VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:25:16.42 ID:xhDKh32q0<>VIPより
【あかり「\アッカリーン/」あかり「はーい!ゆるゆり、はっじまっるよー」】
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1316932755/<>あかり「\アッカリーン/」あかり「はーい!ゆるゆり、はっじまっるよー」
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 20:26:50.88 ID:PTN4+9w6o<> \アッカリーン/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 20:27:13.45 ID:veDj1uHIO<> みんな死にました
お わ り <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:27:30.53 ID:F7ucr5S3o<> どっからやるんだ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:29:36.68 ID:xhDKh32q0<> 京子ちゃん。
結衣ちゃん。
ちなつちゃん。
あの交通事故で皆が亡くなって…早いものだね、もう2ヶ月がたつよ。
あかり「…」ズズ
あかり「…」カタン
皆で集まってお茶を飲んでた頃は、あんなに狭く感じた部室だけど…
今は、あかり一人には悲しいくらいに広い空間です。
…皆
あかり「…寂しいよ…」
…なんで、死んじゃったの?
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:29:55.45 ID:Wqpst5RHo<> これ前スレの>>1が立てたのか?
なら期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:30:16.23 ID:xhDKh32q0<> ここに来ても、やっぱり虚しいだけみたい。
皆との思い出が沢山詰まった場所。
今では思い出す度に、身が切れそう。
あかり「…」
帰ろう。
もう来るまいと思っているのに、なんでだろうなぁ。
つい足が向いちゃうんだよね。
ガチャ
あかり「…鍵」
生徒会室へ、返しにいかないと。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:30:58.00 ID:xhDKh32q0<> ガララ…
毎度のことながら、この瞬間は気まずい。
あかり「…失礼します」
千歳「あー、あかりちゃんやぁ」
部屋の奥から、先輩が駆けてきた。
生徒会室には、今は千歳先輩しか居ない。
あかり「あの、これ…」
千歳「部室の鍵な。はい、確かに」
千歳「あかりちゃん、やっぱりマメやなあ。別に、開けて閉めるくらいこっちでするのに」
あかり「…いえ」
先輩はいつも通りだ。私に対しては。
でも、教室なんかではやっぱり元気がないみたい。風の噂に伝え聞いていた。
気を使わせてしまっているのが伝わってくる。
申し訳ないとは思うが、なんでだろう?
ありがとう、ごめんなさいのたった二言でいいのに、言えない。
口が動かない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/09/27(火) 20:31:14.25 ID:I28FJf7Z0<> おおう
最初からなんだな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 20:32:23.90 ID:mCSws6hbo<> 続きゆっくり待つわ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:32:35.87 ID:Wqpst5RHo<> これ名前の横の都道府県どうやって消すんだ?
SS速報は初めてだから分からん\(^o^)/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/09/27(火) 20:32:50.94 ID:k0F9sSi2o<> 最初からか。ワッフルワッフル <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 20:35:57.63 ID:ZCfSBvIWo<> 都道府県は消えないんじゃなかったっけ
出てこない奴もいるけど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:36:21.33 ID:xhDKh32qo<> そういえば。
あかり「…あ、の…先輩…」
千歳「んー?どしたん?」
あかり「せん…あ、綾乃先輩は…」
…やっぱり来てないんですか?
千歳「…あ」
あかり「あぇ、いや、その…」
急に先輩の表情が暗くなったのを見て、こっちまで慌ててしまった。
ちょっとした確認のつもりだったから、罪悪感を感じちゃう。
千歳「…おらへんよ」
千歳「綾乃ちゃん、もう長い事、学校にも来てへんのよ」
あかり「…え」
それは知らなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>神奈川ちゃうねんて<>2011/09/27(火) 20:38:48.24 ID:xhDKh32qo<> 千歳「…綾乃ちゃんは…」
あかり「…」
話は続くみたい。
突然張り詰めた空気に、思わず背筋がしゃんと締まる。
…綾乃先輩に、もしかして、何か…
千歳「…」
あかり「…」
ちょっとの間、気まずい空白があって、
千歳「…あはー」
あかり「へ…?」
先輩は、ふにゃっと笑った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:39:29.84 ID:xhDKh32qo<> 千歳「あはは、いやあ…あかりちゃん、畏まってしもうて…あはは」
あかり「う…」
何だかわからないけど、あかりバカにされてるのかな?
千歳「ははは…あー、いやあ、あかりちゃん。あかりちゃんはやっぱりあかりちゃんやなぁ…」
ふー、と抱えていたお腹を解放して、杉浦先輩は涙をぬぐった。
目を白黒させている私に、言葉を続ける。
千歳「ごめんな、変な心配させてしもうて」
あかり「いえ、そんな…」
千歳「…大丈夫よー。綾乃ちゃん強い娘やから。…きっと一人で立ち直る」
あかり「…」
ズキリと、何かが胸を打った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:39:30.86 ID:nSqoxVbUo<> マイペースでいいから書ききってな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:39:47.02 ID:xhDKh32qo<> 千歳「あかりちゃんが心配する事なんてなーんもあらへんよ?」
あかり「…だから―」
千歳「せやから、」
心配なんて…と続けようとした私に被せるように、杉浦先輩は言った。
千歳「…あかりちゃんは、自分の事だけ考えとっていいんよ」
私は、二の句が継げなくなった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/09/27(火) 20:40:42.59 ID:d3CivToTo<> 最初から貼るのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:40:43.72 ID:xhDKh32qo<> 千歳「いっぱいいっぱいなんやろ?見ててこっちまで辛いわあ」
あかり「あ…」
千歳「赤座さん人一倍優しいし、皆の事、大好きやったし…」
千歳「忘れろなんて無責任な事は言えんけど…な」
千歳「ちょっとくらい頼ってくれてもええねんで?」
あかり「…う…っ!」
涙目になって、飛び込みたい。
けど、ぐっとこらえた。
千歳「あかりちゃん?」
あかり「…ありがとう、ございます…先輩」
感謝の言葉は、意外とあっさり自然と口を衝いて出た。
千歳「いえいえー…でなくて」
引き留められるわけにはいかない。きっと我慢できなくなってしまう。
帰ります。と言い残して、私はさっと踵を返した。
千歳「お、おーい?あかりちゃーん?」
背中にかかる声にも構わず、私は歩いて逃げる様に立ち去った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:41:42.65 ID:xhDKh32qo<> 千歳「いっぱいいっぱいなんやろ?見ててこっちまで辛いわあ」
あかり「あ…」
千歳「赤座さん人一倍優しいし、皆の事、大好きやったし…」
千歳「忘れろなんて無責任な事は言えんけど…な」
千歳「ちょっとくらい頼ってくれてもええねんで?」
あかり「…う…っ!」
涙目になって、飛び込みたい。
けど、ぐっとこらえた。
千歳「あかりちゃん?」
あかり「…ありがとう、ございます…先輩」
感謝の言葉は、意外とあっさり自然と口を衝いて出た。
千歳「いえいえー…でなくて」
引き留められるわけにはいかない。きっと我慢できなくなってしまう。
帰ります。と言い残して、私はさっと踵を返した。
千歳「お、おーい?あかりちゃーん?」
背中にかかる声にも構わず、私は歩いて逃げる様に立ち去った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:43:49.21 ID:xhDKh32qo<> …頼ってええんよ、と言われても…
あかり「…あんな泣きそうな笑顔してるのに…」
はい頼ります、とはいけないよね。
…杉浦先輩に、本当に何かあったのかも?
嫌な想像を振り払い、帰り道を急いだ。
あかり「…」
頼る、か。
なんとなく、いがみ合ってる向日葵ちゃんと櫻子ちゃんが浮かんだ。
―――
千歳「…」
赤座さんは、逃げるように去って行った。
実際逃げられたと見ていいのだろうか。
…拒絶は辛いなあ。やっぱり。
千歳「…せや」
大丈夫。
千歳「大丈夫や、うん」
大丈夫、大丈夫… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:44:15.77 ID:xhDKh32qo<> ―――
カチャカチャと食器の擦れる音がする。
作ってくれたお母さんや、食べ物には悪いけど、黙々と食事を口に運ぶ。
私が居るとお父さんもお母さんもあんまり喋らないし、
お姉ちゃんに至っては、ちらちらとこっちを見てはたまに泣きそうになってるのを感じる。
事故のあの日以来、笑顔で『大丈夫』を繰り返していたのが上っ面だっていうのを悟られたんだろうな、と思う。
クラスの皆にも先生にも、家族にだってそう。
半分上の空で、慰めや励ましの言葉もそんな感じで受け流していた。
お姉ちゃん達家族の中では、そっとしておこう、ということで意見が一致したのか、その内ほとんど話しかけられなくなった。
…やっぱり、皆気を使ってくれてるのかな。
優しい人たちに囲まれて育ってきた事に、今更ながら実感が持ててきた。
一体2か月も、私は何を塞ぎ込んでいたのかな。
早く立ち直るのが、延いては皆のためになるっていうんなら。
…無くなった3人の供養になるっていうんなら…
あかり「…ごちそうさま」
お箸を置くと同時にそう言うと、皆ぎょっとしたようにこっちを向いて固まった。
なんだろう?と少し考えて、心当たりに行きついた。
…『ごちそうさま』って久しぶりに言ったなあ。そういえば。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:45:00.71 ID:xhDKh32qo<> 恐る恐るといった風に、お姉ちゃんが話しかけてきた。
今日学校はどうだったかみたいな、他愛もない話だった。
返事を返すと、泣かれた。
…
朝起きて、おはよう。
朝ご飯を前に、いただきます。
食べ終わって、ごちそうさま。
いつもは何気なくやっていることが、こんなに大事なことだとは。
離れて初めて理解できる大切さもあるんだとしみじみ感じる。
お姉ちゃんを見送って、
服を着替えて、歯を磨いてお団子をセットした。
ドアを開けて、待っている人がいないことに少しの違和感が私をくるむ。
首を横に振ってそれを振り払う。
玄関の方を向いた。
「いってきます!」
お母さんの「いってらっしゃい」が聞こえてくるのを確かめて、私は駆けだした。
秋風が頬を撫ぜ、木の葉を揺すった。
スカートを靡かせ、一路、学校へ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:45:42.47 ID:xhDKh32qo<> 教室の前に着いた。
深呼吸して、ドアを開く。
向日葵ちゃんと櫻子ちゃんは先に来ていた。
一歩一歩、足の裏から来る感触を確認するみたいに、踏みしめて歩く。
…大丈夫かな?あかり、ちゃんと普通に笑えてるよね?
二人の横に立った。
櫻子ちゃんが気付いて、こっちを見た。
目を合わすのも久しぶりだったからか、「…あ」と変な声を出して櫻子ちゃんが目をそらした。
…勇気出して、わたし!
あかり「…おはよう!」
俯いて本を読んでいた向日葵ちゃんが、顔を上げた。
二人とも、私の方を向いたまま固まっていた。
やっぱり不自然だったかな、しばらくぶりだし、と不安になりだしたところで、櫻子ちゃんと向日葵ちゃんがほぼ同時に机を揺らしながら立ちあがった。
櫻子「あっ、あかりちゃん!?」
向日葵「赤座さん!?」
…そして、大声で私の名前を叫んだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/09/27(火) 20:48:52.75 ID:xhDKh32qo<> 教室中の生徒が、目をパチクリさせて何事かとこっちを見た。
あかり「ちょ、ちょっとぉ…」
慌てて両手で二人を制した。
しかし、二人には通じなかったらしく、勢いもそのままに私に詰め寄ってきた。
櫻子「あかりちゃん…!」
向日葵「赤座さん…!」
あかり「え…っと…」
私は、ひたすらおろおろするしかなかった。
向日葵「…えー…」
櫻子「…あのさ…あのー」
向日葵「…」
櫻子「…」
詰め寄ったはいいが、何を言うか決まってなかったのか、もじっとして急に静かになる二人。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/09/27(火) 20:49:35.48 ID:xhDKh32qo<> お互い目配せして、何かが通じ合ったのか、向日葵ちゃんだけ一歩前に出てきた。
向日葵「…」
一拍あり、唾を飲みこむ向日葵ちゃん。
向日葵「…もう、大丈夫、ですの?」
そして、言った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 20:50:11.86 ID:xhDKh32q0<> 少し考える。
あかり「…大丈夫かは…ちょっと、まだ分からないけど…」
考えはまとまらない。
ただ、思った事を言うことにした。
あかり「…向日葵ちゃんも、櫻子ちゃんも、私と同じ様に苦しかったはずなのに」
あかり「一人だけ勝手に塞ぎ込んで、心配させて…」
あかり「皆で、一緒に悲しんで、乗り越えなきゃいけなかったのに…その…」
あかり「…気、使わせちゃって…ごめんね」
頭を下げた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 20:52:35.29 ID:xhDKh32qo<> 向日葵「…」
櫻子「…」
沈黙が耳に痛い。
何か言ってほしい…と、思った矢先、
櫻子「…あっ、あっあっ」
あかり「え?」
櫻子「あ、あがりぢゃああああぁーんっ!!」
ガンッ
あかり「ひぶっ!?」
櫻子「ぶへええええん…!うええええ」
飛び付かれた。
頭が顎に当たって、痛かった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 20:53:06.76 ID:xhDKh32qo<> 向日葵「ちょっと櫻子…!」
櫻子「ひいいん…バカ、あかりちゃんのバカあ!どんだけ心配したと思ってるんだよう」
あかり「さ、櫻子ちゃん…」
櫻子「毎日怖かったんだぞ…笑う時も変なお面みたいな笑顔だし、うう、死んだ魚みたいな目で時々ぼけっと遠く眺めてるし…」
そんなに酷かったかな?
櫻子「…あかりちゃんが…っ!あかりちゃんまで、どっか遠くに…自殺とかするんじゃないかってえ…!」
向日葵「ちょ…っと!いい加減離れなさい!こら!櫻子!」
櫻子「あうううう…」
ぐずる櫻子ちゃんを向日葵ちゃんが引き剥がした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 20:53:37.47 ID:xhDKh32qo<> 櫻子「うう…離せよう向日葵いい…ばかりちゃんにもっど言わなきゃいけないこどあるんだよう…」
あかり「ば、ばかりって…」
向日葵「赤座さん?」
あかり「…あ、なあに向日葵ちゃん?」
向日葵「櫻子じゃないですけど…」
櫻子「どういう意味だそれええ…うえええ…」
向日葵「…帰ってきてくれて、嬉しいですわ」
あかり「…うん」
向日葵「積もる話もあるでしょうし、とりあえず…」
櫻子「今日!昼ごはん一緒にたべるよね!ねぇ!?あがりちゃんん」
向日葵「…お昼時、また櫻子が落ち着いてから話しましょうか」
あかり「あはは…うん、そうだね」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 20:54:23.93 ID:xhDKh32qo<> 櫻子ちゃんを机に戻すのに難儀していると、遠巻きに様子を窺っていたクラスの皆が近づいてきた。
生徒A「…あかりちゃん?だよね」
あかり「う、うえ?うん、確かにあかりだけど…」
いくらなんでもそこまで影、薄くなってたかな?
不登校ってわけじゃなかったんだけど…ちょっとショックだよ…
生徒A「あ、いや顔を忘れたってんじゃなくて…」
生徒B「昨日までとは別人っていうか…もう大丈夫なのー?」
生徒C「不気味だったもんねえ、癒し系じゃない笑顔のあかりちゃん」
生徒D「バカ、何言ってんの」
生徒E「あかりちゃん復活なの?」
生徒F「本当に?ふっきれた?」
生徒C「あの嫌な方向の存在感なくなってるもんねー。よかったよかった」
あかり「…みんなぁ…」
知らないうちに、いろんな人に迷惑かけていたんだ。心配かけてたんだ。
気付かなかったとはいえ、申し訳なくて…
そして、嬉しい。
あかり「ありがどみんなああぁ…」
「「「泣いたー!?」」」
結衣ちゃん、京子ちゃん、ちなつちゃん。
あかり、今、幸せです。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:05:43.90 ID:xhDKh32qo<> ―――
ギシッ ギシッ ギシッ
千歳「…」
綾乃ちゃんの家、綾乃ちゃんの部屋へ続く階段。
ギシッ ギシッ
千歳「…」
ほんの数か月前まで気にもならなかった木板の軋みは、今、酷く私の脳みそを痛めつける。
ギッ…
千歳「…」
綾乃ちゃんの部屋の前。
…目的地至近。
千歳「…綾乃ちゃーん?私やー、千歳やでー」
しかし、到着には至らない。
木の板一枚が、それを邪魔する。
私と親友を隔てる、マリアナ海溝よりも深い、越えがたい溝や。
千歳「出てきてよ…」
ああ、ご両親、部屋をカギが閉まる仕様にしたんは、お二方人生最大の失態や。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:06:22.73 ID:xhDKh32qo<> ご両親は、最近は訪問の度、何も言わずに私を通してくれる。
万策尽きたのだろう。私という「友人」の存在を神頼みか何かの用に思っているのかもしれない。
神頼み。我ながら上手い例えかもしれない。
…岩戸の内に篭った天照大神を引き摺りだす、さながら道化ってとこやろか。
千歳「…今日はな、クラスで文化祭の出し物の―」
親友だからなんだと、最初は根拠のない自信にあふれていた私も、ここに至ってはそんなものとうに全部失っていた。
残念ながら、若干十数歳の私に説得の技能はない。
千歳なのになあ…名前は。
なんちて。いい皮肉やん?
