以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 18:59:52.25 ID:b91+HtTAO<>
登場人物
JB
ドワーフ、男、レンジャー
荒野の快男児と呼ばれるベテラン冒険者。もっさり。
かげろう
エルフ、女、バトルマスター
戦闘狂。みんなの姐さん。
ダン
オーガ、男、魔法使い
トーラ
ウェディ、女、盗賊
デボラ
人間、女、???
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423216792
<>JB「天空の花嫁」(ドラゴンクエストX&蒼天のソウラ)
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:01:22.10 ID:b91+HtTAO<>
蒼天のソウラ・前回までのあらすじ
ソウラやユルールら後輩冒険者のクエストに立ちはだかったり手助けしたりした、荒野の快男児JBとその一味。
後輩らと別れ、彼らは今日も、風の吹くまま気の向くまま、旅を続けていた。
ヒュォオオオ……
JB「…色々あったが、結局、この荒野に戻ってきちまったな」
ダン「ま、二つ名通りでいいんじゃねーの」
JB「あぁ……この乾いた空気は嫌いじゃねぇさ…」
かげろう「何カッコつけてんだ。ただ単に、結局素寒貧のままだからだろ」
トーラ「また極貧生活…」
ダン「…これまた文字通り、貧乏クジのクエストだったか?」
JB「いや、そんなこたぁねぇさ!宴会で久々にいいもん食ったし。賞金は入らなかったが、受けて正解のクエストだったぜ」
トーラ「ヌフフ、同意」
ダン「全くだ」
トーラ「温泉、気持ち良かった」
ダン「いい酒をたらふく飲めたしな」
JB「あいつらも思った以上に成長してやがったしな。今後が楽しみだぜ」
かげろう「ふふ…そうだな。私もまた婿候補(ライバル)が増えて嬉しいぞ」
ダン(…どんな振り仮名だよ)
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:02:22.41 ID:b91+HtTAO<>
かげろう「私も益々精進しないとな。夜の真剣勝負のためにも…」ペラ…
トーラ「夜戦は得意」
ダン「そうじゃねぇよ」
トーラ「?」
ダン「……なんでもないス」
かげろう「いつ斬り合いになってもいいように、勝負パンツは大事だぞトーラ」…ペラ……ペラ…
トーラ「パンツ大事、把握した」
JB「変なこと吹き込むな」
かげろう「そう言うなって、実際大事なんだから。……ふぅんこれなんてなかなか…」ペラペラ…
JB「…ん?姐さん何読んでんだ」
かげろう「あーこれ」バサ
《結婚情報誌「ピクシィ」〜仲間を呼んで合コン!結婚式に向けてピオリム!》
JB「……」
かげろう「……」
JB「ついにアンタと本気でやり合わにゃならん日がきたか…」
かげろう「ん…?何言ってるんだもっさり。お前と結婚など死んでもごめんだぞ」
JB「そうじゃねぇ……荒くれな俺でもな、いたいけな後輩達を悪女鬼女から守る良心ぐらいある」
かげろう「あ?」
JB「あいつらはまだ若い!…ソウラもユルールも、これからなんだ。姐さんはもう行き遅れを気にして焦りだす歳かもしれねぇが」
かげろう「……」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:03:19.77 ID:b91+HtTAO<>
JB「だからって後輩達を毒牙にかけさせるわけには」
かげろう「プッ……あははは!」
ダン(やべぇ…)
かげろう「バカだなもっさり、そんな気はないぞ」
JB「…本当か」
かげろう「あぁ、お前の言う通り、あいつらは若すぎる。私の婿になるのは、もっと色んなとこが育ってからじゃないと」
JB「そうか…」
かげろう「で、…………誰がイキオクレだって……?」ゴゴゴゴゴゴ…
JB「え?だって姐さんもうにじゅ」
ダン(やべぇよやべぇよ…ちょっと離れとくか)コソコソ…
トーラ「どこ行くの」
ダン「トイレ」
トーラ「じゃ私も」
コソコソコソ…
