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HTML化した人:lain.
ほむら「ついかっとなって一巡目の世界にループしちまった・・・」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:04:50.43 ID:0K/e0TF30
先日VIPで書いたものの改訂版です
完結させましたので興味のある方は是非
それじゃぁ始めます
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:07:42.71 ID:0K/e0TF30
ほむら「鹿目まどかとは契約をさせない」

QB「鹿目まどか?あぁ、彼女もそれなりに素質を持った少女だね」

ほむら「・・・え?」

QB「ん、どうしたんだい?それよりも、僕は君と契約した覚えがないのに
何故君は魔法少女に・・・?」

ほむら「どういうことよ」

QB「それはこっちの台詞だよ」

ほむら「・・・」ヒュン

QB「あれ、消えてしまった・・・まぁいっか。僕は契約を必要としている子を探しに行かないと」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:08:18.30 ID:0K/e0TF30
ほむら「一体何がどうなって・・・」

ほむら「いつもなら、挑発的な態度でまどかとの契約の有意性を語るあいつが・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「仕方ないわ」

ほむら「魔法少女まどか☆マギカのDVDorBDを見て今現状を整理しましょう・・・」

ほむら「もしかしたら、私はとんでもない事に巻き込まれているかもしれないわ・・・」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:08:52.23 ID:0K/e0TF30
ほむら「整理した結果、もしかしたら私は一巡目の世界に来てしまったという仮説が建てられた」

ほむら「・・・まさか、こんな事が起こりうるだなんて・・・」

ほむら「・・・鹿目さん」

ほむら「・・・まぁ良いわ。私のする事は変わらない。いつもどおり、彼女を護り、魔法少女にしない事」

ほむら「それが私のたった一つの、道しるべ」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:09:27.24 ID:0K/e0TF30
まどか「ハシャイジャッテwww」

ほむら「なんてこったい」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:10:10.66 ID:0K/e0TF30
ほむら「鹿目さん・・・貴方もしかして、魔法少女に・・・」

まどか「え?いきなり秘密がばれちゃったね!クラスの皆には、内緒だよ☆」

ほむら「/(^o^)\」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:10:39.26 ID:0K/e0TF30
ほむら「現状の考察の為に一週間を使って、まどかの契約阻止を失念していた・・・」

まどか「あれ?魔法少女の事を知っているってことは、もしかして暁美さんも魔法少女!?
うっはぁ!すっごい偶然だね!」

ほむら「そ・・・そうね・・・」

まどか「あ、そうだ!それじゃぁこれから一緒にこの街を護ろうよ!わたしの先輩も紹介するからさ!
三人一緒になればワルプルギスの夜だって倒せちゃうよ!ねぇ、どうかな!?」

ほむら「・・・」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:11:08.46 ID:0K/e0TF30
ほむら「(この一巡目の世界では、特別な困難など無かった。ただ、人手が足りなかったというだけ・・・
巴マミ、そしてまどかの二人の犠牲でようやくワルプルギスの夜が倒せたけれど・・・もしも、あそこに私が、
今の加わっていたら・・・きっと二人は・・・)」

ほむら「(それに、佐倉杏子・・・DVDorBD五巻の特典ドラマCDで知った・・・彼女と巴マミの過去・・・
これを利用しない手はない・・・)」

ほむら「(・・・あの日の約束を反故にしてしまったけれど・・・それでも、せめてこの世界の貴方を
護りきってみせる)」

まどか「駄目・・・かな?」

ほむら「・・・いいえ、私からも是非お願い出来るかしら」

まどか「本当!?じゃぁ、これからはほむらちゃんって呼んで良いかな!?わたしの事も、まどかって呼んで!
よろしくね、ほむらちゃん!」

ほむら「えぇ・・・よろしく、まどか」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:11:48.92 ID:0K/e0TF30
マミ「そう、貴女も魔法少女なのね」

ほむら「はい。暁美ほむらと言います」

マミ「わたしは巴マミ。縁在って、鹿目さんのコーチをしているの。これからよろしく」

まどか「ウェヒヒwwwマミさんはすっごいんだよ!ベテランってだけじゃなくて、戦い方とか、必殺技まで在って!
こうね、ティロ・フィナーレって!」

マミ「か、鹿目さん・・・もう・・・こんなところでその話はしないで・・・」

まどか「え?どうしてですか?かっこいいのに!」

マミ「お願いよ・・・戦っている時と御茶を飲んでいる時は違うわたしで居たいの」

まどか「あ、それなんか出来る女みたいでかっこいいですね!」

マミ「そ、そう・・・?」

まどか「はい!ONOFFの切り替えが出来る女は良い女だってママも言ってましたし!」

マミ「そ、そうかしら・・・えへへ」

ほむら「・・・」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:12:38.99 ID:0K/e0TF30
ほむら「・・・」

マミ「あ、暁美さん・・・その、紅茶とか大丈夫?何か他の物用意しましょうか?」

ほむら「え・・・いえ、頂きます」

ほむら「とても、美味しいです」

まどか「マミさんの紅茶も、お菓子も美味しいんだよ!ほむらちゃん、食べてみてよ!」

マミ「鹿目さん、あまり急かすものじゃないわ」

まどか「あ、そ、そうですよね・・・ウェヒヒ・・・ごめんね、ほむらちゃん。でも、本当にマミさんの御茶は美味しいんだよ!」

マミ「もう・・・まるで後輩が出来たみたいなはしゃぎようね、鹿目さん」

まどか「そ、そんなことないですよぉ!」

マミ「そうかしら?」クスクス

まどか「もぉー!マミさんの意地悪・・・あ、ところでほむらちゃんはいつ魔法少女になったの?
わたしはまだ成ってから一週間だけど・・・ほむらちゃんは?」

ほむら「・・・私は」

ほむら「・・・もう、忘れてしまったわ」

ほむら「・・・一体、何度戦い続けたのか・・・もう・・・」

まどか「え・・・?」

マミ「忘れてしまうほど・・・昔に?もしかしたら、わたしなんかよりもずっとベテランとか・・・?」

ほむら「・・・さぁ、解かりません・・・でも」

ほむら「私は・・・このままが良いです。あんまり、固くならないで下さい、巴さん。
少なくとも、貴方は私よりも年上なんですから」

マミ「え、えぇ・・・まぁ、貴女がそう言うのなら・・・」

まどか「あの、じゃぁもしかしてほむらちゃんって私よりもずっとベテランさんなの?」

ほむら「そうね。それは間違いなく、貴方よりはずっとね」

マミ「ふふっ。残念だったわね、鹿目さん」

まどか「べ、別に残念とかじゃないですけど・・・」

ほむら「困ったときは、巴さんだけでなく私にも頼ってくれても良いのよ、まどか」

マミ「ですって」クスクス

まどか「・・・ぶー。二人して何さっ。どうせわたしは魔法少女歴一週間の新米ですよー・・・」

ほむら「・・・ふふっ」

マミ「ふふふ」

まどか「・・・」ツーン
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:13:26.29 ID:0K/e0TF30
マミ「それじゃぁこの後二人は用事ある?」

まどか「魔女狩りですか?わたし行きます!」

マミ「あらあら、随分と元気ね、鹿目さん。さっきまで拗ねていたのに」

まどか「別に拗ねてしません!」

マミ「はいはい。それで、暁美さんは?」

ほむら「二人さえ良ければ、私も、一緒に行かせてもらいます」

まどか「寧ろ一緒に来てよ、ほむらちゃん!・・・ウェヒヒ」

マミ「わたしも是非とも一緒に来てもらいたいけれど・・・鹿目さん。あんまり調子に乗り過ぎないことね」

まどか「うぇっ!?別に調子になんか乗ってません!」

マミ「暁美さんにかっこいいところ見せようと張り切って、足元掬われないようにね?」

まどか「だーかーらー!」

マミ「ふふっ。それじゃぁ、魔女退治。張り切って行きましょうか」

ほむら「はい」

まどか「ぶー・・・」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:13:52.88 ID:0K/e0TF30
まどか「グリーフシードどどんがどーん!」

