◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 01:47:01.00 ID:1E1rC3vo0<>妹「お兄ちゃん!起きて!起きてよ!」
ゴンゴンという大きな音でドアがノックされる。
だが、今はドアを開けるわけにはいかない。
なぜなら――
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396457220
<>妹友「わたし、ずっとお兄ちゃんが欲しかったんです」
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 01:49:03.25 ID:1E1rC3vo0<> 妹「あけるよー!」
男「え?ちょま――」
突然、開きかけたドアの隙間から、薄暗い部屋に朝の光が差しこんできた。
それとともに、妹の顔もチラッと見えた。
このままではマズイ。
気がついたときには、俺はドアに向かって走り出していた。
男「ま、待て!待って!」
妹「きゃっ?」
部屋から出ると、急いで後ろ手にドアを閉めた。
それから一息ついたあと、俺はさわやかな笑顔を妹に向けた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 01:52:14.77 ID:1E1rC3vo0<> 男「おはよう妹!今日も美人だなっ!」
妹「どうしたの?今日のお兄ちゃん、なんかヘンだよ」
男「な、なんでもないんだ!なんでも!」
妹「そう?ならいいんだけど……」
妹は、ただ呆れたような顔をしただけだった。
どうやら怪しまれてはいないようだ。
単純でよかった。
だが、安心したのもつかの間だった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 01:54:51.71 ID:1E1rC3vo0<> 妹「あ、それより聞いてよ!お兄ちゃん!大変なんだよ!」
いきなり妹が早口でそんな言葉を並べた。
興奮すると早口になるのが妹のクセだ。
俺は妹を落ち着かせようと、肩に手を置いてゆっくりと語りかけた。
男「どうしたんだ?落ち着いて話してみろ」
妹「う、うん。あのね……」
妹は、ぽつぽつと頼りなさげに話し始めた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 01:58:30.19 ID:1E1rC3vo0<> 妹「いなくなったの。いなく、なったんだよ。い、妹友ちゃん……どこに行ったのか、わからなくて、わたし……!」
男「……え?」
肩をぶるぶる震わせながら、今にも泣き出しそうな顔をしている。
妹の言葉はたどたどしかったが、言おうとしていることは理解できた。
男「い、妹友ちゃんがいなくなったのか?」
妹「…………」
妹は無言で首を縦に振った。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 02:01:07.89 ID:1E1rC3vo0<> 男「外に……散歩でも行ってるんじゃないのか?」
妹「こんな朝早くに、ひとりで……?」
「ありえない!」とでも言いたげな視線で、妹が見つめてくる。
俺は緊張で喉が渇くのを感じた。
男「た、多分、喉が渇いたんだよ!きっと、自販機にジュース買いに行ってるんだよ!」
妹「そう、なのかなあ……」
相変わらず半信半疑の表情で、妹は廊下の窓に向かって歩き出した。
そのあいだに俺は、顎に手を置いて、次に取るべき行動について考えをめぐらせていた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 02:04:31.56 ID:1E1rC3vo0<> 男(これからどうしようか?)