千歳「―結局決まらんかってん。あはは…駄目やなあ、うちのクラスは…」
―やっぱり綾乃ちゃんが居らんと、まとまらへん。
口からそう出かかったのを、寸でで飲み込んだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:06:50.11 ID:xhDKh32qo<> 世間話をする。出てきてとお願いする。
…歳納さんのことは忘れてくれと、諭す。
そんなことしか思い浮かばない。
そんな自分が何より歯がゆくて、悔しかった。
千歳「…そういえば今日も、あかりちゃんに会うてな」
ガタン。
部屋の中から、音がした。
千歳「…綾乃ちゃん?」
それきりだったけど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:07:41.60 ID:xhDKh32qo<> いつも通り、扉越し、何の成果もなく面談を終えて、私は帰路に着いた。
千歳「…」
俯いて歩く。
…なんでやろな。
うち、親友のはずやのに。
なーんもできひん。なーんも。
千歳「…っひぅ」
あ、ああ。
いかんいかん、零れてまう。
せめて、家に帰るまでは待って頂戴な。
千歳「ふっく、ひいぃん、ううううっぐ…」
ポタリ、ポタリ。
道行く人が、うちの方へ顔を向ける。何事がと凝視する。
やめてえな、嫌やわ、注目されるのは、嫌い。
止まってよ。贅沢は言わん、せめて、千鶴のとこまででええから。
千歳「ううううっ、うあああっ…!」
ポタリ、ポタリ。
ザァ。おお。
雨が降ってきた。
恵みの雨や。これなら、涙も鳴き声も、全部雨に紛れて目だたへん。
千歳「あああああ…ああああん…!」
恵みの雨や。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:08:11.08 ID:xhDKh32qo<> ―――
ザァァァ…
あかり「…雨かぁ」
昨日の夕方から降り続く雨。
しばらく降り続くらしく、朝から憂鬱です。
でも、凹んでばかりじゃいられません。
あかり「…よしっ!お団子セット完了!」
…なぜなら、私には待ってくれる人が居るから!
あかり「ごめーん!皆、お待たせー!」
櫻子「遅いっ!」
向日葵「遅いですわ!」
あかり「だ、だからごめんってぇ!」
…私、赤座あかり!元気印の一年生! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:08:49.78 ID:xhDKh32qo<> バチャバチャバチャ…
櫻子「もー最悪!なんでこんな雨の中走んなきゃいけないのー!?」
向日葵「全くもって不本意ながらこればっかりは同意ですわ!」
向日葵「赤座さんらしくもない!こういうのは本来櫻子の役回りでしてよ!」
櫻子「おおい!そりゃどういう意味だコルァ!」
あかり「…えへへ…」
櫻子「あかりちゃんも!何笑ってんのさ!一体だぁれのせいで…!」
あかり「えへ、ごめんね…」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:09:15.75 ID:xhDKh32qo<> バチャバチャ…
あかり「…雨の日でも隣を一緒に走ってくれる人が居るのって、やっぱり幸せだなって」
向日葵「…」
櫻子「…」
あかり「…えっと、あのー」
ギュッ
あかり「さ、櫻子ちゃん!?向日葵ちゃん!?」
向日葵「二人とも、このままじゃ遅刻ですわ。急ぎますわよ!」
櫻子「ガッテン承知!」
あかり「ちょ…待ぁー!」
バチャバチャバチャ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:11:05.79 ID:xhDKh32qo<> ―――
ザァァァ…
パシャ…パシャ…
千歳「…」
千鶴「…」
一つの傘に、二つの体。
身を寄せ合って歩く。
千歳「千鶴、ごめんな…昨日はまた、迷惑かけて…」
千鶴「気にしないで。お互い様だから」
ふ、と優しく微笑む千鶴。
自分には出来た妹だと、つくづく思う。
千歳「ふふ、優しいなあ、千鶴は…」
千鶴「そ、そんなことないよ」
可愛い妹。
親しい者がどんどん減って、あるいは遠ざかって、彼女の自分の中に占めるウェイトがどんどん大きくなっているのを感じる。
皮肉という言葉は、つくづく自分に縁が有るらしい。
千歳「隣に一緒に歩く人がおるっていうんは、やっぱり大事なことやなあ」
千鶴「…姉、さん」
せやから、そんな悲しい顔、せんとってや…
ザァァァ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:11:36.80 ID:xhDKh32qo<> ―――
キーンコーンカーン…
あかり「ふぅー…終わったぁ」
生徒A「ばいばーい、あかりちゃん!」
生徒C「気を付けてかえれよー」
あかり「あ、うん!ばいばい!また明日!」
向日葵「うふふ…」
櫻子「ちょ、やめてよその不気味な笑い」
向日葵「いい加減ぶちかましますわよ…」
向日葵「…あかりちゃん、すっかり元通りって感じですわね」
櫻子「んー、そだね。一時はどうなる事かと思ったけど。立ち直ったみたいで良かった良かった」
向日葵「うん…」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:12:07.54 ID:xhDKh32qo<> 向日葵「…でも、」
櫻子「…『まだ』って言いたいんでしょー…?」
向日葵「ええ…関係ないと、ただの偶然と信じたかったのですけど」
櫻子「ここまで顔を見ないとなると、もう確定でしょ…」
向日葵「…やっぱり、そう思いますか」
生徒会一生真面目な彼女が、執務を何もなしにここまですっぽかすとは考えられない。
あの凄惨な事故は、私たちの思った以上に深刻な禍根を残していったのだろう。
杉浦先輩。彼女は、今何を? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:18:25.88 ID:xhDKh32qo<> 向日葵「…」
櫻子「…」
あかり「ひ、向日葵ちゃん?櫻子ちゃん?聞こえてるー?」
櫻子「うわっ!あかりちゃんいつの間に!?」
あかり「ちょっと前から居たのに…酷い…」
向日葵「あ、あああかりさん…ごめんあそばせー、ちょっと考え事ですわ、おほほ…」
あかり「そ、そうなんだ…」
櫻子「…ま、まあともあれ!さー帰ろう!ちょうど雨も一服してるし」
向日葵「で、ですわねー!」
あかり「あ、そのことなんだけど…ちょっと今日は一緒に帰れないんだ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:18:51.57 ID:xhDKh32qo<> あかり「生徒会に用事があって…しばらくかかるかもしれないから、先に」
櫻子「えー、そうなの?」
向日葵「…生徒会室に、ね」
櫻子「まあそういうことなら仕方ないか。あかりちゃんじゃーね!行くぞ向日葵!」
向日葵「え、ええ…さよなら、赤座さん」
あかり「うん、ばいばい、向日葵ちゃん、櫻子ちゃん」
ガララ…
あかり「…」
立ち直った…かどうか、まだ自分でもはっきりしないけど。
少なくとも、私を今の状況に立て直してくれた直接の継起は、
あかり「…池田先輩」
お礼、言わないと。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:19:30.52 ID:xhDKh32qo<> コンコン
ガララ
あかり「失礼します」
千歳「あー、赤座さんやぁ」
部屋の奥から、先輩が駆けてきた。
生徒会室には、今は千歳先輩しか居ない。
…ヒトって、不思議なものだと思う。
同じような光景が、たった数日でこんなに違って見えるなんて。
あかり「あ、あのっ!先輩!」
思わず直立する。
千歳「は、はいい?」
つられたのか、先輩もピシッと立った。
…ともかく。
あかり「―ありがとうございましたぁ!」
身体を思いっきりくの字に折り曲げて、感謝の意を示す。
千歳「はへ…?」
先輩は、あっけにとられていた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:20:02.56 ID:xhDKh32qo<> …いけない、これじゃ、あかり只の変な人だよ!?
あかり「い、いや、これはそのそういうのじゃなくて、違うんです!?」
千歳「あ、赤座さん落ち着いて!」
あかり「は、はい」
あかり「えと、先日池田先輩に諭されたというか、慰められたというか…なんですけど」
あかり「…お陰さまで、ほんとに、先輩のお陰で、いろいろ気付く事が出来ました」
あかり「…皆と仲直りも、できたんです」
千歳「あ…」
あかり「で、ですからっ、あの、上手く言えなくてごめんなさい…でも」
千歳「…」
あかり「…本当に、ありがとうございます」
二度目のお辞儀は、深々と。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:20:28.31 ID:xhDKh32qo<> ―――
ぼうっと、お鍋の底から泡がわいてくるような。
じわりと、でも確かな熱を持った衝動だった。
あかり「…あ、あの、じゃ私、これで!」
赤面して踵を返し、この場から去ろうとする赤座さん。
娯楽部一のお人よし。
立ち直り、いや、この切り替えの素早さは、芯が強い?
違う。この子が内に秘めているものは、全く異質の何かじゃないのか?
お人よしのベールの包まれて、外から見えないところに隠し持った何かがある。
綾乃ちゃんが、唯一反応を示した単語。人名は…
雑多な思考が頭の中を駆け巡った。
うねりを持った支流がまとまって、一つの思念と行動に行きつく。
この子しかいない。
あかり「…え?」
素早く伸びた自分の腕は、あかりちゃんのそれを捉えた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:24:23.71 ID:xhDKh32q0<> 先輩は、ため込んだものを吐き出すように、語ってくれた。
その内容の全てが全て、想像もしていなかったものだった。
杉浦先輩、最近見ないと思っていたけど。そんな。
曰く、
自分の部屋に鍵をかけ、籠城中。
もうずっと学校には来ていない。当然、生徒会にも。
ドアは、食事の差し入れとトイレに出るときと、その他のわずかな諸用の時以外、開かない。
たまに部屋から出てきた時も、ご両親によると、無暗に喋りかけると癇癪を起こして自傷するので、手が出せない。
池田先輩も呼びかけているけど効果はなし。
理由は恐らくというか間違いなくあの事故、あるいは…京子ちゃんの、死。それだけに、手荒な真似も出来ない。
万事休す。
…そして。
千歳「…赤座さん、赤座さんの話を出した時だけな、部屋の中で、綾乃ちゃんが動く気配がするねん」
千歳「思い出させるような事言うて悪いけど、娯楽部で残った最後の一人やから、綾乃ちゃんにも思うところがあるのかもしれへん…」
千歳「…無駄足踏ませたり、あかりちゃんの古傷開いてしまう可能性も、十二分にある」
千歳「…せやけど、せやけどもう…私には、赤座さんしか分からん…!浮かばへんから…!」
千歳「お願い…!どうか、この通りやから、どうか会って、話をしたげて…!」
土下座しようとする先輩を、慌てて押しとどめた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:24:50.84 ID:xhDKh32qo<> 先輩を出来るだけ優しく抱きとめて、背中をさすりながら考える。
…私は、やっぱりバカだ。
自分のことで手いっぱい。
自分以外に目を向けて、考えることなんて、結局出来ていなかったじゃないか。
現に、目の前の池田先輩の窮状さえ、全く理解してあげられていなかった。
こんな、こんなにも。
こんな行動に走るほどに…参っていたっていうのに。
あかり「…先輩」
千歳「…ううっ、何や、決めてくれたん…?」
あかり「はい」
こんなんじゃ、娯楽部メンバー失格だよね。
…今度こそ。
慢心したりしないから。見逃したりしないから。
あかり「私、会います」
あかり「会って、説得しますから」
千歳「…っく、ううううっ…!」
抱擁は強く。
先輩は、しばらく私を離してくれなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:25:42.82 ID:xhDKh32qo<> …
厚く空に張った雲が、夕焼けを殺している。
天気は再びぐずりだしていた。
あかり「…ここが」
千歳「うん。…綾乃ちゃんのお家」
チャイムを押し、反応を待った。
千歳「あかりちゃん、今からでも…」
あかり「えと…『お互い様』です。先輩」
大体何を言うか目安は付いていたので、先手を打っておく。
千歳「…」
ポカンとする先輩。
千歳「うふふ、せやね、せやった」
あかり「…あははー」
…合ってた…かな?
先読みってドキドキする。
外したら…考えただけで恥ずかしすぎるよ。
ガチャリ。
解錠されたドアが開き、中から杉浦先輩のお母さんが現れる。
先輩が二言三言私について説明すると、あっさり中に入れてくれた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:26:26.16 ID:xhDKh32qo<> 家に上がった。
すぐに目の前に現れた廊下の不自然な薄暗さは、天気のせいだけではないだろう。
勝手知ったる、という風に、先輩はこなれた足取りでその先へと進んでいった。
それを複雑な思いでぼけっと見ていると、
千歳「…こっちやで」
声がかかってようやく気が付き、慌てて駆けた。
いけないいけない!
…
タン、タン、タン
ギシッ、ギシッ、ギシッ…
階段に、二人分の足音が響く。
前には池田先輩。
…一段一段上がるにつれて、足が重くなるような感覚。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:26:51.83 ID:xhDKh32qo<> 千歳「…ここ」
あかり「…は、い」
ある程度、覚悟はしてたけど。
目の前にはドア。
中からは、物音ひとつ聞こえない。
目を瞑って、杉浦先輩の事を思い出した。
明るくて快活、とっても優しくて、話しやすい人。
幸せな将来を感じさせて仕方なかった。なんというか、オーラがあるというか。
頭もいい。独特の立ち振る舞い。そういえば、京子ちゃんにだけやけに突っかかってたなあ。
…そんな、杉浦先輩が。
ドア一枚挟むだけで、なんて遠い。
目を開けた。
千歳「…」
池田先輩が、こっちを見て頷く。
あかり「…」
…えっと、どうしよう。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:28:22.18 ID:xhDKh32qo<> 大口は叩いたものの、いざここに来て何をしていいか分からない。
あの池田先輩ですら、どうにも出来なかった。
親友の池田先輩が。
曰く、私の名前に反応したそうだけど、果たしてそれが偶然でなかったのかどうか。
…無視されるのは、嫌だな。
だめだめ!
何もしないうちから弱気になってどうするの!
ぺちっと、あまり音をたてないように、両手で頬をはたいた。
怪訝そうにこっちを見る池田先輩。
改めて、動じる気配もなく鎮座するドアに向き直る。
何をするかなんて。
決まってる。まずは自己紹介だ。
あかり「―杉浦先輩、聞こえますか?」
一拍。
あかり「…あかり。赤座、あかりです」
言い終わるか否かのうちに、部屋の中で何かが動くのを感じた。…そして、
カチャッ。
鍵は、あっさり開いた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:28:47.70 ID:xhDKh32qo<> キィ…
軋むような音とともに、扉が開く。
…5cmくらい。
ひゅっ。と、後ろで池田先輩が息を飲んだのが分かった。
成功した?これだけで?