マミ「お見事だったわ、鹿目さん」

まどか「ウェヒヒwwwそうですかwww」

ほむら「私達が付け入る暇が無かったわ」

まどか「ウェヒヒwww」

マミ「もう一人前ね。ふふっ。でも残念。折角暁美さんと力比べするチャンスだったのに」

ほむら「えぇ・・・私も、実力を見せられなくて、とても残念でした」

マミ「ふふっ」

ほむら「・・・」

まどか「・・・あ、もしかしてマミさんほむらちゃんが自分よりベテランかもって焦って・・・」


マミ「鹿目さん」

まどか「はひっ!?」

マミ「早く、グリーフシードでソウルジェムを浄化した方が良いわ。大分濁っているわよ」

まどか「は、はい!よいしょっと」コンッ

まどか「あ、まだ使えそうだけど・・・二人は?」

ほむら「それは貴方が一人で取った物よ。持っていなさい」

マミ「わたしたちは、ストックがあるから」

まどか「あ、えっと、良いの、かな」

まどか「ティヒヒ・・・!」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:14:18.25 ID:0K/e0TF30
ほむら「それからも私は魔女狩りをして、時には巴マミの家でお茶会をして、
怪我をしていない上条恭介と円満である美樹さやかと親しくなって、着実に周囲と
融和し、日々を過ごした。そしてあと二週間ほどでワルプルギスの夜が来るという時、
私はマミと二人で話すことにした」

ほむら「他でもない・・・彼女の元弟子、佐倉杏子の事だ」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:14:50.44 ID:0K/e0TF30
まどか「それじゃぁ、わたしたち、そろそろ帰りますね」

ほむら「お邪魔しました」

マミ「えぇ、またいらっしゃいな」

マミ「・・・」

マミ「ふふっ、鹿目さんも大分上達してきたし、何より暁美さんがあんなにも強力な魔法少女だったなんて・・・
きっとワルプルギスの夜が来ても、怖いもの無しね」

ほむら「それはどうかしら?」

マミ「・・・え?」

マミ「暁美さん・・・?貴女、鹿目さんと帰ったはずじゃ・・・」

ほむら「巴さん。貴方に少し、話があるの・・・良いかしら?」

マミ「え・・・えぇ・・・それじゃぁ、中にでも・・・」

ほむら「失礼するわ」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:15:46.01 ID:0K/e0TF30
マミ「それで・・・話って何?」

ほむら「二週間後、ワルプルギスの夜が来る」

マミ「・・・え?

ほむら「貴方も名前くらいは知っているでしょう?超弩級の魔女よ」

マミ「・・・どうして、ワルプルギスの夜が来るなんて・・・」

ほむら「ただの統計よ」
マミ「統計・・・?この街に、以前ワルプルギスが夜が来たことなんて・・・何処をどう統計したというの?」

ほむら「・・・重要なのはそれではないわ」

マミ「そう言われてもいきなりそんな突拍子もないことを言われてもこっちが」

ほむら「それまでに、佐倉杏子を仲間に入れたい」

マミ「!? ど、どうして貴女が佐倉さんの事を!?」

ほむら「そうね、DVDorBD五巻特典のドラマCDをおさえた私に死角などない、とだけ言っておきましょうか」

マミ「はい・・・?」

ほむら「そんな事はどうでも良いのよ。ただ、私は貴女が過去に佐倉杏子と師弟の関係であった事を知っている。
それ故にお願いがあるの」

ほむら「ワルプルギスの夜との戦いまでに、佐倉杏子を仲間に引き入れたい。
貴方は知っているでしょう?彼女がどれだけ強力な魔法少女か・・・私達のチームに
彼女が入れば、ワルプルギスの夜を誰一人の犠牲もなく倒すのも、難しくないでしょうね」

マミ「・・・確かに、佐倉さんが居れば・・・心強いし、戦力もぐんと上がるでしょう・・・」

マミ「・・・でも、彼女は・・・」

ほむら「彼女は今も、変わってなんか居ないわ」

マミ「・・・嘘よ、あれから一年しか経っていない・・・!」

ほむら「一年前から、彼女は何一つ、変わってなんかいなかった」

マミ「貴女が彼女の何を知って!!」ドンッ

ほむら「知っているわよ・・・彼女だけじゃない・・・私は貴女の事も、知っているわ」

マミ「暁美さん・・・貴方は・・・一体・・・?」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵」

ほむら「貴方はどちらだと思う?巴マミ」

マミ「・・・」

マミ「・・・貴女のその態度、今まで、猫を被って居たの・・・?」

ほむら「貴方の事は、尊敬しているわ。今でもね」

マミ「・・・ごめんなさい・・・貴方の事・・・言っている事が、理解出来ないわ・・・少し、落ち着きたいの・・・今日は、帰ってくれるかしら・・・」

ほむら「・・・お邪魔しました」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:16:14.08 ID:0K/e0TF30
杏子「いい加減、姿を見せたらどうなんだよ、鼠野郎」

ほむら「・・・」

杏子「あたしに一体何の用だ?縄張り争いを吹っ掛けようったぁ訳じゃねーんだろ?
なら、もっと早くに寝首でも掻いてるはずだからな。てめぇ、一体何者だ」

ほむら「・・・二週間後、ワルプルギスの夜が見滝原に現れる。貴方には、その手伝いをしてほしい」

杏子「見滝原に・・・?へぇ。それで、報酬はなんだよ?あの街をあたしにくれるのかい?」

ほむら「いいえ・・・もっと素敵な物を貴方にあげるわ」

杏子「素敵な物・・・?わりぃけど、ワルプルギスの夜が落とすグリーフシードはあたしが――」

ほむら「『家族』・・・を、貴方にプレゼントしてあげる」シュン

 ほむらは後ろにさがった。ほむらの居た場所に、杏子の槍が突き刺さる。

杏子「冗談きついぜ・・・おい・・・」

ほむら「それとも最後に愛と勇気が勝つストーリーが良いかしら・・・?」シュンッ

杏子「その減らず口を閉じろ・・・殺すぞ?」

ほむら「巴マミを貴方にあげると言っているのよ、佐倉杏子」

杏子「・・・!」ポキッ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:16:52.27 ID:0K/e0TF30
杏子「畜生、何処行きやがった!!人の事舐めた態度とりやがって野郎・・・ぜってぇ殺すっ!!」

杏子「・・・何が家族だ、何が愛と勇気が勝つストーリーだ・・・笑わせるな」

杏子「そんなもん、何処にもありゃしねーんだよ・・・くそったれ」

杏子「・・・」

杏子「・・・今更どの面提げてあの人に会って言うんだよ・・・」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:17:18.54 ID:0K/e0TF30
まどか「ほむらちゃん、マミさん!今日も魔女退治頑張りましょうね!」

マミ「えぇ・・・」

ほむら「・・・」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:18:47.37 ID:0K/e0TF30
まどか「あ、こっちだ!これは・・・魔女じゃなくて使い魔かな、二人とも!わたし一人で十分だよ!」

マミ「鹿目さんたら・・・」

ほむら「油断は禁物よ、まどか――危ないっ!」

まどか「大丈夫だって――えっ」ダキッ

まどか「え?ほむらちゃ」

グサッ

まどか「え・・・?」

マミ「この槍は・・・」

ほむら「・・・杏子」

杏子「ちょっとちょっとー。何やってんのさ、あんた。あれ使い魔だよ?グリーフシード持っている訳ないじゃん」

まどか「え・・・誰・・・?」

マミ「・・・佐倉さん」

杏子「後四、五人食わせればグリーフシード孕むのにさぁ・・・卵産む前の鶏締めてどうすんの?」

マミ「佐倉さん!!」

杏子「・・・よぉ、久しぶりだね、巴マミ・・・相変わらず、甘いことやってるね、あんたも」

マミ「くっ!」バンッ

杏子「やらせないって」キンッ

マミ「どきなさい!」

杏子「どかねーよ。てめーこそ、さっさと帰れっつーの・・・食物連鎖って言葉くらい、知ってるだろ、あんたも?」バンッ

杏子「ん・・・?」

ほむら「使い魔は狩ったわ、さぁ帰るわよ、巴さん、まどか」

まどか「あれ・・・ほむらちゃん・・・え?」

マミ「暁美さん・・・」

ほむら「・・・」ファサッ

杏子「・・・うぜぇ――超うぜぇ!!」ビュンッ

ほむら「・・・」シュン

杏子「てんめぇ、またちょこまかと!!」

ほむら「諦めなさい、佐倉杏子。貴方では私には勝てないわ」

杏子「くっ・・・やってやるよ!!」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:19:42.94 ID:0K/e0TF30
ほむら「悪いけれど、無駄な争いをしたがる馬鹿に構っている暇はないのよ・・・行きましょう、巴さん、まどか」

