以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/04(火) 19:17:21.03 ID:hbD4w40Vo<>
 
 ぼくは父のことを思い出していた。

 ぼくは、今までの人生、何かある度に父のことを必ずと言っていいほど思い出した。

 ぼくがまだ幼いころ、父と一緒に散歩に出かけたこがある。

 コースとしては、いつものように家から少し離れた丘をぐるっと回って帰ってくるという特別なものでもなかったけれど。


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<>グリーングリーン 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/04(火) 19:19:11.91 ID:hbD4w40Vo<>

 その時の父は、何かふっきれた顔をしているように見えた。

 ぼくは父のその顔を見たのを久しぶりに見たのを憶えている。
 
 それまで、父は何かずっと思いつめて顔をしていて、一緒に出かけるのを少し気が重いと思ったからだ。

 散歩に出かけると、父は穏やかな顔でぼくにいろいろな話をしてくれた。

 自分が生きてきた中で一番楽しかったこと、嬉しかったこと。

 ちなみに、一番嬉しかったことはぼくが生まれたことだと言っていた。

 自分が生きてきた中で一番、哀しかったことも話してくれた。

 哀しかったことは母が死んでしまったことだった。

 その時のことは、ぼくはまだ幼かったのでよく覚えていなかった。
<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/04(火) 19:20:43.35 ID:hbD4w40Vo<>

 父は話し終えると、何かを決心した顔で、

 ぼくに強く生きろと言った。

 ぼくはその言葉の真意を汲み取ることができず、ただ頷くことしかできなかった。

 すぐに、父はぼくを抱きしめると

 つらく悲しい時にも、泣くんじゃないと言った。

 ぼくはやっぱり真意がわからず、ただ黙って頷いた。

 雲ひとつ青空で、丘の緑を風がやさしく撫でていたのを憶えている。


<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/04(火) 19:21:27.10 ID:hbD4w40Vo<>

 数日後、ぼくが朝起きると、父はもういなかった。

 ぼくは家とその周りを必死に探したけれどいなかった。

 家の中でぼくは途方に暮れている、ぼくのまぶたには涙があふれていた。

 ラジオからは聞きたくもない話が永遠と流れていた。

 ぼくは、初めて知った。こんなにもつらく悲しいことがあることを。

 ぼくは、初めて気づいた。父の真意に。

 青空には雲がはしり、丘の上の緑が騒がしかったことを今でも憶えている。
<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>saga<>2014/02/04(火) 19:22:17.20 ID:hbD4w40Vo<>

 それから少ししてぼくはあの丘に向かった。

 ぼくは、しっかりと胸を張ってそこに立ち、こぶしを固めて、

 父との約束を守った。

 ぼくのまぶたからもう涙は出ていなかった

 父が二度と帰れないと知りながら、見せたあの穏やかな顔を思い出しながら。

 青い空に虹がかかり、丘の上の緑がより一層きれいに見えたのを憶えている。

<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>saga<>2014/02/04(火) 19:23:01.49 ID:hbD4w40Vo<>

ぼくは、今でも父のことを思い出す。

父の表情と言葉の真意をしりながら。

いつか、ぼくの子どもと同じ話をしようと心に決めながら。

空は青く、太陽の陽ざしが緑をさらに濃くしている。
<> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>saga<>2014/02/04(火) 19:25:16.11 ID:hbD4w40Vo<>
以上かなり短いですがこれで終わりです。

html化依頼出してきます。

読んでいただきありがとうございました。

グリーングリーン
http://www.youtube.com/watch?v=U_AY5PZ6RXk <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<><>2014/02/04(火) 20:58:45.42 ID:/en0fBzAO<> 乙
曲の方のグリーングリーンか <> 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/02/05(水) 00:25:23.56 ID:QsRU5KRuo<> 乙! <>