…いや、でも。
あかり「…あ、あの…すぎうら、せんぱい…?」
開くというか、隙間ができたというか。
それきりだ。何のアクションもない。二度目の呼びかけにも、返答はない。
心を決めて、一歩、二歩。前へ。
やっと出来たであろう隙間を広げるべく、そっとドアの取っ手を握った。
冷を感じた。
手首を掴まれたと理解するのに、少しかかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:29:23.46 ID:xhDKh32qo<> あかり「…ひっ!」
身が凍るような冷たさに、思わず身が竦み、情けなくも内股になった。
手。掴まれた。誰に?決まってる。
…杉浦先輩。
反射的に振りほどきそうになったのを、ぐっと押しとどめた。
乾いた口から何を飲み込むでもなく、喉を鳴らす。
そうだ、何を怖がってるんだろう。
冷たいって。個人差だ。何もおかしい事なんて、ない。
私の手を掴んだまま微動だにしない、異様に白い右手から極力目を背けつつ、3度目の呼びかけ。
あかり「杉浦先輩、返事を、」
蝶番が唸った。
綾乃「入って」
声が聞こえるのとほぼ同時だった。
手首に力がかかった。
否応なく、反応する間もなく。
吸われるようにして、私は部屋の中へ引き摺り込まれた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:30:06.00 ID:xhDKh32qo<> ―――
ぐらり。
赤座さんが姿勢を崩した。
あっ、と思ったその瞬間、私の目に、確かに映った。
やつれていたけど。ぼさぼさだったけど。
綾乃ちゃんの、綺麗な濃紺の、髪の毛。
…ああ。あああ。
私の体に自由が戻ったのは、酷な事に。
パタン、カチャリ。と、ドアが完全に閉められた音が聞こえてからだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:30:34.83 ID:xhDKh32qo<> 鞭で叩かれた様な衝撃が私を打った。
よろめいて、足が踊りだした。
自分が一世一代の機会を逃した事を、ようやく悟った。
千歳「…あかりちゃん?」
居なかった。
彼女「ひとり」飲み込んで。
…さっき、確かに開いていた筈の「岩戸」は、すでに口を閉じ、沈黙していた。
千歳「…そんな」
あるいは飛びつけば。
千歳「…そんな、そんな!」
中に入って…
千歳「…待っ、待ってよ!あ、ああ!綾乃ちゃん!もっかい、開けてぇ!!」
顔だって、見れたかもしれないのに。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:31:27.49 ID:xhDKh32qo<> ―――
ドン、ドンドン。
扉を叩く音と、誰かが何かを叫ぶ声。
何か大事なことのように思ったけど、全てが遠かった。
ただ、目の前の情報を処理するのに必死だった。
あかり「…」
「…」
最初は何だか分からなかった。
目が暗さに慣れるにつれ、良く見えるようになって、もっと分からなくなった。
唇は青く。顔に色はなく。
しかし、目だけは猛禽の如く爛々と光り。
さらさらと流れるようで、長くて綺麗だった髪の毛は、鳥の巣のように荒れ、枝毛だらけで。
近くを通るたびに感じたあの甘い香りも漂って来ない。
臭くはない。命の躍動を感じさせない、無臭。
つんのめるように床に倒れ込み、ぺたんと尻もちをついた体勢もそのままに、
私は、私の眼前に立つのが一体誰なのかを全力で考えていた。
答えはすぐ出た。
でも、すぐ消した。記憶と何一つ一致しないし、それを信じたくもなかった。
「いつぶりかしらね…赤座さん」
…ああ。
声だけは、あの日と一緒なんだ。
受け入れないと、いけないのか。
気だるく、動こうとしない唇を必死で使役し、問う。
あかり「…すぎ、うら…先輩…?」
杉浦「…」
ゆっくりと、相手の首が縦に振れた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:32:31.53 ID:xhDKh32qo<> パタパタと、雨戸に水が打ちつけられる音がする。
いつの間にか、外では雨が降り出していたらしい。
綾乃「…」
あかり「…っ」
静寂。
ドアが叩かれる音は、既に止んでいた。
綾乃「…会って、話がしたかったの」
あかり「…は」
沈黙を破ったのは、杉浦先輩。
予想外の言葉に、ちょっと驚く。
綾乃「元気そうね…赤座さん」
くっ。と、杉浦先輩の口角が吊り上がった。
背筋がざわつく。
目は、笑っていなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:33:21.06 ID:xhDKh32qo<> 綾乃「元気そう。ふふ。急に一人ぼっちになって、塞いでないか、心配してたのよ」
言葉に、感情の色は乗っていない。
あかり「…あ、は、いえ。ちょっと、そんな時も…ありました、けど…」
怖い。
でも、言わないと。
杉浦先輩は、このままじゃいけない。
あかり「…そう。確かに、京子ちゃん、結衣ちゃん、ちなつちゃんが居なくなって…もう、どうでもいいやってなった時も、あったんです」
京子ちゃんの名前を出した時、先輩が小さく反応した事に、私は気付かなかった。
あかり「でも、『皆』が助けてくれました」
あかり「…向日葵ちゃんとか、櫻子ちゃんとか。クラスの皆や…お姉ちゃんに、お父さんお母さん」
あかり「…それに、池田先輩」
先輩が、視線を床に落とした。
あかり「勝手に一人になったつもりでいたけど、違ったんです。私は、自分の知らない所でずっと助けられてた」
綾乃「…」
先輩は俯いたままだった。
私からは、表情も見えない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:33:46.39 ID:xhDKh32qo<> 姿勢を正し、正面に向き直った。
話を続けた。
あかり「先輩、先輩はきっと、ちょっと前までの私と一緒なんです」
あかり「ほんの少しでいいんです。少しだけ立ち止まって、周りを見て」
自分の台詞が先輩に届いていると信じて、喋り続けた。
あかり「先輩の事で、心を痛めてる人がすぐ傍にいます。だから…」
綾乃「…」ブツブツ
あかり「…京子ちゃん達ののことも―」
ガシッ
あかり「―え?」
それは、誤りだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:34:17.92 ID:xhDKh32qo<> ドンッ
あかり「っう!」
背中に衝撃。
びっくりするくらいすぐ近くに、杉浦先輩の顔があった。
その遥か後ろには、薄ぼんやりと、天井らしいシルエットが。
ひっくり返され、床に押し付けられていた。
あかり「す、杉浦先輩…!?」
突然の事に意味も分からず、狼狽する。
あかり「あ、あの…!」
綾乃「…赤座さん」
私が発言するのを遮るように、優しく、先輩が私の名前を呼んだ。
あかり「…あ、う…」
ショートパンツから延びる足。
それが、艶っぽく、私の足と足の間に入り込んできた。
綾乃「皆、皆…ね。立ち直ったのね、赤座さんは」
先輩の手のひらが、私の肩から胸へ、そして鎖骨へと、順を追ってなぞるように動く。
力の問題ではない。
…ただ圧倒されて、動けなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:34:43.36 ID:xhDKh32qo<> あかり「あ、私…」
綾乃「予想してたのと、違ったわ。…あなたは、って思ってたんだけど」
返答は求めていなかったらしい。
だんまりを貫く方がいいのだろうか。
あかり「…っ」
綾乃「赤座さん…」
足は、更に深く。もう、私のスカートを巻き込んで、太股の上端まで入り込んできていた。
先輩が上体を震わせ、心なし、身体を反らした。
足はいよいよ来るところまで来た。
残された一本も使って、先輩の両足が私の下半身をホールドする。
意思を持った蛇のように、腕は、緩やかに上へ登り…
綾乃「貴方も、千歳と同じなのね」
掌は私の首を覆い。
あかり「…ッ!!」
気付いたころには、もう遅く。
親指は、私の気管を捉えていた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:35:20.62 ID:xhDKh32qo<> 綾乃「皆…あっはは、皆ってえ」
状況の全てが最悪だった。
足をばたつかせようが、逃れられない。
手で手を掴んで引き剥がそうとするが、非力な私では抵抗らしい抵抗にならなかった。
涙が滲み、呼気を得ようと、喉が必死にひくつく。
だらしなく口も開いていた。情けなく、涎の一つでも垂らしていたかもしれない。
死の危険から逃れる。
唯そのためだけに、身体の全てが全力を出していた。
そんな中でも、先輩の言葉は自然と私の脳に染みわたった。
綾乃「…赤座さんだけは別だと思ってたのに。親友だったんでしょ…?歳納京子の…」
綾乃「立ち直るって。簡単に言うわ。忘れるってことでしょ。あなたの親友のこと。吉川さんの船見さんの、歳納…京子のことッ!!」
ミシッと、音がした気がした。
指に、更に力がこもったのを感じた。
綾乃「薄情者っ!なんでぇ!?何でなのよ!何でそんなにあっさり!…周りにほだされて!忘れられるのよお!!」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:36:38.31 ID:xhDKh32qo<> 目が霞み、手足が痺れてきた。
力が全身から抜けて行くようだった。
助けて、と。叶うものなら、叫びたかった。
あかり「―っ、―!」
ポタリ、と頬に、何かが落ちてきた。
奇跡か偶然か、その一瞬だけ、私の意識は確かに覚醒した。
綾乃「―嫌っ!いやぁ!離れたくないのにっ!!何でっ!?忘れないであげてよお!うう、あああーっ!」
…瞳の奥に、ドス黒い炎を燃やしながらも。
先輩は、顔をくしゃくしゃに歪め、泣いていた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:37:07.78 ID:xhDKh32qo<> …ああ。
もう、いっか。
そう思って、全部諦めて委ねようとしたしたその時、先輩の手から力が抜けた。
綾乃「…うっ、うっ…うっ…」
だらんと、肩から力を失った先輩の腕が垂れさがる。
涙が頬に落ちてきて、私のそれと混ざった。
あかり「…」
しばらく経って、すっと先輩は立ち上がった。
私に背を向け、帰って、と涙声で一言残し、座り込んで動かなくなった。
しばらく何も考えられなかった。
さらに間をおいてようやく復帰した私は、ふらふらと立ち上がると、おぼつかない足取りで歩きだした。
解錠してドアを開ける、その作業すら億劫だった。
ここから去りたい。
その一心だった私は、来た時の2倍くらいの時間をかけて階段を下り、廊下を戻り、玄関へ辿りついた。
道中、振り返る事は一度もなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:37:54.90 ID:xhDKh32qo<> ガチャッ
ぱらぱらと雨模様の天気。
門の向こうには池田先輩がいた。
杉浦先輩のお母さんに、背中をさすって貰っているのが見える。
近づくと、向こうもこっちに気付いたらしい。
先輩が凄い勢いで振り向いた。
期待に満ちた、しかし縋るような目。
…ごめんなさい。私は、逃げ出してしまいました。
私は俯いて目を反らした。
情けなさに、死んでしまいそうだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:38:38.77 ID:xhDKh32qo<> ―――
私の泣き声を聞き付けた綾乃ちゃんのお母さんに連れられ、玄関から外へ出た。
その後もだいぶ長い事、泣いていた。
お母さんは、ずっとそばに居てくれた。…ああ、私は周りに迷惑をかけてばっかりやなあ。
しばらくして、後ろから誰か近づいてくる音がした。
一人分。
…あかりちゃん!
私の、綾乃ちゃんの、恐らく最後の希望。
どうなったんだろう?
勢いよく反転した私の目に、あかりちゃんの顔が映った。
私は、今度こそ絶望した。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:39:04.54 ID:xhDKh32qo<> ―――
帰ってシャワーを浴びて、晩御飯を食べて、すぐベッドに潜った。
…お父さんお母さんお姉ちゃん、ごめんなさい。
あかりはやっぱり、最低の人間でした。
自責で潰れそうだった。
あそこで、一時の感情なんかに流されずに、説得を続けていれば。あるいは…
だめ!
もしたらればに走りそうになる思考を、頭を振って追い払う。
結果的に、ベッドにおでこが擦れて痛かった。
あかり「…」
…痛い、か。
だが実際、もうあんなチャンスは巡ってこないだろう。
もう一度出向いたとして、彼女の期待に添えなかった私をまた入れてくれるとは思えない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:39:33.79 ID:xhDKh32qo<> ひとつ分かっている事がある。
会ってみて、台詞を聞いて、感情をぶつけられて、確信した。
杉浦先輩には、立ち直る契機が必要なんだ。
私の場合、それは池田先輩との会話だった。
遅かれ早かれの差はあれど、そういうきっかけさえあれば、悲しみを乗り越えて、また空に向かって背を伸ばすことができるんだ。
ヒトっていうのは、そういう風に出来てるんだ。きっと。
しかし、その小さなきっかけを掴むのは、今の彼女では難しい。
私には土壌があった。
気が進まずとも、上っ面ながらも学校へ行って、人と話す機会もたくさんあった。
杉浦先輩にはそれがない。
部屋に引きこもって鍵をかけ、心を閉ざして、人との関わりとは程遠い。
…そうして、恐らく、亡き京子ちゃんの幻に囚われながら、生きている。
あかり「…せんぱい…っ!」
駄目。ほんとうに、それじゃいけないのに。
このままじゃ、あの人は戻れないところまで行ってしまう。
そうして、多分最後には― <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:40:04.73 ID:xhDKh32qo<> あかり「…っ」
嫌な想像を、もう一度頭を振って追い出す。
考えを、今後の対策の考察に戻す。
あかり「…どうしたら…」
しかし、分からない。
会えないし、会ってどうするかも思いつかない。
あかり「…」
ともかく、もう一度行ってみよう。
駄目かもしれないけど。
…いや、きっと駄目だろう。なんせ…
あかり「…池田先輩」
今なら、あの人の気持ちが分かる。痛いほどに。
ひとまず考えにふけることを止め、私は寝た。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:40:33.15 ID:xhDKh32qo<> ―――
寒い。
透き通って綺麗だったお風呂の水が、すごい勢いで赤に浸食されていく。
命が流れ出てる…ゆう表現。
どうも鼻持ちならんと思ってたけど、成程、こういうことなんか。
しっくりくるなあ。
最初は熱かった両手首も、じわりと温度を下げていって、今では冷たいほどになっている。
…言うて。自分が浸かっるんがお水ゆうせいやろな。
終わりが近いのだろうか。
全身の感覚が混ざり合って、意識も怪しくなってきた。
自分が望んだことだ。仕方ない。
今更怖くなんて、なっちゃいけない。流れる涙は全部ウソ。
…しかし、せめて。
…綾乃、ちゃん。
最期に親友の笑顔を思って逝くくらいは、神様も許してくれるんじゃないかな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:41:21.28 ID:xhDKh32qo<> ―――
姉さんが、真っ赤な浴槽の中で沈んでいた。
絶叫した。
腰が抜けていたので、電話までたどり着くのに苦労した。
涙と鼻水が止まらなくて、救急の人に、なかなか事情を伝える事が出来なかった。
救急車が来るまでの数分のうちに、私は失神した。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:42:12.73 ID:xhDKh32qo<> ―――
低気圧は日本列島に根を張ったらしい。
今日も天気は落ち着かない。
あかり「…」
雲が嫌いなわけじゃないけど、ずっと続くと流石に気が滅入る。
下を向いて歩く。
櫻子「…ね、ねえあかりちゃん…?」
あかり「…」
向日葵「赤座さん?」
あかり「ひゃひぇっ!?」
普通に話しかけられただけなのに、びくっと身体がのけぞった。
気付かなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:42:39.47 ID:xhDKh32qo<> 櫻子「えー…向日葵には反応すんのかよ…」
あかり「…あ、あはは!ごめんね!ちょっと考え事してて!」
向日葵「…」
櫻子「…」
あかり「…あは、はは…」
向日葵「…また、何かあったんですの?」
あかり「…」
…やっぱり分かっちゃうんだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:43:10.38 ID:xhDKh32qo<> 仕方ない。
正直に、ちょっとだけ話そう。
あかり「…杉浦先輩のことで、ちょっと、ね…」
櫻子「…あー」
向日葵「…なるほど」
あかり「?」
櫻子「知っちゃったか」
向日葵「知ってしまいましたのね」
はあ、とため息が二つ。
これは…
あかり「生徒会なのにって思ってたけど…やっぱり知ってて隠してたんだね…あかりに」
向日葵「あ、いや、その…」
櫻子「あう…えと、ごめんね?やっと普通の生活に戻ったばっかりだっていうのに、余計な心配させるわけにもなって…向日葵と」
向日葵「…ええ」
きまり悪そうに目配せする二人。
そういうつもりじゃなかったんだけど…
あかり「あ…ううん!怒ってるわけじゃないよ?」
櫻子「そか!なら良し!」
向日葵「櫻子…」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 21:43:38.75 ID:xhDKh32qo<> ついでに、ひとつ確認しておく。
あかり「…二人とも、あれから先輩に会った?」
向日葵「…いいえ。ずっと家にいるって聞いて、会いに行ったんですけど」
櫻子「つい昨日ね。そういう話になってさー。…でも、部屋に入れてくれないどころか物音ひとつしなくて」
向日葵「やっぱり事故のせのか…って。それに、最近千歳先輩も心なし元気がありませんの」
あかり「…」
櫻子「杉浦先輩があんなになっちゃうなんて…」
櫻子「…なんか、私やだよ」
向日葵「…ええ」
二人の表情に影が差す。
…そうか、やっぱり櫻子ちゃんも、向日葵ちゃんも…
あかり「えと、ごめんね。あかり、嫌な事聞いちゃって」
向日葵「ん…構いませんわ」
櫻子「もとはと言えば、言わなかったこっちだもんね。問題は」
あかり「ううん、そんな…」
その後は、会話はいつもの世間話に移って行った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 21:45:00.35 ID:Au1007Ywo<> 完 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/27(火) 21:45:59.53 ID:b+CSqBho0<> 続き! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2011/09/27(火) 21:46:09.15 ID:dD9ijM6qo<> これはコピペしてるだけ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 21:48:19.52 ID:Au1007Ywo<> ここまでコピペ
ここから続き <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2011/09/27(火) 21:48:33.34 ID:Wqpst5RHo<> 完じゃないよ
つづきはこれから
あと、今はコピペしてるだけ
>>1はとりあえずSS速報に移動しただけ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/09/27(火) 21:54:40.46 ID:nSqoxVbUo<> アカリワンワンダー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/09/27(火) 21:59:08.01 ID:bv9HytVw0<> 期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 22:05:55.82 ID:glb5Vc94o<> 期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage<>2011/09/27(火) 22:06:36.14 ID:YMqoFM6Vo<> 待機 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage<>2011/09/27(火) 22:07:19.80 ID:YMqoFM6Vo<> 待機 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/09/27(火) 22:07:59.10 ID:PQv1RqLbo<> 待機 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/09/27(火) 22:12:40.60 ID:I28FJf7Z0<> 待機 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/09/27(火) 22:16:11.02 ID:7Y2LbxgK0<> 完 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/09/27(火) 22:24:22.62 ID:F7ucr5S3o<> なんでss速報なのにこんなに無駄レスが多いんだよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/27(火) 22:28:02.01 ID:b+CSqBho0<> vipから流れてきてるからss速報の仕様知らないんだろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/09/27(火) 22:43:41.88 ID:/lxfePIBo<> 今読んだ
元スレ分も貼り付けてくれてありがたい
続き期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/27(火) 23:19:44.79 ID:xhDKh32q0<> 用事が終わりそうにナイス…
遅くまでかかりそうなので、今日は厳しいかもしれません
拙いものになりそうですが完結はさせます
明日も来ます <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/09/27(火) 23:23:54.98 ID:b+CSqBho0<> >>94
頑張れ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 23:34:18.94 ID:6t/nI1ZDO<> あっちから今北
>>1来るの舞ってる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/27(火) 23:49:43.72 ID:fgY32N2Oo<> /
わ あ \
ん か )――……― 、
わ り / > 、
ん く ( {三>
だ \二^ヽ . / <;;;>\―''\
| )三.} } / 人,,イ_|__\
! /ミニソ !二コ~ | |\:.:.:.:.:\|
\ く /|:.:.:.:.乂_ノ:):.:|:.:.:.\:.|
/三三へ_> /|:.:.:.!:.:.:.::|:.:.:.:.:.:/ート:.:.:.:.:r}
i三三/ .イ:.:.:.ヤ丁~Vヽ:.:.:./ >=ミv:.:.:.:|ム
.三三{ .イ:.|:.:.:.:i|≫≠ミ 人/ ハノ;;}〉:.:.:.:!三!
