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dos
★
ドミニカ「星を見に行こう、ジェーン」
1 :
ドミジェン、書き溜め無し、短め、曖昧設定
[saga]:2013/08/13(火) 00:03:31.07 ID:Qx7ydsBko
――――――――――504基地
タンクトップ姿の大将がそんなことを言ったのは、食事の後。
マルチナ少尉と、ルチアナ曹長が“何となく”の夜間哨戒任務に出かけ
他の隊員が自室に戻り、体を休めている時のことだった。
ジェーン「星、ですか?」
ドミニカ「そうだ、星だ」
それまで大将は、M1917リボルバーのシリンダーをカチャカチャと回していたり
書き連ねられた字で真っ黒な書類を流し読みしていた私を、チューインガムを噛みながら眺めていたのだ。
それなのに、前触れのない、突然の、星を見に行こうというお誘い。
……いきなり、なんてのは、もう慣れっこなのだけれど。
ジェーン「……良いですよ」
ドミニカ「よし」
特に拒否する理由もなかったので、私はそんな彼女の誘いを快く受けいれた。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1376319810
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/08/13(火) 00:17:35.19 ID:Qx7ydsBko
大将は、薄手のシャツに腕を通し、私の手を引いて
月の光だけが照らす、うすぐらい基地の廊下を歩いていく。
こつ、こつと、私と大将の二つの足音だけが無機質に響く。
どこに向かうのだろう? どこで夜空を見るのだろう?
とボーっと考えていると、私たちはハンガーに到着した。
ジェーン「ストライカーを使うんですか?」
ドミニカ「いや」
私の質問にNOと答えると、大将は外にとまっているキューベルワーゲンを指さした。
ジェーン「えっ、アレを使うんですか?」
ドミニカ「あぁ、そうだ」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 00:34:13.80 ID:Qx7ydsBko
大将は、ポケットから鍵を取り出して、私に見せる。
私が、“許可を取らないとダメですよ”と言おうとしていたことが分かっていたかのように。
ドミニカ「竹井には許可をもらった」
ジェーン「そうでしたか」
ドミニカ「本当はストライカーを使いたかったんだが」
「タンデム用の」
ジェーン「うちにはないですもんね」
キューベルワーゲンに乗り込み、エンジンをかける。
ブロロン、と力強い音を立てると、彼女は、私たちを乗せて動き出した。
上を見上げれば、既に星空が広がっている。
それなのに、車で移動するのには、彼女なりに訳があるのだろう。
そう思って、私はその点に関しては何も言わないことにした。
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 00:51:46.92 ID:Qx7ydsBko
私たちは、彼女に時折荒々しく揺らされながら
ジープよりも乗り心地はいいだとか
しかしジープの方が優れているだとか
今日の竹井大尉の料理は美味しかったとか
ぽつりぽつりと他愛のない話を交わしていく。
どちらかが知っていて、どちらかが知らない話はほとんどないから
2人きりの時に特別話すことはそれほど多くないのだ。
ドミニカ「着いたぞ」
明日の晩御飯のメニューはアクアパッツァだろうか、と話し始めたころ
私たちは目的地へとたどり着いた。
そこは、小高い丘で、先には小さな家が数件
さらにその先には微かに海が見えるような、見晴らしの良い場所だった。
大将がエンジンを止めると、そこらじゅうから虫の鳴く声が聞こえた。
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 00:58:23.79 ID:Qx7ydsBko
ジェーン「見晴らしの良い場所ですね」
「いつ見つけたんですか?」
ドミニカ「2日前に哨戒任務があっただろう」
「その時に見つけたんだ」
哨戒任務は、こういった素敵な場所を見つけるためにやるのではないのですよ。
と、言おうと思ったけれど、野暮なことだと思い口をつぐむ。
ドミニカ「ほら、見てみろ、ジェーン」
ドミニカ「綺麗な星空だ」
大将に言われて、空を仰ぐと
幾千、幾万もの宝石がちりばめられたかのような
美しい星空がひろがっていた。
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 01:10:29.27 ID:Qx7ydsBko
出発する際、基地で何気なく眺めた時よりも
星は明るく輝いていて、ミルキーウェイもはっきりと流れていた。
目の前の世界の広大さと、自分のちっぽけさをまざまざと感じさせられ
私は言葉を失った。
大将は、ゆっくりとこちらを向く。
