VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 01:43:31.16 ID:R85BKvAAO<>例えば大嘘憑きという僕が考えた最強の能力がある。

「うらぁっ!!」

そんな能力を使えば僕を蹴るこの男の子を螺旋で[ピーーー]ことなんて容易いだろう。
「そこら辺でいいのではないか?」

僕に大嘘憑きがあればこの目の前の生徒会長に一度くらいは絶望に叩き落とせるだろう。

「だってよぉ……めだかちゃん」

「こんなカスを相手にしてるようじゃ君たちもまだまだだよね」

三人は鼻血を垂らして許しを請う僕を見下ろして呟く。

「ほら、あれだよ。めだかちゃん。球磨川みたいな奴は生きてるだけで迷惑だからさ」

「まぁ、異論は無いがな……見てるだけで苛々するようなこやつは生きている価値も無い」

「おいおい、ミジンコだって、オケラだって生きてるんだぜ? 球磨川くんにも一応、生きてる理由はあるんだ。聞いてやるってのが人の情けなんじゃないかい?」

「それもそうだな。安心院副会長。球磨川、貴様は一体、何の為に生きているのだ?」

一際、強い蹴りを入れながら彼女は問いかけてきた。

「私が聞いてやっているのだぞ?」

グリグリと鳩尾を踏みつけてくる。

息を吸おうと必死に喘ぐが、酸素が足りず頭がくらくらする。

「おっと、僕としたことが下らねぇカスの首を踏んでいたぜ」

酸素を吸い込み、吐き出そうとした瞬間に思いっきり首を踏みつけられる。

箱庭学園、マイナス十三組。劣等生の為に作られたその特別クラスはエリートやスペシャル、ノーマルと言った勝ち組の為に与えられたストレス発散用玩具の所属するクラスである。

僕こと球磨川禊は今日もこうして他人の為の玩具になっていた。









台本形式書きためなしのゆっくりとした投下になります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1329065011(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>球磨川『…………』 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/13(月) 01:46:06.72 ID:aVvFA4fDO<> ほう…設定改変ものか
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 01:52:35.28 ID:R85BKvAAO<> 球磨川『……はぁ』

解放されてから教室にたどり着くまで二十分はかかった。

球磨川『全くエリート達には困ったものだよね!!』

今はもういないクラスメートに微笑みかける。

このクラスは三学年の合同で劣等生が集められているが、その内二人は登校拒否。

一人は自分の体を売ることによって他人からの扱いを家畜から奴隷程度に昇格した。

球磨川『実に困った奴らだぜ!! でも僕がいつかエリートを抹[ピーーー]るからね!! 蛾々丸ちゃんも飛沫ちゃんも楽しみに待っててよ!!』

机の中からノートを取り出す。

僕がいつか完全になる為に理想を書き連ねたノートだ。

球磨川『うーん、めだかちゃんが強いんだよなぁ。どうにかして倒せるようにしなきゃ。あと安心院さんは強さのインフラ起こしてるから設定をいじくってーー』

爽やかな一限目はこうやって始まる。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2012/02/13(月) 01:57:10.58 ID:PWhig+UAO<> ああ、あの九州さんか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 02:08:01.54 ID:R85BKvAAO<> 球磨川『やっべー!! まじやっべーよ!! 強い!! 強すぎるよ!! 球磨川禊が強すぎて箱庭学園がやばい!!』

書きためたノートを眺めて満足する。

球磨川『お昼か……早く行かないと!!』

教室にエリートやスペシャルが来るまでに出ないと僕が大変なことになる!!

安心院「やぁ、球磨川くん」

球磨川『……しまったな』

困ったように僕は頬をかく。

安心院「君に聞いて欲しい話があるんだ。屋上まで来てくれないかい?」

球磨川『困ったなー。屋上で二人きりのシチュエーションとか憧れの対象だね!! よっし!! 僕は男性代表としてその夢を叶えなくちゃならない!! だから付いていくよ!! 安心院さん!!』

安心院「……球磨川くんさぁ……明るいふりして強がるねはいいけど、足は震えてるぜ?」

球磨川『告白なんて生まれて初めてだからね!! そりゃあ足くらい歓喜で震えるさ!!』

僕は強がる。強がることをやめたら多分、それは駄目だから。どのような理不尽な行動も理不尽な行為も理不尽な事も強がりがあるから耐えていける。

安心院「ま……いいや。めだかちゃん達も待ってるからね」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 02:32:41.26 ID:R85BKvAAO<> 安心院「だっせーな。球磨川くん。君は女子中学生にボコボコにされるのかい」

球磨川『あはは、逆に女子中学生に暴力を振るうような男子高校生にはなりたくないね』

めだか「ふむ、まだ軽口が叩けるのか財部候補生」

財部「は、はいっ!?」

めだか「貴様はあんまり熱心に参加してなかったようだが……」

財部「あ……いえ……その……」

球磨川『おいおい、めだかちゃん。君だって参加してない癖に偉そうなことを言うなよ。これだからエリートって奴は』

めだか「……いい度胸だ。これから見本を見せなければな」

球磨川『……優しくしてね』

めだか「保証はしない」

黒神めだかを相手にする際、血を吐くだけでは許されない。泣いて媚び諂っても許されない。骨が折れようが、内蔵期間が傷つこうが関係がない。

球磨川禊が生きている。それだけの理由が彼女の暴力性を増長させ、彼女が暴力を振るう理由を作り出す。

例えば蚊が飛んでいたら潰すように、ハエが飛んでいたら潰すように。

球磨川『……ヒュー……ヒュー』

めだか「ふむ、これくらいだな」

虫の息になるまで痛めつけられた僕は周りを見渡す。

流石に女子中学生は目を覆っているものすらいた。

だから陽気に答える。

球磨川『気が済んだならもういっていいかな』

懲りもせず、反省もせず。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 02:52:49.57 ID:R85BKvAAO<> 昼休み一杯までめだかちゃん達にかわいがられた僕は保健室に直行する。

赤「……」

ナチュラルに無視を決め込まれたので勝手知ったる我が物顔で包帯、消毒薬、ガーゼを準備する。委員長より段取りよく怪我の治療が出来るなんて将来は看護士に向いてるのかもしれない。

都城「ふむ、ここにいたか球磨川」

球磨川『あーらら、どうしてここに?』

都城「なに、メールで少し連絡を貰ってな」

赤さんを見ると素知らぬ顔で携帯をいじっていた。

都城「女子からのお願いだからな。王たる俺が貴様の」

球磨川『だっさ』

都城「……気が変わった。この場でボロキヌのようにしてやろう」






赤「弱いわね……本当にカスみたい」

都城「そういってやるな」

赤さんは顔を王(笑)土くんは肩を踏み潰す勢いで力を込めている。

球磨川『……もう……いい……かな?』

強がりをいいながら僕は口にする。それが気にくわないのか何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、





踏みつぶされた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 03:01:50.10 ID:R85BKvAAO<> そんな毎日が続く。

地獄というには生温いこの世の中を僕は生きていくーー


















『みたいな感じで終われたならきっとハッピーエンドだったのに』

机の上には無惨な兎の人形。中味の綿を取り除かれ、耳は千切れて、目のボタンは割られていた。

なぜこんなことになったのかはわからない。なぜこんなことになったのかも予想がつかない。

お話はきっと僕がただ苛められては自[ピーーー]るまでの物語だったんだろう。

マイナス十三組は大体、そんな形だった。飛沫ちゃんは飛び降りて、蛾々丸ちゃんは首を吊って。

別に珍しいことじゃない。ただ死に方が被るようなことはやだなぁとか思っていた。

『あぁ……駄目だ……これは駄目だ』

僕は口にする。

「恰好つけて耐えれるなら、括弧つけて耐えれるならそうしたんだろう」

だけど無理だ。無理無理。

この物語はきっとーー

エリートを抹[ピーーー]るだけの愉快痛快爽快な物語なんだろう。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 03:15:14.31 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「どうしたの?」

僕は安心院さんに声をかける。

安心院「な、何の冗談だいこれは?」

球磨川「いや、冗談じゃないんだなぁ、これが」

崩壊後、学園の一室で僕は安心院さんと二人っきりになる。
安心院「ま、待ちなよ。そんなことをすれば……」

球磨川「どうなるのかな? 逮捕? 糾弾? まぁ、僕には関係ないんだけどね」

僕は板に螺旋を貫通させて、巨大な大根おろし器のような器具をお手製で作った。

球磨川「うん、これでいまから安心院の顔をすりおろしたいんだけど何か質問ある?」

安心院「ひっ…………」

切っ先を向ける。始まりは全てここから躊躇いもない、躊躇もない。

彼女の怯えた顔に叩きつけるのは簡単だった。

そして幾度か叩いた所で声が聞こえなくなる。僕は彼女の胸に耳を当て、息をしているのを確かめる。

球磨川「よーっし、後は……」

僕は安心院さんの足に縄をつける。

体だけまどの外に出して縄を生徒会室が開くと同時に外れるようセットする。

球磨川「だ・れ・に・し・よ・う・か・な・っと!! うん、財部ちゃん、君に決めた!!」

僕は安心院さんの携帯で財部ちゃんにメールを送る。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 03:23:55.18 ID:R85BKvAAO<> 財部「な、何、が……」

球磨川「あー!! いっけーないんだ!! 財部ちゃんが安心院さんを殺しちゃったぁ!!」

財部「え?」

未だに理解出来ていないのだろう。血だらけの床に少し開いた窓。

球磨川「財部ちゃん!! 君は安心院さんを殺したんだよ!! 酷い!! あんだけお世話になった人を!! なんて奴だっ!? 僕は君を軽蔑するよ!!」

財部「な、なにが……」

球磨川「いいかい? 先ほどまでこの生徒会室に安心院さんの虫の息を支えていた命綱があったんだ!! それを!! 君が!! 切ったんだよ!!」

財部「へ……いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

状況を理解したのか窓の外を小走りで確認しにいく。

下には顔にしっかりと板が張り付いた安心院さんが手と足をあらぬ方向にひしゃげて地面に衝突していた。

財部「この人殺し!!」

球磨川「おいおい、なんてことを言うんだ、殺したのは君だぜ? 人のせいにするなよ……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 03:39:05.96 ID:R85BKvAAO<> 財部「わ、わたしは知らな……」

球磨川「知らなければいいという問題じゃないぜ? 君は現にその可愛い両手で安心院さんを突き落とした。それがトドメで彼女は息絶えた」

財部「違うっ……わたしじゃな……」

球磨川「でもね、財部ちゃん。たった一つだけ君を救う方法があるよ!!」









球磨川「桜の木が綺麗な理由を知っているかい?」

校庭にある桜の根元を二人で掘る。

球磨川「人の死体が埋まっていて血の色が桜を綺麗に彩るんだってさ」

錯乱状態だった彼女を上手く誘導して死体を埋める。

人は精神的にショックを受けた際に深層心理がむき出しになる。そして洗脳及びマインドコントロールを行う際はその浮かび上がった表層心理に言い聞かせるのだ。

僕が彼女に行ったことは二つ。

彼女がその手で安心院なじみを殺したという錯覚。

そしてその窮地を共にやり過ごした「球磨川禊」という人間を印象づけたことだ。

彼女は未だに何が何やらわかっていないだろう。

後で考えてみれば何でこんなことをしたのか理解できないだろう。

しかし彼女は僕を手伝ってしまった。

それは抜け出せないアリ地獄に嵌ってしまった。

僕の大嘘憑きの物語はこうやって始まった…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/13(月) 09:07:25.01 ID:jYOQpoRSO<> 面白い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 14:41:52.80 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「財部ちゃん」

財部「は、はひっ……」

球磨川「おいおい、怯えないでくれよ、傷つくなぁ」

僕は土をかけ終えてスコップを持つ。

球磨川「君はこの後どうする?」

財部「こ、この後……?」

球磨川「僕は君の味方だ。だからこそ、言ってあげるよ。君にも殺したい程、憎い相手っているんじゃない?」

財部「え?」

球磨川「知ってるよ? 君の弱さを、君の醜さを、君の妥協を、君の苦痛を、君の敗北を、君の葛藤を、君の憎しみを、君のみっともなさを、君の格差を、君の巻き添えを、君の言い訳を、君の嘘泣きを、君の理不尽を、君の堕落を、君のインチキを、君の不都合を、君の不幸を、



そして、君の受けてきた全てのことを君は許せるのかい?」

土をならしながら僕は彼女を見つめる。

俯いた彼女の答えはわからない。他人の気持ちが理解できたならきっと僕はここにいなかっただろうし。こんなことにはならなかっただろう。

財部「……」

球磨川「ま……強制はしないけどね。僕は僕なりにやることがあるし。じゃあ、また明日とか」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 15:30:03.85 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「……やぁ、めだかちゃん。どうかしたのかい?」

めだか「……ちっ」

あれから三日、箱庭学園は代わり映えなく平和な一日を過ごしていた。

消えても違和感の無い彼女は普段から全うな学生であればこんな事にはならなかったのだろう。

めだか「今はお前に構ってる暇は無い」

球磨川「おいおい、寂しいじゃないか!! それともあれかい? 大事な人がいなくなった……とか?」

僕は微笑む。

めだか「安心院なじみの行方を知っているな?」

問いではなく断定。

球磨川「うん、知ってるよ!!」

だから僕は意気揚々と答えた。

その答えがよっぽど意外だったのか。

めだか「答えろっ!!」

胸倉を掴まれて首を絞められる。

球磨川「焦るなよ、めだかちゃん」

僕はポケットからネクタイの先に硬貨をたっぷり包んだお手製の鈍器を取り出し、めだかちゃんの顔面に叩きつける。

球磨川「え? 何か不思議そうな顔をしてるけど、何も不思議なことは無いよ?」

めだかちゃんの髪の毛を掴む。

球磨川「聞きたいことがあるんだ」

僕は一番、近い教室に彼女を運ぶ。

球磨川「僕はわりと温厚だと思うんだ」

鈍器を彼女の腕に叩きつける。

球磨川「ほら、大事な後輩を自殺に追いやられても怒らなかったでしょ?」

雑巾を猿轡代わりにして彼女を見下ろす。

球磨川「めだかちゃん。何で今まで僕が君達に苛められていたんだと思う?」

簡単な話だ。

球磨川「君達が僕を絶対的なマイナスと信じるように僕自身もそれをわりかし信じていたんだよ。簡単な話、不幸になる資格を有していたし、不幸でなければならなかった……とかそんな物語な背景はないんだよ。単に抵抗するのが面倒くさくて復讐するのが億劫だっただよ。もしかして本当に男子高校生より強いとか思ってた? 人間を超えた何かだと勘違いしてたの? はっずかしー。自意識過剰だね!! 確かに君は一般的な女子より身体能力は高いと思うよ。だけど凶器を前に無敵なんて有り得ないし、成し得ない」

何を言ってるかわからないとでもいいたげだった。

球磨川「君は死ぬよ? 何てことはない。身体中の骨を砕かれる前に、拷問を受けて殺してくれと嘆願する前に……あっさりと命を果てる」

年の為に言っておくが

球磨川「僕は悪くない」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 17:09:01.32 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「めだかちゃん、起きてる?」

整った顔立ちは見るも無惨になり原型を留めていないにも関わらず、息をする彼女に僕は問いかける。

球磨川「うん、聞こえてなくても話を続けるよ。今から君を解放するよ。夜、遅いしね」

あんまり遅い時間まで女の子を連れまわすなんて紳士じゃない。

僕は彼女の腕に縄をつけて、両足を縛った。

「よし!! 今から君は自由だ!! 僕がいなくても君は君の人生を歩んでいけるんだね」

彼女の携帯電話を取る。

「安心院さんとめだかちゃん。二大の強敵がいなくなってしまったらワンサイドゲームだからね。めだかちゃんは殺さないよ」

それは暗にもう一人の可能性を潰したことを示唆する。

球磨川「どうしてかな? 凄く、心が躍るんだ。不幸を進んで掴むという行為を僕は待っていた」

まるで枷から解き放たれたような気がした。

あの日、以来何だか僕だけ違う世界にいるような気分だった。

まるで門をくぐったような気がした。

あの日から何か壊れた……そんな気がした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 17:36:42.40 ID:R85BKvAAO<> 一度潜れば躊躇いが無くなった。

嫌悪していた暴力行為も残虐な行為も全てが受け入れられた。

球磨川「やぁ、善吉ちゃん!!」

人吉「め、めだかちゃんはどこだっ!!」

彼女の携帯から送った彼女の姿を善吉ちゃんに写メールで送った。

球磨川「善吉ちゃん、勘違いしないで欲しいかな」

今にも掴みかかってきそうな狂犬を制する。

球磨川「まずは携帯を出して欲しいかな」

受け取った携帯の履歴をみると僕の指示通り、生徒会の他メンバーを呼び出していた。

球磨川「文面は『球磨川が学校にいるから排除してほしいとの生徒会執行業務』か。やれやれだぜ。全く、僕が害虫か何かだと言うのかい?」

人吉「ち、ちゃんと約束通り、連絡はした!! めだかちゃんをっ!?」

僕はお手製のボウガンを善吉ちゃんに見せつける。

球磨川「試してみる?」

それだけで場のイニシアチブは握れた。この世界に銃器より優れた人間はいない。ましてや、銃器を相手に対処の仕方を心得ている人間なんかいやしない。

球磨川「今から宝探しを始めようか。ルールを説明するよ。今から僕が告げる場所のどこかにお姫様は眠っている。生徒会執行部室、音楽室、マイナス十三組の教室、時計塔の屋上、桜の木の麓にあるテント。生徒会執行部室に行けば音楽室に行く権利を失う。音楽室に行けばマイナス十三組の教室に行く権利を失う。マイナス十三組の教室に行けば時計塔の屋上に行く権利を失い、時計塔の屋上に行けば桜の木の下にあるテントに行く権利を失う。権利が無いってのは後々、理解できると思うよ? あ、その前に……」

僕は善吉ちゃんをボウガンで撃つ。

球磨川「タイムリミットは決めなきゃね!! 全身の血の二分の一が流れ落ちる前に見つけてほしいな!!」

腹を押さえてうずくまる善吉ちゃんをその場に捨て置いて、

球磨川「そうそう、逃げ出せると思うなよ?」

僕は残り二人を迎えに行く。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 18:02:11.37 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「きっと高貴ちゃんは不思議でたまらないだろうね。エリートな自分がどうしてこういう目にあうか。うん、君は本当によく出来た人間だよ。僕に対して微塵も興味も抱かないし、塵芥も感心がない。だから僕がボロキヌのような姿をしていても小石が落ちてるのと同様で意味が無いんだろうね。だからこれは僕のせいじゃないんだ。ほら、君に憧れを抱いてる後輩の鰐塚ちゃんだっけ? 彼女に対する復讐劇らしいんだ。僕はあくまで関係ないんだよ? 僕はほらあくまでお手伝いだからさ、だから






僕は悪くない」

割れた額からは血が溢れでていた。僕の声が届いているかは怪しい。

柔道有段者であろうが何であろうが暗闇でいきなりボウガンをうちこまれてバットで滅多うちにされれば流石に閉口するだろう。

球磨川「財部ちゃん。携帯は?」

財部「ぽ、ポケットにありました」

球磨川「貸して」

僕は携帯を受け取る。

球磨川「大事な話があるから二人っきりで話がしたい……っとそーしん!!」

財部「あ、あの球磨川先輩……あ、あたしは本当ならあんなことをしたくなかったんです」

球磨川「何のこと?」

財部「あ、あれは黒神さんが無理矢理……」

球磨川「え? あぁ? 財部ちゃん。何か違うよ。僕は別に復讐したくてしてる訳じゃないんだ」

僕は単に無差別に遊んでいるだけだ。僕で遊ばれたように。

だから勘違いはして欲しくない。

球磨川「財部ちゃんも油断しないように気をつけてね!! 僕ってほら、メンタル弱いからさ」

裏切りの抑止力。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 18:19:51.09 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「喜界島さん」

