一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/11(金) 22:10:05.46 ID:cEso93vP0<> 時は二世紀末、漢王朝の時代。
 四世三公の名家たる袁家に代々仕えし武家である紀家に生まれた一人の男児。
 諱(いみな)を霊、真名を二郎というこの男は様々な出会いや経験を重ねていく中で、やがて世を席巻していく。
 しかし、彼には誰にも言えない一つの秘密があった。
 彼の頭の中には、異なる世界における未来で生きてきた前世の記憶が納められていたのだ――。
 これは、三国志っぽいけどなんか微妙に違和感のある世界で英雄豪傑(ただし美少女)に囲まれながら右往左往迷走奔走し、それでも前に進もうとする凡人のお話である。


※リトライとなりますが大筋ではそんなに変わらない見込みで
※なろうにても投下しております。こっちで書いて推敲してからなろうに投稿って感じです
※合いの手長文歓迎です


前スレ
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480942592/
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445344769/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480942592

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1526044205
<>真・恋姫無双【凡将伝Re】3 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>sage<>2018/05/11(金) 22:11:08.80 ID:cEso93vP0<> 「万歳!万歳!万歳!」

どこかから、声が上がる。それを聞いた民衆は口々に唱和する。
酒が入り、当然喧嘩も起こる。それでも、どこからか聞こえる万歳の声。先ほどまで殴り合っていた者同士も肩を組み、万歳を唱和する。
めでたい、めでたい日である。
振る舞い酒は美味いし、そこかしこから聞こえる音楽も鳴り止まない。
この上なくめでたい日である。

「つっても、ほっつき歩いてた風来坊が帰ってきただけなんだけどな」
「身もふたもないですね」

男たちはくつくつと笑い合う。
沮授と張紘。それぞれ官僚と財界のトップの二人は義兄弟でもある。
袁紹の思いつきを短期間で具現化し、今日の一大セレモニーにつなげたのも彼らの辣腕あってのこと。

「しかし、こんなとこで油売ってていいのか?」
「ええ、構いませんよ。郭嘉さんがいますからね」
「確か二郎が拾ってきたんだっけか」
「ええ、そうですよ。全く、どうやったらあんなに優秀な人物を見いだし、登用できるのかと。
 いやはや、二郎君は本当に埒外ですよ。
 本当に、ね」

自身の声望を疎み、わざわざ偽名を名乗って仕えるべき主君を探していたという郭嘉。
新参の身故、暫くは沮授の補佐という立場になろうが、表だって地歩を固める日もそう遠くはないだろう。そう沮授は思う。
実際、日々その存在感は高まっているのだ。

「まあ、おいらも二郎に拾われた身だしな」
「おや、そういえばそうでしたね。何とも懐かしい話です。
 ……張紘君こそお仕事はよろしいので?」

くすり、と微笑み張紘に問う。

「おう、魯粛が帰ってきたからな。かなり助かってる」
「にしても帰参してすぐにとは。人使いが荒くないですか?」
「いいんだよそれくらいで。勘も取り戻してもらわないといけないしな」

それにややきついくらいの負荷をかけないと全力で働かないし、と言って笑う。

「おやおや、これは恐れ入りました」

話は尽きない。互いの立場もあり、こうやって馬鹿話に花を咲かせる機会も減ってしまっている。
が。

「すまん、遅れちった!」

慌ただしく駆け寄るこの青年がいれば問題はないだろう。

「いえ、お気になさらず。今日の主役なのですから」
「そうそう。むしろおいらたちは後日でもよかったんだぞ?」

何せかれらは義兄弟。その絆は永遠。

「いやまあ、ここを最後に思いっきり呑んで騒ぐつもりだったんだけどな。
 次が入っちまってさ、すまん。また今度ゆっくり呑もうや」
「そんなこったろうって思ってたよ」
「本当にお気になさらず。姫君たちを優先してください。
 それより」

沮授が紀霊の杯に酒を注ぐ。

「お、火酒か。ようやく実現したなー」
「おう、李典のお蔭でな」
「それでは」

それぞれに杯を掲げ。

「二郎の帰還を祝って」
「袁家の隆盛に」
「俺たちの絆に」

乾杯。

男たちは杯を干し、笑い合う。
やがて挑む奔流、激流。翻弄されても、彼らの絆が切れることはない。

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/11(金) 22:11:34.90 ID:cEso93vP0<> ◆◆◆

さしものの祝いも深夜を過ぎるころには南皮は静謐さを纏うようになっていた。
そこかしこで響いていた喧噪も次第に遠ざかっていく。
だが、残滓は確かに残されており、不穏を内包する。

「そこで何をしている!」

鋭い声が闇を引き裂く。
その声にびくり、と身を震わせる人影が四つ。どうやら倒れている男を身ぐるみ剥がしているらしい。
いくら南皮の治安がいいとは言っても限度がある。
既に何度も遭遇している場面とあって声の主――楽進は落ち着き払っている。

「ち、散れ!」

数瞬の逡巡の後に人影の一人が叫ぶ。
その声を受けて各人がばらばらの方向に逃げる。なるほど、追手を撒くにはいい判断だったろう。

ただし。

「心にて、悪しき空間を断つ。
 断空砲!」

相手が悪かった。

不可視の気弾が立て続けに人影を吹き飛ばす。
楽進は表情を変えることなく後続の部下に賊の捕縛、倒れている人物の介抱を命じる。

どうやら泥酔してそのまま寝てしまっているようだ。設営されている簡易宿泊所への搬送を指示し、再び巡邏を開始する。
彼女は昼間からほぼ休みなしで活動しているが、その体躯に漲る気力はいよいよ充実している。
何しろ今日は彼女の想い人――ようやく最近気持ちに折り合いをつけたらしい――が南皮に帰還しためでたい日なのだから。

もっとも、ちらり、としかその姿を見ることは出来なかったが。いや、むしろ職務中にその姿を目にできたことは幸運であったのだろう。
白を基調とした紀家の正装を身にまとい、雷薄以下の紀家軍の最精鋭を背に従えるその姿の凛々しさよ。

随分歩いたろうか。払暁は近く、街に人の影も目立ち始める。
多くは流民。
まき散らされたごみや吐瀉物、あるいは落ちている人間など。有象無象を片付けていく。
微妙に増えつつある流民の雇用は最近の袁家……さらには母流龍九商会の懸案事項の一つである。
そういう意味では今回の式典は一時的ではあるが効果はあったのであろう。

軽く頭を振って楽進はそんな思いを振り切る。自分が考えるようなことではない。
目の前の職務を尽くすことこそ肝要なのだ。

「もうひと頑張りだ!」

付き従う部下に声をかけ、巡邏を続ける。
きっとそれが自分を拾ってくれたあの青年に報いることになるのだから。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>sage<>2018/05/11(金) 22:21:42.97 ID:cEso93vP0<> 本日ここまですー

どんどこいきますzせ

感想とかくだしあー <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/12(土) 09:58:51.11 ID:lyDPRush0<> 立て乙ー
>>2
>>沮授と張紘。それぞれ官僚と財界のトップの二人は義兄弟でもある。  この場面は二郎視点ではないので
○沮授と張紘。それぞれ官僚と財界の最高峰の二人は義兄弟でもある。  もしくは【頂点】、【最上位】とか?
>>袁紹の思いつきを短期間で具現化し、今日の一大セレモニーにつなげたのも彼らの辣腕あってのこと。  ここも同じく
○袁紹の思いつきを短期間で具現化し、今日の一大祭典につなげたのも彼らの辣腕あってのこと。  もしくは【式典】、【栄典】、【祭事】とか?
>>何せかれらは義兄弟。その絆は永遠。 間違いではないですが
○何せ彼らは義兄弟。その絆は永遠。  漢字の方が私の好みかな
>>3
>>さしものの祝いも深夜を過ぎるころには南皮は静謐さを纏うようになっていた。  【の】が多いので
○さしもの祝いも深夜を過ぎるころには南皮は静謐さを纏うようになっていた。   ですね
>>その声にびくり、と身を震わせる人影が四つ。どうやら倒れている男を身ぐるみ剥がしているらしい。   これでもいいとは思いますが
○その声にびくり、と身を震わせる人影が四つ。どうやら倒れている男の身ぐるみを剥がしているらしい。  上の文だと話し言葉っぽいですね

そう言えば前スレでは気付かなかったんですが
>>1
>>※リトライとなりますが大筋ではそんなに変わらない見込みで  前前スレのスレ名が
○※リライトとなりますが大筋ではそんなに変わらない見込みで  【リライト版】なのでこっちが正しいかも

ちなみに私は悪辣なので1000でお願いはしません、なぜなら一ノ瀬さんの作品を捻じ曲げる気はないから
でもその前に要望を言う事で一ノ瀬さんの心に引っかかりを作るスタイル
「あなたは私の願いを叶えても良いし叶えなくても良い」
そんな事を考えて適当に埋めたけどよく考えたら誰かの過去の掘り下げとか願えばよかったか…ふかく! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/12(土) 11:27:59.29 ID:+RZ43qZa0<> >>5
どもです。

いつもながらありがとうございますー

さて

>○※リライトとなりますが大筋ではそんなに変わらない見込みで  【リライト版】なのでこっちが正しいかも
リトライになりました。
後はお察しください。
何個かダイス判定が実は発生しております(極秘)

>そんな事を考えて適当に埋めたけどよく考えたら誰かの過去の掘り下げとか願えばよかったか…ふかく!
ww
せっかくだし、数人キャラ出してくれたらなんかあるかもしれません。
過去とか掘り下げの絡みは電波次第なので、広く網投げてくれた方がありがたいです <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>sage<>2018/05/12(土) 11:28:42.12 ID:+RZ43qZa0<> いかんコテ外れとるから設定せねば <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/12(土) 12:30:17.28 ID:k5XIZzWWo<> ほんとにリトライになっていたとは……
私のお気に入りキャラはまだまだ出ないので楽しみにしながら大人しく読者続けますww
これからも無理せず頑張ってくださいませー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>sage<>2018/05/12(土) 12:33:14.03 ID:+RZ43qZa0<> >>8
お休みいただいたおかげで書くのが本当に楽しいです

あっちに連日投稿の時はもう苦行状態でしたww

いや、覚悟の上ではあったのですが、辛いものは辛いねんと <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/12(土) 14:07:08.03 ID:lyDPRush0<> ふうむ・・・詠と翠の西涼立て直しとか、二郎と麗羽様、美羽タンの3人で街の視察とか、後は何進さんと妹(皇太后)による二郎評価とかも見てみたいカモ
そう言えば麗羽様は天の御使いについてどう感じてるんだろう… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/12(土) 22:03:43.98 ID:+RZ43qZa0<> 「うわあ、まだあるのか……」

戦場では怖いものなしの馬超がぐったりとする。
それは彼女の知らなかった戦場。知りたくなかった戦場。
求められるのは膂力などではない。

「そりゃあ、あるわよ。
 涼州全部の決済書類だもの。
 並べたらば、その上で練兵でもできるんじゃないかしら?」

うへえ、という馬超の声に目もくれずに目の前の書類を仕分けている賈駆は手元の湯呑み――どっかの凡人から贈られたものである――を手に取り、冷め切った茶を口にする。

「いや、そりゃそうか。そうだよなあ。
 凄いな、父上はこんなに大変なことをされてたのか……」

「そうよ。それが州牧の務めだもの。
 というかね、邪魔しにきたのか手伝いにきたのかはっきりしてほしいんだけども」

その声の尖りにさしもの馬超がたじろぐ。

「まあ、興味を持つだけでも大きな進歩じゃないかなってたんぽぽ思うのー」

「それを進歩と言ってしまうところが問題だとボクは思うけどね」

助け船を出したのは馬岱である。彼女はちょくちょく顔を出して賈駆の手伝いをしていたので、軽口をたたいても許される。許された。

「うう、だって邪魔だって言ったのは詠じゃないか」
「だって邪魔だもの。本当に邪魔だもの。
 翠がボクの手助けになるとすればね、今すぐにここから立ち去ることよ」
「そりゃないだろう!
 何か手伝えることがないかって思ったのに!」
「あれば言ってるわよ。
 というかね、翠のできることを考える時間だって惜しいのよ。分かる?
 分からない?分かってくれたら助かるんだけど」
「な、なんだとう!
 それじゃ私が役立たずみたいじゃないか!」

そう言ってるんだけどな、と開いた賈駆の口に押し込まれる饅頭。

「む、ぐ!」

抗議の声を馬岱が遮る。

「はいはい、ちょっと一休みだね。ほら、お姉様もこれ食べて?
 間食としてどうかなって」

差し出された饅頭を馬超も手に取る。

「ほう、甘い。美味いな」

「でしょ?結構日持ちもするんだって。
 書類仕事に疲れた時にはいいかなって」

殺伐とした空気を散らして馬岱は伸びをひとつ。
彼女も別に書類仕事が好きというわけではないのだ。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/12(土) 22:04:10.48 ID:+RZ43qZa0<> 「にしてもお姉様、詠姉様に任せたって言ってたのにどうしたの?」

「い、いや、あのだな。
 流石に任せっきりはよくないかなーとか思ったり」
「ああ、叔父様に聞かれても分からないもんねー。
 別にいいと思うけどなー。
 苦手だから詠姉様に任せっきりだって……痛い!」

ごちん、と鈍い音が響き賈駆が眉をひそめる。

「ちょっと、翠!
 視察にしても手伝うにしても、本格的に邪魔になってきているわよ?」
「あ、いや。
 そんなつもりはなかったんだ。
 すまない」

「謝る相手も内容も違うと思うけどね。
 いいから遠乗りでも行ってきなさいな。
 馬騰殿には翠が内勤にも興味を持ったとでも報告しとくから」

しっしとばかりに手を振る賈駆に馬超は頷く。

「う、うん。わかった。
 ちょうど黒毛の若駒がいい具合でさ。ちょっといってくる!」

いい笑顔で去った馬超に賈駆は苦笑する。

「詠姉様、ごめんなさいね?」
「たんぽぽが謝ることじゃない……こともないか。
 大変ね、ほんと」
「そうでもないよ?」

笑う馬岱に賈駆はやれやれ、と首を振る。

「いいけどね。翠に向いてないのは確かだし、ボクが取り仕切っているのほんとだしね」

涼州の利権から董家に便宜を図っているのは確かであるし、それを隠そうともしていない。
もっとも、それを認識しているのは目の前の馬岱だけであろうが。

「まあ、詠姉様がいてくれて本当によかったものね。
 ほーんと、お姉様だけじゃこの涼州はたち行かなかったもの」
「へえ、それが分かるなら……」
「あー、たんぽぽには無理ですー。分かるのとできるのとは違いまーす」
「へえ?」
「やりたいこと、できること。やらなきゃならないことって全然違うしー。
 たんぽぽはできることを精一杯頑張るだけでーす」
「へえ。言うじゃない」
「まあ、これ二郎様の受け売りなんだけどね?」
「へ?」

にしし、と馬岱はほくそ笑む。

「二郎様がね、言ってたの。
 愛しの、二郎様がねー」
「だ、誰が愛しのか!」
「えー?たんぽぽのが一方的に懸想してるだけなんだけどなー。
 なんで詠姉様が怒るのかなー不思議だなー」
「ああもう!
 そんなとこまで、あいつに似なくていいのにもう!」
「惚れた弱みってやつかな?」
「どういうことよ、もう」

にひひ、と笑う馬岱につられて賈駆も苦笑する。

「ま、あいつはどうしようもないからね、おすすめはしないわよ?」
「えー?そうかなー?
 たんぽぽわかんなーい」
「いや、だからね、あいつはね……」

彼のことを語るときに緩む口元。
それを自覚してないのだなあ、と馬岱は思うのであった。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/12(土) 22:05:47.12 ID:+RZ43qZa0<> 本日ここまですー

感想とかくだしあー

翠と詠ちゃんの涼州立て直し……だよね?

みんなちゃんと動いてくれるのを確認できたしありがとうございますー。 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/14(月) 13:02:27.04 ID:d84sgl0D0<> 乙でしたーありがとうございます
>>11
>>その声の尖りにさしもの馬超がたじろぐ。 ほんのちょっぴり違和感
○その声の尖りにさしもの馬超もたじろぐ。 たしかこれが正しかったような
>>12
>>「いいけどね。翠に向いてないのは確かだし、ボクが取り仕切っているのほんとだしね」   なんとなくしっくりこないような(重箱の隅カン
○「いいけどね。翠に向いてないのは確かだし、ボクが取り仕切っているのもほんとだしね」  もしくは【取り仕切っているのは】かな?
>> ほーんと、お姉様だけじゃこの涼州はたち行かなかったもの」  これは読みづらい気がします
○ ほーんと、お姉様だけじゃこの涼州は立ち行かなかったもの」  そういえばこれ調べても【たちいく】なのか【たちゆく】なのかいまいちはっきりしないんですよね

て、適材適所、適材適所だからwこの遠慮のない感じ。イイネ!
ところで董家から来てるのは詠ちゃん一人だけ?それとも見えないところで家臣団(モブ)が書類に埋もれて溺死してるのかしら <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/14(月) 21:36:35.47 ID:Zu+4RnS80<> >>14
どもです。

いつもご指摘ありがとうございますー

>て、適材適所、適材適所だからw
そりゃもう適材適所ですとも

>この遠慮のない感じ。イイネ!
やる気満々の詠ちゃんですもの。そりゃ全力ですよ。
董家のことはよく知っているから予算も一番有効に活用できますし!

>ところで董家から来てるのは詠ちゃん一人だけ?それとも見えないところで家臣団(モブ)が書類に埋もれて溺死してるのかしら
さてと考えましたが詠ちゃん一人ですな
そらもう、書類時空では無双状態ですよ

書いてて思ったのは、詠ちゃんと翠って相性実はいいなあと
あれこれ口やかましく翠に言って、それをたんぽぽが宥めて、でもきちんと詠ちゃんは翠の能力は評価していて

主をきちんと客観視なり酷使できる関係になっていきそうな気がしますね
うむ、馬騰さんの目は確かであったことよ^^
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/23(水) 22:26:46.47 ID:s2wcgPej0<> さて、最近南皮で流行っている戯詩がある。

「怨将軍に過ぎたるもの二つあり、趙の子龍に三尖刀。
 いや、星ちゃん、大人気ですねえ」

くふふ、と笑う程立を趙雲は苦い顔で見やる。

「おや〜、不敵で無敵な星ちゃんがそんな顔をするなんて。
これはいいものが見れましたね〜」
「むう。
風はそうは言うがな。自らのあずかり知らぬところで声望が高まるというのは、こう。
 何というか、そのな。非常に不本意で、な」

事実である。
趙雲の声望は日に日に高まる一方ではあるが、そこに彼女はほとんど関与していなかった。

「旅中の二郎さんを襲う盗賊の集団。道連れの風たちを庇いながらでは多勢に無勢……。
 その時颯爽と駆けつけた武芸者とは……!
 いや、臨場感に溢れてますねえ。まるで見てきたようなお話です〜」
「まるっきり立場が逆ではないか……っ!」

楽しそうな程立の声に趙雲は頭を抱える。

「二郎さんはその武芸者の武勇に感嘆し、仕官を持ちかけます。
 『今はその気はない』と袖にされますがさらに言い募る二郎さん。
 ついには自らの俸禄の半分という破格の待遇で迎え入れたのでした〜。
 いや、あの時の丁々発止のやり取りを見ていた身としては感慨深いものがありますね〜」

ぴらり、と取り出した絵姿では紀霊と趙雲が肩を並べて賊と相対している。

「くふふ、英雄への最短距離まっしぐらですね〜」
「う、嬉しくない……」
「きっと二郎さんも、そのはずなのですよ〜」
「む?」

聞けば紀霊の逸話。そのほとんどは捏造や創作であるらしい。
……もっとも描かれないだけで似たようなことをしているのだろうと程立は確信しているが。それはそれとして。

「造られた英雄、という奴なのですよ〜。
 まあ、虚像に実像が追い付いていないから大変だというのがご本人の弁ですが」
「ふむ……」

趙雲は考え込む。

「求められる人物を演じるのもお勤めだそうで、いやはや、難儀なことですね〜。
 その点、星ちゃんなら大丈夫じゃないですか?」

にんまりとした程立に趙雲は苦笑し。

「まあ、ここは乗せられておこうか。そうだな。もとより私の望んだことだ。
 演じきって見せようではないか」
「そですね!星ちゃんの勇気が二郎さんを救うと信じて!」

何だかんだで息の合った二人である。
南皮は今日も平和であった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/23(水) 22:27:31.87 ID:s2wcgPej0<> ◆◆◆

「むむ、二郎は遅いのう……」
「じ、二郎さま、お忙しいですから……」
「にしてもちょっと遅すぎだよねー。シャオ、がっかりー」

彼女らが陣取るのは紀霊の寝台の上。所狭しとばかりに菓子を乗せた皿と蜂蜜水をはじめとした飲み物をたたえた杯が並んでいる。
女子会ならぬ幼女会とでも言うべきであろうか。むしろパジャマパーティ?彼女らは機会を見つけては紀霊の部屋でお泊り会を実施していた。
特に害もないのでもはや紀霊の部屋は彼女らの集会場となっていた。ちなみに文醜あたりが乱入したりもすることもある。

「しかし田豊め、今日はちと厳し過ぎと思うのじゃ……」
「だよねー。二郎が帰ってきたんだからもっと早く解放してくれてもいいのにさー」

ぶうぶうと全身で不満を漏らす。
彼女らの学ぶメイン教師は田豊。「不敗」と二つ名を持つ匈奴大戦の英雄の一人である。
まあ、紀霊や袁紹とかがその詳細を聞けば抗議をするくらいに丸く、穏やかな授業になってはいるのだが。
ちなみに典韋は授業内容についていけていないので出席率は壊滅的である。
……紀家軍の訓練やらもあるので致し方ないのではあるが。
代わりに典韋には袁術と孫尚香が教師役として教鞭を振るっている。

「でもでも!お二人のおかげでわたし、名前を書けるようになりましたし、二郎さまからのお手紙をなんとなく読むこともできるようになりました!」

だから、一生懸命に謝意を伝える。

「うむ、流琉は真面目じゃからの!無論わらわの指導が素晴らしいからじゃがの!」
「シャオだって流琉にはいっぱい教えてるもんね!」

無論、袁術と孫尚香にメリットがないわけではない。
教えることは学ぶこととはよく言ったもので、典韋が理解に苦しむ箇所は彼女らにとっても上手く説明できないことも多い。
幸いにして彼女らは狷介なプライドとは程遠くあり、その、典韋の差し出す初歩的ながらも本質的な課題に全力で取り組む。
解を得られればよし。なければ?
彼女らの周りには英傑が揃っているのだ。一言、呪文を唱えればいいのだ。
「教えて」、と。

「ま、わらわはまだまだシャオには負けんからの?」
「むー、ぜったい追いついてやるんだから!」

田豊の課す試験的なものの成績ではやはり最高級の教育を受けてきた袁術が二歩も三歩もリードしている。
が、孫尚香は。孫家の三の姫は。その血筋を遺憾なく開花、顕現しつつあり、袁術に猛追しているのである。
それがまた袁術の危機感に火を付け、この上なく理想的なスパイラルを形成しているのだ。

きゃいきゃいとはしゃぐ幼女たち。
待ち望む青年がいなくても彼女らは盛り上がり、話は尽きない。
好きな食べ物、見かけた可愛い猫。虹や月食の不可思議さ。それにおどろおどろしい怪談の類い。

彼女らが待ち望む青年が現れた時には、寝台で安らかな寝息を立てていた。

「うお、なんじゃこら!」

そんな叫びを認識することもなく、安らかに夜は更けていくのだった。

「いや、どうすんのよこれ」

下弦の月の美しい夜のことであった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/23(水) 22:28:01.90 ID:s2wcgPej0<> 本日ここまですー

感想とかくだしあー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/24(木) 03:01:38.92 ID:cZTLKC9RO<> 乙っしたー
相変わらずのキャッキャウフフ
もっとあってもいいのよ
おじさんの汚れきった心を浄化してくれてます

タイトル案「風と雲と3美姫の子猫」
「凡人、幼女の寝込みを襲う」
「凡人、幼女と同衾する」 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/24(木) 11:09:36.19 ID:RUfevU+G0<> 乙でしたー
>>16
>>演じきって見せようではないか」  間違いではないですが
○演じきって魅せようではないか」  漢字にするならこちらの方が私の好み、もしくは【演じきってみせよう】普通にひらがなかな
>>17
>>蜂蜜水をはじめとした飲み物をたたえた杯が並んでいる。  意味を分かり易くするためにも
○蜂蜜水をはじめとした飲み物を湛えた杯が並んでいる。   漢字にするかもしくは【飲み物を満たした杯】の方がいいと思います
>>むしろパジャマパーティ? ・・・し、寝衣会?
○むしろ夜更かし友の会?  むーりー、ピンとこない・・・いっそ【夜更かし…明日のお昼寝は確定事項である】とか入れてみるか?
>>彼女らの学ぶメイン教師は田豊。   何とか日本語に
○彼女らの学ぶ教師は基本的には田豊。 ちなみにサブ教師は沮授?麹義さんは今頃俯瞰者さん時空でイチャイチャして…前線から離れてるからこそ後人育成に精出してそう
>>無論、袁術と孫尚香にメリットがないわけではない。  これは分かりやすい
○無論、袁術と孫尚香に利点がないわけではない。    最初に【李典】って出て自分でクスッとしてしまった
>>幸いにして彼女らは狷介なプライドとは程遠くあり、 【誇り】と言うと違和感がありますので
○幸いにして彼女らは狷介な自尊心とは程遠くあり、  でどうでしょう
>>袁術が二歩も三歩もリードしている。  でも直感的な物が絡む内容だとたまに負けてそう
○袁術が二歩も三歩も先んじている。   もしくは【先を行っている】とかでもいいかな?
>>この上なく理想的なスパイラルを形成しているのだ。  スパイラルと言うかシーソーゲーム的と言うかライバル関係と言うか…全部カタカナじゃねえか!!
○この上なく理想的な形で切磋琢磨しているのだ。    【理想的な敵対関係】とかも考えましたが別に敵対はしてないし…理想的な【共栄関係】、【競争関係】あたりかなあ?

造られた英雄像からすればまだ【過ぎたるもの】と言うほどじゃないよね>>趙雲。実際?まあそれを言うなら劉備にはもったいないし
過ぎたるって言うなら親友二人の方がよっぽどなんだよなあ…引き上げた張紘はともかく沮授とかは・・・なお農徳新書作者の肩書
三尖刀は先代がものすごかったからね、やったことが万武不当だから仕方ないね
寝ながらおやつとジュースを飲む幼女たち…我慢できずに寝落ち…地図…アッ(察し <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/24(木) 21:31:41.27 ID:DXTBQe5c0<> >>19
どもです。

>もっとあってもいいのよ
よし、増量だ(見切り発車)

>おじさんの汚れきった心を浄化してくれてます
浄化と言えばシーラ・ラパーナ様

タイトル案、ありがとうございますー
参考にさせていただきますが、風評被害すぎるわw

>>20
赤ペン先生いつもありがとうございますー
早い!

>最初に【李典】って出て自分でクスッとしてしまった
一ノ瀬のPCもそう変換してくるんや……w

>でも直感的な物が絡む内容だとたまに負けてそう
勘働きはそりゃあ孫家のお家芸ですものねぇ

>造られた英雄像からすればまだ【過ぎたるもの】と言うほどじゃないよね
下駄をどんどこ履かせている最中ですね

>過ぎたるって言うなら親友二人の方がよっぽどなんだよなあ…引き上げた張紘はともかく沮授とかは
まあ、その二人は部下ではないということでひとつ

>なお農徳新書作者
内政チートもの……に分類されるのでしょうか

>三尖刀は先代がものすごかったからね
先代に比べて当代は……w

>寝ながらおやつとジュースを飲む幼女たち…我慢できずに寝落ち…地図…アッ(察し
触れてあげない優しさが二郎ちゃんにはあります多分


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 09:44:34.49 ID:PsHNeLVp0<> 立てば害獣 座れば地雷 歩く姿は疫病神(ぱくり)

いつか使いたい言葉メモでした <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/26(土) 10:37:01.98 ID:6KJYaJQV0<> 立てば炸薬座ればボカン歩く姿は武器の鞘?(難聴感 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 11:59:27.08 ID:PsHNeLVp0<> >>23
語源に響きが近い。お見事!

こういうの、才能だよなあ(妬み) <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/26(土) 14:53:57.64 ID:6KJYaJQV0<> いや、才能以上に努力の方かな・・・まあ努力と言うか読書だけど
聞き覚えのある言葉が多ければそれっぽいのが頭の片隅から引っ張れるから
立てば爆発座ればドカン歩く姿は弓と矢だ。とか適当に入れると最後が微妙に安全っぽく見えたりする。でも最後に(JOJO感)と入れると印象も変わったり

そもそも才能の持ち主はこういうオマージュ()と同じくらいにオリジナルが上手い物なのです


『バカはバカさ。間違いもする。自分も見失う。信じて委ねてもバカを見るだけだ』

「そう言うと思いました。あなたはそういう人だ。 絶対に自分を見失わない。自分の理想を裏切らない。 だから誰の言葉も必要なく、誰からの助言も必要のない人だ」

人に頼ってばかりの主人公に対して、人格破綻してること以外はおよそ完璧超人な宿敵へのそいつの元配下(裏切り者)の言葉
実際何もかもが他人の上位互換に成れるようなチートって本質的には他人を必要としないよね <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/26(土) 15:05:44.02 ID:6KJYaJQV0<> 「『理想の私』が出来るまで、『私』を作ればいい。 『私』を素材として使い潰し続ければいい。簡単な話だろう?

 君達とは違い、『私達』は意味のないこだわりに行動を制限されたりはしないからね」

「健全な私が必要なら、その時新しく作ればいいじゃないか。何か変かね?」

「全ては私の勝利のためさ。

 そのために全力を尽くしているだけのこと。

 君達がかかずらっている物事に、私は囚われていないと言うだけのことだろう?」


自分のクローンを無限に作ってそれを弄繰り回して最強チートキャラを作ったお人の言葉・・・ちなみに既にオリジナルは死んでるらしい <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/26(土) 15:26:47.28 ID:6KJYaJQV0<> あっと、主人公側の台詞も入れとくか
 

「バッカだなお前。 オレがオレの戦闘力や察知能力信じてるわけがないだろ。

 オレが信じてるのは仲間の強さだけだ。 自分にできないことは、自分より優れてる友達に補ってもらえばいいんだよ」

 「この他力本願がっ―――!」

「オレの強さを侮るのはいいが、オレの仲間の強さを侮ったやつは例外なく負けるんじゃ」

「かっちゃん絶好調だね。今何も考えず勢いで適当なこと喋ってるでしょ」


やっぱり主人公と敵は同じタイプか真逆のタイプだとストーリーが作りやすいらしい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 21:19:04.91 ID:PsHNeLVp0<> 赤ペン先生であったか……

>そもそも才能の持ち主はこういうオマージュ()と同じくらいにオリジナルが上手い物なのです
なるほどなあと思いながら、頑張らないといかんなあという思いを新たにしたりしなかったりです

様々、考えながらふらふらしとります

>やっぱり主人公と敵は同じタイプか真逆のタイプだとストーリーが作りやすいらしい
相克があるとやはりわかりやすいですからねえ
似たもの同士の同族嫌悪よりもやりやすいだろうなあとは思います

今日はやるぞいっと

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 21:25:21.63 ID:PsHNeLVp0<> 如南。
袁術が太守に任じられ、その名代として袁胤が統治している地である。
その土地は袁家の統治により急速に治安を回復させ、発展しつつあった。

「袁胤様におかれましては、ご機嫌麗しく」
「ふむ、苦しゅうない」

四世三公。
輝かしいばかりの袁家の血筋。その中でも血筋で言えばトップクラスである袁胤は張勲の慇懃な礼を無造作に受け取る。

「ああ、張勲。いや、うちとしたことが間違えましたな。そこな女郎。ちょっとばかし調子乗っとんちゃうか?
 張家の当主とか、ちゃんちゃらおかしいわ。
 袁家に使い潰される道具ならそれらしく這いつくばっといたらよろしいねん」

玲瓏たる声。
それを張勲に浴びせるのは許攸。袁胤の腹心である。
その能力は疑いなく、将来袁家を背負うであろうと目される逸材である。

「これ、張勲は我らとその理想を同じくする間柄でおじゃる。
 麻呂に免じてこの場は治めるがよい」
「は。あい分かりましてございます。
 張家当主はん?えろうすんまへんかったな?」

にこり。
張勲は視線を許攸から、ゆっくりと袁胤に移す。

「それはご無礼を。
 ご指摘の通り、張家当主となったとは言え若輩の身。よろしくご指導ご鞭撻いただければ幸いです」

張勲の声に袁胤はほ、ほ、と笑みを漏らす。

「よい。麻呂は寛大じゃからの。そちの忠誠、期待しておるぞ?」
「はい。ご期待くださいませ」

あくまでにこやかで穏やかな張勲に許攸は舌打ちを一つ漏らす。
重ねるように咳払いを一つ。そして袁胤は再び口を開く。

「それはそれとしてじゃ、麻呂達はこれで不安定な身よ。
 流されているにも等しいでおじゃる。
 この状況はいつまで続くのかの?」

実際今のままでは袁胤は詰んでいる。袁家の中でも非主流派をまとめ上げてはいたのだが、手勢諸共如南に押し込められている。
このまま飼い殺し、或いは誅滅という可能性もないではない。
それでも田豊、麹義といった文武の要が袁紹を支持している中、非主流派をまとめ上げていた袁胤と許攸の手腕は特筆すべきものである。
そして今、田豊が引退し、その後釜に収まったのは沮授。能力はともかく若輩であり、付け込む隙はあろう。何より田豊を相手にするよりは易かろう。
欲を言えば麹義にも退場願いたいのだが。

「流石に田豊はんと麹義はん双方に喧嘩売るほど無謀やないですしなあ。
 せやけど、四家の当主も代替わりして威は低下しとる。
 筆頭たる文家は脳筋もええとこ、顔家は洛陽にあって影響力は低下しとる。
 紀家なんて上げ底もええとこやし、張家に至っては。はは、お飾りや」

じろ、と張勲を一瞥する。抑えるつもりもないのであろう。その視線には侮蔑の色合いが濃くにじみ出ていた。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 21:25:49.16 ID:PsHNeLVp0<> 「んー、如南に流されて鬱憤溜まってるのは分かりますけどー。
 南皮にいるより色々と動きやすかったんじゃないですか?
 悪いことばっかりじゃなかったはずなんですけどねー」

その視線に困惑めいたものを浮かべながらも張勲は話を進める。

「好機であるというのには同意です。未だ袁紹の新体制は盤石とは言えません。
 そのために袁胤様たちを如南に追いやり、足元を固めているわけですから。
 なのでそろそろ動いちゃった方がいいかと思います」

張勲の声に袁胤は深く頷く。

「そうでおじゃるな。機は熟せり。いよいよ、かの。
 まずは美羽を確保するのが前提でおじゃるが、そこはどうするのじゃ?」
「はいー。美羽様もそろそろ一度は如南を視察した方がいいということで、こちらに向かう計画は出ています。
 それをきっかけに動くことを想定していますね」
「なら邪魔な紀霊が帰ってくる前に動いた方がよかったんちゃうんか?」
「いえ、それは得策じゃないですね。美羽様が如南に囚われていると知れば、手段を選ばないでしょう」

くすり、と笑う張勲を許攸は睨みつける。

「やったらなんやっちゅうねん。あの単細胞に何ができるかいや。
 ここ如南は袁家の領域やない。軍を派遣するなぞできひんし」
「あの人ならやりかねませんけどね……。まあそれは置きましょう。
 きっと袁家最高戦力を動員するでしょうね。ことによったら外部から手を借りるかもしれません。
 袁家からはそうですね。文醜、顔良、趙雲、典韋。手の内にある孫家からは黄蓋、周泰、ことによったら孫策に甘寧。
 交流のある曹操からは夏候惇、夏侯淵。もしかしたらたら馬超や馬岱。ひょっとしたら馬騰すら参戦しかねませんよ?
 ああ、董卓配下の張遼に……呂布すら来るかもしれませんね。
 二十に足りない一行ですが、いや、正直考えるだけでおしっこ漏れそうですね?」

二十名足らずの一行の動きを規制や把握なんてできませんからね、と張勲は笑う。
そして挙げた人名への反応で相手の認識を引き出し、満足する。まあ、こんなものかと。

「まあ、ええやろ。紀霊の恐ろしさはその交友範囲やっちゅうことやな。
 やからおびき寄せて誅滅すると。それはええわ。実際どう始末するかやけども。
 此方からは五千までは出せる。後は賊の仕業にでもするんか?」
「妥当ですね。最悪暗殺ということになりますけど」

張勲の言葉に許攸は首をかしげる。

「そないに簡単にいくんかいな?」
「ええ。眠らない人、物を食べない人はいませんから。
 そのために私は身体を重ねているようなものですし」

くすり。
その笑みの凄味に流石の許攸も息をのむ。
辛うじて売女め、とつぶやき平静を保つ。


「ふむ、邪魔者の紀霊を排除したらどうするのでおじゃるか?
 賊の仕業にしても暗殺するにしても張家は責められよう」

袁胤の指摘はもっともである。どちらの方策で紀霊を排除するにしても諜報を司る張家の権威の失墜は免れない。

「その責は私が取ります。
 張家当主は弟の張?に。
 私は美羽様の慰撫に努め、表舞台には立ち戻りません」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 21:26:17.04 ID:PsHNeLVp0<> ふむ、と袁胤は頷く。
そして紀霊亡きあとの絵図を示させる。

「如南は数年にて荊州へ或いは益州へ入ります。
 言っても如南は袁家の治める三州に近いので。
 その手の及ばないであろう土地に州牧として参ります」
「ちょい待ちぃ。そないなこと、上手くいくんかいな?」

州牧の地位などそのように軽く手に入るものではない。許攸の疑問はもっともである。

「大丈夫でしょう。美羽様が荊州牧になることまでは既に何進大将軍からも認可を得てますからね。
 むしろ反対勢力なんてないのでは?」
「……なるほどな。十常侍も賛成に回るっちゅうことかいな。
 何進からしたら筋書き通り。十常侍からしても大きくなり過ぎた袁家が割れるのは歓迎。
 せやな?
 荊州ならば袁紹が兵を発しても孫家を。あの戦闘集団を盾にしたらええ」

にこり、とほほ笑む張勲に袁胤は破顔する。

「ほ、ほ!
なるほどの。確かに確かに。十常侍が袁家を敵視するのはその隆盛が故。
 故に麻呂が袁家を割るのは歓迎されるのう。
 何進としても、十常侍を排除した後は袁家が疎ましくなろうて。
 ふむ、見事じゃ」
「はい。袁紹はともかく、袁胤様と敵対する理由は何進、十常侍ともにありませんし」
「よく分かっておるの。そういうことよ。隆盛極まれば排除されるのみよ。
 栄えるのはよいのでおじゃる。じゃが、紀霊はやり過ぎたのでおじゃるよ。
 手を組んでいる何進とて十常侍が亡びれば次は袁家でおじゃろう。
 その程度のことも分からんから紀霊は阿呆なのでおじゃる」

中庸、というものを考えろと袁胤はぼやく。

「よい、詳細は許攸と詰めよ」

優雅な所作で袁胤は室を去る。

「ほんなら、まあよろしゅう頼むで、お飾りの張家当主はん?」
「はい、張家当主としてお会いするのはごく短い間になりそうですね。 
 よろしくお願いしますね」

嗤う許攸とほほえむ張勲。

二人の様子を袁胤は満足げに見守るのであった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 21:26:45.26 ID:PsHNeLVp0<> ◆◆◆

「さてさて、そろそろ南皮に帰りますか。
 ああ、美羽様お元気かなあ。きちんとご飯食べてるかなあ。
 蜂蜜水ばっかり飲んでないかなあ。
 田豊様に苛められてないかなあ。
 涙目な美羽様も可愛いけどなあ」

くすくす、と張勲は主君の愛らしい顔を想像して頬を緩ませる。

「姉上、よろしいか」
「はいはーい、なんですか張?くん?」

音もなく、いつの間にか姿を現していた張?。彼の長身に驚いた風もなく応える。

「は、鼠がいますが、いかがしましょうか」
「あら、これは気づきませんでしたね。流石は張?くん。すっかり穏行系についても置いてかれましたかね」

特に気にした風もなく張勲は微笑みながら思いを巡らす。

「どこの手の者かは分かりますか?」
「は、おそらく袁胤殿……いや、許攸殿の手の者かと」
「なるほどですね。まあ、信用されていないのは知ってましたが……。
 南皮にでも向かわせればいいのに、足を引っ張り合ってどうしようというのでしょうね」

くすくす、と可笑しげに笑う。

「やはり刺激せぬよう、泳がせたままでよろしいか」
「いえ、処分しちゃってください」
「……よろしいので?」

ただでさえ微妙な関係なのだ。こちらから仕掛けるのはまずかろうとこれまでも見逃してきた張?である。

「構いませんよ?ただし条件が一つ」

ぴ、と指を一つ立てて厳かに命じる。

「一人たりとも逃がさぬように、です」

ぞく、と背筋にうすら寒いものを感じながら張?は首肯する。

「承りました。では、行きます」
「あら、張?くん自ら行くの?」
「ええ、此度は私一人で十分です」

す、とその場から張?は姿を消す。

「まあ、張?くんなら間違いはないか。よ、殺人鬼!こわいぞー」

くすり、と笑いを漏らす。
こちらに送り込むというからには精鋭のはずである。
それが許攸の手の者ならよし。他勢力であってもまあ、問題はない。

情報源を張家以外にも持とうとするのはごく自然な思考ではあるが、放置してよいこともない。
張家当主たる自分を探らせるのであればおそらく一流の細作であろう。
が、張?にかかっては一山いくらの有象無象にすぎないはずだ。

「あまり侮られても困りますし、ね」

さて、それは誰に対しての言葉か。
くすり。
いつも通りに笑みを浮かべて彼女は歩き出す。
絡み合う糸を紡ぐ彼女こそは絡新婦。
袁家の闇を担う張家の最高傑作である。
天下すらその手に転がすことさえ可能な、規格外の化け物である。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/26(土) 21:27:54.65 ID:PsHNeLVp0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

タイトル案はなー

「女郎蜘蛛の理:如南にて」

ううむ。今ひとつなのでお知恵をよこせください
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/05/26(土) 22:31:35.70 ID:wse8hUE6o<> 乙です。
やはりここの張勲はいい…暗い笑みがこっちにまで移りそうだぜ

タイトル案はパッと見罠か裏切りかまだ分からない内容を、蜘蛛の縦糸と横糸の性質の違いにかけて
「如南の蜘蛛糸は縦か横か」
なんて投げておきます <> 赤ペン<>sage saga<>2018/05/28(月) 18:11:14.05 ID:AJpe+6/f0<> 乙でしたー
>>29
>>その中でも血筋で言えばトップクラスである袁胤 そもそも作中に出てる袁家で存命が確認できるのは3人しかいない気もするけど
○その中でも血筋で言えば最上位である袁胤    それはそれとして日本語訳・・・あるいは【最高峰】とか?
>>麻呂に免じてこの場は治めるがよい」  これは()を入れるとこの場は(矛を)おさめるがよい・・・ちなみに第3者(この場合は袁胤とか)の場合は治めるかも
○麻呂に免じてこの場は納めるがよい」 実際に剣を出してるわけではないですが(強いて言えば舌鋒?)納刀するイメージでこちらですね、あるいは納得
×麻呂に免じてこの場は収めるがよい」 ちなみにこれだと収集を付けることになりますが自分から噛みついた人がすることではないので違いますね
>>30
>>もしかしたらたら馬超や馬岱。 彼女の場合違和感はありませんが
○もしかしたら馬超や馬岱。   一応【たら】が一回多いですね
>>その笑みの凄味に流石の許攸も息をのむ。 流石のって言うほど胆力あるように見えない不具合・・・袁胤が息を飲んだら【流石の】って感じだけど
○その笑みの凄味に流石に許攸も息をのむ。 流石に(調子に乗って軽く見ていた)許攸も〜と言うならこうですね
>>32
>>彼の長身に驚いた風もなく応える。  これだと【彼の体の大きさに驚いた風も無く】っぽく読めるので
○彼の影に驚いた風もなく応える。   人影とかの感じで【突然現れたこと】に驚かないならこんな感じでどうでしょう
>>足を引っ張り合ってどうしようというのでしょうね」  細かい事ですが張勲は(まだ)袁胤陣営の足は引っ張ってないですし仮に引っ張っててもそれを認めないし口にもしないんじゃないかな
○足を引っ張ったりしてどうしようというのでしょうね」 だって引っ張り合いだと【どうしようというのでしょうね】がブーメランですから

ふむふむ、この二人はなんだかんだで汝南を発展させるほどの内政手腕の持ち主と、能力は疑うことなく将来の袁家を背負うほど。か
その前提で読むと許攸の行動もどこまでが素でどこまでがワザとなのか・・・少なくとも許攸の舌打ち→袁胤の咳払いは胡散臭いな
あとは侮蔑の色をにじませてる視線も無駄が多いし・・・いくつかは袁胤の指示が混じってるんだろうな、
ここまで敵意むき出しならそりゃ張ゴウ君もネズミの飼い主は許攸だと思うわ、多分事実許攸だろうし・・・袁胤がどこまで分かってるかは分からんなあ
ここまで一応とはいえ仲間の超勲に敵意むき出しの許攸、しかも最初の方で袁胤から窘められても変わらない・・・こーれーはー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/05/28(月) 21:19:59.89 ID:pH9Pbqs20<> やる気が出ているのは皆様のコメントのおかげ。
これははっきりしております。ありがとうございますー

>>34

>やはりここの張勲はいい…暗い笑みがこっちにまで移りそうだぜ
作中最強格キャラですからね。
その格を感じられるように頑張りまし

>「如南の蜘蛛糸は縦か横か」
いい……

もらうかもです

>>35
赤ペン先生いつもありがとうございますー

>その笑みの凄味に流石の許攸も息をのむ。 
なるほど、確かにですね

>ふむふむ、この二人はなんだかんだで汝南を発展させるほどの内政手腕の持ち主と、能力は疑うことなく将来の袁家を背負うほど。か
旧作より強化されております。

>その前提で読むと許攸の行動もどこまでが素でどこまでがワザとなのか・・・少なくとも許攸の舌打ち→袁胤の咳払いは胡散臭いな
鋭いです。
そこについては駆け引きがあるということですね。読み取って頂きましてありがとうございますー
ネタバレになりますが、こっから盛り上げていくところもあるのかなとか

>ここまで一応とはいえ仲間の超勲に敵意むき出しの許攸、しかも最初の方で袁胤から窘められても変わらない・・・こーれーはー
マウンティングというっやつかな……
だって落ち目ですものね、彼ら

というのを読み取れるようにせんといかんであろうというのと、もやもやしてもらったほうがいいのかなあとかなんとか思いながらつづくー

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/04(月) 22:41:45.31 ID:WfoahdMb0<> 洛陽。400年にわたりその命脈を保っている漢王朝の首都である。
その中心の禁裏こそはこの中華の中心。魑魅魍魎が闊歩する伏魔殿である。
現在その主たる皇帝は病篤く、実権は大将軍たる何進が握っている。
「肉屋の倅」と蔑まれているがその手腕は確かであり、現在漢王朝を実質的に支えているのは彼とその一派である。
彼を敵視する十常侍すら手出しできないだけの権勢。そしてそれは時が進むにつれ確固たるものとなっていく。
そして今上帝の皇后は何進の妹であり、その嫡子は次期皇帝の最右翼である。
もっとも、その嫡子である劉弁の評判は必ずしも芳しくはない。

惰弱、優柔不断、怠惰。

対して対立候補である劉協の明敏さは知れ渡っている。
董皇太后が自ら教鞭を振るったとも言われており、心ある士大夫は劉協を支持している。
厄介なことに十常侍も劉協を支持しており、後継争いは混迷している。
で、あるから清流派とも呼ばれる士大夫の一派はどちらに与することもせず静観している。

何進の勝ちは見えてはいても、庶人と侮った男におもねることは彼らのプライドが邪魔をし、むしろ劉協を支持することを理由に十常侍に与する者も少なくなかったのである。
それが一変したのはやはり袁家の影響力であろう。
四世三公という名門の血統、抱える武力、名声。
それが何進と組んだのである。
元々目端の利く士大夫は何進の有利は予見していた。が、プライドが邪魔をして勝ち馬に乗ることができなかったのである。
それが、あの名門の袁家が膝をついたのだ。
雪崩をうつように膨れ上がる勢力に何進は笑いが止まらない。
だが、と華雄は思うのだ。

「何か言いたげだな?」

それを見透かしたように何進は問いかけてくる。
自らの抱える疑問を上手く言葉にできるであろうか。そんなことを思いながらも華雄は口を開く。

「は。いささか疑問があります。
 今上帝の後継たるは劉弁皇子と劉協皇子。しかるに、その素質を比べると、その……」

流石の華雄が言葉を濁す。
想えば目の前の男の甥にあたるのだ、劉弁は。

「く、ハ。何を言うかと思えば。くだらん」

ばっさりと切り捨てるその言葉に華雄は首をかしげる。

「劉協が小利口であるというのは知っている。
 が、それがどうした。
 皇位を継ぐのは我が甥劉弁だ。それはもう決まっている」

にやり、と獰猛な笑みを見せる何進。

「む。だが……」
「劉弁にはろくな噂はないだろうからな。
 それはいい」

華雄は流石に言葉を喪う。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/04(月) 22:42:12.12 ID:WfoahdMb0<> 「あれが自分の判断すらできん愚物であるのは確かだ。
 俺がそう作り上げたから、な」

ニヤリ、と笑う何進の凄味。
華雄は戦慄する。絶句する。
そして、その言葉の意味を理解し、自失。

そして激昂。ほとばしる激情。

「な、何とおっしゃるか!漢朝を背負う方を愚物に仕立てたと、そう、おっしゃるか!」

その声に何進はそれでも応えるのだ。
静かに。笑みをたたえて。

「ああ、そうだよ。その通りさ」


何進が漏らした言葉。それに華雄は激昂する。
その様子に何進は笑みを深める。

「だからお前は阿呆なのさ」

ククク、と笑いながら、どこか興に入ったのだろう。声を上げて笑う。
愉快そうに、楽しそうに。

「む、貴方はそうやっていつだって私を馬鹿にして!」

漏れる声には悲痛さすら漂う。

「はは、よくもまあ、恥を晒すな。
貴様はそれでいいのさ。それでいいのだよ」

何進のその言。それは彼女を軽んじるものだが、その表情はそうではなかった。

 「俺はこの漢朝を立て直す。それは旧態依然な士大夫には無理なのさ。
だから反発もあるだろう。
 だから権力が必要なのさ。
 だから俺は劉弁を愚物にしたのさ。
 ……あれで可愛い甥だ。排除したくはないからな。
 そして、あいつはあれで弁えているぞ?
 あれを愚物、と言う奴こそ哀れさ。
 あれはあれで俺の甥だ。いざとなれば。いや、これは俺の言うべきことじゃあないだろうな」

いつになく上機嫌な何進に、華雄の戸惑いは深まる。

「劉協は確かに傑物かもしらんな。だが、まだ未完の器よ。それに惹かれるのもいいさ。
 が、あまりに潔白だ。そしてあまりに露骨だ。
 ああ、それはいい。いいんだ」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/04(月) 22:42:44.89 ID:WfoahdMb0<> 何進はニヤニヤとしたその笑みを深める。

 「ただ、俺を敵としてしまった。これはいかん。いかん。
 これは流石に致命的だったな」

肉食獣の笑み。
捕食者の笑み。

「どうせ劉協には未来はない。
 どうせなら俺が引導を渡してやるのが慈悲というものさ」
「む?」
「カハ、劉協は有能さ。英傑たる素質もある。
 だがな、誰がそれを望む?
 万が一に俺を謀殺して権力を手にするとしよう。
 ならば次は十常侍と争うだろうさ。 
 あの坊やは有能すぎるからな。あれはいかん。直に十常侍と食い合うだろうさ」

ククク、と愉快そうに笑う。

「十常侍に勝ったとして誰が付いてくる?
は、誰もいないさ。
 いっそ哀れというものさ。きっと理想に囚われて溺死するだろうな。
 漢朝、この中華を道連れに、な」

かか、と高らかに笑う。

「だから劉弁は愚鈍でいいんだよ。何事も自分で決められず、右往左往し、俺に裁可の是非を問う。
 それでいいんだよ」

例え自分が退場しても、その特異性故に最後まで生き残るであろう。
漢王朝の権威を継承するために。

「クク、俺らしくもねえ。
 淀んで、腐って、無能の極み。
 時代の流れを分からん士大夫などには世を任せられるかよ。
 クハ、笑わせるな……!」

高らかに笑い、気炎を吐く。

「は!は!
 もうすぐ、もうすぐだ。もうすぐ俺の思うように世は動くさ。
 ようやく、ようやくだ……」

気炎万丈とはこのこと。さしもの華雄も、以降口を挟むことはできなかった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/04(月) 22:45:39.09 ID:WfoahdMb0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名はなんだろなあ

洛陽の汚泥
汚泥
栄華

うむ。いつも通りいまいちやで

深刻に絶望なので、いくつでも案くだしあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/04(月) 23:06:26.14 ID:/Jto8ufxo<> 乙です
何進さんまじ悪のカリスマ
そして劉協くんは才はあっても機と人がないのだなぁ、まあ有能で潔癖な君主が活きる機なんてほぼないのだけれど

タイトル案は
『洛陽の裏に何が嗤うか』
とでも投げておきます
『何』の字を『なに』と読むか『か』と読むかはご自由に、ということで <> 赤ペン<>sage saga<>2018/06/05(火) 15:07:16.47 ID:BOs4bT950<> 乙でしたー
>>37
>>その中心の禁裏こそはこの中華の中心。魑魅魍魎が闊歩する伏魔殿である。  前の話と後の話が繋がってるので
○その中心の禁裏こそはこの中華の中心、魑魅魍魎が闊歩する伏魔殿である。  の方がいいと思います、あるいは【…】とか【---】でつなぐとか?
>>庶人と侮った男におもねることは彼らのプライドが邪魔をし、 誇りって言うほど綺麗なもんでもねえよなあ
○庶人と侮った男におもねることは彼らの自尊心が邪魔をし、  でどうでしょう
>>が、プライドが邪魔をして勝ち馬に乗ることができなかったのである。  同上で
○が、自尊心が邪魔をして勝ち馬に乗ることができなかったのである。   直訳すると【傲慢さ】だっけか
>>流石の華雄が言葉を濁す。  こいつってそんなに空気読めないっけ・・・読めないな!(原作をちら見しつつ)
○流石の華雄も言葉を濁す。  ()を入れると流石(歯に衣着せぬことで有名な)の華雄も みたいな?【流石の〜】は普通ならしない(できない)ことをする(できる)ので【流石の○○も】が一般的ですね
例えば【流石の呂布もひとたまりもない。】とか【流石の孔明も策に嵌まった。】とか【流石のガンジーも助走付けてぶん殴る。】とかなんかそんな感じで
>>想えば目の前の男の甥にあたるのだ、 思想とか…ちょっと説明しづらいですが《主観的に心が揺れ動く場合》に使うのが【想う】な感じですね【あなたを想って夜も眠れません】みたいな
○思えば目の前の男の甥にあたるのだ、 思考・・・要は【考えてみれば】と言い換えられそうな場合はこちらですね
>>「劉弁にはろくな噂はないだろうからな。  それはいい」  〜だから。それはいい。 だと違和感が
○「劉弁にはろくな噂はないだろうがな。  それはいい」   悪いところはあるが、それは(どうでも)いい というならこう
○「劉弁にはろくな噂はないだろうからな。  それでいい」  ろくでなしだからこそ、それで(俺にとっては都合が)いい と言うならこんな感じですね
>>38
>>そして激昂。ほとばしる激情。 〜それに華雄は激昂する。  なんとなくですが近い所で2回もすると軽くなるというか華雄が単なる癇癪持ちっぽくなるので
○そして激発。ほとばしる激情。 〜それに華雄は激昂する。 まあ適当に、とりあえず別の言葉に言い換えてみるあとは【激憤】、【激怒】、【爆発】でも文章から読み取れるかな

でも史実だと劉弁って董卓によって隠居!からの突然の死!なんだよなあ・・・ついでいうとこの頃の劉協君はまだ一桁才のはず…それで多少の才気が有ってもなあ
そもそも誰が教育するのか、教育係を任命するのかを考えると…何進OR十常侍(の息のかかった人)あっ(察し 不可避よね
多分無能な怠け者と無能な働き者の兄弟だったんじゃないかなあ・・・董卓の強硬な凶行を見るに下手したら有能な怠け者の可能性すらあるで劉弁
ここで史実董卓さんにクエスチョン;何進が十常侍に殺され、その十常侍を粛清して実権を握った状態で何故無能な兄をわざわざ隠居させて有能な弟を頭に据えたんですか?(配点;特になし)
まあココは恋姫世界だからね、ふわっとふわっと・・・ただ劉協有能説は胡散臭いのよね、多分何進への反発から劉弁sageして劉協ageしてただけじゃないかなあ
だって有能って言ったって具体的に何ができるのよ?ってね。詩、算数、乗馬?それ皇帝に必要な能力なんですかねえ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/05(火) 21:57:56.94 ID:8lQBu6mb0<> >>41
どもです。

>何進さんまじ悪のカリスマ
正直何進さんは凡将伝の差別化ポイントでもあるのだなあと思ったりしました。
いや、当初そんなつもりなかったですけどね。
おおむね好評で嬉しい限りす

>劉協くんは才はあっても機と人がないのだなぁ
中々難しい立場ではあるのですがね。ままならんものです。

>>42
赤ペン先生いつもありがとうございますー
早い!

>誇りって言うほど綺麗なもんでもねえよなあ
自尊心、なるほど!

>【流石のガンジーも助走付けてぶん殴る。】
これ私の癖ですというか、こういうネタ仕込んでるの、好きですw

>劉弁って董卓によって隠居!からの突然の死!
これはもう間違いなく魔王董卓ですわw

>董卓の強硬な凶行を見るに下手したら有能な怠け者の可能性すらあるで劉弁
>強硬な凶行

>ここで史実董卓さんにクエスチョン;何進が十常侍に殺され、その十常侍を粛清して実権を握った状態で何故無能な兄をわざわざ隠居させて有能な弟を頭に据えたんですか?(配点;特になし)
これはほんとうに謎ですね。色々と面白い仮説とかありそうです

>・ただ劉協有能説は胡散臭いのよね、多分何進への反発から劉弁sageして劉協ageしてただけじゃないかなあ
結果論ですが、禅譲した皇帝が無能じゃまずいのじゃないかなあという忖度感
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/06(水) 23:36:24.20 ID:r8jYl2jY0<> ちくせうだめだかけねー(挨拶
>>1や今回のクrもといドラ何進さんみたいにかっこよく量産できればいいのに
玉璽なくても何進さんのカリスマがビリビリ感じられました

つーことでテンション上げるために聴いてた曲から連想してみたラフなぞでお茶を濁しておきまする
いちおー描いてはいるのよ?的な意味で(汗
ttps://www.axfc.net/u/3913378 (ヒント:曹操の真名アルファベット5文字) <> 赤ペン<>sage saga<>2018/06/07(木) 16:21:43.76 ID:e5sRW0OB0<> 最後の手前あたりでエラーになる・・・サイトがメンテ中?まあ夜にでももう一回やってみよう

>強硬な凶行 ・・・一ノ瀬さんのドS!!私の心は深く傷つきました(目薬)特に謝罪はいらないので惇ネエと次郎と猪々子辺りでお互いの治めてる町案内を書いてください(ワンブレス) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/07(木) 20:16:59.33 ID:HrC3rGkJ0<> >>44
み、見れません

何回かトライしたけどあかんかったやで

>>45
>一ノ瀬さんのドS!
えひゃひゃ

>惇ネエと次郎と猪々子辺りでお互いの治めてる町案内を書いてください(ワンブレス)
これ、二郎ちゃん以外は政治に興味ない人らやん!
まあ、治安の方でワンチャンあるかな?

つまりデートかな?
<> 赤ペン?<>sage<>2018/06/07(木) 22:06:59.85 ID:e5sRW0OB0<> だって隠れ家的なお店とか馴染みの酒屋とかリーズナブルなのに詳しそうじゃん
なんとなくあの二人が揃ったら飲み勝負とかしそうなイメージ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/07(木) 22:13:52.37 ID:HrC3rGkJ0<> >>47
ああ、三人で行くのですね
それは普通に楽しい旅番組ができそうっすね

アド街になるか、夕焼け酒場になるか……
あんまり変わらないか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/07(木) 22:26:28.41 ID:/Tgp/YUy0<> 鯖の調子が悪いようです
別所にうpしてみて大丈夫だったのでお手数ですがこちらでどうぞ
ttp://fast-uploader.com/file/7083933421188/ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/07(木) 22:31:40.55 ID:HrC3rGkJ0<> >>49
見れました!保存しました!
ありがてえ、ありがてぇ……

これはりりしい華琳様。これには姉者もうっとりやで!
なお二郎ちゃんはそっとその場を離れる模様

だってこの後ニヤリとしながら無茶ぶりされるに決まってるやん…… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/07(木) 22:32:42.92 ID:HrC3rGkJ0<> ん?でもはおーにしては胸部装甲がご立派な気も……w <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/06/07(木) 22:51:27.00 ID:/Tgp/YUy0<> 見られてよかったです
絵師さんそれぞれではあるのですが、おっきく描くと(特に正面からの場合)、
上半身の骨格と筋肉を(胸で見えなくなるので)あんまり考えなくてよくなるので楽だったりします
今回のは素材として使うときに映らなくなる想定だったのであんまり考えずに標準サイズで描いてしまいましたww

二郎さんの食糧増産体制が間に合った結果こうなったってことでも可ww
戦国で絵柄変わった上に装甲がほとんど軒並み低下してるので正直消化しきれてない私 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/07(木) 22:59:12.04 ID:HrC3rGkJ0<> >>52
ほんまありがとうございますー

>上半身の骨格と筋肉を(胸で見えなくなるので)あんまり考えなくてよくなる
はえー。すっごい。
そんなとこまで考えてるのだなあと感心しきりですだよ

>二郎さんの食糧増産体制が間に合った結果こうなったってことでも可w

でも幼少時より麗羽様のご立派なものを日常的に見てたらコンプレックスにはなってそう

絵柄の変化ですか。
すごいなあ。文体の変化とかあまり意識してないという意識低い系ですがお見捨てなきようオナシャス
<> 赤ペン<>sage saga<>2018/06/08(金) 15:44:56.89 ID:2pdSasap0<> 関係ないことだけど傾向進化によって人間の悪意を研ぎ澄ませた6って人間の強みである年中発情期の高い繁殖力も遺書に研ぎ澄ませてそうよね
そして当然その血はその子供にも遺伝して・・・別にこことは何の関係も無いことだけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/10(日) 22:21:16.30 ID:DN/WNsTu0<> そのはっそうはなかった

ただの床上手(テクニシャン)ではなかったのか……w <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/11(月) 18:09:32.84 ID:ytKiUPFJ0<> 定食までいけたからいいかな(艦これ)
米がめっちゃ余ってるんだけどどうしたらいいのこれ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/13(水) 22:35:47.74 ID:JQ/Eu+lG0<> 「だからね、沙和は言ってやったの、『お嬢ちゃんたちにはちょっと早いんじゃないかなー』って」
「せやなあ、いくら背伸びしたいお年頃やからってちょーっと。ちょっとばかしおませさん過ぎやわな。
 つ、艶本はなあ。流石にあかんやろ。
あ、お姉ちゃん、こっちにお酒と料理追加なー」
「ま、真桜。少しは遠慮というものをだな」
「ええやんええやん。お大尽様のありがたい。ありがたーいお下知があったんやし、遠慮なくご馳走にならな失礼にあたるって」

はい、女という字を三つ重ねれば姦しくなるというわけで。
最近影の薄い二郎です。
でもね、それでいいのだ。美少女たちにたかられるくらいでいいのだ。
なので一言。

「ああ、遠慮せんでいいからね。俺がお邪魔してる立場だしな」
「流石二郎はん!太っ腹!男前!」

いや、せっかくのご飯なら一人で食うより美少女たちと食う方が楽しいしね!

「でも、相変わらずなの。
ふらふらしてて羨ましい身分なのー」
「わはは、妬ましかろう、羨ましかろう」
「開き直るにもほどがあると思うのー」

わいのわいのと賑やかな会話。それをさりげなくリードするのは沙和である。
会話をしながらも料理を取り分けたり、空いた杯に酒を注いだりと気遣いのも欠かさない。こういう存在って結構貴重なのよね。
そういや、近頃はファッションリーダーとしてもその地位を高めつつある。
最近は麗羽様をコーディネイトしたりもしているらしい。今度、どう褒めたらいいかとか相談しようかとも思っている。

「しかし今更だけどよかったの?三人で休み合わせてのお昼だったのに」

偶然街で出会ってごらんの有様かつ、ごらんのスポンサーなわけである。

「ええねんええねん。二郎はんとも久しぶりやしなー。
 さぞかし旅先でも相当はっちゃけてきたんやろ?そこらへんも聞いといて損はあらへんし」
「そうなのー。二郎さまの土産話は皆興味津々なのー」
「二人とも、不躾すぎだろう!」

凪がかばってくれるのだが、さて。

「や、別に隠すことは……」

別に、ないよな?何かオープンになって困ることってあったっけか?

「なんや後ろ暗いことあるんかいな?」
「いや、隠した方がいいことあったかなあと。正直よく分からん」
「なんやそれ」

呆れてますね。うん。俺も自分でどうかと思う。

「や、ほら、結構色々あったし、割と皆に手紙で近況報告とかしてたからさ。
 誰に何を知られてるとか正直よくわからん」
「……それ、威張ることじゃないと思うのー」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/13(水) 22:36:19.41 ID:JQ/Eu+lG0<> ぐうの音も出ない正論である。これには俺も苦笑い。

「せやけどうちは近況報告の便りとかもらってへんで?
 あれせい、あんなん造ってみろ。
みたいな思いつき全開な書き付けしかもらってへんで」
「沙和はそもそも一通も貰ってないの……」

そうだっけか。

「おや〜?凪、どしたん?顔が、赤いで?」
「な、なんでもない!」
「これは怪しいのー。きっと二郎さんからのお手紙を結構な頻度でもらっていたに違いないのー」

あー、こん中じゃ凪に一番出していた……気がする。

「ぐ……。いや、その……。あ、二郎様、お返事も出せませんで申し訳ありませんでした!」
「いや、返事は流石に無理だろうさ」

俺の方は旅の空であったからして。
なんで凪テンパってんの?

「ふぅ……。ご馳走様、なの」
「ほんまやわー。もうお腹いっぱいやわー」
「あらま、もういいの?もっとガンガン食っていいのよ?」

え、何で呆れたような目線が来るの?
溜息とか、どしたの?幸せが逃げるぞ?

「凪ちゃん、応援してるの……」
「難敵やな。ここは一服盛るしかないんちゃうんかなあ」

何かぶつぶつ言ってるし、凪は顔赤いままだし。
どういうことなの……。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/13(水) 22:36:49.02 ID:JQ/Eu+lG0<> ◆◆◆

ある晴れた昼下がりのことである。市場へと続く道。
常ならば徒歩か騎馬にて向かう公孫賛は馬車の揺れに身を任せていた。

「お、落ち着かないなあ……」

もぞ、と幾度目か座りなおす。上質の敷物で振動は吸収されており、常のものとは違った快適な乗り心地なのだが、それすらも文字通り尻が落ち着かない要因であるらしい。
手元の書類に目を通しながらもどこか落ち着か投げにきょろきょろとする。

「な、なあ、韓浩」

無言で書類を渡してくる腹心――ただし借り物だが――に声をかける。
声をかけられた相手は無言で続きを促すという器用なことをする。このあたりの呼吸はもう阿吽と言っていい。

「やっぱり私にこういう大仰なのは合わないから、さ。外出てもいいかな?」

淡々と韓浩はその問いに応える。

「少しはわきまえてほしい。政務は最近滞りがち。魯粛が帰還したからそれはいい。正直公孫賛殿の手際。その進歩は賞賛していいと思う。
 だが、市場の視察、民の慰撫を強く望んだのは貴女。それはいい。が、この段階での実施には制限が付くのは当然。
 こうして移動時間を政務に宛てるべきと愚考する」
「ま、まあそうだよ、なあ……」

がっくり、と肩を落としながらも書類に目を通す様子は生真面目そのもの。ここらの態度の違いは実に興味深いな、などと韓浩は内心で思ったりしているのだが無論そのような素振りは全く見せない。

「移動にしても、もう少し威儀について考慮すべき。貴女は余りにも気安い」

続いて出る苦言に公孫賛は苦笑する。
が、彼女はそれを尊いものとする。だってこの、目の前の鉄面皮で遠慮の欠片もない少女――無論韓浩のことである――は本来他人に興味など示さない。言われたことを淡々とこなすだけの存在だったのだ。
それが今では自主的に苦言をくれるまでに自分を気遣ってくれる。苦言を呈される度に緩む頬を引き締めるのが大変なほどだ。
亀裂を生まないであろうじゃれ合いだと思っているのは自分だけだろうか。

「そうは言ってもさ、こう、書類を見てばっかりじゃあ民の顔も見れないじゃないか」
「必要ない。民が満足しているかどうかは犯罪の件数、納税の進捗(しんちょく)を見ればいい。数字は嘘をつかない」
「ふふ、相変わらずだな」

不思議そうな韓浩に口元が緩む。そして、彼女が口にしたことを茶化すつもりも否定する気もないが、いささか極端だとも思うのだ。
だからまあ、自分みたいな甘ちゃん、為政者初級者にはちょうどいいのであろう。
それがいいか悪いかを判断する材料すら公孫賛は持ち合わせてはいない。が、施政に破綻の兆しすら見えない現状を鑑みればこの無愛想な腹心の言は尊重すべきであろう。

「……貴女はいずれ州牧になる。もう少し自らの威、権威について真剣に吟味すべき」

ちらりと視線は公孫賛の剣に。

「んー、韓浩が言うのはこの剣か?まあ、確かに普通の剣だよ。それこそうちじゃ兵士が使ってるような、ね。
 でも、私はこれでいいと思ってる。実用一辺倒で装飾の欠片もない剣だけど、だからこそ、さ。
私はこれを持ちたいと思ってる」

笑うその顔には普段の彼女が求めても得られないであろう威厳すら漂って。

「……了解した。そこまでの覚悟であれば私から言うことは何もない」
「うん、すまない。苦労をかける」
「認識しているのであれば改善を願いたい」
「すまん!無理だ!」

呵呵大笑。

これはこれで一つの在り方であるのかな、と韓浩は思う。
思えば自分も少々毒されたのかもしれない。

不思議なことにその認識は不快ではなかった。

微かに、ほんの微かに韓浩は唇の両端を吊り上げる。無意識に。
それは世間一般的には「笑顔」と言える表情である。が、それを観測する存在はその場にない。

「韓浩の笑顔」

黒い白鳥と並んで、この世にないもの、と例えられる言葉である。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/13(水) 22:38:01.65 ID:JQ/Eu+lG0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

タイトル案
「凡人と三人娘」
「笑顔」
「遠くにありて思うもの」

うむ。いつもどおりいまいちなので絶賛募集でございおまする
<> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/06/17(日) 15:09:46.66 ID:7/WqfeCO0<> 新スレ立て乙です。
さらっと一気読みしましたが、前兆というか裏話というかそんな感じですか。

>中庸、というものを考えろと袁胤はぼやく。
もっと言ってやって、袁胤様。極端な守りはそれで困るが、これからの二郎さんは中枢に立つ身。もうちょっとだけ成長して欲しい。
で、袁胤様。いつでもこちらにお越しください。貴方みたいな老獪な政治家は必要なんです(直球)
許攸さんは多分張勲さんの胡散臭いのに気づいたのか。駒はたまったものではないが、探り(殲滅含む)を入れるのは当然でしょう。
張勲さんも対策としての殲滅を弟に指示しているし、こっちも防衛上合理的な思考です。

後ねぇ、彼女か娘か知らんが典韋ちゃんの教育、二郎さんが責任もって手配しなさい。つうか本人が教えた方が早い。二郎、やれ(珍しく命令形)
何進さんは姦雄感が出てきましたな。ただ、同じ国を私するにしても単に後継にさせようとする何進さんとゼニを食い散らかし無責任な十常侍。
害悪の大きさは後者だと思いますがね。

戯詩にしても趙雲さんを「過ぎたる物」と皮肉られるのは完全に二郎さんが英雄として認められていないのか。興味あり。

>欲を言えば麹義にも退場願いたいのだが。
結婚引退以外は認めないですよ。要は中枢からいなくなればオケでしょ?命云々なら全力で邪魔するっす。

タイトルは流石に浮かばないですね。
では。

<> 赤ペン<>sage saga<>2018/06/18(月) 13:01:09.88 ID:b0rfZ3uy0<> 乙でしたー 祭りも終わった・・・準備を手伝ってくれる人がここ数年本当に少ない
>>57
>>空いた杯に酒を注いだりと気遣いのも欠かさない。 【気遣いの心も】の可能性もあるけど
○空いた杯に酒を注いだりと気遣いも欠かさない。  でいいのかな?
>>59
>>手元の書類に目を通しながらもどこか落ち着か投げにきょろきょろとする。 どんな投げ方だろう(棒)
○手元の書類に目を通しながらもどこか落ち着かなげにきょろきょろとする。 と言うか打ってみたら落ち着かと投げで分かれるんですね
>>こうして移動時間を政務に宛てるべきと愚考する」 【宛先】とか言うし意味としてはちょっと違うっポイ?
○こうして移動時間を政務に充てるべきと愚考する」 【充填する】とか【補充する】とか言うしこちらの方がいいと思います

実利の剣によって立つ権威・・・白馬の騎馬と言い前線指揮官としては十分なカリスマ持ちのはずよね。一国を修める器かと言うと違う気もするけど
姦し三人娘との憩いの一時・・・と言うか彼女達との二郎ちゃんの距離が分かりますな。まあプライベートでも護衛とかしてそうな子以外は基本仕事関係でしか会わないし于禁は仕事で話すことも少なそうだしなあ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/18(月) 22:08:20.31 ID:EJi4BG5U0<> >>61
どもです。早速ありがとうございますー。

>さらっと一気読みしましたが、前兆というか裏話というかそんな感じですか。
そんな感じでございます。二郎ちゃん知らないお話ですので、というのが重要でもございます。

>これからの二郎さんは中枢に立つ身。もうちょっとだけ成長して欲しい。
ご声援ありがとうございます。もっとできるやろ的なご声援は実にありがたいところです。

>で、袁胤様。いつでもこちらにお越しください。貴方みたいな老獪な政治家は必要なんです(直球)
顔は出してもいいかもしれないですw でもまだフリー素材にはならないです。

>許攸さんは多分張勲さんの胡散臭いのに気づいたのか
マウント取りに行ってるのが大きいですね。なにせ張家ってブラックボックスですから。
主導権というのは本当に大事です。苦しいところですが許攸さんも頑張っています。

>張勲さんも対策としての殲滅を弟に指示しているし、こっちも防衛上合理的な思考です。
握手しながら、テーブルの下で蹴り合う。実に妥当な関係だと思っております。

>彼女か娘か知らんが典韋ちゃんの教育、二郎さんが責任もって手配しなさい。つうか本人が教えた方が早い。
これは本当にその通りです。
これはある意味二郎ちゃんの限界かもなのですが、悪来典韋補正と過去のしがらみと本人の希望を加味して、自分が隠居するタイミングでお店の一軒でも任せようくらいのぼんやりしたビジョンなのですね。
おこちゃま扱いなのです。まだまだ守るべき対象で、頼るべき相手とは思っていないのですね。

>何進さんは姦雄感が出てきましたな。
ただの肉屋が一国を差配できるはずもございません。というのが本作品です。

>戯詩にしても趙雲さんを「過ぎたる物」と皮肉られるのは完全に二郎さんが英雄として認められていないのか。興味あり。
どっかで加筆します。
ただ、二郎ちゃんは、ここからは声望はいらないと判断しております。地固めができた。と判断したということですね。

>結婚引退以外は認めないですよ。要は中枢からいなくなればオケでしょ?命云々なら全力で邪魔するっす。
ご期待ください。ここからのねーちゃんと二郎ちゃんのやりとりは自信あります。

>>62
赤ペン先生いつもありがとうございますー!やっほい。

>祭りも終わった・・・準備を手伝ってくれる人がここ数年本当に少ない
中々地縁というのは薄れていってますからねえ……
うっとおしいと思う人も増えておりますしね……
手間に対するリターンをいかに提示できるかなのかなあと思いますが基本的には難しいのかなあと思ったり

>白馬の騎馬と言い前線指揮官としては十分なカリスマ持ちのはずよね。一国を修める器かと言うと違う気もするけど
本人にその自覚がないのはどこぞの人と同じですね

>と言うか彼女達との二郎ちゃんの距離が分かりますな。まあプライベートでも護衛とかしてそうな子以外は基本仕事関係でしか会わないし于禁は仕事で話すことも少なそうだしなあ
ありがとうございますー!
ここいらへんの関係を全部描写できないからある程度オート進行ですが、きちんと管理はしております。
そら凪と一番やりとりありますわー

ゆったりと湯船につかって鼻歌で疲れを癒やして明日からも頑張るぞいっと。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/18(月) 22:46:23.61 ID:EJi4BG5U0<> 「くぅうううううううううううううううううる!」

ギョロ目の男が異国の言葉を口にする。
意味は分からずともそこに込められた賞賛と情熱は疑いようもない。

「波才さん、私たちの舞台、どうだったー?」

張角の問いに波才はその異相に涙すら浮かべている。

「ええ。……ええ、最高でございましたとも……。
 この波才、今日この瞬間に命尽きても悔いなどありません……。
 実に、実にすばらしい舞台でございましたとも……」

ば、とその両手を広げ、祈るように真摯に語る。ゆったりとした衣服に包まれているその腕は意外に筋肉質で、少女達は意外に思う。

「この波才、改めて確信いたしました!その歌舞楽曲は天上の響きに勝り、最早神仙ですら酔うでしょう……。
 嗚呼、感謝を!圧倒的な感謝を!
 惑っておりました!惑いがありましたとも!この矮小な波才めが貴女様たちのような方々と言葉を交わしていいものか……と」

身振り手振りを交えて力説する姿は鬼気迫るものがあり、長女たる張角以外は言葉を発することもできない。

「んー、ありがとー!
 でもね、波才さんのお蔭でとっても助かってるよ?
 それに、一番に私たちの歌を認めてくれたのも波才さんだしさ!」
「おお……この矮小なる存在に過分なるお言葉……。
 この波才に雑事はお申し付けください……。
 まさに貴女達こそは救世(ぐぜ)の乙女。この淀んだ世の闇を、霧を払う聖なるもの。
 ああ、聖なるかな!聖なるかな!
 まことに(AMEN)!まことに(AMEN)!」

波才の熱狂を苦笑一つで受け止める張角も或いは英傑と言うべきであろう。
……もっとも、彼女らを支持する、熱狂する男たちで慣れてしまっていたのかもしれないが。

「ほ、ほあーーーー!」

響くその声は彼女らを呼ぶ声。

「うん、ありがたいね!そう思わない?」
「確かに。ここではお客の集まりも違う」
「でもなんでここまで、なのかな?」

思えば苦難の道程であった。その苦労は三姉妹の全員が心底味わっているものである。
だからこそ不思議でならない。
それぞれに首をかしげる三姉妹。
波才は笑いかける。満面の笑みで。優しく。

「なに、簡単なことですよ……。
 ここは豊かですからね。食うに困らなく、そこそこお金を持っている方が多いのです。
 ですから、ええ、ですから。
 大いに我々は恩恵を受けるべきなのですよ。
 いえ、違いますね。時代が求めているのです。
 おお……。刻すら支配する貴女達には日輪すらひれ伏すでしょう……」

ぐらり、と崩れ落ちる波才の姿に何かおぞましいものを感じながらも、気遣いの言葉が自然に出るほどに彼女らは波才に依存していたのかもしれない。

「は、波才さん、疲れてるのかな?」
「そ、そうだよね!ちぃもこんな時あるし!うん!うん!」

その声にぐるり!と顔を向けて波才はゆらり、と立ち上がる。
そして開いた口から吐かれるは呪い。

「雌伏の時は終わり!伝説が始まる!
 ええ!抑圧されたこれまでは幻想!これからは、未来は貴女達のもの! 
 漢朝の、中華すら貴女達には狭いでしょう。
 ですが、まずは中華に歌声を響き渡らせましょう……!」

高らかに笑う波才。
そして、彼女らはその思うままに伝説へと駆け上ることになるのであった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/18(月) 22:49:22.83 ID:EJi4BG5U0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

地震なんかに負けない! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/19(火) 23:04:16.64 ID:0NB5n+fc0<> まじかよ大迫半端ない <> 赤ペン<>sage saga<>2018/06/22(金) 10:54:11.58 ID:i0XDKCIh0<> 乙でしたー
>>64
>>ゆったりとした衣服に包まれているその腕は意外に筋肉質で、少女達は意外に思う。  【意外】が二つあると変な感じがするので
○ゆったりとした衣服に包まれているその腕は筋肉質で、少女達は意外に思う。  もしくは【その腕は意外に筋肉質だな、と少女達は思った。】だと微妙?
○ゆったりとした衣服に包まれているその腕は筋肉質で、少女達は意外と逞しいなと思う。 これでどうでしょう

考えてみたら原作ではどうやって3姉妹はあの勢力を築いたんだろうね、と言うかどういう人たちが黄巾党になったんだろうと言うべきか
どん底の生活してればそりゃ元気になる歌(太平要術)に心酔するのは分かるけどそもそも歌を聞きに行く暇がある辺り余裕あるよね、と言う

ところである作品を読んで思ったんだけど袁紹にとっての天敵って公孫賛じゃね?象と蟻とまではいかないけどなんであの戦力差であそこまで粘れるんですかねえ
曹操?部下が裏切って途中で病死して子供たちが争ったうえで片方が助力を求めたりしなけりゃ大丈夫じゃね? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/06/23(土) 15:52:23.18 ID:ZS17L9re0<> 乙です
確か曹操って袁紹と戦うときにメチャクチャビビったんだっけか、それを荀ケがあなたは勝てます、その理由はこれこれで〜って10個くらいひねり出してたような <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/06/24(日) 14:09:36.25 ID:fOtP6K6/0<> 乙です。揺れましたな。被災されておられるならお見舞い申し上げます。
こっちは無事っす。

>>67考えてみたら原作ではどうやって3姉妹はあの勢力を築いたんだろうね、と言うかどういう人たちが黄巾党になったんだろうと言うべきか
どん底の生活してればそりゃ元気になる歌(太平要術)に心酔するのは分かるけどそもそも歌を聞きに行く暇がある辺り余裕あるよね、と言う

本当の貧困層は多分生きることに全力でそもそも行けないです。行くとしたら現代の底辺と云われる層からワープアすれすれ、ひょっとしたら生活は安定しているが個人的に不満を持っている層も入っているかな?
時間は作ろうと思えば作れますが、この頃なら木戸銭取ってそうだからこれを支払えるか。これが分岐点かも。
地下アイドルが突然変異的にカリスマ性を得てカルトに変質しつつある。という状況か一歩手前ですかねぇ。

>大迫半端ない
いや、世界大会だからそのレベルの技量はデフォで持ってないとダメでしょうwつかやっと全体主義的サッカーから脱却できたかと思っています。
日本の場合、チームワークではなく「監督の操り人形でかつ勝利しかしてはいけない奴隷」な選手の扱いが続いてましたから。
戦術は必要だし勝てるならそれに乗って皆が動くでしょう。が、得点は現場の選手がもぎ取るもので選手の一瞬の判断行動にまで後付け介入が多すぎた。
個人的には選手が日本的呪縛から解放された試合と思いました。
つかもっと思い切りやんなさい。失敗したからって何がどうなるわけでなし。まさか負けたらサッカー協会追放とか選手資格剥奪とかあるの?ありえない。
なら外野は「がんばえー」で十分す。半端ないのをもっと炸裂させて欲しいっす。11人全員が。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/25(月) 19:44:31.79 ID:2/+7+ybl0<> セネガル戦はスヤァでした

>>67
赤ペン先生いつもありがとうございますー

>考えてみたら原作ではどうやって3姉妹はあの勢力を築いたんだろうね、と言うかどういう人たちが黄巾党になったんだろうと言うべきか
同じことを一ノ瀬は思いました。
あっちで(俯瞰者さんとこ)ネタバレしてみたいと思います
前にも書いたかもですががが

>そもそも歌を聞きに行く暇がある辺り余裕あるよね、と言う
ほんとこれです

>袁紹にとっての天敵って公孫賛じゃね?象と蟻とまではいかないけどなんであの戦力差であそこまで粘れるんですかねえ
攻めは意外と苦手なのかもです
黒山賊も滅!できてないし……

>曹操?部下が裏切って途中で病死して子供たちが争ったうえで片方が助力を求めたりしなけりゃ大丈夫じゃね?
これ見るとリアル先輩容赦ないですねw
小説より奇なりw

>>68
>確か曹操って袁紹と戦うときにメチャクチャビビったんだっけか
まあ、若いときからの親友?知り合いでその勢力を知り尽くしていたでしょうからねえ
リアリストほどびびるのではないでしょうか

>>69
>こっちは無事っす。
なによりです
こちらも無事です。というか、電車と水道管とガス以外は割と軽傷だったかのではと
大げさな報道も困ったものだなあとか

>本当の貧困層は多分生きることに全力でそもそも行けないです。
食べるのに精一杯のはずですからね

>いや、世界大会だからそのレベルの技量はデフォで持ってないとダメでしょうw
いやいやいや。大迫のキープ力、体幹は大したもんですぜ。ほんと。
プロなってすぐは空中戦不得意でしたが岩政先輩に鍛えられて……
高校時代、お菓子も食べない、夜はすぐねるようなストイックさ。がんばえー。

>個人的には選手が日本的呪縛から解放された試合と思いました。
なるほど。
まあ、監督人事だけは謎で、今でも理解できないのですががが




<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/25(月) 22:46:50.63 ID:2/+7+ybl0<> 「久しいわね、二郎」
「うん、俺が陳留行った時ぶりかな」

くすり、と薄く笑むのは華琳こと曹操。三国志の主役の一人である。
今日は、なんでも麗羽様と旧交を温めに来たらしい。後ろで不機嫌そうな顔して立ってるネコミミを随伴として連れて南皮にいらっしゃりやがりました。
んで、麗羽様がお出ましになるまで俺が饗応役を仰せつかったと。うん、逃げたい。……流石に逃げないけどね。

「ふふ、二郎は相変わらずのようね」

なにがや。

「まあいいわ。時を無駄にするのも惜しいわね。
 二郎、貴方が来るまで話し相手をしてくれていた子。程立と言ったわね。
 いいからあの子を私に寄越しなさい」

なんでやねん。
優雅な笑みが途端に猛禽の色を帯びる。この女、肉食系ってレベルじゃねーぞ!
知ってたけど、知ってた以上であった。
しかしなんだ。面倒くさい……。

「そうね、私を相手にしてあの余裕、識見。回りくどいようで洒落た言い回しでね。この私を煙に巻いてくれたのよ。
 欲しいわ。是非、欲しい」

流石は人材コレクターである。目の付け所には賛辞を惜しまないが、手元の珠玉にギラギラされたら、ねえ。

「あーげーまーせーんー」

後ろのネコミミも更に不機嫌に、……っていつも不機嫌そうだから大差ないね。

「あら。これは意外な返答ね。あの子は私に仕えるために生まれてきたような子よ?
 喜んで差し出してくれると思っていたのに」

心から驚いた表情でそんなことを言いやがる。
これ、本気で言ってるだろうから困る。割とマジで。

「どっからその自信湧いてくるのか。
 これが分からない」
「そうね、貰うのが駄目なら預けてみない?私が直々に鍛えてあげるわよ」

華琳お前絶対それ返す気ないだろ。俺でも分かるわ、そのくらい。
移籍金ゼロで超有望な若手をレンタル移籍でなし崩しに強奪とは……きたないさすが華琳きたない。
だから俺の返事は決まり切っているのだ。

「お断りします」

当然の帰結である。

「何よそれ。冷たいわね。私と二郎の仲じゃないの」

どんな仲だ。いやほんと。
……ほんと、ほんとどんな仲だよ。俺が知りたいくらいだよネコミミが誤解するじゃないかやめてよね。

「冗談はさておき、実際人手が足りないのよね。猫の手も借りたいくらいなのよ」

ネコミミの手があるからいいじゃん、とも言えず。

「桂花や秋蘭、春蘭もよくやってはくれてるけど、ね。まだまだ足りないのよね」
「陳留の太守になったんだからさ。そこそこ人材も揃ってきてないの?」

華琳のこったろうから人材を収集していること。それには確信すらしている俺なのだが、あにはからんや。アブラカタブラとはいかんのか。
はあ、と憂いに満ちた顔でため息を漏らす華琳。
関係ないけど、美人は絵になるなあなどと暢気なことを思ってしまった。憂いうれいういうい。

「そりゃね。頭数は揃ってきたわよ。どうなることかと思っていた一時からしたら随分違うわ」

でもね、と華琳は澄んだ目で俺を直視してくる。今日一番のキメ顔ですね。いやあ、美人さんである。

「私が求めているのは、私を補佐し、私を支え。我が分身となれるような人材よ」

うわー。ハードル高っ!まあ、逆に考えよう。風はそこまでの人材だっちゅうことだ。うん、ラッキー!やったぜ。成し遂げたぜ。これはメイン軍師決定ですよ。

実際実りの大きい旅であったのだよな。などと回想モードに入ろうとした俺に華琳が苦笑する。
そして、満面の笑みを浮かべて。

「あら、何を他人事みたいな顔してるのかしら。
 そうね。二郎。貴方が私のものとなれば一気に解決するのでなくて?」
「へ?」

なんですと?

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/25(月) 22:47:17.08 ID:2/+7+ybl0<> 「そうでしょ?貴方が私のものになれば、自然と配下も付いてくるでしょう?」
「や、俺そこまで影響力ないと思うぞ」

過大評価ここに極まれりだ。ぷんぷん。
そういうの、困るのよ実際ね。

「そうかしら?少なくとも義兄弟は動くのではなくって?
 それに陪臣たる程立、趙雲もね……」
「そこまでだ華琳」

手を上げて華琳の言葉を遮る。流石にこれ以上はいかんよ。
壁に耳あり障子に目ありだ。
……華琳のこったろうから分かっててやってるんだろうけどね。そういう普通な感じで袁家を切り崩そうとするの、よくないと思います!
ちょっと、うざいと思います!

