◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 02:14:47.68 ID:W9VJi+E30<>このスレは『魔法少女まどか☆マギカ』及び『魔法少女おりこ☆マギカ』『魔法少女かずみ☆マギカ』を題材にしたゲームブック風SSです。
読者の皆様の選択次第でこの物語のストーリーは良い方向へも悪い方向へも変化します。

【諸注意】
・あくまでも『ゲームブック風』ですので、一般的なゲームブックとは形式が異なります。
・原作の設定などに対して作者の独自解釈に基づいた改変がされています。
・本作の主人公は、原作の主人公や登場人物ではなく、本作オリジナルのキャラクターです。
・上記に伴い、本作の主人公以外にもオリジナルキャラクターが若干数登場します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1326129287(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>【ゲームブック風SS】螺旋迷宮 −ある魔法少女の物語−【魔法少女まどか☆マギカ】
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 02:15:49.00 ID:W9VJi+E30<> 【ルール】
・あなた(読者の皆様)はこの物語の主人公であり、キュゥべえと『ある願い』によって契約したばかりの1人の魔法少女です。
 あなたはこれから『魔法少女まどか☆マギカ』及び『魔法少女おりこ☆マギカ』『魔法少女かずみ☆マギカ』の世界を魔法少女として追体験していきます。

・物語の途中、様々な場面で選択肢が登場します。
 読者の皆様はその選択肢の中からいずれか1つを選び、物語を進行させてください。

・選択肢の決定は『作者が指定したアンカー内で最も多く選ばれたものが選出される形式』です。

・選択肢1つでバッドエンド(主人公の死亡によるデッドエンド含む)となる選択肢は発生しません。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 02:16:57.67 ID:W9VJi+E30<> まずはじめに、あなたの劇中での年齢、外見を決めようと思います。


 ◆選択肢:あなたの年齢は?

   1:15歳(中学3年生)
   2:14歳(中学2年生)
   3:13歳(中学1年生)

       安価>>4-8 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 02:17:10.84 ID:SobTz5m30<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 03:16:58.53 ID:D5OrKR0DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 03:21:53.72 ID:jmPOEWLM0<> 夜中すぎるでしょう
2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/10(火) 03:37:28.48 ID:oLfMXpcK0<> 2:14歳(中学2年生) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/01/10(火) 03:41:35.70 ID:0eD5TZXE0<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 03:43:33.68 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの髪の色は?

   1:黒髪
   2:茶髪
   3:銀髪

       安価>>10-14 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/10(火) 03:44:59.52 ID:oLfMXpcK0<> 2:茶髪 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/01/10(火) 03:46:13.71 ID:0eD5TZXE0<> 2で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/10(火) 06:49:07.53 ID:iMWE8iHDo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 07:58:31.52 ID:fUSQmn0IO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 08:39:29.21 ID:lnpNq4IDO<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 08:44:56.07 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの髪の長さは?

   1:長髪
   2:普通
   3:短髪

       安価>>16-20 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage saga<>2012/01/10(火) 08:47:56.56 ID:Kl7brEDG0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 08:48:47.91 ID:NKF4sEdYo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 08:56:12.77 ID:lnpNq4IDO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage saga<>2012/01/10(火) 09:43:22.96 ID:6gZWnOui0<> マジレスするとこの手のスレは最初にVIPで建てて、ある程度ひとが集まったらSSに誘導せんと人数不足でヤバイ

1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 10:37:05.00 ID:fUSQmn0IO<> 1
まぁ楽しもうや <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 12:30:17.10 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの身長は?

   1:高い
   2:普通
   3:低い

       安価>>22-26 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/10(火) 12:37:45.85 ID:oLfMXpcK0<> 3:低い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 12:41:38.98 ID:SobTz5m30<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 12:51:39.71 ID:lnpNq4IDO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:00:26.38 ID:D5OrKR0DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:06:56.19 ID:NKF4sEdYo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:08:48.47 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの身長は?(最終決定)

   1:高い
   2:普通

       安価>>28-30 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:09:59.77 ID:SobTz5m30<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/10(火) 13:11:07.78 ID:AQa7RFFp0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:11:14.49 ID:D5OrKR0DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:14:44.74 ID:ad3mejoDO<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:17:03.51 ID:W9VJi+E30<> 次に、あなたの劇中での性格を決めようと思います。


 ◆選択肢:あなたの一人称は?

   1:わたし
   2:ボク
   3:1と2両方(公私で使い分ける)

       安価>>33-37 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:18:16.92 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:18:31.49 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:18:52.62 ID:eY8ca3FIO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/10(火) 13:21:39.60 ID:oLfMXpcK0<> 3:1と2両方(公私で使い分ける) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:22:10.11 ID:D5OrKR0DO<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:24:42.35 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの一人称は?(最終決定)

   1:わたし
   2:ボク

       安価>>39-41 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:25:07.50 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:25:14.34 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:25:18.60 ID:NKF4sEdYo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:25:36.53 ID:eY8ca3FIO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:27:10.11 ID:D5OrKR0DO<> 2 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:31:42.80 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの苦手な教科は?

   1:理数系
   2:地歴系
   3:美術系

       安価>>45-49 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:32:07.35 ID:SobTz5m30<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:32:24.64 ID:7+FBKdFd0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:36:39.60 ID:D5OrKR0DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:38:56.55 ID:fUSQmn0IO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 13:40:38.11 ID:lnpNq4IDO<> 1 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:42:21.31 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの苦手な教科は?(最終決定)

   1:理数系
   2:美術系

       安価>>51-53 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:42:44.23 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:42:46.74 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 13:43:54.62 ID:lnpNq4IDO<> 1 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:46:11.11 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:逆に、得意な教科は?

   1:現代文
   2:古文
   3:体育

       安価>>55-59 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:46:49.73 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 13:47:55.81 ID:lnpNq4IDO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:49:24.95 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:49:53.08 ID:NKF4sEdYo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:50:56.12 ID:D5OrKR0DO<> 1 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 13:59:14.65 ID:W9VJi+E30<>  ◆選択肢:あなたの得意な教科は?(最終決定)

   1:現代文
   2:古文

       安価>>61-63 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:59:23.21 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 13:59:44.86 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 13:59:48.98 ID:lnpNq4IDO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2012/01/10(火) 13:59:56.33 ID:iBHAalbAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2012/01/10(火) 14:15:18.99 ID:iBHAalbAO<> これで終わり? <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:16:27.67 ID:W9VJi+E30<> 以下の設定で物語をはじめます。


あなたの基本スペック

 年齢:14歳(中学2年生)
 髪の色:茶髪
 髪の長さ:長髪
 身長:高い
 一人称:わたし
 得意教科:現代文
 苦手教科:理数系


<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:22:37.10 ID:W9VJi+E30<> 〜???〜


 声が聞こえる。

『――契約は成立だ。君の祈りは、エントロピーを凌駕した』

 いや、聞こえるというのは間違いかもしれない。
 何故なら、この声はわたしの頭の中――もしくは、わたしの心に直接響きわたっているからだ。

 これは、誰の声だったか?

『さあ、解き放ってごらん。その新しい力を!』


 その言葉と同時に、わたしはゆっくりと目を開いた。


<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:27:20.65 ID:W9VJi+E30<> 〜あなたの自室〜


 目を開いたわたしの視界に最初に映ったものは、見慣れた自室の天井だった。
 どうやら、わたしは眠っていたらしい。
 背中からいつもわたしが眠っているベッドの敷き布団の感触がする。

『やぁ。目を覚ましたんだね』

「?」

 ふと、頭上から声がした。
 わたしは起き上がると、声のした方にゆっくりと顔を向けた。

 そこには――


<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:32:16.39 ID:W9VJi+E30<>          {`_ヽ、
         l!  \``ヽ、               _, -≠ニ了
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          ',  /                \ヽ     /
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          i {   乂塁ノ           乂塁ノ   i ',
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    ̄`ヽ、`ヽ、::::::::::::: :ト、   l::::::::::i:::::::::::l.  /   >"<}:::::::::::::::::l }ー==彡 ''


???『気分はどうだい? その様子だと、まだ完全に覚醒できてはいないのかな?』

「…………」


 ◆選択肢

   1:「……キミ、誰?」
   2:「……おはよう」
   3:とりあえず、ぶん殴る

       安価>>70-74 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 14:32:59.66 ID:SobTz5m30<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 14:33:10.41 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/10(火) 14:33:26.45 ID:OtqwD5fz0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage saga<>2012/01/10(火) 14:36:32.90 ID:0hSVz2s+0<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:41:16.06 ID:W9VJi+E30<>         |\           /|
        |\\       //|
       :  ,> `´ ̄ ノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二
.       V   `ヽ / ´`ヽ _  三,:三ー二
.       i{ ●  ノヽ--/ ̄ ,    ` ̄ ̄ ̄
       八   ミ}  ...|  /!
.       / 个 . ノ}`ー‐し'ゝL _
   _/   il   ,',:ヘr--‐‐'´}    ;ー------
  (( /   l`V ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"==-


 バキャッ!!

???『ぷギュッ!?』

 何故かわたしは、目の前にいた白いそいつの顔を見た瞬間、そいつの顔面に鉄拳をぶち込んでいた。
 まるでギャグマンガのワンシーンのように、わたしの鉄拳を顔面にめり込ませたそいつは、そのまま床に叩き落とされる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:48:22.44 ID:W9VJi+E30<>  ――が、叩き落されたそいつはすぐに起き上がると、何事もなかったかのように、わたしに向き直った。
 (鉄拳がめり込みへこんだはずの顔も元に戻っている)


         {`_ヽ、
         l!  \``ヽ、               _, -≠ニ了
           !    \  ヽ、         , - ' ´<   ./
          '     >    ̄ ̄ ̄ ̄ `¬ /     /
          ',  /                \ヽ     /
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            //  / rz0,          / rz0,   ', ヘ
          i {   乂塁ノ           乂塁ノ   i ',
         l :{                       ::}, ヘ
           l l::.',                   .::/:::, ',
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???『いきなり殴りかかってくるなんて酷いじゃないか』

「ゴメン。でも、キミの顔を見た瞬間、何故かキミのことを殴らなきゃいけないと思ったんだ」

???『わけがわからないよ』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:51:25.91 ID:W9VJi+E30<>       ', ';:.:.:.:.:.\                         /.:.:.:.:.:;' ,'
      ', ';:.:.:.:. /                        \ .:.:.:.:;' ,'
,   ´ ̄∨.:.:/                        \:.:.∨ ̄`   、
     / .:                            :. \
   . ; '  /                            ':   丶: .
 . : /   ;     , .::;;;;::. 、              , .::;;;;::. 、     ;   ヽ: .
.:.:.:/   i:   イ .;'⌒しハ             イ .;'⌒しハ   .:i    ':.:.:.
:.:/    :|:.   人:ヽ...ノ.:ノ                人:ヽ...ノ.:ノ   .:|:     ':.:
/    :.|:.     `''ー ´              `''ー ´    :|.:     '
     .:.:.|;:                                 .:;|.:.:.
    .:.:.:.ll:.                                  .:ll.:.:.:.
   .:.:.:.:八: .                               . :八:.:.:.:.
   .:.:.:./.:.:..\: .         'ー‐'^'ー‐'          . :/.:.:.ヽ:.:.:.:.
  .:.:.:/.:.:.:.:.:.:. \ : : . .                      . . : : / .:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.


???『……まぁ、それはともかく。おめでとう。これで君も晴れて魔法少女の仲間入りだ』

「…………」

???『……? どうしたんだい?』

「……ねぇ……」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 14:58:09.66 ID:W9VJi+E30<> 「……キミ、誰だっけ? それに、『魔法少女』って……何?」

???『!? ……君、まさか……』

 わたしのその言葉を聞いたそいつが、驚きの声をあげた。
 ただし、その表情は先ほどと一切変わっていない。

 数秒ほどして、そいつがわたしに再び声をかけてきた。

???『まさか……君は記憶を失ってしまったのかい?』

「う〜ん……。よくわからないけど、キミがそう言っているってことは、そうなのかもしれない」

???『……契約で叶えた願いによる副作用かな? だけど、こんな前例は今までにないことだ』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 15:08:54.43 ID:W9VJi+E30<>

 『魔法少女』、『契約』、『願い』――
 それらのキーワードをどこかで聞いたような気がするけど、何故か思い出せない。


???『君、ここがどこだかわかるかい? 自分の名前や家族のことは?』

「あぁ。それなら覚えているよ。ここはわたしの家のわたしの部屋」

 わたしは自分自身のことを目の前のそいつに語りだしていく。
 わたしの名前、家族構成、住所、家の電話番号、エトセトラ……

「……近くの中学校に通っている14歳の中学2年生で、クラスは……」

???『いや、そこまで言ってくれれば十分だ。君の記憶がどこまで失われてしまったのか、わかった』

「本当?」

???『うん』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 15:18:32.30 ID:W9VJi+E30<> ???『どうやら君は、僕や魔法少女、そして魔女に関する記憶のみを失ってしまったらしい』

 『魔女』――また新しい単語が出てきた。

「そうなの?」

???『そうだよ。だって、君はさっき僕と契約するまでは、僕のことも魔法少女のことも、そして魔女のことも詳しく知っていたんだから』

「ふ〜ん……」

 そう言われても、実感がわかない。
 実際、今のわたしはそんなもの一切知らないんだから。

???『しょうがない。それじゃあ、もう一度自己紹介しよう。僕の名前はキュゥべえ』

 そいつはわたしに対してそう名乗った。
 愛くるしい外見をしているのに、なんか不釣合いというか、ジジ臭いというか――

「何か変な名前だね?」

 思わず、そう口に出してしまった。

 だが、そいつ――キュゥべえは、そんなわたしの言葉を気にすることなく、話を進めていく。

キュゥべえ『君は先ほど僕と契約して魔法少女になったんだ』

「その『契約』っていうのは?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 15:28:08.76 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『僕は願い事を何でもひとつだけ叶えてあげられる。だけど、願い事を叶えてあげる代償として魔女と戦う魔法少女になってもらうんだ』

「願い事を……?」

キュゥべえ『君の左手の中指を見てごらん』

「?」

 キュゥべえに言われたとおり、わたしは自分の左手――そして、その中指へと目を向ける。
 そこには、いつの間にか変わったデザインをした指輪がはめられていた。

 さらによく見ると、中指の爪には紋章のようなものがアザもしくはタトゥーのように浮かんでいる。
 それはわたしの髪とほぼ同じ――ややオレンジがかった茶色い色をしていた。

「……これは?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 15:43:11.53 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『それはソウルジェム。僕と契約して魔法少女となった女の子の証のようなものだ』

「ふぅん。これが……」

 わたしは暫くの間、その指輪と爪に浮かんでいた紋章を眺めていたが、ある程度――大体1分くらいか――時間が過ぎたところで、次の質問に入る。

「『魔法少女』と『魔女』というのは?」

キュゥべえ『先ほども軽く説明はしたけど、魔法少女は魔女と戦ってこの世界に希望をもたらす存在だ』

「『魔法少女』と『魔女』ってどう違うの? 名前だけだと同じように聞こえるけど……」

キュゥべえ『簡単に言ってしまえば、魔法少女は願いから生まれた存在だけど、魔女は呪いから生まれた存在だ』

「呪い?」

キュゥべえ『そう。魔法少女はこの世界に希望をもたらすものなら、魔女はこの世界に絶望を撒き散らすものなんだ』

キュゥべえ『不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみといった災いの種を世界にもたらしているんだ』

「……なるほど、つまり魔法少女というのは、そんな悪い魔女を退治して人知れず世界の平和を守っている正義の味方ってわけだ?」

キュゥべえ『確かに、君たち人間の言葉で表現するならそう言ったほうが簡単だろうね』

「うん。魔法少女と魔女については大体わかったよ。要は、わたしはこれから魔女と戦わなければいけないんだね?」

キュゥべえ『そういうことになるね』

「よし! それなら早速、その悪い魔女を退治しに行こう!」

キュゥべえ『僕は別に構わないけど……』

「? どうしたの?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 15:54:35.41 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『今君は魔法少女に関する記憶を一切失っているだろう?』

「うん」

キュゥべえ『魔女がどこにいるとか、魔法少女の戦いがどういうものなのか、今の君はわかっているのかい?』

「あ……」

 数秒ほど静寂に支配される部屋。
 そして――

「うん! わかんない!」

 わたしは頷きながら正直にそうキュゥべえに答えた。

キュゥべえ『やれやれ……』

 キュゥべえはそう呟きながら、うつむいて首を左右に揺らした。

キュゥべえ『まずは、魔女の見つけ方や魔法少女の戦いがどういうものかを知る必要があるね』

「どうすればいいのかな?」

キュゥべえ『君たち人間の言葉でいう“慣れるより慣れろ”が一番手っ取り早い方法かもしれないけど、今回は状況が状況だ』

キュゥべえ『ここは他の魔法少女に協力してもらおう』

「えっ? 魔法少女ってわたし以外にもいたの?」

キュゥべえ『いるよ。そもそも僕の役目は魔法少女の候補者を見つけて、そういった子たちと契約を結び魔法少女を増やすことなんだから……』

「そ、そうなんだ……」

 漫画とかゲームとかだと、普通魔法少女って大体主人公やヒロイン1人だけってケースが多いけど、現実の魔法少女というのは意外とスケールが大きいようだ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/01/10(火) 16:00:41.61 ID:lk3EXEF00<> 習うより慣れろじゃないか? <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 16:11:13.31 ID:W9VJi+E30<> 「この街にはどれくらいの魔法少女がいるの?」

キュゥべえ『結構いるよ。この街だけでも、少なくとも二桁はいるんじゃないかなぁ?』

「そ、そんなに……?」

キュゥべえ『この街だけじゃない。お隣のあすなろ市とかにもかなりの数の魔法少女が存在するよ』

 この街やあすなろ市は、この辺りの都市としてはかなり大きい部類だからね、とキュゥべえは付け加える。

キュゥべえ『でも、もうひとつのお隣、見滝原には今は1人しかいないんだ』

「えっ? どうして? 見滝原も結構都市としては大きいはずなのに……」

 実際、あそこの街にはわたしも休日や学校の帰りに1人でぶらついたり、友達と立ち寄ったりしている。
 ここからならそれほど距離も離れていないし……。実際、行こうと思えばバスや電車を使わず、徒歩でも行ける距離だ。

キュゥべえ『色々と事情があってね。ただ、そのたった1人の魔法少女――マミは魔法少女としての強さだけでなく、それ以外の面でも非常にしっかりしている子だ』

キュゥべえ『僕が知る限りでは、この辺りの魔法少女の中では一番君に協力してくれるんじゃないかなぁ?』

「…………」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 16:17:40.89 ID:W9VJi+E30<> 「……他には誰かいない?」

キュゥべえ『う〜ん……。魔法少女の中には自身が管轄しているエリアを一箇所に留めずに、コロコロ変える子もいるから、探してみれば案外この家の近くにもいるかもしれないね』

「なるほどね……」


 ◆選択肢

   1:見滝原に行ってマミという魔法少女に会いに行く
   2:この家の周囲を探ってみる
   3:あすなろ市に行ってみる

       安価>>86-90 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 16:18:16.95 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/10(火) 16:24:18.36 ID:OtqwD5fz0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/01/10(火) 16:28:39.52 ID:lk3EXEF00<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 16:31:08.62 ID:lnpNq4IDO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 16:46:56.83 ID:rcrc7BZEo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:00:48.82 ID:W9VJi+E30<> 「……マミって子に興味はあるけど、今回はこの家の周囲を探ってみるよ」

キュゥべえ『僕は別に反対はしないけど、それで本当に大丈夫かい?』

「まぁ、正直に言うと今日はもう日も暮れるから、今更遠出はできないし……」

 部屋の窓から外を見る。
 既に陽は完全に沈みかけ、空もオレンジから黒へとその色を変えようとしていた。

キュゥべえ『わかった。まぁ、もしも何かあった場合、可能な限り僕もアドバイスするから心配しないで』

「うん。お願い」


 こうしてわたしは、キュゥべえを連れて周囲の探索へと出かけた。
 家を出る際に、台所で夕食の準備をしていた母に「ちょっとコンビニに行ってくる」と適当に嘘の言い置きをして。


<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:13:04.98 ID:W9VJi+E30<> 〜自宅外〜


「……さて、外に出たはいいけど、どの辺りを探してみればいいのかな?」

キュゥべえ『今回はあくまでも他の魔法少女と接触することだから、無理にあちこち探して回る必要はないんじゃないかな?』

 いつの間にかわたしの肩に乗っかっていたキュゥべえがそう言った。

「どうして?」

キュゥべえ『言い忘れていたけど、僕の姿と声は魔法少女と魔法少女になる資格がある女の子にしかわからないんだ』

「ふえっ!? つまり、キミは今わたし以外の人には見えていないってこと!?」

 今周囲に他の人が誰もいなくてよかった……
 いたら確実にわたしは「痛い子」の烙印を押されていただろう。

キュゥべえ『そうだよ。だから君も外や人前では無理して僕に話しかける必要はない』

「で、でも、万が一の時は……!?」

キュゥべえ『そういう時は僕みたいにテレパシーで会話をすればいい』

「え……!?」

キュゥべえ『試しに今、頭の中で僕に言いたいことを投げかけてごらん』

「…………」

 正直、半信半疑だが、わたしは言われたとおり、頭の中で、キュゥべえに言葉を投げかけてみた。

『……こ、こう?』

キュゥべえ『そうそう。そんな感じだよ』

 ……どうやら通じたらしい。
 つい今まで無表情だったキュゥべえの顔が、この時ニッコリとした笑顔になった。
 コイツ、表情変わるんだ。
 ヤバい。ちょっと可愛いかも…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:22:17.88 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『話を戻すよ。そういうわけだから、君は今回は僕を連れてその辺りを歩き回っているだけでいいんだ』

『わかった。……ねぇ。やっぱり人通りが多いところとかのほうが、他の魔法少女もいるのかな?』

キュゥべえ『どうだろうね。そういうのは個人個人によって様々だから……』

 でも、魔女退治に積極的な子は、人通りが多いところよりも、むしろ逆のほうが多いんじゃないかな、とキュゥべえは付け加えた。

 ――つまり、魔女というのは、人の気配が少ない所にいることが多いということだ。

 今回はあくまでも他の魔法少女がこの辺りにいないかどうかを調べるだけだ。
 無理に危険を冒す必要はないわけだけど……


◆選択肢

   1:人通りが多い商店街へ行く
   2:人通りの少ない路地裏へ行く

       安価>>94-96 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 17:22:46.25 ID:SobTz5m30<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 17:22:51.22 ID:rcrc7BZEo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 17:23:09.74 ID:eY8ca3FIO<> 2 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:28:25.11 ID:W9VJi+E30<>  『虎穴に入らずんば虎子を得ず』とも言うし、少々不安ではあるけれど、わたしは人通りの少ない路地裏へと向かうことにした。

 そのことをキュゥべえに伝えると――

キュゥべえ『確かに、魔法少女と出会える確率を優先するなら、そちらの方が効率は良いかもしれないね。もちろん、リスクも大きいけれど』

 などと言ってきた。

 リスク――すなわち、魔女と遭遇するということだ。
 もしそうなったら、わたしは上手くその危険を切り抜けることができるのだろうか……? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:36:52.33 ID:W9VJi+E30<> 〜路地裏〜


 わたしが路地裏に着いた頃には、空はすっかり夜となり、周囲も闇に支配され、シンと静まり返っていた。
 所々に申し訳程度に設置された街灯が明かりを照らしてはいるものの、それでもそこはどこか不気味さを放っていた。

キュゥべえ『……今のところ、魔女の気配は感じないみたいだね』

『わかるの?』

キュゥべえ『君のソウルジェムが魔力を感じとっていないのがその証拠だ』

 そう言いながら、キュゥべえは私の左手に目を向ける。
 そこには当然、中指にはめられたあの指輪がある。

 ……って、ちょっと待て。
 この指輪ってそういう機能も備わっていたのかい!
 それならそうと先に言ってよ!

キュゥべえ『聞かれなかったからね。それに、君が記憶を失っていることを忘れていた』

 ……はぁ……。
 自分でこう言うのも今更だけど、わたし本当に大丈夫かな? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 17:38:43.07 ID:eY8ca3FIO<> 能力の確認したいな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:43:30.06 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『ソウルジェムは周囲の魔力を感知すると光を放つんだ。魔法少女の中には自身の勘や感覚で魔力の存在を知ることもできる子がいるみたいだけど……』

『……わたしにはその手の能力は無いってことなのかな?』

キュゥべえ『おそらくね。魔法少女の能力は叶えた願いによって決まるといってもいいから……』

『……そういえば、キュゥべえ。わたしって一体何を願……』

 わたしがキュゥべえに自身が叶えた願いのことを尋ねようとしたその時だ。


 ――わたしたちの周囲が突然、一瞬にしてその形を変えた。


<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 17:53:14.36 ID:W9VJi+E30<> 〜結界〜


「これは……!」

 気がつくと、わたしとキュゥべえは極彩色に彩られた、奇妙で、不思議で、そしてどこかグロテスクさを感じる場所に立っていた。

キュゥべえ『マズいよ。魔女の結界だ。まさかこんな近くに魔女がいたなんて……!』

「そんな……!?」

 『魔女の結界』――おそらく今わたしたちがいる場所のことだろう――というものが一体どういうものなのかわからないが、少なくとも今わたしたちは非常に危機的状況にあることは間違いなさそうだ。

「ど、どうすればいいの!?」

キュゥべえ『とりあえず、これから先何が起こるかわからない以上、万一に備えて魔法少女の姿に変身しておいたほうがいいんじゃないかな?』

 既にその『万が一』の状況が起きてしまっている気がするが――
 いや、今はそんなことをツッコんでいる場合じゃない。

「変身!? どうやって!?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 18:06:34.60 ID:W9VJi+E30<>
キュゥべえ『ソウルジェムをかざすんだ。そして、君がイメージした魔法少女としての君自身の姿をイメージして』

「よ、よくわかんないけど……こうっ!?」

 キュゥべえに言われたとおり、わたしはソウルジェム――厳密には、それをはめた中指がある左手――をわたしの前にバッとかざした。

 すると、中指にはめられていた指輪が光を放ち、次の瞬間には手のひらサイズの宝石状のものに姿を変えた。

「!? これは……!」

 思わず、わたしはそれを慌てて両手でキャッチする。
 私の手の中に収まったその宝石は、左手の中指の爪に浮かんでいる紋章と同じ色の輝きを放っていた。

キュゥべえ『それがソウルジェムの本来の姿だ。さぁ、イメージしてごらん。魔法少女としての君の姿を』

「…………!」

 言われるがままに、わたしはイメージする。
 魔法少女となった自分自身の姿を。

 その姿は――


 ◆選択肢

   1:『魔法少女』という言葉のイメージをそのまま形にした可愛らしい姿
   2:『魔法少女』という言葉のイメージとは少し違う、カッコ良い姿
   3:『魔法少女』という言葉のイメージよりも少し派手な姿

       安価>>103-107 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 18:07:13.81 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 18:07:53.48 ID:rcrc7BZEo<> まどさやマミ?

2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 18:12:32.64 ID:NKF4sEdYo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 18:13:04.88 ID:eY8ca3FIO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/10(火) 18:15:48.01 ID:lnpNq4IDO<> 3 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 18:52:40.93 ID:W9VJi+E30<>  『魔法少女』という言葉のイメージよりも少し派手な姿。

 オレンジがかった茶色を主体とした全体の色調。
 どことなくゴシックロリータ風のフリルなども入った衣装。
 さらに、トドメとばかりに、後頭部には大きなリボンを付けたわたし――

 一見すると『魔法少女』というより、ただのゴスロリファッションともとられかねないが――
 まぁ、明らかにコスプレ臭い――ゴスロリファッションも十分コスプレ臭いが――一般的な漫画やゲームとかの魔法少女の服装よりはまだマシだろう。
 あくまでも『まだ』だが……


 そのイメージが浮かぶと同時に、ソウルジェムから眩い光が一気に放出され、わたしやキュゥべえ――周囲の視界を一瞬で奪った。
 だが、そんな光が発せられたのも数秒のことで、すぐに光は止んでしまう。

 そして、光が止んだその場にいたわたしは、先ほどイメージした姿をそのまま形にした恰好で堂々と立っていた。

 ――思わず右手を腰に手を当てドヤ顔をしてしまう。
 先ほどまでは「この姿は正直どうなのよ?」と思っていたわたしだが、いざ、変身してみたら結構ノリノリであった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 19:01:15.01 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『なかなか似合っているんじゃないかな?』

 足元へと移動していたキュゥべえが私を見上げながらそう呟く。

 確かに、同年代の女子と比較しても長身なわたしには、このタイプの衣装は様になっている気がする。


 ……と、いかんいかん。
 そんなナルシストな雰囲気に浸っている場合ではなった。

「さて、変身したのはいいけど、肝心の魔女というやつはどこにいるのかしら?」

キュゥべえ『魔女は結界の奥に隠れ潜んでいるんだ。だから、今はこのまま先に進むしかないね』

「了〜解」

 再びキュゥべえを肩の上に乗せると、わたしはおそらくこっちが奥だと思える方へと歩き始めた。


 ――始めたのだが……


<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 19:13:25.18 ID:W9VJi+E30<>

 ――ガシャーン!


「……はい?」

 歩き始めて数歩のところで、突然、ガラスが叩き割られるような音が辺りに響き渡った。
 そして、響き渡ったかと思うと、わたしとキュゥべえは気がつくと先ほどの路地裏の中につっ立っていた。

キュゥべえ『……どうやら結界が崩壊したみたいだ』

「えっ? どういうこと?」

キュゥべえ『簡単に言ってしまえば、今僕たちがいた結界を生み出していた魔女が何者かに倒されたから、その巣である結界も消滅したんだ』

「……要するに、わたしたちは元の場所に戻ってきたってこと?」

キュゥべえ『うん。そういうことだ』

「ちょっ!? それってこの格好だと色々とマズいってことじゃん! こんな所で誰かに見られたら下手すれば通報モノよ!?」

キュゥべえ『それなら早く元の姿に戻るといい。戻ろうと君が心から願えば元の姿に戻るはずだよ』

 言われたとおり、わたしは必死に「元の姿に戻れ!」と願った。
 いや、こういう場合、念じたと言ってもいい。

 ――数秒後、キュゥべえが言ったように、私の服装は魔法少女としての姿に変身する前のものに戻った。
 同時に、ソウルジェムも指輪の形に戻り、左手の中指にはまっていた。

 ――そういえば、さっきわたしが魔法少女に変身していた間は、ソウルジェムはどこにいっていたのだろう? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 19:18:56.69 ID:W9VJi+E30<>

???「――誰かそこにいるのかい?」


「!?」

キュゥべえ『おや?』

 不意に、路地裏の奥――闇の中から声がした。
 女の子の声だ。

 その声がすると同時に、わたしの耳に誰かの足音が聞こえてきた。
 おそらく、今の声の主だろう。

 思わず、わたしはキュゥべえを肩から下ろし、自身の背後へと移動させ身構える。

 数秒後。
 そこに現れたのは―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 19:25:22.37 ID:W9VJi+E30<>              ∧∨: : : : : : : : : : : : : : : : : :\\
              / /:} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ヽ
           /: : :〉: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : ハ }
           ┌‐く: : : i: : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : : : : : : ハ
          /: : : :!: : : : l\: : : : :ヽ: : : : : : l: :ノ: : : : : ヽ
          |: : : : : : : l :!  \:ヽ: :}ヽ,<: : :レ: : : : : : : ハ
          |: : : : !: : ハ:!   ヽ:レイ´ } レ: :/⌒V: : : : l }
          |: : : : ヽ: |⌒ヽ    彡f云 ":/ `, }: : : : :!
         V、: : : :ヽr〒示    V zリ:./  ,ノ: : : : : !
          Vハ: : :ハ V_リ      ´, レ /:´:!: : : : : : !
          V \: ハ    ´__ _-彡′ イ: : :i : : : : : : !
          ヽ  ヽ'ゝ-._〃‐´_ ´ /⌒ヽ/ヽ: : :!   
                  |: : 〃: 7i´ / . . /. . --、}: :|
                  |: 〃:/ノ/. ./. . /. . . . . ヾ:!   
                  /: ィ/. / ´./. . . . . . ./ . . . . . l:!
                 /. . /. . ./. . . . . . . . / . . . . . . }:}
                  /. ./´. . . . . . . . . . . / . . . . . . . ハ  
                /. /. . . . . . . . . . . . ヽ{. . . . . . . ./: ヽ
              /. . /.丶. . . . . . . . . . . . .l!. . . . . . ./: : :ハ   
                {. . /. . . ゝ. . . . . . . . . . . l:!. . . . . . .l: : : ハ
            八. .′. . . .`. . . . . . . . . . 八. . . . . . .l: : : :ヘ
            /: :/. .l . . . . . . . . . . . . . . ./: :ゝ. . . . . . V : : ヘ
        //: :′.′. . . . . . . . . . . . . l : : : :l. . . . . . . V: : :ハ
      //: : :/. ./. . . . . . . . . . . . . . . { : : : :} . . . . . . .ヽ:\: \



???「なんだ……。こんな所を1人でぶらついているなんて、物好きな奴もいるもんだね」

 わたしと同年代の赤い長い髪の女の子だった。

???「だけど、もう帰りな。ここはアンタみたいなのが出歩いていい場所じゃない。特に夜はね……」

「…………」


 ◆選択肢

   1:「キミ、何者?」
   2:「ご忠告ありがとう。それじゃあ失礼するよ」
   3:「う、美しい……!」

       安価>>113-117 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 19:27:12.72 ID:eY8ca3FIO<> 3

あんこちゃん!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 19:27:53.53 ID:7+FBKdFd0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 19:27:58.56 ID:SobTz5m30<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 19:30:36.14 ID:NKF4sEdYo<> 3 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 19:55:38.88 ID:W9VJi+E30<> 「う、美しい……!」


    / : : : : : : : : : : / .,': : :,′       | : : : jヾ: : : : : : .: .: .: .:i;;;;;;;;;;;;;;;;\
   〃: : : : : : : : :/: :./ .|_: :,′       l: .: .:,′ヽ: : :} : : : : : : :|;;;;;;;;;;;;;;;;;/
   {: : : : : : : : : :′:/ー┼‐ト、       j: : :/-‐一\.!.: : : : : :..:|;;;;;;;;;;:/
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    '.: : : :i: : : : :ト/   ||||            ||||   リ : : : : : : |/ : :/
    ' : : :|: : : : :|    ||||            ||||     | : : : : : : |: : : /
     \ト: : : : |    ||||            ||||     | : : : : : : |⌒ヽ
          \: {    ||||            ||||   ノイ: : : : : :k⌒ }
           / ヽ                         |: : : : : ′} /
.          {///////          ////////|: : : : /  /
        八             __          .: : ://ー
        /: : :>、        (::::::::Vノ        / : :.//
.      / : : /: : ::,>, ...  ______  ......   イ: ://
    / : : :/: : :/ :/: : : !: : : :',       /: : :/: : : :\
  / : : :/: : :/ : :/: : : : : \ : : ',      ./: :/: : : : : : :',



???「……は?」

 ――思わず、声に出してしまった。

 こんな薄気味悪い、夜の路地裏に1人堂々と立つ女の子。
 明らかにミスマッチに見えるそんな組み合わせ。
 しかし、彼女のその赤い髪と、彼女自身が放つ雰囲気――オーラというべきか?――が見ているこちらを思わず圧倒させてしまう1枚の絵画としていた。

 女の子自身は『可愛らしい』というより『カッコイイ』というイメージなのだが、『夜の路地裏』というシチュエーションがそれを中和。
 最終的に『美しい』という形に上手くまとめているのだ。

 ……うん。実によろしい。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 20:03:15.06 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『やっぱり、杏子じゃないか』

「?」

???「!? テメェは――!」


 |: : : : |; : / : : : : : : : : : : /l : : : /!: :/        ヽ: : : :l: : : | ゛、 : | : : : : : : : :| : i; : : : : .:|
 |: : : : |:V: : : : : : : : : : : / l: : :/|;′       ゙、: : l: : : |  ゙ : | : : : : : : : :| : |l: : : .: .:|
 |: : : : |: | : : : : : : :  ̄`メ、 l: : l |;′           ゙、: |゙; : :|   i :レ'´ ̄: : : : | : | l : : : : |
 ゙; : : : |: | i: : : : : : : : :/  `ト、| |             ゙;.| ゙;.: レ'"´}ノヽ,: : : : : : :| : | :l:.: : : :|
  i : : /|: |:ト、: : : : : : 厶===z夊{ミメ、_         _,斗く}厶ェ=≠ミァ|.: : : : : :/ : | : l.: : : :|
  |: : / |: |:| ;ヘ: : : : : ヘ  勹:::::::「}`メ、`ー    ー'彡ィメ勹::::::::「|  灯 : : : : /ヽ: | : :i.: : : |
  |: :/ l: |:|(∧: : : : :|  圦:::::ノリ ヾ         〃 圦:::::::ノリ ′|: : : : /` /: l : ハ: : : |
  ! /  l:|八`ム: : : : |  乂`´ノ             乂`_´ノ   ,': : : /ノ, ': : l / ;.: : |
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 /     l : : : : `ー\:゙、           1              /: :,ィー': : : : : 〈   ‘; :|
ノ     l : : : : : : ハ\                        //ハ: : : : : : : :|   ‘;|
      |: : : : : :/ : : >、           __         /イ: : : }.:.: : : : : :|     {
       j/: : : :/: : :/ : l ` : .,        ´   `      ィ^l : : :|: : : :l: : : : : : :|
      /: : : :/: : :/ : : l : : : :{  ,≧             <) }: :l : : :| : : : l: : : : : : :|
.     /: : : :/: : :/ : : : l : : : :ヽ \}     ̄       {/ /: : l : : :|.: : : :l: : : : : : :|


「?」

 いつの間にか、わたしの前に出てきていたキュゥべえが女の子に語りかけてきた。

 この子――キュゥべえの姿と声がわかるってことは―― <> 死神 東<><>2012/01/10(火) 20:15:32.29 ID:MsaEkU3h0<> イカ娘 から えんまく 書けないよ かなり パペットマンとの誤差が大きい
AAにウゴカナイ巨乳 イイだろ ウゴカナイクン^3 いや ハラエナイ ガ マッタクナイ ユガミマクレ ホトバシッテイテクレ〜
AA誤差どうする? スペース数 直線数 の攻撃翌力限界? そんな事言ってたら 描けないよ
(′・ω・`) から どろかけ 16^16^16 10,000回 から 乙 細胞膜欠け オイ コラ 絵描きの後ろ手だよ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 20:16:03.14 ID:W9VJi+E30<> 「……魔法少女?」

 わたしはポツリとその言葉を呟いていた。

 それに気がついたのか、キュゥべえはわたしの方へとくるりと顔を向けて言った。

キュゥべえ『そう。佐倉杏子。君と同じ魔法少女さ』

杏子「……!」

「…………」

 キュゥべえのその言葉を聞いた女の子――佐倉さんは、睨みつけるようにわたしに目を向けた。

杏子「……ふぅん。アンタも魔法少女なのか……」

「えぇ。一応……」

杏子「ハッ。でも残念だったね。ここにいた魔女ならつい今あたしが先に仕留めちゃったよ」

 佐倉さんは不敵な笑みを浮かべると、自慢気にわたしにそう言った。
 ……どことなく、その態度にはわたしを小馬鹿にしているようにも見える。

 だからわたしは――


 ◆選択肢

   1:「偉そうに」と呟いた。
   2:「凄いな」と賞賛した。
   3:「もっとわたしを詰ってください」と平伏した。

       安価>>120-124 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 20:16:23.86 ID:SobTz5m30<> 3 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 20:16:53.27 ID:W9VJi+E30<> 安価訂正

 ◆選択肢

   1:「偉そうに」と呟いた。
   2:「凄いな」と賞賛した。
   3:「もっとわたしを詰ってください」と平伏した。

       安価>>122-127 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 20:18:55.01 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 20:19:09.44 ID:SobTz5m30<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 20:19:20.54 ID:rcrc7BZEo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/10(火) 20:22:07.65 ID:OtqwD5fz0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 20:26:11.50 ID:eY8ca3FIO<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 20:56:12.06 ID:W9VJi+E30<> 「凄いな」

 そう言って彼女を賞賛した。

 おそらく、彼女のわたしを小馬鹿にしているような態度はおそらく挑発だ。
 ならば、わざわざ乗ってあげて向こうにこの場の主導権を握らせるつもりはない。

 それに、今の賞賛はわたしの本心から出た言葉でもある。

 佐倉さんがどのような人間なのか、彼女がどのような方法で魔女を倒したのかはわからない。
 しかし、彼女が魔女を倒したことで、結果的にこの街の人々を呪いから守ってくれた。
 それは普通に良いことなのだから――

杏子「ハン。褒めたってグリーフシードも何もやれねーよ?」

「グリーフシード?」

 佐倉さんの口から今まで聞いたことのない言葉が飛び出した。
 ――キュゥべえと契約する前のわたしだったら、もしかしたら聞いたことがあったかもしれないが…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 21:06:27.46 ID:W9VJi+E30<> 杏子「? アンタ、グリーフシードを知らないのか?」

「うん」

キュゥべえ『杏子、実はこの子はつい先ほど僕と契約したばかりなんだ』

杏子「はぁ……。なんだ、要するに何も知らねー新米のトーシローかよ」

「えぇ。つい1時間ほど前に魔法少女になったばかりで……」

杏子「キュゥべえ、オメー相変わらず何も教えてやらねーんだな。ヒデェヤローだ」

キュゥべえ『それは心外だね。僕だって必要とあれば教えるよ。だけど、彼女はまだグリーフシードをその目に見ていないからね』

「それで、『グリーフシード』って何?」

杏子「……ったく、しょーがねーな。今回だけだぞ……。ホレ、こいつだ」

 そう言って佐倉さんはポケットの中から手のひらサイズの『何か』を取り出して、それをわたしに見せてくれた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 21:27:29.83 ID:W9VJi+E30<>         ___
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杏子「こいつがグリーフシードさ」

「これが……。それで? これが何なの?」

キュゥべえ『グリーフシードは魔女の卵だよ。魔女を倒すとたまに落とすことがあるんだ』

「へー。魔女の……って、はいぃ!? そんなモノ拾ってどーすんの!? その内、中から魔女が生まれてくるってことはないの!?」

 思わず、カマキリのように、目の前の黒いソレの中から大量に生まれてくる魔女――ただし、わたしは魔女がどのようなものかわからないため、その姿についてはこの場はカマキリの幼虫で代用――を想像する。
 こ、これはキモい……!

キュゥべえ『大丈夫。この状態なら安全だよ。むしろ魔法少女にとっては役に立つ貴重なものなんだ』

「何で?」

杏子「こいつを使って魔法を使うのに必要な魔力を回復させんのさ。ソウルジェムの濁りをこいつに吸い取らせることでね」

「濁り? 吸い取らせる?」

杏子「いずれアンタもグリーフシードを手に入れることができれば、ソイツが教えてくれるだろ―よ」

 そう言ってキュゥべえをくいっと顎で差しながら、佐倉さんはグリーフシードを自分のポケットの中にしまってしまった。

 そこまでは教えてくれないんだ。ちょっと残念。

杏子「貴重なものだってキュゥべえも言ってただろ? こんな所で早々使えねーよ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 21:39:10.04 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『……ところで杏子、君は何でこんな所にいるんだい?』

杏子「別に理由はねーよ。ただ、ここに来る前にシマにしてた狩り場が最近不作だったからその穴埋めに来ただけだ」

キュゥべえ『なるほど、君らしいね』

「……この辺りに住んでいるんじゃないの?」

杏子「ちげーよ。あたしは行けるところがあるなら何処にでも行く暇人さ」

 いや、何処までも行くの間違いか、などと言いながら佐倉さんは先ほどとは別のポケットから何かを取り出した。

 ――それは、筒状のポテトチップスの容器だった。
 佐倉さんはその封を切ると、パリパリと音をたてながらわたしの目の前でポテチを食べ始めた。


                /: /: : :,: : :/: : : : :ヾ-'´: :i: : : l:ヽ////ゝ
               /: :/: : :/: : /: : : :,.: /ヽ: : : : l`ー- :_ヽ/、//ヽ、
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             /:./: : : i:/l: :/l:`ヽ//   |l i: : : :|: : : : : : |:l///,V´
             l: :l: : : : / l: | .!: :/,>   ,!!_|: : : i: : i: : : : :|:ヾ.,イ: ヽ
             |:.ii:ヽ: : | 、_リ- V     ! ̄iヽ/i: :,!: : : : : |: : lヽ: :|
              l:|゙、:、: ヽ,  ̄     、 !: :/ ,lXl: ,: : : :/:/: | ゙、:|
              /:.|//ヽ:ヽ   ,   ヽ`゙'´  / /: : : ,:/: /i: | .l: |
              l:/ .{   ,. '  ̄ ヽ    `ー  /: : :,.イ:/:,! |:.|  l:.|
              |!  lヽ、 'ー- 、  l      ,./: :,.イ/イ:./ |:.|  l:.|
              !  |/:/:\   `      ̄<i /:i:.:.l   i:.|  l:.|
    ,. -- 、        /: /:/: :,トヽー―-r―二: :`':´:i:i: : l: |   |:l  リ
    --、  ヽ    /r--- '/´|   / /,. -->: : l: : : l: |   ,リ
       _ヽ__)   ィ´i |  /  < ./  / /   /  .i:i:.:i:.:.:i:.|
     /_,`つ ̄`ヽ、| |  /、___,.r/ / /   ./   |:i:.:.i:..:i:.|
     } ー--,   iヾ A|  |;;;;;;;;;;/ // / /    |:i:.:.i:.:.:i:|
     l 二二、  U./-,ヽ |;;;;///  /  /    /:.i:.:.:i、:.:.ヽ
     / ==,'  ({ / ̄ ヾ、V/    l::.::/   /:.:.|:.:.:.:}ヽ:.:.ヽ
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 21:45:56.75 ID:W9VJi+E30<> 「…………」

杏子「……? 何だ? 食いたいのか?」

 それからしばらくの間ポテチを食べ続ける佐倉さんを黙って見つめていたが、彼女もそれに気付いたのか、何枚目かのポテチを食べ終わるのと同時に、わたしにそう尋ねてきた。

「…………」


 ◆選択肢

   1:「学校には行っていないの?」
   2:「うん。欲しい」
   3:「魔法少女のことをもっと教えて」

       安価>>133-137 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2012/01/10(火) 21:47:23.17 ID:3nLsmsSo0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2012/01/10(火) 21:47:43.30 ID:OtqwD5fz0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 21:48:55.86 ID:SobTz5m30<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/01/10(火) 21:49:22.47 ID:V5nepix1o<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 21:57:03.30 ID:W9VJi+E30<> 「うん。欲しい」

 わたしはそう言って、彼女の手にあるポテチの容器へと手を伸ばす。

 ――だが、次の瞬間、佐倉さんはその容器を持った手をわたしの手が届かない場所までずいっと移動させてしまった。

「…………」

 わたしは思わずムッとした表情を浮かべて佐倉さんの顔を見た。


   |: : l: : : : : :{: : |ヽ: : : : : :{ヽ:ヽ     ,X:ヽ \: : :ヽ   \: :\: : : : : : : :V: : /: :
   |: : l: : : : : :l: : | ヽ: : : : : :iヽ:ヽ  /  ,>、,-r<===r-  ヽ: : ヽ: : : : : : :V:/: : :
   |: :li: : : : : :|: i: {  ヽ: : : : :ヽ ヾ、 '  イ ,/ ////C, リ    \:ヽ: : : : : : V: : :
   |: l |: : : : : :l:|T:「 ̄` ヽ: : : ヽ  `    |  {/////}       チ: : : : : : : V: :
   |:.| .l: : : : : :l:.| ヾ_ __ 二ヽ: : ヽ        l/ー ' リ        イ: : : : : : ヾ}: : :
   |:l ゙、: : : : :ヾl イ V//c` \:.、       ゝ―‐'        彡:, '  ̄ヽ:.}: :
   l:|  ヾ、: : : :ヽ ! {///}   `゙                    ,.<´`ヽ i:l: : :
    l:|  ヾヽ: : :.ヽ {,ーリ                       /,....`゙  |: : :
       ヽ ヽ: :ヽ\ヽ´  ノ        ,. ヘ           )  }  ノ: : :
          lヽ:ヽ         ,.  '´   ,- |          ⊂ '  /:, -=
          |        ,. '´    ―   ノ         ,........ - ',イ /:
           ヽ       ヽ       ,/         /: : : :/   /: :
             ヽ、       ヽ -   '´           .|ヘ/    /: : :
              `゙  、            ,. イ ,. - _ ,/     /: : :
                  `゙  、 _    , r ´ ,. - ,. - ' ´::::/      l: : : :
                        ̄  //,.::::´:::::::::::::::::/       |: : : :


杏子「あたしは『食いたいのか?』と聞いただけだ。『やる』なんて一言も言っちゃいないよ」

 ――そうきたか。
 先ほどまでの彼女の様子からして、こうなることは大体予想はできたことだが……

 どうやらわたしは、「彼女に信頼されている」と勝手に判断していたようだ。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 22:14:58.04 ID:W9VJi+E30<> キュゥべえ『……ねぇ、そろそろ家に帰ったほうがいいんじゃないかな?』

 ふとキュゥべえがわたしに対してそう言ってきた。

 ――そういえばそうだ。
 今回は元々、この辺りにわたし以外の魔法少女がいないかどうかを確かめるために街を探索していたのだ。
 ならば、佐倉さんがいるとわかった時点で、今回のわたしの目的は既に果たしたことになる。

 それに、わたしは母に「コンビニに行ってくる」と嘘をついて外に出てきたのだ。
 さすがに夕食の時間までには家に帰らないとマズい。

「……そうだね。今日はもう帰ろうか」

 わたしはそう言うと、キュゥべえを肩に乗せる。
 コイツを肩に乗せることは早くも癖になりつつあるのかもしれない。

杏子「そうだ。アンタはもう帰りな。こっから先はあたしらみたいなベテランに任せときゃいいのさ」

 わたしのそんな様子を見ながら、目の前で再びポテチを食べ始めていた佐倉さんがそう言った。

 馬鹿にしているのか、それとも同じ魔法少女であるわたしを彼女なりに気遣ってくれているのか――
 残念ながら今のわたしには彼女という人間がまだ理解できなかった。

「……佐倉さん、しばらくはこの辺りで魔女退治を続けるんですか?」

杏子「あたりめーだろ? 前のシマに戻って何になるのさ?」

「いや、少し確認したかったから……」

杏子「確認?」


 ◆選択肢

   1:「だって、しばらくこの辺りに留まるってことは、明日もまた会えるってことでしょ?」
   2:「佐倉さんみたいな強い魔法少女がいてくれるならわたしも安心です」
   3:「いや、せっかくだから佐倉さんに魔法少女のことをご教授願おうと……」

       安価>>140-144 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/10(火) 22:18:06.85 ID:OtqwD5fz0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 22:18:24.74 ID:860FP28bo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 22:19:55.45 ID:6aUH0qDmo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 22:22:21.19 ID:7+FBKdFd0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/01/10(火) 22:26:09.26 ID:V5nepix1o<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 22:45:47.47 ID:W9VJi+E30<> 「だって、しばらくこの辺りに留まるってことは、明日もまた会えるってことでしょ?」

杏子「はぁっ!?」


 l:::/ |   ィ   イ |  ヽ ト、_,イヽ      .┌┐_
 .V  .|   /|__ハ |   \ \ .,,==\ヽ | . ___|..└! .|
 / ,ィ .|  / | ==、 |j       ‖  ヾヽヾ!ヽ--┐.i┐.i 」
.//|ハ  .i ‖ ヾ        {{ / }} .〉 |   |...| |__|
'  | ∧ | {{   .}} / /./ 乂 /‖.|/ ..┌┐.┘、∨
  |  .∧イ 乂  ‖. / / / /゙ ''  |..┌┘└┐ノヽ∨
  .| .∧ヽ!/./ゞ= / / __   -、,、  |  ,ニコ .iニ┐  `ヽ、
   V 乂 |'  / /, - '      ` ハ / '〈 .<l .l'_メ.ヽ,
      | |      {    __,  -‐ ' '   ,` .!┘  `' ` ̄
     ノハ     `  ̄        イ ̄}  .i─┐ヽ、
    /   ` ≧ェ         < ヽ ̄| `┐ ̄!┘



杏子「アンタ、何言ってやがる!? あたしはアンタと仲良くするつもりも、馴れ合うつもりもねーぞ!?」

「だけど、同じ魔法少女であることに変わりはないでしょ?」

 わたしは一度ニコッと笑うとさらに話を続ける。

「仮に一方、もしくはお互いがそう思っていなくても、同じ街の同じエリアにいる以上、いずれ一緒に行動することもあるかもしれないし……」

杏子「同業者だから仲間だとでも思ってんのか!? 商売敵として競い合う可能性のほうが高いだろうが!?」

「確かにそうかもしれないけど、『敵の敵は味方』とも言うし、ある程度の交友関係はあってもいいんじゃないかなぁ?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 22:55:29.19 ID:W9VJi+E30<>               .\-.、
                ヽ`_ - 、   , , '
              _ , - ニ>. ヽ /'_ , -‐‐‐ 、
        ヽ、_   ヽ:::::>-.....、:::::/ ' , -<`- .ヽ
          \`--、」____::`>. ,...------`..、`
           _ >        ヽ-- 、:::::::::::::::::::::`...、
        , ' ,_、   __        \::::::::::; ':: ̄、
     , イ.-‐/  `   ' ∨---┐     :ヽ::::/::::::  ヽ
  ,.-_二,   /.   ,/    .!:..  ∨    :::ヽ::::: ヾ 、.!
     ./  ,   イ  ,!   ∨:... :i     :::::∨  ∧.Y
    /./  i  / | .ハ    ∨::.. ::|  ∨  :::::::i |  i
    /,イ. ,イ ./ .| ./  ヽト、  ト、::..:|  .:::|  :::::::|. ト、 |
    i' .| :ハ .,' | /    ` ヽ:: .|丶::::| .::::| ,  :::::::|. |.ヽ |
    .ハ i从:厂`十-    ‐孑:ト‐‐十.::::レ‐、:::::/ | i |
     l :|∧`{''ぅ=x     xr,xテア' ::::/.'ク∨:/  | .| |
     .ト::|∧. 弋__}      {__ソ'::::;イ,/ / ' i:  |  Y
      | :|'. .i////     //////;イ∠ -':::   |:: | ./
      .Y  .>.,、    __     ' イ:|::|::::|::  トi: |
         ヽ リ≧- `_`   イ::::::::|::|::|::::|:: .| |:: |
         .`V:::/,-:|_」  __,ゝ--..、|::|::::|: .| |:: |
          ./,-'', .', イ , ヘ::ヽ:::::::::::_] ]:|: :| |: |
         .,イ.i / / 〉./ \, >-'  ̄   {:|:: | |: |


杏子「――アンタ、おめでたいやつだね。正直付き合ってらんないよ……!」

「あ……」

杏子「興醒めだよ、全く! 今日はもう帰る!」

「何処に? この辺りに住んでいるんじゃないんでしょ?」

杏子「うるせぇ! 聞くな!」

 そう言いながら、佐倉さんは再び路地裏の闇の中に消えてしまった。

「…………」

キュゥべえ『仕方ないよ。彼女はああいう子なんだ。一緒に戦ってくれと頼むこと自体間違っているよ』

「……別にわたしはそこまで頼もうとは思ってなかったよ」

 少なくとも今はね、と付け加えると、わたしたちもその場を後にした。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 23:01:26.69 ID:W9VJi+E30<> 〜商店街〜


 路地裏を後にしたわたしは、人波が恋しくなったのか、商店街を通りながら帰路に着くことにした。

 そんな中、わたしは、ふと大事なことを思い出した。


『――そういえば、キュゥべえ……』

キュゥべえ『なんだい?』


 ◆選択肢

   1:『わたし、佐倉さんに自分の名前教えていなかった』
   2:『わたしは何を願って魔法少女になったの?』
   3:『変身中のソウルジェムっていったいどうなっているの?』

       安価>>147-151 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/10(火) 23:02:19.32 ID:De4pmd3AO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 23:03:59.48 ID:SobTz5m30<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/01/10(火) 23:07:46.54 ID:WqbL5T280<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 23:17:02.87 ID:W9VJi+E30<> 『わたし、佐倉さんに自分の名前教えていなかった』

キュゥべえ『それってそんなに大事なことかなぁ?』

『大事なことだよ。お互いのことを少しでも理解し合うためには特にね』

 人間の生き方ってそういうものだから、とわたしは付け加えた。

キュゥべえ『そういうものなのかい? わからないなぁ。人間の価値観というものは……』

『これからわかっていけばいいよ』

 わたしはそう言ってキュゥべえに微笑みかけると、商店街を抜けてやがて自宅へと帰っていった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 23:29:13.74 ID:W9VJi+E30<> 〜自宅・???〜


 自宅へ帰ったわたしは、夕食を済ませると、1人今日のことを振り返りながらある場所にいた。

「『魔法少女』……『魔女』……『グリーフシード』……」

「そして、佐倉杏子……」

 ぶつぶつと1人そう呟きながら、わたしはゆっくりとその場所へと繋がる扉を開けた。

 そこは――


 ◆選択肢

   1:風呂
   2:トイレ
   3:ベランダ

       安価>>152-156 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 23:29:29.85 ID:SobTz5m30<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 23:30:37.21 ID:860FP28bo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)<>sage<>2012/01/10(火) 23:30:39.00 ID:3nLsmsSo0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/10(火) 23:30:49.55 ID:7+FBKdFd0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/01/10(火) 23:31:08.51 ID:V5nepix1o<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 23:47:50.92 ID:W9VJi+E30<>  そこはベランダだ。
 自分でも何故かわからないけれど、わたしは1人そこで各々の家の明かりや街灯に照らされた夜の街並みを黙って眺めていた。

キュゥべえ『今度はどうしたんだい?』

 気がつくと、足元にキュゥべえがいた。
 家族の他の面々からは姿が見えないことをいいことに、先ほどから我が家の中のあちこちを歩き回っていたが、今更気にはしない。

「いや……。なんとなく、夜風に吹かれてみたくなっただけ……」

キュゥべえ『ふぅん……』

「…………」

 しばらく、そのまま外の景色を眺めていたが、わたしはキュゥべえにふと声をかけた。

「ねえ、キュゥべえ」

キュゥべえ『なんだい?』

「――この街の人達が、こうしていつも通りの平凡な日々を送れているのも、佐倉さんたちみたいな魔法少女が人知れず戦ってくれていたおかげなのかなぁ?」

キュゥべえ『そうだよ。そして、これからは君もその役目の担い手の1人になるんだ』

「うん……」

 頷きながら、わたしは自身の左手の中指へ目を向ける。
 もちろん、そこには指輪――ソウルジェムがあった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 23:55:20.11 ID:W9VJi+E30<>

 わたしは、一体キュゥべえに何を願って魔法少女になったのだろう。

 何故、契約以前までの魔法少女に関する記憶を全て失ってしまったのだろう。

 そもそも――わたしはどうして魔法少女になろうと思ったのだろう。

 わからないことは非常に多い――


「先は長いな……」

 それはどういう意味で呟いた言葉だったのかは、その時のわたし自身にもわからなかった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/10(火) 23:56:41.66 ID:W9VJi+E30<>       __
    r┘└ゥ .∩∩_  ∩  _/7__  _i⌒i_    ◯         ____           .i⌒i
    | :|⊆ヽ8| :ロ に(ノ| |() 7:/_n (__  _)  ◯ ___i⌒i_  .Y´       `Y  ◯  __,|  |__
    (_/ノ几l ム1└ヘ ,ン) ゝ¨,_〈 (__  __)⌒ヽ___(__    `ヽ `'ー――‐ァ  / i⌒i ◯ (_   _ `Y
               ̄ ̄ `¨´ .`¨´γ´ ̄    Y\   ) /  ハ  :}i⌒i   ./   ̄   ̄`ヽ |  | .|  |
    P U E L L A M A G I  ,'  .x―┐ .r‐'/ / /  / ノ  l乂ノi⌒'゙´  .x;;―┐ .r―‐'゙ .|  | .|  |
    Μ △ [) 〇 Κ △ .{  (    | .| .{  /   (__,ノ (__,ノ ∧ \   く ( ̄ ̄   ̄ ̄) |  | .|  |
    Μ △ G...Ι Κ △ ,乂 `¨¨´ ./ 乂. `¨¨´ )     <  > \  \. ̄|  | ̄~   .|  lγ  .|
                        ` ー‐''゙´     ` ー‐''゙´     レヘ」.   `'ー'′ .`ー'      .`ー' .`ー'′

                         螺旋迷宮 labirinto spirale
                          −ある魔法少女の物語−

                      第1話「『魔法少女』って……何?」   Fine <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 00:07:55.93 ID:hSIBH8TZ0<> 第1話終了時点でのあなたのステータス

【基本スペック】
 名前:不明(未定)
 年齢:14歳(中学2年生)
 髪の色:茶髪
 髪の長さ:長髪
 身長:高い
 一人称:わたし
 得意教科:現代文
 苦手教科:理数系

   ※あなたの名前は、いずれ判明するかもしれません


【魔法少女スペック】
 服装:ゴシックロリータ風
 武器:不明
 能力:不明
 願い:不明
 変身時のソウルジェムの位置:不明
 ソウルジェムの穢れ率:0/100%

   ※ソウルジェムの穢れ率が高いほど魔法が使えなくなるなど今後の行動に影響があるかもしれません


【交友関係など】
・キュゥべえと行動を共にしています
・佐倉杏子と知り合いました(ただし、杏子はあなたの名前は知りません) <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 00:12:37.93 ID:hSIBH8TZ0<> 区切りのいいところで一旦休憩します
続きは1時間後、01:00くらいに再開いたします。

主人公の名前ですが、一応デフォルトネームは何種類か考えていますが、展開や選択次第では皆さんに名付けてもらう可能性もあるかもしれません
その時はよろしくお願いいたします


>>83
言われたとおり、習うより慣れろの間違いです
脳内で修正しておいてくださいw(マテ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 01:04:34.51 ID:hSIBH8TZ0<> 再開いたします <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 01:18:43.23 ID:hSIBH8TZ0<> 〜自宅外〜


「行ってきます」

 今日は平日、月曜日。
 学生であるわたしにとっては、まさに一週間の始まりを告げる曜日でもある。

 いつも通りの時間に家を出たわたしは、早速通っている中学校へ向けて歩き出した。


「……ところで」

 ――そして、少し歩いたところで、口を開く。

「何でキミまでついて来るのかなぁ?」

 目を向けた先――わたしの後方の足元には、キュゥべえの姿があった。


キュゥべえ『何を言っているのさ。君は以前もこうして僕を連れて学校へ通っていたじゃないか?』

 そう言いながらキュゥべえはわたしの肩にぴょこんと飛び乗った。

「覚えてない」

キュゥべえ『やれやれ……。記憶喪失というのも厄介なものだね』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 01:36:50.83 ID:hSIBH8TZ0<> 「そもそも、キミが学校までついて来る理由がわからないんだけど?」

キュゥべえ『言っただろう? 僕の役目は資格がある女の子を見つけて、その子と契約して魔法少女にすることだって』

 だから女の子が少しでも多くいる場所に行く君について行くのは、僕としても効率がいいのさ、とキュゥべえは付け加える。

「だったら、うちの学校じゃなくて白女に行けば? あそこは女子校だから共学のうちよりも女の子は圧倒的に多いよ?」

 白女とは、現在わたしが通っている中学校よりも結構距離が離れた場所に存在する私立の女子中学校のことだ。
 この辺りではなかなか名前の知れた進学校で、また政治家や金持ちのご息女なども多く在籍しているお嬢様学校ということでも知られている。

 ――もちろん、その分入学試験の偏差値もかなり高い。
 正直、わたしのような平凡な1女子学生の学力では合格ラインにかすることすら難しいなんて噂されているくらいだ。

 それでも、この辺りに住んでいる女の子ならば、誰もが一度は憧れる学校だ。
 憧れる理由は、校舎が綺麗だとか、制服が可愛らしいとか、セレブの気分を少しでも味わってみたいなど人それぞれだが―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 01:53:02.81 ID:hSIBH8TZ0<> キュゥべえ『女子校か……。確かに、そちらの方が魔法少女の候補者がいる確率は高いかもね』

「今からでも遅くはないから、行ってみたら――と言いたいところだけど、さすがにここからキュゥべえの足で白女に行けるとは思えないな……」

 そう。ここから白女に行くならば、自転車、バス、電車、親に車で送ってもらうかのいずれかしかない。
 まず、徒歩では何時間掛かるかわかったものではない。
 自転車でもここからだと最低30分――それも全力疾走で飛ばして、途中信号などに極力引っかからなければの話――は時間を有する。

キュゥべえ『君、意外とその白女という女子校に詳しいんだね? 始めて知ったよ』

「ふぅん。以前のわたしはキュゥべえにも言ってなかったことってあったんだ」

キュゥべえ『そうだね……。そもそも、以前の君は、あまり僕とこうして会話をすることも少なかったからね』

「そうなの?」

キュゥべえ『うん。魔法少女や魔女のことについては色々と僕に聞いてきていたけど……』

 それ以外は特にこれといったことは話したことなかったなぁ、とキュゥべえは以前のわたしとの思い出を語り始めた。
 ――はっきり言って、思い出と呼べるほどのものでもなかったが……

キュゥべえ『それでも、君は僕を必ず目の届くところに連れて、一時も離れようとしていなかったよ。それこそ四六時中ね』

 ――かつてのわたしは、コイツを珍しい愛玩動物か何かと判断していたのであろうか? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 01:58:22.28 ID:hSIBH8TZ0<> キュゥべえ『――ねぇ、近いうちに僕をその女子校まで案内してもらえないかな?』

「う〜ん……。そうだね……」


 ◆選択肢

   1:「いいよ」
   2:「ゴメン。無理」

       安価>>167-169 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 01:58:37.45 ID:L6NAYiFK0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 01:59:15.78 ID:89I1H1RMo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 02:04:28.32 ID:1DZMuG5R0<> 2 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 02:13:15.53 ID:hSIBH8TZ0<> 「ゴメン。無理」

キュゥべえ『どうして?』

「実は白女にはわたしの親友――幼なじみなんだけど、その子が通っているんだ」

 お互い中学生になってから一緒に遊ぶ機会は減ったけど――あいつとわたしは今でも親友同士だ。
 だから、もし――

「――だから、もしそいつに魔法少女としての資格があったら、キミ間違いなく勧誘するでしょう?」

キュゥべえ『そりゃあ、するだろうね。それが僕の役目なんだから』

「だからわたしはキミに白女の場所は教えない。わたしもまだ魔法少女というものの役目がどれだけ大変なものなのかはわからないけど、そんなものに親友は巻き込みたくない」

 これだけは嘘偽りない本心である。

キュゥべえ『そうか。それは残念だなぁ』

 キュゥべえはそう言ったが、無表情なせいか、わたしにはこれっぽっちも残念そうに見えなかった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 02:27:34.16 ID:hSIBH8TZ0<>  魔法少女が増えることは、確かに良いことだと思う。
 だが、まだ二十歳にも満たない女の子たちを『契約』という理由だけで、魔女というわけのわからない存在と戦わせるのは正直どうなんだろう。

 先ほど言った、わたしが親友を巻き込みたくない理由も、ここに起因する。

 ここでふと、ある疑問が浮かんだ。

「そういえば、キュゥべえ」

キュゥべえ『今度はなんだい?』

「契約による願いっていうのは、契約が成立した瞬間に叶えられるものしか成就されないの?」

キュゥべえ『そうだね。大抵の子の願いは契約が成立し、エントロピーを凌駕した瞬間に叶えられる』

「え、エントロピー?」

 何かまたよく分からん言葉が出てきた。

 ……あれ?
 だけど、どこかで聞いたような……

キュゥべえ『――だけど、ごく稀に契約が成立した瞬間には願いが叶わず、後々になって叶ったという子は確かにいたよ』

「なるほどね……」

キュゥべえ『――実際、君が僕との契約で願った祈りもどちらかと言うと、こちらに分類されるものだろうね』

「えっ……?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 02:44:23.70 ID:hSIBH8TZ0<> 「わたしの願いって、契約が成立した瞬間に叶えられていなかったの?」

キュゥべえ『うん。君は契約を成立させ、自らのソウルジェムを手にしたその瞬間、いきなりその場に倒れ伏して気を失ってしまったからね』

「それって……」

キュゥべえ『うん。昨日君が目を覚まして僕の顔面を殴った直前の出来事だよ。気を失っていたのは君たち人間の時間で換算したら30分にも満たなかったんじゃないかなぁ?』

「…………」

 ――本当に、その時のわたしは何を願ったのだろう?

キュゥべえ『自分が何を願って魔法少女になったのか、気になるのかい?』

「そりゃあ、気にもなるよ。もしかしたら魔法少女に関する記憶を失ってしまった原因もわかるかもしれないし……」

キュゥべえ『僕でよかったら教えてあげてもいいよ?』

「本当!?」

キュゥべえ『もちろんさ。なんたって僕は君と契約をした当事者なんだからね』

「わぁ……! 助かるよ。というか、わたし何でもっと早くそれをキミに聞かなかったんだろう……!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 02:55:13.67 ID:hSIBH8TZ0<>  わたしが契約で願った祈りの内容がわかれば、おそらくわたしの魔法少女としての能力の詳細もわかるだろう。
 現に、昨日キュゥべえは『魔法少女の能力は叶えた願いによって決まる』と言っていた。

 一体わたしは、どのような力を秘めているのだろう?
 もしかしたら、そこらの魔女ならば裸足で逃げ出したくなるような凄まじいものかもしれない。

「ありがとうキュゥべえ。お礼に、わたしもキュゥべえのお願いをひとつ叶えてあげる」

キュゥべえ『本当かい?』

「もちろん。といっても、わたし1人でできる範囲のことに限られちゃうけど……」

キュゥべえ『ううん。それだけでも十分だよ。ありがとう』

 そう言いながらキュゥべえは、かつての記憶を失ってからはこれで2回目となる笑顔をわたしに見せた。
 ――やっぱり、こうして笑ったりすれば可愛いのに、と思う。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 03:22:08.59 ID:hSIBH8TZ0<> キュゥべえ『それじゃあ僕、さっきも言ったけど、白女に案内してほしいなぁ』

「――えっ?」

 今なんて言った?

キュゥべえ『? どうしたの?』

「ごめんキュゥべえ、今キミが言ったことがよく聞こえなかった。悪いけど、もう1回言ってくれないかな?」

キュゥべえ『白女に案内してほしいって言ったんだよ?』

「ちょ、ちょっと待ってよ……。それはさっき……」

キュゥべえ『確かに、さっきは断られてしまったけど、考えてみればそれは僕に対価となるものが無かったからだ』

 キュゥべえは笑顔でその理由を語り始める。
 それはもう――本当に嬉しそうに――

キュゥべえ『だけど今は、君に“契約時の祈りの内容を教える”という十分な対価がある。これは情報の等価交換――契約としても十分に成立できるものだと思うよ?』

「…………」

キュゥべえ『だから……』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 03:26:32.64 ID:hSIBH8TZ0<>                            _
                             } `丶
               「 \  __   -┴ ァ  \
                    ´         /    ヽ
                \        __ く/
                ∨ __     '⌒ Y      }
                  _|{ '⌒ r:‐ヘ    八     ,′
                   / 八    、:::ノ  イ 丶.   /
             ⌒\/ ,   / ーァ   T´ {   \/\
           ( (⌒>く./  / . : /     ',: :ヽ    〈) )
              \{/ : : :/ : : /       ヽ-ヘ . : : //、
         /\\_∧: : ,′|  i  i | ∨∧// : : :\__
           (_゚: :。 ーァ‐' : ;  |  |  | |  ー‐く: : : : :。: ゚ : _ノ
          / . : : 。人: : :.:!   |  |  | |     \: 。 : : : :)
          (_/{:_:/  \:{.    { ,'    ノ    \_ノ ̄
                  ̄>  \)(/  く
                 / / ̄ ̄ ̄\ \
                'ー‐        ー‐'


キュゥべえ『僕と契約して、僕を白女へ連れていってよ!』


 ◆選択肢

   1:「……キミ、本当に契約のことしか考えてないみたいだね……」
   2:「……わたしの願いを知るためには仕方がないか……」
   3:「……ふざけないで……!」

       安価>>176-180 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮崎県)<>sage<>2012/01/11(水) 03:30:30.23 ID:61TqvVyA0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 03:34:02.21 ID:L6NAYiFK0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/11(水) 03:39:08.21 ID:NPfJT0/ko<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)<>sage<>2012/01/11(水) 03:50:22.25 ID:vsYF9BY2o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/11(水) 04:00:28.06 ID:W3isObKT0<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 04:21:57.72 ID:hSIBH8TZ0<> 「……キミ、本当に契約のことしか考えてないみたいだね……」

キュゥべえ『そうかな?』

「そうだよ……」

 わたしは、魔法少女に関する記憶を失う前のわたしが、何故キュゥべえと必要以上に会話をしなかったのか、少しわかった気がした。
 おそらく、会話をしなかったのではなく、会話を避けていたのだろう。

 コイツは――キュゥべえは、あらゆる物事を『契約』という名の等価交換で判断し、常にそれによって生ずる対価やリスクを計算している――
 そんな気がしてならなかった。
 もしかしたら、コイツの言動のひとつひとつがそのような計算の上で成り立っている行動なのかも――

 わたしはこの時、少しばかり自身がチェスの世界チャンピオンと勝負しているような気分になった。
 こちらの一手一手が全て読まれているような――そんな疑心暗鬼にも似た感じだ。

 ――かつてのわたしも、そう思ったからキュゥべえとの会話を極力避けていたのかもしれない。


 わたしは、自身の肩に乗るこの無表情だが時折愛くるしい表情を見せる白い存在との付き合いには、一定の距離間を置いておくべきかもしれないと思った。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 04:31:48.19 ID:hSIBH8TZ0<> 「あと、さっきの話だけど、やっぱり無かったことにしてくれないかな?」

キュゥべえ『どうして? 君は自身の願いがどのようなものだったのか気にはならないの?』

「気にはなるよ。だけどね。さっきも言ったけど、わたしはそんな契約で親友の命を質に入れるような真似だけはしたくないの」

キュゥべえ『……わかったよ。僕も無理強いはできない。今の話はなかったことにしよう』

「……ありがとう……」

キュゥべえ『さて、そろそろ人通りの多い道に出る。ここから先の会話は全てテレパシーで行うとしよう』

「…………」

 わたしは黙って頷いた。


 ――結局、それ以降学校に着くまでの間、わたしはキュゥべえと一切の会話をしなかった。

<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 04:38:53.02 ID:hSIBH8TZ0<> 一旦ここで止めます
続きは本日のお昼(12:00)くらいに再開する予定です

早速、主人公以外のオリキャラの存在を匂わせる展開にしましたが、
主人公やモブを除くオリキャラって、この手のSSの場合大体全体の何%くらいまでが許される範囲なんでしょうね?
誰一人キャラが薄くならなければ少々多めでもいいのか、それとも原作キャラが本筋で活躍できること(空気にならないこと)を前提に少ない方がいいのか……
さじ加減が難しい所です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 08:02:01.32 ID:1uKiI2hIO<> 乙々

オリキャラの数は作者の裁量次第だとおもう
個人的には多くても少なくてもいい

多くしすぎると訳分からなくなるだろうが…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 10:19:58.07 ID:WD+w34bJo<> しっかりキャラが出来てて、見せ場がそれなりにあればいいんじゃないかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 12:16:55.59 ID:JrV7qLyio<> 乙。

気にせず続けて。面白ければいいから。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 12:54:38.47 ID:hSIBH8TZ0<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 13:00:52.81 ID:hSIBH8TZ0<> 〜中学校・あなたのクラス〜


「…………」

 結局、あれからキュゥべえとは何の話もすることなく、わたしは中学校の自身の教室までやって来た。
 自分の席に鞄を置くと、現在の時間を確認する。

 ――8時15分。

 朝のホームルーム開始を告げるチャイムが鳴るのが30分だから、少しだけ時間に余裕がある。
 さて、どうしようか。


 ◆選択肢

   1:キュゥべえと話をする
   2:クラスメイトと話をする
   3:教室の外をぶらつく

       安価>>189-193 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 13:01:29.15 ID:QDgbNgYIO<> これって能力確認するのには場所教えなきゃなの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 13:01:58.59 ID:QDgbNgYIO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 13:03:00.71 ID:L6NAYiFK0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/11(水) 13:04:19.58 ID:oxgUmn4DO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/01/11(水) 13:08:34.70 ID:pHuRKTb90<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 13:14:40.21 ID:hSIBH8TZ0<> >>189
主人公の願い、能力はストーリーを進めていけば必ず判明するようになっています
今回の場合は、キュゥべえに白女の場所を教えることが判明条件だったというだけです <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 13:26:06.82 ID:hSIBH8TZ0<> 〜教室外・廊下〜


 投稿中の一件以来、どうも今はキュゥべえと何か話をする気分ではなかった。
 そのため、わたしは教室を出て、校舎内を軽くぶらつくことにした。

 クラスメイトと他愛もないお喋りをして時間を潰してももよかったが、生憎うちのクラスの生徒は男子も女子もチャイムギリギリになって登校してくる者がほとんどだ。
 気さくに話しかけられる者がこういう時に限っていないというのは、どうも寂しいものである。

 廊下をぶらついていると、当然見知った顔の者たちと次々とすれ違っていく。
 クラスメイトだったり、違うクラスの友人であったり、1年生の頃に同じクラスだった子であったり――

 わたしが現在いる3階は、教室は2年生のクラスしかない。
 もし、先輩や後輩に会いに行くなら違う回に行く必要がある。

 ――だが、わたしは他学年の人とはそれほど交友関係があるわけではない。
 一応、3年生と1年生にも友人はいるのはいるのだが、彼女たちは……その……何というか…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 13:36:12.87 ID:hSIBH8TZ0<> 「……あれ?」

 ふとあることに気がつく。


 ――キュゥべえがいない!?


 そう。
 先ほどまでわたしの肩に乗っていたキュゥべえが、いつの間にかいなくなっていた。
 教室を出た頃までは確かにわたしの肩に乗っかっていたはずなのに――

 一体何処に行ってしまったのだろうか?
 わたしは急いでキュゥべえを探そうと考えたが、運が悪いことに、そこでチャイムが鳴ってしまった。

 やむを得ず、わたしは自分のクラスへと戻ったが、やはりそこにもキュゥべえの姿はなかった―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 13:49:12.20 ID:hSIBH8TZ0<>
 ――それから、午前中の授業はあっという間に過ぎ去り、今は昼休みだ。
 午前中にキュゥべえがわたしの元に戻ってくることはなかった。
 別にそれが寂しいというわけではなかったが、あいつがいないとまた妙な気分になる。
 キュゥべえと生活を共にしているのは、現時点の記憶上では、これで2日目なのに。

 もしかしたら、わたしは無意識下でキュゥべえの存在を求めているのかもしれない。
 現に、以前のわたしはキュゥべえから四六時中離れていなかったそうだし――

「まぁ、今はそんなこと考えてばかりいるわけにもいかないか……」

 そう。今は昼休み。わたしたち学生にとっては昼食の時間だ。
 一部の生徒は昼休み開始と共に昼食を求めて購買部や食堂へと走っていったが、幸いわたしには母が作ってくれたお弁当がある。
 問題はこれを何処で誰と食べるかだ。

 1人で食べるのもいいが、せっかくの昼休みなのだから友人たちと交友を兼ねて食事をするのも悪くない。

 さて、どうしよう?


 ◆選択肢

   1:1人で済ませる
   2:誰かと一緒に昼食を摂る

       安価>>198-200 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 13:57:40.23 ID:1uKiI2hIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 14:02:39.66 ID:89I1H1RMo<> 2 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 14:08:18.81 ID:hSIBH8TZ0<>  ――うん。
 考えてみたら、やはり『ぼっち飯』というのは考えただけでも虚しいものだから、誰かと一緒に食べよう。

 そうなると、現時点で候補となるのはクラスメイトの子と3年生の先輩と1年生の後輩のいずれかになる。
 誰を誘ってみようか――


 ◆選択肢

   1:クラスメイト
   2:3年生の先輩
   3:1年生の後輩

       安価>>201-205 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 14:08:34.09 ID:2fJh7BYpo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 14:11:33.77 ID:1uKiI2hIO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/11(水) 14:14:07.90 ID:oxgUmn4DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/11(水) 14:28:39.68 ID:XrDE69Li0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2012/01/11(水) 14:37:38.15 ID:pHuRKTb90<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/11(水) 14:39:02.96 ID:W3isObKT0<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 14:50:23.96 ID:hSIBH8TZ0<> 「やっぱり、一番誘い易そうなのは先輩かな?」

 そう思い至ったわたしは、早速お弁当を片手に先輩の元へと向かった。
 といっても、向かうのは3年生の教室ではない。
 あの人は、昼休みや放課後になると必ずあそこにいるのだ。

 それ故に、ほとんどの生徒たちからは「変わり者」だと言われているのだが―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 15:07:30.43 ID:hSIBH8TZ0<> 〜家庭科室〜


 わたしがやって来たのは家庭科室だ。
 ここは家庭科の授業で手芸をする際に使われることが多い部屋なのだが、手芸部が存在しない我が校ではそれ以外の時間は完全に空き教室となる。
 そのため、この部屋は昼休みや放課後は完全に先輩の専用室と化すのだ。

「先輩、いますか〜?」

 わたしはそう言いながら家庭科室の扉を開けた。

???「……あら?」

 家庭科室に入ると同時に、わたしはすぐさま先輩を発見する。
 先輩は今日も、教卓と教員用の椅子を我が物顔で占有していた。

 ――教卓の上に購買部のパンが何種類か置かれているのを見ると、先輩も丁度これから昼食だったようだ。

先輩「…………」

「どうも。もしよかったらお昼一緒にどうかなと思いまして……」

先輩「…………」

「……? 先輩?」

 何だか先輩の様子が少しおかしい。
 わたしのことを睨んでいるような――


先輩「……誰だ、お前は?」

「ッ!?」


 ◆選択肢

   1:「先輩、何の冗談ですか?」
   2:「す、すいません。失礼しました」
   3:「地獄からの死者、スパ●ダー●ン!」

       安価>>209-213 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/11(水) 15:08:49.85 ID:XrDE69Li0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2012/01/11(水) 15:10:46.88 ID:pHuRKTb90<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 15:12:57.03 ID:JrV7qLyio<> 3

変わりすぎだろおい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 15:13:43.70 ID:dCxHpKz70<> えーだって3しかないじゃーん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 15:32:55.81 ID:1uKiI2hIO<> スパイダーマッ! <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 15:38:18.66 ID:hSIBH8TZ0<> 「地獄からの死者、スパ●ダー●ン!」

 そう叫ぶと、わたしはその場で腰を深く落としビシッと戯けたポーズをとる。
 我ながら見事に決まったと思うのだが、さてどうだろう?