喜界島「い、いやっ……近づかないで……」

顔を赤く腫らし、眼鏡は床に落ちていた。

球磨川「酷いじゃないか!! 僕はボロボロな君をせっかく保護しようとしていたのに!!」

喜界島「あ、あなたが私の事を漏らしたんでしょ!!」

球磨川「あぁ、でも二股をかけてた喜界島さんが悪いわけで僕は悪くない。そしてもっというなら他にも来るよ?」

喜界島「わ、私はあなたに関わってないじゃない!! 何もしていないじゃないのよ!!」

球磨川「おいおい、まるで僕が何かしたから何かされたみたいな言い方するなよ。世の中はいつだって理不尽で満ちているじゃないか」

今の言葉が僕の中で歯車のように噛み合う。

球磨川「何かをするために何かを受け入れていた。多分、僕はそうだったんだろう。だから許してよ、喜界島さん。僕も君達を許すから」

喜界島「ゆ、許すわけないじゃない!! 何をわけわかんないことを!!」

僕は彼女の足を撃つ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 20:10:26.47 ID:R85BKvAAO<> 僕は箱庭学園を見下ろす時計塔から。

黒神めだかがある場所だ。

球磨川「残念、ハズレだよ、善吉ちゃん」

マイナス十三組の教室を選んだという状況を僕は双眼鏡で眺めていた。

雑巾を口から外す。

めだか「……ゴメンナサイ、許してください」

球磨川「よいしょ……」

僕は灯油を撒き散らしながら部屋を眺める。

めだか「もう何もしません。ゴメンナサイ、許してください」

新聞紙にライターをつけようとする。

高貴ちゃんの制服に入っていた煙草を取り出して火をつける。

球磨川「けほっけほっ」

煙草とは一度吸わないと火が付けられない。吸いたくもないのに難儀なものだ。

火のついた先端を彼女の額に押し付ける。

めだか「アァァァァァァァァァアッ」

自分以外の叫び声なんて聞いたことが無かった。でも飛沫ちゃんや蛾々丸ちゃんもこうやって叫んで泣いて許し請いたのだろうか。

めだか「何でもします。許してください。お願いします。許してください。ゴメンナサイ、許してください、ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」

尊大な口調は見る陰も無かった。

球磨川「…………」

僕は酷く冷めた気持ちで彼女を見つめた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 20:25:09.65 ID:R85BKvAAO<> 球磨川「さって……と」

僕は家に帰る準備をする。

人吉「ふざけんなよ……球磨川ァ!!」

球磨川「ふざける? 善吉ちゃんは僕達を殴る時にふざけたりしたかい? そんなわけないよね」

肩で息をして今にも倒れ込みそうな善吉ちゃんを僕は眺める。

球磨川「そんなこともわかんない両目の視力はなかったことにしてあげるよ」

膝をつき睨みつけてくる善吉ちゃんの目の前にたつ。

後ずさろうともがいたけど一思いに三十本入りのネジを両目に突き立てた。

球磨川「ごめんね、善吉ちゃんの両目があまりにも不良品だったんで無かったことにしちゃった」

目の中の異物に対して抜けばいいのかわからず手のひらで触れないよう丁寧に覆いながら呻く。

人吉「うぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

球磨川「じゃあね、善吉ちゃん。また明日とか」

僕は善吉ちゃんの頭にボウガンを放つ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 20:49:51.34 ID:R85BKvAAO<> キャスター『箱庭学園での猟期的殺人事件は三日経った今でも謎が解明されず……』

球磨川「不思議そうな顔をしてるね。財部ちゃん」

財部「ど、どうして先輩は容疑者から外れたんですか?」

あれから三日、僕はマイナス十三組の教室でお茶を飲んでいた。

球磨川「知りたいかい?」

財部「え、えぇ」

球磨川「パンツ見せてくれたらいいよ!!」

財部「……」

顔を真っ赤にして睨みつけてくる。

球磨川「簡単な話さ。僕達よりも最有力の容疑者がいて状況証拠、物的証拠が共にあるからさ」

財部「あ…………屋久島先輩に種子島先輩」

球磨川「うん、そういうこと。屋久島くんと種子島くんはさ……喜界島さんにメールで呼びだされた」

その内容は『黒神めだかや安心院なじみとはめられる』ってな具合に。

財部「で、でも実際は喜界島さんも安心院さんも黒神さんも殺した訳じゃないですか……」

球磨川「うん、そうだね。でもさ。それが僕達を疑う要素になり得るのかい?」

財部「え?」

球磨川「簡単な話さ……それだけ怪しい人物がいるにも関わらず、他の全校生徒を疑うなんて正気の沙汰じゃないね」

財部「ひ、人が死んでるんですよ!!」

球磨川「僕達にとっては大事件かもしれないけど警察にとってはどうかな? そりゃあ未成年の大量殺人なんて目をひくけど要はいつもと同じ連続殺人とかと一緒なんじゃないかな?」

財部「だから屋久島さんと種子島さんを殺したんですか?」

球磨川「うん。死人に口なしってね。運良く二人とも頭に血が上ってたし、光モノを握ってお互いを殺しあってたからね。めんどくさいから二人とも刺しちゃった」

財部「わ、鰐ちゃんの件もそうして?」

球磨川「あぁ、あれは別件だよ。単にヤンデレがトラブって心中した。それだけ。そして、僕の目的は『その三件』の事件を関連付けたかった」

財部「三?」

球磨川「水泳部及び生徒会執行部、鰐塚ちゃんと高貴ちゃん。そして人吉善吉」

財部「ひ、人吉の事件はどうなって……」

球磨川「あぁ、知ってるかい? 死体は見つからないと事件にならないって」

顔が青ざめる女子中学生。

球磨川「いいかい、これはミステリーでもない。サスペンスでもない。ただのホラーなんだよ。僕が誰かの物語を終わらせるっていう……ね」

だから謎なんてないし、矛盾なんてない、世の中は理不尽で出来ているっていうただの証明。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sagasage<>2012/02/13(月) 20:52:57.16 ID:R85BKvAAO<> 今日、この日から箱庭学園に痴情のもつれに関する七不思議ができた。

七不思議の一

【時計塔に佇む女生徒と執行部に潜む殺人鬼】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 20:56:32.41 ID:R85BKvAAO<> とりあえず一章的なものはこんな感じで終わりです。

特に方向性を決めてるわけじゃないんで許してね!!

ご都合展開も許してね!!

あとミステリーじゃなくてサスペンスじゃなくてただの狂人を書きたかっただけなんよ。許してね!!

あと前作エタッタのバレてる上に特定されてるけど許してね!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/13(月) 21:14:50.96 ID:J8rSIDFTo<> 乙!
皆能力がない普通の生徒って設定なのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/13(月) 21:23:37.56 ID:SxtOA1HDO<> 乙!!財部ちゃんカワカワ


ところで、何故sage進行? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/13(月) 22:07:01.73 ID:R85BKvAAO<> >>24

そそ。特進クラスや特別クラスはあるけど能力とか無いよ展開。

>>25

完全に気分 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(青森県)<>sage<>2012/02/13(月) 22:07:03.76 ID:pFuFGHAVo<> 乙乙
期待してるぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/13(月) 22:07:53.92 ID:R85BKvAAO<> >>27
サンクス。頑張ります。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(青森県)<>sage<>2012/02/13(月) 22:08:42.79 ID:pFuFGHAVo<> 何章ぐらいまで考えてる? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/13(月) 22:10:00.29 ID:SZzoE+0io<> 乙ー
面白かったよ、期待してる

生徒会めっさ嫌な人間の集まりじゃないですかwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/13(月) 22:21:12.46 ID:jYOQpoRSO<> この面子をいきなり[ピーーー]とか…
次は13組かな、ロイヤルさんに期待


ところでどの九州さん? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/14(火) 00:04:22.59 ID:+mHTFx+DO<> 多重クロス書いてエタった人かな?
乙乙がんばって完結させようぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/14(火) 00:04:49.33 ID:mJ3v1jrAO<> >>29
一応、今の所は七章くらいで全200レス予定。

>>30
ありがとうございます。基本的にめだかちゃんが嫌いな人種です

>>31

以前、くちゃくちゃになったクロスや

過去ログ - めだか「球磨川がカッコよすぎて生きるのが辛い……」
-SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1310052231/

過去ログ - 下条「……はぁ、不幸だ」
-SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1309290091/

一応、完結したけど処女作や二作品目なんで色々酷いかも。少しは進歩したかはわからないけど今回は頑張る!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/14(火) 00:06:46.56 ID:mJ3v1jrAO<> >>32
あの件はまことに申し訳なく(略 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/14(火) 00:30:47.36 ID:mJ3v1jrAO<> 財部「……あの……」

球磨川『なんだい、財部ちゃん!! パンツ見せてくれるのかい!?』

あれから二週間、猟期的殺人事件は二人組の生徒が引き起こしたこととして世間に処理されようとしていた。

財部「いえ……あんなことがあったのに……みんな……もう普通に生活してるんだなって……」

屋上で二人でてすりにもたれかかりながら僕達は話す。

その間は一人分空いていた。多分、これが彼女と僕の距離。
球磨川『おいおい、酷なことを望むなぁ、財部ちゃんは』

財部「酷?」

球磨川『だってあんな事件をみんなにずっと覚えていて欲しいだなんて酷じゃないか。日常を怯えで過ごし楽しくない毎日を送る。それを望む君の発言を酷と言わずなんて言うんだい?』

財部「…………かもしれません」

球磨川『とは、いえ僕も同意見なんだ!! みんなにこんな凄惨な事件を忘れて欲しくない!! だからっ』









球磨川「委員会のみんなを殺そうよ」

財部「っ!?」

球磨川「君は一体、僕のことを何だと思ってたんだい? 単なるリベンジャー? 快楽を求めるマーダー? 違うよ。それは行動の結果につく称であって僕自身の本質を見抜いていない。僕は球磨川禊。それ以上でもそれ以下でも無いんだよ」

財部「先輩がいい台詞を吐いた後には必ず何かあると思いましたけど……」

球磨川「別に手伝ってとは言わないよ。指をくわえて見てるだけでもいい。君と僕は一蓮托生だからね」

僕の命は財部ちゃんが握っていて、財部ちゃんの命は僕が握っている。

そんな関係。

甘酸っぱい恋愛の要素は皆無で爽快な友情の要素は皆無で温かい親愛の要素は皆無だ。

財部「今回も……お手伝いします」

球磨川「意外だね? てっきり嫌悪丸出しで逃げて部屋の片隅でガタガタ震えてると思ったのに」

財部「多分、どこか……壊れてるのかもしれません。球磨川先輩のくぐった門を見てみたいんです」

球磨川「……そんなことを言ってる内はまだまだだぜ、財部ちゃん」

彼女に微笑みながら僕は今後、どうするかを考えていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/14(火) 00:52:42.52 ID:mJ3v1jrAO<> 球磨川「と、いう訳で皆さんには殺し合いを始めて貰います!!」

僕は委員会の教壇に立ち上がり告げた。
球磨川「あれかな? 某破壊録よろしく、これは夢じゃありません。ところがどっこい、これが現実っ……!! みたいな台詞を吐いた方がいいのかな?」

平和ボケしていたみんなは氷水を浴びたように顔を真っ青にしていた。

試しに僕はボウガンを長者原くんの額にうちこんだらみんな黙ってくれた。理解が早くて助かるなぁ。

球磨川「内容は簡単。この部屋で殺し合いを始めてもらうだけです!! 至極簡単簡潔!! これで説明はいらないね!!」

廻栖野「ち、ちょっと待ってください。いきなり意味がわから」

僕は矢を装填してすぐさま打つ。

球磨川「次は当てるよ? 意味がわからなかった。冗談も休み休みにしてくれ」

今の一連の動作は彼女以外への牽制をかけるもの。

少なくとも僕を取り押さえるには一発射出できるという牽制。

我が身を犠牲にしてまで体を張る人間がいれば話は別だがたかが男子高校生や女子高校生にそんな奴はいない。

球磨川「あんまり騒がしくするとパンツを見る前に殺しちゃうからさぁ……勘弁してよ」

僕はやれやれと首を振る。

赤「…………もしかして、黒神さん達の一件も?」

球磨川「正解!! ワイドショーや世間、君達以外のその他、箱庭学園の君達以外の馬鹿は気づいてないかもしれないけどさ……めだかちゃんを無惨にしたのは僕だよ?」

可愛らしく舌を出す。

球磨川「あ……そろそろかな?」

委員会の一つの席が真っ赤に染まる。

雲仙冥「え……な……に……こ……」

前のめりに倒れ込んだ。

赤「え……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

隣の席で血を被った赤さんが絶叫する。

球磨川「あらら、名前通りになっちゃって……えっと、みんなはトリカブトとフグ毒って時間調節の出来る毒薬が作れるって知ってた?」

僕は思う。

その絶望に染まった顔が見たかった……と。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<><>2012/02/14(火) 01:07:10.14 ID:n+f+jTAAO<> 良い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/14(火) 01:39:46.85 ID:mJ3v1jrAO<> 球磨川「理解して貰えて光栄だな。さて……それじゃあみんなに武器を配ります」

僕は一人一人にナイフを配る。

球磨川「行き渡ったようだね。じゃあ、スタート!! で始められないだろうし、うん。じゃあ制服脱いで」

理解出来なかったのか、

球磨川「あれ? もしかしてみんな死にたがり? しょうがないなぁ」

僕はゆっくりとボウガンを上無津呂さんに向ける。

球磨川「うん、じゃあね、来世で会えたら……」

赤「待って!! 脱ぐわ!! 脱げばいいんでしょ!?」

彼女はいそいそと制服を脱ぎ始めた。

球磨川「ナースキャップはそのままでいいよ」

外そうとしたので制止した。

球磨川「うん、僕が嗅ぐからちゃんとその洗濯籠に入れておいてね!!」

わざわざ用意した籠を指差す。

赤「〜〜っ!!」

顔を真っ赤にして睨まれた。










球磨川「うん、眼福、眼福」

全員分の服を見て、

球磨川「おい!! 飯塚くんの服が無いじゃないか!! どうするんだ!! これじゃ飯塚くんの服をくんかくんか出来ないじゃないか!!」

飯塚「あ、あぁ、悪い……」

残り男子唯一の服をつめて。

球磨川「なんなら十二町さんは気づいてるかもしれないけど……雲仙くんと長者原くんの携帯取ってきてくれない?」

僕は洗濯籠を漁りながら携帯を全て取り出す。

球磨川「あれれー。おっかしいぞー?」
僕は机の上においた携帯の数と委員長達の数を比べる。

球磨川「携帯を隠したのは誰だろうね?」

僕はニコニコと微笑みながらみんなに問いかける。

球磨川「せんせーは怒りません、正直に手をあげてください」

誰のかわからない携帯のストラップをくるくると指で弄りながら尋ねる?

球磨川「それとも僕が直接、電話をかけた方がいいかな?」

その言葉で観念したのか米良さんが手をあげる。

球磨川「あ、そーなんだ。米良さんはおっぱい大きいし、許すよ。じゃあ、持ってきてー」

安堵の溜め息を吐いて、カタカタと手を震わしながら教壇に携帯を置く。

彼女の眉間にボウガンを打ち込んだ。

飯塚「な、なんでだよ!! 正直に持っていったじゃねぇか!!」

球磨川「あはっ、彼女殺されて怒ったの? うん、わかるよ。けどね、僕、怒らないとは言ったけど罰を与えないとは言ってないよ?」

飯塚「ふざ、ぐぎゃ!!」

連帯責任!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/14(火) 09:43:04.85 ID:mJ3v1jrAO<> 場は硬直して動かない。

大刀洗「あのさぁ〜」

間延びした声が響く。大した胆力だね。

大刀洗「どうして、こんなことをするの〜? 復讐? 食育委員や風紀委員はさぁ、色々やってたみたいだけど〜、私達は関係ないじゃない?」

球磨川「うん? あ、言われてみればそうだね」

大刀洗「でしょ〜」

二人で笑い合う。

球磨川「だからといって殺さない理由にはならないよね」

大刀洗「…………」

球磨川「大した胆力だよね。この状況下で唯一、自分だけが助かろうとしている。僕の予想では大刀洗さん、君が生き残る最有力候補なんだよね」

普段は間延びしたよう声音でめんど臭がりなイメージを周りに植え付けているが本質は間逆。

球磨川「狡猾だね。老獪だね」

僕は彼女を責める。この異常な空間で彼女が異質であることを示す為に。

大刀洗「あ〜、なるほどねぇ〜」

間延びした声で彼女は僕を見る。

大刀洗「シネ、このクソやろう」

僕に目掛けて放たれた一言は彼女を襲う凶刃達に対する遺言だったのかもしれない。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/15(水) 21:38:39.90 ID:ZmgRyKIAO<> 股間が熱くなるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/15(水) 22:51:00.80 ID:8dmq/qlIO<> 興奮した <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/02/16(木) 06:28:09.99 ID:AJ20LXK3o<> 大刀洗さん可愛すぎる
このシーン絵で見てみたいわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/16(木) 09:44:18.15 ID:Y9vxbisAO<> ぴちゃぴちゃとかちゃぷちゃふみたいなオノマトペは水たまりじゃなくてもきっとあてはまるんだろう。

見方によってはそれも水たまりと言われるかもしれないが、それは水たまりではなく適切な言葉は用意されている。

ただ、この場合は一般的に使う用途のサイズを大幅に超えている為、血溜まりといっていいのかはわからない。

むしろ血だらけな部屋を見て思う。

球磨川「大刀洗さんは本当に何も悪くないのにね」

僕は肩を竦めてヤレヤレと呟いた。

こうしてこの場には僕に対して後ろめたい何かを抱えた人間が残った。

大刀洗斬子を殺したのは保健室の彼女と空手部部長の彼女と美化委員の彼女だ。

そしてお互いに距離感を図っている。

この極限状態で唯一、無実な彼女だけは退場させなければならなかったのは彼女達だ。それは僕じゃあない。

どう転んでも生き残るのは一人という前提条件。

媚びへつらおうが従順に受け入れようが今までの第一印象は変わらない。

だから一人だけ圧倒的優位に立っていた大刀洗さんを殺さざるを得なかった。

そしてその中で動かなかった唯一のよい子を排他しなければならない。

十二町「ひぃ……や、やめ」

椅子から転がるように落ちて部屋の扉をこじ開けようとするが開かない。

球磨川「酷い奴がいたもんだ。一体、誰が僕たちを閉じ込めたんだー」

僕は棒読みで言ってみたが完全にシカトされた。

肉体を肉塊にする音と悲鳴が響く。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/16(木) 20:17:39.02 ID:Y9vxbisAO<> 残るは三人。予想内であり、そしてそれ以上に予定内だ。

