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まどか「さやかちゃん」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[saga sage]:2011/10/13(木) 09:46:21.57 ID:ploz71IT0
vipからお引越し

投下は用事が終わってからやっていきます
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage saga]:2011/10/13(木) 09:48:18.87 ID:CZtCi2Fe0
期待
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/10/13(木) 09:51:26.53 ID:lvZn51Qgo
最初から描いてくれよ
4 :ID:yW2iufj40[saga sage]:2011/10/13(木) 09:51:57.60 ID:ploz71IT0
とりあえずID置いておく
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/10/13(木) 09:57:15.46 ID:HIEfXW/+0
お引越し
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/13(木) 10:19:51.94 ID:/oEthCa9o
乙と言っておく
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 10:40:51.61 ID:+kWnhaxmP
待ってマミた
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 12:35:07.20 ID:h7baWmpIO
期待ー
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/13(木) 14:12:12.71 ID:eknQ5Yqwo
待ってたよー
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/13(木) 16:17:00.79 ID:V4mP3nQGo
待ってた。前スレ置いときますね

まどか「さやかちゃん」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1318260276/
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/13(木) 16:49:13.60 ID:34nkCWMBo
vipだしもう一回コピペした方がよくない?
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage]:2011/10/13(木) 17:33:42.36 ID:JCXb7VVPo
落ちたみたいだし代わりに変換済みのやつを張っとくぜ
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/1318260276/
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 17:38:32.71 ID:TzBXRYX0o
wktk
14 :ID:yW2iufj40[saga]:2011/10/13(木) 18:40:22.37 ID:ploz71IT0
戻りました

前スレ張ってくれてますし、続きからの方がいいですかね?
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/13(木) 18:42:14.92 ID:35FvzHBm0
それでおk
期待
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/13(木) 18:42:49.17 ID:34nkCWMBo
保守だらけだしまとめかねて張ってくれると嬉しい
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/13(木) 18:44:34.58 ID:V4mP3nQGo
>>16に同じく
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/13(木) 18:56:37.07 ID:6h0zI/FDO
>>12に読める前スレあるしよくね?
まあ>>1のしたいように
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 19:28:12.42 ID:TVGECesDO
前回さやかが殺された所までかな?
個人的には全部貼って欲しいところww 期待期待〜
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/13(木) 19:28:42.26 ID:31jqLCLio
超期待
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/13(木) 19:31:25.50 ID:34nkCWMBo
そういやSG砕けたね
でもこのまどっちならなんとしても甦らせるだろうな
それこそ時間逆行でもしかねない
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 19:34:24.85 ID:DZugKFtDO
読み直したい時に楽だから張り直してくれるとうれしい
23 :ID:yW2iufj40[saga]:2011/10/13(木) 19:38:21.98 ID:ploz71IT0
コピペった方がいいという意見が多いので

少しづつ加筆しながら張りなおそうと思います

それでは開始!
24 :ID:yW2iufj40[saga sage]:2011/10/13(木) 19:57:36.13 ID:ploz71IT0
目覚まし時計が朝の7時を指し、時間を告げるけたたましい音を立てる

まどか「……んん……」

まどか「……ふあ……うう……起きなきゃ」

ベッドの上、ぬいぐるみたちの中で眠る少女、まどかがその音に目を覚ます

あくびと共にゆっくりと体を起こすと、まどかは枕元にある写真立てを手にとり、にっこりと笑いかける

まどか「おはよう。さやかちゃん」

さやかと呼ばれる、写真に写る少女ををじっくりと見つめると、まどかは目を閉じ、顔をゆっくりと写真に近づけ

まどか「……ん」

優しく口づけをした

まどか「……てぃひひ……」

はにかむ笑顔と共にゆっくりと唇を離し、恍惚の表情で写真に映るさやかを見つめる

まどか「……学校行こうっと」

そして、満足するまでさやかを見つめると

満足したように頷いて写真を再び枕元に置き、部屋の外へとまどかは駆けて行った
25 :ID:yW2iufj40[saga sage]:2011/10/13(木) 19:59:07.03 ID:ploz71IT0
通学路

さやか「おっ、まどか、おはよう!」

まどか「お、おはようっさやかちゃんっ」

仁美「おはようございます、まどかさん」

まどか「……おはようっ!仁美ちゃん」

さやか「あ、今日はリボンしてるんだねぇ」

まどか「う、うん。……に、似合ってるかな?」

さやか「おー似合ってる似合ってるっ!」

さやか「さやかちゃん、今日のまどかの可愛さにメロメロにされそうよん!」

まどか「てぃ、てぃひひ……」

仁美「大変似合ってますわ、まどかさん」

まどか「……ありがと」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/13(木) 20:00:09.79 ID:6h0zI/FDO
全部貼るのは相当きつそうだな
まあここなら落ちる心配もないし、とにかく完結してくれればいい
27 :ID:yW2iufj40[saga sage]:2011/10/13(木) 20:02:49.41 ID:ploz71IT0
さやか「にしても珍しいねー!まどかがおしゃれなんかするなんてさっ」

仁美「そうですわね。いつも下ろしていらっしゃるのに」

まどか「う、うん。ちょっと、ね」

さやか「どういった心境の変化ですかな〜?あ、まさか……」

さやか「まどか。好きな人ができたんじゃないのっ?」

仁美「あら、本当ですの?」

まどか「ち、ちがうよぉ!」

さやか「むー……あたしのまどかを虜に奴がいるなんて……許さん!」

さやか「まどかはあたしの嫁になるんだぞー!あたしのものだ―!」ギュッ

まどか「さ、さやかちゃん……っ」

さやか「ぬわっはっはっはーっ!」

仁美「さやかさん大胆ですわ……」
28 :ID:yW2iufj40[saga sage]:2011/10/13(木) 20:11:11.80 ID:ploz71IT0
さやか「……あ」

まどかを後ろから抱きしめたまま

さやかはまどかに見えないところで、ニヤリと意地悪い笑みを浮かべる

そして、あわあわと慌てるまどかの顎を掴み、さやかの方に顔を向かると

さやかは真剣な表情を作り上げまどかの瞳を覗き込んだ

さやか「なぁ、まどか……」

そんなさやかの表情にまどかはドキリと心臓を高鳴らせる

まどか「なっ、なにっ!?」

さやか「……あんたはあたしの物だよな?」

まどか「え、ええっ!?」

さやか「答えてくれ……まどか……」

さやか「私はさやかちゃんのものだって……」

さやかの言葉に顔を真っ赤にするまどか

まどか「あ、あ、えと……」

さやか「……まどか……」

仁美「……ゴクリ」

まどか「……」

まどか「……わ、わた」

さやか「……なーんちってね!」

まどか「……え?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 20:12:08.01 ID:fdxSrv8Fo
ID書くくらいなら酉つければよくね?
30 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 20:18:40.40 ID:ploz71IT0
>>29
それもそうですね

酉、こうでしたっけ?

あと、今日は徹夜明けですんでのんびり投下させてください……
31 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 20:24:09.60 ID:ploz71IT0
さやか「あははっ!まどかリアクション良過ぎだよっ顔まで赤らめるなんてっ!」

まどか「え、え?」

さやか「ホントにからかいがいがあるんだからまどかはー!可愛いなぁ!」

まどか「……」

さやか「……まどか?」

まどか「え、あ、あ、う、うん。そ、そうだよね、てぃひ、てぃひひ……」

さやか「へへ、さ、おふざけもこれくらいにして学校行きますかー!」

さやか「これ以上やってたら遅れちゃうよっ、さあしゅっぱーつ!」

悪戯が成功した事に満足そうに笑みを浮かべると、さやかは学校へと歩いて行った

まどか「う、うんっ」

まどか「……」

まどか「……うん」ガックリ

仁美「……」ガックリ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/13(木) 21:10:16.01 ID:TzBXRYX0o
のんびり待ちます
33 :!ninja[sage]:2011/10/13(木) 21:59:00.29 ID:+KcPbNtho
張り付け手伝おうか?
34 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 22:00:49.32 ID:ploz71IT0
先に歩くさやかに追いついたまどかと仁美

仁美とさやかは楽しそうに会話を始めるが、まどかはどこかうかない顔で二人の後ろにいた

まどか(……)

まどか(……やっぱりさやかちゃん。私の事、ただの友達なのかなぁ……)

まどか(……私はこんなに好きなのになぁ……)

まどか(……)

まどか(でも、これが普通だよね、これが)

まどか(女の子が女の子を好きになるなんて変だもんね……)

まどか(好きなんて言ったら、きっとさやかちゃんを困らせちゃう)

まどか(……)

まどか(……でも……私……)

まどか「はぁ……」

さやか「……ん、どした?まどか」

35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/13(木) 22:01:00.81 ID:34nkCWMBo
ところどころ加筆するとか言ってなかったか?
徹夜明けらしいし寝落ちか?
36 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 22:03:35.80 ID:ploz71IT0
寝落ちしてました……

張りつけは大丈夫です。ちょいちょい加筆していきますし、お手数でしょうから……
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/13(木) 22:06:03.89 ID:/oEthCa9o
良いと思うよ
38 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 22:13:07.13 ID:ploz71IT0
浮かない顔のまどかに気付いて立ち止り、まどかの顔を覗き込む

まどか「……え?」

さやか「具合悪いの?」

まどか「う、ううん。ど、どうして?」

さやか「んー、さっきからずっと下向いてぼんやり歩いてるし、今の溜息もあったしさ」

さやか「なんかあったのかなーって」

まどか「……そ、そっか……」

さやか「うん。具合悪いんじゃなかったら、悩みごと?」

さやか「悩みごとだったらこのさやかちゃんにお任せあれ!百戦錬磨のこのあたしがどーんと解決しちゃうよん!」

さやか「あ、でも一回、300円です」

調子よくと笑う顔から一転して、真面目のような顔をして両手を差し出す

まどかはさやかのふざけた態度と、気にかけてくれた嬉しさから笑みをこぼす

まどか「……てぃひひっ!」

さやか「にゃははっ!」

少しの間、二人は笑い合うとさやかは、ふ、と作り物ではない、まじめな顔をする

さやか「……で、ホントに大丈夫なの?」
39 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 22:28:19.19 ID:ploz71IT0
心配するさやかに、まどかは穏やかな笑みを浮かべる

まどか「うん。なんでもないよ」

さやか「そっか。……でも、なんかあったらすぐ言いなよ?」

さやか「力になるからさ」

まどか「……うん」

まどか「……ありがとう」

さやか「うんうん。頼ってくれたまえ?我が嫁よ!」

さやか「さ、いこっか。まどか」

まどか「うんっ!」

自分に笑いかけてくれるさやか

まどかは嬉しくなってさやかの腕に抱きつき、でれでれと顔を緩ませた

さやか「ちょっ、くっついたら歩きにくいって……」

まどか「てぃひひっ!」



仁美「……」

仁美「良いもん見れたわ」

少し遠くで二人を目を輝かせて観察していた仁美であった
40 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 22:50:35.72 ID:ploz71IT0

学校 教室 

さやか「おはよー……ってなんか騒がしいね」

仁美「本当ですわね。何かあったんでしょうか?」

さやか「なんだろう……ちょっと聞いてくるよ」

仁美「あ、はい。お願いします」

さやか「おっけー」

さやか「はよっす!なんかあったの?」

「あ、美樹ちゃんおはよう!実はね……」

まどか「あ……」

気安くクラスメイトに話しかけていくさやかを見て、まどかは表情を少し複雑なものにする

仁美はそんなまどかの表情をちらりと窺うと、小さく微笑んだ

仁美「……まどかさん。本当にさやかさんの事、お好きですね」

まどか「えっ!、あ、えと……」

図星と不意を突かれまどかは体を跳ねさせる

仁美「優しいですし、気も利きますし、顔も広い」

仁美「凄い人ですわ」

まどか「……うん」
41 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 22:56:03.74 ID:ploz71IT0
まどか「さやかちゃんは、凄いよね……」

言葉に反して、まどかは寂しげな雰囲気を醸していた

仁美「……まどかさん?」

その雰囲気が気になった仁美がまどかに話しかけようとするが、丁度そこでさやかが二人の元へ戻ってきた

さやか「お待たせ。聞いてきたよん」

仁美「どうでした?」

さやか「なんか転校生がくるみたいだね。女の子で、しかもかなり可愛いって」

仁美「そうなんですの。ですからみなさん騒いでるんですのね」

さやか「みたいだね。……うーん……可愛いのかぁ……」

まどか「どうしたの?」

さやか「可愛いんだったら、私の第二の嫁にしてやろうかなーって」

まどか「……え?」
42 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 23:14:04.85 ID:ploz71IT0
さやか「転校生を第二の嫁に迎えて、あたしのハーレム計画を進めるのだよ……ふっふっふ……」

仁美「ふふ、もう、さやかさんったら」

まどか「だっ」

まどか「だめだよっ!!だめっ!!絶対だめ!!」

さやかの言葉にまどかは血相を変える

さやか「……まどか?」

仁美「まどかさん……?」

まどか「……あっ」

まどか「ご、ごめん……」

さやか「……なんだまどかぁ嫉妬してるのかぁ?」

まどか「え、あ……」

さやか「本当に可愛いなっまどかはー!」

さやか「仕方ないなぁ。嫁がそう言うならやめるしかないね。うんっ」

まどか「う……」

さやか「お、そろそろ先生くるね。席もどろっ」

まどか「う、うん……」

仁美「はい。それでは」
43 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 23:32:24.61 ID:ploz71IT0
ホームルーム

先生「卵はうんぬんかんぬん中沢君!」

中沢「はい?」


まどか(……)

まどか(私……何やってんだろ)

まどか(さやかちゃん、冗談で言ってたのに)

まどか(あんな大きな声、いきなり出しちゃって……)

まどか(……)

まどか(……さやかちゃんに変な顔されちゃったよ……)

まどか(……恥ずかしいよぉ)

まどか(……はぁ)

まどか(このやきもち焼き……なんとかしなくちゃ……)

まどか(……でないと、また変なことしちゃうよ)


先生「―――れで今日は皆さんにお知らせがあります」

まどか(お知らせ?)

まどか(……あ、そっか、転校生さんが来るって言ってったけ)

まどか(どんな人かな……)

まどか(……)

まどか(……さやかちゃん、世話焼かなきゃいいけど……)
44 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/13(木) 23:40:09.36 ID:ploz71IT0
すんません……今日はもう限界です

ほんとにゆっくり投下していくので、ふと思い出したときに来た方がいいかもしれません

あと、これからは基本sage進行で、新しいところまでたどり着いたら合図としてageようと思います

それではお休みなさい
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/13(木) 23:42:07.32 ID:/oEthCa9o
乙乙
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/13(木) 23:42:41.33 ID:34nkCWMBo

できればコピペ部分は手早くお願いしたいんだぜ…
気長に待つ準備はできてるけどな
完結期待してるよ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/13(木) 23:50:07.08 ID:V4mP3nQGo
乙〜
加筆はとっても嬉しいなって
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/14(金) 00:05:27.81 ID:l56O41Kao
VIPで中途半端に続きまで見てしまったからそこに行くまでやきもきしてしまう
とりあえず乙
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2011/10/14(金) 01:08:49.02 ID:XGQFuOIXo
乙 追いついた
凄い所で止まってるんだな
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/14(金) 01:52:04.33 ID:phhnUHLAo
乙ー
加筆修正もいいけど、完結の見通しが消える事がない程度にしてくれな!
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/14(金) 05:36:29.24 ID:g3vFic9DO
完結させる気があるなら半月掛かっても構わん
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/14(金) 07:46:56.77 ID:SMS+iCeQo
半年かかっても(ry
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/10/14(金) 11:39:34.36 ID:pBlLjz+30
読んできたよ…
俺は待ってるからな

完結させてくれよ?
絶対だからな?
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/10/14(金) 16:25:55.56 ID:eFGQGWgzo
途中からだけど前スレ見てたよ〜

ゆっくりでもいいから頑張れ
55 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 18:42:39.20 ID:VYJgy/px0
先生「そのお知らせと言うのは……今日から転校生さんがこのクラスに仲間入りしますっ!」

先生「それも女の子ですっ!」

「……」

先生「……あまり反応がないですね……まぁいいか」

先生「それでは暁美さん、どうぞ」

そう先生が声を掛けると教室の扉が開き、一人の少女が黒く長い髪を揺らしながら入ってくる

そして黒板の中心の前に立ち、冷たいをクラスの皆に向けるとひとつ、礼をした

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

先生「……」

先生「は、はい。それでは皆さん今日から暁美さんをよろしくお願いしますね」

「「はーい」」

先生「暁美さんは東京の方から―――――」


さやか「わーすっげぇ美人だよ。まどか」

まどか「う、うん……」

先生がほむらの事を説明する中、ほむらは冷たい瞳をまどかに向け、ジッと見つめた

まどかはそれに驚き、びくりと体を揺らす

まどか「……ぇっ」

まどか(な、なんでこっち見るの?こ、怖いよ……)

まどか(さ、さやかちゃん……)

まどかはその視線に不安になり、さやかにおびえた視線を向ける

さやかはその視線の意味を素早く感じ取り、まどかに優しい笑みを返した

まどか(さやかちゃん……)

まどかがさやかの笑みに安心した表情を見せる中、ほむらはそれに構わず、先生の紹介が終わるまでまどかを凝視し続けていた
56 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 18:52:02.60 ID:VYJgy/px0
ホームルームが終わると、すぐにクラスメイト達はほむらを取り囲み、質問の雨を降らせた

ほむらはそんなクラスメイト達の怒涛の質問に一つも言い淀むことなく、すらすらと答えていった

まどか、さやか、仁美の三人は、ほむらを囲む人だかりから少し距離を置き、その様子を見ていた

さやか「凄い人気だねー転校生」

仁美「あれだけ綺麗なんですもの。皆さんの気持ちもわかりますわ」

さやか「……声かける必要なさそうだね。ありゃ」

まどか「……」

さやか「……でも、なんでまどかの事ガン見してたんだろうね?」

さやか「まどか、知り合い?」

まどか「ううん……」

さやか「そっか……だったら」

まどか「だったら?」

さやか「まどかに一目ぼれしたのかもよ〜?」

まどか「ええー……」

さやか「リボンの力だね。これは!」
57 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 18:56:21.25 ID:VYJgy/px0
まどか「う、嬉しくないよ……」

さやか「にゃははっ……ん?」

「鹿目さん」

まどか「……えっ」

突然後ろから無感情な声を掛けられ、まどかは驚いて声の方を振り向く

すると、いつの間にか人だかりから抜け出してきたほむらが、こちらをあの冷たい目で見つめていた

ほむら「あなたが保健係よね?保健室まで案内してくれるかしら?」

まどか「ど、どうして私の事……」

ほむら「先生から聞いたの」

ほむら「だから……」

さやか「あ、保健係あたしだよ?」

ほむら「……あなたが?」

さやか「うん。先生教え間違えたんじゃないのかな?」

ほむら「……」
58 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 19:05:13.47 ID:VYJgy/px0
さやか「それじゃあ、あたし暁美さんのこと送ってくるわ」

仁美「……はい」

まどか「さ、さやかちゃん……」

不安げな色で自分を見つめるまどかと仁美に、さやかはニコリと無言で笑みを返す

さやか「それじゃあ行ってくるよん!留守番頼んだよ二人ともっ」

仁美「ふふっ。わかりましたわ」

まどか「う、うん……」

さやか「いってきまーっす!」

そう言ってさやかはほむらを連れ、教室を出ていく

だが、ほむらが教室のドアをくぐる寸前、顔だけまどかに向け、何か言いたげに視線をぶつけた

まどか「……ぅ」

まどかはほむらの視線の恐怖からから逃げるように目を反らす

ほむらはすぐにその視線をまどかから外すとさやかの後をゆっくりと付いて行った
59 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 19:35:01.52 ID:VYJgy/px0
そして教室に残されるまどかと仁美

まどかはほむらの視線からの解放に、一旦安堵のため息を吐く

仁美「……さやかさん。ホントに優しいですわ」

まどか「……うん」

まどか(大丈夫かな……さやかちゃん……)

心労の絶えないまどかだった
60 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 19:45:19.71 ID:VYJgy/px0
教室を出たさやかとほむらの二人は、さやかを先頭に保健室を目指していた

どこか気まずい雰囲気が流れる。さやかはそれを何とかしようと口を開く

さやか「暁美さん。体弱いんだっけ?大変だねー」

ほむら「そうでもないわ」

さやか「そ、そっか……」

ほむら「ええ」

だがそれも四言の会話で終わってしまう

訪れる気まずい沈黙。それを先に破ったのはほむらだった

ほむら「あなた……保健係じゃないでしょう?」

さやか「……どうして?」

少しの間

ほむら「……担任が転校生に自分のクラスの誤情報を教えるわけがないわ」

さやか「そりゃそうだよね……はは」

ほむら「どうしてこんな事を」

さやか「うーん……まどかがあんたの事怖がってたからね」

ほむら「……」

さやか「……あんた、まどかの知り合いなの?」

答える必要はないとばかりに無言。さやかはほむらの態度に、軽い苛立ちを覚えてしまう
61 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 20:01:34.74 ID:VYJgy/px0
さやか「……ともかくさ、まどかを怖がらせるのは止めてくれない?」

ほむら「そんなことしたつもりはないわ」

さやか「無意識でやってんだ」

ほむら「……」

さやか「普通に話しかけるのは良いと思うけどさ。ガン見とかは止めてあげて。怖がるから」

ほむら「善処するわ」

さやか「……あんた性格悪いって言われない?」

ほむら「初めてよ」

さやか「……そうですか」

さやか「あ、ここ……」

さやかの案内より先にほむらは、廊下の角を曲がり、さやかの先を歩いて行く

ほむら「こっちよね」

さやか「あ、う、うん……」

さやかは道を知るほむらを不可解に思いながら、後を着いて行った
62 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 20:19:28.97 ID:VYJgy/px0
ほむら「案内ありがとう。助かったわ」

さやか「……それはどーも」

結局さやかの案内もほとんど無しに保健室に辿り着き、保健室のドアノブに手を掛ける

さやかはほむらの後ろに立ち、ほむらの皮肉めいた言葉に眉をひそめていた

そしてほむらはドアノブを回し保健室に入ろうとする

が、そこでほむらは首を回しさやかに顔を向ける

ほむら「……一言。良いかしら」

さやか「なに」

ほむら「甘い言葉には裏があるわ。そして裏を見て痛い目にあうのは、あなただけじゃない」

ほむら「覚えておくといいわ」

さやか「……」

ほむら「それじゃあね」

さやか「……はいよ」

それだけ言うとほむらは保健室のドアをくぐっていった

一人廊下に残されたさやかは、保健室のドアを睨みつけ

さやか「電波さんかよ……」

そう、漏らした
63 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 20:23:48.85 ID:VYJgy/px0
教室

さやか「たっだいまー」

仁美「あ、さやかさん」

まどか「さ、さやかちゃん。大丈夫だった?」

教室に戻ってきたさやかをまどかと仁美は安心と心配が混じる表情で迎えた

さやか「うん。何ともなかったよん」

まどか「よかった……ごめんね。行かせちゃったみたいで……」

さやか「いいっていいって。いろいろと転校生さんと話せたしね」

まどか「そうなの?……どうだった?」

さやか「うーん……毒電波発してる?」

まどか「な、なにそれ?」

さやか「あたしにも解らん」

まどか「てぃひひっ」
64 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 20:55:45.11 ID:VYJgy/px0
さやか「ま、とりあえず、釘はさしといたから大丈夫じゃないかな?」

まどか「く、釘?」

さやか「まどかは気にしなくていいよ」

さやか「お、そろそろ先生来るんじゃない?」

まどか「あ、う、うん。じゃあ私、席戻るね?」

さやか「はいはーい」

まどかはさやかの言葉に怪訝な表情を浮かべたまま自分の席に戻っていき、さやかはそれを笑顔で見送った

まどかがその場を離れると、仁美がすぐにさやかに近づく

仁美「変な、人でしたの?」

さやか「うん。とびっきり」

仁美「そうですの……」

さやか「変なことしなきゃいいんだけどねー」

仁美「ええ……」
65 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 21:06:52.61 ID:VYJgy/px0
放課後

さやか「あの後すぐ転校生戻ってきたけど、相変わらずまどかの事見つめてたね」

まどか「うん……」

さやか「まどか愛されてるなぁ……さやかちゃん嫉妬しちゃう!」

仁美「ふふっ」

さやかと仁美が笑い合う中、まどかはほむらの行動に気が気がないようだった

それにさやかは気付き、話題を変える

さやか「まぁ冗談はともかく……無視してればそのうちやめると思うけどね」

まどか「そうかなぁ……」

さやか「うんうん。大丈夫だって」

さやか「それに何かあったら私が助けるからさ」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「300円で」

まどか「……てぃひひっ」

さやか「にゃははっ」
66 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 21:12:43.28 ID:VYJgy/px0
さやか「……それじゃあ良い時間だし、帰ろっか?」

まどか「うんっ」

さやか「仁美、今日は?」

仁美「ごめんなさい……今日もお稽古です」

さやか「そっか。ならまどか。このさやかちゃんと二人でいちゃいちゃしながら帰ろうか?」

まどか「さ、さやかちゃん……」

仁美「ふふっ。……それじゃ、お先に失礼しますわ」

さやか「はーい。お稽古頑張ってね。仁美」

仁美「はい。ありがとうございます」

まどか「……じゃあね。仁美ちゃん」

仁美「はい。それでは」

さやかたちにぺこりと頭を下げ、仁美は教室を出て行った
67 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 22:50:07.11 ID:VYJgy/px0
さやか「さ、あたしたちも帰ろっか」

まどか「うん」

さやか「あ、まどか、帰りにCD屋寄ってっていい?」

まどか「……上条君?」

さやか「……う、うん」

上条という言葉に、さやかが顔をほんのり赤く染め、まとっていたお気楽な雰囲気を一変させる

まどかはさやかのそんな様子に心が締め付けられるような感覚に襲われ、表情を暗くさせる

まどか「……」

まどか「……いいよ」

さやか「ありがとっ。まどか」

まどか「……うん」

さやか「今日はどんなCD持ってってやろうかな……ふふっ」

まどかの様子の変化に気付くことなく、さやかはニコニコと顔を緩ませ、歩き始める

まどかは浮かれるさやかのうしろを、寂しげな表情で着いて行った
68 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 23:01:46.82 ID:VYJgy/px0
CD屋

さやか「それじゃあまどか。ちょっと待ってて」

まどか「……うん」

CD屋に着くとさやかは一目散にクラシックのCDの方へ駆けて行った

そしてクラシックのコーナーに着くと、さやかは真剣で、それでいて楽しげな表情でCDを探し始める

まどかはそんな楽しそうなさやかを少し離れた、非常口の傍でぼんやりと見ていた

さやか「〜♪」

まどか「……」

まどか「はぁ……」

まどか(上条君の事になるといっつもこれだもんなぁ……)

まどか(楽しそうにして……幸せそうで……)

まどか(私の事見てくれなくなって……)

まどか(……)

まどか(上条君が羨ましい……)

まどか(……)

まどか(……上条君なんかいなくなっちゃえばいいのに)

まどか(……そしたらさやかちゃん私の事……)

まどか(……あっ)

まどか(なっ、なに考えてるんだろう、私……)
69 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 23:13:05.67 ID:VYJgy/px0
まどか(これが、さやかちゃんの幸せなんだから……)

まどか(でも……)

まどか「はぁ……」

「おいで」

その時、まどかの頭に直接声が響く

まどか「え?」

「こっちにおいで」

まどか「私を……呼んでるの?」

まどか「誰……?」

自分を誘う、誰かの声

まどかはその声に誘われるまま、非常口の扉に手を掛け、出て行った

さやか「よし、これに……あれ?まどか?」

キョロキョロと周りを見渡すさやか

店内をぐるりと見渡すと、視界の端に閉まっていく非常口が映る

その扉の向こうに自分と同じ制服の端が消えて行くのを見えた

さやか「……まどか……?」
70 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 23:35:24.16 ID:VYJgy/px0
路地裏

声に誘われ、気が付くとまどかはどこかの路地裏まで来ていた

まどか「あれ?ここ……」

キョロキョロと、不安になって周りを見渡していると

「まどか」

足元から先程まで自分を呼んでいた声が聞こえてくる

まどかは驚いて声のした方に顔を向けると

自分の膝ほどの大きさの、白く、耳から長い毛のようなものをはやした、犬のようで、猫のような生き物が

愛嬌のあるくりくりとした目でこちらを見つめていた

「やぁ」

まどか「え?な、なに?しゃべっ……」

その生き物が突然喋り出す。まどかは酷く驚いたが、そのいきものはまどかの様子に意を介せず、話を続けた

「よく来てくれたね。鹿目まどか」

まどか「あなたが……しゃべってるの?」

キュゥべぇ「そうだよ。僕の名前はキュゥべぇ!よろしくね」

ぴょこんと可愛らしくその場を跳ねる
71 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 23:44:35.84 ID:VYJgy/px0
まどか「よ、よろしく……」

まどか「あなたは、な、なんなの?」

しゃがみ込み、キュゥべえと名乗る生き物に顔を寄せる

まどかの質問に、キュゥべえは考えるそぶりを見せた

キュゥべえ「うーん……強いて言えば、魔法の使者かな」

まどか「ま、魔法?」

キュゥべえ「うん。そうだよ!」

まどか「う、うん……それで……なんの……」

キュゥべぇ「うん。君を呼んだのはほかでもない、君の願いをかなえてあげようと思ったからなんだ」

まどか「ね、願いを?」

キュゥべぇ「うん。君には今かなえたい願いがあるだろう?」

まどか「……な、なんの……」

キュゥべぇ「美樹さやか」

まどか「……え?」

突然の登場に、突然の提案。まどかは話の展開の速さに着いて行けず、オロオロとするばかりだったが

一人の少女の名前に、その動きが止まる
72 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/14(金) 23:55:38.03 ID:VYJgy/px0
キュゥべぇ「欲しくないかい?」

まどか「……」

キュゥべぇ「君が望めば、すぐにでも美樹さやかは君の物になる」

キュゥべぇ「上条恭介以上に、美樹さやかは君の事が好きになる」

キュゥべぇ「どうだい?魅力的だろう?」

キュゥべえ「その願いを叶えたくないかい?」

まどか「……あ……」

キュゥべぇ「その願いをかなえたいなら……」

キュゥべぇ「僕と契約してま」

まどか「……えっ?」

まどか「……あれ?キュゥべ……」

キュゥべえは何かを言い終わる前にその姿をいきなりまどかの前から消してしまう

その姿を探そうと周りを見渡そうと、顔を上げたその時

まどか「……ひっ」


誰かの手に首を掴まれてその体をぶら下げられ

頭に焦げた穴が開いた、キュゥべえだったものと目があった

73 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 00:10:53.46 ID:my1jHTpB0
まどかはその光景に驚き、おびえながら、恐る恐る視線を上に登らせていく

するとこちらを無表情で見降ろす、妙な格好をしたほむらと目が合った

ほむら「……」

まどか「あ、暁美さ……」

ほむら「こいつの言葉に耳を貸してはダメよ」

まどか「ど、どうしてそんな……」

ほむら「幸せに生きたいなら。誰かの幸せを願うなら絶対に聞いてはダメ」

そう言ってほむらは、キュゥべえだったものを道路の端に投げ捨てた

ぐしゃりと嫌な音を立て、体を崩しながら道路を転がる。

まどかはその酷い光景に目を離したくも離せず、釘づけにされてしまっていた

まどか「あ、ああ……」

ショックをうけているまどかを気にした様子も見せず、ほむらは話を続けようとする

ほむら「さもなければ……」

「まどかっ!!」

が、そこで、まどかに後ろから声が掛かる

振り返るとそこには、怒りの表情で、ほむらを睨みつけるさやかがいた
74 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 00:24:15.21 ID:my1jHTpB0
まどか「さやかちゃんっ!!」

さやか「まどかっ!こっち!」

さやかがまどかに手を差し伸べる

まどかは縋り付くようにその手を掴み、そのままさやかに抱きついた

まどか「さやかちゃんっ」

恐怖に震えるまどかを優しく抱きしめ、頭を優しく撫でる

まどか「さやか……ちゃ……」

さやか「……よしよし」

途端まどかは、深い安心感に包まれ、身を覆っていた恐怖による震えはその姿を消した

さやか「……あんた、何してんの」

まどかの震えが止まった事を確認するとさやかは、激しい怒りを写した瞳を再びほむらに向けた

だがほむらはそれに眉ひとつ動かさず、無言にそれを受け止めるだけだった
75 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 00:32:30.74 ID:my1jHTpB0
さやか「怖がらせるなって言ったじゃん」

ほむら「……」

さやか「普通に話しかけろって言ったじゃん」

ほむら「……」

さやか「何とか言いなさいよっ!!」

ほむら「そっちに行ってはダメよ」

さやか「話も通じないのあんたは!!」

ほむら「……」

さやか「行こう!まどか!!」

まどか「う、うんっ」

話が通じないと踏んださやかは、まどかの手を引き、ほむらとは逆の方向へ駆けていく

ほむら「待ちなさ……」

逃げる二人を追おうと足を踏み出した時、その足元に、乾いた銃声と共に一発の銃弾が撃ち込まれ

ほむらは足を止めてしまう
76 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 00:52:33.29 ID:my1jHTpB0
「一般人に手を出す魔法少女がいるなんて、ね」

声のした方にほむらは顔を向ける

そこには髪を頭の両脇に緩く巻き、ほむらと同様の妙な格好をした少女と

道路に転がっているはずの生き物が怪我ひとつなくその場にいた

ほむら「お前が呼んだのね」

キュゥべぇ「……」

キュゥべぇ「……マミ。こいつだよ」

マミ「ええ。そのようね」

ほむら「……」

マミ「魔法少女とは戦いたくはないんだけど……」

マミ「あなた、どうしてこんな事を……返答によっては」

マミ「ただ……あら?」

マミ「ど、どこいったの?」

キュゥべぇ「……」

忽然とほむらはマミと呼ばれる少女の前から一瞬でその姿を消す

マミはオロオロと周りを見渡すがその姿を確認することはできなかった

そんなマミがオロオロとする中、キュゥべえは無言で道端で転がっている自分と同じ容姿の死骸を見つめていた

77 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 01:29:18.77 ID:my1jHTpB0
まどか「はぁ……はぁ……」

さやか「はぁ……はぁ……ここまでくれば……大丈夫?まどか」

無我夢中でほむらから逃げると、ころ合いを見たさやかが、走る足を止める

まどか「う、うん……大丈夫……」

さやか「よかった……」

まどか「うん……ありがとう……さやかちゃん」

さやか「いいって!……それにしてもホントにシャレになんないよあの転校生っ!」

まどか「うん……怖いよ……」

さやか「……大丈夫。今度来てもまどかはあたしが守るっ!だから、ね?」

まどか「……さやかちゃん……」

さやか「ふぅ……それでここ……」

さやか「どこ?」

息を落ち着かせたさやかは周りをぐるりと見渡し、そう言った

つられてまどかもきょろきょろと周りを見渡す

まどか「え、ほ、ほんとだ、どこだろう?」

さやか「うん、しかもなんか……気持ち悪い」

さやかの言う様にいつの間にか周りの景色は、とても現実と呼べるようなものはなく

歪み、捻れ、異物なものが立ち並ぶ、異界と化していた

まどか「うん……」

まどかはそんな周りの様子に怯え、さやかの手を掴み、身を寄せる

さやかはそんなまどかを安心させようとまどかの方に顔を向けると

「―――――――」

明らかに人ではない異形がこちらを見つめていた
78 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 01:48:56.43 ID:my1jHTpB0
さやか「っ!!」

まどか「さやかちゃん?」

さやかの驚きの表情を怪訝に思ったまどかは、さやかの視線の先に自分の視線を向け

まどか「ひ」

そこにいた異形に驚きと恐怖を覚え、小さな悲鳴を漏らす

まどか「な、なにっ?あれっ?……きゃっ!」

さやか「っ!……まどかっ!」

およそ人と思えないモノ達は、まどかと、さやかを見ているだけかと思いきや

次の瞬間その体を浮かし、まどかに向かって体をぶつけようとしてきた

まどかは使い魔の接近の恐怖に体をこわばらせ、目を閉じてしまう

そんなまどかをさやかは抱きしめ、身を呈して庇おうとした

さやかに使い魔の体当たりが、当たったかと思った、その瞬間

さやか「っ!……えっ?」

使い魔は乾いた銃声ひとつとともに、その姿を消した
79 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 01:52:07.55 ID:my1jHTpB0
>>78の訂正版



さやか「っ!!」

まどか「さやかちゃん?」

さやかの驚きの表情を怪訝に思ったまどかは、さやかの視線の先に自分の視線を向け

まどか「ひっ」

そこにいた異形に驚きと恐怖を覚え、小さな悲鳴を漏らす

まどか「な、なにっ?あれっ?……きゃっ!」

さやか「っ!……まどかっ!」

およそ人と思えないモノは、まどかと、さやかを見ているだけかと思いきや

次の瞬間その体を浮かし、まどかに向かって体をぶつけようとしてきた

まどかは異形の接近の恐怖に体をこわばらせ、目を閉じてしまう

そんなまどかをさやかは抱きしめ、身を呈して庇おうとした

さやかに異形の体当たりが、当たったかと思った、その瞬間

さやか「っ!……えっ?」

異形は乾いた銃声ひとつとともに、その姿を消した
80 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 02:02:06.10 ID:my1jHTpB0
「危なかったわね」

同時に二人に向け優しい声が響く

銃声と優しい声の先、そこには先程ほむらと対峙していた髪を緩く巻いた少女、マミが、長銃を構え立っていた

まどか「え……?」

さやか「あなたは、さっきの……」

マミ「間に合ってよかったわ。……それじゃあ片付けちゃうから、ちょっと待っててね?」

まどか「え……」

仲間がやられたことからか次から次へと現れる異形たちにマミは正面から対峙する

完全にマミを敵とみなした異形たちは、その命を奪うべく、次々とマミに飛来する

マミ「いらっしゃい」

だがマミはそれに冷静に一言残し、大量の長銃を具現させ、迫る異形たちを打ち抜いて行く

まどかとさやかの二人はその光景を信じられないといった様子で、ぼんやりと眺めていた

そして全ての異形を撃ち倒すと、マミは二人に振りかえり、周りの異空間の消滅と共にニコリと笑いかける

マミ「おしまい」

さやか「すっごい……」

まどか「うん……」
81 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 02:08:24.63 ID:my1jHTpB0
マミ「ふふ、ありがとう」

マミ「それにしても危ないところだったわね。この子が教えてくれなかったら、間に合ってなかったわ」

キュゥべぇ「……」

まどか「っ!あ、あなた……」

ひょっこりと何事もなかったようにまどかとさやかの前に現れるキュゥべえ

まどかは先程死骸となった筈のイキモノがここにいる事に酷く混乱していた

さやか「な、なにこの子、猫?犬?」

キュゥべえに興味を持ったさやかは、近づいてしゃがみ込む

そこでキュゥべえは愛想のよい声で二人に挨拶をした

キュゥべぇ「まどかはまたあったね。美樹さやかは初めましてっ!」

さやか「わ、しゃ、しゃべった?」

キュゥべぇ「僕の名前はキュゥべぇ!会ってさっそくなんだけど…」

キュゥべぇ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

さやか「へ?」

まどか「え?」
82 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 02:31:02.03 ID:my1jHTpB0
マミ「ごめんなさいね。二人とも」

さやか「い、いえ……」

マミ「それじゃもう家に帰った方が良いわ、ここは結構物騒……」

キュゥべえ「マミ、この子たちは」

マミ「わかってるわ。けど……巻き込んでしまうの?」

キュゥべえ「でも凄い才能なんだ。魔法少女になればきっと」

さやか「あ、あのっ!」

マミとキュゥべえ、二人しかわからない会話の中、さやかがその中に割って入る

さやか「今のってなんなんですかっ?それにあなたは……」

さやかの質問にマミは一度キュゥべえに目配せをする。キュゥべえはそれに黙ってうなずいた

マミ「……知りたい?」

さやか「は、はいっ!」

マミ「そう……それじゃあ、知りたいのなら、このまま私の家に来て?」

マミ「そこで詳しく説明するわ」

さやか「い、いきますっ!」

まどか「さやかちゃんっ!?」

さやか「だってあんなにカッコよかったんだよ?話くらい聞きたいじゃん!」

まどか「で、でも……」

さやか「いこう?まどか。契約ってのも気になるしっ」

まどかは死んだ筈のキュゥべえがここにいるという不気味さ、危険な事かも知れないかもしれないという直感、

そしてさやかのマミに向ける尊敬のまなざしに二の足を踏んでいたが、さやかをがっかりさせたくないという思いから、不承不承に頷いた

まどか「……う、うん……」
83 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 02:38:33.87 ID:my1jHTpB0
マミ「それじゃ決定ね。私の家はこ……」

二人を案内しようと歩き始めたマミだったが、行き先を遮る人影にその足を止める

さやか「転校生……」

まどか「……ぅ……」

さやかはまどかをほむらから守ろうと、まどかの前に出て、背中に庇い

マミは先程対峙していた少女の出現に、警戒の色を濃くした

マミ「どこに行ったかと思ったら……まだ二人の事狙ってたのね」

ほむら「いいえ」

マミ「だったら何のようかしら?」

マミの質問を無視し、マミからさやかへと視線を移す

さやかはその視線に体をこわばらせた

ほむら「美樹さやか」

さやか「な、なによ……」

マミ「む、無視……」

マミは無視された事にちょっとショックを受けているようだった

ほむら「忠告、覚えてるかしら」

さやか「……」
84 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 02:46:11.87 ID:my1jHTpB0
ほむら「忘れないことね」

さやか「……どーも」

ほむら「……」

まどか「っ!」

さやかとの会話を終えると、ほむらはあの冷たい目をまどかに向け、いつものようにじっと見つめた

視線の恐怖から体をビクつかせるまどか

それを見るとほむらはすぐに視線を外し、三人に背を向け歩いて行ってしまった

マミ「ちょ、あ、あなたっ!」

マミ「な、なんなのよ、もうっ」

キュゥべぇ「マミ」

自分をないがしろにされた事に憤慨するマミだったが、キュゥべえの一言に正気に戻る

マミ「あ、う、うん。それじゃ、行きましょうか?」

さやか「……はいっ!」

まどか「……はい」

そうして三人はそれぞれ別々な表情を浮かべ、マミの家へと向かっていった
85 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/15(土) 02:48:01.15 ID:my1jHTpB0
今日はここまで。お疲れさまでした

もう少し、訂正抑えたほうがいいですかね……全然先に進まない
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/15(土) 02:51:09.11 ID:vS/mnWmUo
乙乙

加筆は嬉しいが、前スレの続きが気になるから速度も欲しい
あっちが立つとこっちが立たない
取り敢えず、がんばれ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/15(土) 03:10:48.19 ID:IpZDylUy0
お疲れ様です!
2度目でも面白いんでじっくりとやってくださいな!
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/10/15(土) 03:28:02.80 ID:WCG+UwuAO
前スレ見てきた。
このまどかは救済の女神にはなれそうにないなw
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/15(土) 04:03:48.58 ID:cmOSyeaDO
>>86
ここは簡単に落ちないんだし急かしてやんなww
絶対完結してくれれば1のペースでいいよ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/15(土) 07:22:41.49 ID:iFzH1ZrDO
本当に小説版まどかっぽいww

小説版の心理描写は色々と考えさせられたわ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/15(土) 09:58:37.62 ID:YrgdobrDO
>>1さんがんばって書ききって
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage ]:2011/10/15(土) 11:38:59.53 ID:ej+p9YZSo
ほむらちゃんマジコミュ障
93 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/16(日) 01:13:06.67 ID:fbTVdnae0
訂正 >>82 のひとつ前

 
マミ「こらこら、そんな事いきなり言われても二人とも混乱するでしょう?」

いきなりのキュゥべえのお願いにキョトンとした表情を浮かべる二人

マミはそれに困った笑みを浮かべ、キュゥべえを抱き上げる

キュゥべぇ「そっか……そうだね」
94 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/16(日) 02:19:30.07 ID:fbTVdnae0
マミの家

マミ「ここが私の家よ。どうぞ」

マミが二人を自分の家まで案内すると、ニコリと笑い中に招き入れる

さやかは元気に、まどかはオドオドとマミの家に足を踏み入れた

さやか「おじゃましまーすっ!」

まどか「お、おじゃまします……」

マミ「ふふ。いらっしゃい」

マミ「それじゃあちょっと待ってて。今、お茶を用意するわ」

マミ「あ、適当にくつろいでいていいからね?」

そのままリビングまで二人を通すと、マミはそう言い残し、キッチンへと消えていく

リビングに残された二人はマミのお言葉に甘えることにし、ガラスでできた座卓の周りに隣り合う形でこわごわと腰を降ろした

さやか(一人暮らしなのかな……)

キョロキョロと周りを見渡し、綺麗に片づけられているがどこか生活感の抜けている部屋に、さやかはそんな感想を持った

その事についてマミが戻ってきたら聞こうと思ったが、無遠慮とも思い、聞く事をを止める事にする

周りを見渡しながらマミを待つさやかに対し

まどかは、さやかをチラチラと見ながらと、緊張と不安から、基本的に俯いてマミが戻ってくるのを待った
95 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/16(日) 02:56:42.91 ID:fbTVdnae0
マミ「お待たせ。口に合うかわからないけど……どうぞ」

紅茶とお茶受けのクッキーををお洒落なトレイの上に用意すると、リビングに戻ってきてそれを二人に配った

さやか「わ……こんな美味しそうなの良いんですかっ?」

マミ「ええ。よければどうぞ」

おいしそうな紅茶と茶菓子に軽く興奮するさやかに、マミは嬉しそうに笑う

さやか「ありがとうございますっ!いただきますっ!」

マミに礼を告げると、早速さやかは紅茶に口を着け、一口いただく

マミは、そんなさやかの姿を少し不安そう見守った

マミ「……どうかしら?」

さやか「ん……おいしいっ!めちゃうまいっすよっ!これっ」

さやかの好評にマミは顔を華やかせる

マミ「そう。ありがとう」

マミ「あ、あなたもどうぞ?」

まどか「あ、は、はい。いた、いただきます」

まどかは不安な面持ちで二人の様子を窺っていたが、まどかもマミの勧めに、紅茶に口を着ける事にする。

まどか「あ……おいしい……」

マミ「よかった」

一口飲んだことで漏れるまどかの言葉に、さやかの時と同様に頬を緩ませた、
96 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/16(日) 03:18:47.33 ID:fbTVdnae0

マミ「さ、それでさっきの事だったわね」

そう言うと優しい笑みを一転させ、真剣な表情を浮かべるマミ

まどかとさやかの二人はそんなマミの雰囲気の変わりように、つられるように身を正した

マミ「さっきのはね―――――」

そこからマミは自分の事、先程の空間の事、そしてその中にいた異形達について知っていることを説明していく

さやかは熱心に、真剣にその説明を聞いていき、まどかはそんなさやかを横目で見ながら、マミの話を聞いた

マミ「――――――と、私たち魔法少女。そして敵の魔女と使い魔というものは言うのはこんなものよ」

さやか「はぁ……」

さやか「……かなえたい願いをなんでも叶えてくれる、かぁ……」

キュゥべぇ「うん。なんでもだよ」

さやかの呟きに、今まで黙っていたキュウべぇが口をはさんでくる

キュゥべぇ「大好きな人の幸せを願う事も、自分の為に願う事も自由だよ」

キュゥべぇ「どうだい?願いを叶えるために僕と契約してみないかい?」

さやか「……」

まどか「……で、でも、代わりにあの怖いのと戦わなくちゃ、いけないんですよね?」

マミ「……そうね。あれ以上ものと戦わなくちゃいけない時も来るわ」

まどか「……」

マミ「焦ることはないわ。焦って願いを決めたってなにもいい事なんてないもの」

マミ「ゆっくり。本当に願いたい事を考えて、ね?」
97 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/16(日) 03:29:00.80 ID:fbTVdnae0
さやか「……マミさんは魔法少女になってどう思ってるんですか?」

マミ「私?そうね……」

さやかの質問にマミは少し考えるそぶりを見せ、少し虚空を見つめるとさやかに視線を戻す

マミ「後悔してるわ」

さやか「……後悔?」

マミ「……ええ」

マミ「だから、もしあなたたちが魔法少女になるのなら後悔しないようにしてほしいの」

マミ「私のようにじゃなくて、ね」

さやか「……」

さやか「マミさんは一人で戦って辛くないんですか?」

マミ「辛くないといったら嘘になるわ」

マミ「……でも、自分で選んだ事だもの。しっかりやらなくちゃね」

影がある、寂しげな笑顔

さやかはそれを見ると、力強く頷いた

さやか「……あたし、マミさんの手伝いがしたいです」

さやかの決心に、マミはキョトンとし、まどかは驚きを隠せなかった

マミ「え?」

まどか「さやかちゃん!?」
98 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/16(日) 03:37:40.40 ID:fbTVdnae0
さやか「助けてくれたマミさんに、恩返ししたいし……」

さやか「それに、一人では辛いんですよね」

マミ「……ええ」

ゆっくりと頷く

さやか「だったらあたし、マミさんを助けたいです」

まどか「さやかちゃんっ危ないんだよ!?死んじゃうかもしれないって……」

さやか「わかってる。でも……」

マミ「……そっか」

マミ「でも、一時の感情に流されるのは良くないわ」

マミ「あなたが思っている以上にこれは辛いことだからね」

さやか「……」

マミ「……そうね。それじゃあ私が今まで体験してきた事話すわ」

マミ「それを聞いて、そして一日考えて、それでもまだ魔法少女になりたいのなら……」

マミ「明日、私の所に来て」

マミ「そこでキュウべえと契約しましょう?」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/10/16(日) 10:31:16.85 ID:MscxFkKno
前スレの続きになったら教えてくれ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 13:35:51.25 ID:JGd5IyLDO
バックれだけはやめてくれよ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 20:44:11.70 ID:WczPKLwIO
がんばれ
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/10/17(月) 22:48:29.78 ID:jSqIXFR30
>>1よ、今更だが前スレのぶん貼らなくていいよ
まとめサイトもあるんだし、労力とレスの無駄だ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 23:10:01.68 ID:JGd5IyLDO
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 23:10:29.92 ID:JGd5IyLDO
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 23:12:53.40 ID:JGd5IyLDO
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/17(月) 23:13:43.25 ID:JGd5IyLDO
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/17(月) 23:14:37.90 ID:PbT5mO+to
俺はお前が不安だよ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/10/17(月) 23:21:26.64 ID:3VKEtqrvo
不安だからって四度も書き込まなくても・・・

>>1頑張れー、完結するなら一年でも二年でも待つよ
109 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/17(月) 23:49:30.52 ID:YhXh2R7g0
遅れました、ちょっと忙しくて書き込む暇が……

絶対に完結はさせますので安心してください。結末ももう考えてありますので

それではぼちぼちと開始
110 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/17(月) 23:53:31.42 ID:YhXh2R7g0
キュゥべぇ「……僕は今すぐにでも構わないんだけどね」

マミ「ふふ。急かさないの」

近くにいたキュウべえを抱き抱え、頭を優しく撫でる

キュウべえは気持ち良さそうに目を瞑り、それを受け入れた

マミ「それじゃあどこから話そうかしらね……」

さやか「何でもどんとこいですよっ!」

どこからどう話そうかと迷うマミに、さやかはドンと軽く胸を叩く

マミ「ふふっ……そうね。それじゃあ、私が魔法少女になってからの話を……」

マミはさやかの調子のよい姿に、クスリと笑うと、自分の体験談を話し始めた

辛かった事、悲しかった事。様々な事を

さやかはそれを熱心に目を輝かせて聞き、まどかはマミの話が進むにつれて顔を青ざめさせていった
111 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 00:04:35.37 ID:KLXB6A+P0
まどか(さやかちゃん、ホントに魔法少女になるつもりなのかな……)

まどか(この人、こんなに危ない目に会ってて……)

ちらりとマミに視線を移し、すぐに目を伏せ、考えに耽る

まどか(危ない目に合うかもしれないのに……そんなの……)

そしてさやかに視線を移し、その熱心な横顔を盗み見る

まどか(でも……そうだよね。困ってる人がいたら、昔からさやかちゃんは……)

脳裏に映るのは、小さいころの友達もいない自分に手を差し伸べてくれるさやかの姿

そしてさやかは今も変わらず、あの頃のように自分を、皆を助けている

正義のヒーロー

まどかの、ヒーローだった

まどか(……)
112 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 00:18:06.50 ID:KLXB6A+P0
そんなさやかがまた人をを助けようとしている

目の前の、強く、弱い彼女を

まどかの傍から、離れて

まどか「……っ」

そう思うと、突然まどかに強い焦燥感が襲ってきた

目の前の大好きなさやかが、どこか、遠くへ、自分の手の届かない所へ行ってしまうかもしれないという恐怖にも似た焦燥感が

まどか(そんな話、さやかちゃんに聞かせないでよ……)

まどか(さやかちゃん、そんな話聞いたら……)

そしてその手の届かない場所は、とても危険な場所

その先にさやかが会う困難など、考えたくもなかった

まどか(やめて、やめてよ……さやかちゃんが危ない目に会っちゃう……)

まどか(……やめてよ、さやかちゃんを巻き込まないでよ)

まどか(いきなり出てきてさやかちゃんを取らないでよ)

焦燥感はやがて、そんな危ないところへとさやかを巻き込もうとするの怒りと

時折笑い合い、さやかの尊敬のまなざしを向けられるマミへの嫉妬へと変わっていった

まどか(……さやかちゃんと笑い合わないでよ)

まどか(さやかちゃんと楽しく話さないでよ……)

まどか(いきなり、いきなり出てきて……!)

まどか(……ひとりでやってよ……!)
113 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 00:25:29.62 ID:KLXB6A+P0

「――――か、まどか?」

思考の海に沈んでいたまどかだったが、さやかの心配する声に、現実へと引き上げられる

まどか「え、えっ?」

さやか「どしたまどか?ぼーっとして」

まどか「な、なんでもないっ。なんでもない、よ……」

慌てて首を振る、マミは自分の話にショックを受けたのだと思い、申し訳なさそうに頬を掻いた

マミ「ごめんなさい。ちょっと刺激が強かったかしらね」

まどか「……え、えへへ……」

そんなマミに自分の思いを封じ込め、まどかは愛想笑いを返した

マミ「もうこんな時間だし、お話はこれくらいにしましょうか」

さやか「はいっ!お話あざっした!マミさんっ!」

マミ「ふふっ。いえいえ」

マミ「参考になってくれれば幸いだわ」

マミ「それじゃあね……えと……」

さやか「はい?」

マミ「今更だけど、あなたたちの名前……聞いてなかったわね」
114 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 00:35:48.11 ID:KLXB6A+P0
さやか「あ、そっか」

さやか「私は美樹さやかですっ!以後お見知りおきをー」

スカートの端を掴み、見えない程度に裾を上げお辞儀をする

マミはそんなさやかにくすくすとほほ笑んだ

マミ「ふふっ。よろしくね。美樹さん」

さやか「それでこっちが……」

手を向け、まどかに挨拶を促すが、まどかはさやかの後ろから上目づかいでマミを見つめるだけだった

さやか「ほら、まどかっ」

まどか「鹿目……まどかです……」

ボソリと自己紹介。そして視線ををマミから外し、目を伏せる

まどかの態度にさやかは頭を掻く

さやか「すいません、人見知りなんです。まどかは……」

マミ「いえいえ。よろしくね、鹿目さん」

にっこりと微笑みかける。だがまどかはマミに視線を合わせようとはしなかった

まどか「……はい」

マミ「それじゃあ私も自己紹介しなくちゃね。私は巴マミ」

マミ「一応あなたたちの先輩よ。よろしくね」

さやか「はいっ!マミさんっ」

まどか「……よろしくお願いします」

マミ「うん。それじゃまたね。美樹さん、鹿目さん」

さやか「はいっ!また明日っ!」

まどか「……また明日……」

そうして一人は元気に、一人は元気なくマミの家を出ていく

マミはそれを笑顔で見送った
115 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 00:40:32.43 ID:KLXB6A+P0
一人、いつもの静かな家に残されたマミは、笑顔を崩し、寂しさに目を細める

そこにリビングで寝ていたキュウべぇがやってきてマミの隣に座った

キュゥべぇ「意外だね。マミなら、もっとあの二人を勧誘するかと思ったけど」

マミ「……どうして?」

キュゥべぇ「毎日寂しい寂しい言ってたじゃないか」

マミ「あ、あれは……ほ、ほっといてよ……」

マミ「……」

マミ「確かに寂しいけど……辛い思いをさせてしまうのは嫌だもの」

キュゥべぇ「そうかい。優しいね。マミは」

マミ「……ありがと」

キュゥべぇ「……」
116 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 01:00:44.19 ID:KLXB6A+P0
――――――――――――

マミの家を出たさやかは、意気揚々と。まどかは意気消沈した様子で帰り路に着いていた

さやか「やっぱりマミさんは凄いね……昔からあんな事してたなんて」

まどか「……」

さやか「助けてあげたいな……あんなにいい人なんだし!」

まどか「……」

さやか「……まどか、聞いてんの?」

反応のないまどかにさやかは顔を覗きこませる

そこでまどかはピタリと立ち止り、不安に揺れる瞳をさやかに向けた

まどか「ねえ、さやかちゃん……」

さやか「……ん?」

まどか「……本当に魔法少女になるつもりなの?」

さやかはまどかの瞳から言わんとする事をすぐに読み取る

さやか「まぁ、ね……やっぱりまどかは反対?」

まどか「当然だよっ!だってさやかちゃんが危ない目にあうかもしれないんだよっ!」

まどか「そんなの……私……!」

さやか「……ホントにまどかは優しいね」

俯き、感情の高ぶりから目に涙をためるまどかを、優しく撫で、安心させるようにニッコリと笑いかける

さやか「大丈夫っ!私は危ない目になんか合わないよっ!」
117 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 01:13:05.56 ID:KLXB6A+P0

さやか「百戦錬磨のさやかちゃんですよ?不覚をとるわけないじゃん!」

ドンと胸を叩く。だがまどかはさやかの自分を安心させようという意図を理解していて、ただ、顔を俯かせた

さやか「……」

さやか「……それにきっと危なくなったらさ、マミさんが助けてくれるよ」

さやかがもうひと押しと掛けた、マミ、という言葉に、まどかは体をぴくりと反応させる

さやか「だから、さ」

まどか「……さやかちゃんがなるなら、私がなる」

まどか「さやかちゃんの代わりに私が、マミさんを助けるっ」

さやか「ダメ」

まどか「……っどうして……」

さやか「危ないし……それに、私が、マミさんを助けたいんだ」

まどか「……」

さやか「大丈夫だから。まどかは絶対に魔法少女になっちゃ駄目だからね?」

まどか「さやかちゃん……!」
118 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 01:53:15.20 ID:KLXB6A+P0
さやか「……まどかの家そっちでしょ?バイバイだよ。まどか」

まどか「さやかちゃんっ!!」

さやかは自分の家とまどかの家のわかれ道まで来ると、足を止め、さよならを告げる

まどかは考えを変えようとしないさやかに大きな声を出すが、さやかは動ずることはなかった

それどころか、まどかに釘をさす

さやか「まどか。さっきの魔法少女の事、約束ね」

さやか「破ったら、まどかの事嫌いになっちゃうからね」

そのさやかの言葉にまどかは怯み、俯く

まどか「……ぅ……」

さやか「じゃあね、まどか。また明日」

まどか「さやかちゃんっ!」

そしてついにさやかは、まどかに背を向け歩いて行ってしまった

まどか「あ……」

まどか「……」

まどか「さやかちゃん……なんで、あの人なんかの為に……」

まどか「さやかちゃん……」

まどかは一人、さやかの後ろ姿を見送りながら、さやかの心配と、マミへの嫉妬に心を焦がさせた

119 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 02:05:31.08 ID:KLXB6A+P0
――――――――

その後、まどかは自宅へと戻ると

親たちの心配の声を背中に、自分の部屋に直行する

まどか「……さやかちゃん」

ベッドの上に飛び込むように寝転がると、枕元にあるさやかの写真をぎゅっと抱きしめ、呟く

まどか「……なんで……」

「まったくだよね」

まどか「っ!」

突然の声にまどかはベッドから身を起こし、周りを焦って見渡す

すると、人形の中に紛れるキュウべえの姿が目に入ってきた

キュゥべぇ「やぁ、まどか。こんばんわ」

まどか「キュゥべぇっ!?ど、どうしてここに……」

キュゥべぇ「まぁいいじゃないか。それより……」

キュゥべぇ「美樹さやかが心配かい?」

まどか「え……」

キュウべえの言葉に焦りの表情から、驚きの表情へと変える

キュウべえはそんなまどかの顔を、くりくりとして、無感情な瞳に収めるとゆっくりと言葉を続ける

キュゥべぇ「心配だよね。二つの意味で」

まどか「な、なに……」

キュゥべぇ「魔女と戦う事と、そして……」

キュゥべぇ「マミにさやかが取られてしまう事」
120 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 02:19:55.90 ID:KLXB6A+P0
会って間もないキュウべえに図星を突かれた事に、まどかは言葉を失う

キュゥべぇ「僕の見たところ、さやかは相当マミに肩入れしている」

キュゥべぇ「そしてマミも然りだ」

キュゥべぇ「このままでは、さやかは確実に契約して、マミの元へ行くだろう」

キュゥべぇ「そしてマミもそれを受け入れる」

キュゥべぇ「結果、君は一人ぼっちになるね」

まどか「……あ」

キュゥべぇ「嫌かい?」

まどか「……」

少しの間の後、まどかは迷いなく頷いた

それにキュウべえも満足そうに頷く

キュゥべぇ「なら、そうなる前に君が、魔法少女になってさやかの代わりにマミの元へ行けばいい」

キュゥべぇ「そうすれば、君の想定する事態は防げると思うよ?」

キュゥべぇ「どうだい?良い話だろう?」
121 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 02:28:56.85 ID:KLXB6A+P0
まどか「……うん」

まどか「私……まほ」

キュウべえの契約への勧誘に、まどかは魔法少女になる決心をし、その首を縦に振ろうとした時

『嫌いになっちゃうからね』

さやかの先程の言葉が頭に響く

まどか「っ!」

まどか「……私……」

大好きなさやかに嫌われる。それはまどかの決心をゆるがせるには、十分な要素だった

戸惑うまどかをジッと見つめキュウべえは、首を捻る

キュゥべぇ「……なにか迷いがあるみたいだね」

キュゥべぇ「迷うのは良いけど……早く決めた方が良いと思うよ」

キュゥべぇ「時間はあんまりないんだから」

まどか「……」

キュゥべぇ「……今日はここまでにしようか」

キュゥべぇ「僕はいったん消えるよ。でも契約したくなったらすぐに呼んでね」

キュゥべぇ「すぐに駆けつけるから」
122 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 02:33:09.73 ID:KLXB6A+P0
まどか「キュ、キュゥべぇっ」

キュゥべぇ「じゃあね。まどか」

そう言ってキュウべえは闇へと消えていった

まどか「あ……」

まどか「行っちゃった……」

まどか「……」

まどか「私、どうしたら……」

まどか「……さやかちゃん……」

まどかは写真を強く抱きしめ、その写真に映る人を強く想った

そうして、まどかの迷いと苦しみの夜は更けていく
123 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 02:42:57.34 ID:KLXB6A+P0
公園

まどかの勧誘の後、キュウべえは公園まで歩き出て電柱の下でひとりごちていた

キュゥべぇ「これでまどかが契約しないなんてね……意外だね」

キュゥべぇ「そう思うだろう?君も」

そう言うと背後を振り返り、誰もいない筈の空間に声を掛けた

そこで現れる黒い影。魔法少女の姿をしたほむらが、闇の中から姿を見せる

ほむら「……」

キュゥべぇ「ずっと窓の外から見ていたようだけど……良い趣味してるじゃないか」

ほむら「……」

キュゥべぇ「どうしてそこまで、あの子、まどかに肩入れするんだい?」

キュゥべぇ「君とはほとんど関係ないじゃないか」

ほむら「……」

キュゥべぇ「変な子だね。契約した覚えもないというのに、魔法少女になっているし」

キュゥべぇ「話も通じない。君は」

ほむら「もう話は終わったかしら」

キュウべえ「ま」

うざったそうにほむらは髪を掻き上げる

そして次の瞬間、キュウべえは四肢をバラバラに引き裂かれ地面に転がっていた

ほむら「……まどか」

呟く少女の名。その名を呼ぶ声は、愛しさと、悲しみに満ちていた
124 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 02:46:51.60 ID:KLXB6A+P0
今日はここまで。お疲れさまでした

進まない……

アンケートなんですが

今までのように地の文ありありで修正した方がいいでしょうか?

それとも地の文を極力少なくしてスピード重視した方がいいでしょうか?