まどか「ほむらちゃん・・・」

マミ「暁美さん・・・」チラッ

杏子「ちっ・・・!」ギロッ

マミ「・・・」フイッ

ほむら「手に捕まって、逃げるわ」

まどか「あ、時間停止?」ギュッ

マミ「・・・」ギュッ

ほむら「・・・気になる?」

マミ「え?」

ほむら「・・・」

マミ「・・・」

まどか「どうして・・・あの人あんな酷い事・・・」

ほむら「彼女にも、色々あるのよ・・・ねぇ、巴さん?」

マミ「・・・」


杏子「ちっくしょぉ!!またっ!また逃がした!!あー!うがぁー!!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:20:33.64 ID:0K/e0TF30
ほむら「魔女や使い魔を狩る道すがら、五回も佐倉杏子と遭遇したわね」

まどか「ウェヒヒ・・・なんだか、ちょっと可愛そうに思えてきたよ・・・
ほむらちゃん、容赦なく見つけたらさっさと魔女とか倒して逃げようって言うんだもん・・・」

ほむら「仕方が無いでしょう?無駄な争いは、好きではないんだもの」

まどか「ウェヒヒ・・・」

マミ「・・・」

ほむら「随分と、思い詰めた顔をしているわね、巴マミ」

マミ「・・・そうかしら」ニコッ

まどか「マミさん・・・あの、どうしたんですか?辛い事があったら、わたしやほむらちゃんに相談してください!
力になりますから、ねっ!?」

ほむら「えぇ・・・その通りよ、巴マミ」

マミ「・・・」

マミ「・・・二人に、聞いてもらいたい事が・・・あるの」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:21:31.00 ID:0K/e0TF30
マミ「・・・一年程前、わたしには一人の後輩が居たわ・・・
勇気があって、優しくて、純粋で、誰よりも家族の事を大切に思っていて・・・
お父さんが多くの人を救うために頑張っているから、自分も魔法少女として人々を救うために頑張りたい、
その為に強くなりたいと・・・わたしに志願してきた。わたしは彼女の思いに応えて、しばらく一緒に
魔女退治をするようになった・・・彼女はめざましく強くなっていって、魔法もとても強力なものになっていった。
わたしの家で一緒にお菓子を食べたり、彼女のご家族と一緒にご飯を食べて、魔女を退治して・・・わたしたちは順風満帆
だった・・・そんなある日」

マミ「彼女は変わってしまった・・・わたしを拒絶し、嘲笑い、自分さえも、罵った」

まどか「どうして・・・」

マミ「彼女の祈りが全てを壊してしまった・・・」

まどか「え・・・?」

マミ「後で知ったわ・・・彼女のお父様は無理心中を計って、結果彼女だけが行方知れずという事になっている。
わたしは・・・あの子を救うことが出来なかった・・・あのとき遠ざかるあの子の手を必死で握り締めて、引きとめていたら
もしかしたら・・・あの子はきっと今頃あんな風には――」バリンッ

まどか「きゃっ!?」

杏子「てめぇ・・・何ごちゃごちゃ言ってんだよ・・・!」


ほむら「盗み聞きとは、いい趣味をしているわね、佐倉杏子」

杏子「またてめぇか・・・畜生、一体てめぇなんなんだ!何がしてぇんだよ畜生!!」

ほむら「言ったでしょう?私は貴方に家族を上げるし、愛と勇気が勝つストーリーをあげる。つまり」

ほむら「巴マミをあげると言っているのよ」

マミ「は・・・?暁美、さん・・・何言って・・・?」

杏子「・・・おい、てめぇ外出ろ。そんなにあたしとやりあいたいっていうんなら受けて立ってやるよ」

まどか「あ、あの・・・!」

杏子「あっ?」ギロッ

まどか「ひっ!?あ、あの・・・そ、そういうの・・・いけないと、思います・・・わたしたち魔法少女同士が争ったって・・・
何の意味もなっ――」シュンッ

 まどかの首に刺さろうとする杏子の刃を、ほむらが掴み、離した。まどかは床に座りこんだ。

ほむら「この子には・・・触れさせない」

杏子「・・・へぇ、てめぇでも、そうやって怒ったりすんのか。悪かったよ、実は人形なんじゃねーかって思ってたわ」

ほむら「そう」

杏子「・・・うぜぇ」

マミ「佐倉さん・・・」

杏子「・・・」

マミ「・・・わたしたち、もう一度、やり直せないかしら・・・?
・・・今度こそ必ず、貴方を見捨てたりなんかしない・・・絶対に、
だから――」

杏子「いい加減にしろよ!!あんたのそういうところ見てると、腹立つんだよ!
甘っちょろくて、馬鹿で間抜けで!頭どっかいかれてんじゃねーのか!?
何が見捨てないだ!やり直せるわけねーだろ!もう!もうっ!!もう・・・何もかも
無くなっちまったんだよ・・・無理なんだよ・・・もう、あんたとあたしは、一緒には
居られないんだよ・・・」

マミ「・・・佐倉さん・・・」

ほむら「・・・はぁ。それならどうして、貴方はもう一度見滝原に来たのかしら、佐倉杏子?」

杏子「・・・!」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:22:10.73 ID:0K/e0TF30
ほむら「本当は、心配だったのではないのかしら?」

杏子「違う・・・」

ほむら「それとも、久しぶりに思いだして、急に会いたくなったとか?」

杏子「違う・・・!」

ほむら「でも素直になれないから、あんな風に登場しか出来なかった」

杏子「違う!」

ほむら「本当はあのときのようにロッソ・ファンタズマ叫びたいんじゃ」

杏子「違う!!」

杏子「ちげぇつってんだろ!しつけえんだよ!!もうっ!」タッ

シュルッ

杏子「んな!?」

マミ「・・・離さない・・・離さないから・・・今度こそ・・・絶対に・・・」

杏子「・・・離せ」

マミ「離さないわ・・・」

杏子「離せ!」

マミ「ごめんなさい・・・佐倉さん・・・今までごめんなさい・・・」

杏子「離せよ・・・止めろよ・・・触るんじゃねぇ・・・殺すぞ・・・」

マミ「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

杏子「・・・っ」

杏子「・・・なんで」

杏子「なんであんたは・・・そんなに・・・」

マミ「・・・ごめんなさい・・・佐倉さん・・・」

杏子「なんであんたが謝るんだ・・・全部あたしの自業自得なんだ・・・あんたは何もわるかねーだろが・・・
ざっけんなよ・・・畜生・・・!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage !桜_res]:2011/09/15(木) 00:22:33.43 ID:Do6asAwa0
がんばって
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:23:15.27 ID:0K/e0TF30
まどか「良いの・・・かな?勝手に帰っちゃって・・・」

ほむら「問題無いでしょう。牙を抜かれた山猫には、何も出来ないわ」

まどか「ウェヒヒ・・・」

まどか「・・・」

ほむら「・・・」

まどか「・・・わたしって、得意な学科とか、何もないし」

ほむら「・・・」

まどか「鈍臭いし、何の取り得も無いし、それが・・・嫌で仕方なかった」

ほむら「・・・そう」

まどか「だから、魔法少女になって誰かの役に立てるなら、それだけで幸せだったんだ・・・」

まどか「・・・だから」

まどか「魔法少女って、そういうものだと思っていた・・・」

まどか「・・・馬鹿なんだね、わたしって」

ほむら「・・・否定しないわ」

まどか「ティヒヒ・・・それはちょっと酷いな・・・」

ほむら「・・・だって貴方、いつだって自分を犠牲にして・・・!」

まどか「え・・・?」

ほむら「貴方が傷付いて、それを悲しむ人が居ることを考えない・・・!」

まどか「ほ、ほむらちゃん・・・?」

ほむら「いい加減にしてよ!!」

まどか「は、はいっ!」

ほむら「・・・」

ほむら「ごめんなさい・・・つい、溜まっていた鬱憤が出てしまったの・・・気にしないで。いや、やっぱり気にしなさい」

まどか「え、えぇと・・・どっち?」

ほむら「気にしなさい」

まどか「は、はいぃ・・・」

ほむら「・・・」

まどか「・・・ウェヒヒ」

ほむら「・・・何?」

まどか「い、いや・・・なんかほむらちゃんがそうやってムキになっているところ見るのって初めてだなーって・・・
あ、いや違うよね・・・あの、言うの忘れていたけど、ありがとう。ほむらちゃんに、二回も助けられちゃったね」