「俺個人と袁家への忠誠を秤にかけるような言は流石に困る。
 それに俺だって袁家を支える紀家の当主だ。
俺の肩には紀家軍の皆、そしてその家族の重みがある。
 俺との友誼を多少なりとも感じてくれてるなら、それ以上はいけない」

くすり、とおかしそうに笑う華琳。
いや結構笑いごとじゃないんだけど。それが分からない華琳じゃないと思うんだけど。

「あら、興醒めね。きっと程立なら上手く切り返したと思うのだけども?」
「茶化すなよ」

いや、茶化さんとそりゃ洒落にもならんのだけども。
うん?……何か、部下より劣ってどうするってことか?自分なら風や星や、沮授や張紘、商会のメンバーをもっと上手く使えるってか?
……いや確かにそうなんだろうけどね。でもね。でもさ。
譲れないものもある。

「うん。確かに俺は俺の義兄弟や風みたいに頭よくないし、星や、紀家軍の皆を率いるだけの将器も武才もないのかもしれないさ。
 でも。いや、だからこそ。こんな俺に親しくしてくれて、主と言ってくれる人たちを裏切りたくない。裏切るわけにはいけない。
 だからな、そうさ。そうだ。
俺を見限るなら出て行っていいよ、なんて口が裂けても言えない。
 そうだな。俺を、こんな俺についてきてくれる皆が、さ。できるだけ気持ちよく仕事できるようにすんのが俺の仕事さ。場を整えるのが俺の仕事だ。
 不満があれば謝るし、改めよう。できる限り。
ほんで、出ていくとか言われたら泣くし叫んでも慰留する。
皆が笑ってくれるなら道化にだって喜んでなる。
 それが俺の役割だと思うからな。それが俺のやり方だから。
 ああ、そうだな。分かったわ。
俺はきっと……皆が大好きなんだな。そうさ、俺の周りの皆が大好きなのさ。
 だから……」
「もういいわ」

す、と今度は華琳が手を上げて俺の言葉を遮る。

「ふふ、ごめんなさいね。悪戯が過ぎたわ。
 でも、収穫はあったわ。
 二郎。
 やはり私は貴方が欲しいわ。そうね。貴方が、欲しい。
 配下なんて誰も連れてこなくて結構よ。いつでも身一つで来なさいな。
 歓迎するわよ?」

そうかい。でも華琳とこ行ったら過労死間違いないからやだ。とも言えず。
どうしたものか、と思っていたら。

「曹操殿。袁紹様のお支度が整いました。こちらへ」

殺伐とした室に鋼の救世主が!稟ちゃん愛してる!

「あら、もうそんな時間?案内よろしくね?」
「はい。
……二郎殿。ご苦労様でした」

一瞬。いや、刹那の煌き。稟ちゃんが俺に柔らかい笑みを向けてくれた、気がする。稟ちゃんマジ天使!
それが儚い幻影であったかと思うほどに華琳を先導する彼女からは、いささかの揺らぎも見えなかったんだけどね。

……逆に、あれ華琳にロックオンされたな。そら見逃さないだろう。
優雅な笑みの奥に肉食獣の。餓狼すら背負うほどのオーラが幻視できるよ。

軽やかに。
俺など眼中にない態(てい)であれこれ稟ちゃんに声をかける。
淡々と事務的な返答する稟ちゃんにますますそのオーラは濃密になって顕現しそうな勢いである。どうなるの……。

やがてようやく視界から二人が消えて。

つ、疲れたー!疲れたよー!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/25(月) 22:47:43.43 ID:2/+7+ybl0<> ◆◆◆

どさり、と椅子に座りこむ。
疲れたー。

「ってなんでまだいるのん?」

変わらず不機嫌そうなネコミミが俺を睨みつけてくださっている。
そういうのが、こういうのがお好きな方にはご褒美かも分からんが、俺にとっちゃあね……。

「華琳様と袁紹殿の会談に同席できるわけないでしょう。
 それくらい察しなさいこの塵芥(じんかい)が」

流石のネコミミ。その罵詈雑言のレパートリーに磨きがかかっとるな。
いや、結構な悪口雑言を言われているのは認識しているが、もう慣れてしまった。

「ちょっと、こっちをその嫌らしい目で見ないでよ!汚らわしい! 
 全く、これだから男ってのは嫌なのよ。この!」

常のような、火山が火を噴く勢いは見られずに逆に心配してしまう。

「元気ないね、どしたの?」
「うっさいわね。下等生物(ガガンボ)が私の心配するとか不遜極まりないわよ。
 多少なりとも知性があるならばさっさと華琳様の靴をその汚く下劣な言葉しか生み出さない舌で舐めなさいな」

うむ。これくらいじゃないとね。
別に嬉しいとかじゃあないんだけどね。そこはきちんと主張しておきたい俺である。

「言うね。いつものことだけど」

ギロ、と剣呑な視線をくれる。
まあ、これくらいはいつものこと。そしてそこにはどこか悔しさすら含んでいる。気がする。

「……なるほど。優先するなら華琳の意思、か。いや、当たり前と言うのは容易いけど、なかなかできるこっちゃないぜ」
「何よ、あんたごときに偉そうに言われたくないわよ。
 不本意、という言葉が事象になったらこういうことになるのでしょうね。
 まったく、不愉快極まりないわよ」

まあ、ネコミミとしては目の前で自分以外の人材に華琳が声かけるだけでストレスはマッハだろうしね。
しかも風ならともかく凡人たる、しかも男である俺が対象だし。
そりゃご機嫌麗しいはずもないわなー。
華琳もそこらへん考えてあげればいいのにね。

釣ったお魚に餌をあげないとかないわー。
むしろ虐待するとかないわー。

「何よその目つき」
「いや、大変だなあ、と思って」

激昂。

今度こそネコミミがその気迫を爆発させる。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/25(月) 22:48:09.66 ID:2/+7+ybl0<> 「あんたごときが分かった気になって、上から目線で偉そうに言ってるんじゃないわよ!
 ああもうやだ!こんな男と同じ空気を吸ってると思ったら絶望しかないわ。
 アンタ、目障りだからそこから身投げの一つでもしてみなさい。
 それくらいで死ぬことはないでしょうし」
「時と場合によるかなあ。そしてその気は全くないぞ。
 そしてまずはお前は落ち着け」

と言って落ち着く人なんていないんですけどね。
しかしまあ、この罵詈雑言のバリエーションは凄いって思うの。
どうもよっぽど鬱憤が溜まっていたようでござる。

「とにかくね、アンタごときが華琳様のお誘いを断るとか身の程を知りなさい!」
「そんなん言われても俺にも立場とか色々あるしなあ」

つうか、辛い立場よねこのネコミミも。
俺が断れば主君の意向が無下にされたと憤り。
俺が応じればなんでこんな凡夫がと憤懣やるせなく。
でもまあ、そこできっちり華琳の意思を優先しているからこそ俺と華琳の会話に口を挟まずにいたんだろうね。
ストレス溜まったろうに。いや、今発散させてるのか。
うーん、迷惑!

「大体アンタはね、華琳様にお声をかけていただいているという栄誉をもう少し自覚すべきなのよ!」

いや、発散してねえな。自分の言葉でさらに鬱憤たまってそうだわ。
華琳も酷なことを……。
ん?んん?

「しかしまあ、春蘭といい、曹家の忠誠は留まることをしらんな」
「当たり前じゃない!華琳様への忠誠は絶対よ!」

春蘭もそういやいぢめられてたな。
つまり。華琳の人心掌握ってば……。

「ジゴロじゃねえか……」

ぼそ、とした俺の呟きはネコミミには届かなかったみたいでよかったー。
ちゅうかさ、あれだろ。わざといぢめてるだろ華琳。
そのあと優しく愛しちゃってるんだろ。そらあかんわー。その、扱いの乱高下とかジゴロの手口だわー。しかもそれは効果抜群なのだわー。
やべえよ、やべえよ……。

「何よ」
「いや、華琳って、あれで優しいとこもあるよ、な?」
「アンタみたいな塵芥が何を語るかと思えば。そんな自明のことを今更。ちゃんちゃらおかしいわね。
 華琳様はお優しいわよ?だって……」

うっとりとした表情。
あー、そういや、SMで言ったらSはサーヴァント、Mがマスターって説もあったか。
あくまでSはMの求めることを与えているだけっていう。
つまりこいつは生粋のM!
だから目の前で俺とかと親しくしてその嫉妬心を燃え上がらしたり、手ひどく叱責したりするんだな。
んで、後でフォローに優しくする、と。
いや、きっと華琳に嗜虐嗜好があるってのもあるんだろうけども。
俺には分からん世界やね。いぢめて楽しむとか。
うん、結論。

華琳とこには転職しない!
絶対に。絶対にだ。

そうやって決意を新たにした俺であったのだ。
いや、袁家サイコー!
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/25(月) 22:49:02.27 ID:2/+7+ybl0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名も相変わらず募集中です

はおー来襲者

が予定ですしはおー来襲者はいじってくれていいですから
にゃむ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/06/27(水) 11:31:56.24 ID:RaJLJhLT0<> 乙でしたー
>>71
>>くすり、と薄く笑むのは華琳こと曹操。 ○○こと〜だと通り名(例えば美髪公とか怨将軍)とかが普通な気が…この言い方だとイチローこと鈴木一郎みたいな感じが
○くすり、と薄く笑むのは治世の能臣、乱世の奸雄こと曹操。 もしくは【陳留の支配者】とか?二郎視点だと【人材コレクター】とかも有りかな…ネタに走るなら【母性の薄い麗羽様】、【天才レズ】とかいくらでも出てくるけど置いといて
>>72
>>裏切るわけにはいけない。  これはあくまで私の感覚なのですが【いけない】は第三者的と言うか常識に基づいて、だったり規則だから、のニュアンスがある気がします
○裏切るわけにはいかない。  自分の裡から出てくるものと言うか、極端に言えばエゴのようなものかもしれないこちらの方が合ってるかな、と
例えば【人を殺してはいけない】だと法律とか一般的良識とかに依って立つ言い方で【人を殺させるわけにはいかない】だと自分がそうさせたくないから、みたいな?
あ〜でもその前の文で【裏切りたくない】って言ってるか。心情を強調するなら【いかない】、自分の意志としても自分の立場としても無理と言いたいなら【いけない】がいいかな?
>>淡々と事務的な返答する稟ちゃんに ちょっと違和感が
○淡々と事務的に返答する稟ちゃんに もしくは【事務的な返答をする】の方がいいと思います
>>73
>>◆◆◆  場面転換も時間経過もしてないので無くても良いかな、と思います
>>優先するなら華琳の意思、か。 間違いではないですが
○優先するのは華琳の意思、か。 の方がいいかな?
>>俺が応じればなんでこんな凡夫がと憤懣やるせなく。  【憤懣やるかたない】と【やるせない】が混ざってますね
○俺が応じればなんでこんな凡夫がと憤懣遣る方無く。  怒りならこっちで、【遣る瀬無い】だと悲しみとか悲嘆っぽいかな
>>だから目の前で俺とかと親しくしてその嫉妬心を燃え上がらしたり、 サ行変格活用とか知らないのであくまでも読みやすさ優先と言う事で
○だから目の前で俺とかと親しくしてその嫉妬心を燃え上がらせたり、 一般的にはこっちがよく使われますが、
華琳が、ネコミミの、嫉妬心を、燃え上がるように、した。なら上でもOKですかね
華琳が、ネコミミの、嫉妬心を、燃え上がらせた。なら下ですし・・・本当活用形とか分からんし

まあはおーから見たらどう考えても自分には無いと言うか、欠けてると言うか、欲しいよね。そしてネコミミもそれは察せるけど自分がそういう存在になれないことは分かってるからちょっと消沈しちゃう、と
ついでに二郎は彼女達がなぜこんな反応してるのか全く分かってない。イイネ!
《乱世の奸雄の勧誘》…いつも通りか《はおー、凡人に高値を付ける》《凡人、袁家への忠誠を新たにする》、《凡人、ブラック家へお祈りメールを出す》
だんだんネタが強くなってきたな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/06/28(木) 22:56:15.44 ID:+Xjvu3Lb0<> >>76
赤ペン先生いつもありがとうございますー

>…この言い方だとイチローこと鈴木一郎みたいな感じが
確かに

>サ行変格活用とか知らないのであくまでも読みやすさ優先と言う事で
さししすせ でしたっけ?
久しぶりにサ変とか見ましたw

>まあはおーから見たらどう考えても自分には無いと言うか、欠けてると言うか、欲しいよね。
文字通り垂涎ですね。二郎ちゃんがはおーを評価している以上に評価されているでしょうね
絶対言わないと思いますが

>そしてネコミミもそれは察せるけど自分がそういう存在になれないことは分かってるから
そうなのですよね。

>ついでに二郎は彼女達がなぜこんな反応してるのか全く分かってない。イイネ!
ありがとうございます。そこは外せないとこなのです。アンジャッシュです。

タイトル案ありがとうございますー!
>奸雄の勧誘
これいいですね!

さてポーランド戦だ

<> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/07/01(日) 11:20:05.61 ID:CFr8g18v0<> 乙です

……地味ーに各勢力間のパワーバランス破壊してんだよね、二郎さん。

なんかね、本気でこの人(ネコミミ)病んでる?って不安になる。概念が無いから許されているだけでハッキリ言って恫喝とハラスメントのコンボ。
うちだったら絶対現場含めて表に出さない。同業の偉いさんにここまで言ったらアウト。

そうなんだよなー二郎さんが「袁から独立する」と宣言したらえらいことになるなぁ
確定
・陳蘭、風、凪、趙雲、流流、袁術。この辺りはまぁ文字通り着いて行くだろう。
裏で支援
・沮授、張紘、田豊。しがらみで動けないが、情報やら経済的な面で支えるでしょう。

まぁ、「独立するけど袁と手を組むよ。なんだったら系列に入るし」で日常はあんまり変わらず。でオチwww

で、曹操さん。一勢力の頭なら分身を求めちゃダメダメ。最後の最後の決断と結果責任は頭が取るんだよ。過程の段階で自分の行動思考をトレースして客観的に判断できる人間は確かに欲しいのは理解できるけど。

うーん、そろそろ広域連合考えてもよさそうかな?公孫瓚、曹操、袁紹、この三者で不可侵条約と相互防衛条約との三点セットで同盟組んだら安保的にも外敵防衛的にも良さそうな。

タイトルはまだ浮かばないです。もうちょっとリハビリいるかな?










つうか二郎、三人ともやってしまえ(意味深)なら話が早く済む(下衆)



<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/02(月) 20:43:30.06 ID:R/USl+yY0<> >>78
どもです。生存確認!

>……地味ーに各勢力間のパワーバランス破壊してんだよね、二郎さん。
あくまで地味に、ですがw
それこそがオリ主の醍醐味でもあるのだと思っております。原作まだ始まってないけど。
いや、始まる前までがある意味勝負とも言えるですね。

>なんかね、本気でこの人(ネコミミ)病んでる?って不安になる。概念が無いから許されているだけでハッキリ言って恫喝とハラスメントのコンボ。
セクハラパワハラの概念なんぞございませんのでね。
あるのは二郎ちゃんだけなので……w

>うちだったら絶対現場含めて表に出さない。同業の偉いさんにここまで言ったらアウト。
まあ、単純に無礼ですわな。
ネコミミについてはこれ、見る人によってはいちゃついてるという解釈もあるそうですよ!

>そうなんだよなー二郎さんが「袁から独立する」と宣言したらえらいことになるなぁ


>・陳蘭、風、凪、趙雲、流流、袁術。この辺りはまぁ文字通り着いて行くだろう。
如南袁家立ち上げて黒幕ですねw
美羽様連れてったら七乃さんも付いてきますし

>で、曹操さん。一勢力の頭なら分身を求めちゃダメダメ。
作品的には、寂しがり屋の女の子、なのです。それをあれこれ言って糊塗してるのです。と今思いました。
多分支配者は孤独とか分かってるんですよ。

>公孫瓚、曹操、袁紹、この三者で不可侵条約と相互防衛条約との三点セットで同盟組んだら安保的にも外敵防衛的にも良さそうな。
問題は二郎ちゃんが曹操を全く信用していないということですかねw

>タイトルはまだ浮かばないです。もうちょっとリハビリいるかな?
心身ともにごゆっくりしてくださいませえ

>つうか二郎、三人ともやってしまえ(意味深)なら話が早く済む(下衆)

許されたw

いやあ、地味様との友達っくすは賛否あったのですよねえ




<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/02(月) 22:38:53.44 ID:R/USl+yY0<> 「穏、これは本当なのね」

碧眼児と呼ばれ、孫家の中でも将来を嘱望されている二の姫――孫権――はその美貌を歪ませながら腹心たる陸遜に問う。

「はい。尚香様の護衛ということで周泰ちゃんを呼べたのは僥倖でしたね。
 彼女、どうやら穏行ではかの張家すら出し抜けるようですから。抜き取った情報は確かかと思いますよ?」

くすり、と応えるは白皙の美女――陸遜――である。
南部では珍しく白い肌を惜しげもなく晒すその衣装はいっそ扇情的と言っていいものであろう。
しかし、ややもするとぽわわんとした表情に覆い隠されてしまうが、その眼には確かな知性の煌きが散華している。

「姉さまにも困ったものね、袁家と。よりによって袁家と、ことを構えるだなんて。
 本気云々の前に正気を疑うわ」

信じがたい、と孫権は天を仰ぐ。
手元には陸遜のまとめた報告書があり、それらが示すものはつまり。

「元々袁家の援助に頼ることすらよしとしなかった豪族も多いですしねえ。
 まあ、利権をことごとく召し上げられてしまいましたから無理はないかと」
「にしたってここまで賛同者が集まるなんて……」

時勢が見えてないのか?と孫権は暗澹たる気持ちになる。
よりにもよって使嗾(しそう)してくるのは、手を組むのは。

「十常侍と組むとかね。本当に正気を疑うわよ」

吐き捨ててため息を大きく、一つ。

「遠交近攻とはよく言いますが袁家は身近に感じる分、目の上の瘤(こぶ)と思う方が多いみたいですね。
 虞翻さんの潔癖な態度もそれを助長しているようです。
 対して十常侍は……、洛陽は遠きにあり。悪評があるものの、袁家を除いた後は意向を無視すればいいというのが主流ですね
 こちらに対して、直接振るう武力も持ち合わせていませんし」
「それじゃ、結局孫家は賊上がりの成り上がりじゃない。いつまでたっても。
 恩を仇で返して、いざ孫家の窮地に誰が手を差し伸べてくれるというの。誰が信義を通じてくれるというの」

いや、孫権とて分かってはいるのだ。
食うか食われるかという状況が身近であった江南の地においてはそれはきっと正しい。今日を生き延びるためにはきっとそれは正しいのだ。
だが、南皮に在りて。中華の秩序、何より袁家の凄味を知った身としては看過できない。
そのような煩悶を知ってであろう。あくまで陸遜はにこやかに孫権を見守る。言葉を促す。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/02(月) 22:39:20.00 ID:R/USl+yY0<>
「江南に戻るわ」

きっぱりとした声。何かを振り切ったような、決意した声に陸遜はその表情を綻ばせる。

「二郎は、如南へ赴くのでしょう?」

その言葉に込められた思いは、いかほどのものか。

「ええ。二郎さんは如南へ。
 あの方はああ見えて、きちんとやるべきことからは逃げません。果たすべき責務は果たされます」

くすり、と漏らした笑みは妖艶ですらある。
その声に孫権は暫し瞑目する。

「ならば。私も逃げない。孫家の次代を担う者として責務を果たすわ。
 穏、地獄の底まで付き合ってくれる?」

陸遜は恭しく一礼を。

「ええ、喜んでお供いたしますとも」

ですが、と言葉を続ける。

「二郎さん曰く、地獄の沙汰も金次第。
 だ、そうですよ?」

その声に孫権は、ぷ、と吹き出す。

「もう、茶化さないでよ。でも、二郎らしいわね」
「はい。あの方らしいですね」

二人は軽やかに笑い合う。
盟友で、親友で、主従で共犯。

きっとその絆は、刎頸(ふんけい)でも断たれることはない。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/02(月) 22:40:49.04 ID:R/USl+yY0<> 実家に帰らせていただきます。
この言葉を放たれて平静でいられる男はいないであろう。
それほどの破壊力を持った言葉が浴びせかけられて俺の思考回路はショート寸前。今すぐ会いたいよ。

「えっと、二郎?ちょっと?」
「うい。二郎ですがなにか」
「もう、話を聞いていたの?」

ぷんすか。
全身で不機嫌になっちゃったわよ今の瞬間に、と主張するのは江南を治める孫家のご息女たる蓮華だ。
褐色の肌を惜しげもなく晒すその恰好には、いつもながら目のやり場に困るわー。マジ困るわー。
だって仕方ないから穏の、ねえ。暴力的な胸部に注目せざるをえないやん?
白い肌。
こんなに露出が多いのに、江南出身なのになんでそんなに白いのかという感じのおっぱいがぷるんと震えて俺を苛む。
うむ。ブラボー。おお、ブラボー……。

「二郎?聞いているのかしら?」
「もちろんだとも」

じと、とした蓮華の視線に極上の笑みで応えてやる。キラッ☆

「じ ろ う ?」

ゴゴゴという効果音がどっからか飛んできた、気がする。背負った圧力は流石に孫家の跡取り。
はい、ごめんなさい。

「で、何で江南に帰りたいの?」

一応、蓮華は孫家に対する人質という意味が大きいからうかつに動かせないのよ。まあ、目の前のご両人は先刻ご承知だろうけどね。

「あのね、二郎は知ってると思うんだけどね。一応私は孫家の次代の当主と位置付けられてるのよ」

知ってる知ってる。むしろ孫家を繁栄さすよね。知ってるよー。

「なのにね、あまりにも帰ってないな、って。
 これじゃいざ孫家を継いでも家臣団や配下の豪族をきちんと御することができるのかな、って。
 二郎が言ってたじゃない。段取り、根回しが大切って。
 そういう意味でも一度江南に帰った方がいいと思うの」

ふむ。確かになあ。あっこらへんはごたごたしそうな土地柄だしねえ。
とは言え、なあ。安易には同意できない。

「二郎が孫家に信を置けないというのは、そうね。不本意ではあるけど……分かってるわ。
 だから、と言うのも。そうね。こんなこと言いたくもないのだけれども。
 シャオを私の代わりに置いていくわ」

常ならばそんなことを言わない蓮華の双眸はこの上もなく澄んでいて。

「足りない、というなら祭も置いていくわ」

何でそんなに泣きそうな顔をしているんだと俺は言いたい。
きっと、身近な、親しい、大好きな人を道具として、交渉の材料として扱うわが身を呪っているのだろう。

「いいさ、許可しよう」

どうせ俺も、俺たちもそれどころじゃないしね。
いよいよ如南へ赴くのだ。けじめをつけにいくのだ。
そのタイミングで何か仕掛けてきそうな孫家を抑えることができそうだから。それでいいかなって。

……これで蓮華が孫家率いて攻めてきたら泣くけどな。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/02(月) 22:42:40.11 ID:R/USl+yY0<> 「いや、よかったですねえ」

くすくすと笑みを漏らすのは陸遜。その声に呆れたように孫権は答える。

「穏の思い通りでしょ?今更何を言うのよ」

軽く苛立つ主。それに臆することもなく言葉を続ける。

「いえ、二郎様の動きは埒外ですから」

くすり、と笑う。
そして陸遜は思うのだ。袁家の配下である武家四家である紀家当主。その地位を継いだと思ったら中華を放浪する。半ば逐電である。
であるのに、帰参して何事もなかったかのようにその地位に納まるというのがありえないことだ。
しかも、そんな型破りなことをして彼がその権勢を失ったという声は聞こえてこない。そう、驚くほどに聞こえてこない。
だが、驚くべきことは他にもある。

「それを言えば、二郎さんの動きを考えるだけ無駄とも言えますし、ね?」
「そ、そうね……」

可笑しげな表情を浮かべて見やる陸遜に孫権はたじろぐ。その目の奥の炎に。

「二郎さんの一手。それは本当に私も読み切れません。この中華で私が読み切れないと言わざるを得ないのはあの方くらいです。
 ですから。ええ、ですから、蓮華様に二郎様を押さえていただきたいのです」

破格の才覚たる陸遜。その要望に孫権は苦笑する。

「分かったわよ。穏がそこまで言うのならばそうなんでしょう。
 安心なさいな。勝ち易きに勝つ。それが孫家。始祖たる孫子の薫陶、そうでしょ?」

にこやかに陸遜は笑顔で応える。

「はい、道なき道を征きましょう。
 凱歌を、孫家に。夢と希望と未来を蓮華様に」

覇気。この瞬間だけは、かの曹操をも上回るそれを纏って。
陸遜は、戦争の天才は笑う。
既に勝利は彼女の中では確定していた。

さあ、夢を見よう。
さあ、歌を唄おう。
さあ、歌を繋ごう。

さあ、踊ろう。
舞台は間近。

陸遜は笑う、嗤う、哂う。
如何様にも踊ろうと。
きっと舞踏相手はあの青年だ。肌を重ねても、情を交わしても読めないあの青年だ。

漢朝の闇などよりもよほど面白い、怖い。
執着はもはや恋着。
それを自覚し、軽やかに笑う。

「ええ、蓮華様、二郎さんを、あの埒外な方に対するに値するのは孫家において蓮華様のみです。
 ですから、ええ。ですからこそ。今この瞬間のご決断に穏は心服いたします。
 ええ、地獄と言わず、因果の地平までお供しますとも」

にこやかに、軽やかに口にする思いを孫権は過不足なく受け取り、顔を引き締める。

思い浮かべるのはあの青年。
締まりのない表情、冴えない顔つき。
だらしのない視線は助平で、どうしようもなく。

でも。

その心胆を。凍てつくほどの心胆、覚悟。それを自分は知っている。
だから、やるべきことをする。

孫家の担い手として相応しいように。
そして、あの青年に笑われない自分であるために。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/02(月) 22:45:28.12 ID:R/USl+yY0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

タイトル案は、
「孫家の事情」「碧眼児」「刎頸」「帰郷」

ここらへんをキーワードとしてなんかありましたらよろしくオナシャス! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/03(火) 04:54:47.41 ID:gzhT39J10<> あかんかったかー
ねる <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/03(火) 13:12:11.22 ID:t59kiHig0<> 乙でしたー ベスト8ならずか…まあ胸張って帰国してほしいね
>>80
>>よりによって袁家と、ことを構えるだなんて。   この言い方だと既にやり合ってるように聞こえるので
○よりによって袁家と、ことを構えようだなんて。  一応まだギリギリで火蓋を切ってないらしいしね
>>81
>>その声に孫権は暫し瞑目する。 これだと色っぽい声に聞き入ってるようにも見えないことも無いので
○その言に孫権は暫し瞑目する。 の方がいいと思います
>>82
>>俺の思考回路はショート寸前。今すぐ会いたいよ。  曲名なら問題ないし1文程度なら大丈夫だろうけどこれはかsジャスラックに睨まれると思うので直した方がいいと思う、リアルガチで
[引用 アップローダー、掲示板に投稿してはいけないもの 著作権上問題のあるファイル、盗撮ファイル、JASRAC管理楽曲、歌詞 ]
○俺の思考回路は天才バカボン状態。反対の賛成なのだ。 別に何でもいいけどなろうに投稿するときは変えた方がいいよ
>>だって仕方ないから穏の、ねえ。暴力的 接続の仕方に違和感と文章が続いてる感じが有るので
○なので仕方ないから穏の、ねえ、暴力的 蓮華がエロい《ので》穏のエロい体に視線を移すわけだし、こんな感じかな?
>>ゴゴゴという効果音がどっからか飛んできた、 これだと効果音出してるのが遠い何かのようなので
○ゴゴゴという効果音が室内を揺らしている、 もしくは【効果音が質量を伴って響いている、】とかどうでしょう
>>83
>>さあ、歌を繋ごう。   この前で《夢と歌》と使ってるので
○さあ、曲を奏でよう。  この後に《踊り》と繋がりますしちょっと他の言葉に変えてみたりしたかったり(個人の嗜好です
>>あの埒外な方に対するに値するのは  【対する】だけなら他にも何人かいるかな、抗せないだろうけど
○あの埒外な方と同じ場所に立てるのは それが同じ方を向くのか横に並ぶのか背中合わせなのか対面するのかはともかく・・・こんな感じでどうでしょう

孫家二の姫ホーム(が)シックになる?むしろ 二の姫ホームシックの治療の為に実家に帰る?
孫家の袁家に噛みつきたい面々の考えも確かに分からなくはないけど、どういう落としどころで終わらせようとしてるんだろう
ぶっちゃけ支援した家に噛まれたら袁家としてはメンツとしても内情としても更地にするまで終われない様な…4世3公の北方の盾が復興させた家に砂掛けられてなあなあで済ましてたら外から見たら「袁家恐るるに足らず!!」だよね
そうならないためにも、領民に強い袁家を知らしめるためにも首のすげ替えくらいはしないと袁家がヤバいだろうし
まさか自分たちが無視しようと思ってる十常待に袁家が従うとか幸せな思考してるんだろうか

アップローダー、掲示板に投稿してはいけないもの 著作権上問題のあるファイル、盗撮ファイル、JASRAC管理楽曲、歌詞
ということで新規スレを作ったり削除依頼を出したりした方がいい可能性が…該当スレだけ消去の可能性もありますが一ノ瀬さん(>>1)が投降したスレなのでどうなるか分かりませんので <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/03(火) 14:29:02.10 ID:t59kiHig0<> 間違えたのでちょっと書き直し
>>80
>>よりによって袁家と、ことを構えるだなんて。   この言い方だと既にやり合ってるように聞こえるので
○よりによって袁家と、ことを構えようだなんて。  一応まだギリギリで火蓋を切ってないらしいしね
>>81
>>その声に孫権は暫し瞑目する。 これだと色っぽい声に聞き入ってるようにも見えないことも無いので
○その言に孫権は暫し瞑目する。 の方がいいと思います
>>82
>>それほどの破壊力を持った言葉が浴びせかけられて俺の〜中略〜会いたいよ。  曲名なら問題ないし1文程度なら大丈夫だろうけどこれはかsジャスラックに睨まれると思うので直した方がいいと思う、リアルガチで
[引用 アップローダー、掲示板に投稿してはいけないもの 著作権上問題のあるファイル、盗撮ファイル、JASRAC管理楽曲、歌詞 ]
○それほどの〜中略〜俺の思考回路は天才バカボン状態。反対の賛成なのだ〜タリラりラン。 別に何でもいいけどなろうに投稿するときは変えた方がいいよ
>>だって仕方ないから穏の、ねえ。暴力的 接続の仕方に違和感と文章が続いてる感じが有るので
○なので仕方ないから穏の、ねえ、暴力的 蓮華がエロい《ので》穏のエロい体に視線を移すわけだし、こんな感じかな?
>>ゴゴゴという効果音がどっからか飛んできた、 これだと効果音出してるのが遠い何かのようなので
○ゴゴゴという効果音が室内を揺らしている、 もしくは【効果音が質量を伴って響いている、】とかどうでしょう
>>83
>>さあ、歌を繋ごう。   この前で《夢と歌》と使ってるので
○さあ、曲を奏でよう。  この後に《踊り》と繋がりますしちょっと他の言葉に変えてみたりしたかったり(個人の嗜好です
>>あの埒外な方に対するに値するのは  【対する】だけなら他にも何人かいるかな、抗せないだろうけど
○あの埒外な方と同じ場所に立てるのは それが同じ方を向くのか横に並ぶのか背中合わせなのか対面するのかはともかく・・・こんな感じでどうでしょう

孫家二の姫ホーム(が)シックになる?むしろ 二の姫ホームシックの治療の為に実家に帰る?
孫家の袁家に噛みつきたい面々の考えも確かに分からなくはないけど、どういう落としどころで終わらせようとしてるんだろう
ぶっちゃけ支援した家に噛まれたら袁家としてはメンツとしても内情としても更地にするまで終われない様な…4世3公の北方の盾が復興させた家に砂掛けられてなあなあで済ましてたら外から見たら「袁家恐るるに足らず!!」だよね
そうならないためにも、領民に強い袁家を知らしめるためにも首のすげ替えくらいはしないと袁家がヤバいだろうし
まさか自分たちが無視しようと思ってる十常待に袁家が従うとか幸せな思考してるんだろうか

アップローダー、掲示板に投稿してはいけないもの 著作権上問題のあるファイル、盗撮ファイル、JASRAC管理楽曲、歌詞
ということで新規スレを作ったり削除依頼を出したりした方がいい可能性が…該当スレだけ消去の可能性もありますが一ノ瀬さん(>>1)が投降したレスなのでどうなるか分かりませんので

もしかしたら一緒に86は《アボーン》されるかも。かもかも <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/07/04(水) 23:03:26.67 ID:/J6PuXlG0<> 乙です。

これだけは言いたい。「実家に帰らせて云々」系は私にとってはデスワードです。
感想としては……
「ほえ?孫策さん遊んでるの(大間違い)」
何だっけ?人質?だったっけ?孫権さん。

先に謝っときます。陸遜さんが放火しませんでした(爆笑三国志かよっ)放火しない代わりにハニトラしてました。効いてないけど。
シャオちゃんは残すんだね。袁術ちゃんの親友がいなくならなくて一安心。というか張勲さんが根回し(というか嫌がらせの圧力)したのかな?
孫権さん、現状確認を自分でもしたいんだろうね。それと内部での方針統一と方法の摺り合わせ。
袁という化け物勢力(象を呑気に飼っていられる財力と、母流龍九商会という経済侵略の尖兵、豊富な人材)を肌で知る孫権と地元で奮闘?の孫策。
軍師もそれぞれ同じようになっているし、双方が情報共有できれば後々楽だしね。

帰ったら姉妹と軍師同士が激論になるのは目に見えてるな。周瑜さんがどう現状を分析するか、そして虎さんをどう制御するかだな。
孫家には知っているから警告するけど、風雲南皮城をなめてるとえらい目に合うよw

「孫家の事情・碧眼児の感情」かな?韻は踏んでるけどなんだかな。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/04(水) 23:19:57.37 ID:E40VsGfsO<> その昔デスマーチの最中に上司に「今夜は帰さないよ」って言われて
「実家に帰らせていただきます」と返した奴がいたのを思い出した <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/07(土) 09:39:39.00 ID:817aBFAr0<> 大雨凄かったけどみなさん大丈夫でした? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/07(土) 10:26:38.21 ID:icgptGmK0<> こちらは大丈夫です

俯瞰者さんはお仕事関係が大変なことになってそうなイメージ
感想返信は後ほど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/09(月) 21:31:28.63 ID:8ApcC9ld0<> >>87
JAS的なものには気をつけます
うむむ。結構いじったつもりができてなかったのは多分マシントラブル

>孫家二の姫ホーム(が)シックになる?むしろ 二の姫ホームシックの治療の為に実家に帰る?
実家が炎上予定なのですね

>孫家の袁家に噛みつきたい面々の考えも確かに分からなくはないけど、どういう落としどころで終わらせようとしてるんだろう
争いというのは、落としどころを見つけるのが一番大変なのですよねえ
孫家はこれまで圧倒的勝利を積み重ねてきました
その成功体験がががが

>ぶっちゃけ支援した家に噛まれたら袁家としては
これその通りなのです。ほんと。

>>88
>これだけは言いたい。「実家に帰らせて云々」系は私にとってはデスワードです。
ああ!いわれのない流れ弾が!
全面無視とどっちが胃に痛いです?わたし、きになります!

>何だっけ?人質?だったっけ?孫権さん。
遊学と言う名の人質プレイですね。
今川時代の家康さん的な扱いじゃないでしょうか。まあ、個人的には今川幕府とか面白いなとか思いますがw

>先に謝っときます。陸遜さんが放火しませんでした(爆笑三国志かよっ)
爆笑三国志。あれはいいものだった……w
今でも色あせないクオリティですよねw 持ってるはずなのですが、どこいったのか分からないですw

>シャオちゃんは残すんだね。袁術ちゃんの親友がいなくならなくて一安心。というか張勲さんが根回し(というか嫌がらせの圧力)したのかな?
実家が炎上して……シャオちゃんは安全圏に置いておこうという冷徹さなのか、争いを見せたくない温情なのか
解釈は色々です

>孫権さん、現状確認を自分でもしたいんだろうね。それと内部での方針統一と方法の摺り合わせ。
実家の現状、きちんと見ようとしてます。現場百ぺんです。

>孫家には知っているから警告するけど、風雲南皮城をなめてるとえらい目に合うよw
多分大坂城クラスに武力では落ちない要塞都市になってますよねw
それを知っている人がいるというのは、実は孫家にとってはアドバンテージなのです

>>89
>その昔デスマーチの最中に上司に「今夜は帰さないよ」って言われて「実家に帰らせていただきます」と返した奴がいたのを思い出した
これ、性別の組み合わせで面白いことになりそうですよw

まあ、デスマーチが発生するということは適切な人員配置ができていないということで(ブーメラン)

個人的には書類仕事で主人公が埋もれるギャグ描写は、書きたくないですねえ。下っ端ならともかく管理職以上ならば。
人員の調達と作業のマネジメントが管ry



桂川の中継ばっかりでしたが、他の河川が氾濫しました。
きちんと災害対策したら成果は出るのです。
特に治水はね。百年単位の事業なのですよね。人死にが出ないと、下手したら出ても無駄遣い扱いなのはね。もうね。
O府でも小学校の社会では水害の歴史があれだけ語られるのにと。

しかしインフラの老朽化、どないするんやろ。対処療法でいくのかなあ。このままだとそうなんだろうなあ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/09(月) 22:28:30.51 ID:8ApcC9ld0<> 「これで一応完成と言っていいのではないかしら」

蔡邑が差し出した分厚い紙の束を何進は満足げに受け取る。

「ご苦労」

一瞥すら蔡邑に与えず、紙の束に目を走らせる。
微苦笑を浮かべて蔡邑はその場を後にする。

「……随分と熱心に見ておられるが、それは?」

華雄が訝しげに尋ねる。
既に蔡邑が室を辞して半刻は経っている。
無言でひたすらに紙をめくるなど。
短くはない付き合いでも、ついぞなかったことである。

「……ん。気になるか?」

ニヤリ、とした笑みが自分を見下しているようで反発を覚えるが、興味があるのは確かなので無言で是、と応える。
ニヤニヤとした笑みはそのままに、手にした紙の束を無造作に放り投げてくる。
手にした、紙面には。

「──人名?」

ずらり、と人名が列挙されている。見れば優、良、可、不可と甲、乙、丙、丁が組み合わされている欄もある。
目を走らせると、幾人かは知った名前も見受けられる。

「それも……宦官?」

ほお、と言った風の何進の表情に華雄は自分の呟きが正鵠を射ていたことを知る、が。

「なぜ、こんなものを?」

それに、記号の意味も分からない。

「フン、まあ、言ってみれば閻魔帳のようなものか。
 袁家の援(たす)けもあり、士大夫層で使い物になる奴らは……ほぼ取り込めているからな。当面の敵は十常侍を筆頭とする宦官さ。
 とは言え、宦官にも色々いるからな。能力と人格を格付けしたもの。
 それがお前の手にしているものさ」

政務の傍(かたわ)らでまとめるのは大変だったみたいだがな、と何進は笑う。
彼らとて政敵を前に手をこまねいていたわけではないが、如何せん政権運営が最優先。
故に士大夫層が多少は協力するようになるまではそのようなものを作成する余裕もなかったのだ。
ふむ、と納得し華雄は大いに頷く。

「つまり、能力が低く、人格が卑しい奴を誅滅すればいいということか」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/09(月) 22:29:08.86 ID:8ApcC9ld0<> 腕が鳴る。
華雄は獰猛な笑みを浮かべて血を滾らせる。
が、応える声は無情。

「お前は阿呆か」

心底呆れた、という風な声がかけられ華雄は混乱する。

「な、何か間違えた、か……?」

溜息と苦笑。

「いいか、国を動かすのは、そしてそれを変えるというのは硬い岩を少しずつ削っていくようなものだ。
 お前の手にしている斧ならばな、岩を砕くこともできるだろうさ。
が、それでは国も砕けてしまう。
 水滴が岩を穿つがごとく、静かに、だが絶えることなく動くこと。
 それに倦まずに継続することこそが強さ、さ」

華雄にはそれがどうにもまどろっこしく感じてしまう。

「フン、お前にはこう言った方が分かりやすいか。
 弁が継ぐ禁裏を血で汚すわけにはいかん。そういうことだ」
「それならば私にも分かる」

うむ、と納得したように華雄は頷く。
が、と思う。

「ここの評価をどう使うのだ?」
「ふむ。地位が低く、人格が卑しく、能力が高い順に放逐、左遷していく」

その言葉に華雄は首をかしげる。

「だが、ここには地位なんて書いていないぞ?」
「……官位、役職を見れば一目瞭然だし、地位は変動するからな……」
「しかし、地位が低い者をどうこうしても大勢に影響はないのでは?」

やはり首魁たる十常侍を除くべきではないかと華雄は思うのだ。

「言ったろうが。岩で言えばそれは中心。
 まずは周りから、だな。将を射んとすれば、という奴だ。
 いなくなっても気づかん奴らから手を付ける。
 気づいた時には手遅れ、というのが理想だな。
 ま、十年か二十年もあれば大丈夫だろうさ」

その言葉に華雄は瞠目する。

「勝てない戦はしない。確実に勝てる戦しかせんよ、俺は。
 だからこうして今ここにいるのさ」

くは、と笑う何進が華雄には理解できない。そして思うのだ。

「どうして私などを側に?」

その言葉に何進は大笑する。
む、と逆立つ柳眉にもおかまいなしに。

「お前には分からんだろうし、それでいい」

愉快に、愉快そうに何進は笑う。
華雄は不機嫌そうに黙りこくるしかなかった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/09(月) 22:31:48.05 ID:8ApcC9ld0<> 本日ここまですー

感想とかくだしあー

タイトル案

「何進と華雄」

うわあ、そのまんまや <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/10(火) 12:48:48.50 ID:VbRXs5aw0<> 乙でしたー
>>93
>>ほお、と言った風の何進の表情に華雄は  意味は分かりますが、【ほお、と言った風】だと実際には《ほお》とは言ってなくて【ほお、と言った表情】だとどんな感じなのかちょっと分かり難いかも?
○感心だ、と言った風の何進の表情に華雄は もしくは【ほう、と息を漏らした何進の表情に華雄は】とか【感心したように目を細めた何進に華雄は】とかどうでしょう

それにしても>>地位が低く、人格が卑しく、能力が高い・・・性格悪くて能力高いだけなら典型的な敵キャラだけどここに地位が低いが入るとそこはかとない残念臭がするなwお前能力の使い方間違ってない?それともうまいこと地方で威張り散らす美味しいポジにいるのか・・・
《地位が低く、人格が卑しい》ならただのクズの寄生虫タイプ、《地位が低く、能力が高い》なら不器用な実直タイプって感じだけどこの3つが混ざるとタイプが見えづらいな

何進の臣下の選び方は独裁者としては理にかなってるかな?正確には宦官勢力だから敵対勢力だけど、まあ漢王朝として見れば臣下だし
華雄さんのそういう真っ直ぐさと言うか愚直さは何進にとっては確かに必要な物よね、こういう人っていつの間にかそういう単純な考え方が出来なくなっちゃうから <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/13(金) 21:45:23.50 ID:9gzGcU6X0<> >>96
赤ペン先生いつもありがとうございますー

>・・・性格悪くて能力高いだけなら典型的な敵キャラだけどここに地位が低いが入るとそこはかとない残念臭がするなw
若手或いはやらかして降格食らった的なw

>何進の臣下の選び方は独裁者としては理にかなってるかな?正確には宦官勢力だから敵対勢力だけど、まあ漢王朝として見れば臣下だし
地道に掃除をしております

>華雄さんのそういう真っ直ぐさと言うか愚直さは何進にとっては確かに必要な物よね、こういう人っていつの間にかそういう単純な考え方が出来なくなっちゃうから
これはまったくもってその通りです <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/07/15(日) 03:06:31.23 ID:Mp7XYSBT0<> 乙です。

人格卑しく、能力が高い……公務員というくくりでは結構いるなぁ。何故か福祉系と自治系に多いんだが。まぁ「能力が高い」と言っても単に運営が上手いとか弱者に高圧的に対応するとかだけどね。教員もそうか。
「頭の良い阿呆」って奴らだね。そら明確に旗幟を明らかにしてりゃ付き合いようもあるけれど、こういう日和見連中は権力奪取の障害だわなぁ。
あれだな。出世欲や承認欲求やプライドの高さは人一倍なんだけど、底が見えているから思ったような待遇や権限を与えられない。行動するかといえば全然しない。
現代日本に置き換えれば、児童虐待や生活保護といった緊急性や必要性の高い事案で自身の身分に与えられている権限を行動で対応せず、結果最悪の事態になっても「人間が」「忙しい」
そんな連中どれだけいるんだ?労基監督官や警察以外の逮捕権限を持つ公務員は命的で本気で踏み込んで行くぞ?
ここ数年同窓会が多かったからよく分かるが、平気で暴力と人格否定していた教員は会場で浮いていたな。つうか中学時代私を目の敵にして荀ケ真っ青のハラスメントしまくっていたお方は他の生徒にもやらかしていたみたいでぽつん、と一人になっていてよりによって私に話しかけてきたので丁重に録音や録画の許可を求めつつ言葉と当時の法律を引用して公開処刑しました。つか人格卑しく能力高い(となっている)連中の極みって教育委員会だな。

インフラはね、もう対症でしか対応できないところまで追い込まれていますね。大阪地震の際に一気に法軽視の膿が噴出したので、今回も被災者には申し訳ないのですが根本的にインフラと災害対応をないがしろにしてきた自治体がツケを払う羽目になりましたね。
現在はすんざましく忙しいですが、ただ忙しいだけ。ボランティア要請が協会経由で来た時には率直に「会社潰したくないので」とかましました。
重機や車両や資材を出して燃料や消耗品や人員……後でちゃんとバックするのかと。
どうせ地元のブローカー業者が取り込むんだろうに、流石にビジネスという面では頷けませんでした。

>これだけは言いたい。「実家に帰らせて云々」系は私にとってはデスワードです。
ああ!いわれのない流れ弾が!
全面無視とどっちが胃に痛いです?わたし、きになります!

全面無視ならひたすらアプローチしまくります。だってそれも感情が為せる事。
胃が痛いのは「実家に帰らせて云々」ですw
というか、ガンが発覚した際に一回全面無視頂いてますwでも懲りずに根気よく話しかけたりアプローチしたりで解決w
逆にねぇ実家に帰られたら寝込みますよwそれから相手先に行って、義父母から事情を伺います。何せ私にとっては絶対に奪われたくない金銀財宝、文化財、プライスレスの宝物。意地でも取り返します。
そらまぁ、商売の姐さん達から「愛人に」と秋波送られる事もそれなりにありますが、丁重にお断りしてますし場合によっては代理人通じてカネで収めてます。
新婚当時に「実家に帰ります」だけの書置き見つけたときは本気でパニックに陥りましたよ。車飛ばして嫁実家に行ったら、単に一人が嫌だから帰ったとかで
嫁は義母に叱られ、私は義父に懇々と説教されましたw以後は嫁はちゃんと私に連絡してから帰るようになりましたが。
逆に現在はべったりです。つか検査結果を見てはあれじゃこれじゃと多種多様な料理を頂いてます。菜食主義かと思うくらい毎食野菜づくめですが。
最近の暑さで食欲が落ちないようにちょっと蛋白質が増えました。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/15(日) 22:47:23.91 ID:pnSmb6Bf0<> 乙〜
「豪と剛」なんてのはどうでしょ?
2人の強さの種の違いが出てるお話なのでそういうのがいいんじゃないかなぁと

暴力は自衛とか、犯罪なんかを殴ってでも止めなきゃいかんと言うとき以外はいらんのははっきりしてるんですけどね〜
当方F県住みですが前回の被害があったから豪雨の被害もインフラと意識のおかげで少なくなってる印象です
ずぶずぶのあの会社とかあの会社とかはいい加減改めろよとは思ってますが

肉類はともかくとして、たんぱく質と脂質は最低限取らないと死にます
貧乏人が太るのは野菜にしろその辺にしろ高いから炭水化物で誤魔化すからなわけで
60超えてくると肉じゃないとたんぱく質が必要な分を取りきれないなんてこともあります
ストレスにならない程度で「適度」にお召し上がりください <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/17(火) 20:33:54.29 ID:skZTwoWa0<> >>98
どもです。

>人格卑しく、能力が高い……公務員というくくりでは結構いるなぁ。何故か福祉系と自治系に多いんだが。まぁ「能力が高い」と言っても単に運営が上手いとか弱者に高圧的に対応するとかだけどね。教員もそうか。
おお、なるほど。納得感がございます。いや、ありがとうございますー!

>「頭の良い阿呆」って奴らだね。
これはこれで使いようでもあるのですががががw

>現代日本に置き換えれば、児童虐待や生活保護といった緊急性や必要性の高い事案で自身の身分に与えられている権限を行動で対応せず、結果最悪の事態になっても「人間が」「忙しい」
実務者ですと、「やらない理由」はいくらでもひねり出せるものですよねえ

>インフラはね、もう対症でしか対応できないところまで追い込まれていますね。
(顔を覆う)
五輪もなんか変な感じに節約万歳になってきて……

>全面無視ならひたすらアプローチしまくります。だってそれも感情が為せる事。
おおう。これは見習おうと思いました。でも辛いねん。

>。何せ私にとっては絶対に奪われたくない金銀財宝、文化財、プライスレスの宝物。意地でも取り返します。
ごちそうさまです!

>多種多様な料理を頂いてます。菜食主義かと思うくらい毎食野菜づくめですが。
ごちそうさまです!(二回目)

>>99
>「豪と剛」なんてのはどうでしょ?
おお、いいかも。

>当方F県住みですが前回の被害があったから豪雨の被害もインフラと意識のおかげで少なくなってる印象です
経験が活きた、と。まあ、想定しているところであれば駅が沈んだり陥没したりしてましたよね。
インフラ投資は本当に大事だなあというのが広まればいいなあと^思います

>ずぶずぶのあの会社とかあの会社とかはいい加減改めろよとは思ってますが
これは全く分からないw

>肉類はともかくとして、たんぱく質と脂質は最低限取らないと死にます
四半世紀前と比べて、ご老人が元気で若々しいのは単純にたんぱく質の摂取量じゃないかなあと思ったりしております。
真偽は不明ですが <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/17(火) 22:58:49.41 ID:skZTwoWa0<> すやすやと俺の膝の上にて眠る幼女一名。
それをにこやかに、俺の方をちらりと羨ましそうに。なにか物欲しげな視線をくれる美少女一名。
如南に向かう馬車の中である。つまり同乗しているのは美羽様と七乃の二人ということ。
七乃の視線をとても感じる。感じる。
いや、別に美羽様を独占しようとしてるわけじゃないよ?ただ、ほら、美羽様に服をがっちり掴まれているからして。幼女ホールドが極まっているだけで。

「いいなあ、二郎さん、いいなあ。
 美羽様独占して、ずるいなあ」
「いや、ほら俺ずっと留守してたからってだけだと思うぞ?
 その間七乃が独り占めしてただろ」

俺の言葉にぷう、と頬を膨らます。意外とこういう表情をすると幼く見えたりするんだよね、七乃って。

「どっかのだれかさんと違って私はお仕事もしてたんですよ?
 如南とも何回か往復してましたし。ほんと、フラフラしてるだけでいい人が羨ましいなあ。
 よ、この風来坊!唐変木!なんだか腹がたってきたぞー」
「自分で言ってて腹立てるなよ……」

むむむ。
美羽様を譲渡すれば一時的にでもこの微妙な空気を有耶無耶にできるんだけど、幼女ホールド相変わらずがっちり極まっています!
まあ、帰ったその日、部屋で待ってた美羽様たちをスルーしたのもいかんかった。
次の日、えらくご機嫌斜めだったからなあ。珍しく拗ねちゃったのであるよ。
うん、俺が一方的に悪いな。反省、反省。

むう、と膨れる七乃は対面の座席から俺の横に席を移す。
で、ぷにぷにと美羽様のほっぺをいじったり、引っ張ったり……っておい。

「おい、起きちゃうぞ?」
「大丈夫ですよ、このくらいで起きたりしませんから」

多少は機嫌を直したのか、にこにこしながら美羽様を弄繰(いじく)り回す。どうも起きるか起きないくらいのぎりぎりのラインを攻めているらしい。なんだそれ。

「んー、なんですか?そんなにこっち見て。
 あ、そっか」

にじり、と体を寄せてきて……。

「こんな時に……。欲情しちゃったんですね。仕方ないなあ。手早く済ませちゃいましょうか」

そんなことを言いながらおい、どこ触ってるのですか。
それと近い。顔が近いって。いや、首筋はだめだって。あふん。

「美羽様起きたらどうすんのよ。それに七乃お前な、周りの警護にばれたらどうすんの」

星とか流琉とか多分車内の気配で気づいちゃうぞ。
今回は百名と少数ながらも精鋭ぞろいだからなあ。
あ、雷薄は娘さんのいる如南にものっそい行きたがってたけどお留守番です。補佐は風。まあ、あの二人なら留守任せても大丈夫だろ。

「ぶーぶー。つまんないですねえ、それがいいのに」
「人に見られて喜ぶ性癖はない」
「じゃあ混ぜちゃいます?」
「どうしてそうなる」

さらっとえらいことをおっしゃる。

「まあ、如南では盛大に歓迎のおもてなしがありますから消耗してもまずいかな?それともそっちの方がいいかな?」

おもてなしですか。盛大ですか。

「ええそりゃ、もう。
 袁胤様も許攸さんも。何よりお父様も、一日千秋の思いで待たれてますよ?
 美羽様と、二郎さんを」
「そりゃありがたいこって。
 鬼が出るか蛇が出るか」
「ふふ。期待してくれていいですよー?」

細工は流々、後は仕上げをご覧じろ。
お代は見てのお帰りに。

耳元で甘く囁く七乃の舌がぺろり、と俺の耳朶を一舐めした。
いやん。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/17(火) 23:01:12.21 ID:skZTwoWa0<> ◆◆◆

さて、如南への道中は何事もなく。特記するようなイベントもなく如南に到着した。あら珍しい。
いつもならなんやかんやあるんだけど、これはこれで不気味だな。

「美羽様はあちらへ。袁胤様がお待ちです」
「む?七乃と二郎はどうするのかや?」
「ええ、ちょっとお父様にご挨拶を」
「そうかや?ふむ。では手早く済ませてくるのじゃぞ?」

ええ、とにこやかに手を振る七乃。

「星、流琉、頼んだ」
「はい!わかりました!」
「任されたとも」

何を、とは言う必要もない。
……何が起きると決まったわけでもないけど。ないけど!

「紀霊殿、三尖刀はこちらに」

ん?

「はいはい、二郎さん。重い荷物は張郃君に預けちゃってくださいねー」

どろり、と濁った眼。浮かべた笑いは虚ろ。なんとも厄い長身の青年に三尖刀を預ける。
その所作には一分の隙もなく。あ、これ普通に達人や。しかも濡れ仕事系や。
ここは七乃を信じるとしよう。信じるよ?信じていいよね?信じるからな?信じたぞ?

……流琉くらいは俺に付いていてもらうべきだったかしらん。むしろ星か?いやいや、ここは美羽様ファーストでいかないといけない。

そして通された室は薄暗く。椅子に腰かけた壮年の男が一人いるきりであった。
手元を確認する。両手の指が……六本。つまりそれは異形の身。そして数多くの内外の政敵を誅滅した希代の暗殺者。
匈奴の侵略を受け、ボロボロだった袁家の不穏分子を鏖(みなごろし)にして、その功をもって張家を継いだ生粋の処刑人。
袁家の闇を体現するその異形は「六本指」、或いは「六」とだけ呼ばれている。つまり袁家の中でもトップクラスに「やべーやつ」である。
や、俺も間近で見たのは今日が初めてだしな。式典の時に幾度か遠目に見たことがあるだけだ。
間違ってもお近づきになりたくない人物である。
そして。できれば一生近づきたくなかったのだけれどもね。あーあ、出会っちまったか。
逃げたい。

「やあ、初めまして、というべきなのかな?」

張郃が濁った眼、というのであればこいつの目つきを何と言えばいいのかね。なんかこう、深淵を覗きこんでいるような錯覚すら覚えてしまう。

「もっとも、互いに噂くらいは知っていると思うがね」

まあ、俺の情報なんて筒抜けもいいとこだよね。誰から漏れてるとかは言わぬが華さ。
七乃と張郃が左右に控える図は、こう。どす黒い一幅の絵のように不気味で、正視に堪えない。

「挨拶、という割には偉そうだな?
 俺の記憶が確かなら、あんたはもう引退したはずだが」

何がおかしいのか、クク、と笑いをこぼす。

「いや、失礼。ああ、見事な正論だな。だが無意味でもある。
 確かに現在の張家当主は我が娘ではあるな。そう、私の忠実な人形である、ね」

愉快そうに嘲笑う。
その後ろに控える七乃は愉快そうな笑みを崩さない。張り付いたような笑みを崩さない。

「で、結局俺に何の用なわけ?さっさと美羽様のとこに行きたいんだが」
「いや、その必要はないとも」

ニヤリとした笑みが深まり、視線が室を睥睨する。
その視線につられて見ると、髑髏の仮面を身に着けた奴らが……五人!穏行か!室を同じくしながら気づかんとは!
視線を戻すまでもなく、室に殺気が充満する。幾条もの視線が死線となり俺を補足する。
脂汗が額を、頬を、背中を伝う。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/17(火) 23:01:39.12 ID:skZTwoWa0<> 「なに、楽に逝きたいか、苦しんで逝きたいかくらいは選ばせてやろうかと、な」

実に愉快そうにどこからともなく取り出した杯に液体を注いでいく。

「飲むか、あがくかしたまえ。
 飲めば一瞬で楽になれるぞ?私としては是非に足掻いてほしいものだがね」

そろり、と重心を落とし、機を窺う。三尖刀の気配を窺い、補足。よし。
じわり、と髑髏どもが動き、俺を囲もうとする。つ、流石に隙がないな。
濃密な殺気の中、いつ壊れてもおかしくない膠着が続く。

「実にいい表情だね?」

そうかい。そりゃよかったよ。
その余裕綽々な態度にこっちゃワンチャン狙うしかないんだぜ。
控えめに言って絶体絶命である。いやマジで。

「では、娘よ。お前が命じるのだ、張家当主としてな」

す、と手が上げられると同時に七乃の表情が消え、歪んだ口元は三日月。

「はい、そうですね。じゃあ、張郃君、ちゃっちゃとやっちゃってくださいな」
「了解した、姉上……。
いやさ、ご当主」

音もなく、滑るようなその動きはまさに練達の極み。
外しようもない一撃は胸を貫き、鮮血が飛び散る。

「な!
がっ……!」

吐血。
ここにきて、愉悦した笑みは消えて苦痛に歪む。
口を開いて何か言おうとしたのだが。

「えい」

続けざまに七乃が繰り出した一撃がその喉を貫いた。見事な刺突。迷いなぞない。

「はいはーい、何か言いたいことあったみたいですけど、正直興味ないですからさっさと死んでくださいね。
 よいしょっと」

引き抜いた短刀を脳天に突き刺す。もはや飛び散る鮮血で七乃も張郃も真っ赤である。
そんなでもにこやかな笑みを崩さない七乃と目が合う。

「二郎さん、ご協力感謝です。
 これで名実ともに私が張家を掌握できることになりましたー」

鮮血を拭うこともせず、けらけらと笑う七乃。
うん、凄みがすごい。

「あ、そうだ。
それ、さっさと片付けてくださいねー。張郃君は後始末、よろしく」
「は、承知いたしました」

音もなくその場から掻き消える張郃。すげえ。

「じゃ、二郎さんは先に美羽様の所へ行ってくださいな。流石にこの恰好じゃちょっと顔出せないですし」

恰好の問題じゃない気がするんだが。
いや、気づいたら全身が冷や汗と脂汗でえらいことですよ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/17(火) 23:04:05.42 ID:skZTwoWa0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

いやあ、勝利の鍵は七乃さんでしたね!
大体ここでゲームオーバーになるんだよなあ……

タイトル案

「張家、乱れる」

いまいちだあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/18(水) 00:24:07.89 ID:r4P1BLiP0<> 乙〜
ななのさんきれいさんだいかつやく!
何故か旧SRWを思い出してしまいましたww

タイトルはここは敢えて「よはなべてこともなし」で
ひらがなオンリーがミソww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/18(水) 07:17:42.37 ID:hCKVXtL+o<> ここ好き
もはやあっさりとした父の死に様が、七乃さんの強さと異常さを引き立てる
七乃さんマジキーカード

タイトル案
「親喰みの蜘蛛」 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/18(水) 14:56:56.91 ID:bG2vHsmo0<> 乙でしたー
>>101
>>ぷにぷにと美羽様のほっぺをいじったり、引っ張ったり 意味は通じますが【いじる】の中に【引っ張る】が含まれてる気がするので
○ぷにぷにと美羽様のほっぺをつまんだり、引っ張ったり もしくは【つついたり】とかの方がいいかな?或いは【ぷにぷにと美羽様のほっぺをいじって】とか?
>>どうも起きるか起きないくらいのぎりぎりのラインを ちょっと違和感が…【この場合起きるか起きないか】?でもそれだと起きるかもしれないから
○どうもぎりぎり起きないくらいのラインを      七乃は起きないと確信してるのでこんな感じでどうでしょう
>>102
>>なんとも厄い長身の青年に三尖刀を預ける。  はて?宝貝って才能が無い人が持つと滅茶苦茶疲れて昏倒したような…まあこの世界では大丈夫か鞘にでも入れてたとみるべきか
>>しかも濡れ仕事系や。 脱獄大作戦?これって何が何で濡れるって意味なんだろうなあ
○しかも汚れ仕事系や。 一応一般的に言うと多分彼の仕事ってこれ系かな?
>>103
>>いつ壊れてもおかしくない膠着が続く。  ちょっと自信が無いですが《膠着状態》はお互いに隙をうかがったりして所謂拮抗した状態に近いと思うんですよ(まあ一方が圧倒してるけど出血を抑えるためにより完璧な勝利をしようとする状態とかもありますが)
○いつ崩れてもおかしくない膠着が続く。  もしくは【いつ傾いてもおかしくない】とか?イメージとしては長方形《□》でこれが平行四辺形に形を変える…図形描けねえ。
□□□     □□□
□□□      □□□
膠着これが   崩れる、傾くこうなる感じかと
>>音もなくその場から掻き消える張郃         カッコいいけどこの後雑巾とかの掃除用具を取りに向かうんだよなあ…いっそのこと
○ひょい、と担ぐと何でもないかの様に室を出ていった この後始末を完遂するまでは張郃君の姿を誰も見かけないんだろうなあ
個人的な好みの問題なんですがああいう《フッと消える》描写って強キャラ感はあるんですが同時に見せつけてる感もあるんですよね…なんというか力仕事を頼まれてポージング決めて胸筋ぴくぴくさせてる様な
なのでそれまで普通にいたけど要件が済んで目を放した隙にいなくなるのが好みだったり、部屋を出たら、とか角を曲がったら、とかで見えなくなるような
ちなみに普通に考えれば大の男(しかも元張家当主)を抱えてる血まみれの男とか目立つに決まってますが、まあ張郃君ならできるさ

《張家の長の真の継承》…違うか《凡人、蜘蛛の家の代替わりを見届ける》、《張家、頭を切り替えて心機一転する》って感じかな?
この来た、見た、勝った。感…やはり戦いはその仕込で8割決まるんやなって(なお二郎君は知らない)
しかし本当、いったいどれだけの爆弾が彼女によって解体されたのやら <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/18(水) 21:50:56.64 ID:XbBRVn0v0<> >>105
>何故か旧SRWを思い出してしまいましたw
スーパーロボ!
6さんはユーゼス感もありおりはべりいまそかりな方です

>タイトルはここは敢えて「よはなべてこともなし」で
絡新婦の理:よはなべてこともなし
ありですね

>>106
>ここ好き
嬉しい……。シンプルだけど嬉しいです

>もはやあっさりとした父の死に様が、七乃さんの強さと異常さを引き立てる
こってり脂マシマシも書いてみたのですが、コレジャナイ感で没
鮎の煮干しをベースとした上品な味付けです

>七乃さんマジキーカード
この固定イベントで七乃さんと美羽様の好感度が足りず、例のイベントが発生しなかったら死ぞ

>「親喰みの蜘蛛」
タイトルからネタバレがひどいw
いや、言葉のセンスはいいんだけど、タイトルはなろうで使うから難しいのよね

>>107
赤ペン先生いつもありがとうございますー

> はて?宝貝って才能が無い人が持つと滅茶苦茶疲れて昏倒したような…まあこの世界では大丈夫か鞘にでも入れてたとみるべきか
ふむ、と思いましたが多分妲己ちゃんが同化した世界だから資質に差はあれど的な
だから多分能力に+効果あるアイテムの数々も広義の宝貝だったりするのかなとか思ったりそういうことにしようと今決めました

>脱獄大作戦?これって何が何で濡れるって意味なんだろうなあ
濡れ仕事(ウェットワーク)。暗殺系の仕事のことです。KGBが使う隠語が語源。この言葉を初めて知ったのはパタリロ!だったりします

>個人的な好みの問題なんですがああいう《フッと消える》描写って強キャラ感はあるんですが同時に見せつけてる感もあるんですよね…なんというか力仕事を頼まれてポージング決めて胸筋ぴくぴくさせてる様な
爆笑w

>ちなみに普通に考えれば大の男(しかも元張家当主)を抱えてる血まみれの男とか目立つに決まってますが
それでも張郃なら、張郃ならやってくれる……(無責任)

>この来た、見た、勝った。感…やはり戦いはその仕込で8割決まるんやなって(なお二郎君は知らない)
割と徹頭徹尾蚊帳の外。これは間違いなく凡人(隙あらば凡人アピール)

>しかし本当、いったいどれだけの爆弾が彼女によって解体されたのやら
正直二郎ちゃんはもっと七乃さんに感謝するべきだと思います、とメタってしまうくらいですw
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/19(木) 21:50:51.85 ID:M4uTFnn/0<> ふぁさり、と張勲は身に着けていた衣服を脱ぎ捨てる。
惜しげもなく晒した肢体は引き締まりながらも女性らしい曲線を描いている。
熟れる直前、といった風情の肢体にこびりつき、乾きはじめた赤黒い塊を侍女が丁寧に拭っていく。

ふう、と脱力しながら侍女の差し出す衣装に手早く身を包んでいく。
たっぷりと香が焚き染められた衣服は消せない血の香りを吸って、より蠱惑的に漂う。

結果として満足のいく流れではあったが、何もかも思い通りにいったわけではない。
あれで薄氷を歩むようにして掴んだ僥倖──ただし限りなく必然に近づけたという自負はあるが──であったのだ。
細心の注意を払ってはいたが、あの父親が相手である。いつ破綻してもおかしくはなかった。
紀霊に計画の詳細どころか、流れすら教えなかったのも彼の言動から不審を抱かせないため。
辛うじて自分を信じて――これも賭けではあった――くれてはいたが、少しでもこちらに疑いを抱かれたり、生存のために足掻かれたら計画は瓦解したかもしれない。
室に五人もの刺客を配したのもそう。室を殺気で満たすためである。
殺気の流れを気取られぬようにするためであったのだ。なにせ希代の暗殺者。袁家の闇を一身に背負った化け物であるからして。
室に配した五人。彼らは張家でも選りすぐりではあったのだが、それでも紀霊が本気になれば突破されたろう。
何せ、三尖刀だ。
かの神器は例え身から離れていてもその効果を顕現することが可能。
なればあの五人に自分と張郃が参戦しても、離脱だけならば可能であったろう。
……変なところで鈍いところのある彼がそこまで察していたかは微妙ではあるが。

浮かべた笑みが幾分か苦いものを含むのを自覚しながら室を辞し、歩みを進める。
音もなく随行する張合もまた身なりを整えており、張勲は軽く頷く。

「首尾はどうですか?」
「は、手筈通りに」

にこり、と口を笑みの形に歪めて張勲は目的地たる広間に到着する。
配下の髑髏兵が無言で扉を開け放つ。

彼女の姿を認め、愛らしい主が駆け寄ってくる。

「七乃、七乃、一体どうなっておるのじゃ?
 妾が来たときにはもう、皆このようになっておっての。
どうしたらいいか分からんかったのじゃ。
 なあ、どうなっておるのじゃ?」

愛しげに眼を細め、最愛の主を抱え上げる。

「はいはい、どうしました?
 七乃がおりますから、何も心配することはありませんよ?」

弧を描く口元に何かを感じ取ったか趙雲が向ける視線を鋭くする。少しでも腕の中の袁術に害意を向ければ、引き絞られた弓から放たれた矢のごとく張勲を襲うであろう。
趙雲と背中合わせにする典韋は周りの髑髏兵に敵意を隠さない。常の彼女からほど遠いその表情、気迫。張勲は感嘆する。これに伍するには手札では張郃。それでも正面からでは危ういかもしれない、と。

視線のみの誰何。それをより一層強める趙雲の前にずい、と張郃が歩を進め視線を遮る。
大胆な一歩――そこは既に趙雲の間合いである――を踏み出した彼の表情からは何も読み取ることはできない。
一触即発。

張りつめた空気を弛緩させたのはこの場への闖入者の間抜けな声であった。

「なにこれどうなってんの?」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/19(木) 21:51:23.60 ID:M4uTFnn/0<> ◆◆◆

目の前の光景に絶賛混乱の二郎です。

よし、落ち着け俺。時系列から思い出そう。

惨劇の現場から案内されたのは小部屋。そこで衣服に香を焚いてもらった。
確かにまあ、血の匂いがこびりついてたしね。ついでに茶を一服。美味しかったです。

んで、ずいぶん遠回りするなあとか思いながら広間に到着したら、星と流琉が戦闘態勢で髑髏兵に向き合っていました。
美羽様は七乃の腕の中で、星がそれに鋭い視線を向け、張郃がそれに応じる。
何事もないかのように流れる優雅な楽曲がいっそ不気味だ。むしろホラーだ。
んで視線をあちらに向けると……許攸は手足をふん縛られて広間の中央に転がっており、袁胤様はおかしげにその傍らでこっちを見ている。

「ほ、ほ。中々に面白い趣向でおじゃった。誉めて遣わすぞ」
「お楽しみいただけたようでなによりですー」

にこやかに七乃が応じる。

「さても、まさかにの。ようも謀ってくれたでおじゃるな」

ほ、ほ、と雅に笑う袁胤様の態度こそいっそご立派である。
いや、流石に袁家の重鎮である。

「この!売女!最初からこういうつもりやったんか!
 今に見とれよ!ほえ面かかしたるよってな!」

七乃に罵詈雑言を浴びせる許攸とは対照的である。
その様子を見て星が緊張を解く。

「主よ、どういうことなのかな?」
「や、俺だってよく知らねえよ」

肩をすくめて七乃を見る。美羽様も混乱しているようだ。

「あらら、二郎さんはともかく趙雲さんはお察しかと思ったんですけどね」

美羽様を俺に渡してぽん、と張郃の肩を叩き構えを解かせる。
それを合図に髑髏兵も緊張を緩める。

「じろう……?」

不安げに見上げてくる美羽様の頭を軽く撫でて安心させる。
よし、事態を整理しよう。んで流琉、構え解いていいからね。
俺の声にそれでもじり、と油断なく星と反対側に控えて周囲を警戒する。

「はい、事態を整理します。袁胤様他が美羽様拉致しようとしました。
 七乃は裏切ったふりして、その計画潰しました。
 星と流琉と美羽様に情報行ってなかったのは情報の秘匿或いは連絡の不手際、以上!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/19(木) 21:52:03.54 ID:M4uTFnn/0<> 色々ばっさりいったがまあだいたいこんな感じじゃないかな。
そして俺の雑な推論の答え合わせは意外な人物が果たす。

「ほ、ほ。簡にして単。ようも簡略化しおったの。美羽よ、そやつの言う通りじゃ。
 粗いが、まあその理解でよかろうよ」

さいですか。よかったよかった。

「して紀霊よ、麻呂たちをどうするつもりかな?
 まさかに、この身を誅することはないでおじゃろう?」

ほ、ほ、と笑みを浮かべるその優雅さは袁家の在り方を体現されている。流石、袁家の反主流派をまとめていたのも納得の大物感である。
いや、実際大物なんだけどね。

「ええまあ、そうですね。まとめて蟄居もしくは幽閉ってとこでどうでしょ」

俺の答えに満足げに頷く。

「あらら、二郎さん、いいんですか?相手は二郎さんを排除しようとしてたんですけどー」

七乃、お前分かってるくせに……。

「処断するのは容易いけどね。それじゃ、ことが大きくなりすぎる。
 既に謀反の使嗾の責は……。張家の先代が自刃している。これでよかろう。未然に防げたからこれ以上の血は流さん方がいいだろうよ」
「ああ、そうでした。お父様、見事な最後でしたねー」

その声に許攸が青ざめる。事態の深刻さをご理解いただいたであろうか。ここで求められるのは更なる粛正ではなく、軟着陸。その落としどころ。
ほいで、ことが大きくなれば次の贄はお前になるのだぜ?

「ふむ、そうであったか。あ奴は果てたか。ならば致し方あるまい。なに、麻呂とて武家よ。引き際は心得ておじゃるよ……」 

臥薪嘗胆なにするものぞ、とばかりに堂々と歩み去っていく。その所作は見事。かつて袁家きっての武闘派としてならした剛剣の使い手。その風聞は嘘ではなかったのだと確信にいたるものであった。
まあ、あの方だって間違っているわけじゃあない。俺と道筋が違っていただけだ。
なにせこれから乱世ですから。

「じろう……?」

不安げな美羽様をきゅ、と抱きしめてやる。
ご安心ください。誤魔化したりしません。いずれすべてご説明しますとも。
今はただ、俺にお任せください。こっからが正念場ですから。
責任者が根こそぎいなくなった如南の政治、南皮への報告、やることはいっぱいある。
それでも今は、流れた血が最低限で済んだことをよしとしよう。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/19(木) 21:59:22.40 ID:M4uTFnn/0<> 本日ここまですー

感想とかくだしあー

タイトル案ぼしうです!

そして気付いたのですが、後数話でキリがいい。
このまま黄天編に入るよりいいかなと思いました。
この拠点フェイズは何編がいいのかな?

こちらについてもお知恵拝借したく存じます。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/20(金) 05:39:52.88 ID:q6iK5a1wo<> 乙したー
やはり七乃さんは敵に回してはいけない(再確認

キリの良いところまで書いて良いのではないでしょうかー? <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/20(金) 17:52:31.03 ID:2kWLiG6T0<> 乙でしたー
>>109
>>あれで薄氷を歩むようにして掴んだ僥倖  混ざった感じですね+これって類似としては【虎穴に入る】ではなく【虎の尾を踏む】が近いんですよ。要は《あえて》その状況にしたんじゃなくて《仕方なく》その状況になるしかなかった、的な
○あれで氷を歩むようにしながら掴んだ僥倖 もしくは【薄氷を踏むが如しで、何とか掴んだ僥倖】とか?でも後の話とかからするとあえてこの状況に持って行った感もありますので
○あれはまさに九死に一生を得た僥倖    もしくは【まさに虎穴に入りて虎児を得た僥倖】とかどうでしょう
>>音もなく随行する張合もまた まあ読みやすいし書きやすいよね
○音もなく随行する張郃もまた イチイチ【張合β】とか書くのもバカらしいしなあ
>>愛しげに眼を細め、 なんで?と聞かれるとそういう物だから、としか返せませんが
○愛しげに目を細め、 【目に付く】とは言うけど【眼につく】とは言わないし【目を引く】も【眼を引く】とは言わないので…強いて言えば物理的な場合なら【眼】を使えると覚えれば良いかな?《砂埃が酷いので眼を細める》とか
>>趙雲が向ける視線を鋭くする。少しでも腕の中の袁術に害意を向ければ、  この部分だけ読むと趙雲の腕の中に袁術がいるっぽく読めるので
○趙雲から受ける視線が鋭くなる。少しでも腕の中の袁術に害意を向ければ、 こんな感じでどうでしょう、逆に趙雲を主軸にすると他の場所も書き換えなきゃなので割愛します
>>110
>>七乃は裏切ったふりして、その計画潰しました。 意味は通じるのでこのままでもいいのですが
○七乃は乗ったふりして、その計画潰しました。  直前で>>袁胤様他が〜と言ってるので続きとして、(それに)七乃は〜と言う方がスムーズな気がします
>>111
>>あ奴は果てたか。 ここはひらがなか漢字か統一した方がいいかな
○彼奴は果てたか。 もしくは【あやつ】とした方がいいと思います

《凡人、収集を付ける》とか?《青銅、一度舞台を降りる》・・・麗羽様は黄金、美羽ちゃんは白銀のイメージで続くと彼は青銅かなあ?
《老獪、一杯食わされる》・・・この麻呂胤様は2〜3杯食わされても消化して立て直しそうな凄味がある

下手すると乗り越えるべき敵と言う意味ではこの人が一番ではなかろうか・・・十常待とかは倒す相手だけど
道筋が同じならすごい心強い味方なんだろうけど立脚点の問題だからなあ <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/07/20(金) 21:06:55.48 ID:+iNJuFRk0<> 乙です。お暑う御座います。

まずは張家の先代さんに、
「貴様は貝木(偽物語で出てくる詐欺師)か」
一応補足しておきますと、何事につけても「金を払え」が口癖。ただ方向性は違うが話の持って行き方がよく似ているというかなんというか。
シロサギ(素人相手の詐欺師)ぽいですが。

今回の話で張勲さんの頑張りを初めて見ました。というか、現状の張勲さんでもネコミミ(メンヘラちゃん状態)に余裕で勝てそうな。
娘同然の袁術ちゃんを守る為ならここまでやれるかぁ。
ただね、髑髏兵っておい、先代はネクロマンサーだったのか?それはそれで怖凄いですが。と思ったら張勲さんの配下、しかも人間っぽいw

袁胤さん表舞台からは退場かな?かな?かな?
>かつて袁家きっての武闘派としてならした剛剣の使い手。
ほほう!ほほう!ほほう!
是非とも某親方と一手手合わせなど、いかがでございましょうか(しつこい)
つか袁術ちゃんの先生的な立場で取り込むのもアリだと思いますがね。まさか田豊さんに如南駐留を命令するわけにもいかないだろうし。
代替わりした張家が常時見張っているだろうし、下手なことは刷り込めないでしょ?

タイトル案
「新時代への争闘:勝者、絡新婦」
「いぶし銀去りて白銀輝く」
袁胤さんは月並みですがいぶし銀という表現がよく似合うかと。武人という点を強調するなら、
「白銀の降臨、黒金の退場」
張家の交代劇では、
「紅(朱でも)の交代劇」
というのも浮かびました。

最後に、今回見事に文章トリックに引っ掛かりましたw二郎さん死んだかと思ったw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/20(金) 22:10:10.81 ID:FYCPRCMC0<> >>113
どもです

>やはり七乃さんは敵に回してはいけない(再確認
公式が認めた最強キャラですからね!
本気になったら、ですけど凡将伝の七乃さんは本気で頑張ってるから隙はなかった

>キリの良いところまで書いて良いのではないでしょうかー?
夏休みだし、いったんあっちに投稿することにします
データベースも更新しなきゃなあ。あれ面倒くさいんだよなあ

>>114
赤ペン先生いつもありがとうございますー

>もしくは【薄氷を踏むが如しで、何とか掴んだ僥倖】
こっちかなと思いました
あえて、というかそこしかないというか。六さんも割と強敵です

>下手すると乗り越えるべき敵と言う意味ではこの人が一番ではなかろうか・・・十常待とかは倒す相手だけど
なんとなく、全盛期の小沢一郎さん(個人の感想です)
小渕さんには長生きしてもらいたかったし、谷垣さんなにしてんの貴方とか

>道筋が同じならすごい心強い味方なんだろうけど立脚点の問題だからなあ
道を違えるしかないのです
なにせこれから乱世ですから

>>115
どもです。出歩くのに冷水ないと死ぬなという感じですね。

>「貴様は貝木(偽物語で出てくる詐欺師)か」
貝木さん、大好きです。
アニメでの「イエスだ」最高に心が震えます。
クールなようで熱血で心が折れても前に進んでる彼はほんと大好きです。
張家先代は彼のように熱くない、身内殺しの、モデルはネウロの6です

>今回の話で張勲さんの頑張りを初めて見ました。
そういえば、七乃さんの具体的な頑張りって描写してなかったですね。
七乃さんは公式で最強キャラですから、滅多なことでは水面下の足運びとか見せてくれません。

>現状の張勲さんでもネコミミ(メンヘラちゃん状態)に余裕で勝てそうな。
余裕かもしれませんが、七乃さんは争うシチュエーションを生まないように調整します

>ただね、髑髏兵っておい、先代はネクロマンサーだったのか?それはそれで怖凄いですが。と思ったら張勲さんの配下、しかも人間っぽいw
髑髏の仮面兵、ということでした。どっかで説明した気になってたか?イメージはfateの暗殺者です。

>袁胤さん表舞台からは退場かな?かな?かな?
しばらくはおとなしくしてるでしょうから、好きにお使いくださいませw
出番はあるのでコロコロしちゃ駄目ですよ

>是非とも某親方と一手手合わせなど、いかがでございましょうか(しつこい)
お互いに丸くなったなあと言いながら殴りあいとかいいかもですねw

>つか袁術ちゃんの先生的な立場で取り込むのもアリだと思いますがね。まさか田豊さんに如南駐留を命令するわけにもいかないだろうし。
先生できそうな親方はどっかいったからなーどっかいったからなー
まあ、美羽様の統治については後日ですな

>最後に、今回見事に文章トリックに引っ掛かりましたw二郎さん死んだかと思ったw
(無言のガッツポーズ!)


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/23(月) 21:46:42.91 ID:mqaG1ggk0<> 南皮。
袁家の拠点にして漢朝の版図の中でも屈指の繁栄を誇る都市である。その防備はまさに金城鉄壁。そしてその繁栄を象徴する不夜城。
その中枢では袁家の首脳が深刻な顔をして膝を突き合わせていた。

「ふむ、ふむ!
 あの男が仕組んだ大乱。それを最小限の被害ですませたか」

わはは!と大笑するのは田豊。引退した身ではあるが袁家の行く末を占う場面では助言を求められることも多い。

「儂の弟子だけのことはあるわ!」

その声にぴきり、と表情を凍らせた麗人が口を開く。

「そうだな。私が育てただけのことはあるな」

玲瓏たる声の主は麹義。
袁家の軍部を束ねる存在であり、かの匈奴大戦の英雄の一人でもある。
彼女の武威あればこそ、混乱期の袁家はその統制を保ったということを否定する者はいない。
田豊と麹義は互いにぎろり、と睨み合う。室の空気は今や固体と化し、同室者は息苦しさすら感じる。

「さて、張家からは現当主たる張勲がこの混乱の責を担い隠居するとの書状が届けられています。
 後任は張郃を推すとのことですが、さて。どうしたものでしょう」

重苦しい空気を気にすることもなく言葉を挟むのは沮授。
現在袁家の文官を束ねる秀才である。田豊からその座を譲り受けたが、目立った瑕疵もなく無難にその責を果たしている。

「論外だな。どうせ美羽様の側仕えの女官にでも潜り込む算段だろう。
 結局張家の影響力が伸張するだけだろうが」

麹義が吐き捨てる。その言を受け田豊は補足する。

「うむ。張勲の隠居は認めん。その才覚をもって袁家に仕えるべし。
 じゃが、いささか小細工が目立つのう……」

田豊の不満げな言葉。そこに麹義が釘を刺す。

「それを二郎に御させるということだったろうが。
 大体貴様は弟子に甘すぎるのだ。もう少し任せてみるがよかろう」
「なにおう!この目が黒いうちは奸物の割拠を許すものではないわ!」
「いいから黙れ。貴様はとっとと隠居したのだろうが。立場を弁えろ。今の貴様は老害そのものになろうとしているぞ」

む、と口ごもる田豊を好機としたか沮授は懸案事項を口に出す。

「では、二郎君の沙汰についてはどうしましょうか。
 今回はかなり独走気味ではありましたが」

袁胤の蟄居並びに張家前当主の自害。もっと穏便にことを動かせなかったのか、という批判はある程度湧いてくるだろう。

「この馬鹿弟子が!賢しげな口をきくな!」

轟雷のごとき一括が場を支配する。

「ふん、不本意ながらそこの老骨に同意だな。功に報いるのに罰をもってあたるなど、鼎の軽重以前の問題だ。
 信賞必罰。ならば二郎には相応しい賞を与えねばなるまい」
「さて、紀家当主たる二郎君に賞を与えるとなれば、色々調整が難しいのではないですか?」

田豊の激発、麹義の圧力を涼やかに流して沮授はにこやかに懸念を呈する。

「既に紀家の当主たる二郎君です。さて、どう報いたらいいのやら……」

「賢しいぞ、沮授」

麹義の刺すような言葉にも動ずることなく苦笑する。

「いえ、僕が賢しいのであればとうに二郎君に報いるに値するべく、動いていますよ。
 ですが、流石に此度の功に対してはですね、こう、どう報いていいやら……」

やれやれ、困ったものです、と。
ぬけぬけと言うその態度。さしもの麹義も苦笑するしかない。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/23(月) 21:47:09.66 ID:mqaG1ggk0<> 「分かった分かった。この場にいる面子は異存ないな?
 文家はどうだ」

これまで沈黙を保っていた文家当主。袁家に仕える武家筆頭たる文醜に主導権は移る。

「あー。アタイには正直アンタらの能書きとかがどうだかよくわかんねーよ。
 だが、アタイもこれくらいは分かる。アンタらは答えの出ないようなことをぐちゃぐちゃこねくり回しているってな。
 あんたらが決断できないならアタイが決を下すのがお役目ってもんだろう。
 文家は武家筆頭。
 それが相応しいかどうかは知らないさ。アタイたちと無関係だからな。
 だからアンタたちがごちゃごちゃ言ってるのはどうでもいい。
 文家の総意を。併せて顔家総意をもって稟議を呈するぞ。
 袁家配下武家四家。その筆頭。紀家をその座に推薦する。
 文句あるかい?」

しん、と室は静まりかえる。
まさか、政治的な動きなど見せなかった文家と顔家が動くなど。しかもその権勢を増加させるためではないなど!

「本気、か?」

正気か、という問いを押さえて田豊は目の前の少女に問いかける。

「ああ。文家(アタイ)は紀家(アニキ)の指揮の下、袁家に忠誠を誓うさ。戦働きで我ら文家の忠誠は示すよ。
 は、もともと武家筆頭とか性に合ってなかったんだよ。
 余計なことを背負うから余計な損害がある!我ら文家、戦場の誉(ほまれ)こそ本望さ!」

文醜の気炎に麹義は目を細め、それでも問う。

「ふむ、その心意気やよし。が、その地位を惜しむ者もいるんじゃあないかい?」
「いない!」

即答。
さしもの麹義が目を白黒させる。それほどに惑いのない即答であった。

「アタイ達は武で袁家に、漢朝に仕えている!ならば類(たぐ)い希(まれ)なる将器に従うことに何の異存あろうか!
 アニキの将才にあればアタイたちを十全に使いこなすだろうとも。
 反論異論承ろう。論でなく武でもって!」

異論あれば武で挑めと言い放つのだ。匈奴大戦の英雄たる田豊と麹義に向かって。
その気迫まさに裂帛。両名をして黙り込むほどであり。

そして。

叛を未然に防いだ功をもって紀霊は袁家の軍権を担うことになる。
重ねて、麹義の担っていた責を受けることになる。
そして紀家は四家のうち、武家筆頭となる。

四家の序列が変動するのはかつてないことであった。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/23(月) 21:48:50.55 ID:mqaG1ggk0<>
「ふう……」

道程は山岳、森林。到達したその地は湖畔で、苦い記憶が甦りそうになる。そんな惑いを振り切り、俺は目的たる人物を認めて。

「待たせちゃった、かな?」
「ああ。待ったよ。本当に待った。どうせいつものように道草を食ってきたのでしょう?」

背を向けたままの麗人──ねえちゃん──は冷ややかに。いつものように、愛情を込めて。

「うん。でも、無駄じゃなかったと思う。
 無駄じゃあなかった。いや、俺なりに一生懸命に最善を尽くしたと思う。
 でも、ねーちゃんを待たせたのは本当だ。そこは、ごめん」

ふ、と振り返ったねーちゃんはいつになく柔らかな表情で。ああ、この人はこんなにも美人なのだなあと再認識する。

「頑張ったの?」
「うん、頑張った」

俺なりに頑張った。それはねーちゃんに誇っていい。ねーちゃんに褒めてほしい。
俺は俺なりに本当に頑張ったと言える。胸を張れる。

「じゃあ、任せるわよ?」

その言葉の重みに気づかない俺じゃあない。袁家の軍権を一身に担ってきたねーちゃんの言葉だ。
でも、ねーちゃんがそれを俺に任せると言ってくれたんだ。

「うん。任された」

いつも。いつも張りつめた表情だったねーちゃんが頬を緩ませる。
俺の覚悟一つで、一言でその表情をねーちゃんに浮かばせたならば、とても嬉しい。

「ふふ、いい顔するようになったわね。
 うん。いい男になったわね」

ぼうや、と。

いつか、いつからだったか。いつまでだったか。
俺を慈しんでくれた言葉で、そんなことを言ってくれる。
あのときの優しい笑みで。俺の双眸に熱い滾りがこみ上げる。

「ねえちゃん。ごめん。ごめん!」

本当に回り道をした。待たせてしまった。
こんなにも待っていてくれたのに、この手弱女にどれだけの負担をかけたのだろう。今更ながらそれが申し訳ない。

「ふふ。二郎はいい子ね。そしていい男になったわ。
 だから、頼んだわよ」

ねーちゃんが纏っていた外套。袁家の軍権を背負うそれが俺の肩に。
思いのほか軽く、そして、重い。

◆◆◆

余人なき湖畔。
森の陰から虫の声が響く。鳥の声が夜明けを予感させる。
夜天の月は細い上弦。明けの明星が俺を照らす。

これから紀家の旗。それは金糸と銀糸で彩られるのだ。袁家の軍権の象徴として。
黒字に銀糸の紀。飾る縁取りは黄金。

袁家の威を背負うということを、その重さを再認識する。既に俺は俺一人の身ではないのだな、と。

ぎり、と歯を食いしばり、咆哮するのだ。慟哭するのだ。決別するのだ。
そして覚悟を新たにするのだ。

人智の限りを尽くそう。大した知恵じゃあないが。
滅亡が前提の我が袁家。
そうはさせんよ。やらせはせん、やらせはせんとも。

そう言う俺は凡人そのもの。だが。
凡人を、舐めるなよ?

