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QB「僕が男の子と契約できないのかって?」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:32:59.87 ID:+xvuAOaw0
【放課後 学校屋上】

さやか「うん、そう。だって、QBが男の子と契約できれば、恭介が自分で自分の願いをかなえられる可能性だってあったわけでしょ?」

杏子「そういやそうだな…。なぁQB、無理なのか?」

QB「…」

マミ「そうねぇ…。魔法少女って言うくらいだから、女の子じゃなきゃダメっていうのはなんとなく理解できるわ。でも、明確な理由にはならないわね。因果の順番が逆だわ」

ほむら「…」

QB「う〜ん、僕は女の子としか契約できないルールになっているからなぁ…」

QB「そもそも、男の子とどうやって契約したら良いのか、その方法が僕にはわからないんだよ。だから僕は男の子と契約することはできない」

杏子「ふ〜ん。ルール、ねぇ…」
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:33:43.56 ID:+xvuAOaw0
さやか「まぁ、あたしも後悔してるわけじゃないから、興味本位で聞いてみただけなんだけどね」

マミ「でも、もしも男の子が契約したら、どんな衣装になるのか面白そうね。鹿目さんも楽しみなんでしょう?自分の衣装が」

まどか「ちょ、ちょっと、からかうのはやめてくださいよ〜。ウェヒヒヒ」

さやか「あははは」

杏子「あははは」

QB「…」

さやか「あれ?ところで、転校生は?」

マミ「あら?いないわ?さっきまでそこにいたのに」

杏子「ん?背後に気配がっ…!」くるっ

さやか「残念!さやかty」ゴスッ

さやか「…」

まどか(ほむらちゃん、どこ行っちゃったんだろう?私がまだ魔法少女に憧れているから怒っちゃったのかなぁ…)

杏子「ったく…。あいつは、いつも突然現れて、突然いなくなるな」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:34:39.31 ID:+xvuAOaw0
【暁美ほむら自宅】

ほむら「…おかしい。何かがおかしい。いつもの魔女に対する反応と違っていたわ。このソウルジェムの輝きかた…」

ほむら「しかも、さっき周囲を探っても魔女や使い魔は近くにいなかった…。なのになぜ…?」

QB「やぁ、暁美ほむら。どうしたんだい?難しい顔をして」

ほむら「QB…。何しに来たの?今は忙しいの。あなたの相手をしている暇は無いわ」

QB「やれやれ、あいかわらず手厳しいね。用事が無ければ来てはいけないのかい?」

ほむら(やっぱり今[ピーーー]か…)

QB「ちょっと待ってよ。用事ならあるよ」

ほむら「…?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:35:36.06 ID:+xvuAOaw0
QB「君は感じたろ?いつもと違う気配を」

ほむら「…っ??」

QB「僕も感じたんだよ。恐ろしく静かで、底が知れない気配を」

QB「あの場であの気配を感じ取れたのは、僕と君くらいだったんじゃないかな」

QB「僕はいやな予感がするんだ。ワルプルギスの夜とはまた別の」

QB「だから本意では無いんだけれど、お願いがある。まどかを見張ってほしい」

ほむら「そんなこと、あなたに言われなくても毎日しているわ。あなたから守るためにね」

QB「ははは、本当に嫌われているな。でも、まぁ良いよ。僕は確認したいことができたから、しばらく君たちの前からは消えるよ」

QB「じゃぁ、よろしくね」

ほむら「…」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:37:45.72 ID:+xvuAOaw0
【数日後 とある工場跡地】

杏子「…!な、なんだこりゃ!?どういうこった?」

さやか「ひどい…。」

まみ「…ちょっと気分が悪いわ…。吐きそう」

ほむら「これは…、人の血液の跡…。それも、数人じゃないわ、何十人もの…。それに、これは吐瀉物に、汚物まで…」

ばたっ

杏子「お、おい!まどか?まどかぁっ!!やばい、まどかが倒れたぞ!」

さやか「マミさん!マミさんっ?」

マミ「…う…、あ…ぁ……」

ほむら(巴マミもダメね…)

ほむら「ふたりとも私達で運びましょう。ここからは離れた方が良いわ。まどかは私が運ぶから、巴マミはそっちでお願い。さぁ、はやく!」

杏子「お、おぅ…」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:39:09.55 ID:+xvuAOaw0
【事件当夜 暁美ほむら 自宅】

ほむら「ふたりは寝たかしら?」

杏子「あぁ、まどかは気を失いっぱなし。マミは鎮静剤で落ち着かせた」

さやか「…なんだったの、いったい」

ほむら「あきらかに魔女の気配ではなかったわ」

杏子/さやか「…」

ほむら「魔女のしわざとは考えにくい。あの惨状は…」

ほむら(QBがいやな予感がすると言っていた)

ほむら(何かを確かめてくる、と…?何を?)
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:40:08.40 ID:+xvuAOaw0
杏子「なぁ、私たちは結界が発生したことを感じて、あの現場に集まった」

さやか「うん」

杏子「ソウルジェムもたしかに反応していた。でも、いつもの反応とは違って、少し違和感があった」

さやか「うん」

杏子「現場についてみれば反応は消え、わずかな気配さえ残っていなかった。なのに、あの惨状。まるで血の海だった」

杏子「これがワルプルギスの夜ってやつなのかい?」

ほむら「違うわ。あれはワルプルギスの夜なんかじゃない…。魔女ですらないかもしれない」

杏子「なぁ、そろそろ知っていることを全部話してくれよ。こっちはワルプルギスの夜を倒すために集まってるってのに、わからない事だらけじゃ対策も作戦もたてられないじゃないか」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:40:59.15 ID:+xvuAOaw0
ほむら「……」

ほむら「…今回の事は私にもわからないの。今までに経験したことのない現象だらけ」

杏子「なんだよ、ワルプルギスの夜は見た事あるかのように話すんだな」

ほむら「…」

QB「その答えを教えてあげるよ」

杏子/さやか「!!」

ほむら「いつからそこにいたの?」

QB「今帰ってきたところさ。そんなに怖い顔しないでよ」

杏子「…答えって?」

QB「うん、確認してきたんだ。少し時間がかかってしまったから、被害を防ぐ事ができなかったけどね」

QB「でも、君たちが全員無事だったから、それは良かった」

さやか「良かったって…。あんなに人が死んでるんだよ?」

QB「まぁ落ち着いて話を聞いてよ」

ほむら「…」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:42:40.45 ID:+xvuAOaw0
QB「今回のことの答えを話す前に、ひとつ知っておいてほしいことがある。歴史みたいな話さ」

QB「さやか、以前、僕に男の子との契約は可能かって聞いたよね?」

さやか「うん。それが今回のことと関わりがあるっていうの?」

QB「おおありさ。とても大事な話だよ」

QB「実は、男の子と契約をむすぶことはできたんだよ。今は無理だけどね」

さやか「え?」

QB「今よりずっと昔、男の子も契約をむすんでいた時代があったんだ。魔法少年、だね」

QB「でも、それは極初期の時代だけで、失敗に終わったんだ」

杏子「失敗?」

QB「そう、失敗。失敗作とでも言う方が適切かな」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:43:41.70 ID:+xvuAOaw0
QB「君たちは魔法少女として魔法を使うとどんな気持ちになる?」

杏子「まぁ、すかーっとするわな」

QB「快感?」

杏子「快感…とまでは言わないけど、気持ちいいのはたしかだ。なんだかエロいな、QB」

QB「ははは。ごめんごめん。でもそれは間違いなく快感なんだよ」

QB「そして女の子と男の子では、その快感の度合いが違ったんだ。男の子のそれは、性的な快感とほぼ同等か、それ以上だったと伝えられている」

QB「そして、男の子はその快感にあらがう事ができなかった」

QB「快感に身を任せ、限界を超えて魔法を使い続けた魔法少年はどうなったと思う?」

QB「覚醒…、したんだよ」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:44:41.70 ID:+xvuAOaw0
さやか「覚醒って?」

QB「ほとんどの魔法少年はソウルジェムの穢れの浄化が間に合わず、それでも快感のおもむくままに魔翌力を解放してしまった」

QB「穢れに侵されたソウルジェムは粉々に砕けちり、魔法少年はそれに依存することなく強大な魔翌力を無制限にまきちらす存在へと変化してしまった。これが、覚醒」

QB「そして覚醒した彼らのことを覚醒者と呼ぶんだ」

QB「覚醒者となった魔法少年は、その時点から見た目の成長も止まり、老化もしなくなる」

QB「エントロピーの法則を完全に無視。魔女なんかよりも始末に負えない、やっかいな存在となってしまったわけさ」

ほむら(ソウルジェムが砕け、魔女よりも…)
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:46:32.63 ID:+xvuAOaw0
QB「当然、覚醒者は魔女と同じように扱われ、魔法少女達によって駆逐されていった」

マミ「今、ほとんどの、って言ったわね?QB」

QB「マミ、気がついたのかい?」

さやか「残念!さやかty」メキョッ

さやか「…」

QB「良かった。心配したんだよ。あの光景は、とくに君にはつらいだろうからね」

マミ「…」

QB「さて、話の途中だけど、マミの質問に答えよう。そうだよ、なかには覚醒しない魔法少年もいた。でも彼らもやっぱりダメだったんだ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:48:13.37 ID:+xvuAOaw0
さやか「なんで?」

QB「魔法少年は30才の誕生日を迎えるまで覚醒せずにいると、つまり性的快感を感じずにいると、それ以降は覚醒しなくなるんだ。魔法使いになったというわけさ」

杏子「魔法使い?安定して魔法が使えるなら、ちゃんと戦えるんじゃないのか?」

QB「そうはいかなかったのさ。30才を超えて魔法使いになった者達は、ことごとく引きこもりになってしまったんだ」

QB「使える魔法も増えたみたいだけど、マホカンタとか凍てつく波動とか、あげくにアストロンとか。戦闘の役にたたないものばかりだったらしい」

杏子「マホカン…、なんだそりゃ?」

QB「まぁ、効果のほどは推して知るべしってね。引きこもりの魔法だよ」

QB「余談になるけれど、引きこもりの魔法使いに対して、外界で魔翌力を使いまくる覚醒者をリア獣なんて呼ぶこともあったようだよ」

QB「そんなわけで、どうころんでも失敗作となる男の子との契約はおこなわれなくなったのさ」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:50:11.25 ID:+xvuAOaw0
QB「さて、ここからが本題。今回の事件の犯人でもある、覚醒者についての話に戻そう」

ほむら「今回の犯人はその覚醒者なのね?でも、すでに魔法少女によって倒されているんじゃないのかしら?」

QB「うん。だけど極一部、頭のきれる覚醒者もいてね、今も存在しているんだ」

QB「さっき話したとおり、覚醒者は成長もしないし老化もしない。つまり、時間に対しては不死の存在なのさ」

QB「だから、頭の良い覚醒者は考えた。下手に暴れて魔法少女とやりあうより、おだやかに好きなように生きていく道を選んだ」

QB「そいつは頭も良いけど、それ以上に魔翌力が半端じゃない。こちらとしては覚醒者なんて危険因子は全て倒しておきたかった。でも、簡単に倒せる相手でもなかった」

QB「それどころか、並の魔法少女じゃ全く相手にならないだろうね」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:51:25.33 ID:+xvuAOaw0
QB「生き残った覚醒者は静かに息をひそめてこの世界に存在していた。まるで普通の人間のようにね。だから、こちらもひとまずは満足して、今まで手を出さなかった」

QB「彼らは、その強大な魔翌力と、その不気味とも思える静けさから、いつしか深淵の者と呼ばれるようになった」

杏子(…ゴクッ)

マミ(深淵の者…。なんだか少しカッコいいひびきね)

QB「その深淵の者のなかでも、最も幼くして覚醒し、最も恐れられているのが、始まりの街、極寒の地に潜む深淵の者…」

QB「…」

QB「…『北のタラオ』今回の事件の犯人ともくされる覚醒者だよ」

マミ(名前はダサイわね…)
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:52:24.20 ID:+xvuAOaw0
QB「僕が調べられたことはここまでさ。なぜ今になって彼が動き出したのかはわからない」

杏子「ま、そいつの目的なんていずれわかるだろ。いずれにしても、どえらくやばい敵が出て来たってことだろ?」

マミ「そして、彼を倒さなければならない。私たちで…」

QB「そういうことだね」

杏子「その『北のタラオ』ってやつに仲間はいるのか?」

QB「それもわからない。単独かもしれないし、仲間がいるかもしれない。しかし、動き出したのが『北のタラオ』だってことは疑いようのない事実なんだよ」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:53:13.39 ID:+xvuAOaw0
まどか「ほむらちゃん、杏子ちゃん、マミさん…。わたし、わたし…」

ほむら「まどか!?」

さやか「残念!さやk」ベキュバキゴシャッ

さやか「…」

QB「まどかも目が覚めたんだね。良かった」

ほむら「ふぅ…。まどか、あなたは何も心配しなくて良いのよ」

まどか「でも…」

ほむら「心配しないで私たちにまかせて」

QB「…」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:54:01.41 ID:+xvuAOaw0
ほむら「QB、それで、頼んでもいないのにわざわざ調べてきたってことは、今回はあなたもそれなりの行動をとるということかしら?」

QB「そのとおり。今回ばかりはちょっとね。僕が戦力になれるかどうかはわからないけど」

ほむら「だいじょうぶよ。いざという時の盾として役にたってもらうわ」

QB「…」

杏子(QBを見る目がこえぇョ…)

マミ(QBを見る目がこわいわ…)
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:54:55.97 ID:+xvuAOaw0
【同じく 事件当夜 都内某所】

タラオ「はぁー、久しぶりに遊んだから楽しかったでーす」

イクラ「ハァーイ」

タラオ「それにしても、どいつもこいつも手応えの無いやつばかりでしたね〜」

タラオ「ちょっと遊んだだけで、すぐに死んじゃいましたー」

タラオ「イクラちゃんも、あれじゃ物足りないですよねー」

イクラ「ハァーイ」

タラオ「…」

イクラ「ハァー…」ボキュッメギョッ

タラオ「チッ、ほんとーにつまんないでーす」

イクラ「ハ、ハァー…イ」

タラオ「さ〜て、準備運動にもなりませんでしたが、そろそろいくでーす」

イクラ「ハァーイ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:56:30.09 ID:+xvuAOaw0
【数日後 巴マミ 自宅】

まどか「さやかちゃん!さやかちゃんっ!ねぇ、起きてよさやかちゃん!」

マミ/ほむら「…」

まどか「ほむらちゃん、マミさん!さやかちゃんが!さやかちゃんが!!」

ドタドタドタ ガチャッ!

マミ「佐倉さん…」

杏子「さやかがやられたって?」

ほむら「そうよ。私が運んできた」

マミ「…」

杏子「おい、どうなってやがる!さやか息してないぞ!」

杏子「さやか!さやかーっ!!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 13:57:58.78 ID:+xvuAOaw0
杏子「おい、おまえ!何を落ち着いた顔してんだよ!さやか死んでるじゃないか!」

ほむら「美樹さやかは死んではいないわ」

杏子「…なに?」

まどか「ほむらちゃん…今、なんて…」

ほむら「美樹さやかは死んではいないと言ったの」

マミ「暁美さん、それってどういう…」

QB「僕が説明しようか?」

マミ「QB…?」

ほむら「…」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:00:35.21 ID:+xvuAOaw0
QB「暁美ほむら、さやかはどこで倒れていたんだい?」

ほむら「このあいだの工場跡地よ」

QB「それで、その手に持っているのは手紙かい?」

ほむら「えぇ。美樹さやかを預かっている、と書いてあるわ」

ほむら「これを書いたのは『北のタラオ』ね。例の違和感のある気配が残っていたわ。わざと残しているように感じたけど」

QB「手紙の内容を信用するならば、君の言うとおり、さやかはまだ生きているね」

杏子「どういうことだ?さやかはココにいるじゃないか?しかも死んでるようにしか見えない」

QB「杏子、さやかはココにはいないんだよ。ココにあるのは、かつて美樹さやかだった物。魂の抜け殻なんだよ」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:01:44.90 ID:+xvuAOaw0
マミ「どういうことなの?ちゃんと説明して…」

杏子「そうだ!説明するって言ったじゃないか」

QB「犯人が連れ去ったのは美樹さやかそのものだよ。ソウルジェムさ」

杏子「はぁ?」

マミ「え…?」

ほむら「…」

QB「暁美ほむら、なぜだか君は理解しているようだね…」

QB「いいかい?君たち魔法少女にとって、元の身体なんていうのは、外付けのハードウェアでしかないんだ」

QB「君たちの本体としての魂には、魔翌力をより効率よく運用できる、コンパクトで安全な姿が与えられているんだ」

QB「魔法少女との契約を取り結ぶ、僕の役目はね、君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なのさ」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:02:35.77 ID:+xvuAOaw0
杏子「な…」

マミ「安全な姿…。本当の…、本当の私はソウルジェムに…」

マミ「この身体は…ただの、…道具?」

QB「そうさ。むしろ便利だと思わないのかい?」

ほむら「…っく」

QB「心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、その身体は魔翌力で修理すれば、すぐまた動くようになる」

QB「ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ」

QB「弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」

杏子「なんだよそりゃ!それじゃあたしらゾンビにされたってことかよ?!」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:03:10.98 ID:+xvuAOaw0
マミ「…ハァーッ、私は…、私は死にたくなかった……ハァーッ、…ハァーッ、…でも、本当の私は…」

杏子「うわ!マミ!!しっかりしろ!落ち着け!!」

まどか「…ひどい。なんでそんなひどいことを…」

ほむら「まどか…」

QB「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

QB「訳が分からないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」

マミ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!」

杏子「おい!マミ!やめろ、マミー!」

マミ「てぃろふぃなーれ」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:04:39.50 ID:+xvuAOaw0
【翌々日 巴マミ 自宅】

まどか「マミさん…」

マミ「なぁに?鹿目さん」

まどか「あの…、その…。マミさんは大丈夫かなって…」

マミ「私のことなら心配しないで。もう大丈夫よ」

マミ「たしかにあのときは混乱したわ。でも、もう平気」

マミ「かわいい後輩のためにも、かっこわるいとこ見せられないものね」

まどか「マミさん…」

マミ「ふふっ。鹿目さんはやさしいのね」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:05:54.84 ID:+xvuAOaw0
杏子「まったく、あのときはどうなるかと思ったよ。かっこわるいどころか、泣きながらライフル乱射とか」

マミ「マスケット銃よ。でもごめんなさい。迷惑かけてしまったわね。あやまるわ」

杏子「まぁ、いいよ。もう…。おかげでQBを4回も粉々にしてくれたしな」

マミ「ありがとう」

杏子「しかし、QB…。あいつは許さん。少なくとも今度の戦いでは、盾としてきっちり働いてもらう…」

マミ「あ、紅茶、おかわり入れる?」

杏子「あぁ、もらうよ。あと、ケーキのおかわりはないのかい?」

マミ「美樹さんのぶんと思っていたのがあるけれど…」

まどか「…さやかちゃん…。うぅっ…」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:07:34.15 ID:+xvuAOaw0
マミ「鹿目さん、美樹さんなら大丈夫よ。今は身体をドライアイスで冷やしているから。ソウルジェムさえ取り返せば、また元通りにもどるわ」

マミ「でも、ケーキはとっておいてももったいないわね。佐倉さん、いいわよ食べても」

杏子「だな。ありがたくいただくよ。さやかを助けたら、このぶん奢ってやればいいしな」

マミ「そうね。えぇ、そのとおりよ」

杏子「まどか、半分くうかい?」

まどか「…うん」

杏子「じゃぁ、さやかにケーキを奢るときは半額だせよな」

まどか「うん!わかったよ!杏子ちゃん、ありがとう」

杏子「そういや、さやか、学校どころか家にも帰ってないわけだろ?大丈夫なのかよ」

マミ「大丈夫じゃないわ。ご両親が警察に捜索願を提出したって聞いたし。学校でも皆がざわついていたわ」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:09:03.34 ID:+xvuAOaw0
杏子「まぁ、そりゃそうだろうなぁ…。ってか、ここに警察が来たらアウトじゃね?」

マミ「そのときは暁美さんがなんとかするって言っていたわよ」

杏子「ふぅん。ところで、その『暁美さん』はどこに行ったんだよ」

マミ「なんだかお買い物に行くようなこと言っていたけれど…。2時間くらいで戻るって言っていたから、もうすぐここに来るんじゃないかしら」

杏子「こんなときにのんびり買い物かよ。なんか作戦でもあるのかねぇ…」

マミ「作戦も何も、ワルプルギスの夜以上にわからないことだらけなんだから、どうしようもない気がするわ」

杏子「う〜ん…。そうだよなぁ…」

マミ「でも、前衛と後衛のふりわけとか、フォーメーションを予め用意するだけでも効果はあるとも思えるわね」

杏子「しかし、なんであいつはワルプルギスの夜のことをいかにも知ってるふうなんだ?」

マミ「さぁ…」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:10:23.13 ID:+xvuAOaw0
ほむら「何を詮索しているのかしら?」

杏子「どわ!いきなりおどかすなよ…。別に悪口なんか言ってないぞ?」

杏子(さやかが元気なら、ここで『残念!さやかちゃんでした』とか言ってくるんだよな…)

杏子(…さやか、待ってろよな。もうすぐ助けにいくから)

マミ「あら暁美さん、おかえりなさい。お買い物は済んだの?」

ほむら「えぇ、済んだわ。必要なものはそろえてきた」

杏子「ずいぶん待たせたじゃないか。ものは揃ったんだったら、作戦の話でもするのかい?」

ほむら「えぇ。でも、その前に相手の分析が先ね。マミ、あなたはどう思う?」

マミ「そうねぇ…。美樹さんがやられたってことは、QBが言っていたとおり、かなり手強い相手のように思うわ」

杏子「え?そうか?だって、さやかは、まだなりたての魔法少女だぜ?」

杏子「ルーキーなんだから、最初にやられて当然じゃないか」

マミ「それは少し違うわ」

杏子「?」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:12:18.51 ID:+xvuAOaw0
ほむら「マミの言うとおりよ。美樹さやかの能力、それは刀剣を出せることだけじゃない」

マミ「そう…。美樹さんの願いから発現した、癒しの力。強力な回復能力よ」

ほむら「その能力、手合わせしたあなたなら実感できているんじゃないかしら?杏子」

杏子「…あ!」

マミ「そう。その卓越した回復能力ゆえに、ダメージをほとんど蓄積せずに戦う事ができる。攻撃翌力は経験のあさい彼女では私たちの方が上かもしれない。でも、相手に勝てないまでも、『負けない』という意味では最強のはずなのよ」

ほむら「その美樹さやかが、ほとんど抵抗したあともなく、逃げることもできず、あっさりと捕らえられた。しかも、ご丁寧にソウルジェムのみを奪うという方法で」

杏子「それって…!」

ほむら「悪い話はそれだけじゃないわ。相手は私たち魔法少女のことを熟知している」

マミ「わざわざソウルジェムだけを奪い、身体を放置したことからも明らかね。やはり覚醒者…、並の敵じゃないわ」

ほむら「さらに、置き手紙まで残して、私たちを誘おうとしている…」

ほむら「美樹さやかには私たちという仲間がいて、私たちが彼女を救おうとすることまで予想できるほどに調べがついている」

マミ「こちらの情報はつつぬけね…。でも私たちは相手のことを何も知らないにひとしい。まるでいいとこなしね」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:14:00.51 ID:+xvuAOaw0
杏子「だ、だから作戦が必要なんだろ?おい…」

ほむら「…作戦なんかないわ」

マミ「やっぱり…か。QBが調べても、具体的な戦略をたてられるほどの情報は得られなかったわ。そのうえ私たちが何を考えても無駄というわけね」

ほむら「そういうことよ」

杏子「お、おいおい、それじゃ何のためにここで集まって…」

ほむら「それぞれの立場を確認するためよ」

マミ「…」

杏子「…」

まどか「…」

ほむら「私は覚醒者と戦う」(まどかを悲しませる敵は許さない)

ほむら「…でも、あなたたちは無理に戦う必要なんかないわ。私はひとりでも戦うし、それであなたたちを恨む事もしない」

マミ「私も戦うわ」

ほむら「…」

マミ「だって、美樹さんはかわいい後輩だし。それに、あの手紙を残したことから、敵が誘っているのは、私たちだってことは明らか。ここで逃げても、いずれ…ね」

杏子「そーだなー。そもそも戦うつもりでここに集まってるし、あたしも戦うよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:15:10.51 ID:+xvuAOaw0
まどか「あの…、わたしも…、その…、一緒に戦いたい…」

ほむら「まどか!あなたはダメよ!」

マミ「そうよ鹿目さん。魔法少女でもないあなたが、この戦いに参加するのは危険すぎるわ」

マミ「敵の能力はまったくの不明。しかも強力な魔翌力の持ち主。そんなのを相手にして、あなたまで守りきる自信なんてもてないわ」

ほむら「まどか、あなたはここで待っていて」

マミ「そう。そして、私たち、いいえ、美樹さんが帰ってきたときのために暖かい紅茶をいれる準備をしていてほしいわ」

まどか「…そう、だよね。やっぱり」

まどか(わたし、やっぱり何の役にもたたないんだ…。ごめんね、さやかちゃん…)

杏子「いいや!まどかは連れて行く!」

ほむら/マミ「!!!」

まどか「…え?」

ほむら「あなた何を言ってる…」

杏子「まどかは連れて行く!」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:15:50.32 ID:+xvuAOaw0
杏子「いいか?さやかはまどかの親友だぞ?その親友を助けに行くって言ってるんだ」

杏子「よく考えろ。あたしたちの、魔法少女のちからの源はなんだ?願い、だ」

杏子「その願いのちから、さやかに対する想いのちからは、あたしらのなかじゃ、まどかが最強だ」

杏子「そんなまどかを、ここにおいていくなんて、できない」

ほむら「ダメよ!絶対にダメ!」

杏子「まどか、おまえはあたしが守ってやる。だから一緒に来い!さやかも、きっと待ってる!」

まどか「…杏子ちゃん」

ほむら「…まどか」

まどか「ほむらちゃん、ごめん。やっぱり私も一緒に行くよ。ううん、一緒に行かせて」

まどか「ありがとう杏子ちゃん」

マミ「ふぅ…、しかたないわね。私も協力するわ」

杏子「よし!じゃぁ、ようやく作戦会議だな!」

ほむら「作戦なんてないって言ったじゃない…」

杏子「ないから、作るんだよ!」

ほむら「…」

マミ「ふふふ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:17:26.36 ID:+xvuAOaw0
【同時刻 都内某所 アパートの一室】

タラオ「よーく聞こえますねー」

イクラ「ハァーイ」

タラオ「それにしても、ほんっとーにバカな連中でーす」

タラオ「美樹さやかの身体に盗聴器を仕込んでいることにも気づかないなんて」

タラオ「さすが、カツオ兄ちゃんの仕事はスマートでーす」

イクラ「ハァーイ」

カツオ「…」

タラオ「しかも、こっちの期待通りの話の進み方。笑いが止まらないでーす」

イクラ「ハァーイ」

カツオ「タラちゃん、どうしてこんなこt…」ゴリュバキョメキッ

タラオ「うるさいでーす」

タラオ「引きこもり魔法使いは黙って言う事聞いていればいいでーす」

タラオ「還暦過ぎてまだ引きこもりなんて、カツオ兄ちゃんはウジ虫以下でーす」

イクラ「ハァーイ」

カツオ「マホカンタ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:18:11.80 ID:+xvuAOaw0
オマケ ほむらの「お買い物」と同時刻

【米軍 武器備蓄基地】

兵士「将軍!何者カガ武器庫ニ侵入シタモヨウデス!サー!」

将軍「ナンダト?ソレハタシカカ?ナゼ誰モキヅカナイ?」

兵士「ノー!ワカリマセン!サー!」

将軍「被害ハ?」

兵士「サー!多数ノ武器弾薬ガ紛失シタモヨウデス!サー!」


【英軍 武器備蓄基地】

兵士「大佐!何者カガ武器庫ニ侵入シマシタ!大規模ナ盗難ガアッタトノ報告ガ…」

大佐「ナ、ナニー?被害状況ヲマトメ、タダチニ報告シロ!」

兵士「サー!イエス!サー!」


【ロシア軍 武器備蓄基地】

兵士1「オイ、ソノウォッカ、オレノダゾ?」

兵士2「エー?カタイコトイウナヨ」

将軍「ワハハハハ!ザ・ヴァーシェ・ズダローヴィエ!!ワハハハハハハ!」


【イタリア軍 武器備蓄基地】

※誰もいない。どこからか、パスタの良いにおいがする…
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:19:08.18 ID:+xvuAOaw0
【数日後 学校 授業中】

先生「…えー確かに、出産適齢期というのは、医学的根拠に基づくものですが…」

マミ(鹿目さん…。鹿目さん、聞こえる?)

まどか(マミさん?)

マミ(少し様子が変なのよ。何か感じない?)

先生「そこからの逆算で婚期を見積もることは大きな間違いなんですね」

まどか(いえ、わたしは何も…)

マミ(そう…)

まどか(あ、いえ、感じます。今言われて気がつきました。何だろう、これ)

先生「つまり、30歳を超えた女性にも、恋愛結婚のチャンスがあるのは当然のことですから」

マミ(どうやら、例の工場跡地からただよってきているみたい…)

マミ(暁美さんと佐倉さんはすでに向かったわ。私たちも授業が終わったらあとを追いましょう)

まどか(は、はい)

先生「したがって、ここは過去完了形ではなく現在進行形を使うのが正解…」

まどか(…さやかちゃん)
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:34:14.36 ID:+xvuAOaw0
【同日 夕刻 工場跡地】

ほむら「…あそこね」

杏子「おい、どうするよ。マミたちを待ってた方がいいんじゃないのか?」

ほむら「そうね。でも、そのまえに、少し様子を見てみるわ」

杏子「お?何だその手に持ってるのは?」

ほむら「M18A1クレイモア。対人地雷の遠隔起爆スイッチよ。今しかけてきたの」

杏子「い…、いつのまに…」

ほむら「そこに結界の入り口らしき空間のゆがみがあるわ。そこを狙って挑発してみる」

杏子「おまえ…。そんなことして、奇襲にならないんじゃないのか?」

ほむら「敵は私たちを誘っているの。すでに臨戦態勢のはずよ。それに、いずれにしても結界には侵入しなければならない。奇襲作戦はもともとナンセンスだわ」

杏子「それもそうだな。よし、やっちゃえ」

ほむら「…」カチカチカチッ

ドガーン!!!バラバラバラ…

杏子「…っく。すげーな」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:34:54.53 ID:+xvuAOaw0
ほむら「…」カチャッ

杏子「ん?お…、おまえ、それ…」

ほむら「…M136AT4無反動砲」カチッ

バシューッ………ズガーン!!!

杏子「う…、うわ…」

ほむら「…」

ほむら「反応はない…わね」

杏子「…いや、反応って。もう死んでるんじゃね?」

杏子「…っ!っていうか、中にはさやかのソウルジェムもあるんだぞ!わかってんのか?おいー!」

ほむら「…」

ほむら(そこまで考えていなかったわ…)

杏子「あ、おまえ、今何も考えてなかったって顔したぞ?おい!おいおい!」

ほむら「…そう思っているのなら、なぜ撃つ前に私を止めなかったの?」

杏子「ぐっ…」

ほむら「…まぁいいわ。それより見て。結界の入り口がゆるんだ」

ほむら「やはりあの程度の攻撃じゃなんともないわね。中に入っておいで、って言っているみたい」

杏子(やはりって…。こいつ絶対何も考えてなかった…)
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:35:48.28 ID:+xvuAOaw0
マミ「お待たせっ」

杏子「マミ!それにまどかも!」

まどか「…はぁ、…はぁ。お待たせ〜」

ほむら「…」

マミ「なんだかすごい音がしたけど、何か動きがあったの?」

ほむら「えぇ。あなたたちが来る前に様子を見ようと、花火を結界に撃ち込んでみたのよ」

杏子(花火…だと?)

マミ「そう…。それで?」

ほむら「見て、あそこが結界の入り口。今なら侵入できるわ」

マミ「そうね。でも、QBは?」

杏子「あ!QB!あいつどこ行きやがった!盾としての役目を忘れやがったのか?」

QB「ひどいなぁ、僕ならここにいるよ」

杏子「な…、いつのまに。どいつもこいつも、いきなり現れるのやめろよ」

ほむら「…」

QB「さぁ、これで役者はそろった。いよいよ決戦だね」

マミ「そうね。結界の入り口も開いていることだし、さっそく中に入りましょう」

マミ「QB、先頭を歩いてちょうだい」

QB「…え?」

マミ「忘れたの?あなたは私たちの盾なのよ?」

杏子(マミがQBを見る目もこわくなってる…)
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:36:44.36 ID:+xvuAOaw0
【結界内部 奥へと進む通路】

杏子「この結界の中、蒸し暑いなぁー。アイスでも用意しとけばよかったよ」

マミ「そうね。でも蒸し暑いだけじゃない。いつもの魔女による結界とは、やはり少しだけ気配が違うわ」

杏子「そうだなー。しっかし、暑い」

まどか(さやかちゃん…)

ほむら「…」




【結界内部 モニタールーム】

タラオ「ようやくきましたでーす」

タラオ「監視カメラ映像も感度良好でーす」

イクラ「ハァーイ」

タラオ「ウジ虫以下のカツオ兄ちゃんも、少しは役にたつでーす」

イクラ「ハァーイ」

カツオ「…」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 14:59:26.32 ID:+xvuAOaw0
【結界中心部】

ほむら「ここが結界の中心部のようね。気配が濃くなっている…」

QB「そのようだね」

ほむら「まどか、だいじょうぶ?」

まどか「うん、だいじょうぶだよ。ほむらちゃん」

杏子「あたしが守ってるんだから、そりゃだいじょうぶさ」

マミ「佐倉さん…、まだ何もしていないわ」

ほむら「ここまで罠と呼べるような仕掛けはなかった」

マミ「敵はつまらない小細工などするつもりはない、ってことかしらね」

杏子「ちぇっ。QBがボコボコになるところ見たかったのに。つまんねーの」

QB「杏子…」

杏子「それにしても、ここは何なんだ?変な木がいっぱい生えてやがる」

マミ「この蒸し暑さ、まるで温室の植物園みたい。使い魔らしきものはいないわね」

杏子「なんか食べられる実でもなってないっかなー」

マミ「やめなさいよ。毒でも入ってたらどうするの?」

杏子「ブゥー」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:00:19.57 ID:+xvuAOaw0
ほむら「しっ!」

マミ「何?」

杏子「何だ?何か、近づいてくる…」

ほむら「これは…、魔翌力の気配。大きい…」

まどか「…」

QB「来たみたいだね」


タラオ「はーい!タラちゃんでーす!」

タラオ「こっちはイクラちゃんでーす!」

イクラ「ハァーイ」


まどか「え?」

マミ「何?何て言ったの?」

杏子「ちっさ!あいつら、ちっさ!」

ほむら「…」

マミ「…使い魔…なの?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:02:07.37 ID:+xvuAOaw0
タラオ「…そこの黄色いホルスタイン、失礼なこと言うなでーす」

タラオ「チチがでかけりゃ何でも許されると思うなでーす」

イクラ「ハァーイ」


マミ「…な、な、な、なんですってぇ!」


タラオ「その臭そうな耳の穴の耳クソかっぽじってよく聞くでーす」

タラオ「ボクの名前はタラちゃんでーす」

イクラ「ハァーイ」

タラオ「それに、そっちの赤いトンガリ、ちいさいのはおまえの胸でーす」


杏子「んだとコラー!」

ほむら「ちょっと、あなたたち、いきなり相手の挑発にのらないでちょうだい。落ち着いて」

マミ/杏子「…ぐっ」

QB「彼が深淵の者、タラオだね。横にいるのは、使い魔じゃなさそうだけど、仲間…かな?」

ほむら「そのようね。身体からにじみ出てくる禍々しいちから…」

ほむら「ここまで小細工もなかったし、偽物であるとも思えない。彼がタラオで間違いないわ」

ほむら「でも横にいるイクラとかいう子供からは魔翌力は感じないわね…」

まどか「…うぅっ」

ほむら「まどか、大丈夫?ちょっと杏子、挑発に乗せられて仕事がおろそかになっているわよ?」

杏子「わ、わりぃ…」

杏子「まどか、気分悪いのか?やつの魔翌力にあてられたな。あたしの後ろにまわれ」

まどか「うん。ありがとう、杏子ちゃん」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:03:28.17 ID:+xvuAOaw0
タラオ「あっちの黒いネズミは、少しだけ頭が良さそうでーす」

タラオ「チチの大きさと頭の良さは反比例するでーす」


ほむら「…」

マミ(あ、あいつ…。んぐぎぎぎぎぎ…)

ガシャン

ほむら「GAU-8Avengerガトリングx10基…」カチッカチッカチッカチッ…

ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!