実は、俺は妹友ちゃんの居場所を知っていた。
正直な話、不安そうな妹の顔をこれ以上見ているのは辛い。
だから、すぐにでも打ち明けてやりたかった。
だが、どうしても打ち明けることはできなかった。
ある深刻な事情があったからだ。
男(ほんとに、これからどうしよう……)
ドアを一センチほど開けて、自分の部屋の様子を確認してみる。
静まり返った部屋に聞こえてくるのは、規則正しくてかわいい寝息だけだった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 02:07:06.83 ID:1E1rC3vo0<> 男「はあ……」
ため息もつきたくなる。
だって、ベッドの上には――
妹友「すー、すー……」
下着姿の妹友ちゃんが、気持ちよさそうに寝ているんだから。
――どうしてこういうことになってしまったのか。
それを説明するには、少々時間をさかのぼる必要がある。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>sage<>2014/04/03(木) 02:10:20.51 ID:1E1rC3vo0<> 今日はここまで
ありがとうございました <>
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/04/03(木) 02:16:53.14 ID:XzJJGu59o<> 乙
期待 <>
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/04/03(木) 11:26:11.38 ID:XgDgf/qMo<> wktk <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 11:48:12.33 ID:1E1rC3vo0<> ――――――――――――――――
――――――――
――――
――
―
男「起きろー!妹―!起きろー!」
二日前の朝一番、その日はいつものように俺は妹を起こしに行っていた。
ドアをノックしても返事がない。
男「あけるぞー!」
妹の部屋のドアを勢いよく開け放つ。
すると―― <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 11:50:38.91 ID:1E1rC3vo0<> 妹「かー、すぴゅるるるる……」
男「やっぱり」
案の定、妹は大きないびきをかいて寝ていた。
妹の着ているクマのパジャマは裾がめくれ上がって、かわいらしいヘソがのぞいていた。
妹は寝相がものすごく悪かった。
我が妹ながら、全然色気というものがない。
これじゃあまるでオッサンだ。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 11:52:56.25 ID:1E1rC3vo0<> 男「ったく、風邪ひくぞ」
まずは、床に転がっている掛け布団を折りたたむ。
それが終わると、今度はベッドの上の妹を横に思いっきり揺さぶった。
男「起きろー!」
妹「くかー」
だが、まったく起きる気配がない。
今度は妹の頬っぺたをペチペチ叩きながら、もう一度繰り返した。
男「お・き・ろー!!」 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/03(木) 11:58:56.77 ID:1E1rC3vo0<> 妹「おにい、ちゃん?ふあぁ……」
徹底抗戦のすえ、妹はようやく目を覚ました。
寝ぼけた目をゴシゴシこすりながら、大きなあくびをしている。
それにつられて、俺もデカいあくびをした。
男「ほら、早く起きろ。遅刻すんぞ」
妹「や」
男「や、じゃなくてさ……」
寝起きの妹は、いつもよりちょっとだけワガママだ。
妹「あと、五時間……」
男「いや、それ完全に遅刻だから」
ベタなことを言って二度寝を始めようとする妹を阻止しながら、俺は時計に目を走らせた。
今の時刻は七時十分。
八時半のホームルームには、まだ余裕で間に合いそうだった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 18:05:17.96 ID:FunWE1in0<> 男「ほら」
まだ完全には起きていない、寝ぼけた顔の妹に俺はクシを差し出した。
状況が把握出来ないようで、妹はぽかんと口を開けていた。
妹「なにこれ」
男「鏡見てみろよ。今のおまえの頭、鳥の巣みたいだぞ」
妹「…………」
男「……なんか言えよ」
俺の冗談に言い返す気力もないのか、妹はボーっとしたままだった。
なんだかいまいち調子が出ない。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 18:07:08.27 ID:FunWE1in0<> 妹「ん」
男「は?」
気の抜けた様子の俺に対して、妹は短くそう告げただった。