まだ見ぬ敵に盛大に気炎を向け、俺は誓う。
世界とかどうでもいい。
俺は、俺を受け入れてくれて、俺を愛してくれたこの世界、いやさ袁家のために。
頑張るんだ。

もはや逃げるつもりはない。立ち向かう。
立ち向かうのだ。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/23(月) 21:50:44.49 ID:mqaG1ggk0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

キリがいいのでここまでであっちに投稿しようかなと思ってます

続きもがんがんいきますけどね!
疑問ご質問にもがんがんいきますけどね!

心のガソリン。ありがとうございますー!
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/23(月) 21:51:10.35 ID:mqaG1ggk0<> タイトル案、ここ思いつかないので、オナシャス <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/23(月) 23:21:21.36 ID:FIJ/1Eldo<> 乙です
この場面の文醜ちゃんがほんと良い、脳筋キャラの理想系がここにある感じ
普段はどうあれ、こういうとこでビシッと決める辺り、やはり当主としての器が見えて惚れてまうやろー状態


タイトル案
「峻険なる責、されど凡人は歩を止めざりて」
「峻嶺なる責、されど凡人よ歩を止めるべからず」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/24(火) 01:59:31.03 ID:O0cKv9pdo<> 乙したー
やっぱねーちゃんのママ味は深い

そう言えば二郎の実の母親ってどんな方なのだろう・・・ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/07/24(火) 14:13:06.01 ID:IFdGzaOU0<> 乙でしたー
>>117
>>轟雷のごとき一括が場を支配する。 そういえば遊戯王にもそんな名前のカードがあったな
○轟雷のごとき一喝が場を支配する。 喝破したのでこちらですね
>>二郎君に報いるに値するべく、動いていますよ。      【報いるに値する】は前後を付けると【功労に報いるに値する褒賞】と言う感じでしょうか?なんか違和感があるので
○二郎君の労に値するだけの功を得るべく、動いていますよ。  もしくは【二郎君に報いるべく、動いていますよ。】ただこっちだと今まで祖授が二郎に感じた恩義に報いるっぽく聞こえるんですよね
>>118
>>さしもの麹義が目を白黒させる。 これは《あんなに強い人が【・】負けた》だと負けた人を下げる感じですが【も】にすることで相対的に強い人を負かした人を上げる感じですね
○さしもの麹義も目を白黒させる。 【流石の○○】と同じような意味ですが《あんなに強い人でも【・】負けてしまう、あんなに頭の良い人でも【・】騙される》みたいに使うのでこちらの方がいいかな?と
>>ならば類(たぐ)い希(まれ)なる将器 ぶっちゃけこれで良い気もするんですが
○ならば類(たぐ)い稀(まれ)なる将器 【類い稀】って書くんですよ、間違いって程でもない気もしますが
>>麹義の担っていた責を受けることになる。   なんとなく二郎ちゃんが怒られているような印象がw【叱責を受ける】っぽいからかな
○麹義の担っていた責を受け持つことになる。  それとも【責を受け継ぐ】?もしくは【麹義の果たしていた責を担うことになる。 】とかどうでしょう
>>119
>>人智の限りを尽くそう。大した知恵じゃあないが。  【人智】と言うのは例えば《人智の及ばぬ天災》とかで使うように一人のモノではなく、いわば《皆で知恵を出し合った結果》みたいなモノなので
○人智の限りを尽くそう。俺は大した知恵じゃあないが、俺たちならどんな難行でも越えられる。  二郎ちゃんは仲間たちの事は信じてるのでこんな感じかな?と或いは
○力の限りを尽くそう。俺に出来ることはちっぽけかもしれんが、俺たちならどんな困難でも越えられる。  頭脳どころか武力関係も他に頼るスタイルかも

これでねーちゃんは漸くただの一人の人間として動けるようになったわけだ…あっちで幸せになっておくれって感じやね
二郎から見た麹義が厳しくも優しいねーちゃんでもしかしたら淡い初恋とかだったのかもね、まさに近所にいた憧れのおねーさんみたいな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/24(火) 21:40:18.19 ID:e5/xny6x0<> >>122
>この場面の文醜ちゃんがほんと良い、脳筋キャラの理想系がここにある感じ
ほんといい子なんですよ。出番少ないのはほんとに惜しいくらいのポテンシャル

>>123
>やっぱねーちゃんのママ味は深い
バブ味が凄い
これがダイクンの嫡男なら致命傷であったわ

>そう言えば二郎の実の母親ってどんな方なのだろう・・・
匈奴大戦で戦死したと今決まりました
清楚な美人さんで、麹義のねーちゃんをかわいがっていた

>>124
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>頭脳どころか武力関係も他に頼るスタイルかも
自分で頑張ろうとするとそれは負けフラグくらいに他が圧倒的な世界ですw

>これでねーちゃんは漸くただの一人の人間として動けるようになったわけだ…あっちで幸せになっておくれって感じやね
本当にそうです。

>二郎から見た麹義が厳しくも優しいねーちゃんでもしかしたら淡い初恋とかだったのかもね、まさに近所にいた憧れのおねーさんみたいな
これは本当にそうで、好みのタイプが「キツメの美人さん」というとこでお察しです
ネコミミが尖ってもふわっと受け流せるし、はおーが圧加えてもそこは通った道で
ただし詠ちゃん、君は駄目だ。ど真ん中ストライクだ。

という裏設定w



<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/07/24(火) 22:17:50.67 ID:tMp/97QoO<> 二郎母イメージはとーちゃんのAA的に某鬼嫁かな? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/07/26(木) 09:16:26.95 ID:yn5shyZ+0<> 鬼嫁だなんてとんでもない!桜のように儚くも美しいお人ですよ! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/07/26(木) 22:15:35.54 ID:vHJ6KoYc0<> かーちゃんは未定
決まっているのは下記の要素

・麹義さんと親しい
・強い
・二郎ちゃん産んだ後に発生した匈奴大戦で戦死

いじょ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/01(水) 22:48:14.97 ID:K2aMepNj0<> 割とお仕事忙しい感

お盆にあっちに投稿することにします

どっちかっつうとあれだ。
あれが面倒くさいなあと。
ぼすけてー。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/01(水) 23:15:46.72 ID:jZTT8TvEo<> お疲れ様です・・・ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/02(木) 05:47:53.77 ID:Kk9tW2490<> データ更新がめんどいんです
前は非公開のとこも公開するのですが、ひたすら面倒くさいw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/08/04(土) 10:36:38.19 ID:Rfh3N+rj0<> 大変だねえ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/04(土) 11:52:12.97 ID:Rfh3N+rj0<> 農徳新書
言わずと知れた後漢時代に彼の袁家の隆盛を支えた農業、農学の指南書である
実際には最初に紀霊が書いたそれはかつて紀家の書庫(倉庫だったとも言われる)にあったものをたまたま見つけた【農徳書】の写しであり、彼が幼かったこともあり、実用に耐えうるものではなかったとされる(護・档案氏の作品では若かりし頃の紀霊の枕元に神農が立ち、その英知を授けた描写があるが、農徳新書が何度も書き直され、後付けされた物なので、実は紀霊がかかわった部分はあまり多くないとする説が主流である)
なお、原書は火事により既にないため、何が書いてあったのかは不明だが、草木灰や千歯こきなど、当時の他の科学力と比較すると明らかなオーパーツと呼べるものがいくつもあったため、仮に現存していれば農業の時間は2000年は進んだのではないかとされている
幼かった頃の紀霊の書いた虫食いのそれらの断片に当時の袁家筆頭文官であった田豊が興味を示し、それを何らかの形で活用できないかとしたのが農徳新書の始まりである(閑・地該氏の作品では紀霊が自ら売り込んだとされるが、当時の年齢を考えると紀霊が自分の書いたものをたまたま近くにいた田豊に見せた、とするのが一般的だろう)
その後田豊主導でその内容を実行、失敗と成功を繰り返し、なぜ失敗したのか、なぜ成功したのか、の膨大な比較検証を行いそのたびに加筆修正されていった(陳・海東氏の作品では失敗した者に「これぞ値千金よ」と言って褒める描写があるが、実際にはその失敗の原因を究明した者に金一封を授けている)
著者名に紀霊の名前があるが、彼は最初の農徳新書執筆後新たに農業に関わることはほとんどなく、この書の正確な作者は、当時の袁家文官団及びその実験に付き合った農家と言えるだろう(これらは肥沃かつ広大な土地を持つ袁家だからこそ可能であり、例えば仮に孫家に初代農徳新書があったとしても活用は出来なかったと思われる)
現代の教育において「ノートをとれ」と言われるがこれは「農徳たれ」が訛ったものであり、先人の知識を学びつつ、失敗を恐れず、失敗を繰り返さず、成功を糧とし、成功を確立せよ。と言う意味が込められたものである

よし!・・・なんちゃってウィキペディア民明風味夏の暑さを添えて・・・なんか頭が茹るように熱いので書きなぐってみた <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/04(土) 15:56:55.76 ID:Rfh3N+rj0<> ついでにあと一人【璃・博愛】さんも入れて民明作者四天王にしようと思ってたけど書き損ねてしまった <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/05(日) 22:30:24.78 ID:+X/peGDO0<> >>133
うおお!なんかすげえもんありがとうございますー!

>実際には最初に紀霊が書いたそれはかつて紀家の書庫(倉庫だったとも言われる)にあったものをたまたま見つけた【農徳書】の写しであり、彼が幼かったこともあり、実用に耐えうるものではなかったとされる
めっちゃそれっぽいw

>若かりし頃の紀霊の枕元に神農が立ち、その英知を授けた描写がある
読みたいw

>なお、原書は火事により既にないため、何が書いてあったのかは不明だが
きっと始皇帝の焚書で遺失してしまったのに違いないw

>仮に現存していれば農業の時間は2000年は進んだのではないかとされている
w 因果が逆転しているけどそうなりますよねw

>幼かった頃の紀霊の書いた虫食いのそれらの断片に当時の袁家筆頭文官であった田豊が興味を示し、それを何らかの形で活用できないかとしたのが農徳新書の始まりである
まあ、そうなりますなw 常識的に考えて

>著者名に紀霊の名前があるが、彼は最初の農徳新書執筆後新たに農業に関わることはほとんどなく
ここらへんがTOKIOと違うとこっすなw よく言えば事業立ち上げて後は知らんという創業者タイプ?

>この書の正確な作者は、当時の袁家文官団及びその実験に付き合った農家と言えるだろう
この表現、じーんときますね。

>現代の教育において「ノートをとれ」と言われるがこれは「農徳たれ」が訛ったものであり
ここまでの感動が台無しw いいぞもっとやってくださいw

ありがとうございますー!
後書きだか前書きに使ってよろしいですか? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/06(月) 08:33:35.13 ID:DTLO+WEnO<> 1レスでプロジェクトXを書き上げてしまう赤ペン先生に脱帽

島本○彦作「松岡○造物語」のように暑い日が続きますが
皆様お体ご自愛下さいませ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/06(月) 11:57:00.91 ID:fT+1Frnw0<> どうぞどうぞ、私が【赤ペン】としてレスしてる内容は一ノ瀬さんが好きなように使ってOKですよ
感動が台無しと言われてもそもそも最初にそれが思い浮かんでたのでむしろそれ以前の文章が盛大な前振りと言うか…
ちなみに今のところ二郎ちゃんが「三国時代になんてさせるものかよ」と言ってるので私の中で民明作者四天王が書いた本の題名に【三国志】とか入れられない。なので
護・档案 著 仙人の歴史への介入、その痕跡
閑・地該 著 怨将軍流浪譚〜行動から見える意外な側面〜
陳・海東 著 漫画歴史偉人《後漢編》【北方不敗】田豊 後編
で、>>133は璃・博愛 著 言葉の歴史――意味から読み解く先人の知恵
とかかな。などとくだらない裏設定もぽちぽち書きつつ

まあ一ノ瀬さんがめんどくさい、大変、と精神力削れてるっぽいので前みたいななんちゃってWIKIでも書こうかなーと思いまして
とはいえ凡将伝のオリジナル固有名詞って何があったかなーと最初の方から読み返したら即行で農徳新書が見つかって
最初に【ノート】と【農徳】って音似てるな、と思って。ノートを取ることと農徳のトライ&エラーというかPDCAサイクルを関連付けて。
そこから逆説して最初の頃の農徳は言うほどちゃんとしたことは書かれてなかったとなりまして。
そう言えばあれってまだ麗羽様とも会う前だし目次見てたら下の方で 閑話:幼少期の終わり  ってあったから本当にこの頃の二郎はガキだったわけでー。
いくらなんでもそんなガキがそこまで完璧なものを書ける訳がない、と後世の人も当然思うだろうな…しかも二郎ちゃんってこのあとって農業関連ほぼノータッチ、となると当時の袁家文官筆頭の人の功績にした方が自然だよなあ。
などなど後世のそれぞれの人から見た《常識》と組み合わせた感じで書き上げました <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/06(月) 12:05:55.93 ID:DTLO+WEnO<> そのうち「伊・地載」「亜・科編」「某・冠謝」とか登場したりして <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/08(水) 22:23:21.08 ID:qtyyUU3T0<> まー、大変なのはいつもですが流石にしんどいっす
色々は場面は設定できても文章出力がめんどいというかw

お盆目安に頑張るます

赤ペン先生の頓珍漢さんの名文が心の癒やしでございます。 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/09(木) 11:20:04.02 ID:aTTCc4FP0<> なんでや!?護・档案の言ってるのは三国志の張角が太平要術の書を入手した逸話のオマージュだし、
閑・地該は実は真実を言い当ててるし、陳・海東は漫画だったから分かりやすいように省略しただけじゃないか!!
え・・・璃・博愛?・・・・・・書いてる内容はまじめだったじゃないか!!最後のは持論を展開しただけだしこの世界ではそれが真実かもしれないじゃないか(目逸らし
ちなみにこの4人はお互いにそれぞれの本を引き合いに出す程度には仲良しです。多分・・・きっと同じ出版社の作者なんじゃないかな。民明書房の

この辺は本編と掠りもしない遠い未来の人たちだから好きに設定を盛ろう…
陳・海東は漫画だからといって劉備をフェロモンで数多の英雄を誘惑した傾城の美女にしたり、ただの肉屋の倅でしかない何進を西涼の壁だった馬家の当主馬騰と伍するほどの戦上手にしたり、袁家の守護四家で一番地味な内政担当と言われる張家を秘密警察もかくやの袁家の裏の支配者にしたりとやりたい放題した。
そのため子供たちの娯楽漫画としては評価が高いが荒唐無稽な内容が多いため横山作品と並んで史実とは分けて考えよう、と言われる <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/08/12(日) 11:08:20.33 ID:wCxRYpft0<> 乙です。

田豊さん、正座!
いくら長年の功績有とは言え、沮授さん押さえつけるような発言はいけません。組織運営上も「院政」と揶揄されがちな事態ですね。
ま、沮授さんがそんなことぐらいで潰れない器だから甘えているのかも知れませんが、「軍師は頭良くて当然でしょうが」と私ならツッコンでますね。
麹義さんは、ちゃんとたしなめてくれる人が傍にいるから後でイチャコラさせましょう。

でもって文醜さん。脳筋というより武闘派でいたいんだろうね。>「余計なことを背負うから余計な損害がある!我ら文家、戦場の誉(ほまれ)こそ本望さ!」
個人的な勝手なイメージですが、脳筋ならこんな冷静な分析出ないです。
そして顔家との同意や根回しも無く一方的に二郎さん(紀家)に押し付けるかと。
軍事面特化の教育で名将になれる存在かも。彼女のこれからに注目。

>>119
重く、美しく、尊い。渡す側も受ける側も覚悟と想いが溢れ出てました。
いや言葉に出来ない。軽くなってしまう。
名シーン集があれば絶対登場する、とだけ。

お疲れ様とありがとう。を捧げて、旦那様の愛情に辟易しながらも穏やかに過ごしてもらいましょう。

タイトル案
「それぞれの転換点」「姉から弟へ」「凡人、覚悟する」
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/14(火) 21:32:09.69 ID:U/Fd5K9M0<> >>140


>ちなみにこの4人はお互いにそれぞれの本を引き合いに出す程度には仲良しです
蟲毒めいた響きを感じるw

>陳・海東は漫画だからといって劉備をフェロモンで数多の英雄を誘惑した傾城の美女にしたり、ただの肉屋の倅でしかない何進を西涼の壁だった馬家の当主馬騰と伍するほどの戦上手にしたり、袁家の守護四家で一番地味な内政担当と言われる張家を秘密警察もかくやの袁家の裏の支配者にしたりとやりたい放題した。
爆笑

>横山作品と並んで史実とは分けて考えよう、と言われる
史実!史実ぅ!
横山作品はあれほぼ吉川英治やしなあw

>>141
>。組織運営上も「院政」と揶揄されがちな事態ですね。
まあ今後はガチで隠居するのでご安心を

>でもって文醜さん。脳筋というより武闘派でいたいんだろうね
確かに。すんなりと納得できます。感謝。

>重く、美しく、尊い。渡す側も受ける側も覚悟と想いが溢れ出てました。いや言葉に出来ない。軽くなってしまう。
ありがとうございます。めっちゃうれしいです。
珍しくすんなりと出力できた文章でございました。

>お疲れ様とありがとう。を捧げて、旦那様の愛情に辟易しながらも穏やかに過ごしてもらいましょう。
ゆっくりとさせてあげてくださいませ。まじで。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/15(水) 20:19:08.41 ID:n5j+UPW00<> >>140
実際内政チートは一般人には難しいと思います
だって黒色火薬とか、硝石の作り方とかマヨネーズとか分からないですもんw

そういうの、意図的にオミットしております。
そういうの知らなくても、ふわっとした認識で大切なことを知っているのですよ。
幾多の天才たちが積み重ねた思考実験の成果をこそ二郎ちゃんは使用しています。
これはある程度意識して、です。

というのを多分誰かは意図的に抜き出して創作してくれているに違いないという信頼w <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/15(水) 21:45:01.34 ID:n5j+UPW00<> なんか書きたい

お題クレメンス
ばじぇれbヴぁ更新いするじゃぜ

お盆更新は魏オムだじゃあのしd <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/16(木) 06:36:18.75 ID:N+9XT2TrO<> 素敵な寝言をありがとう

お題、幼女のキャッキャウフフか麗羽様のヒロイン力溢れる話がよみたいんじゃぁ〜

何故か二郎ちゃんが「覇王」と命名した新種の日本酒を造ってはおーにプレゼントするという話がうかんでしまった

お酒は程々にね
つ「上善如水」 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/16(木) 09:55:51.55 ID:n7bTw3to0<> ふーむ、時系列は適当にして袁術ちゃんの誕生日とかどうだろう・・・袁紹様の盛大なのは(政治も絡めて)やったけどこの子のはやってないし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/16(木) 20:02:40.61 ID:UYP1v5Wp0<> 昨日21時以降の記憶が行方不明です
久しぶりに飲み過ぎた感w <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/17(金) 21:42:48.99 ID:ngTjDES70<> 美羽様お誕生日、お話できた!
あっちやって余裕あったらこっちで

ほんと脳内テキスト出力するのなんとかしたいっす
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/17(金) 21:55:18.54 ID:ngTjDES70<> 関係ないけど、凡将伝でのチート技能持ちは以下

風ちゃん
太極図はガチ

桃香ちゃん
傾城?いや傾世だ!

はおー
こいつだけアイテム補正とか、能力値100補正必要ない

これとは別に能力値100は色々別格になるので桃香ちゃんはすげーなすごいですになるのです。
人呼んでカリスマピーチビーム!CPB!

あ、美羽様お誕生日のお話書き溜めに入りますね。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/17(金) 22:38:08.87 ID:ngTjDES70<> 「いや、俺にそんなこと言われても」

俺の言葉に七乃は大きいため息を、これ見よがしに漏らす。

「はー、二郎さんってば美羽様のことはどうでもいいんですねー。
 悲しいなあ」

「なんでそうなるよ。美羽様が大事なのは当たり前だろうが」

当たり前だのクラッカーって流石に分からないであろうけど、意外と店頭で見かけたりもするものである。

「口ではなんとでも言えますよねえ。聞いてますよ、袁紹様のお誕生日にはあれこれ尽力して、あまつさえ真名まで……」

「おい」

それを知っていることには何も言わないが、それを言ってどうするよ。

「やですねー。ご自分のやったことについては誤魔化せないですよ?
 それとも誤魔化したいのですか?」
「そういうことじゃない。
 だが七乃、そういうとこだぞ」
「あれあれー、どういうとこか分からないなー。詳しく説明して欲しいなー。
 ど、お、し、て、ですかねー」

こ、こいつめぇ……。説明に困るとこを的確にぃ。
こういうとこ、苦手。

とは言え救いは美羽様と麗羽様の仲がよいこと。これを軸に適当に誤魔化すとしよう。
とか思っていたのだが。

「七乃、七乃よ。それくらいにするのじゃ」

救いの女神は美羽様でレインボーである。

「あららー。美羽様がそのようにおっしゃるのでしたら仕方ない!
 このー、美羽様のお慈悲に震えてくださいなー」

よっしゃその言葉忘れるなよ。とりあえず美羽様のご要望でお前んとこに不利なことあったら全力でやってやるからな!

「じろう、じろうよ。
 妾のお願い、言ったらまずいかの……?」

「んなこたあないっす。美羽様のご要望とあらばたとえ火の中水の中!
 この二郎、誠心誠意頑張りますとも!」

そうともよ。
このがんぜないお子のために頑張ろう。それは普通に湧き出る感情。
だから、できるだけのわがままは聞いてあげたい。

「あの、じゃ。
 無理じゃと思うのじゃ。
 とっても贅沢なお願いじゃからの」
「ばっちこいでーす」

ばっちこいでーす。
くはは、袁家の財力あれば大体のことは通るからな!

「うむ。
 二郎と、七乃と。
 一日、一緒にいたいのじゃ……」
「ふぇ?」


※必要なものは見せたということだ
 後は、分かるだろうよ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/18(土) 12:58:08.28 ID:rOPIO/0p0<> 乙でしたー
>>150
>>詳しく説明して欲しいなー。  【〜してほしい】は【ほしい】の部分が補助動詞になるらしいので
○詳しく説明してほしいなー。  【ほしい】は基本的に何かモノが欲しい場合でないと漢字にしませんね
>>二郎と、七乃と。   呼び方は【じろー】でお願いします(赤い彗星の如きキメ顔で)
○じろうと、七乃と。  上の方ではひらがなだったのでこうじゃないかな?

ありがとうございます!・・・ただ・・・できれば幼女三人でちょっとしたパーティーとかいつもは厳しい田豊先生が不器用にプレゼントくれたりとか、その辺との絡みを期待してたりしてなかったり
誕生日…カラオケ…美羽様の特技…ひらめ・・・かない!!
>>※必要なものは見せたということだ   ・・・嘘だっ!!(ヒグラシ顔) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/18(土) 16:14:03.77 ID:oPz5TDxI0<> >>151
>ただ・・・できれば幼女三人でちょっとしたパーティーとかいつもは厳しい田豊先生が不器用にプレゼントくれたりとか、その辺との絡みを期待してたりしてなかったり
ほむ。
幼女同盟のキャッキャウフフ、これはできるが田豊さんのデレは難易度高いなあ(できないとは言ってない)
次の幕間に考えまするるる

あー、美羽様ー可愛いんじゃー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/18(土) 21:05:52.51 ID:oPz5TDxI0<> うう、データ管理めんどい
めんどいよう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/20(月) 23:03:01.78 ID:FBuzWBrY0<> やっとデータ処理が軌道にのってきたが比例してデータ量が膨らみ今日の更新は無理
孫家だけでも終わらない <> 赤ペン<>sage<>2018/08/21(火) 19:31:23.31 ID:T5th/c3Y0<> ふと思ったのですが…ネタバレで出した劉備の宝貝・傾世元禳って原典の『封神演義デハ存在しないっぽいんですよね
三尖刀とか大極図はあるっぽいんですが、となると実はこの作品ってフジリュー版『封神演義の要素が入ってるというか…
ぶっちゃけなろうでは大丈夫ですかね? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/21(火) 20:10:40.40 ID:se6OhkEC0<> >>155
マジすか
安能版読んだけど流石に宝貝は覚えてないですねえ
どっかのゲームで妲己のスキルに普通にあったから一般的なものかと思ったら逆に原点はフジリューという可能性。さて

よし、大徳にまとめてしまおう

これでCPBのまがまがしさも多少は緩和されるだろう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/21(火) 20:11:56.85 ID:se6OhkEC0<> 金鞭(原典)→禁鞭(フジリュー)
は認識してたんですけどね

爆笑封神演義とかに載ってないかなあ(手元から紛失) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/22(水) 00:13:57.63 ID:jsXrVDZn0<> 久しぶりに覗いたらちょこちょこと進んでいるようでお疲れ様です。 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/22(水) 12:41:42.98 ID:HcfwrkCL0<> 太公望の打神鞭は風を操れたりしないからなあ…原典 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/22(水) 21:41:25.91 ID:4yaI2wwW0<> >>158
ちょこちょこやってますw
ありがとうございますー!

>>159
それを言ったら、大体の敵は哮天犬からの不意打ちで楊?が始末してますしねーw
なにより、麒麟の定義が乱れる(黒いの)

十二国記読んでた人ほどショックがでかい! <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/28(火) 10:35:58.94 ID:G77RM4ZR0<> そもそも仙人が殺人欲求を合法的に満たすための計画だった説…
原典の十天君はフジリュー版以上にカマセ臭が…まあ敵も味方もポンポン死ぬし勝ったと思って気が抜けたところでグサッとやられるのも多かったしなあ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/08/31(金) 18:15:34.39 ID:TLO7D9Ii0<> ふと思うところがあって、千歯扱きのWIKIをチラ見したんだけど
これの作り方を暗記してるって二郎の前世は何してたんだろうなあ
草木灰は名前知ってればなんとなく作り方わかるし、備中鍬は要は先っぽが分かれてるだけの鍬だから難易度高くないけど
千歯扱きは実物見たこと無いと…むしろ一回くらいは使ったこと無いと難しそう

関係ないけど転生モノで神のミスで本来死ぬはずじゃなかった云々って逆に言えば例えば不治の病とか、毒親に虐待されてとか、そもそも流産とか
そういうのをほぼすべて神がそう決めて死んでることになるんだよなあ…死に方が本来とは違うって正規の死に方が酷い人がカワイソスぎる気もする <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/08/31(金) 20:04:16.55 ID:woHEJb6/0<> >>162
え、扱き箸に比べたらどんなもんでも効率すごくないっすか?
そもそも脱穀する手間がすげえから扱きが刑罰になってたとかなんとか

まあ、他のものと一緒でふわっとしたイメージから袁家技術官僚が頑張ったのでしょう多分

>逆に言えば例えば不治の病とか、毒親に虐待されてとか、そもそも流産とかそういうのをほぼすべて神がそう決めて死んでることになるんだよなあ…死に方が本来とは違うって正規の死に方が酷い人がカワイソスぎる気もする
アカシックレコードでしたっけ
神様と僕らでは階梯が違いすぎて、ということなのかな……
じゃけん来世ガチャに希望を託してという新興宗教は一定の支持をなんたらかんたら

とか思ったけど適当にダイス振って放置くらいの興味のなさくらいの方がしっくりくるきもします
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/31(金) 21:39:35.88 ID:Gn+wrRI/o<> >>162
根本的にはいかに効率よく稲穂から籾を取るか、って作業に変わりはないわけだから、田舎の爺ちゃん婆ちゃんが田んぼ持ってて生の稲に触ったことあるとかなら大体の想像はできる気もしますけどね
作業としては引っ掛けてこそぎとる、という動きに集約できますし
唐箕を一から作った、とかならやばいなこいつ、とは思いますが <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/08/31(金) 22:46:42.28 ID:zErmP5ESo<> というか千歯扱きはカリキュラムによっては学校でやるよ(さわりだけでも)
少なくともオッサンの時代には教科書にあった

ちなみに歯の間隔が割とシビアなので試行錯誤不可避
あとwikiにも書いてあるけど扱き箸による脱穀は取りこぼしが多く、
逆説的に脱穀を依頼する寡婦への救済策でもあったわけで、千歯扱きについたあだ名が後家倒し、後家殺し <> 赤ペン<>sage saga<>2018/09/01(土) 09:31:59.26 ID:OzzQnR5d0<> あーなるほど
どっちかと言うとコロンブスの卵的なあれで
袁家と言うマンパワーが有り余ってる所の幹部の家に生まれたからこそ沢山試作機を作れたのか
本来なら1000年近く使われてた扱き箸=サンはご愁傷様としか…逆にこれだけ早く普及したら後家殺しの異名は付かなさそうね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/09/01(土) 09:46:05.19 ID:SQrjFXcn0<> 後家殺しと言われるとエロスが漂うと思います <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/09/01(土) 09:47:26.49 ID:SQrjFXcn0<> 唐箕は本当になにがどうなってるか分からないです
実物見てもなにがどうなるのかとんと分からなかった <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/09/01(土) 10:49:44.56 ID:nuMRWccBo<> 唐箕はこれが分かりやすいと思う
ttp://www.nchm.jp/contents08_kata_log/kikaku/2006_03/2006_03_02/images/02_2_001.jpg

なんかでっかいところは要するに風車
ハンドルをぐるぐる回すと風が起きて、もみ殻やゴミといった軽い奴は外に吹き飛ぶ
風に飛ばされない重い(優良な)粒がそのまま下に落ちて、中身がぎっちり詰まってない軽いやつは
ちょっとだけ飛ばされてまた別のところに落ちる <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/09/01(土) 20:34:36.88 ID:E8Gs8d0b0<> 関羽さんが失敗料理を量産できる程度には外史では米が普及してたっぽいけど、
実際は粟が華北での常食だったそうな
粟は粒が小さいためせんばこきやこきばしが合いにくく、
明治に回転式脱穀機が発明されるまでは(収量の割りに)率が悪かったんだとか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/09/03(月) 08:03:07.07 ID:dls/UFSCO<> あれ、華北はコオリャンはくだってから? <> 赤ペン<>sage saga<>2018/09/03(月) 10:55:47.40 ID:Ho2Y8Fuy0<> 昔はチンチン電車とか「うちの犬を躾けてようやくチンチンを覚えさせたよ」とかハメ殺しとかに妄想が働いたなあ
新聞テレビ欄のポルノ(グラフィティ)生ライブとか・・・結構前に銀魂が金魂って名前になったのにはよくテレビ局がOKしたと思ったけどあそこテレ東だしなあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/15(月) 10:18:22.91 ID:AhoPFrFfO<> 復活しましたね
落ちてる間に一ノ瀬氏のモチベーション下がってないならいいんだけど

更新期待してます <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 19:32:07.90 ID:DiAlnycs0<> おお、復活してるぅ!

>>173
どもです。
おかげさまで復活に気がつきました!

>落ちてる間に一ノ瀬氏のモチベーション下がってないならいいんだけど
艦これイベントを初めて真面目にやりましたw
まあまあ新顔を拾えたので満足ですサンマは諦めた

じゃけん書き溜めは二話だけなんです

チェックして明日あたりやろうかなあって漢字です

いやあ、いい骨休めになったのかもしれないですねw
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 19:33:42.27 ID:DiAlnycs0<> >>173
全然ディスる気はないのですが、IDがアホでこういうの自スレで初めて見た気がするので記録しておきます(謎の感慨) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/15(月) 19:51:10.42 ID:AhoPFrFfO<> オカエリナサイ(イが反転しないのは何故ww

IDがAHOです。全然気づいてなかったし気にしてません
記録に残れば幸いです(なんのこっちゃww

以下業務連絡 
あっちでもメールしちゃってます
気にせず削除しといてください <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 20:05:03.25 ID:DiAlnycs0<> >>176
特定した(当たり前)

おかげさまなので本日やります
目標21:30 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 21:14:35.95 ID:DiAlnycs0<> 「ふむ、二郎が麹義の跡を継いで軍部の総司令官になったのか。
さらに紀家が序列を上げて筆頭に、か……。
 うむ。めでたい!祝いの品でも贈ってやらんといかんな!」

手元の書類に目を通した夏候惇はからからと笑うも、ふと首をかしげる。

「ん?だが二郎は確か袁術殿の派閥なのだろう?そうなるとまたぞろ袁家内でややこしいことになるんじゃないのか?」

びしり。
ネコミミフードを被った細身の少女が驚愕にその顔を、動きを凍らせる。
ありえない。この脳筋がそんな政治向きのことに気を向けるなど。これは天変地異の前触れかと。

「アンタ……何か悪いものでも食べたんじゃないでしょうね」
「ん?今朝は秋蘭が作ってくれたからな。実に美味であった!」

恐る恐ると言った問いかけに呵呵大笑で応じる夏候惇。二人のやり取りを主である曹操はくすり、と微笑みながら見やる。
だが、思う所はあったようで、ふむ、と僅かに思考にふける。

「春蘭。いいところに気が付いたわね」
「はい!華琳様!」

もし夏候惇に尻尾があればちぎれんばかりに振っていたろう。
その全身で敬愛する主君からの讃辞に喜色を表す。ち、と響く舌打ちなぞ気づくこともない。

「確かに相当ややこしいことになったように見えるわね。桂花、整理してみなさい」
「は。元々袁家は後継について波乱を含んでおりました。袁紹と袁術。二人によって争われるであろうと思われておりました。
が、袁逢の夭逝により幼少である袁術は当主の座を争うこともできませんでした。
 故に一旦は袁紹が問題なく当主に収まりました。武をもって袁家に仕える武家のうち、筆頭たる文家が腹心として袁紹派閥としてあるのも大きかったですね。
 ですが、反袁紹の筆頭である袁胤が袁術の後ろ盾に名乗りを上げて力関係は微妙になります。
 紀家、張家を取り込み、袁家の中でも有数の血統。下手をすると袁紹と家督を争うことすらできる人物の存在は相当に影響がありました。
 その袁胤が謀反の咎で排除されました。これは袁紹の権力基盤が固まり、袁術を排除しても問題ないということ。袁家の権力基盤を簡略化し、不穏分子を鎮静、排除するためと思われます。
 更に袁術は捨扶持で如南に追放。紀霊、張勲をもって監視するというのが筋書きと思われました」

突然の指名に動じることなくすらすらと所見を述べていく。
こくり、と手元の茶を喫して喉を潤わせる。

「ですが。
 紀霊と袁胤の処遇で事態は混迷します。
 袁術は捨扶持で如南。影響力を削ぎ落としながらも袁紹の身に何かあった時、または決定的な失策を犯した時の予備の後継としての役割がありました。これまでの袁胤の役割です。
 ですが袁胤はその命脈を保ち、依然予備としての価値を保ちます。
 一方、袁術は一応の腹心たる紀霊が袁家の武を束ねる立場となったことによりむしろその権勢を強化されています。
 例え如南に赴いたとしてもその影響力は依然として大きいでしょう。
 一見混迷を極めていますが、ここに袁胤の一手が活きてきます。彼は十常侍と繋がっておりました。
 袁家は既に袁紹が何進と組み、十常侍との対立姿勢を露(あら)わにしております。
 故に袁胤は十常侍との争いに膝を屈した時に袁家を継ぐための予備ということでしょう。
 故に袁家宗家たる袁紹、軍部を握る袁術。そして袁胤の三つに勢力が分かたれました。
 本来であれば麹義のように武家四家と無縁の人材が軍部を掌握するのが袁家宗家としては都合がいいのでしょうが、そのような人材はおりません。
 武家筆頭が軍部総司令官というのは下手をすると袁家当主に匹敵するほどの権勢を握りかねません。
 そのような権限を紀家当主に許すということは、袁家の内部も相当混乱しているのではないでしょうか?」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 21:16:42.39 ID:DiAlnycs0<> 曹操は満足げに頷く。

「そうね。その通りね。
 付け足すならば、麹義は紀家の先代……紀文こそ軍部を束ねるべきと幾度か主張していたそうよ。
 紀文が。すなわち、匈奴の汗(ハーン)を討ち取った英雄こそがその座に相応しいと、ね。
 だから麹義は紀家の後継たる二郎にその座を譲りたかったというのも大きかったのでしょうね。
 さて。桂花も言ったけれども、袁家の内情は混沌、混迷。
 此度の仕儀を複雑にしているのは張家の先代が排除されていることね。
 血縁たりともあっさり排除してしまう。
 それがあるからこそ袁家姉妹の権力争いに凄味が出てくる……」

くすくす、と自らの親友……と一度ならずとも呼んだ袁紹について論評を述べる。
瘴気すら漂うようなその昏い笑みを清冽な声が貫く。切り裂く。

「ですが、華琳様。そんなわけがありません。
 袁家にそんなめんどくさそうな権力争いがあるとは思えません。
 うん……、ないな。華琳様!やっぱりありません!
 二郎がそんなめんどくさいことするわけありません!」

きっぱり。
夏候惇はごく自然にその言葉を口にする。
自らの主君の述べた言葉を全否定するそれを。

「アンタ、何言ってんの?話聞いてたの?
 馬鹿なの?死ぬの?」

鋭い言葉に夏候惇は小揺るぎもしない。

「大体だな。肉親で争うとかならば私と秋蘭が華琳様の寵を争って対立するとかいうのと同じだろうが。
 夏候の家の都合で争うと言うのと一緒だろうが。
 貴様は袁家で何を見てきたのだ?袁家姉妹の不和などありえん。 
 それに乗じて二郎が権力を握るとか、貴様が華琳様を裏切るくらいありえんだろう」

くすり。
曹操は満足げに笑う。
これだ。これこそが彼女の真の価値。その薫風は暴風にも似て、澱んだ霧を吹き飛ばすのだ。そう。彼女はけして武だけの蒙昧ではない。

「そうね。桂花。田豊と麹義が隠居したわ。
 麗羽は誰の言葉に一番耳を傾けるでしょうかしらね」
「そ、それは……」
「二郎に決まっているだろうが」

呆れたように夏候惇が言う。

「袁家当主だけではない。麹義、田豊がいなくなったら二郎の言うことに誰が逆らう? 
 そんな奴はおらんよ」
「序列は?権力構造はどうするのよ!」
「そこらへんは知らん!」
「アンタねえ……」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 21:18:34.80 ID:DiAlnycs0<> 二人のやり取りに曹操は笑いながら。

「桂花。貴女が激昂する必要はないわ。
 貴女もそう、分析していたのでしょう?」
「で、ですが華琳様!あまりにも根拠が!」

ちゅ、と曹操は腹心たる軍師を抱き寄せ、その口をふさぐ。あ、と小さい嬌声。

「今回の袁家の一手に桂花が巻き込まれてはいけないわ。
 だって、これはね。忠信考悌を知らない蒙昧こそが混迷する類いの詐術だもの」

え、と呟く口唇をひとしきり蹂躙し、曹操は言葉を繋ぐ。ちろり、と桜の舌が淫らに蠢(うごめ)く。

「これはね。そう、十常侍に対する牽制なのよ。
 まだ、武家最大勢力たる袁家と組む余地があると思わせる。
 その実、これまで曖昧であったその権力を集約する。
 いえ、違うわね。隠然とあった二郎の地位をきちんと確立したのね。
 だから、逆なのね」

紀霊の権力を強化したのではない、もともとあった紀霊のその地位、影響力を裏付けたにすぎない、と呟く。

「そ、それでは……。袁家の勢力争いは、闘争は茶番であったと……?」
「すべてとは言わないわ。末端ほど派閥争いに汲々とするわね。そして袁胤も本気で動いたでしょう。
 でもね。袁家の老獪なのはね。ほっといても発生するそういった軋轢を抑止する駒をきちんと仕立てたのよね。 
 そう、袁家の後継と武家の後継。その要(かなめ)は……」

分かるわね?と艶然と微笑む。

「麹義と田豊に託されたのでしょうね、二郎は。きっとね。
 ならば私の誘いに応えられないのも致し方ない、か」

それを無下に出奔するような人材などむしろ願い下げだ。
かけられた期待を察せないような蒙昧など死ぬべきだ。
だが、それでも自分を選んでほしかったという背反した思いもある。

「つまり、袁家に元々そう言った権力争いはなかったのですね?
 そして、二郎がその中心ということですか!」
「単純化するとそういうことね。
 でも、見る人が見れば袁家はどうしようもない権力闘争の真っただ中よ……」

そこにきっと付け込もうとする勢力があるだろう。
漢朝に寄生する塵芥、寄生虫はそこに群がろうと、つけこもうとするだろう。
曹操は理解する。把握する。
あの凡庸として、この曹操を高く評価しつつもなびかないあの男の援護射撃なのだ。
ありもしない袁家の瑕瑾を、亀裂を探っている間に掌握しろということなのだ。
いいだろう。この身を気遣おうとするその気宇やよし。
……思い上がりや、よし。

「だからこそ、欲しくなるわね……」

浮かべた笑みは獰猛な肉食獣のもの。その覇気。覇王と呼ばれるほどのそれが彼女の真価。
彼女こそ、凡人が最も恐れる存在である。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/15(月) 21:23:08.48 ID:DiAlnycs0<> はい、本日ここまですー
感想とかくだしあー

いよいよ黄天編の始まりです(多分)
その始まりは、はおー来襲者でした。来襲してないけど

題名募集いたします!

仮案は以下

・はおー来襲者:論評編
・混迷の袁家
・ライトニング姉者
・拗らせはおーが気になる人のことを思って配下とイチャイチャするお話

うん、タイトル苦手やねん
ぼすけてー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/15(月) 23:45:30.36 ID:zceeZ+Dn0<> 鯖と一緒に復活されていて嬉しい……
更新お疲れ様でした! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/17(水) 21:48:37.41 ID:7cMheaHE0<> >>182
どもですー

サンマ探しながらぼちぼちやってきますー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/10/21(日) 00:26:39.72 ID:gbS5sw440<> 乙〜&復活おめ
さすがNT姉者なんともないぜ
そして相変わらず軍師より頭いいはおーww

ということでタイトル案「愚者は踊る」なんてのはいかがでございましょうか? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/21(日) 21:29:15.09 ID:Uojof5Q80<> >>184
どもです

>さすがNT姉者なんともないぜ
言われてみれば姉者がNTみたいかもですねw
野生の直感くらいな感じですが、NTかもしれない

>そして相変わらず軍師より頭いいはおーw
あの方に参謀など必要ないわ。必要だとすれば他者がどういうことを考えているかという一例だけよ

くらいのことをネコミミは思ってます。

>ということでタイトル案「愚者は踊る」なんてのはいかがでございましょうか?
細部変えるかもですが、これいい。仮採用です!
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/21(日) 21:41:30.58 ID:Uojof5Q80<> 「うわあ……すごい……」

張角は感嘆の声を漏らす。妹たちに至っては声も出ない。
背徳の都市、南皮より馬車で数日。あるいは数月ほどだったろうか。
そこに理想郷は、あったのだ。

「はい……。これこそ貴女達にふさわしい舞台……」

ギョロ目の異相。その双眸を見開き悦に浸るのは波才。

「この舞台は貴女達の神聖なる歌声を響かせるに相応しい箱ですとも……。 
 求めて得られなかった舞台、それがここにあるかと……」

恭(うやうや)しく跪き、浮かべた表情は恍惚そのもの。

「うん、……そうね。これなら、もっともっとうまくできる」

張宝はあちこちを確認し、自らが演出する光、音響、それを増幅する妖術を想定する。そして、にまり、と笑みを深める。
これならば、効率よく運営できる。舞台の途中で倒れるなどという無様はせずに済む。

「おお……。聖処女(ラ・ピュセル)二の姫よ……私としたことが言い忘れておりました……。
 ここは貴女達を祀る神殿に等しいのです……。
 故に、迷える羊たちの信仰は、熱狂は、残さずに貴女達に捧げられますとも……。
 休みなく、昼夜を問わず歌ってください、踊ってください……。
 歌うほどに、踊るほどに、それは奇跡を呼びますでしょう、文字通り、神楽、として……」

そう、ここは神殿。巡礼者が祈りを捧げる神殿。
祈りは力に、力は神秘に。積み重なる神秘は奇跡を顕現させるだろう。
気づけば熱気は、信仰は籠り。昇華されずに場に揺蕩(たゆた)い、飽和寸前。

「さあ、あの声が聞こえるでしょう。求め、訴える声が聞こえるでしょう……。
 ここは大聖堂……。思う存分に歌いなさい、踊りなさい……」

声が響く。

「ほ、ほ、ほあー!」

力が漲る。歌が溢れる。肉体は躍動し、舞いを重ねる。
かつて道端で、歌舞の度に全力を尽くし心身を消耗していたのが嘘のように身体が軽い。
唄うほどに、踊るほどに、力が湧く。舞い踊る、舞い踊る。歌う、唄う。今ならば中華の果てまで響くだろう。いや、響かせよう、歌声を。
自然、言の葉は紡がれる。

「みんなー!愛してるー!」

熱狂は爆発し、光輝すら幻視する。

「ほ、ほ、ほあー!」

渦巻く熱気に波才は破顔する。

「す、ばらしいいいいいいいいいい!
 奇跡は顕現し!救い手は降臨した!我が宿願は果たされた!
 救いあれ!栄あれ!栄光よ!君の手に!」

狂乱は誰の耳に届くこともなく、波才の熱狂すら、場に吸い込まれていくのであった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/21(日) 21:42:56.51 ID:Uojof5Q80<> 本日ここまですー

感想とかくだしあー

タイトルはなんだろなー
前回のにくっつけるか独立させるかも迷い

<> 赤ペン<>sage saga<>2018/10/23(火) 18:33:17.49 ID:p9bq8N2A0<> お久しぶりです、停電って凄い不安になる
>>186
>>南皮より馬車で数日。あるいは数月ほどだったろうか。   【数日】だと長くても5日位な印象が…逆に【数月】だと短くても2か月以上な印象が
○南皮より馬車で数十日。あるいは数月ほどだったろうか。  まあ世の中には「1,2,3…沢山」とか言い出す人もいますが…せめて指は全部使えよ
>>ギョロ目の異相。その双眸を見開き悦に浸るのは波才。  これはよくある誤用の一種ですね
○ギョロ目の異相。その双眸を見開き悦に入るのは波才。  慣用句の【悦に入る(いる)】ですから、もしくは【喜びに浸る】と言い換えても良いですけど

いやはや遅くなりました
それにしても姉者良いですね>>貴様は袁家で何を見てきたのだ? どう見るかは文官と武官だから違うとはいえ、はっきりと見る目が無いと言わるのも業腹ですがそのあとの曹操の言からすると実はネコミミもそうだと感じ取ってはいたという…でも彼女の常識が邪魔をした、その結果見方によっては主君に嘘の見解を述べたと言う。或いはネコミミが極度の男嫌いでなければ、袁家を金に物を言わせるだけの名家と言う色眼鏡が無ければ・・・これはネコミミが一皮むける可能性が?
相変わらずの覇王様・・・でもこれもしかしたらはおーもどちらなのか決めかねてたのか?姉者が一刀両断しなかったら読み違えていたかも?
そして不穏な気配が加速する…いったいどれだけの男手がここ(黄巾)に吸われていったのやら <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/23(火) 21:58:01.40 ID:KQYB96YH0<> >>188
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
(ここまで定型文)

>それにしても姉者良いですね
姉者はねえ、なんか生き生きしてて、ある一定層にはこんなの姉者じゃないとか言われても仕方ないかなって思うが私は謝らない

>そのあとの曹操の言からすると実はネコミミもそうだと感じ取ってはいたという…でも彼女の常識が邪魔をした、その結果見方によっては主君に嘘の見解を述べたと言う
ここはね、そこに至る葛藤とか自分の直感とかあれやこれやあるに決まってますがそれを書くのは不粋だな、というとこです
なので、色々読み取って頂いたことに感謝です。

>そして不穏な気配が加速する…いったいどれだけの男手がここ(黄巾)に吸われていったのやら
百万単位でも少ないのかもしれないですねえ、こわやこわや

頑張るぞい
<> 赤ペン<>sage saga<>2018/10/24(水) 10:43:29.35 ID:fDvpWeEb0<> 読み返したらちょっと違和感があったので一応
>>179
>>麗羽は誰の言葉に一番耳を傾けるでしょうかしらね」  喋り言葉だから間違いとは言い切れませんが
○麗羽は誰の言葉に一番耳を傾けるのかしらね」     もしくは【傾けるでしょうね】とかの方がいいかな?
>>180
>>ちろり、と桜の舌が淫らに蠢(うごめ)く。   ここはこのままでも良いかな?
○ちろり、と桜色の舌が淫らに蠢(うごめ)く。  一応細かいことを言うならこうかな?

3姉妹の方は…>>背徳の都市、南皮 ってオイ、お前らの歌と踊りにブーメラン刺さってんぞ。それにしても神秘的なあれこれはともかく
単純に1000人単位を入れられる箱を作るだけでも材料も人員もどれだけ必要になるのやら
それを街中ならまだしも恐らく相当辺鄙な場所に集めるって…よく山賊やらなんやらにやられなかったな(波才が護衛してた可能性はあるけど運んでるの複数とこの拠点とってどう考えても手が足りない)
食料、木材、技術者、人足、分かりやすくいえばそれだけの拠点を作れるだけの動きを漢が見逃したって事なんだよなあ・・・そう考えると黒山賊と袁家がバチバチやってる近所は無理ゲーっぽいからかなり遠い?でもそうすると食料の運搬がきついし…まあ黄巾党は史実だしリアル先輩がリアリティ後輩をぶん殴った事案ってことで良いか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 20:56:46.06 ID:f2BKyx0G0<> やったぜ(鹿) <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 21:13:11.02 ID:f2BKyx0G0<> >>190
どもです。連日ありがとうございますー!

>背徳の都市、南皮 ってオイ、お前らの歌と踊りにブーメラン刺さってんぞ。
ありがとうございます。ツッコミどころでございますw

>単純に1000人単位を入れられる箱を作るだけでも材料も人員もどれだけ必要になるのやら
そういやアニメでは野外コンサートでしたなあとか
音響とかは妖術でなんとでもなるということかな
東京ドームって大陸では猫の額的な面積だろうし……って感じか。なるほど。

宿泊施設についてはまた考察しよう(答えが出るとは言ってない)
実際原作でもどうしてたんだろうか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 22:33:43.28 ID:f2BKyx0G0<> さて、あれよあれよと袁家の武門最高責任者になってしまった二郎です。
いや、ねーちゃんとか師匠には散々そうあれかしと仕込まれてたからね。覚悟はしていたのよ。準備だってしてきたよ。
ただまあ、できるだけその日が来るのを引き延ばしていたと言うだけで。円滑な引き継ぎのために、ね。
……いざ権力継承に備えて、できるだけ袁家領内の不安要素は排除したよ?
だってなんかあったらこっちに矛先来るのはわかってるからね。
だから袁胤様も隠居させたし、権力も背負った。やるならとことん。そいつが紀家の生き様。なんつって。
ちなみに如南は……どうしたもんか。
生半可な人材じゃあ治まらないだろうしなあ……。

よし、雷薄!君に決めた!
だって匈奴大戦生き残りの古参兵出身(ベテラン)だし、確か如南に娘さん嫁いでたしね。
いや、実際雷薄くらい武威がないと一緒に派遣された奴らが拗ねかねん。逆に奴を出したらだいたい解決。
一応の協力体制ができていることになっている張家からは、恐らく張郃あたりが出張るであろうことを考えたら雷薄くらいでないと押さえが効かないだろうしな。 

ま、当面の敵は十常侍。これについて、実は勝ちは見えてるのだ。いやマジで。
適度に勝って何進に恩を売り、宦官勢力は華琳に預ける。
何進と華琳が協力するとかマジありえんだろうし、火花を散らしてくれるだろうて。ククク。

深刻なとこは取りあえず置いておく。置いておこう。こういう棚上げは大事。

まあ、三国志を誘うであろう黄巾の乱、その元凶の食糧不足は解消できている……はずだ。
南皮に流入していて治安の悪化の一因となりかねない流民。それだって最近は減少の一途だ。
最近は、増大するであろうことを想定していた流民相手の、最低限の商売が滞ってすらいるが……。

まあ、土木工事への公共投資を増やしたらそこらへんも元通りになるはずである。ケインズ先生もそう言ってるしな!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 22:34:09.81 ID:f2BKyx0G0<> そんなことを思っていたら急報が。
暴動?略奪?

複数個所からの深刻な報告に浮かれていた、お気楽だった頭が冷え切る。

「馬ひけ! 星はどこだ!星を呼べ!
 流琉!流琉はいるか!」
「はい!ここに!」

応える流琉に改めて命じる。馬引け、と。

「主よ、趙子龍ここに」

やや遅れて俺の前に立つ星に指示を飛ばす。
賊なぞ、蹴散らせ。討伐しろ、と。

「ふむ、了解した。
 そして魅せてやろうとも。主が俸禄の全てを以てしてまで抱えた我が身の真価を、な」

にやり、とした星の顔(かんばせ)に俺は見とれてしまう。
が、それも刹那のこと。

「ああ、やってやれ!趙の子龍の武威。示してくれ!
 先行してくれ。委細は任せる」
「心得た!」

瞬き一つの間に星は視界から消え失せ、馬蹄の響きが俺を苛む。
俺の一言で人が死ぬ。人を殺す。民が消えうせるのだ。

「二郎さま!烈風はここに!」

流琉の言葉に前を向く。
放浪期間(モラトリアム)を共に過ごした相棒に身体を預ける。
紀家軍の皆が、俺を見る。引き絞られた弓から放たれようと俺を見る。
放て、と。紀家が武家筆頭であることを示せと俺に促す。
無言でも高まる士気。

風がにこり、と。

「ぶわっと、いっちゃってくださいなー。そう、遠くはないようですしー」

何より、何より士気を高めるべし。
貫くべし。一撃で敵を貫くべし。

「進軍、せよ!」

俺の言をきっかけに、怒号は地に満ち、進撃は始まる。
誓う。ここで断ち切る。断ち切ってやる。乱世なんぞ、三国志なんぞ、願い下げだ!
ここで元凶を断ってやる!

やってやるぜ!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 22:34:44.75 ID:f2BKyx0G0<> ◆◆◆

到着した村落はまあ、端的に言ってひどい状況だった。家は焼かれ、あちこちに略奪の様子が見て取れる。
最大戦速で急行したものの、間に合うはずもないのだ。事後なのだから。
できれば生き残りに対する治療とケアができれば、といったところである。残敵があれば、と思うがそこまで間抜けでもないようだ。
しかし、ひどい。そして、違和感。

「人の気配がしないな……」

兵たちには生き残りがいれば保護するように指示するも、そのような存在はいないのではないかと思われるほどだ。不気味に静まり返っている。
血だまりも黒く乾き、あったであろう惨劇を思わせるのだが。

「ん……?」

違和感が強まる。

「風!」

頼れる参謀がとてり、と近づいてくる。

「これ、どうにも妙じゃねえか?」
「そですね。流れたであろう血の量に比べて、死体が見当たりません。
 これは尋常ではないですね〜。
 二郎さん。今のところですが、ここで死体は……一つとして発見されていません。
 生き残った方もおりません。風達を除くと、この村落には誰一人いない様ですね」

生き残りも、死体も、発見できない……?

「賊が埋葬……するわけねえよなあ」
「考えづらいかと〜」

まあ、そうだよな。

「生き残りがいないのはまだ分かる。こっちの追跡を躱すための口封じと言う奴だな」
「とはいえ、略奪が目的であれば多少は逃散も可能かと〜。
 それに死体が見当たらないのも謎ですねぇ」

むむむ。なんともすっきりせん。

「だが、袁家領内でここまでのことをやる勢力……」
「そですね。しかも痕跡を残したくないとすれば、過去の実績から言ってまず疑うのは黒山賊でしょね〜」
「まあ、そうなるか。またぞろ十常侍に焚き付けられたか?それとも……。
 いや、ここで考えても休むに似たりだな。
 いっそ張燕を呼びつけるか?」

これが黒山賊の仕業だとしたら俺も舐められたもんだ。
俺が袁家の軍権を握ったこのタイミングで仕掛けてくるというのは俺の武威を貶めるということ。
だからこそ、いい手ではある、か。

「離間工作という可能性もありますが、まずはそこからですかね〜」
「そうだな。商会と張家の情報網も動かそう。
 おそらくまた起こるだろうから、自警団への指導、援助。紀家軍にも領内の巡回をさせよう」

訓練とかしてる場合じゃなさそうだ。大げさくらいに動こう。下手にまた義勇軍とか発生されても困る。
袁家は領内の治安に力を注いでいるということを内外にPRせんと。

「二郎さん、二郎さん。それじゃ足りないと風は思うのですよ」
「む。現状これくらいしか思いつかんからな。補ってくれるなら助かる」

にこり。
その普段は茫洋としている表情を引き締めて。
ぴし、と俺を指さす。

「二郎さんと同じく、風もこれは大げさでも全力で当たるべしと思います。
 ですから、きっちりとその権限は使っていただかないと」
「え?紀家軍動かすし商会や張家の情報網も……」

くふ、と笑みを含みながら風はやや大げさに両手を広げて主張する。

「そですね。二郎さんは袁家の軍権を握っておいでですから〜。
 ですから。
文家、顔家も動員すればいいのですよ。ちょうどいいではないですか。
 きちんと二郎さんの指示に他家が従うか、また円滑な連携ができるかの試金石にもなりますし〜」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 22:35:57.89 ID:f2BKyx0G0<> む。

「事象については変えようもありません。であるならばこの状況を活かすことを考えるべきかと〜。
 情に棹差して流されるようなことが許されるお立場ではないのでしょう?」
「……そうだな。そうだったな。
 事後に慟哭するのは俺の役目じゃないな。ありがとな、風」
「いえいえ、これもお役目。お気になさらず〜」

ふわりとした笑みに癒されている自分に気づく。
泣くのはいつでもできる。今は前に、前に進まないと。ちり、とした焦燥を押し殺し、悠然と兵たちに指示を飛ばす。
大丈夫、大丈夫だ。俺は独りじゃない。何とかなるし、なんとかするさ……。

◆◆◆

「物資がないならば……あるところから持って来ればいいのです……」

波才のその言葉によって編成された物資調達班。南皮から遠きにありて。かの大聖堂はじり、とその物資の欠乏に怯えていた。焦りすらあった。
十万からの群衆──なおも増えつつある──を食わせるというのは大変なことなのだ。

「あの天上の歌声を響かせる、あの方たちが餓えに苦しむなどあっていいのでしょうか……いや、そんなわけありません……」

それはそうだ。天上の歌舞楽曲もかくやという彼女たちの歌声。それを聞くだけであらゆる悩みは消え去り、その動き一つに絶頂すら覚えるのだ。

「彼女らに供物を捧げるのです。彼女らの歌声を守るのです。彼女らには笑顔こそが相応しい……」

その通りだ。悲しげにしているなんて考えられない。いつだって笑っていてほしい。笑顔で歌ってほしい。

「彼女らに捧げる供物は神聖なもの。捧げれば救いはもたらされるでしょう……」

……農家の三男、四男。全く人生に意味がない自分。それが生きる喜びを、生きる楽しさをもらったのは彼女らから。
僅かな仕送りを手に、学問を修めようとするも先の見えないわが身に漲る力は彼女らのため。

「さあ、目の前にいるのは蒙昧。怒りなさい、昂ぶりなさい……憎みなさい!」

手にした武器を構える。

「これまで我(汝)らは収奪されるだけでした。が、これからは……我らは収奪する側なのです……。
 奪いなさい、犯しなさい……殺しなさい……」

どく、と心臓が高鳴る。視界は赤く染まり、獣性が解放される。
気づけば雄叫びが肺腑から絞り出されて、昂ぶる。

僅かに残る何かが足を動かさない……が、先を越される。そのことに屈辱を覚える。
無言で村に殺到する味方に遅れまいと、駆け出す。
無言で突き刺す味方に遅れまいとぞぶり、と槍を刺す。穿つ。
抵抗する村人に、槍を振るっていた味方が刺される……が、無言で反撃する。
更に味方が増える。

「幻影兵よ……蹂躙なさい……」

ついには防壁を突破し、そこは草刈り場。
手近な家の戸をけ破り、抵抗する女を殴りつける。
髪の色だけはあの美姫たちと一緒。だから服を剥ぎ取り、犯す、蹂躙する。
嗚呼、奪うというのはこんなにも快楽なのか。知らなかった。素晴らしい。
組み敷かれた女を救おうというのであろうか。幼児が殴りかかってくるのを蹴り飛ばす。
人体がはじけ飛ぶ感触に絶頂すら覚える。

「クク、素晴らしい……素晴らしい。素晴らしいですよ!
 もっと奏でなさい!人の業と、絶望との狂騒曲を……!」

波才は息絶えた村人に慈愛の籠った視線を向ける。

「嗚呼、人とはなんと儚いのか……。だからこそ素晴らしい……。
 無念だったでしょう、悔しかったでしょう……。ご安心なさい。皆、すぐに後を追いますとも……。
 そして貴方の無念は無駄にはしませんとも……」

波才は懐から取り出した呪符を額に張り付け、命じる。

「急急如律令!」

むくり、と起き上った死体であったものに指示を飛ばす。

「生者は死者に、死者は僵尸(キョンシー)に……。
 その祈りは聖処女に……。
 ええ、背徳の限りを尽くしましょうとも……。熱狂を捧げましょうとも……」

地獄絵図がそこにはあった。

だが、それでもこれは始まりに過ぎないのだ。いよいよ始まるのだ。
英傑が舞う時代が来るのだから。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/24(水) 22:36:38.72 ID:f2BKyx0G0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

タイトルは未定なので寝るsっjのす <> 赤ペン<>sage saga<>2018/10/25(木) 16:30:31.43 ID:D1PVFVfs0<> 乙でしたー
>>195
>>できれば生き残りに対する治療とケアができれば、といったところである。 間違いではないですが【できれば】が2回出てくると違和感が
○叶うなら生き残りに対する治療とケアができれば、といったところである。 もしくは【できれば生き残り〜ケアをしたい、といった】でどうでしょう
>>流れたであろう血の量に比べて、死体が見当たりません。 この言い方だと【血の量】を実際には見ないで他の何かで推測したように聞こえます
○血だまりの量に比べて、死体が見当たりません。 或いは【流れた血の量】?【血だまりの範囲】とか?【血だまりの多さ】とかでも良いかな?
>>196
>>気づけば雄叫びが肺腑から絞り出されて、昂ぶる。 〜 無言で村に殺到する味方に遅れまいと、駆け出す。  獣のように吠え猛ってるのか、陶酔してトランス状態で無言なのか
○気づけば熱に浮かされたように、大いなる意思に従うように、昂ぶる。 〜 無言で村に殺到する味方に遅れまいと、駆け出す。 波才が催眠術っぽいことして思考力奪ったならこんな感じ?無言って意思が無くなってる感じだしその後に奪う快楽に酔ってるからちょっと違う?
○気づけば雄叫びが肺腑から絞り出されて、昂ぶる。 〜 怒号と共に村に殺到する味方に遅れまいと、駆け出す。 〜 遮二無二突き刺す味方 〜 が、笑いながら反撃する。  多分「きひひひ」とか「うへへへ」とか「ひゃははは」とか哄笑?狂笑?上げながら、ヤバい薬決めた感じならこうかな?
>>手近な家の戸をけ破り、 そういえば最近の小学校の教科書だと暑中見舞いを暑中見まいとか書くとかなんとか…本当なのかね?
○手近な家の戸を蹴破り、 の方がいいと思います
>>人体がはじけ飛ぶ感触に絶頂すら覚える。  …北斗神拳?いやまあ大の男がリミッター外して子供を全力で蹴ればそうなるかもだけどそんな死体はさすがに死体として残りそうだし
○人体をブッ飛ばす感触に絶頂すら覚える。  もしくは【破壊する】?学が無いし【ぐちゃぐちゃにする感触】とかも有りかな?骨を折った感触なのか内臓を潰した感触なのか肉の塊を蹴り飛ばした感触なのかは分からんけど

ふーむ、どれくらいの集落にどれくらいの集団で襲いかかったかは分からんけど、逃げ出せた人が一人もいないってことは…少数で突っ込んだ?大勢が襲ってきたら戦う前に逃げ出す人たちがいるよね>>「とはいえ、略奪が目的であれば多少は逃散も可能かと〜。 ってことは本当に文字通り全滅ってことで
でも小さい集落じゃ備蓄も相応になるし…ざっと10万人をとりあえず食わせるだけの食料、しかもキョンシー化できるのは波才だけだし、と言う事は襲撃は同時じゃなくて一筆書きみたいな形?
でも報告は同時…多分見回りと行商人とかか・・・ところでその奪った食料拠点に運んでる間にどれだけ減っtあっキョンシー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/25(木) 21:54:58.40 ID:oI0J73uq0<> >>198
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて。

>・・・ところでその奪った食料拠点に運んでる間にどれだけ減っtあっキョンシー
もうこれに集約されてしまってますねぇ…… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/25(木) 21:55:50.67 ID:oI0J73uq0<> 多分今はやりのゾンビパニックならぬキョンシーパニック <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/25(木) 22:15:19.41 ID:oI0J73uq0<> 今日は寝ます <> 赤ペン<>sage saga<>2018/10/27(土) 11:04:51.65 ID:pTqYVE8y0<> 雨ヤバい <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/10/27(土) 12:02:46.81 ID:qlwjRqYk0<> NHKニュースでもやってますね
お気を付けてくださいませ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/03(土) 16:53:02.15 ID:gB7K5ab60<> やったぜ(鹿) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/03(土) 18:21:26.62 ID:RV237HSOo<> よかですな
何より無失点がデカい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/03(土) 18:31:49.10 ID:gB7K5ab60<> >>205
ありがとうございます。
アウェイはなんか4000mの高地とか聞いたので、まだ何も成し遂げてないとかね
がんばえー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/03(土) 22:16:38.61 ID:gB7K5ab60<> 結局目ぼしい手掛かりを得ることもできず、俺たちは南皮に帰還した。
失意を友に、と言ってもいい。
麗羽様に経緯を説明し、文家と顔家に出動を命じる。

「……しかしこんなに反対もなく動くとはなあ」

驚くことに……文家も顔家も俺の命に反駁もなく従ったのだ。

「何を言うのですか」

呆れたような口調で嘆息するのは稟ちゃん。袁家内での地位については相当地歩を固めつつある。凄い勢いで。

「や、だってさ、十年単位で袁家の軍権を掌握しようとしてたんだぜ?
 それがこんなに容易いとなるとだな。逆に違和感があるのよ」

いや、そりゃ猪々子や斗詩は俺の言うこと聞いてくれるとは思うよ?
つか、袁家の派閥争い的なものを乗り越えて俺が軍権を掌握するには人脈に頼るしかないからして。

「では、お手にされたものの大きさを実感するいい機会ですね。
 文家、顔家共に二郎殿の指示に従う旨連判状がここにあります。 
 両家の主だった士官が名を連ねております。
 どこぞの策謀家気取りの軟弱な輩とは一線を画すようですね。
 流石は袁家。尚武の気風は確かかと」

む。肩が重いぞ?

「足を引っ張られるよりは肩が重い方がよかろう?主よ」

玲瓏たる声をかけてくるのは俺には過ぎたる家臣の一人、星である。

「まあ、そうだな。前向きに考えるか。予想以上に俺の指示が行き渡ってるみたいだしな。
 星にも働いてもらうぞ?」
「無論。御身に捧げたこの身なれば。如何様にもお使い下され。
 ……勿論、臥所での働きでも否やはございませんぞ?」

艶然と微笑む星の言葉に数瞬絶句する。
さて、何と返したものかと思う間もなく。

「いいいい、いけませんよ星。我らはその才をもってお仕えするというのにその、夜のお相手など不謹慎です。そのようなことを命じられては非力なわが身は抗うこと能わず。その純潔を散らしてしまうのですね。いえ、嫌という訳ではないのです。が、この身を捧げるにはやはりそれなりに状況が整っていないといけないと思うのです。ええ、私はやはりそれは不本意と言いましょう。ですが。ですが二郎殿が情熱的に迫ってきたら私は拒むことが出来るのでしょうか。いえ、拒むべきですね。拒むでしょう。ですが二郎殿の激情は私の防壁を容易く貫き、この身を穿つでしょう。嗚呼、やはりこの身は、純潔は儚く散る定めというのでしょうか。いけません、いけません。そもそも軍師とはあらゆる利害関係と無縁な状況に身を置いてから……」

ぷぴ、と吹き出す鼻血はマグマの如く赤く、熱く吹き上がる。人体の神秘ここに極まれり。などと思っていたら。

「むむむ。これはしたり。二郎殿、介抱は任せた」

あ、こいつめんどくさいこと押し付けて逃げる気満々だな。
そう考えると風はあれで面倒見いいのかな。

ぐったりとした稟ちゃんをとんとんしながらそんなことを思う俺であった。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/03(土) 22:17:11.59 ID:gB7K5ab60<> 「とまあ、そういう訳でさあ、俺としちゃ予想外だったのよね。
 文と顔があっさり俺の指揮に従うなんてさ」

わけわかめ、いみとろろなのが本音の二郎です。いや、よかったんだけどね。十年単位で丹念に指揮権を確立していくつもりだったからさ。

「そりゃ従うだろうさ。おいらにゃ二郎が何でそんなに不思議そうにしてるのかがわかんねえけどな」

干菓子を摘まみながら張紘がそんなことを言う。むう。どうせ俺は頭悪いよ。

「あのなあ、二郎。本当に本気で分かってなさそうだから言うけどな、お前本気で文家と顔家が従わないとか思ってたのか?」
「だって俺ってば凡人じゃん。武では猪々子や斗詩には敵わんし、お前らみたいに頭だってよくない。
 精々積み上げた虚名と金、後は血筋か。そんくらいじゃねえ?」

実際袁家は割と実力主義なのである。田豊師匠とか麹義のねーちゃんとかが権力と権益を掌握していたのもその実力故のこと。
実際、麗羽様みたいに圧倒的なカリスマはないし、武勇とか智謀とか、話にならない。
これが時代劇なら精々悪代官か越後屋が役回りとしては妥当だろうて。それはそれで楽しそうだけんども。

「お前な……。あまり自分を過小評価するなよ?悲しくなっちまうぞ。
 いいか、二郎、お前は大した奴だ。このおいらがそう断言する。足りないならそこで他人事みたいにな、にこにこしてる沮授だって追加してもいい。
 重ねて言うぞ、お前は大した奴なんだ。すごい奴なんだ」

そんなん言われてもなあ。沮授よ、お前まで珍しく真面目な顔してどしたのさ。

「いえ、僕も張紘君に同意しますね。いやはや。
 謙遜かと思った時もありましたが、本当に本気で自己評価が低いですねえ」

いや、実際、お前らみたいな英傑と凡人を一緒にすんなって。
ここで対等に話せてるのって生まれのアドバンテージと前世知識のおかげでしかないぞ。

「あのな、そんな不思議そうな顔してるなよ。
 いいか、二郎がいなきゃあさ。おいらなんてまだきっと流民として彷徨ってたろうさ。
 あの日な、あの時にあの場所でな。二郎に声をかけられなかったら、きっとそうだったさ」

や、張紘ほどの能力があったらどこ行っても、ねえ。と思うんだが。

「ああもう!まだ納得してねえな。こっからは二郎のことだ。
 いいか、この袁家で、麹義様、田豊様という文武の重鎮に等しく教えを受けているってことがどういうことかは分かるな?
 袁紹様、袁術様の信頼厚く、他の武家当主とも親密だ。これは、すごいことなんだぞ?」
「加えて、近年の武勲はほぼ二郎君が独占してますね。それが望んだものかどうかは置いておきましょう。
 更にはじきに州牧となる公孫賛、孫家とも個人的に友誼がある。いやはや、千金、いや、万金を積んでもその半分も果たせないでしょうね」
「あー、そりゃね。ねーちゃんと師匠からそういう期待はかけられてたと思うけどね……。
 いや、期待をかけられるというのはありがたいことだわな」

重みを背負っていた肩がさらにずっしりとくるぜい。

「だからだな、二郎よ」
「ん?」
「お前が双肩に袁家を背負っているというのはおいらだって、その、分かる。
 だから、だな。おいらたちにその重みを分けてくれよ」
「そうですよ、他でもない義兄弟なのですから。水臭い。
 もっと頼ってくれていいんですよ?いえ、違いますね、頼ってください。
 僕達はね、二郎君が大好きなんですから」

そ、そんなこと言われたら、泣いてまうやろー!つか、やべえ。ほんま、泣いちゃう。
だが、その言葉が嬉しい。気遣ってくれているということが、本当に嬉しい。
だって、張紘と沮授が、だぜ?

「お、おうよ。なんか、楽になったわ。ほんと、ありがとな。
 そ、そうだな。まあ、取りあえずは謎の賊対策だ。厄介極まりない」

次善の策を練る俺たちに声がかけられる。

「二郎様、『飛燕』様がおいでとのことです」

陳蘭の遠慮がちな声に昂揚していた頭が冷え切る。
さて、期待の梟雄のおいでだ。

「二郎君?如南はどうします?」
「雷薄と張郃、それに沙和を派遣する。雷薄なら問題なく軍を把握できるし、裏は張郃だな。
 沙和もそろそろ管理職として経験を積んでおいてほしいとこだしな」

一記者としては結構評判も高まっているけど、もっと大きなステージで活躍してもらわんとね。

「よし、手配しとく。二郎達が赴くまでにきっちり仕込みは済まさせておくように、な」
「頼むわ」
「しかし雷薄将軍ですか、如南への赴任は望むところでしょうね」

娘さんが如南にいるからね。これは如南に行く時の楽しみが増えたね。

うっし、とりあえずは張燕だ。あいつがこの乱の首謀者とは思わんが、きっちりと締め上げてやろう。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/03(土) 22:19:37.09 ID:gB7K5ab60<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトル案募集です
不穏の影とかそんな感じで一つよろしくお願いいたします。

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/04(日) 23:17:52.92 ID:0N97B+280<> 乙です <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/05(月) 22:09:36.57 ID:NFwsAWrT0<> >>210
どもです

やってやるぜという意思にアルコールを注いで肝臓が炎上するの、なんとかしないといけません <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/05(月) 23:22:03.22 ID:NFwsAWrT0<> 明日はやるぜ <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/05(月) 23:27:27.35 ID:NFwsAWrT0<> 殺してやるという決意を新たにして、自分を追い込んでいく
心身をぼろぼろにして尚書く。
書くのだ。
前に進む。そこに義務感はない。かつてはあったものだ。
前に進むその思い。踏み出す。

そんな感じっすですが、助けて精神的な意味でー <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/06(火) 10:22:29.12 ID:4uYB5tZW0<> 乙でしたー
>>207
>>純潔は儚く散る定めというのでしょうか。 間違いでは無いのであくまで私の趣味ですが
○純潔は儚く散る運命というのでしょうか。 運命と書いてさだめと読む…そんなカッコつけた感じが好きだったり
>>208
>>次善の策を練る俺たちに声がかけられる。 まあ既に最善は無いともいえるけど《この状況》からの最善策を練ってほしいなあ
○様々な策を練る俺たちに声がかけられる。 もしくは【できる限りの】とか【考えられる限りの】とかどうでしょう?

何だったかで読んだのが《自分を軽く見ると言う事は自分を重く見ている人たちをも軽く見ることだ》みたいな…《お前はお前を信じてくれた人たちを石ころを宝石だとありがたがる阿呆にするつもりか?》とかなんとか
まあこの義兄弟がいる限り二郎ちゃんがソコを間違えることは無いでしょうけど

ふうむ、なんちゃってWiKIで《綺麗》とは【紀霊】が語源であり、外面的な美しさだけではなく、人付き合いの巧みな人、見ず知らずの人と仲良くなれる人を指すものである。とか作ろうと思ったけどパンチが足りないんだよなあ
お父さん(紀文)のWIKIでも作ってみるか…汗を倒した後は治安維持に務めた、くらいしか設定ないんだっけ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/06(火) 17:47:31.72 ID:4uYB5tZW0<> 宝貝って現代でも残ってるのかなあ…私の前に書いた農徳新書の奴では神秘的なあれこれは薄れたって勝手に設定したけど
三尖刀が重文指定とか国宝とかになって現存してて資格のない物が持つと衰弱するとかのオカルトアイテム化してても良いけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/06(火) 22:00:43.20 ID:tYv43dqi0<> >>214
赤ペン先生いつもありがとうございます

>まあこの義兄弟がいる限り二郎ちゃんがソコを間違えることは無いでしょうけど
まあその通りなんですがやはり慣れないものですよ、英傑と並んで立ってるとw

>お父さん(紀文)のWIKI
楽しみですw

>宝貝って現代でも残ってるのかなあ…
近現代でのそれっぽいのだとホープブルーダイヤモンドとか、英国の物騒な椅子とかありますねw
近代になると神秘が薄れて云々かんぬんの型月設定は便利かもですね

型月世界とかメガテン世界だったら初手鹿島神宮で布都御魂剣(ふつみたまのつるぎ)ゲットしに行くですよ
あっこの宝物殿、ほんまひどいですからー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/11/08(木) 16:37:23.58 ID:vf3zAMhy0<> うぬぬ・・・期待が重い。陳・海東先生のお力をお借りしてWIKIと言うよりはさわりだけのお話にするべきか
ちなみに史実とかとの整合性は考えないので年齢とかは適当に決めようと思ってるんですが…二郎ちゃんって母親の違う兄弟とかはいないってことで良いんですよね?(お父さんの最盛期のAAを見ながら <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/08(木) 22:27:49.16 ID:fEgLetc7O<> > お父さんの最盛期のAA

パンツマンのAAでWIKIとは
胸熱すぎww <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/08(木) 22:32:27.26 ID:X8P4rn8V0<> >>218
そっちは廃人やw

全盛期は体が勝手に風呂場に向かう黒髪の貴公子やぞ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/08(木) 22:38:21.73 ID:X8P4rn8V0<> 「それじゃあ今日はここまでにしましょうか」
「はい、ありがとうございました!」

一礼し、伸びをするのは桃色の髪の少女。益州を治める劉焉の息女である劉璋その人である。
ここ洛陽には遊学がその目的である。正直期待はしていなかったのであるが、その講師に蔡邑という才媛が充てられたことで、極めて充実した時を過ごしている。
実際、この洛陽でも三本の指に入るのであろう大学者なのだ。それを手配してくれていたに違いない青年に思いを馳せると。

「あら、どうかした?顔が赤いわよ?」
「なななななな、なんでもないわ、なんでもないですとも」

あたふた、と慌てる仕草が可愛らしくて。蔡邑はくすり、と笑う。
その大人びた表情に劉璋は何か思う所があったのか、む、と口を一文字に引き締める。
感謝の念はある。
論語はもとより、荀子、韓非子、六韜、三略。
益州では答えてもらえなかったような問いにもきちんと解答を与えてくれたのだ、この才媛は。
幾度も「なぜ?」と繰り返す自分が愚物扱いされていたことは誰より自分が分かっているのだ。
今ならなんとなく分かる。つまりあれは答えが出せないということを糊塗するためだったのだろう、と。
時すでに遅し、である。今や家臣団――仮初の――でも自分の味方なんていない。いないのだ。
だから、だからこそ、無条件に自分を助けてくれたあの青年に意識が向くのは仕方のないことなのだ。
そして目の前の麗人は多分自分よりもあの青年と接点が多くて、そして多分あの青年に興味はないはずなのだ。
つまり、情報収集するには恰好の相手だ。実際見事な論理で何もおかしくはないと自画自賛できるほど。

「そそそ、そういえば二郎と親しいのでしたっけ?」

ほら、こんなにも自然に話題を振れる。

「ええ、そうね。閨を共にするほどではないけれどもね」
「ねねねね閨って、あう、ひ。ななな。何をおしゃってるのですか」

目を白黒させる劉璋を微笑ましいと蔡邑は思う。
そしてその持って生まれた才と求められているであろう才の差異に微かに心を痛める。
驚くほどにその家臣団からの評価が低いのだ、この愛すべき少女は。
本人もそれを自覚しているのであろう、居丈高に振舞い、自らの権威を高めようとする姿は滑稽を通り越して痛ましくすらあった。
それを強要する環境にも、色々と言いたいことはあるが、それは彼女の仕事ではないし、そのような立場でもない。

「ふふ、ごめんなさいね。それで、紀家当主がどうしたのかしら?」

かなり余所余所しい言葉に、ほ、とした表情を浮かべる劉璋。

「あ、あのね?これって本当に二郎なのかな、って」

おずおず、と取り出したのは阿蘇阿蘇。怨将軍記念号と題された書物である。
見ればその頁は摩耗しており、丁重に扱っていたのであろうが、所々に破れた箇所もある。
きっとこの少女は大事に何回も熟読したのであろう。その類稀なる記憶力からすれば文章を全て諳んじていてても不思議ではない。

「それはこの絵姿かしら。それとも英雄譚のことかしら?」

貴種流浪譚と言った方がよかったかしら、と僅かに自分の放った言の葉を検討する間もなく劉璋は力強く答える。

「両方!と言いたいけど、この絵姿はどう見ても捏造よね。こんなに美形じゃあないもの。ほんと、盛り過ぎよ。
 こんな、ぱっと見て分かるくらいに美形じゃないもの。それじゃなきゃ私だって、あんなこと言わなかったし、あんな無様を……。
 そ、それはいいのよ。でもね、思うの。こんなに行く先で人助けをしているのかなって」
「あら、それは貴女が一番承知しているのではなくって?」

かぁ、と瞬時に紅潮した頬を隠すこともなく抗議の声を上げる。

「そそそ、そんなはずないでしょう。私はいつだって冷静、公平よ」

論点がずれていることに気づきもせずに一生懸命に主張する。
だって、あれは自分だけの大切な記憶なのだ、思い出なのだ。
だから、譜代の家臣団からも馬鹿にされているような自分であってはいけない。
聞けば、あの袁家の武家の最高責任者になったと言う。
何かお祝いの品を送ろうかと思ったが、今の自分にその資格はきっとない。

「そうね。その視点は大事だわ」
「っ、そそそそうよ。その通りですよね」

幾ばくかの時を浪費し、劉璋は冷静さを取り戻してその卓越した頭脳を再起動する。
そして、問いをその口にするその数瞬前に扉が開き、蔡邑は何進からの招請に応じる。

「ごめんなさいね、今日はここまでよ」
「はい」

結果的に、これが最後の授業となってしまうことなど、双方ともに知るはずもなかった。

漢朝各地で乱が勃発する。
世に言う、「黄巾の乱」である。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/08(木) 22:38:48.70 ID:X8P4rn8V0<>
◆◆◆

らしくないな、と華雄は思う。だがまあ、考えてみれば無理もないことではあるかもしれない。
粉々に割れた酒器を片付ける侍女たちの手際は流石の一言。珍しくむっつりと黙り込んだ主人の醸し出す不機嫌な空気を気にする様子もない。
黙って新たな酒器に酒を注ぐ。
無言で酒を呷る何進。殺気すら漂うその眼は血走っている。

きっかけは袁家からの書面であった。続いて各地から寄せられる凶報。
乱である。叛乱である。もはや一時の暴動と言えない規模で広がる戦禍。
不可解なほどに広がるそれに何進を筆頭に政権を握る勢力は忙殺されている。
いよいよ宦官勢力を削ぎ始め、少しずつではあるが着実に成果が見え始めていたというのに。
今では宮中では乱の責を何進に問う声すら漂うのだ。

「フン、ついてない時はこんなもんか」

盛大に酒臭い息を吐き、何進は思考を切り替える。苛立ちはあるが、それにいつまでも囚われているわけにもいかない。
何せ双肩には漢朝がずしり、と。

「蔡邑と王允を呼べ」

けして大きくはない声に配下が慌ただしく動き出す。どうやら精神的再建を果たしたようだ。

「私はどうすればいい?」

華雄は取りあえず問うてみる。無論今すぐにでも兵を率いて飛び出したいという気持ちはある。
が、目の前の男の指示に従った方がより効果的に自分の武は活きるのであろう。

「フン、そうだな。
……ン。
いや、いい。俺の背を守れ」
「承った」

愛用の戦斧を持ち、背後に控える。ふ、と息を吐き、弛緩していた気を引き締める。
常在戦場。たちまちに四方八方の気配を掴み、捕捉する。
万に一つも不意など衝かせない。静かに、深く集中を。
目の前の男は確かに漢朝を支える大黒柱であるのだ。
なれば、いや、だからこそ自分の武を捧げるに相応しい。狷介な自分を華雄は自覚してはいる。だからこそ思いは深まる。
それを使いこなすはやはりこの男だけであろう、と。

あくまで静謐に。
昂ぶりながらも華雄は自らの責務を果たす。

何も大軍を率いて敵を討つのだけが武の在り方ではない。
既に華雄は自らの武を振るうに迷いは一片たりともない。

むしろ、武の振るいどころを見つけた武士(もののふ)。
彼女の心境を描写するならこうであろう。

「士は己を知る者の為に死し、女は己を説ぶ者のために容つくる。今、何進は我を知る」

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/08(木) 22:39:48.28 ID:X8P4rn8V0<>
蔡邑が室に踏み入ると、そこは息苦しいほどに空気が澄んでいて。
原因は明らかだ。
悠然と座る何進の後ろに控える豪傑。華雄。
だが、ここまで凄味があったろうか?
何進や華雄には及ばぬまでも、ある程度の武を修めたからこそ分かる。華雄は何故だか分らぬが階梯を高めたのだと。
まあ、それは喜ばしいことであろう。友人としてもそれを寿ぐにやぶさかではない。
が、今はそれはむしろどうでもいい些事である。

「それで、どうしたものかしらね」

彼女とて現在の状況は把握している。
乱が各地で頻発。
無論、死をもって報わせるが倣いである。が。報告を信じるならば足りないのだ。
兵力が、将帥が、兵站が。ありとあらゆるものが足りないのだ。
十常侍とて愚物ではない。繰り返される宮廷闘争において何進はほぼ常に勝利を手にしていた。
が、そのために切り捨て、削られたた現有戦力、禁軍。即応兵力は、軍事予算はじりじりと削られており、漢朝全土には流石に及ばない。

だが、大将軍として軍権を握る何進に対する宮中の風は冷たい。
いや、むしろ卑賤なる身で漢朝の中枢にいること。それが身の程知らずであると言うがごとくに、これまで問題なく運営されていた手続きすら滞る。滞っていく。
馬鹿げている。
このような時に、非常時に足を引っ張るのが政略なのか。
いや、分かってはいたはずだ。洛陽どころか、宮中から出たこともない宦官。
それらにとっては地方の乱など、その混乱など想像の埒外であろう。
だからこそ自分は何進に賭けたのだ。

金城鉄壁を体現する華雄に軽く目礼し、存念を述べる。
恐らくは何進とて同じ結論に至っているであろう。

「黄巾、討つべし。そう諸侯に発すべきね」

簡にして単。
漢朝の威信は下がるかもしれないが、兵を蓄える諸侯の勢力を削ぐことができれば上々だろう。
何より、保つべきは平穏のはずだ。

「フン、そうか。そうだな。
 ……そうだ、な」

何進とてそれを分かっているのだ。
無念なのだろう。
じりり、と宦官の勢力を削り、無力化する。
袁家と馬家。この上ない武門の名門。漢朝の防壁たる二家の支持を背に、この漢朝を甦らせる。それは絵に描いた餅ではなく、手の届くところまで近づいていたのだ。

それでもこの英傑の心は折れない。地べたを這いずりまわりながらも頂点に至ったこの男の心はこれしきでは折れない。
不敵に笑いながら歩みを止めないのだ。
なれば、最終的に勝つのは。

「黄巾、討つべし。皇甫嵩と朱儁を呼べ。
 禁軍を動かす」

皇帝直属である禁軍を動かし、諸侯の軍を制御するという決意。
混乱の、泥濘の中で最善を掴むその凄味に蔡邑は微笑む。

「ええ、承ったわ」

艶然とした笑みに欠片も価値を見出さず、何進は室を辞する。
武の化身とその身を昇華させた華雄が付き従う。

その姿を見送る蔡邑は思うのだ。
彼が、彼らが。漢朝の命運を握っているというのは果たして不運なのか、幸運なのか。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/08(木) 22:40:15.25 ID:X8P4rn8V0<> ◆◆◆

「困ったね、雛里ちゃん」
「うん、困ったね、朱里ちゃん」

伏竜と鳳雛と異名を持つ当代きっての智謀の士、二人である。
彼女らはその明敏さを遺憾なく発揮し、乱れつつある世をこの上なく憂いていた。

「為政者に徳なくば、世は乱れる。少しのんびりしてたかもね、雛理ちゃん」
「うん、目の前の、仮初めの安穏に目を奪われてたかもしれない。
 私たちもまだまだだね、朱里ちゃん」

彼女らは痛恨の念を込めて語り合う。

「でも、でもね、ここ南皮に来てよかったと思うの、雛理ちゃん」
「そうだね、朱里ちゃん。荊州にいたら分からないことだらけだったよ。
 虚ろなる風評に踊らされて暗君、昏君に仕えていたら、と思うとぞっとするし……」

そう、名門たる水鏡女学院空前絶後の俊才、英才。
一人でも手にすれば天下を手にすることのできるという傑物。それが彼女らである。
自らの天才を自覚する彼女らは仕える主君をこれでもか、というほどに検討しているのである。

「でも、ちょっとゆっくりしすぎたかもしれないね、雛里ちゃん」
「そうだね、朱里ちゃん。こんなにも世は乱れてしまったよ。これは私たちの怠慢かもしれないね」

黄巾の乱。
漢朝全土に広がるそれは彼女らの胸を痛めるに値する出来事。
きっと自分らが力を振るっていればそのような悲劇は、惨劇は防げたかもしれない。

「今からでも遅くはないよ、雛理ちゃん。この身は、能力はまだ見ぬ主のために」
「そうだね、朱里ちゃん。私たちが頑張ったらできないことなんてないよ」

互いの誓いを確かめ合い、笑いあう。
理想を追う輩(ともがら)が傍らにいる喜びをかみしめる。

「どうする?雛里ちゃん」
「決まってるよね、朱里ちゃん」

視線を合わせ、くすくすと笑い合う。そう、彼女らの思いは重なっている。
自らの能力を発揮する主を、選定している。

袁家?論外だ。血筋はいい。が、賤業を背負う紀霊に、よりによって軍権を掌握させた。
論外だ。視界にも入れたくはない。
公孫?論外だ。袁家の狗に何を望むというのか?
何進?更に論外だ。肉屋の倅に語ることなどない。
孫家?更に論外だ。狗以下の獣にどうして徳あろうか。
曹操?論外以前だ。宦官などという汚濁に触れたくもない。

「案外と言うか、やはりと言うか、人物というのはいないものだね、雛理ちゃん」
「そうだね、朱里ちゃん。一長一短程度の人材すら希少だね。麒麟は死に絶えて久しいのかな」

ひたすらに嘆く、憤る。世を憂う。
そんな彼女らに一人の英傑の噂話が。

「大徳」

黄巾の乱に心を痛め、義勇兵を募り、立ったと言う。
無位無官ながらその声望は響き渡っており、公孫賛も全力で援助したと言う。

「雛里ちゃん」
「うん、朱里ちゃん」

きっと自分たちはその人物に仕えるために生を受けたのだ。
不思議な確信を抱き、彼女らは歩みを進める。
当代きっての智謀の士たる彼女らの忠誠を受けるのは。

劉備。字を玄徳。

尊き血を引き、仁の心で世を導く英傑である。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/08(木) 22:41:09.92 ID:X8P4rn8V0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

うへへ

やっとこさ黄巾の乱が始まるよーw¥ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/09(金) 03:07:56.41 ID:O/FvAE2io<> おつした

劉璋たんモフモフしたいお <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/09(金) 05:06:16.33 ID:jsm/7+gE0<> おつ〜
ついに甘い夢に人々を誘う大毒婦の噂が腐れ儒者の耳に届くかww <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/11(日) 01:53:31.73 ID:g8s0wYnB0<> やったぜ(鹿) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/11(日) 02:12:05.06 ID:x0OcGzhco<> 通算20冠おめでとさんです! <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/11(日) 07:39:27.95 ID:g8s0wYnB0<> >>225
どもです。

色々と微調整はしてますがやっぱり劉璋ちゃんは可愛いですよねええ

>>226
どもですw

>ついに甘い夢に人々を誘う大毒婦の噂が腐れ儒者の耳に届くかw
ひっでえw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/11(日) 07:40:43.40 ID:g8s0wYnB0<> >>228
ありがとうございますー!