かげろう「そのもっさり……私が少し削ぎ落としてやろう…」スラァ…
JB「なんだ、やっぱりやるのか。けどよ…俺の鋼の筋肉に、刃が通るか…?」
かげろう「私も以前とは違う…その身で試せ…!」チャキッ
JB「いいぜ……準備運動が欲しかったとこだ!」グググッ
かげろう「やぁあっ!」ダッ
JB「ぅぬおおお!」グオッ
???「やめるのよ!もっさり!!」バンッ
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:09:26.12 ID:b91+HtTAO<>
かげろう「っ」ピタッ
JB「とっと」ドタッ
???「言葉は聞こえるみたいね、野蛮人でも」
かげろう「誰だ?知り合いか?」
JB「いんや。こんな派手な人間のねーちゃんは知らん」
???「ここで暴れないでよ。私の紅茶にホコリが入るじゃない」
JB「おっと、俺としたことが。こりゃスマンかった」
かげろう「向こうでやるぞ」
JB「そうだな」
???「待ちなさいよ!」バンッ
JB「あん?まだ何かあんのか」
???「あんた、お金に困ってんでしょ」
JB「…だったら?」
???「この私が雇ってあげるわ。用心棒として」
JB「最近このパターンで痛い目見たばっかだからな…」
かげろう「いくら出す?」
???「相場は知らないけど、充分な額をパパが用意するわ。この私を、無事サラボナまで送り届けてくれれば」
かげろう「なんだ、どこか富豪のお嬢様なのか。どうりでいいもの着てると思った」
JB「けどサラボナってどこだ。聞いたことねぇぞ」
???「あ、あんた達もなのっ!?誰に聞いてもサラボナは知らないし、ここがどこなのかも分からないっ!!もういや!こんな干からびたとこに1人きり!早く家に帰して!」
かげろう「迷子か?」
JB「けど、ただの迷子じゃなさそうだ。なぁあんた」
???「私はデボラよ!あんたじゃない!サラボナに住む、金持ちルドマンの娘!!なんで誰も知らないの!?」
JB「あー分かった。一旦落ち着きな、デボラさんよ」
デボラ「私に指図しないでくれる?もっさり男」
JB「…」
かげろう「ふふ、こいつはまた、厄介なクエストみたいだな」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:10:30.61 ID:b91+HtTAO<>
ダン「…終わったのかー」
トーラ「周囲が荒れてない…」
かげろう「あぁ、始められなかったのさ。このお嬢様のせいで」
デボラ「……」
JB「……」
ダン「なんだ、べっぴんさんだな。うちの喧嘩を止めてくれたのか。礼を言うぜ」
デボラ「デボラよ。あなたはわきまえてるみたいね、しもべにしてあげてもいいわよ?」
ダン「……」
トーラ「…しもべ?」
かげろう「このお嬢様、私らを雇いたいってさ」
デボラ「お金なら出すわ。パパがね」
ダン「こりゃまた…」
JB「だろ?」
ダン「で、どこまで行くんだ。あまり遠出向きの格好には見えないが」
デボラ「…サラボナ」
ダン「……トーラ」
トーラ「…」フルフル
JB「誰も知らねぇみてーだな」
ダン「どうしてここに」
デボラ「……知らないわよ。私はサラボナの自宅にいたの。それがいつの間にか」
ダン「何か、きっかけみたいなものは」
デボラ「きっかけ…?」
ダン「魔族どもが使う転移術や、ルーラ石みたいな、マジックアイテム……そういうので、転移してきたのかもってな」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:11:23.24 ID:b91+HtTAO<>
JB「ルーラ石じゃ知らない場所に飛べはしないぜ」
ダン「あぁ、そもそも自分の意志で来たわけじゃないしな。俺達の知らない『対象を強制転移させる』呪文やアイテム、ってことだ」
デボラ「話は全然分からないけど、きっかけが分かれば帰れるの?」
ダン「…断言はできないが、それが分かれば手の打ちようもあるかもしれねぇ」
デボラ「きっかけ…」
ダン「焦らなくていい。ここに来る前のこと、覚えてるところから、ゆっくり順番に思い出すんだ」
デボラ「えぇ、分かったわ。ちょっと待って…」