先輩「…………」

「…………」

先輩「……プッ!」

先輩「ハハハハハ! 本当にいつもノリがいいなお前は、最高だ!」

「だって先輩、この間DVD-BOX買ったって自慢していたじゃないですか〜?」

 腹を抱えて大笑いしている先輩を見ながら、わたしは元の体勢に戻ると、教卓近くの机に自身のお弁当を置いた。

 そう。先輩は俗にいう『オタク』と呼ばれる部類の人間なのだ。
 事ある毎に、同級生やわたしをはじめとした後輩たちにアニメや特撮のネタを吹っかけてくるのである。
 始めて会った時からこの人はこんな感じだ。

 普通なら『痛い人』のレッテルを貼られてもおかしくないが、まだ周囲からは『変わり者』レベルで済まされているのは、ひとえに普段の先輩の人望だからこそだろう。

 なんたってこの人、こう見えてこの中学校の現生徒会長だし――
 おまけに学力も結構あるときた。

 ――まぁ、そんな先輩と、先輩が吹っかけてくるネタの出典をほとんど知っていたわたしが親しくなったのは一種の必然とも言えた。

先輩「特撮ネタは久しぶりだったんだがなぁ〜……」

 そう言いながら、先輩は購買部の焼きそばパンを手に取った。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 15:57:36.89 ID:hSIBH8TZ0<>  それから、わたしは先輩と最近のアニメやら漫画やらの話で盛り上がりながら昼食を摂った。
 そして、先輩はパンを全て平らげた後、わたしに尋ねてきた。

先輩「……ところで今日はお前1人なのか? 他の奴らは?」

「今日はわたし1人ですよ」

先輩「そうか。……うん。お前1人なら見せてやってもいいかもな」

「?」

 先輩の黒い瞳が一瞬キランと光ると、足元に置かれていた自身の鞄の中からあるものを取り出した。

「これって……衣装ですか?」

先輩「ああ、そうだ。次のイベント用に作っているんだがな」

 先輩が取り出したものは、アニメのキャラの衣装であった。
 ――そう。先輩が家庭科室を事実上占領しているのは、日々これを作っているからである。

 学校で自身が着るイベント用のコスプレ衣装を作る生徒会長――これなんてラノベ?

先輩「お前も元ネタは知っていると思うが、某アニメに登場した女子校の冬用制服だ。まだ完成してはいないが、現時点でもなかなかの出来だろう?」

 そう説明する先輩を余所に、わたしはその衣装をしばしの間じっと見つめていた。
 やがて、この衣装を見た瞬間、気になっていたある点を先輩に尋ねてみる。

「……えっと、先輩」


 ◆選択肢

   1:「これ、どう見ても先輩の体格とはサイズが違うんですが?」
   2:「先輩って百合モノ好きなんですか?」
   3:「先輩って男ですよね?」

       安価>>216-220 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/11(水) 15:59:03.35 ID:XrDE69Li0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 15:59:43.20 ID:QDgbNgYIO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/11(水) 16:03:08.60 ID:oxgUmn4DO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 16:03:48.43 ID:dCxHpKz70<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 16:04:02.78 ID:zDbWjIfDO<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 16:14:19.80 ID:hSIBH8TZ0<> 「これ、どう見ても先輩の体格とはサイズが違うんですが?」

先輩「そりゃあそうさ。これはお前用なんだから。自分用のはもうできている」

「えっ!?」

先輩「今更こういうのも何だが、お前は間違いなくコスプレイヤーとしての才能がある。だから次のイベントには是非一緒に……!」

 そう言いながら先輩は作りたての衣装(わたし用)をいそいそと鞄の中にしまう先輩。

 先輩、わたし衣装ならもう間に合っていますので、などとはさすがに言えない。
 一緒に次のイベントに参加とかの話はともかく。

 ――そういえば、キュゥべえは本当にどこに行ってしまったのだろう。

 わたしは左手の中指にはめられた指輪――ソウルジェムに目を向けながら、そんなことを考えていた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 16:25:09.48 ID:hSIBH8TZ0<> 〜教室〜


 ――それから、昼休み、そして午後の授業も終わり、放課後になった。
 いつものわたしだったら、この後は友人たちと一緒にそのまま家に帰るなり、遊びに行ったりするのだが――

「魔法少女なんだよねぇ……」

 そう呟きながら、わたしはまた左手の中指を見る。

 今のわたしは、ただの中学生ではない。
 人知れず世界に呪いを振り撒く魔女を退治する魔法少女だ。
 ならば、その役目を果たさねばならない義務が生ずるのだが――

「肝心な時にキュゥべえはいないんだから……」

 キュゥべえがまだわたしの下に戻ってきていなかった。

 はっきり言ってしまうと、今のわたしには魔法少女に関する知識が圧倒的に不足している。
 そのため、キュゥべえのような豊富な知識をもった存在が側にいなければ、正直右も左もわからない状態だ。

「はぁ〜……」

 わたしはため息をつきながら、自分の机に突っ伏した。

 ――が、ここであることを思いだす。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 16:36:59.73 ID:hSIBH8TZ0<> 「……そういえば、見滝原にいるマミって魔法少女なら力になってくれるかもしれないとかキュゥべえは言ってたな……」

 マミ。
 昨日、キュゥべえの話の中で名前だけ語られた魔法少女――
 隣町である見滝原をたった1人で管轄しているという。

 キュゥべえ曰く『この辺りを管轄している魔法少女の中で最もわたしに協力的な姿勢を見せてくれるだろう』とのことだが――

 ――会いに言ってみようかな?

 そう思いながら、わたしは顔を上げる。

「……ん? 待てよ。魔法少女といえば――」

 魔法少女という言葉から昨日の出来事がわたしの脳裏にフラッシュバックされる。

「――そうだ。佐倉さん!」

 わたしは、今現在この辺りで活動しているしているもう1人の魔法少女のことも思い出した。

 キュゥべえは佐倉さんのことを「協力的ではない」と言っていた。
 しかし、思い返してみれば、わたしは昨日佐倉さんに自分の名前を教えることができなかった。
 それなら、彼女に会う理由も十分あるではないか。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 16:45:11.10 ID:hSIBH8TZ0<> 「あ……。でも、佐倉さんってどこに行けば会えるんだろう?」

 だが、ここでひとつの問題も生ずる。
 それは、佐倉さんのいる場所の詳細がわからないということだ。
 この辺りにいることは間違いないのだが――

「――昨日みたいに魔女がいそうな所を探していけば会えるかな?」

 そんなことも考えてしまうが、もしそれで自分が魔女と遭遇してしまったら――とも考える。
 事実、昨日だってキュゥべえがいなければわたしは魔法少女に変身する方法だってわからなかったのだ。
 正直、キュゥべえがいない今のわたしがもし魔女と遭遇した場合、戦えるのかという疑問が浮かぶ。

 ――佐倉さんよりもキュゥべえを探す方がベターなのかな?

 そんな考えも浮かんでくる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 16:50:26.53 ID:hSIBH8TZ0<>
 ――さて、本当にこれから先どうしよう?


 ◆選択肢

   1:見滝原に行ってマミという魔法少女を探す
   2:佐倉さんを探す
   3:キュゥべえを探す
   4:――とりあえず今は家に帰ろう

       安価>>226-234 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 16:51:32.06 ID:QDgbNgYIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/11(水) 16:52:07.89 ID:XrDE69Li0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 16:54:04.00 ID:8aGn0526o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage saga<>2012/01/11(水) 16:55:07.83 ID:iGJAdy4i0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 16:56:16.84 ID:zDbWjIfDO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/11(水) 16:59:38.58 ID:Bq0RK8BAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 17:06:48.07 ID:dgysOrMS0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 17:14:08.58 ID:JrV7qLyio<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 17:16:30.43 ID:L6NAYiFK0<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 18:44:48.01 ID:hSIBH8TZ0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:見滝原に行ってマミという魔法少女を探す
   2:佐倉さんを探す

       安価>>236-240 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 18:45:11.80 ID:L6NAYiFK0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 18:45:23.70 ID:u4lrsR93o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/11(水) 18:46:16.70 ID:Bq0RK8BAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 18:50:11.25 ID:2fJh7BYpo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage saga<>2012/01/11(水) 19:03:18.63 ID:iGJAdy4i0<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 19:16:25.90 ID:hSIBH8TZ0<> 〜商店街〜


 悩んだ末に、わたしは佐倉さんを探してみることにした。
 まだ日は暮れていないため、街のあちらこちらで人々の生活の営みを感じることができる。

 これはわたしの勘だが、おそらく現時点でのこの街の状況ならば、魔女が現れるということはなさそうだ。
 おそらく、魔女が活動し始めるのは、この賑やかさが静まり返る日が暮れて夜になってからだろう。

 そんなわけで、とりあえず今は時間を潰すために商店街をぶらぶらしている。

「〜♪」

 途中、我が家行きつけの肉屋で売られている、揚げたてのコロッケとメンチカツを食べ歩きながら、わたしは商店街を歩き続ける。

「――あ。そういえば今日って月曜日じゃん。コンビニで『ジャ●プ』立ち読みしていこう」


 恥ずかしながら、この時のわたしは自分が何故商店街をぶらついていたのか、完全に忘れていた。

<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 20:01:16.60 ID:hSIBH8TZ0<>  コンビニで『ジャ●プ』を立ち読みし終えたわたしは、商店街の散策を再開した。
 日が暮れるまではまだまだ時間がある。
 さて、次はどこで時間を潰そうかなと、考えていると――

???「あっれ〜? 何やってんの、こんな所で?」

「およ?」

 不意に呼びかけられた。
 振り返ってみると、そこには見知った顔。

???「ハァイ。こんな所で会うなんて奇遇だネッ?」

「あぁ、キミか」

 そこにいたのは、わたしの中学校での友人の1人だった。
 わたしの同級生で、1年生の頃は同じクラスだった子だ。
 2年生である現在は違うクラスになってしまったため、一緒に遊ぶ機会も少々減ったが、今でも彼女とは良い友人関係を続けている。

友人A「今日はどうしたんだイ、ユー? 商店街を1人でウォークしながらゴーホーム?」

 この色々とおかしな喋り方は彼女の最大の特徴だ。
 もちろん、この喋り方は公の場以外でのみ使われるものだが、常にテンションアゲアゲな彼女には妙にしっくりくる喋り方だと思う。

「う〜ん……。まぁ、似たようなものかな? ちょっとワケあって夜まで時間を潰さなくちゃいけなくてね」

友人A「なるほど〜。実はミーもナイトまでタイムをウエイトしなくちゃいけないんだヨ」

「そうなの?」

友人A「イエス! だからどうだイ、ユー? これからナイトまでミーとトゥギャザーしない?」

「う〜ん……そうだな……」


 ◆選択肢

   1:「いいよ。じゃあどこ行こうか?」
   2:「ゴメン。実は先客がいるんだ」

       安価>>246-250 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 20:03:05.67 ID:hSIBH8TZ0<> 一旦休憩します
続きは1時間後くらいに

主人公の友人も名前考えてはいるけど、現時点では未定なので、ほぼ名無し状態です
名無しでもある程度キャラ立てようと思って挑戦してみたら……どうしてこうなった?w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 20:10:35.80 ID:1DZMuG5R0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 20:11:19.21 ID:1DZMuG5R0<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/11(水) 20:11:23.40 ID:39Mpi4efo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 20:12:59.01 ID:1DZMuG5R0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/11(水) 20:29:27.43 ID:oxgUmn4DO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/11(水) 20:29:58.85 ID:L6NAYiFK0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 20:34:36.93 ID:dCxHpKz70<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 20:42:26.82 ID:hSIBH8TZ0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:「いいよ。じゃあどこ行こうか?」
   2:「ゴメン。実は先客がいるんだ」

       安価>>253-255 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 20:43:55.95 ID:QDgbNgYIO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/11(水) 20:44:18.10 ID:L6NAYiFK0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/11(水) 20:46:32.92 ID:oxgUmn4DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/11(水) 20:50:33.79 ID:svtUK3V0o<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 23:37:56.25 ID:hSIBH8TZ0<> 「ゴメン。実は先客がいるんだ」

 わたしはここで、本来の目的を思い出す。

 わたしが商店街をぶらついている目的は佐倉さんを探すためだ。
 考えてみれば、佐倉さんさえ見つけることができれば、別に夜まで時間を潰す必要はないわけで――

友人A「ほウ……。もしかしてユーのコレですカ?」

 そう言いながら彼女はピンと右手の小指を立ててみせる。

「違う。そもそもその子、女の子だし」

 苦笑いを浮かべながら、わたしはそう答えた。

友人A「オゥ、そうだったノ。でモ、ガールズラブもそれはそれで乙だとミーは思うけどネ?」

 確かに、言われてみるとそんな気がする。
 ――って、待て待て。わたしは今のところはそのケはない。

「本当にゴメンね。それじゃあ、わたしはこれで……」

友人A「ドントウォーリー。また明日スクールでネ」

 わたしはそう言ってくれた友人を横目に、再び佐倉さんの捜索を始めた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/11(水) 23:48:19.66 ID:hSIBH8TZ0<> 「さぁて……。佐倉さんを探すにしても、どの辺りを探せばいいのかな?」

 佐倉さんは外見的にわたしと同年代である以上、同年代の女の子が行きそうな場所に絞りこめば大体予想はできるかもしれない。
 それに、佐倉さんは別にこの辺りに住んでいるわけではないことは、昨日の会話で把握済みだ。

 ――ならば、同年代の女の子が時間を潰すために行きそうな場所を虱潰しに探していこう。

 この辺りで時間が潰せる場所といえば、24時間営業であるネットカフェやファミレス、深夜まで営業しているゲームセンターが候補に挙がるが――
 どこから調べてみよう?


 ◆選択肢

   1:ネットカフェ
   2:ファミレス
   3:ゲームセンター

       安価>>260-264 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/11(水) 23:49:40.24 ID:svtUK3V0o<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/11(水) 23:55:34.08 ID:JrV7qLyio<> 他の奴に会える可能性も考慮したいなあ。

だから2で! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/12(木) 00:02:25.42 ID:El8MpiVDO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/12(木) 00:02:43.21 ID:k0SogEwAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/12(木) 00:02:58.41 ID:LeO3ZNNAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 00:03:01.59 ID:qnX09NZF0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 00:17:46.92 ID:GNkr+yLIO<> 3
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 00:22:32.94 ID:ITTQgq1+0<> 〜ゲームセンター〜


 まずわたしはゲームセンターへと足を運んだ。
 何故最初にここを選んだかというと、ネットカフェやファミレスとは違い『来るだけならタダ』だからだ。

 店内を見回しながら、わたしは赤い髪の女の子を探す。
 赤い髪なんて、この辺りではかなり珍しいからいればかなり目立つと思うのだが――

「ん?」

 ふと、店の奥の方に目を向けると、わたしと同年代の学生たちが僅かながら人集りを形成していた。
 人集りの中には、うちの中学校の制服――紺色のブレザー――を来た子も結構いる。

 ゲームセンターであの手の人集りができる理由は大体予想がつく。
 おそらく、音ゲーかリズムゲーでとてつもないスコアを叩き出している人が今現在プレイしているのだろう。

 わたしも、興味本位からその人集りの中にお邪魔させていただいた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 01:02:48.14 ID:ITTQgq1+0<>                    、   ,
               -‐-=z::\:、厶ミ、
                    //\|∠\:'::,
               ,'/>;:::::::::::::::..>::',
                 iУ::/::/:::::::::::::::':;`
-‐‐y‐ y‐ 、           ,'::!::/:`::∧/:::Y:\i
`‐z{  {   ` ̄ <    j:::|/:::::;:i:::::!';::;i::i、::::::',
.   ̄\         ``ー〈/!::::/‐ト、! 从ム}/::::}
.      `ー―- 、    `!:::ハ{圷  'セア!::/ 〉―- __     _ -‐、‐i-¬
            >,.、\Y>、 _,  ィ'レ' /         ̄ ̄    }_ノ_ぢ
                /::::::::::i \/`ニ´  /ォ――  <____ <
            /イ::/:八  `ー¥ ´  ./    j
               ′|:∧::::;:'`¨   、 _ イ:::::ト、::j
                 |' .∨ \   し 一\j }′
                !  (      /,ヽ.   /〉
              〈≧ー- 、」:ー::|_/ ∧
               |:_:_:≧、/: :∨:\/: :j
              ∧     ̄`',ー ´ ̄!
                  ∧       |     l
                ∧       !    l
                    ∧.     !   j


「ウェッ!?」

 人集りの視線の先にわたしも目を向けると、そこには、リズムゲーをプレイする赤い髪の女の子の姿があった。

 ――佐倉さんだ!

「佐倉さ――」

杏子『……アンタか。何か用?』

「!?」

 佐倉さんに声をかけようとしたわたしの脳裏に、突然彼女の声が頭の中に直接響きわたってきた。
 何だこれは、とわたしが思わず困惑した表情を浮かべていると――

杏子『呆れた。アンタ、テレパシーの使い方も知らないのかい?』

「あっ――」

 再び頭の中に響いてきたその言葉に、わたしは昨日キュゥべえと行っていたテレパシーによる会話を思い出した。

『――すいません。まだ、魔法少女になったっていう実感があまりなくって……』

杏子『全く……。本当にトーシローだね、アンタ。それで、今日は何の用?』

『あぁ、実は……』

杏子『あ――。やっぱり、ちょっと待ってろ。今終わるからさ』

 佐倉さんのその言葉と同時に、彼女がプレイしていたリズムゲーの画面が切り替わる。
 最終スコアの表示画面だ。
 画面には佐倉さんが今回叩き出したスコアの数字――最高スコアだ――と『パーフェクト』という文字が大きく表示されていた。
 その画面表示を見た周囲の人集りが「おぉ!」という軽い歓声をあげる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 01:09:19.74 ID:ITTQgq1+0<> 杏子「――それで? 今日は一体何の用だい?」

 今しがたプレイしていたリズムゲーと人集りを抜けたわたしと佐倉さんは、今はクレーンゲームの前にいた。
 私達が見ているクレーンゲームの景品は、大きなお菓子の詰め合わせだ。

「はい。実は――」


 ◆選択肢

   1:「まだわたしの名前を教えてなかったなと思って……」
   2:「キュゥべえがいなくなっちゃったんです」
   3:「コレ、ゲットしてもらえませんか?」

       安価>>268-272 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 01:10:54.86 ID:M1D6wxRb0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 01:11:54.31 ID:qnX09NZF0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/12(木) 01:15:59.47 ID:k0SogEwAO<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 01:29:47.27 ID:ITTQgq1+0<> 「まだわたしの名前を教えてなかったなと思って……」

杏子「はぁ?」


: : : : : : : : : : :/:/i:.:.:y ,/:/i:.;.;. : : : / __  //ヽ /:: : :///    /:,i:. : : :/: : : : : :.|
: : : :i: : : : : : ::イ:.:i:.;// iヘY:.; : : : /  ち>-、 ゞ、: /  /    /:'/: : : /:.: : : : : :.|
: : :.l: : : : : ::.;./:、:.i:|  i/ i:.:.: : : :/  |イ//ソ`ヽ: .X _ /    // /: : イ:.;.;. : : :/: /
: : :i: : : :i: : :.:/:.A:.i:i ヽr i|:.:. : :/   弋-,ノ  ,リ`      / /:/ /:.:. : : :/: /
: : i: : : :l: :.:.:l: :/ ヽ:、ヽヽ}:.:. : .!     、´            チソ ̄ 7:.:. : : /: /
: :i: : : : l: :.:.i: /  ヾ:.ヽ、 i: i:i:::     `´           ,JY`> /: ': :./:./
:/: : : :.:i: :.;i:.:/    _ヾ:. : : |:::::     ヽヽヽ        /J/ / /: : : ノ/
: : : : :.:.i :.;.i:.;|  / ̄,/  ヾ:::::.             、 し'  ,/:.: :/ '
: : : :.:.:.:i:.:.:i.:.i     /     ::::.              ヽ,/イ ´
: : : :.:./:i:.:.i―-- 、, /       \      , ― ァ    ヽヽ /
: : :.;./;.;.i:.:| ヽ   ヽ、        \     ー '       /
: :.;.;/:.:/i:.;|__.\    \      ,.へ、    _ _ ,  ' ´
:.;.;/‐'´ l:|   ` ヽ 、ヽ  ゝ、   /     ̄ ̄
.:./    l:|       `ヽ、  \/
/ ,    l , -- .、      \  A
   ,ィ'´      ` ヽ 、   \ ヽ,
// ,           \   \ヽ
, / /            ヾヽ  ヽ`、
/ /               ヽヽ  ヽ`、
./                 ヽ \  ヽ`、}


 佐倉さんが驚いているようにも、呆れているようにも見える表情を浮かべながら、わたしの方を見た。

杏子「どういう意味だい、そりゃあ?」

「そのままの意味ですよ。わたしはキュゥべえから教えてもらって佐倉さんの名前は知っていますけど、佐倉さんはわたしの名前知らないじゃないですか」

 それって不公平でしょ、と付け加え、わたしは目の前のクレーンゲームに100円玉を投入した。

「まぁ、昨日は状況が状況だったので、自己紹介できる雰囲気でもありませんでしたし……」

杏子「…………」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 01:35:33.02 ID:ITTQgq1+0<>  わたしはクレーンゲームの横移動のボタンを押す。
 それに従い、ゆっくりとクレーンが横に移動を始めた。

杏子「……何が目的だ?」

「別に目的なんてないですよ。本当にそれだけのために佐倉さんを探していたんですから」

 そう言いながら、わたしは横移動のボタンから手を離した。

杏子「……アンタ、変な奴だな」

「学校では『変わり者』だとは、度々言われてます」

 そして今度は縦移動のボタンを押した。

杏子「……ていうかさ」

「はい?」

 縦移動のボタンから手を離すと同時に、わたしは佐倉さんの方を見る。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 01:45:52.38 ID:ITTQgq1+0<>         /:/,:':/::/::::::::::::::/:/ /::::::/  /    Y:::::::::::::ハ::::::::::::::::::':;::::::::::.
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         l:j Z::::::::i 丁ア≧ェ、`ヽ.       ̄ ̄アー-、!:;::::::::::::::::::::::|:::|i::
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         ,'::;イ:::〃:::::〃:::_/ ノ    ̄   ム_::::::::::::!:::::::::!:::::::l:::::::',
         .:::,'..|:::i:i:::::::i:i/ i′       .|、 `ヽ::_!:::_::::l::::::::!::::::::i
.        i:::i/⌒i´ ̄   .|            i     `ヽ`ヽ:::l:::::::::|
        /|   \     .!    ヽ ノ   ノ      ノ  ∧!:::::::::!


杏子「黙って聞いてりゃあ、さっきから何なんだい、その喋り方は? 昨日とキャラが全然違うじゃないか?」

 佐倉さんは笑っていた。
 しかし、その浮かべている笑みは昨日や先ほどまで見せていたこちらを小馬鹿にするような感じのそれではなかった。

「いや……。考えてみたら、佐倉さんって魔法少女としては先輩だし、もしかしたらわたしよりも歳上かもしれないと思ったので……」

杏子「バカだねぇ。今更遅いんだよ」

 言われてみれば、その通りだ。

杏子「それに、あたしだって別にあんたみたいな新米相手に無理して先輩面したいとは思わねーし」


 ――ボトッ。


「あ……」

 音のした方に目を向けると、丁度、クレーンが掴んでいた景品を落としたところであった。

杏子「ヘタクソ」

 横から佐倉さんのそんな声が飛んできた。
 ――といっても、その言葉にも悪意は全く感じなかったが。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 01:57:51.80 ID:ITTQgq1+0<> 杏子「どきな。手本を見せてやる」

 そう言って、佐倉さんはずいっとわたしを押しのける形でクレーンゲームの前に立った。

「――早速先輩面しているじゃない」

杏子「そういうアンタも、キャラが素に戻ったな?」

 お互い、そんな皮肉をぶつけ合いながら、移動するクレーンを見やる。

 まずは横に移動し、次に縦に移動するクレーン。
 やがて、動きを止めるとゆっくりと下に降りていき、景品であるお菓子の詰め合わせを掴んだ。
 そして、そのままゆっくりと上に上がっていく――

杏子「問題はここからなんだよな……」

「上がりきったところで、わざとクレーンが若干揺れるようになっているんだよね」

 お互いそんなことを言いながら、わたしたちは固唾を飲んでクレーンと景品の様子を見守る。

 ――だが。


 ボトッ。


 わたしが言ったとおり、上がりきったところでクレーンが若干揺れた。
 そして、それによってお菓子の詰め合わせは先ほどわたしが挑戦した時と同じように、音をたててその場に落下した。

杏子「……こりゃあダメだな」

 そう言うと佐倉さんは、そのクレーンゲームから離れていってしまった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 02:09:23.52 ID:ITTQgq1+0<> 「続けないの?」

杏子「あたしは勝てる見込みのない勝負はしないのさ」

「…………」


 ◆選択肢

   1:「……意気地なし」
   2:「魔女と戦う時もそうなの?」
   3:「もう1回だけ挑戦してみない?」

       安価>>276-280 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 02:10:03.63 ID:qnX09NZF0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/12(木) 02:11:42.53 ID:V70/L2kYo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/12(木) 02:13:10.63 ID:k0SogEwAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/12(木) 02:13:41.49 ID:LeO3ZNNAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)<>sage<>2012/01/12(木) 02:13:50.43 ID:jfXQkzlAo<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 02:41:21.14 ID:ITTQgq1+0<> 「もう1回だけ挑戦してみない?」

 わたしは佐倉さんの背中に一言そう投げかけた。

杏子「…………」

 佐倉さんの足がその場でピタリと止まる。

杏子「……やったって100円無駄にするだけだよ?」

 こちらに振り返ることなく、わたしに背中を向けたまま佐倉さんはそう言ってきた。

「だけど、コレをゲットできないと100%決まったわけじゃない。やってみなければわからない」

 わたしはそう答えると、自分の財布の中から再び100円玉を取り出した。

「1%でも、0%に限りなく近い可能性でも、完全な0じゃなければやるだけの価値はあるはず……!」

杏子「そんなもん奇跡でも起きなきゃ無理だろ」

「奇跡が起きなきゃ無理だと言うなら、起こせばいい」

 わたしは再びクレーンゲームの前に立つと、100円玉をコイン投入口にそっと入れた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 02:50:46.82 ID:ITTQgq1+0<> 「――そもそも……」

 横移動のボタンを押しながら、わたしは呟く。

「魔法少女が奇跡を信じなくてどうする? それも、クレーンゲームの景品を取るなんていう小さすぎるにも程がある奇跡を――」

 横移動のボタンから手を離し、次に縦移動のボタンを押した。

杏子「…………」

 チラリと佐倉さんの方を見やる。
 佐倉さんは、まだその場につっ立ったまま、こちらに振り返ることはない。


 ――クレーンが三度、お菓子の詰め合わせを掴む。


杏子「――わかってはいるさ」

「?」

 佐倉さんが再びその場で口を開く。

杏子「あたしだって本当はわかってはいるさ……。奇跡ってもんを信じることくらい……」


 ――お菓子の詰め合わせを掴んだクレーンがゆっくりと上に上がっていく。


杏子「実際あたしらは、それを信じて、願い、キュゥべえの奴と契約したんだからさ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 03:00:16.59 ID:ITTQgq1+0<> 杏子「――でもよ」


 ――上がりきったクレーンが揺れる。


杏子「その信じていた軌跡に裏切られちまった奴は、一体どうすりゃあいい?」


 ――クレーンからお菓子の詰め合わせが――ずり落ちる。


杏子「やっぱり、お前といると調子が狂っちまう……」

 そう言い残すと、佐倉さんはその場を完全に後にしてしまう。

 わたしは、そんな佐倉さんの後ろ姿を見て――


 ◆選択肢

   1:何も言わず、黙って見送った。
   2:「諦めるな!」と言い放った。
   3:「逃げるな!」と言って、彼女の腕を掴んだ。

       安価>>284-288 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 03:03:48.06 ID:ENBMDMzko<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 03:05:10.19 ID:JZu47V6N0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/12(木) 03:12:25.28 ID:El8MpiVDO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 03:15:14.39 ID:qnX09NZF0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage<>2012/01/12(木) 04:01:20.61 ID:QFEDMM0H0<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 04:08:35.06 ID:ITTQgq1+0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:「諦めるな!」と言い放った。
   2:「逃げるな!」と言って、彼女の腕を掴んだ。

       安価>>291-299 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/12(木) 04:10:10.08 ID:ITTQgq1+0<> 一旦ここでストップします
本日は>>1がリアル事情により夜まで続きを投下できません。ご了承下さい
おそらく再開は本日22:00以降になるかと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 04:30:55.80 ID:6HBgEp9lo<> >>1乙

安価1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 07:37:01.96 ID:M1D6wxRb0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/12(木) 07:46:08.79 ID:k0SogEwAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2012/01/12(木) 08:53:55.03 ID:tHWII+v00<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/12(木) 09:20:32.27 ID:El8MpiVDO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<><>2012/01/12(木) 10:38:41.10 ID:QFEDMM0H0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/01/12(木) 11:59:25.52 ID:azIro0zj0<> これはどちらを選んでも杏子ルート突入?

2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 12:17:19.15 ID:2/s53oyVo<> 1

好感度の問題か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/12(木) 12:33:17.47 ID:qnX09NZF0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/12(木) 23:03:08.32 ID:GWBwOYb3o<> wktk……C <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 00:10:21.68 ID:B/kP88ey0<> 武装神姫いじってたり、輪廻のラグランジェの無料配信見ていたりしたら予定より遅れてしまいましたw(オイ
再開いたします <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 00:28:50.00 ID:B/kP88ey0<> 「諦めるな!」

 そう言い放った。

杏子「――!」

 再び佐倉さんが足を止める。

「自分が信じていたものに裏切られる……。確かに、生きていればそんなこともある」

杏子「――そんなこと、だと……!?」

 佐倉さんが振り返る。
 だが、その表情には先ほどまでの笑みも、人を小馬鹿にするような態度も無い。

 ただ、純粋な『怒り』という感情だけが表れていた。

杏子「てめえは、何も知らねえからそんなことが言えるんだ! 普通に産まれて! 普通に生きて――!」

杏子「その『普通』がどれだけ幸せなことなのかもわからねえで今まで生きてきた奴だから、『そんなこと』程度で済ませられるんだ!」

 気がつけば、わたしは佐倉さんに胸ぐらを掴まれていた。

「わたしは、確かに佐倉さんが今までどんな生き方をしてきたのかはわからない……」

 しかし、わたしは抵抗することなく話を続ける。

「だけど――」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 00:38:03.58 ID:B/kP88ey0<>

「たとえ、自分が信じていたものに裏切られたとしても――それを信じてきた自分自身を裏切ることだけは絶対に駄目だとわたしは思う……!」


杏子「――ッ!」

 わたしの胸ぐらを掴んでいた佐倉さんの手にさらに力が込もる。

「だから、諦めるな! 何度裏切られても! 何度失敗しても!」

杏子「てめぇ、いい加減に――!」

「それに……」


 ピロリロリーン♪


「……実際に今、奇跡を起こせた」

杏子「!?」

 わたしたちの耳に、先ほどまで聞いたことのない音が聞こえた。

 音の方を見ると、そこには――

杏子「これは……」

「――端っこがクレーンに引っかかってくれたおかげで、ギリギリのところで落ちなかったんだ」

 クレーンゲームの景品取り出し口にぽんと置かれている、お菓子の詰め合わせがあった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 00:56:12.77 ID:B/kP88ey0<> 〜商店街〜


杏子「…………」

「…………」

 ゲームセンターを出たわたしは、戦利品であるお菓子の詰め合わせに入っていた駄菓子を食べながら、商店街を歩いていた。
 その隣には、先ほどから黙ってうつむいたまま、こちらに全く眼を向けずに並んで歩き続ける佐倉さんがいる。

 あの後、大声で言い争いをしていたわたしと佐倉さんに気づき、その場にやって来た店員から半ば逃げる形でゲームセンターを後にしたため、あれ以降、わたしたちは一切の言葉を交わしていなかった。

 それでも、わたしたちは現在までお互い一定以上の距離を離れることなく一緒に歩いている。

 ――これはわたしの勘だが、おそらく佐倉さんは今意地になっているのだと思う。
 ここでわたしから離れて――むしろ逃げて――しまったら、佐倉さんはそれこそわたしが言っていたとおり自分自身を裏切っていることを自ら証明してしまうからだ。


「こりゃあ、当分の間はあのゲームセンターには入れそうにないね?」

 さすがに、いつまでもお互い何も喋らないというのは雰囲気的によろしくない気がしたので、わたしは佐倉さんにそう投げかけた。

 実際、僅かな間でも店員の目に留まってしまった以上、しばらくはあのゲームセンターには行かないほうがいいだろう。
 わたしや佐倉さんだけでなく、わたしの中学校の他の生徒や、同年代の他のお客さんたちにも迷惑をかけてしまう。
 ――まぁ、わたしはゲームは好きだがゲームセンターにはそれほど行かないタイプなので、わたし1人が別に行けなくなるくらいならば気にはしないが……

杏子「…………」

 佐倉さんは答えない。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 01:19:26.95 ID:B/kP88ey0<>  それでも、わたしは話しかけ続ける。

「まぁ、この街にはあそこ以外にもゲームセンターは何箇所かあるから、しばらくはそっちで……」

杏子「――おい」

「およ?」

 佐倉さんがやっと再び口を開いてくれた。
 こう思うのも何だが、こちらが予想していたよりも早かったな。


    /:.:.:.l:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:./:イ ヽ:.l:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.',:.:.l\
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       ,:.:/ l、  、  l::::::::::::::::/  / /  / 、.
      ,:.:.ト, \ \ ,:::::::::/,. -´, - ´   /   ,:.、
      /:.:,' Y  `ヽ、ヘ::::/イ_, - ´    l l    ,:.:.
      /:.:.,  l'     ` ij ̄           |,!     、:.:.


杏子「アンタは――何で魔法少女になった? 何でキュゥべえと契約しようと思った?」

 顔を上げた佐倉さんの真っ直ぐな瞳がわたしを見る。

杏子「勝手にこんなこと思うのも何だけどさ、あたしはアンタほどの奴が、そう軽々しくキュゥべえと契約するようには思えないんだ」

「…………」


 ◆選択肢

   1:「わからん。何でだろう?」
   2:「実は、わたしもそれが知りたいんだ」
   3:「たぶん、キュゥべえと契約して魔法少女になることが、その時のわたしにとって一番正しいと思えることだったんじゃないかな?」

       安価>>306-310 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 01:20:05.36 ID:UQU+iGgs0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 01:20:35.66 ID:DL5pSXZJ0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 01:20:38.91 ID:jnfhX8JEo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/13(金) 01:25:32.43 ID:NsxxbVHVo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)<>sage<>2012/01/13(金) 01:26:04.96 ID:txYZRRIko<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 01:43:53.73 ID:B/kP88ey0<> 「実は、わたしもそれが知りたいんだ」

杏子「はい?」


          _    マ ──v--─‐ァ____
       ,...':::::::::::`──`ニ=----<二::::::::::::::::::::::::フ
       ∨::::::::::::; -. ': : : : : : : : : : : : `. .‐ 、::::::::く
        /::::::;. ': : : : ,─: : : : ; 、: : : - 、: : `ヽ、:ハ
         {::/: : : / i: : : : :/ \ : : : |: :ヽ、: : ヽ:!
        V: : : :Y: : : :! : : /     ヽ: : :i : : : }: : : :ハ
       ./: : : :八: : 人: :/ ,     、}: :ハ : /: : : : ム
       { : 、 : : ト :{孑七      `∀─.V丶: : :}: :i
        !:人: : :!    ●       ●    }: :,、 :,
        .V ト、 { ..:::::::...       ..::::::::.. ムイ マ/
        ヽ!、ゝヽ:::::::::::        ::::::::::: .i ,イ'
          iゝ._ヘ     , ‐- ⌒ヽ     ハ |
           ,: : : : ゝ、             イ : : {
           / : : : : : : ≧ ---  ----≦: : : : : : :ヽ


「信じられない話かもしれないけど、わたし、自分がどんな願いでキュゥべえと契約したのか覚えていないんだ」

杏子「な、なんだそりゃ……?」

 先ほどとは打って変わって、完全に白けた表情を浮かべる佐倉さん。
 だが、わたしだって嘘は言っていないのだから、そんな顔されても困る。

「ただ、キュゥべえが言うには、わたしの願い事はまだ叶えられていないらしい」

杏子「どういうことだい、そりゃ?」

「だからそれがわかればこっちだって苦労しないよ。おまけにキュゥべえもキュゥべえで、朝突然わたしの前からいなくなっちゃうし……」

杏子「あー……。そいつはしょうがないよ。あいつはそういう奴なんだ。あたしの時も、契約して魔法少女のこと大体教えてくれたらすぐにどっか行っちまったし……」

「そうなの?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 02:11:38.28 ID:B/kP88ey0<> 杏子「よくわかんねーけど、あいつにもあいつの都合とかがあるんじゃねーの?」

「あぁ、そういえば役目がどうのとか言ってたね」

 そう言いながらわたしは、今日だけで既に何度目かわからない、あの白い生命体の無表情な顔を思い出す。

杏子「――さて、そろそろだな」

「何が?」

杏子「バカ。そろそろ日も暮れる。となると、あたしらがやることと言ったらひとつしかないだろ?」

「あぁ――」


 ――そうだ。もうじきこの国は夜を迎える。
 夜になるということは、街からは人の気配は消え、逆に『奴ら』の時間がやって来るということだ。
 そして、それは『わたし達』の時間がやって来ることも意味する。


「――今日はどの辺りを探すの?」

杏子「そんなもん、行き当たりばったりに決まってんだろ。探せば必ず見つかるわけでもねーんだからさ」

「そうなんだ」

杏子「――っていうか、お前ついて来る気か?」

「いけない?」

杏子「グリーフシードの分け前が増える」

「でも、わたしは魔法少女の戦いというのがまだよくわからない。もしグリーフシードが手に入ったなら佐倉さんが全部自分のものにしてくれて構わない。だから今回は同行させてほしい」

杏子「…………」

「…………」

杏子「……グリーフシード以外にもうひとつ条件がある」

「なに?」

杏子「『自分の身は自分で守る』。これが条件だ。わたしは他人を守りながら戦うなんて器用な真似はできないしね」

「うん、わかった。ありがとう佐倉さん」

杏子「わかったなら、さっさと人気の少ない所へ行くぞ。ここはさすがに夜になっても人が多すぎる」


 こうして、わたしの魔法少女としての最初の仕事が始まった。

<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 02:32:23.43 ID:B/kP88ey0<> 〜公園〜


 わたしたちは商店街を後にすると、まずは街中のとある小さな公園へと足を運んだ。
 街中とはいえ日も暮れてきたためか、既に子供たちやその保護者といった大人たちの姿も公園内には存在しなかった。

杏子「ソウルジェムが周囲の魔力に反応して光ることはキュゥべえから聞いているな?」

「うん」

 わたしたちは、お互いのソウルジェムを指輪の形から本来の宝石状のものに変え、それぞれの手のひらの上に置く。

 ――ちなみにこの時、ソウルジェムの形の変え方がわからなかったわたしは、佐倉さんに「どうすれば変わるのか」と尋ねたら、大きなため息をつかれると同時に呆れられた。
 曰く「『変われ』と思えば変わる」とのことだったので、実際に言われたとおりにしてみたら、本当に変わったので少し驚いた。
 どうやら、魔法少女の変身とその解除同様、魔法少女の基本的な行動は思念すれば大体のことは可能なようだ。

杏子「だから、その性質を利用して、魔女のいる場所を探り当てるのさ」

「……結構地味な作業なんだ」

杏子「まぁ、そうだな。反応を頼りに進まざるを得ないし、結界ごと結構なスピードで移動している奴もいるから、正直100パー信用できるってわけでもない」

「そういえば、昨日佐倉さんが倒したっていう魔女も、結界が出現するまでわたしのソウルジェムが反応していなかったな」

杏子「結構仕留めるのは大変だったんだよ、昨日の奴は? あたしが姿を見せた瞬間、戦いもせず結界ごと全力疾走で逃げ始めてさ……」

 そんなことを話しながら、わたしたちは魔女の反応を求めて、街中を歩き始めた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 03:04:29.46 ID:B/kP88ey0<> 〜路地裏〜


杏子「……で、結局昨日と同じ場所に来ちまったな」

「2日連続で同じ場所に魔女が出るってことはあるの?」

杏子「時と場合によるな。魔女にもあたしら魔法少女のように一箇所にとどまり続けている奴もいれば、コロコロ場所を変える奴もいる」

 大体は後者だな、という佐倉さんの後に続いて、わたしも路地裏へと足を踏み入れる。

杏子「まぁ、結界の場所をあたしらみたいな天敵に知られたら、どんな魔女だって場所を変えちまう」

「だから魔女は見つけ次第退治するのが一番ってことか……」

杏子「そういうこと。グリーフシードだって限られているし……ん?」

 前を歩いていた佐倉さんが、突然ピタリと足を止める。

「? どうしたの?」

杏子「今、微かだけど、あたしのソウルジェムが反応した」

「えっ――!?」


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       ヽ              |: : : /_/ ノ: : : : /: : : : : :/: : : : : : /
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                  ∧ /|: /      `ー、/: : : : :/: : : : : : :/
                 // 乂-‐|/ ー´ ̄ ̄⌒ヽ \: : :/: : : : : : :/
               ///   /-‐  ̄ `ヽ   \\_ : : : : : :/
            //, -'"          \  `ー-、i: : : :/


杏子「噂をすればってヤツだ――。どうやら、結構ツイてるみたいだぞ、あたしは?」

 佐倉さんはわたしの方に振り返りながら、そう言ってニヤリと笑った。


 ――でも、どうせならそこは、『あたし』じゃなくて『あたしたち』と言って欲しかった。
 まぁ、今回はメインで戦うのは佐倉さんだから、仕方がないといえば仕方がないのだが。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 03:24:34.38 ID:B/kP88ey0<> 一旦ここでストップします。続きはまた朝に
大体10:00前後になると思います


それと、誤植を見つけたので自己修正
>>221の
> そう言いながら先輩は作りたての衣装(わたし用)をいそいそと鞄の中にしまう先輩。
ここは正しくは

× そう言いながら先輩は作りたての衣装(わたし用)をいそいそと鞄の中にしまう先輩。
   ↓
○ そう言いながら先輩は作りたての衣装(わたし用)をいそいそと鞄の中にしまう。

こうです
他にも誤字や脱字などがございましたら、遠慮なくお願いいたします


余談ですが、主人公の先輩は>>215の選択肢では『男』と表記されていましたが、現時点ではまだ性別は『不明』のままです
選択肢次第で男にも女にもなりますw(えっ!?

先輩「一体いつから――男だと錯覚していた?」
友人A「何……だと……!?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 07:48:20.17 ID:s+Jz69yIO<> 主人公が長身ならロリ先輩か……
あるいは……?

乙々 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 08:37:54.52 ID:LZq2FMs+o<> 乙。オリキャラの中身が濃くて大変よろしい。主人公がちゃんと主人公してるし <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 13:49:24.65 ID:B/kP88ey0<> お待たせしました。再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 14:13:11.62 ID:B/kP88ey0<> 杏子「しっかりついて来な。来れればの話だけど――」

 そう言うと、佐倉さんはいきなりその場から駆け出し、路地裏の奥へとどんどん入っていく。
 彼女、結構足が早いな。

「あ。待って――!」

 そんなこと言って待ってくれる人など普通はいないことなどわかってはいるが、わたしは思わずそう口にしながら佐倉さんの後を追う。

 先を行く佐倉さんの背中を見つめながら、時折ソウルジェムを確認する。
 なんとなくだが、わたしのソウルジェムは今までよりも若干光を増しているようにも見えた。


杏子「――見つけた!」

 数分ほど走ったところで、佐倉さんが足を止める。

 そして――


                    /⌒\ /⌒\
                  _,ィへ∨_,ィヘ、_′
                      く三五∨牛三ヲ、
                  /:γ´: ;、: l: : : : :`ヽ:':,
                  ,'//厂: :!:/∧:i: :}: : :ハ::',
               i::,'::!: :ル'|ル' }ハ:八:} }:|:!ヽ
                {j{从/ニ土、  =弋厶リノ:}
               | 从八{゚;j}    '{゚;j} /ヵ:j
                }{∧ '' '' _'__ '' ''ム': ,'
                  j: ::::≧-.., _ ,. ,-≦:::::{
                 ,'::::::;ィ‐-く   {-、三::::|
                    /:::::人\  \  } ./`ーv‐-、
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杏子「さぁて、こっからが本番だ――!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 14:24:31.48 ID:B/kP88ey0<>  佐倉さんのソウルジェムが紅い光を放ち、瞬く間に周囲をその光で染め上げた。
 当然、光の発信元であるソウルジェムを持つ佐倉さんは、一瞬で光に包まれてしまった。

 わたしは思わず目をつぶりそうになるが、何とかこらえ、その様子を自らの目に焼き付ける。

 やがて光が止むと、そこには先ほどまでとは違う装いをした佐倉さんの姿があった。


  〈^∧
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     ∨∧           /rzzzzzzzx/:;ィ≦至至ア\
      ∨∧      /:./|圭≫''"""'''干≪ミ笊::::::::\
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         ∨∧ /:.:.:.:.:.:.:.:l l:::::::::::i ヽト、:::::::::::V::::ノ/j/:::i:::l }:}
         ∨∧ i::::i::::::/{:l  }::ト、::::l .斗''\:::::::i::::::::/::::::i:::} リ
         ∨∧::/i:::::i`''ト、 jノ ヽ::ir''_,i.xzォ゙;::::}'^Y::::::::::i:::!
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              V:∧__ ∧   '          l::::::::::::::::::::ii
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               V{   {  /::::::::::r-{)Yf::::://    ゙Y:::::::i
               ゙ィ炙心/::>''"/<〈(゚)〉 >.:./     i::::::::゙、
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 これが、魔法少女としての佐倉さんの姿か―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 15:02:45.85 ID:B/kP88ey0<>  わたしは、魔法少女に変身した佐倉さんの姿を黙って見つめる。

 ――佐倉さんのイメージカラーとも言える、紅い装い。
 長く、先の方には白いフリルが付いているその服は、どことなくワンピースのようにも見えるが、実際は重ね着らしく、よく見るとその下に濃い赤色をした2枚目の服が覗く。
 また、上着はノースリーブで、袖とは脇の部位を挟んで別々になっている。


 そんな中、わたしの目に一番留まったのは、薄紅色のミニスカートと、彼女の健康的な足の太ももまで履かれたニーソックス――色はこれまた濃い紅――との間にできた『絶対領域』だった。


 ――マズい。これは非常にマズい。
 わたしは、『絶対領域』に対する強いフェチズムはないと自負しているが、正直これは犯罪だと思う。
 ミニスカートとニーソックスによって、『ギリギリ太ももの先が拝めるか、拝めないか』というソレは一種の芸術の域にまで達しているようにも思える。

 某スタンド能力を持った殺人鬼が、画集に載っていたモナリザの手を見て勃起してしまった時もこんな感じだったのだろうか――?


杏子「――おい」

「――はっ!?」


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    |     |::i::| ゝ: : :ヽヽ  ri/Yi         ヽー ' /::::/ /ち//i: : :l: | |::|
         |:i ヽ |:\: :ヽ  弋ニソ        / / / /:, r '´ r''´ノ::l : : l: | |:l
         |:i  ヽ|: :{ ゝ、ヽ / / l  ,          '   ,ヘイ: : : : l: : : l:| |:l
         l::|   l: :.| ヽ                   /: : l:|: : : : i: l: : l:| |/
         l::!   !:::|   ヽ、      ___      ,. イiヽ : : l:l: : : ::l: :l: :X
         l:.!    !::|   i`ゝ、      `   ,. '´ |: : :l: :`: :l:i: : : :l: :l : : :ヽ
             .!:|    ヽ: : |` T ,.-,r-_'´_,.r-'ニニ}: l: : : : :l: : : : :l: :ヽ: : ヽ
              !|     ヽ:.|  |:.iヽ| ,r,. r:.'´:::::::::::,:::!-i__: : : :|: : : : |: : ヽ: : :ヽ
                    ヾ|__,.L:::| !/::::::_:_:,.ノr―/ / ̄ ̄ ` ヽ: :.l: : : ヽ: : ヽ


杏子「何ボーッとしてんのさ? ついて来るんじゃなかったの?」

 佐倉さんのその一言に、わたしは我に返った。

「スイマセン。魔女と戦う前に、煩悩と戦っておりました」

杏子「はぁ?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 15:17:19.46 ID:B/kP88ey0<> 杏子「本当について来る気があるんなら、アンタもさっさと変身しな。まぁ、やっぱり怖気付いたって言ってもあたしは別に構わないけどさ?」

「いやいや、ついて行きます! 行かせていただきますとも!」

 そう言いながら、わたしは自分のソウルジェムを掲げて、すぐさま魔法少女としての自分の姿を頭に浮かべる。
 すると、わたしのソウルジェムも光を放ち、それに包まれたわたしは瞬時に昨日と同じ、ゴスロリ風の装束をした魔法少女の姿に変身した。

杏子「なんか、随分と派手な恰好だね?」

「そう? 一応、行動には支障がないデザインにはしているつもりだけど――?」

杏子「まぁ、他人のセンスにとやかく口を挟むつもりはないよ。それじゃあ、今度こそ行くぞ?」

「うん」

 わたしが頷くのを確認した佐倉さんは、前を向き数歩前に足を進めると――

「ふっ――!」

 持っていた槍を勢い良く前に振り下ろした。

 ――本来なら、そこは何も無いただの空間に過ぎない。
 だが、その様子を見ていたわたしは、佐倉さんが見えない『何か』を槍で切り裂いた手応えのようなものを確かに感じていた。

 ――それと同時に、昨日同様、路地裏は違う世界へと姿を変えた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 15:35:40.84 ID:B/kP88ey0<> 「……まだ2回目だけど、ここの雰囲気は好きじゃないな……」

 異世界、もしくは異空間である『魔女の結界』に再び足を踏み入れたわたしは、入って早々、そう感想を漏らした。
 結界のデザインは、昨日のものとは異なるが、極彩色に彩られているという点は共通している。

 ――正直、こんなところに長居はしたくない。

杏子「まぁ、呪いなんてもんをばら撒いているような奴らの住処なんだ。そう感じて当然だね」

 わたしの感想に同意したのか、佐倉さんもそう呟いた。

杏子「ていうか、こんなところを好む人間なんてまずいないさ。いるとしたら、それはよっぽど頭の中がキちまってる奴か、現実を生きていることに絶望しちまっている奴くらいだろうね」

「ですよねー」

 デザインだけなら、まだ一種のアート的なものも感じるかもしれないが、実際の空気ははっきり言ってしまうと『最悪』だ。
 何と表現すればいいのか――重苦しいというか、陰鬱というか――とにかく、ここにいると生きている心地がしないのである。

「それじゃあ、さっさとこの結界を生み出している魔女を探そっか?」

杏子「戦うのはあたしだ。お前は指図すんな」

 そんなやり取りを交わしながら、わたしたちは結界の奥へと進んでいった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 15:58:37.60 ID:B/kP88ey0<>
 ――それから、数分ほど歩いたところで、わたしはあることに気づき、先頭を歩く佐倉さんに声をかけた。

「そういえば佐倉さん」

杏子「あん? 今度はなんだ?」

「魔法少女に変身した状態だと、ソウルジェムってどこにいっちゃうんでしょう?」

 ホラ、普段のようにここにははまっていないし、と言いながら、わたしは左手の中指を佐倉さんに見せる。

杏子「お前な〜……。そんなもん今聞くことか?」

「いや〜……。何か気になっちゃってさ……」

杏子「ったく、こんな時に緊張感がないっていうか、肝が座っているというか……」

 やれやれと呆れた顔をしながら、佐倉さんがわたしの方に振り返った。

杏子「魔法少女に変身している時のソウルジェムはな、魔法少女の衣装の中に紛れているんだよ。一種のアクセサリーみたいにさ」

「アクセサリー?」

杏子「そ。あたしの場合はコレだ」

 そう言いながら、佐倉さんは自身の胸元に存在するブローチ状の紅い宝石を指差した。
 言われてみれば、それは先ほど見た佐倉さんのソウルジェムと同じ輝きをしている。

「えっと……じゃあ、わたしのはどこに……?」

 そう言いながら、わたしは自身のソウルジェムが今現在どこに存在しているのか確認してみることにした。
 最初に佐倉さん同様、胸元を確認してみるが、わたしの胸元には残念ながらソウルジェムらしきものは見つからなかった。

 次に、両手や両腕、両足なども確認してみるが、それらしきものは全く見当たらない。

杏子「……あたしから見ても、それらしきものは見当たらねーな」

「……もしかして――」


 ◆選択肢

   1:「背中か、腰の方にあるのかも」
   2:「す、スカートの中……かも」

       安価>>325-329 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 16:01:09.93 ID:LZq2FMs+o<> 面白そうだから2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/13(金) 16:01:44.92 ID:RzHnUDIAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 16:02:58.83 ID:Y9/9VFbVo<> のった2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 16:05:47.71 ID:eeaCtXZAo<> のった。

2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/13(金) 16:21:33.16 ID:+HBC9n940<> 自分から見て死角となる方向にSGを配置するのは迂闊
対してスカートの中ならば容易に確認されず破壊は困難と合理的である

つまり2しかない <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 16:41:07.53 ID:B/kP88ey0<> お前ら……w

>>329
>自分から見て死角となる方向にSGを配置するのは迂闊
マミ「…………」
ゆま「…………」
キリカ「…………」
かずみ「セーフだし! わたしギリギリセーフだし!」
海香「……顔面セーフ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 16:55:13.50 ID:B/kP88ey0<> 「す、スカートの中……かも」

杏子「はぁ!?」


 l:::/ |   ィ   イ |  ヽ ト、_,イヽ      .┌┐_
 .V  .|   /|__ハ |   \ \ .,,==\ヽ | . ___|..└! .|
 / ,ィ .|  / | ==、 |j       ‖  ヾヽヾ!ヽ--┐.i┐.i 」
.//|ハ  .i ‖ ヾ        {{ / }} .〉 |   |...| |__|
'  | ∧ | {{   .}} / /./ 乂 /‖.|/ ..┌┐.┘、∨
  |  .∧イ 乂  ‖. / / / /゙ ''  |..┌┘└┐ノヽ∨
  .| .∧ヽ!/./ゞ= / / __   -、,、  |  ,ニコ .iニ┐  `ヽ、
   V 乂 |'  / /, - '      ` ハ / '〈 .<l .l'_メ.ヽ,
      | |      {    __,  -‐ ' '   ,` .!┘  `' ` ̄
     ノハ     `  ̄        イ ̄}  .i─┐ヽ、
    /   ` ≧ェ         < ヽ ̄| `┐ ̄!┘


 わたしのその言葉を聞いて、佐倉さんの顔がみるみる赤くなっていった。
 たぶん、わたしの顔も赤くなっていると思う。
 首から上の血行が急に良くなってきたように感じるし――

「ちょ、ちょっと……確認してみる、ね……?」

 恐る恐る、わたしはスカートの端を両手で掴む。
 何故わたしは魔法少女時の姿は膝下まで伸びるロングスカートにしてしまったのかと少しばかり後悔した。

 そして、スカートをゆっくりとたくし上げ――

杏子「ストップ! ストーーーップ!!」

「!?」

 スカートが太ももの辺りまできたところで、佐倉さんがわたしの両手をガシッと掴んで止めた。

杏子「アンタ、いきなり何やってんだ!?」

「いや、その……。スカートの中にソウルジェムがあるかどうか確認を……」

杏子「そういう意味じゃない! いきなり人前でスカートたくし上げる奴がいるか、普通!?」

「いや、だって……。スカート長いから、わたし1人だけじゃ隅々まで確認できないと思って――」

 そう言いかけた、その時だ。

「――ッ!?」

杏子「? おい、どうした?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 17:07:57.15 ID:B/kP88ey0<>  ――――――

 ――――

 ――


???『さぁ、僕に教えて。君はどのような願いで、ソウルジェムを輝かせるのかを――』

???「決まっているさ。あたしの願いは――」


 ――――――

 ――――

 ――


      /: /: : : : : :ハ: : : : ハ:{ ヽ:ヽ: : : :ハ: : : : : ヽ:ハ
       {: :l : : : :/: ハ: : : ハ:!   }ハ: : :ハ: }: : : : }: :!
       |: : : : : :ハ:{  ヽ: { {  j  }: /  Vi: : : : j :j
       l: :! : : :√V ̄ ーV´    ̄′ ̄`ハ: : :イ: ′
      V:ヘ : : |'〒=ミ      彡==〒┐: /: : |
       }: |: :ハゝ{:::::;:}        {::::::;:} /:ィ: : l :|
     /: /: :ハ  ゞ‐'′       ゞ‐‐' ´ !: : :V
    /: /l: : :ハ """"     ´   """"" 人 : ト:\
   /:/ !: : : : ゝ._    ─     . .ィ : l: : :l \ゝ
  /   ,′:' : : /: /: 二T ー─  Tニ: ´:i : : : :l: : :l   `
        l : /: : :/: :/ V     V \: : : : :ヽ: :ヽ
     /: /: : /\   ヽ    /   > ヘ: :ヽ: :ヽ
     /: /: : 人_ `ヽ  ヽー-:7  - ´    イ: :ヽ: :ヽ
     /;ィ: : /::::::::/`ー-- 二 ∨二 ̄ -‐┬::´::::}: : : ハ: :ヘ
   /://;/: i::::::::V         {}        V:::::::::}: : :ヽヽ: \
  ///ハ: : !:::::::::{        {}       }::::::::::}: : : ヽ \:ヽ
   /  {: : {:::::::::{       {}       }:::::::::::}: : :ト: \ ヾ
 /   {: :V::::::::::{       {j         !:::::::::::}: : ハ: :ヽ
      {: : {::::::::::{            /    }:::::::::::V: :! ヾ`ヾ
     Vハ!::::::::::{         /      }:::::::::::V ノ
      V,::::::::::::{                  }::::::::::::}レ
        l::::::::::::{ /           ヽ }::::::::::::}
        !::::::::::::/                \:::::::::::::}
      {::::::::::/               ヽ::::::::::}
      {:::::::::ゝ                  ィ:::::::::::}


杏子「みんなに、親父の話を真面目に聞いてほしい! 親父が言っていることは間違いじゃないってわかってほしい――!!」


 ――――――

 ――――

 ――


???「――イ! オイ、大丈夫か!?」

「ッ!?」

杏子「気がついたか?」

「さ、佐倉さん……?」

杏子「一体どうしちまったのさ? 急に湿気たツラになったと思ったら、上の空になっちまうし――」

「…………」

 今のは一体――? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 17:22:40.61 ID:B/kP88ey0<> 「……佐倉さん、わたし今どれくらいボーッとしていました?」

杏子「? そんなに長くはなかったぞ? せいぜい10秒か20秒くらいじゃねーの?」

「そう……」

杏子「でも、それが一体どうしたのさ?」

「いや、ゴメン……。わたし自身がいきなり変な行動に出たせいで頭の中がパニック起こしちゃったのかも……」

杏子「そうかい? まぁ、大丈夫なんだな?」

「うん。たぶん……」

杏子「ハッキリしないねぇ……。本当に大丈夫なのかい?」

「大丈夫だ。問題ない。……って、これじゃあ、かえって大丈夫じゃないように聞こえるかな?」

杏子「質問に質問で返すなよ。――ま。その様子だと大丈夫みたいだね」

「ところで、わたしのソウルジェム――」

杏子「あぁ、それなら見つかったよ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 17:44:35.34 ID:B/kP88ey0<> 「えっ?」

杏子「ほら、ここさ。さっきまでは正面しか確認していなかったからわかんなかったけど……」

 佐倉さんはそう言いながら、わたしの後頭部にある大きなリボンを手に取り、それをわたしの髪から解いた。

杏子「……な? これがそうだよ」

 そして、解いたリボンをわたしに見せる。
 どうやら、リボンの結び目となる部分にブローチ状に姿を変えたソウルジェムが付いていたようだ。

「あぁ、ここに……」

 自身のリボンとソウルジェムを手渡されながら、わたしは改めてその姿と輝きを確認する。
 ソウルジェムはこれまでと変わらず、オレンジがかった茶色い輝きを放っていた。

杏子「しっかし、随分とわかりにくいところに付けてんな。落としたり、なくしたりすんなよ?」

「うん。気をつけるよ」

 苦笑いを浮かべながら、わたしは頭の中でリボンとソウルジェムに対して「元の場所に戻れ」と思念する。
 すると、わたしが思ったとおりに、リボンとソウルジェムは再びわたしの後頭部、先ほどと同じ場所に戻り、結ばれた。
 こういう時ほど、魔法って便利だなと思ったことはなかった。
 鏡なしで後頭部にリボンを綺麗に結ぶというのは、慣れていないと本当に至難の業なのだ。

杏子「よし。じゃあ気をとり直して行くぞ」

「はい。隊長殿」

 わたしは少々おかしな雰囲気になってしまっていた場の空気を変えるつもりで、思わずそう言ってビシッと敬礼してみせたが、残念ながら佐倉さんは一瞥することなく再び先へ進み始めた。
 ――別にショックだったとか、ツッコミとか何らかの反応を見せて欲しかったとか思っていないぞ。うん、本当に。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 17:49:59.59 ID:B/kP88ey0<> すいません、一旦ここで少し休憩します
続きは1時間後くらいに再開する予定です

第2話が第1話と比較すると思っていたよりも長い……
プロット段階ではここまで長くなかったのに……

余談ですが、本当は『スカートの中』の方を選択した場合、ちょっとエロい展開になる予定でしたが、
主人公の能力の片鱗をまだ披露していなかったので、そちらを優先した結果、その展開は丸ごとカットすることになってしまいましたw <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 18:10:08.97 ID:NS1JkczIO<> 乙

主人公に能力はサイコメトリー系かね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 18:14:21.18 ID:Y9/9VFbVo<> >>335

太ももだけで結構満足 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/13(金) 18:16:03.46 ID:XoO9/vIq0<> 乙

ガチでスカートの中にSGがあって、文字通りの「勝負下着」になってるのかと思った <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 21:07:29.74 ID:B/kP88ey0<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 21:08:23.45 ID:B/kP88ey0<> 「……魔女いないな」

 それから10分近く歩き続けたが、一向に魔女と思える存在とは遭遇しなかった。
 というより、迷宮のような結界の中を先ほどからずっと歩かされているだけで、それ以外は本当に何も存在しないのである。

杏子「あぁ。もしかしたら使い魔の結界なのかもしれねーな」

「使い魔?」

杏子「魔女の手下の雑魚のことだよ。普通は魔女の結界には使い魔が大量に存在しているのさ」

杏子「普通使い魔共は親である魔女から力を貰って存在し続けているんだけど、結界に迷い込んできたきた獲物を食ったりした影響で力をつけて、独立行動できるようになった奴がいる」

「それで、そうした力をつけた使い魔も魔女と同じように結界を生み出すことができて、普段はそこで活動している、と?」

杏子「察しが良いじゃねーか。その通りさ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 21:36:46.06 ID:B/kP88ey0<> 杏子「そして、力つけて成長した使い魔は親と全く同一の魔女になる。魔女がこの世界から一向に姿を消さねーのは、そういった理由があるからなのさ……」

「なるほどね。キュゥべえが魔法少女を増やそうと役目がどうの契約がどうのとやたら言っていたのも、少しわかった気がするかな?」

杏子「まぁ、そうなんだけどさ……。あたしはどうもキュゥべえの奴が胡散臭く感じるんだ」

「それもしょうがないんじゃない? あいつやたら喋る割には表情全然変えないし……」

杏子「それもあるんだけどさ。他にも何というか……存在自体の雰囲気っていうの? その辺りも含んで胡散くせーと言うか……」

 そんな話を続けながら、わたしたちはさらに結界の奥へと進んでいく。


「――そういえば、この結界の中に入って結構な時間が過ぎているけど、今外は何時くらいなんだろう?」

杏子「あぁ、あまり時間は経ってねーと思うぞ? あたしらの世界と結界じゃ時間の流れの概念が違うのかわからねーけど」

「え? そうなの?」

杏子「あぁ。結界によって違うけど、結界内では1時間くらいと思った時間が、外に出て時間調べてみたら結界に入って1分も経ってなかったってこともあったし」

「ふぇ〜……。そりゃあマジカルというか、SFチックというか……。それにしても、佐倉さんって本当にいろいろと知っているんですね」

杏子「あったりめーだろ? あたしはこれで何年も生きてるベテランなんだからさ」

 そう言いながら、佐倉さんは得意げに笑ってみせる。

杏子「そうだな……。気分がいいから他にも何か聞きたいことがあったら言ってみな。できる限りのことは教えてやってもいいよ?」

「そうですか? じゃあ――」


 ◆選択肢

   1:「グリーフシードとソウルジェムの濁りについて」
   2:「キュゥべえの契約と能力の関係について」
   3:「佐倉さんの好みのタイプは?」

       安価>>342-346 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 21:38:03.30 ID:UQU+iGgs0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(群馬県)<>sage<>2012/01/13(金) 21:40:00.96 ID:txYZRRIko<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/13(金) 21:41:15.79 ID:81e+flPAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/13(金) 21:42:34.61 ID:R8lQS57DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/13(金) 21:42:47.22 ID:LZq2FMs+o<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 21:59:24.34 ID:B/kP88ey0<> 「佐倉さんの好みのタイプは?」

杏子「は――?」

 わたしの質問に、佐倉さんは目を点にする。

杏子「お前、何言っているんだ?」

「いや、だから好みのタイプを……」

杏子「お前なぁ……。普通こういう時は魔法少女に関する質問をするもんだろ?」

「う〜ん……。確かにそうなんだけど、戦い方以外の基本的なことは大体キュゥべえと佐倉さんに教えてもらったし……」

杏子「全く、アンタって本当に何考えているのかわかんねー奴だなぁ……」

「そりゃあ、人間はみんなエスパーじゃないしね。――それで、質問の答えは?」

杏子「そんなもん、あたし自身にだってわかんねーよ。第一、こんなことしているのに、彼氏作るどころか、色恋沙汰している余裕があると思うか?」

「――別に男限定とは言っていないよ、わたしは」

杏子「……そりゃあ、どういう意味だい?」

「そのままの意味」

杏子「殴るぞ?」

「それは勘弁して」

杏子「はぁ……」

 佐倉さんは呆れた様子で、再び結界の奥へと歩き始める。

杏子「――まぁ、男にしろ女にしろ、もしあたしが他人に対して好意を抱くなら、それはきっと他人のために平気で自分自身すら投げ売っちまうような救いのねーほどのバカだろうね」

 その途中、佐倉さんがそんなことをポツリと呟いたが、わたしは何故かその言葉に対して何の返答もしなかった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 22:35:22.16 ID:B/kP88ey0<>  それから更に結界の奥へと進んでいったわたしたちだったが、かなり奥まで進んだところで、佐倉さんが悔しそうに言い放った。

杏子「クソッ。間違いない。やっぱりここは使い魔の結界だ!」

「わかるの?」

杏子「あそこに、穴にも扉みてーにも見えるものがあるだろう? 大体はあそこが魔女のいる結界の最深部へと繋がっている入り口なのさ」

 佐倉さんが指さす先には、確かに穴のようにも扉のようにも見えるゲート状のものが存在していた。

杏子「奥にいるのが魔女だったら、この辺りで既に胸糞悪い気配を肌で感じることができるけど、今回はそれが全然しない。それが証拠さ」

「ふぅん……」

杏子「――だけど、ここまでデカい結界を作っているってことは、あの先にいる使い魔、相当育ってるな。あと1人や2人結界に迷い込んだ人間を食ったら完全に魔女になるんじゃねーか?」

「なんだって!? それは大変だ。早く退治しないと――!」

杏子「いや、帰るぞ。時間は無駄にはしたけど、あたしらが侵入してきたことまでには気がついていないみてーだし、しばらくはここに根を張り続けるだろ」

「えっ――?」

 わたしはここに来て「帰る」と言い始めた佐倉さんの考えが理解できなかった。

「何言ってんの、ここまで来て!? さっきまでの話で大体察したけど、使い魔は人間を襲うんでしょ!?」

杏子「厳密には魔女もだ。魔女は世界に呪いをばら撒いて人間を殺し、その生命を吸い取る。そして使い魔は結界にやって来た人間を文字どおり『食らう』――」

 佐倉さんは話を続ける。

杏子「そして、あたしたち魔法少女は魔女を倒して、その卵であるグリーフシードを手に入れる。そのグリーフシードは、魔女しか持っていない。いくら強くても、使い魔は持っていないのさ」

杏子「卵産むニワトリになる前のヒヨコをシメたって、あたしらには何の特にもならないのさ」

「だ、だからって、街の人が殺されていくのをみすみす見逃すわけにも――!」

杏子「――アンタ、魔法少女のこと大元から勘違いしていないか?」

「え――?」

杏子「『魔法少女』っていうのは、漫画やゲームに登場する『正義の味方』なんてカッコイイもんじゃないのさ。魔法が使えるって言ったって、普通の人間や他の生き物と同じように、自然界の摂理に則らなきゃ生きていくこともできない」

「自然界の摂理?」

 何故ここに来てそんな言葉が出てくるのか、わたしにはわからない。
 そんなわたしの心情を知ってか知らずか、佐倉さんは今自身が言った言葉の意味を詳細に説明していった。

杏子「『食物連鎖』っていうの学校で習っただろ? 虫が草を食って、その草を食った虫をニワトリが食い、さらにそのニワトリを人間が食うっていう――」

 ――わたしは黙って頷く。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 23:02:21.30 ID:B/kP88ey0<> 杏子「普通の人間にとってはそこまでだが、あたしたち魔法少女にはまだ先があるのさ」

「――人間を使い魔が食らい魔女になり、その魔女を魔法少女が退治してグリーフシードを得る」

杏子「そういうこと。そういう厳しいルールの上で成り立っているんだよ」

 そう言いながら、佐倉さんはわたしの肩にポンと手を置いた。

杏子「アンタが考えていることもわかる。そいつは、確かに人間の立場から見れば間違っちゃいないことさ」

 だけどな、と付け加えて、佐倉さんが話を続ける。

杏子「あたしらは魔法少女だ。人間じゃない。それと、今更アンタには説明する必要はないと思うけど、魔法使うのに必要な魔力っていうのは、言ってしまえば車動かすガソリンと同じだ」

杏子「グリーフシードを使って魔力を回復していかないと、いずれ魔法は使えなくなる。使い続けていればいずれ無くなっちまう。そして、グリーフシードを手に入れる方法は限られている――」

杏子「ガソリンみたいに、スタンド行って金払えば手に入るようなもんじゃない。手に入れるのにも文字通り『命懸け』なんだよ――!」

「だ、だけど――!」

杏子「いい加減、割り切れ! 割り切らないと、いずれお前自身が魔女や使い魔相手に食われて死ぬことになるぞ!?」

「――――」

 佐倉さんが言った『死ぬ』という言葉に、この時わたしは人一倍強く反応した。
 言葉自体は今まで生きてきた中で何度も見たり、聞いたりしてはいたが、今ほどこの言葉が重くのしかかったことがあっただろうか?

 人はこの世界に生きている動物の中でも特に『死』を恐れる動物だ。
 それは、人がこの世界に生きている動物の中でも『考える』ことに特化した知能を持っているからだと、以前見たテレビの番組で偉い学者が言っていたのを思い出す。

 そういえば、有名な『考える人』の像も、元々は『死後の世界』について考えている作品だと何かの番組で見た覚えがある。
 それだけ、人間というものは『死』というものを恐怖的にも哲学的にも捉えているということだろう。

 わたしは正直、そういった難しいことはわからないが、『死』というもの自体には恐ろしさを感じる。
 それは、やっぱりわたしが人間だからだろうか?

 では、目の前にいるわたしと自らを“人間ではない”と言ったこの女の子は――? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/13(金) 23:34:12.52 ID:B/kP88ey0<> 「――佐倉さんは……」

杏子「ん?」

「佐倉さんは、死ぬのが怖くないの? 目の前で使い魔に人が食われていくのを見て、恐ろしいとも感じないの……?」

杏子「……っ!」

 わたしは気がつくと、その場に自らの両肩を抱いてうずくまってしまっていた。

「わたしは――怖いよ。自分が死ぬことも、誰かが死ぬってことを想像するだけでも……!」

「それが、自らの力で助けられたというなら、尚更ね――!」

杏子「…………」

 佐倉さんは答えてくれない。
 それからしばらくの間、その場は重苦しい空気と沈黙だけが支配した。

 ――それを破ったのは佐倉さんだった。

杏子「――怖いさ」

「!」

杏子「あたしだって、本当はアンタと同じ気持ちだよ。自分が死ぬのは怖いし、誰かが魔女や使い魔に食われて死んでいくのを考えただけでも怖い……」

「だったら……!」

杏子「でもな――」


杏子「ひとつの場所で命懸けで魔女や使い魔を倒しても、別の何処かでは誰かが魔女や使い魔に食われて死んでいくんだ……! あたしらがどれだけ頑張っても、結局全ての人間を救うことはできねーんだよ……!」

「――!」


杏子「……あたしもね、アンタみたいに魔法少女になったばかりのころは『正義の味方』ってもんに憧れて、魔女も使い魔も見つけたらお構いなしで倒しまくってた」

杏子「だけどね、ある時気付いちまったんだ……。あたしら魔法少女が希望をもたらす分、それと同じだけ――いや、もしかしたらそれ以上の絶望がこの世界には撒き散らされるってことに」

杏子「それが全て魔女や使い魔によるものなのかはあたしにはわからない。だけど、それを知っちまってからは、全てを救おうなんて考えることもできなくなった――」

杏子「目指していたものが大きすぎた――綺麗事過ぎたんだよ」

「佐倉さん……」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 00:00:20.71 ID:3vPnr1V+0<> 杏子「だからアタシは、決めたんだ。全てを護ることができないなら、せめて自分が本当に大切だと思っているもの――最悪の場合は自分自身だけでも護ってみせるってさ」

杏子「結果的に、それである程度の人間は魔女の呪いからは護ることができているんだ――。だから、アタシは今の生き方を選んだことを悪いとは思ってない」

 後悔はしているかもしれないけどね、と付け加えたところで、佐倉さんの話は終わった。

「…………」

 わたしは、気がつくと顔を上げて、佐倉さんを見上げていた。

杏子「悪かったね。こんな所で説教臭い長話に突き合わせちまって」

「いや……。全然気にしてないから……」

 わたしはそう言いながら、立ち上がる。

杏子「そうか……。それじゃあ、帰るか」

 自嘲気味にフッと軽く笑みを浮かべながら、佐倉さんが今まで歩いて来た道を引き返していく。
 それを見たわたしは――


 ◆選択肢

   1:佐倉さんの後に続いて引き返した
   2:佐倉さんを呼び止めた
   3:佐倉さんとは逆の方向へ足を進めた

       安価>>352-361 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 00:02:20.82 ID:qJiaMcUr0<> ええい、杏子ちゃんと同居するためにはどれを選べばいいのかわからん!
とりあえず2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/14(土) 00:02:59.26 ID:Ra+h68n3o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/14(土) 00:03:17.77 ID:hZANky/AO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/14(土) 00:03:52.38 ID:VDuFskZAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 00:06:22.46 ID:oS+gPeIXo<> 2
お疲れ様 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 00:10:43.76 ID:5LBznGIr0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 00:22:00.71 ID:c7/TEoGmo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 00:28:30.72 ID:hsBNYYKy0<> 2 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 00:33:32.48 ID:3vPnr1V+0<> 「待って、佐倉さん」

 わたしは、佐倉さんを呼び止めた。
 わたしの呼びかけに、佐倉さんもすぐさま足を止めて振り返る。

杏子「どうした?」

「佐倉さんの言っていることは確かにわかったよ。魔法少女が本当は『正義の味方』なんかじゃないってことも、全てを救うことはできないってことも――」

 だけど、とわたしは付け加えて話を続ける。

「わたしは佐倉さんに『諦めるな』って言った。何度裏切られても、何度失敗しても、自分が信じるものを信じてきた自分自身は裏切るなって言った――」

杏子「――! アンタ、まさか……!」

 佐倉さんの顔が強張る。
 どうやら、わたしがこれから何を言い、何をしようとしているのか理解したようだ。

「佐倉さんが『正義の味方』に――『綺麗事』に憧れて、それを信じていたのなら、最後まで信じてみようよ!」

杏子「バカか!? あたしもお前も魔法少女なんだぞ! あたし達が生きていなければ、この世界で魔女を倒せる奴は存在しなくなる! 本当に救えるものも救えなくなるんだぞ!?」

「だからって、今の自分自身を正当化しようとしちゃ駄目だ!」

 わたしは、そう叫んで一呼吸おいた後、再び口を開いた。

「――佐倉さん。わたし、キュゥべえとどんな願い事で契約したのか覚えてないって言ったよね?」

杏子「あぁ……」

「本当はね……わたし、何で自分が魔法少女になろうと思ったのか、キュゥべえや魔法少女のことを何時どこで知ったのかすら覚えてないんだ」

杏子「!? どういうことだよ、そりゃあ……?」

「キュゥべえはわたしの願い事による副作用だろうって言っていたけど、詳しくはわたしにもわからない……」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 01:06:51.89 ID:3vPnr1V+0<> 「――わたしね、子供の頃から漫画とかアニメとか、そういうの見るのが好きだったんだ」

杏子「? それがお前の願いの副作用とどういう関係が……?」

「いいから聞いて。そして、そういう漫画やアニメには『正義の味方』って呼ばれる主人公やキャラクターを題材にした作品がいっぱいあった」

「もちろん、ほとんどが現実的に見たら子供だましで『綺麗事』な作品ばかりだったけど、中にはそんな『綺麗事』に対する明確な批判を視聴者や読者に投げかけた作品もいっぱいあったんだ」

「そういった作品はもちろん強く印象に残ってはいるんだけど、考えてみたらそういった作品って元ネタとも言える『綺麗事』な作品があるから初めて成立していると思うんだ……」


「たぶん、今の佐倉さんは漫画やアニメで言うならその“『綺麗事』を批判している作品”だよ。かつての自分がいるから、今の自分を正当化させることができているんだよ」


杏子「…………」

「…………」

杏子「……それで、結局アンタはあたしに何が言いたいんだ?」

「佐倉さんならもうわかっているんじゃないかな?」

 わたしは佐倉さんに対して笑みを浮かべながら、そっと右手を差し出した。

「もう一度、『綺麗事』する『正義の味方』を目指してみよう? わたしと一緒に」

杏子「……無理だよ。今更目指したところで、今のあたしを正当化できるわけじゃないんだぞ……?」

「それなら――“目指す”んじゃなくて“真似事”にしてみない?」

杏子「はぁ?」

「言っちゃえば、“『正義の味方』に憧れる善人”じゃなくて、“『正義の味方』の真似事をする偽善者”になれってこと」

 この言い方だと、印象悪く聞こえるけどね、と付け加え、わたしは苦笑いを浮かべる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 01:46:25.93 ID:3vPnr1V+0<> 「たとえ偽善者でも、やっていることが『綺麗事』なら善人と変わりはしない。わたしは佐倉さんに、昔の佐倉さんに戻って欲しいとまでは思っていない」

 ――そう。わたしは、佐倉さんに「『正義の味方』を目指してくれ」なんて思わない。
 何故なら、“『正義の味方』に憧れていた佐倉さん”がどのような人間だったのか知らないからだ。

 わたしが知っている佐倉さんは、今わたしの目の前にいる佐倉さんだ。
 “『正義の味方』を否定しながらも、『正義の味方』と似たようなことをしなければ生きられない佐倉さん”だ。

 つまり、わたしが佐倉さんにしてほしいのは――


「ただ、『正義の味方』を――『綺麗事』を完全否定することだけは止めてほしいってだけ。使い魔も魔女のように必ず倒してくれなんて言わない。確実に倒せる状況の時だけ倒すってだけでいい」

 それなら、少なくとも『頑張りすぎて自らを死に至らしめる』なんてことはないはずだ。


杏子「……アンタってさ」

「?」

杏子「アンタって、本当に何考えているのかわかんねー奴だな。あたしを否定したいのか、それとも肯定したいのか、マジでわかんねー……」

「たぶん両方だよ。わたしも“『正義の味方』の真似事をしている偽善者”にすぎないから」

 わたしは再び苦笑いを浮かべた。


杏子「――倒してみろ」

「えっ?」

杏子「この先にいる使い魔をお前1人の力で倒してみろ。もしそれができたら、今言ったその話……乗ってやるよ」

「! うんっ!」

 わたしは、力強く頷いて答えてみせた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 02:27:30.77 ID:3vPnr1V+0<> 〜結界・最深部〜


 扉のようなものをぶち破る形で、開き、わたしは結界の最深部へと足を踏み入れた。
 そこはまるで、何かのホールのような広い空間であった。

 そして、その空間のほぼ中心ともとれる位置に、ソレは――『使い魔』は存在した。

「これが――」

 思わずそう口にしてしまう。
 初めて見る世界に『呪い』をばら撒く存在――その手下である使い魔。
 その第一印象は――“想像していたものよりも全然違う”だった。

 当初、わたしは『使い魔』というくらいなのだから、ファンタジーなどに登場するモンスターや魔物のような姿をした存在なんだろう想像していた。
 が、実際目の前に姿を現したのは、“結界同様の『アートのようなもの』がそのまま命を得て動き出したかのような存在”だった。

 ――そのため、その外見はどこか愛らしいと同時に、どこか陰鬱で、どこか酷悪で不快だった。


「見た感じ、カニのようにも見えるけど――」

 わたしは目の前にいるソレと似た外見をした地球上に存在するモノを頭の中に浮かべてみた。

 ――カニ。エビ。サソリ。
 頭部と思える部位に存在するハサミのようなものから、まず最初に浮かんだのがそれ。

 次に、身体のあちこちから大量に生えている足からクモやムカデ。

 そして、その身体の形から――新幹線やスペースシャトルを連想した。

「うん。わからん」

 色々と考えてみたが、結局最後はその結論に至った。
 というか、こいつの姿を人間の言葉だけでどうやって説明しろというのだ。


使い魔『――――』

「――っ!?」


 突如、使い魔が物凄いスピードでわたしに対して突っ込んできた。
 よく見ると、下半身の尻と思える部位から、鳥の羽根のようなものが姿を見せ、それが高速で動き、使い魔の身体を動かしていた。

「その大量の足は何のためにあるんだ!?」

 思わずそう突っ込んでしまう。
 だが、人間の言葉はわからないのか、使い魔は何の反応も示すことなく真っ直ぐわたしの方へと突っ込んでくる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 02:49:47.82 ID:3vPnr1V+0<> 「あぁ、もう!」

 わたしは自身の両足に力を込めると、全力でその場から駆け出した。
 ――いや、それはもはや文字通り『飛び出した』と言っていいほどのものであった。

 最初の一歩を踏み出した瞬間、わたしの身体は地上数メートルの高さまで跳躍したのである。
 そして、そのまま10メートル以上は離れた場所に着地した。

 状況が状況でなければ、今頃わたしは「まるで『ド●ゴン●ール』か『プ●キュア』だ!」と狂喜していただろう。

 一方使い魔は、先ほどまでわたしが立っていた場所の後方の壁に勢い良く突っ込み、ズゥンという轟音と衝撃をホール中に響かせていた。

 ――危なかった。
 もしアレと正面衝突なんてしていたら、わたしは下手をすれば『ひき肉』になっていたかもしれない。
 もしくは、上半身と下半身がサヨウナラしていたかも。

 そう考えるとゾッとした。

 使い魔が大量の足を使って、その場から数歩後ろにバックし、同時に方向転換をする。
 もちろん、向きを変えた方向の先にはわたしがいる。

 そして、向きを変えるやいなや、再びわたしに対して全速力で突っ込んできた。

「またかい!」

 そう突っ込みながら、わたしも再び全身全霊の力を両足に込めた大ジャンプでそれをかわす。

 再び轟音と衝撃がホールに響いた。


 ――そこから先も、ひたすらその繰り返しだった。

 バック&方向転換で向きを変えた後に、すぐさま突っ込んでくる使い魔。
 そして、それをジャンプでかわすわたし。
 わたしがいた場所の後方の壁に突っ込んだ使い魔によってホールに響く轟音と衝撃。

 それを大体十数回も繰り返した。


 正直、このままではこちらがもたない。主に疲労的な意味で。
 何とかこの状況を打破できる『何か』が欲しかった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 03:07:58.98 ID:3vPnr1V+0<> 「! そういえば……」

 ここでわたしは、今はこの場にいないもう1人の魔法少女――佐倉さんのことを思い出す。

「佐倉さんには槍が――武器があった!」

 そう。佐倉さんは魔法少女に変身した際、その手に武器である槍を召喚していた。
 キュゥべえは『魔法少女の能力は契約の願いによって決まる』と言っていたが、あの槍が佐倉さんの願いにより生まれた能力だとはまず思えない。
 ――佐倉さんがどんな願いで魔法少女になったのか教えてもらっていないので、実際の能力もわからないが。

 ともかく、もしあの槍が佐倉さんの願いによるものではなく、佐倉さん自身の魔法少女の力で作り出されたものだとしたら――

「わたしにも何か武器があるはずだ!」

 そう思い至ったわたしは、すぐさま頭の中で「武器よ出ろ!」と強く祈り、願った。

 すると――

「!? これは――」

 すぐさま、わたしの周囲に無数の『何か』が姿を現した。


 ――それは、最初はわたしのソウルジェムが放つ輝きと同じ色をした小さな光の粒子だった。
 だが、その光の粒子は次の瞬間にはその数を無数に増やし、それぞれが周囲の粒子と密集することでどんどん大きくなっていった。

 やがて、それらの密集した粒子は、ひとつのカタチとなって、わたしの周囲に無数の『ソレ』となって宙に浮かぶ。

 それは――


 ◆選択肢

   1:無数の白紙のカード
   2:無数の無色透明のクリスタル
   3:無数の白い花

       安価>>366-375 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 03:09:06.07 ID:hsBNYYKy0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 03:09:38.93 ID:+ttVKYXB0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 03:12:11.83 ID:tz0k35iD0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 03:14:07.57 ID:3z9O9hN+o<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/14(土) 03:15:41.70 ID:04Bf5Z+DO<> 魔法少女といえばカードだろ

というわけで1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 03:22:40.71 ID:+ttVKYXB0<> 流石に10レスは多すぎね?