意見をくれると嬉しいです

125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/18(火) 02:53:57.16 ID:OV+FNeRRo
読み直すにはちょうどいいから有りで良いかと
負担にならない程度で
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/18(火) 03:14:29.15 ID:yzKVrvVmo
地の文足すのに時間どんだけかかるかですね〜
はやく続きを読みたくもあるんで。

地の文が増えること自体は描写がわかりやすくなるんでありがたいかなー
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/10/18(火) 03:16:05.48 ID:SNuhQdwgo
好きなようにするべき
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/18(火) 06:16:55.98 ID:9L9W5snNo
乙〜
スピードより、修正重視の方が嬉しいなって。落ちることはないんだし、ゆっくり待ってる
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/18(火) 06:19:30.45 ID:LzooBpMDO
絶対に完結させる気があれば極端な話読者無視で書きたいように書けばいい。
途中バックれが何より怖い。
それさえしなきゃ加筆は歓迎。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/18(火) 06:21:38.99 ID:LzooBpMDO
すまん>>109見てなかった。
なら安心だ、加筆が必要なら悔いのないよう満足するものを書いてくれ。
続き期待
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/18(火) 08:01:20.29 ID:3wfXTboDO
SS速報だしゆっくりとやっていていいと思う
132 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 23:35:14.54 ID:KLXB6A+P0
翌日 通学路

さやかの事、そして魔法少女のなるか否かに悩み続け、結局一睡もできなかったまどかだったが、

深いクマを作りながらも重い足を引きずって学校へと向かう

まどか(眠い……)

落ちてくる瞼を擦り、歩を進める。そして行く先のいつもの場所に、まどかの一番大切な人とその友人の姿を見つけた

さやか「よ、おはよう。まどか」

仁美「おはようございます。まどかさん」

二人共にいつもの様子でまどかに声を掛ける。

二人の様子にまどかは、自分だけがこんなに気分を落ち込ませている事を馬鹿らしく感じてしまう

まどか「……おはよう」

さやか「……なんだ?元気ないぞぉ?笑ってた方が我が嫁は可愛いんだぞぉー!」

元気のないまどかを見ると、さやかは後ろから優しく抱きしめ、まどかの頬に頬擦りした

まどか「さ、さやか、ちゃん……」

さやかの急な接近と温もりに、まどかは頬を真っ赤に染め、視線をあちらこちらと揺らす

そんな二人に仁美は頬に手を当て、微笑む

仁美「やっぱり仲がおよろしいですわね。お二人とも」

さやか「そりゃそうさっ!夫婦は仲良くしなくちゃねっ!」

さやか「まどかー!愛してるぞー!」

まどか「わ、わっ」

仁美の感心とした言葉に、さやかはまどかを抱きしめる力を強め、その体を更に密着させる

まどかは好きな人ととの体の密着に更にあわあわとうろたえた

仁美「ええぞ!ええぞ!(あらあら)」

さやか「え?」

仁美「な、なんでもありませんわっ」

大ハッスルの仁美であった
133 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/18(火) 23:49:26.56 ID:KLXB6A+P0
登校も半ばという頃、まどかは我慢できず、仁美がいるというのにさやかに思いつめた様子で話しかけた

仁美はいつものまどかとは違う様子にその様子を横から窺う

まどか「……ねぇ、さやかちゃん」

さやか「ん?どした?」

まどか「……今日、本当にマミさんの所に行くの?」

さやか「うん。恭介の所に行ってから行くつもりだよ」

まどか「上条君……?」

さやか「昨日行ってないからね。その後に」

まどか「……そっか……」

さやかはまどかの質問に迷うことなく頷き、聞きたくもない、上条という言葉を吐きだす

まどかはそれに深く気を落ち込ませたが、何とか言葉を続ける

まどか「……マミさんの所に行くのやめた方が良いよ」

まどか「……やっぱり危ないもん。行ったら、さやかちゃん」
134 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/19(水) 00:23:13.73 ID:97Hl0HMr0
まどか「だからやめよ?ね?」

懇願するまどかの瞳

さやかはそれに申し訳なくは思ったが、自分の決心を揺らがせる事はなかった

さやか「……ごめん。まどか」

さやか「一晩考えたけど、やっぱりマミさんの事助けたいんだ」

さやか「……絶対に怪我しないからっ!」

さやか「だからわかってよ。まどか」

優しくさやかはまどかに笑いかける

だがまどかは、さやかのお願いに頷く事はなく、ただ顔を俯かせるだけだった

さやか「まどか……」

ただならぬ二人の様子に心配になった仁美が、恐る恐ると声を掛ける

仁美「……なんの話ですの?」

心配に二人の間に割って入ってきた仁美にさやかはごまかそうとあいまいな笑みを浮かべ、首を振る

さやか「んーん。なんでもないよっ」

さやか「ただの夫婦の会話だよーん」

仁美「そう、ですの?」

さやかの意図をなんとなしに感じ取った仁美は、納得はせずともゆっくりと頷いた

さやか「そうそうっ!あ、やばいっ学校遅れちゃうよっ!」

さやか「さぁさぁ急ごう急ごう!」

自分の意図を感じ取ってくれた仁美に感謝しつつ、さやかは学校へと走り出す

仁美「あっ、待ってくださいっ!さやかさんっ!」

まどか「……」

仁美もさやかに追走するが、まどかはその場に立ち尽くしたままだった

135 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/19(水) 01:21:29.52 ID:97Hl0HMr0
そこでまたまどかはドロドロとした思考の海に溺れ始める

まどか(やっぱりさやかちゃん……魔法少女に……)

さやかの真剣なあの瞳

まどかはさやかが一度決めた事は絶対に止めない、揺るがない頑固さを持っている事知っていた

でも、だからこそ、さやかを止めたかった

まどか(危ないのに……死んじゃうかもしれないのに……)

まどか(どうして……)

足元から這い上がり、心臓を握るような不安に、まどかの心は不安定になっていく

まどか(……一緒にいてよ……行っちゃやだよ……)

そして浮かびあがる、さやかと笑い合う彼女の顔

その笑顔に忌々しいという思いがまどかの心を駆け巡る

まどか(……あの人のせいだ)

まどか(あの人さえいなかったら……さやかちゃんは……)

まどか(なんででてきたの)

まどか(いなくなってよ……)

まどか(……マミさん)

ジュクジュクと沸き上がるマミへの嫌悪感

その感情は段々とエスカレートしていき、遂にはその存在をもまどかは消えて欲しいと願ってしまった

さやか「ん、まどかーっ!どうしたー?置いてくぞー?」

そこでさやかがまどかが走ってきていない事に気付き、立ち尽くすまどかに声を掛ける

まどか「……今行くよ」

その声に、嵌っていくドロドロとしたとした暗い思考かの海からまどかは立ち戻り、ゆっくりとさやかたちの元に走り始める

暗い思考から離れられたものの、マミに対するまどかの一方的な悪感情は膨れ上がるばかりだった
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/10/19(水) 09:53:18.32 ID:xDpddQKBo
乙っちまどまど
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/19(水) 10:04:12.74 ID:G+piHdXqo
乙乙
vipの時でどのくらい終わってるのかな?
もう終盤に入ってるの?
それともまだ中盤?
ちょっと削れば入るかもって言ってたから、そんなに終わりまで遠くないと思うんだけど
138 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/19(水) 15:48:28.47 ID:97Hl0HMr0
>>137
vipでは大体7〜8割くらいでしたね

でもNIPに来たんですからちょっと書いてみたいことをやってみようと思ってます

ですからもうちょっと伸びるんじゃないかなーと

139 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/19(水) 16:26:28.42 ID:97Hl0HMr0
放課後

一日の授業が終わると、さやかは早々に荷物をまとめ、席を立つ


さやか「それじゃあ行ってくるかなーっと」

まどか「……行くの?」

まどかはすぐにさやかに近づき、心配そうにじっとさやかの顔を見つめた

さやか「うん。だからまどかは先に帰ってて」


そんなまどかにニコ、と笑いかけるさやか

まどかはその笑顔に、俯き、さやかの制服の裾を掴むことで応えた


まどか「……私もマミさんの所に行く」

さやか「でも、まどか……」

まどか「行くのっ!!」

さやか「う……」


顔を勢い良く上げ、真剣な目でさやかを見つめる

そんなまどかの今まで見た事のない剣幕に、気圧されてしまう


まどか「さやかちゃんの事心配なのっ!だからっ……だから……」

さやか「……」


自分を心配してくれて、こんなに必死になってくれるまどかに

呆れ半分、嬉しさ半分の溜息を吐く


さやか「……わかったよ。でもまどかは絶対契約しちゃ駄目だからね?」

さやか「約束したんだから」

まどか「……うん」
140 : ◆OkhT76nerU[saga sage]:2011/10/19(水) 17:01:28.01 ID:97Hl0HMr0
仁美に別れを告げ、教室を出た二人は学校の玄関まで移動していた

先に靴を上履から下足に履き替えると、さやかはまどかに振り返った


さやか「それじゃあ先にマミさんの所行ってて。あたし、先に恭介の所行ってくるから」

さやか「待ち合わせ場所は解るよね?」

まどか「……うん」


昨日マミの教えて貰った場所を頭に浮かべ、微かに首を縦に振るまどか

そんなまどかにさやかは再び釘をさす


さやか「あ、先に着いたらからって、契約しちゃ駄目だからね?」

まどか「……うん」

さやか「じゃあ、後でね。まどか」


まどかのもう一度の首是を見ると、さやかは満足そうに頷き、まどかを背に走って行く

まどかは寂しさと、さやかが向かう相手への嫉妬に心をざわめかせながら、その姿を見送った


まどか「……さやかちゃん……」

「ちょっといいかしら」


そこで後ろから掛かる、冷たい声


まどか「っ!……あ」

まどか「暁美……さん……」



まどかが慌てて振り返ると、その先には無表情のほむらがこちらを見つめていた
141 :新たに書き下ろし[saga sage]:2011/10/19(水) 18:21:48.72 ID:97Hl0HMr0
ほむら「ここでいいわ」

まどか「……」


逆らったら何をされるかわからない。そんな恐怖から大人しくほむらに着いてきたまどか

連れてこられた場所は、今は使われていない教室

そこに着くと、今まで見せていた背を翻し、まどかに向かい合った

いつもと同じ無表情、だが今日はどこか雰囲気が柔らかく感じられた


まどか「あの……暁美さん……は、話って」


だが、何をされるかわからないというう恐怖は消えたわけではない

恐怖からまどかは恐る恐るとほむらに話しかける

ほむらはそんなまどかの姿を無表情に瞳に捉え、自分の長い髪に手を触れた


ほむら「ほむらで良いわ」

まどか「え?」


ほむらの口から出た予想外の言葉にまどかはキョトンとした顔を浮かべる


ほむら「嫌?」

まどか「う、ううんっ、その……」

まどか「ほむら……ちゃん」


ほむらと、まどかに呼ばれた瞬間、ほむらの口元が少し緩んだようにまどかには見えた


ほむら「なにかしら」

まどか「あ、う、う、うん……」


ほむらはそれをごまかすかのように急に切り返す

ほむらの急な切り返しに慌てふためくまどかだったが、何とか気を取り直し、恐る恐る口を開く
142 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 18:40:15.94 ID:97Hl0HMr0
まどか「それで、話ってな……に?」

ほむら「巴マミの所に行ってはダメよ」


前振りもなにもない突飛な返答に、まどかはこの部屋の妙な雰囲気もあり、軽く混乱してしまう


まどか「……え?」

ほむら「巴マミの所へは行くな、と言ったの」


同じ二度目の返答

まどかは混乱を引きずりながらも、ほむらが何故そんな事を言ったのかという疑問を持った


まどか「ど、どうして」

ほむら「危険だからよ。昨日巴マミから聞いたでしょう?」

ほむら「魔法少女になる事が、どれだけ危険なのか」


あの場にいなかったほむらが、昨日、自分に聞かされた内容を知っている

その事にまどかはドキリと心臓を強く打たせた


まどか「な、なんで……それを」

ほむら「答える必要はないわ」

まどか「っ……うぅ……」
143 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 20:27:57.05 ID:97Hl0HMr0
質問を強い口調で返すほむらに、まどかは身をちじこまらせる

ほむらは自分の肩にかかった髪を軽く触れ、話を続ける


ほむら「マミの所に行けば、これからあなたは必ず危険な目に会う」

ほむら「それが嫌なら、あなたはこのまま家に帰りなさい」

ほむら「魔法少女の事を全て忘れてね」

まどか「で、でも……さやかちゃんが……」


さやか、という言葉に、ほむらはわずかに眉を吊り上げ、柔らかく感じた雰囲気が一転する

まどかはその空気を敏感に感じ取り、目を伏せる


ほむら「美樹さやかは私が説得しておくわ。だからあなたは帰りなさい」

まどか「……」

ほむら「まどか」


押し黙り、沈黙を返すまどか

そんなまどかにほむらは背を向け、教室の扉の方へと歩き出す


ほむら「忠告はしたわ。それじゃあね」

ほむら「まどか」


教室の扉まで来ると、ほむらはまどかに顔だけ向け、そう言って出ていこうとした
144 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 20:51:45.77 ID:97Hl0HMr0
まどか「ま、待ってっ!」


その時、ほむらの後ろからまどかの制止の声が掛かり、ほむらはまどかに背を向けたまま足を止めた


ほむら「なにかしら」

まどか「え、あ、あの……」


まさか止まると思っていなかったほむらにまどかは多少動揺しつつも、心に溜めていた疑問をほむらにぶつける


まどか「……ど、どうしてほむ、らちゃんは、私に魔法少女に、なって欲しくないの?」

ほむら「危険だからよ」


短く、冷たい声で返答する

だが、まどかの聞きたい事はそんな事ではなかった


まどか「き、危険なのはわかるんだけど……」

まどか「どうしてほむら、ちゃんは、そんなに気にかけてくれるの?」

まどか「あってそんなに経っていないのに……」


ほむらはその言葉に少しだけ顔を俯かせ小さな声で呟く


ほむら「私はずっとあなたの傍にいたわ」

まどか「え?」


ほむらの微かな声はまどかに完全に届かず、まどかは首を傾げる
145 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 21:00:45.21 ID:97Hl0HMr0
ほむら「私が魔法少女だからよ」

まどか「どういう……あっ」


それだけ言うとほむらは首を傾げ続けるまどかを置き去りにして、教室を出ていってしまった

まどかはその姿を追おうと教室の外に出たが、ほむらの姿はもうどこにもなかった


まどか「ほむらちゃん……どういうこと……なの」


ほむらがその場から消えたあと

まどかは、ほむらの言葉の意図を理解できないまま、廊下に一人立ち尽くしていた
146 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 22:14:58.22 ID:97Hl0HMr0

同時刻 病院 病室前

さやかはまどかと別れたあと、真っすぐ病院に向かい、受付を済ませ、病室の前まで来ていた

これから会う人への想いに心臓を高鳴らせ、緊張に体を固くする


さやか「うぅ……やっぱりなんか緊張するな」

さやか「すぅー……はぁー……」

さやか「よしっ」


ゆっくりと深呼吸をし、高鳴る心臓を押さえながら二回ドアをノックする


「どうぞ」


そして聞こえてくる、優しく、穏やかな、さやかが想う男の子。上条恭介の声

その声を合図としてさやかはゆっくりと病室のドアを開ける


さやか「や、ほっ」


さやかは病室に入ると、病室の窓側のベッドに身を横たえる上条に、敬礼のようなポーズをとった

それに上条は笑顔で迎える


上条「やぁ。さやか。二日ぶりだね」

さやか「う、うん……か、可愛い女の子参上しましたっ!」


おどけた様子で声を掛けるさやかに調子を合わせ、上条は笑みを深める


上条「あはは、いらっしゃい。可愛い女の子さん」

さやか「う、うん……」


調子を合わせた恭介の言葉に顔を微かに赤らめながら、さやかはベッドの横の椅子に腰かける
147 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 22:44:23.07 ID:97Hl0HMr0
さやか「きょ、今日も持ってきたよっCDっ」


ゴソゴソと自分の鞄をあさり、昨日かったCDを上条に渡す

上条はそれを受け取り、さやかに笑顔を返した


上条「そっか。いつもありがとう。さやか」

さやか「いいよ。き、気にしないで」


お礼を言われた、嬉しさと恥ずかしさから手を顔の前に出し、振る


上条「いつかお返し、するからね」

さやか「そ、そう?た、楽しみに待ってますわっ!」


頬に手の甲を当て、いわゆるお嬢様ポーズを取り、てれ隠しのふざけた様子を見せる

上条は照れ隠しとは気付かず、ふざけた様子のさやかをカラカラと笑った


上条「あはは、期待しててよ」

さやか「うん……」

上条「じゃあ今日のCDは、と……へぇっ凄い、こんなのよく見つけてきたねっ?」

さやか「く、苦労したんだよ〜さやかちゃんに感謝しなさいよねっ!」


さやかの持ってきたCDの包装を開け、その内容に驚き目を丸くする上条に、さやかは胸を張ったふざけた様子を見せ、また照れを隠す


上条「うん。ありがとう」

さやか「う、うん……」


ふざけた態度を真面目に返された事と、ニッコリと笑う恭介に顔を赤く染め、その顔を伏せる


上条「それじゃあ早速聞かせて貰うね。さやか」

さやか「どうぞ」


いつものようにさやかに断ると上条はイヤホンで聞くCDプレイヤーを取り出し、さやかからプレゼントされたCDをセットする

そして、耳をイヤホンを耳に埋め、目を閉じて音楽を聞き始めた

その間さやかはそんな上条の横顔をジッと見つめ、自分の中を流れる温かい感情を感じながら、この時間を過ごていった

さやかはいつものこの時間が大好きだった

上条の、大好きな人の近くにいれる。そしてその大好きな人にその人の好きなものを与えられる

この時間が
148 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 23:01:18.86 ID:97Hl0HMr0
―――――――

上条「うん。やっぱり良い曲だったよ」

上条「やっぱりさやかはCDを見つけ出す天才だね」


トラック再生が全て終わると、上条は耳からイヤホンを外し、CDプレイヤーを片づけ、さやかに笑いかける


さやか「ほ、褒めても何にも出ないぞーっ」

上条「あははっ」


照れ隠しにまたふざけた態度を見せるさやか

上条はそれに笑みを見せたが、すぐにその表情を暗いものへと変えてしまった

さやかはすぐにそれに気付き、上条の顔を覗き込む


さやか「……ん?どうかした?恭介?」

上条「ねえ、さやか」


自分の顔を覗きこむさやかに目を合わせ、迷ったように瞳を揺らす

さやかは想い人との距離に怯み、目を反らしそうになったが、何とか耐え上条の目を見返す


さやか「な、なに?」

上条「もし……もしもだよ?」

さやか「……うん?」

上条「もし僕がもう二度とバイオリンが弾けないって言ったら……どうする?」

さやか「え……?」
149 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/19(水) 23:16:09.17 ID:97Hl0HMr0
いきなりの上条の言葉に、さやかは言葉を失ってしまう

そんなさやかを上条は、強い不安を瞳に映しながら、ジッと見つめた


上条「……なんてね。冗談だよ」


両者が言葉を出さず、見つめ合いながら流れていく沈黙の時間

それに耐えられなくなったかのように上条は、その沈黙を破る


さやか「……な」

さやか「なんだ冗談かぁ!び、ビックリしたぁ!」

さやか「変な冗談言わないでよーもうっ」


上条の冗談という言葉に安堵の表情を見せるさやかだったが


上条「あはは。ごめん」

上条「……ごめん」


上条の弱々しい笑みとその笑みがすぐに無くなってしまった事に、安堵の表情をすぐに霧散させる


さやか「恭介……?」

上条「……今日はこれから、検査があるんだ。だからそろそろ……」


上条は窓の外に視線を移し、暗に帰って欲しいとさやかに告げた

その音ののない言葉をさやかは読み取ると、心配に上条を見つめながら席を立つ


さやか「う、うん……わかった」

上条「うん。それじゃあまたね。さやか」

さやか「うん。……また」


そうしてさやかは病室の扉の前に立ち、上条に向け小さく手を振ると、ゆっくりと部屋を出て行った

上条は病室を出ていくさやかを見送り、そしてその後もさやかが去った病室の扉をいつまでも眺めていた
150 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 00:36:45.84 ID:rtWou6Qj0
―――――――――

上条の病室を出たさやかは俯き、物思いに耽りながら病院の出口へと向かっていた

考えているのは当然、先程の上条の事


さやか「恭介……なんか様子が変だったな……」

さやか「何かあったのかな」


『もし僕がもう二度とバイオリンが弾けないって言ったら……どうする?』

上条の病室での言葉がよぎる

上条は冗談と言っていたが、その後の表情と態度に、さやかは引っかかりを覚えていた


さやか「……まさかね」

さやか「さぁ、気を取り直してマミさんの所に……」

さやか「……っ!」


さやかが俯かせていた顔を上げて見えた景色、それはいつもの病院の廊下ではなく


さやか「これって……!」


昨日見たものと同じ様な雰囲気を持つ

異界だった
151 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 00:58:05.51 ID:rtWou6Qj0
マミとの待ち合わせ場所 同時刻

まどかは結局、ほむらの忠告を無視し、マミの所へやって来ていた

得体のしれないほむらを信用できなかった事、そしてさやかへの心配に帰る事ができなかった事からの結果だった


マミ「あら?鹿目さん?」


マミがまどかに気付き、声を掛け

まどかはそれに黙ってお辞儀を返した


マミ「あなたが来るなんてね……てっきり美樹さんが来ると思っていたけど」

まどか「いえ……私は……」


まどかのはっきりとしない様子に、マミはまどかが魔法少女になるつもりではない事を理解し

納得と言った感情と、少しの残念さが混じる表情を浮かべる


マミ「……そう。魔法少女になるつもりはないのね」

マミ「賢明だわ」

まどか「は、はい」

マミ「それで……美樹さんは来ないの?」


そう言ってまどかの後ろの方にマミは視線を向ける

まどかはマミの視線を追いながら、美樹という言葉がマミの口から出た事に、激しい嫌悪感を覚えていた


まどか「さやかちゃんは……もう少しで来ると思います」

マミ「そっか」


さやかが来る事を聞き、安堵の混じる笑みを浮かべるマミ

まどかはそれ気に入らなくてしょうがなかった


まどか(……なんで嬉しそうな顔してるの)
152 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 01:09:56.49 ID:rtWou6Qj0
自嘲的な笑みを見せるマミ

まどかは無言でその笑みに応えた


マミ「そう言えば、鹿目さん少し遅かったわね、何か理由でも……」


さやかを待つ間、マミが会話の種を探そうとまどかに話しかけようとした時


『マミ!』


マミとまどかの頭にキュウべえの切羽詰まった声が響く

その声をマミは真剣な表情で、まどかはオロオロと周りを見渡しキュウべえの姿を探しながらその声を聞いた

マミ「キュゥべぇ?どうしたの?」

まどか「え?キュゥべぇの声?どこから」

キュゥべぇ『大変だ!病院に魔女が現れたよっ!」


魔女という言葉にマミは雰囲気を一気に張りつめらせ、目を細める


マミ「そう、わかったわ。すぐに向かうわ」

キュゥべぇ『急いだ方が良い!魔女空間にさやかが飲み込まれてるっ!』


その言葉に、マミはは驚きを隠せず、まどかは一気に顔を青ざめさせた


マミ「なんですってっ!?」

まどか「え……!」

キュゥべぇ『このままじゃ大変な事になるっ!急いで!』
153 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 01:44:13.92 ID:rtWou6Qj0
少しの間考えそぶりを見せたあと、マミはキュウべえに指示を出す


マミ「わかったわ。キュゥべぇは美樹さんの傍にいて」

マミ「それで私が病院に着いたら、その場所を教えて」

キュゥべぇ『わかったよ。マミ』


マミの指示がキュウべえに指示を出すと、キュウべえの声は途端に途切れる

まどかはキュウべえの報告に体をカタカタと、さやかへの心配に震わせていた


マミ「ごめんなさい。今、キュゥべぇから連絡があって……」

まどか「さやかちゃん……危ないんですかっ!?」


マミの説明を無視し、まどかはマミに詰め寄る

キュウべえの声がまどかに聞こえていた事、そして何よりまどかの急な態度の変化に、マミは驚き、身をたじろがせてしまう


マミ「き、聞こえてたの……」

まどか「どうなんですかっ!?」


一瞬マミはこの事をごまかそうかとも思ったが、キュウべえの声が聞こえている以上

そのごまかしは意味がないと判断し、本当の事を告げることにした


マミ「……そうね。とても危ない状況にいるわ。だからあなたは先に……」

まどか「私も行きますっ!!」


マミの言葉を遮り、真剣な表情を見せるまどか

だが、まどかをそ危険な場所に連れて行きたくない。そんな思いがマミをまどかの要求をのむ事を躊躇わせる


マミ「……危険よ?」

まどか「行かせてくださいっ!!」
154 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 01:52:53.97 ID:rtWou6Qj0
マミ「あなたが行っても何の解決にもならないのよ?」

まどか「でもっ私っ!!」


再三にわたる忠告。だがまどかに引く様子は全く見られなかった

そんなまどかに諦めの溜息を吐き、まどかの要求をのむ事に決める


マミ「はぁ……わかったわ」

まどか「マミさん……!」


マミの言葉にパッと顔を華やかせるまどか


マミ「ただし、絶対に私から離れない事。良いわね?」

まどか「はいっ!」

マミ「それじゃあ……行きましょう!」


そうして二人はさやかのいる、魔女空間へと駆けだし始めた

マミはいつも以上の緊張感を、まどかはさやかの心配だけを胸に


マミ(鹿目さん……美樹さんの事、本当に大事なのね……)

マミ(しっかりと、二人とも守らないとね)


絶対に二人を守って見せる。そう心に誓うマミだった
155 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 01:56:36.11 ID:rtWou6Qj0
今日はここまで。お疲れさまでした

試験的に行間を変えてみたんですけど、どうでしょうか?

前の方が見やすいなら、前の方に戻そうと思います

それではまた明日ー
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/10/20(木) 01:58:22.24 ID:62DlSdC5o
乙乙

特に見難いって事は無かった
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/20(木) 01:58:26.95 ID:gFFTIq5Ko
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/20(木) 02:04:31.56 ID:HX3X1+/qo
乙乙
vipでは7・8割か
増えるのは大歓迎だから嬉しいんだぜ
159 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 22:25:39.44 ID:rtWou6Qj0
マミとまどかが魔女空間に向かい始めた頃、さやかは物陰に隠れ、あたりの様子を窺っていた

隙あらば逃げ出そうとも思ったが、昨日の異形に似たもの。使い魔があたりを徘徊し、それは敵わなかった


「さやか!」

さやか「うわっビックリした!ってキュゥべぇか……」


突然後ろから声を掛けられ、さやかは慌てて後ろを振り返ると、そこにはキュウべえが無機質な顔でそこに立っていた


キュゥべぇ「大丈夫かい?さやか」

さやか「うん。なんとかね……何でキュゥべぇはこんなところに?」

キュゥべぇ「マミに魔女空間に巻き込まれた君の場所を教えるように頼まれてね」

キュゥべぇ「それでここまで来たんだ」

さやか「そ、そっか……さすがマミさんだね」

キュゥべぇ「そうだね。……さやか?」


少し間を溜めて、キュウべえは深刻な声を出し

さやかはそれに小さく首を傾げた


さやか「なに?」

キュゥべぇ「ちょっと提案があるんだけど、良いかな?」
160 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 22:43:51.35 ID:rtWou6Qj0
さやか「提案って?」

キュゥべぇ「うん。このままじゃとても危険なのはわかるよね?」

さやか「う、うん」

キュゥべぇ「だから、その危険から身を守るために、今、僕と契約しないかい?」

キュゥべぇ「今此処で契約すれば、自分の身を自分で守れるし」

キュゥべぇ「これから来るマミの手伝いをすることだって出来るよ」

キュゥべぇ「どうだい?」


キュウべえのさやかの身を案じての勧誘。ここで契約してしまえば、キュウべえの言った通り、利となる事ばかりだった

だが、さやかはキュウべえの甘い言葉に乗らず、深く俯くだけだった

この勧誘にさやかはすぐに乗ってくると思っていたキュウべえは、首を横に傾げる



キュゥべぇ「……さやか?」


顔を重々しく上げ、さやかはキュウべえの顔をジッと見つめる


さやか「願いは、一つだけしか叶えられないんだよね?」

キュゥべぇ「そうだよ。契約する為の、一度きりの対価だからね」

さやか「そうだよね……」

キュゥべぇ「……何か、気になる事があるのかい?」
161 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 22:51:22.28 ID:rtWou6Qj0
さやか「うん。ちょっと、ね」

さやか「……それがはっきりしてから、決めたいの」


どこか遠くを見つめ、さやかは何かに想いを馳せる

キュウべえは、そんなさやかに渋々と頷いた


キュゥべぇ「そうか。まだ、大丈夫かもしれないけど……本当に危険になったら……」

さやか「わかってる。その時は……願いを言うよ」

キュゥべぇ「わかったよ」

さやか「……」

さやか「……マミさん、早く来て」


得体の知れぬ空間、異形たちの中、さやかは絶対の信頼の元、その場で蹲ってマミを待つ

キュウべえはそんなさやかの横に座り、ただ、尻尾をパタパタと揺らしていた
162 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 23:02:56.36 ID:rtWou6Qj0
病院 魔女空間前

病院まで辿り着いたまどかとマミの二人は、マミのソウルジェムの反応を頼りに魔女空間の入り口を見つけ出していた


まどか「はぁ……はぁ……」

マミ「ここね……キュゥべぇ?」


魔女空間の入り口まで来ると、まどかは暴れる息を整え、マミはキュウべえへの連絡を始めていた

マミのテレパシーによる連絡に、すぐにキュウべえは返事を返す


キュゥべぇ『マミ?』

マミ「美樹さんは大丈夫?」

キュゥべぇ『うん。大丈夫。でも……相当危険な状況だ』

キュゥべぇ『魔女こっちに近づいて来てる』


キュウべえの危険を知らせる報告に、マミはきゅっと顔を引き締めた


マミ「!……そう。すぐに行くわ」

マミ「案内よろしくね」

キュゥべぇ『ああ。わかった』

マミ「だ、そうよ。鹿目さん?」


キュウべえからの連絡が途切れると、まどかに今の会話の確認を取る

だがまどかはキョトンとした表情を浮かべるだけで、会話の内容がわかっていないようだった


まどか「な、何がですか?」

マミ「え?」

マミ(キュゥべぇ……今のは鹿目さんに聞かせてないの?……どうして……)


当然まどかにも連絡していると踏んでいたマミは、連絡されていない事にに少し戸惑ってしまう
163 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/20(木) 23:19:06.89 ID:rtWou6Qj0
マミの態度に、さやかに何かあったと思ったまどかは、顔を焦りに曇らせた

マミはキュウべえがまどかに連絡していない事を疑問に思ったが、何か事情があったのだと振り切り、キュウべえの代わりに事情を話す事にする


まどか「さやかちゃん、どうかしたんですか!?」

マミ「……いえ。まだ大丈夫だそうよ」

まどか「……よかった」

マミ「でも一刻の猶予もないそうよ。それだけ危険な状況、という事ね」」

まどか「っ……さやかちゃん……」


さやかの安全がわかった事に、まどかは顔を一度安堵の色に染めたが、マミの次の言葉にすぐに表情を心配に曇らせてしまう

そんなまどかを安心させるため、肩に手を置きニコリと笑いかけた


マミ「……そうならないために急がなくちゃね」

まどか「はいっ!」


マミはまどかの肩から手を離し、魔女空間を開くために入り口に手をかざす

そしてそのまま入り口を開こうとするが、マミは一度動きを止めてしまう


まどか「ま、マミさん?」


入り口を開けようとしないマミに、まどかは何かあったのかと声を掛けた

その声にマミはまどかを真剣な瞳で見つめ、最後の確認を取る


マミ「……これからは本当に危険よ。それでもいくの?」

まどか「……はい!」


迷いのないまどかの返事に、マミは呆れと羨望の笑みを向ける


マミ「……美樹さんは幸せ者ね」

まどか「え?」

マミ「こんなに思ってくれる人がいるんだもの」

マミ「……行きましょう」


そうしてマミは魔女空間の入り口を開き、さやかを助けるためにその中へとまどかと共に足を踏み入れていった

164 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 01:12:34.49 ID:NHtpfXRM0
魔女空間 内部

まどかとマミは魔女空間の中を、キュウべえの案内を頼りに、迅速に奥へと向かっていった

途中、可能な限りマミは使い魔を倒していく。急いではいたが、それがマミの信条である以上、放っておくことはできなかった

その結果が、可能な限り、であった

使い魔を倒しながら、奥に

やがて二人が魔女空間の最奥辺りまで辿り着くと、キュウべえから、もうすぐ二人がさやかの元へと辿り着くと、連絡が来る


マミ「もうすぐね……」

マミ「鹿目さん。覚悟しておいた方が良いわ」

まどか「は、はい……」


キュウべえの連絡をマミは、いつもの優しい顔からでは考えられない表情で、まどかに伝え、まどかはそれに重々しく頷いた

そこで、背後から冷たい制止の声が掛かる


「待ちなさい」


マミとまどかが振りかえると、後ろから無表情で歩いてくるほむらと目が合った

まどかはほむらの登場に驚きが隠せず、マミは忌々しさに目を鋭くし、庇うようにまどかの前に出て、ほむらと対峙する


マミ「……また貴女なのね」

まどか「ほ、ほむら……ちゃん……」

ほむら「……あれだけ忠告したのに、どうして巴マミと一緒にいるの?」


ほむらの責める様な口調に、まどかは気まずさから目を逸らす

ほむらはその姿に軽く溜息を吐き、マミに冷たい視線を向けた


ほむら「……まぁいいわ。あなたたちは下がって。ここの魔女は私が片付けるわ」

マミ「……いきなり出てきて何を言ってるの?あなた」


わけがわからないと、マミはほむらを睨みつけた

だがほむらは動じることなく、それどころかマミに憎まれ口を叩く


ほむら「あなたじゃここの魔女には敵わないって言ってるのよ」

マミ「……ずいぶんと失礼ね」

ほむら「事実よ」
165 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 01:25:09.82 ID:NHtpfXRM0
ほむらのあまりの憎まれ口にマミは苛立ちを隠せなくなってきていた


マミ「……時間がないの。あなたに構ってる暇はないわ」

ほむら「だったら出口はあっちよ」

マミ「……本当に口の悪い……っ!」


とうとうマミは怒りの感情を表出させ

次の瞬間、マミの具現させたリボンがほむらを包む

不意を突かれた事でほむらはあっさりとリボンに捕まってしまい、苦悶の声を上げる


ほむら「……くっ」

マミ「……後であなたの相手はいくらでもしてあげるわ」


ざまあみろとマミは鼻を鳴らし、ほむらに背を向けた


ほむら「死ぬわよ」

マミ「死なないわ」


背中を向けるマミに脅しのような忠告の言葉を掛けるが、マミはそれに動じることなく背中にその言葉を受け止める


ほむら「……そう」

ほむら「……まどか」


ほむらは諦めたように視線をマミからまどかへと移し、まどかはそれを驚きの表情で受け止めた
166 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 01:50:51.80 ID:NHtpfXRM0
まどか「えっ?」

ほむら「死にたくないならここにいなさい」

突飛過ぎる、理由もわからないほむらの提案

まどかはそんなものに頷く気にもなれなかったし、何よりさやかの心配に気が気でなかったまどかは、ほむらに背を向けた

マミ「……急ぎましょう」

まどか「……は、はい」


そうして自分に背を向け歩いて行く去二人を、ほむらは、リボンに繋がれながらただ無表情で見送り

完全に二人が視界から消えたあと、ほむらは小さな声で呟いた



ほむら「……馬鹿」
167 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 02:12:47.01 ID:NHtpfXRM0
―――――――

さやか「マミさん……まだかな……」


ほむらとマミ達が別れた頃、さやかはマミが中々来ない事に不安を感じ始め、ソワソワと周りを見回し始めていた

そんな中、キュウべえが切迫した声をさやかに向ける


キュゥべぇ「マズイ……」

さやか「えっ?」


突然のキュウべえの様子の変化に戸惑い、どうしたのかとさやかはキュウべえに顔を向けた


キュゥべぇ「もう、すぐそこまで魔女が来てる……!さやか、本当に危険だっ!」

キュゥべぇ「今すぐ僕と契約を!」


さやかには一度も言わなかった、魔女の接近

さやかはいきなりのキュウべえの発言に、戸惑いを更に深くする


さやか「え、今までそんな事一度も……」

キュゥべぇ「来るよ!」

さやか「え……」


キュウべえが焦った様子で、魔女空間の奥に顔を向け

さやかもそれに釣られるように、キュウべえと同じ方向に顔を向けた


さやか「え?」


どんな恐ろしい魔女が出てくるかと思いきや、奥から出てきたのは、人形のような可愛らしい容姿をした

よわっちそーな魔女だった

キュウべえの警告に身構えていたさやかはその姿に、魔女とは信じられず、気が抜けてしまう


さやか「……あれ?」

キュゥべぇ「ああ……!」


正体が見えても相変わらずのキュウべえに、なんだか馬鹿らしく感じてきてしまうさやかだった
168 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 02:26:10.49 ID:NHtpfXRM0
さやか「本当にアレなの?」


さやかはあれが本当に魔女なのか信じられず、もう一度キュウべえに確認をとる

キュウべえは緊迫した様子で、さやかの確認に頷いた


キュゥべぇ「そうだよ。……恐ろしい魔女さ」

さやか「今のあたしでも倒せそうだけど……」


ポリポリと頬を掻くさやか


キュゥべぇ「見た目はああだけど、強い魔力を秘めてるよ。気をつけてっ!」

さやか「そう言われてもなぁ……」


さやかはキュウべえから胡乱気な視線を外し、例の魔女に視線を移す

すると丁度、キョロキョロとあたりを見渡す魔女と目が合ってしまった


さやか「わ、こっち見てる……」

キュゥべぇ「見つかった……!さやか、早く契約をっ!」

さやか「いや、大丈夫でしょ……」

キュウべえは散々に警告し、契約を促すが

魔女のあんまりな姿に、さやかは襲って来ても大丈夫だろうとタカをくくってしまっていた

そんな時、さやかの背後から、さやかの待ちわびた声が響く


「美樹さんっ!」

さやか「……マミさんっ!」
169 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 02:33:01.35 ID:NHtpfXRM0
さやかの姿を見つけ、隣に着き、安堵の笑顔を見せるマミ

さやかはその姿に安心し、完全に気を抜いた直後


マミ「間に合ったわね。もうあんし」












マミの上半身が黒い何かに食いちぎられた
170 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/21(金) 02:35:23.44 ID:NHtpfXRM0
今日はここまで。お疲れさまでした

次回、グロテスク、スプラッタな表現注意……かもです

それではまた次回ー
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/21(金) 02:38:17.21 ID:avc1MaPRo
乙ー
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/21(金) 02:38:31.40 ID:Af5Jgi8DO
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/21(金) 03:17:04.20 ID:XFt9InUro
乙乙

前よりエグくなるのか
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/21(金) 06:58:27.74 ID:HjlvCtVvo
乙〜
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/10/22(土) 10:49:16.73 ID:VGzgVZ0Co
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/22(土) 17:34:04.34 ID:6pAc4HSIO
>>1

上半身って事はソウルジェムを食われたのかな
177 :注意 苦手な人は読み飛ばし推奨[saga sage]:2011/10/22(土) 21:10:28.93 ID:oGh+pq0k0
さやか「え……?」

まどか「あ……?」


ゴトリ、と無機質な音を立て、残された下半身が力を失い崩れ落ち

同時に零れ出す、赤い液体とそれを内包していた瑞々しいモノ。

そして鉄のような匂いが周囲を包む

まどかは初め、何があったか理解できずに呆けていたが、マミの下半身から零れ出すモノを見た瞬間

全てを理解し、両手で顔をふさぎ、その惨たらしい光景を視界から遮断する


さやか「え?」


まどかが既に呆然から立ち直ったにも関わらず、さやかはいまだにマミの下半身の隣で呆けていた

突然過ぎる展開に頭が付いて行かず、物事を意味のあるものとして認識してくれない

さやかは呆けた頭のまま、零れ出す下半身から、マミの上半身を奪った黒いものの先端を見る


さやか「え?」


黒いものの先端はピエロのような大きな顔をしていて、もごもごとその顔を動かし、固いものを砕き、柔らかいものを混ぜる様な咀嚼音を立てていた

グチャリ

その時、ピエロの口端から、マミの下半身から零れるモノと同じモノが零れ押ち、生々しい音を立てた

黒いものはそれに構わず咀嚼を続ける

さやかはピエロの口端から零れ落ちたものをジッと見つめたが、脳が情報を遮断しそれがなんなのか教えてくれない


黒いものが口の中のモノの咀嚼を終え、ゴクリと飲み込むと、残った下半身に食らいついた

咀嚼する音が再び響く。

さやかはその横で、瑞々しいものを撒き散らされながら、マミの下半身が食い荒らされていくのを、相変わらずの頭でただ見ていた


さやか「え……」


黒いものがマミの下半身を咀嚼し終え、飲み込んだ後、ようやくさやかの頭が機能し始める


さやか「あ、あ……ぇっ……」


同時に沸き上がる凄まじい吐き気と恐怖。

それはさやかの頭が機能し始めた事により、今までの情報を一気に理解したことが原因だった

マミの安堵した表情、食い千切られた下半身からはみ出る肉、ドス黒い血と鮮やかな赤の血、魔女の口から零れ落ちたマミの肉、マミの骨と、肉を咀嚼する音

それら全てがさやかを苦しめる

178 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/22(土) 21:46:00.58 ID:oGh+pq0k0
キュゥべぇ「二人とも急いでっ!契約をっ!!」


さやかが正気に戻ったのを見計らい、キュゥべえは二人に緊迫した声で、契約を奨める

だが、その時丁度魔女が、横にいるさやかに視線を移す

そして舐めまわす様にさやかの姿を見つめ、そのピエロのような顔をニッコリと歪め、笑みを作った


さやか「ひっ」

まどか「さやかちゃんっ!!」

キュゥべぇ「急いでっ!!」


そんな笑みに顔を歪める魔女と目が合い、さやかの体は恐怖に包まれ、身動きが取れなくなってしまう

まどかはさやかの危機に悲鳴じみた声を上げ、キュゥべえはさやかを救うべく二人に契約を迫る


「その必要はないわ」


だがその時、まどかの背後から冷たい声が掛かる


まどか「……ほむら……ちゃん……」


まどかが振りかえると、そこにはマミにリボンに捉えられていた筈のほむらが立っていた


ほむら「……私が片づけるわ」


そう言うとほむらはどこからか取り出した拳銃を魔女の顔面に向け、その引き金を引いた
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/23(日) 00:27:05.90 ID:y6KEjojDO
着実に書き進められてるな
一週間後には粉々に砕け散ったとこまではいけそうだな
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/10/23(日) 00:46:13.40 ID:7EUwcvaMo
さり気なくネタバレするなんてそんなのってないよ
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/23(日) 06:26:24.27 ID:q3F66MJQo
でもヤンデレまどっちがあのままで済ますはずがないよ…
182 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 18:29:17.83 ID:1G2qOk4a0
重い銃声と共に銃弾が発射され、魔女の顔に一つの焦げ穴を作る

顔面に銃弾を受けた魔女は、笑顔を怒りの表情に変えほむらへとその黒い体を一直線に向かわせた

ほむら「……」

激昂し、突撃してくる魔女。

拳銃を腕に着いた盾のようなもののスライドに入れると、ほむらは向かってくる魔女を眉ひとつ動かさず迎え打った

183 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 19:36:31.58 ID:1G2qOk4a0
―――――

病院


ほむら「……だから敵わないと言ったのに」


魔女の副産物、グリーフシードを拾い上げ、ぽそりと呟く

ほむらは魔女の注意をほむら自身に向けたあと、一瞬で魔女を倒してしまった

戦闘は本当に一瞬

まどかとさやかがほむらが魔女と交戦を開始したと認識した瞬間、魔女の体は爆散し、跡形もなくなってしまっていた

そして戻っていく周囲の景色。

まどかとさやかはの二人はそれを呆けた様子で見ていた


ほむら「……泣いてるの?」


呆けるさやかに冷たい視線を投げかける

ほむらの指摘にさやかはゆっくりと自分の頬に触れると、そこにはいつの間にか温かい水の通り道ができていた

その涙に触れた瞬間、さやかはその涙の意味を思い知る


さやか「あたし……」


その涙の意味。それはマミを目の前で失った悲しみ。

そして、何もしようとしなかった、自分への後悔だった
184 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 20:05:23.12 ID:1G2qOk4a0
ほむら「……これが魔法少女というものよ。それでもあなたは魔法少女になりたいの?」


地べたに蹲り涙を流すさやかに、ほむらは歩み寄りながら、そう声を掛ける

だがさやかは涙を流し続けるばかりで、ほむらの声に反応しようとはしなかった

そんなさやかにほむらは短い呆れの溜息を吐く


ほむら「……あなたのせいじゃないわ。運が悪かっただけ」

ほむら「たまたまよ」

さやか「でも……あたしが契約してれば……」


涙でグシャグシャになった顔を上げてほむらを見つめ

そんなさやかをほむらは立ったまま冷たい目で見降ろした


ほむら「死ななかったかもしれないわね」

ほむら「代わりにあなたがああなっていたかもしれないけど」


フラッシュバックするマミの死に様

同時に酷い吐き気と恐怖が再びさやかを襲い、何も言えなくなってしまう
185 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 21:01:36.15 ID:1G2qOk4a0

ほむら「あなたが自分の所為だって思いたいのなら、好きにすればいい」

ほむら「それで気が済むのならね」


俯いてしまったさやかに、ほむらは容赦なく冷たい言葉の雨を降らせた


ほむら「……これに懲りたら。もう二度と魔法少女になんてなろうと思わない事ね」

ほむら「あなたも」


そう言って蹲るさやかから、少し離れたところにいるまどかに視線を移す

まどかはほむらの視線にビクリと体を震わせ、咄嗟に顔を伏せる


ほむら「それじゃあまたね。美樹さやか」

ほむら「まどか」


まどかの反応を目に収めると、ほむらは自分の髪に軽く手を触れ、まどかとさやかの二人に背を向けて

足早にその場から去っていった
186 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 21:43:11.89 ID:1G2qOk4a0
まどか「さやかちゃん……?」


ほむらがその場から立ち去ると、まどかは急いで蹲るさやかの元に駆け寄り、しゃがみ込む

まどかは心配から声を掛けるが、さやかは顔を上げる様子はなく、ただ蹲りつつけるだけだった


さやか「あたしの……あたしのせいだ……」

さやか「あたしが契約しなかったから……すぐに逃げなかったから……」

さやか「あたしの所為でマミさんが……」

さやか「あたしの……」


自責の念から、涙を流しながら自分を責め続けるさやか

そんなさやかにまどかは必死と顔を横に振る


まどか「さっ、さやかちゃんは悪くないよっ!」

さやか「でもっ!あたしがぁっ!!」


まどかの言葉に反論しようと、涙にぬれた顔を上げたとき

まどかは震えるさやかの体を優しく抱きしめた


さやか「あ……」


さやかは抱きしめられた事に声を漏らし、目を丸くした


まどか「さやかちゃんは悪くないよ……悪く……ないよ……」

まどか「悪いのは……悪いのはマミさんを……やっつけた、魔女だよ……」

まどか「だから、そんなに自分を責めないで……」

さやか「あ……ああ……」

さやか「あああああああああああああ!!!」


まどかの抱擁と優しい言葉に堰を切ったように、さやかは大声をあげ、泣き崩れ

まどかは落ち着くまでそんなさやかを優しく抱きしめ続けた
187 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 21:49:34.18 ID:1G2qOk4a0



この時

私はさやかちゃんが縋り付いてきてくれたことに

そして、さやかちゃんを夢中にしていたマミさんが死んでしまったことに

ひどく喜びを感じていました

ああ……やっと私を見てくれる。

こんな私をさやかちゃんは頼ってくれる

そう思うと、喜びで口から笑みがこぼれてしまいそうでした



人が死んだっていうのに



……最低だ、わたし

188 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 23:24:59.17 ID:1G2qOk4a0
翌日 朝 通学路

その後、まどかは落ち着いたものの、気落ちしたままのさやかを家まで送ると、真っすぐ自宅へと戻った

その間も、自宅へと戻った後も、まどかはさやかの心配をしつつ、ずっと自分の事を責めていた

人が死んだのに喜んでいたこと、さやかが縋り付いてきたのに、その事に喜んでしまった事

自分の知らない、暗く、醜い自分を見てしまったようで、まどかは酷い嫌悪感と、軽い恐怖を覚えていた



そんな苦しい夜の明くる朝、まどかは少しの睡眠をとり、いつもの時間にいつもの待ち合わせの場所へと向かう

だがそこにはいつもいる筈のさやかはおらず、仁美だけが二人を待っていた

まどかはさやかがいない事に気を掛けながら、挨拶もそこそこに、仁美と共にさやかを待つ

ぽつり、ぽつりと二人の間に会話が交わされるものの、まどかの寝不足、昨日の一件、そして、もともとのまどかの仁美に対する感情もあり、長くは続かなかった


仁美「さやかさん、遅いですわね……」


会話の種が底を着き、少しの沈黙の後、仁美がそう漏らした


まどか「……うん」


仁美の呟きに心ここに非ずと言った様子でまどかは顔を縦に振る


仁美「何かあったんでしょうか……」


その概要を全て知っていたものの、言っても無駄だろうという判断の元、まどかは沈黙を返す
189 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 23:41:40.46 ID:1G2qOk4a0
仁美「まどかさん、何か……」

さやか「……おはよう」


妙なまどかの沈黙に、仁美はさやかに何かあったか知ってるのではないかと思い、その事について聞こうとするが

丁度その時さやかが、二人の前に現れる


まどか「さやかちゃんっ!」

さやか「……おはよう。まどか」

まどか「あ……」


現れたさやかに心配から駆け寄るまどかだったが、その表情の暗さ、目の下のクマの濃さに言葉を失ってしまう

仁美もそんなさやかの異常な様子に気付き、不安な表情を向ける


仁美「……大丈夫ですか?顔色が……」

さやか「……大丈夫だよ。私はこの通り元気いっぱいさ!」

さやか「……だから、学校いこ?」


心配してくれる二人に応えようと、元気を振り絞り、笑顔を見せるさやかだったが、それも長くは続かずすぐに暗い表情に戻ってしまう

そんなさやかを仁美は心配の表情で、まどかは思いつめた表情で見つめた


仁美「は、はい……」

まどか「……」
190 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/23(日) 23:54:37.26 ID:1G2qOk4a0
合流した三人は重い空気の中、学校へと向かい始める

仁美は何度、さやかに何かあったのか聞こうと思ったが、とても聞けるような雰囲気ではなく、チラチラとさやかを視線を向けることしかできなかった

そんな中、まどかは思いつめた表情で、さやかに声を掛ける


まどか「さやかちゃん……ホントに大丈夫?」

さやか「……なんとかね」


まどかの心配に、小さくさやか首を縦に振る


まどか「辛かったら休んでも……」

さやか「……いや、こんなことで休んでられないよ」

さやか「……もっと辛い目に会った人がいるんだ」

まどか「……あ……」


何かを思う遠い目

まどかはそんなさやかに何も言えなくなってしまう


さやか「気遣い、ありがとね。まどか」

さやか「……あたしはもう大丈夫だから……さ」

さやか「いこ?」

まどか「……うん」


さやかの精一杯の強がりに、まどかは頷くことしかできなかった
191 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/24(月) 00:16:10.01 ID:UBPXFhux0
そして三人に再び重い沈黙が訪れる


まどか(さやかちゃん……無理してる……)

まどか(そうだよね……目の前でマミさんが……)


さやかの会話の後、俯き続けていたまどかがちらりと視線を向ける


まどか(……さやかちゃん……)


さやかはぼう、と遠くを見つめ、何かに思い耽っているようだった

そこでまどかは自分の中に、さやかを心配する感情のほかに、モヤモヤとした感情が渦巻いているのを気付いてしまった


まどか(なに……私……)

まどか(死んじゃった人に、嫉妬してるの……?)


モヤモヤとした感情。死んでしまったマミへの嫉妬だった


まどか(何考えてるの……私……)


こんな時にまで、死んでしまった人にまで嫉妬の感情を向ける自分が良くわからなくなり

そんな自分に恐怖を覚えてしまうまどかだった
192 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/24(月) 00:54:39.48 ID:UBPXFhux0
昼休み 屋上

教室についた三人は、特に会話もなくすぐに各々の席へと座っていった

クラスメイト達が教室に入ってきたさやかが元気のない事に気付き、次々と心配の声を掛けていく

さやかはそんなクラスメイト達を無理やり作った笑顔と、即席の嘘でいなしていく

仁美はそれを心配の表情で、まどかは様々な感情が入り混じる表情で、さやかとクラスメイト達を眺めていた


さやか「……」


そして時が流れ昼休み

漠然と授業を受けたさやかは、昼休みになるとそっと教室を抜け出し、ひとり屋上に来ていた

屋上の端にあるベンチに身を投げ出すように座り、空を仰ぎ見る


さやか「マミさん……死んじゃったんだよね……」


ポツリ、と口から言葉を零す

さやかは昨日からずっとマミの死の事だけを考えていた


さやか「あたしの所為、で……」


マミの死を思えば思うほど、さやかの心は自責の念に傷つけられていく

キリのない後悔、自責。

さやかは心の痛みにいつの間にか目に涙を溜めてしまっていた


さやか「……なんであたしが生きてるんだろう」

さやか「ホントなら、あそこで……あたしが……」

さやか「そしたら……マミさんは……」


「生きていただろうね」

自分を責め続けるさやかに、足元から声が響く

足元を見ると、キュウべえがくりくりの目でこちらを見上げていた


さやか「……キュゥべぇ」

キュゥべぇ「やぁ、美樹さやか」
193 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/24(月) 01:13:33.16 ID:UBPXFhux0
さやか「やっぱり……そうだよね……」


瞳に溜まった涙をぬぐいながら、さやかは後悔から俯く


キュゥべえ「でも」


短く切られるキュゥべえの言葉

さやかはそれに俯かせた顔を上げ、無表情のキュゥべえに顔を向ける


キュゥべぇ「マミは本望だったんじゃないかな?」

さやか「……どうして?」

キュゥべぇ「マミは昔から、人を助ける事を第一として動いてきた」

キュゥべぇ「自分の命は失ってしまったけど、君を守れる事ができたんだ」

キュゥべぇ「それだけでマミは嬉しいと思うよ」


キュウべえはその小さい体をさやかに寄せ、優しい声で慰める

だがさやかの心に慰めの言葉が届く事はなかった


さやか「でも……マミさんは死んじゃった……私の所為で」


キュゥべえはそんなさやかの様子に深く俯くと、重々しく声を掛けた


キュゥべぇ「その、償いを望むかい?」
194 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/24(月) 01:34:19.44 ID:UBPXFhux0
さやか「え……」

キュゥべぇ「マミは今までずっとこの街を守ってきた」

キュゥべぇ「君が償いを望むというなら、代わり君がこの町を守ればいい」


重々しく語っていくキュゥべえにさやかは必死と耳を傾け続けた


キュゥべぇ「君にはその力がある。マミのように人を救うことだってできる」

キュゥべぇ「もし君が、望むのならだけど」


キュゥべえは俯かせていた顔を上げ、さやかにくりくりの瞳を向ける

キュウべえとの契約による、この上ない、さやかの望む、償い

だが、それは魔法少女になる事を意味する。

さやかは、その償いに躊躇いを覚えていた


キュゥべぇ「……あんなマミの死に方を見たあとだ」

キュゥべぇ「なれっていう方が酷かもしれないね」


さやかの躊躇う様子に、キュゥべえはしょうがないよ、と首を振る


キュゥべぇ「だから、無理になれなんて言わない」

キュゥべぇ「ならなくたって、誰も責めはしないんだから」


今すぐ魔法少女になって、マミへの償いがしたいという思いと

マミの死んだ時の恐怖がさやかの中をせめぎ合い、さやかの決断を鈍らせる

キュゥべえはそのさやかの思いを読んだかのように頷くと、さやかから少し距離をとる


キュゥべぇ「……君にすべて任せるよ。必要だったらすぐに呼んでね」

キュゥべぇ「すぐに駆けつけるよ」


そして、ある程度離れた所でそう言い残し、キュウべえは開けっ放しにしていた校内への扉へと消えていった
195 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/24(月) 01:38:50.47 ID:UBPXFhux0
さやか「あ……」


扉へと消えていくキュゥべえへ、さやかは無意識に手を伸ばすが

魔法少女になる事への葛藤がその手を下げさせる


さやか「……あたしは……」


屋上に一人残されたさやかは、魔法少女になるか否か、その迷いの中に放り込まれる事になった
196 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/24(月) 01:44:01.35 ID:UBPXFhux0
今日はここまで。お疲れさまでした

三人称の地の文からいきなり>>187みたいな心情の吐露に行くと違和感が凄い

なにかいい手はないもんでしょうか……考えておかねば(チラッ

それではまた次回ー




(チラッ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2011/10/24(月) 02:14:41.41 ID:wRHgfXaZo

寝る前のベッドやお風呂なんか一人のシーンにしてしまえば?
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/10/24(月) 03:53:12.81 ID:jjK6PmMmo
乙乙

1人のシーンとか意識が内側に行きがちな場面は地の文一人称でいいんじゃないかな
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/24(月) 20:43:31.97 ID:lww+WIfOo

俺には分からんな
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/10/24(月) 23:02:50.78 ID:PFqj0oAPo
ダッシュとかで区切っちゃうとか?
201 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/25(火) 00:16:33.85 ID:afAJUHJL0
>>197
一人になる描写をしてから、ですね。確かにその方が自然かも

>>198
一人称もありですね!……ちょっと苦手ですが

>>199
難しいんですよね……

>>200
ダッシュで区切るのもわかりやすくていいですね

>>197-200
回答本当にありがとうございました!

これから何回か心情の吐露を入れていこうと思うので参考にさせてもらいます
202 : ◆oUEg.rTfmfTO[saga sage]:2011/10/25(火) 01:17:20.98 ID:afAJUHJL0
同時刻


まどか「さやかちゃん……どこに行っちゃったのかな……」


教室にさやかがいない事に気付いたまどかは、心配から廊下にさやかを探し出ていた

キョロキョロと見回しながら校内を歩きまわる


ほむら「鹿目まどか」

まどか「っ!ほ、ほむら……ちゃん……」


歩き回るまどかの目の前に、待ち構えていたかのようにほむらが物陰から姿を現した

突然現れたほむらにギョッとした表情を浮かべるまどか


ほむら「また話があるんだけど良いかしら」

まどか「……え、えと……」


いつものあの冷たい目に、まどかはほむらの誘いを断る事が出来ず

恐る恐ると頷いた


まどか「……うん……」

ほむら「そう。ありがとう」


髪を軽く触り、ほむらは目を伏せる


ほむら「ここではなんだから、場所、移しましょう?」

まどか「……うん……」

ほむら「こっちよ」


頷くまどかを背に、ほむらは一人先に足早と歩き始める

まどかはその後ろを嫌々と言った体で、ゆっくりと着いて行った
203 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/25(火) 01:20:53.72 ID:afAJUHJL0
一レスしか更新してないけど頭が痛いのでここまで……

すまぬ……

乙、感想レス、いつも感謝です。そして相談の回答も

良ければ完結まで見守ってくれると大変うれしいです

それではー
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/25(火) 01:39:53.20 ID:lQyEAdw8o
>>203
乙 お大事に
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/10/25(火) 02:19:08.87 ID:Fll6nhaeo
乙乙

ゆっくり休んでくれ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/25(火) 02:20:26.31 ID:4fDmTA6no
自分のペースで行けばいいと思うよ。お大事に!
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/10/25(火) 17:04:59.89 ID:4MzicRxto
全編一人称でSS書いてるけどやりにくい事この上ない
個人的にはお薦めできないけどポイントを絞って使えばかえって効果的なのかな
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/25(火) 17:35:45.87 ID:3SFj5tEDO
バトロワは三人称が基本ながらたまに一人称になったりする
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/10/25(火) 17:38:15.41 ID:z2TEhwBXo
マジレスすると

ほにゃらら一人称〜〜〜

と、○○は思った


みたいな形にすればそれで解決じゃねーの
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/25(火) 22:56:24.28 ID:+7MfROVMo

完結さえしてくれるならいつまでも待つから無理しないでやってくれ
211 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 14:09:38.82 ID:lS+nTMmf0
復活!復活!>>1ふっ(ry

>>207
確かに三人称は楽ですね。想像した文をキャラにあった文に変換する必要がないですし、状況説明も楽に済みますしね
一人称はその一人称で語るキャラの心情を強調出来るっていうのが利点だと思うんです。だから使いたいな。というのがありまして……
でも自分は三人称からのつなげ方がわかないというか、難しいというか……

>>208
という事は、いきなり一人称を入れても問題ないんでしょうかね……機会があったらバトロワちょっと読んで見ます

>>209
まどか(どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……)



どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……と、嫉妬に心を揺らしながら、私はそう思った

ということでしょうか?むーん……なかなか難しい

>>207-209
ご意見ありがとうございました!参考にさせていただきます

それではのんびりと投下開始
212 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 14:24:28.55 ID:lS+nTMmf0


まどか「それで……話って……」


ほむらが案内した先。そこは人気のない中庭だった

まどかは中庭でほむらが足を止めると、戸惑いと、恐怖の籠る目をほむらに向け、恐る恐ると声を掛けた

ほむらは冷たい目でしばらく無言でまどかを見つめると、髪を軽く手で触れ


ほむら「……あなた、あまり巴マミの事についてあまりショックを受けていないようね」


そう言い放った

まどかはほむらの言葉に、図星を突かれたかのように視線を左右に忙しく動き回らせる


まどか「っ!……そ、そんなっ私……」

ほむら「それならそれでいいのよ。ただ気にすることはないって言いたかっただけ」

ほむら「あれが私たち魔法少女の運命なんだから」


まどかの態度を責めるつもりはないと、ほむらは首を振る

まどかはほむらの言葉と態度にジッと下を見つめ、俯いてしまった

そして訪れるわずかな沈黙


ほむら「……あなた、本当にまどかなの?」

まどか「え?」


沈黙を破っての突然のほむらの言葉

まどかは、そんなわけのわからない事を言うほむらにキョトンとした表情を向けた


ほむら「……なんでもないわ」


髪に手を触れ、首を振る


ほむら「とにかくあなたはそのまま何も気にせず、平和に暮らしていけばいい」

ほむら「友人や、家族を大事にしてね」
213 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 14:31:34.83 ID:lS+nTMmf0
ほむら「話はそれだけよ。じゃあね」

まどか「あ、あのっ!」


話は済んだ。と背を向けるほむらに、まどかは焦った様子で声を掛ける

ほむらはまどかの声に、背を向けたまま顔だけをまどかに向けた


ほむら「……何かしら」

まどか「魔法少女になっちゃたら……皆、マミさんみたいになっちゃうの……?」


おずおずとしたまどかの質問に、ほむらは首を縦に振る


ほむら「そうね。大方はね」

ほむら「魔法少女になって幸せになった人なんて、一人も見た事がないわ」

ほむら「願いがかなった一時の喜びに溺れて、そして現実に戻って、それが一時の物だとわかって絶望していくか」

ほむら「死ぬだけ」




その言葉がまどかの体を震わせる


ほむら「あなたもそうなりたくなかったら、絶対に魔法少女にはならない事ね」

ほむら「もう話はおしまい?」

まどか「……う、うん……」
214 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 14:36:23.11 ID:lS+nTMmf0
ほむら「そう。それじゃあね」

ほむら「まどか」


足早に去っていくほむらを見送ると、残されたまどかはその場で俯き

死んでいったマミの事でもなく、忠告してきたほむらの事でもなく


まどか「魔法少女になったら……皆、死んじゃうんだ……」

まどか「さやかちゃん……まだ、魔法少女になりたいなんて思ってるのかな……」

まどか「……そんなの嫌だよ……」

まどか「……さやかちゃん……」


たださやかの事だけを考えていた
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/26(水) 15:08:51.35 ID:Z+r9J0q9o
キテタ━━━━(゜∀゜)━━━━!
216 :211[sage]:2011/10/26(水) 15:31:10.05 ID:YmPLe6Yvo
>>211
えーと、そうじゃなくて基本を三人称で進めつつ

――どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……

まどかは嫉妬に心を揺らしながら、そう思った。


みたいな形にすれば、あくまで三人称の中に一人称を内包出来るんじゃない?
って事さー
そして頑張れ
217 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 15:38:33.85 ID:lS+nTMmf0
放課後

その後、昼休み終了間際に教室に戻ってきたまどかは、その時丁度屋上から戻ってきたさやかと出くわした

まどかはさやかがどこに言っていたのか聞こうと思ったが、さやかの酷く思いつめた様子に、声を掛ける事ができなかった

そして授業開始を告げる鐘の音。

まどかはさやかの心配に心を焦がしながら、一日の授業の終了を待った


まどか「……さやかちゃん一緒にかえろ?」


一日の授業が終わると、まどかはすぐにさやかの元に走り寄り、勇気を振り絞り、さやかに声を掛けた

だがさやかは浮かない様子で、まどかの言葉に応える


さやか「ん……ごめん。今日は私、恭介の所真っすぐ行くからさ」

まどか「そう……なの?」

さやか「うん。ちょっとね」


恭介という言葉と、その言葉を語るさやかの口調

それらにまどかは顔を曇らせ、ぎこちなく頷く


まどか「……そ、そっか。わかったよ」

さやか「ごめんね。まどか」


そんなまどかにさやかは小さく頭を下げる

まどかは焦った様子で手と顔をブンブンと振った


まどか「い、いいよっ全然っ!」

さやか「……明日は一緒にかえろ?」

まどか「う、うん……」

さやか「うん。それじゃあね。まどか」

まどか「……また、明日ね」


そうしてまどかに背を向け元気なく教室を去っていくさやかを、まどかはその背中を見送りながら

これかたさやかが合うであろう人に、激しい嫉妬を感じていた

218 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 15:46:09.84 ID:lS+nTMmf0
>>216
なるほど。それならしっくりきますね!
その表現は使えそうなところがいくつかあるので使ってみようと思います!ありがとうございました!
219 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 16:04:00.08 ID:lS+nTMmf0
仁美「さやかさん、用事があるみたいですし……私たちだけで帰りましょうか」


二人のいつもとは違う様子に声を掛けられずにいた仁美が、さやかが帰ったのを見計らい、まどかに声を掛ける

だがまどかは仁美の言葉に反応せず、ただ俯き、考えに耽るだけだった


まどか(また、私嫉妬してる……)

まどか(……さやかちゃんが大変だっていうのに)

まどか(マミさんが死んじゃったっていうのに……)

まどか(こんな時にまで……)

まどか(……もう自分が嫌だよ……)


仁美「まどかさん?」


まどかが自分の声に反応がない事を心配に思い、まどかの名を呼ぶ


まどか「……ごめん。仁美ちゃん。具合悪いから、私も帰るね」


しかしまどかは顔を俯かせたままそれだけ言い残し、荷物をまとめて教室を去っていってしまった


仁美「あっまどかさんっ!」


――二人とも……どうしちゃったんですの……

仁美は心でそう呟きながら、ここにいない二人の友達に思いを馳せた
220 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/26(水) 16:08:46.05 ID:lS+nTMmf0
修正>>217

これかたさやかが合うであろう人に、激しい嫉妬を感じていた ×

これから(以下同文                    ○
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/10/26(水) 17:21:01.80 ID:CA+0Mjq+0

頑張れ〜
完結するまでずっと待ってるからな〜
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/26(水) 20:09:25.87 ID:mpmSSYySo
書きやすい書き方でいいんじゃないかな?
台本形式でも3人称でも1人称での切り替えでも俺は構わん
文体で悩んじゃうと全然進まんぜよ?
223 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/27(木) 01:00:44.79 ID:Ty/02QDq0
>>222
確かに考えて時間食っちゃうってのはありますね……
やっぱり自分のやりたいようにやるってのが一番なんですかね


こうした方がいいんじゃないか。っていう意見は大歓迎なので、どんどん言ってくれると嬉しいです

それでは続きをば
224 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/27(木) 01:02:51.22 ID:Ty/02QDq0
病院 病室前

西日に赤く染まる、白い病院の廊下

さやかは上条の病室前で、ジッとネームプレートを眺めていた



さやか「……なんで私、恭介のとこ来ちゃったのかなぁ」

さやか「CDもなにも、持ってないのに……」


自分の背に受ける西日で出来た影に、視線を落とす


さやか「……はは、恭介に慰めて貰おうっての?」

さやか「女々しいね。美樹さやか」


少しの沈黙の後、さやかは意を決したように顔を上げ、病室のドアを二度叩いた


「どうぞ」


それに返ってくる、穏やかな、さやかの想う人の声

さやかはその声にゆっくり叩いたドアをゆっくりと開け、想い人に笑いかけた


さやか「……可愛い女の子かと思った?残念さやかちゃんでしたっ」

上条「あはは、なんだ可愛い女の子じゃないか」


上条の意外な反応に、心臓を高鳴らせ、戸惑うさやか


さやか「え、え?あ、あたし?」

上条「うん。だって昨日、さやか自分の事、可愛い女の子って言ってたじゃないか」

さやか「あ、そ、そう……」


上条の言葉のその実にさやかはガックリと肩を落としたが

すぐに納得といった表情を浮かべ、一歩踏み出して、病室のドアを後ろ手に閉めた

225 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/27(木) 01:26:01.03 ID:Ty/02QDq0
上条「それで、今日もCD持って来てくれたのかい?」


