Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 21:35:20.93 ID:FzmpC6oAO<>※このスレは、アイマス世界における、主に765プロ所属アイドルが出演するドラマ、要するに劇中劇という設定です。
ので、アイドル達が本来の設定とは違う設定で登場してきますが、そういうドラマなのだとご理解ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1341578120(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>貴音「ふーどふぁいと!!!」
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 21:38:22.44 ID:FzmpC6oAO<> 第1話『ラーメン対決!』
水瀬グループビル最上階 社長室
伊織「それで? 次の挑戦者は決まったの?」
P「難航しています。そもそも勝てそうな相手がいないので……」
ドガッ★ 伊織の蹴りが、Pに命中する。
P「痛っ!」
伊織「無能の言い訳なんか聞きたくないわ。アンタは、私の命令を、忠実に遂行すればいいの。わかったわね」
P「……はい」
伊織「わかればいいのよ。ゴメンね、蹴ったりして」
P「大丈夫、です……」
伊織「にひひっ。私の可愛い可愛いPちゃん……」
伊織はPを抱きしめると、猫なで声で囁く。
当のPは、目を伏せて身を硬くする。
伊織「挑戦者、早く決めてね。あの貴音に、 惨めな敗北を味あわせられる挑戦者を……」
P「わかってます」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 21:44:46.22 ID:FzmpC6oAO<> 俺はP、水瀬財閥の次期当主と目されている令嬢、水瀬伊織の秘書……だ。一応。
伊織様……いや、こんな時にまで仕事で強要されている呼称は止めよう。
伊織は、水瀬グループのひとつである水瀬総合食品フーズの若き社長でもある。
彼女は政財界とのコネクションを最大限に利用し、本社ビル地下で『フードファイト』というヤミ賭博を開催している。
フードファイトは好評で、一夜で億単位の金が動く事すら珍しくはない。
参加者も勝利すれば、賞金が一回300万円。
それ以外にも、伊織が何かしらの特別な褒美を与えている。
がしかし、ここ数回は勝者は常に1人の人物に固定されてしまっている。
強すぎるチャンピオン。
それが四条貴音。
まだ若い、アイドル志望の……信じられないぐらい、美しい娘だ。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 21:51:28.24 ID:FzmpC6oAO<> P「はあ、とりあえず……黒井社長の見舞いにでも行くか」
双海総合病院
P「……!」
貴音「……!」
P「奇遇だな、チャンピオン」
貴音「人前でそう呼ぶのはお止めください。あなた様も、黒井社長のお見舞いに?」
P「一応、俺がセッティングした勝負だしな。まあ、チャンピオンに一蹴されて、この通り病院送りだが」
貴音「勝負とはいえ、少々やりすぎました。反省しています」
P「……そんな気遣いは無用さ、まあお嬢様は大変なご不興だったがな」
貴音「……いつまであの娘の側にいるのですか? もしよろしければ、わたくしと……」
P「ああ、貴音みたいな美人といられたらいいだろうな」
貴音「まあ!」
P「赤くなるな。お世辞だ」
貴音の「まあ!」
P「怒るな」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 21:54:31.32 ID:FzmpC6oAO<> ノックして個室へ入る2人。
冬馬「……外が騒がしいと思ったら、社長をこんなにしやがった張本人達が、雁首そろえておでましかよ。いい度胸じゃねえか」
北斗「チャオ! やめろ、冬馬」
翔太「ここは病院だよ、冬馬君」
冬馬「……チッ。それで何しにきやがった? こんなになっちまった社長を笑いに来たってんなら……」
P「見舞いだ。具合はどうだ?」
翔太「身体は問題ないそうです。しばらくすれば、元に戻るって。ただ……」
北斗「心は、もう……」
黒井「……ハァ。わしはもう、ダメだなあ……」
貴音「黒井殿、暫くお会いしない間に、随分とお年をめされましたね」
冬馬「誰のせいだよ! お前とのクロワッサン勝負で負けてから、社長は……社長はなあ……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:02:57.29 ID:FzmpC6oAO<> P「冬馬君、だったね。貴音を責めるのはお門違いだ。黒井社長は勝負をして負けた。貴音は正々堂々と勝った。それだけだ」
冬馬「いいや、俺は許さねえ……その女を絶対に許さねえぞ!」
貴音「ではどうすると仰るのですか? わたくしに、ふーどふぁいとで挑戦するとでも?」
P「貴音、止めろ」
貴音「黒井社長は、口ほどにも無い相手でした。人は、実力以上の事を口にすると、身を滅ぼしますわね」
冬馬「てめえ……」
貴音「そこにいる、黒井社長のように」
冬馬「やってやる……おい、そこの水瀬の腰巾着!」
P「俺か? もしかして」
冬馬「そいつへの次の挑戦者、俺がやるぜ!」
P「止めておいた方が……」
冬馬「心配するなよ、俺も食うぜ。ハンパなくな」
北斗「チャオ☆ それは本当ですよ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:09:08.83 ID:FzmpC6oAO<> 冬馬「おまえ、得意な食べ物はなんだ!?」
貴音「わたくしですか? らぁめんが、特に好物ですが」
北斗「よし決まりだ。おまえの得意なラーメンで勝負して、負かしてやる!」
貴音「良いでしょう。身の程を、貴方に知らしめましょう。では、当日」
P「お、おい。勝手に話を決めるなよ」
翔太「お願いだよ、やらせてやってよ。冬馬も冬馬なりに、社長のために何かしたいんだよ」
P「……その結果が、黒井社長の横で並んで寝込むことになっても、か?」
翔太「……」
冬馬「……望むところだ。俺は、おっさんの為に闘ってやる! 俺がおっさんの横に、あの女を並べてやる!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:14:58.05 ID:FzmpC6oAO<> 伊織「それで? 本当に大丈夫なの?」
P「天ヶ瀬冬馬については調べました。大食い大会等の経験はありませんが、確かになかなかの実力者です。そして何より……」
伊織「チャンプを憎んでいる、っていうのがアピールポイントなわけね?」
P「人は誰かのために闘う場合、時に実力以上のものを出します」
伊織「……ふん」
P「伊織様にはおわかりいただけませんか?」
伊織「私が言いたいのは、天ヶ瀬冬馬が負ければ、アンタが相応の責めを負うという事。それだけよ」
P「……心得ております」
P(勝て、とは言わない。がんばれよ、冬馬。黒井社長の為にな……)
貴音「本当に私と戦うとは、意外でしたね」
冬馬「今の内に言ってろよな、俺がお前を倒しておっさんの心に自信を取り戻させてやる!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:19:35.04 ID:FzmpC6oAO<> 伊織「ルールの説明をするわよ。今回のメニューはラーメン。関東風の醤油味のシンプルなラーメンよ」
伊織「ただし、素材は厳選した本物よ。具材もそれぞれ一流の物を揃えてあるから」
貴音「まあ!」ドキドキ
冬馬「別になんだっていい。早く始めてくれ」
伊織「ふん、私に命令するとはいい度胸ね。まあいいわ。ファイトは1R10分で3Rの大食い対決。ラウンド毎に3分のインターバルが入るわ」
伊織「じゃあ始めるわよ……ファイト!」
貴音「……! これは、極上の国産小麦粉を使った麺に、すぅぷは比内地鶏……いえ、それに僅かなとんこつを」ズルズル
冬馬「……」ズルーーーッ <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:23:04.68 ID:FzmpC6oAO<> 伊織「なかなかの勢いじゃない、あの挑戦者。さすがアンタ、いい挑戦者を選んだじゃない。にししっ!」
P「はあ……」
P(飛ばしすぎだ)
貴音「天ヶ瀬冬馬」
冬馬「……」ズルズルーーーッッッ
貴音「大食い対決では、ぺぇす配分が肝要。そのように飛ばしていては、後半持ちませんよ」
冬馬「……」ズルズルズルーーーッッッ
1R終了
貴音:3杯
冬馬:4杯 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:26:23.30 ID:FzmpC6oAO<> 冬馬「へ、へっ……どうだ、見たか。負けねえぞ……おっさんをあんなにした、お前なんかには負けねえぞ!」ハァハァ
貴音「息が上がっていますよ。まだ2らうんどもありますのに」
冬馬「……上等だ! まだまだペース、上げてやるぜ!!」
伊織「なによ! いったいどういうこと?」
P「序盤でペースを上げすぎた、という事でしょう」
ドガッ★
P「っ!」
伊織「なに冷静に言ってるのよ! どうみてもあの挑戦者、もう限界じゃない!! もう負けは確定なの!?」
P「たしかに冬馬の身体は、限界でしょう」
伊織「アンタ……」
P「ですが、ここからが冬馬の……心の闘いになるでしょう」
伊織「根性論なんて、野蛮な男どもの幻想よ。そんなんで物事に勝てるなら、苦労はないわ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:31:57.14 ID:FzmpC6oAO<> 2R開始
徐々に、ペースを上げていく貴音。
一方の冬馬は……
冬馬「おっさん……おっさん! 貴音を倒して、倒して……」ズルズル
貴音「……やりますね」ズルズル
伊織「ちょ、ちょっと……これって」
P「いかがですか、伊織様? あれが……なにかの為に必死な者の姿、です」
2R終了
貴音:4杯(計7杯)
冬馬:4杯(計8杯)
伊織「嘘、勝ってる……? まだ、勝ってる?」
貴音「あなたを少々、見くびっていたようですね。ですが、さすがにもう限界では?」
冬馬「……」
冬馬(ダメだ) <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:37:02.89 ID:FzmpC6oAO<> 冬馬(口を開いただけで、ぜんぶ出ちまいそうだ)
冬馬(ここまでか……おっさん)
黒井「冬馬!」
冬馬(へっ、幻聴まで聞こえてきやがった)
黒井「冬馬! 負けるな!!」
冬馬(それにしても、さすがに幻聴。おっさんがまた、前みたいに元気に怒鳴ってやが、る……?)
黒井「冬馬! 冬馬!! 冬馬!!!」
冬馬「おっ……さん!?」
北斗「チャオ☆ 冬馬、冬馬のファイト見事だったぞ。それを見てたらほら、社長も」
翔太「だから、負けないでよ。冬馬君!」
冬馬「へっ……へへっ。そうか、そうかよ」
黒井「負けたら承知しないよ! 冬馬!!」
冬馬「ま、負けるわけねえだろ! いくぞ!! 四条貴音!!!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:40:47.97 ID:FzmpC6oAO<> 3R開始
冬馬「ま、負けねえ……負けねえぞ……」ズル
伊織「すごいじゃない! ふうん、心ねえ……」
P「ですが、それもそろそろ限界」
貴音「ここまでとは、驚きましたよ天ヶ瀬冬馬」
冬馬「へっ……どうだおっさん、あの貴音が……四条貴音が驚いてやが、る……ぜ」
3R終了
貴音:3杯(計10杯)
冬馬:1杯(計9杯)
黒井「冬馬! 大丈夫かい? 冬馬!!」
冬馬「ああ……へっ、負けた……負けちまったな、おっさん。すまねえ」
北斗「チャオ! 冬馬はがんばったさ」
翔太「すごいよ。それに社長も元気になったし」
黒井「すまなかったね、冬馬。だがお前のファイトで、目が覚めたよ。もう心配は要らない、これからは本業でがんばろう」
冬馬「ああ、そうだ、な……もう大食いはまっぴらだ」
北斗「だね。チャオ☆」
輪になり、和気藹々の961プロ。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:43:47.40 ID:FzmpC6oAO<> 伊織「……」
P「申し訳ありません、伊織様。天ヶ瀬冬馬を挑戦者にして敗北したこの失態、責めは私がいかようにも」
伊織「……そう」
P「? あの……」
伊織「じゃあアンタに命令するわ。次はもうちょっと……マシな相手を用意しなさい。いいわね」
P「……はい」
ファイト後、765プロダクション事務所。
小鳥「どうしたの貴音ちゃん? いつもフードファイトの後は、お腹いっぱいだって言ってるのに」
貴音「いえ、今回はちょっと……」ズルズル
貴音(あのらぁめん。できればもっと沢山いただきたかったですね……)
小鳥「ふう。でもこの765プロも、所属アイドルは貴音ちゃんだけだし、まだまだよねー」
貴音「その内わたくしが、とっぷあいどるとなってみせます」
小鳥「おおっ! 頼もしいなあ。うふふ」
第1話 終わり <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:50:04.48 ID:FzmpC6oAO<> 次回予告
さて、次回の挑戦者は!?
千早「私、歌が大好きなんです」
貴音「なんていう歌声……わたくしとしたことが、ひきこまれてしまいました……」
挑戦者『如月千早』
千早「私たち、仲良くなれそうですね」
貴音「ええ。共に、とっぷあいどるを目指して研鑽いたしましょう!」
そして……
黒井「この歌は、ちょおっと借りておくよ」
千早「そんな……返して! 私の歌を返して!!」
伊織「千早、アンタが勝ったら歌を返してあげてもいいのよ?」
対戦メニューは!?