安価下ずらし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/14(土) 05:47:15.60 ID:za+i3+IBo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 06:13:54.06 ID:4i0Q62Zh0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/01/14(土) 07:10:02.79 ID:L/m7SY3po<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/14(土) 07:23:06.54 ID:VDuFskZAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 08:06:12.72 ID:c7/TEoGmo<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 15:04:19.36 ID:3vPnr1V+0<> スイマセン、寝落ちしてましたw
再開します <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 15:34:55.54 ID:3vPnr1V+0<>  それは無数の白紙のカードだった。

 それらのカードは、裏面こそ全て共通する絵柄をしていたが、表面は本当に真っ白であった。
 トランプなどのカードゲームにおいて1枚は入っている紛失時の予備用カード――それが大量に目の前にある光景を想像してほしい。
 今わたしの周囲はそんな状態だ。

「か、カード……?」

 思わず、わたしはそんな言葉を漏らしてしまう。

 確かに、『魔法少女』を題材にした漫画やアニメには高確率でカード等現実世界の女の子の身近にありそうなものをモデルとしたアイテムが登場するが、あれは関連グッズの販売促進も兼ねているからだ。

 おまけに、こちらは先ほどまで佐倉さんの持っていた槍――一目見ただけで『武器』とわかるソレを見ていた身だ。
 これは少し拍子抜けでもありショックでもある。
 さらに言ってしまうと、カードが白紙という事実も、それに輪をかける。

「これで一体どうしろと……」

 はっきり言って、本当にコレでどうやって目の前の使い魔を倒せばいいのか、わたしにはわからなかった。


使い魔『――――』

「あっ!?」

 気がつくと、使い魔がまたしてもわたしに向かって一直線に突っ込んできた。
 わたしは――ほんの数秒とはいえ――周囲に浮かぶカードに気を取られたせいで、反応が若干遅れてしまう。

 ――まずい!

 わたしの脳が瞬時にそう判断し、全身に「よけろ」と命令を下す。


 その時だ――

<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 16:25:10.06 ID:3vPnr1V+0<>
「えっ!?」

 突然、わたしの周囲に浮かんでいた無数のカードたちが、わたしの前に躍り出ると、それらは先ほど――光の粒子だった時――と同様の光を放つ。
 そして、光をまとったそれらは、あたかも壁か網のような配置を組み、使い魔に立ち塞がった。

 ――バジィッ!

 使い魔がカードに衝突すると、カードから放たれている光が、まるで電気のように音をたててスパークした。

使い魔『――!?』

「!? もしかして、効いているの――!?」

 先ほどまで、自分から壁に何度も衝突しても全くダメージを受けている様子を見せなかった使い魔が、この時今までは見せなかった反応をわたしに見せた。

「…………」

 ――それを見たわたしの中で、瞬時にある仮説が組み上げられていく。


 カードは、わたしの「武器が欲しい」という思いに答える形で現れたもの――つまり、わたしの『思い』を形にした武器だ。
 そして、今わたしの目の前でこうして使い魔から護る壁になってくれているのは、わたしの『自己防衛』という思考――『思い』にカードが反応したからだろう。

 つまり――

「――このカードたちはわたしの思った通りに動いてくれる!?」

 そう結論づけたわたしは、すぐさま次の行動に出た。


 未だにわたしの周囲には、ある程度のカードが浮かび上がっていた。
 わたしはそれらにチラリと目を向けると、すぐさま思考――命令を下す。
 それに答えるように、カードたちはすぐさま使い魔の方に飛んでいく。

 ――やはり、カードたちはわたしの思い通りに動くようだ。

 そして、飛んでいったカードたちは、次々と光を放ちながら使い魔の身体に突き刺さった。

使い魔『!?!?』

「やっぱり効いている――!」

 先ほどよりもより明確な反応を示している使い魔を前に、わたしは喜びにも似た声を上げた。


 ――だが、結局はそれだけだ。
 効いてはいるのだが、それだけではまだ使い魔を倒すまでには至らない。
 現に、カードの壁もしくは網に引っ掛かり、身体のあちこちにカードが突き刺さりながらも、使い魔はわたしの方に突っ込んでこようと必死に身体を動かしている。
 これは使い魔自身の生命力が高いのか、それともわたしの攻撃力が低いからなのか――

 ――何か決め手になるような一打が欲しい。

 そう。『必殺技』とまではいかないが、何か『致命傷になりえる一撃』を与えたかった。
 ゲームで言うなら『会心の一撃』とか『クリティカル』とか『SMAAAAASH!!』とか表現される強力な一発を――

「――ん?」

 不意に、わたしの前に1枚のカードが新たに召喚された。

「!? これって――!」

 それは、一見すると今までのカードと同じものに見えたが、わたしはある一点を見た瞬間、違うということに気がついた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 16:48:37.72 ID:3vPnr1V+0<> 「――白紙じゃない……!」

 そう。そのカードは白紙ではなかったのだ。
 他のカードは白紙であった表面。
 しかし、そのカードには表面にしっかりと絵柄があったのだ。

 ――紅い紋章と、紋章と同じ紅色の文字のようなものが何点か描かれたカードだった。

「これを使えってこと!?」

 そう言いながらわたしは、そのカードを手に取る。

 すると――


「ふえっ!?」

 わたしがカードを手にした瞬間、カードは光の粒子へと還元されてしまった。

「え!? 何で!? 触っちゃいけなかったの!?」

 わたしは思わず混乱してしまう。
 だが、再び光の粒子となったカードは、わたしの目の前で再び姿を変え始めた。

 おまけに、その形はカードではなかった。


 ――光の粒子は、カードではなく『槍』へとその姿を変えた。


 その槍に、わたしは見覚えがあった。
 というよりも、先ほどまで実物を目の前で見ていたので、忘れるはずがなかった。

「これって、佐倉さんの――」

 そう。目の前に現れた槍は、佐倉さんが使っているものと全く同じ色とデザインをしたものであった。

「どうして、わたしのカードが佐倉さんの槍に……?」

 頭の上にはてなマークを浮かべながら、わたしは疑問を口にする。
 だが、佐倉さんの槍の方は、そんなわたしのことなど知らずとばかりに、わたしの目の前に堂々と突き刺さる。
 ――まるで、わたしに対して『使え』と言っているかのように。

「…………」

 わたしは一度使い魔の方に目を向ける。
 未だに使い魔はわたしの方に突っ込んでこようと、カードの壁か網に引っかかりながら暴れている。
 今のところは、問題なく動きを封じることができているが、これが何時まで持つかはわからない。

 ならば、このまま何もせず黙って見ているよりはマシだろう。


 ――わたしは、佐倉さんの槍を手に取った。


「ふっ――!」

 そして――槍を手にした瞬間、わたしは使い魔の頭上高くまで飛び上がる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 17:01:02.04 ID:3vPnr1V+0<>  ある程度の高さまで上がったところで、わたしの身体は重力に引っ張られる形で落下を開始する。

 わたしは、それに合わせるように槍の切っ先自身の前に向けた。

 槍の向いた先――落下予測地点は、下にいる使い魔の頭部と思われる部分――!

「いっけえええええッ!」

 落下していく中、わたしの口から無意識にそんな声が出た。
 それと同時に、槍を持つわたしの両手や、全身のいたる部位に一気に力がこもる。

 さながら、わたし自身が矢になったような感覚だった。



 そして――

 槍を構えていたわたしは――


 使い魔の頭上に、勢い良く突き刺さった――!



 ――落下の衝撃と使い魔に槍を突き刺した生々しい感触が全身に伝わるのと、何かが崩れ去るような音が耳に響き渡ったのは、ほぼ同時であった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 17:11:27.69 ID:3vPnr1V+0<> 〜路地裏〜


杏子「おい。生きてるか?」

 いつの間にか、路地裏で大の字になって寝っ転がっていたわたしの視界に、佐倉さんの姿が入ってきた。

「う、うん……。生きているよ?」

 わたしは思わず疑問形で佐倉さんに答えてしまう。

 目の前にいる佐倉さんは、既に魔法少女の変身を解いていた。


                  , ---- 、
            , -─ 、,/,ム二二ヽ
          ,.-//⌒`V/::::::::::::::::::`>. 、
          入.!',.. ‐' : ̄ ̄ ̄` . <:::{:ヽ ヽ
        /イ ': : : : : , イヽ、_, へ ヽ: :ハヾ、
        .,ム:/!`ヽ: : : : : : : : : : : : :ヽヽ :ム
        /: : :i: : : /:ハ: : : : : :i : : : : : ハ: :i: :ハ
       .i: : : :!: : /!i  ヽ:i、: :|ヽ: : : : : i: :!: トヽ
       {: : : : ト: iハ:!  ヾヽ: ! , 孑: : : !: i: :}ヾ、
       .!: : : :─--ミ    ‐爪__!:i: : !,、: :!
        ヾ: : !x‐r,‐ミ       r'::i 灯 /.^i: : !
          ゝム`弋:}     ゝ ' ,ムイ,.ノ : ,
         !: ハ '''    '  , '''  .イ : : : ,
         !: : ゝ 、  ー‐  , イ : : : : i
         i: : : : : : :コ ‐< !、: : : : : : !
          ,: , -- ' r '    ゝ!ヽ : : : : !
        ,-ヽヽ   {   ` '  !  ` ‐r、!
       /   \  .ヽ     /   / .ヽ
      ,.-' i !   ヽ  ヽ__/  ,/ /  i、
    /   .ヽ!    `ゝヽ:::::/ , '   ヽ  i !
    r'─    .!       `V/     ! .!ハ


「佐倉さん、使い魔は?」

 わたしは起き上がりながら、佐倉さんにそう尋ねる。

杏子「この状況でわかんねーのか? 結界が消滅したってことは、やったんだよ」

 『やった』――それはつまり――

「わたし、あの使い魔を倒せたんだね――?」

 わたしはその言葉と同時に、自身の顔が緩んでいくのを感じた。

杏子「あぁ、そうだ。もっとも、使い魔1匹倒す程度でその体たらくじゃ、まだまだ魔法少女としちゃあ未熟だけどな」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 17:25:17.89 ID:3vPnr1V+0<> 「酷いなぁ。こっちは本当に必死だったのに――」

杏子「言ったろ。文字通り『命懸け』なんだって? 実力も無い奴が無理して『正義の味方』を目指せるほど現実は甘くないんだよ」

 苦笑いを浮かべるわたしに対して、佐倉さんもニヤリと笑ってそう言った。

杏子「でもさ――」


      <////////,. -: : : : : : : : : : :-: \//////////,>ヽ
       \////:/: : : : :/: \: : ノ: : : ヽ: : :ヽ//////: : :ヽ
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    /: : i: : :l: |i: : : : |   ヽ ヽ: : : ,.|-iTヽ: : : : : :V: :l: :l: : : :.l: :.|
   /:i: :l: : :|: :|ヽ: : | l    ヽ >:'´: | l| l: : : : : l:|: :,__: l: : : :|: :|
   |:li: : : : :-r|'ヽ-、|    / _t- |____,..,t: : : : :;:|´ r-ヾ: : : l: :|
   .|:l |: : : : : |:l  ゝ_i_ヽ     rイ-,//} |: : : :イ:|/`ヽ l: : : : |:|
   l:| ヽ: : : : i r―r- 、       Γゝ' }.|: : :/ リ ヽ , /: : i: :|V
    l ヽ: : : : l   r'//}       ゝ‐'゙ ,.l: / / r‐'´/: : :/: /
    !   \: :ヽ  ゝ '       /// /'´   r--:'/: : :/:/
       |:.\lヽ///  '            /: : :/: : :/:/
       |: :l: l !`     __,. ノ    /: : :./: : :/:/,
       |: l: : lヽ、            ,イ: : : : :/: : :/:/
       l:/  __ ー ヽ 、 __    ,イ  | ヽ: : : : : :/
       ,l://--、ー-'´   i ̄     ,l l ヽ: : : : :{
      ,/ /    ヽ\\   ヽ       ヽi ヽ: : : l:.|
      /     ヽ ヽヽ   ヽ    ,.  /   `ヽ、:i ___
      |      ヽ ヽ!   ヽ`  /―/      \ ヽ


杏子「自分が言った『綺麗事』を、自分ができる範囲だけでもやってみようとするバカには誰でもなれる」

「佐倉さん……」

杏子「まっ。約束は約束だしね。あたしだって今更難癖つけて約束破るようなガキ臭い真似はしたくないし……」

 そう言いながら、佐倉さんはわたしの前にすっと左手を差し出す。
 その手には、わたしもよく食べるチョコレート菓子の袋が握られていた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 17:30:59.45 ID:3vPnr1V+0<>             /    _,...┐
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    ノ-イ: : : : : :ト 、: : : : ヽ : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ.--------ニ>':/ヽ
 ─=-ゥ': : : ト : : :i  ,`<_ : : Y^ 、: |--、__, - 、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : - '  `ヾヽ    __ , -
    ./: : : : :|ヾ ヽ.!〈 ./,-ヽ、: :lヽ〉|: :ト _.ソ   , - ' `ヽ-──-、: : : : : : : : : : : : : : : :`: : ‐──ヽ-‐': :; - '
   .ノ: : : : : :i ヽ ヾ { .r, _> !: }  ノヽ ' i    l  i    ` 、  }: : ヽニヽ、: : : : : : :\ 、: : : :ヽ、-- '
.─=ニ--┐ : : ヽ、       ゙ i/   ` ヽ  |   |  |      ヽ .i: : : : : ` ヽ: : : : : : : : :ヽ`ヽ: : : :`. .、
      |:∧: :\,┐、     / 〉 i ヽ.ヽ!  ノ  ヽ      ` ヽ、: : : : : : ヽ: : : : : : : : ヽ `  、: :ヽ
      |/ ヽ: :ノ:ヽヾ.> ‐   /. '  /  ヽ ヽ  ヽ -、ヽ |.,´ ̄    >- 、__: :ヽ : : ヽヽ 、: ヽ、  .ヽ: : ヽ
       ./,.イヘ: : :ヾ      /.7ヽ、 ヽ .ヽ .}  ` -ヽ!,           \-. 、:!`: :--ヽ-二─-ヽ: :i
      .ノ'  l.| `i: }ヾ ゝ---  ' ,'  ヽ .ヘ ヽ.i    .ヽ       ,  ---- 、ヽ `  ̄ ̄ ̄ :`ヽ、-ヽ!_____, -,-
         ヾ .|/        iヽ、.ゝ,ノヽ `|     .ヽ    , '   , ----ヽ 、         >--- ,-....、,- '
                   .|  .ヽ、ヽ::ヽ .i       ヽ   .i   /      ` ヽ      ./   /::::::::/ ̄.ゝ
                    !_    ヽ ヽ:`|        \  |   ,'.     ,、    ヽ    /    ./::::::/   /`  <
                     ヽ ‐‐┬ '` ヽ 、       ヽ ヽ .|、   /   >    ` - '___'::::::/   /      `
                      .> ヽ、  `` ヽ      .ヽヽ .|.ゝ.、 ヽ      `>- 、 ___ .イ::::,'   /
                        .>` -- .、   ` - .、  ` -ヾ!  i、          ヽ -┴,:/  .,'
                           >  ` ヽ- 、  `ヽ 、  .| , .ノ >_、         ./ ゝ,'  ./
                             .>    ` .- .、  .丶└.'  ヽ 、 、       .i  そヽ 、.i__
                               ヽ、  i ./  > .、  .ヽ`- !- ヽ.ヽ      / ミヽ-- './/  ̄ ̄  ---
                                 .-、 .'     .ヽ   `V::ヽ `‐‐.ヽ、   / そ:::/ ̄>
                                  .ヽ      .`ヽ   ヽ:::::::`‐‐‐┴.ヽ.'',ゝ::/  /  ` <
                                   ヽ __, - 、_.i   ヽ:::::::::::::/:::::::::`::ノ   /      ` .<


杏子「改めて名乗らせてもらうけど――佐倉杏子だ。よろしくね」

「――うん!」

 わたしは両手を出し、佐倉さんからチョコレート菓子をしっかりと受け取った。
 これが彼女なりの信頼の証なのだろう。


杏子「――ところでさ、アンタいつまでその恰好でいるつもりだい?」

「えっ? ――あっ!?」

 佐倉さんに言われて、わたしは大慌てで魔法少女としての変身を解いた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 17:51:07.13 ID:3vPnr1V+0<> 杏子「やれやれ、こんなんじゃ本当に先が思いやられるよな〜」

「そ、そんな……。今回はたまたまだって……」

杏子「そうかい? まぁ、そういうことにしといてやるよ」

 佐倉さんとそんなやり取りをしながら、わたしは現在の時間を確認する。
 わたしたちが結界に入ってからまだ1時間も時間は経過していなかった。
 佐倉さんが言っていた通り、結界内とわたしたちの世界では時間の流れに差があるようだ。

杏子「あぁ、そうだ」

「うん?」

杏子「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない? アンタの名前?」

「あ――」

 そうだった。
 言われてみたら、元々は佐倉さんにわたしの名前を教えようと思って佐倉さんを探していたんだった。

杏子「やれやれ、やっぱりたまたまじゃないじゃないか。こんなボケと一緒であたし本当に大丈夫かね?」

「ちょ……!? 別に忘れていたわけじゃないし! 今日は本当に色々あったから、教える機会がなかなか訪れなかっただけだし!」

 ごめんなさい。口ではそう言って誤魔化そうとしていますが、本当はすっかり忘れていました。
 ――まぁ、ぜんぜん誤魔化せていないし、佐倉さんも気づいているだろうけど。


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         l:j Z::::::::i 丁ア≧ェ、`ヽ.       ̄ ̄アー-、!:;::::::::::::::::::::::|:::|i::
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        /|   \     .!    ヽ ノ   ノ      ノ  ∧!:::::::::!


杏子「それで、アンタの名前は?」

「わたしの名前は――」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 17:53:02.46 ID:qg0svlmIO<> ネギマの先生のアーティファクトみたいな能力だな
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 18:10:02.61 ID:3vPnr1V+0<> ◆ side change ◆

〜???〜


 夜の街のとある一角に、1人の少女の姿があった。

 少女の足元には、小さな黒い宝石状の物体――グリーフシードが転がっている。


???『うん。始めての魔女退治にしてはなかなかの手際の良さだね』


 そんな少女の背後から1匹の白い影が躍り出る。

 ――キュゥべえだ。


キュゥべえ『やっぱり、僕の目に狂いはなかった。君の魔法少女としての資質はなかなかのものだ』

 そう言いながらキュゥべえは、少女の肩にぴょんと飛び乗る。

キュゥべえ『この調子でどんどん魔女をやっつけていこう。グリーフシードも手に入るしね』

???「――――」

キュゥべえ『? どうしたんだい?』

 少女がキュゥべえに対して口を開く。
 少女が口にした言葉の内容を理解したのか、キュゥべえはその長い尾を左右に揺らしながら答えた。


キュゥべえ『うん。確かにこの辺りには既に2人の魔法少女がいる。ぐずぐずしていたら彼女たちにこの辺りのグリーフシードを全てとられてしまうかもしれないね』

???「…………」

キュゥべえ『魔法少女にとってグリーフシードはとても重要かつ貴重なものだからね。みんな手に入れようと必死なのさ』

???「…………」


キュゥべえ『だから君も、頑張ってグリーフシードを集めてね。それがこの宇宙のためでもあるんだ』

 『宇宙のため』というやたらスケールの大きい比喩に、正義感か使命感を刺激されたのか、少女は力強く頷いてみせた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 18:18:08.83 ID:3vPnr1V+0<>       __
    r┘└ゥ .∩∩_  ∩  _/7__  _i⌒i_    ◯         ____           .i⌒i
    | :|⊆ヽ8| :ロ に(ノ| |() 7:/_n (__  _)  ◯ ___i⌒i_  .Y´       `Y  ◯  __,|  |__
    (_/ノ几l ム1└ヘ ,ン) ゝ¨,_〈 (__  __)⌒ヽ___(__    `ヽ `'ー――‐ァ  / i⌒i ◯ (_   _ `Y
               ̄ ̄ `¨´ .`¨´γ´ ̄    Y\   ) /  ハ  :}i⌒i   ./   ̄   ̄`ヽ |  | .|  |
    P U E L L A M A G I  ,'  .x―┐ .r‐'/ / /  / ノ  l乂ノi⌒'゙´  .x;;―┐ .r―‐'゙ .|  | .|  |
    Μ △ [) 〇 Κ △ .{  (    | .| .{  /   (__,ノ (__,ノ ∧ \   く ( ̄ ̄   ̄ ̄) |  | .|  |
    Μ △ G...Ι Κ △ ,乂 `¨¨´ ./ 乂. `¨¨´ )     <  > \  \. ̄|  | ̄~   .|  lγ  .|
                        ` ー‐''゙´     ` ー‐''゙´     レヘ」.   `'ー'′ .`ー'      .`ー' .`ー'′

                          螺旋迷宮 labirinto spirale
                          −ある魔法少女の物語−

                      第2話「『正義の味方』なんかじゃない」   Fine <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 18:25:22.76 ID:3vPnr1V+0<> 第2話終了時点でのあなたのステータス

【基本スペック】
 名前:未定
 年齢:14歳(中学2年生)
 髪の色:茶髪
 髪の長さ:長髪
 身長:高い
 一人称:わたし
 得意教科:現代文
 苦手教科:理数系

   ※あなたの名前は、いずれ判明するかもしれません


【魔法少女スペック】
 服装:ゴシックロリータ風
 武器:カード(ほとんどが白紙。佐倉杏子の槍と同じものに変化する紅い紋章のカードが1枚)
 能力:詳細不明(記憶関係?)
 願い:不明
 変身時のソウルジェムの位置:後頭部に結ばれているリボンの結び目
 ソウルジェムの穢れ率:20/100%

   ※ソウルジェムの穢れ率が高いほど魔法が使えなくなるなど今後の行動に影響があるかもしれません <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 18:32:09.23 ID:3vPnr1V+0<> 【交友関係など】
・キュゥべえがあなたの下からいなくなりました
・佐倉杏子と信頼関係を築きました。以降、魔女退治などで共に行動することができるようになります
・中学校の生徒会長(性別未定)とあなたは同好の士であり友人です
・違うクラスの同級生の友人がいます
・『白女』には1人あなたの親友が通っています


【その他の情報】
・あなたの住んでいる街にもう1人魔法少女が誕生しました <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/14(土) 18:36:15.24 ID:3vPnr1V+0<> 一旦ここで休憩します
やっと第2話終わった……w


再開時、第3話に入る前に、主人公の名前を決めようと思います
一応デフォルトネームも現時点で2、3種類ほど考えていますが、
「こんな名前考えたんだけど?」って案があればどんどん出しちゃってください。>>1が喜びますw(オイ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 18:42:06.69 ID:+ttVKYXB0<> 睦月みらい とか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/14(土) 18:53:52.19 ID:Ra+h68n3o<> まどマギのキャラって一部除いて苗字が名前っぽいんだっけか

・夕貴 玲(ゆうき れい)
・菫 珠希(すみれ たまき)

とか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 19:01:07.42 ID:NifUK8CCo<> 乙です

岬 ゆたか 

とか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/14(土) 19:20:59.99 ID:ej+j8or50<> まどマギキャラは苗字を下の名前にしても違和感がなく、かつ3文字である人物が多いから

湯岑 しずは(ユミネ シズハ) とかどうだろう? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/14(土) 19:55:57.68 ID:a4Hx5TCYo<> 鳴子 栞(なるこ しおり)
元華 九曜(げんか くよう)
揺麻 戻季(ゆま もどき)

とか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 20:16:18.16 ID:qJiaMcUr0<> 沢田あけみ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 20:28:55.35 ID:KRUgAoa6o<> 湊 未来(みなと みらい)
ごめんなんでもない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/14(土) 21:21:39.92 ID:hsBNYYKy0<> 乙!
秋野 楓(あきの かえで)
冬野 雪(ふゆの ゆき)
ネタネームでスマンね <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/15(日) 01:03:14.16 ID:W/EVMPoP0<> 名前候補考えてくれた方々、ありがとうございます
意外と考えてくれた人が多かったので結構ビビりましたw

光 きずな(ひかり -)
繭良 あやせ(まゆら -)
柚葉 真弓(ゆずは まゆみ)
有亜 くすみ(ありあ くすみ)
結城 時乃(ゆうき ときの)

>>1が考えた名前候補は大体こんな感じです
個人的に上ほど気に入っています
気に入っているか否かの大まかな基準は、単に見た感じのイメージと語呂の良し悪しですがw


一応、オリジナルキャラは名前つけるときの条件として

・苗字と名前をひっくり返してもあまり違和感がない(かなめ まどか → まどか かなめ あけみ ほむら → ほむら あけみ みき さやか → さやか みき)
・基本的に苗字・名前共に2文字か3文字
・名前は平仮名にすると一見可愛らしく見える名
・字で見た感じだと何か明るくて前向きそうなイメージ

といった条件をつけて考えていました


それでは、主人公の名前を決めようと思います
>>392-400までの名前で「これ良さげじゃね?」って名前があったら挙げていってください
1人1票などは厳守しませんので、よろしくお願いします
期限は最長でも本日中といたします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/15(日) 01:11:39.16 ID:GGzCUsCFo<> >>400の繭良あやせに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 01:14:24.75 ID:o4ZCHarAo<> >>400
柚葉 真弓に一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 01:17:01.11 ID:eDI2sXuW0<> >>400
光 きずなに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 01:19:30.06 ID:gVbY/c9Ro<> >>400
光きずなとか主人公過ぎて最高 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 01:21:50.01 ID:9fgZCFBoo<> >>400
繭良あやせ に一票 >>1が別案出してる時って、まず安価名前は選ばれないんだよなあ。ご愁傷様としか言いようがない。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/15(日) 01:25:35.07 ID:JhYOGpfAO<> >>400
繭良あやせに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/15(日) 01:29:33.84 ID:GGzCUsCFo<> 今日中と聞いて長すぎると思ったが
今の時間と公平さを考えると妥当な数字でもあるんだよな…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 01:38:59.89 ID:eDI2sXuW0<> 安価名前二つ書いたけど>>1の案に投票してる俺みたいなのも居ると思うぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/15(日) 02:43:07.60 ID:T+07Gc3AO<> 睦月みらいに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/01/15(日) 10:16:33.25 ID:8kM1wK+Yo<> 柚葉で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/15(日) 10:22:29.18 ID:1sArKf1mo<> 柚葉 真弓に一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 11:15:33.71 ID:/z3N8IL+0<> 睦月 みらいに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/15(日) 12:46:28.35 ID:BQrKqacDO<> 繭良 あやせに一票

>>400の候補の中で、個人的に一番「平凡な主人公っぽい名前」だと感じたので <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/15(日) 14:19:13.50 ID:M0H7Uzbgo<> あやせに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 16:14:55.02 ID:DRhPdZTc0<> 光 きずなで一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/15(日) 17:52:52.96 ID:9Ve5kgLb0<> あやせ☆マギカに一票だ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 18:02:55.35 ID:s1GtzJsA0<> 繭良 あやせに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 18:13:30.50 ID:ARj8QP3io<> 柚葉で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/01/15(日) 18:34:22.52 ID:uj+39QR8o<> 401〜418までの集計
書き込み数18

繭良あやせ 7
柚葉真弓 4
光きずな 3
睦月みらい 2

合計16
無効な書き込み2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/15(日) 18:56:59.02 ID:T+07Gc3AO<> 既にみらいに一票入れた者だが、あやせもみらいもかず☆マギにいなかったっけ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/15(日) 19:30:47.79 ID:BQrKqacDO<> !?

そういえば、普通にいたじゃねーか……
俺ってほんとバカ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 19:38:14.11 ID:+N+9qx1po<> 若葉みらい、双樹あやせ。だっけ?




あっ、柚葉真弓に1票で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/15(日) 19:38:42.86 ID:9Ve5kgLb0<> 若葉みらい、双樹あやせって子がいるね

>>1はダブルあやせなんてハイレベルな事をしようとしているのか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 19:44:49.13 ID:s1GtzJsA0<> これは再安価の予感。せっかく募集したんだし、募集した名前だけでやったら? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2012/01/15(日) 19:50:02.60 ID:7BYZCDtJ0<> 仮にどっちか採用された時は、綾瀬まゆら、未来むつきに改名すりゃいいんじゃね?ww
どっちも違和感ねーしww

まぁ、>>1や投票した人の判断と了承次第だが


光 きずなに一票 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 20:12:39.91 ID:thTTMB2ko<> ぬるぽ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/15(日) 20:32:29.96 ID:BQrKqacDO<> ガッ!


そういえば、募集された案には、あけみがいるなww
苗字かと思ったら名前だったり、名前かと思ったら苗字だったり、マギカシリーズのキャラの名前って本当にややこしいわww <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/16(月) 00:32:07.22 ID:6jWu65fh0<> ここで一度締め切ろうと思います
投票してくださった皆様、ありがとうございます

【投票結果】

繭良 あやせ 7
柚葉 真弓 5
光 きずな 4
睦月 みらい 2

名前案募集した時もそうでしたが、予想以上に参加してくれた方が多くて驚いてます


……で、本題に入りますが
本来なら票数的に『繭良あやせ』で決定したいところなんですが、
>>420で突っ込まれましたが、既に公式で『あやせ』という名前のキャラが存在していたんですよね
『かずみ☆マギカ』のコミックス持っているのに何故名前考えた時点で気づかんかった自分……orz

今更かもしれませんが、さすがに既に存在する同名のキャラと同じ名前にするのは、
書く方としても、読む方としても、あと劇中のキャラ達からしても、ちょっとややこしい気がします

そこで、本日一日使って次の案のどれかを採用しようと思います
(>>1は基本毎週日曜日と月曜日と木曜日がアルバイトのため本編がまず投稿できないので)


1:>>425案。苗字と名前をひっくり返して『綾瀬 まゆら』に改名する
2:投票2位の『柚葉 真弓』を採用する
3:上位案4つのうち名前が被っていない『柚葉 真弓』『光 きずな』で最終投票
4:>>424案。募集した名前案(>>392-399)だけで再投票

   ※上記3と4を選ぶ場合は、採用したい名前も一緒に表記してください


こちらの自分勝手な判断ではございますが、どうかご協力の程をよろしくお願いいたします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 00:33:10.76 ID:PwW0bTX00<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 00:46:19.43 ID:d9+u/yoD0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<><>2012/01/16(月) 00:55:56.70 ID:v6VEMoWj0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 01:05:42.73 ID:p7vHpRUho<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 01:08:36.55 ID:y+r6egM40<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 01:55:00.63 ID:WNZJoWnao<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県)<>sage<>2012/01/16(月) 05:21:46.51 ID:oaNzeKT70<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/01/16(月) 06:56:37.44 ID:HJ+alRGeo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/16(月) 11:52:31.25 ID:Uaar1WQAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/01/16(月) 11:57:18.31 ID:o9GH58jZo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 12:34:14.02 ID:cLSNrMJIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/16(月) 17:58:12.25 ID:IBiHjmxQ0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<><>2012/01/16(月) 19:03:06.14 ID:WNRQfB0I0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/16(月) 19:20:01.45 ID:PrLETKmao<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/01/16(月) 21:54:26.69 ID:bpn+FKxjo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 13:47:07.48 ID:9Mdz5XyIO<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/17(火) 17:45:10.23 ID:KnYcKTMx0<> 遅れましたが、これで投票終了です
投票してくださった皆様、ありがとうございます
以下が>>429-444の集計結果となります

柚葉 真弓 9
綾瀬 まゆら 6
3(光 きずな?) 1


以上の投票の結果、主人公の名前は晴れて『柚葉 真弓』に決定いたしました

真弓「ということなので、これからも当スレをよろしくお願いいたします」
友人A「そういえバ、ミーたちのネームはどうするノ?」
先輩「一応、候補は考えてはあるらしいが、いずれまた募集するんだろうか……?」
キュゥべえ「わけがわからないよ。どうして人間は単一個体の名前なんかにいちいち拘るんだい?」
ほむら「お前が言うな、インキュベーター……!」
真弓「……誰?」


第3話は本日夜からスタート予定です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 18:11:56.25 ID:no6IzBODO<> 正直もう名前は>>1の独断でいいと思うのです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 18:51:22.10 ID:gENxWbGIO<> サブキャラは休息の間にでも軽く決めれば良い
長く待ってるとSGが濁ってくる…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 19:17:49.39 ID:k/MeIZXd0<> なんつーか、アレだ。オリキャラの名前は>>1が勝手に決めてくれるとありがたい。こういう結果だと、わずかとはいえSGが濁る。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/17(火) 22:23:20.98 ID:KnYcKTMx0<> >>446-448
了解しました
以降はオリキャラの名前はこちらの独断で決めようと思います
今回は色々とお騒がせしました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>saga<>2012/01/17(火) 22:36:30.29 ID:KnYcKTMx0<> それでは本編再開します
ついでに、前回登場したオリジナル使い魔に関する魔女図鑑もどうぞ


【魔女図鑑】

求道の魔女(未登場)
その性質は自問自答。
この世界のありとあらゆる物事や存在について考えており、その真理の追求に余念がない。
しかし、自身の打ち立てた仮説を検証してくれる存在がいないため、結局答えには巡り着くことができない。
この魔女と相対する場合は、難しいことは一切考えなければ楽に対処することができるだろう。


求道の魔女の手下
その役割は直進。
求道の魔女が求める答えに向かってただひたすら進み続ける。
ただし、求道の魔女自身答えに巡り着いていないため、結局自身も答えには巡り着けない。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/17(火) 23:08:16.05 ID:KnYcKTMx0<> 〜???〜


 わたしは、黙って『ソレ』を受け取った。

 視界が歪んで『ソレ』が何なのかよく確認できない。
 どうやら、わたしは泣いているようだ。


「泣くな――」


 眼の前にいる、彼女はわたしに向かってそう言った。

「初めからこうなる運命だったんだ。今更拒んだりもしないさ」

 彼女はそう言ってわたしに笑ってみせる。


 ――だからって、こんな運命は酷過ぎる。
 こうなることがわかっていたなら、せめて最後の最後まで足掻いたっていいじゃないか。


「――そう思っているのなら、お前は私のようには絶対になるな」

「!?」

 わたしの心を見透かしたかのように、彼女がわたしの目を見ながらそう言った。

「お前はまだ選ぶことができる。私のようにならずに引き返すことだってできる――」

 だが、と言って一呼吸おいた後、彼女は再び口を開く。

「お前がこの先どのような道を選ぶか、どのような未来を望むかはそれこそお前自身が決めるものだ」

「…………」

「後々になって悔いを残すような真似だけはしちゃ駄目だ。どんな選択をしても、最後まで前に進み続けようとする生き方ができれば――」


 それはきっと『本当の奇跡』だって引き起こせる力にだってなるはずさ――


 そう言ったのを最後に、彼女はわたしの目の前から――この世界からいなくなってしまった。
 どこかへ行ってしまったのだ。

 ――そう。本当に『どこか』へ――
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/17(火) 23:23:44.34 ID:KnYcKTMx0<> 〜あなたの自室〜


 ――目覚めた心は走りだした、未来を描くため……♪

「ん――」

 耳元から聞こえる携帯電話の着信音で、わたしは目を覚ました。

 わたしは、ゆっくりと伸ばした右手で携帯電話を掴むと、セットしていたアラームの機能をオフにする。

「ん〜……。朝か〜……」

 オフになったことを確認すると、わたしはゆっくりとかけていた布団をめくり、ベッドから起き上がった。


 昨日は、あれから佐倉さんと一緒に再び街で魔女探しを行ったが、結局魔女や使い魔は見つからず、探索はお開きとなった。
 桜さんとも現地で別れてしまったため、今はどこにいるのかはわからない。
 少なくとも、夜になればまた街で会えると思うが――


「――まぁ、今はそんなことは大して考えなくてもいいか」

 とりあえず、起きたのだから顔を洗って朝食にしよう。
 今日も学校はあるのだから――

 そう思いながら、部屋を出ようとしたところで――


 ――コンコン。


「ん――?」

 背後から物音がした。
 聞こえてきた音からして、誰かが窓ガラスを叩いているようだ。

(やれやれ、ここ2階なんだけどな……)

 わたしはそう思いながら後ろに振り返る。
 朝っぱら――それもこちらの寝起き早々――からこんな真似をするのは、おそらく――


 ◆選択肢

   1:「みずき(友人A)でしょ?」
   2:「佐倉さんでしょ?」
   3:「キュゥべえでしょ?」

       安価>>453-457 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 23:26:50.43 ID:ii+Nn6l9o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 23:27:05.35 ID:OnaHF8Z6o<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/17(火) 23:27:15.27 ID:2xawRef7o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/17(火) 23:27:46.24 ID:97v4PfhAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 23:28:20.07 ID:rH0/deOm0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/17(火) 23:28:29.39 ID:FIZj1xAO0<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/17(火) 23:49:15.73 ID:KnYcKTMx0<> 「佐倉さんでしょ?」

 わたしはそう言いながら窓の方に目を向ける。


      , --x、__/:/__`ゝァ-.、
       ,-ァ-ヾヽ:!/:::::::::::`フ ヽ┘
     //::::;>'  ̄ ̄`>x!: ヽ.ヽ、
    , '-┐/;-- : : : :へ、 : ヘヾヽヾ 、
.   /  ,'~: :i : : : : ハ: : : : ヽ : : :ヽ.、 .i
.  , '   .i ; ̄:!: : : :i  ヾヽ : i 、: : : :i .|
. /.   ,イ:i: : :ト.、 ト|  ヽ,x: 」 ヽ : : | .|
.ヽ   ./ | |: : :ト ‐十   ' ,x‐ミァ.i: :!:i  |
. \   ヽ!: : :i.x‐ァミ    r'z.} |: |イ |
   ヽ   `ヽ: ヽ弋zi  .   ''' ノ!'ノ .|
    \ ∨ Lヾ、'''  、 ノ  .イ  | !
     ヽ .ヽ  >-  __ .イ ヽ  !i
      \.ヽ   |  i-、 ,-i  i  i|
.        トヽ  ヽ  ヽ  |  /   |、
.        |:`:i   ` 、ヽ7./   .iハ
        , : : !     ` i:!'     |:ム
       / : 八       i      i: :ヽ
.      /: : : : :ヽ      .|     .|: : ム、


杏子『ふ〜ん。わかるんだ』

 テレパシーでそう言いながら、窓の縁を掴みゆっくりと降りてくる佐倉さんの姿が窓の外に映る。

『そりゃあ、昨日の今日だもの。来るとしたらキミかキュゥべえくらいでしょ――』

 呆れながら、わたしは窓を開けて、佐倉さんを部屋の中に招き入れる。
 さすがにこのまま外にいられるのは、周りの家から目立ちすぎるし――

杏子「悪いな。ちょっと邪魔するよ」

「靴脱いでよ?」

杏子「わかってるさ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 00:05:03.77 ID:uUJG1AmR0<> 「――それにしても、よくわたしの家わかったね?」

杏子「この辺りから微かにアンタの魔力を感じたからね。それを頼りに探していたら結構すぐに見つかったよ」

「ソウルジェムって、魔法少女の魔力も探知できるんだ――」

 それは知らなかった、後々役に立つ時も来るかもしれないし、覚えておこう。

杏子「魔力も魔法少女や魔女や使い魔によって各々波長とかそういうのが違うみたいからね。それを覚えちまえば探すのは結構楽なもんさ」

「さすが長年使い魔を完全放置していただけのことはあるねぇ……」

 わたしはニヤリと笑いながら意地悪そうにそう言ってみる。
 こっちは寝起き早々、人の家に上がり込まれたのだ。これくらい嫌味は言わせてくれてもいいだろう。

杏子「う、うるせぇな……。これからは使い魔だって倒せる時だけはちゃんと倒してやるから、そう人の弱みに浸け込むようなこと言うなよ」

「失敬失敬。起きたばかりなんで、まだちょっと頭が完全に回っていないみたいでね〜」

 わたしは「してやったり」という顔をしながら、一度部屋を出た。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 00:27:41.98 ID:uUJG1AmR0<>  一度部屋を出て、洗面所で顔を洗い、既に朝食の準備を始めていた母に朝の挨拶を済ませると、わたしは自室に戻った。

 ――母の様子などから、どうやら父は昨日は帰ってこなかったようだ。
 先日帰ってきた時も「最近やたら仕事が多くて忙しい」って言っていたしな〜。
 おっと、話が反れた。

「――それで、一体何の用?」

 自室に戻ったわたしは、早速佐倉さんに家にやって来た理由を問い質す。

杏子「あぁ。実は昨日、アンタと別れた後も街をちょっくらぶらついていたんだけどさ」

「うん」

杏子「――そしたら、そこでキュゥべえの奴を見かけたんだよ」

「キュゥべえを?」

 思わず声に出してしまったわたしに対して、佐倉さんは黙って頷く。

杏子「本当にチラリと見かけただけだったから、声かけることはできなかったけど――あれからアンタの所には来なかったかい?」

「うん――来てないけど……」

杏子「そうか。――ったく。こっちは命懸けで魔女退治してやってるっていうのに、アイツは呑気に夜の街でナンパたぁ良いご身分だよな」

「な、ナンパって……」

 佐倉さんのその言葉に、思わず夜の街で女の子をナンパするキュゥべえ――何故か八頭身のチャラ男な姿――を想像してしまう。


キュゥべえ(八頭身チャラ男)『ヘ〜イ、そこのカワッウィ〜子猫ちゃん達! 僕と契約して魔法少女やってみな〜い!?』

 そう言いながら、サムズアップ&ウインクしてみせるキュゥべえ(八頭身チャラ男)――

 ――これはひどい。


「……だけど、それがどうかしたの?」

杏子「いやさ、使い終わったグリーフシードをそろそろ処分して欲しいと思ったんだけどね……」

「グリーフシードを処分?」

???『そうだよ』

「――!?」

 不意に頭の中に響く、聞き覚えのある無垢な少年染みた声。
 振り返ると、そこにいたのは言わずもがな―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 01:35:01.94 ID:uUJG1AmR0<>                  ハ 、
                   ': :ヽ'                , イ
                  /: : : :| ’               / /|
               j: : : : :| ヽ __      ./ /: :|
                厶-‐        ̄  、/ /: : : : :|
               , '                 \: : :|
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.           /  /                   、 \
        /   /   ,-==-、         ___    i   \
       /     ,                   ' ⌒ヽ   |   ヽ
        /     i                     |     ヘ
.       /       、                       j       ハ
.     /       ヽ      `ー' ー '          ,イ
    /        / `  _                 / .|         ’
.   /         j     ンー‐        r‐ '    |        i
    ,            l      /            l        |        |
.   i         ,     / 、        |        |        |
== |            i    ,   ヘ      /. |       |        |
- __l            |     i    i    /   |      |        |ニ====-   、
`.ー-ミュ、        .|ミ、  |   |   /    ヽ、  r‐''ニ|        | _ - ‐ ' _ノ


キュゥべえ『おはよう、真弓。それに杏子も』

 ――キュゥべえだ。
 一体いつからそこにいたのか、気がつけば先ほどまでわたしが寝ていたベッドの上に、そいつはちょこんと座っていた。

 そういえば、佐倉さんがいつでも外に出られるようにと窓を開けっ放しにしていたのを思い出した。
 ――ベッド汚していないだろうな、このマスコット型営業マン。


 ちなみに、『真弓』というのはわたしの名前。
 柚葉真弓(ゆずはまゆみ)。それがわたしの名だ。

 たまに、本当にたま〜にだが、「どっちが苗字で、どっちが名前かわからなくなりそうな名前だね」と冗談半分で言われる時がある。
 初めてそう言われたのは、確か人生最初の英語の授業で自身の名を英語で書いた際、隣の席の子にスペルが間違っていないかチェックしてもらった時だったと思う。


 ――話を戻す。


キュゥべえ『魔力の回復に使った後でも、グリーフシードは周囲の穢れを吸い続けるんだ。まぁ、当然だよね。元々そういうものなんだから』

杏子「だから使い終わったグリーフシードはコイツに処理してもらうのさ。放っておくと、孵化してまた魔女が産まれちまうからな」

「――キュゥべえってそんなこともできるんだ」

キュゥべえ『それも僕の役目のひとつだからね』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 01:38:17.42 ID:EqvtXsA00<> キュゥべえが…キュゥべえがかわいい <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 01:52:44.14 ID:uUJG1AmR0<>  ――この白い不思議生命体、小さい体のくせして一体いくつ役目を背負っているんだろう。

「――!」

 などと考えていたら、ふとわたしの頭の中でひとつの悪知恵が閃いた。

「――あ。でも考えてみたらさ、手に入れたグリーフシードをわざと孵化させて、それで産まれた魔女をもう一度倒せば、グリーフシード取り放題じゃない?」

杏子「あ〜……。それ無駄だぞ」

キュゥべえ『うん。無駄だね』

「えっ?」

 わたしの悪知恵は、あっさり目の前の1人と1匹に否定された。
 そんな――我ながらなかなかの妙案だと思ったのに――!

 ――いや、魔法少女としては新米のわたしが思いつけるような悪知恵だから、既に誰かが同じようなことを考えていてもおかしくはないか――

キュゥべえ『前も言ったけど、グリーフシードは魔女を倒すと“落とす時がある”ってだけで、“必ず落とす”とは限らないんだ』

杏子「魔法少女達の間じゃ、グリーフシードは魔女が人間や魔法少女を食った際に体内で作っているんじゃないかって言われてる」

 あたしが魔女しか狙わなかったのは、そういった理由もあるからなのさ、と付け加えながら、佐倉さんはポケットから黒い宝石状のものを取り出す。
 もはやいう必要はないが、グリーフシードだ。

杏子「ほらよ」

 佐倉さんがキュゥべえに向かってグリーフシードをポイっと下手投げで放る。
 キュゥべえはそれをしっぽの先で受け止めると、次に自身の頭の上へと運んだ。

 やがて、頭上でグリーフシードを左右に転がしながらバランスをとると、自身の背中の方へとひょいっと放り――

キュゥべえ『きゅっぷい……!』

「!?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 02:17:57.52 ID:uUJG1AmR0<>
 ――それは、一瞬の出来事だった。

 突然キュゥべえの背中にある赤い模様が光ったと思うと、次の瞬間その模様の部分が開いて『穴』のようなものが生まれ、グリーフシードはそこに吸い込まれるように落ちていったのだ。

 ――気がついた時には、既にキュゥべえの背中は普段通りの赤い模様に戻っていた。


キュゥべえ『これでもう大丈夫』

「…………」

 ――これって『処理』というか、むしろ『食べた』と表現したほうが正しいのではなかろうか?
 実際、ゲップっぽい仕草していたし――

 いや、『体内処理』と考えたら、確かに間違ってはいないかもしれないけど、正直あんなもの食べて大丈夫なんだろうか?
 仮にもアレって魔女の卵なんだし――

キュゥべえ『? どうしたんだい?』

杏子「あ〜……。まぁ、誰だって最初は驚くよな。あたしも最初見た時は驚いたし……」

 たぶん、わたしは今狐につままれたような顔をしていたのだろう。
 わたしの顔を見たキュゥべえが、「何故そんな顔をするのか?」とでも言いたげに頭の上にハテナマークを浮かべていた。
 対して佐倉さんは、わたしが何を考えていたのか理解してくれたのか、わたしの肩にポンと手を置いた。

 そりゃあ、こんなポ●モンみたいな外見をした不思議生命体に、『MTG』とかに登場するクリーチャー染みた生態があったなんて誰も思わないでしょ、普通――?
 もうちょっとマシな処理方法は思いつかなかったんだろうか。
 仮にもキミ、魔法少女のマスコットなんだから。

 ――え? 野生のピ●ョンはタ●タマを捕食するって初代の図鑑に書いてあった?
 知らんがな。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 02:32:36.73 ID:uUJG1AmR0<> 〜自宅外〜


「行ってきます。――ゴメン、待たせた?」

杏子「いんや、問題ない。あたしも朝メシ調達できたしさ」

 あの後、わたしは朝食と学校へ行く準備のために一度佐倉さんを家の外へ出した。
 その間に佐倉さんも自身の朝食を済ませてくると言っていたため、結局その場は一度解散となったのだ。

 佐倉さんの手にはコンビニ袋と、そこに入った串揚げやフライドチキンなどが、美味しそうに湯気と香りを周囲に放っていた。

 ――と、ここであることに気がつく。

「――あれ? 佐倉さん、キュゥべえは?」

杏子「は? お前と一緒じゃないのか?」

「ううん。あそこで一度解散した後、自分の部屋を出た時にはいなかったから、わたしてっきり佐倉さんと一緒に外に行ったのかと――」

 そう。またキュゥべえがいなくなったていたのだ。
 というか、本当に自分勝手かつ自由気ままな生き方し過ぎでしょ、あの契約マスコット型クリーチャー……

杏子「またか――。まぁいいや、とりあえず行こうか?」

「うん」

 こうしてわたしたちは2人で中学校へと向かうことになった。
 もちろん、うちの学校の生徒ではない佐倉さんがついて来るのは校門の前辺りまでだが―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 03:07:44.20 ID:uUJG1AmR0<> 〜通学路〜


「――それで、当面の間はどうする?」

 ある程度歩いたところで、わたしは隣でフライドチキンにかぶりつきながら歩いている佐倉さんに、今後の予定を聞いてみた。
 もちろん、その内容は魔女退治に関することである。

 周りに他の人がいる可能性も考慮して、極力『魔女』や『使い魔』など魔法少女に関する言葉は出さないように注意しつつ話す。
 こういう場合、テレパシーを使うのが一番手っ取り早いのだが、やはりわたしたちも人間である以上、非常時以外の会話は普通に口を使って言葉を交わしたいものなのだ。

杏子「まぁ、やることは対して変わらないさ。昨日みたいに、日が暮れてきたら街を歩いて探せばいい」

「当然2人でだよね?」

杏子「ま。一緒に『正義の味方』の真似事するって約束だしな……。いいよ、2人一緒で」

「そうこなくっちゃ」

杏子「それに、共犯がいてくれたほうがあたしとしても万が一の時は助かるしな」

「共犯?」

杏子『あ〜言うの忘れていたけど、あたしが普段食っている食い物や菓子とか、持ち歩いている金とか基本的に全部盗品なんだわ』

「ブッ――!」

 佐倉さんがいきなり暴露した衝撃的な真実に、わたしは思わずその場で吹き出してしまった。
 ちゃっかり今の話だけテレパシーで送ってきたあたり、狙って言ってきたフシもある。

杏子『あぁ、安心しな。今食っているもんはちゃんと店で買ってきたやつだ。使った金はヤミ金会社の金庫からパクってきた盗品だけどな』

 ニヤニヤと笑いながらこちらに目を向ける佐倉さん。

 ――何だろう。RPGで最初に仲間にしたのが戦士や僧侶とかじゃなくて盗賊だった時の勇者ってこんな気分なのかな?

杏子『昨日あたしがやった菓子受け取った以上、まさか今更解消するなんてこたぁないよな?』

 意地悪な笑みを浮かべながら、佐倉さんが肩に腕を回してきた。


 今更、仲間を解消する気はないが、まさか佐倉さんが窃盗常習犯だったなんて――

 嗚呼、ごめんなさい、お父さん、お母さん――。
 そして、おじいちゃん、おばあちゃん、ご先祖様――真弓はお家の地を汚してしまいました。
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 03:10:05.51 ID:uUJG1AmR0<> ぎゃー! 誤字ったー!

【誤字修正】
>>467
× そして、おじいちゃん、おばあちゃん、ご先祖様――真弓はお家の地を汚してしまいました。

○ そして、おじいちゃん、おばあちゃん、ご先祖様――真弓はお家の血を汚してしまいました。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 03:40:08.87 ID:uUJG1AmR0<> 「……まぁ、今更佐倉さんに生き方を変えろとは言わないよ。その代わり、ちゃんと使い魔とは戦える時は戦ってね?」

 わたしは諦めたような表情を浮かべながら、隣の佐倉さんの顔に目を向ける。

 ――何故だろう。今の一言で身体中から一気に力が抜けたような気がする。

 ――おめでとう。これでわたしも立派な犯罪者の仲間入りだ!
 ついでに、頭の中でわたしの中の悪魔からそんな言葉を送られたような気がした。

杏子「あぁ。任せといてよ。――しかし、アンタってよくわからない奴だけど、物わかりはいいから助かるよ」

 あぁ、そうですか――ん?

「あれは――」

杏子「あん?」


 ふと、目の前を見ると、一台のマウンテンバイクがこちらに向かって走ってくるのが見えた。
 それに乗っているのは、わたしたちと同年代の1人の長い髪の女の子――

 そして、その女の子が着ているのは、この辺りの女の子なら誰もが一度は憧れるあの『白女』の制服――

 あれは間違いなく――


「椿姫だ!」

杏子「ツバキ?」

 わたしは、そう確信するやいなや、そのマウンテンバイクへと走り寄った。


「椿姫!」

???「!? 危ない!」

「えっ?」


 キキーッ!

 ――ドンッ!


「ふぐうっ!?」

???「あちゃ〜……」


 マウンテンバイクに乗っていた子は前を見ていなかったのか、わたしが目の前のかなり近くまで走り寄ってきた瞬間にブレーキを切った。
 そのため、わたしは急ブレーキをかけたマウンテンバイクの前輪と正面衝突するハメになった。

 数センチほど後方に吹っ飛んだ後、前輪と衝突した脇腹を押さえながら倒れ伏すわたし――

 ――正直、昨日戦った使い魔の体当たりを食らうよりも痛い。
 実際は使い魔からは食らっていないけど、まぁ、それだけ痛いってことだ。
 肉体的な意味でも、精神的な意味でも――

 だってマウンテンバイクに乗っていたのは紛れも無く――


椿姫「ちょっとアナタ、大丈夫!? ――って、真弓じゃないの!?」

「や、やぁ……。椿姫、久しぶり……」


 わたしの幼なじみで親友の社椿姫(やしろつばき)、その人だったのだから。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 03:50:40.48 ID:uUJG1AmR0<> 杏子「アンタ、こいつの知り合いかい?」

椿姫「え、えぇ……」

 大慌てでわたしに駆け寄ってきた椿姫の前に、佐倉さんが立つ。

杏子「そうか。それならさっさと行きな。こいつなら大丈夫だからさ」

椿姫「そ、そう? ……ま、まぁ、そうね。真弓ならこの程度で死にはしないでしょう」

 おいィ!?
 何、被害者そっちのけで話進めているわけ!?
 お巡りさん、ここに窃盗の常習犯と前方不注意で事故起こした人がいます!

「か、勝手に話を進めるな……!」

 そう言いながら、わたしは脇腹を押さえながらヨロヨロと立ち上がる。

杏子『大丈夫だよ。あたしら魔法少女なんだから、普通の人間よりも結構身体丈夫になってんの』

「えっ?」

 突然テレパシーで告げられた事実に、思わず佐倉さんの方を見る。

 ――言われてみれば、押さえている脇腹からはもう痛みも感じないような。

「…………」


 ◆選択肢

   1:脇腹をさすってみる
   2:脇腹を叩いてみる
   3:脇腹を殴ってみる

       安価>>471-475 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/18(水) 03:59:06.30 ID:ggnKRfu8o<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 07:07:43.72 ID:J+7gqg2lo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 07:33:40.87 ID:DDTJM8jM0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 07:43:05.13 ID:bbFsXYjOo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 07:54:00.04 ID:tiJob54IO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)<>sage<>2012/01/18(水) 08:16:27.71 ID:SWUW+SsLo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 13:14:27.22 ID:uUJG1AmR0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:脇腹を叩いてみる
   2:脇腹を殴ってみる

       安価>>478-480 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 13:18:39.75 ID:bbFsXYjOo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/18(水) 13:18:47.92 ID:lYyQiSgAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/01/18(水) 13:21:10.10 ID:NIMLifq20<> 2
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 14:21:08.98 ID:uUJG1AmR0<>  ――というわけで、わたしは本当にもう痛みは消えたのか確かめるべく、脇腹を殴ってみた。

 それも、全力で。


 バキャッ!


「ドゥブッハァ!!」

 ――痛かった。めっちゃ痛かった。

「痛いじゃないか、バカー!」

杏子「そんだけ力入れて殴ったら当たり前だ、バカ!」

 佐倉さんに対して「この嘘つきー!」とテレパシーを送りながら、わたしは涙目で抗議した。

椿姫「……プッ! ぷはははは……!」

「?」

杏子「?」

椿姫「はははは……! も、もう……。真弓、アナタって本当に相変わらずよね……! 見ていて飽きないと言うか……!」

 気がつけば、椿姫がお腹を抱えて大笑いしていた。
 『他人の不幸は蜜の味』というが、そこまで笑いますか、普通――


椿姫「――それにしても、本当に久しぶりね真弓。最後に直接会ったのは何週間ぶりかしら?」

「う〜ん……。確か半月くらい前じゃなかった?」

 気がつけば、わたしは脇腹の痛みなど完全に忘れて、親友とのお喋りに思考をシフトしていた。
 実際、佐倉さんが言った通り魔法少女は身体が結構丈夫になっているのか、もう脇腹からは痛みは感じなかった。

 ――でも、心配だから学校に言ったら保健室に行っておこう。

椿姫「確かあなたの友達も含んで3人で見滝原のショッピングモールに行ったのよね。……ところで」

杏子「ん?」

 椿姫が佐倉さんの方へ目を向ける。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 14:47:32.28 ID:uUJG1AmR0<> 椿姫「こちらの子は? あの時一緒にいた子とはどう見ても別人だけど――」

「あぁ、そちらは佐倉杏子さん」

椿姫「そう……。はじめまして、真弓の親友の社椿姫です。よろしくね、杏子――さん?」

 そう言いながら、椿姫は佐倉さんに右手を差し出す。

 今の椿姫の発言。最後にちょっと間があったな。
 おそらく、佐倉さんの雰囲気から、自分よりも歳上なのかもしれないと思ったのだろう。
 実際、普段の彼女は同年代の子は名前を呼び捨てで呼ぶ。

 ――考えてみたら、わたしもまだ佐倉さんのことは名前ではなく苗字で呼んでいる。
 佐倉さんの実際の年齢って、そういえば幾つなんだろう?

杏子「ン――。よろしく」

 佐倉さんは椿姫に対して軽く右手を挙げただけで、椿姫の手は握らなかった。

 そんな佐倉さんの様子を見た椿姫は、苦笑いを浮かべながらわたしの方を見た。

椿姫「う〜ん……。どうやら私、彼女のお気に召さなかったみたい」

 わたしは椿姫に苦笑いを返しながら、佐倉さんにテレパシーを送る。

『普通に握手すればよかったのに……』

杏子『あたしがそう易々とそんなことするタマに見えるかい?』

 それに、と付け加えて佐倉さんはテレパシーを続ける。

杏子『あたしと手を握っていいのは、本当にあたしみたいな生き方しかできない奴だけだよ』

 ――なるほど。
 要するに、これは佐倉さんなりの相手に対する気遣いなのだろう。

 佐倉さんは社会的にはバリバリの犯罪者だ。わたしもそれを知ったのは本当にさっきだが――
 そんな自分が、他人――それも普通の生活を送っている相手――と気易く握手をしていい人間なわけがないと佐倉さんは考えているんだろう。

 実際、同じ魔法少女であるわたしに対しても、差し出したのは手ではなくお菓子の袋だった。
 あれもたぶんそういうことだったのだろう。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 15:39:19.22 ID:uUJG1AmR0<> 椿姫「ところで、そっちは最近どう? 相変わらずのんびりと中学生活をエンジョイしているの?」

「う〜ん……。普段と変わらないといえば変わらないけど……」

 さすがに、「謎の白い生物と契約して、魔女という化け物と戦う魔法少女を始めたよ!」なんて言えない。
 正直、あんな一歩でも間違えたらSAN値直葬しそうな世界には椿姫は足を踏み入れないで欲しい。

 ――椿姫のキャラ的に、知ってしまったら、喜んで自分から飛び込んでいきそうだし……

 社椿姫・14歳。
 彼女は、同年代の普通の女の子よりも、ちょっと――本当にちょっとだが――思考及び嗜好がズレているのだ。
 良く言ってしまえば『天才的な思考回路の持ち主』。悪く言えば『生粋のバカ』。
 椿姫という人間を一言で表現するなら、そんな感じだ。

「そういう椿姫の方は?」

椿姫「私? 私自身は特に変わってないんだけどねぇ……」

「何かあったの?」

椿姫「ほら、最近政治関係のニュースでそこそこ話題になっているでしょ? ある政治家の汚職疑惑……」

「あぁ、あったねそんなの」

 わたし自身、あまり政治とかのニュースには興味はないのだが、インターネットをしている時とかにそんな話題を目にする。
 確か、どこかの政党に所属する議員が経費を不正改ざんしている疑いがあるとかで、マスコミや他の政党所属議員たちから絶賛バッシング中だとか――

椿姫「実はうちの学校、その疑惑が浮上している政治家の娘さんが通っているのよ」

 3年生なんだけどね、と付け加えて、椿姫は一度はぁとため息を吐いた。

「……政治家やお金持ちのご息女様方も通うお嬢様学校なんだし、そんなことよくあることじゃないの?」

椿姫「そうなのよね〜。私からしてみれば本当にその程度のことなんだけど……」

 後頭部をポリポリとかきながら、椿姫は話を続ける。

椿姫「でも、そのせいで今学校中が何かピリピリしちゃってんのよ。うちの学校って生徒だけじゃなくて教職員とかも政界や権力者と繋がりのある人多いから――」

 あぁ、なるほど――
 椿姫が言いたいことを簡単にまとめてしまえば、現在の白女は、まさに政界の縮図、もしくは政治家たちの代理戦場と化しているのだ。

 政治家や金持ちのお嬢様方や、そういった方々と繋がりのある教職員の皆々様は、揃って今回の渦中にある政治家を叩きまくっているのだろう。
 それも、その疑惑の目が向けられている政治家本人を直接叫弾するのではなく、その娘である3年生の生徒をバッシングするという間接的な方法で――

「――でも、それって学校規模による生徒個人へのいじめじゃない?」

椿姫「そうなんだけど、白女みたいな学校では昔からこういうことがあったみたいなのよ。マスコミ関係者とも繋がりがある人が多いから表向きニュースとかで報道はされていないだけで……」

 ――マスゴミめ。

椿姫「だから私たち一般庶民出身の生徒は、ただ黙って見ているだけしかできないってわけよ。どんな形であれ、今回の政界の騒動が収まるまで、ね」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 16:12:11.81 ID:uUJG1AmR0<> 「――酷い話だね」

椿姫「そうよねぇ〜。こっちはまだ二十歳にもなってない子供だっていうのに、そんな早い時期から大人社会の暗部を見せつけられても正直困るわ〜」

 ――『暗部』か。
 考えてみたら、わたしや佐倉さんのような魔法少女の戦いも、この世界からしてみれば十分『暗部』だ。
 そういった点や、今の椿姫の発言からから改めて考えてみると、『魔法少女』という存在はどこかおかしいような気がする。
 アニメや漫画に登場する変身ヒーローや変身ヒロインの如く、大人が魔女と戦っても特におかしくはないんじゃなかろうか?

 子供――それもわたしたちのような女の子限定でなければならない、明確な理由があるんだろうか?
 キュゥべえなら何か知っているかもしれないけど――

「聞いてみたら聞いてみたで、また『白女の場所教えろ』とか言ってくるかもしれないしなぁ〜……」

椿姫「? 白女の場所がどうしたの?」

「!? い、いや、何でもない! そ、それより椿姫、そろそろ学校行ったほうがいいんじゃない……!?」

 時間、と付け加えながら、わたしは左腕を指差す。
 わたしはしていないが、椿姫はしている腕時計のことを表すジェスチャーだ。

 言われた椿姫は、はっとした顔をすると、すぐさま腕時計で現在の時刻を確認する。

椿姫「やっ、ヤバッ……! このままだと完全に遅刻する!」

 そう言いながら、椿姫は通学路の隅に駐めていた自身のマウンテンバイクに飛び乗った。

椿姫「ゴメンね〜真弓! 本当はもっと話したかったんだけど……!」

「あぁ、いいのいいの。無理矢理声かけたわたしも悪いんだし……」

 いや、アレは文字通り『体を張って止めた』と言うべきか?

椿姫「お詫びといっては何だけど、今日の夕方か夜にでもケータイで電話かメールするから! それじゃあね!」

 そう言って、わたしに対してシュタッと右手を挙げると、椿姫は前を向いてマウンテンバイクのペダルをこぎ始める。
 再び走り始める椿姫のマウンテンバイク。

 ――1分もしないうちに、椿姫とマウンテンバイクは、わたしの視界から遠ざかり見えなくなった。

杏子「……話は終わったみたいだね」

 椿姫の姿が見えなくなったのを確認すると、いつの間にか道路脇のフェンスに腰掛けていた佐倉さんが口を開いた。
 既にコンビニで買ってきたという食べ物は完食してしまったのか、その口には昨日わたしが彼女から貰ったものと同じチョコレート菓子が1本咥えられていた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 16:28:14.92 ID:uUJG1AmR0<>             ヽ-ゝ___::::::::::ヾ..-....< ̄ ̄ヽ--、
.             ` ─ゥ--、'  ̄ ̄ ̄ ̄ `. 、:::::::::∧
              _./_.: ;へ、: : : >、 : : : ∨:::::::::::ヽ、
            /:/ : : /: : : : : /: : :∨:、 : ∨:; - ヘ'
.           /: :/ : : : /: : :,': : :,イト: : : :∨`丶:V:ヽ: : :ヽ、--'
           / ;イ : : : /: : :/: : / |:| ヽ: : : i : : : : : : !: ヾ 、`ヽ 、__,
.          i:///: : : ;イ:-:/ト.、'  !' ヽ: :-:!、: :| : : :i: : ヽ  ̄ ̄
.          ソ.,イ: : : ハ: / i:./     ヾ、!: : :,': : : l: : : ∨
            ∧ : ∧ Y.う:ハヽ    'う::ハ|ヽ/ヽ,イ: :i: : :|
            ∧:/: :i 弋::::}     .{:::::ル', ノノ: :| : トi: :|
            /7乂人///      ///,ィ--' : : |: :ハ: !
___        /イ: : : : :>ェ  .>-- '  <: :|: : :|: : :i/  }'
─- 、`. . . 、__ ,>.': : : : ,─ ' ヽ./.i  ̄ i___: i: : /: : :|
    二ヽ 、: : : : : : ;  ヘ  ./ ./'    ゝゥ \ ̄!: :,
 ./: : : : : ̄ ̄,コ ̄ /  ヽ  ヽ ヽ、   /  / \
, ': : : ; ── '     ヽ ヽ `>   ̄`../  ̄ ̄  /ヽ
 ' /   ̄ ヽ iヘ  - 、 ヽ!      ̄`'──---- '   ヽ


「ゴメン。なんか完全に蚊帳の外にしていたみたいで……」

杏子「いいって。アンタは普段、普通に人間としての生活送っているんだから、それを楽しめるうちは十分楽しんどけ」

 軽く頭を下げたわたしに対して、佐倉さんはそう言って許してくれた。

「……そういえば、佐倉さんって学校には通っていないの?」

杏子「あぁ。もうここ2、3年は通ってない。魔法少女として魔女倒すこととか以外にも、その日の寝る所とかその日食う食い物とか探さなきゃいけないし……」

 またしても明かされた佐倉さんの衝撃の事実。
 ただ、最初に出会った時も佐倉さんは自身のことを『暇人』と言っていたし、昨日のゲームセンターでの出来事もあってか、今回はわたしはあまり驚かなかった。

 ――その前の犯罪歴暴露の方が何倍も驚いたからというのもあるが。

「…………」


 ◆選択肢

   1:「佐倉さんってホームレスなの?」
   2:「佐倉さんって家出娘なの?」
   3:「佐倉さんって歳幾つなの?」

       安価>>486-490 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/18(水) 16:52:34.29 ID:VhgGmNMAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 16:53:07.39 ID:LHimhfl1o<> 1で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 16:53:51.46 ID:bbFsXYjOo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/18(水) 16:56:26.38 ID:lYyQiSgAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 17:02:52.92 ID:DDTJM8jM0<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 17:09:34.83 ID:uUJG1AmR0<> そういえば、ドラマCDだと杏子がマミと一緒にいたのは本編開始の1年ほど前って設定だったのを思い出したので修正


【修正】
>>485
× 杏子「あぁ。もうここ2、3年は通ってない。魔法少女として魔女倒すこととか以外にも、その日の寝る所とかその日食う食い物とか探さなきゃいけないし……」

○ 杏子「あぁ。もうここ1年くらいは通ってない。魔法少女として魔女倒すこととか以外にも、その日の寝る所とかその日食う食い物とか探さなきゃいけないし……」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 17:11:03.24 ID:uUJG1AmR0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:「佐倉さんって家出娘なの?」
   2:「佐倉さんって歳幾つなの?」

       安価>>493-495 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 17:11:45.43 ID:DDTJM8jM0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 17:13:35.13 ID:9cr7dPlIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 17:16:47.34 ID:bbFsXYjOo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 17:18:49.16 ID:66oxIk5qo<> 1 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 17:37:43.45 ID:uUJG1AmR0<> 「佐倉さんって家出娘なの?」

 思わずそんな言葉が口からこぼれた。


                ヽ`_ - 、   , , '
              _ , - ニ>. ヽ /'_ , -‐‐‐ 、
        ヽ、_   ヽ:::::>-.....、:::::/ ' , -<`- .ヽ
          \`--、」____::`>. ,...------`..、`
           _ >        ヽ-- 、:::::::::::::::::::::`...、
        , ' ,_、   __        \::::::::::; ':: ̄、
     , イ.-‐/  `   ' ∨---┐     :ヽ::::/::::::  ヽ
  ,.-_二,   /.   ,/    .!:..  ∨    :::ヽ::::: ヾ 、.!
     ./  ,   イ  ,!   ∨:... :i     :::::∨  ∧.Y
    /./  i  / | .ハ    ∨::.. ::|  ∨  :::::::i |  i
    /,イ. ,イ ./ .| ./  ヽト、  ト、::..:|  .:::|  :::::::|. ト、 |
    i' .| :ハ .,' | /    ` ヽ:: .|丶::::| .::::| ,  :::::::|. |.ヽ |
    .ハ i从:厂`十-    ‐孑:ト‐‐十.::::レ‐、:::::/ | i |
     l :|∧`{''ぅ=x     xr,xテア' ::::/.'ク∨:/  | .| |
     .ト::|∧. 弋__}      {__ソ'::::;イ,/ / ' i:  |  Y
      | :|'. .i////     //////;イ∠ -':::   |:: | ./
      .Y  .>.,、    __     ' イ:|::|::::|::  トi: |
         ヽ リ≧- `_`   イ::::::::|::|::|::::|:: .| |:: |
         .`V:::/,-:|_」  __,ゝ--..、|::|::::|: .| |:: |
          ./,-'', .', イ , ヘ::ヽ:::::::::::_] ]:|: :| |: |
         .,イ.i / / 〉./ \, >-'  ̄   {:|:: | |: |
        //,|'/ / / ,   '        .|: .| |::|
       ./イ∧' {::>' '   __,..:::::-----、 .|: .| |.|
     , '  .レ' } / ' , - '         ヾ |: .| |'
    ./   / ∨ '       |  ./ ̄` 、|:: .乂


杏子「……似たようなもんかな。色々とワケあって、あたしには帰る場所がないのさ。戸籍上も表向きはもう死んだことになっていると思う」

「……そうなんだ……」

 わたしは軽率な発言だったと思い、佐倉さんに謝ろうとしたが、佐倉さんはそれを察したのか――

杏子「いや、いいんだ。アンタにはいずれ近いうちに話そうと思っていたし、気にしなくていい」

 そう言って、わたしの肩を軽くポンと叩いた。


 ――佐倉さんには何か色々と家庭的な事情があるんだろうと薄々感じてはいたけど、それはわたしが思っていた以上に複雑で重苦しいものなのかもしれない。

 ――佐倉さんが魔法少女になったことと何か関係があるんだろうか?
 ふと、そんなことが頭によぎったが、すぐに消えた。
 今の話も含んで、それはわたしの方から深入りしていいような内容の話ではないと思ったからだ。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 18:29:34.52 ID:uUJG1AmR0<> 〜中学校〜


 それから佐倉さんと今日の魔女探しについて話し合ったが、結局その詳細――どの辺りを巡察するかなど――までは決定しなかった。
 そのため、わたしは佐倉さんに「夕方になったらまたわたしの家に来て欲しい」と約束を取り付け、その場は別れた。

 そして今、わたしは無事に遅刻することなく学校に着いた。
 ――佐倉さんや椿姫と話をしていたため、昨日よりは若干遅い到着となったが。
 そういえば、椿姫は朝のホームルームまでには無事に学校に着けるのだろうか?


「――とりあえず、保健室行こう」

 教室に自身の鞄を置いた後、わたしはまず保健室へ向かった。
 理由はもちろん、先ほど椿姫のマウンテンバイクと衝突した脇腹の様子を確かめるためだ。
 佐倉さんは「魔法少女は身体が丈夫だから問題ない」って言っていたし、実際既に痛みは引いているけど、一応用心に越したことはない。

 わたしは保健室へ向かおうと廊下を歩いていると、見覚えのある影が目の前に姿を現した。

???「ハァイ、真弓! グッドモーニング!」

「あぁ、みずき、おはよう」

 みずきだ。
 昨日も学校の帰りに偶然出会ったが、こうして朝のホームルーム前の学校で会うというのも久々な気がする。


 久遠みずき(くおんみずき)。13歳。
 わたしの1年生の頃のクラスメイトで同級生。
 私語の際は、一部の言葉を英訳したり、一部アクセントを強調して話すという特徴的な喋り方をする。
 これは本人曰く「グランパ(おじいちゃん)の影響」らしい。

 といっても、みずきはクォーターというわけではない。
 言ってしまえば、彼女の祖父が――わたしがみずきから聞いた話から憶測した限りでは――相当な外国かぶれだったようだ。


みずき「トゥデイは、モーニングからどうしたノ? 少しフェイスのカラーが悪そうダヨ?」

「あ〜……。実はさっきここに来る途中、ちょっと脇腹を強打しちゃってね……」

みずき「オォウ……。それはベリー痛かっタだろうネ……」

 わたしの話を聞いたみずきが苦笑いを浮かべながら自分の脇腹をさする。
 どうやら、想像してしまったのだろう。

「そんなわけだから、一応保健室に行ってアザになっていないかくらいは確認しておこうかと……」

みずき「オーケーオーケー。それならミーもトゥギャザーするヨ〜?」

「え? 別にいいよ、自分の身体なんだから自分で面倒見れる……」

みずき「ノーノーノー、駄目ダメだめだって真弓、万が一の可能性だってナッシングってわけジャないんだかラ」

 それに、と付け加えて、みずきが目を光らせる。

 ――あれ? なんか、みずきの顔に邪悪な笑みが――

みずき「ミー、久しぶりに真弓のビューティフルなボディーを見てみたくなっちゃっタよ!」

「え!? ちょ!? おま――!?」

 こちらの声に耳も傾けず、みずきはわたしの手を取ると、一目散に保健室に向かって走りだした。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 18:30:16.54 ID:uUJG1AmR0<> 一旦ここで休憩します
続きは21:00くらいに <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 21:28:13.79 ID:uUJG1AmR0<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 22:16:28.69 ID:uUJG1AmR0<> 〜保健室〜


みずき「いや〜、久々にベリーナイスなモノをウォッチングさせテもらったヨ」

「あのねぇ……」


 ――あの後、わたしはみずきに引っ張られる形で保健室へとやって来た。

 そして、保健室に先生や他の生徒がいないということに気がついた瞬間――みずきの顔が再び邪悪な笑みに染まった。
 何故だろう。今回は先ほどよりも邪な欲望がむき出しになっているように見える――

みずき「真弓、お互い1時間目はサボタージュして、このままベッドの上でラブを確かめ合おうカ?」

「アホか」

 そう言いながら、わたしはみずきの顔にツッコミも兼ねたチョップを軽く叩き込んだ。

 こういうのも何だが、時々みずきの発言はどこまでが本気で、どこまでが冗談なのかわからない時がある。
 ――まさか、さすがに本気なわけないよね。うん。


 先生がいなかったので、わたしはシップだけ貼らせてもらって教室に戻ることにした。

 ――のだが、ここでみずきが「自分に貼らせてくれ」と物凄い勢いでせがんできたので、わたしはそれに根負けする形でお願いすることにした。
 この時、みずきが見せたガッツポーズが某世紀末覇者拳王の最期の姿――「我が生涯に一片の悔いなし」のアレ――のように見えたのはここだけの秘密だ。
 というか、そこまで喜ぶことか、普通?


