VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:13:28.24 ID:9woEIMq40<>上手く建つかな?
初SSですがお楽しみ頂けたら幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1341335608(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>QB「みんな、武器を変えてみないかい?」
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:15:01.06 ID:9woEIMq40<>
――魔女を倒した夜。
マミ「どうしたのキュウベぇ、突然そんなこと」
QB「ある一定の行動を継続するためには集中力が必要だ。最近のきみたちを見ていると、どうにも惰性の感情が滲み出ている」
杏子「そりゃな。五人で決まったコンビネーションで戦えば大抵の魔女は数回の攻撃で終わりだ」
さやか「みんな強くなったもんねー」
QB「そこで、きみたちにちょっとした刺激を与えようと思うんだ」
まどか「それが、武器の変更?」
QB「ちょっとした実験さ。試してみて気に入らなかったら元に戻せばいいだけだしね。どうかな?」
ほむら「お前にしては悪くないアイディアね。私は賛成だわ」
QB「ありがとう、ほむら。では今度マミの家に集まって」
ほむら「新武器の案はもうあるわ。『QBバズーカ』と『散弾QBバズーカ』よ。個人的には後者がお勧めね」
QB「おかしいと思ったんだ、きみが僕の意見に賛成するなんてさ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:16:58.52 ID:9woEIMq40<>
――後日、マミホーム
QB「集まってくれてありがとう、みんな」
杏子「いいよ別に。マミのケーキをご馳走になるついでだ」モグモグポロポロ
さやか「あいかわらずメチャうまっすね、マミさんケーキ! 年上女房もアリですなぁこりゃ!」モグモグ
まどか「さ、さやかちゃん。またそんなこと言って……」
ほむら「言わせておきなさい、それがさやかの数少ないアイデンティティーだから」
マミ「うふふ、喜んでもらえて嬉しいわ。でもこぼさない様に食べてね?」
QB「さて、この間言った武器を変えるというのは、きみたち五人の武器をベースにしたものなんだ」
マミ「あら、新しくデザインした武器を作ってくれるわけじゃないのね?」
ほむら「残念だわ。新たに『Qボム』と『QBランチャー』も考えてきたのに」
QB「ちょっとした実験と言っただろう?つまりはまどかの武器である弓を、他の四人が持ったらどうなるか」
QB「さやかの武器を他の四人が持ったら、どう変化するか……そういったものだよ」
杏子「なんだよ、それじゃ面白くもなんともないじゃねーか」
QB「いや、魔法少女が持つ武器というのは契約者の人間性や感性を表すものだからね」
QB「例えば、杏子がさやかと同じように剣を具現したとしても、形状や性能は大きく違うはずなんだ」
さやか「へぇー。だから実験って言ったんだ?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:19:06.64 ID:9woEIMq40<>
QB「そういうことさ。きみたち人間は自分を分析するのが好きだろう?」
QB「他人が持っている武器を自分が持ったらどう変化するのか。自分を見つめ直す機会にもなるんじゃないかな?」
マミ「なるほど……面白そうね」ニヤッ
さやか「マミさんがアップを始めました」
まどか「なんだかワクワクしてきたね!」
ほむら「楽しみだわ、QBブレードはどういうものになるのかしら」
杏子「そこから離れろよ」
QB「解ってもらえたようで良かった。じゃあみんな、これを着けてくれるかな」ニュン
ほむら「汚い耳毛を伸ばさないでくれる?」
QB「辛辣すぎて返答に困るよ。このヘアピンから魔力が送られて、僕が言った魔法少女の武器に換装される」
QB「着けてもらったら、みんなで魔法少女になってもらえるかな」
パシューン サールティーローヤーリィー パシューン パシューン パシューン
QB「じゃあ最初は、まどかの弓からいこうか」
まどか「ウェヒヒ、楽しみだなぁ」パチパチパチ
QB「さあ、念じてごらん。武器よ出ろ、と」
シュピーン
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:20:39.67 ID:9woEIMq40<>
さやか「おおっ」
杏子「おっ?」
マミ「まぁ」
ほむら「……」
QB「実験は成功だね。形は違えど、みんな弓になったみたいだ」
まどか「よかったね。おめでとう、キュウベぇ」
QB「ありがとう、まどか。では早速見ていこうか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:23:11.53 ID:9woEIMq40<>
QB「さやかの弓は、予想に反して可愛らしいね」
さやか「どーゆー意味だ、こら」
QB「大きさは和弓ほど。グラデーションのかかった本体は虹のように彩があって綺麗だ」
QB「そして弦が複数張られている……解ったよ、さやか。これは竪琴だ。竪琴がモチーフで弓になっているんだよ」
さやか「あ、ホントだ。こーやって弦を上にして持つと竪琴そっくりだ」
まどか「さやかちゃんは上条くんの影響でクラシックに詳しいから、音楽の感性が弓に出たのかな?」
QB「なるほど。普段目に見えないさやかの繊細な部分が窺えるね。ちょっと意外だよ」
さやか「失礼だなーあたしだって年頃の女の子なんだからね」
QB「矢も出してみてくれるかい?」
さやか「ん?あ、いいよー」シュンッ
QB「やっぱりね、矢の形状も変化した。音符の形をしている」
まどか「ステキだなーさやかちゃん。羨ましくなっちゃう」
さやか「ううーん。ちょっとメルヘンすぎてさやかちゃんには似合わないかなーとか」
さやか「やっぱこーゆー可愛らしいのは、まどかかマミさんのイメージだよ」
QB「いやいや、弓と言う繊細でいて強力な武器に、音楽を重ね併せるさやかの感性は素晴らしいものだ」
QB「実に興味深いものだったよ」
QB「じゃあ次は杏子の弓の番だね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:25:30.98 ID:9woEIMq40<>
QB「これは凄いね。見るからに強そうだ」
杏子「でっかい弓だなー」
まどか「形はアーチェリーなのかな?大きさは杏子ちゃんの背丈よりもあるね」
QB「恐らく杏子にとっての弓とは、純粋な破壊力を求めるものなんだろう。装飾も何もないし」
杏子「そりゃね。撃って当てて倒して終わりさ」
QB「きみの戦闘基準がよく出た、非常にシンプルな弓だね。それゆえに威力はまどかの弓以上かも知れない」
まどか「杏子ちゃんすごーい。矢はどんな感じなの?」
杏子「ん?あ、ああ、ちょっと待ってな」ギュンッ
QB「当然の如く矢も大きい、か。この矢を受けたら大抵の魔女は粉微塵になるだろうね」
杏子「だろうなぁ。でもまぁ同時に融通が利かないってのもよく解るよ」
QB「そうだね。まどかの弓のように矢を複数放ったり、追尾させたりする事は無理そうだ」
杏子「おまけに魔力の消耗も激しそうだしね。一撃必殺の矢ってワケだ」
まどか「必ず当てられる状況で使えば問題ないんじゃないかな?」
杏子「それならマミの必殺技に任せるよ。遠距離武器ってのはアタシには合わないね」
まどか「そっかぁ。凛々しくていいなーって思ってたんだけど」
QB「勝負にかける時間は短く、か。杏子の戦闘傾向がよく反映されている」
QB「さて、次はマミの弓といこうか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:27:31.77 ID:9woEIMq40<>
まどか「これは……マミさん」
マミ「クロスボウよ」スチャッ
QB「ひときわ異彩をはなつ弓となったね。マスケット銃とあまり変わらない気がしなくもない」
マミ「そう?マスケット銃は基本使い捨てだけど、クロスボウは矢を補充するだけで良いから、戦闘の隙が減るわ」
マミ「それに弦を引くのもリボンで自動的に行えるから、魔力が持つ限りは常に矢を放てるスタイルよ」
マミ「流石に二丁持って戦うには骨が折れそうだけど……その時は形状を少し変えて腕の下にフィットする銃床(ストック)を付」
QB「解った、ありがとうマミ」
まどか「かっこいいなあマミさん。これはまさしく、矢弾の舞踏ですね!」
マミ「矢弾の舞踏……いえ、弦と三日月をかけてこのスタイルは『アルテミス』と名付けるわ」
まどか「クロスボウの形と三日月、そして弦……すごい、三つもかけてるんですね!」
マミ「縦横無尽に駆ける矢弾で相手の動きを抑止し、そしてとどめにはウナ・フレッチャ・ポーテンテを」
QB「マスケット銃の時と大差は無いけど、戦闘効率は向上するようだね」
マミ「いえ、ここはアルテミスとかけて『月の光』……そう、キアーロ・ディ・ルーナと呼ぶほうが」
QB「さあ、最後はほむら。きみだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:29:36.22 ID:9woEIMq40<>
QB「おや、これは」
まどか「あれ?ほむらちゃん?」
ほむら「………」
QB「装飾も何もない、ただの黒い弓だね」
ほむら「ええ、そうよ」シュンッ
QB「矢も、紫色で出来ている以外はまどかのものと大差ないね」
まどか「ほむらちゃんの弓っていったら、こう、もっと弓の本体に炎の装飾があったりとか」
ほむら「私はこれがいいの。そう……これが、いいの」
QB「能力や用途、性能はほぼまどかと同じだね」
QB「弓という武器を想定した時点で、まどかと同じものが浮かんだということじゃないかな」
ほむら「そうね。まどかの持つ弓こそが、正しい魔法少女の武器であり、そして最高の弓というのは確信しているわ」
まどか「ティヒヒ、なんだか照れちゃうよ、ほむらちゃん」
QB「きみらしいと言えば、きみらしいね、ほむら」
QB「なかなか面白い結果となったよ。武器一つでもこうまで解釈と感性の違いを見られるなんてね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 02:29:39.34 ID:23ZwT4NDO<> 面白い企画ですね! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:31:49.02 ID:9woEIMq40<>
QB「さて、まどかの武器は出揃ったし、今度はさやかの武器といこうか」
さやか「いよっ、待ってました!」パチパチパチパチ
QB「さあ、先程と同じように念じてごらん。武器よ出ろ、と」
シュピーン
まどか「わあっ」
杏子「んっ」
マミ「あら」
ほむら「……」
さやか「へっへー、ほら早く早く、キュウベぇ」
QB「急かさないでよ、さやか。では早速まどかの剣からいこうか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:32:51.66 ID:9woEIMq40<>
まどか「これは剣というよりも……」
QB「短剣、だね。形状はフェルスエッジと呼ばれる、片刃のナイフだ」
さやか「あはは、でもキラキラ光ってて綺麗じゃん?メルヘンチックで良いカンジだよ」
QB「鍔の所にある妖精の羽みたいなものは見事な装飾だね。短剣の刃は虹色で、うっすら透けている」
まどか「さっきのさやかちゃんの弓みたいだね」
さやか「うん。やっぱまどかのほうがこーゆーメルヘンアイテムは似合うって」
QB「ちょっと軽く振ってみてくれるかい?」
まどか「え?う、うん」ヒュンッ ミ☆
さやか「おおっ!星が出た!」
QB「まるで童話の世界の武器だね。武器というよりも魔力を強める媒体に近いかな」
QB「きっとその刃に殺傷能力はないと思う。まどかの優しい性格に刃物は相応しくないと言うのが解るね」
まどか「うーん、確かに剣って言葉を聞いても、武器の形を想像するのは難しいかも」
さやか「まどかの場合は剣より刀って言われたほうが良かったかもねー。そしたらまるっきり違ったんじゃない?」
まどか「うん、そうしたらきっと座頭一みたいな仕込み杖を想像したかなーって」
QB「むしろ刀と言わなくてよかったと思うよ。まどかへの見方が180度変わりそうだ」
QB「さて、まどかの剣は膨大な魔力を持ったまどからしい武器だったね。次は杏子のを見てみようか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:35:02.39 ID:9woEIMq40<>
杏子「突然背中に……」
さやか「やばい、杏子似合いすぎ」
QB「鉄塊、かい?それは」
さやか「それは、剣と言うにはあまりに大きく……」
杏子「一応剣の形はしてるな」スチャッ
マミ「お願いだから部屋の中で振り回さないでね」
QB「僕からもお願いするよ。間違いなくマミの部屋が破壊される」
さやか「ズタズタになるね、うん」
杏子「そんな事しねーっての」
QB「身の丈以上の長大さ、刀身はきみの身体よりも大きい剣、か。まさしく武器だね」
さやか「アンタの凶暴さを表した、実にお似合いの剣のよーで」
杏子「怒るぞさやか」
QB「先程の弓もそうだったけど、破壊力を求める部分は揺らがないみたいだね」
QB「その剣で斬られたら、ワルプルギスの夜ですら両断してしまいそうだよ」
杏子「キュウベぇがもっと早く提案してくれりゃーコレにしたかもな」
QB「だが重量も相当なものだし、自在に扱うにはかなりの労力を要するだろうね」
杏子「長期戦にも向かないかな。何より振り回すだけで味方を巻き込んじまいそうだよ。特にさやかを」
さやか「杏子、その剣はアンタに似合わないと思うな。やめときなよ、うん」
QB「一撃必殺、速攻勝負の杏子らしい剣だったね。次はマミにいこうか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:37:11.17 ID:9woEIMq40<>
さやか「マミさんの剣かあ、楽しみだなー」
マミ「美樹さんのご期待に添えられるかしら?」チャキッ
QB「マミの剣はエストックみたいだね」
さやか「鋭くて細い剣ですね、マミさん。たしか闘牛士の剣でしたっけ?」
マミ「ええ、剣は剣でも斬る事じゃなくて、刺突に特化した中世ヨーロッパの剣よ」ニコッ
QB「ナックルガードの所に施されたバラの装飾に、銀の刀身。マミの優雅さを見事に表現してるね」
マミ「ありがとう、キュウベぇ。ハッ!」ヒュンッ
さやか「おおっ!?剣から花びらが舞った!」
QB「バラの花弁かな?まどかのと同じく幻影だけど、綺麗だね」
さやか「くぅー、スタイリッシュだなあ!似合いすぎでしょ、マミさん!」
マミ「うふふ、嬉しいわ、美樹さん」
さやか「マント着けたらもっと決まりますよ!」
マミ「そんなにおだてられると照れちゃうわ、もう」
QB「さやかの言うようによく似合っているよ、マミ」
QB「元々マミはリボンを媒体にしてマスケット銃を作って戦っているだけで、接近戦が苦手な訳じゃない」
QB「その優美な剣は、マミの接近戦時のスタイルを表したものだろうね。優雅に華麗に魔女を翻弄する姿が想像できるよ」
QB「最後の剣はほむらだ。きみの感性はどんな剣を生み出したのかな?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:41:35.51 ID:9woEIMq40<>
ほむら「……剣とは言い難いわね」チャキッ
さやか「おや?」
QB「これは……日本刀、かい?」
ほむら「太刀と言って欲しいわ」
さやか「おいおい、まどかが可愛らしい短剣だったのに対して随分物騒じゃん。それでもまどかの親友かー?」ウリウリ
QB「鞘つきとは本格的だね。鍔の模様はいつも着けていた盾と同じみたいだ」
ほむら「私は剣と聞くと、こういう殺傷力に優れて尚且つ実用的な物を思い浮かべるわ」
さやか「地獄少女の異名は伊達じゃないね、ほむら」
ほむら「そんな異名、今初めて聞いたわよ」ヌラリッ
さやか「うおっ!?か、刀が燃えている!?」
QB「こ、これは……漆黒の刀身に紫色の炎が纏わり付いている!?」
ほむら「燃え上がれーって感じでしょう?」ボボボボボ……
まどか「ほ、ほむらちゃん……」テレッ
マミ「冷たい鋼の黒刃(くろがね)に纏う紫炎……これは暁美さんの魂と心を映した一刀!まさに『ほむら』の剣!」ゴクリッ…
QB「興奮しなくていいよ、マミ。しかしこれで鞘に収めていたのにも納得がいった」
さやか「ちょっと羨ましい」
QB「剣に対しての解釈がこうも違うとは興味深いね。実験結果は僕たちの星にも送らせてもらおうかな」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 02:43:58.73 ID:9woEIMq40<>
今回はここまでです。次の投下はまた本日中にでも。
早々にレスをくれた>>10さんに感謝を m(_ _)m <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<>sage<>2012/07/04(水) 02:45:26.12 ID:SO1H+j9Bo<> 乙
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 02:57:26.35 ID:KZZKT2fSO<> こっからドラマチックになるのかね?>>1乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 03:01:38.82 ID:+4KrvZMDO<> ほむほむはどうすんだ…
あ、盾か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/07/04(水) 03:20:25.08 ID:dBdiggNAO<> 参考画像支援はよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 03:49:38.58 ID:23ZwT4NDO<> >>16
感謝なんてされたら、舞い上がっちゃいますね〜。
それにしても武器知識豊富ですなぁ。どれも凄い。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 04:08:55.82 ID:B9TXky8YP<> 面白い <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 05:56:04.28 ID:Yn2Ecpako<> 盾…
マミさん肉盾…はっ!? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage saga<>2012/07/04(水) 07:08:25.73 ID:7Qo/9aX60<> 乙
あんこが一撃必殺系すぎるwww
盾...俺はビッグシールドガードナーを(ry <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/04(水) 07:19:03.33 ID:8OLsR1HGo<> あんこが威力型なのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 10:42:55.37 ID:zJ1IW+wI0<> 乙
番外キャラ達の武器も出来れば <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/04(水) 10:50:39.69 ID:Hhojpud00<> 発想が素晴らしい
でも武器化QBもみてみたいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/07/04(水) 10:57:33.36 ID:jYD8sEQl0<> これはぜひ絵で見たいところですな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 12:08:41.28 ID:uHb/PjtRo<> QBボムがみたいな(ごくり) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage <>2012/07/04(水) 12:48:58.44 ID:Xwpt3YdH0<> 乙
QBは投げ捨てるもの <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 12:53:51.81 ID:KAj3CkJ0o<> 1乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 13:34:32.66 ID:uHb/PjtRo<> QBチーズってまさか… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 13:51:45.72 ID:23ZwT4NDO<> Quick Bake チーズ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:32:24.64 ID:9woEIMq40<> おりことか外伝は解らないので申し訳ない。
ドラマチックかどうかは解りませんが、途中で安価はします。
それでは続きをお楽しみ頂けたら。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:33:25.50 ID:9woEIMq40<>
QB「次は杏子の槍といこうか」
杏子「かっこいいヤツを頼むぞ、みんな」
QB「それはみんなの感性しだいさ、さあ念じてみてくれ」
シュピーン
まどか「うわっと」
さやか「うわわっ!?」
マミ「あら」
ほむら「……」
杏子「なんか喋れよ、ほむら」
QB「慣れない長物に戸惑う声が聞こえたね。それじゃあまどかからいこうか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:34:19.24 ID:9woEIMq40<>
まどか「え、えーっと……」
杏子「こりゃ薙刀か?えらく渋いのが出てきたなー」
QB「剣の時とは打って変わって実用的な武器だね。槍のイメージはしやすかったって事かな?」
まどか「う、うん。ほら、時代劇とかでお武家さまの子とかが持ってるのを見て」
杏子「なるほどねぇ。まどかにしちゃ可愛らしさが無いと思ったら……ププッ、時代劇かよ」
まどか「きょ、杏子ちゃん、笑わないでよぅ!大岡越前とか面白いんだから!」アセアセ
杏子「あはは、ゴメンゴメン。しっかし、まどかの意外な一面が見れたなあ」
QB「柄が赤くて、刃も大きいね。歴戦の武将とかが持っていてもおかしくない位の立派な槍だ」
杏子「でも衣装とは壊滅的に似合ってないな」
まどか「ううっ、ひどいよぅ」
QB「僕からしたら、実用的な武器と言う点で評価は高いね。まどかの扱う槍なら素晴らしい切れ味だろうから」
杏子「そうだな。シンプルなだけに威力は高いだろ」
QB「薙刀は斬る・突く・払うを兼ね備えた便利なものだからね。杏子の槍と同等の威力を持っているだろうさ」
まどか「フォローありがとう、キュウベぇ」
QB「次はさやかだ。戸惑う声を出していたから意外な槍が出来上がったんだろうね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:35:37.20 ID:9woEIMq40<>
さやか「なにコレ……」
杏子「なんだソレ……」
QB「これは……パタ、だね」
さやか・杏子「ぱた?」
マミ「小手と剣と槍が合体したような武器ね。インドの一部族が扱っていた物のはずよ」
QB「うん。斬る・突く・払う・受けると、攻防全てを担える強力な武器だね」
杏子「ま、まぁ確かに小手と、長くて鋭い剣が付いて……槍じゃねぇじゃんかよ!」
さやか「え?だ、だって槍ってさー、剣と違って扱いが難しそうじゃん?だからこう、剣のような槍をね」
QB「なるほど、さやかが思い描く理想の槍の形が、パタなのか。偶然とは言え、よく合致したものだよ」
マミ「でも美樹さん。パタの扱いは至難の技術って本で読んだわよ?槍以上に難しいんじゃないかしら?」
さやか「え……どれどれ」カチャカチャッ
QB「強力であると解っているのに流行らなかった事を考えると、想像に難くないね」
さやか「うわ、バランス取るの難しっ。こりゃキツいわー」
杏子「素直に普通の槍のほうがいいって……やっぱりバカだなぁ」
さやか「う、うっさいなぁ!さやかちゃんは攻防共に優れた前衛で居たいの!」
杏子「裏を返せば、それぞれの弱点も兼ね備えてるって事を頭に入れてたのか?」
QB「小手によって手首の動きを固定され、剣身が長い為に思うように振り回せず、槍以上にバランス操作に手間取る」
QB「確かに、弱点も多い武器だね」
杏子「まあその分、使いこなせたら死角がないのも確かだな。さやかのスピードに槍のリーチが加われば無敵だろ」
さやか「きょ、杏子ぉー、アンタはやっぱりさやかちゃんの親友だぁー」
QB「槍と言っていいのか解らないけど、まあ良しとしよう。さあマミの番だ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:37:08.98 ID:9woEIMq40<>
杏子「おっ、これは」
マミ「どうかしら?」
QB「円錐状の細長い身に、護拳部分が突いた槍……騎兵槍と呼ばれる槍、ランスだね」
QB「薙刀やパタと違って斬ると言う攻撃は出来ないが、突くという点に特化した槍だ」
杏子「さっすがマミ。槍というのをよく解ってる」
マミ「お褒めに預かり光栄だわ、ふふっ」ニコッ
QB「どちらかというと、ランスはさやかのイメージな気がしたんだけどね」
マミ「槍を武器とするなら、突く事に特化させるのが一番有効な攻撃手段だと思うの」
マミ「長いリーチで相手の急所を突き、そして即座に距離を取る……。だからかしら?私の槍がランスになったのは」
QB「なるほど、一撃離脱がマミの戦法ということかな?」
杏子「攻め時引き時を心得て、攻撃にメリハリをつけるって事だな。アタシの槍が伸びるのもそんなトコだ」
さやか「耳が痛いです、杏子センセイ」
杏子「いや、アタシの槍にだって弱点はあるよ。刃が先端にしか付いてないから、そこ以外での攻撃が出来ない」
杏子「もし相手が人間みたいに器用な手先を持ってたら、刃のすぐ下の柄を掴まれるだけで一気にピンチになっちまう」
杏子「だからさ、さやかやマミみたいに柄の部分が短い槍のほうが有効な場面もあるはずだよ」
さやか「杏子、惚れそう」
マミ「さすがね、佐倉さん。槍の唯一の欠点を熟知してるのね」
QB「名実共にベテランの一面を垣間見た気がするよ。杏子も、マミもね」
QB「さあ、最後はほむらだ。ノーリアクションのきみはどんな槍を?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:38:36.38 ID:9woEIMq40<>
杏子「………」
QB「こ、これは……一体どういう事だい、ほむら?」
ほむら「見て解らないかしら?鎌よ」
杏子「見りゃ解るわ」
マミ「中世時代、農民が反乱を起こす際に農耕に使っていた大鎌を改良して戦った、と言うのを本で読んだ事があるわ」
まどか「ほむらちゃん……カッコいい」ドキドキ
さやか「やっちゃったねー、さっきの剣と言いさ。ほむらさん、中二病患者だったんですねぇー」
ほむら「そうね、重症みたいだから看病して貰おうかしら。付き添いはさやかの首だけでいいわ」スチャッ
さやか「すんませんっした」
ほむら「冗談よ」
マミ「首はやめて……」
杏子「槍だっつっただろ!なんで鎌なんだよ!!さやかのほうがよっぽどマシだ!」
ほむら「ごめんなさい。長い柄の武器といったら、私の中では大鎌しかないの」
QB「ま、まあ、攻撃力は高そうだね。黒い柄に紫色の刃。魔女すらも気圧されそうな迫力がある」
杏子「やれやれ……攻撃手段に突くことが考慮されてないんじゃ話になんないよ」
ほむら「安心して。これは両刃だから外側でも攻撃できるわ」
杏子「なおのこと槍でいいわ!」
QB「……個性が色濃く現れた結果となったね。長柄の武器自体が特殊だから仕方がないのかもしれないけど」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:39:54.13 ID:9woEIMq40<>
QB「今度はマミの武器だね。この場合はリボンじゃなくて、銃になるかな」
マミ「うふふ、楽しみね」ニコニコ
QB「槍以上に特殊な武器だからね。誰がどんな銃を手にするのか予想すら出来ないよ」
シュピーン
まどか「あれ?」
さやか「ん」
杏子「おおっ」
ほむら「……ふふっ」
マミ「あら、暁美さんが初めてリアクションしたわ」
QB「散弾バズーカでない事を心から祈るよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:40:43.07 ID:9woEIMq40<>
QB「ではまどか、きみのからいこうか」
まどか「ふぇっ!?う、うん……」
マミ「あら、これは……うふふっ」
QB「形状は確かに銃だけど、銃口がずいぶん変わってるね。漏斗(ろうと)を差し込んだみたいだ。これはなんだい、まどか?」
マミ「キュウベぇ、これはきっとおもちゃの銃の形よ。実在するものじゃないわ」
まどか「あはは……たっくんのおもちゃにコレそっくりなものがあります」
QB「なるほど、僕の知識の中に該当する物がないと思ったら、そういう事か」
マミ「うふふ。鹿目さんのことだから、今度は火縄銃でも出るんじゃないかと期待してたのだけど」
まどか「火縄銃ですかぁ。その発想は無かったですねぇ」
QB「もし情報源がテレビなどのメディア媒体だとしたら、火縄銃は合戦における鉄砲部隊くらいでしか見掛けないんじゃないかな?」
まどか「たしかに時代劇で火縄銃って、なかなか見ないもんね」
マミ「鹿目さんが弟くんの面倒をよく見てあげているっていうのが解るわね」
QB「そもそも銃という物自体がきみたちの実生活から遠い存在だからね。マミやほむらはともかくとして」
QB「一番身近にあるもので銃を連想する、と言うことは極自然な事だ」
マミ「見た目はおもちゃでも、鹿目さんのものだからきっとビームやレーザーを撃てそうね」
QB「威力は凄いだろうけど魔力の効率は悪そうだ。まどかにしては珍しい」
マミ「水鉄砲みたいなものかしら。線状で一発撃つか、点状で一発撃つか。どちらのほうが水が早く無くなるかって」
まどか「こまめに撃てるほうが、長持ちしますね」
QB「まどかなら非効率な武器でも、蓄積した魔力のお陰で長期戦に耐えられそうだね。さて次はさやかだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:42:02.00 ID:9woEIMq40<>
さやか「今日は雨の中、こんなに集まってくれてさんきゅー」
マミ「あら、美樹さん。それは……」
QB「エレクトリックベースギター、だね。およそ銃と呼べる代物じゃない」
さやか「へい!」カチャッ
マミ「あっ、見てキュウベぇ。ヘッドの部分が銃口になってるわ」
QB「本当だ!これは驚いたな」
まどか「ロックは音の機関銃って、さやかちゃんが昔言ってたような……」
マミ「ギターマシンガンって訳ね。凄い発想力だわ、美樹さん」
さやか「いやー、さやかちゃんは上品な音楽が好みですからねぃ。大音量の楽器は一種の兵器と認識してたのかな?」
まどか「でも『音楽に良し悪しは無い』って、上条くんに怒られてなかったっけ?」
さやか「うっ、よく覚えてらっしゃる……」
杏子「かっこいいぞ、さやか!」
マミ「ええ、クラシックギターじゃないのが残念だけど、吟遊詩人みたいでステキよ」
QB「ここでもさやかの音楽に対する感性が表れたね。外観も黒や赤で、さやかのイメージカラーとは程遠い」
QB「癒しを軸としたさやかには、銃と言うものは己と相反する、ということなのかもね」
ほむら「刃物を振り回すのも充分物騒だと思うけど」
さやか「一言多いんだよ、ほむらは。マミさんも褒めてくれたのに」
QB「銃と楽器を併せた武器とは面白い。さやかの感性は目を見張るものがあるね。杏子、きみの感性も楽しみだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:43:23.81 ID:9woEIMq40<>
杏子「アタシのはこんなんだよ」
マミ「これは……何かしら?キュウベぇ?」
QB「意外なものが出てきたね。これはペッパーボックスピストルだ」
マミ「ペッパーボックス……確かにコショウを挽く容器の形に似てるわ」
QB「弾倉と銃身が一体化した古銃さ。銃口の数が弾丸の数と同じ数だけある」
杏子「ホントだ。レンコンみたいだな」
QB「言い得て妙だね。この銃は複数の弾を一度に放てるが、その分命中精度が低いとされる。残弾の把握も難しい」
マミ「チェーンファイア現象も問題ね。回転式拳銃によくある連動暴発。一発だけのつもりが連続して弾が放たれてしまうわ」
QB「魔力の弾を使う分には暴発は問題ないけど、魔力の効率は悪いね。発砲の際に常に銃に気をやらねばならないし」
QB「しかし先程まで破壊力を重視した杏子にしては解せない代物だ。何故この銃に?」
杏子「……きっと昔読んだ本の影響だな」
さやか「小卒なのに」
杏子「ひっぱたくぞ」
杏子「……まだ家があった頃の話さ。ウチにある本は聖書やら経典やらばっかでね。本を読みたい時は妹と図書館に行ってたもんさ」
杏子「その中でさ、強きを挫き弱きを救う海賊の物語があったんだ。その時の主人公の挿絵にあったのが、コレだ」
QB「なるほど。古い銃だと思っていたが、かつての大航海時代の物語から来ていたのか」
杏子「悪党からの賄賂で買われた役人の重圧から民を救う風来坊。法で救えぬ命を助けるために奮闘した義賊の物語」
杏子「それがミョーにカッコ良くてさ。きっとアタシの中でのヒーローの理想、だったんじゃないかな」
マミ「佐倉さん……」
QB「古銃を扱うと言う現実感の無さがヒーローの味を引き立てるんだね。正義の味方に焦がれる杏子の一面そのものかな?」
QB「さて、ほむら。不敵な笑い声が聞こえたが、きみは一体どんな銃を手にしたんだい?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:45:16.21 ID:9woEIMq40<>
ほむら「ふふふ……」ガチャガチャ
マミ「あ、暁美さん……」
QB「これは凄い。回転式速射砲、いわゆるガトリング砲と言うやつかい?」
ほむら「欲しかったのよ、これ。でもどうしても見つからなくて……ふふ、ふふふふふ……」
まどか「ほむらちゃん、こわいよ……」
ほむら「ちょっと試しに撃ってみていいかしら?」チャキッ
マミ「だめです」
QB「僕のほうに銃口を向けるのはお約束なんだね」
杏子「さっきから見てると、ほむらってアタシ以上に破壊力を求めてねーか?」
QB「象徴、と呼べるようなものかも知れないね。刀剣では大太刀、長柄の武器で大鎌と。対象に恐怖感を与える象徴だ」
さやか「で、銃の場合はガトリング砲と……それなら大砲とかのほうが威圧できるんじゃない?」
ほむら「解ってないわね、さやか。ガトリングで自分の身体が粉々になる様を想像して御覧なさい」
さやか「想像したくもないわ!」
マミ「い、威力は凄まじいでしょうけど、消費される魔力も相当なものになるでしょうね」
QB「そうだね。掃射なんてした時には、あっと言う間に魔力が枯渇してしまいそうだ。下手すると自滅だよ」
QB「思えば爆弾やらロケットランチャーを使うほむらが一番求めるものは、火力だったんだね」
マミ「本当は拳銃じゃなくて、もっとワイルドにいきたいのね……」
ほむら「ねえ、試しに撃ってみていいかしら?」チャキッ
マミ「ダメです」
さやか「どんだけ撃ちたいんだよ」
QB「ほむらの意外な一面が見えたね。時を止めて攻撃するという堅実な戦法の裏返しなのかな」
QB「豊かな感性に触れられて満足だよ、みんな。では最後の武器にいこうか」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:46:50.90 ID:9woEIMq40<>
ほむら「愚かね。私の場合は武器ではなくて防具よ。固有の魔法は盾が軸だから」ファサッ
QB「すまないね、訂正するよ。では最後、ほむらの盾といこうか」
シュピーン
まどか「わぁっ…!」
さやか「おおっ!?」
杏子「うわ!?」
マミ「まぁ……!うふふっ」
ほむら「まどかに喜んで頂けたようね。嬉しいわ」
QB「きみらしいコメントだね。マミも歓声をあげていると言うのに」
ほむら「さあ早くまどかの可愛い盾を見ましょう」グイグイ
QB「耳を引っ張らないでくれるかな。その行為の必要性が感じられないのだけど」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:47:45.33 ID:9woEIMq40<>
ほむら「さあ、まどか。あなたの可愛いらしい盾を見せてちょうだい」
QB「気持ちは解るけど、落ち着きなよ」
まどか「ティヒヒ、じゃーん!!」ポワーン
QB「ハート型の盾だね。色もまどかのイメージカラーのピンクだ」
ほむら「ふぬううぅぅぅぅぅ!!!」クワッ
まどか「うわっ、だ、大丈夫?ほむらちゃん?」
ほむら「え、ええ、平気よ。あまりの可愛さに思わず咆哮してしまったの」
杏子「意味わかんねーから……」
QB「盾の中心に小さな白い円があるね。ほむらの盾と同様に、時を止められるのかもね」
まどか「うん、盾っていったらほむらちゃんの盾が真っ先に出てくるよ!」
さやか「まどかは相変わらず天使だなぁ」
ほむら「今の言葉、もう一回言ってもらっていいかしら?」
QB「僕達の文明の範疇を超えているよ、ほむら。しかしまどかの魔力で時を司るとなると、神の領域に等しい技になるね」
マミ「古代人の問いかけに、神も敵わぬものはなにか……と言う問いの答えが、時だったわ」
QB「なるほど、神すら超えてしまうかもしれないのか。宇宙にとっても脅威の存在となりそうだ」
まどか「お、大げさだなぁキュウベぇ。私はそんなんじゃないってば」
ほむら「……時を巻き戻す事は出来なさそうね。盾の形状が変わってしまうもの」
QB「過去を振り返らない、未来に向かって希望を持つまどかにとっては無用の機能なんだろうね」
ほむら「そうね。実にまどかの性格を表しているわ」グリグリ
QB「何故怒っているんだい?別にきみの能力を否定した訳じゃないのに」
QB「さて、さやか。きみの感性には僕ですら楽しみと言わざるを得ない。さあ見せてくれ、きみの盾を」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:49:14.19 ID:9woEIMq40<>
さやか「へっへーん。どう?カッコいいでしょ?」
QB「これは……三角形の盾だね。ふちの部分は銀色で、角の部分から線が延びて中央に集まっている」
ほむら「トライアングルでしょうね」
QB「なるほど、今回も楽器で来たんだ。それにしてもトライアングルとは恐れ入ったよ」
さやか「ふふん、褒めよ崇めよ!さやかちゃんの芸術的センスを!」
QB「トライアングルの儚くも美しい音と、時を重ね併せているのかな。いやいや興味深い」
ほむら「形に残らない音楽とは共通点はあるかもしれないわね」
さやか「ま、そこまで深く考えちゃいないかなー、この盾に」カチャカチャ カシュッ
QB「盾が開いたね。盾の中央には……メトロノームかな?」
さやか「あ、ホントだ」 カッチ カッチ
ほむら「時を止めるのではなくて、加速したり減速したりできるんじゃないかしら」
杏子「だとしたらすげーじゃん、さやか。ほむらには出来ない事ができるってことじゃんか」
QB「時を止めるというのではなく、仲間達全体に対しての支援特化なのかな。これは強力だよ、さやか」
さやか「えへへ、なんか褒められてばっかだと照れちゃうなー」
ほむら「魔法少女としての才能はあなたのほうが上なのだから、当然よ」
さやか「あ、明日は天変地異が起こるぞ」
ほむら「たまに褒めるとすぐコレだわ」
QB「使い方次第では時を止める以上の効果が発揮されるだろうね」
QB「次は杏子だね。今度はどういう杏子の一面が覗けるかな?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:50:35.12 ID:9woEIMq40<>
杏子「………」キラキラ
さやか「うおおー!?」
まどか「わああ…!」
マミ「まあ綺麗!」
QB「こ、これは……」
ほむら「まばゆい銀色のラージシールド、十字架を握った聖母の彫り物に、ふちには天使の羽の装飾。随分と派手ね」
QB「慌てふためく声はそういう事だったのか。凄い立派な盾じゃないか、杏子」
マミ「キラキラと小さな光が……舞ってる」
まどか「す、すごい……なんだか見てるだけで胸が暖かくなるよぅ」
さやか「きちゃったよ、杏子ちゃんの聖女属性。いやーこりゃ凄い」
杏子「う、うるせーやい」
QB「これは完全に盾としての機能に特化しているようだね。時を操る機能は無さそうだ」
ほむら「杏子の攻撃の本質は最強の矛。つまり盾を持てば、最強の盾となる」
杏子「みんなの盾みたいに開いたり動かしたり出来なさそうだしな。完全防御のみの盾ってヤツか」
ほむら「私がやってるみたいに魔力のバリアを張ったりもできると思うわ。恐らくは私のよりも強固で広範囲のをね」
杏子「バリア張ったまま体当たりで攻撃できそーだな」
ほむら「……その発想は無かったわ」
QB「先程の銃のヒーローとは違う意味での救世主だ。杏子の守護の祈りを体現した盾だね」
QB「さあ、最後はマミの盾だね。杏子のインパクトに勝るくらいのものを見せて貰えるかな?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:52:12.79 ID:9woEIMq40<>
マミ「佐倉さんのあとだと、霞んじゃうわね」テレッ
QB「金色の盾、か。逆さ五角の形状に、中央には薔薇の彫り物。ふちは余す事無くリボンが巻きつけてあるね」
ほむら「見た目としてはマミらしい感じだけど、このリボンは何かしら」シュルッ シャキーン
QB「尖ったね。もしかしてこれは……」
マミ「そう、リボンが武器になるの。中世の盾兵には盾に刃物を付けて投擲したという話があるの」
マミ「私だったら、盾を武器として投擲するだけじゃなく、再度防具として機能するように考えるわ」
QB「なるほど、攻撃するための刃に変化するリボンと……」
マミ「ええ、投擲した盾を戻すためのリボンも自分の腕に括り付けてあるわ」
杏子「ヨーヨーみたいなモンか」
マミ「そうね、攻防両立できる盾ってところかしら?」
ほむら「杏子とは違う方向だけど、一応盾としての機能は果たしてるわね」
QB「でも時を操る機能は無さそうだ。まどかやさやかと違って、盾の印象が予め刷り込まれていたからだろうね」
QB「まどかとさやかは盾=ほむらの盾=時を操る。杏子とマミは盾=何かを守る防具、と言うイメージだったんだろう」
QB「ほむらの時を操る能力は強力だが、盾としての防御力も優秀だ」
マミ「両方の能力を兼ね備えるのは難しいってことね?」
まどか「やっぱりほむらちゃんは凄いなぁ」
ほむら「どっちつかずとも言うのだけれどね」
QB「盾を持てども防御一辺倒には収まらない、か。マミの気丈さが伝わってくるね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:53:56.57 ID:9woEIMq40<>
QB「さて、これで実験はおしまいだ。みんな、協力ありがとう」
まどか「ティヒヒ、結構楽しかったね」
ほむら「ええ。実戦で試してみたいと思うのも幾つかあったわ」
QB「楽しんで貰えたなら、実験は大成功だね」
マミ「うふふっ、良い刺激になったわ」
杏子「そーだな、悪くなかったよ」
さやか「うんうん、みんなの意外な一面を覗き見ちゃったよ!」
QB「こちらとしても中々面白いデータが取れたよ。きみたちの感性は僕達の知識の発達に一役買ってくれるはずだ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 16:59:13.42 ID:9woEIMq40<>
QB「さて、ここで提案があるんだ。せっかくだから実験によって生み出されたきみたちの武器を、実戦で使ってみないかい?」
QB「無論魔女との戦いは遊びじゃない。だが普段と違う武器、魔法で戦うことによって、きみたちには大きなプラスとなるだろう」
QB「どうだろう?今まで通りの武器でいいなら、無理にとは言わないから、好きに選んで欲しいんだ」
QB「弓、剣、槍、銃、盾、今まで通り。さあ、どうするみんな?」
まどか「えっと……じゃあ、私は >>55 かなーって」
さやか「えーっとね、じゃあ >>57 で!」
杏子「アタシは >>59 かな」
マミ「私は >>61 かしら」
ほむら「私は >>63 よ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 17:00:50.77 ID:9woEIMq40<>
と言うコトで、安価にて選ばれた武器から続編の戦闘をさらっと書きます。
よろしければご指定下さい。
ずれた時は安価下のを採用致します。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 17:01:48.36 ID:uHb/PjtRo<> 全部だ!とかはダメかww
盾は+剣か槍みたいなイメージがあるんだが
ホムホムだって盾から武器を出したわけだし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 17:03:55.78 ID:C0mHi8uIO<> 魔女の指定はなしか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/07/04(水) 17:04:54.26 ID:/+9kj/O3o<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>saga sage<>2012/07/04(水) 17:05:20.77 ID:6ooCAVuRo<> 槍 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 17:10:07.34 ID:C0mHi8uIO<> 弓 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 17:11:02.29 ID:3LA4+ASDO<> 剣 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 17:22:47.57 ID:C0mHi8uIO<> じゃあ剣
強弓もなかなか良いんだけど <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 17:39:59.74 ID:uHb/PjtRo<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 18:08:58.18 ID:23ZwT4NDO<> 被らせたくないのと、ほむほむの銃が見たいから槍で。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<><>2012/07/04(水) 18:13:15.79 ID:xL2cbN9Z0<> 銃 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 18:19:39.68 ID:C0mHi8uIO<> じゃあ銃 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 18:21:02.11 ID:23ZwT4NDO<> >>63
ありがとう……ありがとう! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)<>sage<>2012/07/04(水) 18:24:54.48 ID:wY9ACidg0<> 綺麗に分かれたな
さやかのベースギターは中の人的な意味でポケモンを思い出した <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/04(水) 18:43:10.62 ID:9I3uFBax0<> >>63
キュウべぇ終了のお知らせ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/04(水) 18:55:24.60 ID:lRetgCV9o<> >>41
メン・イン・ブラックのチビ銃みたいな感じと思うとカッコイイな
http://www.youtube.com/watch?v=fTqxFIpc1j4 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 19:12:01.13 ID:zJ1IW+wI0<> >>34
ということは、解りさえすれば書いてくれるのか!?
美国 織莉子(みくに おりこ)
カラー:白
武器:水晶玉
魔法:未来予知
政治家だった父の失脚と自殺、それに伴う環境の激変から自分や社会に対して絶望し「自分の生きる意味を知りたい」と願って魔法少女になった
契約直後に、「誰にも倒せない」強大な魔女(「あれ」=救済の魔女)によって見滝原が壊滅する光景を予知し、それを阻止することを決意。その手段として、「あれ」の正体である鹿目まどかを殺害することを計画する。
キリカの存在を寄りどころにしているらしい
呉 キリカ(くれ キリカ)
カラー:黒
武器:鉤爪
魔法:速度低下
織莉子を盲目的に溺愛しており、織莉子に協力する形で狂信的な魔法少女狩りを行う
織莉子と出会い、織莉子に相応しい「違う自分になりたい」とQBと契約を交わした
元々は見滝原中学校に通い、空虚な今の世界を嫌っていながら、実際は嫌われるのが怖く何とも向き合えない臆病な少女
物語終盤で魔女化してもなお織莉子を守るために戦ったが、奮闘虚しく杏子達に敗れた
千歳 ゆま(ちとせ ゆま)
カラー:緑
武器:ハンマー
魔法:治癒
両親が魔女に殺されたときに魔女を倒し自身を救ってくれた杏子に出会い以後杏子と行動を共にしている
母親から常に「役立たず」と罵られ虐待を受けていた過去を持ち、見捨てられることを過度に恐れている
魔女化の真実を知らされても、絶望する杏子やマミを激励し立ち上がらせるだけの強い精神力を持つ
織莉子に騙される形で魔法少女になった
変身後の衣装は、肩を露出したドレスにドロワーズを履いた幼女風の魔法少女
ネコミミ幼女である
'" : :/:.:.:.:... :... =-
/ . : : ̄ ̄\:.:.:.:.:.. :::::::...\:::::>
____/ ノ勹ノし勹ノし勹匕乙:.:.:.:.:.:. ::::::::::..\
( . : : : ノし勹ノ⌒ :.:\:.:.:.:.:.:.:...:::::::::::::::..
\ ノし勹⌒ \ \ :.:.:\::::::::::::...::::::::::::::.
