◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/02/28(土) 22:00:10.60 ID:6y2dtJvL0<>新入りです。どうぞよろしくです。
物騒な単語入ってますが、暴力表現はほとんどないです。
強面さん風にイメージしやすいかなと思っただけですので…

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425128410
<>撲殺王弟、恋愛記録。 姫様奮闘記
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/02/28(土) 22:04:29.36 ID:6y2dtJvL0<> ノー!
まだ途中なのにエンター押してしまってごめんなさい。
性的表現がちょっとだけあったりします。
苦手な方はバックスペースでお願いします。

それでは、お目よごしを… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2015/02/28(土) 22:51:26.27 ID:Ky04Baa1O<> 半年ROMってろよ、な? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/02/28(土) 23:07:14.96 ID:QXHGvnPr0<> あくしろよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/02/28(土) 23:11:19.63 ID:LAhbM2RuO<> こいつお目汚しの意味知らなさそう <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/01(日) 14:14:07.30 ID:0MDHCCYy0<>
  キンキンキンキン…
  ガラガラガラガラ…

クリステナ産水晶でできた二頭の馬の蹄の音が心地よい。小さい頃から聞きなれた水晶馬車の音。

白メイド「姫様、そろそろ窓、開けても大丈夫みたいですよ。ガスかかってたのがなくなってきましたね。」
青騎士(女)「あーぁ、工業地帯の汚染空気、なめてたな。 我が国の空気はすんでいたのに。」
銀姫「しかたないわ、青。デゴイチ王国はカラクリ機械産業大国よ。魔法の国のクリステナとは違って当然。」
白「青ったら文句ばっかり〜」
青「こんなに煙いところでよく仕事ができる…前の町で馬たちを魔生物に取り替えてよかった。病気になってしまっていたかもしれん…」
白「聞いてないですね。」
銀「ふふ、水晶馬の操作に忙しいってことにしておいてあげましょう。」
青「…姫様のお計らいで馬車内に入れてもらったが、本来あるまじきことで…ブツブツ……」

<>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/01(日) 14:21:56.15 ID:0MDHCCYy0<> (すいません、昨日、あのあとキーボードの上で寝てしまいました。
風邪引きまして、熱がちょっと高くなってきました、病院いくのでこれだけでごめんなさい。

すみません、ネット用語だと思うんですが分からなくて…
>>3さん
ROMて、読むって意味で会ってますか?
>>4さん
あくするってなんですか?
>>5
お目よごしは恐縮ですの意味で使ってましたが、ネット上では間違ってましたか?ごめんなさい

それでは、またのちほど… 病院いってきます。) <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/01(日) 14:30:48.63 ID:0MDHCCYy0<> >>5さん、さんが消えてました、ごめんなさい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/01(日) 15:08:56.59 ID:pQJRfUkSO<> 「あくしろよ」は続きの催促だから黙って物語を続けた方が好ましい
病気は仕方ないので回復した後ある程度書き溜めて投下すべし
わからない用語は検索して返答が欲しそうなレス以外には一々レス返さない
(あと俺にもレス返さないでいい)
しっかり体を治してここの他の奴が立てたスレいくつか読んでから戻って来い <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/02(月) 00:12:37.88 ID:Rs7PWCIa0<> ということで
あくしろよ <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:51:29.03 ID:+DPRMjVs0<> お待たせいたしましたー
病弱がもどってまいりましたー。(ぉぃ)
諸々失礼いたしました、ありがとうございました。

それではいきます。 <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:52:11.37 ID:+DPRMjVs0<> 騎兵1「そこの馬車!止まりなさい!」
騎兵2「通報があった、不気味な馬車はお前達だな、今すぐ降りろ!」
青「おいこら、いきなりだな。しかも、私の水晶馬(すいしょうば)を不気味だとぉ!?」
銀「青、やめなさい!」
騎兵1「後輩まて。失礼した、御者も居ないのにどうやって動かしている?とにかく一度、降りてほしい。近隣住民らが怯えている。」
青「ああ、今降りる。  …この子達は魔法制御の魔生物だ、私が呼び出した水晶馬だからな、私の命令のみ遂行する。人間に危害はない。」
白「この馬車には高貴なお方がおられます。こちらが証明書類ですわ。」