 ――結局数分後、わたしは「やっぱり自分で貼ればよかった」と後悔することになる。


みずき「ハァ〜……! ハァ〜……!」

「ハァハァすんな!」


みずき「――そしテ、みずきの前デ徐々に露わになってイく自身の一糸まとワぬ姿ニ、真弓ハみずきニ対すル密かナ想いと欲望が溢れ出してクるのを感じ……」

「変なナレーション付けるな! あと、そんな想いも欲望もないわ!」


 ――そして、今に至るわけだ。


「うぅん……。やむを得ないとはいえ、シップの匂いって結構わかりやすいよね」

みずき「うん。ナイススメル」

 制服越しでも感じるシップの独特の薬品臭に、わたしとみずきは思わず顔をしかめる。
 まぁ、先ほども言ったが、用心に越したことはないので、午前中だけでも頑張って貼っておこう。

「それじゃあみずき、色々とありがとう。また後でね」

みずき「バーイ。ところで真弓、ユーが本当にその気になってくれるなら、ミーはいつでもウエルカムだからネ?」

「勝手に言っとれ」

 こうして、わたしは保健室を後にして、自身の教室に戻った。


 ――あれ?
 みずきの奴、まさか本当にあのまま1時間目の授業サボるつもりなのかな? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 22:46:45.87 ID:uUJG1AmR0<> 〜教室〜


 それから、特に何事もなく午前中の授業も終わり、昼休みになった。
 さて、今日はどこでお弁当を食べようか。
 わたしがそんなことを考えていると――

???『やぁ、真弓』

「ん――?」

 頭の中に聞き覚えのある声が響く。テレパシーだ。
 発信源はわたしの足元。

 そこに目を向けると、いたのはもちろん――

『キュゥべえ』

 そう。突然現れては突然いなくなっている、我らが魔法少女のマスコット兼ホワイトファンシークリチャー・キュゥべえであった。


                  ト、‐- 、              , - ―.ォ
                       |: \  \         / /: : :.|
                      l: : : ヽ  `   ̄ ̄  ´  /: : : : /
                  ': : /              \: : /
                     У ,               `く
                     / /                 ヘ ヽ
                 / /  γ::o,      γ::o,  ハ  ヽ
              ,、  /  i   ヽ::ノ        ヽ::ノ  .i  ヘ‐- 、__
              ヽ\,    、      、 _  ,      /   ヘイ/,> ,
                 ヾ_」   /\.      `´` ´     /ヘ   /イ     >、
              / ヾ,.、 λ  `ー‐ァ----  r一 '   入/"   i\       \
         __ /    `>く}ヘ    /     ヘ   /厶へ     \__   ヽ
     , -‐" =      /  `´    i       | /      \        =二ァ
      ̄フ二__二, _・ /           j       l'        `ー-`、_三――"   ’
          /  ̄          /   |  /   ヽ、            ̄     /
  , -、     /             / 、|  | ,    ├‐- 、                 |
  ({      ./                |  ヘ |.i  /  |   `              丿
  ヾー--‐' ´           ,> ' ̄ ̄|  ハ l.| {  .j                /
   `ー-  ___ > '       ヽ  i | |  ノ   人                /


キュゥべえ『ちょっといいかな? 話があるんだ』

『話? キミがわたしに?』

キュゥべえ『うん。だけど、ここだと誰かの目に留まる可能性がある。できれば人目がつかない場所に移動してくれないかな?』

『人目のつかない場所?』

 キュゥべえって基本魔法少女やその候補者にしか姿が見えないはずじゃ――?
 そんな疑問も微かに浮かんだが、あのキュゥべえがそこまで言ってきたということは、もしかしたら本当に重大な話なのかもしれない。

『わかった。じゃあ――』

 わたしはお弁当を片手に、キュゥべえを自身の肩の上に乗せると、教室を後にした。
 向かった場所は――


 ◆選択肢

   1:屋上
   2:校庭
   3:体育館裏

       安価>>503-507 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 22:47:14.24 ID:EqvtXsA00<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 22:47:32.04 ID:bbFsXYjOo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/18(水) 22:48:49.93 ID:lYyQiSgAO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/18(水) 22:49:30.68 ID:2Kx5FtcI0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/18(水) 23:05:25.52 ID:exTwiCPGo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/18(水) 23:05:29.49 ID:rmCzCq3Do<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/18(水) 23:48:41.23 ID:uUJG1AmR0<> 〜屋上〜


 キュゥべえと共に屋上にやってきたわたしは、キュゥべえから話を聞く前にまずはお弁当を食べることにした。
 『腹が減っては戦はできぬ』というやつだ。

 ――ある程度お弁当を食べ終わったところで、わたしはキュゥべえにテレパシーを送り本題に入る。

『――それで、話って何かな?』

キュゥべえ『真弓、君は確かこの街だけじゃなくて見滝原の地理にもある程度精通していたはずだよね?』

『そこまで詳細なところまではわからないけど――。それがどうかしたの?』

キュゥべえ『実は見滝原で少々厄介なことが起きてしまったんだ』

『厄介なこと?』

キュゥべえ『うん。見滝原でマミ以外の別の魔法少女が1人現れた』

『別の魔法少女……。それって、佐倉さんみたいに管轄しているエリアを頻繁に変えているっていうタイプの魔法少女のこと?』

キュゥべえ『いや違う。――実を言ってしまうと、僕はその魔法少女と契約した覚えはないんだ』

「は――?」

 思わず、声に出してしまう。
 幸い、屋上には現在わたしとキュゥべえ以外の姿はないため、その声は誰の耳にも入らなかったが。

『ちょっと待って、確か魔法少女ってキュゥべえと契約しないとなれないはずじゃ――』

キュゥべえ『そうなんだ。だけど、そのイレギュラーが魔法少女であることは間違いないんだ。実際にソウルジェムは保有していたし、そこから魔力の反応も確かに感じたからね』

「…………」


 キュゥべえが『イレギュラー』と表現した謎の魔法少女――

 本来ならキュゥべえと契約し、願いを叶えた者だけが持っているはずのソウルジェムを保有する者――

 正直言ってしまうと、わたしは魔法少女になってまだ日も浅い。
 魔法少女についてわからないことも、まだまだたくさんある。

 ――だが、それでもキュゥべえの言うその魔法少女のことは気にもなった。


キュゥべえ『そのイレギュラーは、僕にもどのようなスタンスで行動しているのか全くわからない。だから僕の方からうかつに接触もできないんだ』

『……つまり、見滝原の地理にある程度精通している魔法少女であるわたしに、そのイレギュラーを調べて欲しいってこと?』

キュゥべえ『君は察しが良くて助かるよ、真弓。その通りだ』

「…………」

 ――どうやら、この白いナマモノ、魔法少女の契約やグリーフシードの処理だけではなく、魔法少女の派遣なども役目としているようだ。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 00:08:57.87 ID:rBAVvuEi0<> キュゥべえ『もちろん、無償で行ってくれなんて言わないよ。君が見滝原に行ってくれるなら、その際に僕がそこの管轄であるマミに君のことを事前に紹介しておくよ』

 それなら、万が一の時に余計なトラブルが発生することもないだろう、とキュゥべえは付け加える。
 どこの斡旋所の職員だ、アンタは。

『――うん。まぁ、大体の事情は把握したよ。でも、今日は夕方から佐倉さんと一緒に街で魔女探しをする予定だから、見滝原には行けないよ?』

キュゥべえ『うん。僕としてもそれは構わない。見滝原に行く機会があったら、事前に僕に教えてくれればいい』

『わかった。――あ、そうだ、キュゥべえ』

キュゥべえ『なんだい?』

『そのイレギュラーっていう魔法少女の情報って何かないかな? 外見の特徴とか、名前とか……』

キュゥべえ『特徴と名前か――。外見上からして、年齢はおそらく君や杏子と同年代だろう。身長は君より若干低いかな?』

『ふむふむ……』

キュゥべえ『それと、髪が長いね。腰はおろか、太もものあたりまで伸びている黒髪だ』

『長くて黒い髪――』

キュゥべえ『そして、名前だけど――』

『うん』


                  _ ..-───
               .. ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::: へ.
               , ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\\
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           | :::::::イ!::::::::::::|::::::::.' !:::::ハ :::::i:::::|::::|::::i!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
              '. ::/ |::::::::::::::|__::/_|::/  _'_::ハ__j_: |::::i!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::\
               V::{f|::::::::::::::|:::/  j/    V V|:::从リ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::ヽ
            | :ゝ :::::::::::::|/弋ゥテ    ぅテ1!:ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ.:::::>
            | ::: | ::::::::::::|       .   八:::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<´  ̄__ __  ̄ ̄ >――ァァ−ァヽ′
              ゝ : | ::::::::::::|     _    イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 冫´ : : : : : : : : :>:´: : : : : :.//一'’二ヾ
               \ : ::::::::::|:>    _ r<:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::// : : : : :-‐‐r ´ |: : : : : : : //   ― 、j::
               \:::::::::ヽ: ̄/ー「:::::`ト┬「フ ⌒ヽ:::::::::::::::::::::::::::\ ⌒ 77: : :/: : / |   !: : : : : : ::{_{__ < ̄::::|
             <::::「ト、::::::::Vr了j― ┐::||    !::::::ト .._:::::::::::::::::`ーi i: : 7_: :イ   ヽ ヽ イ{´ ̄     ` ヽ:::::::|
              /   ヽ| !:{_ヽ::::::\¨「、 ̄ ::::||    !::::::|   −- _:::::::j_>   |  ⌒ゝ__>′         }::::ノ
              .′  |::::::¨:ヽ:::::::\iハ :::::::||   //| ::: |              ヽ   イ: : :/         /
           /      | !:::::::::::/>‐- ゝヽ::::||   .'/ i| ::: |                <: : : : :イ
             く\   |!:::::::://::>‐<| | V /  /イヽ |:::::ノ― - _          <_:_:_:_ イ::::|
          / \\  | |::/'/ // ⌒ヽ| |ヽ/  /、:::\/       >−-‐<:::::::::::::::::::: ヾ|:: ノ
            /    \\ / | |// !   | ト   /  \::: ー─── :::::::::/    ヽ:::::::::::::::::::/
          ′    |/\\  | |/    || ヽ′ |  ー─────        }::::::::::::::::::: !
          /      !  \  | |   !   ||     |                ノ:::::::::::::::::::ノ


キュゥべえ『暁美ほむら――それが、そのイレギュラーの名だ』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/19(木) 00:20:45.45 ID:rV+f0yaY0<> ほむほむがこの主人公を知ってるかで難易度が変わりそうだな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 00:24:07.01 ID:rBAVvuEi0<> 〜教室〜


 ――その後、午後の授業も終わって放課後となった。
 キュゥべえは昼休みが終わると、「僕は僕のことを必要としている女の子を探さないといけないから」と言って、またどこかへ行ってしまった。
 昨日や朝の時のように、何も言わずに急にいなくなってしまうよりはマシだが、本当に色々な意味で忙しそうな奴である。

「さて、佐倉さんを待たせちゃいけないし、今日は寄り道せずに真っ直ぐ帰ろう」

 わたしは自分の鞄を手に取ると、教室を後にした。

 家に帰った後は、佐倉さんと合流して夜の街へ赴き、昨日と同じく魔女探しだ。
 わたしのように、学生と魔法少女を兼任する者の人生においては、まさに『ここからが本番』だろう。
 なにせ、文字通り『命懸け』なのだから――


「――あれ?」

 校門を出て通学路を歩き、帰路についていたところで、わたしは見知った後ろ姿を見つけた。
 アレは――


 ◆選択肢

   1:みずき
   2:先輩
   3:椿姫

       安価>>512-516 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/19(木) 00:26:41.06 ID:2+F7/ptOo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/19(木) 00:27:01.56 ID:rV+f0yaY0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/19(木) 00:28:19.05 ID:3UU55JFV0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/19(木) 00:30:30.16 ID:vedt04M50<> 3
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 01:15:12.09 ID:rBAVvuEi0<>  意外! それは椿姫ッ!
 ――なんて、某奇妙な冒険のナレーション風に言ってみるが、目の前にいたのは確かに椿姫だった。

「お〜い、椿姫〜」

 後ろから声をかけてみる。
 すると、椿姫の方も気がついたのか、こちらに振り返った。

椿姫「あれっ!? 真弓じゃないの。アナタも今帰るところだったの?」

「うん。ところで、朝はあれから大丈夫だった? 遅刻したりとかは……?」

椿姫「あぁ、それなら大丈夫。何とか間に合ったわ。学校に着いた頃には髪や制服が風圧でグシャグシャになっていたけどね」

 苦笑いを浮かべながら、自身の長い髪をわざとくしゃくしゃと手でかき、当時の状況を説明する椿姫。

「それはそれは……。白女に通うお嬢様に相応しくない身だしなみの悪さですなぁ……」

 わたしは意地悪な笑みを浮かべながら、椿姫にそう言い返した。

椿姫「ハンッ! 髪なんか櫛やブラシでとかせば元通りだし、制服の乱れなんて教師や風紀委員の奴らにバレなきゃ問題ないわよ!」

「ですよねー」

 腕を組んで不敵に笑う椿姫に、わたしは相づちをうった。

「――ところで、何でこんな所に? 椿姫の家の場所的に、帰り道はこっちじゃないはずだけど……」

椿姫「あぁ、実は真弓に用があって、ちょうどアナタの家に行こうと思っていたのよ」

「え? わたしに?」

椿姫「そう。コレ見て」

 そう言った椿姫は、自身の鞄の中からある一冊の雑誌を取り出した。
 よくある10代後半から20代の若い女性向けの情報誌だ。わたしもたまに読む。

 椿姫が開いたのは、その雑誌のスイーツ特集のページだった。
 ページを開いた椿姫は、あるお店の紹介記事を指さす。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 02:00:07.63 ID:rBAVvuEi0<> 「なになに……『ビストロ・タチバナ』?」

 わたしは、記事の紹介文に目を通していく。

「看板メニュー『バケツパフェ』――って、デカッ!? 何コレ!?」

 その記事に載っていたのは、その名の通り、可愛らしいデザインをしたバケツを容器としたバカデカいパフェの写真だった。
 パフェと一緒に写真に写っている、店のマスターと思われる若い男性と比較してみても、その大きさは相当なものだ。

「――えぇと……。これがどうかしたの?」

椿姫「記事に載っている店の住所見てみなさいよ。アナタの家から結構近いでしょ?」

 言われた通り、記事に載っていた店の住所を確認する。
 ――この街とお隣のあすなろ市のちょうど境に位置する場所――あすなろ市の大型ショッピングセンター『BUY-LOT』の近くにこの店はあるようだ。

「あぁ、確かに――」

椿姫「今日は授業も早く終わったから、今朝のお詫びも兼ねて真弓にコレ奢ってあげようと思ってね!」

 そう言いながら椿姫はわたしに顔を近づけてウインクする。
 その時の椿姫は、わたしが彼女の幼なじみで、彼女という人間を詳しく知らなければ、おそらく同姓でも思わずドキッとしてしまいそうな、そんな美しさがあった。

 ――ただ、ここで気になることがひとつ。

「――もしかして、今から行くの?」

椿姫「当たり前でしょう? 早く行かないとお店も閉まっちゃうかもしれないし、夕飯時になったら混んじゃうかもしれないじゃない?」

「…………」

 さて、これは困った。親友である椿姫からのせっかくのお誘いだ。
 正直言って、そう易々と断りたくはない。

 ――が、今日はこれから家に帰った後、佐倉さんと一緒に魔女探しのパトロールをする約束がある。
 魔女と戦うという使命を課されている魔法少女として、こちらも疎かにすることはできない。

「う〜ん……」

 しばしの間、考える。

 ――そして数十秒後、考えた結果、「わたし1人の一存では決められない」という結論に達した。

「椿姫、悪いんだけど一度家に来てくれる?」

椿姫「えぇ、いいけど、どうして?」

「実は今日、他の子と先約があって、その子とは一度家で合流しようって約束なんだ」

椿姫「――もしかして、今朝真弓と一緒にいた赤い髪の子? 確か――」

「そう、佐倉さん」

椿姫「そうそう、杏子――さんね。わかったわ。それじゃあ一度真弓の家に行きましょう」

 こうして、わたしは椿姫と共に再び家路につくことになった。


 ――だけど、佐倉さんには何て説明しよう…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 02:49:13.97 ID:rBAVvuEi0<> 〜自宅〜


 それから10分ほどして、わたしは椿姫と家に帰ってきた。

「ただいま〜」

椿姫「お邪魔しま〜す」

 玄関を開けると、ちょうど夕飯の支度をしようとしていたところだったのか、母が台所から顔を出した。

真弓母「お帰りなさ――あら? 椿姫ちゃんじゃないの。お久しぶりね〜」

椿姫「どうも〜。お久しぶりです。いや〜、おばさんとこうして会うのって何ヶ月ぶりですかね〜?」

真弓母「あらあら。今日は一体どうしたの、こんな時間に?」

 ――そんなやり取りをしている母と椿姫をよそに、わたしは鞄を置いてこようと2階の自室へ向かう。

真弓母「あ。待って真弓ちゃん」

 ――が、2階へと続く階段を登ろうとしたところで、母に呼び止められる。

「? 何?」

真弓母「実は真弓ちゃんのお友達だって子が遊びに来ているわよ?」

「は――?」

真弓母「今ちょうど台所にいるんだけど――」


             ,/二ヽ_:V, -──-- 、::i \
          ,....<::::::::::::::;r.': ̄: : : : : : : : : :``<: ヽ、
          `ヾ、::::::::/:__: : / ̄ヽ-へ: : : ヽ: :\
            /:`i:::ム,/: : : : : : ,、: : ヽ:ヽ: : :ヽ: : ヽ 、ヽ
           ,/: : /7: /: : : : i: : / ヽ: ト:ヽ: ヽ: : :ヽ : ヽヾム
          ,/ /!i:/ / : |: : :|!: ,   ヾi `ム十: |、!: : :i.. `ヽ
         , '/ .!/ ;イ:/ | ;.-!十!‐  ヾ  .__V!: :i ,-Vム
        ノ '   ,//i ! : i: : :|__      う:::::i.}!: :}=^.V:ム
           /イ: : |,!、:|ヽ i'う::ヽ    弋:zノi: :,イ,ノ,ノ: :i
             ,: : : : :ヾ:! ヾ!弋zi      '''ノノ__,イi: : !
.            l: : :,: : ヽ`iヽ '''    , -┐ ' /: : :!,ハ:ノ
            , : :,イ: : 人:! ゝ   __- イ: : : : :/
           /: / | : /: : ` : : : : : : : |   |,.-v-.<__
.          // i: /: : : r─ ^<ヽ '    `ヽ` ┐ i 、
          /'   , /: : / /  ̄>xヽ ヽ--   'ヽ .i  ,∧
             /': : ノ: i  `ヽ `ヽヽ廴__,| ,} ,/ .ハ
           / //: : |.    ヽ , .\ヽ:::::::__i//V .ム
          /:/ / : r'-─-  Y     _/ .V~┐ .V ∧
        ,. .', '  ./ : /      ./ ,--'  ヽ,イ |  `┐! ム


杏子「おぉ、やっと帰ってきたのか。全く、おっせーんだよ」

「ブッ――!」

 母が言い終わる前に、なんと佐倉さんが台所からひょっこりと顔を出した。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 03:12:38.17 ID:rBAVvuEi0<> 「さ、佐倉さん、キミ何やってんの――!?」

 思わず佐倉さんに飛びついたわたしは、母に聞こえないように話しかける。

杏子「は? 何やってるって――朝アンタに言われた通り、お前の家に来てやったんじゃないか?」

「そうじゃなくて! 何で、人の家の中に堂々としてんの――!?」

杏子「ん〜? ――あぁ、心配すんなよ。アンタの部屋の窓から侵入したら、アンタの家族にもご近所にも迷惑になると思ったからちゃんと玄関から入ったさ」

「いやいや、そういう意味でもなくて――!」

杏子「? ちゃんと玄関のチャイム鳴らして、アンタのお母さんにも『アンタの仲間です』って説明して入れてもらったぞ? どこもおかしくないじゃないか?」

 もちろん、魔法少女に関することは一切口にしていないから安心しなよ、と佐倉さんは付け加えて得意気に笑った。

 だから、そういう問題でもなくて……!
 あぁ、もうっ――!

「お母さん、わたしが帰ってくるまでに佐倉さんをわたしの部屋に入れてないよね!? 家の中を物色とかされていないよね!?」

杏子「なッ――!? オイ、そりゃどーいう意味だ!? まるであたしがアンタの家に盗みに入ったみたいじゃないか!?」

 黙っとれ、窃盗常習犯!
 キミ実際、これまで何件もの家で盗み働いているだろーが!
 ぶっちゃけ、同じ魔法少女で家庭の事情とか少しでも聞いていなかったら、キミみたいな子はたとえ仲間でも家になんか入れんわ!

杏子「――!? な、何だと、テメー!」

 突然、佐倉さんがわたしに飛びかかってきた。

 え――!? ちょっと待って!
 わたし佐倉さんに対して怒らせるようなことはまだ何も言っていないんだけど――!?

杏子『テレパシーで聞こえていたんだよ!』

「!?」

 どうやら、テレパシーで聞こえていたらしい。

 ――ふと思ったが、こういう場合は何と表現すればいいんだろう。
 『口がすべった』では、口は使っていないから間違っているだろうし――

 『テレパシーがすべった』?
 いや、『テレパシーが漏れた』が言葉としては一番妥当かな?
 どことなく、電波っぽいけど――


 ギャー! ぎゃー!
 ワー! わー!


椿姫「――な、何か、2人して突然取っ組み合い始めちゃいましたけど……?」

真弓母「…………」


真弓母「――仲が良いわねぇ……」


「どこが――!?」

杏子「どう見たら――!?」

 母の発言に対して、わたしと佐倉さんがツッコミを入れたのは、ほぼ同時だった。


椿姫「ハハハ……。おばさんってホント天然だよね……」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/19(木) 03:14:35.92 ID:rBAVvuEi0<> ここで一旦休憩します
続きは今夜22:00以降を予定しております
(>>1アルバイトのため)

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/19(木) 03:32:32.29 ID:2NRJJumgo<> 乙なんだよ

ほむほむ登場も近いかな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 00:05:47.41 ID:r99MFtuf0<> 再開します


コンビニで買った缶コーンポタージュ飲んだら中が腐ってたみたいで、色が黄色じゃなくて何か茶色っぽかった……orz
味も結構変だったし、さっきから胃がムカムカする……
絶望とは本当に身近な所にあるんだなぁと再認識……w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/20(金) 00:47:02.22 ID:eFyMvw21o<> 大丈夫かよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 01:07:52.22 ID:x6/i5+cYo<> 無理すんなよ。品質管理を怠るとは、何たる店だ。 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 01:09:12.47 ID:r99MFtuf0<> 〜自室〜


「――とまぁ、そういうわけなんだ」

 取っ組み合いが収まって一息ついた後、わたしは椿姫と佐倉さんを自室に招き入れた。
 そして部屋に入ると、まず最初に佐倉さんに先ほどまで椿姫と話していたことを伝える。

杏子『アンタなぁ……。昨日せっかくコンビ結成したっていうのに、いきなり活動初日からサボってどーすんのさ?』

『いやぁ〜……。話の内容的にも何か断りづらかったし、無理に断ったらかえって怪しまれるかなと思って……』


杏子「ったく――。アンタ、友達の誘いはどんな内容でもすぐには断れないタイプだろ?」

「う〜ん……。そうかも……」

 佐倉さんに対して、わたしは苦笑いを浮かべる。

 今現在、この場には椿姫もいるため、魔法少女に関する話はテレパシーで行い、それ以外の会話は普通に口頭で行なっている。
 口による普通の会話と、テレパシーによる会話のほぼ同時進行というのは、結構な労力がいる。
 どちらも、話す内容を頭の中で思考して行うからだ。
 今ほど某型月世界の錬金術師のような高速思考があればと思ったことはない。

椿姫「ごめんなさい。そっちに先約があったことも知らなかったから――」

杏子「いや、アンタは悪くないよ。むしろ、当然のことをしていると思う。相手が親友だっていうなら尚更さ」

椿姫「そ、そう?」

杏子「そうさ。――ところで、アンタはどうしたいんだ?」

 佐倉さんが再びわたしの方を見る。

「わたし?」

杏子「アンタ以外に他に誰がいるんだよ? ――あたしは、今回はこいつのお言葉に甘えてもいいんじゃないかって思う」

「――いいの?」

 わたしの問いに、佐倉さんは黙って頷く。

杏子『朝も言ったろ? アンタには人間としての生活もある。それを楽しめるうちに楽しむのは間違っちゃいないさ』

 『やって後悔するよりも、やらずに後悔するほうが後々辛く感じる』っていうし、と佐倉さんは付け加える。

椿姫「で、でも、先約がある以上、私も無理強いはしないわよ? いずれまた後日予定作るし――」

「…………」

 ――佐倉さんはああ言ってくれているけど、椿姫の方も少々遠慮勝ちな雰囲気だ。
 このままでは無駄に時間だけが過ぎてしまうだろう。

 ここはもうビシッと決めてしまおう。
 今日は――


 ◆選択肢

   1:椿姫と一緒に『ビストロ・タチバナ』へ行く
   2:佐倉さんと魔女探しをする
   3:このまま3人で遊ぶなり何かしよう

       安価>>525-529 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 01:13:48.46 ID:W2J3qZb9o<> これは、1かな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/20(金) 01:16:25.59 ID:WiDiB8PDO<> あえて3を

そして、3人で立花さんの店に行ってくれれば嬉しいなって <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 01:16:29.85 ID:ckq5u3w+0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 01:25:51.21 ID:x6/i5+cYo<> 1 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 01:49:45.98 ID:r99MFtuf0<> 「それじゃあ、今日は椿姫と一緒に『ビストロ・タチバナ』に行くことにするよ」

杏子「あぁ、そうしな。久しぶりに親友と2人っきりで遊びに行くんだ。楽しんできなよ」

椿姫「ごめんなさい杏子――さん、いつかアナタにも何かお詫びさせてちょうだい」

杏子「いいっていいって、いちいち気にすんな。それと、あたしのことは杏子でいい。無理にさん付けされても嬉しくないしね」

椿姫「そ、そう? ありがとう、杏子。でも、お詫びは必ずさせてもらうから――」

杏子「頑固な奴だねぇ……。まっ、好きにすればいいさ。――あたしがそれまでに生きていればの話だけどな」

椿姫「あらあら、それは面白い冗談ね? わたしが物忘れし易い性格だとでも?」

杏子「ふっ。どうかねぇ……」

「…………」

 ――わたしは今の佐倉さんの発言が、何故か半分冗談には聞こえなかった。

 ――いや、佐倉さん自身も冗談半分――半分は本気で言っていたのかもしれない。
 わたしたちは魔法少女。
 本当にいつ死ぬかなんてわからない――それこそ、今すぐにでも死んでしまうかもしれないのだから――

 ――いや、“いつ死ぬかわからない”なんて、それこそ魔法少女ではない者――普通の人間だって同じかもしれない。
 むしろ、考え方によってはまだ魔法少女の方が突然迫り来る『死』に対しては耐性があるかも――

杏子『そんな顔すんなよ。そんな顔じゃ、これから食いに行く食い物もマズくなっちまうぞ?』

「――!」

 不意に佐倉さんがテレパシーを送ってきた。
 また、考えていたことが無意識にテレパシーとして漏れていたのだろうか?

『――また、わたしが考えていたこと漏れてた?』

杏子『ちげーよ。アンタ、結構考えていること顔に出るタイプだろ? こんな時にそんな難しそうな顔していたら、何考えているかなんて大体わかるよ』

「…………」

杏子『心配すんな。あんなこと言ったが、あたしはそう簡単にくたばる気はないよ。現に、こうしてしぶとく生きてきているんだからね』

『――そうだね。それじゃあ、今日は魔女探しよろしくね?』

杏子『あぁ、任せな。その代わり、グリーフシード手に入ってもアンタにはやらねーぞ?』

『わかってるわかってる』

 気がつくと、わたしの顔は自然と緩んでいた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 02:27:24.39 ID:r99MFtuf0<> 〜街道〜


椿姫「それにしても、平日にこうして2人で一緒に遊びに行くっていうのも本当に久々じゃない?」

「そうだね。おかげで、お母さんには少し悪いことしちゃったけど……」

椿姫「そうね」

 わたしと椿姫は揃って苦笑いを浮かべる。

 同時にわたしは、家を出る前に母に「今晩は夕食いらないよ」と伝えた際、母が見せた見るからに困ったと言いたげな表情を思い出す。

 ――ついでに、『それなら代わりにあたしが』とどさくさに紛れて人の家で夕食をご馳走になっていこうとした佐倉さんのことも思い出す。
 無論、これは何とか阻止した。

 母は本気で残念がっていたが、これをきっかけに佐倉さんが今後わたしの家に食事を集ってくる可能性もあるので、きっかけを与えるわけにはいかないのだ。
 わたしの行動は間違っていない――はず。


椿姫「――ところで真弓?」

「なに?」

椿姫「杏子とはいったいどういう縁で知り合ったの? 彼女、あなたの学校の生徒じゃあないんでしょ?」

 同じ学校の友達なら、これまでみたいに今頃は紹介くらいしてくれているはずだもの、と付け加えて、椿姫はわたしに尋ねてくる。

「――やっぱり、気になる?」

椿姫「えぇ。――別に、真弓や杏子のことを疑っているってわけじゃないけど、杏子ってわたしたちと同年代のはずなのに、朝会った時もさっきも服装が制服じゃなかったから――」

「…………」


 ――あぁ、やっぱりそこは気になるか。

 まぁ、無理も無いよね。
 この国は普通なら中学校までが義務教育期間なんだから――

 わたしたちと同年代の子なら、平日は基本制服でなければおかしい。
 実際、都会だと警官にまず補導対象とされる。


「佐倉さんは……」


 ◆選択肢

   1:「実は今プチ家出中なんだ」
   2:「実は普通の人間じゃないんだ」
   3:「実は生き別れの妹なんだ」

       安価>>533-537 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 02:41:38.58 ID:x6/i5+cYo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 02:56:12.50 ID:ckq5u3w+0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/20(金) 02:58:01.68 ID:WiDiB8PDO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 03:07:44.69 ID:W2J3qZb9o<> 3かな。

1は1で不味い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/20(金) 04:39:57.27 ID:TwWeEoLuo<> 3で <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 14:33:40.32 ID:r99MFtuf0<> すいません。寝てましたw(オイ
再開します <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 15:00:33.80 ID:r99MFtuf0<> 「実は生き別れの妹なんだ!」

椿姫「な、なんですってー!?」

 とっさに思い浮かんだ小嘘を大げさに口にしてみせるわたしに対して、椿姫もオーバーな反応を返してきた。
 どことなく某ミステリーレポートのワンシーンみたいな雰囲気になっているのはご愛嬌ということで――

椿姫「そ、それは一体、どういうことなのよ……!?」

「『どういうこと』って言われても……。『そういうことだよ』としか答えられない」

椿姫「…………」

「…………」

椿姫「真弓」

「何?」


椿姫「嘘をつくなら、もうちょっとマシな嘘を考えんかーい!」

「ですよねー」

 椿姫のツッコミを受けたわたしの顔に思わず苦笑いも含んだ笑みが浮かぶ。

 ――そもそも、幼なじみである椿姫に、そんな嘘が通じるわけがないのだ。
 わたしたちは、それこそ生まれたばかりの赤ん坊の頃から――むしろ、わたしたちが生まれる前の親同士の代から文字通り『親交』がある間柄なのだから。

 とっさに浮かび、半ば無意識だったとはいえ、あのような小嘘をついたのは、おそらく「椿姫ならこんな反応をしてくれるはず」とはじめからわかっていて言ったことなのだろう。


椿姫「まぁ、人間誰だって隠しておきたいことの1つや2つ、普通にあるものね。そう易々と他言して良いような事情じゃないっていうなら、私もこれ以上無理に聞くつもりはないわ」

「うん。ありがとう、椿姫」

椿姫「いいのいいの。私とアナタの仲なんだし――」

 だけど、と付け加えた後、椿姫は再び口を開く。

椿姫「話せる時が来たら、その時はちゃんと話してもらっていいかしら? それこそ、杏子本人も混じえてね」

「わかった。佐倉さんにも伝えておく」


 ――わたしは思わずそう答えてしまったが、果たして本当にそんな日が来るのであろうか?
 そもそも、わたし自身、まだ佐倉さんの家庭の事情など、彼女の過去のことを詳しく教えてもらっていないのだから―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 16:24:07.88 ID:r99MFtuf0<> 〜ビストロ・タチバナ〜


「ここか……」

椿姫「ふぅん……。小さいけど、いいお店じゃないの」

 椿姫と親友同士の他愛もないお喋りを繰り返しているうちに、わたしたちは目当てのお店――『ビストロ・タチバナ』へと到着した。

 『ビストロ・タチバナ』は、今椿姫が言ったように、とても小さなお店で、『料理店』というよりは『喫茶店』と言ったほうがイメージが近い気がする。
 少々薄暗い路地の中に、ただ一件だけ周囲に明かりを灯しながら、ぽつんと存在していた。

 店の中の様子は、残念ながら外からはわからなかったが、出入り口の扉には『OPEN』という看板が掛かっていたため、まだ営業中ではあるようだ。

椿姫「それじゃあ、早速入りましょ」

「そうだね。2人分の席空いているといいけど――」

 そう言いながら、わたしは店の扉の取っ手を手に取ると、ゆっくりと扉を引いた。
 扉が開くと同時に、扉に取り付けられていたベルがカランカランと音を鳴らし、店内にお客さんが来たことを知らせる。

 ――以外にも店内は、そろそろ夕食のピークに達するだろうという時間帯でありながら、誰1人他のお客さんがいなかった。


???「――いらっしゃい」

 そう言いながらキッチンの方から1人の歳若い料理人が顔を出した。
 雑誌に載っていた写真と同じ顔――このお店のマスターだ。
 名前は確か――立花宗一郎だったかな?

「あ。2人なんですけど……」

立花「……カウンター席でいいか?」

椿姫「はい。座れるならどこでも」

立花「――――」

 マスターは、黙って頷くと、わたしと椿姫をキッチン前のカウンター席に案内してくれた。

椿姫「――写真で一目見た時も思ったけど、何かクールな人ね」

「そうだね……」

 マスターがわたしたちにメニューを手渡した後、一度キッチンへと下がっていったのを確認した椿姫が、わたしに対してふとそう投げかけてきた。

 ――わたしは椿姫のその言葉に素直に肯定したが、わたし自身はマスターからそれ以外の『何か』も感じた。
 どこか悲しそうで、寂しそうな――そんなイメージを――

椿姫「……あれっ?」

「? どうしたの?」

 手渡されたメニューに目を通した椿姫が、突然不思議そうな顔をしたので、わたしは思わず声をかけた。

椿姫「――このメニュー、『バケツパフェ』が入ってない……」

「えっ――?」

 ボソリと呟いた椿姫につられる形で、わたしもすぐさま自身の手にあるメニューに目を通す。

 ――確かに、そのメニューの中には『バケツパフェ』という文字はどこにも見当たらなかった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 16:35:14.40 ID:r99MFtuf0<> 立花「――ご注文は?」

 キッチンから戻ってきたマスターが、わたしたちの前におしぼりを出しながら尋ねてくる。
 それに対して、椿姫がマスターに逆に問い質した。

椿姫「あ、あの……。ここのお店に『バケツプリン』って名物があるって聞いたんですけど――?」

 椿姫のその問いに、マスターがピクリと反応する。
 ――その時、マスターがわたしたちにほんの一瞬だけ見せた表情には、「またか」という呆れ染みた言葉が含まれているように感じた。

立花「――お前たち、あの雑誌の記事を見たのか?」

「は、はい……」

椿姫「そ、そうですけど……」

 先ほどまでと変わらないクールな表情でありながら、どこか重苦しい雰囲気に包まれ始めたマスターに半ば気圧される形でわたしたちは頷いた。

立花「――そうか……」

 そう呟いて、一度はぁとため息をつくと、マスターは手書きのメモ用紙型の伝票を取り出し、そこに何かをメモしていく。

立花「――数は1つ? それとも2つ?」

「えっ?」

椿姫「あ、あるんですか?」

 その後、マスターの口から出た言葉に、わたしたちは思わず質問で返してしまう。

立花「俺は料理人だ。客が求めているメニューがあるなら、そのリクエストには可能な限り答えるさ……」

「…………」


 ◆選択肢

   1:「……それじゃあ、バケツプリンで……」
   2:「……やっぱり別のメニューにします」
   3:「……メニューに載っていない料理なのに、何で雑誌で宣伝したんですか?」

       安価>>542-546 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 16:37:54.52 ID:W2J3qZb9o<> 3で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 16:54:21.46 ID:PUU/91n6o<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/20(金) 17:37:42.51 ID:JKlvt0RAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/20(金) 17:56:41.37 ID:bwCnmb4Oo<> 3かな <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 18:05:28.72 ID:r99MFtuf0<> すいません、ちょっと急用が入ったので一旦休憩します
続きは20:00くらいに…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/20(金) 23:31:58.88 ID:r99MFtuf0<> 遅くなってしまい申し訳ありません
再開します <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 00:36:07.99 ID:3J6XjXLP0<> 「……メニューに載っていない料理なのに、何で雑誌で宣伝したんですか?」

 わたしは、思わずマスターに対してそう尋ねてしまった。

椿姫「そういえばそうよね……。雑誌の紹介記事には名物だって書かれていたけど……」

立花「…………」

 マスターはしばらくの間、黙ってわたしたちを見つめていたが、やがてゆっくりと口を開いた。

立花「少し長い話になるが……聞いてもらえるか?」

椿姫「えっ?」

「――はい」

立花「わかった……」

 わたしが頷くのを確認すると、マスターは近くのカウンター席の椅子を一脚自分のもとへと引き寄せるように運び、それに座った。


立花「――この店に来る時、ここら一帯の路地のほとんどの建物には明かりが点いていなかっただろう?」

椿姫「そう言われてみると――確かに薄暗かったわね……」

立花「この辺りは元々、自営業の小さい店が数多く並んでいた一種の下町商店街だったんだ。数年前まではな」

「数年前――」

 その言葉を口にした瞬間、わたしははっとあることを思い出した。
 隣の椿姫の方へと目をやると、椿姫もマスターが言いたいことに大体気付いたらしく、ほんの数秒前のわたしと同じような顔をしている。

「そういうことか……」

椿姫「『BUY-LOT』ね――」

 わたしたちは、このお店、そしてこの路地が存在する場所を思い出す。

 お隣のあすなろ市との境――
 そして、そのお隣、あすなろ市に存在する大型ショッピングセンター『BUY-LOT』――

 この路地は、ちょうどその『BUY-LOT』の近くに存在していたのである。

立花「そうだ……」

 マスターは一度組んでいた足を解き、数秒後もう一度組み直すと、再び話し始める。

立花「数年前に件の大型ショッピングセンターができてから、ここら一帯の店の客は激減した。もちろん、最初の1年くらいは特に問題なかった……」

「…………」

立花「2年目くらいから経営難から閉店する店が出始めて、その年の終わり頃には残っていた店は半分くらいにまで減った――」

椿姫「………」

立花「そして、今ではこの辺りで店を続けているのはうちだけだ」

「――そういう時代だからしょうがないとも言えますけど、酷い話ですね……」

立花「…………」

 マスターは再び組んでいた足を解いた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 01:09:43.32 ID:3J6XjXLP0<> 椿姫「ちょっと待って。でも、それが『バケツパフェ』とどういう関係があるの?」

立花「――2週間ほど前のことになる」

 マスターは今度は腕を組むと、わたしたちに語りだす。

立花「――ある日、件のショッピングセンターの経営者たちが店に来て、この店をショッピングセンター内に移転してみないかと提案してきた」

「えっ? 移店? 立ち退きじゃなくて?」

椿姫「それっていいことじゃないの?」

立花「まぁ、最後まで聞け。最初はもちろん半信半疑だったが――話を聞いているうちに、その案件が嘘ではないということはわかった」

「…………」

立花「だから、俺はその話に乗った。実を言うと、その時点でうちも結構経営が苦しくなっていたからな。地獄に仏だと思った。――そこまでは何の問題もなかった」


 ガンッ!


椿姫「!?」

「――っ」

立花「! あぁ、すまない……」

 気がつくと、マスターが左手でカウンター席を力強く叩いていた。
 見ると、その左手は今もマスターの力強い握力によってプルプルと震えている。

立花「それから数日後――ショッピングセンターの経営者から連絡が入った……」

「もしかして、移店を取り消されたの?」

立花「いや、違う。“店の移転予定先に既に存在している店が立ち退いてくれない。そこの店主は、『俺が移転先でも実績をあげられるほどの奴じゃない』と言ってきている”――という内容だった」

椿姫「…………」

立花「だから俺はその時言ったんだ。『それなら、俺が今の店でも十分実績をあげていることをソイツに証明してやりますよ』ってな」

「…………」

立花「その翌日、ショッピングセンターの経営者と移転予定先の店の店主の代理人だという男たちが店に来た」


 ――再びマスターの左手が力強く震えた。


立花「そして――俺はその移転予定と、ある勝負をすることになった」

椿姫「勝負?」

立花「そうだ。勝負の内容は、『俺の店で新メニューを作り、その新メニューの期間内の売り上げが一定以上に達したら移転予定先は俺の実績を認めて店と土地を明け渡す』というものだった」

「もしかして、その『新メニュー』っていうのが――?」

立花「そうだ。『バケツパフェ』だ――」

椿姫「『バケツパフェ』がメニューに載っていなかったのは、突発的に作られた新メニューだったからなのね……」

立花「…………」

 マスターは黙って頷く。


 ――マスターの左手は、まだ震えていた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 01:25:48.98 ID:3J6XjXLP0<> 立花「――とまぁ、そういうワケだ。少し辛気くさい話に付きあわせてしまって悪かったな」

椿姫「い、いえいえ……。むしろ、こっちこそ何か悪いことしちゃったかなぁ、なんて……」

 両手を左右に振りながら、いやいやというジェスチャーをする椿姫を見て、マスターは一瞬だけ苦笑いを浮かべると、椅子から立ち上がり、再び伝票を手に取った。

立花「それじゃあ、改めて注文を聞くが――」

椿姫「私はもちろん『バケツパフェ』。話聞いていたら、ますます食べたくなっちゃったし……!」

 それに、と付け加えて、椿姫は笑みを浮かべながら再び口を開く。

椿姫「このお店が見事移店の権利を勝ち取れることを応援したくなっちゃったし。マスター結構イケメンだしね」

立花「――そうか……」

 椿姫の発言に、マスターは眉ひとつ動かすことなく、伝票にメモを取った。

立花「そちらのお嬢さんは?」

 マスターがわたしの方に目を向ける。

椿姫「当然、真弓も『バケツパフェ』よね? あんな話を聞いて違うもの頼むなんて、いくら何でも薄情すぎるもの――」

 椿姫もニコニコと笑みを浮かべながらわたしの方を見る。


 わたしが注文するのは――


 ◆選択肢

   1:「――わたしも『バケツパフェ』」
   2:「――『ビーフストロガノフ』」
   3:「――わたし、何も注文しない」

       安価>>551-555 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 01:26:21.70 ID:MpWLmnez0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 01:27:23.11 ID:x4rtyCkNo<>    1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 01:39:39.44 ID:Xr3yfPkao<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 01:42:34.90 ID:qU8mnaWEo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/21(土) 01:45:24.67 ID:Rca4zTaAO<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 02:18:48.74 ID:3J6XjXLP0<> 「――わたしも『バケツパフェ』」

椿姫「まっ。そうよねー」

 わたしがそう口にすると、椿姫は当然だとばかりに腕を組み、うんうんと頷いた。

立花「――――」

 対してマスターは、先ほどと同様、眉ひとつ動かすことなく伝票を書き上げていった。

立花「――他はないな?」

「はい」

椿姫「えぇ」

立花「――わかった……」

 マスターは頷くと、ゆっくりとした足取りでキッチンの奥へと下がっていった。

椿姫「楽しみね、真弓♪」

「――うん。そうだね」

 椿姫にそう言って頷きはしたが、わたしは何故か違和感のようなものを感じずにはいられなかった。

 ――何故だろう。
 先ほどキッチンに下がっていったマスターの背中から、最初に感じた時よりも悲しそうな雰囲気を感じたのは――


立花「――『バケツパフェ』おまたせしました」

 数分後、頼んだ『バケツパフェ』がわたしたちの前に姿を現した。

椿姫「きゃ〜。来た来た〜♪」

「……本当にバケツだ」

 わたしは目の前に置かれた『ソレ』を見て、思わずそう口にしてしまった。

 雑誌の記事にも載っていた写真と同じ、カラフルなデザインのバケツ――
 そして、その中にイチゴやアイスクリーム、バナナなどがこれでもかと盛りつけられた、まさに『スイーツの砦』――

 ――いや、『城塞』か『要塞』と言っても間違っていないかもしれない。

「――コレ、本当に1人で食べられるのかな……?」

 よくテレビや雑誌の『大盛り・特大グルメ特集』などでも特大パフェというものは見たが、あれに登場するパフェは元々パーティ用や団体用に作られているものがほとんどだ。
 おまけに、あれらは『パフェ』という名に則って、パフェ専用のグラスや容器に盛られている。

 だがこれは、その名の通り『バケツに入っている』。
 その時点で、容器内だけでもどれだけのアイスやクリーム、果物が埋まっているかと考えると――想像しただけでお腹が一杯になりそうだ。
 これを1人前として売り出すというのは、さすがにどうかと思う――

椿姫「いただきま〜す」

「い、いただきます……」

 わたしたちは、手を合わせてそう言うと、早速『バケツパフェ』の攻略にのりだした。

 ――椿姫につられて思わず、わたしも手を合わせてしまったが、おそらくそれは、これを1人で全て食べる自分に対する合掌の意味も込められているのだろうと、わたしは思った。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 02:49:00.68 ID:3J6XjXLP0<> 椿姫「――うん。美味しい!」

 スプーンですくった最初の一口を口の中に放り込んだ椿姫は、いかにも幸せそうな顔をしていた。

 それに対してわたしは、この『スイーツ界のイ●ルローン要塞』とでも言うべき眼の前の『ソレ』を、どのように攻略するかで頭が一杯だった。

 ――元ネタにおける『イ●ルローン要塞』は、帝国軍に偽装した同盟軍の『薔薇の騎士団』連隊の活躍によって内部から攻略された。
 だが、残念ながら今ここには『薔薇の騎士団』連隊はおろか、シェーン●ップもブ●ーム●ルトもリ●ツもいない。

 ならば、仕掛けておいたコンピューターシステムでハッキングし、機能を無力化した後に、白兵戦を――!
 ――などとも考えてしまうが、相手は本物の宇宙要塞ではなくパフェだ。
 コンピューターシステムなんて仕掛けてもいなければ、機能を無力化することもできない。

「――正面突破による持久戦しかないか……」

 わたしは諦めたようにそう呟くと、手にしたスプーンをアイスクリームの山の中へと滑り込ませた。

 この時、わたしの脳裏には『イ●ルローン要塞』を攻略しようとしてイ●ルローン回廊で散っていった、多くの同盟軍の艦隊と兵士たちの姿が浮かんだ。

 あぁ、何故ここに●ン・ウェ●リーはいないのだ――!

 ――いや、ヤ●提督がいてもさすがにコレの攻略法は思いつかないか。


「――あ。でも美味しい……」


 スプーンですくったアイスとイチゴを口に運んだわたしは、口の中に広がる程良い甘みと食感に一瞬で心を奪われた。

 これなら意外と1人でもいけるかもしれない。

 『甘い物は別腹』という言葉をこの世に生み出した人と、それが事実であるということを解明した人に、わたしは心の中で少しばかり感謝した。
 別にここに来るまでに何かお腹の中に入れてきたわけではないのに――


 ――わたしが『バケツパフェ』を攻略するのにはそれから1時間以上の時間を要した。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 03:09:08.18 ID:3J6XjXLP0<> 「――――」

椿姫「ちょっと真弓、大丈夫?」

 カウンターに突っ伏していたわたしに、椿姫が心配そうに声をかけた。

「――椿姫はよくアレを全部食べても平気そうでいられるね……?」

椿姫「? 女の子って甘い物なら普通に最後まで食べられるものなんじゃない?」

 そういうものなのだろうか――?

立花「――確かに、今まで『バケツパフェ』を頼んだ子は、皆最後まで普通に食べきっていたな」

 そんなわたしたちの様子を見ながら、マスターがポツリと呟いた。

「マジデスカ……」

 最近の女の子って本当に人間か?
 いや、わたしも同じ女の子ですけどね。
 普通の人間ではありませんが――

椿姫「確かに見た目通りのボリュームではあったけど――。だけど、すっごく美味しかったです!」

「――そうか……」

 満面の笑みを浮かべる椿姫に対して、マスターは相変わらず無表情だ。

椿姫「頑張ってくださいね、マスター! わたし、無事にこのお店が移転できたら、絶対にまた『バケツパフェ』食べに来ますから――!」

立花「…………」

 椿姫のその言葉に、マスターは当初無言であったが、数秒ほどした後――

立花「――あぁ」

 と言って、一瞬だけ笑みを浮かべる。

立花「――もっとも、勝負に勝てても無事に移転できなければ話にもならないが……」

「…………」


 ――わたしは、そのマスターの言葉に、どこか引っかかった。

 普通、こういう時は『勝負に勝って無事に移転できたらの話だが』と言うものではなかろうか?

 まるで、勝負に勝てることはわかってはいるのに、移転はできないとでも言っているかのようで――


「――!」

 わたしは、カウンターにうつ伏せにしていた上半身をがばっと起き上がらせた。
 ここに来て、わたしはあることに気がついてしまったからだ。

 ――そうだ。
 何故もっと早く気が付けなかったのだ――! <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 03:19:03.09 ID:3J6XjXLP0<> 立花「?」

椿姫「? どうしたの、真弓?」

 椿姫とマスターが、不思議そうな顔をしてわたしの方を見る。

「――マスター……!」

立花「な、何だ……!?」

 わたしはマスターへと鋭い視線を向ける。
 先ほどまで無表情を貫いていたマスターの顔に、若干の焦りのような表情が浮かんだ。
 ――気圧されたのか、あるいは――

「――――」

 一度、深呼吸をして息を整える。


 ――そして、一呼吸おいたところで、わたしはマスターに言い放った。


 ◆選択肢

   1:「『バケツパフェ』ひとつあたりの生産コストはおいくらなんですか?」
   2:「『バケツパフェ』を考えたのは、本当にマスターなんですか?」
   3:「勝負なんて元々なかったんでしょ?」

       安価>>560-564 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/21(土) 05:07:08.50 ID:ZgxJ955DO<> これは……1かな? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 05:22:19.09 ID:lzgWNIyIo<> 1やな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 10:35:45.93 ID:/tvNvD5T0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 10:54:51.70 ID:3txxlYc8o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/21(土) 11:45:09.42 ID:iBRWghk+o<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 14:55:42.36 ID:3J6XjXLP0<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 15:29:11.23 ID:3J6XjXLP0<> 「『バケツパフェ』ひとつあたりの生産コストはおいくらなんですか?」

立花「――!」

椿姫「へっ――?」

 わたしのその問いに、マスターは先ほどよりも焦りのような表情を浮かべ、椿姫は「いきなり何を言っているの?」とでも言いたげな顔をする。

 ――が、わたしは構わずに話を続けた。

「さっきから何か少し引っかかっていたんだ。だけど、今のマスターの一言でほぼ確信した――」

 本当はもっと早く気づくべきだったけど、と付け加えると、わたしは再びマスターに問う。


「マスター、本当は――『バケツパフェ』なんて作りたくなかったんじゃないですか?」


椿姫「ちょっ――!? 真弓、あなた何を言って……!」

立花「――半分は正解だ……」

椿姫「えっ……?」

 マスターの口から漏れた衝撃の一言に、椿姫は思わずマスターの方へと顔を向ける。

立花「――『バケツパフェ』ひとつあたりの生産コストは、彼女が疑問に思った通り、生半可なものじゃない……」

 マスターはここで一度、天井を見上げて一呼吸おくと、再びわたしたちの方に向き直り語り始める。

立花「それこそ、普通にメニューに加えてしまったら採算がとれなくなるくらいな」

「…………」

椿姫「た、確かに、言われてみると――」

立花「――実を言うと、『バケツパフェ』は俺1人のアイディアで誕生したものじゃなかった」

「――と言いますと?」

立花「たとえプロや達人などと呼ばれる存在だって、いきなり『新しいものを作れ』と言われたら、その場でぱっと生み出すことなんてまずできない」

 魔法じゃないんだから、付け加えながら、マスターは再び近くにあったカウンター席の椅子に腰掛けた。

立花「俺も勝負の話を持ちかけられた時は、思わず二つ返事で乗ってしまったが、実際は新メニューの案件なんて全く浮かばなかった――」


 ――この時わたしは、ちらりと、ほんの一瞬だけマスターの手に目を向けた。

 ――マスターの手は、先ほどと同じく、プルプルと震えていた。


立花「そんな時、件のショッピングセンターの経営者がある雑誌の編集者を連れて三度店に来た――」

椿姫「! もしかして、その雑誌って――」

 そう言いながら、椿姫は自身の足元に置いていた鞄から一冊の本を取り出す。
 ――先ほどわたしも見せてもらった、スイーツ特集――今わたしたちがいるマスターの店の記事が載っていた雑誌だ。

立花「そうだ。それだ――」

 椿姫の取り出した雑誌の表紙を見たマスターが、ゆっくりと頷き、そう言った。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 16:03:50.61 ID:3J6XjXLP0<> 立花「雑誌の編集者が俺に言った――『今度自身の雑誌で特集する洋菓子関連の記事に、新メニューを載せてみないか』と……」

椿姫「……!」

 気がつくと、椿姫も自身の両手をギュッと握っていた。
 おそらく、彼女も話の大体の内容とその結末が読めてきたのだろう――

立花「その話はまさに『渡りに船』だった。俺はその編集者と協力して、その日のうちに新メニューを発案した――」

 それが『バケツパフェ』だ、と付け加えると、マスターは力なく下を向いた。
 そして、そのまま話を続ける。

立花「女の子が喜びそうなデザイン――。誰でも手軽に注文できる値段――。そして、誰が食べても満足できる味とボリューム――」

 マスターが顔を上げる。

立花「編集者が出したアイディアを次々と取り入れて生まれた『バケツパフェ』は、こうして世に送り出された」

 もう1ヶ月ほど前の話になるか、と言いながら、マスターは再びゆっくりと顔を下に向ける。

立花「もちろん、雑誌に取り上げられたこともあって、客――特に雑誌の読者だった女の子たちからは好評だった。中には君みたいな子もいたが……」

「ハハハ……」

 苦笑いを浮かべながらわたしを見たマスターに対して、わたしも苦笑いで返す。
 ――その時のマスターの苦笑いは、哀愁を漂わせていたため、上手く笑い返せなかったが――

立花「その時、俺は確信した。この勝負、絶対に勝てる――俺の料理人としての道は終わらない、と――」

 だが、と一言おいて数秒ほど間を開けた後、再びマスターが口を開く。

立花「『バケツパフェ』を売りだしてから数日後――俺はすぐにこのメニューの致命的な欠点に気がついた」

「コストの問題――ですね?」

立花「そうだ。本来なら、試作段階で気づくはずだったんだ……!」

 ――マスターの手が、またしても力強く震え始める。

立花「だが、その時の俺は、編集者のアイディアばかりに耳を傾けていたこと、雑誌の〆切期間までにメニューを考えなければならないという焦りから、それを怠っていた――!」

 完全な俺自身のミスだった、と呟きながら、マスターはがっくりと下を向く。

立花「『バケツパフェ』は確かに売れる。だが、その生産コストと売上が釣り合わず、店の一日の売り上げは赤字続きになっていった――」

椿姫「――だから、メニューから『バケツパフェ』を消したの?」

立花「あぁ……」

「普通、雑誌とかで取り上げられたら、店先の看板とかに貼り出してアピールするものだけど、今思い返してみたら、それもなかったもんね……」

立花「それも当初はやっていた。――が、メニューから『バケツパフェ』を消すのと同時に、貼り出すのも止めた……」

「…………」

立花「――普通ならそこで『販売終了』の一言と共に、全てが終わるはずだった。だが、雑誌を呼んで興味を抱いた客は、その後も『バケツパフェ』を求めて店にやって来る……!」

 ――わたしは、今更ながら『バケツパフェ』を注文してしまったことを後悔した。
 二重の意味で―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 16:06:33.17 ID:3J6XjXLP0<> 誤字った……

>>567
× 立花「――普通ならそこで『販売終了』の一言と共に、全てが終わるはずだった。だが、雑誌を呼んで興味を抱いた客は、その後も『バケツパフェ』を求めて店にやって来る……!」

○ 立花「――普通ならそこで『販売終了』の一言と共に、全てが終わるはずだった。だが、雑誌を読んで興味を抱いた客は、その後も『バケツパフェ』を求めて店にやって来る……!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 16:41:11.04 ID:3J6XjXLP0<> 立花「おまけに、まだ勝負が残っている――『バケツパフェ』が一定以上の売り上げを記録しなければ、店は移転できない。だが、『バケツパフェ』を売り続けていたら、赤字続きで結局は店が潰れる――!」

「…………」

椿姫「…………」

立花「――そんな悪循環の中で、こうして今まで店を続けてきた……」

「……勝負の期間は、あとどれくらい残っているんですか?」

立花「来週末までだ……。だが、現在の経営状況がそれまで維持されると、店は今月一杯で閉めざるを得ない……」

椿姫「そんな……!」

立花「勝負には勝てそうなのに、それが結果的に俺の料理人としての道を閉ざすことになる……。酷い話だとは思わないか?」

「…………」

椿姫「…………」

「……わたしは、料理人じゃないし、今までの人生でマスターのような状況に追い込まれたこともないので、酷い話なのかどうかはわかりませんけど――」

立花「?」

「最後まで希望を捨てちゃいけない――とだけは思いますし、言えます」

立花「…………」

「たとえ勝負に負けても、移転が決まる前にお店が潰れてしまっても、マスターの料理人としての道が終わってしまったわけじゃない――そう思います」

立花「…………」

「…………」

椿姫「…………」

立花「……そうだな。最後まで希望を信じてみるか」

 そう言って、マスターはふっと笑った。

 ――その時のマスターからは、先ほどまで漂わせていた哀愁的な雰囲気が感じられなかった。


 ――その後、わたしと椿姫は『バケツパフェ』2つ分の代金をマスターに支払い、店を後にした。

 ――もちろん、代金は全額椿姫もちだ。
 元々『奢ってくれる』という約束で来たのだから当然である。

 椿姫とマスターには悪いが、色々な意味でわたしだけが1人得をした気がする。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 17:03:54.57 ID:3J6XjXLP0<> 〜街道〜


 すっかり夜になった街中を、わたしと椿姫は歩いている。
 既に街はシンと静まり返ってはいるが、過ぎ去っていく家々からは部屋の明かりや微かに聞こえる人の声など、生活の営みが感じられる。
 ――これなら、魔女と遭遇する可能性も、まずなさそうだ。

椿姫「それにしても――」

「うん?」

 隣を歩く椿姫が口を開く。

椿姫「マスターには、本当に最後まで頑張ってほしいわね」

「――そうだね……」

椿姫「私たちが『バケツパフェ』を注文した時のマスターの心境――今となってはわからないけど、きっと相当複雑だったんだと思う……」

「…………」

 わたしは、隣にいる椿姫の顔を見る。
 ――椿姫はどこか悲しげな表情をしていた。

 だから、わたしは親友として椿姫に対し、こう言葉を投げかける。

「椿姫――」


 ◆選択肢

   1:「椿姫は『バケツパフェ』を注文しちゃったこと、後悔してる?」
   2:「椿姫1人が思いつめることじゃないよ」
   3:「椿姫が悪いわけじゃないよ」

       安価>>571-575 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 17:04:35.54 ID:MpWLmnez0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 17:05:02.67 ID:NkV6mU30o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/21(土) 17:47:44.40 ID:iBRWghk+o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 18:22:23.39 ID:Xr3yfPkao<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage saga<>2012/01/21(土) 19:01:58.57 ID:C3bsyb090<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 19:02:19.46 ID:FO7bgqMyo<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 20:36:24.98 ID:3J6XjXLP0<> 「椿姫が悪いわけじゃないよ」

椿姫「えっ――?」

「椿姫――キミ、自分が『バケツパフェ』を頼んでしまったから、マスターに迷惑をかけたとでも思っているんじゃない?」

椿姫「…………」

 椿姫は黙って、ゆっくりと頷いた。

「それは考え過ぎだよ。いくら『バケツパフェ』でも1つ2つ頼んだだけじゃマスターの生活に大きな変化は現れない」

椿姫「そうかしら?」

「そうだよ。それに、マスターが言っていた勝負の件もあるし、わたしたちが『バケツパフェ』をあの時頼んでいなくても、結局は他の誰かが『バケツパフェ』をいずれ頼んでいたよ――」

 わたしは、ふと昨日佐倉さんが言っていたことを思い出す。

 ――ひとつの場所で命懸けで魔女や使い魔を倒しても、別の何処かでは誰かが魔女や使い魔に食われて死んでいくんだ……!

 1人や2人、数人程度の行動では物事全体の流れを大きく変化させることはできない。
 魔法少女の戦いも、マスターの勝負も、そう考えてみたら似たようなものだ――

 仮に1人、2人程度の行動で変化をもたらすことができるとすれば――それは、その行動を起こしたものが、流れを変えられる要素となりうる何か大きな力を元から持っていなければならない。
 それは、権力であったり、財力であったり、はたまた先天的に生まれ持っていた才能だったり――
 リアルロボットアニメにおける主人公や、主役ロボットが大体コレに当てはまる気がする。

「――いや、むしろ創作界における『主人公補正』そのものが該当するかな?」

椿姫「? 何の話?」

「え!? ――あ、ゴメン。自分の中で話が変な方向に脱線しだしていた……」

椿姫「はぁ……?」

「とにかく、あの時点では椿姫の選択や行動には何の罪もないんだ。仮にだけど、もしあの時の椿姫に罪があるなら、わたしも同罪――いや、それ以上に罪を犯しているよ」

椿姫「何で?」

「実を言うと――わたし、最初にマスターから『バケツパフェ』の話を聞いていた時から、マスターの様子が少しおかしいなと思っていたんだ……」

 実際、今思い返してみると、何故あの時わたしは『バケツパフェ』ではなく別のメニューを注文しなかったのかと悔やまれる。
 複数の意味で――

「話をしている時のマスターの手――とても力強くグーで握られていて、小刻みに震えていたもん」

椿姫「そういえば――話している途中、1回だけカウンターを勢い良く叩いていたわね」

「うん……。たぶん、『バケツパフェ』を世に送り出しちゃった自分のミスが未だに許せないんだろうね。プライドとかプロ意地って言うのかな?」

 わたしは一度だけ、口からはぁっと息を吐き、そして鼻から少しだけ息を吸うと、話を続ける。

「――わたしも、もっと早くその時のマスターの本心に気づいてあげられたらと思うと、自分自身を呪いたくなる」

椿姫「真弓――」

「まだわたしたち子供だから、こんなこと言うのも何だけど――難しいよね。世の中って……」

椿姫「――そうね……。人の一生って、思っているほど上手くいくようにできていないもの。自分の人生でもそうなんだから、他人の人生の場合、尚更よ――」

 だけど、と付け加えて椿姫はわたしの方に向き直り、口を開いた。

椿姫「いちいちそんなことばかり考えて生きていちゃ、絶対に最後まで後悔して生きていくことになっちゃうんじゃないかしら?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 21:30:43.48 ID:3J6XjXLP0<> 「はい……?」

椿姫「この世界には『もしも』の話なんてあるわけないんだから、過ぎたことを気にしているよりも、これからどうするかを考えながら生きていくべきなのよ?」

 そのほうがきっと楽しいもの、と椿姫は言って笑った。

「――椿姫、そういうキミはさっきまで過ぎたことを気にしていなかったっけ?」

椿姫「あら? そうだったっけ?」

「全くキミは――まぁ、そういうところが椿姫らしいといえばらしいけど……」

 わたしは思わず顔を緩めてしまう。


 ――わたしはここで、ふとこの数日間のことを思い返してみた。

 キュゥべえと契約して、魔法少女となったのが一昨日の話。
 佐倉さんと出会ったのも同じ日だ。

 そして、佐倉さんと一緒に魔女探しをして、結界で初めて魔法少女の戦いを経験し使い魔を倒したのが昨日。
 この時の一件で、わたしは佐倉さんと一緒に魔女や使い魔と戦うことを決めた。

 そして今日――
 今日の出来事は今更振り返るまでもない。

 ――考えてみれば、この3日間、わたしは一体どのような生き方をしてきただろうか?
 キュゥべえとの『契約』で叶えた『願い』のこと――魔法少女になる直前までの自分のことを第一に考えて行動していたような気がする。

 椿姫が言ったように、この世界には『もしも』の話なんてあり得ない。
 ――魔法少女なんてものが存在するのだから、もしかしたら世界中くまなく探せばあるのかもしれないけど、わたしが存在を知らない以上、あり得ないと断言できる。
 もし、今のわたしが自身の叶えた願いのことを知ったら、「何でそんな願いにした」と後悔する可能性もある。
 そう考えると、わたしも無理に過ぎたことを気にする必要はないのかもしれない――


 魔法少女になる前の柚葉真弓に対してではなく、『これから』に対して目を向ける――

 確かに、そのほうが簡単な気がするし、何より椿姫が言ったように、きっと楽しいに決まっている。
 何故なら、過ぎたことはわかっていることなので面白味は薄かったり、なかったりするが、これからのことは何もわからない分面白味があるからだ。
 ――もちろん、これからのことも、いざ蓋を開けてみれば“面白味の薄いもの”“面白味のないもの”“全く面白くないもの”だったなんてことが多々ありそうだが。


椿姫「? どうしたの、真弓?」

「? 何が?」

椿姫「いや、何か嬉しそうだったから……」

「――うん。今の椿姫の言葉で、自分の中のことを少し整理できたような気がするからね」

椿姫「あらそう? それなら今度、何かお礼をしてもらわなくっちゃ」

「その前に、佐倉さんに何かお詫びをするのが先じゃないかな?」

 わたしがそう言って意地悪そうに笑うと、椿姫は「うっ」と口にして難しそうな顔をした。

椿姫「そ、そういえば、そうだったわ……。『お詫び』と言っても、一体何にすれば――あら?」

「佐倉さんだったら、気持ちさえ伝われば何でもOKしてくれそうな気が――って、どうしたの?」

 突然、椿姫が不思議そうな顔をして辺りをキョロキョロと見渡し始める。
 それに気がついたわたしも、つられるように周囲に目を向けてみると―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 21:48:21.53 ID:3J6XjXLP0<> 「――ッ!?」


 ――ぐにゃり。


 ――ほんの一瞬、本当に一瞬だが、世界がまるで水飴か何かのように歪曲した。

椿姫「ね、ねぇ、真弓……? 何か……少し変じゃない?」

「…………」

 ――わたしは椿姫に気付かれないように左手を制服の上着のポケットの中に隠した。
 そして、中指にはめられていたソウルジェムを指輪から本来の姿に戻す。

 ――チラリとポケットの中を見る。
 ソウルジェムはオレンジ色の光を放っていた。

椿姫「それとも、私の目が少しおかしくなっちゃったのかしら?」

 隣で椿姫が、そう言いながら自分の目をゴシゴシと両手でこすっている。


 ――ぐにゃり。ぐにゃり。


 再び歪曲する世界。
 おまけに、それは先ほどよりも強くなっており、今度ははっきりと見えた。

椿姫「あっ! まただわ! ねぇ、真弓、やっぱり何か変――!」

「椿姫!」

椿姫「!?」

 ――わたしは、椿姫の目の前で魔法少女の姿に変身する。
 変身に要した時間はおそらくほんの数秒程度。

 わたしの声につられてこちらに目を向けていた椿姫の顔が、一瞬で驚きという色に染まった。

 その隙をついてわたしは――


 ◆選択肢

   1:椿姫を気絶させた。
   2:椿姫を自身の後ろに下げた。
   3:椿姫を連れてその場から離脱した。

       安価>>580-584 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 21:49:41.03 ID:4mhtGfhjo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/21(土) 21:54:28.21 ID:ZryUorWdo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 21:55:03.06 ID:gvs9xY/jo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/21(土) 21:59:09.88 ID:ZgxJ955DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage_saga<>2012/01/21(土) 22:01:02.22 ID:c/gt9ELz0<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 22:03:52.16 ID:3J6XjXLP0<>  ◆選択肢

   1:椿姫を気絶させた。
   2:椿姫を連れてその場から離脱した。

       安価>>586-590 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/01/21(土) 22:05:33.64 ID:ZgxJ955DO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 22:13:05.41 ID:44C4Szb+o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 22:14:04.17 ID:ULcJAAj3o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/21(土) 22:15:20.92 ID:ZryUorWdo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/21(土) 22:22:01.83 ID:4mhtGfhjo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 23:06:21.71 ID:3J6XjXLP0<>  その隙をついてわたしは椿姫を連れてその場から離脱した。

椿姫「え――!? えぇー!?」

「静かにして! 近所迷惑になる!」

 わたしは、椿姫を俗に言う『お姫様抱っこ』で抱き上げると、近くの民家の屋根の上――地上数メートルの高さ――に飛び移った。

椿姫「ま、真弓……!? その格好は!? それに、どう見ても、今アナタ飛んで――!?」

「説明は後! それよりも今は――!」

 わたしは椿姫を抱き上げたまま、民家の屋根の上に一件、また一件と飛び移っていく。

椿姫「――!」

 途中から椿姫が声にならない悲鳴を口から漏らしていたが、今はそれどころではない。

 ――先ほどの場には間違いなく魔女か使い魔がいる。
 ならば、普通の人間である椿姫を巻き込むわけにはいかない。

 ――だが、この後椿姫には一体どう説明しよう。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/21(土) 23:30:04.21 ID:3J6XjXLP0<> 〜公園〜


 それから数分後、わたしと椿姫は街中の公園へとたどり着いた。

「――とりあえず、ここまで来れば大丈夫かな?」

椿姫「…………」

 椿姫をベンチに腰掛けさせると、わたしは一度変身を解き、先ほどまでの制服姿に戻る。
 再び左手に収まったソウルジェムを確認してみると、微かに反応こそするが、先ほどよりは光も治まっている。

「さて、椿姫――って、うわっ!?」

 椿姫の方に視線を戻そうとした瞬間、わたしは飛びかかってきた椿姫に両肩を掴まれていた。

椿姫「真弓! さっきのアレは何!? アナタ、どう見ても飛んでたわよね!? ジャンプなんてレベルじゃないわよ!? それと、さっきの恰好は何!?」

「つ、椿姫、落ち着いて……。ちゃんと一から説明するから……」

椿姫「これが落ち着いていられますか! アナタ、一体何者!? 本当に私の知っている柚葉真弓なの!?」


???『彼女は正真正銘、君が知っている柚葉真弓だよ』


椿姫「誰!?」

「――キュゥべえ……」


 不意にわたしの頭の中に響く声。
 デジャヴを感じつつ振り返ると、そこにはブランコの上にちょこんと座っているキュゥべえの姿があった。


                              -‐ニ ┤
                       _  -‐ ´ /   }
                 __ /´        `ヽ、  j
             _ -‐二 ─ァ         (:.r:.) ヽノ
            く  ̄   /   (:.r:.)          ヽ\
                  \  / /         、_,    } ヽ
                   ヽ/   {       ー´       ノ  ヽ
               /   ハ               イ     ヽ
               ,′   | ゝ           / l     ヽ_┐
          _    l    ├─`ー ┬-    l´   l     ヽ //
         \ヽミヽ/     !     l        !    l     /ヘ
   /⌒     ヽ\〃ミヽ、 j     ,'      l\  ∧_ // ゚ \
  /  (       `ノ    \、    l       \/レ-< 、 ゚、_ _ )
 /   \     /o      ノヽ\  ハ  i     ヾ、:..ヽ \゚`ヽ、  \
 {    r‐` ̄ / o  o / `ー┘ { {  |       `"ヽ `ヽ、_)`ー--'
 、    ゝ-/   /  /         ! 丶 {          ヽ
  \    'ー─/__ /       / l  ∨    /       }
    \     ´      _ -‐ ´    l  {   ∧       ノ
     ` ー─--  -─ ´       ((l,  H   ト、ゝ─ ´ /
                        〉 ハ / (r  , '´
                       ゝノ/ ノ   ̄'
                              ̄

キュゥべえ『繰り返し言うけど、彼女は正真正銘、君の知っている柚葉真弓さ。ただし、今は魔法少女だけどね』

椿姫「魔法少女――?」

 ブランコから地面に降りたキュゥべえが、トコトコとこちらに近づきながら椿姫に説明していく。

 ――ん? 椿姫――? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 00:12:15.90 ID:/Ab71uy70<> 「――って、ちょっと待って!」

キュゥべえ『?』

椿姫「? 何、真弓?」

 わたしは、椿姫とキュゥべえの間に割って入ると、椿姫に尋ねた。

「椿姫、キミはコイツが見えるの?」

 そう言いながら、わたしは両手でキュゥべえをひょいっと掴み、椿姫の前に出す。

椿姫「? えぇ、見えているけど? それがどうかしたの?」

キュゥべえ『そうだよ、真弓。この子には魔法少女としての資格がある』

「なっ――!?」

 赤い瞳をわたしの方に向けながらキュゥべえが言った一言に、わたしは絶句してしまう。


 ――最悪だ。
 わたしは椿姫にだけは魔法少女の世界には足を踏み入れて欲しくないと思っていた。

 実際、昨日も椿姫を巻き込みたくないという一心から、キュゥべえに『白女』の場所を教えなかった。

 先ほど自身が魔法少女であることだけはバレて――というか自分からバラして――しまったが、それでも椿姫には深入りはさせないつもりでいた。


 ――それなのに、キュゥべえの登場と、そのキュゥべえから語られた事実によって全てが打ち砕かれてしまった。

 『これから』のことはわからないから面白味がある。もちろん、“面白味のないこと”も多々起こるだろう――と先ほど思っていたが、いきなり“面白味のないこと”が起きてしまった。
 いや、“面白味のない”どころではない。
 “全く面白くない”と言ったほうが正しいだろう。


椿姫「それにしても、変わった生き物ね〜。何ていう生き物なのかしら? 犬? 猫?」

キュゥべえ『僕はキュゥべえ。犬でも猫でもないよ』

椿姫「あら、そうなの? ごめんなさいね」

キュゥべえ『それにしても――君は僕を見ても驚かないんだね? 大抵の子は初めて僕の姿を見たり、声を聞くと驚くものなんだけど――』

椿姫「そうなの? まぁ、わたしは可愛いければ、犬だろうが、猫だろうが、それ以外の何かだろうが、おまけにそれが喋ろうが全く問題ないわ」

キュゥべえ『わけがわからないよ』

 椿姫はわたしのことなどお構いなしで、わたしが掴んでいるキュゥべえとそんなやり取りをしつつ、撫で回していた。


椿姫「――それで、魔法少女というのは?」

キュゥべえ『そうだね、そろそろ本題に入ろうか』

「ちょっと待った」

 椿姫がキュゥべえに魔法少女のことを尋ね、キュゥべえがそれに答えようとする前に、再びわたしが割って入る。

「キュゥべえ、こっちの事情を説明する前に、まずは魔女か使い魔を倒すことが先だよ」

キュゥべえ『それなら問題ないよ真弓、この辺り一帯は既に担当している別の魔法少女がいる。その子に任せておけばきっと大丈夫さ』

「でも、既に対処してくれているかどうかはわからないでしょ?」

椿姫「え、ええっと……。私、少し離れていたほうがいいかしら?」

キュゥべえ『いや、大丈夫だよ。むしろ説明がある程度省略できるかもしれないから、僕としては大助かり――』

「キミの一存で勝手に決めるな!」

椿姫「…………」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 00:34:38.92 ID:/Ab71uy70<> 「――とにかく、今はさっきの場所に戻って使い魔か魔女を退治することが先決だよ! キュゥべえも一緒に来る!」

キュゥべえ『僕がついていっても、戦力にはならないよ?』

「この辺りを管轄しているっていう魔法少女と出会ったら、事情を説明しなくちゃならないでしょ!? キミは万が一の斡旋役!」

椿姫「あ、あの……。真弓?」

「椿姫、ゴメン――。後でちゃんと事情は全部説明するから、今は待っていてくれないかな?」

椿姫「え、えぇ……。ここで待っていればいいのかしら?」

「そうだね――」


 ◆選択肢

   1:「うん。ここで待っていて」
   2:「先にわたしの家に戻っていてもらえる?」
   3:「――悪いけど、やっぱりついて来て」

       安価>>595-599 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)<>sage<>2012/01/22(日) 00:35:13.96 ID:HCNtvtIe0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/22(日) 00:40:58.37 ID:LNgwAPQY0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/22(日) 00:42:54.55 ID:pTKj4PRD0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/22(日) 00:44:06.27 ID:OAWBQe76o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)<>sage<>2012/01/22(日) 00:45:07.37 ID:wDumyt3Oo<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 00:58:44.46 ID:/Ab71uy70<> 「先にわたしの家に戻っていてもらえる? その方が安全だし、わたしたちが戻ってきた後、説明する時間もたっぷりとれるだろうし――」

椿姫「わかった」

 わたしの提案に、椿姫は素直に頷いてくれた。

椿姫「その……。未だに状況とかはさっぱりわからないんだけど――気をつけてね?」

「うん――!」

 わたしは力強く頷くと、再びソウルジェムを掲げ、魔法少女の姿に変身する。
 そして、変身が完了すると、キュゥべえを肩の上に乗せ、公園の外へと文字通り『飛び出した』。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 01:15:23.74 ID:/Ab71uy70<> 〜街道〜


 わたしは再び、民家の屋根から屋根へと飛び移りながら、目的地へと移動していく。

キュゥべえ『早くも魔法少女としての戦い方のコツを掴んできたみたいだね?』

「ううん。まだぜんぜん掴めちゃいないよ。昨日、使い魔と戦った時は目の前のことを対処することだけで精一杯だったし――」

 そんな話をしているうちに、わたしとキュゥべえは先ほどまでわたしと椿姫が一緒にいた街道の一角へと舞い戻った。

「この辺りで、物凄い反応があったんだけど――」

キュゥべえ『真弓、あそこだ』

「――!」

 キュゥべえが目を向けていたのは、街道近くに存在する売り地の看板が立てられた空き地だった。

 見ると、空き地のちょうど中心に位置する辺り――その空中に、ドス黒い瘴気のようなものを溢れ出しながら開いている『穴』のようなものがあった。

キュゥべえ『結界の入り口だ。どうやら、既に中に入った子がいるみたいだね』

「さっき言っていた、この辺りを管轄しているって子?」

キュゥべえ『おそらくね。結界の存在と入り口を知覚したり視覚できるのは基本的に魔法少女だけだから――』

「わかった。それならわたしたちも行こう――!」


 ――こうしてわたしは、魔法少女として人生3度目の結界探索を開始した。
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 01:54:48.12 ID:/Ab71uy70<> 〜結界内部〜


 ――その結界の内部は、一言で表現するならば『花畑』であった。
 ただし、『花畑』は『花畑』でも、幼稚園児がクレヨンで画用紙にがむしゃらに描きなぐったことででき上がる『花畑』だ。

 つまるところ、緑色を中心に、所々に赤や黄色や紫、青といった色で彩られた異次元空間であった。

「何か、見ていると『乗り物酔い』ならぬ『結界酔い』しそうだね……」

 わたしは周囲を見渡しながら、自身の肩に乗るキュゥべえにそう呟いた。

キュゥべえ『僕にはよくわからないけど、確かにこの空間の持つ独特の雰囲気は、結界であることを抜きにしても人間には悪い影響を与えそうだ』

 どうやら、キュゥべえも同意してくれているらしい。

キュゥべえ『――真弓、今の君ならもうわかっていると思うけど、この結界が魔女のものなら、そろそろ大量の使い魔が姿を現すはずだ』

「わかった。慎重に進んでいくね……!」


 ――それから数分ほど歩いたところで、わたしたちの前に扉のようなものが姿を見せる。


「あれ? もしかして、もう最深部?」

キュゥべえ『いや、これは次のエリアへと繋がっているいわば『坑』に過ぎないよ。この先にもまだまだ結界は繋がっているだろうね』

「つまり、ここからが本番ってことか――」

キュゥべえ『そういうこと。まぁ、既に結界内に侵入した子がいるみたいだから、使い魔の数はある程度は減っているんじゃないかな?』

 それでも用心に越したことはないけど、と語りかけてくる白マスコット。

「わかった。それなら、いつでも戦えるように準備しておこう」

 わたしは『坑』を通過する前に、予め自身の武器であるカードを召喚しておく。

 ――わたしが念じると、すぐさま無数のカードたちがわたしの周囲に召喚され、宙を漂う。

キュゥべえ『――これが君の武器かい?』

「うん。わたしもまだ完全に把握できたわけじゃないけど、わたしが思っている方へ飛んで行ったり、動いてくれたりするんだ」

キュゥべえ『なるほど、使い方次第では、様々な戦況や状況にも対応できそうだ』

「確かにそうなんだけど……。カード1枚1枚の威力は弱いみたいでね、昨日もなかなか上手くいかなかった」

キュゥべえ『何事も経験だよ真弓。戦い続けていれば、いずれこの武器で最も効率が良い戦闘スタイルが見つかるはずさ』

 また『効率』か――

 わたしはそう思い、一度苦笑いを浮かべると、目の前の扉に触れ、ゆっくりとそれを開いていった――


「――!」


 ――『坑』を抜けた瞬間、わたしとキュゥべえを待っていたのは、先ほどよりもさらに色濃くなった『花畑』と、使い魔の群れだった。


キュゥべえ『来るよ、真弓!』

「わかってる――!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 02:32:37.38 ID:/Ab71uy70<>  実際、わたしはキュゥべえに言われるよりも早く、行動を起こしていた。

 ――わたしが両腕を前方にブンと振ると、周囲に浮いていたカードたちはオレンジ色の光をまといながら、前方の使い魔たちに向かって飛んでいく。

 そして、昨日の使い魔との戦いと同様、カードは次々と使い魔たちに突き刺さり、魔力の光によるスパーク攻撃を行う。


 ――バジッ!


 ――バジジッ!


 魔力のスパークを食らった使い魔たちは、次々と地面に倒れ伏し、やがて泡のようになって消滅していく。

 ――って、あれ?
 使い魔ってこんなに弱かったっけ?

「何か、昨日戦った奴よりも歯ごたえがない気がするんだけど――?」

キュゥべえ『魔女の結界にいる使い魔は、基本的に結界内の警備や魔女から命じられた雑務をこなすだけの存在だからね。1匹あたりの力は大して脅威じゃないよ』

「つまり、最大の脅威は数ってことか――!」

 キュゥべえとそのようなやり取りを交わしながら、わたしは群がってくる使い魔たちを迎撃していく。

 ――カードを召喚し、使い魔が現れては、これを迎撃。
 迎撃が完了次第、再びカードを召喚、使い魔が来たら、迎撃――その繰り返しだ。

キュゥべえ『真弓、使い魔をいちいち相手にしていたら君の魔力が持たないよ。魔女を倒して結界を消滅させれば使い魔も同時に消滅する。だから今は先に進むことを第一に考えるんだ』

「りょ〜かいッ――!」

 キュゥべえに言われた通り、わたしは使い魔を撃退しながら結界の奥へと駆け足で進んでいく。

 ――しばらく進んだところで、また次の『坑』が見えてきた。


キュゥべえ『こうも使い魔が多いと、扉を開く余裕もないよ。どうする?』

「それなら――ぶち破る!」

 わたしは右手を前に突き出す。
 すると、目の前に1枚のカードが姿を現した。


 ――昨日の使い魔との戦いで現れた、あの紅いカードである。


 紅いカードをわたしが手にすると、昨日と同様、カードは一度光の粒子へと還元され、それから数秒後、形を変えて再びわたしの右手におさまった。

 ――佐倉さんのものと同じ槍だ。

キュゥべえ『あれ? それは確か――』

「説明は後!」

 わたしはその槍を前に構えながら、前方の『坑』へと突っ込んでいく。

「行っけぇ!」

 そして、そのまま一気に扉を突き破り、2つ目の『坑』を突破した。
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 03:02:36.51 ID:/Ab71uy70<>  『坑』を抜けたわたしは、すぐさまぶち破った『坑』の穴に向けて大量のカードを飛ばし、カードによる『壁』を作る。
 前のフロアから使い魔が追ってくることを防ぐためだ。

 ――3つ目のフロアは、先ほどのフロアよりも広く、そして酷く入り組んだ地形をしていた。
 無論、見るからに酔いそうな『花畑』も、さらに色合いを禍々しいほどに濃くなっている。

 ――今のところ使い魔の姿が見えないことが幸いだったが。

キュゥべえ『どうやらこの辺りの使い魔は、先にきた子がほとんど倒してしまったみたいだね』

「そう? それならこっちとしては非常にありがたいんだけど――」

キュゥべえ『それじゃあ、今のうちに教えてもらおうかな? 真弓、何故君が杏子の武器を持っているんだい?』

「あぁ、コレ……」

 キュゥべえに尋ねられたわたしは、未だに右手に握られている佐倉さんの槍に目を向ける。

「…………」

キュゥべえ『…………』

 数秒ほどの沈黙。
 そして――

「――実を言うと、わたしもよくわかんない」

キュゥべえ『どうして?』

 ――いや、そう言われても本当に答えようがないのだ。
 実際、気がついたら使えるようになっていたんだから――

「本当にわかんないんだけど――昨日佐倉さんと一緒に結界に入って使い魔と戦っていたら、いつの間にか使えるようになってた」

キュゥべえ『“いつの間にか”――?』

「うん。“いつの間にか”」

キュゥべえ『…………』

「…………」

キュゥべえ『……なるほど、まだハッキリと決まったわけじゃないけど、君の能力が何なのか大体わかったよ』

「本当?」

キュゥべえ『うん。――だけど、あの願いでどうしてそんな能力になってしまうんだろう? 不思議でしょうがないよ』

「えっ――?」


 魔法少女の能力は、叶えた願いによって決まる――
 そう言っていたのは、紛れもなくキュゥべえだ。

 しかし、そのキュゥべえがわたしの能力に対して、何やら疑問を浮かべている――

 おまけに、その言い種だとまるでわたしの願いと能力は、全く関係がないもののようにも聞こえるのだが――

キュゥべえ『まぁ、まだ詳細が判明していないから、あくまでもこれは僕の憶測に過ぎない。君は気にしなくていいよ』

 そう言われると、余計気になってしまうのだが――


「――まぁ、いいや。能力についてはいずれわかることだろうし、今は魔女退治に集中しよう」

キュゥべえ『そうだね。それじゃあ、先に進もうか』

 ――わたしとキュゥべえは、再び結界の最深部目指して歩き始めた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/22(日) 03:04:48.52 ID:/Ab71uy70<> 一旦ここで休憩します
続きは今夜22:00以降となります

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/22(日) 23:44:42.59 ID:bRLmGJYIO<> 楽しみにしてる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/22(日) 23:48:01.51 ID:WSdWLsw0o<> オリキャラもしっかりしてていいと思う。
羨ましいよ、うん。オリキャラのキャラ立ってて。


質問だけど、全部即興なのかな?
安価の無い部分は書き溜めておくとスムーズかと。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/23(月) 00:31:44.71 ID:3scDhvEk0<> 遅れてしまいましたが再開します

>>607
プロットとある程度の台詞、展開だけ予め書きためていて、
そこから選択肢などの展開に合わせて本文を肉付けしていくって感じで書いています
そういう意味では即興とも言えるかも……

実際、安価以外は全編書きためた方が本編投下時の進行はスムーズになるのですが、
何分>>1は結構怠け者なので、ある程度即興にしておいた方が「続き書かなきゃ。本編進めなきゃ」って使命感が湧いてくるので筆が進むんです……w
あと、書きためた後にまとめてドーンって形式で進めた場合、いずれ書くのに飽きて投げだしちゃいそう……というのもあります <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/23(月) 01:39:34.22 ID:3scDhvEk0<> 「――それにしても、本当にこのフロアには使い魔いないね」

 わたしは、結界の奥へ進みながら、ポツリとそう呟いた。

キュゥべえ『そろそろ結界の最深部――魔女がいるフロアだからね。魔女との戦いの際に、使い魔に横入りされないように、予め敵戦力を削いでいるんじゃないかな?』

「なるほどね……。確かに、戦略的にも間違ってはいない気がする」

 わたしは戦略家でも戦術家でもないけど、とわたしが付け加えた時だった。


 ――ズン!