記念に回らない寿司に行ってきますw


★アジア王者 ☆J1リーグ ◎天皇杯 ○Jリーグカップ

鹿島 20★☆☆☆☆☆☆☆☆◎◎◎◎◎○○○○○○
脚大 *9★☆☆◎◎◎◎○○
浦和 *7★★☆◎◎○○
磐田 *7★☆☆☆◎○○

−−−−−−アジア制覇の壁

東緑 *7☆☆◎◎○○○
横鞠 *6☆☆☆◎◎○
木白 *4☆◎○○

−−−−−−国内3タイトル制覇の壁

広島 *3☆☆☆
名鯱 *3☆◎◎
川崎 *2☆☆

−−−−−−リーグ制覇の壁

瓦斯 *3◎○○
横翼 *2◎◎
清水 *2◎○
桜大 *2◎○
湘南 *2◎○
千葉 *2○○
京都 *1◎
大分 *1○

−−−−−−タイトルの壁 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/11(日) 19:23:41.33 ID:LUaGsIDNo<> > 回らない寿司
スーパーのパック寿司だな(決め付け) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/11(日) 19:48:13.97 ID:5VTK3a6hO<> >>230
懐かしい名前がちらほら
今は亡き翼とか緑とか

>>231
引きこもりのための出前館というのもあるぞ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/11(日) 20:00:56.16 ID:g8s0wYnB0<> >>231
最近は美味しいのもありますねw

美味しかったです

>>232
翼はともかく緑さんは死んでへんのんとちがいますか……w <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/11/12(月) 07:47:59.81 ID:PZirNiIV0<> こちらにも、取り急ぎご挨拶だけ。

うわわわわわわ、黄巾の乱始まったよ。どんどん置いて行かれている(自業自得)
追いつく。というより変化球から無理矢理繋げるしかないか。

祭邑さんは追尾しておこう。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/12(月) 22:10:09.26 ID:HGkJTTLf0<> >>234
どもです。ご無事でなにより。ご馳走様でした

>うわわわわわわ、黄巾の乱始まったよ。どんどん置いて行かれている(自業自得)
うえへへへへ。どんどこいきますぜー。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/12(月) 22:20:18.26 ID:HGkJTTLf0<> 「浜の真砂(まさご)は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ 、かあ。
 二郎が言ってたのも、納得するしかないのかなあ……」

はあ、とため息を一つ漏らす。そのため息の主は襄平の太守たる公孫賛その人である。
なお、本人は州牧に推挙されるのが既定路線で、それも間近であるということを知り戦々恐々な毎日ではあるのだが。
閑話休題(それはさておき)、彼女が話題にしたのは最近急激に発生している乱について。である。

「同意する。ただし。どうにも解せない点も多い。単なる賊と断ずることはできない」
「そうだなあ、村落丸ごと無人、かぁ……」
「労働力として拉致されたのではないかと推察する。殺戮して益することなどない。
 ただし、逃げ延びた民がいないというのが……解せない」

淡々と応じるのは韓浩。
軍事、民政、幅広く公孫賛を補佐する俊英である。紀家の幹部候補生であるのだが、本人の希望により公孫賛の補佐を継続している。
そして、だ。
とっつきにくいその人格、物言いにも公孫賛は慣れたものである。

「ま、そこら辺をあれこれと考えても仕方ないよな。今できることをするだけ、さ」

何せ、袁家も賊が黄色の頭巾を被っているということしか情報を掴んでいないのだ。

「同意する。下手の考え休むに似たりとはよく言ったもの。
 領内の警戒は常備軍の半数を充てている。急報あれば白馬義従の動員もする。した。
 あとは村落に自警団の組織化とここ襄平への急報、場合によっては逃散。事後の援助の凡例まで衆知させている」

公孫賛は満足げに頷く。
どだい、急襲された村落に援軍が間に合うはずもないのである。
物資を献上して済む相手ならばそれを推奨する。が、村民皆殺しとあらばそうもいかない。
一人でも逃げ延びてもらうしかないのだ。
治安維持、乱の鎮圧というのは後手に回らざるをえないのだ。
ただ。

「ただの賊までもが黄巾を纏っているみたいだからな。
 厄介なことだ」

こくり、と韓浩は頷く。限りなく無表情な彼女すら忌々しげに。
湧き出る賊。それはいい。いつの世も犯罪者というのは御器被(ゴキブ)りのごとく根絶できないものだ。
だが、ここまで漢朝に敵意を向けることもなかったはずである。

「ま、背後とかどうあっても私たちはできることをするだけさ。
 韓浩、頼りにしてる」
「承った」

にこり、と公孫賛は満面の笑みを浮かべる。
思えば最初はどうなることかと思ったのだ。この、何とも無表情だが有能な少女とどう付き合うかと。
今では掛け替えのない存在だと言える。
遠慮のない苦言、諫言もありがたい。だって的確この上ないのだ。
信頼関係だって結べている……と思う。
一言希望を漏らせば南皮に帰還できるのだ、この少女は。
それなのに未だに襄平に留まってくれているということの意味が分からないほど鈍感じゃない、と思うのだ。
面と向かって言うことはないけれども。

くすり。

ほくそ笑む彼女はきっと魅力的であり、どこぞの凡人も見惚れること受け合いではあったろう。
が、配下より来客が告げられる。

劉備。

「大徳」と異名を持つ公孫賛の食客である。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/12(月) 22:21:37.04 ID:HGkJTTLf0<> ◆◆◆

「うん、だからね。やっぱり黙って見てられないの!
 わたしにだって、できることがあると思うんだ。
 愛紗ちゃん、鈴々ちゃんっていう私の妹たちってすごいんだよ?
 だから、みんなが笑って暮らせる世の中のために、頑張りたいな、って思うんだ」

常ならぬ、憂いを込めた表情に関羽は内心臍を噛む。嗚呼、この主人にこのような表情をさせてしまった自分が情けない、と。

「それはいいが、どうするつもりなんだ?」

決まっている。乱を平定するのだ。そのために兵を募るのだ。

「うん、悪いことしてる人だって事情があると思うんだ。
 だからね、私にもできることないかな、って」

嗚呼、大徳という二つ名は伊達ではない。
改めて忠誠を、赤心を誓う関羽。

「はは、桃香は昔からそうだったよな。
 いつだって皆のことばかり気にしてたもんな」
「やだ、白蓮ちゃん、やめてよぉ。 
 でもね、やっぱり私は思うんだ。
 皆が笑って暮らせる世界を作りたい、って」

 その言に公孫?は苦笑する。流石に話が飛躍すぎて。

「ま、私は襄平の太守だからな。
 まずは襄平を安寧とせんといかんから」

何と志の小さいことよ。
関羽は嘆く。勿体ない、と。
かの白馬義従が自らの掌中にあれば、如何程に成果を導いたであろうかと。

「うん。それはしょうがないよ。でもね。だからね、皆に聞いてほしいの、私の想いを。
 争いのない世界のために一緒に頑張ってほしいって」

 そう、これこそが本題である。大徳たる劉備。彼女の声を届ける機会。

「論外。却下。そろそろ室から退出すべき」

淡々とした声が水を差す。

「世を憂うならば公孫賛殿の配下に収まればよい。
 無位無官の浪人の立場よりよほど民の為に働ける。
 如何に」

劉備は小首を傾げる。

「でもね、それじゃ皆を助けられないじゃない?
 中華全土で乱は起こってるんだよ?
 今、みんな困っているんだよ?今、みんな泣いているんだよ?」

だったら、今動くしかないではないか、と劉備は真摯に訴えるのだ。
その勢いに公孫賛は押し切られそうになる。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/12(月) 22:23:49.38 ID:HGkJTTLf0<> 「ま、まあ、民のために動くのも太守の務めだし……な」
「流石白蓮ちゃん!だいすき!」

盛り上がる二人に冷水を浴びせかける如く韓浩は淡々と言葉を紡ぐ。

「ここ襄平から出ていくのはいい。貴君らの奮闘に期待する。これは餞別。
 なに、路頭に困ったらまた帰ってくればいい。貴君らくらいの食い扶持ならばなんとでもなる」

どこからともなく差し出した金子。それは確かに多額である。三人が動く軍資金とすれば、だが。

「それでね、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんはすっごく強いんだけどね、それだけじゃ駄目と思うの。
 やっぱり二人は将としてこそ輝くと思うんだ」

だからね、と劉備は訴えるのだ。

「一度、一度でいいの。白蓮ちゃん。兵士のみんなに私の言葉を、思いを伝えたいな、って。
 きっと分かってくれる人もいると思うんだ」

それは、とっても素敵なことじゃない?と満面の笑みを浮かべる。

「――」

公孫賛が発そうとする言葉を重ねて遮り、韓浩はあくまで淡々と述べる。

「却下する。太守の務めを疎かにせよとは笑止千万。
 そもそも身の程を弁えるべき。
 食客ごときが兵権を口にするなど、僭越の極み。
 いつも通り、そこかしこで油を売るのがお似合い。
 いつでも仕入元は紹介する。
 ……油の品質についても保証するが如何に」

関羽は激昂し、公孫賛は流石に口を挟む。

「韓浩、言い過ぎだ!」
「では要点のみ。
 戸籍のある正丁の勧誘は認めない。
 定職に就いている者の勧誘も認めない。
 領内での食糧他物資の徴発、募集も認めない。略奪とみなし、討伐の対象とする。
 ……ただし、当面の食糧のみ貸与する。如何?」

 ここで初めて韓浩と公孫?の視線が合う。交わる。

「……まあ、妥当じゃないか?」

向けられた視線を逸らさずに公孫賛は頷く。
領内が荒れるとなれば話は別だが、そうでない限りは余剰のある食糧くらいならば、と思う。

「うん、ありがとね、白蓮ちゃん」

満面の笑みで公孫賛に抱きつく劉備を微笑ましく思いながらも関羽の心は苦い。
これではつまり流民くらいしか動員できない。
多少なりとも兵卒を引き入れたかった、と。
主と、自分ならば千とはいかずとも、近い数字を動員できたはずだ。
それだけにあの、韓浩というちんちくりんの小賢しさが際立つ。

それでも、数は力だ。精々彼奴らが思う通りに踊ってなるものか。

関羽は決意も新たに主の下に向かう。

なに、獅子が率いる羊百頭は羊が率いる獅子百頭に勝つのだ。
自分が獅子であればいいのである、と。

関羽と韓浩。冷ややかな視線は交わることはなかった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/12(月) 22:24:32.92 ID:HGkJTTLf0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名ぼしう

大徳動くとかそんな感じ?

どんどこいきますぜー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/12(月) 23:30:45.82 ID:P3uLyAaho<> おつしたー
うーんこの白々しい寄生虫ムーヴ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/12(月) 23:57:22.90 ID:Z5MocI3+o<> おつー
わかいころは劉備すきだったがをきらいになりそうやっぱり劉備ってそんなやつだったのかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/13(火) 00:57:03.86 ID:JriGZ2Mno<> 寄生先悉くを破滅させながら膨れ上がった成金やぞ <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/13(火) 17:12:39.87 ID:wg7x6UOR0<> 乙でしたー
>>220
>>「ねねねね閨って、あう、ひ。ななな。何をおしゃってるのですか」   テンパってるし間違いじゃないかも
○「ねねねね閨って、あう、ひ。ななな、何をおっしゃってるのですか」  一応【何を】を言おうとしてつっかえてるからその前部分は【、】かな?
>>その類稀なる記憶力からすれば文章を全て諳んじていてても不思議ではない。 【諳んじる】とかなかなか使わないから自信が…
○その類稀なる記憶力からすれば文章を全て諳んじられても不思議ではない。  とりあえず諳んじることができる、ならこうかな?
>>何かお祝いの品を送ろうかと思ったが、 遠いし間違いでは無いかもですが
○何かお祝いの品を贈ろうかと思ったが、 意味合いとしてはこの方がいいかな?
>>221
>>華雄は取りあえず問うてみる。 一応これも
○華雄は取り敢えず問うてみる。 もしくは全部ひらがなで【とりあえず】のどちらかにした方がいいと思います
>>222
>>が、今はそれはむしろどうでもいい些事である。   多分意味が重複?逆に言えばどうでもよくない些事ってあるのか?と考えると
○が、今はそれはむしろどうでもいい、些事である。  もしくは【どうでもいい事である。】とか?
>>武の化身とその身を昇華させた華雄が付き従う。 なんとなく違和感が…
○武の化身にその身を昇華させた華雄が付き従う。 もしくは【武の化身へと】でどうでしょう
>>223
>>当代きっての智謀の士たる彼女らの忠誠を受けるのは。  間違いでは無いですがココは幼女二人の視点なので
○当代きっての智謀の士たる彼女らが忠誠を捧げるのは。  の方がいいかな?と思います

>>公孫?論外だ。袁家の狗に何を望むというのか? ・・・たしかに真実その通りだけど一応対外的にはまだ協力者って言うか同盟者ってだけなんだが
>>公孫賛も全力で援助したと言う。 ・・・客観的に見れば袁家の狗の更に犬なんだよなあ、まあ原作で劉備が公孫賛にした所業を考えると飼い犬に手をかまれたってレベルじゃないけど…それはそれとしてよく韓浩が【全力の援助】を許したな、まあ公孫家って立地として壁だから内側へ割く兵力なんてないから漢潮からの命令を何とかしようとした結果かもしれんけど
>>孫家?更に論外だ。狗以下の獣にどうして徳あろうか。 ひでえwwwだが残当wwwだけどどうやってそれを知ったんですかねえ?
こいつら入手した情報から正解を導き出す能力は高いけどそもそも情報を入手する力はそんなでも無さそうなんだけど。それとも平民の間でも噂になるほどに公然と袁家ぶっころとか言ってるんだろうか?孫家首脳陣・・・一応三女が袁家のスペアと仲良いしパット見た目にはそこまで論外じゃないんだが(なおその場合袁家の狗判定w)
ところでこの頃大過なく領地を豊かにしているだろう劉表さんは・・・後々劉備が欲しがる程度には肥えさせてた名君だと思うんだが <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/13(火) 17:58:51.45 ID:wg7x6UOR0<> さて続きを・・・読むだけで精神力が削られてる気がするけど書いた一ノ瀬さんの事を思えばこの程度
>>236
>>はあ、とため息を一つ漏らす。そのため息の主は襄平の太守たる公孫賛その人である。  【そのため息】がちょっと読みにくいかな
○はあ、と溜め息を一つ漏らす。その溜め息の主は襄平の太守たる公孫賛その人である。  の方がいいと思います
>>ほくそ笑む彼女はきっと魅力的であり、どこぞの凡人も見惚れること受け合いではあったろう。  【ほくそ笑む】って物事が思い通りに行った時の笑みらしいのでちょっと違うかな?
○微笑む彼女はきっと魅力的であり、どこぞの凡人も見惚れること受け合いではあったろう。    それになんとなく《しめしめ》みたいな印象もありますし
>>238
>>「それでね、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんはすっごく強いんだけどね、それだけじゃ駄目と思うの。  もうこいつの場合喋り方とかわざと間違いそうだな
○「それでね、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんはすっごく強いんだけどね、それだけじゃ駄目だと思うの。 いやワザとというか天然でと言うか…相手の思考力を奪う喋り方しそう
>>精々彼奴らが思う通りに踊ってなるものか。    【精々】だと踊ってやろう。とかに繋がりそう
○そうそう彼奴らが思う通りに踊ってなるものか。  とかどうでしょう?もしくは【精々思い通りに踊っていると嘲っていろ。 】…韓浩への敵愾心バリバリならこんな感じで穿った見方しそう

ああ、コレを《公孫賛からの全力の援助》と嘯いてただの無頼じゃないってことにしたのか・・・誰がそんなイラン事入れ知恵しやがった!?クルクルハッピーと脳みそ幼女と脳みそ筋肉のはず…まあ普通に考えて知力は高い劉備が思いついたんだろうな
公孫賛が最後が?になってるのが地の文が関羽だから名前うろ覚えなのかなと納得しかけてしまった
この同じ言葉を話してるはずなのに会話が通じない感じ…まさに大徳!!冗談はともかく何故関羽は韓浩へ辛口になるのはともかく公孫賛まで見下した感じなんだろう>>決まっている。乱を平定するのだ。そのために兵を募るのだ。  この《なんでそんな事も分からないんだ?》感が滲み出た感じよ
そう言えばこの時の劉備って実際どうしようと思ってたんだろうね?反乱軍にも理由があると思うって言ってるけど、だからまずは力でねじ伏せて、そのあと相手の言い分を聞いて、彼らのやりたいことを私が代わりにやってあげれば元に戻るよね?みたいな感じ?
彼らにも言い分はあるだろうけどそれはそれとしてブッ飛ばしてブッ飛ばして戦う気力をなくすまでぶっ飛ばせば治まるよね?って感じ?
まあそこまで滅茶苦茶な極論ではないだろうけど、どういう落としどころを、と言うか決着の仕方を目指してたんだろう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 21:19:31.92 ID:G6rVZBQq0<> >>240
どもです。

>うーんこの白々しい寄生虫ムーヴ
白々しいんじゃない!本心からの言葉なんだ!

>>241
どもです。

>わかいころは劉備すきだったがをきらいになりそうやっぱり劉備ってそんなやつだったのかな
吉川英治、横山三国志ベースだと混乱することはあるかもしれません
年取ると一周回って味わい深いキャラです。こいついないと三国志始まらないし(適当)
秘本三国志(陳舜臣)、蒼天航路あたりを読むと中々に魅力的な劉備さんがいらっしゃいます

>>242
秘本三国志はマジでオススメですねえ

>>243
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>こいつら入手した情報から正解を導き出す能力は高いけどそもそも情報を入手する力はそんなでも無さそうなんだけど。
い、一を聞いて十が分かった感じになる。実際怖いw

>この同じ言葉を話してるはずなのに会話が通じない感じ…まさに大徳!!
そこです!そこがCPBの持ち味なんや(偏見)
実際原作やってても理解不能でしたが、キャラとしてそのまま再現はデキる!

>そう言えばこの時の劉備って実際どうしようと思ってたんだろうね?
え?それ聞いてしまいます?
そらもう「私に腹案がある」パターンでしょう!
実際、動いてみないと分からない事態ではありますし、ありっちゃありですが、
彼女の立場とか考えると、そこまで考えてはいないと思います。
何かしなくっちゃという純粋な使命感と善意ではなかろうかと。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:11:57.26 ID:G6rVZBQq0<> 兵を発するべし。黄巾誅すべし。
洛陽から出されたその命は中華を駆け巡ることとなった。

発せられた勅に諸侯は動く。動き出すだろう。

「随分思い切った手を打つね?
 まさか、越境さえも許可するとは。
 治める州の治安のみならず、黄巾根絶まで諸侯を動かすのかい?」

苦笑交じりに声をかけるのは皇甫嵩。禁軍、諸侯軍を指揮する――と何進に任じられた――総司令官である。
高潔な人格者としても有名であり、能力についても疑う者はいない。
故に、何進の出した布告についても意図を読み込んでくる。

「そりゃ、兵を蓄えている諸侯の実力を測るにはいいと思うよ?
 でも、彼らを調子に乗せるのもどうかと思うけどね」

何進は一顧だにせずに、素っ気なく。

「フン、大事の前の小事だ」

吐き捨てるがごとく。

「軍閥ができても知らないよ?」
「今更、だな」

袁家、馬家は匈奴を防ぐ上でどうせ必要。
後は劉表、劉焉の皇族。そして新興たる曹操、孫策、公孫賛。
それら全て、統べて。

「抑えきって見せるとも、さ……」

徹頭徹尾孤立無援。
潜在的な政敵の増加などに怯む何進ではない。

「貴様こそ、きっちり平定するんだな」
「はは、笑えるね、その冗談」

皇甫嵩は笑う。
何進は大げさなのだ。流民が起こした乱など禁軍のみでも充当であるというのに。
いくら広範囲で乱が起こっているとはいえ。
……いや、逆だな、と推察する。この自分が武勲を立てすぎるのを嫌っての諸侯の動員なのであろう、と。
なるほどなるほど。思ったよりも随分小賢しい。肉屋の倅ごときと侮らせてはくれないようだ。相変わらず。

「ま、見ているがいいよ。乱の一つや二つ、平らげて見せよう」

身をひるがえし、室を辞する。
すれ違う武人に苦笑する。
全く、あのがちがちに漢王朝への忠誠篤い馬騰と何進が親友どころか義兄弟であるなど、何の冗談だ、と。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:12:24.16 ID:G6rVZBQq0<> ◆◆◆

覇気も露わに馬騰は洛陽を辞することを何進に伝える。

「涼州に、か?」
「うむ、兵を発する」

簡潔な会話に多くのものを込めて馬騰は笑う。

「なに、ここ洛陽にいるよりも、だ。戦働きの方が私には向いている。
 武勲引っ提げて再び馳せ参じようとも」

ほとばしる気炎、気迫を背負った笑み。爛々と光る眼光に何進も苦笑せざるをえない。
嗚呼、この、実直たる盟友は兵を率いてこそ輝くのであろうと。

「存分に暴れるがいいさ。……頼りにしてるぜ?」
「うむ、任せておけよ」

呵呵大笑。漲る気迫は英傑そのものを体現している。

「なに、黄巾賊と言ったか。
 それ全て涼州兵が食ってしまっても構わんのだろう?」
「クハ、頼りにしてるさ。頼りにしてるとも」

再度呵呵大笑。
何進は思う。この男との縁こそ、異なもの味なものだ、と。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:13:17.27 ID:G6rVZBQq0<> ◆◆◆

「父上が帰ってくるのか!」

馬超は喜色を隠しもせずに賈駆に確認する。

「ええ、そうよ。黄巾討伐は馬騰殿指揮下に於いてなされるわね」
「うん、うん!それでこそだ!馬家の武威、響き渡るさ!」

賈駆は内心苦笑する。
馬家を率いる自覚ができたかと思えばこれだ。
結局彼女は父の影から逃れることはできないのではないか、なんて思ってしまう。

「馬騰殿が帰ってきたらボクも月のとこに帰るからね」
「ん?そか。董家も兵を発するのか」
「ええ。世が乱れるのを月は座視しないわよ」

残念だな、と馬超は思う。賈駆の能力であればどれほどに涼州の騎兵を操ったであろうかと。
彼女の知略あればどれほどに馬家軍は羽ばたいたであろうかと。

「ま、戦場でまみえることもあるでしょう。その時は、よろしくね?」
「ああ、こちらこそ、よろしく」

賈駆とて不本意である。
馬家は馬騰、馬超、馬岱と総動員して乱に当たるであろう。

なれば、涼州を守護するのは韓遂となろう。
手を尽くして弱体化させたというのに、という悔悟。
無力化までは考えていなかったが、流石にこの事態は想定外。

「でも、涼州よ。いずれボクは帰ってくるわよ?
 韓遂、精々一時の安寧を味わいなさい……」

獰猛な笑みを浮かべて賈駆は誓うのであった。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:13:44.47 ID:G6rVZBQq0<> 兵を発せよ。
その命は中華を駆け巡る。太守、州牧といった諸侯に行き渡る。
ある者は自らの富貴を擦り減らすであろうその命に舌打ちし、領内安堵に努める。
ある者はその使命感により発奮する。
そして、何進が警戒する諸侯の一人である陳留の太守。曹操は笑いが止まらない。

「春蘭、兵を整えなさいな。大至急にね。秋蘭、留守は任せたわ」

迸(ほとばし)る覇気。主君の漲(みなぎ)る気迫に夏候惇は喜びを露わに、夏侯淵は静かに。その命に従う。
場に残る荀ケは主君に問う。

「よろしいのですか?戦力が磨り減る可能性もありますが」
「構わないわ。こんな千載一遇の機会なんてないもの」

そもそも、漢朝全土に広がる黄巾の乱。本来であれば官軍のみで当たるべきである。
だのに、諸侯に兵を発させるのはなぜか。

……売官の廃止である。

賄賂等で腐りきっている漢朝――何進が政権を担ってからは改善されている――であるが、売官で得られた金銭に関しては国庫に納められるものであった。
それが廃止され、しわ寄せは軍備に、常備軍に向かったのだ。幸か不幸かその当時は天災も少なく税収も安定。故に常備軍を削って帳尻を合わせていたのである。
無論、軍権を握る何進への宦官勢力による妨害工作という点も大きい。

ともかく、禁軍という禁裏を警護する最精鋭を繰り出すことからも漢朝の直接握る軍事力の減退は見て取れる。
……この段階でその決断をする何進に対する評価。それを二段階ほど上げたのではあるが。
ともかく、誰はばかることなく手元の兵を動かせるというのは大きい。
現状、曹操に足りないのは一にも二にも声望。これに尽きる。
それを得る絶好の機会である。陳留以外にも武威を示す機会である。
なにせ、これまで禁じられていた、領外への派兵も認められているのだ。更に兵糧は官から支給される。
洛陽に、禁裏に歩を進める前に絶好の機会が訪れたのだ。笑いが止まらないというものである。
既に禁裏の宦官。その中で十常侍に与しない者の帰順は始まっている。この乱を平定し、声望を手にすれば思ったより早くに宦官勢力の掌握は容易であろう。
陳留を中心とした地盤。精強なる武力。圧倒的な声望。宦官勢力を束ねるだけでは得られないこれらを手にした自分ならば、戦後に大将軍たる何進と伍することもできるであろう。
そして最終的に勝利を手にするのは自分だ。

「桂花、曹家の命運は、荒廃は、隆盛はここにその突端があるわ。頼りにしてるわよ」
「はい!華琳さま!」

艶然と笑い、曹操は昂ぶる。何進が、十常侍が、袁紹がこの乱の後には政敵となるのであろう。
だが、自分ならばそれらを全てに跪かせることも可能であると確信して。

天運、我にあり。
我が天を裏切ろうとも、天が我を裏切るは許さず。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:14:11.30 ID:G6rVZBQq0<> 兵を発せよ。
その命は中華を駆け巡る。ここ襄平にもそれは到達している。
太守たる公孫賛に否やはない。むしろ領外に逃亡した賊に痛撃を食らわすことができるとあり、意気軒昂である。

「白馬義従は伊達じゃない!」

これまでは領外に逃散する賊になすすべもなかったのだ。
だが、これからはそうはいかない。

「見せてやろうじゃないか、公孫の武威というやつを」

実際、彼女が手塩にかけて育てた兵は中華でも屈指の精鋭である。
それを知る韓浩は茶化すことなく、心より武勲を祈念する。

「留守は任せてほしい。万一、賊に蹴散らされても援護くらいはする」

淡々とした言葉に公孫賛は苦笑する。が、留守を預かるのが韓浩ならば心配はない。
韓浩に背中を預けるのであれば、白馬義従はその実力を遺憾なく発揮するだろう。
巧遅よりは拙速。それは用兵の真実。幾多の戦場を駆け、公孫賛はそれを思い知っている。

だから、兵を発する。賊を滅する。
憤りがある。怒りがある。

匈奴の脅威は記憶に新しいはずなのだ。だのに、何故官軍の手を煩わせるのか。
ここで匈奴が南下すればどうするのか。
一見穏やかな笑顔の裏。公孫賛の憤懣は推して知るべし。

「駆けろ!馳せろ!白馬よ!」

これより白馬義従の有名は轟くだろう。
頸木(くびき)より解き放れたならば、思う存分駆け巡るであろう。
侮るならば相対すればよいのである。

韓浩は思う。自分ならば、白馬義従との激突など勘弁願いたいものだ、と。
彼女の願いが、思いが果たされるかは明らかならず。
ただ、彼女は託された印綬を手に、思いを胸に。時代の荒波に立ち向かうことになる。

ささやかな決意は、そして時代をも動かす胡蝶の羽ばたき。その突端。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:16:01.19 ID:G6rVZBQq0<> ◆◆◆

兵を発せよ。その命が届くまでもなく動く者もいる。
賊の頭を潰し、兵力を吸収して現有戦力を肥大させる。

「いやー、笑いが止まらないわねえ」
「……それはいいがどうやって食わせるつもりなんだ、雪蓮」

こめかみを押さえながら周瑜は孫策に問う。
兵力があるのはいい。が、肥大化したそれを維持するには孫家では色々足りない。

「やだなあ、思春みたいに使える人材を選り抜いて、後は、ね?」
「ね?じゃない。戻りつつある民の対応だけでも手一杯なのだぞ、私達は。
 それを余計なものを抱え込んでからに、もう……」

言ってもしょうがないが、言わずにはいられない。周瑜は主君兼恋人である英傑に向き合う。

「えー、でも食い詰め者だから食だけ提供すればいいじゃない。
 それに、黄巾討伐を名目にすればいくらでも食糧は引き出せるしー」

何進から発せられた命。黄巾誅せよ。そのために諸侯の軍には各地の官庫から。更には義倉からも食糧が供給される。
願ってもないことである。行動の制限、兵站の限界などを考慮せずともよいのだ。

「だから、ね。例えば、どっかの都市が黄巾と通じていたら私たちが落としても問題ないと思うし」

にまり、と笑むその顔はこの上なく物騒で、官能的で。
周瑜は改めて諌める。

「だから、そうまでする必要がどこにある?十常侍と組み、袁胤と組み。
 それはいい。だが、わざわざ如南に攻め入る必要などないだろうが」
「やだなあ、冥琳、分かってるくせにー。
 これなくしては袁家の下風からは逃れられないわよ?
 孫家は袁家ごときに膝を屈し続けない。首輪は引きちぎり、檻は食い破りましょう。
 なに、袁術ちゃんを確保さえすれば、なんとでもなるわよ」

いっそにこやかに、晴れやかに。孫策は笑みを深める。

「確かに、袁術殿の身柄さえ押さえれば何とでもなる。
 十常侍との繋がりがあり、袁家内部でも影響力の大きい袁胤殿と組めば袁家も黙らざるを得ないだろうさ。
 結局紀霊とて袁胤を殺すことはできなかったのだからな」
「そうよ。だからね、ここは勝負所なのよね。孫家が天下に羽ばたくためには、今、なのよ」

周瑜は目線で問いかける。勘か、と。
満面の笑みで孫策是、と応える。

「全く、厄介なことばかり考えるよ、我が主君は」
「んー、ごめんね?償いは閨でたっぷりと、ね?」

ちろり、と官能的に舌を滑らす孫策に周瑜は素っ気なく答える。

「はいはい。我儘なご主君のせいで眠る暇もないぞ。
 虞翻殿に出す帳簿に整合性を付けるのって、かなり大変なんだぞ?」
「あー、物資とか兵力を誤魔化さないといけないもんね」
「分かったら邪魔をしないでくれよ?」

しっし、と虫でも追い払うように退出を促す仕草に、ぶーぶーと文句をまき散らしながらも孫策は大人しく室を後にする。
やれやれ。
周瑜は孫策の気配が感じられなくなったのを確認すると、大きく息を吸い、吐く。吸う、そして。

ごぷ。

濁った音と共に紅い液体が流れる。伝う。

「ぐ、ふ。が、はぁ……。んん」

呼気を整え、身体を蹂躙する獣をどうにか抑え込む。
水差しから薬湯を杯に注ぎ、飲み干す。

「まだだ、まだ。暴れるには早いだろうよ……」

全身を駆け巡る苦痛に恨み言ひとつ。そして手元の書類に目を通す。

「これは穏を呼び戻して正解だったかな……」

手元の震えが政務を滞らせる。気が昂ぶるほどに暴れる獣を飼いながら、周瑜はそれでも諦めない。
たとえ命尽きるとも、ともに過ごすこの時。それを大切にしたい。
自分は彼女と思い出に寄り添うことはできないだろう。
せめて、立ち上がり、肩を抱き、明日を唄おう。
命燃え尽きるとも、夢を追い、羽ばたくべし。虎に翼を与えるべし。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/13(火) 23:16:52.57 ID:G6rVZBQq0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名ぼしう

その勅は駆け巡る

を仮題としております


よろいsこ! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/13(火) 23:43:00.97 ID:JriGZ2Mno<> おつしたー
一ノ瀬殿がまだ誤字っておられるぞ!

地味様を待つ韓浩ちゃんがかわえぇんじゃ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/14(水) 08:57:58.18 ID:ulDrPaqnO<> 誤字は仕様ですw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/14(水) 17:09:36.47 ID:b8+3P2haO<> 果たして今回の劉備(というより関羽)は大丈夫だろうか…? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/14(水) 21:29:07.34 ID:xRBhBEJT0<> >>253
どもです

>地味様を待つ韓浩ちゃんがかわえぇんじゃ
マジかマジっすか。
韓浩ちゃんが可愛いとか、いい時代になったものだ……!
うれしい

>>254
そんなことないもん

>>255
いけるいけるへーきへーき <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/16(金) 17:35:18.72 ID:BqBZdwlG0<> 乙でしたー
>>246
>>故に、何進の出した布告についても意図を読み込んでくる。  真面目な人格者だから何度も読んでるって言うなら間違いでは無いけど
○故に、何進の出した布告についても意図を読み取ってくる。  もしくは【汲み取ってくる】とか?能力の凄さを表すならこっちかな?
>>「抑えきって見せるとも、さ……」  《抑えきった雄姿を、見せる》なら間違いでは無いですが
○「抑えきってみせるとも、さ……」  《抑えきってやろう》と言い替えられるならひらがなですね
>>流民が起こした乱など禁軍のみでも充当であるというのに。  【充当】ってそのものずばり人員を割り振ることでは…
○流民が起こした乱など禁軍のみでも十分であるというのに。  それとも【禁軍のみの充当で事足りる】とか?受ける印象では【十二分である】とかも良いかも
>>249
>>更に兵糧は官から支給される。  【官】だと曹操たちもその中に入ってるのでこの場合は
○更に兵糧は漢から支給される。  多分国(漢)が(ある程度は)受け持ってくれるって意味だと思うんですがどうでしょう?
>>「桂花、曹家の命運は、荒廃は、隆盛はここにその突端があるわ。 荒れて廃れちゃらめええぇぇ
○「桂花、曹家の命運は、興廃は、隆盛はここにその突端があるわ。 伸るか反るかと言うか、そういう意味だよね
>>だが、自分ならばそれらを全てに跪かせることも可能であると確信して。  ちょっと違和感が
○だが、自分ならばそれら全てを跪かせることも可能であると確信して。   の方がいいと思います
>>250
>>匈奴の脅威は記憶に新しいはずなのだ。だのに、何故官軍の手を煩わせるのか。 間違いじゃ無いと言えばないかな
○匈奴の脅威は記憶に新しいはずなのだ。なのに、何故官軍の手を煩わせるのか。 もしくは【だと言うのに】とか?
>>これより白馬義従の有名は轟くだろう。 轟かない有名って有名なんですかね
○これより白馬義従の勇名は轟くだろう。 もしくは【白馬義従はさらに有名になるだろう】とか?
>>頸木(くびき)より解き放れたならば、  【ときはなれた】って違和感が
○頸木(くびき)より解き放たれたならば、 【ときはなたれた】だと思います
>>ささやかな決意は、そして時代をも動かす胡蝶の羽ばたき。 接続詞がなんか違う気が
○ささやかな決意は、やがて時代をも動かす胡蝶の羽ばたき。 もしくは【ささやかな決意は、そしてその動向は時代をも〜】でどうでしょう?
>>251
>>満面の笑みで孫策是、と応える。  まあ中国語っぽくは感じるけど
○満面の笑みで孫策が是、と応える。 【が】とか【は】とか入れた方がいいと思います

>>袁家内部でも影響力の大きい袁胤殿と組めば袁家も黙らざるを得ないだろうさ。・・・>>孫家は袁家ごときに膝を屈し続けない。首輪は引きちぎり、檻は食い破りましょう。
Q.袁胤が狂犬な孫家と組む確率を答えなさい。A.勘ピューターの計算によると100%です。…あと犬ではありません、虎です・・・配点.あなたに孫家の誇りがあるように相手側にも袁家の誇りと言うものがあります。
例え無駄で無価値に見えようとも当人にとっては命より大切な場合もあることを知りましょう
上から恐怖で押さえつけられれば組むだろうけどさあ…そんな事したら袁胤にとって下衆な孫家と組んで袁家の格を落としてまで袁家のトップ(笑)になりたいかって言うと
少なくともこれだけ恩売ってた袁家にイチャモン付けて牙剥いてきたら袁家からしたらどんなに孫家を持ち上げても特に理由なく噛みつかれそうだから手を組む選択肢ないんだよなあ
絶対服従宣言しても人質出してもなんとなく(勘で)殺されそうだわ袁胤視点

>>賈駆に確認する。  流石一ノ瀬さん。ギャグが上手いなあ、これのおかげで大分冷静になったわ
こうして見るとそれぞれ黄巾に対して《単純に脅威》として見てるのと《脅威と理解しつつ好機》に出来ると踏んでるのと《国の思惑とか知らんがとりあえず好機だ》と考えてるのとって感じか
外敵を知ってる謂わば壁の地域の人からすれば内乱とかノーサンキューで、匈奴と戦うことがほとんどない地域からすれば分かりやすい武勲のチャンス、
ついでにむかつく奴を合法的(合法的とは言っていない)に後ろから撃つチャンス、と(なおメンツを傷つけられた相手が大人しくする理由(袁術?こいつらがちゃんと人として扱ってると袁家が信じてくれればいいですね)とそもそも袁家が孫家と潰しあってくれた方が十常侍からすれば美味しい可能性
曹操は…と言おうと思ったけどその前にネコミミが結構いい視点してるな。普通に考えればたかが農民たちの反乱と皇甫嵩も判断する程度に大したことないことに過剰戦力で当たってるように見えるのに、それに対してすり減る可能性を感じ取るとは
或いはこいつらなら自分たちが何故か違和感を持たなかった《天の御使いの噂》と今回の件を結び付けてもおかしくないんだよなあ…自分たちにとって飛躍の好機なら当然他の奴にとってもそうなわけで、色々と掴みそう
馬と公孫はまさに軍人気質と言うか、うん、こういう人が仲間にいるといろいろ捗るよね、その人がいる方向はその人に任せられるって凄い有難い <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/16(金) 22:14:10.55 ID:LyDukmai0<> >>257
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は特に熱い塊を頂きましてありがとうございますー!

>Q.袁胤が狂犬な孫家と組む確率を答えなさい。A.勘ピューターの計算によると100%です。
ここ重要なとこなんですよね

>少なくともこれだけ恩売ってた袁家にイチャモン付けて牙剥いてきたら袁家からしたらどんなに孫家を持ち上げても特に理由なく噛みつかれそうだから手を組む選択肢ないんだよなあ
そこに気づくとは……やはり天才か
なので孫家解体で武将を使いつぶすという史実はとても正しいってことですよ!

>流石一ノ瀬さん。ギャグが上手いなあ、これのおかげで大分冷静になったわ
えっ

>こうして見るとそれぞれ黄巾に対して《単純に脅威》として見てるのと《脅威と理解しつつ好機》に出来ると踏んでるのと《国の思惑とか知らんがとりあえず好機だ》と考えてるのとって感じか
パーフェクトですぞ

>十常侍からすれば美味しい可能性
ここ重要なんですよね。

>馬と公孫はまさに軍人気質と言うか、うん、こういう人が仲間にいるといろいろ捗るよね、その人がいる方向はその人に任せられるって凄い有難い
頼れる専門家です。頼れます。

今回は結構ネタバレが含まれてる気がしてるけど赤ペン先生だからいいや <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/17(土) 10:35:43.54 ID:jWu0+CTD0<> >>ネタバレが含まれてる…おうふ!!失礼しました(45度
一応前作の事は思考から切り離して感想書いてるつもりなんですが、ふと気づかないうちに出てるのかも
ちなみに今回不思議に感じたのが、おそらく袁家からの報告で複数の村が文字通り全滅したことに皇甫嵩が危機感を持ってないこと…《広範囲で、一人の逃走も許さない、おそらくは農民の反乱》って…書いてて思ったけどそもそも誰がどうやって黄巾が農民の反乱って判断したんだろう?

確か史実だと意外と袁術と孫家の仲って悪くなかったような…袁術が王を名乗るまでは
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/17(土) 20:38:03.20 ID:J9YqRK8x0<> >>259
あ、いやいや。
勢いで描いてこれネタバレ混じってるなあと思ったけどいいやと踏み込んだだけですのでw
お気になさらずw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/18(日) 22:08:38.24 ID:ySuoGZVI0<> どすどす、と響く足音。偉丈夫が歩みを進める。
巨漢、と言って差し支えないであろうその身は分厚い筋肉に包まれており、発する気迫も只ならぬものである。
白を基調とした紀家軍の、どちらかと言えば洗練された軍服に身を包みながらもその姿は荒々しくあり、見るものに頼もしく映る。

雷薄。紀家軍の重鎮である。
一兵卒の身でかの匈奴戦役を生き延び、幾多の手柄首を上げた豪傑である。軍服の端から晒された地肌には無数の傷跡が走り、激戦と、その戦歴を思わせる。
兵卒から叩き上げで地歩を築いた彼は袁家の中でも屈指の歴戦の勇士であり、その堂々たる体躯と相まって内外から畏敬の目を向けらている。
その用兵は堅実そのもの。派手さはないが、奇をてらわずに兵の損失を最低限に抑えるもの。
遊軍たる紀家軍の中で、乾坤一擲が信条の紀家軍の中でかけがえのない将帥である。
現紀家当主たる紀霊からも絶大な信頼を得ており、紀家軍のナンバー2として堅実に職責を果たしている。現当主が不在のおりは彼が紀家軍を統率するのだ。
趙雲、典韋と勇将豪傑が揃いつつあるも、兵卒からの信頼は一朝一夕では得られるものではない。

人、それを「武威」と言う。

その雷薄は横に付き従う青年に声をかける。
張?。袁家幹部の張家。その重鎮である。身のこなしには一分の隙もなく、積み重ねた鍛錬を窺わせる。

「張?よ、如南の兵権は俺が預かるつもりだが、どう思うよ」

問われた張?は、いささかも表情を変えずに応える。

「異論はありません。実際この身は若輩です。一兵たりと率いたことなく、数々の死線を潜ってこられた雷薄殿が軍権を握るは妥当な判断かと」
「そうか、すまんな。序列で言えば貴殿が上なのだ。それに、俺は所詮匹夫に過ぎんからな」
「何をおっしゃりますか。雷薄殿が軍権を掌握するとなれば皆納得するでしょう。私は裏方として支えましょうとも」
「そいつは助かる。書類仕事はどうにも性に合わんでな!」

がは、は、と豪快に笑う雷薄に張?は僅かに頬を緩める。
なるほど、兵卒からの支持が篤いのも納得である。この快男児のためならば命をも惜しまぬという声が多いのも頷けるというもの。
この、傷だらけの強面が笑った時の愛嬌ときたらどうだ。けして揺るがぬこの身すら引きこまれそうだ。
張?はその不可解な感情を持て余したように言の葉を紡ぐ。

「その、雷薄どの。ここ如南にはご令嬢もいらっしゃるのでしょう。雑務はお任せあれ。
 存分に久闊を除されてはどうですかな」

雷薄の急所である娘のことに言及し、精神的再建を図ろうとする。
重ねて、その息女が監視下にあることを臭わせて……。
その目論見は見事なまでに吹き飛ばされる。

「無用な気遣いだぞ、張?よ。俺はな。公私混同はせぬよ。せぬとも。
 まあ、この乱が収まったならば孫の顔くらいは見に行きたいがな!」

がはは、と重低音の笑い声を響かせる。

「心得ました。では、如南の掃除も我らの職責。存分にこの身をお使いください」
「ん?そうか、まあいいようにやってくれ。責任は俺がとるさ。
 袁術様がいらっしゃるまでにできることはするとも。
 頼りにしてるぜ!」

ばしばし、と張?の背を叩く。力の籠ったそれは熱く、背に響く。
不思議と、それは苦痛ではなかった。

緩む口元を自覚せず張?は部下に指示を飛ばし、如南の安定に奔走する。
張家にはなかった陽性の、雷薄という豪放磊落な人格と巡り合ったことは彼の今後に小さからぬ影響を与えることとなる。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/18(日) 22:09:39.85 ID:ySuoGZVI0<> ◆◆◆

払暁。明ける夜、昇る日輪。山の端にその片鱗が顔を出し、雄鶏が一斉にその存在を主張する。
繰り返される日常。毎日。
這い寄る戦乱など意に介せずにいつもの毎日が始まる。
俺が守りたかったのはつまりこういうことで。
ぐび、と手にした杯から酒精をわが身に取り入れる。火酒、と呼称されるそれは熱く喉を、肺腑を焼く。焼いていく。
内から起こる業火でも世界は揺るがず、起こるのは取りこぼしたものが苛む声。

「ほう、いい身分ですな。それがしもご相伴に預かりたいと存ずるが、如何?」

玲瓏たる声は星。その真名にふさわしく、夜闇においても自ら輝き、迷(まよ)い子を導く英傑である。
俺の応えを聞くまでもなく、手にした器に酒精を注いでいく。
ぐび、と呑み干し再び注いでいく。
……って。

「こら、その調子で呑んだらあっという間に無くなるでしょ!」
「なに、酒は飲まれるためにあるのだ。問題なかろう」
「一見いいこと言った風だけど自分が呑み尽くすってことだよね?ちょっとは遠慮しやがれこのこのー!」
「はは、主(あるじ)よ。いまこそ、その度量を見せるべきと思うが如何に」

いや、朝っぱらから何を言っているんだお前は。

「それに朝っぱらから酒に逃避しているのは主だろう」

むむむ、ぐうの音も出ないぞ。

「なれば一の家臣としてはご相伴に預かるべきかと思うのだ」
「いや、その理屈はおかしいだろう」

そうか?と小首を傾げながらも俺の手から酒壺を奪い、手元の酒器に注ぎ、呑み、注ぎ、呑み、っておい!

「けち臭いことを言わぬがよかろう?
 少なくとも吝嗇という評判は主にはないだろう」

そうかい、そりゃよかったよ。

「ふむ、本格的に拗ねているようだな。いや、実に不景気な面だ」
「うるへー、地顔だ」

星はくすくすと、この上なく可笑しそうに笑う。

「で、何を拗ねているのだ?」

ずい、と、近い、顔が近いよ!
ずり、と後ずさりながら態勢を整える。

「ん、黄巾の乱。起きたじゃん」
「そうですな」

くぴ、と杯を干した星に酒を注いでやる。

「ああいう、漢朝全土にまたがる乱を起こしたくなかったのよ。ほいで、俺なりに頑張ってきたのさ。
 でもさ、結局起こってしまってさ、ちょっとへこんでんのさ」

にまり、と笑みを浮かべて星はぴとり、と俺に寄り添う。
柔らかく、温かい感触に何だか気おくれしてしまう。

「ふむ、主の腕はどうやら漢朝を覆うほどに長いらしい。
 流石に大した気概ですな?
 おや、それにしてはどうにも辛気臭い顔をしてらっしゃる。
 これはいかん。いけませんとも」

ちゅ、と唇に柔らかい感触が。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/18(日) 22:10:06.61 ID:ySuoGZVI0<> 「んなっ!?」

あたふたとする俺をおかしげに。
 
「ご安心めされよ、唇を許したのは主が最初であるからに」
「お、おう……」

ふぁさ、と鮮やかに身を翻して星は言う。微笑む。

「この身を中華の最高峰に押し上げていただけるのでしょう?
 この身は龍。瑞雲がなければ高みに昇れませんぞ?」

高らかに笑い、場を後にする。
そっか、そうだな。どうせ俺ができることなんて知れてるんだ。
小さなことからこつこつと。そいつが俺の生き方やり方!
黄巾、十常侍どんとこい!まとめてぶっとばしてやるとも!
ああ、起こったことは仕方ないさ、仕方ないとも。だが、その報いは受けさせてやるぞ、受けさせてやるとも。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/18(日) 22:10:49.75 ID:ySuoGZVI0<> 日輪は地平線に沈み、夜天の主は三日月。下弦の月は星たちに傅(かしず)かれて存在を優美に主張する。
月明かりに照らされた庭園を歩く。いや、ここ執務室から自室へのショートカットなのよね。
うう、お腹すいた。
さっきまで風と星と俺の三人で色々計画練ってたのよね。ちなみに風と星はもうちょっと頑張るそうです。ご苦労様。後で流琉にでも差し入れ頼んどこうかな。
そんなことを考えながら歩を進める俺に声がかけられる。

「あ、アニキー、アニキー、こっち、こっちー!」

庭園内の東屋で手をぶんぶんと振るのは猪々子。文家の当主様である。横には麗羽様……と膝の上の美羽様。あ、流琉が後ろに控えてるわ。

「うっす。どしたんすか、おそろいで」
「いえ、珍しくわたくしと猪々子さんと美羽さんが揃いましたから、食後のお茶を頂いているところでしたの」

なるほど。俺は腹ペコなわけですが。

「あらあら。
珍しく二郎さんは遅くまでお仕事されてたみたいですわね。何か、摘ままれます?」

ああ、ここでお相手するのは既定路線ということですねわかります。

「ありがたく。どうせなら酒も欲しいとこですね、いや、久々頭使っちゃいましたし」
「むふふ、そういうこともあろうかと、ちゃんとあるぜー」

そうかい、そりゃよかったよ。ちなみに静かだなと思ったら美羽様は軽やかに寝息を立ててらっしゃる。
こちょこちょと喉をくすぐる麗羽様の白魚のような指にいちいちぴくぴくと反応してるのが、なんともお可愛らしい。

「じゃ、ご相伴に預かりましょうかね」

むしゃりと茶菓子を頬張るとどこからともなく流琉が食いでのありそうな揚げ物やらを並べてくれる。
むむむ、できる。
猪々子がどば、と勢いよく注いでくれた――無論、結構溢れた――酒を飲み干しながら雑談に興じる。
がつがつ、といささか下品に料理を平らげていく俺をくすりと見やりながら麗羽様が問うてくる。

「二郎さんは如南に発たれるんですのよね?」
「ふぁい、ん。はい。斗詩がもうすぐ洛陽から戻ってきます。それからですね。
 現在ですが。紀、文、顔で領内の賊を排除してます。斗詩が戻るころには主だったのは片付くだろうというのがうちの軍師の見込みです」

ぐび、と干した杯に今度は麗羽様がお酌してくださる。や、申し訳ないね。ありがとうございます。

「斗詩が戻ったら文と顔で領内安堵に努めます。斗詩が総指揮を摂り、猪々子は最前線で領内の慰撫をしてもらいます」
「まっかせてー!」

頼りにしてるよ?
今は軍を五百程度の集団に分割して領内に湧いた害虫を駆除している。優秀な中級指揮官の豊富な袁家だからできる方策だ。
柔軟に、自由に賊を討伐させているのが功を奏している。
もうすぐしたら残存兵力が集合するであろうというのが稟ちゃんと風の見解だ。
大きくなった集団を猪々子がぶち砕く。そして斗詩はその援護とか事後処理とか色々めんどくさそうなことを統括する。
うん、ごめんね、斗詩。でもしゃあないんや。
猪々子にそういうの任せられないし、麗羽様他は日常業務してもらわんといかんし、ね。

「でも如南の方を安んじたら北上するんだろ?
 ま、それまでに諸悪の根源を断っておいてやりたいとこだけどなー」

それなのよね。
張家の諜報力をもってしても今一つ掴めない、黄巾の乱が。その本拠地が。
この場に七乃がいないのもそのせいだ。
何でも腕利きの密偵、間諜ですら音沙汰が無くなってしまうらしい。
俺も、も少ししたら手持ちの密偵を動員しようと思うが、それでどうにかなるとも思えんしね。

「まあ、漢朝全土に何進から討伐令も出てるしな。時間は味方してくれるさ」

それで乱に巻き込まれる民には悪いけど、な。
如何せんどうしようもない。精々俺にできるのは黄巾賊が来たら逃散しろというくらいだ。
いや、無能、非才というのが謙遜じゃあないというのが情けない限り。
とは言え、今できることをするのみなのである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/18(日) 22:11:35.31 ID:ySuoGZVI0<> 「あら、いけませんわね、二郎さん。
 貴方は袁家の軍権を握っているのですよ?
 もっと余裕をもって優雅であってくれなくては」
「白鳥は優雅に水面を進みますが、水面下では一生懸命に足を動かしているのです。
 俺は袁家という白鳥の水面下であがくのがお役目。捨て置いてください……」

俺が優雅とか、ないよね。

「あら、嬉しいことを言って下さるわね。あんなにも働きたくないと言っていた二郎さんが、そんなにも一生懸命というのですもの。
 これは縁の下の力持ちをねぎらうのがわたくしの務めですわね。猪々子さん、よくって?」
「さっすが姫ー!分かってるー!はい、二次会はアニキの部屋でやります!各自料理と酒は持参すること!」

待て。

待て。

「あら、二郎さんの……。ふふ、面白そうですわね」
「いやいやいやいや、俺の部屋に麗羽様招いたら色々不味いでしょ!」

あれ、なんで麗羽様一気に不機嫌になるの?なってるの?

「知りませんわ。もう。
 いいですから猪々子さん、お分かりでしょう?」
「あらほらさっさー!」

どうして俺が羽交い絞めにされてるのでしょう。
本気で拘束してくる猪々子に敵うわけないじゃないですか、やだー。

「や、あの、麗羽様?」

いつになく目が据わってらっしゃる。そんな馬鹿な。
 
「ええ、この際ですし、二郎さんに言いたいことを有り体にぶつける場を設けることにしましょう。
 いいですね?みなさん?」

え、え?
なにこの流れ。

「ほう、興味深いですな。実に興味深いですな。是非ともに、乞うてでも参戦したく思いますぞ?」
「くふ、星ちゃんは相変わらず機を見るに敏、ですね。風も便乗するとします〜」

おい、待て。
お前らどっから湧いた。

「うむ。朴念仁、と一言で表するには勿体ないと思うのだ、我が主は。
 なれば、臣としてから見た主の姿を皆様方にご披露したいと思う。
 その上で、僭越ではあるが、違った立場から主の姿を蒙昧たるわが身にご教授願いたい」

くす、と。いい笑顔だね!こん畜生!

「くふ、同僚として文醜様、僭越ながら、主として袁紹様からお言葉が頂ければ、風たち配下も腕が鳴るというものです〜」

待てやコラ。
俺の抗議の声は高まる笑い声にかき消されるしかなく。
俺の部屋で繰り広げられる俺評に俺は針の筵で、ふて寝を決め込む。

だから、その噂なんて夜が明けてからしか耳にしなかった。

白い流星が落ちたことなんて知らなかった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/18(日) 22:12:29.93 ID:ySuoGZVI0<> 本日ここまですー

タイトルは夜明け前、かな?
いい案ありましたらください

明日あさっては多分日本海なので書き込みできませんが感想とか見れますのでくだしあー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/19(月) 00:28:16.66 ID:OUEgRfi10<> 乙です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/20(火) 00:28:40.29 ID:RBDym3E1o<> おつしたー
星ちゃんえっろーい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/21(水) 20:00:12.20 ID:O11VzMsJ0<> >>267
どもです

>>268
星ちゃんエロいし清楚だしあの格好で乙女とか属性てんこ盛りや!ルナティックや!
恋姫の格闘ゲームやってるんですが彼女は非常に雑伎団めいた動きが実にエロい
めっちゃ身体柔らかいと確信しました <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/21(水) 22:07:40.03 ID:O11VzMsJ0<> 「かんぱーい!」

重なる声、重ねられる杯に場はいよいよ盛り上がっていく。
諸葛亮は全身に漂う疲労感を心地よくも、心身を焼いていく酒精に脳髄を委ねる。
既に日は落ち、下弦の月が夜の支配権を高らかに主張している。
それでも、南皮にほど近いこの街でも喧噪は絶えない。
そも、日が落ちれば床に就き、日の出と共に起きるのが人として正しい在り方なのではある。
だが、明かりは落ちずに街を照らす。その背徳が人を高揚させるのであろうか。
謹厳実直なる関羽ですら酒杯を手に珍味を楽しんでいるのだ。
なんとも、背徳とは人を惹きつけるのであろうか。

「でもでも、朱里ちゃんと雛里ちゃんが来てくれてよかったよー」
「ひゃい?」

……それはこちらが言うべきことである。
人格高潔にして、勇将、猛将を配下にし、権勢におもねることのない英傑。
実際伏竜、鳳雛が仕えるに相応しいのだ。
……いや、有り体に言えば自分たちは魅了されたのだ。一目で分かった。分かってしまった。
自分たちはこの方に仕えるために生まれてきたのだ、と。
なれば我らの智謀を供するは必然、蓋然。

「うむ、人手はあってもそこからどうにもならなかったからな。
 二人のお蔭で我らが逃散せず済んだ。感謝する」

酔いもあるのであろう。深々と頭を下げる関羽に苦笑する。
何せ、詐術――詐欺に近いのだ、彼女らが弄した策――と言うにも及ばないものは。

「いえ、そこまで愛紗さんに褒められたものではありません。本当に、褒められたものではないのです」

劉備たちが集めた義兵は二千ほど。それを一ヶ月の間食わせるだけの食糧を公孫賛は与えてくれた。
が、崇高たる劉備の理想がそれしきで達せられるはずもないのである。
さらには、手にする武具すらなかったのが実際の話である。
諸葛亮は、悟る。悟った。これは罠だと、枷だと。これを乗り越えずして我らに未来はない、と。
ならば遠慮などしない。しないのだ。
流民が主体の義勇軍の総数を水増し……数倍にし、多数の糧食を公孫より得る。
その一部を対価として軍勢の最低限度の武具を整える。
……そこまでですら幾多の苦難があった。まさかに袁家のような利権に座する存在の監査がきちんとしているとは。
木端役人に賄賂が通じないとは。

たかが兵站の柔軟な運用に我らが忙殺されるなどとは思っておらず、主には待たせてしまったものだ。
だが、これである程度の行動の自由を勝ち取った。そしてその日の宴席であった。
日が落ちてからの酒食など本来贅(ぜい)の極みである。が、それが当然たるこの地では労をねぎらうにはそうするしかない。
……予想以上に武官たる関羽と張飛は喜んでくれたのだが。いや、けして開催時刻ではなく用意された料理によるものではないと思う。思うのだ。

「ちょっと、酔っちゃったかなあ。うん、酔っちゃった!
 ね、歩こう!歩こ?私たちは、元気だもの!」

見上げた夜空は満点の星。
星辰を占ってしまうのはまあ、致し方ないであろう。
まあ、星辰が世を先導することなど絶えて久しい。
よほどのことがないと定められた世は動かない。
そう、あのように大きな星が流れないと……え?

「あ、すごーい!すごい!すごい!
 落ちるよ?落ちる!あっちだ!行こう!愛紗ちゃん、鈴々ちゃん!朱里ちゃん!雛里ちゃん!」

駆けだす主の行動は実に正しい。

尾を引いた流星が落ちるは地の果て。しかしその果てに辿りつく。
窪んだ大地に伏せるは白き衣に身を纏った……天の御使い。

「なんだろう、わたし!胸がどきどき、わくわくする!」

そして少女は、少年は、運命と出会うのである。


そして外史の幕は上がる。
括目せよ。喝采せよ。祝え、寿(ことほ)げ。
ようやく、狂った外史は矯正の機会を得るのだ。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/21(水) 22:08:41.99 ID:O11VzMsJ0<> タイトル案は
「流星の落ちた地で」

いよいよですね。
やっとかよ、とも言う。

感想とかくだしあー
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/21(水) 22:12:12.98 ID:O11VzMsJ0<> 好きなポエム

諦めはしない もう目覚めたから <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/22(木) 18:33:32.60 ID:8FNabyyk0<> 乙でしたー
>>262
>>ずり、と後ずさりながら態勢を整える。 間違い?多分間違い…だと思う。もしも星との対話に備える、と言うか心構え的ならこのままかな
○ずり、と後ずさりながら体勢を整える。 【姿勢】と言い替えられる意味ならこちら。要は正座するとかそんな感じならこっち
>>264
>>斗詩が総指揮を摂り、 摂取するのは違うかなって
○斗詩が総指揮を執り、 執行するのでこちらですね
>>精々俺にできるのは黄巾賊が来たら逃散しろというくらいだ。 【逃散】って農民とかがこんなブラックな仕事やってられるかーって他の領に逃げることを言うらしいのでこの場合はちょっと違う気が
○精々俺にできるのは黄巾賊が来たら避難しろというくらいだ。 危機感をあおるなら【一目散に逃げろと言う】とかも有りかな?
>>265
>>「あら、嬉しいことを言って下さるわね。  ここは助動詞で使ってるので
○「あら、嬉しいことを言ってくださるわね。 の方がいいですね。例えると《靴を脱いでください》だと脱ぐだけですが《靴を脱いで下さい》だと今履いてる靴が欲しいと言う意味になる。らしいです
○「あら、嬉しい言葉を下さるわね。     もしくはこういうのも有りかな
>>270
>>諸葛亮は全身に漂う疲労感を心地よくも、 この繋ぎ方だと次も疲労感について語る感じかな、と
○諸葛亮は全身に漂う疲労感すら心地よく、 もしくは【疲労感も心地よく】とかも良いかも?
>>なれば我らの智謀を供するは必然、蓋然。  【蓋然】って多分そうだろうなあ、みたいなあやふやな意味らしいのでちょっと違和感
○なれば我らの智謀を供するは必然、瞭然。  運命感じた(笑)ならこっちじゃないかな…ついつい彼女たちの事は色眼鏡で見てしまう、まあいっか、彼女たちも世界を色眼鏡で見てるんだし
>>二人のお蔭で我らが逃散せず済んだ。感謝する」  むしろお前らが逃散してくれた方が領主としてはうれしいんだよなあ、無駄飯ぐらいが待遇改善の為にストライキとかそのまま解雇でFAですわ
○二人のお蔭で我らが離散せず済んだ。感謝する」  2000人をまとめきれずに瓦解する、みたいな意味ならこっちの方かな
>>いや、けして開催時刻ではなく用意された料理によるものではないと思う。 じゃあ何に喜んだのかしら?
○いや、けして開催時刻ではなく用意された料理によるものだと思う。    夜遅くまで起きてることを悪徳としてるっぽいけど人を騙して掠めた金で美味い飯食うってどっちにしろ…まあ関羽と張飛は工面の方法を理解してないだろうから単純に美味しい料理に喜んだ、と見れば
○いや、けして開催時刻ではなく用意された料理によるものでもなく、道が拓けた事によるものだと思う。 一応関羽を最大限好意的に見れば…張飛?あいつは旨い飯しか見てないだろ(偏見
>>見上げた夜空は満点の星。 いやあ、街の明かりが邪魔をするので70点くらいですかねえ
○見上げた夜空は満天の星。 冗談はともかくこっちかな?
>>「なんだろう、わたし!胸がどきどき、わくわくする!」

そして少女は、少年は、運命と出会うのである。       ここまでが諸葛亮視点っぽいんですよね


そして外史の幕は上がる。   で、この行からメタ視点、2行空けてるし
○「なんだろう、わたし!胸がどきどき、わくわくする!」


そして少女は、少年は、運命と出会うのである。   でもここで諸葛亮が劉備の事を【少女】呼びは違和感があるので

ついに外史の幕は上がる。   行の空け方としてはこっちの方がいいと思います

諸葛亮の色眼鏡は相変わらずですな、袁家の木っ端役人に賄賂が通じないことに憤るとかwここはせめて袁家のような豚にもまだ清廉な人材がいることを喜ぶべきだろうに
ところでこれって5人だけで宴会開いてんの?劉備なら全員で親睦会とかしそうだけど…まあ2000人を受け入れられるような店はさすがに無いだろうけどさ、料理を買って広場とかを借りてしないのかな

二郎ちゃんは凡人のくせに自分が頑張れば世界が大きく変わると思っているのがまだまだ甘ちゃんやね
でもそういって自分がもっとうまくやれば〜とか落ち込んでると背中をたたいてくれる人やら腕を引っ張ってくれる人やらが周りに沢山いるのは二郎ちゃんが頑張った確かな証拠であったりして
ついでに言うと自分が頑張ってどうにかしようとしなければどれだけの人が彼についてきてくれたり彼を認めてくれたかは・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/22(木) 21:55:49.91 ID:VWKXEcgOO<> 乙っしたー

>>272
原曲もいいですよ
ttps://www.youtube.com/watch?v=nFCc5NLTWtc

タイトルはGつながりで
「少女が見た流星」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/23(金) 02:59:12.27 ID:0OsbIyIMo<> おつしたー
あーあ出会っちまったか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/23(金) 07:49:48.62 ID:0ICzKFwO0<> >>273
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>諸葛亮の色眼鏡は相変わらずですな、袁家の木っ端役人に賄賂が通じないことに憤るとかwここはせめて袁家のような豚にもまだ清廉な人材がいることを喜ぶべきだろうに
そういうとこやぞ、と思いますw

>ところでこれって5人だけで宴会開いてんの?
はい

>劉備なら全員で親睦会とかしそうだけど…
そんな気遣いしないですよw 実際w
と本当に思います

思いつきで宴会とかはあるかもしれませんね

>二郎ちゃんは凡人のくせに自分が頑張れば世界が大きく変わると思っているのがまだまだ甘ちゃんやね
うわきっつw
言われたらぜってー落ち込むw

>落ち込んでると背中をたたいてくれる人やら腕を引っ張ってくれる人やらが周りに沢山
多分孤独だったら心が折れてますわ

>>274
原曲あったのか(今知ったす

>>275
出会っちまいました(固定イベント) <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/23(金) 09:15:59.86 ID:oDZ2NHYy0<> せやな、孤独だったらスパイラルに落ちると思うわ
でも二郎ちゃんは自分が凡人だと理解してるからそれをどうにかできる人に何とかしてもらおうと頑張って顔つないだり手を繋いで
そうやって来たから辛いときに肩貸してくれる人、手を貸してくれる人がいるんだろうなあって

あっ劉備の事まだ過大評価してたのか俺・・・あいつの理想やら何やらはともかく仲間意識とか個人としての優しさは素晴らしいものだと思ってたのに
そんなに個人として良い人だったら原作で公孫賛にあんなことしない?人の上に立つ者としての自覚が芽生えたんだよ(目ソラし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/24(土) 17:34:38.98 ID:tomR5gYR0<> >>277
>でも二郎ちゃんは自分が凡人だと理解してるからそれをどうにかできる人に何とかしてもらおうと頑張って顔つないだり手を繋いで
これです。割とテーマではあります。

>あっ劉備の事まだ過大評価してたのか俺・
過大評価かは分からないですけどねw
二郎ちゃんが、はおーをブラックベンチャーとか言ってますが真のベンチャーは劉備一党です
走りながら考えるという、真のベンチャー精神。とりあえずやっってみよう的な場当たり感。
すごE

>そんなに個人として良い人だったら
これですw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/24(土) 21:41:43.32 ID:tomR5gYR0<> 「うわー、すごいねー。すごいねー。
ね、ご主人様!」
「ああ……」

北郷一刀は南皮の防壁。その威容に圧倒されていた。
彼はそれなりに巨大な建築物に耐性はある。しかし泰平である社会に育ち、本物の要塞の武威というのを見るのは初体験である。
遺跡、史跡、観光名所としての要塞と、稼働している軍事拠点である城塞都市とは受ける印象がまるで違うのである。

「でも、よかったのか?愛紗と雛里に悪いことしたんじゃないかなあ」

諸葛亮は微笑む。嗚呼、それでこそご主人様だと。

「はわわ……。袁家は義勇軍を敵視しています。ですから二千もの兵を抱えるのはむしろ不利になります。
 それに、御使い様というご主人様の素性も隠すがよいかと思われます……」

伊達に南皮で情報収集をしていたわけではないのだ。
袁家……もっと言えば軍権を握る紀霊の思考を辿るなど児戯に等しい。

「はわ……。現在袁家の軍権を握る紀霊は様々に手を打っています。
 そこから読み取れるのは、義勇軍に対する弾圧とも言える無関心です。
 かつて郭図が興した義勇軍。それが黒山賊と衝突するまで静観しています。
 袁家と黒山賊は不倶戴天。それと相対する義勇軍に何の援助も与えていません。
 あわよくば共倒れを狙っていたのかもしれません。まあ、黒山賊は隆盛極まり、現在でも袁家は根本的に掣肘できておりません。
 ……当時からその兆しがあったのにも関わらず義勇軍に援助をした形跡がありません。
 故に、紀霊は義勇軍という存在に含むところがあるのでしょう。
 なれば、南皮に軍勢を率いて武威を顕示するのは悪手です。雛里ちゃんと愛紗さんには悪いですが、待機が最善です」

にこ、と笑む諸葛亮。

「うん、流石朱里ちゃん! 
 でも、ご主人様の、天の御使い様というのも駄目ってのはどうしてなの?」

小首を傾(かし)げて問う劉備。諸葛亮は苦笑し、表情を改める。

「はい。ご主人様が管輅の言う『天の御使い』であるのは確定的に明らかではあります。
 が、袁家領内ではそれを主張するのはお勧めできません。
 袁家……紀霊が蠢くここでは得策ではありません。彼の手はこれにより明らかです」

取り出したるは阿蘇阿蘇。

「これによれば、『天の御使い』とは中華に仇為す疫病神。平穏を崩す魔王。
 救いを、平穏を名目に乱をもたらす悪逆非道な災厄、とあります。 
 笑止千万な煽りではありますが、どうやらご主人様を相当に恐れているようで……」

くすくす、と諸葛亮は笑う、嗤う。

「ご主人様がどうにも都合が悪いのでしょうね。
 まあ、あえて正面から争う必要もないですし」

ふむ、と頷く劉備に首を傾げる北郷一刀。

「まあ、あえて今の段階で虎の尾を踏む必要もないってことか。
 ま、朱里が言うなら間違いないさ!」

何せあの諸葛亮である。伏竜である。
その判断に間違いはないであろう。北郷一刀はそう確信している。

「ま、とりあえず南皮まで来たのは桃香の大事な剣を取り戻すためだ。そこを忘れないようにしようよ」
「はい!ご主人様!」

門扉をくぐり、広がる南皮の繁栄。
紀霊などというマイナー武将が兵権を握るなど、想定外ではあるが、それより。
半ば行き倒れていた自分を介抱してくれた、この子達のために頑張るべきであろう。
自分は三国志を知っているのだ。
北郷一刀は思う。英傑の性別こそ違うにしてもここは三国志の世界。

なれば、未来を知っている自分はどうするべきか。
決まっている。
魏に、晋に統一される未来を、天下を劉備に。この、とっても優しい女の子の手に。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/24(土) 21:46:10.28 ID:tomR5gYR0<> ◆◆◆

「劉備……ですか?」

絢爛豪華、豪奢で華麗。
そんな言葉が似合うであろう少女は可憐に小首を傾げる。
華美なる金髪は光輝を散らし、そこにあるのは栄耀栄華。
十三しかない州の三つを束ねる袁家の総領。袁紹その人である。
一挙手一投足にその華麗なる気品(オーラ)は漂うだけで、対する人を圧倒する。

「は。公孫賛殿のご紹介ということですが」
「まあ、白蓮さんの?」
「紹介状の類はないようですが」

対するは郭嘉。
つい最近まで無位無官の身であったのだが、紀霊の推挙をきっかけに袁家内にて地歩を固めている。
そして現在では、袁紹の横にありて助言をするまでに至っている。
淡々とした郭嘉の言に袁紹は満足げに頷く。
彼女は権限が大きければ大きいほどにその辣腕を遺憾なく発揮するという紀霊の言、なるほど、慧眼であると。
こと人材鑑定眼という点においては、この中華でも比肩する存在はいないのではないか。
有象無象を束ねて相手にせねばならないからこそ、それが分かる。

「で、劉備さん……でしたか。用件はなんと?」
「伝家の宝剣を返還してほしいとか」
「はぁ?どういうことですの?」

袁紹が疑問を投げるのも無理はない。
親友たる公孫賛が贈ったとのことではあるが、そのような案件は数限りない。
袁家は名家である。
であれば贈られる物品は数限りない。
更に贈られた物品に対し、相応の返礼を――きちんと贈られた物品よりも価値が高いものを、である――のであるからして。
いちいちその内容など覚えてはいない。記録だって怪しいものだ。
どこぞの凡人と違い、面会だけでも行列ができるのである。
それほどまでに袁家の当主というのはお安くないのだ。
公孫賛が紹介状を持たせなかったというのは、きっとそういうことであろう。袁紹は総合的にそう判断する。

「そうですわね、では対応は二郎さんにお任せしましょう。郭嘉さん、そのように」
「は、承りました」

妥当なところであろう。いや、厚遇すぎるかもしれぬ。紀霊は三州を束ねる袁家の軍権を握る重鎮である。
そこに公孫賛に対する友誼を察して微かに郭嘉はその口を緩ませる。
この卓越したバランス感覚、その誠実。真心。

なるほど。
名家の当主とはかくあるものか、と。
中々に、支え甲斐があるではないか。
きっと打算でなく、本能的に下した判断。なるほどなるほど。

「郭嘉さん?」

訝しげに問うてくる言の葉も優雅で。

「いえ、ご判断について検討しておりました。まことに妥当、適切かと。
 心服した次第でございます」

恭しく頭(こうべ)を垂れる。その思いに偽りはない。

「あら、よろしくってよ?わたくしとて誤謬はありますもの。諫言、大いに結構。甘言よりはよほどよろしいわ。
 務めなさいな。二郎さんが絶賛するその才、頼りにしてますわよ?」

おーっほっほ、と高笑いする袁紹。
その器、なるほど破格である。いささかも表情を変えずに郭嘉は思う。
なかなかに、支え甲斐がある主君である、と。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/24(土) 21:46:49.38 ID:tomR5gYR0<> 邂逅、迫る

本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名はなんだろうなあ困るmなあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/24(土) 22:02:38.41 ID:vb5Kk6y0o<> おつしたー
原作主人公も視点が違うだけでホンマコイツら・・・ってなるものやな <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/26(月) 18:34:48.54 ID:z+8L9Q2z0<> 乙でしたー
>>279
>>そこから読み取れるのは、義勇軍に対する弾圧とも言える無関心です。 【弾圧】と【無関心】はちょっと遠い気がします
○そこから読み取れるのは、義勇軍に対する弾圧とも言える敵愾心です。 一刀に不信感とかを植え付けるならこっちで【路傍の石の如き無関心です。】諸葛亮からどう見えるのかは分からないですが《紀霊》が義勇軍が起ころうが潰れようが気にしないように見えるならこうかな?
とはいえこの後の話から推理すると諸葛亮が郭図の義勇軍がどういう物だったのかの聞き取りをしないわけがない(と言うか義勇軍について調べてたら評判その他を聞かないはずがない)から万が一にも一刀が袁家に同調しないようにネガティブキャンペーンしてるっポイかな
>>にこ、と笑む諸葛亮。 この場合だと私がいるから大丈夫です。みたいな印象を与えようとしてるのかもしれないけど、どうだろう?話した内容に対するして一刀たちに悪印象を付けるためにも
○わずかに顔を伏せる諸葛亮。 あくどい袁家と印象付けるならもしくは【憂いの表情を浮かべる】とか?こっちの方がいいかは微妙ですが
>>『天の御使い』であるのは確定的に明らかではあります。 ブロントさん!ブロントさんじゃないか!!黄金の鉄の塊のブロントさんが何故ここに?
○『天の御使い』なのは確定的です。 もしくは【『天の御使い』であるのは明らかです。】とかでどうでしょう
>>くすくす、と諸葛亮は笑う、嗤う。  諸葛亮から見て劉備と一刀がどういう人物なのかは不明ですが、おそらく裏表のない慈悲深く、民の声に耳を傾ける賢君なのではないかと
○自分たちの不明を恥じることも無く、悪いことが起これば他者にその責を負わせる名ばかりの名家と言うものに諸葛亮は憤りを隠せない様子を見せる、魅せる。 大分長くなってしまった(汗)、ご主人様たちに自分の黒いところを見せる必要はないかな、と。
>>280
>>一挙手一投足にその華麗なる気品(オーラ)は漂うだけで、対する人を圧倒する。 文脈に違和感が
○一挙手一投足に漂う華麗なる気品(オーラ)はそれだけで、対する人を圧倒する。 あるいは【一挙手一投足からあふれ出る】とかどうでしょう
>>相応の返礼を――きちんと贈られた物品よりも価値が高いものを、である――のであるからして。  ―〜―の間を抜いた場合【返礼をのである】となるので
○相応の返礼を――きちんと贈られた物品よりも価値が高いものを、である――しているのであるからして。  の方がいいと思います
>>この卓越したバランス感覚、その誠実。真心。  カタカナ解禁したんでしたっけ?
○この卓越した交遊感覚、その誠実。真心。    とかかなあ?バランスは直訳すると【平衡】になりそうだけど意味が違うし
>>務めなさいな。二郎さんが絶賛するその才、頼りにしてますわよ?」  間違いでは無いですが、これだと郭嘉に単純に仕事しろ、と言ってるようなので
○努めなさいな。二郎さんが絶賛するその才、頼りにしてますわよ?」  頑張って、的な意味合いになるしこの方がいいと思います

まあお金嫌いの軍師殿が自分の全てを受け入れられてご主人様としているのかもしれないので取り繕ったりはしてないのかもしれませんが
(今は)正面から戦わない相手を下に見るような発言をしてそれが一刀や劉備に移っちゃう可能性を考えれば嗤ってる姿は見せない方がいいんじゃないかな
それにしても>>桃香の大事な剣を取り戻すためだ。 そもそも取り戻したくなるような大事な物なら人にあげるんじゃねーよ、貸してたって言うならお前その剣1本で2000人を数倍水増しした食料と武具を受け取ってそれでも利子の分にもならないほどの価値があるとかのたまうのか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 20:41:49.40 ID:PR6xHEdl0<> >>282
どもです

>原作主人公も視点が違うだけでホンマコイツら・・・ってなるものやな
真のベンチャー勢力が本格化しました。
はおーのとこなんて割と老舗ですしね。
本当の意味で失うものがないベンチャー勢力です。おそれよ。

>>283
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
一応毎回推敲しているはずなのに。ぐぬぬぬ。

>(今は)正面から戦わない相手を下に見るような発言をしてそれが一刀や劉備に移っちゃう可能性を考えれば嗤ってる姿は見せない方がいいんじゃないかな
そうですねえ。その通りですねえ。

> そもそも取り戻したくなるような大事な物なら人にあげるんじゃねーよ
これは本当に理解できない行動ですが、原作特にアニメ準拠の感じ。
思いつきで行動しとるんやろうなあという納得感もあったりします。

>その剣1本で2000人を数倍水増しした食料と武具を受け取ってそれでも利子の分にもならないほどの価値があるとかのたまうのか
富豪プレイヤーからしたらレアアイテムはそれくらいの価値はあると思うかもしれませんが……w

ほんと、CPBさんの行動はびっくらぽんやでぇ…… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 20:43:59.31 ID:PR6xHEdl0<> まあ、アニメだと麗羽様んとこに行き、そこはかとなく対立するフラグを立てる舞台装置だったのかもしれません。
ただまあ、本当に近視眼的に目の前のことを場当たりで解決しようとする人もいるので、それを強化した感じなのかな?
行動パターンを人格AIに落とし込んで実際に再生するとこうなるとかなんとか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 22:45:24.92 ID:PR6xHEdl0<> 「だからさ、俺は言ってやったんだよ。『悪党の泣き声は聞こえんなぁ』ってね」

目を丸くして聞き入る流琉にあることないこと馬鹿トークの俺です。二郎です。
楽しい食後のお茶の時間。美味しいご飯をありがとね、流琉。
そんなまったりとした空間を、これまたまったりとした声が切り裂く。いや、塗りつぶす。

「お楽しみの所申し訳ないのですが、来客なのですね〜」

のんびりとした風の声に頭を仕事モードに切り替えていく。可能な限りオンオフについては、はっきりさせるのが紀家軍の伝統なのだから。

「今日は俺の出番ないはずだけど?」
「公孫からのご紹介だそうです〜
 袁紹様からご指名ですよ。今は星ちゃんがお相手をしてます〜」

ふむ、白蓮からの紹介か。
俺が出張るということは、白蓮からの紹介状はないってことだな。
うむ。上下関係はあっても友誼は大事にせんとな。まったくもって喜ばしいことだ。

「で、誰が来てるの?」

くふふ、と僅かに笑う風。

「劉備、諸葛亮、張飛……北郷一刀だそうですが?旧知の方もいらっしゃるでしょう?」

あちゃあ、あいつらかよ。って。

「諸葛亮……だと……?」
「ええ、水鏡女学院を首席で卒業した英才とのことですね〜」

待て待て待て待て。
おかしいだろうそれ。諸葛亮とかありえんだろ。まだ黄巾の乱だろ、慌てるような時間じゃあないはずだろうが。
それがなんでもう劉備とセットなんだよ。おかしいだろそれ。なんだってんだよ。おい、どうなってんだよ。大体、酔狂じゃない水鏡先生とか星と同年齢くらいじゃなかったっけか?

「はい、とんとんしましょうねー。とんとーん」

くす、と。
ほんわかした風の声、手の温かさに俺は意識を取り戻す。そうだ、呆けている場合じゃない。
俺の悪い癖だ。三国志の予備知識故に差異に自失してしまう。
そのために中華を彷徨ったというのに。
そうだ。何が起こっても不思議じゃないし、起こったことには対処せんといかん。

「すまんな、風」
「いえいえ、これもお役目ですし〜。それに謝られるよりは感謝が欲しいというのは風の我儘ですかねぇ」

目を細める風が頼もしい、ありがたい。

「や、ありがとう。風がいてくれてよかったよ」
「くふふ、早速のお言葉。おねだりしましたが、いざ頂くと照れてしまいますね〜」

いや、ありがとうな。

ん。

ん?

「北郷一刀……だと……?」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 22:45:50.77 ID:PR6xHEdl0<> その名に遅まきながらも気づく。
これ、おかしくね?

北郷一刀。明らかな異質。それはその名前だけで明らか。
ごくり。
生唾を飲み込もうとするも口の中はカラカラだ。

「風よ」
「なんでしょか」
「北郷一刀とか言ったか。何者だ」

くすり、と笑みを浮かべながら風は大きく頷く。

「さあ?ですが劉備さんは『ご主人様』と呼んでいましたね〜」

ふむ。
英傑たる劉備がそう対応するか。
急速に構築される推論。
きっと彼は俺と一緒、いや、厳密には違うか。
奴は、彼奴は、『異物』だ。

俺がこの世界……というか、この、二度目の生で思ったことは一つ。

「俺だけか?」

ということ。

だから、商会は母流龍九(ボルタック)、雑誌は阿蘇阿蘇(アソアソ)、書物は農徳新書。
いずれもひっかかりを覚えるネーミングだ。その網に引っ掛かるのを待っていた。
だが、幸か不幸かそれらしきものは網に引っ掛からなかった。
ひっそりとその生を終えたのか、今でも潜伏しているのかは知らんが。
それでも、俺の。俺の三国志という知識を持っている俺を脅かすのはきっと同じくその知識を持つ人物なのだろう。
だが、これまでそういう奴はいなかった。
……まあ、相手にするにはしんどい相手ばっかりなんだがね。何進とか華琳とかさ。他にも色々。

まあ、いいさ。
三国志の一角に食い込む劉備一党。
そしてこの段階で参画する超絶軍師諸葛亮。
全ての逆境、不幸。言葉一つで片付けて莞爾と笑うのさ。
それがどうした、と。
高らかに唱うそれは反撃の狼煙だ。

「それがどうした!」

肺腑から振り絞り、五臓六腑を引き締める。何もかもを台無しにする魔法の言葉。宇宙最強のそれを腹の底から叫ぶ。
俺はここにいる。袁家に忠誠を誓っている。抗うぜ。
むしろこれまでが順風すぎたのだろうさ。

「うし、行くぞ、風」
「そですね。行きましょう」

覚悟はいいか?
俺はできてる。



<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 22:46:21.71 ID:PR6xHEdl0<> 歓談の室に入る。
そこは戦場。それを認識しているのはきっと俺とあの、ちまっこい幼女だろうな。
まさか、諸葛亮という三国志トップの人材と張り合うことになろうとはね。
つか、俺の迂闊さが悔しいね。思い込みで荊州放浪しなかった。
ま、相性的に仕官してくんなかった可能性が高いという言い訳そのいち。

「主よ、こちらは劉備殿だ。……面識があるのであったかな?
 その軍師の諸葛亮殿、そして北郷殿だ。中々の人物だぞ」

うるせー、そんなん知ってるわ。

「で、一度手放した剣を返してほしい。ということだったっけか」

精一杯冷然と放った言葉に臆することなく劉備は答える。

「そうなんです。白蓮ちゃんに預けたんだけど、やっぱり私のことを信じてくれるみんなに恰好がつかないかな、って。
 でも、白蓮ちゃんも袁紹さんにあげちゃったって言うから、来たんです」

意味が分からん。なんで頭のいい諸葛亮まで頷いている?
ええい、めんどくさい。

「一度手放した宝剣をどうしようと関係ないだろう。なんでここにいるの?」
「はい、思ったんです。やっぱりあの剣は必要だったなって。
 だから、返してほしいんです」

……満面の笑みでそんなことを言いやがる。正直、知るかよ、というのが本音だ。
白蓮の知己だからといって優遇されると思ったら大間違いだぜ。

「返すもなにも、関係ないから。君らの都合とか関係ないから」

ばさり、と切り捨てる言葉に諸葛亮とか言う幼女が口を挟む。そこは黙ってて欲しかった。

「大将軍である何進様により黄巾討伐の令は中華全土に発せられています。
 義を見てせざるは勇なきなり。ですが応じるは諸侯のみ。
 そのような風潮は悲しいと思いませんか?」
「知らん。諸侯は世に対する責任があるし、問題なぞないさね。
 つか、それ今上陛下への進言(ディス)のつもり?」
「これは失礼を。
 無位無官の非才たる身で僭越でした。
 ええ、僭越でしたとも」
「そうかい」

むー。流石にこれでは諸葛亮の目論見が見えないなあ。うざいだけで。

「すみません。お二人の議論を遮るようですけども、わたしの剣ってどうなるんでしょう……」

割と本当にどうしたもんかね。

マジで……困ったものだ(沮授風)。
剣を返してくれと堂々と言ってくるその神経に眼前の美少女(巨乳)はやはり劉備なのだなと再認識する。警戒心のレベルを引き上げる。
ただ、裸一貫からのし上がるにはこういうふてぶてしさが必要なんだろうなあ。
ちら、と眺めると可愛く小首を傾げてくる。あざとい。実にあざとい。可愛いけど。
まあ、こいつらが求める剣なんてどうだっていい。さっさと渡してお引き取り願うのが一番簡単ではあるのだ。
だが、それだと白蓮の面子が台無しになる。
友誼の証に送られた剣をその元の持ち主が取り返しに来るなんざ赤面で済む話じゃあない。
下手すりゃ白蓮と麗羽様の仲だってぎくしゃくしてしまう。ただでさえ州牧と太守という関係なのだ。
……それ狙ってるんじゃねえだろうな。
ぎろ、と睨みつけるがにこにことした表情は些かも揺るがない。まあ、そこまで考えているとしたら横の幼女か。と。
そして、俺の視線を受けてだろう。幼女状態の諸葛亮が口を開く。

「紀霊殿が逡巡されるのも無理からぬこと、と存じます。それほどに貴重な、価値のある剣なのですから。
 お返事は後日でも結構です。お待ちしますから」

いや別に、本当にそんな剣どうでもいいんだが……ってあの剣にそうやって付加価値を付けるのか。こん畜生。
一旦言葉を区切って更に言葉を続ける。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 22:46:49.27 ID:PR6xHEdl0<> 「しかし我らは世の乱れを憂いて義勇軍を興した者です。
 今こうしている間にも無辜の民は苦しんでいます。
 しかし我らは手元不如意……。
 便宜を図ってもらえないでしょうか?
 我ら義勇軍はしがらみなく自由に動けます。ええ、見事働いて見せましょうとも。
 悪い話ではないかと思いますが?」

こいつ、これが本命か!剣の話は袁家と接触する方便。
経緯はどうあれ組織の上層部が下した決定には従わんといかん。その譲歩を引き出すのが目的か!
義勇兵などという、漢朝の埒外の存在でありながらそれを組み込んで駆使するが目的かよ。

ぎり、と噛みしめる俺を見る諸葛亮は相変わらずの笑みで、ああ、俺など眼中にないのだろうな。実際怖いくらいだわ。

激昂して咆哮をあげる、寸前。

つん、とつつかれる。
我に返ってその手の主を見ても、素知らぬ顔で風は。

「ぐう」
「寝るな!」
「おお、寝てました!」

言われんでも分かるわ!
……ってそうか。助かる。

「あのなあ、緊張感なさすぎだろうが」
「いえいえ、公孫賛様のご学友が訪ねてこられたというだけですし、緊張する必要もないかと〜」

はあ、と大げさにため息を。

「まあ、そうだな。んじゃ、風。
この場、任せるわ」

風なら俺の意を汲み取ってうまいことしてくれるはず。頼んだ。
頼んだぜ。
頼んだよ。

……頼んだよ?
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 22:51:19.48 ID:PR6xHEdl0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

邂逅、前編です

ここです
ここで介入とかあれこれが一番有効なのです(メタ)
介入するならここやぞと

割と他はフラグ管理きっちりしてるなあと振り返りながらそのときの自分がすげえなあとか思ったりなんかしたり
自分の敵は自分なのだあ

負けるもんか
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/26(月) 22:56:09.59 ID:22t+Ma8no<> 乙ー
風ちゃんが本当に頼もしい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/26(月) 22:58:02.28 ID:PR6xHEdl0<> >>291
どもえす

本当に、風ちゃんいなかったらどういうことになっていたか……!