.三三{ ./:.:|:.:|:.:.:.:.|Λノ;;;,}` 弋ソ }:|ハ|三}
.三三{ .7.:.:.:.:.ト、:.:.:|! 乂.ソ ,,, |:.:.:|ノニノ
ハ三ハ |ミ:.|:. !:.ヽ:.:\ ,,, _ ' .ィ'|:.:.:!リ
く >リヽ\:.\:.:フ ( ノ ィ<ノ:ノ|
Y^ィ^t\:.:.:\:.ヽ≧==≦ヲ /ヽ
ヘ| / //)-.…\ヽ >厶 ' r-、r-、
/三ニヽ / /○ \ \/i三i}
./三三三)ニ) / | | \ ⊂/三三} <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 01:00:34.06 ID:ULqQy8vIO<> 移ってたか
あかりわんわんお手。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 01:51:24.58 ID:WsWoykMwo<> 期待してるよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)<>sage<>2011/09/28(水) 03:00:08.09 ID:AXDJ4YxBo<> なにこれすごい期待している
あかりが主人公になるには、他の3人が死ぬくらいしないとダメか…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/09/28(水) 04:38:42.12 ID:aLJ9XtKO0<> 頑張ってくれ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 04:58:36.39 ID:bd5yM4+DO<> あっちでも読んでたが、あかりの存在意義って‥
もう綾千さくひまだけでも話、進みそうだな‥‥
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/09/28(水) 16:14:34.20 ID:wlGL3NK80<> 続きはまた明日 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 21:21:58.55 ID:nznVNIwto<> ザワザワ
ガララ
櫻子「とうちゃーく!余裕の5分前登校!」
向日葵「何を持って余裕と言い切りますの…?」
あかり「ふー…お話してたら遅くなっちゃったね」
ザワザワ
あかり「ってあれ…こんな時間なのに何だか皆騒がしいね」
櫻子「ほんとだー。何だろね?…何か事件かな!ワクワクしてきた!」
櫻子「―っしゃ!聞いてみよう!」
向日葵「ちょっと櫻子…言いづらい様な事だったらどうす…」
櫻子「おーい、皆えらいざわついてるけど一体どうしたの?」
生徒A「…あ」
向日葵「…全く」
あかり「…」
思えばその時点で、私は嫌な胸騒ぎを感じていた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 21:35:21.28 ID:nznVNIwto<> 生徒A「っと…あの、櫻子ちゃん…」
櫻子「な…何だよ変な顔して…」
生徒A「その『話』のことなんだけど…」
生徒C「…あー!居た!生徒会メンバー!」
生徒A「うわっ」
櫻子「…?」
向日葵「ちょ…櫻子!あなたまた何かやらかしましたの!?」
櫻子「ち、違うし!冤罪じゃー!」
生徒C「冗談言ってる場合なのー?不謹慎!聞いたよ!大変なんでしょ?今」
向日葵「え?」
櫻子「い、いや!ホントに知らないんだって!どうしたっていうのさ!」
生徒C「あちゃ、やっぱご存じないのか。先生方が緘口令でも布いてんのかな」
生徒A「当り前だって…直接聞いたって子も、実は西垣先生の話をたまたま盗み聞きしてただけだっていうし」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 21:58:22.37 ID:nznVNIwto<> 生徒C「そりゃあんな話、先生方が簡単に生徒にくっちゃべるわけないわなー。考えても見たら」
生徒A「…もう止めようよ。こんな、人の不幸で盛り上がるような…」
櫻子「んがー!何で私ら蚊帳の外になってんのさ!」
生徒C「うひっ」
櫻子「おーしーえーんかいー!」
生徒C「ちょちょちょ…分かった分かったって!私が言うのもなんだけど、他言無用でね」
生徒A「待ってよ、知らないなら無理に教える事も…」
生徒C「生徒会の子がふたりだよ?こんだけ広まっちゃったら嫌でもその内耳に入るって…」
生徒C「…ちょっとショックかもしれないけど、覚悟してね」
あかり「…っ」
C。
クラスではひょうきん者として知られている子だ。
…そんな彼女の、ここまで真剣な顔を、私は初めて目にした。
一応、噂として言っておくけど。と、前置きが据えられた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)<><>2011/09/28(水) 22:01:23.98 ID:Tzf98LA90<> 待ってたよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 22:18:44.48 ID:nznVNIwto<>
生徒C「2年の、池田千歳先輩なんだけどさ、」
一瞬が何倍にも引き延ばされた。
あかり「――」
ああ。やっぱりだ。
嫌だ。聞きたくない。
あの人は大丈夫だと、たかを括っていた。
いや、考えれば、ここでその名前が挙がっただけで『そう』だと自分の中で確信に近い予想を立てられる時点で。
…心の底では、気付いていたのかもしれないのに。
泣いている姿。助けを縋る姿。痛々しい笑顔。…突き放され、絶望した、あの表情。
全てが重要な要素だったことに、今更気付いた。
眼前の大きな岩に気を取られ、足元の小さな石ころを見逃していただけのこと。
…昨日、ベッドの中で、あくまで杉浦先輩における『可能性』として脳裏に現れた、最悪の結末。
今それが予想もしない形に姿を変え、死神の鎌となって、私の首に振り下ろされようとしている。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 22:23:55.89 ID:nznVNIwto<>
生徒C「昨日の夜、自宅のマンションの浴槽で、」
現実感が薄れて行く。
断頭台で死を待つ罪人と、自分の今がだぶり、頭の中で混ざって弾けた。
自分の全てに終止符が打たれる瞬間。
脳内に走った、実態のない抵抗も、懇願もむなしく、
生徒C「手首を切って、」
鎌の刃が、
生徒C「…自殺、したって」
振り下ろされた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 22:31:09.75 ID:nznVNIwto<> 知覚出来る何もかもが遠ざかって行く。
目の前のクラスメイトの顔すらも遠く、虚空へと飛んで消えた。
あれほど喧しかった教室内の喧騒も、今では静まり返っていた。
向日葵ちゃんか、櫻子ちゃんか。あるいはその両方か。
隣で誰かがよろめいて、倒れたような気がしたけど、現実だったかどうかは分からない。
ともかく、全部が不確かだった。
生徒A「―違うって!未遂だよ!未遂!」
だから、その時の私に取って、何より大事な一言を聞きもらしたのも。
痛恨とはいえ、当然だったと言える。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/28(水) 22:46:19.74 ID:nznVNIwto<> 現状がなんとか理解できる程度に回復したのは、朝のHRも半分を過ぎたあたりだった。
先生が、何の変哲もなく、毎日の変わり映えしない伝達事項を喋っている。
私は机に突っ伏していた。
…保健室じゃ、ない。ああ、気絶はしなかったんだな。
頭が痛い。
受け答えはちゃんとできたのかな。
櫻子ちゃんと、向日葵ちゃんはどうなったんだろう。
頭をもたげる気にはなれなかった。
腕の間からかろうじて覗く、酷くぼんやりとした世界。
かろうじて見えた、私の周りの机には、向日葵ちゃんも、櫻子ちゃんも。
ちなつちゃんも、居なかった。
教室の左隅。
私は一人、隔絶されていた。
…その日の一限目。
私は、生まれて初めて授業をさぼった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/28(水) 23:10:56.03 ID:7j2fsQ/Fo<> おかえり
続きはよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/09/28(水) 23:35:10.69 ID:huDMVCkio<> ss速報なので無駄レスは控えるように <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/09/29(木) 00:16:26.31 ID:NEgtSWVoo<> 春の陽気に誘われ、うつらうつらと眠りの世界へ舟を漕ぎだす。
そして眠りに入るといったまさにその時、何かの拍子に目を覚ましてしまう。
まさにあの瞬間だ。倦怠と覚醒の入り混じった不思議な浮遊感。
キーンコーンカーン…
あかり「…授業、始まっちゃったな」
学校の玄関で、後ろ手にチャイムの音を聞きながら、靴箱で自分の名札の掛かったマスから外靴を引きずりだし、履く。
トントン、と、ずれを直す。
あかり「…」
グラウンドに出る。
見上げるまでもなく、雲は依然分厚い層をなし、空を覆っている。
泣きだすのも、時間の問題だろう。
分かっていたが、急ぐ気にはなれなかった。
ゆっくりとグラウンドのど真ん中を横切って、正門から道路へと歩みを進める。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 01:49:50.98 ID:eOcI0cK+0<> 少女よ、これが絶望だ・・・ターンエンド <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 04:15:02.73 ID:wocuZGNDO<> 無駄レスするかしないかは>>1次第 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/09/29(木) 07:10:52.42 ID:tgTtZNvDo<> ここはVIPじゃねえんだよks <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 08:50:29.96 ID:J43mqmZIO<> 無駄レス禁止て…
ちょっと他のスレ見てきなよ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/09/29(木) 20:25:26.11 ID:wC7lYQeno<> 続きまだー? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/29(木) 21:55:54.19 ID:PttzdJRfo<> 保守が必要ないってのならわかるけど、合いの手はあってもいいだろう
一人旅ってさびしいもんだぜ
VIPに慣れてる書き手なら特に
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/09/29(木) 22:57:30.42 ID:KtX/iNmk0<> 1日何度もここに来てるけど更新される気配なくてしょぼん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/09/29(木) 23:39:24.20 ID:NEgtSWVoo<> 今日は書けなんだ…すまぬ…
明日の夜には <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県)<>sage<>2011/09/30(金) 00:09:29.33 ID:8W6k9PDAo<> 無茶すんなよ。
ここはVIPじゃないからまったりマイペースで書けばいい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/30(金) 00:24:15.58 ID:KdYDYUbdo<> でもココまで来て未完蒸発だけはやめてくれよな! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/09/30(金) 01:17:28.89 ID:XXBr2tll0<> 完結してくれればそれでいいよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/09/30(金) 01:44:02.18 ID:FDLzgYR3o<> VIPからこっちに移ってきたパターンだと大抵未完になる法則
このスレはそうならなければいいが <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)<>sage<>2011/09/30(金) 01:57:33.24 ID:y1FqBCrao<> ファイファイビーチ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/09/30(金) 21:15:09.76 ID:rjgZq93so<> レスが増えてると思って来てみれば全く更新されてないしorz
紛らわしい…無駄レス禁止とはいかないまでも感想とか応援位に留めてほしいわ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/09/30(金) 21:26:39.29 ID:ogmeLMZ6o<> お前が言うなよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2011/09/30(金) 22:58:33.85 ID:blUSuzkD0<> お前が言うなよ吹いたwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/30(金) 23:08:20.17 ID:gvTiio0DO<> \アッカリーン/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 00:20:00.42 ID:x/JFF1F2o<> 私は何をしたかったんだろう。
池田先輩に、私は何が出来たんだろう。
今では何の意味もない、過ぎ去った可能性の数々が脳裏に流れる。
仕方がなかったなんて言えるもんか。
私にしか出来ない筈だった事は、確かに存在した。
…大通りで沢山の人とすれ違う。
時間問わず交通量の減らない、幅の太い県道に入る。
トラックがすぐ側を通り過ぎた。
風が私を凪ぐ。
遠ざかって行く白の大型トラック。
歩みは止めず、小さくなっていくナンバープレートをぼうっと眺めていると、ふと落ちてきたかのように思い出した。
道路の側、左からちなつちゃん、結衣ちゃん、京子ちゃんと横一列に並んでいた。
解けた靴ひもを結んでいたため列から遅れた私に気付いて、結衣ちゃんが立ち止まり、振り返った。
少し遅れて、ちなつちゃんと京子ちゃんも。
―何やってるの、あかりちゃん?