それに合わせて、私も彼女に目を向ける。
ドミニカ「私がここにお前を連れてきたかった理由が分かったろう」
ジェーン「……はい」
ドミニカ「だが、今日という日を選んだ理由がまだ分からないはずだ」
ジェーン「今日でなければならないんですか?」
ドミニカ「あぁ。 ……明日でも明後日でも大丈夫かもしれないが」
「今日が一番都合が良い」
ドミニカ「しばらく、見ていたら分かる」
そう言うと、また彼女は、夜空に目線を戻した。
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 01:22:06.36 ID:Qx7ydsBko
私も同じく、夜空を眺める。
声はしなくなり、虫の奏でるメロディだけが響く。
ジェーン「……――あっ」
と、夜空に一筋の光が流れていく。
星屑の川を横切るように流れた光は、私の一瞬発した音よりも、はやく消えて行った。
ドミニカ「見えたか?」
ジェーン「流れ星」
ドミニカ「あぁ」
一粒流れた光がきっかけとなったかのように
いくつもの明るい粒が、夜空を走り抜けていく。
そのたびに私の胸は高鳴って、目は釘付けになっていく。
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 01:41:40.83 ID:Qx7ydsBko
ドミニカ「……今日は、ペルセウス座流星群が観測される日だそうだ」
ジェーン「……流星群」
ドミニカ「ラジオでやっていたんだ」
ドミニカ「星の見える場所を見つけたから、ちょうどいいタイミングだと思って」
「お前をここに連れてきた」
私たちは、出会ってから
いつも、同じ時間を過ごして
同じ痛みを、悲しみを、喜びを、幸せを感じながら生きている。
今日、この場所にいることも、
きっと、彼女が時や気持ちを共有したいと思ったからなのだ。
私にとって大将は、なくてはならない存在だけれど
大将にとっての私も、なくてはならない存在なのだと言われているような気がして
とても、嬉しかった。
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/08/13(火) 01:45:12.47 ID:/XG/FRzvo
ジェーン……ドミニク…?
コブラか?
と、一瞬思ってしまったごめんね
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/08/13(火) 01:55:34.68 ID:Qx7ydsBko
「なあ、ジェーン」
「はい、なんですか、大将」
「流れ星は、どこへおちるのだろうか」
「……どこへ」
「太平洋におちるのだろうか」
「地中海かもしれません」
「アルプスの頂上」
「アダムスの頂上?」
「賑やかな町におちるのかもしれない」
「静かな森の深くかもしれませんね」
「そうだな」
11 :
>>9 スト魔女でごめんね……
[saga]:2013/08/13(火) 02:02:40.68 ID:Qx7ydsBko
「……もし」
「はい」
「もし」
「お前が流れ星だとしたら」
「……はい」
「ジェーン、お前はどこにおちたい?」
「……私は」
「……私は、貴女の、胸の中におちたいです」
「……」
「大将は」
「……」
「私も同じだ、ジェーン」
12 :
>>9 スト魔女でごめんね……
[saga]:2013/08/13(火) 02:09:22.69 ID:Qx7ydsBko
「どんなにこの世界が広くても」
「どんなにお前が小さくても」
「必ず見つけ出して、その胸へ飛び込んでいくよ」
「はい」
「愛してる、ジェーン」
「はい」
「私も――」
星の降る夜
私の唇には
キスが、おちた
<FIN>
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/08/13(火) 02:15:17.27 ID:Qx7ydsBko
念願のドミジェン書きまスター。
地の文考えんのめんどくセイ。
結京とエイラーニャと渚静とその他いろいろとで悩みました。
ドミジェン増えてホシい。
さようなら。
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/08/13(火) 03:13:20.25 ID:4Y0UIDT50
乙です
自分も見て参りました
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/08/13(火) 08:54:45.76 ID:2Y9r+79Zo
ストウィ3期は504編にするべき
乙
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/08/14(水) 18:35:37.49 ID:9ARbAC3M0
俺もコブラかと思った
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