ったブクゥ!!」
「子ガニちゃん、良かったブン♪」
「うん♪これなら運べるブクゥ!!栗さんありがとうブク〜」
「どういたしましてクリ。あ、でも走ったら駄目クリよ」
「はーいブクゥ!!」
一歩一歩慎重に足を運ぶ子ガニ
三人はその姿を優しい目で見送りました
「……うまくいった……ドスン?」
「……少なくとも、昨日までの子ガニちゃんとは違うと思うブン」
「言葉だけじゃなく、仕草も子どもに戻ってたクリ」
「では、『子ガニちゃんを子どもに戻してあげよう大作戦』……成功したということでオッケードン?」
「オッケーですブン!」
「もちろん、オッケークリよぉ〜」
「……二人とも、ありがとうドスン」
「どういたしましてクリィ……でも、臼さんが突然あんな提案をするなんて思いもよらなかったクリ」
「ホントホント。まさか散歩に出た途端に言われるとは考えてもいなかったブン」
「いやぁ、夜中に目を覚ました瞬間、ふと思ったから……二人とも、作戦に乗ってくれてありがとドスン」
「なぁ〜に、子ガニちゃんの笑顔が見られるのならいくらでも頑張るクリ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:46:02.32 ID:VWE2MVbYo<>
「でもあの『頑張り』はとてもじゃないけれど真似できないですブン」
「ん?栗さんは一体何をしたドスン?」
「特に変わったことはしていないクリ。驚かせる役お願いしたいと言われたから、砂地に潜って待っていただけクリ」
「でも臼さんならともかく、私がそれをやったらあっという間に窒息してしまいますブン」
「確かに。でも、出来れば私もそれは遠慮したいドン」
「どうしてクリ?」
「窒息とかはしない筈ブン?」
「でも、身体の隙間に入られると後々大変ドスン。栗さんやカニさんみたいに汚れたからといっていつでも水浴び出来る訳でもないドン」
「はぁ〜、難儀ですクリ〜」
「隙間に……なんか……聞いてたら……からだがかゆくなってきましたブン…………」
「うん。私も言ってて隙間が気になってきたドン。……ウニさんの家から帰る途中に浅い川ってあったドスン?」
「それってウニさんの家を越したところじゃなかったクリ?」
「あぁ、ありましたね。臼さん二人ブンくらいしかない川なら」
「それで十分ドスン。ん〜っっっ!!久しぶりに身体を洗えるドスンンンン〜!!」
「じゃぁ、臼さんの手が届かないところを私が洗ってあげるクリ」
「あ、私も手伝いますブン」
「本当ドン!?なら是非ともお願いするドン!どうやっても洗いきれないところが数ヶ所有るドスン」
「しっかりと洗ってあげるクリ〜」「あげますブン〜」
作戦の成功に安堵した三人が歓談していると、カニの家から一同を呼ぶ幼い声が聞こえました
「みなさぁぁぁぁぁーーーーーーんんんん!!!!!!!!」
「おっ、元気な声が聞こえたドスン」
「ではこちらも……はーーーーーいっっっっ!!!!!なんですクリィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「こがにがおてつだいしたぁぁぁーーーーーー!!!!!あさごはんのしたくがぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!でーーーきーーーたーーーーーーブクゥゥゥゥゥーーーーーーーー!!!!!!」
「おぉっ!!!これは急いで戻って食べないともったいないですブン!!」
「確かにそうドスン!わかったドスーーーーーーーン!!!!!!!いーーーまーーーーもーーーーどーーーーーるーーーーーードスーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!」
「はーーーーーーーーーーーーいブクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「……さて、ドスン」
返事を確認した子ガニが家に入るのを皆が見届けたところで、不意に臼が口を開きました
「何クリ?」
「いや……朝ご飯ドスン」
「はい、そう言ってましたブン」
「なので……家まで競走ドスーーーーーーーーーンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」
「ぬぅっ!!!!抜け駆けは許さないクリィィィィィィーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「あっっっっっっ!!!!!ま、待って下さいブゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/14(土) 22:48:08.60 ID:VWE2MVbYo<> 本日は以上です
次回の投下もやはり2週間以内を目指して頑張ります
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/04/14(土) 23:08:48.17 ID:UwsPux8To<> 乙
まだまだ続きそうだな <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:11:22.05 ID:SIm50AdEo<> どもども
日付を少々またぎましたが2週間でこられました
>>232
おつありです〜
予定ではそろそろ終わる筈だったんですけどね〜
今回は長めに書ききれなかったので、短く切りのいいところまで4レスです
では本日分投下
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:11:51.27 ID:SIm50AdEo<>
#
「うにさんのいえまでってとおかったぶくぅ〜?」
「おぼえてないくりぃ〜」
「確か、半時も歩けば着いたはずドスン」
親子の愛情がたっぷりとこもった朝食を食べた一行は
早速ウニの住む入り江へと向かいました
「……母ガニさん、乗り心地はどうドスン?」
昨日の約束通り、母ガニも皆と同様に臼の頭上で揺られています
「あ、とても快適ですカニィ。……すみません、私の為にこんな事までしていただいて……」
しかし病み上がりの母ガニをそのまま乗せられる程の乗り心地は当然のごとく有りません
なので皆は、母ガニに負担がかからぬよう出発前に草や葉を敷き詰めておいたのです
「ふかふかできもちいいぶくぅぅぅぅぅ〜」
「きもちいいくりぃぃぃぃぃ〜」
「……子ガニちゃんはともかく、栗さんまでふかふかを堪能する必要は無いと思いますブン」
「まぁまぁ、これを作るのに頑張られたのですし、昨日のこともありますから身体を休めてもいいと思いますカニ」
「ほら、母ガニさんもそう言っているクリ。それに、一面に敷き詰めてあるからどこに座っても堪能することになると思うクリ」
「むぅ……ならば仕方ないですブン……」
「……ハチちゃんはすわらないブクゥ?」
「うん。大丈夫だとは思うけど、見張りをした方がいいと思ってブン」
「……すわらない、ぶくぅ?」
「う゛……」
「……ぶくぅ?」
「……臼さん、見張りしなくても大丈夫ですブン?」
「ハハハ、問題無いドン。子ガニちゃんの為にも早く座ってあげた方がいいドスン」
「では……失礼しますブン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:12:17.40 ID:SIm50AdEo<>
ハチは臼に一礼をして、手招きする子ガニの下へと飛びました
「いらっしゃいぶくぅぅぅぅ〜、こちらへどうぞぶくぅ」
「お邪魔しますブーン。よいしょっとぉぉぉぉぉぉおおおお!!!????」
「えへへ〜、ふかふかだからきをつけるぶくぅ〜」
「……こんなに厚く敷き詰めたブン?」
「きがついたらいっぱいだったくりぃぃぃ〜」
「でもそのお陰で身体がとても楽ですカニィ。皆さんありがとうございますカニィ」
「どういたしましてブン」
「おなじくですくりぃぃぃぃ〜」
「気になるところがあったらいつでも言ってほしいドスン」
「はいですカニ」
「いえのふとんとおなじくらいここちよいくりぃぃぃ〜」
「……栗さんの感想は必要無いと思いますブン」
「まぁまぁ……、栗さんにとっても久しぶりに味わう感触だから、大目に見てあげてほしいドン」
「成る程、それなら仕方ないですブン」
「ねぇねぇ、栗さんのおふとんってこんな感じなのブクゥ?」
「ん〜?これににたようなかんじだけど〜、もうちょっとこのはがおおいくりぃぃぃ〜」
「そうなんだ〜、じゃぁ今度お泊まりさせてほしいブクゥ〜。そっちのおふとんにも寝てみたいブクゥ〜」
「おっけぇ……くりぃぃぃぃ……ファァ」
「栗さん、眠いブク?」
「ちょっとだけ……ねむい……くりぃぃ……」
「眠いときにはちゃんと寝た方がいいっておかーさんが言ってたブク。おかーさん、そうだよねっ」
「そうですカニ。……臼さん、到着まで後どれくらいですカニ?」
「えーっと……あの木があそこに見えるって事は……まだまだかかりますドン」
「なら大丈夫ですね。栗さん、着くまで横になってるのがいいと思うカニィ」
「母ガニさんがそう言うのなら……お言葉に……あまえさ……せても……らうくr……スー……スー……」
余程眠たかったのでしょう
栗は礼の言葉を言い終えることなく寝息を立て始めました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:13:30.01 ID:SIm50AdEo<>
「子ガニちゃん、栗さん寝たドスン?」
「寝たブク〜」
「じゃぁ、少し走る速度を落とすドン。もし起きそうになったら言ってもらえるドスン?」
「了解ブクゥ〜」
穏やかな秋の日差しが降り注ぐ海沿いの一本道
子ガニとハチ、そしてたまに聞こえる母ガニの声
それと、常に小さく聞こえる栗の寝息をBGMに臼はひたすら歩きます
「……だから、今日みたいな日を『小春日和』って言うカニ」
「ふーん……春じゃないのに春って、不思議ブク」
その会話にふと目線を落とせば道脇に立つ木から落ちた枯れ葉と枯れ草が
それに思い立ち目線を遠くに向ければ山間に赤く染まる木々が見えます
「……今度失敗したら……『次』は無理ドスン……それだけは、避けないといけないドン……」
否応なく告げられる冬の足音
臼は一人呟き、息を小さく吐きました
「……臼さん臼さん、あまり深く考えない方がいいカニ」
「あ、これは失礼。声に出していたドン?」
「うん!はっきりと聞こえたブクゥ〜」
「へっ!?こ、子ガニちゃんにもドスン?……と、いうことは……」
「勿論、私にもバッチリと聞こえてましたブン。……臼さん、『次』なんて考えたらダメですブン」
「どんなことでも前向きに考えなきゃダメっておかーさんが言ってたブク。……だよね?」
「えぇ、言いましたカニ。後ろ向きな考えはいい結果を残せないから、つねに前向きな考えを持ちなさい。……これでしょ?」
「『つねに前向き』……なるほど、確かにそうかも知れないドスン」
「ムニャ……ぽじてぃぶ……しんきんぐ……くりぃ……スピー……」
「……えと、ほ、ほら、栗さんも寝言でこういっていますブン」
「そ、そうだな。……よっし!まえむきに、がんばる、どすーん!!」
「か、かにぃ!!」「ぶっくぅ!!」「ぶぶぶーん!!」
「ムニャ……くりくりぃ……スー……エヘヘ……ムニャ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:14:12.90 ID:SIm50AdEo<>
#
「ファ……ァァァァァァぁぁぁああーーーーっっっっ!!!……おはよークリ」
「あ、起きましたか。おはようですブン」
「おはようドスン。丁度さっき着いたところドスン」
「……随分と寝た気がするクリ……」
「まぁ、道中ずっと眠りっぱなしでしたからねぇ。そんな気がするのも仕方ないですブン」
「そっかー。……ってあれ?カニさん親子はどこクリ?」
「あぁ、二人なら先に降りて……あそこの波打ち際で遊んでいるドスン」
「ほほぅ……どれどれクリ……」
臼の指し示す方向を見ると、楽しげに波と戯れる二人の姿が見えました
「……楽しそうクリ」
「良いことですブン」
「見ていて落ち着くドン」
「ホントクリ。……じゃぁもうちょっとだけ遊ばせt」
「さて、そろそろ行くとしますブン。おーい!!!!!くりさんがおきたぶーーーーーん!!!!!!」
「……ハーーーーーーイブクゥーーーーーーー!!!!!!!」
「……イマモドリマスカニーーーーーーー!!!!!!!」
「……遊ばせない……くり?」
折角の親子水入らずなのに……
驚いた栗は思わず二人に尋ねました
「……ほんとは、もっと遊ばせてあげたいドン」
「でも、そうしたら流石に遅くなりすぎですブン」
二人の答えと表情、それだけで栗には十分な回答でした <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:16:32.49 ID:SIm50AdEo<>
「そっか……残念クリ」
「……でも、全部終わった後ならもっと気兼ねなく遊べますブン」
「我々も含めて、ドスン」
「じゃぁ……その時には思いっきりはじけることにするクリ!」
「それが良いですブン。……まぁ、私は水遊びできないんですけど」
「子ガニちゃんと砂遊びとかでもいいと思うドン。私も海水に浸かるのは苦手ドスン」
「ま、人それぞれに得手不得手があるクリ。無理に合わせる必要は無いクリ。……って誰か呼んだクリ?」
「いえ、呼んでませんブン」
「同じくドスン。栗さん、どっちから聞こえたドン?」
「あっちの……海の方から……あ!今も聞こえたクリ!!」
「―リサ―チチャ―スサ―キイッ―スヨ―」
三人が栗の言う方向を見ると……
「「「あぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!わ、忘れてたクリ!」ブン!」ドスン!」
そこには三人に手を振る母ガニと子ガニの姿がありました
「ウニサンノオスマイハアチラデシタヨネカニィーーーー!!!」
「サキニイッテルブクゥゥゥゥーーーーーー!!!!!!!」
「あ、そ、そっちであってますクリィィィ!!!!」
「い、今すぐそっちに行きますぶーーーんっっっ!!!!」
「栗さん、全速力で行くドスン。しっかりと掴まってるドスーーーーーンッッッッ!!!!!」
「り、了解!!……おっけーくり!!!」
「では……って、ハチちゃんは乗らないドスン?」
「はいですブン」
「どうしてクリ?」
「どうしてって?それはですね……」
「「それは?」」
「おっさきに行ってますブゥゥゥゥーーーーーンッッッッッ!!!!!」
「あ、ず、ずるいドスン!!」
「朝のお返しですブーーーンッッッ!!!!」
「臼さん!負けられないクリ!!」
「当然ドスン!!待つドスーーーーーーーーーーーンッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/04/29(日) 00:19:48.09 ID:SIm50AdEo<> 本日は以上です
・・・てか投下レス数って5レスじゃないか
ま、少ないよりは良いですかね
等と書いておりますが、世間一般様的には今日(昨日)から金の週
2週後に投下出来るのかはなはだ不安ではありますが頑張ります
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 00:56:34.88 ID:lgXudvNEo<> どもども
金の週を挟みましたが何とかいつもと同じ量が書けました
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 00:57:08.72 ID:lgXudvNEo<>
#
「ゼェ……ゼェ……ぶん……」
「ハァ……ハァ……どすん……」
「……えっと、これは一体どうしたのウニ?」
いつもと同じ朝のひととき