ほむら「・・・気にしないで。あれは、私がしたくてしたことだから」

まどか「あ、なんかそういうのかっこいいねぇ!」

ほむら「え?」

まどか「良いなー、わたしもいつかそういうの、言ってみたいなぁ」

ほむら「・・・まどか」

まどか「ほ・・・ほむらちゃん・・・?目が怖いよ・・・?」

ほむら「まどか、貴方は私が言った事を理解していないの?私の嘆きは貴方には届かないの?
・・・愚か者が相手なら、私は容赦をしないわよ?」

まどか「ご、ごめんなさい・・・で、でもね!?」

ほむら「・・・何かしら、鹿目まどか」

まどか「ご・・・ごめんなさい・・・」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:23:42.42 ID:0K/e0TF30
ほむら「それから一週間が流れた。佐倉杏子は殊更に共闘はしないけれども、それでも
前のように敵対関係を取っているわけではない。もっとも私は随分と彼女に嫌われているが。
しかしまだ・・・まだ足りない。佐倉杏子はもっと強いのだろう・・・彼女の魔法の力を、どうにか
して呼び覚ませないだろうか・・・そんなとき、ある転機が訪れた」

ほむら「巴マミのクラスメイトが、授業中に魔女化したのだ」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:24:10.21 ID:0K/e0TF30
まどか『ほむらちゃん、この気配!』

ほむら『えぇ、魔女でしょうね・・・それも、この学校から』

まどか『急がないと――魔女に皆を傷付けられる前に!!』

ほむら『えぇ』
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:24:59.66 ID:0K/e0TF30
ほむら「なんとか犠牲者0で魔女は排除したわね」

まどか「こんなところに・・・それもこんな時間魔女が出るなんて・・・どうして・・・」

ほむら「・・・それは」

マミ「・・・あの子、ソウルジェムを持っていたわ」

まどか「え・・・?」

ほむら「・・・!」

マミ「きっと・・・魔法少女だったんでしょうね・・・」

ほむら「――」カシャッ

ほむら「くっ、まさか・・・此処でこんなイレギュラーに遭遇するだなんて!」カシャッ

マミ「ソウルジェムが魔女を産むなら、皆死ぬしかないじゃない!!」ガシッ

ほむら「落ち着いて、巴マミ!」

まどか「マミさん、ほむらちゃん、どうしてマミさんを羽交い絞めに、え?マミさん、え?」


ほむら「まどか、貴方は逃げなさい!!」

マミ「離して!!」

まどか「マミさん・・・?」

ほむら「早く逃げなさい、まどか!!」

まどか「・・・うっ、ごめん!」

マミ「離してよぉ!!皆、皆死ぬしかないのよぉ!!だってわたしたちは、わたしたちは!!」

ほむら「そうよ、ソウルジェムが穢れを溜め込み過ぎれば魔法少女は魔女になる。でも、それは今日明日明後日の事じゃ!」

マミ「誰かを傷付けてしまう!!」

ほむら「・・・っ!」

マミ「もしも今日明日明後日、わたし達が魔女になって・・・嫌、貴方を鹿目さんを、杏子を・・・わたしは傷付けてしまうかもしれない。
いや・・・わたしは、魔女になった貴方達とも戦いたくない・・・!だから・・・だから今っ!!」

ほむら「(まさか、わたしたちに愛着を覚えた巴マミがそんな論法を持っているだなんて。これじゃぁ、生半可な説得じゃどうしようもない。
もとよりまどかをワルプルギスから救い出したら、遠くで果てようとしていた私には・・・とても、彼女を否定出来ない・・・!
・・・巴さん・・・こんなときになんだけれど、貴方は・・・最高の先輩です・・・
・・・だから・・・いっそ、私が、この手で・・・)」

杏子「マミ!!」

マミ「杏子・・・!!」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか・・・」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:26:25.30 ID:0K/e0TF30
まどか「マミさん、杏子ちゃんですよ!?ほら、落ち着いてください!」

杏子「マミ・・・まどかから事情は聞いたよ・・・驚いたよ・・・まさかあたしら、騙されてたなんてな・・・ははっ・・・」

まどか「わ、わたしもびっくりしました!!」

マミ「・・・それなら解かるでしょ・・・もう・・・皆死ぬしかないのよ・・・もう・・・あなたも・・・わたしも・・・!」

杏子「・・・マミ」

杏子「・・・ほむら、離してやってくれ」

ほむら「でもっ!!」

杏子「お前は時間停止を使って、まどかとどっか遠くに行ってろ・・・こいつはあたしが面倒を見るからさ」

ほむら「!?馬鹿言わないで!!そんな勝手な事、許されると思っているの!?」

杏子「大丈夫だよ・・・ワルプルギスの夜は必ず倒す。それこそ魔女に成ったってな・・・だから、頼む。此処はあたしに任せてくれないか?」

ほむら「・・・解かったわ。但し、下手を打ったら、私は貴方を決して許さない」

杏子「あぁ・・・」

カシャッ

杏子「さてと、それじゃぁ邪魔者が消えた訳だ・・・どうだよ、マミ。大勢よりも、二人っきりの方が落ち着くだろ」

マミ「杏子・・・わたしたち・・・騙されていたのね、QBに・・・」

杏子「あぁ・・・」

マミ「魔女は人間の害悪だと思って、それを倒す魔法少女というヒーローである事が、わたしの生き甲斐だった・・・
でも、中身はそうじゃなかった・・・わたしたちが、魔女だったのよね・・・」

杏子「・・・そうだな。結果的に、あたしらは魔女になっちまう・・・あたしの方が、正解だったって訳だ」

マミ「そうね・・・杏子の方が正しかった・・・わたしたちは人間に害を与える魔女の卵・・・
わたしなんて――結局――!!」パシン

杏子「・・・てめぇ・・・本気でそんなこと、思ってんのかよ・・・」

マミ「――だってそうじゃない!!わたしたち魔法少女は魔女を産むのよ!!皆、皆死ぬしかないじゃない!!」

杏子「そうかい・・・言っても解からねぇぶっ叩いても解からねぇ馬鹿となりゃ」

杏子「後は殺しちゃうしかないよねぇ!!」

マミ「良いわ、貴女を殺して、暁美さんも鹿目さんも殺して!わたしも死ぬ!!」

杏子「やってみなよ、あんたに出来るかな!」

マミ「舐めないでよ!経験は、貴女よりもずっと上なんだから!!」

杏子「そうかい――つってもあんたは一度あたしに負けているけどなぁ!!」

マミ「あの時のようにはいかないわ・・・今度こそ、今度は、今度は!!」

杏子「・・・ちっ!!」

マミ『わたしだけは、貴女を傷付けたりしない・・・!』

杏子「――そうかよ!!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

杏子「ぐっ!!」

杏子「・・・あんた言ってたじゃないか・・・その力で、誰かを救えるんだって・・・」

マミ「・・・あんなことになるなんて知っていたら――こんな力なんて、要らなかった・・・!!」

マミ「あのとき・・・パパやママと一緒に死んでいれば・・・!」

杏子「・・・!!」

マミ「もう・・・終わりにしましょう・・・何もかも・・・悪い夢だったのよ・・・何もかも・・・」

杏子「・・・へっ。聞き分けがねーにもほどがあるぜ・・・マミさん」

杏子「・・・・・・ロッソ・ファンタズマ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:27:03.58 ID:0K/e0TF30
ほむら「・・・マミは?」

杏子「眠ってるよ・・・」

ほむら「・・・そう」

まどか「杏子ちゃん、マミさんは大丈夫なの・・・?」

杏子「あぁ・・・それよりも、お前らはどうなんだ?」

ほむら「私は平気よ」

まどか「わ、わたしも・・・」

杏子「・・・忘れたくなったらすぐにあたしに言えよ・・・」

杏子「んなくそったれな悪夢・・・直ぐに覚ましてやるからさ」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:27:30.91 ID:0K/e0TF30
ほむら「それから、一週間が何事もなく過ぎていった。強いて言うのなら、杏子の性格が途轍もなく柔和になったことだろうか。
巴マミは本当にあの日のことを忘れて居るようだ。以前と何も変わらない。杏子も、あの現実に対してそれほど絶望してはいない。
だが、彼女がいざとなったらマミと心中しようとしているのは、私の邪推ではないだろう。
・・・まどかは、どうなのだろうか。まだ魔法少女になって一ヶ月も経っていない彼女。
それも、魔法少女として正義の味方であることに自身を持っていた彼女は、あのとき杏子の記憶封鎖を拒絶した・・・
素直に掛かっていれば、落ち着くだろうに、どうして・・・。
いよいよ明日ワルプルギス戦の本番というとき、私はまどかの訪問を受けた」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:28:27.25 ID:0K/e0TF30
まどか「いよいよ、明日だね」