杏子「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁ!」

マミ「…!!!」

まどか「きゃぁぁっ!」

ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!

ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!

ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!

ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!

ズガガガ…キューン…キュルキュルキュルキュル…
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:04:12.15 ID:+xvuAOaw0
杏子「げほっ、げほっ…」

マミ「着弾の煙で何も見えないわ…」

杏子「おい、コラ!おまえが一番挑発に乗ってどうするんだよ!」

ほむら「…まだよ」

杏子「まだよ…、じゃねぇぇぇぇぇぇ!人の話を聞けー!!」

マミ「煙が晴れていくわ…」

杏子「…!」

マミ「あれは…、QB?!」

杏子「あいつら、QBを盾にしやがったのか?あいつはあたしたちの盾だってのに…」

ほむら「いいえ。QBは、わたしがついでに投げ込んだの」

杏子「なるほど」

マミ「それならいいわ」

QB「…ゴフッ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:04:49.75 ID:+xvuAOaw0
マミ「あれ?鹿目さん…?鹿目さんがいないわ?!彼らもいない!」

ほむら「なんですって?杏子!まどかは?まどかはどうしたの?」

杏子「うぇ?あ、あれ?ほんとだ、ほんとにいない…?」

ほむら「タラオとイクラもいなくなった…。まさか…、やつらに連れ去られた?」

QB「モシャモシャモシャ…、キュップイッ。そうだね、彼らと一緒に消えたみたいだね」

ほむら「なんてことに…。杏子、あなたを信用して守りをまかせたのに!」

杏子「ちょっと待て。たしかにあたしも悪かったけど。どう考えても、連れ去るすきを与えたのはあんたの攻撃だろ…」

マミ「…」

ほむら「…くっ」

マミ「とにかく探しましょう。彼らの気配を追っていけば、まだ追いつけるわ」

QB「ちょ、ちょっと待ってよ。まだ食べ終わってn」メキョッ

杏子「うるさい!さっさと来い!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:41:22.04 ID:+xvuAOaw0
【結界内部 中心部から南へ100m】

まどか「…ん、ここ…は?」

タラオ「はーい!タラちゃんでーす!」

イクラ「ハァーイ」

まどか「???」

タラオ「ようやくまどかちゃんを手にいれたでーす」

イクラ「ハァーイ」

まどか「手に、いれた、って…。みんなは?ほむらちゃんたちはどこ?」

タラオ「まどかちゃんは、もうボクのものでーす」

タラオ「もう、まどかちゃんがあのバカたちに会うことはないのでーす」

まどか「え?」

タラオ「まどかちゃんも、少し頭が悪いみたいでーす」

タラオ「ボクの目的は最初からまどかちゃん一人だけだったということでーす」

まどか「え?え?」

タラオ「それなのに、こんな物のためにノコノコやってくるなんて、バカの極みでーす」

まどか「さやかちゃん!!」

まどか「ねぇ、お願い…。それを返して…。お願い…」

タラオ「返す必要なんてないでーす」

タラオ「今からこの結界を閉じちゃうでーす」

タラオ「そしたら、あの連中は、永遠にこの結界から出られないでーす」

まどか「そんな…、ひどい。ひどいよ」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:42:12.26 ID:+xvuAOaw0
まどか「お願い。何でもあなたの言うことを聞くから。私はどうなってもいいから。さやかちゃんと、ほむらちゃんたちを助けてあげて。お願い…」

タラオ「もう手遅れでーす」

タラオ「このスイッチを押せば、結界は閉じちゃうでーす」

まどか「やめて…。やめて、お願い」

タラオ「うるさいでーす」カチッ

まどか「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

タラオ「…」

タラオ「……」カチッカチッカチッ

タラオ「あ、あれ?おかしいでーす。結界が閉じません…」

タラオ「こんなときに壊れるスイッチなんて、カツオ兄ちゃんは、やっぱり役にたたないです…」

タラオ「これが済んだら用無しなので、始末しちゃいまーす」

カツオ「そこまでだっ!!」

タラオ「???」

カツオ「その娘をはなせっ!」

タラオ「カツオ兄ちゃん。何を言っているのでーす?」

タラオ「引きこもり魔法使いふぜいが、いつのまにやら生意気な口をきくようになったものでーす」

タラオ「どうせこのあと始末する予定だったので、今この場で身の程を教えてやるでーす」

カツオ「う、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」ドカカッ

タラオ「うわー!」

カツオ「はぁ、はぁ、はぁ…」

タラオ「カツオ兄ちゃんが、ボクをはじきとばした…???」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:43:19.07 ID:+xvuAOaw0
カツオ「怪我はないかい?まどかちゃん…、だっけ?」

まどか「は、はい…。あの、あなたは…」

ほむら「まどか!」

まどか「ほむらちゃん!みんなも…!」

杏子「やれやれ、やっと追いついたよ」

マミ「少し疲れたわ。胸が大きいと走りにくくて」

杏子「あぁ?」

マミ「いやだ、冗談よ」

まどか「みんな、どうやってここが…」

マミ「そのおじいちゃんが道案内をしてくれたのよ」

カツオ「…」

タラオ「ちょっと何を言っているのかわからないでーす」

タラオ「カツオ兄ちゃんがボクを裏切ったのですか?」

カツオ「裏切ってなんかいないよ。最初から協力なんてしていない」

タラオ「きゃはははは!何をいまさら!」

タラオ「自分だけは助かろうという作戦ですかー?」

タラオ「カメラや盗聴器を仕掛けたのは誰ですかー?この結界を閉じるスイッチを作ったのは?」

タラオ「まぁ。このスイッチは故障してしまって、使い物にならなかったですけどねー」カチッカチッ

カツオ「スイッチは故障していないし、カメラや盗聴器は、予定どおり動作した」

タラオ「…?」

カツオ「僕の思ったとおりに、ね」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:44:17.20 ID:+xvuAOaw0
カツオ「タラちゃん、そのスイッチ、何回押した?」

タラオ「…???こんな不良品、何回押したかなんて覚えてないでーす」カチッカチッ

カツオ「僕は数えていたよ。今ので8回だ」

タラオ「それがどうしたでーす」

カツオ「おかしいと思わないのかい?引きこもりの僕がタラちゃんをはじきとばしたんだよ?」

タラオ「???」

カツオ「そのスイッチは正常に動作した。実験なんてできなかったから不安だったけれど、期待したとおりの効果が現れた」

カツオ「そのスイッチはね、僕が開発した対覚醒者兵器なんだよ。何十年もかけてやっと完成した」

タラオ「な…」

カツオ「もう効果に気づいてもおかしくないほどに押しているはずだけど」

タラオ「あ…、か、身体のちからが…」

カツオ「そのスイッチは、覚醒者の魔翌力を削り取る」

カツオ「一度押せば魔翌力の半分。もう一度押せばそのまた半分。今のタラちゃんには、1%も魔翌力は残されていない。ただの人間以下だ。いや、ウジ虫以下と言ってもいいかな」

タラオ「あ…、あ…」

カツオ「そのスイッチの効果範囲はすごく狭いんだ。だから、タラちゃんに直接持たせてスイッチを押させる必要があった」

カツオ「もう理解できたかな?タラちゃんは頭がいいんだよね?」

カツオ「そう。監視カメラも。盗聴器も。全て、この結末に導くために、僕が僕の意思で用意した」

カツオ「もう一度言うよ?僕は、タラちゃんには、最初から協力なんてしていなかった」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:46:03.03 ID:+xvuAOaw0
カツオ「さて、…暁美ほむらさん。協力してくれてありがとう」

杏子/マミ「???」

ほむら「いいえ。たいしたことしてないわ」

杏子「どういうことだ?」

ほむら「わたしだって驚いたわ。町中で周囲に人がいなくなったと思ったら、いきなり変な老人に声をかけられたから」

ほむら「昨日のできごとよ」

カツオ「僕の話を聞いてくれてほんとうに良かった。人がいなくなったのは、トヘロスという魔法の効果だよ。魔翌力を持つ者には効果が無いから、誰にも知られずに君と接触するには最適な魔法なのさ」

ほむら「私たち以外知らないはずのことをポンポン話されたから。罠かもしれないと警戒はしていたけれど、少なくとも部外者ではない確証はあったわ」

マミ「じゃぁ、あのときガトリングガンを撃ちまくったのも…」

ほむら「そうよ。煙幕を張ることが目的だった。とっさの思いつきで、ついでにQBも蜂の巣にしてやったわ」

QB「…」

杏子「お、おいおい…」

ほむら「カツオさん。その腰に取り付けた爆弾、外してあげるわ」

カツオ「あぁ」

杏子「爆弾?」

ほむら「当然の対処よ。警戒はしていたと言ったはず。だから裏切ったらすぐに爆発させるつもりだったわ。それに、カツオさんも賛成してくれたし」

杏子「お、おそろしいやつ…」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:47:18.19 ID:+xvuAOaw0
マミ「と、ところで、このあとどうするの?」

カツオ「それは僕にまかせてほしい。タラちゃんは、これでも最後に残った僕の家族なんだ」

タラオ「ぐ、ぐぐぐ、こらー!何を勝手に話を進めてるのでーす?」

タラオ「まだこちらには切り札があるということを忘れていますねー?」

タラオ「こんな宝石!こんなもの!!道連れにしてやるでーす!!」

まどか「さやかちゃん!!」

杏子「くっ!」

マミ「!!」

イクラ「まったく…。無駄なことはやめてくれよ。タラちゃん…」

タラオ「イ、イクラちゃん…!どうして…ですか?」

マミ「あなたは…。さっき彼の隣にいた…」

杏子「でも、なんか雰囲気違うな。『ハァーイ』しかしゃべれないんじゃないのか?」

ほむら「彼も最初から私たちのみかただったのよ」

カツオ「ようやく完全に解放されたんだね、イクラちゃん。予想通りだ」

イクラ「うん。タラちゃんの『願い』からね。魔翌力がほとんど消えてくれたおかげさ」

マミ「願い…?」

イクラ「そう。タラちゃんもまた、かつては魔法少年となるべく契約のちぎりを交わしたことがあった」

イクラ「その願いによって、僕は今までタラちゃんにとらわれていたんだ」

イクラ「でも…、タラちゃん。君がやろうとしていることは、もう無駄なんだよ。終わりにしよう」

タラオ「な、何を…言って…」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:48:25.95 ID:+xvuAOaw0
イクラ「ほら、まどかちゃん。君が返してほしかったものはこれだろ?どうぞ手に取って」

まどか「あ…、さやかちゃんのソウルジェム…。あ、ありがとう…」

イクラ「さっきの煙幕にまぎれて、偽物とすりかえておいたんだよ」

イクラ「カツオ兄ちゃんの技術はやっぱりすごいね。僕ですら、どちらが本物かわからなくなるところだった」

カツオ「うん。タラちゃんをだますには、それなりの品質が必要だったからね」

マミ「ねぇ、彼の願いって…。何だったの?」

イクラ「あぁ、彼の願いはね、イクラ、つまり僕と一生友達でいること、だったんだよ」

イクラ「タラちゃんは僕のことをとても大事にしてくれた。僕もそれが嬉しかった」

イクラ「…僕のこの姿を見てよ。まるで幼稚園児だろ?」

イクラ「そう。僕も覚醒者なのさ。タラちゃんよりもはやく覚醒してしまった。たぶん、最初のケースだったんじゃないかな。…当時は覚醒者なんて言葉も、…なかった」

イクラ「それで…。それで…」

カツオ「そこからは僕が説明するよ」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:50:09.91 ID:+xvuAOaw0
カツオ「イクラちゃんは見てのとおり、覚醒者になってしまった」

カツオ「当然、他の魔法少女や魔法少年から狙われる対象になってしまったわけだ」

カツオ「そこでタラちゃんは、ある決断をしたのさ。親友であるイクラちゃんを助けるために、イクラちゃんと一生友達でいられることを願った」

カツオ「そう、その願いの力によって、魔法少年になった」

カツオ「タラちゃんは、イクラちゃんと戦った。他の誰にも手出しをさせずにね」

カツオ「そして、タラちゃんはイクラちゃんを倒したんだ」

カツオ「たった一人の、それもルーキーの魔法少年が覚醒者を倒すなんて、信じられなかった。『願い』の力は本当にすごいね」

カツオ「タラちゃんはイクラちゃんを倒した。でも殺さなかった。イクラちゃんは力を封じられたものの、死ぬことからは免れた。つまり、願いどおりに一生イクラちゃんの側に友達としていられるようになった」

カツオ「でも、それだけでは終わらなかった…」

カツオ「願いの成就のために、強制的にあり得ないほどの魔翌力を放出したタラちゃんは…、覚醒してしまったんだ」

カツオ「その後の歴史はみんなも知っているとおりさ。他の覚醒者がやられていくなか、タラちゃんはイクラちゃんをつれて、誰にも知られることのない最果ての地に身を潜めた」

イクラ「この結界空間を見渡してごらんよ。蒸し暑くて、たくさんの木に囲まれて、耳を澄ませば遠くからセミの鳴く声が聞こえる」

イクラ「そう、夏休みのイメージだよ。タラちゃんはここで、僕とずーっとすごしてきたんだ」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:51:40.80 ID:+xvuAOaw0
カツオ「さて、もういいかな。ソウルジェムも返したし、イクラちゃんも自我を取り戻した。何か他にあるかい?」

マミ「なんて悲しい話なの…。あなたたちは、これからどうするの?」

QB「僕としては、君たちをこのまま再び野放しにはしたくないなぁ」

杏子「QB!てめぇ!」

イクラ「それなら心配はいらないよ。他にないならもう行かなきゃ」

カツオ「そうだね、イクラちゃん」

マミ「行くって、どこへ…」

イクラ「僕はかつてタラちゃんに命を救われた。今度は僕が恩返しをする番だ」

カツオ「今から結界を閉じる。タラちゃんと、イクラちゃんと、そして僕の3人を封じ込めてね」

イクラ「僕はこれから一生タラちゃんの側にいることにするよ」

カツオ「結界の中からは二度と出てこられない。それならQBだって安心だろ?僕らを倒したこととほぼ同義の結果になるんだから」

QB「そうだね。でも、どうやってこの結界を閉じるんだい?」

マミ「そうよ。結界を閉じるスイッチは全く別のものだったわ」

カツオ「いや、そのスイッチはあるんだ」

カツオ「僕はタラちゃんの命令でスイッチを作っていたからね。いくら僕でも、タラちゃんを簡単にだますことはできなかった」

カツオ「だから、実際に本物も作っていたのさ。それはタラちゃんの手の中にある、ソウルジェムの偽物さ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:52:22.92 ID:+xvuAOaw0
イクラ「さぁ、ほんとにもう行かなきゃならないから、皆さんは結界の外に出てください」

イクラ「タラちゃんは…、魔翌力を失いすぎて気絶したみたいだね」

カツオ「ほむらさん、ほんとうにありがとう。まどかちゃん、めんどうなことに巻き込んでしまって申し訳なかった」

まどか「そんな…わたし…えとー」

イクラ「さやかちゃんにも謝らないといけないんだが、直接は無理みたいだね。まどかちゃんから伝えておいてよ」

カツオ「そして、杏子さん、マミさんも。本当に申し訳ありませんでした」

マミ「…」

杏子「いや、まぁ、その、なんだ。別にもういいよ」

カツオ/イクラ「それじゃ、さよなら」

まどか「さ、さようなら…」

マミ「えぇ。気をつけて、って言うのも変なのかしら?」

杏子「…」

ほむら「さぁ、私たちも行きましょう」

QB「そうだね」

ほむら「あら、あなたは残ってもよかったのに…」

マミ「そうね。いっそのこと、閉鎖空間とこの世の境目にはさんでみるとか…」

QB「…」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:53:15.56 ID:+xvuAOaw0
【決戦終了数日後 巴マミ 自宅】

マミ「ほら、紅茶がはいったわ。美樹さん、コップをかして」

さやか「身体がだーるーいー」

マミ「無理もないわ。何日も身体から離れていたんだから」

ほむら(ズズッ…、この紅茶、おいしい…)

まどか「でも、杏子ちゃんが毎日寝返りをうたせてあげてたんだよ?」

杏子「ちょ、まどか!よけいなことは言わなくていいよ」

さやか「杏子…あんた…」

杏子「な、なんだよ…」

さやか「杏子、肩もんでー!あと腰もー!」

杏子「うるさい!そんなの面倒見切れるか!自分でやれ!自分で」

さやか「自分で自分の肩をどうやってもむんだよー。ぶぅー」

まどか「まぁまぁ、私がもんであげるから。ね?」

さやか「あーん!まどかやさしいー!」

杏子「なに?まるであたしがやさしくないみたいな言い方だな?おい」

さやか「ごめんごめん。感謝してるって。ありがとう!ケーキもおいしー」

杏子「ふん」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/11(金) 15:53:53.41 ID:+xvuAOaw0
さやか「ところでQBはどうしたの?」

ほむら「QBは、閉じていく結界空間と現世の狭間にはさんでみたのだけれど…」

マミ「空間のゆがみに押しつぶされて破裂しちゃったわ。またすぐに復活するでしょうね」

杏子「はさみこんで閉じ込める作戦は失敗したわけだ…」

さやか「あ、あらー。そりゃ『残念』」

杏子(ぴくっ)

さやか「ん?杏子、今わたしのこと殴ろうとしてなかった?」

杏子「あ、あぁ、条件反射、かな…」

まどか「ティヒヒヒ。杏子ちゃんてば…」




ほむら(結局、深淵の者がまどかを狙っていた理由まではわからなかった…)

ほむら(なぜ、まどかを…。なぜ、まどかばっかりが…狙われる…)

ほむら(QBがまどかを魔法少女にしたがっている理由…)

ほむら(何か関係があるのかもしれない…)

ほむら(ん…、この紅茶、ほんとにおいしいわ)



【完】
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/11(金) 17:27:38.66 ID:AF4qdSDIO
乙っす
面白かったよ
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/11(金) 19:36:17.71 ID:tOBa4zQn0
>>60

ありがとうございます。m(__)m
初めて書いたSSなので、面白かったと言ってもらえて、とても嬉しいです。

※文中、なぜか、意図しない場所に「翌」の字が混入してしまいました。読みづらくて申し訳ありません。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/11(金) 19:38:57.70 ID:tOBa4zQn0
あ、IDが変わってしまった…。
トリつけておくべきでした…。orz
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/12(土) 00:55:33.66 ID:3UMHDqvP0
乙!
あと>>59の最後の行の漢字が読めない
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道)[saga sage]:2011/11/12(土) 08:50:30.33 ID:LFyO2jVF0
あれ、もう終わっちゃったのか、残念。
あと魔力とかはE-mail欄に[saga]と入力するとちゃんと表示されるようになりますよ。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[saga sage]:2011/11/12(土) 11:44:17.15 ID:uHi8itU70
投稿者です。

>>63
ご不便おかけして申し訳ないです。
私の環境ではきちんと表示されているので、よくわからないです。
やはり、古いMacintoshからだと、ブラウザのバージョンなどでいろいろ不具合があるのでしょうか…。

>>64
投稿のチップスを教えてくれてありがとうございます。
次回はもう少し長編に挑戦してみたいと思います。

魔力
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方)[sage]:2011/11/12(土) 14:08:58.40 ID:SSqOICnCo
>>65
>>63は終わりだなんて言わないでもっと続きが見たいってことだよ
67 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/12(土) 15:50:58.50 ID:uHi8itU70
投稿者です

>>66
そ、そうなんですか…。恐縮です。
今、続編を書き始めたので、少しずつアップさせていただきます。
もうしばらく拙作におつきあいください。
よろしくお願いします。m(__)m

※ついでにトリテスト
68 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 15:52:22.76 ID:uHi8itU70
〜第二章〜

【事件終結から一ヶ月後 都内某所】

さやか「とりゃー!」バシュッ

マミ「今よ!佐倉さん!」

杏子「こんのー、これでもくらえー!」ザクザクザクザクッ

ミギャアァァァァァァァァァッ…

さやか「よし!」

QB「…終わったみたいだね」

マミ「…QB、あなたはお呼びじゃないわよ?あなたが回収できるグリーフシードはまだないわ」

マミ「必要なときには呼ぶから、なるべく私たちの前に現れないでちょうだい」

QB「しょうがないなぁ、ほんとに嫌われたものだね。もう、いいかげん機嫌をなおしてくれてもいいと思うけど」

QB「このあいだ破裂させられてから復活するのたいへんだったんだよ?なんせ、身体の半分は閉鎖空間に持って行かれちゃって、回収不能になってしまったんだから」

杏子「へぇー、じゃぁ、おまえを封じ込めるまで、あと一歩だったってことか」

QB「…」

さやか「私はあの時の記憶が無いから、なんとも言えないけど…。まぁ、控えめに見ても、QB、私もあんたのこと好きにはなれないよ?」

QB「ところで、今日は暁美ほむらはいないのかい?」

杏子「勝手に話題を変えてんじゃねーよ」

マミ「えぇ。最近あまりみかけないわね」

さやか「まどかはたまに一緒にデートしてるみたいだけど…」

杏子「デート?」

さやか「うん。あの事件以来、転校生はまどかにべったりだよ。恭介も仁美とべったりで、あたしゃ毎日寂しいかぎりさ…。およよよよ…」

杏子「…ちっ」(あたしが毎日遊んであげてるじゃねぇか)
69 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 15:53:17.10 ID:uHi8itU70
マミ「QB、暁美さんに何か用でもあるのかしら?それなら自宅にでも行けばいいじゃない」

マミ「何度も言うけど、私に用がないならその顔を見せないで」

QB「それが、自宅に行ってもいつもいないんだ」

さやか「そうなの?」

杏子「あいつこそ回収しなきゃならないグリーフシード貯め込んでるんじゃないのか?」

QB「いや、魔女退治もあまりしていないみたいだから、その心配はないんだけどね…」

さやか「じゃぁ、まどかから転校生に伝えるように頼んでおくよ。QBが探してるって」

マミ「そんな伝言で彼女がQBに会いに行くとも思えないけどね」

QB「…まぁいいさ。グリーフシードはまた改めて回収にくるよ。じゃぁ」

さやか「…行っちゃった」

マミ「さっ、魔女退治も終わったし帰りましょう。新しい紅茶を用意してあるから、私の部屋に遊びにきてちょうだい」

杏子「ケーキはあるのかい?」

マミ「もちろんよ」

さやか「やったー!さすがマミさん」
70 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 15:54:09.37 ID:uHi8itU70
【同時刻 喫茶店】

まどか「…っふぅ。おなかいっぱい。おいしかったね、ほむらちゃん」

ほむら「えぇ、そうね。まどか」

まどか「…」

ほむら「…?」

ほむら「…どうかしたの?まどか」

まどか「…うん。あの事件のこと、思い出しちゃって」

ほむら「事件は終わったわ。何も気にすることはないはずよ。それとも、何か心配?」

ほむら「少しのあいだとは言え、まどかが相手にさらわれてしまう状況を作ってしまったことは反省しているわ。ごめんなさい」

まどか「…ううん、違うの」

ほむら「それじゃ、何?」

まどか「QBが言ってた、覚醒って…。男の子だけにしか起こらないのかなって…」

ほむら(…!!)

まどか「ほむらちゃんたちだって…、覚醒…する危険が…」

ほむら「それこそ余計な心配よ…。QBだって、『覚醒は』男性に限った話だと言っていたわ」

まどか「…うん。それならいいんだけど…」

ほむら「さぁ、今日はもう帰りましょう。夕方から雨が降る予報らしいわよ。傘を持っていないから、はやく帰らないと」

まどか「うん、そうだね。今日も楽しかった。ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら(まどかとの何気ない毎日…。絶対に失いたくない)
71 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 16:00:06.45 ID:uHi8itU70
【同日夜 暁美ほむら 自宅】

ほむら「…」カチャッ… カチッ… キリキリキリ…

ほむら「ふぅ…」(これくらいで良いかしらね)

ほむら「…っ!!…QB」

QB「やっとふたりきりになれたね、暁美ほむら」

ほむら「気持ち悪い言い方しないで。…今日は何の用なの?」

QB「今日は爆弾を作っていたんだね。見たことない形をしているね。新型かい?」

ほむら「用件は何か、と聞いているの」

QB「やれやれ、しかたないなぁ。じゃぁ、単刀直入に言うよ」

QB「また『覚醒者』が現れた」

ほむら「なんですって?」

QB「いや、正確に言うと、『覚醒者らしき者』が現れたらしい」

ほむら「どういうこと?ずいぶん曖昧でまわりくどい言い方ね」

QB「正直、僕にもよくわからないんだ。ただ、魔女とは違う、覚醒者に酷似した魔力の発生を感知した、というわけさ」

QB「だから、君たちにも注意してほしいから、こうして話をしにきた」

ほむら「…なぜ、私にだけ?」

QB「あの事件でわかったことがいくつかある」

QB「まず、覚醒者の魔力の気配を最も敏感に感じることができるのは、君だ」
72 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 16:01:11.79 ID:uHi8itU70
QB「実際のところ、君だって変な気配をわずかながら感じていたはずだよ。この数日間ね」

QB「だから新型の爆弾を用意していたんだろ?」

ほむら「…」

QB「一方、マミや杏子、さやかは、覚醒者の側から積極的なアプローチがないと、なかなか感知できない」

QB「覚醒者の魔力と魔法少女の魔力との間には、何かしら相性のような物があるんだろうね」

QB「そして、わからなかったこともある。これは君の方が気にかけていたんじゃないかな?」

QB「覚醒者は、『なぜ、まどかを狙ったのか』この理由がわからない」

ほむら「…!」

QB「と、いうわけで、まず君に知らせておくべきだと判断した」

QB「僕はまた、いろいろ調べなければならない。めんどうなことだよ」

QB「だから、前回同様、まどかのことをよろしく頼むよ」

QB「今回の覚醒者、いや覚醒者らしき者の狙いがまどかであると決まったわけじゃない。でも、前回のことを考えると、狙われる危険性が高いのも事実」

ほむら「そんなことわかっているわ」

QB「だよね。確認程度の話で済むと思っていたよ」

ほむら「マミたちには…、どうするの?」

QB「判断が難しいところだね。とりあえず、今すぐ伝えなければならないってことはないだろう」

ほむら「…そうね」

QB「じゃぁ、あとのことよろしく」

ほむら(…まどか。またあなたを危険な目にあわせてしまうのかしら)

ほむら(いえ、そんなこと、ぜったいにさせない。私が…)
73 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 16:19:11.98 ID:uHi8itU70
【数週間前 都内某所 アパートの一室】

(あー…、なんて気持ちいいんだろう………)

(こんな気持ち、今まで知らなかった…)

(やっと…、やっと追いついたよ…)

(ようやく…、手に入れた…)

(あとは…、残ったパズルのピースを埋めるのは…)

(ウフフフ…)
74 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 16:34:36.31 ID:uHi8itU70
【QBが姿を消して翌々日 地下駐車場】

マミ「今日の魔女はたいした敵じゃなさそうね」

杏子「そーだな。さやかは呼ばなくて良いだろ」

マミ「そうね。今日はコンサートに行くって、言ってたし」

杏子「あの男のか?」

マミ「そうらしいわ。鹿目さんも一緒に行くって」

杏子「ふーん」

マミ「…来たわよ!」

杏子「ま、どうでも良いや。やるぞ!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マミ「…はぁ、…はぁ、…はぁ」

杏子「…くっ!…おい!マミ!大丈夫か?返事しろ!」

マミ「え、えぇ…。なんとか…。いつっ」

杏子「うわ、それ骨折れてるぞ…」

マミ「平気よ…。これくらい…」

杏子「無理すんな。ちょっとやばいぞ。すきを見て一旦退却しよう」

マミ「そ、そうね…。今、弾幕張るから…、っく。そのすきに…」

ほむら「助けに来たわよ」

杏子「…!」

マミ「暁美…さん」

ほむら「私につかまって」

杏子「お、おう…」

マミ「…」

ほむら「この手を離さないで」

ほむら「今から時間の流れを止めるわ。この手を離してしまったら、あなたたちの時間まで止まってしまうから、しっかりつかまってちょうだい」

杏子「わかった」

ほむら「行くわよ…!」
75 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 17:02:42.13 ID:uHi8itU70
【駐車場の戦いの翌日 夕刻 巴マミ 自宅】

ガチャツ… チャッ

マミ「…鹿目さん。来てくれたのね」

まどか「マミさん…。マミさんが大怪我したって、杏子ちゃんが」

マミ「えぇ。でも心配しないで。ちょっと腕の骨が折れてるだけだから。すぐに治るわ。魔法少女は怪我の治りも普通の人と比べて速いのよ」

さやか「マミさん、これお見舞いです。ケーキ買ってきました。食べられます?」

マミ「美樹さん、ありがとう。えぇ、いただくわ。紅茶を用意しなくちゃね」

まどか「あ、私いれます」

マミ「ありがとう、鹿目さん。じゃぁ、お願いするわ」

マミ「そこの棚の中にいろいろあるから、好きな紅茶を選んでね」

まどか「はい!」

さやか「あたしはケーキの用意を、と…」

さやか「あ、ところでマミさん。杏子はいないんですか?ここにいると思ってたけど」

マミ「佐倉さんは、私のためにお買い物に行ってくれているわ」

マミ「出かけてからもう1時間くらいたっているから、鹿目さんが紅茶を入れ終わった頃には帰ってくるはずよ」

さやか「それは良かった。杏子のぶんのケーキもあるから」

さやか「まどかー、杏子のぶんの紅茶も忘れないでねー」

まどか「うん、わかったー」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マミ「…ん、おいしいわ。鹿目さん、紅茶いれるの上手ね」

まどか「そうですか…。ティヒヒヒ」

さやか「さ、ケーキも出して、っと」
76 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 17:20:15.06 ID:uHi8itU70
ガチャツ… チャッ

杏子「ただーいまー」

まどか「あ、杏子ちゃんだ」

マミ「おかえりなさい」

杏子「お、ふたりとも来てたのか」

さやか「杏子、ケーキあるよ」

杏子「おー、ありがたいね」

まどか「いれたての紅茶も、ね」

杏子「じゃ、さっそく」

さやか「それにしても、マミさんがこんな大怪我するなんて…」

杏子「あぁ、かなり苦戦した」

マミ「油断していたのよ」

杏子「油断…、たしかに油断してた。あのとき、魔女の力をなめてた」

杏子「でも、油断だけじゃ説明できないくらいにやられたよ…」

マミ「…結局、こちらから逃げ出してしまったわ。それも自力では逃げられずに、暁美さんに助けてもらって、ようやく…」

杏子「あいつが来なかったら、本気でやばかったな…」

さやか「どんな魔女だったの?杏子」

杏子「んー、とにかく、こっちの攻撃が全然意味がないみたいだった」

さやか「意味が…ない?」

マミ「攻撃は当たっていたのよ。むしろ、並の魔女相手よりも当てやすかったくらい…」

杏子「で、攻撃が当たって苦しんでいる様子なんだけど…、それでもかまわず突っ込んでくる」

マミ「普通、攻撃を当てたら少しはひるむでしょ?」

杏子「その『すき』、っていうか『一瞬の間』が全くないんだ。あたしの槍で土手っ腹に風穴開けても、そのままカウンターを合わせてきやがった」
77 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 17:41:50.52 ID:uHi8itU70
ガチャツ… チャッ

まどか「あ、ほむらちゃんかな?」

さやか「残念!さy」ゴキャッ

さやか「…ぉぉぅ」(久しぶりに効いたー…。しかも、反応速度まで速く…)

杏子(ったく…)

ほむら「待たせたかしら」

マミ「いいえ、退屈はしていなかったわ」

ほむら「…まどか、美樹さやかも来ているのね。丁度いいわ」

マミ「まず、このあいだの御礼を言うわ。助けに来てくれてありがとう」

ほむら「気にする必要はないわ。あなたたちに死なれては困る。それだけよ」

まどか「死ぬ…って、ほむらちゃん…」

ほむら「…」

マミ「鹿目さん…。暁美さんの言っていることはおおげさではないわ。実際死ぬところだったのよ…」

杏子「あぁ、悔しいけど、マミの言うとおりだ」

杏子「しかし、なんだったんだ。あの魔女は。魔力はたいして強くなかったじゃないか」

マミ「そうねぇ…。あれで油断するなって言うほうが無理があるくらいに、ね」

さやか「そうだったんですか?」

マミ「えぇ。使い魔の数も少なかったし、結界も弱かったわ」

杏子「そうだよ。おかげで戦いの余波が現世に漏れちゃったくらいだ」

杏子「…停めてあった車、4〜5台は廃車だな」

マミ「ちなみに、車に被害を出したのは全部佐倉さんの攻撃よ」

杏子「う、う、うるさいな!しょうがねーだろー?あたしの槍はあの狭さで使うには長過ぎんだよ!」
78 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 18:05:47.07 ID:uHi8itU70
まどか「ま、まぁまぁ…。えと、ほ、ほむらちゃん。ほむらちゃんのケーキもあるよ?ほら」

さやか「そ、そうだ。紅茶のコップもださなきゃな…よいしょっと」

まどか「マミさんのお見舞いに買って来たんだよ?ほむらちゃんも食べて」

ほむら「いただくわ」

ほむら「マミ、あたしからもお見舞いをあげるわ。はい、これ」

マミ「これは…」

杏子「グリーフシードじゃないか…。あの魔女のか?」

ほむら「おそらく…、そうだと思うわ」

杏子「おそらく…って…。あいつを倒したから…、ここにグリーフシードがあるんじゃないのか?」

ほむら「違うわ。私はあの駐車場へ残った気配を調べに行っただけ。そうしたら、これが駐車場の壁に刺さっていた…」

ほむら「状況から考えて、あの魔女のものと考えるのが最も妥当だというだけよ」

杏子「まさか…、さやかおまえが…?」

さやか「いやいやいや、そんなわけないでしょ。だいたい、どこの駐車場だか知らないし」

マミ「どういうことなの?暁美さんは何か知っているの?」

ほむら「…」

杏子「なんだよ…。いっつも何か隠し事してるみたいな顔しちゃってさー。何か知ってるなら教えてくれって、いつも言ってるだろ?」

まどか「…ほむらちゃん」

さやか「マミさんも怪我して、もうただ事じゃないのはわかってるんだから。話してよ」
79 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 18:36:49.52 ID:uHi8itU70
ほむら「…そのつもりでここに来たのよ」

ほむら「でも、前回以上にわからないことだらけ。私の知っていることが今回の魔女と関係があるのか…。それとも、また全く別々のことが同時に起こっているのか。それすらもわからない…」

ほむら「それを理解したうえで聞いてちょうだい」

マミ「…えぇ。わかったわ」

杏子/さやか「…」

まどか「…ほむらちゃん…」

ほむら「3日ほど前、QBが私のところに来たわ」

さやか(…!やば!伝言するの忘れてた!)