海の底で寛いでいたウニは聞き慣れた声に気付き、慌てて陸に上りました
しかし、そこにはハチと臼の姿だけ……しかも息を切らせて倒れ込んでいます
「ゼェ……むちゅうに……なりすぎた……ンクッ……ぶん……」
「ハァ……まさか……こんなにも……白熱するとは……ハァ……」
「こ、答えになっていない気がしますチク……」
戸惑うウニが辺りを見回すと、遠くに見知った顔が二つ、初顔が一つありました
「あ、栗さん!……隣は子ガニちゃんとお母さん……かな?」
「そうです……ぶん……」
「くりさん……ぶじならいい……どすん」
「ぶ、無事って……一体何があったウニ?……って、あの三人に聞いた方が早いチク。おぉーーーい!!!くーーーーりーーーーさぁぁぁぁーーーーーーん!!!!!!」
「ウニサァァァーーーーン!!!!!!イマイククリィィィィィーーーーーーー!!!!!!!!」
「イクブクゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「うんうん、元気そうで何よりウニ。臼さん、何があったか知りませんが栗さんも無事そうですウニ」
「そ、それならよかったどすん……」
「ほんとですぶん……」
「……ここで待っていてもいいけど、何があったかすごく気になるチク……よし!二人はここで待っていて下さいウニ。ちょっと迎えに行ってきますチク」
そう言うが早いか、ウニは二人を残して栗達の方へと駆け出しました
「いって……らっしゃい……どん……」
「いって……らっしゃい……ぶん……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 01:00:24.71 ID:lgXudvNEo<>
#
「くりさぁぁぁぁーーーーーん!!!!こがにちゃぁぁぁーーーーん!!!!っとっとっとっとっとっとぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!」
息を切らせるほどに走ったハチと臼
その途中で何かがあったと思われる栗
そして、子ガニが連れてきた母ガニの姿
それら全てから作戦の成功を確信したウニは嬉しさのあまり
全力疾走で栗達のもとへと向かいました
「あ!おかーさん!!ウニさんがこっちに来たブクゥ!!!」
「あら、わざわざ申し訳ないカニィ……てかなんか様子が変じゃないカニ?」
「あれは……走るというよりは転がるようにって感じクリね」
「ほんとだー。転がるように……って、ゴロゴロ転がってくるブクゥ!!?????」
しかしどうやらウニは喜び勇みすぎたようです
途中にある小さな窪みに足を取られ
それまでの速度を維持したまま
文字通り
『転 が っ て』
栗達の方へやってきました
「子ガニ!急いで後ろに!!栗さんはその後ろに!!合図をしたら足を思い切り踏ん張るカニ!!」
「はいブク!!」「準備オッケークリ!!」
母ガニは両手を広げ、受け止める体勢を取りました
「たぁぁぁぁすぅぅぅぅけぇぇぇぇてぇぇぇぇうぅぅぅぅにぃぃぃぃぃーーーー!!!!」
「……今カニィッッッッ!!!!!」
ウニの悲鳴と母ガニの叫び声が重なった直後
重い衝撃音と共に砂煙が辺りを包みました
「ウゥッ……ケホッ……あ、ありがとうございますウニ……」
「もぉ……今度からは気をつけて下さいカニ」
「く、くださいぶくぅ……」「う、うっかりさんもほどほどにだくりぃ……」
しばらくして砂煙が晴れると、そこには逆さになったウニをしっかりと抱き留める母ガニの姿がありました
もちろん、その後ろには力添えをする子ガニと栗の姿もあります <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 01:01:29.23 ID:lgXudvNEo<>
「えっと、離しますけど……逆さのままで大丈夫ですカニ?」
「あ、できれば少し転がす感じに放り投げて貰いたいウニ」
「わかりましたカニ。では……ぽーんっと」
「あぁぁぁりがとぅぅぅぅぅぅぅうにぃぃぃぃぃ!!!!!」
母ガニに放り投げられたウニはその力を利用して身体を一回転半させ
何かのポーズを決めて地面に立ちました
「……ウニさん、『棘皮戦隊』ネタは通じないと思うクリ」
「そ、そうチク?」
「きょくひ……せん……たい……?おかーさん、それって何ぶく?」
「聞いたことだけあるカニ。確か……色んな棘皮生物が集まって戦う戦隊モノカニ」
「おぉっ!よくご存じで。いやー、まさか甲殻類の方まで知られているとは……驚きですウニ」
「小さい頃、兄たちがごっこ遊びで何度かやっているのを目にしていたので……知っていたのはたまたまですカニ」
「だとしても、それを覚えているのはすごいですウニ……っと、そういえば自己紹介がまだでしたウニ。……初めまして、ウニと申しますウニ。改めて、先程は失礼いたしましたチク」
「初めまして、子ガニの母の母ガニです。……さっきは本当にびっくりしましたカニィ」
「びっくりしたブクゥ」
「一体何がどうなってあんな風になったクリ?」
栗に問われたウニは、恥ずかしそうに答えました
「だって、臼さんとハチちゃんがあんな状態でやって来るから……気になって……走ってたら……小石につまずいて……ウニィ」
「あー、それなら……まぁ、仕方ない、クリ」
「いくら急ぎたかったにしても、あれはちょっとおかしいウニ。一体何がどうなってあんな事になったのウニ?」
今度はウニが栗に問い掛けました
栗は申し訳なさそうな顔で答えます
「……私がいけないクリ……」
「そ、それはどうしてウニ?」
「最初は、もちろん本気でなんか走っていなかったクリ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 01:02:10.55 ID:lgXudvNEo<>
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
抜きつ抜かれつ、二人とも半分ふざけて小走り程度に走っていたクリ
だけど、あと少しで二人の所に着くって時
つい余計なことを言ってしまったんだクリ
「それにしてもハチちゃんは早いクリ〜」
それを聞いた臼さんは不満げな声でこういったクリ
「何を言うドン!私が本気を出せばあっという間に追いつくドスン」
するとそれを聞いたハチちゃんも……
「あっという間ブン?なら……臼さんこちらぁ〜」
その後も売り言葉に買い言葉の応酬が続いて……
「よし、ならばウニさんの家までどちらが先に着くか勝負だドン!」
「望むところだブン!!」
「え゛!?でも、カニさん達はどうすr」
「栗さんが案内すればいいドン」「いいブン」
「わ、わかったクリ。じゃぁ適当なところで降ろしt」
「近くに行ったら勝手に降りて構わないドン」「てゆーか、砂地だから飛び降りても問題無いブン」
「ほぇっ!?と、飛び降りるのクr」
「そうドン。じゃぁそろそろ本気で行くドスン!!ドドドドドドドドドドスーーーーーーーン!!!!!!」
「させるかぁぁぁぁぁーーーーっっっっ!!!!!ブブブブブブブブブブブーーーーーーーン!!!!!!」
全力疾走する臼さんから振り落とされないように耐えていたら、驚いたカニさん達の顔が見えて……
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 01:02:50.13 ID:lgXudvNEo<>
「……ちょうど安全そうな場所だったから、急いで飛び降りたクリ」
「そこに私達が慌てて駆けよって、栗さんの無事を確認して、今に至るカニ」
「はぁ〜、それは難儀だったウニィ」
栗の告白に、ウニは驚くしか出来ませんでした
まさかそんな事が有ったとは、露にも思わなかったからです
「飛び降りるのには慣れているけど、動くところからってのは……流石に怖かったクリ」
「見ている私達だって怖かったカニ。栗さん、飛び降りた瞬間に臼さんの手がぶつかって弾かれたの……覚えてますカニ?」
「……んー、あったようななかったような……よく覚えていないクリ」
「カツーンって大きな音がして……でも臼さんは『もしかして栗さん当たったドーン?』って言いながら走って行っちゃって……めちゃくちゃ焦ったカニ」
「駆け寄ったら、栗さん砂に半分突き刺さっててものすごくびっくりしたブクゥ」
「け、怪我はなかったチク!?」
「前の方は大丈夫だけど……後ろは見て貰わないとわからないクリ」
「じゃぁさっそく見てみるウニ」
ウニは栗の背中をじっくりと観察しました
恐らく砂に突っ込んだ為出来たのであろう細かな擦り傷は多数ありましたが、幸いなことに大きな傷は見当たりませんでした
「ちっちゃい傷はあるけど……どうやら大丈夫っぽいウニ」
「ほっ……なら一安心クリ」
「でも……走ってきた理由がそれだったのなら、私は一安心じゃないチク」
「……どうしてですカニ?」
「回りくどいのは嫌なのでずばり聞きますウニ。……例の『作戦』、失敗しましたね?」
「クリィ!?」「カニィ!?」「ぶくぅ!?」
この質問には三人も驚きました
一言も告げていないどころか、そういったそぶりさえ見せていない筈なのに
何故?どうして?
疑問符だけが皆の頭を駆け巡ります <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 01:04:04.01 ID:lgXudvNEo<>
「なんでわかったかって思ってるチク?理由は単純ウニ。まず一つ目、もし成功していたのなら臼さんかハチちゃんどちらかが教えてくれるウニ」
「ん〜と、まぁ、そうだクリ」
「二つ目には、子ガニちゃんの様子が明らかに違ウニ」
「……そうブク?じぶんじゃわからないブク」
「年相応になってるチク。母ガニさん、そうですよね?」
「そのとおりですカニ」
「そして最後、三つ目。これが一番の決め手だウニ」
「ど、どんなことクリ?」
「『作戦』が成功していたのなら……ここにサルも居るはずウニィィィィィーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「そ、そうだったクリィィィィィィーーーーーーーーー!!!!!!」
「……とまぁ、茶番はこれくらいにしておいて、実際何がどうなったのチク?」
「えと……んと……」
「大丈夫、おかーさんが手を繋いでいてあげるから。ゆっくり、落ち着いて説明すればいいカニ」
「足りない部分は私が補うクリ」
「わ、わかったぶく。えっと……」
子ガニは、時折恐怖で言葉につまりながらも、一所懸命に説明しました
それを聞いたウニは、栗の補足もあったお陰で大体の内容を把握することが出来ました
「……成る程。では途中で二人を拾いつつ私の家で作戦会議と行きますウニ?」
「あ、そうして頂けると非常に助かりますカニ」
「……おかーさん、もしかして腰痛いブク?」
「うーん……痛くはないけど、重い感じ……出来れば休みたいけど、流石にここら辺りじゃ休めないカニィ」
「ウニさん、家までは後どれくらいクリ?」
「数分ってところウニ。家に着けば海草クッションがありますから、十分休めますチク」
「じゃぁ、臼さん達とと合流したらまた乗せて貰えば……って、全力疾走してたくらいだから『ふかふか』は多分無くなってるクリね……」
「おかーさん……がんばれる、ブク?」
「んー、まぁ、そのくらいなら、なんとかなると思うカニ」
「まぁ、ここまで来れば慌てる必要もありませんウニ。腰に負担をかけないよう気をつけて、ちょっとのんびり行くとしますチク」
「すみません、お願いしますカニ」
「では、ウニさんの家へしゅっぱーつクリ」
「しゅっぱーつブクゥ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/13(日) 01:06:10.12 ID:lgXudvNEo<> 本日は以上です
次も2週間後を目標に頑張ります
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:42:00.82 ID:S0y2eB6+o<> どもども
予定外の法事(13回忌)に行かなくてはならなかったので投下出来ませんでした
では本日分投下
<>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:42:34.65 ID:S0y2eB6+o<>
#
「着きましたウニ〜。さ、あがってあがって〜」
「お邪魔しますクリィ」
「お邪魔しますカニ」
「お、おじゃま、します、ぶくぅ」
「おじゃま……ゼィ……ハァ……しまぁす、ぶぅぅん……」
「おじゃ、ま、します、ど、すん」
「もぉ……腰をかばって歩く母ガニさんよりも遅い速度でしか歩けないって、どれだけ無茶苦茶な全力疾走したクリィ」
ウニの家に着いた途端倒れ込んだ二人に、栗はあきれた表情で問い掛けました
なぜなら、合流した当初こそ回復をした素振りを見せていたものの
ここに近づくにつれその余裕もなくなり
ついには栗が言ったとおりの状態になってしまったからです
「自分の中ではぁ、余力を残して……ハァ……いたはずなんですぶぅぅん」
「まさか、これほどまでに、たいりょくがない、とは、おもわなかっ、たどん」
「……臼さん、ちゃんと自分の年齢を考えなくちゃ駄目だクリ」
「……面目ないドスン」
「ハチちゃんも、若いからって自分の限界を超えすぎるのは良くないクリ」
「……気をつけますブン」
「それと……」
「「ま、まだぁ!?」」
留まること無く続く栗の説教
疲れ切った身体にこの追い打ちは少々厳しかったようです
二人は身体を起こすことなく黙って頷くのが精一杯でした
「だいたい……」
「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ、そのくらいにしてあげたらどうですウニ?」
終わりの見えない言葉の嵐
それを止めたのはウニの声でした <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:43:12.38 ID:S0y2eB6+o<>
「二人とも反省しているみたいだし、それよりなにより二人が先に上がらないとカニさん親子が中に入れないウニィ」
「あっ!母ガニさん、子ガニちゃん、申し訳なかったクリィィィィ!!」
「あぁ、まだ大丈夫だから安心してもらっていいカニ。でも……栗さんを含め以後気をつけて下さいカニィ」
「ぶくぅ」
「肝に銘じておきますクリィ」
「同じ事をしないよう、羽根に誓いますブン」
「同じく、杵に誓うドン」
「……さて、それでは居間へご案内しますからどうぞお上がり下さいチク。あ、母ガニさんの為にお布団も用意しておきましたウニィ」
「ありがとうございますカニ。では改めて……って、お邪魔出来ませんカニィ」「出来ないブクゥ」
「おっと、私が先に入らないといけないんだったドスン。どっこいしょっとぉ邪魔しますドーン」
「おじゃましまぁす……とぶきりょくすらうばわれましたぶぅぅん」
「あぅぅ、すまなかったクリィィィ。……あ、じゃぁお詫びに抱っこしてあげるクリ!」
「へっ!?ゆ、唯先輩、シナリオにはおんぶって書いてありますけど」
「えぇ〜、だってそれじゃあずにゃんの顔が見えないクリィ」
「……実際におんぶするつもりだったのか……ウキ」
「だってさぁー、目の前で二人があんなことするんだモン……私だってそのくらいやりたいよ。りっちゃんもそう思うでしょ?」
「ま、まぁ、多少は、ウキ」
「なので、あずにゃぁぁぁーーーん、むぎゅぎゅぅぅぅぅーーー」
「も、もう少しですからぁぁぁぁ!!が、我慢してくださぁぁぁぁぁーーーーい!!!!わ、わたしだって!がまんしてるんですブゥゥゥゥゥーーーーン!!!!!」
……紬さん、気のせいか今もの凄い事を叫んだ気がするのですg
「大丈夫、気のせいよ。だからシナリオをちょっと変えて進行しましょう」
は、はぁ……。ではどのあたりを変えますか?