ダン「…」
トーラ「……」ジー
ダン「ん?どうしたトーラ」
トーラ「しもべになったの?」
ダン「ぶふぅっ!」
かげろう「吹くな汚い」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:15:53.63 ID:b91+HtTAO<>
ダン「なってない。どうしてそうなる」
トーラ「親身になって相談に乗ってる」
ダン「金は出すって言うんだ。助けてやればいい。この中で魔法技術に通じてるのは俺ぐらいだしな」
トーラ「……」
かげろう「ま、なかなかにセクシーだからな、このお嬢様」
トーラ「……グヌヌ」
ダン「そんなんじゃねーっての…」
デボラ「……覚えてるのは」
JB「お、なんだ」
デボラ「…結婚前夜だった。ってこと」
ダン「結婚……結婚!?」
かげろう「花嫁さんだったのか。残念だったな」
ダン「違うっての…」
トーラ「……結婚」
デボラ「あぁ、私じゃなくて妹の」
ズコーッ!
ダン「…妹さんの結婚前夜ね。それで?」
デボラ「それが、どうにも雲行きが怪しくってね。眠れずにいたのよ」
ダン「雲行きが?何かあったのか」
デボラ「妹と結婚するって男、そいつが、もう一人女を連れてきたの」
JB「……」
ダン「……」
トーラ「…最低」
かげろう「なんだ?いけないのか?嫁や婿はたくさんいた方がいいだろ?」
JB「姐さんは黙っててくれ」
ダン「……どんな男なんだ?」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:16:55.65 ID:b91+HtTAO<>
デボラ「そうね…。顔は小魚みたい」
トーラ(ソウラ…)ヒソヒソ
かげろう(ソウラか…)ヒソヒソ
JB(あいつは小魚じゃなくてとうげき魚だろ)ヒソヒソ
ダン「…顔はどうでも」
デボラ「あら、小魚っていいじゃない。小さいのに栄養たっぷりで」
ダン「……」
かげろう「残念だったな、デカいおにーさん」
ダン「…外見はいいから、中身や行動をな」
デボラ「行動……そうだ!あいつ最低なのよ!」
JB「お、おう」
デボラ「私の部屋に勝手に入ってくるの!しかも何度も!」
ダン「…それで」
デボラ「その時に少し話したんだけど、ほんの少しね。聞いちゃったのよ」
かげろう「何をだ?」
デボラ「あいつ……モンスターが好きなのよ」
ダン「モンスター…?」
デボラ「魔物を連れてるの」
JB「!」
トーラ「魔物を…」
かげろう「また魔族か?」
JB「ユルールみたいな例もある。まだなんとも…」
デボラ「プチット族やプリズニャンが可愛いっていうのは、私も同意したわ。撫でるとすっごく甘えてきて、猫みたいだった」
ダン「…撫でたのか」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:18:20.59 ID:b91+HtTAO<>
デボラ「でもね!あいつは!ゴーレムでもキラーマシンでも腐った死体でも可愛いって言うのよ!ヤバいわ!」
かげろう「……確かにヤバいな」
デボラ「どのモンスターにも分け隔てなく抱きしめて撫でてチュッてするのよ!信じられる!?」
ダン「キラーマシンや腐った死体にか…」
JB「ヤバいな」
デボラ「しかも……」
トーラ「…?」
デボラ「結婚したら……寝室に、しびれくらげと、おばけキャンドルを連れてきたい…って……」
ダン「……」
トーラ「……」
JB「……」
ダン「ヤバいな」
トーラ「ヤバい」
JB「ヤバすぎるだろ」
かげろう「…なかなかいい趣味してるみたいじゃないか…」
JB「ほんと黙っててくれ、頼むから」
デボラ「さらにはベラって妖精の子が可愛いかったとか言うのよ!妖精よ妖精!そんな小さな種族に何する気よ」
ダン「あー、そいつがいかにヤバいかは、充分伝わった。それで、聞きたいんだが…連れてきた女ってのは」
デボラ「…なんか、幼なじみなんですって」
トーラ「幼なじみ…」
かげろう「ほぅ…」
デボラ「小さい頃、一緒におばけ退治をしたとか言ってたわ」
ダン「どんな子なんだ」