八 ノし勹⌒ i{ \ \ ヽ :.:.:.゚。::::::::::\::::::::::::
/ \厶勹⌒ 八 \⌒\=- :.:.::::i:::|::::::::::::\::::::|
. / 匕勹⌒’ | \ \ \ \ :|:.:.:::|:::|::::::|\::::|\|
/ ⌒乙 |:'⌒\ |\ ァテ气ス⌒V |:.:.:::|八:::::| ∨
′ ノイ: / | \| ノ/ハ | |:.:.:::|゚ \|
. ノイ . : : :|i ∨ ,x圻 乂)ソ | |:.:.:::| /
| . : : : :|i {イ,ノ/ハ :::::::: | |:.:.:::| /
| : : : ノ八 小 乂)ソ 丶 厶イ:::::八 :/ .:
| /|: : /| .:/:\ 八 :::::::: ( ) /ーく;/ / .:::
<⌒゚。 :/¨|/¨∨トミ. \ j|.:.:... イソrくス\ / .:::/
/ ∨ : : :\ \ 八:.:.{::≧=─‐r‐=≦r久くノ くス , / .:::/
. (/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\: : : :\ \ \(くス しくノ/7777V くス, ′ / .:::/
\ : : : `¨⌒〉 くス { //// } くス i :/ .:::/
\: : : : : { くス ∨///人 くス |-=ミ / .:::/
厂 ̄,八 くス /ー=彡ヘj^)====ミ::::/ .:::/
/ / ノ∧ ∨くス | (}Yニニニ |:/ .:::/
/ | ̄ : : ∧ x==ミ: :.:{) | }::::|iニニニ/ .:::/
{ | : : : /: ∧/ニニニ\{ | }::::|ニニ/ .:::/:|
\/\___/:::::\ニニニニ\ | }/⌒/ .:::∧ノ
/ .:.:.::::::::::::::::::::/\ニニニニ\| / `ー '’ ノ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/04(水) 19:15:56.76 ID:8OLsR1HGo<> 早い話が
ラスボスの風格の飛行球体使いの予言者
半分狂った鉤爪使いのスロウガ使い
鋼鉄メンタル幼女のハンマー使いのヒーラー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/04(水) 19:32:38.23 ID:9woEIMq40<> 1です、武器指定の安価ありがとうございます。
もうちょっと遠くすれば良かった、申し訳ない。
あと色々省いておりましたが、明確にしておきます。
●このSS内ではもうワル夜を倒したその後と思ってください。
●ワル夜後なのにほむらの時止めが使える矛盾が発生してますが、ドラマCDのサニーデイライフの世界なものと思って頂ければ…
●戦う魔女はオリジナルのものを用意します。
●>>68 わざわざご丁寧にありがとう。でも口調や細かな人間性は作品自体を知らないとイメージし難いので、約束はできないです…
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/07/04(水) 20:48:07.40 ID:sxkBNHHBo<> 織莉子の武器は特に特殊だからこういうスレでは書き難そうだ
遠隔操作武器って括りになるのかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/07/04(水) 20:50:33.98 ID:QZi+/lk1o<> 俺の槍はどうだい? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/04(水) 20:58:02.86 ID:VzMVcE+7o<> 汚ぇポッキー仕舞えタコ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)<>sage<>2012/07/04(水) 22:55:24.17 ID:3qEBtWJ7o<> >>72
とっとと袋から出せよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:48:24.47 ID:JtFaSEJA0<> テンション上がっちゃったからちょっと長くなっちゃった……
戦闘パートになったら説明文も入るようになっちゃったのは許して下しぃ(・ω・)
↓ 各五人の武器のイメージ。
まどか:盾(ハート型。時を止める事に特化。時を止める際は中心部が開いて小さなハートが出てくる。そのハートが割れるまで時間停止は効く)
さやか:弓(竪琴を模した弓。矢は音符の形。矢の形を変える事によって攻撃の性質を変化)
杏子:剣(鉄塊。ベルセ○クのガ○ツの剣と思えば。大きい。超重い)
マミ:槍(ランス。突く事に特化しているため、先端が鋭い。軽量)
ほむら:銃 (ガトリング砲。射程範囲・威力ともに優れた武器だが燃費が悪い。ほむらの性格が凶暴になる)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:49:29.50 ID:JtFaSEJA0<>
QB「全員違う武器をチョイスするとはね。しかし上手い具合に隊列が分かれるようになった」
QB「それでは選択した武器で魔女退治をお願いするよ」
―――夕方 公園・入り口
まどか「……ソウルジェムが反応してる!」
マミ「この反応は魔女よ!みんな、気を引き締めて!」
杏子「おう!」
さやか「はい!」
ほむら「………」 エフッ エフッ
さやか「……な、なんかほむらの様子がずっとおかしいんだけど……」
マミ「きっと新しい武器を使う事に緊張してるのよ。暁美さんは今まで攻防共に優れた能力だったもの」
杏子「銃だけとなると、攻撃だけだしな。ま、ウチらでしっかりフォローしてやろーぜ」ニッ
まどか「杏子ちゃん、頼もしい!」
ほむら「…………」 エフッ エフッ
さやか「――ッ!きた!」
マヤ「結界が展開されるわ!」
グゥオオオオオォォォォォ
杏子「チッ、魔女は結界の奥みたいだな」
まどか「そうだね……探し出さないと!」
マミ「それじゃあみんな、魔法少女になりましょう」
パシューン サールティーローヤーリィー パシューン パシューン パシューン
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:50:14.13 ID:JtFaSEJA0<>
杏子「結界の中も公園と作りが似てるな」ザッザッ
さやか「きっと公園の何かに縁があるんじゃないかな。……って、噂をすれば!」
ワサワサ……ギギィー!!
噴水の魔女の使い魔・1
水の上にぷかぷか浮かんで、流れを楽しむ枯葉の使い魔。
慰めの言葉は、かけない。
使い魔1の群「カサカサカサ、カサカサ……!!」
杏子「へっ、使い魔どものお出ましかい!ちょうどいい、アタシの剣の錆に」
ほむら「っらあああああああぁぁぁぁぁッッ!!!!」ガガガガガガガガガガ!!!!
使い魔1「ギギィー!!」ボシュンボシュン…ボシュン…
杏子「あ……」
さやか「あ……」
マミ「あ……」
まどか「あ……」
ほむら「ふぅ……」キュルキュルキュル……
杏子(お、おい!ほむらのヤツやべーぞ!?なんか一線越えちまってるよアレ!!)テレパシー
さやか(ま、まどか!ほむらに抱きついて!そしてなだめて!!)
まどか(む、無理だよぅ!!今のほむらちゃん、ほむらちゃんじゃないみたいだもん!!)
マミ(抑制されてた何かが切れちゃったのね……暁美さん、結構意地っ張りだから)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:51:01.35 ID:JtFaSEJA0<>
ほむら「ふふ、ふふふ……」 エフッ エフッ
さやか(緊張してたんじゃない、アレは獲物を狩る悦びに目覚めた獣の笑いだ!)
マミ(暁美さんが遠く感じるわ……)
杏子(と、とにかく触れるな。アレは全て喰らう獣の目だ)
まどか(う、うん。とにかくほむらちゃんは落ち着くまで放置だね!)
ほむら「さ、行きましょう」ファサッ
まどか「あっ、戻ったよ」
杏子「いや、油断するな」
キィ……キィ……キコッ!!
噴水の魔女の使い魔・2
きいきいと寂しげな音を立てる、ブランコの使い魔。
悲しむ貴方を、嘲る。
使い魔2の群「キコッ……キコッキコッ!!」
マミ「あら、千客万来って所かしら?私の突きは神速の」
ほむら「っふおあああああああぁぁぁぁぁッッ!!!!」ガガガガガガガガガガ!!!!
使い魔2「キコッ、キィィー!!」ボシュッボシュッ…ボシュウゥゥゥ…
杏子「ほらな……」
さやか「あー……」
マミ「えーっと……」
まどか「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:51:54.99 ID:JtFaSEJA0<>
――――
さやか「使い魔はほとんどほむらが片付けちゃったねぇ」
杏子「ま、あいつにアレを持たせちゃダメだな。性格が変わっちまう」
まどか「うん……こんなのほむらちゃんじゃないよ……」
マミ「……でも、それも終わりみたい」
ほむら「……結界の最深部についたみたいね」
グニャァ……
さやか「くるよ!」
ザァァァァァ……!!
魔女:噴水の魔女 性質:滂沱
かつて大切な想い人を失った少女。溢れる水は涙。
それはいつまでも溢れる、枯れる事の無い泉。
ド ン ! !
杏子「へん、よーやくボスのお出ましだね!」
まどか「気をつけて!使い魔も従えてるよ!」
マミ「オッケー!まずは私と佐倉さんで使い魔を」
ほむら「っしゃあああああああぁぁぁぁぁッッ!!!!」ガガガガガガガガガガ!!!!
杏子「うわああ!!」
さやか「ひゃああ!!」
まどか「―!!」ポワーン カシャッ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:52:49.60 ID:JtFaSEJA0<>
魔女「」
使い魔「」
ほむら「」
まどか「大丈夫?杏子ちゃん?」ギュッ
杏子「わああっ!!ってまどか!」
まどか「見て、ほむらちゃんを」
杏子「……回転しようとしてるな」
まどか「うん、多分使い魔ごと魔女を一掃するつもりなんだと思う」ギュッ
さやか「あああっ!!って、まどか!」
まどか「さやかちゃん、マミさんと手を繋いで!」
さやか「あ、時止めたのか!ナイス判断!」ギュッ
マミ「担当するわ!……あら?美樹さん?」
さやか「まどかが時を止めてくれました、ほむらの暴走を予期して」
マミ「あ、ありがとう鹿目さん。……せっかく決めポーズ取ろうと思ったのに……」クスン
まどか「みんな、私の後ろで伏せて!バリアを張ってほむらちゃんの攻撃を防ぐから!」ポワーン シュイーン
マミ「もう。暁美さんは今日のケーキ無しね!」
さやか「うひひっ。マミさんスパルタぁ〜」
まどか「解除するよ!!」 カシャッ!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:53:59.63 ID:JtFaSEJA0<>
ほむら「あああああぁぁぁぁッッ!!!」ガガガガガガガガ
使い魔1「ギギィー!!」ボシュッ! ボシュッ!
使い魔2「キコッ、キィィー!!」ボシュッ! ボシュッ!
魔女「オオオォォォォ!!」チュインチュインッ
ほむら「チッ、しぶといわね……でも雑魚は一掃できたわ」キュルキュルキュル…
ほむら「今度はあなた一人で銃弾を浴びなさい!!」カチャッ
ほむら「っらああああぁぁぁぁぁぁッ!!!!」ウィィーン キュルキュルキュルキュルキュルキュル
ほむら「……はっ!!」 ◆←ソウルジェム
魔女「オオオオオオッ!!」
ほむら「杏子!!魔力が尽きたわ!!グリーフシードを私に!!」
杏子「やるかボケ!!下がってろ!!」
マミ「暁美さん、一旦下がって!」
ほむら「ちっ……」
さやか「舌打ちすんな!」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:55:21.76 ID:JtFaSEJA0<>
キヲトリナオシテ、ト
魔女:噴水の魔女 性質:滂沱
かつて大切な想い人を失った少女。溢れる水は涙。
それはいつまでも溢れる、枯れる事の無い泉。
魔女「グオオォォォ……!!」
巨大な円形の二段式噴水に、ギリシャ彫の柱の腕はしっかりと二の腕と上腕を象り、五本のホースが指の担う。
足元には渦が巻いており、ポリッシャーのブラシのように動いている。
マミ「うふっ、こうして前衛として一緒に並ぶのは久しぶりね?」
杏子「ああ、懐かしいね。マミに戦闘のいろはを教えてもらった昔を思い出すよ」
マミ「でも今じゃ近接戦闘では貴方のほうがベテランよ。しっかりフォローしてね、佐倉さん!」スチャッ
杏子「へへっ、任せとけって!!」スチャッ
マミ「ハッ!!」ヒュンッ
フェンシングの突きの如き一撃を見舞い、そして即座に距離を取る。
魔女はマミに向かって腕を振り上げる!
杏子「うりゃあああっ!」ブンッ!
魔女「ンゴォッ!?」ミシミシ
マミの方を向いて、がら空きになった魔女の背中に鉄塊を叩きつける杏子。
そして即座に後方へ飛び退き、魔女の攻撃範囲から離脱した。
杏子「ひゅー、やっぱ重たい分効くみたいだねぇ。ガトリングも耐えた硬い身体に一発でヒビが入ったよ」ニヤッ
ほら、きなよ? と、剣を肩に抱えて魔女を挑発する。
魔女は言われるがままに杏子の方へと向き直った。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:56:52.36 ID:JtFaSEJA0<>
マミ「ほらほら、余所見してちゃダメよ?」ヒュン
マミのランスによる光速の一突き!
マミ「私はここよ?」ヒュン ヒュン
素早さで翻弄し、幾度も同じ箇所にランスが打ち込まれる。
一本、また一本とひび割れが刻まれ、堅固な身体に傷が付いてゆく。
魔女「クオオオォォォ!!」ブンッ
マミの動きを捉えられぬ魔女は痺れをきらしたか、その腕を大きく振りかぶる!
杏子「もらったぁ!!」
マミに気を取られた魔女に、杏子の全霊の一撃が――
魔女「グゴッ、オオオオオッ!!」
魔女の右上腕から下を宙に舞わせた。だがッ――
まどか「やったぁ!!」
ほむら「……危ない!下がりなさい!!」
杏子「なっ……!?」ゴオオオオッ
それは魔女の誘いの一手。切り落とされた腕の部分から水が溢れると、ソレは腕となる。
この噴水の身体は、ただの甲殻。
『噴水の水』こそが、本体!
鋭い爪を携えた手が、杏子へと襲い掛かる!
さやか「フォルテ・シャープ!」ピュン!
さやかの叫びと同時に放たれた矢。
それは杏子を射抜くと、その身体を瞬時に空中へと弾き飛ばした。
杏子「うわっ!?か、身体が」
まどか「今助けるよ!!」 カシャッ
まどかの盾の中央が開くと、全てが灰色の空間が広がる。
即座に飛び上がり、まどかは杏子の手を掴むと、無事に着地。
カシャッ
マミ「佐倉さん!大丈夫!?」
杏子「ふー、驚いたよ。サンキュー、さやか!まどか!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 01:58:32.82 ID:JtFaSEJA0<>
ほむら「気をつけて!そいつの本体は恐らく『水』よ!外側に攻撃を仕掛けても効果が無いわ!」
さやか「なーるほど、ガトリングに耐えたのは硬いだけじゃないって事かー!」
ほむらの言葉に、さやかは次なる矢を番え、
さやか「ポッシビーレ・ドルチェ!」ピュン!!
煌く音符の矢を放つ。
魔女「ウゴォォ……」
矢を振り払うべく手で薙ぎ払うが、その矢は弾かれる事無く、魔女の手の平に吸い込まれた。
すると楽譜の線が魔女の身体に纏わりつき、螺旋を描いて全身を覆った。
さやか「マミさん!」
マミ「オッケー!!」ヒュンッ!
攻撃の合図、阿吽の呼吸。
矢が吸い込まれていった、左の手を突く。
すると、先程とは打って変わり、一撃のもとに粉砕された。
さやかの矢による効果で、硬度が著しく低下したのだ。
右腕同様、左手も水が象り現れる。
魔女「オオオオオッ!」
退いたマミを追撃すべく、手を振り上げるが、
杏子「うおりゃぁぁっ!!」
噴水の台が粉々に吹き飛んだのは、杏子の鉄塊が横薙ぎの一撃を見舞った。
今度は掴まらないように、鉄塊を振るった勢いでそのまま前転で距離を取る。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:00:06.74 ID:JtFaSEJA0<>
ほむら「まどか……グリーフシードは持ってる?」
まどか「うん、あるよ!」
ほむら「一つ、良いかしら?」
まどか「いいよ、ほむらちゃん!」
ほむら「ありがとう、まどか」
さやか「グランディオーソ!」ピュン!
魔女「グゴオオオオオ!!」ドゴォン!
弓から放たれた矢は魔女の眼前で巨大化すると、噴水の台座を完全に弾き飛ばす。
これで残るのは、噴水の縁の土台だけ。
ほむら「マミ、杏子!!離れて!!」
杏子・マミ「!!」バッ!
まどか「止めるよ!!」 カシャッ
再びまどかの時止めが発動した。
そしてほむらの手に手を重ねると、ほむらの時も動き出した。
ほむら「ありがとう、まどか。しっかり掴まっててね……!」
まどか「うん、やっちゃって!」
ほむら「ぬうううあああぁぁぁぁぁッッ!!!!」ガガガガガガガガガガ!!!!
ほむらのガトリングが再び火を噴く。
狙いは、残る噴水の土台……魔女の、外装甲。
鋭く尖った魔力の弾丸が魔女の前でピタリと止まる。
カシャッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:00:49.68 ID:JtFaSEJA0<>
魔女「グゴ、グゴ、おおおおぉぉぉぉ……!!」グラァ…
ガトリングの集中砲火によって、魔女を覆っていた最後の装甲が弾け飛ぶ。
水だけとなった魔女は、バランスを保てないのか、右往左往を繰り返す。
マミ「裸も同然ね、あと一発って所かしら?」
リボンがマミのランスを幾重にも覆うと、それは段々と巨大なものへと変化していく。
護拳部位がマミ自身の身体をも覆い隠すほどの大きさになると、肩を押し当て、腰を落とした。
マミ「ランチェア・ディーオ!!」
特急列車が駆け抜けるが如く、光速の突撃!
魔女の身体を貫き、通過する!
杏子「だ、ダメだ!」
マミ「え!?」
ランスを元の形状に戻して振り返ると、魔女は相変わらず右往左往したままだった。
マミ「うそ!?確かに私の槍は魔女を貫いたわ!」
ほむら「……水、だからよ」
まどか「ど、どういうこと?ほむらちゃん?」
ほむら「装甲が無ければ身体を制御できないかもしれない。でも水は切れないし、貫けない……!」
杏子「ちっ、ここまで来て手詰まりかよ!」
結界がぐにゃりと歪み始める。
マミ「まずいわ!魔女が逃げてしまう!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:01:56.13 ID:JtFaSEJA0<>
さやか「ふっふっふ。ここはさやかちゃんに任せなさいって!」
その手には矢が三本。
魔女に向かって矢を構える。
さやか「センプレ・アタッカ!」ピュピュピュンッ!
カカカッ、っと小気味よい音と共に矢が地面に刺さると、譜面が浮かび上がり、たちまち球体となる。
それは魔女を囲み、まるで逃がさないかのように包み込んだ。
さやか「レセ・ヴィーブル!」ピュン!
今度の矢は譜面が作った球体に飲み込まれると、球体の内部に波紋を生み出した。
まるで譜面の球体の中が、水面のように。
魔女「ぐご、ごごごご……」
杏子「魔女が、苦しんでるぞ……!」
さやか「これでトドメだぁ!!モールト・セッコ・フィーレ!!」バシュンッ!
光の粒子を撒き散らしながら閃く一筋の矢が球体の中に入ると、急激な圧縮によって魔女が収縮され――
弾け飛んだ!!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:02:57.49 ID:JtFaSEJA0<>
まどか「結界が……消えていくよ」
シュゥゥゥゥゥ………
カランッ
魔女との勝利の証……グリーフシードが、地面に立つ。
さやか「ふひー、終わったぁ」
張り詰めた空気が、幕を閉じた。
杏子「す、すっげーよさやか!!カッコよかったぜ!!」バシバシ
さやか「あいたた!!もー叩かないでよー!!」
マミ「凄かったわ、美樹さん!私の出番は無かったみたい?」
まどか「さやかちゃん、すっごーい!」
さやか「あ、あはは……た、たまたまですって。相性が良かっただけだからさ」
ほむら「いえ、見事だったわ。貴方にしては」
さやか「だからほむらは一言多いっての」
QB「謙遜する事はないよ、さやか。実に素晴らしい戦いぶりだったよ」
さやか「あはは、そ、そう?って、キュウベぇ?」
まどか「きゅ、キュウベぇ!いつの間に?」
QB「いや、きみたちの新たな武器の戦いを見てみたいと思っ
ほむら「死ねえええぇぇぇぇぇぇッッ!!!!」ガガガガガガガガガガ!!!!
QB「きゅぷらららっ!!」バババババ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:04:04.84 ID:JtFaSEJA0<>
杏子「ちょ、おい!!ほむら!!なにしてんだよ!!」
マミ「きゅ、キュウベぇぇぇぇ!!」
ほむら「ごめんなさい、つい」
さやか「つい、で銃ぶっ放すなよ!!つーか『死ね』ってはっきり言ってたじゃん!!」
まどか「うわあぁぁ、キュウベぇが粉々に……」
新QB「……一回は絶対やられる気がしてたよ」ヒョイ
ほむら「こんな諺があったわね。一度ある事は二度ある。二度ある事は三度あるって」チャキッ
新QB「魔力の無駄遣いは止した方が良いと思うな」
ほむら「でも気分が爽快になるの」
新QB「マミ、助けてくれ」
マミ「暁美さん、いくらキュウベぇがこういった存在でも、面白半分に虐めるのは良くないわよ」
まどか「ほむらちゃん、苛めはダメだよ」
ほむら「……仕方ないわね。止めてあげるわ」チッ
QB「解ってくれたみたいだね。ありがとう、マミ、まどか」
ほむら「でもこんな諺があったわよね。一度ある事は二度ある。二度ある事は三度あるって」チャキッ
QB「知ってるよ、ほむら。そういうのを専門用語でテンドンって言うんだよね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:06:04.45 ID:JtFaSEJA0<>
QB「さて、今回の魔女退治はどうだったかな。陰から見ている限りはバッチリ使いこなしていたようだけど」
杏子「んー、使いこなせているかはビミョーだったけど、楽しかったぜ」
マミ「ええ、頼もしい先生が傍に居てくれたしね。充実してたわ」
杏子「もー、やめてくれってば、マミ」テレッ
まどか「私は今回一度も攻撃に加わってないけど、役に立ててたかなぁ?」
さやか「そりゃもう。というかまどかの最初のアレがなかったらと思うと、ゾッとするわー」
ほむら「魔力の消耗を極限まで抑えつつ最大限に支援する……まどかは天才ね」ファサッ
さやか「ひっぱたいたろか、おんどれは」
QB「……次の魔女退治でも武器を変更してみるかい?」
終 <>
1<>sage saga<>2012/07/05(木) 02:19:05.51 ID:JtFaSEJA0<>
今回で一旦終了とします。
また後日に安価したいと思いますので、その時もお付き合い頂けると嬉しいです。
あと、戦闘描写に指摘など(こうしたほうが読みやすいよーとか)が
ありましたら仰って頂けると嬉しいです。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 03:28:35.15 ID:hdljQjIMP<> 乙乙
なかなか読みやすいと思うんだぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 09:18:36.86 ID:9/5tQRoIO<> 剛弓もみてみたいなー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 12:29:31.62 ID:gs1mPY+DO<> ほむほむの銃が見たい…とは言ったが…言ったがwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/07/05(木) 12:29:57.95 ID:s/uefvngo<> 乙だ
面白い <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 12:40:59.88 ID:y7sF8LEFo<> 杏子にパワーキャラのイメージはなかったな
伸縮自在の節の付いた槍とか幻惑魔法とかでどっちかというと
トリッキーで相手を翻弄するタイプだとおもってた <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 12:47:06.39 ID:FtkmZvmIO<> さやかが竪琴、まどかがおもちゃ系はしっくりくるな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チリ)<><>2012/07/05(木) 16:18:15.38 ID:XF2psyHD0<> マミさんが秀逸すぎる <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/07/05(木) 17:02:04.67 ID:tNrxUesIO<> 次はほむらの鎌とさやかの銃見てみたいな
乙 <>
1<>sage saga<>2012/07/05(木) 19:54:47.74 ID:JtFaSEJA0<> ほむらがガトリングを持った時点で流れはこうなってしまった。
>>96
イメージと違ってたらごめんね。個人的に杏子=攻撃力高い速攻型ってイメージだったから。
今書いてるのはイマイチ活躍できなかった剣杏子&槍マミでの魔女戦だから、その時に幻惑とかを使うよ!
これが終わったら安価して次の武器で書きますね! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/05(木) 20:02:17.36 ID:kkdVo+uH0<> かずみ達の武器も見たい。
個人的には、カオルのガントレットが気になる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 20:02:51.28 ID:+KUqSamDO<> ほむらが最初に乱射した後に「カ・イ・カ・ン」もあったら最高やったで <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/07/05(木) 20:18:03.99 ID:ERQudVBQ0<> >>101
カオルってガントレット着けてたか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/05(木) 20:37:07.02 ID:kkdVo+uH0<> >>103
うろ覚えだけど、魔女ニコの時にそれぽいのを着けてたような・・・・・
それともあれは「グローブ」というべきなのか?某主人公みたいに <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/07/05(木) 20:46:47.72 ID:ERQudVBQ0<> あれは腕だけアストロンの魔法じゃないか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/05(木) 21:06:39.55 ID:t1UCnMgIO<> 杏子の盾のバリア張ったまま体当たりでフリーザ様を思い出した
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/05(木) 22:08:35.88 ID:kkdVo+uH0<> そういえば、杏子とほむらって漫画版だと武器の形状が違うんだよね。
漫画版の杏子の武器って武装錬金の不死身男の武器ぽい。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2012/07/05(木) 23:38:48.90 ID:msA+7c9h0<> ほむほむはM134(米陸軍名称)が撃ちたくてたまらなかったんだなwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/06(金) 11:31:39.41 ID:s/9GEl9IO<> GAU-8をブチかますほむほむはまだですか!? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:07:24.98 ID:nnEYDGix0<>
――― 夕刻・商店街
マミ「ありがとうね、佐倉さん。買い物に付き合ってくれて」テクテク
杏子「いーっていーって。いつもご馳走になってばっかじゃこっちもわりーしさ。荷物持ちくらいしないとさ」テクテク
マミ「うふふ、今日はカレーよ。たくさん作るからいっぱい食べてね?」
杏子「やったぜ!このリンゴはデザートかい?」
マミ「ええ。でもカレーの中にも少し混ぜるわ。味に深みが増すのよ」
杏子「リンゴなんて入れちまったら甘くなりすぎちまうんじゃねーの?」
マミ「摩り下ろして少し混ぜるだけだから大丈夫よ。カレーには何を入れても隠し味になるんだから」
マミ「それこそ家庭によって様々よ?お醤油を入れる家もあれば、生クリームを入れる家もあるわ。コーヒーを入れる家もあるみたいよ?」
杏子「へー。カレーってすげーなぁ」
マミ「今日はご飯で食べて、余り具合によって明日はうどんかパスタにしましょうか?」
杏子「へへっ、余るかどうかわからねーぜ?」
マミ「それならそれで構わないわ。たくさん食べて貰えたほうが嬉しいもの」
―― キーン…… ―
マミ・杏子「!!」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:08:21.47 ID:nnEYDGix0<>
マミ「この感じ……!」
杏子「ああ、魔女の気配だ!」
マミ「佐倉さん、こっちよ!」
杏子「おう!」
タタタタタ……
―― 町外れ・廃屋敷 ――
マミ「この家の中からね……」
杏子「ああ。こんなトコに立派な屋敷があったんだな」
マミ「なんでも昭和の大女優のお屋敷だったらしいわ。もう人が住まなくなって随分になるみたいだけど…」
杏子「入り口のフェンスが開いてるな。……これはマズイぞ、マミ!」
マミ「ええ、恐らく中には人が!」
杏子「まどか達にテレパシーは届きそうにないな。アタシ達でいくか!」
マミ「そうね、電話してる暇もないみたいだし!」
杏子「いくぞ!」
―― 玄関 ――
杏子「荷物を置いて、と」ガサガサ
マミ「鍵は……(カチャッ キィ……)掛かってないわ。開いてるわね」
杏子「!…マミ、見ろ!中に人が!」
人「うう……」ヨロ… ヨロ…
タッタッタッタ
マミ「大丈夫ですか!?」
女性「うう……あの子は……あの子はどこ?」
杏子「首のトコ、見ろ。魔女の口付けだ」
女性「ど、どいて……私はあの子を……あの子を立派な女優に………」
杏子「完全に正気を失ってるな。マミ、魔女を倒すまで拘束しておこう」
マミ「オッケー、任せて!」
サールティーローヤーリィー
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:09:24.25 ID:nnEYDGix0<>
マミ「ごめんなさい、おば様。ちょっと大人しくしてて下さいね」シュルルル
女性「そう……そうよ……今のあなたは人形……涙をこぼす人形がいますか……」ブツブツ…
杏子「正面の螺旋階段……あそこから結界が広がってるみたいだな」
パシューン
マミ「じゃあここなら安全ね。さっさと片付けてしまいましょ!」ダッ
杏子「おう!」ダッ
グオオォォォォ
―― 結界内 ――
杏子「ハリボテばっかだな……木やら、城やら……」
マミ「ええ。まるで学芸会のセットみたいね」
杏子「学芸会のセット、か。……マミ、どうにもここは演劇の舞台らしいぜ」
ザワザワ……
ザワザワ……
マミ「そうみたいね。そして私達は、招かれざる客ってことかしら?」
チカッ チカッ チカッ チカッ
杏子「うわっ、なんだ?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:10:33.81 ID:nnEYDGix0<>
硝子の魔女の使い魔・1
光を巡らせ女優を彩る、スポットライトの使い魔。
栄光の光の後ろには、苦悩の影を作る。
使い魔「キラッ……キラキラッ!」チカッ パッ パッ
二人を照らす幾つものスポットライト。
機材には、光の行き先を操る手のシルエットも付いている。
舞台における『照明係』だ。
マミ「あら、どうやら女優並の扱いみたいよ?」
杏子「はんっ、歓迎されてるみたいじゃんか……上等だよ、さっそくうわっ!!」ドガラガッシャン
マミ「佐倉さん!?」
杏子「わ、忘れてた……武器、剣のまんまだったんだっけ。槍のつもりで出したら転んじまったよ」
マミ「もう、佐倉さんったら。今日は二人だけって事を忘れないでね?」
杏子「わかったわかった。それじゃ、気を取り直して!」スチャッ ダッ
鉄塊を構えて、使い魔に向かって駆ける。
杏子「どりゃああっ!」
ザシュッ! 横薙ぎの一撃が炸裂し、使い魔が両断された。
使い魔「キィィーッ!!」シュゥゥゥゥ……
杏子「おら、もういっちょ!」
横薙ぎに振るった勢いを生かしたまま、今度は袈裟懸けの如く振り上げ、斜め上から斬りかかる。
突進の勢いも助け、広範囲に渡った斬撃は使い魔を一気に二体同時に葬り去った。
杏子「まだまだぁぁっ!!」
マミ「ふふ、私も……あら?」
照明の光が集中する杏子の異変。
竜巻の如く剣を振るっているはずなのに、舞台に落ちた影は奇妙な形へと変化しているのだ。
マミ「……もしかして」チラッ
己の影へと視線を移すマミ。
すると影はぐにゃぐにゃと歪んでおり、蠢きながらもがいているように見えた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:11:12.71 ID:nnEYDGix0<>
マミはランスを逆手に持ち、己の影に突き刺す。
影「ギギギィィィ!!」
突き刺された影はもがき苦しむと、蒸発していった。
視線を再び杏子に移すと、杏子の影は同様に鉄塊を持ち、杏子の背後へと立っていた。
そして奇妙な事に、杏子が如何に激しい動きをしようとも『影』は必ず杏子の背後に来ている。
マミ「文字通り、影って訳ね」ダッ!
マミ「ハッ!」ヒュン!
杏子「うわ!なんだよマミ!!……ん?」
突然背後から聞こえたマミの声に杏子が驚き、振り返る。
影「ギギィィ!」シュゥゥゥ
マミ「佐倉さん、自分の影に気をつけて!どういう訳か、この使い魔達は影を操るみたいよ!」
杏子「そうか、コイツ等手応えが無いと思ったら……」
使い魔「キラッ!」 パッ パッ
照明の光がマミに幾重も重なる。
杏子の影同様にマミの影がマミの姿を象り、その手の槍を本体に向かって振りかざす。
杏子「せこいマネしやがって!」
伸びた槍を杏子が鉄塊で防ぎ、マミの影を蹴り飛ばす。
ランスを逆手に持ったマミは振り向かずに、そのまま背後を一突きし、マミの影は霧散した。
影「ギィィーーッ!」シュゥゥゥ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:12:35.77 ID:nnEYDGix0<>
使い魔「キラキラッ!」 パッ パッ
マミ「どうやらこの照明の光を浴びる事によって、影が意思をもつみたいね」
杏子「みたいだな」
今度は杏子に照明の光が集中する。
杏子の足元から伸びた影は再び杏子と同じ姿へと変化し、そして剣を持っていた。
マミ「一定量の光を浴びると効果が強まるのかしら?」
マミは自分の影に視線を移すが、蠢くだけで、襲い掛かってくる様子はない。
杏子は先程のマミがやったように、背中を向けたまま鉄塊を背後へと突き出す。
影「グギギッ」シュゥゥゥ
マミ「んもう。照明と自分の背後を気にしないといけないなんて手間が掛かって仕方ないわ」
杏子「だったら、こうするだけさ!マミ、離れな!!」
マミ「佐倉さん?」バッ
杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」
マミが飛び退くと同時に、杏子の分身が展開された。
すると分身した杏子は一斉に散開し、集中していた照明の光が杏子を追いかける。
そして光で捉えきれない杏子が、使い魔達を次々に撃破していった。
杏子「ほら、コッチだよ!」ザシュッ! シュゥゥゥゥ…
杏子「そっちじゃないって、そら!」ザンッ! シュゥゥゥゥ…
杏子「ドコ見てんのさ、こっちにもアタシは居るよ!」ズバッ! シュゥゥゥゥ…
マミ「照明係が気の毒ね。主役があんなに沢山じゃスポットを合わせられないわ、ふふっ」
シュルシュル……
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:13:58.39 ID:nnEYDGix0<>
衣擦れの音。
風に煽られながら降りてくるのは、一着の純白ドレス。
そのサイズは例えスーパーモデルが着たとしても、子供のように感じる程の大きさだ。
硝子の魔女の使い魔・2
女優を引き立てる衣装、フリルドレスの使い魔。
皆を引き付ける煌きの世界からは、もう逃れられない。
マミ「あら、ドレスアップしてるみたいだけど、佐倉さんの前じゃ壁の花よ?」スチャッ
使い魔2「ヒュヒュヒュ、ヒュヒュ」ジャキジャキッ
フリルの付いたドレスの裾から、鋸が姿を現す。
地に着く間際に、ドレスの中に一本の柱が現れ、それを支柱にクルクルと回りだす。
さながら、ポールスタンドによって展示された一着のドレス。
使い魔2「ヒュヒュ、ヒュ!!」ギュイィィィンッ
マミ「女同士で不満かもしれないけど……付き合ってあげるわ、貴方とのロンドに!」
ドレスの使い魔の身体が傾くや、轟音と共にマミの方へと向かい迫る!
だが直線的で単純な動きに捕らわれるマミではない。
放物線を描くように大きく飛翔し、攻撃を避ける。
それに気が付いた使い魔も、まるでバイクが方向転換するかのように地を擦りながらマミの方へと向き直る。
ドレスの裾が方向転換の勢いと共に踊り、再度轟音を唸らせながら突撃してきた。
マミ「ハッ!」バッ
使い魔の単調な突進を一目で見切ったマミは飛翔すると、迫り来る使い魔の支柱の上に着地した。
マミ「だめね、こんな単調な踊りしか出来ないんじゃあ主役どころか端役のままよ?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:15:22.37 ID:nnEYDGix0<>
支柱にリボンを括り付け、そして余った部分を頭上に向かって放ると、魔力によってそれは形を成す。
そして顕現するは、ランスが三本。
マミ「ツォーノ!!」パチンッ
マミが指を鳴らすと、それは一気に降り注ぐ。
リボンと結ばれたランスはドレスに突き刺さり、使い魔を地へと縫い付け動きを止めた。
マミ「でもあなたの出番はもう終わり。退場してもらうわよ!」
動けなくなった使い魔から飛び離れると、掲げた手に幾重にもリボンが巻き付き、大きな円錐の形となる。
巨大なランスとなったリボンを使い魔に向かって構え、腰を落とす。
マミ「ランチェア・ディーオ!!」
光が駆け抜けるが如き、必殺の突進!
使い魔2「ヒィィィ……!」 パラ……パラ…
ドレスの使い魔は、裾に付けていた鋸の刃や支柱ごと、全てを吹き飛ばされて塵と化した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:16:22.37 ID:nnEYDGix0<>
杏子「ラストッ!!」ザシュッ シュゥゥゥゥ…
マミ「終わったみたいね、佐倉さん」ニコッ
杏子「ああ、使い魔は、な」
マミ「ええ、そうね」
グニャァ……
杏子「わざわざ出向いてくるたぁ好都合だね」
マミ「舞台の主役を奪われてご立腹かしら?」
カチャ、カチャ…… ズシィィィン!!
魔女:硝子の魔女 性質:顕示
かつて天才と呼ばれた演劇の少女。その表情は無限。
素面(しらふ)は埋もれ、もう道化の仮面は外れない。
ド ン ! !
喜怒哀楽……の、女性の仮面が四面の円陣を組み、中央には大きな歯車が寝かされている。
その歯車に絡みつくように荊が茂り、外へと伸びた部分は蔓同士で絡まり合って太くなり、足となっていた。
クモの足のように八本展開されているため、真上から見るとまるでタランチュラのような形状だろう。
その身の丈は観光バスほどの高さ……二人の前に巨大な顔が、立ちはだかる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:17:31.00 ID:nnEYDGix0<>
ズシン、ズシンと地響き。
荊の足がギシギシと悲鳴をあげる。
マミ「不気味ね。まるで仮面のメリーゴーランドだわ」
杏子「まどかが居たら怖くて泣き出しちまってたかもな」スチャッ
マミ「あら?鹿目さんはああ見えて、結構度胸があるのよ?」スチャッ
杏子「へへっ、解ってるって、冗談さ。……くるぞ、マミ!」
魔女「ンオオオオウゥゥゥゥゥ!!!!!」
正面の仮面が口を開き、慟哭の如き声を発する。
あまりの大音量に空気が振動し、骨まで響かせる。
正面を向いた仮面の眼が二人を見据え――
魔女「ヒッグ、ウウウゥゥッ!!」 バシュンッ!!
双眸から一筋の光が伸びる!
マミ・杏子「!!」 バッ!
二人が先程まで立っていた場の地に、キラキラと光り輝くバレーボールほどの大きさの球体がめり込んでいた。
魔女「ンオオオォォォ!!!!」
凶悪な光を携えた双眸は杏子を見据え、再び光弾が放たれる。
杏子「喰らうかよ!」
鉄塊を握っていた手をひねり、鎬の部分を前面に向けて振りかぶる。
杏子「おおおりゃっ!!」カキカキーン!
放たれた光弾を魔女へと打ち返した。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:18:47.97 ID:nnEYDGix0<>
打ち返した魔女の仮面に見事直撃する――っが
光弾は粉々に砕け散り、魔女はまったくの無傷。
杏子「ちっ、さすがに自分の技でダメージは受けないってか!」
マミ「だったら!」
魔女の意識が杏子に向いていたのを好機と踏み、マミは仮面と仮面の間に茂る荊へと、ランスを突き立てる!
鈍い感触と共に穂先は足へと飲み込まれていく、が。
魔女にはまったく効いている様子が無い。
魔女「ンオオゥゥゥ……!」メリメリ……
荊が、軋む。
仮面に囲まれた中央の歯車が動き出そうとしている。
ぐるんっ。
マミ「キャッ!?」
杏子を見据えていた仮面の表情が変化した。
歯車によって回転した仮面によって弾き飛ばされるマミ。
杏子「マミ!」
魔女「アヒャヒャヒャ、ヒャヒャヒャ!!」ケタケタ
けたたましい笑い声。
仮面の大きく開けた口で、歯がガチンガチンと合わさるたびに鳴る。
魔女「アヒャヒャーーーッ!!」ケタケタ
その巨体から想像も出来ないスピードで杏子へと突進してくる。
杏子「!!」
すかさず横へと飛び退き、突進を回避する。
けたたましい魔女の口が地面へと齧りつき、地面を咀嚼していた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:19:53.94 ID:nnEYDGix0<>
杏子「悪食なヤローだ!」
鉄塊を大きく振り上げ、臆する事無く魔女に向かって突撃する。
杏子「うおおおりゃ!!」
力、速度、重量、全てが備わった、一太刀であった。
並の魔女ならばその一太刀を浴びただけで、その身を破壊されたであろうほどの、一撃。
ガキン!!
杏子「!!――ちっ!!」
だがその一撃は側面の仮面に僅かに傷を付けただけで、止まる。
魔女「アヒャヒャ……」メリメリ
咀嚼を止めた魔女、荊がまた軋み、歯車が回りだそうとしていた。
ぐるんっ!
杏子「うわっ!!」
マミ同様に、歯車によって回転した仮面によって弾き飛ばされた杏子。
魔女「フヒヒ、フヒヒヒヒ!!」ニヤニヤ
喜びを隠せない狂気の表情。
大きな巨体を上下に揺らし、ガシャンガシャンと歯車も軋む。
すると――
魔女「フヒヒーー!!」ダン!!
地団駄一つ、そして気が付いた時には杏子の視界から魔女は姿を消していた。
マミ「佐倉さん、上よ!!」
杏子「なっ―― ちっ……!」
マミの声と同時に、即座に飛び起きて全速力で駆ける杏子。
ガシャアァァァァンッ!!!
シャンデリアが落下した時の音はこういう音だろうか。
さきほどまで杏子がいた場所に、魔女の巨体が降ってきたのだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:21:16.35 ID:nnEYDGix0<>
杏子「サンキュー、マミ!!」
叫ぶようにして相棒へと言葉を返す。
魔女「フヒヒ、フヒヒ……」メリメリ
まるで子供が喜びを隠しきれずに身体を揺らすかのようにしていた魔女から、またしても歯車の軋み。
杏子「……そうか」
ぐるんっ。
魔女「ヌアアアアーーーーッッ!!!」
開戦の時以上の大音量による、咆哮。
その声はまさしく憤怒に満ちた、殺意の塊。
この魔女は攻撃を行う毎に仮面を回転させて、攻撃方法を変化させてくるんだ、と杏子とマミは気付く。
喜 怒 哀 楽
一巡して攻撃を行うのだ。
魔女「ヌアアアアァァァァーーーーーーッッ!!!!」
杏子の方へと向き直った魔女が、再び吼える。
杏子「――ッ!!」
身体を突き抜けるような突風の如き『音』という名の衝撃波。
吹き飛ばされる、と感じた杏子は咄嗟に鉄塊を地面に突き刺し、それを盾にして防いだ。
身体を覆う程の鉄の塊の大剣が、幸いした。
杏子「くそ、コイツ強えじゃん……!」
舌打ちも飽きた、と言わんばかりに苛立ちの言葉を漏らす。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:23:12.83 ID:nnEYDGix0<>
魔女「ヌア、ヌアアアアーーーーッ!!!」 ガシャン! ガシャン!
足に伝わる振動と同時に、鉄塊を震わせていた音の津波が止む。
先程とは違った、憤怒ではなく苦痛に呻くかのような雄叫び。
盾にした鉄塊の陰から魔女を見ると、その足をバタバタさせて苦しんでいるように見えた。
マミ「見つけたわ、佐倉さん。あの魔女の弱点を」シュタッ
杏子「マミ!」
隣に優雅な動作で舞い降りたマミに、杏子は思わず喜びの声音で名を呼ぶ。
マミ「あの魔女は正面に捕らえた相手しか攻撃できないこと、そして……」
ランスの先端を魔女に向かって向ける、マミ。
マミ「正面から二つ先の面……つまり、真後ろの面。そこの仮面の顔だけが『無表情』になってたわ。そしてそこを一突きしただけで……」
杏子「あの苦しみよう、か」ニヤッ
魔女「ヌアア、ヌアアアーーーー!!!」ガシャン! ガシャン!
魔女は最初に捕らえた杏子のみを狙い攻撃を仕掛けていた。
マミはその間、魔女の動向を観察しており、そして気が付いたのだった。
回転する度に変わらなければならないはずなのに、背面の部分だけは常に無表情だった事に。
杏子「さすがだぜ、マミ!そうと解りゃあ……!」
杏子は鉄塊の剣を構え、不敵に唇の端を吊り上げる。
杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」
幾重にも杏子の分身が生み出される。
マミは何も聞かず、ただニッコリと微笑んだ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:24:56.51 ID:nnEYDGix0<>
魔女「ヌアア、ヌアアア……」ガシャ、ガシャン……
徐々に落ち着きを取り戻す魔女。
杏子「おいおい、いつまでも苦しんでるんじゃないよ」
魔女の正面には、鉄塊を肩に掲げ、魔女を嘲るかのようにして立つ杏子の姿があった。
杏子「シケた面してんじゃないよ。ほら、食うかい?」
いつの間にか手にしていたロッキーを魔女に向かって差し出す。
杏子の口にも一本のロッキーが咥えられていた。
魔女「ヌア……ヌアア…」メリメリ
歯車と、荊の軋みが――
ぐるん!
魔女「ンオオオオオオオウゥゥゥゥッ!!!!」
仮面を回転させる。
咆哮による空気の振動によって杏子の服が揺れるが、それでも手と口のロッキーは揺らがない。
魔女「ヒッグ、ヒ、ウウ、ウゥゥッ!!」
噎びの声、そして双眸から一筋の光が伸びる。
硝子の涙は杏子を射抜くと、破壊音と共に地面にめり込んだ。
杏子「なんだ、いらないのかい?」
射抜かれた、と思った杏子は、ひび割れた地面よりやや離れた所に立っている。
相変わらず、ロッキーを手にしたまま。
魔女「ヒッ、ウウゥゥッ!!」
杏子の方へと向き直り、再び双眸に光が宿る。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:26:02.24 ID:nnEYDGix0<>
―――ガシャァァァァンッ!! メキメキッ! ベキッ!!