さやかはその質問に、ベッドの近くの椅子に腰かけると横に顔を振った


さやか「いや……今日は違うんだ。ただのお見舞い」

さやか「ごめんね」

上条「いや、いいんだよ。毎回持ってきてもらってたから、正直、申し訳なかったからね」

上条「それに……」


表情を暗くするさやかに、気にする必要はないと優しく笑いかけるが、すぐに上条も表情に影を差してしまう


さやか「それに?」

上条「いや、なんでもないよ」


それにさやかは気付き、怪訝な表情を浮かべるが、上条はごまかす様にあいまいな笑みをさやかに返した


上条「ともかく、来てくれてありがとう。さやか」

さやか「……うん」


頷き、俯くさやか

そして訪れる沈黙

少しの間の後、上条は黙って俯くさやかに優しく声を掛けた


上条「何かあった?」

さやか「え?」


驚きにさやかは顔を上げるが、その時に上条のさやかを優しく、真剣に見つめる目と目が合い、すぐに顔を伏せてしまう


さやか「どう……して?」

上条「……なんだかいつものさやからしくないから、ね」
226 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/27(木) 02:58:23.37 ID:Ty/02QDq0
さやか「……そうかな」

上条「うん」


顔を俯かせたまま、視線だけ上条へ

上条は変わらず、さやかに優しい瞳を向け続けていた


さやか「よく、わかるね」

上条「それはね。ずっと一緒にいるし」


嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な感覚

さやかはそんな不思議な感覚に、俯きを深くした


上条「よかったら……話してくれるかい?」

さやか「……うん」


そうしてさやかはポツリ、ポツリと語り始める。

身の回りで起きたあらましを、違ったものに置き換えながら

話していくうち、時折思い出される悲しみや恐怖に話を詰まらせてしまう事があったが

上条は急かすことなく、黙って頷きながらその話を聞いていった


さやか「……それで、大事のモノが壊れちゃったんだ」

さやか「……あたしの所為で」


置き換えた全てのあらましを語ると、さやかはちらりと、その視線を上条に向ける

上条は少しだけ考えるようなそぶりを見せたあと、首を少しだけ捻った


上条「……そっか。でも聞く限りじゃ、さやかが悪いようには思えないけどね」

さやか「でも、あたしがそこに居なければ……」

上条「たまたまだよ。さやかは悪くない」
227 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/27(木) 03:03:03.12 ID:Ty/02QDq0
悪くないと言う上条の一点張りに、そうは思えないさやかは言葉をつぐみ、視線を上条から外してしまう

そんなさやかに上条は軽い呆れの溜息を吐くと、窓の外へと視線を向けた


上条「……そうだね……それじゃあさやかが話し辛い事話してくれたんだし、僕も話し辛い事を話そうかな」

さやか「え?」


窓に顔を向ける上条へ、さやかは俯かせていた顔を上げる

上条はそのまま窓へと顔を向けたまま、小さいがはっきりとした声をだす


上条「僕の手、もうヴァイオリン弾けないんだ」


突然過ぎる上条の言葉に、さやかは耳を疑い、その身を上条へと乗り出した


さやか「……え?」


そんなさやかを視界の外に、上条は淡々と、他人事のように語りづづけた


上条「昨日の検査でね、わかったんだ」

上条「……まぁ、薄々は気付いてたんだけどね」

さやか「そんな……!嘘……」

上条「……嘘だったら良かったんだけどね」


窓の外に向けていた視線を驚きに顔を引きつらせるさやかへと移し、悲しげにニコリと笑いかけ

いつも上条がヴァイオリンを引いていた方の手を差し出した


上条「僕の手、握ってみて」


上条の言ったとおりに躊躇いながらも、さやかは恐る恐るとその手に触れる

その手はいつか小さいころに握った手と変わらず、温かかった


上条「……感じないんだ。なにも」


だが、たった今上条から突き付けられた言葉は、とても、冷たかった

228 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/27(木) 23:38:34.48 ID:Ty/02QDq0
さやか「……どうして……」

上条「どうしてだろうね」

上条「……もう。どうしたらいいかわからないんだ」


悲しげな笑みを崩し、目を伏せる


上条「わけがわからな過ぎて、なんの感情も浮かんでこない」

上条「苦しい筈なのに、悲しい筈なのに」

上条「虚しいだけ」

上条「人間って悲しみが通り過ぎるとなんにも感じないって本当なんだね。あはは」


手を握り続けるさやかを横に、上条は再び乾いた笑みを浮かべ、視線をどこか遠くに馳せる


さやか「が、頑張れば元に戻るんだよねっ?」


そんな結末は認めたくないと、さやかは上条の手に縋り付くが、上条はその首をゆっくりと横に振るだけだった


上条「……今の医療技術じゃどうにもできないって」

上条「先生に色々聞いたんだけど……ダメだってさ」

上条「奇跡か、魔法でもない限り……」

上条「……これからどうしよう。さやか」



上条はこれからの自分に対する不安と恐怖にゆらゆらと瞳を揺らし、生きがいを失った絶望に体を震わせていた

今まで見た事のない幼馴染の、愛する人の姿に、さやかは悔しさと悲しさから拳を固く握りしめ

どうにかして悲しみと、苦しみの底にいる彼を救いたいと、心のそこから願った


さやか「……あるよ」

上条「……え?」

さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ!」


そう言ってさやかは上条を背に歩き出す

彼を、悲しみと苦しみの底から救うために
229 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 00:01:08.16 ID:LeecNRRK0
夜 公園

仁美に別れを告げ、学校から出たまどかは家に帰らず、近くの公園に訪れていた

そして電燈のすぐ近くにあるベンチに腰を降ろし、自分の嫉妬深さをどうにかして抑えようと、延々とその方法を考えていた

だが、一向にその方法がまどかの頭に想いつく事はなく

公園に訪れた時には辺りを赤く照らしていた夕日も、今ではすっかりその姿を消し、辺りを暗く染め、電燈の光がところどころを明るく照らしていた



まどか「はぁ……」

まどか「……どうしたら嫉妬しないかなんてわかんないよ」

まどか「……帰ろう」


自分を照らす電燈の光の中、まどかは一つ深いため息を吐き、考えるのを止めてベンチから腰を上げる


「あらぁ?」

まどか「え?」


そこで突然とまどかに掛けられる聞き覚えのある声

その声の掛けられた方にまどかが振り向くと、どこか調子のおかしい仁美と目があった


仁美「まどかさんじゃないですかぁ〜」

まどか「ひ、仁美ちゃん?」

仁美「どうしたんですかぁ〜こんなところで〜」

まどか「え、えと……」


いつも以上に間延びした声、どこを見ているかわからない目

そんな異常な仁美に違和感を感じ、オドオドとしていると


仁美「そうですかぁ〜まどかさんも行くんですね〜」

まどか「え、え?」

仁美「それじゃあ一緒に行きましょう〜!皆で渡れば怖くない〜」


突然その腕を仁美が掴み、強く引き始める
230 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 00:12:06.66 ID:LeecNRRK0
まどか「ひ、引っ張らないでっ!仁美ちゃんっ……仁美ちゃんっ!」

まどか「どうしたの……変だよ……どうしちゃったのっ」

仁美「うふふっ!うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

まどか(こ、こわい……)


まどかの制止の声を無視し、ただくぐもった笑みを返すだけの仁美に、まどかは恐怖を覚えその身を固くする

自分の腕を掴む腕を引きはがそうと試みるが、とても同年代の女子とは思えない力の強さに、その手を引きはがせず、そのまま引きずられていった


まどか「さ、さやかちゃん……」


ぼそりと無意識に呟いた、自分の、自分だけのヒーローの名は、そのヒーローには届く事はなく、虚空へとその姿を消してしまった
231 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 00:27:15.44 ID:LeecNRRK0
廃工場

まどかが仁美に引きずられてきた場所、そこは普段は全く人気のない廃工場だった

だが今は無数の人で溢れかえっている。

仁美のようにどこを見ているかわからない、様子のおかしい人々が


まどか「ね、ねぇ……これから、何するの……?」


そんな異常な空間に、恐怖を感じ、体を震わせながらも、恐る恐る仁美に声を掛ける


仁美「うふ、ふふふふ。楽園へ、行くんですのよ〜」

仁美「苦しみもない、悲しみもない、虚しさも感じない」

仁美「そんな素敵なところですわ〜」

まどか「なに、それ……」


ニタニタと不気味な笑いを浮かべながらの要領の得ない仁美の説明に

まどかは震えながら首を傾げ、周りの様子を見渡すと、あるものが目に飛び込んでくる


まどか「……あ、あれって……す、炭?」


まどかの目に飛び込んできたもの。それは大量の炭と、それを入れる鉄の容器だった


仁美「練炭ですわ〜。今から、ボッと火をつけて、もくもく―ってやるんですわ〜」

まどか「そ、そんな事やったら皆死んじゃうよっ!」

仁美「そうだよ」


仁美の間延びした口調からの突然の冷たい語気の変化に、まどかは自分の耳を疑った


まどか「え?」

仁美「今から皆で死ぬんだよ」
232 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 01:03:35.50 ID:LeecNRRK0
とても仁美とは思えない口調にまどかは戸惑いを隠せない


仁美「……ですから、まどかさんも、一緒に死ねよ」

まどか「痛……放してっ!!」

まどか「あ……」


仁美が痛いくらいにまどかの腕を握りしめ、それを振り払おうとしたその時

廃工場に集まったどこか様子がおかしい人の一人が練炭へと火を着けた

途端、ゆっくりと白い煙が立ち始め、周りの人たちがせき込み始める


仁美「うふうふ。もうすぐですわあ。もうすぐ こいつらは死んじゃ 楽園に行けるんですのよ〜」

まどか「けほっ!、だ、ダメっ!」

仁美「けほっ、あ……」


まどかは仁美のせき込んだ事による一瞬の隙を計らって掴むその手を振り払い、練炭の入る鉄の容器へと駆けた

そしてその容器を近くに置いてあった椅子を持って、燃え始めた炭の入る容器にぶつけてその中身を零させ、鎮火を図る


まどか「こ、これで……」


邪魔した? いいところで 皆死んじゃえたのに


まどか「あ……」


燃焼を食い止めた安堵に浸るのも束の間

そこにいる人間すべてが容器を倒したまどかへと、焦点の合っていなかった目を一斉に向けた
233 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 01:15:56.99 ID:LeecNRRK0

捕まえろ 捕まえて 殺して 

こいつを焼こう


ここにある全ての瞳に見つめられて生じたまどかの緊張感は、瞳の主たちの一斉の殺意により、激しい恐怖感へと変えられる


まどか「ひっ……」

まどか「や、やだぁッ!」


そんな恐怖感に短い悲鳴を上げると、まどかは無我夢中にその場から逃げだした

その後を、異常な人たちの大部分が一斉に追いかけていく


仁美「けほっ、うふふ、逃げても、無駄で、だよ」


その姿を仁美と残った異常な人たちが見送ると


仁美「あ」

仁美「まだ、ケホッ……火、くすぶってますわぁ」


鎮火しきれなかった練炭に気付き、その周りをニタニタとした笑顔で取り囲み始めた
234 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 01:34:25.05 ID:LeecNRRK0

まどか「はぁ……!はぁ……!はぁ……!」

まどか「嫌だよ、嫌っ、嫌だよぉ!」


廃工場の長い廊下を、息を切らし必死と逃げるまどかを大量の殺気に満ちた目が追いかける


待てよ 死のうぜ 殺してやるから


まどか「ぃっ!いやぁっ!」

まどか「誰かっ!誰か助けてぇっ!」

まどか「誰か、誰か、誰かぁッ!」


後ろから迫る、殺気に満ちた声と、たくさんの足音

その恐怖に涙を流し、必死と走る事による心臓の激しい動悸に声を震わせながら、まどかは助けを求めるが、誰も応える人はいない

逃げ続け、そして脚も心も限界に達するという時


まどか「……さやかちゃん」


脳裏に映ったのは、自分をいつも守ってくれていた、さやかの背中だった


まどか「さやかちゃん、助けてッ!助けて……」

まどか「さやかちゃぁんッ!!」


必死とその背中に助けを呼ぶ


まどか「あッ」


だがその声も虚しく、まどかは床の突起に足を取られ、床にその身を横たえてしまう


まどか「あ、ああああああああっ!!」


そして転んだまどかに迫る無数の手

まどかは恐怖から激しい悲鳴の声を上げ、迫りくる全てを拒絶するように固く目を閉じた
235 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 02:00:52.47 ID:LeecNRRK0
まどか「……え……」


目を固く閉じて迫っているであろう手の感触に怯え、身を固くするまどかだったが、予期した感触はいつまでたっても襲ってくる事はなかった

その代わり、自分の体が浮いていて、自分が自分でないような感覚に包まれる

それに違和感を感じ、まどかが恐る恐る目を開けると


まどか「あ……い、いや……」


目の前にブラウン管のテレビのようなものが浮いていて、その中に映る真っ黒な少女と目が合う

そしてその中の少女が口を三日月のように歪めたかと思うと、そのテレビのようなものからたくさんの異形が這い出してきた


まどか「あ、あ、ああ。あーあっ!あああああああああ!」


這い出してきた異形は一瞬でまどかを取り囲み、その体を引き裂かんと、両手両足をそれぞれ掴み、四方へと引き始める


まどか(……罰があたったんだ)


四方に手足を引かれる激痛の中、まどかは自分のしてきた行動を悔いていた


まどか(人の嫉妬ばかりしてるから)

まどか(皆大変なのに、苦しんでるのに)

まどか(罰が……)


その時、空中に浮かぶテレビがその内容を少女から、マミの最期の映像へと変化させた

途端、まどかにその時の恐怖がフラッシュバックする


まどか(……嫌)

まどか「嫌、死ぬのは嫌っ!マミさんみたいになるのは嫌ぁッ!!」

まどか「助けて……助けて」

まどか「さやかちゃぁん!!」
236 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 02:12:20.58 ID:LeecNRRK0
――まどかぁッ!


まどか「え……」

さやかの名を呼んだ途端、まどかの大好きな声と共に青い閃光が現れ、まどかを引き裂こうとしていた異形を次々と貫いて行く

そして全ての異形を貫くと、その青い閃光は、まどかの前で人の形をとった


まどか「……さやか……ちゃん?」


「任せて」

その人影はまどかにニコリと笑いかけたかと思うと、すぐに身を翻し

マミの死にざまが映るブラウン管を一太刀で切り捨てた
237 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/28(金) 02:16:22.26 ID:LeecNRRK0
今日はここまで。お疲れ様でした

あともう少しで、ようやくVIP投下分が終わります

それでも新しい部分は11月からになりそうですが……

それではまた次回ー
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/10/28(金) 02:27:24.42 ID:hWVJWOaUo
おつー
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/28(金) 13:13:30.01 ID:UJVWwWCao
乙!楽しみにしてる。
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/28(金) 20:38:41.49 ID:G80p800/o

続きが楽しみだ
241 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/29(土) 22:35:51.51 ID:ZUjkEkzw0
廃工場


「何とか間に合ったね。まどか」


ブラウン管を切り捨て、周囲の様子が元に戻ると同時に背を向けていた人影、さやかがまどかに笑みを向ける

―――また助けてくれた

さやかの笑みに自分も思わず笑みを零し、瞳にうれし涙を溜めるまどかだったが


まどか「……さやかちゃん……その格好……」


さやかの姿にその笑みは霧散する

さやかの姿。それはいつものさやかの見慣れた制服では無く、まどかの好きなボーイッシュな私服でもなく

鎧のような衣装を長いマントに包む、非現実的な格好

魔法少女の姿だった


さやか「うん。キュゥべぇと契約したんだ」

さやか「どう?さやかちゃんの格好は似合うかに?」


おどけたポーズをとるさやかだったが、まどかはその姿い笑みを浮かべる気なんかにはなれなかった


さやか「……まどか?」

まどか「……どうして」

まどか「……どうして契約なんかしちゃったの……」

まどか「さやかちゃんも、マミさんみたいになっちゃうかもしれないのにっ!」


まどかが俯かせていた顔を勢い良く上げ、さやかに涙の道が通る顔を向ける


まどか「いや、だよ……私……」
242 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/29(土) 22:44:16.57 ID:ZUjkEkzw0
さやか「ごめんね」


涙に体を、声を振るわせるまどかにさやかはゆっくりと近づき、優しく頭を撫でる


さやか「でも、あたし、どうしても叶えたい願いができちゃったんだ」

さやか「だから、契約したの」

まどか「……それって……」


まどかの頭にマミの姿がよぎる


さやか「それは後で説明する。今は警察に電話しよ?」

さやか「人がいっぱい倒れてるみたいだしね」

まどか「……うん」


魔法少女の姿からいつもの制服の姿に戻り、さやかは話を切り上げるとまどかの手を優しく引き、廃工場の外へと歩いて行く

まどかのその手を強く握りしめ、顔を俯かせながらさやかに手を引かれていった
243 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/29(土) 23:36:10.17 ID:ZUjkEkzw0
公園


廃工場から出ると、さやかはすぐにその手に持つ携帯電話を使い、警察へと連絡しようとするが、その時丁度、警察と消防が到着する

さやかがそのタイミングの良さに驚いたが、煙を見た人が通報したのだろうと結論付けて、消防に人が中に倒れている事だけを告げるとその場からすぐに離れた


さやか「ふー……」


そしてさやかは先程までまどかのいた公園までまどかの手を引くと、その腰を電燈照らすベンチに腰掛ける

まどかもそのベンチに座らせようと、繋いでいた手を軽く引くが、まどかはさやかの目の前に立ったまま暗い目をさやかに向けていた


まどか「それで……どうして契約なんかしたの?」

さやか「……あー、うん……」


責める様なまどかの口調と暗い表情に、まどかの視線からさやかは目を反らす


さやか「恭介が、ね」

まどか「……上条君?」

さやか「……うん」


さやかの視界の外、まどかは上条という言葉に目を細めさせた

さやかはその姿に気付くことなく、自分の隣の空いたスペースをぽんぽんと叩く


さやか「……まぁ、座りなよ」


まどかはさやかの叩いた場所にゆっくりと腰を降ろす

そしてまどかが腰を降ろすのを横目で見ると、さやかは、自分の契約のあらましを語り始めた
244 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/29(土) 23:54:27.72 ID:ZUjkEkzw0
――――――――――――


まどか「……それで……」

さやか「……うん」


あらましを全て語ると、まどかの表情を窺おうと語っている間ずっと伏せていた目を横に向ける

しかし、まどかも俯き、その上電燈の光が影を作っていた所為もあり、その表情は窺い知れなかった


さやか「マミさんを生き返らせることも考えたんだけどね……」

さやか「……恭介の指の話聞いたら、いてもたってもいられなくなっちゃってさ」

さやか「それで、ね」


まどか「……また、上条君」

小さな大きな忌々しさの籠る声

その声がよく聞こえなかったさやかは首をかしげるが、まどかはそれに応えず、俯いたまま小さく首を振った


さやか「え?」

まどか「……なんでもない」
245 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 00:15:04.91 ID:FWZNyPfL0

さやか「……マミさんの事、生き返らせた方が良かったよね」

さやか「……ごめん」


責められていると感じたさやかは、私欲に走った自分を恥じ、頭を下げる

そんなさやかにまどかは俯かせていた顔を上げ、首を振る


まどか「それはさやかちゃんが謝る事じゃないよ」

まどか「マミさんが……やられちゃったのは、さやかちゃんの所為じゃないんだし」

さやか「……あれは、あたしの」


「そんな会話は不毛よ」

無意味な言い合いが始まろうとした時、暗がりの向こうから声が響いてくる


さやか「転校生……」

まどか「ほむら、ちゃん……」


二人がその声の方に顔を向けると、そこには魔法少女の姿をしたほむらがこちらへ歩いて来ていた

246 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 00:48:30.71 ID:FWZNyPfL0
そうしてほむらは二人の前まで歩くと、肘を抱くように腕を組み、さやかを値踏みするように見まわした

ほむらが突然現れた事に呆けたさやかだったが、さやかはすぐに我を取り戻し、その視線に睨みを返す


ほむら「美樹さやか……契約してしまったのね」

さやか「……そうよ」


値踏みの視線が終わると、ほむらはその姿を鼻で笑う


ほむら「馬鹿ね」

さやか「なっ……」


ほむらの言葉に顔を怒りに歪める。自分の覚悟を、上条の事を馬鹿にされたように感じたためだ


ほむら「巴マミの、魔法少女の最期がどうなるか、それを目の前で見届けたというのに」

ほむら「全くもって愚かだわ」

さやか「……あんたにどうこう言われる筋合いはない!」


怒りを露わにし、ほむらに吠える

ほむらは髪に軽く触れ、そんなさやかに憮然とした表情を向けた


ほむら「あるわ」

さやか「な……」


当然だ。と言わんばかりに言い切るほむらに、さやかは言葉を失う


ほむら「私はあの時忠告したわ。旨い言葉には裏がある。そして痛い目に合うのは自分だけじゃないって」

ほむら「あなたがキュゥべぇの口車に乗ったことで、私や、まどかに不利益をでるかもしれないもの」

ほむら「十分にどうこう言う筋合いはあると思うけど?」

さやか「そんなのわかんないじゃないっ!」
247 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 01:14:36.37 ID:FWZNyPfL0
ほむら「……あなたは不利益を生むわ。絶対にね」


視線を冷えた、鋭いものに変え、さやかを突き刺す


さやか「何を根拠にっ!」


さやかはその視線に怒りをたぎらせ、口を歪めた


ほむら「統計よ」

さやか「は……?何言ってっ!」


戸惑うさやかから、話は済んだと目を反らし、その目をいつもの冷たいだけの目に変え、まどかに向ける


ほむら「まどか」

まどか「……さやかちゃんを馬鹿にしないで」


成り行きを横で見守っていたまどかだったが、さやかを馬鹿にされた怒りから、その体を震わせ、ほむらを睨みつけていた

ほむらは髪に軽く触れると、冷たいが、少しの柔らかみのある声を掛ける


ほむら「無事でよかったわ。……来るのが遅れてごめんなさい」


まどかは答えない。ただ怒りに燃える瞳をほむらに向け続けるだけ

ほむらは深く瞬きすると、間をおいて声を掛ける


ほむら「……ひとつ忠告させてくれないかしら」

まどか「……なに」


彼女とは思えない、酷く、底冷えしたまどかの声

それに構わずほむらは続ける


ほむら「もう美樹さやかと付き合うのは止めなさい」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/30(日) 01:39:01.44 ID:MeHJ8uHs0
ほむほむ・・・
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/10/30(日) 01:52:51.39 ID:8uVzQEdko
このほむほむいつにもましてぶっ飛んでるな
250 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 01:53:45.06 ID:FWZNyPfL0
ほむら「彼女はあなたに不利益を生むわ。これ以上付き合ってもなんの」


突如、ほむらの声を遮り周囲に鋭い破裂音が響く


まどか「……もういいでしょ……」


その音を鳴らした手を固く握りしめ、まどかは怒りに瞳に涙を溜めてほむらを睨みつける

ほむらは目を丸くしながら、鳴らされた頬に手を当てた


さやか「まど、か……」


さやかはあの温厚なまどかがここまでした事に、衝撃を受け、目を瞬かせていた


まどか「もう帰ってよっ!あなたの顔なんか見たくもない!」

まどか「帰ってよっ!!」


目を瞑り、体をわななかせながら、まどかは吼える

ほむらは頬に手をあてたまま、視線をゆっくりとまどかに戻す。そして強く髪に触れるといつもの調子で言った


ほむら「忠告はしたわ」

ほむら「それじゃあね。美樹さやか」

ほむら「まどか」


二人の名を呼び、ほむらはまどか達に背を向け、闇の中に消えていく

さやかはほむらの姿を、反眼で見送り、まどかはほむらの姿に目さえくれず、その顔を俯かせていた
251 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 02:32:50.37 ID:FWZNyPfL0

さやか「まどか……」


ほむらの姿が完全に消えると、さやかはまどかの肩に手を置く

その途端、まどかの足の力が抜け、地面にその体を崩れ落ちさせた


さやか「まどか!?」


咄嗟にまどかの体を支える。まどかの体は、ほむらに怒りを表していた以上に酷く震えていた。

この時さやかは痛感する。この子がこんなことを平気で出来る筈がないのだと、無理してやっていたのだと


まどか「だ、大丈夫……大丈夫だから……」

さやか「まどか……」


さやかの支えを頼りに、まどかはその体を立ち上がらせる

そして何とかその体の震えを収まらせると、ポツリと言った


まどか「帰ろ……さやかちゃん」

さやか「うん……」


さやかは小さく頷くと、まどかの手を取り、まどかの歩幅、速度に合わせて歩きだす


まどか「さやかちゃん……」

さやか「……ん?」


しばらく歩き、それぞれの家へのわかれ道まで来ると、まどかはさやかに向き直り、真剣な瞳を向ける


まどか「絶対……死なないでね」

さやか「……わかってるよ」


ニコリと、さやかは笑いかける


さやか「ありがと。まどか」

さやか「さっきのもね」

まどか「……うん……」


まどかの頭に手を置き、優しく撫でるとさやかはまどかに別れを告げ、自分の家へと歩き出す

まどかはその姿をいつまでも見送っていた
252 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 02:49:07.16 ID:FWZNyPfL0
―――――

「はっ」


建設中のビル

そこにまどかとさやか、二人の様子を見て、嘲るような笑みを浮かべる少女がいた

長い髪を一つにまとめ、後ろに垂らす、活発そうな少女


「マミがくたばったって聞いてみれば……なんだありゃ」


手に持つリンゴを一口を食べる


「聞いてないっつーの。あんなのがいるなんてさぁ」


二口


「まぁいいか。邪魔なら」


三口


「ぶっ潰せばいい話だ」


そうしてリンゴを食べきると、芯を放り投げ、その少女は陰虐な笑みを浮かべた


――――
253 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/30(日) 02:51:35.49 ID:FWZNyPfL0
今日はここまで。お疲れさまでした

地の文難しい……

それではまた明日ー
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/30(日) 05:54:56.43 ID:3oh4jxFh0
乙〜
割と本編通りのほむらは珍しいww
あんまりないので期待

そして上のスレ見て小説版読んで来たがまどかが本当にこのスレっぽいww
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)[sage]:2011/10/30(日) 11:11:09.01 ID:U4+urviG0
契約したら即魔女化しそうなくらいにまどかが痛々しいな。
この分だと確実に杏子に反発するだろうし。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/30(日) 11:14:29.78 ID:FTxy6zFOo

257 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 00:51:28.24 ID:mEgf07Jm0

翌日

まどかは走っていた

さやかを見送った後家に帰ると、まどかは肉体的、精神的に酷く疲れていた事もあり、明日の用意をするとすぐに深い眠りに落ちた

それがいけなかった。あまりにも深く眠りに落ち過ぎて、意識を現実に引き上げるのに時間を掛け過ぎてしまった

そのおかげで今まどかは走っている


さやか「おはよう、まどか」


いつもの三人の合流場所に着くと、先についていたさやかがまどかに小さく手を揚げる


まどか「はあ……はあ……おはよう……さやかちゃん」


息も切れ切れに何とかさやかに返事をすると、さやかがまどかの背中をさする

それにありがとう、とまどかは頭を下げ、さやかの擦る手の力も借りて、息を落ちつけていく


まどか「ありがとう……さやかちゃん」

さやか「いいって」


息を落ちつけると、今度はお礼を声に出す。さやかはニコリと笑って頷いた

そしてまどかは学校へと足を向けようとするとさやかが待った。と声を出す

それにまどかは首を傾げる


まどか「どうしたの?」

さやか「仁美から連絡来てない?休むとか、遅れるとか」


仁美という言葉に、昨日の様子のおかしかった仁美の姿がまどかの脳裏に浮かぶ
258 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 01:20:34.16 ID:mEgf07Jm0
さやか「……何か知ってるの?」


まどかの無意識に出ていた暗い表情に、さやかは訝る視線をぶつける

まどかはさやかの視線にハッとした顔を浮かべると、すぐにその顔を伏せた


さやか「……まどか?」


伏せるまどかの顔を覗き込む

まどかはさやかの顔から視線を左右に揺らして逃げた。

昨日の一件で仁美が絡んでいた事。さやかがそれを知って、余計な心労を与えてしまうかもしれないと怖れた為。

そしてその事を言ってさやかに責められるかも知れないとも思った為だった


さやか「……まどか」

まどか「……うぅ」


逃げるまどかの肩を掴み、さやかは少しの重みのある声を掛ける

まどかはそれにぴくりと体を跳ねさせると、少しの躊躇いの後、観念したように昨日の一件で自分にあったことを話し始めた
259 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 02:08:30.48 ID:mEgf07Jm0
――――――

さやか「仁美が……?」


まどかの話が終わると、さやかは顔を酷く強張らせた

自分の友達が死のうとした事。そしてまどかをも道連れにしようとした事に驚き、信じられなかったからだった

まどかは顔を俯かせる


まどか「うん……」

まどか「でも、あのとき皆様子がおかしかったから……多分何か……あったんだと思う」

さやか「……何か?」

まどか「うん」


顔を俯かせたまま小さく首肯する


まどか「……あのテレビみたいな魔女に操られてた、とか……」


昨日の人たちのほぼ同様の異常な様子、仁美の別人のような口調。そしてその後のブラウン管―――魔女の出現

まどかがそう結論付けるには十分だった

さやかもそれに納得と言った表情で頷く


さやか「うん……それなら納得できるよ」

さやか「仁美がそんなことする筈ないもんね」


まどかの結論に安堵の笑みを浮かべるさやかだったが、すぐにその笑みを憂いの表情へと変えさせる

仁美のその後を危惧したためだ


さやか「……仁美、大丈夫なのかな」


まどかはそのさやか呟きに言葉に答えなかった。答えられなかった

さやかに助けられた後、仁美の事など気にもかけず、魔法少女になったさやかの心配だけをしていた自分を悔いるまどかに

大丈夫。なんて言葉を言う事など出来なかった
260 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 23:01:20.33 ID:mEgf07Jm0
そんな重い空気が流れる中、さやかは遅刻の時間が迫っている事に気付き、まどかと共に慌てて駆けだした

何とか遅刻になる前に教室に辿り着き、別れの挨拶を告げるとすぐに各々の席に着く

まどかが走ったことで切れる息を整えようとした丁度その時、先生が教室の中に入ってきた、


先生「今日は皆さんに……連絡があります」


そして先生が教壇に着くと挨拶も抜きに、開口一番、重いな口調でそう言った


先生「……志筑さんの事です」


生徒たちの視線が一斉に空席の仁美の席に目を向ける

だがまどかだけははさやかの方を向き、その表情を窺っていた


先生「……志筑さんは昨日……事故がありまして、意識不明の重体だそうです」


教室の中にどよめきが起こり、さやかは瞳を見開く


先生「みなさん、志筑さんの一刻も早い快方を祈りましょう」

先生「それでは……」


仁美の事でガヤガヤと噂する中、暗い雰囲気で先生は連絡を続ける。そんな中、まどかはさやかの方を向き、その心中を心配していた

さやかが見開いていた目を影のあるものに変え、まどかの方に向けたかと思うと

『まどか』

まどか「わっ!」


突然まどかの頭の中にさやかの声が響く

まどかはそれに驚きの声を上げ、クラスメイト達の注目を浴びる事となってしまう

まどかは顔を真っ赤に染め、俯く


まどか「な、なんでもないです……」


そして一呼吸置き、頭の中で聞こえてきた声に恐る恐ると返事してみた


まどか『……さやかちゃん?』

『ごめん。驚かせちゃったね』


続き、聞こえてくるさやかの申し訳なそうな声。まどかは突然さやかの声が響いてきた事に酷く混乱する
261 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 23:26:41.18 ID:mEgf07Jm0
まどか『な、なんなのこれ?』

さやか『テレパシーってやつ。今はキュゥべぇに中継してもらってまどかに送ってる』

まどか『そ、そっか……』


テレパシーを送るさやかにコクリと、首を縦に振る

傍から見ればまどかは奇行を行っているようにしか見えないのだが、さやかの話に集中している事でまどかはそれに気付いてはいなかった


さやか『それより仁美……大変な事になっちゃったね……』

まどか『う、うん……大丈夫かな……仁美ちゃん』

さやか『うん。……もっとあたしが早く駆けつけてれば……』


暗い声をテレパシーで送るさやかに、まどかは大きく首を振る


まどか『そ、そんなことないよっ!』

まどか『さやかちゃんが来てくれなかったら、仁美ちゃん、意識不明じゃなくて……』

まどか『……それに私の事……助けてくれた』

まどか『だから、そんな事……言わないで……』


まどかの悲しみが籠る声にさやかは、少し間を置き。ポツリと小さく返す
262 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 23:54:28.92 ID:mEgf07Jm0
さやか『……ありがと。まどか』


さやか『……でもこれからもっと人を救えるように頑張らないと』

さやか『仁美みたいな酷い目に合う人を無くすためにも』

さやか『……なんだってあたしはマミさんの後継ぎなんだからね』


固い決意と責任感を感じさせるさやかの声。まどかはその声に目を伏せた


まどか『……うん』

さやか『……そうだ。今度、仁美のお見舞いに行こうよ。……面会謝絶かもしれないけど』

まどか『うん』


まどかの肯定の声を聞くとさやかは時計に目をやる


さやか『あ、そろそろホームルーム終わるね』

さやか『それじゃあまた。まどか』

まどか『うん……さやかちゃん』


さやかの声が途切れるとともに、先生がホームルームの終わりを告げる

クラスメイト達が各々の仲のいい人達と仁美の事を噂する中、まどかは膝の上で拳を強く握りしめ、さやかはどこか遠くを見つめていた

263 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/10/31(月) 23:59:26.86 ID:mEgf07Jm0
―――― 頑張らないとな

     これからの見滝原市の平和はあたしが守らなくちゃいけないんだから……




―――― ……また、さやかちゃん人の事ばっかり考えてる
     
     ……

     ……また嫉妬してる。……私

     もういや。こんなの……
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/01(火) 21:26:37.45 ID:Oln0aZZZ0
おー。無理なく一人称いけてるね

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
265 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 21:11:56.34 ID:a55l1csn0
――――


その後、まどかとさやかは何事もなく、いつものように流れる学校での時間過ごして行った

いつの間にか教室に来ていたほむらもまどかに話しかけてくることもなく、時折視線を送るだけ


何事もない、いつも通りの時間

違うのはただ、仁美がいないだけ

クラスメイト達は時間が経つにつれて、仁美が大変な事になっていることも忘れたかのように過ごしていく

それをさやかは肌に感じ、一抹の寂しさと、少しの憤りを感じていた

―――わかるけどさ

周りの反応を頭で理解はできていたが、さやかの心はそれを解ってくれなかった
266 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 21:16:02.97 ID:a55l1csn0
まどか「さやかちゃん」


そして時は流れ放課後

さやかがそんな暗い感情に浸っていると、まどかが荷物を持って、さやかに帰りの誘いを掛けてきた

さやかはそんなまどかに両手を前に出て合わせ、ごめんなさいのポーズを作る


さやか「ごめん。今日も一緒に帰るのむりだわ」

まどか「……魔女退治に行くの?」


表情を曇らせるまどかに、さやかはうん、と頷く


さやか「うん。それと、恭介の様子もちょっとね」


恭介

その言葉にまどかは曇らせる表情に仄暗いものを混じらせた


まどか「……また?」

さやか「ぅえ?う、うん……」


まどかの見せる表情の異質さにさやかは少しだけ、うろたえてしまう
267 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 21:17:52.68 ID:a55l1csn0
まどか「そっか……」


顔を伏せ、少しの考えるそぶりを見せたあと、まどかはさやかに上目を向ける


まどか「……私も行っていい?」

まどか「……私も元気になった、上条君、見てみたいし」


いつものまどかと様子が違う事にさやかは戸惑いを見せながらも頷く


さやか「っえ?う、うん……いいけど」

まどか「……ありがとう」

さやか「うん」


まどかはさやかが頷くと、さやかが帰りの支度を終わらせるのをじっと待った

心の中にドロドロとした嫉妬を渦巻かせながら
268 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 21:18:56.11 ID:a55l1csn0
病院

さやかの支度が済むと、二人は並んで学校を出て、真っすぐ病院へと向かう

さやかは病院に着くまでの間、まどかに何度か他愛もない話を振ったが、まどかは物憂げ表情でただ空返事を返すだけで会話にならなかった

加えて、病院に近づくにつれて段々と濃くなっていくまどかの表情の曇り

途中、まどかにさやかは体調を崩しているのか、と気遣ったが、まどかは大丈夫、と首を振るだけ

さやかはそんなまどかに違和感を感じざるを得なかった


さやか「そう言えばまどか、恭介と会うの凄く久しぶりだよね」


病院につき上条の病室に続く廊下で、さやかは隣を歩くまどかの顔を覗き込む

まどかは少しの間の後、コクリと首を振った


まどか「……うん。事故のちょっと前以来」

さやか「そっか。そしたらちょっと変わりように驚くかもよ〜」

さやか「あいつ、入院してから一気に痩せたしさ」

さやか「顔も元気なくなっちゃって、情けない顔してたんだからっ」


笑顔を見せながら嬉しげに語るさやか

その顔は、まさに恋する少女のそれ、だった

まどかはそれから逃げるように顔を背け、不快に顔を歪める


まどか「そっか。早くいこ」

さやか「え、う、うん」


素っ気なくまどかは答え、先へと歩き出す

さやかはまどかの態度の急変に戸惑い、首を傾げたが、先行くまどかを迷わせるわけにはいかないと、走り寄った
269 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 21:38:24.60 ID:a55l1csn0
さやか「着いた。それじゃあ……」


そうして二人が上条の病室まで辿り着くと、さやかは二回その扉を叩く

「どうぞ」

そのノックに返ってくる穏やかな声、さやかはそれを聞くと、勢い良く病室のドアを開け放つ

そして一歩を踏み入れると、敬礼のようなポーズをとった


さやか「さやかちゃん。参上!」

上条「ああ、いらっしゃい。さやか……と」


さやかの姿を見て嬉しげに頬を緩ませる上条だったが、その後ろのまどかの姿にその表情を驚きに変える


まどか「……こんにちは」


浮かない表情でぺこりと頭を下げる

そんなまどかに上条は優しく微笑んだ


上条「鹿目さん?久しぶりだね」

まどか「……うん」


まどかに挨拶を済ませると、上条はすぐにさやかへと顔を向け、まどかに向けた笑みとは全く違う笑みを見せた


上条「ああ、そうださやか、聞いてくれよっ」

さやか「……なに?」


言葉に喜びの色を混ぜながら話しかけてくる恭介に、さやかは余裕のある笑みを見せる

それは上条がこれから何を言うかわかっていたことからの笑みだった


上条「僕の手、動くようになったんだっ!目が覚めたら、いきなり!」
270 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 22:56:22.40 ID:a55l1csn0
そう言って上条はさやかに見せ付けるように腕を掲げ、手を握ったり、開いたりを繰り返す

さやかはそんな予想通りの上条の反応に、浮かべる笑みを更に深くした


さやか「そっか。やったね」

上条「うん!先生も信じられないって言ってたよ」

上条「奇跡が起こったんだって、魔法の様だって!」

さやか「うんっ」


落ち着いた様子で上条の話を聞くさやか

そんなさやかを不思議に思った上条はその子供のような笑みを潜め、首を傾げる


上条「……あんまり驚かないんだね?てっきりもっと……」

さやか「え、あ、う、うんっ!わ、私、絶対治るって信じてたからさっ!」


さやかは上条の指摘にわたわたと慌て、咄嗟に考え付いた言い訳を話す

上条はさやかの様子に少しの引っかかりを覚えたものの、すぐに嬉しそうにほほ笑んだ


上条「そっか……ありがとう。さやか」

上条「もしかしたら、さやかがずっとお見舞いしてくれたから治ったのかもしれないね」

さやか「なっ、なにいってんのさ、恭介っ!」


顔を赤く染め、声を張り上げるさやかに上条も少し顔を赤く染め、悪戯っぽく微笑んだ


上条「あはは、なんてね」

上条「でも僕はさやかに……」

まどか「おめでとうっ上条君っ!」


そこで、今まで黙っていたまどかが笑顔で上条とさやかの間に入る

さやかは突然のまどかの行動に驚きの表情を浮かべ、上条も驚いたもののすぐにその体裁をとり戻し、ニコリと笑いかける


上条「あ、うん。ありがとう鹿目さん」
271 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/02(水) 23:54:46.60 ID:a55l1csn0
まどか「退院はあとどれくらい掛かりそうなの?」

上条「うーん……手が治ったから、もうちょっとだと思うな」

まどか「そっか。頑張ってね」

上条「うん。ありがとう」


笑い合うまどかと上条

突然会話に割り込んできたまどかを不自然に思いながら、まどかと上条の二人に複雑な表情を浮かべていた


上条「……さやかちょっと、いいかな」


そんなさやかの表情に気付き、上条はさやかに優しい視線を向けた

不意を突かれたさやかは驚きにうろたえてしまう


さやか「え、な、なに?」

上条「それ、ちょっと持ってくれないかな?」


上条が指差した先、そこには上条のバイオリンのケースがあった

さやかは、突然の指示にうろたえながらもそれに手を伸ばす
272 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/03(木) 00:22:08.19 ID:CPgEFCUy0
さやか「こ、これ?」


手に取ったケースを上条に掲げると、上条は頷いた


上条「うん、ありがとう。……よし……」


そしてベッドから身を起こし、自分の身を覆うベッドシーツを除けると、ベッドに立て掛けてあった松葉づえに手を伸ばす


さやか「だ、大丈夫なのっ?」

上条「うん。もう、これくらいはね」


焦った表情を浮かべるさやかに笑みを浮かべながら、上条はゆっくりとベッドから這い出て、松葉づえを使い何とか立ち上がった


上条「それじゃあ、ちょっと屋上までいこうか」

さやか「……えっ、どうして?」

上条「ちょっとさやかにCDとお見舞いのお礼をしようと思ってね」

さやか「お、お礼なんて……」

上条「いいから。よい……わっ」


松葉づえを使い屋上へと歩き出そうとした時、上条がバランスを崩してしまう


さやか「大丈夫っ!?」


そんな上条にさやかはすぐに近寄り、その身を支える

その時、二人の距離はゼロとなり、視線が重なり合う


上条「あ、ありがとう。もう大丈夫だよ」

さやか「あ、う、うん……」


すぐそこにある上条の顔、感じる体温、匂い

それら全てに、さやかは心臓を高鳴らせ、顔を赤らめた


上条「よ、よし……それじゃあいこうかっ」

さやか「う、うんっ」


上条の仕切りなおす声に慌ててさやかが距離をとると、思い出したように上条はまどかに顔を向けた


上条「よかったら、鹿目さんもどうぞ」


そう言うと上条はゆっくりと歩き出し、上条をいつ支えられてもいいように、さやかも上条の歩調に合わせて歩き出す


まどか「……うん」


その後ろでまどかはコクリと頷いた

燃え盛る嫉妬の感情に、心狂わせながら
273 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/03(木) 00:34:56.16 ID:CPgEFCUy0
西日が差しこみ、辺りを赤く照らす屋上

三人がそこに着くと、上条はそこに設置してあるベンチに夕日を背にして腰を降ろした


上条「ふぅ……なかなか辛いもんだね」

さやか「大丈夫?」


上条の腰を降ろすのを手伝うと、さやかは心配の表情を向ける

上条はそんなさやかに安心させるように優しく微笑み返した


上条「うん。いいリハビリだよ」

さやか「うん……」


心配の色が抜けないさやかに、上条は軽い溜息を吐く


上条「心配し過ぎだよ。さやかは」

さやか「……でも」

上条「大丈夫だから、さ」

さやか「うん」


全てではないにせよある程度さやかから心配の色が消えるのを見ると、上条はさやかへと手を伸ばす


上条「……それじゃあバイオリン貸して」

さやか「う、うん。はい」
274 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/03(木) 03:25:05.60 ID:CPgEFCUy0
さやかから差し出されたバイオリンを手に取ると、上条はまどかとさやかに向き直り、真剣な表情を作った


上条「ありがとう。さて……それじゃあ」

上条「ほとんど毎日来てくれたさやかと、腕の回復のお祝いに来てくれた鹿目さん」

上条「二人の為の演奏会。開こうと思います」


そう言って上条は二人に深くお辞儀し、バイオリンに手を掛ける

そして、深く息を吸い込み、その弦から音を奏で始めた


さやか「……恭介……」


上条の手から生み出される音楽たちは、とても美しく、聴きいるもの魅了させる

それは天才少年と謳われた実力と違わぬもの

さやかは目を閉じ、じっとその音楽たちを聞きいる

さやかの心は、喜びと、満足感で満ち溢れていた


辺りが美しい音楽で包まれる。

今、ここにいる者たちは心に影を落とす者などいなかった

その音楽を心に届かせない一人の少女


まどかを除いて
275 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/03(木) 03:32:04.22 ID:CPgEFCUy0
―――――――――――――


さやかちゃんの上条君の演奏を聞く顔は、とても幸せそうで

今まで私が見た事のない、うっとりとした表情をしていました

私は、そんな顔をさやかちゃんにさせる事ができる上条君が

さやかちゃんのそんな幸せそうな表情を向けられることのできる上条君が

とても、羨ましくて

とても、妬ましかった

……いっそバイオリンを取り上げて屋上から落としてしまおうか

上条君のバイオリンを聞いている内に、そんな恐ろしい事を考えてる自分に気付いて

私は自分が怖くなりました

でも、同時に、そう考えてしまうほど私は

さやかちゃんの事が好きなんだなと納得してしまっている自分にも気付いてしまいました


―――――――――――――――
276 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/03(木) 03:35:53.97 ID:CPgEFCUy0
今日はここまで。お疲れさまでした

なんだか最近鯖が重い気がする……

それではまた次回ー
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/03(木) 03:38:16.32 ID:GSEOUlpGo
乙乙
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/03(木) 17:10:20.94 ID:PL3HsFy2o
乙ー
最近よくエラーになるね
279 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/03(木) 22:59:32.34 ID:CPgEFCUy0
病院外


上条の演奏が終わると、さやかは惜しみない拍手を送り、まどかは大人しめの拍手を送った

上条は照れの入る表情でそれに応えた

そしてその後、上条と少しの間会話を交わすと二人は上条に別れを告げ、病院を出た。そして暗く染まる空の下、家路へと向かう

さやかは病院を出ても興奮が収まることなく、その顔に笑みを浮かべ続けていた


さやか「いやぁーやっぱり恭介の演奏は最高だったね!」

まどか「……うん」


そんなさやかの横で、まどかは顔を伏せ歩いていた


さやか「恭介の顔にも元気が戻ったし、指治ってホントによかったよ!」

まどか「……うん」

さやか「また出来たら聞かせて貰おうねっまどか!」


あまり反応のないまどかを怪訝に思ったさやかは、俯くまどかの顔を横から覗き込む


さやか「まどか?」

まどか「私は、いいよ」

まどか「聞きたくない」

さやか「……嫌だったの?」


立ち止り、暗い表情で顔を振るまどかに、さやかは不安げに首を傾げる
280 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/04(金) 00:23:05.19 ID:T5m12/g80
まどか「……そうじゃないけど」


それにも首を振るまどかに、さやかは更に首を傾げる


さやか「だったらなんで……っ」


だがそんな時、さやかは急に辺りを見渡し、しまっていた魔法少女の証、ソウルジェムをその手に取りだした

まどかはさやかの急な様子の変化にその瞳を向ける


まどか「……どうしたの?」

さやか「ソウルジェムが反応してる……近くに魔女がいる!」

まどか「えっ!?」


まどかに緊張感が走り、以前まどかを襲った魔女の姿を思い出される

さやかはソウルジェムをかざし辺りをキョロキョロと見渡し始めた


さやか「こっち……?」


ソウルジェムが強い反応を示す方を見つけると、さやかはまどかに真剣な瞳を向ける


さやか「まどか。あたし、ちょっと行ってくるから」

さやか「まどかは先に家帰ってて!」

まどか「さやかちゃんっ!!」


さやかが走り出そうとした時、まどかは咄嗟にさやかの手を掴んだ

―――さやかを危険な目に遭わせたくない

そんな気持ちからのまどかの行動だった。


まどか「あ、危ないよっ!行っちゃ、行っちゃ駄目だよっ!」」

さやか「危ないのは解ってる」


覚悟と、決意に満ちた目


さやか「……まどか、わかってるでしょ?魔女がどれだけ危険か」


さやかが強い口調でまどかを諭す

その諭しに、まどかの脳裏に前日の様子のおかしくなった仁美達がよぎる

それでも、まどかはさやかを行かせたくなかった。もごもごと口を開く


まどか「で、でも……」

さやか「だから私は行く。まどかは帰ってて!」


さやかはまどかの肩に手を置くと、そう言ってさやかは正義感を燃やし走り出す

人々を脅かす魔女の元へ
281 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/04(金) 00:41:02.18 ID:T5m12/g80
まどか「さ、さやかちゃんっ!」


走っていくさやかにまどかは手を伸ばし、さやかを追いかけようとする

が、前日の自分を襲った魔女と、マミを殺した魔女の恐怖が蘇りその足が止まってしまう

段々と遠ざかっていくさやかの背中。

その姿にまどかは酷い焦燥感に苛まれるが、足が動いてくれなかった

そうしている内にさやかは角を曲がり、その姿をまどかの前から完全に消してしまう


まどか「……さやかちゃん」


焦燥感に加え、さやかがいなくなってしまうかもしれないという不安がまどかを襲う

その感情が体を走った時、まどかの脚は弾かれる様に動き出していた


まどか「……まってっ……待って……さやかちゃんっ!」


必死とまどかは走り出す。さやかを失いたくないという思いから

さやかを見失った今、どこへ向かえばいいかなどまどかには解らない

それでもまどかは走った。

大好きなさやかの元へ
282 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/04(金) 01:16:35.14 ID:T5m12/g80

まどか「はぁ……はぁ……」


さやかを追いかけ薄暗い路地裏に入り、がむしゃらに走るまどかだったが、やはりと言うべきかさやかが見つかる事はなかった

暴れる心臓にまどかは走る事が出来なくなり、しゃがみ込んで息を切らす


まどか「はぁ……さやかちゃん……どこに行ったの……?」


激しい焦燥感が体を駆け巡るが、体が言う事を聞いてくれない

まどかが自分の不甲斐なさに歯噛みしていると


「まどかっ!」


頭上から聞き覚えのある可愛らしい声が響く

声のした方に顔を向けると、キュゥべえが換気扇の排出口や壁の突起を使い、器用に降りて来ていた


まどか「はぁ……はぁ……キュゥべぇ?」

キュゥべぇ「どうしてこんなところに?ここは危険だよ。近くに魔女がいるんだ」


地面に降りたキュゥべえに、まどかは急いで息を整えると焦りに歪める顔を向けた


まどか「知ってるよっ。ねぇ。さやかちゃん見てない!?」

キュゥべぇ「さやかかい?見てないけど……」

キュゥべぇ「さやかを探してるのかい?」


首を傾げるキュゥべえに、まどかは勢い良く頷く


まどか「うん!さやかちゃん魔女の反応があったからって一人で……」

キュゥべぇ「うん?それが魔法少女じゃないか。魔女の反応があったらすぐに向かう。当然だろう?」


わけがわからない、と言わんばかりに首を振る。そんなキュゥべえにまどかは目を伏せてしまう


まどか「でも……」
283 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/04(金) 01:27:27.36 ID:T5m12/g80
キュゥべぇ「それに普通の人間がさやかを追ってどうするんだい?」

キュゥべぇ「まさか、何の力も持たない君が魔法少女であるさやかの手伝いをするつもりかい?」

まどか「それは……」

キュゥべぇ「行っても何もできないよ。それどころか、足を引っ張るだけだ」

キュゥべぇ「ただ手伝いたいなんて軽い気持ちで行っても、さやかの迷惑になるだけだよ」


畳み掛けられるキュゥべえの言葉に、ついにまどかは顔を伏せてしまう

―――でも。

そう一言キュゥべえは付け加えると、まどかの目の前まで歩き、くりくりとした目でまどかの瞳を覗き込んだ


キュゥべぇ「君が今此処で魔法少女になって、手伝いにいく、というなら話は別だけど」

まどか「私が……」


深くキュウべえは頷く


キュゥべぇ「君が魔法少女になれば、さやかの手伝いをするなんて容易い事だ」

キュゥべぇ「君の素質はさやかをはるかに超えてるんだからね」
284 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/04(金) 02:03:10.64 ID:T5m12/g80
口元を押さえ考え耽るまどかに、キュゥべえは更に言葉を重ねた


キュゥべぇ「なるかい?さやかと」

『同じ』

キュゥべぇ「魔法少女に」

まどか「……同じ」


同じ、という言葉がまどかの心に強く響き、呆然と言葉を漏らす


キュゥべぇ「そうさ。君の大好きなさやかと同じさ」


まどかの漏らした言葉に頷くと、キュゥべえは少しの間の後、トーンを押さえた声を出す


キュゥべぇ「……それに願いをさやかを思い通りにしたいとするなら」

キュゥべぇ「前にも言ったが、さやかは君の物だ」


キュゥべえの重ねられていく言葉

それはまどかにとって酷く魅惑的に思えた

キュゥべえはそんなまどかの気持ちを見抜いたかのように、契約を迫ろうとする


キュゥべぇ「どうだい?ぼくとけ」


だがその言葉は最後まで続く事はなかった

突然まどかの目の前で、キュウべえの頭が吹き飛び、内包していた肉が飛び散ったからだった


まどか「あ……!」


頭部を失った事で、キュゥべえは支える力を失いその体を倒れ伏せさせる

そんな惨たらしい光景に目を背けるまどか

だが目をそむけた先には、まどかが最も会いたくない人物がしゃがみ込むまどかを見下ろしていた


まどか「……ほむら……ちゃん……」
285 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/04(金) 02:45:37.14 ID:T5m12/g80
ほむら「美樹さやかを探してるの」


手に持っていた大きく黒光りする銃―――ショットガンを盾のスライドの中に収納するとまどかに冷たい声を掛ける

ほむらの登場で恐怖や驚き、そして昨日の一件の怒りなど様々な感情がまどかの中を渦巻き、ほむらの質問に答えられずにいた


ほむら「……ついて来て」


まどかの無言を肯定と受け取ったほむらは、背を向けて顔だけをまどかに向けた


ほむら「あなたがなろうと思ったモノ」

ほむら「そして、美樹さやかのなったモノがどれほど危険なものか」

ほむら「もう一度見せてあげるわ」


そう言ってほむらは顔をまどかから背け、どこかへと歩き出す

まどかはほむらについて行くか否かを酷く迷ったが、その口ぶりと、ほむらが魔女の居場所が分かる魔法少女であることから、着いて行く事を決め

その後ろをゆっくりと着いて行った

286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/04(金) 16:50:41.11 ID:dXezYXPDO
いいねえ
287 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/05(土) 00:26:44.51 ID:+kFLoU1R0
―――――――


ほむらがまどかと接触しているころ、さやかは異質な空間を発見し、そのわずかな綻びの前まで来ていた


さやか「……魔女」


入り口を見つめ、思わず零れる言葉。

その言葉には、これから一戦交える覚悟と、魔女に対する明らかな敵意が含まれていた


さやか「やるからね……マミさん」


マミの戦っていた姿を脳裏に移し、さやかは身を魔法少女の衣装へと包む

―――もう、まどかや仁美みたいに……他人にあんな目は合わせない

そう心に誓うと、さやかは自分の得物である細身の剣を具現させ、その剣で結界の綻びを切り裂き

結界の中へと足を踏み入れた
288 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/05(土) 01:37:08.35 ID:+kFLoU1R0
踏み入れた結界の中は、子供のおもちゃ箱をひっくり返したような、乱雑で、稚児的なものだった

一見毒気のなさそうに見えたが、歪に蠢く壁の模様、その空間に流れる淀んだ空気がさやかにはそうは思わせなかった

その中をさやかは剣を片手に、警戒しながら奥へと進んでいく


さやか「っ!」


ある程度の奥まで進むと、一匹の子供の落書きのような異形が耳障りな音を出しながら、辺りを徘徊していた

さやかはその異形――使い魔を見つけると、剣を構え、足に力を込める


「―――??―――!!―――――――!!!」


使い魔に切りかかろうとした時、使い魔がさやかの存在に気付き、逃げ出そうとし始めた

それを逃がさんと、さやかは脚に込めた力を弾けさせ、一気に使い魔に肉迫する


「―――!!!」


使い魔は必死に逃げようとするが、さやかの速度には及ばず、すぐに追いつかれてしまう

さやかは一気に構えた剣を振りおろし、その体を切り裂こうとしたが


さやか「な……」

「……へっ」


突然目の前に赤い衣装に身を包んだ少女が躍り出てきて、さやかの斬撃をその手に持つ長槍で防いでしまった

289 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/05(土) 01:39:52.24 ID:+kFLoU1R0
修正

逃がさんと ×

逃がさぬようにと
290 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/05(土) 02:11:18.67 ID:+kFLoU1R0
「―――!!」


それを見た使い魔は絶好の機会と言わんばかりに耳障りな音を張り上げ、さやかから逃げ去ろうとした


さやか「逃がすかぁッ!!」


逃げる使い魔に追撃を行おうと、さやかは目の前の赤い少女の持つ槍から自分の得物を引く


「やめなっての」


だが赤い少女は、さやかの引く剣に自分の槍を強く押し付けて剣の自由を無くし、さやかの動きを止めた

さやかは目の前の自分の邪魔をする少女を鋭く睨みつける


さやか「なんなのよあんたはッ!!邪魔しないでッ!!」

「邪魔なのはアンタ……だよッ!!」


そう言うと赤い少女は、自分の足に力を込め、さやかを前方へと押し返した

あまりの力にさやかは体勢を崩し、ふらふらと後ろによろけてしまう


さやか「くッ……」

「やれやれ……」


呆れたように赤い少女が肩を竦める。

そんな人を舐めたような態度に苛立ちを覚えながらも、さやかはすぐに体勢を立て直して剣を赤い少女に構え、使い魔を探した

だがその姿はもうどこにもなく、今此処にいるのはさやかと、赤い少女だけになってしまっていた

さやかは赤い少女に、強い敵意の視線を向ける


さやか「あんたの所為で逃がしちゃったじゃない!!」

「……当たり前だろ?逃がすためにあんたの邪魔をしたんだから」
291 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/05(土) 03:14:52.62 ID:+kFLoU1R0
さやか「は……?」


わけがわからないと眉根を寄せるさやかを赤い少女は鼻で笑う


「ありゃ見ての通り使い魔。倒したってグリーフシードは落とさない。なんの得にもならないよ」

さやか「でもあれは人を襲うんだ!倒さないと人が……」

「そこがミソだよ」

さやか「……は?」


赤い少女の言葉ににさやかはその表情を固まらせ、そんなさやかに赤い少女は腹黒い笑みを浮かべ、手に持っていた駄菓子にかじりついた


「使い魔はね……人を食っていればそのうちグリーフシードを孕むんだ」

「それまで待ってから狩っても遅くないだろ?」

さやか「あんた……人を見殺しにしろって言うの!?」

「そうだよ」


そう言い切り、赤い少女は再び駄菓子を口に運ぶと、嘲笑に顔を歪める

そんな少女にさやかは激しい怒りを感じ、剣を持つ手に力を込めた


「まさか、アンタ人の為にーとか、そんなくだらない理由で戦ってんのか?」

「そうだとしたら……とんだお笑い草だねぇ!」

さやか「うるさい……!」

さやか「あんたに……あんたなんかに何がわかる!!」


赤い少女に自分の事、そして何よりマミの事を笑われたように感じたさやかは、溜まりに溜まった怒りを爆発させ

剣を持つ手を振り上げ、その剣を目の前の少女に思い切り振りおろした


さやか「な……!」


だが赤い少女はいとも簡単にその剣を手に持つ槍で受け止めてしまう

292 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/05(土) 03:56:29.19 ID:+kFLoU1R0
「馬鹿にしてんの?」


赤い少女は呆れた表情を作ると、さやかの剣を左手一本で支え、空いてる方の手で駄菓子を口に運んだ

完全に舐めた態度をとる赤い少女に、さやかは頭に血を上らせてむきになって剣を押し込もうとする


さやか「……くっ」


だが、赤い少女の持つ槍は微動だにすることなくさやかの剣を受け止め続けた


「困るんだよねぇ……」


駄菓子を全て食べきると、赤い少女は右手でさやかの剣の刀身が当てられた所よりも上を掴み、同時に左手を離すと

柄を地面から少し浮かせ、体の右半分を後ろに引く


さやか「わ……」


途端さやかの剣が柄を沿う様に受け流され、赤い少女の体を引かせたことで出来たスペースによろけさせられると


「戦いも知らない奴に粋がって貰っちゃあ!!」


さやかの腹部に赤い少女の右膝を振り上げられらた
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区)2011/11/06(日) 00:51:14.96 ID:YZ2mxPLm0
さやぱん…
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/06(日) 07:20:32.21 ID:gVpyZSwDO
おおう
ホームレスのくせに生意気だぞぉ
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/07(月) 00:41:19.66 ID:Dsmbr10u0
あんこちゃんあんあん!
296 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/07(月) 02:16:04.13 ID:YlW06cm00
修正だけ

さやかの腹部に赤い少女の右膝を振り上げられらた ×

さやかの腹部に赤い少女の右膝が振り上げられた ○
297 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/07(月) 23:52:19.12 ID:YlW06cm00
さやか「か、は……!」


腹部への突き刺さるような痛みに、さやかの呼吸が止まる

さらに赤い少女の打撃により胃液が口の中まで達し、さやかの口の中を得も言えぬ酸味で染めた


「はっ」


赤い少女は腹部にめり込ませた脚を引き抜き、嗜虐的な笑みを浮かべると、痛みに怯むさやかの後頭部を槍の柄で殴りつけた


さやか「がッ!!」


後頭部への衝撃に、さやかはなす術もなく顔から地面へと叩きつけられる

視界が白黒と瞬き、さやかは後頭部と叩きつけられた顔面への痛みに地面に這いつくばりながら呻いた


「終わりじゃねー……ぞッ!!」


地面に這いつくばるさやかに、赤い少女は手を休めることなく、思い切りわき腹を蹴り上げた


さやか「……ッ!!」


その蹴りはとても少女の物とは思えないほどの威力だった

さやかの体は軽々と吹き飛ばされ、蹴られた衝撃に手放してしまった剣と共に路地裏の壁へと叩きつけられる

壁に剥き出しになっていたパイプは、さやかの体がぶつかった衝撃にその形を変形させ、中を流れていた水を零れさせた


さやか「あ……!!あ……」


痛みと衝撃にさやかの体がミシリと悲鳴を上げ、白黒と瞬いていた視界は真っ赤に染まる

さやかはすぐに体勢を立て直そうと思ったが、あまりの痛みに体が言う事を聞かず、ぴくりとも体を動かせなかった


298 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 00:15:27.51 ID:SrsHW7Os0
そんなさやかに赤い少女は近づいてしゃがみ込み、さやかの髪を掴んで引っ張り上げて、その顔を持ち上げる


「わかったかい?身の程の物ってのをさ」


さやかの返事はない。ただ赤い少女を睨み返すだけ

赤い少女はそれに不愉快そうに鼻を鳴らすと、髪を放し、さやかの顔を地面へと落とした


「ま、少しは頭を冷やしなよ」


そう言って赤い少女は立ち上がり、さやかに背を向けて歩き出そうとした


「……おかしいなぁ」


だがすぐにその足を止め、顔だけを後ろに向ける


「病院送りにするぐらいにはかましたつもりなんだけどね」


赤い少女の向けた視線の先、そこにはさやかが放り出した剣を拾い上げ、その剣を支えに立ち上がろうとする姿があった
299 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 00:36:18.72 ID:SrsHW7Os0
そうしてさやかが完全に立ち上がると、赤い少女にさやかは細剣を構え、衰える事のない激しい怒りと敵意の目を向けた


さやか「負けるもんか……」

さやか「お前みたいなやつに負けるもんかぁああっ!!!