「えっと……、ここを……こんな感じにすれば大丈夫ウニ」
成る程。では……唯さん梓さん、この台詞から初めて頂けますか?
「むぎゅgy……ほぇっ!?」
「ダメですってb……な、なんですか?」
あ、シナリオを少々手直しましたので、先程の台詞ではなくこちらから再開していただけますか?
「ん……?あ、はい。わかりましたクリ」
「ふむふむ……、了解ですブン」
それと、純さんと憂さんの台詞も少々変わりますので……こちらでお願いします。
「はーいブクゥ」
「かしこまりましたカニィ」
では、唯さんお願いします。 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:43:54.09 ID:S0y2eB6+o<>
「あぅぅ、すまなかったクリィィィ。……あ、じゃぁお詫びに抱っこしてあげるクリ!」
「へっ!?あ、いやいやいやいやいやいや、そこまでしていただかなくとも大丈夫ですブン!!」
「まぁまぁ、遠慮なんかしなくても良いクリ」
「え、遠慮しているわけでは……」
「ほら、……はーちーちゃぁぁぁぁーーーん!!!!」
「つ、謹んでお断りしますブブブブーーーン!!!!」
「……ハチちゃん、ちゃんと飛べたブク」
「ま、飛べても居間まで持つかどうか怪しいカニ」
「そうなのブク?」
「多分気力で飛んでいるだけだから、栗さんを引き離して安心した瞬間……あの角を曲がった辺りで力尽きると思うカニ」
「でも、そしたら栗さんに追いつかれちゃうブクゥ」
「ま、そうなったら大人しく運ばれて居間で寝かされていると思うカニ。さ、私達も行きますカニ」「はーいブクゥ」
#
親子が居間に着くと、母ガニの予想通り座布団に寝かされたハチが臼の持つ団扇であおがれていました
「はい、濡らした手ぬぐい持ってきたウニ」
「ありがとクリ。……もぉ、無茶しすぎだクリィ」
「……めんぼくありましぇんぶぅぅぅん……」
「しかし……困ったドン」
「臼さん、どうしたのブク?」
「ハチちゃんがこんな状態じゃ、作戦会議が出来ないドスン」
「確カニかにぃ」
そう呟く視線の先では、ハチが座布団の上で濡らした手拭いにくるまれ更に涼風を送られています
「ぶぅぅぅ……ん……」
「……あっ!おかあさん!アレ!!アレをあげればいいブクゥ!!」
「アレ?……あぁ、栗の甘露煮の事カニ?」
「それぶくぅ!!」
「そうねぇ、確かにそれがあれば疲れが取れるだろうけど……流石に今は持っていないカニィ」
「そっかぁ……ざんねんブクゥ」
「疲れ……疲労……あっ!!思い出したウニ!!ちょ、ちょっとだけ待っててチクゥゥゥゥゥゥ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:44:20.67 ID:S0y2eB6+o<>
ウニはそう叫び、台所の奥へと消えました
残された皆は、突然の出来事に唯々呆然とするしか出来ません
「ウニさん……どうしたのブク?」
「さぁ……。思い出したとか言っていたから何か忘れ物でもしていたのカニィ」
「疲れだとか疲労だとか言っていたから、栄養剤とかかもしれないドスン」
「ハチちゃんでも飲めるのだったらいいクリね〜」
「どんなのでもかまいましぇぇぇぇん……」
疲れ切ったハチを囲んで待つこと数分
戻ってきたウニは、先程とは違い神妙な顔を見せています
「ウニさんどうしたクリ?」
「……今、ハチちゃんの疲労回復に丁度いい栄養剤があったのを思い出して取りに行ったんだチク。……けど……」
「けど?何か問題でもあるドン?」
「恐らく……ハチちゃんにとっては大変な問題だと思ウニ」
「それはまたどうしてカニ?」
「水に溶かして飲む薬なんだけど……いかんせん出来上がる量が……ウニィ」
「どれくらいなのブク?」
「子ガニちゃんでも多いくらいウニ……母ガニさんなら、多分いい具合と思われるウニ」
「なんだ、それ位なら問題無いクリィ」
「それはどうしてチク?」
「臼さんも疲れているから、二人でわけて飲めば大丈夫クリィ」
「なるほど〜、それなら問題無く飲めそうウニィ。じゃ早速用意してくるチクゥ」
そう言い残し、ウニは再び台所へと向かいました
そして、およそ十五分……
「出来たチクゥゥゥゥゥゥ!!!!」
「ハチちゃん!栄養剤が出来たクリ……よぉぉぉぉ!?」
「ろうしたんれしゅぶぅぅん?」
「あ、えと、ちょっと、えいようざいが……くりぃ」
栗が驚くのも無理はありません
満面の笑みを浮かべるウニが両手に持つ大小の湯飲み
そのどちらとも、青緑色の液体で満たされていたからです <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:45:19.52 ID:S0y2eB6+o<>
「う、うにさん……これを、のむ、どすん?」
「そうですウニ。疲労回復には最適ですチク」
「……おかーさん、おいしそうなにおいがするぶくぅ〜」
「お、おいしそうくりぃ!?」
「こ、このにおいがおいしそうなのどん!?」
「あぁ、陸の皆さんにはなじみのない香りですカニィ?一応、昨日まで……今朝もか。家の御飯にも入ってたんすけどカニ」
「母ガニさんや子ガニちゃんが作った御飯にも入ってたクリ?」
「でも、こんなすごい匂いがする物なんて無かったと思うドスン」
「……臼さん、今日の、格闘してたブクゥ」
「……と言うことはクリ」
「海……草……ドスン?」
「正確には、海草を根っこの部分まで全て乾燥させて磨り潰した物を、お湯と少しの海水で戻した物チク」
「とても栄養があるし、結構美味しいカニ」
「私が具合悪いとき、おかーさんに作ってもらって飲んだらあっという間に元気になれたブクゥ」
「ほ、本当ドスン?」
「本当ブク。臼さんも飲んでみればわかるブクよ」
「で、では試しに一口いただくドン……ングッ……ングッ……」
「い、一気飲みしてるクリ……」
「ングッ……ングッ……プハァァァァァ!!!うん、旨いドスン!!」
「ほ、本当クリィ!?じ、じゃぁ、ハチちゃん……飲めるクリ?」
「げんきになれるのなら……ろんなあじでもおっけーぶぅん」
「じゃぁ身体を起こして……支えててあげるからちゃんと飲むクリ」
「ンク……ンク……ンク……プハ。……オイシイ……おいしい……おーいーしーいーぶぅぅぅぅぅん!!!!!」
「あ、あんなに元気のなかったハチちゃんが……これを飲んだだけでこんなに……クリ」
「あー、やっぱりちょっと多かったウニィ」
「半分で良かったカニィ」
「……つまり、元気になりすぎって事クリ?」
「そんな感じですカニィ。あれには疲労回復に最適なタウリンg」
はいはいはいはいはいはい!!そこまでにしましょうかー!!
「えぇー?折角良い感じだったのに〜……クリ」
すみません。ですがブースの奥にいる人の事を考えると……。
「ブースの奥……律先輩の事カニ?」
「……寝てるブク」
そうなんです。先程「出番まだなさそうだから休んでる」と言われまして……。
「……そう言えばいつの間にかいなくなっていたドン」
「りっちゃんの出番までまだあるのに脱線ばかりしてたから……悪い事をしちゃったウニィ」
「んじゃぁ、さっさと進めちゃおークリ」
「そうですね、時間もあまりないですし……ブン」
では、シナリオを再開しましょう! <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/05/27(日) 14:46:18.13 ID:S0y2eB6+o<> 本日は以上です
次回の投下でやっとりっちゃん再登場・・・の予定です
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/27(日) 16:14:10.42 ID:a0v2uUIIO<> 乙ですー。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/27(日) 21:54:14.49 ID:SZ+Kicvgo<> おつー <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:28:25.44 ID:5KTZpyIdo<> どもども
>>255
おつありですー
>>256
おつありー
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:29:14.50 ID:5KTZpyIdo<>
#
「皆さん、ご迷惑をおかけしましたブン」
「そんな、こっちこそあんな目に遭わせちゃって……ごめんなさいクリ」
「いやいや、動けなくなるまで走った我々が悪いドスン」
「でも……クリィ」
「ま、いいじゃないですか。誰も怪我したりしていないし、とりあえず体力も回復したみたいですしカニィ」
「けんかりょーせーばいだブクゥ」
「えっと……そろそろ作戦会議を始めようと思うんですウニ」
「あ、そうですね。お願いしますドン」
「了解しましたウニ。ではまず……母ガニさん、布団をしつらえておきましたウニ」
「あ、わざわざありがとうございますカニィ。実のところ、クッションだと大して休めないと思っていたんですカニィ」
「私もそう思ったんですウニィ。この間打ち直したばかりなんで、心地よさは太鼓判ですウニィ」
「それは……たのしみですカニィ。では……」
「……おかーさん、どんな感じぶく?」
「こ、これは……すごい!身体がとても楽ですカニィ!!はぁ……ずっとここで寝ていたいくらい気持ちいいカニィ〜」
「そ、そんなにすごいブク!?」
「お布団は大きいから、子ガニちゃんもどうぞチクゥ」
「わーい♪……んしょ……ふぅぅぅぅぅーーーー……しぃーずぅーむぅーぶぅーくぅー」
「うふふふ、そっか〜。厚みもあるから子ガニちゃんじゃそうなっちゃうウニね〜」
「おぉーかぁーあぁーさぁーん……ひぃーっぱぁーってぇーぶくぅー!!」
「はいはいカニィ。……よいしょっと。そしてお母さんの脚の間にどーん!!ここなら、お母さんの脚に掴まっていれば沈まなくて大丈夫カニィ」
「わーい♪あんしんブクゥ」
「クスッ……あ、他の皆さんは囲炉裏の周りでお願いしますウニ」
「わかったクリ〜」「ぶーん」「どすーん」
皆が席に着いたことを確認したウニは、お茶を配り自らも空いている囲炉裏端に腰を下ろしました
するとどうしたことでしょう、先程までの騒ぎが嘘のように室内が静寂に包まれたのです
聞こえるのはお茶をすする音と、囲炉裏の炭が燃える音だけ……
今までの穏やかな雰囲気とは打って変わって、息のつまるような緊張感が漂っています
そんな中、最初に口を開いたのはウニでした <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:29:41.38 ID:5KTZpyIdo<>
「……一応、何が起こったかと言うことだけは、さっき子ガニちゃんと栗さんから聞いたたチク」
「作戦失敗の事……ドスン?」
「そうですウニ。ただ、二人の話しだけでは不明な点もいくつかありますし、皆さん揃っていますから、今一度、何が起こったかを教えていただけませんか?」
「わかったドン。子ガニちゃんも……大丈夫ドスン?」
「え、えっと……」
「あ、子ガニちゃんの知ってることは、さっきの説明でちゃんとわかったから大丈夫ウニよ〜」
「……フゥ……よかったぶくぅ……」
「では、臼さん。サルの家に到着した辺りからお願いしますチク」
「わかりましたドン。えーと、サルの家に着いた私達は……」
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「……といった感じで、私達は無事に逃げることが出来たんですブン」
「なので、ウニさんに知恵を貸してもらおうとここに来たんだクリ」
「ふむふむ……なるほど成る程ウニ」
改めて事の一部始終を説明してもらったウニは、顔をうつむけて何度も頷いています
「あ、あの……どうされました……カニ?」
「あぁ、考え中はいつもあんな感じだから気にしなくても問題ないクリ」
「つまり……なら……でも……おそらく……可能性が高いウニ……?」
「お、どうやら考えがまとまりそうだクリ」
「そうなのぶく?」
「疑問系で終わる独り言が出てきたらほぼ間違いないクリ。ウニさんの素晴らしい案が聞けるクリィ」
「そうなんですかブン?」
「ウニさんは情報を分析してそこから最良の案を導き出すのが得意なんだクリ〜」
「ほほぅ。それはとても期待ドスン」
それから暫くして、ウニはようやく顔を上げました
「おっ!名案が浮かn……その表情からすると、もしかして何も浮かばなかったのクリィ?」
臼は申し訳なさそうに小さく頷き答えました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:30:36.82 ID:5KTZpyIdo<>
「……一応、何が起こったかと言うことだけは、さっき子ガニちゃんと栗さんから聞いたたチク」
「作戦失敗の事……ドスン?」
「そうですウニ。ただ、二人の話しだけでは不明な点もいくつかありますし、皆さん揃っていますから、今一度、何が起こったかを教えていただけませんか?」
「わかったドン。子ガニちゃんも……大丈夫ドスン?」
「え、えっと……」
「あ、子ガニちゃんの知ってることは、さっきの説明でちゃんとわかったから大丈夫ウニよ〜」
「……フゥ……よかったぶくぅ……」
「では、臼さん。サルの家に到着した辺りからお願いしますチク」
「わかりましたドン。えーと、サルの家に着いた私達は……」
・
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「……といった感じで、私達は無事に逃げることが出来たんですブン」
「なので、ウニさんに知恵を貸してもらおうとここに来たんだクリ」
「ふむふむ……なるほど成る程ウニ」
改めて事の一部始終を説明してもらったウニは、顔をうつむけて何度も頷いています
「あ、あの……どうされました……カニ?」
「あぁ、考え中はいつもあんな感じだから気にしなくても問題ないクリ」
「つまり……なら……でも……おそらく……可能性が高いウニ……?」
「お、どうやら考えがまとまりそうだクリ」
「そうなのぶく?」
「疑問系で終わる独り言が出てきたらほぼ間違いないクリ。ウニさんの素晴らしい案が聞けるクリィ」
「そうなんですかブン?」
「ウニさんは情報を分析してそこから最良の案を導き出すのが得意なんだクリ〜」
「ほほぅ。それはとても期待ドスン」
それから暫くして、ウニはようやく顔を上げました
「おっ!名案が浮かn……その表情からすると、もしかして何も浮かばなかったのクリィ?」