「うわっ!?」

 突然、フロアに轟音が響き渡り、同時にわたしたちがいたフロアが大きく縦に揺れた。

キュゥべえ『――どうやら、先に侵入していた子が魔女と戦闘を始めたみたいだね』

「えっ!? それは大変! 急いでわたしたちも向かわないと――!」

 キュゥべえの言葉を聞いたわたしは、先に結界に侵入していた魔法少女に助太刀するため、急いで轟音の聞こえた方向へと走りだす。


 ――1分ほど走ったところで、わたしとキュゥべえは目的地に到着した。


「あっ! キュゥべえ、あれ!」

 わたしは、自分たちの目の前にある、おそらく結界の最深部へと繋がる最後の『坑』――だったのであろう穴を指差す。

 そこには、先も述べた通り、直径数メートルはあろうという巨大な穴が結界の壁面にできあがっており、その穴の中心部辺りには、巨大な『化け物』が倒れ伏していた。

「あれが、魔女――」

 ――わたしは、目の前に倒れ伏している『化け物』こそ『魔女』だとすぐにわかった。

 なぜなら、その『化け物』は昨日わたしが戦った使い魔よりも遥かに大きく、そして、見るものに対して圧倒的な禍々しさを放っていたからだ。

キュゥべえ『そう。あれが魔女――この世界に呪いをもたらす存在だ』

「使い魔なんかとは、ぜんぜん違うね……」

 その時わたしは、思わず口の中のツバをごくりと飲み込んだ。

 ――わたしたち魔法少女は、こんなものと戦い続けなければいけないのか。
 そう思うと、以前の佐倉さんが魔女としか戦わないスタンスをとっていたのも頷ける。
 当然だろう。単独行動している使い魔1匹でも正直言って恐ろしかったというのに、目の前の魔女は、見るからにそれをも上回る恐ろしさがあるのだから。


「――!?」

 ――倒れ伏していた魔女が動き出し、起き上がった。

キュゥべえ『気をつけて真弓、こちらに気付いたかもしれないよ』

「う、うん……!」

 まだわたしたちと魔女との間には若干の距離があるが、キュゥべえの言う通り、魔女はこちらの存在に気付いたのかもしれない。

 わたしは、手にしていた佐倉さんの槍を再び構え、同時にカードを周囲に召喚――前方の魔女に対して身構える。


 ――だが、それと同時に、魔女の頭上からひとつの影が姿を現した。


???「まだ浅かった――!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/23(月) 02:22:02.69 ID:3scDhvEk0<>  ――それは、わたしと同年代の女の子であった。

 女の子は、魔女の数メートル上空を華麗に舞いながら、こちらの方に向かって降りてくる。

 もはやその女の子が何者であるかなんて考えるまでもない。
 ――魔法少女だ。


 女の子は、わたしたちの前方数メートルの位置に両足をつけて着地する。
 それは、体操選手が見たら、思わず見とれてしまうかもしれないほど、見事な着地だった。

???「確実に仕留めたと思ったけど――こちらの想像以上にタフみたいだ」

 女の子は、前方の魔女を見やりながら、そう口にする。

 ――あれ?
 こんなに近くにいるのに、わたしたち彼女に気づかれていない?

「ね、ねぇ、キミ――」

???「ん――? って、うわぁ!? 誰、あんた!?」

 こちらに振り返った途端、驚きの表情を浮かべ、同時に声を上げる女の子。

 やっぱり、気づいていなかったのか――
 わたしって結構影薄い?
 それとも、この子が素で気づいていなかっただけ?

「キミと同じ魔法少女だよ」

???「え? アタシと同じ――?」

キュゥべえ『そうだよ、ユウリ』

 わたしの肩に乗っていたキュゥべえと女の子の目が合う。

???「キュゥべえ――」

「ユウリ?」

キュゥべえ『うん。――彼女は飛鳥ユウリ、1ヶ月ほど前に僕と契約した魔法少女だよ』

 現在はこの辺り一帯を管轄しているんだ、とキュゥべえはわたしに彼女――ユウリのことを軽く説明する。

キュゥべえ『ユウリ、こちらは柚葉真弓。先日僕と契約して魔法少女になったばかりなんだ。突然で悪いけど、魔法少女としての戦い方を彼女に教えてあげてもらえないかな?』

ユウリ「――本当に突然だな……」

 キュゥべえの話を聞いたユウリは、間が悪そうな顔をする。

 ――いや、実際、タイミング的にも場の空気的にも非常に悪いのだが――


ユウリ「――って、うわっ!?」

「いいっ!?」

 気がつくと、起き上がっていた魔女が、こちらに向かって触手のようなものを伸ばし攻撃してきたところだった。
 わたしたちはギリギリのところで、横に飛び退けて攻撃を回避する。

キュゥべえ『油断は禁物だよ』

ユウリ「誰のせいだ!」

「ゴメン、半分はソイツで、半分はわたし……」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/23(月) 03:35:15.99 ID:3scDhvEk0<> ユウリ「――まぁいい。あんた、魔女と戦うのははじめてか?」

「う、うん。使い魔とは昨日戦ったけど……」

ユウリ「そうか。アタシも魔法少女になって正直日は浅いけど、ある程度は場数を踏んでる――アタシからあまり離れるんじゃないぞ?」

「わ、わかった――!」

ユウリ「よぉし……! それなら、いきますか!」

 そう言いながら、ユウリは自身の右手に巨大な注射器――それも針が6本も付いていて、あたかもガトリングガンのような代物――を出現させる。
 どうやら、それがユウリの武器らしい。


 ――しかし、こうして見てみると、このユウリという子の魔法少女としての姿は、どことなく女性看護師のようだ。

 一見、メインとなる背中と腋が露出したドレスと首に巻かれている長いマフラーだけでは、そうは思えない。
 だが、頭にかぶっているナースキャップと手にしている巨大注射器から、そう連想させる。
 言ってしまえば、それだけ後者2つの印象が大きいということだろう。

 ――わたし個人としては、露出している背中と腋の方が注目すべき点だと思うのだが――
 佐倉さんの絶対領域とはまた違った魅力があるし――


ユウリ「――ん? どうした?」

「うえっ!?」

 ユウリの声で、わたしははっと我に返る。

 いかんいかん。
 これから魔女と命懸けの戦いをするというのに、何煩悩に浸っているんだわたしは――!

 ――そういえば、昨日も同じようなことがあったような気がするが、今はその話は置いておいて、魔女との戦いに集中しよう。

ユウリ「怖気づいたのか? まぁ、怖いなら無理して戦わなくても……」

「だ、大丈夫! むしろちょっと勇気湧いてきた!」

 わたしは、ユウリに向かって思わずサムズアップをしてみせる。

ユウリ「そう? それなら、今度こそいくよっ――!」

「あっ、待って――って、だあぁ!?」

 ユウリが再び魔女に向かって跳びかかったのと、再びこちらに振るわれた魔女の攻撃を半ば吹き飛ばされる形でわたしが回避したのはほぼ同時だった。


 ――目の前の魔女は、虫のようにも植物のようにも見える姿をしていた。

 なぜ、そのようなイメージを抱いたかというと、先ほどからこちらに放ってくる“触手のようなもの”と、結界の『花畑』を連想させるデザインからだ。
 ――思い返してみれば、ここに来るまでに戦っていた使い魔も、どこか虫っぽい外見をしていたような気がする。


ユウリ「基本的に、見た感じ頭や胴体だと思われる場所を狙えば、多かれ少なかれダメージは与えられる!」

「わかった!」

 ユウリのそのアドバイスに従い、わたしは魔女の胴体と思わしき場所に次々とカードを飛ばした。
 わたしの斜め前方に立っていたユウリも、持っていた巨大注射器から弾丸にもビームにも見える『何か』を魔女に対して無数に撃ち込んでいた。

魔女『――!』

 ――ユウリが言った通り、ダメージを与えることができたのか、はたまた何か別の効果が得られたのか、魔女の身体が揺れる。

ユウリ「よし、このまま――」

キュゥべえ『2人とも、後ろだ!』

「えっ――!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/23(月) 04:00:05.64 ID:3scDhvEk0<>  ――突然キュゥべえが声をかけてきたので、振り返ってみると、そこには――


「――使い魔!?」

 そう、使い魔だ。
 それも数十匹は軽くいる。

キュゥべえ『どうやら、前のフロアにいた使い魔たちが魔女のピンチを察知して駆けつけてきたみたいだね』

 それはつまり、わたしがはっていたカードによる『壁』が破られてしまったということになる。
 やはり、魔法の力によるものとはいえ所詮はカード――物量を相手にするのはさすがに難があったらしい――

ユウリ「ッ――! こんな時に――!」

 舌打ちをしたユウリが使い魔の方に振り返り、注射器を構えた。
 それを見たわたしは――


 ◆選択肢

   1:ユウリと共に使い魔を迎撃する
   2:使い魔は自身が引き受け、ユウリには引き続き魔女と戦ってもらうよう頼む
   3:使い魔はユウリに任せ、自身は引き続き魔女と戦う

       安価>>614-618 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/23(月) 04:04:21.22 ID:3scDhvEk0<> 短かったですが、今回はここまでで
続きは今夜22:00以降となります
今日と明日中には第3話も終わるかな?

真ユウリは原作では未だに謎が多いキャラの1人ではありますが……
まぁ、今後原作で新設定が明かされていっても、それとあまり矛盾しないよう努力していきたいと思っておりますw

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/23(月) 04:35:49.79 ID:zkF6XF6Po<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/23(月) 04:37:18.55 ID:g021BDDCo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/23(月) 07:57:26.49 ID:aE0rw39IO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/01/23(月) 08:59:26.10 ID:jTuW04i4o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/23(月) 09:46:59.49 ID:5XaYSsmwo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 08:10:55.64 ID:d7slo9E7o<> 乙 色々と気になる展開だな
原作通りならほむらとQBの接触が25日でループ基点が16日でワルプルが基点から多分一ヵ月後
んで、今は26日以降か?真ユウリがいるとなるとかずみに出番はあるのかないのか… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 15:40:52.15 ID:Fk8wIqV10<> 予定より遅くなってしまいましたが、再開します


今月号のきららフォワード呼んで一言
あれ? 悲鳴合唱d……もといプレイアデス聖団って個々はそれほど強くないチームプレイ型の魔法少女グループかと思っていたけど、個々でもかなり強くね?(能力的な意味で)
かずみ☆マギカの魔法少女って実はシリーズ全体から見てもかなり上位に位置するような気が……w

それと、雪が積もっている中、きららフォワード取り扱っている一番近い本屋(片道自転車で約15分)行くのは寒かったし、危なかったと言わざるを得ない <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 17:16:08.26 ID:Fk8wIqV10<> 「ユウリ、ちょっと待った!」

 わたしは、とっさにユウリの腕を掴む。

ユウリ「!? 何をする!? 急いで使い魔を倒さないと挟撃されるぞ!?」

「それは、わかってる! だから、使い魔はわたしに任せてほしい!」

 そう言いながら、わたしは大量のカードを再召喚すると、それらを全て使い魔たちに向けて放った。


 ――バジッ!


 これまでと同様、使い魔に突き刺さったカードは魔力によるスパークが弾かせる。
 当然、個々の強さはそれほどでもない使い魔たちは、それによって次々と撃破されていく。

 ――やはり、1対多なら、ユウリの武器よりもわたしの武器の方が使い魔には有効だ。


 ユウリの武器である巨大注射器――ガトリングも元々は対多兵装ではあるが、それはあくまでも前方から向かってくる敵に対しての場合だ。
 使い魔のように、四方八方から押し寄せてくる相手の場合、小回りなどの関係上、若干の隙が生じてしまう。

 対して、わたしの武器であるカードは、わたしが敵の位置や存在さえ感知できれば、すぐさまカードが勝手に飛んでいって迎撃に出る。
 簡単に言ってしまえば、ユウリのように、『敵を確認する』→『武器を構える』→『攻撃』といったプロセスにおいて、“『武器を構える』必要がない”のだ。
 (事前に武器であるカードを召喚しておくという必要はあるが)これは、こういった状況においては大きなアドバンテージとなる。
 火力こそユウリの武器と比べると貧弱ではあるが、それでもこの結界の使い魔を相手にするには十分な威力があることは既にここまでの道のりで確認済みだ。


ユウリ「――なるほど、そういうことか!」

 使い魔を迎撃していくわたしの姿を見て、ユウリもわたしの意図に気づいてくれたのか、再び使い魔の方へと向き直り、武器を構えた。

「魔女はキミが――!」

ユウリ「任された!」

 頷いたユウリが、再び魔女に向かっていく。
 それを見た――実際目があるのかどうかはわからないが――使い魔たちは、魔女を守ろうとユウリの方へ向かって殺到した。
 もちろん、行かせるつもりはない。
 カードを再召喚し、すぐさまユウリの元へと向かう使い魔たちへと飛ばし、迎撃していく。

キュゥべえ『見事なまでの状況判断能力だね』

「『火事場の馬鹿力』ってやつよ!」

 ――って、キュゥべえ、こんな時にいきなり話しかけてくるな! 気が散る!
 あんたはダン●インの妖精か!
 そういえば、あの妖精はなんて名前だったっけ――?


ユウリ「危ない!」

「ふえっ!?」

 ――突然、背後からの衝撃。
 それは、わたしに飛びかかってきたユウリによるものだった。

 数秒後、再び衝撃。そして、轟音。
 こちらは魔女の触手のようなものによる攻撃によるものだ。


 ――どうやら、魔女がわたしに向かって攻撃を繰り出していたらしい。

 ほんの一瞬とはいえ、余計なことを考えていたせいで、それに気づけなかった。
 少し自分自身が情けなくなる。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 17:18:35.85 ID:d7slo9E7o<> カードファンネルか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 17:59:03.67 ID:Fk8wIqV10<>  ――地面に振り下ろされた魔女の触手のようなものの数メートル横に、わたしたちは倒れこんだ。
 わたしは仰向けに、ユウリはうつ伏せにという形だ。

 ――見方によっては、ユウリがわたしに抱きついているように見えなくもない。

ユウリ「――大丈夫?」

「あ――ッ!? う、うん……!」

 眼の前――それも結構な至近距離にあるユウリの顔に、一瞬ドキッとしてしまう。
 それだけユウリの顔がわたしには凛々しく見えたのだ。
 決してわたしが『そっち系』の道に目覚めてしまったわけでは断じてない。
 ――何故か、ベッドの上で満面の笑顔を浮かべながらこちらを手招きするみずきの姿が一瞬だけ脳裏に浮かび上がって消えたが。


ユウリ「立てる?」

 すぐさま起き上がったユウリが、わたしに対して手を差し出す。

「うん。ありがとう」

 そう言いながら、わたしもすぐさま手を差し出し、ユウリの手を取った。


 ――その時だ。


「――!?」


 ――突然、わたしの脳裏に、何かが浮かび上がった。
 いや、“頭の中に何かが『流れこんできた』”と言っても間違いではないかもしれない。

 この感覚は――
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 18:06:31.03 ID:Fk8wIqV10<>  ――――――

 ――――

 ――


???『――それで、その魔法少女とやらにアタシがなればいいんだね?』

???『うん。それで契約は成立。君の願いも叶えられるよ』

???『わかった。それなら頼む――』

???『それじゃあ、聞かせてもらえるかな? 君の願いを――?』

???『アタシの願いは――』


 ――――――

 ――――

 ――


               ,, .-‐zzx;;;,,_、
     ,.‐‐ァ'ニニ=、.'´=='' ´- 、  ミ,ヽ、 _,,==、_,,,===,,,,_
    /  rfニニ,= '´,   \ 、    ヽ,  ゙>=ニニニニ/     i,ヽ,
   /  .}ニニ/ /.i ハ,  i,\.ヽ,    ゙、. ,|ニニニニζ      .i, ゙i,
  /   {ニ/  ./  i .i  i ヘ, \i     i, iニニニζ       i, .i,
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/   ,i ,i .l  八  i!. ,i   .| ヘ,  \  i. ,i  | i,        i, i,
   ,i ,i i  i゙ ゙i,  ∨    |  人'、  \ i ,i  |、. i,        i, i,
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   i  i!i  i, i \、 i∧. ゙i,   | /_,,斗''´ ヽ、 \ . i!i!i, .i,       i, i,
  .i  i!i!l, .ヘ|.  >''=_\ i, '芦, '´!_,, i /`'ヾ、 f''ヾ, .i,       .i, i,
  i .i!i!i ..i, 4了爻x、, .\゙i,ノ' ,ィ孩乕i ゙汐゙    .b) .} i i,       i, i,  
  .i .i!i!i.| .ヘ, 弋゙Zノ)   ヾ、 ‖ Yリノ ノ゙  /. レ'゙  ヘ, .i,       i, i,
.  | i!i!i!,|  .ヘ, ゙i,    ,   \   ./  /  l    ヘ, i,      i, ゙i,
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..i!/    γ'' <, 弋    ------―''´'''´     i          ヘ,゙i,  |    i,
.i/    /:::::::::::i;;,,,_`         _,,,,,,,,,,, γ::⌒::ヽ,         ベi,  .|    i,


ユウリ「あんりの病気を治す。そのためならアタシは、魔法少女だろうと、何であろうとやってやるさ――!」


 ――――――

 ――――

 ――


「――うッ……!」

ユウリ「!? どうしたの、大丈夫!?」

 頭を押さえながら、倒れかかったわたしをユウリが抱きとめてくれた。

「――うん、大丈夫」

 わたしは顔を軽く左右に振ると、ユウリの方に向き直り、頷きながらそう答えた。


 ――昨日と同じだ。

 昨日も佐倉さんと一緒にいた時に、今と同じようなことが起こった。

 本当に、今のは一体――
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 18:20:45.10 ID:d7slo9E7o<> この現象が願いと関係あるのかな。前回は杏子に触れてない、今回はユウリに触れてる
共通点は僅かながらでも性的興奮を覚えてるってことか。つまり興奮すると発動する能力と <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 18:38:35.67 ID:Fk8wIqV10<> キュゥべえ『――どうやら、使い魔は全て真弓の攻撃で撃退できたみたいだね』

 周囲に目を向けたキュゥべえからそのような声が漏れた。

 思わずわたしも周囲に目を向ける。
 ――確かに、数十匹はいた使い魔の姿は、今はどこにも見当たらなかった。

 ――もしかして、わたしって意外と凄い?

ユウリ「それなら、あとは魔女を倒すだけだね」

キュゥべえ『ユウリが与えていたダメージがまだ残っているみたいだ。先ほどと同じ場所に再度攻撃してみたらどうかな?』

 武器を魔女に向けて構え直したユウリに、キュゥべえがそのようにアドバイスする。

 わたしが使い魔を撃退している間、ユウリも魔女に攻撃を仕掛けていたらしく、目の前の魔女は先ほどと比べるとどこか動きがぎこちなかった。

「ピンポイント攻撃ってこと?」

キュゥべえ『そういうことになるね。だから、真弓はユウリの援護に徹するべきだ。真弓の武器は、一点集中攻撃には向いてなさそうだし――』

「う〜ん……」

 そう言われると返す言葉もない。
 一応、佐倉さんの槍もあるが、目の前の巨大な敵を相手に、近接戦闘を仕掛けられるほどの余裕が今のわたしにはあるかと聞かれたら、答えはノー。
 せめて、遠距離でもある程度の威力を叩き出せる、必殺技のようなものでもあれば――

「――ん?」

 そんなことを思っていたわたしの前に、1枚のカードが召喚される。

 ――って、あれ?
 何かこの展開、デジャヴを感じるんだけど―― 

「――まさか……!」

ユウリ「ん?」

キュゥべえ『どうしたんだい、真弓?』

 召喚されたカードを手に取り、その絵柄を確認する。
 わたしの声に反応したのか、ユウリとキュゥべえもわたしの方を見る。


「――やっぱり、白紙じゃない。おまけに、佐倉さんの槍になったカードとも違う……」

 そう。わたしの予想通り、そのカードはやはり白紙ではなかった。
 おまけに、その絵柄は佐倉さんの槍へと姿を変える紅いカードとも違った。


 ――佐倉さんのものとはまた違う赤系統の色で描かれた赤い紋章。
 そして、紋章と同じ色で文字のようなものが羅列する形で描かれたカード。


ユウリ「? このカードがどうかしたの?」

キュゥべえ『――真弓、まさかコレは……』

 カードを見やるユウリとキュゥべえは、それぞれ違った反応を示す。

 ――反応からして、おそらくキュゥべえはこのカードが何を意味するかすでに気づいている。
 無論、カードの絵柄を確認した瞬間から、わたしもこのカードが何なのか、ある程度の予想はできていた。

 このカードは―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 20:46:25.47 ID:Fk8wIqV10<> 「――!」

ユウリ「えっ!?」

キュゥべえ『――やはりね……』

 紅いカードの時と同様、カードが光の粒子へと還元される。
 そして、徐々にその形をカードではない別のものへと変えていく――

 その形は――

「――うん。思っていた通り」


 ――ユウリが持っているものと同じ、針がガトリング式になっている巨大な注射器だった。


ユウリ「ど、どういうこと……!?」

キュゥべえ『ユウリ、説明は後だ。今は魔女を倒そう』

「そういうこと。――それで、どこを狙えばいいの?」

 カードから形を変えた注射器を両手で担ぎ上げながら、わたしはユウリに尋ねる。

 ユウリは数秒ほど呆気にとられていたが、やがてはっと我に返り、魔女の方を見やる。

ユウリ「――あそこだ」

 そして、魔女の胴体のちょうど真ん中――人間で言うと胸のあたりを指差した。

「オッケー。それなら、『1、2の3』で同時にあそこ目掛けて攻撃でいい?」

ユウリ「わかった。――ちゃんと後で説明してよ?」

「わかってる、わかってる」

 互いに注射器を魔女に向けて構える。
 もちろん狙いは、ユウリが指差した魔女の胴体の中心部――

魔女『――!』

 ――だが、魔女もこちらの狙いに気付いたのか、またしても触手のようなものをこちらに振り下ろさんと迫る。
 しかも、その触手のようなものの本数は1本や2本というレベルではない。下手をすれば2桁はあるのではないかという数だ。

キュゥべえ『マズいよ! 向こうも全力でこちらを叩き潰すつもりだ!』

 わたしの肩の上で、キュゥべえが叫ぶ。
 うるさい。それぐらい、見ればわかるよ。
 だから今は集中する。

ユウリ「行くぞ!」

「りょ〜かい!」

ユウリ「1!」

「2の……!」


 ――3!


 号令と共に、わたしとユウリは、それぞれの注射器をぐいっと押した。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 21:03:52.51 ID:Fk8wIqV10<>
 ――それは、一言で表現するならば、『綺麗』というべきなのか『奇妙』というべきか判断しづらい光景だった。

 ほぼ同時にお互いの注射器から放たれた魔力の光は、互いに渦を巻き、回転しながら途中で合体、1本の極太の光へと姿を変えた。
 そして、その光は魔女の無数の触手のようなものからその胴体のみならず、全てを飲み込んだ。

 ――光に飲み込まれた魔女の肉体は、膨張し破裂するような形で崩壊し、結界に負けず劣らずの極彩色を、わたしたちの視界一面に撒き散らした。


 ――びちゃびちゃ!


 魔女の肉片とも体液ともとれる『何か』が、結界の地面や側面に叩きつけられ、気持ち悪い音を奏でる。


 ――やがて、注射器から放たれた光が収まり、気持ちの悪い音も聞こえなくなると、わたしとユウリとキュゥべえだけがその場に残された。


 ――ポトリ。


 目の前で、先ほどまでとは違う『別の何か』が地面に落ちる音が聞こえた。


 ――結界がぐにゃぐにゃと歪にねじ曲がり、やがて消滅したのは、その直後であった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 21:26:20.30 ID:Tw2+ekhIO<> 初グリーフシードktkr <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 21:33:53.77 ID:Fk8wIqV10<> 〜空き地〜


 結界が消滅し、元の世界――街道沿いの空き地に戻ってきたことを確認すると、わたしとユウリは互いに変身を解いた。

 変身を解いたユウリの姿は、どこかの中学校の制服――セーラー服だ――を身にまとっていた。

「――あ、そうだ。さっきのこと説明しないとね」

 わたしは、先ほどのユウリの武器に形を変えたカードのことを説明しようとするが――

ユウリ「その前に、ちょっと待って」

 とユウリに止められた。
 ご丁寧に、手を前に出されて「ストップ」を意味するジェスチャー付きで。


 ――ユウリは数歩前に歩くと、一度前かがみになり、そこに落ちていたあるものをひょいっと拾った。

 わたしは、その拾ったものに見覚えがあった。
 というより、今朝も同じ物を見ている。

 ――『グリーフシード』だ。


ユウリ「――ん」

「へっ? 何?」

 突然、ユウリが振り返りざま、今拾ったばかりのグリーフシードを持った手をわたしに差し出してきた。

 わたしは、思わず間の抜けた声をあげてしまう。

ユウリ「あんた、今の戦いで結構魔力使ったでしょ? 使いなよ」

「えっ!? で、でも、コレって魔法少女にとって貴重なもので――おまけに、最初にさっきの魔女と戦っていたのはキミでしょ?」

ユウリ「でもトドメをさしたのは2人でしょ? だったら、あんたにもコレを手にする権利はある」

 そう言うと、ユウリは半ば無理矢理わたしの右手にグリーフシードを握らせた。

 ――右手中に、石を握った時のような固い感触が伝わる。

「…………」


 ◆選択肢

   1:「ゴメン。実はわたし、コレの使い方わからないんだ……」
   2:「心配してくれるのは嬉しいけど――ユウリの方は大丈夫なの?」
   3:「いくら何でも、タダで受け取ることなんてできないよ」

       安価>>631-635 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/24(火) 21:36:06.84 ID:NwKhcGM1o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 21:38:20.02 ID:5WtaIzsr0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/24(火) 21:39:03.80 ID:s7zcmarl0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 21:40:42.52 ID:nyeTaHiuo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/01/24(火) 22:11:01.04 ID:dprNi4Xco<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 22:22:22.96 ID:Fk8wIqV10<> 「心配してくれるのは嬉しいけど――ユウリの方は大丈夫なの?」

 わたしは、思わずそう尋ねてしまった。

 確かに、ユウリが言った通り、わたしは先ほどの戦いでかなりのカードを召喚していた。
 実を言ってしまえば、わたし自身、魔力の残量はどうすれば確認できるのか、グリーフシードでどのように魔力を回復するのかなど、未だにわからないことは多い。
 だが、“カードを召喚し、戦い続けていると徐々に魔力を消費していくのだろう”程度の予想はつく。

 先ほどの戦いで、ユウリがどれだけの戦闘をこなしてきたのかはわからない。
 しかし、ユウリはあれだけの結界を本来ならば1人で攻略しようとしていたのだ。
 いくら魔法少女の先輩で、ある程度場数は踏んでいる身とはいえ、少なくともわたしと同じくらい、もしくはそれ以上魔力を消費している可能性は十分ある。

ユウリ「――大丈夫さ。自分のことくらい、自分がよくわかっているよ」

キュゥべえ『でもユウリ、君のソウルジェム、結構濁っているみたいだよ?』

ユウリ「――ッ!」

 ――キュゥべえのその一言に、ユウリの顔が一瞬だけ強張った。


「ソウルジェムが濁っている――?」

キュゥべえ『うん。魔法少女は魔法を使っていくとソウルジェムが濁っていくんだ。ソウルジェムが濁っているということは、それだけ魔力を消費しているってことだよ』

 わたしが思わず疑問文を口にすると、キュゥべえがすぐさまその疑問に答えてくれた。

「…………」

 わたしは左手にはめられていたソウルジェムを、指輪から本来の宝石状の形に戻すと、それをじっと見つめる。

 ――ソウルジェムの中には、黒いモヤのようなものが浮かんでいた。
 おそらく、これが今キュゥべえが言った『濁っている』という状態なのだろう。

「なるほど、このモヤみたいな濁りが生じているかいないかで魔力の確認をするわけだね?」

キュゥべえ『そういうこと。――ユウリ、君のソウルジェムを真弓に見せてあげてくれないかな?』

ユウリ「…………」

 ユウリはムスッとした顔をわたしとキュゥべえに向けるが、やがてキュゥべえに言われた通り、自身のソウルジェムをわたしに見せてくれた。


 ――ユウリのソウルジェムは、数歩距離が離れているわたしから見ても、かなり濁っていることがわかった。
 それはもう、わたしのソウルジェム以上に黒いモヤが中に生じており、とにかく黒かった。

「うわっ。黒い……」

 思わずそんな言葉が口からこぼれてしまう。

キュゥべえ『魔女との戦いだけじゃ、さすがにソウルジェムはここまでは濁らない。君のことだから、また密かに子供たちの病気を魔法で治療していたんだろう?』

ユウリ「――フンッ!」

 ユウリがプイッとそっぽを向く。
 すっかり日も暮れて夜になっていることもあり、よく見えなかったが、その時のユウリの顔は若干赤くなっているように見えた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 23:07:54.36 ID:Fk8wIqV10<> 「魔法で治療?」

キュゥべえ『ユウリは“癒しの願い”で契約した魔法少女だから治癒関係の魔法が普通の魔法少女よりも得意なんだ。それと、自身の回復力も相当上乗せされている』

「癒しの願い……」

 思わず呟く。

 ――そういえば、あの時脳裏に映ったビジョンに出てきたユウリも――



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     ,.‐‐ァ'ニニ=、.'´=='' ´- 、  ミ,ヽ、 _,,==、_,,,===,,,,_
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ユウリ『あんりの病気を治す』


 ――そうだ。確かにそう言っていた。


「…………」

 ここでふと考える。

 ――もし、あのビジョンの光景が実際にあった出来事だったとしたら、わたしが見たあのビジョンの正体は『ユウリの記憶』という可能性が高い。

 そして、昨日佐倉さんの時にも見たビジョンが『佐倉さんの記憶』だとしたら――


 ――わたしは、自身の能力がどのようなものなのか、大体わかってきた気がした。


 ――『サイコメトリー』。

 一般的には『超能力』と呼ばれる力の一種で、わかりやすく説明するならば“自身が触れたものが内包している『記憶』を読み取る能力”だ。
 わたしたちが住んでいるこの国では、この能力を題材にした漫画とその実写ドラマのタイトルから、この能力を持った人間を差す言葉『サイコメトラー』の方が広く知られている気がする。

 わたしの能力もおそらくコレだ。
 ――ただし、その対象となるのが“全ての物”ではなく“魔法少女限定”という相違点がある。

 そして、読み取れるのは“契約時の記憶”のみという点も挙げられる。

 ――わたしの武器であるカードに、佐倉さんやユウリの武器に形を変えるものが混ざっているのは、おそらくこの“契約時の記憶”――2人が“キュゥべえとの契約によって叶えた『願い』”を読み取ったからだろう。


 魔法少女の“『願い』の記憶”を読み取ることで、その『願い』から生まれた力の一片である『武器』を読み取り、再現する――おそらく、それがわたしの能力の正体だ。

 わたしが、魔法少女となる前までの魔法少女やキュゥべえ、魔女に関する記憶が全て失われてしまったのは、この能力を得る願いを叶えたことによる反動なのだろう。


 ――まだ完全にそうと決まったわけではないが、自身の能力がある程度把握できたのは喜ばしいことだ。

 わたしは、自然と自分の顔が緩んでいくのを感じた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 23:12:02.54 ID:Fk8wIqV10<> 【修正】
>>637

× わたしは、自然と自分の顔が緩んでいくのを感じた。

○ わたしは、自分の顔が自然と緩んでいくのを感じた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/24(火) 23:39:49.70 ID:d7slo9E7o<> あー、よく読んだら杏子も真弓の両腕掴んでたか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 23:45:01.07 ID:Fk8wIqV10<> 「それにしても、“『カード』や『記憶』の力で戦う”って――どことなく最近の『仮●ラ●ダー』みたい……」

 思わずそう呟いてしまう。

 ――しかし、実際考えてみたら、魔法少女という存在は、どことなく『仮●ラ●ダー』と似ていると言えば似ている気がする。
 人知れず戦っているところとか――あ、初代を始めとした昭和勢やWとかは普通に人々に認知されている設定だっけ。

 ――わたしはラ●ダーの変身者で例えると津●翔一やフィ●ップかな? 記憶がない的な意味で。


キュゥべえ『――まぁ、君のやり方に僕は余計な口を出す気はないよ。最低限、魔法少女としての役目を果たしてくれるならね』

ユウリ「言われるまでもない。ちゃんとこれからも魔女退治は続ける」


 ――おっと、いつまでも自分の世界に浸っているわけにはいかない。話に戻らないと。


「あ、あのさ、ユウリ……」

ユウリ「ん? 何?」

「ちょっとこれから少し時間あるかな? さっきのわたしの能力のこととか説明したいし――」

ユウリ「あぁ、そうだね。さすがに何時までもここにいるわけにはいかないし……。それで、どこに行くの?」

「とりあえず、わたしの家に来てくれないかな? ここからなら歩いてもそう時間はかからないし……」

キュゥべえ『椿姫も待たせているしね』

 チッ。さすがに覚えていたか、この契約脳め。
 魔法少女の契約に関することだけは本当に忘れる気がないんだな。

ユウリ「う〜ん……。まぁ、いいよ。アタシの家もここからそう遠くないし……」

「へぇ、そうなんだ。どこに住んでいるの?」

ユウリ「住んでいるのはあすなろ市だよ。この街とはちょうど川を挟んだ境のところ」

「あぁ、あの辺りね。学校も?」

ユウリ「うん」


 そんなやり取りをしつつ、わたしはユウリを連れて帰路についた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/24(火) 23:48:19.11 ID:Fk8wIqV10<> 【修正】
>>637
× わたしたちが住んでいるこの国では、この能力を題材にした漫画とその実写ドラマのタイトルから、この能力を持った人間を差す言葉『サイコメトラー』の方が広く知られている気がする。

○ わたしたちが住んでいるこの国では、この能力を題材にした漫画とその実写ドラマのタイトルから、この能力を持った人間を指す言葉『サイコメトラー』の方が広く知られている気がする。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 00:11:45.82 ID:SrPFomSG0<> 〜自宅〜


「ただいま〜」

ユウリ「お邪魔します」

 ユウリを連れて帰宅したわたしは、まず玄関に並べられている靴の数を確認した。

 ――うん。椿姫の靴もある。
 あの後無事に戻ってこれたみたい。よかったよかった。

 ――父の靴はまだない。
 これは、今日も帰ってこれそうにないかな?


真弓母「お帰り。――あら? またお友達連れてきたの?」

 既に夕食は終えたのか、母は居間でテレビを見ていた。

「う、うん。ちょっとね……」

ユウリ「お邪魔します」

真弓母「えぇ、もう夜だけど、ゆっくりしていってね。――あ、そうそう。椿姫ちゃん先に帰ってきているわよ」

「うん。知ってる」

 わたしが頷くのと、椿姫が階段から降りてくるのはほぼ同時だった。
 どうやら、2階のわたしの部屋で待っていたらしい。

椿姫「あ。真弓、帰ってき……って、誰? そっちの子?」

「あぁ、紹介するから一度わたしの部屋に……」

ユウリ『――来る途中で話していた、あんたの幼なじみ?』

『うん。魔法少女の候補者で、キュゥべえに目を付けられたみたいで……』

キュゥべえ『目をつけるだなんて失礼だなぁ。それじゃあまるで、僕が悪者みたいじゃないか?』

真弓「――その前に真弓、ちょっといい……?」

「?」

 不意に、椿姫がわたしのそばに寄る。

 ――そして、母やユウリに聞こえないように、わたしに耳打ちした。

真弓「じ、実は――」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 00:18:21.69 ID:vRtZemNCo<> >>642
真弓が真弓に話しかけちゃってるね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/25(水) 00:26:39.73 ID:hShZwW3D0<> あんこちゃん!!
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 00:27:25.71 ID:SrPFomSG0<> ホントだ……
>>643、ありがとう
真弓ママンがいるとオリキャラ勢の台詞前名前がかなりゴチャゴチャになる……w

【修正】
>>642
× 真弓「――その前に真弓、ちょっといい……?」
× 真弓「じ、実は――」

○ 椿姫「――その前に真弓、ちょっといい……?」
○ 椿姫「じ、実は――」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 01:13:45.43 ID:SrPFomSG0<> 〜自室〜


 椿姫の言葉を聞いたわたしは、思わず階段を一気に駆け上がり、自室へと戻った。

 ――幸い、自室のドアは開きっ放しになっていた。

 よかった。閉まっていたら、思わずぶち破ってしまいかねなかったし――

『佐倉さん!』


             --ミ、     _
             `>ヽ  ,.-'/⌒
         _,..---/'‐ヾ:ヽ/: ムヽ--ミ、
         ,ヽ:::::::::::/ム--ヽ/--! ト、ヽヽ
        / ,イ- '  ̄:_: : : : : : ` ヽ、:::\\:、
      /"/: :\/ ヽ : ; ┐: : : : \::::`ヽ
      ムイ: : : ;イ: : : ,: : : : :i: : : : : : :ヽ:::/
    /,: /: :// /: ; :/ i: : : : :! _: : : : :レ: ヽ
  -イイ: /: //‐十x/  i ト: : ト: : : : !: : : :!: : :!
     /: :ト: !.rr-ミ    - xハ: : : :i: : : i: : : i
   ノノ!:!.V !::ゝ`     `爪:i: : :!: : /: ハ: !
   "   ヾi ,,,,` '     .t‐r,‐ァレ! ム/:!,イ !:i
      .人    '   ゝ '  //.}: : ノ: ! i'
       .,へ、  __,  '''' とヽ>フ /: : : : :i
      /: : : > __, - '   "/: : : : : : !
     ,ム-- ' /'   イ  , < ,入: : : : : :!
    ./ヽヽ  ト   '",i ./ヽ/,   i : : : : i
    イ  ヾ、 ト---/-.'  ヽ 、  !: : : : ハ
   / i ヽ  ヽ !:::/ ヽ   /   i ` }: : : ト、 、


杏子『お〜う、帰ってきたか〜』

『“帰ってきたか〜”じゃないよ! 何で家にいるの!? どうやって入ったの!?』

杏子『部屋に明かりが点いていたから覗いてみたら椿姫がいたんで、頼んで窓開けてもらった』

 何やってんだ、椿姫ィィィィィ!
 人の家に勝手に盗っ人招き入れているんじゃないよ!

 ――いや、佐倉さんが何者なのか正直に伝えていなかったわたしも悪いけどさ。

椿姫「ご、ゴメン……。何か、真弓に協力してほしいことがあるとかで……」

 数秒遅れで、椿姫とユウリ、あとキュゥべえも部屋にやって来る。

「協力〜?」

 部屋のドアを閉めながら、わたしは思わず嫌そうな顔で佐倉さんの方を見やる。

杏子「あぁ。――ん? 何かまた人が増えているな? 誰だい、そっちは?」

ユウリ「――飛鳥ユウリ」

『ユウリもわたしたちと同じ魔法少女だよ』

杏子『あぁ、あんただけ帰りが遅かったのは、そいつと会っていたからかい?』

ユウリ『いや、一緒に魔女と戦っていた』

杏子『ふ〜ん……。グリーフシードは?』

『手に入れたよ。まだ使ってないけど、一応わたしが持ってる』


キュゥべえ『――ねぇ、みんな』

 ――不意に、キュゥべえがその場にいた全員にテレパシーを送ってくる。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 01:33:59.43 ID:SrPFomSG0<> ユウリ「?」

杏子「ん?」

椿姫「あら?」

「何、キュゥべえ?」


 ――ガタッ!


 ――ん?
 今、ベッドが若干揺れたような――

 わたしはベッドの方に目を向けようとしたが、その前に再びキュゥべえからテレパシーを送られる。

キュゥべえ『今この部屋にいるのは、みんな魔法少女に関係している者たちだ。だから、テレパシーを使って会話をする必要はないんじゃないかなぁ?』

ユウリ「あぁ、言われてみれば……」

杏子『? おい、どういうことだ? 椿姫は魔法少女じゃないはずだろ?』

「いや、それが……」

椿姫「テレパシー!? 何それ!? 魔法少女ってそんなこともできるの!?」

キュゥべえ『落ち着いて、椿姫。ちゃんと全部説明してあげるよ』

「――ご覧のように、キュゥべえのことが見えるみたいで……」

杏子「――マジかよ……?」

キュゥべえ『――ところで、杏子』

杏子「ん〜? 何だよ?」

キュゥべえ『――そろそろ、そこに隠れている子を紹介してあげたらどうだい?』

 キュゥべえは、そう言いながら、わたしのベッドの下にその赤い瞳を向けた。


 ――ガタッ!


 ――ゴンッ!


 ベッドが揺れる。
 今度は、音がはっきりと聞こえた。

 ――どうやら、誰かがベッドの下に隠れているらしい。
 ベットが揺れる音とほぼ同時に聞こえた音は、たぶん隠れていた『誰か』が、頭かどこかをベッドに打ちつけたのだろう。

 ――キュゥべえの声に反応していたということは、隠れているのも魔法少女、もしくはその候補者ということになるが――


杏子「な……!? まさか、あいつもキュゥべえが見えているっていうのか……!?」

 キュゥべえの発した一言を聞いた佐倉さんが、思わず動揺する。
 ――どうやら、隠れているのは魔法少女の候補者のようだ。

 ――というか、わたしの部屋、これで今一体何人いることになんるんだ? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 01:44:19.92 ID:SrPFomSG0<> 【修正】
>>647
× ――というか、わたしの部屋、これで今一体何人いることになんるんだ?

○ ――というか、わたしの部屋、これで今一体何人いることになるんだ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 01:53:51.47 ID:4D0d8KYIO<> ゆまか? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:01:11.71 ID:SrPFomSG0<> ユウリ「何? まだ他にも誰かいるの?」

椿姫「えっ? わたし、もう1人誰かいるなんて知らなかったけど……」

 そう言いながら、椿姫とユウリがベッドの下を覗き込む。
 それにつられる形で、わたしも覗き込んでみる。

 ――狭く薄暗いベッドの下、床との間にできた僅かな隙間に、小さな人影が見えた。
 これはどう見ても――

ユウリ「――子供?」

 そう、子供だ。
 まだ齢2桁も達していないかもしれない女の子が1人、そこにはいた。

 ――女の子は先ほど頭をぶつけたのか、両手で頭を押さえながら、その場でプルプルと震えていてその場から動かない。

杏子「――椿姫が他所向いている時に、こっそり家の中に入れて、そこに隠れさせたんだよ」

「全く……。本当に何をやっているんだ、キミは?」

椿姫「え〜っと……。アナタ、頭打ったの? 大丈夫?」

???「う〜……!」

 椿姫の呼びかけに反応したのか、女の子が声をあげた。

「と、とりあえず、そこから出てきてくれないかな?」

ユウリ「うん。コブくらいならアタシが治してあげるし……」

???「う、うん……!」

 女の子の頭が若干上下に動く。
 どうやら、わたしの呼びかけに頷いたようだ。


 ――数秒後、もぞもぞと音をたてながら、1人の女の子がベッドの下から姿を現した。

 若干長めの髪を両サイドで少しだけ結んだ、いわゆるツーサイドアップで緑色の服を着た女の子だった。


「――キミ、お名前は?」

 わたしは女の子の前でしゃがみ込み、目線を彼女と同じ位置までもっていくと、まずは名前を尋ねてみる。
 普通、名前を名乗る時はまず自分から名乗るものだが、現在この部屋には、わたしと女の子を除いても他に3人の人間がいる。
 わたしだけ先に名乗っても仕方がない、という判断からだ。

 ――女の子はしばらくの間、わたしのことを黙って見つめていたが、やがて口を開いた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:06:08.27 ID:SrPFomSG0<>          ___       ,..、_           ,. :/_
        /:_: : _: :>- '''´/: : : :ヽ ̄: : .、    /: /´: : /
        ̄/: : :/: : : : : /: : : : : : : : : : : : : :ヽ- '--、: : : :: : >
       /:イ:/: : : : : :/:{: :,: : : : : : : :l: : : : ヽ    ∧: : _,イ
         /: :/: : ,イ: /:イ: :{: : : :,ィVI,..イ: : : : ∨    }: : :_ヽ
          /: :イ: -/-VIイ!: :!: :`/r-<从:、: : : :.∨_,ノ`ヽ
          イ: :/: :./rtオ心 l: :|: :/  マて_,心ヽ、: ',ヾ、: : :,
        j: イ: ハ{ 弋z)ソ ヽ:ト、{   ` '''- 'つ}:` \: : : :,
        ,l:!:VI: } ○       リ       /: : : : : : : : l
      ,イ/: : : ,'                  /: : : /: : : : : !
     / /: /:.八       '^ヽ、      /: : : /: : : : l: :j
      /: イ: : :./\      \    ,: /: :/: : : : : !: {
        {: /|: : : {: /:.`ヽ、           /イ : /: : : : :./l:/
      リ j: l: : !:ハ: :l: : :`ヽ、_,......::'_/: :./: : : :./:/ /
        {: ト,: |:{ VI、: :,-、/T ´ ̄ /:/> -、: :/j/
          リ ヾj   //// ハ、    ////∨
               ///,ィ/l/O∧__,//////∧
           /// ,////O// ,//////////!


ゆま「――ゆま。千歳ゆま」


 ――千歳ゆま。
 両目に若干の涙を浮かべながら、女の子はそう名乗った。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:09:09.93 ID:SrPFomSG0<>       __
    r┘└ゥ .∩∩_  ∩  _/7__  _i⌒i_    ◯         ____           .i⌒i
    | :|⊆ヽ8| :ロ に(ノ| |() 7:/_n (__  _)  ◯ ___i⌒i_  .Y´       `Y  ◯  __,|  |__
    (_/ノ几l ム1└ヘ ,ン) ゝ¨,_〈 (__  __)⌒ヽ___(__    `ヽ `'ー――‐ァ  / i⌒i ◯ (_   _ `Y
               ̄ ̄ `¨´ .`¨´γ´ ̄    Y\   ) /  ハ  :}i⌒i   ./   ̄   ̄`ヽ |  | .|  |
    P U E L L A M A G I  ,'  .x―┐ .r‐'/ / /  / ノ  l乂ノi⌒'゙´  .x;;―┐ .r―‐'゙ .|  | .|  |
    Μ △ [) 〇 Κ △ .{  (    | .| .{  /   (__,ノ (__,ノ ∧ \   く ( ̄ ̄   ̄ ̄) |  | .|  |
    Μ △ G...Ι Κ △ ,乂 `¨¨´ ./ 乂. `¨¨´ )     <  > \  \. ̄|  | ̄~   .|  lγ  .|
                        ` ー‐''゙´     ` ー‐''゙´     レヘ」.   `'ー'′ .`ー'      .`ー' .`ー'′

                          螺旋迷宮 labirinto spirale
                          −ある魔法少女の物語−

                    第2話「『もしも』の話なんてあるわけないんだから」   Fine <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 02:10:11.70 ID:vRtZemNCo<> >>652
2話のまま? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:10:13.29 ID:SrPFomSG0<>       __
    r┘└ゥ .∩∩_  ∩  _/7__  _i⌒i_    ◯         ____           .i⌒i
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    P U E L L A M A G I  ,'  .x―┐ .r‐'/ / /  / ノ  l乂ノi⌒'゙´  .x;;―┐ .r―‐'゙ .|  | .|  |
    Μ △ [) 〇 Κ △ .{  (    | .| .{  /   (__,ノ (__,ノ ∧ \   く ( ̄ ̄   ̄ ̄) |  | .|  |
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                          螺旋迷宮 labirinto spirale
                          −ある魔法少女の物語−

                    第3話「『もしも』の話なんてあるわけないんだから」   Fine <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:11:36.57 ID:SrPFomSG0<> >>653
気付いた時にはもう『書き込む』を一回クリックしていたんだぜ……
オォウ……ジャァズ…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:24:45.77 ID:SrPFomSG0<> 第3話終了時点でのあなたのステータス

【基本スペック】
 名前:柚葉 真弓(ゆずは まゆみ)
 年齢:14歳(中学2年生)
 髪の色:茶髪
 髪の長さ:長髪
 身長:高い
 一人称:わたし
 得意教科:現代文
 苦手教科:理数系


【魔法少女スペック】
 服装:ゴシックロリータ風
 武器:カード
 能力:詳細不明(記憶関係?)
 願い:サイコメトリー(推定)
 変身時のソウルジェムの位置:後頭部に結ばれているリボンの結び目
 ソウルジェムの穢れ率:55/100%

   ※ソウルジェムの穢れ率が高いほど魔法が使えなくなるなど今後の行動に影響があるかもしれません


【現在保有しているカード】
 ・白紙 無数
 ・佐倉杏子の槍 1枚
 ・飛鳥ユウリの注射器 1枚


【現在まで判明している能力の詳細】
 ・対象の魔法少女の“キュゥべえとの契約時の記憶”(“『願い』の記憶”)を読み取る
 ・読み取った“『願い』の記憶”から、『願い』によって生まれた力の一片である『武器』を読み取り、再現する

   ※あくまでも現時点における真弓本人による大体の予測(推定)です。実際の能力は異なる可能性もあります
   ※発動条件など以降も詳細が明かされていく可能性があります <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 02:27:54.25 ID:vRtZemNCo<> 穢れ率55%か
ユウリにGS使ってやりたいけど厳しいところだな
GS1個で何%回復できるのかにもよるか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 02:50:00.86 ID:SrPFomSG0<> 【魔法少女関係者との交友関係】
 ・キュゥべえ   関係【良好(仲間)】 共に行動中
 ・佐倉杏子   関係【良好(仲間)】 共に行動中。魔法少女。同行・共闘可能
 ・社椿姫   関係【良好(親友)】 共に行動中。魔法少女候補
 ・飛鳥ユウリ   関係【普通】 共に行動中。魔法少女
 ・千歳ゆま   関係【普通】 共に行動中。魔法少女候補


【その他の人物との交友関係】
 ・中学校の生徒会長   関係【良好(友達)】 性別未定
 ・久遠みずき   関係【良好(友達)】


   ※交友関係には大きく分類すると【良好】【普通】【険悪】の3種類があり、良好なほど同行や共闘がしやすくなります
   ※また【良好(親友)】のように、上記3分類以外にも状況によっては補正が入ることがあります
   ※たとえば、【良好(親友)】【良好(友達)】のキャラが魔法少女の場合、こちらからの同行・共闘要請はほぼ100%同行・共闘可能(何らかの要因で同行・共闘できない場合もあります)
   ※逆に【険悪(敵対)】【険悪(宿敵)】のキャラが魔法少女の場合、こちらから同行・共闘要請はすることができないだけでなく、遭遇時は高確率で戦闘になります(何らかの要因で同行・共闘する場合もあります)
   ※現時点での補正は、上から【○○(親友)】【○○(友達)】【○○(仲間)】【○○(敵対)】【○○(宿敵)】
   ※補正は今後も増える可能性があります


【その他情報】
・あなたの住んでいる街にもう1人別の魔法少女が誕生しました(ユウリではありません) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 02:57:43.67 ID:vRtZemNCo<> 誕生ってことは誰か契約したってことか
多分オリコかキリカかな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 03:08:09.59 ID:SrPFomSG0<> >>658加筆分


【現在保有しているアイテム】
 ・グリーフシード(穢れ率0/100%) 1個

   ※グリーフシードの穢れ率は高いほど魔女が孵化しやすくなります。100%で孵化
   ※グリーフシードの穢れ率が90%以上の場合は、ソウルジェムの穢れ率を落とすことができません
   ※グリーフシードの穢れ率は空き容量分、ソウルジェムの穢れを取り除けます
      例)グリーフシード穢れ率(30/100%)とソウルジェム(穢れ率50/100%)の場合、ソウルジェムの穢れ率を0%まで下げることができますが、グリーフシードの穢れ率は80%になります
   ※グリーフシードの穢れ率空き容量よりも、ソウルジェムの穢れ率のほうが高い場合、グリーフシードが汚れを取り除けるのは穢れ率99%までです
      例)グリーフシード(穢れ率60/100%)とソウルジェム(穢れ率50/100%)の場合、ソウルジェムの穢れ率は11%までしか下げることができません


【魔法少女関係者との交友関係】
 ・キュゥべえ   関係【良好(仲間)】 共に行動中
 ・佐倉杏子   関係【良好(仲間)】 共に行動中。魔法少女。ソウルジェム穢れ率0/100%。グリーフシード複数個保有(個数・穢れ率の詳細不明)。同行・共闘可能
 ・社椿姫   関係【良好(親友)】 共に行動中。魔法少女候補
 ・飛鳥ユウリ   関係【普通】 共に行動中。ソウルジェム穢れ率70/100%。魔法少女
 ・千歳ゆま   関係【普通】 共に行動中。魔法少女候補


【その他の人物との交友関係】
 ・中学校の生徒会長   関係【良好(友達)】 性別未定
 ・久遠みずき   関係【良好(友達)】
 ・立花宗一郎   関係【普通】


   ※交友関係には大きく分類すると【良好】【普通】【険悪】の3種類があり、良好なほど同行や共闘がしやすくなります
   ※また【良好(親友)】のように、上記3分類以外にも状況によっては補正が入ることがあります
   ※たとえば、【良好(親友)】【良好(友達)】のキャラが魔法少女の場合、こちらからの同行・共闘要請はほぼ100%同行・共闘可能(何らかの要因で同行・共闘できない場合もあります)
   ※逆に【険悪(敵対)】【険悪(宿敵)】のキャラが魔法少女の場合、こちらから同行・共闘要請はすることができないだけでなく、遭遇時は高確率で戦闘になります(何らかの要因で同行・共闘する場合もあります)
   ※現時点での補正は、上から【○○(親友)】【○○(友達)】【○○(仲間)】【○○(敵対)】【○○(宿敵)】
   ※補正は今後も増える可能性があります


【その他情報】
・あなたの住んでいる街にもう1人別の魔法少女が誕生しました(ユウリではありません) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 03:11:20.98 ID:vRtZemNCo<> 主人公のジェムを20%台まで浄化して残りはユウリに突っ込むか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 03:14:20.93 ID:vRtZemNCo<> ユウリがこれからも魔法で治療を続けて回るなら
戦闘なしでも勝手にジェム汚れまくり状態になりそうだな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 03:17:40.90 ID:SrPFomSG0<> 一旦ここで休憩します
続きは10:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


余談ですが、交友関係のある魔法少女で、ソウルジェム穢れ率や所持アイテムがわかるのは『その話の終了時に主人公(真弓)と共に行動中の者のみ』です
(今回の場合は、杏子とユウリ)
共に行動していないキャラのソウルジェム穢れ・率所持品はわかりません

また、新たに誕生した魔法少女に関してですが、現時点ではキュゥべえは『白女』の場所を知らないため、現時点では少なくとも織莉子ではありません
(キリカの可能性はあり)
一応、誰かは決めておりますが、詳細は今後の選択肢次第ということでw <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 03:29:50.19 ID:vRtZemNCo<> 乙 使い魔狩りならともかく、魔翌力で治療して回るユウリは杏子とソリがあうか心配だな
結界外の使い魔はそれほど多くなさそうだが、病人の数はそれこそキリがないだろうし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 04:07:25.94 ID:vRtZemNCo<> あー、でも>>347見る限り好意は抱くか
とはいえ、穢れ70%超えてもGS全て譲るようなやつは
好意ゆえに怒りも沸きそうだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 11:55:44.99 ID:NzhAjY4IO<> ユウリの穢れを取ればあいりの魔法少女化も遅く出来るのか?
そうするとプレイアデス聖団にも影響あるのか?

ややこしいな…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 12:03:35.58 ID:vRtZemNCo<> 聖団までからめて
上手くまとめられるのか気になるところだ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 14:46:40.15 ID:SrPFomSG0<> 第4話開始いたします
ついでに、前回第3話に登場したオリジナル魔女と使い魔に関する魔女図鑑もどうぞ


【魔女図鑑】

茨の魔女
その性質は助力。
自らの存在が美しい花をより一層再立たせると信じてやまない。
しかし、この魔女自身に花が咲くことは一生訪れない。
表舞台に立つことができない裏方は、日の光を浴びることなく朽ちていく運命だった。


茨の魔女の手下
その役割は装飾。
魔女のために世界を美しく染め上げていく。
魔女は自身を美しく見せることを嫌がっているのだが、手下たちはそれを知らない。
だが、手下のそんな行為を黙認しているということは―― <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 15:07:51.95 ID:SrPFomSG0<> 〜???〜


「――ここ、どこ……?」

 その日、わたしは日が暮れるまで友人たちと遊び尽くした後、1人帰路についていた。

 ――しかし、その途中、見知らぬ場所へと迷い込んでしまった。


 一言で表現してしまえば、そこは『図書館』だった。
 あたらこちらに見るだけで難しそうな本がびっしりと並べられた大きな本棚が存在し、壁と思われる場所には振り子時計の巨大な振り子のようなものがひとつ、左右に大きく揺れていた。

 ――よくみると、あちこちに歯車のようなものも浮かんでおり、それらは小刻みに回りながら、不気味に音をたてている。


 ――ガチ、ガチ、ガチ……


 歯車が回る。


「――――」

 わたしは、この場所のもつ雰囲気から直感的に「ここにいてはいけない」という考えに至り、すぐさまここから離れよう――もとい『逃げ出そう』とした。

 ――だが、わたしの足は、まるでわたしの意志に逆らうかのように、前へ前へと進んでいく。

 何故!?
 わたしは、自分の身体が、まるで自分のものではなくなってしまったかのような感覚に陥る。

「――誰かいる……」

 自分自身に言い聞かせるかのように、その時のわたしはそう呟いていた。


 ――ガチ、ガチ、ガチ……


 歯車が回る不思議な『図書館』の中を、わたしは進んでいく。


 ――やがて、わたしの目の前に、ひとつの扉が姿を現した。


「…………」

 わたしは、扉のドアノブに触れると、やがてそれをゆっくりとひねり――


 ――ガチャリ。 


 ――扉を開けた。


 ――こうして、わたしは生まれて初めて、『魔女』そして『魔法少女』と出会ったのであった。

<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 15:47:12.74 ID:SrPFomSG0<> 〜自室〜


 とある平日。
 時刻は、間もなく夜9時となろうとしている。
 そんな時間でありながら、この部屋――わたし、柚葉真弓の自室には、わたしを含んで5人の人間と1匹の白いヤツがいた。

 人間5人のうち、3人が女子中学生、1人が外見からしておそらく10代の女の子、そして最後の1人がまだ齢2桁にも達していないとも思われる幼女――
 全員服装はバラバラで、何も知らない者が見たら、「一体あれは何の集まりだ?」と思わずにはいられないであろう面子。

 ――そんな5人の人間が、それほど広くもないこの部屋に集まっていた。


         {`_ヽ、
         l!  \``ヽ、               _, -≠ニ了
           !    \  ヽ、         , - ' ´<   ./
          '     >    ̄ ̄ ̄ ̄ `¬ /     /
          ',  /                \ヽ     /
           ∨/                  ' ,∨ /
           //   _          _    ', ∨
            //  / rz0,          / rz0,   ', ヘ
          i {   乂塁ノ           乂塁ノ   i ', 
         l :{                       ::}, ヘ
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キュゥべえ『とりあえず、まずは全員で自己紹介でもしてみたらどうだい?』

 わたしたち5人のちょうど真ん中――見方によってはわたしたちに取り囲まれているようにも見える配置で床に座るキュゥべえが、そう言った。


 ――その一言で、部屋の空気に多少の変化が生じたようで、わたしの隣に座っていた椿姫がゆっくりと手を上げる。

椿姫「じゃ、じゃあ、私から……」

「どうぞ」

椿姫「え、え〜っと……。私の名前は社椿姫。年齢は14歳。学校は――まぁ、今私が着ている制服見てもらえばわかるかもしれないけど、見ての通り『白女』に通っているわ。そこの2年生よ」

 椿姫はそう言うと、隣に座っているわたしの方にスッと右手を向けて、再び口を開く。

椿姫「こちらの柚葉真弓とは、赤ん坊の頃から家族ぐるみの付き合いで――俗にいう『幼なじみ』ってやつね」

 そう言い終えるとゆっくりと右手を下ろす椿姫。

椿姫「だけど、私は真弓と違って『魔法少女』――でいいのよね? ――そうそう、その『魔法少女』ではないわ」

 ――話の途中、椿姫がチラリとわたしの方を向いて確認してきたので、わたしは「うん」と言って頷いた。

椿姫「というより、そこにいるキュゥべえとさっき出会って話を聞くまで、私は真弓が『魔法少女』であったことや、そんなものがこの世界に存在していたこと自体知らなかったわ……」

 そう言うと、ふぅと一息ついた後、周りの者たちにチラチラと目を向ける椿姫。

 ――どうやら、彼女の自己紹介はこれで終わりらしい。

「――それなら次はわたしが」

 先ほど椿姫からも少し紹介された以上、後々に回ると二度手間になりかねないので、次はわたしが自己紹介することになった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 16:11:23.30 ID:SrPFomSG0<> 「わたしは柚葉真弓。年齢は14歳。さっきも少し椿姫が紹介していたけど、彼女とは幼なじみで親友だよ。ただ、通っている学校は違うけど……」

 そう言いながら、わたしは自身が着ている制服のブレザーの襟を軽くつまむ。

「それと――これも同じく椿姫がちょっとだけ言っていたけど、わたしは魔法少女。キュゥべえと契約したのは一昨日の夕方くらいだよ」

 そう言いながら、わたしは自分の左手を他の子たちに見せた。

 ――部屋にいた全員の視線が、中指にはめられている指輪――ソウルジェムと、中指の爪に浮かぶオレンジ色の紋章に集中する。

「契約で叶えた願いなんだけど――実は、願いの副作用のせいで、契約以前の魔法少女やキュゥべえ、そして魔女とかに関する記憶が全部なくなっちゃったんだ」

 だからわたし自身、どんな願いを叶えたのかも覚えていないの、とわたしは付け加える。

椿姫「? どういうこと? それに『願い』って――」

キュゥべえ『そのことについては自己紹介が終わった後に、僕が一から説明してあげるよ』

「うん。それがいいね。魔法少女の候補者は椿姫だけじゃないみたいだし……」

 わたしのその一言と同時に、わたし、椿姫、佐倉さん、ユウリ、そしてキュゥべえは、視線の先を1人の女の子へ向ける。


    __                   /: イ: ,-
   -_: : : :`ヽ,......_r- 、,.. -――- - r‐-/⌒ヽ: :/: `ヽ
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     l从{,ハ: :{  マ、rム ヽ: :.|  マ、_∨,: : /: : : : : :.!
        /: :ヾjハ. ∨ソ ,.Y   ゞ- '/: :/: : : : : : :|
     /:イ: : : :八      _     /: :/: ,: : :/: : リ
      / 从: l: : : >. .,ィ-っ`  イ/: :イ: /: :./l:从{
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       VI   `/  イ,〉 `ヽ  ,〉- '^ヽ
           /{   ハ    ∨// ///∧
          /l \_ノ//!ー--' ∨///////}


ゆま「……う?」

 ――千歳ゆま。
 佐倉さんが連れてきた、まだ幼さ残る小さな女の子。

 視線を向けられた当の本人は、何故皆が自分の方を見るのか理解できていないのか、頭にハテナマークを浮かべながら、首を傾げる。

「ゆまちゃん――だったよね? もしよかったら、キミのことをもう少しわたしたちに教えてくれないかな?」

椿姫「えぇ。それに、杏子にも何でこの子をここに連れてきたのか、一緒に聞かせてもらわないと……」

 椿姫が今度は佐倉さんの方へ目を向ける。

「そうだね。ついでだから、自己紹介も2人一緒にやってもらおう」

杏子「え、えぇ〜……? そりゃ、いくら何でも……」

ユウリ「自業自得だろう」

杏子「うっ――!? そう言われると、返す言葉ないじゃんか……。わかったよ。こいつのことも一緒に話せばいいんだろ?」

 そう言いながら、佐倉さんは頭を軽くボリボリとかき、面倒くさいという顔をしつつも話し始めた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 16:43:39.49 ID:SrPFomSG0<>          ,. - 二二二‐ 、       _/: : : ヽ
       ,. '- ´    _>――-</////////ヽ-、
      /    ,. : : ´: /: : ヽ: :/: : :ヽ: :\//////// >
     /   //:`:゙゙: : : : : : : : 、: : : : : : ヽ:ヽ:ヽ/////人ヽ
     r――':/: : : : : /l: : : : : : |: :、: : : : : :ヽ:ヽ:ヽ//,{: :ヽ:ヽ
     /: : : : :i: : : :/:/  ヽ: : : : : |、: l 、: : : : :ヽ: : ヽ//}: : : ヽヽ
    /: : : : : /: : : /:/   ヾヽ: : :_|_l_|ゝ: : : : : : ヽ: : :r'´: :.ヽ:ヽヽ
   /: : : : : :l: : : l: /    ,>X:´:.| l:| ヽ: : : : : : l: : :|: : : : :i :ヽヽ
   /: : : :l: :l: l: : :l:/    /  ヽ:,| リ___l:_l: : : :i: |: : :|:ヽ: i: :i: : l: :|
  /:i: : : :l:l,:iイ「`!ヽ     =,r-' ニ、`リ: l: : : :l: |: : |: : : :l: :l: : |l:|
  /:/: : : :l: |l:| ヽ-ニ     / r'i//} l:l: : : : l:/ニヽ: : :.l: :l : ; l|
 l: :l: : : : : l:| >-'´ </}`      弋rリ l: : : : /l:}_ヽ }: : :l: :l :.| |l
 |: | l: i: : : :.| ヽ  r';;}          /: : : ///, ヽ/: : :l: : / |
 l: | ヽ:ヽ: : : |   ゝ-' l    ヽヽヽ /: / /// /: : : l: :./
  ヾ \: : : :|、 ヽヽヽ         //   ____/: : : : l: /
     `゙ー |\               ノ  /: :/: :/:/
        ヽ       , ――       ヽ__/、: l: /: /
          ヽ、          ,     ヽr ヽ: :l: /
             iヽ、     イ    / / ヽ: :|
            /:/: : : /:  ̄ヽ    / /  ノ ヽ{
           /: /: : :/:/: : /: :ヽ / ,/   / /`ヽ
         //: ://: : : : :}ヽ V /   / /


杏子「まずはあたしからだが――あたしの名前は佐倉杏子。既にこの部屋にいるほとんどの奴は知っていると思うけど、あたしも魔法少女だ」

椿姫「えっ!? 嘘っ!?」

 この場で、唯一その事実を知らなかった椿姫が、思わず驚きの声をあげる。

杏子「ん? 椿姫、アンタ気づかなかったのか? これまでのことや今の状況から考えて、大体察することはできるだろ?」

椿姫「い、いや……。それはそうなんだけど……」

ユウリ「まぁ、いきなり言われても実感がわかないのは無理ないけどね」

杏子「――はぁ……。しょうがないね……。ホラ、これが証拠」

 そう言いながら、佐倉さんも自身の左手を椿姫に見せる。

 ――わたしと同じく、中指に指輪の姿をしたソウルジェムがはめられ、中指の爪には紋章が浮かんでいる。

椿姫「ほ、ホントだ……」

杏子「まぁ、そういうこと。それと、こっちにも色々とワケあってね、学校には通ってない。今は一応この辺りに住んでいるけどね」

 ――まぁ、『住んでいる』ということに間違いはないよね、うん。
 思わず、わたしは心の中でそう呟いた。

杏子「――で、そっちのガキの話なんだけど……」

 佐倉さんは、そう言いながらゆまちゃんの方に目を向ける。

ゆま「…………」

 ゆまちゃんも無言で佐倉さんの方へ目を向ける。

杏子「……このガキ、魔女に襲われていたのさ。こいつの両親と一緒にね」

「えっ!?」

ユウリ「――その子のご両親は?」

杏子「死んだよ。魔女に食われてね」

 そう言いながら、佐倉さんはポケットからお菓子の袋を取り出すと、その封を切り、中身を食べ始めた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 17:19:35.36 ID:SrPFomSG0<> 「まさか、佐倉さん――」

杏子「勘違いするな。別に見捨てたわけじゃない。あたしが魔女のもとにたどり着いた時には、既に食われていたんだよ。原型留めていないくらいグチャグチャの肉片になっていて、血や内臓があたり一面に飛び散ってた」

ゆま「――ッ!?」

椿姫「うわ……」

ユウリ「…………」

「……ちょっと想像しちゃった」

 佐倉さんの口から語られた、ゆまちゃんのご両親の惨状を想像した瞬間、わたしは自身の胃の中のものが一瞬だけ逆流してくる感覚に襲われた。

 ――スプラッター映画のワンシーンのような光景が、わたしの脳裏によぎっては消えていく。

 椿姫たちも想像してしまったのか、椿姫は思わず口元を手で抑えつけ、ユウリは目元を若干細めていた。

 ――だがそれ以上に、その場に居合わせ、実際にその惨状を目の当たりにしたゆまちゃんは――

ゆま「…………」

 ――顔を真っ青に染め上げて、完全に全身膠着状態となっていた。


キュゥべえ『杏子、怖がらせてどうするのさ?』

杏子「は? 別に怖がらせるつもりなんかねーよ。ただあたしは、自分が見たものを正直に伝えようとしただけだ」

ユウリ「でも、被害者のトラウマを呼び覚まさせるのは正直どうよ?」

椿姫「限度ってもんがあるわよねぇ……?」

「だ、大丈夫?」

 わたしは、ゆまちゃんに呼びかけながら、彼女の肩にそっと手を触れる。

ゆま「――!」

 やまちゃんの身体が、一瞬ビクリと反応して跳ね上がり、次の瞬間には、恐怖の表情を浮かべながらわたしの方に振り返った。

ゆま「――あ……」

 ――しかし、振り返った先にいたのがわたしであったことに気がつくと、すぐに元の表情へと戻っていった。

「ご、ゴメン。驚かせちゃったね……?」

ゆま「ううん。大丈夫……」

 そう言いつつも、ゆまちゃんは視線を下の方へと落としていく。


 ――わたしも魔法少女を続けていけば、いずれ先ほど佐倉さんが言ったような惨状を目の当たりにする時が来るかもしれない。
 そして、その惨状で犠牲となるのが、知人であれ、見知らぬ誰かであれ、実際目の当たりにしてしまったら、果たしてわたしはその後も今までどおり戦うことができるのであろうか?
 ――今はまだわからない。


ユウリ「――少し暗い雰囲気になっちゃったね。話を変えようか?」

キュゥべえ『こういう場合、“話を戻す”って言ったほうが正しいような気もするけどね』

椿姫「そ、そうね」

杏子「何だよ〜? まるであたしが悪いみたいじゃないか?」

ゆま「…………」

「それじゃあ、次はユウリ、お願い」

ユウリ「うん。わかった」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/25(水) 17:42:58.67 ID:vRtZemNCo<> 住んでいる…か
インタビューでは空き巣やら窃盗やらATM破壊やらで
稼いでいたとか言われてたなぁww <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 20:56:36.69 ID:SrPFomSG0<> ユウリ「アタシは飛鳥ユウリ。あすなろ市に住んでいて、学校もそっちの中学校に通っている。それと、アタシも魔法少女だ」

椿姫「言われてみれば……。その制服、この辺りじゃ見たこともないわね」

 そう言いながら、ユウリが着ているセーラー服を見やる椿姫。
 ――考えてみれば、この中で制服を着ているのは3人だけど、ブレザーを着ているのってわたしだけだ。
 何? この辺りってセーラー服よりも、ブレザーの方が珍しいの?

杏子「――ちょっといいかい? 何であすなろ市の魔法少女がわざわざこんな所に来てんのさ?」

 ――佐倉さん、人の家に勝手にあがり込んでおいて、『こんな所』はないでしょう?

ユウリ「あすなろ市と言っても、アタシが住んでいるのはこの街とちょうど境に位置するところだからね。この街の一部の地域もアタシが管轄しているんだ」

杏子「なるほどね……」

ユウリ「それと、ここに来た理由は、真弓にお呼ばれしたからというのもあるけど、本命は真弓の魔法少女としての能力を説明してもらうためだよ」

杏子「? こいつの――?」

 佐倉さんがわたしの方を見る。

「あぁ、そういえば佐倉さんも知らなかったね、わたしの能力。――ここは説明するよりも実際に見てもらったほうが……」

 わたしはソウルジェムに思念を送り、変身を試みるが――

キュゥべえ『真弓、ちょっと待って』

「あらぁ?」

 キュゥべえに止められた。

「もう……。何で止めるの?」

キュゥべえ『僕の自己紹介がまだ終わっていないじゃないか。それに、椿姫とゆまに魔法少女のことを説明しなきゃならないしね』

「あぁ、そうか……」

 本当、こういうことだけはしっかり覚えているんだからなぁ、もう――


キュゥべえ『――さて、というわけだから、改めて自己紹介させてもらうよ?』

 キュゥべえは椿姫とゆまの方に、その赤いつぶらな瞳を向ける。

キュゥべえ『僕の名前はキュゥべえ。魔法少女の素質のある女の子を見つけ出し、契約を取り結ぶことを使命としているんだ』

ゆま「……ぬいぐるみ?」

キュゥべえ『ぬいぐるみじゃないよ。――それと、犬でも猫でもないからね?』

椿姫「ハイハイ、わかってますとも♪」

 そう言いつつも、椿姫はキュゥべえの喉元をくすぐり始める。

キュゥべえ『やれやれ……。とにかく、話を続けるよ? 先ほども言ったけど、僕の役目は魔法少女の素質のある女の子を見つけることがまずひとつ――』

 椿姫の行為を意に介することなく、キュゥべえは話を続ける。

キュゥべえ『その素質というのは、ひとえに“僕の姿と声がわかる”ということだ』

椿姫「えっ? たったそれだけなの?」

キュゥべえ『うん。君たちからしてみればね。だから、魔法少女の素質がない子や大人たちには僕の姿は見えないし、声は聞こえないんだ』

ゆま「ふ〜ん……」

キュゥべえ『ちなみに、僕のこの声は君たちで言う“テレパシー”というやつだね。“念話”とも呼ばれているみたいだけど……』
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 21:45:02.38 ID:SrPFomSG0<> 椿姫「あぁ、だからアナタ、さっきから喋っているのに口は動いてないのね?」

キュゥべえ『そういうこと。まぁ、この姿を見てもらえばわかると思うけど、僕の身体の構造は、発声器官をはじめとして、君たち人間のものとはぜんぜん違ったものだからね――』

 そう言いながら、キュゥべえは自身の尻尾を左右に揺らす。

キュゥべえ『ちなみに、魔法少女の素質がある子は、僕とならテレパシーで会話をすることができるよ』

ゆま「えっ!?」

椿姫「嘘っ!? それって本当!?」

キュゥべえ『もちろん。試しに、頭の中で僕に対して何か言葉を投げかけてみてよ』

椿姫「よ、よし……。それなら……!」

ゆま「……ん!」

 ――どこか緊張そうな顔をして、キュゥべえの方をじっと見つめる、椿姫とゆまちゃん。


 ――ちなみに、先ほどから完全蚊帳の外状態となっているわたしたち現役魔法少女3人はというと――

ユウリ『うわっ、懐かしい! “ス●ボン2”だ! “スー●ーマ●チ●ップ2”もある!』

『へぇ〜、わたしたち世代でも知っている子もいるんだ』

杏子『これ、対戦できんのか?』

『うん、できるよ。後でやる?』

 テレパシーでゲーム談話に花を咲かせていた。
 ちなみに今は家にあるスー●ァミのソフトで知っている作品があるかを佐倉さんとユウリに聞いている最中だ。


キュゥべえ『――それと、僕を中継点とすれば、魔法少女じゃない候補者の子同士でもお互いテレパシーで会話することもできる』

椿姫『へぇ〜。これは結構便利ねぇ〜』

ゆま『……すごい……』

 ――おや?
 キュゥべえだけでなく、椿姫やゆまちゃんの声もテレパシーで送られてきた。

 聞こえてきた話の内容からして、どうやらキュゥべえを一種の送受信アンテナとしたテレパシーを試しているようだ。

杏子『――おい。アンタら、こっちにも聞こえてるぞ』

ゆま『えっ!?』

椿姫『あら? 漏れちゃってた?』

キュゥべえ『仕方が無いよ。椿姫とゆまが行なっているのは、あくまでも僕を通した擬似的なものだからね。僕や魔法少女たちが使うものとは少し違う』

ユウリ『例えるなら、ラジオをつけていたら、違う電波を拾っちゃうようなものかな?』

『この場合、ラジオはわたしたちだけどね』

 わたしは思わず苦笑いを浮かべる。

椿姫『――あ! もしかして、今日の夕方、真弓と杏子が突然取っ組み合い始めたのも……』

杏子『あぁ、あれな……。そう、あれも言っちゃえばテレパシーが原因』

『ハハハ……』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 22:34:26.85 ID:SrPFomSG0<> キュゥべえ『――さて、テレパシーの説明はこれくらいにして、そろそろ次の話に入ろうか?』

 むしろ、本命はこっちだけどね、と付け加えると、キュゥべえは一度わたしたちの方を向いた。

キュゥべえ『真弓、杏子、ユウリ、悪いけど君たちのソウルジェムを椿姫とゆまに見せてあげてくれないかな?』

「うん。いいよ」

杏子「はぁ? ――ったく、めんどくせぇなぁ……」

ユウリ「まぁいいじゃん、見せるくらい。別に減るものじゃないし……」

 そう言いながら、わたしたち3人がそれぞれ左手を出すと、指輪となっていたソウルジェムが本来の宝石に戻り、左手の中におさまる。

ゆま「形が変わった!」

 眼の前で起きた不思議な現象に、ゆまちゃんが目を輝かせる。

キュゥべえ『これがソウルジェム本来の姿だよ』

椿姫「『ソウルジェム』?」

杏子「簡単に言ってしまえば、キュゥべえと『契約』して魔法少女になった奴の証しさ」

ゆま「『けーやく』?」

ユウリ「そう、『契約』」

キュゥべえ『僕と“契約”してソウルジェムを手にしたものは、“魔女”と戦う使命を課された存在、魔法少女になるんだ』

椿姫「? 『魔女』? それってアレ? 空を飛ぶ箒を持っていて、黒いローブとか見にまとってて、鼻がとんがってるお婆さんのこと?」

「まぁ、普通はそっちを思い浮かべるよね……」

杏子「考え方によっちゃ、まだそっちのほうがマシな気がするよ」

ユウリ「実際は――ねぇ……?」

 わたしたち3人は顔を合わせると、思わずうんうんと頷いてしまう。

キュゥべえ『ううん。“魔女”というのは、この世界に絶望を撒き散らす怪物のことさ。実際、ゆまは自分の目で見たんだろう?』

ゆま「――!」

 ゆまちゃんの身体が、ビクンと跳ねる。

「ちょ――!? 何トラウマ再燃させてんの!?」

ユウリ「あんた、さっき杏子には『怖がらせてどうする』って言ったばかりじゃない!?」

キュゥべえ『ゴメンよ。今のは僕の失言だった』

杏子「――失言ね……」

キュゥべえ『気をとり直して、話を続けるよ? “魔女”は先ほども言った通り、世界に絶望を撒き散らす存在で、“呪い”から生まれたものだ』

 キュゥべえはそう言いながら、わたしの肩の上に乗る。
 ここ数日やたら乗っかられている気がするけど――もしかして、気に入ったのだろうか?

