VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:18:53.35 ID:4syVd06bo<>
――はじめに――
もしも本当に進撃の巨人のタイムループ説があったとしたら……
異次元的な内容の短編です
アニメ未放送分のネタバレはありません
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373624333
<>ミカサ「タイムループ」
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:20:07.17 ID:4syVd06bo<>
―――
――
エレン(ここは……どこだ?)
エレン(周り一面に真っ白なモヤがかかって……何も見えねぇ……)
エレン(……霧なのか…………?)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:23:34.92 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「……ここは時の狭間」
エレン「ミカサ!?」
エレン「……どこから現れたんだ?」
ミカサ「ここは世界の理の外だから」
エレン「せかいの……ことわり……?」
ミカサ「時の歯車が廻っている……私たちは今……時をさかのぼっている」
エレン「何を言っているんだ……?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:27:47.54 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「エレン……どうか落ち着いて聞いてほしい」
エレン「……?」
ミカサ「私たちは皆……死んだ」
エレン「な……に……?」
ミカサ「壁はウォール・シーナまで陥落」
ミカサ「あなたも死んで……人類は負けた」
<>
ナイトエンペラー ◆EImHeCmqIA<><>2013/07/12(金) 19:30:45.28 ID:SuyLgR470<> !? <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:30:46.60 ID:4syVd06bo<>
エレン「何言ってんだよ! 現にいまオレはここに……」
エレン「…………?」
エレン「……体の感覚が……おかしい」
ミカサ「…………」
エレン「じゃあ……ここにいるオレたちは幽霊か魂か?」
ミカサ「どちらも当てはまる。私たちは意識体」
エレン「意識体……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:33:06.69 ID:4syVd06bo<>
エレン「!」
エレン「そうだ! アルミンは!? 調査兵団……みんなはどこだ!?」
ミカサ「…………それぞれが個別に時をもどっている」
ミカサ「心配しなくていい。みんなちゃんといる」
ミカサ「……二人で一緒にいて特別なのは私たちだけ」
エレン「そう……か」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:36:09.27 ID:4syVd06bo<>
エレン「なぁ、ミカサ」
ミカサ「うん」
エレン「なんでオレたちは特別なんだ?」
エレン「どうしてお前はこんなことを知っている?」
ミカサ「…………」
エレン「ミカサ……お前は何だ」
ミカサ「…………」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:39:32.38 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「……わからない」
エレン「なに?」
ミカサ「私もわからない」
ミカサ「ただ……私の右腕に刻まれた紋章が教えてくれた」
エレン「……それか」
エレン「ミカサの……母さんに刻まれたんだっけ?」
ミカサ「…………」コク
エレン「青く光っているな」
ミカサ「これが私の心に直接語りかけてくる」
エレン「そうか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:41:26.51 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「私の祖先から代々受け継いできたこの紋章……」
ミカサ「これがここの場をつくっている」
ミカサ「そしてこの紋章には時間を戻す力がある」
ミカサ「私もそんなことは……こうなるまでちっとも知らなかった」
エレン「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:44:53.97 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「私たちが特別なのは……」
ミカサ「エレン……あなたが紋章の発動に関わったから」
エレン「オレが?」
ミカサ「そう」
エレン「何かしたのか」
ミカサ「…………」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:47:17.58 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「あなたの魂の断末魔が……私をとおして紋章を動かした」
エレン「魂の断末魔……? なんでそんなものが」
ミカサ「エレンが……私の失われた半身だから……」
エレン「半身……?」
ミカサ「私の両親が死んだとき、私の心の半分も死んだ」
ミカサ「そんな私の心を埋めたのがエレン」
ミカサ「私の心の中にはずっとエレンがいる」
ミカサ「だからあなたの魂の叫びが……私を揺さぶった」
エレン「…………」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/07/12(金) 19:48:35.79 ID:1Q0Q2ckxo<> 期待 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2013/07/12(金) 19:48:40.52 ID:6YMz0RIz0<> ほう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:49:46.14 ID:4syVd06bo<>
エレン「なぁ。そしたら教えてくれないか」
エレン「オレたちはこれからどうなるんだ?」
ミカサ「……過去の世界に戻る」
ミカサ「いま私たちの意識は、ゆっくりと時をさかのぼっているところ」
ミカサ「この感じだと、たぶん私たちが出会う前になる」
ミカサ「次に気づいたときはお互い子供になって、その頃に暮らしていた自分になっていると思う」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:51:45.78 ID:4syVd06bo<>