ウニは申し訳なさそうに小さく頷き答えました <>
>>259は間違い >>260が正しい文章です ◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:33:14.08 ID:5KTZpyIdo<>
「色々と考えたけれど……残念なことにまだ情報が足りないんですウニィ」
「情報クリ!?で、でも、今回の?末は全て……」
「そうですブン!残らず全て柄を話し尽くしてますブン!」
「……いや、足りないドスン」
「あぁ……なるほど……足りない。そう言われればそうですカニィ」
「……おかーさんはわかったのブク?」
「えぇ、わかりましたカニ。ずばり、サルについてですカニィ!」
母ガニの言葉を聞き、ウニは笑顔で大きく頷きました
「そのとおりですチク。残念ながら、私はサルについて大まかな知識しか持っていませんチク」
「まぁ、海にいるんだから仕方ないクリ」
「加えて、作戦を立てる為には相手の行動範囲や活動内容を知ることが必要ですウニ」
「た、確かに……それを知っていれば今回のような失敗は免れたかも知れないドスン」
「私が自宅の場所を探るついでにそれをやるよう皆に言っておけば……申し訳ないブン……」
「まぁ、過ぎたことを悔やんでも仕方ないウニ。大事なのはこれからチク」
「これから……ではその為に我々がすべきことは……情報収集ドスン?」
「そうですウニ。今言った行動範囲や活動内容、それについてのできるだけ詳細な情報が欲しいウニ。なので……ハチちゃん、お仲間と共にその役目をお願いしたいチク」
「わ、わかりましたブン!……ところで、どのくらい細かく調査すればいいですブン?」
「うーん……そうですウニィ……二日、三日……四日?……欲を言えば一週間くらい……」
「ウニさん、一週間じゃぁ冬支度に間に合わなくなるかも知れないクリ」
「あ、そうか。そういえば陸の皆さんにはそういった準備が必要でしたウニ」
「そうドスン。……とは言え、実は私もあまり関係ないんドスン」
「臼さんは正月とかのお祝いやお祭りが活躍の時だから、季節ってあまり関係ないクリよね〜。って、私もそうだったクリィ〜」
「ハチちゃんが大変ですカニィ?」
「そうですね。なのでなるべく早めにサルを捕まえないと……ブン」
「では何日くらい調査に使えますウニ?あ、決行日は調査の翌々日を予定していますウニ」
「翌々日……なら……ぎりぎり明日から五日間、これが限界ですブン」
「それだけあれば十分ですチクゥ。ありがとうございますウニィ」
「いえいえ。その代わりと言ってはなんですが、良い作戦を期待していますブン」
「その点に於いては、この栗さんが保障するから大船に乗った気持ちでいて構わないクリィ」
「……栗さんの保障という文言に、若干の不安を覚えるのはまずいドスン?」
「ちょっ!う、臼さんそれはどういうことクリィ!?」
「あー、実は私もいまそう思ったんですウニィ」
「ウ、ウニさんまで……しどいくりぃ……グズッ……」
「じ、冗談ドスン!じょーだん!!」「そ、そうだウニィ!!」
「……ヒック……ズズッ……あずにゃぁぁぁぁぁーーーーん!!ふたりがひどいんだよぉぉぉぉぉーーー!!!」
「に゙ゃ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!!!し、シナリオに抱きつくなんて書いてなかったはずなんですけどぉぉぉぉぉ!!!!!」
「だってあずにゃん分がたりなくなってきちゃったんだもーーん♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:33:53.51 ID:5KTZpyIdo<>
「さすがは唯だウキ」
おや、律さんおはようございます。ところで……何が流石なんですか?
「抱きつくタイミングのこと……だろ?律、おはよう」
「おはよー澪。うん、正解だッキ」
ということは、唯さんは一連の流れでたまたま抱きついたのではなく……。
「そう。渡されていたシナリオを読んで、確実に抱きつけるポイントを見つけ出し、きちんとその流れを作って抱きついているんだウキ」
で、ですが、今進行しているシナリオは今日渡した新しい物ですよ!?
「そうね。でも、唯ちゃんと梓ちゃんが関係する台詞に大きな変更はないわ」
「それに、梓も同じ事を考えているからな。タイミングを合わせるのはかなり余裕だったと思うドスン」
そ、そうなんですかぁっ!?
「お姉ちゃんと梓ちゃんって行動も仕草もとてもよく似ているんですよ〜。正に『似た者夫婦』って感じですブクゥ」
「おまけに、二人で何かをするときは常に阿吽の呼吸が揃ってるんだよな。あれには毎回『熟年夫婦かよっ』って言いたくなるッキ」
「ホントそうですよね。てゆーか私、気付いたら突っ込んでたって事がよくありますカニィ」
「純ちゃんは会う機会が多いから、突っ込みをしないで過ごすのは難しいと思うドスン」
「確かにそんな感じよね〜。……んー、でも……私には憂ちゃん達もりっちゃん達も同じように見えるチクゥ」
「「「「!!!!」」」」
「だって、先週……だったかな?ほら、りっちゃん達が先にスタジオ入ってt」
「あー!!なぁ、この話題はこれくらいにしとくのがいいんじゃないかと思ウキィ!!」
「そ、それがいいと思いますカニィ!!」
「あ、そ、そうだ!唯と梓をこっちの世界に引き戻さないといけないドスン!!」
「そ、それはとても重要なことですぶくぅ!!」
そうですね。梓さんも先程から良い具合に脱力していますし。
「ニャフ……ミュゥ……フミィ……」
「すりすり〜♪いーこいーこ♪」
「ンミャァァァ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:34:42.79 ID:5KTZpyIdo<>
「着ぐるみのままで梓をあの状態に持っていくとは……流石は唯先輩なだけあるカニィ」
「純ちゃん、感心してる場合じゃないブクゥ」
「このままだと梓が大変な事になるウキ」
「りっちゃん、大変な事ってどんなことチク?」
「ど、どんなことって……その……」
「ほらほら、そんな暇は無いドスン。唯、そろそろシナリオ再開させるぞ」
「えぇー!?やだー」
「『やだー』って、あのなぁ……唯、梓がどうなっているかわかって言ってるドスン?」
「どうなっt……あぁっ!!!あずにゃんしっかり!!!!!」
「ニャヒ……ミュフュ……フォミュゥ……」
「どどどどどどどーしよー!!手を放しても戻らないよぉぉぉぉぉ!!!!」
「唯、落ち着くウキ」
「そそそそんなこと言ったって!!!りりりりりっちゃんどーしよぉぉぉぉぉ!!!!!」
「だから落ち着けっつーの。……そうだなぁ……取り敢えず、これで目の辺りを押さえてやれ」
「……くーるじぇる?つかれめなんかのときにつかうやつ?」
「おいおい、唯こそ大丈夫か?なんかさっきから口調がおかしいドン。一度深呼吸をして落ち着くのが良いドスン」
「スゥゥゥゥゥーーーーーハァァァァァァーーーーーー。……ふぅ」
「落ち着いたか?そしたらこれを使うッキ」
「うん!あずにゃん……ごめんね、ちょっとだけひんやりするよ」
「ニャハァ……ミャフゥン……ンナァァ……」
「せーの……えいっ」
「ニュゥゥン……ハミュゥゥウニャァァァァッッッッッッッッッ!!!!!!!!!……ハッ!!!!わ、私は一体何を……」
「梓」
「なんですか?律先輩」
「……強く生きろ」
「……さっき澪先輩からも似たようなことを言われたんですけど……私、そんなにも心配されるようなことしたんですか?」
「あー、まぁ、心配?てゆーか、んーと、なんて言えば良いのカニィ」
「なにそれ?すっごく気になるじゃん」
「梓ちゃん、気にしなくても大丈夫だよ」「そうそう、気にする必要無いからね。あずにゃんは何もしてないんだから」
「……今一つ腑に落ちないんですが……唯先輩だけじゃなくて憂も言ってるから気にしないことにしますブン」
「うんうん。それがいいッキ」「そうドスン。気にしたら負けの理論ドン」
まぁ、気になるのでしたら例の映像チェックをする際に見るのも宜しいかと。
「そうね。そうすれば梓ちゃんが実際に何もしていないってわかるウニ」
「……とゆーことを私は言いたかったのカニィ」
「あ、そ。……えっと、シナリオってどこまで進んでるんでしたブン?」
あぁ、えっと……ここまでですね。
「あ、ちょうどシーン終わりまでいってたんですね」
はい。なので次はここからですね。
「わかりましたブン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:35:09.40 ID:5KTZpyIdo<>
「ハァ……」
「純ちゃん、ため息なんかついてどうしたのブクゥ?」
「いや、大したことじゃないんだけどさ……スルーは……辛いカニィ……」
「……あ、さっきのボケの事ブク?」
「……ほじくりかえさなくてもいいかにぃぃぃ……」
「おぉーっと!そこで落ち込んでいるお嬢さん!!」
「……私……ですカニ?」
「そう!たった今、ボケをスルーされて落ち込んでいた貴女ですッキ!!」
「いやだからわざわざ……てゆーか律先輩、なんでそんな口調なんですか?」
「そんな事は気にしなくて良いのウニ。純ちゃん……辛かったわね……ウゥッ」
「……はいぃぃぃぃぃ!?」
「大丈夫、我々も幾度となく同じような経験をしているからどんな気持ちかは十分に察することが出来るウキ」
「いやいやいやいやいやいやいやいや、別に察しなくても良いですかr」
「純ちゃん!悲しいときには泣くことも必要よ!!」
「だから別に悲しいわけじゃないんですってb」
「そんな貴女に朗報があるッキ!!」
「てか話を聞いて下s」
「私達『ドンナトキでもツッコマレ耐』は随時組合員を募集ちゅウニィ〜」
「……カタコトなのとイントネーションがおかしいせいで『耐』に聞こえるから、余計に辛い感じなんですけd」
「我々はいつでも君が来るのを待ってるウキッ」
「待ってなくていいですカニィ!!」
「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ、そう言わずに。美味しいお茶とお菓子も用意するチク」
「それは……でも!やっぱりそっちには行きたくないカニィィィィィィ!!!!!」
「そんな事言わないでほしいッキ。あそうそう、今なら特別感謝期間と言うことd」
「も、もぉ!らちがあかないカニィィ!!!……そうだ!し、シナリオ!!シナリオを!!!再開!!!再開します!!!!!カニィィィィィィ!!!!!!!!」
「……あ、強引に再開させたブン」
「純ちゃんよく考えついたクリィ」
「まぁ、自分の出来る最良の手がそれしかないからドスン」
「でもすごいですよ〜。あとでちゃんと褒めておくブクゥ♪」
……あの、折角純さんが頑張って宣言されたのですから……皆さんもお願いします。
「はーいクリィ」「ブクゥ」「ぶぅん」「ドスン」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/10(日) 00:36:24.18 ID:5KTZpyIdo<> 本日は以上です
>>261の名前欄に書いてあるとおり、>>259はミスですので見なかったことにしてくださいwwwwwwwwwwwwww
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/10(日) 21:03:31.23 ID:MyBz39yIO<> 乙乙です <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:23:41.02 ID:kF+Oc8+0o<> どもども
昨日は所用で投下出来なかったので早朝に来ました
>>266
おつありありですー
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:24:06.59 ID:kF+Oc8+0o<>
#
「……ざっと話すとこんなかんじですブン」
最初の作戦会議から五日目の午後
皆はカニの家に集い、ハチからの報告に黙って耳を傾けていました
「そして……っと。これが調査部隊の報告をまとめた物になりますブン」
「ありがとうございますチク。では早速目を通させていただきますウニ」
取り出したのは、十数枚の紙を束ねた帖でした
ウニはそれに素早く目を走らせます
「作戦の役に立てれば幸いですブン」
「……こんなにも事細かく書かれてあるとは……。ハチちゃん、ありがとウニ。これだけの調査報告があれば、確実に猿を捕まえる作戦を立てられるウニ」
「おぉっ!ウニさんのどや顔が出たクリ!!これは期待できるクリよ〜」
「……そうなのぶく?」
「そうなのクリィ!だから明日が楽しみクリィ!」
「うふふっ。でも実は作戦の大半が既に計画済みなんだチクゥ」
「……マジクリ?」
「……マジウニィ」
「うぉぉぉぉぉ!!す、すごいくりぃぃぃぃ!!!」
「クスッ。驚いてもらえたのなら良かったウニィ」
「……では、その作戦を聞かせて下さいドン」
「はい。……と言いたいんですけれど……」
含みを持たせた言葉に、一同は一名を除き困惑の表情を浮かべました
ああは言った物の、実は何か不備があったのだろうか
ハチは不安感から思わず問いました
「あの!どこか……まずい点でも……ありましたブン?」
「ん?そんな事は無いですウニ」
「じゃぁ……」
一体……と声に出しかけたその時、栗が咎めるような口調で言いました
「ウニさぁん、こんな時くらいはそのクセを自重しようクリィ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:26:02.82 ID:kF+Oc8+0o<>
皆は思わず顔を見合わせ小声で話し始めました
クセ?ウニさんの?てゆーかなんで栗さんあんな風に言ったんだろう?云々……
しかし当人に聞いてみなければ何もわかりません
なので子ガニが聞いてみることになりました
「ねぇねぇくりさん、クセって何ブク?」
「ん?あぁ、ウさんのクセは『聞くこと』カニィ」
「聞くこと……?でもそれって悪いことなのブク?」
「それだけならそうでもないクリ。でも……ウニさんは好奇心が旺盛すぎるんだクリ。だから、今みたいにそんな質問をするときじゃなくても……」
「質問?どんな質問カニ?」
「えーっと、出来れば皆さんがこの五日間何をしていたのかを教えていただきたいウニィ」
「はぁ……まぁ、それくらいなら大したことないから別に構わないカニィ」「ぶくぅ」