キュゥべえ『“願い”から生まれ、希望をもたらす存在である“魔法少女”とは全く逆の存在とも言えるね』

椿姫「あぁ、『表裏一体』ってやつね?」

キュゥべえ『――“願い”と“呪い”、“希望”と“絶望”、どちらも“意志によるもの”と言ってしまえば、確かにその通りだね』

ユウリ「――椿姫だっけ? あんた、新聞とかニュースとかにはよく目は通す?」

椿姫「え? ――えぇ。でも、それがどうしたの?」

杏子「よくニュースとかでさ、原因不明の事故とか自殺とか、傷害事件とか失踪事件とかが報道されるっしょ?」

椿姫「あぁ、言われてみると――」

キュゥべえ『実はそういった事件の裏にはね、高い確率で魔女が関わっているんだ』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/25(水) 23:25:56.22 ID:SrPFomSG0<> 椿姫「えっ!?」

「嘘っ!? そうだったの!? わたしそこまでは聞いてなかったよ!?」

キュゥべえ『何を言っているんだい、真弓? 君にもちゃんと説明――あぁ、説明したのは契約をする前だったね。忘れていたよ』

杏子「――何か、そういう意味では不便だな、記憶喪失ってのは」

ユウリ「うん。本人の前でこう言うのも何だけど、アタシは絶対になりたくはないかな?」

キュゥべえ『――話を戻すね? “魔女”は不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみといった災いの種を世界にもたらすんだけど――』

杏子「その影響を受けた人間が、トチ狂ってさっき言ったような事件や自殺を引き起こすのさ」

ユウリ「『魔女』はそうして死んでいく人間たちから生命を吸い取って自身の生きる糧にする――」

キュゥべえ『そう。おまけに“魔女”の呪いの影響を受けた人間は、影響下にある際の記憶がないんだ。だから、たとえ生命が助かったとしても、その時自分が何をしていたのかを覚えていない』

「なるほど、表向きは『原因不明』で片付けられちゃうのはそのためなんだね?」

椿姫「――ちょっと待って。その『魔女』っていうのも、キュゥべえみたいに普通の人間には見えないものなの? もし誰の目にも見えるものだったら……」

キュゥべえ『いいところに気がついたね、椿姫。まさに君が言った通りだよ』

椿姫「えっ?」

ユウリ「『魔女』はね、普段は『結界』と呼ばれる自身の住処に身を潜めているの」

杏子「『住処』と言っても、あたしら人間が暮らしているこういう家みたいなもんじゃないよ? 例えるなら、アリの巣みたいなもんだ」

「いや、アリの巣なんてものじゃないよ。完全に『異世界』って呼んだほうがいい。アレは正直、わたしたちの口からじゃ表現できない」

キュゥべえ『そうだね。“魔女の結界”は完全に異世界だ。この世界とは時間の流れも常識もまったく異なる未知の空間と言えるだろう』

椿姫「は、はぁ……?」

「え〜っと……。まぁ、簡単に説明しちゃうとね……。椿姫、わたしたちが『ビストロ・タチバナ』から帰る途中、視界が急にぐにゃ〜って曲がった現象があったでしょ?」

椿姫「――! あぁ、そういえば……!」

「厳密には違うけど、あの歪みが魔女の『結界』だよ。あの歪みの奥深くに、『魔女』が潜んでいて『呪い』をこの世界にばら撒いているの」

キュゥべえ『“結界”の存在を視覚できるのは、魔法少女とその素質がある候補者だけだ。普通の人間は、内部に迷い込むまで結界の存在に気づかない』

ゆま「……!」

 椿姫に寄り添う形で先ほどからこちらの話に耳を傾けていたゆまちゃんが、またしてもビクリと身体を震わせた。

椿姫「一応聞くけど……。もし、普通の人間がその『結界』に迷い込んじゃったら……どうなるの?」

杏子「『結界』の中にいる『魔女』か、魔女の手下である『使い魔』に文字通り“食われて死ぬ”」

椿姫「――ッ!」

ゆま「――!?」

「佐倉さん……!」

杏子「待て待て、今回はさすがに正直に答えておくべき流れだっただろ?」

キュゥべえ『杏子の言う通りだよ真弓。今回は正直に答えるのが正解だ』

ユウリ「残念だけど、何の力もない普通の人間が『結界』に迷い込んだら、実際“生きては出られない”からね……」

「…………」

杏子「――まぁ、何だ? アンタは運がよかったのさ」

ゆま「…………」


 ――またしても部屋の空気が重くなった。
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 00:27:23.10 ID:pXczEsWn0<> 椿姫「――ねぇ、ひとつ聞いていいかしら?」

「何?」

椿姫「アナタたち――何でそんな危険な存在と戦おうと思ったの? 話を聞いた限りじゃ、私にはとても『魔法少女』やろうなんて気は起きないんだけど……」

「…………」

ユウリ「――確かに、魔女退治は命懸けではあるけど……」

杏子「――理由があったのさ。理由が……」

椿姫「理由?」

キュゥべえ『そう。彼女たちには、魔女と戦うという運命を選んでまでも叶えたい願いがあったからね』

椿姫「叶えたい――?」

ゆま「……願い?」

キュゥべえ『――僕と“契約”して魔法少女となった女の子はね、どんな願いでもひとつだけ叶えることができるんだ』

ゆま「えっ――!?」

椿姫「『どんな願いも』って――それこそ、どんな願いでも?」

キュゥべえ『もちろん。億万長者でも不老不死でも何だって構わない。どんな願い事でも叶えてあげられるよ』

椿姫「それって――凄いことじゃない?」

ゆま「うん……!」

キュゥべえ『でも、願いを叶える代償として与えられるものが、魔法少女の証しであるソウルジェムなんだ』

ユウリ「そう。『契約』というのは、つまりはそういうこと」

椿姫「なるほどね……」

ゆま「…………」

杏子「…………」


 ――再び静まり返る部屋。


 ――しかし、1分もしないうちに、椿姫が再び口を開いた。


椿姫「! そうだ――! ねぇ、キュゥべえ?」

キュゥべえ『なんだい?』

椿姫「願い事で叶えられる願いの数を100に増やしてほしいって願いは――」

キュゥべえ『ゴメン、無理だ。願い事は原則、“契約した瞬間叶えることができるもの”に限られるからね』

椿姫「そ、そう……」

キュゥべえ『でも、あくまでも“原則”だよ。願い事によっては、“後々になって本来叶えたかった願いが成就される”ってケースも稀にあるからね』

ゆま「――!」

「……ん?」

 わたしは、チラリとゆまちゃんの横顔を眺める。

 ――ゆまちゃんの顔は、先ほどと比べると暗い雰囲気も薄らいでいた。
 いや、むしろ先ほどとは逆に、どこか生き生きしているようにも見える。

 ――例えるなら、プレゼントを買ってもらえる前のような―― <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/26(木) 00:40:48.40 ID:fQJ5g4fk0<> 早まっちゃいかんよゆまさん <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 00:41:12.50 ID:pXczEsWn0<>  ――そんなゆまちゃんの様子から、わたしは何故か少しばかりの不安を覚えた。

「キュゥべえ、既に契約した身だけど、わたしからもひとつ質問していい?」

 だからだろうか?
 気がつくとわたしは、キュゥべえにあるひとつの質問を投げかけていた。

キュゥべえ『今度は真弓かい? 一体何が聞きたいのかな?』

「えっと――」


 ◆選択肢

   1:「『魔法少女』っていつか辞められるの?」
   2:「願い事で死んだ人を生き返らせることはできるの?」
   3:「ただ『魔法少女になりたい』ってだけでも、願い事にはなるの?」

       安価>>681-685 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 00:47:25.20 ID:PB7ajZsK0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/01/26(木) 00:51:29.20 ID:fQJ5g4fk0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/26(木) 00:51:30.54 ID:fxCqpjiQo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 01:04:29.59 ID:tyy1KqW1o<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 01:06:27.59 ID:pXczEsWn0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:「『魔法少女』っていつか辞められるの?」
   2:「願い事で死んだ人を生き返らせることはできるの?」

       安価>>687-691 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 01:08:39.34 ID:tyy1KqW1o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/26(木) 01:09:12.18 ID:a7i4abD90<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)<>sage<>2012/01/26(木) 01:16:38.03 ID:fxCqpjiQo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 01:18:06.34 ID:Ahdgq/RQo<> 1 で

難しいな。杏子が一人で生きてく術を云々がないなら
2でもおかしくはないんだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 01:37:09.97 ID:Ahdgq/RQo<> ここを深く突っ込めば真実に辿り着きそうだが
そうなるとメンタルがやばいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/26(木) 01:45:22.50 ID:fxCqpjiQo<> 正直どうなるかわからん… <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 02:28:49.89 ID:pXczEsWn0<> 「『魔法少女』っていつか辞められるの?」

杏子「!?」

ユウリ「――!」

椿姫「はぁ?」

ゆま「う?」

キュゥべえ『…………』


 ――またしても部屋の空気が変わった。


 ――重いわけでも、かといって逆に軽くなったわけでもない。
 そんな微妙な空気が、部屋中に充満する。


キュゥべえ『――はぁ……。真弓、いくら記憶を失っているとはいえ、今の君は少しお気楽すぎるよ?』

「えっ? そうかな?」

キュゥべえ『そうさ。いいかい真弓、魔法少女の契約は一度結ばれたら解約することも破棄することもできない。君たち人間同士の間で行われる契約とはわけが違うんだ』

「えっ?」

椿姫「なっ――!?」

杏子「……ッ!」

ユウリ「…………」


 ――『解約不可』。
 キュゥべえの口から語られたそれは、部屋の空気を再び重苦しいものに変えるには決定的な一言であった。


 ――いや、今の一言でこれまで以上に空気が重くなった気がする。


「――マジで?」

キュゥべえ『2度も言わせないでほしいな。契約の解約や破棄はできない。言ってしまえば、一度魔法少女となってしまったら、辞めることなんてできないのさ』

「――わたしたちが人間としては『少女』じゃなくなって、『大人』になっても?」

キュゥべえ『当たり前だろう? 酷な言い方かもしれないけど、君たちは一生――要は死ぬまで“魔法少女”として魔女と戦い続けるのさ』

椿姫「ちょっと待ちなさいよ!」


 ――気がつくと、椿姫がキュゥべえの首元をひっ掴んでいた。


椿姫「何よそれ!? それって、叶えた願い事次第じゃ一生タダ働きさせられるのと同じじゃない!?」

キュゥべえ『なんで怒るんだい? さっきも言ったけど、これは人間同士が結ぶ契約とはわけが違うんだ。願い事を叶えるという、それこそ人間の手では絶対になし得ることができない“奇跡”を代価にしているんだから』

椿姫「その“奇跡”1つあたりのギブアンドテイクが等価交換として成立していないって言っているのよ!」

 ――そう叫びながら、椿姫はキュゥべえを掴んでいた手をブンブンと勢い良く振り回し始めた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 02:31:04.45 ID:Ahdgq/RQo<> 魔女になる=魔法少女をやめるってことじゃないってことか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/26(木) 02:39:14.51 ID:fxCqpjiQo<> 魔女になるなんて言うわけないだろう
それにいつか魔女になる君たちは魔法少女だね的なこともいっていたし、魔女=魔法少女ともとれる発言をしている <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/26(木) 02:46:33.35 ID:fxCqpjiQo<> ああ、これだ
「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?
だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 03:00:12.59 ID:pXczEsWn0<> 椿姫「大体、アンタこの国の女性の現在の平均寿命がどれくらいか知っているの!? 10代でそんな契約結ばれて、それ以降約半世紀以上も命懸けの労働なんかできるかーッ!」

キュゥべえ『椿姫、やめてくれないかな? 僕の肉体だってそんなに丈夫にはできていないんだよ?』

 椿姫に振り回されているというのに、キュゥべえは全く動揺している様子もない冷静な声をテレパシーで送っていた。

キュゥべえ『それにね椿姫、今この場には既に僕と契約して魔法少女になった子が3人もいるんだよ?』

椿姫「――ッ!」


 ――椿姫の手がピタリと止まった。


キュゥべえ『彼女たちはみんな、戦いの運命を受け入れることを承知の上で願いを叶えて魔法少女となった。今の君の一連の発言は、そんな彼女たちの覚悟に対する冒涜なんじゃないかな?』

椿姫「うッ……!?」

杏子「…………」

ユウリ「…………」

ゆま「…………」

「椿姫……」

 ――わたしたちの視線が、椿姫に集中する。


椿姫「――あの、その……。ゴメン……」

 キュゥべえを掴んでいた手を離し、椿姫が深々と頭を下げる。

 ――ちなみに、椿姫から解放されたキュゥべえは、またわたしの肩の上に乗っかってきた。
 しかし、わたしはそんなキュゥべえをひょいと掴むと、後方のベッドの方へと放り投げた。
 正直、今はアイツを肩に乗せてやれるほどの気分じゃなかった。

杏子「いや、いい。たぶん、アンタじゃない他の誰かが今の話を聞いていても同じことをしていたよ」

ユウリ「うん」

椿姫「…………」

「…………」

ゆま「う〜……」

 ――沈黙する一同。
 わたしと向かい合わせに床に座っていたゆまちゃんが、オロオロとした表情を浮かべながらわたしたちを見やる。


 ――そんな重苦しい雰囲気を吹き飛ばしたのは、佐倉さんだった。


杏子「――あたしはさ、別に魔法少女になったことを後悔なんてしてないよ」

椿姫「えっ?」

杏子「あたしってさ、まぁ詳しくは言えないけど、魔法少女になる前もなった後も、そりゃあ色々とあった。でも、だからと言って魔法少女になったこと自体は後悔しちゃいない――」

 そう言いながら、佐倉さんは新しいお菓子の袋を取り出すと、その封を切る。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 03:33:57.17 ID:pXczEsWn0<> 杏子「それに、何だかんだ言って今の生活もあたしなりに楽しんでいるしね。魔法少女になったから今の生活ができていると考えてみれば、それほど悲観するほどのものじゃないよ」

「佐倉さん……」

ユウリ「…………」

杏子「――まぁ、本当のことを言っちゃうとさ、きっと後悔しちゃいけないんだと思う。魔法少女になったことを一度でも後悔したら、きっとその後は一生後悔して生きていくことになる――」

 ――お菓子の袋を持っていた佐倉さんの手に力がこもる。
 ぐしゃりという袋が潰れる音がした。

杏子「だから――あたしは後悔なんてしないよ。いや、してたまるもんか……!」

「…………」

椿姫「杏子……」

ゆま「おねーちゃん……」

ユウリ「――アタシも杏子と同意見だ。魔法少女になったことを後悔しちゃいないし、これからも絶対に後悔なんかしない」

「ユウリ――?」

 佐倉さんが口を閉じてから数秒後、今度はユウリが口を開いた。

ユウリ「アタシはまだ魔法少女になって日は浅いからこんなこと言えるのかもしれないけど――魔法少女になってよかったと思っている」

杏子「アンタ……」

ユウリ「アタシにはね、親友がいるんだ。あいりって言うんだけどね」

「――!」

 ――あいり。
 その名前には聞き覚えがあった。

 ――そうだ!
 わたしが読み取ったユウリの“『願い』の記憶”――!
 その中で出てきた名前だ!

ユウリ「――あいりは、死病に冒されていて、余命幾ばくもなかった。それこそ、現代の医学じゃ絶対に助からないっていう病気でね」

杏子「! アンタ、まさか……!?」

ユウリ「うん。杏子が想像している通りだよ。アタシはそんなユウリの病気を治すためにキュゥべえと契約して魔法少女になったんだ」

椿姫「――ッ!」

「…………」

 ――やっぱり。
 あの時脳裏に浮かんだビジョンは、実際にユウリがキュゥべえと契約した際の光景だったんだ。
 これでわたしの能力が魔法少女限定のサイコメトリーであることははっきりした。

杏子「バカか、アンタは! たった1回の願い――それも、叶えちまったらもう一生後戻りすることはできない代物を、他人のために使うなんて……!」

ユウリ「確かに、他人からしてみればそう思うかもしれない……。だけど、アタシにとってはあいりの命は、それこそアタシの命を対価にしてでも守りたいものだったんだ!」

杏子「っ……!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 03:52:09.46 ID:pXczEsWn0<> ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::a      |ニニζ       ヽ,::::::::`''ー---ッ'´   \ `'' 、 `'' 、::::::::::::::::::::::::::::::::::
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ユウリ「あいりと一緒に学校通って、あいりと一緒に美味しいものたくさん食べて――あいりと一緒に生きていられれば、アタシはそれだけで幸せなんだ」

杏子「…………」

「――ユウリって、凄いね」

ユウリ「えっ――?」

椿姫「真弓?」

ゆま「?」

「本当に守りたい人のためになら、自分の命すら犠牲にできる――そんな人、普通はいないよ」

杏子「――!」

ユウリ「――そうかな?」

「そうだよ。――ぶっちゃけると、わたしがユウリと同じような境遇に陥ったら、たぶん相当悩んで、ジレンマに苦しみ続けていたと思う」

椿姫「ん〜? 真弓〜、それってつまり、私が死にそうになっても、アナタは私をすぐに助けてはくれないってこと〜?」

「えっ!?」

 ――気がつけば、椿姫が意地悪そうな笑みを浮かべて、わたしのそばに擦り寄ってきた。

 ――このような顔をするということは、いつもの椿姫に戻ってきたということだ。
 よし、少しばかり場の雰囲気がいい方向に戻ってきたぞ――! <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 04:14:10.08 ID:pXczEsWn0<> 「い、いや……。別にそういう意味じゃなくて……! というか、椿姫だったら1度や2度くらい死んでも生き返りそう……」

椿姫「何ですって〜?」

 椿姫がわたしの両頬を両手でひっ掴むと、そのまま一気に引っ張った。

椿姫「人間離れした能力手に入れた真弓よりも、私の方が人間離れしているとでも言いたいのかしら〜?」

「つ、椿姫、やめて……! まだわたしの話終わってない――!」

杏子「…………」

ゆま「…………」

ユウリ「……プッ!」

「ん?」

椿姫「あら?」

ユウリ「クスクス……! あ、あんたたち……! 本当に仲がいいのね!? こんな状況なのに、よくそんなコントが染みたやり取りができるわ……!」

杏子「ハッ……。全くだ。真弓の方も何考えてんのかわかんねー奴だったけど、椿姫の方も同じくらいわかんねーや……」

ゆま「おねーちゃんたち、楽しそうだねー?」

「…………」

椿姫「…………」


 ――気がつけば、先ほどまで重苦しかった雰囲気は、いつの間にか消え去っていた。

 ――半ば狙ってやったとはいえ、こうも上手くいくとは思ってもみなかった。
 我ながら凄いものだなと感心する。


椿姫「ちょっ――!? ちょっと待ってよ、杏子! 真弓はともかく、その言い方じゃ私まるでバカみたいじゃないの?」

杏子「あ? 違うのか? 『類は友を呼ぶ』って言うじゃんか?」

ゆま「おねーちゃんたち、るいとも〜」

椿姫「はぁ? わたしが真弓の類友なら、杏子もゆまちゃんも類友じゃないの? ここにいるみんなバカよ、バカ!」

杏子「あぁ!? そいつは聞き捨てならねぇな!」

ゆま「う〜! おねーちゃんたち、喧嘩しちゃダメー!」

「…………」

ユウリ「――『類は友を呼ぶ』か……」

「ここにいるみんなバカだって?」

ユウリ「別にいいんじゃないかな? バカで?」

「ハハ……。そうだね」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/26(木) 04:20:31.25 ID:pXczEsWn0<> 一旦ここで休憩します
続きは今夜22:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


なんか、ゆまのキャラがやたら原作以上に幼くなっちゃっている気がしますが、魔法少女になる前の弱気でネガティブなゆまならこの場の雰囲気だとこんな感じでも問題ないですかね?w
気がついたら、某ストーカー天使漫画に登場する主人公の親戚のロリみたいになってた……w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 07:38:39.24 ID:Ahdgq/RQo<> 乙
汚れまくりなユウリのSG見ても杏子の反応がないのは
SGの真実知らないせいなのかな
真弓に譲ったのも予備があるからと受け止めたのだろうか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/26(木) 08:00:07.09 ID:HQHcdpNIO<> 乙々
時系列で言えばまだ魔法少女の真実は知らないだろうな
大袈裟に驚かなくても不思議じゃないが

ユウリとのグリーフシードの分前をどうするか……ユウリはもう譲った気になってるのかな? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 01:53:59.38 ID:Pe7agKL80<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 02:44:15.98 ID:Pe7agKL80<> ユウリ「――ねぇ、そろそろアタシの話に戻りたいんだけど、いい?」

杏子「あぁん? ――って、そういえばそうだったな」

椿姫「あぁ、ごめんなさい。すっかり忘れてた……」

ユウリ「あのねぇ……。――ともかく、アタシはキュゥべえと契約をして魔法少女になったことを後悔なんてしていないんだ。むしろ、契約をしなかったほうが後悔していたと思う」

「それだけ、そのあいりって子が大事だったんだね」

ユウリ「当然でしょ? それに、あいり自身も心から『生きたい』と望んでいた――アタシと一緒に生きていたいと言ってくれたからね」

椿姫「……良いお友達を持っているのね」

杏子「…………」

ユウリ「アタシだけじゃなく、あいりの願いも叶えることができたんだ。それを後悔するなんて、この先絶対にあり得ないよ」

 そう言って一呼吸おいた後、ユウリは再び語り始める。

ユウリ「――おまけに、魔法少女になった後も、アタシはユウリのような子を救うことができているしね」

椿姫「? どういうこと?」

ユウリ「魔法少女はね、契約時の願いによって各々が持つ能力に違いが生まれるんだ。アタシの場合は治癒。他者の怪我や病気を魔法で治すことができたり、魔力によって自身の回復能力を大幅に向上させたりできるんだ」

杏子「!? まさか、アンタのソウルジェムが相当濁っているのは――!?」

ユウリ「そう。アタシは魔法少女として魔女退治の傍ら、難病の子供たちを陰ながら魔法で治療して回っている――」

 あいりのように『生きたい』と心の底から望んでいる子たちに生きる希望を与えるためにね、と恥ずかしそうに笑いながらユウリは付け加えた。

椿姫「へぇ……。いいことじゃないの」

ゆま「うん。おねーちゃんスゴい!」

杏子「どこがだ!? そんなしょっちゅう魔力使っていたら、肝心の魔女との戦いで魔法が使えなくなっちかもしれねーだろ!?」

ユウリ「その点はちゃんと考えて行動している。アタシだってそこまでバカじゃないぞ?」

杏子「だが、現にソウルジェムはそこまで濁っているじゃねーか!」

 ――佐倉さんはそう言いながら、未だユウリの手のひらの上に置かれている彼女のソウルジェムを指差す。

杏子「アンタ、もう少し自分を労れ! これから先もそんな生き方を続けていたら、アンタは絶対に近いうちに命を落すことになる!」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 03:14:09.28 ID:Pe7agKL80<> ユウリ「…………」

「…………」

椿姫「…………」

杏子「? な、何だよ? いきなりみんなして黙っちまって?」

ユウリ「いや……。あんたってかなり口下手だなと思った」

「うん。素直にユウリのことが心配なら、そう言えばいいのに」

杏子「んなっ――!?」


 l:::/ |   ィ   イ |  ヽ ト、_,イヽ      .┌┐_
 .V  .|   /|__ハ |   \ \ .,,==\ヽ | . ___|..└! .|
 / ,ィ .|  / | ==、 |j       ‖  ヾヽヾ!ヽ--┐.i┐.i 」
.//|ハ  .i ‖ ヾ        {{ / }} .〉 |   |...| |__|
'  | ∧ | {{   .}} / /./ 乂 /‖.|/ ..┌┐.┘、∨
  |  .∧イ 乂  ‖. / / / /゙ ''  |..┌┘└┐ノヽ∨
  .| .∧ヽ!/./ゞ= / / __   -、,、  |  ,ニコ .iニ┐  `ヽ、
   V 乂 |'  / /, - '      ` ハ / '〈 .<l .l'_メ.ヽ,
      | |      {    __,  -‐ ' '   ,` .!┘  `' ` ̄
     ノハ     `  ̄        イ ̄}  .i─┐ヽ、
    /   ` ≧ェ         < ヽ ̄| `┐ ̄!┘


椿姫「言われてみればそうよね〜。ユウリが死んじゃったら、残されたあいりって子がかわいそうだもんね〜?」

 ――椿姫がまたニヤニヤと意地の悪そうな笑みを浮かべた。

 ――あぁ、あれは弄り甲斐のある子を見つけた時によく見せる顔だ。
 佐倉さん、いろんな意味でご愁傷様。


 ――だが、せっかくだから、わたしもこの赤の扉……じゃなくて、紅い魔法少女弄りに乗っからせていただこう。


「そう言えば佐倉さん、昨日わたしにも似たようなこと言ってたっけ……。『わたしたちが死んでしまったら、魔女を倒せる存在がいなくなる。結果的に誰も救えなくなる』って――」

杏子「うっ……!」

ユウリ「『誰かを護るなら、まずは自分から』か……。確かに、言われてみたらそれも一理ある」

 ――ユウリもそう言いながら、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。

 ――あぁ、確かにわたしたち、友を呼ぶ類の人間だわ。

杏子「て、テメェら……!」

 佐倉さんが顔を真っ赤にしながらプルプルと震えている。

ゆま「おねーちゃんってやさしーんだね?」

 そんな佐倉さんに、無垢な幼女のトドメの一声。

杏子「だぁーーーーっ! テメェら、マジうっぜぇぇぇぇぇ!」


 ――結局、この後拗ねてしまった佐倉さんのご機嫌を直すのに、数分の時間を費やしたのは言うまでもない。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 04:12:42.80 ID:Pe7agKL80<> ユウリ「――さて、真弓」

「うん?」

ユウリ「そろそろ教えてもらっていい? あんたの能力のこと――」

「あぁ、そうだね。ユウリにはそのためにわざわざ来てもらったんだし……」

ユウリ「うん。だけど、それ以外にも来てよかったと思うけどね?」

杏子「…………」

「ハハハ……」

 ユウリはチラリと佐倉さん――未だにムスっとした表情を浮かべている――の方を見る。
 ――どうやら、彼女も佐倉さんを絶好の弄り対象と断定したらしい。

 あぁ……。佐倉さん、まだ出会って3日目なのに、何故キミは早くもそんなキャラになってしまったのだ?

「――じゃあ、そろそろ説明するね。わたしの能力について」

ユウリ「うん、お願い」

杏子「それで、一体どんな能力なのさ?」

「――とりあえず、まずは変身するね?」

 わたしはソウルジェムを掲げると、本日3回目となる魔法少女の姿への変身を行う。

 ほんの一瞬だけ、オレンジ色の光一色に包まれる部屋――
 光が消え去った頃には、わたしは三度、魔法少女としての服装を身にまとっていた。

ゆま「スゴ〜い! 変身した!」

 わたしの変身を一番近くで見ていたゆまちゃんが、目を輝かせながら、あきらかに興奮した様子の声をあげた。

椿姫「私、今日だけでその姿を見るの3度目ね」

 椿姫が若干苦笑い染みた表情を浮かべながら、わたしの姿を見る。

「実際、今日わたしが変身したのもこれで3度目だよ?」

杏子「そういった話はいいから、早く能力を見せてくれよ?」

「あぁ、そうだった……。でもその前に、まずはこれを見てもらえる?」

 そう言いながら、わたしは周囲に数枚のカードを召喚する。

ゆま「うわ〜……。今度はカードが出てきた……!」

椿姫「いきなり何も無い所に現れて、おまけに宙に浮いてる……!? ――まぁ、魔法とはいえ、それだけでも結構凄いけど、そのカードがどうしたの?」

ユウリ「あぁ、確かあれは……」

「うん。ユウリは既に知っていると思うけど、このカードが魔法少女としてのわたしの武器なんだ。これを大量に召喚して、手で触れずに思念操作するの」

 召喚したカードの1枚を手に取りながら、わたしは説明を続ける。

「――もちろん、こうやって普通に1枚1枚手に取って使ってみたり、飛ばしたりすることもできるよ?」

 他にも大量に並べて、壁をはったり、網や柵のようなものを作って敵を引っ掛けたりもできる、とわたしは付け加えた。

杏子「“カードを操る”――それがアンタの能力かい?」

「ううん。このカードはあくまでも武器。佐倉さんの槍やユウリが使う巨大な注射器と同じだよ。大量に召喚して使うことが前提だから、1枚あたりの攻撃力は本当に低いけど……」

 そう言いながら、わたしは一度カードを全てしまう。もとい、文字通り『消す』。

「――で、ここからがわたしの能力」

 そして、消したカードの代わりに、今度は2枚の別のカードを目の前に召喚した。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 04:51:04.11 ID:Pe7agKL80<> 椿姫「またカード?」

杏子「ん? だけどちょっと――」

「うん。オモテ面を見てもらえばわかると思うけど、このカードはさっきまでのカードたちとは違って白紙じゃないんだ」

 カードを手に取り、そのオモテ面――紋章と文字のようなものが描かれた方をみんなに見せる。

ゆま「ホントだ。何か描いてある!」

「そして、このカードは外見だけじゃなくて、使い方もさっきまでのカードとは違うんだ」

椿姫「ふぅん……。どう使うの?」

「――こう使う」

 わたしは右手と左手にそれぞれ1枚ずつ手に取ったカードに思念を送る。

 ――2枚のカードは光の粒子となり、やがてそれぞれ別の形へとその姿を変えていく。

杏子「――!?」

椿姫「えっ!?」

ゆま「わぁ……!」

ユウリ「……見るのは2回目だけど、これは本当に――」

 カードから形を変えた『それら』を目にした瞬間、椿姫たちは各々驚きの声を口にする。

「よっと……。――まぁ、こんな感じで、佐倉さんやユウリの使っている武器に形を変えるんだ」

 わたしは左手で佐倉さんの槍を持ち、右手と右腕でユウリの注射器を抱え込みながら、みんなに能力の一部を説明する。

杏子「ちょ、ちょっと待て。アンタの能力っていうのは、まさか――」

キュゥべえ『そうだよ杏子。おそらく君が想像している通りだ』

 佐倉さんが話し終えるよりも先に、キュゥべえが再びわたしたちの視界の中に入ってきた。

椿姫「――アンタ、まだいたの?」

キュゥべえ『いたよ。失礼だなぁ』

 キュゥべえに対して嫌そうな視線を向ける椿姫。
 どうやら彼女は、ここまでの一連のやり取りでキュゥべえのことを『嫌なヤツ』と認定したようだ。

 ――当のキュゥべえの方は、そんなこと全く意にも介していないようだが。

ゆま「……どういうこと?」

キュゥべえ『簡単に言ってしまえば、真弓の能力は“他の魔法少女の武器を複製する”んだ。それも、本物そっくりにね』

ユウリ「なるほどね……」

椿姫「――ゴメン。もっとわかりやすく言って」

「――『ド●え●ん』のひみつ道具、『フ●ル●ラー』の魔法少女専用武器限定版」

椿姫「オッケー。よ〜く、わかったわ」

杏子「あぁ、アレって現実にあったらスゲー便利そうだよな?」

キュゥべえ『話が反れているよ? ――ところで真弓、ひとつ聞いていいかな?』

「なに?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 05:42:41.83 ID:Pe7agKL80<> キュゥべえ『僕は先ほど――魔女の結界の中でも、一度君に“何故杏子の槍を持っている”のかを尋ねたよね? だけど、あの時僕が聞いた時は、君は“わからない”と答えた――』

「うん。確かにそう言った」

キュゥべえ『――だけど、今はこうして自分から僕たちに“自らの能力”として、それを説明している――』

 ――キュゥべえの赤い瞳が、部屋の灯りを反射して一瞬だけキラリと光った。

キュゥべえ『――つまり、君が自身のその能力を把握したのは、僕が尋ねた後――少なくとも魔女との戦い以降ってことだよね?』

「そうだけど……。それがどうかしたの?」

キュゥべえ『…………』

 ――何かを考え込んでいるかのように黙りこくってしまうキュゥべえ。
 しかし数秒後、再び話し始める。


     ヽ     / /                           / (   )`ヽ
      ヽ   /  /                           /  /`='ヽ  .l
        ヽ /  /                           l   ゝ== '  l
        /  .l                            ヽ      ノ
        /   ,l       _                     ` ー― '
       /   |     ,r'´ ,´`ヽヽ
       /    |     /  rヽ--{  i
      /    |     l l ゝ __ノ  l
      /     |     ヽ ゙、    /                                  /
_____  /      |      ` ―― ´                                  /
ー―、ヽ'       、                           ノ                <
    /         、                    r― --- '                  `ヽ
   /          、               、   ノ
  /           ヽ                ̄
/             ヽ                             ,.
               |\                         ,.イ
ヽ              /  `ヽ、                  ,. - '  /
、 ヽ            ./      ` ー 、 _____ , - '     /
..ヽ ヽ          ,〈                           /
  ヽ ヽ         ∧ヽ                         /


キュゥべえ『――ねぇ、真弓。もしかして君のその能力には、何か発動するための条件みたいなものがあるんじゃないかな?』

「…………」

ユウリ「――条件?」

キュゥべえ『そう。ただ武器を“見ただけ”で複製できるようになるのなら、先ほどの魔女との戦いにおいては、真弓とユウリが共闘を開始した時点で真弓はユウリの武器を複製できたはずなんだ』

ユウリ「あぁ、言われてみれば――」

キュゥべえ『だけど、実際は武器を複製したのは、戦いの途中から――いや、むしろ最後の最後だ。――となると、もし能力の発動に条件があるとするならば、それまでの間に“何か”が起こったと考えていい』

「…………」

キュゥべえ『――真弓、君はもう気づいているんだろう? 条件の有無にも、そしてその条件も――?』

「……まぁね」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 05:51:51.65 ID:Pe7agKL80<> 杏子「おい、もしかして――」

ユウリ「本当に、何か条件があるの?」

「うん。あるよ。発動するための条件――」

杏子「それは何だ? よかったら教えてくれ」

「…………」


 ――わたしは、ほんの数秒だけ口を閉ざすと同時に、みんなから一度視線を逸らした。
 ここに来て、本当に教えていいのだろうか、という考えが一瞬頭をよぎったからだ。

 ――だが、すぐさま『隠していたって何のメリットもない』という結論に至り、再び視線を戻す。


 ――そして、わたしは再び口を開くと――


「――触れることだよ」


 ――正直にそう答えた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 06:00:25.64 ID:Pe7agKL80<> 一旦ここで休憩します
続きは12:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


実はプロットの段階では、最後の部分は選択肢で

1:「――触れることだよ」
2:「――ある程度一緒に行動すること――かな?」
3:「――ゴメン、悪いけど今は言えない」

の3択になっていたのですが、
プロットのまま選択肢にすると、間違いなくキュゥべえに対する警戒から3を選ばれそうな気がしたので、
結局選択肢は取りやめ、真弓には正直に話させることにしましたw

ちなみに、プロット段階では、上記選択肢で3を選ぶと、杏子とユウリからの信頼が若干下がり、ユウリには魔女化フラグが立つという展開でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 06:30:37.07 ID:h8bvXhOdo<> 乙
まぁ言えない だと気味が悪いよな
自分の武器複製されてるんだしww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 08:05:41.59 ID:CT2hG89IO<> 乙々
面白ければ問題ない <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/27(金) 11:03:27.14 ID:6JpYFlPp0<> そういえば…ゆまが杏子の事を『キョーコ』じゃなくて『おねーちゃん』と呼んでるのは何故だろうか?
いや、それはそれで可愛いんだけどね <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 13:30:51.90 ID:Pe7agKL80<> 再開します

>>714
現時点におけるゆまは、おりマギ原作における杏子に拾われたばかりの状況なので、まだ杏子のことは名前呼びじゃないという感じです
原作でも「あたしは『おねえちゃん』じゃない。佐倉杏子だ」と杏子が言うまでは名前呼びじゃなかったようなので <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 14:13:08.86 ID:Pe7agKL80<> 椿姫「“触れること”?」

「そう、“触れること”――。わたしが他の魔法少女の子に触れるとね……脳裏にあるビジョンが浮かび上がってくるんだ」

 いや、『頭の中に流れ込んでくる』って言ったほうが正しいのかな、と付け加えながら、わたしは両手の武器を消去する。
 さすがに持ちっぱなしで説明するのは疲れるし、この限られた空間では邪魔になるからだ。

キュゥべえ『…………』

ゆま「――?」

「――『サイコメトリー』って知ってる? 『触れたものが内包している記憶を読み取る』っていう能力なんだけど……」

杏子「あぁ、名前を聞いたことくらいなら――」

「わたしの能力は、それの魔法少女限定版って感じかな?」

ユウリ「内包している記憶を――って、まさか……!?」

「うん。実はわたし、佐倉さんやユウリの記憶を、ほんの少しだけ読み取っちゃっていたんだ。ゴメン……」

 わたしは2人に軽く頭を下げる。

ユウリ「い、いや、そんな頭下げてまで謝らなくてもいいよ。真弓だってさっきまではその能力に気づかなかったんでしょ?」

杏子「あぁ。勝手に人の記憶を覗き見られるっていうのは、少し気分悪いし気味悪いけどさ――」

「うん。ありがとう――でも、この能力は触れた瞬間勝手に発動しちゃうみたいで、わたしでも自制がきかないんだ。――その代わり、発動するのは対象の魔法少女1人につき1回までみたい……」

ユウリ「え? そうなの?」

「うん……。今日も佐倉さんには何度も触れていたけど、今日は1回も記憶を読み取らなかった」

杏子「そういや、あたしら今日取っ組み合って何度もお互いの身体に触れていたっけ――」

ユウリ「なるほどね。――ねぇ、もしよかったら、どんな記憶を読み取っちゃうのかも教えてくれない? わかる範囲や教えられる範囲でいいから」

「う〜ん……。読み取る記憶の範囲は大体把握できているから教えてあげてもいいけど……。でも、本当に言っちゃっていいの? 見方によっては、恥ずかしい過去を明かされちゃうようなものだよ?」

ユウリ「構わない。――というか、記憶を読み取っているなら既にあんたはアタシたちの過去をある程度知っているってことだろう? 今更他に知る人間が1人、2人増えたところで、大して変わらないさ」

「――佐倉さんは?」

杏子「――正直、アタシは人の過去を勝手に他人に明かされたくはない」

「うん。まぁ、それが普通だよね?」

 わたしの問いに、佐倉さんは無言で一度頷く。
 ――しかし、すぐさま再び口を開いた。

杏子「だけど――アンタがあたしたちのどんな記憶を読み取ったのかこっちがわからないと、アンタの能力が本当にそれなのかもわからない。今回だけは特別に許すよ」

「――ありがとう」

 佐倉さんとユウリ、2人の了承が得られたため、わたしは自身が読み取った記憶の詳細を語り始める。

「――わたしが読み取ったのは……触れた魔法少女の、“契約時の記憶”だよ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 15:06:10.16 ID:Pe7agKL80<> ユウリ「契約時の――?」

杏子「! ちょっと待て、それって――!」

キュゥべえ『――なるほど、つまり君は“触れた魔法少女がどのような願いで契約したのかがわかる”ということだね?』

 佐倉さんが言い終える前に、キュゥべえが彼女の言いたかったことを先に言ってしまった。

「うん。この記憶を読み取ったら、その魔法少女の武器が使えるようになるみたい」

キュゥべえ『そうか――。確かに、それなら武器が複製できるのも頷けるね。魔法少女の武器も、個々の能力同様“願い”によって生まれた力なわけだし――』

椿姫「能力自体は真似できないの?」

「試したことはないけど……たぶん無理じゃないかな?」

キュゥべえ『うん。おそらく能力まで再現することは不可能だろう。魔法少女のもつ能力と武器自体は、必ずしもイコールじゃないからね』

ユウリ「そうだね。それに、そこまでできてしまったら、いくら何でも万能すぎる」

杏子「同感。あたしら一緒にいる意味がなくなるじゃんか」

「ハハ……。――でも、この能力のおかげで、なんでわたしから契約以前までの魔法少女に関する記憶が失われてしまったのかわかった気がするんだ」

椿姫「――手に入れた能力が記憶に関係していたから?」

「そういうこと。――ほら、人間の脳って、物事全部記憶できるほどの容量はないってテレビとかでも結構言われているでしょ? たぶん、空き容量を作るために消去されちゃったんだと思う」

ユウリ「――ねぇ、真弓」

「ん? 何?」

ユウリ「アタシの契約時の記憶を読み取っていたということは――あんたはつまり、さっきアタシが自ら明かすよりも先に、アタシが魔法少女になった理由を知っていたってことだよな?」

「――うん」

ユウリ「それならひとつだけ聞かせてほしい。あんたはさっき、アタシがあいりの病気を治すために魔法少女になったことを『凄い』と言ってくれたが――あれはお世辞? それとも本心?」

「それは、もちろん――」

キュゥべえ『本心だろうね。むしろ、真弓なら記憶を読み取っていなくとも、そう言っていただろう』

「へっ?」

ユウリ「キュゥべえ……」

 またしても、誰かが言いたかったことを、その人が言い終える前に先に言ってしまうキュゥべえ。

 コイツ、空気が読めるのか、読めないのか――
 それとも、ただ単に人の話に割り込むことが得意なのか――

椿姫「――そうね。真弓の性格だったら、おそらくユウリの記憶を読み取っていなくてもそう言っていたと思う。真弓の性格は私がよく知っているし……」

杏子「へぇ……。さすがは幼なじみ、よく知っているな」

キュゥべえ『そうだね。――それに、真弓も魔法少女としての本質は、ユウリや杏子と変わりがないわけだし』

「えっ?」

杏子「? どういうことだ?」

キュゥべえ『そのままの意味さ。ユウリや杏子が他人のために願いを使って契約したように、真弓も自身以外の者のためにその命を代価としたんだ』

ユウリ「――つまり、真弓もアタシのように自分以外の誰かのために願いを使ったってことか?」

キュゥべえ『そう。――と言っても、真弓の場合は個人ではなく複数――それもかなりの数の人間を対象にした願いだけどね』

杏子「――じゃあ聞くが、一体真弓は何を願ったんだい? そこまで言っておいて、『教えない』はなしだよ?」

キュゥべえ『わかっているよ杏子。ちゃんと説明する』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 15:09:02.65 ID:h8bvXhOdo<> 意外と早く明かされるのかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/01/27(金) 15:45:45.47 ID:dwZTxaHs0<> マミ「今日も紅茶が美味しいわ」668からの分岐改変が起きない平行世界
もし改変が起きない平行世界のマミがシャルロッテに死ななかったら OR マミ死亡後にまどかがマミ、QBの蘇生願いを願ったら
魔法少女全員生存ワルプルギス撃破
誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 15:46:20.50 ID:Pe7agKL80<> -――― - 、         ト ,                 , イ
        \       |    >、 __   , <  |
          \      、    ´     `     .j
       , -- 、ヽ    / 〉             λ
      /     ヽ}   / /              ヘ ハ
.     /        リ  ./  i                 , ハ
    ,            /   ,                j  ヘ
     i        /     ゝ、                 ,イ   ヘ
    |      r 、/    j  > __      _   < |   ハ
    |      ヾソ    ,    / ,....、     |      ,    ヘィ=ァ
     ,      入\  ム     , /::::::::ヽ   |     l    ヘ//
      ハ     /.。 `ヾュ厶」    i'::::八::::::',  |     入 _ /ヘ
     ヘ   /   O o/      /:::/  }::::::}   |    'ー-イ    。、
      ヽ'    /  /     /:::::L__」:::::::|  ハ       , o O ヽ
       \ , イ ./     ハ:::::::::::::::::::/   ハ         ヘ     \
         \.レ'       /  `ー--‐ '   、j        ヘ  、 \__ゝ
          \     /             ヽ       ヽ、 \ `l
            \   ,                '         \_」`ー'
              \ i               j
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ヽ、              `ー         /
  ` ー -  _______,ィ、_____厶


キュゥべえ『“1人でも多くの魔法少女を救える力がほしい”――それが真弓の願いさ』

ゆま「――魔法少女を救える力?」

「それが、わたしの『願い』――?」


 ――魔法少女となって3日目。
 ついにキュゥべえからわたしの『願い』が語られた。

 ――“1人でも多くの魔法少女を救える力”。

 それが、わたしが魔法少女になった際に叶えた『願い』――わたしの『祈り』だという。


「――そういえば……」

 わたしは、ここでふと昨日の朝のキュゥべえとのやり取りの一部を思い出す。


 ――大抵の子の“願い”は、契約が成立し、エントロピーを凌駕した瞬間に叶えられる。

 ――だけど、ごく稀に契約が成立した瞬間には“願い”が叶わず、後々になって叶ったという子は確かにいたよ。

 ――実際、君が僕との契約で願った“祈り”もどちらかと言うと、こちらに分類されるものだろう。


 一連の言葉は全て、そのやり取りの際にキュゥべえが語っていたものだ。

 ――うん。確かに、その話が本当なら、わたしの願いは契約した瞬間や昨日の朝の時点では叶えられていない。
 何故なら、この願いは『他の魔法少女と最低1人でも出会い、行動を共にすること』が条件となっているからだ。
 願いの内容の文面だけでは、すぐにはピンと来ない、隠された条件ではあるが――


キュゥべえ『――記憶を失う前の真弓は、ささいな偶然から“魔法少女”という存在を知り、そして“魔法少女”がその身に背負う運命を知った』

 ――気がつくと、キュゥべえからわたしの過去が明かされ始めていた。

 わたしも、みんなと一緒に、その話に耳を傾ける。

キュゥべえ『だから真弓は願ったのさ。先ほども言った願いを――。魔法少女が背負う運命を、自身も少しでも共有して救うためにね』

 でも、それがあんな能力として形になるなんて僕にも予想できなかったよ、とキュゥべえは付け加えた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 15:51:38.87 ID:h8bvXhOdo<> 真弓が魔女化やSGの真実について知っていたカキになるところだな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 16:19:46.37 ID:Pe7agKL80<> 椿姫「――ねぇ、話の途中から少し気になっていたんだけど、魔法少女が契約によって手に入れる能力ってキュゥべえにもわからないものなの?」

キュゥべえ『そうだね。ユウリの場合は、願いの内容もストレートだったし、同じような前例も何度かあったから、僕も契約の時点で能力を把握することができた』

 だけど、と付け加えた後、再び語り始めるキュゥべえ。

キュゥべえ『真弓のように、“捉え方によっては様々な意味を含む内容の願い”だと、能力の把握が難しいんだ』

ユウリ「――それは仮に、同じ願いで契約した子が過去に存在した場合でも?」

キュゥべえ『うん。同じ願いのはずなのに各々違った能力を手に入れることなんてザラだし、願いの内容が変に曲解されて、とんでもない能力が生まれてしまうなんてこともある』

杏子「ふぅん……」

キュゥべえ『だから僕は、契約が完了したら、まずは契約した子に一度能力の確認をさせることがほとんどなんだ。――真弓は副作用で記憶を失っていたこともあって、それができなかったけど――』

「う〜ん……。でも、仮に記憶を失っていなかったとしても、サイコメトリーと武器の複製はその時点でもわからなかったと思うよ?」

キュゥべえ『言われてみるとそうだね。――ところで真弓、どうだった? 自分の叶えた願いを知ることができた感想は?』

「そうだね……」


 ◆選択肢

   1:「普通に嬉しいよ」
   2:「まだちょっと実感がわかないかな?」
   3:「正直言って――半信半疑?」

       安価>>723-727 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:21:28.76 ID:uMhM3jN/o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:23:47.08 ID:h8bvXhOdo<> 3 幸せにする能力が欲しいって願いの割には
  コピーとサイコメトリーのみってのは微妙だな。まだ何かあるのかね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/27(金) 16:24:45.73 ID:ga6BUV6Ro<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:25:43.81 ID:CT2hG89IO<> 好感度が上がるチャンスか……?
選択肢が読めない(推理的な意味で)

1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:26:42.52 ID:xPnNuRfEo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:27:04.88 ID:h8bvXhOdo<> >>724
幸せってなんだ。救える力がほしいだった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:36:22.79 ID:eoOLSYDDO<> QBは嘘はつかないけど、話をはぐらかしたり、内容をねじ曲げはするから、本当にこの願いなのかもまだ確定とはいえないな

願いの本質は、本編のまどかと同じような気がするけど……
本編のまどかと同じ願いだったけど、真弓は因果が(まどかと比べると)足りなかったからこうなったとか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 16:42:19.08 ID:BWx3E8wko<> 白紙の紙に武器とかを写すっていうのがなんか、
記録するって感じだね。

相手が死んでも忘れられないようにするっていうのも救いかな? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 17:36:18.35 ID:Pe7agKL80<> 「正直言って――半信半疑?」

キュゥべえ『どうして?』

「いやぁ、こう言うのも何だけど……。仮に嘘偽りない本当の話だとしても、キュゥべえが言うと何か胡散臭く感じるんだよね……」

椿姫「プッ!」

杏子「ハハハハハ。そりゃあそうだ!」

ユウリ「うん。凄くわかる」

ゆま「?」

 わたしの正直な感想に、同年代の女子3人は同意を示す笑みを浮かべ、ゆまちゃんは、わたしの言った言葉の意味がまだ理解できる年頃ではないためか、首を傾げる。
 そして、言われた当のキュゥべえはというと――

キュゥべえ『わけがわからないよ』

 ――などと呟き、相変わらずの無表情を貫いていた。

 ――その無表情っぷりが、自身の発言や存在そのものの胡散臭さを煽っている最大の要員であることに、キュゥべえ自身は気づいていないのだろうか?


杏子「ハハハ……。いやぁ、確かにキュゥべえが言った話が胡散臭いってことには同意見だ。――でもな真弓、胡散臭くはあるけど、キュゥべえは嘘は絶対につかないんだよ?」

「えっ――?」

椿姫「そ、そうなの?」

杏子「あぁ、そうさ。あたしもここまで色々あったけど、キュゥべえの奴があたしに嘘をついたことは一度もなかった」

キュゥべえ『そりゃあそうさ。僕が君たちにそのようなことをする理由なんてないんだからね』

ユウリ「――言われてみれば、確かにそうだね。胡散臭いけど」

キュゥべえ『ユウリ、その話はもういいじゃないか』

ゆま「キュゥべえって臭いの?」

キュゥべえ『ゆま、“臭い”といっても不潔という意味じゃないよ。それに、むしろ僕は清潔を心がけているほうさ』

杏子「ホントかねぇ……? ――ところで、真弓」

「何?」

杏子「いい加減、変身解いたら? 能力は説明してもらったんだし、何時までもそのカッコでいる必要もないっしょ?」

「え――!? ――って、そうだった! すっかり忘れてた……!」

 わたしは慌てて変身を解く。
 もしここで、佐倉さんに言われていなかったら、わたしは魔法少女の姿のまま一日の残りの時間を過ごすハメになっていたかもしれない。

杏子「――ったく、本当にアンタって変なところで抜けてるよな」

椿姫「そうそう、そうなのよ。小さい頃から大体こんな感じなのよね〜」

 ――ほっといてください。

杏子「それにしても――」

「?」

杏子「真弓、アンタ本当にさっきグリーフシード手に入れたのか? アンタのソウルジェムも結構濁ってるじゃねーか?」

 そう言いながら佐倉さんは、変身を解いて元の制服姿に戻ったわたしのソウルジェムを指差した。
 ――現在、わたしのソウルジェムは、わたしの左手のひらにおさまっている。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 18:02:47.68 ID:Pe7agKL80<> 「あ……。うん。確かに手に入れたよ?」

ゆま「――ぐりーふしーど?」

椿姫「何それ?」

「あぁ、これ」

 わたしは、制服のポケットから黒い宝石状のものを取り出す。
 もはや説明不要だが、取り出したのは『グリーフシード』である。
 ――先ほどユウリから半ば強引に手渡され、結局そのまま持っていたものだ。

椿姫「見た感じ、ソウルジェムに似ているけど――これは何?」

ユウリ「『グリーフシード』、魔女の卵だ」

椿姫「えっ――!? つ、つまり、これから例の『魔女』って化け物が生まれるってこと!?」

ゆま「――ッ!?」

キュゥべえ『あぁ、大丈夫。この状態なら安全だよ』

椿姫「そ、そうなの……?」

ユウリ「うん。むしろ、魔法少女が生きていく上では、なくてはならない必需品かもね――」

キュゥべえ『それに、結構貴重なものなんだよ?』

ゆま「……?」

杏子「な〜んだ、持っているならさっさと使いなよ? 見た感じ、ぜんぜん余裕そうじゃん」

「う、うん……。だけど……」

杏子「? どうした?」

「…………」


 ◆選択肢

   1:「使い方がわからなくって……」
   2:「わたしはユウリに使ってほしい」
   3:「これって、複数人で分け合うことってできないのかな?」

       安価>>733-737 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 18:09:20.07 ID:uMhM3jN/o<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/27(金) 18:10:58.35 ID:ga6BUV6Ro<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 18:11:40.99 ID:h8bvXhOdo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/27(金) 18:43:06.65 ID:b5sCVCbi0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/27(金) 18:44:47.28 ID:JkZMLUmYo<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/27(金) 23:50:52.81 ID:Pe7agKL80<> 「これって、複数人で分け合うことってできないのかな?」

杏子「はぁ? 何言ってんだアンタ?」

「そのままの意味だよ。佐倉さんもユウリのソウルジェム見たでしょ? あそこまで濁りが目立って黒くなっているんだもん。放ってはおけないよ」

ユウリ「大丈夫だよ、真弓。アタシだって別に死に急いでいるわけじゃないんだ。まだ後1回や2回は魔女と戦うだけの魔力は残っている」

「で、でも……」

椿姫「濁り? これって、もともとこういう色じゃなかったの?」

 椿姫がわたしのソウルジェムを覗き込む。

キュゥべえ『うん。本来、ソウルジェムは美しい輝きを放っているんだけど、魔法を使って魔力を消費していくと、このように穢れが生じて濁っていくんだ』

椿姫「ふ〜ん……。要するに、ソウルジェムの輝きはRPGで言うところのマジックポイントの数値みたいなものなのね?」

杏子「そういうこと。だから普段から綺麗にしておかねーと、肝心な時に魔法が使えねーってことになりかねないだろ?」

ゆま「でも、どうやって綺麗にするの?」

キュゥべえ『グリーフシードを使うのさ』

椿姫「真弓が持っているアレを?」

キュゥべえ『うん。グリーフシードにはね、“周囲の穢れを吸い取り、貯めこむ”って性質があるんだ』

杏子「その性質を利用して、ソウルジェムに生じた穢れをこいつに吸い取らせるのさ。そうすれば、ソウルジェムは輝きを取り戻して魔力も元通りってわけ」

椿姫「つまり、グリーフシードは魔女の卵であると同時に、魔力回復アイテムとしての側面もあるわけね?」

キュゥべえ『そう。グリーフシードが魔法少女にとって貴重なものなのもそのためなんだ。グリーフシードを使う以外に魔力を回復させる方法は基本的に存在しないからね』

杏子「魔法を使い続けたければ、魔女を倒してグリーフシードを手に入れるしかない。あたしら魔法少女にとっちゃ死活問題さ」

椿姫「RPGみたいに、寝れば回復するってわけでもないのね……」


「――ねぇ、ユウリ。佐倉さんやキュゥべえもああ言っているし、やっぱり、わたしだけこれを使うわけにもいかないよ」

ユウリ「だけど、真弓はアタシや杏子と違ってまだ実戦慣れしていないんだから、当面の間は魔法を多用する戦い方を続けざるを得ないでしょ? それはあんたの方が必要なはずだ」

杏子「やれやれ、どっちも譲らないねぇ……。アタシだったら貰えるんなら遠慮なく貰っちゃうけど」

「佐倉さんまでそんなこと言う……」

杏子「さっきも言ったろ? 死活問題なんだから、貰えるもんは素直に貰っとくのが一番さ」

「そんな……」

椿姫「――ねぇ。聞いていて思ったんだけど、2人のソウルジェムに同時にグリーフシードを使ってみるって方法は無理なの?」

「えっ?」

ユウリ「ん――?」

 意外にも、魔法少女ではない椿姫が思わぬ助け舟を出してくれた。

椿姫「グリーフシードの使い方はわからないけど、1個につきソウルジェム1つにしか使えないってことはないんじゃないの? 1つの電池で1個しか豆電球を灯火できないわけじゃないのと同じで……」

キュゥべえ『ふむ……。なかなか面白い発想だね。試してみる価値はあるかもしれないよ?』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 00:26:24.84 ID:GzK/5Gt10<> 「――わかった、じゃあやってみよう」

ユウリ「本気? 下手をしたら、穢れを吸い取りすぎたグリーフシードがそのまま孵化する可能性だってあるのに……?」

ゆま「――っ!?」

「そんなの、やってみなければわからないじゃない。それに、今ここには佐倉さんもいるんだから、仮に魔女が孵化しても、わたしたち3人ならきっと何とかなるよ」

杏子「おいおい。あたしまで巻き込むなよ」

「どっちみち、ここで孵化しちゃったら否応なく巻き込まれちゃうよ? ――あ、もし孵化しちゃっても、椿姫とゆまちゃんはわたしが責任をもって守るから安心してね?」

椿姫「わ、私は別にいいけど……」

ゆま「…………」

「ゴメンね、ゆまちゃん……。文字通り命懸けになるかもしれないワガママだけど、許してくれる?」

ゆま「…………」

 しばらくの間、うつむいたまま黙りこくってしまうゆまちゃん。
 しかし数秒後、顔をゆっくりと上げると――

ゆま「――うん、わかった!」

 そう言って頷き、わたしのワガママを許してくれた。

「ありがとう……。――それじゃあ、ユウリ。早速始めよう」

ユウリ「本当にやるの? ――まぁ、ここまでされちゃ断れないけど……」

 そう言いながら、自身のソウルジェムを取り出すユウリ。
 ――やはり、彼女のソウルジェムは、穢れによって見るからに黒く染まっていた。

キュゥべえ『1つのグリーフシードで2人分のソウルジェムを同時に浄化する――実に興味深い光景だね』

杏子「正直、見ているこっちはハラハラもんだけどね」

椿姫「――発案者がこう言うのも何だけど、本当に問題ないのかしら」

「大丈夫だって、椿姫の考えたことだもの」

 そう言って笑いながら、わたしは左手に自身のソウルジェム、右手にグリーフシードを取った。


 ――だが、わたしはここで、あることに気づいてしまった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 00:43:33.82 ID:GzK/5Gt10<> 「あ――。そういえば、わたしグリーフシードの使い方ってわかんないんだけど……」

ユウリ「え――?」

椿姫「はい?」

杏子「だぁ〜……。お前なぁ、今更になってそんなこと言うなよ……」

「い、いや、だって、グリーフシードを手に入れるのも、使うのも本当に初めてだから――」


 ――そう。わたしは、グリーフシードの使い方がわからなかったのだ。


 わたしが、どうしようかとオロオロしていると――

ユウリ「――グリーフシードにソウルジェムをちょんとひっつければいいんだよ」

 ユウリが苦笑いを浮かべながら、そう教えてくれた。

「あ、あぁ、それだけなの……。――よ、よし、それじゃあ、気をとり直して――!」

 わたしは、グリーフシードを持つ右手を自身とユウリの間の位置のところまで伸ばす――

「魔女退治の時と同じになっちゃうけど、『1、2の3』でお互いのソウルジェムを同時にグリーフシードにひっつけよう」

ユウリ「わかった」

 ユウリが頷く。

 今度こそ準備は整った。


「――それじゃあ、いくよ? 1!」

ユウリ「2の――」


 ――3!


 ――わたしのソウルジェムを持った左手と、自身のソウルジェムを持ったユウリの右手がほぼ同時に、わたしの右手が持つグリーフシードへと伸びていく。


 ――やがて、お互いのソウルジェムは、ほぼ同時にグリーフシードに接触し、コツンという音を鳴らした。


「わっ!?」

ユウリ「どうだ――?」


 ――グリーフシードに接触した瞬間、わたしとユウリのソウルジェムから眩い光が放たれる。


ゆま「スゴい! 光ってる!」

椿姫「――綺麗……」

キュゥべえ『どうやら、魔力の回復は問題なく始まったようだね』

杏子「後はどうなるかだが――」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 01:04:41.79 ID:GzK/5Gt10<>
 ――ソウルジェムから光が放たれ始めてからしばらくすると、ソウルジェムの中に溜まっていた黒いモヤ状の穢れが、光と共に徐々に外へと放り出されていった。
 そして、その放出された汚れは、ソウルジェムに接触しているグリーフシードに吸い込まれていく――

「これが――」

ユウリ「そう。これが魔力の回復――」

 ――穢れが放出されていく毎に、わたしとユウリのソウルジェムから放たれる光が強くなっていく。
 穢れが取り除かれ、ソウルジェムに輝きが取り戻されてきた――魔力が回復してきたという証だ。


 ――そのような光景が数秒ほど続いたところで光は収まった。


「――終わった?」

ユウリ「――みたいだね」


 光が収まったのを確認すると、わたしたちはソウルジェムをゆっくりとグリーフシードから離した。


 ◆選択肢:真弓とユウリ、どちらの穢れのほうが多く取り除かれたか(グリーフシード穢れ率0/100% → 95/100%)

   1:真弓(回復前穢れ率55/100%)
   2:ユウリ(穢れ率回復前70/100%)

     ※穢れが多く取り除かれた方は、ソウルジェムの穢れ率-50%。少ない方はソウルジェムの穢れ率-40%

       安価>>742-746 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 01:06:46.17 ID:MCGnde+ro<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/01/28(土) 01:11:07.73 ID:yffpFubAO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/01/28(土) 01:18:06.02 ID:uq9o+T+ro<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 01:24:52.71 ID:lczqXPcSo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 01:25:04.15 ID:w0VS6WME0<> 2
これってもしかして重要なフラグになったりするのかな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 02:12:48.95 ID:GzK/5Gt10<> キュゥべえ『――どうやら、魔力の回復自体は問題なく行えたみたいだね』

ユウリ「うん。さすがに穢れを全て取り除くことはできなかったみたいだけどね」

杏子「グリーフシードの方も問題ないか?」

「――問題は無いけど、見るからにさっきよりもドス黒くなってる……」

 グリーフシードは大量の穢れを吸い取ったからか、魔力を回復する前よりも、あきらかに真っ黒になっていた。
 どことなく、周囲から黒いオーラのようなものが溢れ出ているようにも見える。

キュゥべえ『――あぁ、さすがにそれ以上は危険だね。このまま放っておいても周囲の穢れを吸い取って孵化する可能性がある』

ゆま「えっ――!?」

杏子「あぁ、大丈夫だ。キュゥべえがいるからな」

椿姫「? どういうこと?」

キュゥべえ『まぁ、見ていてよ。――真弓、そのグリーフシードを僕に』

「うん」

 わたしは、キュゥべえの頭の上にそっとグリーフシードを乗せる。
 本当は、そのままキュゥべえに向かって放り投げてもよかったのだが、手荒く扱ったショックで孵化してしまう可能性も考慮して、それはしなかった。

 ――キュゥべえが、頭上に乗せたグリーフシードを自身の背中の方へと放る。
 そして、背中の赤い模様を展開し『穴』とすると、その中にグリーフシードを落とした。

 ――すぐさま『穴』は閉じ、閉じると同時に再び姿を現した赤い模様がパアッと発光する。

キュゥべえ『きゅっぷい……!』

椿姫「は――?」

ゆま「…………」

キュゥべえ『――これでもう大丈夫だね』

椿姫「今の――食べちゃったの?」

「うん……。わたしも今朝初めて見たけど、結構驚いた……」

ゆま「キュゥべえ、そんなの食べてお腹壊さないの〜?」

キュゥべえ『うん、大丈夫だよ。それに、グリーフシードの“処理”も僕の役目だからね』

杏子「――ともかく、これで今のところは一安心か?」

ユウリ「たぶん。――それにしても、グリーフシードってああいう使い方もあったんだね」

杏子「そうだな。普通はグリーフシード1個に対して1人のソウルジェムっていうのがあたしらの間では常識だったし……」

「ということは――さっきの方法を使えばグリーフシードもある程度節約できるってことかな?」

ユウリ「そうなるね。これは椿姫に感謝するべきなのかも……」

椿姫「そうよ〜? 私に感謝しなさいよ〜?」

杏子「調子のんな」

キュゥべえ『――グリーフシードを節約するのも結構だけど、僕としてはさっきの方法はあまり多用してほしくはないかな?』

「えっ? どうして?」

キュゥべえ『さっきの方法で穢れを吸い取らせたグリーフシードの状態を見ただろう? 魔力の回復を行う前は穢れを全く溜め込んでいなかったのに、終わってみたらあそこまで穢れを溜め込んでいたじゃないか』

「あ――」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 02:54:54.22 ID:GzK/5Gt10<> キュゥべえ『もしあれが、回復を行う前の時点で少しでも穢れを溜め込んでいたものだったら、今頃は孵化確定だったよ』

「ご、ごもっともです……」

キュゥべえ『そういうわけだから、さっきの方法を今後も行う場合は、僕も一緒にいる時だけにしてね? 僕がいれば、魔力の回復後にすぐグリーフシードを“処理”することができるから』

「うん。わかった」

ユウリ「でもまぁ、またひとつ長生きするための知恵が増えたからいいんじゃない?」

杏子「そうだな。――ところで、真弓」

「? 何、佐倉さん?」

杏子「アンタ、もしかして今後はこのユウリとも一緒に魔女と戦っていくつもりかい?」

「う〜ん……。ユウリがいいって言ってくれるなら、わたしはそうしたいけど――」

ユウリ「アタシは別に問題ないよ。ただ、アタシには自分の管轄もあるから、この辺りには毎日来ることはできないと思う」

「――だってさ」

杏子「やれやれ……。どいつもこいつも仲良しごっこが好きな連中だね、全く――」

「? もしかして、佐倉さんは反対なの?」

杏子「別に〜、あたしはあたしのやり方に口出してこなけりゃ誰と組んでやってもいいけど?」

ユウリ「本当に素直じゃないな、あんたは。キュゥべえも言っていたけど、あんたもアタシたちと本質的には同じ類の魔法少女なんだろう?」

杏子「う……」

「そうだね。佐倉さんもユウリも、そしてわたしも誰かのために願いを使って契約したわけだし……」

ユウリ「だったら、アタシたちが一緒に戦っても何の問題ないね。それに、アタシはあんたのやり方に口を出したりはしないし」

椿姫「な〜んだ。アナタたち、やっぱり類友だったんじゃない」

杏子「うっ、うっせえ! ――はぁ……。わかったよ、3人で戦えばいいんだろう? この3人で?」

「そうこなくっちゃ」

ユウリ「――そういえばアタシ、魔法少女の友人ができるのは初めてだな。改めてよろしくね?」

「うん。こちらこそ」

 ユウリが差し出してきた右手を、わたしも右手で握り、互いに握手を交わす。
 その横には、それを呆れた表情で眺める佐倉さん。

杏子「――ったく。本当に真弓と出会ってから調子狂いっぱなしだよ、ホント……」

 そう言いながら、佐倉さんはポケットからチョコレート菓子の箱を取り出す。

杏子「――食うかい?」

「もちろん」

ユウリ「うん。いただきます」

 差し出されたチョコレート菓子に、わたしとユウリは遠慮なく手を伸ばし、それをいただいた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 03:04:25.33 ID:GzK/5Gt10<> 椿姫「ちょっと〜? 私たちのこと忘れてもらっちゃ困るんだけど? 私たちだって仲間に入れてほしいわ」

ゆま「そうだよ。ゆまたちのこと忘れないで」

「あっ。ゴメンゴメン……」

 ――いけないいけない。
 完全に2人のことを忘れかけていた。

杏子「おいおい、アンタらは魔法少女じゃないだろ?」

椿姫「確かにそうだけど、魔法少女じゃなくてもサポートくらいはできるでしょ?」

「と、いうと――?」

椿姫「さすがに魔女退治に参加したり同行することは無理だけど――」

 魔法少女ではない自分たちでもできることをアピールしようとする椿姫。


 ――だが、そんな椿姫のことなどお構いなしで――


ゆま「大丈夫、ゆまも魔法少女になるから!」


椿姫「はいぃ!?」

「ちょっ――!?」

ユウリ「……へっ?」

杏子「はぁ!?」


 ――ゆまちゃんが、いきなりそんなことを言ってのけた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/28(土) 03:10:10.54 ID:GzK/5Gt10<> 一旦ここで休憩します
続きは今夜22:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


ユウリのソウルジェム穢れ率ですが、現時点では特に大きなフラグにはなりません
ただし、後々の展開に若干響きます
また、プレイアデス聖団のメンバーと接点を持ちたい場合は、ユウリの存在の有無が非常に深く関わってきます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/28(土) 07:28:11.53 ID:Zb3FVT5t0<> 乙です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 10:07:17.09 ID:sEJ96K5io<> 乙
マミさんが乙る前に銃やらティロフィナーレ回収したいところだが… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 11:37:44.22 ID:sEJ96K5io<> ああ、でもマミさんの銃複製しても1枚だけなら意味ないか
あれって単発らしいし。ティロフィナなら単発でも意味はあるかな
両腕に取り付ける大砲もあったがあれの弾数は不明か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 17:14:50.52 ID:MCGnde+ro<> ここは杏子ちゃんを赤面させるスレッドですか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 23:12:40.57 ID:aWb5bHZg0<> マミさんの本来の武器ってリボンじゃなかったけ?
今使ってる武器だとほむほむに触れると現代兵器が出てくるんだけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/01/28(土) 23:21:15.78 ID:XfrzmE80o<> ソースは知らんがリボンは俺も聞いた事がある

ほむほむの武器は時を止める盾なのか?
あの機械仕掛けの盾を武器とみるか能力とみるか…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 23:33:49.43 ID:sEJ96K5io<> リボンは本来の能力らしい
命を繋ぐ」という願いをかなえた結果、
結び合わせる、縛り合わせるといった能力に特化してる
そのリボンを武器として使う上で、戦術的に有効な方法として
銃に特化した。だからほむら縛ったのが本来の魔翌力 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/28(土) 23:45:37.03 ID:sEJ96K5io<> >>756
一応、解説では

ほむらの盾に見えている武器が砂時計で、

とは言ってるな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/29(日) 01:10:56.50 ID:n3nNfdu40<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/29(日) 02:47:51.35 ID:n3nNfdu40<> 椿姫「ちょ、ちょっと! ゆまちゃん、アナタいきなり何言っているの!?」

ゆま「だから、ゆまもおねえちゃんたちみたいに魔法少女になって魔女と戦う!」

椿姫「あのねぇ……。ゆまちゃん、さっきまでの話ちゃんと聞いていた? 魔法少女になっちゃったら、死ぬまで一生化け物退治なんてやらされるのよ?」

ユウリ「おまけに、魔女との戦いは文字通り『命懸け』なんだ。ゆまのような子が足を踏み入れていいようなものじゃない」

杏子「そうそう。ガキの遊びとはわけが違うんだ。バカなこと言ってるんじゃねぇよ」

ゆま「――でも、パパもママももういないんだもん……」

杏子「うっ……」

ゆま「魔法少女にでもならなきゃ、ゆま1人で生きていくことなんてできないよ……」

椿姫「――これは困ったわねぇ……」

「――そういえば、キュゥべえ」

キュゥべえ『なんだい?』

「願い事って死者の蘇生とかも可能なの? 例えば、ゆまちゃんのご両親とか……」

椿姫「な――!? 真弓まで何を言い出すの!?」

杏子「まさかアンタ、このガキを魔法少女にすることに賛成なのか!?」

「い、いや、あくまでも確認だよ!」

 ――そう。これはあくまでも確認。
 わたしだって、ゆまちゃんが魔法少女になることには当然反対だ。
 先ほどユウリも言っていたが、文字通り『命懸け』である魔法少女の世界は、ゆまちゃんのような子供が足を踏み入れていいようなものではない。
 ――わたしたちくらいの歳になれば、足を踏み入れてもいいというわけでもないが。

 わたしは、ゆまちゃんが魔法少女になりたがっているのは、彼女のお父さんとお母さんが魔女に殺されてしまったことが原因と考えている。
 おそらく、キュゥべえに『両親を生き返らせること』を願い、契約するつもりなのだろう。

 キュゥべえは、『どんな願い事でも叶える』と言っていたので、おそらく願い自体は叶えられる――とわたしは思う。


 ――だが、仮にその願いが叶うとしても、生き返ったゆまちゃんの両親は、本当に“人の形をしている”のか。そこが問題なのだ。


キュゥべえ『“死者の蘇生”か……。――うん。一応、願い事自体は叶えられるよ』

杏子「なんだと!?」

 キュゥべえの返答に、何故かゆまちゃんではなく佐倉さんが強く反応する。

キュゥべえ『ただし、蘇生させることはできたとしても、文字通り『生き返る』かどうかまでは僕にもわからない』

ユウリ「? どういう意味?」

キュゥべえ『たとえば、先ほど真弓が挙げたゆまの両親の場合だと、死んだご両親の“魂”だけはこの世界に呼び戻すことはできるだろう』

 でも、と付け加え、キュゥべえは話を続ける。

キュゥべえ『ゆまの両親は魔女の結界の中で死んだ。結界の中で死んだ人間や魔法少女は、結界の消滅と共に、使い魔や他のものたちと同様に消滅する』

 生きていなければ――動かなければ、肉体だって所詮“もの”に過ぎないからね、とキュゥべえは言ってのける。

 ――正直、よくそんなことをさらりと言えるものだ。違う意味で褒めてやりたい。

椿姫「――つまり、何が言いたいの?」

キュゥべえ『簡単に言ってしまえば、“魂”を内包する“器”が既にこの世界に存在しない以上、ゆまの両親を“人間として生き返らせる”ことはできないということさ』

 ――なるほど、『ド●ゴン●ール』で、ナ●ック星でフ●ーザに殺されたク●リンを地球で生き返らせるために、ボ●ンガに2回願い事を使って蘇らせたのと同じような理論か。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/29(日) 03:37:15.42 ID:n3nNfdu40<> 杏子「…………」

ユウリ「要するに、仮にゆまが両親の蘇生を願って契約をしても、『契約自体は成立するが、両親は生き返らない』ってことか……」

「幽霊としてなら、存在し続けるかもしれないけどね……」

 わたしはそう言いながら、苦笑いを浮かべようとしたが――

ゆま「…………」

 ――黙ってうつむいているゆまちゃんの姿を見て、それを止めた。

杏子「――まぁ、諦めな。これが現実なのさ」

 そんなゆまちゃんの頭に、佐倉さんがポンと手を置いた。

杏子「アンタが魔法少女になったっていいことなんかない。仮に魔法少女になって魔女と戦い続けてたって、死んだ人間が戻ってくるわけでもない――」

ゆま「…………」

杏子「――それに、アンタはまだ運がいいよ。全てを失っちまったけど、まだ人間として真っ当に生きる道を選択できるんだからね」

ゆま「えっ――?」

「佐倉さん……?」

 ――不意に、ゆまちゃんに対して佐倉さんが意味深な言葉を口にした。
 それと同時に、わたしの脳裏に、今朝の佐倉さんとのやり取りがよぎった。


『佐倉さんって家出娘なの?』


                ヽ`_ - 、   , , '
              _ , - ニ>. ヽ /'_ , -‐‐‐ 、
        ヽ、_   ヽ:::::>-.....、:::::/ ' , -<`- .ヽ
          \`--、」____::`>. ,...------`..、`
           _ >        ヽ-- 、:::::::::::::::::::::`...、
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     , イ.-‐/  `   ' ∨---┐     :ヽ::::/::::::  ヽ
  ,.-_二,   /.   ,/    .!:..  ∨    :::ヽ::::: ヾ 、.!
     ./  ,   イ  ,!   ∨:... :i     :::::∨  ∧.Y
    /./  i  / | .ハ    ∨::.. ::|  ∨  :::::::i |  i
    /,イ. ,イ ./ .| ./  ヽト、  ト、::..:|  .:::|  :::::::|. ト、 |
    i' .| :ハ .,' | /    ` ヽ:: .|丶::::| .::::| ,  :::::::|. |.ヽ |
    .ハ i从:厂`十-    ‐孑:ト‐‐十.::::レ‐、:::::/ | i |
     l :|∧`{''ぅ=x     xr,xテア' ::::/.'ク∨:/  | .| |
     .ト::|∧. 弋__}      {__ソ'::::;イ,/ / ' i:  |  Y
      | :|'. .i////     //////;イ∠ -':::   |:: | ./
      .Y  .>.,、    __     ' イ:|::|::::|::  トi: |
         ヽ リ≧- `_`   イ::::::::|::|::|::::|:: .| |:: |
         .`V:::/,-:|_」  __,ゝ--..、|::|::::|: .| |:: |
          ./,-'', .', イ , ヘ::ヽ:::::::::::_] ]:|: :| |: |
         .,イ.i / / 〉./ \, >-'  ̄   {:|:: | |: |
        //,|'/ / / ,   '        .|: .| |::|
       ./イ∧' {::>' '   __,..:::::-----、 .|: .| |.|
     , '  .レ' } / ' , - '         ヾ |: .| |'
    ./   / ∨ '       |  ./ ̄` 、|:: .乂


杏子『……似たようなもんかな。色々とワケあって、あたしには帰る場所がないのさ。戸籍上も表向きはもう死んだことになっていると思う』


「…………」

 わたしは、佐倉さんの『願い』こそ自身の能力で偶然知りはしたが、過去に何があったかまでは知らない。
 ――だが、今朝の佐倉さんとのやり取りで、現在の佐倉さんには家も家族もいないということだけはわかった。


 家族を魔女に殺され、孤独となったゆまちゃん――
 そんなゆまちゃんに対して、突然意味深な言葉を口にした佐倉さん――

 ――そういえば、先ほど『“死者の蘇生”は一応可能』と言ったキュゥべえに対して、最も反応を示していたのも佐倉さんだった。


 ――もしかしたら、佐倉さんはゆまちゃんを自身と重ねてみているのかもしれない。

 もしそうだとすれば、佐倉さんもゆまちゃんのように過去に魔女によって家族を殺されたのだろうか――? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/29(日) 03:50:24.92 ID:n3nNfdu40<> ……駄目だ、眠い!(オイ

すいません、とんでもなく短かったですが、今回はここまでで
続きは今夜22:00以降となります

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


>>754
まどマギ関連作品で、特に「お気に入りだ」と言うほど好きなキャラはいないんですが、このSSで書いていくうちに、気がついたらこんなキャラになっていたという……w

……まぁ、現時点での主要メンバーが、色々な意味で濃い面子ばかりなので、自然と杏子にいじられキャラの矛先が当たってしまったとも言えますがw
たぶん、まどかやさやかとかも登場するようになれば、自然といじられ属性は消えていくでしょうw <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/29(日) 06:25:23.09 ID:f6GDXxAno<> 乙
ゆまはこのまま孤児院送りなのだろうか?
それとも、おりマギ通り杏子と一緒になって犯罪で生計を立てるのかな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 16:11:12.98 ID:fCmVOduw0<> 遅れてしまいましたが、再開いたします <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 17:21:34.60 ID:fCmVOduw0<> 椿姫「――とりあえず、今日はこの辺りで解散しない?」

ユウリ「そうだね……。今日はもう遅いし、話の続きはまた明日以降にしよう」

 椿姫の意見を聞いたわたしたちは、部屋の壁にかけれれていた時計へと目を向ける。
 ――既に、現在の時間は夜10時を超えていた。
 家からさほど離れていない所に住んでいる椿姫は、現時点でも特に問題はなさそうだが、佐倉さんやユウリは、いくら魔法少女とはいえ、この時間まで外出しているというのは何かとマズい。

「――でも、ゆまちゃんはどうするの?」

杏子「そうだな……。まぁ、一番手っ取り早いのは警察に連絡することだけど――」

ゆま「…………」

 ――そして、最大の問題は、ゆまちゃんの処遇だ。

 佐倉さんの言う通り、こういう場合は警察に連絡して身元を預かってもらうのが一番手っ取り早い方法ではある。
 ――しかし、ゆまちゃんのご両親などについては、何と説明すればいい?
 さすがに、『化け物に襲われて、食われて死にました』なんて言ったところで、信じてもらえるわけがない。
 というか、そんなことを言ってしまったら、わたしたちまで職質ものだ。そうなった場合、ゆまちゃん以上に佐倉さんが特に危ない。色々な意味で。
 ――警察に魔法少女や魔女の存在を知っている人間がいれば話は別かもしれないが、それは間違いなく望み薄である。

 ――しかし、警察がアテにできないからと言って、このまま1人家に帰すわけにもいかないし、誰かのもとに預けるわけにもいかないだろう。
 特に後者の場合、わたし、椿姫、ユウリの3人は、家族にゆまちゃんのことを何と説明すればいい?
 この中の誰かが預かる場合、消去法的に預かることができるのは、佐倉さんのみということになるが――

杏子「言っとくが、あたしはガキの面倒なんか見てられないし、しているヒマなんかねぇからな?」

 ――わたしが佐倉さんの方に目を向けた瞬間、こちらが尋ねるよりも先に、そのような答えが返ってきた。


椿姫「――となると、やっぱり警察に連絡するしかないわね」

ユウリ「でも、ご両親のことは何て説明する?」

「う〜ん……。失踪届か捜索願を一緒に出して誤魔化すしかないんじゃない?」

杏子「というか、それしかないだろ?」

キュゥべえ『――だったら、他の魔法少女に頼んでみるのはどうだい?』

「は――?」

 ――わたしたちが、ゆまちゃんの処遇について話し合っていたところ、突然キュゥべえがそのような妙案を口にした。

ユウリ「他の魔法少女――?」

キュゥべえ『そうさ。警察や君たちが無理だというなら、いっそのこと、この街にいる別の魔法少女にゆまの身を預かってもらえばいい』

「でも、誰に?」

キュゥべえ『幸い、僕が知る限りでは1人アテがある子がいるよ。真弓同様、最近契約したばかりの子なんだけどね?』

椿姫「――その子、信用できるの?」

キュゥべえ『信用できるとも言えるし、できないとも言える』

杏子「ふざけんな! そんなどちらかハッキリしない奴なんかに預けられるか!」

キュゥべえ『だったら、杏子かこの中にいる誰か、もしくは警察に任せるしかないね。――まぁ、僕としてはゆまに魔法少女になってもらうのが、現状の問題解決には一番効率が――』

「悪いけど、それだけは反対だよ」

ゆま「…………」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 17:58:40.20 ID:fCmVOduw0<> ユウリ「――ゆま、あんたはどうしたい?」

ゆま「えっ――?」

ユウリ「いや……。考えてみれば、アタシたちさっきからあんた自身の意見や希望も聞かずに話を進めていたなと思ったから……」

「そう言えば、そうだね」

椿姫「そうね。いくら預かり先が決まったからとはいえ、最終的に決めるのはゆまちゃん自身だもの――」

ゆま「…………」

杏子「どうした? 遠慮無く言いな。アンタの希望を実現できるかどうかまでは、わからないけどさ」

ゆま「ゆまは……」

 先ほどから視線を下に向けていたゆまちゃんが、ゆっくりとそれを上に向ける。
 そして、上げた視線をある一点の方に向けると、ピタリと止めた。

 ゆまちゃんの向けた視線の先には――佐倉さんの姿があった。

ゆま「ゆま、このおねえちゃんと一緒にいたい……!」

杏子「はぁ? さっきも言っただろ、あたしはガキの面倒なんか見れないって?」

ゆま「でも……! でも……!」

キュゥべえ『杏子、こういう場合、諦めるしかないんじゃないかな? どうやら、ゆまは君に相当懐いてしまったようだし……』

杏子「ふざけんな! こっちはただでさえその日その日を生きるのに精一杯なんだぞ!?」

キュゥべえ『それなら、ゆまのことは警察か先ほど僕が言った別の魔法少女にお願いするしかないね。他に解決するための方法が浮かばないんだし……』

椿姫「――杏子、わたしも今回はキュゥべえと同意権よ。考えてみれば、現状ゆまちゃんの身を預かることができて、同時に最も信頼できるのはアナタくらいだわ」

ユウリ「うん。それに、もともとゆまを助けてここに連れてきたのは杏子なんだ。自業自得だと思って、頼まれてくれないか?」

杏子「なっ――!? お前ら……!?」

 佐倉さんが椿姫たちに対して、「この裏切り者!」とでも言いたげな驚愕の視線を向ける。

杏子「ちょ、ちょっと待て……! ――真弓、アンタはどう思うんだ!? アンタの意見を聞かせてくれ!」

 そして、慌てた様子でわたしの方に顔を向け、わたしに意見を求めてくる佐倉さん。

「――既に、多数決で佐倉さんに決まりなような雰囲気だけど?」

杏子「そ、それでも、一応アンタの意見も聞かせてくれ!」

「そんなにゆまちゃんの面倒を見るのが嫌なの?」

 わたしはそう言って、一度やれやれと首を振ると、再び口を開いた。

「わたしの意見だけど――」


 ◆選択肢

   1:「わたしも佐倉さんが預かるのが一番だと思う」
   2:「キュゥべえが言った魔法少女に預けてみてもいいんじゃないかなって思う」
   3:「やっぱり、ここは警察に任せたほうがいいと思う」