エレン「つまり人生を途中からやりなおすのか」
ミカサ「……同じにはならない」
エレン「?」
ミカサ「意識の中に少しだけ……今までの記憶が残る」
エレン「……ッ! じゃあ!」
ミカサ「同じ失敗を繰り返すことが減るはず」
エレン「そうか!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:53:08.41 ID:4syVd06bo<>
エレン「……ん?」
エレン「…………」
ミカサ「?」
エレン「…………」
ミカサ「どうしたの?」
エレン(同じにはならない……なら)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:54:23.12 ID:4syVd06bo<>
エレン「……なぁ」
ミカサ「なに?」
エレン「オレたちは…………」
エレン「…………また……出会えるのか?」
ミカサ「…………ッ!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:56:15.14 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「それは……心配ない」
ミカサ「……私たちは必ずまた……出会う……それは決まっている」
エレン「そうか……ならいいんだ」
ミカサ「……」
ミカサ「…………」グス
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 19:59:02.77 ID:4syVd06bo<>
エレン「……なに泣いてんだよ」
ミカサ「今のエレンの言葉が……嬉しかった……から」
エレン「…………」
エレン「……お前のいない人生なんて……ねぇよ…………」
ミカサ「え……?」
エレン「ねぇんだよ……それは……」
ミカサ「…………ぁ」ホロリ
ミカサ「……ぅん…………うん……私もそぅ……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:01:38.94 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「エレン」
エレン「ん」
ミカサ「時の狭間にいるここでの記憶は絶対に残らないけど」
ミカサ「現実に戻されるまでの間」
ミカサ「…………二人で少し世界を見てみたい」
エレン「世界を見る?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:05:35.17 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「今この場でだけ、紋章の力で私たちのいた世界を飛び回ることができる」
エレン「なんだって!? じゃあ……」
ミカサ「壁の外も自由にいける」
エレン「まてよ……ということは」
エレン「アルミンから聞いた海……塩の水がたくさん溜まっている海も見れるのか?」
ミカサ「たぶん……見れる」
エレン「……見てみたいな、それは……記憶に残らなくても」
ミカサ「うん」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:08:38.89 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「エレン……少し待って」
――サァァァァ
エレン(白いもやが晴れていく……)
エレン(…………青い)
エレン(ここは……空?)
ミカサ「落ちる心配はないから足元を見て」
エレン「……!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:12:40.79 ID:4syVd06bo<>
エレン「下に小さく見えるのは……町と壁か?」
ミカサ「うん」
ミカサ「私たちは今……ウォール・マリアの上空にいる」
エレン「ウォール・マリアだって!?」
エレン「最外郭じゃないか……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:14:41.62 ID:4syVd06bo<>
エレン「ならあの廃墟はもしかして」
ミカサ「私たちの故郷」
エレン「やっぱりそうか……」
ミカサ「大丈夫……全部戻るから」
エレン「そうだったな」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:17:11.89 ID:4syVd06bo<>
エレン「しかしこうして見ると……」
エレン「壁の外って……こんなに広かったのか」
ミカサ「果てが見えない」
エレン「……すげぇ」
ミカサ「そろそろ行こう……私の手をとって」
エレン「ああ」
――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:19:04.68 ID:4syVd06bo<>
エレン「飛んでいる……んだよな? ……オレたち」
ミカサ「うん」
エレン(ミカサに引かれてどんどん進む……)
エレン(……壁がもうあんな後ろに)
エレン「立体機動とはずいぶん違う」
エレン「空を飛ぶって……こんなに気持ちがいいのか」
ミカサ「私も今すごく自由を感じる」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:22:10.01 ID:4syVd06bo<>
エレン(眼下に巨人の姿がちらほら見える)
エレン(なのに……)
エレン「なぁ、ミカサ」
ミカサ「?」
エレン「飛んでいるせいかさ……心がすごく……晴れやかなんだ」
エレン「この爽やかな気分……」
エレン「なんだか……懐かしい……な」
ミカサ「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:26:10.46 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「ちょっと前に……カルラおばさんが生きていた時まで戻った」
エレン「母さん!?」
ミカサ「うん」
ミカサ「だから今のエレンの心からは……憎しみが消えている」
エレン「そうだったのか……」
ミカサ「……うん」
エレン「……母さん…………」
ミカサ「…………」
エレン「……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:29:43.56 ID:4syVd06bo<>
エレン「そう……か……母さんか……」ジワ
エレン「もう二度と……って思っていたのにな……」
エレン「……う……ぐっ…………」
ミカサ「エレン……」
エレン「また……会えるのか……」
ミカサ「…………会える」
エレン「はは……」
ミカサ「じきに私の両親も戻る……時間がない……急ごう」