デボラ「いい子よ。宿屋の娘だそうだけど、芯がしっかりしてて、純朴そうで、活発で明るくて。それに綺麗。私ほどじゃないけどね」
JB「比べられるのはあんたじゃなく妹さんだろ」
デボラ「そう…その比べ方が問題なのよ」
ダン「比べ方が…?」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:22:13.67 ID:b91+HtTAO<>
デボラ「2人を天秤にかけて悩んでる時点でひどいのに、あいつ、私の妹のこと、イオナズンやベホイミがどうのって」
JB「どういうこった?」
デボラ「呪文の才能があるのよ、私の妹」
ダン「結婚相手を能力で選ぼうってのか」
かげろう「いいじゃないか。強いほうがイイだろ?私は呪文より剣の腕で選ぶが」
JB「姐さん、うるさい」
かげろう「あ?」
トーラ「…冒険者なら、一緒に旅する相手の能力は大事」
ダン「……それは確かにそうか」
デボラ「なによそれ。そんな打算で一生の相手を選ぶわけ?そもそも気に入らないのはね、妹の婿候補に名乗りを上げたこと自体、パパの持ってる貴重な盾が欲しいだけなんじゃないのってこと」
ダン「結婚したら、その貴重な盾がもらえるのか」
デボラ「そのために危険を冒して、炎のリングや水のリングを取ってきたのはスゴいと思うわよ?案外やるじゃないって見直したわ。でも、でもね」
デボラ「そんな打算や、違う目的の為に結婚して、本当に幸せになれるの…?」
かげろう「……」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:23:22.69 ID:b91+HtTAO<>
デボラ「パパが募集して、宝を取ってきた相手を…って、あの子自身の意志は?」
トーラ「……」
デボラ「あいつは酷い男よ。自分だけ悩んでるような顔で、私に相談してきて……私の妹も、幼なじみの子も、あいつの身勝手のせいで不安で悩んで、そして傷つくのよ!なのにっ」
ダン「ふぅー……」
デボラ「なのに……私、どうして…」
JB「…とりあえず、その男が魔族って線はなさそうだ」
ダン「あぁ。…もしかしたら噂に聞く、魔物使いってやつかもしれねぇな」
トーラ「魔物使い?」
ダン「優しき心で魔物とすら通じ合い、仲間になることができる…そう聞いたことがある」
デボラ「……」
かげろう「…嫁候補の2人はどうなんだ?嫌がってたりはしないのか」
デボラ「…むしろ乗り気よ。だから悩んでるんでしょ。……幼なじみの方は、あいつネーミングセンスないから子供の名前が心配だーとか」
かげろう「妹は?」
デボラ「レースのビスチェと、エッチなしたぎ。どちらがより心に響くのでしょうか…だとか」
かげろう「なんて答えた?」
デボラ「……きぬの裸エプロン」
かげろう「…」ガシッ
デボラ「…」ガシッ
JB「何いきなり握手してんだ…」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:24:35.00 ID:b91+HtTAO<>
ダン「まぁ、なかなかに複雑な事情を抱えてるのは分かったが…」
JB「あぁ、解決策には繋がりそうにねぇな」
デボラ「なによ、こんなに話してあげたのに。役立たずね。さっさとイカす方法を考えなさいよ」
かげろう「そーだそーだー」
デボラ「喉乾いた。紅茶のおかわり持ってきて」
トーラ「…」スタスタ…カチャン
デボラ「ご苦労様。ふぅ…」ゴク…
JB「俺達だけじゃラチがあかねぇな」
ダン「呪文に詳しいやつのとこでも見せにいくか…」
JB「とすると…エルトナに逆戻りか?」
ダン「いや、まずは俺の知り合いの魔法道具職人はどうだ。幸い、今はこの大陸にいるハズだ」
JB「ならそいつから当たってみっか。…お前ら!出発するぞ!」
トーラ「…分かった」
かげろう「へーい」
デボラ「移動するの?…で、誰が私を背中に乗せる栄誉を味わうのかしら?」
JB「……」
トーラ「……」
ダン「……ふぅー」
……
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:28:35.71 ID:b91+HtTAO<>
……
JB「らぁ!」バゴォ!