「私の方も、別に構いませんブーン。てゆーか、てっきり書類の不備が見つかったのかと思ってめちゃくちゃ焦ったブゥン」
「私もそう思ったドスン。あ、私も構わないドーン」
「ウニさん、理解あるみんなで良かったクリね」
「ホントですウニィ!皆さんありがとウニィィィ!!!で、で!どんな事してたのウニ?」
「お、お、落ち着いてほしいカニィ!!今誰から話すか決めているカニィ」
「ハッ!!ご、ごめんなさいウニィ」
焦るウニを宥めつつおこなった話し合いの結果
始めはカニの親子からという事となりました
「ほ、ホントに大したことじゃないカニよ?」
「えぇ、それで全く構わないウニ」
「普通に食材探しをしたり、家事をしたり……それだけですカニィ?ご馳走を見つけたとか、そんなのもありませんでしたし……カニィ」
「それじゃぁ……子ガニちゃんと二人でいるときはどうしていたウニィ?」
「子ガニと二人で……あぁ、そういえば……」「おかーさーん」
「何か特別なことでもあったウニ?」
「特別……まぁ、特別ですカニィ?……って言っても、恐らく皆さん解ってr」「おかーしゃーん」
「まぁ、なんとなクリ」
「ですよn「おかあしゃん!!」」
「ハァ……はいはい、なんですカニ?」
「んと、おはなしおわったブク?」
「……あともうちょっとカニ」
「もうちょっとブク?」
「そう。それまでちゃんと待てるカニ?」
「まてるブクゥ〜!!」
「……とまぁ、色々なストレスの影響からかどうかはわからないんですけど、年齢以上に幼くなっt」「おかーしゃーん!」
「ウニさん……もうオッケーで良いクリね?」
「これ以上は母ガニさんが気の毒ドスン」
「そ、そうウニね。母ガニさん、ありがとウニ」
「いえいえ、こんな程度で申しわk「おかーしゃん!おわったぶくぅ?」」
「……はいはい、終わりましたカニィ」
「じゃぁ!おえかき!!はいどーぞぶくぅ♪」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:26:29.56 ID:kF+Oc8+0o<>
無邪気に遊ぶ子ガニを横目に見つつ、次は臼が話し始めました
「臼さんはどう過ごしていたんですウニ?」
「あ、実は私一人だけではないんドスン。栗さんと一緒に過ごしていたんドスン」
「栗さんと?それはどうしてウニ?」
「山の方で木の実集めをしていたドン」
「まぁ、この時期の日常って言えば解りやすいクリ?」
「日常……?どうしてチク?」
「村の皆さんがつくお餅に混ぜる為クリ」
「そしてそのお餅をお社にお供えして、秋祭りをするんドスン」
「はぁー、そんな風習があるなんて初耳ウニィ。見られるのならば是非とも見てみたいウニ」
「なんなら今度……ってウニさんが行くには遠すぎるクリィ」
「大丈夫、私が運ぶドン。ついでに海水も桶に汲んで持っていけば問題無いドスン」
「ホント!?あ、ありがとうウニィィィ!!」
喜びのあまり小躍りを始めたウニを見た臼は、思わずそれに併せて身体を揺すりました
その時です。カツンと何か硬い物を落としたような音が響きました
「……なんの音ウニ?」
「……あぁっ!すっかり忘れていたクリィ!!」
「そそうだ!!今の音が鳴らなかったら忘れるところだったドスン。栗さん、お願いするドン」
そう言うと、臼はその場で背中をクリの方に向けました
そこには臼が生まれてからの年月を物語る幾筋もの亀裂があります
栗はその中の一番大きな亀裂に手を差し込むと、中から小さい透明な石を取り出しました
「それは……なにウニ?」
「宝石のかけら……だと思うクリ」
「一昨日、水浴びをしているときに入ったらしいドスン」
「水浴びチク?」
「そうドスン。秋祭り前にはあっちこっちからお呼びがかかるドン、だからその前に身体を綺麗にしておく必要があるドスン」
「餅つきには臼さんが必要不可欠クリ」
「成る程……ウニ」
「で、これをどうするかというと……子ガニちゃ〜ん、ちょっとこっち来てほしいドス〜ン」
臼はそう言いながら石を子ガニに見えるように持ち手を振りました
石は外から差し込む夕日に照らされ美しく煌めいています
それを見た子ガニの瞳も同じように輝き始めました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:26:55.58 ID:kF+Oc8+0o<>
「なにそれ!?おかしゃん!ちょっとまっててぶく!!うすさーん!!それなーにー?」
余程興味を引いたのでしょう
子ガニは母ガニにそう言い残すと、臼の手に飛びかからんばかりの勢いで駆け寄りました
「なに!これなに!キラキラできれいぶくぅ!!」
「この前見つけたドスン。子ガニちゃん、これほしいドン?」
「うん!!!!!」
「じゃぁ、臼さんの言うことをやってもらえたらあげるドスン」
「なに?なにをやるぶく?」
「簡単なことドスン。もうすぐ晩御飯の時間だから……」
「わかったぶくぅ!!おかーしゃーん!!ばんごはんつくるぶくよぉー!!!」
「はーい、じゃぁその前にここ片付けるカニィ。そうしないと晩御飯作っても食べる場所が無いカニィ」
「うん!それじゃ、すぐにかたづけるぶくぅ!!」
ご褒美に釣られた子ガニは手際よく遊んでいた物を片付けると、母ガニと共に台所に立ちました
それを見た栗は小声で皆に話しかけます
「ウニさん、この話しはこれで終わりにするクリ。良いクリね」
「もうちょっと聞きたいけど……仕方ないウニ」
「で、作戦の話しについてだけど……子ガニちゃんが寝付いた後にするってのはどうクリ?」
「あー、そのほうが良いと思いますブン」
「私もそう思うドスン。あの状態じゃ母ガニさんは参加すら許されなさそうドスン」
「さっきの資料を参考にして、細かい部分を修正しながら作戦を立てることになるウニ。だから栗さんの案に賛成ですウニ」
「では、後ほどまでこの話題は封印と言うことで……宜しいクリ?」
「ブン」「ドスン」「ウニ」
「……んー、なんだか良い香りがしてきたドスン?」
「おぉ!出汁の良い香りクリィ」
「えへへ〜、あとちょっとでできるブクゥ〜。だからそっちのじゅんびをしてほしいブクゥ〜」
「了解ドスン!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:27:25.22 ID:kF+Oc8+0o<>
♪
「……もう大丈夫クリ?」
「えぇ、ぐっすりですカニ。あれだけ遊んでましたからねぇ……」
それを聞き、皆は顔を見合わせ小さく笑いました
例の石を子ガニが臼の頭に投げ入れるという単純な遊び
大人からしたら他愛の無いものですが、子ガニにはこの上ない遊びだったようです
何度も何度も、それこそ投げ疲れて瞼が開かなくなるまで遊び続けていました
「きっと、とても楽しかったんだと思いますカニィ」
「もしそうだったなら、とても良かったドスン」
「臼さんかなり張り切ってたウニィ」
「ハチちゃんもウニさんもそうだクリィ」
「勿論、栗さんもですブン」
「……では、そろそろ良いウニ?」
ウニはそう言い、先程の資料を車座の中心に置きました
皆の表情が一変します
ウニは小さく咳払いを一つしました
作戦会議開始の合図です
「……ではまず、最初に私が考えていた作戦を説明しますウニ」
「資料は使わないクリ?」
「それは後で使いますウニ」
「なるほど、わかったクリ」
「ではまず始めに……」
会議は深夜まで……日付が変わる寸前まで続きました
ウニが思っていた以上にサルの行動範囲が広く、幾度かの手直しが必要だったのです
「……これで、おっけー、うにぃ……?」
「いいと……おもう……くりぃ……」
「ファァァ……じゃぁ……わたしはあさはやくにでてじゅんびをはじめますぶぅぅん」
「……ねるどすん……」
「じゃぁおふとんだしますかにぃ……」
「かけぶとんだけあればおっけーですうにぃぃ」
「……はちちゃんだっこしてればだいじょうぶくりぃぃぃ……」
「やさしくおねがいしますぶぅぅぅん……」
「おやすみなさいどん……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:28:04.88 ID:kF+Oc8+0o<>
#
一夜明けて翌日
「では、明日の昼前にまたですブン」「ですクリ」「美味しいお弁当をお願いしますウニィ」
「期待して待っててくださいカニィ」「ぶくぅ」
「準備の方、よろしくお願いするドン」
明日の準備をするため、ウニ・栗・ハチは朝ご飯もそこそこに家を発ちました
「……眠いクリ……」
「……寝たら刺しますブン」
「あ、私も刺したいチクゥ〜」
「はぃっ!しゃっきりしっかりと目覚めたでありますクリィ!!」
「もぉ……。そんなんでちゃんと集められるんですブン?」
「それはもちろんだクリィ!昨日も言ったけど、ちょうど今の時期なら全く問題無いクリ!」
「ハチちゃんの方は大丈夫なのウニ?」
「はい!今までも動いてましたから、特に問題は無いと思いますブン」
三人は言葉少なげに歩を進め、それぞれの家へと続く十字路に到着しました
「では、また明日に例の場所で待っているクリ」
「遅刻したらダメですブン」
「私も遅れないように気をつけるウニィ」
三人が各々の家路に就いた着いたちょうどその頃
臼とカニの親子は先日の石を見つけた川へ行き、それに似た光る石を集めていました
「うすさーん、ここにおいておけばいいぶくぅ?」
「良いドスn……おぉっ!すごいなぁ!そんなにいっぱいよく見つけたドスン!」
「えへへ〜、おかーしゃーん!うすさんにほめられたぶくぅ〜」
「あらそう、良かったカニィ。よいしょっと」
「母ガニさん、あまり無理しなくて大丈夫ですドン」
「ご心配なく、ちゃんと無理の無い量を拾っていますカニ」
「ならば安心ドスン」
「おかーしゃーん!!おなかすいたぶくぅー!!」
「あら?もうそんな時間カニィ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:28:33.99 ID:kF+Oc8+0o<>
子ガニの言葉に母ガニと臼は空を見上げました
そこには天頂を僅かばかり過ぎた太陽が見えます
母ガニと臼は手早く昼食の支度をしました
「さ、お昼食べますカニィ」
「いっただっきまーすぶくぅ」
「いただきますドスン」
「どうぞ召し上がれカニィ〜」
「ムシャムシャ……おひうおはふぉふぉいっはいほうううぅ!」
「こらこら、ちゃんと食べてから喋りなさいカニィ」
「……ンッ……えと、おひるのあともいっぱいとるぶくぅ!」
「帰りはまた上に乗せてあげるから、疲れ切るまで採っても大丈夫ドスン」
「ほんとに!?よーっし!がんばるぶくぅぅぅぅ!!!!」
「うんうん、元気で宜しいカニィ」
昼食後も石採りは続きます
子ガニも宣言通りに黙々と採り続けました
気付くと陽がかなり西に傾いています
三人は石を全て臼に載せ、親子もそこに乗り帰途に就きます
「ねぇねぇ、このいしってぜんぶあしたつかっちゃうのぶく?」
「うーん……多分少しは残ると思うドスン」
「ね!じゃぁ!のこったのもらってもいいぶくぅ?」
「えぇ、良いですカニィ」
「やったー!ぶくぅ!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:29:16.60 ID:kF+Oc8+0o<>
その晩は翌日に備えるため、石の選別などをしただけで皆早くに就寝しました
そして、翌日
臼と親子は一足先に待ち合わせ場所でである三本松の足下にいます
程なくしてハチと栗が、やや遅れてウニも到着し、実行場所へと移動して罠の準備をしました
四つ刻を過ぎた頃には全てが終わり、皆で少し早めの昼食を取ります
皆無言で手早く食べると、所定の場所に隠れて猿が来るのを待ちました
「……見えたブン」
四半刻ほど経ち、偵察役のハチが遠くから歩いてくるサルを発見しました
作戦開始の位置まであと約三町
皆の緊張が高まります
残り二町
母ガニが震える子ガニを抱きしめました
残り一町
臼が飛び出す体勢に入ります
残り三十間
ハチが気付かれぬよう後ろに回り込みます
残り十五間
残り十間
五、四、三、二、一
作戦開始地点にサルが足を踏み入れたその瞬間
脇の茂みから臼が勢いよく飛び出しました
終章の幕開けです <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/06/25(月) 06:34:52.56 ID:kF+Oc8+0o<> 本日は以上です
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/06/28(木) 01:19:45.41 ID:Bg6PmvzIO<> 乙ー <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/10(火) 06:00:17.87 ID:0jENEkYvo<> どもども
いろいろあって投下が遅れました
>>277
おつありーです
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/10(火) 06:00:43.01 ID:0jENEkYvo<>
「だ、誰だウキ!?……ってなんだ、いつぞやの臼か……」
「如何にもそうドスン」
臼は素早く身構え、垂直に立てた腕を使いサルとの距離を目測します
結果は、自分の歩幅で十と数歩分
文句なしの位置関係です
「……今日は一体何の用だウキ?」
「……何だと思うドン?」
「さぁてね?……しっぽを巻いて逃げた奴らがしたい事なんぞわかりたくもないッキ」
サルもゆっくりと身構えました
「そうか。……では、お主はこれからどうするドン?」
「どうする……?言っている意味がよくわからんウキ」
「フフッ……それは!こういう事だブンッッ!!」
「な、なにぃぃぃぃぃ!?」
突如後方に現れたハチに、サルは驚愕の声を上げました
その距離約三間
ハチの飛ぶ速さを考えれば、二呼吸する前にここへと到着します
「は、挟み打ちとは卑怯ウキィ!!」
「フンッ!自分がしたことを棚に上げてよくもまぁそんな事を言えるブン」
「クッ……」
痛いところを突かれたサルは思わず顔を伏せ、唇を強く噛み締めました
唇に鈍い痛みが走ります
しかしそれが功を奏したのか、先程まであった焦る気持ちが徐々に静まってゆきました
「さて、改めて聞くが……お主はこれからどうするドスン?」
二度目の問い掛けに、サルはゆっくりと顔を上げて周囲を見回しました
前方には臼、後方にはハチ
周囲は背丈以上に伸びた箒草が茂る草原
しかしそこに逃げたとしても、ハチが上空もしくは草葉の陰から攻撃がしてくると容易に予想できます
ならば残るは?