赤い少女に吼えると同時に、さやかの体が青い光に包まれる

すると、さやかの体にあった擦り傷や打撲が、見る見るうちに治っていった


「ウゼェ……」

「超ウゼェ!!!」


その姿に怒りの表情を浮かべると、赤い少女は向き直り、手に持つ槍の矛先をさやかに向けた


「いいよ。教えてやるよ」

「半端もんがどういう目に遭うかってのをさぁッ!!!」


そう吼えると赤い少女は、弾けるようにさやかに駆けだした
300 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 00:53:37.87 ID:SrsHW7Os0
――――――

まどか「あ……」


ほむらに連れられ、まどかが辿り着いた先で見たもの。それは


「チョロチョロしてんじゃねーよ!ウスノロ!」


さやかが魔女ではなく、見知らぬ、非現実的な赤い衣装に身を包んだ少女――魔法少女に一方的に攻められている姿だった

―――魔法少女同士で何故

まどかはそんな状況に軽い混乱を覚える


さやか「うあっ!!」


その時、上下左右と揺さぶりを掛けながら行ってくる赤い少女の槍の連撃に、さやかは捌き切れず、右肩に柄の直撃を受けてしまう

痛みに顔を歪めるさやか


まどか「さ……」

まどか「さやかちゃんっ!!」


そんなさやかに居てもたっていられず、まどかはさやかの元へと駆け寄ろうとした


まどか「あっ」


だがその駆け寄りは、ほむらがまどかの手を掴んだことで止められてしまう


まどか「放して!!」


まどかはその手を必死と振り払おうとするが、ほむらが固く手を握っていてその手を振り払えない


ほむら「危険よ。それに……」


一呼吸置き、まどかの手を握っていない方で軽く髪に触れると、必死となるまどかにほむらは冷たく言い放った


ほむら「言ったわよね」

ほむら「もう一度どれだけ危険か見せてあげるって」
301 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 01:18:26.28 ID:SrsHW7Os0
赤い少女の連撃での一撃

さやかはそれに歯を食いしばり何とか耐えたが、一瞬だけの怯みを見せてしまう

その一瞬を赤い少女は見逃さなかった


「へっ」


好機と赤い少女は笑みを浮かべる

その直後、赤い少女の槍は、直槍の状態から一定の間隔に節を作って、その節々を離し、中に仕込まれていた鎖でつなぎ合う

それは一本の鎖のように見えるものだった

その節槍を器用にさやかの足に絡みつかせた後、力のままさやかを宙に浮かせて壁へと叩きつけた


さやか「ぐッ!!」


衝撃と痛みにさやかの意識が飛びそうになるが、それを何とか耐える

なんとか青い光――魔法で自分の修復を試みるさやかだったが、赤い少女の連撃にその修復が間に合わなくなってきていた


「はっ……大口叩いてた割には」

さやか「……!!」


それに感付いた赤い少女は、修復させない様、すぐにさやかの足に絡みついたままの節槍に力を込め


「ずいぶんな有様じゃん?……ダッセぇ」

さやか「ぅあ!!」


その体を宙に浮かせると、今度は地面へと叩きつけた
302 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 01:37:15.14 ID:SrsHW7Os0
まどか「さやかちゃんっ!!さやかちゃんっ!!」


傷つき、赤い少女に痛めつけられていくさやかに、まどかは悲痛な悲鳴を上げた

まどかはさやかの元に駆け寄りたい一心で、ほむらの手を引きはがそうとする


まどか「放して!」

ほむら「駄目よ」

まどか「放して!!」


だが、ほむらがその手を離そうとする事はなく、しっかりと握りしめ続ける

まどかはほむらからの手の拘束から離れる事を一旦止め、さやかを痛めつける赤い少女に懇願の声を掛ける


まどか「やめて!!さやかちゃんを苛めないで!!」

「……あ?なんだてめぇら?」


その声にまどかとほむらの存在に気付いた赤い少女は、声の方向に顔を向け、眉をひそめた


「見せもんじゃねーぞ」

さやか「……!……まど……か……」


まどかの声にさやかも気付き、地面に這いつくばりながらも、その顔をまどかへと向ける


まどか「……ッ!!」


まどかに向けられたさやかの顔。それはまどかの大好きな活発な顔ではなく、殴打に腫れ、切り傷、擦り傷に血を流す酷い有様となっていた

まどかはあまりの痛々しさに言葉を失い、同時にそこまでさやかを痛めつけた、目の前の赤い少女に激しい怒りを覚えていた

303 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 01:57:11.41 ID:SrsHW7Os0
さやか、まどか、ほむらの順に視線を巡らせたあと、まどかをジッと見つめると赤い少女は深い溜息をついた


「なんだ。こいつのお友達で……一人は一般人かよ」

「ちっ……めんどくせぇ」

「おい、お前!」


赤い少女がうんざりといった様子で舌打ちすると、まどかに声を掛けた

声を掛けられたまどかは怒りに濡れる目でその少女を睨み返す


「帰れよ。ここはお前みたいなやつが来る所じゃねーよ」

まどか「さやかちゃんを放して!!」

「おい、人の話……」

まどか「放してよぉ!!」


自分の話を遮って喋るまどかに、赤い少女は不愉快そうに溜息をついた


「うぜぇ……聞いてねーよ」

「……まぁいいや。自己責任って奴だ」


そして赤い少女は諦めたように肩をすくめると、足に巻きつけた槍を外し

倒れ伏すさやかの襟首を掴み、ゆっくりと持ち上げ


「なぁ?……半端者ッ!!」

さやか「っ!!あ……!」


その腹部に自分の拳を思い切り打ち込んだ
304 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 02:27:00.58 ID:SrsHW7Os0

その一撃にさやかが目を見開き、口から血反吐を吐く


まどか「……!!」

まどか「止めてよぉおおおおお!!!」


さやかの姿に絶叫し、涙を流すまどか

そんなまどかを目の前にしても、ほむらはその冷静な表情を崩すことはなかった

髪に強く触れると、まどかの手をつないだまま冷たく声を掛ける


ほむら「……わかった?」

ほむら「あなたも魔法少女になれば、いつ、ああなるかわからないのよ」


諭すような言葉。

だが、まどかにその声が届いている様子はなく、ただ俯き、体を震わせていた


まどか「……放して」

ほむら「わかったならもう二度と……」


まどかの体の震えが大きくなっていく。ほむらはそれに気付きながらも諭し続けようとする


まどか「放して……放して!!」

ほむら「まど」


全く聞く様子のないまどかに、自分の話を聞かせようと、まどかの名を呼ぼうとした、その時




まどか「放せぇえええええええ!!!!!」




まどかがほむらの方を向き、怒りに顔を歪め、目に殺気をたぎらせた恐ろしい表情を見せた


ほむら「……!」


今まで見た事のないまどかの表情にほむらは凄まじい恐怖を感じ、その手を放してしまう

まどかはそれを目に映すと、すぐにさやかの元へと駆けて行った

さやかを助けるために
305 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 02:29:22.42 ID:SrsHW7Os0
今日はここまで。お疲れさまでした

バトル(?)回でした。ちょっと解り辛かったかも……

それではまた次回ー
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/08(火) 02:52:34.55 ID:4tH7f9BIO
今更だがこのまどかから狂気を感じる
ヤンデレとはなんか違う気がする
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/08(火) 03:40:41.25 ID:09QSD8Ayo
そりゃキレるわな
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/08(火) 05:14:21.94 ID:xpM4nRJio
乙乙

もうすぐ前スレの分が終わりそうだね
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/08(火) 07:59:08.14 ID:0d8IEIuso
このまどかが魔法少女になったら恐ろしいことになりそうだw
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/08(火) 08:38:15.00 ID:ToqlmnGXo
乙乙
vip分がとんでもないとこで終わってるからなぁ
あの後のまどっちの行動が全く予測できん
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北)[sage]:2011/11/08(火) 10:04:39.68 ID:zHZsuvAAO
発狂したりさやかを生き返らせるため契約するとか?
ほむほむはどう出るのだろうか
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/08(火) 12:09:25.72 ID:JowwzR/io
こうゆうまどっちも大好きです
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/08(火) 12:34:48.81 ID:uO+HuT+DO
ヤンデレに見えてヤンデレじゃない
ヤンデレはどうでもいい事を誇大解釈して負の感情を爆発させるけどこのまどかの怒りはごく自然な感じでとても良いです。
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/08(火) 21:16:35.92 ID:qKaHyXAOo
バッドエンドが期待できてすばらしい
315 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 23:11:45.25 ID:SrsHW7Os0
「なぁ、わかったろ?」


さやかの腹部に拳を打ちこみむと、赤い少女は掴んでいた襟を放して、さやかの体を地面へと横たわらさせた

そして放っていた自分の槍を拾い上げると、倒れ伏すさやかを見降ろしたまま、何処からかとりだした駄菓子を口に運ばせた


「お前がどんなに力不足かってこと」

「半端もんが粋がればどうなるかってこと」

「わかったなら頷けよ?それで素直に魔女だけ狩ってろよ。な?」


そう諭す様にさやかに問い掛けると、赤い少女はしゃがみ込んでさやかの髪を引き上げ、その顔を覗き込む


「……はぁ……」


だが、覗き込んださやかの瞳は服従の色ではなく、赤い少女への反抗心の色に満ちていた

その姿に赤い少女はさやかの髪を放し、深い諦めの溜息を吐く


「言ってもわからねぇ。叩いてもわからねぇなら」

「やるしかないよね。……なぁ、半端者」


そう言って赤い少女は立ち上がると、槍を高く振り上げ、くるりと向きを変える

そしてその切っ先をさやかに向け、その体を貫こうとした、その時


「……どけよ」


まどかが、その切っ先からさやかを庇うように覆いかぶさった

316 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/08(火) 23:40:17.86 ID:8wIVLH4J0
向けられる槍への恐怖にカタカタと体を震わせながらも、さやかの傷ついた体を必死と抱きしめ、盾となろうとする


さやか「……ま、ど……」


さやかは突然飛び込んできたまどかに驚き、目を丸くしたが

すぐにまどかを赤い少女の槍の切っ先から離そうと、痛みに力の入らない腕で押し返した

だがまどかはさやかから離れようとはせず、固くさやかを抱きしめ続ける


「……チッ」


庇い合う二人の様子に赤い少女は忌々しげに顔を歪めると、切っ先を二人から外して、振り上げた槍をゆっくりと下げた


「うぜぇ……興が失せた」

「てめぇ、グリーフシードは持ってんのか」


まどかに抱きしめられるさやかにうんざりと声を掛ける

だがさやかは赤い少女の問いに答えず、敵意の視線をぶつけるだけ


「答えねえとお友達ごと殺すぞ」


そんなさやかに苛立ちを感じた赤い少女は、殺気の放つ視線を送り、ドスの効く低い声を掛けた


さやか「……!」


さやかはそれに相手が本気だと感じとると、ゆっくりと自分の首を頷かせた


「……そうかい。それじゃあな」


赤い少女はさやかの頷きを目に納めると、不愉快そうに鼻を鳴らした後、

まどかとさやかの二人に背を向け、その場から去って行った

317 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/09(水) 01:01:20.46 ID:neOlTO4v0
まどか「……さやかちゃん。だ、いじょうぶ?」


赤い少女がその場を去ると、まどかはさやかに覆いかぶさったまま、顔を上げて涙に潤む瞳を向けた

さやかはその瞳に責める様な視線を返す


さやか「……まどか……なんで……」

まどか「さやかちゃんが……やられてるの見たら……居てもたってもいられなくなって……」


先程の恐怖にいまだに体を小刻みに震えさせ、たどたどしく応えるまどかに、呆れと責めの混じる溜息を吐いた


さやか「……馬鹿。……危ないってのに……」

まどか「……ごめん……」


さやかの言葉にまどかはシュンとした表情で顔を俯かせる

険しい表情を浮かべていたさやかだったが、まどかの悲しげな表情に優しい笑みを浮かべると、その頭を優しく撫でた


さやか「でも…………ありがとう……」

まどか「……うんっ」


もう一度まどかはさやかの体をきつく抱きしめ、まどかは安堵から、涙を零す

さやかがそんなまどかを優しく撫でていると、二人に突然影が掛かった

何事かとさやかが影が掛かってきた方向を見ると、いつの間にか近寄ってきていたほむらが、二人を見降ろしていた


ほむら「……美樹さやか」

さやか「転……校生」


ほむらの声に気付いたまどかが、顔を上げ、ほむらをきつく睨みつける

ほむらはその睨みから一瞬だけ目を反らし、自分の髪に軽く触れると、視線を二人に戻して、いつものようにさやかに冷たい声を掛けた


ほむら「自分のソウルジェム。見てみなさい」
318 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/09(水) 03:11:36.18 ID:neOlTO4v0
さやか「……わ……真っ黒……」


ほむらに言われるままさやかは自分のソウルジェムに目を向けると、その濁り具合に驚きの表情を浮かべた

それもその筈、もともとのさやかのソウルジェムは透き通るような輝きを持つ青色で、さやか自身でも美しいと誇れるものだった

だが今はその自慢の美しさは見る影もなく、魔力を酷使した所為で、どす黒くくすんでしまっていた

ほむらは急かす様に声を掛ける


ほむら「危険よ。グリーフシード、持ってるんでしょう?」

さやか「……うん……」


ほむらの質問に弱々しく頷くと、ブラウン管の魔女を退治した時のグリーフシードをゆっくりと取り出した


ほむら「使い方は解る?」


続けられるほむらの問いにさやかは先程と同じように頷く


ほむら「そう……なら早く使いなさい」

ほむら「取り返しのつかない事になるわ」


ほむらのいきなりの自分を気遣う態度に、怪訝と思うさやかだったが

そんな嫌疑よりも、自分の回復の方が優先だと判断し、癪とは思いながらもほむらの言葉に従う事とした

手に持つグリーフシードを自分の腹部にあるソウルジェムに近づけていき、ぴったりとくっつけると、途端にグリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを吸い取り始めた


ほむら「……これでいいわ」

ほむら「見てるんでしょ。キュゥべぇ」

ほむら「餌の時間よ」


グリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを全て吸い取るのを見届けると、ほむらの後ろに広がる闇に冷たく、憎しみの籠る声を掛けた
319 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/09(水) 03:41:20.47 ID:neOlTO4v0
「餌なんて酷いな」


途端、闇の中からに返ってくる、聞き覚えのある愛嬌のある声

その方向にさやかは、グリーフシードによって回復した魔力で自分の損傷を修復しながら、

まどかはずっとほむらへと向けていた睨みを止め、その表情をまさかと言った表情に変えて声の聞こえてきた方向に顔を向けると


キュゥべえ「やぁ」


闇の中から、先程ほむらにショットガンによって首をもがれた筈の白いイキモノ――キュゥべえが現れた


まどか「……!また……!」


死んだ筈のイキモノの平然とした二度目の登場にまどかは驚きを隠せず、目を瞬かせる

そんなまどかの混乱をよそに、ほむらはキュゥべえの出現を確認すると、さやかに向け手を伸ばす


ほむら「……美樹さやか。グリーフシードを」

さやか「う、うん……」


そしてさやかからグリーフシードを預かるとほむらは思い切り、キュゥべえへとそれを投げつけた


ほむら「ほら、餌よ」

キュゥべぇ「……だから餌じゃないっていうのに」



呆れたように話しながらも、キュゥべえはしっかりとほむらの投げたグリーフシードを背中にある口の様なものに入れると


キュゥべえ「……きゅっぷい」


そう満足そうに息を吐いた


ほむら「用は済んだわ……失せなさい」


グリーフシード背中に入れたキュゥべえに、まどか達に送るものとは明らかに違う冷え切った、憎しみの籠る視線を送る

その視線にキュゥべえはお手上げと言わんばかりに、首を振った


キュゥべぇ「……わかったよ。ほむらがコワいから僕はもう帰るよ」
320 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/09(水) 15:34:47.25 ID:neOlTO4v0
そう言ってキュゥべえは身を闇の中へ消えていこうとした


キュゥべぇ「……あ、そうだ」


だが、途中で思い出したように振り返り、まどかにくりくりとした可愛らしい瞳を向ける


キュゥべぇ「まどか。今のさやかと杏子の戦いを見てどう思ったかな?」

まどか「杏子……?」


首を傾げるまどかにキュゥべえは言葉を続ける



キュゥべぇ「さっきの魔法少女だよ」

キュゥべぇ「凄かっただろう?あんな世界にさやかはいるんだ」

キュゥべぇ「いつ、命を落とすかわからないそんな場所に」


まどかんの脳裏に先程の赤い少女――杏子とさやかの一方的な戦いが映る

それにまどかは顔を俯かせ、強く下唇を噛み締めた


キュゥべぇ「そんな世界に、彼女一人だけを居させるのは酷いと思わないかい?」

キュゥべぇ「もしよかったら」

ほむら「失せろと言った」


つらつらと言葉を続けようとするキュゥべえに、ほむらは盾のスライドから拳銃を取り出して、突き付ける

その表情はいつも通りのほむらだったが、その瞳に映る色は怨嗟の籠る酷く暗いものだった


キュゥべぇ「……もう限界みたいだね」

キュゥべぇ「それじゃあね。皆」


言葉を続ける事を困難だと悟ったキュゥべえは深く瞳を瞬かせると

今度こそ三人に背を向けて闇の中へと消えていった
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/09(水) 22:39:07.21 ID:aVTeElQDO
杏子に怒りあれどさやかを庇った際には恐怖が勝るとこもヤンデレぽくないまどからしさがあってとても良い
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/09(水) 22:41:16.29 ID:GxP60er+o
そろそろvipの時まで追いつくか……
ワッフルワッフル
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/09(水) 23:19:29.66 ID:yzcRLd4Q0
こんなにBadな道筋なのにwktkしている俺がいる
324 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/10(木) 02:34:02.53 ID:mElNzMQ60
修正

まどかんの脳裏に先程の赤い少女――杏子とさやかの一方的な戦いが映る ×

まどかの(以下同文 ○

325 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/10(木) 02:35:53.00 ID:mElNzMQ60
ほむら「……行ったわね」


キュゥべえがこの場から去ったのを確認すると、ほむらは忌々しげに髪を掻き上げる



ほむら「私も行くわ」

ほむら「それじゃあね。美樹さやか」

ほむら「……まどか」


そしてさやか、まどかの順に視線を送ると、ほむらは二人に背を向けて歩き出す

まどかはその姿を怒りの籠る目でじっと睨みつけながら見送ろうとした

さやか「転校生」


だがそこでさやかは地面に体を横たえたまま立ち去ろうとするほむらを引きとめた

ほむらはその声に背を向けたまま立ち止る


ほむら「……なにかしら」

さやか「……ありがとう」

まどか「さやかちゃん!?」


さやかの言葉にまどかは目を見開き、さやかに信じられないものを見る様な視線を送る

だが、さやかはまどかの視線に気付かず、ほむらの背中を見続けていた

ほむらはさやかの視線に気付きながらも振り返ることなく、冷たい声だけでに応える


ほむら「……礼を言われるようなことは何もしてないわ」

ほむら「それじゃあね」


ほむらはそのまま歩き出し、路地裏の奥の方へと消えていく

さやかはそんなほむらに軽く頬を緩ませながら、去っていく背中を見送った
326 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/10(木) 02:53:18.76 ID:mElNzMQ60
まどか「さやかちゃんっ!何であの人にお礼なんか……」


ほむらがここから立ち去ると、すぐにまどかは怒りと懐疑が混じる声で、さやかに問うた

さやかはまどかの問いに考えるそぶりを見せる


さやか「ん……なんか言っとかなきゃいけないかなって」

まどか「あの人……さやかちゃんを見殺しにしようとしたんだよっ!?」


声を荒げ、瞳に涙を溜めるまどか

その手は、怒りから小刻みに震えていた


さやか「……多分、最後には助けてくれるつもりだったんじゃないかな」

まどか「なんでそんな事言えるのっ!?」


わけがわからないとさやかに顔を詰め寄らせる

さやかはそんなまどかの頭に優しく手を乗せ、諭すように話しかけた


さやか「だって……見殺しにするつもりだったら、グリーフシードの心配なんかしないだろうし」

さやか「後処理だってしてくれない」

まどか「……!」


ぎくりと体を固まらせ、まどかはさやかの言葉から逃げるように視線を揺らす


さやか「口は悪いけど……意外と良い奴かもしれないね」


まどかはさやかの言葉を無言で返した

二人の間に沈黙が訪れる



まどか「……帰ろう?さやかちゃん……」


少しの沈黙の後、まどかはその沈黙を破ってさやかの瞳を覗き込んだ

それにさやかはコクリと頷く


まどか「……立てる?」

さやか「ん……なんとかね」


そうは返事したものの、さやかの立ち上がろうとする姿はとても危なげだった

まどかはすぐにさやかに肩を貸し、立ち上がるのを手伝う

そうして二人で何とか立ち上がると、まどかとさやかの二人はゆっくりと帰路へと着いた
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/10(木) 06:42:44.02 ID:tHuJR0aa0
K理論、他の人が怒ってると、自分は冷静になる

実際どんなに切れそうな事が起こっても他の人が怒るとなんか冷静になれるしねww
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/11/10(木) 14:28:16.72 ID:Xb8lshTAO
もうすぐ前の続きだ……
あのまどかにとって最悪の出来事からどう動くのか気になって仕方がない
このまどかに力を持たせたらヤバ過ぎるなw
あんこちゃんとほむほむ、展開によっては上条くんも命が危ないw
魔女化したらしたで最優先で殺しに掛かってくるだろうし、それどころかさやかに近付くヤツは皆殺しとかになりそうだw
ほむほむはワルプルきたらさっさと次に行くべき
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/10(木) 15:09:01.45 ID:osnKnynDO
さやか復活系じゃ無くて私をユウリにして!
的な願いだと確かにそうだなww
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/10(木) 16:44:45.51 ID:cEXh/CPso
復活はさせないとまどっちが壊れそうだよ
復活できないなら、それこそ逆行とかしそうだもんwwww
ああ、でももう1回生きてるさやかに出会ったら独占具合が超悪化しそう
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(石川県)[sage]:2011/11/11(金) 02:13:10.88 ID:s9EtwFKi0
>>330
それはそれでいいな...
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/11(金) 07:19:23.79 ID:7kBaUcqDO
どちらにしろさやか詰んでねww
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/11(金) 07:22:07.11 ID:JYsgRSzRo
いやいや生き返ってもまどかを受け入れることが可能ならば別になんの問題もないぞ



自分で言ってて哀しくなるほどあり得ないと思うけどね
むしろ、気持ち知ったら自分の恋愛相談とかしてたことやそこまで追い詰めてしまったことを悔いてそうだよ
334 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/11(金) 21:59:15.16 ID:SRkVsnPN0
まどか「ねぇ、さやかちゃん」

さやか「……ん?」


その帰りの路に着く途中。まどかは不安に揺れる瞳を、魔法少女の姿から、いつもの格好に戻ったさやかに向けた

さやかはその瞳に優しい瞳を向け、小首を傾げる


まどか「もう、戦うのやめよう?」

まどか「私、あんなさやかちゃん見るのは、もう……」


そう言ってまどかは立ち止り、視線を深く落とす

まどかの体は、小さく震えていた

さやかはまどかの言葉に、彼方を見つめたあと、その首をゆるゆると振った


さやか「……ごめん。まどか」


予想通りのさやかの言葉

だとしても、まどかは自分の拳を固く握りしめてしまうの止める事は出来なかった


さやか「あたしは止めるわけにはいかない」

さやか「マミさんの為にも、自分が始めたけじめをつけるためにも」

さやか「この街の人を守るためにも」

さやか「だからあたしは戦う……戦わなくちゃならない」


今まで以上に強い決意を秘めた瞳に、まどかは何も言う事が出来ず、俯いてしまう

さやかはそんなまどかの頭に優しく手を乗せ、ニコリと笑いかける

335 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/11(金) 22:24:56.51 ID:SRkVsnPN0
まどかは優しい手の感触に俯かせていた顔を上げ、涙に潤む瞳をさやかに向けた


さやか「……まどかは安心してあたしに守られててよ」

さやか「まだ……頼りないかもしれないけどさ」


自嘲的な笑みを見せ頬を掻く。だがすぐにさやかはその顔を真剣な物にし、まどかの潤む瞳を覗き込む


さやか「絶対に皆守れるようになるから」


さやかがめったに見せる事のない真剣な顔

いつもまどかを安心させてくれる顔

だがその顔を見てもまどかは安堵に心を染める事が出来なかった

襲い来る不安から逃げるように、さやかに縋り付き、涙に体を震わせる

そんなまどかの心を見通したように、さやかはまどかの頭を撫で、優しい声を掛ける


さやか「心配しないで」

さやか「……まどか」


そうしてさやかはまどかが落ち着くまで、さやかはまどかの頭を優しく撫で続けた
336 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/11(金) 22:37:42.50 ID:SRkVsnPN0


―――――――――


どうしてさやかちゃんはそんなに頑張るの?

こんなに痛い目に遭ってまで

こんなに怖い目に遭ってまで

こんなに苦しい目に遭ってまで

……こんな事止めて欲しい

ずっと私の傍にいて、ずっと笑ってて欲しい。ずっと……

……でも……さやかちゃん絶対に戦うのを止めない

解ってる。そんなこと解ってる。さやかちゃんが止めない理由も……



……苦しめる。みんなさやかちゃんを苦しめる

魔女も、その手下みたいなのも

ほむらちゃんも、死んだマミさんだって……



……それにさやかちゃんをあんなひどい目にあわせた、杏子って人

憎い

さやかちゃんが何したって言うの?

さやかちゃんは皆のために戦ってるのに……

皆の為に苦しんでるのに……

……あんな人なんか死んでしまえばいい

私が力を持っていたら
















すぐに殺してやるのに

―――――――――

337 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/11(金) 23:23:21.03 ID:SRkVsnPN0
翌日

昨日あれだけの事があり、疲れきっていたにも関わらず、さやかは早くに目が覚めた

体調に何ら異常はなく、怪我ひとつない健康体そのもの

そこでさやかはぼんやりと思う。本当に自分はただの人ではなくなったのだな、と

ふと、机の上に目を向ける。そこには自分のソウルジェムが少し濁った状態で、カーテンの隙間から差し込む朝日を鈍く反射させていた

しばらくの間見つめたあと、それを手に取り、朝の支度をし始める

歯を磨き、乱れた髪をとかし、顔を洗う。

いつもの事。しなければならない事。


さやか「……本当に?」


突然浮かぶわけのわからない疑問。不愉快なモヤモヤとした感覚。さやかはそれを振り払う様に頭を振ると、早々に支度を済ませ、家を出た


向かうはいつも朝に三人の集まる場所。集まっていた、場所

向かう途中、変わらぬ、いつもの景色が歩くさやかの横を通り過ぎていく

だが、さやかにはそれがいつもの景色には感じられず、どこか奇妙な空間を歩いている。そんな感覚を覚えてしまっていた

理由は解らない。だが、確かにそう、さやかには感じられた
338 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/12(土) 00:33:16.39 ID:SPb7Nerh0
そんな奇妙な感覚を覚えつつも、さやかはいつもの待ち合わせ場所に辿り着いた

いつもより早い時間。当然まどかはいない。

そこに設置してある柵に寄りかかり、さやかはぼう、と物思いに耽る

―――変わっちゃったな

そう心で呟く

親友の重篤による不在、想い人の回復、尊敬する先輩の出現。そして、死

更には、自分は魔法少女へ

変化を感じない訳がなかった

喜ばしい事と、悲しい事が入り混じる、変化

その中で変わらないものが一つだけ


さやか「……まどか」


さやかは心の中で願っていた

彼女だけは、一番大切な友人だけは変わって欲しくないと


さやか「ん……」


しばらくの思考の後、ふと現実に帰ったさやかは携帯を開き、時間を確認する

時間はまどかがそろそろ待ち合わせ場所に現れる時間を示していた

339 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/12(土) 01:03:42.72 ID:SPb7Nerh0
顔を上げ、いつもまどかがやってくる道に目を向ける

すると丁度まどかが走ってこちらに向かって来ていた

笑顔を向け、まどかに手を振る

そうしてまどかが息を切らせ、待ち合わせ場所まで走りつくと、さやかが朝の挨拶をしようと声を掛けようとしたところで


さやか「おはよう。まど……」


まどかがさやかを急に抱きしめた


さやか「か……?」


突然の事で混乱するさやかをよそに、まどかはさやかを抱きしめ続ける


さやか「まどか、ど、どうしたの?」


混乱から立ち直ったさやかがまどかに声を掛けるが、まどかは返事を返さず、さやかの胸に顔を埋め続けた

集まる通行人たちの視線


さやか「ちょ、ちょっと……」


さやかはそれに羞恥を感じ、引き離そうするが、それでもまどかは離れない


まどか「……き」


そこで漏れる、か細い、蚊の鳴くようなまどかの声

その声はさやかの耳に完全に届く事はなく、さやかはそれに首をかしげさせる


さやか「え?」


まどかはそんなさやかからようやくその体を離すと、ニコリと笑いかけた


まどか「なんでもないよ」

まどか「おはよう。さやかちゃん」

さやか「う、うん。おはよう……」


突然のまどかの不可思議な行動

さやかはそんなまどかに激しい違和感を覚えてしまう
340 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/12(土) 02:05:19.32 ID:SPb7Nerh0
まどか「学校いこ?遅れちゃうよ」


そんなさやかをよそに、まどかが笑みを浮かべたままさやかの手を引く


さやか「う、うん……」


さやかがぎこちなく頷くのを見るとまどかは歩き始めた

まどかがさやかの手を握ったままに


さやか「……まどか、どうしたの?」


自分の中に渦巻くまどかへの疑問を抑えきれず、さやかはそれに口に出す


まどか「どうして?なにもないよ」


だがさやかの疑問にまどかは笑みを浮かべたまま小首を傾げるだけだった


さやか「そう……?」

まどか「ティヒヒッ!変なさやかちゃん」


さやかはまどかに何かあったことは見抜いていた。

何故か、それは笑うまどかの瞳がどこか空虚なものに見える事からだった

そんな空虚な瞳でまどかは笑い声を漏らし、首を傾げるさやかの手を引く


まどか「いこっ?さやかちゃん!」

さやか「あ、うん……」


そうしてさやかは半ば引きずれていくような形で、学校へと向かう

その途中何度もまどかに様子の違う理由を聞こうと思ったが、まどかの発する雰囲気がそれを許してくれなかった

―――まどかも変わってしまったのだろうか

そんな言いようの無い不安がさやかの心をむしばみ始めていた
341 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/12(土) 02:46:38.66 ID:SPb7Nerh0
その後のまどかもずっと様子がおかしかった

もともとさやかと仁美以外にはあまり会話をしたりしないまどかではあったが、今日は全く他人に寄りつこうとしない

その代わりに常にさやかの傍にいた。学校で過ごすプライベートな時間以外、ほぼ全ての時間で

そしていつも以上に明るい。笑みを切らすことなく、ぺたぺたとさやかに触れる

その様子はまるで、親と離れるのを恐れる子犬のようだった。


さやかはその姿に、朝の事も含め、昨日の事が響いているのだろうと判断し、まどかの好きなようにさせた

それが、心配を掛けたまどかに報いる方法だと思ったからだった


そんないつも以上に距離の近い二人を見て、ひそひそと噂をするクラスメイトもいたが、まどかは全く気にする様子を見せず

さやかも、それを気にすることはなかった

さやか自身、何故気にならないのかは解らなかったが


まどか「さやかちゃんっ今日は一緒に帰れる?」


そうして一日の授業が終わると、まどかはすぐに自分の荷物をまとめ、さやかの元に駆けつけ笑顔でそう言った

だがさやかは笑顔のまどかに両手を合わせごめんなさいのポーズを作る


さやか「ごめん。さっき連絡あってさ、恭介が今日退院するみたいなんだ」


恭介、という言葉にまどかの作り上げていた笑顔の質が変わる

それに気付かず、さやかは言葉を続けた


さやか「だからちょっと退院の手伝いに行こうって思っててさ」

さやか「だから今日も帰れないや……ごめん」


笑顔を見せたまま返事を返さないまどか


さやか「……まどか?」


そこでようやくさやかがまどかの笑顔の異常さに気付く

笑っていないのだ。顔だけが笑っている

さやかはその笑顔に軽い恐怖を覚える


さやか「ま、まどか?」


恐る恐ると声を掛けるさやか

そんなさやかにようやくまどかは反応を見せる


まどか「わかったよ」

さやか「う、うん……」


だが、張り付けた笑顔は剥がさない。さやかはその異常さとまどかへの心配に首を傾げる
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/12(土) 03:13:21.30 ID:Erik/5GAO
ガクガクガクガク((((;゚д゚))))ガクガクブルブル
まどかが怖くて絶望しか見えない・・・。
343 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/12(土) 03:22:20.07 ID:SPb7Nerh0
さやか「まどか、今日のあんたホントに変だよ?」

さやか「……具合でも悪い?それとも昨日の……」

まどか「んーん。悪くないよ」


さやかの言葉を遮るように言葉を発し、笑顔のまま首を振る


さやか「そ、そう……?」

まどか「うん」


コクリと頷く


まどか「それよりさやかちゃん行かなくていいの?」

さやか「う、うん……でも……」

まどか「私は大丈夫だよ」


心配の籠る視線を向けるさやかに、まどかは作り上げた笑顔を向け、小さな声で大丈夫と言った

だが、それが大丈夫ではないという事をさやかは見抜いていた

さやかは悩んだ。まどかの言葉に甘えるか否かで


まどか「大丈夫だから」


そんなさやかにまどかは二度目の大丈夫、という声を掛ける

さやかはその言葉に、まどかの自分を送りだそうとしてくれる気持ちを汲み取り、甘える事にした


さやか「……うん……それじゃあ……行ってくるね」

まどか「いってらっしゃーい」


申し訳なさそうに顔を歪めるさやかに、まどかは笑顔で手を振った


さやか「いってきます」


そしてその手の振りに送りだされる様にさやかが教室を出て行くと


まどかは作っていた笑みを完全に崩し、拳を固く握りしめ、


まどか「……上条」


そう暗い声で呟いた
344 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/12(土) 03:24:08.88 ID:SPb7Nerh0
今日はここまで。お疲れさまでした

日曜までにはVIPで投下したとこまでは行きたいなぁ……

それではまた次回ー
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/12(土) 03:52:33.99 ID:lFaAmpr1o
まどかこええええww
それほどまでにさやかが好きだということか
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/12(土) 04:41:18.72 ID:S6da+0SDO
いいね
子犬のようにという点も小説版を彷彿させる
また今回のでついに百合描写がきたな、まどさやを見る通行人やクラスメイトの描写がそれ
あとはまどかのヤンデレ化、これにどれだけまどからしさを残存出来るかだな
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/12(土) 07:27:07.35 ID:waqh0mQe0
vipの時と違って心理描写付いてるから、vipの時に比べるとまどっち怖いwwwwww
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/12(土) 07:44:57.46 ID:XlFdEGrdo
どうあがいても絶望展開がいいね
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/12(土) 08:27:59.55 ID:GCwuiZ66o
乙〜
加筆修正良いね良いね
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/12(土) 12:13:28.75 ID:RdqCVI320
まどか「上条……」ギギギギ

顔が笑ってないしまどかが呼び捨て。
まどかはんぱねえっす。
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/11/12(土) 14:07:03.85 ID:x122gHlAO
万一契約したら上条くんガチでヤバいんじゃね?w
最悪で事故死、そうでなくてもやんわりさやかから離れるように脅すくらいはしそうだぞw
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/11/12(土) 15:43:20.90 ID:xZ9faeMH0
>>351
矢で手足を打ち抜いたりして脅すな、きっと
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海)[sage]:2011/11/12(土) 15:55:49.68 ID:OK+9la7AO
一番ヤバいのはあんこちゃんだろうな
直接殺害の意志を抱いたのはあんこちゃんに対してだけだし
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]:2011/11/12(土) 16:00:12.58 ID:pg4CwJlAo
ワルプルさん瞬[ピーーー]る力で射抜かれたらどうなってしまうん?
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage saga]:2011/11/12(土) 16:05:38.81 ID:GCwuiZ66o
圧倒的過ぎて殺し愛にはなりそうにないですね。はい。
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/12(土) 16:09:24.89 ID:Erik/5GAO
一瞬で魔女化しそうだな。
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道)[sage saga]:2011/11/12(土) 16:09:36.57 ID:ZSl2oSgeo
場合によっちゃ諌めようと間に入ったほむらも消し飛ばされそうだな
相手がさやかか家族じゃない限り殺すのに躊躇しないだろこのまどかwww
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/12(土) 19:01:53.32 ID:uHiLeyAv0
ほむほむが心配だよう
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)2011/11/12(土) 22:32:50.22 ID:ii+EORv50
まどっちの張り付いた笑顔こええええええwwww

この周回終わったら>>343からの分岐から別ルート入らないかなー(チラッ
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage]:2011/11/12(土) 22:55:32.28 ID:WAv9KGut0
>>359
最近お前色んなスレで見かけるな
361 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 02:55:07.60 ID:rheQph1W0
夕暮れが辺りを赤く染める頃、さやかは上条の病室に続く廊下を、一人歩いていた


さやか「退院、か……」


いつものさやかならば、想い人に会えるという喜びから心を弾ませ、軽い足取りで歩いていた

たが、今日のさやかはそうではない。ずんと重いものがさやかの心にのしかかり、足取りを重くしていた

先程のまどかの事、それもその原因の一つでもあった。が、それだけではない

何かもっと違うものが、さやかの心の高揚を抑えつけていた


脚を止め、身につけていたソウルジェムを手にとってジッと見つめる

さやかにはその輝きが心なしか鈍くなっているように思えた


さやか「……よかったんだよね」


自分に言い聞かせるように、ポツリ、と呟く


さやか「恭介を救えたんだもん」

さやか「これで……良かったんだよね?」


応えるものはいない

さやかの独白は、誰にも届かず病院の廊下に霧散した

それにさやかは自嘲的な笑みを浮かべると、ソウルジェムをしまい、再び、恭介の元へと歩きはじめた


――― あたし……こんな事してていいのかな


俯き、心で自分に問う


――― こうしてる間にも、苦しんでる人はたくさんいるのに

   ちゃんとマミさんの後を継がなきゃいけないのに


恋に現を抜かす罪悪感が、仕事を受け継いだという責任感が、さやかを追い詰めていく


さやか「……恭介にちゃんと会うの、これっきりにしようかな」


いつしかさやかはそう口から零していた
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/13(日) 13:11:17.44 ID:2qJmJcADO
まどさやすれ違いフラグか
王道ではあるがどう書くかな
363 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 13:48:15.66 ID:rheQph1W0
それはさやかが考え付く、自分が魔法少女としてやっていく事への最良の判断

それでもさやかの中の未練がその選択の邪魔をする

結局さやかははっきりとした選択をする事が出来ずに上条の病室の前まで来てしまった

さやかは一度その選択を保留にすると、病室の扉を二度、軽く叩いた


「さやか?」

さやか「う……何でわかるのよ……」


すぐに返ってくる想い人の自分の名前を呼ぶ声。

さやかはそれに驚きと、軽い嬉しさを覚えながら扉を開いた


さやか「……やほ」


部屋に入り、手を軽く掲げると、ベッドに寝ていた上条はその姿に嬉しそうな笑みを返す


上条「ああ、やっぱりさやかだ」

さやか「うん……な、なんで私だってわかった?」


ベッドの近くの椅子に腰を掛けると、さやかは上目づかいにそう聞いた


上条「んー……この時間に来るのはさやかぐらいだし」

上条「連絡も入れたからね」

さやか「……ああそうですか」


返ってきた淡々とした答えに肩を落とすさやかだったが、そんなさやかを見て上条は笑みを零し、優しい瞳で声を掛けた


上条「……来てくれてありがとね。さやか」
364 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 14:05:16.46 ID:rheQph1W0
その上条の優しい目にさやかは顔を俯かせ、微かに顔を赤らめたが

ジッとこちらを見ている上条に気付き、ごまかす様に勢い良く立ち上がる


さやか「そ、それじゃさやかちゃん、手伝い、しちゃうからねっ!」

上条「ありがとう……と言ってももうほとんど終わってるんだけどね」

さやか「そ、そうなの?」

上条「うん。後はこれだけだ」

張り切るさやかだったが、上条の言葉に気を抜かし、キョトンとした表情を浮かべてしまう

そんなさやかに上条は温かい笑みを見せたあと、ベッドに立て掛けておいたものに手を掛け、さやかに見せる


さやか「あ……」

さやか「バイオリン……」


目を丸くし、そう呟くさやかに、上条は今まで顔に浮かべていた笑みを消し、真剣なものにする


上条「うん。……さやか」

さやか「……な、なに?……そ、そんな顔して……」


いきなりの上条の表情の変化に、ドキリと心臓を跳ねさせ、目を忙しなく動かしてうろたえるさやか

そんなさやかに構うことなく、上条は真剣な表情のまま、言葉を続けた


上条「屋上に行こう」

上条「……伝えたい事があるんだ」

上条「君に」

365 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 14:39:16.40 ID:rheQph1W0
屋上


上条「ふぅ……やっぱり辛いな」


さやかを連れ屋上まで着くと、上条は以前演奏したベンチに腰を掛けた

一息漏らし、辛そうにする上条をさやかは気遣い、腰を掛けるのを手伝った


さやか「だ、だいじょ、うぶ?」

上条「うん……ここ、どうぞ」


さやかの気遣いに頷くと、上条は自分の目の前に立つさやかに、自分の隣に座るように促した

さやかはそれに戸惑ったが、真剣に見つめる上条の目に折れ、座る事に決める

ゆっくりと、想い人の横に腰を落とす。さやかの心臓は今まで体験した事がないくらいに暴れていた


さやか「それで……あ、あの……」


そんな暴れる心臓を抑え、上条に横目を向け、おずおずと声を掛ける

だが、上条はさやかの声に答えることなく、黙々とケースに入ったバイオリンを取り出していく

自分の声に応えない上条にどうしていいかわからず、さやかは顔を俯かせた


上条「……それじゃあ。始めるよ」


ようやくケースからバイオリンを取り出すと、上条は顔をさやかに向け、重みのある声を掛けた

それにさやかはひと際心臓を大きく跳ねさせる


上条「今まで僕を支えてくれて」

上条「そして……」


少しの間



上条「……僕の……一番大切な」

上条「『女の子』の為だけの演奏会を」


そう言うと、上条は再びここでバイオリンを演奏し始めた

今此処にいる、たった一人の女の子の為だけに

366 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 14:51:01.19 ID:rheQph1W0
上条「……以上です」


演奏が終わると、上条は息を吐くように、そう言った

さやかは瞳に涙を溜め、惜しみない拍手を送る


上条「……ありがとう」


さやかの拍手に照れの表情を見せバイオリンを自分の横に置くと、一度視線を下に落とす


上条「さやか」


だがすぐにその落とした視線をさやかに向け、真剣な表情を見せて、言った



上条「僕は……君の事が好きだ」

上条「……誰よりも」

上条「付き合って……くれないか」


自分の想いの丈を、さやかに

長年、さやかがずっと、ずっと想い続けていた人からの告白

嬉しくない筈がなかった。だが


さやか「あ……」


さやかの瞳から大粒の涙が零れ出していた


上条は予想外のさやかの反応に、うろたえを隠さない

上条「さ、さやか?何で泣いて……」
367 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 14:53:07.08 ID:rheQph1W0
修正

上条は予想外のさやかの反応に、うろたえを隠さない ×

『    同文       』うろたえを隠せない    
368 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/13(日) 15:15:33.22 ID:rheQph1W0
上条「こ、告白そんなに嫌……だった?」

さやか「違う……ごめん……嬉しいの。嬉しいんだけど……」


さやかは上条のうろたえながらの言葉に涙をぬぐいながら大きく首を振る


さやか「……あたしも、あたしも恭介の事……好き……」

さやか「……でも……ごめん……ごめんね……」

さやか「ごめんなさい……」


何度も涙を拭う。それでも涙は止まらない

さやかは嬉しかった。上条の、想い人の告白に泣きたくなるほど嬉しくなったのは事実だった

それでもその止めどない涙は嬉し泣きによるものでは、ない


上条「さやか……?」


泣き続けるさやかに混乱してしまう上条だったが、落ち着くまでその背中を優しく撫で続けた
369 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/14(月) 01:36:38.77 ID:4w30fvvH0
――――――


さやか「……やらなきゃいけない事が……あるの」


さやかは自分の乱れる気持ちを落ち着かせ、瞳に残っていた涙を拭うと俯きながらそう言った


上条「やらなきゃ……いけない事?」

さやか「……うん。だから……恭介とは付き合えない」


さやからの拒絶の言葉

上条はそれにショックを受け、目を大きく開かせる


上条「そっ……か……」


さやかに振られた。その事実が上条の心を落ち込ませる

だが、さやかを諦めきれない上条は、横目に浮かんだ疑問をさやかにぶつけた


上条「それは……好きより、大事な事?」

さやか「……うん」


上条の疑問に深い首肯を返し、さやかはポツポツと言葉を重ねていく


さやか「……もういなくなっちゃた先輩が残してくれた、仕事なの」

さやか「あたしはこれを受け継いだから……受け継いじゃったから……」

さやか「だからあたしは……これをやり遂げなきゃ……ならないんだ」


そう言ってさやかは彼方に顔を向ける

上条の瞳に映るさやかの不要条はは深い決意に満ちていて、その決意はとても自分が変えられるようなものではないと上条に感じさせた
370 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/14(月) 02:05:44.47 ID:4w30fvvH0
上条「そっか……」


こうなったさやかはてこでも変わらない。その事を幼馴染で解っていた上条は、一度さやかから視線を外し、深く視線を落とすと

考える様なそぶりを見せ、さやかにもう一度真剣な目を向ける


上条「それは……僕が隣にいちゃ、ダメなのかな」


そんな上条にさやかは思いつめた表情で、重々しく首を振る


さやか「……駄目だよ」

さやか「きっとあたし、好きな人が近くにいたら、そっちの方に時間をかけちゃう」

さやか「その時間にかまけてる間に……困る人がいっぱい出ちゃうんだ」

さやか「だから……」

上条「……僕は、さやかとの時間が少なくたって構わない」


さやかの言葉を遮っての突然の上条の言葉にさやかはキョトンとした表情を向ける


さやか「……え?」


上条はさやかの表情に、焦って首を振った


上条「え、ええと、違うんだ、そうじゃない。少ないのは本当は嫌なんだ。出来るだけ一緒には居たい」

上条「そうじゃなくて……つまり……」


はっきりとしない上条にさやかは首を傾げさせる

そんなさやかに上条は、一度言葉を切ると、改めてさやかに向き直った


上条「君と一緒にいられなくなるぐらいなら、少なくたっていいってこと……なんだ」

上条「君と何もなくなってしまうのは……嫌なんだ」

上条「それに……僕はその仕事をするさやかを支えたい」

上条「今までさやかが僕を支えてくれたように」

さやか「恭、介……」


瞳に涙を溜めさせるさやか

今度こそその涙は嬉しさからのものだった
371 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/14(月) 02:21:00.60 ID:4w30fvvH0
それでもさやかは上条の告白に頷けなかった。

仕事をしっかりとやり遂げなければいけないという義務感と、マミに対する罪悪感がそれを躊躇わせたからだ


さやか「……考え……させて」

上条「……うん。わかった」


さやかの保留の言葉に、上条は残念のような、ほっとしたような表情で深く頷く


上条「待つよ。さやかの答えが決まるまで」

上条「いつまでも」


真剣な表情を向ける上条に、さやかは罪悪感から目を伏せる


さやか「……期待しない方がいいかもよ?」

上条「それでもいいよ」

さやか「……ばか」


優しく微笑む上条に、さやかは恥ずかしさから顔を赤く染める


そうして二人は辺りが暗闇に染まるまで、他愛のない話でを語り合った

さやかは幸せだった。この時間が、好きな人と一緒にいる時間が

こんな楽しい時間がずっと続けばいい

そうさやかは切に願っていた


それがどんなに贅沢で、敵う事がない願いか、知ることもなく
372 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/14(月) 02:26:16.41 ID:4w30fvvH0
今日はここまで。お疲れさまでした

結局日曜までに投下分まで追いつけなかった……無念

それではまた次回ー
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/14(月) 02:29:37.56 ID:Fb5CG1ibo
おつつ
おやすみー
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/14(月) 03:19:19.07 ID:x2mnfeKpo
乙乙
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 14:30:00.81 ID:MzfC/apDO
ちゃんと書き続けてるから不満はない
描写も丁寧でわかりやすい
とにかく完結さえしてくれればいい
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 17:48:00.71 ID:dEqzPk+io

それにしてもこんな長編をよくVIPでやろうとしたな
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/14(月) 18:11:36.09 ID:enAd57gAo
でもこの辺まではvipでもちゃんといったんよ
保守ってるうちにスレ終わっちゃったからこっちに移動してきたけど
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 18:20:34.75 ID:rp07zyvDO
乙〜
このすれ違いこそがまどまぎって感じがするなww
何にせよ楽しみに待っとります
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/14(月) 19:16:58.66 ID:gkr0Bmyio
この上条は良い上条
原作でもこうだったらさやかは…
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/14(月) 19:33:39.23 ID:enAd57gAo
ここの上条くんは結構男前なんだよな
代わりにまどっちが病的に一途だけど
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 19:42:07.68 ID:FaVsyM9b0
運命の分かれ道は
上条さんが癇癪を起こす日にさやかが鬱状態だった事だな・・・
流石にそんな相手に癇癪起こすほど外道じゃないだろうしww
382 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/16(水) 03:41:19.33 ID:jNbya2DJ0
病院外

さやかは上条に別れを告げ、病院を出た後、帰りの路に着いていた

辺りはすっかり暗くなっていて、行く道を一定の間隔で、まばゆい街灯の光が道を照らしている

その中でさやかはふと立ち止り、空を見上げる。そこには雲掛かる満ち切った月だけが、さやかを見つめていた


―――どうしたらいいんだろう


月を見つめ、心でそう呟く。さやかここまでの道のりの中、ずっと悩み続けていた

上条とのこれからの関係の事を


―――断るべきだよね


自分がこれから生きていく道にとって、最善の答えなど既に出ていた

上条との関係を断ち切って、魔法少女として、人々を助け続けていく

それが、魔法少女になった、願いを叶えて貰った自分の義務。

そしてそれに準ずる事で、自分が殺してしまったマミへの償いにもなる

それがさやかの考え得る、最善の選択


―――でも


だが、その言葉が、幸せへの片鱗が、その選択を躊躇わせる

手を伸ばせば、すぐに幸せに手が届く。幸せが、自分の手を握ってくれる

これほど抗いがたい誘惑があるだろうか


さやかはそんな葛藤に、身を焦がしていた


さやか「……良いのかな……あたし……」


頭を駆けずり回る葛藤に、無意識に言葉が漏れる

誰に向けたでもない、漏出した言葉


「いいじゃん。好きにしろよ」


だが、それを受け取り、返す者がいた

さやかの後ろから聞こえてくる、挑発的で、嘲笑的な声

その声にさやかは反射的に後ろを振り向く


さやか「っ!……あんた……昨日のっ!!」

「よぉ。半端もん」


振り向いた先。そこには昨日さやかが相対した赤い魔法少女――杏子が電燈の光の下に立っていた
383 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/16(水) 22:54:11.58 ID:jNbya2DJ0
杏子「ぜーんぶ見てたよ。お前らのやり取り」


魔法少女の姿ではない、活発な印象を受ける私服に身を包んだ杏子は

口を大きく歪め、歪な笑みを作って、棒状の駄菓子を口に含むと、さやかへと一歩ずつ近づいて行く


さやか「な……」


さやかは杏子の突然の登場、そしてその発言に唖然とした表情を浮かべる

そんなさやかの目の前まで歩くと、杏子は彼女の顔を覗き込み、挑発的な瞳を向けた


杏子「なに迷ってんだよ?あのぼうやから告って来たんだろ?」

杏子「受けたらいいじゃねーか」

杏子「くっだらねえ他人なんかの為に願いを使って、それが自分に返ってきたんだ」

杏子「得る事さえすれ、断るなんてありえねぇだろ?」

杏子「貰っちまえよ?な?」


下卑びた笑み

さやかはそれに怒りを露わにする


さやか「う、るさいっ!!」

さやか「恭介の事……恭介の夢を下らないなんて言うなッ!」


さやかは腕を大きく振り上げ、そのまま自分の顔を覗き込む杏子の頬を平手で打とうとするが

杏子はその手をするりとかわし、やれやれと肩を竦める


杏子「おお怖い。愛の力は偉大ってこった」

さやか「お前……!!」
384 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/16(水) 23:16:41.76 ID:jNbya2DJ0
怒りに肩を震わせるさやかを気に掛ける事もなく、杏子は口に含んだ駄菓子を食べきると、続けて二本目の駄菓子に手を伸ばし、口に含む


杏子「んむ……それよりよ。少しはやり方を変える気になったかい?」

杏子「自分の為だけに魔法を使うってやり方にさ」


杏子の言葉にさやかは一度視線を落とす

杏子はそのさやかの態度に、駄菓子の咀嚼の動きを止めるが


さやか「あたしは……」

さやか「あたしは……変わらない!変えない!」

さやか「絶対に!」


再び向けられた瞳に映る、絶対的な敵意の色に、杏子は深い溜息を吐き、駄菓子の咀嚼の動きを再開する


杏子「はぁ……」

杏子「……やっぱ筋金入りの馬鹿だわ。あんた」

杏子「来いよ。その能天気で馬鹿な頭、矯正してやる」


そして駄菓子を咀嚼し終えると、さやかに対し、深い嘲笑を浮かべた


さやか「……受けて立ってやるわ」

杏子「へっ……そうこなくっちゃな」

杏子「こっちだ」


そう言って杏子は顎で人気のない道を差し、歩き出す

さやかは自分のソウルジェムを固く握りしめ、先を歩く杏子について行った

杏子との決着を、自分の正義を証明する為に
385 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/16(水) 23:37:08.11 ID:jNbya2DJ0
杏子とさやかが決着の為に歩き出していた頃、

まどかは人気のない歩道橋の近くのベンチで膝を抱え、蹲っていた

激しく暗い嫉妬の感情に心の全てを占めて


まどか「……今日も上条君」

まどか「また上条君」

まどか「上条君」

まどか「上条」

まどか「上条恭介」

まどか「恭介」

まどか「恭介、恭介、恭介、恭介、恭介!」


ブツブツと怨嗟と嫉妬の籠る言葉を漏らしていく。

その瞳は怒りに燃えながらも、悲哀に満ちていた。


まどか「……どうして上条君なの」

まどか「さやかがあんなに苦しんでるの知らないのに」

まどか「さやかちゃんが危ない目に会うの知ってて契約したの知らないくせに」

まどか「私が一番さやかちゃんの苦しみを知ってるのに」

まどか「……どうして……」


いつの間にか溜まっていた涙がまどかの瞳から零れ落ちる

それは怒りの感情の昂ぶり、そして、さやかに自分を受け入れて貰えないという悲しみからのものだった
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県)[sage]:2011/11/16(水) 23:41:18.73 ID:9AHlM7a/o
まどかこえー
387 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 00:07:39.65 ID:WXBab6O70
まどか「私なら……さやかちゃんの事、全部わかってあげられるのに」

まどか「おかしいよ……こんなの」


流れる涙を拭い、俯かせていた顔を上げる


まどか「……ん……?っ!あれって……!」


上げた顔の視線の先、そこに見覚えのある二つの影があった

それにまどかは跳ね上がるように立ち上がり、戦慄に顔を引きつらせる


「さやかと杏子だね」


その時、足元から可愛らしい声が掛かる

まどかはその声に驚き、聞こえていた方向に目を向ける。するとそこにはいつの間にか現れたキュウべえが自分の顔を見上げていた


まどか「っ!……どうして、一緒にいるの?」


突然現れたキュウべえに驚いたが、すぐに興味を無くすと、視線をさやかと杏子に戻し、心に浮かんだ疑問を漏らす


キュゥべぇ「……恐らく、昨日の決着を着けるつもりなんじゃないかな」


そのキュウべえの言葉が耳に入るや否や、まどかは駆けだしていた

さやか達の戦いを止める為に


キュゥべぇ「早いね」


駆けていくまどかをくりくりとした目に収め、そうポツリと呟くと

キュウべえもまどかの後をゆっくりと着いて行った
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/17(木) 00:29:54.75 ID:cwQCKLpA0
あああぁぁぁあぁあ><
389 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 00:31:09.38 ID:WXBab6O70
修正

キュゥべぇ「早いね」 ×

キュゥべぇ「さて……と」 ○

390 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 00:51:35.76 ID:WXBab6O70
杏子「ここにすっか」


杏子に連れられ、さやか達が決着の場とした所。それは人気のない歩道橋の上だった

かなりの高さを誇り、下を多数の車が行き交う

そこで杏子は足を止めると、くるりとさやかに振り返った


杏子「それじゃあ……決着着けようか!半端者!!」

さやか「くっ……舐めるんじゃないわよ!」


敵意と敵意の視線がぶつかり合い

それを皮切りに互いはそれぞれのソウルジェムを高くかざし、魔法少女の衣装にに身を包もうとする


「さやかちゃんっ!!」


しかしそれは一人の少女の声に阻まれ、相対する二人は動きは止められてしまう


さやか「っ!……まどかっ!?」

杏子「……チッ……また来やがった」


さやか驚きの視線を、杏子が忌々しげな視線を向けた先、そこには声を張り上げた少女。まどかが駆けこんで来ていた


さやか「あんたどうしてここに……」


さやかの元に辿り着き、息を切らせるまどかに、さやかは驚きの表情を浮かべていた

その表情に構わず、まどかは息を切らせながら、必死と声を振り絞る


まどか「駄目だよ……戦っちゃ……危ないよっ!!」

杏子「そりゃそうだろ?戦いってのは危ないもんだ」

杏子「その危ない事にも参加できない奴は、とっとと失せな」


必死となるまどかに、杏子は呆れと蔑みの混じる声を掛けた

まどかはそれにひるむことなく、杏子の声に怒りと憎悪の睨みを返す

391 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 00:58:44.92 ID:WXBab6O70
さやか「そうだよ……まどか。下がってて!」

さやか「あたしはこいつを倒さないといけないんだからっ!!」

さやか「あたしと……マミさんが正しいってこと証明するためにもっ!!」


睨みつけるまどかの前に出て、さやかは杏子に自分の正義を吼える

杏子はさやかの咆哮に、まどかに向けた以上の嫌悪と怒りの感情を顔に表した


杏子「やっぱうぜぇ……」

杏子「……徹底的にやってやるよ!!」


瞬きの間に杏子はその身を魔法少女の衣装に包むと、杏子はさやかに槍を向ける

それに呼応するように、さやかもソウルジェムを掲げ、衣装に身を包もうとした


まどか「ダメぇっ!!!」

さやか「な……」


だがその時、まどかがさやかのソウルジェムを奪った事で、それを止められる

そしてまどかは橋の縁まで走っていき、さやかのソウルジェムを橋の下に勢いよく投げ捨てた

投げられたさやかのソウルジェムは重力に従いどんどんと加速していく


そして、地面にぶつかったかと思うと


さやか「まどか、あ」


まどか「……え……?」


さやかのソウルジェムは







粉々に砕け散った
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 01:04:14.34 ID:e7Unk4qEo
えっ……

えっ?
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage saga]:2011/11/17(木) 01:05:25.30 ID:Ltoa8Sefo
な ぜ 殺 た し
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/17(木) 01:10:28.37 ID:R8i0p3JMo
そろそろ追い付くか……
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/17(木) 01:12:14.43 ID:5XND8CEpo
死んだ‥‥
396 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 01:14:01.18 ID:WXBab6O70
同時にまどかに駆け寄ろうとしていたさやかは、糸が切れたようにその場に崩れ落ちる

その目にはもう何の光も写していなかった


まどか「さやか……ちゃん……?」


突然崩れ落ちたさやかに驚き、まどかはゆっくりとさやかに駆け寄った

そしてさやかの体を、ゆさゆさと揺らす


まどか「さやかちゃんっ……さやかちゃんっ!!?」

まどか「どうしたの?ねぇ、ふ、ふざけないでよ、ねぇ!さやかちゃんっ!!」


いくらまどかが体を揺らしてもさやかからの返事はない

だが、違和感と、嫌な予感が身に襲い、それを振り払う様に必死とさやかの体を揺らし続ける


まどか「さやかちゃんっ!!さやかちゃんっ!!」


突然目の前で起こった事に混乱し、目を瞬かせていた杏子だったが

何とか我に帰ると崩れ落ちたさやかに急いで駆け寄った


まどか「止めてっ!!さやかちゃんに触らないでっ!!」


喚くまどかをどかし、さやかの首に手を掛けて持ち上げ、その瞳を覗き込む

杏子の瞳に映るさやかの瞳は、瞳孔が開き切り、既に生きている者のそれではなくなっていた


杏子「……こいつ……死んでるぞ!」


杏子の動揺した声に衝撃を受け、まどかは目を見開き、信じられないと言わんばかりに、言葉を漏らした


まどか「え……」
397 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 01:40:05.10 ID:WXBab6O70
まどか「どう……して……」


まどかの頭の中を疑問が埋め尽くしていく。

いつしかその疑問は無意識に口からこぼれ出ていた


「そりゃそうさ」


まどかの漏出した言葉に、無機質な声が返る

その方向にまどかがゆっくりと、杏子が素早く顔を向けると、白いイキモノが二人を見つめていた


杏子「キュゥべぇ……?」


まどかは呆然と、杏子は答えを急かす様にキュゥべえを見つめた

その視線にキュゥべえはいつもの調子で、さも当然と言ったように声を返す


キュゥべぇ「さやかはたった今」

キュゥべぇ「まどかが殺したんだから」


―――何を言ってるの?

心が、頭が、状況に着いて行かず、まどかは混乱を深めていく


まどか「……え?」

杏子「……どういう事だてめぇ!」


杏子も状況に着いて行かないのも同様だったが、何とか正気を保ち、心に渦巻く疑問と、疑問をキュゥべえにぶつける


キュゥべぇ「そのままの意味だよ」

キュゥべぇ「まどかは今、魔法少女の本体を、人間の心臓と呼べるものを投げて、壊したんだ」

キュゥべぇ「これを殺すと言わないで、なんと言うんだい?」


ようやくまどかの頭が機能し始め、キュゥべえの言葉の意味を噛み砕いて行く

だが、噛み砕いたところで、まどかは信じられなかった


信じたくなかった


まどか「嘘、ティヒ、嘘……だよね?そん、そんなことあるわけ」


希望に縋る。

呆然とした頭で、そんなもの信じたくないと


キュゥべぇ「事実だよ」


だが、希望など、どこにもなかった
398 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/17(木) 01:43:14.38 ID:WXBab6O70
今日はここまで。お疲れさまでした

ようやく追い付きました

……一か月もかかってしまった。遅筆!

これからは書きためて一気に投下していくスタイルをとろうと思いますので、二日に一回とかになるかもです

それではまた次回ー
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)[sage]:2011/11/17(木) 01:44:31.88 ID:um/wg+cEo

ついに追いついたな
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/17(木) 01:45:18.15 ID:EQJ+VA+xo
加筆超乙
待ちに待った続き楽しみにしてます
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/17(木) 01:46:03.10 ID:dRoO62RI0

ついに追いついたか。
これからどうなるか楽しみだ。
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 01:48:08.92 ID:e7Unk4qEo

VIPの時は途中までしか追えなかったからさやかちゃん死亡はマジでショックだった……
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/17(木) 02:26:50.77 ID:jk0SMAfAO
え、あの、さやかのソウルジェム・・・。


あ、ああ、乙。
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 02:32:31.03 ID:d7Mt+9NSO
嗚呼、我が愛しのさやかよ・・・
御愁傷様で〜す(悲)
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/17(木) 02:43:03.41 ID:0t4pknyPo
乙乙

ついに追いついたな!
さぁ、あの時の保守の礼もかねて続きを期待させてもらうか
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/17(木) 03:18:03.05 ID:48XwFB2Io
まどかのティヒ笑いだけはなんとかしてもらえないものか
まどかヘイトものならティヒヒであってると思うけど
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/11/17(木) 03:18:37.34 ID:EI6vpj/AO
ついに、ついに追いついたか!
この日をどんなに待ちわびたことか。
さて、魔法少女だったら即魔女化レベルの絶望にこのまどかはどうするのか。
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 06:34:26.65 ID:oHmgAdE40
魂ごと消滅しちゃったよ・・・この展開は珍しい

ヘイト物じゃなくてもティヒヒ笑いはある気がする、
まぁ俺がまどっちならどんなことしても可愛いとか思ってるせいかも知れんが
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/17(木) 06:35:28.11 ID:bQAjiKTyo
元は照れ笑いだから照れ笑いとしては使ってる
けどそれ以外に使うのは違和感あるなー
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/17(木) 06:39:21.02 ID:R8i0p3JMo
乙〜
さあ、ここからどうなる……!
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 07:23:48.85 ID:N3B6IFaoo
まどかの願いでさやか復活→バッドルートへの布石と信じて…
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 09:21:22.00 ID:/H61Bmd20
>まどか「……どうして上条君なの」
>まどか「さやかがあんなに苦しんでるの知らないのに」
>まどか「さやかちゃんが危ない目に会うの知ってて契約したの知らないくせに」

その台詞は自分に返ってくるでぇ……、まどかさん
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 10:37:37.62 ID:KWvzrZDDO
上条連呼しつつも悲しみに涙しちゃうとこがヤンデレになりきれてないまどからしさでいい
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県)[sage]:2011/11/17(木) 19:02:03.06 ID:JjWs9tc50
まどか崩壊寸前だな
ほむほむが本気でワルプルさんに感謝する周回となってるじゃないですかー!やだー!
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 21:38:14.07 ID:fOzOkv7IO
>>414
このまどかはほむほむでも手に負えない気が
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/17(木) 22:27:19.91 ID:I0TykJ7h0
>>1乙 てか、ほむほむ今どこにいるん 全然出てきてないんだが
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/17(木) 22:29:18.47 ID:xpMGtzEg0
追いついた
どうなることやら
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)[sage]:2011/11/18(金) 04:36:54.87 ID:Mn4ldwaAO
期待
ちなみにほむほむはまどかに冷たくされてしょげ返ってます
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/11/18(金) 17:46:01.10 ID:FY80AaVAO
>>414
ほむら「こーい、ワルプルギスこーい」
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県)[sage]:2011/11/18(金) 17:50:57.84 ID:OYBZy4wqo
ようやく続きが読めるのか
この瞬間を待ってたぜ
421 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 00:54:01.23 ID:UnMFKfQe0
キュウべえ「現にほら、さやかは息をしていないし、心臓も動いていないじゃないか」

キュウべえ「完全に死んでいるだろう?」

まどか「あ……あ……」


段々とまどかの中に現実味が帯び始める

自分がさやかを殺したという現実味が


キュウべえ「君が殺したんだ」

キュウべえ「まどか」

キュウべえ「大好きなさやかを」

キュウべえ「君が」

キュウべえ「その手で」

まどか「……私が……」


突きつけられていくキュウべえの言葉に、まどかに襲う現実味は完全となってしまう

まどかはそれによりコンクリートの地面に崩れるようにへたり込み、放心してしまう

杏子それを横目にさやかの亡骸をゆっくりと下ろすと、キュウべえに詰め寄った


杏子「テメェ……騙したのか……!」
422 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 00:56:20.16 ID:UnMFKfQe0
キュウべえ「僕は君たちを騙してなんかいないよ」

杏子「自分がこんなもんにになるなんて一度も言わなかったじゃねぇか!」


杏子が自分のソウルジェムを突きつける

それにキュウべえはもっともだと首肯した


キュウべえ「確かに言ってはいないね」

キュウべえ「でもそれは君らが聞かなかったからだよ」

キュウべえ「それを棚に上げて僕を責めるなんて、理不尽じゃないか」

杏子「……テメェ……ふざけやがって……!」


怒りに殺気をたぎらせるが、そんな杏子にキュウべえは理解出来ないとばかりにやれやれと首を振った



キュウべえ「やれやれ……君たちはいつもそうだね。魂が何なのかわかってすらいないのに、その場所が移っただけで騒ぎ立てる」

キュウべえ「わけがわからないよ」

キュウべえ「ね、まどか」


そう言ってキュウべえはまどかに顔を向け、つられて杏子もその顔を向ける

まどかは杏子が詰め寄っている間に、床に横たわらせたさやかの亡骸に近づき、ゆさゆさとその体を揺らしていた
423 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:00:45.35 ID:UnMFKfQe0
まどか「さやかちゃん。てぃひひ。起きてよ。ね?」

まどか「こんな所で寝てたら、風邪引いちゃうよ?ね?起きてよ?ね?」

まどか「あ、わかった。さやかちゃん私の事驚かそうとしてるんでしょ?もうさやかちゃんったらっ」

まどか「でもそんなさやかちゃんも大好きだよ。大好きなんだからっ。てぃひ、てぃひひひひひ」


虚ろな目から涙を流しながら、壊れたおもちゃのようにさやかの体を揺らし続ける

杏子はそんなまどかから思わず目をそむけ、俯き

キュウべえはその姿を橋の手摺りから無表情に見下ろしていた


杏子「……おい、もうやめろ」


まどかの姿に耐えかねた杏子がまどかの肩に手を掛け、さやかの亡骸から引き剥がそうとする


まどか「っ!」


しかしまどかはその手を力強く振り払うと、すぐに死体の揺さぶりに戻る


杏子「……やめろって言ってんだろ!そいつは」


そんなまどかに杏子は語気を強め、死体を揺さぶる腕を掴むが


まどか「あぁあああぁああッ!!!」

まどか「触るなぁッ!!