ほむら「そして、こう言った。『覚醒者らしき者が現れたらしい』と」

マミ「!!」

杏子「覚醒者だって?」

まどか「覚醒者って…」

ほむら「QBから話を聞いて私も納得した部分もあったわ。実際のところ、私もおかしな気配を感じていたから」

杏子「あたしは何にも感じなかったぞ?」

さやか「…あたしも」

マミ「暁美さんだけが気づいていた…。もしかして、以前の覚醒者のときもそうだったのかしら?」

ほむら「察しがいいわね。そのとおりよ。QBが言うには、覚醒者の気配との相性みたいなものがあるらしいわ」

杏子「じゃぁ、あのときあの廃工場からただよってきた気配も…」

ほむら「そうよ。今になって思えば、あれも私たちを誘い込むために、あえて気配をまき散らしていたと考えられるわ」

杏子「なんだよ…。敵を前にして奇襲作戦とか言ってたあたしは、まるでバカじゃないか…」
80 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 19:09:26.44 ID:uHi8itU70
ほむら「佐倉杏子、そう悲観するほどのことでもないわ。覚醒者はその強大な魔力のために、完全に気配を消すこともできないみたい」

マミ「なぜそう考えるの?」

ほむら「QBと私が気配に気づいたのは、もう数週間も前のことだったわ。そのときはまだ気配だけで、むこうの動きは何もなかったわ。過去の事故や事件も調べたから間違いない」

ほむら「相手にしてみれば、動き出す前から私たちに気づかれるのは、少なくとも有利な条件ではないはずよ」

マミ「そうね。そのとおりだわ」

ほむら「それと、もうひとつ、この気配から気づいた事があるのよ」

ほむら「『タラオ』の気配は遠くから近づいてくるように、徐々に強く感じられるようになっていた。しかし、今回の気配は、突然発生したように感じはじめたの」

ほむら「この違いに気づいたのはほんの最近のことだから、このことはまだQBにも言っていないわ」

杏子「そういやQBは?」

ほむら「何か調べてくると言って、どこかへ行ってしまったわ」

マミ「そんなことどうでもいいわ。それより、気配が突然発生したって言ったわね?」

ほむら「えぇ」

マミ「その覚醒者らしき者は瞬間移動でもできるってことなのかしら?」

ほむら「その可能性はあるわね」

マミ「…でも、もっと悪い可能性もあるのよね?」

ほむら「そうよ。瞬間移動で現れたのではなく、…新しく生まれた可能性よ」

杏子「え?でも、魔法少年がいないのに、覚醒者が新しく生まれるわけないじゃないか」

ほむら「…めずらしく冴えてるじゃない」

杏子「んだとー!」
81 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 19:39:49.18 ID:uHi8itU70
さやか「ま、まぁまぁ、おさえて、おさえて」(あたしもそう思ったなんて言えないな、こりゃ…)

ほむら「これが覚醒者の気配だったら、杏子、あなたの考えは正しいわ」

マミ「そう。さっきから暁美さんは『覚醒者』ではなく『覚醒者らしき者』と言っているわ」

ほむら「QBがそう表現していたのよ。そして私も同じように考えている」

マミ「なぜそんな遠回しな表現を使うのかしら?」

ほむら「この気配、以前に『タラオ』から感じた気配とわずかながら違っているのよ。感覚の問題だから、具体的にどう違うかはなかなか表現しずらいけれど。より不気味な静けさが増している、といったところね」

ほむら「私たちは覚醒者なんて『タラオ』しか知らない。『イクラ』は願いの成就によってすでに魔力は失っていたし」

ほむら「だから、この違いが『覚醒者』の個体差によるものなのか、そうでは無く全く別のものなのか、その判断はできないわ」

マミ「つまり…、覚醒者と同じような、全く新しい存在が現れた可能性もある…と」

杏子「なるほど…」

さやか「ちょ、ちょっと、いいかな?あの…、覚醒者らしき者が現れたのはわかったんだけど…。あまり話が進んでいないような…」

ほむら「そうね。でも、これ以上進められないわ」

さやか「え?」

ほむら「最初に言ったはずよ?わからないことだらけだって。今わかっているのは、『覚醒者らしき者』が現れたということだけ。私が知っているのはそれだけなの」

杏子「ここまで話してそれだけかよ…」

マミ「敵になるかどうかもわからない…のね?」

ほむら「そうよ。でも、敵として考えていたほうが安全だわ」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/12(土) 19:44:59.16 ID:6lZHDtvAO
乙でした。面白かったです。
83 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 20:04:21.30 ID:uHi8itU70
マミ「いずれにしても、QBが何かの情報を持って帰ってくることに期待するしかないのね…。いやだわ」

杏子「で、現場検証の方はどうだったんだよ?」

さやか「現場検証?」

杏子「あたしらをボコッた魔女のことさ」

さやか「あー…」

ほむら「少しだけ、想像にすぎないけれど、私なりに考えたことがあるわ」

マミ「あの魔女、たしかに不自然な印象があったわ…」

杏子「そうだ。あんなのにボコられるなんて、ほんとに腹が立つよ。どう考えても苦戦するような相手じゃなかったはずだ」

ほむら「あなたたちの話も総合して、私の考えだけど…」

ほむら「…結論から言うと、その魔女は誰かに操られていた可能性がある」

ほむら「不自然に弱い結界。ダメージを受けているはずなのに、かまわずむかってきた」

マミ「…そして、…グリーフシードだけが残されていた現場…」

杏子「操っていたやつに消された…ってことか?!」

ほむら「そうよ。結界が弱かったのは、魔女を操っていた者は結界の外部にいたから、と考えられるわ。きっと、近くから操ったのでは、あなたたちに自分の存在を気づかれると考えたから」

マミ「操り人形であればダメージなんか関係無い…」

さやか「ダメージを受けた魔女は用済みになって、処分された…、と」

杏子「魔女だけど、同情できる話だな」

ほむら「今のところ、ここまでで話は終わりよ」

ほむら「いえ、最後にもうひとつだけ。杏子、これをあなたに渡しておくわ」

杏子「なんだこりゃ?ちらし?」

さやか「なになに?あたしにも見せて…って、これ杏子の似顔絵じゃない?うわ、似てねー」

ほむら「車を壊した犯人を探しているようね」

杏子「…!!!」
84 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 20:21:17.01 ID:uHi8itU70
>>82
ありがとうござます!
とても励みになります。m(__)m

※書きためが少なくなってきたので、少しだけ休憩します。
85 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 22:46:55.12 ID:uHi8itU70
【同日 深夜 都内某所 アパートの一室】

(ウフフフ…)

(ウフふハハハ…)

(アハはハハはハハハはハ!!)

(ジッ験は成功ダ…)

(おもしロい…、オもしロイよ…)

(オモシロイヨ…)

(ッキヤャハハハハァ!!!)

(ボクハ…、シッパイナド…、シナイヨ…)
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/12(土) 23:02:14.47 ID:2BrBzjb20
クレイモアwwwwww

途中までだけどすごくおもしろそうね。
カサンドラかわいそうだよカサンドラ
87 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 23:18:09.19 ID:uHi8itU70
【数日後 夕刻 とある建築現場】

杏子「…何もないな」

マミ「えぇ」

ほむら「…」

マミ「暁美さん、私たちにはわからないみたいだけど…、ほんとうにここであっているの?」

ほむら(たしかにさっきまで気配が…)

マミ「…暁美さん?」

ほむら「え、えぇ…。ごめんなさい…」

杏子「勘違いだったのか?これでもう3カ所目だぞ?」

ほむら「いえ、そういうわけではないの。たしかにこの場所から気配がただよってきていた…」

ほむら(それに、段々とその気配も強くなってきていた…)

ほむら(敵は何を…)

マミ「暁美さん、顔色が悪いわ。少し疲れているんじゃなくて?」

ほむら「…」

ズ…ズズズ…

杏子「…!ちょ、これ…は?」

マミ「…!何?」

ほむら「また気配…?今までより強い…。それに、ここからそう遠くない」

マミ「これは覚醒者の気配…?」

ほむら「…とにかくむかいましょう!」

杏子「お、おう…!」
88 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 23:23:05.31 ID:uHi8itU70
【建築現場から東へ500m 港】

マミ「これは…」

杏子「グリーフシード…?4個もあるぞ?」

ほむら「…気配はまた消えたわね」

マミ「どういうことなのかしら」

杏子「気配は完全には消せないんじゃないのか?」

ほむら「えぇ。でも、ここまで4カ所全て…。それぞれ複数の方向に気配の痕跡がただよっている」

ほむら「これでは追跡はできないわ」

杏子「…」

マミ「それなら…、と、とにかく、ここは一旦戻りましょう」

ほむら「そうね」
89 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/12(土) 23:39:42.35 ID:uHi8itU70
【同日夜 暁美ほむら 自宅】

杏子「ふぅー。何にもしてないのに、今日はなんだか疲れたな…」

マミ「そうね」

ほむら「…」

杏子「マミ、携帯なってんぞ?」

マミ「あら、美樹さんからメールだわ。今から合流するって。ここに呼んでしまってもいいかしら?」

ほむら「えぇ、そうしてちょうだい。…まどかは?」

マミ「美樹さんと一緒にいるみたいよ」

ほむら「そう…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さやか「やぁやぁやぁ、お待たせー」

まどか「…こ、こんばんは」

杏子「はやかったな」

マミ「どうぞ、こっちがあいているわよ」

ほむら「…紅茶」

マミ「え?」

ほむら「紅茶の用意があるわ。マミ、いれてくれないかしら?」

マミ「えぇ、いいわよ。じゃぁ、お台所かりるわね」

杏子「さて…。おい、QB、でてこいよ」

ほむら「…」

QB「気づかれていたか」

杏子「もう、さんざん驚かされているからな。なんとなくシチュエーションでわかるようになってきたよ」

マミ(これは…、以前私の部屋で飲んだ紅茶と同じ…。ふふふ。暁美さんったら)
90 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 00:06:25.24 ID:8hkT9CcF0
ほむら「…今回はまたずいぶんと時間がかかったみたいね」

QB「うん。そうなんだ。実は、敵に襲われてね」

杏子「…敵?」

QB「そうだよ。例の『覚醒者らしき者』にね。まったく酷い目にあったよ」

杏子「そりゃ良かったな」

QB「…」

さやか「で、相手の姿は見たの?QB」

QB「いや、残念ながら。後ろからいきなりだったから」

ほむら「…気配には気づかなかったの?そんなはずないわよね?」

QB「うん。気配には気づいた。だけど、その気配が360度、全ての方向からきたから、目測を誤ってしまってね」

QB「それでも攻撃の瞬間だけは、その気配は一点のみからになったことを感知できた」

QB「相手の動きはそんなに速くなかったから、ダメージも少なくて。まぁすぐに復活できたよ」

杏子「そいつは残念だ」

QB「…」

マミ「紅茶がはいったわよ。暁美さん、紅茶と一緒にあった、このクッキー。出してもいいかしら?」

ほむら「えぇ。そのために…買っておいたのよ」

マミ「ありがとう。はい、美樹さん、鹿目さん。佐倉さんのは、届かないからちょっとまわして」

まどか「はい。…んしょ、はい、杏子ちゃん」
91 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 00:31:51.80 ID:8hkT9CcF0
QB「さて、今日はそっちも、ずいぶん大変だったみたいだね」

杏子「まったくだよ…。さんざん振り回されて、結局なんにもわからねー」

マミ「グリーフシードを4個見つけたわ」

ほむら「今日、連続して4カ所から、例の気配がただよってきた。そのいずれの場所も、かけつけたときには気配はほとんど残されていなかったわ」

マミ「暁美さん以外は、最後の4カ所目からしか気配は感じなかったけれどね」

さやか「あたしが感じたのも、たぶん、その4カ所目、なんだろうね」

杏子「さやかも感じたのかい?」

さやか「うん。だから、マミさんにメールしたの」

マミ「4カ所からの気配と、4個のグリーフシード…」

ほむら「さっきは言わなかったけれど、それらの気配は、場所を移す毎にだんだんと強くなっていったわ」

マミ「あきらかに試されている…わね」

ほむら「そうとしか考えられない」

杏子「遊ばれているとしたら、もっと最悪だけどな」

QB「僕が襲われたときも、そんな感じだったよ。ものすごく観察されていた」

ほむら「…それでQB、そっちは何かわかったことはあるのかしら?」

QB「もちろん!」
92 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 00:41:22.50 ID:8hkT9CcF0
QB「まず、敵の正体について」

杏子「…!正体がわかったのか?」

QB「いいや、違う。可能性のひとつが消えたってことだよ」

マミ「覚醒者ではなかった、ということね?」

QB「マミは本当にするどいね。そのとおりさ」

マミ「さっきも『覚醒者らしき者』と言っていたから…」

QB「ただし、覚醒者とまるで関係無いわけでもなさそうな雰囲気なんだよ」

さやか「どういうこと?」

QB「順を追って説明するね」

QB「まず、今この世に生きている覚醒者について調べてみたんだ。数も極端に少ないから、すぐに調べはついたよ。誰も何も動いていなかった」

QB「精神的に成熟しているからか、もうかまわないで欲しいって。それどころか、問題事が起きると面倒だからと、こちらに協力しても良いようなことを言う覚醒者までいたよ」

QB「そして、ここからが問題。魔法使いについて調べたときに、おかしな事がわかってきたんだ」

マミ「おかしな事?」
93 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 00:56:52.66 ID:8hkT9CcF0
QB「魔法使いは覚醒者と違って人間と同じように成長もするし、老化もする。だから、こちらも人数は少なかった」

QB「ただ、ここ数週間で、その数が激減していたんだ。もう、ほとんど残っていなかったよ」

QB「その消えていった魔法使いの死因は、全て老衰だったんだけど…。引きこもっていただけに発見されるまで時間がかかっているケースも多くて、なんとも言えない感じだった」

QB「そんな中、ひとつだけ妙なケースがあった」

さやか「妙なケースって?」

QB「行方不明…だよ」

ほむら「それはまたずいぶん不自然ね」

杏子「なぜだい?まぁ、ひとつだけってのはひっかかるけど…」

QB「考えてもごらんよ。魔法使いは究極の引きこもりだよ?その引きこもりが行方不明?どこか外へ出かけたってことになるんだよ?」

QB「その部屋には争った形跡はなかったらしい。そのことから誘拐されたという可能性も否定できる」

マミ「じゃぁ、その魔法使いのことを調べれば良いんじゃないのかしら?」

QB「ところが、ここで捜査は行き詰まってしまったんだ」

QB「当然、その魔法使いのことにしぼって調べようとしたんだけど。名前も、年齢も、学歴も、何もかもわからないんだよ」

QB「役所のデータはもちろんのこと、病院や学校など、あらゆるデータが消されるか改竄されるかしていた。怪しいなんてもんじゃないよ」

ほむら「そいつが犯人、または覚醒者らしき者と何か繋がりがあると考えて間違いなさそうね」

QB「うん。そうだね」

さやか「情報って、これだけ?」

QB「いや、あとひとつだけある」
94 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/13(日) 01:14:10.90 ID:8hkT9CcF0
>>86
そうです。クレイモアです。w
突っ込んでくれる人がいて良かったです。ありがとうございます。

※書きためが少なくなったので、また休憩します。
※明日再開予定です。よろしくお願いします。m(__)m
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/13(日) 04:53:31.81 ID:WBGCA/7AO
この設定面白いなww
覚醒者を倒すために覚醒者になった奴の話とかも書いてほしいわwwwwww
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/13(日) 11:47:33.57 ID:gS4Qp4Qj0
クレイモアとドスペラードとサザエさんのコラボか?
カオス空間だな
97 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/13(日) 13:27:54.85 ID:5de8W4U80
>>95
ありがとうございます。
覚醒者の話ですね。タラオとイクラの話ですか。
なんとなく、ミリアをイメージしていました。
時間軸をさかのぼった外伝というのは面白いアイディアだと思います。
これが終わったら、挑戦してみます。m(__)m

>>96
申し訳ありません。ドスペラードを読んだことがないので、よくわかりません。
でも、今までいろいろなSSを読んだうえで、このSSを書いていますから、無意識にまざっているかもしれません…。
やはり、カオスすぎるのでしょうか?
いろいろと、少しずつまざっています。Bleachとかも…。
混ぜ過ぎはよくないのでしょうか?
初めてのSS挑戦なので、ダメなものはダメ、というご意見もとてもありがたいです。
真摯に受け止めて、次回があれば、そこに活かしたいと思います。m(__)m
98 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:30:06.51 ID:5de8W4U80
QB「その行方不明になった魔法使いの部屋に、失踪直前から頻繁に出入りしていた人物がいたんだ。近所の住人が言うには、若い男性だったらしいよ」

QB「調べてみると、その人物は、そのアパート周辺のコンビニなどのカメラに映像記録が残っていたんだ。と言うより、わざとカメラを意識しているようにも見てとれた」

QB「そのくせ、少し離れたところ、例えば駅や、高速道路などでは全く確認できなかった」

QB「そしてまた忽然と姿を隠しているんだ」

さやか「映像からそいつの素性とか調べられなかったの?」

QB「それが全く該当者なしなんだよ」

杏子「そいつがやっぱり覚醒者じゃないのか?」

QB「いや、それは可能性が限りなくゼロに近いね。覚醒者は個々を全て把握できているから」

QB「ただ、魔法使いに関連して妙な出来事が起きていた。タイミングから考えても、これは無視できない」

QB「この世の理は表裏一体だよ。魔法使いと言えば、その対極に位置するのが覚醒者だ。覚醒者となんらかの関係があると見て、間違いはないと思う」

ほむら「前回といい、今回も中途半端な情報ね…」

QB「悪いとは思うけど、しかたないよ」

ほむら「でも、とても役にたつ情報でもあったわ」

さやか「…?」
99 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:31:01.55 ID:5de8W4U80
ほむら「QBの情報は、これまで私たちが考えてきた内容と全く矛盾しないわ。それに、明確な類似点もあった」

ほむら「QBを襲った360度全方位からの接近…。私が感じた、港からの複数の痕跡と状況は酷似している…」

マミ「全方位から囲むように気配をまきちらすことができるくせに、現れるときは1カ所のみ…。QBへの攻撃の瞬間も…」

ほむら「それに、最初に感じた気配…。突然現れた」

QB「暁美ほむら、やはり君も気づいていたんだね。そのことに」

ほむら「えぇ、そうよ。QBもきづいていたからカメラなんか調べたのでしょう。そして、その映像記録に関する情報からも、突然わいて出て来たかのように思える」

マミ「…むしろ、そのことをアピールしているように思えるわね」

ほむら「役所のデータなど、全ての痕跡を消すことができる実力を持ちながら、わざと興味を惹くように、行方不明事件の記録は消していないわ。これ見よがしに、ね」

杏子「みつけられるもんなら、みつけてみろ、ってか?むかつく野郎だな」

マミ「さっきも話したけど、今日の4カ所の気配とグリーフシード…。これも明らかな挑発ね」

さやか「4個ものグリーフシードがあんなに無造作に放置されていた…、ってことは…」

杏子「魔女なんか、簡単にあしらえるほどの実力の持ち主…」

マミ「『あしらう』と言うより、『操ることができる』と言った方が正確かもしれないわ」

マミ「つまり、私と佐倉さんが勝てなかった魔女を操っていたのも…、やはりその『覚醒者らしき者』だったということね」
100 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:32:16.17 ID:5de8W4U80
QB「君たちふたりがかりで魔女に勝てなかったって?そんなことがあったのかい?」

杏子「ちっ…。あぁ、そうだよ。ボコボコにされた」

マミ「そのときの魔女は、様子がおかしかったのよ。QB」

ほむら「確実に誰かに操られていた形跡があったわ。そして、消された」

QB「…どうやら、全ての事象が繋がってきたみたいだね」

ほむら「そのようね」

杏子/さやか「…」

マミ「…さ、話はこのへんで一旦おしまいにしない?もう時間も遅いわ」

ほむら「えぇ。これからは、今いる敵は覚醒者と同等か、それ以上の力を持っていると判断して行動することにして…」

マミ「そうね。それが懸命だわ」

まどか(…私、空気になってる…。クッキーおいしい…)

ほむら「まどか」

まどか「ひっ!な、なに?ほむらちゃん…」

ほむら「申し訳ないけど、まどか、今夜はここに泊まってほしいの。できる?」

まどか「え?あ…、うん…、家に電話してみる…。でも、なんで?」

ほむら「とても言いにくいことなんだけれど…。敵があなたを狙っている危険性が高いのよ」

杏子/さやか「!!」

マミ「そうね…」

まどか「…え、…え?わたし…が…」
101 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:33:26.25 ID:5de8W4U80
マミ「これまでの動きの中心にいるのが、覚醒者に極めて近い存在であるなら、その狙いも以前の覚醒者と同じ、と考えるのは当然だわ」

ほむら「あなたと最近行動を共にして来たのは、そういう危険性も考えてのことだったのよ」

まどか「ほむら…ちゃん…」

ほむら(ごめんなさい、まどか。でも、こうでも言わなければ、あなたは…)

ほむら(私は…、私はまどかを守るためだけに存在している…。それが私の願い…)

杏子「えーと、お取り込み中悪いんだけど…、そのー、あたしも泊めてくれないかな?」

ほむら「…」

さやか「そ、そうね。あたしも…、泊めてほしいかも…。もう、帰れないし…」

マミ「…ふぅ。もうこの先、敵がいつ襲って来てもおかしくない状況と判断したほうがいいわ。暁美さんもそんなふうに言っていたじゃない」

マミ「帰れない、と言うより、こんな夜遅くにバラバラで行動するのはリスクが高すぎるわ」

マミ「私も含めて…、みんなでここに泊めてほしいわ」

ほむら「…いいわ。ベッドはひとつしかないけれど、ふとんなら人数分用意できるし。杏子、手伝ってもらっていいかしら?」

杏子「あ?あぁ、いいよ。もちろん」

さやか「あ!あたしも手伝うよ。なんだか合宿みたいだねー」

杏子「なにはしゃいでんだ?バカだろ」

さやか「なにー?」

マミ「ふふふ」

マミ(暁美さん、いつのまにか佐倉さんのこと名前で呼ぶようになっているわ)

ほむら「巴マミ、何か言いたそうだけど…」

マミ「ううん、なんでもないわよ。ほむらさん?」(あらあら…意外とわかりやすいのね)

ほむら「…」

まどか(…ほむらちゃん)
102 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:34:47.04 ID:5de8W4U80
【深夜 暁美ほむら 自宅ベランダ】

まどか「…星がきれい」

まどか「…」

まどか「平和な街…」

まどか「この平和がいつマデモ続イテ…』

   『ソシテ、ホムラチャント一緒ニ…』

   『イツマデモ一緒ニ…』

まどか「…って、誰?」

さやか「はい!さやかちゃんでしたー!」(あれ、殴られない?)

まどか「ちょっと、もーやめてよー。ひとの独り言に変なこと…」

さやか「いやいやいや、ごめんごめん」

まどか「もー!」

さやか「だって、まどか元気ないんだもーん」

まどか「さやかちゃん…」

マミ「そうよ、元気をだして?鹿目さん」

まどか「マミさんも…」

マミ「暁美さんも、鹿目さんが落ち込んでいると心配するわ」

さやか「そーだよー、まどかー!ほらー、元気だせー!こーちょこちょこちょこちょ」

まどか「きゃっ!や!やめて、さやかちゃーん!!ティヒヒヒヒ」

まどか「…はぁ、…はぁ」
103 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:35:52.37 ID:5de8W4U80
マミ「暁美さんはね、あなたのことを本当に大切に想っているわよ。鹿目さん」

まどか「…」

マミ「今日の紅茶だって、気づかなかった?私の家にあったものと同じものが用意してあったわ。私の家で、鹿目さんがおいしそうに飲んでいた紅茶よ」

マミ「クッキーだって…。ケーキじゃなかったのは、あなたに、いつ紅茶を飲んでもらえるかわからなかったから、保存のきくクッキーを選んでいたのでしょうね」

マミ「それに、あなたへの警告も…。変にぼかして言っても、かえって鹿目さんを危険にさらすだけと判断してのことよ」

まどか「ほむらちゃん…」

マミ「鹿目さんなら、わかってあげられるはずよね?」

まどか「…でも、私、何のやくにも…」
104 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 13:36:24.25 ID:5de8W4U80
杏子「んだよ、まだそんなこと言ってるのか?」

まどか「杏子ちゃん!」

杏子「人にはなー、役目ってのがあるんだよ」

杏子「あたしにはあたしの。マミにはマミの。さやかにはさやかの」

杏子「んで、あの転校生は自分の役目をもう決めている。女同士でも妬けちゃうよ、ほんと」

杏子「そしたら、まどかはどうする?無理矢理魔法少女にでもなるのか?あいつの役目はどうなるよ?」

杏子「…やめとけ。そんな中途半端な気持ちで魔法少女になっても後悔するだけだ。もしなるとしても、あとにとっとけ」

杏子「今のまどかの役目は、みんなに守られることだ。あたしらが安心して戦えるようにな」

さやか「へぇー、良いこと言うね。杏子…。あ!まさか杏子!これをわざわざ言うために泊まらせてほしいとか…」

杏子「…ふん」

まどか「…うん。…うん。ありがとう」

マミ「さ、もう寝ましょう。さすがに寒くなってきたわ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【同時刻 ベランダの上の部屋】

ほむら(まどかが心配だからと来てみれば…)

ほむら(巴マミ、余計な事をぺらぺらと…。明日、どんな顔してまどかに会えばいいのよ!)
105 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 15:01:23.91 ID:5de8W4U80
【翌朝 暁美ほむら 自宅】

さやか「…おーはよー」

まどか「おはよう、さやかちゃん」

マミ「おはよう、美樹さん」

さやか「…みんな早いねー。あたしは、まだ、ふぁー、眠いよ…」

まどか「あ、ほむらちゃん。おはよう」

ほむら「……おはよう」

マミ(あら?なんだか機嫌が悪いのかしら?にらまれている気がするわ)

ほむら「杏子は…、まだ起きてこないのかしら?」

マミ「いいえ、佐倉さんも、もう起きているわ。今、台所で朝ご飯の準備を手伝ってもらっているのよ」

ほむら「…そう」

さやか「あー…、あたしが最後かー…。なんか昨日あのあと眠れなくってさー…」

さやか「まどかー、タオルー。お湯で濡らして…」

マミ「私が用意するわ。鹿目さんは、暁美さんとイスに座って待ってて」

ほむら「…」

杏子「うわー!また手切った!いてー!マミ、マミー!血が止まらねー!」

マミ「はいはい…。今行くわー」

マミ「美樹さんも一緒に来て。タオルをあげるわ」

さやか「ふぁーい…」
106 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 15:02:31.81 ID:5de8W4U80
ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「…何?」

まどか「…いや、…その、なんて言うか。昨日は、あ、ありがとうって…」

ほむら「…」

マミ「はい、お待たせー。朝ご飯よ」

マミ「あら、ふたりともどうしたの?まるでお通夜だわ?」

マミ「いえ、お見合い…、かしら?」

ほむら「…っ!!」

まどか「マミさん…」

杏子「ほーら、あたしの血と汗と涙の結晶だ!」

マミ「佐倉さん。その冗談…、笑えないわ」

さやか「ひゃー、おいしそー」

さやか「で、杏子はどれを作ったの?」

杏子「これだ!」

まどか「…キャベツの…」

さやか「…千切り…」

さやか《マミさん、なんで杏子に刃物なんか…》ゴニョゴニョ…

マミ《しかたがなかったのよ…。火を扱わせるより安全でしょ?私たちが》モニョモニョ…

杏子「ん?何?」

さやか「い、いや、何でもないよー。たははは。い、いっただっきまーす!」
107 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 15:06:42.76 ID:5de8W4U80
【数日後 学校 昼休み 屋上】

さやか「はぁー、今日もいい天気。んーっ…、はぁー」

まどか「そうだね。でも、さやかちゃん、のびしたときに、おなか丸見えだったよ?」

さやか「えー?いいの、いいの。若いんだから、気にしない、気にしなーい」

さやか(どうせ、見てくれる男なんていないしさー…)

マミ「どうしたの?美樹さん。表情がコロコロかわっていっているわ?」

さやか「え?あ、いやー…。とほほほ…」

まどか「?」

マミ「佐倉さんと、暁美さんは?」

さやか「杏子は、コンビニへ買い物に行ってます」

まどか「ほむらちゃんも、買い物って言ってたけど…」

マミ「そう…」

杏子「おーっす。マミもいたか」

まどか「杏子ちゃん、おかえり」

マミ「それにしても、ここのところの動きが、まるで現実じゃないかのように、おだやかな日が続くわね…」

ほむら「そう楽観もできないわよ?マミ」

マミ「暁美さん…」

杏子「お、意外とはやく帰って来たな。何カ所もまわるって言ってなかったか?」

ほむら「えぇ。全て済ませて来たわ」

ほむら「…マミ、あなたならわかっているでしょう?敵の動きが見えない場合、ふたつの理由が考えられるわ」

ほむら「ひとつ目は、敵が私たちに手出しできない、何かの障壁、障害がある場合。…でも、今回のケースでは、それはないと思うわ」

マミ「…そうね。敵の魔力が圧倒的なのは、以前の事件から理解しているわ。しかも、私たちの戦力を削ってくるような動きもない…」

杏子「そーだなー。あの4個のグリーフシード以来、少しのちょっかいも出してこなくなったし…」

さやか「あんなにいやらしく迫ってきていたのにね…」

ほむら「したがって、残されたもうひとつの理由…。敵は今、自らの体勢を整えるために、何かしらの準備を進めている、と考えるのが妥当」

マミ「何かを…」

杏子「…」

ほむら「…」
108 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 15:07:58.07 ID:5de8W4U80
さやか「…あ、そ、そうだ!これ、みんなで聴きに行かない?」

マミ「なぁに?それは…、チケット?」

杏子「またかよ…」

さやか「そう、恭介のコンサート」

まどか「どこでやるの?」

さやか「よくわかんないんだけど、新しくできた展示場だって。そこのオープニングセレモニーとして、恭介が演奏するらしいんだ」

さやか「ちゃんと人数分もらってあるから、バラバラにならずにみんなで行けるよ?」

マミ「ちょっと見せて?横浜…、今度の日曜日ね」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃん…、ダメかなぁ…」

ほむら(…まどか)

さやか「戦いの前に仲間の親睦を深めよー!ってね?なんだかんだ言っても、あの合宿以来、誰かひとりはいないことが多かったし」

杏子「合宿じゃねーだろ…。まったく」

マミ「どうする?暁美さん。私は行ってもいいと思うわ」

まどか「…」

ほむら「…わかったわ。行くわ」

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「よーし。じゃぁ、お弁当用意して行こうか?」

マミ「何言ってるの?普通にレストランでしょう」

さやか「いやいや、ホテルのロビーとか、海岸とか、いくらでも場所あるし」

さやか「なんだったら、恭介の控え室…」

さやか(…は仁美のテリトリーか…。およよよよよ…)

杏子「…はしゃぎすぎだ」
109 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 15:09:34.97 ID:5de8W4U80
オマケ ほむらの「お買い物」と同時刻

【米軍 武器備蓄基地】

兵士「将軍!マタ何者カガ武器庫ニ侵入シタモヨウデス!サー!」

将軍「ナンダト?マタカ?被害ハ?」

兵士「サー!サラニ多数ノ武器弾薬ガ紛失シタモヨウデス!サー!」

将軍(前回ト同ジジャナイカ…)


【英軍 武器備蓄基地】

兵士「大佐!再び何者カガ武器庫ニ侵入シタトノ報告ガ…」

兵士「ビデオニアヤシイ人影ガ写ッテイルトノコトデアリマス」

大佐「良シ、見セロ」

大佐「少女?…オ、オ前ラ、コンナ者ニ見トレテイルカラ…!コノロリコンドモメ!懲罰ヲ覚悟シテオケ!」

兵士「サー!イエス!サー!」


【ロシア軍 武器備蓄基地】

兵士1「センダ!」

兵士2「ミツオ!」

兵士3/4「ナハナハ!」

兵士2「センダ!」

兵士5「ナハナh…」

将軍「アウトー!!!ワハハハハ!ザ・ミツオ・センダー!!ワハハハハハハ!」


【イタリア軍 武器備蓄基地】

※誰もいない…
110 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 16:22:48.02 ID:5de8W4U80
【コンサート当日 朝 横浜港の近く】

さやか「うー、眠い…。…。zz…。zzZ」

まどか「さやかちゃん!さやかちゃん、てば!」

さやか「はっ!」

杏子「さやか、お前なぁ…。言い出しっぺのお前がそんなんでどうするんだよ…」

さやか「あ、あれー?たははは、ご、ごめん…」

マミ「それで、場所はここであっているのよね?」

さやか「…うん。そのはずなんだけど」

ほむら「人が…いないわ…」

さやか「おっかしーなー…」

杏子「おいおい、しっかりしてくれよ…。さやか…」

マミ「美樹さん、そのチケットもう一度よく見せてくれる?」

さやか「ふぁい…。zz…。」

杏子「…」プチッ

杏子「オ・キ・ロー!!!」

マミ「ちょっと…、美樹さん…、これ」

さやか「…ふぇ?」

杏子「ん?なになに?どうかしたのか?やっぱり場所が違うのか?」

マミ「『午後』7時からって書いてあるわよ…」

さやか「えー?マジデスカー…」

ほむら「…」

まどか(あらー)
111 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 16:23:54.52 ID:5de8W4U80
杏子「さ・や・か・ちゃ・ん?」

さやか「…っ!!」

杏子「こんにゃろ!こんにゃろ!!」

さやか「わーっ!ごめ、ごめんなさーい!!起きました!起きましたからー!」

杏子「そういう問題じゃねー!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

杏子「…」

さやか「あ、あのー…。杏子…さん?」

杏子「あぁ?」

さやか「うわ、ごめんなさい。ごめんなさい」

マミ「まぁまぁ…、佐倉さん。私もこのあいだ確認したとき、注意が足りなかったわ…」

杏子「…」

マミ「私にも責任があるわ。だから、ここは私にめんじて許してあげて?ね?」

ほむら「…」

杏子「あーもー、しょうがねーなー…」

まどか「ねぇ、杏子ちゃん、朝の潮風が気持ちいいよ?」

杏子「そーだな…」

さやか「みんな、本当にごめんなさい…」

ほむら「…」

杏子「もう良いよ。まどかの言うとおり、この潮風は気持ちいい。それでチャラにしてやるよ」

さやか「ありがとー。たははは」

マミ「良かったわね、美樹さん。それに本当にとっても気持ちがいいわ」

さやか「は、はい…」

まどか「早起きしてよかったね?さやかちゃん」
112 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 16:27:15.22 ID:5de8W4U80
ほむら「…」

マミ「暁美さん…?」

ほむら「マミ…。感じない?この気配…」

マミ「…!」

ほむら「いえ、気配なんてものじゃないわ。気配がいくつも重なって押し寄せて来ているみたい。まるで、…魔力の波動。どんどん強くなってきているわ」

マミ「…どこから」

杏子「…おい、マミ」

さやか「何なの…、これ」

杏子「おい!まどかー!こっちへ戻ってこい!なんかやばい!」

まどか「え…」

杏子「よし、また前みたく、あたしの後ろに隠れてろ」

まどか「…うん」

ほむら「…QB!」

QB「ついに接触してきたみたいだね」

ほむら「…えぇ」

QB「敵の位置は…、あの船だ」

さやか「…行こう」

杏子「え?」

さやか「あの船に乗り込もう…」

マミ「美樹さん、それはやっぱり…」
113 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 16:28:20.40 ID:5de8W4U80
さやか「みんな、本当にごめんなさい。ここにあいつらを出すわけには行かない」

杏子「…さやか」

ほむら(『あいつら』?さやかは、敵が複数いることを感知できている…?)