魔法の使える者なら、指をなめて紙にかざすだけで使える証明書類。
ですが魔法の無いデゴイチでは専用の機械が必要です。
先輩らしい騎兵が指に針を刺して、四角い箱に血を落とし、書類にかざすと…
まず私の横顔が描かれたメダルの画像が現れて、スケッチ画に変わる。そして、肖像画に変化して終了。

青「安全のため、馬車から降りていただくわけにはゆかぬ。これで証明とさせていただく。」
白「クリステナ王国二の姫様でございます。事前にお渡しした画像は、主要な皆様にごらんいただくようお願いしてあったはずですので…って、あら?…どうされました?」
騎兵1「す、すまぬ!こいつ新入りで、融通がきかないんだ! こら、落ち着け!」
騎兵2「魔のものを城下にいれるなど!!外兵は何をしていたのだ!離して下さい先輩!こんな化け物ども、俺が追い出しーーっ」
青「…やはりこの輿入れ、間違いでしかないな。ちゃらんぽらん王の冗談なのだろう。帰りましょう、姫様。」
銀「青…」
青「姫様もご覧になられたんでしょう?我々ですら聞かされましたよ。ふざけた内容の親書であったと。」 <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:53:20.29 ID:+DPRMjVs0<> 私の輿入れが決まったのは、今から二ヶ月前でした。

大臣1「陛下!返信が届きましたぞ!」
クリステナ王「おお、ようやくか。早く内容を…」
大臣1「それが…そのぅ…」
王「どうした、良くない内容か?早くせい!」
大臣1「……」
大臣2「わしが代わろう。 読ませていただきます。」

こほんっ

『やっほー。クリステナ王、元気〜?』

がたーーーん!

王「ふざけているのか貴様!?」
大臣1「ひぃぃぃ!」
大臣2「恐れながら。文章をそのまま読んでおります。」
王「よこせ!」

『やっほー。クリステナ王、元気〜?
 今年から王位を受け継ぐことになりました、新カラクリ王で〜す。(^_^/~
 あ、違った、デゴイチ王で〜す。
 魔道鉄道についてなんだけど、我々もちろん協力するよ。
 ただね〜、ちょっとお願いがあるんだ。なに、難しいことじゃないよ。
 女の子を紹介してほしいんだ。あ、僕じゃないよ。弟にね。
 ほら〜、ウチの弟ってあの噂のせいで、女の子が怖がっちゃうんだよ。
 だからさ、いいお嫁さんをくれたら、車体の設計とか作成とか、機械関係はぜ〜んぶウチでやってあげちゃうよ。
 悪い話じゃないでしょ。肝の据わってる子で、ちょっとでもかわいいカンジ?なら文句も無いと思うよ。贅沢は言わないから。
 そちらからは、動力になる魔石とそれをリサイクルして何回でも使えるようにする技術、技師なんかの、エネルギー関連だけでいいんだ。
 実際に色々作るのはこっちでやるよ、そっちの金銭的負担はどう見たって少ないでしょ。
 うちより優れた機械技師が他に見つかると思うなら、蹴っても良いよ。
 あとはし〜らない。
 じゃ、一ヶ月くらいでお返事頂戴ね。
 早めにいいお返事くれたら、詳しい話はパパがしてくれるよ。
 それじゃ、ばいば〜い!(^0^ノシ

         デゴイチ王。』


王「………ふ、ふ、ふざけおってぇぇえええええ!!」
大臣ズ「「破いてはいけません、陛下!」」
王「くぅ、親書扱いなのか、これでも!」
大臣1「一応、そういうことのなっております。」
王「はぁぁ…娘達を連れてきてくれ… こんなちゃらんぽらん王より、先代と早く話がしたい。適当に決めて、機嫌でもとっておこう…」
大臣2「ええ、そのほうがよろしいですな。」


長女「お父様ったらぁ、こんな朝早くから何の御用ですのよぅ。 ふぁぁ…」
次女「姉上、もうすぐお昼の鐘がなる頃ですよ。早くなんてありません。」
三女「パパうえー。」