向けられるまどかの狂乱じみた顔と声に圧され、その手を離してしまう
424 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:03:57.09 ID:UnMFKfQe0
杏子の手が離れると、まどかはそのまま杏子に激しい憎しみの籠もる視線をぶつけ、喚き声を上げた


まどか「何で……何でさやかちゃんじゃなくてあなたが生きてるのよぉッ!!」

まどか「死んじゃえッ!!死んじゃえッ!!あなたが死しんじゃえば良かったんだッ!!」

まどか「さやかちゃんを酷い目に合わせたあなたがぁッ!!」

まどか「さやかちゃんを返してッ!!返してよォっ!!」


謂われのない罵倒と、支離滅裂な要求に、黙っていた杏子が怒りの表情を見せ、まどかの胸倉を掴む


杏子「……テメェがコイツを殺したんだろうが!!」

杏子「その元凶が人の事を責めるなんて良いご身分じゃねぇか!ああ!?」


お前が殺した


その言葉に大きく目を見開くと、まどかは顔をぐしゃぐしゃに歪め、その場に崩れ落ちた

そして漏れ始める嗚咽

そんなまどかの様子に杏子は自分の発言に後悔し、まどかの姿から再び目をそらした

425 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:05:33.51 ID:UnMFKfQe0
キュウべえ「まどか」


そこで傍観を決め込んでいたキュウべえが、手摺りの上から降り、うずくまるまどかの目の前にちょこんと腰を下ろす


キュウべえ「辛いかい?」


キュウべえ「苦しいかい?」


キュウべえ「悲しいかい?」


キュウべえ「寂しいかい?」


キュウべえ「悔しいかい?」


キュウべえ「憎いかい?」


キュウべえの口からたたみかけられる、まどかを襲う全ての感情

まどかは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔をゆっくりと上げ


はっきりと頷いた
426 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:07:12.77 ID:UnMFKfQe0
キュウべえ「そうか。なら……」

キュウべえ「救ってあげよう」

キュウべえ「その全てから、君を」


キュウべえが顔の形を変え、笑いの表情を作る

その姿はまるで、『天使』のようだった


杏子「お、おいっ!」


二人に制止の声を掛ける杏子だったが、二人がその声に耳を貸す様子はなかった

そして続けられる『天使』の囁き


キュウべえ「さあ、言ってごらん」

キュウべえ「君の願いを」


―――――――――――
427 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:08:54.65 ID:UnMFKfQe0



あたしは水の底にいる

深い、深い、水の底

暗い、暗い、水の底

あたしは水の底にいる


体は濡れてなんかいないし、息も出来る

水があたしを押しつぶすこともないし、あたしの事を上に持ち上げる事もない


でも、あたしは深い水の底にいるんだ

深い、深い、水の底

暗い、暗い、水の底

あたしは水の底にいる


428 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:10:02.55 ID:UnMFKfQe0



深い、深い、水の底

暗い、暗い、水の底

あたしは水の底にいる


どうしてあたしはここにいるの?

どこからあたしはここに来たの?

いつからあたしはここにいるの?

解らない

今の所に来る前なんて、来た理由なんて、来た時間なんて

解らない

解っている事は

あたしは水の底にいる

深い、深い、水の底

暗い、暗い、水の底

あたしは水の底にいる

それだけ


429 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:10:55.84 ID:UnMFKfQe0



あたしは水の底にいる

水の底から見上げる景色は真っ暗

上から見たらあたしはどんな風に見えるのかな

深い、深い、水の底

暗い、暗い、水の底

そこにいるあたしはどんな風に見えるのかな

あたしは水の



……あれ?

あたし……


430 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:12:46.04 ID:UnMFKfQe0



ああ

      そっか
 

        戻らなきゃ


  呼んでる

            あたしを


       水の上から


  あたしを


          ……泣いてるの?


   泣いてる


      泣かないで


        今


       行くよ


      行くから


        ね



431 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:13:39.26 ID:UnMFKfQe0






       まどか





432 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:15:22.67 ID:UnMFKfQe0
―――――――――――――――



さやか「……ん……」


まどか「……あ……!」

さやか「……ま……ど……か……?」

まどか「さやかちゃんっ!!」


ゆっくり閉じていた瞳をあけ、さやかはその瞳にまどかを映す

その姿にまどかは悲しみに流していた涙を喜びのそれに変え、さやかの頭をきつく抱きしめた


まどか「うくっ……ううぅ……さやか……ちゃぁん……」

さやか「……あたし……?」


何故まどかが自分を抱きしめて涙を流しているのか、何故自分がこんな所で横になっているのか

さやかはぼんやりとその理由を考えたが、混濁する意識では答えを出す事は出来なかった
433 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:16:51.69 ID:UnMFKfQe0
―――でも


さやか「……まどか……」

まどか「……うくっ……う……?」


さやかの声にまどかは一度さやかのを放し、顔を寄せる

さやかはその涙伝う頬にそっと触れ


さやか「……ありがとう……」


そう囁いた

何故まどかに礼を言ったのか、それはさやか自身にもよく解っていなかった

だが、さやかは言いたかった。

まどかのお陰で自分はこうして生きている。そう、思えたからだった


まどか「……うん……うんっ……!」


再びさやかの頭をきつく抱きしめ、涙に体を震わせるまどかをさやかは優しく抱きしめ返した

434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/19(土) 01:18:11.50 ID:FWbRBN9a0
世界の終わりまで秒読み。
さてほむらちゃん、リセットの準備をしようか。
435 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:19:37.54 ID:UnMFKfQe0
杏子「……マジ、なんだね」


そこで杏子が様子を見計らい、二人に近づき信じられないといった様子で声を掛ける

頭がうまく働かず、声を掛けてきた杏子をただぼんやりと見つめていたさやかだったが、

頭が働き始めると、再び目に敵意の色を取り戻した


さやか「…………あんた!」


咄嗟にさやかは自分のソウルジェムを探し、その身を魔法少女の衣装に身を包もうとするが


さやか「え……?」


どこにもソウルジェムは見つからなかった

まるで、そんなものは今まで存在していなかったかのように


杏子「……まぁそんなカッカすんなよ」


必死と自分のソウルジェムを探すさやかに、杏子は諭す様に声を掛け、自分の得物に寄りかかる



杏子「もうアンタは魔法少女じゃ無くなったんだからさ」

436 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:22:02.70 ID:UnMFKfQe0
さやか「……は?」


間の抜けた表情を浮かべるさやかに、杏子は呆れたような笑みを見せ、駄菓子を口に運ぶ


杏子「そこのお友達がね、契約したんだよ」

杏子「あんたを生き返らせてほしいって。魔法少女になる前の体でって」


その言葉にさやかはハッとした表情を浮かべ、まどかに目を向ける

だがまどかは相変わらず自分を抱きしめ続けていて、その表情を窺う事は出来なかった


杏子「……馬鹿だよねぇ」

杏子「一度きりの願いを他人の為に使ったんだから」

杏子「あんたみたいに」


口に含んだ駄菓子を食べきると、杏子は呆れの溜息を吐く

その溜息に微かな安堵の色が含まれているのは、誰も、杏子でさえも、気付いていない

437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage saga]:2011/11/19(土) 01:22:14.89 ID:pRP5NGIvo
さやか蘇生しても何もかも根本的な解決はできないからな
終わった
438 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:24:11.97 ID:UnMFKfQe0


杏子「ま、貰った体、大切にしなよ」

杏子「……自分の為だけに、さ」


そう言うと杏子は、まどかに視線を向ける

まどかは未だに、さやかを抱きしめ続け、微動だにしていなかった


杏子「アンタ、半端もんがどうなるか見てきただろ?」

杏子「ああなりたくなかったら、アタシがこいつに言った通りにしときなよ」


顎でさやかを指し、まどかに忠告を掛ける

だがまどかはそんな杏子に反応を見せる事はなかった


杏子「シカトかよ……たく」

杏子「……まぁいいや。アタシは帰る」


まどかの態度に悪態をつきながらも杏子はまどかとさやかに背を向ける

これ以上言っても無駄。そう判断したからの行動だった

―――それに

一瞬だけ二人に視線を向けると、そう心に呟き、二人に別れを告げる


杏子「じゃーな。似たもん同士」
439 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:26:01.83 ID:UnMFKfQe0
杏子「なか」


だが、その別れの言葉を、杏子は口にしきる事は出来なかった


まどかの手から放たれた弓矢に


体ごとソウルジェムが貫かれた事によって
440 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/19(土) 01:28:21.21 ID:UnMFKfQe0
今日はここまで。お疲れさまでした

>>ティヒヒをどうにか〜〜

ティヒヒは使いたいんですよね……その違和感を活かしたいというか

それではまた次回ー
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/19(土) 01:28:35.25 ID:akED+oQYo
えええええええええええええええええええええ
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/19(土) 01:28:40.55 ID:FWbRBN9a0
杏子おおおおおおおお
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/19(土) 01:29:34.27 ID:akED+oQYo
お疲れ様〜
連続投下嬉しいれす
楽しみに待ってます
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage saga]:2011/11/19(土) 01:30:01.32 ID:pRP5NGIvo
さやか「あ、ありのまま起こったことを話すよ! 眠ってた所を親友に起こされたと思ったら親友が目の前で人を殺した!」
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/19(土) 01:31:13.82 ID:bTggyramo
乙乙

まどかさん無双じゃないですかぁ!
これはさやかちゃん的には許せるのか?
ってか、まどっちの固有魔法ってまさか…
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/19(土) 01:32:46.28 ID:tmT0iumT0
うわああああああああああああ
このまどっちなら何時かはやるかもしれないと思ってたが
まさか速攻でやっちまうとは………

さぁ最強にして最狂の魔法少女による愛と絶望の宴の幕開けだ
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県)[sage]:2011/11/19(土) 01:33:56.91 ID:excm+QAw0
このまどかさん絶対精神汚染:Bぐらいまでは逝っちゃってるよね…
これはさやかちゃんとちゃんと意思疎通が通じるかわからないね…
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/19(土) 01:34:09.74 ID:3sQXAHDPo


むしろあの展開ならやらないほうがおかしいくらいだったからなww
続きがすごく楽しみだ
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/19(土) 01:36:19.78 ID:Ugg1RE6AO
なん…だと…
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/19(土) 01:38:53.86 ID:i4HFR4rr0
あとは強敵と思われるほむほむのザワールドをいかに処理できるかww
まどっちの次なる台詞が物凄く楽しみです♪
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/19(土) 01:39:09.17 ID:FWbRBN9a0

いきなり[ピーーー]とか凶悪すぎる。
ほむらと恭介は今すぐ逃げるべき。
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 01:43:21.32 ID:CXRnis29o
ほむらはともかく恭介殺したらさやかがぶっ壊れるんじゃ
まあ今のまどかがそこまで頭回るかなとは思うが
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/19(土) 01:43:33.89 ID:EzkzMxOFo

さっそく杏子がwwww
こういうシーンの泣き笑いは恐いよな。だけに、てぃひひは効果的だと思う
ほむらちゃんはどう出てくるかw期待期待
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/19(土) 01:48:32.49 ID:KyJchk6qo
乙ー
まさかさやか殺したの杏子のせいにするとか……ないな。ないよな
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県)[sage]:2011/11/19(土) 01:54:29.96 ID:Q8iLFBj3o
まどかさんこえー
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 02:53:54.70 ID:5ngBRbRSO
まどかさん、最低です。
杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん杏子ちゃん

さて、次は誰かな?
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/11/19(土) 04:10:28.69 ID:XP9xMPfAO
絶対こうなると思たよww
さあ、世界最強にして最凶の魔法少女が地上に降臨したぞ、ほむほむ逃げて、マジで逃げてー!
でも勝てるのは時止めジェム砕きだけだし、邪神まどかを止めてから次へ行ってくれないとほむほむ消えた後世界滅亡のお知らせなんだがw
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/19(土) 05:34:49.12 ID:M7toJk/Ao
うわああああ、やると思ったけどおおおおお
ほむらと上条、宣戦布告をしたら仁美も危ないな
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 06:26:32.27 ID:nIt+pxCDO


あとお前ら投下の最中に書き込むの止めろ
余計なつまらんレスで興醒める
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/19(土) 06:53:49.82 ID:KS+yetQPo
つ超乙
ワッフルが止まらない
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 06:59:24.46 ID:XT+3maYp0
蘇らせたか、別の契約とかも考えたけど
これはこれでワッフルワッフル!
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 07:37:41.64 ID:BC1q7QcDO
これはちょっと超展開だな
今まであったヤンデレになりきれてないまどからしさがこっからどうなってくのかに期待
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 07:46:54.39 ID:LdhQE9hDO
一度殺してやるしまったからな、心が壊れていても不思議はない


ここからハッピーエンド行くにはまどかとさやかで相依存にならないと無理臭いなww
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道)[sage]:2011/11/19(土) 07:47:00.93 ID:tMAcSdZ9o
来るかな―と思ってたら来てたー!?
乙です
こりゃあ続きが待ちきれないぜ!
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 08:31:18.22 ID:9VtHBKKQo
ワルプルを単機撃破できる力あるんだし、ほむらは対応間違えたら殺されるな
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[saga]:2011/11/19(土) 11:04:36.87 ID:aDnV+CTQ0
まどかってすれによっちゃひでぇよな

アンコ……

まどかァアアァァァァアアァァアァアァあっァァアァアァアァアァアァアアアアァァァァァあぁっぁぁァァァァァァァァァァアァァァアァアアァあぁぁあぁっぁっァアァァアッァァァァアアッァァアアァ

全世界の杏子ファンを敵に回したな
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方)[sage]:2011/11/19(土) 11:19:15.10 ID:oH2uriFHo
予想を裏切りまくってくれるなww面白い
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟・東北)[sage]:2011/11/19(土) 14:22:20.77 ID:Kb0PYGGAO
このまどかはどんなにグリーフシード使っても常にソウルジェム濁ってそうだww
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/19(土) 17:24:54.18 ID:r96DzJNF0
杏子退場は予想通りだろww

それよかこの軸のまどっちの固有魔法で…なんてことがあったら怖すぎるwwwwww
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/11/19(土) 20:07:59.19 ID:XP9xMPfAO
そういえば固有魔法どうなるんだろ……もしや、死者を操れたりも出来るんだろうか。
素質考えると完全な死者蘇生魔法とか使えてもおかしくないな。
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/19(土) 22:47:13.50 ID:Y21utnHc0
>>1乙 てか、まどかのSAN値がやばい てぃひひは本当に効果的
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage saga]:2011/11/20(日) 02:15:17.16 ID:wOFZ8qkB0
終わってない
むしろ始まったな、>>1頑張れ

しかし、どんだけこのスレに人張り付いてたんだよ!
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/20(日) 02:18:56.96 ID:7d0rTkTa0
一気に人が増えて吹いたww
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/20(日) 12:04:51.81 ID:+MbOklAIO
これ最悪力尽くでもさやかを自分のものでにできるな
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/20(日) 12:29:04.70 ID:6w1vaaZro
しかしさやかは本編から見ても力ずくでは絶対に屈しないぞ
身体は手に入っても心は手に入らないということに
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/20(日) 12:55:17.84 ID:7d0rTkTa0
でもすでに自分のために自分の身を犠牲にしたまどかを見てるから無碍にはできんだろう
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/20(日) 13:35:39.25 ID:hD4bY/qq0
とはいえ恭介を殺られたらさやかちゃんもドン引きだろうな
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/20(日) 14:12:55.29 ID:sxurRe5DO
むしろ私がまどかをここまで追い詰めたんだって自分を責めそう
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/20(日) 18:41:58.82 ID:ap9x7RR9o
書きにくくなっちゃうから無粋な予想とかはあんまりしないどこうぜ
何はともあれ今後の展開にwwktkが止まりません
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]:2011/11/21(月) 08:46:23.51 ID:T70ye4UKo
こるはさやかちゃんもドン引きレベル
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/11/21(月) 18:04:21.41 ID:T+qa1Ww40
そう言えばさやかちゃん最後の切り札残ってるな
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/21(月) 21:25:00.05 ID:g+1ZsZ2qo
普通の女の子に戻ったんだからもう1回なら奇跡可能ってことなのかな
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/21(月) 23:34:43.56 ID:+ZFOnkkh0
それやったら永久機関できちゃうww
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/22(火) 00:04:05.97 ID:RbYpT6+ro
宇宙のエネルギーを吸い尽くせるな
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 00:08:53.77 ID:gKJccb+g0
無限マナコンボですね、わかります
486 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:13:25.28 ID:z0Ex8Gtw0
胸に大きな穴が空けられた杏子の体は、魔法少女の姿から元の姿に戻り、ゴトリ、と音を立てその場に崩れ落ちる

そして空けられた穴から大量の血が漏れ出し、血溜まりを作っていった


まどか「……ぃひひ」


そんな惨状を、まどかはひらひらとして、濃いピンク色で統一された魔法少女の姿で、ただ眺めていた

狂気的な笑顔を見せながら


さやか「……嘘」


さやかは信じられなかった。信じたくなかった

目の前に映る酷たらしい惨状も、そしてそれを作り上げたのが親友のまどかだという事も

だがいくらさやかが信じたくないと願っても、それは紛れもない事実だった

杏子が背を向けた瞬間、まどかは魔法少女の衣装に身を包み、さやかへの抱擁をやめて立ち上がり、躊躇いなくその背中を撃った

まどかの得物である、ピンク色に染め上げられた大きな弓で

さやかはそれを咄嗟に止めようとまどかに手を伸ばしたが、その手が届く前に、まどかの弓から矢が放たれてしまっていた

487 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:14:55.72 ID:z0Ex8Gtw0
まどか「……ぁみろ……」


さやかが呆然と杏子の亡骸を見つめていると、まどかがぼそりと言葉を漏らす

さやかはそんなまどかにどうしてこんな事をしたのか問い詰めようとした


さやか「……まど」

まどか「ざまぁみろ……ざまぁみろぉっ!!」


だがその言葉はまどかの喚きにかき消されてしまう


まどか「さやかちゃんを苛めるから悪いんだっ!!苛めるからぁッ!!」

まどか「あなたのせいなんだからっ!!あなたの……あなたのぉっ!!」

まどか「あは、あはははっ!!ざまぁみろぉおおおっ!!」

まどか「あはっあははっあぁははははははっ!!!」


散々とわめき散らすと、空を仰ぎ、狂ったように笑い始めた

瞳から大粒の涙をこぼしながら
488 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:16:35.58 ID:z0Ex8Gtw0


「まどかぁっ!!」


今まで見た事のないまどかの尋常では無い様子に

さやかは驚きと恐怖に声を失っていると、後ろから切羽詰まった声が響いてくる

その声にさやかは振り返ると、魔法少女の姿のほむらが息を切らせ、顔面蒼白の体で走り込んできていた


さやか「ほむら……?」


呆然とした声でさやかはその名を零す。

そのさやかの声にまどかは狂笑をピタリと止め、ゆっくりとその顔を、走り込んでくるほむらに向けた


ほむら「……あなた……本当に……」


そうしてまどかの元まで近づき、ほむらはまどかの魔法少女になった姿を目に映すと、そう口から漏らした


ほむら「どうして……どうしてあなたは……!」


よろよろとまどかに縋りつき、体を震わせ絶望に歪む顔を向ける

そんなほむらをさやかは唖然と見つめ、まどかは

汚いものを見る様な目を向けていた
489 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:18:15.69 ID:z0Ex8Gtw0


キュウべえ「僕は嘘を吐いていなかっただろう?」


そこで今までの様子をただ傍観していたキュウべえがほむらに突拍子のない言葉を掛ける


ほむら「……インキュベータァアアア!!!」


そんなキュウべえの姿に、ほむらは顔を憤怒に歪め

耳慣れない怨嗟の籠った言葉を吐くと、盾のスライドから拳銃を引きぬき、迷わず引き金を引いた

だが、怒りに震える体ではキュウべえの身をうまくとらえる事が出来ず、弾丸を上手く当てる事は出来ない

キュウべえはその隙を突き、ほむらに背を向け走り去る


ほむら「ああああああああああああああ!!!」


ほむらはまどかから離れ、必死とキュウべえの逃げた方向に弾丸を撃ち続けたが、一発たりともキュウべえに命中することはなかった

やがて、拳銃からカチ、カチと弾切れを告げる音が鳴り始める、だが、ほむらは構わず引き金を引き続けた


ほむら「あ、ああ……あああ……」


そしてようやくその行動が無駄だと気付くと、拳銃を握りしめたまま、その場に蹲ってしまった
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage saga]:2011/11/22(火) 02:18:25.58 ID:scV5bW47o
さてさやかちゃん、110番しよか
それが友の為だ
491 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:19:47.51 ID:z0Ex8Gtw0


さやか「……なんなの……なんだってのよ……」


まどか、ほむらの両方の凶行

そんな異常な状況にさやかの頭が着いて行かず、混乱と恐怖に陥り、頭を抱えてしまう

だが混乱に身を埋める暇などさやかには与えられなかった


さやか「……っ!まどかっ!!」


蹲り、嗚咽を漏らすほむらに、まどかが殺意の矢先を向けたからだった

見つめる表情、矢を構える動作に躊躇いはない。


ほむら「っ!」


その動作に気付いたほむらは体を起こすと、驚きに顔を歪め、目を見開く

そんなほむらの表情にもまどかは一切表情を変えず



まどか「しんじゃえ」



矢を、放った


492 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:23:54.23 ID:z0Ex8Gtw0
ほむら「あ……あ……!」

さやか「……何してんのっ!!まどかぁッ!!」


だが、その凶弾はさやかがまどかを横から押し倒した事で微かに逸れ、ほむらに命中する事はなかった

ほむらは呆然とそれた矢の行き先に目を向ける。するとそこにはコンクリートだというのに大きな穴があき、その威力を証明していた

まどかは、本気でほむらを殺しに来ていた


まどか「放してッ!!放してぇッ!!」

まどか「やっつけなきゃ……さやかちゃんを苛めるのはみんな……みんなぁッ!!」

まどか「私がさやかちゃんを守るんだからぁああああああああああ!!」


涙を流しながら、手と足をばたつかせ、さやかから距離を取ろうとする

そんなまどかをさやかは必死と抱きしめ続けた

これ以上の凶行を止める為に


まどか「あ、あああ!あああああああああああ!!!」

さやか「まどか……まどか!!」


だがまどかの止まる様子はない

さやかはほむらに血相を変えた表情を向け、緊迫した声を掛ける


さやか「逃げて!早くッ!!」

493 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:25:42.79 ID:z0Ex8Gtw0
さやかの声に迷いの表情を見せたほむらだったが、唇を深く噛み締めると、その姿を一瞬で消した

それを見て少しの安堵に浸るさやかだったが、その安堵はすぐに消える。

目の前の、まどかの姿によって


まどか「ううう、あああ!!!」


ほむらが消えた事に気付いていないまどかは、体を激しくバタつかせ、さやかから逃れようとしていた

そんなまどかを強く抱きしめ、さやかは語りかける


さやか「もういいから!ほむらはいなくなったからっ! だから……だからさ……」

さやか「お願い……まどか……!」


さやかの穏やかな口調に、初めは激しく暴れていたまどかだったが、段々とその動きを弱めていった


さやか「大丈夫……大丈夫だから……」


動きが弱まると、さやかはまどかを抱きしめたまま、頭を優しく撫でた

そのさやかの手に、まどかはようやくその動きを止める


さやか「まどか……?」


そして、その姿を元の姿に戻すとさやかの背中に手を回し、その体を抱きしめた

涙に、体を震わせながら


まどか「うう……うううううぅ……!」

まどか「ごめんなさい……ごめんなさい……!」


漏れ始める悲痛な嗚咽

さやかはそんなまどかを抱きしめ、頭を撫で続けた

流れる涙と、体の震えが止まるまで

494 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:32:06.95 ID:z0Ex8Gtw0
まどかが落ち着くと、さやかは歩道橋の近くの公園に、まどかと共に向かっていた

歩道橋を離れる際、投げ出された杏子の亡骸をどうにかしようとは思ったが

混乱した頭では、どんなに考えてもその方法が思い当らなかった。

そして一刻も早くまどかをこの場から離れさせた方がいいという思いから、亡骸をそのままにしてきてしまった

心に、謝罪の言葉を浮かべながら


さやか「……大丈夫?」


公園に着くとまどかをベンチに座らせ、自分もその隣に腰かけた

まどかの体を気遣い、言葉を掛ける。だが、まどかはその言葉に応える事はなく、ただ、下を向き続けていた

そんなまどかの様子にさやかも言葉を失ってしまう

そして訪れる、重い沈黙


さやか(まどか……どうしてあんなこと……)


長く、重い沈黙にさやかの気持ちが段々と落ち着き始め、取り巻いていた混乱も、薄れてきた

だが、その代わりに先程のまどかの凶行への疑問が、さやかの頭を埋め尽くす

―――気が弱くて、優しいまどかがどうして……

そのさやかのまどかへの認識が、疑問を生み出す事に拍車をかけていた


しかし一方で、まどかが苛烈な一面を持っている事は、先のほむらの頬への殴打から解っていた

それでも、あれだけの凶行――杏子の殺害に及んだことにさやかは信じられない気持ちになる

だが、それはまぎれもない事実。

その事実はさやかに思考の逃走を許さない

495 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:41:12.50 ID:z0Ex8Gtw0
まどか「……さやかちゃん」


自分はこれからまどかをどうしたらいいのか。そして自分はどうすればいいのかそんな事を考えていると、まどかが沈黙を破り、さやかに声を掛けた

さやかはその声に穏やかな顔を作り、まどかに向ける


さやか「……ん?」

まどか「……守るから」


突拍子のないまどかの言葉に、さやかは作り上げた表情を崩してしまう


まどか「私が……さやかちゃんの事……守るから……」

まどか「だから……」


それだけ言うと、まどかは顔を手で押さえ、再び泣き始めた

その言葉の意味がわからず、混乱してしまうが

さやかはその涙で震えるまどかの体を優しく抱きしめた

優しく、出来るだけ、優しく


さやか「あんたを守るのは……あたしの仕事でしょうが……」
496 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:43:34.22 ID:z0Ex8Gtw0



そう呟き、さやかは心に誓う


どんな事があってもこの子と一緒にいよう、と


自分の身をもって助けてくれたこの子と


そしてなにより、一番大切な、この


親友と


497 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:44:15.76 ID:z0Ex8Gtw0



私は人を殺した


もう戻れない


だから


だからせめて


守るんだ


さやかちゃんを


苛める人から


大好きな人を











そうしたら……
498 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/22(火) 02:45:35.84 ID:z0Ex8Gtw0
今日はここまで。お疲れさまでした

プロットからずれてきている……だと?

それではまた次回ー
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/22(火) 02:46:11.93 ID:j8vzBmqCo
乙乙
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/22(火) 02:47:54.89 ID:tTAcA1bv0
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/22(火) 02:48:42.53 ID:aQud8Kato
乙ー
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage saga]:2011/11/22(火) 02:49:11.49 ID:scV5bW47o
人殺しちゃった理由を好きな人に押し付けて挙句自主もせず更に殺しまくる気だわ―引くわー
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 02:52:40.60 ID:g5q0NA4A0
まどかイラつくわ
絶望のどん底突き落としてざまあwwしたい気分だ
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県)[sage]:2011/11/22(火) 03:08:30.92 ID:n1PwIgtL0
それしたらさやかちゃんごとこの世界線が終わっちゃう訳でして…
まあどんな結末であれ見届けよう…
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/22(火) 03:23:59.15 ID:AWZXU6ZOo

希望であり自分の支えであったまどかに、弓を向けられたほむらちゃんの精神が心配でならん

俺はこのまどか好きだけどねww
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 04:11:34.81 ID:xk5UQGdDO
行為それ自体はヤンデレだけど泣きながらってのがらしくていいね
罪悪感を感じるような余地はあるように見えたけどさやかを守るという大義名分が救いになってる感じか
期待
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 06:44:18.83 ID:pE2DmO0D0
乙乙
泣きながらっていう部分で泣いた、まどか自身がさやかを殺したせいかもう後には引けない感がヤバイ泣ける
でも罪悪感感じるとSGがマッハで濁るかそこら辺がちょっと心配だ・・・
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/22(火) 06:54:18.84 ID:Frl1XdsAo
乙〜
素晴らしいな。続きワッフル
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 07:11:12.60 ID:EX0nD5RDO
乙〜
自分で最愛の人殺してるってどんな感じなんだろうな・・・
明らかに正気は保てないだろうが
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/22(火) 09:27:42.56 ID:tTAcA1bv0
まどか「さやかちゃんを虐めないで!」
杏子「殺したのお前だろうが!?」(死亡)

理不尽すぎる死に様だな。
苛めていたことには変わりないが。
まどかがバーサーカーすぎる。
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 10:15:34.63 ID:UeUOnReIO
知らずとは言え、大切な人を自分で殺った重みに耐えられなくて暴走してるようにも見える
すごく好きな展開だわ
続きにひたすら期待
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/22(火) 10:51:56.05 ID:2EIrnyXIO
さやかはもう恭介の事考える余裕無いだろうから結果的にはまどか大勝利だろうね…
最後は二人で一緒に心中しちゃいそうな勢いだな
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 10:58:37.90 ID:amA/pFlXo
マミさん死んでもそんなことより恭介だって感じだったのにそうなるかね
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/22(火) 10:59:57.13 ID:Bvv1YRk4o
殺したのはお前だろうがと責めつつまどかの契約を制止しようとする杏子もかなりずれてる
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 11:01:01.91 ID:VlgExJLGo
まどかもう契約しちゃったし、ほむらは時間遡行できるまで身を隠すが吉だな
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/22(火) 11:39:41.12 ID:lKbnqHzk0

でも、これちょっとまどかのさやかへの思いが強かったり、もっと間が悪かったりしたら本編でもあり得た展開だよね
それこそ内面が小説まどかと仮定したら、ほむらがさやかぶっころしたりなんてしたら何が起きても不思議じゃなかった
ほむらはまどかの性格とその周囲を軽んじ過ぎてるからな……
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/22(火) 11:43:28.49 ID:lKbnqHzk0
>>513
死者の復活は出来ない説は結構有力だよ
それにもともとのさやかの願いはそっちだろうし、それが病院の自暴自棄で後押しされたように見える
良くも悪くもさやかって勢い任せだから
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 11:50:49.64 ID:/qJVVbkDO
どこから死者復活の話が出てきた
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 12:38:41.50 ID:1sEIBD0qo
少なくともこのSSじゃ死者の復活はありだよな
魂復元できるんだからそれに抜け殻の修復含めるぐらい容易いだろ?
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 12:39:03.31 ID:EX0nD5RDO
>>516
小説版まどかは自分がさやかへ依存してるのを自覚してたからな
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/22(火) 12:43:58.56 ID:M/y1Cflm0
>>517
奇跡はね、本当なら人の命でさえ購えるものじゃないのよ。それを売って歩いているのがあいつ
って台詞があるから死者蘇生は可能だろ・・・
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/22(火) 12:48:54.23 ID:eZuJctPpo

この杏子はやられてもしかたないかなと思ってたからまぁいいけど・・・
早速ほむらを殺しにかかるとは思ってなかった。上条もこれヤバイな
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/22(火) 13:40:49.11 ID:bGeeGryi0
まどっちが素敵杉る♪ あんこはあれだけ暴言続ければ自業自得でしょ。
さやか!よくぞほむほむを救った!
筆者さん無理の無いようにお願いします。
とにかく無事に貴方の望んだ形で完結していただきたい。
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/22(火) 13:42:50.25 ID:tTAcA1bv0
さやかが上条への返事をどうするか。
これによって上条の運命の明暗を別けるだろう。
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/22(火) 13:59:55.17 ID:FTLq4aFAO
もう戻れないって自覚(後悔の念)があるのが最後の良心・・・か?
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/22(火) 19:02:15.56 ID:lKbnqHzk0
そして、その良心が己をころすのがまどマギだよっ
良い感じにダークな雰囲気になってきて、鬱SS系では久々に楽しみだ

>>521
それにしちゃ不自然な願いや動きをした人が数名いるから言われてるんだけどね
主にほむら辺りか
少なくともこのスレではありでしたな
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/22(火) 20:08:20.90 ID:M/y1Cflm0
>>526
それは新房が魔法少女でバトルロイヤル物(1話に1回ずつ女の子が死ぬような話)
ってことで虚淵に依頼したからだろうよ

「死者の復活は出来ない」のではなく、QBに蘇生を願えば叶うけれど敢えてしていないだけ
対談本にもキャラクターに生き死ににこだわるのはわけがわからない、と言っているし

まぁスレチ
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/23(水) 23:31:18.58 ID:gWXk6RWt0
まぁアレだ、本編は死者蘇生が封印の黄金櫃(アニメ版)で封じられてたんだろ
529 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:12:43.60 ID:zvBC+MW60
――――

朝を告げる、けたたましい音

さやかはそれに目を覚ますと、ゆっくりと体を起こし、その耳をつんざくような音を消す


さやか「……朝……」


さやかは昨日、憔悴しきったまどかを家まで送ると、自分も自宅へと戻り、食事もとらず、すぐに眠りへと着いていた

半ば、眠りに逃げ込むように


窓から差し込む朝日に、ポツリと呟くと、窓へ向けていた視線を、机に移す

そこは、さやかが自分のソウルジェムを置いていた場所


さやか「……まどか」


だが、そこには何もない。

大事な親友が、契約の代価に自分の蘇生を願った事によって

さやかは机から目を反らすと、ベッドから這い出て、リビングのある一階へと降りて行った
530 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:15:21.17 ID:zvBC+MW60
―――


一階に降り、真っすぐリビングへと向かう。

リビングに着くと両親がさやかに何か言い始めたが、それはさやかの耳には届くことはなく、生返事を返した

さやかの態度に諦めたように両親は溜め息を吐くと、さやかに朝食を取るように促した

さやかは頷き、食卓へと向かう


平和な、ある意味いつも通りの光景

さやかはそれに今までの事は全て嘘だったのではないか、とぼんやりと考えた

魔法少女の事も、マミが死んだことも、自分が魔法少女になったことも、自分が死に、その蘇生の為にまどかが魔法少女になったことも、そして


そのまどかが自分の目の前で人を殺した事も。


そうであったらどんなに幸せだろう

さやかは心の底で、そんな幸せな空想を抱いていた

531 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:16:36.05 ID:zvBC+MW60


―――県、見滝原市で、本日未明、少女の変死体が発見されました―――


だが、そんなものはただの空想でしかないと、テレビからの音声に突き付けられる。

すべては現実だと


―――被害者の遺体の損傷は激しく、周りに事故となりえるものの無いことから、警察は事件の方向で―――


さやか「……ごちそうさま」


さやかは朝食をそこそこに逃げるように席を立つ

ほとんど手を着けられていない朝食に、さやかの母は心配の声を掛けるが、さやかはその声に振り向く事はなかった


さやかは自室に戻り、ゆっくりと朝の支度を始める

その際、以前感じた不可解な疑問が浮かぶ事はなく、スムーズに支度を終える事が出来た

何故、不可解な疑問が浮かばなかったのか。それもまたさやかには解らなかった

そしてさやかは家を出て、いつもの待ち合わせ場所に向かい始めた

その足取りは重い。まるで自分の気分を表す様に

これほどまで足の重い日は今日が初めてだった

532 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:18:27.52 ID:zvBC+MW60
――――


重い足取りでいつもの待ち合わせ場所に着くと、既にまどかがそこで待っていた

表情は暗く、髪を纏める事もなく、碌な手入れもしていない


まどか「……おはよう」


さやかに気付くと、まどかは一瞬だけ表情を明るくすると、さやかの元まで駆け寄っていった

さやかはニッコリと笑顔を作り、まどかを迎える


さやか「おはよう。まどか」

まどか「……うん」


そこでさやかはまどかの手入れされていない髪に気付き、その髪に触れる


さやか「今日は髪、纏めてないんだ」


まどかはさやかの声に応えず、悲しそうに顔を歪めるだけだった

そんなまどかの髪を優しく撫でると、さやかはまどかの手を引き、道端へと歩いて行く

まどかはそれに戸惑う表情を見せながら、ついて行った

533 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:20:09.34 ID:zvBC+MW60


さやか「まどか」


道端にある柵までまどかの手を引くと、さやかは自分の鞄から櫛を取り出し、手招きをした

まどかは突然のさやかの行動に、戸惑いの表情を深める


まどか「い、いいよ。それに……遅れちゃう」

さやか「いいよ、そんなの」


まどかの身を引きよせ、背を向けさせると、さやかは手に持つ櫛で乱れた髪をとかし始めた


さやか「女の子なんだから、ちゃんとしないと駄目だぞー」


そのさやかのおどけながらも優しさの籠る声に、まどかは体をぴくりと震わせると、顔をゆっくりと伏せ

ポツリ、と言葉を漏らした


まどか「……ごめんね」

さやか「いいってば」


まどかの謝罪の言葉に、ふ、と笑みを浮かべると、さやかはまどかの髪をとかす事に専念し始めた

訪れる沈黙

その沈黙の中、いつしかまどかの肩は震え始めていた

さやかはそれに気付きながらも、髪をとかし続ける

罪悪感に苦しみ、怯える、親友の髪を
534 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:22:38.23 ID:zvBC+MW60


髪をとかし終えると、さやかとまどかの二人は学校へと向かい始めていた

とっくに始業時間など過ぎていたが、それに構うことなく、二人は寄り添う様にゆっくりと歩く


さやか「まどか」


途中さやかはまどかに顔を向け、声を掛ける

それにまどかはおずおずと顔を向けた


さやか「ほむら……どうするの?」


それは、まどかに抱いていた疑問の一つ。

一度は殺害しようとした相手。もう一度事に及ぶ可能性は十分にあった

まどかはそのさやかの疑問に目を丸くし、自分のした行為を悔いるように背ける

その姿に、昨日のまどかのほむらへの殺意は錯乱によるものとさやかは確信し、これ以上ほむらに危害を加える事もないだろうと安堵した


さやか「そっか。……わかった」
535 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:25:29.28 ID:zvBC+MW60
さやか「あとね……まどか、約束して欲しい事があるの」


続けられる真剣な口調に、まどかは背けていた視線をさやかに戻す


まどか「何……?」

さやか「……必要な時以外、魔法少女の力は使わないで欲しいんだ」

さやか「もう……まどかのあんな姿は見たくないから」


昨日の狂ったように笑うまどかの姿と、その後の憔悴しきった姿が、さやかの脳裏に浮かぶ

まどかはさやかの顔をジッと見つめると、力強く頷いた


さやか「ありがとう」

まどか「うん……あのね、私もさやかちゃんにお願いがあるの」


安堵の笑みを浮かべるさやかにまどかは懇願の瞳を向けた

それにさやかは穏やかな笑みを浮かべ、首を傾げる


さやか「なに?」

まどか「多分……さやかちゃんまた魔法少女になれると思うの」

まどか「だから……もう何があっても……」


まどかの言葉に心臓が跳ねる

自分の考えている事を見透かされたような気がしたからだ

536 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:28:32.67 ID:zvBC+MW60


実際、さやかはキュウべえが目の前に現れたら、すぐにでも契約しようと考えていた

まどかの体を、記憶を、ほむらが転校してくる日の前日まで戻して貰う事を代価にして


もちろん杏子の蘇生も考えた。蘇生し、まどかの殺人を無かった事にしようと

だが、殺したという事実は消える事はなく、まどかの記憶に残り続け、苦しめ続ける。

更にまどかは魔法少女のまま。まどかにこれから立ち向かう事になる危険からは逃れられない

それにこの案はもう手遅れ。既に警察に杏子の死体を発見されてしまった


だったら、何もかも忘れて、体の全てをほむらの来る前日まで戻せば、まどかは襲い来るであろう全ての苦しみから解放される

殺したという事実は変わらぬモノとなってしまうが

その選択はもちろん逮捕の危険は残る。だが、あの状況で、どうしてまどかが殺したという判断が出来よう

杏子の死因は体に大きな穴を開けられた事。とても女子中学生がやったとは思えない。更に、魔法により、物的証拠もゼロ

加えて、あの時周りの人気は無かった。それにもし、誰かが見ていたとしても、誰がその証言を信じるだろう

女子中学生が、何処からともなく弓を取り出して、光線で人を貫いた、など

537 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:30:09.40 ID:zvBC+MW60
まどか「さやかちゃん……?」


なかなか返事をしないさやかに不安になったまどかは、おずおずとさやかの顔を覗き込む


さやか「それは……」

まどか「駄目だよっ! さやかちゃんがまた魔法少女になったら、私……!」


瞳に涙を溜めるまどかに、さやかはこれ以上言葉が出なくなり、黙りこむ

そんなさやかにまどかは縋りつき、言葉を続ける


まどか「私は大丈夫だから……」

まどか「お願い……守るから……さやかちゃんも、みんなも……守るから……!」


そこでまどかも言葉を失い、肩を震わせ始める

―――あの時、まどかもこんな気持ちだったのかな

泣き続けるまどかを目の前に、さやかは自分が魔法少女になった時のまどかの気持ちを、思い知らされていた


震えるまどかの体を抱きしめる

通行人がことごとく好奇の視線を向けてくるが、さやかはそれらを気にも留めなかった


さやかはまどかが泣きやむまで抱きしめ続けたが

結局、まどかに約束の返事をする事はしなかった
538 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/25(金) 01:32:07.87 ID:zvBC+MW60
今日はここまで。お疲れさまでした

説明しきれてない説明回……のような

それではまた次回ー
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/25(金) 01:35:01.50 ID:D7xlLuKRo
乙乙

せめて、ほむらとは和解して欲しい…
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/25(金) 03:58:43.00 ID:tUUT3pgG0
約束できてないのが最後に響きそうで怖いな…
ほむほむ…強く生きろ。
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/25(金) 05:47:23.27 ID:mu2pKseEo

できなかったじゃなくて、しなかったってのが気になる…
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/25(金) 07:54:00.33 ID:UJnLa7BDO
乙カレー
親友に嘘は付きたくなかったのかな
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/25(金) 09:26:57.82 ID:DEuKpCzX0

どうなる? 続きが楽しみ
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/25(金) 10:01:20.24 ID:UZH3vf9f0
ほむさや来い!!
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/25(金) 11:16:50.05 ID:BCDqEwoV0
お互いに相手の態度で読み取ってるから自分の都合の良い解釈してた時が恐ろしいな
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/25(金) 15:51:11.64 ID:fCeDci1DO
いいね
ヤンデレ化しといて後悔する辺りがまどからしい
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/11/25(金) 22:09:33.02 ID:00xFylhU0
いいねいいねー
というかどんどんまどかよりになってくさやかはこのまま行くと相依存の関係になったらそれはとっても嬉しいなって
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/28(月) 14:59:48.61 ID:PI8sPGco0
ヤンデレまどかがかなりいいね
杏子とさやかが仲良くなるのは見たかったけど
色々wktkしすぎて辛い
549 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/11/29(火) 00:12:20.68 ID:6BNJ6Q6N0
――――

さやかはまどかの流れる涙が引くまで待つと、まどかを連れ、再び学校に向かい始めた

途中、何度もまどかはさやかに不安に揺れる瞳を向けたが、さやかはただ曖昧な笑みを返すだけだった

その揺れる瞳の意味を知りながら


そうして学校まで到着すると、二人は自分たちの教室へ向かう

丁度、授業と授業を挟む休憩時間だったようで、途中の廊下では、友人と談笑する者や、他の教室に移動する生徒で溢れていた

いつもの風景、何も変わらない光景

その中を二人は寄り添い歩く。妙な違和感に包まれながら

それはまるで、知らない外国の路地裏に放り込まれ、歩き回るような感覚だった


そうして二人は教室に着く

次の授業の時間が迫っていたが、さやかはそれに気に留める様子を見せる事は無かった

そのままゆっくりと教室のドアを開ける
550 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:14:07.50 ID:6BNJ6Q6N0
まどか「あ……」


途端、授業に備える為に座っていた、ほぼすべてのクラスメイトが、一斉にその目を二人に向けてきた

映る色は、好奇。

とても愉快と言えるものではなかった

不愉快な視線と、聞き取ることのできないひそひそとした声の中、二人はそれぞれの席へと向かう

その途中、さやかはほむらの姿を探し、その席へと目を向けた

だが、その席は空白


―――そりゃそうか


昨日、その命を奪われそうになったのだ。来るわけがない

ひとつ溜息を吐くと、さやかは自分の席に着く

それと同時に、授業の開始を告げるチャイムが鳴り響き、担当の教員が教室へと入ってきた

551 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:15:49.15 ID:6BNJ6Q6N0
―――――

まどか「さやかちゃん」


昼休みを告げるチャイムと同時に、まどかがさやかの元へ駆け寄って来た

ニコリとさやかは笑みを返す


その姿に、周りの生徒が二人に好奇の視線を向ける。

―――良く飽きないな

その不愉快な視線は、二人が教室に着いてからずっと続いていた

授業をいくつか挟んだにも関わらず、だ

うんざりとさやかは溜息を吐き、席から立ち上がると、まどかの手を掴む


さやか「行こう」

まどか「え、あ……うん」


さやかに手を掴まれたことで、慌てる様子を見せるまどかだったが、

すぐに表情を嬉しそうな笑みに変え、その手を握り返した

それを確認し、さやかがその手を引こうとした時


「さやかっ」


教室に一人の男の声が響いてきた

さやかの想う、男の声が


552 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:17:26.85 ID:6BNJ6Q6N0
さやか「……恭介?」


その声の方にさやかが顔を向けると、松葉杖を突き、さやかの元へ向かってくる上条が目に入ってきた

そのさやかの視線に、上条は嬉しげな笑顔を見せる


上条「やあ。さやか」

さやか「え、きょ、恭介?ど、どうして学校に?」


周りの生徒が上条とさやかの様子に、先程とは違った好奇の視線を向ける

それに気付かず上条は、顔を朱に染め、落ち着かない様子を見せるさやかに、呆れた笑みを浮かべた


上条「退院したから決まってるじゃないか。 ……というかさやか、僕が退院したの知ってるだろ?」

さやか「あ、そ、そっか。そうだよね。あは、あははっ」


恥じる様子を見せるさやかに、上条は悪戯っぽく微笑む


上条「大丈夫?さやか」

さやか「だ、大丈夫だよっ!もう……」
553 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:18:47.48 ID:6BNJ6Q6N0

さやか「そ、それで?どうしたの?」

上条「ああ、それはね……」


恥じかしさに顔を染めるさやかに、上条は持っていた包みを掲げた


上条「一緒にご飯食べようと思ってさ。どう?」

さやか「い、一緒に?」

上条「うん。……嫌かな?」


突然の誘いに驚き、さやかは忙しなく目を彷徨わせると、不安げに首を傾げる上条に、その上目を向ける


さやか「い、嫌じゃないけど……どうして?」

上条「ど、どうしてって……それは……一緒に食べたいから……だよ」


そう答える上条はどこか恥ずかしそうだった

それにさやかも、それに感染されたように顔を俯かせる

だが


上条「それにさやか……やらなきゃいけない事があるんだろ?」

上条「だから、こういう時間しか一緒にいられないだろうって思ったし、さ」

554 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:20:43.47 ID:6BNJ6Q6N0


やらなきゃいけない事。

その上条の言葉にさやかの感じていた浮ついていた気持ちは一気に吹き飛び、さやかは自己嫌悪に目を伏せる

―――まどかが大変だっていうのに


一変したさやかの様子に上条は違和感を感じ、心配に顔を歪めた


上条「……どうしたの?」

さやか「……恭介。……え?」


すまないと思いながらも、さやかはまどかの事を思い、恭介の誘いを断ろうとした時、

握っていまどかの手がするりと離れ、まどかが、さやかの前に出る

そしてそのまま、上条の前まで駆けていくと


さやか「まど」






上条を、思い切り突き飛ばした
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/29(火) 00:21:52.76 ID:8yDkEWJf0
ちょwwwwww
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/29(火) 00:22:39.16 ID:wxVizBRl0
豪快すぎんだろwwwwwwww
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/29(火) 00:24:18.29 ID:77WoUgsVo
そのままマウントしそうな勢い…
558 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:24:50.52 ID:6BNJ6Q6N0


突き飛ばされた上条は、松葉杖ではバランスを取り切れず、机に頭をぶつけ、その身を固い床に倒される

さやかがまどかの突然の行動に呆然とし、クラスメイトが騒然となる中、まどかが半狂乱になって喚き、叫ぶ


まどか「あなたなんかが……さやかちゃんに近寄るなぁッ!!」

まどか「何も知らない癖にッ!!何も……何もぉッ!!」

まどか「それなのに、それなのになんでなのぉッ!!」


倒れ伏す上条に、まどかは言葉をぶつけ続ける

溜めてきた暗い思いを、吐きだす様に


上条「う……」

さやか「っ! 恭介っ!!」


呆然としていたさやかだったが、上条の頭の机にぶつけたところから血が流れ始めたの目にした事で、正気に戻る

そしてすぐさまさやかは上条に近寄り、血が流れる部分に自分のハンカチを押し当てた


まどか「あ……」


その姿に、まどかは突然喚くのを止め、目を見開く

見たくないものを、見せ付けられたように

559 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:26:42.63 ID:6BNJ6Q6N0


さやか「大丈夫!?恭介っ!?」

上条「あ、ああ……なんとか、ね……」


無事と返事を返す上条だったが、流れる血はおびただしい量になっていた

それを見たさやかは、怒りを露わにして、まどかを睨みつけた


さやか「まどかぁッ!!」

さやか「あんた……何してんのよぉッ!!」


今まで見た事のないさやかの怒りに歪んだ顔に、まどかは体をびくりと震わせると

瞳から涙を溢れさせ、その場から走り去ってしまった


さやか「あ……! まどかっ!」


その表情に一瞬で冷静に戻り、呼びとめたさやかだったがが、まどかの足は止まる事は無かった

上条の傷を押さえながら、さやかは後悔と、困惑に顔を伏せる


さやか「まどか……どうしちゃったのよ……」
560 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:28:17.43 ID:6BNJ6Q6N0

上条「……さやか……?くっ……」


上条の苦しむ様子にさやかはハッとその顔を上げ、周りの生徒に必死な声を掛ける


さやか「っ!……ごめん! 誰か、誰か保健の先生呼んできてッ!!」


その声を聞いた一人の生徒が教室を出ていく

さやかはそれを確認すると、上条とさやかの二人を遠巻きに見る生徒たちの中、保健室医が来るまで上条の傷を押さえ続けた

走り去ったまどかの行方とその身の心配、そして先程の行動の理由に頭を悩ませながら
561 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:30:40.39 ID:6BNJ6Q6N0
今日はここまで。お疲れさまでした

なかなか進まない……地の文は時間がかかるなぁ

次回はなるべく早く投下したいです

それではまた次回ー
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 00:33:02.34 ID:g7jpTGWco
乙〜
精神的に病んでますなぁ……だが、そこが超良い
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/29(火) 00:34:24.00 ID:8yDkEWJf0

この波乱がたまらない。
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 00:36:14.85 ID:GdgkhOuS0
乙です。無理しない程度に頑張ってください。

とりあえず即死じゃなくてホッとしたわ…。
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/29(火) 00:37:12.07 ID:wxVizBRl0
乙ほむ
恭介視点でみると理不尽展開だなww
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 00:37:58.44 ID:Bd3txAwXo
まろかがどんどん孤立してゆく・・・
567 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/29(火) 00:42:14.57 ID:6BNJ6Q6N0
書き忘れました。アンケートなんですが


これからほむら視点を途中に挟んでいくか

この話が終わったら、謎解きのような感じで書いていこうか


迷っているんですが、どちらの方がいいですかね?

前者だと、結末に行くまで遅くなってしまいますが、ほむらが何してたかわかります

後者だと、結末まで早くなりますが、最後までほむらが何やってたかわかりません


意見を聞かせてくれると嬉しいです
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 00:44:25.40 ID:g7jpTGWco
書かない理由が存在しない。前者一択
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 00:46:28.56 ID:Bd3txAwXo
面白そうなので後者で。
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/29(火) 00:47:05.18 ID:LN8ymEbbo
色々見てみたいから個人的には前者がいいな!
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]:2011/11/29(火) 00:48:04.90 ID:cmuPAp5Lo
完全放置は寂しいし伏線挟みつつ後者の展開で
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/11/29(火) 00:48:17.49 ID:8yDkEWJf0
前者のほうが安定かな
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/29(火) 00:48:45.27 ID:U9uh8d5ho

朝抱きしめあった後のこのさやか。
まどかがどんどん壊れていくなww
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/11/29(火) 00:50:20.10 ID:U9uh8d5ho
感想書いてるうちに新しいレスが。
前者で見たいです。
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 00:51:13.70 ID:FXIpMNsIO
前者がいいな
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 00:51:19.97 ID:GdgkhOuS0
前者希望です。最後までもらえれば何も不満はありません。
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage]:2011/11/29(火) 01:20:48.90 ID:3h5evJ/u0
後者がいいな
文脈から想像する方が面白そう
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/29(火) 01:28:41.21 ID:2bi4rmLko
前者が良い
これ以上ハラハラを増やすと読んでてキツそう…
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/29(火) 01:30:59.15 ID:wxVizBRl0
後者が良いな、テンポ崩すのはちょっと・・・
ほむら篇で別視点から眺めるのも一興
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 01:41:53.61 ID:ePV8hXaM0
前者かな
ほむほむの心情も知りたいし、なによりこのSSはかなり面白くて毎回wktkできるので結末までゆっくり楽しみたい
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県)[sage]:2011/11/29(火) 02:37:30.57 ID:GXMDpAIDo
後者が面白そう
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 04:58:19.69 ID:sLpH5UODO
これ読んでる奴マナー悪すぎ
投下の最中に書き込むな馬鹿 ニコ厨かよ
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮崎県)[sage]:2011/11/29(火) 05:53:03.35 ID:vQuLA92p0
後者で
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/29(火) 06:49:42.44 ID:bwGX3Td3o
乙です
胃が痛くならないように前者で
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/11/29(火) 06:51:02.53 ID:hJCEXKT2o
乙乙

ほむらについては任せます
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東日本)[saga sage]:2011/11/29(火) 07:06:37.92 ID:CDbhOL2v0
前者で御願いします
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 07:12:11.80 ID:ZnB22vL9o
どっちでもいいです
書きやすいやり方を選んでください。
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県)[sage]:2011/11/29(火) 07:13:48.21 ID:LAyd+rg4o
後者で
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 07:44:59.18 ID:VlshbZnDO
ひぐらしみたいな解答編ってことで後者でいいんじゃない?

それよりも>>1が書きやすいほうで、だが
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 09:07:13.11 ID:J4qooylMo
後者
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 10:21:21.63 ID:5K/zQJ2DO
どっちでもいい。>>1が望むように書いてくれ。
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 12:12:26.68 ID:NyHmWFFSO
今の勢いを大事にしたいので後者
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 13:00:17.33 ID:6lcdNRS5o
後者も捨てがたいけど
前者でオナシャス
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 13:13:47.03 ID:xUFS4ie8o
後者がいいかな〜
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 13:39:55.99 ID:XnSqTBDPo
前者
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 15:16:07.52 ID:5K/zQJ2DO
前者
後者は考察厨が来てgdgdになる可能性がある
後者にする場合は読んでる人のレスに動じない自信があれば、だな
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 16:19:57.39 ID:kaStNKBDO
ほむらちゃんもっと見たいので前者で
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 20:18:05.77 ID:oVWTCzRN0
物書きの経験上前者の方が難易度高いうえに書きづらいから後者で
まずは一部完結させてからやったほうがよいかと
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/29(火) 21:12:57.73 ID:Ve0PzahSO
後者かなぁ
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 21:16:16.08 ID:g7jpTGWco
ごめん。盛大に勘違いしていた
>>568は後者でお願いします
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/11/29(火) 22:41:53.75 ID:bwGX3Td3o
よく考えたら長さにもよるなぁ
長ければ前者、短ければ後者で
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/30(水) 01:56:44.53 ID:ZyDuFl3DO
前者でじっくり読みたい
603 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/11/30(水) 03:23:27.35 ID:FEFRDtoa0
アンケートのご協力ありがとうございました


結果は……同率です!


というかレス数の多さにびっくりしてます。……以前にもたくさん頂きましたが

こんなにも読んでくれる人がいて、本当にありがたく、嬉しく思ってます


結果は同率でしたが……結論として後者の方で行きたいと思います

ちょっとこれからリアルが忙しくなってくることが分かりまして……

不安定な投下になる前に、早めに結末まで行って、空いた時間にちょこちょこほむら編を書いた方が、焦らさなくて済むかな、と


前者と書いてくれた方には本当に申し訳ない

その代わり、と言ってはあれですが、頑張ってこれを書き上げようと思います


それではまた次回ー


604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/30(水) 03:32:48.56 ID:cOsb/KL00
前者派だったから少し残念だけど、>>1が書きやすい方が1番いい
まあゆっくり書いてくれよ、乙
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/30(水) 03:45:50.63 ID:ZyDuFl3DO
あら残念
答え合わせのほむら編が不定期になると逆に焦らされそうな気がw
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/30(水) 06:52:39.76 ID:jMYtcMYDO
後者か、なら頼むから考察レスとかで荒れたりしてもスルーして完結させてくれ。
vipじゃないとはいえ考察厨展開予想厨は出てくるだろうからな、
頼むからそれらに対するスルースキルは持っていてくれよマジで
これgdgdになって終わったらマジで詰むわ
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/30(水) 06:57:09.43 ID:WyfCLJCHo
把握ワッフル
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/30(水) 21:00:40.70 ID:VRRAt2iso
おぉ 楽しみだ
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/01(木) 09:06:19.58 ID:/hSgv4BQo
バッドエンド行くと見せかけて、ほむらが暗躍してハッピーエンドにいくんだよな…?
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/01(木) 10:10:27.15 ID:nDqDlq0DO
ほむら暗躍って嫌な予感しかしねぇ・・・
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/12/01(木) 22:57:05.49 ID:ooeJcsJz0
ほむらちゃんはグッドエンド目指してるけど悪手打っちゃうドジッ子だしな…
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/12/02(金) 00:47:12.59 ID:WS0jH17AO
俺だったらとっくに巻き戻してるわ・・・契約以前に見てられないし
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/12/02(金) 01:08:48.50 ID:UCG/fyI2o
好きなタイミングで戻せると思ってる奴まだいたのか
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/12/02(金) 01:38:44.80 ID:jJfABsfxo
ほむほむの盾は砂時計になっていて、砂の流れを止める=時間を止めることができる
砂が全て落ち切るまではひっくり返せない
だったか?

ほむほむこれからどうするんだろうな
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/12/02(金) 02:09:43.92 ID:WS0jH17AO
>>613
すっかり忘れてたわ、スマン。
616 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:24:50.45 ID:pk7vON/k0
―――


教室から逃げ出したまどかは、一人、校舎裏で膝を抱き、蹲っていた

上条を突き飛ばし、怪我をさせてしまった事への後悔と、罪悪感。

そして、あんな事をしてしまった自分への恐怖から


まどか「……私……」


さやかと楽しそうに話す上条を見た瞬間、

まどかは自分の奥底から、暗く、ドロドロとしたものがせり上がってくるのを感じていた

それは次第に自分を満たしていき、さやかが上条に幸せそうに笑ったのを見たのを皮切りに、満ちきったそれは、まどかの何かを壊してしまった


まどか「……さやかちゃん……」


涙を流しながら、自分の膝を強く抱きしめ、大切な人の名前を呼ぶ

許しを請うように、助けを求めるように


だが、そんなものは届くわけがなかった

617 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/02(金) 02:26:02.45 ID:pk7vON/k0


膝に顔を埋め、再び暗い思考の海に落ちようとした時

突然まどかの目の前から、声が掛かった

感情の籠らない、冷たい声が


「まどか」


その声に驚き、まどかは涙で濡れた顔を上げると、一人の魔法少女が、冷たい目でこちらを見降ろしていた

そしてその姿を見て、目を見開き、漏らす様に呟く


まどか「……ほむら……ちゃん……」


一度、その命に手を掛けようとした、少女の名を

618 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:27:49.18 ID:pk7vON/k0
―――――


さやか「……大丈夫?」


その後、すぐに保健室医が教室まで駆けつけると、上条を自分の仕事場まで連れて行き、簡単な処置を行った

保健室医曰く、派手に出血しただけで、それほど重症ではないとのこと

それでも万が一の事を危惧し、保健室医は上条を病院に送る為、自分の車を用意しに行った


保健室のベッドに横たわる上条に、ベッドの近くの椅子に座るさやかは心配な面持ちで声を掛ける


上条「うん、大丈夫」


そんな不安がるさやかを安心させるように、上条は穏やかな笑みを見せ、頷いた

大丈夫だ、と上条は言ったものの、頭に幾重にも巻かれる包帯に、安堵の感情などさやかには湧いてこなかった


上条「大丈夫だって。この前遭った事故に比べれば、このくらいなんてことないよ」

さやか「うん……」


浮かない表情を浮かべるさやかの為に言葉を重ねる上条だったが、さやかの表情は一向に晴れる事はなかった

そんなさやかにどうしていいか解らず、上条は言葉を失ってしまう
619 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:29:12.14 ID:pk7vON/k0


重たい沈黙


上条「……鹿目さん、どうしちゃったんだろうね」


しばらくの沈黙の後、上条がポツリと呟く

その呟きにさやかはビクリ、と体を震わせると、ゆっくりと首を振った


まどかの突然の凶行

それにさやかはいくら頭を悩ませても、その答えに辿り着く事は出来なかった

頭の中に、どうして、何故、という言葉がクルクルと回り続ける


杏子を手に掛け、ほむらまで手を掛けようとし、更には上条までをも怪我をさせた

杏子、ほむらを手に掛けようとした事。

やり過ぎにしても、その理由を、いままでの二人の行動、そして、まどかの向ける感情、秘めたる苛烈さから想像できない事はなかったが

上条を突き飛ばし、怪我をさせた理由は、どんなに考えてもさやかには想像も着かなかった
620 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:31:54.52 ID:pk7vON/k0


疑問が、不信に繋がっていく


信じたい気持ちが、消え始める


あの時の誓いが綻びを見せ始める



さやかはそれらを振り切るように、自分を奮い立たせるように、首を激しく振り、席を立った


上条「さやか?」

さやか「ごめん、恭介。あたし、まどかの事探してくる」


突然立ち上がったさやかに驚きの表情を浮かべる上条だったが、さやかの決意に満ちた瞳に、その表情を真剣なものにする


上条「……責めに行くのかい」

さやか「違う」


力強く首を振る
621 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:33:36.23 ID:pk7vON/k0


さやか「信じたいの。あの子の事」


さやかの真摯で、力強い瞳に、上条は一瞬だけ寂しげな表情を浮かべると

優しい笑みを浮かべ、頷いた


上条「……わかった」

上条「……理由が聞けたら僕にも教えてくれるかい?」

さやか「うん」

上条「ありがとう。それじゃあ……」

上条「行ってらっしゃい」

さやか「行ってきます!」


そう言うと、さやかは上条から背を向け、駆けだした

一番大切な、親友の元へ


上条「……さやか」


さやかが去った後に呟く上条の声は誰にも届くことなく、霧散した
622 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:36:03.56 ID:pk7vON/k0
――――――


さやか「まどか!! ……まどか!!」


校内を駆けずり廻りながらさやかはまどかを探し、その名を呼び続ける

そんなさやかに周りの生徒達は奇異なものを見る目を向けるが、さやかはそれを気にも留めなかった


さやか「まどか!どこにいるの!!まどかぁっ!!」


呼びかけ続ける。

疑問が不信に変わらぬよう、信じたい気持ちを見失わぬよう、誓いに綻びを来さぬよう

さやかは必死と呼びかけ続ける


さやか「まどか!!!」


自分の教室、まどかの所属する手芸部の部室、使われていない教室

まどかの居そうな所を探しまわる

だが、どこにもまどかは居なかった


さやかの脳裏に自分が怒りの瞳を向けた時の、まどかの悲しげな表情が浮かぶ

それが、さやかの心に焦りを生み始めていた


やがて昼休みを終えるチャイムが鳴り響く


授業が始まってからも、さやかはまどかを、声を抑え、探し続けた

623 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:36:52.69 ID:pk7vON/k0


さやか「はぁ……はぁ……」


校内を粗方探し回ったが、結局まどかが見つかる事はなかった

さやかは立ち止り、焦りと、切れる息の中、必死とまどかの行方を考えた

校内でもない人気のない場所、さやかの最後に思いついた場所は


さやか(……校舎裏)


息を整えぬまま、さやかは再び走り出した


624 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:40:34.74 ID:pk7vON/k0
――――


さやか「まどか……!」


さやかの予想は当たっていた

向かった校舎にまどかは確かに居た


さやか「え……」

さやか「……ほむ、ら?」


魔法少女の姿をした、ほむらと共に。

息を切らせるさやかにほむらは冷たい一瞥だけくれると、すぐにまどかに向き直り


ほむら「行きましょう」


そう言って、手を差し伸べた


さやか「なんであんたが……ここに……」


あり得ないと思っていた組み合わせに、さやかは混乱を覚えつつも、切れる息で、必死に疑問をぶつける

だが、ほむらは、それに答える事はなかった


その間にまどかはほむらの手を取る。

そしてさやかに悲しげな瞳を向け、頭を下げた


まどか「……ごめんなさい」

さやか「まどかっ!?」
625 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:41:51.34 ID:pk7vON/k0






その直後、まどかとほむらの二人は、一瞬でその姿を消した






626 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:42:41.07 ID:pk7vON/k0


さやか「……は?」


一人残されたさやかは、呆然と立ち尽くしていた


さやか「は?……意味わかんない」

さやか「ねぇ……まどか? ……まどか!!」


フラフラとまどかの立っていた場所まで歩いて行き、まどかの姿を探す

だが、そんなものはどこにもない


さやか「なんなの……ねぇ……」

さやか「何なのよぉッ!!!」


喉が引き千切れんばかりに叫んだ言葉

だが、それに答えるものは


誰もいなかった


627 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/02(金) 02:48:00.92 ID:pk7vON/k0
今日はここまで。お疲れさまでした

>>606
大丈夫ですよ。何言われても結末は変えるつもりはないですから!