僅かな時間の中、最良の手を必死に探します
「どうした?答えぬのなら……我々から行くドスン!」
「のぁぁぁぁぁ!!!!ちょ、ちょっと待つッキ!!!」
「待たないドスン!!でりゃぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/10(火) 06:01:08.29 ID:0jENEkYvo<>
気合の声と共に手を伸ばし駆け寄る臼
サルを捕まえるまであと数歩
「どうしたらどうしたらどうしt……あったッキィィィィィ!!!!!」
何かを閃いたサルは臼に向かって走り出しました
それを見た臼は驚き思わず踏鞴を踏んで速度を緩めます
「いまだっキィィィィ!!!!でやぁぁぁぁぁーーーーーーっっっっっ!!!!!!」
「なっ!!なにぃぃぃぃっっっっっっ!?」
サルが狙っていたのはこの瞬間でした
駆ける脚に力を込め
掴みかかる両手を避け
臼の懐へ入ったかと思えば
捕まえようと手を延ばす前にその身を登り
慌てて振り落とそうと臼が身体を揺する頃には
既に臼が現れた付近まで逃げていました
「へっへっへー!大成功ウッキー!!!」
見事、挟み打ちの状況から逃げ出したサルは何度も飛び跳ねて喜びを表現しました
しかし臼とて負けてはいません
体勢を立て直すとすぐさまサルに向かって走り出しました
「こらぁぁぁぁーーー!!!!人の身体を乗り越えるんじゃないドスーーン!!!!」
「ウッキッキッキーーーーー!!!!そんな図体しているお前が悪いんだっキィ!!!!」
「ひ、人の身体を悪く言うなぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!!」
「ウキャキャキャ!!悔しかったらこーこまーでおーいでー!!」
「このぉぉぉぉーーー!!!!まーてードースーーーン!!!!」
逃げるサル、追いかける臼
つかず離れずの勝負が続きます
「ハハッ!!どーしたウキィー?そんな早さじゃ俺に追いつけないぞー?」
「い、言わせておけば……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/10(火) 06:01:40.12 ID:0jENEkYvo<>
臼は更に速度を上げて走りました
しかしサルは、憎まれ口を叩きながらそれを上回る速さで臼から離れていきます
「おんやぁ〜?まさかあれだけの距離走っただけで疲れたのウキィ〜?」
「そんな……こと……ない……どすーーーーん!!!!!」
「キャキャッ!!うすがおこったうきぃぃぃぃ!!!!……っておちょくってる暇無かったウキィィィィ!!!!!!!」
力の限りに走り出した臼
間を取ってしまったサル
それが両者の明暗を分けました
互いの身体が徐々に近づきます
そして
ついに
その距離は臼の身体二つ分まで狭まりました
「もうちょっとで追いつくどすどすどすどすどすどすどすどすーーーーーーん!!!!!」
「ぬぉぁっ!!!わ、わざわざ強調しなくてもいいッキィィィィィ!!!!!」
ですが、緩やかな上り坂にさしかかった時、その状況は一変します
「まぁてぇどすぅーん!!」
「待たない……っておやぁ?ここまで近づいたのにまさかの失速ウキ!?」
人並みから外れている体力と体重の臼
人並みよりは少ない体力と体重のサル
それが両者の明暗を分けました
互いの身体が徐々に遠のきます
そして
いつしか
その距離は二間弱も離されていました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/10(火) 06:02:05.67 ID:0jENEkYvo<>
「まだまだ安心できないウキ。なにかいい手は……おや?これは何だッキ?」
臼との位置関係を確認して顔を前へ戻す途中
サルは道端に置いてある、光る『何か』に気付きました
「丸くて透明な石……おっ、おあつらえ向きにこんな物まで……フッフッフ、これは良い物を見つけたッキ」
サルは不敵な笑みを浮かべつつ
近くに落ちていた木の板に全ての石を載せ
その端に手を掛けると臼に向かって叫びました
「おぉーい!臼さんよぉーい!!!」
「なん……だ……ドスン……」
「大変そうだからこれをあげるッキィィィィ!!!!!!」
それを告げると同時にサルは板を持ち上げました
大小様々な石が転がり始め
速度を上げながら臼へと迫ります
「なんのこれしきっ!!こりゃっ!!はっ!!」
臼は必死にそれをかわそうとしました
ですが相手は透明な石
最初こそ順調でしたが……
「たっ!!ほっ!!ぬぉっ!!!とっとっとっとぉぉぉぉぉ!!!!!こ、ころがるどすーん!!!!!!!」
大きな石に紛れた小さな石に足を取られ
大きな音を立てて転んでしまいました
それを見たサルはお腹を抱えて大喜びをしています
「ウキャキャキャキャキャキャキャ!!!!!!!!!!下までゴロゴロと転がっていったウキィィィィィィーーーー!!!!!!!……ふぅ、これで一安心だッキ」
のんびりと歩き始めたサル
ですが、肝心なことを忘れていました
臼と共にいた
小さき者の存在を <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/10(火) 06:02:49.93 ID:0jENEkYvo<> 本日は以上です
次回はもう少し早く投下出来るよう頑張ります
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/07/10(火) 21:55:46.04 ID:S0IrQo1Bo<> 澪…肥りすぎ
乙ぱい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 06:16:25.53 ID:eH6lcyrQo<> 乙乙でした <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/22(日) 22:32:36.10 ID:c7Q54FF4o<> どもども
>>284
えと・・・一応CDドラマのつもりなんで、実際には肥えてない・・・と思います・・・多分
おつありぱい
>>285
おつありありですー
突然ですがここで臨時ニュースです
諸般の事情(親指の背側を仕事で削いでしまった)により2レスしか投下出来ません otz
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/22(日) 22:33:02.36 ID:c7Q54FF4o<>
「ふんふーん……気持ちいいッキィ〜」
「……ン……」
「ん?何の音だッキ」
辺りを見回しても坂の下でもがく臼以外誰も居ませんしなにもありません
聞こえるのは風の音と草の擦れる音だけです
「なんだかよくわからないッキ」
サルが再び歩き出そうとしたその時
「……マ……ーン……」
「やっぱり何か聞こえるウキッ!」
サルは慎重に音の聞こえる方向を探ります
「コ……ニ……ブ……ン……」
「……後ろから……のような気がするッキ」
音の主を見つけようと振り向いた瞬間
猛然とこちらへ向かう小さな影が視界に入りました
「……マテェ……ェェェ……コラァァァァァ!!!!!!!!!ニゲルナァァァァァァァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「は、ハチ!?」
「いかにもぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!!!でやぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!」
勢いを全く殺すことなく突進するハチ
サルはそれをすんでのところでかわしましす <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/22(日) 22:33:50.48 ID:c7Q54FF4o<>
「今の一撃をかわすとは……さすが、サルだブン……」
反撃を避ける為に上空へと舞い上がったハチ
思いがけず感嘆の声が口を突きました
「ふぅ、危なかったウキ。……我ながら、よく避けられたッキィ……」
自画自賛するのも納得が出来ます
双方が交差した瞬間
そのの差は僅かに梅の実一つ分しかなかったのです
「……次は決めるブン……」
静かに呟き、身を構え直すハチ
それを見たサルは、しばしの沈黙を置き、身構え呟きます
「……そういえばこいつのことをすっかり忘れてたッキ……」
「……今……なんと言ったブン……?」
「ウキッ?お前がいることなんぞ頭の片隅にすらなかったウッキィィィ♪ウキャッキャッキャッキャ!!」
寝転がり手足で拍手をしながら笑い声を上げるサル
「片隅にすら……だと……?」
「ウキィッ!全く、完璧に、ハチのハの字ですら覚えてなかったウキャキャキャキャキャキャッッッ」
ハチの怒りを買うには十分すぎる言動でした
「ひとたび刃を交わした間柄……なのに……」
「アッキャキャキャキャ……おやぁ?難しい顔をしてどうしたウキィッ?」
「なのに……私を覚えていないなどと申すのかぁっっっっっ!!!!!」
「もちろん!その通りだウキィ!!ウキャッキャキャッキャ!!!」
「許るさん……許るさんぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
「ウキャッ!!この程度でむきになるとは愚かなハチだウキィ」
「やかましい!!!いざ尋常に勝負ブン!!!!」
「へっ!返り討ちにしてやるウキッ!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/07/22(日) 22:35:29.59 ID:c7Q54FF4o<> 本日は以上です
・・・すみません、次回は指も治っているはずなので
今回投下出来なかった半端部分も含めてもう少し多めに投下・・・出来るよう努力します
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/27(金) 06:39:11.29 ID:eNbQkI3/o<> 来てたか
乙ー <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/08/16(木) 01:04:28.92 ID:aGoUQ9foo<> どもども
ちょいと遅くなりまして申し訳ありませんm(_ _"m)ペコリ
>>290
来てました〜
おつありー
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/08/16(木) 01:05:01.02 ID:aGoUQ9foo<>
ハチはゆっくりと空中からサルの出方を伺います
それを見たサルは、口の中で小さく呟きました
「ウキキッ……俺がお前のことを忘れるなんてあるわけが無かろうに……まさかこんな嘘ですら見抜けないとは……予想以上の結果になったッキィ」
丸腰の自分でも対峙できる方法を模索し
取り敢えず挑発して我を忘れさせようと考えたサル
とはいえ、まさかこんなにも単純な嘘ですら見抜けないほどに逆上するとは、流石のサルも予想だにしなかったようですが
「こらぁっ!!!何をニヤニヤしているブーン!!」
怒りに満ちたハチの声に、ほくそ笑んでいたサルは真面目な顔に戻り、改めてハチを見据えました
自身の背丈よりも長い槍を構え、不規則に動きながらもその切っ先はしっかりとサルに向けたまま飛んでいます
「……さて……次はどうするウキ……?」
サルは独り言ちました
ハチの興奮状態もそう長くは持たないはず
ならばその前に次の手を繰り出さなくてはならない
しかし、ハチの取っている構えは噂に名高い『胡蜂の構え』
僅かな隙が命取りになる為、安易な行動は厳禁である
ならば……
サルは悩んだ末にある構えを取りました
「……『清流の構え』?」
「如何にも!」
「我が構えに対してそんな初歩的な構えを取るだと!?きさまぁぁぁぁ!!拙者を愚弄するのかぁぁぁぁぁぁ!!」
「ウキャキャッ!!!おぬしにはこの程度で充分だウキィッ!!」
「ゆるさん!!!!串刺しにしてやるぶぅぅぅぅぅぅんんん!!!!!!!!!!!!!!!!」
怒号と共に全速力で突進してくるハチ
サルはそれを十分に引きつけ目前でわずかに身体を捻りかわします
「ぬぉっ!!」
避けられるなどと思ってもいなかったハチは、慌てて上空へと舞い上がり体制を整えました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/08/16(木) 01:05:38.43 ID:aGoUQ9foo<>
「一撃目をかわしたのは伊達で無いと言うことか!しかし次はそうはいかないブゥゥゥゥゥゥン!!!!!!」
ハチは先程よりも高い場所まで上がりサルをめがけて急降下します
先程とは比べものにならない高速度
これをかわすのは至難の業……だったのですが……
「甘いウキッ!!!!」
先程と同様、見事な体さばきで目前に迫るハチをいとも簡単にかわしました
「まだまだぁ!!!!!」
しかしハチもあきらめません
時に角度を変え
時に速度を変え
何度も何度も攻撃を仕掛けました
その結果……
「ハァ……ハァ……すべてを……かわしただと……ハァ……ンクッ……何故だ……何故かわせるブゥン!?」
その問いに、サルは無言で足下を指さし構えを丁寧に取り直します
「足下……?そこに一体何があると言うのだブン……」
ハチは罠の可能性を考えつつ、慎重に足下を見ました
「何も変わらな……いや!この構えは!!」
「ウキッ。ようやく気付いたッキ?」
「『流枝の構え』……だ、だが最初は!!」
「確かに、『清流の構え』だったウキ」
「……突進の際生じた一瞬の隙に脚の位置を変えた……と言うことブン?」
「正解だウキ。……さて、この構えの特徴を知っているッキ?」
「攻撃よりも防御に重点を置いた構え……直接的な攻撃ならばその太刀筋を確実に他方へそらすことが出来るが、飛道具には滅法弱い……」
「花丸をおしてやるッキ。……さて、どうするウキ?」
そう問われ、思わずハチは首をかしげました
「……どうすると聞かれても、それだけでは答えようが無いブン」
それを聞いたサルは、したり顔でこう言い放ちました
「そんな事決まっているウキ。疲れ果てて俺に倒されるまで無意味な攻撃を続けるか、今すぐ槍を捨てて降参するか、それとも……あ、いや、これは流石に言うと可哀想ウキ」
「それとも……?それとも何だと言いたいんだブン!!」