突然響く破壊音。
魔女の身体の中央にある歯車に、上空から鉄塔並に巨大化した剣が深々と突き刺さる!
そして剣の柄を握るは、杏子!
魔女「ンオオ、オオオオーーーーッ!!」
杏子「うおりゃあああぁぁぁっ!!!」 ベキベキッ!!
魔力を注入して巨大化した剣の三分の二以上が突き刺さり、まるで地面に縫い付けるかのように固定する。
分身した杏子は相変わらず魔女の正面の顔に向かって「遠慮すんなって。ほら、食うかい?」と挑発を続けている。
マミ「硝子の仮面、ね。大した女優だわ。でも貴方の陰に隠れた真実の顔は、息苦しくてとても辛そう」
動けなくなった魔女の後方に位置するマミ。
掲げた手に幾重にもリボンが巻き付き、大きな円錐となりて鋭いランスを象る。
マミ「フィナーレの幕をおろしてあげるわ!!アンコールはなしよ!!」
巨大なランスを魔女に向かって構え、腰を落とす。
マミ「ランチェア・ディーオ!!」
金色の矢が、一筋の光となって駆ける!
魔女「……!」 パラ……パラ…
『無表情の仮面』を貫かれた魔女は、荊を枯らし、全ての仮面が割れ、塵と化した。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:27:22.02 ID:nnEYDGix0<>
シュゥゥゥゥゥ………
カランッ
結界が崩れ、魔女との勝利の証……グリーフシードが、地面に立つ。
二人とも、ふう、と一息漏らして張り詰めていた糸を解く。
同時に魔女の口付けを受けた女性の拘束を解く。
杏子「マミ、そのバーちゃん大丈夫そうか?」
マミ「失礼ね、佐倉さん。こんな美人に対してお婆さん扱いは失礼よ?」
杏子「髪は真っ黒だけど皺くちゃじゃん。バーちゃんだよ、バーちゃん」
マミ「もう、佐倉さんったら。……大丈夫、気を失ってるだけよ」
女性「うう……あなたに……紅、天……を……」ブツブツ
杏子「うなされてるみてーだな。魔女は倒したってのにさ」
マミ「気が付くまで一緒に居てあげたほうが良さそうね」
杏子「……いや、やめとこう。何か立ち入っちゃならない気がする」
マミ「そ、そうかしら……?」
杏子「ああ。きっと『恐ろしい子』って言われるだけだ」
マミ「?」
終 <>
1<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:33:24.79 ID:nnEYDGix0<> 硝子の魔女編、如何でしたでしょうか。二人で戦うってのに、思った以上に長い感じになってしまいました。
投下しながら読み返しても、同じ文章を繰り返して使っている部分なども数多くあったので
ちょっと読み辛い箇所もあったと思います、すみません。
<>
1<>sage saga<>2012/07/07(土) 00:46:14.73 ID:nnEYDGix0<> では宣言通り、安価を置いておきます。気が向いた方は是非指定していただければ。
既存武器は需要なさそうなのでカットとします。
前回の安価武器と被ってたら、安価下のを採用しますね。
まどか:(済)盾 (残)剣・槍・銃 >>136
さやか:(済)弓 (残)槍・銃・盾 >>139
杏子:(済)剣 (残)弓・銃・盾 >>142
マミ:(済)槍 (残)弓・剣・盾 >>145
ほむら:(済)銃 (残)弓・剣・槍 >>148
宜しければお付き合いを。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/07(土) 00:55:14.58 ID:lq5AN3uEo<> >>1…… 乙ろしい子……っ!!
ksk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)<><>2012/07/07(土) 01:20:57.56 ID:RzHzF4Sc0<> ksk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 01:22:42.17 ID:u00MmxRDO<> (´・ω・`)ショボーン <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/07(土) 01:25:05.90 ID:Mw8ASz/uo<> 乙、硝子魔女編けっこうボリュームあったな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/07(土) 01:28:00.69 ID:qiWdat7I0<> 乙ksk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/07(土) 01:43:52.64 ID:aqeCI4ND0<> マヤちゃんが魔女に……紫の薔薇の使い魔がいてもおかしくないな
乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/07(土) 01:52:09.53 ID:dM6sr/fb0<> こうやって色々武器変えててしかも人数が五人って戦隊ものに見えてくる
最後は合体武器か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/07(土) 01:55:23.51 ID:Mw8ASz/uo<> まどっちか
銃で <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 03:37:22.84 ID:kTPvRoIDO<> 硝子の魔女のじてんで硝子の仮面だとわかった
ラストのはアナタを紅天女に・・・か
硝子の仮面懐かしいなドラマみてたっけ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/07(土) 08:32:30.09 ID:KPxACCIpo<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 08:35:06.69 ID:TkIuofXDO<> 使い辛そうなの先に済ますか。
槍で。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/07(土) 08:35:42.19 ID:KPxACCIpo<> 弓 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 08:46:44.54 ID:AE9ypuUdo<> 銃 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/07(土) 08:49:43.21 ID:KPxACCIpo<> 弓がしなり <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/07/07(土) 08:49:53.80 ID:k5U9E3Vxo<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/07(土) 09:38:58.89 ID:lq5AN3uEo<> ksk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/07(土) 09:40:17.47 ID:lq5AN3uEo<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/07/07(土) 09:42:30.34 ID:k5U9E3Vxo<> か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/07(土) 09:42:57.73 ID:KPxACCIpo<> 劔を取れッ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 09:49:38.36 ID:5N9k/3S6o<> 剣で <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/07/07(土) 09:56:55.30 ID:k5U9E3Vxo<> じゃあ剣か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/07(土) 09:57:52.19 ID:KPxACCIpo<> 銃
槍
弓
盾
劔
か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 20:00:05.63 ID:kTPvRoIDO<> まどか→銃
さやか→槍
杏子→弓
マミさん→盾
ほむら→劔(鎌)
にきれいにわかれたな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/07(土) 20:07:51.97 ID:KPxACCIpo<> 鎌はほむ槍だよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/07(土) 22:09:32.16 ID:u00MmxRDO<> ほむ剣は炎の刀だっけ <>
1<>sage saga<>2012/07/07(土) 22:37:31.39 ID:nnEYDGix0<> >>134
しまったぁぁぁぁそれがあった!
134……恐ろしい子……!
安価感謝ですー。
早速書き始めます m(. .)m <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/07/08(日) 11:17:54.27 ID:kiEO0W+Zo<> ホムラナギか
マドカ!イッショ!ガンバル! <>
ちょっと息抜きの小ネタ<>sage saga<>2012/07/08(日) 23:29:30.97 ID:gnKTFib+0<>
ほむら「キュウベぇ、M202ロケットランチャーというのを知ってるかしら」
QB「知っているよ。多連装式のロケットランチャー、そして焼夷弾を発射する強力な兵器だね」
ほむら「腹が立つけど知識は豊富ね、褒めてやるわ」
QB「問いに答えたのに貶されるとはね。地球の文明から生み出された兵器なら、大抵の知識を持っているよ」
ほむら「では私の持つロケットランチャーと聞いたら、何を連想するかしら」
QB「そうだね……対戦車用の単発式ロケット砲を想像するかな」
ほむら「でしょうね」
QB「どうしてそんな事を聞くんだい?」
ほむら「私が使うロケットランチャーって言うと、お前でもRPGを想像するのかと思ったのよ」
QB「RPGか。ロケットランチャーグレネードの略称だね」
ほむら「ええ。実はアレって発射の際の反動が物凄いのよ」
QB「発射する弾がロケット弾だからね。推進の都合、仕方の無い事だ」
ほむら「そう。で、RPGには目標を捕捉するための照準レンズがついているの」
QB「命中精度を上げるためには至極当然の事だね」
ほむら「昔、その事を知らずにレンズ越しからしっかり狙って発射したら、推進の勢いでメガネが割れたわ」
QB「照準レンズを覗く際は顔から少し離さないと、発射の反動によって眼窩に怪我を負うらしいね」
ほむら「そう。だからメガネを外したの」
QB「そうだったのか」
<>
ちょっと息抜きの小ネタ<>sage saga<>2012/07/08(日) 23:30:23.25 ID:gnKTFib+0<>
ほむら「でもこの前見た午後のロードショーで、主人公が照準レンズのついていないロケットランチャーを持ってたのよ」
QB「それが、M202ロケットランチャーって訳かい?」
ほむら「察しが良いわね、その通りよ。今でこそ魔法で視力を補ってるけど、なるべくなら魔力は節約したいわ」
QB「魔力の節約の為にメガネをかけるようになるとしたら、M202の方が良いと?」
ほむら「ええ。今後の事も考えて、これからはM202を使うとするわ。それじゃあ早速この中に装填されて貰えるかしら?」
QB「きみの言っていることの意味が理解できないよ」
ほむら「ちゃんと4発詰めたいから他のキュウベぇも呼んでちょうだい。これで『QBランチャー』の完成よ」
QB「メガネ云々の件は詭弁で、ただ単に僕を4体詰めたいだけなんだろう?」
ほむら「いいえ、4体詰めたいだけじゃなくて『発射したいだけ』よ」
QB「代わりはいくらでもあるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね。勿体ないじゃないか」
ほむら「残弾が無限って魅力だわ。魔力は節約できる、魔女には効かない、お前は潰せるしで一石三鳥よ」
QB「後の二つは利益にならない事じゃないか」
ほむら「ケチね。仕方ないから『RQB』で手を打つとしましょう。これなら文句ないでしょう?」
QB「僕達の文明の知識を持ってしても君との会話は成立しない。暁美ほむら、きみは……」
糸冬 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/09(月) 00:21:04.79 ID:W0K0g5cDO<> ホマンドーwwwwww
じゃなくてコマンドーwwwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/09(月) 03:16:59.90 ID:w2xhn1CKo<> たしかRPGはロケットプロペルドグレネードの略だったような <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:25:45.47 ID:OFNmlg6U0<>
QB「そうかい、>>159。それは失礼したね。>>1にはもっとグーグルに頼れと報告しておくよ」
QB「さて、今度の武器は、>>150 でいいんだね?ではその組合せに変えておいたよ」
―― 今回の武器 ――
まどか:銃 (おもちゃの銃。銃口がラッパ型。これの前には例え如何なる兵器も『竹槍vs核兵器』となる)
さやか:槍 (パタ。魔力の消費も少なく攻防共に優れた武器。扱いに少々クセがある。形状を知りたい御方はググると良いかも)
杏子:弓 (身の丈以上の剛弓。形状はアーチェリー型。身の丈以上の大きさのため縦に持てない。構える時は弓を横向きに寝かせます)
マミ:盾 (薔薇の彫刻が施された黄金の西洋盾。ふちにリボンが巻かれていて刃にもなる。時を止める能力は無いが防御能力は高い)
ほむら:剣(黒い刃に紫炎を纏った太刀。威力・魔力の効率共に優れている)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:26:33.41 ID:OFNmlg6U0<>
――――― 夕刻・河川敷
さやか「へぇー、それでマミさんと杏子が居なかったのかぁ」
杏子「ああ、しかも魔女の口付けを受けてるバーちゃんがいてさ。慣れない武器だわ魔女は強いわで大変だったんだぜ」
まどか「でもすごいなぁ、手強い魔女だったっていうのに、二人で倒しちゃうだなんて!」
マミ「本当はみんなの協力をお願いしたかったけど、結界が広がっちゃう前に対処しないといけなかったから」
ほむら「でも私達も使い魔が結界を作っていたのを発見したから、どの道手は貸せなかったわね」
マミ「あら、そうだったのね」
まどか「そうなんです、さやかちゃんとほむらちゃんの三人でカフェの帰りに、街中の高層ビルの裏路地で」
さやか「ですです。紫の薔薇の形をした使い魔でしたよ。妙にキレイな花だから、てっきり本物の花かと間違えるくらいの」
マミ「お手柄ね。街中で結界を張られちゃうと被害も甚大だから」
杏子「……」
―― キーン…… ―
ほむら「ソウルジェムが反応しているみたいね」
まどか「うん……あの鉄橋の下、からだね」
マミ「ええ、行きましょ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:27:27.14 ID:OFNmlg6U0<>
――― 鉄橋の下
杏子「ばっちり結界張ってやがるな。人通りの少ない場所で何よりだよ」 パシューン
さやか「もう陽も傾いてるからねー。それじゃ、夕飯前の一仕事といきますか!」 パシューン
まどか「うん!」 パシューン
ほむら「ええ」 パシューン
マミ「オッケーよ」 サールティーローヤーリィー
杏子「今日はさやかとほむらが前衛か。心配だからアタシもしばらくは前に出てやるよ」
さやか「さんきゅー杏子。あたし一人じゃほむらのお守りは心細かったんだぁ」
ほむら「ありがとう、さやか。早速試し斬りの機会が出来て嬉しいわ」 ボボボボボ…
さやか「ジョーダンですって、ほむらセンセ。スマイルスマイル!ほら、まどかが怯えてますぞー」
ほむら「な!?ま、まどか!これは枕言葉というかお約束というか、別に本気で言ってる訳じゃ…!!」
まどか「あ、あはは。怯えてなんかないよ、ほむらちゃん。むしろカッコよくて素敵だよ」
ほむら「まどか……ありがとう、今の言葉だけで私にソウルジェムが浄化されそうだわ」
杏子「アタシが心配してんのは、ほむらじゃなくてさやかのほうだけどな。間違いなく一回コケるはず」
さやか「え、さやかちゃんだったの」
マミ「もう、みんな。ふざけてないで早く行くわよ?」
グオオォォォォ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:29:03.50 ID:OFNmlg6U0<>
―― 結界内 ――
まどか「うわぁー、風が気持ち良いー」
ほむら「まるで田舎の草原ね」
マミ「風吹きて花揺れる。草靡いて雲流れる……青空と太陽は今日も変わらず届かぬ場所にあり、我矮小なり、ね」
杏子「なんだそりゃ。故人の詩か何かか?」
マミ「え、いや、そ、そうじゃなくて……」
さやか「ロバート・ブラウニングの詩に似てますね。なべて世はことも無しっていうアレ」
マミ「ま、まぁそれのオマージュと言うか、その」
ほむら「ツッコむのは野暮よ、杏子」
杏子「そうか」
マミ「………(ちょっと良いフレーズが浮かんだから、つい口に出ちゃったわ)」テレッ
ほむら「私としてはさやかの口からロバート・ブラウニングが出てきた事のほうが驚いたわ」
杏子「べりー・ふーりっしゅ、だもんな」
さやか「失礼な。さやかちゃんの知識を侮ってもらっては困るのだ」
ほむら「偏ってるのね」
さやか「そうとも言う」
まどか「認めちゃダメだよ、さやかちゃん……」
ガサガサ……
マミ「みんな、草むらから何か出てくるわよ!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:30:13.32 ID:OFNmlg6U0<>
シュルシュルシュル……
シュルシュル……
ポン ポン
ポン ポン
麦藁帽子の使い魔・1
笑顔がにこにこ眩しいヒマワリの使い魔。
例え悲嘆に暮れようとも、にっこり笑顔でこちらを向く。
使い魔「アハハハハ、アハハハハ」ニコニコ
さやか「なんか昔こんなおもちゃあったよね。声に反応して踊るヒマワリ」スチャッ
まどか「うん。あれはサングラスかけてたけどね」
マミ「青空にヒマワリとはお似合いね」スチャッ
杏子「夏に相応しいってカンジみたいだ。……上、見てみな」スチャッ
杏子の言葉に一同が上を見上げる。
上空で黒い何かが旋回しているのが眼に入った。
それは徐々に徐々に降りてきて――
麦藁帽子の使い魔・2
カブトムシの角とクワガタの顎を持った、甲虫の使い魔。
例え目にしても、もう心は踊らない。
ほむら「なんとも近接武器では戦い辛そうな敵ね。マミ、まどか、飛んでる使い魔は任せるわ」ヌラリ ボボボボ…
まどか「うん!」
マミ「オッケー!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:31:55.06 ID:OFNmlg6U0<>
ほむら「いくわよ、杏子!」ダッ
杏子「おう!」ダッ
さやか「ちょっとぉ!あたしを無視するなぁー!」ダッ
ヒマワリの形状の使い魔が、首を回す。
すると一緒に花弁が電動ノコギリのように回転を始め、チュイィィィンと鼓膜に響く音を鳴らし始めた。
杏子「気をつけろ、さやか!」
さやか「なんでそーゆー時はあたしだけ呼ぶかなぁー!?」
ほむら「!!」
ほむらの予想ではヒマワリの花が回転カッターとなって攻撃してくると読んでいたが、それは外れだった。
首をゆっくり回転させたヒマワリから、黄色い鋭利な何かが飛んできたからだ。
ほむら「ふん!」シュバッ!
炎を纏った刀が一閃、鋭利な何かは炎に巻かれてヒラヒラと舞い落ちる。
――花弁。
杏子「おりゃ!」ブン!
剛弓を振り回し、襲い来る花弁を払う。
――鋭利だが、紙のように薄い。
さやか「うわわっ!!」シュン ヨロッ
パタで切り払おうと横薙ぎの一閃、は良かったのだが思わずよろけてしまう。
杏子「さやか!」
思わず振り返った杏子。
瞬間、ヒマワリの笑顔に似つかわしくない鋭い歯が光る。
首を回すのをやめたヒマワリの花の部分が巨大化すると、大きく口を開けて杏子に襲い掛かる!
杏子「んなろー!!」
杏子は両手で持った剛弓を振り返る勢いでヒマワリの花に叩きつける。
使い魔1「アハハ、アハハ!!」
それでもヒマワリの花は、笑っている。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:33:18.06 ID:OFNmlg6U0<>
ほむら「打撃は効き目が薄いみたいね」ヒュン
杏子「ほむら!」
杏子が殴りつけたヒマワリの花を、ほむらの刀が一閃する。
切断面が炎に焼かれながら、ヒマワリの形の使い魔は消滅する。
ほむら「杏子、あなたは下がって。攻撃に参加するなら矢を使いなさい」
杏子「でも、さやかがアレじゃあ……」
さやかも応戦し使い魔を倒してはいるものの、やはりあぶなっかしい。
バランスの悪い武器に振り回されているのがよく解る。
ほむら「放っておいても大丈夫よ、さやかを信じなさい」
えっ?と思わず聞き返す杏子。
ほむら「大丈夫って言ってるのよ」
杏子「あ、ああ、解った」
意外な言葉だな、と杏子はただ純粋に思いながら、一旦退く。
ほむらの口からならきっと『そうね、じゃあさやかのフォローをお願い』と言うと思ってたからだ。
案外さやかのこと信じてんだな、と思わず笑みがこぼれる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:35:34.73 ID:OFNmlg6U0<>
――― 一方
甲虫の形の使い魔がブンブンと飛び回り、滑空するようにして襲いかかってくる。
まどか「きゃっ!」
動きも素早く、サッカーボール程の大きさしかない甲虫に狙いを定めるのは至難の技。
マミ「鹿目さん!」ヒュン!
使い魔2「ギギィー!」ザシュッ シュウゥゥ…
ヨーヨーの様に動きを操れるマミの盾は動きを読んで撃墜する事も可能。
だがまどかは未だに一度も攻撃できていない。
初めて扱う武器に対する不安が大きく、それが戦闘に影響を与えているのかもしれなかった。
まどか「す、すみません、マミさん!」
マミ「鹿目さん」シュルルル パシッ
甲虫の使い魔の攻撃を避けて蹲ったまどかにマミは駆け寄った。
するとマミの背後から、鈍く光った甲虫のアギトが迫る!
マミ「ハッ!」ヒュン!
上体だけ振り返ると同時に腕から盾が放たれる。
刃を纏った盾は回転しながら真っ直ぐ使い魔へと伸び行き、甲虫を両断すると、盾はマミの腕へと帰る。
マミ「どうしたの?あなたらしくないわ」
まどか「あ……ご、ごめんなさい」
しゅんと落ち込むまどか。
マミはその態度から、まどかの不安を感じ取る。
まどか「マ、マミさんみたいに上手く出来るかどうか、ちょっと不安で」
マミ「……鹿目さん、あなたの銃と私の銃はまったくの別物よ」
まどかの頭に手を置くマミ。
マミ「何も考えず、目の前の敵を撃って御覧なさい?きっと、凄いことになるわよ?」ニコッ
戦闘で躊躇う事は、死に直結する。
その事に関してはマミが一番シビアに考えているはずだが、今回ばかりは優しく諭すように語る。
怒られると思って身構えていたまどかの顔が笑顔に変わる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:36:45.04 ID:OFNmlg6U0<>
マミ「来たわよ、鹿目さん!」
まどか「は、はい!!」スチャッ
二人纏まって好都合、と言わんばかりに襲い掛かる甲虫の群。
マミはまどかの後方に下がると、ニヤリと勝気な笑みを浮かべた。
まどか「あ、あるてましゅーとっ!!」
ズオオオオォォォォッッ!!!
杏子「え?」
さやか「え?」
ほむら「え?」
辺り一面を白一色に変える、まばゆい閃光。
まどかの小さな銃からは想像もつかない程の、極大のレーザーが空に向かって放たれる。
甲虫を象った使い魔の群は、断末魔の声をあげる事すら許されず、塵と化した。
マミ「すごいわ、鹿目さん♪」
まどか「あ、あわわ……」
ほむら「……」
さやか「えげつなっ……」
杏子「さ、さやか!!ボサっとすんな!」
さやか「うぇ!?あ、りょーかい!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:37:41.89 ID:OFNmlg6U0<>
マミ「ね、鹿目さん。上手く出来るかどうかのレベルじゃないの、あなたの銃は」
まどか「そ、そうですか……でも、やっぱり上手く出来ませんでした」
マミ「?」
まどか「もっとカッコいい技の名前をと思ってたんですけど……やっぱり思い付きませんでした」
マミはようやく理解する。
上手くいくかどうか、と言うのは狙撃の事ではなく、技名のことだったと。
―――
ほむら「ふっ!」
剣の閃きと共に駆ける紫炎が、弧を描く。
ヒマワリの幹が切断されて崩れると、遅れて紫炎に飲まれて消し炭となる。
さやか「くそ、ほむらの刀カッコいいなぁ」
相変わらずパタに振り回されるさやか。
上手くいかないなぁ、と胸中で独りごちる。
ヒマワリによる攻撃を掻い潜り、時に杏子からの援護射撃を浮けながらさやかは考える。
自分の剣の扱い、パタの扱い、ほむらの刀の扱い、杏子の槍の扱い、そして杏子が剣を持った時の動き。
そしてその動きと、己の今の動きが照らし合わされる。
その中でも、巨大な鉄塊にも関わらず瞬時に使いこなしていた杏子の動きが、常に頭の片隅にあった。
――バランスの悪い巨大な剣を、構える、振り上げる、振る、武器を振りぬいた勢いで駆け抜けて……
さやか「……そっか!」
杏子「どうした!?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:38:57.36 ID:OFNmlg6U0<>
さやかは一旦体勢を立て直すと、空いたもう片方の手にもう一つ、武器を生み出す。
二刀流。
杏子「バカ!一本ですらまともに扱えてないだろうが!」
さやか「まぁ見てなさいって!」
杏子からの横槍の一言に、自信満々のさやか。
意気揚々と弾丸の如く駆け出す。
使い魔1「アハハ、アハ!!」
さやか「とーりゃああ!」ザンッ!
勢いよく飛び掛り、袈裟懸けの要領で振り上げて斬りかかる。
強撃を浴びたヒマワリは一撃で絶命し、霧散した。
だがその奥に控えたもう一体の使い魔が、大きく口を開けて待ち受ける。
さやかの口元がニヤリと釣り上がる。
勢いをつけて斬りかかった体勢のまま、上体を捻らし、控えていたもう片方の手のパタの刃を畳み掛けるように浴びせる。
両手を真横に伸ばして整え、着地の際に前転。
その勢いを殺さず再度飛び上がると、両手に持ったパタで回転しながら、別の使い魔に斬りかかる。
ほむら「それでいいのよ、さやか。武器に振り回されるなら、その勢いを生かせばいいの」
先程までのよろめきながらの動きとは打って変わり、常に駆け回りながら使い魔を切り伏せるさやか。
さやかのスピードを生かした突撃と、剣の切れ味、槍のリーチ。
水を得た魚の如き乱舞に、思わず杏子も目を奪われる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:40:26.75 ID:OFNmlg6U0<>
――不意に空気が変わる。
さやかが最後の使い魔を切り伏せたと同時。
草原を靡く風が、強くなった。
麦藁帽子がふわりふわりと、緩やかに風に舞っている。
杏子「来たな。親玉のお出ましだ」
それは段々と近付いてきて―――
魔女:麦藁帽子の魔女 性質:追想
かつて太陽のように眩しい笑顔を持った短い髪の少女。過ぎる風は偲ぶ心。
好きなあの人とは昔みたいに、過ごせない。
ド ン ! !
巻きの部分に白いリボンを着けた、巨大な麦わら帽子。
サイドクラウンの中心に巨大な一つ目、内側のサイズリボンの部分からは髪の毛と思われるものが綱状になって垂れていた。
まるで、巨大なクラゲ。
ふよふよと宙を漂う様は、まさにソレだった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:41:27.89 ID:OFNmlg6U0<>
魔女「………」 ユラユラ…
ほむら「厄介ね。自在に飛べる相手だなんて」
さやか「時止めがあれば戦いやすかったかもね」
魔女が巨大な眼をギョロリと泳がせる。
それぞれ五人の顔を吟味すると……その瞳がほむらに照準を合わせる。
白目の部分が段々と血走り、それは明らかに『怒り』を表していた。
ほむら「狙いは私みたいね」ファサッ
魔女「コォォォーーー!!!」ゴワッ!
帽子のつばが回転を始めると、魔女から突風が巻き起こる。
マミ「あんっ!」
まどか「きゃっ!」
杏子「ぶわっ!?」
突き抜ける風から舞う草の欠片を浴び、思わず顔をかばう三人。
狙いを定められた当人のほむらは、太刀を鞘に収めて腰を落とし、上体を捻る。
それはこの戦いで初めて見せる、構え……居合の構え。
さやか「ほむら!それはもしかして、あんたの必殺技かなにかかな!?」
隣のさやかが思わず目を輝かせる。
ほむら「ええ。だてにまどかの家で一緒に座頭市を見てないわ」
さやか「なんだよ、ミストホムナーとか夢想残光ほむらとか、そーゆーのを期待してたのに」
ほむら「無駄口はそこまでよ………来るわ!離れて!」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:42:56.11 ID:OFNmlg6U0<>
つばの回転によって風を纏いながら、麦藁帽子の魔女は突進してくる。
綱状に垂れていた髪の毛は帽子の内部に納まると、それは鋭い刃物へと変化し、あたかも歯のようになっていた。
ほむらは柄に手を沿え、太刀に魔力を込める。
迫り来る歯が、ガシガシと音を鳴らす。
ほむら「!!」 カッ!!
鞘から抜かれた刀より舞うは、紫炎。
まるで粘りを含んだ水の如く伸びるそれは、横薙の一閃と共に空を走り、燃え上がる。
さやか「うおっ!!」
魔女「コオオオッ!!」
さやかの驚く声と共に、魔女の悲鳴。
燃え上がる炎を察し、即座に攻撃から回避へと移ったのだ。
だが帽子のつばが一部黒く焦げ、綱状に戻った髪の毛は3分の1以上失われている。
ほむら「あの機動性は厄介ね」
太刀を振るった姿勢のまま呟くほむら。
さやか「杏子!」ダッ!
瞬間、弾丸の様な速度でさやかが駆ける。
杏子が槍で行う突撃と同様、パタの剣先を突き出して矢の如く魔女へと向かっていった。
だが敵が宙に浮いている以上、直線的な動きは即座に避けられてしまった。
背中を見せて隙だらけのさやか目掛け、槍となった髪の毛が向けられる。 ――だが、
魔女「ゴオオォ!?」ズドン!
杏子「ちっ、惜しいな」
杏子によって放たれた巨大な赤い矢が、魔女のツバを貫き、大きな風穴を開ける。
さやかの突進は、杏子の射撃のための布石。
惜しむらくは杏子が弓の扱いに慣れてなかった事で、狙いが外れてしまった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:44:33.52 ID:OFNmlg6U0<>
杏子「ロッソ・ファンタズマ」 ズラララララッ
幻惑魔法の呟きと同時に展開される、杏子の分身。
再び矢を射るべく、一斉に番える。
杏子「避けてみな」 ビュンッ!
巨大な赤い矢が流星の雨となり、魔女へと放たれる!
魔女は迫り来る矢を回避すべく、矢が飛んできていない低空へと移る。
そこにすかさず、ほむらとさやかが交差して駆け抜ける!
刃の一閃が交わうと、魔女のサイドクラウン部分に深い切り口に加え、焼き切れた切り口を生む。
苦しみもがきながら再び宙を舞うべく、飛び上がろうとする魔女。
だが魔女のすぐ上を絶えず赤い矢が飛び交い、上空に浮かぶことは不可能であった。
杏子「逃がしゃしないよ?」ニヤリ
遠くから杏子と分身が、射撃のタイミングをずらしながら乱れ撃っているからだ。
すると今度は刃を纏った盾が飛んできて、つばの部分を裂くように刻む。
マミ「私も居るってこと、忘れないでね?」
盾が回転しながら戻っていくと、またほむらとさやかが交差する。
ほむらとさやか、二人による挟撃、それが終わるとすかさずマミの盾の刃が飛んできた。
魔女はなす術も無く、身体に傷が増えていく。
マミ「鹿目さん」
まどか「はい?」
三人の戦いぶりを眺めていたマミとまどか。
マミはまどかに耳打ちし、離れるとニッコリ微笑んだ。
まどか「ふぇ!?で、でも……いいんですか?」
マミ「いいのよ、やってみなさい?」ニコッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:45:48.43 ID:OFNmlg6U0<>
魔女「コオ、コオオ……!」
満身創痍。
ほむらとさやかの交差攻撃は次第にほむらが遅れ始めていたが、返ってそれが波状となり、翻弄される一方。
攻撃対象も定まらず、ただ攻撃を絶え間なく受けている魔女。
さやか「杏子!」
好機と踏んださやかは再び杏子に呼びかける。
それを合図に杏子は分身を納め、矢の発射を止めた。
天高く舞い上がるさやか。
方向転換のための足場が空中に浮かび上がるとそれを蹴り、両手に持ったパタを突き出して急降下してくる。
両手に持ったパタが青く輝くと、それは一本の巨大な槍となり、魔女の身体を貫いた。
魔女「コオオオオオッ!!」
深々と刺さった槍は魔女を地に縫いつけ、動きを封じる。
これでトドメへの布石は整った、とさやかは確信する。
巨大な槍から離れ、
さやか「ほむら!!」
やっちゃえ、と言わんばかりにほむらの名前を呼ぶ。
無言で頷いたほむらは太刀を鞘に収め、再び魔力を込め始める。
だが。
マミ「美樹さん、暁美さん、佐倉さん、こっちよ!」
不意にマミが皆を呼び寄せた。
名前を呼ばれた三人は、首をかしげながらもマミを見つめた。
だがこんな重要な場面にマミが余計な行動をしないと言うのも解っている。
ほむら「マミ?」
杏子「なんだよ、今トドメを……」
マミ「いいからいいから、早く私の後ろへ来て!」
さやか「あ、は、はい」
言われるがままにマミの元へと集う三人。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:47:58.47 ID:OFNmlg6U0<>
マミが両手を交差し広げると、腕についていた盾が離れ、宙を漂う。
マミ「アンジェロ・プレギエーラ!」
ふちのリボンが解けて広がると、リボンは六枚の羽に変化し、巨大なバリアを展開する。
マミと一緒に金色の空間に包まれた三人は、一層不思議そうに顔を見合わせた。
杏子「なあマミ、もたもたしてると魔女が」
マミ「鹿目さん、今よ!!」
まどか「はい!!」
げっ、と声を出したのは、さやか。
槍で固定された魔女の後方に立つまどかが、銃を構えていた。
まどか「……てぃ、ティロ・フィナーレ!!!」
ほむら「え……」
さやか「ちょ……」
杏子「おい……」
全てが
白く
染まる。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:49:10.62 ID:OFNmlg6U0<>
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:49:43.76 ID:OFNmlg6U0<>
杏子「う、うう……」
さやか「め、目が、目がぁ〜」
ほむら「うう……ど、どこのムスカよ」
さやか「い、いや、実際痛いし……」
マミ「鹿目さん、すごいわ。最高のティロ・フィナーレだったわよ?」
まどか「うぇひひ、照れちゃいますよぅ」
遠くに聞こえる、二人のはしゃぎ声。
ようやく視力を取り戻した三人が見た物は―――
まどかの放った一撃から先に広がる、焼け野原。
マミによって張られたバリアの箇所だけ……杏子、さやか、ほむらの足元にだけ残る草原の名残。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:50:34.48 ID:OFNmlg6U0<>
まどか「でもかなり魔力を消費しちゃいました。マミさんみたいにうまく出来なかったですよ」キャッキャッ
マミ「いいのよ、それが鹿目さん流ティロ・フィナーレなんだから。とってもカッコよかったわよ?」ウフフッ
空間がゆがみ、結界が崩れてゆく。
グニャァァ……
杏子「おい!!」
まどか「ん?」
マミ「あら?」
杏子「あら?じゃねーって!!死ぬかと思ったじゃねーか!!」ガーッ
マミ「もう、だからバリアを張ったじゃない?」
杏子「怖すぎるわ!!」
さやか「きょ、きょーこちゃん、落ち着いて落ち着いてー、どうどう」
杏子「いやいやいや一歩間違えりゃマジで死んでたっての!!!もうちっと加減しろよ、加減!!」
まどか「ご、ごめんね杏子ちゃん……ちょっとやりすぎちゃったみたいで……」
マミ「ちょっと驚かせちゃったみたいね。ごめんなさい、三人とも」
杏子「つーか別にあのままほむらがトドメでも何ら問題なかったじゃんかよ!!」
さやか「ま、まーまー。確かにびびったけど、魔女もしっかり倒したし、グリーフシードも…………ない、だと……」
ほむら「……きっと灰になったのね」
杏子「ちょ、マジか!?」キョロキョロ
QB「ほむらの言う通り、グリーフシードはまどかの放ったレーザーで塵に
ほむら「殺ッ!!!」 カッ!!
QB「なっ 」 車斤 !! 「 たよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:51:56.81 ID:OFNmlg6U0<>
杏子「マジかよ!?キュウ……っておい、ほむら!!なにしてんだよ!!」
マミ「きゅ、キュウベぇがぁぁ!?」
ほむら「ごめんなさい、つい」
さやか「つい、で真っ二つにするなよ!!つーかなんだよ『サツ』って掛け声は!!剣豪かあんたは!!」
まどか「うわあぁぁ、キュウベぇが炎に包まれて……」ボボボボボ……
新QB「……またやられるとは思わなかったよ」ヒョイ
ほむら「太刀に魔力を込めたままだったから、使わないと勿体無くて」
新QB「前も言ったと思うけど、魔力の無駄遣いは止した方が良いと思うな」
ほむら「でも気分が爽快になるの」チャキッ
新QB「なんでまた構えるんだい?マミ、助けてくれ」
マミ「暁美さん、ダメよ?毛の焼ける匂いって結構強烈だから」
まどか「ごめんね、まさか魔女ごとグリーフシードまで消しちゃうなんて思わなくて……」
ほむら「……仕方ないわね。今回はグリーフシードも手に入ってないし、魔力の無駄遣いは止めましょう」
QB「解ってくれたようで良かったよ」
ほむら「さやか、ちょっと槍だしてくれる?」
さやか「あたしの魔力ならいいんかい」
QB「眩暈がするという感覚を今初めて経験したよ、ほむら」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/10(火) 21:53:35.14 ID:OFNmlg6U0<>
QB「さて、武器を変更した上での魔女退治ももう二回目だ。きみ達は例え如何なる武器であろうと問題なく使いこなすようだね」
杏子「いやー、そうでもなかったけどな。やっぱ射撃武器ってのは難しいや」
さやか「ちょっと手間取ったけど、あたしは悪くなかったかな?」
ほむら「近接武器で戦うと、運動機能の向上のほうに魔力を食う事が多いのね。勉強になったわ」
マミ「うふふっ、私は問題なく戦えたわ♪(アンジェロ・プレギエーラの盾は佐倉さんの盾のマネだけどバレてないみたいね)」
まどか「これからは自重します」
QB「上手く扱えなかったと言いながらも見事な連携だったよ。また次も武器を変えて戦ってみたらどうかな?」
終
<>
1<>sage saga<>2012/07/10(火) 22:07:48.27 ID:OFNmlg6U0<>
以上で今回の戦いは終了です。
始めは魔女戦は一回だけで終わらせるつもりが、思った以上に乗ってしまって何だか全種の組合せを書けそうな感じです。
噴水の魔女以降に書いた魔女は、あらかじめどの魔女を出すか決めておいたので、武器の組合せによってはかなりキツい戦いになる流れですが、
良い具合の安価をもらえて嬉しいです。
そいでは今回も安価張っておきます。
選択済の安価武器と被ってたら、安価下のを採用と致します。
まどか:(済)銃・盾 (残)剣・槍 >>187
さやか:(済)弓・槍 (残)銃・盾 >>190
杏子:(済)弓・剣 (残)銃・盾 >>193
マミ:(済)槍・盾 (残)弓・剣 >>196
ほむら:(済)剣・銃 (残)弓・槍 >>199
宜しければお付き合いを。 m (. .) m
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/10(火) 22:09:27.70 ID:FEwXF9w4o<> ほむらの鎌は見てみたいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2012/07/10(火) 22:17:11.54 ID:vAjInYrd0<> >>1
ageた後に言うのもAHOだけど、ageといたほうがいい? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/10(火) 22:21:43.87 ID:afYZeoRXo<> 乙
今回の魔女もなにか元ネタあるのかな?
ド ン ! !
とかワンピっぽかったけどww
<>
1<>sage saga<>2012/07/10(火) 23:16:54.58 ID:OFNmlg6U0<> レスありがとうございます。ageもsageも気にしないので、お好きになさって頂いて結構です。
噴水の魔女 性質:滂沱 強さ:普通 その他概要:公園の噴水前で恋を成就させた少女。恋人を亡くした哀しみで魔女に。
元ネタ:昭和のトレンディドラマのワンシーン的な
硝子の魔女 性質:顕示 強さ:強い その他概要:母の死を知り魔女に。
元ネタ:おそろしい子
麦藁帽子の魔女 性質:追想 強さ:楽 その他概要:男勝りな少女。告白できず、髪の毛の長い少女に幼馴染を取られ魔女に。
元ネタ:ありきたりな甘酸っぱい恋物語のヒロイン
って所です。
なので、麦わら帽子にはこれといったモデルはありません。でも正直ル○ィっぽくしようか迷いましたwww
ちなみに次に登場する魔女はとあるゲームキャラを元ネタにした魔女ですので、名前からそこらも予想して頂ければ嬉しいです。
ドン!! は、まどマギポータブルで魔女が出てくる際に鳴る効果音を参考にしてます。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 23:18:40.03 ID:+SX+FDAPo<> 槍しかないじゃない! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 23:19:59.93 ID:DeyGJyyZ0<> ksk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 23:53:45.31 ID:x9f0lUeDO<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県)<>sage<>2012/07/10(火) 23:57:52.06 ID:mnT1kbOQ0<> 銃 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 23:58:17.12 ID:uGte008z0<> 選択済の安価は下が採用されるのはわかったけど、これ1回の選択で仲間内で被るのはありなのかい?
>>187で槍になったわけだけど、もし>>199も槍だったらまどランスほむランス…みたいになるわけ?