――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:32:21.48 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「エレン……あれは……ひょっとして」
エレン「ぁぁ……ああ!」
ミカサ「すごい広さの湖……」
エレン「きっと……あれが海だ!」
ミカサ「……うん」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:34:32.21 ID:4syVd06bo<>
エレン「対岸もまったく見えない」
エレン「見ろよ……地平線が真っ平らだぜ」
ミカサ「太陽が……海の向こうに沈む」
エレン「すごい夕焼けだ」
エレン「ミカサ! もっと上にあがろう!」
ミカサ「わかった」
―― <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:36:35.85 ID:4syVd06bo<>
エレン「すげぇ……どこまで昇れるんだ、これ」
ミカサ「きっと世界の外まで……」
エレン「海を見てみろよ……地平線が丸いぞ!?」
ミカサ「これが私たちの世界……私たちの星……」
エレン「あぁ……オレたちの世界は……」
エレン「……こんなにも美しかったんだな」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:39:31.13 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「……ぁ」ピク
ミカサ「ええ……本当に……」パァァ
エレン「なっ……ミカサ!?」
ミカサ「はい……」
エレン「え……お前……なんだかちょっと感じが……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:42:05.41 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「いま……私のお父さんとお母さんが……この世界に戻ったの」
エレン「ミカサ……」
ミカサ「私の心も戻ってきた……」ジワ
ミカサ「……戻ってきたよ……あったかい……」
ミカサ「すごく嬉しいの……お父さん……お母さん……」
ミカサ「涙が……とまらないよ…………エレン」
エレン「ミカサ……」
ミカサ「うぅ……うぁぁぁ……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:45:40.88 ID:4syVd06bo<>
エレン「ミカサ!!」
ミカサ「えへへ……」
エレン「ミカサ……お前……笑って…………」
エレン「そんなに笑えるやつだったのか……」
ミカサ「うん!!」
エレン「嘘みたいだ……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:48:44.87 ID:4syVd06bo<>
エレン「なんだか……かわいいな……お前」
ミカサ「本当?」
エレン「ああ」
エレン「夕焼けに照られた笑顔がとても……いいと思う」
ミカサ「エレンもすごく格好いい」
エレン「そ、そうか?」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:51:32.23 ID:4syVd06bo<>
ミカサ「エレン……そろそろ時の終わりが近い」
エレン「もう……お別れか」
ミカサ「うん……」
エレン「オレ今さ……その……素直になりたい気持ちっていうか」
エレン「そんな気分……なんだけど……」
ミカサ「……私も」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:53:46.70 ID:4syVd06bo<>
エレン「別れる前に」
ミカサ「うん」
エレン「ミカサ……お前を思いっきり抱きしめて……いいかな……」
ミカサ「…………ッ!」
ミカサ「私も……エレンに思いっきり抱きつきたい……」
エレン「同じ気持ちだったか」
ミカサ「うん!」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:54:41.71 ID:4syVd06bo<>
エレン「ミカサ……」ギュ
ミカサ「……エレン」ギュ
エレン「きっと……また会おうな」
ミカサ「うん……絶対会う」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 20:57:04.15 ID:4syVd06bo<>
エレン「太陽が……海の向こうに沈む」
ミカサ「…………綺麗」
エレン(……お前のいるこの世界は)
ミカサ(……エレンのいるこの星は)
――――なんて美しいんだろう
――
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 21:00:51.55 ID:4syVd06bo<>
エレン「!」
ミカサ「……ぁ」
エレン「ミカサの体が……消えていく……?」
ミカサ「エレンの体も……」
エレン「そうか……時間か」
ミカサ「うん……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 21:03:34.58 ID:4syVd06bo<>
エレン「じゃあ……ちょっといってくるよ」
ミカサ「…………」
エレン「……母さんのいる世界へ」
エレン「また……な…………」
ミカサ「ぁ……」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2013/07/12(金) 21:05:22.52 ID:4syVd06bo<>
―――いってらっしゃい
―――――――エレン
―――またいつか
―――――――会いましょう
ミカサ「私もお父さんとお母さんに会いにいこう」
おわり
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/07/12(金) 21:06:12.04 ID:4syVd06bo<> 読んでくださった方、ありがとうございました <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/07/12(金) 21:29:09.93 ID:4syVd06bo<> ミカサの印の仕様については勝手設定なので容赦ください
また心が戻ってからのミカサに違和感があるかもしれません
そこについては以前に書いた
ミカサ「あったかい」 のイメージを引きずりました
エレミカばかり書いていますが
エレン「なんだこの本?」 も良かったら読んでみて貰えると嬉しいです <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2013/07/13(土) 00:24:17.45 ID:mw7h94KCo<> よかった
乙 <>