貴音「……美味しくありませんね」
千早「メトロノームと音叉だ。私は、それになるんだ……」
次回『クラッカー対決』! お楽しみに <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/06(金) 22:53:20.44 ID:FzmpC6oAO<> 一旦ここで、止まります。
ありがとうございました。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/07/06(金) 22:53:45.60 ID:UGhY7C6Ko<> 乙 次はいつごろ? <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>sage<>2012/07/07(土) 20:04:59.42 ID:gdIRrMcAO<> >>18
今回は、1話ずつ投下しますので、おそらく1〜3日毎ぐらいになると思います。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/08(日) 08:07:01.46 ID:eVNpOsYTo<> 乙
たぶん大食い甲子園とかがある世界なんだろうなww <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:22:34.51 ID:CSXsXLkAO<> 第2話『クラッカー対決!』
河川敷
貴音「ふう……先程のれっすん、また怒られてしまいました」
貴音「とっぷあいどるへの道は険しいですね……」
?「んあー」
貴音「?」
?「んあー」
貴音「この面妖な……しかし、心惹かれる声は?」
声のする方に目を向けると、そこには長い髪を風になびかせた、貴音とそれほど違わない年頃と思われる娘がいた。
?「んあー。あー、あー。うん、悪くないわね」
貴音「そこの貴女」
?「え? 私ですか?」
貴音「わたくし、四条貴音と申します。まだ全く売れてはおりませんが、これでもあいどるを目指している身」
?「そうなんですか? じゃあ私と同じ、って事になりますね。あ、私は如月千早といいます」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:25:39.89 ID:CSXsXLkAO<> 貴音「先ほどから聞こえてくる声、発声練習とお見受けしましたが誠に素晴らしい声」
千早「そ、そうですか? なんだか照れます」
貴音「実際の歌声は、さらに素晴らしいのでしょうね」
千早「そんな……私、まだデビューも決まってなくて。だからとにかく一生懸命、練習だけはがんばろうって」
貴音「なるほど。感心ですね」
千早「私、歌が大好きなんです」
貴音「よろしければ貴女の歌を、聞かせてはいただけませんか?」
千早「……はい!」
千早は、そよ風の吹く河川敷で歌った。
聴衆……いや、聴者はひとり。
だが、そのたったひとりの聴者は、感動していた。
貴音「なんていう歌声……わたくしとしたことが、ひきこまれてしまいました」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:27:55.57 ID:CSXsXLkAO<> 千早「〜♪ どうですか?」
貴音「素晴らしい……わたくし、感服いたしました。が、同時に……」
千早「な、なんですか?」
貴音「とっぷあいどるになるには、如月千早を越える歌をうたわねばならないのですね……」
千早「そんな、私もまだまだです。もっと歌の上手い人は、たくさんいますよ」
貴音「なんと!」
千早「だからがんばらないと」
貴音「そうですね。夢があるなら、己を磨く努力を惜しまぬ事は当たり前」
千早は笑った。
千早「私たち、仲良くなにれそうですね」
貴音「ええ。共に、とっぷあいどるを目指して研鑽いたしましょう!」
2人は固く握手した。
千早「四条さんは、どこの所属なんですか?」
貴音「765ぷろ、です」
千早「765プロ……ごめんなさい、聞いたことないです」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:33:04.74 ID:CSXsXLkAO<> 貴音「わたくしだけが所属あいどるの、まだ小さき事務所ですから。如月千早は?」
千早「千早、でいいです。私は961プロです」
貴音「! なんと」
数日後、961プロ
千早「これが……これが私のデビュー曲になる『蒼い鳥』!」
楽譜を大事そうに抱える、千早。
黒井「はーい、レッスン生諸君。新しいニューメンバーを紹介するよぉ。新しい新人の、黒井闇美(くろいやみ)ちゃんだ」
冬馬「おいおい、おっさん。新しいニューメンバーは変だろ」
黒井「細かい事はいいんだよ」
北斗「チャオ☆ あれ? その可愛いエンジェルちゃん、黒井ってことは?」
黒井「ウィ。黒井闇美ちゃんは、私の親戚筋にあたる。まあ私にとっては妹みたいなものだ。だけどね、その実力は折り紙付き。決して身内贔屓のコネじゃないことは、すーぐわかってもらえると思う」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:39:24.90 ID:CSXsXLkAO<> 翔太「そうなの?」
黒井「無論だ。ええと……そこの君、それは楽譜だね?」
千早「あ、は、はい。私のデビュー曲で」
黒井「この歌は、ちょおっと借りておくよ」
千早「え、えっ!?」
闇美「……あなたの歌、少し借りるわね」
黒井闇美はそう言うと、楽譜を見ながらア・カペラで歌い始める。
確かに上手い。
千早「上手いわ……けど」
黒井「どうだね、諸君? 闇美ちゃんの歌は素晴らしいだろう?」
闇美「ねえ、お兄様。闇美、この歌が気に入っちゃった」
黒井「そうかい、そうかい」
闇美「あなたの歌……このまま借りておくわね」
千早「そんな!」
闇美「この歌も私の方が、居心地がいいみたいよ」
冷たく笑う、闇美。
千早「そんな……返して! 私の歌を返して!!」
黒井「人聞きの悪い事を言うんじゃないよ、君ィ。この歌は闇美ちゃんのものにすると決めたんだ。これは決定事項だ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:42:34.32 ID:CSXsXLkAO<> 河川敷
貴音「如月千早!」
千早「……」
貴音「また会いましたね。あれから私も歌のれっすんを……?」
千早「四条さん、私……私」
貴音「どうしたというのです?」
千早「私の歌……デビュー曲になるはずだった、大事な歌を、取られてしまいました」
貴音「なんと!」
千早「それは、私の所有物じゃないことはわかっています。でも……でも、初めて楽譜を見た瞬間に私は直感したんです。これは、私の大事な曲になる、って」
貴音「それはつまり、ぷろだくしょんの都合で取り上げられたわけですね?」
千早「そうです。黒井社長の血縁の娘、黒井闇美が歌うって……」
貴音「わかりました。行きましょう」
千早「え? 行くって、どこへ?」
貴音「黒井社長の所です。千早の歌を取り戻すのです」
千早「む、無理です」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:44:26.94 ID:CSXsXLkAO<> 貴音「心配は無用です。わたくしは、黒井社長とは面識があります」
そこまで言って、貴音はハッとする。
自分と黒井社長の面識とは、本人をフードファイトでコテンパンにし、彼を慕う天ヶ瀬冬馬も返り討ちにした、そういう関係だった。
貴音「そうでした……わたくしが会いに行っても、黒井社長はとても千早の歌を返してはくれないでしょう」
千早「?」
貴音「ですが、わたくしには次善の策があります。参りましょう、千早」
千早「え? ど、どこへ……し、四条さん!?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:47:38.36 ID:CSXsXLkAO<> 水瀬総合食品フーズ本社ビル社長室
伊織「ねえ、Pちゃん?」
P「なんでしょうか、社長」
伊織「もう、なによ他人行儀ね。2人きりの時は、社長って呼ばなくていいって言っているじゃない」
P「はあ」
伊織「2人きりの時は、気楽に偉大なる女神にして尊敬する太陽である伊織様、って気楽に呼べばいいのよ」
P「はあ」
伊織「気のない返事ねぇ……まあいいわ。こうしてランチの後でアンタの膝を枕にするのは、なによりのリフレッシュよ……」
PPPPP、PPPPP……
P「伊織様、電話です。出てもよろしいでしょうか?」
伊織「……ふん! 仕方ないわね」
伊織が起きあがると、Pは受話器を上げた。
P「なに? わ、わかった。すぐ行く」
伊織「ちょっとアンタ。この伊織ちゃんの大事なリフレッシュタイムをほったらかして、どこ行こうってのよ!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:51:08.09 ID:CSXsXLkAO<> ※訂正
>>28
×伊織「2人きりの時は、気楽に偉大なる女神にして尊敬する太陽である伊織様、って気楽に呼べばいいのよ」
○伊織「2人きりの時は、偉大なる女神にして尊敬する太陽である伊織様、って気楽に呼べばいいのよ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:53:56.93 ID:CSXsXLkAO<> P「申し訳ありません。次回のフードファイトの有望な対戦者が見つかりそうでして」
途端に伊織は、表情を崩す。
伊織「そう。ならいいわ」
P(こういう所は、意外とチョロいんだよな)
エレベーターで地下倉庫に直行すると、Pは思わず顔をしかめる。
P「ここへは来ないでくれ、と言ったはずだがな」
貴音「ですが、受付の女性の方はすぐに取り次いでくださいました。そしてここへも、すぐに通してくださいましたが」モグモグ
P「貴音が来ると、伊織様……あのお嬢様の機嫌が悪くなるんだよ。勘弁してくれ」
貴音「ではもう、ここでのお仕事はお止めください。そしてわたくしの……」モグモグ
P「そうすると、ここで貴音は試験商品の山を食べたりできなくなるがな」
貴音「……あなた様は、いけずです」モクモグ <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:56:30.86 ID:CSXsXLkAO<> P「それで? 別に腹が減ったからってのが訪問の理由じゃないだろ? なんの用だ?」
貴音「この如月千早が、黒井社長から取り上げられた歌を取り戻して欲しいのです」モグモグ
P「黒井社長から?」
貴音「そうです。千早はデビュー曲に決まっていた曲を、取り上げられてしまいました。それを」モグモグ
P「なんで俺が?」
貴音「水瀬財閥の力なら、できるのではありませんか?」モグモグ
P「あのな……ん? ち、ちょっと待て貴音。その如月千早っていうのは、そのお嬢さんか?」
貴音「その通りですが?」モグモグ
貴音の眼前には、食べ終えた試食品の山が。
そしてその隣には、同じく試食品の山が。
その山の前にいるのは…… <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 21:58:45.03 ID:CSXsXLkAO<> P「彼女の名前は、如月千早。961プロ所属のアイドル候補生です」
伊織「この娘が挑戦者? 大丈夫なの?」
P「大会ではありませんが、あの貴音と互角の実力を有している所を見ました」
伊織「へえ。ねえ千早、だっけ。フードファイトという大食い競技で、四条貴音に勝ったら賞金は300万円よ」
P「そして無論、黒井プロに働きかけて歌を取り戻してやる」
伊織「歌?」
P「はい。彼女は黒井社長に、デビュー曲となる歌を取り上げられたんです」
伊織「歌をねえ……にししっ」
伊織「千早、アンタが勝ったら歌を返してあげてもいいのよ」
千早「あの……本当に私が四条さんに勝ったら、歌を……?」
伊織「この水瀬伊織に、二言は無いわ。必ず歌は取り戻して上げる……」
千早「……四条さん……ごめんなさい」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:01:02.25 ID:CSXsXLkAO<> フードファイト当日
水瀬総合食品フーズビル地下
千早「ごめんなさい、四条さん。こんな事になってしまって」
貴音「わたくしも、よもやこのような事になるとは……」
千早「でも、申し訳ありませんが私は四条さんに勝ちます。勝って歌を取り返します。だから、本当に……ごめんなさい」
貴音「謝ることはありません、千早」
貴音は微笑んだ。
貴音「千早は、それだけその歌を大事に思っているのですから」
千早「はい」
貴音「それともう一つ。勝つのは、私だから謝る必要はありません」
千早「! ……そうはいかないと思います」
伊織「じゃあルールの説明をするわよ。今回のメニューはクラッカーよ」
貴音「くらっかぁ?」
P「これだ」
貴音「これは……びすけっとのような印象を受けますね」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:03:29.43 ID:CSXsXLkAO<> 伊織「ふふ。本場アメリカ製の、一級品よ。ただし、クラッカーは何もつけずに食べること」
貴音「味変は無し、ですか」※味変:調味料等で味を変える事
伊織「じゃあ始めるわよ……ファイト!」
貴音「これがくらっかぁ……美味しくありませんね」モグモグ
薄い塩味はあるものの、明確な味の主張の少ないクラッカー。しかも水分が全く無いため、口の中がボソボソする。
伊織「そりゃそうよね。クラッカー単体でなんて、そう食べるもんじゃないもの。本来なら、チーズやチャウダーとかの付け合わせよ」
P「俺はチリに、砕いて入れて食べるのが好きです」
伊織「チリ? チリコンカルネの事? アンタ、コロンボのファン?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:05:43.49 ID:CSXsXLkAO<> P「……いずれにしても、さして美味しくない物を延々と食べるのはあの貴音でも苦痛でしょう。しかし」
伊織「千早は、食べることに対して興味が無い。無いからこそ、延々とでも食べ続けられる。にししっ! 最高ね」
サクサクサクサクサク サクサクサクサクサク
乱れることなく、一定のリズムで千早は食べ続ける。
サクサクサクサクサク サクサクサクサクザクッ
千早(今、一瞬クラッカーを食べる音が変わった。私の噛む力にムラが出来たんだ。注意しないと)
サクサクサクサクサク サクサクサクサクサク
貴音「美味しくはありませんが……ともかく食べねば」モグモグ
伊織「見てて面白いもんじゃないわね。千早は」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:07:15.61 ID:CSXsXLkAO<> P「ですが、これ以上無いぐらいに正確です。あのままペースを崩さず最後まで食べられれば、千早の勝ちでしょう」
P(どうした貴音。それじゃあ勝てないぞ。いいのか? それで)
1R終了
貴音: 82枚
千早:120枚
貴音「やりますね。千早」
千早「このまま、このままで。正確に、ペースを乱さずに」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:10:08.29 ID:CSXsXLkAO<> 2R開始
相変わらず千早は、動作もペースも変わらない。
5秒に1枚のクラッカーを食べ、水を一口。
対する貴音は……
貴音「それにしても、美味しくないですわね。味も、もう飽きました」
伊織「にししっ。作戦は成功ね」
千早「メトロノームと音叉だ。私は、それになるんだ……」
P「千早は自分が勝つ要素を、よく理解しているな。メトロノームのように正確な速度で、音叉のように正確な音で食べ続けること。このままなら……」
2R終了
貴音:合計138枚
千早:合計240枚
貴音「このままでは……」
千早「このままなら……」
伊織「ちょっと! ダブルスコアじゃない。貴音の惨敗じゃない惨敗! 惨めな敗北と書いて、惨敗よ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:12:26.68 ID:CSXsXLkAO<> P「嬉しそうですね」
伊織「当たり前じゃない。私は貴音を許さないわ! あんな事をしておいて……絶対にフードファイトで貴音を負かしてやるんだから!」
P「?」
3R開始
千早「いいわ。このまま、この調子で……差は二倍なんだから。このままで、私は勝て……る?」
ザクザクザクザクザクザクザクザク
ザクザクザクザクザクザクザクザク
ザクザクザクザクザクザクザクザク
ザクザクザクザクザクザクザクザク
突如として、貴音は猛スパートで食べ始めた。
千早「!」
伊織「両手にクラッカーを2枚ずつ持って……?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:14:31.52 ID:CSXsXLkAO<> 千早「り、両手に2枚という事は、今までより2……じゃなくて4倍? いいえ、速度も上げてるから、ええと……ええと」
伊織「なにしてるのよ! 手が止まってるじゃない!!」
P「千早! 気にするな!! 惑わされるな、ペースを維持するんだ!!!」
ハッとして、再び食べ始める千早。
が、しかし……
千早「い、急がないと……急がないと!」
バリザクボリザクボリッ ザクザクボリボリバリボリ
P「焦るな! 今まで通り、今まで通りでいいんだ!!」
伊織「……無駄よ」
P「伊織様!?」
伊織「貴音の作戦ね、どうすれば千早のペースを乱せるか……精密な動きを崩せるか、その為にあえて1Rと2Rはペースを抑えて」
P「急に3Rでペースを……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:19:01.17 ID:CSXsXLkAO<> 見る影もない、千早のペース。
心理的動揺が、明らかに影響している。
そして。
3R終了
貴音:合計358枚
千早:合計355枚
P「勝てていた……千早が3Rもペースを変えていなかったら、360枚を食べていただろう」
伊織「フン! 帰るわよ!!」
千早「ま、負けた……負けてしまった……歌、私の歌が……」
貴音「千早。貴女はまだまだです。そんな貴女では、まだそね運命の曲は歌いこなせないでしょう」
千早「……」
貴音「精進を積む事です」
千早「……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:31:45.65 ID:CSXsXLkAO<> 小鳥「どうしたの? 元気ないわよ、貴音ちゃん」
貴音「困難か道を、共に高めあいながら進める友を得られた、と思ったのですが……」
小鳥「?」
社長「やあ君達、今日はビッグニュースがあるぞ。我がプロダクションに、二人目のアイドルが誕生した」
小鳥「ほんとですか!?」
社長「ああ。入りたまえ」
貴音「!」
千早「如月千早です。961プロから移籍してきました」
貴音「ま、まことですか?」
千早「四条さんに言われた事、堪えました」
貴音「すみません……」
千早「でも、だから一緒に頑張りたいって思ったんです」
貴音「千早……共に目指しましょう! とっぷあいどるを!!」
第2話 おわり <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/09(月) 22:37:56.79 ID:6BjUiFfRo<> 乙
元ネタはあるんだろうか? <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:38:32.81 ID:CSXsXLkAO<> 次回予告
さて、次回の挑戦者は!?