―早くしないと置いてくぞ。
顔を上げて、酷いよ、待って。と返そうとした刹那、目の前を白い影が駆け抜けた。
時速数十の鉄の塊に、3人は、風に吹かれた枯葉のように巻き上げられた。
あかり「―っう、っぷ…!」
お腹の底からせり上がって来るものがあった。
慌てて身体をくの字に曲げて、両手で口を押さえて必死で耐えた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 00:40:52.83 ID:x/JFF1F2o<> 小雨が降り出した。
排ガスと雨の臭いが混ざった県道から逃げるように、左へ折れ、脇道へ入った。
ほんのちょっと前、池田先輩と来た道。
記憶を頼りに、それを辿る。
目的地はひとつだった。
…もうぜんぶ、ボロボロだ。
今すぐ足を折って地面に突っ伏し、大声で泣き喚きたい。
けど、その前にあとひとつ。
やり残したことがある。
…だって、あかり、池田先輩にお願いされたから。
せめて、それが終わるまでは…
あかり「…さぶい…」
ぶるっと小さく震えた。
しばらく歩き続けだったものだから、服も髪も小雨にじっとりと湿っていた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 01:10:28.84 ID:x/JFF1F2o<> 小雨は強まらず弱まらずだ。
構わず、住宅街に続く一本道を進んだ。
間もなく、着いた。
改めてお家を一望した。
私の立つ道路が低いのか、家の建つ土地が高いのか、私が下から見上げる形になる高低差。
私目線での目の前、すなわち地下一階相当部には、半分地面に埋まるようにしてガレージもある。
ここからでも、杉浦先輩が居る筈の部屋の窓が僅かに窺えた。
明りは点いていなかった。
玄関へ至る短い階段を、いっぽいっぽ踏み外さないように上った。
チャイムを押す。
ドアから出てきたのは、杉浦先輩のお母さんだった。
私を見るなり驚いた顔をして、少し慌てた風に私を中へと招き入れる。
なんだろう?と不思議に思って、自分のなりを再確認する。
疑問はすぐに晴れた。
あかり「…びしょびしょだよ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/01(土) 07:25:59.45 ID:cvbk1ki1o<> (´・ω・`) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/10/01(土) 11:38:50.30 ID:5Ot4fZWAO<> おぅ…。
なんだか救いの無いSSに出会ってしまったようだ。
でも続き気になる木。
頑張って完結してくだされ…。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 11:50:05.24 ID:x/JFF1F2o<> 手を引かれて居間へ入った。
ちょっと待ってて。と言い残して、先輩のお母さんは部屋の奥の引き戸から消えて行った。
すぐ戻ってきた。
はい、と差しだされたバスタオルで、頭と制服を少し拭いた。
突然押し掛けて、あかり、ほんとに迷惑な子だ。
なのに、こんなに良くしてもらって…
ああ。御礼を言わないと。
あかり「ごめんなさい、床、濡らしちゃって」
タオル、ありがとうございます。と付け加えた。
いいのよ。と、お母さんは一言、呟くように返してくれた。
何処から取り出したのか、二枚目のタオルでもって、制服の下から私の身体を拭いてくれながら。
ごしごし。
ぱらぱらぱら。
繊維と自分の身体が擦れる音、大きくなってきた雨粒が屋根を叩く音。
それ以外、何も聞こえなかった。
向かい合って二人。お互い、視線は会わせなかった。
先輩のお母さんは、私に何も聞かなかった。
家に来た目的も察してくれていたのだろう。
―ごめんなさいね。お礼言わないといけないのは、こっちよね。
大かた拭き終えたあたりで、ぽつりと彼女は呟いた。
いえ、そんな。と、とっさに返し、二の句が継げず唸っていると、
それじゃ。と残し、使い終わったタオルを抱え、彼女は居間から出て行った。
廊下へ続く扉は、開け放たれたままだった。
ささやかな厚意に感謝しつつ、私は廊下へ、その先の階段へと進んだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 11:59:27.19 ID:x/JFF1F2o<> …
タン、タン、タン
階段に、自分ひとり分の足音が響く。
前には、誰も居ない。
…一段一段上がるにつれて、足が重くなるような感覚。
…
階段を登り終え、見覚えのあるドアの前に立つ。
前にここに来た時と何も変わらない。
そういえば、あの時は「無視されるのは嫌」とか考えてて、一声を出すまで、だいぶ心の準備が要ったなあ。
今考えると、何てつまらないことで悩んでいたんだろう。
話しかけるなんて。
とっても簡単なことなのに。
あかり「―杉浦先輩、聞こえますか?」
一拍。
あかり「…あかり。赤座、あかりです」
…
反応はなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 12:12:31.54 ID:x/JFF1F2o<> ああ。
やっぱりなあ。
もう、開けてなんてくれないよね。
唯一…、って言ってくれたっけ。
唯一、自分と感覚を共有できる、あるいは傷をなめあえる相手として、私は先輩に期待されていた。
…それを、知りようがなかったとは言え、あんな形で裏切ったんだから。
一度取り払われた心の壁は、より厚く、より強固に回復し、私の前に立ちはだかる。
ぜんぶ逆効果だった。
先輩が人に心を開く事は、もう永遠にないだろう。
ただ閉じられた空間の中、夢の中で歳納京子と戯れ続ける。
今度こそ完全に、彼女の大事なものは全て、亡き京子ちゃんに取って代わられた。
あかり「…ごめんね」
…だからこそ、やりようは有る。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 15:43:22.79 ID:x/JFF1F2o<> 嫌だなあ。
一番嫌いな行為だ。こんなの。
京子ちゃんは、こんな私を許してくれるだろうか。
あかり「…杉浦先輩」
きっと、許しちゃうんだろうな。
京子ちゃん、優しいし。
あかり「やっぱり、出てきてくれないんですね。もう」
ちょっと困ったような笑顔で、
だって、しょーがないじゃん!とか、
気にしてないよん!とか、ちょっとおどけた感じで、私を慰めるだろう。
あかり「…先輩、せんぱい。あなたは、ホントに…」
悪いのは全部あかりだ。
あかり「いつまで、京子ちゃんに囚われてるつもりなんですか?」
ごめん。京子ちゃん。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 16:00:52.08 ID:x/JFF1F2o<> あかり「見てましたから。京子ちゃんは死にました。もう、この世の何処にもいないんです」
あかり「なのに、『そんなもの』に捕まって引きこもって堕落して、そんなのバカみたいです。」
あかり「なんの得もないです。賢い先輩ならわかるでしょ?」
あかり「捨て置けばいいんです。感傷なんて」
一言喋るたびに、身体のどこかを少しずつ、鉋で削ぎ落としているような錯覚に襲われる。
あかり「…そうだ!こんど、皆で遊びに行きませんか?」
あかり「…向日葵ちゃんとか櫻子ちゃんとか、千鶴先輩とか…千歳先輩とか。みーんな誘って!」
あかり「海でも山でも遊園地でも、きっと楽しいですよ!」
あかり「海…そうだ!ちょっと季節外れですけど、前、京子ちゃん達と一緒に行ったところ、いきませんか?」
声は震えていないだろうか。
見抜かれちゃ、元も子もない。
あかり「塗り替えちゃいましょうよー!ぜんぶ!生きてる皆で!」
あかり「ぱーっとね!忘れましょう!あはは!絶対楽しいですよ!」
中で、何かを叩きつけるような音がした。
あとひと押し。
あかり「うーん、でも、先輩がそんなところに篭ってるうちは無理ですよ」
あかり「こりゃ、無駄死にですね。京子ちゃんも」
内側から、ドアが蹴破られた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/10/01(土) 16:06:21.06 ID:oytIohsQ0<> あかり… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 16:38:24.11 ID:x/JFF1F2o<> あかり「…っい゛!」
鼻に火が走った。
叩かれたか殴られたか。
視界がぶれる。
綾乃「この…ッ!!」
歪んだ視界は、すぐ元に戻った。
目の前には、杉浦先輩の顔。
真っ赤で、涙を浮かべ、歯は折れんばかりに噛みしめられている。
激怒は、一目で見てとれた。
綾乃「あんた…っ!あんたはぁ!」
胸倉を引っ掴まれ、床に押し倒される。
ふと、ちなつちゃんとのキスの一件が蘇った。
…あはは。あかり、押し倒されてばっかりだな。
綾乃「何が幼馴染…!?何が親友よっ!?」
パァン!
弾けるような音。
首が慣性に従い左に回る。右頬が熱い。
今度は分かる。
平手でぶたれたんだ。
さっきの一撃で粘膜が弱っていたのか、鼻血がでてくるのを感じた。
池田先輩みたいだなあ。
状況にまるで見合わず、笑みがこぼれた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 16:50:19.52 ID:x/JFF1F2o<> 綾乃「何笑ってるのよ!?あんな…あんな無責任な事言っといて…!」
反論のしようもない。
綾乃「忘れられるわけないでしょう!?しかも…!」
綾乃「…あんたこそ、いつまでもあの子の事を覚えておくべき人間じゃない…!」
そうだね。
忘れるつもりなんて、本当はないよ。
綾乃「偲んで悲しんで落ち込んで!それの一体何が悪いって言うのよ!?あなたに私の何が分かるっていうの!?」
わかるよ。
言ったでしょ?今の先輩は、そのまま昔の私だもの。
忘れなくていい。ずっと覚えててあげるのも全然構いはしない。
少なくとも、悲しみだけは時間が解決してくれるから。
綾乃「許さないわよ…!あんただけは!一生!」
でもね、それで自分が不幸になっちゃいけない。
誰も幸せになれない。
不幸は伝搬するから。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/01(土) 16:53:56.88 ID:CCA+eygho<> 死んでも愛される人になりたいよ。
支援 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 17:00:00.08 ID:x/JFF1F2o<> 先輩。
あれから先輩を見る、あなたのお母さんやお父さん、友達、…池田先輩の顔を、見てあげたこと、ありますか?
綾乃「これだけは…ね、最後の一線だから…超えないようにって思ってたんだけどねえ、もう、いいわ。言わせてもらう」
―先輩が、亀裂の様な笑みを浮かべる。
あなたのは、故人を偲ぶのとは違います。
それはもっと厳かで、救われてないといけない筈です。
だから、酷かもしれないけど。
これ以上、皆を悲しませないために、
私も、告げさせてもらいます。
綾乃「あんたが、歳納京子じゃない、あんたが!赤座あかりぃ!!」
―先輩が、右手を振り上げる。
綾乃「あんたが死ねばよかったんだ!!!」
私は、口を開いた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 17:01:54.12 ID:x/JFF1F2o<> 淡々と。
全ての判断が、彼女に委ねられるように。
無機質な、機械の音声のように。
あかり「池田先輩が、亡くなりました」
一切の感情を殺し、私は言った。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 17:12:41.30 ID:x/JFF1F2o<> 振り下ろされようとしていた、右腕の動きが止まった。
綾乃「何、を、言ってるの」
怒りか、それとも別の何かからか、
先輩の体が、手先からじわりと震え始めた。
綾乃「殴られたくないの?あんたそれだけのために、そんな嘘を言うほど落ちぶれたの?」
後者だと信じたい。
表面上で認めようとしなくとも、きっと先輩にも、心当たりはある。
…ないといけない。
あかり「昨日、自宅の浴槽で、手首を切って、だそうです」
口調を一切変えず、抑揚も出さず。
綾乃「変な嘘言わないで」
あかり「見つけたのは、千鶴先輩です。救急車も、間に合わなかったんでしょうね」
表情も動かさず。
涙なんてもっての他だ。
綾乃「そんなこと有る訳ない」
あかり「理由なら分かる筈です。先輩」
ただ続ける。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 18:09:44.93 ID:x/JFF1F2o<> ふらりと、先輩の身体が揺らいだ。
綾乃「嘘よ」
あかり「本当です」
綾乃「嘘」
あかり「本当、です」
言い淀んでしまった。
何事も、一度崩れだしたら止まらない。
あかり「学校でも…噂になってて…!」
綾乃「…嘘」
あかり「ただの、噂です。千鶴先輩に、確認も取ってません…」
あかり「でもっ…わかっちゃうんです…嫌でも…!池田先輩、ここのところ、すごく…っ!」
涙が出てきた。
たまらず、手で顔を覆う。
あかり「弱ってぇ…可哀そうで…っ!」
綾乃「…う、そ」
あかり「先輩、先輩…!私、もうこんなの…嫌です…うああっ…!ああああっ!」
もっと、言いたいことはあった。
しかし、溢れる嗚咽はそれを許してはくれなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga sage<>2011/10/01(土) 18:46:42.27 ID:zbYoOgez0<> 悲しいけど気になってしまう内容だな… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/01(土) 18:59:05.31 ID:08kyvAmB0<> 久々に面白いss
支援 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/01(土) 19:16:40.77 ID:u5NS1gQIO<> しかし露骨にペース落としてきたな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2011/10/01(土) 19:52:35.78 ID:d/JXMTrU0<> は、早く続きを…ビクンビクン。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2011/10/01(土) 21:18:43.15 ID:oqc0UK/k0<> もの凄く面白いわ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/01(土) 21:32:35.06 ID:cvbk1ki1o<> (´;ω;`)ブワッ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2011/10/01(土) 21:53:26.86 ID:5Ot4fZWAO<> 何という焦らし上手…!