       安価>>767-771 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/01/30(月) 18:14:49.38 ID:Dr37pZhYo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 18:18:02.40 ID:f3ss51j7o<> 1かな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/01/30(月) 18:47:19.09 ID:+SRIuth6o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 19:53:21.43 ID:LJR8eUDbo<> 1かな。まっとうに学校行って勉強して社会に出てなど
将来的なことを考えればどう考えても3な気もするが放置は契約につながりそうだし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 20:08:23.51 ID:LvaznxHbo<> 1 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 20:48:31.48 ID:fCmVOduw0<> 「わたしも佐倉さんが預かるのが一番だと思う」

杏子「まさかの満場一致ッ!?」

「というか、それがベターでもあるし、ベストでもあるとわたしは思うよ?」

椿姫「右に同じ」

ユウリ「同感」

杏子「そ、そんなぁ……」

『――それにさ、佐倉さん』

杏子『――ん?』

 わたしはここで、佐倉さんに対してテレパシーを送る。
 理由は――わたしがこの選択をした真意を佐倉さんだけに伝えるためだ。

『考えてみたんだけど……なるべくゆまちゃんはわたしたちの目の届く所に置いておいたほうがいいと思う』

杏子『なんで?』

『おそらくだけど、キュゥべえが突然他の魔法少女のもとにゆまちゃんを預けるように言ってきたのは、わたしたちからゆまちゃんを遠ざけるためだと思うんだ』

杏子『――!?』

『わたしたちはゆまちゃんが魔法少女になることに反対している。だけど、キュゥべえが言った子はゆまちゃんが魔法少女になることに反対的な考えじゃない子だとしたら――?』

杏子『なるほど……。あたしらの目が届かなくなった直後、たぶらかすなりして無理矢理契約させる可能性が高いってことか……』

『うん……』

 わたしと佐倉さんは、こちらの方を黙って見つめ続けるゆまちゃん――そして、そんなゆまちゃんを未だにその赤い瞳で捉えて放さないキュゥべえを見やる。

杏子「――わかったよ。このガキが1人で生きる術を完璧に身につけるまでは、あたしが預かっといてやる」

「うん。ありがとう」

ゆま「……!」

 ――わたしと佐倉さんのそんなやり取りを見て、ゆまちゃんの顔がぱあっと明るくなる。
 そして、次の瞬間にはゆまちゃんは佐倉さんに勢い良く飛びついていた。

ゆま「ほんと!? ありがとう、おねえちゃん!」

杏子「ひっつくな! それと、あたしは『おねえちゃん』じゃない。佐倉杏子だ」

ゆま「……キョーコ?」

杏子「そうだ。これからはあたしのことはそう呼べ。いいな、ガキンチョ?」

ゆま「うん、わかった。――あ。だったら、キョーコもゆまのことは『ゆま』って呼んで?」

杏子「あ〜、ハイハイ。気が向いたらな」

ゆま「う〜……。酷い……」


「――とりあえず、ひとまずは安心かな?」

椿姫「えぇ、そうね」

ユウリ「それで、明日以降はどうする? また夕方くらいになったらこの家に集合すればいいの?」

「そうだね……。当分はそれでいいと思う。佐倉さんが勝手に家にあがりこむのはどうかと思うけど……」

 わたしは苦笑いを浮かべながら、未だにひっついたり、離れたりといったやり取りを繰り返す佐倉さんとゆまちゃんに目を向ける。

「――まぁ、大丈夫だね。うん」

 自分に言い聞かせる形で、わたしはそのように呟くと、ゆっくりと頷いた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 21:24:14.72 ID:fCmVOduw0<> 椿姫「それじゃあ、それぞれのケータイの電話番号とメアドだけでも登録しておきましょ?」

ユウリ「そうだね。万が一の時とかに連絡できる手段はあるに越したことはない。テレパシーで交信できる範囲も限られているし……」

 わたしと椿姫とユウリの3人は、制服のポケットからケータイを取り出すと、それぞれの電話番号とメールアドレスを交換した。
 ――といっても、わたしと椿姫は既にお互いの番号とアドレスは登録しているため、わたしと椿姫が登録するのは実質ユウリのものみということになるが。

「あと、これが家の電話の番号ね。一応教えとく」

ユウリ「うん。ありがと」

 ついでに、ユウリにはわたしの家の電話番号も教えておいた。
 こっちにかけたら高確率で母が出るから気をつけてね、と留意して。

「――よし、あとは……。佐倉さ〜ん」

杏子「ん〜? 今度は何だ?」

「いや、夕方以前に佐倉さんと連絡取りたい場合はどうすればいいかな?」

杏子「夕方以前〜? そうだな……。まぁ、キュゥべえを寄こすなり探すなりしてよ」

「そんな横着な……」

杏子「仕方ないだろ。それ意外特に方法思いつかないんだから」

 ――まぁ、ごもっともではある。
 わたしは心の中で、改めてケータイとパソコンという文明の利器の存在に感謝した。


杏子「――そんじゃ、一通り用も済んだし、あたしらは先においとまさせてもらうよ?」

 佐倉さんが、そう言いながら部屋の窓を開ける。
 ――そして、それと同時に、魔法少女としての姿に変身した。

「この後もまた魔女探し?」

杏子「ちげーよ。そのガキもいるんだ、一緒にチンタラ歩いて行くより、あたしが担いでいったほうが早いだろ?」

「あぁ、なるほど――」

ゆま「う〜……。ゆまって呼んでよ」

杏子「あんたなんかまだガキで十分さ。ほら、行くよ?」

 そう言いながら、佐倉さんがゆまちゃんを右腕でひょいと抱き上げる。

ゆま「うわっ!? キョーコ、すっごい!」

杏子「な〜に言ってんだ。さっきこの家に来る時だってこうして運んでやっただろ?」

ゆま「でも、来る時は両手だった!」

 そう言いながら、興奮してキャッキャと喜ぶゆまちゃん。
 佐倉さんと一緒にいられることが嬉しいのか、先ほどまでの暗い雰囲気はそこには存在しなかった。

杏子「そんじゃ、また明日な」

「うん。また明日」

 お互いに別れの挨拶を済ませると、佐倉さんはゆまちゃんを担ぎながら、窓の外へと飛び出していった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 21:37:09.37 ID:fCmVOduw0<> ユウリ「――それじゃあ、アタシも今日はこれで失礼させてもらうよ」

椿姫「私も。明日も学校あるあkら、さすがに今日は帰るわ」

「うん。椿姫もユウリもゴメンね、こんな遅くにわざわざ家まで来てもらっちゃって……」

ユウリ「あぁ、大丈夫。万が一の時はアタシも変身して屋根の上や電柱の上を飛び移るなりして帰ればいいし……」

椿姫「そういう意味では便利よね、魔法少女って……」

ユウリ「でも、生半可な覚悟でオススメはしないよ?」

椿姫「わかってるわかってる」

「――そういえば……」

 わたしは、あることに気がつくと、一度部屋中を見回してみる。

 ――やっぱり、キュゥべえはいなくなっていた。

「あぁ〜……。キュゥべえ、やっぱりまたいなくなってる……」

椿姫「あら、本当。いつの間に……」

ユウリ「そういうヤツなんだよ。気がついたらいなくなっていて、気がついたらそこにいるんだ」

椿姫「それって、結構気味悪いわね……」

「うん。それは激しく同意する……」

 わたしたち3人は、そんなやり取りをしながら部屋を後にした。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 21:38:19.48 ID:fCmVOduw0<> 【誤字修正】
>>774
× 椿姫「私も。明日も学校あるあkら、さすがに今日は帰るわ」

○ 椿姫「私も。明日も学校あるから、さすがに今日は帰るわ」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 22:09:47.13 ID:fCmVOduw0<> 〜自宅外〜


ユウリ「じゃあ、また明日ね」

「うん。お休み」

椿姫「何かあったら遠慮なく連絡してね? ――まぁ、私じゃ特に力になれるかどうかはわからないけど……」

ユウリ「ハハ……。そうだね。――それじゃあ」

 ユウリはそう言うと、自宅のあるあすなろ市へと帰っていった。
 本当なら、途中まで送っていきたいところだったが、本人から「心配無用」と言われたので、それは不可能だった。


 ――最後に、わたしは椿姫と向き直る。


「――何か、今日1日本当に色々とあったね?」

椿姫「そうね……。ただ、知って良かったことと、知らないほうが幸せだったこと、両方をいっぺんに知っちゃった感じだわ――」

「そうかもね……」

椿姫「――ねぇ、真弓」

「何?」

椿姫「さっきは色々あって聞けなかったけど……。真弓は自分が魔法少女になったことをどう思っているの?」

「う〜ん……」

 ――数秒ほど考える。
 そして、考えた末に、口を開く。

「正直、まだわかんない。キュゥべえが嘘はつかないといっても、わたしがどうして『魔法少女を救う』ことを願って魔法少女になったのか、詳しくはわかっていないし――」

椿姫「そう……」

「――あ。前言撤回。やっぱり、わたし魔法少女になってぜんぜん後悔していないよ」

 少なくとも今のところはね、と付け足して、わたしは笑みを浮かべる。

椿姫「どうして?」

「だって、魔法少女になったおかげで、わたしは佐倉さんやユウリやゆまちゃんに出会えたんだよ? そう考えたら、後悔なんてぜんぜんないよ」

椿姫「…………」

 わたしのそんな答えを聞いた椿姫は、しばらくの間、ポカーンとした表情を浮かべていたが――

椿姫「……プッ」

 やがて、軽く吹き出すと、クスクスと笑い始めた。

椿姫「なるほどね。真弓らしいといえば、真弓らしい考えだわ」

「酷いなぁ……。そう思えたのは、椿姫が『過ぎたことは気にするな』って言ってくれたからでもあるんだよ?」

椿姫「あら? そうなの?」

「そうだよ。そんなわけだから、わたしは『魔法少女としてのこれから』を考えながら日々生きていくつもりだよ?」

椿姫「魔法少女としての、これからねぇ……」

 椿姫はそう呟きながら、一度空を見上げる。

 ――残念ながら、今日の夜空には星が輝いてはいなかった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 23:04:29.07 ID:LJR8eUDbo<> 真実を知っても同じことが言えるか気になるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/30(月) 23:05:59.66 ID:60QjPMVoo<> 真に考える日がくるのだろう
これからどころか、存在まで <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/30(月) 23:14:59.75 ID:fCmVOduw0<> 椿姫「――それなら私は、『魔法少女と一緒に過ごすこれから』を考えてながら生きていきますか」

「なにそれ?」

椿姫「そのままの意味よ。――キュゥべえから魔法少女の話を聞いた時、何でも願い事がひとつ叶えられるっていうし、おまけに真弓もやっていたから、私も魔法少女やろうかなと思った」

 だけど、と付け加えて、話を続ける椿姫。

椿姫「死ぬまで戦い続けなきゃいけないと聞いた瞬間、そんな気も失せちゃった。考えてみれば、命懸けの戦いを強いられてまで叶えたい願いなんて、今のわたしにはなかったし……」

「…………」

椿姫「既に真弓は命懸けの戦いを強いられちゃっているのにね……。――こんな親友で、幻滅した?」

「いや……。――むしろ、あの話を聞いたら普通はそう考えるのが正しいと思う。椿姫は間違っちゃいないよ」

椿姫「――ありがとう」

「ううん。気にしないで」

椿姫「――話を戻すわね? だから、わたしはこれからは『魔法少女を友達に持つ人間』であることを自覚しながら生きていくことにするわ」

 具体的には――、と言って、一度間を置いた後に、椿姫は再び語り始める。

椿姫「『魔法少女たちの帰る場所』になれるようにするとか――ね?」

「帰る場所?」

椿姫「そう。常にそばに立って『頑張れ』って応援してあげるのも悪いことじゃないと思うけど、言われる側からしてみれば、ただ言われるだけじゃ満足も納得もできないでしょ?」

「そりゃあ、そうだろうね。人にもよるだろうけど……」

椿姫「だからね――私は応援するだけじゃなくて、命懸けの戦いから無事に帰ってきた魔法少女たちに、『お帰りなさい』とも言えるような存在になりたいのよ」

「あぁ……」

椿姫「たとえ直接戦うことはできなくても――魔法少女たちにとって少しでも『大事な存在』になれれば、一緒に戦っているような気になれるはずだもの」

 私自身の勝手な気休めかもしれないけどね、と言いながら椿姫は苦笑いを浮かべる。

 だから、わたしは――

「――いや、そんなことないよ。椿姫がわたしの『帰る場所』になってくれるなら、わたしはそれだけでもずっと戦っていける気がする」

 正直にこう答えた。

「ねぇ、椿姫――」

椿姫「ん〜?」


 ◆選択肢

   1:「ありがとう。魔法少女にならないでくれて――」
   2:「キミがわたしの親友でよかった」
   3:「椿姫も無理だけはしないでね?」

       安価>>780-784 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/01/30(月) 23:21:41.19 ID:+SRIuth6o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 23:27:20.62 ID:J/I/aOUeo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 23:28:56.57 ID:LJR8eUDbo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/01/31(火) 00:16:18.01 ID:29KXOmRAo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/01/31(火) 00:20:33.73 ID:ycN0dGmM0<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 00:29:58.37 ID:RJk1nUym0<> 「キミがわたしの親友でよかった」

椿姫「――――」

 わたしのその一言を聞いた途端、椿姫の動きがピタリと止まる。

椿姫「――もう……。何言っているのよ!」

 ――しかし、数秒後には恥ずかしそうな笑みを浮かべながら、わたしの肩を軽く叩いた。


椿姫「――無茶だけはしないでよ? 私の親友である柚葉真弓は、アナタだけなんだから……」

「うん。わかってる」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 01:01:59.43 ID:RJk1nUym0<> ◆ side change ◆

〜真弓たちの街・某所〜


キュゥべえ『やぁ、失礼するよ』

 とある家の一室に、1匹の白い影――キュゥべえが姿を現す。

 ――そこには、1人の少女がベッドの中で丸くなっていた。

???「…………」

キュゥべえ『その様子だと、今日の魔法少女としての勤めは終わったみたいだね。――グリーフシードは?』

???「…………」

 少女は、無言で布団の中からゆっくりと自身の右腕を伸ばし手を出すと、机の上を指差す。


 ――机の上には、2つのグリーフシードとソウルジェムが転がっていた。


キュゥべえ『今日も魔女を1体倒したのか……。魔法少女になって2日で2体も魔女を倒すなんて凄いペースじゃないか』

???「…………」

 キュゥべえの賛辞に、少女は布団の中で寝返りをうって答えた。
 それは、『最低限の仕事はこなす』とも『当然だ』とでも言っているかのようだった。

キュゥべえ『――でも、ソウルジェムはもっと大事に扱ったほうがいいよ? これは魔法少女にとって、本当に大切なものなんだからね?』

 そう言いながらキュゥべえは、机の上に転がっていたグリーフシードのうちの1つを尻尾の先で拾い上げ、すぐさま背中の『穴』に放り込んで『処理』をした。

キュゥべえ『きゅっぷい……。――グリーフシードのうち1個は、結構黒くなっていたから“処理”しておいたからね?』

???「…………」

 ――少女は再び、布団の中で寝返りをうって、それに答えた。


キュゥべえ『やれやれ……。――あぁ、そうだ。実は、君に伝えておくべきことがあったんだ』

 少女のそんな様子を目にしながらも、自身がここに来た理由をキュゥべえは語り始める。

???「…………」

キュゥべえ『この辺りを管轄している2人の魔法少女のことなんだけど――』

???「…………」


キュゥべえ『その2人の名前は、1人は佐倉杏子――もう1人は柚葉真弓というんだ』

???「――!?」


 ――キュゥべえから語られた魔法少女の名前を聞いた途端、少女は勢い良くベッドから起き上がった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 01:21:24.80 ID:RJk1nUym0<> 〜真弓たちの街・某所・とあるマンションの屋上〜


キュゥべえ『――これで、彼女は近いうちに杏子か真弓のいずれかに接触するだろう』

 とあるマンションの屋上。
 そこから夜の街を見下ろしながら、キュゥべえは自身に言い聞かせるようにそう語り始める。

キュゥべえ『それにしても、真弓の能力には驚かされたね。まさか魔法少女の契約時の記憶を読み取るなんて――』

キュゥべえ『――だけど、彼女のあの能力を上手く使えば、暁美ほむらの正体や目的を知ることができるはずだ』

キュゥべえ『そのためにも、何とかして真弓には早く見滝原へ行ってもらわなくちゃね――』

 そう言うと、キュゥべえはすくっと立ち上がり、その場を後にする。


キュゥべえ『――鹿目まどかと契約を結ぶためにもね』

 ――夜の闇の中へとその姿を消す直前、キュゥべえは自身の赤い瞳を光らせながら、そう呟いた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 01:33:34.71 ID:RJk1nUym0<> ◆ side change ◆

〜自宅外〜


「行ってきます」

 ――魔法少女となって4日目の朝を迎えた。
 今日は水曜日。平日であるため、わたしは一昨日、昨日と同様に学校へ通わねばならない。

 今日は昨日のように、佐倉さんやキュゥべえは家にはやって来なかった。
 ――まぁ、昨日のように、毎日毎日朝から家に来られてもこっちが困るが――


「――さて、行きますか」

 ケータイで現在の時刻を確認すると、わたしはいつも通りの足取りで学校へ向かおうと歩き出す。


???「グッドモーニング! 真弓!」

「――はい?」


 ――だが、家の敷地を出て早々、今日は意外な人物がわたしを待っていた。


「――みずき?」

みずき「イエース!」

 ――そう。みずきがいた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 02:00:25.38 ID:RJk1nUym0<> 〜通学路〜


「――それで、一体どうしたのみずき? キミの家って、確かわたしの家とは中学校挟んで向かい側だったはずだよね?」

 通学路に出ると、わたしは隣を歩くみずきに、そう尋ねてみた。


 1年生の頃は、同じクラスだったこともあり、みずきと一緒に登校することは多々あったが、それは通学路の途中――しかも中学校の校門前辺りで合流してからというのが、常だった。
 ――稀に、家の前辺りまでみずきが来ていたことはあったが。
 しかし、2年生になってからは、徐々に一緒に登校することも減り、現在ではほぼなくなった。

 ――それなのに、何故今日は突然、朝っぱらからわたしの家の前に堂々と立っていたのだろうか?


みずき「ア〜……。チョっと、コンタクトを受けてネ?」

「コンタクトぉ? ――あぁ、『連絡』のことね?」

みずき「イエス! そンなワケだから、真弓――」


 ――突然、隣を歩いていたみずきの足がピタリと止まった。


「? みずき……?」

 前に出てしまったわたしは、とっさにみずきの方へと振り返る。


 ――みずきの表情は、うつむいているためわからなかった。


みずき「真弓――」


 ――みずきが、制服のポケットからゆっくりと左手を取り出す。


「――!?」

みずき「コレが何だカ、わかル?」


 ――みずきの左手。その中指――

 そこには――指輪がはめられていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/31(火) 02:04:22.48 ID:42PUUiMio<> まじかーわお <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 02:07:32.63 ID:RJk1nUym0<>       __
    r┘└ゥ .∩∩_  ∩  _/7__  _i⌒i_    ◯         ____           .i⌒i
    | :|⊆ヽ8| :ロ に(ノ| |() 7:/_n (__  _)  ◯ ___i⌒i_  .Y´       `Y  ◯  __,|  |__
    (_/ノ几l ム1└ヘ ,ン) ゝ¨,_〈 (__  __)⌒ヽ___(__    `ヽ `'ー――‐ァ  / i⌒i ◯ (_   _ `Y
               ̄ ̄ `¨´ .`¨´γ´ ̄    Y\   ) /  ハ  :}i⌒i   ./   ̄   ̄`ヽ |  | .|  |
    P U E L L A M A G I  ,'  .x―┐ .r‐'/ / /  / ノ  l乂ノi⌒'゙´  .x;;―┐ .r―‐'゙ .|  | .|  |
    Μ △ [) 〇 Κ △ .{  (    | .| .{  /   (__,ノ (__,ノ ∧ \   く ( ̄ ̄   ̄ ̄) |  | .|  |
    Μ △ G...Ι Κ △ ,乂 `¨¨´ ./ 乂. `¨¨´ )     <  > \  \. ̄|  | ̄~   .|  lγ  .|
                        ` ー‐''゙´     ` ー‐''゙´     レヘ」.   `'ー'′ .`ー'      .`ー' .`ー'′

                          螺旋迷宮 labirinto spirale
                          −ある魔法少女の物語−

                     第4話「『類は友を呼ぶ』って言うじゃんか?」   Fine <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/01/31(火) 02:08:40.81 ID:42PUUiMio<> 乙ー
意外や意外。いや、なりそうではあったけどこういう展開とは思わなんだ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 02:20:27.24 ID:RJk1nUym0<> 【基本スペック】
 名前:柚葉 真弓(ゆずは まゆみ)
 年齢:14歳(中学2年生)
 髪の色:茶髪
 髪の長さ:長髪
 身長:高い
 一人称:わたし
 得意教科:現代文
 苦手教科:理数系


【魔法少女スペック】
 服装:ゴシックロリータ風
 武器:カード
 能力:サイコメトリー(魔法少女限定)、武器複製
 願い:“1人でも多くの魔法少女を救える力がほしい”(キュゥべえ談)
 変身時のソウルジェムの位置:後頭部に結ばれているリボンの結び目
 ソウルジェムの穢れ率:15/100%

   ※ソウルジェムの穢れ率が高いほど魔法が使えなくなるなど今後の行動に影響があるかもしれません


【現在保有しているカード】
 ・白紙 無数
 ・佐倉杏子の槍 1枚
 ・飛鳥ユウリの注射器 1枚


【現在まで判明している能力の詳細】
 ・自身が触れた魔法少女の“キュゥべえとの契約時の記憶”(“『願い』の記憶”)を読み取る
 ・読み取った“『願い』の記憶”から、『願い』によって生まれた力の一片である『武器』を読み取り、再現(複製)する
 ・“『願い』の記憶”の読み取りが発動するのは、魔法少女1人につき1回、最初に触れた時のみ
 ・再現(複製)できるのは武器のみで、能力までは再現(複製)できない

   ※あくまでも現時点における真弓本人による大体の予測(推定)です。実際の能力は異なる可能性もあります
   ※発動条件など以降も詳細が明かされていく可能性があります <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 02:30:30.91 ID:RJk1nUym0<> 【現在所有しているアイテム】
 なし

   ※グリーフシードの穢れ率は高いほど魔女が孵化しやすくなります。100%で孵化
   ※グリーフシードの穢れ率が90%以上の場合は、ソウルジェムの穢れ率を落とすことができません
   ※グリーフシードの穢れ率は空き容量分、ソウルジェムの穢れを取り除けます
      例)グリーフシード穢れ率(30/100%)とソウルジェム(穢れ率50/100%)の場合、ソウルジェムの穢れ率を0%まで下げることができますが、グリーフシードの穢れ率は80%になります
   ※グリーフシードの穢れ率空き容量よりも、ソウルジェムの穢れ率のほうが高い場合、グリーフシードが穢れを取り除けるのは穢れ率99%までです
      例)グリーフシード(穢れ率60/100%)とソウルジェム(穢れ率50/100%)の場合、ソウルジェムの穢れ率は11%までしか下げることができません


【魔法少女関係者との交友関係】
 ・キュゥべえ   関係【良好(仲間)】
 ・佐倉杏子   関係【良好(仲間)】 魔法少女。同行・共闘可能。ゆまと行動中
 ・社椿姫   関係【良好(親友)】 魔法少女候補
 ・飛鳥ユウリ   関係【良好(仲間)】 魔法少女。同行・共闘可能
 ・千歳ゆま   関係【良好】 魔法少女候補。杏子と行動中
 ・久遠みずき   関係【良好(友達)】 魔法少女(推定)。共に行動中。ソウルジェム穢れ率詳細不明


【その他の人物との交友関係】
 ・中学校の生徒会長   関係【良好(友達)】 性別未定
 ・立花宗一郎   関係【普通】


   ※交友関係には大きく分類すると【良好】【普通】【険悪】の3種類があり、良好なほど同行や共闘がしやすくなります
   ※また【良好(親友)】のように、上記3分類以外にも状況によっては補正が入ることがあります
   ※たとえば、【良好(親友)】【良好(友達)】のキャラが魔法少女の場合、こちらからの同行・共闘要請はほぼ100%同行・共闘可能(何らかの要因で同行・共闘できない場合もあります)
   ※逆に【険悪(敵対)】【険悪(宿敵)】のキャラが魔法少女の場合、こちらから同行・共闘要請をすることができません。また、遭遇時は高確率で戦闘になります(何らかの要因で同行・共闘する場合もあります)
   ※現時点での補正は、上から【○○(親友)】【○○(友達)】【○○(仲間)】【○○(敵対)】【○○(宿敵)】
   ※補正は今後も増える可能性があります


【その他情報】
・あなたの住んでいる街にもう1人別の魔法少女が誕生しました
・みずきが上記の魔法少女である可能性が高いです <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 02:38:47.88 ID:RJk1nUym0<> 一旦ここで休憩します
続きは12:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


余談ですが、ふと思ったこと
真弓を始めとしたオリジナルキャラは、外見や声のイメージは特に考えずにキャラ付けしているんですが、
皆さんは当SSを呼んでいる時に、オリジナルキャラの外見のイメージや脳内CVってやはり想像するものなんでしょうか?
もし、想像している人がいれば、今後の展開やキャラ付けの参考がてらに教えてほしいかなーなんて……w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/31(火) 06:39:50.23 ID:HpbnqqIbo<> 乙 新しい魔法少女はオリキャラだったのか。深いところが分からんし杏子に任せて正解かな
10歳未満だと絶対甘言に引っかかりそうだし、原作者的にも高校生ならあんな詐欺に引っかからないって話しだし
QBにまどかの存在がすでにばれてる以上、おりこの戦略も多少変わってきそうだがどうなることやら
CVに関しては特に気にした事はないかなぁ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 14:48:44.71 ID:RJk1nUym0<> 再開します <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 15:23:14.12 ID:RJk1nUym0<> 〜通学路〜


 わたしは、一瞬目の前の光景が理解できなかった。

 ――いや、『理解したくなかった』と言ったほうが正しいかもしれない。


 ――みずきの左手の中指にはめられた指輪。

 それが意味することの意味を――


「みずき……。どうして……?」

 思わずそう呟くと同時に、わたしの脳裏に一昨日の出来事が蘇った。


『う〜ん……。まぁ、似たようなものかな? ちょっとワケあって夜まで時間を潰さなくちゃいけなくてね』

みずき『なるほど〜。実はミーもナイトまでタイムをウエイトしなくちゃいけないんだヨ』


 ――あの時のあの発言。

 そして、あの日の朝、学校で突然姿を消したキュゥべえ――


 ――間違いない。
 あの日、みずきは学校でキュゥべえと出会い、契約を結んでしまったのだ。


みずき「そんなこト、今は気にすることジャないでショ、真弓?」

「何故……?」

 疑問を口にするわたしに対して、みずきはゆっくりと両腕を広げた。


みずき「――真弓、ミーにタッチしてほしいナ?」

「!?」


 ――いきなり、みずきが『自分に触れてほしい』と懇願してきた。

 まさか、彼女はわたしの能力のことを既に知っている――!?


「――どこでそのことを知ったの?」

みずき「やだナァ真弓、言ったでショ? イエスタデイにちょっとコンタクトがあったっテ――?」

「――――」


 ――『コンタクト』。
 つまり、キュゥべえと接触があったということだろう。

 わたしの能力のことをみずきが知っているということは――おそらく、昨日みずきとキュゥべえが接触した時間は、キュゥべえがわたしの能力を知ってから――わたしの家からキュゥべえが姿を消した、夜10時以降ということになる。

 ――何が目的でわたしのことをみずきに教えたのかはわからないが、あの白いあんちくしょうは本当に余計なことをしてくれるものだ。


みずき「どうしたノ、真弓? さァ、早くミーのボディにタッチしてプリーズ!」

「…………」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 15:30:56.63 ID:RJk1nUym0<>  ――正直、何故キュゥべえと契約してしまったのかなど、みずきから聞きたいことは色々ある。
 だが、既に過ぎてしまったことだ。今更彼女に問い詰めても仕方が無い。

 ――ならば、わたしが友人としてみずきにできることは、たったひとつしかない。

「――わかった。触れるよ?」

みずき「イエス! そウこなくっチャ!」

 わたしは、ゆっくりと自身の手をみずきに向かって伸ばす。

 そして――


 ◆選択肢

   1:みずきの右手に触れた
   2:みずきの左手に触れた
   3:みずきに勢い良く抱きついた

       安価>>800-804 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/01/31(火) 15:32:10.13 ID:MlHz3mGI0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/31(火) 15:33:10.35 ID:HpbnqqIbo<> 3  <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/01/31(火) 15:46:20.05 ID:ocQWFPeI0<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/31(火) 15:49:17.12 ID:ZlmCMAZko<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/31(火) 16:24:58.17 ID:n/7/4OOho<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 17:32:19.49 ID:RJk1nUym0<> 「みずきぃっ!」

みずき「ホワット!?」

 ――わたしは思わず、みずきに触れるどころか抱きついてしまった。

みずき「ま、真弓!? 一体どうしたノ!?」

「過ぎちゃったことだから、理由は聞かないし、一体何を言われたのかも聞かないッ……!」

みずき「え!? エ!? ま、真弓、ハグしてくれるのはミーとしてもベリー嬉しいんだけど、ユー何か勘違いして……」

「だけど、わたしはみずきの味方だからッ……!」

 わたしがみずきとそんなやり取りをしていると――


???「ちょっ――!? 真弓さん、朝から何やっているんですか!?」

???「あぁ、アレは禁断の愛だな。よし、ここにキマシタワーを建てよう」


 ――不意に、2人の女の子の声が聞こえてきた。


「え――?」

 みずきの身体にピッタリとくっついていたわたしは、思わず声のした方に振り返る。

 ――そこには、うちの中学校の制服を着た、2人の女子生徒がいた。
 ブレザーのネクタイの色からして、1年生だ。

 ――というか、わたしとみずきはこの2人のことを知っているし、向こうもわたしたちのことを知っている。

「あ……。みなみちゃん……。それに、みやびちゃんも……」

みずき「オゥ、グッドモーニング、お2人さン!」

みなみ「お、おはようございます……」

みやび「いやはや……。朝から面白いことをやっていますなぁ、先輩方。――もしかして、もう少しで、本当にヤっちゃうところでしたかな?」

「ち、違う! これは誤解だよ!」

 わたしは、自分の顔が一瞬で真っ赤になったことを感じながら、みずきの身体からばっと離れた。


 ――目の前に現れた、2人の1年生。
 1人は豊みなみ、もう1人は有栖みやびという。


 ――まず1人目。
 豊みなみ(ゆたかみなみ)。12歳。
 わたしの中学校の後輩の1年生。
 ――というより、わたしとは小学校の頃からのお知り合い。小学生の頃、登校時の通学班が一緒だった。
 その縁からか、中学校に進学した今でも、このように朝の登校時にばったり出会ったりする。

 外見と雰囲気双方において、未だに小学生の頃の面影を残す、実に絵に描いたような『可愛らしい女の子』である。

 ――ただ、良くも悪くも、それ以外に目立った特徴がなく、本当に『どこにでもいそうな普通の女の子』だ。
 だが、それがいいとわたしは思う。


 ――そして、もう1人。
 有栖みやび(ありすみやび)。同じく12歳。
 みなみちゃん同様、わたしの中学校の後輩の1年生。そして、みなみちゃんのお友達。
 こちらは、わたしとみやびちゃん、お互いが中学校に入ってからの付き合いである。
 わたしが小学校を卒業した翌年度から、当時小学6年生だったみなみちゃんのクラスに転入してきた転校生で、一緒の通学班だったそうだ。
 また、みなみちゃんと本人から聞いた話によると、家はみなみちゃんの家の近所らしい。

 小学生時代のクラスメイトで、家がご近所ということもあり、中学生になった今でもみなみちゃんと一緒に登校しており、その縁でわたしとも知り合った。

 彼女も、まなみちゃん同様、未だに小学生としての面影を所々に残している。
 ――だが、みなみちゃんとは違い、彼女には特徴的な要素が2つ存在した。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/31(火) 18:35:47.83 ID:b5exhFGIO<> なぜだろうなぜからき☆すたが出てきた <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 18:47:31.35 ID:RJk1nUym0<>  まず最初の特徴として、その表情。
 常に眠そう、もしくは気だるそうな雰囲気を周囲に醸しだすその表情は、周囲の人間に良くも悪くも影響を与える。
 この表情故に、初めて彼女を見た者は、良くて『温厚そうな人』に見え、悪くて『トロそうな人』に見える。

 そして、もうひとつの特徴が――

 ――いや、これは今語る必要はないだろう。
 なぜなら、説明しなくてもすぐにわかることだからだ。


みなみ「『本当にヤっちゃう』――?」

みずき「あ、ア〜……。みなみはまだ知らなくてもオーケーなことだヨ? ――それにしても真弓、トゥデイはやけにアクティブだネ?」

「え――!? いや、違ッ……今のは……!」

みやび「先輩、この際細かいことはなしにしよう。急いで家に帰ってお互いの愛を確かめ合うべきだ。ついでに自分も混ぜてください」

みなみ「何でみやびちゃんまで混ざるの!?」

みやび「そうすれば、今日は学校を休めるじゃないか」

みずき「オーケー! 真弓、みやび、今からすぐにミーの家にレッツゴーだヨ!」

「行くか!」

みなみ「そっ、そうですよ! 学校サボっちゃダメですよ!」

みやび「え〜?」

「『え〜?』じゃない! というか、人をサボりの口実に使うな!」


 ――そう。みやびちゃんのもう1つの特徴――それは、その『だらけっぷり』だ。
 その性格を始め、彼女の日々の言動の大半は、とにかくだらけている。
 サボりぐせ、手抜き、その他もろもろ……。本当に彼女のだらけっぷりは、こちらの想像の上をいく。
 ほとんどが斜め上にではあるが――

 ――特に、“小学校の卒業アルバムの『将来の夢』の項目に、堂々と『ニート』と書き込んで、担任の先生からリテイクを食らった”というエピソードを本人とみやびちゃんの口から聞いた時は、素で呆れた。
 というか、むしろ呆れ果てて笑うしかなかった。


「――とにかく、わたしは別に『そっち系』に目覚めたわけでもないし、学校もサボらないからね!?」

みずき「ン〜……。それは残念。――だけド、本当に中指にリングをはめたら効果があったネ♪」

「――は?」

 不意にポツリとそんなことを呟いたみずき。


 ――『リングをはめる』?
 魔法少女は普段、ソウルジェムの形を指輪に変化させて身に付けているが、指輪に変わったら勝手に中指におさまっている。
 そのため、いちいち自分の指に『はめる』なんてことはしなくていいはずだが――


 ――まさか……


「――ねぇ、みずき」

みずき「なんだイ、真弓?」

「その左手の指輪――じっくり見せてもらっていい?」

「うン。いいヨ♪」

 そう言いながら、みずきは指輪をはめた左手をわたしの前に出した。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/01/31(火) 18:50:04.99 ID:RJk1nUym0<> 【修正】
>>807

× ――特に、“小学校の卒業アルバムの『将来の夢』の項目に、堂々と『ニート』と書き込んで、担任の先生からリテイクを食らった”というエピソードを本人とみやびちゃんの口から聞いた時は、素で呆れた。

○ ――特に、“小学校の卒業アルバムの『将来の夢』の項目に、堂々と『ニート』と書き込んで、担任の先生からリテイクを食らった”というエピソードを本人とみなみちゃんの口から聞いた時は、素で呆れた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/31(火) 22:28:23.88 ID:HpbnqqIbo<> 服の上からだと能力発動は無しか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 00:18:57.34 ID:02oitcC00<> 「…………」

 わたしは、黙ってゆっくりとその左手に触れる。


 ――わたしの能力、『魔法少女限定版サイコメトリー(仮)』は発動しなかった。


 ――というより――


『――コレ、普通の指輪じゃん!? それも、お祭りや縁日の出店で売っているオモチャ!』


 思わず、心の中でそう叫んでしまった。
 もし、近くに魔法少女かキュゥべえがいたら、今の叫びをテレパシーで受信していたかもしれない。


 ――そう。みずきの左手にはめられていた指輪は、ソウルジェムが形を変えたものではなかった。
 おまけに、中指をじっくり確認してみると、爪には紋章も浮かんでいない。


「――みずき、昨日一体誰から連絡を受けたの……?」

みずき「誰っテ、椿姫だヨ? その証拠ニ……。ホラ!」

 みずきは、ポケットから自身のケータイを取り出し、その液晶画面をわたしに見せる。

 ――それは、受信メールの本文画面だった。


 ◆ ◇ ◆


 From:社椿姫
 Sub:突然ゴメンね

 いきなり、こんなメール出してゴメンね?
 ただ、みずきには伝えておこうと思ったので、メール出しました。

 真弓のことなんだけど……
 どうやら真弓は左手の中指に指輪をはめている子の身体に触りたがる性癖があるみたい。
 試してみたら?


 PS.
 もしこのメールの件で真弓と何かトラブルが起きそうになった時は、遠慮無くこのメールの文面を見せちゃってください。
 真弓、その……ゴメン(笑)。


 ◆ ◇ ◆


「いきなり親友を遊びに使うな椿姫ィィィィィ!!」

 わたしはそう叫びながら、椿姫に「覚えてろよ」という呪詛を心の中で吐いた。
 ――また、それと同時に、みずきが魔法少女でなくてよかったと心から安堵するのだった。


みやび「…………」

みなみ「? みやびちゃん、どうしたの? 頭痛いの?」

みやび「ん〜……。そうみたいだ」

 ――そして、そんなわたしの背後では、みやびちゃんがこめかみの辺りに右手をそえながら難しい顔をしていた。

みやび「――よし、ここは大事をとって休もう。うん、それが一番だ」

みなみ「だから休んじゃダメだって〜!」

みやび「ちっ……。――それにしても先輩、いきなり人の近くで叫ばないでほしいな。一度目は文字通り『頭に響いた』ぞ?」

「あ、あぁ、ゴメン……」


 ――朝からそんな騒がしいやり取りをしつつ、わたしの魔法少女生活4日目はこうして幕を開けた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 00:27:37.84 ID:02oitcC00<> 〜教室〜


 ――午前中の授業は特に何事も無く終わりを迎え、昼休みとなった。

 ――しかし、魔法少女になっても、こうしたところは特に何の変化も起きないんだなぁ、と思いつつ、わたしはお弁当を手に取る。


 ――さて、今日はキュゥべえは来ていないようだし、どうしようかな?


 ◆選択肢

   1:1人で昼食をとる
   2:誰かと一緒に昼食をとる

       安価>>812-816 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 00:33:39.41 ID:x9eaS8H6o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/02/01(水) 00:35:52.71 ID:T+0kQ/L4o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/02/01(水) 00:37:34.98 ID:KzQpxUhdo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 00:43:16.43 ID:02oitcC00<>  よし、今日も誰かと一緒に食べることにしよう。

 ――さて、誰を誘おうかな?


 ◆選択肢

   1:クラスメイト
   2:みずき
   3:みなみちゃん
   4:みやびちゃん
   5:先輩

       安価>>816-822 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 00:44:31.95 ID:x9eaS8H6o<> 5 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/01(水) 00:45:43.57 ID:KzQpxUhdo<> 5 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 00:46:46.45 ID:KpQldYpIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 01:11:53.73 ID:2SBfwj8fo<> 5 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/02/01(水) 01:25:27.15 ID:T+0kQ/L4o<> 5 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)<>sage<>2012/02/01(水) 02:02:00.77 ID:jaIU/ndg0<> 4 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/02/01(水) 02:04:00.52 ID:OzJF6SWbo<> 5 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 02:35:06.62 ID:02oitcC00<> 〜家庭科室〜


「――というわけで、今日も来ちゃいました」

 結局、わたしがやってきたのは先輩のいる家庭科室だった。
 一応、先輩以外にも候補者は何名か頭の中に挙がってはいたが、やはり食事とは楽しくとりたいもの。
 その考えから、最終的に先輩に白羽の矢が立ったのである。

先輩「こっちは別に構わないが……。今日もまたお前1人なのか?」

「はい。――あ、コスプレの話はスイマセンが今はなしの方向で……」

先輩「む――? お前、いつから人の考えていることが読めるようになった?」

「いやいや、一昨日のやり取りからだいたい予想できるでしょ?」

 苦笑いを浮かべながら、わたしはお弁当を食べ始めた。

 ――まぁ、考えていることは読めませんが、記憶は少しだけ読めるようになっちゃいましたけどね。

先輩「そうか……。――しかし、最近有栖の奴はぜんぜん来てくれないな。正直こっちとしては、昼休みに来てくれるのがお前だけだと寂しいぞ?」

「みやびちゃんは、みやびちゃんでクラスメイトや他の子たちとの友達付き合いを優先しているんじゃないですか?」

 ただ、彼女の場合、それすらも『めんどい』の一言で怠けていそうですが、と付け加える。

先輩「それはそれで問題だと思うが……。まぁ、有栖には小学校時代の友人がいるようだから、さすがに『ぼっち』なんてことにはならないか」

「あれ? 先輩、珍しくアニメや特撮以外のことも考えているんですね?」

先輩「これでも生徒会長だぞ? 後輩や他の生徒たちのことも考えておくのが、生徒の代表としての務めだろう?」

「ハハハ……。ですよねー」

 ――わたしたちが、そんな話をしていると……


 ガラガラ……


みなみ「し、失礼します……」

先輩「ん?」

「? みなみちゃん?」

 家庭科室の扉を開いて、みなみちゃんが入ってきた。

 ――正直、みなみちゃんが昼休みに家庭科室に来るなんて珍しい。
 みやびちゃんに付き添う形で家庭科室にやって来ることは稀にあるが、オタ知識など皆無に等しい彼女が、自分1人でここにやってくることなど、まずありえないのだ。

「珍しいね、1人で家庭科室に来るなんて……。一体どうしたの?」

みなみ「あ、あの……。みやびちゃん来ませんでしたか?」

先輩「有栖か? いや、今日はまだ来てないが?」

みなみ「そうですか……」

「――何かあったの?」

みなみ「それが、さっきまで教室で一緒にお昼ご飯食べてたんですけど……。みやびちゃん、食べ終わった途端に突然いなくなっちゃって……」

 もしかしたら、会長や真弓さんたちのところに来ているんじゃないかと、と付け加えるみなみちゃん。

先輩「ふむ……。珍しいな、あの有栖が姿を消すなんて……」

「いやいや、先輩……。姿を消したと断定するのはまだ早いでしょ? みやびちゃんのことだから、保健室とか屋上で寝ている可能性もありますよ?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 03:13:09.74 ID:02oitcC00<>  わたしは、そのような憶測を口にする。
 ――というより、あの生粋の怠惰精神の持ち主であるみやびちゃんのことだ、まずそれしか考えられなかった。
 いくら彼女でも、学校を抜け出すような真似だけはしない――はずだ。

みなみ「いえ、それが……」

 ――だが、この後みなみちゃんが発した一言により、わたしの憶測は完全に覆されることになる。

みなみ「みやびちゃん、教室を出た瞬間、文字通り『姿を消してしまった』んです……」

「は――?」

先輩「ほう……」

みなみ「一応、教室近くの廊下にいた子たちに聞いてみたんですけど、みんな『みやびちゃんのこと見てない』って言ってて……」

先輩「何だ? 有栖はどこぞの麻雀漫画のキャラみたいなステルス能力でも身につけたのか?」

「いや、あのみやびちゃんですよ? あんな強烈なキャラした子がいきなり空気化するなんてあり得ないでしょう?」

先輩「言われてみればそうだな……」

みなみ「――こんなこと言うのも何ですけど……。みやびちゃん、幽霊みたいに本当に消えちゃったんじゃないかって思えてきちゃって……」

「――!」

 ――『幽霊』。
 その言葉が出た瞬間、わたしの脳裏にある言葉が思い浮かんできた。

 ――『魔女』。

 もし、みなみちゃんが言う通り、本当にみやびちゃんが『姿を消してしまった』のだとしたら、それは彼女が魔女の結界に迷い込んでしまったという可能性が高い。

 ――だが、ここでひとつ疑問も生まれてくる。

 それは、『魔女は昼間でも活動するのか』ということだ。
 キュゥべえや佐倉さんから聞いた話では、魔女や使い魔が活動するのは主に夕方以降、日が暮れて人の気配が少なくなってからだというが――


「…………」


 ◆選択肢

   1:みやびちゃんを探す
   2:ユウリにメールで聞いてみる

       安価>>825-829 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 03:27:35.66 ID:hMEf+YpUo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/02/01(水) 03:43:45.31 ID:T+0kQ/L4o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 03:56:06.34 ID:3H32Z7zeo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 07:52:42.97 ID:PYaz/P/SO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/02/01(水) 13:35:26.99 ID:D4ugDD2Ko<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 14:57:52.23 ID:02oitcC00<> 「――スイマセン。ちょっと失礼します」

 そう言って、わたしは一度座っていた席を立つ。

 ――そして、先輩とみなみちゃんからある程度離れたところでケータイを取り出すと、メールを書き始めた。


 ――メールの送り先は、わたしの知るもう1人の魔法少女――飛鳥ユウリである。


 ◆ ◇ ◆


 To:飛鳥ユウリ
 Sub:聞きたいことがあるんだけど……

 突然、メールしてゴメン。
 ただ、どうしても聞いておきたいことがあったからメールした。

 質問なんだけど、『魔女』って昼間にも現れる奴っているのかな?

 実は今、うちの学校で、魔女絡みじゃないかなっていうちょっとした事件が起きてる。
 まだ、魔女の仕業って完全に決まったわけではないけど……

 とにかく、そんなわけだから、早めに返信のメールお願い。


 ◆ ◇ ◆


「――送信っと……」

 わたしは、メールが無事に送信できたことを確認すると、ケータイをポケットにしまった。


「――そういえば、みなみちゃん。みやびちゃんのケータイの番号かメールのアドレスって知ってる?」

 席に戻ったわたしは、みなみちゃんに一応そのことを確認してみた。
 ――仮にみなみちゃんが知らなくても、わたしと先輩はみやびちゃんの番号とアドレスを知っているため、万が一の時はこちらから連絡できるからだ。

みなみ「え? はい。私のケータイに登録されてますけど……」

先輩「電話やメールが繋がるかはまだ試していないのか?」

みなみ「は、はい。まだ……」

先輩「ン……。それなら、万が一の時はそちらから有栖に連絡をしてみてくれ」

「――まぁ、この学校のどこかにいるだろうから、無理に心配する必要もないとは思うけどね」

みなみ「わかりました」


 ――ヴィーン……。ヴィーン……


 ――みなみちゃんが頷くのとほぼ同時に、わたしのケータイのバイブレーションが起動した。
 おそらく、ユウリからの返信だろう。

「おっと……。スイマセン」

 わたしは、一言断ってケータイを取り出すと、着信の内容を確認する。

 ――予想通り、ユウリからの返信メールだった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 16:26:19.56 ID:02oitcC00<>
 ◆ ◇ ◆


 From:飛鳥ユウリ
 Sub:Re:聞きたいことがあるんだけど……

 メール見た。

 アタシは、昼間に活動する魔女なんて見たことも聞いたこともないな。
 キュゥべえならもしかしたら知っているかもしれないけど……生憎、こっちには来ていないし、今日はまだ会ってない。
 力になれなくてすまない。

 それじゃ。また放課後。


 ◆ ◇ ◆


 ――ユウリも知らないか。
 となると、魔女の仕業って可能性は低い……かな?


 ――いや、ユウリがまだ知らないってだけで、実際は昼間に活動する魔女も結構いるのかもしれない。


「先輩、わたしも少し心配になってきたので、みやびちゃんのこと探してみます」

 わたしはそう言うと、再び座っていた席から立ち上がる。

先輩「わかった。もし昼休みが終わっても、有栖が自分の教室に戻っていなかったら、こちらにも連絡をくれ。見つかったら連絡はしなくていい」

「わかりました」

 先輩からの了承も頂いたので、早速わたしもみやびちゃん捜索に乗り出すことになった。


 ――みやびちゃんのことだから、たぶん大丈夫だとは思うが、魔法少女や魔女のことを知ってしまったせいか、妙に心配が拭えない。
 つい昨日、原因不明の失踪事件なども魔女の呪いによるものだとキュゥべえたちから聞かされたからだろうか?


 ――こうして、わたしは家庭科室を後にした。
 同様に、みなみちゃんもわたしに続く形で、家庭科室を後にする。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 16:45:34.07 ID:02oitcC00<> 〜廊下〜


「――さて、まずはどこから探すかだけど……」

 廊下に出て早々、わたしはそう呟いた。


 ――みやびちゃんが行きそうな場所といえば、まず挙がるのは先ほども言った保健室や屋上だ。
 この学校で、人目を気にせずに寝れる場所といったら、大体この2ヶ所くらいしか思い浮かばない。
 ――前者は、保険の先生がいなければの話になるが。


「…………」

 ――わたしは、一度ブレザーのポケットに左手を隠し、ソウルジェムを本来の形に戻す。
 そして、ポケットの中にチラリと目を向け、ソウルジェムの様子を確認した。

 ――魔力の反応は、今のところなかった。


みなみ「あの……。真弓さん」

「うん?」

 不意に、わたしの後ろを歩いていたみなみちゃんが話しかけてきた。

「何、みなみちゃん?」

みなみ「いや、その……。みやびちゃんですけど……ここは二手に別れて探しませんか?」

「あぁ――」

 確かに、ここは二手に別れて探したほうが、早く見つかるかもしれない。

 ――だが、もしみやびちゃんが姿を消した原因が魔女によるものだったとしたら、下手をすればみなみちゃんや、他の生徒にまで被害が及ぶ可能性がある。
 そう考えると、今みなみちゃんを1人にするのは少々危険かもしれない。

「う〜ん……」


 ◆選択肢

   1:みなみちゃんと一緒に探す
   2:みなみちゃんと二手に別れて探す

       安価>>833-837 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/02/01(水) 16:49:08.72 ID:T+0kQ/L4o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 16:53:40.33 ID:u3Tsz5pIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/02/01(水) 16:55:23.94 ID:1itk6QAY0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 16:56:38.47 ID:Y8QsboQuo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/02/01(水) 17:24:43.84 ID:KzQpxUhdo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 18:11:54.03 ID:02oitcC00<> 「――わかった。それなら、二手に別れようか」

 結局、二手に別れてみやびちゃんを探すことにした。
 何故こちらを選んだかというと――理由は、3つほどある。

 まずひとつは、先ほども言ったが、そのほうが早くみやびちゃんを見つけることができるだろうということ。
 もうひとつが、ユウリのメールの内容から、魔女の仕業という可能性は低いということ。
 そして、最後のひとつが――万が一魔女の仕業だったとしても、みなみちゃんを巻き込む心配がないということだ。

 ――もし、魔女の仕業だった場合、みなみちゃんと一緒に行動していたら、昨日の椿姫の時と同様、わたしは自分が魔法少女であることを身近な人に明かさなければならなくなるだろう。
 その後、実は魔法少女としての素質があったことが判明した椿姫はともかく、さすがに無関係な人をこれ以上巻き込みたくはない。それが魔法少女の素質がない、ただの人間ならば尚更だ。
 それに、少々酷な言い方だが、こちらの正体が知られた結果、余計な詮索や深追いとかをさせたくもないし――


 ――あ。でも、本当に魔女の仕業だった場合、みやびちゃんには何て説明しよう?


 …………

 ……


 ――ま、まぁ、まだ魔女の仕業と完全に決まったわけではないから、その時はその時で考えよう。うん。


みなみ「はい。じゃあ、真弓さんはどこから探します?」

「そうだね……」


 ◆選択肢

   1:屋上
   2:保健室
   3:校庭

       安価>>839-843 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 18:22:02.32 ID:DKTjaqQIO<> 1から3覗けるんじゃね

1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/01(水) 18:23:38.05 ID:Uppghey1o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 18:25:50.66 ID:4Lyl8Sv0o<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 19:54:01.30 ID:3H32Z7zeo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/01(水) 21:28:21.98 ID:PYaz/P/SO<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/01(水) 21:31:30.78 ID:02oitcC00<> 「それじゃあ、わたしは屋上から探してみるから、みなみちゃんは保健室をお願い」

みなみ「わかりました。下の階から順に探していくので、途中で合流しましょう」

「うん」

 わたしは頷くと、早速屋上へと向かった。


 ――わたしたちの中学校の校舎は、屋上を除くと4階建てだ。

 まず1階には、保健室、食堂、購買部があり、職員・来客用の玄関もここにある。

 続いて、2階には3年生の教室と職員室、図書室、家庭科室、調理室がある。
 ――特徴的なのは、生徒用の出入り口もこの2階に存在するということだ。
 何でも、校舎設計時に、1階に自転車通学者用の駐輪スペースを設けた場合、生徒用の出入り口を設ける分の敷地面積が足りなくなるため、結果的にこのような構造になったのだという。

 そして、3階にはわたしたち2年生の教室と文芸室、理科室、理科準備室がある。
 基本的に、理科室と理科準備室は、授業で使われる時以外は鍵がかかっているため、まず誰も近づかない。
 文芸室も――開いてはいるのだが、中には特に何もないため、生徒が入ることはまずない。

 最後に、4階にあるのが1年生の教室と美術室、視聴覚室、書道室、そしてPCルームだ。
 この階も、1年生の教室と美術室以外は授業中以外は鍵がかかっている。
 特に、書道室は事実上書道部専用の教室――うちの学校に書道の授業はない――であるため、まず近づくものはいない。


「――しかし、もし屋上にいなかったら、次はどこ探せばいいかな……?」

 そんなことを呟きながら、わたしは屋上へと繋がる階段を登っていく。


???『――――』


 ――ゆらり……


「――!?」


 ――不意に、背後から気配のようなものを感じた。

 わたしは思わずその場で振り返ってみる。


 ――そこには、何もいなかった。
 ただ、校舎の外を眺めることができる窓――この窓は全ての階段に備えられている――があるだけだ。


「――気のせいかな……?」

 わたしはそう呟くと、念のためブレザーの左ポケットに入れたままの左手に握ったままのソウルジェムに目を向ける。

 ――やはり、魔力の反応はなかった。

「――やっぱり気のせいか……」

 わたしは、そう自分に言い聞かせると、気をとり直して階段を上がっていった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/02(木) 01:56:21.97 ID:whN0Lplc0<> 〜屋上〜


「だ、誰もいない……」

 ――屋上に来てみたはいいが、そこには、今わたしが口にした通り誰もいなかった。
 一応、隅々まで探してはみたが、隠れている子はおろか、羽を休めている鳥1羽すらいやしない。

 完全に無駄足だ。

「参ったなぁ……。保健室以外で他にみやびちゃんが行きそうな場所なんて想像できないぞ……?」

 わたしは、そう呟きながら屋上を後にしようときびすを返す。

 そこへ――


???『どうしたんだい、真弓?』


「ん――?」

 屋上の出入り口である扉――開けっ放しだった――から、白い影が姿を現した。
 もはや、説明する必要もないが、それは――

「キュゥべえ……」


                        ,、
                        | \
                        |  ヽ
       _____       ,. ---'  __ }
       ヽ- 、 __    ` ー―-'´      `_\
        ヾ   `゙ - 、 _           {o::ヽ\
         ヾ      >  ,.<::ヽヽ    ゝ-'::::: ヽ
       ___   ヾ    /   (ゝ':::::)ノ     ,   /
      { r、二=、 `,>'  /   `     , ‐'   /
`。ヽ、_   ヽヽ  ヽ/   ./  :::::::    `   ,.イ
     ` ー-、ヾ-'    /ヽ         r'<=,J
  。      ヽヽ   /  `ー――/   |_ノ,ヽ>)
、__        \\/、ヽ> _,/     |   ̄
    。      ノヽ ‐ ノ ̄ /`ヽ     |
`ー―――‐'´ ̄  ,____/ / /     |
        , ..r‐,r'´     / /   / /
ー- 、 _____ノ  l  ヽ、____,/ /   /  /
ー―-- 、_    \ __,.  '    イ  /
      |ヽ            // /
      ヽ 、          /  | /
      ヽ ヽ      ,. -'    | |
       | |゙、   r'´       `´
       | | |   /
      ノ / |  /
      { {  | /
      ー'  |,,/


キュゥべえ『偶然近くに来ていたから様子を見に来たんだけど……。何やらお困りのようだね?』

 ――そう。キュゥべえだ。

「うん。実は、知り合いの子を1人探しているんだけどね……」

 ――と、事情を説明しようとしたところで、わたしはあることを思い出した。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/02(木) 02:11:44.19 ID:whN0Lplc0<> 「――そうだ。キュゥべえ、ちょうどよかった……!」

キュゥべえ『?』

「実は、キュゥべえにひとつ聞きたいことがあるんだけど……いい?」


              ,へ、
           /: : ヽ\
             /: ; -‐ヘ \,、
          厶'´   λ  `ー
        γ__二二ミ 、j         、
      / / /    `ヽヽ    イハ  ヽ
        { { /       ハ }    弋リ   '
       ヽУ     l ノ/        l
       У      ヒ"           l
      /、 r、 γl /        ーァ/
, --‐一 'ー'  ー'ノ ` /          /
  , -‐‐'´γ'´ ̄   λ      _  ィ
`く____入__/ /       |  ハ
           /         ハ   ハ
              ,        ,   ヽ、
.            |     i    ト、__入__)    ___
              |   |  |   |     , <       > 、
              λ   |  |   λ    /             \
             / .i   |  |  / ヽ /                    \
         /  |   |  |  /    ヽ、                     ヽ


キュゥべえ『僕に答えられる限りのことならば、答えるよ?』

「ありがとう。実は――」


 ◆選択肢

   1:「昼間に活動する魔女っているの?」
   2:「さっき感じた気配の正体って、キュゥべえ?」
   3:「この学校の生徒で、わたし以外に魔法少女っているの?」

       安価>>848-852 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/02(木) 02:15:54.46 ID:toj8V+mUo<> 3 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/02(木) 02:16:17.15 ID:whN0Lplc0<> 一旦ここで休憩します
続きは今夜23:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております

新キャラの豊みなみ、有栖みやびの両名ですが、彼女たちの名前は、元々みずきの名前の候補だったものをそのまま流用しています
だから3人とも名前が『み』で始まって平仮名なので、結構ややこしかったり……w

また、苗字のみ名前を流用するに当たって急遽考えたものを付け与えましたw
ちなみに、みなみの苗字のみ>>806さんがおっしゃった通り、『らき☆すた』のゆたかとみなみが元ネタですw
あくまでも“名前の元ネタ”がですが……w
(>>1は『らき☆すた』はアニメ版しか見たことないんです……w) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/02(木) 02:34:51.66 ID:toj8V+mUo<> 乙
どのみち学校で友人を探して回る以上は魔女の気配は調べるだろうし
3にしてみたが… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/02(木) 03:28:36.27 ID:Cm0WPiBzo<> 乙、先が読めなくなってきたなあ

ここは1かな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/02(木) 06:45:47.96 ID:4y10Artr0<> 乙、AAあるとゲームっぽくていいね
安価は3で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/02(木) 07:44:58.26 ID:NFnxrTcSO<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/02(木) 07:51:50.60 ID:nFcHBxBIO<> 乙々

「み」から始まる名前が多くて戸惑うな
1の裁量で決めて欲しいと言った手前、こんなのを言うのも変な話だが…… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 02:18:39.46 ID:Dxr5YMhx0<> どうも、>>1です

本編の再開ですが、申し訳ございませんが少々遅れそうです
早くて朝10:00以降になるかと……

ですが、その前に直前の選択肢の最終決定だけさせていただこうと思います <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 02:20:18.12 ID:Dxr5YMhx0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:「昼間に活動する魔女っているの?」
   2:「この学校の生徒で、わたし以外に魔法少女っているの?」

       安価>>856-860 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 02:27:00.05 ID:i6rWDwzN0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/03(金) 02:27:59.96 ID:shwcXhE40<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 03:02:22.12 ID:uBQswOomo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 05:10:22.53 ID:w97f7E/No<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/02/03(金) 07:35:41.77 ID:HM0zKJJFo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 17:15:52.39 ID:Dxr5YMhx0<> 遅れましたが、再開いたします <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 18:48:26.17 ID:Dxr5YMhx0<> 「この学校の生徒で、わたし以外に魔法少女っているの?」

キュゥべえ『? どうしてそのようなことを聞くんだい? 君は今、知人を探しているんだろう?』

 キュゥべえが不思議そうに首を傾げながら、わたしにそう聞き返してきた。

「――実は、今探している子は、もしかしたら魔女の結界に迷い込んでしまった可能性があるの」

キュゥべえ『魔女の結界に? だけど真弓、君のソウルジェムは何の反応もしていないじゃないか? 魔女の結界が近くに存在するのなら、ソウルジェムが結界から溢れ出ている魔力に反応するはずだよ?』

「うん。確かに、ソウルジェムには何の反応も出ていない――」

 だけど、と付け加えてわたしは話を続ける。

「それは、あくまでも今の話。わたしが探している子が姿を消した時には、この学校に魔女の結界が存在していた可能性もある」

キュゥべえ『なるほど……。つまり、今君のソウルジェムが反応を示さないのは、その結界を生み出していた魔女が、別の魔法少女によって倒されたから――と、君は予想しているわけだ?』

「大体そういうこと。――それで、いるの? いないの?」

 わたしはそう言いながらキュゥべえに一歩詰め寄った。


      ', ';:.:.:.:.:.\                         /.:.:.:.:.:;' ,'
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     .:.:.|;:                                 .:;|.:.:.
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   .:.:.:.:八: .                               . :八:.:.:.:.
   .:.:.:./.:.:..\: .         'ー‐'^'ー‐'          . :/.:.:.ヽ:.:.:.:.
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キュゥべえ『――いるよ。現時点では、もう1人。素質なら君以上の魔法少女がね』

「やっぱり、いるんだ……」

キュゥべえ『気になるかい? その子のことが?』

「うん。そりゃあ、気にもなるよ。ただでさえ同じ学校の生徒なんだから――」

キュゥべえ『心配せずとも、近いうちに彼女の方から君に接触してくると思うよ?』

「? どうしてそう思うの?」

キュゥべえ『だって、僕がその子と契約したのは、ほんの2日前のことだからね』

「なっ――!?」

 キュゥべえから語られた衝撃の事実に、わたしは驚きを隠せなかった。


 ――朝のみずきとの一件の際にわたしが予想していた通り、一昨日わたしの前から姿を消したキュゥべえは、この学校の別の生徒と接触していた。
 そして、キュゥべえと接触した生徒は、あまりにもあっさりと契約を結んでしまったのだ。


キュゥべえ『彼女も、既にこの辺りを活動拠点としている魔法少女――君や杏子のことが気になっていたみたいだしね』

「何で――」

キュゥべえ『?』

「何でそんなあっさり……その子と契約を結んだの!?」

 わたしは思わずそう叫びながら、キュゥべえに対してさらにもう一歩詰め寄った。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 19:09:02.00 ID:Dxr5YMhx0<>           ,.r '  ̄ ヽ、                         ,r '  ̄ ヽ
         ,/  ,. ;;;;;;;;i´`i ゙、                       /  ,,;;;;;;;;;;;i´`i゙、
         |  l;;;;;;;;;;;;;;i'´ |                       |  l;;;;;;;;;;;;;;i'´ |
          、  ヽ;;;;;;;ノ  /                        、  ヽ;;;;;;;ノ  /
          ヽ、    ノ                         ヽ、    ノ
             ̄ ̄                              ̄ ̄




                       ヽ____,--、__ノ


キュゥべえ『真弓、もう何度も言っているけど、素質のある子と契約を結んで魔法少女にすること――要は、魔法少女を増やすことは僕の使命なんだ。それに、あっさりだなんて――むしろ、普通だよ?』

「普通――?」

キュゥべえ『そうさ。大体の子は二つ返事で契約してくれる。もちろん、契約の前に魔法少女として魔女と戦ってもらうことは僕の方からちゃんと説明しているよ』

 むしろ、昨日の椿姫やゆまみたいなケースの方が珍しいのさ、とキュゥべえはわたしに言った。

「――魔法少女は死ぬまで続けなきゃならないってこともちゃんと説明しているの?」

キュゥべえ『? どうしてそこまで説明しなければならないんだい? そんなこと、説明しなくてもわかることだろう?』

「!?」

 ――またしても、キュゥべえから語られた驚きの一言。

 それはつまり――

「――そこまでは説明していないの……!? 昨日、わたしが聞かなかったら教えてくれなかったみたいに……!?」

キュゥべえ『当たり前じゃないか。聞かれもしないことを、どうしてこちらからいちいち説明しなくちゃいけないんだい? 効率が悪いじゃないか』

「――!」


 ◆選択肢

   1:キュゥべえに掴みかかる
   2:キュゥべえを殴りとばす
   3:キュゥべえを屋上から投げ落とす

       安価>>864-868 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2012/02/03(金) 19:26:40.26 ID:bEPf5Slzo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 19:26:49.84 ID:ZqpPd4sIO<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 19:32:42.41 ID:uBQswOomo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 19:34:13.98 ID:w97f7E/No<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/02/03(金) 19:50:46.50 ID:JqbsuZZHo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 21:24:59.21 ID:Dxr5YMhx0<>       /\              _
.      / /\ \          /´  |
      / /   \ \       ./      |
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   レ'       /            .ノ   ` ー- 、
.  /        /    Y         \       ` ー - 、
/         /     }  __ _   ___\             \
         /     ノ´   `´      ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           /   `ヽ/
        /      }
.       /   、___ _ノ `ヽ
      /   ´⌒ヾ /⌒ヾ
.     /       ∨ ノ⌒}
     /         ∨ /         .イ⌒ ー --  .. ___
    .          V      __ / }              ̄
    |           ト.___ _ノ´      . '
    |       -──- 、        /
    |\  //´  ̄  ̄〉 〉___ _  ´
     ヽ//  ̄ ̄ // ヽ
    //、     //    i
.  //   \ //       |
//      \'   /    |



 ――バキャッ!


キュゥべえ『ぷギュい!』


 ――気がついた時には、わたしはキュゥべえの顔面を思いっきり殴っていた。

 いきなり殴りかかるというのも、我ながら軽率な行動だとは思う。
 だが、考えるよりも先に体が動いていた。
 それだけ、今のわたしは気が高ぶっていたのだろう。

 わたしに殴られたキュゥべえは、数十センチほど後ろに転がるように吹っ飛んだ。
 いくら小さいキュゥべえでも、そこまで吹っ飛ぶのは大げさにも見えたが、よく考えたら、今のわたしは魔法少女――普通の人間じゃない。
 自分では実感がなくても、非変身時もある程度身体能力が強化されていたって不思議じゃなかった。


「――どうしてそのことを説明しないの? 一番重要なことなのに……!」

キュゥべえ『――君に殴られるのは、これで2回目だね』

 そう言いながら、キュゥべえは何事もなかったかのような様子で、ゆっくりとその場に起き上がる。

「そうだね……。だけど、今回は謝らないよ」

 わたしは、そう言いながらキュゥべえを殴った右拳をゆっくりと下ろす。

 ――下ろされた拳は、未だにわたしの内なる怒りで震えていた。

「魔法少女となった者は死ぬまで魔女と戦い続ける――それをわかっていながら説明しないなんて……。そんなの、相手を騙しているようなものじゃないか……!」

キュゥべえ『――君たち人間の行動は本当に理解に苦しむよ。認識の相違ミスを後悔すると決まって他者を憎悪するんだから……』

「――キミの場合、キミが意図的にそうさせているんだよ……。少なくとも、わたしにはそう思える」

キュゥべえ『“騙す”という行為自体が僕たちの社会には存在しないんだからしょうがないさ。存在しないものを理解しろという方が、酷い話だと僕は思うけどな?』

「――だったら、これからは人間のことをもっと理解しようと努力しなよ……」

 わたしは、そう言い残すと屋上を後にした。
 本当は、キュゥべえと契約した生徒のことなども聞きたかったが、正直そんな気分ではなくなってしまった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 21:29:17.16 ID:uBQswOomo<> QBは分かってて黙ってるんだろうなぁ
改変世界ではちゃんと説明することで少しでも長く戦ってもらえるように配慮してるし <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 21:39:41.95 ID:Dxr5YMhx0<> 〜4階・廊下〜


 ――屋上を後にして、4階に戻ってきた。

 先ほども説明したが、この4階には1年生の教室がある。
 そのため、昼休みということもあり、あちらこちらで他の生徒たちの賑やかな声が聞こえてくる。


 ――さて、次はどこを探してみようか?


 ◆選択肢

   1:1年生の教室
   2:美術室
   3:PCルーム

       安価>>872-876 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 21:55:53.09 ID:w97f7E/No<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 21:58:27.23 ID:uBQswOomo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/03(金) 22:13:29.55 ID:JqbsuZZHo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/02/03(金) 23:34:27.32 ID:C483HxMdo<> 2 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 23:35:31.65 ID:Dxr5YMhx0<> 〜美術室〜


「みやびちゃん――は、やっぱりいないか……」

 ――美術室に来てみたが、屋上同様、人の姿はなかった。
 1年生のクラス以外で、開いている4階の教室といったらここくらいしかないため、念のため調べに来てみたが――

「ま〜た、無駄足だったなぁ……」

 そう呟きながら、わたしはブレザーの左ポケットから左手――そして、その左手に握られていたソウルジェムを取り出した。
 現在、美術室にはわたし以外誰もいないため、出しても特に問題ないだろうという判断からだ。


 ――やはり、ソウルジェムには何の反応もなかった。


「うん……。やっぱり、魔力の反応はなし、と……」

 そう自分に言い聞かせると、わたしは左手とソウルジェムをポケットに戻すことにした。

 ――だが、ソウルジェムをポケットに戻す直前、それは起こった。

「!?」


 ――ソウルジェムが、ほんの一瞬だけ強く光った。

 ――近くで魔力の反応をキャッチしたのである。


「やっぱり、魔女――!?」

 わたしは、その場で思わず身構えてしまうが、ソウルジェムが既に光っていないことに気がつくと、すぐさま警戒をとく。

「――って、さすがにそんなわけないか……。魔女だったら、こんな一瞬で魔力の反応が消えるわけないし……」

 苦笑いを浮かべながら、わたしはソウルジェムと左手を戻すのを一度取りやめる。


 ――今の魔力の反応は……キュゥべえが言っていた、もう1人の魔法少女のものだろうか?
 その魔法少女が、学校の敷地内で何らかの魔法を使った――その可能性は十分ある。

 ――だが、もしそうだったとして、その魔法少女は何故魔法を使ったのだろうか?
 魔女がいないのに、魔法を使う理由なんて、そうそう思いつかないが――

 …………

 ……

「――うん、駄目だ。何も思いつかない」

 少し考えてみたが、やはりわたしでは何も思いつかなかった。

「ここで考えていても仕方がないよね? 場所を移動しよう――」

 わたしはそう言うと、改めて左手とソウルジェムをポケットに戻し、美術室を後にした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 23:45:33.85 ID:uBQswOomo<> 魔法を使った瞬間だけ反応するのか、魔法を使ってる間はずっと反応するのか気になるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/03(金) 23:46:09.27 ID:uBQswOomo<> >魔法を使ってる間は
魔法の効果が続いてる間は <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/03(金) 23:59:27.83 ID:Dxr5YMhx0<> >>877
原作では魔女や使い魔が近くにいると常にソウルジェムが光っていたので、
魔法を使っている(魔法の効果が続いている)間はソウルジェムが反応するという解釈で書いています

あくまでも>>1の個人的な解釈ですが、
魔女や使い魔は存在自体が元になった魔法少女の魔力の残りカス(+負の感情)なので、近くにいるとソウルジェムが反応しているのではないかと考えています <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 00:00:08.41 ID:GaqvSxVZ0<> 〜4階・廊下〜


 ――さて、美術室を出たが、次はどこを探してみようか?

 そう思いながら、わたしは一度ケータイで現在の時間を確認してみる。

 ――午後1時17分。

 昼休み終了の予鈴が鳴るのが25分。5時限目の授業開始のチャイムが鳴るのが30分なので、残りの時間的に探せそうな場所はあと1箇所くらいだ。
 それに、みなみちゃんと途中で合流する約束もある。
 ――つまり、わたしが探せる場所は、現在地からあまり移動しない場所のみに限られてしまうということだ。


 ――では、最後にどこを探してみよう?


 ◆選択肢

   1:1年生の教室
   2:PCルーム
   3:文芸室(3階)

       安価>>881-885 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 00:00:41.21 ID:s+k+o8h5o<> ありがとう
ってことは魔法少女ならば効果が一瞬だけの魔法を使ってるってことか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 00:04:22.06 ID:KRSSSYNxo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2012/02/04(土) 00:08:32.16 ID:f3eCiP5Y0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 00:10:38.31 ID:s+k+o8h5o<> 効果が一瞬の魔法で教室を出てすぐ姿を消した
魔法はだいたいわかったが、どこにいるかさっぱりだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 00:13:14.47 ID:s+k+o8h5o<> ああ分かった

1で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/04(土) 00:13:29.07 ID:mGgCL7Uuo<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 00:37:19.73 ID:GaqvSxVZ0<>  ◆選択肢(再安価)

   1:1年生の教室
   2:PCルーム
   3:文芸室(3階)

       安価>>888-892 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 00:37:34.95 ID:s+k+o8h5o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 00:52:05.25 ID:rvnfNGFAo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/04(土) 00:59:28.85 ID:mGgCL7Uuo<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 02:01:03.29 ID:GaqvSxVZ0<> 〜4階廊下・1年生教室前〜


「――まぁ、時間的にもここが一番妥当だよね?」

 そう言いながら、わたしがやって来たのは、1年生の教室だ。
 ここなら、仮に予鈴が鳴ってしまっても、教室に戻ってきたみなみちゃんと合流することができる。
 さらに、みやびちゃんが自分のクラスに戻ってきているならば、それで捜索は無事に終了する。まさに一石二鳥な選択だ。

 ――もちろん、それは運が良かったらの話である。
 逆に言ってしまえば、もしみやびちゃんが自分のクラスに戻っていなければ、それは完全にわたしからは打つ手がなくなるということだ。

「――そんなわけだから、頼むよみやびちゃん……」


 ――わたしは、みやびちゃんのクラス――2組の前に足を運んだ。

 わたしが足を運ぶと、ちょうど教室の入口に2組の女の子がいたので、声をかける。

「ねぇ、ちょっといい?」

1年2組女子生徒「はい? 何ですか?」

「有栖さん――みやびちゃんいる?」

1年2組女子生徒「みやび? さっきまではいましたけど……」

 そう言いながら、女子生徒は教室の中へと目を向ける。
 わたしも、それにつられるように、2組の教室の中へ目を向けた。

 ――みやびちゃんの姿はなかった。

1年2組女子生徒「――ごめんなさい、どうやら今はいないみたいです」

「みたいだね。――ところで、『さっきまではいた』の『さっき』って大体何分くらい前?」

1年2組女子生徒「えっと……。1時くらい――だったと思います。その時は、あそこの自分の席で違うクラスの子とお昼ご飯食べてました」

 女子生徒は、窓際のある席を指差した。
 どうやら、あそこがみやびちゃんの現在の座席らしい。

 ――そして、女子生徒が今言っていた『違うクラスの子』とは、おそらくみなみちゃんのことだ。

「そう、ありがとう」

 わたしは女子生徒にそうお礼を言うと、その場を後にした。


 ――さぁ困った。わたしからは完全に打つ手がなくなってしまった。
 こうなってしまったら、この後合流するみなみちゃんがみやびちゃんを連れて戻ってくるか、みやびちゃんが自分で教室に戻ってくかのいずれかを願うしかない。


「それにしても……」

 1年生の教室前の廊下を歩きながら、わたしは左ポケットの中にチラリと目を向ける。
 ポケットの中のソウルジェムは、先ほど一瞬だけ魔力の反応をキャッチして以降、何の反応もなかった。

「結局、さっきの反応はなんだったんだろう……?」

 わたしが不思議そうな顔をして廊下を歩いていると――


???「真弓さん!」

「ん?」

 不意に声をかけられた。
 声の主は――説明するまでもないが、みなみちゃんだった。

「あぁ、みなみちゃん。そっちはどう――」

 わたしは、『どうだった?』と振り向きざまに尋ねようと思ったが、目の前に映った光景に思わず声を出すのを止めてしまう。


 ――そこには、顔を赤くしたみなみちゃんと、そんなみなみちゃんにブレザーの襟元を両手で引っ張られる形で、ずるずると引きずられているみやびちゃんの姿があった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 02:04:21.14 ID:s+k+o8h5o<> 外れだったか
魔法で移動して授業前に魔法で戻ってくると思ってたが… <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 02:47:29.86 ID:GaqvSxVZ0<>  ――言うまでもないが、既にその光景は、その場にいた生徒全員の注目の的になっている。


みなみ「み、みやびちゃん……見つけました……!」

 ゼーゼーと激しい呼吸をしながら、みなみちゃんはそう言ってわたしの前で止まり、みやびちゃんを掴んでいた両手を離した。

 ――解放されたみやびちゃんが、その場でゆっくりと仰向けに寝転がる。

みやび「あぅ〜……。みなみ〜、みやびはもうダメだ〜……。このままここで寝かせてくれ〜」

みなみ「だから……授業、サボっちゃ、ダメだって……! あと、こんな所で、寝るのも、ダメ……!」

「え、え〜っと……。みやびちゃん、今まで一体どこにいたの?」

 片や文字通り、片や別の意味で疲労困憊な様子の2人に半ば呆れながら、わたしは尋ねた。

 ――嗚呼、周囲の笑いを含んだ視線が痛い。

みやび「ん〜……? さっきまでは自分の世界に引き篭っていたんだが、女子トイレに出た瞬間、みなみに見つかってこうなった〜」

 やっぱり、ちょっとだけ様子を見てこようと外に出るんじゃなかった〜、などと付け加えながら、その場でさらにぐで〜っとするみやびちゃん。

みなみ「だから、寝ちゃダメだって……!」

 そして、そんなみやびちゃんの腕を掴み、起き上がらせようと必死になるみなみちゃん。

 ――もう色々と突っ込みたいことや気になることはあるが、さすがにもう昼休みの時間も残されてはいない。

 それに、はっきり言ってこれ以上周囲の目に自分がさらされるのは――キツイ。
 というか、間違いなく本音はこっちだ。

「ま、まぁ、無事に見つかって何よりだよ。――それじゃあ、わたし教室に戻るね」

 わたしは、2人にそう言うと、すぐさまその場を後にした。
 ――いや、こういう場合、『逃げた』と言ったほうが正しい。


 ――背後から『みやびちゃん運ぶの手伝ってくださいよー!』という、みなみちゃんの悲鳴に似た声が聞こえた気がした。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 03:28:29.83 ID:GaqvSxVZ0<> 〜教室〜


 ――午後の授業も終わり、放課後となった。
 魔法少女であるわたしは、これから一度家に帰った後、夜の街で魔女探しだ。

 昨日は佐倉さんと一緒に魔女探しができなかったので、その分今日はしっかりと魔法少女としての務めを果たすことにしよう。
 ――まぁ、昨日は昨日で、ユウリと出会うことができたし、結果的に魔法少女になって初めて魔女を倒すことができたので、結果オーライだが。


 ◆ ◇ ◆


 To:飛鳥ユウリ
 Sub:今学校終わった

 これから家に帰る。
 今日の詳しい活動内容は、佐倉さんたちと合流後に決めるので、何か意見があればその時に。

 それじゃあ、家で待ってるから。


 【追伸】
 無理に急いで来る必要はないので、ゆっくり来てね。


 ◆ ◇ ◆


「――これでよし、と」

 教室を出る前に、わたしはケータイでユウリにメールを送った。
 ユウリは佐倉さんとは違い、わたしと同じく普段は学生としての生活がある。
 そのため、当面は可能な限り連絡は取り合ったほうが良いかもしれない――というわたしの勝手な判断からだ。

「椿姫には――まぁ、別にいいか……。昨日の今日だから、こちらから連絡しなくても家に来るだろうし……。メールではなく直接言っておきたいこともあるし――」

 そう呟いたわたしは、ケータイをポケットにしまうと、ゆっくりとした足取りで帰路についた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 03:40:37.19 ID:GaqvSxVZ0<> 一旦ここで休憩します
続きは10:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 07:34:44.59 ID:s+k+o8h5o<> 乙
自分の世界に引きこもってたってのが能力関係かね
そういや自分の学校があるんだから
見滝原中の問題にはそこまで深く介入できなそうだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/04(土) 15:13:54.89 ID:22bnpwZDO<> もしかして、みやびが魔女化したら箱の魔女になるんじゃね? <> 以下、VIPPERに代わりましてGUNMARがお送りします<>sage<>2012/02/04(土) 20:18:48.15 ID:IMv2QMtW0<> みずき(CV:ルー大柴) <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 20:59:20.21 ID:GaqvSxVZ0<> 予定より大幅に遅れてしまいましたが、再開いたします <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/04(土) 21:55:28.07 ID:GaqvSxVZ0<> 〜自宅〜


「ただいま」

 途中、寄り道をすることも、知り合いに会うこともなかったため、わたしは10分程度で帰宅することができた。

真弓母「おかえり。今日は早かったのね?」

 居間を覗くと、母がテレビで夕方のニュース番組を見ていた。
 ――在日米軍基地から銃や弾薬などの軍事物資が紛失していることが発覚したという内容の報道だった。

 母の様子から、どうやら今日はまだ佐倉さんは来ていないようだ。
 ――昨日のように、堂々と来られても困るが――

「うん。でも、少ししたらまた今日も出かけてくるけど……」

真弓母「あら……? お夕飯は?」

「あぁ、今日は食べるよ」

 わたしは、母とそんなやり取りをしながら台所へ向かうと、流しで軽く手を洗った後、棚からポテトチップスなど適当なお菓子の袋をいくつか持って自室へと向かう。

「――あぁ、そうだ。この後、椿姫たちが一度家に来る予定に……」


 ――ピンポーン……


「――あぁ、もう来たみたい……」

 わたしが言い終わるよりも先に、玄関のチャイムが鳴った。

 すぐさま玄関に向かったわたしは、急いでドアを開ける。

「はい〜……?」

ユウリ「やっほー。来たよ」

 ――わたしは、おそらく椿姫だろうと思ってドアを開けたが、以外にもそこにいたのはユウリだった。

「あれ? ユウリが1番?」

ユウリ「いや、アタシだけじゃないよ」

杏子「おーっす」

ゆま「こんにちは、真弓おねえちゃん」

 ユウリの背後から佐倉さん、そして、佐倉さんの背後からゆまちゃんが顔を出した。

「――はぁ……。また今日も堂々と玄関から入ってきて……」

杏子「しょうがねーじゃん、この時間だとまだ窓から侵入するわけにもいかねーし……。それに、今日はこいつもいるんだぞ?」

 ため息を吐くわたしに対して、佐倉さんはゆまちゃんを指差しながら事情を説明する。

 ――これは、早急に我が家以外の集合場所を決めたほうがいいかもしれない。

「――まぁ、とにかくあがってよ」

ユウリ「うん。お邪魔します」

杏子「おっじゃましま〜す♪」

ゆま「お邪魔しまーす」

 さすがに玄関を開けっ放しで立ち話をするのも何なので、わたしは3人を家の中に招き入れた。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/05(日) 03:09:37.93 ID:ecbXleAt0<> 〜自室〜


「――さて、まだ椿姫は来ていないけど、佐倉さんとユウリには先に伝えておきたいことがあるんだ」

 自室の扉を閉めながら、わたしは佐倉さんとユウリの方に目を向ける。

杏子「ん? なんだい?」

ユウリ「その言い方だと、魔法少女に関係する話なんだろうけど――」

「うん。――実は、わたしの通っている中学校には、わたし以外にももう1人魔法少女がいることがわかったの」

杏子「へぇ……。どんな奴なんだい?」

「ゴメン、そこまではまだわからない。ただ、キュゥべえから聞いた話では一昨日契約したばかりだって言ってた」

杏子「な〜んだ、新米かよ……」

ユウリ「あれ……? 真弓、お昼にアタシにメールした後、キュゥべえと会ったの?」

「うん。ユウリの返信メールを受け取った少し後にね……。あと、その子、わたしや佐倉さんに興味を持っているみたい……」

杏子「あたしらに?」

 ――わたしは黙って頷く。

ユウリ「――2人の存在を知っていて、かつ興味を持っている……。それなのに自分から接触してくる様子はないってことは――」

杏子「そいつは、隠れてあたしらのことをコソコソと嗅ぎ回っている――ってことか?」

「そうと決まったわけじゃないけど――現時点では、あまりわたしたちと関わりたくないってことは確かだろうね」

ゆま「? 魔法少女ってみんな仲間なんじゃないの〜?」

 現在、この場で唯一魔法少女ではないゆまちゃんが疑問を口にする。

 ――正直言うと、わたしもそれに関しては少し疑問を抱いていた。
 そう考えると、ゆまちゃんは実にナイスなタイミングで代弁してくれたと思う。

「う〜ん……。わたしも、仲間だとは思いたいけど……」

杏子「魔法少女は『正義の味方』なんて言えるほどカッコいいものじゃねーのさ。本来ならあたしらみたいに、一緒になってつるんでるほうが珍しい」

ゆま「そうなの?」

 ゆまちゃんが、ユウリの方に目を向ける。

ユウリ「アタシも魔法少女になって長くはないし、真弓や杏子以外の他の魔法少女と会ったことはないからわからないけど――」

 ユウリはそう言って、一呼吸挟むと、再び口を開く。

ユウリ「――やっぱり、グリーフシードの関係で基本的に行動する時は1人でいることが多いんじゃないかな?」

杏子「あぁ。誰もが昨日の真弓とユウリみたいな方法を思いつくとは思えねーしな……」

「…………」

 ――言われてみれば、確かにそうだ。

 1体の魔女に対して、大勢で戦ったほうが1人あたりが消費する魔力は少なくなるし、なおかつ危険度も減る――
 しかしその反面、得られるグリーフシードは1個だけなので、戦いに参加した魔法少女全員の魔力を回復できるかと聞かれたら――まず不可能だろう。

 魔力がなければ魔法少女は戦えない――
 おまけに、その魔力を回復できる手段はグリーフシードのみ――
 グリーフシードの貴重性が、魔法少女から『仲間意識』というものを希薄にさせてしまっているように思える。

ユウリ「きっと、みんな自分自身のことで精一杯なんだろうね。命懸けの戦いをしているんだもの……」

杏子「そうだな……」

 現に、数日前までのあたしがソレだったし、と呟きながら、佐倉さんはポケットからポテトチップスの筒を取り出し、その封を開けた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 03:45:03.64 ID:B6aTHb7Eo<> 大勢で倒したほうが消費少しで済むから
1個で全員回復できると思ってたが違うのか
全員回復した後の残りの取り分で揉めるかと思ってた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 03:55:24.20 ID:B6aTHb7Eo<> しかし、そう考えると杏子ユウリと組んでも赤字になるってことなのだろうか?
途中で力尽きても困るな <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/05(日) 04:03:39.65 ID:ecbXleAt0<> 「――せめて、グリーフシード以外でも魔力を回復できる方法があればいいんだけどね……」

ユウリ「同感」

杏子「まっ、しょーがないさ。世の中そう上手くできちゃいないんだよ」


                /: /: : :,: : :/: : : : :ヾ-'´: :i: : : l:ヽ////ゝ
               /: :/: : :/: : /: : : :,.: /ヽ: : : : l`ー- :_ヽ/、//ヽ、
              /: ,: : : :,:,/_:_:|: : : ://  l: i: : : : l: : : : : ヾ、//∧//>
             /:./: : : i:/l: :/l:`ヽ//   |l i: : : :|: : : : : : |:l///,V´
             l: :l: : : : / l: | .!: :/,>   ,!!_|: : : i: : i: : : : :|:ヾ.,イ: ヽ
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              /:.|//ヽ:ヽ   ,   ヽ`゙'´  / /: : : ,:/: /i: | .l: |
              l:/ {    __     `ー  /: : :,.イ:/:,! |:.|  l:.|
              |!  lヽ、     ` y     ,/: :,.イ/イ:./ |:.|  l:.|
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    ,. -- 、        /: /:/: :,トヽー―-r―二: :`':´:i:i: : l: |   |:l  リ
    --、  ヽ    /r--- '/´|   / /,. -->: : l: : : l: |   ,リ
       _ヽ__)   ィ´i |  /  < ./  / /   /  .i:i:.:i:.:.:i:.|
     /_,`つ ̄`ヽ、| |  /、___,.r/ / /   ./   |:i:.:.i:..:i:.|
     } ー--,   iヾ A|  |;;;;;;;;;;/ // / /    |:i:.:.i:.:.:i:|
     l 二二、  U./-,ヽ |;;;;///  /  /    /:.i:.:.:i、:.:.ヽ
     / ==,'  ({ / ̄ ヾ、V/    l::.::/   /:.:.|:.:.:.:}ヽ:.:.ヽ


 ――部屋に、佐倉さんがポテトチップスを食べる音だけが響く。


 ――ヴィーン……。ヴィーン……


杏子「――ん?」

 そんな静まり返った部屋の空気を変えたのは、わたしのケータイのバイブレーションだった。

「メールだ……」

 わたしはポケットからケータイを取り出すと、液晶画面に映ったメールの差出人の名前を見やる。

「――あれ? 椿姫からだ……」

 ――メールの差出人は椿姫だった。


 ◆ ◇ ◆


 From:社椿姫
 Sub:ゴメン!