真美「黒井闇美は、真美の生き別れになった双子の妹なんだよ!」
貴音「彼女は、記憶喪失だそうです」
挑戦者『双海真美』
真美「亜美! 真美だよ!!!」
そして
貴音「どうすれば記憶が取り戻せるのでしょう?」
対戦メニューは!?
P「水瀬グループは、人の記憶や心を解析する専門家を招聘している」
伊織「真美、約束するわ。その専門家に、アンタの妹の件を頼んであげる」
真美「真美の大好物で、勝負だ! お姫ちん!!!」
次回『アメリカンドッグ対決!』 お楽しみに <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/07/09(月) 22:39:16.07 ID:QR+DT5H+o<> 乙
フードファイターってテレビドラマ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)<>sage<>2012/07/09(月) 22:39:57.40 ID:9FdQWqxbo<> タイトルがそのまま元ネタなんじゃないか? <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/09(月) 22:41:29.02 ID:CSXsXLkAO<> 今回は、ここで止まります。
読んで下さった方、ありがとうございました。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 01:07:21.95 ID:9xS34RDSO<> 貴音「わたくしの胃袋は宇宙です」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 11:32:18.08 ID:30wRFdzDO<> つよぽんはイロモノやらされてるよなぁ
あと対戦者が毎回そこそこ豪華だったな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/10(火) 14:11:35.90 ID:5R30KxB1o<> 何年前のだ? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/12(木) 01:24:58.99 ID:dgdh9N00o<> ζ*'ヮ')ζ<まだかなーって <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>sage<>2012/07/12(木) 20:52:06.14 ID:BraZ8Ist0<> 第3話『アメリカンドッグ対決!』
小鳥「はい……はい、わかりました。今回は縁が無かったという事で……はい。またよろしくお願いいたします」
貴音「小鳥嬢、今回のおぉでしょんの結果は?」
小鳥「……落選です。貴音ちゃん、自己の落選記録を更新よ」
貴音「そうですか……はあ」
小鳥「でも千早ちゃんは、テレビの出演が決まったわ」
貴音「なんと! それは重畳」
千早「ドラマの通行人の役ですけどね」ハァ
貴音「千早……歌の仕事が、やりたいのですね」
千早「それは……でも、まだその時期じゃない事はわかってますから」
小鳥「そういえば……例の黒井闇美ちゃんだっけ? 全然デビューの話も無いわよね」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:53:36.73 ID:BraZ8Ist0<> 闇美「くうっ……ううう……」
冬馬「? どうした? 大丈夫か?」
闇美「あ、頭が……」
北斗「チャオ! これはいけない。すぐに医務室に」
冬馬「お、おう」
黒井「……また頭痛か。もしかして……記憶が戻りかけているのだろうか?」
冬馬「記憶?」
黒井「な、なんでもない! 闇美ちゃんの事は私に任せておけばいいんだよ」
冬馬「?」
北斗「チャオ☆ さあ冬馬、行こう」
黒井「……これだけの才能をもった子だ。そう易々とは手放せないからねえ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:54:23.78 ID:BraZ8Ist0<> 高木「やあ諸君、今日もアイドル道に邁進しているかね?」
貴音「これは高木殿」ペコリ
高木「音無君に言われて、調べてみたんだが……」
社長は書類の束を、貴音と千早に見せる。
高木「黒井闇美という人物は存在しない。黒井の親類筋というのも、確認が取れない」
千早「存在しない? どういう事ですか?」
高木「文字通りだ。そういう人物はいないんだ。だが、そう名乗る娘がいるのもまた事実」
貴音「……皆様、お静かに」
貴音は、人差し指を唇に付けると小声で言った。
そして入り口のドアに近づき、一気にドアを開けた。
?「!」
貴音「なにやつ!? まさか黒井ぷろの刺客ですか?」
?「し、四角? 違うよ、真美は四角じゃないよ!」
貴音「真美?」
真美「あー、うん。真美は双海真美って言うんだ。あの……そこのおじさんが、黒井闇美について色々調べてるって、テレビ局で聞いて……」
小鳥「あー! 思い出した。双海真美って、ジュニア読者モデルじゃない?」
真美「うん。真美ね→、そこそこ有名になってきてるんだYO それで昨日、局に行ったらそのおじさんが、黒井闇美を調べてて」
千早「双海真美さんだったわね。あなた、なぜ黒井闇美を調べていた社長を探したの?」
真美はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
真美「黒井闇美は、真美の生き別れになった双子の妹なんだよ!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:55:38.99 ID:BraZ8Ist0<> 真美「私達は、小さい頃はいつも一緒だった。何をするにも一緒で、いつも楽しかった」
真美「ある時、私達が河で遊んでいると妹の亜美が流されちゃったんだ」
真美「亜美は見つからなかった。真美は悲しくてすっごく泣いたけど、なんか変な気持ちにもなったんだ」
小鳥「変な気持ち?」
真美「私達、双子だからか離れていてもなんとなく相手の事がわかるんだ。でも、亜美が死んだっていわれても、亜美の気配っていうか……存在がぼんやり感じられたんだ。だから、真美には亜美が死んじゃったって、どうしても信じられなかった」
貴音「双子の不思議な所ですね」
真美「それでこの間、テレビ局で黒井社長っていう人が連れている女の子を見てビックリしたんだ。真美にはひと目でわかったYO あれは亜美だって」
千早「それで、向こうはあなたがわからなかったの?」
真美「うん……そうなんだ。話しかけても無反応で。黒井社長は怒り出すし」
千早「黒井社長は、才能ある黒井闇美を手放したくないでしょうからね」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:56:08.07 ID:BraZ8Ist0<> 真美「そうしたらおじさんが、色々と調べていたから助けてもらえないかと思って来たんだ」
高木「事情はわかった。だが、難しいだろうな」
貴音「なぜです?」
高木「黒井社長がその気になれば、様々な手を打ってくる。そうなると、我々や真美君のご両親まで危険になる」
貴音「なんと! そのような事、あって良いのですか!!」
千早「貴音さん。ここはほら、また」
高木「? なんだね?」
貴音「いえ、なんでもありませんわ。成る程、さすがは千早。双海真美、私を信じてついてきてくれますか?」
真美「え→? 亜美を取り返す手伝いしてくれんの?」
貴音「はい。わたくし、今の話を聞いていてもたってもいられなくなりました。どうか、手伝わせてください」
真美「ありがと→!!! じゃあ行こ行こ」
高木「あの……君た、ち……? 仕事は?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:57:17.33 ID:BraZ8Ist0<> 貴音「……というわけで、あなた様に尽力願いたいのです」
P「その前にいいか?」
貴音「なんでしょう?」
P「ここには来るな、と何度も何度も言ったはずだが?」
貴音「わたくしは、あなた様をお慕い申し上げております」
P「……今のは、聞かなかった事にする」
貴音「なぜですか!?」
P「お互いのためだ。俺には貴音にそう言われる価値なんて無いし、俺なんかが側にいても貴音は幸せにはなれない」
貴音「愛しい方の側にいられる。それだけで幸せになれる、とは思ってくださいませんか?」
P「子供みたいな事を言うな!」
真美「……千早姉ちゃん、真美達なんか邪魔かな→?」
千早「確かに場違いな感じがするわね」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:58:22.00 ID:BraZ8Ist0<> P「ともかく! あのお嬢様に見つかってしまう前に、さっさと帰れ」
真美「?」
千早「!」
貴音「わたくしからも、ひとつよろしいですか?」
P「なんだ?」
貴音「もう、手遅れのようです」
P「なに? ……!」
振り向いたPが目にしたもの。
それは目以外、満面の笑みをたたえた伊織の姿だった。
伊織「貴音、私が大目に見ているからといって、勘違いしてもらったら困るわ」
貴音「はて、そのような自覚はありませんが……いつ、私があなたに大目に見てもらったたやら」
伊織「Pは私のものよ! 誰にも渡さない!! アンタも勝ち続けている間は、大目に見てあげる。負けたらどうなるか、身の振り方を考えておく事ね」
貴音「ならば心配無用ですね。わたくしは負けませんから」
伊織「その言葉、覚えておきなさい! それからそこにいるのは……千早だったかしら」
黒井「ウイ。わざわざ私の元から去った、お利口とはいえないアイドル見習いさ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:58:56.06 ID:BraZ8Ist0<> 千早「黒井社長! それと……」
真美「亜美! 真美だよ……真美だよ!!!」
闇美「? 亜美? 真美?」
黒井「また会ったな、闇美ちゃんは闇美ちゃんだ。お前なんぞの妹ではない!」
真美「亜美……思い出してよ。真美だよ……」ボロボロ
闇美「? あなた誰? なんで泣くの?」
貴音「こうして目の前にいても思い出せないとは……どうすれば記憶が取り戻せるのでしょう?」
伊織「記憶……成る程、黒井社長のお願いはそういう事ね。そこのアンタ、大食いはできるの?」
真美「ふえ? ま、真美のこと? うん、真美大食い大会の常連だよ。ジュニアの部で優勝した事もある」
P「なんだと……そうか! 双海真美、読者モデルをしながら食べ物エッセイもやってるあの双海真美か!!」
真美「お→真美も有名になってきたね→」
伊織「そういう事は、先に言いなさいよ。ねえ真美、アンタがフードファイトに出てチャンピオンに勝ったら賞金300万円と、黒井闇美の記憶を取り戻してあげる」
黒井「な!?」
真美「え? どうやって?」
P「水瀬グループは、人の記憶や心を解析する専門家を招聘している」
真美「じゃ、じゃあその人に頼めば亜美の記憶も?」
伊織「真美、約束するわ。その専門家に、アンタの妹の件を頼んであげる。どう?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 20:59:50.53 ID:BraZ8Ist0<> 真美「……やる」
千早「ちょ、ちょっと待って! 真美、そのチャンピオンって誰か知ってるの?」
真美「ん→ん。誰?」
貴音「わたくしです」
真美「! そうなんだ。でも……亜美の為だもん、真美やるよ」
貴音「仕方ありませんね。しかし、わたくしは負けてあげるわけには参りません」
伊織「貴音、相手は子供なんだからメニューは相手に決めてあげさせるわよ?」
貴音「なんなりと」
真美「言ったな→! じゃあ真美の大好物で、勝負だ! お姫ちん!!!」
P・貴音「お姫ちん?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:00:32.55 ID:BraZ8Ist0<> フードファイト当日
伊織「アメリカンドッグ?」
P「はい、こちらです」
伊織「なあんだ、アメリカンドッグってコーンドッグのことなの」パクッ
P「おっしゃる通り、ソーセージをトウモロコシの粉……つまりコーンミールを付けて揚げたものです。もっとも日本ではジャンクフード扱いされており、ソーセージも魚肉ソーセージだったり、衣もホットケーキミックスだったりしますが」
伊織「こんなのが好物なんて、真美とかいう子もお子ちゃまねえ」パクパク
P「はあ、まったくです。もう一本いかがですか、伊織様」
伊織「……そうね。もう一本だけ」
真美「真美ね→アメリカンドッグだったら、いくらでも食べられるんだよ→お姫ちん」
貴音「その、お姫ちんという呼び名は?」
真美「お姫ちんは、お姫ちんだよ。お姫ちんぽいでしょ?」
貴音「はあ」
伊織「じゃあルールの説明をするわよ。今回のメニューは、ご覧の通りアメリカンドッグよ。そのまま食べてもいいし、マスタードやケチャップも用意してあるし、望むならなんでも持ってこさせるわ
真美「味変ありか→。お姫ちんは、何をつける?」
P「おい真美、対戦者……つまり敵なんだからあんまりなれなれしくするな」
真美「Boo→うるさいな→。いいジャン別に→」
伊織「ファイトはいつも通り1R10分で3Rの大食い対決。ラウンド毎に3分のインターバルが入るわ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:01:07.07 ID:BraZ8Ist0<> 伊織「じゃあ始めるわよ……ファイト!」
真美「うわ→揚げたてだよ→! サックサク☆」
貴音「初めて食しましたが……成る程これは美味なるもの。双海真美が好物と申すのも頷けます」
P「二人とも、最初は味変は無しか」
伊織「まあ当然よね。同じ味で飽きて食べられなくなるのを避けるために、味を変えるのが味変なんだから」パクパク
真美「へへへ→見て見てお姫ち→ん。真美、二本同時食べ→!」
貴音「……」モグモグ
1R終了
貴音:18本
真美:18本
伊織「互角……なの?」パクッ
P「貴音がペースをわざと落としたり、手を抜いたりしている素振りは感じられませんでした」
伊織「へえ……ジュニアチャンプの称号は伊達じゃないわね。にししっ! 私のPちゃんに手を出そうとした貴音なんて、やっつけちゃってちょうだい」パクパク
P「もしや……伊織様が貴音に対してご不興なのは……?」
伊織「べ、別にアンタのせいじゃないわよ! 勘違いしないでちょうだい!!」ガブウ <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:01:42.68 ID:BraZ8Ist0<> 第2R開始
真美「……美味しいね」
貴音「そういいますが、ぺぇすが落ちたのでは?」
真美「そ、そんなことないよ→!」
貴音「それならば結構」
徐々に真美はペースを落とす。
それは次第に本数となって現れてくる。
伊織「ちょっと! 遅れてきてるんじゃないの!?」
P「ご心配なく。今回は味変ありの勝負で、真美の好物。つまり真美はアメリカンドッグをよくわかっているはず」
真美「勝った気になってると、Oh間違いだよお姫ちん! ここで真美は、ケチャップを投入しま→す」
手にしたケチャップを、アメリカンドッグにかける真美。
真美「アメリカンドッグにはね→。ケチャップが合うんだ→」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:02:13.05 ID:BraZ8Ist0<> ケチャップによる味変で、再び真美のペースが上がる。
黒井「ふう、一時はどうなる事かと」
P「黒井社長も、一本いかがです?」
黒井「いや、結構」
P「闇美は? 食べるか?」
闇美「ひとつ……」パク
VIP席のその光景は、対戦場からも見える。
真美(亜美……亜美も食べてる。亜美も好きだったよね、思い出してよ……二人で食べたジャン。アメリカンドッグ)
P「美味いか?」
闇美「そこそこ」モグモグ
真美「……」
貴音「真美、対戦中は戦いに集中なさい」
真美「う、うっさいな→!」
真美(やっぱりダメなの? 食べても思い出さないの? 真美のこと……) <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:02:42.15 ID:BraZ8Ist0<> 第2R終了
貴音:15本(計33本)
真美:14本(計32本)
伊織「……このまま負けたりは、しないでしょうね?」モグウ
P「ほぼ互角の勝負でしょう。得意なテーマなだけに、真美に勝つ要素は十分あります」
真美「や、やるな→お姫ちん。正直ここまでとは思わなかったよ→」
貴音「強がりはお止めなさい、真美」
真美「強がってなんかないし→! むしろここからだもんげ!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:03:59.78 ID:BraZ8Ist0<> 第3R開始
真美「むっふっふ→ここまで真美を追い詰めたのはお姫ちんが、初めてだYO ほうびに真美の真の実力を見せたげるYO!」
真美は思いっきりアメリカンドッグを囓ると、そのまま衣部分をソーセージから引き剥がす。
P「な!?」
真美「ソーセージはこの方が細くて食べやすいモンね→! その上で衣部分は……」
伊織「あれは、チョコソース?」ゴクン
P「なるほど、完全にデザートにしたわけか。満腹でもデザートだとすんなり食べられるからな」
真美「そんでね→次はソーセージはマスタードで美味しく。衣はメープルシロップで甘美味」
伊織「へえー! 味変ありのルールをあそこまで活かすとはね。これは勝てるんじゃない?」パクッ
真美「そんでそんでお次はね→! この……」
貴音「真美!」
真美「? な、なに? お姫ちん」
貴音「そのような事をしても、わたくしは同じ真似はいたしませんよ」
真美「! な、なんで?」
貴音「わたくしは、あなたのようにはこの食べ物を熟知してはおりません。ですから、このまま愚直でも食べ続けます」
