花火大会に先立ち、まずはGIRLS BE NEXT STEPか舞台に上がり、歌を披露した後で注意事項のアナウンスをする。 そして、花火が打ちあがる。 段取りとしてはこうだ。 楽曲は3曲ほどだが、周囲が暗くなってからの開始であるため、照明効果が使われる。 今までの仕事の中では、かなり大がかりなステージとなる。
ほたる「み、みなさーん。GIRLS BE NEXT STEPです! 今日は、げんかい公園花火大会に私たちが地上から花を添えたいと思います。聞いてください『うたう自鳴琴(オルゴオル)』です」
以上を踏まえ、冷静に現状を分析する。 まずCDなどの売り上げだ。 GIRLS BE NEXT STEPは、EXプレスには残念ながら及ばない。 これは事務所の力が大きい。EXプレスは、当初から大規模なキャンペーンをうち、広告費の額が大きかった。 逆に言えば、そうであるのに今こうしてEXプレスを相手に賞レースに参加していること自体が快挙でもあるのだが、我々が目指しているのは大賞なのだ。敢闘賞じゃない。 審査員は、音楽業界の関係者が選ばれている。作曲家や名のあるプロデューサーなどだ。彼らの表は透明化されており、利害関係で票を投じることも無いとは言えないが、誰が誰に何点を投票したかは視聴者に丸見えであるため、露骨に利害関係で採点はすまい。 なにより読めないのは、視聴者投票だ。
司会「今年のゴールドディスク大賞、新人大賞に選ばれたのは……GIRLS BE NEXT STEPの4人です!」
千鶴は一瞬驚き、泰葉は当然という顔で微笑み、裕美は満面の笑みで万歳をし、ほたるは笑顔で涙を流した。 4人は司会に促され、席から立ち上がると舞台に上がった。 その時、彼女たちはEXプレスの4人の前を通り過ぎた。 GIRLS BE NEXT STEPの4人がトップアイドルになった時、EXプレスの4人がどんな顔をするのか。結局それは、わからず終いだった。 千鶴も、ほたるも、裕美も、泰葉も、EXプレスの4人には一顧だにせず、舞台へ上がった。そう。もうEXプレスは、4人にとって眼中にはなかったのだ。 そしてそれは、俺も同様だった。 俺は4人から目が離せなかった。 ついにトップアイドルとなったGIRLS BE NEXT STEPの4人の姿を、おれは涙にかすみそうになるその姿だけを、必死で追っていた。
日本ゴールドディスク大賞の表彰式でGIRLS BE NEXT STEPの歌った『ラクダの歌』は大反響を呼んだ。 しかしもともとがほたるの母親の作った歌なので、誰もその素性を知らず、ネットなどでも誰の何の歌かが話題となった。 問い合わせは俺の元にひっきりなしに来るようになり、ついにCDが発売されることが決まった。予約だけで、大ヒットが見込まれるらしい。
日本ゴールドディスク大賞の表彰式でGIRLS BE NEXT STEPの歌った『ラクダの歌』は大反響を呼んだ。 しかしもともとがほたるの母親の作った歌なので、誰もその素性を知らず、ネットなどでも誰の何の歌かが話題となった。 問い合わせは俺の元にひっきりなしに来るようになり、ついにCDが発売されることが決まった。予約だけで、大ヒットが見込まれるらしい。