この>>1は出来るっ…! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<><>2011/10/01(土) 22:10:55.14 ID:ELq9FcNro<> 。゚(゚´Д`゚)゚。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/01(土) 22:16:24.57 ID:kZfHNGTW0<> 焦らし過ぎwアッカリーン達をこの悲しみから開放してあげてー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 23:40:21.46 ID:x/JFF1F2o<> 綾乃「…」
あかり「あああん、うあああああぁ…」
端から見ると、不気味な光景だったと思う。
頬を張らし、鼻から血を流しながら泣き続ける少女がひとり。
それに馬乗りになって、大きく目を見開いて小刻みに震え、ブツブツと呟きながら虚空を眺める少女がひとり。
あかり「ひっ、うううっ!っぐ!あああああん…」
先輩、とただ目の前のヒト一人を呼ぶこともかなわず、泣いた。
溜まりに溜まった涙は、ここ一番で、私の活動を致命的に阻害していた。
どれくらい、そんな状況が続いたろう。
物音は一階に届いていたはずで、それなのに先輩のお母さんが上がって来なかったということは、そんなに長い事は無かったんだと思う。
綾乃「…ぁ、あああ」
綾乃「―っああ!」
突如、先輩が弾かれた様に立ちあがった。
重さから解放され、いきなり自由になったお腹に空気がもどる。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 23:47:40.41 ID:x/JFF1F2o<> 綾乃「っうあ、ああ!うそ、うそ!嫌っ!!」
ダンダン、と一階に足音が響くのにも構わず、先輩は大股で部屋の中へ戻って行った。
あかり「まっ、うううっぐ、っでぇ!あううっ…!」
また鍵を閉めるんだと思った。
待って、と叫ぼうとしたが、やはり出来なかった。
しかし、予想に反して、先輩は鍵どころかドアも開け放ったままだった。
綾乃「ううう、うううううっ…!」
こちらには最早見向きもせず、ベッド、机、床、ベッドの下、と、順々に病的に漁る先輩。
途中、小物が宙に何度も放りあげられるのを見て、何かを探しているんだ、と感づいた。
綾乃「あっ、た!…!」
先輩がタンスの脇からついに発見したのは、携帯電話だった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/01(土) 23:59:24.76 ID:x/JFF1F2o<> 指と手に、見るからに過剰な力を入れ、操作する素振りをする先輩。
綾乃「…なんで、なんで、なんでっ!」
作業が続いたのは少しの間だった。
最後には身体全体を使うようにしてボタンを押していたが、何か障害があったのか。
綾乃「…ああっ!!なんでなのよぉ!」
バンッ。
絶叫とともに携帯を片手に持ち帰ると、あんなに必死で探していたそれを、先輩はあっさり床に叩き付けた。
床に弾かれ、縦に横に、めちゃくちゃに転げまわる携帯電話。
瞬き1回ほどの間、気ままに暴れまわると、かたんとその動きを止めた。
半開きになった本体の、ちらりと見えたその画面は、まっ黒だった。
あかり「う、ううう…っくう」
私は、情けない鳴き声を上げながら、しかし心中呆然として様子を見守るしかなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 00:05:47.54 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「…ああああ、いや、嫌、嫌あああ!!」
先輩が急に、激しく取り乱し始めた。
身体をゆるいくの字に曲げ、両手で頭を掻き毟る。
綾乃「…っふ、うううっ!!」
少し置いて、顔を勢い良く上げると、またこちらに近づいてきた。
あかり「っ!あ、うう」
また、痛い事をされるのかな。
拙く身じろぎしたが、杞憂だった。
先輩の目は、私を見てはいなかった。
それを認識するのと、ほぼ同時。
綾乃「…っ、…せ!」
一つ目は、かすかにしか聞き取れなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 00:12:17.27 ID:MrNlKEM8o<> あかり「…っ」
何を持って良しとなるのかは分からなかった。
完全なハッピーエンドを感じさせるものでも、ましてや幸福な口調でもなかった。
しかし、この状況で、多分何より未来に繋がるはずの人名だった。
『歳納京子』ではない、
綾乃「千歳ぇえええーっっ!!」
他の誰かを案ずる、初めての言葉。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 00:22:08.72 ID:MrNlKEM8o<> 先輩は踵を返し、階段を駆け下る。
あかり「っ、うう゛っ!せんぱ、待っでぇ!」
鼻を啜りながらも、やっと意味のある言葉が出た。
それが「待って」だったことに、深い意味はなかった。
何か言わないといけないと思った。
しかし、うすうす、心の奥で感じていたんだろう。
もう、制御は効かない。
…ここからは、なるようになるしかない。
―私の役目は、終わり。
必死に繰り出した台詞は、やはり先輩の耳には届かなかった。
先輩は一階の廊下に辿りついたらしい。
お母さんらしい人の制止の声が聞こえた。
ガチャッ、バタン。
玄関のドアの動く音が聞こえたあたり、それも効果はなかったらしい。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 00:27:39.33 ID:MrNlKEM8o<> あかり「…うう゛っ」
痛む頬を抑えつつ、立ちあがった。
何も出来ないとしても、何も為せないとしても。
見守ることくらいは、出来る。
あかり「…っ、っうぅ!」
涙は大方出し切った。
土壇場で、また泣いた。
もう、流石に挽回は利かないだろう。それでも、泣いている場合じゃない。
あかり「せん、ぱいっ!」
一歩を踏み出す。
せめて、この目で見届ける。
あかり「杉浦、先輩っ!」
それが、私の義務だから。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 00:30:33.11 ID:MrNlKEM8o<> あかり「…え?」
気は緩んではいなかった。
ただ、集中力が、別の所に飛んで行ってしまっていた。
…それだけのこと。
あかり「―」
気付いた時には、もう遅かった。
一歩。
立った一歩を踏み出し損ねた私は、バランスを崩し、
あかり「―あっ」
階段から、転げ落ちた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2011/10/02(日) 00:40:59.99 ID:ZBl9KR9Vo<> うそだろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)<>sage<>2011/10/02(日) 00:47:24.73 ID:pgrRir8Oo<> なんだと…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)<><>2011/10/02(日) 01:30:29.36 ID:dPgTY/L90<> \アッカリーン/どころじゃ済まないよこれ...どうなっちゃうんだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 04:44:53.63 ID:5aDwemdIO<> ゆるゆりでは階段から転げ落ちてもノーダメで済むだろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 04:49:08.52 ID:QhAIGCqyo<> >>170
つまりこぶができてあかりの性格がアレになるのか
似つかわしく無さ杉ワロタ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 04:52:15.55 ID:QhAIGCqyo<> >>170
つまりこぶができてあかりの性格がアレになるのか
似つかわしく無さ杉ワロタ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 04:52:44.10 ID:QhAIGCqyo<> 連投ごめん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 06:15:29.19 ID:N82fNoeDO<> もしよければ今日の更新はここまで、
みたいなものが欲しいなって、
思ってしまうのでした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 12:51:37.94 ID:MrNlKEM8o<> ―――
外では雨が降っていた。
なんてことはない気象の一変化。
こんな当たり前のことさえ、部屋の中では分からなかった。
バシャ、バシャ、バシャ…
綾乃「はっ、はっ、はっ、っん!っは、はっ!」
ひた走る。
信じたくなかった。
綾乃「はっ、はぁっ!っふ!はっ、はっ…」
大事なものを二度もなくすのか。
しかも、今度は完璧に、…自分の過失だ。
綾乃「…っひぃ、っぐ、はぁ、はぁ、はっ、ううう」
…着の身着のままで出てきたんから。
パジャマは言うまでもなく、下着までぐしょぐしょだ。
泥水を撥ね続ける足元は、サンダルから足首の辺りまで文字どおりの土気色に染まっていた。
髪先から雨が滴る。
綾乃「っふううっ!ううっ、うううううぁあ!」
しかし、視界がぼやけるのは、叩きつけられる雨粒のせいだけではない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 13:01:34.33 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「千歳…!千歳…!千歳ぇ…!」
目的地は、千歳の家。
行ってどうする気だろう。
気付くのが、少し遅すぎた。
綾乃「うああああっ…いやぁ…いやだよ千歳ぇえ…!」
…あの子は、優しい。
こんな自分に、真剣にその心を痛めてくれる程に。
今更、本当に今さらになって、自分が彼女に何をしてきたのか痛感する。
それでも、扉越しに伝わったぶんだけだ。
千歳の苦しみ全てなんて、私じゃ到底計れない。
計る権利なんて、この雨粒一滴ほども、ない。
綾乃「ああああっ!ひいぃ、うああああんっ!」
走りながら泣いた。
道中、何人かとすれ違った。
…全員が全員、変質者でも見るような視線で私を眺めてくれた。
有り難い話だ。
私はそんな良いモノじゃないのに。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 14:10:57.95 ID:MrNlKEM8o<> 千歳のアパートが見えた。
玄関口に人影。
制服に、あの白髪―
綾乃「…ちとっ…!」
ちとせ、と叫ぼうとして、気付いた。
足音に気付いたのか、こっちを振り向いたその瞳の色。その目つき。
…千鶴、さん
途端に幽霊でも見たかのような顔をして、立ち止まる千鶴さん。
にべもない。
構うことなく、私は飛びつくようにしてその両肩を掴んだ。
千鶴さんの右手から傘が滑り落ちた。
綾乃「ちづ、千鶴さん…!千鶴さんっ!」
…ボンッ。
傘が地面に落ちる。
無意識に、縋るように相手に体重を乗せていた。
千鶴さんの体が揺れる。その頭も、上半身が前にぶれるのにつられ、がくんと上を向いた。
目は固定された様に動かず、焦点は私からあっけなく外れた。
普段の私なら、ここまで配慮に欠けた行為は有り得なかったろう。
ぶつぶつと、千鶴さんの口が何かを呟いている事にも気付かなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 14:20:21.49 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「千鶴さん…!ちとせ…ああっ!千歳は!?千歳は、いっしょじゃ、ないの…!?」
脱力する身体。
姿勢を必死で保ちながら、問った。
千鶴「・・・ の…いだ…」
綾乃「…?何!?千鶴さん、今なんて!?」
微かに、意味のあるらしい言葉が耳に入った。
しかし、聞き取れない。
綾乃「お願い…!今…」
私の懇願が受け入れられたわけではないだろう。
しかし、彼女は反復した。
千鶴「お前のせいだ」
綾乃「―」
今や、千鶴さんの目は、雨の重みに垂れさがった前髪に隠れて、見えなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 14:27:22.42 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「…」
考えは雑多に散った。
一度散り散りになった意思はなかなか一つにまとまらず、ただ絶句した。
何?
…千歳。
え?
私のせい?
何が?決まってるでしょ。
私のせい。
…死んだ。
ちとせが、しん、だ。
しばらく、お互いに硬直したままだった。
雨の音すら遠い。
ややあって、
千鶴「…」
先に動きだしたのは、向こうだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 14:38:38.33 ID:MrNlKEM8o<> 千鶴「…」
上を向いていた顎が、ゆっくりと下がってきた。
髪に隠れていた両目が露わになった。
綾乃「…」
私は、その様子をぼんやり眺めていた。
瞳の奥は、真っ暗。
千鶴「…ぁ」
しかし、ゆっくりと、最初はごく小さく。
死んだ瞳に光が灯ったの見た。
千歳「…やの…!」
光は見る間に膨らんで、熱を持ち、炎となった。
眉が吊り上がり、歯は全力で噛みしめられて音が鳴り、眉間に無数のしわが寄る。
手が、青白くなるほどに強く握りしめられる。
千鶴「…すぎ、うらぁ…っ!」
綾乃「…」
怒り一色。
ついさっきの私も、赤座さんに、こんな顔を見せていたのだろうか。
加えて、
千鶴「…あああやのぉおおオーっ!!!」
…こんな、悲しい涙も。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2011/10/02(日) 14:40:05.87 ID:vvmIfgvCo<> 名前ミスってる? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 14:44:47.49 ID:MrNlKEM8o<> 振りかぶった。
何をするつもりか、だなんて、右手の動きを見るだけで理解出来た。
…めきっ。
鼻っ面に、拳がめり込む音がした。
どこで鍛えたのやら。
見惚れるほどに綺麗なフォームで繰り出された鉄拳。
綾乃「―」
頭を軸にして、体が浮き上がった。
足からサンダルが?げて、どこかに飛んで行った。
低空にて、全身を半回転させた私は、
綾乃「…ぶふぅっ!」
背中から、地面に叩きつけられた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/02(日) 14:47:38.64 ID:MrNlKEM8o<> >>181
えっ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/02(日) 14:50:55.60 ID:10J5IViPo<> 千歳が降臨してるのはわざとか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 14:54:28.50 ID:MrNlKEM8o<> ミスです…
スマンコ…
>>180差替
↓
千鶴「…」
上を向いていた顎が、ゆっくりと下がってきた。
髪に隠れていた両目が露わになった。
綾乃「…」
私は、その様子をぼんやり眺めていた。
瞳の奥は、真っ暗。
千鶴「…ぁ」
しかし、ゆっくりと、最初はごく小さく。
死んだ瞳に光が灯ったの見た。
千鶴「…やの…!」
光は見る間に膨らんで、熱を持ち、炎となった。
眉が吊り上がり、歯は全力で噛みしめられて音が鳴り、眉間に無数のしわが寄る。
手が、青白くなるほどに強く握りしめられる。
千鶴「…すぎ、うらぁ…っ!」
綾乃「…」
怒り一色。
ついさっきの私も、赤座さんに、こんな顔を見せていたのだろうか。
加えて、
千鶴「…あああやのぉおおオーっ!!!」
…こんな、悲しい涙も。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 15:07:08.06 ID:MrNlKEM8o<> 肺から空気が押し出された。
背中だけ水につかったように、びしゃびしゃに濡れて行くのが分かった。
灰色の雲と向き合う体勢。
私めがけて落ちてくる雨粒を眺めていると、唐突に視界が何かに遮られた。
ヒトの顔。言うまでもなく、千鶴さんのもの。
千鶴「この野郎っ…!」
中腰の彼女に胸倉を引っ掴まれ、上体を無理矢理引き起こされていた。
千鶴さんが、大きく息を吸った。
千鶴「―今更ッ!どの面下げてきやがったっ!」
泣き声交じりの悲痛な叫び。
決まらない、などとは思えなかった。
綾乃「…ごめんなさい…」
謝るしかなかった。
身体に力は戻らない。口を動かすので精いっぱいだった。
千鶴「お前のせいじゃないか…」
千鶴さんが項垂れた。
綾乃「ごめんなさい…」
私は、謝り続けた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 15:18:05.62 ID:SLlO4uPu0<> こういうSSは好きだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 15:22:33.67 ID:MrNlKEM8o<> 千鶴「お前の、せいで、っ、姉さんは…あんなっ…っ」
襟を掴む腕が震えていた。
しゃくり上げてもいるらしい。
しかし声量は微かなもので、雨音に紛れて確信は持てなかった。
綾乃「ごめん、なさい…」
千鶴「わたしでも、無理だった…お前しか、いなかったのに…!」
腕から力が抜けていった。
私の姿勢維持に役立つ程度…優しいと感じるまでに。
くっ、と唇を噛み、短く息を吸うと、諦めたように彼女は言った。
千鶴「…姉さんは、まだお前を待ってる」
綾乃「…」
『待ってる。』
その言葉の意味くらい、わかる。
…そうね、行かなくちゃ、いけないよね。
なんせ、他ならない、貴方が待ってくれてるんだもの。
千歳、私も、もうすぐ―
千歳「…七森日赤病院だよ。そこに、姉さんは、入院してる」
綾乃「…」
顔を上げた。
綾乃「…え?」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 15:23:23.59 ID:MrNlKEM8o<> ちょっと置きます <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/02(日) 15:27:36.51 ID:10J5IViPo<> 焦らすねえ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/02(日) 15:34:31.08 ID:mbpg5hRB0<> また千歳が降臨してるぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/02(日) 15:40:59.56 ID:MrNlKEM8o<> (ヽ´ω`)疲れてんのかな…
千鶴です
千歳ちゃいます… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/02(日) 15:42:35.67 ID:FFk1lQtU0<> 焦らすの禁止!