安価なら銃 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/11(水) 00:02:48.00 ID:pBVf8L7fo<> ksk <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 00:05:19.31 ID:QOlx/ikDO<> 盾 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 00:17:38.70 ID:9y60JfSDO<> ほむらの必殺で脳内で飛天御剣流奥義・天翔ほむ龍乃閃とかと再生された <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/11(水) 00:18:26.83 ID:Orl7iUfDo<> 乙ksk弓 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 00:22:56.11 ID:9y60JfSDO<> 剣 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 00:57:54.06 ID:VtIz8pQDO<> 弓 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/11(水) 01:17:58.80 ID:Orl7iUfDo<> 全員同じ系統の装備でとかもちょっと見てみたいな
kskst <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/11(水) 01:34:49.69 ID:FXDcfoJxo<> 弓 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 15:12:46.59 ID:nczQD9WDO<> それにしても本当にカッケぇ戦闘シーンだよな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 16:54:27.17 ID:ykEUHAZIO<> 槍
銃(ギター
盾
剣
弓
か。
キャラは出さないでも良いから
キリカの爪とゆまのハンマーをやってくれたらなって <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 17:41:21.64 ID:Hqj2xGy10<> ハンマーは見たいな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 17:44:50.33 ID:QOlx/ikDO<> そうなるとまどかはピコハンだろうな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 20:25:54.76 ID:9y60JfSDO<> そうなるとほむらは某伝説の相棒の10dハンマーに… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/11(水) 20:27:53.30 ID:p2Yn0FYfo<> ほむらかマミさんはモンハンのガンハンマみたいなのになりそうだな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 21:03:00.55 ID:SG2tq8t1o<> デデデ大王のハンマーとか? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/07/11(水) 21:06:50.70 ID:Orl7iUfDo<> まどっちはゴルディオンクラッシャーだよ、ウェヒヒ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 23:09:33.18 ID:hIz8GfGIO<> マミさんはミョルニルとか言い出すな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 23:15:09.68 ID:9y60JfSDO<> 武器が変わるだけで夢が広がリング <>
ちょっと息抜きの小ネタ・2<>sage saga<>2012/07/11(水) 23:41:35.15 ID:P8+hPKUp0<>
ほむら「C4爆弾って便利ね。スイッチ一つで任意に起爆出来る上に威力も大きいわ」
QB「へえ。普段はパイプ式のお手製爆弾を使っているけど、そういう爆弾も使っているんだ」
ほむら「ところで話は変わるけど、この間、地方テレビ局でザンボット3て言うアニメがやってたのよ」
QB「随分話が飛躍するね。僕は地球上におけるあらゆるものの知識を持っていると断言できるが、創作世界となると話は別だ」
ほむら「結構残酷な物語よ。地球侵略を企む異星人と地球のとある一族とがロボットで戦うアニメ」
QB「サブカルチャーであるアニメにはよくある話の構成だね」
ほむら「そのアニメに身の毛もよだつ話があるわ。異星人にさらわれた主人公の幼馴染がね、とある細工を施されて解放されるのよ」
QB「きみがそこまで言うなんて、余程の非人道的な事なんだろう」
ほむら「それは『人間爆弾』よ。さらった人間に爆弾を仕掛けて、主人公の拠点に保護された所で爆発させるの」
QB「恐ろしいね。自由に動ける意識を持った爆弾と考えれば、戦略的な効果は抜群だ」
ほむら「ところでキュウベぇ。あなたの身体は小さくて機動性があって、狭い所にも潜れて便利ね」
QB「最も警戒心を抱かせない事を追求した上での形態だからね。物の持ち運びは不得手だけど、総合的には便利な身体だよ」
ほむら「魔女の結界にも入る事が出来るものね。はい、コレ」
QB「なんだい、この帯は。随分と重いね。それに粘土みたいなものまで付いている」
ほむら「プラスチック爆弾よ。このスイッチを押す事によって爆発が起こるわ。『Qボム』の完成よ」
QB「丁重にお返しするよ」
ほむら「ノリが悪いわね、じゃあこのダイナマイトを背中の穴に差し込んで突撃する『Qボンバー』の方が良いかしら?」
QB「さっきのより酷いじゃないか」
ほむら「自由に動ける意識を持った爆弾は戦略的な効果が抜群、と言ったのはあなたよ。さあ協力して」
QB「それにプラスチック爆弾はともかく、ダイナマイトを背中に差し込んでも、着火するまでの手間が増えて非効率じゃないか」
ほむら「大丈夫よ、着火してから背中に差し込むから」
QB「敵に届く前に爆発してしまうよ」
ほむら「ええ、『きたねえ花火だぜ』って言いたいから、それでいいのよ」
QB「ほむら、きみは先程言っていたアニメの異星人よりも残酷な気がするよ」
糸冬
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/11(水) 23:45:23.76 ID:SG2tq8t1o<> 乙 <>
1<>sage saga<>2012/07/11(水) 23:51:24.38 ID:P8+hPKUp0<> 安価ありがとうございます。
>>191氏の言う武器被りはアリのつもりで居ましたが、安価の方々が気を遣ってくださったようで感謝でありますじゃ。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 00:24:20.46 ID:YtmYi8JDO<> ほむらの汚ねえ花火だをいいたいだけで吹いてしまったwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 02:17:45.37 ID:Mkch8r3DO<> 杏子ちゃんのハンマーはパイルバンカーかな。
ネイルハンマーなんてのもアリかもだけど。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 09:47:43.37 ID:AZkoyrAy0<> >>1
この間BOOKOFF行ったらおりこ☆マギカが売ってあった
全2巻だから簡単に買えるだろうなぁ(チラッ
コミック購入すればキャラとか把握できるんだろうなぁ(チラッチラッ
キャラ把握できれば武器追加されるんだろうなぁ(チラチラチラ
てか、おりこ達のキャラを他のSS読んで把握するのは駄目なの? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:39:09.70 ID:RdILXzUU0<> QB「やれやれ、きみたちの熱意には恐れ入ったよ。だがお陰で>>1の因果は織莉子たちとも結びついた」
QB「薄いのに700円近くするのかと驚いていたようだが、問題は無い」
QB「キリカが少し問題のようだが、織莉子とゆまについては大体把握したようだよ」
QB「まあ気長に待っていて欲しいな」
QB「そして>>215、SSとは個人の主観も多く含まれたものであるのは>>1の杏子の武器で解っているだろう?」
QB「つまりはそういう事なんだ。主観の刷り込みは避けるのが無難と踏んだのさ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:40:38.92 ID:RdILXzUU0<> = 今回の武器 =
まどか:槍(薙刀。まどかの魔力故に威力に優れた武器だが、まどかの性格上やや平凡)
さやか:銃(エレキギター形状のマシンガン。黒や赤を基調にしたもので、ヘッド部分に銃口がある)
杏子:盾(長方形型の銀色の大盾。十字架を握った聖母が彫られ、天使の羽の装飾がふちに施されている。V=MAX可能)
マミ:剣(エストック。振るうと薔薇の花弁が舞う。刺突に特化した剣だが、斬撃が出来ない訳ではない)
ほむら:弓 (アニメ最終話の弓。まどかの弓とほぼ同性能。射程・威力・魔力効率に優れた万能武器)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:41:21.52 ID:RdILXzUU0<>
――― 放課後・とあるスーパー。お菓子売り場
ワイワイ \キョウ ハ オヤサイ ノ トクバイビ デース/
\サラニ ユウガタカラノ タイムサービス モ ジッシ シテオリマース/ ガヤガヤ
まどか「それでね、杏子ちゃんったらブーブー怒っちゃってさ。『砕けると解っててこんな袋にしやがって』って」
ほむら「食べ物を粗末にしない杏子らしいわね」
さやか「それで袋を掲げてさ、砕けて底に残ったポテチをガーッと食べてさー」
ほむら「マミに怒られたって訳ね」
さやか「そうそう。『佐倉さん、はしたないわよ?』ってね。まー気持ちは解るけど、もうちょっとマシな食べ方もあるだろって話だよ」
まどか「それで私がつい『たっくんと同じ事やってる』って言ったら、ね」
さやか「顔真っ赤にしちゃって、もー大笑い!」
ほむら「ふふっ。杏子には缶タイプのポテトチップスの方が良さそうね」
さやか「いやぁここは敢えて、もう一回袋形のポテチにするのも……」ウシシッ
ほむら「だめよ、下手したら拗ねちゃうかもしれないでしょ?」
さやか「うっ、それもそうか……でも杏子の性格ならきっと食べてくれるはず」
まどか「もう、さやかちゃんったら。だめだよイジワルしちゃ」
ほむら「マミに言うわよ」
さやか「ひー、嫁二人がいじめるぅ。さや婆は悲しいのじゃー」
ウフフ
キャッキャッ
ガヤガヤ
\アリガトウゴザイマシター/
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:42:42.09 ID:RdILXzUU0<>
まどか「これだけお菓子買えば大丈夫だね」ニコニコ
ほむら「ええ、土日の二日あわせても充分持つでしょう」
さやか「楽しみだなーマミさん家のお泊り会!」
ほむら「一応言っておくけど、あなたたち二人の勉強会っていう名目も忘れないようにね」
まどか「う……は、はいっ」
さやか「ははー、仰せのままにー」
ほむら「忘れてなければ良いのよ」ファサッ
――……キーン……――
まどか「!! さやかちゃん、ほむらちゃん!」
ほむら「これは……!!」
さやか「近いね、魔女の反応だ!」
――とあるスーパー・駐輪場 ――
まどか「こんなところに結界が……!」
さやか「まだ展開途中って感じかな? そんなに大きくないね」
ほむら「タイムサービスの時間っていうのが不幸中の幸いね。お陰で自転車は多くても買い物客は店内よ」
さやか「言い換えれば、今すぐ閉じないとヤバイって事だよね!」
ほむら「ええ」
まどか「わたし、マミさんにメール送るね! ここからならマミさんの家も近いし!」
ほむら「お願いするわ。それじゃあ一刻も早く結界の中に突入しましょう」
さやか「おうとも!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:43:41.45 ID:RdILXzUU0<>
―― 結界内 ――
まどか「ずいぶんと薄暗いね」パシューン
さやか「うん、広々として寂しい感じだよ。それにこの地面……なんだろ、黒い線で描かれた正方形がびっしりだ」パシューン
ほむら「でも景色の果てには、派手なネオンやら高層ビルやらが見えるわね」パシューン
さやか「あそこに魔女が居るのかな。ともかく行ってみよう!」
タッタッタッタッタ……
――――
さやか「ねえ、二人とも。なんだかいつまで経ってもあそこに辿り着きそうにない、気がしない?」タッタッタッ
ほむら「……奇遇ね。私もそう思っていたところよ」タッタッタッ
まどか「うん、まるでその……なんかの映像、みたいな?」タッタッタッ
さやか「どーにもそんな感じだね。突入してすぐの時と、大きさが変わってないし」
さやかは人差し指を立てて、高層ビルと重ねる。
ほむら「まぁ、いずれにせよ……」シュパーン
ほむらは弓を取り出す。
同時に地面に黒いシミが一滴、落ちる。
ミヂミヂ……
さやか「向こうからのお出ましっと!」チャキッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:44:44.61 ID:RdILXzUU0<>
貧困の魔女の使い魔・1
真っ黒なカボチャの顔に大量のもやしで作られた身体の使い魔。
美味しい美味しい、でもみんなが居ないから味気ないよ
使い魔「ヤヤヤ……」グネグネ
ぽつん、ぽつんと波紋のようにシミが一つ、また一つと広がり、使い魔の数が段々増えていく。
カボチャがばっくり横に裂けると、それはまるで口のように開いてケタケタと笑う。
さやか「こりゃいかん感じだよー、二人とも。対処しきれなくなる前に潰さないと」
ほむら「まどか、きついと思ったら遠慮なく言いなさい。私達でフォローするから」
まどか「ううん、大丈夫だよ。ありがとう、ほむらちゃん!」パシューン
まどかが朱色の柄の薙刀を取り出すと、両手で振り回す。
そして右手に持ち替え、振り回しながら下ろし、上腕部と背中で柄を止め、構える。
まどか「さぁ、わたしの槍さばきを恐れぬのなら、かかってこいっ!」ビシッ!
左手を拡げて前に突き出し、気合十分のまどか。
まるで歌舞伎役者の決めポーズのように、しばらくそのまま静止する。
ほむら「……まどか。とってもカッコいいけど、使い魔がどんどん数を増やしていくわ」
まどか「はわっ!? ご、ごめんね! 気を取り直して……まどかの一番槍、まかり通るっ!!」ダッ
ほむらの言葉に我に返るまどか。
薙刀を両手で振り回しながら、ぽてぽてと走ってゆく様はちょっとマヌケだが……当の本人は気にしていないようだ。
さやか「まどかさん、ノリノリですなぁー。もしかして前衛やってみたかったのかぁ?」
ほむら「……まぁ大丈夫でしょう。でもいざとなったら、さやか、お願いするわよ」
さやか「りょーかい」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:46:00.75 ID:RdILXzUU0<>
まどか「えぇいっ!!」ザシュッ!
使い魔の顔を目掛けて一突きし、即座に退き、距離を取る。
カボチャの顔はどろりと溶けるようにして崩れる。
まどかの身長よりやや高い背丈の使い魔に対し、『戦いやすそうで良かった』と内心安堵するまどか。
飛行する敵を相手に、近接武器のみでは辛いというのを、さやかや杏子を見ていて嫌というほど知っているから。
まどか「次っ!!」
上半身を捻るようにして勢いをつけ、横薙ぎの一撃で一気に使い魔二体の顔を断ち切る。
すぐさま上体を返し、その勢いでもう一度横薙ぎの一撃。
即座に二度斬りつけられた使い魔の顔が溶解し、崩れてゆく。
さやか「だいじょぶそーじゃん、まどか」
ほむら「ええ、慣れない得物に慌てて転ぶかと思ったのだけど……」
さやか「それはあたしに対する嫌味か?」
ほむら「いいえ、でも……」キリキリ…
さやか「どしたの、矢を番えて」
ほむら「やっぱりまだ甘いわね。ご覧なさい、さやか」
ほむらの言葉の意味にさやかは、ああなるほど、と頷く。
まどかが攻撃した使い魔は、頭部を失っていた。
だが、まだ身体が残っている。
そしてそれは細かに蠢いているのだ。
ほむら「あの使い魔は身体を吹き飛ばさないとダメみたいね」
―――ヒュンッ!!
ほむらの放った紫色の矢が、空を駆ける。
頭部を失った使い魔の身体に命中すると、それは弾けて粉砕された。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:47:02.50 ID:RdILXzUU0<>
まどか「えっ!?」 シュゥゥゥ…
破砕音に思わず振り返る、まどか。
するとすかさずまた、紫の矢が横切り、使い魔の身体を弾け砕く。
ほむら「まどか、その使い魔は身体を狙わないとダメよ!」
ほむらからの言葉。
まどかは無言で頷くと、薙刀の刃を使い魔の胴体目掛けて振るう。
使い魔「ヤヤッ……!」シュウゥゥ……
先程と違い、蒸発するかのように消えてゆく。
さやか「よぅし、いっちょさやかちゃんも」
ほむら「ええ、あなたはまどかの方へ行って」
さやか「ん……ああ、りょーかいりょーかい。『そっち』は任したよ?」
ほむら「なんの問題もないわ」ファサッ
二人の口元が緩む。
さやか「まどかっ! さやかちゃんが助太刀しちゃうよー!」タッタッタッタッ
まどかに手を貸すべく駆けるさやか。
ほむらはその方向とは逆に向き、まどかとさやかに背を向ける。
さっきまで何も無かった空間が、オレンジ一色に染まっていた。
その正体は、カエルのアップリケの施された、大きなトレーナー。
空中に足場があるかのように上下に跳ねるその姿は、異様の一言。
使い魔2「ゲロゲローーッ!!」バサバサッ
貧困の魔女の使い魔・2
かわいらしいアップリケが目立つ、ボロボロになったトレーナー。
暖かい暖かい、でもみんなが居ないから寒いよ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:48:10.76 ID:RdILXzUU0<>
視界を埋め尽くすほどのトレーナーがほむらの視線に気付き、歓喜の声。
その声にまどかが驚き、「ほむらちゃん!!」と、思わず呼びかけた。
だがほむらは臆する様子など見せない。
ただ黙って、いつものように髪の毛をかき上げる。
さやか「まどか、まずは自分の心配だよ。慣れない近接武器で、しかもマミさんと杏子もいないんだし」
まどか「でも……!!」
さやか「あいつは『問題ない』って言ってた。だからまどか、だいじょぶ」
ウィンク一つ飛ばし、まどかに二カッと微笑みかけるさやか。
まどかの心配そうな表情が、みるみる明るくなってゆく。
まどか「……さやかちゃん、ごめんね! フォローお願い!」
さやか「あいよー!」
まどかの薙刀が一閃し、カボチャの使い魔を切り伏せる。
さやかがエレキギターの弦を揺らすと、ヘッドに付いた銃口から魔力の弾丸が舞う。
敵陣の真ん中に向かってまどかが切り込んで行き、そのまどかを狙おうとする使い魔をさやかが撃ち抜く。
飛び道具を持たないカボチャの使い魔は、まどかの薙刀とさやかのギターマシンガンの前に手も足も出ない様子だ。
ただその数は尋常ではない。
さやか「早くマミさんと杏子、来てくんないかなぁー!!」 パラララララッ!!
思わず胸の呟きが言葉となって漏れた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:49:11.86 ID:RdILXzUU0<>
使い魔2「ゲロゲロッ、ゲローー!!」バサバサ
トレーナーのアップリケであるカエルが気味悪く鳴くと、その口から鈍く光る何かが飛んでくる。
それを最小限の動きでほむらは避ける。
その攻撃が、開戦の狼煙。
「「「「「「「「ゲコゲコゲコ、ゲコゲコ!!!」」」」」」」」
一斉に鳴き声をあげる、トレーナーの使い魔達。
豪雨の如く降り注ぐ、鈍い光の粒がほむらを襲う!
数え切れないほどの何かが、地面に刺さり、次第にその音は大きくなってゆく。
砂煙が舞い、まだまだ、まだまだと続くトレーナーの使い魔の射撃。
およそ十秒。
絶え間なく降り注いだ、硬い何か。
地面に光る銀色のソレは、金具であるボルトだった。
使い魔2「ゲロゲロ、ゲロゲロ」
身体を揺らして喜びを表現する使い魔達。
―― だが―――
砂塵が退いたその場に、使い魔達が狙った黒髪の少女は居なかった。
ボルトの豪雨が降り注いで砕けた地面に、使い魔達の目が集中する。
ビキビキビキ……ッ!!
硬いプラスチックが裂ける音、とでも表現するしかないような、怪異な音が上空より聞こえる。
そこには、ほむらが居た。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:50:24.48 ID:RdILXzUU0<>
そして謎の音。
それはほむらの背中より伸び行く、いびつな黒い羽の広がる音だった。
蝙蝠の羽に似た形状のものは黒い靄と共に大きく広がってゆくと、羽の中に色とりどりに煌く粒子が表れ始める。
ほむら「………」
無言、そして無表情。
ほむらの翼に煌く粒子が、まるで水面のように波紋を生む。
するとその翼から一斉に矢が発射され、流星のごとく降り注ぐ!
使い魔2達「ゲコォォーーーーッ!!」
応戦すべくトレーナーの使い魔達も一斉にボルトを発射。
しかし振り注ぐ矢は、ボルトと接触しても難なく砕き、貫き進む!
「「「「「ゲコ、ゲコーーーッ」」」」」」」」
使い魔を貫いた矢が地面に接触すると、それは魔力の柱を作り、まるで墓標を表すかのようにして立ち昇る。
辺りをオレンジ一色で埋め尽くす程の使い魔達は、魔力の柱に飲み込まれ、あえなく塵と化したのだった。
翼を閉じ、着地するほむら。
ほむら「ちょっと派手すぎたかしらね」ファサッ
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:51:28.98 ID:RdILXzUU0<>
さやか「おほー、ほむらのヤツったら、随分ド派手な魔法をやったもんだねぇ」
だが感心ばかりしておられない。
まどかとさやか、両名を持ってしてもカボチャの使い魔は数が減らない。
いや、正確には減少しているのだが、使い魔を倒すペースに比べ、沸くスピードのほうが速いからだ。
つまり、いずれは押し負けると言う事。
だがほむらの倒した使い魔だって、恐らくは延々と増殖し続けていたのだろう。
だからこそ、いつの間にか辺り一面に使い魔が居ると言う事態に陥ったのだ。
まどか「さやかちゃん、数が多すぎるよ!」
薙刀を絶えず振り回し、カボチャの使い魔達の相手をするまどか。
敵の数の多さから、焦りが伺えた。
さやか「よっし」シュンッ
大きく右手を掲げると、さやかのその手に三角形のピックが現れる。
そのピックには『f』が三つ並んだ『フォルティッシシモ』の記号が描かれていた。
さやか「ここはほむらちゃんのマネといきましょーか!」カチッ
マシンガンのトリガーにあたる弦に、ピックを押し当てる。
さやか「まどかぁー!! ここはさやかちゃんに任せてちょーだい!!」
まどか「え!? う、うん!!」
さやかの言葉を聞き、薙刀の刃を地に突き刺すまどか。
そして跳躍し、石突の部分に足を置くと、そこからもう一度跳躍し、さやかの控える後方へと退く。
さやか「今日はこんなに集まってくれてぇ!! せんきゅーーーっ!!!!」 バラララララララッ!!!
ピックに描かれた記号によって強化されたマシンガンの弾が、ヘッド部分から放たれる!
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:53:00.50 ID:RdILXzUU0<>
使い魔「ヤーッ!」ボシュッ! ボシュッ! ボシュッ!
次々と霧散するカボチャの使い魔達。
さやかはその場から一歩も動かずに、ただひたすら右手を上下に動かしギターのトリガーを弾く。
にも関わらず、使い魔達が一掃されゆく様子なのは、さやかの放つ弾が自動で敵を捉えて撃ち抜いているからだった。
さやか「ノリノリだぜっ!!」スチャッ!
ギターを持ち替え、ヘッドの部分を天に向かって垂直にする。
上空に向かって放たれる弾が、流星の如く青い軌跡を残しながら使い魔達へと降り注ぐ。
さやか「へいっ!!」スチャッ!
今度は上体だけ捻り、ヘッド部分を自分の背後に向けるように持ち帰る。
背後から青く煌く弾が、さやかの身体を横切り過ぎ去る。
さやか「ラストッ!!」ブンッ!
マントをたなびかせるほどにギターを振りぬく。
自動追尾ミサイルのように、変幻自在に動く弾が最後の使い魔達を貫いた。
さやか「さやかちゃんのギターソロでございましたっ! いぇいっ!!」ベベーンッ
エレキギターの弦を鳴らし、ポーズを決めるさやか。
カボチャの使い魔達は全て撃ち抜かれ、結果以内は再び閑散とした空間となる。
まどか「さやかちゃん、すっごーい!」
思わずまどかが黄色い声を上げる。
さやか「あ、あははっ。ちょっと調子に乗ってみましたよ」テレッ
照れ臭そうに頭を掻くさやか。
ほむら「マミもアレだけど、さやかも大概ね」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんのもカッコ良かったけどね!」
二人が話している間に、横にきていたほむらからの皮肉。
しかしまどかは皮肉の意味が解らないのか、ほむらの事も褒め称えた。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:54:08.35 ID:RdILXzUU0<>
さやか「ふっふっふ、やっぱほむらさん、重度の中二病患者でしたなー。今時黒い翼なんて正宗持った優男くらいですよ?」
ほむら「さやか、今度の新月の夜は一人で出歩かないことね」
さやか「すんませんっした」
ほむら「冗談よ」ファサッ
まどか「もうお約束の流れなんだね、それ……」
ドスン。
談笑の一時を、地響きで閉ざされる三人。
ドスン。 ドスン。
大きな影が、伸びてくる。
さやか「さーて、お喋りは終了だね」
ほむら「ええ。割と手こずらされたから、もう少し休みたかったのだけど」
まどか「……来たよ!」
魔女:貧困の魔女 性質:努力
かつて家族の為に己の青春を犠牲にした少女。背中と肩に圧し掛かるのは重責。
心血を注いで手に入れた金銭は、心を満たしてくれない。
ド ン ! !
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:55:16.43 ID:RdILXzUU0<>
目に飛び込んだのは、巨大なカエルの顔。
頭頂部には丸い弾が二つ揃えて並んでおり、銀色のソレは一際目立って映った。
顔のすぐ下には白くて細い蔓のようなモノが生い茂っており、それが蠢きながら足となっている。
目のすぐ横に、ホーランドロップの耳のように垂れ下がったオレンジ色のモノは、垂れ幕に似た布。
かなりの巨体。
ほむら「最近は大きい魔女ばかりね」
さやか「デカいヤツの厄日だねぇ、ってやつ?」
まどか「さやかちゃん、それってマンガのセリフだよね?」パシューン スチャッ
魔女「ウッウーーーッ!!!」ドスン ドスン!!
巨体を、垂れ幕を揺らしながら飛び跳ねる魔女。
先程のトレーナーの使い魔の如く、無邪気に飛び跳ねている。
さやか「なんか妙に声が可愛くて、腹立つんですけど……」
ほむら「往々にして、この手の魔女は強いわ」
まどか「油断しちゃダメだね……いくよっ!!」
まどかの合図を切欠に、散開する三人。
右手にほむら、中央にまどか、左手にはさやか。
さやか「へいっ!!」スチャッ
ピックで弦を強く弾くさやか。
ヘッドの銃口から青い弾丸が、流星となって魔女へと向かう。
魔女「ウッウーー!」グバッ!
魔女の身体を担うカエルの口が開くと、そこから飛び出すのは虹色に光る円盤。
弧を描くように空を舞う円盤は、さやかの放った弾とぶつかりあうと相殺される。
さやか「なぬっ!?」
素っ頓狂な声で大げさに驚くさやか。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:56:47.11 ID:RdILXzUU0<>
ほむら「なかなかやるわね」キリキリッ……
紫色の矢が三本、番えられる。
バシュッ!!
空を裂く音と共に放たれる魔力の矢。
すると魔女は垂れ幕のような腕をピンと真っ直ぐ張りながら、急に身体を前に倒す。
――否。
まるで『おじぎ』をしているかのようなポーズ。
魔女の身体は空気の抜けた風船の様に薄くなると、ほむらの放った矢は魔女の身体の上を駆け抜けていった。
ほむら「!」
声には出さないものの、思わず目を見開くほむら。
すかさずまどかが薙刀を構えて飛び掛る!
まどか「えぇーーい!!」
雄叫びと共に薙刀に魔力が篭ると、刃の輝きが増す。
魔女「ハイタァーーッチ!!」
魔女の手を担う垂れ幕が、掛け声と共にまどかへと襲い掛かる!
まどか「えっ……きゃあぁっ!!」
身体を前に屈めたままにも関わらず、垂れ幕の腕がしなり、まどかを打ち付けた。
完全に回避の隙をついた。
そのまどかの思考は、反撃を予想だにしていない。
受身も取れずに、地へと叩きつけられる、まどか。
さやか・ほむら「まどかっ!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:57:54.16 ID:RdILXzUU0<>
魔女「ウッウーー!! ウッウーーーッ!!!」
身体を元に戻し、歓喜に踊る魔女。
再び垂れ幕の腕が振り上げられ、まどかへと狙いが定められる。
ほむら「さやか!!」
相手の返事を待たずに、矢を放つほむら。
さやかはその攻撃と同時にまどかの元へと駆け寄り、抱えて退く。
放たれた矢は垂れ幕を撃ち抜くものの、魔女自体にダメージを与えた様子はなかった。
さやか「まどか、大丈夫!?」
まどか「さ、さやかちゃん……あ、ありがとう……」
さやかはまどかの身体に手を当て、治癒魔法を開始する。
その二人を庇うかのようにして、前に立つほむら。
さやか「ほむら! さっきの黒い翼、やれないの!?」
ほむら「あれは翼を展開するまで時間がかかるの。こいつはそんなに悠長じゃないわ」
ほむらの言葉通り、魔女は口を大きく開くと、虹色の円盤を三枚飛ばしてくる。
すかさず矢を三本番え、円盤を撃ち落す。
さやか「よし、完了! まどか、もう大丈夫だよ!」
まどか「ありがとう、さやかちゃん! ごめんね、ほむらちゃん!」
さやかの治癒が完了し、まどかが戦線復帰。
魔女が再び『おじぎ』している姿が三人の目に映る。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 13:58:54.33 ID:RdILXzUU0<>
頭頂部に光る二つの銀色の球体が、ギシギシと音を立てる。
ばきん、と金属音がしたと同時に魔女の頭頂部は横に裂けた!
さやか「!!」スチャッ
すると、『ガマグチ』のように真っ暗な裂け口から、巨大な何かが回転しながら放たれる。
巨大な車輪の如き円盤は、中心に小さな穴が開いており、黄銅色。
それは正に『五円硬貨』にそっくりであった。
噴水が横向きになった、とでも言わんばかりの大放出。
魔女「ウッウーーー!!!」 ガラガラガラ!!
雪崩式に襲い来る五円を矢で撃ち抜き、マシンガンで破壊し、薙刀で斬り払う。
まどか「ほ、ほむらちゃん、今なら!! さっきの、翼、出来るよ!!」
懸命に薙刀を振るうまどかの言葉。
それはほむらにも解っていた。
だが今ここでほむらが戦線を離れて必殺技の構えに入ると言うのは、さやかとまどかの被害を生む事も同然。
三人でようやく攻撃を捌けているのだから。
まずい。
ほむらの脳裏に過ぎる、久しい弱気の言葉。
魔女「ウッウーッ!ウッウーーーッ!」
こちらの焦燥を悟ったかのような嘲笑に、思わず奥歯を噛み締める。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:00:12.97 ID:RdILXzUU0<>
さやか「ほむら、このままじゃ三人揃ってやられるだけだよ!」
必殺技をやれ、と遠まわしに言うさやか。
ほむらも解ってはいる。
だがこの五円の雪崩を捌くのに一番苦労しているのは、さやか。
マシンガンという連射の利く武器であるが、火力はガトリングに遠く及ばない。
故に、この五円硬貨を粉々に撃ち抜くにはかなりの銃撃を浴びせねばならないのだった。
……ァァァァアアアアア……
三人の耳に届く、謎の轟音。
まさかこれ以上の攻撃を行おうと言うのか? と、三人は同じ考えを抱いた。
ほむら「……まどか、さやか!! ごめんなさい、覚悟を決めてッ!!」
唇を噛む、ほむらの無念の叫び。
さやか「気にすんな、ほむら!!」ニヤッ
気丈な声でほむらの背中を押す、さや―――
杏子「……ぁぁぁぁあああああああああッッ!!!」
ベキベキベキッ!!!
魔女「ウッ、ウッウーーーーッ!!??」
三人の横を駆け抜けたのは疾風は、咆哮を上げし杏子!!
真紅の球体に包まれた杏子は、五円硬貨を粉々に破壊しながら『ガマグチ』に突撃!
強烈な肉弾攻撃は五円硬貨ごと魔女の『ガマグチ』を破壊し、そしてその巨体すらも吹き飛ばすッ!!
マミ「遅くなってごめんなさい、三人とも、大丈夫?」
ふわり、と上空より舞い降りるは、優美な剣を携えた金色の騎士。
ニコリと微笑むその顔は、誰よりも優しかった。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:01:44.13 ID:RdILXzUU0<>
杏子「はー…はー……無事か、みんな!!」
吹き飛ばした魔女から離れ、三人のもとに駆け寄る杏子。
まどか「マミさん、杏子ちゃん!!」
ほむら「助かったわ……私達の武器とこの魔女の相性があまり良くなかったのよ」
さやか「さっすが杏子ちゃん、マミさん! 美味しい場面で登場しますなぁ!」
三人の顔を見てか、安堵の息をつくマミと杏子。
杏子「無事でよかったよ、ホント……」
マミ「ええ。結界入ってしばらくしたら、いきなり五円玉が転がってくるんですもの」ニコッ
杏子「まったくだぜ。こんなにバカでかくちゃ交番にも届けられねぇや」ニヤッ
マミ「あら佐倉さん。交番に届けるお金は百円以上からで、それ以下は貰っちゃっていいのよ?」
杏子「それマジかよ!?」
マミ「ええ。お金の預り証の発行に百円かかるから、必然的にそうなるの」
杏子「よっしゃ、明日から探しまくるわ!!」
魔女「ウッウーーーーッ!!!」ズシンズシン
体勢を立て直したのか、魔女が飛び跳ねる。
今度の雄叫びは歓喜のものではなく、怒りによる地団駄。
談笑していたマミと杏子の顔が、魔女の方へと向く。
マミ「ずいぶんとご機嫌斜めの様子みたいよ?」
杏子「へっ、コッチは仲間をやられて気が立ってんだ。覚悟しな!!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:03:05.23 ID:RdILXzUU0<>
口を大きく開け、虹色の円盤を飛ばす魔女。
杏子「無駄無駄!」ブォンッ
だがそれは杏子の盾によって張られたバリアによってあっさり砕け落ちる。
マミ「こっちよ?」
魔女の目の前では、手首だけでエストックを回して剣先を遊ばせる、マミの姿。
薔薇の花びらが次第に刀身に纏わりついていき、マミのエストックの刃は完全に花弁に覆われる。
魔女「ウッウーーッ!!」
垂れ幕のような腕を振り上げ、地面に叩きつける。
だがマミは垂れ幕の脇へと掻い潜り、そこから魔女の眼前へと飛び出した。
マミ「ディ・バッロ・ローザ!!」
エストックを振るうと、刀身に纏わりついた薔薇の花弁が、魔女へと移りゆく。
まどか「えいっ!!」
花弁の幻影に惑わされた魔女の足元を、すかさず薙ぎ払うのは、まどかの薙刀。
白い大量の蔓の足が吹き飛び、身体のバランスを崩した。
マミ「まだまだ!」
その隙にマミのエストックが煌き、片方の垂れ幕を切り落とす。
まどか「隙ありっ!」
更にもう片方の垂れ幕も、まどかの薙刀によって切り落とされた。
さやか「いぇいっ!!」スチャッ ダダダッ!
杏子の後ろに陣取っていたさやかが、エレキギターを鳴らす。
天に向かって垂直に立てられたギターのヘッド部分から、青い弾丸が弧を描いて魔女へと飛んでゆき ―――
魔女「ウッウーーッ!!」ズドドドッ!!
その身体に、幾つもの風穴を開ける。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:04:42.18 ID:RdILXzUU0<>
杏子「おりゃぁぁぁぁぁッ!!!」
間髪入れず、杏子の盾バリアにおける体当たり!
『ガマグチ』を破壊した時のように強力な衝撃を与えられ、魔女の身体が揺れる。
腕を落とされ、足を掬われ、そして幻影によって惑わされ……魔女は無残にも、後ろに倒れる。
そして、その様を上空より眺めるは、ほむら。
ビキビキビキ……ッ!!
先程同様、地上の物質では言い表せないような、怪異な音が上空より聞こえる。
ほむらの背中より広がる、黒くて歪な翼。
黒い靄が形を成し、広がり、羽の中に色とりどりに煌く粒子が表れ始める。
ほむら「終わりよ」
黒翼に煌く粒子が、まるで水面のように波紋が広がると、翼から一斉に矢が発射され、流星のごとく降り注ぐ!
魔女「ウッウーーーーッ!!」……ォォォオオオオ!!!
一箇所のみを狙って放たれた矢は、巨大な一本の魔力の柱を作り、墓標を作るかの様にように立ち昇る。
紫色の魔力の柱は魔女を飲み込み、その呪いに終止符を打った。
翼を閉じ、着地するほむら。
同時に結界も閉じてゆく。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:06:07.58 ID:RdILXzUU0<>
シュゥゥゥゥゥ………
カランッ
グリーフシードが、存在を誇示するかのように地面に立つ。
終わった。
スーパーの駐輪場にて居を構えた魔女の討伐に成功したのだ。
五人は一斉に変身をとき、そしてほむらがグリーフシードを拾った。
さやか「ふっひ〜、今回の魔女はなかなかハードだったよぉ〜」グッタリ
まどか「ほんとだねぇ。あの時マミさんと杏子ちゃんが来てくれなかったら、どうなってたことか……」
ほむら「ええ。助かったわ」
杏子「なんだよ、ほむらが素直だと気持ちわりーぞ」
ほむら「いえ、本当に危なかったもの。感謝してるわ」
マミ「あの魔女の攻撃からして、時を止める魔法か、攻撃を完全に防ぐ魔法がないと苦戦を強いられるのは仕方ないわね」
まどか「わたしなんて良いとこ無かったですよ。あはは……」
さやか「いやーあたしが剣持ってたとしても、まどかと大差なかったと思うなー」
杏子「まぁまぁ。そんなにヘコむなよ、まどか。相手が悪かったってコトだよ」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:07:01.80 ID:RdILXzUU0<>
さやか「そーそー。それにこうして何事もなく勝てたし!! 結果オーライ、千客万来!!」
まどか「さやかちゃん、『らい』しか掛かってないよ」
杏子「さっ、早く帰ろーぜ? 今日はマミがうんまいドリアを作ってくれるってさ」
さやか「いぇいっ!!」
マミ「……ところで、暁美さん」ニコニコー
ほむら「何かしら、マミ。そんな眩しい笑顔で」
マミ「あの最後の技、とってもステキだったわ。名前はなんて言うのかしら?」ニコニコ
ほむら「……え? べ、別に名前なんて無いわ。あれはただ、まどかの使う大技を真似しただけだから……」
マミ「あら、もったいないわ。あんなにカッコいい技なんだもの、ステキな技名をつけるべきだわ」ニコニコー
杏子「やべぇ、マミの悪い癖が始まっちまったよ……」
さやか「ま、マミさーん。早くいきましょーよー。さやかちゃんお腹空きすぎて、背中とくっつきそうですからー」
杏子「マミー、早くしないとさやかのお腹が減りすぎて背中を貫通しちまうぜー」
さやか「グロいわ!!」
マミ「暁美さんの場合はあれよね……下手に横文字とか使うよりも、漢字でせめるべきかしらね」
まどか「えー。でもほむらちゃんの服って貴族っぽいから、ドイツ語表記とか似合いそうじゃありません?」
マミ「ドイツ語、ね。そうね、シュバルツ・フリューゲとか悪くないわ」ブツブツ
まどか「ちなみに漢字だった場合は、どういうのを想定してました?」キャッキャッ
マミ「実は言っておいてアレだけど、なかなか良いのが思い浮かばないの。歪とか侵食とか、そういうのを使いたいのだけど……」ウフフ
まどか「いっそシンプルに『闇鴉』とか『炎翼』とか」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:08:53.93 ID:RdILXzUU0<>
ほむら「……………」
杏子「あーあ。ありゃしばらく収まんねーや。アタシ等は先にマミん家に帰ってよーぜ」 スタスタ
さやか「あ、杏子。今度は缶タイプのポテチ買ったから、最後の一枚まで割れてないヤツ食べられるよ」 スタスタ
杏子「さんきゅー。袋のほうが味の種類多いけど、底で砕けるってのがどーにもねぇ」 スタスタ…
さやか「いっそポテチを棒状にして販売とかしないかな? それなら砕けずに形保てるし」 スタスタ…
杏子「それじゃポテチじゃねーじゃん? やっぱ薄く切ってあるコトに意味があるんだってばさ」 スタスタ……
さやか「それもそうかー。うんまい棒みたいになるかなーって思ったんだけどなー」 スタスタ……
杏子「ポテチはみんなで食べれるってのも大きな利点なんだよ、それにさ、もし……」
さやか「あー確かに言えてるわー。一人で棒状のポテチ食ってるとかなんか寂しい。で……」
マミ「それじゃあ鹿目さんのアイディアを基にして『闇の翼』でどうかしら」
ほむら「………助けて……」
まどか「シンプルでいて尚且つ強さを感じさせる……マミさん、流石です……!」
QB「訳がわからないよ」
終 <>
1<>sage saga<>2012/07/12(木) 14:17:57.90 ID:RdILXzUU0<>
今回の魔女戦、如何だったでしょうか。
先に言っておきますが、別に魔女のモチーフ元が嫌いだとかそういう訳でなく
あの中で一番魔女のイメージをしやすかったので「貧困の魔女」は思い浮かびました。
ちなみに貧困の魔女の強さ設定は「普通」です。
不快に思われたファンの方は申し訳ありません(;´∀`)
あと全体を通してまどかの活躍が微妙なのも、まどかは弓を使う事によって
実力が発揮できると勝手に思い込んでるからであって、悪意などはございません。
これまで武器安価に付き合って頂きありがとうございます。
それでは次の魔女戦は残った最後の武器による、
まどか:剣
さやか:盾
杏子:銃
マミ:弓
ほむら:槍(鎌)
となりますので、書き上がるまで、今しばらくのお待ちを。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 14:52:06.53 ID:RX9NchGIO<> おじぎするのだ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 14:56:48.37 ID:ntSVWbvIO<> もやし、でまさかと思ったけど。
やっぱりやよいかwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 17:41:09.63 ID:pTUiclCG0<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 23:05:53.09 ID:8rVkFnvDO<> 絶望するなら千早のが… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/13(金) 00:01:40.17 ID:xU4zjluDO<> >1乙
さやかの武器エレキギターで音楽で思い出した
さやかの武器エレキギターで青って日曜朝8時半枠の前のスイートプリキュアのキュアビー・・・ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/13(金) 00:03:07.75 ID:xU4zjluDO<> あとほむらの翼は「侵食する黒き翼」てまどポでありますな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/13(金) 00:13:47.66 ID:VjQV9nQco<> さやかのはベイビーラズのギターマシンガンみたいなのじゃね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/13(金) 00:20:30.47 ID:Z/t3FVGIO<> やよい…やっぱり萌やしっ子なんだな <>
ちょっと息抜きの小ネタ・終<>sage saga<>2012/07/13(金) 01:41:54.10 ID:zgBEMOw60<> ほむら「マミの魔法の真似をして強化魔法を練習の末、覚えたわ」
QB「言っている意味がよく解らないが、魔法少女として更なる飛躍をしたのなら祝福しよう」
ほむら「強化魔法と言うのは、物体に魔法を送って強化することよ」
QB「もう少し解りやすく説明して欲しいな」
ほむら「察しが悪いやつね。金属バットや竹刀などに魔力を注入して、強力な武器に変化させるものよ」
QB「応用魔法を会得したということか。おめでとう、ほむら」
ほむら「例えば、この模造刀に魔力を送る。すると本物同然……いやそれ以上の攻撃力を持った武器となるわ」
QB「きみは有限である本物の銃火器を使って戦っていたからね。その魔法を使えば武器の調達が遥かに楽になるだろう」
ほむら「ええ、米軍基地や極道の事務所に忍び込む必要が無くなって良かったわ」
QB「マミやさやかは、その事に関して良い顔をしてなかったからね。まあ必要悪だと理解はしていたみたいだけど」
ほむら「じゃあ早速、強化武器を精製して盾に詰めましょう」
QB「なんで僕の頭を掴むんだい」
ほむら「何故って、キュウベぇに魔力を送って『QBブレード』にするためよ」
QB「それは普通、無機物が対象じゃないのかな」
ほむら「耳毛を結んで柄にしましょう。胴体と尻尾部分により多く魔力を送って、そこを刀身にすればいいわね」
QB「話を勝手に進めないでくれ。僕は刀になるなんて御免だよ」
ほむら「タチウオみたいでカッコいいじゃない」
QB「せめて僕に事の是非を問うくらいの慈悲はないのか」
ほむら「仕方ないわね、それじゃあこの強化模造刀の鞘にするわ。さあ口を開けて」
QB「ただの串刺しじゃないか、もっと残酷になってるよ。なにより僕を鞘にする必要性が感じられない」
ほむら「じゃあ強化したキュウベぇを強化模造刀に差し込んで、『合体QB剣』よ。ほら、口を開けて」
QB「結局鞘の時と変わってないよ、ほむら。もうちょっと自分を客観的に見られないのかい」
ほむら「解ったわ、お尻のほうからが良いのね? はしたないやつめ」
QB「それは最早、ただの拷問だよ。むしろ処刑でしかない」
ほむら「あら、ようやく気付いたの?」
QB「てめぇぇぇぇぇ」
完
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage saga<>2012/07/13(金) 05:59:09.74 ID:YjVDat98o<> 乙
本編の方は杏子が魔女にとりついたはいいが
足のロックが解けずに自爆ってオチじゃなくてほっとした
QB、小ネタの方で感情が生まれているぞ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/13(金) 09:51:43.02 ID:IgcfdU6DO<> おりこ勢も来るのか。ありがてぇ…ありがてぇ…! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/20(金) 18:15:43.01 ID:No6WvlEko<> さやかの武器でウピエルが浮かんだのはきっと虚淵つながりだからだろう。
あれはギター付きマシンガンだが。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/21(土) 02:12:41.51 ID:f/GucD6DO<> マダー? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/22(日) 16:38:18.07 ID:InDTYYmDO<> 1週間以上経過…>>1は連絡くらいくれよ <>
1<>sage saga<>2012/07/22(日) 23:28:06.94 ID:bsglGW8Z0<> QB「申し訳ないね、ちょっと>>1は忙しくなってしまって滞っているみたいなんだ」
QB「今までハイペースだったからね、申し訳ないと思ってるみたいだよ。でも必ず書き上げて投下すると言ってるさ」
QB「おりキリについては……まあ、彼女達3人の武器を5人に充てる感じになると思う。でも5人の武器を彼女達に充てるのも悩んでるみたいなんだ」
QB「まあ何とかなるさ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/23(月) 04:54:36.33 ID:IOebEGPDO<> せめてたまには連絡ください…マジで心配するんで <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/07/23(月) 09:27:20.93 ID:az+hlsoOo<> 一週間で騒ぎだすとか早漏かよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/23(月) 14:04:05.20 ID:1OGGhBUIO<> 騒ぐのは2ヶ月近くなってからだ早漏共 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/07/27(金) 20:06:07.68 ID:EbTWDtVTo<> >>251
エリア88? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage saga<>2012/07/28(土) 02:50:06.74 ID:6JhAW1hno<> >>260
蒼き流星 <>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:35:37.57 ID:CMqSwLLa0<> QB「待たせてしまって申し訳ないね。まぁあまり>>259のように責めないでやってくれ」
QB「>>1の滞りが原因なんだ、他の者に責任は無い」
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:37:07.06 ID:CMqSwLLa0<>
@ 今回の武器 @
まどか:剣 (>>12 短剣。武器そのものの殺傷力は皆無。あくまで媒体)
さやか:盾 (>>47 トライアングル形。中心部を開きメトロノームを出して速度加減が主。防御は出来るが攻撃手段は無い。治癒魔法はデフォなので有)
杏子:銃 (>>43 ペッパーボックスピストル。威力・魔力効率共は上々の性能。形状を知りたい御方は画像をググるといいかもです)
マミ:弓 (>>8 クロスボウ。マスケット銃より威力は低いが連射可能。コンパウンドはリボンで行う)
ほむら:槍(>>39 大鎌。ダブルハーケンみたいに両刃なので外側でも攻撃可能) <>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:38:21.46 ID:CMqSwLLa0<>
―――街のはずれにて・正午
QB「やれやれ……暁美ほむらの戯れには毎度の事ながら恐れ入るよ」テクテク
QB「思わず精神疾患を患ってしまう所だった。この個体は彼女の毒気を浴びすぎたのかもしれないな」テクテク
QB「新しい個体に換えないといけないかな……ん?」
QBの視線の先。
耳を垂らし、薄目の、成犬。
寂しそうに、そしてふてくされたかのように前の両足に顔を埋めて寝そべっている。
QB「このイヌ科の顔には覚えがある。確か――」
ヒュッ!!
QB「っぎゅ」 グチャッ
断末魔。
銀色の一筋の光と共に、風船が破裂するかのように砕けたキュウベぇ。
ズズズ……
新QB「……いつの間に結界が展開し、僕を飲み込んだのだろう」
新QB「他の個体に連絡を取り、まどか達に知らせないと」
ズズ……ズズ゙ズ……
新QB「それにしても……なかなかに強力な魔女のようだね、君は。そしてその負の感情の対象は、この僕と言うわ―」グチャッ
――― ――――
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:39:22.56 ID:CMqSwLLa0<>
――マミホーム
マミ「ただいまー」カチャッ
帰宅の声を掛けるが、いつもの小さな友人からの返答は無い。
マミ「キュウベぇ? 居ないのかしら?」
リビングに出て声を掛けるも、また静寂。
――何処かに出かけてるのかしら、と言う答えに行き着き、マミは鞄を置く。
『今夜も5人で見回りに行かないと』等と日課のパトロールの事を思いながら、昨日のうちから冷やしておいたコーヒーを手に取る。
普段は紅茶しか飲まないマミだが、昨日たまたま学校の昼食中に『たまにはコーヒーでも飲んでみたら?』と言う暁美ほむらの言葉を受け、たてておいた次第だった。
『でも私、コーヒーの苦味は苦手なのよ。だからどうしてもミルクとガムシロップが欲しくなっちゃうわ』
『何か問題でも? コーヒー飲むならブラックだけなんていうのは酔狂な意見であって、酸いも甘いも嗜むのが一番よ』
そう言って髪を掻きあげる暁美ほむらの顔は、優しく微笑んでいた。
『なんならドリップ式コーヒーメーカーを貸してあげるわ。味もソフトとストレートと選べるから、好みに合わせると良いわよ』
その言葉に乗りコーヒーメーカーを借りて、たまにはとコーヒーを嗜むことにしたのだ。
マミ「……うん。たまには良いかも知れないわね」
せっかくだからコーヒーケーキでも作っちゃおうかしら、と呟く。
香りの良いストレートでたてたコーヒーでなら、一層美味しいケーキになるだろうと心躍らせるマミ。
「マミ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:40:34.94 ID:CMqSwLLa0<>
マミ「あら? キュウベぇ、どこに行ってたの?」
QB「いや、さっきまでちょっと散歩していたんだ。そうしたら魔女の結界に取り込まれてしまってね」
マミ「!! なんですって!」
QB「正確に表せば、別の個体だけどね。どうにも僕と言う存在に固執しているようで、広範囲に渡って行動している。まさに虱潰しだ」
マミ「そう……キュウベぇ、今私の目の前に居るあなただけでも無事で良かったわ」
QB「ありがとう、マミ」
QB「テレパシーで君達に呼びかけようにも、皆に近い位置の個体を潰して即座に移動、それの繰り返しで交信が出来なかったんだ」
マミ「でもおかしいわ、キュウベぇ。私達の近くに居る貴方が魔女の攻撃を受けたのなら、私達のソウルジェムが反応してるはずよ?」
QB「ごもっともだよ、マミ。しかし今回の魔女はもの凄く特殊な魔女みたいなんだ……そう、魔女であって魔女でないと言うべきかな」
マミ「漠然として解らないわ、キュウベぇ。よく解るように説明してくれるかしら?」
QB「僕にもよく解らない。何しろ前例のない事だからね。でももしかしたら、今回の魔女は」ドロッ
シュー……ゴボゴボ…… ――― !!