ここまで人数が消えるのに一時間弱。それは極限状態に追い込まれた彼女達が選択しなければならなかった状態。

三人はお互いがお互いを[ピーーー]理由を模索している。

そして今は無い。だからこそこの膠着が続きはじめた。

球磨川「で、話を戻すけど実は君たちの中に毒をお持ちのお客様はいらっしゃらないんだよ」

雲仙くんの死亡理由と彼女達の首輪をあっさり外す。

既に気が狂ったように叫ぶ上無津呂さんにぶつぶつと呟く廻栖野さん、夜の帳が下りはじめ窓の外を虚ろに見つめる赤さん。

三人の殺意が僕を襲うのと同時に扉から何かが外れる音がする。

赤さんが無言でぶつぶつと呟きながら扉の外へ出る。

球磨川「いいのかい? ここで逃がしちゃったらきっと彼女は全て君達のせいにするよ?」

言葉は汚染する。脳を、精神を。

だから疑問を持たず彼女達は殺しあう。

残された僕は雲仙くんの死体だけ運ぶ。

球磨川「あ、財部ちゃん」

焼却炉まで運び、燃やす。

燃やし終わった頃に漂う異臭を気にせず骨を取り出し、潰す。人骨を潰すのは中々、苦な作業だ。トンカチで熱いうちに打ってみるが粉々まで程遠い。

カンコンカンコン、深夜を回っても鳴り響く。

財部「先輩」

僕の作業をずっと眺めていた財部ちゃんが僕を呼びかける。

球磨川「ん? あぁ、これは少し予想外だったな」

焼却炉へ歩いてきたのは廻栖野さんだった。

普通に考えてみれば上無津呂さんが来ると思ったんだが。

しかし、彼女自身も満身創痍であり、ふとももから血が滴り落ちる。

廻栖野「……」

球磨川「おめでとう。君は何かと戦ってたようだけど僕はよく知らないし、何のことだかわからないけど、よかったら世間のごたごたが消えるまで僕んち来る?」

呆けたような顔をした後、二回縦に首を振った。

こうして廻栖野うずめは大量殺人鬼として世間のお茶の間に指名手配犯としてデビューすることになった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/16(木) 20:31:54.78 ID:Y9vxbisAO<> 財部「あの廻栖野せんぱいはどうしてますか?」

球磨川『ん? 彼女は教養も意思もトレーニングも積んでいないからお家でパソコンでもしてるんじゃないかな』

僕はいつも通りに普通な答えを返す。

財部「あ、あの同棲してるんですよね?」

球磨川『同棲って響きは官能的だけど、どちらかというと同居とかルームシェアに近いんじゃないかなぁ?』

財部「そ、そうなんですか……」

球磨川「本当に聞きたいのはそんなことじゃないんだろう?」

財部「なぜ、雲仙せんぱいだけを隠滅したんですか?」

球磨川「そりゃあ、彼だけ服毒だからね……僕は捕まりたいわけじゃないんだよ」

当たり前の返答をする。捕まりたくないから隠すし、無かったことにする。

財部「そもそも雲仙せんぱいにはいつ毒を盛ったんですか?」

球磨川「あぁ、あれはもともと委員会においてあった全ての請け菓子にあったクッキーに仕込んだだけだよ」

財部「小柄な雲仙せんぱいでよかったですね……」

皮肉気に呟かれた。

球磨川「質量的には助かったね」

だから僕もそれに応える。曇り空を眺めて僕は思う。

球磨川「洗濯物くらい取り込んでくれるかなぁ……」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/16(木) 22:04:00.95 ID:Y9vxbisAO<> こうやって僕の学校に新たな七不思議が出来た。

【深夜二時の委員会】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/16(木) 22:07:50.05 ID:Y9vxbisAO<> とりあえず委員会編はこんな感じです。内容が少ないですが勘弁してください。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/16(木) 22:57:08.49 ID:cH0FxCw50<> これ面白いわ……
背筋がゾクゾクする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/16(木) 23:06:16.37 ID:NPJV8gBDO<> この才能に嫉妬 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(熊本県)<>sage<>2012/02/17(金) 00:45:25.75 ID:lbLeOcrfo<> 赤さんに出番を <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2012/02/17(金) 02:58:47.55 ID:5/Q0zOcAO<> 大刀洗だけが意地を見せたな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)<>sage<>2012/02/17(金) 19:18:38.90 ID:MtZkDCOK0<> 何コレ楽しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/18(土) 03:22:43.02 ID:EhXURvNAO<> 財部「球磨川先輩の所に警察の方は来ました?」

球磨川『ううん、こういう時ってマイナス十三組は便利だよね。廻栖野さんを庇う必要性も動機も皆無ときた。学生に聞き込んだ結果、僕を相手どる必要は無かったんだろうね』

財部「でしょうね。動機も無ければ意味も無い」

球磨川『だからこそ、探すべきだと思うよ?』

欠伸をしながら僕は屋上の手すりにもたれかかる。

球磨川「でさ、財部ちゃんは虫歯になったことある?」

財部「は? ありますけど」

球磨川「知ってる? 虫歯って赤ちゃんの頃に口にキスをされると菌が入って虫歯になりやすくなるんだ?」

財部「それがどうかしましたか?」

球磨川「キスって何でするのかな? 愛情表現? でもさ……虫歯になったことのない僕は誰にも愛されて無かったのかなと時々思うよ」

財部「……」

球磨川「だけどさ人の心は移ろいやすく様変わりしやすい。だからね、僕は思うんだ。全てを投げ出せる程の愛なんて無いんじゃないかなって」

財部「ま、待ってください。支離滅裂ですよ?」

球磨川「あぁ、ごめんね。この世の中に真実の愛があるなら見てみたいなって……それだけなんだよ。だからこそ僕は色々、試したいことがあるんだ」

財部「携帯小説でも読みましたか?」

球磨川「うん、でもね。携帯小説の純愛もライトノベルの純愛も漫画の純愛もゲームの純愛もそれは全部……妄想であり空想であり想像なんだよね。だから都合のいい展開で都合のいい問題に適当に対処する。だからさ、僕も一回くらいは物語を作って見るのも悪くないかなって」

財部「……どの口で物語を作りたいとか言うんですか。けれど、そういうお話ならわたしは協力しません」

球磨川「?」

財部「今回は関わったら嫌な予感がします」

球磨川「……財部ちゃんは勘がよくなって来たね。もとよりそのつもりさ。人の恋愛に首を突っ込む野次馬は死んでしまった方がいいしね」

今日も空はどこまでも青い。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/18(土) 03:25:43.63 ID:sWaOyuXIO<> 再開か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国四国)<>sage<>2012/02/18(土) 12:39:13.99 ID:k9KBLf6H0<> 期待
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/18(土) 19:29:17.74 ID:vstfj5OAO<> 生存してる中で色恋沙汰ある奴って誰だろか… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/18(土) 20:01:53.45 ID:EhXURvNAO<> 球磨川「……あ、ごめんね」

マイナス十三組の曲がり角で江迎ちゃんにぶつかる。

江迎「…………っ!!」

メタル系モンスターの如く、逃げ出された。

球磨川「さて……次は……」

生徒会室に寄る。

生徒会は現在、会長と副会長の二名で臨時体制をとっている。他にも委員会は副委員長が繰り上がったりなどてんやわんやだ。

その一室に黒神めだかの姉、名瀬夭歌がいた。姉妹にも関わらず名字が違うのは多分、そういうことなんだろう。

名瀬「あぁ? 誰だ?」

お互いほぼ初見なので自己紹介を始める。

球磨川「失礼するね。僕はマイナス十三組の球磨川」

名瀬「マイナス?」

初対面であっても彼女は僕に対する感情の一端はすこぶる大きいだろう。

マイナス嫌いというのは箱庭学生に取ってわりと当たり前な心境だ。

何かしら問題があってマイナス十三組に入学する身としては甚だ遺憾であるが嫌われる理由も悪寒を抱かれる理由もあるから困ったものだ。

名瀬「…………それで何のようだよ」

クラス名を聞いた瞬間から機嫌が悪くなった彼女は諮問してきた。

球磨川「いや役員募集の紙が貼ってあったからね。緊急的に必要だろうと思ってさ」

名瀬「…………」

考えこむ名瀬さん。そんな時、隣の机で作業していた古賀さんが耳打ちをする。

名瀬「……あんた黒神めだかに苛められてたんだって?」

球磨川「そんな大層なもんじゃないよ」

名瀬「……分かった。書記と会計はなくても大丈夫だが如何せん人が足りねー。書記か会計、もしくは庶務をお願いできねーか?」

球磨川「うん、僕は昔からずっと庶務になるのが夢だったのさ」

名瀬「なんだよ、それ」

名瀬さんはそう言って笑った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/18(土) 20:29:26.89 ID:EhXURvNAO<> 球磨川「やぁ、奇遇だね」

僕は学食に腰を下ろして江迎ちゃんの正面に腰を下ろす。

球磨川「やだなぁ。何もトレーごと持って逃げ出そうとしなくてもいいじゃないか」

江迎「だって……球磨川さんは怒ってますよね」

球磨川「ううん、別に怒ってないよ。だって怒る必要性が無いじゃないか」

江迎「で、でも!! あたしは球磨川さんを売って!! 自分可愛さの為に」

球磨川「江迎ちゃんはさぁ……ヒロイズムに浸りたいだけなんじゃない?」

江迎「そんなことは……」

球磨川「無い? ならさ。僕に可愛い後輩を守ったっていう事実を悲観的に受け止めないでほしいな」

江迎「え? か、かわ、かわいい!?」

僕は変なことを言ったかわからない『フリ』をして江迎ちゃんに続ける。

球磨川「せめて同じクラスなんだから辛いことは先輩に言ってくれよ」

江迎「球磨川さん……」

球磨川「それがさ、あの二人を守れなかった僕の贖罪でもあると思うんだ」

江迎「く、球磨川さんは……悪くないです!!」

球磨川「ありがと!! あっ!! 江迎ちゃん!! そのパスタ美味しそうだね!!」

江迎「もう、球磨川さんも同じの頼んでるんじゃないですか!!」

膨れっ面をする江迎ちゃん。

江迎「それに怒江でいいです。同じマイナス十三組なのにあたしだけ仲間外れはやです」

球磨川「うん? そうだね。怒江ちゃん」







名瀬「球磨川さんよぉ」

球磨川「ん?」

僕は部活動の予算の大幅な見直しをしながら名瀬さんに問い返す。

名瀬「……なんであんたはマイナス十三組なんだ?」

生徒会に入ってから一週間の今日。何気ない質問で聞かれた。

球磨川「それは……」

古賀「も、もう名瀬ちゃんったら!! 球磨川さんも言いたく無かったら言わなくていいんだよ」

球磨川「うん、そうだね。女の子に聞かせる内容じゃないし、険悪な関係にもなりたくないしね」

名瀬「ちぇー。俺はわりかしメンタルつえーからそこら辺気にしなくていいのによ」

球磨川「あ、あはは。ここには古賀さんもいるから」

古賀「え!? さりげなくあたしメンタルが弱い子扱いされてません!?」

球磨川「あ……うん……うん」

名瀬「え……おぅ……おぉ」

古賀「ち、ちょっと二人でいきなり神妙にならないでよー!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/18(土) 23:56:20.07 ID:EhXURvNAO<> 廻栖野「それで女の子とただいちゃついてるだけなんですね?」

財部「えぇ、真意はわかりませんが一カ月も立てばそれなりにあちこちで角が立ってます」

球磨川『ひどいな。僕はただ女の子といちゃいちゃしてるだけなのにね』

廻栖野「……気分わるいです。寝るので起こさないでください」

財部「わたしも泊まっていきます」

球磨川『財部ちゃんさー。僕の家に入り浸るのはやめなよ。親御さんが泣くよ?』

財部「嘘つき」

そう言って財部ちゃんは今や廻栖野さんの部屋になりつつある僕の部屋の戸を閉めた。

嘘つきねぇ。確かに心配もしてなければ迷惑にも思ってもない。

しかし……と僕は思う。

嘘つきとは確かに僕の本質を表しているのかもしれない。

隠して逃げてなすりつけて裏切って。

だけどそれは僕が悪いわけじゃない。

僕に嘘を付けさせるみんなが悪いわけで僕は悪くない。

携帯の時計を見ると深夜十二時を指していた。

寝るには早すぎるが布団を敷く。さて、明日も僕の日常を示すマイナスに相応しい一日を送るとしようか。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 00:20:15.69 ID:66iyEecAO<> 球磨川「やぁ、与次郎ちゃん」

与次郎「あっ!! 球磨川先輩。続き書いて来ましたか?」

球磨川「うーん、アイデアが無くてね」

昼休み、図書館で与次郎次葉。別称ワンダーツギハは百面相をしながら僕に怒る。

与次郎「し、しょうがないですね!! 球磨川先輩の為にあたしが考えてあげます!!」

僕が落とした『フリ』をしたノートを大変お気に召したようで彼女はこうやって今まで何事も無かったかのように話しかけてくる。

名瀬「こんな所にいたのか? 探したぜ?」

球磨川「珍しいね? 名瀬さんがわざわざ僕を探すなんて」

名瀬さんは与次郎ちゃんの方をチラリと見た。

名瀬「悪いな、返して貰うが」

与次郎「……生徒会ですもんね。仕方ないですよ。球磨川先輩を貸してあげます」

二人のインテネーションに気づかない振りをして僕は名瀬さんの後を追う。






名瀬「なぁ? ロリコンじゃねーんだからガキの相手なんざやめたらどうだ?」

球磨川「うーん、本来なら生徒の交流の為の教育は中止になる筈だったんだけど学校側の話では是が非でも一人でも多くの入学者を増やしたいから本人の辞退以外は認めてないからね」

名瀬「…………」

球磨川「希望が丘ちゃんだっけと喜々津ちゃんは本人の辞退でそれぞれの学校に帰ったけど財部ちゃんと与次郎ちゃんは本人の意向で残ってるからね。せめて思い出作りくらいは手伝ってあげたいんだ」

名瀬「の割には財部とかいう奴よりも与次郎の方に熱を上げているようだが?」

球磨川『財部ちゃんは何故か会わないからね』

名瀬「……ふぅん」

何か言いたそうだったが僕は気にしない方向にした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 00:58:28.40 ID:66iyEecAO<> 球磨川「ごめん、待ったよね」

僕は校門を背もたれにして待つ怒江ちゃんに謝る。

江迎「生徒会ですから仕方ないですよ」

充足気味に答える怒江ちゃんに僕は再度謝る。

江迎「だから気にしないでください。待ってる時間も幸せなんですから」

頬を桜色に染められて僕は照れた『フリ』をする。

江迎「球磨川先輩でも照れたりするんですね」

球磨川「そりゃあするよ。特に可愛い女の子に勘違いさせられそうな事を言われたらね」

江迎「…………勘違いじゃないですよ」

怒江ちゃんの台詞と車のクラクションが偶々重なって聞き取れなかったことにする。

球磨川「ごめん、クラクションで聞き取れなかった」

江迎「うぅー!! タイミング悪いです、先輩!!」

膨れっ面になる。

球磨川「ごめんね、あ、クレープが売ってある。奢るよ!!」

江迎「もうっ!! そんなんじゃ全然お詫びにはなりませんから」

けれどふにゃと崩れた笑みは彼女の機嫌を取ることに成功した現れだった。

僕は背中に心地良く望んでいた「視線」を感じながら幸せそうにクレープを頬張る後輩の髪を撫でた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/19(日) 01:00:34.35 ID:tIRpmhWjo<> さていつ変わっちゃうかなあ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/02/19(日) 19:18:18.26 ID:3voPsYKAO<> どこかの恋仲を引き裂くのかと思ったら自分で修羅場を造り上げるのか

何がマイナスだその気になれば普通にリア充になれたんじゃねーかksg <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 19:36:22.41 ID:66iyEecAO<> 球磨川「あれ? 名瀬さん?」

怒江ちゃんが学校を休み始めて三日経った。携帯に電話を入れてもメールを入れても返事が無い。

名瀬「よぉ、球磨川先輩」

今日は機嫌が良さそうだ。

球磨川「あ、名瀬さん」

名瀬「知ってるか? 江迎の奴、警察に追われてるって話」

球磨川「え?」

名瀬「最近、与次郎次葉の奴も見ていないんだろ?」

球磨川「うん。図書館で待ち合わせしてたんだけどすっぽかされて以来見てないよ」

名瀬「……何でも江迎が関係してるらしいんだけど江迎の奴も行方がわかんないんだってよ」

球磨川「……へぇ」

僕は頭の中で整理する。居なくなった与次郎ちゃんと怒江ちゃん。その情報をくれた名瀬さん。

球磨川「僕も探してみようかな」

名瀬「…………はぁ?」

上機嫌が一転、見てわかるほど機嫌が悪くなったようだ。

名瀬「なんで、そーなんだよ!?」

ヒステリックに叫ぶ。

名瀬「あ!? ちげーだろ!! 球磨川先輩よぉ!!」

胸倉を掴まれて突き飛ばされる。そして尻餅をつく。

名瀬「ふざけんなよ!! 普通に俺と過ごせばいいじゃねぇか!?」

球磨川「どうしたんだい? 急に」

慌てず騒がず。

球磨川「そう……だね……うん」

未だに迷う『フリ』をして名瀬さんに答える。

名瀬「……そんなにあの後輩が可愛いかよ」

僕は顔を真っ赤にして如何にも図星をさされたような演技をする。

名瀬「っ!! いいか!! あの女は誰にでも股を開くアバズレだぜ? 人吉善吉っていただろ? あいつのセフレだったんだよ!! あんたを苛めていた男のお下がりでいいのか!?」

僕は酷くショックを受けたような顔をする。

名瀬「……俺はあんたが好きだ。だから他の女に目をくれないで欲しい」

俯いてポロポロと涙を流す彼女の髪を撫でる。

球磨川『……そんな悲しい顔をしないでよ。僕は僕を受け入れた名瀬さんに感謝してるし、そんな名瀬さんが好きなんだよ』

背中に回された手に力が入る。

球磨川「だから…………ね?」

僕は告げる。

球磨川「与次郎ちゃんをどうしたのか教えて欲しいな」

その問いは静けさを醸し出すには丁度良かった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 20:02:25.16 ID:66iyEecAO<> 球磨川「さって……答え合わせでもしようか」

名瀬「え……待ってくれよ……意味がわかんねぇ」

球磨川「うんうん、意味がわかんなくていいと思うよ。ここからはあくまで僕が見ていなかった『フリ』をしていた補完だから」

猫のような皮を剥いで内から、中から湧き上がるような本心を僕は彼女に見せつける。

球磨川「そもそも君は妹の黒神めだかにコンプレックスを抱いていた。そしてその劣等感は限りなく悪意に近いものじゃなかったかい? 嫌悪、軽蔑、そういうマイナスベクトルの感情を君は常日頃から抱いていた。だからこそ君は僕が苛められてることを知っていたし、それを逆手にあの黒神めだかが嫌っていた僕を好きだという錯覚で妹に対するリアスタンスを埋めることにした」

名瀬「……推理小説の読み過ぎじゃねぇか?」

球磨川「推理小説なんかじゃないよ。ただのサスペンスだ。そこに推理する要素は必要ない。ただ殺された人間を受け入れていく。そんなお話だよ」

名瀬「……」

球磨川「さて、名瀬さんは僕に対して愛こそは無かったもののプライドはあった訳だ。何としても自分に振り向かせたい程度には君は黒神めだかを意識しすぎた。そこに新しい要素を作り出す。黒神めだかの幼なじみにして恋人である人吉善吉に一方的な被害を受けていた江迎怒江という存在を」

名瀬「……黙れよ」

球磨川「大層、ご立腹みたいだったようだね。黒神めだかの恋人にすら遊ばれていた女の子に対し夢中な先輩。そして振り向かれないという事実。君は黒神めだかの呪縛からいつまでも抜け出せなかった訳だ」

僕は嘲笑う。惨めな彼女を。父親に捨てられたら可哀相な少女を。地獄を生きてきた少女を。

球磨川「そしてそんな先輩が夢中な彼女はとある罪を犯した……彼女もまた先輩に気に入られてる後輩が気にくわなかった。だから注意するつもりが逆に彼女の事情を告げられそれを大好きな先輩の耳に入れさせないように口封じをした」

名瀬「な……何で知ってんだよ……」

球磨川「そしてそんな彼女を如何にも味方であるという様相で近づいた君は彼女に逃げることを勧めた」

そして僕は怒江ちゃんに名瀬さんが来る前にメールを送った。

『ごめん、名瀬さんから全てを聞いた』

と。

球磨川「じゃあね、名瀬さん。また明日とか」

僕は彼女の肩に手を置き教室を後にする。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 20:24:19.74 ID:66iyEecAO<> サイレンが鳴り響き箱庭学園全体が騒がしくなる。

何でも女子生徒を二人も殺した女子生徒が校内を徘徊しているそうだ。

携帯電話が鳴り響く。

球磨川『「やぁ、怒江ちゃん、久しぶりっ」』

江迎『球磨川さん……』

球磨川『「どうしたんだい? 何かよう?」』

江迎『…………もう駄目です』

球磨川『「駄目?」』

江迎『汚いのに、好かれようとか、可愛くなろうとか』

球磨川『「うんうん」』

江迎『「とうとう人まで殺しちゃいました」』

球磨川『「うん」』

江迎『「球磨川さんの為にしたんです!! 球磨川さんが好きだからあいつらがわたしと球磨川さんを引き離そうとするから!! わたしは球磨川さんの為に!!」』

球磨川『「うーん、あのさ……何をいってるかよくわかんないけど……






人のせいにするなよ



というか。そもそも怒江ちゃんとそういう関係になりたいだなんて思ってないし。え? もしかしたら僕と恋人同士になれると勘違いしてる? デートしたり! キスしたりとか! さ! うわ、はっずかしー、自意識過剰ー。どんだけおめでたい考え方してんの、君達!