三女は論外、まだ四歳だ。
長女も無理か。
男三人の後に産まれた初の女児で、甘やかしすぎたのか、わがまま放題だ。
となると…

王「二の姫。」
次女「はい。」
王「ガラクタ国…じゃなかった、デゴイチ王国に、嫁に行きなさい。以上だ。」
次女「…は?」
王「全員部屋へ戻…」
次女「待ちなさい、父上。」 ガッ!
王「!?」
大臣2「二の姫様!」
次女「説明を要求いたします。いただけない場合は、姉上と妹を除く、この場にいる全員を蹴り飛ばして聞き出してもよろしいのですが?ああ、父上には手出しはしません。殺されてはお嫁に行けという命令を遂行できなくなるので。」
王「…ふふ、妻に良く似ている。肝の据わった娘、という条件は十分か。」
次女「?」
王「まず胸倉から手を離せ。 ふう、魔道鉄道を引くため云々の話は知っているな。」
次女「はい、わが国には膨大な魔力はあっても、他国にあるような大勢の乗客を乗せて安全に運行できる技術が足りません。一度に運べるのは現時点では十名が限度です。それを解決するために魔道鉄道が考えられています。」
王「うむ。それに対して、ようやく、賛同国が現れてな。それがデゴイチ王国だ。機械産業において他の追随を許さぬ、とんでもないところが名乗りを上げよった。」
次女「…もしや、協力する代わりに、後宮に入れとでも言うのですか?嫌ですよ。正妻がいる男性に嫁ぐなど。それも、父上より相当年上ではありませんか。」
王「ああ、違う違う。すでに息子が代替わりしている。お前の嫁ぎ先はその新王の、王弟のほうだ。」
次女「新王の王弟?」
長女「あらやだ、デゴイチの王弟っていったら〈撲殺王弟〉のことでしょ、お父様。」 <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:54:25.38 ID:+DPRMjVs0<>
撲殺王弟。
彼は、戦場をまるで踊るように駆けぬける。
彼は、百の隊を跳ね除け、千の屍を積み上げる。
彼は、武器を持たぬ。
彼は、拳一つで命を屠る。
彼は、悪魔をその身に宿す。

あれは、人ではない―――



次女「…馬鹿馬鹿しいですね。こんな情報しか集まらないとは。人間じゃない、ですって。」

父上に呼ばれてから数時間。
出来る限りの情報を集めようと、通信端末を一台借りて部屋にこもっていました。
すでに窓辺は夕日の朱色に染まっています。
私の部屋に居るのは、私と姉上だけ。
こんな時間、後どのくらい取れるのでしょうか…

長女「ふわぁぁぁ…ねむぃわあ、こんな小さな文字、みてらんなーい。」
次女「姉上、もうお部屋に戻って良いんですよ。」
長女「だってぇ、妹が一人居なくなるのよ〜、寂しいわよぅ。もうちょっといるぅ…」
次女「王家に産まれた以上、交渉の道具にされるのはわかっていましたから。寂しいだけじゃどうにもなりません。」
長女「これからは、銀姫ってよばれるのよね。なんだか他人みたい。やっぱり寂しいわぁ。」
次女「…姉上。」
長女「なあに?」
次女「今晩から、三人で寝ませんか?末の妹も呼んで。」
長女「………」
次女「駄目ですか…」
長女「良いに決まってるじゃない!ああ、初めてだわ、あんたからおねだりされるなんて!やっぱりかわいいわ!さすが我が妹よね!使いどころがわかってるわ!!」
次女「…寂しいです。どんなに頑張ったって、やっぱり、寂しいです。」
長女「沢山、手紙、書くからね!」
次女「はい、姉上。頑張って返事を書きます。」
長女「頑張っていいお嫁さんになるのよ!わたくしもいいお婿さんを見つけるわよぉ!妹に負けていられ無いわ!」
次女「ええ、姉上なら大丈夫です。姉上はわがままなんかじゃないですもの。正直すぎるだけです。きっと、大丈夫。」
長女「ふ、ふぇえーーーん!」
次女「姉上…ぐすっ…」