マミ「…」

ほむら「そうね。さやかの言うことは正しいわ」

マミ「暁美さん…?」

ほむら「ここは、もうすぐ観光客でいっぱいになるわ。そんなところで、また以前のようにゆるい結界など張られたら、私たちは思い通りに戦えない…」

杏子「そうだな。敵の誘いに乗るのはむかつくけど、意地を張って不利な条件に持ち込まれるのも意味がない。ナンセンス…って言うんだろ?そういうの」

ほむら「…そうよ」

マミ「…私も美樹さんの意見に賛成するわ。あの船に乗り込みましょう」

さやか「…みんな」

杏子「よし、行くぞ。ただし慎重にな」

杏子「まどか。あたしにしっかりつかまってろ」

まどか「…うん」

杏子「それでな、今のうちに言っておくけど、あたしに何かあったら、あの転校生のところに行くんだ。ほむらのところに」

まどか「杏子ちゃん…」

ほむら「…」

杏子「ほむら!悪いな勝手に話を進めて。今回ばっかりは、あたしも自信なくてさ」

杏子「あ、勘違いするなよ?意味が違うぞ?誰かを守るってのが自信ないのさ。あたしはもともと一匹狼だったからな。ひとりなら絶対に負けない」

ほむら「問題無いわ…。杏子」(…ありがとう)

マミ「それじゃ…、準備はいい?結界に突入…行きましょう!」
114 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 17:25:37.65 ID:5de8W4U80
【港に停泊中の豪華客船 結界内部】

杏子「うひゃー、こりゃまた、悪趣味…って言うか…。とにかくひどいな」

さやか「いやいやいや、まいったね、こりゃ」

マミ「目のやり場に困るわ…」

まどか「…ん?」

杏子「うわ!まどか!それは見るな!お前には早い!!」

ほむら「…下品」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さやか「もう、かれこれ30分くらい歩いている気がするけど…」

マミ「あまり進んでいるように思えないわね…」

杏子「使い魔もいないな。前回と一緒だ」

ほむら「…」

まどか「…?何か…聞こえる…」

杏子「?」

まどか「誰かが誰かを呼んでいるような声が聞こえる…」

杏子「…」

さやか「うー、つかr」

杏子「しっ!静かに…」

さやか「…」

マミ「…」

ほむら「…上」

杏子「そうだ、上から聞こえるぞ?」

マミ「あそこの階段を上りましょう」

杏子「よし」
115 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 17:30:51.08 ID:5de8W4U80
【港に停泊中の豪華客船 結界内部 大広間】

杏子「…なんだ、ここは」

さやか「あ!あれ!あそこ!何かいる!」

マミ「…子供?…使い魔?」

杏子「どこかで、見たことあるような…」

ほむら「…」

《※ー※……※※※※…※※※※…※※》

さやか「何かしゃべってる…?」

《おー※、※※ジ※ー。野※※※う※ー》

《おーい、ナ※ジマー。野※や※うぜー》

《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

《おーイ、ナカジマー。ヤ球やローゼー》

《オーぃ、ナカジマー。ヤキューゃろーゼー》

マミ「どんどん増えて…」

《オーイ、ナカジママー。ヤキューヤロローゼー》

《オーイイイ、ナナカジジジマー。ヤキュキューヤヤローゼー》

《オオオーイィイ、ナナカカカカジーマー。ヤキキャキーヤロロローゼゼゼーロー》

《オーイオイオイイカジナカイナカナジマカカカジマジマヤキュジジジヤャキュキュユーヤローキュゼローゼゼー》

ボガーン!!!!

マミ「何?煙幕?」
116 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 17:31:48.41 ID:5de8W4U80
○○○○「ィィィ…、イェアァァァァァァァ!」

○○○○「エッブリバーディ レッツ ハバ パーリィーーーーーーー!!!」

○○○○「キャッホォォォォォォーイ!!」

さやか「いきなり出て来た!」

杏子「うわっ!なんだありゃ?おっさん?」

○○○○「ッポーーーーーウ!!」カクッカクッ

○○○○「ワッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」クイックイッ

マミ「ひどいわ…」

ほむら(…見た目は、普通の紳士。黒スーツ変態紳士。ほんとにひどいわね)

○○○○「…はぁ、…はぁ、…はぁ」

○○○○「…あ、いや失礼。お見苦しいところを見せてしまったかな。お嬢さんたち」

杏子「おいQB、あれ、マジで覚醒者なのか?」

QB「杏子…。この僕ですら、あまりの光景に動揺を隠しきれないよ…」

○○○○「ん?そこの赤いお嬢さん?私が覚醒者…ですって?」

○○○○「お嬢さんのその目は、けつの穴、ですか?」

杏子「っ!!」

○○○○「ンッフッフッフッフ…。そーんなところにけつの穴があったのでは、さぞご不便でしょう。心から同情いたします」

杏子「…うぜぇ」

○○○○「私の名前は『ナカジマ』です。真・覚醒者、ナカジマ、です。以後、お見知りおきを」

杏子「…」

ナカジマ「ン〜ッフッフッフッフ…」
117 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 17:48:20.03 ID:5de8W4U80
ナカジマ「…」

ナカジマ「…」

ナカジマ「返事がありませんね…。聞こえないのですか?もしかして、耳の穴まで、けつの穴、なんでしょうか?いったい、何個のけつの穴を持っていらっしゃることやら」

杏子「…」プチッ

杏子「うりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ドシュッ!!

ナカジマ「…あ」

ナカジマ「…な」

ナカジマ「…なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーー!!!!」バタッ

杏子「…あ」

マミ「え?」

さやか「…倒れた?」

ほむら「…」

まどか「杏子ちゃん、すごい…」

杏子「な、なんだ?」

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

使い魔《おーい、ナカジマー。野きゅぶるべぼはぁぁぁぁぁぁっ》

マミ「…!!」

ナカジマ「…」みちっ…、みちちっ…。シュルシュルシュル…

ほむら「使い魔を、…吸収している?」

杏子「…キモ」

さやか「うげぇ…」
118 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 17:50:51.92 ID:5de8W4U80
ナカジマ「…」ムクリ

ナカジマ「…ふぅ」

ナカジマ「ひどいじゃないですか。そこのお嬢さん」

ナカジマ「まだ自己紹介の途中だったというのに…」

杏子「…っくそ」

ナカジマ「ん?あー、心配しないでください。お嬢さんの槍は、極めて正確に私の心臓を貫きましたよ?見事な一撃でした」

ナカジマ「感服に値します…。ンッフッフッフッフ…」

ナカジマ「…改めて自己紹介いたします。私の名前は『ナカジマ』です」

ナカジマ「どうぞ『ナカジマ』と気軽に呼んでください」

ナカジマ「『真』の覚醒者です」

マミ「…心臓を貫かれて、…なんともないなんて」

ナカジマ「あ、今度はそちらのお嬢さんですか?あぁ、なんとお美しい…」

ナカジマ「その姿まるで、まるで、黄色い……、たぬき?…ぷっ」

マミ「…っく。この…」

ほむら(…マミたぬき。かわいいわ)

ナカジマ「まぁ、何でもいいでしょう。その美しさに敬意を表し、その疑問にお答えしましょう」

ナカジマ「そうです。そのとおりです。私の心臓は、何度でも再生します。そこらにいる使い魔をスペアとして」

ナカジマ「すばらしい観察力だ…。すばらしい。実にすばらしい。驚嘆に値します。」

マミ「…バカに、…してるわね」

ナカジマ「おーっととと。気づかれちゃいましたか。これは失敬」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県)[sage]:2011/11/13(日) 18:39:09.07 ID:EiRbwk0Io
>>115
てっきりムーンサイドかと思ったよ
120 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/13(日) 21:30:41.08 ID:5de8W4U80
ナカジマ「…」

ほむら「…あなた」

ナカジマ「?」

ほむら「単刀直入に聞くわ。あなた、何者なのかしら?あなたの狙いは?」

ナカジマ「ほぅ…。これはこれは…」

ナカジマ「『単刀直入』と言いながら、ふたつの質問を同時に投げかけてくるとは。貴女は、もう少し冷静な女性だと聞いていたのですけどねぇ…」

ナカジマ「もしかして、焦っています?」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「いいえ、私は冷静よ。あなた、たまに少ししゃべりすぎるようね。私のことを誰から聞いたのかしら?」

ナカジマ「おや、また質問がひとつ増えましたね?」

ほむら「あなたこそ、私たちをイライラさせて、何を狙っているの?あなたこそ焦っているのではないかしら?」

ほむら「くだらない探り合いは省きましょう。時間がもったいないわ。そのほうがお互いのためだわ」

ナカジマ「ほほぅ…。前言を撤回いたします。やはりあなたは聡明な女性だ」

ナカジマ「私は、『ナカジマ』貴女方も知っている、カツオ君の元同級生です。そして、魔法少年としても仲間でした。さらに、魔法使いとしても、ね」

ほむら「…」

さやか「…魔法使い?…え?それでなんで覚醒なんか」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 01:12:35.35 ID:t+gSjmgIO

すごい続きが気になる
122 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 02:47:16.81 ID:FZHkFpEw0
ナカジマ「おっと。貴女のお友達は、貴女ほど聡明ではないようです。まだ全てを答え終わっていないうちから、新しい質問とは…。ンッフッフッフッフ」

さやか「…なにぃ?」

ほむら「さやか、落ち着いて…、ただの挑発よ」

さやか「う、うん。…ゴメン」

ナカジマ「えーと、ふたつめの質問は…、何だったかな…」

ほむら「あなた、頭悪いの?あなたの目的、よ」

ナカジマ「…私の目的。それはもうわかっているのでしょう?そこにいらっしゃる、鹿目まどかさん、ですよ」

まどか「…!」

ナカジマ「なーんで、わざわざ、こんな危険な場所へ一緒につれて来たんですか?まぁ、私としてはとても助かりますが」

ほむら「やはり、タラオと同じね。でも、今あなた、自分の答えが済む前に、私に質問したわよ?ひとのことバカ呼ばわりするわりには、あなた…、やっぱり少しおしゃべりなのね」

ナカジマ「…やられましたね。良いでしょう。私の負けです。まいりました」

ナカジマ「みっつめの質問の答え…。貴女方のことは、『コレ』から聞きました」

杏子「うわ!」

マミ「ひっ!」

さやか「なん…だ?あれ」

ほむら「…カツオさん」

ナカジマ「いやー、ラッキーでした。ついていました」

杏子「どうやって…?」

ナカジマ「ふん。その質問は許してあげましょう。今答えている質問に内包されていますから。大サービスです」
123 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/14(月) 02:48:55.17 ID:FZHkFpEw0
>>121
気にしていただけて嬉しいです。ありがとうございます。

※寝落ちしてました…。少し続きを投稿して明日に続きます。
124 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 02:49:53.21 ID:FZHkFpEw0
ナカジマ「でも、答えるまでもないでしょう。誰だって、あの瞬間しかなかったのですから。結界空間が閉じる直前、『コレ』を直接つかんで引きずり出しただけですよ」

ポイッ……ビチャッ…

ナカジマ「本当にラッキーでした。最初は無理かもしれないと諦めかけていたんですよ」

ナカジマ「ところが、あのスイッチに、あんな副作用があったなんて」

マミ「…タラオから削り取った魔力が、…周囲の空間に満ちていた」

ナカジマ「そうです。お嬢さん!貴女も頭良いじゃないですか!」

ナカジマ「私もあのときはただの魔法少年でした。よぼよぼのね。それでも魔力は放出している。なまじ能力が低いばかりに、その小さな魔力を抑えることすらできなかった」

ナカジマ「しかし、ちょうどいい目隠しがあたり一面にただよっていた、というわけです」

ナカジマ「あの副作用がなければ、貴女方に気づかれずに近づくことは不可能だったでしょう。しかし、私は今こうしてここに立っている」

ナカジマ「ついでに言えば、緊張がとけた貴女方は、そこにいるQBを弄ぶので意識があさっての方向を向いていた。それでは、気づけるものにも気づけませんよ。なんて、まぬけな話なんでしょうねぇ」

ナカジマ「良いですか?戦いとは…、勝利を確信したときが…、最も危険なんですよっ!!」

杏子「…くそっ!」

ほむら「…たしかにあなたの言うとおりだわ。深刻なミスだったわ」

マミ「そうね。私も同意見だわ。つまり、致命的なミスではない…」

さやか「今から、お前を倒せばいいだけの話だ…」

杏子「…そうだな。さやかにまで教えられるとは、ちょっと頭に血が上りすぎていたよ」

ナカジマ「…私を倒す…?フフッ。ンッフッフッフッフ」

ナカジマ「何か思い違いをしているようですね」

ナカジマ「私は、真の覚醒者…。30才を超えて、一旦は魔法使いとして成熟した後に覚醒した」

ナカジマ「そのへんのただの覚醒者などと一緒にしないでいただきたい」

ナカジマ「さて…、もうおしゃべりはじゅうぶんでしょう」

ナカジマ「そろそろ…、はじめましょぉぉぉかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
125 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 02:51:47.05 ID:FZHkFpEw0
マミ「…っくる!!」

ほむら「…使い魔の…大群?」

さやか「っきゃぁぁぁぁぁぁ!!」ゴシャァァァァ

杏子「さやかー!!」

マミ「佐倉さん!右!!」

杏子「ぐっ!!」バキンッ

QB「マミッ!あぶない!」

マミ「美樹さんは?…って、あっ!!」ガシッ

ほむら「杏子!まどかはっ?」ドカッ

杏子「くっ!だ、大丈夫だ。あたしが作った防御結界の中にいる…」ギリギリギリ…

ほむら「まどか…!」

マミ「大丈夫よ!暁美さん!鹿目さんは気を失っているだけよ!エェィッ」ドガガガガガガガッ

使い魔《ピギャーッ》

さやか「っく、げほっ、げほっ…。こんのぉぉぉぉ!超絶回復のさやかちゃんを…、なぁめるなぁぁぁぁー!!!!」シュババババババッ

マミ「うまい!剣で使い魔を壁にうちつけた!」

使い魔《オオオーイィイ、ナナカカナカカジーマー。ヤキキャキーヤロロローゼゼゼーロー》

ほむら「みんな!壁から離れてっ!!」

ほむら「新型爆弾M18A1クレイモア改N2」カチカチカチッ

カッ!…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォ…

さやか「っつぅ…」

杏子「うわ…」

マミ「きゃぁっ」

ほむら「…うまくいったわ」
126 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 02:52:56.45 ID:FZHkFpEw0
杏子「っつー…」

さやか「うわー…」

マミ「暁美さん…、今のは…」

ほむら「新しく用意した爆弾よ。クレイモア対人地雷を改造したの。通常の炸薬を抜いて、そこにN2爆弾と呼ばれるものを仕込んだわ。爆風に指向性があるから、こういう場面で最も効果を発揮するの」

マミ「でも、帰ってくる衝撃波はすごかったわ…」

ほむら「そうね。普通の人間なら、こんな衝撃波には耐えられないと思うわ」

杏子「ひぇー、あれだけいた使い魔が、ほとんど形も残ってないよ…」

ほむら「さやかが使い魔の動きを止めてくれたおかげで、効果的に使用する事ができたわ。ありがとう」

さやか「…転校生」

ほむら「…まどかは」

杏子「あぁ、無事だ」

マミ「さすが、佐倉さんの防御結界は頑丈ね」

杏子「まぁね」

さやか「…で、あいつは」

ナカジマ『あっはっはっはっはっは…』

杏子「…!どこだ?」

ナカジマ『そこの赤いお嬢さん。周りを見ても私はいませんよ?』
127 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 03:03:02.63 ID:FZHkFpEw0
ナカジマ『しかし、やってくれましたねー。あれほど用意した使い魔が、一瞬でほぼ壊滅とは…。それぞれ、普通の覚醒者と同じ程度の力は持っていたはずなんですけどね。』

ナカジマ『…いかんせん、心がからっぽでは、おとり程度の役にしかたちませんでしたか』

ナカジマ『それに対して、貴女方のことは少しだけ見直しました。貴女方の評価を1段階アップします。Bプラスをあげましょう』

ナカジマ『まったく、魔女でもない私が使い魔を製造するのは、たいへんだったんですよー?』

マミ「…製造?」

ナカジマ『そうです。製造です。作ったんですよ。ひとつずつ。魔法使いを素材として!』

杏子「…自分の仲間、じゃねぇのかよ…」

ナカジマ『もちろん、仲間でしたよ?だからこそ、素材として選んであげたのです!』

ナカジマ『魔法使いのこと…、貴女方、どこまで理解していらっしゃるんですか?』

杏子「…魔法少年が、30才まで…、えーと、それで…」

ナカジマ『だまれ!!それは、知っているというだけだ。私は、理解できているのか?と質問している!つい最近仕入れたばかりの付け焼き刃な知識を、これみよがしにひけらかすな!』

杏子「…」

ナカジマ『…と、申し訳ありません、お嬢さん。私としたことが。あまりにも愚かな者を見ると、ついつい気がたってしまいます』

ナカジマ『まぁ、良いでしょう。いくら話しても無駄なことです。私のように高貴な生物は、時として、その無駄というものに強い興味を惹かれるものなのですよ』

ナカジマ『しかし、貴女方にそれを押し付けるのは、心苦しい。聡明な貴女がおっしゃっていましたね?時間がもったいない、と』

ナカジマ『ならば、その忠言に従いましょう。さぁ、お別れの挨拶を急いでください』
128 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/14(月) 04:01:28.39 ID:FZHkFpEw0
>>124
【訂正】
誤:ナカジマ「私もあのときはただの魔法少年でした。
正:ナカジマ「私もあのときはただの魔法使いでした。

訂正いたします。申し訳ありません。m(__)m
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 04:34:55.82 ID:FpZRCwoh0
>>97
別にいいも悪いも大して意味はないわな
あまり深刻に受け取らずウンコくらいに思っとけばいいよ
130 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/14(月) 04:38:14.51 ID:FZHkFpEw0
>>129
ありがとうございます。m(__)m
そうですね、言われてみれば、このSSも私の妄想を放出するための、私のウンコみたいなものでした。
そう考えると、とても気が楽になりました。
131 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 06:45:36.92 ID:FZHkFpEw0
ゴ…ゴゴ…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

マミ「何?このゆれは?」

杏子「ちょ」

さやか「あ…!まどかが!地面の亀裂で…!」

ほむら「…!!まどか!まどかー!!」

ナカジマ『あっはっはっはっはっは…。それでは!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

杏子「…っつぅー」

さやか「ぁいててて…」

マミ「…ふぅ、佐倉さん、美樹さん、怪我はない?」

さやか「あ、は、はい。大丈夫です。杏子は?」

杏子「っちくしょー…。あ?あぁ、あたしも平気だよ」

マミ「暁美さんと、鹿目さんの姿が見えない…」

杏子「…QBもいないな」

マミ「そんなのどうでもいいわ」

さやか「…?まどか?まどかが消えた?マミさん!」

杏子「たぶん、あのふたりは一緒にいる。最後に床が崩れて行くところが見えたよ」

さやか「ホントに?ホントに見たの?」

杏子「あぁ、だけど、あの亀裂の先で何が起きているか、それはわからない。ふたりがバラバラになってる可能性もじゅうぶんに…」

マミ「それは大丈夫よ。心配する必要はないと思うわ」

さやか「…なんで…ですか?」
132 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 06:46:04.82 ID:FZHkFpEw0
マミ「暁美さんは、自分のことをあまり話さないから理由までは知らないけれど…。彼女が鹿目さんを想う気持ちは、…最強だわ」

杏子「…そうだな。とにかくまどかのことは、あいつに任せよう。それにしても、いきなりあたしが言ったとおりになっちまったなぁ…。なさけないよ…」

さやか「…転校生。…まどか」

マミ「それより、私たちものんびりしていられないわ」

杏子「そうだな。すっかり囲まれてやがる…」

マミ「QBを襲ったっていう、全方位からの気配の正体は彼らだったってことなのね」

さやか「使い魔…!まだこんなに残って…」

杏子「やる…か」ぐっ

マミ「佐倉さん、私はのんびりしていられない、と言ったのよ?」

杏子「…?」

マミ「以前言ったわよね?癒しの力、回復能力は美樹さんが最強…」

さやか「…?」

マミ「佐倉さん、あなたは『ナカジマ』の心臓を貫けるほどにピンポイント攻撃が最強」

マミ「…私もね、…最強なのよ?」

マミ「……こういう、ときにはねっ!!」ジャラララララララララララッ!

さやか(わっ!マスケット銃が…、あんなに…!!)

マミ「ふせてっ!」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガッ

杏子「っぷぅー…」

さやか「ひぇー、使い魔が、全部粉々に…。マミさん、すごい」

マミ「どうかしら?ふふふ」

杏子(忘れてた…。マミ、切れるとこいつも怖いんだった…)

さやか「ちょっと待って!あそこ!…あれは…使い魔?」

杏子「ちょっと待て。何か様子が変だ…」

マミ「…?」
133 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 11:10:07.24 ID:FZHkFpEw0
【結界内部のどこか ほむらとまどか】

ほむら「…なんとか間に合ったわ」

まどか「…ん、うーん」

ほむら「…まどか」

まどか「ん…、ほむら…ちゃん?」

ほむら「まどか、目が覚めたのね…。どこか痛いところは無い?」

まどか「うん、どこも痛くないよ…。ほむらちゃんこそ、怪我とか、してない?」

ほむら「えぇ、私も大丈夫よ」

ナカジマ「…すまないが、まどかさんと話をさせていただいてもよろしいだろうか?」

ほむら「…!!あなたは…、いつのまに」

ナカジマ「いつのまに?いや、それはどちらかと言うと、こちらの台詞ですよ?私は最初からここにいて、貴女たちふたりが、降って来たのですから」

ナカジマ「貴女もたいしたものですねぇ…。あきれるほどに」

ナカジマ「私は、そこにいる鹿目まどかさん、だけをここに落としたつもりだったのに」

ナカジマ「しつこいにも程度ってものがあります」

ナカジマ「貴女からのご助言に従ったんですよ?時間がもったいないから、と。それなのに、まだ無駄な時間をかけさせるおつもりですか?」

ナカジマ「…っと。…?」

ほむら「…?」

ナカジマ「やれやれ、貴女のお友達もたいしたものです。今、上に残して来た私の使い魔達が全滅させられました」

ナカジマ(しかし…、これは…?)

ほむら「…どうかしたの?」

ナカジマ「ん?いえいえ、何でもありませんよ?…貴女、私のことを心配してくれているのですか?おぉ…、なんと慈悲深い。お気遣いに心から感謝いたします」

ほむら「別にあなたのことなんか心配していないわ。話の途中でよそ見をされるのが嫌いなだけ」

ナカジマ「そんなに照れなくてもいいじゃないですか…。しかし、よそ見をしてしまったことは、たしかに私に非がある事を認めましょう。申し訳ありません」

ほむら「…」

ナカジマ「…」

ほむら「…あなた」

ナカジマ「?」

ほむら「なぜ、まどかを狙うの?」
134 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 11:12:16.88 ID:FZHkFpEw0
【結界内部 大広間 マミ さやか 杏子】

杏子「それ…、なんなんだ?」

マミ「さぁ…」

さやか「ちょ、ちょっと、うわ…」

杏子「さやか、ずいぶん懐かれてるじゃないか?」

さやか「そ、そんなのんきなこと言ってないで、うわ、やだやだやだ」

マミ「美樹さん、使い魔をペットにするなんて、まるで魔女よ?」

さやか「マミさんまでー!ちょっと、見てないで、なんとかしてー!きんもいー」

マミ「助けてって言われても、危害を加えようとしているようにも見えないし…」

ペット使い魔「…」orz

杏子「あ、そいつ落ち込んでるぞ?さやかが『きもい』とか言うからじゃないか?」

さやか「えぇぇぇぇ?私が悪いの?そんなぁー」

マミ「あら、何か手招きしているわよ?何かしら?」

ペット使い魔「…」ピトッ…

マミ「…!!…ッキャァァァァァァァァ!!」…ジャキン!

マミ「ティロ・フィn…」

杏子「うわわわわわ!まてまてまてまて!マミ、落ち着け!銃口、こっちに向いてる!」

杏子「って、使い魔!お前はあたしの後ろに隠れんなっ!」

ペット使い魔「…」wktk

杏子「なんで楽しそうなんだ!!」

さやか「あれ?その手に持ってるのは…」

杏子「何かの破片…。ほむらの爆弾の残骸だ。けっこう尖ってるな」

さやか「…危ないから、それを取ってあげたの?」

ペット使い魔「…」コクッコクッ

マミ「…?」

さやか「うわ、またこっち来た…。って、ちょ、肩に上って…」

ペット使い魔「…」(^o^)y~

杏子「…おい、すごくリラックスしてんぞ、コイツ」

マミ「タバコまで…」

さやか「なんなの?いったい…」
135 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 11:14:05.22 ID:FZHkFpEw0
【結界内部のどこか ほむらとまどか】

ほむら「なぜ、まどかを狙うの?」

ナカジマ「…フフッ」

ナカジマ「フフフフハハハ…」

ナカジマ「あっはっはっはっはっは…」

ほむら「答えなさい」

ナカジマ「ハハハ…、あ、これは失礼。慎重な貴女がいきなり核心をついてくるなんて…、あまりにも意外でしたので…」

ナカジマ「まぁ、良いでしょう。貴女方に天国や地獄の概念があるのか知りませんが、冥土の土産としてお話して差し上げます」

ほむら「…」

ナカジマ「…私が、完全体になるためですよ」

ナカジマ「するどい観察力を兼ね備えた聡明な貴女は、…すでに気がついているはずです。私がありえない速度で老化していることを」

ナカジマ「貴女方にはご覧にいれたはずですよ?覚醒したばかりの私の姿を」

ナカジマ「私の存在にきづいていただきたくために、ね。外出したのなど何十年ぶりでしたか…。コンビニなんて、実際に見ると便利なものなのですね。しかし、下品だ」

ナカジマ「日本の誇るべき宝であったはずの奥ゆかしさが、かけらも残されていない。どこへ行っても、どの店に入っても、判で押したかのように同じ光景が展開されている」

ナカジマ「個性が大事?競争激化?笑わせないでいただきたい。均質化されたこの世の中で安寧と暮らしておきながら、常に他と同じであり続けようとしている自分たちのことが全く理解できていないようですね?」
136 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 11:14:33.63 ID:FZHkFpEw0
ナカジマ「…と、少し話題がそれてしまいました。すぐに興奮してしまう。悪い癖です。申し訳ありません」

ナカジマ「話を戻しましょう。今の私の老化速度は、ヒトのそれの約100倍程度です。覚醒してから、10才程度の年をとってしまったことになります」

ほむら「…やはりね。あなたは『真の覚醒者』と言いながらも、実際に覚醒したのは30才を超えて、つまり魔法使いになってからの覚醒だったわ」

ほむら「その覚醒には無理があった。つまり、それは真の意味での覚醒ではなかった、ということでしょう?」

ナカジマ「そうです。そのとおりです。すばらしい!当事者でもない貴女がわずかな情報からその考えに至るとは、さすが私が認めただけのことはあります」

ナカジマ「実際のところ、私自身ですら、自らの老化速度に気づくまでには数週間を要しました」

ナカジマ「それまでの間、少々はしゃぎすぎてしまったようです」

ナカジマ「…しかし、わかってください。私は若返ったのですよ!長らく引きこもりの生活を続け、この世を恨みながら、ただただ時間を浪費してきただけの私が!覚醒したことによって!!」

ナカジマ「少しくらいはしゃいでも罪はないでしょう…」

ほむら「えぇ、そうね。おかげで、早々にあなたの気配を察知する事ができたわ」

ナカジマ「はい。それは確かにうかつでした。今では反省しています」

ほむら「…」

ナカジマ「さて…、貴女は、私の覚醒が偽物である事に気づいていらっしゃる。それでは、さらにその考察を広げましょう」
137 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 11:16:18.51 ID:FZHkFpEw0
【結界内部 通路 マミ さやか 杏子】

杏子「…なぁ、ホントにこのまま進んで大丈夫なのか?」

マミ「そうねぇ…どうかしら…」

さやか「うーん、私は危険はないと…、そう感じるの」

ペット使い魔「…」(^_^b

杏子「…」

マミ「いずれにしても、あのまま、あの場所にいても何も進まないわ」

マミ「今は、この使い魔、美樹さんのペットの誘導に従いましょう。危険な様子もなさそうだし」

さやか「ペットじゃないしー…」

杏子「でも、これが罠だったらどうするんだよ?」

マミ「そのときは…」ジャキッ

ペット使い魔「…」gkbr

さやか「ちょ、ちょっと、マミさん?私には…、あてないでくださいね…?」

ペット使い魔「…」ギュッ

さやか「…?…何?」

マミ「美樹さん、どうしたの?」

さやか「あれ?…この感覚…」
138 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 12:02:42.54 ID:FZHkFpEw0
【結界内部のどこか ほむらとまどか】

ナカジマ「さて…、貴女は、私の覚醒が偽物である事に気づいていらっしゃる。それでは、さらにその考察を広げましょう」

ナカジマ「私は…、この私は、どうやったら、本当の意味で覚醒することができるのでしょうか?」

ほむら「…まどかを利用するのね」

ナカジマ「30点!その答えでは、Cマイナしか差し上げられませんよ、聡明なお嬢さん。赤点です」

ほむら「…」

ナカジマ「鹿目まどかさん…」

まどか「…」ぴくっ

ナカジマ「貴女はすばらしい潜在能力をお持ちのようだ。何故だかはわかりませんがね」

ほむら「…!」(QBと同じことを…)

ナカジマ「鹿目まどかさん…、貴女は、極めて貴重な『処女』なのですよ!!」

ほむら「な!いきなりなにを…言って!!」

ナカジマ「ストップ!!チッチッチッ…、聡明なお嬢さん、少し落ち着いてください…。それは勘違いですよ。下品な想像はやめていただきたい…」

ほむら「くっ…」

ナカジマ「私が申し上げているのは、魔法少女としての『処女性』についてです」

ナカジマ「私は…、魔法使いになってしまっていた私は、魔法少年としての『処女性』を時間の流れのみによって強制的に失っていた状態でした」

ナカジマ「本来、覚醒する瞬間に失うべきであった『処女性』を、私はすでに失っていた、というわけです」

ナカジマ「しかしある日、神とも悪魔ともつかない力により、私は覚醒した…」

ほむら「あんなもの、神でも悪魔でもないわ」

ナカジマ「だが、そこには試練が用意されていた」

ナカジマ「本来30才を迎える前に生じるはずだった覚醒という現象。還暦をすぎて覚醒したその不合理を埋め合わせるために、私の肉体は最も若々しい頃へと変化した」

ナカジマ「その不合理の解消、つまりエントロピーを凌駕するために膨大な魔力が消費されてしまった。そのため、若返った自らの肉体を維持する事ができなくなり『急速な老化』という副作用が現れてしまった」

ナカジマ「その不合理を根本的に解消するためには、私が『処女性』を取り戻せば良い…」

ナカジマ「だから!鹿目まどかさん、あなたの『処女性』を私がいただく。貴女こそ、高貴なる私に最もふさわしい『処女』だ!!」

ほむら「…まどかは、あなたには渡さない。いいえ、誰にも渡さないわ」

ナカジマ「そんなこと、貴女が決める事ではありませんよ、愚かなお嬢さん」
139 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 12:03:50.12 ID:FZHkFpEw0
【結界内部 通路 マミ さやか 杏子】

杏子「…どうした?さやか」

さやか「…うん、変なんだよ。こう、気配が…」

マミ「気配?私も敵の気配を少しだけ感じているけれど…。美樹さんには何か…」

ペット使い魔「…」(-_-)/

さやか「…あ?」

杏子「おい、どうした、さやか」

さやか「…」

杏子「はやく来いよ、さっさと進むぞ?気配はだんだん濃くなってきているんだから」

さやか「…」

マミ「美樹…さん?」
140 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:28:02.26 ID:FZHkFpEw0
【結界内部のどこか ほむらとまどか】

ほむら「…まどかは、あなたには渡さない。いいえ、誰にも渡さないわ」

ナカジマ「そんなこと、貴女が決める事ではありませんよ、愚かなお嬢さん」

ナカジマ「…私はこの世を心底憎んでいる!今まで我々魔法使いが受けた屈辱を、今こそはらすときが来た!」

ナカジマ「我々を馬鹿にしてきた奴らなど、見たまえ、どいつもこいつも同じように愚鈍な顔をしているではないか!」

ナカジマ「私はそんなこの世に…、そう、君たちこそが憧れていたであろう、唯一無二の存在として、究極の覚醒者としてこの世に降臨するのだ!永遠に!!」

ナカジマ「そのための崇高なる儀式を、キサマのような愚か者などに邪魔させることは許さないっ!!」

ナカジマ「いでよ!使い魔!!」

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

ナカジマ「彼らもまた、かつての私と同じく、魔法使いという悲しい存在でした…」

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

使い魔《おーい、ナカジマー。野球やろうぜー》

ナカジマ「しかし、今より私と融合し、まどかさんの『処女性』を取り込むことにより、究極の覚醒者として、生まれ変わるのです!!」

ナカジマ「ゆけー!あの目障りで愚かな魔法少女を打ち砕けー!!!」

ほむら「…M61ガトリング」ドガガガガガガガガガガガガガガガ

使い魔《おーい、ナカジマー。野k…》ブシャァァァァ

ほむら「…MK3A2手榴弾」ボボボンッ

使い魔《おーい、ナカジマー。野球y…》バラバラバラ…

ほむら「まどか!少し後ろに下がって…!」

まどか「…!」

ほむら「…M72E10ロケット砲」

バシュー…ズガガガガガ

まどか「…あ、…どうして?」

ほむら「…まどか?何を言って…」

ナカジマ「よそ見はいけませんよ?愚かなお嬢さん?」
141 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:28:49.16 ID:FZHkFpEw0
ほむら「…!!」

ナカジマ「貴女が、よそ見は失礼だと教えてくれたんじゃないですかっ!」ドガッ

ほむら「…っくぅ」ズシャァァァァァ

ナカジマ「ウフフフ…」

ほむら「まどか!!」

まどか「…」

ほむら「あなた、まどかから、離れなさい…」

ナカジマ「何を言っているのですか?私がこの少女から離れるわけないじゃないですか」

ほむら「まどかから、離れなさい…。さもないと…」

ナカジマ「さもないと?…時間でも止めて、取り返しますか?」

ほむら「…!!」

ナカジマ「何を驚いているのですか?私に見せてくれたじゃないですか」

ナカジマ「初めて見たときは驚きましたよ。数ヶ月は再起不能になっていただこうと、まだまだ痛めつけようとしていたのに。横からいきなり現れて、ふたりをさらってしまうんですから」

ほむら「あのとき…」

ナカジマ「そうですよ。見ていました。操っていたのですから当然じゃないですか。だから貴女へのご褒美に、グリーフシードを残しておいてあげたのですよ?役に立ちましたか?」