実は! さ! ここだけの話! 僕、最初から別に同棲相手がい」』

携帯電話先から破砕音が聞こえた。

あれだけなっていたサイレンも次第に音を引いていく。

そういえば窓の外から悲鳴やら何やら騒がしいけど僕にはきっと関係ないのだろう。

だって僕は何も悪くはないのだから。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 20:43:51.28 ID:66iyEecAO<> 財部「……あの、先輩」

球磨川『なんだい、財部ちゃん?』

財部「いえ、何でもないです」

球磨川『変な財部ちゃん。当ててあげようか?』

財部「っ!?」

球磨川『本当に恋愛感情なんて無かったのか? だろ?』

財部「……はい」

球磨川『うーん、はっきり言っちゃうとさ。ここだけの話……なんと!? 無かったんだよ!!』

財部「……」

球磨川『おいおい、正直に答えたんだからそういう白い目はやめてよねー。ほら、僕ってもともと人妻にしか興味ないしさ!!』

財部「……」

球磨川『絶対零度のような視線を貰っても貰いなれているから僕は気にしない』

財部「はぁ……」

溜め息を疲れた。

球磨川『でもさ、やっぱり僕を僕として見てくれた子はいなかったなぁ』

財部「え?」

球磨川『気づかなかった? 別に彼女達は僕じゃなくて良かったんだよ。与次郎ちゃんは話合える相手ならきっと誰でもよかった。名瀬さんはコンプレックスを解消できる相手なら誰でもよかった。怒江ちゃんは本当の意味で誰でもよかったんだよ』

財部「……そんなことは」

球磨川『結局、恋愛なんて惰性で適当でいいんだよ。真実なんてものは幾らでも誤魔化せるし融通が効くからね』

財部「融通ですか?」

球磨川『うん、代理が立てるし、代理が出来る。結局は絆なんて死んでしまえば意味をなさないし、意味を残さない』

財部「……の割にはちょっと寂しそうですね」

球磨川『まぁ……マイナス十三組がこれで僕一人になったわけだし悲しくはあるよ』

財部「……」

球磨川『意外そうな顔をしないでくれよ。こう見えても僕は人間なんだよ? だから平気で人を裏切れるし、厚い顔で人を裏切れる。それに、まぁ。今回の事は僕は一切悪くないしね』

てすりにもたれかかりながら僕は空を見上げた。晴れ晴れとした空はまるで僕の心のようだと嘯いてみる。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 20:49:17.62 ID:66iyEecAO<> この学園には七不思議という概念が無いにも関わらず、三つ目の七不思議ができた。

【図書館の机の下に潜む女子生徒の霊】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/19(日) 20:52:39.96 ID:66iyEecAO<> この章はここまでです。

どきどきすいこでんってゲームを買って鬱になってペースダウンしたのは秘密です。しにたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/19(日) 20:55:06.05 ID:66iyEecAO<> 支援レスありがとうございます。がんばります。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/19(日) 21:07:01.97 ID:457jP+OHo<> >>70
おつー
頑張れ〜応援してるよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/19(日) 21:19:47.79 ID:kFr4eQJio<> 乙

甘えるな を思い出した <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/19(日) 22:10:35.36 ID:KPRRqaXo0<> 最高だ
これだけ読んでて興奮するSSは中々無いぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/19(日) 22:38:01.32 ID:jmaz89FIO<> 乙
くまーさんマイナスかっこいい
明日のジャンプに球磨川さん出てるといいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岐阜県)<>sage<>2012/02/20(月) 06:17:54.28 ID:zUBPIsWCo<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/20(月) 07:46:42.64 ID:bc6uLbGIO<> マイナス13組で登校拒否してるのって二人いるんだよな
で、一人は江迎ちゃんだとして、もう一人はどこに消えた?
不知火ちゃん? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<><>2012/02/20(月) 08:15:34.71 ID:bx9T8XEAO<> トランプ君と血の海派ちゃんの事じゃね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/02/20(月) 11:59:31.99 ID:H3CiM/9eo<> 登校拒否の二人は自殺したんだろ
江迎ちゃんは学校来てたんでね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国四国)<>sage<>2012/02/20(月) 12:23:21.43 ID:u18gU68Z0<> 残ってる人少ないな……
有明とか諫早とか八代はいるのかな?
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)<>sage<>2012/02/21(火) 06:16:21.51 ID:B9V2VpsOo<> 王土ェ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/02/21(火) 06:20:49.52 ID:o9w6AB+2o<> 王土さんは普通なる人だから普通にすごして普通に死んでるんだよキット <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/02/21(火) 16:55:07.83 ID:xaW/t5x8o<> これはいいSS <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/21(火) 23:31:15.76 ID:z59RErrAO<> 球磨川『そういえば廻栖野さんって兄弟姉妹は?』

廻栖野「何ですか? 藪から棒に」

球磨川『僕には兄弟も姉妹もいないんだけど欲しかったとは思わないんだよ』

廻栖野「は?」

ポテチを箸で食べながら廻栖野さんはバラエティー番組を見ている。

球磨川「実際、僕は弟が欲しくて作ってみたんだけど失敗しちゃったしね」

廻栖野「弟を作るのに失敗とかあるんですか?」

球磨川「うーん、例えばさ。歯が痛いっていうから献身的になって歯医者に連れて行ってあげたり、ご飯を一緒に食べたり」

廻栖野「…………」

球磨川「そして妹のような子も出来たんだけどさ。生きるのに一生懸命で誉められるとよく照れて」

廻栖野「だから、なんですか?」

球磨川「いい兄や姉の条件ってさ、どんなことがあっても守ってあげることだと思うんだよ」

廻栖野「?」

球磨川「だから……さ。僕は守れなかった時に一体、自分がどういう顔をしていたのか知りたい」

廻栖野「それで依真ちゃんじゃなくて何で私に言うのですか?」

球磨川「親友も殺して、親も裏切った廻栖野さんだったらどう思うのかなって」

廻栖野「あなたがそうしたのでしょう? 責任は取ってくれるんですか?」

机の上に置いてある珈琲を飲みながら思ってもいない台詞をはいている。

球磨川「人聞きが悪いね」

焦がれるように待ち遠しい未来を僕は想像する。

僕はあの時、どんな顔をしていたのだろうか。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 00:06:08.38 ID:SdR3SRWAO<> 黒神真黒、雲仙冥加。二人を時計塔の屋上に呼び出した。

立入禁止と書いてあった札を超えて「こんな場所」へやって来た二人はどうしても知らなければならない事実がある。

真黒「それで球磨川くん。一体、どんな用だい」

球磨川「そうそう!! 聞いてくれよ、真黒ちゃん。妹が二人も死んで悲しいと思うんだけど気をしっかりもってね」

真黒「〜〜っ!!」

球磨川「僕はどうしてもめだかちゃん達の事件に納得してないんだ!!」

考えこむような仕草をして真黒ちゃんは言葉を選びだす。

真黒「同感だね。僕の妹があの二人に殺される姿が想像できない」

競泳部の二人を連想しているのだろう。

真黒「それにあの事件には善吉くんも一緒だった、安心院さんもいて……個々で襲われたとしてももっと何か抵抗があるはずなんだ」

球磨川「それに競泳部の問題はあくまで喜界島さんであって何の関係もないと思うんだよ」

真黒「けど、なんで君が? 仮にもあれだけされていたんだ……君がその事を気にする必要性が見当たらない」

球磨川「逆だよ……あれだけ虐げられてたのに急に終わったのに現実感がなくてさ。そうするとめだかちゃん達に対する怒りとかどうすればいいのかわからなくて」

僕は困ったように頬を掻く。

球磨川「少なくとも真実を知る権利はあると思うんだ」

真黒「なるほど」

と、少し忘れていたが雲仙冥加が自分自身を指差していた。

彼女は生まれつき声が出せない。その為に手話で会話しているのだが生憎、僕にそんな心得はない。

その為、彼女は僕の目の前まで歩いてきてメモ帳に文字を連ねていく。

『私を呼んだ意味は?』

球磨川「あぁ、ごめんね。雲仙くんの行方不明を雲仙ちゃん……ややこしいな。冥加ちゃんも調べてるって聞いて」

少し考えこんで。

『だとしてもそれとこれとは別件じゃないの?』

球磨川「けれど僕は雲仙くんの事も調べる。そして良かったら冥加ちゃんも何か有益な情報があったら交換しないかい?」

少し考えこんで、こくんと頷く。

真黒「僕も雲仙くんについて聞いたら話すよ。それにしても意外だったな」

球磨川「え?」

真黒「君に時計塔に呼び出された時は正直、腹が立ったが確かにここは密談に最適だ。僕の感傷を覗けば……ね」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/22(水) 01:05:20.17 ID:mOcJBV4po<> 紫煙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国四国)<>sage<>2012/02/22(水) 03:05:30.18 ID:UfmysHJ40<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sagasage<>2012/02/22(水) 12:34:50.01 ID:SdR3SRWAO<> 球磨川「僕なんかと話をしていると困るしね。真黒ちゃんには悪いけどここを使わせて貰える?」

真黒「別段、僕に許可を得る必要性はないよ」

球磨川「それと真黒ちゃんは善吉ちゃんについてどう考えてる」

真黒「少なくとも無関係じゃないだろうね。あの件は一件して競泳部絡みに見えて実は生徒会執行部に対する怨恨の可能性を疑っているよ」

球磨川「けれど凶器には全て屋久島くんと種子島くんの指紋しかついてなかった」

真黒「……それが一番おかしいと思うんだ。発表された中にあるお手製の鈍器には硬貨やボウガンは本来なら別の指紋があってもおかしくないだろ?」

球磨川「なるほどね。真黒ちゃんはそっちに気がついた訳か」

真黒「そっち?」

球磨川「うん、僕が気づいたのはめだかちゃんに一切の性的暴行が無かったことなんだよ」

真黒「え?」

球磨川「彼らが呼び出した理由は知ってるよね」

真黒「噂程度なら」

球磨川「うん、僕はその噂を仮に是として信じた過程の話なんだけどそもそも喜界島さんが呼び出した訳じゃないか。にも関わらず目的が達成されていない。そもそもあの噂が本当ならたかが痴情のもつれ程度で殺しあったりするかい?」

と、そのタイミングで冥加ちゃんがメモで言いたいことを書き表す。

『噂って何です?』

球磨川「えっとね」

真黒「……あんまりいい噂じゃないよ。それに女の子の前でそんな下世話をするのは……」

『おっぱいより重い話じゃなかったら大丈夫』

無表情でサムズアップを取られて真黒ちゃんは閉口した。

球磨川「んっと、生徒会長は知ってるよね?」

こくんと頷く。

球磨川「彼女がどんな印象だった?」

『とても優秀で学園始まっての才媛だって聞いてます』

球磨川「うん、冥加ちゃんは良い生徒だったみたいだね」

小首を傾げて疑問符を浮かべている。

球磨川「表はそういう顔。だけど裏では暴君とも呼ばれていたよ二股、三股は普通で快楽主義で楽天主義。むかついた相手に対しては暴力すら厭わない。安心院なじみも人吉善吉も似たようなもんだよ」

真黒「……」

球磨川「まぁ、そんな訳だから一般の生徒には目のつかない所で色々やってたみたいだよ」

冥加ちゃんは色々思うところがあったようで考えこむ。

球磨川「どうかな、真黒ちゃん?」

真黒「え? あぁ、うん。我が妹ながら恥ずかしいばかりだよ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sagasage<>2012/02/22(水) 12:57:43.07 ID:SdR3SRWAO<> 球磨川「それで噂は彼女が乱交パーティーを開くって学園の裏掲示板に書かれたことらしい。それを書いたのは屋久島くんと言われてる。書きこんだ時期は事件の夜」

『当日ですか?』

球磨川「そう。にも関わらず彼らは二人て殺しあった。だからこそこの事件は違う第三者が介入しているんじゃないかなって思っている」

真黒「……誰かは予想ついてるのかい?」

球磨川「まぁ、都城くんか日之影くん辺りなら考えていてもおかしくないよね?」

真黒「……待った。日之影くんはどうしてだい?」

球磨川「だって前生徒会長が一年生相手に生徒会を解体させられて我が物顔で学園を支配してるんだよ」

真黒「けど日之影くんは出来た人間だよ?」

球磨川「そう? なら真黒ちゃんはそう思ってればいいと思うよ。けど、気になるんだったら日之影くんについて調べるのをお勧めするよ」

真黒「……わかった。日之影くんについては僕は別に調べる」

球磨川「うん、彼の友達である真黒ちゃんに調べろなんて言わないしね。それで真黒ちゃんも怪しい人物は目を付けてるんだろう」

真黒「…………僕も都城くんくらいだな。思いつくのは」

球磨川「そう。ならお互い有益な情報があったら……また明日の昼休み、ここでいいかな」

真黒「わかったよ」

冥加ちゃんはコクコクと首を縦に振った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)<>sage<>2012/02/22(水) 13:37:02.67 ID:9EehTfLLo<> 日之影ちゃんのことすっかり忘れとった… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/22(水) 14:12:12.02 ID:4UFxKjlIO<> >>89
お前も彼のスキルに踊らされていたのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/02/22(水) 17:28:11.21 ID:3O3H+CQAO<> 実は俺も日之影さんと同じスキル持ってるんだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 17:29:36.10 ID:SdR3SRWAO<> 球磨川「やぁ、冥加ちゃん」

僕は校舎外れの焼却炉近くで声をかけた。

『こんにちは』

球磨川「うん、こんにちは」

基本的に感情に乏しい表情の彼女。しかしよく見ればうっすらと口角が上がっているので頑張って笑みを作ろうとしているんだろう。

『球磨川先輩の境遇をみんなに聞きました』

球磨川「ん?」

『同じ学校なのに私は知らなくて』

球磨川「あぁ、別に同情なんか必要ないよ」

『違います』

強い瞳で何かを訴えようとしている。

『私は何も知らなくて無知なのが恥ずかしいと思いました』

僕は彼女が文字を羅列するのを待つ。

『私は言葉が喋れないことで苛められたこともありました。けれど球磨川先輩みたいに酷い目には逢いませんでした』

球磨川「酷い境遇ねぇ」

僕はその意味合いを噛み締める。奥歯でゆっくりと何度も。

『のうのうと生きているのが恥ずかしかった』

何故か泣いている彼女の目元を僕はハンカチで拭いてあげる。

『どうしてあんなことが出来るのか同じ人間なのに』

球磨川「うん、冥加ちゃんは実にいい子だ」

僕は彼女の頭を撫でる。

球磨川「君みたいに人の為に泣けたらどれだけ人生を謳歌できるか、楽しめるか」

真っ赤な目で見つめられる。

球磨川「でもね。それは弱者だから言えるんだ。贅沢を知らないから。人生の辛酸を舐めてきたから」

そう。強者であればそんな理論は必要ない。

球磨川「人生はいつだって強者の為にあるんだよ。だから弱者は泣くし、泣き叫ぶ。泣き叫んだ所で強者にとってはただの雑音でしかない」

『黒神めだかは強者じゃありません』

強く、走り書きした内容は彼女の怒りを表していた。

『誰よりも心がまずしかった』

強く強く書く。彼女は涙を止めない。

球磨川「優しいね、冥加ちゃんは」

ぶんぶんと首を横に振る。

球磨川「だからね……冥加ちゃん。真黒ちゃんの近くでくれぐれもそんな事言っちゃ駄目だよ?」

僕は優しく微笑んで彼女に注意する。

球磨川「僕が一番疑っているのは真黒ちゃんなんだ。冥加ちゃんが色々動いているのを知ったから声を掛けたけど。真黒ちゃんに対しては違う。僕は彼を一番疑っているからこそ、声を掛けた。冥加ちゃんもあまり情報を掴んだことを言わない方がいいと思うよ」

彼女は少し考えこむとこくりと力強く首を縦に振った。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 17:50:39.61 ID:SdR3SRWAO<> 球磨川「手詰まりだね」

屋上で僕は真黒ちゃんと冥加ちゃんに声を掛ける。

真黒「そうかい? なら今日の所は解散しようか」

『もうですか?』

真黒「うん」

球磨川「そうだね、それじゃあ」

僕は何か言いたそうな冥加ちゃんにアイコンタクトを送る。

球磨川「それじゃあね」

真黒「じゃあ」

真黒ちゃんが時計塔から降りていって校舎へ入ったのを屋上から確認して冥加ちゃんと本題に入る。

球磨川「今日、実は警察署にアポをとっているんだ」

『アポイントメントですか?』

球磨川「なんでわざわざ略式を取ったのかわからないけど、そうだよ」

『テヘペロ』

無表情で書くものだからここは笑った方がいいのだろうか。

『無視は駄目ですよ!!』

感嘆符まで打たれたので一応、笑っておくことにした。

『心がこもってないです』

ジト目で睨まれたので僕は吹けもしない口笛を吹いてごまかした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/22(水) 17:52:29.42 ID:TWXfPzi9o<> なぜ冥加ちゃんが可愛いのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/22(水) 18:24:21.52 ID:m9prvdWIO<> 上げて落とされて狂っちゃう冥加ちゃんも見てみたいし
一緒に堕ちていってしまうのも見てみたいじれんま <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 21:12:22.91 ID:SdR3SRWAO<> 刑事「やぁ、お待たせしました。んっふっふ〜」