三女「あねうえさまたち。」
次女「ああ、末の。来てくれたね。」
三女「すえのじゃないです。どうひめです。」
長女「あなた、それをどこで…」

末の妹が持つのは、銅のメダル。
まだ、横顔は刻印されていない真っ平らな銅板のままだが。

三女「ママうえがくれました。おおねえさまはきんひめで、ちゅうねえさまはぎんひめ。わたしはどうひめです。」
次女「…そう、銅姫か。いいね、それなら私達はずっと姉妹だ。とてもいい。」
長女「う、うぅ…そうね、そうよ、わたくしは金姫なのよね。そっか、呼ばれたこと、一度も無かったわ…忘れてた…」
三女「はい。わたしたちは、きんぞくのひめです。」

ほんの少しだけ、紛れた気がする。
金、銀、銅。
クリステナ王家の兄弟姉妹に与えられる、もう一つの名前。
きっと、離れても、家族であることは変わらない。

次女改め銀姫「ありがとう、銅姫。姉上も、本当に大好き。ありがとう。」
三女改め銅姫「わたしも、あねうえさまたちが、だいすきー。」
長女改め金姫「えぐっえぐっ…ひっく……大好きよ、愛してるわ、妹達…うぅ……」 <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:54:55.48 ID:+DPRMjVs0<> その夜…

金姫「すー、すー…」
銅姫「すぴー、ぷぴー…」

銀姫「……(カチャカチャ…)……ぅぅーん…だめね、これ以上、検索しようが無いか…」

触媒がもう、足りなくなってきた。
魔力の強い物質を情報端末の魔力元に差し込めば、もっと細かく情報が集まる可能性があるけれど、手持ちの物質では、これ以上は望めそうに無い。
クリステナ結晶の光も弱まってきたし、今日はこのくらいで終わろう、そう思った矢先、ふと自分の髪が視界に入る。
…やったことがない。うまくいくかわからない。

髪を解いて、小指の太さほどを切り取ってみる。
両端をしばって、魔力元に触れさせると…

  ピピピピピ
    キュィーーーーーーン
カタカタカタカタ……

銀姫「や、やった…!魔力が補充された!」

急いで画面を手繰っていく。
必要そうな情報をタッチして次々ページを変えていく。
これじゃない、こうじゃない、もっと、もっと……!


彼が、血に飢えた、悪魔なんかじゃない…
人間だという、決定的な情報がほしい。
信じさせてほしい。
噂なんかじゃない、本物の情報がほしい…!






戦闘実績・功績XXXXX
ただし、全て捕虜とし、絶命なし。
救助回数XXXXX
慰安数・保育施設数・孤児院建設数 うんたらかんたら…



銀姫「…うん?」


殺さないがゆえに、なめられている。
よって、武勲をあげようとする無謀な輩が後を絶たず、返り討ちにあい、全て捕虜。
そのため、生きて戻らない=すでに殺されている、との噂が立ちまくる…?
というか、殺す理由が無いので、ありえない?
ていうか、全員一年以内に捕虜から解放?!釈放!?
つまり、逃がしてもらった輩のうち、性根の腐ってる連中が、ありえない噂流して、悪くいいまくってるだけだぁああああ!?


銀姫「(なんじゃこりゃぁぁああああーーーーー!!)」
   ↑小声(必死の配慮) <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:55:37.90 ID:+DPRMjVs0<>


というのが、これまでの経緯だったりするのです。
いやもう、集めれば集めるだけ、頭を抱える羽目になっていて。
結局、本人に会わないとわからないんだね!ハイ完結!
と、自らに言い聞かせたのでした。

いや、一応その後も…
髪と瞳の色が黒、とか。
つんつんの髪型で、あごに大きな傷跡があるとか。
手が大きいとか、足も大きいとか、とりあえず全体的に大きいとか。
色々調べましたが、悪いですか!