真美「……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:04:30.92 ID:BraZ8Ist0<> 貴音「真美は、わたくしが真美の真似をして妙な味変に出ると思ったのでしょうが、わたくしはそんな賭はいたしません。ですから……」
真美「な、なに?」
貴音「真美も奥の手を出しなさい。無い、とは言わせませんよ」
真美「……そっか。さすがチャンプなんだね、お姫ちん」
真美は大きく息を吐くと言った。
真美「焼き肉のタレ! 焼き肉のタレを持ってきてよ!!」
P「焼き肉の……?」
伊織「タレ?」パク
真美(焼き肉のタレは、亜美が大好きだった味……。亜美……そういえばアメリカンドッグ、お祭りの時に分け合って食べたよね……)
真美は、ドバっとアメリカンドッグに焼き肉のタレをぶっかける。
真美「これで勝負だよ! お姫ちん!!」
猛然と食べ始める真美。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:05:07.94 ID:BraZ8Ist0<> 伊織「あれ……美味しいの?」
P「お試しになられますか?」
伊織も真美と同じ、焼き肉のタレをかけてアメリカンドッグを食べてみる。
P「いかがですか?」
伊織「……微妙」
闇美「それ……私もいいですか?」
P「え? あ、これか? いいぞ」
Pが渡したアメリカンドッグ(焼き肉のタレがけ)を食べると、闇美は懐かしさに襲われる。
闇美「私、これ……食べた事ある……。確か、お祭りの時……誰かと。あれは……あれは……」
貴音「それでこそ、じゅにあちゃんぴおん! わたくしも、参ります!!」
真美も貴音も、猛然と食べ始める。
そして、終了の時刻が来た。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:06:36.15 ID:BraZ8Ist0<> 3R終了
貴音:15本(計48本)
真美:12本(計44本)
真美「ま、負けちゃったの……? そんな、それじゃあ亜美が……」
闇美「ま、真美? 真美……だよね?」
真美「え? あ、亜美!? 思い出し……思い出したの!?」
亜美「真美→! ごめん……ごめんね→!!!」
真美「な、泣くなよ→! ま、真美はお姉ちゃんなんだから、亜美を助けるの……あ、当たり前なんだからー!!!」
抱き合って泣き出す、真美と亜美。
黒井「そ、そんな……そんなことがーーー!!!」
P「真美のがんばりが、亜美の記憶を取り戻したのか」
伊織「まったく! 結局は負けじゃない!! もう、帰るわよ!!!」
貴音「真美……良かったですね」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:07:10.09 ID:BraZ8Ist0<> 後日 765プロ
高木「諸君、新しい仲間だ。本日付で我がプロダクションに加わる事となった双海真美君と、亜美君だ」
千早「まあ、なんとなくそんな気はしていましたけど」
貴音「嬉しいです。こうして、死闘を繰り広げた好敵手が、今度は仲間として加わってくれるのは感無量」
真美「お姫ちん、よろしくね!」
亜美「これからバリバリ仕事しちゃうYO」
水瀬総合食品フーズ本社ビル社長室
P「伊織様、また例の件でお電話が」
伊織「また? それでその記憶や心の専門家は?」
P「間もなく到着の予定ですが」
伊織「じゃあそう伝えておいて。まったく……」
第3話 おわり <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:08:20.51 ID:BraZ8Ist0<> 次回予告
さて、次回の挑戦者は!?
響「自分、完璧だからな!」
貴音「人の心をみる専門家、ですか?」
挑戦者『我那覇響』
響「この動物たちはペットなんかじゃないぞ。みんな、家族なんだ」
貴音「大家族ですね。少し、羨ましいとも思います」
そして……
P「ただし、響が貴音にフードファイトで勝ったら、だ」
響「貴音! 貴音は、辛いものや酸っぱいものが、苦手なんだよな!」
千早「だめよ! 四条さん、その人の言葉に耳を貸しちゃダメ!!」
対戦メニューは!?
貴音「はて? その方はどちら様ですか?」
響「自分、鯨や馬になりきるぞ!」
次回『トムヤムクン対決!』 お楽しみに <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/12(木) 21:10:43.34 ID:BraZ8Ist0<> 一旦ここで、止まります。
更新、遅めですが停滞させずにがんばりたいと思います。
読んで下さり、レスをいただけて嬉しいです。
確かに元となったドラマは、少し古いですね。しかもメディア化されていないので、ややマイナーかも。
それではまた、近日中に。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/12(木) 21:17:58.92 ID:cs19nnGbo<> つよぽんのドラマ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)<>sage<>2012/07/12(木) 21:19:54.09 ID:/09VW3p4o<> 乙
待ってるでよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/12(木) 23:50:34.54 ID:MUqP3yUQo<> あのドラマめっちゃ好きだったわ
これは嬉しいコラボ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/13(金) 04:13:25.18 ID:X2P7mFXDO<> あのドラマか懐かしいな
チョナンカンのあたりだっけ <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>sage<>2012/07/13(金) 11:21:38.46 ID:qZbJ6C4AO<> 今更ながら、1スレだけ抜かして投下していた……
読み直すと、無くても全然繋がってるけど。
また訂正させてください。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/14(土) 02:22:14.07 ID:QJPNPJnS0<> 乙。
懐かしいなー(笑)
1話が良い感じの長さでまとまっていいね! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/14(土) 02:39:53.85 ID:VCBuNlubo<> 1スレ飛ばして繋がる話ってなんだ… <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:49:37.73 ID:PvTrq1uk0<> 第4話『トムヤムクン対決!』
伊織「それで? その心理を探る専門家というのは?」
P「それが……その、行方不明でして」
ドガッ★
久々の伊織の蹴り。
伊織「どういうことなのよ!? 苦労して見つけだして、わざわざ手配して連れてきたら行方不明? どうなってんのよ!?」
P「痛っ……どうやら、ペットが逃げ出したとの事でそれを探しにどこかへ行ってしまったようで」
伊織「フン! 噂に違わぬ変わり者ね。いずれにしても、まだ近くに……」
チョロ
伊織「? ネズミ?」
チョロチョロ
P「いや、これはハムスターだと……」
そのハムスターは、伊織にむかって敬礼の姿勢をとった。
ハム蔵「ヂュイ!」
伊織「……かわいい」
P「え?」
伊織「な、なんでもないわよ! なんでここにハムスターがいるのよ!?」
?「ハム蔵ー! どこに行ったんさー? ハム……ああっ! こんな所に!!」
ハムスターを抱き上げる少女。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:50:31.63 ID:PvTrq1uk0<> 伊織「アンタ、誰よ?」
響「自分、我那覇響だぞ。招待されて来たんだけど、家族のハム蔵が迷子になって……会えて良かったぞ!」
伊織「招待? ということは、この子が?」
P「はい。心理解析のスペシャリスト、我那覇響に間違いありません」
伊織「ふう、ようやく会えたわね。私が水瀬伊織よ、アンタを招待したのは私」
響「おーそうなんかー。よろしくだぞ」
伊織「ええ。じゃあ早速だけど、まずはアンタのお手並みを拝見したいんだけど、いいかしら?」
響「手? 自分の手を見てどうするんだー?」
伊織「そうじゃなくて! 私はアンタのその心理捜査や解析を見たいの!!」
響「それならそう言えばいいさー。自分、完璧だからな! じゃあ……」
そう言うと響は、ポケットから何かを取り出した。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:52:05.25 ID:PvTrq1uk0<> 2時間後
響「うう、なんだあの伊織ってやつは!? わざわざ自分を沖縄から呼んどいて、ちょっと自分の心理解析を見せたら『もう用はない帰れ』だなんて!!」
響「うー、困ったぞ。長期契約と言われたから、全部引き払ってうちなーから出てきたのに……明日から、いや今日からどうしよう?」
響「どっか泊まるにしても、動物はダメだとか東京はうるさいぞー……」
と、響の目がある店の張り紙に止まる。
響「大盛りカツカレー(ライスだけで10キログラム)を60分で食べられたら、料金無料のうえ賞金1万円……」
響「はいさーい! 自分、この大盛りカツカレーに挑戦するぞー!!」
貴音「もし、この大盛りかつかれぇなるものを、わたくしに」
同時に店に入り、同時に告げる2人。
自然、視線が合い微笑みあう。
店員「チャレンジメニューふたつ入りまーす」
貴音「なるほど……知り合いのいないこの土地で、難渋をしている、と」パクパク
響「そうさー。東京は止まるところも大変だしな」パクパク
貴音「失礼ですが、あなたはお仕事はなにを?」モグモグ
響「自分、心理捜査や解析の専門家、つまり人の心をみる専門家だぞ」モグモグ
貴音「人の心をみる専門家、ですか? 所でもしや、店の外からあなたを心配げに見ているあの動物たちはぺっとかなにかですか?」パクパク
響「ここにもいるぞ! ハム蔵だ」パクパク
ハム蔵「ヂュイ!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:52:52.79 ID:PvTrq1uk0<> 響「この動物たちはペットなんかじゃないぞ。みんな、家族なんだ」モグモグ
貴音「家族、ですか。大家族ですね。少し、羨ましいとも思います」モグモグ
響「貴音、って言ったな。貴音は家族は?」パクパク
貴音「……今は、独り暮らしをしております」パクパク
響「そうか……ごちそうさまー!」
貴音「まこと、美味でした」
それぞれ店長が泣きながら手渡した賞金を手に、店を出る貴音と響。
貴音「よければ共に参りませんか?」
響「え? 貴音の家か?」
貴音「いえ、事務所ですが、よければあなたもあいど……」
P「見つけたぞ、響!」
響「あー! お前はあの時の伊織の部下だな!? 自分になんの用だー!!」
P「一緒に来て欲しい。あの時の事は謝る。……ん? 貴音、どうして響と?」
響「貴音とはそこで友達になったんさー。イヤだもんねー! 自分はもう、お前達の為になんて仕事しないぞ」
P「そう言うな。やはり響の力が必要だ。手法はともかく、響の心理捜査の評判に賭けるしかないんだ」
響「イヤなもんはイヤだぞ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:53:25.46 ID:PvTrq1uk0<> 貴音「響、その方に手を貸してあげてはいただけませんか?」
突然そう言われ、驚く響。
響「貴音?」
貴音「その方には、わたくし何度も助けられました。そしてなにより……」
響「なにより? なんだ?」
貴音「わたくしはその方を、お慕い申し上げております」
P「だからそれは、言うなと」
響「押したい? こうか?」ドン
P「ぐおわっ!」
うずくまるP。
貴音「あなた様! あなた様!!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:54:47.10 ID:PvTrq1uk0<> 伊織「……で? なんで貴音が一緒に来てるのよ」
貴音「わたくしは、この方が心配で」
伊織「もう帰っていいわ」
貴音「いやです。と言ったらどうします?」
伊織「P、アンタどうするの?」
貴音「あなた様、どうかこのままわたくしと!」
P「……貴音」
貴音「はい」
P「帰ってくれ」
貴音「……」
P「頼むから」
踵を返すと、貴音は黙って去っていった。
伊織「Pちゃんはいいこね」
響「あの……」
伊織「なに?」
響「それで? 自分はどうすれば?」
伊織「……ああ! 忘れていたわ。響、アンタに診て欲しい人がいるのよ。二重人格の……」
P「伊織様、少々お待ちを」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:55:28.00 ID:PvTrq1uk0<> 伊織「その人というのは……え?」
P「響、さっき大盛りカレーのチャレンジに成功していたな」
響「あ、ああ。自分、食べるのも得意だからな。ほら、自分は完璧だから」
P「響との契約、当初の話から金額は倍にしてもいい」
響「ほ、ほんとか!?」
P「家族の動物達も、衣食住を保証しよう」
響「そんな事もしてくれるのか?」
伊織「ちょっと、アンタ!」
P「ただし、響が貴音にフードファイトで勝ったら、だ」
響「フードファイト?」
伊織「……そういうこと。にひひっ! 響、フードファイトは私が主催している地下大食いバトルよ」
響「つまりそれに勝ったら、給料は倍で自分の家族も面倒みてもらえるんだな!?」
伊織「やるわよね?」
響「ああ! なんだか貴音には悪いけど、家族のみんなの為なら、自分がんばるぞー!!!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:55:55.72 ID:PvTrq1uk0<> 小鳥「貴音ちゃん、フードファイトの案内がきたんだけど。この対戦者、知ってる?」
貴音「……響。そうですか」
小鳥「貴音ちゃん?」
貴音「仲良くなれそうな、気がしていたのですが……」
千早「なれますよ!」
貴音「千早?」
千早「私だって、貴音さんと戦ったじゃないですか。でも、今はこうして仲間です」
真美「そ→そ→!」
亜美「亜美達だって、そ→だもんげ→!」
貴音「真美……亜美……」
小鳥「そうよ。貴音ちゃん、その響って娘もウチの事務所に入れちゃう気でがんばってよね」
貴音「そうですね……わかりました」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:56:42.75 ID:PvTrq1uk0<> フードファイト当日
響「たかねー! 今日はよろしくだぞ」
貴音「響、こちらこそ」
響「ところで貴音、これをちょっと見て欲しいんだけど」
響は懐から、糸を通した五円玉を貴音に見せる。
貴音「なんですか? これは」
響「こうして糸をつけて揺らすと、五円玉が揺れるだろ?」
貴音「はあ」
響「貴音! 貴音は、辛いものや酸っぱいものが、苦手なんだよな!」
貴音「え? はて、そのような事は……」
響「よーく思い出して欲しいぞ。貴音は確か、辛いものや酸っぱいものが苦手なんだぞ」
貴音「はあ……そう言われれば、そのような気が……」
響「な? やっぱり貴音は辛いものと酸っぱいものが、食べられないんだぞ」
貴音「そうでした……わたくしは、辛いものと酸っぱいものは、食べられませんでした……」
千早「! だめよ! 四条さん、その人の言葉に耳を貸しちゃダメ!!」
貴音「! はて? わたくしはいったい何を……」
響「うんうん。今日はがんばろうな、貴音!」
貴音「あ、はい」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:57:19.24 ID:PvTrq1uk0<> 伊織「まったく……あんな子供じみた手法を目の前で披露されたら、呆れてしまうわよ」
P「確かに心理捜査やら、専門家という言葉ですごい手技を想像していましたからね。しかし、原始的とはいえその力は本物でした」
伊織「試したの?」
P「響の暗示で、グリンピースが食べられるようになりました」
伊織「へえー」
P「そして今回、響には対戦前に貴音に暗示をかけるよう指示しました」
伊織「なんて暗示?」
P「辛いもの、そして酸っぱいものが食べられなくなる暗示です」
伊織「にししっ! 嬉しいわPちゃん。ちゃんと私のために、あの貴音をやっつける策を考えてくれたのね」
P「…………はい」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:58:32.99 ID:PvTrq1uk0<> 伊織「ルールの説明をするわよ。今回のメニューは、トムヤムクンよ」
貴音「はて? その方はどちら様ですか?」
伊織「え?」
貴音「富山君、というお方です。どこのどちら様でしょう?」
伊織「富山君じゃないわよ! トムヤムクン!! 世界三大スープと称される、美味しいスープよ!!!」
P「ちなみに、トムは煮る、ヤムは混ぜる、クンは海老の事だ。まあ、海老入りの酸っぱ辛いスープだな」
貴音「酸っぱ辛い?」ビクッ
伊織「にししっ! どうかしたの? 貴音」
貴音「今なぜか、悪寒が」
伊織「この後に及んで、中止はしないわよ。じゃあいつも通り、1R10分の3Rよ」
伊織「ファイト!」
響「初めて食べたけど、このスープ美味しいぞ。なんとなく、うちなーの料理に近い気がするぞー」
貴音「……」
千早「どうしたんですか!? 貴音さん!!」
貴音「これ、酸っぱくて辛いです」
千早「それはそうで……! まさか、さっきの!」
響「美味しいなー。自分、どんどん食べられるぞ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 20:59:28.28 ID:PvTrq1uk0<> 伊織「にししっ! 初めてじゃない? ねえ、貴音ったら一口しか食べられないのよ!!」
P「……」
P(どうした? そんなものか、貴音? お前には使命があるんじゃなかったのか?)