 訳あって学校から帰るの遅くなりそう。
 だから、今日は真弓の家には行けそうにない。

 よかったら、杏子たちにもこのことを伝えておいて!


 ◆ ◇ ◆


「――椿姫は今日、家には来れないみたい」

 ケータイをしまいながら、わたしはメールの内容を佐倉さんたちに簡潔に説明した。

 ――さすがにわたしの学校とは違い、進学校である『白女』は授業が終われば即家に帰れるというほど、甘くはないようだ。
 おそらく、進路希望の話とかで先生から居残りでも食らったのだろう。

杏子「ふ〜ん……。まぁ、別にいいけどな。あいつは魔法少女じゃないんだ。無理にあたしらに付き合わせる必要なんかないんだし……」

「それもそうだね。わたしも、できれば椿姫には普通の人生を歩んで欲しいし……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 04:16:10.24 ID:B6aTHb7Eo<> 使い魔は放置。日常生活で極力魔翌力を使わないような人と組めば効率いいのかねぇ
それでも体の維持で少しずつ魔翌力消費するそうだが
魔法少女それぞれに事情があって、普段から使用する魔翌力も違いそうだな
杏子は一人で生きてるから空き巣に窃盗にATM破壊で魔法使いそうだし、ユウリは治療で魔翌力いるだろうし <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/05(日) 04:43:06.33 ID:ecbXleAt0<> ユウリ「――ねぇ、椿姫が来れないなら、もう本題に入ってもいいんじゃないの?」

杏子「そうだな。今日はどの辺りを探索してみる?」

「う〜ん……。そうだね……」

 わたしたちは、早速今日魔女探しをするエリアの相談を始めた。

「――何か意見がある人はいる?」

ユウリ「それじゃあ、アタシからひとつ――」

 そう言いながら、軽く右手を挙げるユウリ。

ユウリ「アタシとしては、しばらくの間はアタシの管轄している地域で魔女退治をするべきだと思う」

「理由は?」

ユウリ「さっきの真弓の話で出てきた、新しい魔法少女ことでね……」

杏子「――そいつの目的がハッキリしていない以上は、この辺りで活動することは好ましくないってこ言いたいのかい?」

ユウリ「うん。簡単に言ってしまえばそういうこと」

 自身が言い終わる前に、言いたかったことを先に口にしてしまった佐倉さんに対して、ユウリは少々苦笑いを浮かべながら頷く。

ユウリ「――まだ敵対したと決まっているわけじゃないけど、向こうがアタシたちのことを探ってきている可能性があるのなら、この辺りで魔女退治をするのは手の内を晒しているようなものだし……」

 それに、魔法少女が増えるということは必然的に魔女が減るってことにもなる、とユウリは付け加えた。

「グリーフシードが手に入る確率も減るってことか……」

杏子「そうなるな。あたしは、ユウリの意見に賛成だが……真弓、アンタは?」

「わたしは……」


 ◆選択肢

   1:「わたしもユウリの意見に賛成かな」
   2:「それは考え過ぎなんじゃないかなって思う」

       安価>>908-912 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/05(日) 04:43:39.16 ID:ecbXleAt0<> 一旦ここで休憩します
続きは今夜23:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


>>902-903
本編の模写を見るかぎり、
グリーフシードは使用すると使用したソウルジェムの濁りを吸い取れるまで吸い取り続け、任意のタイミングで止めることはできないように見えたので、当SSではそういう解釈で模写しています

実際、本編2話でマミさんがほむらにグリーフシードを渡した際、「あと1回くらいは使えるはず」って言ったのも、
模写的に、『マミさんのソウルジェムの濁りを全部吸い取ってもグリーフシードにはまだ結構空きがあったから使えるよ』的な感じに見えたので
また、外伝の『かずみ☆マギカ』でも、(ジュゥべぇがいるとはいえ)聖団が手に入れたグリーフシードを使わずにそのままジュゥべぇに食わせてましたし、
やっぱり途中任意で回復を中断して使い回すことはできないのかなと <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 04:47:51.55 ID:B6aTHb7Eo<> 1で

2人が賛成してるならそれでいいか
成りたての癖に2日でGS2個手に入れるような超人と同じ地域で狩りは厳しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 05:16:22.08 ID:HZvksOG6o<> やぱ1かな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/02/05(日) 06:51:01.70 ID:gHm7ujW2o<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/02/05(日) 09:11:31.07 ID:89+7o7WNo<> 接触したい気もするが危ない吊り橋を渡るメリットも無いな
1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)<>sage<>2012/02/05(日) 12:08:43.73 ID:P7IBqbQG0<> 1で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/05(日) 12:36:01.82 ID:B6aTHb7Eo<> 1で決定か
そういえばこの魔法少女は2日で2匹魔女を狩ったけどGS1個消費してるんだよな
ユウリは穢れ70%でもまだ余裕ありそうな発言をしていたけどさ
まだ慣れてないからなのか、魔法の燃費が悪いのか、魔女狩り以外でも日常的に魔法使ってるからなのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/06(月) 11:33:53.15 ID:KAIxF6lIO<> このSSの夢を見てしまった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/06(月) 11:46:54.89 ID:EjVgDJ2DO<> どんな夢だ?
まどかたちと一緒に真弓たちが出てきたのか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/06(月) 12:57:28.74 ID:KAIxF6lIO<> みずきが隣に寝ていて、いつまでたっても起きる様子が無いから肩を揺らそうと手をかけたら
近くに割られたみずきのSGがあった…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/06(月) 13:57:28.62 ID:aYauqwVzo<> >>916
oh…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/06(月) 14:44:42.73 ID:BCHnK3EGo<> みずきが魔法少女だったのか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/06(月) 19:12:39.70 ID:EjVgDJ2DO<> みなみ「もう一人の魔法少女が先輩やみやびちゃんだと思った? 残念、実は私でした!」


とかになったりして……ww <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/07(火) 14:48:07.21 ID:ujEAmDnS0<> どうも>>1です
昨日、一昨日は仕事の他に、コナミスタイルで予約していた武装神姫が届いたり、
『スマイルプリキュア!』見てニヤニヤしていたりで、本編再開するヒマがありませんでしたw
サーセンw

……というわけで、数日ぶりに本編再開いたします <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/07(火) 14:51:45.75 ID:qIU0q8lwo<> 再開来たか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/07(火) 15:38:19.11 ID:ujEAmDnS0<> 「わたしもユウリの意見に賛成かな。もう1人の魔法少女が誰なのか気にはなるけど……」

杏子「――よし。そうと決まればさっさと行くか。この家からは少し距離があるんだろ?」

ユウリ「うん。でも、歩いてもそう時間はかからないよ。10分くらいかな?」

 ユウリの意見に誰も異を唱える者がいなかったため、わたしたちは、早速普段ユウリが管轄しているエリアに向かうことになった。

ゆま「ねぇ、ゆまはどうすればいいの?」

「そういえば……。佐倉さん、ゆまちゃんは連れていくの?」

杏子「ん〜……? ――さすがに1人ここに置いていくわけにもいかないだろ?」

 ――佐倉さんの言うことも最もだ。
 魔法少女じゃないからといって、幼いゆまちゃんを1人家に置いていくのは、少々問題がある。
 母に説明する理由付けが思いつかないこともそうだが、わたしたちがいない隙にキュゥべえが現れて、ゆまちゃんに契約を持ちかけてくる可能性だってある。

 ――となると、危ない橋を渡らせることにはなるが、わたしたちと一緒に行動させたほうがまだマシかもしれない。

「――言われてみれば……」

ユウリ「だけど、魔女や使い魔が現れた時はどうする? いくら3人いるとはいえ、最後までゆまを守りきれるかどうかはわからないけど?」

杏子「そん時は、こいつの周りに防壁なり結界なり作っとけば、ある程度は大丈夫っしょ?」

 ゆまちゃんの頭にポンと手を乗せながら、佐倉さんがユウリにそう聞き返した。

ユウリ「――アタシ、そういうのやったことないんだけど……」

「わたしは、できなくはないけど……。正直、まだ耐久面とかに課題が……」

杏子「はぁ……。――ったく、しょうがねーな……。わかったよ、魔女退治の間もこいつの面倒はあたしが見る」

 あたしは簡単な結界くらいは張ることもできるし、と付け加えながら、佐倉さんは面倒臭そうに頭を掻いた。


ゆま「ゆまもついていっていいの!?」

杏子「あぁ。ただし、あたしらの言うことは聞けよ?」

ゆま「うん! わかった!」

 素直に頷くゆまちゃん。
 その表情は、どこか嬉しそうだ。

 ――そういえば、佐倉さんの方も、昨夜と比べるとゆまちゃんに対する接し方に若干トゲがなくなっているような気がする。
 昨夜から今までの間に、何かあったんだろうか?

『――佐倉さん』

杏子『? どうした?』

 気になってしまったわたしは、佐倉さんにテレパシーで聞いてみることにした。

『いや……。昨日の夜と比べると、ゆまちゃんに対する接し方に変化があるなと思って……』

杏子『あぁ、そういうことか……』

 佐倉さんは、軽く苦笑いを浮かべると、話を続けた。

杏子『――まぁ、そうだな……。このガキと一緒にいることも、悪くはないかなと少し思えるようになったってだけさ』

『――変なこと吹き込だり、教えたりしてないよね?』

杏子『変なこと?』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/07(火) 18:38:11.67 ID:ujEAmDnS0<> 『――盗みのやり方とか……』

 わたしは、そうテレパシーを送りながら佐倉さんに対してジト目を向ける。


 ――本心から言わせてもらうと、わたしは佐倉さんには一切の犯罪から足を洗ってほしいと思っている。
 だが、昨日彼女の境遇を少しばかり知ってしまったせいか、情状酌量の余地があるとも仕方がないとも思えてしまうのだ。
 ――もちろん、だからといって彼女の行いを全て正当化するつもりも、させるつもりもないが。

 ――そのようなわけだから、わたしは佐倉さんが自身と似たような境遇であるゆまちゃんに、間違った道を歩ませないようにしてほしいと願っているわけだ。

 おそらく、佐倉さんもゆまちゃんを自身の生き写しのようにしたくはないと思ってはいるだろう。
 ――だが、それはあくまでも『魔法少女』としての意味であって、『ただの人間』としての意味の生き写しとはイコールではないこともわかっているはずだ。
 だから、人間としてでもできる『佐倉さんなりの生き方』をゆまちゃんに教授している可能性はある。


杏子『そんなもんは教えちゃいないから安心しな』

『そ、そう? それなら――』

杏子『食い物盗む時に、店の店員や他の客の目を欺かせるための囮になってもらったりはしたけどな』

『教えてるじゃん!』

 ――『時既に遅し』とは、まさにこのことか。

杏子『しょうがねーじゃん、あたしらで面倒みることになっちまった以上、そうしないとこのガキだって生きてはいけないんだぞ?』

『そ、それは……』

 ――考えてみれば、確かにそうだった。

 この時わたしは、『やっぱり、ゆまちゃんのことは警察に任せるべきだった』と少しばかり後悔してしまった。
 今更遅いということもわかってはいたが――

ゆま「――おねえちゃん、どうしたの? 気分悪いの?」

「あ……?」

 気がつけば、ゆまちゃんがわたしに心配そうな顔をして声をかけてきた。

 ――今のわたしは、ゆまちゃんが気がついてしまうほど難しい顔をしていたのだろう。

「あ、あぁ……。大丈夫。大丈夫だよ、ゆまちゃん……。少し考え事をしていただけだから……」

ゆま「う〜……? そう?」

ユウリ「考え事?」

「うん……。ちょっと世の中難しいなぁって思っていただけ……」

ユウリ「はぁ?」

杏子「――とりあえず、行くならさっさと行こうぜ? 日が暮れちまう」

ユウリ「そうだね。行こうか」

「う、うん……」


 ――こうして、わたしたちは本日も魔女退治に向かうのであった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/07(火) 19:30:48.93 ID:ujEAmDnS0<> 〜街道〜


 自宅を出たわたしたち3人は、ゆまちゃんを連れて普段ユウリが魔女退治を行なっている彼女の管轄エリアへと向かって歩きはじめていた。

 既に太陽は西の空に沈み始めている。
 そろそろ魔女や使い魔が本格的に活動を開始する時間となるだろう。

杏子「――で? アンタ普段はどの辺りを調べているんだ?」

 ポケットから取り出したお菓子を食べあるきながら、佐倉さんがユウリに尋ねる。

ユウリ「昨日も言ったけど、アタシの家はあすなろ市とこの街の境――河川敷の辺りにあるんだ。だから、魔女退治の時は主にその周辺を調べてる」

杏子「河川敷か……。人気も少ねーから、魔女も結構巣食ってそうだな」

ユウリ「もちろん、住宅街も調べて回っているけどね。昨日真弓と出会った時みたいに――」

「言われてみれば、昨日魔女が出た場所は川からは少し距離があったね」

ユウリ「うん。アタシはキュゥべえから聞かされたくらいで会ったことはないんだけど……。アタシの住んでいるあすなろ市って結構魔法少女がいるらしいんだ」

杏子「そりゃあ、あんなデカい街だからな。魔法少女だって相当いるだろう」

「そういえば、わたしの住んでいる街だけでも、魔法少女は2桁は軽くいるんじゃないかって、キュゥべえ言っていたなぁ……」

ユウリ「そんなわけだから、アタシはあすなろ市よりも、この街の方を重点的に調べて回っているんだ。その方が、魔女や使い魔も見つけやすいし――」

 他の魔法少女と出会って余計なトラブルを起こすこともないしね、とユウリは付け加えた。

杏子「まぁ、その方が賢明だろうね」

ゆま「――魔法少女同士、仲良くできないの?」

杏子「さっきも言ったろ? 基本的に、みんな自分のことで精一杯なんだよ。魔法少女同士がグリーフシードの奪い合いを起こすことだって珍しくねーし……」

ユウリ「奪い合いか……。そんなことすれば余計魔力が無駄になると思うけどね……」

「――必死になりすぎてピリピリしちゃっているんじゃないかな?」

杏子「まっ。一番の理由はソレだろうね。あたしは今までそんなことに遭遇したことはねーけど、そんなバカがいたら返り討ちにしてやるさ」

 佐倉さんは不敵に笑うと、再びお菓子を食べ始めた。


ユウリ「――話を戻すけど、今日は河川敷を重点的に回って行こうと思う。昨日は住宅街を中心に回っていたからね」

杏子「あたしは異論はない。真弓は?」

「わたしもない。正直、あすなろ市方面の地理はわたしあまり詳しくはないから、ユウリにお願いするよ」

ゆま「ゆまもキョーコたちと一緒にいられるならどこでもいい」

杏子「バ〜カ。お前には最初から聞いちゃいないんだよ」

ゆま「う〜……。酷い……」

ユウリ「ハハ……。それじゃあ、今日は河川敷で決定ということで……。――急ごうか?」

「うん」

杏子「おう」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/07(火) 21:43:39.10 ID:ujEAmDnS0<> 〜河川敷〜


 ――それから10分ほど歩いたところで、わたしたちはあすなろ市との境である川にやってきた。

 わたしたちの住んでいる街は、目の前を流れるこの川があすなろ市、そして見滝原との境になっていたりする。
 一見わかりやすい地形構造をしているが、その反面、もしこの川が氾濫するようなことがあれば、まっさきに浸水被害に遭いかねない――そんな街だ。
 そのため、この川の堤防工事は、何十年も前から定期的に行われている。

ユウリ「この川の対岸があすなろ市」

 そう言いながら、ユウリが対岸の街並みを指差した。

 ――まだ日は沈みきってはいないが、川の向こう側ではあちこちから街灯やネオンの明かりが灯っているのが見て取れた。

杏子「さすが、デカい街だけあってこの時間でもかなり派手だな」

ゆま「うん。でも綺麗だね」

 あすなろ市の街並みを軽く見渡しながら、佐倉さんとゆまちゃんがそんな感想を漏らした。
 わたしも同感だ。

 ――まぁ、あすなろ市は、この辺りでも一番とも言えるほどの大都市だ。
 ショッピングセンターの他、デパートや繁華街、果てにはドーム球場まで存在する。
 わたしの住んでいる街や見滝原と比べたら、そもそも比べること自体が間違いなレベルだ。

 ――というより、あすなろ市や見滝原と隣接しているせいか、わたしの街は一般的にかなり印象が薄いような気がする。
 あくまでも、わたしの個人的な見解だが。


ユウリ「――アタシの管轄には当然あすなろ市も含まれている。だから、向こう側も魔女がいないかどうか調べることになるけど……。どちらから調べる?」

杏子「ん〜……? あたしはどっちからでもいいよ」

ゆま「ゆまもー」

ユウリ「どっちからってでもいいって……。そう言われると少し困るんだけどな……。――真弓はどちらから調べたい?」

 佐倉さんたちの返答に苦笑いを浮かべながら、ユウリがわたしに尋ねてきた。

「わたしは――」


 ◆選択肢

   1:「こちら側から調べたい」
   2:「あすなろ市側から調べたい」
   3:「いっそ二手に別れてみるっていうのはどうかな?」

       安価>>926-930 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/02/07(火) 21:47:32.55 ID:WDH/96gio<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage saga<>2012/02/07(火) 21:51:47.37 ID:1IqAJXF60<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/07(火) 22:06:28.03 ID:PwIgXULpo<> 1 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/07(火) 23:57:29.18 ID:ujEAmDnS0<> 「わたしは、こちら側から調べたいかな? 地理的にも、こっちはそれなりに歩き慣れている場所だし……」

ユウリ「わかった。じゃあ、こちら側から調べて、それから橋を渡ってあすなろ市側に行くってルートでいい?」

「うん。それでいい」

杏子「同じく」

ゆま「ゆまもー」

ユウリ「よ〜し。そうと決まれば、早速探索開始!」

 ユウリはそう言うと、自身のソウルジェムを指輪から本来の形である宝石に変える。

 わたしと佐倉さんも、それに続くように、ソウルジェムの形を変えた。

「でも、河川敷って日が暮れた後はほとんど人気がないけど、大体どの辺りに魔女って出るんだろう?」

ユウリ「アタシの前例では橋の下とか水門の辺りとかかな」

杏子「そうだな。その辺りで結界張って呪いばら撒いときゃ、目を付けられた奴が入水なり何なりで自殺し易いし」

「――酷い話だね……」

ユウリ「そうだね。――まぁ、それを防げるだけ防ぐためにアタシたちって存在がいるわけだけど……」

 そんな話をしながら、わたしたちは川沿いの道を歩き始めた。


 ――わたしたちのソウルジェムが魔力の反応をキャッチしたのは、それから10分ほど時間が経過した頃である。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 00:35:45.09 ID:Dxg+Hr5c0<> ◆ side change ◆


〜真弓たちの街・商店街〜


みやび「――ん? あれは、みなみじゃないか……」

 真弓たちが魔女探しを行なっていたのと同じ頃、商店街をぶらぶらと歩いていたみやびは、そこで偶然友人の姿を発見した。

 ――見たところ、みなみは何かを探しているように、キョロキョロと辺りを見回している。

みやび「…………」

 そんな友人の様子が少し気になったみやびは、みなみの視界に映るところまで近づくと、彼女に声をかけた。

みやび「みなみ」

みなみ「ふぇっ!? ――って、あれ? みやびちゃん?」

みやび「うむ。どうしたんだ? 田舎者みたいにキョロキョロしていたが――?」

みなみ「あ――。う、うん……。ちょっと、人探しを……ね?」

みやび「人探し?」

みなみ「そ、そうなんだ〜……。みやびちゃんこそ、こんな所で何していたの?」

みやび「いつも通り、コンビニで夕飯買ってきたところだ。ついでに、漫画も立ち読みしてきた」

 そう言いながら、手に持っていたコンビニのレジ袋を見せるみやび。

みなみ「――お父さんとお母さん、今日もまだ帰ってきていないの?」

みやび「まぁ、家ではそれが当たり前だからな」

 素直に頷きながら、そう口にしたみやびに対して、みなみは心配そうな顔をしてみせる。

みなみ「…………」

みやび「おいおい、そんな心配そうな顔をするな。ちゃんと食生活のバランスはある程度考えているぞ?」

 苦笑いを浮かべながら、みやびはケータイを取り出すと現在の時刻を確認する。

 ――時間は午後6時を過ぎたところであった。

みやび「――おっといかん。このままでは見たいアニメが始まってしまう。早く帰らねば……!」

 そう呟くと、みやびはしゅたっと音をたてるように右手を挙げると、自身が歩いて来た道を引き返そうと振り返る。

みやび「では、みなみ。みやびはこれで失礼する。もしかしたら、これが今生の別れになるかもしれないが――」

みなみ「何言ってるの、明日も学校でしょ?」

 普段通りな友人の様子に、みなみも苦笑いを浮かべた。

みやび「い、いや……。もしかしたら、明日は休むかもしれないし……」

みなみ「何度も言っているけどサボっちゃダメだよ? というより、明日も私が朝迎えに行くからね?」

 それまでにはちゃんと起きていてよ、とみなみは釘をさすように付け足した。

みやび「酷い奴だな、お前は。みやびを困らせて楽しいのか? このドSめ」

みなみ「困らせているんじゃなくて、心配してあげているの!」

みやび「善意の押し付けは相手にとっても善とは限らんのだが……。まぁ、いいや。それじゃ……」

みなみ「あ、うん……。また明日ね」

 完全に帰路についた友人の後ろ姿を、みなみはしばらくの間黙って見つめていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/08(水) 00:46:57.85 ID:IZo512Uyo<> 人探し?携帯を使わないあたり知り合いを探してたってわけではないってことかね
電源切ってるのかもしれないがww <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 01:21:30.10 ID:Dxg+Hr5c0<> みなみ「…………」

 ――そして、みやびの姿が完全に見えなくなったところで、再び口を開く。

みなみ「――みやびちゃん、本当に変わらないなぁ……」

 その声は、誰の耳にも届かない、本当に小さな声で呟かれたものだ。

みなみ「でも、あれがみやびちゃんにとっての『かけがえのない日常』なんだよね……」

 そう言いながら、みなみは一度右手を力強くぐっと握った。

みなみ「どんなに今が苦しくても、生きていれば必ず良いことがある……! みやびちゃんやみんなの『今』を護るためにも……!」

 そして、何かを決意した表情を浮かべながら、既に日が暮れ始めた空を見上げる。


みなみ「私が頑張らなきゃいけないんだよね、キュゥべえ……!?」


キュゥべえ『…………』

 ――そんなみなみの姿を、商店街の店の屋根の上からキュゥべえが黙って見つめていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/08(水) 01:27:18.76 ID:IZo512Uyo<> 魔女探してたってことか
みやびが消えたってのはなんだったのだろう?
時間差で放課後にみなみが契約した可能性もなくはないけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/02/08(水) 01:34:52.75 ID:DmBZ+YtHo<> みなみの契約はいつかが問題だな・・・ <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 02:34:06.84 ID:Dxg+Hr5c0<> ◆ side change ◆

〜河川敷・橋の下〜


ユウリ「――間違いない」

杏子「あぁ。ここに魔女か使い魔がいるな」

 ソウルジェムがキャッチした魔力の反応を頼りに、わたしたちは橋の下へとやって来た。

 現在、わたし、佐倉さん、ユウリがそれぞれ手にするソウルジェムは皆、今にも溢れ出しそうなほどの眩い光を放っている。
 これだけ輝いているということは、それだけ至近距離で魔力の反応があるということだ。

杏子「――行くぞ?」

「うん」

ユウリ「いつでも」

杏子「よし――!」

 佐倉さんの合図に、わたしたちが頷くと、佐倉さんは自身のソウルジェムを掲げた。
 そして、次の瞬間には光りに包まれ、魔法少女としての姿に変身する。

 わたしとユウリもその後を追うように、自らのソウルジェムを掲げ、それぞれ変身した。

ゆま「うわぁ〜……!」

 気がつくと、その様子をそばで見ていたゆまちゃんが、歓喜の声を漏らしながら瞳を輝かせていた。

 ――それもそうだろう。
 目の前で3人の魔法少女がほぼ同時に変身する光景など、普通はアニメの中の世界でしか拝めない光景なわけだし――

杏子「下がってろ」

ゆま「うん」

 ゆまちゃんが、佐倉さんに言われた通り後ろに下がり、わたしの背中に隠れるような位置に移動した。


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: : /: : : x个‐=ミ_,=、    ゝ-‐'       `   ´                        \\
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/_,...ィ ´       `ヽ、     ̄ ̄                                      \\


杏子「――そらよっ!」

 ゆまちゃんが下がったのを確認すると、佐倉さんは持っていた槍を前方――コンクリートでできた橋の太い柱へと放り投げた。
 投げられた槍は、柱の『大あすなろ連合参上! 夜露死苦!』などとスプレーで落書きされた部分にガキンと音をたてて突き刺さる。

 そして、槍が突き刺さった部分を中心に、わたしたちの周囲世界がすぐさま違う世界――『魔女の結界』に侵食された。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 03:38:44.90 ID:Dxg+Hr5c0<> 〜結界内部〜


ユウリ「――まるで『おもちゃ箱』だな」

「うん。確かに、これは『おもちゃ箱』だ」

 結界に侵入して早々、ユウリが呟いた言葉に、わたしも同意する。

 ――そう。その結界は、見るからに『おもちゃ箱』なデザインをしていた。
 色こそこれまでの結界同様、ややドドメ色染みていたが、わたしたちが立っている床や側面は花柄で模様付けれれており、おまけに、あちらこちらに積み木やらぬいぐるみやらボールやらが転がっていた。
 ――ただし、それら散乱ししているおもちゃたちは、そのほとんどが、わたしたちよりも一回りも二回りも大きいかった。

「魔女もおもちゃで遊んだりするのかな?」

杏子「ハッ。まさか」

ユウリ「いや、魔女によっては遊ぶ奴もいるんじゃないかな?」

ゆま「…………」

「――ゆまちゃん、大丈夫?」

ゆま「う、うん……! 大丈夫……!」

 先ほどとは打って変わって、ゆまちゃんの表情は緊張一色だった。
 ――いや、むしろ恐怖を紙一重のところで押さえ込んでいるといった感じだった。

 無理もない。
 ゆまちゃんはつい昨日、魔女の結界に迷い込み、目の前で両親を魔女に殺されたばかりなのだから。
 おそらく、別の魔女のものとはいえ、再び結界に足を踏み入れたことで、その時のトラウマが蘇ってきているのだろう。

「無理だけはしないでね? 気分とか悪くなったら、すぐに佐倉さんやわたしたちに言うんだよ?」

ゆま「うん、わかった……」

 わたしの言葉に、ゆまちゃんは素直に頷いてくれた。

 ――正直に言うと、わたしだって本当はまだ魔女退治には慣れていないためか、内心ではかなり怖がっている。
 だが、ゆまちゃんや他の魔法少女の手前、そんな簡単に弱音を言っていられないし、弱腰になるわけにもいかないので、必死に堪えているのだ。

 死ぬのは怖い。
 だが、目の前で助けられるはずの人が死んでいくのも同じくらい怖い――
 だから、自分だけ恐怖でただガタガタと震えているわけにもいかなかった。

 言ってしまえば、今のわたしの心境は、まさに王道的なヒーロー漫画の主人公のソレだった。


杏子「――おい、お出迎えだ」

「――!」

 佐倉さんの言葉に、わたしははっと我に返り、周囲を見回す。

 ――周囲に散乱している巨大なおもちゃたちの影から、使い魔たちがぞろぞろとその姿を現すところであった。

ゆま「カエル?」

「いや、ボジョボー人形の男の方じゃない?」

ユウリ「何それ?」

「グアムやサイパンのお土産。持っていると願いが叶う効果があるってことで一時期流行ってた」


 ――現れた使い魔は、ゆまちゃんが言った通り、カエルのような形の頭部をもった人型の使い魔だった。
 おまけに、頭部の大きさに反して身体は凄く小さいという異常なほどの頭でっかちで、かつ手足は頭の重さで折れるんじゃないかと心配したくなるほど細かった。
 さらに、頭部のみならず、身体全体が影のように真っ黒だった。
 わたしが『ボジョボー人形』と例えたのも、その手足の細さと全身真っ黒なところからだ。

 ちなみに、ボジョボー人形というのは、さっきわたしが言った通り、グアムやサイパンのお土産だ。
 実際は男と女を象った一対の小さな黒い人形で、その一対の人形の手足を様々な形に結ぶことで、金運アップや健康を願うという一種のお守りである。
<>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 04:17:39.57 ID:Dxg+Hr5c0<>       /:/  /: : : : ::::|:l: : ::::::::l: |   ヽ: i: : : : :::::i、: :i、:::::::::l: : : :::::::::i:::l:、:::::::::、ヽ::ヽ
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         |:i ヽ |:\: :ヽ  弋ニソ        / / / /:, r '´ r''´ノ::l : : l: | |:l
         |:i  ヽ|: :{ ゝ、ヽ / / l  ,          '   ,ヘイ: : : : l: : : l:| |:l
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         l::!   !:::|  ヽ、      ___       ,. イiヽ : : l:l: : : ::l: :l: :X
         l:.!    !::|   i`ゝ、      `   ,. '´ |: : :l: :`: :l:i: : : :l: :l : : :ヽ
             .!:|    ヽ: : |` T ,.-,r-_'´_,.r-'ニニ}: l: : : : :l: : : : :l: :ヽ: : ヽ
              !|     ヽ:.|  |:.iヽ| ,r,. r:.'´:::::::::::,:::!-i__: : : :|: : : : |: : ヽ: : :ヽ
                    ヾ|__,.L:::| !/::::::_:_:,.ノr―/ / ̄ ̄ ` ヽ: :.l: : : ヽ: : ヽ
                 , r ' ア/:\ヾ _,.=ニ-':::::::::::/ /       ヽ:l: : : : ヽ: : ヽ
                 /  //,.-,'ァ-、;ヽ、ヽ、:::::::::::::::| |        ヽ:i: : : ヽ: : :ヽ
                 | //:::( (, !じ'/,r-ソノ:::::::::::::::| |           ヽ: : : : ヽ: : :ヽ
                 | /::_::,.,ノ `,´:'´:::::::::::::::::::::::::::l |  _       ヽ : : : :ヽヽ: :ヽ
                レ::::::レ,.!.∧ヽソ::::::::::::::::::::::::::::i, | '´ -、     __`: : : : : :ヽヽ: :ヽ
               /:::::::::::::/ ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/lll ヽ   ,A  ,r '´  ヽ: : : : : ヽ ヽ: ヽ
               i:::::::::::::::o::::::::::::::::::::::::::::::::::::::////ヽヽ,/:i: :Y,  ,.r'  ̄ ヽ: : : : : :ヽ ヽ: :ヽ
               {::::::::::::::::::::::::::_:_:_:::::::::::::::////////ゝ,ノ:ヽi: :V´     ヽ: : ヽ: : :ヽ \: :\


杏子「――ざっと見た限り、30前後ってところか?」

 わたしたちの前に現れた使い魔たちを前に、佐倉さんが冷静にそう呟いた。

「使い魔がこれだけいるってことは、魔女の結界で間違いなさそうだね――」

ユウリ「どうする? 魔力を温存するために一点突破でいく?」

 武器であるガトリング注射器を構えながら、ユウリが佐倉さんに尋ねた。

杏子「そうしたいが、今回はガキのお守りもしなきゃならねーし……」

 そう答えながら、佐倉さんはチラリとゆまちゃんを見た。

杏子「――倒せる奴は根こそぎぶっ倒して進んでいくぞ。前衛はあたしがやるから、お前らは後衛で援護しろ」

ユウリ「わかった」

「了解!」

 佐倉さんの指示に答えるのと同時に、わたしはバッと両手を広げ、大量のカードを召喚した。
 召喚されたカードのほとんどは、ゆまちゃんの周囲に移動し、ゆまちゃんを護るように彼女の周囲に浮かび留まる。

ゆま「おねえちゃん、これは?」

「気休めだけど、それがゆまちゃんの周囲にある限りは使い魔の攻撃はある程度問題ないと思う」

 ――それは、昨日と一昨日の戦いからわたしなりに考えた、言ってしまえば簡易的な結界だった。

 魔女の結界のにいる使い魔ならば、わたしのカードでも難なく撃退できることは昨日の戦いで確認済みだ。
 そのため、こうしてカードをゆまちゃんの周囲に浮かばせておけば、彼女を狙い近づいた使い魔は勝手にカードに引っかかって自滅していく――という寸法である。

 また、仮に使い魔が中遠距離からの攻撃手段――要は飛び道具だ――を持っていたとしても、ある程度はカードに込められた魔力で防げるはずだ。
 これは、一昨日の使い魔との戦いの時や、昨日の結界探索の時にカードで網や壁を作った時の結果からの憶測である。

「――でも、あまりあちこち動きまわっちゃ駄目だよ? わたしや佐倉さんの後ろをついてくるようにしてね?」

ゆま「うん、わかった。ありがとう、おねえちゃん」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 05:42:53.26 ID:Dxg+Hr5c0<> 杏子「――さっき言っていたアンタの結界かい?」

「うん。あくまでも即席で編み出した気休め程度のものだけど……」

杏子「いや、何も無いよりは遥かにマシさ。――お前ら、準備はいいな?」

「任せて!」

ユウリ「こっちはいつでも……!」

杏子「よし……! そんじゃ、行くぞぉ!」

 ――そう叫ぶと同時に、佐倉さんは槍を手に前方の使い魔の群れに真正面から飛び込んでいった。
 わたしとユウリは、そんな佐倉さんを援護するために、それぞれの武器であるカードとガトリング注射器を使い魔の群れに向けて放っていく。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 05:50:13.82 ID:Dxg+Hr5c0<>                         __   ,.ィへ __ __ . <
     /⌒Y〉     /Y^r 、     /⌒i.トv//ハ Y         ̄   ̄      メ.
.    /  /片 ̄ ̄ ̄|   〈 ̄ ̄(_)  / | |// ノ ノ             二ニ=   > '      !
    /  /メメ ̄ ̄ ̄j/⌒〈 ̄ ̄  /  } レ'´⌒リト、 __ ___ .. 二ニ==-- ─  <  __  ___ ノ
< \/  /´ ´     ⌒V´  〉'´  ̄ ̄ \ ノ/ >. へ                         <
l\/  /          ∨´/ . > --‐‐'^<     \ 二ニ==-- ─ -== -- ─ < ´  ̄  ̄ `ヽ
l}/  /、 \          〈.∨/  . '      `ヽ   ./⌒                   \ \
l/  /. \ \      j/   /       }   \/ __ ..  -- 二ニ==-- ─ < `ヽ   ∨ )⌒ヽ
}__ /    \ \    /^\ /´`ヽ/⌒\へ  ノ  ヽ        __  ..  __     \ } ノ イ\  ∧
_.ノ        \ )   /  /           ∨ .' ハー == '  ´        ̄ `ヾ  )'´    ∨__.〉
        r=≧Xy/       ∧    iト、   ∨ リ ! !  _ . イ´⌒ ヽ  ̄ `ヽ ノノル イ´ ____j {
       /⌒Yイjメi|   // //  ト、  i !.ハ   ∨/ リ ̄ `ヽ)  ̄ `ヽノ    }  _ル' ´ !__j  _ j /`ヽ
.      /  /´`´ ! // / \ ルハ  !ハハハ   l| Y    メ、   ノ      レ'´  )__ ノ  ノ ⌒Y  /  ./   / ヽ
      /  /     .从./ /「 iト、   | .リ ≦「ハ   |ノ  >< ハ    ___/ )  )く  /ィくノ     |ト/  /  /  /
.     /  /       人ルハ 以!   レ ´t必! ∨リ  /   ` ̄ //   ` < ._/_ 〉   ノ/  / /  /
    /  /          \  ' __.._rァ . ィ´|ル' /         / /         /  _ /´ ̄ /  . '/  /
.   /  /             `  ー <\レ1|  \ ____| |         / / /  //   /  /____ _
   /  /                       \`ー‐‐ ´ ∧ \ レ'⌒ > 、 / / / .// . __ .. ‐- .__  __ __ _ __ノ
.  /  /                               _/  `ー .>ノヒイ⌒ Y ム / / / /           __ ノ
´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ )┬;                  / {     / `ヽ|  / |ハ \ / /    ⌒ーr‐ ´   /
       , <フメメ                 「 人 ___メ     L._/  レ⌒.く. /    ノ__ ∠⌒>--<
` < て´「入ノ⌒´                     |´ ̄ |  (       `ー┘   ∨   /
    ` <                      / 十 レ'´                /   /
       ` <                 / ー‐ /                  /   /
           ` <               /    /   X入ァ'⌒ \      く __ ノ
                ` <           |   /  / _X 〈     \


杏子「そぉらよっと!」

「!?」

 佐倉さんが使い魔の群れに対して、槍を振るったその時、彼女が手にしていた槍に変化が生じた。
 ――長い柄の部分が複数に分割し、その分割面から分割した柄同士を繋ぐ赤い鎖が姿を現したのである。
 これによって佐倉さんの槍は、結果的に普段の数倍以上の長さまで伸長した。

 そんな伸長した槍の一振りによって、いきなり複数の使い魔が真っ二つにされたり、吹っ飛ばされていった。


 ――多節棍。
 不意に、そんな言葉が脳裏をよぎった。


 多節棍とは、複数の棍棒を紐や鎖で一直線状に繋いだ武器のことだ。
 ブルース・リーの映画などで知られるヌンチャクや、某闘将スーパーロボットが使う三節棍も、この武器の一種である。
 『複数の関節部分を持つ』という特性を利用して、振り回して敵を攻撃する武器であるが、扱いが非常に難しいため、『素人が扱うと自分がケガをする武器』としても知られている。

 ――そんな多節棍には、関節部を接合することによって1本の棒として使用できるものも存在する。
 これは、インターネットのサイトの記述を読んだことで知ったことであったが――

「まさか、それをこんなところで見ることになるなんて……」

 わたしは、思わずそう呟いてしまった。


ユウリ「真弓、何ボーッとしてんの!?」

「あっ!? ご、ゴメン!」

 隣で使い魔の群れに対してガトリング注射器をぶっ放しているユウリの言葉に我に返ったわたしは、すぐさま新しいカードを大量に召喚していく。
 そして、それらを召喚次第、次々と目の前の使い魔たちに向けて放っていった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/08(水) 05:54:24.03 ID:Dxg+Hr5c0<> 一旦ここで休憩します
続きは12:00以降を予定しております

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております


>>916さんの夢の中に出てきたみずきがどんな姿だったのか非常に気になるw
髪の色とか髪型とか服装とか……w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/02/08(水) 06:59:53.13 ID:S2nGaVuIo<> 乙です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/08(水) 07:38:21.77 ID:IZo512Uyo<> 乙
杏子やユウリの話を見るに普段の結界戦では魔女最優先、使い魔最低限のスタイルか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/02/09(木) 11:22:30.42 ID:BKQCpjODO<> しかしこの3人、能力的には結構バランスとれたパーティだな

あんこ 前衛(近〜中距離)
ユウリ 後衛(中〜遠距離)、回復持ち
真弓 万能(近距離〜遠距離)

このパーティにマミさんみたいな戦闘指揮能力もある人が加われば、大抵の魔女には勝てそうな気がする
魔法少女の真実知ったら一気に内部崩壊しそうな危険も孕むが……w <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/09(木) 11:27:52.77 ID:hGmeq8oso<> 普通の魔女ならユウリか杏子一人でも行けるだろうし
足手まといがいても安心感がもてるな
いつの12時かは明記してないけど今日は投下あるのか気になるところだ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/10(金) 23:23:27.46 ID:nhjQK0hE0<> どうも>>1です
予定よりもかなり遅れてしまいましたが、本編を再開させていただきます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/10(金) 23:47:22.01 ID:z0l7KY3do<> 再開ktkr <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/11(土) 01:15:40.69 ID:rR0xW9qP0<> 〜結界最深部〜


杏子「着いたな」

「意外と早く到達できたね。使い魔も目の前に現れた奴らはほとんど相手にしてきたのに……」

ユウリ「まぁ、こっちは魔法少女が3人もいるしね」

 結界内に侵入して数十分ほど経過したところで、わたしたちは結界の最深部へと到達した。

 ユウリが言った通り、今回は初の3人チームでの魔女退治ということもあり、ここまでは順調かつスムーズに進むことができた。
 ソウルジェムの濁りも、ある程度生じてはいるが、昨日の回復前ほど濁ってはいない。
 それも、ここまで現れた使い魔はほぼ全て打ち倒してきたというのにだ。

「ゆまちゃんも、大丈夫?」

ゆま「うん。怪我ひとつしてないよ。おねえちゃんたちが護ってくれていたからね」

杏子「だからって調子にのんじゃねーぞ? ここからが本番なんだ」

 ――そして、ゆまちゃんも今のところ怪我などもなくわたしたちについてきている。
 ゆまちゃんの周囲に張っている、わたしのカードによる即席の『結界』も思いのほか上手く機能してくれているようだ。

ユウリ「杏子の言う通りだ。ある程度の怪我はアタシが治してあげられるけど、ゆまちゃんはここから先も今まで通りアタシたちの後ろにいなよ?」

ゆま「わかった」

杏子「――さて、どうやらお喋りはここまでみたいだぞ?」

 ゆまちゃんがユウリに対して頷いたのとほぼ同時に、結界の奥を見据えていた佐倉さんがそう呟いた。

ゆま「ッ!?」

「――!」

ユウリ「本命のご登場だ――」

 わたしとユウリは、ゆまちゃんをさっと自分たちの背後へと下げさせた。
 同時に、これまで消費した『結界』のカードを補充しておくことも忘れない。


 ――結界の奥深く、薄暗い闇の中から魔女がゆっくりとその姿を現した。


 言ってしまえば、今回の魔女は人型をしていた。
 ――いや、『人型』と言うより、むしろ『人形』だった。

 二本足で直立し、着ているシャツの袖の部分は左右とも腕が存在せず、ぶらぶらと力なく垂れ下がっている。
 そして、使い魔同様の頭でっかちで、その頭部は頭巾を纏った黒く濁っている巨大な水晶玉だった。

 ――また、よく見ると下半身にスカートを履いており、一応『女』であることをわたしたちに対してアピールしていた。


「――それで、どう戦う?」

 相手の出方を伺うように周囲にカードを召喚し身構えながら、わたしは佐倉さんに尋ねた。

杏子「向こうの出方がわからねーとはいえ、守りに徹するっていうのはあたしの趣味じゃない」

「じゃあ――」

杏子「先手必勝!」

 佐倉さんはそう叫ぶと、先ほどの使い魔の群れの時と同様、真正面から魔女に向かって突っ込んでいった。

「なっ――!? 佐倉さん、いくら何でも、それは無茶――」

ユウリ「いや、あれは何も考えずに突っ込んでいったわけじゃない」

「えっ?」

 わたしは佐倉さんを援護しようとカードを魔女に向かって飛ばそうとしたが、それよりも先にユウリに制止された。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/11(土) 01:53:43.02 ID:rR0xW9qP0<> 魔女『――――』

「――!?」

 ユウリに制止されたのとほぼ同時に、魔女が動き出した。
 ――空っぽだったはずの袖の中から、巨大な『手』がいきなり飛び出したのだ。
 そして、飛び出した2つの手は、魔女に迫っていた佐倉さんを握り潰さんと、まっすぐ彼女の方に向かって飛んでいく――

ゆま「危な――」

杏子「しゃらくせぇ!」


             ___
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        ィ─': >. 、 : : : :ヽ: : : _彡 ' : : :ハ.、∨: :i: ヾ :∧
        ._ヽ: : : : : : \: : : : :ヽ: : : : : : : : : :!ヽ ∨ ト : : ト: i
      /// ヽ : : : : ト jヽ: : : ヾ、: : __: : : : :i: ハ: !トj: ト: :i l:|
     / .//: :「: \: :トj  /.、: : i .ヽ' ヽ: : :/: : :i:|| : ハ: :! ij
    /  ,.,イ: : :| : ヽ! i ./.r',ア,: : :|  〉ノ,i: :/: : : :|:!i:./: |:,'  __
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   ,. . ' ,=ニ- ': : ; -,-' .': : : : ; : < ; - ' `ヽヽ///////∧//////////,.ヘ
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' ,  ' ,' . .': : : : : : : ;>_, ─ゥ ': : ,イ      ヽ∨.,/////ハ////////,ヽ、/\>   <
,'., <: : : : : : : :>.'    /: :/ ,     ──.ヽi//////////////////ヽ、/ヽ.<
: : : : : : : :>'       /: :/.  ,     , '丁`ヽ!////////////////////>/ヽ┐
; ,': : :/        ./:/   ./     /  ゝ//ヽ/////////////////////,/,.ゝヽ`
./: :/.         ,/    ハ、   /    ` ─ヽ、////////////////,.',////` ̄
:./          (     ,  ヽ--./  _   >   >  、///_/////,//////////
'                .,    /v--' <  ><    .フ  ` ヽ,__∠───,'///
                 i   / `i:::::`Lっ     _  .(      .Y///////////
                 ゝ----‐┘::/    ./ ヽヽ _)      ゝ _, ─‐‐ 、
              >   <`─.'      /   , - `─ '  ̄ ̄ ̄ ` ヾ  ヽ! >-


 ――ゆまちゃんが「危ない!」と叫ぶよりも早く、佐倉さんは動いていた。

 佐倉さんは、持っていた槍の矛先を地面に叩きつけると、その反動で大きく飛び上がる。
 そして、それによって自身を握りつぶそうとしていた巨大な2つの手をあっさりとかわしてしまった。

ユウリ「杏子は、ただ闇雲に突っ込んだわけじゃない。相手に手の内をさらけ出させるために、あえて真正面から向かったんだ」

 わたしとゆまちゃんに説明するようにユウリは冷静な口調でそう言った。

 ――確かに、今の場合、わたしが魔女だったら迎撃するなり回避するなり何らかの行動を起こさねばならなかった。
 そうしなければ、佐倉さんの槍に貫かれるか、たたっ斬られるかのどちらかであっさりと勝負がついてしまうからだ。
 そして、今回の相手は見かけだけでは足しか無かったため、自然と『防御』の選択肢は存在しなくなる。
 おまけに、佐倉さんは真正面から猛スピードで魔女に突っ込んでいた。『回避』の選択をしていた場合、おそらくただでは済まなかっただろう。
 ――つまり、魔女がとれる選択肢は最初から『迎撃』だけしか存在しなかったということだ。
 これによって、魔女は本来なら最後の最後まで残しておきたかったであろう『手』を初っ端から出さざるを得なくなった。

 ――うん。『攻撃は最大の防御』とは言ったものだ。

 わたしは、瞬時にその作戦を思いついた佐倉さんと、佐倉さんの考えにすぐさま気付いたユウリにほんの一瞬だけ尊敬の眼差しを向けた。
 ――わたしも、魔女と戦っていけば彼女たちのような戦士になれるのであろうか? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/11(土) 02:26:53.80 ID:rR0xW9qP0<> 杏子「手の内さえわかっちまえば、こっちのもんさ!」

 空中でそう叫びながら、佐倉さんは槍の柄を先ほどのように多節棍へと変える。

 ――そして、それを巧みに操り、今は自身の真下に存在していた魔女の手を2つとも槍で真っ二つに両断した。


ゆま「すごい……!」

 背後からゆまちゃんのそんな声が聞こえた。


 佐倉さんが床に着地するのと同時に、魔女は後方へとばっと飛び退く。
 ――どうやら、逃げるつもりらしい。

杏子「――逃がすかバカ」

 槍の柄を多節棍から元の1本の長い棒に戻しながら、佐倉さんがそう口にした。

 そして――

杏子「ふんッ――!」

魔女『!?!?!?』

 ――佐倉さんは持っていた槍を、そのまま逃げる魔女に向かって思いっきり放り投げた。


 佐倉さんが放った槍は、まっすぐ魔女に吸い込まれていき、次の瞬間にはその胴体を貫通し風穴をぶち開けていた。


 ――風穴を開けられた魔女の肉体がバラバラと崩壊していく。


 魔女をこうもあっさりと倒してしまうなんて――

 わたしは、出会って4日目にして佐倉さんの魔法少女としての実力の片鱗を垣間見た気がした。


 ――ビュン!


「え……?」


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杏子「――!」

ユウリ「なっ――!?」

 ――わたしの横を『何か』が物凄いスピードで通りすぎるき気配がした。

 同時に、先ほどまで背を向けていた佐倉さんが、若干驚いたような表情をしながら背後――わたしの方へと振り返った。
 ――しかし、佐倉さんのその瞳は、わたしではなく、わたしの後方を捉えていた。

 隣からは、ユウリが驚愕の声をあげているのが聞こえる。

 ――わたしも、佐倉さんにつられるように、背後へと目を向けた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 02:44:19.30 ID:GsTi0CUko<> 杏子は自信満々だなぁ
俺ならユウリ使ってひたすら遠距離攻撃だな
ってゆま逝ったか? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/11(土) 03:06:10.05 ID:rR0xW9qP0<> 「――!?」

 わたしが目を向けると、そこにはつい今しがた佐倉さんによって倒されたはずの魔女――その頭である頭巾をかぶった巨大な黒い水晶玉の姿があった。

 おまけに、水晶玉からは数本のカギ爪のようなものが伸びており、今まさにソレで目の前の標的――ゆまちゃんに襲いかかろうとしていた。


ゆま「あ――」

「ゆまちゃん!」

 ――ゆまちゃんの周囲に張っていた『結界』だけでは、魔女の攻撃を防ぎ切れるという保証はない。
 わたしは考えるよりも早く行動に出ていた。

 わたしは――


 ◆選択肢

   1:召喚していたカードを全て魔女にぶつけた
   2:召喚していたカードを全てゆまちゃんと魔女の間に飛ばして壁にした
   3:ゆまちゃんを突き飛ばし、自身が身代わりになった

       安価>>952-956 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)<>sage<>2012/02/11(土) 03:09:41.71 ID:u1aKY/Kyo<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 03:22:00.80 ID:aK0uPfUro<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 03:36:24.57 ID:QmI/p3pCo<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 04:01:34.74 ID:nDWk+yeM0<> 攻撃は最大の防御
1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)<>sage<>2012/02/11(土) 05:48:56.35 ID:6MZHSvalo<> 3 <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/11(土) 06:12:24.38 ID:rR0xW9qP0<>  ◆選択肢(最終決定)

   1:召喚していたカードを全てゆまちゃんと魔女の間に飛ばして壁にした
   2:ゆまちゃんを突き飛ばし、自身が身代わりになった

       安価>>958-962 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 06:44:21.13 ID:GsTi0CUko<> 1で

もう片方はゆま契約フラグかねぇ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 07:24:38.96 ID:QmI/p3pCo<> 1でおにゃーしゃー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 07:57:07.16 ID:nDWk+yeM0<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 10:47:26.26 ID:aK0uPfUro<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 13:44:22.55 ID:qNwwEQjPo<> 1 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/11(土) 18:18:45.46 ID:GsTi0CUko<> もう1で決定しちゃったけど危険を承知で庇っても良かったかもなぁ
真弓の能力が魔女にも作用するか気になる
それにしても真弓は多節棍とかわざわざ調べてるあたり格オタなのだろうかww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/02/13(月) 16:50:43.22 ID:dEMb5Nh2o<> ゆま死亡からの絶望フラグにしか見えない <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/15(水) 21:14:18.31 ID:44aopMT50<> どうも>>1です
ここ数日何の報告も音沙汰もなくてすいませんでした
明日の深夜には本編を再開しようと思いますので、それまでもうしばらくの間お待ちください <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 02:25:37.47 ID:9VToahqxo<> 明日再開把握
期待してます <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 22:06:49.16 ID:e3aBFi+SO<> あえての2 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/17(金) 22:55:27.25 ID:60HelWqd0<> 大変お待たせいたしました
再開致します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 22:56:35.03 ID:afy2fHXFo<> 支援 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/17(金) 22:57:03.65 ID:lZL1g0Jro<> 再開きたか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/17(金) 23:49:05.18 ID:60HelWqd0<> 「――ッ!」

 わたしは、召喚していたカードを全てゆまちゃんと魔女の間に飛ばして壁にした。

 わたしの周囲に召喚していたカードも、ゆまちゃんの周囲に待機させていたカードも――文字通り『全て』だ。


 壁ができあがった瞬間、魔女が壁と衝突する。


 ――バジッ!


魔女『!?』

 弾ける魔力のスパーク。
 それにより、ほんの一瞬だけ魔女が怯む。

 しかし、同時に光の量子となって端から徐々に消滅していく。
 もともと即興で作った代物だ。最初から耐久力など期待していない。

 それに、ほんの一瞬でも魔女の動きを封じることができたのだから十分だった。

ユウリ「そこっ!」

 隣にいたユウリが、魔女に向かって注射器を放った。
 注射器から放たれた魔力の光は、魔女にまっすぐ伸びていき、やがて魔女に直撃する。

 これによって魔女は完全に軌道をずらされ、そのカギ爪がゆまちゃんを捉えることはなくなった。


 ――だが、これでこちらの攻撃が終わったわけではない。


杏子「くたばれ!」

 再度その手に槍を召喚した佐倉さんが、魔女に飛びかかった。

 ユウリから攻撃を受けたばかりで、体勢を整え切れていない魔女に、佐倉さんを止める術はない。


 ――次の瞬間には、佐倉さんの槍が深々と魔女に突き刺さり、魔女は前身にヒビをはしらせた後、バラバラに砕け散った。


ゆま「…………」

「ゆまちゃん!」

ユウリ「ゆま!」

 魔女が砕け散っていく様子を呆然と見つめていたゆまちゃんに、わたしとユウリは慌てて駆け寄った。

 結界が消滅したのも、それとほぼ同時だった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/18(土) 00:18:34.54 ID:8UvB5vTy0<> 〜河川敷・橋の下〜

「ゆまちゃん、大丈夫?」

ゆま「う、うん……」

ユウリ「どこも怪我はない? 多少の怪我ならアタシが治してあげられるけど……」

 そう言いながら、ユウリがゆまちゃんがどこか怪我をしていないか、調べていく。

ユウリ「――ん?」

 そして、ある一点――ゆまちゃんのやや伸ばされた前髪の辺りに目をやった瞬間、ユウリの動きがピタリと止まった。

「? ユウリ、どうし――」

杏子「おい、そのガキは大丈夫か?」

「あ。佐倉さん……」

 わたしがユウリに声をかけようとしたところで、佐倉さんもこちらにやって来た。
 佐倉さんのその手には、今倒した魔女が落としたのであろうグリーフシードがあった。

ユウリ「あぁ、ちょうどいいところで来てくれたね、杏子。真弓も――ちょっと、これを見てくれない?」

杏子「あん?」

「?」

ゆま「…………」

ユウリ「ゆま、ちょっとゴメン――」

 ユウリはそう言うと、ゆまちゃんの前髪をそっと掻き上げた。

 ――あらわになるゆまちゃんの額。
 そこには――

「! これって……」

杏子「――魔女にやられた傷……じゃないな」


 ――ゆまちゃんの額。
 そこには、いくつもの傷跡が残されていた。

 それは、いわゆる擦り傷や、刃物による切り傷などでもなく――


「――火傷の跡?」

ユウリ「うん。おまけに、それがいくつもある。たぶんこれは――」

杏子「タバコか?」

ユウリ「…………」

 ――黙って頷くユウリ。
 同時に、ゆまちゃんの前髪を掻き上げていた手を放す。

「――佐倉さんは今まで気が付かなかったの?」

杏子「あぁ。別に気にしてなかったし……」

ユウリ「そう……」

ゆま「…………」

「――ねぇ、ゆまちゃん」

ゆま「…………」

 わたしが声をかけると、ゆまちゃんは「話したくない」と言わんばかりに、わたしから目をそらした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 00:44:46.23 ID:z+vALKlyo<> 死の恐怖の片鱗を味わったしこれでゆまも契約は諦めたか? <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/18(土) 03:03:05.03 ID:8UvB5vTy0<> 杏子「――別に、話したくなけりゃ、こっちだって無理してまで聞きはしないよ?」

ゆま「…………」

「…………」

ユウリ「…………」


 ――誰もが口を閉じてしまい、沈黙が場を支配する。


ゆま「――ゆまは……」


 ――しかし、ゆまちゃんが口を開いたことで、静寂はあっさりと破られた。


ゆま「ゆまはね、ほんとはパパもママも好きじゃなかった」

ユウリ「――そう……」

「…………」

ゆま「パパとママはケンカばっかりしてた。パパは家にぜんぜん帰ってこないし、ママはゆまにいじわるする」

杏子「…………」

ゆま「ママは、パパが帰ってこないのも、遊んでばっかりいるのも、ゆまがかわいくないせいだってすごくいじわるして――」

「わかった……。もういい、もういいよ、ゆまちゃん……」

 わたしは、ゆまちゃんが語る真実の生々しさに耐えられなくなり、彼女を制止してしまった。


 ――腹を痛めてまで産んだ我が子を虐待する母親は年々増えていると聞いたことはあったが、まさかこんな身近なところにそんな親がいたとは思わなかった。

 ――そして、それと同時に、『ゆまちゃんは親を魔女に殺されてよかったんじゃないか』などと少しばかり考えてしまった。
 魔法少女であるわたしは、魔女という存在を否定し、人間を守らなければならないはずなのに――

 そんなことを考えてしまうあたり、やっぱりわたしは『正義の味方』にはなれない人間なのだろう。


杏子「世知辛い世の中だねぇ……」

 佐倉さんがそう言いながら、魔法少女の変身を解いた。

 ――そういえば、魔女の結界は既に消滅したのに、変身したままだった。
 すぐさま、わたしとユウリも変身を解き、変身前の制服姿に戻る。


: : : : : : : : : : : : : /: : |: : :ヽ: : : :\/: :/: : : ;イ: / i: :/ |: : : |: : ||
: : : /: : : : : : : : /: : : | : : : :ヽ: : : /: /: : : :/ |:/  | / |: : :|': : :!|
: : /: : : : : : : : /{: : : |:|:|: : : /⌒|:,' ,' : : / |'  乂  |: :/|: : ,'||
: /: : : : : : : : /Y : : |:|:|: : :| '⌒|{ !: : /   √气\}/ |: / リ
/: : : : : : : : /| ヾ: : : |:从'`\ 〔| |: /     //` /  }/
: : /: : : : : : : |  \:从'    `ーヘ |::|      〈/  (   ノ
: /.: : : : :/: : :|    〉          !:{    ハ、、    ,
/: : : : : ,i ̄`ー‐‐'メ、           ヾ、       r'
: /: :/: :||       `ヽ 、    \      〜,‐'
/ : /∠||>―――――-、 \  / \  /
,': /  }|          \ ∨    `
: :i   |/´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\》、\


杏子「――まぁ、親に裏切られる気持ちならわからなくもないよ。あたしも似たようなものだからさ……」

「えっ――!?」

ゆま「?」

 佐倉さんの口から零れたその言葉に、わたしは思わず反応してしまった。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/18(土) 03:28:34.93 ID:8UvB5vTy0<> 「佐倉さん、それってどういうこと? わたしは、てっきり佐倉さんも魔女に家族を殺されたのかと――」

杏子「――『魔女に殺された』か……」

 佐倉さんはそう呟くと、フッと笑った。
 ――何故かわたしには、その笑みがわたしに対するものではなく、自分自身に対する自嘲のように見えた。

杏子「――まっ。あたしの昔のことはいずれ教えてやるよ」

「『いずれ』っていつ?」

杏子「さぁな。あたしかアンタがくたばらずに生きていて、あたしがその気になったらだ」

ゆま「…………」

ユウリ「――ん? ゆま、どうかしたの?」

ゆま「――キョーコは強いんだね……」

杏子「は? あたしは別に強くなんてねーよ。こういう生き方以外やることがないからこうしていて、それで運良く今まで生きてこれているだけさ」

ゆま「でも、ゆまなんかよりもぜんぜん強いよ……」

 そう言いながら、ゆまちゃんが佐倉さんのことをじっと見つめる。

ゆま「教えて。どうしてキョーコは強いの? 魔法少女だから? もしそうなら、ゆまも魔法少女になれば強くなれるの?」

ユウリ「ゆ、ゆま――?」

 ――何だろう。ゆまちゃんの様子が少しおかしい。
 先ほどの魔女との戦いで、昨日のトラウマが再燃してしまったのだろうか?

「ゆまちゃん、急にどうしたの? 少し様子が変だよ?」

杏子「真弓の言う通りだ。いきなりゴチャゴチャと――どうしちまったんだ一体?」

ゆま「う……」

 わたしと佐倉さんに詰め寄られたことで一瞬たじろぐゆまちゃん。
 しかし、すぐさま再び語り始める。

ゆま「ゆまは強くなりたい! キョーコみたいに、1人でも生きていける――誰にもいじめられない強さがほしいの!」

杏子「――は?」

ユウリ「えっ?」

「――――」


 ◆選択肢

   1:「誰もゆまちゃんのことをいじめなんかしないよ?」
   2:「どうして急にそう思ったの?」
   3:「それなら、まずはゆまちゃんが自らの力で行動を起こさなきゃ駄目じゃないかな?」

       安価>>976-980 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 03:41:46.41 ID:z+vALKlyo<> 3で

1は実際に虐められてた以上は説得力がないか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage saga<>2012/02/18(土) 03:49:17.67 ID:Q1MZjLYc0<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 05:05:05.75 ID:XCD8RYJko<> 2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 08:41:37.20 ID:EVKG178l0<> 「どうして」では相手の賛同を得られないと思うが
魔法少女になることは根本的解決にならないと思うので
3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/02/18(土) 10:02:18.13 ID:rlDZ6VBAO<> 3 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/18(土) 10:04:17.06 ID:CD9Y6z+Qo<> 難しい選択……
まずは訳を聞くべきか……
2 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/02/18(土) 15:34:18.84 ID:xDXLwWsAO<> 3かな <> ◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/18(土) 18:07:52.46 ID:8UvB5vTy0<> 「それなら、まずはゆまちゃんが自らの力で行動を起こさなきゃ駄目じゃないかな?」

ゆま「えっ?」

「だって、今ゆまちゃんが言った『強さ』って、わたしたちが今聞いた限りじゃ、実際どういうものなのかはっきりしていないじゃない?」

ユウリ「確かに……。『1人でも生きていける強さ』と『誰にもいじめられなくなる強さ』は似ているようでぜんぜん違う」

「何で強くなりたいのか――それをゆまちゃん自身がはっきりと結論づけなきゃ、強くなりたい以前に何も始まらないとわたしは思うけどな?」

杏子「そーだな。アンタはまだガキなんだから無理に思いつめることなんかねーんだ、一度自分の頭の中整理してじっくり考えればいい」

 時間はまだまだあるんだからな、と言って、佐倉さんはゆまちゃんの頭の上にポンと手を置いた。


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!: :/: VI:/l:.:.jVI{:.l:.:/: : : : : : : : : : :',          ヽ//l//O{/////
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ゆま「…………」

「まぁ、ゆまちゃんにはまだ難しすぎる話かもしれないけど……」

ゆま「う、ううん……。そんなことないよ」

 苦笑いを浮かべたわたしに対して、ゆまちゃんがブンブンと首を振った。

ゆま「おねえちゃんたちに言われた通り、ゆま一度ちゃんと考えてみるね。どうして強くなりたいのか……。その本当の理由を探してみる」

「うむ。素直でよろしい」

 わたしはニッと笑うと、ゆまちゃんの頭を軽く撫でた。


杏子「――ところで、コイツの配分はどうする?」

ユウリ「ん?」

「あ……」

 佐倉さんがわたしとユウリの前に突き出したのは、先ほど倒した魔女が落としたグリーフシードだった。

 ――そういえば、事前に魔女を倒してグリーフシードを手に入れた場合、どうするかを考えていなかったことを思い出す。

「そういえば、どうするか考えていなかったね……」

ユウリ「戦って倒したのは杏子なんだから、今回は杏子が使えばいいんじゃない?」

杏子「そりゃあ、あたしだって本当はそうしたいけどさ……」

 ばつが悪そうにそう言いながら、佐倉さんはチラリとゆまちゃんの方を見る。 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/18(土) 18:25:58.99 ID:8UvB5vTy0<>        _        ,..、             ,......._
       `ヽ: :`ヽ、__ ,..-、!: : :`ヽ、: ̄:`ヽ ,..-<: : ̄: /
          __,>:/  /: : :.|: : : : : : : : : : : :∨  }: :、_: : `ヽ、
      /: :,: : :{__, ': : : : :,ハ: : : : : ト、: ∨: : :∨_ノ: : :、`丶: : \
      ´ /: : : : /: /: : : /_、: 、: :.!,.r、-l、: : l:.∨: : : : ヽ`\
        /: : :/: :./:イ: : :イ!,.....、\:、:.!,ィ- 、!',: :.!、:∨: ',、: : ',
      ,: ://: : :{//!: : :/リト_刈  `ヽト_刈 l: :|: \!: :} \:.!
      /´  {: / l:ハ!〉: :{:!. ∨ソ    ∨ソ jVI: : :} ヽ:!  リ
          l/  |'/: ヾ八""   ´   "" !: :,: : :! リ
              /: イ: l: : >: .    rュ   ,. イ:./: l: ;
          {:/ {: ハ: : {、:ト,≧=--=≦l:./イl:./ リ
          |'  VI ,、: !-/  / Y !  /--/、
             /////\///// ∨////∧
            /////ィ////.O///∧////∧
           ////// {///// O/////}/////}
           ∨//// l////////////,!/////
           //-///!///// O/////l_,//7ハ
           ///// j////////////,| ∨//∧
            /////  /////////////{  ∨///\


ゆま「?」

杏子「あのガキがああして無事だったのは、アンタたちのおかげでもあるわけだし……」

「あぁ……」

 わたしとユウリは「なるほどね」とばかりに軽く頷く。

 今更こう思うのも何だが、佐倉さんって結構義理堅い人なのかもしれない。
 いや、実際は単にゆまちゃんの現保護者的立場からそう言ってきただけなのかもしれないが――

ユウリ「かといって、今回は昨日のように複数人で同時に使うことはできない」

 誰かが一度使った後、余りの容量を別の誰かが使いまわすしか魔力を回復する方法はないぞ、とユウリが言った。

「うん。キュゥべえがいないからね」

???『僕ならここにいるよ』

ゆま「う?」

杏子「やれやれ……」

ユウリ「またか……」

 不意にわたしたちの頭の中に声が響き渡る。

 ――あぁ、すっかりこういう登場の仕方がお約束になっちゃって……

 佐倉さんやユウリの方を見ると、2人もわたしと同じようなことを思っていたのか、2人とも似たような表情を浮かべていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 18:36:30.71 ID:z+vALKlyo<> 今回のSGの穢れ率はどうなってるんだろ <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/18(土) 18:44:24.55 ID:8UvB5vTy0<>                   ト、‐- 、              , - ―.ォ
                       |: \  \         / /: : :.|
                      l: : : ヽ  `   ̄ ̄  ´  /: : : : /
                  ': : /              \: : /
                     У ,               `く
                     / /                 ヘ ヽ
                 / /  γ::o,      γ::o,  ハ  ヽ
              ,、  /  i   ヽ::ノ        ヽ::ノ  .i  ヘ‐- 、__
              ヽ\,    、      、 _  ,      /   ヘイ/,> ,
                 ヾ_」   /\.      `´` ´     /ヘ   /イ     >、
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         __ /    `>く}ヘ    /     ヘ   /厶へ     \__   ヽ
     , -‐" =      /  `´    i       | /      \        =二ァ
      ̄フ二__二, _・ /           j       l'        `ー-`、_三――"   ’
          /  ̄          /   |  /   ヽ、            ̄     /
  , -、     /             / 、|  | ,    ├‐- 、                 |
  ({      ./                |  ヘ |.i  /  |   `              丿
  ヾー--‐' ´           ,> ' ̄ ̄|  ハ l.| {  .j                /
   `ー-  ___ > '       ヽ  i | |  ノ   人                /


キュゥべえ『? 何で揃いも揃って嫌そうな顔をこちらに向けているんだい?』

「いや、何て言うか……」

杏子「『噂をすれば影』とはいうけどさ、現れるタイミングが都合良すぎじゃねーか、お前?」

ユウリ「うん。まるで狙っていたかのように現れるよね」

キュゥべえ『酷いなぁ。本当にただの偶然なのに、そんなことを言われるなんて……』

ユウリ「――それで、何のよう?」

杏子「そっちから現れたってことは、何か目的があるんだろう?」

キュゥべえ『まぁ、そうなるね』

 キュゥべえは一度頷くと、わたしたちの目の前までトコトコと近づいてきた。


キュゥべえ『君たち。もしかしてこれからあすなろ市の方に向かうつもりかい?』

「? そうだけど……」

ユウリ「アタシの管轄しているエリアにはあすなろ市も含まれているからね」

 キュゥべえの問いに、わたしたちは「当たり前だろう」と言わんばかりに頷いた。

キュゥべえ『悪いんだけど……。当面、あすなろ市で魔法少女としての活動を行うのは控えてもらえないかな?』

杏子「? どういう意味だ、そりゃあ?」

キュゥべえ『――君たち、“ジェム摘み(ピックジェムズ)”って言葉に聞き覚えはないかい?』

「『ジェム摘み(ピックジェムズ)』……?」

ユウリ「アタシは初耳だ」

「わたしも……」

杏子「…………」

「? 佐倉さん?」

杏子「噂程度なら軽く聞いたことがある……」

キュゥべえ『――さすがだね、杏子』 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/19(日) 01:36:21.24 ID:I0W3gPXA0<> ユウリ「――それで、その『ジェム摘み(ピックジェムズ)』って一体何なの?」

キュゥべえ『その名の通り、“魔法少女から魔力の源であるソウルジェムを奪い取る”行為のことさ』

ユウリ「えっ!?」

「――!?」

杏子「…………」

ゆま「――ソウルジェムが取られるとどうなるの?」

キュゥべえ『当然、魔法が使えなくなるね。魔法少女に変身することもできなくなる』

 どちらもソウルジェムがあって初めてできることなんだからね、とキュゥべえは付け加えた。

ゆま「うわぁ……」

「――本当にそれだけなの?」

キュゥべえ『? どうしてそう思うんだい?』

「キュゥべえ、正直に言わせてもらうけど……。今のわたしにはキミの言っていることがはっきりいって信用できないんだ。何か隠しているんじゃないかって疑っている……」

ユウリ「確かに、昨日の一件もあるわけだし……」

杏子「あぁ。疑いたくなる気持ちはわからなくもない」

キュゥべえ『…………』

「キュゥべえ、正直に答えて。ソウルジェムを奪われた魔法少女は、本当に魔法が使えなくなったり、変身できなくなるだけなの?」

 わたしは、キュゥべえに詰め寄りながら、その赤い瞳に目を合わせる。


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キュゥべえ『――やれやれ。わかったよ、真弓。正直に答えよう』

「――やっぱり、隠していたことがあったんだね?」

キュゥべえ『誤解をしないで欲しいけど、僕は別に君たちを騙そうとしていたわけじゃない。これから言うことをあえて言わなかったのは、知らなくても何の不都合もなかったから言わなかっただけだよ?』

杏子「言い訳はいい。さっさと教えろ」

ユウリ「…………」

ゆま「…………」

「…………」

キュゥべえ『“ジェム摘み(ピックジェムズ)”によってソウルジェムを奪われた魔法少女は――』

「魔法少女は……?」 <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/19(日) 01:42:08.46 ID:I0W3gPXA0<>           ,.r '  ̄ ヽ、                         ,r '  ̄ ヽ
         ,/  ,. ;;;;;;;;i´`i ゙、                       /  ,,;;;;;;;;;;;i´`i゙、
         |  l;;;;;;;;;;;;;;i'´ |                       |  l;;;;;;;;;;;;;;i'´ |
          、  ヽ;;;;;;;ノ  /                        、  ヽ;;;;;;;ノ  /
          ヽ、    ノ                         ヽ、    ノ
             ̄ ̄                              ̄ ̄




                       ヽ____,--、__ノ


キュゥべえ『――最悪の場合、肉体の活動が停止する。君たちにとってわかりやすく言うなら“死ぬ”ようなものだ』

「!?」

ゆま「えっ!?」

ユウリ「…………」

杏子「まさかとは思っていたけど……。やっぱりそういうことかよ……!」


 ――わたしは昨日同様、知ったほうが幸せなことと、知らないほうが幸せなことを両方同時に知ってしまったような気がした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/19(日) 01:43:51.91 ID:01LRG865o<> 真実の一つ目が早くも開示されたか <>
◆HysA87YfdU<>saga<>2012/02/19(日) 01:46:42.90 ID:I0W3gPXA0<> 一旦ここで休憩します
続きは次スレを立てた後、後日そちらで再開する予定です
次スレが立ちましたら、こちらのスレでもご報告いたします
それでは、今回はこの辺りで失礼致します

誤字・脱字などがございましたら、遠慮なくおっしゃってください
また、感想などもお待ちしております <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/19(日) 01:51:08.83 ID:01LRG865o<> 乙 
SGの真実を知っておくことは悪いことばかりじゃないけど
SGが濁らないか心配だな。あすなろ市にこれ以上関わらなければかずマギ以外のルートになるのだろうか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2012/02/19(日) 01:53:45.88 ID:YBkoqVt8o<> 乙
気づけば1スレ消費か、早いな
こういうのを見たかったと思って読み始めたけど毎回期待以上だったよ
展開的には核心に大きく近づいたけど次スレも楽しみ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/26(日) 20:12:37.36 ID:RVHn2wNqo<> 次スレってどれだ!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2012/02/26(日) 22:15:10.31 ID:Pq1yvPc1o<> 落ち着け、>>1はまだ来てない
でも今まで投下頻度安定してたから確かにちょっと心配だな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/03/22(木) 17:54:01.24 ID:W+WuRc9Mo<> こりゃいよいよ失踪したか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/03/31(土) 04:28:36.98 ID:ksyGZs1y0<> y <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/03/31(土) 04:29:06.28 ID:ksyGZs1y0<> y <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/03/31(土) 04:29:41.84 ID:ksyGZs1y0<> y <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/03/31(土) 04:30:11.13 ID:ksyGZs1y0<> y <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/03/31(土) 04:30:44.81 ID:ksyGZs1y0<> 1000 <> 1001<><>Over 1000 Thread<>                  ヽ人人人人人人人人人人人人人人人ノ
         / ̄(S)~\  <                      >
       / / ∧ ∧\ \<  嫌なら見るな! 嫌なら見るな!  >
       \ \( ゚Д,゚ ) / /<                      >
         \⌒  ⌒ /  ノ Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Yヽ
          )_人_ ノ  
          /    /
      ∧_∧ ■□ (    ))
     (   ; )■□  ̄ ̄ヽ
   γ⌒   ⌒ヽ  ̄ ̄ノ  ノ       SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>嫁宣言して60分以内にお断りされなければ結婚避難所 @ 2012/03/31(土) 03:50:12.70 ID:rU5xKCPio
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1333133412/

嫁宣言して60分以内にお断りされなければ結婚避難所 @ 2012/03/31(土) 03:48:20.37 ID:RgasmWVGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1333133295/

神サイト @ 2012/03/31(土) 03:06:58.45 ID:8jOLEeGAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333130818/

台湾人♂だけど質問ある? @ 2012/03/31(土) 02:12:37.76 ID:K9L1cxY40
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1333127552/

とある×とらドラ!で小ネタ色々 @ 2012/03/31(土) 01:57:25.46 ID:k5Pi9qH70
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333126645/

【クマは】 ゆうこの部屋 30号室【見ちゃらめぇぇぇ…】 @ 2012/03/31(土) 01:37:57.38 ID:cTr1NqIDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1333125476/

ふともも好きな奴はロリコンだとさ @ 2012/03/31(土) 01:35:06.51 ID:oh/sLOwIO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1333125306/

【転載禁止】安価でボカロ作ってニコ厨釣ろうず @ 2012/03/31(土) 00:57:26.00 ID:RJkMjg59o
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