本編、もうすぐ終わるかも……しれません

それではまた次回ー
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/12/02(金) 02:51:50.62 ID:UCG/fyI2o
乙乙

まどっちそれは拙いぜ
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 03:00:52.08 ID:U/mntydt0
えー…
アニメ本編と違う展開になってくれると期待してるんですが…
まどかとさやかが離れたら案外普通なSSになりそうですね。
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage]:2011/12/02(金) 03:04:43.10 ID:VhtfZAmq0
>>629
違う結末にしかなりそうになくないかこれ
てか普通なSSて…
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/12/02(金) 03:10:56.45 ID:7pzLlRwLo

どうやってまどかを説得したのか
早くほむら編見たくなるね

もう最終回近いのか。なら後者でもよかったかな
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/12/02(金) 06:39:55.66 ID:W/cyNZvao
乙〜
さてさてどうなる……
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 08:35:47.40 ID:sgz/6hgVo
皆殺しルート期待してたけど、意外に穏便に終わりそうなのね
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/12/02(金) 10:00:46.51 ID:U/+lduGv0

続きがどうなるか楽しみだ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/12/02(金) 10:16:19.65 ID:erAJ3tTb0
乙です。
ほむらがまどかを擁護して…アニメのある周回と似た感じで終わるのかも。
自分も惨劇を期待してたんですけど(ぁ
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 10:58:15.96 ID:dDv0oepDO
自分の期待してた内容と違ったからってそういうレスすんのやめようぜ・・・
>>1の書きたいように書かせろよ、書きづらくなるだろ。
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 11:05:57.75 ID:pn55y0PX0
乙乙
楽しみに待てるよ
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/12/02(金) 12:06:30.33 ID:erAJ3tTb0
スマヌ…
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 12:27:13.83 ID:jMQi+X7DO
とりあえずさやが着々と死亡フラグを立てていてドキドキだww
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 19:49:58.18 ID:Y0JLdnnAo
露骨な死亡フラグは生存フラグにもなりうる
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 22:12:42.44 ID:LwRAd5u+0
例:お前を[ピーーー] ←確実な生存フラグ
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/03(土) 17:49:22.12 ID:7pg7LEiDO
絶対絶命のピンチ→絶対生還のフラグ
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/12/04(日) 01:28:02.62 ID:asDMwYfp0
>>1乙 なんだろう ほむほむに、まどかを寝取られたみたい…
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/12/04(日) 15:14:02.67 ID:Nc4g152Do
美樹さやか 死亡確認
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/12/04(日) 15:50:26.31 ID:4qqaU99AO
このSSで一回死んでるけどなww
646 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/07(水) 01:37:59.09 ID:266SMwqu0


その後も、さやかはまどかの姿を探し続けた

校内、校外、学校の周囲まで

会って、自分の抱える疑問を、抱える想いをぶつける為に


だが何処にもまどかの姿を見つける事は出来なかった


日が傾く頃、さやかは途方もない消失感と疲労感の中、自分の教室に戻ってきた

とっくに一日の授業が終わっている為、教室の中には当然誰もいない

その中にさやかは入り、ゆっくりと自分の席まで歩くと、顔を向ける


荷物が置き去りにされたままの、まどかの席に


さやかは自分の荷物を取ると、まどかの席に近づいて行き、その目の前に立つと


さやか「……馬鹿」


そう呟き、彼女の席をしばらく見つめたあと

教室を後にした

647 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:39:23.38 ID:266SMwqu0

――――


……どうして居なくなっちゃったの?

言いたい事も、聞きたい事も、たくさんあったのに

あんたが言えなかった事も、あんたの抱えてた気持ちも、全部話して欲しかったのに


あの時、遠慮しないで言い合えていれば……


会いたい

聞きたい

話したい

全部。何もかも、全部



……いや



会ってやる

聞いてやる

話してやる

あんたが嫌がったって、絶対聞いてやる!

全部。何もかも、全部!


見つける

絶対に見つけてみせる!


待っててよ


まどか


―――――――

648 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:40:49.00 ID:266SMwqu0


さやか「いない、か……」


まどかが居なくなってから二日経った。

その間もさやかはまどかを探し続けたが、一向に見つかることは無かった

彼女の家にも訪れたが、二日前から家にも戻っていないようで、彼女の両親も酷く心配していた。


さやか「……馬鹿」


その時の事を思い出し、暗い路地裏の中、ぽつりと呟く

何処にもまどかが見当たら無いことから、さやかは当てずっぽうに探すのを止め、今いる路地裏のような人気の無いところ―――魔女の居そうな所を探し回っていた

もし、魔法少女でもない自分が魔女空間に飲み込まれれば、ただではすまない。

それを知りながら、さやかはまどかを探し続けていた

それほど、さやかはまどかに会いたかったのだ
649 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:42:45.75 ID:266SMwqu0


その後も暗い路地裏を探し続けたが、結局ここでもまどかを見つける事は出来なかった

深いため息を吐き、肩を落とす

そしてここから去ろうと踵を返した時


「美樹さやか」


さやかの後ろから冷たい、聞き覚えのある声が聞こえてきた

その声に急いで振り向き、視線を向けると


さやか「ほむら……!」


まどかを連れ去った張本人が、さやかに冷たい視線を向けていた

その存在にさやかは怒りの籠る表情を見せる
650 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:44:35.11 ID:266SMwqu0


さやか「あんた……まどかを何処へやったっ!!」

ほむら「答える必要はないわ」

さやか「答えろっ!!」

ほむら「二度も言わせる気?」


さやかの怒りの表情とは対照的に、ほむらは冷静で、呆れた表情を見せる

その舐めた様な態度にさやかの怒りは助長されていく


さやか「……答えろって言ってんでしょうがぁッ!!」


怒りが抑える事が出来なくなったさやかは、ほむらに掴みかかろうと駆けだし始めるが


さやか「……え」

ほむら「答える必要はないと言ったわよね」


ほむらが嘲りの視線を向けてきたと認識した瞬間、さやかの目と鼻の先にほむらが現れ

足払いを掛けられたことで、足を止められ、転倒してしまう

651 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:45:50.43 ID:266SMwqu0

さやか「くっ」


急いで身を起こしほむらを睨むさやかだったが、そんな彼女にほむらはただ、呆れた視線を向けていた


ほむら「止めてくれないかしら」

ほむら「こんなことする為に、わざわざあなたの前に出てきたわけではないもの」


溜息一つ吐き、地面に倒れるさやかに言葉を降らせる


さやか「だったらなんの!」

ほむら「伝言よ。……まどかのね」


怒りの感情を滲ませていたさやかだったが、まどかという言葉にその感情のなりを潜めさせる


さやか「まどか……の?」

ほむら「……ええ」

652 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:47:50.78 ID:266SMwqu0


さやかの様子が落ち着いたのを確認すると、ほむらはさやかから顔を反らし、淡々と語り始めた


ほむら「……迷惑だからこれ以上私を探さないで」

ほむら「これからあなたの前に現れる事はないし、たとえ私を見つけとしても、絶対にあなたの所には戻るつもりはない」

ほむら「だからもう私の事は放っておいて」

ほむら「さよなら。さやかちゃん」


ほむら「……だ、そうよ」


そう言葉を切ると、ほむらは逸らしていた顔をさやかに向け、その様子を窺った


さやか「それだけ?」

ほむら「ええ」


ほむらの話を終える頷きに、さやかは顔を伏せ、表情を影に落とす

その姿にほむらは遠目では解らぬ程度に、口を笑みの形に小さく歪めた

653 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:49:00.64 ID:266SMwqu0


さやか「……なら、あたしからも伝言頼むわ」


だがその歪みも、すぐに普段の一文字に戻されてしまう

顔を上げたさやかの、強い意志の籠もる瞳によって


ほむら「……何かしら」


その瞳にほむらは忌々しげに目を細め、首を傾げた

そんな態度を気にする様子もなく、一つ呼吸を置き、さやかは語り始める

自分の覚悟と、その思いを


さやか「……あんたに話したいこととか、聞きたいこと、いっぱいあるんだ」

さやか「あたしの思ってることとか、あんたの抱えてる思いとか、沢山」

さやか「だから、あたしはあんたに会う事、絶対に諦めない」

さやか「あんたが出て来ない限り、あたしは魔女の居そうな所を回り続ける」

さやか「……それが嫌だったら、さっさとみんなの……あたしのところに戻ってきて」

さやか「待ってるから」

さやか「いや……見つける」

さやか「あんたがどんなに嫌がったって、絶対にあんたを見つけ出して見せる」

さやか「絶対に、絶対にあんたのこと、諦めないから!」


そう締めくくり、さやかはこれまで以上に目を細めるほむらの顔を強く見つめた

654 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:51:34.83 ID:266SMwqu0


ほむら「……終わり?」


その言葉にさやかは力強く頷く


ほむら「そう。……伝言、確かに受け取ったわ」


そう言うとほむらは腕を抱くように組み、さやかを見据えた


ほむら『美樹さやか』

さやか「なっ」


その直後、さやかの頭に直接声が響いてきた

突然のテレパシーに驚き、疑問を抱きながらも、さやかはその声に自分の声を返す


さやか『……なによ』

ほむら『今の伝言でまどかに会いたいという気持ち、痛い程伝わったわ』

さやか『だから、何だってのよ……』



ほむら『会わせてあげましょうか』
655 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:54:15.96 ID:266SMwqu0


その言葉にさやかは目を丸くした

まどかを連れ去った本人がそれを言うとは思わなかったからだ

差し出された希望に、一瞬だけ心を躍らせる


さやか『……条件があるんでしょ』


だが、ほむらがただでそんな事を言うとは思えず、すぐにさやかは疑念に心を沈ませた


ほむら『察しが良いわね。そうよ』


その疑念にすぐにほむらは肯定した

さやかはその予想通りの答えに小さく溜息を吐く


さやか『……それで?条件は?』

ほむら『ええ。それは……』


一瞬の間


ほむら『契約して欲しいの』

ほむら『インキュベーター……キュウべえと』

ほむら『あなた……美樹さやかと、魔法少女に関する記憶の全てをなくした、ただの人間の体にするという願いでね』

656 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:55:37.60 ID:266SMwqu0

ほむらに突き付けられた条件。

それはまどかとの決別を意味していた

その条件を聞いた瞬間、さやかは激しい怒りの感情を表出させる


さやか『何それ……ふざけてんの!!?』

ほむら『ふざけてなんかいないわ』


長い髪を掻き上げ、ほむらは射抜くような視線をさやかに向けた


ほむら『だって、まどかを一番苦しめているのは』

ほむら『あなただもの』


さやか『……は?何言ってんの?なんであたしがまどかを』


さやかのはほむらの言葉に反論しようとするが、ほむらの呆れかえった溜息にその言葉を止められてしまう

657 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 01:59:02.28 ID:266SMwqu0


ほむら『わからないのね』


ほむら『わからないわよね』


ほむら『あなたは途方もなく愚鈍で』


ほむら『どうしようもない愚図だもの』


そう吐いたほむらの表情は、侮蔑と怒りに満ちきっていた

そんな不遜な態度を続けるほむらに、さやかは怒りの限界まで来ていた


さやか「この……!!」

ほむら『それで?条件を飲む気はあるの?』

さやか「んなもんあるわけないだろッ!!!」


テレパシーを忘れるほどの激しい怒りの籠るさやかの拒絶の言葉に

ほむらは鼻を鳴らし、蔑みと納得の混じる表情を浮かべ、言葉を続けた


ほむら『そう。残念よ』

ほむら「話は済んだわ。さよなら」


ほむら「美樹さやか」『愚図』


テレパシーを交え別れを告げると、ほむらはさやかに背を向けた

658 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 02:00:22.16 ID:266SMwqu0


さやか「待てよ!!!」


そのまま去ろうとするほむらの肩を掴もうと、さやかが駆け寄り、その手を伸ばす

だが、一瞬で振り返ったほむらにその手が届く前に掴まれてしまう


ほむら「ああ……言い忘れてたことがあったわ」


ほむらは掴んだ手を思い切り握りしめ、底冷えのする言葉で、小さく囁いた


ほむら「あなたの事、嫌いよ」

ほむら「その首、今すぐにでもへし折りたいほどにね」


そう言ってほむらはさやかの手を放し、一瞬でその姿を消した

659 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 02:01:42.64 ID:266SMwqu0


さやか「……くそ!!」


ほむらが消えたあとさやかはすぐに辺りを探したが、その姿を見つける事が出来なかった

その苛立ちにさやかは路地裏の壁に強く拳を叩きつける


さやか「なんなの……あいつは……くそっ」


一度作り上げた信頼が崩れ、裏切れた事に、憤りを感じていると

頭の上の電燈がちかちかと瞬きながら、暗くなった辺りをぼんやりと照らし始めた


さやか「帰る、か……」


それに深く溜息を吐き、さやかは一度家に戻る事を決め、歩き始めた

660 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/07(水) 02:02:36.93 ID:266SMwqu0


家路へと続く道を歩きながら、さやかは先程のほむらの言葉を思い出していた

ほとんどが腹の立つ挑発のようなものだったが、一つだけ、引っかかりの覚えるものがあった



『まどかを一番苦しめているのは……あなただもの』



そのほむらの言葉が、さやかの頭をグルグルと回る

そんなものはただの挑発だと、戯言だとさやかは何度も思考から追い出そうとした

だが、そうしようとしてもさやかの頭にしつこくこびり付き、一向に消える事は無かった


661 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/07(水) 02:05:01.84 ID:266SMwqu0
今日はここまで。お疲れさまでした

後、二回か、三回の更新でさやか編終了かな……

もしかしたらもう少し伸びるかもしれませんけど

それではまた次回ー
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府)[sage]:2011/12/07(水) 02:07:24.45 ID:VbWDf8350
>>1乙 なんだろう、昼メロ見てるみたいな気になるわ モヤモヤする
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)[sage]:2011/12/07(水) 02:11:23.06 ID:TPY3HDaxo
相変わらずコミュ障はめんどくさいな
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県)[sage]:2011/12/07(水) 02:11:31.15 ID:aMrhjq3Eo
乙乙

理由あるのは仕方ないけどこのほむほむにはイラッとくるぜ
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/12/07(水) 02:14:37.59 ID:MTMMFAEeo
乙〜
ここでファサ発動しちゃうかー……
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]:2011/12/07(水) 02:49:50.11 ID:1jW/Pqgho
このコミュ障はダメだな…
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 03:54:01.61 ID:1PA3EXJDO
俺はこのほむらの首をへし折りたいです
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸)[sage]:2011/12/07(水) 03:55:09.67 ID:tubnr0yAO
ほむほむ、あんまりさやかちゃんに八つ当たりしてると……もしまどかにバレたりしたらブチ殺されかねんぞww
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 03:57:08.77 ID:1PA3EXJDO
やっちゃえ、マードーカー!
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 04:13:36.60 ID:Bsw9c5XDO
ほむらにとってのまどかもまた濃いからなww救われて死なれて救う決意してでも全然救えず挙げ句まどかに暴言吐かれるwwww
個人的にはほむらとさやかどちらも心の痛みは同じくらいじゃないかなあと
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 05:26:57.27 ID:ig4GN8yDO
さすがコミュ障

さやかの報復を待ってます
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県)[sage]:2011/12/07(水) 05:39:06.89 ID:n7kStkcho
お前らほむらdisんのやめろよ
さやかが一番好きだけど全キャラ好きな俺みたいなやつがそういう発言見ると不快になるだろ
大体二次創作でキャラ批判しちゃう男の人って……

SS内容は好きなのに感想レスのレベルが低すぎる
>>1よ頑張れ
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 07:04:07.66 ID:VZLw6HHo0
>>672
ここでそういうこと言っちゃう男の人って・・・
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 07:23:38.00 ID:I2+qpRqDO
>>672
普通に気に入らん意見はスルーしろと


まぁほむらスキーが言い出したマミさんの[ピザ]ネタに比べたら可愛いレベル
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 08:41:35.69 ID:8p+YjBqbo
これは逆にほむらだけ生存も有り得そうな展開だな
676 :伊吹 ◆LPFQRD/rxw[sage]:2011/12/07(水) 09:06:06.20 ID:b7cPateAO
こうヤキモキしてこそまどかマギカだよね。
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(四国)[sage]:2011/12/07(水) 09:06:38.28 ID:b7cPateAO
>>676
吊ってくる。
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/12/07(水) 09:56:07.36 ID:rLRwXuxB0
あの時助けなければよかったとか後悔しそう
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岩手県)[sage]:2011/12/07(水) 10:02:59.04 ID:3aLcKLaqo
どうしてエロゲの主人公はどいつもこいつも人の気持ちがわからないかな
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 10:04:30.35 ID:Bsw9c5XDO
>>672言いたいことは解るが今は物語の流れ上はむらに敵意が行くような展開になってるから必然だろう
今後の展開でほむらがいい奴になってなお外野がそんな感じだった時に言えばいいそのレスは
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 10:07:22.08 ID:8p+YjBqbo
感想とキャラ叩きがごっちゃになってるレスも見受けられるがな
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県)2011/12/07(水) 10:14:45.30 ID:QWERuxo/0
いい感じに悪役っぷりを発揮してるほむらはともかく。
実際の所さやかはほむらのおかげでまどかが苦しんでるのはさやかの事だと気づきつつある。
さやかが上条を選ぶか、まどかを選ぶか。これは見もの。
続きに期待
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/07(水) 12:15:57.18 ID:I2+qpRqDO
今のほむらはISの一夏さんを見ている俺らだと思えばわかりやすい
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/12/07(水) 13:29:37.70 ID:nWVl3o8co
杏子殺害の記憶もなかった事にできるので提案そのものは悪くないけど
まどかの願い→さやかを人間にする、の願いは可能でも逆はできるのだろうか
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府)[sage]:2011/12/08(木) 01:13:45.81 ID:0l+PIZaTo

念願のまどか魔法少女化できたQBがこれをどうするのか…
686 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/08(木) 11:47:54.34 ID:y6Fs28o50
まどかを苦しめてるのは確かにさやかちゃんなんだけど
ノンケのさやかちゃんに自覚しろよ!ってのは酷な話だよな
687 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/08(木) 22:01:38.61 ID:fbH/pbCR0
>>686
その絶妙なバランスがいいんだよな、このSSww
688 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/09(金) 00:19:45.04 ID:/Cx8UUtTo
それにしても命の恩人に「殺したいほど嫌い」とは流石だよな
689 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/09(金) 06:35:04.72 ID:BVjhfZDR0
マミさんですらほむら庇って死亡したりしたのに異常な敵意むけられたりしてますし
一週目フレンドリーに勉強会に誘うさやか→現在:殺してあげるわ!

割と設定どおりです
690 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/10(土) 00:33:43.73 ID:td7qNEt20
周回違いの命の恩人だったらありがたみも薄れてくのはわかるんだけど
進行中の周で助けられたんだからもうちょっと恩を感じてほしいところなんだがなあ
691 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/10(土) 00:42:33.48 ID:2T80r/GFo
まどか同様ほむらも病んでるんだろう
692 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/10(土) 20:36:52.64 ID:pNxDvTXDO
ただのツンデレさ
……多分な
693 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/11(日) 00:25:32.68 ID:mTDqXkejo
外野くそうるさすぎ
694 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/11(日) 12:59:00.27 ID:Uc5uyA5yo
ほとんどがVIPから直接きた屑たちだからしょうがない
695 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/12(月) 23:53:18.07 ID:3qDmGmud0

――――――


「ったく……あいつらも懲りないんだから」


「……ごめんね……」


「いいって。気にすんなってば」


「ごめんね……いつも……ごめん……」

「わたし……よわむしだから……何も言えなくて……こわくて……」

「わたしがダメな子だから……」


「……はぁ……」

「なんであんたが自分のことせめてるのよ」

「悪いのはあいつらでしょ?あんたが気にする事なんか無いんだよ」

696 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/12(月) 23:54:55.34 ID:3qDmGmud0


「でも……私が弱いから……そのせいでいつも……」


「良いんだってば。……あたしはあんたを守るって決めてんだから」

「これは好きでやってんの。だから、あんたが気にすること無いの」

「ね?」


「……」


「わかった?」


「……うんっ」


「よっしゃ!そしたらかえろっか!」


「うん!」

「……ねぇ!」


「ん?」


「……えへへ」

「大好きだよ」



「さやかちゃん!」

697 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/12(月) 23:56:08.83 ID:3qDmGmud0
――――――――

ゆっくりと、目を開ける


さやか「……ん」


さやかは夢を見ていた

とても懐かしい、昔の事を


懐かしさに、笑みが漏れる

心が、温かいものに包まれる


『……ごめんなさい』


だが、今、彼女は傍に居ない

悲しげな表情と共にその姿を消した

さやかの傍から

押し寄せる寂寞感に漏らした笑みを消しさると、さやかはベッドから冷たい床に足を降ろした
698 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/12(月) 23:57:19.40 ID:3qDmGmud0


その後、さやかはすぐに支度を済ませると、学校へと向かった

ここ二日は休日だったので、起きてすぐにまどかを探しに出ていたが、平日の今日はそうもいかなかった


学校を休んでまどかを探しに出ようと思ったが、さやかはそれを止めた

無断欠席の事で学校から親に電話が掛かり、これからのまどかの捜索に支障が出るかもしれないと怖れた為だ

そして何より

いつも通りに登校すれば、いつものようにまどかが待ち合わせ場所に現れるかもしれない。

そんな根拠も無い、淡い期待を抱いていたからだった


やがてさやかはいつもの待ち合わせ場所に着く。

そこに着くと、キョロキョロと辺りを見渡し、親友の姿を探す


だが、やはりというべきか。彼女の探す目的の少女の姿は無かった

699 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/12(月) 23:58:51.45 ID:3qDmGmud0


小さく溜息一つ吐くと、さやかはいつもの柵に寄りかかり、まどかが歩いてくる道に目を向けた

朝の光に照らされる道を、空っぽの期待を込め、ぼう、と見続ける


『まどかを一番苦しめているのは……あなただもの』


その時、さやかの頭に昨日のほむらの言葉が浮かび上がった


さやか「……意味わかんない」


ポツリ、と忌々しげに呟く

何度も何度も追い出そうとした、ほむらの突然の言葉

だが、結局その言葉は頭に残り続け、さやかを悩まし続けていた


まどかを苦しめている

その理由に心当たりが無いわけではなかった

さやかの思う心当たり。

一つは自分が魔法少女になり、危険に身を投じる事になり、その事でまどかに多大な心配を掛け、その心に負担を掛けたこと

それがどれだけまどかを不安がらせたか。さやかはそれを知っていた

700 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:00:48.48 ID:CXOgc1gV0

―――でも


自分が魔法少女では無い今、それは現在まどかを苦しめている事には当てはまらない


他に考え得る、まどかを苦しめている原因


―――まどかが、あたしの所為で魔法少女になった事


他には先の可能性も含め、さやかには思いつかなかった

確かに魔法少女になり、続けていく事は多大な痛みと、苦しみを伴う

一度体験した自分にとって、それは身に染みる程に覚えていた


まどかが魔法少女になった原因が、自分を蘇生させた事によるものであることから

ほむらの言う、自分がまどかを苦しめているという原因になったという事には、相違は無い
701 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:02:06.16 ID:CXOgc1gV0
―――でも


さやかはその理由に引っかかりを覚えていた

どうして、と言われればさやかには答えられない

それでも、これではないという確固たる思いが納得を許してくれなかった


さやかは思考の海から立ち戻り、時刻を確認するために、いつの間にか伏せていた視線を自分の携帯電話のディスプレイへと移す

画面に映されていた時刻はこのままでは遅刻してしまうと、さやかに訴えていた


視線を画面から外し、何かを探す様に辺りを見回す

だが、そこには自分以外の誰もいなかった


深いた溜息を吐き、さやかはいつもまどかの歩いてくる道を瞳に収めると

ゆっくりと学校へ歩き始めた
702 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:03:20.81 ID:CXOgc1gV0
――――

「さやか!」


教室に着き、その扉に手を掛けようとした時、廊下の奥からさやかの名を呼ぶ声が聞こえてきた

その声にさやかは顔を向けると、上条が松葉杖を突かずにゆっくりと歩いてきているのが目に入った


さやか「恭介っ!?」


驚きと心配に顔を歪めるさやかまで上条は歩いていくと、にこりと笑みを見せた


上条「おはよう。さやか」

さやか「え?う、うん……お、おはよう」


いつもと変わらぬ優しい笑みを浮かべ、挨拶してくる上条に、さやかは釣られるように挨拶を返してしまった

そんな自分に気付き、ブンブンと首を横に振ると、さやかの目の前の彼に、驚きと心配にうろたえながら言葉を掛ける


さやか「じゃなくてっ!頭の傷はもう大丈夫なのっ?それに足も……」


そんな不安がる彼女に上条は安心させるように頷く
703 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:04:31.09 ID:CXOgc1gV0

上条「うん。頭の傷はホントに見た目が派手だっただけだから、その日のうちに止まったよ」

上条「足の方も、もう松葉杖がいらないくらいにはなってたからね」

上条「あの日は一応ってとこだよ」


そう語った上条の言葉にさやかは安堵のため息を吐き、不安に強張った表情を緩ませた

その表情に上条もつられる様に笑みを零す


さやか「そっか……良かった」

上条「うん。ありがとう」

上条「あの時も……ね」


あの時――その言葉にさやかは表情を曇らせる

さやかの脳裏にはあの時の血だらけの上条と

それを見下すまどかの姿が映っていた
704 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:05:47.10 ID:CXOgc1gV0

上条「その様子じゃ……鹿目さんはまだ見つかってないみたいだね」


神妙な顔つきでそう訪ねた上条に、ぴくりとさやかは体を震わせると

ゆっくりと頷いた


上条「そっか……」

さやか「……怒ってるよね?」


おずおずと視線を上目に上条へと向ける

その瞳には深い怯えの色が映っていた


上条「……そうだね」

上条「いきなりあんな事されたんだ。思う所はあるよ」

さやか「……そう……だよね……」


瞳を大きく揺らし、その顔を伏せる

その心は落胆と申し訳なさで一杯になってしまっていた

705 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:09:03.88 ID:CXOgc1gV0

上条「でもね」


そんな彼女を見透かしたように、上条は今までの重い口調を一変させ、顔を上げたさやかに優しく声を掛けた

その口調にさやかはハッと顔を上げる


上条「これだけの事をしたってことは……僕が知らないうちに鹿目さんに何か酷い事をしてしまっていたかもしれないんだ」

上条「もしそうだとしたら、僕にもその責任はある」

上条「だから……一方的に鹿目さんを責めるのは、なんか違う様な気がするんだ」

上条「……と言っても、今の状況じゃ何も言えないけどね」


そう言葉を切り、自嘲する様な笑みを見せた


さやか「……そんな……恭介は何も……」

上条「そこで、だ」


自分を庇護しようとするさやかの言葉を切り、上条は真剣な瞳を向けた

その瞳と、告白以来の真剣な彼の姿に動揺し、さやかは目を彷徨わせる
706 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:10:31.10 ID:CXOgc1gV0


上条「さやかはまだ鹿目さんを探してるんだよね」

さやか「う、うん……」

上条「じゃあ僕も、それに協力させてくれないかな」


さやかは目を見開く

そんな言葉が彼の口から出てくる筈がないと思っていたからだ

自分を傷つけた者を、自ら探し出すなど


さやか「でも……また……」


上条の提案に嬉しく思ったさやかではあったが、それに素直に頷く事は出来なかった

まどかが上条に再び事に及んでしまう事を恐れた為に


上条「大丈夫」


その不安を見透かしたように、上条は笑みを見せる

707 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:12:02.21 ID:CXOgc1gV0


上条「話すだけなら、鹿目さんだって何もしないと思う」

上条「今度は大丈夫さ」


そうは彼が言っても、彼の身を案じる心がさやかを頷かせてくれない

そんなさやかに上条はもうひと押しと、声を掛ける


上条「……それに……鹿目さんが何であの時あんな事をしたのか、見当がない訳じゃないんだ」

さやか「えっ!?」


さやかは驚きを露わにし、上条を見つめる

そしてその理由を言及しようとした


上条「……お」


だが、丁度その時、ホームルームの開始を告げるチャイムが校内に鳴り始めてしまう

708 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/13(火) 00:13:12.04 ID:CXOgc1gV0


上条「じゃあ、今日からよろしくね。さやか」

さやか「ちょっ、待ってっ!」


背を向け自分の教室に戻ろうとする上条の手をさやかは咄嗟に掴む


さやか「見当があるってどういう事!?どうしてまどかはあんな事っ」


必死に顔を寄せ、まくし立てるさやかに上条は寂しげな表情を見せると、その肩に手を置いた


上条「……それは僕からは言う事は出来ない」

上条「もし、僕の予想が当たっていれば……だけどね」


そう言って上条はさやかの肩から手を放すと、優しい笑みを見せ、彼女に背を向けて歩いて行った

さやかはその背中を何度も呼びとめようとしたが、上手く言葉が出てこなかった



彼の、寂しげで、悲しげな表情がそれを邪魔していたから
709 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/13(火) 00:15:33.14 ID:CXOgc1gV0
今日はここまで。お疲れさまでした

ちょっと時間がかかってしまった……どうして上条が出てくると筆が進まないのか

後、二回かな?

それではまた次回ー
710 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 00:20:57.41 ID:QeYO+MtDO
乙 初めてリアルタイムで見れた。
10月に見た時から完結楽しみにしてます、頑張って下さい
711 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 00:22:48.01 ID:maCysIJoo
乙〜
あっという間に完結(仮)か……
712 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 00:23:38.37 ID:CJiNgRnJo

この上条くんイケメン過ぎるよ…
713 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/13(火) 00:44:03.57 ID:TD1cjTwo0

後二回で完結しちまうのか……寂しいな。
次回も期待してる。
714 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 02:38:07.52 ID:PfuDBcTAO
乙乙。
恭介がいい人すぎる・・・
715 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 06:38:32.73 ID:LhGiRW6D0
上条△
716 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 06:39:39.25 ID:l2xk/SYko
乙乙
俺にはハッピーエンドが見えない……
まどっちはワルプルをだしに連れて行ったのかな?
そしてほむらはさやかの伝言をちゃんと伝えてくれたんだろうか
717 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 08:24:26.50 ID:Z+DvpYgDO
素晴らしい
イケメンな男の存在は女同士の関係をより映えさせる
718 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 08:33:05.50 ID:Hsg5z4sjo
人知れずまどかが戦死して、さやかと上条が結ばれるのもそれはそれでいいなって
719 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 15:15:12.19 ID:HkTyC7MIo
乙した!
楽しみに待ってまう
720 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/13(火) 18:00:19.96 ID:l3NudqbL0
>>713
勘違いしていた。
さやか編が後二回で完結か。
721 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/13(火) 23:01:41.17 ID:iGnae2hH0
この上條さんイケメン素敵
722 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/17(土) 01:06:17.18 ID:b1nSrulg0

上条の寂しげな背中が遠ざかっていく

何故、彼がそんな態度を見せているのか

何故、まどかの凶行の理由に見当が付いているのか

さやかはどちらの答えもわからず、疑問を頭に埋め尽くさせ、上条への心配に心を埋めながら、その背中を見送った

そして上条の姿が教室の中へ消えると、さやかも自分の教室の扉に手を掛け、その中へ足を踏み入れた


さやかが教室に入った途端、雑談にざわめききっていた教室が突然重い沈黙に包まれた

そしてさやかに飛んでくる、クラスメイト達の好奇の視線

それは以前のまどかと共に遅く登校してきた時と似たようなものだったが、それとは全く異なっていた

視線に、恐怖が混じっている


さやか「……なに」


さやかが廻りをぐるりと見渡す

だが、その視線に周りのクラスメイト達は逃げるように目を反らし、合わせようとするものは誰もいなかった

仲良くしていた、友人たちでさえ

723 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:07:35.81 ID:b1nSrulg0
―――――


その後、誰とも会話らしい会話もすることなく、さやかは学校での一日を終えた

もともとさやかも他人と会話する気はほとんどなかったが、それ以上にクラスメイト達は彼女を避けていた

腫れものを扱う様に距離を取る。だが、それでも好奇の視線を絶やさない

そんな彼らに、さやかの人と話そうとする気持ちは、昼休みの頃には完全になくなっていた


溜息をつき、さやかは荷物を纏めると、席を立つ

その際、周りの他人たちはその動きを注視していたが、さやかはそれを無視し、速足に教室も出口へと向かった

途中、朝の上条とのやり取りを思い出す。だがさやかに、上条にまどかを探しに行こうと一緒に行こうと声を掛けるつもりはなかった

これから廻る所は危険な場所。まどかが彼に凶行を行った理由は確かに気になったが、それ以上に彼を危険な目に合わせるわけにはいかなかったからだ

だがそのさやかの目論みも、教室の扉を開けた瞬間、すぐに崩れ去る

724 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:08:58.87 ID:b1nSrulg0

上条「や」


扉を開けた先に、上条が廊下の壁に寄りかかり、さやかを待っていた事によって


さやか「きょ、恭介!?」


彼が来ないうちに、と早めに行動に出たさやかだったが、その動き以上の上条の動きに、目を丸くした

そんな彼女に上条は、おどけた調子で話しかける


上条「なんで驚いてるんだい? 一緒に探しにいくって約束したじゃないか」

さやか「う、うん……」


上条の為とはいえ、彼の気持ちを裏切ろうとした事にさやかは気まずさから目を伏せた

それに上条は、ふ、と笑みを零し、さやかの肩を叩く


上条「行こう」

さやか「……うん」


ゆっくりと頷くさやかを見ると、上条は先に歩き出した

その後ろをさやかもついて行く

何処へと知れぬ、まどかを共に探しに為に

725 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:10:32.47 ID:b1nSrulg0
――――――

空が雲に暗く染まり、電燈が道を照らし始める頃、さやかと上条の二人はとある公園のベンチに並んで腰を降ろしていた

そこは何度もまどかと話した。思い出の場所

思い出と言っても、あまり思い出したくない類のものだったが


結論から言うと、今日もまどかの捜索は失敗に終わった

さやかと上条は二手に分かれ、上条は人気の多い街中を

さやかは上条に黙って、人気のない魔女の居そうなところを探していた


何故さやかは黙って行動したか、それはその行動の理由を彼に言えば、人気のない所に行くという事で止められるかも知れないと思った事と

もしその提案の理由に納得したとしても、彼が自分を心配してついてくるかもしれない

それにもしついてくる事になってしまえば、彼まで危険な目に合わせかねない、と危惧したからだった

726 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:12:08.23 ID:b1nSrulg0

上条「やっぱり当てずっぽうじゃダメか……」


目の前の噴水を眺めながら、上条は疲労の体でさやかを見つめ、そう零した


上条「……さやかは鹿目さんがどこにいるか、心当たりはある?」


心当たりはある。だが、さやかは黙って首を横に振った

理由は先に述べた通り


上条「そっか……」


ベンチに背を預け、上条はどんよりと曇った空を仰ぎ見る

そして一つ溜息を着くと、ベンチから腰を上げ、さやかに向き直り、笑みを見せる


上条「じゃあやっぱり足使ってひたすら探すしかないね」


だが、その笑みにさやかは逃げるように顔を伏せてしまう


上条「さやか?」

さやか「いいよ……もう、恭介は……」

727 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:13:52.12 ID:b1nSrulg0

どうしたのかとさやかの顔を覗き込もうとした上条だったが、その言葉に動きを止められてしまう


さやか「……無理しなくていいよ」

さやか「足だって治ったばっかりだし……それに」

さやか「これ以上まどかを探させたら……」

上条「無理なんかしてない」


彼に対する申し訳なさからさやかから溢れだす言葉を、上条は語気の強い言葉で堰止める

さやかはその声に恐る恐ると顔を上げた


上条「僕は無理なんかしてないよ」

上条「さやかのに鹿目さんを会わせたいってのもあるけど、彼女を探そうと思ったのは何より僕の意思だ」

上条「会って、こんなことをした本当の理由を聞きたいんだ」

上条「だから、僕は無理なんかしてないよ」

上条「足は……いいリハビリになるしね」


自嘲気味に笑みを見せる彼に、さやかもつられる様に笑みを見せる
728 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:14:47.41 ID:b1nSrulg0


上条「それに……」

さやか「え?」

上条「言っただろ?……告白の時に」

上条「……君を支えたいんだって」


そう言って上条は照れくさそうに、顔を背けた。その顔は羞恥に赤く染まっている

その姿に、その言葉にドキリ、とさやかの心臓が跳ね、暴れ始める


さやか「あ……」

上条「そ、そう言う事だからさ。うん」

上条「そ、それじゃあまた明日。が、学校で!」


上条がさやかの顔を見ずに駆けていく

さやかはその姿を、幸せの気持ちの中、呆然と見送った

見送る事しか、出来なかった

729 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:15:24.57 ID:b1nSrulg0
――――


その後、フワフワとした気持ちの中、さやかは家路へと着いた

久方ぶりに味わう、幸せな気持ち

この気持ちをさやかは手放したくないと思った


だが、その想いはすぐに吹き飛んでしまう

彼女の存在がそうさせてくれない

まどかの存在が

730 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:17:03.99 ID:b1nSrulg0
――――


「さやか、またあんたこんな時間に帰ってきて!」


さやかが自宅に着くと、彼女のの母が怒った顔で声を掛けた

だが、さやかはそれに耳を貸さず、彼女の自室へと戻っていってしまった


「さやか、聞いてるの?さやか!?」


そんなさやかに、彼女の母は心配の表情で溜息をつく


「……もう、どうしちゃったのかしら……あの子は」

「まどかちゃんも行方不明で、それに最近物騒だっていうのに……」


そこでテレビから、緊急速報のテロップが流れ始めた


「もう……またなのね……嫌だわ……」

731 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/17(土) 01:18:20.16 ID:b1nSrulg0

―――――






――県、見滝原市郊外で、少女の変死体が発見

   以前発見された身元不明の少女と同じ外傷から警察は同一犯の犯行として―――






―――――

732 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/17(土) 01:20:47.93 ID:b1nSrulg0
今日はここまで。お疲れ様でした

上条……(壁ドン

もうちょっと更新回数が増えそうです

それではまた次回ー
733 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]:2011/12/17(土) 01:24:57.41 ID:C+iwHDxXo
ほむほむか?
まどかさんが連続殺人犯に……
734 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 01:25:50.34 ID:3XzhpTG2o
これはこれは……
乙〜
735 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/17(土) 01:33:34.85 ID:WXJTUOFC0
736 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 01:38:53.64 ID:nxSev6dwo

なんて所で切るんだ…おいおいおいおい…
737 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 01:40:33.02 ID:PKPAlWmQo
乙乙

まさか、ほむほうなのか?
もう誰にも死んで欲しくないぜ…
738 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 01:45:30.37 ID:ucl4465AO
乙っちまどまど!
739 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 13:09:10.07 ID:poIrkVyLo
ほむらに風穴開けたのかまどか…
740 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 13:54:52.38 ID:SBKXZJpDO
ジェムの位置から考えれば逆も無いとは言えんぞ
ほむらにとっちゃまどかが契約してる段階で失敗だろうし

でもほむらの武器じゃ綺麗に貫通は出来ないか
741 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 14:51:23.08 ID:/KfnECJa0
ほむらのジェムは手にあるもんな
742 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 15:54:15.04 ID:EWl77k93o
すでにほむらは過去に戻っていて
抜け殻だけ打ち抜いたとか
743 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 17:10:19.11 ID:HHiF90omo
ほむほむぅ…
まどまどぉ…
744 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/17(土) 20:29:03.94 ID:zBK32ClDO
展開予想ほどほどにしとけお
745 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/18(日) 09:10:08.67 ID:YFP4J2R7o
本当に行儀ワリー連中だな

>>1は気にせず頑張れ!
746 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/18(日) 23:24:29.35 ID:Gc0T9Kpao
まどっちは自らいなくなることで逆にさやかちゃんの気を引こうとしてるのかな
747 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/19(月) 02:29:30.53 ID:5KRmxWnAO
予想はよそう!(ドヤァ
748 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/19(月) 06:36:33.93 ID:dYuTcezd0
オヤジギャグがマイブームなまどっちぇ・・・
749 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:22:54.82 ID:bsaFOMla0

その翌日からもさやかと上条の二人は学校を終えるとまどかの事を探し回った

人通りの多い街中、街の郊外、暗い路地裏と、隅々まで


実の所、さやかはまどかの事を見つけられないだろうと思っていた

それは以前のほむらの別れ際の態度から、彼女が自分にまどかを会わせようとするわけがないと思っていたし

彼女たちは魔法少女。こちらが近づいて行っても、どちらかにでも感付かれてしまえば、

ほむらの能力ですぐにかなりの距離を取られてしまう

それに何より、ほむらの語った彼女からの伝言

あれが本当だとすれば、彼女が自分の姿を晒すなんて醜態を犯すとは思えなかったからだ
750 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:23:51.81 ID:bsaFOMla0

それでも何故、さやかはまどかを探し続けたか

小さな希望に縋りつきたかったというのもある

だが他にも明確な理由はあった

一つは、万が一、まどかとほむらが魔女と戦っているところに遭遇すれば、彼女と顔を合わせる事が出来ると思った事

それならば、まどかが魔女を、自分を放り出してまで逃げる事はないだろうし、話すことぐらいは出来る


もう一つが、自分が魔女空間に取り込まれれば、まどかが助けに来てくれるだろうと思った事

それがとんでもない無茶だとはわかっている。

彼女たちが来るという保証もないし、もし気付いて向かってきたとしても間に合わなければ自分は死んでしまう

ハイリスクで、成功確率はかなり低い


それでもさやかはそんな策に縋った

彼女に会う為に。彼女に会いたいがために


そんな無策を行い続けた

だが、そうしてもまどかの姿どころか、魔女空間すら見つける事は出来なかった

751 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:24:52.08 ID:bsaFOMla0

まどかを探し続け、二日、三日と時間が過ぎていった

その間も上条は嫌な顔一つ見せず、ずっとまどかの捜索を手伝い続けていた

そんな上条に言葉に言い表せないほどの感謝と、今まで以上に大きくなっていく恋慕を胸に感じていた


そして四日目の朝


「……さやか。また今日も遅くなるの」


学校に向かおうと、玄関に立った時、さやかの母親が心配気な表情で声を掛けてきた

それにさやかは、事情も何も知らない母親に、まどかの捜索も上手くいっていない事もあり

強い苛立ちを感じてしまい、返事をしようともせず、玄関のドアをくぐろうとする


「待ちなさい!!」


だが、その手を掴まれ、動きを止められてしまう

手を掴む母親をきつく睨みつけだが、母は、それに一歩も引く事は無かった
752 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:26:03.21 ID:bsaFOMla0

「さやか。アンタ最近何やってるの?」

「学校あるのに、毎日遅くに帰ってきて、心配掛けて」

「いい加減にしなさいよ」

さやか「母さんには関係ない」


ジッと目を見据えてくる母に、さやかは反抗的な目を返し、吐き捨てるように言葉を吐く


「あるわよ!!!」


突然の母の大きな声にさやかはビクリと体を震わせ、驚きに目を見開く

そんなさやかに母は、手に持っていた新聞を大きく広げ、ある一面の記事を見せ付けた


「な、なによ……」


怒鳴る母に怯みながらも、その記事にさやかは渋々と目を通した


さやか「え……」


その瞬間、さやかは体を硬直させる
753 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:26:31.83 ID:bsaFOMla0


――――

―――県、見滝原市で、本日未明、少女の変死体が発見された

   被害者の遺体は、体に大きな穴をあけられ、酷く損傷しており、身元確認を警察は急いでいる
   

   この殺害の仕方は、以前の見滝原の身元不明の少女の殺人事件の内容と酷似しており、そのことから、警察は同一犯の犯行として調査を行っているが
 
   依然として足取りはつかめていない。


   今回の事件で、被害者は3人に上っており警察には早急な――――


――――― 

754 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:27:23.51 ID:bsaFOMla0


さやか「嘘……」

「わかった?」


さやかが記事に目を通したのを確認すると、諭すようにさやかに声を掛けようとした


「こんな状況なんだから、もう遅くまで……ッ!さやか!?」


だが、さやかは母親が言い切る前に、血相を変え、外へと走り去ってしまった

母はそんな彼女を必死に引きとめたが、さやかがその声に振り返る事はなかった


755 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:28:36.10 ID:bsaFOMla0
――――

―――まどか まどか! まどか!!


心でまどかの名を何度も呼びながら、さやかは必死と朝の街中を走る

あの記事を見た瞬間、さやかの脳裏にはあの時の杏子の姿がフラッシュバックしていた

ソウルジェムを体ごと貫かれ、おびただしい量の血をその穴から溢れださせる杏子の遺体の姿が

そう想起してしまうほど、新聞の記事の内容は、杏子の死と酷似していた


認めたくなかった

まどかがその手を再び血に染めた事を

必要の時以外――魔女を倒す時以外に、力を使わないと約束した筈なのに


さやかはがむしゃらに走り続ける

疑問を払拭するため、まどかの潔白を確かめる為


それが意味の無い事だと気付かずに
756 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:29:38.90 ID:bsaFOMla0

――――――

昼休み。いつも通り登校していた上条は、さやかと昼食を共にする為彼女の教室まで来ていた

まどかが一向に見つからない為か、日に日に消耗していくさやかを気に掛けた為の行動だった

だが、教室を探せどさやかの姿は見つからない


上条「ごめん。さやかは来てるかな?」


それが気になった上条は、偶然近くを歩いていた知人のさやかのクラスメイトに声を掛けた


「み、美樹?……今日は来てない」


美樹と言う言葉にギョッとした表情を浮かべながら、クラスメイトはそう返事をした

その事実に上条は首を捻らせる

―――気落ちしていたとはいえ、今まで休む事なんか無かったのに


上条「……わかった。ありがとう」
757 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:30:41.89 ID:bsaFOMla0

「おお……な、なぁ……恭介」


踵を返そうとした上条だったが、それを引きとめるようにクラスメイトはおずおずと声を掛けてきた

それに上条はクラスメイトへと向き直る


上条「なに?」

「もう……美樹と付き合うの止めとけって」


ぴくりと上条の体が震え、目が薄く細まる

それに気付かず、クラスメイトは言葉を続けていった


「あいつ……最近様子も変だし」

「それに、キチガイと友達なんだぞ?」


上条「……キチガイ?」


「鹿目だよ。鹿目!」

「最近来てないとはいえ……お前、またあのキチガイに怪我させられたらどうすんだよ?」

「病院にまた戻るのは嫌だろ?……だったら」

758 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/21(水) 00:31:51.85 ID:bsaFOMla0


上条「もういいだろ」


強い語気で言葉を遮る

温和な彼からは考えられない言葉の冷たさに驚き、クラスメイトはその顔を上条の顔に向けると

そこには彼の明らかな怒りの籠った表情があった


「きょ、恭介?」

上条「じゃあ」


オロオロとするクラスメイトに冷たい一瞥をくれると、上条は彼に背を向け、歩き出した

そんな上条に相変わらずうだうだと声を掛け続けたが、彼はそのひとつにも声を返すことはなかった

759 :下げ忘れやっちまったんだぜ! ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/21(水) 00:33:23.58 ID:bsaFOMla0
―――――

日が沈み、月が空高く上がる夜

あれからもまどかを探し続けたさやかは、街での捜索を止め、街のはずれの河原まで来ていた

一日中探し続けた事によってフラフラになった足を引きずり、傾斜のある野原に腰を降ろす

そして足を抱き、そこに顔を置くと深く溜息をついた


さやか「……まどか……」


月明かりを返す、川面を見つめながら

一日の捜索が徒労に終わった虚無感と、焦りを煽るまどかへの疑心の中、ポツリと呟いた


さやか「……違うよね……嘘だよね……」


何度自分に言い聞かせただろう。

約束したまどかが、力を使った事に苦しんでいたまどかが、優しいまどかが、

命を、再び手に掛けてなどいないと
760 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/21(水) 00:34:48.73 ID:bsaFOMla0


だが、杏子を撃ち抜いたまどかの姿が、そしてほむらを撃ち抜こうとしたまどかの姿が

そして激しい怒りのまま、想い人を突き飛ばしたまどかの姿が、その願いを否定し、疑念を肯定する


殺したのはまどかだと


さやか「……あ」

さやか「……あたし……」


そこでさやかは気付く

自分がまどかの事を、親友の事を信じていないのだと


それを自覚すると同時に、さやかにとてつもない自己嫌悪が襲う

信じると、ずっと一緒にいると誓った自分が、そんな思いを抱いていた事から

761 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/21(水) 00:36:00.93 ID:bsaFOMla0


それは仕方のない事ではある

何度も彼女の親友が、凶行に走る姿を見てきたのだから

それでも。さやかは自分の事を許せなかった


さやか「もう……どうしたらいいの……」


さやかは自らを見失っていた

まどかを信じる自分を信じるという事で、自分を支えてきたさやかにとって、まどかに不信を抱いていた事に気付いてしまったことは致命的すぎた

折れそうになる心を抱きしめるようにさやかは膝を強く抱きしめ、顔を膝に埋めようとる


さやか「え……」


だが、その時、さやかの耳に聞き覚えのある轟音が響く

それも、二度と聞きたくないと思っていた音が


それは一般人が聞けば、そちらに向かうのを躊躇してしまうような音

だが、さやかはそれに怯むことなく、駆けだしていた

希望に縋る為に
762 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/21(水) 00:36:50.13 ID:bsaFOMla0
―――――

見たくなかった

こんなの見たくなかった


信じたかった

まどかが、もう二度とあんな事をするはずないって

疑ったあたしを優しく笑ってくれるって


そう思ってたのに







ねぇ










まどか

――――――
763 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/21(水) 00:37:38.64 ID:bsaFOMla0

さやかの辿り着いた先、そこには

悲しげに顔を歪めた、魔法少女の姿をしたほむらと

天を仰ぎただ、涙を流し続けるまどかがいた


そしてその足元には

体に大きな穴のあいた見知らぬ少女の死体があった

764 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/21(水) 00:41:42.64 ID:bsaFOMla0
今日はここまで。お疲れさまでした

やりたいことやりすぎてまとまってる自信が……

それとまどかファンのみなさんごめんなさい

次回、最終回……かも?

それではまた次回!
765 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 00:42:32.37 ID:7/hE9C8DO

まどか何故殺した
766 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 00:43:40.39 ID:e0mnoS7bo
乙〜
良いよ良いよ
767 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 00:44:57.93 ID:kE3v31lAO
乙っちまどまど!
768 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]:2011/12/21(水) 01:02:23.94 ID:h1UbUJiBo
このひとごろしー
769 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 01:48:54.37 ID:3TbRQgFNo

理由があるんだろ!?早くほむら編を読ませてくれ!
770 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 01:57:14.90 ID:yb7RGtNqo
乙乙!

もう終わりかと思うとちょっと寂しくなるな
771 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 08:31:08.37 ID:GjUc7+MAo
多分魔女になる寸前の魔法少女の間引きなんだろうな…
それ以外で殺してるならマジキチ
772 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 09:22:28.66 ID:hDdQPZeAO
乙。
二人は何を考えているのか・・・
773 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 09:57:12.16 ID:6YitHkADO
>>771
なんで予想とか書いちゃうん?バカなの?
そのレスに反応して自分はこう思うだとかのレスが来ること考えられん?死ぬの?
774 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 11:27:14.74 ID:Z94RFgfh0

さやかちゃあああああああああああああん!!
775 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 12:55:00.02 ID:rldU+vn5o
乙です

>>773
馬鹿は掘っとけ
776 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 14:13:52.26 ID:kE3v31lAO
ウホッ
777 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 16:13:08.15 ID:ZUKrGd8DO
マナー悪いのは単純にVIPから流れてきた奴が多いからだな
778 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 17:04:06.18 ID:zO95nwPco
まなーっておいしいんですかちんちん(^q^)
779 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga sage]:2011/12/21(水) 18:55:41.91 ID:vbKSbF300
子供には苦いものだよ
780 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 19:38:42.74 ID:MUKAbUZJo
>>771
間引きだとしても他の魔法少女が見滝原市にいるのが謎
別の事情で殺したんじゃないのか
781 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 21:17:42.97 ID:kE3v31lAO
sageるだけの行儀の良さがありながらこんなことを言っている>>778は間違いなくツンデレ
782 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/22(木) 01:06:57.00 ID:9ASskA3co
スルーすればいいのに、いちいち噛み付くのがここのマナーなわけか
783 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/22(木) 07:41:56.49 ID:DlaQks4So
まどかはなぜ泣いてるんだ…
やっぱりこの行動の全てが巡りまわってさやかに収束する?
784 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/23(金) 18:19:41.82 ID:SJtpO2VIO
僕は特別に賢い人間だから、こんな鋭い予想もできちゃうんだよ!
すごい?確信ついちゃってる?
みたいな池沼さんです
785 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/23(金) 18:49:53.95 ID:92vv/Z2Jo
予想のうちの何個かは的中してるだろうな
かぶらないように修正してくるか、そのままにするか楽しみ
786 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/23(金) 23:42:53.54 ID:j73xAOkDO
楽しみ、とか言うなよ
予想厨が負けじと書き込んじゃうだろうが
787 :sage2011/12/24(土) 15:01:27.99 ID:Q53v03HIO
スルーすれば良いのにわざわざ煽る奴はなんなの
788 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 15:50:55.88 ID:pAbxe7ZSO
sageれてないお前は何だよ
来たかと思ったじゃないか
789 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 16:30:32.85 ID:kh+XrI5A0
>>787
絶対に許さない
790 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/24(土) 17:27:17.04 ID:8p+uz+jW0
なんだろう、さやかはこの二人に関わるのなんてやめて
上条君と学園生活を満喫した方が幸せなんじゃいか?
このまどかとほむらがどうなろうが知ったこっちゃないと思えるだけに
ヤンデレ同士勝手にやってろと思うわ
791 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga sage]:2011/12/24(土) 21:45:49.44 ID:iFdhcLy50
おまえ、自分のクソ意見をみんなに聞いて欲しくてわざわざageたのか
792 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 22:03:47.51 ID:Ty+7jq4zo
俺もさやかには上条君と幸せな生活を送ってほしい
まどかのヤンデレレベルが高すぎてとても人間とは思えないし…
793 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/24(土) 22:31:56.23 ID:OLQsbxCmo
>>787
さすがもしもし
794 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 00:16:49.29 ID:rWHbvIAi0
むしろこの幸福な生活から一転して絶望の淵にブチ込んで欲しい
795 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2011/12/25(日) 01:18:58.81 ID:G3hoaUSp0

さやか「ま、どか……?」


目の前の無残な光景がさやかの目に焼きつく

焼きついてしまう。どれだけ心で拒絶しても


さやか「まど……か……」


一歩づつ、死臭漂う河原の上を歩いて行く

まどかに近づく為に


まどか「……ぃひひ」


だが、その足も

さやかの耳に届いた、まどかのくぐもった笑いに止められしまう


まどか「ぃひ!てぃひひっひっひひっ!!」


さやかに気付かずに、まどかは涙を流しながら、ケタケタと肩を揺らして奇怪な笑い声を上げる

まどかの目は完全に正気を失っていた
796 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:20:03.60 ID:G3hoaUSp0


まどか「私、クフッ!!くふふふッ!!!」

まどか「さやか、ちゃ、ぃひひっ!あはッ!!スキッ!!あはッあはははッあ!!!」

まどか「おしまい。おしまいお終い!!」

まどか「魔女、まじょ。魔女、嫌、嫌われる、嫌、嫌……」

まどか「いやああああああああああああ!!!!」


ブツブツとわけのわからない言葉を吐き続けたと思いきや、突然叫び始める

そんなまどかにさやかが抱く感情はやっと会えた感動でも、喜びでも無く


さやか「まどか……」


ただ未知の物を恐れる恐怖だった

797 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:21:01.75 ID:G3hoaUSp0


ほむら「まどかっ!」


だが、ほむらはそんなまどかに怯む様子を見せる事はなかった

すぐにまどかに近づいて、落ち着ける為にその肩を押さえつける


ほむら「しっかりして、まどか、まどかっ!!」


何度もほむらはまどかを鎮めようとしたが、まどかが治まる様子ははない


ほむら「っ!!」


その途中、ほむらが突然焦った様子を見せ始める

そして意を決したように目を見開くと、まどかの首に掛かっているネックレスの先端。

ソウルジェムに手を伸ばすと


ほむら「ごめんね……まどかッ!」


思い切りそれを握り締めた

798 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:21:47.63 ID:G3hoaUSp0


まどか「あは、あがッ、があ、ああああああ!!!!!」


途端、まどかが狂笑を止め、もがき、苦しみ始める

だが、それを見てもほむらはその手を緩める事はなかった


まどか「ああ、が、あああああ!!!」

ほむら「く、ううううう!!!」


まどかの足が苦しみに崩れ落ちる

ほむらはそれでも手を緩めず、地面に仰向けになったまどかに馬乗りになりながら、ソウルジェムを握りしめ続けた

さやかはそんな二人に声も出す事も出来ず

死体が転がる横で、転校生に親友が苦しめられているという異常な光景に怯える事しか出来なかった


まどか「……か……」


やがて、苦しみに耐えきることが出来なくなったまどかは遂にその意識を手放す

それを確認すると、ほむらは小さな声で、ごめん、と呟くと、盾のスライドからグリーフシードを取り出し

まどかの濁りきる寸前のソウルジェムに押し当てた

799 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:22:37.46 ID:G3hoaUSp0


ほむら「……いたのね」


まどかのソウルジェムの穢れを全て取り除くと、そこでようやくほむらがさやかの姿に気付き、その視線を向けた

その視線にさやかは恐怖からビクリと体を震わせる

ほむらはそんな彼女に不愉快そうに鼻を鳴らすと、気を失ったまどかを背負いはじめた


さやか「ね、ねぇ……まどか、大丈夫なの?」

ほむら「……ええ」


おずおずと話掛けてくるさやかに、短くそれだけ返すと

ほむらはさやかが居ないかのようにまどかを背負う事に専念し始める


さやか「これ……まどか、がやったの」


地面に転がる死体に目を向け、ほむらに話しかける

だが、ほむらはそれに応えない
800 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:24:01.96 ID:G3hoaUSp0

さやか「ねえ……ねぇ!!」


食い下がってくるさやかをほむらは少しの間横目に収めると、忌々しい様子で言葉を返した


ほむら「そうよ。……これはまどかがやったわ」

さやか「どうして、どうしてこんな!?」

ほむら「邪魔だったからよ」

ほむら「生きて貰われちゃ困るから、まどかが殺したの」


淡々と告げられるほむらの言葉

それはただまどかが殺したいから殺したと聞こえる様なものだった

さやかはその言葉に信じられないと首を振った


さやか「嘘、それだけ?それだけの理由で?」

ほむら「……ええ」

ほむら「そうよ」

ほむら「目の前にいたからまどかは殺したの」

ほむら「それだけよ」
801 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:25:11.29 ID:G3hoaUSp0


そう言ってほむらは呆然とするさやかから目を背け、まどかをしっかりと背負うと、そのまま声を掛けた


ほむら「まだ、まどかを追うつもり?」


ほむらの質問にさやかは答えない。答えられない

意味もなく殺人を犯したというまどかをこれからも追い続けるなんて、今のさやかには言えなかった


ほむら「そう」

ほむら「それじゃあもう、会う事はないわね」


さやかの無言を肯定と受け取ると、ほむらはゆっくりと歩き始める

が、さやかの横を通った所で立ち止まり、ほむらはその背中に声を掛けた


ほむら「……いえ、また会うことになるわね」

ほむら「『今は』さよなら」

ほむら「美樹さやか」


そしてまたほむらは歩き始める

さやかはほむらの去っていく気配に得体の知れぬ焦りを感じ、その体を振り向かせたが

ほむらとその彼女に背負われたまどかの姿は、もうどこにもなかった

802 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:26:06.10 ID:G3hoaUSp0


足が動かない

まどかを初めて居なくなった時に動き続けたさやかの足が、ぴくりとも動かない

それはさやかのまどかを想う気持ちが、信じる気持ちが

既に、無くなってしまった事を意味していた


さやか「……あ……」


それを認識した瞬間。さやかの足が崩れ落ちる

立ち上がろうとしても、力が入らない


さやか「なんで……なんで……!!」


涙が零れ落ちる。

止めどない涙は、頬を濡らしていく


もう、どうしたらいいかわからない

無力感に、虚無感に、さやかの心は沈んでいく

803 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:27:13.38 ID:G3hoaUSp0


「さやかっ!」


その時、後ろから想い人の声―――上条の声が耳に届く

だがさやかは虚無感に脱力しきり、その顔を向ける事すら出来なかった


上条「さやか、こんな所で……っ!」


地面に座り込むさやかに肩を掛けた時、辺りに漂う死臭が上条の鼻を突き、驚きに体の動きを止める

そして、さやかからゆっくりと視線をずらし、周りの景色に目を凝らすと、上条は衝撃に息を飲んだ


上条「なんだ……これ……」


目に突き刺さるのは、血にまみれた死体が転がる無残な光景

ショックを受けない筈がなかった


上条「何が……う……あったんだ……さやか!」


吐き気と恐怖におののいたが、上条は何とかそれを抑えつけ、さやかに問いかけた

だが、さやかはその問いに涙を流しながら首を振る事しかしなかった

804 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:29:05.43 ID:G3hoaUSp0

上条「と、とにかく……け、警察を……」

さやか「……!やめてッ!!」


携帯電話に手を掛けようとする上条の手をさやかは咄嗟に掴む


さやか「やめて……やめて……」


首を振りながら上条に懇願する

それはまどかに残った情からのものなのかもしれない

そうする理由は実際の所、さやかにもわかっていなかった


上条「さやか……?」


そんなさやかの不可解な行動に首を傾げたが、懇願し、涙を流すさやかに上条は深く首を頷かせた


上条「とりあえず……ここから離れよう」

上条「ここは……目に毒すぎる」


コクリ、とさやかが小さく頷く

それを見ると、上条は自分の手を掴んでいる彼女の手を取り引き上げた

そして力の入らないさやかを何とか立たせると、上条はさやかを支えながらゆっくりと歩き始めた

―――ごめんなさい

そう、心で河原に転がる遺体に謝罪の言葉を呟きながら

805 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:31:06.78 ID:G3hoaUSp0
――――

しばらく歩き続けると、二人はまどかの捜索が終わった時にいつも落ち合う公園まで来ていた

その間の会話はゼロ。とても言葉を口に出せる雰囲気ではなかった


さやか「……ごめんね……」


上条が街灯が照らすベンチにさやかを座らせると、彼女がポツリと言葉を漏らす

それに上条はゆっくりと首を振った


上条「……いいさ」


そして二人はまた黙りこみ、重たい沈黙が降りる

言葉を出す事さえ躊躇われる、暗澹な空間


上条「……さやか」


それでも、上条は意を決して声を掛ける

さやかはそれに体を震わせることで、上条の声に応えた
806 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:32:10.84 ID:G3hoaUSp0


上条「あれは……どうしたんだ」


探りを掛ける上条の問いかけ

だが、さやかは顔を深く俯かせるだけで何も答えない


上条「さやか」


肩を掴み、その体を揺らす。

それでもさやかは答えない


上条「さやか!」

さやか「わかんないよぉっ!!!」


大きく声を張り上げ、さやかは俯かせていた顔を上条に向ける

その顔は、瞳からこぼれる悲しみの涙に濡れ切っていた
807 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:33:06.80 ID:G3hoaUSp0


さやか「わかんない!!わかんないよぉ!!」

さやか「わかんないの!……あたし……あたし……!」

さやか「……もう……わかんないの……!」


心に渦巻く言葉を全て吐きだすと、さやかは涙に濡れる顔を両手で覆った

自分に触れる何もかもを拒絶するように


上条「……ごめん」


泣き崩れるさやかを前に上条はそれだけ言うと

震えるさやかの体を、優しく抱きよせた


さやか「……え……」

上条「……ごめん……」


突然の事に呆然とするさやかを、上条は強く、それでいて優しく抱きしめる


さやか「きょう……すけ……」


大粒の涙が、心のつかえとともにさやかの瞳から零れ落ちる

それは今まで頬を伝っていた悲しみの涙などではなく

愛する人が傍にいてくれるというこれ以上ない喜びの涙だった


上条の胸に顔を埋め、大声でさやかは泣き始める

上条はその体を、さやかが泣きやむまで優しく抱きしめ続けた
808 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:34:31.18 ID:G3hoaUSp0
――――

さやか「……ねえ」

上条「……ん?」


自分の腕の中にいるさやかの言葉に、上条は小さく首を傾げる


さやか「……魔法って……信じる?」


さやかの唐突として、不可解な質問

上条はそれに考えるそぶりもなく、すぐに頷いた


上条「信じるよ」

上条「この手が……信じさせてくれる」


左手を掲げ、強く握りしめる


さやか「そっか……」


それに嬉しそうにさやかは頷くと、甘えるように上条の胸に顔を埋めた
809 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:36:10.51 ID:G3hoaUSp0
そしてそのままポツリと、言葉を零す


さやか「……あたしの話……聞いてくれる?」

上条「もちろん」

さやか「……ありがと……」


そう言うとさやかは、ほむらが転校してきた時から今までに起こった事。知った事を語り始めた

魔法少女の事。魔女の事。そして

まどかの事を


上条は初め信じられないという顔をしていたが、次第にその顔を真剣なものにしていき、さやかの話を聞き続けた


さやか「……これが、今まで起こった事」

さやか「……へへ……信じられないよね……」


そう話を締めくくると、さやかは自嘲的な笑みを零した

それに上条は首を振り、さやかの手を握る
810 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:37:23.95 ID:G3hoaUSp0

上条「いや……信じるよ」

さやか「ほんと……?」

上条「うん。……治らないって言われた手が、急に治った事もさやかが言う事が本当なら納得できるから」

上条「……頑張ったね」


その言葉にさやかは安堵と、喜びに小さく顔を綻ばせた

今までの自分が、愛しい人に認められた様な気がしたからだ

つられる様に上条のその表情に笑みを浮かべるが、すぐにそれを真剣なものにする


上条「……でも、信じられない事が一つある」

さやか「……なに?」

上条「鹿目さんが……その、人を殺しちゃった事」


それはさやかの話した内容でどうしても上条が信じられなかった事

だが、鹿目、という言葉が出た途端、さやかの表情は一気に暗いものとなったことから

まどかの凶行が紛れもない事実と言う事を信じざるを得なかった

811 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:39:34.34 ID:G3hoaUSp0

上条「さやか」


暗い顔を見せるさやかに、上条は長考したのち、申し訳なさの籠る小さな声で話しかける


上条「もう……鹿目さんは諦めよう」


その言葉にさやかの顔が大きく歪む

言葉を続けることが躊躇われる上条だったが、その気持ちを押し込め、言葉を続けていく


上条「……これ以上、鹿目さんに関われば、何が起こるかわからない」

上条「それに、これからも鹿目さんを追えば傷つくのは……さやかだ」

上条「……今だって、さやかは……」


少しの間


上条「……僕は、もうこれ以上……傷つくさやかを見たくない」

上条「だから……」


そう言うと、上条はさやかの瞳を心配と懇願の瞳で見つめた

それにさやかは何もいえず、上条から目を反らす事しか出来なかった
812 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:40:26.10 ID:G3hoaUSp0

それに上条は小さく溜息を吐くと、さやかを抱きしめるのを止め、ベンチから腰を上げると、さやかへと手を伸ばした


上条「帰ろう」


さやかはその差し出された手を躊躇いながらも、しっかりと取ると、ベンチから立ち上がった


さやか「……うん」


さやかの合図で二人は歩き出す

二人が別れるまで、さやかはその手を放す事はなかった

愛してやまない、想い人の手を

813 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:41:18.47 ID:G3hoaUSp0
――――――――

河原での一件から、二週間が経った

その間の時間の流れはとても急速だった

いつも通りに学校に行き、授業を受け、帰る

クラスで会話する者はもう誰もいなかったが、それでもさやかは幸せだった

愛しい人に、上条に会えたから

彼と話す時だけは、さやかは満たされていた

他愛もない話するだけで、昼食を共にするだけで、彼はさやかを幸せにしてくれた

その幸せを得る為に、さやかは彼と共に居る時間を増やしていった



まどかの捜索を打ち切ってまで

814 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:42:11.24 ID:G3hoaUSp0

満たされる

満たされていく

今までの苦しみが嘘のように


いつしか、さやかはまどかの事を忘れるよう努めるようになっていった

苦しみたくない。悲しい思いをしたくない

そんな想いから


それでも、まどかに対する思いはさやかを逃がしてはくれなかった


見滝原周辺で起こり続ける変死体の殺人事件の報道が、クラスでのその事件の噂が

それを見るたびに、聞く度に、さやかは瞼を閉じ、耳を塞いでいた


まどかはあの夜から、人を殺めるのを止めるどころか、着実にその数を増やしていたのだ


それが、上条へと、幸せへとさやかが逃げる事になった一端になったのは言うまでもない


815 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:43:35.27 ID:G3hoaUSp0

その日の放課後、さやかと上条は帰りを共にしていた

寄り添いながら歩く。その二人の姿はどう見ても恋人にしか見えなかった

実際、さやかはそう思っていたし、上条も同じ思いだった


さやか「あ……」


それぞれの家路の別れ道まで歩くと、二人はその足を止める

寂しげな表情を浮かべるさやかに上条はニコリと笑いかける


上条「……メールするから」

さやか「うん!」


その言葉にさやかは顔を緩ませ、幸せに頬を染める

普段ならそこで上条から歩き出すのだが、今日は何か違った

落ち着きなく、辺りを見回している

816 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:44:48.60 ID:G3hoaUSp0


さやか「どうしたの?」


そうさやかが声を掛けると、上条は更に落ち着きなくしソワソワと体を動かす

さやかが怪訝な表情を浮かべる。それを見ると上条は決心したように頷き、おずおずと話しかけ始めた


上条「さ、さやか……あの……」

さやか「んー?」

上条「明日の休み……ええと……」

さやか「……どうしたの恭介?なんか変だよ?」

上条「ああっ!う、うん……」


ビク、と体を震わせる

そして深呼吸すると、ようやく本題を話した


上条「明日……親……居ないんだ……だから……その」

さやか「え……」


上条の言葉の意味を読み取ると、さやかは言葉を失い、その顔を真っ赤にして、俯かせた

その姿を見て上条はあたふたと慌てる

817 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:45:46.46 ID:G3hoaUSp0


上条「い、いいんだ、いや、嫌ならいいんだ!うん!」

上条「あは、あはは、僕たちまだ中学生だしね!まだ早いよね!ははっ!ははは!」

さやか「……いいよ」

上条「……へ?」


顔を真っ赤にして頷くさやかに、あたふたと弁明していた上条は間抜けな声を出す

何より愛する人が望んだ事。さやかがそれに頷かない訳がなかった


上条「……い、いいの?」


さやかは上条を上目に再度コクリ、と頷く


上条「う、うん……わかっ……た……」

上条「それじゃ、あし、た……」

さやか「……うん」


さやかの頷きに、上条は背中を向けると、何故か緊張した様子で歩いて行った

その様子はロボットのように見え、さやかはそれにくすくすと笑みを零した

818 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:47:13.91 ID:G3hoaUSp0

そうして上条が路地に消えていくのを見送ると、さやかも家路へと歩み出す



―――さやかちゃん



さやか「え……」


その一歩を踏み出した瞬間、さやかの耳に聞き覚えのある声が響いてきたような気がした

何度も聞きたいと願っていた、声が

だが、その声はもう、ま逆のものとなっていたが


さやか「……っ!」


焦った様子で廻りを見渡す

だが目当ての姿は見当たらない


さやかの河原の時の恐怖と不安が蘇り始める

あの時嗅いだ死臭さえも漂ってくるようだった

さやかはそれを幻覚と思いこみ、その場から急いで離れた


彼女から、まどかの幻想から逃げ出す為に
819 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:48:42.62 ID:G3hoaUSp0
――――

時は流れ深夜

さやかは風呂からあがり、髪を乾かしていた

あの後、彼女の幻覚は襲ってくる事はなく、いつも通りに過ごす事が出来た

それでもさやかを襲う不安と恐怖は拭い去る事は出来なかったが


さやか「もう……忘れるんだから」


髪を乾かし終えると、さやかはドライヤーの電源を切って片づけると、洗面所を出た

―――恭介と電話して忘れよう

そう思いながら階段を上る


『それじゃ、あし、た……』


途中、上条の慌てた様子がさやかの脳裏に浮かぶ

それに思い出し笑いを浮かべると同時に、さやかは心臓を高鳴らせた


上条「恭介……」


妙に火照る体に、羞恥を感じながらさやかは階段を上りきると

自分の部屋のドアノブに手を掛けた
820 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:49:34.61 ID:G3hoaUSp0


途端、さやかの鼻に異臭が突き刺さる



それは河原嗅いだ死臭と、先程感じた幻覚の異臭と酷似していた

顔が緊張と恐怖で強張り、心臓が先程と全く違う理由で暴れる

それでもさやかはドアノブを回す事を止めなかった

止めれなかった

何かが、自分を呼んでいたから


ゆっくりとドアを開ける


開けられた隙間から濃い臭気が、更にさやかの嗅覚を襲う


その臭気に吐き気を覚えながらも、さやかはその扉を開け放った


「おかえり」


開け放った先から声が響く


その方にさやかが顔を向けると


821 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:50:50.69 ID:G3hoaUSp0










まどか「さやかちゃん」









822 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:51:47.86 ID:G3hoaUSp0





まどかが真っ黒な魔法少女の姿で、ベッドの上に座っていた


気味の悪いくらいの、満面の笑みを浮かべて




823 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:53:39.45 ID:G3hoaUSp0
今日はここまで。お疲れさまでした

次回、さやか編、最終回です

それでは最終回で会いましょう
824 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 01:56:03.08 ID:AJ128bTYo
乙乙!