いやマジで普通にエタったすw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/26(月) 23:55:33.18 ID:XFq8hZxzo<> おつしたー
二郎ちゃんの部下は割とチート揃いな希ガス <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/27(火) 12:09:27.50 ID:zRP040Gh0<> 乙でしたー
>>288
>>そこは戦場。それを認識しているのはきっと俺とあの、ちまっこい幼女だろうな。   どうだろう?多分風も二郎ちゃんの雰囲気から察してそう
○そこは戦場。それを認識しているのはきっと俺と風と、あのちまっこい幼女だろうな。 前回劉備と出会った時に二郎がだいぶ動揺(洗脳されかけ)てたし
>>友誼の証に送られた剣をその元の持ち主が取り返しに来るなんざ赤面で済む話じゃあない。  間違いでは無いですが
○友誼の証に贈られた剣をその元の持ち主が取り返しに来るなんざ赤面で済む話じゃあない。  こっちの方がいいかな?どうかな

まあ二郎ちゃんの考えた通りに「あの剣は公孫賛から袁紹に送られた友誼の証であり、それを横から欲しがるとはつまり二人の間を引き裂こうと言う腹積もりだな?」って質問(と言う名の脅迫)をするのも有りっちゃありか?
張飛は趙雲に抑えてもらって3人のうち一人でもコロコロできれば…問題はその強硬策を紀霊がすることを周りがどう受け取るかだけど
まあ劉姓の義勇軍の首領が義勇軍嫌いでそこそこ有名だろう紀霊の元に紹介状なしで公孫賛の名前を使って面会に来るとか臭すぎるから民心を操作するのは難しくなさそうだけど
袁紹とか公孫賛とかが…とくに公孫賛は優しいからなあ、袁紹は二郎の事を信じてくれる可能性は高いけど・・・うーむ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/27(火) 21:29:45.39 ID:5QdiJuUo0<> >>293
どもです

>二郎ちゃんの部下は割とチート揃いな希ガス
恋姫たちが、皆無限の可能性を持っていますのでねw
とは言え、確定恋姫の他に賽子の結果での加入の恋姫も多いんですよねー
少なくとも放浪編の三匹が全員加入は本当になかったです
あれで難易度がかなーり下がったなあというのはあります

まあ、本当のチートははおーとか呂布とかCPBとかなんですけどね

>>294
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
また完封はできんかったか(白目)


>まあ二郎ちゃんの考えた通りに「あの剣は公孫賛から袁紹に送られた友誼の証であり、それを横から欲しがるとはつまり二人の間を引き裂こうと言う腹積もりだな?」って質問(と言う名の脅迫)をするのも有りっちゃありか?
二郎ちゃんの発想がそこに至らないですねえ。いや、メタ最善手はそこなのは分かるのです

>まあ劉姓の義勇軍の首領が義勇軍嫌いでそこそこ有名だろう紀霊の元に紹介状なしで公孫賛の名前を使って面会に来るとか臭すぎるから民心を操作するのは難しくなさそうだけど
一般的には義勇軍の好悪とか分からないですからね

メタ的最善手ができないもやもや、もどかしさを、いい感じに楽しんでいただければ幸いです。
できなきゃむかつくだけですよねえ!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/27(火) 22:16:37.01 ID:5QdiJuUo0<> 俺の言葉。任せた、というそれにも眠そうな表情を動かさずに、ふわふわとしたはちみつ色をした髪を僅かにかきあげて。
風はのんびりと口を開く。

「では二郎さんに全権委譲されたこの私めが裁定を下しますね〜。
 義勇兵のみなさんには官庫より兵糧を支給します」

マジで?まあ、二千程度、どうということないし。ないし。
風がそう判断するならば俺は追認するだけである。
精々重々しく頷こう。ふむ、そうだなとか言って!

くふ、と笑い声が聞こえた気がした。

「ただし官軍の指揮下にある時に限ります〜。
 まあ、口ではなんと言っても、です。いつ黄色い布を身に纏うか分かったものではないですし。
 信頼と実績というのは一朝一夕にはできないものというのは世の真実。積み重ねてくださいな。
 あ、それと募兵の類は袁家領内では一切認めませんので〜」

いっそ子守唄でも歌っているかのような穏やかな風の声に劉備たちは絶句する。

「募兵できないって、そうしたら……」
「認めませんので〜」

ふわりとした笑みで諸葛亮の反駁を封じる。
流石俺のメイン軍師は格が違った。よくわからんけど。

「決まりだな。お疲れちゃん。お帰りはあちらからだぜ」

便乗する俺のドヤ顔でも拝みやがれ。ってなもんだ三度笠。当たり前だの焼き菓子だぜい。

「あの、俺にちょっとだけ時間もらえるかな」

口を開くのは北郷君。
まあ、彼には同情するべきとこも大きいよね。いきなり三国志(謎、もしくは仮)な世界に巻き込まれて。
風体を見るに、これ制服でしょ。多分登校だか下校だかの最中にここに来ちゃったんだろうねえ。俺にも多少の里心もあるし、ある程度は便宜だって図ってやらんこともない。

「趙雲さん、俺たちと一緒に来ないか?」

は?
はあ?
はぁぁぁあああ!?

北郷一刀は絶句する俺に構うことなく言葉を続ける。

「みんなが笑って暮らせる、そんな世にしたい。桃香の理想に趙雲さんも共感してくれたよね。
 きっと。俺たちと一緒に来るべきなんだと思う。
 いや、来てほしいな。君の力が必要なんだ」

おい。
おいコラ。
てめえ……今なんつったコラ。

……よし殺そう。

うん、皆殺し確定。こんな下らんことで悩む必要もなくなるし。
ゆら、と全身に力を込めて立ち上がろうとする直前に笑い声が響く。

「はーっはっは!
 いや、こんなにも情熱的に口説かれるとは思ってもいなかったな。
 これも全て某(それがし)が美し過ぎるのが罪なのだろうな……」

艶然と微笑み、言の葉を紡ぐ。
動き出す寸前であった俺にその身を寄せ、首に手を回してきて……。

ちゅ。

「まあ、こういうことだ。察してくれるとありがたい」

合わさった唇は刹那。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/27(火) 22:17:04.03 ID:5QdiJuUo0<> むか。

ぐい、と星の柳腰を引き寄せる。
え?とこちらを見やる星の唇に俺のそれを合わせる。
そしてここからは大人の時間だ。

「む?……んっ。
 ん!」

星の口内を俺の舌が蹂躙する。
唇を甘噛みし、ちろちろと舐めあげる。
歯茎を舐めあげ、唾液を啜り、流し込む。
舌を吸い上げ、噛み、ねぶりあげる。

「ん……ん!」

くぐもった声を上げる生意気な咥内を更に蹂躙する。
びく、と震える身体を抱きしめる。

つ、と離れた口唇に唾液の橋がかかる。

ぽわ、とした星を胸に抱えて言うのだ。

「俺の女に手を出すな。次はないぞ」

はわ、と上気する幼女。うわーと赤面するおっぱい。
そして絶句し赤面する北郷一刀。
なんだ童貞か?

「お引き取り願いたいんだがね。それとも馬に蹴られるかね?」

室内に漂うなんとも言えない空気を無視して俺は言い放つ。

「お呼びじゃあ、ねえのさ」




いまだぽや、とした星を抱きしめつつ一気に人口密度の減った室内を睥睨する。
俺、まだ結構怒ってるのよ。

「さて、お見事でしたね〜」
「んなこたねえよ」

事実、失点ばかりが目につくっての。

「卑下されることはありませんよ。
 諸葛亮、劉備。いや、世が世なら史書に名が載るやもしれないと思います〜」

ああ、そうだよ。だからめんどくさいんだよ。

「それはいい。後世の史家とかどうでもいい。
 北郷一刀とかはもっとどうでもいい。
 あれが何か。風は分かるか」
「いえ、とんと見当もつきませんねえ」

ほんとか?
まあいい。

「あの無礼。あれはこの中華の人じゃあない。東夷だ。
 よく二人ともこらえてくれた。あれは中華の儀礼を知らぬ蛮人。故に礼を知らぬ」
「と、おっしゃいますと?」

ぺろ、と唇に湿り気を与える。
こっからが正念場だ。

「姓も名も二文字。字も真名もない。あれは異郷の人物。
 不思議に感じるも当然。あれの本質は東夷。
 倭の民だろうさ」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/27(火) 22:17:31.90 ID:5QdiJuUo0<> ふむ、と風は頷く。

「地理志、ですね〜」

後漢書地理志にある漢委奴国王。
中学生でも知っていることである。

「そうだ。違って当然。あいつは属国たる委から流れてきたのだろうさ。
 帰る術のない哀れな旅人なのだろうさ」

それでいい。それがいい。
あながち間違ってもいないはずだ。

「では風はこれにて失礼するのですよ。
 訓練そのほかはお任せという驚きの有能さを垣間見てくださいねー」

くふ、と笑む風がどれだけありがたいか。
ありがたや、ありがたや。

くた、と。
ぽてり、と肩に心地いい重みを感じる。

まあ、星の重みなんだが。
思わせぶりにこちらを見る。

そんな星に言葉をかける。

「星、お前、あいつらを助けたろ」

「是。中々に気の合う連中ではあったのだ。
 あそこで命脈を断つには惜しいだろうよ」

星の横槍なければ俺は多分あいつらの殲滅を命じてた。
例えそれがどれだけ血に塗られていようとも。

「そうかい」
「そうだ。だがな、主よ」

ぴと、と寄り添い潤んだ瞳で俺を見てくる。

「それがしは、主の女、なのだろう?
 まさかに、そのまま放置、という訳ではあるまいな?」

にや、と笑む星はいたずらっぽく、清楚で、どこか不安に揺れていて。

「北郷一刀」

ぴく、と身を震わす星。

「あいつとどんな話をしたかは聞かない。
 あいつに何を吹き込まれたかも聞かない」

ぎゅ、と星を抱きしめる。
ん、と艶めかしく吐息を漏らす星がいとおしい。

「あんな男、忘れさせてやるよ」

そう言って俺は星を蹂躙するのだ。
こくり、と小さく頷く星が愛しいのだ。

ああ、どこぞの馬の骨なんて忘れさせてやる。
塗り替えてやる。
染めてやる、俺色に。

いつになく獰猛な俺の獣欲を星は全て受け止めて。

幸せそうに笑みを向けてくれるのだ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/27(火) 22:18:03.75 ID:5QdiJuUo0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

どんどこいきますぜ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/27(火) 22:39:32.13 ID:5QdiJuUo0<> 死ぬ前に
おれはやるぜおれはやるぜ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/27(火) 23:11:10.86 ID:rdi9sjSgo<> 乙ー
風ちゃん流石という感想と天の御使い殿がガチで厄介すぎて困る <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/11/28(水) 01:04:32.77 ID:V/Lt6jN0o<> おつしたー
登用ガチャ割と成功しとったんやなー

あと色々と大丈夫か・・・? <> 赤ペン<>sage saga<>2018/11/30(金) 15:38:04.31 ID:vtPAkqnM0<> 乙でしたー
>>296
>>マジで?まあ、二千程度、どうということないし。ないし。   私もごく最近知ったのですが
○マジで? まあ、二千程度、どうということないし。ないし。  【!】、【?】を文章の途中で使う場合は空白が必要らしいです
>>297
>>え?とこちらを見やる星の唇に俺のそれを合わせる。  今回特に誤字報告する所が無いなあ、と言う事で改めて基礎をさらってたら見つけたそんな事実
○え? とこちらを見やる星の唇に俺のそれを合わせる。 そういえば文章の頭にもひとつ空白がいるとか……まあいいか!!
>>「あの無礼。あれはこの中華の人じゃあない。東夷だ。  間違いでは無くあくまでも私の好みで
○「あの無礼。あれはこの中華の者じゃあない。東夷だ。  と言うか今更ですが彼らにとって中華ってどこからどこまでなんでしょうね?《漢》とは微妙に違うのか、同じ意味なら【アレは漢人じゃない】とかも有りかと思ったりしますが
>>「姓も名も二文字。字も真名もない。あれは異郷の人物。  欧陽菲菲「私、この時代からすると未来だけど一応中国人……」字はともかく真名が無いのはなぜわかったの?いや、そもそも(中華の)常識的に考えて《姓は北、名は郷、字は一刀》とならないかな?二郎ちゃんはともかく中国人である他の人はそう判断しそうだけど
○「姓も名も二文字。字もない。あれは異郷の人物。    それを言ったらお前も字ないよね?とか聞いちゃダメかしらw
>>298
>>訓練そのほかはお任せという驚きの有能さを垣間見てくださいねー」  風だとそう言いそうだけど【垣間見る】ってwたまにしかしないのかよ
○訓練そのほかはお任せという驚きの有能さをご照覧くださいねー」   普通に【ご覧ください】でも良いしいつも寝てる風なら上の言い方しそうだけども
>>星の横槍なければ俺は多分あいつらの殲滅を命じてた。   【多分】?……ああ、命じる前に自分が殲滅してた可能性が(なお張飛)
○星の横槍がなければ俺は多分あいつらの殲滅を命じてた。  もしくは【星の横槍無くば】とか?ちょっとカッコつけた言い方ですが
>>例えそれがどれだけ血に塗られていようとも。 言わなくはないですし間違いでもないのでここも私の好みですが
○例えそれがどれだけ血に塗れていようとも。  もしくは【血塗られていようとも。】とかどうでしょう?
>>ぴく、と身を震わす星。   どうだろう?擬音から受ける印象が違うような気がするような?
○びくり、と身を震わす星。  もしくは【びく、と体を強張らせる星。】、【ぴく、と身動ぎする星。】……星の一刀に対する心の揺れにもよるけどどれかな?より正確には紀霊と言うかなりいい主がいるのに鞍替えを考えてしまった自分に対する不信感とかだと思うけど

一刀君のスカウトを見ると前に曹操が郭嘉のスカウトをしようとしたときの事と比較してしまったわ
あれって曹操からすれば郭嘉が紀霊を見限る程度の目しか持って無かったら必要ないからまずは紀霊に話を通さないといけないと言う彼女からしたらすごい難しい状態だったんだな
自分がの方が人の上に立つ者として上だと自負してるけどかつて紀霊に《あなたと並び立ちたい》とか言われちゃってそうあろうと努力してる紀霊を認めちゃったからね
それほどの男に登用されておきながらあっさりとこっちに靡いちゃうなら……それは自分の人を見る目が無いことになってしまうと言う
いっそのこと二郎もスカウトを……えーと(どいつもいらねえな)、んーと(CPBに、権力者はとりあえず悪と見る儒者軍師、三国知識で全能感に酔ってるっぽいガキ)、張飛に対して腹いっぱい食わせてあげるよ、とか言って <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/11/30(金) 22:35:14.66 ID:+HkM3M+Y0<> ちかれた++

>>301
どもです

>風ちゃん流石という感想と天の御使い殿がガチで厄介すぎて困る
風ちゃんはトリックスターって感じですね
御遣いさんはそらガチです

>>302
>登用ガチャ割と成功しとったんやなー
こんなに人材が増えるとは思わんかったのが実際のとこです
幼女は大失敗でしたがw

大丈夫っすよー

>>303
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
中々修正なしってのにならないなあ

> 【!】、【?】を文章の途中で使う場合は空白が必要らしいです
マジっすか
マジっすかw

>それを言ったらお前も字ないよね?とか聞いちゃダメかしらw

ちょっと修正考えますわw

>一刀君のスカウトを見ると前に曹操が郭嘉のスカウトをしようとしたときの事と比較してしまったわ
ほむ

>あれって曹操からすれば郭嘉が紀霊を見限る程度の目しか持って無かったら必要ないからまずは紀霊に話を通さないといけないと言う彼女からしたらすごい難しい状態だったんだな
ほむむ

>それほどの男に登用されておきながらあっさりとこっちに靡いちゃうなら……それは自分の人を見る目が無いことになってしまうと言う
なるほど、と思いましたが、寝取ったら飽きてしまうアレですよきっと
だから人材コレクターなのだ(兆適当)

>いっそのこと二郎もスカウトを……えーと(どいつもいらねえな)、んーと(CPBに、権力者はとりあえず悪と見る儒者軍師、三国知識で全能感に酔ってるっぽいガキ)、張飛に対して腹いっぱい食わせてあげるよ、とか言って
現状では確かに張飛が安パイな気もしますねw

今日は酒呑んで寝ますちかれた

<> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/04(火) 12:36:28.44 ID:3A/pfE4a0<> 関係ないけどどこかで見た《古代ローマの総人口のうち約1割は転生者》ってトンでも説は結構好き
実際最盛期の古代ローマだったらただの一般人が転生してもたいしたことできなさそう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/04(火) 20:22:14.62 ID:bs0S4vE10<> むしろ自分がローマに転生して何かを成せる自信がないっすわw <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/04(火) 21:59:03.97 ID:bs0S4vE10<> もぞ。
隣で寝息を立てる星を起こさないように寝床を抜け出す。

「む。もう朝か、主よ」

うん。無理でした。

「まだ早いし。寝といた方がいいぜ」

まあ、その、なんだ。初めてだったのに、かなーり手荒く扱っちゃったからなぁ……。

「なに、この身。どうということもないとも。
その、だ。気遣いはありがたいのだが」

身を起こすとご立派なおっぱいが……ああ、隠すなんてもったいない。

「その、主よ。そんなに凝視されると流石に、だな……」

いつも結構谷間強調したようなきわどい恰好してるのになあ。解せぬ。
だが、恥ずかしがる星とか、アリだな。これがギャップ萌えと言う奴か。
これを狙ってやってるんだったら怖いな。

「まあ、減るもんじゃないし、いいじゃん。つか、もっとすごいことしたじゃん」
「そ、それはそうなのだが……」

やばい可愛いぞ星よ。
ぎゅ、と抱きしめると大人しく身体を預けてくる。女の子特有の、甘い香りが鼻腔をくすぐる。すてき。
と、現実逃避(うっとり)する俺に星がニヤリ、と。

「主よ」
「ん?」
「嬉しかったぞ?妬いてくれて」
「おい」

さっきまでの可愛い星を返せ!いや、帰ってきて!

「ふふ、だが少し揺れたのは本当だ。何か不思議な人物だったな、北郷という男は」

むう。

「主よ、そうむくれるでない。私が主を置いてどこかへ行くわけがなかろう」
「と、言われてもな。星なら『気が合う』からというだけで決断してもおかしくないし。
 富貴とか地位とかあんまし興味ないだろ?」

正直、出ていくと言われて繋ぎとめとく術が思いつかん。
……本来劉備陣営だしな。

「ふむ。言われてみればそうかもしらんな。
 だが、一度捧げた槍を易々と引っ込めたりせんし、何より主よ」
「ん?」

不敵で無敵。それが星だ。
そんな星が思いもよらぬことを言ってくる。

「今だから言うのだがな、ずっとお慕い申し上げておったのだ」

え?なんで?なんかそんなイベントあったっけ?

「ずっと、ずっと昔からだ。そう、ずっと昔から、憧れて。
焦がれていたのだ」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/04(火) 21:59:30.49 ID:bs0S4vE10<> くすり、と。
呆気にとられた俺を可笑しげに笑う。

「どゆこと?」

あれか、阿蘇阿蘇のアレか?いや星に限ってあんな与太話(プロパガンダ)を真に受けて憧れるとかない……はず……。

「随分昔のようにも思えるし、実際昔のことなのだがな。実は主と会ったことがあるのだ」
「え?」

マジで?

「ふむ。まあ、会ったと言うと語弊があるな。一方的に主を見ていただけ、か」

閲兵式とかなんかか?あれなら、とは思うのだがそうでもなさそう。
マジで分からん。

「それがしの二つ名は知っているだろう?」

そりゃね。

「常山の昇り竜、だろ?」
「左様。そして常山には主も……因縁があろう」

……っ!黒山賊か!
惹起されるのは血の海、敗北、そして虚勢。
だが星の声は優しく響く。

「そう。助けられたのだ、それがしは。それがしの村は。
 ずっとお伝えしたかった。ありがとう、と。
 ずっと憧れていたのだ、袁家の誇る怨将軍に」

苦いものが肺腑からこみ上げる。

「いや、役目を果たしただけさ。それに後手に回ったあげく。
 あのざま、なのさ。
 ……正直誇れたもんじゃない」

実際PTSD案件である。
それを英雄譚に仕立て上げた自分に反吐が出るくらいさ。
やらんといかんかったとしても、ね。

「それでも、それでもだ、主よ。
少なくとも救われたのだ。
 救われたと思っているのだ。それは変わらんのだよ。主がどう思おうと、な」

……そうか。
そうか。俺は救ったのか。救えていたのか。そう、思っても、いいのか。

「ありがとう……」
「それはこちらの台詞だぞ?」
「それでも、ありがとう……」

込み上げる熱いものを必死にこらえる。

「主、改めてよろしくな。この赤心、一点の曇りもない。
 主の敵はこの身が討とう。存分にお使い下され」

ああ。
頼りにしてる。頼りにするよ。

「こちらこそ、よろしく。
 頼らせてくれ、星。
 そして、きっと中華一の武将に。
必ず引き上げてやる」

ああ、本当に俺には勿体ない人たちばかりだ。
なんて、俺は幸せ者なんだろうな。

改めてそう、思った。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/04(火) 22:00:50.39 ID:bs0S4vE10<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名は「むかしばなし」かな
もちっと気の利いたのあればよろしくお願いします。

おなしゃす <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/04(火) 22:11:56.00 ID:n6EUeA3hO<> 乙…
記憶違いじゃなければあの時のくそったれ事件かな…あの時星を助けれたのか… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/04(火) 22:32:13.78 ID:bs0S4vE10<> >>310
そうです。

なんともコメントが難しいのですが。
もやっとしていただけたらばそれだけで嬉しいです。

イベントとかフラグ管理はかなり精密にやっております。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/05(水) 20:55:58.15 ID:25TN87zH0<> 駄目みたいですね(鹿) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/05(水) 21:01:11.21 ID:IBwzwgcDo<> おつおつ
救えなかった命もあれば助けれた命もあると書こうとしたら

え?どしたの? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/05(水) 21:11:09.84 ID:25TN87zH0<> >>313
いえ、天皇杯で鹿が討ち死にしただけですじゃw

>救えなかった命もあれば助けれた命もある
なんとも言えないとこですけど、実はこれはあの時からきっちりイベントフラグ発生してました
禍福はとか塞翁とかありますが、あそこのイベントは固定でした。
それでも星ちゃん合流、実は五分五分だったんですよね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/06(木) 22:14:17.39 ID:T5y8VJ7m0<> 「ゆうべはお楽しみでしたね〜」

くふ、と笑いながらそんな声をかけてくるのは風しかいない。

「……俺にゃ勿体ないくらい佳い女だよ、星は」
「おやおや、あてられてしまいそうですね〜。
 ま、星ちゃんも幸せそうですし、終わりよければ全てよし、でしょうか?」
「いや、別に終わってないから」
「これは一本取られてしまいました〜」

まだ始まったばかりだ、この……って。なんで坂を登らんといかんのだ!

「ま、風もありがとな。あれのおかげで義勇軍なんてものをある程度は制御できそうだ」
「いえいえ、お安い御用です。一応、南皮に入る時は武装解除もさせるようにしましたし」

うむ。パーフェクトだ。

「助かる。頼りにしてるよ」
「いえ、ご主人様のためならえんやこら、です〜」
「やめてくれ、頭痛が痛くなるわ」

くすくす、と風は笑うけどなあ。実際その呼び方よ。まともな羞恥心があったら耐えられないと思う。というか俺にはそんな性癖はないわ。
せめて閨だけにしてくれっていう。

「東夷、と倭国とおっしゃいましたね?あの人を」
「ん?おう。だからまあ、中華の儀礼に詳しくなくてもしゃあないだろ……」

肩をすくめる俺を風はにこり、として見つめる。
ん?
……何か間違えたか?

「東の海上にある島、倭国。それはあの方たちの前で言わなくて大正解ですね〜」
「ふ、風。何を言ってる?」

俺を見透かすような目線で。いや、俺の心胆など見抜かれて当然か。

「倭国、本当にそうでしょうか?あの白き衣、その不可思議な光沢。
 むしろ、東の海上にある島、仙境。かの方士、徐福が向かったという……」

風はくすり、と笑っているのだが俺の内心は氷点下。
目線で風が追求してくる。分かっているのだろう、と。

「蓬莱、か」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/06(木) 22:14:45.15 ID:T5y8VJ7m0<> 観念して俺は白状する。西の崑崙、東の蓬莱。
いずれも神仙が住まう神域だ。
現代日本。それをこの時代、この世界で当てはめればそれは蓬莱だ。
つまり、そこから来たということは。

「さすれば。天の御使い、その論拠になってしまいますね〜。
 蓬莱から、となればその呼称も天子様の権威を侵すものではない、と解釈できなくもないですし。
 なかなかに、やり辛いですねえ」

くすくす、と楽しげに笑う風が今は頼もしい。

「そうだ。だから彼奴(きゃつ)らには倭国という言葉すら使わせない。そこに気づかれたら厄介だ。
 彼奴には神仙の、所謂(いわゆる)神通力などないだろうさ。
 だがそれでも人心を乱すには十分だ」

現代知識とかいくらでも汎用性あるしな。他ならぬ現代知識の恩恵を受けている俺が一番知ってる。

「くふ、そですね。たとえば曹操殿、何進様がその風評を耳にして手中に収めたらと思うと、どきどきしちゃいますね〜」
「やめて。冗談でもやめてくれ。本当に、本当に対処に困るわ」

華琳とか搾りつくすぞ。
現代知識チートな華琳とかマジでやばい。どれだけやばいかと言うと世紀末覇王が超野菜(サイヤ)な異星人だったくらいやばい。

「くふふ。でも、ありがとうございます」
「何が?」
「こんなにも心胆を明らかにしていただけるとは、予想外でした〜」

いやいや。風に隠し事しても百害あって一利無し、と断言できるね。

「よせやい。
ほんと。頭もそんなによくないし、腕っぷしもそこそこ。そんな中途半端な俺に付いてきてくれたんだ。
 俺にあるのは金と地位、それに膨らんだ風聞のみさ……」

言ってて悲しくなってきた。なんという上げ底。
笑えるっての。笑うしかないっての。

「まあ、何やら劣等感にまみれているようですが。
家柄、それに伴う権限など望んでも得られないと思うのです〜」

だから、それだけっぽい自分がアレだなあ、と思うのよ。

「くふふ、その生まれ持った特権。そこに胡坐(あぐら)をかかないというのはそれで凄いことだと思うのですけどね。
 もうちょっと自信を持ってもいいのかと思うのですが〜」

自信持つってなあ。俺の周りは化け物チックな人材ばっかりだしなあ。

「まあ、そこまで風を評価してくださるのはありがたいのですよ。
 結構好き勝手やらせてもらってますし」
「おうよ、どんどんやってくれ。
 いくらでも追認するし」
「くふ、ありがたくその信頼を受けるのです〜」

とて、と急ぎ足で去る風。
いや、頼りになるなあ。
文武に俺、恵まれたなあ。
ありがたや、ありがたや。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/06(木) 22:16:09.39 ID:T5y8VJ7m0<> 日は落ち、下弦の月と星のみが光源たる夜道。そこを少女は歩く。いや、夜道と言うよりは庭園、と言った方が適切。

整えられた石畳をやや頼りなく少女は歩く。

蜂蜜色の髪は長く、緩やかな胡乱を描いて月明かりに光輝を残す。

「少女よ、どこへ行くのかね」

声の主はそれまでいなかったかのように突如として姿を現す。
ここは張家、その本宅。無数の結界があるにも関わらず、この少女は歩みを止めずに来たのだ。それも易々と。
警戒して当然である。
誰何(すいか)の声に、歩みを止めて少女は答える。

「おお、数刻ぶりに人の姿を認めましたね〜。
 さて、ここはどこで、これからどこへ行くのでしょうかね〜」

くふ、と笑む彼女に男は興味を抱く。

「さて、どうしたものかな。お望みの答えなぞ、ここいらにはないと思うがね。
 まったく、ここにどうやってたどり着いたのやら。幾重にも人払いの結界が張られていたはずなのだがな」

「生憎(あいにく)、そういう手妻の類いは風には通じませんので〜」

くふふ、と笑みは深まる。

「なるほどな。君が、君こそが怨将軍の懐刀。
 流離(さすら)いの賢者たる程立、か。
 それとも、怨将軍に見いだされた隠者の方がお好みかね?」

淡々とした声に皮肉を含ませる。それに程立は反応しない。ただ瞑目するのみ。
不審に思い張?が口を開こうとしたその刹那。

「おお、寝てました!」

流石にその言は想定外。さしもの張?も言葉を失う。
くは、と軽く欠伸(あくび)する程立に投げる言葉を探すことになってしまう。

「さてはて、帰り道も分かりません。これは困りました〜」

全く困った風もなく程立は嘯(うそぶ)く。

「おお、目の前に親切そうなお兄さんがいたのです。
 これは行き倒れなく済んだかもしれませんねぇ〜」

暢気な少女の物言いに張?は苦笑する。柄にもなく。
あの好漢とはまた違った意味で調子が狂うな、と。

「さてさて。この場でご迷惑をおかけしました。程立と申します。お見知りおきをくださればありがたいですね〜」

この面の皮の厚さよ。
張?は湧き上がる感情を持てあまし、対応が遅れる。
だから対応が後手。

「お兄さんは?」

問われてしまう。汚泥に沈んだこの身を晒してもいいものか。そんな惑いすら。

「ふむ。この身は暗殺専門の飼われ狗。
 君のような、春風のような少女が気にすることはなかろうよ」

くすくす、と少女はおかしげに笑う。

「これはこれは。如南に張り付いているかと思えば……。
 張家は神出鬼没とは納得ですねえ。
 これは僥倖。お姉さまがいらっしゃったら取り次いでいただきたいものですねえ。 
 いえ、お忙しいとは分かっているのです。
 会えないならそれで動きようもありますし」

くふふ、と可笑しげに笑うこの少女に張?は底知れないものを感じる。
もしやこの少女は義姉に匹敵する英傑ではないかと。

「おう、兄ちゃん。考えすぎてもいいことないぞ?」 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/06(木) 22:16:35.95 ID:T5y8VJ7m0<> 少女の服飾と思った人形が喋り、張?は惑いを深める。

「いけませんよ、宝ャ。出過ぎてしまったら二郎さんに迷惑がかかるかもしれませんし〜」

ふむ。張?は頷く。

「正直、護衛とかは粒ぞろいですし、無用と思うのですね」
「無論。任せてもらおう」

くふ。
その笑みに含まれてしまいそうになる。
そしてその問いに揺れる。

「黄巾、徒労どころか摩耗していますね」

違う、と即座に答える。
これは間違えてはいけない問答である。
ゆるく笑む。
彼女の笑みの裏の苛烈さ。

「黄巾の背後をつかめていないのは確かだとも」

負けを認めるに等しい言葉。それすら甘く響いた。

「その言葉が聞きたかったのですよ」

くふふ、と笑みが深まる。

「そですね。……劉備。
ここに草を根付かせてほしいのですよ〜」

ふむ、と張?は頷く。ここまで言われて否やはない。
だが。

「いえいえ、精鋭など送らずとも結構ですよ。
 第三者的な感じでお願いしますね。
 余り密着しても……取り込まれるかもですし」

なるほど。

「ええ。またお会いする機会もあるかと。
 ……次もまたお味方であればいいですね。
 いえ、風は主に従うのみですし」

くふふ、と笑う程立。
張?は苦笑する。
ふむ。どうやらこの世は思ったよりも。随分と面白そうではないか。

歪めた口唇は笑みの形。それは彼が浮かべる自然な笑み。
それを自覚するのは致命的に後のことである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/06(木) 22:17:24.01 ID:T5y8VJ7m0<> 本日ここまですー

感想とか題名がほんとうに求めて <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/06(木) 23:10:13.82 ID:q5O86SmZo<> 乙です

このなんやかんやでくっそ有能な風たるや、さすがである
コミカルに揺れていたと思ったら次の瞬間懐深く切り込んで来る妖刀もかくやの切れ味、大好きですとも


題案
『昼風温く、夜風冷たく』 <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2018/12/07(金) 20:42:08.34 ID:84fe6fwx0<> 乙です。

来たねぇ、『天のパシリ』
さぁてこちらの『最終兵器ゴリラ(うおい)』に拳骨の土産持たせて叩っ返しますかねwwwwwww

で、二郎さんの艶福に磨きがかかっていますがこれにれーはさんが加入するかもだし、世の中の野郎からすれば殲滅認定モノですな(例外アリ)
個人的には陳蘭ちゃんもちゃんと囲いなさいよと。いやマジで。

義勇軍。正直言って大小問わず軍事力を持つ封建勢力にとっては迷惑な存在だろーなー。劉備達がどこまで巡ったかは不明ですが規模の大小問わず戦力を引き抜かれた側は手当てが非常に大変な訳で。
そのあたりを肌で理解している官僚が冷たく扱うのも、二郎さんが「ぶぶ漬けでも(ry」とあしらうのも仕方ないわな。
先はわからないが汝南に義勇軍が行ったらマジでこっちでタコ殴りにしてやる。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/07(金) 21:38:53.18 ID:+JCfy3pM0<> >>320
どもです。

>このなんやかんやでくっそ有能な風たるや、さすがである
>コミカルに揺れていたと思ったら次の瞬間懐深く切り込んで来る妖刀もかくやの切れ味、大好きですとも
キレッキレの感想ありがとうございますー
正直嫉妬しそうなレベルの言葉のチョイスが素敵すぎます。

そして
>『昼風温く、夜風冷たく』
こういうの、出てくるのすごいなあと思います
ほぼ採用ですありがとうございますパルパルパルパル

>>321
どもです。

>来たねぇ、『天のパシリ』
なんかめっちゃ刺さりましたw
すげえっすわw

>で、二郎さんの艶福に磨きがかかっていますがこれにれーはさんが加入するかもだし
ちゃ、ちゃんとあっちではタグに<ハーレム>って入れてますし(だからどうした)

>個人的には陳蘭ちゃんもちゃんと囲いなさいよと。いやマジで。
熱い陳蘭ちゃんプッシュありがとうございます。
囲うというか、なんというか。特別な存在であるのは確定的に明らかではあります。

>義勇軍。正直言って大小問わず軍事力を持つ封建勢力にとっては迷惑な存在だろーなー。
普通に考えてノータイムで舌打ち案件ですよ。

>先はわからないが汝南に義勇軍が行ったらマジでこっちでタコ殴りにしてやる。
そのときはご存分にオナシャスw
※如南に行くとは言ってない
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/07(金) 21:49:15.07 ID:Jz0HFKVLO<> おつー
はわわとあわわが許されざる事したらコバビーチ氏が別名義で書いた艷本を書庫に置いてやる <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/08(土) 18:01:57.22 ID:5EF36eZa0<> 乙でしたー
>>307
>>「嬉しかったぞ?妬いてくれて」   考えてみたら今までの投降した奴も全部見返さないといけない可能性?
○「嬉しかったぞ? 妬いてくれて」  ちなみに文末に使う場合は空けなくていいようです「〜なんだぞ?」とか「〜しろ!」とか
>>さっきまでの可愛い星を返せ!いや、帰ってきて!   今まで気にしてなかったから大変だ(笑)。大変だ……
○さっきまでの可愛い星を返せ! いや、帰ってきて!  でも今までの分はこっちはどうしようもないから、なろうの方で一ノ瀬さんが泣くだけかな(暗黒微笑)
>>「と、言われてもな。星なら『気が合う』からというだけで決断してもおかしくないし。  まあココは私の好みですが
○「と、言われてもな。星なら『気が合うから』というだけで決断してもおかしくないし。  もしくは【星なら『気が合う』と言うだけで】括弧の位置はこの方がいい気がします
>>え?なんで?なんかそんなイベントあったっけ?   遠い昔に国語の時間に習ったのかなあ、でも!と?については……どうだったっけか
○え? なんで? なんかそんなイベントあったっけ?  文章の最初は1つ空けるとか最初に、や。を持ってこないって言うのは覚えてるんだけど
>>308
>>あれか、阿蘇阿蘇のアレか?いや星に限ってあんな与太話(プロパガンダ)を真に受けて憧れるとかない……はず……。   たしかにあれは話半分だけど逆に言えば半分くらいは事実だったような…
○あれか、阿蘇阿蘇のアレか? いや星に限ってあんな与太話(プロパガンダ)を真に受けて憧れるとかない……はず……。  そういえば地方行脚してた時も親しい人に送ってた手紙とかから内容に問題ないと判断された話が勝手に阿蘇阿蘇に載ったりしたんだろうかw
>>閲兵式とかなんかか?あれなら、とは思うのだがそうでもなさそう。   新しい誤字報告のネタが見つかってしまった。ふふ……コワイ
○閲兵式とかなんかか? あれなら、とは思うのだがそうでもなさそう。  ところでそろそろこのスペース報告するときの後ろの言葉が尽きそう
>>……っ!黒山賊か!   何を書けばいいのか、内容については後でまとめて書くつもりだし
○……っ! 黒山賊か!  あれは二郎ちゃんにとって痛恨だったろうな……相撲無双した時とか絶対慢心してただろうし
>>惹起されるのは血の海、敗北、そして虚勢。  【惹起】と言うのは問題を引き起こすことを言うそうです
○想起されるのは血の海、敗北、そして虚勢。  この場合は単純に記憶が呼び起されると言うか、連鎖的に思い出してるだけなのでこちらかな?まあそれに合わせて叫んだり意識飛んだりするなら別ですが
>>315
>>「やめてくれ、頭痛が痛くなるわ」  わざとかな?そんな気もする
○「やめてくれ、頭が痛くなるわ」   もしくは【頭痛がしてくるわ」】とか?でも風との会話を楽しんでると言うか軽口でワザと間違えてる様にも
>>「東夷、と倭国とおっしゃいましたね?あの人を」   まあ海を隔ててる分下手すりゃインドとかよりもよく分からん土地だろうしな
「東夷、と倭国とおっしゃいましたね? あの人を」   それでも天の御使いよりは現実的とはいえあっさりとそれを信じてくれたあたり風からの信用の高さが窺える
>>「倭国、本当にそうでしょうか?あの白き衣、その不可思議な光沢。   でも冷静に考えてみたら古代中国に来て数か月も着た切り雀してたら光沢なんぞ……
○「倭国、本当にそうでしょうか? あの白き衣、その不可思議な光沢。  大体お前らの着てる服も十分以上に《原作準拠の検閲》眼鏡とか12《検閲削除》
>>彼奴には神仙の、所謂(いわゆる)神通力などないだろうさ。  ふむ?二郎ちゃんは何を根拠にこんなことを言ってるのだろう、自分だって三尖刀を使えば神通力めいたことができるし、知り合いにはゴッドヴェイドウとか言う気の使い手やら、そもそも一刀の隣には自分が危うく全てを捧げそうになった劉備がいると言うのに、そもそも日本からの転移者とは判断できても自分と同じ世界なのかこの偉人の多くが女性の世界なのか、二郎ちゃんが生きてた頃と同じなのかそれより未来なのか、下手をしたら紀霊が自分の世界の未来から来た可能性もあるだろうに
○アレが本当に天の御使いだとするなら、その天とやらから一体何を吹き込まれたのか、何を授かったのかは想像もできんな。ありそうなのはそれこそ『天』
製の人を惹きつける才、とかか? まあ凡人がどこまで感じ取れるかは微妙ですが、少なくともこれほど異常な存在を《たまたまなんの力も無いただの一般人が転移してきた》とは見ないんじゃないかな?この世界の主人公、とまでは見なくても何らかのチート……なろうを知らなくても危険視はすると思う>>「ふふ、だが少し揺れたのは本当だ。何か不思議な人物だったな、北郷という男は」 この後に星の過去話をされると、余計にこの台詞が、昔劉備と出会った時の事と結び付けそうだけど
まあそのへんは傍目八目で当事者にとってはさらりと流したりその後の話が印象的過ぎて重視しないのもよくあることですが

ちょっと待ってね、残りはもう少し後で書くから <> 赤ペン<>sage<>2018/12/08(土) 23:28:43.49 ID:5EF36eZa0<> ちょっとミス
>>316
>>彼奴には神仙の、所謂(いわゆる)神通力などないだろうさ。  ふむ?二郎ちゃんは何を根拠にこんなことを言ってるのだろう、自分だって三尖刀を使えば神通力めいたことができるし、知り合いにはゴッドヴェイドウとか言う気の使い手やら、そもそも一刀の隣には自分が危うく全てを捧げそうになった劉備がいると言うのに、そもそも日本からの転移者とは判断できても自分と同じ世界なのかこの偉人の多くが女性の世界なのか、二郎ちゃんが生きてた頃と同じなのかそれより未来なのか、下手をしたら紀霊が自分の世界の未来から来た可能性もあるだろうに
○アレが本当に天の御使いだとするなら、その天とやらから一体何を吹き込まれたのか、何を授かったのかは想像もできんな。ありそうなのはそれこそ『天』
製の人を惹きつける才、とかか? まあ凡人がどこまで感じ取れるかは微妙ですが、少なくともこれほど異常な存在を《たまたまなんの力も無いただの一般人が転移してきた》とは見ないんじゃないかな?この世界の主人公、とまでは見なくても何らかのチート……なろうを知らなくても危険視はすると思う>>「ふふ、だが少し揺れたのは本当だ。何か不思議な人物だったな、北郷という男は」 この後に星の過去話をされると、余計にこの台詞が、昔劉備と出会った時の事と結び付けそうだけど
まあそのへんは傍目八目で当事者にとってはさらりと流したりその後の話が印象的過ぎて重視しないのもよくあることですが
>>とて、と急ぎ足で去る風。  ここも私の好みの問題かな?でも擬音としてはちょっと違和感が
○とてて、と急ぎ足で去る風。 若しくは【とてとてと】とかの方が良いと思います
>>317
>>日は落ち、下弦の月と星のみが光源たる夜道。そこを少女は歩く。いや、夜道と言うよりは庭園、と言った方が適切。 ちょっと順番を入れ替えてみようかな
○日は落ち、下弦の月と星のみが光源たる夜道。いや、夜道と言うよりは庭園、と言った方が適切。そこを少女は歩く。 上の文だと【少女が歩く】部分よりも【庭園を歩く】が強く印象に残る気がします
>>蜂蜜色の髪は長く、緩やかな胡乱を描いて月明かりに光輝を残す。 胡乱って正体が怪しいとか真実か疑わしいとか乱雑って意味らしいですが
○蜂蜜色の髪は長く、緩やかに胡乱な影を引いて月明かりに光輝を残す。 あるいは【緩やかにたなびいて月明かりに】とかどうでしょう
>>だから対応が後手。 この前の文章と合わせて2回【対応】が続くのはちょっとしつこい感じがするので
○ゆえに後手に回る。 とかどうでしょう
>>その笑みに含まれてしまいそうになる。 ちょっと【含まれる】の意味が分かりづらい気がします
○その笑みに呑まれてしまいそうになる。 相手に圧倒される、みたいな意味ならこれでしょうか?ちょっち自信が無い
>>負けを認めるに等しい言葉。それすら甘く響いた。    えっと、張コウの声が甘く響いたんで?
○負けを認めるに等しい言葉。それにすら甘美を抱いた。 張コウの愉悦がどこにあるのかはいまいち分かりませんが恐らく破滅願望っぽいのと、敗北感かなあ?本来彼の仕事は敗北=死だからこそ……
>>ふむ、と張?は頷く。ここまで言われて否やはない。      えーと?そんなに強くも丁寧にも言われてないので【ここまで】と言うほどではない気が
○ふむ、と張?は頷く。彼女の聡明さを鑑みれば否やはない。 それとも【ここまでの言を思えば】とかどうでしょう

さらっと出てきた人払いの結界……それも呈立《には》通じない類のそういう手妻、そういえば袁家の武家四家で紀家が宝貝が使えて、張家がこれで、文家の先代があれで、顔家も先代で失伝した何かがあったんだろうか
二郎ちゃんは凡人なんだから敵を低く見積もっちゃいけないよ。少なくともあの劉備が《ご主人様》と呼ぶ相手だものただの未来知識持ちなだけの学生とか思えるわけが無い……と思うんだけど
ついでに言うと諸葛亮が袁家で劉備にそう呼ばせることを許してることとか劉備がそう呼ぶってことは関羽と張飛も劉備より上と認めてるってことで
ここにいる子供っぽい張飛は凡人視点で油断しちゃうかもしれないけどまだ見ぬ関羽はあの曹操に勧誘されても自分の主は劉備だけって言ったような高潔な(頭の固い)人物、それが劉備が下に付くことを認めたとか明日は槍が降るかな?レベルなきガス
凡人はともかく呈立は劉備と諸葛亮がそうするだけのナニカがある、程度は予測してそうね
さすがに大まかな未来予知ができる事までは予測出来な……いや、乱れてなんかいない中華が乱れた時に姿を現す。と言われて事実その通りに黄巾党が現れたし有り得なくはないか、天の御使いが天命を知ってる、的な可能性
後はなぜ、あの場で趙雲を勧誘したのかを推理すると、あー?んー?駄目だ、本来の歴史では劉備陣営だったという前提が無いと意味不明すぎる
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/09(日) 22:15:51.34 ID:sW+4e6d/O<> 勝ったで(赤

ん〜ACL全振りのクラブって一体ww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/09(日) 23:25:19.55 ID:sVkhYhR10<> 乙
智者の悪巧みはやっぱ一味違いますね
切れると言う表現にふさわしい
タイトルつけるなら太極図から連想して「陰陽」とか?

そもそも
>「認めませんので〜」
と言ったそばから
>「趙雲さん、俺たちと一緒に来ないか?」
とか儒を全く知らん現代日本人でもありえんww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/12/10(月) 06:56:50.27 ID:3YhVqtJJ0<> >>327

>そもそも
>「認めませんので〜」
と言ったそばから
>「趙雲さん、俺たちと一緒に来ないか?」
とか儒を全く知らん現代日本人でもありえんww

世間知らずのアスペ君じゃろ?この時点ではお飾りにしかならんわ、北郷一刀www

あと張勲さんの弟がずいぶんと人間くさくなってますが(良い良い)風ちゃんの頼みを聞いたのは姉から許可出てるのかなぁ?

<> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/10(月) 11:53:57.84 ID:QoA8w+aR0<> ああ、まだミスってた
○アレが本当に天の御使いだとするなら、その天とやらから一体何を吹き込まれたのか、何を授かったのかは想像もできんな。ありそうなのはそれこそ『天』 製の人を惹きつける才、とかか?
こうやね、二郎ちゃんが転生チートとか俺つええについて知ってるかは微妙ですが、それを抜きにしても神様めいた《天》とやらの御使いなら《天》に選ばれるだけの何か(才能)を持ってるとは予想しそう
>「趙雲さん、俺たちと一緒に来ないか?」  これは本当にね、曹操と言う『私が天を裏切ろうとも天が私を裏切ることは許さず』な人ですら二郎の前では郭嘉に対して《私の所に来ない?》じゃなくて二郎ちゃんに《私の所によこせ》と言ってるのに。なお二郎本人に対しては直で行く模様……仕方ないね、曹操が袁紹に配慮とかいろんな意味でしなさそうだし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/10(月) 19:36:33.15 ID:nWmMlFVd0<> >>323
どもです。

えっと、コバビーチ氏って誰ぞ?
キレッキレのツッコミだけど彼が誰かが分からないw

>>324
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回長居w

>考えてみたら今までの投降した奴も全部見返さないといけない可能性?
キリがないので、これに関してはローカルルールとしてないことでオナシャスw
むーりーw

>あれは二郎ちゃんにとって痛恨だったろうな……相撲無双した時とか絶対慢心してただろうし
いけるやん?! とまではいかなくてもね。中々順風満帆とはいかないものです。いきませんでした。

>  わざとかな?そんな気もする
ここはわざとですね。ツッコミありがとうございましゅ

>それでも天の御使いよりは現実的とはいえあっさりとそれを信じてくれたあたり風からの信用の高さが窺える
風ちゃんはね。ある程度以上に電波を受信しますからね。万博も決まったし。とだけw

>でも冷静に考えてみたら古代中国に来て数か月も着た切り雀してたら光沢なんぞ……
ナイロンならむしろテッカテカになる可能性w

>二郎ちゃんは何を根拠に
逆に、宝貝、修行なくば無理だから、ですね。流石に女神転生から転生とかは想定してませんw
そんなんなら即ムドだろうし

>さらっと出てきた人払いの結界……それも呈立《には》通じない類のそういう手妻
さらっとね。少しずつねw そこに気づくとはやはり天才か……w

>二郎ちゃんは凡人なんだから敵を低く見積もっちゃいけないよ。
凡人だからw

>>326
>勝ったで(赤
オメデトゴザイマス! いやほんとw
資金力のあるとこに指揮官織部とか、いかんでしょ。
川崎に独走許したらいかんでしょ(無責任な恨み言)


>>327
どもです

>智者の悪巧みはやっぱ一味違いますね
お楽しみいただけたなら幸いです。割と今回難産でした

>タイトルつけるなら太極図から連想して「陰陽」とか?
あー、いいっすねえ
どっかで使わせていただきます。


>>328
どもです

>とか儒を全く知らん現代日本人でもありえんw
ですよねえ。でもこれ原作準拠なんすよ(マジレス)

>>329
赤ペン先生どもです

>二郎ちゃんが転生チートとか俺つええについて知ってるかは微妙ですが、それを抜きにしても神様めいた《天》とやらの御使いなら《天》に選ばれるだけの何か(才能)を持ってるとは予想しそう
これ、二郎ちゃんは全く想定しておりません(メタサービス)
そして、当然天の御遣いにはl=こPO、tα`乙゛POが実装されてますのでごあんしんくだちい

>二郎の前では郭嘉に対して《私の所に来ない?》じゃなくて二郎ちゃんに《私の所によこせ》と言ってるのに
はおーの二郎ちゃんラブが止まらない感じに乗ってきそうでやばいっす。
やべえ

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/10(月) 20:09:30.18 ID:nWmMlFVd0<> しかしこの黄巾編。
書いても書いても黄巾にたどり着かんなw

あっちで何日連続投下になるんやろか(震え声)
はよ仕事やめたい

蕪の栽培頑張るぞいっと <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/10(月) 20:51:49.63 ID:QoA8w+aR0<> ふと思った……ナイロンの洗濯の仕方(手洗い)とか俺知らん
恋姫連中は普通の洗濯は知ってるかもしれんが天の御使いの衣とか恐れ多くて
さすがに臭くなるまでアレじゃないだろうけど、うっかり力加減間違えて伸びたり縫製部分が《ビキッ》てなったりしてないだろうか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/10(月) 21:02:03.97 ID:nWmMlFVd0<> >>332
そう考えるとマジであれが光のオーロラ身にまとった感じなのか……?
もしくはナノスキンで自己修復機能があったり?

まあ普通に考えて暑苦しいから普段は着てないんだろうな。
縫製に関しては数年では劣化しないだろうし。

※適当な思索です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/10(月) 23:35:35.49 ID:QoA8w+aR0<> ちなみにどうでもいいことですが
私は誤字脱字の他にこいつは何でこんな考えしてんの? とかこいつは何でこんなこと言うの? 
と言ったこともついでに報告してますが(今回の二郎の一刀への印象とか)実際にはそれぞれのキャラの思考とかをこのキャラならこうだろう、とかトレースしてるわけではありません
一応これまでに出た情報から無理のない範囲で出せるだろう推理を出してはいますが、多分TRPGで言ったらクリティカルとか100面ダイスで90以上を出すようなことを書いてる時もあると思います
ぶっちゃけ誤字報告の為によく読み込んでるから僅かな情報を拾ってる気もしますし
なので私の指摘と言うか《こいつならこうするんじゃね?》みたいなことで一ノ瀬さんが「それは違う」と感じたものはそのままで全然OKです
そういうのを書くときにも○を使ってるからもしかして気にしてたりするかな? などと勝手に思ったので明言しておきますが
私のそういった指摘を反映するのもしないのも好きなようにしてくださいね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 21:10:51.96 ID:0xn0cVBq0<> >>334
ういっす。
ご丁寧にありがとうございますー

頑張るぞい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 22:22:21.58 ID:0xn0cVBq0<> 「久しいな、二郎」

来客である。
懐かしい顔である。
友人が遠方から来てくれたのさ。こんなに嬉しいことはない。論語にもそう書いてある。

「おう、華佗よ。息災そうで何よりだ」

五斗米道……じゃなく、ゴッド!ヴェイドゥ!の道士兼医師の華佗その人である。太平要術の書という危険な書を封印するために中華を旅するナイスガイだ。
暑苦しいけど。きっと属性は火だけど。

「うむ。どうにかこうにか、な。しかし流石袁家領内は治安がいいな。賊に襲われることも少なかった」

って、ゼロじゃなかったんかい……。これはいけません。
これは後で領内治安についてチェックせんとな。
まあ、閑話休題(それはそれとして)、本題だ。

「で、どうなの。太平要術の書って見つかったの?」

俺の問いかけに華佗はその秀麗な顔を曇らせる。むむむ。
どうも芳しくなかったようだ。

「うむ。荊州からここまで北上してきたのだが、その気配はなかったな。
 いや、ここにきて不穏な空気は感じるのだが、何かもっと違うような……。すまんな、上手く表現できん」
「や、気にすんなって。しかし張家と母流龍九商会にも網を張らせたが、それっぽい書物は見つけられなかったしなあ」

俺は俺で一応網を張ってはいたのだよ。駄目で元々、当たればもうけ、って。
そんな俺の言葉に華佗は重々しく頷く。

「無理もない。いや、軽々しく近づけばその人物が取り込まれる可能性もあるからな。却ってよかったかもしれない」

うげ、そんなに物騒なんかい。こわっ!
……そういやこいつゴーストバスターズとか対魔忍みたいな感じだっけか。
不可思議なことは専門家に聞くに限るね。ここはダメ元で聞いてみよう。

「そういや、領内で不可思議なことがあってな。
 村落が黄巾賊に襲われてるんだが、たまに、こう、な。
犠牲者が見つからないことがあるんだ。
 や、別に村民が無事ってわけじゃあない。死体含め、生存者もいないんだ。
 荒れた村落。それしかないんだ」

俺の言葉に険しい顔をする華佗。

「それは、まさか……」
「知っているのか、華佗!」

俺の声に重々しく頷く。
流石メイン道士は格が違った。

「うむ、心当たりは二つある。語ることさえ憚られる邪法だがな。
 一つは僵尸(キョンシー)。死体を操る妖術だ。もう一つは……死体を媒介に死という概念を贄にし、己が力を高めるものだ。
 いずれも禁呪だ。並の術者じゃ発動すらできやしない。
 ……無論、そうと決まったわけじゃない。
 決まったわけじゃないが……」

僵尸。いわゆるキョンシー……。それに贄、ね。まったく勘弁願いたいが、黄巾の乱のトップは確か張角。巫術により民を惑わせるのであったか。
ありえるな。全く、厄介極まる。
だから嘆息してしまうよ、こんな風に。

「やれやれ、だぜ」

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 22:22:48.94 ID:0xn0cVBq0<> 「そういや、これからどうすんの?」

俺の問いに華佗は苦笑する。

「流石に単身で流浪しても、成果に限りがあると分かったしな。
 暫くここ南皮に滞在するさ。ここなら太平要術の書の情報だって集まりやすいだろう?」
「そだな。俺も協力するし。
 ゆっくりしていってね!」

神医たる華佗が南皮にいてくれたら何かと安心だ。
むしろ囲い込むぜ。目指せ衛生兵部隊!

「はは、ありがたいな。
 だがまあ、いつまでも厄介になるわけにもいかん」
「別にただ飯食わせるわけじゃないからいいよ?
 ちょこっと、その神技を、だ。
腕をジャンジャンバリバリと振るってもらえばいいし。
 あわよくば弟子取ってその術を伝えてくれればいいし、な」

苦笑しながらも華佗は頷いてくれる。

「ああ、いいだろう。別に秘匿するつもりもない。
 一人でも多くの人が救われるなら本望というものだ。
 二郎が選んだ人材ならば悪用もせんだろうし、な」

そこまで買いかぶられても困るけどな!
でも嬉しい!

「……そうだ。華佗ってば気の扱いも達人だったよな」
「何をもって達人と言うか分からんが、いささかの心得はある」

ふむ、と大きく頷く。

「ちょっと見てほしい子がいるのよ」

もちろん、あの子のことだ。

◆◆◆
「五斗米道……ですか?」
「違う!
 ゴッド!ヴェイドゥ!だ!」

小首を傾げる凪に俺は雄々しく応える。ちなみに華佗は後ろで苦笑している。
華佗の叫びと思った?残念!俺でした!残念だったわね!

「は、はあ。その、
 ゴッド!ヴェイドゥ!
 の華佗殿を連れてこられたのは、いったい?」

生真面目に叫んでくれる凪。大成功なのだが、何か悪いことしたなあ。などとと思いながら答える。
ちなみに今は朝の鍛錬のお時間。
一通りのメニューを消化した後のややまったりとした時間だ。
流琉と陳蘭はお茶とお菓子の準備。星はなんかニヤニヤこっちを静観している。
華佗にご足労願ったのはそんな場である。

「ほら、凪って気を使うじゃん。華佗って気を使う達人だから、凪が更なる高みに昇るためにちょっと指導してもらおうかなと思って」
「は!ありがとうございます!華佗殿、ご教授よろしくお願いいたします!」

びし、と背筋を伸ばして華佗に拱手する。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 22:23:15.75 ID:0xn0cVBq0<> 「いやいや、二郎はそこまで言ってくれるが俺だってそこまで極めているわけじゃない。
 ……まあ、助言くらいはできるかもしれないが」
「はい!よろしくお願いいたします!」

華佗は苦笑しながら技を発動するように言い、凪は集中する。
拳を構え、集中する。

「ほぉ……」

星が感嘆の声を上げるほど。凪はその闘気を高め、静謐に練り上げる。

「心にて、悪しき空間を断つ。
 断!空!拳!」

突き出した拳は眼前の丸太――俺が毎朝立木打ちしているやつだ――に吸い込まれ、ビリビリとした空気の震えが耳を襲う。
あんなに丈夫な丸太がぐらんぐらん揺れている。
凄まじい威力だなおい。あれ食らったら悶絶……で済んだら御の字だな。

残心もそこそこに、こちらを向く凪。華佗が感嘆の声を上げる。

「いや、我流と聞いたがこれはすごい。ここまで気を練り上げることのできるのは俺の知己でも片手に届かない」

マジか。

だからと言ってゴッド!ヴェイドゥ!にスカウトとかしても許しませんからね!

◆◆◆

「結論から言うと、楽進殿の気の発動は著しく効率が悪い」

ガーン。
凪より俺の方がしょんぼりだよ。
一方の凪は、ふんふんと熱心に聞き入っている。

「静と動で言えば楽進殿は動。また、その拳も動。
 で、あるのに気を静に練り上げてしまっている。
 猛る思いはそのままに、荒ぶる魂を燃やすがいいと思うぞ」

はい、何を言っているかそろそろ分からなくなってきました。

「ですが、私の拳。それは人は討たず、その怨念を討つためのものです。
 感情のままに昂ぶるままに放っては、ただ壊すだけの暴力に成り下がってしまわないでしょうか」

おおう。
な、凪さんや。俺の心が壊されそうなんですが。

甚大なダメージを、現在進行形で受けている俺。そして追撃の凪である。
何か期待するような、問いかけるような。そんな目を向けてくる。oh……。
ままよ!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 22:23:44.54 ID:0xn0cVBq0<> 「武、とは戈(ほこ)を止める、というのが語源であると言う。
 凪よ、お前はその真髄に達している。間違いなくな。
 その昂ぶりのままに、熱くなれ。それでも、その昂ぶりのままに振るっても矩(のり)を越えない。それが辿り着いた境地さ。
 そして、見てみたいな。凪がどれほどの高みに至ったのか、と」

……なぜに俺は傷口を抉るのか。そしてなぜに凪はキラキラとした目で俺を見るのか。眩しい!眩しいよ凪さん!

「はい!二郎様!私の、全力を。全開を、この一撃に!」

ゴォ!と轟音すら幻聴しそうな勢いで凪は闘気をその赴くままに練り上げる。
腰を落とし、拳を構える。常の断空拳ならばここから静謐にそれを錬成するのだが、更に、そのままに練り上げ集束する。
その拳は光輝すら纏って。

「私のこの手が光って唸る!必殺!
断!空!拳!」

光る拳が丸太に届き、刹那、時が止まり。
ドゴォ!という轟音が遅れて届き……。
どさり、と音を立て、丸太はへし折れていた。

え。

マジで?
マジで?

「二郎様、如何でしたか……?」

期待と不安を込めて凪が俺に問う。
思いのままに振るった力を恐れるようでもあり、成し得たことを誇るようでもある。
だったら……!

「見事だ!その武技の冴え!最早俺を越えた!
 あれは断空拳に非(あら)ず。凪の修練が生み出した新たな奥義……。
 即ち、断空光牙拳!
 牙無き人の牙となり、闇を切り裂く光となれ!
 これをもって免許皆伝、とする……!」

……沈黙が心を抉るよ。抉るよ。やってもうた?やってもうたか!

「断空光牙拳……。未熟なこの身に過ぎたるお言葉……。
 嬉しく思います……。有難く、存じます……」

ゆらり、と歩を進める凪の前には巨岩。
腰を落とし、先ほどまでよりも更に闘気を練り上げる。
既に凪は光に包まれ、それはまるで金色(こんじき)の炎。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 22:24:11.04 ID:0xn0cVBq0<> 「高まれ、私の闘気よ……。
 はぁぁぁ……っ!」

ゴゴゴ、と。
今回は幻聴じゃない気がするよこれ。

「私のこの手が真っ赤に燃える!
 勝利を掴めと轟き、叫ぶ!
 爆熱!
 断!空!光!牙!拳!」

凪を包む光彩が右手に集束され、巨岩を打ち抜く。
数瞬後に、ぴしり、と響く澄んだ音。

俺は砕けた、かつて岩だったものを見て呆然とするしかなかった。
石割とかそんなレベルじゃねえわ。これまともに食らったら普通に死ぬる。むしろ爆砕点穴(物理)か?
それともこれが人体の不思議ってやつか!

そんな、微妙に賢者モードな俺に凪が声をかけてくる。

「一つ、壁を越えたように思います。免許皆伝、有難く。ですが!
 未だ未熟なこの身です。これからもご指導、ご鞭撻のほど、お願いいたします!」
「お。おぅ……」

こく、と思わず頷いた俺に凪はとってもいい笑顔をくれる。
く、その信頼しきったような瞳がまともに見れない。
逸らした視線が星と出会う。

「あ、あのな、星……」

わたた、と言い訳をしようとする俺の機先を制して。

「ふむ。主がこれほどまでに名伯楽だとは思いませんでしたな。
 ぜひともこの身にもご指導願いたいものです。
 ……まさかに、否と仰ることはないと思いますが」

いい笑顔ですね。とっても物騒ですね。どうして微妙に頬が上気してるのはなんでなんだぜ。

「二郎さま!私も!私も!」

あー、流琉は可愛いねえ。癒されるわあ。
でもキラキラした瞳を見ると心がゴリゴリ削られるわあ。

陳蘭は……用意したお茶をこぼしたのを一生懸命なんとかしようとしている。
もう、どうにでもなーれ。
覚悟を決めて臍下丹田に力を込めて声をあげる。

「よっしゃ!まとめて面倒みてやる!
 黙って俺についてこい!」

……多分、後になって頭を抱えるんだろうなあ。

ま、それもまたよし!
空元気も元気のうち!
元気があればなんでもできる!

とりあえず黄巾賊とか、まるめてぽいだ!

「やってやるぜ!」

おれはやるぜおれはやるぜおれはやるぜ……。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/11(火) 22:25:10.27 ID:0xn0cVBq0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名も本当に募集チュです
皆、いい感じで出せるのは分かってるんやで、出し惜しみしないでよボクを助けてよ!

心の叫びでございますた。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/11(火) 22:41:06.07 ID:Pr5N7Hcbo<> おつー
題名は『獣を超え、人を超え、そして…』か『見よ!南皮が真っ赤に燃えている!』ですかな <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/13(木) 14:47:35.47 ID:Tt17qP690<> 乙でしたー
>>336
>>……そういやこいつゴーストバスターズとか対魔忍みたいな感じだっけか。 《頭対魔忍》と《やーい、お前の母ちゃん対魔忍》と《お前対魔忍みたいだな》は言われたら戦争不可避だと思う
○……そういやこいつゴーストバスターズとか除霊屋みたいな感じだっけか。 もしくは【ゴーストスイーパー】とか【エクソシスト】とか?いくらなんでも対魔忍呼びはスゴイ=シツレイだと思う
>>僵尸。いわゆるキョンシー……。 上の方で【僵尸(キョンシー)】って書いてますよね、これは大事なことなので2回言いました?
○僵尸。キョンシーと言えば額にお札を張って両手を前に伸ばしているのを思い浮かべるが……。 まあこういう風に書く必要は特にないので
○僵尸。キョンシーかあ……。   これでも良いかもしれませんね
>>337
>>華佗の叫びと思った?残念!俺でした!残念だったわね!   そういえばゴッド!ヴェイドゥ!も本来はスペース空けるんだろうか?
○華佗の叫びと思った? 残念! 俺でした! 残念だったわね!  それはそうとそこまで(2回も言うほど)残念でもないんだが……【残念! 俺でした! 引っかかったわね!】とかにしてみる?
>>「は!ありがとうございます!華佗殿、ご教授よろしくお願いいたします!」   ここですぐに受け入れられるあたり本当に真っ直ぐ素直な子よね
○「は! ありがとうございます! 華佗殿、ご教授よろしくお願いいたします!」  そういえばローカルルールで……とか一ノ瀬さん言ってたっけ、まあ書くだけ書いとこう
>>338
>>「はい!よろしくお願いいたします!」   天然道士みたいなもんかねえ……宝貝も使えたりして
○「はい! よろしくお願いいたします!」  アレだと天然道士は肉体が頑強な代わりに宝貝適性は低いんだっけ
>>断!空!拳!」  ふと空裂斬を思い出した
○断! 空! 拳!」 もしかしたらかの流派の《牙》のそれはこんな名前だったりしてw
>>ここまで気を練り上げることのできるのは俺の知己でも片手に届かない」 片手に届く……背伸びかな?
○ここまで気を練り上げることのできるのは俺の知己でも五人といない」  【五指に入る】という言い方はありますがこの場合だとどうかなあ?
>>339
>>そして、見てみたいな。凪がどれほどの高みに至ったのか、と」  これ知ってる、倒置法って奴だよね!真剣ゼミでやった奴だ!
○そして、見てみたいな。凪がどれほどの高みに至ったのか、を」  なので【高みに至ったのかを】【見てみたいな】を逆転する形なのでこうですね
○そして、自慢したいな。凪がこれほどの高みに至ったのか、と」  もしくはこんな感じでしょうか?上だと現在の凪、下だといずれ完成させた凪を語ってる感じになるかと
>>眩しい!眩しいよ凪さん!  そりゃ(そんなこと言ったら)そう(いう尊敬の目を向ける)よ
○眩しい! 眩しいよ凪さん! 内面を知らなければそんなこと言えるあんたも含めて眩しく見えたんじゃねーの?
>>「はい!二郎様!私の、全力を。全開を、この一撃に!」   ??「これがディバインバスターのバリエーション!!」
○「はい! 二郎様! 私の、全力を。全開を。この一撃に!」  星の光の破壊砲撃ちそうっすね、それはそれとして【全力を、全開を、】かこの部分を【、】【。】のどっちかに統一した方がいいと思います
>>ゴォ!と轟音すら幻聴しそうな勢いで凪は闘気をその赴くままに練り上げる。  幻聴って聞こえないはずのものが聞こえることで、それが【しそう】って、つまりどういうことだってばよ?!
○ゴォ! と轟音すら聞こえそうな勢いで凪は闘気をその赴くままに練り上げる。  もしくは【轟音の幻聴がする勢い】いっそ【轟音の幻聴が聞こえるほどの勢い】とかかな?
>>「私のこの手が光って唸る!必殺!   断!空!拳!」    ちょっと1行にまとめて
○「私のこの手が光って唸る! 必殺!   断! 空! 拳!」  体中の無駄な力を抜いた岩をも砕く技と、超高速で炎や水を切り裂く技も覚えないと!!(小並感
>>ドゴォ!という轟音が遅れて届き……。   これだとそこまで轟音っぽくないような?
○ドゴォン! という轟音が遅れて届き……。 もしくは【バキィ! という轟音】これだと単純に丸太が折れた音か?【ガァン! と言う轟音】とか?丸太から普通ならしないような音って感じで
>>「見事だ!その武技の冴え!最早俺を越えた!   なお実際にいつから超えていたかと言うと
○「見事だ! その武技の冴え! 最早俺を越えた!  まだ三尖刀があるから……あるから!!
>>……沈黙が心を抉るよ。抉るよ。やってもうた?やってもうたか!  やっちまったなあ!!(餅をつきながら
○……沈黙が心を抉るよ。抉るよ。やってもうた? やってもうたか! やっちまったなあ……(光ってる凪ちゃんを見ながら
>>340
>>断!空!光!牙!拳!」    二郎ちゃんはこの技名を聞くたびに羞恥で身悶えるんだろうか
○断! 空! 光! 牙! 拳!」  まあそれを外に出したら凪が落ち込むから心中で、だろうけど
>>俺は砕けた、かつて岩だったものを見て呆然とするしかなかった。  これでも良い気もしますが
○俺は、砕けたかつて岩だったものを見て呆然とするしかなかった。  こっちの方が良さそうな気がします
>>むしろ爆砕点穴(物理)か?  まあ結果としては岩砕いてるけどアレはその名の通り岩の急所(穴)を突いてる技だし
○むしろカメハメハ(物理)か? 気を使う技を物理呼びして良いのかは微妙ですが、もしくは【波動拳(物理)】?

ちょっと待ってね残りはまた後で <> 赤ペン<>sage<>2018/12/13(木) 15:33:22.57 ID:Tt17qP690<> さてさて
>>340
>>そんな、微妙に賢者モードな俺に凪が声をかけてくる。   いつの間に絶頂を迎えたのか……スラング的なあれですが要は興奮が行き過ぎて逆に冷静になる、みたいな意味なんですが
○そんな、微妙に現実逃避気味な俺に凪が声をかけてくる。 まあ凪に合わせて熱血モード入ってたのが恥ずかしくなって冷静になった。なら賢者モードでも良いかもですが
>>「二郎さま!私も!私も!」  気の扱いに関しては二郎よりも華佗の方が……そう言う事じゃないんですね分かります
○「二郎さま! 私も! 私も!」 まあ人を守るための戦い方とかいわゆる無力化することに関しては二郎ちゃんは知ってるからな、殺さない事を前提にした戦い方って昔の人からしたら埒外だろうに
>>「よっしゃ!まとめて面倒みてやる!  (夜の)面倒は確かにまとめてみてるな(おやじかん
○「よっしゃ! まとめて面倒みてやる! 確かに教導役としては未来知識もあっていいのかもね

この忙しい時期に風邪をひいてしまい(微熱ですが)本当にどうしようかと
それはともかくこれで黄巾に対する効果的な手がいくつかできたな、とはいえこの情報をどこまで共有するかは難しい所だけど、とりあえず梨園の二人は確定として
武家四家……七乃と斗詩には教えるとして猪々子はどうするべきか
二郎ちゃんも教えるうちに自分もちょっとは強くなれる……かも <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/13(木) 20:15:31.76 ID:+s1C70q30<> >>342
どもです。

へへ、いい題名出してくるじゃねえか……!
おら、もっと持ってるんだろう?ジャンプしろよおらぁん!

とか書いてて正気に戻って何してんだろうと思う今日この頃です。

>>343
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>いくらなんでも対魔忍呼びはスゴイ=シツレイだと思う
やっぱだめかーw
字面と実態の乖離がすごいっすよねw
知らんけど(知らんから考え直します)

>ここですぐに受け入れられるあたり本当に真っ直ぐ素直な子よね
本当にそうなのですよ。
ネタにマジレスしまくりで心が痛いw

>アレだと天然道士は肉体が頑強な代わりに宝貝適性は低いんだっけ
そう考えると恋でしょうねえ
武力95越え勢はそうなのかもしれません

>??「これがディバインバスターのバリエーション!!」
もはや古典なので若い人には分からんだろうがそういうネタをぶち込んでいくスタイルw

>やっちまったなあ……(光ってる凪ちゃんを見ながら


>気を使う技を物理呼びして良いのかは微妙ですが、もしくは【波動拳(物理)】?
イメージはシャイニングフィンガー。ぐーだからヒートエンドはできない
むしろゴンさんのじゃんけんぐーかもしれない

>この忙しい時期に風邪をひいてしまい(微熱ですが)本当にどうしようかと
お体お大事にしてください。一ノ瀬は先月風邪引いたから大丈夫です!免疫やで。
風邪は食べて寝るしかないっすからねえ……w

>それはともかくこれで黄巾に対する効果的な手がいくつかできたな
実際これがないとどうしようもないのです。
黄巾編。放浪編なしで突っ込むとえらいことになったのですよ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/13(木) 21:29:46.50 ID:+s1C70q30<> 「ふむ……。主があのように名伯楽とは思わなかったぞ」

こ、心が痛い!痛いのだ。ぐはー。
そういうときは話をずらすに限る。

「そ、そういや凪は?」
「華佗殿に気の使い方を教わっている。熱心なことだな。
 なんでも気を応用した治癒を身につけたいそうな。
 相性が悪いのでどこまでモノにできるかは分からんそうだが、な」

一生懸命青嚢書とか勉強してたもんなあ。たまに俺に解説求められたけど全く分からんかったでな。
頑張ってほしいものである。
などと無責任なことを考えていたら、星がちょいちょい、と袖を引っ張る。

「どしたの?」
「なに、是非それがしも主のご指導を受けたい、と思ってな。
 どうやらそれがしは静の気質だそうで、華佗殿は助言もできぬらしいのだ。
 主ならば静の気についても含蓄があるのではないか?」

含蓄ってなあ……あんな適当なのでいいのか?

「まあ……俺は気についてはさっぱりだが、武の行きつく先。その真髄については心当たりがないでもない」
「ほう、駄目でもともと、当たれば儲けと思って言ってみたが。流石は主だな」

軽く馬鹿にしてるだろ。いや、しゃあないんだが。
とはいえ、適当にもほどがあるトンデモ理論になるぞ?

「ま、俺も理論だけしか知らんからな。耳学問にもなりゃしない。それでよけりゃな」
「うむ、頼む」

……そんな期待でキラキラした目を向けられても、なあ。

「まあ、話半分に聞いてくれ。書物からの机上の理論、ってな。
 さて、凪が気を巡らせた時、だ。
 凪の気。吹き出す様は顕現すらしてたろう?あれが動の気だな。
  静の気は真逆。その気を完全に外気と隔絶させる。
  即ち、『絶』。極めればそこにいるかどうか知覚すらできんと言う。
 習熟した猟師なんかは自然と一体化し、獣すらそれを感じ取れんそうだ。
 極めれば実体を空に消し去り、敵の攻撃はことごとくが外れる。
 『夢想転生』とでも名付けるか。最早神仙の業だな」

うむ、適当に色々ミックスしすぎだろ俺。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/13(木) 21:30:13.39 ID:+s1C70q30<> 「ほう……。思いもしなかった発想だな。
 ふむ……」

え。アリなの?

「だがまあ、中々に難易度が高そうだな。もうちょっと手頃なのはないのか?」

 まあ、言ったことを再現されたらびっくりだからね。とは言え、手頃な奥の手とか知らんし。

「注文の多い 武芸者だこと。そだなあ。
 『後の先』なんてどうだ」

いわゆる一つのカウンターってやつだね。これは俺でも分かる。いや、分かるけどできるというわけじゃない。

「相手の攻撃の意思を感じ取り、先手を取る。
 なんでも、頭で攻撃する。
と思ってから肉体が反応するまでの数瞬の隙を突くそうだ」

脊髄反射のちょっとした応用、ってことかなあ。
あれだ、思わず目を閉じちゃったりするみたいな。パブロフ的な?

「なるほど……。それも興味深いな。殺意を跳ね返す、ということか……?」

考え込む星。こっちはまだイメージしやすかったか。

「だが、双方がそれを極めれば千日手。どう打開する?
 主よ、言葉遊びになるが、『先の先』というのもあるのか?」

しらんがな。とも言えず。

「や、そこまでは流石に詳しくない。
 が、一つの到達点としては『無拍子』というのがあるそうな。
 これは攻撃のための予備動作とか、殺気とか一切発せずに放つ一撃。
 いかな達人とて察知は不可能とか。
言っとくけどな。俺には再現なんてできないし」

肩をすくめて苦笑する。

「いや、中々に参考になった。うむ。参考になったとも」

……好評だったようです。言ってる本人もどういうことかなんて全く実感はないのですが。

満足げに紀家軍の調練に向かう星を見ながらふと、思う。

「星ならできちゃったりするんだろうか……」

無論、応えなぞ、なく。
一陣の風が吹くのみであった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/13(木) 21:31:25.88 ID:+s1C70q30<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

前回にくっつけるかどうかは考えます
どないしたもんかねえ

題名、おらぁん!ジャンプしろよおらぁん!
いやほんとお願いします本当にあっちに投稿するときにぐるぐるしてるんですぅ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/13(木) 21:44:25.42 ID:p+rMHNh8O<> しょうがにゃいにゃー
『俺達は昇り始めたばかりだからな』か『この果てしなく遠い武の坂をよ…』 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/13(木) 21:53:26.07 ID:+s1C70q30<> >>349
未完やん! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/13(木) 23:05:25.97 ID:RLbHg94h0<> これはまた懐かしい作品だな
あまり覚えてないけど朱里雛里に対しての殺せコールが結構酷かった気がする
1から読んできます <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/14(金) 00:11:09.83 ID:CMjzaKdyo<> まあどうしてもここの蜀勢は敵役としてヘイト溜めやすいから仕方ない
むしろヘイト溜まるってことは敵役として一ノ瀬氏が正しく書いているってことなので良き哉良き哉

題案ですが敢えてネタに走らないとするならば
『武星への階、その一段目』 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/14(金) 22:07:54.14 ID:iTizOROM0<> >>351
どもです。

>1から読んできます
ぐえっへへへへ
こういうのがあるからやめられないんだよなあ
クオリティはお約束しますので、読み返した感想とかくだしあー

うえへっへへ


>>352
どもです。

>むしろヘイト溜まるってことは敵役として一ノ瀬氏が正しく書いているってことなので良き哉良き哉
ちゃうねん

ちゃうねん

>『武星への階、その一段目』
ほむ。
かっけーので、これはよい……
よい…… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/14(金) 22:28:28.60 ID:iTizOROM0<> 黙々と筆を滑らし、積み重なる書類を決裁していく何進。
煌々と照らされた室内は夜半を過ぎたにも関わらずに熱気に満ちている。
武官文官が慌ただしく出入りし、喧噪一歩手前である。
華雄は何進の背後に仁王立ち。揺るぎなく四方に目を、気を配る。
常ならばこのような時刻まで何進が執務を続けることなどない。それなりに優秀な官僚団にある程度は任せるのだ。
が、彼を日ごろ支える王允や蔡邑といった有力な文官はその姿を洛陽から消している。
官軍の監査官として派遣されているのだ。何進自ら実務に乗り出さざるをえないほどに、その体制は乱れている。切迫している。
いや、その身一つで政権を破綻させずに運営している何進を誉めるべきであろうか。

「フン、今日はこんなもんか」

疲労の色を欠片も見せずに何進はその手を止める。
残務を配下の官僚に任せ、何進は悠然と歩みを始める。
その背に従い、周囲に油断なく注意を払いながら華雄は問う。

「自ら、ご出馬されると思っていたが」

かつて起こった涼州の大乱。
その際には自ら兵を率いて馬騰と相対したのだ、この男は。
皇甫嵩、朱儁と言った層々たる面子を率い、あっさりと乱を治めた。
てっきり今回の乱についても自ら動くと思っていたのだが。

「……馬騰の時はあいつを討てば済むと分かっていたからな。
 今回は賊の根拠地すらまだ分からん。無駄足踏んでる暇はねえのさ」

洛陽を空けるわけにはいかん、と言う何進の表情は険しい。

今上帝、不予。

「泣きっ面に蜂とはこのことさ」

何進が珍しく愚痴るほどの凶事。
文字通り漢朝を揺るがす一大事である。


元々不摂生な生活を送っていた今上帝。それほど命を永らえるとは何進でさえも思っていなかった。
だが、いくらなんでも早すぎる。まだ弁皇子も幼くあり。
何進としては、後十年くらいは猶予があると思っていたのである。
ともかく、「乱どころではない」というのが正直なところでもあるのだ。
それでも、禁軍を発し官庫を開く。その果断さは何進に反感を持つ士大夫層ですら評価せざるを得ないところである。
だが、監察に数多の有為かつ親何進の文官を派遣したのはどうなのだろう。

そんな華雄の思考を何進の言が遮(さえぎ)る。

「フン、軍を発した。官庫も開いた。
 溢れているはずの官庫が空っぽとか笑えねえのさ」

笑うように吐き捨てる何進。華雄はなんとなく理解する。

「なるほど。横領、か」

腐敗したこの漢朝。さもありなん。
帳簿上はあるはずの物資がないというのはいかにもあり得ることだ。

「兵站の崩壊した軍ほど悲惨なものはないからな。
 ハ、官軍が村落から、城邑から物資を徴発するなど悪い冗談さ」

だから、監察には信頼を置ける者を派遣せねばならないのだ。いかにそれが負担となろうとも。

「それに、悪いことばかりでもないしな」

何進は苦笑する。

「中々に調査の手が及ばなかった官庫を大っぴらに監査できるんだ。
 この点では黄巾に感謝すべきだな」

ある意味実態の把握できなかった大きな利権に食い込めた、と何進は笑う。

「なるほど。不正をしていた官を誅滅してしまうということか」

大きく頷き理解の意を示す華雄に向ける何進の視線には諦観と苦笑とが絶妙に入り交じっていて。

「お前さんはブレない、なあ」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/14(金) 22:28:55.46 ID:iTizOROM0<> その声に華雄はやや不安げに問う。

「な、何か間違えた……か?」

何進は苦笑する。
まあ、いいだろう。これが彼女の持ち味なのだろう、と。

「汚職程度で官吏を追放してたらな。あっという間に機能不全になる。
 能力と人格は比例せんからな」

言外の絶望。それに華雄は気づかない。

「虫刺され程度で腕を切り落としていてはその日の飯すら食えなくなるということさ」

むしろその不正を一度は許し、恩を着せ。こちらの派閥に引きずり込む方が有益だと何進は苦笑する。

「む……。政治と言う奴か。よく分からない……」

悄然と呟く華雄。

「何、お前さんにはそんなことを全く期待していないからな。
 精々武を磨いてくれればいいのさ」

無防備な背を晒してくれているというのはそういうことなのであろうと華雄は気を取り直す。

が、問いかけずにはいられない。

「国を治める、というのはどういうことなのだろう。
 どんな感じなのだろうか」

ほう、と何進は表情を改める。明日は雨だな、と。

「私にはそういった能力や識見なぞ欠片もないことは理解している。
 だからこれは好奇心なのかもしれん。いや、それより下世話なものかもしれない。
 無視してもらって構わないのだ。
 だが、それでも。
 私だって前に進みたいのだ」

やや控えめに、自分の放った言葉を恥じるように華雄が笑う。

ふむ、と軽く何進は考える。
この女にどうやったら伝わるであろうかと。
吐かれた吐息。それの重さを今の華雄は知っている。

「フン。そうだな。国を治めるというのは、言ってみれば……庭師と変わらんだろうさ。
 湧いてくる毒虫を、毒蛇を駆除し、若木を剪定する。
 言ってみればそういうことだ。派手なことなぞ何もねえのさ。
 終わりのない雑務の積み重ね、ってとこか」

常ならば皮肉と韜晦に満ちている言。だがこれはそうではない、自分に向けられた言葉。華雄は目を見開き、反芻する。

「国の頂点としては、こう。微妙というか、楽しそうではないな。
 むしろ、労苦こそありそうだ」

それでも出るのは凡百な感想だけ。
だがそれに何進は起源よく応える。

「だから虚飾やら栄華に包むのさ。
 実に正しいのさ。誰が考えたか知らんがね。
 ま、横から嘴(くちばし)を突き出すだけなら阿呆でもできるということだ」

だったら、と華雄は問う。
何故にあなたはその双肩に漢朝を背負うのか、と。
何進は莞爾と笑う。

「決まってるだろう。俺以上に適任はいないのさ。
 それに、な……」

突然の風。

吹き荒れるそれに華雄は立ち向かうのだ。
士は己を知る者のために死す、と言う。
ならば、命の使いどころを自分は見つけたのだろう。

華雄の浮かべる笑みは、静謐ですらあった。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/14(金) 22:30:24.96 ID:iTizOROM0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

何進さんは凡将伝最強キャラの一角であるのは確定的に明らか
武力と政治双方でね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/14(金) 23:03:52.41 ID:S52fCLdHo<> おつおつ
ここの何進様は様付けしたくなりますな
革命の何進?しらないなー
題名は『庭師、雛に天地の高さを説く』 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/15(土) 11:53:19.87 ID:fDdg7j+M0<> 乙でしたー  そういえばなろうだとあれかもしれないのでチョイ訂正
>>336
>>……そういやこいつゴーストバスターズとか対魔忍みたいな感じだっけか。 【ゴーストバスターズ】も【対魔忍】も一般名詞では無くて固有名詞と言うか商標登録的な事されてる?(なろう規約に引っかかる可能性が微レ存
○……そういやこいつエクソシストとか除霊士みたいな感じだっけか。    考えすぎかもしれないけどわざわざそれっぽい単語を使うことは無いので
>>346
>>こ、心が痛い!痛いのだ。ぐはー。  あとこの【!】と【?】の後のスペースについてはそろそろやめようかな
○こ、心が痛い! 痛いのだ。ぐはー。  実際私もスペース空けてないし
>> 凪の気。吹き出す様は顕現すらしてたろう?あれが動の気だな。  動の気、静の気っていうと某通りすがりのサラリーマンが思い浮かんだり
○ 凪の気。吹き出す様は顕現すらしてたろう? あれが動の気だな。 あとは史上最強の弟子とか
>>347
>> これは攻撃のための予備動作とか、殺気とか一切発せずに放つ一撃。  【発せず】だと発することができない、みたいなニュアンスが
○ これは攻撃のための予備動作とか、殺気とか一切発さずに放つ一撃。  自分の意志でそれらを御しきる、と言う意味ではこっちの方がいい気がします
>>言っとくけどな。俺には再現なんてできないし」  これ前半の【言っとくけどな。】は前にかかるのか後ろにかかるのか分からないですが
○言っとくけどな。俺には再現なんてできないぞ」  ちなみに前(いかな達人とて察知は不可能とか。)にかかるなら【言ってるけどな】かなあ?

まあ一時期の転生SS物で火の魔法を現代日本でのマッチとかライターをイメージできるとか、光の魔法を電球や蛍光灯でできるから現地人よりもしっかりしてて有利、とか言うのがあったけど魔法を扱うための魔素がどうのとか精霊との対話がこうのとかを現代日本の常識が邪魔すると思うのよね
それらがあることが当然、ない事なんて想像できない、って言う現地人の方がそりゃあねえ
そう考えるとこういう摩訶不思議なエネルギー的な物への抵抗感が少ない星が《静の気と武の極み》なんてものを知ったらどうなることかw <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/15(土) 12:22:44.51 ID:fDdg7j+M0<> さて続きを
>>354
>>残務を配下の官僚に任せ、何進は悠然と歩みを始める。 間違いでは無いですがなんとなく違和感が
○残務を配下の官僚に任せ、何進は悠然と歩み始める。  でもこれだと【スタートする】みたいな意味になるか、あるいは【歩を進める】とか?……普通に【歩き始める】で良いかな?
>>皇甫嵩、朱儁と言った層々たる面子を率い、あっさりと乱を治めた。 【層々たる】だと幾重にも折り重なった、になるらしく……多分将軍が自軍を見てその人数の多さに使うような感じ?いまいち分かり辛いですが
○皇甫嵩、朱儁と言った錚々たる面子を率い、あっさりと乱を治めた。 傑出した人々、と言う意味ならこれですね
>>355
>>だがそれに何進は起源よく応える。 起源がいい……皇族の血筋かな?
○だがそれに何進は機嫌よく応える。 こっちですね

本当カッコいいよね、そして原作でなんか雑に死んだ華雄も……これならもしも反董卓連合で関を任されても迂闊にあけることはありませんわ
むしろ中国で汚職をやらないとか人間性を疑うか頭を疑うかよっぽど巧妙に汚職を隠してる超絶有能判定しそう <> 俯瞰者
◆vZOyjdZrOo<>sage saga<>2018/12/16(日) 17:18:10.26 ID:Vti43Ifj0<> 乙です。

華陀さんにひたすら「ごとべいど」発音で返し続けたらどうなるんだろう?しまいにゃ殴られるか?

凪さんついに、ついに。ダンクーガなら忍より沙羅を目指してほしいところですね。エロカッコイイキャラですし、沙和さんあたりに改造してもらいましょうかw

黄巾。という存在が引き起こした動乱に続いて霊帝崩御ですか。動乱が加速しそうですけどこの先が期待。
何進さんの発言自体重いです、そして説得力有り過ぎ。つかどっかの読み手が思い切りグッサリえぐられてますw

星さんも華雄さん的ポジを狙っているのかしらん?ただ申し訳ないが師匠としては華雄さんのほうが恵まれているかも。 <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/17(月) 15:36:50.89 ID:UmUjVTwB0<> 根競べになるんじゃないかなあ
「ごどべいど?」「違う!!ゴッド!ヴェイドゥ!だ!」が延々と続く不毛な会話
どちらかが折れるまで只々繰り返される……誰も得しねえな。折れなかったら?上記の会話が繰り替えされます <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/17(月) 22:12:59.63 ID:ZJrKEAkN0<> >>357
どもです。

>ここの何進様は様付けしたくなりますな
てへり

>革命の何進?しらないなー
原作アニメの何進さんもまた違う感じらしいっすしねw

>題名は『庭師、雛に天地の高さを説く』
かっけー題名ありがとうございますー
ちょっと参考にすることになるのは運命

>>358
>まあ一時期の転生SS物で火の魔法を現代日本でのマッチとかライターをイメージできるとか、光の魔法を電球や蛍光灯でできるから現地人よりもしっかりしてて有利、とか言うのがあったけど魔法を扱うための魔素がどうのとか精霊との対話がこうのとかを現代日本の常識が邪魔すると思うのよね
色々ありますよねw
ただまあ二郎ちゃんは気の適正はほぼゼロです

>そう考えるとこういう摩訶不思議なエネルギー的な物への抵抗感が少ない星が《静の気と武の極み》なんてものを知ったらどうなることかw
そらもうぐるんぐるん回路が回るに違いありませんw

>>359
>本当カッコいいよね、そして原作でなんか雑に死んだ華雄も……これならもしも反董卓連合で関を任されても迂闊にあけることはありませんわ
ありがとうございますー本当にありがとうございますー
やったぜ

>>360
>凪さんついに、ついに。ダンクーガなら忍より沙羅を目指してほしいところですね。エロカッコイイキャラですし、沙和さんあたりに改造してもらいましょうかw
実はダンクーガはスパロボのみの視聴であるのです
まだしもJ9の方が見てるます

>黄巾。という存在が引き起こした動乱に続いて霊帝崩御ですか。動乱が加速しそうですけどこの先が期待。
ここから大きく世の中が動く感じなのですね。
本当に、序章なのですよw

>何進さんの発言自体重いです、そして説得力有り過ぎ。つかどっかの読み手が思い切りグッサリえぐられてますw
ええー、これは最高の褒め言葉でございます。ありがとうございますー。
どっかの読み手さんが誰かは分かりませんが!