1R終了
貴音:0杯(一口)
響 :5杯
千早「卑怯よ! これは大食いの対決のはずよ!! 水瀬さんも、これは不正じゃないの!?」
P「と、言っていますが?」
伊織「無視なさい。さ、続けるわよ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:00:08.39 ID:PvTrq1uk0<> 第2R開始
貴音「ともかく……食べねば……」
響「! へえ、さすが貴音だな。だけど、自分も家族の為に手は抜かないぞ!」
響は懐から何かを取り出す。
伊織「また、糸のついた五円玉?」
P「! いえ、あれは……先ほどよりも10倍恐ろしい手技です!!」
響が手にしたのは、糸を通した50円玉だった!
響「自分、鯨や馬になりきるぞ! 自分は鯨みたいに飲んで、馬みたいに……食べるんだ!!!」
猛然と、飲み食いを始める響。
貴音も、本来のペースではないものの、食べ進める。
響「うがーーーっっっ!!!」
千早「ダメよ……ペースが違い過ぎる……」
貴音「負けない……負けません……故郷のみんなに勇気と賞金を送り届けるのが……わたくしの使命です!!!」
貴音が目を見開く。
と、同時に普段のように、猛然と食べ始める。
響「な? 自分の催眠は完全催眠だぞ! ど、どうやって解いたんだ?」
貴音「解けては……おりません」
響「え?」
貴音「響はあの大家族の為にがんばっているようですが、わたくしはもっと多くの人のため……故郷の民のためにがんばっているのです。負けるわけには……まして戦う以前の障害になど負けません!!!」
響「家族よりもたくさんの人の、ため……?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:02:25.70 ID:PvTrq1uk0<> 第2R終了
貴音:4杯(計 4杯)
響:7杯(計12杯)
響「貴音!」
貴音「?」
パン☆
響が手を打った音で、貴音はハッとする。
貴音「……? 辛いもの、酸っぱいものも! 食べられそうです!!」
響「暗示はといたぞ」
貴音「響……ありがとうございます。しかしなぜ?」
響「余裕をみせたわけじゃないぞ。貴音とは、ちゃんと勝負したくなったんだ。今からでも、本気で戦うぞ」
伊織「ちょっと! なに勝手なことしてるのよ!!」
P「ですが伊織様、既にトリプルスコアです。そろそろいいではないでしょうか?」
伊織「ふん! まあいいわ」
P(さて、ここから逆転できるか? 貴音) <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:03:19.37 ID:PvTrq1uk0<> 第3R開始
響「うがあああぁぁぁーーーっっっ!!!」
貴音「次のお皿を、急いでお願いします」
響「な! な、なんて早さ……どんどん差が縮められて……」
貴音のペースに焦る響。
その手は、ポケットに伸びていく。
貴音「故郷の民、みんなの為に……」
その呟きに、響は一瞬身体を震わせる。
そして響は、静かに微笑むと素手のまま手をポケットから出した。
響「自分も家族の為に負けないからな!」
貴音「響! ええ、もちろんですとも!!」
両者とも、スパートに入る。
そして、第3Rが終了した。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:08:55.77 ID:PvTrq1uk0<> 第3R終了
貴音:15杯(19杯)
響: 6杯(18杯)
伊織「……なんでよ? 第3Rだけあんなに食べられるなんて……」
P「それまで抑えられていた食欲が、爆発したのかも知れませんね。そして、使命が貴音を突き動かしたとしか」
伊織「あのまま……あのまま催眠にかけておけば良かったんじゃない!」
P「もう遅いです。この戦いで、貴音は更なる高みに……」
ドゴッ★
P「ぐうっ!」
伊織「責任、とってもらうわよ。次回の挑戦者は決まったわ、すぐに連絡を」
P「?」
伊織「二重人格でもなんでもいいわ! 次は彼女にやってもらうから」
P「!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:09:47.36 ID:PvTrq1uk0<> P「響」
響「負けちゃった……悪かったな」
P「いいさ」
響「貴音の暗示も、勝手に解いちゃったしな」
P「正々堂々と、勝ちたくなったんだろ? ならそれもいいさ」
響「それと……」
P「ああ。なんで奥の手を使わなかったんだ? それを使えば勝てたろ」
響はポケットから何かを取り出す。
それは、無理矢理穴を開けた500円硬貨に糸を通したものだった(※違法です)。
響「これを使えば、普段の100倍の暗示がかけられる……でも、なんかそうして勝っても、家族の誰も喜んでくれな……ううん、怒られそうな気がしたんさー……」
P「……そうか。だけどな、貴音はその為に今以上の窮地に立つかもな」
響「?」
P「響、貴音の側で、彼女を支えてやってくれよ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:10:14.66 ID:PvTrq1uk0<> 後日
千早「まあ、なんでもいいですけど……」
真美「うわ→ブタさんやオウムさんもいるよ→」
亜美「ワニさんもいるんだけど、亜美達食べられちゃったりしない?」
社長「あー、オホン! 今日から我がプロダクションに加わった我那覇響君だ、みんなよろしく頼むよ」
響「自分、もう心理捜査はキッパリやめて、今度はアイドル目指してがんばるぞ!」
貴音「響、よろしくおねがいいたしますね」
小鳥「さっきちょっと見たけど、響ちゃんダンスすごいのよね。貴音ちゃん、うかうかしているとすぐに追いつかれちゃうわよ」
貴音「なんと!」
第3話 おわり <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:11:26.42 ID:PvTrq1uk0<> 次回予告
さて、次回の挑戦者は!?
雪歩「私のお父さんは、怖ーい人なんだから!」
貴音「二重人格? それはいったい……?」
挑戦者『萩原雪歩』
雪歩「わ、私はダメダメでひんそーで……こんな私は、穴掘って埋まってますぅ」
貴音「萩原雪歩! あなたはダメダメなんかではありません!」
そして……
伊織「私が、アンタの怖いお父さんに頼んであげてもいいのよ? 水瀬財閥の次期当主のお願いなら、無下にはできないと思うんだけど」
雪歩「私……私、あきらめません」
響「弱虫が、たった一言小さな声だけど勇気を振り絞って言ったんだぞ!」
対戦メニューは!?
貴音「うおぉぉぉん」
雪歩「うおぉぉぉん」
次回『焼肉対決!』 お楽しみに <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/14(土) 21:25:52.44 ID:sgVPeZFAO<> 一旦ここで、止まります。
読んでいただき、感想などいただけると、とても嬉しいです。
ありがとうございます。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/14(土) 21:42:04.85 ID:VCBuNlubo<> 人間火力発電所か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/07/14(土) 21:58:10.45 ID:7wZ8cNXho<> 乙
いつもいつもおもしろいな
しかし焼き肉となると 焼き加減は自分次第だし フードファイトがあれそうだな、たのしみだ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/14(土) 22:09:54.21 ID:AT9F3teNo<> ドラマは見てるだけで胸焼けがすごかったがこっちは貴音なので無問題 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:38:02.40 ID:9INMWDb00<> 第5話『焼肉対決!』
P「大丈夫ですか? 雪歩お嬢様」
雪歩「は、はいぃ……あ、あの……」
P「なんでしょう?」
雪歩「もう少しは、はなれてくださいますか……」
P「そうでした。これは失礼」
Pは雪歩……色白の可愛らしい少女との距離を、10メートルと離れる。
P「いかがですか?」
雪歩「? な、なにか言いましたか?」
P「……ケータイで会話をしてもいいですか!?」
大声で雪歩に問いかけるP。
しかし雪歩は、ビクッと身体を硬直させる。
雪歩「お、男の人から……」
P「え?」
雪歩「男の人から電話がくると……胸がドキドキしちゃって、私……」
ため息をつくP。
意を決すると、Pは雪歩に近づいた。
雪歩「え? ええっ!?」
P「このままでは埒があきません。申し訳ありませんが、失礼いたします」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:40:33.65 ID:9INMWDb00<> ポン☆
Pが雪歩の肩に手を置く。
雪歩「え? きゃあああぁぁぁーーーっっっ!!!」
ガクッ★
雪歩はその場で気を失う。
事前にそれを察していたPが、崩れる雪歩を抱き止める。
亜美「ごまえー♪ 胡麻へー♪ がんばーってーい……おりょりょ? 真美、あそこにいるのって……」
真美「え? あれ、いおりんトコの兄ちゃんジャン。白昼Do→Do→と女の子を抱きしめてるとは、槍マスな→」
P「その声は……双海真美と亜美か」
亜美「このけって→的瞬間をのがすてはない!」
パシャ
P「お、おい! なに撮ってんだ」
真美「そんでもって、お姫ちんにメ→ル、メ→ル」
P「やめろ! 話がややこしくなる!! 頼むからやめてくれ」
真美「も→送っちゃったもんね→」
P「ああ……」
パチッ
雪歩が目を開く。
が、それは今までの雪歩とは雰囲気が変わっていた。
雪歩「……なんで私を抱きしめてるのよ」
P「目が覚めましたか。これは……」
ドガッ★
雪歩の蹴り。
P「ぐふっ……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:41:51.10 ID:9INMWDb00<> 貴音「それで? どういう状況なのか、説明していただけますか」
P「なんで貴音、詰問口調なんだよ。そういうの、あのお嬢様だけで十分なんだけど」
真美「あのねあのね。この兄ちゃんが、こっちの女の子を抱きしめてたんだ」
亜美「そしたら女の子が兄ちゃんを蹴って、亜美達がここに運んであげたんだよね→」
貴音「まあ!」
P「その説明には、肝心な部分が抜けている。雪歩お嬢様」
雪歩「なに?」
P「あー……まだそっちのままだったか。響は? そもそも俺達は、響に会いに来たんだ」
貴音「響はおぉでしょんです。あなたは……ええと」
雪歩「私? 私は萩原雪歩」
真美「雪歩? じゃあ……ゆきぴょんだね」
雪歩「え?」
亜美「よろしくね→ゆきぴょん」
雪歩「私をそんな風に呼ぶなんて……命知らずね」
真美「? ど→ゆ→こと?」
雪歩「私のお父さんは怖ーい人なんだから」
亜美「! 兄ちゃ→ん、ホント?」
P「違う」
雪歩「違わない!」
P「彼女は、萩原組の令嬢だ。聞いたことあるだろ、萩原組」
千早「テレビのコマーシャルで見かけます。建設会社ですよね?」
P「そう。業界はもとより、日本の経済界でも有数の企業。雪歩お嬢様は、伊織様の……まあ、幼なじみと言ってもいいかな」
真美「なんだ→全然、怖い人じゃないじゃ→ん」
雪歩「嘘よ」
亜美「へえ?」
雪歩「そんなの嘘……う、そ……なんだから」
P「おっと」
貴音「まあ!」
再び倒れる雪歩。
Pはそれを、再び抱きとめる。
P「次に雪歩お嬢様が目を覚ます時、俺が目の前にいると色々と面倒な事になる。ちょっと外しているから、彼女が起きたら知らせてくれるか?」
貴音「それはわかりましたが……いつまでそうやって抱いているおつもりで?」
P「別に喜んでやってるわけじゃないぞ」
Pはソファーに雪歩を寝かすと、去っていった。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:42:41.92 ID:9INMWDb00<> 貴音「あなた様……」
千早「貴音さん、今はあの人のことはおいておいて、レッスンしないと」
貴音「千早……そうですね。真美と亜美も、よろしいですか?」
真美「おっけ→」
亜美「やろうよお姫ちん」
真美「♪ GO MY WAY!! GO 前へ!!♪」
亜美「♪ 頑張ってゆきましょう♪」
千早「♪ 一番大好きな♪」
貴音「私になりたい♪」
歌い、おどる4人。
それを、ゆっくり開けた瞳で見つめる雪歩。
雪歩「あれ……なぁに?」
雪歩「誰? あの人達……でも、みんな……素敵、だな……」
真美「! お姫ちん、お姫ちん、ゆきぴょん目が覚めたみたいただよ」
貴音「おや。気分はいかがですか? 萩原雪歩」
雪歩「は、はいぃ? ど、どうして私の名前を? それにここはどこですか?」
オドオドと周囲を見渡す雪歩。
千早「? どこ、って……貴女が、ここまで来たんじゃない。水瀬さんの所の秘書といっしょに」
雪歩「ええと……そうか、思い出しました。私、あの人に触れられて意識が……そうか、また……」
貴音「思い出しましたか?」
雪歩「いいえ。でも事態はわかりました。色々とご迷惑をおかけしました」
真美「……なんか、さっきと感じが違うね」ヒソヒソ
亜美「急に大人しくなっちゃったYO!」
雪歩「あ、あの……その、私……二重人格なんですぅ」
貴音「二重人格? それはいったい……?」
千早「ようするに、この萩原さんの身体の中に、違う人格がいるんですよ」
貴音「それが、先ほどの?」
雪歩「はい……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:43:22.97 ID:9INMWDb00<> 貴音「なるほど、あいわかりました。では、あの方に連絡を取らねば」
雪歩「あっ、あの……」
貴音「なんでしょうか?」
雪歩「さっき、みなさん歌ったり踊ったりしてましたよね?」
真美「ぬっふっふ→真美達ね、全員アイドルの卵なんだよ」
雪歩「あい……どる?」
亜美「歌って踊って、みんなに夢を与える素敵な仕事だよ」
雪歩「アイドル……」
千早「まあまだ、みんな駆け出しですが」
貴音「しかし夢は全員、とっぷあいどる! です」
雪歩「みなさん、素敵でした。とっても輝いて見えて……」
亜美「おりょりょ、ゆきぴょんなかなか見る目あるね」
真美「ゆきぴょんもさ! やろうよ、いっしよに!!」
亜美「そだよ→! ゆきぴょんけっこう可愛いしさ」
雪歩「私なんかに……できる、かな?」
千早「楽しめばいいのよ、萩原さん」
5人で、歌い踊る。
はじめは恥ずかしげだった雪歩が、少しずつ打ち解ける。
が、それも長くは続かなかった。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:43:48.36 ID:9INMWDb00<> バタン★
千早「萩原さん、大丈夫!?」
雪歩「あ、わ……私……」
もんどりうって倒れた雪歩を、千早が抱きかかえる。
雪歩「わ、私はダメダメでひんそーで……こんな私は、穴掘って埋まってますぅ」
貴音「萩原雪歩! あなたはダメダメなんかではありません!」
雪歩「え?」
貴音「あなたは、自分という殻に閉じこもり過ぎです。もっと自信を持ちなさい!」
雪歩「……わ、私……失礼します」
逃げるように走り去る、雪歩。
真美「あ→ゆきぴょん!」
亜美「も→厳しすぎるよお姫ちんは→」