声を荒げるハチの姿を見て小さく満足げに頷くと、小馬鹿にした口調でこう言い放ちました
「それとも、怖じ気づいて逃げ出すかだウキ!……うん。おまえさんにはこれが一番似合ってる気がするウキャキャキャキャ!!!!!」
「なっ!?ふ、ふざけるのも大概にするブゥゥゥゥゥゥゥンッッッッッ!!!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/08/16(木) 01:06:04.20 ID:aGoUQ9foo<>
サルの一言で怒り心頭に発したハチは、大きく叫びながら十数度目の攻撃を仕掛けます
全てが思い通りの展開になったサルは、明らかに侮蔑した笑いを浮かべ足下を整えます
槍の角度は変えず、今まで以上の勢いをつけ突進するハチ
槍の角度を確認し、今までと寸分変わらぬ構えを取るサル
「喰らうがいい!!」
迫る切っ先、いなす手掌、繰り返してきた、二人の攻防
「通用しないと言ったッキ!!」
その慢心が命取りとなり
その瞬間が狙い目となる
「……さて、それはどうかな?」
返る切っ先、避ける躯体、初めて目にする、二人の攻防
「な、なんだと!!」
槍の角度や向きを変えつつ、今までとは異なり緩急をつけ切り払うハチ
槍の角度や向きに注視して、今までの構えを外し必死に避け続けるサル
サルに我を忘れていると思わせることに成功したハチは、余裕の笑みを浮かべながら槍を振り続けます
ハチの完璧な演技にすっかりと騙されてしまったサルは、必死の形相を見せながら迫る槍をかわします <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/08/16(木) 01:06:54.29 ID:aGoUQ9foo<>
「ハァ……ハァ……し、しまったウキ!」
「ハァ……ハァ……追い詰めたブン……」
休み無く続けられたハチの攻撃を避けることでいっぱいだったサル
気付いたときには大きな切り株の根元付近に追い込まれていました
「覚悟は良いブン?」
ハチの最後通告を聞いたサルは、慌てて首を横に振ります
「そ!その前に教えてほしいッキ!」
「何をだブン」
「さ、さっきの技だウキッ!『流枝の構え』が破られるなんて思いもよらなかったウキ」
「……一瞬の隙だブン」
「一瞬の?」
「そう。お主と同じくその隙に構えを変えたブン。このようにな」
ハチがは最初の構えを取り、説明しながら槍の握りを少しだけ変えてみせました
「これは……何という構えだウキ?」
「……『紅葉舞』の使い手であるお主なら知っているだろう?」
「……まさか……『遊綿花』!?し、しかしこの技の使い手は既に絶えたと聞いているッキ!!」
「確かに、この技は一度絶えたブン……」
ハチが身振り手振りを交えながら、技の復活にどれほどの労力と時間を要したかを説明しています
サルは適当に相づちを打ちながら、隙を見ては周囲に目をやり現状の打開に繋がる何かを捜し始めました
……話し始めてから十五分……
「その古文書の中に、どうしても解読できない部分があったんだけど……」
ハチの話はまだまだ終わりそうにありません
「もしかしたら逃げ出せるかも知れない」サルはそう思いました
しかし、流石にそれ程の大きな隙を見せることはありません
あきらめてふと右手を見た瞬間……
「……ァッ……」
「ん?どうしたブン、変な声を出して」
「あ、な、なんでもないウキ、なんでもないウキよぉ〜」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/08/16(木) 01:09:54.40 ID:aGoUQ9foo<> 本日は以上です
次回は2週間強での更新を目指します
ではまた後日 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/09/08(土) 23:27:19.94 ID:pyx06g6do<> どもども
・・・やはり次回投下予告などしないに限りますねwwwwwwwwww
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/09/08(土) 23:28:24.61 ID:pyx06g6do<>
釈然としない顔のまま説明を続けるハチ
サルはその隙を伺いながら、目標とする場所へ気付かれないように移動しはじめました
「その時、まだ倉庫を探していた者達が奥から……」
あと身体三つ分
「そこで我々はこちらの古文書をまず解読し……」
あと身体二つ分
「驚いたことに、そこには既に失われた……」
あと一つ分
「早速実際にやってみたが……」
腕一本
「しかしあきらめずに……」
手のひら一つ
「結果、遂に……」
中指一本
「この技を完成させたブン!……ん?そんな所まで行ってどうした?」
「どうしたもこうしたも……おまえさんの話しが退屈な上に長すぎるから身体のあちこちがこってきてな、仕方ないからこりをほぐしていたらここに来ていたんだウキ」
「ほぅ、随分と余裕が有るな。……ま、おおかた隙を見て逃げようとか考えてそこまで行ったんだブン?」
「まさかまさか、そう簡単に逃げられないことくらい理解しているッキ」
「……ならば問うが、お主のその態度は一体どこから来ているブン?」
「どこから?そんな事もわからないッキ?ウキャッ……ウキャキャキャキャキャ!!!」
「な、何がおかしいブゥン!?」
大きな声で笑うサルに、ハチは困惑の表情を浮かべつつ槍をサルに向けます
何の策も無い構え、気の入っていない槍先
サルが狙っていたのはこの瞬間でした
「俺の態度はここから来ているんだッキィィィィィィ!!!!!」
「ぬぉっ!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/09/08(土) 23:28:55.53 ID:pyx06g6do<>
大声と共にサルが投げつけた『何か』
ハチは慌ててそれをたたき落とします
「い、いきなり何を……って栗のイガ?」
「それ以外何に見えるッキ」
「……ウニとか」
「ウキャキャッ!!それは冗談のつもりウキッ?」
「いや、わりと真面目になんだが」
「……まぁ、それはわりとどうでも良いウキ。肝心なのは……てぇぇぃっっっ!!!」
サルは再びイガを投げつけます
しかし流石に二度目は通じません。ハチは事も無げに槍でそれを払いました
「無駄あがきもその程度にするブン」
「無駄あがき……では無いと言ったらどうするウキ?」
「なんだと!?」
その言葉に驚いたハチが改めてサルを見ると……
両手にイガを持ち、投げつける体勢を取っているサル
そしてその後ろには幾つかのイガの山
しかもまるで投げることを計算していたかのようにうずたかく、規則的に積まれています
「その表情を見ると理解できたようだな。ならば……さっさと落ちるッキィィィィィィ!!!!でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!」
「ふっ!なんのこれしきだブゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!」
サルは両手を力の限りふるって次々とイガを飛ばしました
しかしハチは易々とそれを切り割き、叩き落とし、素早く避け、徐々にサルへと近づきます
「やっ!はぁっ!!うりゃぁっ!!……どうした!こんな攻撃じゃぁ蝿ですら落とせぬぶぅぅぅん!!」
「……はたしてそうかな?てぃっ!!」
「な、なにぃっ!?」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/09/08(土) 23:30:19.61 ID:pyx06g6do<>
かけ声と共に投げつけられたイガ
それはハチにとって完全に死角からの攻撃でした
「なんのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
すんでのところでイガを避けたハチはとっさに上空へ戻りました
「……あ、危なかったブン……しかし一体どこから?」
「チッ!仕留め損なったッキ」
ハチはサルをつぶさに観察しますが、特に目立って変わった所は有りません
「えぇい!考える前に試してみるブン!!でやぁぁぁぁ!!!!」
今までよりは速度を落とし、慎重にサルへと進みます
ある程度の距離まで近づくと同時に投擲が始まりました
「焦らず……ゆっくりと……」
自分に言い聞かせながら飛来するイガを落とし、サルに近づきます
「そろそろか……?」
先程不覚を取った位置へ近づくにつれ、サルの攻撃量が増えてきました
ですがハチは慌てること無く丁寧にそれを捌き、更に接近します
「ゆっくり……ゆっくりと……ってなんだとぉぉぉぉぉ!?」
慎重に歩を進めていた為、あらぬ方向からの攻撃にも落ち着いて対処することが出来ました
それだけではありません。仕掛ける瞬間を見定めることも出来たのです
「あ、あし……ブン?」
「その通りウキ。……ま、わかった所でどうにもならないとは思うッキィィィィィィィ!!!!!!」
「わわわわわわっっっっっっっ!!!!!!!!」
両手に右足を加えた三方からの攻撃
流石のハチも珍しく焦りの表情を見せて安全な位置まで後退しました
しかし…… <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/09/08(土) 23:30:54.31 ID:pyx06g6do<>
「逃げても無駄だウキィィィィィ!!!!」
サルの攻撃は安全だった場所にまで及んできました
「こ、ここまでは届かないはずだブゥン!!」
「さっきまではな……肩も暖まったし、脚の距離感もつかめたから……本気の総攻撃だっキィィィィィィィィ!!!!!」
「な、なんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
更に激しさを増した攻撃がハチを襲います
本来ならばこのまま上空に向かうのが筋なのですが……
サルが絶妙な間隔でイガを後方に投げ入れる為、それすらも難しい状況です
「ほらほらほらほらほらほらほらほらぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!」
「てやぁっ!!たぁ!!とぉ!!!!えぇいっっっ!!!!!どりゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
攻撃の手を休めず投げ続けるサル
必死のの形相で守りに徹するハチ
体力勝負の様相を呈してきたこの戦い
結末はそれ程の間もなく訪れました
「うききききききききききききぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
「でぃっっっ!!ぬぉっ!!やぁっっっ!!!のわっっっ!!!あっっっ!!!!きゃぁぁぁぁぁーーーーーーっっっっっっっ!!!!」
イガに弾かれ手から滑り落ちた槍に気を取られたその一瞬が命取り
ハチは目前に迫るイガを避けきることが出来ず、無様に地面へと墜されました
「……ハァ……ハァ……良い勝負……だったウキ……」
ハチは土の上に横たわったまま全く動きません
「……止めを……刺させていただくウキ……」
手近にあったひときわ鋭く輝くイガを掴み、ハチに近づこうと歩き始めたその時
「うふふ〜、私はイガじゃ無いウニィ〜」
そんな声が手元付近から聞こえました
「だ、誰だッキ!?」
「えっと〜、ウニって言います〜。会って早々で悪いんですが〜」
「な、なんだウキ?」
「お仕置きチクッッッッッ!!!!!!!!」
「う、うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/09/08(土) 23:31:34.91 ID:pyx06g6do<> 本日は以上です
終わりが近いです
ではまた後日
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/09(日) 06:26:11.86 ID:7hiCHZB3o<> 乙です <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/09(日) 07:46:06.80 ID:pq0MymMko<> 乙ですー <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/10/01(月) 20:31:35.93 ID:+U0+vzwdo<> どもども
随分と間を開けてしまいました m(。_。;))m ペコペコ…
>>303
おつありです
>>304
おつありでーす
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/10/01(月) 20:32:07.18 ID:+U0+vzwdo<>
サルの絶叫が野山に木霊しました
「ひぃっ……は、はなれるうきぃぃぃぃ!!!!」
「トゲが刺さっているからそう簡単には離れられないウニィ」
「な、ならこれでどうだぁっ!!でぇぇぇぇぇーーーーーい!!!!!!!」
サルは力の限りに手を振りウニを落とそうとしました
しかしウニはぴくりとも動きません
「その程度で抜けるようでは一人前のウニとは言えないウニィ!!」
「そんなのしるかぁっ!!!ちっくしょぉー!!!取れろ!!とれろ!!!と!れ!ろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「いくら頑張っても無駄無駄ウニ〜」
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
肩から腕が抜けそうな勢いで手を振りますが、やはりびくともしません
すると、どこからか小さな声が聞こえました
「振って抜けないのなら両足で押さえて抜けばいいクリ」
「足?そうか、その手が……いや、足があったッキィ!!!」
普段なら明らかにおかしいその言葉を鵜呑みにすることなど無かったでしょう
ですが痛みから逃れたい一心のサルにそれを求めるのは難しすぎました
「よっし!!こうやって……押さえつけてぇぇぇぃぃぃぃたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「足で押さえたらそうなるのは目に見えていたはずウニィ」
「だってっ!!!こ、こえっ!!!!がっ!!!!!」
「こ〜え〜?何も聞こえなかったチクゥ〜」