ほむら「そうね」

まどか「勝てるかな」

ほむら「えぇ、必ず」

まどか「自身満々だね」

ほむら「負ける気がしない。それに、負けられない。この街には、私の大切な人たちが居て、大切な人たちの大切な人たちが居る。
負けられる訳がないのよ」

まどか「そうだよね・・・ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら」

まどか「ほむらちゃんって、何者なの?」

ほむら「・・・」

まどか「今までずっと訊けなかったけど、こういう時だから、良いよね?
・・・ほむらちゃんは、どうして杏子ちゃんの事やマミさんの過去、
それに明日、ワルプルギスの夜が来る事を知っていて、ワルプルギスの夜への
対策が、こんなに在るの?・・・今更ほむらちゃんを疑うなんてこと、出来ないから
教えてほしいなって」

ほむら「・・・ちょっと、待っていてくれるかしら」

まどか「・・・うん」

まどか「・・・」

まどか「・・・」

「お待たせ」

まどか「あ、うん・・・うん?」

まどか「ほむらちゃん・・・それ・・・」

メガほむ「鹿目さん・・・これがね、本当の私なんだよ・・・?」

まどか「本当の・・・ほむらちゃん・・・?」

メガほむ「・・・あのとき貴方に助けられて、それから、何度も時間を繰り返していくうちに私は・・・
変わっていった。弱い自分を投げ捨てて、強くあろうと、そして貴方を救うために戦い続けた・・・
何度も貴方の死ぬ姿見ながら、必死に、戦い続けてきたの・・・」

メガほむ「訳解かんないよね・・・気持ち悪いよね・・・」

まどか「ううん、そんなことない・・・そっか、そうだったんだね、ほむらちゃん・・・」ダキッ

メガほむ「鹿目さん・・・!」ギュゥ

まどか「ウェヒヒ、まどかって、呼んでよ」

メガほむ「まどか・・・!」

まどか「なぁに、ほむらちゃん」

メガほむ「・・・必ず貴方を救ってみせる。あのとき果たせなかった想いを、此処で必ず遂げてみせる」

メガほむ「だからお願い・・・私に貴方を護らせて・・・!」

まどか「・・・それは出来ない相談だよ、ほむらちゃん」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:29:09.45 ID:0K/e0TF30
メガほむ「どうして・・・!」

まどか「あなたにわたしは護らせない。そんなの、わたしが許さない。
一緒に戦うんだよ、ほむらちゃん。わたしたちは、一緒に。護るとかじゃないの、戦うの。
大切な人たちや、過ごした場所の為に、一緒に戦おう。攻撃は最大の防御、ってね!」

メガほむ「・・・まどかぁ」

まどか「ウェヒヒwwwそれにしても、メガネでみつあみのほむらちゃんって可愛いなぁ!
髪解いてメガネしてないほむらちゃんはかっこいい感じだけど、これはこれで案外・・・」

メガほむ「ま、まどか?」

まどか「ウェヒヒwwwそうだほむらちゃん!このリボン、付けて見てよ!あ、わたし、そのメガネちょっと掛けてみたいな」

ほむら「構わない・・・けれど」

まどか「あ、口調、少し戻ったね」

ほむら「そうかしら?」

まどか「ウェヒヒwwwほむらちゃんって、面白いね!」

ほむら「そ、そう・・・?」

まどか「楽しかったね」

ほむら「そうね」

まどか「明日がワルプルギスの夜との戦いだなんて嘘みたい」

ほむら「そうね。でも、嘘じゃないわ・・・」

まどか「・・・ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「・・・何、まどか」

まどか「手、握ってもいい?」

ほむら「・・・」

ギュッ

まどか「ありがとう。ほむらちゃんの手、とってもあったかい」

ほむら「まどかの手は、とても冷たくて、震えてる・・・怖いの?」

まどか「怖いよ。すっごく怖い。・・・どうして、ワルプルギスの夜なんてあるんだろう。魔女なんて居るんだろう。
わたしたち魔法少女なんて、あるんだろうね」

ほむら「・・・そうね」

まどか「神様は、なんとも思っていないのかな?魔女になる魔法少女を見ても、何も感じないのかな?」

ほむら「・・・家畜に神は、居ないのよ」

まどか「・・・ほむらちゃん、冷たい・・・」

ほむら「そう・・・きっともう、人間じゃなくなって、長いからでしょうね・・・」

まどか「でも、わたしはその方が良いかも」

ほむら「え?」

まどか「だって、ほむらちゃんの心が冷たいと、こうして手が温かいから」

まどか「手を繋いでいたら、安心して、眠れそうなんだ」

ほむら「・・・まどか」

まどか「ウェヒヒwwwそれじゃぁおやすみ、ほむらちゃん。明日は、絶対に勝とうね」

ほむら「えぇ、絶対に」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:30:00.03 ID:0K/e0TF30
ほむら「・・・来る」

杏子「いよいよか」

マミ「えぇ・・・」

まどか「勝とうね、絶対に」

ほ・マ・杏「「「えぇ(おう)!!」」











ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:30:59.35 ID:0K/e0TF30
ほむら「先ずは手順どおり、此処からの総攻撃で奴の外殻を疲弊させる。杏子、結界を」

杏子「おうよ!」

ほむら「マミ、まどか、遠慮はいらないわ、好きに撃ちなさい」

マミ「オーケー!」

まどか「うん!」

ほむら「私も・・・」

 マミの機関銃、まどかの三矢、ほむらの迫撃砲、各々がワルプルギスの夜へと総攻撃をする。ワルプルギスの夜は、杏子の作った檻の中でそれを一身に受け続ける。
やがて、ワルプルギスは哄笑を上げながら、杏子の檻を破った。

杏子「くっ、すまえねぇ!」

ほむら「構わないわ・・・攻撃、止め。しばらく休んでいて・・・奴がデッドゾーンに入り次第、私が総攻撃繰り出すから」

 ほむらは事前に備えていたタンクローリーに跳び乗ると、それを操作し、欄干へと向かう。
タンクローリーをワルプルギスの夜に突撃させ、川に飛び込むと、沈ませていたクラスター機体を浮かばせ、ワルプルギスの夜へと
一斉発射させた。

 しかし尚もワルプルギスの夜は健在だ。鉄塔を起爆させ、ワルプルギスの夜に倒しても、傷一つ付いていないように、哄笑を上げ続ける。

ほむら「くっ・・・!三人とも、お願い!!」

まどか「うん!」
マミ「えぇ!」
杏子「おうっ!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」
まどか「えいっ!!」

マミの大砲、まどかの弦を限界まで搾った一矢がワルプルギスの夜へと発射される。
しかしそれらが到達しても、ワルプルギスの夜にはまるで利いていない。

杏子「そうやって笑ってられるのも――今の内だぜ!!」

 巨大化した杏子の槍が身を解き、空中を縦横無尽駆け巡り、ワルプルギスの夜を捕らえる。

杏子「マミ、まどか、もう一度だ!!」

 今度は三人から遠く離れたビルでほむらも迫撃砲を構え、ワルプルギスの夜へと発射した。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:32:07.17 ID:0K/e0TF30
だが、それらはワルプルギスの夜の一撃に呑まれてしまう。

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 哂うワルプルギスの夜を囲むように、八筋の黒炎が放たれた。

まどか「え?」
マミ「え?」

 二人の射撃を辿り、黒炎は、宙を這って、食らい付く。

 だが、黒炎が二人に届く事はなかった。

杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」

 杏子の作り出したマミとまどかの幻影によって、黒炎は行き場を迷い、やがて無能に川へと落ちる。

杏子「駄目元だったが利くんだな・・・ほら、あんたらもちんたらしてんなよ、死ぬぞ!!」

 杏子が分身する、かのように見える。巻き上げられるビルを伝って、ワルプルギスの夜の使い魔を薙ぎながら、持ち前の超人的な身体能力を
使って、突撃する。ほむらもだ。両手で拳銃を巧みに使い、使い魔を駆除しながら、ワルプルギスの夜に接近している。そして、両手の拳銃を投げ捨てると叫んだ。