千早「ふふっ。違うわ二人とも、あれでいいの」
真美「?」
亜美「?」
千早「だけど……貴音さん? 萩原さんの目が覚めたら、連絡するはずじゃあ……」
貴音「まあ!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:44:53.30 ID:9INMWDb00<> 雪歩「はあ……はあ……」
道ばたで、息を荒くする雪歩。
雪歩「逃げて……きちゃいました」
雪歩「でも……でも……」
雪歩「アイドル……私も、あんな風になれたら……少しは……少しは、変われるのかな?」
雪歩「変わりたい……私も……」
伊織「そうは言うけどね、あんたのお父様がアイドルとか芸能活動なんて許すわけないじゃない」
雪歩「うう……やっぱり」
伊織「下手したら勘当、あんた着の身着のままで家から追い出されるわよ」
雪歩「お父さんなら、やりそうだよぉ……」ガクブル
伊織「……諦める? アイドル」
雪歩「……」
伊織「あんたお嬢様よ。別にこの先、生活の苦労なんてないだろうし、望めば一生やわらかい絨毯の上だけを歩き続けられるのよ」
雪歩「……そんなのいや、ですぅ」
伊織「……」
雪歩「私も……私も、与えられるんじゃなくて、自分で何かを掴み取りたいんですぅ。そして……」
伊織「そして?」
雪歩「少しでも、自分を……変えたいの」
伊織「……いい考えがあるわ」
雪歩「いい考え?」
伊織「私が、アンタの怖いお父さんに頼んであげてもいいのよ? 水瀬財閥の次期当主のお願いなら、無下にはできないと思うんだけど」
雪歩「ほんと!? ほんとうに?」
伊織「ええ。ただし、私も条件がひとつあるわ」
雪歩「?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:45:31.16 ID:9INMWDb00<> 雪歩「あのう……こんにちは……」
亜美「あ→ゆきぴょんだ→」
真美「も→来ないかと思ってたYO!」
雪歩「ごめんね。あの、今日も私も一緒にいいですか?」
貴音「無論です。まいりますよ」
2時間後
千早「ふう……ずいぶん上達したわね、萩原さん」
雪歩「そ、そうですか?」
真美「ゆきぴょん才能あるよ」
亜美「765プロに入って一緒にやろうYO!」
雪歩「……私も、そうしたいなぁって」
貴音「なんと! それはよきこと」
雪歩「お父さんが、いいって言ってくれたらだけど……」
真美「だいじょ→ぶ、だよ。ね→」
亜美「ゆきぴょん、見所あるもん」
響「はいさーい! 帰ったぞ。オーディション、合格したぞ」
貴音「おめでとう、響」
響「あれ? その娘は?」
千早「萩原雪歩さん、もうすぐ私達の仲間になるかも知れないわよ」
響「おーそうなのか。よろしくだぞ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:46:28.14 ID:9INMWDb00<> 雪歩「はい。それであの、この間と今日のお礼も兼ねてこれからお食事でもいかがですか?」
真美「え? それってゆきぴょんのおごり?」
亜美「やった→さすがお嬢様!」
雪歩「うふふ。じゃあ行きましょう」
響「なんか悪いなー」
千早「そうね。申し訳ないわ」
雪歩「大丈夫ですぅ。予行練習も兼ねてるから、遠慮しなくて大丈夫だよ」
貴音「はて、予行練習?」
都内某焼肉店個室
真美「いやだけど……」
亜美「これは……」
雪歩「どうしたの? どんどん食べてね」
慣れた手つきで、どんどん肉を焼いてはそれぞれのお皿に取り分ける雪歩。
その速度が、尋常ではない。
千早「しかも萩原さんも、しっかり食べてるのよね」
響「すごい動きだぞ」
雪歩「そんなことないですぅ。ただ、私は焼肉が大好きで慣れてるんだと思います」
貴音「あれだけの量のお肉をいっぺんに焼きながら、この焼き加減……すばらしいです」モグモグ
雪歩「えへへ。タンはねえ、一回だけひっくり返して火が通ったらもう食べるんだよ。あんまり何回もひっくり返すと、うま味が逃げちゃうからね」
真美「ホントだ! おいし→」ハグハグ
雪歩「ハツはもう、さっと火を通しただけぐらいが美味しいよ」
亜美「うま→い!」モグモグ
雪歩「テッチャンは逆によく焼いて、すこし焦げるぐらいで」
響「うんうん、美味しいぞ!」
雪歩「ロースは、強火で表面を固めてからゆっくり……」
千早「美味しい……」
雪歩「カルビはタレ付きだから、焦げないように……」
貴音「なんと!」
雪歩「たくさん食べてね。私も今日は、しっかり食べるからね」
真美「や→美味しかったね→」
亜美「お店の人、驚いてたね→」
響「自分たちだけで、牛一頭分ぐらい食べたかもだぞ」
千早「ごちそうさまでした、萩原さん」
貴音「まこと、美味でした」
雪歩「うん。喜んでもらえてうれしいよ。いい練習になったし……」
貴音「?」
雪歩「じゃあ私はこれで……みなさん、お父さんが許してくれたら私も765プロに入れてもらいます。次に会うときは、きっと……その時です」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:47:02.32 ID:9INMWDb00<> 雪歩は嬉しそうに、迎えの車に乗って帰っていった。
P「響!」
響「ん? あれ、お前は水瀬の所の……」
貴音「あなた様……」
P「雪歩お嬢様に会ってたろ。どうだった?」
響「どう、って?」
P「あのお嬢様の、二重人格が治せるか? 響なら」
響「? なんの話だ?」
亜美「あ→ひびきんは見て無かったよね。ゆきぴょんはさ、二重人格なんだよ。男の人に触られると、恐い人になっちゃうんだ」
響「雪歩が? そんなはずないぞ」
P「え?」
響「あの娘、二重人格なんかじゃないぞ」
P「いや、見た目はそうでも響の心理捜査とかで……」
響「二重人格とか、多重人格者は、もっとわかりやすい特徴があるんだぞ。あの娘は、違う」
P「……まさか」
千早「でもこの間は確かに、雰囲気が変わってたわ」
響「それは多分……」
貴音「演技でしょうね」
P「そうか! それで、今までどんな精神科医やカウンセラーでも治せなかったのか! そもそも二重人格なんかじゃなかったとは」
貴音「萩原雪歩は、弱い自分を変えたがっておりました。きっとあの演技は、その延長。おそらくは無意識の」
響「それにもう治療は必要ないぞ、きっと」
P「え?」
響「あの娘は、自分を変える手段を見つけた。二重人格のもうひとりの自分になるより、もっと素敵に自分を変えられる道を」
P「なんだ? それは」
貴音「あいどるとなることです」
P「!」
真美「なんで絶句してんの?」
P「雪歩お嬢様がアイドルになるには……なる為には……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:47:33.25 ID:9INMWDb00<> フードファイト当日
雪歩「そんな! 私、そんなこと聞いてません!」
伊織「そうだったかしら?」
雪歩「嫌です。私、あの四条さんと戦うなんてできません。帰ります」
伊織「アイドルになるのをあきらめて?」
ピクッ
雪歩はその場で凍り付く。
伊織「私以外の誰かが、あんたのお父さんに言うことを聞かせられるのかしらねえ……」
雪歩「そんな……」
伊織「別に野蛮な争い事をするわけじゃないわ。ただの大食い競争よ」
雪歩「……」
伊織「夢を掴むにはね、戦わなきゃいけない時もあるのよ」
貴音「萩原雪歩。やりましょう」
雪歩「四条さん……」
貴音「遠慮は要りません。それにこれは、あなたが自分を変えるチャンスです」
雪歩「……はい」
貴音「それにわたくしは、負けませんよ」
伊織「ルールの説明をするわよ。今回のメニューは、焼肉よ」
真美「ゆきぴょんの得意料理か→」
千早「だけど随分と漠然としたメニューよね」
伊織「今回は国産牛じゃないわよ、黒毛和牛」
亜美「? ど→違うの?」
雪歩「えっとね」
P「まあ要するに、黒毛和牛は純粋な和牛だ」
雪歩「はうぅ」
伊織「部位は、それぞれすべての部位を用意しているけど、同じ部位ばかり食べないようにね」
響「えっ?」
伊織「ひとつの部位を食べたら、次は違う部位、そうして全部位を食べてちょうだい」
貴音「わたくし、ろぉすが好みなのですが」
伊織「ロースばっかりは食べられないわよ<、にししっ。じゃあいつも通り、1R10分の3Rよ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:47:59.28 ID:9INMWDb00<> 伊織「ファイト!」
貴音「ええと……ではなにから……」
雪歩「テッチャンとロース、それからカルビを持ってきてください」
貴音「!」
伊織「にししっ。雪歩はわかってるわよねえ、焼肉の食べ方を。なにしろ……」
P「なんですか?」
伊織「……別に、なんでもないわ」
P(なんで急に不機嫌に?)
貴音「わ、わたくしも同じものを」
千早「完全に出遅れたわね」
響「それに……雪歩の焼き方、やっぱりすごいぞ」
雪歩はやってきたメニューをすべていっぺんに、網の上に広げる。
それを器用にひっくり返しては、口へと運ぶ。
伊織「じっくり火を通した方が美味しい部位は、後にして火が通りやすい部位を口へ運ぶ。その知識と判断が、すごいわね」
P「それに引き替え……」
貴音「熱! ええと……」
伊織「貴音、この間も自分では全然焼かなかったんでしょ? 焼き方もわかっていないのに、あんないっぺんに焼けるわけないじゃない」
貴音「うう……焦げてしまいました。苦いです……」
1R終了
貴音:4部位(440g)
雪歩:8部位(880g) <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:49:03.94 ID:9INMWDb00<> 亜美「食べる早さと量は負けないけど」
響「焼き方の技量で、差が出てるぞ」
千早「美味しくない焼き方になってしまってるものね。でも……」
2R開始
雪歩「タンとミノ、それとハラミをお願いしますぅ」
貴音「わたくしも、同じものを」
伊織「なによ……知識も技術も雪歩に負けてるのに、なんで同じメニューにするのよ」
P「……もしかしたら」
伊織「なによ!」
P「雪歩お嬢様の食べ方を見て、それを学ぼうとしているのでは?」
伊織「そんなこと……!」
雪歩「先にミノを乗せて、それから……」
貴音「……」
伊織「そんな! いくらマネしようったって、雪歩のあの手の動きまで……」
貴音「先ほどは、美味しくない思いをしましたからね。美味しいお肉のためならば、がんばって努力してみます」
雪歩「!」
千早「さっきと貴音さん、動きが全然ちがう」
亜美「これならいけるYO!」
伊織「ロースターならともかく、焦げやすい炭火にしてるのよ!? それなのに……」
P(貴音……また成長しているな。)
2R終了
貴音:6部位(計10部位;1100g)
雪歩:6部位(計14部位;1540g) <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:49:53.80 ID:9INMWDb00<> 雪歩「差が、ひらかなくなっちゃった……」
貴音「次で、追いつきます」
雪歩「そんな……」
貴音「あなたの焼き方は、もう学びました」
伊織「ふん! 知識と技術が必要なメニューなら、勝てると思ったのに」
P「それだけですか?」
伊織「……なにが言いたいのよ?」
P「いえ、伊織様はずいぶんと雪歩お嬢様に肩入れをされているようにお見受けしましたので」
伊織「ちょっと年上だけど、同年代で似た境遇だからよ。他意はないわ」
P「同じように、独りで食事を摂る寂しさを知る者同士ですか」
伊織「アンタ……」
P「きっと雪歩お嬢様も、大好きな焼肉を自分ひとりで焼いて食べておられるんでしょうね」
伊織「……私には、Pちゃんがいるわ」
P「今は、そうでした」
伊織「だから……絶対に私の側をはなれちゃダメ。これは命令よ」
P「……覚えておきます」
雪歩「どうしよう……負けちゃう……このままじゃ負けちゃう……」
雪歩「こうなったら……」
貴音「逃げるのですか? 萩原雪歩」
ビクッ! 雪歩の身体が硬直する。
貴音「もうひとりの自分に、助けを求めるのでしょう?」
雪歩「……そうです。彼女に代われば……彼女は強いから……」
貴音「目を覚ましなさい! それもあなたです、雪歩!! あなたの中にもうひとりの雪歩なんかいないのです!!!」
雪歩「そ、そんなことないですぅ。そんなこと……」
貴音「ありもしない幻想に頼るのは、もう止めなさい。強い自分になりたいなら、その幻想という壁を自分で突き崩しなさい」
雪歩「……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:51:13.12 ID:9INMWDb00<> 3R開始
雪歩「私……私、あきらめません。勝ちます、自分の力で」
貴音「よく言いました。萩原雪歩」
伊織「敗色濃厚ね。P、次の挑戦者のリストアップに入って」
P「まだ雪歩お嬢様が奮戦中ですが」
伊織「負けでしょ、たぶん」
響「ちょっと待つんだぞ!」
伊織「な、なによ」
響「さっき雪歩が言った言葉、聞かなかったのか? 弱虫が、たった一言小さな声だけど勇気を振り絞って言ったんだぞ! 勝つって!! 自分の力で!!!」
伊織「所詮は、匹夫の勇よ」
響「なんだとー!」
P「よせ、響。それに伊織様、もう少し応援を」
伊織「ここから勝てるって言うの?」
P「まだ勝っている状況です。それに、雪歩お嬢様が負ければ次の挑戦者は自ずと決まりますから、急いで選定する必要もありません」
伊織「? ああ……そうね」
響「?」
雪歩「負けたくない……もう、ダメダメな自分を嘆くだけの毎日に戻りたくない。私も……私も自分で自分を変えたい!」
貴音「負けませんよ! 雪歩!!」
真美「もう、焼き方もなにもないね」
亜美「二人とも、焼くはじからどんどん口に入れてる……」
貴音「うおぉぉぉん」
雪歩「うおぉぉぉん」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:52:13.41 ID:9INMWDb00<> 3R終了
貴音:10部位(計20部位;2200g)
雪歩: 5部位(計19部位;2090g)
雪歩「負けちゃった……うぅ」
貴音「雪歩、見事でした。負けて悔しいですか?」
雪歩「……はいですぅ」
貴音「それはあなたが、戦う意志のある者だからです。あいどるになりたいなら、たとえ親から勘当されようと戦っていけるのではないですか?」
雪歩「お父さんから、勘当……」
貴音「恐いですか?」
雪歩「正直、恐いです。でも……」
貴音が雪歩に手をさしのべる。
雪歩も、その手を取ろうとした。
だが。
?「茶番は終わりだよ」
P「来たか」
会場に、スーツ姿の人物がゆっくりと現れ、のばしかけた雪歩の手を横から握る。
貴音「? どちらさまでしょうか」
雪歩「真ちゃん……」
真「ボクの名前は菊地真。雪歩お嬢様、旦那様がお呼びです。すぐに帰りましょう」
雪歩「まって、真ちゃん。あのね」
真「お話は、車の中でゆっくりと」
響「おい、それはないぞ! 雪歩は自分たちと一緒に、アイドルに……」
言いかけた響は、真の眼力に一瞬怯む。
真「帰りましょう、雪歩お嬢様」
雪歩「真ちゃん、まって……私の話を聞いて。お願いだよぉ……真ちゃん……真ちゃんってば……」
有無を言わさず、連れていかれる雪歩。
765プロの一同は、ただそれを見送るしか無かった。
第5話 おわり <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:53:07.93 ID:9INMWDb00<> 次回予告
さて、次回の挑戦者は!?