>星さんも華雄さん的ポジを狙っているのかしらん?ただ申し訳ないが師匠としては華雄さんのほうが恵まれているかも。
武技だけならば星ちゃんの方が恵まれているでしょうね。
それ以外については、なんとも言えないですが

>>361
>根競べになるんじゃないかなあ


>「ごどべいど?」「違う!!ゴッド!ヴェイドゥ!だ!」が延々と続く不毛な会話
バグやんw

<> 赤ペン<>sage<>2018/12/17(月) 23:28:36.12 ID:UmUjVTwB0<> 違うよ、バグじゃないよ、
ゆうしゃ はい
     →いいえ
そんな、ひどい
ゆうしゃ はい
     →いいえ
そんな、ひどい
これと一緒だから唯の仕様だよ、だよだよ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/19(水) 20:51:45.66 ID:XZag5Wfo0<> >>363
抜け道はあるのかw


今更FGO初めてしまいました
最初のガチャ爆死して遠ざけようとしたらヘラクレスきちゃったのん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/20(木) 00:26:45.77 ID:YXSySBdI0<> >>364
お前に世界の半分をくれてやろう
ゆうしゃ →はい
する…つまりその会話をしなければいい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/12/20(木) 08:11:41.80 ID:7vSQaowO0<> 今更ながら。
今上帝不予、つうことは「葬式出ろやゴラァ(意訳)」と各州牧に通知が来ているんじゃ?
「黄巾相手で忙しんじゃボケェ(意訳)」と返事しているのかな?

んで十常侍は何してるんだろ?葬式の準備wとか?まぁ多分こそこそ何進さんの邪魔して子供みたいに喜んでいるんだろうけど。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/23(日) 22:40:35.67 ID:OoxddR880<> アニメにしては結構原作リスペクトだったような気がする
なので後出しなのにデザインが全く違ったのには「!?」という印象でした(CVも違うし)
アニメ・凡将伝・原作(?)3人同時の絵とか面白いかなと思ったけど無理でしたww
年賀もちょい無理そうな気がしてきたのでクリスマス即興でなんかできたりしないかなぁと天恵頼み <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/24(月) 14:02:25.83 ID:NCNZZSvj0<> >>366
>今上帝不予、つうことは「葬式出ろやゴラァ(意訳)」と各州牧に通知が来ているんじゃ?
ま、まだ死んでないし(震え声)

>んで十常侍は何してるんだろ?葬式の準備wとか?まぁ多分こそこそ何進さんの邪魔して子供みたいに喜んでいるんだろうけど。
近からずも遠からずっすかね。

>>367
>なので後出しなのにデザインが全く違ったのには「!?」という印象でした(CVも違うし)
何進さんのことっすか?

>年賀もちょい無理そうな気がしてきたのでクリスマス即興でなんかできたりしないかなぁと天恵頼み
めっちゃ楽しみにしております。

少しずつでも書こう……!
いや、自分に向けた言葉ですw <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2018/12/26(水) 12:21:10.57 ID:oa/S8gO7O<> リメイク前と並行して読んでたからここまで読むのに2週間もかかったわ

オリキャラが全員魅力的なのが良い
陳蘭とかかなり好きだけど原作キャラが増えてくると多少影が薄くなるのはまあ仕方のないことかな

ネコミミはネコミミ
原作だと妊娠、出産した後ですら一刀君への態度がかなりキツイのに凡将伝だと二郎君に対して結構デレ多いね
ツンが弱いのに若干の物足りなさを感じるがこういう桂花もいいぞもっとやれ

桃香はねえ…
魏√での神輿なことを自覚してるし本当はここまでのことを望んでいたわけではないけどそれでも自分を信じて着いてきてくれてるみんなの為に頑張ろうってスタンスは結構好きなんだけどなあ…
蜀√だと一刀君という天の御使いとして自分より上の存在がいるから甘えてしまって成長できてないだけな気もする
基本的に一刀君が蜀以外にいる√では桃香、愛紗、はわあわそれぞれが結構な強かさを持ってるし

今のところほぼ同じ流れだけど三国志の本番はここからだしリメイク前とどう変化していくのかも楽しみにしてます <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 22:46:39.85 ID:L9uYG71L0<> >>369
どもです。

>リメイク前と並行して読んでたからここまで読むのに2週間もかかったわ
なにやってんすかw
いや、嬉しい限りではあるのですがw
リメイク前はこう、疾走感はあったかなと思います

>オリキャラが全員魅力的なのが良い
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
皆、頑張ってます。

>陳蘭とかかなり好きだけど原作キャラが増えてくると多少影が薄くなるのはまあ仕方のないことかな
全キャラやろうとしたら一生終わらないんで、これはまあ仕方ないっす

>ネコミミはネコミミ
>原作だと妊娠、出産した後ですら一刀君への態度がかなりキツイのに凡将伝だと二郎君に対して結構デレ多いね
これ、詠ちゃんもそうですが、最愛の人ににじり寄られているかどうかってのも大きいのではないかなって
凡将伝でもそっちに秋波してたらまた違った展開だったかなあとw

>桃香はねえ…
カリスマピーチビームさんはねえ……w

>魏√
逆にあのしぶとさ、図々しさは間違いなく劉備だなと思いましたw

>今のところほぼ同じ流れだけど三国志の本番はここからだしリメイク前とどう変化していくのかも楽しみにしてます
ご期待ください。
期待に応えられるかは分かんないですがw




<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:30:02.11 ID:L9uYG71L0<> ふにゃり。

緩む表情を自覚しつつも劉璋は手の中の書面から目を離さない。
既に数十回も読み直しているのではあるが。

「もう、ほんとに馬鹿なんだから!」

そんなことを言いながら寝台をごろごろと転げまわる。
書面を彼女に出したのは紀霊。現状の漢朝最大の勢力――抱える武力、経済力を含めて――である袁家。その筆頭幹部である。
……劉璋にとっては既にそれだけの存在ではない模様であるようなのだが。

「もう、また誤字脱字があるし、文体に統一もない。
ほんと、しょうがないんだから」

やれやれ、と言った風に卓に向かい、どこかうきうきとした様子でさらさら、と筆を滑らせる。
無骨な紀霊の書字とは違い優雅なそれは軽やかに。

「ま、まあ。これを見れば少しは私のことを見直すかもしれないわね」

そんな強がりを口にしながら劉璋はくすり、と笑う。

「劉璋様、紀家より文が届いております」

問題は彼女が検討に検討を重ねて返すよりも遥かに頻繁に文が届くことであろう。
既に何通返事を滞らせているか。

「まったくもう、次から次に……ほんとにもう。
しょうがないんだから」

実際。
届く文はほぼ雑談が多い。武人らしく、と言えばともかく。
優美さからはほど遠い文で、あれやこれやとしたどうでもいい内容が届く。
それが劉璋には嬉しい。
これまでなかった、対等な友人関係というのはこういうことなのであろうか。
そんなことを思いながら筆を執る。さて、なんと返そうか。
粗野で、直截的で、あからさまだけれどもまごころのある彼の思い。

ふにゃり。

緩む口元を自覚せず書面に目を落とす。

「黄巾、ねぇ」

そこには袁家の武の筆頭として戦に臨む決意が記されていた。
いつになく真面目な文面に劉璋はごくり、と唾を飲み込む。そして思う。
皇室の流れを汲む自分たちは何もしないでいいのであろうかと。

「誰かある!」

駆けつけた侍女に告げる。

「桔梗を呼びなさい!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:30:39.07 ID:L9uYG71L0<> ◆◆◆

「お呼びとのことですが、何事ですかな」

悠然と厳顔は劉璋に問う。
益州にて劉焉の補佐をすべき厳顔。彼女がここ洛陽にいることをとっても劉璋がどれだけ重要人物かは分かろうと言うものだ。
……まあ、厳顔の勤務態度については色々と論評の余地もあるかとは思われるが。
実際、艶然と微笑む厳顔の吐息からは酒精が漂う。
いっそ悪びれない彼女の度量をこそ賞賛すべきか。

「兵を発するわよ。仔細は任せるわ」

端的な劉璋の台詞に厳顔はほう、と唇を三日月の形に歪める。

「穏やかではありませんな。主命とあらば否やはありませんが、理由くらいは伺ってもよろしいか?」

「愚問ね。黄巾賊により世は乱れているわ。それを糺すのは畏れ多くも皇室の流れを汲む劉家の勤めでしょう?」

ふむ、と。
厳顔は嘆息する。
劉璋の言は正しい。この上もなく正しい。厳顔自身も許されるのであれば今すぐにでも兵を率いて黄巾賊を誅滅したいくらいである。
だが、できぬ。できぬわけがあるのだ。

「その言やよし。
 が、我らは動けませぬ」

厳顔の言葉に劉璋は激昂する。

「なんでよ!さっきも命に従うって言ったじゃない!
 馬鹿にするのもたいがいにしてよ!
 今動かないでいつ動くのよ!たまには私のいうことを聞きなさいよ!」

劉璋の糾弾の声。それでも厳顔は揺るがない。
にまり、と口を歪めて答える。

「璋殿。ここ洛陽へ参ったのは何のためかお忘れか。貴女様の勉学のためですぞ。
 些事に心を揺らさずに、本業に勤めるがよいかと。
 それに、一兵をも率いたことのない璋殿になにができようか」

心意気は買いますがな、と笑う厳顔に劉璋は噛みつく。

「だから、用兵は桔梗に任せるわよ!私だってできないことをしようなんて思ってない!
 でもね!今!どうして動かずにいられると思うの!」
「くどいですな。大人しく書物の紐を解かれるがよかろう。本分を大事になされよ」

これ以上相手にしてはいられないとばかりに背を向ける厳顔の衣服を掴んで劉璋は叫ぶ。

「なんでよ!私を軽んじるのはもういいわよ!でもね!袁家の武家筆頭たる二郎までもが直々に兵を発するのよ!
 どうして、どうして座していられるのよ!」

ち、余計なことを、と厳顔は刹那毒づく。余計な入れ知恵をしよって、と。
気が紛れるようであるから交友を大目に見てはいたが、失策であったか、と。
その苛立ち故か漏らしてしまう。

「今上陛下不予という現状、劉家は動けぬのです。否、動いてはならぬのです。
 動けば乗ずる輩が出てきます。劉家の血とはそれほどまで、重い。
 これは荊州の劉表殿とも合意していること。さらには何進殿からもそれとなく要請を受けております」

厳顔とて、本当であれば今すぐにでも駆け出したい。兵を率いて叛徒どもを撃滅したいのである。
だが、その立場故に動けぬ。その悔しさを口にしてしまう。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:31:05.37 ID:L9uYG71L0<> 「何よ、何よそれ……。
 私、知らないわよそんなこと。知らないわよ。知らない……。
 蚊帳の外なのは今に始まったことじゃないけど……。でも、それでもこれはひどいわよ!」
 
そして劉璋は気づくのだ。
自分を見る目が語る本音に。

「めんどくさいことになった」

軽んじられるのには慣れていた。劉焉という希代の英傑の娘として失望されるのにも慣れた。
何かしようとしても何もできないのもいつものこと。
だが、そんな自分を対等に扱ってくれたのだ。あの青年は。
漢朝が誇る北方の鉄壁、袁家。その武家筆頭の当主は自分を対等に扱ってくれたのだ。
その彼が、弱音を吐きつつも動くのだ。黄巾賊を討つのだ。友人としてそれを援護せずにいられようか。

だが、現実は非情である。劉璋には一兵たりとも動かすことは出来ない。できないのだ。

涙なんてこいつの前では見せてやらない。一切見せてやるもんか。
自室で布団にくるまりながら思う、想う。
ごめんと。援けにならないことを心の内で詫びる。

でも、会いたいと。それでも貴方に会いたいと。
叫びは届かない。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:31:37.25 ID:L9uYG71L0<> 夜半過ぎに降り出した雨は豪雨となった。
夜明けには止んだのではあるが、街道を泥濘にするには十分すぎて。

「ああもう、やってられねえな!」

男は毒づきながらも巧みに手綱を操る。隻腕ということを加味すれば賞賛されるべき速度で馬車を操る。
と、がたり、と振動が馬車に伝わり、男はふう、と大きく息を吐く。

「いや、疲れたね、どうも」

そして苦笑する。ようやく煉瓦で舗装された道に辿りついたのだ。それに安心する自分に重ねて苦笑する。
かつては舗装なんてされていないのが当たり前であったのだ。いや、今現在でもそれが普通で、袁家領内が異常なのだろう。
それでも、人というものは利便を味わうと後戻りできないものである。

……現在急ピッチで袁家領内と如南を結ぶ街道は整備が進められている。
人夫が、職人が如南に集まる。物資は消費され、如南はちょっとした好景気に沸いているのだ。
食うに困る流民も働き口に困ることはなく、むしろ人手不足の感があり、人件費もいい具合に上昇していく。
無論、それを主導した母流龍九商会だって巨額の利益を得てはいる。
男もその一員としてそれなりに利潤を抱えている。

まあ、流しの商人でも中々訪れないような僻地を巡る、いわばルート営業であるのだ。だから、やろうと思えば暴利だって貪れるのではあるが。
……無論母流龍九商会の面々は男をはじめとしてほとんどがそのようなことはしない。
その名前とは裏腹に「三方よし」が社是であるし。
いや、無論結構な利潤を得てはいるのではあるが、それだけではない。
がたん、と揺れる馬車でごろ、と何かが転がる音がする。

そう、ルート営業であるからこそ色々無茶も言われるのである。
例えば、今さっき音を立てて転がったようなものを引き取る、とか。

現金収入の術の少ない農村ではあれやこれやと不用品を押し付けて現金を得ようとするのだ。
例えば畑を新たに開墾している最中に見つかった、掘り当てた金属の何かであるとか。
今回押し付けられたのは腕輪、というには無骨な金属の塊。まあ、長い間地中に埋もれていても錆びついていないことを思えばそれなりに価値はあるとは思うのだが。
男は正直そこらへんの鑑定眼はないので装飾品扱いで引き取ってはきた。きたがこれに価値があるとは思えない。実際、一山いくらのジャンクに投げ捨てることになるのだろう。
……そんな感じで意外と持ちつ持たれつであったりするのだ。で、あるからこそ他の商人が訪問しても相手にされることはないのだ。
そういった機微、それを理解する人材が母流龍九商会の一番の武器であった。

「お、見えてきたか」

もぐり、と。くちゃくちゃと噛みしめていた乾した果物を嚥下してニヤリと笑う。
かの要塞都市、南皮と比べればいかにも貧相な城壁。
そこにも現在進行形で改修が進められている。

一刻もすれば如南の城壁に辿りつくであろう。
男は緩んでいた気を張って馬車を進める。

……なにせ彼の本業は行商ではないのだから。

ぶる、といななく相棒の首筋をごしごし、と撫でながらげらげらと笑う。

あの若大将はどうしているかね、と。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:32:03.81 ID:L9uYG71L0<> 「お邪魔するよー、っと」

隻腕の男は陽気に暖簾をくぐる。
店内は満席。いや、繁盛しているようで何より。

「あ、いらっしゃいませ!あ、お久しぶり!元気してましたか?」

出迎えるのは向日葵。
にこやかな陽光に男は苦笑する。

「おう、邪魔したかな。
 久しぶりに、煮込みが食べたくなってな。寄らせてもらったけど、肉の在庫は大丈夫かな?」

にやり、と笑いながら応える。符号つきの問い。

「お久しぶり!仕入れは主人が見ないとなんとも言えないのです。いえ、いつもいいものをありがたいのですが、ね。
あっちから、お願いしますね」

通されたのは裏口。そして座敷。

「ちょっと待っててくださいねー」

明るく言う彼女に苦笑する。彼女は世が世なら蝶よ花よと。
それでも彼女は選んだのだ、この道を。伴侶と歩むということを。

「難儀なことさね」

苦笑しても、ひとり。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:32:57.72 ID:L9uYG71L0<> ぐび、と盃に注がれた酒を飲み干す。
ふう、と大きく息を吐き、出された料理を摘まむ。
待ち人が室に訪れたのは一刻ほど過ぎてからであった。

「待たせたかな」
「いんや、商売繁盛、結構なこった」

にやり、と男は破顔する。

「おかげさまでね。昔馴染みも来てくれてるよ。如南も好景気だしね」
「はは、こわーい舅さんも来て大変って感じかい?」

ニヤニヤと笑って酒を李豊の酒器に注ぐ。
李豊の妻は紀家軍の重鎮である雷薄。現在如南での最高責任者でもある。
家族を愛する彼のことだ。さぞかし、とかつての上官の無骨な顔を思い出す。だが李豊の返答は意外なものであった。

「いや。
一度も来てくれてないんだよね、これが」

苦笑する李豊に男は絶句する。そんな、馬鹿な。

「公私混同はできん、まだ治まらぬこの地。身内に会いに行くなどと軟弱なことをして誰が俺に付いてくるか!
 ってことらしいよ」
「そりゃ、なんとも……」

自分に厳しいにもほどがある。というか、何か違うと思うのは自分だけなのだろうか、と思う。
だが、少なくとも紀家軍には効果は抜群であろう。何せ彼が娘を溺愛していたのは衆知の事実だからして。

「ま、お偉いさんは大変だな。って感じかな」

二人は笑い合う。

「……そいでな。もうちょっとしたら袁術様が如南にいらっしゃる」

男の言に李豊は顔を引き締める。これからが本題であろうと。

「袁家の掃除も済んだ。これからは中華の大掃除だそうだ。
 ご苦労なこった。あんなに休みたいって言ってるのになぁ。
 ま、それはともかく、とりあえずは現状維持で頼むわ」
「いいのか、それで」

男は苦笑する。

「所帯もちに無理はさせらんねえって。
ま、それどころじゃなくなれば分からんがね。
 取りあえずは懐かしい味を楽しみにしてるってさ。
 ……不本意かい?俺としちゃあ、ここから来る情報の精度だけで相当だと思うけどな」

ぐび、と酒を干して男は立つ。

「ま、ここ如南は戦乱に巻き込まれんだろうさ。不穏分子も押さえられたし、俺ら紀家の本気の軍に黄巾如きがどうすることもできんだろうしな。
 嫁さん孝行でもしてくんな」
「はは、それはありがたい、な。
 まあ、何かあれば言ってくれ。正直受けた恩義を返せなくて肩が重くなる日々なんだよ」
「お前さんも生真面目だねえ。
 まあ、言われても、言われなくても動けるのが紀家軍さね。
 頼りにしてるよ」

ふらり、と男は立ちあがる。わずかに揺れるのは酒精のせいであろう。
したたかに痛飲した身ではいたしかたあるまい。
男は誰となく苦笑して店の裏口から立ち去る。
そして思う。願う。
この店の平穏が、日常が守られることを。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/26(水) 23:34:09.48 ID:L9uYG71L0<> 本日ここまですー

感想とかくだしあー

副題ぼしう

マジ困ってるんですけどー

何もなければ「悔し涙」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/26(水) 23:55:05.46 ID:15lUGcsq0<> 乙ー
どっちも見えない状況にあがいてる感じだから、
「泥の中を行く」とかですかね
抜け出してすっきりできるのはいつの日か

地味様のしちゅ思いついて描いてたけどやっぱだめでしたすみません(土下座
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/27(木) 01:29:33.74 ID:jdkPKw8Xo<> おつー
平和が乱れるのはかなしい
今回はギャグなしで副題は「袋の鼠、青天を想い涙する」
<> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/28(金) 17:07:12.44 ID:Q+ut9/Je0<> 乙でしたー さっき書き込もうとしたら文章が多いってエラってページ戻したら全文消えた
>>371
>>届く文はほぼ雑談が多い。武人らしく、と言えばともかく。   【ほぼ】と【多い】だと意味が重複してる様な
○届く文は雑談が多い。武人らしく、と言えば聞こえはいいが。  もしくは【ほぼ雑談である。】とか?それと続きが【優美さからはほど遠い】なのでこの方がいいかな?
>>372
>>「その言やよし。   なんか偉そう、まあ実際劉璋の事を敬ってないんだろうけど
○「まことにその通りでございます。 なんかどういっても慇懃無礼になるなあ
>>大人しく書物の紐を解かれるがよかろう。 【紐を解く】…バラバラにするのかな?
○大人しく書物を紐解かれるがよかろう。  これは【紐解く】という言葉なので間を《を》で分けちゃうと首を切る(物理)みたいになっちゃいますね
>>373
>>でも、会いたいと。それでも貴方に会いたいと。  間違いではないですが、せっかく上で【思う、想う】と言ってるし
○でも、会いたいと。それでも貴方に逢いたいと。  まあ劉璋が二郎に実際どんな感情を抱いてるかは分かりませんが

厳顔が若ければ戦えないことの不満を漏らして劉璋から共感を得られたし老獪なら命令を実行できないことを口先だけでも謝ったりめんどくさいって本音を悟らせないだろうに…中途半端に年くってる感じ?
ところで厳顔さんは劉璋の事をどうしたいんだろう?笑いながら否定するって、玩具にして人格否定して人形にしたいんだろうか?
厳顔もできることなら黄巾を何とかしたいんだからそれ自体は悪い事ではないだろうに…これだと《劉璋の考えたこと》が余計なんじゃなくて《劉璋が考えること》が余計なように読めるが

残りはしばらく待って。精神的ダメージが大きくて…あ、でも一つだけ
>>376
>>李豊の妻は紀家軍の重鎮である雷薄。現在如南での最高責任者でもある。    ドズル顔の嫁(♂)とか誰得だよぉ!?
○李豊の妻の父は紀家軍の重鎮である雷薄。現在如南での最高責任者でもある。  致命的過ぎて爆笑したわ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/28(金) 21:24:51.02 ID:VAADWgMe0<> >>378
どもです。

>地味様のしちゅ思いついて描いてたけどやっぱだめでしたすみません(土下座

地味様w
やっぱ地味様は地味様なんだよなあ……って


>>379
どもです。

>平和が乱れるのはかなしい
かなしいね、バナー○

>副題は「袋の鼠、青天を想い涙する」

いつもながらなんなの?
この、なんなの?
どうやったらそんなに言葉が紡がれるの?嫉妬パルパルパル

>>380
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

今回はやっちゃったぜw

>厳顔が若ければ戦えないことの不満を漏らして劉璋から共感を得られたし老獪なら命令を実行できないことを口先だけでも謝ったりめんどくさいって本音を悟らせないだろうに…中途半端に年くってる感じ?
はい

>ところで厳顔さんは劉璋の事をどうしたいんだろう?
え?
ええ?

そんなこと、ビジョンあったならばまた別のお話になるんじゃないかなってw

>エラってページ戻したら全文消えた
そのつらさは分からない人には本当に分からない

絶望感というものを具現化してなんかしてやろうくらいに現世にあれこれ注ぎ込むくらいにはアレですよね! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2018/12/29(土) 12:32:55.38 ID:jWyTBx9z0<> どっちかって言うと袋の鼠って言うより籠の中の鳥って感じが <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/29(土) 13:08:22.92 ID:v85SpltO0<> >>382
それだ! <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/30(日) 11:29:19.08 ID:1BuyatL+0<> さて、そろそろ続きを
>>374
>>隻腕ということを加味すれば賞賛されるべき速度で馬車を操る。  これはどうなのか分かりませんがそれって《隻腕と言う事を加味しなければ普通の速度》ってことでしょうか?
○隻腕ということを加味せずとも称賛されるべき速度で馬車を操る。 もしくは【加味すれば恐るべき速度】とか?隻腕だけど人並みの速度なのか隻腕だけど人並み以上なのか…私の印象は人並み以上なのでこうかな?としましたけどどうでしょう
>>……現在急ピッチで袁家領内と如南を結ぶ街道は整備が進められている。  言い換え候補を検索…ハッ【なるはやで】
○……現在急速に袁家領内と如南を結ぶ街道は整備が進められている。    もしくは【早急に】、【大急ぎで】とか?
>>まあ、流しの商人でも中々訪れないような僻地を巡る、いわばルート営業であるのだ。 【ルート営業】って僻地をめぐることじゃなくてサザエさんのサブちゃんみたいな感じですね
○まあ、流しの商人でも中々訪れないような僻地を巡り、いわゆる御用聞きをしている。 まあ他の商人が来ないから顧客は実質村一つと言う大物ですが
>>……無論母流龍九商会の面々は男をはじめとしてほとんどがそのようなことはしない。   これだと男女が分けられたように読めるので
○……無論母流龍九商会の面々はこの男をはじめとしてほとんどがそのようなことはしない。 この辺は横着さんが最初は【私】だったのと同じ弊害ですが文章で明確に男(彼)と分かる場合は問題ないですが《集団の中の男》だとちょっと分かり辛くなったりして
>>そう、ルート営業であるからこそ色々無茶も言われるのである。   村側としてはダメもとかもしれないけど商人側としては断り辛そう
○そう、いわばお得意様であるからこそ色々無茶も言われるのである。 ちなみに【いわば】は無くても良いですよ
>>実際、一山いくらのジャンクに投げ捨てることになるのだろう。  乳酸菌とってるぅ〜?
○実際、一山いくらで投げ売りすることになるのだろう。      まさか本当に捨てるとは思えないけど…金属類は脳か→商人→母流龍九商会→袁家でリサイクルされてそう
>>もぐり、と。くちゃくちゃと噛みしめていた乾した果物を嚥下してニヤリと笑う。  これって前から果物噛みしめてたんですよね?
○ごくり、と。くちゃくちゃと噛みしめていた乾した果物を嚥下してニヤリと笑う。  だったら擬音はこの方がいいかな?
>>かの要塞都市、南皮と比べればいかにも貧相な城壁。  【いかにも】だと絶対的な感じがしますね、というか伏龍鳳雛がどうしようもないと評した南皮と比べちゃうのは…
○かの要塞都市、南皮と比べれば貧相な城壁。      絶対的に見れば悪くないならこうかな?前任者がどうだったかにもよるけど【南皮とは比ぶべくもない貧相な】にすればかなり穴だらけな印象
>>ぶる、といななく相棒の首筋をごしごし、と撫でながらげらげらと笑う。  思い出し笑いと言うかそんな感じで【げらげらと】笑うのってちょっと怖いw
○ぶる、といななく相棒の首筋をごしごし、と撫でながらにやにやと笑う。  またバカな事やってんだろうな〜とか訳わからんことやってんだろうな〜ならたぶんこんな感じの笑いかた?
>>375
>>「あ、いらっしゃいませ!あ、お久しぶり!元気してましたか?」  【あ、】が男を認識したっポイものなので
○「あ、いらっしゃいませ!お久しぶりです!元気してましたか?」  顔見てあいさつしたならこうかな?あと【してましたか?】って言うなら他もちょっと丁寧な感じに
○「いらっしゃいませ!あ、お久しぶり!元気してますか?」     接客とかしてて、挨拶しながら振り返って気付いたならこうかな?あと知り合いで砕けた口調なら多分こう?
>>「お久しぶり!仕入れは主人が見ないとなんとも言えないのです。いえ、いつもいいものをありがたいのですが、ね。 上でもう言ってるので2度言わなくても良いかな
○「ありがとうございます!仕入れは主人が見ないとなんとも言えないのです。いえ、いつもいいものをありがたいのですが、ね。 この場合は先の【ありがとう】は煮込みの注文に対してで後の【ありがたい】は肉()の仕入れにかかってるので
>>明るく言う彼女に苦笑する。彼女は世が世なら蝶よ花よと。
>>それでも彼女は選んだのだ、この道を。伴侶と歩むということを。     すごく【彼女】が強調されてますがちょっとしつこい感じが
○明るく言う彼女に苦笑する。世が世なら蝶よ花よと扱われ。        あるいは【蝶よ花よと愛でられ。】の方がいいかな?
○それでも選んだのだ、この道を。伴侶と歩むということを、彼女自身が。  最後に倒置法とか使えば強調されるかな
>>376
>>にやり、と男は破顔する。     【破顔】って破れる転じて崩れる、って意味で感覚的には仏頂面とかしかめっ面がほほえみに変わるさまっぽいんですよね
○にやり、と男は笑みを浮かべる。  客商売だしそんなに難しい顔して会う相手でもないだろうから、もしくは【笑みを深める】入ってきたときから笑顔だったらこっちかな?旨い飯食ってるんだし
>>何せ彼が娘を溺愛していたのは衆知の事実だからして。  【衆知】って三人寄れば文殊になるようないわゆる知恵の意味合いが強いらしく
○何せ彼が娘を溺愛していたのは周知の事実だからして。  皆が知ってる知識ならこっちの方が一般的ですね
>>男は誰となく苦笑して店の裏口から立ち去る。   これだと《誰の事と言うわけでも無く苦笑して》みたいな意味になるかな?
○男は誰となく言い訳して店の裏口から立ち去る。  (足がふらつく理由を)《誰に言うでもなく言い訳する》ならこうで、(何がおかしいというわけでもないが)なら【男はなんとなく苦笑して】とかかな? <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/30(日) 14:20:23.30 ID:1BuyatL+0<> またしてもエラッたけど前回を教訓にして書き込む前にコピッた私に死角は無い(キリッ)

この人はガチの忍者っぽいなあ、草の者と言うかリアル指向な感じの…火遁で火薬使って水遁で筒使って土遁で穴掘って風遁で噂流すタイプ
ところで>>381 ビジョンあったならばまた別のお話に…厳顔特に理由なく劉璋をこう扱ってるの?
えーと、これはあくまで私の考え方なんですが、基本的に人って自分なりの最善を選んで自分なりの正義に沿って行動してると思ってるんですよ
よくある最善を選べないから次善策で妥協するのも結局最善を選んだ場合のリスクが高すぎるからリスクとリターンを見極めた結果次善の方が(成功率とかを総合すると)最善になるし
世界の全ては俺を中心に回ってるとか言う自己中や、私がモテないのはお前らが悪い、俺がニートやってるのは社会が悪い、みたいなのも一応そいつの中ではそれが正しい訳で
厳顔は劉璋の事をどうとも思ってない(どうなろうとどうでも良い)けど劉璋が自分で何かを考えて何かをしようとするのは(それが自分が出来ることならしたい事でも)笑いながら否定してるって事かしら?…それならまだ劉焉以外主と認めないって言ってその娘を軽んじてる老害の方が理解できるんだけど
まさかの劉璋がどうなろうと興味はないからできるだけ絶望して人形になってくれ、お前の不幸で飯が美味い。みたいなねじ曲がりをしてないといいけど

ついでにせっかく二つに分けたから垂れ流し
陳・海東 著 漫画歴史偉人《後漢編》【絡新婦】張勲 前編 後書きより抜粋
そもそも絡新婦と言うものは日本の妖怪として登場します、この妖怪は日本固有のもので中国には類似する妖怪は存在しますが絡新婦と言う名称ではないのです。
ですがかの怨将軍紀霊が親友である沮授に宛てた手紙の中で度々彼女の事をそう称しているんですね、これはなかなか気になる。
もちろん実在する生き物としてのジョロウグモのようだ、と言っていた可能性もありますがその前後の文と比較すると明らかに妖怪めいた揶揄と感じられます。
これらの事からなぜか現代では失伝してしまったけれど後漢時代には絡新婦と言う妖怪が口伝などで伝わっていた可能性が浮かび上がります。
ですが私としては彼が農徳新書を書いたことや現代では一般的となった商道徳の基礎、その他さまざまな功績と合わせて彼が実は未来を見る千里眼のようなものを仙人から教わった、あるいはそうとは知らず無意識に使ったいわば天然の仙人のようなものだというロマン溢れる説を押したいところです。
話は逸れてしまいましたが、彼女が絡新婦と称されたことからやはり張勲はただの内政手腕が優れただけの女傑では無かったと思われます。
私が思う彼女、および彼女の家の在り方は作中の通りですが、それを裏付ける証拠は一切ありません、ですがそれこそが彼女たちの諜報能力の高さを示していると言えるでしょう。

多分作中では歴史書では田豊とか程立とか郭嘉がやったことの一部を彼女がやったことになってたり、そのために必要な情報をどこからともなく持ってきたりしてた
あと紀霊の最初の女の梁剛が死んですぐくらいで近づいて男女の関係になったりして梁剛の死の黒幕っぽい描写されたりかなりダーティーなキャラ付けがされてる
多分史料では当時の袁術が幼くって危うかったから、怨将軍として既に有名だった紀霊に体を売って袁術の後見人になってもらった本人は大して能力ないけど袁術への忠誠は本物(と言うか日記とかから袁術とは擬似的な親子か姉妹みたいな関係)と言う袁家の武家四家と言う事以外に書くこと無いかもしれない <> 赤ペン<>sage saga<>2018/12/30(日) 14:28:11.10 ID:1BuyatL+0<> 三国志のシミュレーションゲームでは内政能力はそれなりにある2軍キャラだろうな
でも袁家の威光があるから初期に仲間にいるとお金稼いでくれるし活躍する…中の下くらいのステだから中盤から使われなくなるタイプ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 17:19:17.71 ID:SeYslJow0<> 久々の列伝きた!

すげw
ちょっと嬉しいっす。読み込みますもちっと。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 21:44:09.69 ID:SeYslJow0<> 真っ赤でめでてえや!
いつもありがとうございますー
ほんと今年もお世話になりまくりでしたが今後ともよろしくお願いします。

>この人はガチの忍者っぽいなあ、草の者と言うかリアル指向な感じの…火遁で火薬使って水遁で筒使って土遁で穴掘って風遁で噂流すタイプ
はからずもそういう感じになってますねw
いい感じに動いてくれてるなあというキャラです

>…厳顔特に理由なく劉璋をこう扱ってるの?
はい

>基本的に人って自分なりの最善を選んで自分なりの正義に沿って行動してると思ってるんですよ
>よくある最善を選べないから次善策で妥協するのも結局最善を選んだ場合のリスクが高すぎるからリスクとリターンを見極めた結果次善の方が(成功率とかを総合すると)最善になるし
ほむ。
人って。そんなに全力で頑張っている人ばかりではないです。凡将伝ではそんな人が多いのですが。
厳顔さんは割とそういう意味では異色かもしれませんね

>厳顔は劉璋の事をどうとも思ってない(どうなろうとどうでも良い)けど劉璋が自分で何かを考えて何かをしようとするのは(それが自分が出来ることならしたい事でも)笑いながら否定してるって事かしら?…それならまだ劉焉以外主と認めないって言ってその娘を軽んじてる老害の方が理解できるんだけど
どうでもいいまではなくとも、っていう思考。これは意識低い系の思考なので、理解できないのは逆に

>さかの劉璋がどうなろうと興味はないからできるだけ絶望して人形になってくれ、お前の不幸で飯が美味い。みたいなねじ曲がりをしてないといいけど
そういう愉悦部的な歪みはないです

>陳・海東 著 漫画歴史偉人《後漢編》【絡新婦】張勲 前編 後書きより抜粋
来たこれ

>そもそも絡新婦と言うものは日本の妖怪として登場します、この妖怪は日本固有のもので中国には類似する妖怪は存在しますが絡新婦と言う名称ではないのです。
>ですがかの怨将軍紀霊が親友である沮授に宛てた手紙の中で度々彼女の事をそう称しているんですね、これはなかなか気になる。
京極っぽい!すごく京極っぽい!一次資料として「あってしまう」その存在を受け止めてあれこれ考察するそのスタイル!世の中に不思議なことはたくさんあるですよ!

>もちろん実在する生き物としてのジョロウグモのようだ、と言っていた可能性もありますがその前後の文と比較すると明らかに妖怪めいた揶揄と感じられます。
もうここで爆笑してしまいました。つか。沮授君に対して多分普通にそういう文送ってるやろうなあw

>これらの事からなぜか現代では失伝してしまったけれど後漢時代には絡新婦と言う妖怪が口伝などで伝わっていた可能性が浮かび上がります。
絡新婦という妖怪が大陸でその伝承が途絶えたことがネタになりそうな勢いwいいぞw

>その他さまざまな功績と合わせて彼が実は未来を見る千里眼のようなものを仙人から教わった、あるいはそうとは知らず無意識に使ったいわば天然の仙人のようなものだというロマン溢れる説を押したいところです。
神話が入り交じる時代w
紀霊仙人説! いいぞーこれ。 まあ一周回って正解に近いっていう感じ、イエスだね!

>話は逸れてしまいましたが、彼女が絡新婦と称されたことからやはり張勲はただの内政手腕が優れただけの女傑では無かったと思われます。
>私が思う彼女、および彼女の家の在り方は作中の通りですが、それを裏付ける証拠は一切ありません、ですがそれこそが彼女たちの諜報能力の高さを示していると言えるでしょう。
ああ、そうですよね。七乃さんの功績とか能力の高さって絶対に遺失してますものね。
せいぜい、二郎ちゃんの落書きで「あいつやべえよ……」くらいでしょうねえ

>あと紀霊の最初の女の梁剛が死んですぐくらいで近づいて男女の関係になったりして梁剛の死の黒幕っぽい描写されたりかなりダーティーなキャラ付けがされてる
完全に悪役ですよ!素敵!

>多分史料では当時の袁術が幼くって危うかったから、怨将軍として既に有名だった紀霊に体を売って袁術の後見人になってもらった本人は大して能力ないけど袁術への忠誠は本物
どっちかと言うと、張家の権力掌握のために父殺しに荷担させた方がありえそうですかねえ

>三国志のシミュレーションゲームでは内政能力はそれなりにある2軍キャラだろうな
素の能力値よりもスキルが充実タイプですかね
玄人好みな
でも後方においといてオート処理な感じになりそうですねw

現状袁家では麗羽様と二郎ちゃんがどう考えても一軍ステータスですかねえ
沮授君は過小評価されてブーイングありそうw

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 22:12:50.88 ID:SeYslJow0<> 一陣の風が俺の体温を奪っていく。涼風が俺の体温を奪っていく。
飲み干す酒精が内側から熱を放つ。だから、常ならば肌寒いであろう風が心地いい。
払暁すら未だ訪れぬ深い闇の中。上弦の月と星が照らす町並みを無言で見下ろす。
南皮の街を守る城壁。いつの間にやら高く、分厚くなったそこから街を見下ろす。
風に乗って喧噪の欠片が運ばれてくる。南皮の歓楽街は不夜城。そのエリアだけが明るく照らされており、その賑わいを思わせる。
豊かになればいい、と思った。飢餓がなくなれば乱なんて起こらないって思っていた。なんとかなるって思ってた。
それでも、この世は悪意に満ちていて。
乱だって結局起きてしまって。

安穏と暮らしたいと思っていた。自分が楽しければそれでいいと思っていた。
いや、今でもそうだけど、気付いた。自覚した。
大事な人はどんどん増えていたのだ。そして、だ。
俺はとんでもなく強欲になっていたのだと自覚する。

「あら、二郎さん。奇遇ですわね」

鈴を鳴らしたような声。
ぼんやりと酒精で濁った俺の意識を覚醒させる。

「え?あ、麗羽様……。どしたんですか」
「それはわたくしの台詞ですわね。それに、それよりも、ですわ。
何を辛気臭い顔をしてらっしゃるの?」

ずい、と俺の顔を覗き込む。やべえ、朝っぱら……というか世も明けてないのに呑んでるのばれちゃう!
しかも今日出征するのに!

「や、その、これはですね。そう、眠れなくて、ですね」
「ふふ。
それもまた、奇遇ですわね」

にこり、と笑う麗羽様は光輝を纏っているかのごとく眩しい。

「にしても、思ったより冷えますわね」

そう言って俺に寄り添う。

「あら、わたくしもいただきますわ」

ぼんやりとしていた俺の手から盃を奪い、こくり、と中身を飲み干す。
ふぅ、と漏らすため息がどこか艶っぽい。
空になった盃に酒精を注ぐ。
今度はちび、ちびと味わうように飲む。
俺も麗羽様も口を開かず。
穏やかな沈黙が心地いい。
こて、と麗羽様が俺の肩に頭をもたれさせてくる。軽やかな重みに口元が緩んでしまう。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 22:13:22.34 ID:SeYslJow0<> 「今日、発たれますのね」
「ええ、行ってきます。やっつけてきます。兵は精強、率いるのは勇将、知将。傍(かたわら)には神算鬼謀。
 袁家の声望、中華に轟かせてきますよ」
「あら、頼もしいですこと」
「いや、俺らしくないかもしれないですけどね。
 それでも、やるときゃやりますよ。やってやりますよ」

言い募る俺である。
いつもはやる気がないと公然と言っているが今回ばかりはその限りではない。
それを伝えようと目を閉じ、気合いを入れる。魂魄を燃やそうとする。

ちゅ、と唇に柔らかいものが押し付けられる。

「れ、麗羽様?」
「頼りにしてますわ。信じておりますわ。
 いつだって二郎さんは約束を違(たが)えず、果たしてくださいましたもの。
いつだって帰ってきてくださいましたもの。
 ですから麗羽は、二郎さんをお待ちしておりますわ」

どこかで一番鶏がその存在を主張し、地平の果てから日輪がその姿を現す。
その光を背に受けて微笑む麗羽様はいっそ神々しいくらいに眩しかった。

「お任せあれ。です。ええ、任せてください。
 黄巾なんてちょちょいのちょいと平らげて、帰ってきますとも」

ぎゅ、と抱きしめる。
華奢な身体を抱きしめ。
ちゅ、と口付ける。
くすり、と笑う麗羽様が耳元で囁く。

「二郎さんから口付けてくれたの、嬉しいですわ」

と。

次々と鶏の声が朝の訪れを告げる。
眠りから覚める。
南皮という街そのものが目覚めていく。

「覚えていますわ。幼い日にも、幾度もこうして日の出を見たことを」
「ええ、おつきの女官らには相当嫌われましたがね」

くすくす、と当時のことを思い出したのか麗羽様が身を震わせて笑う。

「ええ、そりゃあ色々二郎さんの悪口を吹き込まれましたわ。すごかったんですのよ?」
「そりゃまあ、そうでしょうね」

次期当主たる麗羽様を連れてあちこちふらふらと出歩いていたのだ。側近とかお付きの人にとったらたまったもんじゃあないだろうて。

「 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 22:14:08.02 ID:SeYslJow0<> でも、わたくしは楽しかったし、嬉しかったですのよ」
「……そりゃ、よかったです」

まあ、あれこれ考えて眠れない日々もあったのだよ。がっちりホールドされてたから自然と連れ回した感じになっていた、かな?
まあ、一緒にいたってのは本当だ。

「いつもここでぼんやりと街を見られてましたわね」
「ええ、まあ」

お気に入りのスポットではあるのである。昔も、今も。

「最近、わたくしもここはお気に入りなのですわ」
「そりゃ、また」

くすくす、と笑いながらきゅ、としがみついてくる麗羽様を軽く抱きしめる。柔らかな感触、鼻腔をくすぐる芳香にくらり、としてしまう。

「だって、ほら」

指さす南皮の街からはいくつも煙が立ち上る。
民の竃に立つ煙。
それはにぎわい。

「静かですけど、にぎわいが、ありますわ。
 日々、あの煙は数を増しています。それは、わたくしたちが頑張ったからでしょう?
 ……流石に民の顔、一つ一つなんて見えませんわ。でも、ここから見る、ここから始まる日常。
 それって、とっても尊いものですわよ、ね」

麗羽様の笑顔が、尊く、嬉しい。
その笑顔が尊いのだと、俺は理解している。

「ですからね。ようやく、ですわ。
 あの時二郎さんが見ていたのと同じものを見れるようになったのかな、と思いますの。
 それが、嬉しく。そして誇らしいのですわ」

俺から離れ、南皮に向かい大きく手を広げ、ぎゅ、と抱きしめる。大切そうに。

くるり、と振り返り。声を上げ、笑う。光輝を背負い、放つ言葉はまさに神託のように響く。

「おーっほっほ!
 わたくしは、欲しいものは全て手に入れないと気がすみませんの。
 袁家も、漢朝も。二郎さん、貴方もね。
 袁家当主たるこの、わ・た・く・し!が命じますわ。
 黄巾賊などという卑賤の輩などさっさと平定しておいでなさい!
 雄々しく!華麗に!優雅に!
 よろしくって?」

それでこそ麗羽様、だ。
先刻まで欠けていた、抜けていた気力が満ちていく。気合いが入る。麗羽様なりの激励に気力は満ちていく。満ちた。

「承りました。承りましたとも!
 袁家の武威!漢朝の威光!中華に轟かせましょう!
 麗羽様には吉報しか届きませんよ。届かせませんとも」

俺は誓う。誓いを新たにする。

そして挑む。挑もう。
黄巾、なにするものぞ、と。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 22:15:00.52 ID:SeYslJow0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

タイトルなんだろ
決意とかかなあ

妙案募集しまくりんぐですよ本当に! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/30(日) 22:18:44.10 ID:Z8v4mTQto<> おつおつ
ここの麗羽様は最高!このお方になら一生ついていきたい!
題名は『南皮に輝く黄金の日輪』とかかな? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/30(日) 22:22:16.11 ID:SeYslJow0<> >>393
どもです。
麗羽様、いいよね……

しかし、その言語的センスなんですか
天才なんですか
嫉妬しかないので今後ともよろしくお願いします(へこへこ)

どうやったらそういう言葉が出てくるのかなあと嫉妬。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/30(日) 23:03:11.53 ID:u/gx88DcO<> 民を、民の生活を、その人生を抱き締めんとする麗羽様マジ太陽の女神
そしてそれはなにより、二郎が正しく麗羽様と生きてきたからこそ発芽した才能なんだよなぁ
二郎本人は麗羽様の資質だ、とかって否定するだろうけど、資質はそれだけでは芽を出さないものなぁ


題案はシンプルに
『凡将、曙光に照らされて』
あたりで <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 13:14:25.35 ID:E7/a6nxe0<> >>395
どもです。

>民を、民の生活を、その人生を抱き締めんとする麗羽様マジ太陽の女神
書いといてなんですが、めっちゃ好きな場面なんですよ
ようやくここまで来たか感があります。ういうい

>そしてそれはなにより、二郎が正しく麗羽様と生きてきたからこそ発芽した才能なんだよなぁ
正しいかは分かりませんが、二郎ちゃんがいたからこその、この麗羽様だと思っております

>『凡将、曙光に照らされて』
ぐぬぬ。
すごい、いいです……っ!
こういうのさらっと出されるともう嫉妬ですよジェラシーですよ
こういうセンスが本当に羨ましいです。ぐぬぬ。


さて。年賀状でも書くか <> 俯瞰者
◆vZOyjdZrOo<>sage saga<>2018/12/31(月) 19:52:31.11 ID:YzWretai0<> 乙です。始まりましたよ(謎)

一面的な見方かもですが、厳顔さんは劉姓の豪族が参加した後のあれこれに主君を巻き込ませたくないから止めた?
というより、主君の身を第一に考えてあえて悪役になった。ともとれます。
戦場へ出る以上不測の事態はあって当然。否それを前提とするくらいでないとまずいでしょう。


……うん、れーはさん。二郎さん凱旋したら押し倒しなさい、おじさんが許します(おいこら)
ただ、複雑なものを内心に抱えている(抱えていそうな)二郎さんにとっては最高の発破にはなったと思います。


……なんだろうねぇ、原作のれーはさんを知っているだけに修正パッチが人格形成期に常に側で作用しているだけでここまで変化するんですね。
これ書いていたら「彼を奪い返す為に本気で行動に出た」という可能性も思いついた。
つかマジでこのれーはさんを第一夫人にしないともったいないと思う。あ、第二は陳蘭さんね(押せ押せ) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 22:56:45.83 ID:E7/a6nxe0<> >>397
どもです。

>一面的な見方かもですが、厳顔さんは劉姓の豪族が参加した後のあれこれに主君を巻き込ませたくないから止めた?
好意的に見るとそういう感じですが、ないっす。

>……うん、れーはさん。二郎さん凱旋したら押し倒しなさい、おじさんが許します(おいこら)


>ただ、複雑なものを内心に抱えている(抱えていそうな)二郎さんにとっては最高の発破にはなったと思います
いやほんと、そうなんです。
一番、元気だせって言えるのは麗羽様なんですよこれが。陳蘭ちゃんは癒やしです。

>……なんだろうねぇ、原作のれーはさんを知っているだけに修正パッチが人格形成期に常に側で作用しているだけでここまで変化するんですね。
言動は原作と同じでしょう。それが醍醐味ですから!
同じ言葉を発して、違うニュアンスを持たせる。最高じゃないですか。

>つかマジでこのれーはさんを第一夫人にしないともったいないと思う。あ、第二は陳蘭さんね(押せ押せ)
はおーがアップしてますw
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 22:59:21.91 ID:E7/a6nxe0<> 加速しないといかんと思いながら、やってやるぞと思う。
ここでのやりとりが財産で、立ち向かうのは自分なのだ。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 22:59:58.18 ID:E7/a6nxe0<> 日輪はその姿を東の空に落とし、薄闇が庭園に漂う。
逢魔が刻。彼岸と此岸が交わる時。
政務を終えた――とっくに周瑜に全て押し付けた――孫策は東屋でぐび、と盃を呷る。
冷えた酒精が身体の昂ぶりを冷やし、やがて更に昂ぶらせる。

「ありゃ、もうないか」

酒壺から酒器に注ごうとして、既に飲み乾していたことに気づき、苦笑する。
どうしようか。まだまだ飲み足りない。でも新たな酒壺を持ってくるのもめんどくさい。
それに、愛しい愛しい恋人。周瑜からも飲み過ぎだと注意されていた、か。

「えい」

可愛らしい声と裏腹に、投げられた酒器は豪快な放物線を描き、飛んでいく。

「ここではない、どこかへ、ね」

けらけらと一人笑う。
そこに響くのは。しゃり、と下草を踏みしめる足音。

「……何をされてるのですか」

呆れたような声色は彼女の大事な大事な妹。孫家の次代を担う孫権その人である。
長らく袁家に人質として差し出されていたが、現在一時帰省をしている。

「やあね、冥琳みたいな顔して。ちょっと呑み過ぎたかなーと思って禁酒を志したのよ。
 でも、禁酒は明日からにするとするわ。どうせ呑んでたし、可愛い妹のお酌で呑めるなんて、姉冥利だもの」

孫権が持つのは酒壺と酒杯を二つ。

「いいですけど、ほどほどにしないと。
 ……まさか日が落ちる前から呑んでるとは思わないです、と言わないといけないくらい。本当に、よくないですよ。
 どっかの誰かとは違うでしょうに」

昼間に酒精と親しむ、それは実にあの朴念仁と通じるところがありそうだ。と益体もないことをふと思い、かき消すように酒器に酒を注ぐ。

「あら、美味しい。うん、美味しいわねこれ」

ぐび、と一気に飲み干す孫策。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 23:00:24.37 ID:E7/a6nxe0<>
「母流龍九商会から分けてもらいました。何でも、新しい製法で作った酒精だそうです。
 火酒、って言うのだそうです」
「へーそうなんだ。蓮華。
おかわり!」

はいはい、と酒器に注いでいく。

「うん、この一杯のために生きてるわねー」
「もう、姉さまは呑み過ぎです」

呆れた妹の声に孫策はけらけらと笑う。

「でもね、ほんと。蓮華とこうやって盃を交わすなんて、思ってもみなかったわよ。
 ……まあ、お酒どころじゃなかったしね。昔は」

実際、困窮していたのだ。食うや食わずであったのだ。
なんとか、妹たちには満足な食事を充てられていたけれども。

母で主君たる孫堅が身罷ってから、いや、その前から。江南の地は困窮にあえいでいたのだ。
文字通り、骨肉相食む地獄絵図すら珍しくなく。

頭を振り、孫策は雑念を追いやる。
全ては過ぎたことだ。
そして、静かに、問う。

「で、私に何か用?」

手元の盃に入った酒精を見つめて孫権は応える。

「……どうしてそう思われるのです?」
「んー。
勘、かな?」

にこり、と笑う姉に孫権は涙ぐむ。
全く根拠のない、「勘」というそれこそが孫家の強み。孫家の不確定要素。
孫家の戦略方針に優越するほどに権威がある。
……根拠がないのに的確であるからタチが悪いのだ。

「では、単刀直入にいきます。
袁家とことを構えるのを止めてほしいのです」

孫権は渾身の力でもって姉に訴える。気迫は以前の彼女とは比べ物にならない。
そして孫策は、応える。

「んー。ごめん、それ、無理かな」

けらけらと笑い、手をひらひらさせて応える。
孫権の言を容れるつもりは全くないのだ、と示す。

「なぜですか!袁家と争っても益はないでしょう!」
「んー、益とかじゃないのよねえ。言ってみれば、私の在り方、かな?
 性に合わないのよね、下風に立ってるままって。
 それじゃいつまでたっても袁家の使い走りじゃない?」

可愛く小首を傾げる孫策。
孫権は激昂する。

「だからと言って!なぜ平地に乱を起こすようなことをするのです!」
「やーねー、蓮華。乱なら起きてるじゃない。それも中華全土に。
 だったら乗るしかないじゃない、この大きな流れに!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 23:00:52.67 ID:E7/a6nxe0<> 満面の笑みで孫策は訴える。
勝算だって十分あるのだ。あるのだ。
覇気すら纏う孫策。孫権は双眸からこぼれるものすら自覚せず、尚も言い募る。

「母上の願いは、江南の平穏だったではないですか!それを!なんで!」

孫策は苦笑する。以前から思ってはいたが、つくづく姉妹でその気性は対照的だと。

「母様の願いはそのままに。孫家の威光は高める。
 ほら、なにもおかしくないわ」
「き、詭弁を……。だって江南の平穏は袁家の援助によるものでしょう!
 忘恩の徒たる孫家に誰が信を置きましょうか!」
「やあねえ。借りなんて踏み倒したもの勝ちよ?それにもともと孫家に信なんてないもの。
 ほら、失うものなんてなにもないわよ?」

けらけらと笑う姉が孫権には理解できない。

「いいじゃないですか。江南で平和に、みんな仲よく暮らしましょうよ……」

嗚咽を押さえて絞り出す孫権に孫策は明るく応える。

「さっきも言ったけど、それは無理な相談ね。
 うん。私はもう止まらない。止まれない。だから、ね?」

これでいいのよ。

にこり、と笑う孫策。
こぽ、とその口唇からは紅い液体が溢れる。

「今なら!今なら間に合います!ですから!考え直してください!」

悲痛な孫権の叫びを受けてなお孫策は泰然として。

「無理ね。もう私はこの胸の高まりを抑えられない。抑えるつもりだってないもの。
 だから、よかったと思うわ。私を止めてくれたのが、蓮華だってことにね」
「姉さま。姉さま……!まだ!間に合います!」

くすくす、と可笑しげに、苦しげに孫策は笑う。

「もう、いつまでたっても甘えんぼさんなんだから。ね、蓮華。貴女がいるからこそ私は好き勝手できたのよ?
 私の旅路はここでおしまい。
心残りがないわけじゃないわ。でも、私なりに遣り切ったわ。
 だからね、後は任せた、わ」

ごぶ、と紅い塊を吐き出しながらも笑う。その笑みは慈母のように。
その表情を見て孫権はぎり、と食いしばる。覚悟はとうに決めていたはずなのに、と心を奮い立たせる。
ぎゅ、と姉の身体を抱きしめ、振り絞るその声は悲鳴に等しい。

「誰かある!姉さまが!誰かある!早く!誰か!薬師を!医師を!」

そう。姉と同じく、自分も行く道を定めたのだ。
でも、今くらいは、泣いてもいいかな?

ねえ、と問いかける相手は、仏頂面の紀家当主であった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2018/12/31(月) 23:01:53.85 ID:E7/a6nxe0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名もぼしうしまくりんぐですよ本当に!

じゃないと眠り
h <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/31(月) 23:12:31.11 ID:eAjjrq/Po<> 乙です
あかんよ…雪蓮様それはあかん家族は仲良く生きてこそだよあの医者王がいるし治そうよ…遺される者はずーっとくやむんだぜ?…本気で悔やんでるあんな医者にみせなけりゃなて…な
題名は『燃えし虎、泣きし虎』かな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2018/12/31(月) 23:31:05.39 ID:DzXXK+PGo<> しかしこれも乱世の常…と言ってしまうには悲しすぎるが、常なのだ
身内と言えど、身内だからこそ、枷も付けられず制御もできない虎は無理矢理止めてしまうしかないんだよ
ましてこの猛虎はマジで比喩なしで死なないと止まらない筋金入りの乱世大好き猛虎だからなぁ…


題案は
『哭く虎は地を、笑う虎は天へと駆ける』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/01(火) 00:11:41.33 ID:1Ft5+WLk0<> 謹んで新年の慶びを申し上げます
本年も宜しくお願いいたします

真の時点では割かし人格者っぽかったけど今現在孫策さんより野獣となってる孫堅さまww
孫策さんは呉をあくまで力でどうにかしたかったのかもしれない
視点を広げられなかったゆえの悲劇ですな
タイトル案「虎は何を喰む」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/01(火) 01:43:05.32 ID:jymkibQ/o<> おつしたー あけおめですぞ
戦乱が焚き付けなければなぁ・・・ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/01(火) 09:31:50.71 ID:OibmTvpC0<> 干支にちなんで猪々子で新年のご挨拶
              _
            ,:'´   `__
            \ ,z≦: : : : : ≧:z、
          ,イ: :´ :>≦三≧、: : : : :.ヽ
         ,:' /: : /彡:彳¨:¨≧、ミミl: : : : :ヽ
        /  ; : : レヾ: : ヽ: : : : : : ヽ!: : : : :ハ
       {、  ; : : :ィ‐-、:ヽヾイ⌒: : l: : : : : : l
         .l:ハ: : { 斥ュヾ:':、 斥斧,: : : : : : :.ト、
         .{ ; : ハ弋ク  ``弋クノ: : ノl: : : ハミ;v  あっけましておめでとー!
          ': }: :ハ  '     /,: : /: : : :{ヾ、ミハ
          '": :ハ:.ヽ、 `‐ ´ /j:ノ:V: :{: :ハミミミ}  今年もよろしくなー!
           イ l彡ノハ_-_ '´―ノ: : ハ: {ヽヽミ:ミソ
         __ >二{ ̄{l、| , <´>-ヽ  ヽミノ  アタイの出番はあんまりないかもだけどな!
        ィ: :Y二二ゝ-‐'"¨ .,z≦二二ニヽ V{
       {: : : l二/ z―=二二二二l二ニ,.、二ト、
       j: : : |ニ/ /二二二二二二}二/: : : : `: }
      ノ: : : :.l_{ .l二二二二二二ニl二!: : : : : : {
    ./: : : : : ;|_| |二二二二二二二、j: : : : : : :ヘ
   /: : : : : / l_l |二二二二二二ニノ ⌒ヽ: : : : :.ヽ
   l: : : >'、  ノ_l |二二二二二二/    ヽ: : : : :ヽ
   ヘ:{   ハ ヽ{≠辷―- ..__二二{    /、: : : : : :}
    '{    V:::::::::::::::::::::::::::≧辷ィヽ  ./   }: : :./
     ヽ   // 7二二ニ/::::::::::}ニ::::::_Y    ノ: イ
      ヽノ/ /二二二<::::::/;{ニイ {    /,ィ‐'
     ∠ニニ/ /二二二二トイ::::{_{Vヽ_ ィ"´
  ∠__   / /二二二ニニl:::::::::::{ヽ `フノニ、
   >´ ̄{  {二二イ , ヽ::::::::::、ニ/ `ヾ=、
 Y´   /V }/  / ヽ. }::::::::::::V ノ`ヽ_ヽ
 ヽ  く   V / l   ト.l:::::::::::::::、   ヽ:::ハ
  ヽ'  }`ヽ、´   l   l l:::::::::::::::';    ヽ:ハ
     く | ll  ` <_   j l`――ヾ_、  ノ::::::ハ
      .l ll     .l>ト、_ドll¨ ̄⌒ト‐イ!::::::l:::ハ
      .l ll     .|  |   ll    !   ;:::::l:::ハ
      lィト 、    ;  :  ,jl 、   l    ';::::};::::ハ
      l   ` 、,:   :/   ` 、l    ;:イ::::::::}
      .l     l    .l      .|     l:::::::ノ
       l     .l    .l     .l     .l::イ
       .l    .l    l     .!     ´
       .l    .|    .l     .l
       l    l     l      .l <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/01(火) 09:41:40.49 ID:OibmTvpC0<> >>404
どもです。
止まれないのですよね。

>題名は『燃えし虎、泣きし虎』かな
かっけえ。ほんとどうやったらそういうの思いつくのですかね(切れ気味)

>>405
どもです。

>身内と言えど、身内だからこそ、枷も付けられず制御もできない虎は無理矢理止めてしまうしかないんだよ
情の深い彼女のことです。めっちゃ悩んで、でも選びました。選んでしまいました。

>ましてこの猛虎はマジで比喩なしで死なないと止まらない筋金入りの乱世大好き猛虎だからなぁ…
笑顔で、逝ったのです。やりきった感すらあったでしょう。それを理解していながら、知っていながらも彼女は選びました。

>『哭く虎は地を、笑う虎は天へと駆ける』
美しい……っ!
これは嫉妬。ちょっと屋上……とか言っても屋上ネタってもう何年前のネタでしょうね。通じないと考えるべきかもしれないなあとかなんかとか。

>>406
>真の時点では割かし人格者っぽかったけど今現在孫策さんより野獣となってる孫堅さまww
魔ジスかw

暇ができたらやろうと思いながらもまずは完結を目指しますぜうへへ

>孫策さんは呉をあくまで力でどうにかしたかったのかもしれない
良くも悪くも天才で天然なんですよね孫家の血筋って
蓮華様だけ異色

>「虎は何を喰む」
簡にして単。それがいい。素晴らしいです。ほんとなーどうしてなーこういうのなー
ほんとなー、もうなーうわああって叫びたくなります

>>407
策さんは平和だったら戦乱を起こすタイプだから

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/01(火) 09:43:34.32 ID:OibmTvpC0<> せっかくなので斗詩からもご挨拶
             __ _
         ., ィ:::´:::::Y::::::≧:、.
        ,.:'::::/:::::/::::::`:::::、:::ヽ、
       ./:::::,'::::::::/::::::::::、::::::::ヽ:ヽ::ヽ
      .;:::::::;:::::::::{::::_j_::::l::::::l::::::ヽ:::::ハ
      l::::::::l::::::::l::´ ::::`j!::::::ィ‐-、::::::::::}
      l::::::::l::::::::斧芹`  ̄ ァッ、ハ::::::::l
      j::::::::l::::::::l弋丈   .{戌'ノ:::::l:::ハ あけましておめでとうございます
      .!:::::::';::::::::l     ,   ,:::::::l::' :}
      .':::::::::;:::::::::l  ー一  ノ::::::::l .ノ 本年もよろしくお願いしますね
       ':、:::ハ:::::::}_`ト  ィ "::ノ:::::jイ
        __``へj  ̄}{´j¬ニ、::ィ、  私は……変わらず袁家を支えていきたいと思ってます
      ,:´二二≧、 ` > ' ノ二二ニ、
      l二二、二 z '"´_.., ≦二二、ニ\
     ノ二二二、ニヽ ヽ二ニ、二ニニ`ヽニ!`}
     /二{::`::ヽ.lニ二、 ヽ二ニ:二二二V::::ノ
    {:::ヽ{:::::::::::::ヽニニ}  }二ニ:二二ニニ}::〈
     \`:::::::::::::::ヽニl j二ノ_、二二ノ:::::{
       `ヽ:::::::::::ヘ_{ {二二二二´l:::::::::、
         ':::::::::::ヘj _〉二≧-"´ヽ::::::::::l
          ヽ:::::,ィヽ⌒       }:::::::l、
         /,    }_l_ __, ∠:::::イ  >
         ヽ{// ,ィ:::::::ヽ!ニニl(二¨´ j ヽイ
          /`ヽ〈::::/ ̄j二二二l`イヽ.j
        /'}二ニヽ{    l二ニ二l  l ;ヽ、
      /, ィ .l二二'、l    l二ニ二{ .! ';=ヽ、
     /イ/{ {二二ノヽ   l二ニニj  :  ヽ、ヽ
     フ  ハ   _. ィハ   }、` ‐'ヘ .:   ;ヽ-'
    /   /  ` ´   ト!__ノ フ'´ ヽ イ`ヽ_ゝ
    ヽ  (r‐- 、     .j l   lイ   l ヽ   ノ
     ` -'ヽ._': `ト _j、.l   l}    l_ 〉 イ
          ':     ヽ_イノ.ノ.jト--―7l ;' .!
          ':       .l      ,ハ ,:  .!
           ': ,ィ::´::::::`:::j      ハl:'  .;
           '::::::::::::::::::::::ト...._.....イ l : !
            '::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::' .l :ノ
            '::::::::::::::::::l:::::::::::::::,'  }イ
            .':::::::::::::::::l::::::::::::::;
             .;:::::::::::::::l:::::::::::::;
             .}:::::::::::::::l::::::::::::'
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/01(火) 10:29:52.62 ID:eghKGR8Ho<> 明けましておめでとうございます
いつもたのしく拝見させてもらってます
今年もよろしくお願いいたします
顔さんも文さんも仲良くね <> 赤ペン<>sage<>2019/01/01(火) 12:36:30.32 ID:GwEfTzpa0<> あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

いつもの添削はまた後で
>>人って。そんなに全力で頑張っている人ばかりではないです。
勿論私もそう思いますよ
ほら。上でも>>世界の全ては俺を中心に回ってるとか言う自己中や、私がモテないのはお前らが悪い、俺がニートやってるのは社会が悪い、みたいなのも一応そいつの中ではそれが正しい訳で
例えるなら夏休みの宿題を毎日少しずつやるのも、それが正しいと思っていながら全然やらずに最終日に必死こくのも、そいつの中では刹那的だろうとアホな所業だろうとその時点では正しいんですよ
ダイエットは明日から〜とかタバコはあなただけでは無く受動喫煙により周囲の何チャラかんチャラとかあってもたばこを吸うのもどう言いつくろってもそれがそいつの中では最善だと感じた訳で
まあ後になって後悔したり、妥協の結果で不本意だったこととかもあるでしょうが

グダグダと長くなったのでまとめると
厳顔が劉璋の言を否定するのはお母さんの意思だから分かりますが
わざわざ笑いながらする事の理由を考えると…やっぱりできるだけ劉璋が涙目になってるとうれしい、とか程度の低い理由があるのかと <> 赤ペン<>sage<>2019/01/01(火) 14:28:59.16 ID:GwEfTzpa0<> あと>>どっちかと言うと、張家の権力掌握のために父殺しに荷担させた方がありえそうですかねえ
微妙なところですね
私の中では未来で張家は武家筆頭4家ではあるけど内政が得意な地味な家、と言うのが一般的な認識ってことにしてるから
しかも首謀者の袁胤さんを隠居で済ませるためにスケープゴートな感じで父親が首を斬られてしまったという
何せ張家が暗躍してた証拠なんて全くないわけで、なのにあの騒動のすぐ後に病死した名前だけは大きい4家先代
下手したら忠誠は本物だし治世なら恙無く一生を終えたのが黄巾やら何やらで生まれた時代が悪かった、みたいな扱いかも

ちなみに今回張勲の話ができたのは本当に偶然で「そういや絡新婦ってどんな逸話の妖怪だろ?」と調べてみたらまさかの日本の妖怪だったことからこうなりました
そして日本の絡新婦自体は美人に化けた蜘蛛の妖怪ではあるけど別に他の動物が化けたものとやってることは大して変わらないという
そして今回の件で陳・海東さんのキャラ付も出来た気がするw多分この人は大規模とは言え要は農民たちの一揆でしかない黄巾をキョンシーとか呪術が出るアクションホラーもので書いたんだろうなあ <> 赤ペン<>sage<>2019/01/01(火) 16:03:40.51 ID:GwEfTzpa0<> さてそれでは
>>389
>>一陣の風が俺の体温を奪っていく。涼風が俺の体温を奪っていく。 ちょっと体温奪われ過ぎかなって
○一陣の風が俺の体を撫でていく。涼風が俺の体温を奪っていく。  こんな感じでどうでしょう
>>「にしても、思ったより冷えますわね」    まあ二郎ちゃん相手だし砕けた口調になったのかもですが
○「それにしても、思ったより冷えますわね」 なんとなく麗羽様はそこを縮めるイメージがわかない
>>俺も麗羽様も口を開かず。     慣用句なのはわかってますが、と言うかなんとなくこの【口を開かず】ってむっつりしてるとかへの字に結んでるとかのイメージがあるので
○喧騒を肴にこのひと時を楽しむ。  間違いなくこれは二郎ちゃんも麗羽様も自分たちが頑張った結果だし何とはなしに穏やかに眺めるのが好きそう
>>「覚えていますわ。幼い日にも、幾度もこうして日の出を見たことを」 記憶、と言いますし
○「憶えていますわ。幼い日にも、幾度もこうして日の出を見たことを」 運転を覚えるとかなら上ですが、あの時のことを覚えてる、とかならこっちの方が良いと思います
>>「  一番最後にミスしましたね

>>391
>>でも、わたくしは楽しかったし、嬉しかったですのよ」 それとも最初にミスしたと言うべきか?
>>「おーっほっほ!    原作はどうだったか…実際に口に出してみると
○「おーっほっほっほ! の方が自然な感じがするというか、どうですかね?
>>袁家も、漢朝も。二郎さん、貴方もね。 不敬でございます…と言うか欲しいの?漢朝
○南皮も、袁家も。二郎さん、貴方もね。 南皮と袁家はタダ継いだだけじゃなくて自分が認められて手に入れることに価値を見出すかとは思いますが
>>袁家当主たるこの、わ・た・く・し!が命じますわ。  ここも実際に声に出してみると
○袁家当主たるこの、わ・た・く・し・が!命じますわ。 の方が自然な感じがします

袁紹様は治めてた土地が曹操の統治下になると《あの頃は良かった》って言われちゃうガチの善政布いてた名君だからね
まあ妾の子で苦労してた事とかも関係してるのかもしれないけど民を大切にしてた人としては間違いなくトップクラス
そりゃ光輝も溢れて根が小市民な二郎ちゃんは見惚れますわ
そしてこうやって見ると麗羽様が麗羽としての素顔が見せられる相手って本当に少ないのよな、田豊さんも見せられる相手っちゃそうだけどちょっと怖いし
>>ですから麗羽は、二郎さんをお待ちしておりますわ」  可愛過ぎだぜ…よく軽いキスで済ませられたな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/01(火) 16:48:47.57 ID:GwEfTzpa0<> さてさて・・・ふぁっ!?
>>400
>>日輪はその姿を東の空に落とし、薄闇が庭園に漂う。 この世界では日本は《日沈む国》だった?
○日輪はその姿を西の空に落とし、薄闇が庭園に漂う。 バカボンの歌では確かに西から東にお日様が沈むけど
>>401
>>「だからと言って!なぜ平地に乱を起こすようなことをするのです!」   慣用句としては
○「だからと言って!なぜ平地に波乱を起こすようなことをするのです!」  こうですね、まあ文字通り平地(平野)で戦うなら別ですが
>>402
>>ねえ、と問いかける相手は、仏頂面の紀家当主であった。     二郎ちゃんって蓮華の前では大体にやけ面だったような…いや、罪悪感からイメージされたのがそうだったのか?
○ねえ、と問いかける相手は、まぶたに浮かぶ紀家当主であった。 ただその書き方だとなぜか唐突にこの場に二郎ちゃんが現れたように読めるので。あるいは【まぶたに浮かぶ仏頂面の】とかの方が良いかな?

物凄くどうでもいいことですが…骨肉相食む地獄絵図を体験してた割に酒器を放り投げたり典型的と言うか極まったレベルで刹那的ですな
大事な大事な妹に、姉殺しの咎を背負わせて、自分が死ぬことよりも…自分の在り方を変えることが我慢できなかった、と
でもその割には漢朝の下風に立つことは当然だし、地元が地獄絵図になってるときは在り方かえてたんだよなあ
苦しい時はぺこぺこして、楽になったら恩人を蹴落とす、国のような大きな存在に反逆するほどの気概は無い…カイジに出てくる安藤みたいやな
せめて支援されてる時から二郎に面と向かっていずれ噛み殺してやる、とか言って歌舞いてくれりゃあ面白かったんだが <> 赤ペン<>sage<>2019/01/01(火) 17:28:12.02 ID:GwEfTzpa0<> まあ孫策の言ってることも納得はできませんが理解は出来るのよね
これから先、乱は確実でそれが明確にどこかの勢力の下に付いた状態だと使い潰される可能性も切り捨てられる可能性も、ね
例え二郎ちゃんがそういうつもりが無くても袁家軍が危険な戦地に行くか孫家軍が危険な戦地に行くかを選べって状態になったら、そりゃ孫家軍を行かせるだろうし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/02(水) 10:44:14.18 ID:FH1uBgd00<> >>411
どもです。

こちらこそよろしくオナシャス。
がんばんぞー

文ちゃんと斗詩は大丈夫仲いいです。ずっとね。ズッ友。

>>412
あけましておめでとうございます

>わざわざ笑いながらする事の理由を考えると…やっぱりできるだけ劉璋が涙目になってるとうれしい、とか程度の低い理由があるのかと
あるかもしれないと今思いましたw

>>413
>何せ張家が暗躍してた証拠なんて全くないわけで、なのにあの騒動のすぐ後に病死した名前だけは大きい4家先代
>下手したら忠誠は本物だし治世なら恙無く一生を終えたのが黄巾やら何やらで生まれた時代が悪かった、みたいな扱いかも
これは素晴らしい解釈w
いいぞーこれ。

>ちなみに今回張勲の話ができたのは本当に偶然で「そういや絡新婦ってどんな逸話の妖怪だろ?」と調べてみたらまさかの日本の妖怪だったことからこうなりました
ちなみに京極のあれが元ネタでありきですがぴったりなのです。

>そして今回の件で陳・海東さんのキャラ付も出来た気がするw多分この人は大規模とは言え要は農民たちの一揆でしかない黄巾をキョンシーとか呪術が出るアクションホラーもので書いたんだろうなあ
映画化待ったなし!見たい!まっさか黄巾がゾンビものとか斬新すぎだろう……
きっとサメ映画的にカルト的人気が拡散して続編が続続

>>414
>袁紹様は治めてた土地が曹操の統治下になると《あの頃は良かった》って言われちゃうガチの善政布いてた名君だからね
ガチです

>可愛過ぎだぜ…よく軽いキスで済ませられたな
予定が詰まってるからね、理性が勝ったね

>>415
>物凄くどうでもいいことですが…骨肉相食む地獄絵図を体験してた割に酒器を放り投げたり典型的と言うか極まったレベルで刹那的ですな
確かにそうですねえ。きっと言うても食うに困ったことはないのかな。ないだろうな。

>苦しい時はぺこぺこして、楽になったら恩人を蹴落とす、国のような大きな存在に反逆するほどの気概は無い…カイジに出てくる安藤みたいやな
安藤扱いは流石に不憫w

>まあ孫策の言ってることも納得はできませんが理解は出来るのよね
ありがとうございますー。そういう感じですね。

>これから先、乱は確実でそれが明確にどこかの勢力の下に付いた状態だと使い潰される可能性も切り捨てられる可能性も、ね
間近で二郎ちゃんと触れ合ってるかどうかってやっぱ大事というか

ありがとうございますー


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/02(水) 18:11:30.10 ID:O49sGZ+eO<> 今年も楽しみにしています!
二枚看板のお二人はやっぱり可愛い!(二郎ちゃん、麗波さんにこの二人と言い、陳蘭さんとか可愛い人多すぎ! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/02(水) 21:25:12.95 ID:FH1uBgd00<> >>418
どもです。

ありがとうございますー
なんとか本年で完結させたいのだすが、多分無理だろうなあと思っております
来年にはなんとかいけるかな?

>二枚看板のお二人はやっぱり可愛い!(二郎ちゃん、麗波さんにこの二人と言い、陳蘭さんとか可愛い人多すぎ!
ありがとうございますー
可愛い子たちを可愛く書いていると一ノ瀬も楽しいですが、可愛い子は素晴らしいなとかあれこれ感じます
感想とかそういうのがモチベーションに直結しますので、是非オナシャス。

がんばるぞー
<> 赤ペン<>sage<>2019/01/02(水) 22:06:19.53 ID:YAf3Q7CS0<> ああ、自分のと一ノ瀬さんのと読み返して思ったけど
孫策って勘で最善手を掴めるけどどこから見ての最善なのかとか何にとっての最善なのかとかが分かってないのか
紀霊というか袁家が自分の率いる孫家をどう見るかっていうとどう甘く見ても協力者だろうから、戦乱になったら風下にはいられない
つまり自分が生きている以上は孫家にとってはこれ(反逆)が最善手
でも孫権がトップなら身内扱いしてくれるって勘付いたんだな、多分
それも反乱分子である孫策をその妹が粛清して孫家が下に付くって明言すれば表も裏も受け入れるか

総合すると孫家にとってはこれが最善だったわけか…多分だけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 10:45:51.80 ID:ssEPCQHa0<> >>420
満点でございます。

妹がそこまでの覚悟があったことは望外だったでしょうが、孫策さんにとって勝ち確定でした。
姉妹はいつまでも仲良し。

さて相方。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 10:46:46.61 ID:ssEPCQHa0<> 日輪はその姿を完全に西の地平に隠してなお赤い残照を絶壁に照らす。
消えゆく光彩陸離は刹那の幻想。喪われるからこそ切なく、美しい。たとえそれが日々繰り返されるものであろうとも。

「いつ見ても日が落ちていく様は趣がありますねえ」

暢気に呟くのは陸遜。中華有数の智謀の士である。
ふわ、とした物腰からその智謀の冴えを読み取ることは難しい。
南部出身としては珍しくその肌は白皙。惜しげもなくその豊満な肉体を晒している。

「いいからさっさと用件を言え。これで忙しいんだ」

溜息をいくつもまとめて吐き出す彼女は周瑜。
陸遜と対照的に、健康的な小麦色の肌をこれまた惜しげもなく晒している。

「えー。久しぶりにお師匠さまとの逢瀬を楽しみたいというのは理由になりませんか?」
「ならんな。ほれ、さっさと用件を告げろ。さもなくば帰らせてもらうぞ。
 まったく、こんな場所に呼んでおいてからに」

冷淡に弟子をあしらう。
実際、忙しいのだ。色々と。そう、色々と。
それでも呼び出しに応じたのは、忙しいからこそ、とも言える。

「えー、でもー。用件と言ってもですねえ。
 既に果たされていると言ってもいいのですし。
 さて、これ以上何を望めばいいのやら。困ってしまいますねえ」

ぞくり。

くすくすと可笑しげに笑う弟子――陸遜――に何か不吉なものを感じて周瑜は言葉を強くする。

「穏!何が言いたい!」

返答はない。くすくす、と心底可笑しげな音だけが響く。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 10:47:13.32 ID:ssEPCQHa0<> 「穏!もういい!」

ちり、と嫌な予感。
踵を返そうとした周瑜に穏やかに声が響く。

「いえね、ここに冥琳様がいらっしゃった時点で目的は達せられているのです。
 ええ、既に。
我が策、成れり。という奴ですかね」

にこり、と笑う陸遜は常と変らない。

「……まさか、まさか!」

くすくす、と笑いながらいつしか陸遜の手には紫燕。
彼女の得手とする九節昆である。

ぎり、と歯ぎしりをする間もなく、周瑜は白虎九尾を手にし、振るう。
幾多の戦場を共にした相棒の鞭である。

九節昆。
扱いの難しい武器である。
その軌道は予想すること叶わず。時に奏者の意図すら裏切る。
武具のインパクトと対照的に、いや、それ以上に扱いの難しい武器だ。
だが、陸遜はその卓越した智謀と恵まれた体躯を操り、使いこなす。
一見無軌道とも思われるその動きは二手先、三手先まで睨んだ布石。
いや、二手、三手と思わせることすら彼女の掌中か。

「く、はあ!」

それでも周瑜は怯まない。後退しない。
むしろ歩を進めながら襲い来る連撃を捌く。躱す。進む。

「それで、勝ったつもりか!」

裂帛の気合いとともに襲い来る打撃を撃ち落とす。
数手先の動きを読んで襲い来る連撃を周瑜は更に上回って迎撃する。
じり、と詰め寄るのは隔絶した彼女の武威によるもの。
智謀においては互角でも。

「穏、今なら許してやる。貴様では私には勝てんよ!」

周瑜と陸遜。二人の智謀は互角と言っていいほどに拮抗している。
ただ、積み重ねた武技、修練は周瑜が勝っている。

それでも陸遜はくすくすと、笑う。
一手ごとに、一撃ごとに追い詰められていても。

「ええ、武に於いて私は及びませんねえ。
 ほんと、及ばないです」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 10:47:40.52 ID:ssEPCQHa0<> くすり。陸遜は笑う。
それでも、追い詰められる戦況でもうろたえない。
そう、この程度の不利なぞ。
嗚呼、感謝を。共にあった強者に。全力で高め合った貴重な時間に。
文醜と、顔良と、典韋と、趙雲と。そして。

「二郎さんの方がよっぽど、厄介ですし」

彼の変幻自在の武技を想うだけで火照る、昂ぶる。
ああ、師の。周瑜の武技は自分を上回るであろう。
だが、自分はそれ以上の武人と幾度となく立ち会ったのだ。
立ち合わせてもらったのだ。

そう。

武をもって立ち会った時点で自分の勝ちは決まったようなもの。

我が策、成れり。

そして周瑜は違和感を覚える。
何か自分は取り返しのつかない間違いを犯したのではないかという根源的な、本能的な恐怖に身を固くする。

「あらら。これまでですか?
 鎧袖一触とまではいかないですけど、他愛ないですねえ」

か、と鼓動が早くなる。追い詰めている。そのはずなのに。

「舐めるなぁ!」

武技においては自分が優越しているのである。
激昂した周瑜は鞭を振り、相手を追い詰めていく。
あと十秒とかからずに、打ち据えるであろう……。
勝ちを確信し、運足をより精妙に、打ちこみをさらに苛烈に。

「ああ、言い忘れましたが、孫策さん。もうこの世にいませんから」

は?

「いや、鈍(なま)られましたかね?ずいぶんと安穏とされていたご様子。 
 暢気に私と致している間に、です。
冥琳様の愛する愛するご主君は旅だってしまいましたよ?」

周瑜は激昂する。激怒する。もはや自重しない。弟子とか、どうでもいい。
あの、我儘な恋人(あるじ)が?悪い冗談だ。きっとこれは自分を激昂させてどうにかしようとする小賢しい策だろう。
ならば最愛の主と同じく食い破ってやる。

「はい、残念」

九節昆の動きがその速度を上げる。周瑜はそれを捕えきれず、各所に痛撃が。
だが、刺せる。乾坤一擲を!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 10:48:15.43 ID:ssEPCQHa0<> 裂帛の気合いを吐き出した口からは紅い塊。
硬直し、震える身体に容赦なく九節昆の連撃が襲う。
こんな時に!と周瑜は思う暇もない。

「……無事是名馬と申しまして」

更に周瑜の身体に鈍い痛みが走る。

「そんな身体で孫家の軍略を担うとかありえないのですよ。
 ご老体には、退場してもらいます」

哀惜すら感じさせる口調で陸遜は告げる。
どご!と腹に響く衝撃に周瑜は咳き込む。
息を吸う間もなく再び衝撃が襲う。
次々と。蹴り飛ばされて転がる。

「そろそろ、最後にしましょうか」

のんびりとした口調と裏腹に構えるは渾身。
周瑜は咄嗟に身をよじって。

奈落へと。絶壁へと身を躍らすのであった。

「あらら、事後処理までご自分でやってくださるとは。
 ありがたいことです。
 まあ、最初からここに落とすつもりでしたし、手間が省けたということにしておきましょう」

陸遜は笑う。そして呟く。

万が一に生きていても、その怨念は自分のみに向かうはずだ。
それでいい。それがいい。
反孫権勢力を糾合すればいいのだ。

叛乱勢力は自分を標的に襲いかかって来るであろう。
それでいい。いいのだ。
この身が盾となることができるならば、これ以上ない結果である。

くすり、と笑う。

「あれで蓮華様はお優しいですし」

実の姉を手にかけたのだ。その死を利用するのだ。きっと泣くだろう。悲しむだろう。自らを責めるだろう。それでも顔を上げ、立ち上がるだろう。前に歩き出すだろう。それこそが彼女の強さ、そして美しさ。
ならば傍らにある者は同じ……とまではいかずとも手を汚さねばならない。
そして共に歩むのだ。

日は落ち、月が昇る。夜風が火照った身体を冷ましていく。

そして陸遜は歩き出すのだ。
振り返ることなく、ただ、前に。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 10:49:02.84 ID:ssEPCQHa0<> 本日ここまですー

落日、赤壁にて

とかかなああんまりだなあ

お題募集しまくりんぐですよ本当に!


今日は昼から飲み会なので明日以降に頑張りますっと。
いつになったら黄巾と戦うのだろう。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/03(木) 11:01:59.84 ID:KG91Cfn9O<> 軍師という奴はなぜこうも健気に汚れ仕事とそれに伴う悪評を一身に背負おうとするのやら、いやそれができるから軍師なのだろうけど、って感じですなぁ

そういえば再登場フラグ溢れる退場の仕方をした周瑜さん、リメイク前の時って再登場しましたっけ?
覚えてないのでもう一度読み返してきます


題案は
『落陽、師を越えてされど安穏はなく』
この状況ですから安穏は無く、穏は自分でも気づかぬまま心の中で泣くのでしょうね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/03(木) 22:21:45.81 ID:ssEPCQHa0<> >>427
どもです。

>軍師という奴はなぜこうも健気に汚れ仕事とそれに伴う悪評を一身に背負おうとするのやら、いやそれができるから軍師なのだろうけど、って感じですなぁ
いや、本来背負わなくていいのですよ。
それでも背負って一緒に歩こうとするところが健気です。

>そういえば再登場フラグ溢れる退場の仕方をした周瑜さん、リメイク前の時って再登場しましたっけ?
ふっつうに死亡してました。

今回もダイス振っときますね。

>題案は
『落陽、師を越えてされど安穏はなく』

美しい。

その試奏にぐぬぬは漏れたすよ。

>この状況ですから安穏は無く、穏は自分でも気づかぬまま心の中で泣くのでしょうね
割り切ってますが、それでも、ね。
いや、割り切っているのです。選んだのです。きっとそれでも思うところはあるのです。
絶対認めないでしょうし、そんな感傷を味わう資格さえないとか思ってるけどですけども。
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/04(金) 14:40:37.55 ID:0yRkdoYe0<> 乙でしたー
>>422
>>消えゆく光彩陸離は刹那の幻想。 【光彩陸離】だと沢山の光が入り乱れてる様な…オーロラとか虹みたいなそんなイメージが
○落日の煌めきは刹那の幻想。   いろいろ考えたけどこの程度が限界…斜陽とかも考えたけど既に隠れてるからなあ、これで良いかは分からぬ
>>423
>>その軌道は予想すること叶わず。 【叶わず】は願いとか望みに使うもので《叶わぬ恋》とか、理想が上手くいかなかったときとかの感じですね
○その軌道は予想すること敵わず。 【予想すること】が追い付かないというか勝てない、敵わないという感じなのでこちらだったはず…むしろひらがなもありか
>>武具のインパクトと対照的に、いや、それ以上に扱いの難しい武器だ。  インパクト通りに難しい気がしますが
○武具の印象通りに、いや、それ以上に扱いの難しい武器だ。       もしくは【見た目通りに】とか?【対照的】だと《簡単そう》だけど実は《難しい》、この場合だと見た目は地味だけど使い手を選ぶ武器とかならいいんですが
短期戦ならまだしも体に抱えた爆弾があるから長期戦は無理か…それを自分以上に弟子が分かってたというかそもそも自覚が薄いよ
想像以上に陸遜が耐えてたから限界迎えたのかもしれないし絶妙なタイミングで挑発されたとはいえ

そう言えば前にお父さんの事書いてみようかな、とか言いましたがちょっと無理っぽいです、張勲さんは書けたのに…護・档案先生の力を借りて実は道士(仙人の弟子)だったんだよ!みたいなの書こうと思ったけどうまく文に出来ず
関係ないけど護・档案は神とか悪魔とかの存在を信じてる人、後妖怪とか魔法とかそういう物が実在してると思ってる人
当時武家筆頭だった先代文家当主が死亡したり軍師が戦わなきゃいけないくらいまで攻められたような大戦でまさかの汗を討ちとってさらに生還するとかどれだけの悪運よ、とかそんな感じで
実際その時は普段とは別人のように鬼神の如き槍働きだったからね、証拠はそろってる(キリッ) <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/07(月) 17:02:36.31 ID:IT9X1b+j0<> もの凄くどうでもいい事ですが
将来的(私が稀に書いてる民明書房のアレが出ている時代)にはゴッドヴェイドゥとか気とか宝貝とかは伝説になってる設定をしています
まあ三尖刀は実物が残って重文指定とかされてそうですが…だって神秘が身近にある世界の常識とか訳わかんないですし
常識でプロの格闘技で波動拳が飛び交う世界観とか構築してたらそれでなんか作品できそう…とはいえこの世界では事実としてそういう物の使い手がいるので
おそらくFATEとかハイスクールDDみたいに裏の世界で細々とやってるんじゃないかな?表の一般人はなんも知らない感じで <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/07(月) 21:16:52.30 ID:h9X5/OHd0<> >>429
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

中々添削なしとはいかないです
頑張るぞいっと

>短期戦ならまだしも体に抱えた爆弾があるから長期戦は無理か…それを自分以上に弟子が分かってたというかそもそも自覚が薄いよ
多分常日頃からどうやって討つかというシミュレーションは常時してたと思います

>…護・档案先生の力を借りて実は道士(仙人の弟子)だったんだよ!みたいなの書こうと思ったけどうまく文に出来ず

まあ、いきなり雷に打たれたように天啓があるかもしれませんのでそれに期待しております

>当時武家筆頭だった先代文家当主が死亡したり軍師が戦わなきゃいけないくらいまで攻められたような大戦でまさかの汗を討ちとってさらに生還するとかどれだけの悪運よ、とかそんな感じで
控えめに言って、ありえないっすよねw
まあ、裏設定で武力統率魅力100ですから……w

>実際その時は普段とは別人のように鬼神の如き槍働きだったからね、証拠はそろってる(キリッ)
まっさに驚天動地の活躍でございました。
旧世代については雷薄さんにでもいつか語ってもらいたいなあとか

>>430
>将来的(私が稀に書いてる民明書房のアレが出ている時代)にはゴッドヴェイドゥとか気とか宝貝とかは伝説になってる設定をしています
ほむ

>まあ三尖刀は実物が残って重文指定とかされてそうですが…だって神秘が身近にある世界の常識とか訳わかんないですし
ふつのみたまかな?
あれ、鹿島ではめっちゃ地味でしたが、上野で展示されたらめっちゃ神々しかったの覚えてます

>おそらくFATEとかハイスクールDDみたいに裏の世界で細々とやってるんじゃないかな?表の一般人はなんも知らない感じで
わくわくしますね。浪漫。

さてパパ上の活躍を二郎ちゃんは越えられるのか!
※別に越えたいとは思っていない


<> 俯瞰者
◆vZOyjdZrOo<>sage saga<>2019/01/08(火) 06:34:43.27 ID:oP7f/0Hi0<> あけまして、おめでとうございます(まだ大丈夫ですかね?)