ほむら「杏子、槍を!」

 杏子は躊躇い無く新に槍を召喚すると、ほむらへと槍を投げた。使い魔を貫き、ほむらへと槍が渡ると、ワルプルギスの夜を翻弄するためのほむらの分身を幾つか作った。

杏子「ぐっ・・・これはちょっと・・・きっついかな・・・」

杏子の嘆きを拾ったほむらは、時間停止すると杏子に近付き、杏子の体を抱いて近くのビルに降りると、時間を解いた。

ほむら「無理をしないで。これ、グリーフシード」

杏子「サンキュ。これでアンタの今までの無礼もチャラにしてやるよ」

ほむら「ふん、吠えられるなら、必要無かったかしら?」

杏子「がるるる!!」

二人は再び、ワルプルギスの夜へと跳躍した。

マミ「――貴方達、離れなさい!!」

まどか「いっくよー!!」

マ・ま「「ティロ・フィナーレ!!」」

 マミとまどかの一撃が混ざり合い、ワルプルギスの夜へと到達する。間近でそれを見ていた二人は、その一撃が、ワルプルギスの外殻に皹を生じさせたのを見止めた。

杏子「ほむら、槍を投げろ!!」

ほむら「言われなくても!!」

 互いの槍が、皹へと投じられる――


 パリンッ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:32:51.74 ID:0K/e0TF30
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 まどかが次に目を開いたとき、前には後ろ髪の裂けた黒髪の少女が立っていた。
何が起きたのか、一体自分に何が起こっているのか解からない・・・しかし、すぐに景色があからかとなる。
暁美ほむらが倒れ、上空では正位置に、ワルプルギスの夜が回っていた。

マミ「暁美さん!」

左で、自分と同じ様に仰向けで倒れていた巴マミが叫ぶ。

杏子「ほむら!!」

杏子が叫んだ。

まどか「ほむら・・・ちゃん・・・?」

まどか「ほむらちゃん!?」

暁美ほむらからの返事は、なかった。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:34:27.02 ID:0K/e0TF30
踊り狂う、ワルプルギスの夜。その身のこなしは、時が刻まれる毎に軽快なものとなっていき、やがて風が荒れ、川が荒れ、崩れた瓦礫が巻き上がり始めた。哄笑は尚も続いている。その周囲に渦巻く風に裂かれて、歪なものになりながら。

杏子「てめぇ・・・よくもほむらをおおおお!!」

マミ「ああああああああ!!」

悲嘆と憤怒に顔を染めたマミと杏子が跳躍し、ワルプルギスの夜へと向かって行く。マミの周囲に無数に浮かんだマスケット銃が咆哮を上げ、杏子の巨大な槍が鎌首を擡げる。だが、ワルプルギスの夜の周囲に起こる暴風の壁の前には無力に削がれ、やがては二人もその嵐の中に引きずり込まれようとしていた。しかし、二人は運良くその竜巻から逃れる。

ワルプルギスの夜が噴いた黒炎という、最悪の方法で。

だが二人は止まらない。

もう一度、ワルプルギスの夜へと突撃する。
何度も。

何度でも。

繰り返して。

繰り返した。

コンクリートを滑りながら、無力に苛まれる。風に裂かれた哄笑はもはや声ではない。まるで爆音のようだ。多くの物が、今この瞬間、嘆きも悲しみも上げることを許されずに爆ぜる無情な音。二人に諦めが、差したとき、冷たい感触が、頬に当てられ、瞬く間に、体中の痛みが消えた。

まどか「もう、大丈夫です」

マミ「鹿目さん・・・そっか、貴女の祈りは・・・」
まどか「はい。だから、もう大丈夫です。ほむらちゃんの傷もさっき、治しました。それにグリーフシードの穢れも。多分、もうすぐ起きると思います」

杏子「・・・そっか。よし、じゃぁそいつが目覚ましたらもういっちょ総攻撃で」

まどか「ううん、もう良いよ、少しだけ、休んでいて、杏子ちゃん」

杏子「休めるわけねーだろ・・・ちんたら休んでなんか居てみろ、この街全部引き剥がされちまう・・・それに、もっとあれが大きくなんだろうが・・・!」

マミ「そうね・・・いっその事、わたしが魔女に成って、結界の中にでも閉じ込めてやろうかしら・・・」

杏子「・・・!マミ、お前!!」

マミ「ふふっ。いい考えだと思わない?」

杏子「ロッソ――」

マミ「大丈夫よ杏子、ロッソ・ファンタズマは要らない・・・こんな時に発狂なんてしてられないわ。それよりも、あいつをどうにかするの・・・このまま放って置いたら貴女の言う様に街が竜巻に呑み込まれてしまう・・・それを防ぐのが、わたしたち、見滝原の魔法少女の使命。たとえ、魔女になったとしても、わたしは、この街の正義の味方でありたい・・・」

杏子「――ふっざけんなっ!!そんなの、だったらあたしがやってやる!!あたしが魔女になって、あいつを!!」

まどか「ううん、良いんだよ、マミさんも、杏子ちゃんも、魔女になんてなる必要ない」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:36:21.82 ID:0K/e0TF30
マミ「鹿目さん・・・?」

杏子「まどか・・・」

まどか「見てください、これ」

そう言って、まどかは自分の首輪から提げた穢れを溜めこみ過ぎたソウルジェムを見せつけた。

マミ「鹿目さん!?」

杏子「まどか、お前それ!!」

まどか「ウェヒヒ。二人のソウルジェムよりもきっと、わたしの方が早くグリーフシードになっちゃうと思うよ?わたしがワルプルギスの夜を結界に閉じ込める。ずっと考えていたんだ。魔女になったとしても、どうしたらわたしで居られるのかって。でも、今ようやく、その悩みが終わったの。わたしってずっと誰かの役に立つ自分に成りたかった。それで、魔法少女になって本当に良かったと思ってる。たとえ魔女になるんだとしても、ほら、こうして皆の役に立てるから」

まどか「これは誰かに唆されたんじゃない、誰の為でもない。ただの自己満足だって解かってる。わたしは、やりたくてするの。――だから二人とも、お願い。わたしが魔女になってワルプルギスの夜を倒せたら倒す、でもきっと無理だから、お願いしますね?そして最後には、わたしの魔女を必ず倒してください。こんなことお願いする、わたしは酷い人だから、遠慮なんていりません。ウェヒヒ!わたしって、実はすっごい自分勝手な人だったんですよ!」

マミ「鹿目さん・・・!」

杏子「・・・そんなの、そいつが納得するわけねーだろ!ふざけんなよっ!ふっざけんなっ!!おい、これ使え、ほら、よけんじゃねーよ馬鹿野郎が!!」バキッ

まどかは自分にグリーフシードを押し付けようとする杏子の横面を殴った。杏子は倒れこむが、直ぐにその傷は修復される。しかしマミはそれを見ていたし、杏子だって、自分のされたことが暴力だとしっかり認識しているだろう。まどかは、それで満足した。

まどか「ウェヒヒwww」

・・・ほむらちゃんのこと、お願い、二人とも

パリンッ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:36:55.90 ID:0K/e0TF30
ピキッ

ガタタタンッ

シュゥゥゥン
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:43:36.24 ID:0K/e0TF30
ほむら「・・・ふざけんじゃないわよ」

まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「貴女が魔女になる?結界の中に奴を閉じ込める?はっ。その必要はないわ。・・・そんなの、彼女で充分よ」
 
ほむらはまどかのソウルジェムに当てたグリーフシードを投げた。穢れを充分に溜め込んだそれは孵化し、閉じていた魔女が目覚め、辺りを結界が制した。

ワルプルギスの夜を象徴するサーカスの轟音とは対極の美しいバイオリンの音が耳に入る。しかしその旋律は嵐に刻まれて、本来の美麗を損なわれていた。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:44:20.85 ID:0K/e0TF30
オクタヴィア「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 彼女が、それを許すはずも無い。自身の為の演奏を邪魔された美樹さやかの魔女は怒りに剣を振るう。ワルプルギスの夜へと。暴風の膜を何度も何度も切りつける。何度も何度も、狂ったように。それを、マミ、杏子、まどかは呆然と眺めていた。