真「お嬢様は、ボクが護る! ボクは雪歩お嬢様の、ナイトだから」
貴音「あなたには、あなた自身の夢はないのですか?」
挑戦者『菊地真』
真「いいよ、そのフードファイトで勝てば認めるんだよね。それと雪歩お嬢様の事も、忘れてもらう」
貴音「そう簡単には、いかないとおもいますけれど」
そして……
響「あの菊地真って……女の子なのか!?」
雪歩「真ちゃん! もう……もう止めてよぉ」
伊織「いくら空手のブラックベルトホルダーだからって、フードファイトで勝てるの?」
対戦メニューは!?
貴音「大変な美味ではありますが……」
真「ふふん。見てなよ!! 破ッ!!!」
次回『お煎餅対決!』 お楽しみに <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/07/27(金) 20:56:09.88 ID:9INMWDb00<> 一旦ここで、止まります。
ちょっと間が開きましたが、少しずつでも続けていきたいと思っています。
がんばります。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/07/27(金) 21:12:57.84 ID:qOCsKNkLo<> 乙 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/27(金) 21:26:29.69 ID:Qi76l+XRo<> 乙
淡々と展開していくけど、引き込まれるものがあるね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/07/28(土) 00:18:30.63 ID:Y8MriijDO<> 真来たか! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/07/31(火) 06:42:38.44 ID:/gb663nV0<> フードファイト懐かしいな、支援 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/30(木) 14:49:43.69 ID:L/G5psDgo<> ぼちぼち一ヶ月か <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/31(金) 00:51:11.71 ID:F2zD+3G10<> 支援する <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/08(土) 13:33:53.72 ID:mT9YCGmDO<> マダー? <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:31:15.81 ID:7XK9xwIz0<> 第6話『お煎餅対決!』
765プロ事務所……のドアに、今は『雪歩奪還作戦本部』と仰々しく書かれた紙が、貼られている。
中にいるのは勿論、765プロの面々。
響「あの理不尽な菊地真とかいうやつから、絶対に雪歩を取り戻すぞ!」
真美「我那覇本部長どの、それで作戦は?」
響「それは……千早、どうしよう?」
千早「私にはなんとも……貴音さんは?」
貴音「ふふふっ。みんな、このわたくしを誰だと思っているのです」
亜美「おお! さ→すが、お姫ちん。すでになにか、作戦が?」
貴音「そのようなもの、あるはずがありません!」
亜美「あらら↓」
貴音「ですが、その為に来ていただいたのではありませんか。ねえ、あなた様」
P「……言っとくけどな、これバレたらあのお嬢様がカンカンになるぞ」
真美「そんなの、いつもそ→じゃん」
P「おいおい、あれで年相応に可愛いらしい所もあるんだぞ。この間も、響の家族のハム蔵を見て『かわいい』って言ってたし」
響「ほんとか!? あいつ、意外といいやつかもな」
P「他にも……」
貴音「あなた様。わたくしの前で、あの娘の話は止めて下さいませんか」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:32:59.83 ID:7XK9xwIz0<> P「……貴音。前々から言っているが、俺はお前とつりあうような男じゃない」
貴音「そうですね。今のわたくしには、あなた様はもったいありません」
P「逆だ! 俺なんかの事は忘れろ! 俺はあのお嬢様に、一生仕える。それが俺の人生だ」
貴音「……償いのつもりですか?」
P「なんだと!?」
貴音「そんなことをしても、誰も喜びません。勿論、水瀬伊織も!」
真美「あの→」
千早「お取り込み中に申し訳ないですけれど、今は萩原さんの件を」
貴音「そ、そうでした。あなた様、萩原雪歩を取り戻すなにかいい知恵を」
P「ない」
貴音「そんな無体な」
P「貴音は、水瀬財閥に続き、萩原組も敵に回すのか?」
貴音「わたくしは、友である仲間に夢を叶えさせてあげたいだけです」
P「だがなあ……事はそう単純じゃない。雪歩お嬢様は萩原組の令嬢で、父親は超カタブツだ。それに……ん? もう時間だな。俺は失礼するぞ」
千早「どこへ行くんですか?」
P「その菊地真に会いに、だ」
亜美「ええ→! なんの為に→?」
P「企業秘密」
真美「ぶ→! けちんぼ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:33:54.62 ID:7XK9xwIz0<> P「貴音……さっき俺は『事は単純じゃない』って言ったが、逆に言えば単純にしてしまえばいいんだ。それが鍵だ」
貴音「……なるほど、わかりました」
P「なかなか理解が早いな」
去っていくP。
響「貴音、あいつが言ったのはどういう意味なんだ?」
貴音「ふふ……響にわからないものが、わたくしにわかるわけがありません!」
亜美「え→!?」
貴音「ですが、あの方になにやら考えがある様子。わたくし達は、待てば良いのです」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:34:46.33 ID:7XK9xwIz0<> P「待たせたな。レディーの誘いに遅れるとは、失礼をした」
真「そういうこと、言ってくれるのPだけですよ」
P「萩原組は、業種のせいか荒っぽいからな。真が女の子っぽくなると、逆にみんなドキマギするだろうな」
真「ボクが……女の子っぽく?」
P「お? 興味あるなら、やってみるか?」
真「い、いや! ボクの役目はあくまでも、雪歩お嬢様のお世話をすること。そういう意味では、尊敬する先輩格のPには色々と教えて欲しくて」
P「……本日二度目、か」
真「え?」
P「俺なんかを、尊敬とかお手本にはするな」
真「なんでですか?」
P「俺は……尊敬されるような男じゃない」
真「そんな……」
P「例えば、伊織様が敵視している四条貴音に、俺は頻繁に会ってる」
真「! 背信行為じゃないですか!!」
P「そうだな。否定はてきない」
真「きっと何か……そう、伊織お嬢様の為になるから、誤解されてもとか……深い事情があるんですよね?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:35:21.54 ID:7XK9xwIz0<> P「違う。俺が貴音に会うのは……ただ、会いたいからだ」
真「嘘だ……」
P「あの美しい顔が見たい。眩しい表情に会いたい。輝くような髪が揺れるのをただ眺めたい。それだけだ」
真「……裏切り行為だ」
P「そう言っただろ。秘書なんて体の良い奴隷、今風に言えば社畜だ。夢なんて、ない。いや……あったが捨てた」
真「捨てた?」
P「……喋りすぎたな。まあいい、秘書ってのはそういうものだ。主の為に、全てを捧げる。己の夢でさえもな。真にもそれが、できるのか?」
真「……できるさ」
P「その胸が空っぽになる、それでもか?」
真「お嬢様は、ボクが護る! ボクは雪歩お嬢様の、ナイトだから」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:36:04.98 ID:7XK9xwIz0<> 千早「あれから三日経つわね」
真美「兄ちゃん、ちゃんとやってくれてるのかな→」
亜美「うたがわC→よね」
響「そうでもないぞ。ほら、来たみたいだ」
真美「え?」
真「芸能プロダクションっていうのは、もっと派手な所かと思ってたんだけどな」
貴音「菊地真でしたか。ようこそ」
亜美「あれってやっぱり……」ヒソヒソ
千早「あの人が、こうなるように仕向けたんでしょうね」
真美「兄ちゃん、やるな→」
貴音「萩原雪歩は、元気にしていますか?」
真「もちろんだ。ただ旦那様の命令で、外出禁止と厳命されているけどね」
響「真って言ったな! 雪歩を監禁するなんてひどいぞ!!」
真「言葉を慎んで欲しいな。ボクは雪歩お嬢様を堕落させようとする誘惑から、護ってさしあげてるんだ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:36:47.43 ID:7XK9xwIz0<> 響「うがーっ! 雪歩はアイドルになりたいんだ!!」
真「なってどうなる?」
真美「え→? 可愛い衣装を着て→」
真「!」ピクッ
亜美「歌って踊ったら、きっとキャ→キャ→言われるよ」
真「!!」ピクピクッ
千早「そうね。萩原さん、可愛いし」
真「……」ゴクッ
響「? ははーん、わかったぞ! 真、おまえさては雪歩にホレてるな!」
真「……え?」
響「だから雪歩がアイドルになるの、反対なんだろ! そうなんだろ!!」
真「ハア……違う。ボクはただ、雪歩お嬢様に仕える身として……」
貴音「それでは菊地真? あなたには、あなた自身の夢はないのですか?」
真「ボクの……夢?」
不意に真は、口をつぐむ。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:37:19.85 ID:7XK9xwIz0<> 響「雪歩に仕えるのが夢なんじゃないのか? それてもやっぱり雪歩と結婚したいとか?」
千早「響、そういう言い方は……」
真「なにか勘違いしてるみたいだけど、まあいいよ。Pも言ってたけど、ボクは……ボクには覚悟がある」
貴音「あの方のように、夢を捨てる覚悟ですか?」
真「……そうだ。ボクは一生、雪歩お嬢様に仕える」
貴音「そして、その胸を空っぽにするのですね」
真「へえ……Pと同じ事、言うんだ」
貴音「真、わたしと賭をしませんか?」
真「賭?」
貴音「ふーどふぁいとで、わたくしが勝ったら雪歩に仕えるのは止めなさい」
真「いいよ、そのフードファイトでボクが勝てば……」
貴音「無論、わたくし達負けを認めて二度と雪歩には近づきません」
真美「ええっ!」
亜美「お姫ちん、それは……」
真「いいよ、そのフードファイトで勝てば認めるんだよね。それと雪歩お嬢様の事も、忘れてもらう」
貴音「そう簡単には、いかないとおもいますけれど」
真「二言は無いからな。じゃあ当日、会場で」
貴音「ええ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:37:57.58 ID:7XK9xwIz0<> P「というわけで、やはり次の挑戦者は菊地真となりました」
伊織「ま、幼なじみ兼、親同士が主従関係兼、将来の執事候補ですものね。雪歩の地位を護るため、出てきても不思議はないけど」
P「? なにか問題が?」
伊織「菊地真……肝心のフードファイトの方は、どうなのよ?」
P「真は常に、心身を鍛えています」
詩織「質問の答えに、なってないわね」
P「いえ、次の対戦メニューをご覧になられればおわかりになるはずです」
伊織「? これって……」
P「はい。最悪、貴音は全く食べられずに負ける……かも知れません」
伊織「にひひっ! 楽しみね……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:38:56.03 ID:7XK9xwIz0<> 雪歩「どうして……どうしてそうなるの!? なんで真ちゃんが、フードファイトに!」
真「ボクが勝てば、雪歩お嬢様には二度と会わない。そう、約束させました。旦那様もボクが負けるはずは無いと認められて、水瀬グループと約定を交わされました」
雪歩「そんな……私、私は……真ちゃん! もう……もう止めてよぉ。私のために、そんな事、しないで」
真「立場をわきまえてください、お嬢様」
雪歩「……もう、雪歩って呼んではくれないんだね」
真「……そう呼んでいたのは、子供の頃の話です」
雪歩「同じだよぉ。私、真ちゃんは友達だってずっと思っているのに……」
真「人は、いつまでも子供ではいられません。そして、ボクはいつまでもお側にいます」
雪歩「……側にいても、一緒なテーブルでご飯を食べてはくれないよね……」
真「執事や秘書が主と、食事を共にしますか?」
雪歩「昔、真ちゃんも言ってたじゃない。ボクの夢は……」
真「お嬢様!」
雪歩「!?」
真「お嬢様がお嫌でも、ボクはずっとお側で仕えます。お嬢様を、ボクは大好きですから」
雪歩「友達として……ずっと側にいて欲しいよぉ。昔みたいに……」
真「……では、失礼いたします」
雪歩「フードファイト、私も観戦に行くから」
真「わかりました。旦那様に伺っておきます」
雪歩「お父さんが、だめだって言っても行くから」
真「……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:39:28.25 ID:7XK9xwIz0<> 響「自分、なんかあの真って男は気に入らないぞ! なんかいちいちカッコつけているって言うか、キザっていうか……」
貴音「響?」
響「ああいう男は……なんだ? 貴音?」
貴音「菊地真は……女人ではないでしょうか?」
響「え?」
千早「ええ」
真美「真美たちも」
亜美「そう思うな→」
響「ええ? あの菊地真って……女の子なのか!?」
千早「そうでないと、萩原さんがあの真という人に腕を掴まれても人格が変わらなかった説明がつかないわ」
響「あれは……もう雪歩は克服した、とか」
真美「これまでも、ずっと側にいてボディーガードとかしてたんでしょ?」
亜美「あのゆきぴょんが、側に男の人がいて平気なはずないよ→」
響「……うう、う……」
貴音「響?」
響「うぎゃー! 自分、あの真ってやつに失礼な事、言っちゃったぞーーー!!!」
千早「あんまり、気にしていないみたいだったけれど……」
響「うう。そういう問題じゃないぞ、自分もうしわけないぞー!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:41:20.10 ID:7XK9xwIz0<> フードファイト当日
真美「あ→ゆきぴょんだ! ゆきぴょんだよ!!」
亜美「あいたかったよ→!!!」
雪歩「みんな! 私もですぅ」
貴音「雪歩……息災そうでなによりです」
雪歩「はい。レッスンも一人で続けてますぅ」
千早「そう。じゃあ、またすぐ一緒にできるわね」
真「できるわけないだろう! ボクが勝つ、お嬢様にはアイドルになる事をあきらめてもらう」
伊織「いくら空手のブラックベルトホルダーだからって、フードファイトで勝てるの?」
真「これは、伊織お嬢様。もちろんです、食べますよボクは」
伊織「ふうん……まあ、メニューもあれだし。きっと勝つわね」
真「はい!」
千早「?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:41:56.96 ID:7XK9xwIz0<> P「じゃあがんばれ、真」