かげろう「ふんっ…」ズバァッ!ドス!
トーラ「…」シュッ…!
ダン「……ふ、ぅ…」
デボラ「あー暑い。お風呂に入りたいわ」
ダン「…そうスか」
デボラ「なんかつらそう。まさか重いとは言わないわよね?」
ダン「言わない言わない」
デボラ「ならいいけど。あんた戦わないの?みんな魔物とやり合ってるわよ」
ダン「この状態じゃ無理だろが」
デボラ「…降りる」
ダン「ん?」
デボラ「楽はしたいけど、足を引っ張るのは嫌。待っててあげるから戦ってきなさい」スタッ
ダン「…そりゃどうも」
タッタッ…ドガガガッ!
デボラ「……ふぅん、あいつもやるじゃない」
…ドガガァー!…ヒュンッ…ドシュ!
デボラ「…………私、何やってんだろ。こんなところで…」
デボラ(好き勝手に生きていたい…そう思ってた。でも身一つで放り出されてみれば、何もできない……他人の足手纏いになってるだけ…)
デボラ「…縛られず、自由に生きたい。けど…それには……」
JB「しまった…!逆からも出やがった!」
ダン「ちぃっ!射線がとれねぇ!逃げろぉおー!!」
デボラ「え…?」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:29:52.63 ID:b91+HtTAO<>
ボストロール「グゲゲェ…」
デボラ「っ!?うそっ…」
デボラ(私…こんなところで、誰も知らないこんな干からびた場所で……)
ボストロール「グオォ!」ブゥン!
デボラ「死んで…たまるかぁ!」ヒュッ
ボストロール「!?」
デボラ「うらぁああ!」ザシュ!
ボストロール「グギャアアッ」
ダン「速詠呪文《メラミ》!」ズガガガガァッ
ボストロール「グギィ…」ドサッ
ダン「大丈夫かっ」
デボラ「はぁっ…はぁ」
JB「へぇ、あそこで咄嗟にかわして反撃できるなんて、肝が据わってるじゃねぇか」
かげろう「箱入りお嬢様にしてはかなり筋が良かったぞ。しかし素手でとは…」
トーラ「違う。あの爪、武器」
JB「爪…たって、ただの付け爪だろ!?」
トーラ「ううん、確かに攻撃力と実用性のある暗器の類」
ダン「マジかよ…」
デボラ「…パパが、護身用にって」
JB「まぁあんたが踏ん張ったおかげでダンも間に合った。パパに感謝するこった」
ダン 「後ろに残すのは危ねぇか…側を離れず、狙撃に専念するかな」
JB「あぁ、それで」
デボラ「待って!」
JB「なんだよ。文句なら」
デボラ「私も戦うわ」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:30:32.29 ID:b91+HtTAO<>
デボラ「私も戦うわ」
JB「はぁあ?」
デボラ「だから…戦い方、教えなさいよ」
かげろう「ふふん…なるほど」
ダン「……さっきのはマグレだ。余計なこと」
デボラ「嫌なのよ!このままじゃ…私」
トーラ「…どうするの」
JB「と言われてもなぁ…」
かげろう「教えてやればいいじゃないか」
ダン「姐さん…あんた」
かげろう「私らのしごきに付いて来れるなら、だけど」
デボラ「……やる。やるわ。やってやるわよ!」
かげろう「ふふ…いい目するじゃんか」
トーラ「……」
ダン「…おいおい」
JB「どうなっても知らねぇぞ…」
……
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:33:14.32 ID:b91+HtTAO<>
……
ダン「攻撃呪文ってのはだな…」
デボラ「分からない!もっと分かりやすく教えなさいよ」
……
トーラ「隙をつく…相手の意識の外からの攻撃」
デボラ「まどろっこしいわね。正面からガンガンいけないの?」
……
かげろう「さぁさぁ!戦わないと死ぬぞぉ!」ヒュンヒュンヒュンッ
デボラ「なめんじゃないわよぉ!」シュバァッ!