マミ「きゅ、キュウベぇ!?」
新QB「泡を立てて溶解してしまった……どうやらこの個体は先程魔女から逃げた時に、何か施されたようだ」ヒョイ
マミ「きゃっ!? ちょ、ちょっと、いきなり背後から現れないでよ!」
新QB「ごめんよ。だが幾ら僕の個体数が無限とは言え、この事態は放置して欲しくない。マミ、助けてくれるかな」
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:41:35.55 ID:CMqSwLLa0<>
―――街のはずれにて・夕刻
マミ「……ここかしら、キュウベぇ」
QB「うん、この緩やかな傾斜の山道へと続く、街のはずれ。今日の昼間、僕がいきなり攻撃を受けた場所は」
杏子「おっ、マミか」
マミ「あら、佐倉さん?」クルッ
杏子「お前もキュウベぇから魔女の話を聞いて、ここに?」
マミ「ええ」
QB2「申し訳ないね、手当たり次第潰されてはテレパシーを送る暇もないから、人海戦術でいかせてもらったよ」ヒョイ
マミ「……知っているとは言え、キュウベぇが二人って不思議な感覚ね」
杏子「まぁ、ね」
まどか「マミさーん、杏子ちゃーん」タッタッタッタッタッ
杏子「おっ、まどかとさやかだ」
さやか「遅れてゴメーン、マミさんと杏子もキュウベぇに呼ばれて?」
マミ「ええ。……美樹さん、なんでバット持ってるの?」
さやか「え? あぁ、いやー、そのですね」
QB3「雑談は後にしよう、皆。暁美ほむらが到着するにはもう少し時間がかかりそうだから、今のうちに説明させてもらうよ」
杏子「……まどかの肩にもキュウベぇ。これで三体か」
マミ「暁美さんはどうして遅れてるのかしら? いつものあの子なら迅速に行動しているはずだと思ったのだけれど」
QB1「僕が潰される様を見て、ニヤニヤしていたからね。魔女の狙いが僕なのを知って『自業自得よ』と腕組してせせら笑っていたんだよ」
さやか「なんつーサディストだよ、あいつ」
QB2「でも流石にそろそろ一般人にも被害が及ぶかも知れないという考えに至り、皆に集まって貰っている旨を伝えた」
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:43:27.07 ID:CMqSwLLa0<>
QB1「さて、またいつ潰されるとも解らないから、僕の仮説を手早く解説しよう」
杏子「確信はないのか」
QB2「今までに例のない魔女だからね。まず第一に、魔女の狙いは僕。これは確実な事だ」
QB3「第二に、この魔女はソウルジェムで魔力を感知できない。これも確実な事」
マミ「最初に攻撃を受けたのは昼間と言っていたものね」
QB1「第三、この魔女は非常に広範囲に渡っての移動を瞬時に行える。でなければ僕の個体がたった数時間で100体近く潰される事なんてない」
まどか「そ、そんなに潰されてるの?」
QB3「正確に言うと今現在で96体だよ。そして第四、これが一番の肝要な点であって、そして僕の考えを仮説たらしめているものだ」
さやか「解りやすーい説明でお願いね」
QB2「魔女は元々魔法少女であるが故に魔力を持つ。そしてソウルジェムはその魔女からの魔力の波動を感知して魔女の存在を捕らえる」
QB1「魔法少女の魔力の祖とはその少女の素質。この世界、宇宙、次元の運命に携わる可能性。君達には因果と言う言葉で説明したよね」
さやか「う、うん、たしかそんな事聞いた! ……と思った」
QB3「これが魔力の大局的な部分。では思考をもっと狭めて貰って、この因果と言うものを抜きにした状態での魔力とは一体なにを示すか」
杏子「……マミ、解るか?」チラッ
マミ「えっと……ソウルジェム、かしら?」
QB2「鋭いね、マミ。でももうちょっと巻き戻そう。ソウルジェムが魔力の権化としたら、その原点は」グシャッ グシャッ
――!!
突如として空間より現れし刃物を持った『二本の腕』が、地面ごとキュウベぇを穿つ。
QB3「参ったな、肝心な部分を説明する所なのに」
―ッキィン!!
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:44:47.38 ID:CMqSwLLa0<>
ほむら「間に合ったようね」
既に魔法少女姿へと変身して推参した、暁美ほむら。
その手に持つ長柄の大鎌の刃が、まどかの肩に乗ったキュウベぇへと襲い掛かる『刃物を持った腕』の攻撃を防いでいた。
さやか「ほむら!!」
まどか「ほむらちゃん!!」
ほむら「まどか、キュウベぇを放してはダメよ。コイツは目の前の獲物が居なくなったら『移動』するわ」
大鎌を握ったほむらの腕からは一筋の紅が走っており、それはポタリポタリと地に斑点を作る。
マミ「暁美さん!! その腕……!」
ほむら「ええ、キュウベぇを腕に持っていたら、ね。迂闊だったわ」
杏子「ホントに狙いはキュウベぇだけってか。何したんだよオマエ」シュパーン
ほむら「私と一緒にいたキュウベぇが潰されると魔女は追撃をしてこなかった。つまり――」
さやか「ここで逃がすと、また他のキュウベぇを探しにいっちゃうってこと?」シュパーン
ほむら「キュウベぇを囮にして誘き寄せるという方法もあるでしょうけどね」
QB「僕は瞬間移動できるような機能は持ち合わせていないからね。招集には骨が折れるよ?」
ほむら「冗談よ」
まどか「助かったよ、ありがとう、ほむらちゃん!」シュパーン
ほむらが魔女の攻撃を抑えている間に、まどかも距離を取り、すかさず変身する。
マミもそれに倣い、変身する。 <>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:46:35.12 ID:CMqSwLLa0<>
――オオオオォォォ……
――魔女の結界が、広がる。
そこは、草木一本ない荒野。
乾いた風が地を撫ぜて砂を巻き上げ、曇天は紫一色で渦巻く。
魔女の結界にしてはあまりに現実味を帯びた、異質な空間だった。
……五人の前に立ちはだかる存在。
今までの魔女とはまるで違う、見た目だけは『西洋人形』そのもの。
だが異なるは大きさ。
凡そ、3メートル。
橙色の髪はボブカットで顎のラインで揃えられ、赤いリボン形の可愛らしい髪飾りを頭の両脇に付けている。
赤を基調としたスイスの女性民族衣装を着ており、幼児体型の身体。
華やかな出で立ちにそぐわぬ出刃包丁とフライパンを両手に持っている。
半袖やスカートから覗く四肢から球体関節人形であると見て取れる……が、その背中からは異様に長い、一対の腕。
肩甲骨の辺りから伸びたそれはまるで昆虫の触覚のように垂れ下がり、その手には鈍く光るメスが握られている。
魔女:つぎはぎの魔女 性質:一途
かつて名医の助手として活躍した少女。溢れる思いは無垢の愛情。
例えいつまででも、貴方を待ち続ける。
ド ン ! !
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:48:01.32 ID:CMqSwLLa0<>
無表情のマネキン……の顔を持つ魔女。
銀色のメスと、出刃包丁がギラギラと狂気で唸るかのように光る。
――こうして対峙しても、魔力を感じない。
――使い魔も居ない。なぜ?
――キュウベぇも前例の無い魔女と、言葉を並べる相手。
五人共通の思考。
魔法少女達と魔女の睨み合いが、しばし。
マミ《このままじゃ埒があかないわ。まずは射撃武器で一手注し込んでみようかしら?》テレパシー
杏子《……使い魔が居ないのなら、チョイとけしかけてみるかい》
さやか《あの、マミさん。あとでリボンでこのバット強化してくれませんか? 今日のあたしって攻撃手段がなんも無いんで……》
マミ《その為のバットだったのね。オッケー、任せて!》
ほむら《それと、あの魔女はキュウベぇを狙う。近接戦闘が不慣れなまどかにキュウベぇを持たせておくのは危険だと思うわ》
杏子《いざとなりゃーキュウベぇはアタシが預かるからな、まどか。無理はすんなよ?》
まどか《ほむらちゃん、杏子ちゃん、気を遣ってくれてありがとう! でも大丈夫、キュウベぇを守ってみせるよ!》
QB《ありがとう、まどか》
ほむら《ブッ殺す白毛》
さやか《おいおい》
杏子とマミ、両名がまるでスローモーションの様にゆっくりゆっくりと、体勢を変えようと動く。
それに合わせるかのように魔女も、ゆっくりと構えを取り始める。
マミ《みんな、いくわよ……3、2、1》
マミ・杏子「ゼロッ!!」バシュッ! ボンッ!
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:49:06.76 ID:CMqSwLLa0<>
二人の掛け声を合図に、まどかとほむらは左右に散開、さやかは一旦下がってマミと杏子の位置へ。
杏子の赤い銃弾と、マミの黄金色の矢が魔女へと向かって行く。
魔力を最低限に抑えた二人の一手は、未知の魔女に対する牽制も兼ねての攻撃。
予想通りと言うべきか、銃弾と矢弾は魔女のフライパンによって小気味良い音と共に撃ち落された。
魔女「ヨサーーーッ!!」ゴォォォォッ
開戦の狼煙が、あがる。
マミはさやかの持つバットに手を触れると、魔力のリボンを巻きつけ、強化を施す。
さやか「ありがとうございます、マミさん! これであたしも前衛できますよ!」
マミ「あくまで補強に過ぎないから無理しないでね、美樹さん」ニコッ
さやか「いえっさー!」
魔女「チェ、チェ……」ギチッ、ギギッ
魔女の身体が僅かに動くだけでも関節の擦れる音がする。
物質的なものでも『マネキン』と同じと言う事かもしれない。
だがそれが返って、眼前の魔女の面妖さを増幅させる要因となっていた。
ほむらは魔女の背中から生える長腕に目をやり、考える。
自分の二倍ほどの背丈の相手のリーチと、さらにもう二本の腕。
正面から接近戦を挑んでも、マミと杏子の援護無しには瞬時に掴まり、致命傷を受ける。
そう、まるでクモやカマキリが捕食するかのようにして、長腕に挟みこまれて。
そして何より――
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:50:14.56 ID:CMqSwLLa0<>
ほむら「みんな、気をつけて。あいつのメスを持った長い腕は――」
テレパシーではなく、己の声にて呼びかけを行うほむら。
同時に魔女の長腕がしなり、ほむらも駆ける。
が、
ほむらは魔女に向かってではなく、まどかに向かって足を向けていたのだ。
大鎌が空を裂く音と共に振るわれると、
ほむら「空間を越えて、攻撃できるわ」 ガキィンッ!
まどか「!!」
紫の刃は、何もない空間より現れたメスを、防いだ。
――仲間達と合流する途中で受けた攻撃。
『癪だけど私の腕に掴まりなさい』……そう言いキュウベぇを己の左腕に乗せて走っていた最中、突然現れたメスを握った手。
空間に入った一筋の切れ込みから伸びるその手は、手首のスナップを利かせてメスを振るい、キュウベぇごとほむらの腕を切り裂いた。
そして痛みに気を取られた瞬間には既に手は消えており、その場には真っ二つにされたキュウベぇとほむらだけが残されたのだった。
マミ「そうみたいね、佐倉さん?」
杏子「ああ、見えたぜ。ほむらの言う通りだ」
敵の動きを注視していた二人の言葉。
ほむらが魔女からの攻撃を防いだ瞬間……
しなった長腕の持つメスが空間を切開すると、そこに腕を刺し込み、まどかの肩に乗ったキュウベぇへと攻撃が仕掛けられたのを見た。
さやか「こりゃーさやかちゃんの魔法の出番って感じですなぁ」
杏子「かもな……あの長い腕の攻撃は早くて鋭い」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん!」
ほむら「いいえ、でもやっぱりキュウベぇは杏子に預けたほうが……」
まどかを心配するほむらの言葉に、まどかにしては珍しく勝気な微笑で返した。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:51:29.29 ID:CMqSwLLa0<>
まどかは短剣に空いた方の手を添える。
すると光の粒子が舞い、まどか自身の身体を覆い始めた。
その光の粒子とは魔力によって生まれた、虹色に光る小さな蛍。
身体を覆う蛍が、次第に目的の場所へと集まってゆく。
QB「こ、これは……」
まどかの肩に乗ったままのキュウベぇも思わず、感動に似た声を漏らす。
背中へと集まっていった光、それは童話に出るような『妖精の羽』の形を成して……
短剣に集まっていった光は、七色の刀身を持つ『長剣』へと姿を変え……
『剣』を持たない左腕には碧水晶の煌きを持った美しいアームガードが腕全体を覆い、同時に肩に乗ったキュウベぇを守るかのように薄い膜状のバリアも張り……
最後に髪の毛を結ぶリボンは、輝くパピヨンの飾りへと変化した。
まどか「上手くいった……! 名付けて、妖精の騎士形態だよ!」シャキーンッ
QB「これはすごい……! 媒体を通じて自身への武器防具を具現化させるなんて……まるで別の魔法少女へと昇華したみたいだ!」
さやか「おおっ、まどかカッコいい!」
マミ「あら、ステキ!」
杏子「おおー、すっげぇな!」
ほむら「ふぬううぅぅぅぅぅ!!!」ブッ
まどか「えっ!? ほ、ほむらちゃん、大丈夫!?」
ほむら「大丈夫よ。何の問題もないわ」ファサッ
QB「鼻血を拭きなよ、ほむら」
まどか「と、とにかく! 今までの名誉挽回のため、私、頑張るよ!」ダンッ!
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:52:54.30 ID:CMqSwLLa0<>
地を蹴り鳴らすと、まどかの体はまるで流星のように光を纏い、魔女へと駆ける。
その背中の羽からは燐粉のように七色の粒子が舞い、煌いていた。
振り上げた剣に、桃色の光が宿る。
まどか「えぇいっ!」ガキィン
炎のような揺らめきのオーラを纏った剣。
魔女の持つフライパンとぶつかりあい、金属音を鳴らす。
すかさずまどかは魔力の足場を作り、それを蹴って後方へと跳躍する。
そして即座にまた足場を作って、魔女へと向かっていった。
ほむら「ま、まどかぁ、まどかぁぁ」フルフル ボタボタ
さやか「あのさ、ほむら。興奮してるのは解ったから、ちゃんと戦おうね?」
ほむら「マミ、杏子。あの長い腕を抑えて。さやか、私達はまどかの援護よ」キリッ ダラダラ
杏子「切り替えが早いのはオマエの良い所だな。ただまぁアタシの援護射撃はあんまアテにすんなよ?」スチャッ
マミ「佐倉さんが上手くいかないようなら、私もフォローするから大丈夫よ」カチャッ
魔女がまどかに気を取られている隙に、四人は各々展開する。
まどか「くぅっ」ガキィン
剣を防がれては退き、また即座に攻撃、それの繰り返し。
いくらバリアを張ったとはいえ、キュウベぇに攻撃が及ばないのが一番安全と考えたまどかは絶えず動き回る。
ほむら「ふっ!!」
魔女「ヨサッ!!」
ガキィィンッ
戦線に参加したほむらによる大鎌の一薙は魔女の出刃包丁によって受け止められる。
さやか「とりゃぁーっ!」
気合のこもった声と共に強化バットを振りかぶっての突撃。
魔女「ッサ!」ブン!
ほむら「なっ!?」グイッ
まどか「ほむらちゃん!?」
さやか「うわ、ちょっ!!」ガシッ
さやかの突撃が止まる。
大鎌の刃を受け止めていた魔女は、腕を振り払うかのようにして、ほむらをさやかへと投げ飛ばした。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:54:21.45 ID:CMqSwLLa0<>
ほむら「つっ……悪いわね、さやか。あの魔女、かなりの腕力みたいだわ」
さやか「ま、あんだけでかけりゃね。しかし攻撃受け止めて、そのままブン投げて返すたぁーワイルドだ」
邪魔をするならば、容赦しない。
魔女より発せられた初の『悪意』を、ほむらとさやかは感じ取った。
さやか「まずは使い魔相手にでも試したかったんだけどね、居ないんじゃ仕方ない!」
左腕に装着された三角形の盾に手をかける、さやか。
さやか「ぶっつけ本番!!」カシャッ カチッ カチッ カチッ
開いた盾から現れたメトロノームの速度が徐々に速まっていくと、銀色の縁が淡く光った。
チリ――ン……
トライアングルの音が鳴り響くと、五人の体に譜面が纏う。
杏子「これは……」
マミ「体が軽い……力が湧き上がる感じね」
すかさず二人は射撃の構えに移る。
セット、ファイア。
今までより早く行える。
二人の放った弾と矢が、魔女の長い腕を弾くと、一瞬たじろぐ。
すかさず流星の如き速度で駆けたまどかが、その長い腕を剣で一閃し――
魔女「チェ、チェッ……!!」ギギギッ
メスを握った手が一本、宙を舞う。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:56:32.96 ID:CMqSwLLa0<>
ほむら「全体への速度上昇効果。便利ね」ファサッ
魔女「!!」
瞬時に背後へと回りこんだ、ほむら。
気配に気付いた魔女が、もう一本の長い腕をしならせ――
ザンッ!!
――ている時、既に大鎌の刃が刈り取っていた。
……ヒュンヒュンヒュン…
ドサッ
ドサッ
ほむら「これでもう、あの攻撃は出来ない」
魔女「ヨサーーーッ!!」
怒りの咆哮。
振り向きざまに襲い掛かる、出刃包丁。
だがそれは空を切る。
ほむらは既に魔女の攻撃範囲外に立っていたからだ。
さやか「とりゃぁーーっ!!」
背を見せた魔女に対して迫るは、さやか。
飛び上がり、振りかぶった強化バットを魔女の肩へ袈裟懸けの一撃!
カキ―ン!!
さやか「うおおぅぅ」ビリビリビリ
……強化バットは折れはしなかったものの、魔女の体を破壊せしめる威力は無く、逆に衝撃の痺れがさやかの体を伝う。
魔女「サッ!!」ブンッ!
まどか「さやかちゃん!!」シュンッ
魔女からの攻撃を掻い潜るかのように、まどかはさやかを抱えて攫う。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:57:43.36 ID:CMqSwLLa0<>
さやか「ふひゅー、さんきゅーまどか」
QB「あの強力な魔女相手には、流石に効かないと思うな」
まどかの肩に乗ったキュウベぇからのダメ押しにさやかは口を尖らせる。
さやか「ちぇっ、今回は後方支援ですかー」
魔女「ヨサーッ!!」
まどかを見据えて怒りに震える魔女。
その隙にほむらの大鎌の刃が、その脇腹へと喰らいつく。
だが……先程切り落とした長い腕とは違い、刃は金属音と共に止まった。
――本体は硬いわね。と、ほむらは胸中で舌打ちを一つ。
魔女は再び、振り向く勢いに乗った腕を振りかぶる。
ガキン ガキンッ!
その腕を弾くのは、マミと杏子の射撃攻撃。
杏子「よろめきはするけど、まるで効いてないって感じかねぇ」バンッ バンッ
マミ「ええ。まるで岩みたいに硬いわ」バシュッ バシュッ
杏子「………」
マミの言葉を聞き、ちらりとさやかを見やる杏子。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:58:41.24 ID:CMqSwLLa0<>
まどか「えいっ!」カキンッ!
ほむら「ふっ!」ガキンッ!
まどか、ほむらの両名による一撃離脱式の攻撃。
出刃包丁とフライパンで受け止める、魔女。
そしてその隙に関節の付け根、首、こめかみ、などに狙撃するマミ。
ヒットした瞬間によろめく様子はありながらも、矢は弾かれているのはマミ自身理解していた。
まどか「キュウベぇ、このままじゃ埒があかないよ。何か良い手段はないかな?」カキンッ カキンッ
QB「あの硬い体を破壊するには唯一つ、あの魔女の持つ以上の魔力をぶつけるしかないだろう」
まどか「じゃあ、私がこの剣をもっと強化すれば……?」カキンッ
QB「あるいは、ね。だがまどか、確かにこの魔女はまるで攻撃が効いていないように見えるが、そうではないはずだよ」
まどか「どういうこと?」カキンッ カキンッ
QB「僅かにだが魔女にもダメージは蓄積されているはずだ。ただ……」
ほむら「ダメージの証が表面に見えるまでは判断のしようがない、てところかしら?」シュタッ
キュウベぇとまどかの会話に、隣に着地したほむらが口を挟む。
そして返答を待たずにまた魔女へと向かっていった。
マミ「こうなったら……!」シュルルルッ
正面に両手を突き出し、マミの足元からリボンが幾重にも舞い上がる。
台が組みあがり、そして更にリボンは形を成すと、大型弩砲である『バリスタ』が出来あがる。
マミ「鹿目さん、暁美さん!!」スチャッ
突き出した両手にリボンが絡まり弦を引き、巨大な金色の矢が番われる。
ほむらとまどかはマミの言葉に一瞬だけ顔を向けると、頷く様子も無く、波状攻撃を止める。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 17:59:38.89 ID:CMqSwLLa0<>
マミ「いくわよっ!! キアーロ・ディ・ルーナ!!」シュルッ
――― バシュンッ!! ――
両手を絆すリボンが解かれ、巨大な金色の矢は放たれる!
クロスボウ版のティロ・フィナーレは、空気を裂くような音を纏いて一直線に魔女へと向かっていった。
魔女「ヨサッ!?」
カッ!!
閃光となりし矢が着弾し、魔女の体が大きくつんのめる。
だが、マミの放った一矢は纏っていた衣装を焼き払っただけに留まり、その体を貫くまでに至らなかった。
魔女「チェ、チェ……」シュウウウ…
マミ「少しは効いたかしら……でもまだまだみたいね」
大型弩砲バリスタから再び小型弩弓のクロスボウへと戻すマミ。
それを見たまどかはマミ同様に『強力な一撃で倒す』と決意し、魔力を集中すべく剣を両手に持ち変える。
杏子「まどか、ちょっとストップだ」
先程から攻撃に加わっていない、と思っていた杏子からの一声。
声のした方を見ると、杏子は銃を構えたまま立っており、その隣にはさやか。
銃を構える杏子の手の下に、さやかの左腕に着いた盾が土台になるかのように添えられ、二人はそこに居た。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:01:28.57 ID:CMqSwLLa0<>
杏子「どんなに硬いモンでも、常に同じ箇所に衝撃を受けていたら、そこは少しずつ削れていく」カチカチカチカチカチカチカチ
見てみると杏子の指は、何回も何回も引き金を押している。
そして銃の先端には小さな赤い点が一つ、眩しく光っていた。
さやか「水滴が石を穿つってやつだね」 カ……… チ………
先程まで忙しなくカチカチと音を立てていた盾のメトロノームが、まるでナメクジの動きのように遅くなっている。
杏子「さて、そろそろいいかな。いい加減人差し指がつっちまいそうだよ」カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
さやか「おっけー、それじゃあ……減速解除!! そして加速オン!!」カチッ!!
ズドンッ!!!
魔女「アッ、チョ……!!」
それは一瞬。
杏子の銃の先端の赤い点が、一本の赤い帯となって、今まで全ての攻撃に耐えてきた魔女の体を貫いた。
さやか「よっしゃぁ、成功!」
杏子「サンキューさやか、あとは……」シュンッ
よろめく魔女の懐に入り込み、今しがた開けた風穴の中へと手を差し込む杏子。
魔女の体の中で手首を捻り、銃を上向きにする。
杏子「終わりだよ」
その声と同時に、杏子の赤い銃弾が魔女の頭頂部を砕いて天へと昇っていった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:02:43.45 ID:CMqSwLLa0<>
魔女「チェ……チェ……」ピキピキ……ピキ…
杏子は手を引き抜き、魔女の懐から離れる。
魔女の西洋人形のような体に少しずつヒビが入っていく。
魔女「チェ……ンチェ………イ………」ドシャガシャンッ
地に倒れたと同時に魔女の身体は卵が割れたかのように砕け、そして塵となっていった。
そしてその中に埋もれる、黒い宝石。
魔女を倒した証、グリーフシードが姿を覗かせていた。
まどか「やった……!」
結界が―― 閉じてゆく。
そして、舞台は再び街外れへと移った。
一本の足で地に立つグリーフシードを、ほむらが拾う。
QB「おめでとう、君達の勝利だ」
キュウベぇの言葉によって、一同の緊張の糸が解かれる。
五人は一斉に変身を解除した。 <>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:04:03.91 ID:CMqSwLLa0<>
杏子「ふぅ……とっとと」フラッ
ほむら「杏子……! 大丈夫?」タタッ
杏子「へへ、ちょいと魔力を使いすぎちまっただけさ。ほむら、悪いけどしばらく肩貸してくれよ」
ほむら「ええ、構わないわ」
まどか「杏子ちゃん、平気?」
杏子「心配すんなって」
マミ「お見事だったわ、佐倉さん」
さやか「うんうん、あんたの作戦を聞いた時はどーなるかと思ったけど、上手くいって良かった!」
まどか「さやかちゃん、作戦って?」
さやか「あ、えっとね……」
――― 回想・つぎはぎの魔女戦の最中 ―――
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:04:43.65 ID:CMqSwLLa0<>
杏子「ちょっといいか、さやか」
さやか「ん、どしたの杏子?」
まどか、ほむら、マミの三人が魔女に立ち向かう最中、杏子がさやかに声をかける。
杏子「その盾の魔法ってさ、減速もできるんだっけか?」
さやか「ん、多分ね。試してないからなんとも言えないけどさ」
杏子「じゃあちょっと試させてくれ。この小石をさやかに向かって投げるから、減速させてみてくれ」
さやか「ん? あ、あいよ」
そう言うと杏子は、足元に落ちていた小石を一つ、さやかに向かって放る。
カシャッ! カチッ
言われるがままに盾の魔法を発動し、念じるさやか。
チリーン
トライアングルの音ともに発動した減速の魔法は思惑通りに成功し、小石がまるで空中で静止したかのように留まる。
その様子にニヤリと口の端を吊り上げる杏子。
杏子「凄いじゃん、思ってた以上の効果だね。それじゃ解除してみてくれよ」
さやか「おっけー」カチッ
減速を解除したと同時に、飛んできた小石を手で受け止めるさやか。
杏子「さやか、あの魔女には生半可な攻撃じゃ通用しない。それこそ銃弾を百発ブチこむくらいしてやらないとな……だからさ―――」
――――――― <>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:06:02.05 ID:CMqSwLLa0<>
さやか「で、減速させた杏子の銃弾をしばらくの間その場に溜め込んで、頃合をみて減速を解除」
さやか「んで加速させて、ちゃんと一点に集中して当たるようにしたって事」
杏子「何回引き金ひいたか解んねーくらいだよ。だから下手に強力な技を使うよりも魔力を消耗しちまった……でも効果はバッチリだったな」
マミ「凄いわ、だから『水滴、石をうがつ』って言ったのね?」
まどか「合体攻撃だね、私とほむらちゃんがやったみたいに」
杏子「ま、そんなトコだな」
ほむら「……今日のグリーフシードは杏子、貴方一人で使いなさい。みんなも異論はないでしょう」
マミ「ええ、佐倉さんのお陰で早く片付いたもの」
さやか「うん、あたしもそんなに魔力減ってないし」
杏子「悪いね……そうさせてもらうよ」 シュゥゥゥ……
QB「みんな、ありがとう。今日の魔女をもし取り逃がしていたら、大変なことになっていただろう」
まどかの肩に乗ったままのキュウベぇが、感謝の言葉を並べる。
QB「見滝原のように魔法少女が徒党を組んで活動するということは滅多に無い事だからね。もしも他の街や国の魔法少女と鉢合わせしていたら……」
マミ「そうね。狙いがキュウベぇだけだとしても……」
ほむら「私のように攻撃に巻き込まれ、その魔法少女は運悪く命を落とすかもしれない」
さやか「一般の人だって、巻き添え食らう可能性もあるしね」
QB「そうだね。何にせよ被害は僕だけに収まらないのは確かだっただろう」ヒョイ
キュウベぇがまどかの肩から降りる。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:07:46.66 ID:CMqSwLLa0<>
QB「さて、解散する前に先程の話の続きをしていいかな?」
さやか「なんの話だっけ?」
マミ「今回の魔女はなぜ魔力を感知できなかったか、だったかしら?」
QB「うん。ソウルジェムが魔力の権化だとしたら、それの素は魂に他ならない」
QB「では魂の素とは何だろう? それは命だ。では命の素とは何か?」
杏子「頭の痛くなる話だな。疲れてんだから、要点だけ言ってくれよ」
QB「解ったよ。……恐らく今回の魔女は『人間であって人間ではない存在』だった。確か過去にそういった魔法少女と契約した情報を、他の個体から得ている」
まどか「どういうこと?」
QB「そうとしか言い表す方法がないんだ。人間として不十分な存在は魂も不十分な魂であり、ソウルジェムも不十分だった」
QB「だから魔女であって魔女ではない存在が出来上がったんだと思う」
ほむら「でもグリーフシードを落としたわ」
QB「魔女じゃないけど魔女だからね」
さやか「ま、まーもういいじゃん? とにかく無事に済んだわけだし! おしまいおしまい!」
マミ「……そうね。色々と納得のいかない点もあるけど、こういった魔女も居るって事が解ったものね」
杏子「ああ、解散解散。疲れたからアタシは休みたいよ」
まどか「そうだね、もう時間も遅いし。早く帰らないとパパに怒られちゃう」
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:10:53.35 ID:CMqSwLLa0<>
―――― 後日・ほむホーム ―――
QB「……それにしても、意外だったよ」
ほむら「何が?」
QB「君があの魔女を相手に戦ったことがさ。僕だけを狙う特異な存在なら、君は放置すると思ったからね。例え一般人に被害が及ぼうとも」
ほむら「そうね。キュウベぇの事は大嫌いだけど、他の皆はそういう訳でも無いから」
QB「他の皆が戦うから、一緒に戦ったということかい?」
ほむら「……そういう事にしておくといいわ。少なくともお前のためじゃないのは確かよ」
QB「そうかい」
ほむら「まぁ、もし私が魔女になったとしたら、この程度じゃ済まないわよ。この世から一掃される事を覚悟しておきなさい」
QB「君ならやりかねないな。肝に銘じておくよ」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/02(木) 18:25:47.23 ID:cpCSdq0bo<> 投下終わり? <>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:30:40.45 ID:CMqSwLLa0<>
……以上、これにて終了でございます。
戦闘シーンはもっと長かった(まどかフィンガーソードとかマミの矢弾豪雨とかやらせてました)のですが、
これ以上は目が滑ると思い、削りました。
杏子とさやかの合体技はジョジョ5部のクラフト・ワークを想像すれば解りやすいと思います。
<>
1<>sage saga<>2012/08/02(木) 18:39:28.32 ID:CMqSwLLa0<> 今まで最後に「終」って付けてたけど今回は忘れてましたね、すみません。
これからの予定ですが、おりこ組の武器を5人に割り振り(書き途中)と
最後にもう一回、安価にて魔女戦。
あとは上手く書けそうならおりこ組に5人の武器を割り振りってのも考えてます。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/02(木) 23:48:01.21 ID:LxAlNP3Ko<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/03(金) 05:56:03.05 ID:ATT5W0nIO<> あっちょんぶりけ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/04(土) 00:42:08.54 ID:rE0T5P0DO<> ピノコさんは一応臓器の集合体が自我を持ってたが魂レベルじゃないのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/04(土) 00:43:34.49 ID:hZbrDARxo<> ピノコだったのか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/04(土) 08:22:38.66 ID:QLLM9+HDO<> 妖精騎士まどかさん…素敵…! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/04(土) 18:02:18.67 ID:ZgqTcy0n0<> まだかなまだかな <>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:06:11.27 ID:JHvQNXsO0<>
――マミホーム
QB「みんな、集まってくれてありがとう」
ほむら「くだらない用事だったらタダじゃ済まさないわよ」
まどか「ほむらちゃん、怖いよ」
さやか「相変わらずキュウベぇに対しては辛辣だな……毒舌キャラでも開拓しようとしてるのかね、ほむらさん?」
杏子「もとからこんな感じだったろ。で、アタシ等呼び寄せて何の用だい?」
マミ「はいみんな、スコーンが焼けたわよ。紅茶と一緒に召し上がれ」 コトッ
まどか「わーい、いただきまーす」
杏子「いっただっきまーす」
さやか「おほー、うまそー!」
マミ「蜂蜜やイチゴジャムをつけて食べてね?」
QB「食べながらで良いから、話を聞いてくれるかな。実は君たちにもう一度、実験に付き合って欲しいんだ」
ほむら「実験とかいやらしいわね。とんでもないヤツだわ」
QB「いや、以前君達にやってもらった武器変更のことだよ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:06:50.32 ID:JHvQNXsO0<>
さやか「もう一回、弓と盾と剣と槍と銃を作れってこと?」モグモグ
QB「いや、以前の組合せではなくて、新しい3種類のものをお願いしたい」
ほむら「………」モグモグ
QB「概要を伝えると、こんな具合かな?」
1:爪。クロー。
2:意のままに動かせる浮遊物。
3:鎚。ハンマー。
杏子「1と3はともかく、2がイマイチよく解んねーんだけどさ」
まどか「うん、ちょっと想像しにくい感じだよ」
QB「申し訳ないね、そうとしか表現しようがないんだ」
ほむら「……簡単に言えば、投げる必要のないブーメランかしら。それを動かすのに腕はいらない、念じるだけで良いのよ」
さやか「なるほど。大体解った気がする」
QB「補足ありがとう、ほむら。ところでマミ、どうしたんだい、そんな楽しそうな顔をして」
マミ「え? あ、ああ! ご、ごめんなさいね、うふふっ」ニヤニヤ
ほむら「……(マミの琴線に触れたのね。まぁあれは確かにマミが好きそうな感じだったし)」
まどか「投げる必要の無いブーメラン、かぁ。う〜ん」
ほむら「難しく考える必要はないわ。自分の意思で自由に動かせるものをイメージすればそれで良いのよ」
QB「イメージの刷り込みはなるべくしないで欲しいな。武器の具現化に影響を与えてしまう」
ほむら「具現化、ね………ふふふ」ニヤニヤ
さやか「ほむらさんが気味の悪い微笑みを浮かべております」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:07:43.94 ID:JHvQNXsO0<>
QB「では早速お願いしようかな。概要にあげた順番に具現化をお願いするよ」
パシューン サールティーローヤーリィー パシューン パシューン パシューン
QB「それじゃあ爪からだ。念じてごらん、出でよ武器、と」
シュピーン
まどか「あれっ」
さやか「ん」
杏子「おっ」
マミ「うふふ」
ほむら「む……」
QB「思わぬ結果、と言った感じかな。リアクションも多様だ」
QB「ではまどか。君のものから見せてもらおうかな」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:08:10.45 ID:JHvQNXsO0<>
まどか「え、えーっと……」ニャーン
QB「これは……黒い……ネコの手、かい?」
ほむら「ふおおおぉぉぉ!!」クワッ
杏子「解ったから落ち着けよ」
QB「まるで着ぐるみの人形みたいだね。ちゃんと爪は出るのかい?」
まどか「う、うん。たぶん」ニョキッ
さやか「おっ、爪が出てきた」
マミ「機能もネコの手そのものなのね。うふっ 可愛らしいわ、鹿目さん」
QB「まどかにとって爪と言ったら、ネコの爪しか思い浮かばなかったのかな。残念ながら威力は期待できそうにないね」
まどか「うん。戦闘には向かない感じだよね」ニャーン
QB「この間の短剣と同様、もしかしたら媒体としての役割の方が大きいのかもね」
ほむら「つまりネコ耳や尻尾を生やせるということね? そうよね? まどか、早速やってみて。さあ早く。さあ」 フーッ フーッ
さやか「ほむらさん、鼻息荒すぎっすよ」
QB「ネコの耳やら尻尾はともかく、身体能力強化に特化してるのかもしれない。もしくは大して魔力を消費せずにそれを行えるとかね」
杏子「蝶のように舞い、蜂のように刺すってヤツか? それはそれで強そうだな」
ほむら「三本ヒゲも着けたらなおベターよ。まどかはこの世の『萌え』を終わらせてしまったわ」
さやか「どっかの空手家みたいなこと言ってますよ」
ほむら「次元を超えた存在と言うべきね。私達では到底辿り着けない完成された存在……それはまさしく神と言うにふさわし」
QB「戦闘には不向きに感じなくも無いが、そこはまどか次第と言う所かな。さあ次はさやかの武器といこうか」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:09:17.72 ID:JHvQNXsO0<>
さやか「あたしのはちょっと、ねぇ」チャキッ
QB「垂直な爪だね。まるで手首から剣が生えているみたいだ」
さやか「ありきたりすぎてスンマセン」
杏子「この形なら鉤爪と違って、突き刺すって言う攻撃も可能だな。攻撃のバリエーションが増える」
マミ「手首の所から直接出ているから、剣と違って弾き飛ばされる事も無さそうだわ」
ほむら「突進力を生かした攻撃なら、剣よりもこっちのほうが強力でしょうね」
さやか「なにこのフォロー。みんなでさやかちゃんを慰めてくれてるの?」
QB「いいや、シンプルが故に解りやすいって事なんじゃないかな」
ほむら「基本的に剣と変わってないと言えば、それで終わりなのだけどね」
さやか「それを言われると辛いとこだなー」
まどか「剣よりもさらに前衛的って感じだね」
QB「そうだね、基本的には剣で戦うスタイルとは大きな差はなさそうだ」
マミ「美樹さんは槍の時にパタを思い浮かべたくらいだから、ジャマダハルとかが来るかと思ってたけど」
さやか「あ、あれは偶然なんで。そもそもあたしはそんな博識じゃーないんですよー」
マミ「ちょっと残念だわ。とても似合うと思うのに」クスッ
QB「前衛思考は変わらないね。では次は杏子のを見せてもらおうかな」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:09:54.00 ID:JHvQNXsO0<>
杏子「へへっ、悪くない感じだよコレ」ガチンガチンッ
QB「これは個性溢れるね、解体重機のアームみたいだ。」
マミ「腕全体を覆うガントレットに、先端にはモノを掴める指が三本。破壊的ね」
さやか「ビグロみたい」
まどか「うわぁ、とっても強そうだね!」
ほむら「まさに鉄の塊ね。爪というよりも単純に格闘武器としての役割かしら」
杏子「ちょっと重たいけどな。これならどんな魔女でもブッ潰せそうだ!」ガシンガシンッ
QB「攻撃以外にも捕縛の用途としても役に立ちそうだ。その爪で掴まったら逃げ出すのは容易ではないね」
杏子「先端の部分だけ飛ばして、相手をとっ捕まえるってか。そりゃ良いアイディアだな」
さやか「ワイヤークローみたい」
まどか「さやかちゃん、アニメの話ばっかだね」
ほむら「爪は爪でも、鳥の爪がベースなのかしら。切り裂く事よりも、掴む事と殴打に傾倒しているわ」
QB「猛禽の爪か。あながち間違っていないかもね」
マミ「天使の羽は猛禽の羽。教会の生まれの佐倉さんの爪は、鷹の爪なのね」
杏子「そんな小難しいこたぁ考えちゃいないんだがねぇ。ま、なかなか気に入ったよ」
QB「基本的に杏子の生み出す武器はシンプルなものが多いね。次はマミの爪の番だ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:11:00.01 ID:JHvQNXsO0<>
マミ「うふっ、さぁごらんあれっ」ブァッ
QB「マミの肩から羽……いや、翼が生えた!?」
まどか「わぁ、マミさんステキ!」
さやか「うおおー、かっこいいです!」
杏子「こりゃまた随分と派手だねぇ。でもよく似合ってるぞ」
マミ「翼と言い直した点は合格よ、キュウベぇ」ニコッ
QB「いや、正確には翼の形状をした……袖、なのかな? そして羽の先から鋭利な錐状の爪が出てきている」
ほむら「……コレといった特殊な使い道はなさそうね。純粋な爪としての武器かしら」
マミ「ええ、派手なのは見た目だけね。武器としてはただの爪よ」ファァ……
杏子「爪から羽が舞ってるぞ」
QB「剣の時同様、幻影だね。優美な印象を強める演出という訳か。優雅さを求めるマミらしいね」
さやか「流石と言うか何というか……こういうアイディアじゃ勝てないなー」
QB「この実験はあくまでイメージの具現化だからね。各々のセンスに差が生じるのは仕方のない事だよ」
マミ「美樹さんだって、今まで音楽に関連する素敵な武器を生み出してるじゃない?」ニコッ
杏子「そうそう。アタシやほむらなんざ魔法少女らしくない武器ばっかだったし」
さやか「なんかスンマセン」
QB「爪と言う武器自体、古来より暗殺などに用いる特異なものだからね。そこから豊かな発想を生み出すのは難しいと思うよ」
QB「さあ、最後はほむらだ。一体どんなものを見せてくれるのかな?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:11:32.45 ID:JHvQNXsO0<>
ほむら「………」ファサッ
QB「むっ……ほむら、君の武器は具現化されていないね。もしかして実験失敗かな?」
ほむら「いいえ、失敗じゃないわ」ファサッ
まどか「あれ? なんかほむらちゃんの髪の毛、ちょっと伸びてるような……」
ほむら「………」シャキンッ
さやか「うわわっ!? 髪の毛の先端が刃物になってる!?」
杏子「なんだそりゃっ!? 爪じゃねーじゃん!?」
QB「こ、これは驚いたな。まさか髪の毛の先端が鉤爪になっているだなんて」
マミ「まるで暗器の使い手みたいね。相手に武器を持っていると悟られないと言う……」ゴクリッ
ほむら「一番身近なものを武器とするのが賢い戦い方よ」ファサッ
杏子「だからって髪の毛はねーだろ。つーか爪じゃねーし……」
ほむら「形状はちゃんと爪よ」
さやか「相変わらずの屁理屈全開だなー。今時格ゲーでも居ないよ、こんな中二キャラ」
まどか「とってもかっこいいよ、ほむらちゃん。暗殺者みたい」
ほむら「その一言を貰えただけで充分よ、まどか」
さやか「褒め言葉として受け取んのかい」
QB「いやいや……なんとも奇天烈な発想だよ。爪だと言うのにまさか髪の毛から爪を生やすだなんて」
ほむら「お前の言うがままに実験に付き合うのも、なんだか癪だから」ファサッ
杏子「ガトリング砲の時はノリノリだったクセによ」
QB「……まあ一応形状は爪だしね、良しとしようか。さあ次の武器をお願いするよ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:12:19.31 ID:JHvQNXsO0<>
QB「意のままに動かせる浮遊物……どのような物となるか、楽しみだよ」
シュピーン
まどか「わぁっ」
さやか「ん?」
杏子「うげっ」
マミ「うふっ」
ほむら「ふふ……」
QB「ほむらの声から嫌な予感しか感じられないよ。こういうのを悪寒と言うんだね」
QB「気を取り直して、まどか。きみの意思は何を表したのかな?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:12:49.59 ID:JHvQNXsO0<>
まどか「えっと、こんな感じだよ」フヨフヨ
QB「青・赤・黄・紫色に光る水晶玉が一つずつか。なるほど、これは皆のシンボルカラーを表しているんだね」
まどか「うん。私を守ってくれるとっても大切でいて、頼れるものだよ」
QB「依存……いや、共存と言うべきかな。まどかが居て皆が居る、皆が居てまどかが居る」
QB「まどかの強い思いが反映されているお陰か、強大な魔力を感じるよ。攻防一体となる最強のものとなりそうだ」
さやか「さすがはまどか。みんなと常に一緒にありたいと思っちゃうコなんですねぃ。愛いヤツめーっ」
杏子「仲間への思い、か。優しいまどからしいというか」
マミ「ふふっ、なんだか照れちゃうわね」
ほむら「一番はもちろん紫よね?」
QB「しかしこの球体から感じる僅かに奇妙な魔力……この場にいる皆を表したものだとしたら、もしかして……」
ほむら「一番は紫よね?」
QB「いや、流石にそれは無いか。だが、それが可能だとしたら……」
ほむら「紫よね?」
まどか「ほ、ほむらちゃん。そんなに詰め寄られるとっ」アセアセ
杏子「ほれ、まどかが引いちゃってるぞ。そろそろやめとけ」
まどか「一番を決めるのは難しいよ。みんな大好きな友達だから」
さやか「まどかはあいかわらず天使ですなぁ」
QB「鹿目まどか……やはり君からは無限の可能性を感じるよ。さて、次はさやかの番だね」 <>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:13:53.29 ID:JHvQNXsO0<>
さやか「あたしのは……なんか車輪が出てきた。あと指揮棒」
QB「木製の車輪に、指揮棒が付与か。さやからしく音楽に関する何かなのかな?」
さやか「でも車輪を使う楽器なんて聞いた事無いし、あったとしても知らないよ?」
ほむら「……指揮棒で車輪を操れると思うわ」
さやか「え? どれどれ……あ、ホントだ」 ヒュッ シュンッ
杏子「どーして解ったんだ?」
ほむら「……なんとなくよ」
マミ「その割には確信めいた感じだったわ。もしかして、美樹さんと車輪に心当たりが?」
ほむら「世の中には知らなくていいこともあるものよ」
さやか「気になる言い方だなぁ。にしても、指揮棒を使わないと操れないんじゃー使い勝手はイマイチかも」
ほむら「車輪一つに対しての魔力の消耗はとても低いはずよ。長丁場に向いてるわ」
まどか「ほむらちゃん、詳しいなぁ」
さやか「数で勝負ってヤツですかー。でもこの車輪すごく脆そうだし、攻撃は人海、防御は肉壁って感じかな?」
QB「さやかと車輪の関連性は見受けられないが、これはこれで個性的で良いんじゃないかな」
杏子「いざとなったら車輪の中に入って、走って突撃だな」
さやか「さやかちゃんはそんなハムスターみたいなマネはしません」
QB「さやかのものは色々と謎の多いものになったね。さあ次は杏子の番だよ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:14:25.57 ID:JHvQNXsO0<>
杏子「…………」キラキラッ キラキラッ
QB「これは見事だね。銀色が眩しいロザリオだ」
さやか「にひひー、またまた来ちゃったですねぇ、杏子ちゃんの聖女属性」ニヤニヤ
ほむら「だから『うげっ』って声を出したのね」
まどか「きれーい。とってもステキだよ、杏子ちゃん!」
マミ「うふっ、やっぱり佐倉さんは教会の娘なのね?(……ちょっと羨ましいデザインだわ)」
QB「攻撃よりも防御に傾倒しているようだね。杏子の表す武器は毎度の事ながら、両極端だ」
杏子「うーん……アタシとしちゃあ、もっとこう、ワニの口みたいなものが出るかと思ってたんだがなぁ」
QB「己を知るは他人と言うからね。自分の思っている以上に、自己のことは把握できていないものだよ」
さやか「むしろ杏子にはこーいうやつの方が似合ってると思うんだけどねぇ?」
マミ「そうね、佐倉さんの本来の部分は素直で優しいから。意思は他者を守れるものを具現したんじゃないかしら?」
杏子「べ、別にそんなんじゃねーし。ガキの頃の刷り込みで、たまたまロザリオが浮かんだだけだっての」
QB「信仰は人を救うと信じて疑わなかった面が伺えるね。まぁ宗教観念は抜きにしても、杏子の他者を救いたい願いが表れたものだろう」
ほむら「ソウルジェムの収まってる金具も、よく見るとロザリオに似た形をしているものね。極自然だわ」
杏子「………////」