ヤンデレまどっちすごい恐いなwwwwww
あの日VIPでwwktkしながら1レス目を読んだ特はこんな展開になるとは予想出来なかった
825 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 01:56:25.02 ID:jwEKqqmDo
上条株が言葉で表せないほどの勢いで大暴落した。乙〜

>>819
>上条「恭介……」

……?
826 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2011/12/25(日) 01:58:57.39 ID:G3hoaUSp0
ミスったぁ!すげー恥ずかしい……

>>819

上条「恭介……」 ×

さやか「恭介……」 ○


おうふ!
827 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 02:07:52.53 ID:YlyiGDCAO
乙。
狂気の塊だな・・・。
最終回が楽しみというか怖いというか、色々期待。
828 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 02:28:06.90 ID:QadudUGuo

恭介ちんの判断はすげー正しいと思うぞww
829 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 02:49:15.70 ID:TsjqCFLFo
830 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 03:10:27.80 ID:laIOsrDDO


むしろ上条株は上がって然るべき
831 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 03:18:18.30 ID:XxiVjq1AO
ここの上條君の判断は正しいと思う
普通そうするでしょ
832 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 04:35:29.04 ID:54npwmhao

ここからまどかが勝てる要素はあるんだろうか
どう締まるのか楽しみだ
833 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 05:34:52.48 ID:KP3rdk7to

次で一応の最終回か、楽しみのような怖いような
この展開でハッピーになるとは考えずらいな

あと、お前ら余計な雑談控えてくれ
この後ほむら編も入るんだからな
834 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 07:07:54.11 ID:6kAh3gwDO
おつ。世間はクリスマスだってのに俺は何をやっているんだ


>>833
言っても無駄
VIPから流れてきた馬鹿な奴が多すぎる
835 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 08:47:43.06 ID:GhNax6I5o
まどかは魔女化の事実知ったっぽい感じだし、他人のグリーフシード強奪が目的だったのかなぁ
殺した数多いから全員魔法少女とは思いにくいけど
836 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 09:28:29.29 ID:rwUYNhiDO

てか、続きを楽しみにする気持ちがあるのなら自分の予想とかを書くのはやめようぜ
837 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/25(日) 09:47:02.80 ID:jHk5OjwN0

上条の行動は常識的に正しいと思う。俺だったらそうする。
最後のまどかの登場がホラーだと思った
838 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 10:26:50.50 ID:la8qGnwIO
この上条さんにならさやかを渡してもいい
839 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]:2011/12/25(日) 13:07:26.59 ID:2/68H2vKo
ハッピーエンドが見えない……
いや最初からだけど最早死亡フラグがバリバリでもうね
840 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/25(日) 15:01:21.53 ID:+cfXGekD0
今月のかずみマギカを見て
みらいと里美はこのまどかと同じ匂いがすると思った
841 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 15:09:17.62 ID:ZVVOaBBAO
乙。やっと追いついた。この必要な事だけシンプルに書けるのは見習いたいくらいだ。もう一度乙
842 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 21:03:07.52 ID:Y+tTkrvfo
お、おい、嘘だろ?
ゆりゆりラブチュッチュな展開はどこへ行ったのだ?????
843 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 22:27:28.43 ID:n/QRcetr0
まどかさん怖すぎるrwwwwww
844 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 23:49:09.61 ID:TowAQyU80
ほむ視点で続けるなら新たにスレ立てた方が安全な気がする…。
とか言いつつ書き込んでる自分もスミマセン
845 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/25(日) 23:49:43.89 ID:TowAQyU80
ほむ視点で続けるなら新たにスレ立てた方が安全な気がする…。
とか言いつつ書き込んでる自分もスミマセン
846 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 22:34:00.28 ID:0arXfzCn0
この黒衣装まどかは勝手にピクシブのあの黒まどかだと脳内補填さしておきますね

あれは無理なキャラ作りしてた可愛いまどっちだったけどこのまどっちはまさにダークネス
ネコカオスだからこそ言えることが在る・・・男は黒に染まれ! とか言ってるレベルじゃないほど染まってるよ!
847 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/27(火) 20:59:38.59 ID:HWskDkbDO
黒まどか、ゴスロリなイメージ
848 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2011/12/31(土) 18:50:17.75 ID:Fy5AMxnJ0
漆黒じゃなくて返り血が服に染み込んで固まった赤黒い黒なんだよね……
849 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2011/12/31(土) 18:51:58.51 ID:h9yK9uUoo
普通に銀ちゃんみたいな漆黒だと思ってた……
そっちの黒なのね……?
850 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/01(日) 00:27:57.55 ID:S96pZSqL0
あけましておめでとうございます。ひっそりとご挨拶に伺った>>1です

年が明ける前までにあげたいなー……と思っていたら飲み会だのなんだのでこのざまです。申し訳ない

構想にするとすぐ終わるなと思っていたら、書いてみると長い長い。

それでも必死に書き進めております


それで……話を書いてるうちにエロが入ってしまったんですが、細かい描写っていりますかね?

いらないなら、事後。見たいな感じで進めていこうかなと思っているんですが……

ちょっとご意見くださると嬉しいです

これの可否で投下の早さが、ちょっと変わると思います


それでは、また後日にー
851 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:32:25.89 ID:ihqNJrSRo
まどさやならいる
恭さやなら事後で
852 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:36:08.91 ID:abZ5eqLYo
明けまして把握ワッフル

>>851に同じく
853 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2012/01/01(日) 00:39:43.78 ID:S96pZSqL0
書き忘れました、まどさやです

ひっそりと言いつつ、やっぱり意見が欲しいのであげてしまう自分でありました……
854 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:39:50.32 ID:FDjqJCKfo
いらない
855 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:42:18.30 ID:abZ5eqLYo
それなら需要はここに
856 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:42:45.80 ID:a+1P3OMAo
いる
857 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:45:52.09 ID:ihqNJrSRo
まどさやかこれは期待

そして言い忘れた あけおめです
858 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:47:34.08 ID:gBGKDhA6o
あったらあったで嬉しい
でもなくても全然構わない

とにかく早く続き読みたい
859 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:52:50.84 ID:huvltvpD0
いる
860 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 00:53:44.92 ID:STFQfUFqo
この展開だとエロ入った方が悲壮感が出そうだから有りで
861 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 01:23:14.06 ID:MBzPa0mr0
いらない
862 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 01:31:26.82 ID:5e0x5OQGo
>>851と同じ
863 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 02:20:04.58 ID:JDrF86K2o
いらないかなぁ
864 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 02:29:57.63 ID:xjigza8Fo
いる
865 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 04:59:30.04 ID:g7ru01pjo
ほしいでござる
866 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 05:51:30.05 ID:lLcXtwjDO
これだけ意見出たらアリでいいでしょう
スレを だいじに
867 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 08:18:03.16 ID:IsNSnL6+0
アリ・・・でしょうね
アリアリ
868 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 08:23:34.93 ID:jvrprqzeo
いらないなぁ
869 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 08:34:08.29 ID:hy/VJ58no
>>852と同じで

ついさっきこのスレを見つけたが
夢中で一気にここまで全部読んでしまった…
870 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 08:34:53.78 ID:hy/VJ58no
↑間違えた、いる、ね
871 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 11:35:29.04 ID:ImHTPWTDO
無理して入れる必要は無いが自然に書き溜めた流れでエロが入ったのなら自然に投下すればいい。
>>1の書きたいように書いてくれ
872 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 11:42:40.80 ID:ImHTPWTDO
やっぱ>>852>>851に同意で。
873 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 12:33:54.69 ID:Gy854DXp0
あけおめです
>>851と同じかなかな…
874 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 12:56:40.00 ID:ohxCAZRN0
まどさやならありでお願いします。
恭さやなら事後で結構です。
875 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2012/01/01(日) 13:18:20.72 ID:S96pZSqL0
たくさんの意見ありがとうございました。またこんなに頂けるとは……感謝です

結果としては、描写ありで行きたいと思います

あまりエロくはならないと思いますが……(文章力の関係で

投下の際には、その場面に入る前に一文ほど入れますので、見たくないと思われる方は飛ばせるようにしようと思います

それでは投下の際にまた会いましょうー


876 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/01(日) 13:19:56.10 ID:abZ5eqLYo
把握ワッフル
877 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[sage]:2012/01/02(月) 00:43:21.58 ID:5HsjWJJVo
期待しすぎて禿げた
878 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2012/01/04(水) 00:37:47.72 ID:oXCf2Zm80
さやか「……まど……か……」


さやかの頭が疑問と恐怖で埋め尽くされる

何故、今になって自分の前に現れたのか

どうやって、自分の部屋に侵入したのか

そして、まどかは自分にこれから何をするつもりなのか

それらをいくら考えても、さやかには答えを出す事は出来なかった


まどか「うん。まどかだよ。てぃひひ」


だが、解る事は一つだけあった

それは、目の前にいる少女が、かつて何があってもずっと一緒にいると誓った少女が、もう二度と会いたくないと思っていた少女が

碌な事をしに来たわけではないという事だけだった



まどか「ひさしぶりだね。さやかちゃん」


恐怖に慄きながら自分の名前を漏らすさやかに、まどかはくぐもった笑いを零しながら言葉を返す

それが余計にさやかのまどかに対する恐怖を煽った
879 :今日はすごく長いです。途中で寝落ちしてしまうかも…… ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:39:43.41 ID:oXCf2Zm80
さやか「あんた……どうしてここに……」

まどか「あいにきたんだよ」

まどか「おわったから」


そう言ってまどかはさやかのベッドから腰を上げる

その際、まどかの衣服からパラパラと何かが崩れ落ちた

異臭を放っているのはそれの様だ


まどか「あ、ごめんね。よごしちゃって」

まどか「ずっとこのかっこだったから。よごれちゃったの」

まどか「よごれちゃったの」

まどか「ぃひひっ。ひひっ、ひ」


不気味な笑みを上げながら、まどかは一歩づつさやかに近づいて行く

そんな彼女にさやかは身の危険を感じ、まどかから距離を取ろうとするが


さやか「っ!」


まどかへのの恐怖に足が竦み、微動だにしてくれなかった

その間にまどかは着実にさやかへと歩を進めていく


まどか「さやかちゃん。まもったよ」

まどか「あぶないものから、みんな……」

まどか「さやかちゃんみたいにみんなまもったよ」



近づいてくるたびに濃くなる死臭に、突拍子もない言葉に。さやかは吐き気と恐怖にえづく

そんな様子に意を介することなくまどかは彼女の元に辿り着くと、そのままさやかへと両手を伸ばした


さやか「ひっ」


何をされるかわからない恐怖にさやかは短い悲鳴を上げ、身を強張らせた


さやか「……え」


だが、まどかは何をするでもなく、たださやかの腰に手を回して甘えるように抱きついただけだった
880 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:41:59.21 ID:oXCf2Zm80
そのまままどかはさやかの胸に顔を埋め、頬を擦りつける

そんなまどかの甘える様な行動とは裏腹に、さやかは肌を粟立たせ、戦慄に心を震わせた

今のさやかにとって、まどかとはそういう存在だったのだ


まどか「ぃひひっ。やっぱりさやかちゃん、いいにおい」

まどか「いつものシャンプーのかおりだね」


さやかの様子を歯牙にもかけずそう言うと、まどかは満面の笑みをさやかに向けた

その浮かべた笑みが、昔のまどかとダブる

まるで以前の、魔法少女になる前のまどかを見ているようだった


さやか「う……」


だが、まどかから放たれる死臭が、彼女の血糊で固くなった衣服の感触が

もう、以前のまどかではないという事を、さやかに認識させる


さやかは死臭による吐き気、意図のわからない抱擁から解放される為、

その肩に触れ、まどかを押し除けようとする


さやか「はな……っ!?」


だが、それは敵う事はなかった


まどか「ん……」


それよりも早く、まどかがさやかの唇を奪ったからだった

上条に捧げる筈だった自分の初めても、一緒に

881 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:42:58.65 ID:oXCf2Zm80

さやかの唇にまどかの柔らかい唇の感触が伝わる

それにさやかは目を見開き、嫌悪感から咄嗟にまどかの体を突き飛ばそうとするが、

彼女の自分を抱きしめる力の強さにそれは敵わなかった


まどか「てぃひひ……」


まどかはさやかの唇から、自分のゆっくりと唇を放すと

頬を赤く染め、恥じる様な笑みを浮かべた


まどか「あげちゃった……わたしのはじめて……さやかちゃんに……」

まどか「ぃひひっ!うれしい……」

まどか「うぇひひっ!うぇひひひひッ」


唇を奪った事にケタケタと肩を揺らして喜びを表現するまどかに、さやかの混乱は更に深められていく

突然過ぎる行動、人を殺した人間が取るようなものではない態度、それら全てが混乱を助長する


まどか「わたしね……ずっとさやかちゃんのことすきだったの」

まどか「わたしをいつもたすけてくれた……さやかちゃんが」

まどか「はじめてあったときからずっと……」


そう言葉を切り、さやかにしな垂れかかる

その瞳は潤み、まさに恋する乙女のものだった


まどか「ずっとこうしたいっておもってた……」

まどか「わらいあって……さやかちゃんをだきしめて……」

まどか「きすしたいって……おもってたの」

まどか「……それいじょうだって……」

まどか「さやかちゃんになら……なにされてもよかったの……」

まどか「さやかちゃんが、だいすきだから」


重ねられていく、まどかの愛の言葉

だが、それも今のさやかには嫌悪感を感じさせる何物でもなかった
882 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:44:36.24 ID:oXCf2Zm80

さやか「あたしは……んッ!?」


拒絶の言葉を吐く為にさやかは口を開こうとしたが、またまどかがその唇で口を塞いだことで、それは防がれてしまう


まどか「は……ぁん……んふ……」


長く、舐るような熱い口づけ

さやかは酷い嫌悪感に必死とまどかの体を離そうとするが、やはりそれは敵わない

やがて唇だけでは満足できなくなったのか、まどかはさやかの口内に舌を入れてきた


さやか「んうう!!!ん!んうううう!!!」


気持ちの悪さに肌が粟立つ。嫌悪感に身が縮む

逃れようと顔を左右に振ろうとするが、まどかが両手を使い顔を固定してきたことでそれも防がれてしまう


まどか「んふ……ふ……んん……んあ……んう……」


まどかの舌がさやかの口内を蹂躙する

鼻息を漏らしながら、舌と舌を絡ませて二人の唾液を混ぜ合わせ、歯を、歯茎を舐る。


さやか「んぐ……ぐ……んあっ!」


まどかのキスに逃げようとするうちにさやかはバランスを崩し、床へと後ろ向きに倒れてしまう

それでもまどかはキスを止めようとはせず、倒れたさやかに覆いかぶさるような体勢になりながらも口内を蹂躙し続けた


883 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:46:37.85 ID:oXCf2Zm80
そのままの体勢でキスし続ける事数分。ようやくまどかは満足したのかさやかの口から舌を引きぬく

その顔をは恍惚に染まり、瞳は淫媚に濡れていた


まどか「はー……はー……すき……だよぉ……さやかちゃぁん……」


そう言ってまどかはさやかの頭を挟むように床に腕を突いて動きを拘束し、その瞳をジッと見つめた

そんなまどかに身動きを取れないさやかは、まどかの瞳を睨み返す事しか出来なかった


まどか「はぁ……わたしね……まもってきたの」

まどか「わるいものから、みんなを……さやかちゃんを」

まどか「わるいやつみんなやっつけてきたの」

まどか「さやかちゃんみたいに」

さやか「あたしはそんなことしてない!!」


まどかの犯した殺人を想像し、苛立ちを込め、叫ぶ

それにまどかはニコリと頬笑みを返した


まどか「したよ」

さやか「あたしは!」


身に覚えのないまどかの肯定に反論しようとするが

まどかのその言葉を遮って自分の言葉を続けた


まどか「さやかちゃんはずっとわるいやつをやっつけて、みんなをたすけてきたもん」

まどか「それがわたしだいすきだったの」

さやか「だから……なんだってのよ!」


要領の得ない説明に苛立ちが募っていく


まどか「だから……さやかちゃんもわたしのことすきになってくれるよね?」

さやか「は……?」


だが、それさえも吹き飛ばすような言葉が、まどかの口から放たれた

それは飛躍し過ぎた、なんの脈絡もない論理

884 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:48:43.87 ID:oXCf2Zm80
まどか「わたし、まもってくれたさやかちゃんがだいすきなの」

まどか「だから、わたしまもったの」

まどか「さやかちゃんがわたしをわたしみたいにすきになってくれるように」

まどか「まもったから、もうわたしのことすきだよね」


説明を終えたまどかは満足げに笑みを零す

さやかはまどかが何を言っているかわからず、嫌悪感を顔に滲ませた


さやか「……あんた、なにいって」

まどか「……すきだよ……さやかちゃん」


それに気付いた様子もなく、まどかは自分の唇をさやかの唇へと近づけていく

さやかは咄嗟に首を横にずらして逃げようとしたが、まどかに顎を掴まれその動きを止められ


さやか「やめ……んぐッ!」


三度、その唇を奪われた

今まで同様にまどかから逃れようと、さやかは拘束に体をもがかせるが

彼女から逃れる事は敵わなかった


まどか「んふ……ひゃやか……ひゃ……あ」


気持ち良さそうに唇を重ねるまどかに対し、さやかはそれに苦渋を舐める様な表情を浮かべさせられる

どうしようも出来ない自分の無力感さに、上条に捧げる筈だった初めてを奪われた屈辱に、勝手を続けるまどかへの嫌悪感に。

さやかはそれらに耐えきれず、その瞳から涙を零していた



―――助けて


心で助けを呼ぶ


―――助けて!


こんな状況から自分を救って欲しいと


―――助けて!!


だが、そんなものは誰にも届くはずがない


―――きょうすけぇっ!


例え、愛する人の名前を呼んだとしても

885 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:50:43.21 ID:oXCf2Zm80

絶え間ないまどかの一方的な愛の押し付けによる、嫌悪感

身動きを取らせてくれない、固い拘束

これからどう動くかわからない、まどかへの恐怖

甘い匂いと死臭が混じり合う、異様な臭気による嗅覚への蹂躙


そんな展望の見えない状況に、さやかの心は折れ掛かりかけていた

だがそんな事に構いもせず、まどかは次なる行動へと身を移す

さやかを絶望に叩き落とす行動へと


さやか「んぐっ!?んうう!!!」


まどかが、さやかの下腹部に触れ、ゆっくりとその手を降ろし始めたのだ

さやかの陰部へと

そんなまどかの行動に、さやかの思考は激しい混乱と嫌悪感に叩き落とされる


まどか「んあ……はぁ……!はぁ……!すき……すきぃっ!」


唇を放し、まどかは恍惚の表情でさやかの耳元に囁く

呼吸は荒く、熱い。

まどかは性的な興奮に、理性などとうに失っていた


さやか「う、嘘でしょ?……いやっ」

さやか「……やめて、やめて!」


恐怖に震える懇願の言葉を吐き、さやかは首を激しく振って拒絶の意志を示す

だが、興奮に溺れているまどかにその声は届かない


さやか「いや、嫌っ、嫌ぁッ!」

さやか「やめて、止めてってば!まどかぁっ」


激しく体を動かし、必死と抵抗する

それでもまどかの手は止まる事はない

ゆっくりとその手をさやかのパジャマの下に侵入させ、確実に陰部へと近づけていく

886 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:51:43.98 ID:oXCf2Zm80
さやか「やだ、やだやだやだやだ!!」


悲鳴じみた拒絶の言葉

だが、それも虚しく、まどかの手は下着の中に侵入し


直にさやかの陰部へと触れてしまった


さやかの全身が嫌悪感に粟立ち、あまりの嫌悪に吐き気を覚える


まどか「あは……ぁっ!さや、あはああっ!!」


対してまどかは、さやかの恥部に触れられた事に興奮が抑えられなくなったようで

嬌声にも似た声を張り上げていた


さやか「やめて、お願い。やめて……」


首を振り、必死と懇願する。

しかしまどかの手は止まる事はなく、そのままさやかの恥部を擦り始めた


さやか「いや、いやいやいやいやいや!」


まどかの柔らかい指が、自分の恥部を何度も上下になぞっていく


さやか「やめて、お願い……お願い……!」


だが、それになんの快感も与えられる事はなかった

それどころか、与えられるのは全く間逆の物


さやか「いや……助けて……」


とうとうさやかはまどかに与えられる全てに耐えきれなくなり


さやか「たすけて……!」


さやかは助けを叫んでしまう


さやか「きょうすけぇっ!!!」


さやかが、最も愛する人の名前を、その叫びに乗せて


887 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:52:52.62 ID:oXCf2Zm80
途端、まどかの動きがピタリと止まる

どうした事かとさやかが、まどかへと恐る恐ると視線を向けると

まどかが、無表情でさやかの表情を覗き込んでいた


まどか「なんで?」

まどか「なんでそのなまえがでてくるの?」

まどか「さやかちゃんがいちばんすきなのはわたしでしょ?」

まどか「なんで?」


先程の興奮した様子が嘘のように、まどかは感情の読めない声音で問いかける

しかし、突然のまどかの様子の変化の驚きでさやかは声が出せなかった


まどか「まもったよ」

まどか「わたしまもったんだよ?」

まどか「わるいやつ、みんなみつけだして、さがしだして」

まどか「みんなやっつけたんだよ?」


答えないさやかにまどかは顔を目と鼻の先まで近づけ、問いかけ続ける


まどか「だからわたしのことすきでしょ?」

まどか「ねぇ」

まどか「さやかちゃん」


そう言って、まどかはさやかに顔を近づけたまま、首を横に傾げさせた

異常な様子のまどかに怯んでしまいそうになるが、さやかは勇気を振り絞り、言葉を捻りだす


さやか「あたしは……あたしは……!」


彼女への


さやか「あんたなんか、好きじゃない!!!」


拒絶の言葉を



その言葉にまどかは大きく目を見開きく

そして、ゆっくりと顔をさやかの目の前から引かせると、その顔を下へと伏せ、垂れる髪にその表情を隠す


まどか「かみじょうくん?」


しばらくの沈黙の後、まどかはポツリと言葉を漏らす

その言葉に、さやかはその瞳をまどかに向け、返事をしようとする

888 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:54:03.75 ID:oXCf2Zm80

さやか「……っ」


だが、その声も出せなくなってしまう


まどかの髪の隙間から覗く、その目を見開き切って、黒目を小刻みに揺らす、とても正気とは思えない瞳に


まどか「そっかぁ……かみじょうくんかぁ……」

まどか「そっかぁ……ひひ……そっかぁ……」

まどか「かみじょうがいちばんなんだぁ……」

まどか「あんなのが……そっかぁ……」

まどか「そっかぁ……そっかぁ……」


答えないうちにまどかはさやかから目を逸らすと、再び表情を髪の中へと隠し、ブツブツと呟き始める


まどか「じゃあさ」


いつまでも呟き続けると思いきや、突如、まどかはその顔を急に上げた

その表情は満面の笑み


まどか「かみじょうがいなくなれば、わたしのことすきになってくれるよね!」


だが、その口から吐かれる言葉はおよそその顔には似つかわしく無いものだった

その言葉に全身の血が引いて行くような感覚に襲われ、さやかはどうしようもない焦燥感に飲まれてしまう


まどか「それじゃあ、まっててね」

まどか「いまいってくるから!」


そう言ってまどかはさやかからその身をどかすと、鍵の壊された窓へと走って行った


さやか「うそ、まどか……まどかっ!!」


飲まれる焦りのまま、さやかは手を伸ばす

だが、その手はまどかに届くことなく、空を掴んだだけだった



もうこの部屋にはさやか以外の誰もいない

889 :このスレ終わるかなぁ……まだ三分の一も行ってない…… ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:56:57.81 ID:oXCf2Zm80


さやか「そんな……うそでしょ……!」


身の毛が逆立つような嫌な予感がさやかの体を駆け巡る

それは今まで感じた事のない、身を震わせるほどのもの


「もう……なに夜中に騒いでるの……?」


散々の叫びにようやく目を覚ました母親が、さやかの部屋にやってきて、さやかに声を掛けた


さやか「っ!」


だが、さやかはその声に答えることなく、母親の横を通り、寝巻のまま部屋を飛び出す


「さやか!?どうしたの?さやか!?」


そんなさやかを声を引きとめようと声を掛けるが、さやかはその声に振り返る事もせず

そのまま、家を出て行った



さやか「嘘でしょ……やめて……やめてよ……!」



さやかは駆けた。暴れる心臓も、切れる息も、ひたう汗も、全て無視して



さやか「きょうすけ……きょうすけ……!」



嫌な予感を振り切るように、それを現実にさせない為に


行った所で、何が出来るわけでも無い


それでもさやかは走らずには居られなかった



さやか「恭介……!!」



愛する彼の元へと

890 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 00:58:36.53 ID:oXCf2Zm80
―――――

さやかが息を切らせようやく着いた上条の家は、異常の体を様していた

深夜だというのに全ての部屋が煌々と光を灯らせ、それだというのに物音ひとつ響いてこない

ただ人が起きていて、防音がしっかりしている。そうだというなら今の状況に納得もできるが

そうは思わせない明らかな異常がそこにあった


二階の窓ガラスに、大きく穴をあけられていたのだ


それにさやかは血相を変え、暴れる心臓をそのままに上条家の柵を乗り越え、玄関へと駆けていく

玄関に着いたさやかは焦った手でドアノブを捻るが、時刻は深夜、空いている筈がない

ここはダメだとさやかは判断し、庭へと廻る

そこにはさやかの身の丈ほどのある、リビングへと続く大きな引き戸式の窓ガラスがあった

急いでそこに手を掛けるが、やはりそこも開く事はない

そこでさやかは、決心したように頷くと、庭の花壇の方へと駆けて行った

そしてそこにあった大きな石を持ち上げ、思い切り窓ガラスへと放り投げる

すると窓ガラスは大きな音を立て、鍵の周辺に大きな穴を作った

そしてその穴に手を通し、鍵を開けると、さやかは窓ガラスを開け、その中へ侵入した


さやか「……っ!」


その中もやはり、異様だった

これだけ大きな音を立てたというのに誰一人、リビングに出てこない

そして、入った途端に襲う、先程まで嗅いでいた死臭

それらが、焦燥感を、悪寒を大いに煽らせる


さやか「恭介ぇっ!!」


死臭は、二階から漂ってくるようだった

死臭に顔をゆがめながら、さやかはそれが漂ってくる方へと足を向けた


階段を登るたびに濃くなっていく臭い

さやかはそれにえづきながらも、必死と足を進める


臭いの元はもうすぐそばまで来ていた


891 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:00:52.09 ID:oXCf2Zm80
臭いを辿り、着いた、上条の部屋


そこには突然の来訪に驚く上条の姿ではなく


折り重なるように床に伏す初老の男女と


まどか「あ」


部屋に入ってきたさやかに嬉しそうな表情を見せるまどかと


さやか「……え……」


ベッドの上に、四肢を千切られ、体に大きな穴を開けられた


さやかの愛する人の


上条恭介の


死体があった



さやか「……うそ……うそ……うそ……」


目の前が白黒と点滅する

変わり果てた愛する人の無残な姿に

目の前の異常な光景に


さやか「きょうすけ……きょうすけ?」


フラフラとさやかは上条へと足を運ぶ

そうしてその場まで辿り着くと、血寝れの上条の両肩を両手で掴みゆさゆさと揺らし、その名を呼んだ

だが、上条が、死体が言葉を発することはない

大好きだったあの優しい笑みも、抱きしめられた時に感じた温もりも

もう、そこには無かった


さやか「うそ……でしょ?ねぇ……!ねぇ!」


揺らし続ける。

だが、その所為で、酷く損傷していた上条の体が振動に耐えきれず


さやか「きょう……」


ゴロリ、とその首が地面に落ちた

自分に優しい笑みを向けていてくれた顔が、羞恥に顔を染まらせていた顔が、自分に本気で心配の表情を向けていてくれた顔が

いとも、容易く
892 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:02:29.49 ID:oXCf2Zm80

さやか「あ……ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


狂ったように絶叫を上げる

悲しみに、苦しみに、怒りに

そんなさやかをまどかは


まどか「ぃひひ」


満面の笑みで見つめていた

これでさやかが自分の物になるとでも言わんばかりに



まどか「さやかちゃん」


叫びつくし、放心するさやかに、まどかはその体をしな垂れ掛けさせる

その表情は、恍惚


まどか「まってていったのに……」

まどか「でも、あいにきてくれたんだね……うれしい……」

まどか「すきだよ……さやかちゃん……」


そう言って、まどかはさやかの再び寝巻の中へと手を差し込んだ

無抵抗なさやかをいい事にまどかは胸を、太股を、尻を、舐るように撫でる

そうしてさやかの体を十分に楽しんだ後、まどかは再びさやかの恥部へと手を伸ばした

地面に落ちた、上条が見つめる前で


まどか「はぁ……!はぁ……!すきだよぉ……!さやかちゃぁあん……!」


興奮に荒くする息をさやかの耳元に吹きかけながら、自分の恥部にも手を伸ばしていく

そうしてまどかが、さやかの恥部に手を触れさせようとした時


まどか「さや、ぎゃっ!」


さやかが、思い切りまどかの頬を殴り飛ばした
893 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:09:01.29 ID:oXCf2Zm80
あまりの強さにまどかは体を離され、血だまり作る床へと仰向けに身を投げ出されてしまう


まどか「さやかちゃん……なん、がっ!」


そしてそのままさやかは倒れたまどかに馬乗りになり

その首を千切らんとせんとばかりに両手で締め上げた


さやか「死ね!!死ね!!死ね!!死ねぇッ!!」

さやか「お前なんか死ね!!死んでしまえばいいッ!!!」

さやか「返せ!!恭介を、恭介を返せぇええええええええッ!!!」


さやかの口から発せられる殺意と怨嗟の言葉

まどかはその言葉に怯え、締められる首への苦渋に顔をしかめた


今まで守ってくれていた彼女が、優しくしてくれた彼女が、自分のヒーローの彼女が、愛していた彼女が、自分を殺そうとしている

それが、まどかには信じられなかった


まどか「なん……で……ぇっ……」


口から漏れ出す疑問


さやか「殺してやる!!お前なんか、殺してやるッ!!!」


だが、さやかはその言葉に返事を返すことはなかった

自分の大切な人を奪った殺人鬼の息の根を明確な殺意を元に、止めようとしている


まどか「わだ……し……まも……」

まどか「ずき……さや、か……」


苦しみにもがきながらも、まどかは必死に首を絞めるさやかに手を伸ばす


さやか「触るなぁッ!!」


だが、さやかの殺意の籠る言葉でそれは一蹴されてしまう

まどかは諦めるようにその手を地面へと降ろし、瞳から涙を零させた


まどか「なん……で……」


まどかの心が絶望へと染め上げられていく


まどか「わたし……す……き……」


もう、さやかに振り向いてもらえない


まどか「さ……や、か……ちゃ……ん」


それだけでまどかの心を絶望へと染め上げるのは



十分だった

894 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:10:48.02 ID:oXCf2Zm80
さやか「な……」


ぱき、と固いものが割れるような音と同時に、まどかの濁りきったソウルジェムを中心にして大きな衝撃波を生み出した

さやかはそれに大きく体を吹き飛ばされ、壁に強く叩きつけられてしまう

あまりの衝撃に意識が遠のく

さやかは意識が闇に堕ちる寸での所で、窓から見える遥か彼方の天上で何かが形作られていくのを

目に、収めた

――――


「さやか」


―――恭介?


「さやか」


―――恭介……生きて


「……苦しい……」


―――え


「助けて……助けてさやか……」


―――今、今助けるから!


「さや、が」


―――あ


「いだいよ……手が、足が……」


―――きょう、すけ


「いだい……いだい……」


―――あ、ああ……


「さや」


―――あ、ああああ!!!






うぇひひっ!




895 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:12:22.49 ID:oXCf2Zm80
―――――――――――


「さやか」


愛嬌があるが、どこか無感情な声

その声にさやかの遠のいていた意識が次第に引き戻される


「目が、覚めたかい」


ゆっくりと目を開けた先、そこには瓦礫の上に座り込み、倒れた自分を見降ろすキュウべぇの姿があった

今まで所在が掴めて居なかったキュウべえが、当然のようにここにいる

それにさやかはぼんやりとした意識のまま、首を傾げた


さやか「キュウ……べぇ?」

キュウべえ「久しぶりだね。さやか」


ぼんやりと声を掛けるさやかにキュウべえはコクリと首を縦に振った

よろよろと軋む体を起こさせ、さやかは滲む意識をハッキリとさせていく



さやか「あたし……」

キュウべえ「君は今まで意識を失っていたんだ。無理しない方がいい」


キュウべえはそう言ったが、さやかはその声を無視し、投げ出されていた自分の身をゆっくりと起こした

そして滲む意識が明瞭になった時、真っ先にさやかの意識に浮かんだ事は

何故自分が意識を失ったかという疑問でもなく、何故キュウべえが突然現れたかという疑問でもなく

強い、まどかへの殺意だった


さやか「……まどかは?まどかはどこ!?」


キョロキョロと辺りを見渡し、まどかを探す

そんなさやかにキュウべえは、衝撃波にガラスの跡形もなくなった窓に目を向けて、言った


キュウべえ「まどかなら、あそこだよ」


今の、まどかの所在を


さやかもキュウべえの視線の先に目を移す


さやか「何……あれ……」


さやかの移す視界の先

そこには、天を仰ぐように二本の手の様なものを掲げる

見上げる程に巨大な『何か』がそこにあった
896 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:15:57.31 ID:oXCf2Zm80

キュウべえ「まどかだよ」


呆けた様子で疑問を呟くさやかに、キュウべえはその答えを告げる

その答えの意味がわからず、さやかはゆっくりとキュウべえにその意味を問う様に顔を向けた


キュウべえ「魔法少女というものはね、事あるごとにそのソウルジェムに穢れを溜めこんでいくんだ」

キュウべえ「魔力の消費、その体の維持、そして」

キュウべえ「感情に受ける損傷。絶望を受けた時にね」

キュウべえ「そうやって穢れが溜まり、それが許容範囲を範囲を超えた時、魔法少女は魔女になるんだ」

キュウべえ「そしてまどかはソウルジェムに穢れを溜めこみ過ぎた」

キュウべえ「だから……」

さやか「もういいよ」


キュウべえがつらつらと続ける説明を、さやかはどうでもいいと、遮った

キュウべえは改めてさやかの顔にその瞳を向ける

さやかの顔は、既にキュウべえには向いておらず、その顔は天を仰ぎ続ける魔女――まどかに向いていた

明確な殺意の籠る、暗い表情で


キュウべえ「そうか」


その表情にキュウべえは深く頭を頷かせた

そして、続ける


キュウべえ「……美樹さやか。君は何を望む?」


その言葉にさやかはキュウべえに向き直り、ジッとその顔を見つめた

そしてその寸瞬後


さやか「あたしは……」


さやかは言った


さやか「力が欲しい」


今の自分が望む、心からの願いを


さやか「あの魔女を……まどかを……殺す力を!!」


その願いをキュウべえは大きく頷き受諾する


キュウべえ「君の願いはエントロピーを凌駕した……契約は成立だ」

キュウべえ「受け取ると良い」

キュウべえ「これが君の願いだ」


そう言うと、キュウべえとさやかは眩い光に包まれた

さやかを魔法少女へと誘い、魔女を、まどかを殺す力を手に入れる為の

光の中に
897 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:17:18.81 ID:oXCf2Zm80
眩い光が収まり、その中から魔法少女の姿になったさやかと、キュウべえが現れる

さやかの姿。それは以前のような、青を基調とした軽鎧の姿ではなく

全身を黒で塗り固められた、顔までも包む武骨な重鎧の姿だった

そしてその手に持つのは、身の丈ほどある大きな大剣

魔女になったまどかを殺す為だけの、大剣


それを振り上げ、さやかは目の前にある部屋の壁をいとも容易くなぎ払うと

そのまま、天高くそびえるまどかの元まで飛んで行った


その姿をキュウべえはくりくりの目に収めながら見送った

抜け殻となった、まどかの体の横に座りながら

――――

さやかは、近づいて行く

魔女と化した、彼女の元へ

かつて親友だった、彼女の元へ

守るべき対象だった、彼女の元へ

幼き頃からずっと共にいた、彼女の元へ

その存在を、命を、断つ為に

――――


彼女の元へと向かう途中、彼女のものと思われる使い魔と何度も遭遇した

その姿はさやかと瓜二つ

だが、彼女の使い魔はさやかを見ても何をするでもなく、ただ、天を仰ぐ彼女へと指をさしていた

まるで、案内をするかのように

異常だと認識するような光景だったのだが、さやかはそれらを歯牙にもかけることなく通り過ぎた

そんな事よりも、彼女を殺す事にだけに頭を占められていたから


使い魔の案内の中、さやかはようやく彼女の足元のビルまで辿り着く

その姿は、巨大。首を見上げ切ってもその先は見えないほどだった

898 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:19:56.72 ID:oXCf2Zm80
だが、それでもさやか彼女に怯むことなく、足に精一杯の力を込め

思い切り、弾けさせた

見る見るうちにさやかの体が空中へと上昇していき、一瞬で彼女の首元まで到着する

そしてそのままさやかはその首を切り落とそうと、思いきり、得物を振り上げようとした時

彼女と、目があった

数十とあるその目と

威圧感に、体が固まる

途端、彼女の口らしきものがその顔を引き裂かんとばかりにつり上がった

まるで笑みを浮かべるかの様に

そして今まで天を仰がせていた手の様なものを、ゆっくりと怯んでいるさやかへと向かわせ始めた


―――ここにいてはマズイ


そう直感したさやかは足元に力場を作り、それを足場にすることで更に上空に行き、その場から離脱した

直後、彼女の真っ黒な手が轟音を立てながら、さやかのいた場所を両の手が通り過ぎる

まるで、さやかを抱きしめるかの様に

何とかそれを回避したさやかは、身を上下に反転させ再び足元に力場を作った

そして得物の切っ先を彼女の顔に向け、力場に足の力を込めさせると、思い切りそれを弾けさせ

その勢いのまま、彼女の顔へと大剣の切っ先を突きたてた

刺傷から、真っ黒な液体が漏れ始める。

だが、それでも彼女はその笑みの様な表情を崩すことはなかった

彼女の体が蠢き始める

そして次の瞬間、電柱の太さほどの糸を体中から溢れださせた

そのすべてが、顔へ大剣を突きたてるさやかへと向かっていく

さやかはそれを目に収めると、突き立てた大剣に許容範囲以上の魔力をつぎ込み

その刀身を破裂させた

同時に魔力の爆発が起こり、彼女の顔を激しく破傷させる。

彼女はそれに一瞬だけ怯みの様相を見せたが、それでも溢れださせた糸は動きを止める事は無かった

数えきれない糸が、さやかへと向かう。

さやかは得物の爆風を利用して彼女の顔から離れていたが、終わらない危機に気を休めることなく、足元に力場を作って、迫る糸達から逃げた

だが、こちらがかなりの速度を出しているにも関わらず、糸から距離を取る事は出来なかった

それどころか、徐々に追いつかれ始めている
899 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:23:48.83 ID:oXCf2Zm80
―――このままでは埒が明かない


そう判断したさやかは、動きを止め、迫る糸達に正面から対峙する

そしてさやかは得物の何倍以上もある大剣を具現させ、足元に力場を作ると

迫る糸達に向け、それを大きくなぎ払った

途端、その太刀筋に合わせ、大きな衝撃波が発生し、糸達を切り裂いて行った

そして、その切り裂いた隙間に向け一気に加速し、そのまま彼女へと向かっていった

糸のトンネルを進む間、何度も糸がさやかの行き先に壁を作ったが、さやかはその度に巨大な得物を振るい、それをなぎ払っていった

それを何度か繰り返すとようやく、さやかの眼の前に再び彼女の姿が現れた

さやかはそれに口端を限界までつり上げさせると、持っていた得物に魔力を込め、彼女へと投げつけた

回転しながら飛んでいき、彼女の体に刺さると、それはまた魔力の爆発を起こした

先程よりも大きな爆発。それに彼女は大きく体を震わせ、さやかを追わせていた糸達の動きまで鈍らせる

さやかはそれを好奇と取ると、先ほどよりも巨大な大剣をその手に具現させる。

その大きさは高層ビルを易々と切り裂いてしまえそうなほど

それをさやかは軽々と袈裟掛けに振り上げると、一気に彼女へと肉迫した

見る見るうちに彼女が近づいて行く。そしてその距離がほぼゼロとなった時

さやかは巨大な得物を、思い切り振りおろした

彼女の体が、いとも容易く切り裂かれていく


―――殺った


得物が彼女の体を切り裂き切った時、さやかは確信に心を震わせた

だが

さやか「な……」


切り裂いた隙間からさやかを追いまわしていた無数の糸が突如現れ、さやか目掛けて向かってきた

咄嗟に逃げようとするが、生まれた油断に体がうまく動かず

無数の糸にさやかは全身を包まれる様に捉えられてしまう


さやか「くそ……!どけぇッ!!」


逃れようと必死ともがくが、逃れられる気配は全くない

そしてさやかに今以上の危機が迫っていた

もがき続けるさやかに影が掛かる

さやかはそれに驚いて上を見上げると

破傷が再生しかかった、彼女の目と目があった

そして彼女は再び、笑顔の表情を作ると、腕の様なものをさやかに向けて廻し始めた


―――殺される


そんな思いの中、これまで以上に必死ともがく

だが、糸の拘束は外れることは無かった

彼女の両手がさやかへ迫り、彼女がその体を抱いた時

さやかの意識は闇に飲まれてしまった
900 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:25:19.63 ID:oXCf2Zm80
―――――



「さやかちゃん」



遠い意識の向こうで、誰かがさやかを呼んでいる


さやか「ん……」


だが、さやかは自分を包む気持ちの良い感覚を手放せずに、その声を無視してしまう


「もー……起きないと遅刻しちゃうよ?」

「さーやーかーちゃん!!」


少し、怒ったような声で、その声の主はさやかを呼び続ける

極めつけには、ユサユサとさやかの体を揺らし始めた


さやか「んー……わかったよ……」


それにようやく観念したさやかは、ゆっくりとその身を起こし、重たい瞼を無理やりこじ開けた

その開けた先、さやかの瞳に映るのは


「てぃひひっ!おはよう!さやかちゃん」


『最愛の彼女』と、見慣れた自分の部屋だった


さやか「おー……おはよう……まどか……」

「うんっ!」


彼女の姿にさやかはニコリと笑みを見せると、

彼女はさやかの体に甘えるように抱きつき、潤む瞳をさやかの瞳に向けた


「さやかちゃんっ……いつもの、やって?」

さやか「またぁ?もう……まどかは飽きないなぁ」

「だって……」


さやかの呆れた様な態度に、彼女は潤んだ懇願の視線を向ける

それに諦めたようにさやか溜息を吐くと


さやか「ん……」


彼女の顎を持ち上げ、自分の方その顔を向かせると

その唇に優しく口づけをした

901 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:27:26.18 ID:oXCf2Zm80
さやか「う……っ」


気持ちのいい筈の、彼女とのキス

だが、今日は何故かそのキスが酷く嫌なもので、気持ち悪いものとして感じられた

その気持ちの悪さに耐えきれず、さやかはすぐにその唇を離してしまう


「……どうしたの?」


首を傾げながら、彼女は気分の悪さに呻くさやかの顔を覗き込んだ

さやかは彼女のその心配を向ける視線に首をゆっくりと振る


さやか「いや……なんでもないよ」

「もしかして気分悪い?今日学校休む?」

さやか「……ちょっと眩暈しただけだから。もう大丈夫」

「でも……」

さやか「まどかは心配し過ぎっ!ほら!もうさやかちゃんはこんなに元気ですよー!」


浮かない表情を向ける彼女を元気づける為、さやかはおどけた様子でボディビルの様な恰好を見せ付けた

それに彼女は安心したようにくすくすと笑みを漏らす


「てぃひひっ! ……わかった。でも、無理しちゃだめだよ?」

さやか「うん」

「ご飯出来てるから。用意できたら下降りてきてね」

さやか「わかったよ」


さやかが頷くのを見ると、彼女はニコリと笑みを見せ

さやかの唇に軽く、自分の唇を触れさせた

そして、幸せに頬を染めると、さやかに背を向け、部屋を出て行った


さやかはその姿を笑顔で見送り、彼女が部屋から出ていくと

気分の悪さに、顔を、しかめた
902 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:29:04.01 ID:oXCf2Zm80
その後、さやかは急いで朝の準備を済ませると、彼女の待つダイニングまで降りて行った

そこには、見滝原中学の制服の上にエプロンを来ている彼女が、せっせとテーブルの上に朝食を並べている姿があった


「あ、さやかちゃん」


そこで、彼女がさやかが舌に降りてきた事に気付き、ニコリと笑いかける

それにさやかも笑顔で応えた


「今日はね。トーストと、目玉焼きと、簡単なサラダだよ」


さやかがテーブルの席に着くと、彼女もそれに向かい合う様にテーブルに着き、そう言った

テーブルの上にはまどかの言った通りの物が置かれている


さやか「おーうまそうじゃんっ」


食卓から漂う香り、彩りにさやかは感嘆の声を上げる

彼女はそれに照れくさそうにほほ笑んだ


さやか「よーっしそれじゃあ……」


彼女の笑みを自分の瞳に収めると、さやかは両手を合わせ


さやか「いっただきまーすっ」


そう言って食事を取り始めた


「てぃひひっ!どうぞっ」


そんなさやかに嬉しげな笑みを見せ、食べる事を促すと

彼女も、食事を取り始めた


さやか「うーんっまどかも料理上手くなったよねっ」


他愛もない談笑をしていくうち、半分ほど箸が進んだところでさやかは感慨深げに頷いた

それに彼女は羞恥に慌てた様子を見せる


「や、やめてよっもう……」


そんな彼女の様子に嗜虐心を煽られたさやかは、彼女に意地悪な笑みを浮かべた

903 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:31:43.17 ID:oXCf2Zm80
さやか「一緒に暮らし始めた時なんかさ、この目玉焼きだってこんな上手く焼けてなかったし」

さやか「それが今じゃこんな上手に…… さやかちゃん嬉しくて、涙が出そうっ!」

まどか「や、やめてってばぁっ!」

さやか「にゃはははっ」


彼女の慌てる様子に満足したさやかは、けらけらと笑った

それに彼女は頬を膨らませていたが、突然、顔を伏せ、笑みを漏らす

それは、恥ずかしさと、嬉しさの籠る笑み


「……それでもさやかちゃん、失敗したやつ、全部食べてくれたよね」

「あれね、申し訳なかったけど……嬉しかったよ」


そう言うと、彼女はさやかに上目を向け、幸せそうに微笑む

さやかは彼女の笑みに、むず痒いような、恥ずかしいような感情に襲われ、頬を赤く染まらせた


さやか「う、うん……」

さやか「さ、さあ早く食べないと遅刻しちゃうなっ! 食べよう食べよう!」


羞恥を誤魔化すようにそう言うと、さやかは焦った様に再び食事を取り始める

そんなさやかに嬉しそうに頷くと、彼女も食事を再び取り始めた


そうして二人揃って食事を終わらせると、学校に行く準備を済ませ、共に家を出た

そして寄り添う様に、自分たち以外誰もいない通学路を歩いて行く

互いの手を、しっかりと繋ぎながら


学校に着くと、二人は授業を受ける為に真っすぐに教室に向かった

自分達の歩く音と、会話しかしか響かない廊下をさやかは彼女と共に歩いて行く

そして自分と彼女だけのの教室に着くと、さやかは彼女の席の隣りの自分の席に着き、ホームルームの時間まで彼女と会話しながら過ごした

繰り返す毎日、変わり映えの無い毎日

それでもさやかは   だった

しばらく会話してると、ホームルームを告げるチャイムが鳴り響き、放送機器から、今日の連絡を告げる無機質な声が流れだした

さやかは彼女との会話をやめ、それをぼんやりと聞き流しながら放送が終わるのを待った

ちらりと、隣の彼女を盗み見る

彼女は一生懸命に放送の内容に耳を傾けているようだった

さやかはそれにクスリと笑みを漏らすと、自分の腕を枕に机に突っ伏し、瞼を閉じた

段々と降りてくる睡魔

それにさやかは抵抗することなく身を任すと、すぐに意識は闇の中へ落ちて行った
904 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:34:14.30 ID:oXCf2Zm80
――――

悲鳴や怒号が聞こえる

さやかはそれに驚き、閉じていた目を開けると、そこは見慣れた見滝原の街で

そこにいる人たちが次々に殺されていた

自分と瓜二つの、何かに


さやかはそれに何故、と戦慄し、必死と叫ぶ

やめろ。やめろ。やめろ と

だが、自分と瓜二つの何かは人を殺すのをやめようとしなかった

命乞いをする者も、女も、子供も関係なく


目の前で繰り広げられる、あまりに残虐な行為にさやかはこう結論付けた

これはただの夢だ。と、こんなもの現実である筈がない、と

さやかは蹲り、目と耳を塞ぐ

こんな夢、はやく覚めろ。と心で念じながら

やがて、意識に闇の帳が降りはじめる

さやかは抵抗することなく、すぐにそれに逃げるように身を、任せた


―――――


さやか「ん……」


重たい瞼を開け、さやかは突っ伏していた腕で瞼を擦る

ぼんやりとしていた視界がはっきりしていく。そこはいつも通りの彼女と、自分だけの教室だった

目の前の黒板に目を移す。そこには大きく自習、という文字が書かれていた


「おはよう。さやかちゃん」


掛けられた声にさやかはその顔を向ける

そこには彼女が、愛おしさの籠る目でこちらを覗き見る姿があった


「てぃひひ、よく寝てたね」

さやか「うん……」


先程みた『悪夢』が尾を引き、さやかはいまいちいった様子で頷く

彼女はそれを敏感に感じ取り、心配の籠る表情をさやかに向けた


「……大丈夫?顔、真っ青だけど……」

さやか「え、ああ……大丈夫。 ちょっと、嫌な夢を見ただけだから」

「……どんな夢?」

さやか「あー……まどかに言うほどのもんじゃないよ」


曖昧な笑みを浮かべ、首を振る

そんなさやかに彼女の心配の気は抜ける事はなかった
905 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:36:26.88 ID:oXCf2Zm80
「……そう?」

さやか「そうそう! さ、それじゃ勉強しなくちゃねー」

さやか「雑談している暇など、あたしたち学生にはないのだ!」


そうお茶らけて、さやかは彼女の笑いを誘ったが、彼女は笑みを見せる事はなく

静かにさやかを抱きしめた


さやか「まどか?」


さやかの呼びかけにも応えず、彼女はさやかを抱きしめ続け

ポツリ、と言葉を漏らした


「どこにも……いかないで……」


それにさやかは呆れたように小さく笑みを漏らすと、自分に抱きつくまどかを優しく抱きしめ返した

それに彼女は驚いたように、その顔を上げ、さやかへと向ける


さやか「あたしはどこにも行かないよ」

さやか「こんなに可愛い彼女がいるんだからね」


ニコリと、柔らかい笑み

彼女はそれに、喜びに涙を潤ませながら小さく頷いた

そしてそのまま彼女は瞳を閉じ、その小さな唇をさやかへと近づけていく

さやかもそれに応えるように、自分の唇も近づけていき

優しく、触れ合わせた


柔らかく、甘い彼女の唇

その感覚は、やはり

とても、不快だった


その後自習ばかりの一日の授業を終えたさやかと彼女の二人は、寄り道することなく真っすぐ帰宅の路に着いた

辺りは西日に赤く染まり、所々の電燈がその足元を照らしていた

その自分たち以外は誰もいない中を、手をつなぎながらゆっくりと歩く

話す内容は、今日の夕飯の事

さやかはそのなんでもない事に  を感じながら
906 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:38:41.82 ID:oXCf2Zm80
彼女の作ってくれた夕食を食べ終えると、さやかは自分の部屋でくつろいでいた

適当な雑誌を見て時間を潰す


「さやかちゃん」


ページが半分まで差し掛かった時、部屋のドアをノックする音が鳴り響き、その後に彼女が声を掛けながら入ってきた

手に持つのはバスタオルと、寝巻

さやかは彼女の言いたい事を見当に入れながら、彼女に首を傾げて、言った


さやか「どした?まどか」

「え、ええとね。……お風呂、沸いたよ?」


もじもじとさせながら、さやかの問いに応える

そこで彼女の言いたい事を完全に理解したさやかだったが、あえて彼女の言葉を聞き流すような態度を取った


さやか「わかった。あとで入るよ」


その言葉に彼女は焦ったようにオドオドとし始める

それに気付かれないように笑いを浮かべながら、さやかは彼女から目を反らし、次の言葉を待った


「あ、あのねっ!さやかちゃん」

さやか「んー?」

「えと……その……」


もじもじと、言葉を選ぶ

そんな彼女をさやかはほくそ笑みながら横目で様子を窺い続けた

そして、彼女が決心したように一息つくと、小さな声で、ポツリ、と漏らした


「お風呂……い、一緒に入らない……?」

さやか「えー、昨日も入ったじゃん」

「……う……」
907 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:40:13.23 ID:oXCf2Zm80
さやかの意地の悪い言葉に顔を真っ赤にして、彼女は顔を伏せる

それにさやかはその姿に我慢できず、顔を破顔させると彼女に近づき、思い切り抱きしめた


「さ、さやかちゃんっ!?」

さやか「まったく可愛い奴だなぁあんたはっ!うりうりうりっ!」


突然抱きつかれた事にうろたえる彼女の頭を、精一杯の愛情を込めてさやかは撫でまわす

そして撫でる事に満足すると、彼女の耳元で小さく囁いた


さやか「えっち」

「ちがっ!ちがうよっそんなんじゃっ!」

さやか「昨日もそう言って結局やったじゃん」

さやか「……したくないの?」


さやかの言葉に彼女は慌てて否定するが、さやかの意地の悪い言葉に赤面し、彼女は言葉を失ってしまう

そんな彼女をきつく抱きしめ、さやかはその秘部をなぞるように手を当てた

彼女の体が大きく震える


さやか「どうなの?」

「……う、う……」

さやか「ねえ」


言葉を重ねながら、さやかは彼女の秘所をその指で擦り続ける

次第に彼女の息は荒くなり始め、瞳は熱に犯されたように潤んでいた

そうして彼女はさやかの責めに耐えきれず、小さくコクリと頷く


さやか「……わかった。じゃあ先に行ってて」


彼女が頷くのを見ると、さやかは彼女の秘部から手を離し、優しくその肩を押した

その際に彼女は自分の秘所に触れていたさやかの指に名残惜しげな視線を見せたが、すぐにさやかの言葉に頷くと、部屋を出て行った


さやか「さーて、思いっきり可愛がってあげないとねー」


彼女が部屋を出ていくと、さやかはこれからの期待にゾクリと体を震わせながら、そう呟くと

入浴の準備をし始めた


さやか「あんな顔して激しいからなぁ……昨日だって」


一人呟きながら、昨日の事を思い出す


さやか「……昨日?」


だが、さやかが思い返そうとしても、上手く昨日の彼女との行為が思いだせなかった

それでも、彼女が行為の際は激しいという事は覚えている

さやかはそれに首を傾げたが、彼女を待たせては悪いという思いが勝り、その疑問を捨て置く事にした
908 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:42:26.25 ID:oXCf2Zm80
この後エロ描写あり、苦手な方は飛ばし推奨!