ほむら「…」

ナカジマ「私がいろいろ実験をしているのは、すでにご理解いただいていたと思っていたのですが。自分だけは大丈夫と高をくくっていたのですか?本当に愚かですね」

ナカジマ「あぁ、そうそう、他のところにもご褒美をご用意しました。そちらも受け取っていただけたようで、とても光栄に思います」

ほむら(…?何かしら?)
142 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:29:43.02 ID:FZHkFpEw0
ナカジマ「貴女!よそ見をするのは失礼なのではないですか?」

ナカジマ「しかしもう良いです…。貴女とおしゃべりするのにも飽きてきました。目的の物はこうして私の腕の中、文字通り手に入れたのですから」

ほむら「まどかから手を離しなさい!」

ナカジマ「うるさいと何度も…、?こ、これは?」

まどか「…」ぶじゅる… みちゃっ… にちにちっ…

ほむら「まどか…!じゃない…?」

偽まどか「…い……ャ…ろ」がぱぁぁぁぁぁぁぁぁ…

ナカジマ「な、なんだこれはーーーーーーーーー!」

偽まどか「…ヵじまー…、きゅゥ…、ローぜー」びちゃっ… めきゅききき…

ナカジマ「…使い魔?使い魔だとーーーー!くそっ、離せ!離せーーーーー!!」

偽まどか「ぉーイ…なヵじマー…、きゅゥ…や、ローぜー」ぼきょきょきゅ…

ナカジマ「お前らーーーー!!なんで!なんでだーーーー!!!」

杏子「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ザシュッ

ナカジマ「…ぐぁっ」

ほむら「杏子!!」

ナカジマ「…!キサマ!!」

マミ「お待たせ!暁美さん」

さやか「転校生!…いや、ほむら!大丈夫?」

ほむら「マミ、さやか、どうやって…?」

ナカジマ「それは私の台詞だっ!なんなんだキサマら、どうやってここがーーー!!」
143 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:30:12.71 ID:FZHkFpEw0
さやか「それは、この子が…って、あれ?いない…」

ナカジマ「キサマらには、偽の気配を用意したはずだぞ。なんでそれにだまされない!!」

ナカジマ「キサマらのような鈍感で愚図なやつらが、気配の真贋など、私の罠など見破れるはずがないーーー!どうやって…、どうやってーーーー!!」

マミ「暁美さん、鹿目さんは?」

ほむら「…それが、私にも何がなんだか」

ペット使い魔「マドカサンハ ココニイマス」

まどか「…みんな」

杏子「…!」

さやか「…使い魔?しゃべれたの?」

ペット使い魔「ナカジマノ マリョクガ ヨワクナッタオカゲデス」

ほむら「…どういうこと?あなたたち、どうやってここが?」

マミ「それはね…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【少し時間をさかのぼって 結界内部 通路 マミ さやか 杏子】

杏子「はやく来いよ、さっさと進むぞ?気配はだんだん濃くなって来ているんだから」

さやか「…」

マミ「美樹…さん?」

さやか「…違う」

杏子「…ん?違うって?」

さやか「そっちじゃない!」

マミ「でも、気配の方向はこちらであっているわよ?」
144 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:31:07.25 ID:FZHkFpEw0
さやか「…罠だ」

ペット使い魔「…」コクッコクッ

杏子「罠?」

ペット使い魔「…」ギュッ

さやか「この先、たしかにあいつの気配がある。魔法少女らしき気配もみつけた…」

マミ「美樹さん、そんなことまで感じるの?」

ペット使い魔「…」ギュギューッ

さやか「でも違う…。これは、この気配は魔法少女じゃない。…瀕死の、…魔女?」

杏子「魔女だって?」

さやか「彼女が…、教えてくれているの…。必死に、『こちらに来てはダメだ』って」

マミ「魔女が、なぜそんなことを?」

さやか「わからない…。でも、でも、魔女は…、泣いている?」

杏子「…操られている、…魔女」

さやか「…そして、正しい方向は、わずかにそれている…、あっち!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【結界内部のどこか】

マミ「…というわけなのよ」

さやか「この子が私にしがみつくと、周りの気配がすーっと透き通るように感じる、というか」

ペット使い魔「…」

まどか「私を急に助けてくれたのも、この子…」
145 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:31:45.42 ID:FZHkFpEw0
ペット使い魔「イッシュンノ スキヲ ツキマシタ」

ペット使い魔「サイショニ ナカジマガ ホムラサンニ ヨソミヲ チュウイ シテイルトキ」

ペット使い魔「ナカジマハ ヨソミ シテマシタ」

ペット使い魔「ホムラサンガ イナケレバ アノスキハ デキナカッタ」

ペット使い魔「ホムラサンガ マドカサント イッショニ イテクレタ オカゲデス」

まどか(…ほむらちゃん)

ほむら「…あなたは、…まさか」

ナカジマ「おまえー!こらぁー!この私を裏切ったのかーーーー!」

ナカジマ「くだらない魔法使いの日々から解放してやった、この私をーーーー!!」

ペット使い魔「ボクハ ウラギッテナド イナイ」

ペット使い魔「サイショカラ キョウリョクナド シテイナカッタ」

マミ「…!そのしゃべり方!!」

杏子「お前…」

ペット使い魔「カツオデス」

さやか「え?なになに?誰?」

ほむら「…」

ナカジマ「…カァツゥオォォォォ!!きさまぁぁぁぁ!!」

ナカジマ「おまえはぁぁぁぁ!いつも!いつもいつも!いつもいつもいつもいつも!私の邪魔ばかりしやがってーーーー!!」

ペット使い魔「…」
146 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:32:16.34 ID:FZHkFpEw0
ナカジマ「カオリちゃんのことは私も好きだった!それを知っているのに、おまえは、おまえはぁ!!」

ナカジマ「私からカオリちゃんを奪ったくせに!!カオリちゃんを幸せにもできなかったじゃないかぁぁぁぁぁぁ!!」

ナカジマ「お前のせいで、お前がいたから、カオリちゃんは不幸になって、私は覚醒できなかったんだぞーーーーー!わかってるのかーーーー!!!」

杏子「…」

さやか「…」

マミ「…どういうこと?」

ペット使い魔「カレガ イッテイル トオリデス」

ペット使い魔「シカシ ソンナコトハ ドウデモイイ ジカンガ アリマセン」

ペット使い魔「ワタシガ ジガヲ ヨミガエラセタ ツカイマ」

ペット使い魔「カレラノ チカラモ ナガクハ モチマセン」

ペット使い魔「シカシ ナカジマハ イマナラ シンゾウノ サイセイモ デキマセン」

ペット使い魔「ハヤク トドメヲ」

ほむら「そうね。でもその前にあと一言、あいつに言ってやっていただけないかしら?カツオさん」

ペット使い魔「ナカジマ タタカイトハ ショウリヲ カクシンシタ シュンカンガ モットモキケン ナンダヨ」
147 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:33:06.40 ID:FZHkFpEw0
【………どこか】

「…」

「……」

「…ん、僕は、今、何をしていたんだっけ…?あぁ、あたたかい…、こんな気持ち、久しぶりな気が…」

「でも、どこなんだ…?ここは…いったい…」

「…」

「ちょっとあんたたち、カオリちゃんがいやがってるじゃないのっ!」

「花沢さん…」

「やぁ、カツオ君たち、バーベキューなんてハイカラだねー。いや〜奇遇だな〜僕もまぜてよー」

「ノリスケ…さん」

「おーい、磯野ー!野球しよーぜー」

「あれは…、僕…?」

「なかじまくん?」
「なかじまー!」
「なかじまくーん」

「み…、みんな…」

「あれ?どこ?どこに…?」

「あ…、光が…、僕をつつみこんで……」

チチチ… チュン… チュン…

なかじま「…」

カツオ「なかじま、すまない。待たせて悪かった」

なかじま「いや、良いよ。今、空き地を眺めていたんだ。退屈はしていなかったよ」

なかじま「それより、磯野。僕をおいてどっかに行こうとするなんて、そっちの方がひどかったぞ」

カツオ「あぁ、そうだったね。ごめんごめん」

カツオ「さぁ、みんなも待ってる。そろそろ行こう…」

なかじま「うん。あ、話は変わる※だけど、※カメち※※て……い※………
148 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:33:54.01 ID:FZHkFpEw0
【結界内部 入り口近く】

ペット使い魔「ミナサン アリガトウゴザイマシタ」

ペット使い魔「コレデ キケンハ サリマシタ」

ペット使い魔「サヤカサン アイサツガ オクレマシタ カツオデス ハジメマシテ」

さやか「…」

ペット使い魔「イゼンノ ジケンノトキ アナタニ アヤマッテイナカッタ」

ペット使い魔「ココデ アラタメテ オワビイタシマス アノトキハ モウシワケナカッタ」

さやか「…わ、私は、…あの事件の記憶はほとんど無いから。…あやまらなくても」

杏子「おまえ…、死んだんじゃないのか?」

ペット使い魔「ソウデス イマノ ワタシハ ザンゾンシネン」

ほむら「それが彼の使い魔に取り付いているのね」

マミ「でも、どうして?」

ペット使い魔「ツカイマノ ザイリョウトシテ カツオノ ニクタイヲ リヨウシタカラ」

ほむら「ナカジマは使い魔を『作った』と言っていたわ。その材料は…」

マミ「殺された魔法使いの魂と、カツオさんの肉体だった、というわけね」

ペット使い魔「ハイ」

杏子「だから、最初に見たとき、見覚えがあるような気が…」

ほむら「それで、カツオさんの思念が使い魔に働きかけて、使い魔の魂の自我を取り戻させた」

ペット使い魔「スベテノ コタイ トマデハ イキマセンデシタガ」

杏子「それで、お前はこのあとどうするんだよ?」

ペット使い魔「ワタシハ タダノ ザンゾンシネン」

ペット使い魔「ホンタイデアル コノカタチハ アルジヲ ウシナッタイマ ナガクハ モチマセン」

ペット使い魔「マモナク カンゼンニ キエサリマス」

ペット使い魔「モウ ジカンガ アリマセン ケッカイガ トジルノデ ニゲテクダサイ」

QB「…っふぅ。疲れたっと」

杏子「QB!おまえ、今までどこに行ってやがった!」

QB「ひどいなぁ。切り札として仕事していたんだよ」

マミ「…切り札?」
149 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:34:24.34 ID:FZHkFpEw0
ペット使い魔「QBサンニハ ニセマドカノ カク トナッテ イタダキマシタ」

QB「そう。気持ち悪かったんだよ?使い魔にべったり囲まれて」

QB「僕がまどかのイメージを使い魔に伝えて、それで彼らは偽まどかの形を維持できたのさ」

杏子「…少しだけ褒めてやる」

マミ「最初に言って欲しかったわ。それを知っていたら、鹿目さんの偽物ごと彼をふっとばしていたのに…とても残念だわ」

QB「…」

ほむら「さぁ、もう良いでしょう。この結界はもう消滅するわ」

さやか「そだね。はやく帰ろう」

ペット使い魔「ソレデハ コンドコソ サヨウナラ」

ほむら「…さよなら」

杏子「あぁ」

マミ「さようなら」

さやか「…じゃ」

まどか「…さ、さよなら」
150 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:34:59.10 ID:FZHkFpEw0
【結界の外 夕刻】

杏子「んー、疲れたー」

マミ「これ、それぞれ取ってちょうだい」

さやか「グリーフシード?こんなに?」

マミ「最後にカツオさんがくれたの。たぶん、ナカジマに操られた魔女から集められたものだと思うわ」

杏子「まさか魔女に同情する日が来るとは想像してなかったよ」

マミ「さぁ、とにかく穢れたソウルジェムを治しましょう。ほら、暁美さんも」

ほむら「…そうね」

まどか「…」

ほむら「…まどか、どうかした?」

杏子「まどか、そんな顔するなよ。今回のまどかはきっちり役割を果たしていたじゃないか」

まどか「杏子ちゃん…」

さやか「それにしても、あのナカジマってやつ、どうして覚醒できたんだろうね?」

マミ「…そうねぇ。結局わからないままだわ」

QB「それはね、これだよ」

さやか「ん?なになに?…ってこれ!」

まどか「これなぁに?」

杏子「わ、やめろ、まどか!見るな!おまえにはまだ早い!」

マミ「佐倉さん、何言ってるの?早いも何も、私たちには関係無いわ…」

ほむら「…QB」チャッ

QB「え?なn…」ッパァァァァァン…

杏子(…ほむらが切れた。…こえぇ)
151 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/14(月) 15:35:30.63 ID:FZHkFpEw0
さやか「ところで…、みんな…、これ」

マミ「あら、コンサートチケットね」

まどか「上条君のコンサート!」

杏子「そういえば、そもそも、そのためにここに来たんだっけな」

マミ「今何時かしら…」

ほむら「…開演30分前よ」

まどか「急がなきゃ!さやかちゃん!」

杏子「指定席とかじゃないのかい?」

マミ「自由席って書いてあるわ」

杏子「マジかよ…。おい、急ぐぞ!さやか!」

さやか「う、うん!」

杏子「ところで、なぁ、ポップコーンとかないのかな?」

マミ「…佐倉さん、映画館じゃないのよ?」



【第二章 完】

〜次回予告:外伝 最初の覚醒者〜
152 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/14(月) 15:37:06.47 ID:FZHkFpEw0
※御礼※

拙作におつきあいいただき、ここまで読んでいただけた方に、深く感謝いたします。ありがとうございました。

※質問※

ご提案があったので、予告したとおり、外伝を書き始めました。この場合、このスレに続けた方が良いのか、それとも新しくスレ立てした方が良いのか、どちらなのでしょう?

(今のところ、新スレを立てる予定です)

※反省※

途中から覚醒者の設定がぼやけてきてしまいました。単純に、ほむらたちが敵と戦っていただけのような気が…。orz
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/14(月) 15:52:27.38 ID:UHNhTo2Lo
面白かったー!
ナカジマの壊れ方がかなり好き
154 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/14(月) 18:06:01.20 ID:FZHkFpEw0
>>153
楽しんでいただけたようで、とても嬉しいです。
ありがとうございます。
ナカジマの壊れ方は、とても時間をかけた部分でもあるので、気に入っていただけて良かったです。
ちなみに、彼の登場シーンのBGMは、Spankers の Sex On The Beach をイメージしています。
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/14(月) 18:27:01.51 ID:ddEjESuAO
オーツ!
外伝も超楽しみにしてますー!

外伝もこのスレで良いと思いますよ。
自分的に覚醒者は仮面ライダークウガみたいにどんどん進行していって、ある一点を超えたら一気になるというイメージですね。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/14(月) 23:56:51.25 ID:t+gSjmgIO
あれ?第3話は?
157 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/15(火) 15:25:11.33 ID:zAFjTWhr0
>>155
ありがとうございます。
外伝もご期待にそえるようがんばりたいと思います。
覚醒に対する私のイメージは、精神的に破綻して、いっきにぶち切れる感じですね。
物語のなかでは、いろいろなパターンで覚醒していってもらおうと考えています。

>>156
第三章については、実は構想はあって、ネタもあります。
しかし、登場人物の配置がなかなか思いつかなくて…。
ひとまず、外伝に逃げてしまいます。
158 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/15(火) 18:34:44.09 ID:zAFjTWhr0
〜外伝 (第二章後日談) 最初の覚醒者〜

【第二の事件からさらに一ヶ月以上後 3月18日 墓地】

杏子「んー、この地図、わかりにくいなー。あっちがこっちで、こっちが、あ、あれ?どっち?」

まどか「杏子ちゃん、それ、逆さ…、だと思う…」

マミ「佐倉さん、ちょっと私にかして…」

マミ「えーと、そこを右、じゃないかしら?暁美さん」

杏子「…」

ほむら「…ここね」

まどか「…」

杏子「かなり雑草が生えてるな」

さやか「お待たせー、お花買って来たよー」

マミ「美樹さん、ご苦労さま。さぁ、まずは雑草を抜いたり、お墓をきれいにしましょう」

まどか「杏子ちゃん、はい、軍手」

杏子「ん?あぁ、サンキュ」

マミ「お線香とかお供え物は、ひとまず、そっちによけといてちょうだいね」

さやか「はーい」
159 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/15(火) 18:39:33.42 ID:zAFjTWhr0
>>155
さっそく外伝の投稿を開始しました。
いただいたアドバイスどおり、このスレに続けます。
またしばらく拙作におつきあいください。
よろしくお願いいたします。
160 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/15(火) 19:10:48.10 ID:zAFjTWhr0
【少し時間をさかのぼって 3月8日 暁美ほむら 自宅】

ほむら「…」カチッ カチカチッ カチッ

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃん、マミさんが紅茶をいれてくれたよ?」

ほむら「まどか…。えぇ、わかったわ。ありがとう」

マミ「はい、暁美さんの紅茶よ。あと、ケーキはどれにする?」

ほむら「…私はあまったので良いわ。まどか、あなたがえらんで」

まどか「えーと…、じゃぁ、はい、これ!ほむらちゃんの!」

まどか「これ、すごく美味しいんだよ?」

ほむら「…そう。ありがとう」

ほむら(あまったので良いと言ったじゃない。えらんでって、そういう意味じゃないのに…)

マミ「ふふふ…」

杏子「ほむらー、さっきからパソコンで何見てたんだい?」

さやか「そうだよ、せっかくみんなで UNO やってるのに」

マミ「私、ぜんぜん勝てないのよ?鹿目さんが、こんなに強かったなんて…」

杏子「2回も席替えしたのに、ことごとくまどかの隣りだしなー」

マミ「えぇ…。悔しいわ…」

まどか「そんな…。ウェヒヒヒヒ…」

杏子「まどかの隣席は地獄席だ。マミが、ほむらにゆずってあげるって言ってるぞ?ははは」

ほむら「…」
161 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/15(火) 19:11:54.83 ID:zAFjTWhr0
マミ「…それで、何を見ていたのかしら?ずいぶん集中していたみたいだけれど」

ほむら「…イクラさんから預かったデータよ」

マミ「データ?」

ほむら「そう。データ。USBメモリの中にアルバムがあったわ」

杏子「…どれどれ?」カチッ カチカチッ

さやか「杏子、パソコン使えるんだ?」

杏子「料理のことといい、さやか、お前はあたしのことを色々と馬鹿にしすぎだぞ?」

マミ(料理は…、正確な評価だと思うわ…)

杏子「…これは!」

さやか「きゃー、かわいい!幼稚園の運動会かな?ほら、まどかも見てごらんよ」

まどか「…あ」

ほむら「その写真はイクラさんとタラオよ」

さやか「…え?」

ほむら「カツオさんやナカジマらしき男の子の写真もあったわ」

マミ「なぜ、こんなものを…?」

ほむら「最初の戦いのあと、イクラさんから渡されていたの」

ほむら「そのUSBメモリには、彼らの想い出が記録されているそうよ」

ほむら「それで…」

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【最初の戦い 結界が閉じる直前】

イクラ「… 暁美ほむらさん」

ほむら「…?」

イクラ「最後にお願いがあります。これを受け取ってください」
162 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/15(火) 19:13:00.16 ID:zAFjTWhr0
ほむら「これは?」

イクラ「僕達の想い出です。アルバムなどのデータが保存されています。カツオさんに用意してもらいました」

ほむら「これを私が受け取ってどうしろと?」

イクラ「僕達は、これから永遠に閉鎖空間へと取り込まれます…」

イクラ「別に、それが嫌だというわけではありません」

イクラ「ただ、当然のことながら、僕達は世間的には行方不明者として処理されるでしょう」

イクラ「従って、お墓に入ることはできません」

イクラ「タラちゃんは、本当に家族想いの子供でした」

イクラ「だから、せめて、このデータだけでも、サザエさん達と一緒に葬ってほしいのです」

イクラ「とても面倒なことをお願いしていることは、じゅうぶんに理解しています。本当に申し訳ありません」

イクラ「でも…」

ほむら「それ以上何も言わなくて大丈夫よ。いいわ、約束しましょう」

イクラ「暁美ほむらさん…、ありがとう。本当にありがとうございます」

ほむら「じゃぁ、時間が無いから、もう行くわ」

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【再び 3月8日 暁美ほむら 自宅】

ほむら「…」

マミ「…そんなことがあったのね」
163 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/15(火) 19:13:30.65 ID:zAFjTWhr0
ほむら「えぇ。すぐにお墓の場所を調べようとも思っていたのだけれど、立て続けに敵が現れてしまったから、今まで放置してしまっていたの」

杏子「で、どうすんだ?」

ほむら「約束は守るわ」

まどか「お墓って、どこにあるの?」

ほむら「それは、これから調べるわ。たぶんデータの中に住所があるはずよ」

ほむら「ただ、気になることがあったの…」

マミ「気になること?」

ほむら「えぇ。このUSBメモリの空き容量がおかしいの。明らかに隠しファイルがあるような印象を受けるわ」

杏子「その正体を探していて、集中していたのか」

ほむら「そうよ」

マミ「ちょっと私にも見せてみて。杏子、そこどいてくれる?」

杏子「ん?あぁ、良いよ」

ほむら「…」

マミ「…本当だわ。たしかに計算があわない。それも、隠されているとしたら、かなりのファイルサイズね」

ほむら「今までのこともあるから、少し気になって、調べているのよ」

マミ「そうねぇ…」

さやか「ウィルスとかだったらヤバいんじゃないの?」

ほむら「その心配はいらないわ。そのパソコンは、完全オフラインにしてあるから」

ほむら「仮にその隠しファイルがウィルスだったとしても、最悪パソコンごと処分すれば良いだけよ」

杏子「パソコンを処分って、そんな簡単に…。これ、高いんじゃないのか?」

ほむら「…『買い物』に行けば済む話よ」
164 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/15(火) 19:47:45.30 ID:zAFjTWhr0
【3月8日 深夜 暁美ほむら 自宅】



ジッ…

ジジジッ…

…ヴゥン

カリカリカリカリッ…

ピピッ ピピッ

○○○○「はぁぁぁぁぁ…」

○○○○「…」

○○○○「さてと…、後片付けをするかな…」

○○○○「ナミエ…」

○○○○「……」

○○○○「…」

…ブツン



ニャー…
165 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 04:23:51.26 ID:zKWmSN1O0
【3月14日 学校屋上 昼休み】

まどか「…ほむらちゃん、これ」

ほむら「…」

まどか「…」

ほむら「…」

マミ「何しているの?ふたりとも」

ほむら「…っ!!」

まどか「あ、マミさん。マミさんにも、はい、これ」

マミ「これは何かしら?」

まどか「ホワイトデーです!ティヒヒヒ」

マミ「あら、ありがとう!美味しそうな…、おまんじゅう?」

まどか「マミさんには、いっつも紅茶とかケーキとかゴチソウになってるから…」

マミ「そんなに気にしなくても良かったのに。でも、ありがたくちょうだいするわ」

マミ(たぬきの…、かたちをしているわ…、何かの冗談のつもり…)

マミ「み、みんなにあげているのかしら?」

まどか「はい!」

マミ「美樹さんは?」

まどか「上条君のところに行ってるみたいですけど…」

さやか「おー待たせー」

まどか「あ、さやかちゃん!」

マミ「あら、美樹さん。こんにちは。どうしたの?ごきげんね?」

さやか「いやー、その、たははは…」

まどか「あ、上条君から、ホワイトデーのお返し!」

さやか「うん。いちおう、ね…。たははは…」

マミ「あら?でも、美樹さん、ふたつ持っているわよ?もうひとつはどうしたのかしら?」

さやか「はい。それが…」

まどか「?」

さやか「その…、下駄箱に…」

まどか「えー?」

マミ「誰かからのお返し?」

さやか「それが、名前も、なにも書いていないんです」

マミ「あらあら、美樹さんの隠れファンということかしら」

まどか「さやかちゃん、すごーい」

さやか「そ、そんなんじゃ…」
166 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 04:24:56.73 ID:zKWmSN1O0
【3月14日 深夜 美樹さやか 自宅】

さやか「…」

さやか「恭介からのホワイトデー…」

さやか「こんなものもらっても、いまさら…」

さやか「私は、私はもう…」(人間じゃない…)

さやか「…」

QB「やぁ、美樹さやか」

さやか「…OB」

さやか「私のところになんか来て…。なにか用でもあるの?」

QB「ちょっと、さやかのソウルジェムを見せてくれないかな」

さやか「…?…はい、これ」

QB「…これは」

さやか「どうかしたの?」

QB「いや、なんでもない」

QB「ボクは、またしばらく調べてくることができたみたいだ」

さやか「調べる?また『覚醒者』とか…」

QB「いや、そういう危険なことじゃないよ」

QB「とにかく、ボクはしばらく消えるから、他のみんなによろしく言っておいてよ」

さやか「…う、うん」

QB「じゃ、おやすみ。美樹さやか」

さやか「…行っちゃった」

さやか「まいっか。さて、寝よ…」
167 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 04:25:23.26 ID:zKWmSN1O0
さやか「…ん。…zz。…zzZ」

=======================
=======================

女性『…あなた』

男性『タイ子!』

女性『あたしの赤ちゃん…』

男性『心配するな…』

女性『でも…、でも…』

男性『僕に任せて安心していろ。今は、自分の身体のことだけを考えるんだ』

女性『………

男性『…

=======================
=======================

さやか「…。…zzZ」

さやか「…!」がばっ

さやか「…と、夢…、か。えと、なんだったっけ…。んー…」

ニャー…

さやか「…?ネコの鳴き声?」

黒猫「ニャー」

さやか「あれ、どこから入って…」

黒猫「ウニュー。ゴロゴロゴロ…」

さやか「ははっ。かわいー」

黒猫「ニャッ。ニャッ…」

さやか「こらこら。それはおもちゃじゃないよー」

黒猫「ニャー」

さやか「ふふふ。お前、ウチの子になっちゃう?」

黒猫「ニャー」
168 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 05:51:12.53 ID:zKWmSN1O0
【3月15日 暁美ほむら 自宅】

マミ「はーい、紅茶がはいったわよ」

杏子「お、待ってましたー」

ほむら「…はい。クッキーも」

さやか「ニャー」

マミ/ほむら「?」

さやか「いやいやいや、今の私じゃないですって。ほら、出ておいでー」

黒猫「ニャー」

まどか「きゃー、かわいい…!」

黒猫「ニュー、ゴロゴロゴロ…」

マミ「美樹さんのペットかしら?」

さやか「はい。昨日から」

杏子「どうしたんだい?」

さやか「それが、昨日の夜中に突然ウチに来て、それから」

まどか「ねぇ、さやかちゃん、この子の名前は?」

さやか「あ、いや、まだ名前は決めてないんだけど…。この子、私のソウルジェムにやたら興味を持ってるみたいで。ほら」

黒猫「ニャッ、ニャッ…」

マミ「あらあら」

まどか「エイミー!」

杏子「エイミー?」
169 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 05:52:05.06 ID:zKWmSN1O0
まどか「うん!エイミー。この子の名前」

黒猫「ニャニャー!」

マミ「あら、このネコちゃん、その名前が気に入ったみたいよ?」

杏子「人の言う事がわかってんのかねぇ」

さやか「んー、じゃ、エイミーで良いか。エイミー、おいでー」

エイミー「ニャー」

杏子「あ、返事した…」

マミ「私のソウルジェムにも反応するかしら…。はい、どうぞ」

エイミー「…」

さやか「あれ?どうしたの?エイミー」

まどか「どうしたんだろ…」

杏子「好み…、でもあるのか?」

エイミー「ニャニャー」

マミ「あ、そっちは…」

杏子「…使いかけのグリーフシード?」

エイミー「ニャッ」ピトッ

杏子「…!!」

マミ「穢れが…」

ほむら「穢れが吸い取られていっているわ。どういうことなのかしら?」

まどか「ほむらちゃん…!」

さやか「この子…」
170 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 05:52:44.26 ID:zKWmSN1O0
マミ「黒猫…、伝説上の話でしかないけれど、昔から黒猫は魔女の使い魔として語られることが多いわ」

マミ「私たち魔法少女も、一般の人達からすれば伝説みたいなものだし、この黒猫に不思議な力があったとしても…」

ほむら「いえ、ちょっと様子が変よ…。何かしら」

エイミー「…」

ほむら「…」

杏子「なんか、見つめ合ってるけど…」

エイミー「ニャー」

ほむら「あ、そっちは…!」

エイミー「ニャニャニャニャー!」カチャカチャカチャッ…

…ヴゥン

カリカリカリカリッ…

ピピッ ピピッ

杏子「おい、その猫、パソコン使ってんぞ?」

マミ「電源が入っただけよ…。でも…」

エイミー「…」

ほむら「…」

エイミー「…ようやくたどり着きました。間に合ってよかった」

エイミー「はじめまして、魔法少女のみなさん」

杏子「猫がしゃべった!!」

マミ「まさか本当に使い魔!!」

ほむら「いいえ、この猫からは、邪悪な気配は何も感じないわ」

さやか「エイミー…」
171 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 05:53:32.38 ID:zKWmSN1O0
エイミー「驚かせてしまって申し訳ありません」

ほむら「あなたは誰なのかしら?」

エイミー「僕の名前は波野ノリスケともうします。イクラの父親です。もちろん仮の姿ですけれども」

マミ「イクラさんの…」

杏子「イクラって、最初の覚醒者…」

ノリスケ「いいえ、イクラは覚醒者ではありませんでした」

ほむら「どういうことなのかしら?」

ノリスケ「はい。これから全てお話しします。それは僕の懺悔でもあります。そして、僕に託された役割を果たします」

さやか「…役割?」

ノリスケ「はい。カツオ君から託された使命です」

マミ「カツオさんから託された…」

ノリスケ「鹿目まどかさん」

まどか「は、はい…」

ノリスケ「タラオちゃんが貴女を狙った、本当の理由…。それはイクラのためなんです」
172 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 05:54:01.83 ID:zKWmSN1O0
ほむら「…たしかに。私もおかしいと思っていたわ」

さやか「おかしいって、何が?」

ほむら「ナカジマは、不完全な覚醒の不合理を解消するためにまどかを狙っていた…」

マミ「そう言われてみれば変ね。タラオは、普通の覚醒者だったわ」

ほむら「タラオがまどかを狙った理由がナカジマと同じだとすれば、それはつじつまがあわないわ」

マミ「タラオは覚醒者としての不合理など持ち合わせていなかった…」

ほむら「そう。他にも納得できない部分があったわ。イクラさんは覚醒者としては記録に残っていなかった。なのに、本人は自分が覚醒者であると名乗っていた」

マミ「最年少の覚醒者…」

ほむら「そうよ。最年少と言えば、それはイクラであるべきだわ。なのに、QBが言っていたわ『最も幼くして覚醒した覚醒者はタラオ』と」

杏子「今、エイミー、いや、ノリスケも、イクラは覚醒者じゃなかったって言ってたな」

ノリスケ「はい。さすが、カツオ君が言っていたとおりだ。貴女方は本当にするどい」

ノリスケ「今から全てお話します。まず、昔話から始めるとしましょう…。イクラとタラオちゃんの話を…」
173 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:44:03.32 ID:zKWmSN1O0
【時はさかのぼり194X年 某日 夜 波野家】

ノリスケ「ただいまー」

タイ子「あなた、おかえりなさい」

イクラ「ハァーイ」

ノリスケ「おー、イクラー。良い子にしてたかい?」

イクラ「ハァーイ」

ノリスケ「身体の具合はどうだい?タイ子」

タイ子「えぇ…、今日は調子が良いわ。もうすぐ晩ご飯の支度がすむから、着替えてきていらして」

ノリスケ「あぁ、わかったよ。よーし、イクラー、こっちおいで。パパ着替えるから手伝ってくれ」

イクラ「ハァーイ」

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ノリスケ「…ふぅ〜、やれやれ。いやー、しかし今日はまいったよ。また波平おじさんに怒鳴られちゃってさー…」

ノリスケ「でも、僕は悪くないんだよ?ほんと。おじさんたら『全自動卵割り機』なんて物買ってきたらしくてさ…、それで…、って聞いているのかい?タイ子」

タイ子「…」

ノリスケ「…タイ子?おい!タイ子!!」

ノリスケ「やばい、救急車!」
174 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:44:55.39 ID:zKWmSN1O0
【数日後 病院の一室】

マスオ「…ノリスケ君」

ノリスケ「…タイ子」

タイ子「…」

イクラ「…ハァー…イ」

ノリスケ「イクラ…。大丈夫だ、心配するな。ママはちょっとお休みしたいだけだから」

ガチャッ キィー…

ノリスケ「先生!」

医者「波野さん、検査結果が出ました」

ノリスケ「先生、タイ子の容態は…」

医者「正直なところ、あまりよろしくは無いですな…。今後の事を含めて、少しお話しましょう」

ノリスケ「…はい」

マスオ「ノリスケ君、もうすぐサザエもやって来るから、イクラちゃんのことは僕達でめんどう見ておくよ」

ノリスケ「マスオさん、ありがとう」

マスオ「さぁ、イクラちゃん、こっちにおいで」

イクラ「ハァーイ」
175 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:45:36.37 ID:zKWmSN1O0
【病院 待合室】

サザエ「あなた、お待たせ」

マスオ「サザエ…」

サザエ「タイ子さんの具合は?」

マスオ「さぁ、あまり良くないらしい。今、ノリスケ君と先生が話している」

サザエ「そう…。イクラちゃんは?」

マスオ「病室で話を聞かせるわけにも行かないから、僕がつれて来たよ。今、看護婦さんが、トイレにつれて行ってくれてる」

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【病院のトイレ】

看護婦「さぁ、イクラちゃん?ひとりでできるかなー?って、あら?」

イクラ「…」

看護婦(…?何を見ているのかしら?…何もないけど)

イクラ「…」

●●●●「…イクラ。私と契約するかね?」

イクラ「…?」

●●●●「…願いを言え。頭の中で考えるだけで良い」

イクラ(…ママ)

●●●●「それが願いか。今からお前は魔法少年となる。願いは成就するだろう」

イクラ「ハァーイ」

●●●●「我が名はエルミタ。…お前の担当者だ」

看護婦(…?)
176 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:46:19.43 ID:zKWmSN1O0
【194X年 春 とある公園】

ノリスケ「タイ子。このお弁当、少し味が薄くないかい?」

タイ子「何言ってるの…。あなたのために薄味にしているのよ?少しは健康のことも考えください」

イクラ「ハァーイ!」

ノリスケ「…そういうことかい。しかし、君の身体こそ、元気になってよかったよ」

タイ子「そうね。あなたと、イクラのおかげだわ」

ノリスケ「正直、先生とは、もうダメかもって話してたんだよ?それが、とたんに元気になってしまうんだから。先生も不思議がっていたよ。…たのむから、もう無理はしないでおくれよ?」

タイ子「えぇ、わかっているわ。イクラのためにも、ね」

イクラ「ハァーイ!」

ノリスケ「よーし、イクラ。パパとキャッチボールしようか?」

タイ子「あなた、イクラにキャッチボールはまだ無理なんじゃなくて?」

ノリスケ「いや、そんなことないんだよ。もう何度もやってるよなー?イクラ?」

イクラ「ハァーイ!」ドシュッ …クンッ

ノリスケ「…っく!」ズバシッ

タイ子(な…、ス…、スプリッター?えぇー?)

ノリスケ「や、やるなぁ〜、イクラー!はははは!ははは…」(は?)