クシを受け取る素振りすら見せない。
妹「んっ」
男「……は?」
間を置かずにもう一度繰り返した。
にもかかわらず、俺がそうやってボーっと突っ立ってると―― <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 18:08:04.49 ID:FunWE1in0<> 妹「といて」
男「あ?」
妹「かみ、といて」
男「……ああー」
ついにそんなことを言いだした。
久しぶりに頼まれたからすっかり忘れていた。
俺はわざと大きなため息をついて見せた。
男「そんぐらい自分でやれよ。いつまでもガキじゃないんだから」
そんな悪態をついた俺だったが、結局妹の髪をといてやった。
やっぱり兄として、妹に頼られるのは嬉しかった。
口が裂けても本人には言えないが…… <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 19:08:57.34 ID:FunWE1in0<> その後は、一階のリビングにおりて、キッチンで朝食を作った。
妹「おはよー、お兄ちゃん」
男「おう」
焼きあがった目玉焼きを皿にのせて、リビングの机においたちょうどそのとき、妹がおりてきた。
すでにパジャマから制服に着替え、髪もリボンで結んであった。
もうすっかり目が覚めたようだった。
妹「ごはん、まだー?」
男「もうちょっとで出来上がるから、おまえ先にくってろ」
妹「ううん。わたしも手伝うよ」
そう言って、妹はしゃもじを片手に、炊飯器のごはんを茶碗に盛り始めた。
しばらくして、二人分の朝食は出来上がった。
全部の朝食を机の上に置くと、やがて俺たちは向かい合わせに座った。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 19:11:44.49 ID:FunWE1in0<> 男「いただきます」
妹「いただきまーす」
こうして朝食を食べ始めた。
生野菜のサラダを口に頬張りながら、俺は前々から気になっていたことを妹に尋ねることにした。
男「そういや、友達できたのか?」
妹「えー、なにー?」
テレビに向けていた目をこっちにうつして、妹はのんびりとした口調で聞き返した。
男「おまえ、友達できたのか?ここに来てもう一ヶ月近くたったけど」
妹「……ぷっ」
男「あ?」 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 19:58:57.69 ID:FunWE1in0<> 妹「あはははははっ!」
妹はふきだしたかと思うと、腹をよじって急に笑いだした。
ひとしきり笑うと、妹は笑い過ぎで涙目になりながら俺に言った。
妹「やだなあ、お兄ちゃん!ヘンなこと言ってわたしを笑わせないでよー!」
男「なんか変なこと言ったか、俺?」
妹「言ったよー!もうわたしびっくりしちゃった!」
妹はまだくすくすと笑っていた。
食事中だというのに、マナーがなっていないやつだ。
妹「あのね、わたしこれでも人気あるんだよ。クラス委員長にも選ばれたんだから」
生意気にも、妹はまな板のような胸を拳でドンと叩いた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:01:25.62 ID:FunWE1in0<> 男「胸を張って言うようなことじゃないだろ」
妹「ちっちっち。甘いねえ、お兄ちゃんは。これだから女のコにモテないんだよ」
男「あ?」
妹「人の話は最後まで聞かないとダメだよ?わたしの人気のヒミツはまだまだこんなもんじゃないんだからー」
妹は人差し指を顔の前で横に何度も動かしながら、いたずらっぽく口元をゆがめた。
ちょっとイラッときたのは俺の気のせいか?
妹「ふふふー。ねえ、知りたいでしょー?」
男「べつに」
妹「ムッ」
妹の言いなりになるのは癪だったので、思っていたこととは逆のことを、素っ気なく答えた。
すると、妹はふて腐れたような表情でにらみつけてきた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:03:44.71 ID:FunWE1in0<> 妹「素直じゃないなー、お兄ちゃんは。ホントは知りたいくせに……」
男「じゃあ、話してみろよ。どうせ大したことじゃないんだろ?」
妹「ムッ!」
妹「コーカイしてもしらないよ?ビックリしすぎてギックリ腰になっても、わたし面倒見ないからねっ!」
妹はムッとして頬っぺたをふくらませた。
そして、勝手にしゃべり始めた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:05:19.59 ID:FunWE1in0<> 妹「お兄ちゃん、知ってる?最近噂になってる美人新入生の話」
男「聞いたことはあるな。まあ、それがおまえじゃないってことだけは確かだけど」
妹「いつまで強がってるつもり?よくないなーそういうの」