まどか「ウェヒヒ杏子ちゃん、耳まで真っ赤だよ」
杏子「う、うっさいなぁ! もうアタシのはいいだろ! おわりおわり!!」
QB「やれやれ、それじゃあマミのを見せてもらおうかな」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:15:35.19 ID:JHvQNXsO0<>
マミ「私のはコレよ」パタパタ
QB「透明な球体の中に一つ目、細い輪が縦周りに一つ。そして天使の羽が生えて飛んでいる。マミにしてはちょっと禍々しいと言うか」
さやか「ちょっとイメージに合わないと言うか。マミさんならこう、ラフレシアとかエルメスとかキュベレイみたいな」
ほむら「エルメスの名前は口にしてはダメよ」
まどか「さやかちゃん、何言ってるか解らないよ」
QB「マミ、これは一体何だい?」
マミ「これは『ラジエル』……神の玉座を囲む天幕の中に立っていて、全てを見聞きする『秘密の領域と至高の神秘の天使』よ」
杏子「座天使の長だな。知識の書物、『セファー・ラジエール』を持っていて、それをアダムに与えたっていう」
さやか「さすが元教会の娘だわ。こういう分野は詳しいね」
杏子「他意は無いって解ってっけど『元』はつけるな、元は。……ま、聖書なんざ暗唱できるほど読んだからね」
マミ「ラジエルは天王星の象徴。そして全てを示現し見透かす神の目……是なる前には何者をも秘密を見透かされるわ」
マミ「そう、それは『滅び』すらも見える恐怖の目。その目に捕らわれた者の運命は全ての感情を奪い、そして残るのは無常だけ」
マミ「訪れる事を知った災厄は恐怖しか生まない……喜怒哀楽、ラジエルの前では何もかもが無。それゆえに他の天使達からは……」ウットリ
杏子「しばらくほっとこう。ありゃ結構長くかかるぜ」
QB「まあ、とにかく攻撃に重点を置いているものらしい」
QB「マミの講釈はそれから20分ほど続いたよ。弁が立ってか舌が乾いて紅茶を飲み干した時にようやく終わってくれた」
QB「最後はほむら、君の番だ。まあ嫌な予感しかしないけどさ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:16:57.20 ID:JHvQNXsO0<>
ほむら「私のはこれよ」ホムラチャッ ホムラチャッ キュプッ キュプッ
QB「小さいまどかと、僕だね」
さやか「どっちも二頭身にデフォルメされてる。結構カワイーじゃん?」
マミ「そうね、武器というよりもフィギュアみたいだわ」
杏子「売り物だっつっておもちゃ屋に並んでても違和感無さそーだな」
まどか「よくできてるねー、キュウベぇの可愛いなぁ。思わず持って帰りたくなっちゃうよ」
QB「この際武器かどうかは問わないでおこう」
ほむら「立派な武器よ。まどフェアリーは弓で攻撃してくれるし、バリアも張ってくれるわ」ファサッ
QB「見た目はともかく、武器として機能はするんだね。小さい僕のほうはどんな機能があるんだい?」
ほむら「何もないわ」
さやか「意味ねー! 何のためにあるんだ!?」
ほむら「ああ、一つだけあるわ。潰すと断末魔と共に飛び散る」
杏子「八つ当たり用じゃねーかよソレ!!」
マミ「チビべぇをいじめないであげて、暁美さん」
QB「予想の斜め上をいくね、ほむら。流石と言うか何というか」
まどか「ほむらちゃん、さすがにひどいよ……」ヒキッ
ほむら「じょ、冗談よ。コホン……キュウベぇ、もう一度、具現化いいかしら?」
QB「構わないよ。と言うよりも君は冗談でこの形状に具現化させたのかい。ある意味凄い才能だよ」
ほむら「私の意思は私の思うが侭。変幻自在・自由自在よ」ファサッ
さやか「ただのサドだろ、アンタの場合」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:17:37.37 ID:JHvQNXsO0<>
シュピーン
ほむら「……出てきたわ」
QB「黒い正方形の浮遊物体、だね。さっきのは本当に冗談だったのか」
QB「しかしまどかのものと同様に、強大な魔力を感じるよ」
マミ「予想外ね。てっきり鹿目さんに関連した物が出てくると思ってたのに」
杏子「そーだな、アタシもピンク色に光るものとかが出ると思ってたよ」
ほむら「……きっと、私の心が穢れすぎているのよ。だから、澄んだ輝きのものは出てこないわ」
さやか「うひゃーっ、また発症しちゃったよーほむらさんの中二病。『私の心が穢れすぎているのよ(キリッ)』だってさ」
ほむら「そうね……」ニコッ
さやか「え?(……なにこの寂しげな微笑み。いつもは半ギレしてくるパターンなのに)」
まどか「ほむらちゃん……」ダキッ
ほむら「……ありがとう、まどか」
マミ「無言の抱擁ね。ステキな友情だわ」
杏子「さやか、空気読めよ」
さやか「えっ、なんで悪者?」
QB「心が穢れている、か。ほむらが言うとなんとなく重たい気がするね」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:18:21.77 ID:JHvQNXsO0<>
QB「さて、先程のは漠然として理解し辛くて済まなかったね」
QB「今回は鎚、すなわちハンマーだ。一体どんなものになるのかな?」
シュピーン
まどか「わぁっ」
さやか「うー」
杏子「おー」
マミ「あらっ」
ほむら「……」
QB「今回はさやかを除いて好感触のようだね」
QB「さあまどかからのハンマーからお願いしよう」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:18:49.30 ID:JHvQNXsO0<>
まどか「うん、けっこう良い感じだよ!」キラキラッ
QB「ふむ、見た目は大きいおもちゃの様だが、色はピンクを基調にしてカラフルだ。叩く面に星のマークが付いているね」
杏子「小さな星がキラキラこぼれてるな」
QB「幻影だね。ハンマーの振り下ろしと流星を掛けてるのかな?」
さやか「たっくんの影響でピコピコハンマーかと思ったのになぁ」
マミ「魔法少女らしいメルヘンな見た目ね。とっても可愛らしいわ」
ほむら「武器の大きさと、まどかの身体の小ささとのアンバランスさが魅力を引き立てるわね。見事だわ、まどか」
QB「その様子からして、軽くて高性能と言う事だろうね」
まどか「うん、プラスチックのおもちゃみたいに軽いよ」
QB「非常にシンプルな武器だが、魔力に満ちている。殴打もさながら魔法攻撃にも適用していると言った具合かな」
杏子「まさしくマジカルハンマーってとこだな。カッコいいぞ、まどか!」
ほむら「まどかの無双姿が目に浮かぶわ」
さやか「ゴルディオン・クラ……」
マミ「美樹さん、思っていても言わないのが華よ?」
QB「無骨なハンマーも、まどかの手に掛かれば可愛らしい武器へと変化するんだね。さあ次はさやかのをいこうか」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:19:32.59 ID:JHvQNXsO0<>
さやか「うーぬ……」シャランッ
QB「これは……ハンマー部分が、ドラムとシンバルを並べたような見た目になってるね」
さやか「ちょっと見た目的にイマイチ感が拭えないさやかちゃんです」
QB「しかし、この形状と今までのさやかの武器からして、特殊な用途や攻撃方法があるのは確かだね」
杏子「ドラムの面でブッ叩くとして、シンバルの面のほうはどう使うんだ?」
QB「恐らく衝撃波とかが発生できるのかも知れないね。物理的な部分と魔法的な部分が明確に分かれているんだろう」
マミ「衝撃波……それなら、攻撃にも防御にも使えそうね」
さやか「ううーむ。さやかちゃん的にはカスタネットみたいな物が出来ると思ってたのになぁ」
QB「もしさやかの述べた形状だとしたら、攻撃一辺倒のシンプルなハンマーになっていただろう」
QB「でもこのハンマーは攻防を兼ね備えたものだろうから、こちらの方が武器としては上位だと思うよ」
まどか「その柄の所のレバーで、シンバルを操作できるんじゃないかな?」
さやか「おっ、コレかぁ。ちょっと試しに軽くっと……」シャリンッ シャリンッ
ほむら「僅かに魔力の波動を感じるわね」
まどか「あっ、ハンマーがうっすら青く光ってるよ」
QB「どうやら武器自体の強化も行えるらしい。やはりさやかの武器は特殊な物が多いね」
さやか「性能は良くても見た目がなぁ。見た目重要です」
QB「美的感覚よりも効率性を求めるほうが魔法少女として正しいとは思うけどね。では杏子の番といこうか」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:20:30.30 ID:JHvQNXsO0<>
杏子「へへっ、アタシのはこんな感じだよ」ズイッ
QB「この形状は戦鎚かな? ハンマー部分とピック部分と分かれていて、そして槍のように垂直に尖った先端も付いている」
マミ「ホースマンズ・ハンマーね。叩く、突く、引っ掛けると三種の攻撃が出来るヘッドを持った武器よ」
まどか「マミさん、詳しいなぁ。凄いです」
マミ「本来は歩兵が片手で持てるくらいの大きさなのだけど、佐倉さんのものはとても大きいわね」
さやか「ちぇーっ、トゲトゲハンマーとかが来るかと思ってたのに」
杏子「殴って潰す、引っ掛けて倒す。突き刺す! 殴って効かない敵にはピックで穿つ! 完璧さ!」
QB「まさか戦鎚とはね。しかし戦闘面での効率を考えたら悪くない代物だ」
QB「杏子が自分で言ったように、攻撃バリエーションが豊富だからね」
ほむら「反面、魔力は感じられないわ」
QB「物理攻撃に特化したものだからね」
杏子「ちょっと重いけどな! でも大丈夫さ!」
QB「これを振り回しているだけで、大抵の魔女は粉砕されてしまうだろうね。いやいや凄まじい」
さやか「トゲトゲハンマーが良いのにー」
マミ「美樹さんの言ってるのはモルゲンステルンの事でしょうね」
さやか「わかんないけど、多分それです」
杏子「トゲトゲハンマーじゃー棍棒みたいだろ? アタシはちゃんとハンマーを具現させたんだからさ」
QB「ルールに沿ってくれてありがたいよ」
ほむら「耳が痛いわね」
まどか「自覚はあったんだね……」
QB「杏子のハンマーは攻撃一辺倒の強力なものとなったね。今度はマミのハンマーを見せてもらおうかな」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:21:41.07 ID:JHvQNXsO0<>
マミ「私のは、これよ」スチャッ
QB「何だか随分と近代的な見た目だね。ヘッド部分が銃のリボルバーみたいになっていて……」
マミ「殴打の面は銃口を模して、反対側はロケットブースターよ」ニコッ
QB「凡そ魔法少女らしからぬ形状だね。非常に個性的だ」
さやか「何だかどっかで見たことあるよーな」
マミ「殴打の際にはリボルバーに魔力を込めて、このトリガーで銃口から発火するの。反対側のブースターは推進速度強化のためよ」
杏子「すげーな、ロケットハンマーか!」
ほむら「ミサイルで直接殴るみたいな感じかしら。一風変わったハンマーね」
マミ「ええ。ガンハンマーと名付けるわ」
まどか「カッコいいなぁ、マミさん」
さやか「どっかで聞いたことあります」
QB「なるほど、ロケットの推進、ハンマーの攻撃力、銃の火力を兼ね備えた武器か」
QB「杏子のものとは一線を画した、攻撃特化の方向だね。しかし扱うのには骨が折れそうだ」
マミ「そうね。魔力の消耗も激しいし、火力を高めて攻撃したら爆発で周囲を巻き込みかねないわ」
QB「よりよい戦闘の運びを求められるだろうね。まあマミなら大丈夫さ」
マミ「ありがとう、キュウベぇ」
QB「さて、最後はほむらだ。無言だったが、一体どんなものとなったのかな?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:22:45.64 ID:JHvQNXsO0<>
ほむら「望み通り、ちゃんと巨大ハンマーにしたわよ」ヌゥゥゥ
QB「これは、まあ確かにハンマーである事に変わりはないだろうけど」
まどか「うちのパパもこれを使ってるのを見るよ」
さやか「う、うーん……」
マミ「で、でもこれは……」
杏子「……なんだコレ?」
ほむら「肉たたきよ。ミートハンマーとも言うわね」ファサッ
QB「調理器具を武器にするというのも、中々面白い発想だね」
ほむら「いいえ、別に調理器具を元にした訳ではないと思うの」
まどか「でもほむらちゃん、これってお肉をトントン叩いて柔らかくするやつだよね?」
ほむら「ええ。でもこれで肉をひたすら叩き続けたら、どうなると思うかしら、さやか」
さやか「何であたしに聞くんだよ。まぁペラペラになっちゃうんじゃない?」
ほむら「愚かね、グチャグチャに潰れるのよ。想像してみなさい、自分が肉たたきでミンチになる様を」
さやか「するかよ!」
ほむら「そうよ、全て肉塊になるのよ……このハンマーで、何もかも」ニヤニヤ
まどか「ほむらちゃん、怖いよ……」
ほむら「シンプルゆえに威力は折り紙付よ。試してみるかしら?」スチャッ
QB「僕に向かって構えるのは止めて貰えるかな」
マミ「ダメよ暁美さん、掃除が大変じゃない」
杏子「何気にヒドイ事言ってるぞ、マミ」
QB「………」
QB「ほむらの破壊力を求める一面がまた垣間見えたね。さて、以上で終了だ。みんな、付き合ってくれてありがとう」
<>
1<>sage saga<>2012/08/04(土) 19:24:26.90 ID:JHvQNXsO0<>
まどか「キュウベぇ、今回の武器も魔女退治の時に使っていいの?」
QB「いや、今回のは本当に純粋な実験だからね。実戦投入は行わない予定さ」
杏子「なーんだ、じゃホントただの暇つぶしじゃん」
さやか「まぁ良いじゃん? もともとちょっとしたマンネリ対策だったわけだしさ」
マミ「キュウベぇ。私ならいつでも実践構わないからね? 遠慮なく言ってね」
QB「ありがとう、マミ。検討しよう」
ほむら「私も構わないわよ」
QB「君は僕を潰してみたいだけだろう?」
ほむら「そうとも言うわね」
ほむら「…………」
終 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/04(土) 19:44:10.60 ID:hZbrDARxo<> 投下終わり? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)<>sage<>2012/08/04(土) 19:44:16.06 ID:Oa4oCkfso<> >今時格ゲーでも居ないよ、こんな中二キャラ
ミリア<ガタッ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/04(土) 20:59:33.55 ID:fe+7BTgzo<> ほむらならマスブレードにするかと思った
>>一乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/04(土) 22:16:11.76 ID:Flw+roh1o<> 乙
ほむほむのハンマーは
ゴルフクラブが具現化するかと思ったが
そんなことはなかったぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/05(日) 05:44:49.78 ID:1iDvIqRIO<> 乙ー。
ハンマーから質量の方に思考が移動して何故か五十万屯戦艦しか思い浮かばなくなってしもた。
五月蝿え戦艦ぶつけんぞ、になってしまう。 <>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 15:14:33.37 ID:UIB65ota0<> まど水晶は時止め・回復・幻惑・具現化リボンと4人の魔法が使えるチート設定だよ!無敵だよ!
ほむハンマーは対QB前提だよ!ミンチだよ!
今まで安価くれた方々お付き合いありがとう、>>1の書く魔女戦も次で終わりだよ!
えー申し訳ないですが、次の安価に織莉キリゆまの武器は無しにします。
今までの弓・剣・槍・銃・盾でお願いしまっさ。
あとデフォルトの組合せ(まど:弓 さや:剣 とか)アリ、武器被りもアリでいこうと思います。
そいではもうちょい>>1の戯れにお付き合いくだせい。
まど:>>325
さや:>>326
あん:>>327
マミ:>>328
ほむ:>>329
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/05(日) 15:23:35.82 ID:i25rkLZko<> 銃
あんこの爪戦闘見たかったなぁ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/08/05(日) 16:01:46.58 ID:29b2VU3go<> 銃 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/05(日) 16:11:26.23 ID:p7kXFhjIO<> 弓 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/05(日) 17:25:56.32 ID:Sg4KpSpDO<> マミさんだし原点帰りで良いか?
銃で。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/05(日) 17:28:12.63 ID:BN5MLvpIO<> あんこハブもあれだし刀 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/05(日) 17:31:40.71 ID:BN5MLvpIO<> おもちゃ銃
ギター銃
剛弓
マスケット銃&大砲
灼刀
か <>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:16:37.41 ID:UIB65ota0<> 安価感謝ー、武器の偏りっぷりに私は大歓喜です(´∀`)
今回の投下は何回かに分けて行いますので、お付き合い頂ければと思います。 <>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:17:35.82 ID:UIB65ota0<>
夭死の魔女編 序章
最初にその異変に気付いたのは、街中での事。
『あら、紅茶がもう残り少ないわ』
『ああ、じゃあアタシが買いにいくよ』
『悪いわね、佐倉さん。それじゃあ明日にでも頼んでいいかしら?』
『いーよ、マミが学校から帰ってくるまでに済ませておくからさ』
『お店への地図と、葉っぱの名前のメモ、あとお金を置いていくから、宜しくね?』
このやり取りが行われたのが昨日の夜。
マミに頼まれた買い物を済ませ、上機嫌で帰宅している最中の杏子。
杏子「なんだ? ……魔女の、気配?」
指輪にしたソウルジェム越しに感じる、強力な波動。
魔法少女のものとは異なる禍々しい力に、思わず眉をひそめる。
杏子「……ちょいと探してみるか」
マミお手製のエコバッグを片手に、杏子は歩き始めた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:18:11.72 ID:UIB65ota0<>
―― 路地裏 ―
落書きされた塀の囲まれた道を進む。
ソウルジェムは相変わらず魔女の波動に震えていた。
杏子「っかしーなー。確かに感じるんだけどなー」
胸中の疑問が思わず言葉にて漏れる。
歩けど歩けど、その気配は近まるがなく、逆に遠ざかることも無い。
QB「杏子じゃないか」
ふと、後方から馴染みのある声が聞こえる。
杏子「キュウベぇじゃん。どした、こんなトコで」
QB「君のほうこそ。こんな所で何をしてるんだい?」
トコトコと歩いてくるキュウベぇに、杏子は身を屈めて腕を差し出す。
無言の承諾と見て、キュウベぇはヒョイとその腕に飛び乗り、肩へと移る。
杏子「あー、いやな。魔女の気配を感じたんだが、これが不思議な感じでねぇ」
肩に乗ったキュウベぇに語りながら、杏子は再び歩き出す。
杏子「なんつーかさ。こう、漠然とした感じなんだ。確かに魔女の気配なんだけど、気配が強くも弱くもなりゃしない」
QB「なるほど」
杏子「大体魔女とか使い魔ってのは、巣を張って獲物を待つだろ? だから気配を辿っていけば、必ず巡り合えるモンなのにさ」
エコバッグの中からスティック付きキャンディーを取り出し、口に銜える。
<>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:20:21.07 ID:UIB65ota0<>
QB「魔女が杏子の追跡に気付いて、一定の距離を保っている可能性はないかい?」
杏子「まっさか。魔女にそんな知恵があるわきゃないだろ」
QB「条理を覆すのが魔法少女なら、魔女もそれと同義だ。可能性はゼロではないと思う」
杏子「……仕方ないね、そんじゃちょっと身軽になっかな」
パシューン
杏子「キュウベぇ、しっかり掴まってろよ」ダンッ
魔法少女姿へと変身した杏子は、壁を蹴って上空へと向かった。
――― 30分後・陸橋の上 ――
変身を解いた杏子の姿がそこにあった。
手すりに寄りかかったその横には、キュウベぇの姿も。
QB「結局見つからなかったね。確かにソウルジェムは光っているのだけど」
杏子「ああ。何だろうなコレ。電化製品じゃーあるまいし、故障とか有り得ないよな?」
QB「ソウルジェムが誤作動を起こすなんて言う事態は、今まで見た事も聞いた事もないね」
杏子「まー街中見回っても特に異変は無かったしなぁ」
QB「これだけ広範囲に渡ってソウルジェムが反応しているんだ、他の皆も同じ事態に陥っているかもしれない」
ちっ、と舌打ちを一つ。
杏子「ケータイ持ってないしな、アタシ。まぁ帰ったらマミにも聞いてみるよ」
そんじゃーな、とバッグを翻し、帰路につく。
QB「不可解な事態が起こっている可能性があるかな。僕もちょっと見て回るか」
そう呟くとキュウベぇは手すりから降り、あても無く歩き出した。
<>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:21:48.73 ID:UIB65ota0<>
―― 時刻は夜8時 街中 ――
街の中でも一際ディープな空間。
ぎょふっぎょふっ、どぅふふっと言ったような奇声が聞こえてきそうな、とある一画。
目当てのアニメグッズを買い終え、ご満悦な様子の男性が二人歩いている。
『今期の深夜帯はネ申(ねもう)だね』とか『鑑賞用と保存用の二つ、バッチリ予約でござる』などと濃い会話が成されていた。
「ねえねえお兄さん」
あどけなさの抜けない、澄んだ声が、二人にかかる。
男性が声のした方へ振り向くと、そこには小さな少女が立っていた。
陶器のように滑らかで美しい白い肌に、絹布のようなさらりとして柔らかい髪の毛は、金色。
頭頂部には汚れを知らぬ純白のリボンが可愛らしく結ばれ、青い子供用のドレスに身を包んでいる。
両手を後ろに回して笑顔で語りかけてくるその少女は、蠱惑的なまでに美しかった。
「あのね、私、この街に来たばっかなの。だから、この街のことよく知らないから、教えてくれる?」
上目遣いに願い事をする少女に、男性達は『きたー』とか『白人幼女マジ天使』とか言って騒いでいる。
二人は二つ返事でかえすと、少女はその瞳を輝かせた。
「ほんと? お兄さん達、優しいのね。あのね、私まだお友達がいないの。だからお兄さん達、私のお友達になってくれる?」
少女の言葉に大きく頷く男性二人。
『勝ち組確定』『二人で写メ取ってうpする』とか、大はしゃぎ。
「ありがとう! 私とっても嬉しい! それじゃね、えっとね ―――――
<>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:22:43.20 ID:UIB65ota0<>
死んでくれる?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/05(日) 23:24:36.38 ID:UIB65ota0<>
夜は、何事も無くゆっくりと更けていった。
序章・終 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/08/06(月) 00:30:41.30 ID:0lSVacZXo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/06(月) 00:34:50.03 ID:hZNfuW01o<> アリスか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/06(月) 07:35:35.29 ID:wtO19VaDO<> アリスだよなこれ
マミさんのハンマーってヴィータのだよな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/06(月) 07:38:03.23 ID:wtO19VaDO<> 参考に聞きたいが>>1はどういった感じで魔女考えてるの?
オリジナル魔女って俺も考えて出したりするが考えるのムズくない? <>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 22:57:16.85 ID:vbrgAbtG0<> >>342
自分の魔女はパクリ元……もとい、オマージュばっかなので何とも言えませんが、まどマギ内で引っ張れば、上条の立場をまんま魔法少女に置き換えたとして、
怪我する→契約して手を治す→自分より才能のある人に嫉妬する→自分に嫌気がさす→絶望して魔女→弦の魔女:性質は嫌悪
っていうふうに、割と適当です。
まどマギの魔女は『こういう形・性質をしたのが魔女である証で、それを覆してはならない』みたいな定義がないので、好き勝手に考えてます。
と言うことで、語りはここらにしておき、本編投下といきます。 <>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 22:58:08.34 ID:vbrgAbtG0<>
夭死の魔女編・2
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 22:59:00.09 ID:vbrgAbtG0<>
さやか「やっぱり杏子も感じ取ってたんですか?」
マミ「ええ、そうみたいなの。それで街の中をパトロールしてくれたみたいなのだけど……」
昼休み。
学校に通う四名は屋上にて昼食を取りながら、会話をしている。
授業の内容、日ごろの愉快な出来事、担任の愚痴など、学生らしい談笑に始まり、そして――
ほむら「その口ぶりじゃあ、魔女は見つからなかったと言うことかしら」
マミ「魔法少女に変身して駆け回ってまで探してくれたみたいなのに、ね」
魔法少女としての、打ち合わせ。
まどか「昨日はあれから一日中感じてました。ソウルジェムがずっと輝きっぱなしだったんです」
さやか「同じーく」
マミ「おかしな話ね。こんな事は初めてだわ」
まどか「キュウベぇもおんなじ事言ってました。『こんな事態は初めてだよ』って」
うーん、と考え込む一同。
サンドイッチを口の中に放り込むさやか、手作りのお弁当を食べるマミ、父親お手製のお弁当のまどか。
そして購買でパンを幾つか買っただけのほむらが、答えあぐねる様子であった。
友達の異変に気付いたのは、まどか。
まどか「ほむらちゃん? どうかしたの?」
ほむら「……いえ、何でもないわ」
マミ「暁美さん、何か心当たりでも?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:08:13.13 ID:vbrgAbtG0<>
ほむら「いいえ、心当たりはないわ。でも少し引っ掛かると言うか……」
顎に手をやり、黙考するほむら。
こりゃ話したくないのかな、とさやかが天を仰ぐ。
マミ「そう。でも思う事があるのなら遠慮なく言ってね。解決の糸口に繋がるかもしれないから」
まどか「うん、私たちは街を守る魔法少女で、そして何よりお友達なんだから」
さやか「うんうん。何でも申すがよいぞ」
皆の暖かい言葉に、思わず顔が綻ぶ。
ほむら「ありがとう、みんな」
―――― 街外れ 工場地帯 ――――
今は稼動していない工場の一画。
排気のために作られた地上100メートルはあろう巨大な煙突。
そこに座り込み、街を一望するのは真紅の少女、佐倉杏子。
いつものラフなパーカーとショートパンツ姿ではなく、魔法少女のドレスに身を包み、その手にはマミが作ってくれたおやつのビスケット。
杏子「………」モグモグ
『ほら、マミ。頼まれてた紅茶。これでよかったんだよな?』
『ええ、ありがとう佐倉さん。ちゃんと迷わず行けたみたいで良かったわ』
『アタシは子供じゃないんだからさ。……ところでマミ、ちょっと聞きたいんだけど』
『なあに?』
『今日の昼間から、ソウルジェムが反応しっぱなしでさ。何か変なんだよな』
『……佐倉さんもなのね。実は今日の下校中、みんなとその話をしていた所なの』
昨日の夜、マミとの会話が杏子の脳裏を過ぎった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:08:51.25 ID:vbrgAbtG0<>
何か変だな、と胸中で呟きながらビスケットをかじる。
チョコチップが甘くてうまいなぁ、と一瞬思考が味覚に支配されたが、再度現在の事象へと切り替える。
漠然としていつ気配。
さがそれは遠くもあり近くもあり。
今感じている魔力の波動は今までと明らかに違う感覚。
常に肌に纏わりついている湿気、とでも表すべきなのか。
そう、気配を捉えたのではなく『気配に覆われている』と言う感覚なんだ。……と一人頷く杏子。
杏子「まるで結界の中みたいな、違和感か。でも……」
現実、結界が張られている様子はなかった。
杏子「まさか、街全体が結界に飲み込まれた?」
視線を移すが、遠くに見える鉄道には電車が走っているし、車道には車が行き交っている。
とある学校の校庭に見える沢山の豆粒は、体育の授業を受ける者達だろう。
もし街全体が結界に飲まれていたのだとしたら……正直な話、大半の人間が魔女の口付けを受けて、死んでいるはず。
こんないつも通りの『日常』などはとうに破壊され、惨劇が繰り広げられているはずだ。
杏子「……どーいうコトなんだよ、まったくさ」
最後の一つのビスケットを口に放ると、杏子は煙突から跳躍して、消えた。 <>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:10:45.49 ID:vbrgAbtG0<> ぐは、訂正です。
>>漠然としていつ気配。
さがそれは遠くもあり近くもあり。
>>漠然としている気配。
だがそれは遠くもあり近くもあり。 <>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:11:41.52 ID:vbrgAbtG0<>
――― 公園 ―――
砂場で遊ぶ、小さな子供達。
それを見守る、母親達。
スコップやシャベルを用いて、砂遊びに夢中の子供の笑い声と、友人達との世間話に花を咲かせる親御の笑い声。
何気ない日常の一コマであり、どこにでもあるような光景。
平和。
ただその一言が、もっともその場に相応しい。
「わぁ、とっても上手ね、あなた」
砂場で遊ぶ子供達にかけられた声が、笑い声を遮る。
お城を作っていた男の子と、女の子が、揃って顔を上げた。
そこには人形のように綺麗で可愛らしい少女の姿。
少女とは言えども、砂場で遊ぶ子供達からしたら年上のお姉ちゃん。
無垢な微笑みと純粋な眼差しに、子供達は共感を感じたのか、にっこりと貧しい笑顔でかえした。
『えへへ、おしろつくるのうまいんだーぼくー』『よっくんはこのおしろのおうじさま、わたしがおひめさま!』
「すてきだね、私、うらやましいな。私もこんなすてきなお城に住みたいな」
『おねえちゃんもいっしょにおしろにすむ?』『おひめさま、ふたりー!』
「ほんと? ありがとう、私うれしい! それじゃーね、あのねー、私とお友達になってくれるかな?」
『うん、おねえちゃんとぼくたち、もうともだちだよ!』
『おともだちだよ!』
「わぁ嬉しい! それじゃあ死んでくれる? 死んでくれるよね? ありがとう!」
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:12:26.36 ID:vbrgAbtG0<>
全ての笑い声が、消えた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:13:42.35 ID:vbrgAbtG0<>
――― 早朝・ほむホーム ―――
TV〔おはようございます、見滝原は本日も快晴、安定した気候でしょう〕
奇妙な波動を感じてから、二日。
ほむらは昨日の夜のパトロールで、杏子の言っていた事が気に掛かっていた。
『なんつーかさ、包まれてるって感じなんだよね』
言いえて妙だ、と思ったのはその場に居た全員だったらしい。
杏子の表した言葉に、皆は納得した顔をしていた。
TV〔それではニュースをお伝えします〕
違和感、悪寒、それらに包まれ覆われた、不思議な感覚。
魔力と言う水滴が垂れ落ち、ソウルジェムと言う一本の線がそれに触れ、揺れる。
それが今までの魔女や使い魔の気配を察知した時の感覚だった。
だが今回の感覚は、その糸が常に魔力と言う水に浸されているかのような感覚。
実を言うと暁美ほむらはこの感覚に覚えがある。
いや、正確に言えば仲間である皆が全員覚えがあるはずであった。
それなのに、その感覚が思い出せないのは――
TV〔昨日未明、見滝原市内の公園にて、公園内で遊んでいた子供と、同伴していた保護者である母親が行方不明となっている事件です〕
チーン。
トースターが、鳴った。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:14:43.74 ID:vbrgAbtG0<>
――― まどホーム ――
詢子「こりゃ他人事とは思えない事件だねぇ」
鹿目邸、リビングにてコーヒーを啜りながら呟いたのは、まどかの母親である詢子だった。
新聞を広げて、眉をしかめて神妙な面持ちだ。
知久「うん、僕もよく行く公園でおこった事件だからね……しばらくたっくんとは家の中で遊ぶよ」
詢子「悪いねパパ、用心するに越したことはないからさ」
まどかの父親、知久も沈痛な表情。
トーストとハムエッグをテーブルに並べ、洗い物を片付けながら答える。
まどか「たっくん、しばらくはおうちの中で遊ぼうね」ナデナデ
たっくん「きゃっきゃっ」
はぁ、と一息ついて詢子は新聞を置く。
その見出しには『市内の公園にて遊んでいた子供2名と母親2名、ともに行方不明』と書かれていた。
もしかして魔女の、と不安になる、まどか。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:15:27.48 ID:vbrgAbtG0<>
―――― 繁華街 ――――
昼間であるのも関わらず、人が行き交う場。
佐倉杏子は今日もまたあても無く歩き続ける。
だが先日と違うのは、その肩にキュウベぇが乗っている事だった。
QB「珍しいね、杏子がこういう所を歩くだなんて」
杏子「キュウベぇは知ってるか? 見滝原市内の公園で、子供と母親が行方不明だって話」
QB「いや、知らないね。僕も他の個体と連絡を取り合ったりで多忙の身だったんだ」
杏子「ま、ちょいと物騒な事件があってね。そこら中で警官が歩いてるのさ。下手に見つかると面倒だしな」
雑踏に消される二人の会話。
キュウベぇが一般人から見えないので、杏子は独り言を呟いているように映るだろうが、気に留める者など誰一人居ない。
杏子「こーゆー人が沢山いる所には警官は少ないからね。補導されることは滅多にないのさ」
QB「なるほど。魔力を使用して警官の追跡を撒くのも手間だからね」
杏子「そうそう。……しっかしソウルジェムの反応は相変わらずか」
指に淡く灯る光がこちらを嘲笑うかのように錯覚し、いいかげん鬱陶しく感じてくる。
QB「他の個体と情報を確認しあったけど、こういった事態は見滝原市内の魔法少女にだけ起こっているみたいだ」
杏子「て事は、ウチ等だけの異変ってことかい?」
QB「そうだね。そして申し訳ないけど、それ以外に僕の知り得る情報は無い」
杏子「ちぇっ、まったくワケわかんねーな」
QB「まったくだね、訳がわからないよ」
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:16:53.99 ID:vbrgAbtG0<>
キ――ン……
杏子「!! 魔女の気配だ!」
QB「それは確かかい?」
杏子「ああ、今までのぼんやりとした感じじゃなくて、確かな反応だ」
思わず口の端が釣り上がる。
杏子「こっちだ!」タタタタ……
人ごみを掻き分け、杏子は走り出した。
商店街――
路地裏――
更に路地裏――
近い、と確信。
即座に杏子は魔法少女へと変身し、剛弓を背負う。
―――だが、杏子の足は止まる。
杏子「気配が、消えた?」
QB「魔女の反応が? 本当かい?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:19:02.81 ID:vbrgAbtG0<>
杏子「ウソつく必要なんてねーだろ? ホントに消えちまったんだ、ぷっつりと」
QB「……他の誰かが狩ったのかな?」
杏子「だとしたら、そいつの魔力を感じるだろ? つーか、他の皆は学校行ってっしさ」
アタシしかいないだろ、とキュウベぇの眉間を指でつつく。
杏子「もしかしたらテレポートとか出来る魔女なのかもしれないな。一応確認だけでもしておくか」
QB「それが良いね、でも気をつけた方がいい」
杏子「解ってるって」
杏子は変身を解かないまま、魔女の気配を感じた方へと歩き出した。
「……ーん ……ぇーん えーん……」
杏子「声がする!」
思わず駆け出す。
入り組んだ路地裏、声のした方へと曲がると……そこには――
少女「えーんえーん……」
青いワンピースドレスを着た金髪の少女が、座り込んで泣いていた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:20:46.75 ID:vbrgAbtG0<>
泣き崩れる少女よりも先に、周囲を見回す。
魔女の姿、使い魔の影、そして結界の扉、痕跡も無い。
ひとまず安全だ。
だが警戒は怠らない。
杏子は泣き崩れる少女の元へと歩み寄る。
杏子「どーしたんだい、こんなところで泣いててさ」
少女「ひぐっ、ぐすっ。お姉さん、だれ?」
眉毛の辺りまで伸びた前髪は綺麗に切り揃えられ、腰のあたりまで伸びた金色の髪は絹のように滑らかに光る。
雪のように真っ白な肌は不健康さを醸し出す事無く、完成された美術品のようだ。
薄めの瞳から涙がぽろぽろと零れるその様は、胸をうつほど悲壮さと儚さを兼ね備えていた。
杏子「誰でもいいだろ? こんなきったねートコで泣いてなんかいないで、さっさとウチに帰んな」
少女「だって、だって……お友達を、お友達を探さないといけないんだもん」
杏子「お友達、ねぇ……はぐれちまったのか?」
少女「ううん、いなくなっちゃったの。突然消えちゃったの」
杏子《……キュウベぇ、アタシの読みは当たりだな。魔女の気配が消えたのはテレポートとかで感知の外に行っちまったのかもね》
QB《そこの少女の友人は魔女の口付けを受けて、連れ去られてしまった……と考えれば、辻褄が合うね》
テレパシーで会話する二人。
杏子「わかった、お前のお友達はアタシが探してやる。だからもう泣くな」
少女「ひっぐ……ほんとう? お姉さん、優しいね……」
泣き崩れる少女の傍らへと行き、頭を撫でて慰める、杏子。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:21:54.92 ID:vbrgAbtG0<>
少女「ねえ、お姉さん。私ね、この街にきたばっかなの。だからもっともっとお友達が欲しいの」
座り込んでいた少女は立ち上がり、涙で真っ赤になったその瞳のままにっこりと微笑んだ。
少女「だから、えっとね、優しいお姉さん。私のお友達になってほしいの」
杏子「そうだな。友達はたくさん居るに越したこたぁないからね。……いいよ、アタシで良けりゃーあんたの友達になるよ」
健気な子だな、と思わず杏子も笑みを浮かべていた。
カランッ
杏子「……ん? これは……」
つま先で蹴ったものがコロコロと転がってゆく。
拾い上げて見てみると、それは……黒い球体に、一本の串が刺さったかのような………
グリーフシード!!
少女「ありがとう、お姉さん! それじゃね、あのね………」
杏子はその時、気が付いた。
少女の瞳が赤いのは、泣いていたからではなく―――
『 死 ん で く れ る ? 』
――――最初からだったのだと。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:23:26.34 ID:vbrgAbtG0<>
杏子「ぐぁっ!! つつっ………くっ……!!」
気が付いた時には、遅かった。
己の身体は閃光によって思い切り弾き飛ばされ、磔にされたかのように壁にめり込んでいた。
少女「お姉さん……なんで生きてるの? ねえ、死んでくれないの?」
壁にめり込んだ杏子に向かって、下から寂しげな声音で語りかけてくる少女。
その眼差しを送る瞳が、炎のように揺らめいている。
まずい!
全身が砕けたかのような激痛を堪え、身体を捩って、無理やり壁から抜け出す。
ボッ!!
めりこんだ壁から脱出し、落下する最中、頭上を掠めた赤い光。
判断が一瞬でも遅れていたら、この閃光に頭を貫かれていたかも知れなかった。
杏子「あぐっ!!」
着地もままならぬほどのダメージ。
受身も、宙返りも出来ず、ただ本当に落下しただけと言う惨めな状態だった。
少女「お姉さん……死んでくれないんだ。ひどいよ、お友達になってくれるって言ったのに」
少女の柔らかそうな髪の毛が、ゆらゆらと揺れる。
杏子「な、何いってやがる……い、イカレてんのか?」
少女「ひどい!! お姉さん、ひどいよ!! なんで死んでくれないのーー!!」
怯懦。恐怖。悪寒。怖気。
この感情は一体何だろう。
杏子は己の身に押し寄せる感情の波に、自分自身で対処がしきれていなかった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:24:18.71 ID:vbrgAbtG0<>
ただ、確実に言えることが一つ、
『逃げなければ、殺される』
力を振り絞り、立ち上がろうとする杏子。
少女「お姉さん、私のお友達なんだから、お願い、死んで!!」
ボタボタと垂れて地を赤く染める鮮血が、死のイメージを鮮明に彩る。
杏子の脚が、痛みと恐怖に塗れて、震えだす。
だが少女は気にもとめない様子だ。
杏子「て、テメェ……魔法少女、か?」
少女「何言ってるの? 私はアリスだよ、まほうしょうじょなんて名前じゃないよ!」
アリス、と名乗った少女の足が、地を離れる。
まるでクラゲが回遊しているかのように、ゆっくりふわふわとした浮遊。
少女の足元から、真に黒い炎……暗黒の炎が揺らめき昇る。
ぞぞぞっ!!
まるで、そう言う音が身体の中から発せられたかのような錯覚。
『こ、こいつだ……この魔力の波動、間違いない!!』
そう、ここ数日感じていた奇妙な魔力の大元。
それはアリスと名乗った少女が発しているものだったのだ。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:25:19.23 ID:vbrgAbtG0<>
虚空より現れるは、赤い人形と、黒い人形。
タキシードを身に纏った紳士型の人形をその腕に抱くと、アリスはゆっくりゆっくり、杏子の元へと近付いてゆく。
杏子「はぁ……はぁっ……ぐっ!」
ここは賭けるしかない、と歯を食いしばる。
杏子「ロッソ・ファンタズマッ!!」
ヴンッ!!
叫びと共に杏子は幻影を繰り出す。
そんな様子を見て、アリスは目を輝かせた。
アリス「わぁ、嬉しい! お姉さんがこんなに増えた! ねぇねぇ、みんな死んでくれるんだよね?」
――マジで狂ってやがる。
だが同時に、虚像と実像の判別をつけられないと言う事も解ったのは、まさに幸い。
賭けに出てみて良かった、と心底思う、杏子。
杏子「だっれが!」「てめーの友達なんざ!」「まっぴらゴメンだね!」
幻影が一人ひとり別に口を開く。
アリス「……うそつき」
力を振り絞り、杏子はこの場を離脱すべく上空へと駆け出す。
アリス「お姉ちゃんのうそつき!!」
揺らめく黒い炎が球体となり、杏子へと向かって幾つも幾つも放たれる。
一つ、二つ、と黒い球に飲み込まれて消えてゆく幻影。
だが――
対象全てを飲み込むことは出来なかったようだった。
アリス「お姉ちゃん………アリス、あきらめないからね。ぜったい死んでもらうから」
その腕に抱える赤人形と黒人形が、ミシミシと音を立てていた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:26:50.29 ID:vbrgAbtG0<>
――
杏子「はぁっ、はぁ……っ!!」
場所は移り、河川敷。
鉄橋の下、身を潜めるように草むらに隠れる杏子の姿があった。
杏子「お、追ってこないみてーだな……た……助か、った」
上体を起こし、コンクリの橋台に背を預ける。
杏子「キュウベぇ……は、潰され、ちまったか」
アリスによって弾き飛ばされて壁に激突した瞬間、キュウベぇは跡形も無く吹き飛んだ。
だがその事に気付かないほど、あの時は焦っていた。
杏子「くそっ……なんなんだよ、アイツ……あ痛っ……」
「なにしてるの、そんなところで」
杏子「っ……!?」
声のしたほうへと振り返る杏子。
そこには――――
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:27:55.30 ID:vbrgAbtG0<>
さやか「どーしたの、杏子? って、血まみれじゃん!? やっぱアレはあんたの」
杏子「びびらせんじゃねーバカッ!! 心臓とまるかと思ったじゃねーかっ!!」
親しい友人の声すら判別できないほどの己を棚に上げ、吼える杏子。
さやか「うわわっ!? な、なんでいきなり怒られるの!? さやかちゃん、何かした!?」
杏子「あぁいや、その、ゴメン……痛っつ……ううっ」
声を荒げたことにより、更なる痛みに顔を歪める。
さやか「待ってて杏子、今治してあげるから! つーかあの激しい魔力の振動、やっぱ杏子だったんだね」
杏子「た、頼むよ……このままじゃ満足に説明もできないからさ……」
さやかは魔法少女に変身すると、その手を杏子へと当てた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:29:15.79 ID:vbrgAbtG0<>
―――― 片割れの魔女の空間 ――――
歪んだ灰色の空に、黒い雲がどんよりと広がる。
城砦のように石に取り囲まれた空間。
周囲には青、黒、赤、橙などの色とりどりの毛糸が千切れて散乱している。
両目が黒く塗りつぶされた無表情の仮面を付け、頭に王冠を被ったような魔女。
身体は黒い靄で出来ており、不定形でテルテル坊主のような見た目をしている。
それに対峙するは、夭死の魔女・アリス。
アリス「ねえ、私はただあなたとお友達になりたいだけなの。なんで解ってくれないの?」
首を傾げながら、優しい声音で語り掛けるアリス。
魔女「ト……アト……」
周囲に散乱する毛糸、それは片割れの魔女の使い魔達の残滓である。
もともとは毬のように球体だったのだが、アリスの前になす術も無く四散させられたのだ。
アリス「ねえねえ、あなたもこんな所に一人でいるのは寂しいでしょ? だからさ、私のお友達になってよ?」
魔女「アトァーーーッ!!」
魔女の肉体を形成していた黒い靄が広がってゆく。
ピキッ、ピキピキッ。
黒い靄は強力な冷気を孕んでおり、アリスを氷の塊にすべく、覆った。
だがアリスの纏う黒い炎の前にとって、塵すらも凍らせ降らせる冷気もそよ風も同然。
アリス「だからね、死んでくれる?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/06(月) 23:29:55.57 ID:vbrgAbtG0<>
カランッ
ゴルフボール台の黒い球体が、転がる。
アリス「えーんえーん、ひどいよー。あなたもそうやって私をおいてっちゃうんだね」
その場に座り込み、無垢な子供のように泣くアリス。
アリス「ひぐっ、ぐすっ。えーん……えーん……」
展望台の中、ただ一人泣き喚く少女。
その傍らには、グリーフシードが一つと―――
警備員の帽子だけが、落ちていた。
夭死の魔女編・2 終 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/07(火) 03:08:57.44 ID:C2cG7yYDO<> 乙!