これで大体半分。さやか編はなんとかこのスレで終わりそうです
909 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:45:14.26 ID:oXCf2Zm80
―――


「あ、さ、さやか、ちゃん」


入浴の準備を終え、さやかが脱衣所まで行くと

彼女はもう衣服を全て脱ぎ終え、バスタオルを体に巻いてさやかが来るのを待っていた

これからの期待からなのか体をもじもじとさせ、視線をチラチラとさやかに向ける

さやかはそれに微笑むと、彼女の頭に手を乗せて、言った


さやか「寒いんだから先入ってれば良かったのに」

「……い、いっしょがいいから……」


その小さな体を抱きながら消え入るような声で、彼女はさやかの言葉に応える

さやかはそれに大いに嗜虐心を煽られ、彼女を今すぐにめちゃくちゃにしてしまいたいという衝動に駆られた

それを何とか自分の奥に押し込め、さやかは急いで自分の衣服を脱ぎ始めた

彼女が、露わになっていく自分の肢体に、チラチラと期待の目を向けている

そんな彼女を目の端に収めながら、彼女に見せ付ける様に脱衣していった


さやかが脱衣し終えると、二人はすぐに浴室に入った

そして、先にさやかが仰向けに寝転がるように湯船に浸かり、彼女がその上に乗る様な形でお湯に浸かる


さやか「ふー……気持ちいいねーまどか」

「う、うん」


後ろから抱きしめながら、さやかは彼女の耳元でそう囁いた

彼女はさやかの息が耳に掛かった事に体をぴくりと震わせ、ぎこちなく返事をする

そして、太股をもじもじと擦り合わせ、なにかを期待するようにさやかに顔を向け、遠慮がちな視線を見せた


さやか「やっぱり一日の終わりはこれだよねー」

「う、うん……」


だが、さやかはその態度も意味も、視線の意味も知りながら、知らない顔をしていた


「さ、さやかちゃん、あの……」

さやか「んー?なに?」

「え、えと……うぅ……」

910 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:47:27.27 ID:oXCf2Zm80
さやかの意地の悪い焦らしに焦れた彼女は、それとなく誘いを掛けた

だが、それでもさやかはとぼけたふりをする

いっそ言ってしまおうと、彼女は誘いの言葉を掛けようとするが、羞恥がそれを邪魔をして声を出す事が出来なかった


「さ、さやかちゃ……んやぁっ!」


それでも何とかして誘いを掛けようとした時、突如さやかが、彼女の小さな両の乳房を優しく揉み始めた

それに彼女は大きく体を震わせ、喘ぎを浴室に響かせる


「っ!」


思ったよりも大きく響いた自分の嬌声に羞恥を感じた彼女は、咄嗟に自分の口を両手で塞ぐ

さやかはそんな彼女の胸を揉みながら、耳元に息を吹きかけ、小さく囁いた


さやか「昨日あれだけ大きな声でよがってたのに、今更恥ずかしいの?」

「あ、あれはっ!その……やぁっ」


昨日の事を思い出したのか、彼女はその顔を更に羞恥に染め、慌てる様子を見せた

さやかはそれに嗜虐的な笑みを見せると、彼女の胸にある桃色の突起を軽く摘む

二つの突起は既に興奮で痛いくらいに勃起しており、摘む事はとても容易かった

それをさやかは優しく扱き、時には痛いくらいにそれを摘みあげた

扱く度に彼女は快感に息を荒げ、摘むたびに体を痛みにくねらせる

さやかはそんな反応見せる彼女の体に夢中になって愛撫をしていった


「あ、そ、そこ……」


やがてさやかはもっと彼女のよがる姿がみたいと、片手を彼女の乳首から、ゆっくりと体の線を沿う様にして下に降ろして行く

彼女はそれに羞恥に顔を赤く染め、荒く、熱い息を漏らしながら、期待に濡れた瞳をその手に向けた

やがて、さやかの手が彼女の陰部に辿り着く。

そこは、水の中だというのに彼女の愛液だとわかる程に、ぬめりを帯びていた

さやかは粘着質なそれを伸ばすようにして、彼女の陰唇の横のプックリとした肉の辺りを指で優しくこすり始め

陰唇に触れるか触れないかのタッチで、焦らすように円を書きながら擦り上げていく


「さやかちゃ、ぁん……」
911 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:50:06.34 ID:oXCf2Zm80
彼女はその快感を得るか否かのじれったい愛撫に、我慢が出来なくなり、さやかに物欲しげな瞳を向けた

だが、それでもさやかは応えず、執拗に、焦れる愛撫を続けていく


「あっ、あっ、さやか、ちゃん、さや、っかちゃん」


快感を目の前にして、それでもその快感に手を届けさせてくれないもどかしい感覚に、彼女はどんどんと性的な興奮を昂ぶらせていった

いつしか彼女は快感を求める為に、腰を軽く浮かせ、さやかの手に陰部を押し付けようとしていた

目は快楽を求める為にぎらつき、口を荒い息にだらしなく開けて、今にも涎を垂らしそうになっている

さやかも遂にそんな彼女に我慢が出来なくなり、円を書いていた手を彼女の陰部の上に宛がうと

いきなりに陰核を摘みあげた


「ひあ、あああああっ!!」


同時に彼女は焦らされていた感覚から突然体を駆け巡るような強い快感に変わった事に、

体を震わせながら弓なりに大きくしならせ、大きな嬌声を上げる

それに追い打ちを掛けるように、さやかは後ろから耳を甘噛みし、左手で乳首を扱くようにこね回しながら

彼女の陰唇を、何度も優しく上下に擦り始めた


「さや、さや、さやかちゃあ、あっ、あっ、あっ」


さやかの手に陰部を擦り上げられるたびに、彼女は漏らすような悩ましい声を上げる

その表情はさやかから与えられる快感にだらしなく緩み切らせ、瞳を虚ろに揺らしていた

息は荒く、口は開きっぱなし。

遂にはさやかの手まで掴んで自分の陰部に強く押しつけ、更なる快楽まで得ようとしていた

そんな先程までの羞恥に染まっていた彼女からは考えきれないほどの快楽への溺れように

さやかも興奮を覚え、体が疼きを覚え始めていた
912 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:52:19.20 ID:oXCf2Zm80
「ひっ!あ、ああ!あーっ!あーっ!」


そんな時、与えられた快感に体が大きく震えた事により、彼女が陰部へと押してけていたさやかの指が膣内へと深く侵入しまう

彼女は膣内に侵入してきた異物感に大きく体を震わせると、一気に膣液を溢れださせた

肩で息をし、目を白黒とさせる彼女に、さやかは膣内に入った指を溢れださせた汁を潤滑油にして、容赦なく動かし始めた

ぬるぬるとさやかの指が膣内を滑り、出たり入ったりを繰り返す

それに彼女はさやかに犯されているような感覚に陥り、更に興奮を昂ぶらせた

声も抑える事はせず、浴室に響き渡らせるように喘ぎ続け、快感と興奮に陰核を痛いくらいに勃起させる

さやかに与え続けられる快感に、彼女は絶頂の寸での所まで追い詰められていた


「ひぐっ!う、ううううう!!!」


さやかは彼女の溢れだす膣液の量、今までよりも小刻みな体の震えからそれを知り、彼女を果てさせようと

乳首を扱き上げていた手を彼女の秘部に這わせ、陰核と陰唇、そして膣内への愛撫を同時に行った

膣内を掻きまわし、陰核を扱き上げ、陰唇を激しく擦る

彼女はその激しい愛撫から与えられる快感に、絶叫の様な嬌声を上げ、体をガクガクと震わせながら絶頂へと上り詰めて行った

これまで以上に粘着質な液を膣から吐きだし、締りのなくなった口端からは涎が溢れだす


「いっ、いっ、いっ、いく、イクっ、イクっ!」


そしてさやかが彼女のぬめり切った膣内と皮も向けた陰核を、挟むように指で押し潰すと、

彼女は快楽に蕩けていた目を大きく見開き、体の震えをピタリと止めると


「イっ!……あ。ああっ!あああっ!!」


頭の中を真っ白にさせ、体を大きく弓なりに逸らして、絶頂に果てた

激しい絶頂の快楽の波に、ビクビクと体を痙攣させ、浸かるお湯を大きく揺らす

その表情は恍惚に染まり、焦点の定まらない目をゆらゆらと揺らしていた

913 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:55:29.05 ID:oXCf2Zm80
「はっ、はっ、はっ、は……あ……」


ようやく絶頂の波が収まると、彼女は強張っていた体を弛緩させ、さやかにその体を預けてきた

さやかはその体を愛でるように抱きしめると、優しく頭を撫でた


さやか「大丈夫?」


かなり激しく絶頂した所為か、彼女はさやかの声に応えず惚けた様子を見せ続けていた

それに心配になったさやかは彼女の表情を窺う為、その顔を横に向けさせた


さやか「んぐぅっ!?」


そこで彼女は突然に振り返り、顔を近づけてきたさやかに唇を重ねてきた

さやかに得体のしれない、気分の悪さが襲う

さやかはその二つに驚いて彼女の唇から唇を離すと、彼女の顔へと瞳を向けた


「……さやか……ちゃ……」


そこにはあれだけ激しく絶頂したというのに、依然として淫欲に燃える彼女の瞳があった

そのまま彼女はさやかに向き直ると、その首に腕を回し、再度唇を近づけてきた

さやかは無意識にそれを避けようとしたが、半ば拘束されている状態ではそれも敵わず、彼女のなすがままに唇を奪われる

彼女は何度も何度も啄ばむようにさやかの唇に口づけをし、そこから得られる快楽に溺れて行った

ちゅ、ちゅ、と弾ける様な口づけの音が、浴室に響く

やがて彼女は軽い唇の触れあいだけでは我慢できなくなり、しっかりとさやかの唇に自分の唇を触れ合わせると

その割れ目に自分の舌を割り入れた
914 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:57:09.26 ID:oXCf2Zm80
「ふ……ん……ん……んんう……んふ……」


ぬるりとしていて、弾力のあるものがさやかの口内に侵入する

それは初め、何かを探すようにその体を蠢かせ、その身にまとう粘着質な液体をさやかの口内に擦りつけていった

甘い匂いがさやかの口内から嗅覚を刺激する

それは人を興奮させ、性欲に夢中にさせるような淫惑な匂い

だが、さやかはそれに興奮は覚える事は出来なかった

それどころか、不快感を感じる程だった

だが、彼女が望む事だと自分に言い聞かせ、さやかは必死と彼女の舌の蹂躙による不快感に耐えた

彼女の舌は、さやかの歯や歯茎にその粘着質な液体を擦りつけるだけでは飽き足らなくなったのか、口奥へとその身を滑り込ませてきた

探るように蠢き、さやかの舌を探す

そしてようやく目的の物を見つけると、その身を思い切り絡ませ、その味を確かめるように蠢き始めた

同時に、その身が纏っていた淫惑の香りのする粘着質な液を、大量にさやかの口内へ流し込ませてきた

あまりの量さやかの口端からそれが溢れだしたが、彼女の舌はそれでも構わずに、舌を蠢かせ、さやかの唾液にそれを混ぜ合わせていく


「んん……ふ……んあ……は……」



二人の口内でぐちゅぐちゅと言ったくぐもった淫猥な音が鳴り響く

彼女はそれを鳴らす行為に溺れるように夢中になり、さやかは目を閉じてそれの不快感に耐えた


さやか「んぐ……んん……ん……」


彼女はこれが大好きなのがさやかも知っていた

だが、一向に終わる事のない深いキスに、不快感に耐えかねたさやかは制止を掛けようと薄らと目を開けた


さやか「っ!?」


さやかはその目を疑った

目の前に映るのは、一糸纏わぬ姿で、性欲に溺れる彼女の姿ではなく

妙な格好をする血濡れの彼女が、必死な表情で自分に唇を押しつける姿だった

驚きにさやかは目を瞬かせる 

だが、次の瞬間には彼女の姿は元に戻っていた
915 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 01:59:00.13 ID:oXCf2Zm80
「んふ……ん……んは……さやか、ちゃぁん……」


のぼせてきて、幻覚を見たのだろうとさやかはそう結論付けた時

そこで彼女はようやくキスに満足したのか、さやかの口内から舌を引きぬいた

トロリ、と粘着質な糸が引き、温くなったお湯に垂れる

彼女は唇に付いた、その彼女のとさやかのが混ぜ合わさった唾液を舐め取ると、淫欲に濡れ切った瞳でさやかを見つめた

そしてさやかの太股を割らせると、もぞもぞと体を動かし、呼吸荒く自分の秘所をさやかのそれへと向かわせていった


さやか「ま、待ったっ、待ったっ!」

「……さやか……ちゃん……?」


このままではのぼせてしまうと、行為に移ろうとする彼女にさやかは待ったを掛けた

それに彼女は惚けた様子で首を傾げさせる


さやか「このままじゃのぼせちゃうから、一回ストップしよ?ね?」


その言葉に彼女は考えるそぶりをさやかに見せた


「……ん……」


だが、疼く体が抑えきれないのか、彼女はすぐに考えるそぶりをやめ

再び体を、さやかの秘所へと寄せ始めた


さやか「す、ストップ、すとーっぷ!」


ぐいぐいと秘所を寄せようとする彼女に、さやかは慌てた様子でその体を押し返した


さやか「わかった。わかったからっ!」

さやか「ここ出たら一杯してあげるから。ね?だからお願い!」


さやかがそう言うと、ようやく彼女は体を寄せるのをやめ、小さくその首を頷かせた

それに安堵の息を吐くと、呆れた様な笑みを浮かべ、彼女の頭を撫でる

そしれそれに気持ち良さそうに目を細める彼女を見て、心の中で小さく呟いた


今日は一段と激しそうだ……と

916 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:00:09.15 ID:oXCf2Zm80
――――

その後、軽くシャワーで汗を流し、その濡れた体をバスタオル拭き終えると、二人はさやかの部屋へ向かっていた

その格好は、さやかは下着上下のみ。彼女に至っては、体の疼きに着る事さえ億劫なのか、その身に何も着けてはいなかった

疼きに加え、のぼせているのか、フラフラとする足取りの彼女の手を掴み、さやかは一緒に階段を上る

その際、彼女の方からポタポタと水の垂れる様な音が聞こえてきたが、

さやかはそれをただ彼女の髪から拭き残した水が垂れているのだろうと、そう自分に思い込ませる事にした


そしてようやく自分の部屋に着くと、さやかは部屋の電気を付けた


さやか「さて……わっ!」


それと同時に彼女がさやかの体に抱きつき、その潤んだ瞳をさやかの顔を向けた

その視線の意味をすぐに理解すると、さやかはまた呆れる様な笑みを見せ、そのまま彼女を自分のベッドに連れて行った


「さやか……ちゃん……」


ベッドに寝かせると、彼女はさやかを求めるように両手を伸ばし、欲情に濡れた瞳を向けた

さやかはそれに応えるように覆いかぶさり、強く彼女を抱きしめる

甘い香りが鼻腔をくすぐる。

さやかはそれに酔わされるように、さやかは彼女を抱きしめたまま、耳に舌を這わせた

それにゾクゾクとした感覚が彼女の体に走り、ぴくりとその体を震わせる

さやかはそんな彼女の反応を楽しむように、ゆっくりと舌を耳、首筋、鎖骨……といった様に這わせていった

やがてその舌が、彼女のつつましくも、固いの良い胸まで辿り着くと、さやかはその真中にある、可愛らしい突起を口に含んだ

舌でコロコロと転がし、時には音を立てて吸い上げる

その度に彼女は小さな喘ぎ声を上げ、胸への愛撫を続けるさやかを抱きしめた

そして彼女の頬が興奮に赤く染まり、もじもじと太股を擦り合わせ始めたころ、さやかはその手を彼女の秘部にゆっくりと宛がった

そこはもう既に十分すぎる程に濡れ切っており、雌の匂いを発しながらピクピクと痙攣させて、さやかを求めていた

彼女が熱い息を吐きながら、期待の視線を向ける

さやかはそれに小さく頷くと、彼女から一度離れ、自分の身につけている全ての下着を脱ぎ去った

第二次成長期の少女としては比較的大きい胸、くびれのあるスタイルの良い腰、

そして薄らと陰毛が生える恥部が、外気にさらされる

そこは彼女の痴態を見ている内に、自分も興奮していたようで、しっかりと濡れていた

917 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:01:34.20 ID:oXCf2Zm80
さやか「まどか」


優しく声を掛ける

彼女はそれにしっかりと頷くと、股をゆっくりと開き、ぐちゃぐちゃに濡れた陰部をさやかに見せ付けた

彼女の息は荒く、その目は早くさやかに犯して欲しいと言わんばかりに訴える

さやかはそんな彼女に頷きを見せると、彼女に向き合う形になり、股を開きながら、彼女の膝と自分の膝を交差するように組み合わせると

ゆっくりと、彼女の秘所へと、自分の秘所を向かわせていった

すべすべとした彼女の肌が、さやかの肌を擦れていき

秘所が近づきあっていく程に、二人の心臓は興奮に高鳴っていく

そして二人の大事な所が、ようやく重なり合ったその時


「んやっ!」

さやか「ん……っ」


くちゅり、と濡れた音が部屋に鳴り響き、体に走った快感に二人は短く声を上げた

二人はしばらく互いに愛しさに見つめ合うと、さやかから、ゆっくりと腰を動かし始めた


「んぅ……あっ……は……あ……」

さやか「んく……う……あっ……んっ……」


ぐちゅり、ぐちゅり、と互いの膣液を混ぜ合わせる淫猥な水音を立てながら、自分の陰唇を彼女の陰唇に押し付けるようにして擦りつける

互いに悩ましげな声を、陰唇が擦れ会うたびに上げながら、彼女たちは興奮を昂ぶらせていく

さやかは次第にもっと快感を欲しいと思うようになり、少し腰を引かせると、感所の膣内への隙間に、自分の陰核を沿わせるようにして擦りつけた

途端、さやかに体を駆け巡るような強い快感が襲い、彼女に先程とはまた違った異物感による快感が走り、体を互いにぴくりと震わせる


さやか「こ、れっ、いいっ、あ、んう……」

「あ、さやかちゃ、は、ぁ……く、う……」


快感による恍惚に顔を緩ませながら、さやかはグリグリと彼女の膣内に自分の陰核を押しつける

彼女は快感を受けているさやかの陰核を受け止めようと、自分の膣内に深く迎え入れる為、自分からも強く押しつけ返す

さやかの陰核は彼女の溢れだした膣液にまみれ、彼女の割れ目はそれに淫猥な水音をたてさせながら掻きまわされる

そこで、さやかが自分がこの快感に一人で夢中になっている事に気付き、このままではいけないと快楽にぼう、とした頭で考え、

彼女にもこの快感を与える為に、さやかは一度、彼女の陰部から、自分の物を離した

918 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:03:02.30 ID:oXCf2Zm80
「あ、あ、さやかちゃ、まっ……」


トロリ、と粘着質な糸を引きながら離れていくさやかの恥部に、彼女は与えられた快感が無くなった事から、焦った表情を見せた

だが、先程までやっていたように彼女の興奮から痛いくらいに勃起した陰核を、さやかが自分の小陰唇の間へと押しつけた事によって

その表情も、すぐに快感に染められる


「んあっ!あっ、あっ、あっ、あっ」


体を陰核をから与えれる快楽に体を大きく揺らしながら、さやかが腰を揺らす度に短く嬌声を漏らす

そんな彼女への興奮に、膣から粘着質な液を大量に分泌させ、もっとその姿を見たいと、さやかは腰を激しく振り始めた

彼女もさやかから与えられる快楽を更に得たいと、さやかの激しい腰の動きに合わせ、自分の腰を押しつけながら、ヘコヘコと振り始めた

ぬちゅぬちゅと先程より大きく、小刻みな粘着質な水音が鳴り響き、そのたびに漏らす二人の喘ぎは大きくなっていく

息も熱く荒くなり、快感に二人の顔はだらしなく弛み、体の火照りに汗を流す


さやか「きもちい?まどか、ま、どかきもちい?きもちい?」

「あっ!い、いいっ!きもちいっ!いひっ!いいっ!」


互いの欲情をぶつけ合う様に二人は腰を振り続け、快感をむさぼり続けた

彼女たちの甘い汗の匂いと、恥部から放たれる混ぜ合わされた淫媚な雌の臭いが部屋を染める

そんな淫欲に溺れる互いの姿に二人は興奮を覚えながら、絶頂へと近づいて行った


「い、いく、いく、さやかちゃ、いく、いくっ、いくぅっ!」

さやか「あ、あたし、もっ!、き、きそう、く、くる、くるっ!」


声が切羽詰まったものとなり、二人の膣から今まで以上に粘着質な液が溢れだし始める

それは彼女たちに絶頂が迫っている事を示していた


「さ、さやかちゃ、さやかちゃんっ!」

さやか「まどか、まどかぁっ!」


彼女たちはそれに頷き合うと、体を起こし、汗に濡れる互いの体を抱きしめ合い

自分の陰核を相手の陰核に思い切り腰を振って擦りつけた


「さやかちゃ、い、いっ!……あ、あああっ!!」

さやか「まどか!ま、ど……っ!……あ……っ!……は……っ!」


それに快感が許容範囲を超え、彼女たちは体を大きく痙攣させ、同時に果てた

絶頂の大きな快感に彼女たちの体は脱力し、ベッドへ重なり合う様に崩れ落ちる

彼女の体は絶頂の波にガクガクと痙攣して勢い良く膣液を噴き出し、

さやかは快楽の波の度に体をビクン、ビクンと大きく痙攣させ、呼吸を危うくさせていた
919 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:04:25.08 ID:oXCf2Zm80
さやか「……はぁ……はぁ……」


ようやく絶頂の波が収まると、さやかは彼女の上から体をどかし、その横に仰向けに寝転がると、息を吐いた

充足感に微笑みながら、さやかは彼女へと顔を向ける

だが、彼女は未だに絶頂の余韻に浸っているのか、惚けた様子で虚空を見つめていた

その姿に改めて笑みを浮かべると、さやかも目を瞑り、絶頂の余韻に浸る事にした


さやか「……まどか?」


だが、すぐに隣から者が動く気配がし、それにさやかが視線を向けると

彼女がむくりと起き上がり、さやかの下半身へと体を移動させていた

まさか、と顔を引きつらせながら。彼女の顔を見る


「さやか……ちゃん……」


そこには今日だけで二回も激しく絶頂したというのに、それでも淫欲に燃える彼女の瞳があった

彼女はそのまま弛緩したさやかの片足を足を持ち上げて股を開かせると


さやか「ま、待ってっあたし、まだ……ひあっ!」

「さやかちゃん、んん……さやかちゃぁんっ!」


自分の秘所を再び、さやかの恥部へと擦りつけはじめた


―――――


さやか「も……だめ……」


疲れに脱力しきり、そう呻く

さやかの隣には、満足しきった顔ですやすやと寝息を立てる彼女の姿があった

その後、彼女は何度も行為を繰り返し、ようやく満足したかと思うと、そのまま倒れるように眠ってしまっていたのだった

随分と勝手な振る舞いだが、彼女の幸せな寝顔に、さやかはそれでもいいかと、苛立ちを覚える事は無かった


さやか「さて、と」


彼女の全身に着いた汗や、自分たちの分泌液をあらかた拭い去って、さやかは彼女に自分の下着と寝巻を着させると

自分の布団に彼女の体を横たわらせた

そして幸せそうに眠る彼女に微笑みかけると、さやかは浴室にシャワーを浴びに向かった
920 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:05:50.70 ID:oXCf2Zm80
そして、シャワーを浴びると、さやかは簡単に髪を乾かし寝巻に着替えると、眠りに落ちる為、自分の部屋へと向かい始めた

重い瞼を擦りながら一歩づつ階段を上がっていく


さやか「っ!?」


そこで、突如さやかの嗅覚に『臭い』が届く

それは普段の家の匂いでもなく、彼女の甘い匂いでもなく

嗅ぐのもおぞましくなるぐらいの悪臭だった

さやかは突然のそれに恐怖に怯みながらも、臭いの元を辿り、階段を上っていく

階段を上りきった所で、その悪臭の元がどこにあるか、さやかは察知する

それは自分の部屋から漂ってくるようだった


ゆっくりと自分の部屋のドアを開ける


開けられた隙間から濃い臭気が、更にさやかの嗅覚を襲う


その臭気に吐き気を覚えながらも、さやかはその扉を開け放った


「おかえり」


開け放った先から声が響く


その方にさやかが顔を向けると



幸せそうに眠る彼女が、ベッドの上で寝息を立てていた

そこには吐き気を催すような臭気などなく、行為をした後の匂いに染まっていた

首を振り、目を擦る

だが、それを何度やっても、そこはいつもの自分の部屋だった

それに安心をおぼえると同時に、さやかは自分に対し不安を覚えた

何度も幻覚を見る様な自分は何処かおかしくなってしまっているのでは、と

さやかはそれを振り切るようにもう一度首を振り、疲れていたから幻覚を見たのだと自分を納得させ

彼女の眠りに就く、ベッドに潜り込んだ

縋り付くように彼女を抱きしめる

その温もり、匂い少し汗臭いがいつもの彼女で、さやかはそれに安心を覚えた

そしてそのままさやかは瞼を閉じる

疲れの為か眠気がすぐにさやかの体をを包み始め、それにさやかは抵抗することなく

身を、任せた

921 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:07:06.44 ID:oXCf2Zm80


「さやかちゃん」


遠い意識の向こうで、誰かがさやかを呼んでいる


さやか「ん……」


だが、さやかは自分の体を包む重い疲労感から、その声を無視してしまう


「もー……起きないと遅刻しちゃうよ?」

「さーやーかーちゃん!!」


少し、怒ったような声で、その声の主はさやかを呼び続ける

極めつけには、ユサユサとさやかの体を揺らし始めた


さやか「んー……わかったよ……」


それにようやく観念したさやかは、ゆっくりとその身を起こし、重たい瞼を無理やりこじ開けた

その開けた先、さやかの瞳に映るのは


「てぃひひっ!おはよう!さやかちゃん」


『最愛の彼女』だった


さやか「おー……おはよう……まどか……」

「うんっ!」


彼女の姿にさやかはニコリと笑みを見せると、

彼女はさやかの体に甘えるように抱きつき、潤む瞳をさやかの瞳に向けた


「さやかちゃんっ……いつもの、やって?」

さやか「またぁ?もう……まどかは飽きないなぁ」

「だって……」


さやかの呆れた様な態度に、彼女は潤んだ懇願の視線を向ける

それに諦めたようにさやか溜息を吐くと


さやか「……あれ……?」


激しいデジャブに襲われた

あまりに強いその感覚にさやかは眩暈の様なものを感じてしまう
922 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:08:32.23 ID:oXCf2Zm80
「……さやかちゃん?」

さやか「いや、なんでも……なんでもない」


そんなさやかに彼女は心配の籠る視線を向け、どうしたのかと首を傾げさせた

さやかはそれに目頭を押さえながら首を振ると、気を取り直すように彼女の顎を持ち上げ、

自分の方その顔を向かせるとその唇に優しく口づけをした


さやか「う……っ」


気持ちのいい筈の、彼女とのキス

だが、今日は何故かそのキスが酷く嫌なもので、気持ち悪いものとして感じられた

その気持ちの悪さに耐えきれず、さやかはすぐにその唇を離してしまう


「……大丈夫?」


首を傾げながら、彼女は気分の悪さに呻くさやかの顔を覗き込んだ

さやかは彼女のその心配を向ける視線に首をゆっくりと振る


さやか「いや……なんでもないよ」

「もしかして気分悪い?今日学校休む?」

さやか「……ちょっと眩暈しただけだから。もう大丈夫」

「でも……」

さやか「まどかは心配し過ぎっ!ほら!もうさやかちゃんはこんなに元気ですよー!」


浮かない表情を向ける彼女を元気づける為、さやかはおどけた様子でボディビルの様な恰好を見せ付けた

それに彼女は安心したようにくすくすと笑みを漏らす


「てぃひひっ! ……わかった。でも、無理しちゃだめだよ?」

さやか「うん」

「ご飯出来てるから。用意できたら下降りてきてね」

さやか「わかったよ」


さやかが頷くのを見ると、彼女はニコリと笑みを見せ

さやかの唇に軽く、自分の唇を触れさせた

そして、幸せに頬を染めると、さやかに背を向け、部屋を出て行った


さやかはその姿を笑顔で見送り、彼女が部屋から出ていくと

気分の悪さに、顔を、しかめた
923 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:11:36.76 ID:oXCf2Zm80
その後、さやかは急いで朝の準備を済ませると、彼女の待つダイニングまで降りて行った

そこには、見滝原中学の制服の上にエプロンを来ている彼女が、せっせとテーブルの上に朝食を並べている姿があった


「あ、さやかちゃん」


そこで、彼女がさやかが舌に降りてきた事に気付き、ニコリと笑いかける

それにさやかも笑顔で応えた


「今日はね。トーストと、目玉焼きと、簡単なサラダだよ」


さやかがテーブルの席に着くと、彼女もそれに向かい合う様にテーブルに着き、そう言った

テーブルの上にはまどかの言った通りの物が置かれている


さやか「……まどか、これ、昨日も食べなかった?」


ここでまたさやかは激しいデジャブに襲われる

彼女はさやかの言葉にポカンとした表情を浮かべると


「え?食べてないよ?」


そう、言った

そして彼女はくすくすと笑みを漏らす


「てぃひひっ!もう、さやかちゃんふざけてるの?」

さやか「……おお、まどかばあさんや、飯はまだかの?」

「てぃひひ、もう出来てますよー」

さやか「おお、すまないねぇ……最近目がよう見えんくなって……うえっほ!うえっほ!」

「てぃひひっ!もう、やめてよー」


お腹を押さえ、けらけらと笑う彼女を見ると、さやかもそれに笑みを見せ、食卓に着いた

先程のデジャブはデジャブに過ぎない。さやかは引っかかりを覚えたものの、半ば思考停止するようにそう思う事にした

そうして彼女も席に着くと、さやかは両手を合わせ


さやか「いただきまーすっ!」


そう言って食事を取り始めた


「てぃひひっ!どうぞっ」


そんなさやかに嬉しげな笑みを見せ、食べる事を促すと

彼女も、食事を取り始めた

924 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:12:27.01 ID:oXCf2Zm80

その後、さやかはいくつかデジャブを感じることはあったが気にするほどのものではなく、いつも通りの日々を過ごす事が出来た

二人だけの通学路を通って登校し、二人だけの学校で自習ばかりの授業を受ける

その途中、疲れていた事もあり、ホームルームの時間に眠ってしまって

その時に、酷い悪夢を見てしまい、落ち込んでいる所を彼女に抱きしめられた事以外は、いつも通りの学校生活だった

それからは共に真っすぐに下校し、彼女の作ってくれた夕食を食べ、彼女と共に入浴を済ませた

その際、彼女の性行為の誘いがあり、それに乗り気になったさやかは、浴室で彼女を果てさせ、そのままの勢いで自分の部屋で彼女と性交を果たした

結局、彼女は一回の性交では満足できず、何度もさやかを求める結果となってしまったが

それにくたくたになったさやかは一日の汚れをシャワーで流し落とすと、自分の部屋に戻り、疲れに抱かれるまま眠りに就いた

いつも通りの、愛する彼女との日々。

彼女と共に居られる。さやかはそれだけで  だった
925 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:13:08.14 ID:oXCf2Zm80

「さやかちゃん」


遠い意識の向こうで、誰かがさやかを呼んでいる


さやか「ん……」


だが、さやかは自分を包む気持ちの良い感覚を手放せずに、その声を無視してしまう


「もー……起きないと遅刻しちゃうよ?」

「さーやーかーちゃん!!」


少し、怒ったような声で、その声の主はさやかを呼び続ける

極めつけには、ユサユサとさやかの体を揺らし始めた


さやか「んー……わかったよ……」


それにようやく観念したさやかは、ゆっくりとその身を起こし、重たい瞼を無理やりこじ開けた

その開けた先、さやかの瞳に映るのは


「てぃひひっ!おはよう!さやかちゃん」


『最愛の彼女』と、見慣れた自分の部屋だった


さやか「おー……おはよう……まどか……」

「うんっ!」


彼女の姿にさやかはニコリと笑みを見せると、

彼女はさやかの体に甘えるように抱きつき、潤む瞳をさやかの瞳に向けた


「さやかちゃんっ……いつもの、やって?」

さやか「またぁ?もう……まどかは飽きないなぁ」

「だって……」


さやかの呆れた様な態度に、彼女は潤んだ懇願の視線を向ける

それに諦めたようにさやか溜息を吐くと


さやか「……あ……」


吐き気を催すほどの、激しいデジャブと頭痛に襲われた

あまりの気分の悪さに、さやかは身を蹲らせてしまう

926 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:14:07.65 ID:oXCf2Zm80
「さ、さやかちゃんっ!?」


急なさやかの様子の変化に彼女は驚き、心配に顔を歪めた

さやかの体に手を当て、気遣う様に優しく擦る

それに気分の悪さと、頭痛が引いて行き、彼女にお礼を言おうとさやかが顔を上げた時


さやか「ひ」


目の前の彼女の姿に、小さく悲鳴を上げてしまう

さやかの目に映る彼女の姿。

それは妙な格好で全身血濡れになり、不気味に笑う彼女の姿だった


だが、その姿もさやかの瞬きと同時に、彼女の姿はいつも通りのものとなっていた


「さやかちゃん……大丈夫?」

さやか「う……うん。だ……大丈夫」


目の前で起きた事に顔を引きつらせ、呆然とするさやかに、彼女は心配の籠る表情を崩すことなく、さやかの顔に手を触れさせた

それにさやかは現実に立ち返ると、額に滲んだ冷や汗を拭い、暴れる心臓を抑え彼女へとなんとか笑みを返した

それでもその笑顔はぎこちない。


「……今日学校休む?」

さやか「……ちょっと眩暈しただけだから。もう大丈夫」

「でも……」

さやか「まどかは心配し過ぎっ!ほら!もうさやかちゃんはこんなに元気ですよー!」


浮かない表情を向ける彼女を安心させる為、さやかはおどけた様子でボディビルの様な恰好を見せ付けた

それに彼女はくすくすと笑みを漏らす


「てぃひひっ! ……わかったよ。でも、無理しちゃだめだよ?」

さやか「……うん」

「ご飯出来てるから。用意できたら下降りてきてね」

さやか「わかったよ」


さやかが頷くのを見ると、彼女はニコリと笑みを見せ

さやかの唇に軽く、自分の唇を触れさせた

そして、幸せに頬を染めると、さやかに背を向け、部屋を出て行った


さやかはその姿を笑顔で見送り、彼女が部屋から出ていくと

気分の悪さに、顔を、しかめた
927 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:15:47.09 ID:oXCf2Zm80
その後、さやかは急いで朝の準備を済ませると、彼女の待つダイニングまで降りて行った

そこには、見滝原中学の制服の上にエプロンを来ている彼女が、せっせとテーブルの上に朝食を並べている姿があった


「あ、さやかちゃん」


そこで、彼女がさやかが舌に降りてきた事に気付き、ニコリと笑いかける

それにさやかも笑顔で応えた


「今日はね。トーストと、目玉焼きと、簡単なサラダだよ」


さやかがテーブルの席に着くと、彼女もそれに向かい合う様にテーブルに着き、そう言った

テーブルの上にはまどかの言った通りの物が置かれている


さやか「……これ……」


再び襲う激しいデジャブと、それによる吐き気と頭痛

さやかはそれを表面に出さないように、なんとか声を絞り出す


「あ、これ?いつも和食だから、たまにはこういうのもいいかなって」


笑顔でそう言う彼女だったが、さやかの抑えきれ無かった気分の悪さによる苦い表情に、その表情を曇らせた


「……嫌だった?」


不安な表情でさやかに上目を向け、探るように話しかける

さやかはそんな彼女に、大きく首を振り、無理に笑顔を作ってみせた


さやか「……いやいやっそんなことないよんっ!いやぁお腹空いたなぁーっ」


その笑顔に彼女はほっと息を吐き、安堵の笑みを見せる

さやかは彼女の笑みに小さく安堵の息を吐き、気分の悪さを抑えつけながら食卓に着くと、両手を合わせ


さやか「いっただきまーすっ」


そう言って食事を取り始めた
928 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:16:48.18 ID:oXCf2Zm80
「てぃひひっ!どうぞっ」


そんなさやかに嬉しげな笑みを見せ、食べる事を促すと

彼女も、食事を取り始めた


さやか「うーんっまどかも料理上手くなったよねっ」


他愛もない談笑をしていくうち、半分ほど箸が進んだところでさやかは感慨深げに頷いた

それに彼女は羞恥に慌てた様子を見せる


「や、やめてよっもう……」


そんな彼女の様子に嗜虐心を煽られたさやかは、彼女に意地悪な笑みを浮かべた


さやか「一緒に暮らし始めた時なんかさ、この目玉焼きだってこんな……」


だが、その笑みも、突如として湧いてきた疑問に失われてしまう

さやかに突如と沸いた疑問

それは、いつから自分が彼女と暮らし始めたのかということだった

さやかがいくらそれを思い出そうとしても、明確な時期が思い出せない


「……やっぱり気分悪いんでしょ?今日は学校休もう?」


いきなり言葉を切り、顔を伏せるさやかに、彼女はやはり体調が悪いのだと判断し、そう声を掛けた


さやか「……いや、大丈夫。うん」

「……ホントに?」


その提案にさやかは迷うことなく首を振る

それでも彼女は心配に顔を染めたままだった


さやか「うん。それよりまどか、あの……」


さやかは浮かんだ疑問を彼女へとぶつけようと思ったが、何故かそれは聞いてはいけない事のように思われ、口に出す事に躊躇われた


さやか「……いや、やっぱりなんでもない」

さやか「ご飯食べよ?遅れちゃう」


結局さやかは聞く事を止め、大きく首を振ると、食事の続きを取り始めた

彼女はそんなさやかをジッと見つめると、そのまま何も言わず、食事を取り始めた

929 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:17:58.31 ID:oXCf2Zm80
その後もさやかは度々強いデジャブを感じられ、その度に、頭痛と吐き気に苦しんだ

登校する時も、学校で授業を受ける時も、居眠りをした時に見た悪夢にも、その後の彼女が抱きしめてくれた事にも、

下校するときも、夕食を取る時も、入浴の時も、浴室を経ての性交の時も。事あるごとに

あまりのデジャブの頻度に、さやかは、以前に同じ日を過ごしたのではないか、などという考えを持ってしまった

そんな事、あり得る筈がないのに

そして更には、その事あるごとに彼女に対する酷い幻覚を見た

その幻覚での彼女の姿はいつも血濡れで、不気味に笑っている

だが、その姿はすぐに消えてしまう

その度に、さやかは恐怖に顔を引きつらせ、彼女にあまり良いとは言えない態度を取ってしまっていた

彼女はそれでも気にした様子は見せなかったが、やはりさやかの中には罪悪感が溜まってしまっていた


幻覚を見る事、同じ事を繰り返しているのではないかという疑問

その二つが、自分がおかしくなってしまったのではないかという考えに繋がってしまう

それが、吐き気と頭痛の苦しみに加え、さやかを精神的に苦しめた


深夜。さやかは性交を終えると、体に付いた汗や、汚れを洗い落とす為、浴室でシャワーを浴びていた

さやかはそれを素早く済ませると、何度もの性交に満足し、倒れるように彼女が眠る自分の部屋へと足を向けた

早く眠りたい。そんな思いを抱えながら、肉体的にも精神的にも疲労しきった体で、さやかは階段をゆっくりと上がっていく


さやか「っ!?」


階段を登り終えたその時、彼女の嗅覚に異臭が突き刺さる

幻覚を見ている時に、何度も感じていた、あの異臭が

度重なるデジャブと幻覚によるストレスに神経質になっていたさやかは、その臭いに混乱をきたしてしまう

さやかはこの幻覚から逃げ出す為に早く眠りに就こうと、自分の部屋のドアを開け放つ

途端、感じていた異臭が濃くなり、さやかの嗅覚を襲った


「おかえり」


同時に彼女の声が響く

その方にさやかは顔を向けると

寝ている筈の彼女が起きていて、さやかに気味の悪いくらいの満面の笑みを向けていた

その姿は、血濡れ

930 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:18:57.74 ID:oXCf2Zm80

さやか「あああああああああ!!!!」


その姿にさやかは金を切る様な大きな叫び声をを上げると、頭を抱えその場に蹲った


さやか「なんなのっ!!なんのよぉっ!!!」

さやか「あたしが、あたしが何したってのよぉおおお!!!!」


頭を揺らし、大粒の涙を零しながら、半狂乱になって泣きわめく


さやか「消えろっ!消えろ消えろ消えろぉっ!!」


だが、どんなに泣き叫んでも、目の前の幻覚は消えない

襲い来る全ての感覚に、さやかは段々と憔悴していく


さやか「助けて……助けて……」


ブツブツと言葉を漏らす

さやかの精神は、もう限界の所まで来ていた


さやか「きょ……」


だがその時、さやかの体が温かいものに包まれ、同時にさやかに襲っていた全ての幻覚がその姿を消した

恐る恐るとさやかは顔を上げる

すると、そこには何も言わず、自分の体を抱きしめる彼女の姿があった


さやか「ま、どか……」


彼女の名前を呼ぶ。

それに応えるように彼女はさやかの体を強く抱きしめて、その頭を撫で始めた


「大丈夫……大丈夫……」


さやかの瞳から、安堵の涙が零れ出す

そして、縋り付くように彼女の体を抱きしめると、大声で泣き叫び始めた


「安心して、さやかちゃん」


そんなさやかに彼女はあやすように、優しく言葉を掛ける

その雰囲気はいつもの彼女ではなく、何か無機質なもののようだった


「あなたは絶対に……私が、守るから」


それでもその言葉にさやかは恐ろしいほどの安堵に抱かれ

闇に堕ちるようにして、その意識を失った

931 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:20:42.38 ID:oXCf2Zm80
それからもさやかは苦しみの日々を送っていった

さやかを襲うデジャブと幻覚は日が増すたびにその量を増やしていき、その度にさやかを激しい頭痛に、吐き気に、恐怖に苦しめる

その度に彼女は気遣い、支えてさやかを落ちつけていたが、それも日が増すたびに効果が薄れていった

幻覚や、デジャブが起こるたびにヒステリックに泣き叫び、怒鳴る

それでも彼女はそんなさやかの傍にあり、その度に自分があなたを守ると言って、さやかの心を落ちつけ続けていった

そんな日々が一週間ほど続いた、次の日の朝


「さやかちゃん」


遠い意識の向こうで、誰かがさやかを呼んでいる

それにさやかはビク、と体を揺らすと、すぐに飛び起きるようにして身を起こした

そして辺りをキョロキョロと首を激しく回して辺りを見渡す


さやか「まどか……か……」


首を回してその顔を向けた先、さやかの瞳に映るのは


「お、おはよう。さやかちゃん」


『最愛の彼女』と、見慣れた自分の部屋だった

途端、頭が割れる様な頭痛と、今にも吐いてしまいそうなほどの吐き気がさやかを襲う

頭を押さえ、必死と吐き気を押さえこむ


今となっては、何をするにでもデジャブが付きまとい、

まるで同じ日を繰り返している様な感覚までさやかは感じるようになってしまっていた


「……大丈夫?」


心配する彼女の声。

だが、さやかは身に襲う辛さから、返事をする事が出来ない


『さやかちゃんっ……いつもの、やって?』


その時、さやかの頭に彼女の能天気な声が響く

それにさやかはカッとなって叫び散らした


さやか「しないっ!!そんなものしないぃっ!!!」
932 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:22:34.05 ID:oXCf2Zm80
「さやか……ちゃん……?」


突然怒鳴られた事に困惑し、彼女はオロオロとその口に手を当てた

そこで、彼女が先の声を出していない事に気付き、申し訳なさと、そんな幻聴を聞いた恐怖に膝を抱いた


さやか「ごめん……」

「……いいよ。気分悪いなら難しいかもしれないけど、ご飯出来てるから」

「よかったら食べに来て」


そう優しく声を掛けると、彼女はさやかを一度抱きしめ、部屋を出て行った

彼女に対する申し訳なさが積もる。

だが、それ以上に迷惑を掛ける自分に腹が立った

そんな思いの中、さやかはゆっくりとベッドから這い出し、朝食を取る為に、準備を済ませ始めた

正直さやかは朝食も取りたくはなかったし、学校も行きたくなかった

それでも行かねばならないという強迫観念の様なものが働き、さやかの体を動かしていた

今までの苦しみもこれに従って来たからのものだと言っても過言ではない

それでもさやかはその強迫観念の様なものに逆らう事が出来なかった

何故かは解らなかったが



「あ……もう大丈夫なの?」


朝の支度を済ませ、ダイニングに降りてきたさやかに彼女はその身を案じる声を掛ける

さやかはそれにかろうじて首を頷かせると、すぐに食卓の席へとその腰を降ろさせた


さやか「……なに……これ……」


そしてそれと同時にさやかは目の前の朝食に呆然と言葉を漏らした


「え?」


その言葉に、ポカンとした表情を見せたあと、

彼女はおずおずと朝食のメニューを告げていった


「トーストと」


「目玉焼きと」


「簡単なサラダだよ」
933 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:24:20.18 ID:oXCf2Zm80
その言葉を聞くと同時に、さやかに今までに感じた事のないほどの頭痛と、吐き気がその身に襲った

あまりの吐き気にさやかは胃の中の物を吐きだしてしまい、その吐瀉物で床を汚した


「さやかちゃんっ!?」


嘔吐から苦しげに呻くさやかに、彼女は慌てて駆け寄って、その背中を優しく撫でようとする

だが、さやかはその手を振り払い、口の周りを吐瀉物で汚したまま、彼女にヒステリックな怒鳴り声を上げた


さやか「いい加減にしてよォッ!!!」

さやか「毎日毎日同じもの食べさせて!!あんたはあたしを馬鹿にしてんのッ!!!」


怒鳴り声を上げながら、さやかは彼女の制服の襟首を掴み、詰め寄った

彼女は急に怒鳴り出し、体をわななかせるさやかに怯えながら、言う


「ま、毎日なんかつくって……」


その言葉にさやかは目を見開き、怒りに顔を真っ赤に染めた

とても正気とは思えないその目に彼女は恐怖を覚え、体を委縮させてしまう


さやか「あたしがおかしいってのッ!!?こんな感覚を覚えるあたしがおかしいっての!!?」

「そ、そんなこと……」

さやか「あたしはおかしくない!!おかしくないんだ!!」

さやか「おかしいのはここだ!!あんただっ!!!この世界だっ!!!」

「お、落ち着いてっ!さやかちゃんっ!」


錯乱するさやかに彼女はそう声を掛けたが

さやかが落ち着く様子は全く見られず、それどころか、ますますとして混乱を深め始めていた


さやか「あたしがおかしいっての?じゃああんたが答えてよ……」


そう言うとさやかは、彼女の襟首を掴んだまま、

深まる混乱の中、ブツブツとわけのわからない事を言い始めた

『ここ』は目の前にあるものが、全て正しいというのに


さやか「なんであたしがまどかだけと暮らしてる?いつから?どうやって暮らしていけてる?」

さやか「どうして同じ毎日を繰り返してる?どうして日曜日が来ない?」

さやか「どうして何処に行っても誰もいない?あたしたちのおやはどこ?」

さやか「どうして学校が毎日自習なの?どうしてホームルームが放送なの?」

さやか「どうして毎日同じご飯なの?どうしてそれを不思議に思わないの?どうしてあたしはそれにデジャブを感じるの?」

さやか「仁美はどこ?マミさんは?恭介は?皆は?」

さやか「答えてよ!!答えてみせてよ!!」

934 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:25:37.14 ID:oXCf2Zm80
さやかは完全におかしくなってしまっていた

当たり前の事をどうしてと聞き、ここにはいない人間の名前を口に出す

彼女はそれに顔を強張らせると、諭すように声をかけ始めた

その雰囲気は、いつもの大人しく、優しい雰囲気ではなく、どこか無機質めいたものだった


「落ち着いて。さやかちゃん」

「さやかちゃんはそんなこと考えなくていいの」

「ただ私と一緒に暮らしていればいいの」

「ね?さやかちゃん」


そう言って喚くさやかを抱きしめようと、彼女がさやかに手を伸ばした時


さやか「……ああああああ!!!!」


何度目かわからぬ、激しい頭痛がさやかに襲いかかった

そのあまりの痛さに目さえ開けられない

さらにそれは時間が経つにつれて収まるどころか、どんどんと痛みを増していく


「駄目……駄目!!さやかちゃん!!」」

「あなたは私が守る……守るんだから!!」


頭痛に苦しみもがくさやかを、その苦しみから解き放つ言葉を掛けながら、彼女は必死とその体を抱きしめる

だが、さやかを襲う痛みの勢いは全く衰える事は無かった


さやか「あ、ああ!!ああああああ!!!!!」


痛みに、痛みともわからぬほどの苦しみに泣き叫ぶ

やがてその痛みが、さやかの許容出来る量を超すと


さやか「あ」


さやかは叫び声を止め、そう声を漏らして、苦しみにもがく動きを止めた

そしてゆっくりと立ち上がる

彼女はそのさやかの不可解な行動に、怯えるでもなく、心配な表情を浮かべるでもなく


「どうして……」


ただ、悲しげな表情を浮かべるだけだった
935 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:28:01.44 ID:oXCf2Zm80

途端、ぷつん。と何かが切れる様な音が、彼女たちのいる空間に鳴り響く


それと同時に彼女たちの周りにあったモノが砂のように崩れ始めた


キッチンも、机も、椅子も、壁も、窓から見えていた太陽でさえ


そして全ての空間が崩れ落ちると、その先から、ただただ真っ白な空間が姿を現した


残されたのは、悲しみに涙を流す彼女と


その彼女に殺意の視線を向ける、さやかだけだった




「ずっと……ずっと一緒にいてくれるって……言ったのに……」


彼女の涙に震える声が、真っ白な空間に響く


「好きって……いってくれたのに……」


だが、さやかはそれに答えることなく、彼女に向け手をかざした


「あんなに強く……抱きしめてくれたのに……」


その途端、さやかのかざした手に、青黒く光る宝石が現れた


「キスだって……」


それをさやかは強く握りしめる


「あんなに……あんなに愛してくれたのに」



それと同時にさやかはその姿を見滝原中学のの制服から


「どうして……」


全身を覆う、禍々しい漆黒の鎧へとその姿を変えた


「……私……守るから……」


手には、身の丈ほどある、大きく武骨な大剣


「さやかちゃんの事、守るから……」


それをさやかは袈裟掛けに大きく振り上げると


「好きだよ……」


そのまま、目の前の彼女に


「さやかちゃんの事、す」


振りおろした
936 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:30:32.41 ID:oXCf2Zm80
血だまりに彼女が沈む

さやかはすぐにそれから興味を無くしたように目を反らすと

目の前の何もない空間に、彼女の血に濡れた自分の得物でなぎ払うと

太刀筋と共に、ここではない、どこかの空間への入り口が開かれた

さやかは大剣を片手に、足に力を入れると

その入り口へと飛び出して行った


―――――


巨大な魔女―――まどかは糸で捉えた黒衣のさやかを抱きしめると

その身の内にさやかを収めていた

そしてその後すぐに、彼女は自身の力と、さやかと瓜二つの使い魔を使い、ありとあらゆる生き物を皆殺しにしていた

それは彼女は世界を自分とさやかだけの世界に作り上げる為

彼女の理想とする箱庭を作り上げる為だった

だが、その動きも、彼女の身の内で作り上げた、『まどかの理想の一日』を

さやかが打ち崩した事により止められてしまっていた


「――――――!!!」


さやかが、彼女の内で、まどかの姿をした傀儡を、空間を切り捨てる

それと連動するように、彼女の胸が内から切り裂かれ

そこからさやかがその体を食い破るように、その姿を表した


さやか「はぁ……はぁ……」


だが、彼女から出てこれたものの、その姿は酷いものだった

彼女の内に取り込まれて吸収されかかった為、全身の皮膚はケロイド状にただれ、左手の二の腕からの先と、右足の足の膝から先が失われており

更には、ソウルジェムも黒く濁り、魔力まで吸収されていた

それでもさやかは魔力を使い、弾けるように距離を取り、こちらを向く彼女と、魔力で空中に浮きながら正面から対峙した


さやか「あ……が……」


しかし、あまりの体の損傷に全身から血が漏れ出し、息をするだけでも全身に激しい痛みが襲う。

それにさやかは魔力を使って痛みを遮断させ、比較的無事だった右手に魔力を集め、無理やりに修復を施した


さやか「ああああああ!!!」


ソウルジェムが急激な魔力の消費に悲鳴を上げる

それでもさやかは右手を得物を持てるまで修復させると、自分の得物をその手に具現させ、彼女へと向かっていく

彼女はそんあさやかを迎え入れるように、天を仰いでいた両手を横に広げ、大量の糸を再びさやかへと伸ばていった
937 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:33:00.77 ID:oXCf2Zm80
――――


さやかは善戦した

襲い来る糸を何度もその得物でなぎ払い、損傷に軋む体を引きずりながら、彼女の体を切り裂いた

だが、それは所詮善戦に過ぎない

中途半端な修復では、振り回す得物に腕がついて行けず、何十本と糸を切り裂いた時に、その衝撃と共に吹き飛んでしまった

それでもさやかは得物を口に挟み、迫りくる糸に抵抗した

だが、何とかそれで得物を振りおろしたもの、糸の固さに容易く弾かれ、一本の糸を切る事さえも敵わなかった

弾かれた衝撃で歯は折られ、その勢いのままさやかの体は地面に叩きつけられてしまう


さやか「がッ!!」


衝撃に四肢を無くした体が軋む

それでもさやかは彼女を殺そうと、魔力を損失した右手に集め、修復を図ろうとした


さやか「……ッ」


だが、とうに魔力は尽きており、皮膚の一細胞すら修復する事は敵わなかった

同時に、痛みを遮断していた魔力が切れ、全身に意識が途切れそうになるほどの痛みがさやかを襲う

それでもさやかは必死と耐えた。彼女を殺したいという思いだけで

その思いのまま、さやかは彼女へと視線を向ける


「―――――」


彼女は今まで操っていた無数の動きを止め、完全に動けなくなったさやかを受け入れる為、その両手をさやかへと伸ばしていた

その顔は、満面の笑み。よほど、さやかと共に成れるのが嬉しいのだろう
938 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:34:28.57 ID:oXCf2Zm80

もう、どうする事も出来ない絶望的な状況




それにさやかは吐き捨てるように笑みを漏らすと、ゆっくりと目を瞑り




自分の体に残る魔力を全て放出させた




それと同時に




わずかに青黒い光を放っていたソウルジェムが




完全に黒く染まりきった

939 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:35:47.29 ID:oXCf2Zm80
――――――


キュウべえ「遅かったね」


まどかの亡骸の横に座るキュウべえが、そう言いながら、後ろに首を回す

そこには、腹部の辺りが真っ赤に染まる、ほむらの姿があった

その声を無視し、ほむらはキュウべえの横まで進むと、まどかの亡骸を抱きあげる


キュウべえ「ものすごい光景だと思わないかい?」

キュウべえ「二つの魔女が出来る事は予測していたけど、その後のことなんて思いもしなかったよ」


珍しく興奮した様子で目の前の光景に目を向けながらキュウべえはそう語る

だが、ほむらはそれに耳を貸す事はせず、まどかの亡骸を愛でるように撫でてながら、吐き捨てた


ほむら「全て見越していた結果、とでもいうの」


それにキュウべえはもっともだと頷く


キュウべえ「そうだね。まどかの蘇生によってさやかの因果がかなり増えていたとはいえ、到底まどかに及ぶものではなかったからね」

キュウべえ「最強の魔女に敵う筈はないと思っていたよ」


キュウべえはそびえ立つ、最強の魔女へと目を向け、そう言った



キュウべえ「さ、ノルマを遥かに超えるエネルギーを得る事も出来たし、僕たちは帰る事にするよ」

キュウべえ「この星もあと数日ともたないしね」

キュウべえ「それじゃあね。ほむら」


それだけ言うと、キュウべえは崩壊した壁の向こうへとその姿を消した
940 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:37:32.00 ID:oXCf2Zm80


それを横目に見ると、ほむらはまどかの亡骸に優しく口づけをし、目の前に広がる光景に目を向けた


まどかの魔女と、さやかの魔女が互いに殺し合い


その使い魔のさやかと、まどかの使い魔が一般人を虐殺して廻るという、混沌とした光景に


そしてほむらはまどかの亡骸を抱いたまま小さく呟く






ほむら「……一週間」







一週間後のその日。

それは、ワルプルギスの夜が見滝原に来る、悪夢の日であり

ほむらにとっての救済の日だった

941 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:47:07.54 ID:oXCf2Zm80

この状況を招いたのは、私


私の甘さと、狡さがこの事態を招いた


事実を知ったまどかに、あらぬ事を吹き込んでいなければ


美樹さやかに嘘など付かなければ


あの時の魔法少女を早く始末していれば


あの時、美樹さやかに伝言をおざなりに伝えていなければ


あの時、まどかを美樹さやかから引き離さなければ


いや……まどかが魔法少女になったあの夜


私が甘さにも、狡さにも溺れなければ


まどかさえ殺していれば


こうはならなかったのに――――
942 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 02:47:57.45 ID:oXCf2Zm80




                             ほむら編へと続く
943 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2012/01/04(水) 02:53:07.73 ID:oXCf2Zm80
はい。長い事お疲れさまでした

これでさやか編はお終いです。ちょっと超展開、説明不足が多かったですかね……


どうしてこうなったていう疑問があればどうぞー

駆け足過ぎてそんなことも思わせる暇も無かったかも知れないですけど……


あと、ほむら編は新しくスレを立ててやろうと思います。もうスレの残りが少ないので


それではほむら編で会いましょう!

944 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 02:56:27.58 ID:gDn+EVfDO
945 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 02:58:20.54 ID:zgn8XNZbo
乙〜次もワッフル
どうでも良いけど、クリームまどっちの口内は不思議空間

>>902
>そこで、彼女がさやかが舌に降りてきた事に気付き、ニコリと笑いかける
946 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:01:25.06 ID:sflVXtcDO

ほむら編楽しみ
947 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:02:13.91 ID:g82X4bNAO
乙乙

予想以上に重かった・・・無限ループって怖いな。
948 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:02:20.54 ID:N+muwADCo


まどかを[ピーーー]より
恭介を生き返らせたいとか思わなかったのかさやかちゃん
949 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:10:07.15 ID:h7RQUkt+0
950 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:19:37.84 ID:01SYXqCZo
乙!
救いのない終わり方か。それもそれで今回は清々しいし気持ちいいな。面白かったしほむら編も楽しみにしてます!

途中、誤字まで一緒だとコピペなのわかって気になったが、
あの世界がコピペな世界だと思うと、逆にそれが演出に見えてくる不思議
951 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:28:35.36 ID:cY8e+sXAO
さやか…哀れだ…
せっかく上條とうまく行きかけていたのに
ヤンデレのせいで、こんな事に…本人にまるで落ち度がないだけに本当に悲惨だ
このまどかには嫌悪感しか沸かないわ
このほむらも、これから掘り下げられるのにこんな事を言うのもなんだが…
まどかと方向性が違うだけのレズヤンデレにしか見えない
こんな二人のために犠牲になった人達が可哀想だ
952 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 03:58:47.49 ID:N5c42piDO
素晴らしい
まどかの責めにひたすら嫌悪感を訴えるさやかの様がとても良い。あと反してのクリーム世界でのエロスもな、まどか受けは存外レアだから見たこと無かったがとても良かった。

あとは救いがあるかないか、。
ひぐらしは問題編はバッドエンド以外の何物でもなかったが最終的にはまあハッピーだったからな、
その程度は一応期待したい。
乙。
953 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 05:26:28.88 ID:zTaPswWqo
ここのほむらのアレっぷりはヤバイな
954 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 05:53:29.10 ID:jIjURXBp0
激しく乙!
やり過ぎな位の壮絶な終わり方に、まどさや好きで良かったとさえ思えてしまう程の大歓喜に包まれている
このループを見て、絶望もできず攻め顔のまま吐いてる女神っちを想像したら気の毒で仕方が無い

2人がこのような友愛の終末美的破局を迎えるお膳立てをしてしまったほむらさんが
彼女の視点からどのような教訓を見出すのかを楽しみに待ってます
955 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 07:38:52.14 ID:tQ38+NOdo
乙乙!


ループのとこに狂気じみてたな。嫌いじゃないぜ
ってか、救いがなさ過ぎる最後殺し合うって…「あんなに一緒だったのに」状態
けど面白かった!
VIPの時もリアルタイムで見てたけどとうとう終わりかと思うとなんか感慨深い
ほむら編終わってスレ余ってたらエロゲのFD的な感じでほのぼのとか書いてくれたら嬉しいなって
956 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 07:50:33.18 ID:sflVXtcDO
>>951
大丈夫。
まどかがいないとワルプルさん到来したらどっちにしても終わるから。

しかしさやかは本当に薄幸だな。まどかがここまで壊れてしまった原因とは?
次スレに続く
957 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 08:09:05.89 ID:PzlIcfeAo
乙乙
さやかがまどかを嫌悪したところはなんかスカッとした
ほむら編は真相解明だけで救済とかはないければいいなぁ
958 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 08:36:55.34 ID:qaH4KMRDO
まどっちとほむらちゃんちょっとおバカ過ぎんかねあんたら
そしてさやカワイソス、上条ちゃんはざまぁ
ともあれいちもつ 続き期待してます
959 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 09:06:43.29 ID:N5c42piDO
救いは・・・救いはないんですか!?
960 :以下、あけまして[sage saga]:2012/01/04(水) 11:05:02.44 ID:BODQGyWRo
好きな人に過度な期待をしてはいけません
自分がこれだけ愛しているのだから相手も自分を愛して欲しい、など破滅の元です
961 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 11:25:55.57 ID:vf929wv60
教訓:ヤンデレを放置してはいけない。
962 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 13:17:43.89 ID:ZOW0q+c40
まどかの執着と歪んだ正義感、ほむらの嫉妬と無能が最悪の結果を招いたか
この二人は円環でも何でも良いからさやかや杏子や上条や世界中の皆さんに土下座すべきだな

特にほむら
自分を棚上げして人を愚図とはよくもまあ言ったもんだよ
真相究明してもこいつが嫉妬で愚図った事は変わらないだろうし、少なくともこのさやかに落ち度は0だし・・・
このほむらだけのうのうと生きてるのだけは胸糞が悪いな


ともあれ乙
バッドエンド物としては非常によかった
963 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 13:40:36.24 ID:/2hKuUcDO
結局まどかとさやかの情が繋がってる時に引き離したのが原因かな・・・
しかしさやかをちゃんと洗脳しておかしくして欲しかった俺まじドS
964 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 14:26:23.69 ID:cY8e+sXAO
>>962
同感だなぁ
まどかも酷いけど、このほむらも相当アレだわ
少なくとも信号機3人組に文句を言う資格なんてない
何らかの報いを受けて欲しいもんだよなこのほむらには…
こんなんじゃ、いくらループしても何も変える事なんざできないよ
965 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 15:04:35.09 ID:SHP+oW7+0
>>964
まどかは酷いというより最期のさやかと同じで壊れてしまっただけだろ・・・

そういう意味では一回受け入れるって覚悟したさやかちゃんには一生をかけてまどかを支えてあげて欲しかった
966 : ◆tsGpSwX8mo[saga sage]:2012/01/04(水) 15:11:22.32 ID:oXCf2Zm80
>>945

すいませんそこ誤字ってしまいました……

そこで、彼女がさやかが舌に降りてきた事に気付き、ニコリと笑いかける ×

そこで、彼女がさやかが下に降りてきた事に気付き、ニコリと笑いかける ○


……他にも多数の誤字、申し訳ないです
967 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 15:57:44.82 ID:cY8e+sXAO
>>965
他人の忠告や好意を無視しといて、勝手な嫉妬と思い込みでああなっただけだろ
そもそもさやかの気持ちが上條に向いているのを知ってるはずでしょ?
覚悟はあるっていっても一般的に考えたら男女のそれと同じような関係を求めるなんて明らかに普通じゃないだろ
本編のさやかも自暴自棄になったけど、それでも仁美や上條を殺そうとはしなかった
少なくともさやかはまどかを友人として支えようとしていたはず
968 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 16:05:46.95 ID:zgn8XNZbo
まあなんだ。程々にな
969 :967[sage]:2012/01/04(水) 16:18:51.29 ID:cY8e+sXAO
× 明らかに普通じゃないだろ
○ 普通は思わないだろう
970 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 16:56:18.13 ID:vf929wv60
もうやだ。この責任の押し付け合い論争。
あれだな。まどかを魔女化させて人類みんな死んでとりこまれちまえばいいんだ。
これで人類の恒久的世界平和が手に入るぜ。
971 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 16:58:36.19 ID:tQ38+NOdo
ここやはりほむら編終了後にドタバタ百合ラブコメ編が必要だなチラッチラッ
972 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 16:59:42.82 ID:SHP+oW7+0
>>971
そうだな・・・終了後に必要ですね!チラッチラッ
973 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 17:07:51.37 ID:WC44zZxyo
ひとまず乙
予想できていたとは言えバッドエンドはきっついな
ほむらがやったなかで一番やっちゃいけなかったのはさやまどを引き離しちゃったことだな
あれのせいでまどかが壊れて、さやかが恭介に寄り掛かる形になっちゃったから
あの時点ならまださやかはまどかを優先させたと思うんだよなー
最終的にみんなぶっ壊れちゃったから好転できたかは分からないけど
974 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 18:14:04.50 ID:N5c42piDO
ラブコメはともかくとしてほむら視点の後にトゥルーエンド的なものは欲しいかな
まあなんにせよ長期に亘ってだれることなく書き続けてられてるからこの先どんな展開になっても楽しめるのは確か。
975 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 18:46:29.34 ID:QJ/bumOUo
とりあえず上条君が可哀想です
恭さやに救いはないのか
976 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 19:22:03.20 ID:xpNpkJku0
ふと思ったが、さやかは願いが叶わないまま
魔女化したけど、こういうことってありえるの?
977 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 19:26:02.05 ID:zgn8XNZbo
>>976
願いは叶ってるよ。消してくれじゃなくて、力がほすぃ

>>896
>さやか「力が欲しい」
>さやか「あの魔女を……まどかを……[ピーーー]力を!!」
978 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 19:45:13.92 ID:h7RQUkt+0
>>977
[ピーーー]力を求めたのに殺せてないということだと思うぞ
まどかの方が圧倒的に因果が強かったから無理だったと俺は考えてる

さやかの固有魔法は戦闘能力向上みたいなもんかな
979 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 21:14:55.16 ID:xpNpkJku0
>>977 >>978
てっきりキュウべえが「君の願いはエントロピーを凌駕した……契約は成立だ」って
言ったから、さやかはまどかを倒すほどの力を得たのかと思ったけど違うのか
説明、サンクス
980 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 21:20:27.66 ID:zgn8XNZbo
>>978-979
どんなに強力な力を得たところで、使い方悪ければガラクタ同然だと思ったり
ほら、本編で「願いを叶えたけど裏目っちまったぜ!」みたいな

まあ何を言ったところで>>1次第ですし
981 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 21:27:59.50 ID:xbl3MHjx0
うっわああああぁぁぁぁ・・・
最後、読んでてもの凄く辛いのに目が離せなかった・・・
序盤の日常を読み返すと息が苦しくなります
このもやもや、しばらく引きずりそう・・・
ともあれ、完結お疲れさまでした
まどさやに幸せが訪れますように・・・
982 :以下、あけまして[sage]:2012/01/04(水) 23:11:14.29 ID:/EvzU94AO
それは剣というにはあまりにも大きすぎた
 大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた
  それは正に鉄塊だった

まどかキラーさやかちゃんの姿が狂戦士の鎧着込んでドラゴン殺し携えた姿で再生されるww

しかしさすがに勝てないか……対象殺しの力を願っても実力差が大きすぎるとダメなのね
たぶん「あの魔女消して!」とかも効かないだろうなぁ
切札のまどか殺しが性質の魔女と化しても結果は変わらず


……しかしほむら、あと一週間も生き延びれるのか?
時間停止あってもかなり無理ゲーだと思うが
983 :以下、あけまして[sage]:2012/01/05(木) 00:48:06.68 ID:8jYnSIXAO
>>971-972
誰も救われてないから、ここはほむまど、もしくはさやまどだな チラッチラッ
984 : ◆tsGpSwX8mo[saga]:2012/01/05(木) 02:48:09.75 ID:f2JUfvYJ0
たくさんの感想、乙、感謝です

さやか編だけで三カ月もかかってしまいながら、こんなに見ていただけたとは。本当にありがたいです

それと……ほむら編で会いましょうと言いながら、次スレのスレタイも書いてませんでした


ほむら「嘘吐きは死んでしまえばいい」 か ほむら「まどか」


のどちらかで、ある程度書きためたら次スレを立てようと思います
(これから本当に忙しくなるので、かなりのスローペースになりそうですが)


終わったら百合ラブコメですか……
一応そのようなものもここで オリジナル で書いてます。……更新止まってますけど
上の酉で検索かければ出てくると思いますので、興味がありましたら覗いてみてみるといいかもしれないです。
暇つぶしになる……かも?

それか、もしかしたら、息抜きでひっそりとほのぼの短編をVIPで書くかもしれません


それではHTML出してきます。いままで長い間 まどか「さやかちゃん」にお付き合い頂き

本当に、本当にありがとうございました!(幼女ボイス)

それでは今度こそ、次スレのほむら編で会いましょう!




最後に補足(蛇足?) 廚二全開の設定なので気になる人だけ下にどぞ












さやかが油断なく戦っていれば、クリームさんには勝ててました

さやか固有魔法は、クリームさんの魔力へのパッシブ的な対抗力
(クリームさんの糸と体を易々と切れたのも、取り込まれてなお、体の原型を保てていたのもそのおかげ)

『まどかの理想の日』でさやかが襲われていたデジャブと頭痛、そしてそれを打ち崩せたのは、上の対抗力とクリームさんの魔女の宿命によるものが相乗しておこったもの

矛盾?しらんがな!      (すんません
985 :以下、あけまして[sage]:2012/01/05(木) 04:02:54.67 ID:5RlEI2hDO
チラチラ書いてる奴死んでいいよ。
なんでこの内容でラブコメが出来ると思ってんの?馬鹿なの?死ぬの?
救いを求めたい気持ちは解るがこのSSでコメディにする必要あるの?死ぬの?
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県)2012/01/05(木) 12:26:25.37 ID:z+m/QEyfo
わざわざ突っ込むアホも[ピーーー]よ
スレ汚すな
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/05(木) 14:26:27.29 ID:tpHcA74SO
愛と憎悪の入り交じった殺しあい…
名前といい、つくづく美樹さんはデビルマンな娘だな
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2012/01/06(金) 07:38:52.44 ID:hDaCp3+Xo
このお話で一番救いがないのが杏子ちゃん
ほむら編も別視点なだけらしいし、ほんまかわいそうな子やで…
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/01/06(金) 07:46:57.88 ID:xFY5iDO+o
乙でした〜
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/01/06(金) 11:38:00.38 ID:DGUrXrTAO
>>988
マミさんもでしょ
いつも通りとはいえ…
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/06(金) 20:23:28.65 ID:s941If2DO
>>1乙!
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県)[sage]:2012/01/06(金) 23:00:23.76 ID:YF5L6/Dno
乙ゥー!
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/01/07(土) 01:09:42.36 ID:17+yYKck0

勝てるはずなのに負けるってさすがのさやかちゃん
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2012/01/07(土) 01:43:55.32 ID:0u3J6HyAO
相手もクリームさん(verさやか専用)だから仕方ない
……これほむらワルプルまで生き残れるのか?
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/01/07(土) 04:20:44.39 ID:60sISxjV0
>>988
空海は出落ち感が…
やっぱり上条さんだろ。二次創作では珍しいイケメン上条だったのに…
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2012/01/07(土) 04:21:39.01 ID:hytd4x6AO
ありがとう、最高のバッドエンドだった。見習いたいくらい>>1を尊敬するよ
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/01/07(土) 12:52:02.25 ID:4qNndsMAO

>>995
最後辺り台無しだったけどな
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/07(土) 13:34:18.67 ID:VdpXbHB8o
>>988
杏子は

邪魔をする
人のやり方にケチをつける
反論したら暴力振るう
後日、再度因縁をつける

だからなぁ

自業自得だろう
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/07(土) 13:47:32.92 ID:csqHZRHA0
>>997
見切りをつけた上条の判断は正しかったと思うよ
その後のケアもしてたし
あそこで止めなきゃ好転したってもんでもない
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/01/07(土) 13:50:13.43 ID:+hk+F59Xo
>>816
>上条「明日……親……居ないんだ……だから……その」

ここだな。うん。
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   ||. ̄ ,'  ´ ̄   リ!|/  ',       げにいみじきすれのたつのも今はむかし 
   !.',  i,_っ     l!|   ヽ       
 . l ',  _,,_      | l    \   あたらしき人まいりこれりども 
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【雪が降り】ココアをチビチビ飲みながらこたつへゆうどー【引篭る】 @ 2012/01/07(土) 08:06:51.47 ID:zrlTYjvLo
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