ええと、袁術ちゃんの死亡フラグが一つ消えると同時に史実からちょいと離れました。

……孫策さん、生き急いだつうか早すぎる。ほんっっっっとうに勿体ない。
こっちでなんかコラボ出来ないかしらん?

おいおい、後追いを危惧していた周瑜さんまで。貴女はほいほいと死んじゃダメでしょうが。江南の再建がなんとか軌道に乗りかけている今は孫権さんを支えて放火魔(陸遜)と一緒に孫権さんを補佐する事も出来るでしょうが(魂の説教)
話の都合とはいえ、切なくなりました。このコンビ、大好きですので。

さてこうなると放火魔(陸遜)の手腕に注目しますかね。二郎さん(袁)の傀儡になってしまうのか、それとも対等な勢力として袁と対峙できるまでに孫家を成長させるのか。
少なくとも母流龍九を介した経済侵略を跳ね返す位の財政基盤を作らないと、本当の意味での独立組織にはなれないような。
多分洛陽の奥に潜むモノ共は欲と下世話な視点でこれを眺めているでしょうね。


なんか感想がきつくなりましたな。それだけ雪蓮と「めーりん」に思い入れが強いのかな? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 22:38:25.11 ID:uXhwQPj70<> >>432
あけましておめでとうございます
多分大丈夫っすよきっと

>ええと、袁術ちゃんの死亡フラグが一つ消えると同時に史実からちょいと離れました。
うへへ、乖離ってことです

>……孫策さん、生き急いだつうか早すぎる。ほんっっっっとうに勿体ない。
虎でした。

>こっちでなんかコラボ出来ないかしらん?
フリー素材にするわけにもいかないですからねえw
それとも、あっちで伏せてたらいいのだろうか

>話の都合とはいえ、切なくなりました。このコンビ、大好きですので。
いいコンビではあります。一ノ瀬も好きです。
でも彼女らが導くのは戦乱の炎。それを纏って輝くお二人はね、こういうことになりました。
ほんとはラスボス候補だったんだよなあ。史実的な意味でもw

>さてこうなると放火魔(陸遜)の手腕に注目しますかね。
ご期待ください。とだけ。

>なんか感想がきつくなりましたな。それだけ雪蓮と「めーりん」に思い入れが強いのかな?
めーりんめーりん助けてめーりん(を)!





<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:14:57.17 ID:uXhwQPj70<> 「二郎さま、どうぞ」
「ん」

いつもの、陳蘭の茶だ。
ふう、と香りを楽しんで、ずびりとすする。
美味くもないし、まずくもない。落ち着くわあ。

さて、だ。俺はこれから俺は黄巾どもを刈りに出かけるのだ。
未明に麗羽様に激励していただいたこともあり、珍しく気合いが入っている。
珍しく猛っている。それはきっと不要なもの。だから陳蘭の茶がありがたい。

「うし、ありがとな。陳蘭も準備しときな」
「はい」

室を辞する陳蘭を見送り、大きく息を吸い、吐く。どうにも、柄にもなく入れ込んでいたようで、まだ鼓動はスタッカートを量産している。

「おお、準備万端じゃの。まことに結構なことじゃ」

自らも煌びやかな戦衣装を身に纏った美羽様がとてとて、と駆け寄ってくる。

「じろー」

ほれ、とばかりに腕をのばしてくる。
いいのかなあ。服に皺つかないかなあ。
などと思いながら美羽様を抱きかかえる。
えへへ、と笑う美羽様の頭をぐりぐりと撫でまわす。
……セットした髪型が崩れない範囲でな!

「で、どしたんですか?」

美羽様は紀家軍と一緒に南皮を発ち、如南へと向かう予定になっている。いよいよ美羽様本格的にデビューなわけである。
俺らはその後転進し、補佐できないけどまあ。袁家の官僚団がいれば実務は大丈夫だろう。
お付きの者たちも精鋭……というか、将来有望株ばかりだし。

「うむ、暇だったのじゃ!七乃も最近忙しそうにしとるし、流琉は今日の出兵でばたばたしとる。
 かといってシャオとばっかり会っておってもいかんしのう。
 じゃから二郎のとこに来たのじゃ!」

そしてこの顔である。
ドヤ顔の美羽様を適当にこねくり回し、ぽんぽんと投げ、ぶんぶんと振り回す。

あ、結構衣服が乱れたか。まあ、よかろう。侍女ども、出番をくれてやったぞ。
美羽様の無聊を慰めることができたのだからそれでよかろうて。

さて、出立まではどれくらいだろう。結構待ってるけど、それだけ久々の大規模出陣に手間がかかっているということであろう。いかな袁家とは言え、一部を除き実戦は遠き昔のこと。
だからこそ古参兵は財産なのだよね。
と、室の戸が大きく開け放たれ、そこには幼女と熟女が立っていた。

孫尚香と黄蓋。孫家から差し出されている人質たちである。
そんな彼女たちとは良好な関係を結べていて、だからこそ。
その報に魂消(たまげ)た。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:15:39.84 ID:uXhwQPj70<> 孫策、周瑜、死去。

そんなビッグニュースをこのタイミングで……。
つーかあいつら殺しても死にそうにない面子なのになあ。いや、早死にコンビだっけか?

べそ、べそとするシャオをなだめながら黄蓋に問う。

「流石に寿命ってこたあないわな。死因は?」
「毒、だそうじゃ。
 孫家を快く思っていなかった豪族の手による凶行、とのことじゃ」

なん……だと……。
そんなの撃退とかしそうな感じで、ふてぶてしくて、しぶとそうだったんだけどもな。
儚いものである。

「そりゃ……一大事だな」

江南とか荊州を孫家に預ける俺の計画がストレスでマッハ。つーかやばい。
てか、跡目はどうすんのさ、という問いに黄蓋が応える。

「権殿が跡目を継ぐ。
 既に策殿、周瑜を暗殺した豪族は誅滅したそうじゃ」
「そりゃ……、まあ、妥当か」

予期せぬ権力の移譲。武力の行使で政権を固めるのはまあ、アリだろう。というか、必須だ。
あれで、強引に江南をまとめてたからなあ、孫策も。そりゃカリスマもあったろうが、範囲が広いよな。
抑圧された豪族が排除に動くのも無理はないか。

「お前さまよ。わしらはその分際を弁えてはおる。
 じゃが、その上でお頼み申す。
 せめて、策殿の葬儀には参列したい。
 尚香殿だけでも、お願いできんか?」

深々と頭を下げ、露骨に媚を売る黄蓋に流石の俺も思うところはある。
腕の中でべそべそと泣くシャオ。それを一生懸命に慰める美羽様。

「のう、二郎。駄目、かや?
 思うのじゃ。麗羽姉さまや七乃、流琉。いなくなったら、と思うと。思うだけでもう、わらわは……」

シャオに負けず劣らずべそべそ、と。びいびいと号泣する美羽様をそっと抱きしめる。
幼女二人を抱きしめる俺を黄蓋はなんともいえない顔で見て、再び頭を下げる。
その様は、とてもしおらしく、諦念があった。
そらね、無理だよね。常識的に考えて。そらそう思うよ。
それでも、できることをしようとしているのだろう。しているのだろう。だから、言った。
行ったがいいさ、と。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:16:06.90 ID:uXhwQPj70<> 「孫家への帰還を許す。二人ともな。
 喪が明けたら南皮へ帰ってくればいいさ。それでいい」

事実上の釈放である。
だがまあ、蓮華が孫家のトップならおかしなことはせんだろ。

「かたじけない。この借りはいつか返す」
「おう、せいぜい利子つけてくれよ」

ひらひらと手を振り、退室を促す。そう、孫家の後継など些事であると示す。
俺ごときがきまぐれに裁可できる案件であると示す。
やりとりを見ていた全員に、示す。
それを知ってか知らずか。

「じ、ろう、あり、がと」

シャオが涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、必死に言の葉を紡ぐ。
さっきまで俺に縋り付いていたのが、距離を取り、優雅に一礼を。……震えながら。

くるり、とその身を翻し。にぱ、と笑う。涙、鼻水。それを纏って輝く笑顔。

「美羽、二郎!大好きだよ!ありがとう!愛してる!大好き!」

精一杯叫び、駆け出す。
その身に背負うのは孫家。なのだろう。
俺は忘れないだろう。あんなにも一生懸命に泣きながら笑おうとするシャオの顔を。

「じろう……?」

美羽様をきゅ、と抱きしめて誓う。

「なに、悪いようにはしません。
 シャオも、もちろん美羽様も、それに……」

ぎゅ、としがみついてくる美羽様を抱きしめて心に誓う。
とりあえず黄巾さっさと潰そう、と。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:16:33.86 ID:uXhwQPj70<>
紀家軍の出陣は予期せぬ報せにより若干以上の遅れを生じていた。
言うまでもなく、孫家の当主と腹心。孫策と周瑜の死去である。
袁家の江南における政略、戦略は大きく見直されることになるのだが、軍部最高指揮官たる紀霊の泰然とした態度により混乱は最低限に抑えられていた。

「その程度のこと」

普段無駄に腰の軽い紀霊が「それが、どうした」とばかりに動じないことにより、袁家官僚団は動揺を最小限に抑え、通常業務に戻っていく。

ただ、袁家の政略、戦略を預かる軍師陣はそうにもいかない。
袁家の軍事を預かる郭嘉は今や紀家軍の頭脳たる程立との面会を果たした。限りある出兵までの僅かな時間で。

「これはこれは、稟ちゃん直々のお見送りとは恐縮ですね〜」

……どうやら片方には緊迫感などないようではあるが。
だがそのような態度には慣れっこなのであろう。表情をぴくりとも動かさずに郭嘉は口を開く。

「風は此度の孫家当主、筆頭軍師の死去についてどう思うのです?」
「そですね。なんとも痛ましいなあと思うのですよ。孫権さんとは知らぬ仲じゃありませんし、悲嘆たるやいかほどかと」

のほほん、と応える程立にも郭嘉はいらだちを見せずに重ねて問う。

「孫権殿、陸遜殿。次代の孫家を担うと言われていた方々が里帰りしたこの時期に当主と軍師が死去。これは偶然でしょうか」
「偶然じゃないですか?いや、孫家は大変でしょね〜。
風が孫家の臣ならば居眠りを決め込むところなのですよ」
「偶然なわけありますか!このような偶然があるわけないでしょう!」

あくまでのほほんとした態度の程立に郭嘉は声を荒立てる。
その声に動じることなく、静かに程立は応える。くすり、と控えめな笑みとともに。

「二郎さんも偶然ということで納得されてましたし、それでよいのではないですか?
 風は二郎さんの見解に同意するのですよ〜」

くふ、と僅かに笑う程立に郭嘉はふむ、と考え込む。
程立がこういう風に言うのには理由があるのだろう、と。

「いいでしょう。今回の事象を突き詰めてみましょう。まずは孫家の二人が、不穏分子たる豪族による毒殺をした場合ですね。
 これならば簡単です。どのような偶然かは置いておいて、孫家を継ぐ二人の地盤強化にその死は利用されたのでしょう。
元来強引な手法で孫家をまとめていたのです。奇貨居くべし。不穏分子を排除するというのは至極当然のこと」

ですよね、と問う郭嘉に程立はくすり、と賛意を示す。

「ですが現実味に欠けます。これは除外していいでしょう。
 さて、本題の、孫権殿と陸遜殿が。
孫策殿、周瑜殿を除いた場合です。
 この線でまあ、実際間違いはないでしょう。豪族の粛清は政権の安定のために武力を行使したのでしょう。
 実に見事、鮮やかな手腕と言わざるを得ません」
「稟ちゃん、稟ちゃん。性急すぎますよ?
 しかして、なぜにお二人はそのような凶行に。実の姉と師を除くという暴挙に出たのか、ということですよね」
「……孫家を掌握するというのは手段であり、目的ではないということですね。
 これは虞翻殿に情報収集を依頼した方が?」

くふ、と程立は柔らかく笑う。

「いえ、藪をつつく必要はないかと思うのですよ。蛇どころか竜が出てくるかもですね〜。
 それに、稟ちゃんはもう少し立場というものを自覚するべきなのですよ。
 袁家は大家、です。この上なく、です。
当然、その一挙手一投足に中華は注目してるのですね。
 ですからこそ、孫家に対しては無関心、無為こそが策。渾身の一手と思うのですよ」
「……なるほど。袁家武家筆頭にして袁家軍最高指揮官たる紀霊殿。あの方が出兵されるこの時期こそが……最高の時期ということですか。
 確かに、袁家が孫家の代替わりの際にあれこれと蠢動するとなれば、相当に耳目を集めますね。
 しかも、ああ。なるほどなるほど。
 袁家が里帰りを許したお二人が孫策殿と周瑜殿を討ったとなれば、それを命じたのは誰であるか、明らかです」

ずび、といささか下品に程立は茶を啜る。
常ならば寝たふりで追求を躱すであろうこの、蜂蜜色の髪をふわふわとした親友の態度で郭嘉は自分の推察に確信を得る。
そして、どうしようもなく核心に触れなければならない。
それが袁家の軍略を預かる自分の役割であるのだから。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:17:07.52 ID:uXhwQPj70<> 「袁家の人質として永らくいた孫権殿と陸遜殿。
 それが江南に帰参し、それまでの孫家を動かしていた孫策殿と周瑜殿を除く。
 更に孫堅殿の代より孫家に仕えていた黄蓋殿、そして孫尚香殿の帰参を許す。
 なるほどなるほど。
 そういうことですか。そういうことだったのですね?」

鋭い視線で問いかける郭嘉に程立はいささかも揺るがない。
くふ、と笑みを一つ漏らすのみ。

「ないですね〜。いかにもありえそうな絵図ですけど、二郎さんを黒幕とすると一気に説得力がなくなりますね。
 二郎さんは、その能力と人望、実績から考えれば呆れるほどに臆病です〜。
 稟ちゃんも歯がゆかったからこそ、そういうことを言うのでしょ?
 でもですね、いえ、ですからこそ。それはありえないのですよ。
 孫家に対するその一手は狙ったとすればそれは最善、いえ、至強。天を我が物にするべき英傑の一手。
 まあ、そこまで狙ってできる方であるかは……稟ちゃんも分かっているのでは?」

くすくす、と笑う程立に郭嘉は苦笑せざるをえない。

「まあ、ないですね」

きっぱりと切り捨てながらも郭嘉はどこか嬉しげである。いや、これは会話の相手と共感したからであろう。

「そです。ないです。が、解釈しようによっては如何様にも解釈できますのです。
 それが袁家という家の重み、権勢なのですね。
 ですから、此度の孫家のお家騒動については無為無策、袁家は関わらないどころか興味もない。それでいいのです」

いつもながらこの、どこか人を食ったような態度の親友には驚かされる。
そう感嘆しながらも郭嘉は更に問う。

「それは袁家の総意ですか?」

沮授、張紘、魯粛。そして現地で孫家と相対している虞翻。いずれも英傑たる彼ら彼女らはどうなのか。

「そですねー。分かってなくて動かない方、分かってて動かない方。様々じゃないでしょかね。
いずれにしろ、結果は同じですよ〜」
「……なるほど。袁家が動かないことそのもの。いえ、二郎殿が動かないということが、それで察すると。どちらにしても、ですか。
 確かに。確かにそうなるでしょうね」

つまり、動こうと動かまいと袁家は今回の事象について無関係ではいられないのである。
で、あれば無関心こそ最善の一手。
が。

「で、二郎様は実際。何を意図されたのですかね?」
「稟ちゃん、分かり切ってることを聞くのは、野暮ってものじゃないですか?」

くふふ、と笑う程立の笑みは深く、おかしげに響く。
読みきれるものではないな、と郭嘉は苦笑する。
嗚呼、正解を求めるなぞ、軍師として恥ずべき事であろうと。

掴んだ。掴んだと思われる事象を大事に抱え、郭嘉は去るのだ。
その背中は、覇気と決意に満ちていて。流石の程立も揶揄の声をかけられない。

それでいい、と程立は思う。
そして思う。彼女が敵にならなくてよかったと。彼女を敵にしてみたかったと。

くふ、と浮かべた笑みはどこまでも穏やかであった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:19:44.98 ID:uXhwQPj70<> おまけ

Q:二郎ちゃん、孫策さん殺してしまったん?

A:匿名希望

          ,'‐〈 ' ∨ // | |ヽ〃| } .l     ヽ=
.         l !! |  //  ! ハ「 ゙̄¨リ |. ! u  .|i|
.         !||il!|! _lイ// .r十ト 、_ / | い.   |  !}
         '''''''r7从/ /ムトァ=ニ` !ム斗- ヽ  ぃ
           }_レイ/イV廴ソ ノムィァテトゝ .\トゝ はあ?
           /十イ  .! ``¨¨´  .ゞ=イノ `T``
          ,  | |!i_  ト、 u   _    ノ  |    あのめんどくさがりがそんなことするわけないでしょ。
          ,´レ| | !¨f>、   `′,イ!| |j|}
          / / ヽ.! : | ハェ≧-<_ ! \「//    まだしも月の着替えを覗いたって言う方が説得力あるわよ
.        〈 /   `丶、! .厂テドへ \  \
.         〈       \j-」ioiト、`丶ミレ }
        ,ィヾ- 、_ \   ハ。>~¨ \、  -}イ
.        f   `; `¨トヽ  !/~'¨    」L イ||ヽ、

だそうです。

パーフェクトだゾ。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/08(火) 23:20:52.32 ID:uXhwQPj70<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名もオナシャス

現状では
「落日。表裏」

なんかなーこれじゃないんだよなあ感 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/08(火) 23:35:19.28 ID:RWeMo+pGo<> 乙です
二郎くんがんがれー
『小さき王族へ捧げし新たな誓い』と『親友達の楽しい茶会』かなあ
もしくは『張良如しの頭脳惚れし者を的確に評する』
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/09(水) 10:43:52.92 ID:+D6G4XdE0<> 乙でしたー
>>437
>>紀家軍の出陣は予期せぬ報せにより若干以上の遅れを生じていた。  これでも良い気がするけど慣用句だからなあ
○紀家軍の出陣は予期せぬ報せにより若干以上の遅れが生じていた。  まあ正確に言うなら《遅れると言う事柄が》《生まれていた》になるからこうですね
>>のほほん、と応える程立にも郭嘉はいらだちを見せずに重ねて問う。 間違いとは言い切れませんが一応《問答》と言いますし
○のほほん、と答える程立にも郭嘉はいらだちを見せずに重ねて問う。 問いに答えるならこっちかな?
>>その声に動じることなく、静かに程立は応える。くすり、と控えめな笑みとともに。 呼びかけに応えるとか、懇願に応えるとか
○その声に動じることなく、静かに程立は答える。くすり、と控えめな笑みとともに。 どちらかというと欲しているものを出した時の感じかな>>応える
>>まずは孫家の二人が、不穏分子たる豪族による毒殺をした場合ですね。   【孫家の二人(孫策と周瑜)が、豪族による毒殺をした。】という読み解きでいいのかな?【孫家の二人(孫権と陸遜)が、豪族による毒殺をした。】だとその後の偶然がおかしいし
○まずは孫家の二人が、不穏分子たる豪族による毒殺をされた場合ですね。  でもその場合も誰を毒殺したかがおかしくなるのでこうですね
>>袁家は大家、です。この上なく、です。  意味は分かるんですけどね、大家(たいか)ってある分野に強い影響力を持ってる、的な意味なので
○袁家は名士、です。この上なく、です。  もしくは【有名】、【高名】とか?ちょっと違うかもだけど【名家】でも良いかも
>>438
>>いえ、二郎殿が動かないということが、それで察すると。 【〜と言う事が、それで察する】だとなんとなく接続詞に違和感が
○いえ、二郎殿が動かないということに、それを察すると。 こんな感じでどうでしょう

これはネコミミさん、汚名挽回のチャンスだぞ!!あの紀霊が武家筆頭になった時とは違うところを見せてくれるのか、変わることなくまた惇ねえに一刀両断されるのか
ちなみにこれで実際に誰の意思によるところかはともかく表向きも裏向きも完全な恭順がなされたので袁家は孫家を遠慮なく身内認定できるという
美羽様があんな顔をしちゃった以上孫家を使い潰すことも難しくなったし、あとは身の丈に合った野心と欲で領土を治めればいい…戦を嗜む豪族上がりの孫家としては天下に覇を唱えるのはちょっとね、止まり方が分からなくなっちゃうかもだからね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/09(水) 22:08:15.71 ID:CvH0HaUN0<> >>441
どもです。

>二郎くんがんがれー
頑張っていくですよ。これからは。

>『小さき王族へ捧げし新たな誓い』と『親友達の楽しい茶会』かなあ
>もしくは『張良如しの頭脳惚れし者を的確に評する』
よき案ありがとうございますー
参考させてくださいませ

>>442
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
中々うまいこといかんなあ

>これはネコミミさん、汚名挽回のチャンスだぞ!
よっしゃ汚名挽回させたろ(決意)

>袁家は孫家を遠慮なく身内認定できるという
美羽様とシャオの関係だけでも十分過ぎますので、第一目標は達成されてます
尊い

>美羽様があんな顔をしちゃった以上孫家を使い潰すことも難しくなったし
そうなんですよねーw
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/10(木) 10:03:25.07 ID:/svkJiz90<> 言質は取ったで(ゲス顔
名誉返上は誤用だけど汚名挽回は誤用じゃないんだよなあ
元々誤用じゃないのが1976年ごろの作品で誤用説が広まって最近になって再び昔から使われていたもので誤用じゃないと言われ始めてる
《挽回》が元に戻すって意味だから【汚名を受けた状態を元に戻す】って意味になるらしい
もしくは単純に【汚名を最初の状態に戻す】だから…男に対する偏見と驚異のツン10対デレ0は初めから、か?(愕然
いやいや、かの曹操の筆頭軍師でチョー頭いいし!!考察力と推察力と凄いし!!脳筋の夏候惇に他家の謀略の読みで負けるとかありえねーし!!

ちなみにどうでもいい事ですが、私は基本的にキャラクターの行動にはその人なりの理由が有って行動しているという前提で読んでいます。
街論、ただ何となく、とか深い意味は無いけど、というものもあるでしょうけど、それはそれで今までの行動とか嗜好とかをそのままに、って感じですね
だからこそ二郎が孫策に真名を許すのに違和感を覚えたり、黒山賊の根拠地での飛燕さんの諸々に違和感を覚えたわけですが
そう言う意味ではあまりスポットが当たらなかったので何とも言えない所もありますが、周瑜さんは流され過ぎじゃね?感はありましたね
もちろん最終的には孫策の勘を信じて無茶振りをこなすのは良いんですが、お前軍師なら情に絆された感じじゃなくて勘の裏付けと言うか理論だった道筋付けろよ、と
ただの情婦と言うか恋人ならともかく断金の友で右腕なんだから袁家と何故袂を分かつことになるのかを孫家上層部の共有意識にする努力をしろよ
なんて思わなくも無かったですが、多分生きるのに必死だったのが孫策のカリスマに引っ張られて今までずうっとうまく行っちゃってたから目が曇ったんだろうなあ
実際孫策と二郎の初接触の後に「お前が注意すべきだと言った祖授の前で何やってんだ」とか言わなかった理由を考えると…本当の意味で周瑜が孫策に意見をしたことはあったのかねえ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/10(木) 22:01:09.03 ID:DWUtAw540<> >>444
>言質は取ったで(ゲス顔
はかったな!はかったな!

>名誉返上は誤用だけど汚名挽回は誤用じゃないんだよなあ
なん……だと……っ!

>かの曹操の筆頭軍師でチョー頭いいし!!考察力と推察力と凄いし!!脳筋の夏候惇に他家の謀略の読みで負けるとかありえねーし!!
そうだよ(便乗)

>だからこそ二郎が孫策に真名を許すのに違和感を覚えたり
ここはね、結局二郎ちゃんは真名についてはどうしてもこの世界の認識とはずれるのだと思うのですね
理解しても共感はしていない。自らの過小評価。そこら辺かなあ、と。それが終盤にも影響するし、沮授と張紘については真名じゃ足りないとなる。
みたいな

>黒山賊の根拠地での飛燕さんの諸々に違和感を覚えたわけですが
あれは盲点w
本当にありがとうございますた

>周瑜さんは流され過ぎじゃね?感はありましたね
>お前軍師なら情に絆された感じじゃなくて勘の裏付けと言うか理論だった道筋付けろよ、と
>ただの情婦と言うか恋人ならともかく断金の友で右腕なんだから袁家と何故袂を分かつことになるのかを孫家上層部の共有意識にする努力をしろよ
フルボッコにしている案件ばかりで苦笑

>多分生きるのに必死だったのが孫策のカリスマに引っ張られて今までずうっとうまく行っちゃってたから目が曇ったんだろうなあ
成功体験に人は引きずられる、というのもありますし、無印めーりんだともっとね、なんかね。
軍師とか断金とか言ってて、結局破天荒な動きの尻拭いばっかりだったんじゃないのかなあと思ってます
だって自分が立てる策より上を勘でやってくのが主人とか、ある意味心が折れますよそりゃあ
だから拗らせる。拗らせました。
どんな知謀よりも孫策の勘はその上をいくとか、そりゃあ呪詛でしょうよ
SSSSグリッドマンじゃないですが、親方には怪獣じゃなくて解呪を是非 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/11(金) 18:10:52.73 ID:1yjjVNeP0<> 孫策が欲していたのは自分の尻拭いをできるイエスマンだった?
いやまあ中小企業レベルのお山の大将なら当人のカリスマ性と決断力があれば後は後ろをついてこれるやつがいれば隣に並び立つ奴はいらないんだろうけどさあ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/11(金) 21:47:34.12 ID:YOR/vhhx0<> >>446
>孫策が欲していたのは自分の尻拭いをできるイエスマンだった?
欲していたとかじゃないのではないかな、と。
孫策さんが無茶する。周瑜が後始末する。
なまじ有能だからそれだけでいけた。いけてしまったのですよ。

ピーターの法則的な? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/11(金) 22:02:22.43 ID:YOR/vhhx0<> 禁軍。
禁裏を、玉体を守護する漢朝の最精鋭。
無論儀仗兵を兼ねてもいるため、「張子の虎」と揶揄する者もいる。
だが、この人物が指揮する軍に限ってはそれはない。
お仕着せで光輝を振りまく代わりに、血染めの衣で死を振りまく。

朱儁。

何進が禁軍最精鋭二万を直接率いさせた将軍である。
恐らく禁軍で血なまぐさい戦場を駆けたことのある指揮官は彼くらいのものであろう。
涼州大乱の折には馬騰率いる涼州連合叛乱軍と矛を交えてもいる。
かの涼州騎兵を向こうにして互角に渡り合ったその手腕は、内外から極めて高く評価されている。
……いささか、人格に疑問符が付かなければ禁軍総指揮は皇甫嵩ではなく彼であったかもしれない。

「さて、どう見る、朱儁殿」

そう問いかけるは中華屈指の英傑。かつて漢朝に反旗を翻してなお忠義の士と称される益荒男(ますらお)。
かの名将馬援を祖に持ち、涼州にて漢朝を匈奴の脅威より守護する馬騰その人である。
この、因縁のある二人を同じ戦線にて合力させたというところに皇甫嵩の非凡さはあるのかもしれない。

「ああ、あれだな。羊が何をとち狂ったか狼だと思っているらしい。虎狼の皮の代わりに黄色い布を引っ被って、滑稽なことだ。
 あれらには教育が必要だろう。天に唾吐く行為がどれだけのことか、きっちり教育してやらなければなるまいよ」

獰猛な笑みは、もたらされるであろう惨劇に既に酔っているのかもしれない。
馬騰はいささかも表情を変えず、問う。

「では、右翼は我らが。左翼は貴殿ということでよろしいか」
「異存なぞない。では、存分に殺すとしよう。愚民どもに分際を教育してやろうとも」

数刻後、六万に膨れ上がった黄巾は単純に官軍に突撃し、左右に挟まれ、壊滅する。
二万の禁軍と一万の馬家軍に文字通り蹂躙される。
合流して連携なぞせず、二つの塊として、獣として好き勝手に黄巾賊を喰らう、引き裂く。
数を頼みに向かい合った黄巾賊は控え目に言って不幸であったろう。漢朝の抱える最上の部類の戦力とぶつかることになったのであるから。

黄巾賊はやがて蜘蛛の子を散らすように。四方八方にわれ先と敗走する。
その統率なぞ取れていない動きを収斂させて叩き潰す。その手腕こそ更に評価されるべきであろう。

この日、五十万と号する黄巾賊はその一割を喪うことになるのであるから。

「しかしなんと他愛のない……。鎧袖一触とはこのことか!」

娘と姪に残敵掃討を命じ、散る賊の退路を断ち、賊の殲滅を命じる。
同じく部下に任せた朱儁が近づき、笑う。

「いや、なんとも歯ごたえのないことだ。期待外れもいいところだとも。教育する暇なぞなく手折られるとはな。
 なんとも嘆かわしい。久々に腕を振るえるかと思えばこれだぞ。
 これはやはり、あの時。そう、あの時に一心不乱に戦の空気に酔いきれなかったのは痛恨と言えるかもしれないな。
 どうかな、今更であるが、煮えたぎる煉獄たる戦場に身を置くのはどうかね。
 あの時の続きを、ひとつ。
どうだね」

にんまりと、ニタニタと笑う朱儁の言に馬騰はいささかも表情を揺るがせはしない。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/11(金) 22:02:54.42 ID:YOR/vhhx0<> 彼奴らは叛徒。容赦する理由はどこにもない。なれば一兵であっても禍根は残さない。
数は力となるのだから。
そして応える。この上なく戦闘を、戦争を愛する男に答える。

「笑止千万とはこのことよ。この槍は漢朝に捧げたもの。私闘なぞ、論外である。
 漢朝の臣同士、槍を合わせて如何とする。全くもって語るに値せん」

何とも石頭よ、と苦笑する朱儁に馬騰は重ねて言う。

「そう、この身は漢朝のために。
 であるから、な。
 模擬戦、手合せ大いに結構。
 是非に願いたいものだな。禁軍最精鋭との手合せとなれば、あれらはより大きく羽ばたくであろう。
 千里どころか、万里を駆けるであろうさ」

誇らしそうに見るその先には、馬超と馬岱。馬家の次代を担う将才だ。
黄巾の残党を追撃し、誅滅しきった手腕に馬騰は内心で賞賛を。
自分が同じ年頃であれほどの用兵ができていたろうか、いや、ないと。

「父上!只今帰参いたしました!黄巾賊、誅滅して参りました!」
「お姉さま、見え見えの詐術に引っ掛かるとこだったけどねー」

ごちん。

「こら!父上の前だぞ、余計なことを言うな!」
「えー、だって事実でしょー。たんぽぽ叔父様には嘘つけなーい」

きゃいのきゃいのと姦しく囀る二人に口元を緩めた馬騰は。

「傾注!」

びしり、と数瞬前まで戯れていた二人が背筋を伸ばす。

「武勲、大いに誇るべし。兵馬を休ませ次戦に備えよ。
 そして。そうだな。
……二人とも、よくやった」

馬騰の言葉に表情を輝かせて一礼。去る少女二人を見て朱儁は笑う。

「なんだ、貴様も存外に身内には甘いのだな」

にやり、と応える馬騰は獰猛に笑う。

「見れば分かろう。あれらは、化けるぞ。
 この身なぞ問題とせぬくらいの逸材たちだ。
 鷹、というのは生まれるものだな」

朱儁は三日月の形に口を歪めて問う。

「なれば、禁軍に預けてみるか?きっちりと鍛えてみせるがね」

「ご配慮痛み入るな。だが、私の目が黒いうちはありえんよ。
 まあ、言ってみれば、こうだな。『おとといきやがれ』。というやつだ。
 貴様に大事な娘たちを預けられるものか」

「結構、それで結構。結構だともよ
 貴殿のその覚悟、実にいいものだとも」

ニヤリ、と笑い右手を握り、拳を突き出す。
それにコツ、と拳を合わせ、馬騰は愛馬に跨る。

なにせ、まだまだ黄巾賊はあちこちにいるのである。
なにせ、この程度。食い足りないのである。

「さて、久々に二郎君と会うのもよかろうて」

豪放磊落。笑う馬騰の視線は既に黄巾賊なぞ眼中にない。
付き従う馬超、馬岱は気炎万丈。敬愛する馬騰の指揮下で槍を振るうなぞいつぶりか。

きっと今の彼女らの前に立つということはとんでもない貧乏くじであったであろう。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/11(金) 22:03:39.26 ID:YOR/vhhx0<> 本日ここまですー
感想とかくだしあー

題名なんだろなあ
募集しまくりんぐですよ本当に!

次回、二郎ちゃん参戦ですよ多分 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/11(金) 22:37:33.78 ID:1B01JxSNo<> おつおつ
なんという強さ…漢にもっとこういう方々がいてくれれば…
題名は『黄羊、天に唾を吐き罰雷を受ける』かな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/11(金) 23:33:45.32 ID:TUL6wsgmo<> 乙したー
朱儁はあれか、戦争狂なのか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/12(土) 09:59:14.78 ID:25rpSaF2O<> 朱儁来た!これで勝つる!(謎)
と思うくらいには、リメイク前では朱儁が一番好きでした、はい。


題案は
『朱に嗤い馬が嘶く、其は戦場なりや』 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/12(土) 12:29:30.87 ID:sL1u2KK/0<> 乙でしたー
>>447
いや、だってハイパー勘ピューターの孫策が選んだ断金の友が周瑜ってことは、彼女の勘が最も自分に必要なものはそういうものだと判断したことに…それを孫策自身が自覚してたかはともかくとして

>>448
>>黄巾賊はやがて蜘蛛の子を散らすように。四方八方にわれ先と敗走する。  割れた先っぽ?ちょっと読みづらいかなと
○黄巾賊はやがて蜘蛛の子を散らすように。四方八方に我先にと敗走する。  この6万は波才のサポートが無かったのか…不死性はともかく狂乱もつけないとは完全に捨て駒か
>>「しかしなんと他愛のない……。鎧袖一触とはこのことか!」 間違いでは無いです、ただ何となくこの人って《勝って兜の緒を締めよ》なイメージが
○「しかしなんと他愛のない……。鎧袖一触とはこのことか」  数に劣っていたのが大戦果とはいえ所詮は相手はただの農民ですから、名のある将が率いていたのでもなく烏合の衆っぽいし
>>449
>>まあ、言ってみれば、こうだな。『おとといきやがれ』。というやつだ。 なんとなく違和感が
○まあ、言ってみれば、こうだな。『おとといきやがれ。』というやつだ。 『』から外れてると浮いた感じがするので

なんせ朱儁は「諸君、私は戦争が大好きだ!」って言いそうな顔して知り合いから「一食抜いたら餓死」とか言われるだろう人だからなあ
こと戦場指揮官としては統率値とかの問題でなく最強感があるよね、それにしてもこの辺の黄巾はおそらく食う物にも困ってる本当の限界の人たちなんだろうな
総勢50万かあ…そのうちアイドルの追っかけやってる信者どもはどれだけいるのやら <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/13(日) 22:19:31.65 ID:kBn1kIeE0<> >>451
どもです。

>なんという強さ…漢にもっとこういう方々がいてくれれば…
漢朝では評価されない項目ですからね(ガチ)

>題名は『黄羊、天に唾を吐き罰雷を受ける』かな
むむむ。なるほど。ええなあ。雰囲気あるなあ。すごいなあ。

>>452
どもです。
無論戦争狂でございます。

>>453
どもです。

>朱儁来た!これで勝つる!(謎)
メインアタッカーは格が違った(黄金の鉄のなんちゃら)

>と思うくらいには、リメイク前では朱儁が一番好きでした、はい。
マジすかw
まあ、色々と尖ったキャラではありますがw

>『朱に嗤い馬が嘶く、其は戦場なりや』
もはや凡将伝ではないようなかっこよさw
どうやったらこういうの思いつかれるのか。これいただくかもですね。

>>454
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ぐぬぬ。

>こと戦場指揮官としては統率値とかの問題でなく最強感があるよね
個人的武力については期待できませんけどねw
というと奇跡の魔術師に通じるけど全然違うなw

>それにしてもこの辺の黄巾はおそらく食う物にも困ってる本当の限界の人たちなんだろうな
ということでございます。順調に増えていったので一般人も戦場に立たないと
まあ、数は力でございます。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/13(日) 22:20:16.51 ID:kBn1kIeE0<> 間違えた。そんなに食い詰めはいないのでほとんど信者。のはず。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/13(日) 23:16:55.76 ID:C3odHvsa0<> あら意外…狂乱に支配されて死んでも本望みたいじゃないし「ホッホアー」なファンじゃないから3姉妹の歌(呪い)を知らない人たちかと思ってた
これはまだ3姉妹の力が未完成と見るべきか <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/15(火) 11:55:26.21 ID:1UQlzzkH0<> そこそこ大きな病院の前(軒下)で、壁に【敷地内禁煙】と書かれているのにもかかわらず、たばこを吸ってる人を見ると
彼らはどんな思考回路の末にその結論に達したのかが逆の意味で興味が出てくる
わざわざあそこで吸うってことは入院患者だと推察できるんだが…病院の規則に中途半端に逆らうくらいなら近くのコンビニに行くか無視して病室で吸うくらいのロックを見せるかしてほしい、というのは贅沢なんだろうか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/15(火) 19:55:17.59 ID:AhpdSyjB0<> >>457
その他大勢ではありますけどね
まあ、黄巾きっかけが飢えてではないけど今は食料調達大事な任務
んで、なんでモブ雑魚がこうなっているか、ですね

>>458
>そこそこ大きな病院の前(軒下)で、壁に【敷地内禁煙】と書かれているのにもかかわらず
漢字が読めないんじゃないっすか?

入院患者が吸う……、あ、見たわ。一昨日もw
ああいうの見ると喫煙者全体が色眼鏡で見られてしまいますよね

きっと彼らの、ぎりぎりの妥協の産物なんですよきっとw
まあ、見てていい気分にはならないですよね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/15(火) 21:57:11.65 ID:AhpdSyjB0<> 吹きすさぶ風が散らす砂塵の彼方には黄巾賊が。
七乃の報により三万という大集団を発見した。彼奴らが通った後にはぺんぺん草も生えやしねえ。いっそ如南なり、南皮なりを攻めてくれてれば数日の間に殲滅してくれるものを。などと埒もないことすら思ってしまう。
三万を養う物資というのは並大抵の物量じゃない。文字通り村落は廃墟と化す。
個人的には村落から人影のみならず死体すら無くなるというのはそういうことじゃあないのかな、と思っている。
いや、そう思っているのはおそらく俺だけじゃない。……一番早くそれに思い至ったのは流琉だろう。砂塵の彼方を睨みつけている。
ぐしゃ、と頭を撫でくりまわす。

「ひゃ?二郎様?」

ぽん、と肩を叩きほっぺたを、うにょーんと伸ばしてやる。やわらけぇ。

「ひ、ひろうひゃま?」
「流琉、頼りにしてるぜ?ちゃーんと俺を守ってくれよ?」

ぴん、と形のいい鼻を一つはじいて顔を覗き込む。

「……。は、はい!お任せください!」

常の透き通った明るさを取り戻したことに満足し、愛馬烈風に跨る。

「では、二郎さんにお言葉をいただきたいのですよ」

風が俺の横に馬を付け、言う。ああ、あれか。出撃時の演説みたいなもんか。
さて、そういうのってやったことなかった気もする。何を言ったもんかね、と見まわす。

頷いてくれる雷薄、星、流琉。そして傍らの風。
知った顔がそこかしこにある。かの梁剛隊の面子は今や中枢、幹部として俺を支えてくれている。
にやり、と口が歪むのが分かる。なんだな。あいつらの顔を見ていると、どうにも訓練の記憶ばっかりが脳裏に甦る。
晴れた日はひたすら走り、雨の日は筋トレ。
野営では同じ飯を食って寝る。手塩にかけて育てた、というのはこういうことか。いや、育ててもらったのだ。あの人に。
そうだ、血反吐をどれだけこの台地に吸わせてきたか。汗が乾き塩の結晶がこびりつきながら地平線を目指して走ったのは夏だったか、冬だったか。
そう、あんなにも俺たちは走ってきた。鍛えてきた、鍛えられてきた。
だから、それは自然に俺の口から滑り出た。

「俺たちは、強い!」

そうだ。俺たちは強い。訓練は。積み重ねてきたものは決して裏切らない。確信をもって吠える。

「俺たちは!強い!」

重ねて叫ぶ。三尖刀を大地に叩きつけて、三度叫ぶ。

「俺たちは!強い!」

俺の声に紀家軍が応える。

「「「俺たちは!強い!俺たちは!強い!俺たちは!強い!」

槍を地に叩きつけ、軍靴を踏み鳴らし、声の限り叫ぶ。

す、と三尖刀を天に掲げる。
ふ、と静寂が大地に満ち渡り、俺は振り下ろす。

「突撃!」

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/15(火) 21:57:38.38 ID:AhpdSyjB0<> さて。
俺が知っている戦術の中で有名なものは二つ。
「釣り野伏(のぶせ)」「捨て奸(がまり)」くらいだ。

前者はつまり伏兵の極み。後者は撤退戦の究極。
いずれも戦闘民族たる薩摩の人たちが編み出したものである。うん、怖いぞ。

ともあれ、今回目論んだのは前者。つまり黄巾に一当てし、反転して距離を取ってアウトレンジから陳蘭率いる弓兵で損害を与えようというものだ。
陳蘭率いる長弓兵は決戦兵力であり切り札でもある。それの慣らし運転もしておきたかった。
その壁になるのは雷薄率いる歩兵。
いや、俺が突撃する必要あるかと言われたら微妙だが、指揮官先頭こそが紀家軍のモットーであるからして。
で、一当てして引き返そうと思っていたのだが。

「なあ、風よ。これ、普通に突破しそうなんだけど」

そうなのだ。
何と言うか、俺たちの突進は止まらない。
熱したナイフがバターを切り裂くがごとく、あっけない。これはむしろ引き返す方が混乱を生じるであろうというレベルじゃねーのかなと思ったり。

「そですね。いいんじゃないですか?ぶわーといっちゃいましょう」

マジで?いっちゃう?

「右翼は星ちゃんに任せちゃいましょう。二郎さんは突破した後そのまま左翼に回ってください。
 いや、理想的な中央突破、背面展開ですね〜」

ええと。マジか!よし、星に指示を……と思ったら。

「はーっはっは!承ったぞ!お任せあれ!」

ああ。ぐん!と行軍速度を上げて星が率いる右翼が吶喊していく。すごいぞー、はやいぞー。

「ちょ、待てよ」

とは言え、こちらも負けてはいられない。黄巾賊の陣を完全に突破し、左翼から押し包む。ずいぶんと星には遅れてしまったような気もするが。

「遊びでやってんじゃ、ないんだよー!」

俺の咆哮にびびったわけじゃないだろうが、黄巾賊は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。主に、控える弓兵のキルゾーンに。
多分風の指揮だろうなあ。よく分からんけど。ただまあ、俺はできることをやるだけさ。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!」

散々に黄巾の後背を蹂躙し、びしり、と行軍を止める。
流石の星は逆サイドで俺より的確な距離を保っている。
追い立てられたままに前方に潰走する黄巾賊は、次々と倒れ伏していく。
未だ雷薄率いる歩兵部隊とは相当距離もあるが、矢の嵐が彼奴らを蹂躙していく。盾すら持たない貧弱な装備の黄巾賊が屈強な弓兵から放たれる弓を防ぐ術はない。
まあ、盾とかあっても長弓兵の一撃はそれすら貫くしな!

うむ。
戦うなら楽勝こそ本領よ。

紀家軍の切り札というか、メイン火力たる長弓兵のデビュー戦であった。


残敵掃討を命じながら、色々と手ごたえにご満悦の俺であったのだ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/15(火) 21:58:53.78 ID:AhpdSyjB0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名原案は「凡人、黄巾と接敵するのこと」

うへえ、かっこいいやつ、頼むぞ頼むぞ……


次回は、きっとはおー来襲者 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/15(火) 23:47:19.66 ID:hvLvDOhNo<> おつー流石に強いな烏合の衆なぞものの数じゃない
『黄水を治めし怨将軍』
二郎くんの名前には治水の神や武神の神の意味もあるらしいす <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/16(水) 02:54:47.90 ID:tPU13j41o<> 乙したー
紀家軍の兵力増強プランは結構念入りになられてたし雑兵相手ならこうなるよねぇ


まぁ、正規軍相手に単騎吶喊→殲滅みたいな武力90後半〜100が実在する世界だから油断出来ないのが世知辛いね・・・ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/16(水) 11:27:38.24 ID:0D6yQMfG0<> 乙でしたー
>>460
>>そうだ、血反吐をどれだけこの台地に吸わせてきたか。 随分限定的な場所ですね
○そうだ、血反吐をどれだけこの大地に吸わせてきたか。 こうですね
>>461
>>「釣り野伏(のぶせ)」「捨て奸(がまり)」くらいだ。  間違いでは無いですね、あくまで私の好みの問題で
○【釣り野伏(のぶせ)】【捨て奸(がまり)】くらいだ。  話す時の「」とは別の括弧を使ってほしいと言う、一種の我儘です
>>盾すら持たない貧弱な装備の黄巾賊が屈強な弓兵から放たれる弓を防ぐ術はない。  うん、意味は分かるんだ
○盾すら持たない貧弱な装備の黄巾賊が屈強な弓兵から放たれる矢を防ぐ術はない。  でも言葉としては弓を放っちゃいけないかな、と

まあある程度有名な将とかがいればまだしもそうでもないなら負けるわけはないわな
如何に勝つか、ただ勝つだけじゃなくてそれ以上の何かを求めるレベル…今回は長弓兵の試運転とか大規模戦を知らない兵たちとかに空気を教えつつ自信をつけさせたり、って感じか
まあ今回はそれ以外にも3つくらいは意図が見えるけど、実際この先を考えればそれ以上のものがありそうなんだよなあ
二郎ちゃんはいっそ南皮に〜とか考えてるけどさすがに黒山賊の縄張り&中華屈指の軍隊にわざわざ喧嘩売りにはいかないわ、勝てれば大戦果だけど勝率微粒子レベルだもんよ
それにしても嫌な推理で襲撃された村落に死体が無い理由に思い至ったな…波才がいない襲撃犯の所も死体が無い理由としては納得だけどさあ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/16(水) 21:43:12.37 ID:MdaSpzj30<> >>463
どもです。

>流石に強いな烏合の衆なぞものの数じゃない
苦戦する要素、一切無し!

>二郎くんの名前には治水の神や武神の神の意味もあるらしいす
いっぱいしゅき

>>464
どもです。

>紀家軍の兵力増強プランは結構念入りになられてたし雑兵相手ならこうなるよねぇ
ありがとうございますー
積み重ねは、きちんと活きます!

>まぁ、正規軍相手に単騎吶喊→殲滅みたいな武力90後半〜100が実在する世界だから油断出来ないのが世知辛いね・・・
単騎特攻こそ恋姫とか無双ゲーの華ですからねえ(白目)

>>465
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
くそう。まだまだや

>まあある程度有名な将とかがいればまだしもそうでもないなら負けるわけはないわな
今回はダイスを振るまでもなく勝ち確定でございます。

>如何に勝つか、ただ勝つだけじゃなくてそれ以上の何かを求めるレベル
その通りでございます。考察頂いてるのもね、ありがたいです。

>まあ今回はそれ以外にも3つくらいは意図が見えるけど
なんとなくオーバーロードのアインズ様的な応えをしないといけない気がしてきたw
全てを読み切られたようだな……みたいなw

>さすがに黒山賊の縄張り&中華屈指の軍隊にわざわざ喧嘩売りにはいかないわ
よくある、攻めてきたら迎撃楽勝的なSLG発想ですねw

>それにしても嫌な推理で襲撃された村落に死体が無い理由に思い至ったな…
そら波才の旦那スキルとかしらんかったらそう思いますよねー

なお

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/16(水) 22:06:35.88 ID:MdaSpzj30<> 「曹操、ですか……?」

諸葛亮の戸惑いを含んだ声に北郷一刀は頷く。

「ああ、どうせ官軍の指揮下につかないといけないならそれが最善だと思うんだ」

何せあの曹操である。能力に疑う余地はない。無能な指揮官に使い潰されるという最悪の事態は避けられるだろう。
それに、この時期の曹操はまだまだ弱小勢力で武将だって少ないはず。きっと自分たちを高く評価してくれるはずだ。
無論人材コレクターたる曹操は皆をスカウトしてくるだろう。だが、自分たちの絆はそんなものに揺れるほど弱いものじゃないのだ。
……史実でもそうだったし。
などと色々と考える北郷一刀。

「……そう、ですね。ご主人様がそうおっしゃるのであればそうしましょうか。
 糧食も厳しくなってきましたし」

正直諸葛亮としては宦官の孫なぞの指揮下に入るのは反対ではある。
が、主である北郷一刀がそう言い、劉備が満面の笑顔で賛同しているのだ。ならばその方針のもと最善を尽くすのみ。

「では、そうですね。愛紗さんに使者としてその旨打診をお願いしましょうか」

関羽であれば、と思い。関羽しかない、とも思う。

重々しく頷く関羽はもちろんその大任を理解している。
遠く故郷を離れ、義勇の志を胸にここまで兵たちを率いてきた責任というものがあるのだ。
何より。

「愛紗ちゃん、お願いね!」

主の期待には応えねばなるまい。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/16(水) 22:07:02.70 ID:MdaSpzj30<> 「はあぁーっ!」

最前線で愛用の青竜偃月刀を振るいながら関羽はふと思う。
彼女の困惑を一言に集約するとこうなる。

「どうしてこうなった」

……門前払いされるという可能性もあったのだが、曹操への目通り自体は思ったより容易であった。
なるほど。主と軍師が軒を借りるに値するようであるというのも陣中を見れば分かった。
兵は精鋭。規律は行き届き士気も高い。装備も自分たち義勇軍とは比べ物にならない。
……まあ、そこかしらに強調される髑髏の意匠については思う所もあったりしたのではあるが。
そしてそれを率いる曹操。これは間違いなく英傑の類である。
傍らに控える黒髪を背に垂らした猛将。またその逆に侍る軍師の目には輝かしいほどの知性の光が。
だが、それらを従える曹操は格が違う。
覇気、としか言いようのないその威風には自然と膝を屈してしまいそうになる。
傲慢とも思えるその物言いは彼女にはとても相応しく、違和感なくその指示に従いそうになる。
……もし主と出会う前に、と刹那思ってしまうほどの桁外れの人物。それが曹操であった。

彼女の威風を受けて尚、用件を伝えることのできた自分を褒めてやりたいくらいである。
そして曹操は告げる。艶然と。

「そう。
 では、関羽とやら。証明しなさい。
 貴女たちが私の指揮下に収まるに相応しいということを、ね」

それだけを言い残して曹操はその場を去る。
傍らの華奢な少女が告げる。

「関羽。一兵卒として夏候惇将軍の指揮下にて価値を示しなさい。
 断って野垂れ死ぬもよし、最前線で討死するもよし。
 勿論後方で保身に走り、恐怖にその無駄に大きい贅肉を揺すっててもいいわよ。
 ……正直今すぐその御大層な武具で自害してくれるのが一番いいんだけど」

関羽は反発するよりも戸惑う。ぶつけられる悪意の所以が分からぬからに。
ただ、自らの武に自分たち義勇軍の運命はかかっている。それは理解できた。

「は。兵卒の関羽。夏候惇将軍の指揮下にて粉骨砕身する所存。この身、いかようにもお使いください!」

おそらくもう一人の女性が夏候惇なのだろうと推察し、声を発する。
その女性は、フン、と鼻を鳴らし。

「貴様などどうでもいい。せいぜい私の邪魔をせんようにするのだな。
 わが軍の軍師が言った通り、好きにするがいい。
 勿論、逃げ帰ってもいいのだぞ」

……なんとも。

夏候惇と荀ケのその態度は、嫉妬という感情によるものであることを関羽が知る由もない。
ただ、よほどの武勲を上げねばならぬようだ、と認識を新たに、気合いを入れ直す。

だからこそ。
関羽は青竜偃月刀を振るい、戦場を縦横無尽に駆ける。
圧倒的な物量で攻め寄せる黄巾賊を血煙に沈める。崩れかかった前線の兵をまとめ、押し返す。
個人の武、指揮官としての統率双方を存分に振るい関羽は目前の敵を押し返す。

その美しい黒髪を翻しながら戦場を存分に駆ける姿はまるで舞台で舞う美姫のようであった。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/16(水) 22:08:00.84 ID:MdaSpzj30<>
戦場を舞うように駆ける関羽に曹操は満足そうに笑う。

「言うだけのことはあるようね」

この瞬間も最前線で剣舞を披露する彼女は返り血の一滴すら浴びていない。驚くべきことである。
……もっとも関羽にしてみれば血の汚れなど受ければ纏う衣装が駄目になるか、相当苦労して汚れを落とさなければならないという切迫した事情によるのではあるが。
義勇軍の懐事情、推して知るべし。

荀ケは不機嫌に黙り込む。
数という、どうしようもない要因をその個人の資質で跳ね返す一因となっている関羽の武威に関しては認めるのに吝かではない。
ただ、気に食わないだけだ。あの、贅肉の塊をぶら下げた女に自分の最愛の主が興味を持っている。
それがひたすらに気に食わないだけだ。

内心をなんとも言えない黒い嵐が吹き荒れようとも彼女は曹家軍の軍師。
機を見るには敏。

「華琳様、そろそろよろしいのではないでしょうか」

数を頼みに押し寄せていた黄巾。その数実に三万。
曹家軍の三倍である。
その勢いは完全に止まっている。切り札を切るのは今であろう。

「そうね、桂花。その通りね。合図の銅鑼を」

そして満足気に笑う。
如何に曹家軍が精鋭で将帥が猛将夏候惇、軍師が荀ケであってもここまで損害を軽微に戦線を支えきれなかったであろう。

「いけない子ね、桂花。雑念が見えるわよ?」

腹心たる軍師にくすり、と笑いかけ、抱き寄せる。

「か、華琳様……?」

軽く唇を合わせ、耳元に囁きを。

「今日の戦が片付いたら可愛がってあげるわ。春蘭と一緒にね」
「……!は、はい!」

喜色満面な腹心をくす、と笑う。
嫉妬という負の感情を掻きたてて、部下にいつも以上の能力を発揮させるというのは思いの外上手くいった、と。

誤算はただ一つ。

関羽が、自分をこれほどまでに惹きつける、ということである。

「ふふ、いけない子ね……。本気になりそうよ」

艶然と笑う曹操の言は次々と指示を飛ばす荀ケには届くことはなかった。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/16(水) 22:08:29.99 ID:MdaSpzj30<>
「ほー、中々やるやんけ」

曹家軍が三倍の黄巾賊の突進を受け止めつつあるのを見て張遼は感嘆の声を漏らす。
数は力。いくら将兵の質に差があろうともそれを埋めるのは容易なことではない。
なるほど、自分をこき使おうとするだけのことはある、とニヤニヤと嬉しそうに笑う。

「こりゃ、ほんまにウチの出番かもしらんなあ」

張遼が率いるのは騎兵。ただその数は五百程度である。
そしてその任は現在のところ黄巾との衝突などではなかった。

「賈駆っちが聞いたら怒るかもしらんな」

あくまで偵察。黄巾賊のみならず、官軍との接触もその任であった。
そういう意味では曹家軍を発見し、連携に値するか見極めるという名目で接触するのも任務のうちであった。
のではあるが。

「あら、貴女が神速たる張遼ね。ちょうどいいわ」

などと言って、いつの間にかその軍略に自分を組み込んでしまった。
抗議の声を上げようとした張遼に曹操は艶然と笑う。

「出番になったら合図をするわ。勢いの止まった黄巾賊に背後から突撃するだけの簡単なお仕事よ。
 貴女が本当に『神速』の名に相応しいというならば、ね。
 勿論、貴女が拙(まず)いと感じたらさっさと帰ってくれて結構よ。
 でもまあ、私としては見てみたいわね。音に聞こえた涼州騎兵の実力を。
 匈奴に伍し、寡兵で長安にまで迫った武威。まさか虚仮脅(こけおど)しじゃないわよね?」

くすくすと笑う曹操に張遼は笑い返す。この上なく獰猛に。

「ええで、そこまで言うんやったら見せたろやないか。ウチらの実力をな。
 アンタがどんだけ用兵に自信あるか知らんけどな。
 ああ、安心してええで。どんだけ不味い指揮でもきっちり突破したるさかい、な」
「ふふ、楽しみにしてるわ」
「は、楽しみにしとるがええわ」

……実際大したものだ、と張遼は思う。
巧みに黄巾の無秩序な勢いを押さえ、受け止めきっている。これならば戦線を突破されることもなかろう。
なるほど、いいように挑発に乗って利用されてしまったような流れではあるが、得るものも多かった。実に見事な指揮だ。
だが、それだけではない。鷹の目を持つ張遼は最前線を縦横無尽に駆ける一人の武将に惹かれる。
時に単身で突撃し、時に周囲の兵を率いて崩れる兆候のある戦線の維持に努める。
ここまで完璧に戦線が維持されているのは彼女の勇戦が一因となっている。
何より、その黒髪は美しく、武技は色香すら感じるほどに艶めかしく、それでいて放たれる清冽な気迫には感動すら覚える。

「あら、ただもんやないな。まあ、素性は直接聞くっちゅうことで」

ニヤ、と猫科の肉食獣の笑みを浮かべる。曹家軍の指揮官に戦局を見る目があれば自分の出番はそろそろだ。
『神速』の二つ名にかけて、せいぜい賊を圧倒してやろう。涼州騎兵が五百もいるのだ。戦局を左右するには十分な戦力である。

と、合図の銅鑼が鳴り響く。

ニヤリ、と張遼は笑みを深める。黄巾賊の勢いが止まる寸前。逆算すれば勢いが止まった瞬間に後背を衝ける最善の勝機。今こそ。

「いっくでー!」

張遼の率いる騎兵は一つの生き物のように黄巾賊の背後から襲いかかり、蹂躙する。
その動きは曹操をして感嘆の声をあげさせるほどに猛々しく、それでいて洗練されていた。

手ずから飛龍偃月刀を振るい、黄巾賊を切り裂く。

「死にたい奴からかかってこんかい!」


遼、来来。

これ以降、その言葉のみで黄巾賊が潰走すらしたと言われる張遼の武威。それはこの時確立されたのである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/16(水) 22:11:34.76 ID:MdaSpzj30<> 本日ここまですー感想とかくだしあー
いつもありがたくモチベーションなのですよ。マジで。

君の声がボクを震わせるのだー

題名はなんだろうなあ

「はおーと美髪と猫科の猛将」

さすがにこれはない

「覇王、関羽を見初めるのこと」

これじゃ来来できひんし。

<> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/17(木) 18:17:34.91 ID:ri3w6HVC0<> 乙でしたー
……待って、ねえ待って 関羽さん…あなたの主はどちらさま?一応諸葛亮は一刀が主でその次に劉備としてるけどあんた既に二君に仕えてるの?
>>468
>>なるほど。主と軍師が軒を借りるに値するようであるというのも陣中を見れば分かった。  この言い方だと【主と軍師】が軒を借りるだけの価値はある、と言ってるようですがそれだと軍師を重く見過ぎだしもう一人(笑)の主君をないがしろにしてるのも不自然なので
○なるほど。主と軍師が軒を借りるに値すると言うだけの事はあると、陣中を見れば分かった。  主(一刀)と軍師(諸葛亮)が「まああそこなら俺たちが一時的に下に入ってやっても良いかw」と言ってたとかそんな感じですかね
>>……まあ、そこかしらに強調される髑髏の意匠については思う所もあったりしたのではあるが。  そこかしら?どこかしら?ここかしら?
○……まあ、そこかしこに強調される髑髏の意匠については思う所もあったりしたのではあるが。  関係ないけど軍隊としては威圧感を出すためにも髑髏ってそこまで変じゃない気もする…どっちかというと海賊っぽいけど
>>傍らに控える黒髪を背に垂らした猛将。またその逆に侍る軍師の目には輝かしいほどの知性の光が。  軍師に対する見識が有るのは良いけど【猛将】って…もうちょっとなんかないのか
○傍らに控える黒髪を背に垂らした猛将からは己と伍するほどの強さが。またその逆に侍る軍師の目には輝かしいほどの知性の光が。  【強者の匂いが】とか入れようかと思ったけどなんか画風変わりそうだからやめとこう
>>だが、それらを従える曹操は格が違う。  曹操のワンマンだったら【だが】だけどここで否定はおかしいかな?
○そして、それらを従える曹操は格が違う。 もしくは【その上】とか【さらに】とか【それ以上に】とか?
>>圧倒的な物量で攻め寄せる黄巾賊を血煙に沈める。崩れかかった前線の兵をまとめ、押し返す。 【血煙】って煙と言うだけあって立ち上ってるものだからなあ
○圧倒的な物量で攻め寄せる黄巾賊を血河に沈める。崩れかかった前線の兵をまとめ、押し返す。 屍山血河って言うしこっちの方がいい…かな?
>>469
>>内心をなんとも言えない黒い嵐が吹き荒れようとも彼女は曹家軍の軍師。  間違いとは言い切れませんが、【何とも言えない】って言うほどいろんな感じが渦巻いてる気はしないんですが
○内心を関羽への嫉妬と言う黒い嵐が吹き荒れようとも彼女は曹家軍の軍師。 むしろ曹操の紀霊への感情とか…あの何もかもを捨てて自分の所に来てほしいけどそれらを捨てるような奴ならいらない、みたいなのが【何とも言えない】な気がしますね…私見ですが

ところで地味に…曹操が感嘆するほどの、張遼の神速の騎馬隊の突撃が走り出して黄巾にぶつかるのに丁度いいタイミングで、荀ケが指示を出した件
張遼が黄巾にぶつかるのに必要な時間が10秒なのか20秒なのか1分なのかは知らないけど>>逆算すれば勢いが止まった瞬間 …初見だろうによく神速の神速っぷりを計算できるな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/18(金) 11:44:32.08 ID:lIgTW55n0<> ちなみに私のシミュレートでは、祖授君はもし、万が一、二郎が袁家に反旗を翻したら二郎に付くとは思ってます
ただそれはあくまでも二郎が二郎のままで袁家に叛く理由が理解できれば、という前提は付くけど
二郎が大徳に惹かれて心を奪われたら?涙を流しながら二郎を殺すために全力を尽くすんじゃね?そんで二郎が死んだのを確認したら自害しそう
いやまあ後任その他はきちんと終わらせるだろうけど…麗羽様が原作麗羽になったぐらいなら二郎が見限るとも思えないし基本的にあり得ない仮定ですが

そういえば劉備が一刀の事を「ご主人様」と公言してそれを一刀も受け入れているってことは一応彼らの中では序列は定まってるのか?だとすると
>>467
>>主の期待には応えねばなるまい。  この前の台詞は劉備のモノですよね?
○義姉の期待には応えねばなるまい。 棒しま…げすんげすん!!関羽って一刀をご主人様呼びしてたっけ?最初っからそう呼んでたような気も?まあ桃園の誓いと合わせてこっちの方がいいかな?と

ちなみに私が見えた3つの意図はそんなに大したものじゃないですよ
今までは有名無実だった常山の昇り龍(実際いくら阿蘇阿蘇で言われても具体的に紀霊のやってきたことを見てる兵士とか部下達からすれば…ねえ?)が確かな猛将であることを知らしめるのと
あの怨将軍紀霊が軍事、内政両面で片腕にしてる小娘が確かな実力者だと示すのと
その二人の有用性を以て紀霊の人を見る目の確かさをも補強する…何せどうしたって一定数は色香にまどってどこの馬の骨ともしれない見目麗しい女性を引き立てたと考える奴はいるだろうからね
まあそれすらも二郎にとっては悪い噂じゃないんだろうけど、部下たちがそう思ってたらちょっと面倒だからね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/22(火) 22:04:00.16 ID:8igpn9Ea0<> >>472
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
むむむ。中々今回は納得感なかったようで。
あっちにあげるときには手を加えるかもです。

ちなみに、あっちで誤字機能やっていただいているの、赤ペン先生でしょうか……?
あれね、機能としてはめっちゃ楽。です。

>>473
>ちなみに私のシミュレートでは、祖授君はもし、万が一、二郎が袁家に反旗を翻したら二郎に付くとは思ってます
ファッ?
でもまあ、そうでしょうねえ。

>二郎が大徳に惹かれて心を奪われたら?涙を流しながら二郎を殺すために全力を尽くすんじゃね?そんで二郎が死んだのを確認したら自害しそう
沮授君はそうでしょうねえ。
張紘はそっと距離を取って酒にでも溺れてそう。なお相方に怒られて一念発起……するかどうか。
普通に隠者かな。

>ちなみに私が見えた3つの意図はそんなに大したものじゃないですよ
いやいや。
きちんと読み取っていただいておるのだなあとうれしさがあふれ出る感じですとも。

まあ、紀家軍に対しては星ちゃんは腕っぷしは見せつけてたでしょうが、用兵はまた別ですからね。
信頼と実績は一夜にしてならず。ですね。 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/23(水) 12:38:28.11 ID:9/oxB+ML0<> ちなみにあっちで誤字機能をやってるのは私ではないですよ

こっちで目を皿のようにしてるのにあっちでもそんな事やってたらドライアイになってしまう
読み返して思いましたが今回の件を>>400あたりからの一連と見ると誰も意図していない袁家の意図が見えてきて笑った
えーと、紀霊が今回の総大将(と言うか袁家の武家筆頭)で、このタイミングで孫策が暗殺されて、その混乱は袁家では最低限に抑えられて、二郎ちゃんの思考からして恐らく黄巾討伐は全力を出してて…ああ〜面白いんじゃぁ〜
間違いなくこれ裏を読めない人と裏を読める人と裏を知ってる人がそれぞれ袁家の意図を読んじゃうわwww
まあ裏を知ってる人は読んじゃうと言うか読めちゃうと言うか事実を再確認するだけともいえるけど…これは《風…吹いている。確実に〜》ですわ

まあ納得いかないというわけじゃないですが、一度でも実物を見てたらその《最高のタイミング》も分かるでしょうけど常識外れの神速さんの速さを先読みできるのは…
例えるならとっても強いと言う噂は聞いたことがあるだけの呂布に一人で黄巾を3万ぐらい倒してきて、というぐらいかなと
しかも曹操も読み切れなかった(感嘆の声を上げた)それを、ですからね…できないとは言わないけど、これは荀ケさんこれ以降隊長(指揮官)を一目見たらその統率力と用兵を一瞬で読めるようになってまう(張遼以上の統率の持ち主相手ならその限りではないですが
汚名挽回の言質取ったけど強化しすぎじゃないですかねえ(震え声 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/23(水) 12:45:51.94 ID:9/oxB+ML0<> そう言えばちょっとした質問
>>437 紀家軍の出陣は予期せぬ報せにより若干以上の遅れを生じていた。 今回の兵力って紀家のみですか?3万を圧倒する兵力って(将やら軍師やらの補正があるとは言え)かなりのモノですが <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/23(水) 20:33:35.57 ID:qwC0pKKY0<> >>475
>ちなみにあっちで誤字機能をやってるのは私ではないですよ
マジすか

>こっちで目を皿のようにしてるのにあっちでもそんな事やってたらドライアイになってしまう

じゃなく。本当にいつもありがとうございます。

>誰も意図していない袁家の意図が見えてきて笑った
みんな大好き陰謀論の出番ですねw
後世では色々と勘ぐられてそうですねえw

> 今回の兵力って紀家のみですか?3万を圧倒する兵力って(将やら軍師やらの補正があるとは言え)かなりのモノですが
紀家のみです。
まずは一当て。と思ったらごらんの有様でした。
いろいろなテストも兼ねているのはご指摘の通りかな?

と言うと、放浪したのも計算尽くって思われそうですが、それは全くそんなことない。はず。
結果としてはそうでもないのかな?周囲はそこら辺深読みする人と、「そこまで考えてないんだろうなあ。いいけど」な人に分かれそうですね。

そこいら辺面白そうですが、やり出すと話が全然進まないんですよねー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/23(水) 21:57:14.87 ID:qwC0pKKY0<> てすと
許?
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/23(水) 22:01:43.71 ID:qwC0pKKY0<> あかん

許緒
許?


てす <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/23(水) 22:04:16.54 ID:qwC0pKKY0<> 許緒いけるやん!
※あっちでいけるとは限らない <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/25(金) 11:32:49.34 ID:mEQIBaUn0<> それじゃあせっかくなので私が感じた《読めない人》…例を上げると十常侍とかそのへんの読んだ《袁家の裏側》

今回の孫権達が帰郷した時期の孫策たちの暗殺…普通に考えれば紀霊が命じたモノだろう
しかしここに黄巾党の勃発を鎮圧するための軍を起こすべし、という勅令と袁家における最高司令官が紀霊であることを合わせるとこの時にソンなことをするとは考えにくい
事実出発に若干以上の遅れが生じていたわけだが、これがあまりにも遅くなり過ぎれば勅命を蔑ろにしたとして周囲に付け入る隙となっていただろう
となるとこれは《孫権達の帰郷に合わせて袁家の反紀霊派閥が孫策の暗殺を行った》と見るのが自然か…
袁家は袁紹派閥と袁術派閥に分かれていて4家の内紀家と張家が袁術派、文家と顔家が袁紹派…そして顔家当主は現在洛陽にいるからそこまで機敏には動けまい
袁紹本人が強すぎる力を持った紀霊を恐れて軍事の司令官に責任を取らせるために行ったか、元武家筆頭である文家が妬みから足を引っ張るために行ったか
しかしこれが責任を取らせるべし、と言えるほどに遅れなかったことを考えると袁紹が行ったのならば片手落ちにも程がある…恐らく2枚看板としても有名なことからして文と顔が…もしかすると顔良が文醜を焚きつけて行った策謀かもしれないな
だとすると今回の討伐軍が紀家のみで編成されたのはむしろそれ以外の家が協力を渋ったから、か?そして紀家の軍が黄巾に苦戦すればなおよし、と
おそらく紀霊が旅に出る前であればここまで快勝は出来なかったのだろうな、この阿蘇阿蘇に載っている常山の昇り龍…張りぼてでは無かったという事か

うまくいけば反紀霊ということで袁胤と2枚看板を協力させてその仲介役として発言力を持てるかも…そうなればあの売官を買占めできるほどの金はぜひとも有効活用しなくては
多分こんなことを考えてる自分の見たいものしか見てないやつも一定数いるんだろうな、という妄想
実際あのタイミングで孫策たちを暗殺すると下手打つと袁家のひいては紀霊の足を引っ張る口実に出来るよね、という
それを袁紹にちらつかせてちょっとこっちの言う事を聞いてもらう手札に出来たかも…まあ二郎が鮮やかに3万を潰したから無理だけど
そんな袁家にとって隙が出来そうなことをした奴が何を考えてこんなことをしたのかを考えると…完全に袁家は真っ二つやなって <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/25(金) 14:32:07.10 ID:mEQIBaUn0<> そういえば、私が張勲の事を書こうと思ったのってなろうの方の題名を眺めてて>>幕裏:絡新婦の理 とかそのへんが目についたからなんですよね
彼女がメインの時の題名が【絡新婦の〜】ってなってるからなんとなく張勲について書こうと思って、それなら当然妖怪の絡新婦を絡めるべきだとなって、Wikiさんに尋ねたらまさかの日本原産と回答を頂いて
これはもう我が民明四天王が「実は仙人の仕業だったんだよ!!」「なんだってー!?」「読めなかった…この璃・博愛の目をもってしても」「それはわが中国が4000年前に通った道だ」してるだろう、となってああなりました…彼らは頭の良いバカなのだ!!じゃなかった、いくつになっても少年の心を忘れないロマンチストで、それを理論だって説明できる(性質の悪い)頭脳派なのだ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/25(金) 21:31:15.35 ID:PDyh9bma0<> >>481
まじかと思ったらまじだったw

>今回の孫権達が帰郷した時期の孫策たちの暗殺…普通に考えれば紀霊が命じたモノだろう
ここからの派生なのですよねw
まあ、ここの発端の二択からの派生です。

そして、二郎ちゃん暗躍については、結果ありきで判断しているんですよね
これだけの事象があったからには、と。

陰謀論は知的ゲームなのですよw

とか言ってますが、赤ペン先生の十常さんたちの思考は尊いですねw

なお


絡新婦がそこまでとは思いませんでした
でもあれは傑作

すみません、思考回路がシャットダウンでんw寝ます <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/26(土) 10:25:03.15 ID:T2KNXn+L0<> 追記すると【読めない人】は頭が悪いとかそういうわけでは無く…性根が腐ってるとかはあるかもですが
@漢の治世が(少なくとも自分が生きてる間は)揺らぐことは無いと思ってる
Aそもそも袁家の人間関係その他を知らない…というか興味が無い
B人の足を引っ張ることと出る杭を打つことは人として当然のことと考えてる(勿論自分もされるとは考えてるからされないように気を付ける)
C何進と(とりあえず今の段階では)権力闘争をできる程度には知恵が回る

大体こんな感じですね、ちなみに【読める人】は最低限@を(そんなことは無い)と戦乱の到来を予感してる感じですね
@が有るので【読めない人】は勅命の強制力をまさに天の声の如き絶対性があると思ってる、だからそれを無視するようなことはされるわけがないし、そんなことをすればそれを脅迫材料にどんなことでも命令できると考えてる…かも? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/28(月) 21:12:36.80 ID:47Cc3SDS0<> >>484
>追記すると【読めない人】は頭が悪いとかそういうわけでは無く…性根が腐ってるとかはあるかもですが
いや、そらそうと思います。
他薦ではないですからね。そこで何進と権力争いできるというのは、そういうことでしょね

>@漢の治世が(少なくとも自分が生きてる間は)揺らぐことは無いと思ってる
間違いなく十常侍はこれですね
だからこそ有害。危機感がない。いやそらそうなんでしょうけど^。

ちなみに漢の治世が揺らぐまであると思ってるはおーはマジやべえ

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/28(月) 21:25:03.85 ID:47Cc3SDS0<> 黄巾賊を散々にうちのめし、満足気に頷きながら張遼はお目当ての人物に近づく。
愛馬から降り、声をかける。

「なあなあ、自分、凄いなあ。ほんま、すごかったで。
 名前教えてーや。あ、ウチは張遼、董家の一軍を預かる身やねん。
 今回はちょーっと野暮用で賊の後ろから失礼したんやけどな。あんなん正面からでもぶち破れるで?
 いや、ほんまやってほんま。自分涼州騎兵の噂くらい聞いとるやろ?あんだけの武勇と指揮や。さぞかし名のある武人やろ。
 なに、世間では公孫の白馬義従がどうのこうのとか言っとるけどな。うちらはそんなチャラチャラしてへんで。
 質実剛健!疾風怒濤!それが涼州騎兵の真髄や!」

自分の衣服に返り血が付いていないか確認し、青竜偃月刀の手入れを始めようとしていた関羽は呆気にとられて反応が出来ない。
辛うじてあの、黄巾賊が崩壊する最後の一手。おそらく曹操が仕込んでいた切り札であったのであろう騎兵の指揮官であること。
その名が張遼、というのは理解できたのだが。

「ややわあ、ウチばっかり喋ってアホみたいやわな。すまんなあ、はしゃいでもうたわ。
 それでな、自分、名前聞かせてくれへん?」

ワクワクと期待に満ちた顔で問いかける張遼に僅かに関羽は気後れする。
何せ自分は無位無官。しかも現在は曹操軍の兵卒でしかない……。

だが、と思い直す。
自分の武勇が少しでも広まれば、それは主君たちの飛躍に役立つのではないか、と。

「関羽、と申します。張遼将軍。ここ曹操軍では兵卒に過ぎません。
 お目汚し失礼いたしました」

深々と一礼。

「かー、ほんまか?あんだけのことやっといてほんまに兵卒なんか?ありえへんやろ」

何ということか、と張遼は嘆息する。自分を挑発しながらも完全に使いこなしたことから大幅に引き上げていた曹操に対する評価を地の底まで叩きつけようとしたとき。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/28(月) 21:26:17.72 ID:47Cc3SDS0<> 「ほんと、ありえないわよね」

玲瓏たる声が二人の耳朶に響く。

噂をすればやってくるとまで後世に伝わる英傑。勝利を手にした指揮官、曹操その人である。

傍らに桃色の髪を二つに束ねた少女のみを侍らせて曹操は二人に歩み寄る。
その傍らの少女が護衛であるのは明らか。そしてその実力も関羽と張遼の二人が超一流の武人であるからこそ理解できる。
天真爛漫に笑みを浮かべるこの少女は鉄壁となり主に襲いかかる有象無象を弾き返すであろう、と。

「二人とも、ご苦労だったわ。
 おかげで想定より兵の消耗は避けられ、賊軍に損害を与えられたわ。
 その分領民の被害が減ることになるでしょう。陳留太守としては感謝の言葉もないわね」

何か褒美が欲しいなら言いなさい、と付け足し、即座に酒!と叫ぶ張遼に微笑む。

「そうね、私が醸した美酒を貴女にはとらせましょう。
 そして、貴女が抱いた疑問ももっともよ。関羽を兵卒として扱うなど汗血馬に荷駄を引かせるようなもの。
 でもね、流石に初陣たる彼女に兵を預けるわけにもいかなかったのよ」

分かるわね?と曹操は張遼を見やる。
無論これは真実そのものではない。曹操配下では初陣と言えども義勇軍にては兵を率いる将。
しかし。正規軍を率いたこともなかった関羽からしてみれば歴戦の曹操や張遼からしてみれば新兵も同様であろう、と押し黙る。

「ほんまか。そらえらい失礼しましたわ。うちが浅はかやったわ」

素直に頭を下げる張遼に曹操は満足げに頷き、内心彼女の評価を数段階上げる。
そして本題を切り出す。

「分かればいいのよ。そして二人とも、私のものになりなさいな。
 貴女たちのような中華屈指の人材は私の下でこそ輝けるわ。
 そうね。お給金は今の十倍は出すわ」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/28(月) 21:26:44.13 ID:47Cc3SDS0<> 傲慢とも言えるその言葉を吐き、嫌味にならないのは流石である。
流石の関羽が絶句し、張遼は苦笑する。

「あー、悪いけどなあ。ウチ、今の主君に不満もないしなあ。
 誘ってもらえてありがたいんやけど、とりあえずは受ける気はないわー。
 関羽かてそうやろ?」

あからさまに矛先を逸らす張遼の言に関羽はあまりの衝撃に自失していた心を立て直す。

「む、無論だ!
 私とて今の主君に不満なぞない。それに金銭が目的で槍を捧げているわけでもない!」

更に言い募ろうとする関羽に手を振り言葉を遮る。

「流石私の見込んだ英傑ね。ただ、分かって欲しいのよ。
 私は貴女達をこの上なく評価している、とね」

張遼はその言に嬉しそうに頬を緩めながらも反論する。

「せやけどな、ウチなんて恋に比べたら有象無象みたいなもんやで?
 ウチを御大層に評価してくれるんは嬉しいけど、恋の武勇見たらまた違うんちゃう?」

武勇に於いて呂布に敵わないということを張遼はよく理解している。
無論あの武の極みに怖気づいているわけではない。いつかはあの領域に、と思ってはいる。
が、現段階で比べた時の実力を客観視できないほど現実が見えていないわけでもない。

「論外ね。私は貴女が欲しいと言ったのよ?呂布の武勇はそれはすごいのでしょうね。噂に聞くわ。万夫不当、とね。
 でも、私が欲しいのは、騎兵を手足のように操り敵陣を疾風のように駆け抜ける貴女。
 『神速』の張遼が欲しいのよ」

真正面からの求愛に張遼は絶句し、赤面する。
それを満足げに見やり、関羽に振り返る。

「関羽、貴女もそう。金銭の話は無粋であったかもしれないけどね。私は貴女を高く評価しているわ。
 臍(へそ)を曲げてもおかしくない、兵卒としての扱い。その中で貴女は十全以上にその役割を果たしたわ。
 言われたことだけするなら二流。貴女は将帥として最前線を支えきったわ。貴女の放つ輝きだけであの春蘭の部下を率いたのよ。
 これはね、とても凄いことなのよ?」

くすくす、と笑って曹操は張遼と関羽に告げる。

「貴女達を高く評価しているのは本当。貴女達を配下にしたいのも勿論本当。
でも、流石に今すぐそれが叶うと思うほど現実が見えないわけでもないわ」

だからね、と曹操は笑う。

「これも何かの縁。死線を潜(くぐ)った私たちだもの。真名を交換しない?」

悪戯っぽく笑う曹操の言に張遼と関羽は苦笑する。そして清々しくそれぞれの真名を告げる。

「ま、月(ゆえ)っちのとこお払い箱になったらよろしく頼むわ。そないなことはないやろけどなー」
「この身を高く評価していたことには感謝を。できれば今後ともよい関係を結べれば、と思う」

立ち去る二人を曹操は機嫌よさそうに見送るのであった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/28(月) 21:27:09.98 ID:47Cc3SDS0<> ◆◆◆

「華琳さまー、あれでよかったんですか?」

桃色の髪の少女――許緒――が問うても曹操は機嫌よさそうに頷く。

「ええ、思いのほか上手くいったし、想定以上の英傑だったわ」

首を傾げる許緒に構わず、曹操は笑いが止まらない。
なにせ求めていた人材が見つかったのだから。

まずは張遼だ。曹操は騎兵の将を手元に飼っていない。
騎兵自体の維持費が馬鹿にならないということもあるし、そもそも良馬がなかなか手に入らないというのがある。
その有用性を知ってはいたが、仕方なく後回しにしていたのである。
だが張遼率いる涼州騎兵の破壊力は彼女の想像をはるかに上回るものであった。
あれほどの突破力、そして機動力があればどれだけ用兵の幅が広がるか。
何より安い挑発に乗ってみせて尚、十全に力を発揮してみせる彼女だ。欲しい。ぜひとも欲しい。

そして関羽だ。関羽である。

義勇兵を率いているなどという、どうでもいい彼女を構ったのはその容色がまず第一の要因ではあった。
顔を合わせ、その気概を気に入った。
戦場を舞うその姿に魅入られた。

埋もれていい人材ではない。義勇軍などという明日をも知れぬ集団に埋没させておくにはあまりにも勿体ない。

人材不足に悩んでいた曹操にもたらされた千載一遇の好機であるだろう。
急いては事をし損じる。だが、巧遅は拙速に如かず。

で、あるから。

真名を交換し合ったという今回の結果は満足できるものだ。
董卓とは暫く連携するし、官庫の食糧目当ての飢えた獣も暫くは飼ってやろう。手元にて飼い馴らしてやろう。

……きっと傍らに彼(あのおとこ)がいたらあれこれ言うのであろうな、とも思う。
それこそ妄想でしかないが、彼を好き勝手に扱う親友に僅かに。ほんの僅かにちり、と感情がささくれ立つ。

自分ならば、彼をもっとうまく使いこなすのに、と。

その痛みは刹那。そして苦笑する。今はまず黄巾賊を誅滅し、声望を高める時期。
宦官の孫たるこの身はまず声望を高める必要がある。

「ふふ、見てなさい」

欲しいモノは絶対に、なんとしても手に入れる。
それが彼女の在り方なのであるから。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/28(月) 21:28:45.41 ID:47Cc3SDS0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

仮題としては
「はおーの勧誘」

うむ。いつも通り募集しまします。
本当にね。いつも困ってるのです。これ考えるのより本編書く方が効率がいいというか、考えている時間あったらどんどこ進めれるぜうとか

よろしくお願いします。
ほんとに。 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/29(火) 12:12:28.78 ID:6t41vMQ00<> 乙でしたー
>>488
>>流石の関羽が絶句し、張遼は苦笑する。  そもそも関羽ってこういう時に普通に絶句しそうと言うか…そこまでこういう軽口めいた交渉ごとに慣れてないとも思うけど
○流石の関羽も絶句し、張遼は苦笑する。  逆に張遼が絶句したら【流石の張遼も】って感じですが
○こういったことには不慣れな関羽は絶句し、張遼も苦笑する。  むしろこんな感じ?何せ関羽今まではボルタック商会のせい(笑)でお祈りされまくってたし
>>立ち去る二人を曹操は機嫌よさそうに見送るのであった。  まあそりゃそうだろう、って言うのと同時にこの言い方だと《本当は機嫌が良くない?》と読み取れそうなので
○立ち去る二人を曹操は機嫌良く見送るのであった。  あとこの後の許褚との会話でも【機嫌よさそう】と出てますし、一回確かに曹操の機嫌は良いことを出しといた方がいいかな?