俺は魔女考える時モデルは動物だったり他のアニメとかのを魔女にさせたりとかして、その魔女の元になった物の性質を魔女の性質にしたりとか
例えば猫で猫といえば自由きままだから気まぐれとか <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/07(火) 03:46:15.55 ID:GpqCKXvDO<> とりあえず真メガのニュートラル主人公でも中島でも人修羅でもライドウでもいいからメガテン世界から誰か連れてこようぜ <>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:01:41.52 ID:jwW7VvFH0<> >>348 の
>>無垢な微笑みと純粋な眼差しに、子供達は共感を感じたのか、にっこりと貧しい笑顔でかえした。
は、
>>無垢な微笑みと純粋な眼差しに、子供達は共感を感じたのか、にっこりと眩しい笑顔でかえした。
と脳内変換しておいてね! というか今まで誤字脱字多かったけど訂正してなくてごめんね!
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:05:14.63 ID:jwW7VvFH0<>
夭死の魔女編・3
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:05:51.80 ID:jwW7VvFH0<>
―― 夕刻・マミホーム ――
杏子「――て、言うワケさ」
昼、自分が遭遇した魔女の事を説明し終えると、マミお手製のコーヒーケーキを乱暴に齧る。
杏子の口から語られた顛末に、一同は驚きを隠しきれない様子。
さやか「びっくりしたよホント。僅かに感じた魔力を辿っていったら、ボロボロになった杏子がいたんだもん」
学校に通う四人は、杏子がアリスと遭遇した時分に、強烈な魔力の波動を感じ取った。
テレパシーで確認しあい、それが気のせいでない事を知ると、そのまま学校を早退。
だが四人が集合した時、すでにその強い魔力は感じられず、ここ数日同様の微弱な波動へと戻ってしまった。
杏子は?
呼びかけても返事が無い。遠くにいるのかも。
魔力は感じるの?
感じない。
この波動のせいで、感じ取れないのかも。
じゃあ杏子は、この微量の魔力よりも低い魔力の状態になってるって事?
『皆で探しましょう』
こうしてまどか、ほむら、さやか、マミ、全員で手分けして捜索を開始した次第だった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:06:53.81 ID:jwW7VvFH0<>
杏子「ホント助かったよ……虫の息だったからね」
ぎりり、と悔しさから歯を鳴らす。
マミ「佐倉さんが一撃で、となると……相当強いでしょうね」
さやか「喋る魔女、か。そんなん考えたこともなかったよ」
杏子「ああ。なおかつ見た目はまんま人間だ。タチが悪い」
それと、と付け加える。
杏子「恐らくアイツは『共食い』もしてる」 トンッ
テーブルの上に直立する、グリーフシード。
アリスの傍らに落ちていたものだ。
杏子「まるで歩く竜巻さ。相手がなんだろうがお構い無しに飲み込んでバラしちまうんだろうね」
ほむら「…………」
まどか「そ、それじゃあ早くその魔女を倒しにいかないと……!」
――沈黙。
ほむら「はっきり言っておくわ。みんな、覚悟を決めて」
数秒の静寂を破ったのは、ほむら。
ほむら「杏子の出会った魔女は……恐らく最強クラスの魔女よ」
その言葉に息を呑む一同。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:07:49.81 ID:jwW7VvFH0<>
杏子「……まるでそいつのコトを知ってるかのような口ぶりだな」
杏子の目つきが鋭くなる。
ほむら「確証が無かったから口にはしなかったけど、もしかしたらとは思ってたわ。だってそ」
杏子「テメェ!!」
マミ「佐倉さん、落ち着いて! 暁美さんの話は終わってないわ!」
ほむら「ありがとうマミ。……この微弱な魔力の波動がずっと続く感覚。覚えがないかしら?」
返事は、ない。
構わずほむらは話を続ける。
ほむら「……私は覚えてる。忘れたくても忘れられない、じっとりとした瘴気」
瞳を閉じて、一拍。
そして――
ほむら「ワルプルギスの夜の時と同じよ。結界を持たない、あの災厄の魔女とね」
予想だにしない言葉に、驚きを隠せない四人。
ほむら「アリスと言う魔女自体については知らないわ。でも結界を持たない強力な魔女が現れたんじゃ、と薄々感じていたわ」
さやか「な、なんで言ってくれなかったのさ、ほむら」
ほむら「……ごめんなさい。私自身が否定したかったのでしょうね。この事態を……」
そう言い終えると、俯くほむら。
沈痛な面持ちの彼女に対し、一同はこれ以上の追求は行えなかった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:08:56.05 ID:jwW7VvFH0<>
杏子「取りあえず、だ。一刻も早くアイツを倒さなきゃならねぇ。今この瞬間にも犠牲者は出ているはずだ」
マミ「そうね……私たちが何とかしなきゃならないわ」
まどか「すぐにいきましょう! 私、そんな魔女を放っておくなんて出来ません!」
さやか「賛成! 見滝原の平和はさやかちゃんと可愛い仲間達が守っちゃうんだからねー!」
ほむら「私も賛成だわ」
でも、と。
ほむら「肝心の魔女の居場所が解らないでしょう。その魔女は普段魔力を抑えてる。だからこそ今まで捉える事が出来なかった」
意気揚々とした面々の出鼻を挫く一言。
杏子が「ちっ」と舌打ちをする。
杏子「とにかく探すっきゃねーだろ。幸い特徴ある見た目だ、一目でわかるさ」
ほむら「まさか街の中を手分けして探すつもりじゃないでしょうね」
その言葉を発すると同時に、ほむらは鋭い眼差しを皆に向ける。
ほむら「ダメよ、絶対。特に杏子、貴方は顔が割れている」
さやか「じゃあどーすんのさ! 5人でかたまって探せって!? それじゃ時間が掛かりすぎるでしょ!」
ほむらの眼差しに気圧される事無く返すのは、やはりさやか。
ほむら「……もどかしいのは私も同じよ。でも魔法少女姿になった杏子が一撃で半殺しにされたのよ?」
杏子「半殺し、なんてモンじゃなかったけどな」
マミ「暁美さんの言いたい事は解るつもりよ。でも……」
ほむら「私は……この場にいる、誰一人として、死んで……欲しく、ないの……」
顔を伏せ、肩を震わせるほむら。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:10:22.45 ID:jwW7VvFH0<>
QB「だったら、僕の出番かな」
まどか「きゅ、キュウベぇ!」
いつの間にかその場に加わっていたキュウベぇに、一同の視線が集中する。
QB「言語を解する相手となれば、容易に事は運べる」
マミ「ど、どういうこと?」
QB「そうだね、まずは別個体を多数動員して、街の中を探索する」
QB「そして件の魔女と出会ったら、どうにかして魔力を開放させるように誘導するんだ」
QB「そうすれば君達は安全に魔女の居場所を掴める。どうかな?」
マミ「そ、それはとっても助かるけれど……キュウベぇ、貴方は構わないの?」
QB「心配は無用だというのは、君達がよく解ってることじゃないかい?」
問いかけに対して、また問いかけで返す。
さやか「ここはキュウベぇに甘えましょうよ、マミさん。こんな良い申し出、滅多に無さそうですし」
杏子「ああ、上手くいきゃあ万々歳だ」
QB「決まりだね。それじゃあ早速取り掛かるとするよ」
まどか「キュウベぇ、ごめんね。ありがとう」
マミ「ごめんなさいね、キュウベぇ」
QB「お安い御用だよ。君達は街の中心部にでも向かっていてくれ」
そう言い終え、身を翻すキュウベぇ。
その背を食い入るように見つめる、ほむら。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:11:31.04 ID:jwW7VvFH0<>
ほむら《どういう風の吹き回しかしら。貴方がこんなにも協力的だなんて……一体何を企んでいるの?》
QB《別に下心なんてないさ。理由をつけるのだとしたら、ちょっとした恩返しと言った所かな》
ほむら《……恩返し?》
QB《君達には僕だけを狙う魔女を退治してもらったからね。信頼関係を築く上で、義理と言うものは最も効果的だろう?》
QB《それに今回の魔女の事は僕も気になる。今までの情報を照らし合わせても、過去にあんな魔法少女は居なかった》
QB《時間遡行者の君と同じく契約した覚えがない、と言うことさ》
ほむら《つまり、謎の魔女だと言う事?》
QB《そうだね。魔力の波動からして魔女である事は確かだが、その実体はまったくの謎だ。だから接触を図ってみたいんだよ》
QB《幸い、あの魔女は言語を解するしね》
ほむら《謎の魔女の情報を得られ、私達からの感謝も得られる……一石二鳥ね。まぁ、今回だけは一応感謝しておくわ》
QB《そうかい、それは良かった》
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:12:21.57 ID:jwW7VvFH0<>
――――
―――――
歪み。
それはいつ発生したのでしょう?
――――
それは夏の小虫がいつ発生するのかと同じくらい解らないことかな。
いつの間にか、わんわん飛んでる。
―――――
ではそれはいつ消えるのでしょうね。
――――
潰すのに、飽きたときかな。
―――――
それは歪みの話ではなく、小虫の話でしょう?
――――
風が吹けば桶屋が儲かる。
―――――
何が言いたいの?
――――
途方も無いってことさ。
――――――
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:13:13.90 ID:jwW7VvFH0<>
機望の月が暗空に咲いている。
地上にはその月明かりで、電柱や木々がぼんやりとした影を作る、そんな夜。
場所は、見滝原市を一望できる展望台。
青白い光が差す中、少女は一人泣く。
QB「ようやく見つけたよ、アリス」
少女の泣き声を終わらせたのは、口を開けずに言の葉を紡ぐモノ。
アリス「……あなた、だれ?」
俯いていた顔を上げ、声の主である眼前の白い小動物へと言葉を返す。
QB「僕の事を知らないのかな? 僕の名前はキュウベぇ」
アリス「キュ……? 変わった名前なのね」
QB「童蒙を装っている訳ではない、か。本当に知らないみたいだね」
アリス「ねぇウサギさん、私ね、今とってもかなしいの」
QB「ウサギか、確かにそう見えなくもない……一体どうしたんだい、アリス」
話を聞き入る姿勢を感じ取ったのか、アリスはキュウベぇと眼を合わせる。
アリス「えっとね、私、気が付いたら知らない街にいたの。とってもさみしいから、がんばってお友達をつくろうとしてるの」
QB「なるほど。君は元々この街にいた訳じゃなかったのか」
アリス「でもね、みんな消えちゃうの。死ぬと消えちゃうの。ねぇ、どうして死ぬと消えちゃうの?」
QB「君の言う死というものは、何を指すのかな?」
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1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:14:29.80 ID:jwW7VvFH0<>
アリス「死? 死ぬことだよ? それ以外になにかあるの?」
QB「君の言っている事は理解できない。友人と言う存在が欲しいのならば、そういった暴力的な行動には至らないはずだ」
アリス「お友達になるにはね、死なないとダメなの。そうでしょ?」
QB「死と言うものは生命活動の終焉を意味する。君の言う死の概念は、この世界で言う死とはまるで別のものじゃないのかな」
アリス「ウサギさんの言ってること、難しくてわかんないよ」
QB「……友達になってくれた人を、なぜ殺すんだい。それじゃあ友達と話が出来なくなってしまうだろう?」
アリス「だってずっと一緒に居てほしいんだもん。お友達になって、私といっしょにずっと暮らすの!」
――まるで会話が成り立たない。
QB「君は死体と一緒に生活したい、と言うことかい?」
アリス「死体?」
QB「生命活動を終えた心臓が止まり、血液の循環が行われなくなった、ただのタンパク質の塊となってしまう状態のことさ」
アリス「…………」
QB「君の持つ死の知識は根本的な部分から違うのかな……つまり、死んでしまったらその人とは友達になれないということだよ」
アリス「なんで? どうして?」
金色の髪の毛が、揺れ始める。
QB「死ぬとはそういう事さ。精神を無にしてしまう絶対的なものだからだよ」
アリス「ウサギさん、もしかして私を苛めてるの? そうやってアリスはいつまでも一人だよって言いたいの?」
黒い炎が、アリスの周囲から昇り始める。
QB「苛めてなんかいないよ。だが、今のままの君では友達と呼べる存在を作る事は出来ないね。絶対に不可能だ」
アリス「ウソ。ウサギさんはウソついてる」
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:15:30.75 ID:jwW7VvFH0<>
QB「僕は嘘なんてつかないさ。そもそも嘘をつくという行為自体、僕には理解できない」
アリス「私はただお友達が欲しいだけなのに」
QB「君は痛みを与えてくる相手に対して友愛……つまり、友達になろうと思えるかい? 逆の立場で考えてごらん」
QB「つまり、もし君が『友達になりたいから死んでくれ』と言われたとして、おかしいと思わないのかと言う事さ」
アリス「………」
QB「つまりはそう言う事だよ、解ってもらえたかな?」
アリス「わかんない。おかしくないもん」
カッ
雷光の如き刹那の光が、展望台の一室を照らすと―― 張り巡らされたガラスが、一斉に割れた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:16:29.92 ID:jwW7VvFH0<>
―― 見滝原市の中心部・河川敷、鉄橋の下 ――
ほむら「!!」
さやか「今のは……!」
マミ「佐倉さん」
杏子「ああ、間違いない……あの魔女だ」
まどか「キュウベぇ、上手くやってくれたんだね。みんな、急ごう!」
即座に魔法少女へと変身し、五人は駆け出した。
街灯に飛び乗り、街路樹や鉄塔を足場に目的地を目指す。
ビルとビルの間を跳躍し、目指すは展望台。
眼下に広がる街の灯り、ぽつぽつと歩いている人の姿。
『死ぬかもしれない』……そんな覚悟を決めているのに、他の皆は日常を過ごしている。
現実が、ひどく遠い。
そう感じたのは、魔法少女故の性(さが)だろう。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:17:04.17 ID:jwW7VvFH0<>
――― 展望台、入り口 ――
魔力で強化した運動能力のお陰で、徒歩なら20分はかかるであろう距離も5分足らずで到着。
5人は一斉に武器を取り出す。
まどかのおもちゃ銃、さやかのギターマシンガン。
杏子の剛弓に、マミのマスケット銃。
そして、ほむらの太刀。
ほむら「さやか、マミ。貴方達二人は特に気をつけて戦って。治癒魔法が得意な貴方達が崩れたら、終わりよ」
さやか「解ってるって。後ろからバスバスやらせてもらうよ」
マミ「了解よ。暁美さんも、気をつけて」
ほむら「まどかは私を巻き込まないように魔力を抑えて攻撃して」
まどか「うん、大丈夫だよ。もう使い勝手はわかってるから!」
杏子「アタシも前衛で戦うよ、ほむら。お前一人じゃ危険すぎる」
ほむら「お願いするわ」
五人の打ち合わせ中にヒョイ、と現れたのはキュウベぇ。
QB「みんな、気を付けて。彼女が降りてくるよ」
その言葉に、警戒を強める一同。
その強力な魔力は、上空からだ。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:17:44.34 ID:jwW7VvFH0<>
風に揺られる黒い、何か。
月の光を背負い、それは降下してくる。
音もなく、そして地に足を着ける事無く、それは現れた。
青白い月光のもと、まるで意思があるかのように揺らめく金色の髪。
青いワンピースドレス、白陶器のように滑らかな肌、妖しく光るは真紅の瞳。
蠱惑的、美の結晶。
それはこの世のものとは思えないほどに美しい、少女の姿。
アリス「また会えたね、赤いお姉さん。私、とってもうれしいよ」
腕に抱えられた赤い人形と黒い人形が、壊れるんじゃないかと思うくらい音を立てている。
歓喜に思わず力が篭ってしまっているのだろうか……
杏子「へっ、出来るなら二度と会いたくなかったけどさ」
吐き捨てるかのように言う杏子だが、その腕と脚は微かに震えている。
その様子だけで、他の四人は目の前の存在が如何に恐ろしいものかを悟った。
さやか「……杏子」
杏子「気を抜くなよ、みんな」
緊張に塗れた一言に、ほむらとまどかも、構える。
ただ一人、マミだけが空いた片手を地に向けていた。
アリス「赤いお姉さん、もしかしてお友達連れてきてくれたの? やっぱり優しいんだ。ウソつかれちゃったけど、許してあげる!」
満面の笑みでそう言ったアリスの足元から、黒い炎がゆらゆらと登り始める。
アリス「ねぇねぇ、お姉さん達、みんな――」
死んでくれるんだよね?
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:18:59.82 ID:jwW7VvFH0<>
弾力を孕んだ閃光がアリスから広がった瞬間。
予め準備していたマミはリボンを用いて、皆を覆う魔力の壁を作り上げる。
が、それは破壊され―― 五人は光によって弾き飛ばされた。
「きゃあ!」「わぁっ!」「ぐぁっ!」「ああっ!」「うぅっ!」
リボンの壁があったお陰、か。
杏子が初見に受けた一撃に比べて、だいぶ威力は低い。
即座に体勢を整えて武器を構えたのは、まどか。
まどか「シュート!!」
針金のように細い光線がアリスへと向かう。
アリス「きゃっ!!」
集約された魔力の線は、着弾と同時に魔力のドームを作り、アリスを吹き飛ばす。
次に構えたのは、マミとさやか。
四つのマスケット銃を瞬時に作成、矢継ぎ早に射撃。
魔法のピックを用いて、流星の如き青い弾が、遊泳しながら標的へと向かってゆく。
その弾と並走するように駆けるのは、ほむらと杏子。
鞘より抜かれし太刀には、戦慄の紫炎。
至近距離で番えられる、巨大な矢。
四重の攻撃。
アリス「お姉さん達、私を……アリスをいじめるの?」
黒い人形を前に突き出したアリスは、それらの攻撃全てを受け止めていた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:19:59.19 ID:jwW7VvFH0<>
マミとさやかの弾はポロポロと零れ落ち、杏子の矢は砕かれ、ほむらの刀は静止している。
ぱきん。
刀が、折れる音。
それを再生させるべくアリスから離れる、ほむら。
杏子「ロッソ・ファンタズマ!」
一斉に六つの幻影。
ほむらが離れたと同時に杏子は至近距離のまま、真紅の矢を放つ。
さやか「へいっ!!」
ギターを振りかぶり、上空へと弾を放つと、アリスに向かって豪雨の如く降り注ぐ。
アリス「きゃあっ!」
悲鳴と同時に赤い人形が、それらの攻撃を防いだ。
ほむら「……ぁぁあああッ!!」
刀を再生させたほむらが斬りかかると、杏子は一旦退く。
太刀を一撃見舞うと、ほむらもまた即座に離れる。
まどか「いっけぇー!!」
まどかの銃から再び一筋の光が伸びる。
ドゥゥゥンッ!!
アリス「あうっ!!」
重厚な爆発音と共に、吹き飛ぶアリス。
この機を逃がしてなるものか、と追撃の矢を放つ杏子と―――
アリス「きゃあっ!!」
衝撃で、倒れこむ。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:20:52.76 ID:jwW7VvFH0<>
台座を作り、そこに大砲を乗せて照準を合わせるのは、マミ。
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
大砲の弾が轟音と共に発射されると、それは着弾したと同時に割れ、リボンが展開される。
アリスの身体を幾重にも縛りつけ、その動きを封じた。
鞘に刀を納めていたほむらが、一気に距離を詰める。
魔力を込められた鞘と太刀、それらが合わさり生まれるのは、全てを焼き尽くす炎。
ほむら「燃え上がれっ!」
ボッ!!
拘束するリボンごと焼き尽くすかのように、紫炎はアリスを飲み込む。
この程度で終わるはずもなし、と皆は言われるまでもなく理解していた。
マミは先程とは違う大砲を作成し、その上へ飛び乗る。
杏子は幻影を消し、剛弓を地に刺して固定すると、丸太のように巨大な矢を両手に持って弦に番える。
マミ「暁美さん!!」
離れて、という意味合いの声。
阿吽の呼吸、ほむらは地を蹴り空を舞う。
マミ「ボンバルダメントッ!!」
杏子「貫けぇっ!!」
マミが手を前方へと突き出すのを合図に、大砲から金色の砲撃が発射され、剛弓からは丸太の如き巨大な矢が放たれる!
真紅の力と金色の力が一つになり、紫炎と共に柱となりて、魔を包み込む。
アリス「そんな……ああっ!!」
魔力の渦に飲み込まれたアリスの、悲痛な声が聞こえた――
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:22:37.33 ID:jwW7VvFH0<>
色とりどりの光となって立ち昇る三人の魔力は、まるで真夏の花火大会のように周囲を眩しく照らす。
さやか「たーまやーってねっ!」チャキッ
ギターを抱えてポーズを決め、ウィンクを一つ。
マミ、杏子の二名は畳み掛けるようにしての猛攻の反動で魔力を多量に消耗したせいか、思わず膝をつく。
まどかも思わず、まぶたを閉じて深呼吸を一つ。
ほむら「……キレイね。まるで火柱みたい」チャキン
刀を鞘に納め、つぶやくほむら。
まどか「結界の中じゃないし、人目についちゃうから早く引き上げないとだね」
さやか「まっ、いーんでない? 魔法少女達からの祝砲でございますよー」
杏子「ふーっ……」ペタン
疲労感に包まれてか、その場に座り込む杏子。
マミ「グリーフシードごと、吹き飛ばしちゃったかしら?」
マスケット銃を支えにして、何とか立ち上がるマミ。
杏子「そんなん考えるヨユーなんざ無かったよ……」
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:23:55.41 ID:jwW7VvFH0<>
「くすん、ひどいよ……」
魔力の柱が徐々に消え行く中から現れたのは、一同が仕留めたと確信していた魔女。
アリス。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:24:29.54 ID:jwW7VvFH0<>
アリス「私の……アリスのお人形、壊れちゃった……」
その手に持つ赤い人形と黒い人形……だったものを見て、涙をこぼしている。
マミ「う、嘘でしょ……!?」
さやか「じょ、冗談だろ……」
ほむら「……甘かったわ」
アリス「壊れちゃった……これじゃあ私、もう……」
その身に纏っていた黒い炎が、今は白い霧のようなものに変わっている。
宝石のように輝いていた深紅の双眸も臙脂色に変わり、それは『死』そのものの色のように見えた。
杏子「マジかよオイ……傷一つ付いてねぇじゃねーか!!」
まどか「そ、そんな……!!」
皆が驚愕に包まれる最中、真っ先に駆け出したのは、ほむら。
――今の魔女は別の何かに気を取られている、ならば今のうちにまた畳み掛けるしかない。
鞘と太刀に魔力を込め、再び見舞うは紫炎の斬撃!
ボッ
ドサッ
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:25:42.28 ID:jwW7VvFH0<>
時間が止まった。
いや、今この場にいる魔法少女に時間操作の能力を扱えるものはいない、ただの比喩である。
それは、杏子の目の前に落ちてきたものが、あまりにも――
杏子「あ、ああ……」
あまりにも意外―――
ほむら「あ、うう、ああっ……!!」
……太刀を握り締めた、ほむらの右腕だった。
マミ「きゃあああああぁぁぁぁぁッ!!!」
ほむらによる一閃の刹那、アリスは白い霧に包まれた手を前に出しただけ。
白い霧に包まれた手と、ほむらの腕は僅かに接触しただけだった。
それだけ。
たったそれだけ。
ほむらの肘より下の腕だけが、まるでチアリーダーが扱うバトンのようにくるくると回転しながら、吹っ飛んだ。
アリス「ごめんね、もう私、手加減できないの。お人形、壊れちゃったから」
白い霧に包まれた手が、苦痛に震えるほむらの――――
ボッ
頭へ添えられた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:26:51.93 ID:jwW7VvFH0<>
杏子「ほむらああぁぁぁぁああああああぁぁぁぁ!!!!」
空気すら振動させるほどの、大音量。
糸が切れた操り人形。
力なくくずおれるその様は、まさにそうとしか言いようが無かった。
どんっ。
どんっ。
ごろごろごろ。
まどか「きゃああああああああああーーーーっ!!!!」
割れんばかりの悲鳴。
瞬く間に広がる、赤い水溜り。
その中心にあるのは―――
暁美ほむらの、首。
呆けた表情、光の失われた瞳。
血の海の中心に浮かぶ、顔だけの親友が、まどかを見つめていた。
杏子「てンめぇぇェェェェーーーーーッ!!!」
顔に憤怒の紅をさした、杏子の怒号。
ヴンッ!!
幻影と共に剛弓を振りかぶって、アリスへと突撃する。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:27:47.54 ID:jwW7VvFH0<>
マミ「佐倉さん!!」
その声は、届かない。
白い霧に包まれた手が、前へと突き出される。
ボッ
ボッ
ボッ
ボッ
瞬く間に霧散する、幻影。
さやか「杏子っ!!」
このままではほむらの二の舞だ、とさやかは慄然する。
だが、激高しながら突撃していったと思われた杏子は、思いのほか冷静な行動を取っていた。
幻影が潰される最中、杏子本体は、くずおれたほむらの肉体を抱えて退いて来たのだ。
杏子「はぁっ……!!はぁっ……!! ほ、ほむらぁぁぁーー……」
前歯で唇を噛みながら、涙をこぼす杏子。
抱きかかえたほむらの血で、全身が真っ赤になるのも気に留めない。
まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃぁぁん………」
血の海に座り込み、ほむらの首を抱いて泣き続ける、まどか。
マミとさやかは、顔を見合わせる。
身を震わせ、慙愧の念に包まれながらも―――
マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!!」
判断を、下した。
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:28:36.90 ID:jwW7VvFH0<>
金色のリボンが、アリスを包―――
めない。
白い霧を纏った手をかざすだけで、マミのリボンは千切れ飛んでいくからだ。
だが、そんな事はマミにも解っている。
魔力を全開にし、リボンの津波を巻き起こしてアリスの行動を制御しているのだ。
さやか「まどかっ!!!! 逃げるよっ!!!」
まどか「ほむらちゃん……ひぐっ、ぐすっ……」
まどかの体の半分は、ほむらの首より流れる血で真っ赤に染まっている。
さやか「まどかぁぁっっ!!!!」
心を鬼にし、さやかはまどかの頬を力いっぱいはたく。
ぱーん、と言う弾ける音ともにまどかは、張り倒された。
さやか「ぐっ、ううっ、ぐすっ……悲しんでる場合じゃないだろ!!! ほら早く立って、まどか!!!」
マミ「早く!! 私の魔力だって、もう限界よ!!!」
杏子「ぢぐじょぉ、ぢぐじょぉぉぉ……!!」
頬をおさえながら起き上がる、まどか。
その腕の中に、親友の首は無い。
血を吸った髪の毛が重いのか、ほむらの首は転がらずに弾んだだけだった。
さやか「とにかく一旦逃げるんだよ!!! わかった!?」
まどかの腕を無理やり引っ張り、強引に立たせる。
マミ「はぁっ……はぁっ……い、いいわね!? それじゃあ皆、退くわよ!!」
杏子「くそがっ……覚えてやがれよぉぉぉぉ!!!!」
<>
1<>sage saga<>2012/08/08(水) 02:30:07.60 ID:jwW7VvFH0<>
――
襲い来る金色のリボンを全て跳ね除け、正面へ向き直る。
既にその場には、アリスが見初めた者達の姿は無かった。
真っ赤な、真っ赤な血溜まりと、キレイな黒髪のお姉さんの首と、腕。
アリスはその首を拾い上げると―――
うふふ、うふふ うふふ
う ふ ふ ふ
う ふ ふ う ふ ふ
う ふ ふ ふ
と、ただ小さく、
不気味に、笑い続けた。
= 夭死の魔女編・3 =
終
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/08(水) 03:57:13.95 ID:+L6MXZsDO<> まさかほむらがマミるとは… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/08(水) 09:10:09.45 ID:B0D05efDO<> アリスきめぇー…
まさか身体復元&傀儡化とかはしてこないだろうな…? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/08(水) 12:32:19.31 ID:sWNmtMwDO<> ダンテさん出番です <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/08/08(水) 23:24:26.34 ID:9xftgfo/o<> oh…… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/10(金) 00:09:03.89 ID:RJ23bR7DO<> これは実はアリスによる幻影にちがいない!……そう思いたい…… <>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:38:54.64 ID:N/pePvPE0<>
――――
―――――
紅茶に薄く切ったレモンを一枚乗せると、それは何になるのかしら?
――――
レモンティーだ。
―――――
ええ。
たった一枚、それだけで。
いいえ、果汁の一滴だけでも入っただけで、紅茶からレモンティーにかわってしまうの。
――――
たったそれだけで名前も味も変化してしまうだなんて、なんだか生意気だ。
意地でも入れてやるもんか。
―――――
そうね、意地でも入れないつもりだった。
レモンを入れてしまっては、もうそれはストレートティーには戻らないから。
――――
味を変えるなら砂糖だけでいい。
それなら本質はストレートの紅茶のままになる。
―――――
でも、今の私はレモンティーが飲みたいの。
砂糖でもジャムでもダメなのよ。
レモンティーじゃないといけないの。
本質を変えないといけないのよ。
――――
ならば、それに合うお菓子があればいい。
それならレモンティーを許す。
―――――
解決ね。
――――――
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:39:53.19 ID:N/pePvPE0<>
夭死の魔女編・4
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:40:33.12 ID:N/pePvPE0<>
―――――
らーーーららー♪ らららららーーーーららー♪
ことっ。 ことっ。
ことっ。
ららららららーーーらららーーーららららららーーー♪ ららーらららら♪
ことっ。
ことっ。
ことっ。
らーーーららー♪ らららららーー♪
ららららららららららーーらららーーー♪
ららららららー♪ ららーーーー♪ らーーー♪
―――――
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:41:11.73 ID:N/pePvPE0<>
夜半、見滝原市内の展望台。
街の住民はそこで眩い光が発生するのを目撃した。
住民の通報によって発覚した、謎の事件。
一部建造物、公共物の破損。
展望台入り口には、血溜まり。
人間の腕。
展望室のガラスの全壊。
現場に置かれた警備員の帽子、そして警備員は行方不明。
翌日、事件は見滝原市内の住人に通達され、厳戒態勢が敷かれる。
全容こそ知らされていないものの、公開されたことは一番重要な部分だけ抜粋され――
バラバラ殺人。
と、言う事だった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:42:06.61 ID:N/pePvPE0<>
――とある、廃ホテル。
かつて佐倉杏子が拠点として構えていた一室で、その部屋だけは清潔に整えられていた。
その場に集まるのは、魔法少女4名と1匹。
杏子、まどか、さやか、マミ、そしてキュウベぇ。
背もたれつきの椅子に腰掛け、ただ無言。
杏子「……思ってたよりも早く集まったな」
沈黙を破ったのは、杏子の声。
さやか「うん……物騒な事件があったって事で、学校が急遽午前中だけで終わったんだよ」
マミ「下校も集団だったわ。明日から数日は休校するみたい。外は危ないから各自自宅で待機しなさいって」
QB「街の中は大騒ぎだ。至る所、警察官で溢れている。事件に関連したと思われる場所とかは封鎖されているよ」
そのうち此処にも警察が調査に来るかもね、と付け加えた。
まどか「…………」
無言で顔をそらす、まどか。
その瞳が見つめる先には、大きな寝台が一つあり、
暁美ほむらが、眠っている。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:43:10.85 ID:N/pePvPE0<>
――時は遡り、昨晩。
惨めなまでの敗走。
一行は杏子を先頭にして、夜の街々を飛ぶ。
行き先を尋ねる暇などもなく、マミとさやか、そして手をひっぱられるまどかはその後ろを付いて行く。
行き着いた先は、杏子がマミの部屋に居候する以前に寝所としていた、廃ホテル。
その一室内に入り、右腕と首の欠けたほむらを寝台に移す。
――さやか、マミ、治癒魔法をかけてくれ! ほら、ほむらのソウルジェムはまだ輝いてる!!
――解ってるよ!! でも上手くいくかどうか……!!
――無茶でもやってみてくれよ! 頼むよ!!
――やらないなんて言ってないっしょ!? 落ち着けよ杏子!!
――さやかちゃん、私も手伝う……治癒は得意じゃないけど、私にもやらせて!!
――ソウルジェムの穢れを回復させたら私も手伝うわ。それまで鹿目さん、美樹さん、頑張ってくれる?
――はい、マミさん!
――サンキューまどか! そいじゃーいくよっ!!
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:43:59.19 ID:N/pePvPE0<>
肉体の再構築なんていうのは初めて行う事。
今まで出会った魔女との戦いの中、腕や脚が切り落とされるなんて言うのは幾度かあった。
だがそれは、欠落した肉体の一部が残っている状態での治癒であり、乱暴に表現すれば『くっつけて』治していたのだ。
――― ソウルジェムさえ残っていれば、君達は無敵だ。
かつてキュウベぇが言い放ったこの言葉を逆手にとって利点と捉えられるようになるには、暁美ほむらによる尽力あっての事。
――― たとえ心臓が破けようが、手足が砕けようが、死ぬ事はない。
杏子が、ほむらの身体を真っ先に保護したのは、左手の甲に付いたソウルジェムを傷付けないため。
ソウルジェムさえ残っていれば、必ず復活できる。
そう判断したためだった。
居合いの構えで武器を振りかぶったのが、不幸中の幸い。
仮にもし、太刀を両手に持って振りかぶっていたとしたら……両腕が吹き飛ばされていたはず。
そうしたらソウルジェムもただでは済まなかっただろう。
考えただけで、寒気がした。
さやか、まどか、マミ、三名の魔力を治癒にあて、なんとか肉体の再構築には成功。
だが、ほむらの顔は死人のように真っ白だった。
三人を休ませ、今度は杏子が魔力を注ぐ。
次は、精神の復活。
血液の再構築による生命活動への復帰。
そんなことが可能なのか解らなかったが、杏子はやらずにはいられなかった。
――ありがとな、みんな。後はアタシが面倒見るから……だから、家に帰んな。また明日にでも来てくれよ。
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1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:45:11.58 ID:N/pePvPE0<>
まどかは椅子から立ち上がると寝台へと、腰掛ける。
血色を取り戻した親友の頬を撫で、安堵と不安のせめぎから、ぽろぽろと涙を零した。
QB「あの魔女の動向は僕達が監視しているよ。どうやら住処を定めたらしい」
杏子「……アイツは今、何してる?」
QB「家の中を自分なりに改装しているようだね」
さやか「家の中ってことは、もしかして……」
QB「大丈夫、あの魔女が目をつけた洋館は偶然にも廃家だ」
マミ「……そう。もし人の住む家だとしたら、大変な事になってたわね」
QB「けどこれまでに何度か街に繰り出している。犠牲者は増える一方だ」
杏子「だろーな……くそっ」
懐から取り出した飴を、口に放る杏子。
そして舐めるのではなく、奥歯で噛み砕く。
バキバキと大きな音を立てるその様は、怒りの度合いを表しているかのようだった。
さやか「キュウベぇ、武器を元に戻して。あの魔女は千切りにしてカレーの具にでもしないと気が済まないわ」
杏子「カレーに千切りは必要ねーだろ」
マミ「そうね。正直な所、お試し武器で戦って勝てる相手ではないわ」
二人の言葉に、無言のキュウベぇ。
ちら、ちら、とマミとさやかの顔を覗くその様子は初めて見せる『ばつが悪い』様子と言えよう。
QB「……君達、ヘアピンは無事かい?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:45:57.83 ID:N/pePvPE0<>
その言葉に、マミとさやかの二人は顔を見合わせた。
QB「今回の武器変更とは、言わば換装だ。戦闘機で例えると、機銃を換装するにはメカニックと整備機材が必要となる」
QB「僕がメカニック、ヘアピンが整備の機材。機銃は君達の武器、戦闘機は君達自身だ」
四人は、魔法少女へと変身する。
そしてキュウベぇに渡され着けていたヘアピン……それは、存在しなかった。
杏子「……ねーな」
まどか「な、無くなってる……こめかみの所に、つけてたのに!!」
マミ「私のも無くなってるわ」
さやか「……無事なのはあたしのだけか」
杏子「いい加減ぶん殴るぞ、さやか。それもとから着けてたヤツじゃねーか」
さやか「あっ」
QB「……耐久性までは考慮していなかったよ。まさかこんな事態になるとは思っても見なかったからね」
マミ「正規の武装は私だけ、ね」
弾力を持った閃光。
開戦と同時にその場に居た全員が浴びた、あの一撃。
あれによってマミ、さやか、まどかのヘアピンは破壊されていた。
杏子はそもそも初見の際、既に破壊されていたのだった。
QB「まあ三日……いや二日もあれば、同じものを用意できるだろう。申し訳ないが、それまで待って貰うしかない」
マミ「そんな……!!」
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:47:45.56 ID:N/pePvPE0<>
思わず身を乗り出す、マミ。
マミ「じゃあその間、あの魔女は放っておけと言うの!? そんなの、耐えられないわ!!」
さやか「そ、そーだよ!! あの魔女は街を好き勝手に動き回ってるんだろ!?」
まどか「…………」
さやかもマミに呼応する。
まどかはまた寝台に腰掛け、ほむらの頬を撫でていた。
杏子「キュウベぇ、ちょっと参考までに聞きたいんだけどさ」
QB「なんだい」
杏子「仮に二日待って、得意の得物に戻ったとする。それでアタシ等……ほむらも回復したとして5人」
一拍間を置き、
杏子「あの魔女と戦って、どっちが勝つと思う?」
QB「そうだね……正直厳しいんじゃないかな」
さやか「いやいやいや!? あたし達5人はあの最強の『ワルプルギスの夜』を相手に勝利した魔法少女ですよ!?」
マミ「そうよ、私達みんなが力を合わせれば……」
杏子「ちょい待った、確かにアタシ等はあの最強の魔女すら倒した、伝説の魔法少女と言ってもいい」
だが、と一言。
杏子「それは相手の特性や性質を知り尽くして、尚且つ入念な対策が練られた上での作戦勝ちだ。真正面からカチ合ってたら容易くブッ潰されてるか、もしくは」
まどかの方を見やる。
杏子「全魔力を賭してまどかが倒すかしか無かっただろーよ」
QB「そうしたら、まどかはワルプルギスの夜を倒した際に発生する呪いを一身に受けて、魔女になっていただろうね」
杏子「しかしそれはこの世界の終わりを意味する。だからほむらはそうならないように奔走した」
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:48:52.27 ID:N/pePvPE0<>
さやか「な、何が言いたいの、杏子?」
マミ「佐倉さん、あなたもしかして……」
杏子「落ち着けよ二人とも。頭に来てんのはアタシも同じだし、アリスを放置しろとも言わないよ」
再度飴を取り出し、口に放って噛み砕く。
杏子「アタシ等には覚悟が足りてなかった。ワルプルギスの時みたいな、必死さが足りてなかったんだ」
寝台のほうを一瞥し、歯痒いのか肩を震わせる杏子。
杏子「……武器云々じゃねーさ。もっと冷静に対処してれば、ほむらはあんな目にあわずに済んだはずなんだよ」
マミ「……そう、ね。暁美さんはあの時言ってたわ。『覚悟を決めて』と」
さやか「……だからほむらは魔女が無傷だって解った瞬間、真っ先に攻撃を仕掛けた」
杏子「アタシ達が呆気に取られてなければ、まだ片腕が吹っ飛ばされるだけで済んだはずなんだ……」
マミ「……惨めだわ。油断なんてしてないつもりだったのに……」
―― 静寂。
ほむら「……でも、みんなが無事で、よかったわ……」
!!
キュウベぇすら驚いて、そこに視線を送る。
頬に触れるまどかの手を、ほむらは力無く握った。
まどか「ほむら、ちゃん………」
ほむら「心配かけてごめんなさい……もう、だいじょう、ぶ……」
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:50:51.42 ID:N/pePvPE0<>
「ほむら!!」「暁美さん!!」「ほむら!!」
一斉にその名を呼ぶと、寝台に集合する三人。
まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃん……!!」
杏子「よかった、ほむら……ほんど、よがっだぁぁ」
さやか「ぐすっ、ま、まったく! 心配かけおってからに、こやつめぇ」
マミ「暁美さん……大丈夫? 痛むところはない? お腹すいてない?」
四人の優しい眼差しと、声。
暁美ほむらは、笑顔で返した。
ほむら「痛みも空腹も、無いわ……ただちょっと、身体に力が入らないみたい……」
うっすらと開けた瞼と、か細い声。
こんなに弱々しいほむらを見るのは、皆初めてだった。
ほむら「みんな、ありがとう……助けてくれたのね……」
なんと、なんと優しい声音で語りかけるのか。
寝台を囲む四人の目からは涙が止まらなかった。
杏子「アタシこそごめんよぉほむらぁ、もっと、もっとしっかりしてれば、こんなことには……」
まどか「ごめんね、ほむらちゃん……」
マミ「そうよ、お礼を言われる筋合いなんてないわ……ごめんなさい」
さやか「……ごめんよほむら……あたし達のせいで、あんな目に……」
ほむら「謝らないで……あれは私の、判断ミス……みんなが無事なら、嬉しいわ……」
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:51:50.72 ID:N/pePvPE0<>
QB「無理しないほうがいいよ、ほむら。ソウルジェムが無事だったとは言え、肉体的な死は精神に多大な負担が掛かる」
キュウベぇも寝台へと移動する。
ほむら「……頭がぼーっとする。身体は、鉛みたい、と言うのかしらね……すごく、重いわ」
さやか「治癒魔法が効いてないのかな……もういっちょいっとく?」
杏子「よせよ、少し休ませてやろうぜ」
ほむら「……構わないわ。さやか、お願い……」
QB「止めた方がいい。さやか、君の魔法でもこれ以上の治療は不可能だ。時間と共にほむらの肉体が精神と馴染むのを待つしかない」
マミ「ええ……。暁美さん、貴方はまだ休んでて」
まどか「そうだよ、無理しちゃダメだよ」
さやか「なんかさやかちゃん、悪者みたいな空気?」
さやかのおどける様子を見て、ほむらは微笑んだ。
ほむら「私は平気……早く、早くあの魔女を、アリスを、倒しにいかないと……」
握ったまどかの手を放すと、ほむらは両手を寝台についた。
起き上がるべく、力を込めている。
ほむら「次の……! 犠牲者、が……! 出てしまう前に……!」
言葉の合間に力を入れる様が聞き取れる。
だが悲しいかな、今のほむらは己の力で上体を起こす事すら、ままならない。
まどか「ほむらちゃん、お願い……お願いだから、休んでて」
落ち着かせるべく、強張ったほむらの両肩にそっと手を添えるまどか。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:52:29.02 ID:N/pePvPE0<>
まどか「あの魔女は、私達が倒すよ。約束する」
ほむら「ば、馬鹿言わないで……! あれの強さは、よく解ったでしょう……! みんなで、五人で、戦わないと……!」
さやか「お陰様でね、あいつの強さはよーくわかったよ」
マミ「……今度は決死の覚悟で挑むわ。それこそワルプルギスの夜と戦った時のように」
QB「僕としてもアリスをどうにかしてもらいたい所だね。あれは全知的生命体の敵となり得る存在だ」
ほむら「あ、あの時とは違うのよ……! グリーフシードのストックだって、用意している、わけじゃないし……!」
杏子「状況が悪いのはアタシ達も解ってるさ。でもアイツをほっとく訳にもいかねー」
マミ「私達は、正義の魔法少女なのよ?」
さやか「そうそう。この街の平和は、魔法美少女さやかちゃんと他4名の肩にかかってるのですよ!」
健気に笑って見せるマミに、調子をあわせるさやか。
杏子とまどかも、微笑む。
ほむら「……わかったわ……でも、これだけは、約束して」
閉じた瞼から、涙が、伝う。
暁美ほむらが皆の前で泣くのは、ワルプルギスの夜との戦いに勝利した時以来の事だった。
ほむら「危ないと、感じたら……絶対に、逃げて………死んじゃ、だめよ……」
無言で頷く四人。
「お邪魔するよ」
決意の場に横槍を入れたのは、部屋の入り口にて立つ、キュウベぇ。
寝台にもキュウベぇが居るので、外から来た別個体だろう。
別QB「アリスがまた、動き出した」
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1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:53:12.79 ID:N/pePvPE0<>
―――― 髪の毛の魔女の空間 ――――
眩しいまでの晴天。
おしゃれなオープンカフェには白いパラソル。
各テーブルの上にはチョコレートパフェが置かれ、シルエットだけの男女がそれを口に運ぶ。
舗装された道路にはタクシーやバスが停車しており、信号が青になっても発進しないためか渋滞になっている。
雑貨屋、病院、宿泊施設、学校。
様々なものが建ち並ぶ空間は、まるで一つの町だった。
交差点の中心部にて佇むものが、二つ。
艶やかな黒い塊は、雪だるまのように球体が二つ重なったシンプルな身体をしており、血走った目がギョロリと睨む。
細い蔓のようなものが胴体部分から何本も出ており、その先端には口紅のスティックが絡まっている。
もぞもぞと蠢くそれは、全身が髪の毛の塊だ。
それと向かい合うは、塊の半分以下の背丈しかない少女……アリス。
ふわふわと浮遊しており、その足元からは白い霧が立ち昇っている。
アリス「ふん、ふんふんふん♪ ふふふん、ふんふんふん♪」
鼻歌を歌いながら、ゆっくりと魔女へと近付いてゆく。
魔女「コォーーーイチクーーーン!」
魔女の発する独自の雄叫びが、結界内に響き渡る。
ヒュンッ!! ヒュンッ!!