イクラ「ハァーイ!」
177 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:47:12.15 ID:zKWmSN1O0
【その夜 波野家】

ノリスケ「zzZ」

タイ子「zzZ」

イクラ「…」

イクラ(パパ、ママ、ボクは…)

エルミタ「…イクラ。仕事には慣れたか?」

イクラ「エルミタ…。家には来て欲しくないと言ってあるはずだけど?」

エルミタ「かまうことは無いだろう…。どうせ彼らに私の姿は見えないのだから」

イクラ「…ふぅ。それで、何?世間話をしにきたとでも言うのかい?」

エルミタ(イクラの能力…。我々の実験は成功だったと言って良いだろう…)

イクラ「…?どうかしたのか?」

エルミタ「…新しい仕事だ」

イクラ「また仕事かい?まったく人使いがあらいね。他の魔法少年たちもこんなに忙しいのかい?」

エルミタ「今動いているのは、お前の他は全て魔法少女だ」

イクラ「ふぅん…。魔法少女、ねぇ…。まぁ、そんなことどうでも良いや。しかたない、仕事は数日で片付けるよ」

エルミタ「…頼んだぞ」

エルミタ(他の実験体と比較して、イクラの潜在能力は想像以上だ)

エルミタ(魔法少年となったことにより、精神的にも成熟した)

エルミタ(しかし、どこか不安定と思えることもある)

エルミタ(どういうことなのか、まだしばらく観察が必要か…)
178 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:47:53.15 ID:zKWmSN1O0
【数日後 波野家 昼間】

タイ子「…はい。…はい。えぇ、わかったわ。…はい。じゃ、あとで…」ッチン…

タイ子「イクラー?どこにいるの?タラちゃんが遊びにくるわよー?」

イクラ「…」

タイ子「イクラ?どうしたの?」

イクラ「ハ、ハァーイ!」

タイ子「?」

イクラ(…どういうことなんだ?いったい、これ…は…?)

イクラ(落ち着け、落ち着くんだ。そ、そうだ、まず素数を数えて…)

イクラ(2…、3…、5…、7…、11…、13…)

イクラ(って…、馬鹿かボクは。そんなことやってどうする?)

イクラ(…考えろ!いや、落ち着け。まず落ち着くんだ)

イクラ(しかし…、これは…、この母子手帳の内容…)

イクラ(ボクが…、お…、女の子だって…?)

タイ子「イクラ?ホントにどうしたの?」

タイ子「…と、あら、いやだわ?もうすぐサザエさんたちが遊びにくるのに、雨かしら…。急に曇ってきて…」

イクラ(…!この気配!…エルミタの言っていた魔女!くそっ、こんなときに)
179 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:48:33.98 ID:zKWmSN1O0
【イクラ 魔女との戦い】

歌曲の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ!!」

イクラ「…!」

使い魔「Du liebes Kind, komm, geh mit mir!」

イクラ「くっ…、この…」

使い魔「Manch bunte Blumen sind an dem Strand!」

歌曲の魔女「キャッハハハハハハハハハハハハハ!!」

使い魔「Willst, feiner Knabe, du mit mir gehn?」

イクラ「そこを、どけー!」

使い魔「In seinen Armen das Kind war tot!!!」

イクラ「…あれは、ママ!それに、タラちゃん!!」

イクラ「…こん、…のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」ズバァァァァァ!!

歌曲の魔女「ッキャァハハハァハハh…」ボシューーーーー…

イクラ「…はぁ、…はぁ、…はぁ」

イクラ「…はぁ」ドクン…

イクラ「…!」ドクン… ドクン…

イクラ「ぅぁぅ…」ドクン…ドクン…ドクン…

イクラ「う、うわあぁぁぁぁぁぁ…」ドクンドクンドクンドクン…
180 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:49:28.97 ID:zKWmSN1O0
【現代 3月15日 暁美ほむら 自宅】

ノリスケ「…こうして、イクラは、魔法少年としての限界を迎え、その身体は全く別の『者』へと変化してしまいました」

さやか「…それって、『覚醒』じゃなかったの?」

ノリスケ「いいえ、違います」

マミ「イクラさんは、女の子だったって…」

杏子「それじゃ、魔法少女だったってことかい?」

ノリスケ「いいえ、それも違います。ここからは、私の懺悔となります」

ほむら「…」

ノリスケ「イクラは…、イクラが生まれたとき…、イクラは女の子としてこの世に生を授かりました。イクラの本当の名前は、『ナミエ』といいます」

ノリスケ「しかし、その身体は病に冒されていたのです…。世界でもほとんど症例がない、普通なら助からない、極めて深刻な状態でした」

ノリスケ「それでもひとつだけ、イクラが助かる方法がありました」

ほむら「…女性機能の放棄」

ノリスケ「はい…。そのとおりです」

杏子「…不幸だな」
181 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 11:49:56.95 ID:zKWmSN1O0
ノリスケ「それすらも100%の保証はありませんでした。しかし、私と妻はそれに賭けるしかなかった。いや、妻のタイ子には後から話しました。私の独断でおこなったことです。僕はこの期に及んでもなお、自らが犯した罪から逃げようとしているのか…」

ノリスケ「イクラの出産で、妻の身体もただではすまなかったのです。彼女は、もう、子供を産める身体ではなかった…。そんな彼女に、このように残酷な話などできなかった」

ノリスケ「その結果、イクラはなんとか生きながらえることができました。ただ、『ナミエ』としてではなく、『イクラ』という不完全な男の子としてですが」

ほむら「…あなたは悪くないわ」

マミ「そうよ。命とは、そう簡単に諦めていいものではないわ…」(私だって…)

ノリスケ「ありがとう。暁美ほむらさん、巴マミさん」

ノリスケ「しかし、私の判断の所為で、イクラは…」

ほむら「ある日、イクラさんは、自分の出生の秘密に気づいてしまった。そのことが心のゆらぎを招き…」

さやか「そのとき出現した魔女との戦いで自分の限界を見誤って…」

マミ「そして、精神的にも破綻して『覚醒』してしまった、と…」

ノリスケ「はい…。正確には『覚醒』ではありませんでしたが…」

杏子「そうか…、イクラは男の子じゃなかったからな…」

マミ「えぇ、でも女の子でもなかった…」

ノリスケ「さらに、不幸の連鎖は止まるところを知りませんでした…」

ノリスケ「イクラが『化け物』へと変化したその瞬間を、タラオちゃんが見てしまっていたのです」
182 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:49:06.27 ID:jTZEQroD0
【再び194X年 イクラ『覚醒』の直後】

タラオ「…イクラちゃん?」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」

タラオ「…何が、どうなって」

魔法少女「ちょっと!そこどいて!」

タラオ「…おねぇちゃん?」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」

魔法少女「危ないっ!」

タラオ「あっ…」

魔法少女「っくそー。こんのぉぉぉぉぉぉ!!」

タラオ「お、おねぇちゃん!誰なの?待って、何してるの?」

魔法少女「何って、あいつをぶったおすに決まってんでしょ?ほら、ここは危ないから!はやくこっちに!!」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」バチュンッ!!

魔法少女「って…、っきゃぁぁぁぁぁ!」ゴシャァァァ…

タラオ「おねぇちゃん!」

魔法少女「っつぅー…。いててて…。なんて攻撃力…」

タラオ「ねぇ、おねぇちゃん。誰なの?それに、倒すって…。あれは、イクラちゃん…」

魔法少女「…?」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」バチュンッ!!バチュンバチュンッ!!

魔法少女「…!ヤバい!…ここは一旦逃げるよ!君、こっち来て!!」

魔法少女「エルミタ!退くぞ!!」

エルミタ「…」
183 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:49:52.23 ID:jTZEQroD0
【病院 夜】

ノリスケ「…」

マスオ「…ノリスケ君、しっかりして」

ノリスケ「あ、あぁ、マスオさん。ありがとう」

サザエ「はい、お茶を買ってきたわ。ふたりとも、どうぞ」

マスオ「…あぁ」

ノリスケ「…タイ子、…イクラ」

マスオ「…あ、ノリスケ君。オイ、あれ」

ノリスケ「…先生!」

医者「…波野さん」

ノリスケ「先生!タイ子は…!タイ子は…」

医者「…残念ですが」

ノリスケ「…!!」

サザエ/マスオ「…」

ノリスケ「ぅ…、ぅう…、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
184 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:50:37.43 ID:jTZEQroD0
【同時刻 病院 地下駐車場】

魔法少女「ってててて…」

タラオ「…おねぇちゃん、誰なの?それに、イクラちゃんを…」

魔法少女「ねぇ、エルミタ。何なのよ、この子供は」

エルミタ「…」

魔法少女「…っちぃ。あなたの無口にも、ほとほと呆れるわ」

タラオ「おねぇちゃん…」

魔法少女「君こそ、誰なの?それに、さっきから言ってる、イクラって…」

タラオ「ボクの名前はタラオ。イクラちゃんは…、あのおb…」

エルミタ「あれは運動会の魔女だ」

エルミタ「ただし、様子がおかしい。使い魔が一体もいない」

魔法少女「…?そう言われてみれば…?」

エルミタ「仲間を集めろ」

エルミタ「奴の力、お前ひとりでは手に余る。他の魔法少女達が到着するまで、自重しろ…」

魔法少女「あぁ…」

タラオ「…何を言って」

魔法少女「タラオ君、だっけ?とにかく、君のことは良くわからないけれど、もう私たちに関わらないほうが良いわよ?」

エルミタ「…」(この少年…。実験体として使えるか…)

タラオ「…でも」

エルミタ「…タラオ。私と契約するかね?」

魔法少女「エルミタ…?あなた、何を…」

エルミタ「…願いを言え。頭の中で考えるだけで良い」

タラオ(…イクラちゃん)

エルミタ「それが願いか。今からお前は魔法少年となる。願いは成就するだろう」

タラオ「…」

エルミタ「我が名はエルミタ。…お前の担当者だ」
185 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:51:57.71 ID:jTZEQroD0
【運動会の魔女との戦い】

魔法少女「えぇぇぇぇぇいっ!!」ザシュッ

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」バチュンッ

魔法少年「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ビシュッ

運動会の魔女「キャッハハハハハハ、キャハハハハハハハ」バババチュンッ

魔法少年「あぶないっ!!」

カッ… ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

魔法少女「きゃぁっ…!」

魔法少年「くそっ。なんてパワーだ…」

魔法少女「…っくぅ。攻撃範囲が広すぎて、避けきれないわ」

魔法少年「使い魔もいないくせに…。何なんだ、いったい」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハ!キャハハハハハハハハ!キャハハハハハハハハ!」

タラオ「…」(イクラちゃん…)

魔法少年「ちょっと、そこの君!ぼーっとしていると狙い撃ちにされるぞっ!」

魔法少女「そうよ、タラオ君!動いてっ!!」

魔法少年「だいたい君はまだルーキーなんだ。いきなり本格的な戦闘なn…」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」バチュンッ

ズガガガガガガガガガガ
186 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:52:47.50 ID:jTZEQroD0
魔法少年「って…!うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」グシャァァァァ

魔法少女「…くぅっ!!」

タラオ「…みんな」

魔法少年「くそっ…」

魔法少女「あなた…。それ…」

魔法少年「…両腕、…持ってかれたか。ははは…。欲張りな魔女だ…」

魔法少女「ふざけている場合じゃ…。ひどい…」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハ」

タラオ「…みんな!ここはボクにまかせてください!」

魔法少年/魔法少女「…!」

タラオ「これ以上、手出ししないでください…」

魔法少女「…タラオ君、あなた何を言っているか…、わかっているの?」

タラオ「彼は…、ボクが止める…」

魔法少女「無茶よ!あなたは…!」

魔法少年(…『彼』?)

タラオ「あの魔女は!ボクが仕留める!!」

魔法少年(『彼』と聞こえたのは気のせいか…。しかし、この気迫)

エルミタ「お前らは退け」

魔法少女「…エルミタ!あなたまで…、いったい」
187 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:53:56.18 ID:jTZEQroD0
魔法少年「…」

エルミタ「命令だ」

魔法少年「…しかたない。どうせオレはこのザマだ。なぁ、肩を貸してくれよ」

魔法少女「…あなた。タラオ君をひとりで残していくつもりなの?」

エルミタ「命令だと言っている」

魔法少女「…ちっ」

タラオ「エルミタ…。ありがとう」

魔法少年「回復したらまた来るからな。それまで持ちこたえるだけで良いぞ。タラオ君」

魔法少女「…っと。持ち上げるから、痛かったら言ってよね」

魔法少年「あぁ…。すまない」

エルミタ「こっちだ」

タラオ「さて…」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハ」

タラオ「イクラちゃん」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

タラオ「迎えに来たよ」

運動会の魔女「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

タラオ「そして、ボクの『願い』を成就させるときがきた…。君のために…」

タラオ「…ぁぁぁ」

タラオ「…ぁぁあぁあ!」

タラオ「…ぁぁぁぁあアぁあああァぁぁあああアアアあアアァアアアア!!!!」

カヵッ! パァァァァァァァァァァァァ…

運動会の魔女「キャハハハh…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エルミタ「このあたりで良いだろう」

魔法少年「もう少し離れた方が良いんじゃないのか?」
188 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 17:54:58.13 ID:jTZEQroD0
エルミタ「戦いの様子を観察する…」

魔法少女「観察?めずらしいわね。あなた、そんなに彼が心配なのかしら?」

エルミタ「子を想う親のようなものだ」

魔法少年(親…、ねぇ…)

魔法少女「…!ちょっと…、あれ見て!!」

魔法少年「なんだ…?光の、球体…」

魔法少女「大きい…!」

魔法少年「こっちまで来るっ!避けられない、ふせろっ!!」

エルミタ「おぉぉぉ…」

魔法少女「…」

魔法少年「…」

『イクラちゃーん。こっちでーす!』

『ハァーイ!』

『あははは。イクラちゃーん!』

『ハァーイ!』

『あははは…

魔法少年「…頭に、直接。…誰かの、記憶?」

魔法少女「…」

魔法少年「お、おいっ!…気絶、しているだけか」

エルミタ「…あれは」

魔法少年「ったく。気絶したいのはオレのほうだってのに。いててて」

エルミタ「終わりだ」

魔法少年「…?」

魔法少年「あ、あそこ!タラオ君と、…あの子供は誰だ?手をつないで…」

エルミタ「終わりだ。魔女は去った。急いで退くぞ」

魔法少年「終わりって…。でも、あそこには、まだ…。タラオ君のことは良いのか?」

エルミタ「化け物を我が子にした覚えはないよ…」

魔法少年(なんだって?…化け物?)

エルミタ「こいつは私が持って行く。お前は自力でここから離脱しろ」

魔法少年「…わかったよ。ホント、今日のお前はめずらしく感傷的にものを言うんだな」

エルミタ(リムト…。我が長よ…。これをいかにする)
189 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:06:51.64 ID:jTZEQroD0
【現代 3月15日 暁美ほむら 自宅】

ノリスケ「タラオちゃんが覚醒した後の行動は、すでにみなさんもご存知のとおりです」

ノリスケ「覚醒したタラオちゃんは、魔力を封じ込まれたイクラをつれて、誰にも知られることのない、はるか北の地へ…。そこで結界を張り、外界との接触を全て断ちました」

杏子(タラオの願い…。あたしや、さやかと似ている…)

さやか「その戦いの場にいた魔法少年たちはどうしたの?」

ノリスケ「伝え聞いたところによると、魔法少年はまもなく怪我が原因で命を落としました。魔法少女の行方はわかっていません。おそらくは、何かしらの手段により、自由を奪われたと予想されます」

ほむら「一連の事件は、闇に葬られた、ということね」

ノリスケ「そうです。ただしその後、数多くの実験体、すなわち魔法少年たちは、タラオちゃんと同じように覚醒してしまいました」

ノリスケ「その結果、魔法少年の危険性は周知の事実となり、以降、男の子との契約は結ばれなくなりました」

マミ「それで、タラオが鹿目さんを狙った本当の理由とは…」

ノリスケ「それは…」

ほむら「イクラさんを、再生するため…」

ノリスケ「はい、そのとおりです」

ノリスケ「お話したとおり、イクラは、女の子でもなく、男の子でもありませんでした。それどころか、覚醒者でもなく、魔女ですらなかった。さらに、タラオちゃんの願いにより魔力を封じられ、精神的にも、赤ん坊とほぼ同じ程度まで退行してしまいました」

ノリスケ「イクラがそのような中途半端な存在となった原因は、女性としての機能を外科的に失い、男性としても不完全な存在となっていたことにありました」

ノリスケ「私の責任です…」

マミ「…あなたは間違っていなかったわ。少なくとも、その瞬間は。私は、誰でも同じ判断を下すと思うわ」

ノリスケ「…はい」

ほむら「それで、タラオは、イクラさんのために、まどかの『肉体』を狙ったのね」
190 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:07:29.47 ID:jTZEQroD0
杏子「ちょ…、ほむら、そんな露骨に言わなくても…」

まどか「…」

ノリスケ「そうです。言いにくいことを代わりに言っていただいて、感謝します」

ノリスケ「タラオちゃんは、イクラの欠けた肉体要素を、鹿目さんで補うために狙いました」

さやか「そんな…、そんなことが可能なの?」

ノリスケ「いいえ、わかりません。タラオちゃんもわからなかったと思います。イクラの肉体に鹿目さんを取り込んだ結果、どうなるのかなど、全く予想できません。前例などないのですから」

ノリスケ「タラオちゃんは、それでもわずかな望みに賭けていたのだと思います」

杏子「かわいそうだとは思うけど、迷惑な話だな…」

ノリスケ「私もそう思います。だから、カツオ君は全力で妨害したのでしょう」

ほむら「…タラオがまどかを狙った理由は理解できたわ」

マミ「それで、ノリスケさん、あなたがカツオさんから託された使命というのも、鹿目さんに関わりがあることなのかしら?」

ノリスケ「いいえ、それはまた別の話です」

ほむら「…別?」

ノリスケ「美樹さやかさん」

さやか「は、はい…」

ノリスケ「貴女に関わることです」

さやか「え?なになに?」

ノリスケ「美樹さん。あなたにホワイトデーの贈り物を用意したのは、私です」

さやか「えー?」

マミ「隠れファンじゃなかったのね…」
191 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:08:03.41 ID:jTZEQroD0
ノリスケ「僕の今ある存在は、カツオ君が用意した USB メモリに仕込まれた残存思念です」

ノリスケ「その僕が、美樹さんに近づくために、ちょうど近くにいたこの黒猫の身体を借りる事にしました。しかし、美樹さんの自宅に入り込むためには、アンカーとなる物が必要でした」

ノリスケ「それが、ホワイトデーの贈り物の役目です」

ほむら「何のために、さやかに近づいたの?」

ノリスケ「美樹さんのソウルジェムを浄化するためです」

さやか「あ…、私のソウルジェムにじゃれついて…」

ノリスケ「美樹さんは、タラオちゃんにより、長い間ソウルジェムを捕縛されていました。さらに、なかじま君の事件の際には、使い魔と同調させられていました」

ほむら「あなた、ナカジマの事件も知っているの?」

ノリスケ「はい。カツオ君の残存思念の残渣から情報を得ました。事件の全体像まではわかりませんでしたが」

ノリスケ「ともかく、美樹さんのソウルジェムは、それらの影響により、不可逆的な穢れを貯め込んでいたのです。それを浄化することが、カツオ君から私に託された使命です」

ノリスケ「もともと私が託されていたのは、タラオちゃんによる穢れのみでしたが、メモリの解放のタイミングが遅くなって、ある意味ラッキーでしたね」

マミ「それは、カツオさん自身がおこなっても良かったのではなかったの?」

ノリスケ「タラオちゃんの事件の後、カツオ君には時間が残されていなかった。しかし、こうして残存思念でも良いなら、彼が来てもたいして違いは無かったとは思います」

ノリスケ「ただし、これは僕が進んで任せてもらった仕事です」

杏子「…なんでだい?」
192 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:08:34.15 ID:jTZEQroD0
ノリスケ「私は、あの事件のときに、タイ子も、イクラも、家族全てを失いました。その後の僕は、まるで廃人のように、ただただ毎日を、時間を浪費するだけの生活を続けていました」

ノリスケ「皮肉なものです。願いが強ければ強いほど、人は早くこの世から去って行く。僕のような生きていても意味の無い抜け殻だけの人間が、だらだらと長らえていました」

ノリスケ「しかし、ようやく最期の時を迎えようとしているとき、カツオ君と話す機会が得られました」

ノリスケ「そこで、私はこの役目を、自分の最期のつとめとして、生き残ってしまった人間の使命として受けることを決めたのです」

ノリスケ「そして、貴女方へこうしてお話することにより、自分の罪を懺悔したかった、という想いもありました」

ノリスケ「…さて、と言うわけで、私の役目も終わりを迎えようとしています。QBさん、そろそろ出てきてください」

杏子「QBだって?」

QB「やぁ、ようやく登場だね。待ちくたびれちゃったよ」

マミ「何しに来たの?」

さやか「調べ物があるって言ってなかったっけ?」

QB「やぁ、さやか。それなんだけど、その必要がなくなってしまってさ。そこの彼が全て話してくれただろ?」

マミ「私の質問にも答えなさいよ」

QB「ボクは、最後の後処理を頼まれたのさ」

杏子「…後処理?」

ノリスケ「はい。私は美樹さんのソウルジェムから穢れを吸収しきりました。それを今から私の残存思念と融合し、この猫の肉体から分離します。それをQBさんに取り込んでいただくのです」

マミ「取り込むって…、あなたはどうなるの?」

ノリスケ「私の残存思念が行動するためのよりしろ、今回で言えばこの猫の身体、に乗り移る目的でカツオ君がメモリ内部に用意した隠しファイルは、先ほどパソコンを起動した際に、自己消滅プログラムにより消去しました」

ノリスケ「つまり、この私がQBさんに取り込まれた後は、私の存在は、ひとかけらの痕跡も残さずにこの世から消えます」

ほむら「…」
193 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:09:08.29 ID:jTZEQroD0
ノリスケ「私は別れの挨拶というものが、どうにも苦手なんです。だから、何も言わないでください。そうだ、挨拶の代わりと言ってはなんですが、アルバムには私の写真もあるはずですから、探してみてくださいね。けっこう良い男ですよ?ははは」

杏子「…アルバム、ねぇ」

ノリスケ「…それではQBさん、よろしくお願いします」

ノリスケ「…」

…ぽぅっ

さやか「光の、ボール…?」

ふわふわふわ…

QB「…」パクッ キュップイッ

エイミー「…」

杏子「ノリスケは…」

エイミー「ニャー…」

マミ「ノリスケさん…」
194 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:09:44.75 ID:jTZEQroD0
【最初のシーン 3月18日 墓地】

杏子「んー、この地図、わかりにくいなー。あっちがこっちで、こっちが、あ、あれ?どっち?」

まどか「杏子ちゃん、それ、逆さ…、だと思う…」

マミ「佐倉さん、ちょっと私にかして…」

マミ「えーと、そこを右、じゃないかしら?暁美さん」

杏子「…」

ほむら「…ここね」

まどか「…」

杏子「かなり雑草が生えてるな」

さやか「お待たせー、お花買って来たよー」

マミ「美樹さん、ご苦労さま。さぁ、まずは雑草を抜いたり、お墓をきれいにしましょう」

まどか「杏子ちゃん、はい、軍手」

杏子「ん?あぁ、サンキュ」

マミ「お線香とかお供え物は、ひとまず、そっちによけといてちょうだいね」

さやか「はーい」

マミ「磯野家とフグ田家のお墓…」

杏子「…んしょ、んしょ。いやー、こいつはしぶといぞ?さやかー、お前、剣だせ。剣」

さやか「だめだよー。お墓ごと切っちゃう」

エイミー「ニャー」

まどか「あ、エイミー、そっち行っちゃダメ…」

マミ「そんなことのために能力を使うものではないわよ?佐倉さん」

杏子「ぶぅー。ほむら、あんたも突っ立ってないで、手伝いなよ」

ほむら「…」
195 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:10:19.38 ID:jTZEQroD0
まどか「はい。ほむらちゃんにも、軍手」

ほむら「ありがとう」

エイミー「ニャー」

まどか「あぁっ、エイミー、そっちも行っちゃダメだってば…」

さやか「でもさー、なんでお墓参り今日にしたの?昨日なら日曜日だったのに」

ほむら「…今日は、タラオの誕生日なのよ」

マミ「まぁ」

杏子「へぇー、意外とロマンチストなところもあるんだな。ほむら」

ほむら「…」

エイミー「ニャー」

まどか「あぁぁっ、エイミー…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【3月17日 深夜 暁美ほむら 自宅】

ほむら「…」カチカチッ

ピピッ…

カツオ「この動画を見ているということは、仕事は全て順調に終わったということかな?暁美ほむらさん」
196 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:10:53.83 ID:jTZEQroD0
カツオ「洞察力に優れている君なら、いや洞察力だけでは説明できないが、君は気づいているはずだ。覚醒という現象と魔女との関係に」

カツオ「イクラちゃんは、本来であれば『最初の覚醒者』として記録されるべきだった。しかし、記録には残らなかった。いや、意図的に記録から削除されたと考えるべきだろう」

カツオ「それは、イクラちゃんが、男の子でも女の子でもなかったから。と、言うより、女の子、つまり魔法少女としての性質を持っていたから」

カツオ「君たち魔法少女に、そのことを悟られないよう、隠された」

カツオ「この危険に気づいているのは君だけだと考えたので、ノリスケおじさんには、ソウルジェムが砕ける描写を避けるよう伝えてある」

カツオ「そして、美樹さやかさんがさらされていた危険は、ひとまずノリスケおじさんにより回避できたと思う」

カツオ「しかし、最も重要な問題は他にある。…そう、鹿目まどかさんだ。彼女は極めて大きな潜在能力を持っていた。その理由まではわからないけれど」

カツオ「君も考えているとおり、彼女を魔法少女にしてはダメだ」

カツオ「こんなことを言っている僕にもどうしたら良いかはわからない。だけど、君なら彼女を守ってやることができると思う」

カツオ「僕が君たちに残してあげられるものは、そう多くはない」

カツオ「しかし、僕達を助けてくれた君たちへの、せめてもの御礼の気持ちとして。僕からの贈り物を受け取っておいて欲しい」

カツオ「それじゃぁ、さようなら。暁美ほむらさん。ところで、僕は君に何回別れの挨拶をしているんだろうね?はははは」

ピピッ… ピー…

ほむら「カツオさん…」

ほむら「あなたに言われなくても、まどかは私が守るわ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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【再び3月18日 墓地】

マミ「さてと…。片付けはこれで完了ね」
197 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/16(水) 21:11:19.87 ID:jTZEQroD0
まどか「はい、お線香」

杏子「あたし、ライターとか使えないんだよ。さやか、ろうそくに火をつけてくれないか?」

さやか「うん、わかった」シボッ… ジジジ…

マミ「お花も供えてっと…。暁美さん、USB メモリは?」

ほむら「墓地の管理事務所に預けてきたわ。必ず今日中にお墓の中に入れてくれると言っていたわ」

マミ「そう。そうよね、私たちがお墓をあけるわけにはいかないものね」

まどか「…」

エイミー「ニャー」

さやか「あれ?エイミーもお参りしてるつもりになってるのかな?」

ほむら「さぁ、用は済んだわ。もう行きましょう」

マミ「そうね」

杏子「あー、働いたからお腹すいたよー」

さやか「そだねー。あ、帰りにカフェ寄ってこーよ。良いとこ知ってるんだ」

杏子「おー、良いね。そうしよう」

マミ「さ、行きましょうか。鹿目さんと暁美さんも行くでしょ?カフェ」

まどか「うん!」

ほむら「わかったわ」

マミ「ところで美樹さん。そのカフェ、エイミーは入れるのかしら?」

さやか「あ!しまったー…。ダメかも…」

杏子「えー?」



〜外伝 (第二章後日談) 最初の覚醒者〜

【完】
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/16(水) 22:37:41.53 ID:eW57+SjAO
おつ・・・・か?
>>196のカツオの最後のセリフを脳内再生したら涙腺が緩んだ。
199 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/16(水) 23:13:02.45 ID:jTZEQroD0
>>198
レスありがとうございます。m(__)m
涙を流していただけたことも、とても誇らしく思います。
私自身、様々なSSで泣かされていて、このSSでは泣けるシーンを多く盛り込んでみたつもりです。
平和な日常のシーンとの対比を明確にしながら仕込んでいたのですが…。
書きながら、自らその涙腺崩壊の罠にはまることも多々ありました…。orz
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]:2011/11/16(水) 23:23:45.59 ID:TJx4TTiQo
おかしい…出てるキャラクターは突っ込みどころがありすぎるのに普通にいい話だ…
三話?も期待してますね
201 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/16(水) 23:49:36.53 ID:jTZEQroD0
>>200
突っ込みどころ、楽しんでいただけてなによりです。
ありがとうございます。m(__)m
私としては外伝の最大の突っ込みどころは、イクラとノリスケのキャッチボールのシーンでしょうか。
あのシーンだけは、サザエさん4コマのイメージのまま脳内再生が可能だと思います。
第三章も楽しみにしていただけて、光栄です。
今後ともよろしくお願いいたします。
202 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/17(木) 09:40:05.78 ID:eRDXZ+5n0
※御礼※

勢いで書き続けてきた拙作へ、ここまでおつきあいいただき、深く感謝いたします。
ありがとうございました。

※反省※

物語の進行上、やむをえず性別に関わる表現を用いました。
ただしこれは、覚醒者と魔女との類似点と相違点を明らかにするために導入した設定であります。
性別に関わる社会問題などを揶揄する目的で導入したわけではありません。
最初に断っておくべきとも思いましたが、ネタバレにもなりますので、最後に書き加えさせていただきます。
ご不快な想いを感じてしまった方には、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/17(木) 10:08:31.32 ID:wG1RaWC+o
まさかクレイモアな設定が絡んでくるとはおもわんかったぜ…
204 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/17(木) 17:01:51.69 ID:qHzY3tMY0
>>203
コメントありがとうございます。m(__)m
意外だと言ってもらえると、設定を考えたかいがあります。
205 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/17(木) 17:06:51.53 ID:qHzY3tMY0
〜とある非日常の風景〜


【とある温泉旅館】

マミ「さぁ、旅館についたわ。みんな荷物忘れないでね」

さやか「うわー、大きい…」

まどか「ねぇねぇ、ほむらちゃん、こっちこっちー!」

ほむら「まどか…」

まどか「ほら!おっきなお池!」

杏子「それより、さやかー、エイミーまでつれて来ちゃって大丈夫なのか?」

エイミー「ニャー?」

マミ「大丈夫よ、佐倉さん。ペット同伴可の条件で探したのだから」

マミ「それより、みんなはやく来てちょうだい?チェックインするわよー?」


【旅館の部屋】

まどか「わぁー…」

マミ「よいしょっと」

さやか「エイミーのキャリーはここで良いかな…、っと。ほら出ておいでー」

エイミー「ニャー♪」

杏子「お、どれどれ、お茶菓子があるな…」

ほむら「…」

マミ「思っていたよりも広い部屋ね。こっちが和室で…、洋室にはバルコニーまであるわ」

エイミー「ニャー!」

まどか「あぁぁっ、エイミー、それ、私の…」

さやか「あ、こら!エイミー!」

まどか「ちょ、ちょっと待って、エイミー…!」

杏子「はははは」

ほむら「…」(あの白い布は…、まさか…?)

マミ「さぁ、さっそく温泉にはいりましょう!」
206 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/17(木) 17:07:40.09 ID:qHzY3tMY0
【旅館 夜 洋室】

まどか「良いお湯だったねー、ほむらちゃん」

ほむら「…そうね」(浴衣姿がかわいいわ…)

まどか「…」

ほむら「…どうかしたの?」(まさか気づかれた?)