青「銀姫様?」
銀「はう! な、なんでしたっけ!?」
青「…お聞きのとおりだ、姫様はもう、呆れておられる。話も聞きたくなかったようだ。」
騎兵1「…弁解のしようも無い、謝罪も出来ぬ、か…」
青「当然だ、姫様の魔力を化け物のように扱ったのだぞ、その男。本来ならば、この場でその首切り落としてやりたい!」
銀「青!だめ!! ごめんなさい、私、ショックで、そのっ…!げ、現実逃避しちゃってて!聞いてなくてごめんなさい!」
青「なぜ姫が謝るのです!謝罪すべきはあの男だ!」
銀「悪いことしたらごめんなさいなの!だから、ごめんなさ―――」

???「はいは〜い、双方そこまで〜」

騎兵1・2「「陛下!?」」
銀「!」

護衛長「若造は、こちらで回収いたします。」
陛下「うん、よろしくね〜」
騎兵2「ちょ、離せ!あんな化け物ーっ…」
陛下「ごめんねぇ、最近、若い連中が特にひどくてね、魔法嫌い。」
銀「あ、あの…」
白「申し訳ございませんが、デゴイチ新王様で、お間違いございませんか?」
陛下「うん、あってるよ〜デゴイチ〜」
白・青「(うさんくせぇ!)」
陛下「うーん、顔は見せてもらえないのかな?馬車から降りたくない?」
青「安全が確保される場所の着くまでは、絶対にお降りいただくわけにいかなくなりました。先ほどからの件で、と・く・に!」
陛下「ああ、そうだよねぇ、ごめんね〜 それにしてもきれいな馬だね、水晶かな?さわってもいい?」
青「いいですけど、触れないと思いますよ。」
陛下「?」
     どぷんっ
陛下「おおっすり抜けた!」
青「私の呼び出した魔生物ですから。」
陛下「すごいなぁ、魔法って。そっちのメイドさんも何か出来るの?」
白「まぁ…できますが、こんなところで披露するようなものではありません。見世物ではないのです。」
陛下「ああーー、重ね重ね、申し訳ない!移動しようね。」

ああ、やっと私も周りを見る余裕が出来ました。
ものすごい人だかりです。
怯える声と、泣き叫ぶ子供の声。
わずかに聞こえるのは、水晶馬に見とれるため息。

これ、ちゃんと、なれることができるんでしょうか… <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:56:38.87 ID:+DPRMjVs0<> 金属で出来た馬のような乗り物にまたがった陛下と護衛の皆さんに先導されて、ようやくたどりついたデゴイチ王宮…
どちらかというと工場のようです。
クリステナにある、宝石を磨いたり貴金属の細工物を作る工場がこのような形をしていました。

陛下「わが国に、煌びやかさは必要ないからね。」

あらら、なんだか見透かされたようなお言葉です。

陛下「ちょっと、重要なお話があるんでね。メイドさんと騎士さんは執事長と一緒に向こうの部屋でまっててね〜 お姫様はこっち。」
銀「はい…?」
青「まて、姫様をお一人には…」
陛下「大丈夫だよ〜僕の私室にある応接室だから、護衛もいっぱい居るからね。」

渋る青たちを置き去りに、扉しかない不思議な箱型の部屋に入ります。

陛下「同じような形の移動箱は他にもあるんだけど、王位継承権をもつ直系のみが使える移動箱は、このスイッチ部分に金色のラインがあるものだけなんだ。専用の鍵がないと、他の通常移動箱と同じ場所にしか移動できない。」
銀「はぁ…」
陛下「はいこれが僕の鍵。この金色のラインに鍵を沿わせれば入る場所がすぐわかるからやってみて。」
銀「え、え?」

手、てーーーー!なんでにぎってるんですか!