蔓のような髪の毛が、鞭となって空気を裂く。
しなり、うねるそれは、コンクリで舗装された道路をも抉る強烈な武器。
アリス「ふんふんふん♪ ふふふん♪ ふんふんふんふんふんふん、ふふふん♪」
ボッ
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:54:00.30 ID:N/pePvPE0<>
ボッ
ボッ
しゅううううぅぅ。
からんっ。
アリス「らーーーららー♪ らららららーーーーららー♪」
無邪気に歌いながら、アリスは何事もなくふわふわと浮遊しながら進んでゆく。
結界は砕け、転がったグリーフシードだけが魔女の残滓。
偶然。
本当にただ偶然、結界にアリスが入ってしまった。
そして為す術も無く葬られた髪の毛の魔女。
アリスにとっては、ただの通りすがり。
目の前にひらひらと落ちてくる葉っぱがあったから、それを手で振り払う。
概ね、その程度。
上機嫌な様子のまま進んでゆく少女は、目的のものを求め――― 行く。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:55:00.18 ID:N/pePvPE0<>
―― 廃ホテル ―
ふぉんふぉんふぉん。
耳に届くのは、パトカーのサイレンの音ばかり。
薄汚れた天井は茶けており、かつては綺麗な朱色だったのだろうか。
暁美ほむらは一人残された一室の寝台にて、黙考する。
昨晩、自分はアリスによって腕と首を吹き飛ばされた。
首を吹き飛ばされた時点でこの肉体は死を向かえ、脳の機能は停止。
そのせいで意識を取り戻すまでの間の記憶が欠如している。
『暁美ほむら』の腕は、首は、あの展望台の入り口の所に転がったままなのだろうか。
腕だけならばまだ良い、大方身元不明のバラバラ殺人の遺体の一部として処理されるだけだ。
だがもしも首が警察の手に渡ったとしたら……そう遅くない内に身元が判明し『暁美ほむら』は人間社会においての死を迎える。
数多の苦労と共に仲間達と迎えた、最高の世界。
この世界から人間としての存在を抹消される事は、避けたいのが本音だ。
だがそれ以上に避けたい事は、友達を失う事。
無上の勇気と慈悲と献心を持つ、鹿目まどか。
一度友と認めた相手をとことん思いやれる、美樹さやか。
意地っ張りだけど本当は誰よりも優しい、佐倉杏子。
全てを包み込む柔和で暖かい心を持つ、巴マミ。
何度も何度も見捨ててきたからこそ、得難い友達。
『みんな、覚悟を決めて』
……自分の情けなさに涙が溢れてくる。
偉そうに決死の言葉をかけておきながら、何という矛盾。
自分自身が一番『失う』事を恐れているのだ。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:56:05.43 ID:N/pePvPE0<>
――みんな、アリスのところに、向かう前に、一つだけ……聞いて。
――あの時、私達の攻撃で傷一つ付けられなかった、けど……
――あれは……人形……アリスの人形が、攻撃を防いでいた、のよ。
――私達が人形を破壊した、から……アリスは、本気を出した……
――いいえ、本気を、出さざるを、えなく……なったのよ……
――だから、これだけは、言える。
――アリスは……倒せるわ。
決意を胸に秘めた皆に、勝利の希望となる言葉を伝える。
ほむらの言葉を聞いた四名は強い意志の光を瞳に宿し、この場を後にした。
思う様に動かぬ己の身体がもどかしい。
仲間と共に戦えぬ己の四肢が、憎らしい。
心に吹き付ける、忸怩の雨は強まる一方だった。
……ふと。
この部屋の空気が変わったかのような、そんな感覚に見舞われる。
場に馴染んでいない異質なものが混入した時に感じる直感めいたものが、ほむらの黙考の一時を遮る。
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1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:56:47.15 ID:N/pePvPE0<>
「あ、見つけた」
あどけない声が、耳に届く。
遅鈍なままに、その声が聞こえたほうへと顔を向ける。
何故?
どうして?
暁美ほむらの目が、驚倒を語った。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:57:37.82 ID:N/pePvPE0<>
QB「どうやらアリスは、住処に戻ったらしい」
廃ホテルを後にし、街中に散らばったキュウベぇと至る所で出会い、最後にそう告げられた。
今や、各魔法少女一人ひとりの肩に、キュウベぇが乗っている。
杏子「何しに出かけてたんだ、あんにゃろーは」
QB「わからない。だが急いだほうがいい」
まどか「犠牲者は……どう?」
QB「監視を始めてから数えて、およそ27名」
マミ「そんなに……。その中に、私達の知人などは含まれるかしら?」
QB「君達とは無縁の人間ばかりだね」
さやか「あんまこう言いたくは無いけどさ……不幸中の幸いってやつなのかな。いや、ホントは誰一人として犠牲者は出したくないけど」
杏子「誰も責めやしないよ。親しい人の心配をするのは当たり前のコトだろ?」
マミ「そう、ね……これ以上の犠牲者を生まないためにも、何としてもアリスを倒しましょう」
一行は、目的地を目指して街の空を跳ぶ。
その場所は、住宅街のはずれにある一際異彩を放つ、洋館。
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1<>sage saga<>2012/08/10(金) 08:58:28.80 ID:N/pePvPE0<>
周囲の家々と違って高台に建てられたその豪邸は、かつて権力者が居を構えていた跡地。
異国情緒を感じさせる巨大な門構えと広大な庭が、時の権力者の裕福さを物語る。
だが汚職の疑惑をかけられ失脚、政界から姿を消す……そんなありきたりなシナリオに沿われた、権力者の物語。
杏子「……ここが、アイツの住処か?」
QB「ああ、間違いないよ」
さやか「どっかで見たことあると思ったら、噂のユーレー屋敷じゃん」
まどか「うん、取り壊しを行おうとしたら家の中で白い幽霊を見たって噂で持ちきりだったよね」
マミ「いっそ幽霊で済むならマシなのに」
杏子「同感だ」
本来この館の門前には立ち入り禁止の立て看板と共に、有刺鉄線が張り巡らされている。
だが正門前の鉄線は不自然に拉げられ、優美な造りであったであろう門も破壊され、無残に転がっていた。
マミ「行くわよ、みんな」
語気を強めたマミの言葉に、三人は頷いた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:00:03.72 ID:N/pePvPE0<>
壊された門を越え、敷地内に入る。
……昼下がりであるにも関わらず、寒気がする。
降り注ぐ太陽は、光を照らすだけのライト。
館より放たれる強烈なまでの『死』の香りが、一同の背中に冷たい汗を垂らす。
一歩、また一歩と進むたびに、胃から這ってくる緊張で喉の奥が縮まるのだ。
QB「みんな、気をつけて」
感情の無いお前はいいよな、と睨むのは杏子。
でも危険を察知しているせいか、既にこの場に居るのは一体だけだ。
今四人が歩いている道は、深遠の入り口に向かって続く極冷の橋。
爪先から熱が奪われ、足の感覚が無くなっていくようだった。
先頭に立ったマミが、異界の扉の前に立つ。
ちら、と一瞬だけ後ろを見やって皆の顔を覗くと―――
ゆっくりと、押し開けた。
夜会が開けそうなほどに広大な、エントランスホール。
その正面には大きな階段が伸び、中間には踊り場が設けられ、そこからまた左右に階段が続いて二階へと伸びている。
英国風アンティーク式のカウンターデスクやチェストが壁に寄り添うように置かれ、天井にはシャンデリア。
そして……オブジェのように飾られるのは、毒牙にかかったであろう人達の顔……生首。
噎ぶまでに感じる死の香りは、これから発生していたのだった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:01:05.59 ID:N/pePvPE0<>
正面向かって左から、手すりを伝って階段を降りてくるのは――魔女、アリス。
その左手に抱くのは人形ではなく、四人のよく見知った顔。
暁美ほむらの、首。
アリス「いらっしゃい。アリスのお家に遊びに来てくれたんだね」
踊り場で止まり、四人を見下ろしながら声を掛ける。
その手はまるでペットのネコを抱き上げながら撫でるかの如く、暁美ほむらの頭を擦っている。
アリスは、満面の笑みだ。
ゆらぁっ
蒸気によって、何かが揺らめくかのような空気を感じる。
それはマミ、さやかの二名から沸き起こる憤怒だった。
昨晩、杏子とまどかは感情を思いっきり放出した事によって、感情をある程度発散させた。
だがこの二人は平静を繕い、敗走に心を回してくれたためか、溜め込んだ怒りは杏子とまどかのそれを遥かに凌駕するものとなっていた。
アリス「やったね、黒お姉さん。お友達がみんな来てくれたよ、これで寂しくないね」
抱えた首に向かってさぞ嬉しそうに話し掛け、その頬を愛しそうに撫で回す。
それからアリスは四名と向き合った。
アリス「この街でのお友達の作り方、ようやくわかったの。だからお姉さん達もね……お友達になって?」
開戦の狼煙が、あがる。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:02:16.59 ID:N/pePvPE0<>
マミ「ティロ・フィナーレッ!」
即座に構えたのは、マミ。
フリントロックがカチンと軽快に鳴り、巨大な魔力の砲撃を繰り出す!
アリス「お家が壊れちゃうよ」
白い霧を纏った手を前に突き出すと、マミの放った一撃はあらぬ方向へと向かう。
光を返す鏡のように彼方へと。
さやか「へいっ!!!」
続くはさやか。
ヘッド部分を垂直に向かって掲げると、弦を揺らす。
噴水のように放出された弾丸が貫くべき相手を判断したかのように、真っ直ぐアリスへと向かう。
杏子「ロッソ・ファンタズマ!」
ヴンッ!!
幻影を繰り出した杏子は、一斉に散らばり、矢を番える。
アリス「きゃっ!」
さやかの流星弾をある程度弾くものの、数発その身に浴びて、たじろぐ。
だが弾いたさやかの弾丸は跳弾となって、杏子の幻影も数体消されてしまう。
しかしそんな事は気にならない、幻影はまだ残っている。
杏子は弦を引き、アリスへ狙いを定める。
にやり。
数多の幻影の中から杏子本体のほうへと向き、笑った。
アリス「赤いお姉さんは増えるけど、インチキなんだよね」
音も無く跳躍すると、シャンデリア部分で矢を構える杏子の眼前に、アリスは詰め寄った。
アリス「ね。でもあなたからは命の匂いがするの」
虚像と実像の判別がつかなかったのに、アリスはもう学習していた。
平手打ちのように、腕を振りかぶる。
ボッ
杏子「うがぁぁっ!!!」
退いたものの、僅かに遅かった。
後方へと跳躍する際の右足に、白い霧に触れてしまった。
杏子の右足首が、くるくる回り、エントランスの絨毯の上に転がった。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:03:20.02 ID:N/pePvPE0<>
マミ「佐倉さん!!」
空中でバランスを崩した杏子をリボンで包み、引き寄せる。
その間にまどかが銃を構える。
魔力は最大、一撃で仕留める!
まどか「ティロ・フィ……ッ!!」
引き金に指をかけて今まさに発射、と言う時、まどかは硬直してしまう。
アリスがまどかに向かって、あるモノを投げてきたから。
腕に抱えていた暁美ほむらの、首。
剛速球のような速度で迫り来る、親友の首。
まどかの視覚認識が、その指を止めさせてしまった。
まどか「きゃっ!!」
大砲のような一撃を受け、まどかは弾き飛ばされた。
そして宙を舞うその首を、アリスはその手に掴む。
アリス「ごめんねぇ、黒お姉さん」
空中で静止したままアリスは暁美ほむらの頭を撫でる。
さやか「こ、こいつ……」
……あざとい。
昨晩、ほむらの首を抱えて泣きじゃくっていたまどかの事を、覚えてやがる。
だからこうすれば攻撃してこないだろうと踏んで、首を投げてきたんだ。
マミ「美樹さん、佐倉さんの足を!」
帽子を振りかざすと、何丁ものマスケット銃が立ち並ぶ。
ボン!! カチッ、ボン!! カチッ、ボン!!
着火によるオレンジ色の光が絶え間なく続く乱れ撃ち。
さやかの返事を待つより先に攻撃を行うのは、確認している余裕など無いから。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:04:11.79 ID:N/pePvPE0<>
右手をかざして魔法の弾丸を弾く、アリス。
壁、ガラス、家具。
至る所に弾が跳ねていくが、段々とそのワンピースドレスに掠めるようになってきている。
アリスの振り払う手と、マミの早撃ち、後者の方が速度で勝っているからだ。
だがマミの狙いは自分の攻撃によってダメージを与える事ではなく、アリスの行動を制御する事。
空中で静止したままの状態ならば、格好の的となるからだ。
そして思惑通り、まどかが起き上がり戦線復帰。
さやかによる杏子の治療も、終わった。
まどか「シュート!!」
触れると巨大な爆発を起こす、まどかのレーザー。
マミの射撃を弾くのに夢中だった、アリスは――
アリス「きゃあっ!」
ドォォォン!!!
直撃を受けて吹き飛び、壁に打ち付けられてエントランスの絨毯へと転げ落ちた。
そこに追撃をかけるマミとさやか。
アリスが起き上がろうとするそこへ、銃弾の雨を降らせる!
アリス「んもうっ!」
上体を捩った勢いで腕を振りかぶり、魔力の弾を振り払う。
そしてその振り払った直後に――
ドズンッ
真紅の矢が、アリスの身体を貫いた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:05:20.48 ID:N/pePvPE0<>
杏子「よしっ!!」
してやったり、と思わず声に出す杏子。
アリスの腕から、暁美ほむらの首が転がり落ちる。
好機。
マミはこのまま一気に決めるべく、リボンにて巨大な銃を作成。
まどかとさやかもそれに倣い、まどかは銃に魔力を込め、さやかはヘッド部分をアリスへと向ける。
マミ「トドメよっ!!」
真紅の矢に貫かれたままのアリスが、両手を振り上げる。
アリス「トランプ」
ドドドドドドドドドドドドドッ
まるで暴風雨が壁に打ち付けられたかのような轟音が……した。
マミ「えっ……」
さやか「なっ……」
まどか「あっ……」
杏子「な、何……」
完全に優勢だった。
油断もしていなかった。
だが、それはあまりにも一瞬だったから。
四人の両手両足を、赤色と黒色の槍が―――貫いていた。
腕には3本ずつの計6本、左脚に3本、右足には4本。
一人につき、13本の槍。
まち針が刺された玉止めのように無造作に、だが深々と。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:06:44.42 ID:N/pePvPE0<>
アリス「痛た……よいしょ……」
杏子の放った真紅の矢を、苦痛に顔を歪めながら引き抜く。
暁美ほむらの首を拾い、ゆっくり起き上がると、またふわふわと浮遊する。
アリス「すごいね、お姉さんたち。それ、私のとっておきだよ」
さやか「うぐ、くそ、くそぉぉぉ!!」
痛みを消して、槍から腕を引き抜こうと足掻く。
だが標本にされたかのように、貫く槍は長い。
杏子「ち、ちくしょう……マ、マミ!! リボンだ!!」
マミ「や、やってるわ! でも……切れないのよ!」
まどか「う、ううっ……!」
アリス「待っててね、黒お姉さん。今お友達がふえるからね」
微笑み、また暁美ほむらの頭を撫でながら、こちらへ近付いてくる。
そして――その手に白い霧が、纏われた。
対象は、杏子。
全てを弾き拒む永遠の白が、ゆっくりとその顔に迫る。
アリス「動いちゃダメだよ? ズレちゃうから」
杏子「くそ……悪い、ほむら……約束、守れなかった……」
白が、杏子の視界を――染めた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:08:11.02 ID:N/pePvPE0<>
マミ「佐倉さんっ!!!」
……死を覚悟した杏子。
だが、その視界を染めた白はアリスの霧のような純白ではなく、真珠のような煌きを持った、白。
杏子「あ、あれ……」
杏子の眼前にて留まるは、サッカーボール程の大きさの球体。
ギリシャ式のマーブルピラーに巻きつくような、月桂樹の蔓の装飾が美しく優雅だ。
アリス「い、ったぁ……」
大階段まで吹き飛び、尻餅をつくアリス。
ガヒュンッ!!!
四人の身体を、黒い疾風が駆け抜ける。
同時に四肢を貫く槍が、細切れとなった。
マミ「えっ……?」
槍の束縛から解放された四人は、一斉にくず折れる。
その眼前には、黒い燕尾服を纏った、ショートカットの女性の後姿。
上体を捻ってこちらを向き、四人の顔をじっと見つめてくる。
釣りあがった目尻に、漆黒の瞳。
そして右目を隠す眼帯が、目を引く。
同時に、音も無く舞い降りるは、白い花。
真珠のように美しい彩色を纏った女性は、まるで穢れを知らぬ純白のシスター。
司祭帽子は職業としての目印というよりも、貴族などが権力を誇示するために被る物の様だった。
杏子の眼前に浮いていた球体が、白い女性のもとへと戻ってゆく。
初めて見る二人。
誰だ? <>
1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:09:19.53 ID:N/pePvPE0<>
四人の後ろで、洋館の扉が開く。
そこには、頼もしい仲間が雄大に――
ほむら「間に合ったわね」
まどか「ほ、ほむらちゃん!!」
髪をなびかせ、立っていた。
ほむら「ゆま、皆をお願い」
少女「うん、わかった」
ほむらの背後より現れた、頭一つ半は小さい緑色の髪の少女。
肩袖のないメイド服のようなモノを着た少女がトコトコと走り寄ると、その身体が淡い緑色に包まれた。
するとどうだろう、串刺しにされて血だらけだった四肢は瞬く間に傷が塞がってゆく。
それ所か、まるで体力まで回復したかのように、身体が軽かった。
ゆま「もうだいじょぶだよっ」
『ゆま』と呼ばれた少女は四人の怪我を治療すると、にぱっ、と屈託の無い微笑みを見せた。
さやか「す、すっご……あ、ありがと」
白「呆けてる場合ではないですよ、皆さん。魔女はまだ生きています」
ムーンストーンのように滑らかな白色の髪の毛が、ふわりと舞う。
下がった目尻、波打つ癖の強い髪質と相まってか、おっとりとした印象を見受ける感じだ。
黒「そうだ。アイツは魚みたいに噛み付く。だから、ばらばらにしてやるしかない」
燕尾服の袖から覗く黒曜石のように鈍く光る爪が、シャランと鳴る。
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1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:10:16.58 ID:N/pePvPE0<>
アリス「うれしい。もっとお友達をつれてきてくれるなんて……あれ、黒お姉さんがふたり?」
腕に抱えた暁美ほむらの首と、推参したほむらの顔を見て、お互いを見合わせる。
黒「私は一人だ」
白「あなたのことじゃないわ。ほむらさんのことよ」
ほむら「ええ、アイツに首を取られたからね。でも……自分の顔をこうして客観的に見る事になるとは思わなかったわ」
黒「不愉快かい? 紫」
ほむら「そうね。あと出来るなら名前で呼んでちょうだい」
黒「君が自分を紫と認めたら、そうしよう。黒は私だ。私が、黒だ。これ、重要ね」
ほむら「紫だろうが黒だろうが好きになさい。私は色なんて興味ないわ」
黒「色なんて? なかなかどうして、君は。黒は重要さ。白の対極だから。解るね?」
呆然とする、まどか、さやか、杏子、マミ。
その様子に「ああ」と。
白「自己紹介がまだでしたね、みなさん」
黒「私もしないとダメかな?」
白「ええ、当然」
スカートの裾を持ち、恭しいお辞儀。
織莉子「私は織莉子、美国織莉子といいます。魔法少女です」
キリカ「えっと、私は呉キリカ。織莉子の魔法少女だ」
ゆま「わたしはね、ゆま! 千歳ゆま!」
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1<>sage saga<>2012/08/10(金) 09:11:49.52 ID:N/pePvPE0<>
ほむら「さて、話はあの魔女を始末してからにしましょうか」
鞘から太刀を抜く、ほむら。
キリカ「そうだな。そしてアイツを倒したらレモンティーを飲むんだ。角砂糖とジャムをたっぷり入れて」
キリカが袖を振るうと、鋭い鉤爪が数を増す。
ゆま「ゆまはミルクティーで!」
大きなスティックキャンディーのようなものを取り出す、ゆま。
どうやらハンマーのようだが、それにはちっちゃい尻尾がアクセサリーで付属している。
織莉子「お菓子も忘れずにね」
織莉子が両手を拡げると、蔓を纏った球体の数が増える。
先程のものと違い、ビリヤードの玉くらいの大きさのモノからハンドボール程のものなどと、疎らだ。
織莉子「さぁ、覚悟はよろしいですか。夭死の魔女」
(ようし)
魔女:夭死の魔女 性質:死
かつて運命的な出会いを経験した少女。永遠の一時は渇望の果て。
いくら声を掛けようとも、傍らの友達は口をきかない。
ド ン ! !
= 夭死の魔女編・4 =
終
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/10(金) 10:35:38.98 ID:6RqwVOMIO<> 由花子さんが噛ませにwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/11(土) 16:44:57.03 ID:3WQ90TpDO<> 味方に出来ると、本当に心強いな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/12(日) 06:44:54.30 ID:gRC+NbxN0<> ついにおりマギ勢が出たな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/14(火) 23:10:11.79 ID:KfkQ8vbDO<> まさかキリカや織莉子達が来てくれるなんて……最高じゃないか!織莉子結構好きなんだよね
これでかずみ(NO,1〜13)が来たら最強なんだがなwwww <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/17(金) 08:43:07.81 ID:oDKUK2DDO<> 俺の携帯でタイトル検索かけても、無効なデータを受信
しました。ってなるだけで、ここまで来るのに結構手間掛かるな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/20(月) 19:17:18.50 ID:wFjA8OvDO<> そうだよブクマすれば良いんじゃないか。早速登録だ。 <>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 00:59:55.46 ID:/x/feHS70<>
夭死の魔女編・5
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:00:33.89 ID:/x/feHS70<>
黒い魔法少女、呉キリカが足で地を叩く。
まるで新しい靴を履き慣らすかのように。
ヴォンッ
アリスの足元で魔方陣が光り、その身体を照らした。
キリカ「これで良し、かな?」
織莉子「ええ。陣を張らねば、魔女は軌道が解っていても避けられない程の速い槍を繰り出すから」
ほむら「呉キリカ。アリスの手に触れてはダメよ。その手や足が惜しければね」
キリカ「触れずに殺す。解決」
ほむら「まあ、精々気を付けなさい」
ダンッ!!!
強烈な踏み込みと共に、駆け出すほむら。
だんっ だんっ だんっ
まるでバッタが飛び跳ねるかのように距離を詰めるキリカ。
同時に、織莉子の生み出した球体が弧を描きながらアリスへと向かってゆく。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:01:58.80 ID:/x/feHS70<>
にやり、といやらしいまでに微笑むアリス。
先程繰り出した『槍』を降らせるべくその両手を――
アリス「あ、あれれ……?」
だが意思に反して、その両腕は上がらない……いや、上がろうとはしているのだが、それが酷く鈍い。
ほむら「はあっ!!」
刀の刃先だけが当たるように振り下ろされる、紫炎の太刀。
アリスの右腕に、一筋の光を生むと共に炎が舞い上がった。
アリス「きゃあ!」
槍を繰り出そうとしていたお陰で、防御の霧が間に合わずに、アリスの右腕を紫炎が包む。
キリカ「しゅっ!」
ほむらが距離を取るのと同時に降臨する黒き爪。
アリスの左肩に走る三本の線が、その部分のワンピースを裂いて、撒き散らす。
そしてキリカが即座に飛び跳ねると、迫り来るは眩い純白の球体。
『霧』を纏って払おうとすべく、アリスは手を前に突き出そうとする、が――
アリス「あうっ!!」
意のままに動く球体を、減速された状態で振り払うにはままならず、直撃を受けたアリスは大階段へと叩きつけられた。
ほむら「貴方達との相性は抜群ね」ファサッ
キリカ「そのようだね」
だが、と付け加え。
キリカ「一回一回噛ませなければあいつは抑えられない。相当に強いんだねぇ、あいつ」
爪先で地を叩きながら、唇をなめるキリカ。
アリスの倒れた位置に魔方陣が光ると、その光が身体を包む。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:02:54.47 ID:/x/feHS70<>
アリス「ううっ、なんだか体がへんだよぅ」
思ったように動かせない己の身体の異変を声に出して呟く。
ぺたりと座り込むようにして、
アリス「えーん、ひどいよー。お姉さん達、私をいじめるんだね」
両手を顔に当て、子供のように泣き出した。
織莉子「気を逸らさせて、槍の準備をしています」
毅然とした物言いに、ぴたりとアリスの泣き声が止む。
ほむら「そう。じゃあどうすれば?」
織莉子「『槍』の発動はその両の腕より繰り出されるもの。然らば防ぎきれないまでの射撃攻撃を。防衛の『霧』のために両手が塞がります」
ほむらは刀を鞘に納め、魔力を込める。
後方へと視線をやり、四人に合図した。
マミ「佐倉さん、鹿目さん!」
二人を呼びかけると同時にマミは天へ向かって垂直に腕を伸ばす。
するとリボンが展開され、それは橋のように広がり『狙撃』を行うための足場となった。
それを見たまどかと杏子は飛び上がり、リボンの足場へと移る。
ほむら「はっ!!」
鞘より抜かれし太刀が一閃、斬撃と炎の混じった紫のそれは空を翔ける。
さやか「へい!!」
ギターのヘッドを上に向けて弦を弾く。
青い無数の流星が弧を描いて放たれると、まるで意志を持つかの如く対象へと直進する。
マミが両手を広げると同時に虚空より現れるはマスケット銃四丁。
マミ「ボレー!!」
その言葉を言い終えた時には既に、その四丁は火を噴いていた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:03:44.65 ID:/x/feHS70<>
紫炎、無数の流星、黄金の魔弾が襲い掛かるのを見て、アリスはその両手に霧を纏う。
例え『減速』の陣を受けたとしても、防御に専念すれば霧は間に合う。
三人の放った攻撃は霧によって容易く弾かれた。
ぞくり。
悪寒。
アリスの背後に黒き爪、呉キリカが回りこんでいた。
キリカ「いやぁ、数とは力だ。後ろを取るのにこうも容易い」
狂気と狂喜に歪む顔、その言葉は愉悦に満ちており、
ガヒュンッ!!
容赦の無い十手の牙が、アリスの背中をバツ字に刻んだ。
アリス「うぅっ!」
苦痛の呻きを上げてキリカを憎々しげに睨む、だが。
ザンッ!!
気を取られた隙に見舞われた黒い刃―――ほむらの太刀が袈裟懸けの一閃!
アリスの片腕が、落ちる。
アリス「あ、ああっ……私の、私の……」
唇を戦慄かせ、その喉から発する言葉は震えている。
ほむら「私の首をふっ飛ばしてくれたお礼よ」
アリス「……ゆ、許さな」 ……ォォォォオ ドンッ
残った片腕を振り上げようとした時、空気を裂く音と共に鈍い音が響き渡った。
杏子の放った紅の一矢が、アリスの左腕を射抜いて弾き飛ばす。
アリス「手……私の、手……」
織莉子「巴マミさん、捕縛を」
マミを一瞥し、織莉子は球体をアリスに向かって飛ばす。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:05:25.94 ID:/x/feHS70<>
真珠色に輝く無数の球体がアリスの周辺を飛び回る。
捕縛、の意味を掴んだマミは、
マミ「レガーレ!」
リボンを織莉子の放った球体に結びつき、そのままアリスを縛り上げる。
すると球体は宙へと浮かび、まるでクモの巣にかかった昆虫のように吊るし上げられた。
まどかはマミの作った足場から降りると、吊るされたアリスを見上げる。
そして膝を曲げてしゃがみ、その照準を定めた。
恐怖に顔を歪ませるアリスに、まどかは唇を固く結んだ後―――
まどか「ティロ・フィナーレッ!!」
詰めの一射を、放った。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:07:56.69 ID:/x/feHS70<>
大きな花火が上がった。
まさにそう表すべきなのだろうか。
まどかの放った最後の一撃は、一筋の光となって上空へと昇り、白く弾け、消えた。
………
……静寂。
豪奢な洋館の天井に開いた、円状の巨大な穴。
キリカ「チリ一つ残ってない」
織莉子「完全に消え去ったようですわね」
ゆま「ソウルジェムの反応もないよ」
首元にあるソウルジェムを摩る杏子。
ああ、と誰に頷くわけでもなく呟いた。
杏子「確かに消えた。アイツの気配はもう無い。アタシ達の、勝ちだ」
さやか「……ぃよっしゃあ!!」
拳を握って勝利を喜ぶさやか。
無言で刀を納めるほむらに、まどかが抱きつく。
まどか「ほむらちゃん……良かった」
ほむら「ありがとう、まどか。心配掛けてごめんなさいね」
ふっ、と優しく微笑んで返すほむらに、まどかは満面の笑みで応えた。
戦いの終わりを感じたマミは、ふぅと一息ついた後に『三人』の方へと向き直る。
マミ「どこのどなたか解らないけど、ありがとう、皆さん。あなた達が助けてくれなかったら今頃私達は確実に殺されていたわ」
帽子を脱いで丁寧にお辞儀するマミ。
その仕草を見てか、優美にスカートの裾をつまんでお辞儀を返す、織莉子。
織莉子「いいえ、どういたしまして」
同様にして「どういたしまして」と返すゆまだが、キリカは応じる様子は無い。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:10:24.33 ID:/x/feHS70<>
QB「まさかこうして他の町の魔法少女と手を組んで戦う所を見るなんてね。想像だにしなかったよ」
さやか「キュウベぇ、あんたはこの人達のこと知ってるの?」
杏子「こいつ等も魔法少女なんだから当然だろ」
あ、そうか。とうっかりした様子で舌をぺろりと出す、さやか。
キリカ「相当な間抜けがいると見えるね」
さやか「な、なにをーっ!」
織莉子「止しなさいな、キリカ。この方達はあのワルプルギスの夜を倒した名高い魔法少女よ。粗相はしないように」
杏子「まーさやかがマヌケなのは否定できないけどな」
さやか「きょ、杏子までもぉー、きっさまー」
マミ「……ごほんっ」
場の空気を整えるための咳払いを一つ。
QB「しかし、何故君達が此処に?」
ほむら「……私も聞きたいわ。貴方達はもう、この街には関与しないと言っていたはず」
ほむらの放った言葉に、見滝原の魔法少女5人の視線が集まる。
一同の視線の意味するものは『この3人を知っている?』と言う疑問だろう。
織莉子「……そうですね。ささやかな恩返し、と言っておきましょうか?」
ほむら「見え透いた嘘はよしなさい。貴方が此処に来る理由は唯一つ……『まどか』の事でしょう?」
まどか「え、わ、私が……何か?」
今度はほむらがまどかを抱きしめる番。
その様子を見て、くすりと微笑む織莉子。
織莉子「詭弁を飲み込んでくれれば私達は善人のままですのに」
ほむら「……悪かったわ、ごめんなさい」
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:12:39.30 ID:/x/feHS70<>
織莉子「いいえ、気にしてませんよ。私達は『私の魔法の予知能力で最悪の魔女が現れたのを知り、助けに来た』だけです」
そう言い終えると織莉子は、傍らに居るゆまの頭を撫でる。
それを見たキリカは、唇を尖らせて子供のような顔で拗ねていた。
マミ「暁美さん。この人達は……」
ほむら「……知人、よ」ファサッ
まどかから手を離すと、髪をかきあげながらそう言い捨てる。
その言葉、態度から『これ以上聞くな』という意図が感じ取れたのか、皆は言及しなかった。
さてと、と言うのは織莉子。
織莉子「それでは招かれざる者達はこれにて失礼させて頂きましょう。さぁ帰りましょう。ゆま、きりか」
ゆま「はーい」
キリカ「ああ。お腹もすいた。織莉子が焼いたアップルパイを食べたい」
会話は終わった。
踵を返す三人。
マミ「待って」
その背中に声を掛けるマミ。
マミ「命の恩人をこのまま帰すだなんて、気が引けるわ。良かったら、うちに来ない?」
いつもの優しい微笑で三人に語りかける。
マミ「私達のチームは魔女の戦いの後には必ずお茶会をやるの。だから貴方達も是非来てくれるかしら?」
杏子「そうそう。マミの作るケーキは最高にうまいんだぜ?」
さやか「更に美味しい紅茶もついてくる! こりゃー来なけりゃソンソンですよー?」
顔を見合わせる織莉子とキリカ。
いち早くその言葉に反応したのは――
ゆま「ゆま、いきたい! ケーキたべたい!」ピョン
と、眩しい笑顔で賛成する。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:14:12.07 ID:/x/feHS70<>
杏子「よしよし、素直で良い子だな。ほら、食うかい?」
ゆま「わぁ、ありがとうおねえちゃん!」タタタッ
手に持ったロッキーに釣られ、ゆまは杏子のもとへと駆けて行く。
それを見たマミは、織莉子とキリカの二人に再度微笑みかけた。
マミ「貴方達と暁美さんとの間に何があったかは知らないし、聞くのも気がひけるわ。でも……」
さやか「あたし達の恩人には違いない! ……ですよね、マミさん!」
マミ「ええ」ニコッ
笑顔を浮かべたまま、ほむらの方へと向き直るマミ。
するとまどかも笑顔を浮かべ、
まどか「ほむらちゃん」
と、声を掛けた。
ほむら「……貴方達には敵わないわね」フッ
ほむらの強張った面が氷解し、柔らかな微笑みへと変わる。
キリカはただじっと、織莉子の顔を見つめている。
一拍間を置いてから、織莉子は―――
織莉子「ええ。喜んで」
と、優しい微笑みと共に、返した。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:18:03.37 ID:/x/feHS70<>
――――― 後日・街外れ 建設途中のビルにて。
見下ろす眼下には点滅するネオン。
雑踏には黒い粒がせわしなく行き来する。
遠くに聞こえる電車の音と車のクラクションの音、そして上空を通る飛行機のジェット音。
身体に浴びせられる風が強いのは、高い所に居るせいだろう。
……見滝原を震撼させた、事件から2週間。
死亡者・行方不明者、併せて三十名以上。
全国放送に取り上げられ、連日マスコミが押し寄せワイドショーは大騒ぎ。
警察によって厳戒態勢が敷かれ、学校からは外出禁止令が言い渡されたりもした。
以後も続くと思われた、謎の事件。
だがその怪異は高台に建った幽霊屋敷の火事を最後に、ぷっつり途切れた。
街の中には注意を訴えかける看板などが事件の名残を見せるが、もう警官も保護者パトロール隊も居ない。
テレビでは相変わらず文化人気取りの人間が毒にも薬にもならない弁を展開しては意気揚々としている。
メディアは遺族の悲しみを訴える事を止め、また流行り物や音楽などの特集に勤しむ。
街は、いつもの『流れ』を取り戻した。
建設途中のビル最上部、むき出しの鉄骨に腰掛けるのは、暁美ほむら。
今夜のパトロールを終えて解散した後に、この場にて街を見下ろしていた。
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:19:58.20 ID:/x/feHS70<>
ほむら「貴方は何を見たの、美国織莉子」
織莉子「名前だけで結構ですよ、ほむらさん」
風に煽られる黒髪の奥に、真珠色の帯の如き髪が泳ぐ。
ほむら「私達の死? 魔女による見滝原市民虐殺? それとも、まどかの魔女化?」
織莉子「………一番最後の、ものを」
ほむら「そう……やっぱりそれだったのね」
織莉子「最初に佐倉杏子が死に、次に巴マミ。美樹さやかと続いて、最後に毒牙に掛かるのは、鹿目まどか」
ほむら「……」
織莉子「瞬く間に穢れるソウルジェム。鹿目まどかの首が吹き飛ぶ寸前、ソウルジェムは砕ける」
ほむら「そして、『救済の魔女』が誕生し、全てが終わる」
織莉子「はい。夭死の魔女も『救済』され、世界は終焉を迎える……というのを見ましたのよ」
QB「なるほど、君はこの地球の滅びを予見したと言うわけか」
何処からとも無く現れ、いつのまにか会話に加わるキュウベぇ。
織莉子「同時に、私達が助太刀すれば夭死の魔女に勝利する場面も……。それ故に僭越ながら、貴方の『箱庭』にお邪魔させて貰ったのです」
ほむら「箱庭、ね……」
織莉子「私達は所謂世界の歪みと澱み。色取り取りの世界を染める一滴の黒と白。干渉しあえば交わることは無い、と仰ったのは貴方でしたよね?」
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:21:33.10 ID:/x/feHS70<>
ほむら「そうね。だからどちらかが譲歩するしかなかった」
織莉子「でも貴方は言った。『百里先を見ず、まずは歩を進める足元を見よ』と」
ほむら「……貴方の予知能力は望遠鏡に似ていた。遠くに映る景色ばかり見据えて、足元にある石に気付かずに転ぶ」
織莉子「そして私達に道を示し、滅ばぬ未来を約束した」
風が、二人を薙ぐ。
QB「ところで、君達には先に伝えておこう」
沈黙を破ったのは、キュウベぇ。
QB「今回の魔女の正体だが、あれは恐らく次元を超越してやってきた存在だ」
織莉子「次元? ほむらさんのように?」
QB「いいや、違う。暁美ほむらは同一の世界を行き来した時間遡行者だが、アリスは並行世界からの来訪者だろう」
ほむら「……並行世界?」
QB「全てが同じだが全てが違う世界の事さ。君達と同じように地球で生きている人間がいるが、君達は存在しない異なる世界」
QB「だが本質的な定義や法則は変わらない。酸素を吸って二酸化炭素を吐く事とかね」
織莉子「ではあの魔女は、魔女であって魔女ではないと?」
QB「察しがいいね。魔力と言う本質は同義でも魔女と言う存在ではない。だが摂理に逆らう存在ではあった」
ほむら「魔女ではないけど、魔力を持つ……そして、魔法少女ではないのに魔女と干渉できる存在、ね」
QB「今までにない常軌を逸した存在だ。僕達インキュベーター達の間では『悪魔』と名付けて分類したよ」
織莉子「異なる世界ではそんなものが存在する。大変ですこと」
ほむら「……悪魔、ね。アリスは一体どういう目的でこの世界にやってきたのかしら」
QB「その辺についても僕達の間で議論が交わされている。解答に行き着くのはまだまだ先の事だろう」
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 01:25:56.28 ID:/x/feHS70<>
織莉子とほむらの顔を見合わせて、一言。
QB「一つだけ確実に言える事は、『悪魔』は全文明、全生命体の敵と言う事だ。それは僕達も例外じゃない」
ほむら「良かったわね、貴方達も滅びの危機感とやらが味わえて」
QB「流石に異次元の来訪者については想定していなかったからね」
織莉子「存外浅はかですこと」
QB「僕達インキュベーターに闘争の文明がない以上、悪魔に対する対抗手段は皆無だ。しばらくは君達に頑張って貰うしかない」
QB「そのためにも魔法少女のシステムを根本から見直さないといけないかも知れないね」
織莉子「魔女と違ってグリーフシードを落とさないならば、いずれ魔法少女は『必ず滅ぶ』ことになりますね」
ほむら「そうね。いっそのこと地球以外の文明で魔法少女システムを始めたらどう? もっと恨みを買うといいわ」
QB「このシステムは地球人用に合わせた特殊なシステムだ。他の文明に運用するのは難しいよ」
QB「それにもしそれが出来るなら、こんな話は君達に聞かせないさ。文明干渉と言うのは諸刃の剣だからね。僕達にだって限度がある」
織莉子「それもそうですね」
ほむら「何にせよ魔法少女システムが改善されるのは歓迎だから、精々がんばりなさい。また『悪魔』が現れたら倒してあげるから」
織莉子「ええ。例え争いの坩堝に身を投じる事となっても、今の『私達』はその運命を受け入れている」
一瞬、ほむらに視線をやる織莉子。
そして天を仰ぎながら、まばらに光る星に語りかけるかのように――
織莉子「相手が如何な存在であろうと、私達の大切なものを奪おうとするのならば戦いましょう」
ほむら「『私達』か……そう、ね。ここまで紆余曲折あったけれど、総じて良しとは思えるもの」
QB「戦う定めを受け入れている、か。頼もしい言葉だね。それじゃあ、美国織莉子」
QB「君も、武器を変えてみないかい?」
――― 終 ―――
<>
1<>sage saga<>2012/08/27(月) 02:05:05.28 ID:/x/feHS70<>
以上を持ちまして、>>1による「みんな、武器を変えてみないかい?」は終了です。
アリス戦の安価武器次第で、おりこ勢が加わるか否かを考えていたので最後の安価は素晴らしいものでした(´∀`)
反面、アリスの設定した能力とおりこ勢との相性が抜群だったので、三人が参戦してからはあっと言う間に片付いてしまい、味気なくて申し訳ないです。
あと、>>374 >>397 は織莉子とキリカの会話です。解り辛くて、スンマセン。
ゆまちゃんが戦闘に参加しない完全なメディックでした。ファンの方、スンマセン。
〆が唐突なメガテンクロスじゃねーかよ! って思われた方、スンマセン。何だか勢いでこうなっちゃった。ハシャイジャッテ、ウェヒヒ。
>>1が一番好きなキャラはほむらです。
さや杏のfigmaが再販万歳。転売ヤー死ね!
……ふぅ。
今まで安価にお付き合いくださった方々、ありがとうございました。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 07:24:29.69 ID:u+kgpVIc0<> 乙!!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 10:03:17.57 ID:mf/I91wDO<> 続きがありそうなのに、終わっちゃうんですね。
楽しませて頂いていただけに、非常に名残惜しいです。
今まで、どうもありがとうございました。
お疲れ様でした!! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 21:08:32.50 ID:M2gPdxBDO<> QBが言ってた別世界って真・女神転生の世界なのか?
そのうち閣下がこの世界に来たりして <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 21:36:54.02 ID:+2/KXeoso<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/29(水) 14:52:06.91 ID:zpwsI25DO<> 面白かった!乙
どうせならBadEndの織莉子勢が来ない方もみてみたくなる
もし新しく何か書く予定あるなら教えて、そしたらそっちも読みに行く <>
1<>sage saga<>2012/08/29(水) 18:57:17.70 ID:z8RyOrhS0<> >>452
真でもライドウでもあるかもしれませんね(´∀`)
そのうち学校に車椅子のおっさんが来たり、公園に変なジジイが住み着いたり、喋る黒猫とか現れたら面白いね!
……誰かがメガテンクロス書いてくれんかなぁ(´A`)
ペルソナは1しか知らないので、ペルソナクロスについていけなくて寂しい。
>>454
ありがとうございます、でも残念ながらバッドエンドにはならず、普通に勝っていたでしょう。
下記のように、武器ごとの強さを決めていたので
弓 剣 槍 銃 盾 総魔力
まどか |12|10| 5|11|17| 55
さやか | 9|12|10| 7|12| 50
杏子 | 8|11|12| 8|11| 50
マミ | 9| 9|11|12|11| 52
ほむら |11| 8| 5|11|14| 49
全員の数値を足して60を越えたらアリスに勝てるだろうって感じで考えてました。
60に満たない場合はおりマギ勢が助けに来るって感じです。
他のSSについては何とも言えませんが、頓挫しなければ
KOFクロスの
庵「魔法少女だと?」 アッシュ「ウィ。ムッシュ・八神」
エロてぃっくな感じの
QB「何でも一つだけ願いを叶えてあげるよ」 早乙女先生「け、結婚とか!?」
の二つでしょうか。
まぁあまり期待しないでください(´∀`;;)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/29(水) 23:38:31.68 ID:eV3DDRwDO<> KOFクロスとか俺得
タイトルからしてアッシュ編か?アッシュの最後を考えると納得
あの世界、超能力者はいるし、格闘家が普通に炎・氷・雷・風・気を使ったり、体力を吸い取る軍人がいたり、オーバーテクノロジーの塊なサイボーグがいるし、敵勢力も自爆が趣味な武器商人、地球意志、世界征服を企む秘密結社とぶっ飛んだのばかりだから魔女とも余裕で闘える気がする。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/03(月) 01:33:02.59 ID:C6Q9i0FDO<> 早乙女先生の話も気になるww
もし旦那さんが出来たら、魔女退治を変な風に
誤解されなきゃ良いけど……どうだろうなぁ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)<>sage<>2012/09/06(木) 03:50:00.39 ID:nXYsYLCKo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)<>sage<>2012/09/19(水) 13:40:45.58 ID:sxqRdULAO<> これほど文章だけではなく絵着きでみたいSSも珍しい <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/28(金) 13:58:52.24 ID:ofZu+R360<> 軌跡で魔女化スレの魔法少女(or魔女退治)の話とか
やってみてもらいたいな。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/28(金) 14:28:29.85 ID:FqVQkCRIO<> そういうスレだぜここ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/28(金) 14:29:06.82 ID:FqVQkCRIO<> 間違えた <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/10/24(水) 10:10:46.28 ID:QuAixexIO<> ヤバイ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/10/24(水) 11:25:46.02 ID:AYSZPnDo0<> どうした? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/10/26(金) 01:10:22.97 ID:h4m59Lrdo<> >>464
もうすぐ落ちそうかなって
目安一ヶ月でしょ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/10/26(金) 10:45:21.40 ID:pUZQELe10<> >>465
>>449にはっきり、ここは終了ですって書いてあるけど?
新作をやるにしても、新しくスレ建ててやるもんだと思ってたんだが <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/10/30(火) 00:35:31.05 ID:0yjIL37jo<> >>466
ゴメン
見てなかったです <>