千歳幽霊・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 16:51:44.23 ID:m/sndwSio<> そのあたりは各自脳内変換するってことで <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 17:56:46.95 ID:MrNlKEM8o<> いまの。
聞き間違いじゃなきゃ、それは…
綾乃「ね、ねえ…」
千鶴「…」
あの子は、死んだんじゃなくて…
綾乃「千歳…生きてるの?」
千鶴「―あぁん!?」
綾乃「ひ…」
射殺すような目線が向けられた。
直後、自分の発言がなにかしらの誤解を生んだ事に気付いた。
千鶴の細腕が再び私を引き摺り起こし、顔と顔が近接する。
炎は、再び燃え盛っていた。
千鶴「んだよ…お前…知らなかったのか…!」
綾乃「え、あ、」
千鶴「じゃ、んだ今の表情…!?全然嬉しそうじゃなかったよなあ!?死んでくれてた方が面倒は少なかったってかァ!?」
綾乃「!?」
断じて違う。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 18:05:07.71 ID:MrNlKEM8o<> 千鶴さんも、なんだかんだで混乱しているのか。
幾らなんでも無理矢理な勘違いだ。
再び、腕から相手の震えが伝わってくる。
しかし、その起源はさっきとは明らかに異質だった。
千鶴「―ぶっ殺すぞぉっ!!お前っ!!」
綾乃「ひ、あ…」
本気だ。
殺される。
ここまできて、それは堪らない。
綾乃「ち、違うっ!違うの!千鶴さん!」
千鶴「『違う』…!?何がっ…」
綾乃「い、いきなりで、変な顔してたのは謝るわ!でも、違う…そう、いきなりで、実感がなかっただけ、だから…」
千鶴「…」
…言っている間にも、『それ』は来た。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 18:17:33.35 ID:MrNlKEM8o<> 足から腰へ、お腹へ、心の臓へ。
体の下の方から順繰りに上がって来る、この感覚。
綾乃「だって、わだ、私、あんなひどい事しで、赤座さんも、あんな、泣いで…」
綾乃「し、死んじゃった、千歳、死んじゃったんだって…!」
涙の波が先に来た。
鼻水もいっしょ。
あったかい波は、遅れて頭のてっぺんへと至る。
綾乃「でも、死んでないっで…!良かっだって…!また話せる、って…!」
千鶴「…」
綾乃「そんなこと思う、資格なんて…!ない、のに…!うう゛…」
力は戻っていた。
右手で、涙の止まらない両目を拭う。
綾乃「嬉しいんだよう…!うううぅーっ…!」
顔がふやけさせながら泣く。
本当に変な顔だったんだろうと思う。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 18:29:47.80 ID:MrNlKEM8o<> ともあれ、そうと知ったなら、道草を食っている暇はない。
綾乃「…ありがと、千鶴さん」
千鶴「…いや」
怒り…というより、誤解は早くも収まったらしい。
千鶴さんがすっくと、姿勢よく立ちあがった。
私もそれに習い、両足で地面に立った。
綾乃「それで、何号室に…千歳は?」
千鶴「…205だよ。その前に―」
綾乃「重ね重ねありがとう!お礼、絶対するから!」
居ても立っても居られない。
水たまりに沈んでいたサンダルを履き直すと、私は走りだした。
千鶴「…あっ!おい!」
制止の声は最早届いていなかった。
―七森日赤。
すぐ、近くだ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 18:33:01.20 ID:MrNlKEM8o<> ―――
あのバカ。
歳納の奴以上だ。
もうバカとしか呼んでやらない。
千鶴「チッ…」
舌打ちが漏れるのもいつぶりだろう。
千鶴「…」
全く。
…あの恰好で病院に入る気かよ、あいつ。
千鶴「…待てってば!」
ものすごい勢いで小さくなっていく背中を、慌てることなく追いかけ始めた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/02(日) 21:13:09.96 ID:KOGfgxtJo<> あかりが......あっかりーんしてるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/02(日) 21:13:58.25 ID:KOGfgxtJo<> あかりが......あっかりーんしてるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/02(日) 21:23:02.72 ID:KOGfgxtJo<> あかりがあっかりーんしてるな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/02(日) 21:25:05.18 ID:FFk1lQtU0<> 落ち着けよw <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 21:37:38.27 ID:MrNlKEM8o<> ―――
雲の切れ間から、青空を覗く事が出来た。
雨は止んでいた。
見上げれば気分転換にもなったろうが、生憎、私には目的がある。
綾乃「…千歳っ!千歳っ…!」
歳納京子。
いくらお調子者で飄々と自分勝手な貴方でも、もし千鶴さんと同じ立場だったなら、同じ対応で私を叱ったでしょうね。
もう大丈夫だから。
安心して見ていて。
…病院は小高い台地の上にある。
そこへ至る道は一つ。
両脇を常葉樹に囲まれた、幅の広い直通道路。
ちょうどそこだった。こげ茶色の綺麗なタイルがぎゅうぎゅうに張り付けられた歩道を、私は走っていた。
綾乃「ふぅっ、ふぅ、はぁ…!」
体力もいよいよ底を尽きそうだ。
しかし、病院は目の前。
もうひとふんばりだ。
勢いを落としてなるものか。
こうしている間も、千歳は病室で一人なんだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/02(日) 21:38:09.22 ID:KOGfgxtJo<> ごめんなさい....気付かないうちに連投してた(´;ω;`)ブワッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 21:46:09.44 ID:MrNlKEM8o<> すーっと、音もなく自動ドアが左右に開く。
それを待つのさえもどかしい。
ドアが開いた先には、二つ目の自動ドアがあった。
綾乃「んっ…もうっ」
開いた。
病院関係者の皆さん、ごめんなさい―
心の中で謝りながら、院内の廊下をひた走る。
車いすを押す看護婦さん。
順番待ちの患者さん。
医師と思われる服装の人。
点滴台をひきつれた、若い男の人。
年若い少女。
すれ違うたびに心で謝罪しつつ、素早く脇を駆け抜ける。
持ち前の足の速さが、こんなところで役に立つなんて。
「…おーい、待ちなさーい!」
階段に差し掛かったあたりで、事務の人が追いかけてきた。
お叱りは後で受けます。
…今は逃げさせて! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 21:53:50.38 ID:MrNlKEM8o<> 2階に出た。
似たような廊下がまた続く。
205病室は、目と鼻の先だった。
綾乃「っふ…!」
立ち止まったのは一瞬で、すぐにまた駆けだした。
10秒もかからないうちに、扉の前に辿り着いた。
綾乃「…はっ、は…」
息を整えながら、病室番号の札を見上げる。
205。間違いはない。
扉の取っ手に手をかけた。
…
綾乃「ちっ、」
予想以上に重い。
綾乃「とっ…!」
求められる以上の力でもって、
綾乃「せぇえーっ!!」
…扉をスライドさせる。
風が吹き抜けた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 22:00:33.01 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「…」
…窓が開いていた。
外から吹き込む風が、私のぼさぼさの髪を撫ぜた。
湿ったパジャマの裾が靡く。
ふわりとカーテンが棚引いた。
とても雨が降った直後だとは思えない、乾いた風だった。
ベッドの端、白のシーツが俄かに舞った。
綾乃「…」
ふらふらと、私は引き摺るようにして歩みを進めた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/02(日) 22:01:11.32 ID:d6VVIJVho<> (`・Д ・´;)………!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 22:08:00.92 ID:MrNlKEM8o<> ベッドの側に立った。
綾乃「…」
呼気をひとつ吸いこみ、唾を飲み込む。
綾乃「…千歳…」
それでも、掠れた声しか出なかった。
ベッドの上で、小さく佇み、窓の外を眺めていた、少女。
やつれてはいた。
髪に艶もなかった。
…それでも、そのくらいで、私が貴女を見間違えるもんか。
少女が、白髪を流しながら、ゆっくりと振り返った。
目があった。
千歳「…あやの、ちゃん…?」
池田千歳。
私の親友。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 22:22:51.25 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「…千歳」
千歳「…綾乃ちゃん」
あの時の千鶴さんと同じ。
真っ暗だった瞳に、命が戻っていくのを見た。
千歳「綾乃ちゃん…」
綾乃「ち、とせ…っ!」
目の前が滲む。
ここでもか。
今日だけで、何度泣いたかな。
少なくとも、一日の最多記録は更新したろう。
綾乃「…ちとせぇーっ…!千歳、ちとせ…!千歳ぇ…!あああぁっ…!っくうぅ、千歳…っ!!」
千歳「おわ…っとぉ」
がしっ。
ベッドに飛び込む時のような勢いでひっつき、強く抱きしめた。
千歳「…あはは、力こめ過ぎやで、綾乃ちゃん」
…もう。いたいやん。
台詞とは裏腹に、声色は温かかった。
背中に熱を感じた。
抱かれ返されたと気付くのに、時間は要らなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2011/10/02(日) 22:29:30.32 ID:UmYfQ4YCo<> あれ?あかり・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/02(日) 22:31:08.36 ID:FFk1lQtU0<> うおおお <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/02(日) 22:32:17.64 ID:d6VVIJVho<> まだだ……まだあかりが…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 22:33:53.08 ID:MrNlKEM8o<> 綾乃「う、ふぅううっ…ごめぇん…ごめんね…千歳ぇ…」
謝罪の言葉はろくな発音にならなかった。
しかし、千歳は確かに受け取ってくれていた。
千歳「…ええんよ。綾乃ちゃん。ええんよ」
頭を撫でられていた。
綾乃「っう、うう…ありがと…千歳…!」
んふふ、と千歳が笑う。
千歳「やっぱり綾乃ちゃんは、泣き虫やね」
―お帰り。
雨で冷え切った体に沁み渡るような、一言。
そこからは、私はただひたすら泣くだけで、千歳は私の頭を撫で続けるだけ。
どっちともなくだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2011/10/02(日) 22:37:01.97 ID:WuQ0HyX/o<> 千鶴性格悪すぎだろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 22:37:33.68 ID:Ibg+uXeIO<> ※あかりは死んでます <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 22:48:51.47 ID:MrNlKEM8o<> ―――
千鶴「後生ですから、ちょっとだけですから」
「いや、でもだね、あんな格好の者を、外傷で入院している病室に…」
千鶴「先っちょだけでも駄目なんです。空気が大事なんです」
「譲ちゃん、意味のわからんことを言ってないで早くどいてくれ!」
千鶴「お願いですから。ちょっとだけですから」
「お願いしたいのはこっちだよ!」
千鶴「ほんと空気読んでください。取り返しがつかないことになるんです」
「それもこっちの台詞だよ!」
季節外れの汗を流しながら、事務姿の男性を必死で押しとどめる。
野次馬も集まってきた。
…なんで私がこんなことしてるんだろう?
断じてこんなに饒舌なキャラじゃない。…のに。
注目を浴びるのは大の苦手だ。
そういえば、こういう瑣末な扱いに関しては、適役が居たような。
誰だったか。
思い出せない。
…なんて、無いモノねだりをしてもしょうがない。当面は目の前の事だけ考えないと。
思っていると、階段の向こうから似たような事務の人がふたり、こっちを指さし駆けてくるのが見えた。
血を吐きそうだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/02(日) 22:50:06.63 ID:MrNlKEM8o<> 3行目
外傷で入院している病室
↓
外傷で入院している患者の病室
で <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)<>sage<>2011/10/02(日) 22:58:30.86 ID:pgrRir8Oo<> もう気にスンナよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 23:05:07.54 ID:MrNlKEM8o<> ―――
―よー、早かったなあっかりーん!
―おいこら!まだ死んでない!あかり、しっかりしろって!
―肝心な所でやっぱり駄目だねあかりちゃん…不憫というか、期待通りというか
…みんな、久しぶりだね。
やっぱり私、階段から落ちて死んじゃったのかな?
―だから死んでないって。紙一重だったけど。
―打ちどころが良かったんだよん。この京子ちゃんが見守ってたお陰だね!
―それは何の関係もないです。断じて。
…そっか。
見ててくれたんだね。
ありがと…でも、ごめん。
あかり、もう戻りたくないよ。
―そりゃまたどうして!
―…京子、お前ね…
…見てたんでしょ?なら、分かるよね。
―… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 23:16:02.94 ID:MrNlKEM8o<> 向こうにいても、もう辛い事ばっかりだよ。
…もう、疲れちゃった。
―…
…そろそろゴールしたいよ。
それで、また、娯楽部の皆で一緒に…
―それほんとかー?
…え?
―うん。周りを見回してみなよ。一度は気付いたでしょ?あかりのこと見ててくれてる人は、私達だけじゃないよ。
―…そうですね。それに、あかりちゃんはさ、こう、リーダー的なものじゃないけど、ヒトを惹き付ける魅力があるんだよね。癪だけど。
―そういう人らが居る分には、あかり。この先も苦しい事ばっかりじゃないよ。きっとさ。
…
でも、池田先輩…
―プラス!プラスだよ!現状だって、あかりが思ってるほど最悪じゃないみたいだしさ!
え?
―まあ、戻ってみればわかるさ。
―ですね。
え?え?
何か、急にあかり置いてけぼりだよ…? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/02(日) 23:22:43.09 ID:MrNlKEM8o<> ―まあ、そういうことだから。
あの?みんな!?聞こえてる!?
―まあ、私らのことは気にすんなって。結構楽しくやってるよん。それに、じき会えるだろうし。
―真っ当に生きて、お婆ちゃんになって、子供とか孫とかにかんどられてから死んだって遅くはないよ。あかりちゃん。
…みんな、
―じゃ、その日を楽しみにしてるから、
―…行っといで。あかり。
―あかりちゃん。
―あかり!
…大好きだよ。
ありがとう。
\アッカリーン/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/02(日) 23:29:07.40 ID:MrNlKEM8o<> たぶん今日はこまでス
誤字半端ないス <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)<>sage<>2011/10/02(日) 23:30:43.60 ID:pgrRir8Oo<> 乙譲ちゃん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2011/10/02(日) 23:34:11.03 ID:TqHBnoBDo<> 乙
かんどられて? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/02(日) 23:42:22.72 ID:KOGfgxtJo<> 乙乙
千歳抱きしめたい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/02(日) 23:46:42.71 ID:m/sndwSio<> 俺はあかりを抱きしめたい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/02(日) 23:53:12.38 ID:QMRgiHvHo<> 乙〜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/03(月) 00:19:35.99 ID:zDA+/ybt0<> か…看取られて… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/03(月) 00:27:29.94 ID:08Kp6VLMo<> あんどれ
かんどれ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/03(月) 06:58:59.26 ID:Se8JVkNY0<> 泣いた
けどワロタw <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga sage<>2011/10/03(月) 15:55:11.73 ID:4xqFI7Rt0<> やべえ、SSで初めて泣いた
乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/03(月) 19:07:30.48 ID:ziAgGl830<> 乙
千歳いい子 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)<>sage<>2011/10/03(月) 19:16:52.66 ID:rJnOevy60<> オイお前らきちんと教えてやれよって言ってみる俺、蝶☆偽善者
つ『看取(みと)る』
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/03(月) 19:28:57.67 ID:7M6YY/aho<> え?もう終わったの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/03(月) 19:30:05.25 ID:thLXeIrjo<> 岩手県にはキチガイしかいないのか… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/03(月) 20:52:51.19 ID:4f8Cx8oYo<> まだ続くんと違うん? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/03(月) 22:33:35.30 ID:YJO3aVbEo<> >>224が全力でスルーされている件 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/03(月) 22:38:04.88 ID:Fp4iCAVFo<> みとる…!
みとる…! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/03(月) 22:40:06.84 ID:Fp4iCAVFo<> あかり「…」
頭がジンジンと痛む。
白い天井。
背中からは、スプリング特有の柔らかい感触。
ベッドの上に寝ているという事は分かった。
…でも、
あかり「ここ…どこ…?」
それに、どういう状況?
寝ぼけ眼で目をこする。
半覚醒が完全な覚醒に移行するまでの間、ぼーっと思考の糸を手繰った。
あかり「…」
此処に至った経緯を、段々と思いだしてきた。
階段からの転落で記憶は終わっている。
すれば、ここは病院か。救急車で運ばれたのかな。
あかり「―んっ…!」
うん、と伸びをひとつ。
白の半袖の患者服に皺が寄り、つられて脇が露わになった。
…個室みたいだし。見てる人もいないよね。
しかし、あれだけの事が有ったというのに、不思議と不快な感情が薄い。
気絶する前には体中に満ち満ちていた悲哀と絶望。
それら全てが、寝ている間に、雨風に洗い流されたかのようだった。
あかり「…んう…」
頭の中で何かが引っ掛かった。
…そう、夢。
何か、大事な夢を見ていた気がする。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/03(月) 22:51:54.04 ID:Fp4iCAVFo<> …
あかり「…気のせい、かな」
しかし、いくら考えても思い出せないので、私は考えるのを止めた。
上体を起こして、改めて部屋の中を見回す。
いたって普通の『病室』だ。
変わった所はない。窓から覗く風景から察するに、七森日赤病院の一室だろう。
…ここに居ても始まらない。
そう感じた私は、ベッドの側に揃えられたスリッパを見つけると、足を入れるべく体を回した。
その時だった。
…スー。
目の前で、入口のドアがスライドした。
そして、現れた人物は、
千歳「おー、あかりちゃん起きとるでー」
あかり「は…」
…死んだはずの先輩だった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/03(月) 23:31:26.75 ID:Fp4iCAVFo<> 短すぎるけど今日はここまで…何てこった… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/03(月) 23:35:36.02 ID:QbEuqFwyo<> ゆっくりやれや
完結すればいい
( ( (. )
. -‐ ) ‐- .
.´,.::::;;:... . . _ `.
iヾ:;_´・ω・`_,.ン| お茶に入りましたよ…
l  ̄ ̄...:;:彡|
} . . ...::::;:;;;;;彡{
i . . ...:::;;;;;彡|
} . .....:::;::;:;;;;彡{
!, . .:.::;:;;;彡j:::::::::::::::.......
ト , . ....,:;:;:=:彳:::::::::::::::::::::::::::..
ヽ、.. ......::::;;;ジ.::::::::::::::::::::::
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<><>2011/10/03(月) 23:42:41.65 ID:XWx8SxVzo<> あかりちゃんはええ子や <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage<>2011/10/03(月) 23:43:43.82 ID:j/XjZSkfo<> 気長に気長に <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2011/10/03(月) 23:48:54.69 ID:dovYxBOJ0<> 焦らして焦らして…悔しい…でも…乙。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/04(火) 01:10:29.20 ID:3hMz2Xeho<> 乙つつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<>sage<>2011/10/04(火) 18:38:08.39 ID:qvkZKIfAO<> まだ続いていただけでももう充分だ
大丈夫、明日も生きていける!…ハズ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/04(火) 20:58:10.05 ID:0KI2i20fo<> あかり「―」
思考が一瞬でショートした。
千歳「…あ、あらー?赤座さん?」
綾乃「ちょっと、入口塞いだまま…ってうわ!赤座さん白目剥いてるし!」
綾乃「千歳!?あんた一体何したの?」
千歳「んー、普通に挨拶したつもりやったんやけどなあ」
綾乃「そ、それだけでこんな事に…」
千歳「あ、分かったで!綾乃ちゃんみたいに私の事死んだもんやと…」
綾乃「あー…」
千歳「うふふ、赤座さんも大概やなあ。ほら、綾乃ちゃんほっぺた張ったげて」
綾乃「わ、私が?」
千歳「ふふー…『貸し』、忘れたとは言わせへんでー」
綾乃「ぐく…しょーがないわね…」
綾乃「―ごめんなさい!」
スパーン! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/04(火) 21:17:42.83 ID:0KI2i20fo<> あかり「ぶふぅっ!」
頬に火の粉が散ったような熱。
あかり「…はっ!?」
無理矢理現実に引き戻された。
網膜に光が戻り、フラッシュを焚いたように視界が真っ白に染まる。
瞬きを一つ加え、まともに見えるようになった、その先には、
綾乃「あ、赤座さん…」
千歳「やっほ、赤座さーん」
あかり「…あっ、あ、あっ」
ふたり。
あかり「あ、あや、杉浦、先輩、千、歳、せんぱ…!」
どこか困ったような表情の杉浦先輩。
にこやかに手を振る、池田先輩。
綾乃「目、覚めたかしら?頭を打ったって聞いてびっくりしたけど、何ともないみたいで良かったわ」
千歳「うへへ、あかりちゃん、私やでー。どろどろ」
綾乃「…こら千歳!」
―また気絶しちゃったらどうするのよ!
両手を垂らして幽霊のマネをする池田先輩を、杉浦先輩が叱っている。
何でもないようなやり取りだった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/04(火) 21:26:24.33 ID:c++OIR/SO<> 来たー! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/04(火) 21:53:50.67 ID:0KI2i20fo<> あかり「…っあ…」
―これは現実?
頭と、頬の痛みが証拠だよ。
―目の前の人たちは、本物?
こんな平和な言葉の掛けあい、本人じゃなかったらなんだって言うの。
―先輩、生きてるよ。何故?