陛下「ほら、ここだけ違う感触があるでしょ。このまま水平に差し込んで、左に垂直になるよう回すんだよ。」
銀「ふへ、はい!?」

 カチン!  うぃぃぃーーん…

銀「ふ、ふわぁぁあ…動いてる!」
陛下「鍵が刺されば、その種類から自動的に算出して移動する宮を判別する。僕の鍵は黒の離宮の東側。ちなみに君の旦那様の鍵なら北側になる。」
銀「北側…同じ宮なのですね。」
陛下「そうだね。…まあ、行かせるつもりはなくなった。」
銀「え?」

  ポーン…黒ノ離宮東、三階デス。

ぐいっ

銀「あ、あの、陛下…」
陛下「黙ってついてこい。」
銀「……!?」

そういえば、なんだか先ほどから違和感がありました。
言葉遣いがだんだん、荒くなっているような…?
移動箱をおりてすぐには、警備のものが何人も居ます。
けれど、その先は恐ろしいほど静かで、人の気配が全くありません。
なれた足取りはずんずん進み、両開きのどう見ても重そうな扉が片手で軽く押すだけですばやく開いてすぐさま閉じる、魔法ではない仕組みのわからない機械に目を白黒させているうちに…

銀「きゃぁ!」  ぼふっ

ここ、寝室? なんて大きな寝台…
って、ほうけている場合では!

陛下「……やれやれ、猫をかぶるのはしんどい。癒してもらう。」
銀「な、なにを…おっしゃって…?」
陛下「はぁぁ…なんで王族なんてよこすかな…そこらの市井の娘でよかったのに。どうせ俺が先に食うんだから。」
銀「!?」
陛下「魔法使いのクセに似合いもしないドレスなんて…魔女のローブのほうが脱がせやすいと思ってたのに残念だ。」
銀「ぬがす…って…」
陛下「ほら、破かれたくなかったら自分で脱げ。それとも、乱暴なほうが――」
銀「や、ちょ、離し、はなー―」 <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 17:57:09.13 ID:+DPRMjVs0<>





   ドゴォン!!

銀「!?」      ドォン!ゴォォン!!
陛下「あらー、もうきちゃったか。」

  メギッ…ギィィ…

???「おい、くそ兄貴…」

どうやらあの音は、扉を壊している音だったようです。
どう見ても重い金属の扉がゆっくりと横にずれて…
巨大な黒鬼(オーガ)が現れた。
そんな表現が当てはまる、大男が姿を現しました。

陛下「やだなぁ黒。冗談じゃないか、そんな青筋立てて起こらなくても…」
???「女性に、そんな冗談が通じると、本気で、思って、いるなら、俺は貴様を殺さねばならんのだが…?」
陛下「ぉ、おおう、ちょーっとやばいかな…」

銀「あ、あの!」
陛下・???「「!!」」
銀「もしかして、王弟様、ですか…?」
陛下「そ、そう!こいつ!弟、黒って言うの!な、黒!」
黒「!?」(凝固)
陛下「じゃ、俺、メイドさんたちのところいって来るから!あ、この部屋つかってて良いからね!またあとで!」

これだけのことしておいて、にげたーーーー!

銀「何ってお人ですか…!本当に、ちゃらんぽらん…!」
黒「……」(まだ凝固中)
銀「…王弟さま?」


―――王弟・黒、脳内。
やっやばいやばいやばいやばいやばい兄貴が姫さんと二人きりになったって聞いて慌てて飛び出しちまったけどどうしようこれ本当にいやまじでよく考えたら兄貴追っ払ったら姫さんと二人になっちまうのわかってたはずなのにどうしようなに話したらいいんだとにかく兄貴のこと謝罪するべきかでも俺が謝ったって意味ないかもそれよりまず怖がらせたよな絶対だって思わず扉ぶっ壊していやだって兄貴のことだから本当に襲ってたらどうしたらって思ったらついっつーかもうえええええぅわあああ兄貴の馬鹿野郎ーーー!

銀「王弟さまっ。」
黒「ひゃい!」
銀「助けていただいて、ありがとうございました。」
黒「え…」
銀「陛下は冗談だったとしても、本当に怖かったのです。扉を壊す音が聞こえたとき、心のそこから安堵しておりました。」
黒「…俺が、怖くないのか…?」
銀「ええ、ちっとも。 未来の旦那様に救われて、うれしくないはずが無いでしょう?」
黒「だ、だんなっ…」
銀「あの、国から一緒に来たものが居るのですが、二人とも女性なのです。あのちゃらんぽらん王がいくとなると少々不安です、連れて行っていただけませんか?たしか、執事様に連れて行くよう指示しておりました。」
黒「あ、ああ…」