男「おまえもな」
妹「むかー!」
俺の言葉に対し、妹は怒りのあまり髪を逆立てていた。
わかりやすいやつだ。
だがそれも一瞬のことで、すぐに勝ち誇ったような笑みを顔に浮かべた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:08:24.57 ID:FunWE1in0<> 妹「実はね、その美人新入生ってお兄ちゃんがよく知ってる人物なんだよ」
男「だれだ?」
妹「ふっふっふ。お兄ちゃんの目の前にいるよ」
男「目の前って……妹しかいないけど?」
妹「わたしだよっ!」
男「……え?」
こう言われたとき、俺は本当に心の底からびっくりした。
そんな俺を見て妹は自分の勝利を確信したようだった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:10:46.18 ID:FunWE1in0<> 妹「開いた口がふさがらないって感じだねー。どう?ビックリしたでしょ?」
男「びっくりするもなにも……」
顔だけを見ればたしかに、妹はかわいい顔をしている。
顔だけは。
妹「もう十人以上に告白されちゃったよー!いやー、モテる女って辛いよねー!」
男「じゅ、十人以上……」
妹「へへ、すごいでしょー!」
予想以上だった。
予想以上に妹はモテていた。
いてもたってもいられなくなった俺は、好奇心から余計なことを聞いてしまった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:13:07.72 ID:FunWE1in0<> 男「付き合ってんのか?」
妹「え?」
男「その、告白してきたやつらのうちのだれかと、おまえ付き合ってんのか?」
妹「あ……」
すると、妹は気の毒なほどに赤くなって、うつむいたまま黙った。
リビングは水を打ったように静まり返って、テレビの音だけがその場に響いた。
俺は、言いだしてから自分の失言に気づいたが、とっさのことでなにも言えなかった。
しおらしくて女らしい妹を見るのは、慣れていなかったからだ。
ある程度答えは予想できていた。
恐らく妹はだれかと付き合ってるんだろう、と。
しばらくそんなことを考えていると、妹はおずおずと話始めた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:17:10.84 ID:FunWE1in0<> 妹「お、お兄ちゃんには、関係ないでしょ……?」
男「そ、そうだな……」
妹「そ、そうだよ!」
それからはまたしばらく、黙ったまま二人で座っていた。
俺たちは、目の前に並べられた朝食に集中しているふりをした。
テレビの画面を見ると、七時四十分になっていた。
男「…………」
妹「…………」
男(俺には無理だ……)
いよいよその場の空気に堪えられなくなって、朝食の皿を片付けるという口実で、俺は逃げるようにイスから立ち上がろうとした。
だが―― <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/04(金) 20:20:37.93 ID:FunWE1in0<> 妹「ま、待ってよ!」
ふいに制止の声がかかって、俺は中腰のまま石像のように固まった。
情けないことに、膝はガクガクと震えていた。
それが伝わったのか、妹はますます体を強張らせた。
そして、しどろもどろになりながら俺に言った。
妹「どうして……」
男「え?」
妹「どうして……そんなこと、聞いた……の?」
俺には妹の考えていることがわからなかった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>sage<>2014/04/04(金) 20:22:23.22 ID:FunWE1in0<> 今日はここまでです <>
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<><>2014/04/04(金) 20:29:08.86 ID:YH0FEsd1O<> 乙 <>
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします<>sage<>2014/04/04(金) 20:59:15.34 ID:jDEOj0Cyo<> 妹可愛い <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/05(土) 01:47:20.72 ID:gKNIjE40o<> さて、どうなるのか… <>
◆pzhoDliIjr1A<>sage<>2014/04/07(月) 21:06:52.69 ID:izhiSy090<> こんばんは