分からない。でも今まさに、目と鼻の先で、動いて喋っている。
…宙に浮いているようだった。
眼前の光景に現実感を与えるため、頭の中を、幾多の問いと答えが駆け巡る。
足りない知識や不自然な偶然。
情報不足の一言。
脳を力いっぱい動かしてもおっつかない。
私の拙いおつむはすぐにボロボロの車のようにパンクして、速度を落として、止まってしまった。
仕方がないので、残った全てを振り絞り、ドアを開け、地に足付けることに専念する。
そうだ。あるがままじゃないか。
全部後で聞けばいい。今しか出来ない事がある。
…時間とともに高度が落ちる。じき、つま先が地に着いた。
涙が出るほど渇望して、千切れるほど手を伸ばして、それでも無理だと諦めていた未来。
目の前にある。手が届く。
先輩達が、寄り添い合ってる。
笑ってる。
あかり「ふ、う…!」
…土が私の足を押し返すのを感じた。私は、地面に降り立った。
視界がぼやけた。
あかり「うあああ、ああ…!」
スリッパを履くのも忘れ、よろめきながらベッドから降り立った。
無様に、躓くように、でも力強く。
あかり「うわあああーん!」
私は、二人に飛びついた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/04(火) 21:56:09.50 ID:0KI2i20fo<>
千歳「―2度は喰らわへんでっ!」
あかり「えっ…」
そして、避けられた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/04(火) 22:18:38.42 ID:0KI2i20fo<> 当然勢いは死なない。
…二人に受け止めてもらえる前提で繰り出した突進は、杉浦先輩ひとりでは荷が重すぎた。
綾乃「…へ?あ?―げぶっ!」
あかり「ふべっ!」
私の頭が先輩の顎にクリーンヒットする。
ガツン、と人から発せられるべきでない衝撃音が周囲に響き、私たちはいっしょくたになって倒れ込んだ。
綾乃「…っ!!」
あかり「…っ!!!」
千歳「あ、あらぁー…ごめんなー、こんなん成るとは思うてへんかったわ」
杉浦先輩は顎、私は頭。
それぞれの傷害箇所を抑えて声もなく悶絶し、床をのたうち回る女子中学生ふたり。
あまりに無残だったのか、何も悪くないはずの池田先輩が謝ってきた。
あかり「…っふ…!」
またやってしまった。
杉浦先輩に何て言って謝罪すればいいだろう。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/04(火) 22:36:05.42 ID:0KI2i20fo<> ぶつけた場所は、階段から落ちた時にできた傷と同じ所だった。
さっきとは別の理由で涙が出てくる。
あかり「…ふ、っふ…」
でも、なんだろ。この感情。
あかり「…ふ、ふふ…」
痛くて辛いはずなのに。
先輩に謝らないといけないのに。
千歳「…赤座さん?」
綾乃「…?」
あかり「ふふ、ふぁ…あはは…」
なんでこんなに、嬉しいんだろう。
綾乃「…ふふ」
千歳「あらあら…うふふ」
突然泣き笑いしだした私を、ポカンと見つめていた先輩達。
連られたように笑い出した。
若干数畳の病室に、3人分の笑い声が木霊する。
―やっぱり、赤座さんは赤座さんやね。
池田先輩の呟きは笑いに紛れて、声にならずに溶けて行った。
窓の外、心地よい風が吹き抜ける。
鳩が三羽、仲間を連れて飛び立った。 <>
Q<><>2011/10/04(火) 22:37:38.24 ID:Xl5UfRxSO<>
つまんね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/04(火) 22:42:18.41 ID:0KI2i20fo<> 大分駆け足だったけど今日はここまで
試問が近いですの <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/04(火) 22:44:10.42 ID:3L0dQKuFo<> 乙〜
これはほっこりする。良かった良かった……? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/04(火) 22:47:05.12 ID:HNyGr/B5o<> 乙乙ですの(´・ω・`) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)<>sage<>2011/10/04(火) 22:47:23.20 ID:3mfRZlKSo<> 乙? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/04(火) 22:48:03.00 ID:RDbJGP8W0<> ひとまず解決?
あかり天使や・・・
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/05(水) 00:53:37.33 ID:p/XGV4v1o<> よかったよ( ^ω^ ) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2011/10/05(水) 01:51:22.79 ID:sjNYfRYqo<> まだ終わっていないよね? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/05(水) 22:56:49.84 ID:B3kP2ASB0<> レスが止まった <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/06(木) 00:12:55.67 ID:lpbLzAP1o<> 現実は非情ス…
明日明後日どっちかに書きます
楽しみに待ってくれてる人はすいません
リアルが一段落したら激闘向日葵編とか…書けたらいいけど… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2011/10/06(木) 00:14:18.56 ID:HM88jsUFo<> いつまでも待ってるで〜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<><>2011/10/06(木) 22:17:00.41 ID:ULUUrJWs0<> 期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 00:28:52.17 ID:S4kuu1cDO<> 楽しみや <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<><>2011/10/07(金) 04:02:28.07 ID:b70tNENW0<> ずっとみてるぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 08:19:12.17 ID:QQ8069mIO<> SS速報にきたからって全然こないね
いい加減完結させて欲しい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/10/07(金) 09:01:22.00 ID:ZNzjk8JVo<> さすがに今日か明日には来るだろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 12:55:17.67 ID:DbBumJ1IO<> ここをvipと一緒にしない方がいいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/07(金) 18:46:30.42 ID:f+KOmZfMo<> お前ら紛らわしいから無駄レスするな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/07(金) 23:35:47.37 ID:5n29w11Io<> …
あかり「な、なんだ…じゃあ全部あかりの勘違いだったんだ…」
池田先輩の説明が終わると、私は膝をついて崩れ落ちた。
千歳「ん…全部ってわけちゃうよ?」
一瞬、池田先輩が目を反らした。
千歳「まー…自殺未遂…っちゅうんは…ほんとのことやんなあ。恥ずかしながら」
しかし本当に一瞬。
次の瞬間にはいつもの顔で、そう言うと包帯も生々しい右手をひらひらと振って見せた。
綾乃「…その、千歳」
たまらない、といった風に杉浦先輩が口を開いた。
伏せ目がちに言葉を続けようとする彼女を、まあまあ、と池田先輩が再び押しとめる。
千歳「もう!引き摺るんも大概やで、綾乃ちゃん」
ぷんぷんと迫力のまるで伝わってこない怒りを杉浦先輩にぶつける池田先輩。
それでも杉浦先輩は縮こまる。
千歳「…手首切ったんは私の自業自得。ちょっとおかしくなってたんやろな、弱すぎる私があかんかってん」
ん、と一人納得する池田先輩。
千歳「非があるとしても、綾乃ちゃんがここに立ってる時点で帳消しや!うん!」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2011/10/07(金) 23:40:20.24 ID:DLvlRS39o<> きtがぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/07(金) 23:57:50.44 ID:5n29w11Io<> …うん。
と、口角は上がっているけど眉は下がった、困ったような嬉しい様な微妙な顔で杉浦先輩が頷く。
あかり「…はー」
感情がすぐ表に出る杉浦先輩。
ベストパートナーというか、扱いも完璧な池田先輩。
私はある意味感心していた。
あかり「…なんかいいですね、こういうの」
綾乃「?」
千歳「…うふふー」
ひとりじゃ駄目ってわけじゃない。
それでも、ふたり居ればもっと完璧。
あるいはパズルの隣り合わせのピースの様に相補的な。
きっと、一生の『友達』になるんだろうな。この二人は。
…と、考えている間にも私の台詞の続きを待っていたのか、二人がこっちを見つめている。
あかり「…ともかく、これで万事解決です!」
微妙な空気になりつつあったので、とりあえず叫んだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/08(土) 00:05:45.21 ID:YnBV+yG+0<> キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/08(土) 00:08:10.37 ID:A6rcjAFro<> お医者様に私が起きた事を伝えに、と、3人で病室から出る。
あかり「…ふっふー」
軽くステップを踏みながら、前を行く先輩ふたりの背中を追う。
そうだ。
くさいことを言うようだけど、人と人との絆、大きな想いっていうのかな。
そういうのは、例えどんなことがあっても、それこそ死にでもしなければ…
…いや、死んでしまったとしても、ちぎれて無くなったりはしないんだろう。
あかり「…」
ポ。
と、胸に小さく熱が走った。
理由はない。
ドアの狭間で立ち止まって、振り返り、病室を今一度見渡した。
シーツがちょっと乱れている。
それだけ。なんの変哲もない、ただの部屋。
誰が居るわけでもない。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/08(土) 00:15:16.99 ID:A6rcjAFro<> それでも、
あかり「…っ」
―ここから出てしまうと、もう二度と会えない。
そんな、矛盾した寂寥が小さく心を過った。
…会えない?何の話?それは、いったい、誰の…
あかり「…あ、あれ」
いきなりだった。
涙が出そうになっているのに気付き、慌てて右手で両目を拭った。
千歳「赤座さーん、はよー」
綾乃「おーい、何してるのよー」
あかり「ぅあっ…はーい!今行きます!」
廊下の、もうだいぶ向こう。
先輩達を待たせてしまった。なんて後輩だろう。
去り際、一瞬だけ、もう一度部屋を見渡す。
…もう何も感じなかった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/08(土) 00:29:13.17 ID:A6rcjAFro<> ポツンと、自分だけ何かから取り残されたような感じがした。
いや、実際そうなのだけど。
あかり「…変なの」
一言呟くと、私は身をひるがえし、廊下へと駆けて出た。
廊下の先、杉浦先輩は腕を組んで。
池田先輩は両手のひらを背中で合わせて。
先輩達は、振り向いてふたり、立ち止まってこっちを見ていた。
傾いた太陽の橙色の光が窓から差し込む。
その中を、早足に歩く。
数多の窓が外界と廊下とを境する中、一枚だけ開かれた、大窓のそばに差し掛かった。
あかり「―ありがとう」
誰へともなく呟いた私の声は、きっと誰にも聞きとられることなく、心地良い秋の風に消えた。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>saga<>2011/10/08(土) 00:29:39.05 ID:A6rcjAFro<> だいにぶかん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2011/10/08(土) 00:43:19.86 ID:88iu/1rbo<> 第三部はないのかい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2011/10/08(土) 00:49:04.78 ID:A6rcjAFro<> 大窓のちょうど反対側。廊下の長椅子。
あかり「…なんで千鶴先輩がこんなとこで寝てるんですか?」
千歳「あー、綾乃ちゃんの分までこってり絞られてくれてたらしいてな。そっとしといたって」
綾乃「…も、申し訳ない」
千鶴「―ブツブツ」
―
向日葵櫻子のお話
18日以降ちょこっとつけたしてキチッと終わらせたいス
ひとまず終わりです
精神に余裕あったら蛇足っぽいけど第三部さくひま仲違い編でも <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/08(土) 00:52:14.21 ID:NmddBaQBo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)<>sage<>2011/10/08(土) 00:53:04.39 ID:HZNpiEPeo<> 乙? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/08(土) 01:35:25.51 ID:+puBfM4IO<> おつ!さくひま期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/08(土) 02:27:30.34 ID:f5s1aOcQo<> とりあえず乙!
一時は全滅エンドもあるんじゃないかとひやひやしたが
無事に終わってよかった・・・
さくひま期待してまつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/10/08(土) 07:18:17.77 ID:YnBV+yG+0<> 乙乙
面白かった <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/08(土) 10:55:54.84 ID:ckForn3Xo<> 乙乙なんだからね
別に私は続きが気になって毎日覗いたりしてなかったんだからね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/08(土) 19:45:11.22 ID:4YMR5MXwo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/11(火) 13:00:15.26 ID:Gzqmtyf2o<> 乙ー
あかりちゃんまじ天使やで <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/13(木) 13:09:58.91 ID:yfoasfrIO<> こねー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(秋田県)<>sage<>2011/10/16(日) 04:12:31.54 ID:jL9waJ2To<> コネ━━━━━━(.A.)━━━━━━ !!!!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/16(日) 04:21:40.59 ID:CDGbflCQo<> きてー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/16(日) 10:55:58.43 ID:XrCy0f4Eo<> 18日まで待てよww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)<><>2011/10/17(月) 19:10:08.88 ID:ULLqjXQz0<> 明日来るかな
わくわく <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)<>sage<>2011/10/17(月) 19:11:06.29 ID:ULLqjXQz0<> ごめん上げちった...... <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/18(火) 19:00:53.27 ID:stF4To3V0<> くるー? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2011/10/18(火) 20:50:19.39 ID:bo35sw/0o<> こねー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<><>2011/10/18(火) 20:52:21.55 ID:xzBjBRTB0<> ドキドキ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)<>sage<>2011/10/19(水) 19:10:17.83 ID:Qo/CrlyL0<> マダー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2011/10/19(水) 21:47:25.03 ID:yeOgDUNfo<> こんかったな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)<>sage<>2011/10/19(水) 23:26:53.58 ID:R+/KfLHto<> (´・ω・`)? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2011/10/20(木) 17:50:26.50 ID:32lDlJojo<> 18以降って書いてるから仕方ないだろ
そのまま来ない可能性もあるけどな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2011/10/20(木) 23:52:51.74 ID:kUB1QXOgo<> 待ってる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2011/10/24(月) 23:04:13.74 ID:hxvxtcOQo<> まだー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)<>sage<>2011/10/25(火) 00:07:26.65 ID:HJb8RHJZ0<> 今日も来てないか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/10/25(火) 13:55:12.45 ID:+vFjg5To0<> 解散 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<>sage<>2011/10/25(火) 15:21:15.04 ID:RlOsco1AO<> \カイサン!/ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/25(火) 17:51:01.84 ID:0We2blCIO<> もうストーリー忘れてもうた <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/10/26(水) 03:15:55.14 ID:dMK/pM7u0<> 読み直せばいいじゃない <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)<>sage<>2011/10/29(土) 23:02:08.38 ID:uuIqmt4i0<> こねー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(広島県)<><>2011/11/02(水) 21:06:46.90 ID:OpNTo4ec0<> ときどさん素晴らしい
ウメハラがその凛とした声で言い放った。
「ときどさん素晴らしい」
会場が静まり返る。カリスマが見て取れる瞬間だった。
凍り付くような静寂を破ったのは大貫。この男ですら躊躇われたのか、身体を震わせながら叫ぶ。
「ときどさん素晴らしい」
それに呼応するかのように、sakoが立ち上がる。膝が震えているかのように見えたのは錯覚か。
五神の一人、ハイタニも立ち並びほぼ同時に口にする。
「ときどさん素晴らしい」
涙していた男がいた。刹那、涙を拭う。直前までウメハラの闘いを実況していたあーるだった。
ここに至るまでのウメハラの苦悩を彼は知っていた。ニュートラルを保つのは難しかったが、
彼は成し遂げていた。万感の涙であった。
涙がこぼれぬよう、軽く上を仰ぎ見ながら彼は言った。
「ときどさん素晴らしい」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/11/07(月) 01:22:46.24 ID:Yoj901Qn0<> こねー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)<>sage<>2011/11/18(金) 01:13:01.62 ID:1fnQZHDko<> 18日だからそろそろだな!
…まだかよ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/11(日) 11:39:24.14 ID:jHjJOjZio<> \アッカリーン/ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/11(日) 22:00:20.32 ID:xxs0brqIO<> はーい <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/13(火) 23:42:15.73 ID:FjAlkCkVo<> ー <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/15(木) 00:32:35.64 ID:n1iBMGV4o<> ― <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/26(月) 10:59:32.75 ID:dWO5Opm9o<> もう年末なのぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2012/01/07(土) 21:58:41.39 ID:4ptaurX4o<> 待ってた人、長らくすみません
いろいろ忙しくて……。
明日の19:00から、続きを投下します <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/07(土) 22:00:03.98 ID:mz+qqWhlo<> >>322
なんか嘘くせえけど期待はしておく <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/01/08(日) 00:15:38.77 ID:Ry6pi6v5o<> お!待ってるぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県)<>sage<>2012/01/08(日) 00:39:32.46 ID:9AGRBXdFo<> 神奈川から兵庫
なぜなのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 14:31:15.42 ID:gxnMMkxNo<> 一応期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/08(日) 20:33:18.47 ID:gxnMMkxNo<> 無駄だったか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/01/09(月) 19:47:12.49 ID:H5K4Vzr7o<> はふー <>