真「P……わかってます」
伊織「? どうしたの? アンタけっこう真に懐かれてたんじゃあ……」
P「嫌われました」
伊織「ふうん……って、アンタ! まさか真に変な事をしたんじゃ……」
P「いえ。それはありません」
伊織「本当に?」
P「はい」
伊織「本当よね?」
P「はい」
伊織「本当に本当よね?」
P「……はい」
響「き、菊地真……」
真「? なに?」
響「ゴメン! この間は自分、真に失礼な事を言っちゃったぞ!!」
真「え!?」
響「真の事を男だって言ったり、その……雪歩の事を好きなんだろうとか……」
真「ああ。この間も言ったけど、別にいいよ……」
響「良くないぞ! 自分、本当に悪いと思って反省してるんだ。この通りだぞ」
頭を下げる、響。
逆に真が慌てる。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:42:48.22 ID:7XK9xwIz0<> 真「いいよ、そんな事しなくて! ほら、頭を上げなよ」
響「許して、くれるのかー?」
真「だから、最初から気にしてないって……ふっ、けっこう言われ慣れてるけど……そんな風に謝ってくれた人は初めてかもね。ええと……」
響「自分、我那覇響だぞ。響って呼んでいいぞ」
真「響、ありがとう。ちょっと嬉しかったよ」
響「ああ。自分も、許してくれて嬉しかったぞ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:43:14.75 ID:7XK9xwIz0<> 伊織「ルールの説明をするわよ。今回のメニューは、お煎餅よ」
亜美「せんべ→?」
伊織「浅草から、本格堅焼き煎餅を取り寄せたわ。味は醤油味」
千早「いい香りね」
真美「うん! こうばしいね」
響「だけど、あれ……」
伊織「それとこれは、重要なルール。割って食べるのはいいけれど、マナーに反するような砕いて食べる食べ方は認めないわよ。にひひっ」
貴音「はて? それはどういう意味ですか?」
P「要するに、自分の手で割って食べるのはいい。しかし道具を使ったり、足で踏んだり、テーブルや床にぶつけて砕くような事はNGだ」
貴音「つまり、割るなら手で。そういうことですね?」
伊織「そうよ。割るなら、手。にししっ」
貴音「?」
伊織「じゃあいつも通り、1R10分の3Rよ。ファイト!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:43:43.78 ID:7XK9xwIz0<> 1R開始
最初の一口を、囓ろうとする貴音。
しかし……
貴音「これは……硬いです」
真「堅焼き煎餅……なかなかの硬さだね。でも……」
貴音「大変な美味ではありますが……」
真「ふふん。見てなよ!! 破ッ!!!」
千早「あれは……空手の正拳突き?」
亜美「左手でおせんべ、持って」
真美「右手で正拳突きをして、割っちゃった」
真「うん、こりゃあ美味しいや」
貴音「なるほど……確かに手で割っていますね」
真美「お姫ち→ん! 感心してる場合じゃないよ→!!」
貴音「! そうでした。……か、硬い」
千早「そんなに硬いの? あのお煎餅」
亜美「こりゃ、お姫ちんピンチだよ→!」
響「いいぞ真! がんばれー!!」
真美「……ひびきん? なんで敵を応援してんの→?」
響「え? あ、ああ……そうか、そうだったぞ」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:44:16.23 ID:7XK9xwIz0<> 1R終了
貴音: 5枚(100g)
真:20枚(400g)
伊織「事前の予想通り、圧倒的ね」
P「食べる量では、真は貴音に敵わないでしょうが……あの硬さでは、貴音には食べられないでしょう」
千早「相変わらず、ルールと称して色々と仕掛けてくるわね」
真美「ずるいよ→」
響「すごいぞ! 真ー!!」
亜美「……だから、ひびきんってば→」
雪歩「貴音さん!」
貴音「雪歩、申し訳ありません。こんな体たらくで……」
雪歩「聞いてください! ……」ゴニョゴニョ
貴音「……なるほど」
真「……お嬢様?」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:44:56.79 ID:7XK9xwIz0<> 2R開始
真「お嬢様と、何を話していたんだ?」
貴音「菊地真はああ見えて、女の子らしいんだと申してました。
真「なっ……!」
貴音「菊地真も一緒に、あいどるをやってくれないかなあとも」
真「……ボクは、雪歩お嬢様のために……」
貴音「わたくしも、貴女と共にあいどるをしてみたくなりました」
真「……ボクは……負けない」
気合いと共に、真は煎餅を割り続ける。
一方貴音は……
響「なんだ? なにしてるんだ、貴音」
真美「人差し指に、せんべ→のせてる……」
亜美「あ、落っことしそうになったよ」
貴音「雪歩の言った通りですね。えい」
パキ
貴音が両手の親指でお煎餅の一転を押さえると、煎餅は軽い音を立てて割れる。
伊織「ええっ! なにあれ!?」
P「まさか……目、か?」
真美「すごいよ→お姫ちん」
亜美「すごい力!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:45:28.44 ID:7XK9xwIz0<> 響「いいや。あれはたぶん、貴音はお煎餅の弱い所を押したんだぞ」
千早「お煎餅の、弱い所?」
響「うん! お煎餅だって、均一じゃ無い。どこかにムラや、気泡のある部分があるんだ」
雪歩「そうですぅ。難しいけど、貴音さんなら、重心の偏りからわかるかも……って」
真「へえ……やるね!」
貴音「雪歩から教わりました。地面と同じで、力を入れるべきポイントがある、と」
真「雪歩……昔から、砂場遊びで穴掘りとか得意だったもんなあ」
貴音「今、雪歩を呼び捨てにしましたね?」
真「え? あっ!」
雪歩「えへへ。久しぶりに、雪歩って呼ばれたよ、真ちゃんに」
真「……今はとにかく、勝負だ」
貴音「そうですね」
力でお煎餅を割る真、技で割る貴音。
2R終了
貴音:25枚(500g)
真:35枚(700g) <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:46:04.80 ID:7XK9xwIz0<> 伊織「これ……どうなるのよ?」
P「……わかりません」
千早「追いついてきてはいる。けれど……」
真美「お姫ち→ん! がんばれえ!!」
響「真、負けるなー!」
真「響……響は貴音の味方じゃないのかい?」
響「う、ん……そうだけど……自分、真の事も好きになったからな。どっちもがんばれだぞ」
真「うん……ありがとう」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:46:44.90 ID:7XK9xwIz0<> 3R開始。
相変わらず、力でお煎餅を割り食べていく真。
真「ふう。さすがに疲れ……」
貴音「大変な美味。真もそうは、思いませんか?」
真「な……もう見もしないで、次々にお煎餅を……」
貴音「こつ、をつかんだみたいです。わたくし」
真「そんな……」
お煎餅を、手に取るそばから割ってしまう貴音。
伊織「そんな……そんな事……」
P「目を見極めるとは……」
千早「すごい! すごい追い上げ!」
亜美「いけ→! おっ姫ち→ん!!!」
猛然と追い上げる貴音。
真「このままじゃあ……このままじゃあ……」
真も必死で、お煎餅を割っては口にする。
亜美「あと15秒だよ→!」
響「食べてる枚数は……二人とも55枚だぞ!」
真美「お姫ちん! 急いで!」
真「負けない……負けたくない! 負けたくないんだあああぁぁぁーーーっっっ!!!」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:47:16.74 ID:7XK9xwIz0<> 真が最後の力を出そうとした。
その瞬間。
雪歩「真ちゃーん!」
真(? 雪歩? 雪歩の声? そうか、ボクが勝ったら、アイドルになれないんだよね……ごめん、ごめんね雪歩……)
雪歩「がんばって! 真ちゃん!」
亜美「ええ→!?」
千早「萩原さん!?」
雪歩「いいんですぅ。勝って! 勝って真ちゃん!」
真「雪歩……なんで? ボクが勝ったら、雪歩は……」
貴音「決まっています」
真「え?」
貴音「雪歩は真、貴女が好きだからです。理由は、それだけですよ」
真「雪、歩……」
雪歩「がんばって! 真ちゃあーん!!」
最後のひとかけらのお煎餅、菊地真はそれを見つめて笑った。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:48:20.05 ID:7XK9xwIz0<> 3R終了
貴音:57枚 (1140g)
真:56.5枚(1130g)
P「伊織様!? どこへ……」
真美「勝った……んだよね?」
亜美「でも→ゆきぴょん……」
雪歩「ごめんね、みんな。私のために勝負してくれたのに、その私が敵の真ちゃんの応援なんかして」
千早「ううん。気持ち、わかるわ。友達……いいえ、親友なのよね?」
雪歩「はいですぅ」
伊織「ちょっと、どうゆう事よ! どうして最後、あのひとかけらを口に入れなかったのよ! 負けるにしても、あんな負け方は許さないわよ!!」
真「雪歩は……ボクが負ければ、アイドルに……夢が叶えられるのにボクを応援してくれた」
伊織「はあ!?」
真「自分の夢より、ボクを……それが……それがわかったら、ボク……」ボロボロ
伊織「……」
真「お腹はまだ食べられたけど、胸がいっぱいでもう……食べられなかったよ……」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:48:51.86 ID:7XK9xwIz0<> P「真には、胸を空っぽにするのは無理だな。そして、夢も捨てられない」
真「……はい。ボクは、あなたみたいにはなれません」
P「じゃあ夢を追え、親友と一緒に」
真「いいのかな? 貴音……さん?」
貴音「わかっております。菊地真も、本当は可愛い衣装を着て歌ったり踊ったりしたいのでしょう?」
コクリ。
真は頷いた。
響「え? じゃ、じゃあ真も765プロに入るのか? 一緒にアイドルするのか?」
雪歩「いいの? 本当に一緒にやってくれるの? う、嬉しいよぉ」ポロポロ
千早「嬉しいわ。また、仲間が増えたわね」
真美「え? あ、うん……じゃあ真だから」
亜美「まこちん! よろしくね→まこちん」
真「うん! よーし、じゃあボクも力とパワーでアイドルがんばるぞー!!!」
真と雪歩が、手を握り合う。 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:49:21.85 ID:7XK9xwIz0<> 伊織「……なにが友達よ。なにが親友よ!」
P「? お言葉ですが、伊織様にも親友はおいででは……」
伊織「アンタ、それ以上何かしゃべったら許さないわよ」
P「……?」
伊織「いいわ。とっておきの対戦相手、あの娘達に用意してあげる。Pちゃん、至急パリの水瀬総合フーズ支社に連絡をとって」
P「パリ? では……あの娘を……?」
伊織「食べる量とか、技術とかそんなものとは無縁の戦いをあの貴音達にプレゼントするわ」
伊織は薄く笑った。
伊織「絶対に勝てない戦いを、ね」 <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:49:51.18 ID:7XK9xwIz0<> 5日後
雪歩「パワフル乙女チック、とかどうかなぁ?」
真「うーん、もう少し可愛らしいキャッチコピーがいいなあ」
千早「……ふう」
響「? どうした千早」
千早「あ、ううん。親友同士って、いいなあ……って」
響「特に仲がいいもんな、真と雪歩は。あ、これ手紙だぞ」
千早「エアメール? もしかして……やっぱり!」
貴音「どうしたのですか? 千早」
千早「私の親友が、フランスから帰ってくるんです! ああ、嬉しい」
第6話 おわり <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:51:16.75 ID:7XK9xwIz0<> 次回予告
さて、次回の挑戦者は!?
春香「久しぶりの日本……うーん、本当に空気がお醤油の香りするんだ」
貴音「あなたが、千早の親友なのですね。確か名前は……」
挑戦者『天海春香』
春香「お菓子とかスイーツなら、任せてよ! こう見えても自信、あるんだから」
千早「天才って呼ばれたパティシエの腕、さらに磨いてきたのね。フランスで」
そして……
真「天海春香は、水瀬総合フーズの人間だよ。ボクは見た事もある」
千早「嘘。嘘……よね? みんなで私を騙して……からかってるのよ、ね? ねえ?」
伊織「春香は、特異体質の持ち主よ。絶対に、勝てないわ貴音。まあドクターは用意してあるから、安心しなさい」
対戦メニューは!?
貴音「なんという甘さ! まさしく甘露ですわ!! 感激です」
春香「そう言ってられるのも、今のうちだよ? この甘味が、すぐに苦しさに変わるんだから」
次回『羊羹対決!』 お楽しみに <>
Swing ◆VHvaOH2b6w<>saga<>2012/09/10(月) 20:52:34.61 ID:7XK9xwIz0<> 一旦ここで、とまります。
またまた間が空きました。
がんばって、完結させたいと思っています。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/09/10(月) 21:17:58.27 ID:O3zs84Nlo<> きてたー
おつおつ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/09/10(月) 21:58:21.20 ID:RynWFB9Io<> ようやくメインヒロインきたー! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/11(火) 07:33:36.88 ID:w9WTwNqDO<> 閣下の登場ーーー!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/11(火) 12:59:43.17 ID:Ahm+vIT3o<> そこにひざまづいてorz
な閣下は見られるかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/10/19(金) 01:20:19.13 ID:xPTMypWBo<> この人今他にss書いてる? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/10/19(金) 04:15:40.00 ID:PrRnq5wDO<> 鳥で検索すればいいだろ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/10/24(水) 16:14:40.39 ID:T5ck9i5f0<> まだかにゃーん。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)<>sage<>2012/11/09(金) 01:42:31.79 ID:wgUEBUnCo<> そろそろ生存報告しないとまずい <>