おそらく明日には、投下できると思います <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/08(火) 01:36:40.12 ID:YTkmbU1bO<> はよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/08(火) 11:17:39.42 ID:MeVqwf73O<> 明日って今さ! <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/08(火) 14:53:02.39 ID:C6MA5ZXz0<> そんなときだった。
アナウンサー「おはようございます!今日は植野動物園にやってきましたー!」
女の人の明るい声がテレビから聞こえてきた。
その方向に顔を向けてみる。
そしてすぐに、これはうまいこと利用できそうだと思った。
男「あ、パンダ」
妹「……へ?」
俺の突然の言葉に妹は、驚きで目をパチクリさせている。
それからやや遅れて、妹もテレビの方を向くと、なんとも言えない変な顔をした。
妹「なに、これ……?」
男「なにって、パンダだよ。パンダ。おまえ好きだったろ?」
妹「…………」
妹はむっつりとして俺に答えなかった。
とりあえず俺は場を和ませるために、できるだけ優しい言葉をかけることにした。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/08(火) 14:56:12.47 ID:C6MA5ZXz0<> 男「な?パンダの赤ちゃんなんて珍しいだろ。なんなら今度の日曜にでも――」
妹「……いい」
男「え、おい?」
妹「もう、いいっ!」
俺とこれ以上話したくないとでもいうように、妹は席から立ち上がった。
通学カバンを片手に肩を怒らせたまま、ずんずんと玄関へ向かっていった。
男「お、おい?俺、なんか怒らせるようなこと言ったか?」
妹「知らないっ!」
ドアが勢いよく閉められる音とともに、妹の背中はドアの向こうに消えてしまった。
喜怒哀楽が激しいやつだとは昔から知っていたが、まさかこれほどまでとは思っていなかった。
こんなに怒った妹を見るのは、今日が初めてだった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/08(火) 14:59:18.40 ID:C6MA5ZXz0<> 男(そんなに、大切な話だったのか?)
あの気まずい空気から抜け出すために、パンダの話題を持ち出したはずだった。
……だったのだが、どうやらそれが裏目に出てしまったらしい。
余計に悪化してしまった。
本当は真剣に答えるべきだったのかもしれない。
男(でも、なんて答えりゃよかったんだよ……)
頭をボリボリとかきむしりながら、さっきの妹の言葉を思い出してみる。
妹『どうして……』
妹『どうして……そんなこと、聞いた……の?』
なにかを期待するようでいて、どこか不安そうな妹の眼差し。
それに対する正しい答えは、どこにも見つかりそうになかった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/08(火) 15:02:14.45 ID:C6MA5ZXz0<> 男(まあ、終わったことは気にしてもしょうがないか)
テレビの画面を見ると、もう八時を回っていた。
時間は意外と早く進んでいたようだった。
男(これじゃあ、走らないと間に合わないな)
今は目の前のことに集中することにしよう。
気を取り直した俺は、通学カバンを片手に立ち上がった。
男「あ」
そのとき、嫌な予感が胸をよぎった。
もしかしたら俺は、もう一つ重大な問題を抱えているかもしれない。
慌ててキッチンに向かう。
すると、予感は確信に変わった。
男「あいつ、弁当忘れてやがる……」
そこには弁当箱が二つ、寂しそうに並んでいた。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/09(水) 12:25:26.45 ID:OaDedUEo0<> 玄関を飛び出すとすぐに、俺は駆け足で校舎まで急いだ。
その途中で何人もの生徒を追い越したが、その中に妹の姿はなかった。
俺が昇降口までたどり着いたときには、妹はもうすでに教室に入っていたんだろう。
男(これは、やっかいなことになった……)
スニーカーからスリッパに履き替えながら、俺は今後の未来を案じた。
つまり、カバンの中に入っている妹の弁当の処置についてのことだ。
今の俺に残された道は二つだ。
わざわざ妹の教室に届けに行くか、妹が俺の教室まで取りに来るか、だ。
理想としては後者なんだが――
男(今朝の様子じゃ、ちょっとなあ……)
俺はため息をつきながら、廊下にたまっている生徒の群れに混じっていった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/09(水) 12:26:16.30 ID:OaDedUEo0<> 教室に入ったときには、壁時計の針は八時二十分を指していた。
なんとか予鈴前には間に合ったようだった。
男友「おっす!男」