黒「…そのまえに、一つだけ、良いか…」
銀「はい?」
黒「その…黒、と、呼んでほしい。王弟じゃなくて…」
銀「…は、はい!うれしいです、黒様!」
黒「う、ぅにゅ…」(ぎゃー、かんだー!いやぁぁぁ、はーずーかーしーいー!)
銀「私のことは、どうぞ銀、と。」
黒「ぎ、銀…?」
銀「はい、黒様!」
黒「う、うん、わかった…/////」(うわぁぁぁぁ!何これ、天使!天使がいるぅぅぅ!) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/05(木) 18:02:29.21 ID:LZ5ee+78O<> 改行しろ

やっぱしなくていいやROMってろ <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 18:13:12.35 ID:+DPRMjVs0<>



さて、さかのぼる事約一年前。
どうにもむっつり疑惑の出てきた黒の男…
撲殺王弟側を見ていこう。
…当時の彼は、王位継承権第二位であり。
二つ名は”撲殺殿下”である―――


その日も彼はいつもとかわらず、兵達と一緒に訓練に汗を流し、
三食きっちり食事を取り、ごく普通に書類仕事をこなし。
夕方に一度、捕虜達が投獄されている監獄塔に足を運ぶ。

黒「皆、かわりはないか。」
看守1「は!とくに異常はありません。
明日、半年に一度の健康診断がありますので、詳しくはあさって以降に。」
黒「そうか。…特別房の者達は?」
看守2「ハイ、模範囚たちも、いつもどおり豚と鶏の世話に熱心です。
ただ、鶏小屋の壁が一部壊れていて、
ひよこが数羽、狐かなにかに食われたらしく…
泣いて仕事にならないものたちが…」
黒「……そうか、ちょっと会ってくる。」
看守2「は、はい!」

黒「邪魔するぞ、体調はどうだ。」
「おお、黒の弟殿。」
「けっ!まーた来たのか。暇人め。」
「まだ言ってるのか、おめー。」
「皆、おかげさまで元気ですよ。」
「温情に感謝しております、黒の弟殿。」
「そのぅ…あいつ、ショックで寝込んじまってて…ひよこが…」
黒「ああ、聞いてる。狐か野良犬に食われたらしいな。」
「はいぃ…申し訳ありません…」
黒「…こっちにこれるか、35番(サゴ)?」
サゴ「……う、うぅ…」