独特の喋りをした刑事さんだ。でっぷりとした体格に人の悪そうな笑み。

名刺を僕と冥加ちゃんが受け取る。

刑事「えっと球磨川さんに雲仙さんですね」

球磨川「えぇ、彼女は発声障害がありますが彼女自身も事件を調べているので付いて来てもらいました」

刑事「こちらとしては人が多い方が話を聞けますから、助かります、んっふっふ」

球磨川「よろしくお願いします」

僕は今日までまとめた流れを話した。






刑事「なるほど……目先の証拠で動かされた訳ですか」

球磨川「だと思いますよ。んっ、美味しっ」

僕はお茶を飲む。

刑事「再考の余地は勿論あります……しかしながら……」

球磨川「人数が割けないわけですよね」

僕は署内を歩いている際に見つけた「箱庭学園委員会殺人事件」に何人も人が入れ替わって入っていくのを見た。

球磨川「えぇ、実はこの二件は無関係だと思えないんです」

刑事「なんですって?」

刑事さんがメモ帳を開く。

球磨川「そもそも黒神めだかや失踪した人吉善吉は警戒心が強い人間です。そんな彼女らが先輩とはいえ競泳部の二人相手にして何の抵抗が無かったなんておかしいんですよ。黒神めだかの死因って鈍器が使われてたんですよね?」

刑事「えぇ、おそらくインターネットに出ているその情報に差違はない筈です」

球磨川「鈍器を使われて彼女が何も出来ないなんて精神的ショックを受けるような相手だと思うんです。恋人や肉親」

刑事「恋人や肉親ですか」

刑事さんはメモ帳に書き込んでいく。

球磨川「えぇ。そして委員会で起こった事件には関係性が確かにあります」

刑事「それは?」

球磨川「凶器ですよ。これは聞いた話しなんで確証はありませんし、信じられる要素はありません」

刑事「えぇ、構いません」

球磨川「第一の事件での競泳部員はお互いに使った凶器がナイフとボウガンですよね」

刑事「えぇ、拳銃に比べたら子供らしいですね、んっふっふ」

冥加ちゃんの方はこの不謹慎なジョークが気に入らないみたいで眉を潜めていた。

刑事「これは失礼、んっふっふ」

球磨川「そしてこれは第一発見者の生徒を見つけて聞いたんですが米良さんの額に刺さっていたみたいですね」

俯いて手を震わせて聞く冥加ちゃんの手を握ってあげる。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/22(水) 21:46:28.98 ID:l+RDeKVAO<> 冥加ちゃんきゃわわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 22:10:51.57 ID:SdR3SRWAO<> 球磨川「ボウガンなんて凶器が連続で使われるなんて珍しいと思いませんか?」

刑事「た、確かに……というか言われて見れば見るほど怪しい点しかありませんね」

球磨川「僕はもしかしたらの前提なんですが……廻栖野さんは巻き込まれただけなんじゃないかなと思うんです」

刑事「なんですって!? しかし、彼女は未だに生きているかも行方不明の……っ!!」

球磨川「そう行方不明ならもう一人いますよね」

刑事「人吉善吉っ!!」

球磨川「そう彼も本来なら疑われる訳ですが彼が疑われなかった理由は出血があったからなんですよね?」

僕は鞄を漁る。

球磨川「どうぞ」

僕は一足の靴を渡す。

刑事「上靴ですか? えぇと、名前は廻栖野うずめ!?」

球磨川「えぇ」

刑事「あの事件に関する証拠はあまりにも少な過ぎて……もしかすれば」

僕は靴の裏を見せる。

刑事「血痕!?」

球磨川「それは時計塔の屋上にありました」

刑事「なんでそんな所に……」

球磨川「それはわかりませんが……」

すると慌ただしく扉が開く。

刑事「なんだっ!? 慌ただしいぞっ!!」

後輩刑事「せ、先輩!! 廻栖野うずめが死体で見つかりましたっ!!」

刑事「な、なんだって!? 場所は!!」

後輩刑事「箱庭学園三年十三組ですっ!!」

刑事「容疑者は!!」

後輩刑事「それが……毒殺です」

刑事「は?」

後輩刑事「トリカブトによる毒殺みたいです……」

何か魂でも抜けたかのように刑事さんはドサリと座りこむ。

冥加ちゃんは強めに手を握りしめてくる。

刑事「箱庭学園に向かいます!!」

球磨川「刑事さん。黒神めだかの兄である「黒神真黒」を忘れないでください」

刑事「黒神真黒……KMっ!!」

後輩刑事「KMってあの大刀洗が残したダイイングメッセージですか!?」

刑事「馬鹿野郎っ!! ここにはお客さんもいるんだぞっ!! 勝手に情報を漏らすなっ!! タコっ!!」

後輩刑事「す、すいませんっ!!」

慌ただしく出て行った二人。

震えている何も知らない冥加ちゃんの背をさすりながら僕は今日の晩御飯は何を作ろうか考えていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 22:37:19.51 ID:SdR3SRWAO<> 真黒「僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない」

あれから二週間、留置所の面会室で真黒ちゃんは呟いていた。

真黒「誰かにはめられたんだ!! 日之影だっ!! 日之影の奴が!!」

球磨川「日之影くんは死体で見つかったそうだよ、ゴーストバベルで」

真黒「な、なら都城だろっ!? あいつも怪しいって君が言ってたじゃないか!?」

球磨川「……」

真黒「なぁっ!! 違うんだよ!! はめられたんだよ僕は!! 僕じゃない!! めだかちゃんを殺したのは僕じゃない!!」

球磨川「君は親の事業を継ぐめだかちゃんを疎ましく思っていたみたいだね」

真黒「!?」

球磨川「聞いた話によると君は妹に対して物凄いコンプレックスを抱いていた」

真黒「ち、違うっ!! 関係ない!!」

球磨川「……僕はあくまで付き添いだからさ」

冥加ちゃんがメモ帳で文字を羅列する。

『弟はどこですか』

真黒「し、知らないっ!! 知らないんだよ!! 僕じゃないっ!!」

彼女は必死に否定する真黒ちゃんに対し走り書きで思いを殴りがく。

『返して!!』

真黒「だから知らない!! 知らないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」









あれ以上、会話は無駄だと思ったのか冥加ちゃんは走りだしていた。

僕は追いかけて彼女を見る。

『私、弟の仇すら取れませんでした』

目をこすりながら大粒の雫をメモ帳に落としながら彼女は出せない声で泣き叫ぶ。

僕は彼女の頭を撫でる。声を出せない彼女は目をこすりながら、顔をくしゃくしゃにしながら泣き続ける。

僕は見たかった何かを確認した。

冥加ちゃんの目を真っ直ぐに見つめた。

胸に飛び込んできた彼女を受け入れるように後頭部を撫でる。今の僕の顔を見られたら困るから。

あぁ……きっと。

僕は後輩を二人守れなかった時、こんな風に泣いたんだろう。僕はそう思うことにする。














決してあの時は今みたいに満面の笑みなんか浮かべていなかった。僕はそう思い込むことにした。

無知で可哀想で愚かな彼女の頭を撫でながら。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 22:39:38.91 ID:SdR3SRWAO<> こうして七不思議として新たな項目が追加された。

【ゴーストバベル】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/22(水) 22:44:24.02 ID:SdR3SRWAO<> この章についてはここまでです。

マイナス十三組の内情は主に>>78です。

あと冥加ちゃんが悪堕ち、完堕ちしなくてゴメンネ!!

ほら冥加ちゃん天使だから仕方ないよね!!テヘペロ

支援レスがジワジワと増えてきてるので頑張ります!!フンス <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/22(水) 22:45:37.10 ID:SdR3SRWAO<> 日之影くんは結局、誰にも見えないまま退場しました <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/02/22(水) 22:47:13.26 ID:TWXfPzi9o<> 乙
冥加ちゃんペロペロ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/22(水) 23:02:06.67 ID:Lfu0KtNvo<> スキルないのにミスターアンノウンかwwwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/22(水) 23:08:57.13 ID:4UFxKjlIO<> >>104
ただの影薄いボッチじゃねえかwwwwwwwwwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/23(木) 00:29:07.66 ID:v/Kct2YJo<> >>105
想像して画面にコーヒーついたじゃねえかwwwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/23(木) 00:35:07.06 ID:ndIbTDmAO<> 名前登場だけで乙った日之影先輩ェ…

普通なる王土さんはまだ生きてんのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/23(木) 00:44:41.51 ID:HzW41/+70<> KM って本当は『球磨川禊』か
一子報いようとした大刀洗さんにそれを利用する裸エプロン先輩

上手いなぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国四国)<>sage<>2012/02/23(木) 00:45:21.11 ID:Uy7aPD2A0<> 普通なる俺が普通に乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/23(木) 01:00:15.49 ID:QPPkBRXIO<>
日之影「今日も誰も話しかけてくれない…」

日之影「唯一の居場所だった生徒会も一年生の女の子に取られたし、そもそもいなかった事になってた…」

日之影「今日もクラスは俺なんかまるで存在しないかのように動いてる…」


日之影「あれ、みんな気づかないなら覗きし放題じゃねwwwwwwwwww」

後日・・・
覗いたタイミングが悪かった!
更衣室には先客の球磨川が!


ここまでは妄想した <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)<>sage<>2012/02/23(木) 14:16:03.92 ID:/hbWooxQ0<> 冥加ちゃんのヒロイン度がヤバい

嫁にしたい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 14:21:44.99 ID:2d4102vAO<> 球磨川『やぁ、財部ちゃん』

今日は休日ということもあって彼女は中学生らしい厚手の服装で箱庭学園の時計塔の屋上にやってきた。

財部「あと少しで卒業ですね」

もうすぐ春がくる。黒神真黒が捕まって三カ月が経った。

財部「先輩は大学にも進学しないし、就職もしない。ニートにでもなるつもりですか」

くすりと笑う彼女を僕は困ったような顔で見つめる。

財部「いいんですよ、別に。私は球磨川禊に選ばれた。その事実がーー」

球磨川『ならさぁ。財部ちゃん』

御託を聞くつもりも無ければ彼女の妄想も、盲信も、心酔も聞くつもりは無かった。

球磨川「手っ取り早く言うけどーー」











死んでくれないかい? 出来るだけ多くを巻き込んでさ







僕のその言葉に彼女は目を輝かせてこれ以上いらないという風体で最高の笑顔を浮かべてーー





財部「はいっ!! 先輩!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/24(金) 15:33:21.44 ID:O6B1+FVIO<> ああ、あの可愛かった財部ちゃんが洗脳されてしまったよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/02/24(金) 16:24:07.15 ID:vz2Oz6tDo<> oh……財部ちゃんが…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 19:23:27.57 ID:2d4102vAO<> 蝶ヶ崎蛾々丸
志布志飛沫
江迎怒江
不知火半袖
安心院なじみ
喜界島もがな
阿久根高貴
名瀬夭歌
長者原融通
廻栖野うずめ
上峰書子
黒神真黒
鰐塚処理
与次郎次葉
十二町矢文
湯前音眼
行橋未造
雲仙冥利
希望が丘水晶
百町破魔矢
黒神めだか


そして財部依真。

マインドコントロールとは容易い。ただし、誰にでも容易いという訳ではない。

マインドコントロールはかける人間よりもかけられる人間の資質の方が圧倒的に重要であり、重大である。

エリート意識、コンプレックス、従順で没個性的な性格、素養は様々な種類がある。

殺人幇助の過程を経て彼女の心に毒を混ぜた。

そして彼女は元々、箱根学園の生徒会次期後継者候補。

数百人の中学生から選ばれた過程で「自分は特別な人間である」というエリート意識を持っていた。

廻栖野うずめの殺害は彼女の選定意識を増長させた。

球磨川禊の片腕は私であるという意識を彼女の中で強固にし、球磨川禊にとって私は必要な人間であると思い込ませた。


その過程を経て偏執病的になるまで僕の信仰、崇拝し始めた。

財部依真でなくてもよかったし、廻栖野うずめである必要は無かった。

人はびっくりするくらい簡単に依存し信仰し信じる。

信じ合うことの大切さを馬鹿みたいに阿呆みたいに力説して綺麗な言葉を受け入れたがる。

例えどんなに汚れていても綺麗になりたがる。

球磨川「綺麗ねぇ……」

僕は思う。

価値観にしか依存しない綺麗という形容詞はきっと思い込みの塊でできている。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 19:44:10.87 ID:2d4102vAO<> 球磨川「上出来だよね」

財部依真におけるマインドコントロールを考えることによって二時間程、時間を潰すことが出来た。

彼女が死んでから二週間、僕は明日に迫った卒業式に向けて教室を片付ける。

『先輩!』

膨れっ面になった冥加ちゃんがプンプンという擬音と共に立っていた。

球磨川「どうしたんだい?」

『掃除を手伝いに来たんですからサボらないでください』

もうっ、仕方ないんだからと脳内で勝手に文頭つけてツンデレ口調にしてみれば冥加ちゃんがツンデレに見えてきた。

球磨川「うーん、ごめんね。あ、そのエプロン可愛いね」

僕の言った台詞に対し思う所があるのか渋い顔をしてメモ帳に文字をかく。

『それ言えば誤魔化せると思ってません?』

ジト目で睨まれる。

球磨川「あ、あはは、そんなことないよ!! さすが、冥加ちゃん!! 可愛いねっ!!」

諦めたように溜め息をついて、

『騙されてあげます』







球磨川「それにしても本当に聞きたいのかい?」

僕は再度確認する。

コクリと頷かれては手伝って貰った身としては断れない。

球磨川「僕の虐められてた時の話ねぇ……でもさ、なんで?」

冥加ちゃんは顔を真っ赤にしながら文字を書いていた。

『秘密です』

球磨川「うーん、あんまりいい話じゃないよ」

『いいんです。先輩の事を知りたいだけですから』

球磨川「あはは、さっき秘密って言ってたのに」

自分でも気づいたのかあたふたして、結局誤魔化しきれていなかったので顔がトマトくらい真っ赤になっていた。

球磨川「それじゃあ、話そうかなーー」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/24(金) 19:56:44.45 ID:RanNO+qIO<> 冥加ちゃんまじ天使 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 21:48:42.54 ID:2d4102vAO<> 球磨川『特別クラスねぇ……』

僕は新設された特別クラスを見る。

『マイナス十三組』

これはどこの高校も受け入れて貰えなかった最後に残された選択肢。

例えテストで満点取ろうが、面接でいい子ぶろうが僕の過去は消せない。

球磨川『それにもう噂は広まっているみたいだしね……』

周りを見てみると興味深そうに、尚且つ腫れ物を触るかのような扱いだった。

僕としては十年近くはそういう目で見られてきたから今更気にする必要もない。

「おい、お前」

「だ、駄目だよ、王土!?」

僕が振り返って見るとライオンの偽物みたいな男子と小さな男の娘が立っていた。

球磨川『えっと何か用かな』

都城「ふむ、王たる俺が見るに……」

行橋「だ、だから駄目だって王土!?」

都城「えぇい、邪魔をするな!! いくら行橋とて王たる俺の邪魔をーー」

振りかぶる腕、僕は拳の先にいる男の娘を庇う。

都城「っ!!」

球磨川『うっわ、自分で王とか名乗る痛々しい奴、僕、初めて見たよ!!』

都城「貴様っ!!」

はぁ、やれやれ。転校初日から散々だーー



球磨川『?』

都城「おい球磨川」

帰り道を歩いていると都城くんが道を塞いでいた。

球磨川『なんだい?』

都城「遊びに行くんだが生憎……」

球磨川『おいおい、王様が金欠とか。ぷーっ、くすくす』

財布事、持っていかれた。



球磨川『やぁ、王様くん』

都城「おい、王たる俺になれ」

球磨川『虫歯は治ったのかい?』

都城「き、貴様が何故、それをっ!!」

球磨川『人の保険証使ったらちゃんとその通知が来るに決まってるじゃないか。君みたいな脳筋にはわかんないかな? 世間知らずの王様?』

都城「コロス」



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/02/24(金) 21:54:54.08 ID:vz2Oz6tDo<> 何かもう色々とワロタwwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sagasage<>2012/02/24(金) 22:12:40.54 ID:2d4102vAO<> 真黒「本当にやるのかい?」

都城「あぁ、構わんよ。王たる俺が許可を出す」

真黒「球磨川くんは気絶してるし、まぁいいかな」

球磨川『…………』

真黒「球磨川くんに罪をなすりつけるにか……」

都城「構わんよ、これで貴様も童貞卒業な訳だ」

球磨川『…………』

都城「ただしコンドームつけろよ。証拠が残るからな」

真黒「わかったよ」





十二町「レイプ魔」

球磨川『…………はぁ』

十二町「……絶対に許さないから」

球磨川『…………信じてほしいって言っても無駄なんだよね?』

十二町「許さない……」





翌日。

十二町「……和解金?」

球磨川『うん、そうだよ。十二町さんは困ってるよね? お家が?』

十二町「…………」

球磨川『君は悪くない』

十二町「……うっ、うっ……」

まるで僕が泣かしたみたいだ。






都城「……珍しいな」

球磨川『……がはっ』

肺の空気を全部ぬくような鋭い蹴りが僕に浴びせられた。

十二町「ぅ私の勝手じゃない」

都城「いやいや、王たる俺は別にお前の行動を咎めるわけでも無い」

十二町「…………」

都城「存分に蹴り、殴るがいいさ」




<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 22:20:48.00 ID:2d4102vAO<> 球磨川『幸せは歩いてこない、だーから歩いていくんだねー、一日一歩、みぃかでさんぽ』

行橋「あ、あのさ!!」

球磨川『ん?』

行橋「…………辛くないの?」

球磨川『辛かったら助けてくれるのかい?』

行橋「っ!!」

球磨川『別にどうでもいいかな』

行橋「ボクは、ボクだったら……」

球磨川『おいおい、勘違いするなよ。君なんかじゃ何も出来ないよ。思いあがりも甚だしいね』

行橋「そ、そんなこと」

球磨川『ならさぁ……今すぐにでも助けてくれるのかい?』

行橋「それは……」

球磨川『大丈夫だよ。僕は君になんか一寸の興味すらないから』







球磨川『後輩かぁ』

僕は手遊びをする。

安心院「君が球磨川くんかい?」

球磨川『えっと……後輩って訳じゃなさそうだね』

安心院「いやいや、転校生さ。僕は」

球磨川『現実の僕っ子って痛々しいから止めといた方がいいよ』

空気が凍る。

安心院「……せっかく金持ちの苛められっ子がいるから仲良くしてあげようと思ったのに」

球磨川『ふーん、お帰りはあちらだよ。安心院なじみさん』

安心院「……気が変わった君は僕の事を畏敬の念を持って安心院さんって呼ばせるようにするよ」

球磨川『ぷっ、だっさ』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 23:04:18.66 ID:2d4102vAO<> 志布志「あんたが球磨川さん?」