ほむら「尤も、彼女では力不足でしょうね・・・杏子、お願い。ワルプルギスの夜に自分が回転しているという錯覚を与えて。一瞬で良い、その隙に、マミ、貴方はワルプルギスの夜を拘束して」

マ・杏「「・・・了解っ!!」」

ほむら「・・・まどか、弓を出しなさい」

まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「早く!!」

まどか「は、はい!!」

 ほむらに叱責されてまどかは慌てて弓を出した。

ほむら「構えて」

まどか「はいっ!!」

言われるまま、弓を構えて、ワルプルギスの夜へと向ける。
だけれど・・・嵐の中と疲労で、体が寒気に襲われて、手がかじかみ、中々照準が合わせられないー―。

ほむら「強く・・・一撃で、必ず仕留める」
 
自分の手に乗せられた、温かい、ほむらの手。彼女は冷然とワルプルギスの夜へと照準を固定すると、まどかの手と共に、弦を引いた。

強く。

杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」

その間に、杏子とマミはほむらの作戦に従い、ワルプルギスの拘束を試みた。
次第に杏子の幻術によって、ワルプルギスの夜の動きが鈍くなる。

杏子「くっ・・・長くは持たない、早く!!」

マミ「解かってる!でも、竜巻が消えない限りは弾丸が届くかどうか!」

ワルプルギスの夜の周囲に、未だ渦巻く風の障壁。それがマミの邪魔をしている。

だが。

オクタヴィア「ヴォオオオオオオオオオオ!!」

それを知ってか。知らずか、巨大な人魚の魔女は剣を振るい、竜巻を裂いた。

マミはその瞬間を逃さなかった。

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

金色の弾丸は軌跡を残しながら、宙を翔け、解体し、ワルプルギスの夜へと食いかかる。――ワルプルギスの夜は、静止した。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:55:54.76 ID:0K/e0TF30
杏子「やれ!!」

マミ「長くは持たないわよ!!」

限界など、無いように、強く、ほむらは引く。ほむらの手に包まれながら、まどかも、共に弦を引く。

ほむら「もう・・・時間停止も時間遡行も出来ないの」

まどか「え?」

ほむら「・・・私の旅は此処で終わり・・・だから、必ず勝つ」

まどか「・・・」

まどか「・・・うんっ!!」

 強く。

オクタヴィア「ヴォオオオオオオオオ!!」

人魚の魔女が、剣を振りかぶる。――これでは、折角の拘束が破れてしまう。

杏子「おっと、わりぃけど、大人しくしていてくれよ!後で相手してやっからな!」

 杏子が槍を伸ばし、剣を弾いた。
 
もっと強く。

杏子「そろそろ限界だ――撃て!!」

マミ「二人とも、お願い!!」

 もっともっと――強く――!!
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:56:57.58 ID:0K/e0TF30
ほむら「行くわよ!!」

まどか「うんっ!!」

ほ・ま「「ティロ・フィナーレ!!」」

 放たれた、桃色の光を、暗紫色の光が包みこんでいく。今度は暗紫色の光を、桃色の光が包みこんでいく。やがて、二つの光は溶け合い――。

ほ・ま・マ・杏「「「「いっけえええええええええええええええええええ!!!」」」」

ワルプルギスの夜「アハハハ―――――――――」

最悪の戯曲に、ピリオドを撃った。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:57:37.53 ID:0K/e0TF30
ほむら「・・・ん」

ほむら「・・・此処は・・・」

さやか「あ、起きた?」

ほむら「・・・美樹さやか」

さやか「いっやぁ、心配したよー。避難所の何処探しても二人とも居ないんだもん!

そしたらいきなり外がとんでもなく荒れて・・・本当、一時はどうなることかと思ったわ!

あっはっはっは!まぁ、いきなり嵐は止んだけどねー」

ほむら「・・・貴方のお陰よ」

さやか「え、あたし?あ、やっぱあたしってそういうのあるのかなー。神様に愛されてるって言うの?さやかちゃん、マジ幸福の女神様!?」

ほむら「・・・まどかは?」

さやか「ってツッコミ無しかよ!本当にあんたはまどかまどかって・・・まっ、こんなときだからこそ自分らしくあるっていうのは大切だけど、もうちょっとさー」

ほむら「それで、まどかは何処に居るの?」

さやか「まぁ何処もこうもないわけで、あんた、自分の体がいつもより重いとかそういうの、感じないタイプの人なわけ?」

ほむら「言っている意味がよく・・・」

 さやかは溜め息を吐くと、仰向けのほむらの傍らを指してちょいちょいと指を二回折った。ほむらは、そちらに目を向ける。

まどか「すぅ・・・」

 鹿目まどかが、眠っていた。

ほむら「はっ、はっ、はわわっ!?」

 つい素っ頓狂な声を上げてしまい、頬を染めてさやかを振り向いた。

さやか「・・・ぶっ!!」

 心底小馬鹿にしたような目付きで、さやかは頬を膨らませていた。

ほむら「・・・美樹さやか・・・!!」

さやか「ちょっ!あたし関係なくない!?あんたが勝手に『はっ、はっ、はわわっ!?』って言ったんでしょ!」ブッ

ほむら「美樹さやか!!」

まどか「ん・・・んん・・・」

 逃げるさやかを追おうとしたが、まどかが唸り、更に強く抱き締められて、ほむらはまた狼狽した。

ほむら「あっ、あっ、ああっ」

さやか「『あっ、あっ、ああっ』」

ほむら「美樹さやかっ!!」

さやか「あはははははっ!」

ほむら「・・・もう」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:58:41.12 ID:0K/e0TF30
杏子「よう、起きたか」

ほむら「・・・杏子」

マミ「体の具合はどう?」

ほむら「・・・マミ」

ほむら「そう・・・倒したのね・・・」

杏子「おう」

マミ「えぇ」

 皆の無事を見て、ようやく、実感が湧いた。

ほむら「・・・そう」

 とうとう自分は・・・永遠の迷路から抜け出した。

ほむら「・・・」

 尤も、抜け出さざるを得なくなったのだが。

ほむら「(・・・盾も砂時計も、壊れてしまった。・・・自分は今度から、ただの足で纏いだ・・・)」

ずっと考えていたこと。まどかを救い、ワルプルギスの夜を乗り越えたらどうするか・・・ひっそりと何処かで、朽ち果てる。それをとうとう、実践する時が来た。

彼女の役に立たない自分なんて、必要ない。

杏子「何辛気臭い顔してるんだよ」

ほむら「・・・いいえ、なんでも」

マミ「今度は何を隠しているの?」

ほむら「・・・何も、隠してなんか」

杏・マ「「嘘」」

ほむら「・・・!」

杏子「友達が何かあぶねーこと考えているの、解からなくてどうすんだよ馬鹿野郎が」

マミ「・・・友達、ねぇ・・・」ニヤニヤ

杏子「な、なんだよ」

マミ「別にー」

杏子「なんだよ、言えよ!」

マミ「なんでもないわー」

杏子「言えよこの豚野郎が!!」

マミ「なっ!?ぶ、豚!?誰が豚ですって!!」

杏子「うっせ!ケーキばっか食ってる癖に!そのうちぶくぶく太って

本物の豚になっちまうかもしれないぜー?」

マミ「ちょっ!貴女ねっ!!」

ほむら「ぷっ・・・!」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:59:17.41 ID:0K/e0TF30
マミ「・・・あら」

杏子「・・・」

杏子「アンタが笑った所、初めて見たな・・・」

マミ「えぇ・・・それも、こんなに自然な所はね」

杏子「やっと、胸のしこりが落ちたってか」

ほむら「・・・」

杏子「なんか言えよ」

ほむら「・・・そうかもね」

杏子「よし、笑え」

ほむら「どうしてそうなるのよ」

杏子「笑え」

ほむら「嫌よ」

杏子「笑えって」

ほむら「嫌」

杏子「ほら、笑えって――なんなら、あたしが笑わせてやるよ・・・!」

ほむら「ちょっと、杏子、顔に触ろうとしないで!いやっ!」

杏子「ほれほれー案外可愛い顔で鳴くじゃねーかほれほれー」

ほむら「やめなさい、ふはへはひへっ」ムニッ

杏子「あっはっは!ぶっさいくっ!!」

マミ「ちょっと・・・杏子・・・失礼よ・・・ぷっ」

ほむら「・・・今、笑ったわね」

マミ「いいえ」

ほむら「笑ったでしょう」

マミ「笑ってません」

ほむら「・・・杏子、もう一回」

杏子「おうよ!」ムニッ

マミ「ぷっ・・・ぷふーっ!」

杏子「やっといてなんだが・・・アンタにプライドってないのかよ」

ほむら「今のは私のプライドの勝利よ」ファサッ
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 00:59:48.43 ID:0K/e0TF30
杏子「・・・ん、まぁ、あんたが納得しているって言うなら、良いと思うけど」