まどか「ねぇ、ほむらちゃん。どうして、私ばっかり…」

ほむら「まどかが悪いわけじゃないわ」(ほっ…)

まどか「でも!…でも、私、いつも後ろからついていくばっかりで…」

ほむら「…」(まどかの潤んだ目…、もう…、もうがまんが…)

まどか「なんで…、ほむらちゃんは…」

ほむら「…まどか」ぎゅっ…

まどか「ほ…、ほむら、ちゃん…」

ほむら「まどか…。まどか聞いて…。私の願い…、それはね、あなたを救うこと…」

まどか「それって…、どういう…」

ほむら「何もわからなくてもいい。何も伝わらなくてもいい」

ほむら「それでもどうか…、お願いだから、あなたを私に守らせて…」

まどか「…ほむらちゃん」

ほむら「いきなりごめんね…。気持ち悪いよね…?」

まどか「…」

ほむら「…」

まどか「ううん、そんなこと無いよ。ほむらちゃん」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃんが、私のこと、一生懸命守ってくれているって、嬉しい…」

ほむら「まどか…」(よし!今ならいけるわ!)がばさー

まどか「…!」

ほむら「…」

まどか「ぁ…」
207 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/17(木) 17:08:16.92 ID:qHzY3tMY0
【旅館 同時刻 和室】

杏子「…」

さやか「…今までいろいろあったねー」

杏子「…」

さやか「最初の事件のときは、私はほとんど何もしていなかったけど…」

杏子「『ナカジマ』のときは大活躍だったじゃないか」

さやか「そうかな…。たははは…」

杏子「…あのコンサートも、まぁ、良かったぞ?ポップコーンが無かったのは残念だったけど」

さやか「…恭介」

杏子「なぁ…、さやか」

さやか「な…、なに?」

杏子「まだあいつのこと好きなのかい?」

さやか「…」

杏子「さやかの願いはかなった…」

杏子「それだけで満足しているんじゃないのか?」

さやか「…」

杏子「あたしはね、さやか。あたしも、他人のために願いを使った。だから、わかるんだよ。さやかのツライ気持ちが」

さやか「…杏子」

杏子「あたしはもう、他人のためにはこの力を使わない。自分のためだけに使うって決めてたんだ…」

杏子「でも、まどかや、ほむらや、マミや…、さやかと仲間になって」

杏子「また、他人のために頑張るのも悪くはないかなって思い始めたんだ」

杏子「さやか、あんたが思い出させてくれたんだぞ?だから…」

さやか「杏子…」

杏子「さやか…」

さやか「ぇ…」
208 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/17(木) 17:09:14.99 ID:qHzY3tMY0
【旅館 同時刻 ロビーテラス】

マミ「…」

エイミー「ニャー!」

マミ「あら、エイミー…」

エイミー「ウニュニャー、ゴロゴロゴロ…」

マミ「ふふっ。ありがとう、エイミー」

マミ「でも、どうしましょう。お部屋に戻れないわ…」くしゅんっ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

※ほむらさんの台詞は、一部音声多重放送でお送りしました。
※なお、このお話は、SS作者の妄想でしかありません。
※よく見かける話ではありますが、作者の気分転換にアクセントとして書きました。
◆0Cw1O/qGmE「『※ここで用いた設定は、第三章へは引き継ぎません』っと…」カタカタ…

マミ「あたりまえよ!まったく」

さやか「う、うわー…」

杏子「ぐぬぬぬ…」(ほむらだけならまだしも、あたしまで…)

まどか「ほむらちゃん…、これって…」

杏子「ん?ほむら、どうした?」

ほむら「…」チャッ…

◆0Cw1O/qGmE「あ、ちょt…」ッタァァァァァァァァァン…

エイミー「ニャー…」



【ダイイングメッセージ、と言うか、予告】

〜第三章 魔女の想い人〜
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/17(木) 18:22:59.26 ID:1ThNTUPAO
おつ。
クスッとさせてもらった!
次回も楽しみだ。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/18(金) 01:05:03.01 ID:6/Vnn2xLo
マミさん・・・ホロリ
211 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/18(金) 07:29:06.80 ID:Ry/Yglm/0
>>209
ちょっとした息抜きの小話でした。
楽しんでいただけて、ほっとしました。

>>210
マミさんは保護者なので、損ばかりしています。
212 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/18(金) 07:33:01.84 ID:Ry/Yglm/0
さて、ほむらさんに撃ち抜かれた眉間の傷も癒えて来たので、第三章の投下を開始します。
またしばらく、拙作におつきあいください。
よろしくお願いいたします。m(__)m
213 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 07:33:40.84 ID:Ry/Yglm/0
〜第三章 魔女の想い人〜

【某日 首都圏近郊 暗闇】

『〜♪』

「…ここは」

「…身体が重い」

「…」

「私は…、私の名前は…。っつぅ!あ、頭が…」

『あら、ようやくお目覚めかしら?』

「…?…あなたは、いったい」

『えぇー、また説明しなきゃならないの?』

「え…」

『何度もめんどくさいのよ。ふぅ…』

「…」

『まぁ、無理もないわ。私のせいでもあるし…』

『良いかしら?1回しか言わないから、よく聞いてね…♪』

『まず、貴女の名前はね…』

『……

「…
214 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 07:34:35.02 ID:Ry/Yglm/0
【某日 巴マミ 自宅】

さやか「んーむ!この、アップルパイおいしーですね!」

まどか「んく、んく…。おいしい…」

さやか「こんなの、どこで売ってたんですか?マミさん」

エイミー「ニャー」

まどか「エイミーも食べるかなー?」

エイミー「ウニャー…」

マミ「ふふふ…。これはね、暁美さんが作ったそうよ?」

まどか「…ほむらちゃん、が?」

さやか「へぇー、意外ですねぇ」

まどか「…」

さやか「…?…まどかのため、ってか?このっ、このっ!」

まどか「ちょ、ちょっと、さやかちゃん…」

マミ「鹿目さん、気に入ったのなら、暁美さんに作り方を教わってきたらどうかしら?」

さやか「あー、私も教えて欲しいな。まどか、一緒に行こうよ」

まどか「…と、ところで、マミさん。あの…、ほむらちゃんは…?」

さやか「杏子もいないね?…最近あんまり見かけないか」

マミ「そうねぇ…。暁美さんはワルプルギスの夜のことを調べているみたいだし。佐倉さんは、また魔女刈りにでも出かけているのじゃないかしら」

まどか(ワルプルギスの、夜…)
215 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 07:35:13.71 ID:Ry/Yglm/0
さやか「でも、最近はあまり強い魔女も現れていないですよね?」

マミ「昨日見つけたのも、ただのはぐれ使い魔だったわね」

エイミー「ニャー!」

まどか「ちょ、エイミー…!あれっ…?」

さやか「たまには魔女をズバッと倒さないと、ソウルジェムの穢れが溜まる一方ですね」

マミ「今のところ、カツオさんからもらったグリーフシードが残っているから、心配はないけれど…」

エイミー「ニャニャー!」

まどか「わわっ…、エイミー、そっちは…」

さやか「ははは。エイミーはまどかといると楽しそうだね」

マミ「ふふふ」

QB(…ついに僕の話はかけらも出てこなくなったか)
216 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 07:36:12.77 ID:Ry/Yglm/0
【同日 関東北部の山間部】

ほむら「…」

ほむら(…これは、いったいどういうことなのかしら)

ほむら(人の肉片…、大量の血痕…)

ほむら(最初の事件のときと状況は似ている…、しかし何かが…)

ほむら(…?この少女の遺体…)

ほむら「…!」

ほむら「…QB。来ていたのね」

QB「やぁ、暁美ほむら。今日はまた、たいへんなことになっているね」

ほむら「…そうね」

QB「この光景は…、マミには見せられないなぁ。ボクですら、ちょっとひくよ」

ほむら「何を言っているのかしら。あなたに、そんな『感情』などないはずだわ」

QB「ひどいことを言うね。こういうことに関しては、君たちだって、さほど感覚は変わらないはずなんだけど」

ほむら「…。そんなことより、QB、さっさと用件を言ったらどうなのかしら?」

QB「佐倉杏子がやられた」

ほむら「…!!」

QB「さすがに驚きを隠せないようだね」

ほむら「…」
217 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 07:36:37.13 ID:Ry/Yglm/0
QB「今、彼女は入院している。幸い命に別状はないようだけれど、見た目にそう簡単に治る怪我でもなかったよ」

ほむら「…やられたって、どんな魔女に?」

QB「それはわからない。まだ杏子の意識が戻らないから、確認のしようがないんだ」

ほむら「…」

QB「暁美ほむら、明後日の夜、時間をもらいたい。できれば、みんなも集めておいてくれると助かる」

ほむら「…明後日?」

QB「そう。ちょっと、ただごとじゃない事件が起き始めたようなんだ」

QB「ボクは、その動きについて、あとふたつみっつ確認してくる」

QB「杏子のほうはまかせたよ。明日にでも、さやかたちとお見舞いに行ってみてはどうかな?」

QB「可能であれば、彼女からの話を聞いておいてほしい」

ほむら「わかったわ」

QB「それと、あとひとつ。言うまでもないと思うけど、警戒を…」

ほむら「えぇ、もちろんよ」

QB「それじゃ、また後ほど」

ほむら「…」
218 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 11:33:29.11 ID:Ry/Yglm/0
【翌日 病院の一室】

杏子「あっつつつ…」

杏子(あんにゃろう、今度会ったら…)

ガチャッ… キィー…

杏子「お…!さやかに、まどか!」

さやか「おはよう、杏子。怪我の具合はどう?」

まどか「杏子ちゃん、大丈夫?」

杏子「へっ、なんてことねーよ。それより、その手に持ってるお見舞いは、食い物なんだろーなぁ?花束なんていらないぞ?」

さやか「その様子だと、元気そうだね」

まどか「杏子ちゃん、はい、これ。アップルパイ!」

杏子「おぉー!こいつはうまそうだ」

まどか「それと、魔法瓶から紅茶を出したいんだけど、コップはどこ?」

杏子「んと…、そこ…、にあるの使ってくれよ」

さやか「エイミーは、今日はお留守番。マミさんが遊んでくれてる。さすがに病院にはつれて来れなかったよ」

杏子「まぁ、いちおうは怪我人の病室だからな。でも、あたしより、まどかの方がさびしそうだけど」

まどか「そ、そんな…。ティヒヒヒ」

杏子「んぐ…。うん!うまいなー、このアップルパイ!」

まどか「ほむらちゃんの手作りだよ!」

杏子「へ、へぇー…。ほむらの、ねぇ。はははっ、これもまどかのたm…」

ほむら「毒を入れておいたわ」

杏子「ぇぶっ!!」

まどか/さやか「!!」

ほむら「…冗談よ」(余計なことを言おうとするから…)

杏子「…って、こらー!いきなり背後から現れるの、やめろって言ってるだろ?」

さやか(今…、どこから…)
219 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 11:33:58.87 ID:Ry/Yglm/0
ほむら「そんなことより、杏子…」

杏子「そんなことって…!人の話を聞けー!見ろよ、ほむらのせいで、ベッドの上が汚れて…」

ほむら「あなたに怪我をさせた魔女というのは…?」

杏子「ん?あぁ…、あいつ…。とんでもない化け物だったよ」

ほむら「…」

杏子「あたしも最初から強い魔力を感じたから、こりゃぁ上物のグリーフシードが手に入るって、気合い入れてかかったんだぞ?」

杏子「でも…、まったく手に負えなかったよ。こっちの攻撃はほとんどかわされちまうし、相手の攻撃は見えないし。それでもなんとか逃げ出して、気がついたら、このベッドの上にころがってたってね」

ほむら「怪我の治りは早そうね…」

杏子「いつものことだからな。むしろ医者が不思議がるのを言い訳するのがたいへんだった。病院なんかに担ぎ込まれるとこれだから、あたしたち魔法少女はやっかいだな」

さやか「あ、そうだ。これ、もうひとつお見舞い。マミさんから」

杏子「グリーフシードか。助かるよ。今回、倒しそこねたから」

ほむら「もう帰るわ」

杏子「あぁ、今日はありがとう。明日には退院したいから、もう寝るよ」

まどか「杏子ちゃん…」

杏子「まどか、そんなに心配するなって。いつものことって言ったろ?」

さやか「私だったら、その場で完璧に回復できるけどねー」

杏子「ははは。言うねー、さやかも」

杏子「あ、ところで、その…。もうひとつ頼みがあるって言うか…」

まどか/さやか「?」

ほむら「心配はいらないわよ。さっき全て清算してきてあげたわ」

杏子「さっすが、ほむら!ありがたい!!」
220 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 11:34:29.55 ID:Ry/Yglm/0
【同時刻 巴マミ 自宅】

マミ「…」カリカリカリ…

マミ「…ふぅ。やっと終わったわ。少し溜めすぎてしまったわね、宿題」

マミ「私もお見舞いに行きたかったけれど、こればかりはしかたないわね。鹿目さんたちと同学年なら、見せ合いっこもできたのに…」

マミ「それにしても佐倉さんの怪我の具合、どうだったのかしら。心配だわ」

エイミー「ニャー」

マミ「あら、エイミー。お食事は終わったのかしら?」

エイミー「ニャー…」

マミ「エイミーも佐倉さんのことが心配なのね?それとも、鹿目さんに会いたいのかしら?」

エイミー「…」

マミ「エイミー…?どこを見てるの?」

エイミー「…ッフゥーーー!!」

マミ「!!」

エイミー「フシャーーー!!」

マミ「何かしら、この気配…。魔女…!いえ、少し違うわ」

マミ「エイミー、こっちへいらっしゃい」

マミ「…気配が、もう消えた」

エイミー「ゥンニャー…。ゴロゴロゴロ…」

マミ「ふふふ。エイミー、ありがとう。心配してくれているのね」

マミ「しかし何だったの、今の気配…。佐倉さん…、みんなも大丈夫かしら」

エイミー「ニャー」

マミ「…。さぁ、エイミー。お水も少し飲んだほうが良いわよ。今用意するわね」

マミ「それにしても、このアップルパイ…。最近、暁美さんの女子力がどんどん上がっているわ…。このままだと、誰かさんのために魔女になってしまうかもね。ふふふ」

エイミー「ニャニャニャー!」
221 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 11:35:27.22 ID:Ry/Yglm/0
【杏子の病室 夜】

杏子「ん…、ちょっと頭が痛いな…。熱があるせいか」

杏子「まさか、ホントに毒を仕込まれたとか…」

杏子「いやいやいや、さすがにそれは無いだろ…」

杏子「しかし、ほむらをからかうのも、だんだん命がけになってきた…、かな…。ははは」

杏子「…。zz…。zzZ」
222 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 20:32:02.48 ID:FG6Ivu4A0
【お見舞いの翌日 暁美ほむら 自宅】

QB「みんな揃っているみたいだね。杏子、もう退院しても大丈夫だったのかい?」

杏子「あぁ、あんたに心配されるほど、ヤワじゃないよ…」

QB「そうか。それは良かった」

まどか「杏子ちゃん、ホントに大丈夫…なの?」

杏子「あぁ、大丈夫だ!ベッドが気持ち良かったから、あと2〜3日は入院しても良かったかなって思うけど。でも、退屈なんだよ、病院は。ははは」

マミ「はい、紅茶がはいったわよ。QB以外に」

QB「…」

マミ「暁美さん、いつもお台所を使わせてもらって、ありがとう」

ほむら「…」

さやか「今日は私がケーキ買って来たよ。前に行きそびれた、あのカフェでね」

エイミー「ニャー!」

まどか「エイミー、こっちおいでー」

ほむら「それで、わざわざ私たちを集めて、話って何かしら?QB」

QB「うん、そうだね。でもその前に、まどか…」

まどか「?」

QB「今からここで話す内容は、君には少し刺激が強すぎると思う。でも、とても大事な内容だから、我慢して聞いてほしい。いいかな?」

まどか「ぅ…、うん…」

エイミー「ニャ…」

杏子「なんなんだよQB、いつになくヤバそうな雰囲気だな?」

QB「魔法少女が殺された」
223 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 20:32:39.00 ID:FG6Ivu4A0
まどか「!!!」

さやか「な…、ちょっと…」

杏子「…」

マミ「いきなりひどい話なのね…」

ほむら「あの現場にいた少女も…」

QB「暁美ほむら、そのとおりだよ。そこに気づくとはさすがだね」

まどか「…ほむらちゃん」

杏子「ほむら、現場ってなんだよ?」

ほむら「杏子は最初の事件のこと覚えていないかしら?あのときの血にまみれた景色を…」

QB「そういうことなら暁美ほむら、ボクの話はとりあえずおいといて、君の考えていることを先に話してもらえるかな?君の心象ってやつを」

ほむら「最初の事件でもあったように、私が見たのは血まみれの現場だったわ。そして、そこには魔法少女の遺体があった」

マミ「…」

ほむら「私は最初、魔女の気配を感じて現場にむかったのよ。でも、私が到着するころには、その気配はほとんど消えていた」

杏子「覚醒者じゃなかったのか?」

ほむら「えぇ、あれは間違いなく魔女の気配だったわ。そして、そこにいた魔法少女の…」

ほむら「おかしかったのは、現場には、戦闘した様子が全く感じられなかったこと」

ほむら「今QBの一言を聞くまでは、魔法少女の存在が私の勘違いなのではと思っていたくらいよ」

QB「他におかしな点には気づかなかったかい?」
224 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 20:33:24.56 ID:FG6Ivu4A0
ほむら「その現場とは関係が無いけれど、このところ覚醒者らしき妙な気配を感じていたわ」

さやか「また今回も『覚醒者らしき』って…」

杏子「おい、マミ。少し横になってろよ。顔色悪いぞ」

マミ「えぇ…、そうさせてもらうわ。でも話は続けてちょうだい…。大丈夫よ、ちゃんと聞くわ」

まどか「マミさん…」

杏子「まどか、エイミーと一緒にマミの側にいてやれよ」

まどか「うん。エイミー…、ほらこっち」

エイミー「ウニャー…」

杏子「それで?」

ほむら「その覚醒者らしき気配は、現れたり消えたりを繰り返して、とらえどころのない様子…。今も、その明滅を続けているわ」

QB「なるほど」

ほむら「さらに、もうひとつの気配。こちらは間違いなく『覚醒者』の気配だわ。ただ、これも妙なことに、ものすごく静かで、はかなくて、なかなか気づけなかった。気配の場所もよくわからない」

QB「以上かい?」

ほむら「そうよ」

QB「では、佐倉杏子」

杏子「ん?あたし?」

QB「君を入院にまで追い込んだ魔女についてだけど、どんな印象だった?」

杏子「印象もなにも…。あいつはめちゃくちゃ強かったよ。そんだけさ」

QB「おかしなところは?」

杏子「んー、そうだなぁ…。強いて言うなら、使い魔の数がちょっと少なかったかな…」
225 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 20:34:13.53 ID:FG6Ivu4A0
マミ「覚醒者は使い魔を持たない…」

杏子「いや、少なかったって言っても、ちょっとだけだぞ?ほんと」

さやか「それでQB、あんたの話ってのは?魔法少女が殺されたって、ほむらが見つけた女の子とは、また別なの?」

QB「うん、そうなんだ。複数の魔法少女が殺されている。それもひとりやふたりじゃない。そこかしこで殺されまくってる」

QB「もう手当り次第に、一般人への被害などおかまいなしといった具合さ」

杏子「犯人の目星はついているのか?」

QB「間違いなく魔女のしわざだよ」

さやか「それじゃ、覚醒者は関係ないんじゃないの?」

QB「質問が多くなってきたね。少し整理して話を進めようか」

QB「まず、魔法少女の被害について。これは、さっきから言っているとおり、魔女によるしわざと見て間違いがない」

QB「ほむらが遭遇した現場にも、魔女の気配の痕跡が漂っていた」

QB「ただし、それらの現場にはおかしな点が見られるケースがあったんだ」

杏子「どんな?」

QB「ほむらも言っていたように、戦闘の痕跡が無かったんだよ」

QB「全てのケースというわけでは無いよ。だからボクは最初、通りすがりに不意をつかれて倒されたんだと考えていた」

QB「ただし、調べを進めていくうちに、同様のケースがどんどん増えてきた。その確率は全体のおよそ半分程度」

QB「よほど気配を隠すのがうまい魔女であれば、不意打ちが得意というのも妥当な考えだった」

QB「しかし、どの現場にも魔女の痕跡はしっかりと残っていた」

QB「どうにも矛盾するこの事実が、ボクの言うおかしな点さ」
226 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 20:34:47.66 ID:FG6Ivu4A0
ほむら「どういうことなのかしら…」

QB「それはボクにもわからない。こうして確認できた事実のみを伝えることしかできないんだ」

杏子「あたしがやられた魔女ってのは関係あるのか?」

QB「それもわからない。さっき君から聞いた内容だと、その魔女におかしな様子はなかったようだしね。ただ、使い魔が少なかったという特徴が気になると言えば、気になるかな」

QB「もう少し明確な特徴でもあれば、各地の事件との関連性もみつかるかと思って聞いてみたんだけど」

杏子「そうか。でも、何度思い返してみても、たいした違和感は感じなかったんだよなぁ…」

マミ「違和感のある魔女の気配なら、私は感じたわよ…」

エイミー「ニャー…」

QB「マミ、ほんとうかい?それはいつのことだい?」

マミ「鹿目さんたちが佐倉さんのお見舞いに行っているとき、突然エイミーが威嚇をはじめたのよ…」

マミ「その瞬間から、魔女のような気配を感じたの…。でも、すぐに消えてしまったわ」

QB「どんな違和感だったんだい?」

マミ「それが…、こちらの様子を見られているような、ひどく落ち着かない不安のようなものを感じたわ。それ以外にも何かゆらいでいるような…。でも、それが何なのかわからないうちに、その気配は…」

QB「そうか」

ほむら「QB、覚醒者に関する情報は持っていないのかしら?」

QB「実は、そっちはまるで情報無しさ」

QB「ボクも覚醒者らしき気配に気づいたから、調べてみたんだ」

QB「でもあいかわらず、生き残っている覚醒者達は静かなものだね。FXやら、デイトレーディングやらに精を出しているみたいだったよ」

ほむら「…とにかく、何かが動き出しているのは間違いなさそうね」

QB「うん。少なくとも、明らかに不審な被害者が続出している。君たちもいつ巻き込まれるかわからないから、警戒をおこたらないで欲しい」

QB「ボクはまた、引き続き調査を進めるから、何かわかったら知らせにくるよ」

ほむら「わかったわ」
227 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 20:35:12.24 ID:FG6Ivu4A0
【同日深夜 暁美ほむら 自宅】

QB「…」

ほむら「QB、まだ何か用なの?」

QB「暁美ほむら、君にだけ伝えておきたいことがあるんだ」

ほむら「何かしら?」

QB「実は…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ほむら「それは本当なの?」

QB「うん。間違いない」

QB「ただ、さっきはマミやまどかもいたし、あまり衝撃的なことまで話せる雰囲気ではなかった」

QB「過剰に不安を煽ってしまっても、悪影響しか考えられないからね」

ほむら「あなたにしては人道的な判断ね」

ほむら「でもそれだと、敵に付け入る隙を与えることにもなるのではないかしら?」

QB「しかし、これは数少ない手がかりでもある」

QB「だから、暁美ほむら、君にこのことを任せたい」

ほむら「あなたに頼られても嬉しくないわ。でもしかたがないわね。やるだけやってみるわ」

QB「くれぐれも気をつけて」

ほむら「…」
228 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/18(金) 21:00:50.92 ID:FG6Ivu4A0
【同日 首都圏近郊 暗闇】

『…♪』

『しゃーぼんだーまーきーえーたー』

『とーばーずーにーきーえーたー』

『うーまーれーてーすーぐーに』

『こーわれてきーえーたー』

『かーぜかーぜーふーくーなー』

『…』

『ウフフフ、シャボン玉、また消えちゃった…』

『ウフフフフ…』


※注※
題/シャボン玉
曲/中山晋平 詞/野口雨情
著作権消滅を確認のうえ引用しました
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/19(土) 03:33:22.26 ID:8gJDI654o
細かいなwwwww
230 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/19(土) 04:44:23.20 ID:Qv2G60/u0
>>229
やっぱり細かすぎましたか…。orz
投稿者注意事項に著作権云々と書いてあったので。つい。
こうして、さじ加減を勉強していくのですね。
231 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 04:45:13.23 ID:Qv2G60/u0
【数日後 都内某所 工事現場】

ほむら「…」

杏子「うわー、こりゃまたひどいな…」

さやか「…めちゃくちゃ」

杏子「魔女の気配も残ってるし、これもQBの言ってたやつのしわざか?」

ほむら「…そこに隠れているあなた、出て来たらどうかしら?」

少女「…」

さやか「?」

杏子「…誰だ、てめぇ…」

少女「ご、ごめんなさい…。隠れていたつもりはなかったの…。ただ、怖くて…」

ほむら「あなた、何者?」

少女「わ、わたし…、カオリといいます。多田野カオリ」

ほむら「…魔法少女ね」

カオリ「はい」

ほむら「ここで何があったのか説明してくれるかしら?」

カオリ「はい…」
232 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 04:45:40.37 ID:Qv2G60/u0
【同時刻 巴マミ 自宅】

エイミー「ニャー…」

まどか「エイミー…」

マミ「鹿目さん、そんなに心配そうな顔ばかりしないで?」

まどか「マミさん。でも…、ほむらちゃんたち、大丈夫かな、って…」

マミ「暁美さんたちなら大丈夫よ。佐倉さんも、美樹さんも強いんだから」

まどか「…はい」

エイミー「ウニャー!」

マミ「ほら、エイミーも元気出せって言っているわ」

エイミー「ウニュニュ…、ゴロゴロゴロ…」

まどか「…」

マミ「あら?メール…、美樹さんからだわ?」

まどか「さやかちゃん…、から?」

マミ「何か動きがあったのかしら。これから暁美さんの家に行くみたい」

マミ「私たちにも来るようにって…」

エイミー「…」
233 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 04:46:19.78 ID:Qv2G60/u0
【同日 夜 暁美ほむら 自宅】

カオリ「あの…、は、はじめ…、まして。多田野カオリです…」

マミ「多田野さん、はじめまして。私は巴マミ。気軽にマミって呼んでちょうだいね?」

カオリ「はい。よろしく…、お願いします」

さやか「災難だったね、カオリさん。でももう大丈夫だよ?私たちが一緒にいてあげるから」

カオリ「はい…」

杏子「しっかし、よくそんなんで今まで生きてこれたなぁ。魔女なんか倒せるのかい?」

カオリ「いえ…。私はいつも逃げてばかりで…、その…」

まどか「…」(私も同じ…、逃げてばかり…)

エイミー「ニャー…」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「カオリがいた工事現場…。そこにも魔女の気配は残っていたわ。現場の様子から見ても、一連の事件の魔女と考えて間違いはなさそうね」

マミ「多田野さん、あなた魔女の姿は見たのかしら?」

カオリ「はい…。見た目にはとても美しい姿をしていました。しかし、素早い動きと見えない攻撃で、私は何もできずに…」

杏子「素早い動き…、か。さっき工事現場で聞いた話にも出てたけど、どうやら、あたしがやられた魔女と同じみたいだよ。マミ」

ほむら「…」
234 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 04:46:50.18 ID:Qv2G60/u0
さやか「そう言えば、今後のために聞いておきたいんだけど、あなたの武器はなんなの?」

カオリ「私の武器は、これです…」シャキン

杏子「…うわ!」

マミ「注射器?」

さやか「ひぇー…。あれ?杏子、どうしたの?…もしかしてー、…注射苦手?」

杏子「う、う、う、うるさいな!得意なやつなんかいないだろ?」

マミ「ふぅ…。暁美さん。それで、このあとどうするの?」

ほむら「今夜はもう遅いわ。魔女の発生現場も近くなってきているから、今からバラバラに行動するのは危険すぎるわ」

ほむら「だから、今夜はみんな、この家に泊まっていってちょうだい」

杏子「カオリも?」

ほむら「えぇ、そうよ」

さやか「じゃぁ、今夜も合宿だね!」

杏子「さやか…。お前ってやつは…」

さやか「いーじゃない、いーじゃない!カオリさん、遠慮しないでね!」

カオリ「は、はい…」

マミ「…ここは暁美さんのおうちよ?美樹さんたら」

エイミー「…」
235 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 04:47:24.31 ID:Qv2G60/u0
【同日 深夜 暁美ほむら 自宅】

さやか「んー、眠れない…。やっぱ、マクラ変わるとつらいわー…。ふぁぁ…。トイレトイレっと…」

カオリ「…美樹さん」

さやか「ん?あれ?カオリさん?…あなたも眠れないの?」

カオリ「…」

さやか「?」

カオリ「あの…、美樹さん。その…、好きな人、いますか…?」

さやか「…え?」
236 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 06:37:31.66 ID:Qv2G60/u0
【翌日 暁美ほむら 自宅】

まどか「ねぇ…、どうしよう…」

ほむら「さやかが、さらわれた…」

杏子「さやか…」

マミ「多田野さんもいないわ…」

QB「やられたね」

ほむら「油断してしまったわ。まさかさやかを狙ってくるなんて、予想外だった…」

杏子「QB!どういうことだ!何が起きてるってんだ!!予想外って何がだ!!」

QB「すまない、杏子。隠してもしかたないから白状するけど…。昨晩ボクとほむらは、君のことに限定して見張っていたんだよ」

杏子「なに…!」

マミ「どういうことなの?説明…、してくれるわよね」

ほむら「…」

QB「ボクが説明するよ。実はね、杏子、君には魔女によると思われる、呪印のようなものが仕掛けられていたんだ」

杏子「なん…、だって…。どういうことだっ!!」

ほむら「私も、QBから教えられるまでは気づかなかったわ」

QB「以前ここで事件について話をしたよね。そのときに気がついたんだ。杏子、君の魔力にわずかな乱れがあることに」

杏子「魔力の乱れ?…まさか!あの病院で感じた頭痛!!」

QB「そうだね。たぶん、杏子が言っていた魔女との戦闘でしかけられたのだろう。わずかとは言っても、身体になんらかの影響が出ていたはずだよ」

QB「その乱れが最初は怪我のせいかと思ったんだけど、君の怪我は完治していた。乱れの理由がわからない」

QB「そこで、その乱れの正体を確認するために、話が終わったあとで君のあとをつけさせてもらった」

QB「すると、ひとりになった君の魔力は、ある方角に向かって、細い糸のように流れ始めたんだよ。みんなといたときには気がつけないくらいの、極細の糸のようにね」

QB「その糸の先に何があるかは、わからなかったけれども…」

QB「この事実は、すぐにほむらに伝えた」
237 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 06:38:14.73 ID:Qv2G60/u0
QB「これは手がかりだった。ボクとほむらは、敵が君に接触してくると考え、網を張って待つ事にしたというわけさ」

杏子「…くっ」

ほむら「網を張っている気配を敵に察知されないように、あなたにも黙っていたの。ごめんなさい…」

マミ「でも、敵が接触してきたのは美樹さんだったわ」

杏子「さやか…。あたしの代わりに…?」

QB「いや、いくらボク達が杏子のことに限定して見張っていたとは言え、敵の接触に全く気がつかなかったのはおかしい。敵がボク達の網に気がついて、さやかに狙いを変更したとしたら、こちらも何かしら気づくはずだ」

QB「これはもう、最初からさやかがターゲットだったとしか思えないよ」

ほむら「さらに言えば、さやかを連れ出した犯人は、カオリね」

マミ「魔法少女が魔女のみかたをしている…、と言うの?」

QB「信じがたいことだけど、今の状況からは、そう判断せざるを得ない」

杏子「で、どうする…?」

ほむら「もちろん、助けに行くわ」

杏子「そうだな。場所はわかるのか?」

QB「それはボクに任せてほしい。魔女の痕跡をたどってみるよ」

マミ「それじゃぁ、QBの後に続いて…」

ほむら「マミ、あなたはここに残ってもらえないかしら…」

マミ「え?」
238 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 06:38:49.99 ID:Qv2G60/u0
QB「そうだね。まだ覚醒者の気配の正体もつかめていない。これまでの経験から、もし覚醒者も動いているとしたら、本命の狙いがまどかである可能性もある」

QB「さらに、敵はボク達の目を杏子に向けさせて、さやかをさらうという、手の込んだことをしてきた。つまり、これすらフェイクである危険性も残されているんだ」

まどか「…」

QB「だから、マミにはまどかをここで守っていてほしい」

マミ「…」

ほむら「お願いよ…。マミ、お願い…。まどかを…」

マミ「ふぅ…、わかったわ。そんな顔して頼まれたんじゃ、しかたないじゃない。今回はお留守番ばかりな気がするけど、鹿目さんのことは任せてちょうだい」

ほむら「ありがとう…。本当に…」

QB「それじゃぁ、ほむら、杏子、行こうか」

杏子「あぁ」

マミ「気をつけて」

ほむら「まどか…」

まどか「ほむらちゃん…。さやかちゃんをお願い…。待ってるから…。私、待ってるから」

ほむら「…行ってくるわ。まどか」

杏子「マミ、まどか、安心してろよ。お前らの分も、あたしの槍をきっちり叩き込んできてやる!!何より、あたしのことを利用しやがった。ぜったいに許さねぇ」

マミ「いってらっしゃい…。ここは危険だから、私たちは場所を移して待機しているわ。私の家で」

QB「わかった。じゃ、そっちはよろしくね」

杏子「よし!行くぞ!!」

エイミー「…」
239 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 07:33:28.89 ID:Qv2G60/u0
【同日 夕刻 首都圏近郊】

QB「こっちだよ」

杏子「ずいぶん遠くまで来たもんだな…。まだなのか?QB」

QB「うん、もう少しだと思う。だいぶ近づいて来た…」

ほむら「…」

杏子「…」

ほむら「…なに?」

杏子「なんであたしに黙ってた…?」

ほむら「…さっきも言ったでしょ。敵の目を欺くためよ」

杏子「そういうこと言ってんじゃないよ」

ほむら「…」

杏子「なんで、あたしのことを信用しなかったのかって聞いてるんだ」

ほむら「…杏子。…ごめんなさい」

杏子「あのなぁ…、答えになってないよ。謝ってほしいなんて誰が言った?」

ほむら「…」

杏子「…あたしは最初、ほむらのことが気に入らなかった。何を考えてるのかさっぱりわからなかったしな」

杏子「でも、今は心から仲間だと思ってる…」

杏子「なんでかわかるか?」

ほむら「…」

杏子「ほむらが、他人のために頑張りすぎていることがわかってきたからだ」

杏子「ほむらは、まどかのことが本当に大事なんだな」

杏子「そのためには何を犠牲にしても、いや自分の命さえ気にしていない。違うか?」

ほむら「…」
240 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 07:34:10.84 ID:Qv2G60/u0
杏子「答えないのか…。まぁいいよ。もう勝手にしゃべるぞ」

杏子「あたしもそうだったんだ。魔法少女になったときは…」

杏子「でも、いろんなことに裏切られて、考えていたとおりにいかなくなって…。いつの間にか、他人のことなんてどうでも良くなってた」

杏子「そんなあたしが、また他人のために頑張ってる…」

杏子「楽しかったんだよ。ほむら、さやか、マミ、そしてまどかと一緒に何かをやることが。思い出したんだ。みんなが思い出させてくれたんだ」

杏子「だから、今のあたしは仲間のために戦う。ほむらが、まどかのために戦えって言うなら、そのとおり戦う。ほむらを信用しているからな」

杏子「だから!…だから、ほむらも、あたしのこと少しは信用してくれ。…頼むよ」

ほむら「杏子…。ありがとう」

杏子「…ちぇっ。いまいち返事になってない気がするけど、それで良いことにしといてやるよ」

杏子「あとなぁ、ほむら。お前、まどかのことだけじゃなくて、あたしらのことも大事になってきてるだろ?自分じゃあんまり気づいてないみたいだけど」

ほむら「…」

杏子「病院代金、払ってくれて助かったんだぞ?ホント」

ほむら「…あとで返してもらうわ」

杏子「げっ!マジかそれ!」

ほむら「…冗談よ」

QB「そろそろ近いね。…ここみたいだ」
241 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 17:32:03.15 ID:Qv2G60/u0
【首都圏外郭放水路 第一立坑入り口】

杏子「ここは…?」

QB「首都圏外郭放水路、地下に広がる調圧水槽の真上、第一立坑さ。中はさながらパルテノン神殿のような趣きになっている、日本最大級の地下施設だよ」

ほむら「陰気な魔女が自分の城に見立てるにはぴったりの場所ね」

杏子「まぁ、なんでも良いや。魔女の気配はこの中からただよってきてるんだよな?QB」

QB「うーん、それはそうなんだけど…」

杏子「…どうしたんだ?何かおかしなことでもあるってのか?」

ほむら「何か様子がおかしいわ…」

QB「うん。魔女の気配ともうひとつ…、いやふたつ…」

ほむら「これは…、『覚醒者』の気配…」

杏子「覚醒者だって?二匹も?」

ほむら「えぇ…。これは以前感じた気配と同じ。ひとつは恐ろしく静かで、もうひとつは奇妙な違和感を感じる…」

ほむら「そして、魔女の気配は、どんどん弱くなっていっている…。もう、ほとんど感じないわ」

杏子「それって…、また覚醒者が魔女を操ってるってことじゃ…」

QB「ここまで来てなんだけど…、今日のところは一旦退いたほうが良いと思う」

ほむら「…」

杏子「なんだって?」
242 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 17:32:30.81 ID:Qv2G60/u0
【同時刻 巴マミ 自宅】

マミ「鹿目さん、私たちはここでみんなの帰りを待ちましょう…」

まどか「…は、はい」

エイミー「ニャー…」

マミ「…」

まどか「…」

マミ「…」

まどか「…」

マミ「ねぇ、鹿目さn…」

ガタッ

マミ「何?ベランダで物音…」

マミ「え?…多田野…さん?」

カオリ「…ぅ」

マミ「多田野さん!あなたは!…どうしたの?こんなところで?その怪我…!!」

カオリ「…すけ…てぇ」

まどか「…!」

マミ「多田野さん!」

カオリ「ぉねがぃ…、たす、…けて」

まどか「カオリ…、ちゃん…?」

マミ「多田野さんっ!しっかりしてっ!!多田野さんっ!!」

エイミー「ニャ…」

カオリ「…」
243 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 17:33:07.18 ID:Qv2G60/u0
【再び 首都圏外郭放水路 第一立坑入り口】

QB「ここまで来てなんだけど…、今日のところは一旦退いたほうが良いと思う」

ほむら「…」

杏子「なんだって?」

QB「まず、ここに覚醒者が2体もいるということがわかった。しかも、その覚醒者は、杏子を翻弄した魔女すら操れるほどの実力を持っていると考えられる」

QB「それに対して、こちらの戦力は君たちふたりのみ。しかも、対覚醒者の戦略を用意しているわけでもない。明らかに準備不足だ」

QB「そんな状態で敵に挑んでも、みすみす殺されに行くようなものだと思う。だから、ここは一旦退いて、マミと一緒にせんりゃk…」

ほむら「QB、あなたは間違っているわ」

QB「ボクが間違っているって?」

ほむら「そうよ。勘違いをしているようね」

杏子「…?」

ほむら「私たちは、敵を倒しに来たのではないわ…」

QB「…」

ほむら「私たちは…、美樹さやかを救い出しに来たはずよ…!まどかにも、そう頼まれた」

杏子「そうだ!まどかは信じて待ってるって言ってた!!」

ほむら「さやかを救い出すのであれば、これ以上時間をかけることは得策ではないわ。それに、戦うことが目的でないならば、なるべく人数が少ない方が逃げやすいぶん有利よ」

ほむら「QB、ここまで案内してくれてありがとう。ここから先は、杏子とふたりで進むわ。良いわね?杏子」

杏子「もちろん!」

ほむら「それじゃぁ、行きましょう…」
244 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 17:37:43.64 ID:Qv2G60/u0
【首都圏外郭放水路 調圧水槽】

杏子「…はぁ、…はぁ、…はぁ。おい…、ほむら…」

ほむら「いったい…、これはどういうこと」

杏子「おい、どうなってんだ?今までに聞いてた話と違わないか?それに、さやかはどこだ!!」

ほむら「…また来るっ!…杏子!気をつけて!!」

「マキィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」ズビュンッ!!