「そっんなっ!!はっずっ!!!なっいっきぃぃぃぃたたぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ほらほら、どっちかを抜かないと歩くのも出来ないチクよ」
「そっ!そんなこと!!わかっているッキィィィィィィィ!!!!」
「あー、でもこれはそう簡単に抜けなさそウニィ」
「なっ!なんでそんな事がわかるんだッキィ!!」
「だって、自分の身体……というか棘がどのくらい深く刺さっているかくらいわかるチクゥ」
「じゃぁ、一体どのくらい深く刺さってるんだウキィ」
「……米粒一つ分くらい……だと思ウニィ」
「横?」
「縦ウニ」
「……ホントに?」
「本当チク」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/10/01(月) 20:32:34.82 ID:+U0+vzwdo<>
その言葉にサルは思わず天を仰ぎました
もう少し浅く刺さっていたのならば強引に抜く事も出来たでしょう
痛みはあれども歩くことに支障は無かった筈です
しかし、現実に刺さっている深さは『米粒を縦にした長さ』
これではたとえ上手に抜けたとしても、歩くどころか立ち上がることすらままならないでしょう
「なぁ、ちょいと確認したいんだが……おまえさんは自分一人で棘を抜くなんて芸当、出来るのウキ?」
「あー、それはかなり難しいチクゥ」
「じゃぁ、変な所に刺さった時はどうするッキィ?」
「仲間に助けてもらう……または他の棘を使って身体をよじりながら風や波を利用して脱出するウニ」
「……そう考えると、やはりこの棘はそう簡単に抜けないと言うことかっ……!!」
「そのとおりだウニィ」
「ですよねー。あははは……はぁ……」
あまりにもあっけらかんと言うウニに、サルは苦笑いを返すしか出来ません
するとどこからかまた謎の声が聞こえてきました
「足が動かせないのなら手を使えば良いのに……」
「足!?……そうか!その手があったウキィ!!!」
そう叫ぶやいなや、サルはその場で逆立ちをすると付近を動き回りました
「おぉっ!これなら問題ないッキィ!!!!」
「でも……足を降ろすときはどうするウニ?」
「簡単ウキ。こうやってゆっくりと、足をつかないように尻から着地すれば問題無いウキィ!」
「ふむふむ。じゃぁ最後に……私はいつ抜いてもらえるウニィ?」
「うーん……家に着いたらだウキッ」
「家!?なんでウニ?」
「家に着いたら火箸があるッキ。それで押さえれば簡単に抜けるッキィ!!」
「成る程。確かにそれなら簡単にできそウニ。……でも、どうやってそこから帰ればいいウニ?」
「帰る?そんな必要は無いウキ」
「……それって、つまり……」
「そう!焼きウニにして美味しくいただくから安心するッキィ!!!」
「いーやーだーうーにーぃー!!!!!」
「だが断る!!さて、ちょっと疲れるけど頑張って帰るウキィ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/10/01(月) 20:39:18.24 ID:+U0+vzwdo<>
大声を上げるウニを足に挟んだまま、サルは逆立ちをして歩き始めます
「えいっ!えいっ!!」
「イタッ!こ、こら!暴れるなッキ!!!」
もちろんウニも大人しく運ばれる気など毛頭ありません
バランスを取る為に僅かに揺れる足の動き
それに合わせて身体をよじり、サルの足からなんとか抜け出そうとしました
「ほりゃっ!えやぁっ!!」
「だーかーらー、暴れたら危ないんだッキィー」
しかし、幸か不幸かサルが痛みになれてしまった為
いくら身体を揺すろうとも痛がる気配すらありません
「やっきうっにぃー!!楽しみだッキ〜!」
「うぅぅ……何もしていないのにこの仕打ち……」
「何もしていないって……最初に棘で刺したのはどこのどいつだッキ」
「……それにしたって、食べるのはどうかと思ウニィ」
「弱肉強食という言葉を教えておくウキィ」
「こんな弱肉強食はご免こうむりたいウニィ」
「ウキャキャキャキャキャー!!!」
サルがさもおかしそうに笑い声を上げたその時
「いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
逆立ちをしている手の平に激痛が走り
絶叫が再び辺りに木霊しました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/10/01(月) 20:40:34.26 ID:+U0+vzwdo<> 本日は以上です
次回か次々回の投下が最後の予定です
ではまた後日
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/11/15(木) 05:17:59.60 ID:vYOQawUDO<> まだ? <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2012/11/16(金) 22:27:48.12 ID:j3W/4e8Qo<> >>310
すみませぬ・・・
仕事の混み具合が落ち着いてきたので来週半ばには数レスほど投下出来そうです <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 01:02:13.10 ID:9+PKG3MDO<> ほ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/12/20(木) 20:14:23.86 ID:Qp9yi1Svo<> 待ってるよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/05(土) 05:55:58.99 ID:+ZW9QGFDO<> そろそろ生存報告だけでもしてくんないとマズいよ <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:29:44.07 ID:6dAYzdIxo<> どもども
>>311で来週と書いておきながら気がつけば年越ししているという不思議
・・・遅くなってすみませんでしたm(__)m
では本日分投下 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:30:15.66 ID:6dAYzdIxo<>
絶叫と共に倒れ込み転がり回るサル
その衝撃で無事に脱出できたウニがあきれた口調で問い掛けました
「……まったく、一体何事ウニィ?」
「ヒグゥ……こっ!……グズッ……ここっ!!」
半べそをかきながら差し出された両手をのぞき込むと、まだ鮮血がにじみ出ている傷がありました
「どれどれ……あぁー、これはまた見事にスパッとやられてるウニねぇ」
「ウグッ……痛いウキィ……グズッ」
「取り敢えず両手を心臓より上に……えっと、ばんざいしておくチク。そうすれば血の出具合も少なくなるウニィ」
「……エグゥ……こうウキィ?」
「それで暫く待つウニィ」
「グズッ……どれくらいウキ?」
「少なくとも七〜八分はそうしておくウニィ」
「いだいうぎぃ……グスッ……」
「そのくらい我慢するウニ。それに、血が止まっても痛みは暫く続くチクゥ」
「ウゥッ……いだいぃぃ……グズッ……いだいうぎぃ……エグゥ……いだいうぎぃぃぃぃぃ……ウワァァァァァーーーーーーーン」
「そんな程度で泣いちゃダメウニィ」
「だっでぇ……グズッ……」
「もぉ……家に戻ったら傷に効く薬を塗ってあげるから泣き止むチクゥ」
「ごんだでどあじじゃぁうごげだいうぎぃぃぃぃーーーーー……ビェェェェーーーーーーン」
「……ハァ……まさかこんなにも泣き虫だったとは……完全に予想外だったウニィ」
「ウェェェェェェーーーーーーーーン」
ウニはあの手この手を使ってサルをなだめようとしました
しかしその鳴き声は収まる気配を全く見せません
「ビェェェェェーーーーーーーン!!!」
「困ったウニィ……」
「ウワァァァァァァーーーーーーーーン!!!!!!」
「……サルさん、そろそろ血が止まったんじゃないウニ?」
「グズッ……どばっだげど、いだいどばがわだだいうぎぃ」
「でも、歩かなくちゃ帰れないチク」
「グスッ……いだいうぎぃ……エグッ」
「……ハァァァァ……」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:31:53.94 ID:6dAYzdIxo<>
ウニが思わず深いため息をついたその時
背後から二人に語りかける声が聞こえました
「おやおや、ウニさんと猿さんじゃないですクリィ。何かお困りですクリィ?」
「あ、栗さん……。はい、非常に困ってますチク」
「ヒック……くり……?くりって……グズッ……あの時の?」
「いかにも、いつぞやの栗ですクリィ。……おや?猿さんもしかして怪我をしているクリィ?」
「ご明察の通りですウニィ」
「いだぐでうごげないうきぃ……」
「そんなに酷いのクリィ!?ちょ、ちょっと傷口見せてクリ」
猿はおずおずと両手の平を栗の前に差し出しました
それを見た栗の顔が徐々に曇り始めます
「これは早めに綺麗な水で洗わないと大変なことになるクリィ」
「そ、それは本当ウニ?」
「本当クリ。このまま放っておくと傷口から雑菌が入って腐ってしまう可能性があるクリ」
「じ、じゃぁ急いで綺麗な水……確か近くに小川があったはずウニ!」
「でも……グズッ……いだいうぎぃ……」
「そんな事言って動かないでいたら腐ってくるウニ!!」
「ウグッ……ぐざるどいやうぎぃぃぃぃぃ!!!!でもいだいうぎぃぃぃ!!!!!ウワァァァァァーーーーーーーーーン!!!!!!」
栗とウニは困り果てた顔で猿を見つめ小声で話し始めました
「……で、どうするウニ?」
「……もう少ししたら水を入れてここに来るクリ」
「……二人は?」
「……一緒の予定クリ」
「……もう一人は?」
「……塗る薬を取りに行ってる」
「……じゃぁそっちは少し時間がかかる?」
「……恐らく。もしかしたらこっちから向かった方がいいかもしれない」
「……では待ちますウニ」
「……待つクリ」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:32:30.44 ID:6dAYzdIxo<>
泣き続ける猿、それを見つめるウニと栗
そのままの状態が暫く続きました
「そろそろウニ?」
「だと思うクリ」
「ヒグッ……なにがぞろぞろうぎ……?」
「まぁ、すぐにわかるから泣かないで大人しく待っているクリ」
「グズッ……いだいごどずるうぎ……?」
「しないから安心するウニ」
「ヒック……ほんどううぎ……?」
「本当ドスーン!!」
「「「ぬえおぅあぃえおぅわぁっっっ!!!!」」」 <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:33:02.55 ID:6dAYzdIxo<>
突然かけられた後ろからの返事に不意を突かれた三人は驚きのあまり思わず大声を上げました
「……そんなに驚くことは無いと思うドン……」
「だ、だっていきなりだったから……不可抗力クリィ」
「そ、そうだウニィ」
「グズッ……でがいだいうぎぃ……」
「あー、驚いて手をついちゃったのクリィ?」
「……ぞう……ヒッグ」
「もー、臼さんのせいだウニィ」
「す、すまなかったドスン。……ってそんなことよりも傷口!!早く見せるドスン!!!」
「ヒグッ……いだぐじないうぎ……?」
「汲んできた水で洗うからちょっとだけしみるドスン」
「でもそれだけカニィ」
「洗ったら薬を塗るブクゥ」
「ヒッ!!な、なんでごごにいるうぎぃ!?」
「なんでって……おまえさんを懲らしめる為カニ」
「そうだブクゥ!」
それを聞いた猿は痛む手足をかばいつつ後ずさりを始めました
今日起こった一連の出来事が全てこの時の為に行われたことだと理解したからです
「く、くるな!ちかよるな!!」
猿は必死に叫び声を上げ近づく者を牽制しますが、いかんせん手負いの身
あれよあれよという間に取り囲まれていました <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:33:47.28 ID:6dAYzdIxo<>
「嘘つき!嘘つき!!嘘つきッキィィィィィィ!!!!!!」
「はぁ?誰が嘘なんかついたドスン」
「痛くしないっでいっだ!!ぢょっどじびるだげだっでいっだ!!!!!」
「……その通りドスン」
「でぼいばがにがごらじべるっでいっだっぎぃぃぃぃぃ!!!!!」
「……確かに言ったカニ。でもそれh」
「じびるよでぃぼぼっどいだいごどずるぎだっぎぃぃぃぃ!!!!」
「えっと……懲らしめるのはもう終わったクリ」
「そうウニ。だから後はごめんなさいで傷の手当てをするんだウn」
「うぞだっぎぃぃ!!ぞんだごどずるおひどよじだんがごどよにいないっぎぃぃ!!!!」
諦めにも似た猿の絶叫
響き渡る木霊
やがてそれらが過ぎ去り
残ったのはすすり泣く猿の声だけでした
「ヒッグ……わがっでるうぎ……ウグッ……ぜんぶじぶんがわどぅいごどぐだい……グズッ……わがっでるうぎぃ……」
諦めの色を含ませて呟く猿
「だがら……ヒグッ……だがら……」
しかしそれ以上の句を吐き出す事はありませんでした
なぜなら……
「とりあえず黙るブン」
鋭く尖った刃が目の前に現れたからです <>
◆GLPLA.M.6I<>saga<>2013/01/06(日) 17:34:41.83 ID:6dAYzdIxo<> 本日は以上です
次回はもう少し早く纏められたら良いなぁ・・・
頑張ります
ではまた後日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/01/09(水) 01:17:46.05 ID:ck8bg7IDO<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/06(水) 12:24:34.13 ID:idcDEwXDO<> 待ってるよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/02/28(木) 00:12:48.14 ID:oqkITh9DO<> そろそろ生存報告だけでもよろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/03/31(日) 01:43:16.58 ID:SWtvOwkDO<> ……ダメ、か…… <>