まどか「んっ・・・ん・・・・・・うんっ?」

杏子「おっ、まどかも起きたか?」

まどか「ひょーこひゃん・・・ん・・・ほむらちゃん・・・?」

ほむら「まどか・・・」

まどか「マミひゃんは・・・?」

杏子「ちょっと離れたところでだらしなく腹抱えて笑ってる」

マミ「ちょっと!誰がだらしない腹ですって!?」

杏子「言ってねーよ!!」

まどか「ウェヒヒ・・・あ・・・そっか・・・皆で・・・勝ったんだね・・・」

杏子「おう。まどかもご苦労さん」ナデナデ

まどか「ティヒヒ・・・」

ほむら「・・・あんな馬鹿な事言っておいて、よくもそんな顔が出来るわね」

杏子「ちょっ、おいほむら!お前、そんな言い方ねーだろ!」

まどか「いいよ、杏子ちゃん・・・うん、ごめんね、ほむらちゃん・・・」

ほむら「今更謝ったって・・・許してあげない・・・」

まどか「ティヒヒ・・・」

ほむら「・・・」

杏子「・・・あっ、そーだまどか」

まどか「ん、何?」

杏子「これ、お返しな?」シュッ

まどか「えっ?」パシッ

ほむら「・・・杏子、どういうつもり?」

杏子「いや、どういうつもりもこーも、あたしこいつに一回殴られたんだよ。そのお返しだ。いくら傷治してもらったって言っても、いてーもんは痛かったんだからな!」

まどか「あ・・・ごめんね・・・杏子ちゃん・・・」

杏子「・・・でもまっ、お前が居る時に報復なんてしようとしたのが馬鹿だったか。また今度にさせてもらうよ」

ほむら「今度なんてない・・・まどかには私が指一本触れさせないから・・・」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 01:00:19.14 ID:0K/e0TF30
まどか「ほむらちゃん・・・」

杏子「おーこわっ。まどか、お前嫌なら嫌って言って良いんだぞ?こいつ地獄の果てまでお前に付いて行くぜきっと?」

まどか「ウェヒヒ、嫌なんかじゃないよ?ほむらちゃんが居てくれて、本当に良かったと思ってるから・・・ありがとう、ほむらちゃん。わたし、あなたに助けられてばかりだね」

ほむら「・・・!」

ほむら「・・・馬鹿」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん・・・」

ほむら「馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿!」

まどか「うん・・・ごめんね・・・」

ほむら「馬鹿馬鹿馬鹿!!まどかの大馬鹿!!」

まどか「うん・・・返す言葉もないや・・・」

ほむら「馬鹿・・・」

まどか「・・・でも」

まどか「ほむらちゃんだって馬鹿だよ」

ほむら「・・・!何ですって!?」

まどか「わたしたちを庇ってあんなことするんだもん・・・馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿大馬鹿!大大馬鹿ほむらちゃん!!」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 01:00:50.97 ID:0K/e0TF30
ほむら「なっ・・・大大大大馬鹿まどか!!」

まどか「大大大大大馬鹿ほむらちゃん!!時間停止も時間遡行も使えなくなったんだってね!あんなことするからだよ!ほむ馬鹿ちゃん!!」

ほむら「貴方に何が解かるのよ!!大大大大大大馬鹿まどか!!まど馬鹿!!」

まどか「解かるよ!どうせ今だって碌でもない事考えてるんでしょ!!時間停止とか使えない、盾も無くなっちゃった自分なんて此処に居てもしょうがないとか考えているんじゃないの!?」

ほむら「なっ・・・!?」

まどか「・・・やっぱり。でも残念でしたー。ほむらちゃんは何処にもいけませんびろびろばー!・・・そんなの、わたしが許さないから。マミさんと杏子ちゃんに頼んででもほむらちゃんの事連れ戻すから」

まどか「残念でしたほむ馬鹿ちゃんのばーか!!」

ほむら「・・・うぅ・・・」

まどか「それにわたしに杏子ちゃんにわたしには指一本触れさせないとか言っておきながら居なくなるって意味わかんないし。本当にほむらちゃんって馬鹿なんだね!ウェヒヒwww」

ほむら「うぅ・・・ううううううううううううううううう!」

まどか「え、あ、ほ、ほむらちゃん?」

ほむら「ううううううううううううううううううう!!」

まどか「ちょっ、ほむらちゃん!そ、それはずるいよ・・・あ、あの、ごめんね?」

ほむら「ううううううううう!うううううううう!!うううううううううううううう!!!」

まどか「わっ、わっ、あわわっ!ご、ごめんね?ほむらちゃん、本当にごめんね?ね?お願い、泣き止んで?ほむらちゃんは馬鹿じゃないよ?ね?」ナデナデ

ほむら「ううううううううううう!まどかぁ!まどかぁ!!」ダキッ

まどか「あ、うん、はい、まどかです・・・」ナデナデ
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 01:01:17.71 ID:0K/e0TF30
さやか「いやぁ、喧嘩と花火は江戸の華、ってね!」

杏子「いや・・・何言ってるかさっぱり解かんないんだけど・・・」

さやか「あ、そっすか?いや、実はあたしもぱっと頭に浮かんだ事を適当に言っただけで・・・」

杏子「しょうもない奴だな・・・」

さやか「ははっ・・・よく言われるっす」

杏子「・・・まぁ良いや・・・そうだ」

杏子「食うかい?」

さやか「あ、良いの?へへっ!いただきまーす」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 01:02:17.18 ID:0K/e0TF30
「こりゃひでーな・・・現地の魔法少女は?」

「とりあえず、避難区域の保護を優先してもらってるわ」

「続行してもらおうよ。ワルプルギスの夜を倒すのには、わたしたちだけで十分なんだし」

「しっかしまぁ、あの頃はあれだけ苦労したっつーのに・・・時の流れは残酷だねぇ。今じゃ流れ作業だぜ」

「だからって油断は禁物よ?」

「わーてるよ」

「・・・さて、それじゃぁ行くわよ。杏子、マミ、まどか・・・私に、武器を貸して」

まどか「はい、ほむらちゃん」

杏子「ほらよ、ほむらちゃん」

マミ「どうぞ、暁美さん」

ほむら「ありがとう・・・それじゃぁ、始めましょう」

まどか「うんっ!」

杏子「おうっ!」

マミ「えぇっ!」

 私達は・・・戦い続ける。この世界で、此処で・・・きっと永遠の迷路なのだろうけれど、それでも。

ひとりぼっちじゃないから、何も恐くない。

FIN.
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/09/15(木) 01:03:00.08 ID:0K/e0TF30
とまぁ、これで終わりです
失礼しやした
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/09/15(木) 01:44:45.63 ID:dXKAIfMk0
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/09/15(木) 04:31:33.33 ID:Bnz6TVcAO
乙!
オクタヴィアちゃんを使うとは……。
騒音立てる相手を攻撃する魔女だから騒がしいワルプルさんを迎撃するにはもってこいだな。
ワルプルさんが定期的に出るならオクタヴィアちゃんのGSを取っておいて対ワルプル用のカプセル怪獣ならぬカプセル魔女にすればいいんじゃね?
終わったら倒してまた保管w
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/15(木) 14:20:39.59 ID:hDgdYp6IO
オクタヴィア「舞い上がっちゃってますね、あたし!」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga]:2011/09/15(木) 16:01:20.90 ID:0K/e0TF30
元スレの方でさやかの活躍を期待していた人たちが沢山いたからね
こういう形だけれど出せて良かった
それじゃぁHTML申請出してきます
読んでくれた人は本当にありがとうございました
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/15(木) 19:48:11.55 ID:ONMFub6Ko
お疲れ様でした
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/09/16(金) 03:11:33.89 ID:ngQdWgxXo
乙だ

おもしろかった
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/09/18(日) 22:30:35.10 ID:/9EDAZ/Vo
乙っちまどまど!
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/19(月) 13:48:36.87 ID:5PFpGe2IO
乙・フィナーレ!
面白かったよ



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