……
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:34:00.15 ID:b91+HtTAO<>
JB「……で、どうよ」
ダン「呪文はからきしだな。補助呪文や幻惑呪文なら行けるが、そこらは専門外だから俺には教えられねぇよ」
トーラ「爪系の武器での戦い方、教えた」
JB「さまになったか」
トーラ「すぐ突撃する。ハンマーの方が良さそう」
JB「そ、そうか」
かげろう「ふぅーいい汗かいたぁー」
デボラ「ぜぇ…はぁ、ぜぇ」
JB「どうだった?」
かげろう「ふふん、驚くぐらい実戦向きだぞ。体に覚えさせるのが一番早そうだ。…私が、手とり足とり…」ジュルリ
デボラ「はぁ…はぁ、最悪。汗でべとべと…」
かげろう「そう、だから水浴しようなー私と、2人で、なぁ…ふひひ」
デボラ「え、ちょっまっ」
かげろう「さぁさぁつま先から耳の穴まで丹念に洗ってやるぞぉ〜」グイグイ
デボラ「やっやめ…んあぁーっ」ズルズル…
JB「……」
ダン「……ん、んんっ…ちと、忘れモノを」
スッ…シャキン
トーラ「行かせない」
ダン「…分かったから、ナイフ突きつけるのはやめてくれ…」
トーラ「……」
……
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:38:15.91 ID:b91+HtTAO<>
……
かげろう「…というわけで、綺麗になって一休みしたところで……実戦だ」
ダン「しかしなぁ…」チラッ
ストーンマン「…」スゴゴゴ…
ダン「性急すぎるんじゃないか?」
かげろう「ふふ、壁は高くないと成長しないからな。それになにより、本人がそれを望んでる」
デボラ「……」
JB「…ま、サポートはするし、これ以上は無理だって判断すりゃ、いつでも割って入る。それで大丈夫だろ」
トーラ「教えた通りやれば、勝てる」
デボラ「分かってるわ。…行くわよ」
JB「おう、気張ってこい!」
デボラ(やってやる…自分から言い出したことだもの。自分で選んだんだからっ)
ダダッ
ストーンマン「…?」
デボラ「やぁあっ!」ガキィイン!
ストーンマン「ッ!」グゴゴ…
ダン「先制入った…!」
トーラ「いい動き」
かげろう「けど、まだ浅いなぁ」
ストーンマン「グゴッ」ブオォン!