枕を抱えてうずくまっていた細身の男が、
ようやく、といった風で立ち上がった。
ずいぶんと泣いていたらしい、目も鼻も赤くぼろぼろだ。

黒「サゴ、野良たちも必死なんだろう。
弱けりゃ食われる、しかたねえ。
第一、お前らが育てた豚も鶏も、いつかは誰かが食べるんだ、
そのたんびに、何度も泣いてちゃもたねえぞ。」
サゴ「うぅ、わかっちゃあ、おるんすよ。
おれ、酪農家の三男坊でしたから。
売り買いされる仔牛も、食肉にまわされる年老牛も、沢山見てきたす。」
黒「そうか…」
サゴ「でもね、あんな、食いちぎられて血だらけになった黄色い羽、
見ちまったら、なんでか涙がとまらねえんす。
牛のトサツなんて、何度か見てたはずなのに。
それでなくても、これまで、沢山、人間と切りあってきたんす。
血なんて、見慣れたはずなのに…」
黒「うん…」
サゴ「おかしいんすかねぇ、おれ。
ちいせえひよこみてかわいいなぁって思って、
食われて死んじまったら悲しいなぁって…」 <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 18:13:39.74 ID:+DPRMjVs0<> 黒「…おかしくは、ないんじゃねえかな…ほら、見てみろ。」
「ぐずっ…」
「ひぐっ…」
黒「皆も悲しいじゃねえか。
だからよ、命をもらって生きてるって知ったら、それで良いんじゃねえか。」
サゴ「…そうすかね…」
黒「だってひよこかわいそうで、飯食えなくなったら、
お前さんも死んじまうぞ。故郷(くに)の家族が泣くのは、俺が嫌だ。」
サゴ「ああ、そうっすね…あんたさん、黒の弟殿は、そういうお人だ。」
黒「おう、寿命以外で人間が死ぬのが嫌な、軍人のなりそこない。
弱いやつは死ぬ。だから、鍛えてやる。
殺すことをためらわないやつが嫌いだから、
命を預かる商売に携わせる。全部、俺の自己満足のためだ。」
サゴ「そうっすね。
撲殺殿下…だなんて物騒な二つ名持ってるくせに、
誰よりも、怖がりやだ。死ぬのが怖い。
自分も誰かも。あんたは殺さないのに強い。」
黒「殺してないってのは嘘だわな。
肉も食う。そんで、そういう議論はしんどくて辛い。」
サゴ「ええ、ええ、
こんな議論、答えなんかでねえっすね。疲れやした。」
黒「ひよこたちは野良の空腹を満たせただろうな。
でも、あのひよこたちは、卵を産んだり羽毛で布団を作ったりするために
国が養鶏場から買い取ってるひよこだ。
野良にタダでやっていいものじゃない。
穴の修復は済んでるよな?ほかに老朽化した箇所は?」
「大丈夫です。きっちりなおしました。」
「鶏舎全部見て回りました。
でも一応、コンクリで全体的にぬったほうがいいかもしんないですね。
万が一があっちゃあいけねいっす。」
黒「ん、了解。業者を呼んでおく。」
サゴ「黒の弟殿。」
黒「ん?」
サゴ「…ちゃんと、メシ、食うっす。
命もらって、誰かに命を分けられる人間に、なりてえっす。
生かしてくれて、ありがとうごぜえました。」
「おれたちもです。ありがとうございました。」
「本当に、ありがとう。」
「ありがとうっす。」
黒「…そうか、なら、もう二度と、戦場で会わないようにしないとな。」
「「あはははは!」」
<>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/05(木) 18:15:49.51 ID:+DPRMjVs0<>


(こんなかんじでいいんですか?
行間空けたほうがいいかな、
なんかほかの人のと画面の見た目違う…) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/05(木) 18:22:31.61 ID:LZ5ee+78O<> お前のスレと他のスレ見比べてどこがどうおかしいのか自分で考えろ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/05(木) 23:34:21.51 ID:ZaH+Rley0<> 台本形式だと会話の間に1行挟むといい

最初のだと

騎兵1「そこの馬車!止まりなさい!」
騎兵2「通報があった、不気味な馬車はお前達だな、今すぐ降りろ!」
青「おいこら、いきなりだな。しかも、私の水晶馬(すいしょうば)を不気味だとぉ!?」
銀「青、やめなさい!」
騎兵1「後輩まて。失礼した、御者も居ないのにどうやって動かしている?とにかく一度、降りてほしい。近隣住民らが怯えている。」



騎兵1「そこの馬車!止まりなさい!」

騎兵2「通報があった、不気味な馬車はお前達だな、今すぐ降りろ!」

青「おいこら、いきなりだな。しかも、私の水晶馬(すいしょうば)を不気味だとぉ!?」

銀「青、やめなさい!」

騎兵1「後輩まて。失礼した、御者も居ないのにどうやって動かしている?とにかく一度、降りてほしい。近隣住民らが怯えている。」

みたいな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/06(金) 19:34:58.59 ID:9LlqU7mC0<> (ありがとうございます
書き直したい…あぁぁ…) <>
◆lk.BusM4F.<>sage<>2015/03/06(金) 21:11:42.17 ID:9LlqU7mC0<> 本当に申し訳ありません。
完全に最初から書き直しをしようと思います。
ご指摘ありがとうございました。
今度は完結させたいです。
失礼しました <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2015/03/07(土) 01:09:50.97 ID:75VhotNj0<> こうしてまた一つ、新たなエタが生まれた <>
◆lk.BusM4F.<>saga<>2015/03/09(月) 21:24:48.83 ID:TMFUiIvL0<> 新規作成しました。
今度こそ! 完結させるぞ!


撲殺王弟、初恋話。

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425824461/ <>