蝶ヶ先「先輩ですか?」

僕が二人を見た最初の瞬間は傷だらけの猫のようだった。

球磨川『うん、よろしく!!』

だからへらへらした笑顔で僕は彼女らに対して挨拶をした。




蝶ヶ先「どうしてっ!! 我々がこのような目に逢わなければならないんですかっ!!」

モノクルが割れて顔を腫らした蛾々丸ちゃんが叫びながら泣いていた。

蝶ヶ先「我々が彼らに何かしたというのですかっ!! 違うでしょう!?」

僕は聞いてあげる。言い訳を、訴えを、遠吠えを。

蝶ヶ先「志布志さんが何をされたかわかります? レイプですよ!?」

球磨川『…………しょうがないな』

蝶ヶ先「え?」

球磨川『大丈夫だよ、蛾々丸ちゃん。きっと苛めなんて行為は明日にでもなくなるから』





志布志「球磨川さん。カラオケにでもいこーぜ!!」

蝶ヶ先「そうです、行きましょうよ!!」

球磨川『全く、君達は迫害が無くなった途端に元気になるなんて……ね』

志布志「だ、だって、あいつら加減とかわかんねーから……」

蝶ヶ先「そ、そうですよ!! 最近の中学生より酷いものです!!」

球磨川『ごめん、ごめん。じゃあーー』

そこで携帯にメールが入る。

球磨川『ごっめーん、今日はデートだった』

二人は膨れっ面になった後に笑顔で送ってくれた。




赤「球磨川先輩、ダウンは早いんじゃないんですか?」

廻栖野「新しい服かぁ」

赤「あなたから言い出したことなんですよ?」

球磨川『そうだね……』

都城「ふん、虫けらの癖に後輩を守るなんて大口叩くからだ」

廻栖野「…………それ、本当ですか?」

赤「えぇ、本当ですよ」

廻栖野「へぇ」

都城「まぁ、ただの格好つけたがりだ」

球磨川『はは、どの口で言うんだか……がはっ』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 23:28:51.31 ID:2d4102vAO<> 球磨川『どうしたんだい二人共?』

志布志「球磨川さん!? 球磨川さんが身代わりになってるって……!?」

球磨川『あー………』

志布志「あーじゃねぇよ!! あたしはそこまで弱くねぇ!!」

球磨川『ごめんね』

怒り泣きはらす志布志ちゃんの頭を撫でる。

志布志「あいつら……」

志布志ちゃんの目に殺意がやどる。

志布志「殺してやる」

蝶ヶ崎「……お手伝いしますよ、志布志さん」

我慢の限界を超えたのか目が据わっていた。

球磨川『駄目だよ、二人共。そんな事をすれば……やっぱりとか案の定とか。僕達は迫害されるだけの存在になるよ?』

志布志「けどよぉ!! だったらどうしろって!! 先公なんて役にたたねぇし、泣き寝入りしろっていうのかよ!!」

球磨川『だからさ……僕の事は大丈夫だよ。後輩の身くらい護らせてよ』

志布志「〜〜〜〜っ!!」

何か言いたいけど言えない。そんな感じで飛沫ちゃんは声を殺した。









球磨川『…………』

机の上に二つの花瓶があった。

『あたしが球磨川さんをぜってー守るから!!』

『しょうがないですね。幼なじみの宿命です。お付き合いしますよ。志布志さん』

あの時の言葉を僕はもっと考えていれば良かった。

あれ以来、僕に対する苛めはピタリとやんだ。

マイナス十三組の自殺。

球磨川『…………』

僕は二人を見殺した時、○○○いた。

弟のような女の子。
妹のような男の子。

二人は僕の為に死んだ。なのに涙は出なかった。

花瓶の水を替える。

そのルーチンワークは僕の罪を肯定する。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/24(金) 23:30:48.85 ID:OYG/oKP2o<> 『笑って』が丁度良く入るな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/24(金) 23:43:11.51 ID:2d4102vAO<> 球磨川『…………』

時間の流れは早い。ただひたすらに。

冬が来て春が来たにも関わらず、花は枯れているにも関わらず僕はいつものように水を換える。

球磨川『……』

「貴様が球磨川禊か?」

僕は声を掛けられて振り向いた。

新入生の代表だった女の子だ。

めだか「久しいな、十年ぶりくらいか」

球磨川『えっと……ごめん。誰?』

めだか「人吉瞳を覚えているだろう?」

球磨川「あぁ……あの精神科の。それで?」

僕は胸ぐらをぐっと掴まれた。

めだか「覚えていないのか?」

その表情は失望。まるで何か大切な何かを、信じていた何かを否定された表情。

めだか「もういい」

球磨川『?』

めだか「もう、貴様は私の敵だ」

まるで親の仇を見つめるようにーー








人吉「よぉ、あんたがめだかちゃんの言ってた。球磨川禊かよ」

敵意満々な男子生徒に僕は聞き返す。

球磨川『めだかちゃん?』

人吉「あぁ、いやいやいいんだ。球磨川、あんたは俺が追い詰めて命乞いをして死なせてくれと頼む関係せいだ」

球磨川『……ふーん、どうでもいいけどさ。その着こなし変だよ?』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 00:04:34.21 ID:wAMnFcVAO<> と、まぁ。こんな感じかな』

僕は話終えて缶コーヒーを飲む。

冥加ちゃんの手に持つココアの缶の上に雫が何度も落ちる。

球磨川「全く、本当に泣き虫だね」

ココアを手すりの上におく。

『先輩がそんなに辛い目にあってるのに……』

球磨川「だから僕は大丈夫だよ」

すると冥加ちゃんは書きなぐった文字で、

『私は大丈夫じゃないです!! 私は辛いです!! 先輩が泣かないなら私が変わりに泣きます!!』

球磨川「まったく……」

鼻水まで出して。彼女の鼻にティッシュを当てる。

球磨川「優しいね」

ぶんぶんと首を横に振る冥加ちゃん。

『優しいだけじゃ駄目なんです。優しさだけじゃ誰も救えない。守れない』

そして考えこみ、彼女は文字を羅列する。

『今の話の中に……弟が出てきませんでしたがもしかして球磨川さんは弟にも何かされたのではありませんか?』

球磨川「参ったな……」

『聞かせてください』

球磨川「まぁ、一度だけね。『姉ちゃんは俺が生まれた時から喋れなくて、何でお前みたいな人間が声を持ってるんだ!!』ってね」

『……ごめんなさい』

球磨川「あはは、事実だしね」

『球磨川先輩に八つ当たりなんてみっともないです!!』

球磨川「うん、いいよ。別に僕は許すよ、うん」

その瞬間、強い風が吹いて。方向を変えようとした冥加ちゃんの足がもつれる。

僕は彼女を支えてーー

球磨川「大丈夫?」

顔を真っ赤にしながら何度もこくこくと頷いた。

『球磨川先輩、明日は卒業式出る前に教室にいてください!!』

球磨川「え?」

『大事なお話があります。ついでに第二ボタンは残しておいてください!!』

僕はポリポリと頬をかきながら頷いた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 00:07:26.02 ID:wAMnFcVAO<> それはそうと財部ちゃんが起こした事件は実に稚拙で簡単だった。ただし彼女が自分の中学校に戻って起こしたことから箱庭学園に奇妙な噂が流れる。

【取り憑く悪魔】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 00:14:59.75 ID:qBoXJs+G0<> うああああああああああああああああああああ
球磨川さんカッコ良すぎるううううう!!!!!!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 00:15:21.14 ID:wAMnFcVAO<> この章はここまでです。

200レスとか言ったけどそんな行かないっぽいです。でも1レス辺りの投下をいっぱいいっぱい使ってるのでそれで多めに見てね、テヘペロ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/25(土) 00:19:46.45 ID:wAMnFcVAO<> あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『財部ちゃんがヒロインだと思ったら、いつの間にか冥加ちゃんがヒロインだった』。
な…何を言っているのかわからねーと思うが、
俺も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…ヒロイン交代だとかだとか、
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

財部ちゃんの努力がまさかの一行!!

許してね!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/25(土) 00:44:13.18 ID:GpAJHDTAO<> 後輩の身代わりになるとか球磨川さんカッコ良すぎだろ無駄になったけど

王土と行橋がなんというかDVカップルなふいんきだった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 01:11:10.26 ID:OT6kUkESO<> 一体十年前くらいにめだかと球磨川の間に何があったんだ……? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/25(土) 01:13:05.07 ID:kTp8lbm5o<> 乙
でもなんでガガと志布志が死んで虐めが止んだの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/25(土) 01:15:06.77 ID:YqdKSz5no<> 死人が出てさすがに治まったけどめだかちゃん登場で再燃だろ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/02/25(土) 04:04:47.90 ID:MWjguuTBo<> 乙でした
財部ちゃんの扱いに泣いた



とでも言うと思ったか。もがなちゃんがあんな扱いだった時からわかっていたぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 15:56:29.43 ID:wAMnFcVAO<> >>134です <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 20:31:12.12 ID:wAMnFcVAO<> 箱庭学園を卒業すると言うことは僕の物語の終わりを告げると同義だ。

終わりは全ての事柄に等しく訪れる。

だから僕の終わりは間違いなく箱庭学園の卒業と同時に終わるだろう。

体育館に仕掛けた発火装置は全てを燃やし尽くして誰も生き残る事が出来ない。
ここに完成するのは球磨川禊が行ってきた一年間の集大成であり、結論であり、結果。

校門を誰より早くくぐり抜け、何も知らない何もわからない何も理解できていない可哀想なみんなを見る。

始まりは全て十年前。めだかちゃんに逢ったのは通過点で飛沫ちゃんや蛾々丸ちゃんに出会ったのは通過点で安心院さんを埋めたのは通過点で十二町さんを殺させたのは通過点で怒江ちゃんを飛ばせたのは通過点で真黒ちゃんを捕まえさせたのは通過点で財部ちゃんを操ったのは通過点だった。

全ては球磨川禊がもう一度、悲惨で無惨でどうしようもなく救いようがない破滅主義者であることを確認する為の。

思えば十年前のあの日に僕は完成していたのかもしれない。

僕の破滅主義は家族を皆殺しにしたことから始まった。







瞳「異常よ……君は……」

若い精神科医が僕の結果を見た瞬間、まるで何かに怯えるように呟く。

だから僕は言った待合室にいる男の子と友達になってあげようかと。

急激に青ざめていく顔。そして唇を噛んで葛藤した後に答えた。

瞳「金輪際、あの子には近づかないで……」

球磨川「わかりました、悲しいなぁ。せっかく友達が出来ると思ったのに」

僕はぬいぐるみをひきずりながら扉を出る。

「あ、あの!!」

振り返って見れば先程、待合室で話をした女の子。

「あ、あなたは人生に目的などないと言ったが……どうして生きているのだ?」

黒神めだかとネームプレートをつけた女の子が問いかけてきた。

球磨川「……君はたくさんの大人を終わらせて来たんだね」

首を縦にふるめだかちゃん。

球磨川「終わらせていいんだよ。君は」

めだか「終わらせていい?」

球磨川「だって君は特別だからね。確かに人生に目的なんてないよ。目的は与えられるものではなく創造すべきものだ

だからめだかちゃん、君と僕は世界を終わらせていいんだよ」

僕は手に持ったうさぎをわたす。

球磨川「もし君が僕の言うことを完全に理解して僕の為に動いてくれるならーー」



もう一度、会いに来て

と僕は彼女につげた <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 21:33:13.16 ID:wAMnFcVAO<> 球磨川「冥加ちゃん、早いね」

彼女はメモ帳を取り出す。

『スーツ姿、カッコいいですね』

ニコリと微笑む。

球磨川「あはは、ありがとう」

その笑顔に対し僕も微笑み返す。

『早速ですが、私は球磨川先輩に言いたいことがあります』

球磨川「うん」

深呼吸を何回かして文字を羅列する。

『好きです』

顔を真っ赤にして告げられた。

球磨川「…………うん、ありがとう」

僕はお礼をつげる。
そして彼女、雲仙冥加は再び文字を羅列した。










『だから球磨川先輩、自首してください』










球磨川「あっは」

僕は久しぶりに心の底から笑みが零れた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/25(土) 21:34:51.65 ID:f8HczWTto<> ふぇぇ…冥加ちゃんが死んじゃうよぉ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 22:22:20.35 ID:wAMnFcVAO<> 『疑問が湧き上がったのは黒神先輩が捕まった時でした』

球磨川「……」

『第一発見者である生徒はトラウマで一時、学校に来るのも困難なレベルであるにも関わらず先輩は聞き出したと言いました』

球磨川「……別に怪しいとは思わないな。現に彼女は再び学校に通っている訳だし」

『そうです。有り得ない訳ではないのです。しかし、困難であることはかわりない。そして、廻栖野うずめの上履き。警察ですら見つけられなかった品物を見つけだせるのも困難です』

球磨川「……」

『けれど、私は確証所がむしろ自分を責めました。好意を抱いている人間を疑うなんてと』

球磨川「へぇ、そんな前から好きでいてくれたんだ。ちょっと嬉しいな」

『話を逸らさないでください』

球磨川「うん、ごめんね。続けて」

『次に注目されなかった。名瀬夭歌、次葉与次郎、江迎怒江の三人の事件です。これは修羅場が招いた結果であり、犯人もはっきりして動機もはっきりしていました。だから大した関係性は見いだせませんでしたが、ここに先輩が絡んでいるのを私は聞き込みました』

球磨川「うん、でもその事件で僕はむしろ被害者だよ?」

『確かに先輩は直接的な関係性はありませんが、最後の江迎怒江に関しては違います。先輩は江迎怒江相手に同棲相手がいると言ったそうですね』

球磨川「……誰かに聞かれたんだ。弱ったな」

『直後、彼女は飛び降りました』

球磨川「うん、そうだね。けれど何の問題も無いよ」

『そう、問題はありませんが私が気になったのはどんな相手が同棲相手だったのかです』

球磨川「嫉妬?」

『それもありますが。真面目に話をしてるんです、聞いてください』

顔を真っ赤にして怒られた。うーん、僕自身、緊張感が足りないな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 22:43:43.41 ID:wAMnFcVAO<> 『だからこそ疑問が起きたのです、球磨川先輩の経歴を考えてみれば同棲相手は誰なんであろうか』

球磨川「うわっ、さりげに酷いな。ほら、僕って可愛い顔をしてるから……ごめん、うそうそ。だから睨まないでよ」

『可愛い顔はこの際、関係ありません。だから球磨川先輩からしばらく目を離しませんでした。そうすれば先輩の周りにいた女生徒がもう一人いました。財部依真』

球磨川「へぇ」

『最初は彼女が同棲相手なのかと思いました。ですが先輩の家の隣人の方に聞いてみれば髪は長くてスタイルのよい女性が洗濯物を取り込んでいたらしいです』

球磨川「なるほどなー」

『だからこそ財部依真ではなく別の誰かが住んでいたのではないかと考えました。そして、その『時点』で髪が長くてスタイルの良い人間を私は一人知っています』

球磨川「うーん、わからないふりをして聞いて見るけど誰だい、それは?」

『廻栖野うずめ、彼女こそがあなたの同棲相手だったのではないかと考えます』

球磨川「……うーん、往生際が悪いけど証拠はあるのかい?」

『今はありませんがあなたの家を捜索してみれば彼女が住んでいたという生活の痕が残っています。そしてこの事からーー』

球磨川「……」

『だからこそあなたが、先輩が、球磨川禊こそが、

【時計塔に佇む女生徒と執行部に潜む殺人鬼】
【深夜二時の委員会】
【図書館の机の下に潜む女子生徒の霊】
【ゴーストバベル】
【取り憑く悪魔】

以上の謎を作り出した人間だと私は考えます!!』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 23:00:10.03 ID:wAMnFcVAO<> 球磨川「僕は一つだけ冥加ちゃんに謝らなくちゃならないな」

最後の方は泣きながら震えながら書いた彼女を僕は大いに讃える。

球磨川「僕は君のことを愚かで何も知らなくて可哀想で可愛い女の子だと思っていた」

けど、違う。彼女はたった一人でこの場に立っていた。

球磨川「君は実に賢く知らないからこそ理解しようと努力し一人で闘って強かで可哀想でそしてとびきり可愛い女の子だ」

だけど僕には聞かなければならないことがあった。

球磨川「けれど何で今日何だい?」

涙を制服の袖で拭きながら彼女は文字を羅列する。

『昨日の先輩の話を聞くまで私は信じたくなかった。私は先輩が好きだから。だからこそ、優しい先輩がどうしてそんなことを出きるか、それだけが謎でした』

球磨川「と、いうことは謎は融けたんだね」

『自信は無いです。私は先輩じゃないからわからないです。けれど心が壊れてもおかしくないくらい先輩は酷い目にあってきた』

球磨川「……」

『私と先輩はもっと早く出会うべきだった。そうすれば』

そこからはもう文字が書けないのか手が止まる。

『先輩、好きです。だから自首してください。先輩なら情状酌量の余地はあります』

球磨川「無いよ。僕は人殺しだ。情けを掛ける理由なんてない」

『先輩、好きなんです』

球磨川「うん、ありがとう。僕も冥加ちゃんの事を誤解してたし心の底から、今君を愛しく思う」

彼女はポタポタと涙を流す。

球磨川「けどさ……そうそう、髪の長い女の子を僕はもう一人知っているんだ」

彼女は小首をかしげる。

すると彼女の口元に気づかれないよう背後に回った女生徒が布をあてる。

球磨川「めだかちゃんもさ、髪の毛長くて、スタイルいいって知ってた?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/25(土) 23:08:33.72 ID:f8HczWTto<> めだか生きてたのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 23:13:27.70 ID:wAMnFcVAO<> 眠った顔は可愛い。

恋を知らなかった人間だと僕は自分を評価するが、それは改めなければならない。

僕は雲仙冥加に惹かれた。

その事実が気に入らないのか彼女を眠らせた本人は眉を八の字にしている。

小さな手に僕の第二ボタンを握らせた。

めだか「殺さないのですね……そういう決まりでしたから」

球磨川「彼女は勝者だからね。僕は健闘を称えるよ」

最後の最後に僕の真実に気づいた少女。

けれど全部が正解では無いから大人しく捕まってあげるわけにもいかない。

めだか「悔しいですね」

球磨川「ん? 知恵比べで負けた事がかい?」

めだか「いいえ、禊先輩の心がこの女に向いていると思うと憎くて殺したくなります」

球磨川「あっは、嫉妬深いなぁ、めだかちゃんは」

めだか「そして先輩に関わって生き延びることが出来たという唯一の存在意義すらこの女に奪われたとなると私は腸が煮えくり孵ります」

球磨川「でもめだかちゃんがいないと僕は生きていけないよ」

めだか「……ずるい先輩です。実に」

顔を真っ赤にしてそっぽを向かれた。

めだか「体育館に生徒、父兄は集まって出入り口全てを南京錠で固めました」

球磨川「ん、ありがとう」

めだか「それではお先にお待ちしています。二人きりで祝杯をあげる為に準備してますから」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 23:32:05.35 ID:wAMnFcVAO<> マッチを取り出して火を点ける。

体育館の中は既に異常に気づき怒号が響いていた。

卒業式典の為に入り口で携帯を預かるという形が災いして連絡も取れない。

球磨川「さようなら」

灯油を染み込ませた新聞紙に火を放つ。

火は新聞紙を伝い、体育館へ広がっていく。

中から悲鳴と怒声。

恐怖が唄う。嘆きが謳う。

僕はその音楽を聞きながら見上げる。青春を。



刑事「球磨川、動くな!!」


振り向いてみれば刑事さんがいた。

球磨川「な、何が?」

この時、初めて僕は同様した。

連絡は取れないよう遮断していた筈。こっそり持ち込んでいた奴がいたのか? 否、有り得ない。今回は特に厳しくボディーチェックまでしていた筈だ。事件が連続で起こった為に愉快犯を防止する為に。そして周辺の警備は式典が始まると同時に引き上げるよう『偽物』の依頼書を発行していた筈だ。

刑事「動くなっ!!」

球磨川「…………それはこっちの台詞ですよ」

余裕がなく僕は顔に怒りを露わにして答えた。

球磨川「全ての南京錠の鍵の在処は僕が知っています」

刑事「っ!?」

球磨川「……まさか刑事さんが自分で気づいたんですか」

刑事「……お恥ずかしながらそういう訳じゃないんですよ」

球磨川「ですよね。あなた方如きが気づけると思わない」

なら、何故なんだ。
そこにフラフラになりながらやってきた雲仙冥加の姿があった。

球磨川「寝起きはどう?」

『最悪です』

球磨川「そうかい? でも教えて欲しいな。どうやって君が?」

『そんなの簡単ですよ』

冥加ちゃんが一枚の名刺を取り出した。

球磨川「おいおい、冗談は……っ!? まさか!?」

僕はまんまと喰わされた一つの事実に気づく。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 23:33:50.89 ID:wAMnFcVAO<>









冥加「……す……きです……み、そぎさん」






<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/25(土) 23:36:01.03 ID:aQi178kto<> この刑事さんは大石さんか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/25(土) 23:43:30.76 ID:MWjguuTBo<> 冥加が・・・冥加喋った! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 23:49:37.52 ID:wAMnFcVAO<> 僕はもう一度、頭で考えてみる。

あの時、雲仙冥利は何て言った?