おれが自分の席に座ると、男友がやってきた。
そして、いまは誰も座っていない隣の席に乱暴に腰をおろした。
イスの足がこすれる甲高い音がした。
男「おい、ちょっと空気読めよ。今、女さんがこっちの方にらんだぞ?」
男友「オマエにだけは、言われたくねえ」
男「は?それってどういう――」
男友「なんでもねえよ」
俺が言い返そうとすると、男友は手でそれを制した。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/09(水) 12:28:10.57 ID:OaDedUEo0<> 男友とは去年も同じクラスで、今年で一年の付き合いになる。
だれに対しても愛想がよくて、そこまでクセも強くない。
一言でいえば、いいやつだ。
……なのに、どうしてだろう。俺と同じで女にはモテない。
世の中って、不公平だ。
男友「そういや今日の四限目、数学の小テストあるんだってな?」
男「げ!」
自分でも顔が青ざめるのがわかった。
そういえば、すっかり忘れていた。
七割未満の点数をとったら、補習をくらうハメになってしまう。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/09(水) 12:30:11.97 ID:OaDedUEo0<> そんなことを言いあっていると、予鈴の音とともに教室のドアが開く音が聞こえた。
前を向くと、教壇には赤ジャージ姿の担任の姿が立っていた。
担任はあごひげをさすりながら、クラス全体に聞こえるように大声で呼びかけた。
担任「はやく席つけよー!もう予鈴鳴っとんぞー!」
すると、立っていた連中は、蜘蛛の子を散らすように自分の席へ戻って行った。
それは男友も同じだった。
男友「おっと!続きはあとで、だな」
そう言って、男友は自分の席に戻って行った。
全員が席に座ったのを無事見届けると、担任はわざとらしい咳払いしながら話し始めた。
担任「ゴホン。今日は全員揃ってるようだな。えー、では早速だがHRをはじめるぞー」
こうしていつもの日常が始まった。 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/09(水) 12:32:32.36 ID:OaDedUEo0<> やべ、ミスったorz
>>43と>>44の間に↓の文章を入れてください
男友「オレも今朝になって気づいてよお。ああ、今回もやっちまった、って感じだぜ」
男「常連だな、俺たち。笑いごとじゃないけど……」
男友「そうか?別に深刻に考えるようなことでもないだろ」
男「俺は、笑えないんだよ……」
言いながら、俺は通学カバンから教科書を取り出して、小テストの範囲になっているところを開いた。
それを見て、男友は感心しているような声をあげた。
男友「相変わらずマジメだねえ、オマエは。オレなんかとっくの昔に諦めたぜ」
男「そんなんじゃねえよ」
男友「いやマジメだよ、オマエは」
男「ただ中途半端なだけだよ」 <>
◆pzhoDliIjr1A<>saga<>2014/04/09(水) 12:59:13.68 ID:OaDedUEo0<> 男「…………」
今の教室にあるのは、シャーペンと紙がこすれあう音だけだ。
俺は最後の最後まで悪あがきをしたが、どうやらそれも終わりらしい。
数学教師「はい、そこまで。後ろの人、集めて前に持ってきてー」
四限目終了のチャイムが鳴ると同時に、数学の先生が手をパンパンと叩いて、終了の合図をする。
その途端、緊張やら解放感やらで、俺の額からは汗がドッとふき出した。
そして、クラスの連中はガヤガヤと騒ぎはじめた。
数学教師「はい、確認がとれたので今日はここまで。返却は来週なので覚悟しておくように」
集め終わった小テストの用紙の束を片手に、数学の先生は教室を去った。
こうして昼休みが始まった。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/10(木) 22:34:06.69 ID:XXTl0HsO0<> 続きはよ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/18(金) 00:22:57.21 ID:sKlwP2rqO<> もう一週間たったんだが
まだかな <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/25(金) 22:21:51.38 ID:1hmTZEut0<> ほ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/04/30(水) 00:49:09.61 ID:WPlJSdiWO<> 縺励e <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2014/05/05(月) 06:29:30.02 ID:4rW/U+3cO<> ほ <>