杏子「っつ…、かはぁっ!」ズシャァァァァァァァ…

ほむら「杏子っ!!」

「キキキカキカヵカカカヵ…」シュンッ!!

ほむら「くっ…!速い…」ガンッ!

「…キ……キキ」

ほむら「…この」ギリギリギリ…

「キィアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」グンッ!!

ほむら「っきゃ…!」ドシャァァァァァァァ…

杏子「ててて…。っくそぉ…」

ほむら「…杏子!大丈夫?!」

杏子「あ、あぁ…、なんとかな…。そっちは…?」

ほむら「私は平気よ…」

杏子「それにしても、ほむら。こいつ…。こいつの気配」

ほむら「えぇ…。これが奇妙な違和感の正体…。でも、信じられないわ…」

杏子「…女の、…覚醒者!」

女覚醒者「…ミキィ……マ…ヤキキキ……ァ…ァァァァ…」

ほむら(なぜ、女の覚醒者が…)

ほむら(カツオさんやナカジマ、それにQBの話でも、覚醒するのは男のみだったはず…)

ほむら(なのに…、なぜ…)

ほむら(それに、もうひとつの気配…)

ほむら(…!また魔女の気配!?次から次へと何が起きて…)

女覚醒者「マ…、マ……」

杏子「ほむらっ!どこ見てるっ!!」

ほむら「え…」

女覚醒者「ママァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」キュンッ!!
245 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 20:22:07.63 ID:Qv2G60/u0
マミ「あぶないっ!!!」バキン!!

女覚醒者「グ…ガガ…ァガ……」

マミ「お待たせ!暁美さん、佐倉さん!」

杏子「あ…、マミ?」

ほむら「マミ…、なんでここに…」

マミ「え?なんでって、多田野さんに言われたから…」

ほむら「カオリに?」

マミ「暁美さんがピンチだから助けてくれって…。それで来たのよ?」

杏子「なんだと…」

ほむら「マミ…。私たちはあなたを呼んでいないわ…。カオリにも会ってない」

マミ「え…?」

ほむら「マミ、カオリとまどk…」

カオリ「アハハハハハハハハハ!」

ほむら「…!」

杏子「カオリ!」

カオリ「アハハハハハハハハハハハハハハ!!」

杏子「てめぇ…、カオリ…」

カオリ「アハハハハハハハ!!おかしい!あなたたち、おかしいわ!!マヌケな人を見るのって、ほんとにおかしいわ!!」

マミ「多田野さん…?」
246 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 20:23:11.64 ID:Qv2G60/u0
カオリ「ウフフフフ…。アハッ…。アッハハハハハハハハハハハハ!!!ダメ!ダメよ!我慢できない!そんなアホ面であたしを見ないで!おかしくて…、おかしくて!!アハハハハハハハハハハ!!」

マミ「あなた、どうして…」

カオリ「マミ、あなたホントにバカなの?思い出してみて、どうして『一度も行ったことの無いはずのマミの家のベランダにあたしが行けたの?』ねぇ、説明してみせてよ!ほら!早く!アハハハハハハハハハハハハ!!」

マミ「!!」

ほむら「あなたの正体は…、何者?」

カオリ「アハハハ…、ウフッ、ウフフフフフ。はぁ…、はぁ…。ほむら、ごめんなさい、笑ってて聞こえなかったわ…。何かしら?」

ほむら「あなたは何者…?」

カオリ「ウフフフ。あたしの正体が知りたいの?それは魔法少女よ?見てわからないかしら?」

杏子「てめぇ…。覚醒者に、魔女に魂売りやがったのか…?」

カオリ「あらぁ?横やり入れてくる人がいるわね?ウフフフ」

杏子「答えろっ!!」

カオリ「杏子、そんな怖い声出してもダメよ?それに、あたしが魔女に魂を売ったですって?ほんとに何もわかっていないのね?杏子、負け犬の遠吠えはみっともないわよ?」

杏子「んだと、てめぇ!!」

カオリ「ウフフフ…。しかたないわ…。いつまでもバカな質問されても時間の無駄なだけだから、教えてあげるわ」

カオリ「あたしの本当の名前は…、リカよ。正真正銘の魔法少女。ただし、あなたたちと違って特別な魔法少女よ」

ほむら「…特別?」

リカ「そうよ、あたしは特別なの。そのうちわかるわ。死ななければね。ウフフフフ…♪」
247 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/19(土) 20:24:29.79 ID:Qv2G60/u0
女覚醒者「…マ…マ、ママ、ママ、マママママママママママママ!!!」

ほむら(くっ!こっちの覚醒者だってまだ倒していないのに…!この状況…)

リカ「うるさいっ!!!」

女覚醒者「マ、…ァ」ビクッ

リカ「おとなしくしていなさい!ナミエ!!今、あたしがしゃべっているのよ?やたらと耳障りな叫び声をあげないでちょうだい」

杏子「ナミエ?どこかで聞いたような…」

女覚醒者「…ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…ワタシヲキライニナラナイデ…ゴメンナサイゴメンナサイ…」

マミ「まさか…!」

リカ「あら?少しは頭が回るようね?そうよ、この子はナミエ。昔はイクラって呼ばれてたかしら?」

ほむら「あなた…、殺された魔法少女たちを使って、イクラの再生を…」

杏子「な…?何を使うって?」

リカ「ブッブー!はずれー!あたしがイクラなんか再生してやるわけないじゃない。何かの役に立ちそうだったから、グチャグチャにして、魔法少女と混ぜてみただけよ?」

リカ「何度も失敗したわ。だって…、だって…、再生しちゃうんですものー!アハハハハハハハハ!」

リカ「そのたんびに殺すのは楽しかったわー。何度も、何度も、何度も、何度も…。繰り返し何度も、何度も、何度も、何度も。グッチャグチャにしてやったわ…。ウフフフ…」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/20(日) 03:04:53.80 ID:H6z3q+Zbo
リカちゃん・・・
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(空)[sage]:2011/11/20(日) 03:08:24.50 ID:JhbbtnMlo

面白いがちょっと設定がこんがらがってきた
250 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/20(日) 13:45:41.19 ID:pZhz+Wz60
投稿者です。昨晩、交通事故にあいました。
痛かったと言うより、怖かったです。
今、病院やら保険やらでゴタゴタしているので、すぐの投下ができません。
申し訳ありません。しばらくお待ちください。

>>248
リカちゃん、タラちゃんとは喧嘩もしていましたが、あれは恋人です。

>>249
はい。少しゴチャゴチャしてきていますよね。
がんばって、綺麗にまとめようと、がんばります。m(__)m

ちなみに、病院に付き添ってくれた友人は、
「食パンでもくわえてたら恋のきっかけになったよね。ははは」
と、のんきなことを言っていたので、
今度、車ではねて、身体中の穴と言う穴に隙間無く食パンを詰め込んでやろうと考えています。

みなさまも、事故にはくれぐれもご注意ください。
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)[sage]:2011/11/20(日) 14:00:48.58 ID:voIZNGoZo
ちょ、おい…危うく>>1の前にQBが現れるとこだったのかよ…
大事には至らなかったようですが、お大事に
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)[sage]:2011/11/20(日) 15:31:59.96 ID:H6z3q+Zbo
ひええええ・・・
無事でよかった;
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/20(日) 18:12:46.67 ID:7STjskLAO
お大事に…
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(空)[sage]:2011/11/20(日) 18:56:39.60 ID:Qs1aAM2Ao
大事に至らなくて何より
しっかり処理してください
255 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/21(月) 09:44:07.72 ID:+wZduIwY0
おはようございます。

>>251
QBは現れたのですが、見つけた瞬間に我がソードカトラス(※注1)で蜂の巣にしてやりました。

>>252
>>253
>>254
気にしていただいて恐縮です。ありがとうございます。m(__)m
身体は比較的無事です。ただ、買ったばかりのノートパソコンが…。orz

ひとまず交通事故の後処理が落ち着きそうです。あとは、しばらくの通院だけです。
加害者の方がすごく親身になってくれて助かりました。逆に申し訳ない気持ちです。
破損物の金額を申請しづらかった…。怪我よりも心が痛いです…。orz

皆様にはご心配おかけして申し訳ありませんでした。m(__)m
今日は仕事をお休みします。
もう少し時間があくかとも覚悟していたのですが、さっそく、続きの投下を開始します。

余談ですが、黒い服を着た奇妙な男がお見舞いに来てくれました。
わきあがる力が抑えられそうにありません。
このSSを書き終えたら覚醒して、今年のクリスマスを中止に追い込もうと思います。
リア充の方々にはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

※脚注1:ソードカトラス→自作割り箸輪ゴム鉄砲
256 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:45:46.22 ID:+wZduIwY0
杏子「おい、ほむら!今、なんて言った?何を使うって?」

ほむら「…QBから、杏子に仕掛けられた呪印の話を聞いたとき、もうひとつ知らされた事実があった…」

リカ「あら、まだ気がついていなかったの?証拠もたっぷり残しておいてあげたはずなのに。そんなことなら、あたしが教えてあげるわ。杏子」

リカ「あのね、殺した魔法少女の身体をね、ちょっとずつ拝借してきたの。それをイクラの身体に埋め込んで遊んでみたのよ♪」

マミ/杏子「!!」

リカ「何度も何度も死と再生を繰り返し続けたイクラはね…、最後の頃にはせっかく取り戻していた自我を失ってしまったわ。で、その成れの果てが、この子よ」

リカ「ねー、ナミエ?」

女覚醒者「…マ、……マ…ァ」

リカ「今の聞いた?…この子バカだから、あたしのこと、母親だと思ってるのよ?ウフフフ。気持ち悪い♪」

マミ「…なぜそんなひどいことを」

リカ「なぜ?なぜなのかって?」

リカ「…」

リカ「タラオさんを、あたしから奪ったからよ。…タラオさんを好きだった、このあたしから!!!」

リカ「だから、タラオさんを取り返すついでに、復讐してやっただけのことよ♪アハッ♪」

杏子「取り返すって、どうやって…。あいつらは結界の中に封じ込まれたんじゃ…」

リカ「そんなの簡単よ。アんな結界、外かラ破壊しテヤったわヨォ…」ズ…

リカ「お手本ヲ見せてアゲルワ…。アナたにだッてデきるぅゥ…」ズズ… ズズズ…

杏子「な…、あれは…」

リカ「あァァァタシぃみタいィニぃ、ナレばネェェェェェェェェェェェェェェ!!!」ズゾンッ

マミ「魔女!」
257 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:46:15.94 ID:+wZduIwY0
魔女リカ「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

杏子「こいつ!あたしをボコッた魔女だ!」

マミ「これは家で感じた魔女の気配!」

魔女リカ「ヨウヤク気ガツイタノネ!アタシハ特別!自分ノ意思デ、イツデモ魔女化デキルッ!!」

魔女リカ「サァ、ドウスルノカシラ?覚醒者ト魔女、同時ニアイテデキルカシラ?アタシヒトリスラ手ニ負エナカッタ、アナタタチガッ!!」

魔女リカ「キャハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

魔女リカ「ナミエ!アナタモ、アノ魔法少女タチニ、自分タチノ無力サヲ教エテアゲナサイ!!」

女覚醒者「…マ、マ…、ママ、マママ…」

マミ「そ…、そんな…」

杏子「くそっ…。どうする…」

ほむら(うかつだったわ…。敵がこちらを撹乱していることにも気づいていたのに…。QBの言う通り一旦退くべきだったのか…)

ほむら(魔女に女覚醒者…。さやかもいない、まどかもどこへ…)

覚醒者「まぁまぁ、そんなに慌てないで。この奇妙な女覚醒者は僕が相手をするよ」

マミ/杏子「!!」

覚醒者「残念だけど、今の君たちじゃぁ、あの女覚醒者は倒せない」

ほむら「覚醒者?!」(こんな気配、今まで感じなかった…!)

覚醒者「ほらほらよそ見しないで。今は敵に集中しないとね。そっちの魔女は君たちに任せるよ?」

杏子「覚醒者があたしたちに味方する?」

ほむら「…あなた、…何者なの?」
258 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:46:44.00 ID:+wZduIwY0
覚醒者「僕の気配に気がつかなかっただろ?ははは。僕はね、隠れるのが上手いんだよ。長年隠れていたからさ」

覚醒者「それに僕が誰であっても、この状況は変わらないよ?説明するのはめんどくさいから、かんべんしてほしいな」

覚醒者「そんなことを気にする暇があるなら、さっさと敵を倒そうじゃないか」

ほむら「…」

覚醒者「…」

ほむら「…そうね。しかたがないわ。あなたの言っていることは正しいし、今はあなたを信用するしか無いってことなのね」

覚醒者「そうそう。飲み込みが速くて助かるよ。安心してくれ。こう見えても僕は紳士なんだよ。背中から襲ったりなどしない」

覚醒者「女性に交際を迫るときには、正々堂々と正面から行くよ。あははは」

杏子「ほむら!そいつ信用しても良いのか?」

ほむら「選択の余地は無いわ…」

マミ「…」

覚醒者「あれま、あまり面白くなかったかな…?冗談を言ったつもりだったんだけど…」

魔女リカ「…オマエ、…何者ダ」

覚醒者「おっと、そちらは飲み込みが悪いみたいだね。僕はこの魔法少女たちの味方で、君の敵だよ」

覚醒者「君にしたって、僕が誰なのかなんて、どうでも良いことだろう?そんなこと…」

魔女リカ「…」

覚醒者(そう…、僕はもう、誰でも無い…。ちょうどいい潮時だ…)
259 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:47:20.28 ID:+wZduIwY0
【覚醒者の回想 194X年 タラオ覚醒直後】

エルミタ「終わりだ。魔女は去った。急いで退くぞ」

魔法少年「終わりって…。でも、あそこには、まだ…。タラオ君のことは良いのか?」

エルミタ「化け物を我が子にした覚えはないよ…」

魔法少年(なんだって?…化け物?)

エルミタ「こいつは私が持って行く。お前は自力でここから離脱しろ」

魔法少年「…わかったよ。ホント、今日のお前はめずらしく感傷的にものを言うんだな」

エルミタ「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あのあと、僕は怪我の回復のため魔力を限界まで引き出した。

だが、もともと攻撃型の僕は、身体の再生能力は低かった。

無理な再生を試みた結果、僕はあっさりと覚醒してしまった。

完全に理性を失った僕は、一緒にいたエルミタに襲いかかったらしい。

しかし、気がつくと僕はベッドに寝かされていた。

エルミタが僕を助けてくれたんだ。

あの気絶した魔法少女は、僕が殺したらしい。

彼はそんなこと言わなかったが。

彼女には二度と会うこともなかったし、僕の手は血まみれだったから、わかる。

そんな僕を、彼は守った。
260 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:47:56.11 ID:+wZduIwY0
魔法少年「…ここは」

エルミタ「気がついたか」

魔法少年「エルミタ!」

エルミタ「…」

魔法少年「僕はどうして…、いや、何を?」

エルミタ「腹がすいているだろう。食事をとれ…」

魔法少年「おい、僕の質問に答えろよ!」

エルミタ「…後でまた来る」

魔法少年「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

僕は何が何だかわからなかった。

気がつくと、強烈な飢餓感に襲われた僕は、目の前の食べ物を一心不乱にむさぼり喰っていた。

エルミタはなかなか帰って来なかった。

ベッドの脇に置いてあった薬を飲むようにと置き手紙があった。

僕はその指示に従った。

何もすることが無かった。

ここから先は、僕が直接見聞きしたことじゃない。

あとになってから、エルミタから聞いた…。
261 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:48:24.01 ID:+wZduIwY0
エルミタ「我が長よ。覚醒者は、そのほとんどが狩られた」

エルミタ「今残された魔法少年は、このまま監視すれば問題はないだろう」

『…』

エルミタ「それは危険だ。おとなしくしている者のところに、わざわざ出向くのは利が無いぞ」

『…』

エルミタ「わかった…。残り、目立つ者の処理を進める」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

魔法少年は危険因子として監視されることになった。

実際、数多くの覚醒者を出し、そのほとんどが駆逐された。

僕も覚醒者となっていた。

エルミタは、そんな僕をかくまってくれていたんだ。

あの事件のあと、僕は死んだことにされていたらしい。

なぜ?

彼は、罪滅ぼしのような物だと言っていた。

普段は無口な彼だったが、少しずついろいろと話を聞かせてくれた。

数少ない彼の言葉に、嘘偽りはなかったのだろう。

「化け物を我が子にした覚えはないよ…」

彼は悲しかったんだ。

僕たちを「化け物」にしてしまった、その罪に苦しんでいた。

だから、彼は僕をかくまってくれた。

ありがとう、エルミタ…。

エルミタはもう、この世にいない。

エルミタ、今から会いに行くよ。イクラ君も一緒につれて、ね。
262 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 09:49:45.44 ID:+wZduIwY0
【首都圏外郭放水路 調圧水槽】

覚醒者「さて、イクラ君。いや、今はナミエさん、だっけ?覚醒者は覚醒者同士、仲良くしようじゃないか」

女覚醒者「…マ、ァ…マ…キキ…」

覚醒者「やれやれ、話はできそうにないね。懐かしいと思っていたから、昔話のひとつでもできるかと、期待していたのだけれど」

女覚醒者「ァ…、ァ…、タラ…、…スヶ…テ…」

覚醒者「泣いているのかい?」

女覚醒者「…タ、…スケ、…」

覚醒者「わかるよ。苦しいよね。悲しいよね…」

女覚醒者「…」

覚醒者「でも安心してくれ。さぁ、もう時間だよ。一緒に行こうじゃないか…」

カヵッ! パァァァァァァァァァァァァ…

女覚醒者「ァ…」

魔女リカ「ナ…、ナンダコノ光ハ…」

杏子/マミ「…!!!」

ァァァァァァァ…

マミ「覚醒者が消えたわ…」

杏子「おい…、何だったんだ…、今の」

魔女リカ「…ア」

ほむら「あなたのお友達はいなくなったみたいだけれど?」
263 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 17:47:49.24 ID:+wZduIwY0
魔女リカ「ナンダト…」

ほむら「マミ!杏子!こっちに集中して!」

杏子「お、おぅ!」

マミ「…!」

魔女リカ「…」

ほむら「…」

魔女リカ「ウフフ…」

杏子「?」

魔女リカ「ウフフフハハハ…」

マミ「え?」

魔女リカ「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

魔女リカ「オトモダチ?オトモダチデスッテ?アハハハハハハハハハハハハ!!」

魔女リカ「オカゲデ手間ガ省ケタワ。イツ始末シテヤロウカト思ッテイタトコロヨ!」

ほむら「…」

魔女リカ「アナタコソ…、オ友達ノコトガ気ニナルノジャナクテ?」

魔女リカ「イイワヨ?会ワセテア・ゲ・ル♪」

杏子「あれは…、さやか!」

マミ「美樹さん!」

さやか「あ…、あぁ…、きょ…すけ…、……け…て…」

ほむら(さやか…!あれは…、ソウルジェムが…)

魔女リカ「アッハハハハハハハハハハハ!何ナノソノ顔!感動ノ再会ッテトコロカシラ?」

さやか「…あ、……あぁ…、かはっ…」

魔女リカ「ナカナカシブトイノヨネェ…。予定デハ、モウアタシノ仲間ニナッテイルハズダッタンダケド」

杏子「てめぇ!さやかに何しやがった!!」
264 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 17:48:24.03 ID:+wZduIwY0
魔女リカ「エー?アタシハナニモシテイナイワ。タダノガールズトークヲシタダケヨ?」

魔女リカ「彼氏ノコトニツイテ話ヲ聞イテアゲタダケナンダケドー。キャハッ」

魔女リカ「ソシタラ、突然…ネ♪」

杏子「さやか…」

魔女リカ「アラ?ソノ顔ハナニ?杏子ハ、マダ懲リテ無イノカシラ?」

魔女リカ「アノトキ、ソノ身体ニ、アタシノ強サヲタタキコンデアゲタハズナノニネェ?」

杏子「て、めぇ…」

ほむら「まどかは?まどかはどこっ?」

魔女リカ「…?」

マミ「…!」

ほむら「まどかは、あなたと一緒にいたんじゃないの?」

マミ「鹿目さんは、家において来たわよ?」

ほむら「え…!」

魔女リカ「アァ…、アノ少女ノコトカ…。アンナノ、ドウデモイイ…」

魔女リカ「アタシガ殺シテヤリタイト思ッテイルノハ、魔法少女ダケダ!!」

ほむら(まどかは無事…。良かった…)

マミ「でも、どうして、私たちのことをそんなに憎むの…」

魔女リカ「…」

杏子/ほむら「…」

魔女リカ「教エテヤロウカ…」
265 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 17:49:30.74 ID:+wZduIwY0
【魔女リカの回想 194X年 覚醒者狩り】

魔法少女「っきゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」ズシャァァァ…

リカ「ちょ、ちょっと待って。ねぇ、どうして?あれは魔法少年じゃないの?!」

魔法少女「何言ってるの?あんな化け物…。くっ…」

リカ「私たちは仲間同士じゃなかったの?」

魔法少女「そんなこと言ってる場合じゃ…。あ、危ないっ!!」

覚醒者「ギャブハァァァァァァァァァアァァァァァアアァッッァァ」ズバァァァァァァァ!!

リカ「あっ…!!」ゴシャァァァァァァ…

魔法少女「…」

リカ「…?」

魔法少女「…」

リカ「あ…、あなた…。ひぃっ!!」

魔法少女「…」

リカ「死んで…る…」

覚醒者「ミギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

リカ「なぜ?なぜなの?」ズ…

リカ「教えてよ…。タラオさん…。ねぇ、教えて…」ズズ…

リカ「ねぇっ!!なぜなのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」ズズズ… ズ…

リカ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」カッ!!!

リカ「あ、あぁ…、あぁァぁ…、ああアアアあアアアアァァァァァァァァァァ…」

リカ「ァァァァ…
266 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 17:49:57.77 ID:+wZduIwY0
【首都圏外郭放水路 調圧水槽】

マミ/杏子「…」

魔女リカ「結局、ソノ覚醒者ハアタシガ殺シタ…」

魔女リカ「アタシハ魔女ニナッタ」

魔女リカ「泣キナガラ塵ニナッテイク、覚醒者、イエ、魔法少年ダッタ者ノ姿ヲ見ナガラ…」

魔女リカ「…アタシハ悟ッタワ。所詮、彼ラハ使イ捨テノ道具ニスギナイト…」

マミ(魔女になった?今、そう言ったわ…。それって、どういうこと…)

ほむら「…」

魔女リカ「タラオサンモ覚醒サセラレタ…。彼ガ悪イノ?彼ニ罪ガアッタトデモ言ウノ?」

魔女リカ「彼ハ悪クナイ…。悪イノハ、アナタタチ魔法少女」

魔女リカ「仲間デアッタハズノ魔法少年ヲ、何ノタメライモナク殺ス…」

魔女リカ「ソレナラ、コチラモ同ジヨ。全部ブッコワシテアゲルワ」

杏子(あいつの言うことがわかっちまう…。くそっ…)

魔女リカ「…トクニアナタタチ。タラオサンヲ結界ニ封ジ込メタ」

マミ「!!」

魔女リカ「アタシカラ、タラオサンヲ、奪ッタノヨ!!」

魔女リカ「覚悟シナサイ。マトモナァァ、死ニ方ナンテェェェ、許サナイィィィィィィッ!!!」
267 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:19:29.92 ID:+wZduIwY0
マミ「…来る!」

杏子「おい!ほむら!あれやれ!あれ!ナカジマのときの!」

ほむら「N2のこと?あれはダメよ!」

魔女リカ「コナゴナニナッテ…」

杏子「なんでだよ?」

ほむら「ここで使ったら、さやかまで巻き添えに!!」

魔女リカ「グチャグチャニナッテ…」

杏子「じゃ、時間止めろ!時間!」

魔女リカ「死ィィィィィィネエェェェェェェェェェェェェェェ!!!」ビシュッ…

杏子「って、うわぁっ…!」ビスッ

マミ「きゃぁっ…!」ビスッ

魔女リカ「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

ほむら「う…、うぅ…」

杏子「こん…、の…。かはっ…」

マミ「あ…、あぁ…」

ほむら「…はっ?!マミ!杏子!」

魔女リカ「ウフフフ…。ホムラ、アナタ以外ハ避ケキレナカッタミタイヨ?」

ほむら「…」

魔女リカ「アナタコソ、オ友達、イナクナッチャウカモネ?」

魔女リカ「アタシノ注射器カラ毒ガ回リ始メタワ…。苦シソウネ…。カワイソウ…。アハッ」

魔女リカ「ダカラ、命ダケデモ助ケテアゲヨウカシラ♪」
268 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:20:01.35 ID:+wZduIwY0
ほむら「どういう、こと…」

魔女リカ「彼女タチニハ、アタシノ仲間ニナッテモラウノヨ…」

魔女リカ「死ヌヨリツライ…」

魔女リカ「魔女ニナッテモラオウカナ、ッテ。キャハハハハハハハハハハハハハ!!」

ほむら「!!」

魔女リカ「彼女タチハ魔女ニナルワ。特別ナアタシト違ッテ、自分ノ意識ナンカ残ラナイ」

魔女リカ「ソシテ、ヒタスラコノ世ニ絶望シナガラ、コノ世ヲ恨ミナガラ…」

魔女リカ「アタシニ殺サレルノヨォォォォォォォォォ!!!」

魔女リカ「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

魔女リカ「人間ノママデナンカ死ナセナイ!アナタタチガ敵トシテイル、魔女ニナッテカラ死ヌ!!」

杏子「ぅが…、がが…」

マミ「ぇ…、あぅ…」

魔女リカ「…」

ほむら「…」

魔女リカ「イイエ、ヤッパリヤメタワ。アタシハ、アナタノオ友達ヲ殺サナイ…」

ほむら「?!」

魔女リカ「ホムラ、アナタガ攻撃ヲ避ケテクレテ、思イツイタノ…。ウフフ…」

魔女リカ「アナタノオ友達ヲ殺スノハ…。アハッ…」

魔女リカ「アナタヨ…、ホムラ♪」

ほむら「…くっ」

魔女リカ「アナタ、時間ヲ止メラレルンデスッテ?サッキ、杏子ガ言ッテタワ。スゴーイ♪」

魔女リカ「ナラ、簡単デショ?」
269 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:20:28.22 ID:+wZduIwY0
魔女リカ「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

ほむら(杏子も、マミも動けない…。さやかも…)

魔女リカ「オモシロイワ!最高ニオモシロイワ!!ナンテグッドアイディア!!!」

ほむら(もう、あいつを倒すためには…)

魔女リカ「アナタハ、大事ナ友達ヲ自分デ殺ス!!敵トシテ忌ミ嫌ッテイタ魔女ニナッタ友達ヲ!!」

ほむら(まどか…、ごめんなさい…、わたしは…、わたしはみんなを…)

魔女リカ「サァ!アナタノ大事ナ友達ハ、今カラ魔女化シチャウワ!!」

ほむら「…」ぐぐっ…

魔女リカ「アタシト同ジ苦シミヲ味ワウト良イワ!!大切ナヒトヲ失ウ、絶望ヲッ!!ソノ自ラノ手ニヨッテネ!!!」

「フシャーッ!!」バシュッ!!

魔女リカ「エギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

ほむら「何?」

エイミー「フゥーッ!!!」

ほむら「エイミー?!」

魔女リカ「ウ…、ググ…」

エイミー「シャーッ!!」
270 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:21:04.97 ID:+wZduIwY0
魔女リカ「ナ、ナンダ、ソノ猫ハァァァァ!!」

魔女リカ「ホムラ!アンタガ連レテキタノカッ!!」

魔女リカ「ソンナノラネコ、アタシニ近ヅケルナッ!!」

エイミー「ウゥー、フゥーッ…」

魔女リカ「ソレニ…、ソレニ…、ソレニ…」

魔女リカ「ナンデ、オマエガ、ココニイルッ!マドカァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

まどか『…』

ほむら「まどか…!どうしてここに!?」

まどか『…』

ほむら「まどか…?」

ほむら(まどかの様子がおかしい…)

まどか『…』

エイミー「ニャー…」

まどか『…』ズ…

魔女リカ「ア…」

エイミー「…♪」
271 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:21:39.97 ID:+wZduIwY0
ほむら(まどか…。エイミー、何をして…)

まどか『…』ズズズ…

魔女リカ「アァァァ…」 

ほむら(あれは…!!)

ほむら「だめぇー!まどかーーーーっ!!目を覚ましてぇーーーーーーーー!!!」

まどか『…』ズズズザザザザ…

カヵッ! サァァァァァァァァァァァァ…

ほむら(なんなの…。光がまどかを…。まどか…)

ほむら「きゃぁっ…!」(なに…?…光の…、圧力…?)

魔女リカ「ナンダコレハ…」

ァァァァァァァァァァァァァァァァ…

ほむら(まどかの後ろに…、あれは…、まどかに似て…)

神まどか『…』

魔女リカ「何ガオキテイル…」

神まどか『……』

ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…

ほむら「まどk…

魔女リカ「…
272 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:22:12.43 ID:+wZduIwY0
【白い世界】

…。

……まど…か。

…。

…?

…ここは、…?

リカ「…

タラオ「………

あ、あれは…

リカ「タラちゃん、今度幼稚園でお芝居をやるのよ?」

タラオ「へぇー、すごいでーす!」

あれは…、リカと、タラオ…。

リカ「だから、ちょっと練習につきあったくれるかしら?」

タラオ「わかりましたー!」

この気配は、覚醒者と魔女のもの…。

まぼろしじゃ…、これは夢じゃない…。

リカ「………

タラオ「…

…。

神まどか『ほむらちゃん…』

誰?

神まどか『ほむらちゃん…』

誰なの?私を呼んでいる…。

…まどか?

神まどか『うん。まどかだよ。ほむらちゃん…』

あなた…。でも、その姿…。

さやか「ぅ…、うーん…」

さやか…?マミと杏子は…。

神まどか『大丈夫だよ…』

え…?

神まどか『…』

…。

神まどか『…

まd………

……

273 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:22:40.37 ID:+wZduIwY0
【地上 首都圏外郭放水路 第一立坑入り口】

ほむら「…」

さやか「ぅ…、うー…」

杏子「さやか!気がついたか!」

さやか「あ…、あれ?私たしか…」

杏子「さやか…」

さやか「杏子?どしたの?…あれ?」

マミ「美樹さん、よかった…」

ほむら「…」

杏子「ほむら、まどかの様子はどうだ?」

ほむら「まどかは…、まだ気を失っているわ」

エイミー「ニャー…」

マミ「どうしてここに鹿目さんが…」

ほむら「…」

さやか「あっつつつ…」

杏子「おい、さやか。大丈夫か、ゆっくり起きろ」

さやか「ん…」

ほむら「とにかく、帰るわよ。もう、魔女も覚醒者も全ての気配が消えたわ」

マミ「え、えぇ…」

杏子「ほむら、あとでちゃんと説明しろよ?」

ほむら「…」
274 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:23:07.57 ID:+wZduIwY0
【同時刻 首都圏外郭放水路 第一立坑 頂上部】

QB「…」

QB「どうやら、リカの目論みは失敗に終わったようだね」

QB「魔女化を強制的に進めるとか、なかなか良い作戦だと思ったのだけれど」

QB「ここまでの危機を乗り越えるとは、本当に驚いた」

QB「覚醒者…、そして意識を保ちながら行動できた魔女…。タラオの恋人、リカ」

QB「どうして、魔女や覚醒者が最後に消えてしまったのか、とても興味深い」

QB「まどかに、何が起きたのか」

QB「暁美ほむら、君が何を見たのか、いずれ話をしてもらうことになるだろう」

QB「ボクとしては、まどかが魔女にならなかったのが、残念と言えば、残念だったかな」

QB「でも、あわてることは無いね。暁美ほむら、今は君たちが生き残ったことを素直に喜ぶとするよ」

QB「魔法少女。魔女の卵たち…」

QB「ワルプルギスの夜が現れるのが、少しだけ楽しみになってきたよ」
275 : ◆0Cw1O/qGmE[saga]:2011/11/21(月) 22:23:43.86 ID:+wZduIwY0
【事件後 暁美ほむらの手記】

まどかは何も覚えていなかった。

なぜ、自分があそこにいたのかも、記憶には残っていないようだった。

あのとき、エイミーがまどかに近づいて、その後、まどかは光につつまれた。

その光の中から現れた女性、彼女も自分のことを「まどか」と名乗っていた。

彼女は誰なのか。

魔女は消えた。最後まで正体がわからなかった覚醒者の気配は、タラオのものだったと思う。

リカは、タラオと一緒に、どこか異なる次元に行ってしまったように感じた。

きっと、「まどか」が彼女達を救うために、光の中に閉じ込めたのかもしれない。

あれから、まどかも、さやかも、杏子も、マミも、みんな何事も無かったかのように生活している。

彼女たちは、私が最後に魔女を倒したと思っている。真相は話していない。自分たちが魔女化しかけたなどと、知りたくもないだろうし。

まどかとさやかからは、今日もこれからマミの家に遊びに行くと誘われている。アップルパイの作り方を教えてほしいと言われた。

杏子は、あいかわらず食べ物の話ばかり。マミは、また新しい紅茶を用意したと言っていた。

普段通りの生活を取り戻すことができた。

この平和がいつまで続くのか。

リカは、タラオのことを想っていた。その想いのあまり魔女となった、不幸な魔法少女。

私たちは魔法少女。

私たちも、いずれ。


【完】
276 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/21(月) 22:25:33.42 ID:+wZduIwY0
拙作に最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。
深く御礼申し上げます。m(__)m
もうネタが無いので、これでひとまずの最終話とさせていただきます。
とても陰鬱な終わり方になってしまいましたが。
QBに含みのある台詞を言わせたので、続きがあるかもしれませんが、それはまた別の機会に…。
とりあえず、全く別のネタでまた新しいスレを立てますので、そちらでよろしくお願いいたします。
277 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/21(月) 23:10:50.87 ID:+wZduIwY0
※反省※

今回、ここまで書き続けましたが、最後は設定が複雑になってしまいました。
読みやすさを重視していたつもりが、それを維持できなかったのが、最大の反省点と考えています。
次のスレでは、軽快さを練習するために、コミカルなSSにしようと思います。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽)[sage]:2011/11/21(月) 23:20:02.51 ID:wJO+b3SAO
お疲れ様。
まどか×サザエさんSSかなり面白かった。次回作は別スレか、楽しみにしてるぜ!
279 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/21(月) 23:51:00.91 ID:+wZduIwY0
>>278
レスありがとうございます。m(__)m
楽しんでいただけて、本当に良かったです。
次のSSもまもなく投下予定なので、みかけたらよろしくお願いいたします。
短編の予定です。
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/22(火) 19:48:49.00 ID:k7sfdpAco


面白かった!設定がわかりにくいってのは思った
次回作も楽しみにしてる

ここは落ちるまで時間がかかるので
期をみてHTML化依頼するよろし
281 : ◆0Cw1O/qGmE[saga sage]:2011/11/22(火) 22:30:29.09 ID:3VSis8nA0
>>280
レスありがとうございます。m(__)m
設定に関しては、少し練りすぎてしまったのが悔やまれてなりません。
HTML化については、依頼してから少し時間もかかるようだったので、さきほど依頼してきました。

今回はいろいろと勉強できました。ありがとうございます。m(__)m



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