何を言った?

姉は生まれついて声が出せない。

違う。

『姉ちゃんは俺が生まれた時から喋れなくて』

球磨川「後天的発声障害っ……」

コクリと頷く。

球磨川「よしてくれよ、冥加ちゃん。そんな土壇場での能力覚醒なんてさ。まるで週間ジャンプみたいじゃないか」

『お嫌いでしたか』

球磨川「いやいや、大好物だ。君くらい大好きだよ」

『私が一番、好きじゃないんですね』

球磨川「再評価で冥加ちゃんが一番好きになった所だよ」

僕は空を見上げる。

球磨川「ここまでみたいだね」

僕はくるりと背を向ける。

刑事「お、おい!!」

南京錠の鍵穴にめだかちゃんから貰った鍵をさす。

冥加「せ、せんぱい、しんじゃ、だめ!!」

土壇場で目覚めた彼女の声はお世辞にも綺麗とは言えなかった。掠れたような音を僕ははっきりと耳に残す。

球磨川「好きだよ、冥加ちゃん」

冥加「いか、なぃ、でっ、」

声を張っているつもりなのだろうがかすっかすだ。

でもそんな声も愛している。

ドアを開ける。雪崩のように人が溢れ出る。

球磨川「さよなら、冥加ちゃん。

以上、三年マイナス十三組、球磨川禊でした』

炎の中に僕は歩いていく。

雪崩ゆく人ごみを避けながら。

我先にと出て行く人ごみを避けながら。

自分の子供よりも先にでようと足掻く人ごみを避けながら。

友人を押しのけて出ようとするごみを避けながら。

恋人すらも置いて助かろうとする人ごみを避けながら。


僕は燃え盛る体育館に歩いていく。

そして天井を見つめながらーー

さよなら、そして、また明日とか。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/25(土) 23:53:47.93 ID:wAMnFcVAO<> 後日談







【球磨川禊の百人殺し】







<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 00:18:54.64 ID:LepbeRcAO<> 刑事「あれから一年ですか。早いものですねぇ」

冥加「えぇ。おかげさまでぶじそつぎょうできました」

刑事「大分、声が戻られたようで。いやいや、あの事件はあなたがいたからこそ百余人という犠牲で済んだのです」

冥加「かいかぶりすぎです」

刑事「さて、いかがお過ごしですか?」

冥加「ふつうにてんがくしてふつうにしんがくしただけです」

刑事「そうですか。それはなにより。さて、こちらにお越しになったということは事件の真相を知りたいという訳ですね?」

冥加「えぇ」

刑事「結構。しかし……死人に口なしというように全てが真実とは限りません。それでも構いませんね?」

冥加「はい」

刑事「わかりました。さて、雲仙さんは門というお話をご存知ですかな」

冥加「?」

刑事「快楽殺人鬼は全員が通るという門があるのです」

冥加「?」

刑事「ははっ、心理学的な話ですよ。眉唾なんですがね。しかし、その話も眉唾で済まなくなる可能性があります」

取り出したのは一つの写真。

冥加「うさぎ……ですか」

刑事「研究者達は球磨川禊の入門許可証と呼んでいます」

冥加「先輩の?」

刑事「彼らは畏敬をこめてあの殺人鬼の名前をつけました。ここにレポートがあります」

冥加「……オカルトですか?」

刑事「いいえ、事実です。このぬいぐるみの中にある紙切れの内容を見せた瞬間、収監されている八割の人間が殺人を犯したいという衝動にかられました」

冥加「うそじゃないみたいですね」

刑事「えぇ、事実、この事件を担当した別の刑事が短絡的な傷害未遂を起こしました」

冥加「…………つまりはこのうさちゃんがたからべいまやめぐすのうずめをあやつったと?」

刑事「いいえ、それはありえません。なにせ、これは安心院なじみの死体と共に発見されたのです。土の状態から考えてもその可能性は限りなく低い」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 00:25:01.97 ID:YxHNbATlo<> 冥加ちゃんマジヒロイン <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 00:28:25.05 ID:LepbeRcAO<> 冥加「なら、せんぱいもあやつられてたってことですか」

刑事「違います。いえ、この先を話すのが一番恐ろしい。その内容を球磨川禊が完成させていたのは十年も前である可能性が非常に高いという話です」

冥加「じゅうねんまえ!?」

刑事「えぇ、間違いありません。人吉瞳という精神科医がいるのですが彼女は十年も前にこの紙の存在を知っていました」

冥加「……」

刑事「彼が私達とは住む世界が違いすぎる……今回の事件は人災ではなくもはや天災のようなものだった。私はそう思いますよ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 00:54:39.36 ID:LepbeRcAO<> 古賀「あ、冥加ちゃん」

冥加「おまたせいたしました」

古賀「なんのなんのー。それでこの後、学園にお礼参りいく?」

冥加「い、いみがちがいますよ」

古賀「にゃははー、まぁ。でもさ。廃校になってから電気もガスも通していないし、どうやってしのびこむの?」

冥加「ひとぎきわるいです。ちゃんとかぎをかりてます」

古賀「おおっ!? さっすがー」





【箱庭学園・体育館】

古賀「あや、やっぱみんな考えること似てるね」

冥加「どっかからしのびこんだのでしょう」

古賀「うーん、普通は正面きって借りようなんて思わないし」

冥加「そうですか?」

行橋「あ、君達は」

古賀「えっと?」

行橋「はじめましてかな。ボクは行橋未造って言うんだ」

冥加「はじめまして」

行橋「えっと、さ? 君達は都城って先輩知らないよね」

古賀「都城先輩? どうしたんです? 有名ですけど」

行橋「いや、行方不明なんだ」

古賀「あー、そういえばあの事件の後、何人も自殺者や行方不明者って出ましたもんね」

行橋「うん、それで球磨川禊は一部の宗教で祭り上げられる始末だもんね」

冥加「……」

古賀「まさか黒神さんも共犯だなんてね」

行橋「彼女がいたからこそ兄である真黒くんに罪をなすりつけられたんだっけ? 証拠品をこれ以上なく用意できる訳だよ。今、考えて見れば完全犯罪と言ってもおかしくなかったよね」

冥加「……」

古賀「あり? 冥加ちゃん? どしたの?」

冥加「まさか……いや、そんなはずは……」

古賀「んー。でも意外だったね。黒神さんって死人扱いだったんでしょ?」

行橋「焼死体だったから歯型で死体確認したんだっけ? それが別人だって気づくのに……」

館内が静まり返る。
四つの足音。

カッカッカッカッ。

気づいたものは恐怖を。

気づいたものは嘆きを。

気づいたものは畏敬を。

気づいたものは絶望を。

そして私こと雲仙冥加は安堵をーー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 00:56:38.21 ID:LepbeRcAO<>






『みんな、久しぶりっ、僕だよ』






【球磨川禊の百人殺し】
【殺人輪廻の体育館】 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/26(日) 00:57:23.29 ID:1eDhj9ITo<> 後ろの正面だぁれ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 00:58:19.04 ID:LepbeRcAO<> 以上、本編でした。

>>1だけど頑張って質問答えるお!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 00:59:28.00 ID:YxHNbATlo<> 乙!
めっちゃ面白かった!
冥加ちゃん達は結局死んじゃうの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/26(日) 01:00:11.92 ID:LepbeRcAO<> とりあえず似非ミステリーっぽいサスペンスホラーを書きました。

下手糞でごめんね!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/26(日) 01:00:20.69 ID:1eDhj9ITo<> 乙でした
めだかちゃんどおしたんだよ
回想が始まったところから依存めだかと球磨川の歪んだ関係がもっと語られるかと期待してたww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:02:48.84 ID:LepbeRcAO<> >>158

冥加ちゃんは死なない!! 何故なら天使だからっ!!

>>160

うさぎの人形の行方

幼クマー→幼メダー→メダー→クマー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/26(日) 01:05:53.24 ID:f/sA51tjo<> 乙
冥加ちゃんだった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(青森県)<>sage<>2012/02/26(日) 01:07:02.45 ID:e0p1sgb4o<> 四つの足音って誰だ?

理解力なくてすまん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:10:27.05 ID:LepbeRcAO<> >>158>>160>>162
雑文に付き合わせてごめんぬ。

少しでも楽しんでもらえたなら幸いです。

このスレの目的は冥加ちゃんが如何に可愛いかを伝えるスレでした。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<><>2012/02/26(日) 01:11:31.91 ID:HGS7w3XAo<> 面白かった、乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 01:12:27.18 ID:lJusDZrt0<> 乙です。最高でした。鳥肌と背筋のゾクゾクがやばかったです!!
結局くまさんの入門許可証って何だったんですか?
本物の安心院さん(原作)が作ってこっちの世界に持ってきたものだったり?
あとめだかがくまさん虐めてたのはアリバイ(?)作りのためってことでおkですか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:13:14.50 ID:LepbeRcAO<> 四つの足音は誤字。あわわわわわわわ。

正しくは二人分の足音。

うぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:18:23.11 ID:LepbeRcAO<> >>147

んっふっふー、いかがお過ごしですか? 前原さぁん


>>164

わかりにくくてごめんぬ。

心理学で犯罪者が門をくぐるって前、テレビでじっちゃんがいってた

クマーの入門許可証を見せると無条件で善人であっても門の中に入れます。

えっと、クマーがうさぎの頃に隠した紙切れの内容は欲望のタガを外すというモノ。

ドクラマグラみたいなものって認識で許してね!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/26(日) 01:21:39.16 ID:9A1b0V8AO<> 球磨川さんの同棲相手は結局めだかとうずめ両方としてたの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:22:06.30 ID:LepbeRcAO<> >>166

めだかちゃんが球磨川を苛めてたのは幻滅したからです。
そんで無惨に引き裂かれたうさぎを見て球磨川禊の中にある殺意衝動が増幅。
めだかちゃんを調教。

めだか「禊たんペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ」

ってなった訳。調教のくだりは嘘だお!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:24:56.26 ID:LepbeRcAO<> >>170
めだか→うずめ→めだかです。

その間はどっかできとうに暮らしていたことにでも…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/26(日) 01:28:59.06 ID:1eDhj9ITo<> その調教をぜひみたかったぜw
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 01:44:22.59 ID:LepbeRcAO<> 【次・回・予・告】

本編の内容が壊れる可能性があります。

「誰もが認めるメインヒロイン!!

雲仙冥加!!

『せんぱいのせなかはわたしがまもります!!』キリッ

しかし、次々現れる脱落ヒロイン候補達に苦戦してしまう。

安心院「球磨川くんをおいてけーっ!!」キシャー

十二町「ぅ私はレイプまでされたのに〜」キシャー

大刀洗「働かない、絶対に!!」キシャー

赤「委員会編は絶対にあたしを使うべき!!」キシャー

廻栖野「噛ませ犬!?」ガビーン

財部「はいっ!! 先輩!!」ニパァ

喜界島「金金金金金金金金金金金金金金金金ぇぇっっっっっっっっっ!!」キシャー

冥加「う、ううっ、わたしじゃせんぱいをまもれないの?」グスッ

その時、現れた彗星のようなヒロイン。

『……貴様を助けるんじゃないっ!! これは禊の為だっ!!』

安十大赤廻財喜界『グギャァァァァァァァァァ』チュドーン


冥加「あ、ありがと。くろかみさん」ペコッ

めだか「〜〜〜〜っ!! 別に貴様の為じゃないっ!!」カァァッ

球磨川「おーい」ブンブン

冥加「あ、禊さん」ダキッ

球磨川「冥加ちゃん」ダキッ

めだか「……」ポツーン

球磨川「冥加ちゃんのおかげて助かったよ」イチャイチャ

冥加「せんぱいがぶじでよかった」イチャイチャ

めだか「覚えてろよっ!!」ウワァァァァァァァン

ってああっ!!

何をするんだいめだかちゃん」プンスカ

「ドリーム小説でくらい私といちゃついてください!!」ビリビリビリビリ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 02:01:37.06 ID:LepbeRcAO<> 【次・回・予・告】

???「ははっ、最近は受験で忙しいからな。ん? なんだこの名前の欄は!? ?じゃわかんねぇだろ!? おい、責任者、おいっ!! くっそー、どいつもこいつも馬鹿にしやがって。生徒会なんか最初、安心院の奴、俺に媚びをうってた癖に形成が不利と悟るやいなやすぐさまむこうに尻ふりやがって。 それに真黒くんが童貞じゃないってどういうことだ。裏切りだろ。裏切り。絶対に許さねー。絶対に、だ!! あ、やばい涙出てきた。くっそー。都城の奴も粋がってるし、最悪だろ。詰んだわ、人生。童貞が許されるのは一体何歳までなんだよ。くそっ、好きで年齢イコール彼女いない歴イコール童貞なんてやってんじゃねぇよ。くそビッチの学園が。というかありえねぇだろ。一年の人吉とか七股だったぜあいつ。けど死んだし。ざまぁwww修羅場wwwうぇっwww飯うまっwwwはぁっwwwしかし、なんか調子よくねーよな。真黒くんといたらなんか殺されそうだしwwwって俺はスナイパーにでも狙われてるんですか? 厨二サーセンwwwこちらsnake……ちっ、便所で飯食ってる時に糞なんかしてんじゃねぇよ……あーなんか死にたくなってきた……鬱だ……なんて黄昏る俺カッコイイwwwよし、今日も……ん?うおぉぉっ、隣の女子更衣室空いてんじゃねぇか。しかしここは五階、窓の外を伝って落ちれば死ぬ可能性もある。いいのか? 俺? このチャンスを逃しても? いやよくねーよな。よくねー。俺は渡るっ……鉄骨が崩れてもしなない気がしてきたし……渡りきるっ……よし隣の部屋の窓の死角に入った。こちらsnake、今からのぞ………………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 02:03:56.83 ID:LepbeRcAO<> 日之影くんを[ピーーー]要素は実はなかったりって>>1は>>1は今更言い訳してみたりっ!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)<>sage<>2012/02/26(日) 02:03:59.66 ID:ptT+UQJS0<> 結局王土さんはどうなったの? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 02:26:38.40 ID:4q48mqLIO<> アンノウンwww
ヒーローがこんな終わり方とか泣けるwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/26(日) 03:53:26.41 ID:PMkCMegHo<> 最後は結局大嘘憑き取得したって事か? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 04:08:00.01 ID:LepbeRcAO<> >>176 >>178

わかりにくくてすいませぬ。

如何のようにお考えください。


炎の中に飛び込んだ球磨川禊は焼死体で見つかった。

焼死体で見つかった球磨川禊を球磨川禊自身と断定したのは歯型による鑑定であった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 04:29:30.29 ID:VzNCaBGko<> >>179
ここでそう繋がるのか…! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/26(日) 04:41:40.83 ID:actYD9g5o<> あー、マジか
よく考えてるな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 05:12:00.81 ID:LepbeRcAO<> えっと次の題目が実はあって




side めだか

prologue 雲仙冥加
の二択を考えています。

安価>>200 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/26(日) 05:28:58.41 ID:Mh//hj0Xo<> 安価遠くね? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 05:31:33.57 ID:LepbeRcAO<> 二日後くらいなら……と自惚れましたが埋まらなさそうなので>>190で <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2012/02/26(日) 06:29:12.56 ID:xLTlY3fAO<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/02/26(日) 11:27:34.71 ID:f/sA51tjo<> ksk冥加ちゃん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)<>sage<>2012/02/26(日) 11:33:22.29 ID:pc3MArFno<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 11:37:20.71 ID:rmHMF7GZo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 12:29:34.37 ID:VzNCaBGko<> kskst <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/02/26(日) 12:32:39.18 ID:WSrewQquo<> めだか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/02/26(日) 13:13:59.73 ID:I1JbPnXeo<> めだかか、いいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 13:58:08.52 ID:LepbeRcAO<> 人生に目的は無い。ある訳が無い。例えば私の幼なじみに人を幸せにする為に私は生まれてきたと言う奴がいるが、何故私が貴様らを幸せにしなければならないのだろう。

めだか「おい、善吉」

ランドセルを持たせた少年は人吉善吉。私の幼なじみである。

めだか「貴様は何の為に生きているのだ?」

善吉は少し考えて。美味しいものを食べるやら見たいテレビを見るためやら俗世間的な事柄を述べる。

やはりあの日、出逢った誰かの言うことは正しいのだろうか。

生きているという事象に目的などない。そして私に生まれた意味などない。

小石を蹴りながら私は俯く。

私が努力すればするほど頑張れば頑張る程、人は離れて行く。

麒麟児、異端児、天才児、神童、才子。私は崇められることはあっても好きになって貰ったことはない。父にさえも。

だから私はたくさんの大人達を支配する立場であるのではないだろうか。

めだか「おい、善吉」

人吉「なに、めだかちゃん」

何も知らない愚鈍な少年と私が連んでいるのは何故だろうか。

めだか「何でもない」

全てを支配して、勝手に終わらせる。果たしてそんな世界で私はいいのだろうか。











あの日、貰ったぬいぐるみに抱きつきながら私はベッドの上に転がる。

兄も姉も私を見る目が変である。家族としてすら見て貰えない。

孤独に苛まれた時はぬいぐるみに強く抱きつく。

あの人は誰なんだろうか。名前くらい聞いていればよかった。本当に私を待っていてくれるのだろうか。

様々な疑問が脳裏で渦巻く。

めだか「ん?」

ぬいぐるみの中に違和感を感じた。

それはほんの僅かな違和感。

めだか「なんだ?」

触ってみると中から紙切れのような手触りを感じた。

タグか何かだろうか。

けれど何故か見なければならない。

だってそれは『あの人』に会えるかもしれない唯一の手掛かりだから

ハサミで首もとを少し切り、丁寧に取り出す。

そして文面を見た瞬間ーー






私は生きる目的と誰の為に生きているのかわかったのだーー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 14:23:25.23 ID:LepbeRcAO<> 善吉「めだかちゃん、帰ろうぜ」