デボラ「っ…マヌーサ!」ジュワァア…
ストーンマン「…!?」
JB「おっ、呪文成功したぞ」
ダン「……あぁ」
デボラ「もらったぁあ!」ビュンッ
ストーンマン「グゴガァ!」グォンッ
ドガッ
デボラ「うぐっ…!」
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:40:10.79 ID:b91+HtTAO<>
トーラ「っ!…正面に行くから」グヌヌ
ダン「援護をっ」
かげろう「幻惑呪文のおかげで掠めただけだ。まだ行ける」
デボラ「…はっ…はぁ」
デボラ(やるんだ……やらなきゃ…だって)
〜〜
かげろう『ほ〜ら気持ちいいだろぅ?』モニュモニュ
デボラ『このっどこ触って』
ムギュッ
デボラ『…』
かげろう『なぁ…お前さん……なんで急に鍛えたいなんて思った?』
デボラ『…別に』
かげろう『ふふふ、ここには私らだけ、秘密のガールズトークだ。言っていいんだぞ』フニフニ
デボラ『……ただ、自由に生きたいだけ』
かげろう『ほぅ…』
デボラ『私は、誰かに選ばれるんじゃなく、自分から選びとりたい。けど……そのためには、今のままじゃダメなのよ』
かげろう『…どうしてだ?』
デボラ『強くないと…自由でいるためには。例え、強い誰かを選びとっても、守られてるだけの、籠の鳥にはなりたくないの』
かげろう『ふふん、いい答えじゃないか…惚れ直したぞぉ』ギュウゥゥゥ
デボラ『やっもう!私にそっちの気は』
かげろう『分かってるって。お前、その男のこと…』
デボラ『ふん……』
かげろう『強くなれよ…心も体も……自信を持って、ワガママを通せるぐらい。胸張って、相手を奪えるぐらい…』……モニュ
……
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:40:49.98 ID:b91+HtTAO<>
……
デボラ(私はっ…)
ストーンマン「グゴォオ!」ググッ
ズドォオオオン!!
ダン「!?…どうなった!」
トーラ「土煙で…」
デボラ(私はぁっ)
デボラ「負けない!!」ビュオォッ
ズガァアアア!!
ドゴォオオオ……ガラガラガラ…
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>saga<>2015/02/06(金) 19:45:22.69 ID:b91+HtTAO<>
JB「ストーンマンが崩れたっ」
かげろう「ふふ…やったな」
ダン「…あいつはっ!」ダッ
トーラ「……いない」
ダン「…なんだよそりゃ」
かげろう「帰ったんじゃーないのか?ここでやることは、終わったんだろう」
JB「……あぁ、かもな」
ダン「ふぅー……礼の一言もなしか」
トーラ「…これ」
ダン「…ん?……花の髪飾り…あいつのか」
トーラ「いる?」
ダン「……いらねぇよ。そんなブーケトス」
かげろう「ふふん!なら私が貰おう!…よっ、と。似合うか?」
トーラ「イケイケ」
かげろう「そぅかそぅか。次結婚するのは私だな…あはははは!」
JB「たく姐さんは…………あ"」
ダン「あ?」
トーラ「?」
JB「結局1Gも貰ってねぇえええ!!」
ダン「あ…」
トーラ「…またしばらく粗食ばかり。グヌヌ…」
かげろう「あははは!まーいいじゃないかタマには!」
JB「タマじゃないから困ってるんだろ…」
ヒュウゥウウ……パサッ
JB「ん?姐さんの雑誌から何か落ちたぞ……チラシか?」
《はじける筋肉とかがやく太陽の祭典!「ハッスルパラダイス!」優勝者にはなんと50万G!!》
JB「こいつぁ…!」
ダン「なんだぁ?」
トーラ「ハッスル…?」
かげろう「ふふ…出るのか?JB」
JB「あぁ……もちろんだぜ。50万G…!今度こそだぜ…!!」
トーラ「ヌフフ…一攫千金」
かげろう「私のハッスルの見せ場が来るぞぉ…!」
ダン「ふぅ……全く。…………じゃあな。達者でな…ワガママな花嫁さん」
ヒュオォオオオ……
END
<>
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/02/07(土) 13:45:47.66 ID:h93uDIQ80<> 姐御&女王様そしてハッスルパラダイスとは <>