中学生になって間違った方向にデビューした幼なじみを私は呆れた目で見る。

めだか「ふむ、今日の公務も終わりだしそうするか」

帰路に辿り着く。

善吉「えっと、めだかちゃんってお姉さんいなかったっけ?」

めだか「ん? あぁ、いたな。それが?」

善吉「それがって……姉貴だろ?」

めだか「だから何なのだ」

何が言いたいのかわからない。

めだか「何が言いたいんだ」

善吉「……お姉さん、離婚して家を出たんだろ?」

めだか「うむ、そうだが?」

善吉「心配とかしないのか?」

その時、私は腹の底から笑った。

めだか「あっはははははははははっ、心配? 何を言うのだ、貴様は。くくっ」

善吉「え……?」

めだか「心配も何もあるわけないだろう? あの女の母親を浮気するよう仕向けたのは私なのだから心配などあるわけないだろう」

善吉「な、なんでだよ? やっぱり義母さんとソリが合わなかったとか?」

めだか「ん? 不可思議な事を言うのだな」

善吉「な、なにも可笑しいこといってねぇよ!!」

めだか「私は誰に何をしてもいいに決まっているだろう? 何を今更言っているのだ、貴様は?」

善吉「っ!?」

そしてあの人の為に生きている。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 14:44:16.37 ID:LepbeRcAO<> 私とあの人の再会は劇的で無ければならない。

しかし私は我慢できなかった。

愛情、好意、思慕、恋慕。それはもちろんある。

が、それは一部であって全てを表すには不十分だった。

私は彼を心酔している。

私は彼の為にだけ生きて、彼の為だけに生き続ける。

人吉「めだかちゃん。そんなにその球磨川って奴が気になるのか?」

めだか「なんだ、善吉」

人吉「十年以上付き添った幼なじみよりも、そんな顔も知らないような奴が大事かよ」

めだか「貴様が勝手に付いてきただけだろう。『そんな事』よりも私が思い続けてきた十年の価値は貴様なんかには絶対にわかるまい」

生きる目的を与えて貰い、生きる許可を与えて貰い、生きる指標を与えて貰い、生きる目標を与えて貰い、生きる理由を与えて貰い、生きる原因を与えて貰い、生き続ける事を許してもらい、奪った訳を、奪った結果を、奪った結末を、許してもらい。

だから私は彼に会いに行くのだ。

球磨川禊という崇拝対象をーー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 15:11:26.32 ID:LepbeRcAO<> ゴメンナサイ、許してください。

ゴメンナサイ、許してください。

ゴメンナサイ、許してください。

ゴメンナサイ、許してください。

ゴメンナサイ、許してください。

私はあなたを信じられませんでした。

私は順番を間違えました。貴方に会いたいが為に貴方を貴方として目覚めさせる方法を忘れていました。

私はこうやって下らない世の中から目が覚めたのに貴方に会いたいが為に私はあなたと私を繋ぐ物を忘れていました。

どのような痛みにも耐えます。

どのような理不尽にも耐えます。

ゴメンナサイ。

貴方の為なら例えこの場で殺されても構わない。

ただ、どうかーー

貴方の人生に私が不必要だった。

そんな結果だけは許してください。

「赦すよ、めだかちゃん」

めだか「え?」

「君は誰の為に生きてきたんだい?」

その問いは待ち望んでいたことでーー

「君は何の目的で生きているんだい?」

その問いの為に私は生きてきてーー

「君はどう生きて行くんだい?」

その問いを応える為に私は生きてきた。

ーー私は貴方の為だけに今日まで生きてきましたーー




めだか「ご苦労だった善吉」

私は人吉善吉の死体を砕く。未だに禊先輩に殴られた頭から血が流れでているが私はその血液をわざとらしく床に落とす。

めだか「歯型か……今ならまだカルテの改竄は間に合うな」

私は以前、『私と善吉』が掛かった事のある黒神財閥直下にある歯科医院に電話する。

めだか「今夜、そちらを訪ねたいのだが名前はそうだな……名瀬夭歌だ」


人吉善吉の死体は見つからない。

激しい炎で骨の原型すら残らなかった黒神めだかの死体は歯だけ幾つか確認できた程度だった。

『大変だったんじゃない? 事後処理とか』

めだか「いえ、歯科医院を一つ潰した程度です。何の問題もありませんよ」

彼は私の治りかけの肌を撫でる。

『ごめんね? 痛かった?』

めだか「いえ、これは当然の罰なのです。それに貴方は赦されないようなミスをした私を赦してくれた。だから私はこの傷を愛しくすら思う」

額を愛でるように私は撫でる。

『ふーん、めだかちゃんってドMだね。それはそうと、ただいま、めだかちゃん』

ーーお帰りなさいませ、禊様ーー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 15:13:27.22 ID:LepbeRcAO<> 短いですがめだかちんのお話はこんな感じです。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)<>sage<>2012/02/26(日) 15:25:22.07 ID:1eDhj9ITo<> 依存で病んじゃうってどうしてかエロいとしか思えないわ
めだかちゃんマジエロい
乙でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 16:01:16.02 ID:LepbeRcAO<> 次回のお話は

・安心院さんのこれで安心、トリック説明講座

prologue 雲仙冥加
です。

安価>>203 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 16:05:31.81 ID:4q48mqLIO<> いったいどんなエロいもとい酷い事をしたんだ球磨川先輩

メインヒロインは最後に残して安心院さんで <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 17:32:30.62 ID:rmHMF7GZo<> 僕は安心院さん! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/02/26(日) 18:01:08.64 ID:IwUlMQiSo<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)<>sage<>2012/02/26(日) 18:03:03.79 ID:pc3MArFno<> ksk <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 18:26:34.87 ID:5nKyFsPHo<> 安心院さん! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 18:56:50.58 ID:LepbeRcAO<> 【安心院さんのこれで安心解説講座!!】

安心院「やぁ、みんな。本編では言葉足らずな上に拡大解釈を強いるような展開で悪かったね」

安心院「さて、ここではそんな力足らずな>>1の補足をする為のコーナーだと思って貰って構わないように」

安心院「さて謎をいくつかピックアップするが、

なぜ黒神真黒が捕まったか。

なぜ雲仙冥加が喋れたのか。

都城王土はどこに消えたのか

球磨川禊は何故生きていたのか。

黒神めだかと球磨川禊の関係とは。

そして『うさぎ』のぬいぐるみの中身とは

くらいだね」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/26(日) 19:24:39.07 ID:9A1b0V8AO<> 顔面紅葉おろしで即刻退場安心院さん来た!これでかつる! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 19:36:19.45 ID:LepbeRcAO<> 【以下本編の内容全てのネタバレがあります】





安心院「さて何故黒神真黒が捕まったか。

それはダイイングメッセージKM。

まぁ、このダイイングメッセージは無論、球磨川くんは気づいていた。

気づいていたからこそ逆に使わせて貰うことにしたんだ。

そして凶器の出所は実際に黒神真黒の住んでいる家屋から発見された。

そもそも何故、数ヶ月間も黒神めだかが死んでいると思われたか。

それは黒神めだかの事件性を面だしたくない。人間が何人もいたからなんだよ。
まぁ、ここら辺は妄想の中のご都合主義で許して欲しいな

けれど覚えておいて欲しいのは彼女は十年以上狂気に取り付かれていたということだ。

生きていようが死んだことになっていようが彼女にも動かせる人間は存在していた

そもそも財閥の正統後継者たる彼女もまた他人から崇拝されるには充分な資質を持っていたと言えるね

そしてそんな獅子身中の虫がいる中で真黒は生活していた訳だ。

何をなすりつけられてもおかしくない

以上が黒神真黒が逮捕されるべき理由と言えるよ」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 20:05:29.41 ID:LepbeRcAO<>





安心院「さて大分ご都合主義な展開で悪かったね

次は何故、雲仙冥加は喋れたのか。

これは簡単な話、

雲仙冥利が何歳であるのか。

が問題なんだ。

作中にこそはっきり書かれていなかった者の彼女は雲仙冥利の姉であることに違いはない。

ならばどのくらいの年齢が関係するのか。

双子であるか。

否、双子であるならわざわざ球磨川くんも弟であるなんて言い方をしない。



ならば彼が一年生という可能性はどうだろうか。

本来だったら飛び級でいいじゃん

とか思ったけど日本でそういやぁ飛び級ってねぇな……焦った後付けなんだけどね。

まぁ、要は雲仙冥利は雲仙冥加の年下の弟である

というのがミソなんだよね。

そして発声障害っていくつもあるんだけど、今回は先天性発声障害と後天性発声障害について話をさせてもらうよ。

先天性というのは文字通り生まれついて発声に障害があるということだ。

そして、

後天性発声障害とは生まれついてでは無いが何らかの理由により発声に障害がある。

これは一見、大した違いには見えないかもしれないが大きく事実は異なる。

例えば後天性発声障害には心因的可能性があるということだね。

そして心因的可能性における理由ならば土壇場で奇跡を起こすのもまた人の心である。

そして何故、球磨川くんが雲仙冥加を先天性発声障害と認識していたかというと。

雲仙冥利の言った

『俺が生まれた時から声が出せなかった』

年下の弟が生まれた時は既に声を失っていた。

けれど逆を返せば

年下の弟が生まれる前に声を出せたかはわからない。

つまり、球磨川くんは彼女が声を出せないという先入観のせいで携帯を取り上げるのも怠ったし、放置しても問題ないって判断したんだ。

やれやれ、勝って兜の緒を絞めよとはよく言ったものだね」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 20:16:45.91 ID:LepbeRcAO<>





安心院「さて都城くんの消失理由と球磨川くんの復活理由は関係しているんだ。

以前より書き込んでいた内容により球磨川くんは

「母親にもキスをされなかったから虫歯になったことが無い」

ということを財部ちゃんに説明したよね。

それにも関わらず球磨川禊の死体鑑定には歯型が使われたと最後に書かれている。

本来ならDNA検査で存在しない球磨川禊の歯でなんてどうやって確認するのか。

そう『存在』しない物を確認することなんて出来ない。

しかし歯型のDNAで球磨川禊本人であるという解剖結果がでた。

存在するものと存在する筈のないもの。

しかし思い出して欲しいことがある。

球磨川禊がたった一度だけ歯医者で保険証を使った通知が届いた

という描写があることを。

そしてそれは誰が使ったのかということを。

そう、都城王土。

彼こそが球磨川禊の歯型のDNAの持ち主であり、あの日見つかった球磨川禊の焼死死体だったというわけさ』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2012/02/26(日) 20:19:08.30 ID:y8jcOOh3o<> >>208
なんだと… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 20:23:09.17 ID:5nKyFsPHo<> >>208
そこに繋がるのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 20:45:08.75 ID:LepbeRcAO<>





『球磨川くんとめだかちゃんの関係性?

そんなものは僕からしたらリア充氏ねって話だね!!

まぁ、簡単に言えば崇拝される側と崇拝する側の関係だね。

そしてめだかちゃんは裏切られたという絶望と裏切っていなかった上に散々な目に合わせた挙げ句、やるべきことはやらなかった自分を赦してもらったという二つの心の動きで完全にマインドコントロールの支配下に置かれたわけだ。

そしてそのマインドコントロールは黒神めだかという人格を形成している。

もし、黒神めだかを元に戻したいとか普通の生活に戻してあげたいとなると、それは最早マインドコントロールを解く訳ではなくかけ直すレベルのお話だね。

ちなみにめだかちゃんのおかずは隠し撮り写真らしいよ!!

ビッチの癖にね!!

生意気だね!!




さってと、

球磨川くんのうさぎの話か。

みんなは『ドクラ・マグラ』

という本を知っているかい?

この本は読めば発狂すると言われる本なんだ。

球磨川くんの作った紙切れはこのドクラ・マグラのようなものだと認識して欲しい。

ドクラ・マグラを読んだ所で『全員』が発狂する訳じゃない。

じゃなきゃ、こんな本、発禁になるし。

要は『発狂する』人間もいるということなんだ。

そしてそれは以前、述べた通り、する側よりもされる側の資質を意味する。

つまり資質ありな人間が読めば犯罪を犯す。

トリックアートや目の錯覚で犯罪者の欲望を引き出す。

この物体の正体こそ『球磨川禊の入門許可証』と覚えてくれ。

彼らはこれを作り上げた球磨川禊という犯罪者に対して敬意をこめてこの名をつけたということだ。

うーん、最後の部分はややオカルトじみているし話半分程度で聞いてくれ。

っと僕の出番はこれくらいのようだね。

それにしても当たりが球磨川くんとは予想外だったぜ。こんなことなら都城くんとかに媚び売らないでさっさと球磨川くんに股を開いてればよかったよ。

ほんと、運が無いよなぁ。僕も」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/26(日) 20:47:00.83 ID:LepbeRcAO<> 以上、安心院さんのトリック講座でした!!

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 20:54:51.88 ID:ils11mCY0<> 理解してなかった・気づいてなかったつながりや背景が分かってすっきりした
これで一連の話を余すところなく楽しめた気がするわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 20:55:09.07 ID:5nKyFsPHo<> 乙
やっと理解できた!
ありがとー安心院さん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/02/26(日) 21:20:59.12 ID:WSrewQquo<> 乙!
歯形のトリックすごいな
感心した
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 21:57:03.29 ID:LepbeRcAO<> 皆さん、レスありがとうございます。

ちなみにスレタイに関しては良いのが浮かばなかったので完全に空気と化していますがもうちょい何とか出来たんじゃないかなぁって反省してます

それでは

prologue 雲仙冥加
を投下します <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 22:03:29.71 ID:LepbeRcAO<>





『みんな、久しぶりっ、僕だよ』





それは球磨川禊の物語ではなくーー

私こと雲仙冥加の物語の始まり。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 22:09:37.58 ID:LepbeRcAO<> 『あっは、みんな呆れるくらい平和ボケしてるよねっ?

物語は終わったと思った?

惨劇は幕を閉じたと思った?

それとも僕がこの世から消えたから平和な毎日を送れると思った?










甘ぇよ









物語はプロローグですらないし、惨劇は幕を開いたばかりだし、球磨川禊はここにいる』

静まり返った静寂の中で彼は十数人近く集まった体育館内で語り口調で続ける。

『だけど、その甘さ、嫌いじゃあないぜ?』

彼は簡単に言う。この場にいる人間を許すと。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 22:26:50.36 ID:LepbeRcAO<> 『ここに来たのには理由があるんだ。

みんな、僕についてこないかい?』

あぁ、魅せられる、崇拝させられる。

そんな雰囲気を彼は醸し出す。

その誘いは甘美で心を犯す毒だった。

行橋「キミは前にボクに一寸の興味すら無いって言ったよね?」

言ってる事と表情が合致しない。

球磨川『うん、今でも君には興味すらないよ』

行橋「っ!!」

球磨川『君は昔から僕に好かれたい。僕に縋りたい、あの都城王土では無く僕を頼りたい。そんな目をしてた君がその台詞を言うなんて卑怯じゃあないか』

行橋「……そう……だね……」

球磨川『違うだろう? 僕には君は必要ないけど、君には僕が必要。その関係性を履き違えるなよ』

行橋先輩のその表情を表すなら歓喜、愉悦。

行橋「……ボクには君が必要だよ」

フラフラと歩みゆく行橋先輩。

それだけじゃない。

ここに集まったほぼ全員が歩み始める。

このカリスマ性こそが球磨川禊。

私の大好き先輩。

球磨川『迎えに来たよ。冥加ちゃん』

そして私にだけ、手を差し伸べた。

球磨川『僕には君が必要だ。大好きなんだよ』

後ろにいる黒神めだかはまるで仇を見るような目だ。

私は先輩が求めてくれた。

その事実が心根を溶かす。

冥加「せんぱい、わたしも大好きです」

先輩はこれ以上ないくらい照れて、微笑む。

だからあの頃のように私は大好きな先輩にメモ帳で答える。

『大好きです。先輩、だからーー』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<>sage<>2012/02/26(日) 22:40:43.27 ID:LepbeRcAO<>








『お断りです』








球磨川『え?」

冥加「おことわりします、せんぱい」

球磨川「ど、どうしてなんだいっ!?」

冥加「わたしはせんぱいをゆるすわけにはいきません。だってわたしは

ばかでよわくてそれでもせんぱいがすきだからです」

私は微笑む。

冥加「だからみそぎせんぱい。いえ、みそぎさん。あなたはかならずわたしがつかまえます。わたしはあなたのつみをゆるしません。だってわたしはあなたのことがだいすきだから」

好きだからこそ許さない。許してはならない。例え、他の誰もが先輩を甘やかしても私だけはそれをしない。

私は球磨川禊という人間が好きだから。ただ依存するだけじゃない。利用されるだけじゃない。

対等な人間として貴方が好きだから。

冥加「だからわたしはあなたについてはいけない」

球磨川「くくっ、あははははっ、最高だよ。やっぱり君を好きでよかった」

冥加「わたしもあなたをすきでこうかいしたことはありません」

球磨川「じゃあね。冥加ちゃん。また明日とか」

冥加「えぇ、みそぎさん。またあしたです」

先輩は歩いて出て行く。今の私には彼を捕まえる力はない。
けれど私は彼を捕まえるという目標が出来た。

そしてそれは私の初恋への決別。

球磨川『さよなら、僕の最後の恋』

冥加「さよなら、わたしのはつこい」

私は彼を捕まえる為に生きよう。

わたしの物語はここから始まるーー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/26(日) 22:44:24.88 ID:LepbeRcAO<>





next thread title

古賀「冥加ちゃん、冥加ちゃん!! 殺人事件だよ!!」冥加「おちついてください、いたみさん」





<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)<><>2012/02/26(日) 22:45:58.23 ID:LepbeRcAO<> このスレはこれで終わりです。

次回作は需要があるかわかりませんので書くかは不明です。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 22:48:21.00 ID:r7RUwxM1o<> 乙でしたー
いや、これはすごいわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 22:48:23.45 ID:OxCLr1vOo<> 乙!
面白かったよ。明日のジャンプに球磨川君が出てるといいね! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 23:01:54.54 ID:q4q2vNoSO<> おつ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 23:28:24.60 ID:Z47exqvDO<> 乙!!

予想通りなのに思わず唸ってしまった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/26(日) 23:40:14.56 ID:5nKyFsPHo<> 乙!
読んでてぞくぞくしました
次回作期待してます! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/27(月) 00:30:55.83 ID:uqic+V6IO<> 乙っした
やはりヒロインは格が違った <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>saga sage<>2012/02/27(月) 08:32:00.86 ID:dpOVjUb70<> 名作に出会えたことに只々感謝 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<>sage<>2012/02/27(月) 08:37:15.11 ID:Vsv8HITAO<> SS速報でここまで伏線組み立てられる作者いるんだな
他に何書いてたのか気になる <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/27(月) 12:00:17.50 ID:bsWb5ncDO<> >>230このスレの始めの方に書いてあるぞ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2012/02/27(月) 18:20:32.25 ID:Vsv8HITAO<> >>231さんくす

あと作者はえーよ
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1330288281/-20 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/27(月) 22:14:34.54 ID:MYFjf7QG0<> むっちゃ面白かったあああああああ!!!!ゾクゾクが止まるところを知らねええぞおおおお!!!!

このSSと球磨川さんと作者さんに出会えとことに全身全霊の感謝を籠めて。

乙ッッッッッッッ!!!!!!!! <>