>>官庫の食糧目当ての飢えた獣 獣だって飢えてる時に飯食わせてもらった恩は恩として感じるんじゃねーかな…こいつら?語るに及ばず
というのは5分冗談として、私たちが力を貸してあげてるんだからそれ相応の見返りは出して然るべき。くらいの思考はしてそうなんだよなあ
あ、そういえばちょっとした疑問、というか違和感と言うか
>>そうね。お給金は今の十倍は出すわ」  と曹操が勧誘してますが、商業が下賤とされる理由の一つが金を扱ってるからだ、みたいなのがあったような気がするんですが
もちろん曹操がそんなアホな《金は汚いもの》思考をしてるとは思いませんが、人を勧誘する声掛けとしては下策なのでは?下策と言うか下品と言うか…多分ですがこの時代の中国において、ですが <> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/29(火) 13:17:24.99 ID:6t41vMQ00<> ああ、思い出した《銅臭》なんて言葉が有りますが、もちろん本来は金に飽かせて何でも思い通りにするようなことを侮蔑する言葉ですが
儒教と混じりあってなんか金そのものが汚いもの、みたいな風潮があったとかなかったとか
まあそこまでのあれこれは無くても今回の曹操の言動は《関羽の忠誠を金で買おうとした》ように見えるので一般的なこの頃の中国人の印象としては非常に悪いと思います。
じゃあどう言う勧誘ならいいの?と聞かれると困りますが例えば
○そうね。一軍を率いる将として迎えましょう。それにあなたの為の屋敷も建てるわ」 とかどうでしょう?ちなみに何らかの要因で関羽がいなくなったとしても鍛えられた一軍と、新築の屋敷は(多少年月が経つでしょうが)残ると言う罠 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/29(火) 21:37:39.11 ID:p4/Lin3h0<> >>491
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

そして、ほむほむ。

>そもそも関羽ってこういう時に普通に絶句しそうと言うか…そこまでこういう軽口めいた交渉ごとに慣れてないとも思うけど
惜しいですよねえ。やればできるだろうのにね。
そういうとこ、劉備陣営の惜しいとこですよ。そういう視点がないす。

>、私たちが力を貸してあげてるんだからそれ相応の見返りは出して然るべき。くらいの思考はしてそうなんだよなあ
普通にそうでしょうねえ。

>人を勧誘する声掛けとしては下策なのでは?下策と言うか下品と言うか…
はい。そこもはおーの凄味です。
あえてそれを言っているということです。この場ではどうせ引き抜けないと知っていて、自分の価値観を示しているのです。
そしてその評価基準について、きっと彼女は振り返らない。
その評価基準が骨身に染みる時が来るであろうと確信しているのです。

基本的に最強キャラはやはり曹操です。
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/01/31(木) 09:21:01.12 ID:gieNDAjg0<> もういっちょ追記すると【裏を知ってる人】というか裏が読めちゃう人も=で頭がいいと言うわけではないんですよ
なにせあの郭嘉も程cと討論しないと勘違いしちゃうレベルですからね
そう言う意味ではネコミミも読めないだろうなあ…逆にほぼ読めちゃうだろうと言う信頼感があるのがd姉

なおそんな彼女を以てしても【何故孫策が暗殺されたのか】は読めない模様…仕方ないね、孫家と接点無いもの
こう考えると曹家は統合して今回の件を読み切れるかもね、そこに袁家の策謀が無いと言うwwwいや結果的には表向きの通りに袁家が孫家を配下(身内)にしたという事は分かるんだけどさあ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 21:30:37.73 ID:vxQVI7M00<> >>494
>そう言う意味ではネコミミも読めないだろうなあ…逆にほぼ読めちゃうだろうと言う信頼感があるのがd姉
これには同意ですねw
そして詠ちゃんですよ。この子は根拠を二郎ちゃんの人格まで落とし込んで判断してます。

>こう考えると曹家は統合して今回の件を読み切れるかも
多分、色々盛り上がって、はおーが考えても無駄という結論に辿り着いて、それでも思考実験としては貴重だからあれこれやりとりを楽しんで。
d姉は居眠り、って感じすかねえ。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 21:32:02.62 ID:vxQVI7M00<> 日輪は中天にかかり、その恵みを大地に惜しげもなく注ぐ。
北郷一刀は、大の字になっているその全身でその恵みを浴びている。
戦乱はこの瞬間遠く、穏やかな時間が過ぎていく。

「……いいご身分ね」

ただまあ、状況を鑑みればこのように冷たい言葉を浴びせられても無理なからぬ事であろう。
慌ててその身を起こそうとしても両脇にとびきりの美少女がしがみ付いているのだ。
平凡な男子高校生たる彼がどうこうできるわけがない。寝息を立てている彼女らを起こすことに躊躇(ためら)いもあるのだし。

「まあね。
恋が妙に懐いているから、どうせそうだろうとは思っちゃいたけどね。
 流石のボクも、両手に花でお昼寝と洒落こんでいたとは思いもよらなかったわよ」

慌てて弁解らしきものを口にしようとするが、相手に聞く気はなさそうだ。
彼に話しかけてきたのは賈駆。数日前に曹家軍と合流した董家軍の軍師である。
驚くべきことに、いや、今更かもしれないが曹操は美少女だった。夏候惇と荀ケも美少女だった。
万夫不当たる呂布も美少女だったし董卓だって目の前の賈駆だって美少女だった。

「まあ、恋が起きたら伝えてくれればいいわ。そろそろ動くわよ、ってね。
 ……短い期間でまあよくもここまで懐かせたものね」

その武威と無邪気な寝顔はどうしても結びつかない。
北郷一刀も当初は戸惑ったものである。知名度の高い武将は皆美少女なのだから。
と思いながらも賈駆の言に首を傾げる。

「えっと、動くってどういうことだ?」
「ここ陳留付近の黄巾賊はおおよそ討ち果たしたからよ。こういう乱は枝葉末節よりは大本を叩かないと、ね。
 それにそろそろ曹操殿の勧誘もいい加減うっとおしいし」
「はは、そりゃそうか。愛紗も閉口してたなあ」

冗談めいた賈駆の言葉に北郷一刀は苦笑する。こうして談笑しているその瞬間にもあの手この手で勧誘されているに違いない。
まあ、彼女が受けるわけがないので全く心配していないが。

のほほんとした北郷一刀を見て賈駆は僅かに表情を改める。

「そろそろ、潮時、っていうのはアンタたちにも言えるわよ?」
「え?」

まあ、余計なおせっかいではある。
北郷一刀の横でぐうぐうと惰眠をむさぼる桃色の髪の少女。それに仕える軍師二人は紛れもなく天才というやつだろう。
水鏡女学院を飛び級で卒業した主席と次席というのは伊達ではない。彼女らはきっと気づいているだろう。
本来自分が口を出すようなことでもない、のだが。

「フン、分からなきゃいいわよ。ただね、義勇軍を率いる二人が暢気にここでお昼寝。
 部下たちが奔走している、ということがどういうことかって考えてもいいんじゃないの?」

じゃあね、と踵を返す賈駆に何か言いかけて、口ごもる。

「……ん?ご主人様、どうかした?」

ふわり、とした空気が広がる。先ほどまで張りつめていたのが嘘のように。
かなわないな、と頬を緩ませて北郷一刀は傍らの少女――劉備――に声をかける。

「いや、なんでもない。大したことじゃないさ。それよりそろそろご飯にしようか」

ぴくり、とその言葉に呂布が反応する。

「……ご、はん?」
「そうそう。お昼ご飯だぞっと。ほら、恋も一緒に行こう、な?」
「ん」

二人を引き連れて食事へと向かう足取りは、軽かった。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 21:32:29.23 ID:vxQVI7M00<>
曹操はここのところ非常に上機嫌である。
陳留をはじめとして、兌州(えんしゅう)にはびこる黄巾賊をほぼ壊滅させた。
今は残敵を掃討している段階だ。
無論、敵は弱卒とはいえ数が数だ。苦戦しないほうがおかしい。が、最近の曹操軍は絶好調である。
やはり義勇軍の将帥を運用しているのが大きい。
関羽は将として、張飛は兵卒として。諸葛亮と鳳統は事務方として。
いずれも得難い……珠玉の人材だ。だが。やはり関羽だ。関羽だ。何と言っても関羽だ。
怜悧な物言い、これと決めた主君に対する忠誠。圧倒的な武勇に将才。
心置きなく一方面軍を任せるに足る人材である。
理性的に一軍を運用できるのは手持ちの駒では夏侯淵しかいないことを思えば関羽はぜひとも欲しい。
無論、彼女の容色も大いに評価している。あの玲瓏とした佳人が閨(ねや)でどれだけ乱れるのか、是非とも味わいたいものだ。

にま、と緩む口元を隠しもせず曹操は次々と指示を飛ばす。脳内が桃色がかっていてもその指示は精密にして的確。

「そろそろ、かしらね」

誰ともなく呟く。
そう、そろそろいいであろう。

「誰かある!関羽をここに!」

曹操の声に慌ただしく動く部下たち。それを満足げに見ながら曹操は軽く伸びをする。
これでも随分負担は軽くなっているのである。まったく、義勇軍などには勿体ない人材が揃っている。

「お呼びとのことですが」

「そうね。呼んだわ。で、何故貴女一人じゃないのかしら」
「そ、それは……」

口ごもる関羽の後ろには劉備と北郷一刀。名目上の、関羽の主人たちである。

「ごめんなさいねー?
でも、私も曹操さんとお話したいなーって思ったから!」

悪びれずに笑う劉備に笑みを一つ。これはこれで一つの在り方なのであろうと。
 
「で?貴女の用件は何かしら。
貴女が引きつれてきた義勇軍の訓練で私は忙しいんだけれども」

「んー、上手く言えないんだけどなー。えっと、兌州の黄巾賊さんたちは大方片付いたんでしょ?
 董卓さんも軍を動かすみたいだし。
 だったら私たちも黄巾賊の本拠地とか、他の軍団を目指すべきじゃないかな、って思うんだ!」

ここぞとばかりに劉備は言い募る。
もう、兌州には目ぼしい黄巾賊はいないはず。であれば動くべきだと。

「あらそう。劉備。では貴女は今すぐ動くべきね。もうすぐ董卓の軍に追いつけなくなるわよ? 
 いくら身一つと言っても、董家軍は騎馬が本領だもの。
 ああ、安心しなさいな。貴女の馬くらいは用立ててあげるわよ」

うんうん、と真剣に頷き同意を示す曹操に逆に戸惑う。

「ようやく、貴女のつれてきた雑兵が使い物になるわ。それぞれの兵卒の適正に合わせてきっちり配属してあげる。
 あと数か月したら張飛も将としても使えるようになるわね。その点関羽は流石ね。言われても、言われなくてもできるわ。
 貴女がいなくてもきちんと彼女たちは使いこなしてあげる。だからそこの情夫と一緒に旅立ちなさいな」

その言葉に北郷一刀は絶句する。そして激昂する。

「なんだよ、それ!どういうことだよ!」
「あら、聞こえなかったのかしら。……別に貴女達がどうあれ、兵はきちんと組み込むし、関羽も張飛も使いこなしてあげるわ。
 貴女たちは惰眠を貪ればいいのよ?
 ああ、部下ばかりに働かせて心苦しいならばいつでも言ってちょうだい。ちゃんと貴女たちに相応しい仕事をあてがってあげるから」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 21:32:57.58 ID:vxQVI7M00<> 劉備は異を唱える。

「愛紗ちゃんも鈴々ちゃんも大事な仲間です。家族です。
 兵士のみなさんだってそうです!
 それに、兌州はもう平らかになってるんでしょう?だったら。
 もっと、黄巾賊の被害の大きい土地を平らかにするべきです!」

劉備の言葉に曹操はくすり、と笑う。
まあ、ここまで理想論を吐けるというのは大したものだ、と。
とは言え。

「私は陳留の太守。そしてじきに兌州を預かるわ。だとすれば職責を果たすべきでしょう?
 未だ兌州には黄巾賊の残存は存在するわ。だとすれば私は治める民のためにも引くわけにはいかないわね」
「でも、もっとひどいことされてる人たちもいるでしょう?
 だったら、その人たちに手を差し伸べるべきじゃないんですか?」

真正面から曹操を弾劾する劉備。果たして彼女はその行為の意味を分かっているのであろうか。いや、ないであろう。

「私は陳留の太守よ。であれば陳留の民に尽くすのは当然。
 陳留が賊に襲われることなどないようにするわ。領内の盗賊は撃滅するし、不穏な輩は死刑ね。
 それと、何か勘違いしてるかもしれないわね。
 指揮下に入る、というのはそういうことよ。もういいわ。いいわね。飽きたわ。
 下がりなさい」

瞬間。
吹き出る覇気に劉備と北郷一刀は絶句する。
北郷一刀は歯噛みする。流石は覇王だと。甘く見ていたか、と。

「不満があれば我が配下になりなさいな。
 貴女はお話することで全てを治めたいのでしょう?治められると思っているのでしょう?この私一人を説得できないはずはないわね?
 ええ、聞くべき意見には耳を傾けてあげるわ。
 そうね。一緒に漢朝を支えましょう?」

くすり、と蠱惑的に笑み、曹操は牙をむく。
そんな曹操の気迫を無視して。

「ごめん、それは、無理だ」

北郷一刀はそんなことを言うのであった。

「へえ。じゃあ、貴方たちは誰に付くのかしら」

その言葉に北郷一刀は苦笑する。

「俺たちは、誰にもつかない。そういう利害関係で動いたわけじゃない。
 義に拠って立つ。それが俺たちだ。見誤らないでほしい」

くすくす、と曹操は笑う。男の精一杯の虚勢が健気で。
そして腹立たしい。このような匹夫に関羽という極上の人材が絡め取られているのである。

「そう。では好きにしなさいな。ま、渇したらいつでも帰ってきなさい。
 盗泉に群がられると迷惑だしね。そしてどこまでついてこれるか、楽しみね」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 21:34:00.56 ID:vxQVI7M00<> ◆◆◆

「ご主人様の言う通り、そろそろ潮時でしゅ……、噛んじゃいました」

はわわ、と諸葛亮は呻きながらもしっかりとその主張を伝える。

「もとより、曹家に頼ったのは一時のことです。何ら問題ありません。
 卑しい宦官の孫、漢王朝の流れを汲む桃香様にふさわしいとは思えません」

無論得るものは大きかった。多かった。
関羽と張飛は将帥としての、自分と鳳統は軍師としての知見(ノウハウ)をたっぷりと吸収することが出来た。
だが、その武勲も功績も曹操に吸い上げられてしまっている。無理からぬこととは言え、随分曹操の世評向上に尽くしてしまった。

「兌州に固執する曹操殿に従うは私たちの本望とはかけ離れていると思います。
 未だ救いを求める声なき声のため、動くべきと進言します」

ここが分水嶺。関羽は曹家軍の軍制を吸収し、将として成長したであろう。
自分たちとて、軍務に必要なことは相応に学ぶことが出来た。

「とはいえ、糧食に不安があるのも事実です。やはり官軍に合流するのが最善でしょう」

ふむ、と北郷一刀は頷く。確かに曹操なんて物騒な人物のおひざ元にはいられない。

「朱里なら官軍の誰を頼るべきか、頼るかを決めてるんだろ?教えてくれよ」

嗚呼、と諸葛亮は思う。
この未熟な身をして絶大な信頼を注いでくれる主にこの智謀を捧げようと。

「そうですね。次に合流すべきは……」

馬家軍。
涼州にて匈奴の侵攻を防ぎ、官吏の汚濁を断ち切る刃。
袁家に伍するほどの戦力を抱える漢朝きっての武闘派である。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 21:35:32.14 ID:vxQVI7M00<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名はねーなんだろうなあ

なんだろうなあ……!
久々ノープランだぞ?(これまでのプランがいい感じであったとは言ってない)


いい感じの奴を、頼む、頼みます。頼んだ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/31(木) 22:04:29.47 ID:1XuVmU0po<> 乙です
いやぁ、原作からそうだと言われればそうなんだけど、一刀君ってやっぱ三國志…というか三国時代を軽く考えてるよね
まあ18禁ゲームの主人公だから仕方ないんですけどね…


しかし、うむむ…はおーの言葉がすべて正論なだけに、どうしても蜀勢へのヘイトが題案に乗りそうになる
『語るは飴細工の夢想、されど黒鉄の覇道は揺るがじ』
ぐらいでどうでしょう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/01/31(木) 22:13:51.66 ID:vxQVI7M00<> >>501
どもです。

>いやぁ、原作からそうだと言われればそうなんだけど、一刀君ってやっぱ三國志…というか三国時代を軽く考えてるよね
それが彼の魅力的なとこでもありますけど、やっぱ軽いのですね

>『語るは飴細工の夢想、されど黒鉄の覇道は揺るがじ』
ファッ?
なにこれ。そういうとこやぞ(白目)

臆面もなくこれを採用してしまいそう。
というか、これ格好いい。
素敵。どうしたらこうまで素敵な言葉を。
実際嫉妬を越えたわ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/01/31(木) 23:51:44.02 ID:1aYgdRuto<> おつしたー
うーん、やはり蜀勢でヘイト一番貯めてんのははわあわ組やねぇ(当社比
おめーらそんなに賢いのになーんでさ、とも思うけれどそこは儒教純粋培養故致し方なしですわな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/01(金) 03:13:19.25 ID:9d0wgxmHO<> 乙です
なんか色々面倒だしはおー様はとっととチ○コとビ○チを幽閉でもして欲しい
忠誠が得られない変わりに超有能武将4人と兵力アップだぞ!!(脳筋思考

種馬には元気に励んで頂きたい……三次スレ的に <> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/01(金) 11:37:24.41 ID:ThIzqFJW0<> 乙でしたー
>>496
>>北郷一刀は、大の字になっているその全身でその恵みを浴びている。  間違いでは無いですが
○北郷一刀は、大の字になって全身でその恵みを浴びている。      の方がすっきりしているかな?むしろ【大の字で横になって】とかか?
>>ただまあ、状況を鑑みればこのように冷たい言葉を浴びせられても無理なからぬ事であろう。  誤字かな
○ただまあ、状況を鑑みればこのように冷たい言葉を浴びせられても無理からぬ事であろう。   ですね
>>驚くべきことに、いや、今更かもしれないが曹操は美少女だった。夏候惇と荀ケも美少女だった。  間違いでは無いですが一刀から見て春蘭って美少女と言うほど少女?背丈にしろオッパイにしろ
○驚くべきことに、いや、今更かもしれないが曹操は美少女だった。夏候惇も美女だし荀ケも美少女だった。  そもそも彼女たちは《※登場人物は全員18歳以上です》な訳だし
>>北郷一刀も当初は戸惑ったものである。知名度の高い武将は皆美少女なのだから。 おまえそれ田豊とか祖授見ても…見てねえや。
○北郷一刀も当初は戸惑ったものである。知名度の高い武将は皆美女、美少女なのだから。 紀霊見ても…一刀視点知名度が低いんですね分かります。
>>まあ、彼女が受けるわけがないので全く心配していないが。  うーむ…これは何を根拠にしているのか…未来知識で言うなら一時的とはいえ曹操の配下になったこともあるし、既に袁家に趙雲が取られてるんだが
○まあ、俺は関羽を信頼してるし関羽も俺を信頼してる、この絆が揺らぐことはあり得ない。  グフッ…書いてて自分でダメージが。せめてこいつがトップに立ってなければ3人の桃園の誓いを引き合いに出せたのに…こいつ桃園の誓いをして関羽が劉備に捧げた忠誠を横から掻っ攫ってるからなあ、くそっ
>>497
>>怜悧な物言い、これと決めた主君に対する忠誠。圧倒的な武勇に将才。  お、おう…劉備は主君じゃなかった?○姉妹だからノーカン?曹操から見ても劉備は主君っぽさが無かったのか
>>にま、と緩む口元を隠しもせず曹操は次々と指示を飛ばす。脳内が桃色がかっていてもその指示は精密にして的確。  間違いでは無いです
○にま、と緩む口元を隠しもせず曹操は次々と指示を飛ばす。脳内が桃色掛かっていてもその指示は精密にして的確。  の方が読みやすいかな?と
>>「ごめんなさいねー? どう考えても煽ってるよね?というかこ れ は ヒ ド いw酷い…
○「ごめんねー?    やたらと軽いけどこれの方がまだましだし劉備ならこのくらいの感じで喋りそう

>>その言葉に北郷一刀は絶句する。そして激昂する。 …お前らの連れてる義勇軍はもともとは公孫の民だしお前が紀霊と趙雲相手にしたことと変わらん…そもそもお前今まで《関羽が靡くことはあり得ないから放っておこう》って昼寝したりしてたよな?
いやまあ自分がやってるからって他人からそれをやられるのを許容できるかは別にしても、される可能性ぐらいは考えとけよ、相手はあの曹操だぞ?お前がやる程度の事は向こうもやれるに決まってるじゃん、それを成功させるかどうかは別にして
根無し草の義勇軍とかなり発展してる陳留軍とのっちに一般的な民草が靡くかは知らんけど…大丈夫だって公孫よりも劉備を取った誇り高き義勇軍なら劉備についてくるから心配の必要はない…つまり怒る必要が無い、せいぜい誰も引き抜けなくて呆然とする曹操をプギャーwwwしてやろうぜ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/01(金) 14:09:27.14 ID:ThIzqFJW0<> さて続きを
>>498
>>真正面から曹操を弾劾する劉備。果たして彼女はその行為の意味を分かっているのであろうか。いや、ないであろう。   外の多くの人たちを救うために身内の少数に泣けと言う…いや、そもそも【もっとひどいこと】とはなんだろう?陳留の黄巾はよその黄巾よりもお行儀がいいと言いたいんだろうか
○真正面から曹操を弾劾する劉備。果たして彼女はその行為の意味を分かっているのであろうか。いや、いないであろう。  それはともかく《いる⇔いない》なのでこうですね
>> 盗泉に群がられると迷惑だしね。そしてどこまでついてこれるか、楽しみね」  この【ついてこれるか】は誰が?何を?何に?
○ 盗泉に群がられると迷惑だしね。そしてどこまで吐いてられるか、楽しみね」  【そんなお花畑な理想論を】ならこう
○ 盗泉に群がられると迷惑だしね。そしてどこまで付いてくれるか、楽しみね」  【理想に共感した人たちが】ならこう
○ 盗泉に群がられると迷惑だしね。そしてどこまでこれるか、楽しみね」   劉備の理想を本物として曹操が認めたならこう?
○ 盗泉に群がられると迷惑だしね。そしてどこまで吹いてられるか、楽しみね」  実は夢物語だと分かっているんでしょう?な揶揄を混ぜるならこんな感じ?
>>499
>>「兌州に固執する曹操殿に従うは私たちの本望とはかけ離れていると思います。 それでも私は、彼女たちを評価する(高評価とは言っていない)
○「陳留の太守たる曹操殿に従うは私たちの本望とはかけ離れていると思います。 領主が領地を守ることまで蔑むのはいずれご主人様が同じ立場になる時を考えれば
>>ふむ、と北郷一刀は頷く。確かに曹操なんて物騒な人物のおひざ元にはいられない。  おっまwおまええ!!誰だよ曹操なんて物騒な人物に近づこうと言い出したの
○ふむ、と北郷一刀は頷く。確かに曹操なんて物騒な人物のお膝元にはいられない。   間違いでは無いですがこの方が良さそうかな
>>この未熟な身をして絶大な信頼を注いでくれる主にこの智謀を捧げようと。  これだと【この未熟な身をして絶大な信頼を注いでくれる主】=一刀にも読めますが、これって前部分は諸葛亮の事ですよね
○この未熟な身に絶大な信頼を注いでくれる主にこの智謀を捧げようと。    未(成)熟な身に絶大な信頼(意味深)を注ぐ(物理)ですね分かります…えっ違う?じゃあ【信頼を寄せてくれる】でどうでしょう

>> 卑しい宦官の孫、漢王朝の流れを汲む桃香様にふさわしいとは思えません」 ついでに言うと四世三公の肥えた豚もふさわしくないしな…そもそも劉備にふさわしい存在なんて一刀以外いないしな!!
>>涼州にて匈奴の侵攻を防ぎ、官吏の汚濁を断ち切る刃。  でもその家の御当主様賤しい肉屋の倅とずぶずぶに繋がってますぜ?
考えてみたら二郎ちゃんも袁紹と袁術の二人の主持ちか…でも次郎って美羽のお兄ちゃんかお父さんみたいなポジションだしなあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/03(日) 09:52:15.35 ID:q9fOZtfy0<> おつー
ピンクの蝗が、次の標的に馬家をロックオンですね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/04(月) 21:32:47.17 ID:enLvEem50<> fate映画見て、もりもり元気になりました。
くうくうおなかが減りました
くすくすわらってごーごー

ほんと課金してよかった


>>503
>おめーらそんなに賢いのになーんでさ、とも思うけれどそこは儒教純粋培養故致し方なしですわな
頭の良さとあれこれは別ですので
巡り合わせがよくなかったのかなあという、三連敗があれじゃなかったらとかあれこれ

>>504
どもです。

>なんか色々面倒だしはおー様はとっとと
難しいとこですよねえ
未来の罪科は現在において減刑の根拠にならないですからねえ。いや、なったら困るのですが

>>505
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>  グフッ…書いてて自分でダメージが。せめてこいつがトップに立ってなければ3人の桃園の誓いを引き合いに出せたのに…こいつ桃園の誓いをして関羽が劉備に捧げた忠誠を横から掻っ攫ってるからなあ、くそっ
そこですなw

>どう考えても煽ってるよね?というかこ れ は ヒ ド いw酷い…
そう言われると元のほうがいいかもしれませんw
天然煽りとか、素敵やん

> おっまwおまええ!!誰だよ曹操なんて物騒な人物に近づこうと言い出したの
それが聞けたから満足ですw

>考えてみたら二郎ちゃんも袁紹と袁術の二人の主持ちか…でも次郎って美羽のお兄ちゃんかお父さんみたいなポジションだしなあ
ここ大事っすw

実際、赤ペン先生のご指摘の反転テストは意図的じゃないですが、やらねばならないところだと思ってます。
まあ、凡将伝のコンセプトはそこではないですけど、巻き込まれて幾星霜的な。

>>507
そういうことですw
また、食いでがあるんだよなあw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/04(月) 21:34:17.15 ID:enLvEem50<> それは闇の底のさらに底。日の光が差すこともない一室である。
そこには蜘蛛の巣すら張る余地なく、闇のみが漂う。

「張られた蜘蛛の巣は今や張りぼて、と。こうして私がここにいるのがその証左ね。
 そう考えると袁家の威光、遥か遠く虚しいかもしれないわね」

くすくす、と麗人は笑う、嗤う、哂う。

「李儒よ、お主の言うことは分かるのじゃがな。いかにも時期が悪いと思うでおじゃるよ。
 麻呂の高貴たる呼びかけには、それはそれは従う官吏、武将が列をなすであろうぞ。
 じゃがの、このたびは時期尚早でおじゃる」

袁胤は上品に笑いながら李儒の持ち込んだ案を差し戻す。いや、中身に目も通さずに遠ざける。
冗談ではない。拾ったこの身、命。無駄にしてなるものか、と。

「のう、此度の蜂起案とやら、じゃがの。
どう思う?許攸よ」

艱難辛苦を共にした腹心に問う。

「そうですなあ。袁術様を手中にというのはウチらが検討した目的そのもの。これはですやろ。
 やけど……。今この時期に蜂起するのは正直言って、阿呆(アホ)のすることやと思いますわ。
 今は力を蓄える時期ですやろ。
 ありえへんですわ。今蜂起するなんて、な」

やれやれ、と全身で否定する許攸の仕草を見て袁胤は笑う。

「ほ、ほ。どうやらお主の雇い主も切羽詰まってきたようでおじゃるな?
 まあ、麻呂には関係ないことでおじゃる。精々足掻けばいいでおじゃるよ」

ほ、ほ、と上品に笑う袁胤。李儒はそれでも揺るぎなく。
その態度にちり、と袁胤の本能が警戒を呼び掛ける。これでも袁胤は権謀術数の巣窟を軽やかに歩いてきたのだ。だからこそ李儒の余裕に違和感以上の不穏を嗅ぎ取る。
表情を司る筋肉の一筋すら震わせることなく更に袁胤は笑う。笑い続ける。
その笑みに同調して李儒も笑い出す。心底可笑しげに笑う。それがいっそ不気味である。不吉である。

「七千、準備したわ」

苦労したのよ?と哂う李儒にさしもの袁胤も青ざめる。
即座に問うたのに李儒は笑みを深める。

「許攸よ、如南の守りはいかほどじゃったか」

秀麗な貌を白くしながら許攸は小さく応える。千、と。

「あらあら、高貴なお方が取り乱してはいけませんわね?
 まあ、私にはどうでもいいことですけどねえ!」

獰猛な笑い声を阻むものはいない。いやしないのである。げらげらと、心底愉快そうに笑う李儒の嬌声を切り捨て、袁胤は腹を括(くく)る。

「……是非もなし、じゃな。麻呂が立つ。それしか……なかろうよ」
「そんな、袁胤様!」

きっぱりとした口調で呟く主に、許攸はすがりつく。勝ち目などないと。後がないと、無謀だと。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/04(月) 21:34:43.67 ID:enLvEem50<> 「ほ、ほ。美羽の身柄さえ抑えればどうとでもなる。それは変わらんのじゃ。
 孫家などと言う要素を排除した今こそ好機かもしれんの。
 いやさ、美羽の身柄さえあればどうとでもなるのでおじゃる」

その目がある以上、下衆に賽を振らせることはできぬ。万が一にもできぬのだ。
その思いを察して許攸も覚悟を決める。自分たちが立たなくとも李儒の手の者が乱を起こす事象に変わりはないのであろう。
であるならば、目の前の下衆の雇用主である十常侍どもに袁家の未来を委ねることなぞできようはずもない。
ぎり、と歯を食いしばりながらに許攸は笑みを浮かべる。裂けよとばかりにその口元は三日月を描く。

「あい。仰せのとおりです。最初の一手が決まればわが身の春が来ますなあ。
 もとより咲くことのないはずだったこのわが身。精々派手に咲き乱れてやろうやないですか」

愉快、愉快とばかりに艶然と許攸が微笑む。笑う。その目元には紅い雫。

「ええよ、ええよ。あんたらの思うままに動いてやろやないか。
 けど、うちかて意地があるさかいな。やりたいようにやらせてもらうで」

「ええ、結構よ。失望させないで欲しいわね。楽しみにしてるわ」

立ち去る李儒に向かい、許攸はありったけの塩を投げつける。
それを傍目に袁胤は呟く。

「まあ、確かに美羽の守りが甘いのは確かでおじゃる。
 紀霊よ、袁家を託したこの身でおじゃるが……、容赦はせんぞ?」

ほ、ほ。と雅に笑う袁胤。知略を巡らす許攸。

「さてもさても。かくもあはれなるこの身、武家の身として本懐である」

ほ、ほ、と雅に笑い袁胤は軟禁されていた屋敷より姿を消す。
如南に向かい兵が押し寄せてくる数日前のことであった。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/04(月) 21:35:11.54 ID:enLvEem50<>
黄巾軍実に二万と数千。
これを殲滅すれば如南周辺から叛徒どもはほぼほぼ駆逐されるはずである。

一網打尽。

数百から数千の集団で散らばっていた黄巾賊を巧みに誘導し、一つの集団とした風の手腕には戦慄を覚える。正直何がどうやってこうなったか分からんのよね。いやほんと。なんか星と色々打ち合わせてて、色々やってたみたいだけんども。
俺と流琉は本陣に陣取り、風がその補佐。騎兵は星が率い、歩兵は雷薄が掌握。陳蘭が長弓兵を従え、ある意味切り札の真桜は今回はお休みだ。

二万が十万でも負ける気がしない布陣である。
ぶっちゃけ俺は何もせんでいいしな!

などと勝った!第十部完!みたいに暢気に構えていた俺に急報がもたらされる。

「し、使者がいらっしゃって、先触れもなく、待たせようとしたのですが、その……!
 ああ!」

取次の武官が何やら錯乱している。
ざわめきがここまで伝わってくるな、と思うより早く馬蹄の音が響く。
無論ここまで馬を走らせるなど無礼極まりない。俺が口を開こうとする前に、どさり、と馬が泡を吹いて倒れる。
辛うじてその転倒に巻き込まれずにいた馬上の人物こそ褒めるべきか。

よろ、と立ち上がった麗人は埃にまみれてはいたが見誤ることはない。
張家当主、七乃だ。なるほど、彼女を制止できるほど権限を持ってるのは陣中では俺くらいか。というか、紀家の陣中をどうやって突破したのとか色々とツッコミどころはあるなどと半ば現実逃避しながら思う。彼女がこんな有様になるなど、いい報せであるはずはない。

横から差し出された水に見向きもせずに七乃は叫ぶ。
いつもの艶を含んだ美声ではない。渇きにひび割れたしゃがれ声だ。その声が不吉さをいや増す。
そして、その報せは最悪。

「袁胤、叛す。如南、危うし。賊は七千余。至急、美羽さ、ま……を……」

そこまで言って七乃は倒れ込む。
大地に伏す前に辛うじて抱きかかえ、事態を理解し。叫ぶ。この場での最適解はこれぞとばかりに。

「星!」

「は!ここに!」

「騎兵五百で救援に向かえ!何をやっても構わん!美羽様を!」

「承知!」

余計な言葉など何一つ発せず星は駆け出す。
機動力を考えれば騎兵の最精鋭のみで先行させるしかない。
ここから如南までは五日ほどか!
ええい、こっからどうしようと前後になるが呼ぶ。

「風!」
「はいはい、ここにおりますよ〜」

のほほんと俺の軍師が応える。その笑みに、いくらか頭が冷える。ここで俺が激昂してもなにもいいことはない。ぴしゃり、と頬を打ち、立ち上がる。

「速攻(ソッコー)だ。目前の黄巾を最速で瓦解させるように策を頼む」

これまでは基本的に殲滅を主眼に置いておいた。が、今回はそれどころじゃない。
時間は璧玉よりも貴重なのだ。

「では、早速参りましょう。
 黄巾を打ち崩した後は如南へ取って返します。それでよいですね?」
「おうよ。頼むわ!」

短期決戦、出し惜しみはなしだ!

「界王拳(トランザム)!」

ここぞとばかりに三尖刀を発動し、指揮官先頭で黄巾に突撃する。

「そこを!どけえええええええええ!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/04(月) 21:35:38.31 ID:enLvEem50<> ◆◆◆


袁胤、叛す。
七千の兵で如南に迫る。

その報(しら)せがもたらされた時の如南は、控え目に言って恐慌(パニック)状態であった。
武官も文官も右往左往の見本市である。
だが無理もない。寄せ手が城塞都市に押し寄せたなど、匈奴戦役で南皮が最前線になった時以来のことである。

その混乱の波の中で袁術は自失していた。
通常業務すら満足に理解できてはいない修行中の身である。
それでも、部下たちの縋(すが)るような視線は彼女を射抜く。

(ど、どうすればいいのじゃ……)

ぷるぷると震える膝が崩れていないのはいっそ賞賛ものであるであろう。
袁術の周りには頼りにする将帥なぞは誰一人いない。

じわ、と双眸に涙がにじむ予感。ああ、自分はどうしたらいいのか。大好きな姉ならどうするか。ここにいたならばどうしていたろうか。

「しゃきっとしなさいな、美羽さん。貴女が縮こまっていては勝てる戦も勝てませんわよ?」

は、と振り向くが勿論声の主はいない。

(ほら、美羽さん、いけませんわよ。袁家直系たるもの、いついかなる時も余裕をもって優雅たれ)

その声に袁術は、き、と前方を睨んでふんぞり返る。傲然と口を開く。

「なんじゃなんじゃ情けないのう。それでもそちらは袁家の譜代かや?うろたえるでないわ」

袁術の声にぴたり、と部下たちは動きを止めて注目してくる。
といって別に袁術に腹案があるわけでもない。さて、どうしたものか。

(とりあえず現状把握ですかね。情報を制する者は戦を制するって二郎様もおっしゃってましたよ?)

いつも、いつだって自分の側にいてくれて、自分の味方であってくれた少女の声が響く。

「で、実際どうなっておるのじゃ。きちんと報告せい」

その声に慌てたように、ようやく現状の報告がもたらされる。

「袁胤殿、謀反!その兵は七千!此方は千にてございます!」

……確か攻め手には三倍の兵力が必要であったか。顔家の当主の言葉を思い出して暗澹(あんたん)たる気持ちになる。そういえば顔家の当主は籠城についても更に言及していたか。無駄に胸部装甲が厚いだけに防御には説得力があったものである。

(まあ、基本的に籠城戦は詰んでますからね。でも、援軍が見込まれたら話は別ですよ?堪えればそれが勝ちに繋がりますから。まずは希望を示して士気向上は初手必須、かなあ?)

「皆の者、恐れるでないぞ。二郎が、七乃が、麗羽姉さまが妾(わらわ)を見捨てるはずがないじゃろ。
 時間は妾(わらわ)達にとって味方なのじゃ」

で、どうしたらいいのだろう。自分は何をすべきか、何ができるか。指示を待つ部下たちの視線が突き刺さる。それに対する応えは、あの青年がいつも言っていたこと。

(や、餅は餅屋。部下の最善を引き出すことがお役目。だから言えばいいんですよ)

「うむ、そなたらの職責を果たすがよいぞ。袁家配下たるそなたらをわらわは信じておる。
 そなたらの職責を、果たすがよい」

ぱ、と部下たちの目に光が灯るのを見て袁術は安堵の息をこっそりと漏らす。
そして思う。自分はけして一人ではないのだと。
いつも、いつだって皆は自分にあれこれと話しかけてくれていた。
だからこんなにも何をすべきかという問いに答えてくれる。教えてくれる。

では、自分はどういう命を下すべきか。
やはり戦となれば彼女の言こそ頼りになるのだ。曇りのない笑顔。空色の髪を無造作に散らした文家当主。彼女が幾度も言っていたことを袁術は口にする。
(戦となったらやっぱこれしかないっしょ!言ったれえ!)

「腹が減っては戦はできぬ!」

袁胤の乱、或いは如南防衛戦と言われる戦の。幕開けであった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/04(月) 21:36:39.83 ID:enLvEem50<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名はあれかな、袁胤の乱かな?

防衛戦はまだだからなあ
なんかええ感じのやつ、オナシャス

オナシャス <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/04(月) 22:50:32.51 ID:SbmC0zyyo<> 乙です

あー、ここほんと、袁胤さんの意地というか、敵役なんだけど袁家そのものへの思いみたいなのが見えて好きなんですよ
そして美羽様の覚醒イベント。やー、こういう色んな人の想いが集まる感じの覚醒イベント大好物です

ということで題案は
『幼き女王蜂の目覚め』
あたりで
美羽様は色んな人から金言というローヤルゼリー貰ってますからね、そりゃあ立派な女王蜂になることでしょう <> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/05(火) 12:02:47.58 ID:rhs45Qk90<> 乙でしたー
>>509
>> 麻呂の高貴たる呼びかけには、それはそれは従う官吏、武将が列をなすであろうぞ。 ちょっと違和感
○ 麻呂の高貴なる呼びかけには、それはそれは従う官吏、武将が列をなすであろうぞ。 或いは【高貴たる麻呂の呼びかけ】かな?麻呂自身が高貴だしこっちの方がいいか?
>>「そうですなあ。袁術様を手中にというのはウチらが検討した目的そのもの。これはですやろ。   文字が抜けてるっポイ?
○「そうですなあ。袁術様を手中にというのはウチらが検討した目的そのもの。これはええですやろ。 それとも【イイですやろ】とか?言葉遣いとしてはどっちだろ
>>その笑みに同調して李儒も笑い出す。心底可笑しげに笑う。それがいっそ不気味である。不吉である。  ううむ、これが先に出てればいいんですが既に袁胤さん不気味さに感づいてるし
○その笑みに同調して李儒も笑い出す。心底可笑しげに笑う。それがいっそう不気味である。不吉である。 の方がいいと思います
>>510
>>ぎり、と歯を食いしばりながらに許攸は笑みを浮かべる。裂けよとばかりにその口元は三日月を描く。 そういや彼女はAA付けると誰だったっけ
○ぎり、と歯を食いしばりながらも許攸は笑みを浮かべる。裂けよとばかりにその口元は三日月を描く。 接続詞とか間違いと言い切れないから難しい
>>立ち去る李儒に向かい、許攸はありったけの塩を投げつける。 塩を投げるのって日本固有のなんだよなあ…中国式?知らん
○立ち去った李儒に向かい、許攸は湯呑を投げつける。 とりあえず、まさか比喩で無しに背中に投げたわけじゃないよね?と、客に茶の一杯も出さないとは名門袁家として考えにくいので…それを割ることでお前とは一緒に茶も飲めん、的な意味になる…といいなあ
>>511
>>正直何がどうやってこうなったか分からんのよね。 【何が】だとそりゃ《風が》でしょう、ということで
○正直何をどうやってこうなったか分からんのよね。 の方がいいと思います、それとも【風がどうやってこうしたのか】なのかな?
>>などと勝った!第十部完!みたいに暢気に構えていた俺に急報がもたらされる。 それ勝ってないフラグやんwww知っててパインサラダの準備させるようなものやぞ
○などと来た、見た、勝った!みたいに暢気に構えていた俺に急報がもたらされる。 それを分かってない人が「やったか!?」とか「これほどの威力、一たまりもあるまい」とか言うならともかく二郎ちゃんが自分から変なフラグを立てちゃいかんでしょ
>>というか、紀家の陣中をどうやって突破したのとか色々とツッコミどころはあるなどと半ば現実逃避しながら思う。 これだと二郎の思考が【ツッコミどころはある】などとでぶつ切り感が出るので
○というか、紀家の陣中をどうやって突破したのとか色々とツッコミどころはあるな、などと半ば現実逃避しながら思う。 の方がいいと思います
>>ええい、こっからどうしようと前後になるが呼ぶ。  【前後】…前になることは無いような
○ええい、こっからどうしようと後手になるが呼ぶ。  こんな感じかなあ?それとも【後手に回る】とか?
>>短期決戦、出し惜しみはなしだ!  間違いでは無いですよ
○短期決戦、出し惜しみは無しだ!  一瞬《話だ!》と読み違えちゃったので(笑)
>>512
>>ぷるぷると震える膝が崩れていないのはいっそ賞賛ものであるであろう。  読み違えたわけではないですが
○ぷるぷると震える膝が崩れていないのはいっそ称賛物であるであろう。   今までずっと隣にいた七乃がいないのにこれはマジで称賛だわ
>>袁術の周りには頼りにする将帥なぞは誰一人いない。  これだとそもそもが《人はいるけど【頼りになる将帥】はいない》…原作公孫賛状態のような
○袁術の周りには今現在、頼りにする将帥なぞはいない。 本当なら紀霊配下とかその他綺羅星がいるけどタイミングが悪い、という状況なのでこれでどうでしょう?
>>じわ、と双眸に涙がにじむ予感。 これは滲んでるのか?でも予感するならむしろ零れるとか溢れるとか
○じわ、と双眸に涙がにじむ感覚。 実際ににじんだならこう、【双眸から涙が溢れる予感。】目尻から溢れそうならこう、【双眸から涙が零れる予感。】まだ潤んでる程度ならこうかな?
>>(ほら、美羽さん、いけませんわよ。袁家直系たるもの、いついかなる時も余裕をもって優雅たれ)  そんなこと言ってると弟子に対して節穴だったり心の贅肉が付きすぎてたり文明の利器に対して謎の破壊活動しちゃうぞ
○(ほら、美羽さん、いけませんわよ。袁家直系たるもの、いついかなる時も雄々しく!華麗に!優雅に! ですわよ)  上の方で紀霊に発破かけてた時の台詞を引用してみたり
>> 「うむ、そなたらの職責を果たすがよいぞ。袁家配下たるそなたらをわらわは信じておる。  ここは大事なことだから2回言ったのか?でもそれなら
>> そなたらの職責を、果たすがよい」                          【信じておる】の方が大事なことのような気もするし
○ 「袁家配下たるそなたらをわらわは信じておる。うむ、そなたらの職責を果たすがよいぞ。  こんな感じでどうでしょう?
○ さすれば、道は拓けよう」                              もしくは【恐れる物は何もない】とか?どう言うのが良いかな

というかこれ李儒が用立てした兵士たちは何を思って戦うんだろ?黄巾が目障りなのにほっぽり出して袁家の内ゲバに助力して…いや、破落戸の寄せ集めの可能性もあるか?そもそも現状で7000を守備として使ってるならともかく遊ばせておくとは思えんしな(朱儁への厚い信頼
金を貰って約7倍の兵力で煌びやかな如南を略奪できると唆せば…ふむ、少なくとも職業軍人が7000人も朱儁の目を欺けると言うよりは説得力があるか
逆に袁家と最悪の殺し合いをしたいと言う事で嬉々として朱儁が許しそうなアレはあるけどその場合本人が来ないわけがないしな
如南が黄巾に占拠されたことにして…麻呂が大将だしこれなら禁軍を貸し出す理由づけになるか?後ろの政治関係のごたごたは彼は興味なさそうだし
それにしても名門が名門してるぜ…実際麻呂が治めても悪政を布きそうな感じは無いからなかなかヘイトを向けづらい、まあこの状況だと十常侍の紐付きになるからあれだけど <> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/05(火) 12:39:59.18 ID:rhs45Qk90<> おっと説明不足
>>ぷるぷると震える膝が崩れていないのはいっそ賞賛ものであるであろう。  【賞賛】は《褒賞》とか言う様に物を与えて褒めるモノ、物質的な褒美が付きます
○ぷるぷると震える膝が崩れていないのはいっそ称賛物であるであろう。  対して【称賛】は《呼称》とかの感じで褒め称えるモノ、精神的な意味ですね

確かにタイミングとしては攻め時…七乃が後手に回るとは、これはもう李儒をホメるしかねーな。よく出し抜いたわ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/06(水) 22:00:35.99 ID:nQwr/Q0e0<> 鬱憤というもの
それは原典であり原点なのです

>>514
>あー、ここほんと、袁胤さんの意地というか、敵役なんだけど袁家そのものへの思いみたいなのが見えて好きなんですよ
ありがとうございますー
二郎ちゃんもかなーりリスペクトしてるんですよ、袁胤様のこと
そして必要悪であり、もうね。
そうだからこそ、です。

>そして美羽様の覚醒イベント。やー、こういう色んな人の想いが集まる感じの覚醒イベント大好物です
ありがとうございますー
うへっへ。うへへ。

>『幼き女王蜂の目覚め』
ちょ、待てよ!
どうしたらこういうの浮かぶの?

>美羽様は色んな人から金言というローヤルゼリー貰ってますからね、そりゃあ立派な女王蜂になることでしょう
この発想はそういうとこやぞ
あばばばばばば


>>515
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>そういや彼女はAA付けると誰だったっけ
                     ,. -────‐- 、
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. /::/ハ!:::::::::,:::::,:,':,:::::::,::::::::::::::::::l'´          /         ∨
許攸:天ヶ崎千草(魔法先生ネギま!)

です。
俯瞰者さんとこに修行に出してますが、間に合わなかったね。
きっと余生にて奮闘してくれるでしょう。

>それ勝ってないフラグやんwww知っててパインサラダの準備させるようなものやぞ
まあ、そこはね。

>というかこれ李儒が用立てした兵士たちは何を思って戦うんだろ?
いや、思うとこなぞないでしょう
タイミング的に、黄巾討伐を口実に兵力を動かすことができる今のタイミングというのが主眼です

>確かにタイミングとしては攻め時…七乃が後手に回るとは、これはもう李儒をホメるしかねーな。よく出し抜いたわ
これ。
謀略は仕掛ける方が有利とは言いますが、にえ。

偶然ですよ?



<> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/07(木) 13:55:23.88 ID:6JES97zo0<> えーと…阿蘇阿蘇の影響もあって怨将軍と袁家ってかなり知名度高いと思うんですよ
それこそ戦国時代の上杉謙信とか武田信玄くらいに、そいつらの治めてる土地を占領した黄巾(一向宗)とか凄い怖いんじゃないかなあ、と
それとも袁家(武田or上杉)に喧嘩を売りに行くと言って集めたのか…これ逆に袁胤が旗頭にならなかったらどうしようもなかったんじゃ?
ぶっちゃけ袁紹がいる以上客観的に見れば袁術は切り捨てる事が出来る存在、とは言え四世三公の袁家の治める土地を官軍が侵略するとか国体崩壊待った無し
と考えるとこの7000はやっぱりならず者の寄せ集め?準黄巾めいた奴ら…いや、それだと袁家と不倶戴天の黒山賊に最初に声がかかるはず
禁軍が袁家の治める土地に攻め入る建前としてやりやすいのは黄巾に襲われた、とかだけどそれだと人の口に戸は立てられぬ、で普通に顔良の耳に入りそうだし
…まあいいや、あんまり考えても大して重要な部分じゃないしふわっとしとこうふわっと。李儒が自由にできる軍人が7000人禁軍にいたってことで <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:09:57.34 ID:R4xcUrh/0<> >>518
大将軍という武力に対抗するための虎の子の私兵であったということでひとつ。
んで、ここで全力は正しいが、その後に影響あってあれがああなるっていうことという感じです。
兵を動かすのは黄巾討伐で色々やれるタイミングですので。

中央から馬騰さんとか朱儁がいなくなったからこそ打てる手でもあります。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:10:34.49 ID:R4xcUrh/0<> 「ほらほら、どんどんもってくのー」

于禁は着飾ったままで大鍋から雑炊を器に注ぐ。米、麦、芋に加え、肉、野菜など。具のみっしりとしたそれには濃いめの塩味もついており、戦う男たちの栄養源としては最上のもの。
同様に雑炊を器に注ぎ、笑顔で戦う男に手渡すのは美姫たち。
絵姿そのままに着飾りながらも、額に汗を浮かべて男たちを激励する。
これこそが于禁渾身の作品でもある。普段手の届かない美姫たち。更にその美姫たちが手ずから配膳をすら。

いつだって、戦う男の背中を押すのは女の役割なのだ。

女たちも必死である。
男は殺され、女は犯される。
それが庶民にとっての、戦というものの真実である。
それを理解している女たちは本心から、男たちを鼓舞し、煽る。そして、連れ添う。
いくつもの空約束が交わされる。

于禁はその流れを練り上げ、盛り上げ、維持する。士気こそ防衛の要であると彼女は本能的に知っているのだ。
矢継ぎ早に指示を飛ばし、その結果守備兵は餓えることはない。それに果たした貢献は大きいものである。

そして彼女の強運は、ひたすらに鍋を振るう男がいたことだろう。
飲食店の店主であるという彼は、大人数に供する食事の差配をこなしていく。こなした。
手ずから大鍋をいくつも指揮下に収め、遺漏なく食事を作り上げ、配膳の指揮までこなす。旺盛な兵達の食欲を満たし続けて、于禁と交わした時に漏らした言葉。

「これが俺の戦いだから」

彼の名は史書にも記されておらず、于禁が僅かに言及しているのみである。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:11:00.84 ID:R4xcUrh/0<> 「うむ、そちの武勇、見事。
 妾の真名を許すぞ。以降、美羽と呼ぶことを許す」

傲然と。
袁術は這いつくばように恐縮している兵士に告げる。彼こそは昨日の英雄。そしてその褒美として名門袁家の直系である袁術から真名を許された。その栄誉は三世まで響き渡るであろう。
そして兵士は感激に身を振るわせ、双眸から溢れる涙を隠そうとはしない。兵卒の身分で袁家直系の袁術から真名を許されるなど、これほどの栄誉があろうか。いや、ないであろう。

「ほれ、さっさとその身を尽くすがよいぞ。わらわが命じる。如南を守るのじゃ」

感極まって、幾条も滂沱。
そして。職責を果たしに行くのだ。

◆◆◆

ぴょこ、と座から立ち上がり袁術は悠然と歩き出す。

「前線を鼓舞する。ついて参れ!」

とてとて、と歩く袁術に侍女たちは付き従う。彼女が征くは最前線。如南の防衛線。
それがどうしたとばかりに悠然と歩みを進める。
そして付き従う侍女は、矢玉が飛んで来ればその身を盾とする。更に賊が迫れば誅滅すべく付き従う。なんとなれば彼女らは袁家の譜代。その幹部候補生たちである。紀霊の発案による人材交流。その一環としての配置であった。いずれは袁家を背負う彼女らを若い内に交流させるという目論見である。
一足飛びに実戦があるとは誰も予想していなかったであろうが。
そして袁術である。彼女の小さなその身で背負うもの。それを知っているから、侍女たちは無言で付き従う。

煌びやかに着飾った袁術は、ついに城壁へと到達する。
矢玉の飛び交う最前線を悠然と歩き、兵を鼓舞する。まさかこのような最前線まで総大将が来るとは。その異常事態に将は混乱し、兵は沸き立つ。
奮戦する兵卒に、惜しげもなく身に着けている装飾品を褒美として下賜する。そして城壁より賊軍を見下ろすことすらするのである。
なんとも剛毅なことよ、と圧倒的な兵の差を忘れ指揮官たちは奮戦する。最前線まで来てくれた彼女に恥はかかせられない、とも。

袁術にとって幸運であったのは、義勇兵の存在であろう。
といって、同時代に存在した……例えば劉備が運用したそれとは全く意味が違う。城塞都市内部の民がその、自分たちの住む都市を守るために組織された存在である。
そして更に袁術にとって幸いであったのは、かつて袁家において兵役を経ていた民が相当数いたことである。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:11:42.48 ID:R4xcUrh/0<>
ぐったり、とばかりに袁術は寝台に身を横たえる。
……如南防衛はこの上なく順調に推移している。

如南に好景気をもたらした袁家は既に熱い支持を得ており、民草はこぞって戦線に加わろうとすらしている。
もっとも、素人の面倒を見るほどに余裕のない軍部はそれをいなすのに必死ですらある。
使い物になる、兵役経験者は既に実戦に投入され、大いに活躍している。

それでも、今にも城壁を乗り越えて襲いかかってくるかもしれぬ敵軍。
初めての実戦が死戦。その精神を試される防衛戦。
自分にできることはした。そのはずである。
袁術は眠りという安寧に身を委ねる寸前まで問いかける。

「じろう、じろうよ。わらわはどうしたらいいのじゃ……。
 わらわとて、母様のように前線に身を晒しておるぞえ。
 母様のように弓を引けないのがいかんのかや……。それとも、それでも立たねばならんのかのう。
 じろう……、七乃……。
 麗羽姉さま……」

べそ、べそと嗚咽が室に響き、やがて寝息は穏やかに。

そして無慈悲な夜が明け、いつも通りの面子が控える。
部下の言上は彼女にはよくわからない。理解などできない。
で、あるからこそ前線で体を張る兵たちを慰撫するのである。

「うむ、苦しゅうない。
 よきにはからえ」

袁家の誇る官僚団。それが抱える危機時における対応手順に伴い防衛戦は続いている。
彼我の兵力差を考えればありえないほどの奮闘である。
だが、それでも限界が見えてくる。見えてしまう。

袁術は腹を括る。

なんとかこの身一つで収めるしかあるまいと。
それこそが袁家直系たるわが身の役割であろうと。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:12:10.13 ID:R4xcUrh/0<> ◆◆◆

如南。

とりたてて特徴のない都市である。
度重なる天災によりその城壁は綻びすら目立っていた。
母流龍九商会が本格的に手を入れる前にことを起こせたのはよかったのかもしれない。
そんなことを思いながら、袁胤はじり、と戦況を見やる。

兵力的にも圧倒的に優勢。
で、あるのに。

「ふむ、中々に粘るのう……」

ほ、ほ。優雅に笑みを浮かべながらも。ちり、と焦りが胸に兆す。
あのような薄い城壁、門扉がなぜ落ちない、と。
既に攻め寄せてから三日が過ぎている。その日の内にも落とせると見込んでいたのだが。

「李儒め、どうせならば櫓車か衝車くらいは用意しておけというものよ……」

……そんな金のかかるものを常備しているのは袁家くらいのもの。
で、あるからこそ本来の手勢をもって蜂起したかったのだ。
いかに十常侍の秘蔵の兵力とは言え、袁家の精鋭と比べれば数段落ちるのだ。むしろ、それを十全以上に率い、優位のままに維持する袁胤こそ賞賛されるべきであろう。

「ちい、堅いのう。顔家の小娘の入れ知恵じゃな。
 余計なことをしてくれておるわ」

「はい、あっこまでの粘り。いいえ。あれこれの小細工。顔家の手管ですなあ。
 実にうっとおしいですわ」

許攸は舌打ちしながら忌々しそうに応える。本来遊軍たる紀家軍の手の者に防衛戦の知見(ノウハウ)はない。

それでも、時間の問題であろう。
解せぬほどに激しい抵抗とて、数の暴力、心身の疲労には敵わない。

城門に丸太を束ねた即席の破壊槌が打ち付けられ、大きくひびが入る。
させるまじと矢の雨が降り注ぐが、時を同じくして幾度目かの城壁への侵入を果たした寄せ手が暴れまわる。

「勝った、のう……」

もう一押しで落ちる。そう確信し袁胤は緩める。

どよ、と如南からざわめきが聞こえる。いよいよ陥落するにあたり、此方になびく兵でも出たか。
そうだとすれば実に興醒めであるのだが。

「雅ではおじゃらんのう……」

独白は戦場の喧噪にかき消され、誰の耳にも届かなかった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:15:13.67 ID:R4xcUrh/0<> ◆◆◆

いよいよか、と袁術は覚悟を決める。
袁胤の目的はこの自分の身柄なのだ。ならばこの身一つで配下達の命を購うべし。
三日三晩の猛攻を、この瞬間も耐えている配下達には感謝の言葉もない。
矢玉をはじめとする物資はふんだんにあるが、如何せん人手が足りない。あちこちに梯子が架けられ、城壁への侵入も一度や二度ではない。

もう一刻もすれば城門も破られてしまうだろう。
だが、その時まではけして諦めない。上に立つ者が諦めたら一気に士気は崩壊するのだ。
今なら分かる。何故袁家総大将であった母が、その身を最前線に置いて戦ったか。

「弓を持て!妾(わらわ)自ら逆賊を誅してくれようぞ!」

周囲の制止も聞かず、城壁を目指す。
阿鼻叫喚が、剣戟が。矢の唸りが響く戦場に身震いしながらも歩みを止めず、城壁にその身を晒す。
侍女たちはその身を盾とし主を守り通す覚悟。

その幼い姿を晒す袁術に疲弊していた兵たちは再び死力を振るい、矢を放ち、敵兵に槍を向ける。

僅かに盛り返したが、大勢(たいせい)に影響はない。前線に身を置いたとして特に策があるという訳でもない。
破れかぶれでもある。兵たちをより酷使しているだけである。稼いだ時間とてほんの僅か。

だが、その僅かな時間は無駄にならなかったのである。

物見の兵が声を上げる。いや、それは叫びと言ってもいい。これを知らしめなければという使命感すら帯びて喉も裂けよとばかりに。

「お味方、到着!お味方!到着!
 ……助かった!助かったぞ!
 助かった!助かったんだ!」

そして戦いは新たな局面を迎えることになる。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/13(水) 21:17:12.80 ID:R4xcUrh/0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

リアルがちょっと忙しくて(言い訳)
題名はなんだろうなあ

「如南防衛戦」

なんかこう、もうちょっと華やかなものが欲しいですねえ。
美羽様の輝きとかもうちょっとこうね。

よろしくお願いします。ほんと。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/14(木) 01:49:00.81 ID:NFabdbIro<> 乙です

いやぁなんかもう、感涙ですよね。
美羽様ご立派になられて…と何の目線か分からないけどそんな気持ちが溢れますよこれは。
原作やってると尚更、あの美羽様が、と。

そしてこの于禁ですよ。
一般人のある主当然な原初の欲求というか、男はどんな世でも女のために戦うんですよ、というのが垣間見える感じとか、
それを本能で理解して実行する于禁の才能とか…好き(溜息)


題案はなんでしょうね…いや個人的には『如南防衛戦』でいいとも思うのです。
だって援軍来たらもうこれ防衛って感じじゃなくなりますし、如南防衛って言えるのここが最後な気ががが。
とはいえ選択肢は多い方がいいのでそれっぽい題案は投げさせていただきます。
『如南に黄金の華ぞ立つ』

…ところで美羽様のカラーは黄金でいいんですかねぇ、黄色だとなんかカッコつかないような気がして <> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/14(木) 11:32:12.72 ID:Twlpu7wx0<> 乙でしたー
>>520
>>矢継ぎ早に指示を飛ばし、その結果守備兵は餓えることはない。それに果たした貢献は大きいものである。  間違いとは言い切れないけど違和感が
○矢継ぎ早に指示を飛ばし、その結果守備兵は餓えることはない。それを果たした貢献は大きいものである。  もしくは【それに尽くした】、【それに費やした】とかかな?
>>飲食店の店主であるという彼は、大人数に供する食事の差配をこなしていく。こなした。    ここも私の好みですが
○飲食店の店主であるという彼は、大人数に供する食事の差配をこなしていく。こなしていた。  【こなした。】で締めちゃうと終わった感が出るけど多分まだ頑張ってるよね?
>>521
>>袁術は這いつくばように恐縮している兵士に告げる。彼こそは昨日の英雄。そしてその褒美として名門袁家の直系である袁術から真名を許された。その栄誉は三世まで響き渡るであろう。 三世って孫まで?曾孫まで?どちらにしてもちょっと短い気もします
○袁術は這い蹲うように恐縮している兵士に告げる。彼こそは昨日の英雄。そしてその褒美として名門袁家の直系である袁術から真名を許された。その栄誉は末代まで響き渡るであろう。  ここはでっかく【末代】まででどうでしょう(ちなみに這い蹲るでも這い蹲うでも良いようですが一応こちらの方が正しいらしいです)
>>そして兵士は感激に身を振るわせ、双眸から溢れる涙を隠そうとはしない。 剣を振るように身を振る…高速お辞儀かな?
○そして兵士は感激に身を震わせ、双眸から溢れる涙を隠そうとはしない。  プルプル、とかフルフル、とかブルブル、とかの擬音が付く感じならこちらですね
>>そして城壁より賊軍を見下ろすことすらするのである。     間違いでは無いですが
○そして城壁より賊軍を見下ろすことすらしてのけるのである。  私の好みとしてはこれとか【してみせる(魅せる)】とかも有りかと
>>523
>>むしろ、それを十全以上に率い、優位のままに維持する袁胤こそ賞賛されるべきであろう。 褒賞、と言う様にこれには物品的な褒め方が含まれるので
○むしろ、それを十全以上に率い、優位のままに維持する袁胤こそ称賛されるべきであろう。 名君、とか覇王、とかPCB、とか褒め称えるならこちらですね
>>城門に丸太を束ねた即席の破壊槌が打ち付けられ、大きくひびが入る。 皆!丸太は持ったな!?
○城門に丸太を束ねた即席の破城鎚が打ち付けられ、大きくひびが入る。 いくぞおぉぉ!!…はともかく、破城槌(はじょうつい)ですね
>>させるまじと矢の雨が降り注ぐが、 これでも良いっちゃ良いのか?
○させじと矢の雨が降り注ぐが、   《許すまじ》とか言うし上でもいいのかな…マジ分からん
>>もう一押しで落ちる。そう確信し袁胤は緩める。    頬を緩めたのか兜の緒を緩めたのか口元を緩めたのか
○もう一押しで落ちる、そう確信し袁胤は気を緩める。  まあそれら込みでこれでどうでしょう
>>524
>>前線に身を置いたとして特に策があるという訳でもない。 【置いたとして】だと仮定っぽく聞こえるので
○前線に身を置いたといえ特に策があるという訳でもない。 もしくは【置いたといっても】、【置いたとは言え】、とかどうでしょう

護る為に、落とさぬ為に、溢さぬ為に、必死で戦ってますなあ…それが敵側もなあたり本当に戦争って糞クソくそ
いっそ袁胤が功名心やら虚栄心やらにかられてなら気持ちよく殺して勝って万々歳なのに
原作の兵隊の鎧的に麗羽様黄金で美羽様白銀で、袁胤さんはイメージカラー青銅だっけ?でもここだとわざわざ差別化する意味もないから《袁家》で統一してそうよね
黄金の芽は蕾を付け、唯人は未来を守る…て感じ?空約束量産されたしなwどうでも良いけど何かで見た《未来の為に今を蔑ろにして良い理由なんてない》は良い言葉、それと同じくらい《辛いときは進んでる証拠だと思えばいい》も好き。進んでるんだ、と言わないあたりが好み
真名の使い方が何というかこう…こう言うので良いんだよこういうので。なんか雑に扱ってた虎、お前もせめてちゃんとした場で自分が下だと理解したうえで《お呼び下さい》とか言っとけばまだ二郎ちゃんの評価も上がっただろうに(−でないとは言っていない)
二郎ちゃん?彼は上下関係の時にはしっかりと有効活用してたから(一時的に真名を許す)…ただの二郎として漫遊記してた時は雑だったけど、紀霊としては…ほら、現代日本人の感覚があったから(精一杯の擁護) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/14(木) 21:53:19.84 ID:Q9LktQNg0<> どもです。
四月からの担当はどうも敗戦処理継続かな。死んだ目をして末期戦を戦うのだー。
まあ、心そこにないからどうでもいいけど、休日出勤は減りそう。減らそう。

>>526
どもです。

>美羽様ご立派になられて…と何の目線か分からないけどそんな気持ちが溢れますよこれは。
わかりみ。

>原作やってると尚更、あの美羽様が、と。
ほんとご立派になられて(ほろり)
無論当初プロットでは成長するなんて全く予定になかった(ガチ)

>そしてこの于禁ですよ。
うむ。

>一般人のある主当然な原初の欲求というか、男はどんな世でも女のために戦うんですよ、というのが垣間見える感じとか、
うむ(二度目)

>それを本能で理解して実行する于禁の才能とか…好き(溜息)
尊いですよ。ほんと。

>題案はなんでしょうね…いや個人的には『如南防衛戦』でいいとも思うのです。
ほむ。
言われてみたら確かに。なるほど。

>…ところで美羽様のカラーは黄金でいいんですかねぇ、黄色だとなんかカッコつかないような気がして
袁家直系は皆金ぴかよ!

>>527
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>ここはでっかく【末代】まででどうでしょう
なるほど。

>名君、とか覇王、とかPCB、とか褒め称えるならこちらですね
CPBかな?

>護る為に、落とさぬ為に、溢さぬ為に、必死で戦ってますなあ…それが敵側もなあたり本当に戦争って糞クソくそ
ありがとうございます!最高の褒め言葉だ!

>いっそ袁胤が功名心やら虚栄心やらにかられてなら気持ちよく殺して勝って万々歳なのに
当初プロットではそんな感じになるはずだったがやはり袁家の直系はカリスマ持ってるし真面目だしなんか、こう、魅力が出るなと

>真名の使い方が何というかこう…こう言うので良いんだよこういうので。
あざます!

>紀霊としては…ほら、現代日本人の感覚があったから(精一杯の擁護)
そうだよ(便乗)

しかしこれ黄巾編、元号変わるまでに終わるのかしら <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2019/02/15(金) 09:05:09.47 ID:qmTtWZAG0<> Peaci Clear Brain? Code Peach Bomb?

Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)…製造、輸入禁止の産廃じゃねーか!?こんなのどう考えても蔑称よww!? <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2019/02/18(月) 10:17:51.49 ID:zkp26eaU0<> 史実で袁紹の子供も力を合わせれば曹操を追い返すほどだからな
なお仲違いの結果曹操に助けを求めて… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/18(月) 21:45:25.20 ID:KN2O3B+X0<> >>529
どもです。

なるほど、わからんw

まあ、一応、CPBさんについても一ノ瀬的にはめっちゃ尊重はしております。
ひたすらディスればええやろというのはない、です。
ディスと感じる方がいるだろうなあとは思いますが。
いつも沖縄さんにごめんね、と言いつつ改めないのはそういうことです。
多分沖縄さんはわかってくれていると思っている。

>>530
どもです。

>史実で袁紹の子供も力を合わせれば曹操を追い返すほどだからな
ザビ家めいてきましたねw

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/18(月) 21:45:55.34 ID:KN2O3B+X0<> 旗指物すらなく趙雲は騎馬隊を駆けさせる。もはや問答無用とばかりに慌ててこちらに槍を向けようとする敵を蹂躙する。
愛槍龍牙を振るい、敵兵を屠る。
この上なく後背からの奇襲は上手くいき、敵陣を易々と切り裂く。

……趙雲が五日はかかるであろう道程を、三日とかからず踏破したのには理由がある。

「何をしてもいい」

その主の言葉を遺憾なく実行したのだ、彼女は。
趙雲が率いる騎兵は五百。しかして動員した軍馬は二千。紀家軍の保持する軍馬のすべてを動員していたのだ。
贅沢に替え馬を使用し、ここに至った。
……ちなみに彼女が操るのは烈風である。主君の愛馬さえもをかっさらった彼女の行動力と胆力は、後世に残る逸話になるほどのもの。

更にそれを助けたのは程立である。
彼女は母流龍九商会を動員し、如南への道程にある村落を動かした。いや、買収したのだ。
趙雲率いる騎馬兵には宿を提供し、夜道には篝火で道を示す。騎馬には秣を、兵には糧食を。
日常すべてを買収し、行軍を最大限に援護する。かつて商会で実務を摂った程立だからこそ立案し、実行に移せた荒業である。
実に紀家軍が用立てていた軍資金の半分をも費やしたと言われるその戦い。

「如南大返し」

後世にそう伝わる一戦の一幕である。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/18(月) 21:46:23.31 ID:KN2O3B+X0<> ◆◆◆

後背よりの急襲に袁胤は驚愕する。だがそれでも表情は笑みを浮かべたまま。
想定などしてはいなかったが、こんなものだ。もとより天運なぞこの身にあったためしはない。
だから。だからこそ口角をつり上げる。ほ、ほ、と雅に笑い命を下す。

「後ろ半分の三千で騎兵を迎えるでおじゃ。
 なに、敵は寡兵よ。包み込み、すり潰すがよいであろう」

半分で如南を攻め続け、後ろ半分で援軍を討つ。
指揮系統とこれまでの用兵を無視したその方針に許攸は賛意を示す。用兵の邪道とも言えるそれを、だ。

「……それしかあらしませんわな。寄せ手はどうやら趙子龍。舐めてええ相手やありまへん。あんじょう頼みます。
 うちは一刻も早く如南を落としますよって」

あと一息で落とせそうな如南の守備兵に一息つかせるわけにはいかない。
何より、たったの五百。五百である。それに三千を割くと決めた袁胤の決断こそ英断であろう。
迎撃態勢を整える間に削られるのは五百か、千か。それでも数の暴力がその進撃を止めるであろう。
なれば、さらなる攻勢しかありえない。いつ紀家軍本隊が来るかも分からないのだ。

「ほれ、気張りぃ!あと少しで如南は落ちるのや!」

より苛烈に攻めたてる。
如南の士気は趙雲の出現により高止まりしているが、如何せん兵の疲弊が激しい。ここは力押しの一手のみ。


その様子を見て趙雲は歯噛みをする。
騎兵突撃の勢いそのままに袁胤軍を切り裂いているが、鈍重ながらも守備体制は整いつつある。
黄巾を切り裂いた時とは違い、その陣容は徐々に分厚く、手ごわく。

「ちい!流石に黄巾とは違うか!」

一旦内部から飛び出し、外周をごり、ごりと削るが決定打は与えられない。
むしろ、その彼我の戦力を利用し包み込み殲滅しようとする意図が明け透けに見える。
それを巧みにいなし、絶えず削り取る趙雲。戦力差をものともしないその用兵っぷり、勇敢さに相対する袁胤も感嘆の声を漏らしたと言う。

「なんと、のう。あのような寡兵で渡り合うか。
 趙子龍、全身是肝か」

だが、それは圧倒的優位を確信しているからこその、余裕の言である。
袁胤の陣はあくまで分厚く、趙雲の部隊は如南への道を閉ざされ続けている。

軍配を手に、袁胤はけして無理をしない。あくまで数の優位を前面に相対する。
幾度も趙雲の騎兵が陣を切り裂くが、致命傷には至らない。

「ほ、ほ。健気よのう。仕える主が麻呂であればもっと羽ばたかせてやったのじゃがの」

幾多の犠牲に構わずに陣を整え、いよいよ捕捉せんとす。
にやり、と口を歪めた時、戦場に音響が響く。

咆哮。
人たる身が本能的に委縮するその圧倒的な響き。
白虎の咆哮が戦場に響き渡る。

呼応し、銅鑼が鳴り響く。

「な、なんやて!?」

許攸は驚愕に顔を引きつらせる。

牙門旗が翻る。そこには「孫」と記されていた。

そうして戦場はまた転機を迎えるのであった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/18(月) 21:49:35.58 ID:KN2O3B+X0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

タイトルは「如南大返し」かなあ

もちっと水増しするかもしれませんがこんなものかな、と

あれ、星ちゃんにあげる馬の名前って決定してましたっけ?
二郎ちゃんのが烈風で、予備が彗星だっけ?それとも瑞雲?
いかんですね。

なにもなかったら瑞雲で進めようそうしよう(白目) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/18(月) 22:36:02.70 ID:mnXiyIcbO<> > 如南大返し
「女難大返し」と空目した私は悪くないはず <> 赤ペン<>sage saga<>2019/02/19(火) 13:21:18.13 ID:ihfsApAs0<> 乙でしたー
>>532
>>主君の愛馬さえもをかっさらった彼女の行動力と胆力は、 【〜さえ】は軽いモノ、例えば【女子供さえ戦場に立つ】と言う様に使ってその凄さを出します、逆に《王様さえ戦場に立つ》とは言わずにその場合《王様まで〜》のようになりますね。更に【〜も】と言う使い方で強調を表しますので
○主君の愛馬までをもかっさらった彼女の行動力と胆力は、 もしくは単純に【愛馬までも】でも良いですが…【駄馬さえをも】とするのも有りですが今回は烈風を使うほどの…という意味ですし
>>かつて商会で実務を摂った程立だからこそ立案し、 実務を摂取した?
○かつて商会で実務を執った程立だからこそ立案し、 《執行する》と言うので事務を執り行う類いはこちらですね
>>533
>>指揮系統とこれまでの用兵を無視したその方針に許攸は賛意を示す。用兵の邪道とも言えるそれを、だ。  私感ですが【邪道】と言うのは褒められたものではないが、倫理観や道徳心を無視すれば有効かもしれない手段って感じがします。焦土作戦とか兵糧攻めとか串刺し公とか井戸に毒とか
○指揮系統とこれまでの用兵を無視したその方針に許攸は賛意を示す。悪手、失策とも見えるそれを、だ。  両面作戦とか普通に見れば駄目じゃね?という事でこれでどうでしょう
>>騎兵突撃の勢いそのままに袁胤軍を切り裂いているが、鈍重ながらも守備体制は整いつつある。  【体制】だと長期的な意味で、例えるなら南皮の異民族への備えとかの感じですね
○騎兵突撃の勢いそのままに袁胤軍を切り裂いているが、鈍重ながらも守備態勢は整いつつある。  一時的な形ならこちら…《攻勢》とか《守勢》をイメージすれば分かりやすいかと
>>一旦内部から飛び出し、外周をごり、ごりと削るが決定打は与えられない。 なんか実際に音が出てそうw
○一旦内部から飛び出し、外周をごりごりと削るが決定打は与えられない。  一応こうですが…【外周の兵を削るように攻めたてるが決定打を〜】とかどうでしょう
>>戦力差をものともしないその用兵っぷり、勇敢さに相対する袁胤も感嘆の声を漏らしたと言う。 間違いでは無いですがなんとなく【っぷり】が空気に合ってない感が
○戦力差をものともしないその用兵ぶり、勇敢さに相対する袁胤も感嘆の声を漏らしたと言う。 もしくは【用兵の妙、勇敢さに】とかどうでしょう
>>にやり、と口を歪めた時、戦場に音響が響く。 頭痛が痛いみたいな感じがする
○にやり、と口を歪めた時、戦場に音が響く。  とはいえこの【音】はまずは咆哮か…【戦場を貫く音。】とか【戦場に響き渡る音。】とかもしくは【大音量】とかにしても良いかも?音→咆哮→銅鑼。で音に焦点を当ててる感じですし
>>呼応し、銅鑼が鳴り響く。                  で、完全に個人的嗜好で
○呼応し、銅鑼が鳴り響く。雄叫びが、怒号が、戦場を満たす。  孫家として、兵士たちも意気軒昂なら、というか勝つ流れを引っ張る為にもこのくらいはしそうかな、と

500で3000を削っていく趙雲も凄いけど後ろからぶん殴られてもそれをリカバリーしてみせた袁胤も…阿蘇阿蘇を鵜呑みにしてた訳はないからこれは紀霊の人を見る目を認めてたってことか、まだ大した戦をしてない趙雲を適正評価できるってだけで怖いわ
袁胤も許攸も趙雲と直接会ったことあるっけ?のレベルで交流ないよね…それでこの評価が出来るとか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/20(水) 22:06:28.79 ID:XvvkIZnN0<> >>535
どもです。

>「女難大返し」と空目した私は悪くないはず
空目にもほどがあるw
だがギルティ

>>536
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>これは紀霊の人を見る目を認めてたってことか
安心して袁家の差配を任せるに足ると思ったからおとなしくしてはったわけですわ
袁胤様は今で言ったら二階さんだろうなあ。

あの方、好悪は置いといて選挙とか調整能力は凄いみたいですね
乱を起こさない小沢さんみたいな

スピーチは苦手みたいですが <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/22(金) 12:36:28.78 ID:2R76zO8wO<> 新作でるってね

ttp://baseson.nexton-net.jp/kakumei-syoku/ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2019/02/23(土) 09:07:22.72 ID:pPM5oRUE0<> 皇甫嵩に魯粛か…未だに出てこない紀霊 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/23(土) 21:01:50.16 ID:K3OI/gKEO<> 版権元で紀霊出されちゃうとイメージ固まりそうでなんかヤダ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/23(土) 21:20:30.44 ID:ATae4ycp0<> 魯粛きたのか

紀霊なんて出しても袁術陣営強化されるだけだし
それって意味ないから多分こないと思います

蜀:徐庶
魏:荀攸
呉:太史慈

あたりは実装してもいいんじゃないっすかねえ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/23(土) 22:09:51.40 ID:Y+ctSvDdo<> 太史慈は確か、恋姫革命の呉で実装されていたかと
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/02/23(土) 23:48:11.35 ID:oVatC3IWo<> グレーアウトしてる中にいるね >太史慈

DMMのソシャゲ恋姫だと、新マークついてる奴らはグレーアウト含めて7〜8割くらい実装済みかな
まだいないのは麋竺、麋芳、魯粛、霊帝、献帝、何太后、趙忠、皇甫嵩、田豊、陳珪

今やってるイベントで陳登実装、2つ前で張昭、3つ前で馬鉄
しばらく衣装替えでお茶濁して新キャラ実装ロクにしてなかったのに、年明けてから怒涛の追加ラッシュ中 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/02/24(日) 21:10:52.69 ID:B/CDWptM0<> 晋作じゃない新作、買おう。
だがプレイするのは凡将伝完結してからや!
だってぶれるから。

テムジンで侵略プレイとかもしてみたいですねえ。千年ほど時代が違いますがw


あっちの活動報告でFGOのSOS出してしまいました
頼りになる人来るかなあ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/03/07(木) 10:45:58.91 ID:ATlOIffC0<> FGO…そういやスキル【無辜の怪物】が伝承によってサーヴァントに能力を後付けできる証明と考えると
この世界の二郎ちゃん下手したら生前よりも芸達者になってそうwステータスは知らんけど
そういやステイナイトの佐々木小次郎ってなんで佐々木小次郎を名乗ってたんだろ?別に生前の本名名乗っても問題なかったろうに <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/07(木) 11:58:37.10 ID:JUKRCMEzo<> ここの二郎ちゃんに【無辜の怪物】が付くとしたら、多分阿蘇阿蘇準拠の怨将軍にねじ曲げられるだろうなぁ… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/07(木) 20:24:09.17 ID:PuApr5WK0<> ライダーでキャラクリしたおにゃのこを召還できる劣化イスカンダルか、
(麗羽様が多分中華文明圏のゲートオブチャイナできそう)
存在そのものが特異点的なキャスター(アソアソとか農徳新書とか◆◆の◆とか)

ランサーだと正直がっかりな感じかなあ。
そのクラスだと、「銀河英雄伝説×フェイトを考えてみた」的なムーブでむしろメタ勝利を狙うかもしれない

ランサー以外燃費は悪そうでござる <> 赤ペン<>sage<>2019/03/07(木) 23:14:26.25 ID:ATlOIffC0<> >>546
いや、別に【無辜の怪物】じゃなくても、例えば二郎ちゃん登用スキルと言うか人物鑑定スキル高い〈カンニング〉からそれ系の看破スキルとか
伝承で三尖刀を代々受け継いでたから二郎真君の子孫ってことで【神性】とか…イスカンダルのスキル説明がそんな感じだし
あとどのクラスでも関係なく【単独行動】は持ってそう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2019/03/08(金) 10:36:41.99 ID:7OjR1fFD0<> なるほど…無辜の神性
関羽とか神の血筋じゃないけど死後神になった人とかも持ってそうな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/08(金) 15:24:29.73 ID:xy3SkCvQ0<> 正直皆さまがあれこれ考察してくれるの、めっちゃうれしい。
こんなん嬉ション案件 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/08(金) 15:28:31.70 ID:xy3SkCvQ0<> 引継ぎであれこれ灰色を白く塗りこめるのに大変なので、しばらくごめんなさいって感じです。
四月からはもちっと軽くなる、はず。はず。 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/03/11(月) 09:10:19.12 ID:nWbdvD/W0<> 中国は定期的に文化が大虐殺されるからなあ(風評被害)
たとえ一時的にトップになったとしても中華の全てと言うには抜けが有りそう・・・太公望の書物とかも燃えたらしいし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/11(月) 19:42:53.19 ID:ULoz+JFr0<> 平和→人口増える→耕作地で賄えなくなるほど増える→治安崩壊→統一

以下ループという印象です。

これをどう防ぐかというと、性行為以外の娯楽の充実を行き渡らせることかなと思っております。

長く続く王朝はこれができる&国防もやるという高難易度プレイに成功したのだと思います。
※個人の感想です

そして中華OSが現代社会でどこまでキリ教OSとやっていけるか、注目ですね! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/11(月) 22:05:02.16 ID:ULoz+JFr0<> 明日はいけそう(見切り)

しかし花粉症がひどい。
腸内環境を整えねば <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/12(火) 21:14:41.23 ID:bujBfDah0<> 時は暫し遡る。
江南。孫家が治めるその地。そしてそこでは孫家の重臣たちが一堂に会し、喧々諤々と議論を繰り広げていた。
そして孫家の主たる孫権は瞑目し、一言も喋らない。その右には陸遜が、左には黄蓋が控える。即ち孫家文武の要である。方や孫堅から仕える譜代。方や孫権から仕える新参。
この二人を侍らす孫権の手腕は、分かる者には分かるし、分からない者にも磁力を帯びる。

……孫家を継いで日が浅いとはいえ、孫権は孫家を見事に掌握していた。これは先代である孫策はじめ、重臣たちの合意(コンセンサス)として、次代の孫家は孫権が率いるという認識が共有されていたのが大きい。
それに、孫策を暗殺したとして孫家に反抗的な豪族を処分したのも大きい。
だが、一番大きいのは孫家を支える柱石が彼女を盛り立てていることであろう。
陸遜は周瑜の抜けた穴を補って余りあるほどに精力的に政務に取り組んでいたし、これまで軍部を預かっていた甘寧はもとより孫権の腹心である。
勿論孫権の真面目な政務ぶりが臣の心を打ったのも大きいであろう。
だが、最も影響が大きい人物を一人挙げるとしたら彼女しかいない。

黄蓋。

孫策の先代である孫堅の代から孫家に仕え、幾多の戦場を駆けた宿将である。
孫策の急逝。孫尚香の帰省に伴い帰還した彼女が孫権を支持し、補佐したということはそれほどに大きな意味を持つ。
帰還してすぐ膝を折ったその姿。その背中が全てを語っていた。

ともあれ、万全たる体制……とは言えないながらも過不足なく孫家は孫権の下に確実に地歩を築いていた。
そこに飛び込んできた報せ。

「袁胤。叛す」

……本来、袁胤の叛乱は十常侍と孫家――孫策が主導する袁家に反感を持つ勢力――が連携して袁術を確保する計画であった。
で、あるから孫家に連携を求めて一報が入るのは至極当然のことである。

孫策の死については諸説あるが、孫権が紀霊の指示で孫策を暗殺したという説の妥当性に疑問を投げかける史家は多い。
何となれば孫権は長期間の人質生活。それを袁家で過ごしており、彼女と紀霊との関係が親密であったらこのような報せが孫家に、孫権の下に届くはずがないからである。
一方この時期においては、孫権と紀霊の関係は極めて険悪であったという記録もあることから、紀霊が孫権と対立していたという考察もある。

ともあれ、その報せを受け、袁胤の誘いを受けるかどうかで孫家の重臣たちは深刻な議論を重ねていたのである。

趨勢は中立に傾いている。曰く。

「付き合っていられるか」

孫権が孫家を継いで日は浅い。いくら盤石に見えてもそこかしこに綻びはある。なればこのまま足元を固めるべし。
なに、袁胤単独で袁紹率いる袁家軍をどうこうできるはずもない。であれば此方に助力を求めてくるであろう。
これまで散々孫家を翻弄していた袁家の双方がこちらにすり寄ってくるはずだと。
ここは静観こそ最善。前提として袁胤の勝利の展望があるが。

対抗するは袁術を支援すべし、という意見。
艱難辛苦(かんなんしんく)を凌ぎ切ったのは袁家の……紀霊の援助によるところが大きい。
そして忘恩の徒となるのか、と。

前者は甘寧、後者は呂蒙がその最右翼であり、激しく言葉を交わしている。
……流石に積極的に袁胤を援けるべきという意見は少数である。のだが。

だがどうやら議論も甘寧優位で推移しそうだと孫家の重鎮たちはほくそ笑む。
孫策が植えつけてきた袁家への敵愾は、一朝一夕で晴れるものではないのだ。

恐らくはこの議論の流れを預かり、孫権、陸遜、黄蓋の三者で方針が決められるであろう。
行く末が見えてきたとばかりに場の雰囲気が緩み始める。

激しく論を交わす甘寧と呂蒙。
その議論がふと途切れた瞬間に甲高い声が響き渡る。

「ばっかじゃないの?!」

……孫堅の忘れ形見、孫尚香である。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/12(火) 21:15:08.62 ID:bujBfDah0<> 孫尚香の声に甘寧と呂蒙は声を喪う。
いや、状況が理解できていなかったという方が適切であろうか。
その戸惑う彼女ら、そして孫家重臣に向けて彼女は放つ。無垢なる怒りを。

「孫家が、ううん、江南が飢えから救われたのは二郎のおかげでしょ!
 シャオたちが江南を御せてなかったから袁家の介入があったのはしょうがないじゃない!
 なによ!それを根に持って!
 いつまでたってもうじうじと!母様が見たらきっと呆れるわよ!
 いいわよ!あんたたちがそんなに腑抜けてるならそれでいい!
 孫家総意が不戦、中立ならそれでいいわよ!
 ……じゃあね、行くわよ!」

颯爽とその幼い肢体を翻す。
それに付き従うは白虎。孫家の守護獣である。孫家家中の誰より孫尚香に懐いて、猫かと思われていたそれは、ぐるる、と一声上げる。
のそり、と立ち上がるその姿は虎。圧倒的な存在感を得て一つ伸びをする。
そして孫尚香に付き従い、悠然と歩みを進める。

「待ちなさい!」

ここに来て初めて孫権が口を開く。
その声に併せ甘寧が孫尚香を瞬時に抱え込む。

「や!邪魔しないでよ思春!離しなさい!放しなさいってば!」

じたばたともがくも甘寧は表情一つ変えず彼女を抱え込む腕に更に力を入れる。

「シャオ、貴女が行くということは孫家の総意と見られてしまうのよ?」
「知らない!じゃあ勘当でも放逐でもしたらいいじゃない!
 シャオは自分の勝手で孫家と関係なく美羽を助けに行くの!
 それならいいでしょ?!行かせてよ!行くの!
 誰のおかげで骨肉相食むのを止められたのよ!そんなことも忘れた孫家なんて知らない!知らないんだから!
 孫家の義侠はシャオ一人で背負うんだから!
 だから美羽を助けに行くの!」

何とも支離滅裂な言ではある。子供の癇癪と言ってもいい。
だが、その無垢なる叫びは場の人の心を打った。
しん、と場が静まりかえる。

「その言やよし!孫家は袁胤の姦計を挫き、袁術殿を援護する!
 我等孫家は忘恩の徒ではない!そして見せつけろ!孫家の力を!」

孫権は言い放ち、すらり、と剣を抜き放つ。
それこそは南海覇王。
孫家の当主たる証である。それを目前の卓に叩きつけるのだ。
轟、と響きが轟く。自然、卓は真っ二つに割れる。

「孫家当主たるこの孫権が命じる!異を唱える者は進み出よ!このように真っ二つにしてくれる!」

一瞬のうちに纏う気迫。
孫尚香を押さえていた甘寧が真っ先に跪き、応える。是、と。
黄蓋が、陸遜が跪く。それを受け、場にいた皆が跪く。呆然とした孫尚香を残して。
その彼女に孫権は告げる。

「孫尚香!軍を率いよ!如南に赴け!副将は甘寧!補佐は陸遜!
 兵は三千!江南の虎が健在であることを示せ!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/12(火) 21:15:37.87 ID:bujBfDah0<> ◆◆◆

虎が咆哮する。孫家の守護獣たる白い虎が咆哮する。
それは圧倒的な死の予感。生き物の格という絶対的な格差を本能が察知し、委縮し、自失する。
大地すら揺るがすその咆哮。
びり、と空気は震え、袁胤配下の兵たちは恐慌に陥る。本能的な恐怖にだらしなく腰を抜かす。
彼らの本能は正しい。声の主は圧倒的な存在感で死をばら撒く災厄であるのだから。

「そこぉ!」

孫尚香の声に応えて白虎は身を躍らせる。密集した守備陣形など紙切れに等しい。
易々と切り裂き、鮮血を、死を振りまく。

「まだ、抵抗するのなら!」

自在に白虎を操り、蹂躙する。指揮官先頭などという生易しいものではない。
単騎で敵陣を切り裂いているのだ。

甘寧はその稲妻のような突撃に必死に食らいつき、兵を指揮する。
付き従う兵たちは孫家最精鋭。孫尚香の無謀とも言える単騎特攻、それに追随する甘寧の指揮に見事に応えて槍を振るう。

「突撃!」

裂帛の気合いで幾度目か分からぬ指示に雄叫びをあげながら吶喊する。槍衾が孫尚香の開けた綻びを面で制圧していく。

甘寧は背筋に冷たいものを感じながらも必死に孫尚香の突撃に従い、敵陣を蹂躙する。
自由奔放、天衣無縫とはこのことか。

理にかなってなどいない。
だが、恐ろしく敵陣に甚大な被害を与えている。
本能のまま駆ける三の姫。その向かう先は敵の陣形を維持するために最重要な、言わば扇の要。
的確(ピンポイント)にそこを衝き、指揮系統の混乱を誘発させ、殲滅する。

先代孫家当主。戦術の天才。
孫策の用兵そのものである。

本能の、勘の赴くままに敵陣を切り裂き、蹂躙する。
流石に配下の兵を自在に操る孫策には及ばない。むしろ率いるという意識すらないであろう。
だがそれは自分が補えばいいことだ。いや、自分が全力を振り絞ってようやく着いて行けるほど。

……これが本当に初陣か、と甘寧は内心唸る。

あくまでお飾りの大将。実務は陸遜、実戦は自分が担うということだと思っていた。いや、それが当然であろう。
だが、接敵するや否や弾丸の如く飛び出す白い獣。
制止する暇もなく、追随するがやっとな有様。

散発的な反撃に構わず、白い獣の動きに合わせることに全力を尽くす。それが皮肉にも戦果を挙げる一番の方策であるからに。
士気の低落著しい敵陣からそれでも必死な反撃が来る。
いい狙いだ。あの白い獣は人の身で止められるものではない。自分を矢嵐で狙うのは悪くない。
だが、今の彼女にその矢は止まったように見える。

ちりん。

鈴の音すら置き去りにして甘寧は戦場を駆ける。吠える、咆哮する。
射手の群れに向かい身を躍らせる。
驚愕、恐怖に染まる射手達ににやり、と凄絶な笑みを与える。

「当たらなれば、どうということはない!」

この戦場にて、彼女は毛ほどの傷すら負うことはなかった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/12(火) 21:16:26.44 ID:bujBfDah0<> ◆◆◆

戦況は動く。
拮抗、膠着から大きく動く。孫家の介入により、一気に傾く。
兵数では未だ袁胤配下の方が多い。だが、いまや流れは兵数の多寡など関係ない。
趙雲はにやり、と笑いながらもちり、と悔しさにその肺腑を焼く。
紀家軍最精鋭の騎兵、そして全騎馬を動員してなお、戦局を傾けることはできなかったのだ。

「だが、このまま終われはしないともよ……。
 むしろこれこそ好機、というやつだ」

既に配下の騎兵は疲弊しつくしている。
人馬共に強行軍の後の激戦である。しかも何倍もの敵兵に薄氷を踏む様な戦い。
心身ともに消耗しつくし尚、敵陣を削る彼らには大いに讃辞が贈られるべきであろう。が。
戦とは結果が全て。そして趙雲の率いる騎兵は戦場を膠着に落とし込むことすらできなかったのだ。

今や思いのままに操れるのはわが身と操る騎馬のみ。

ならば。

「烈風よ。もう、一働きを、頼む」

諾、と一声いななくその声に満足気に笑う。
そしてその声、高らかに。

「やあやあ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!
 怨将軍の一の家来、趙子龍の槍の冴え、身を以って味わうがよい!」

名乗りの後、疾風。

烈風は最大戦速で敵本陣に身を躍らせる。馬上の趙雲に、もはや兵の指揮など眼中になく、ただ突破を。
陣構えの間隙を縫うように走り、本陣に迫る。その動きに敵ばかりか味方も対応できず、ただ見守るのみ。
烈風はここにきて初めてその脚力の本領を発揮し、影すら踏ませない。汗血馬の面目躍如である。

「袁胤殿!お命、頂戴!」

ついに本陣の奥の奥。袁胤に単騎で迫る。その異常事態に誰も彼もが見送ることしかできない。

愛槍、龍牙を勢いそのままに振り下ろす。必殺の一撃。

「甘いわ!」

ガン!と鈍い音が響く。趙雲の必殺の一撃を袁胤が手にした軍配で弾いた音である。
袁胤からすれば、甘いというよりは粗いと評されるべき一撃。だがそれは鋭く、豪であり、快ですらあった。

「ちいっ!」

舌打ちしながら馬首を巡らす趙雲の目には、袁胤を守護せんとする兵達の姿が映る。このまま再突撃しても阻まれてしまう!

「ええい!ままよ!」

馬首を巡らす鞍上より身を翻し、跳躍する。

渾身の一投。

「はあああああああ!
 貫け!龍牙!」

その、乾坤一擲。それは汚泥の戦場において、ありえないほど美しく。

「なんと、雅(みやび)な……」

余裕をもって、剛剣の一撃。それにて迎撃するはずの袁胤であった。
だが、その一投は貫く。貫いた。胸を、野望を、想いを。

「麻呂としたことが、戦いの中で我を忘れるとはの……!
 超子龍。
蝶のように舞い、蜂のように刺すか。
 まっこと、みごと、見事よのう……」

胸を貫く龍牙を目に、満足げに笑む。
彼の最期の言葉、賞賛。それは複数の近侍により語られており。

かくして、勝敗は決したのである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/12(火) 21:21:49.75 ID:bujBfDah0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

袁胤様、死亡確認!

許攸さんは今後フリー素材となります。

蝶のように舞い、蜂のように刺す。

まさに星ちゃんなんじゃないかなって。
仮面なんていらんかったんや!
いや、星ちゃんが最強を目指すのって他にはないですよお客さん! <> 赤ペン<>sage saga<>2019/03/13(水) 15:03:18.63 ID:f7Z3sV1C0<> 乙でしたー
>>555
>>陸遜は周瑜の抜けた穴を補って余りあるほどに精力的に政務に取り組んでいたし、 【余りある】って《察するに余りある》みたいなしつくせない感じでして…要は【できてない】ことになるんですよ
○陸遜は周瑜の抜けた穴を補ってあり余るほどに精力的に政務に取り組んでいたし、 《体力があり余っている》とは言うけど《体力が余りあっている》とは言わないようにこうですね
>>ともあれ、その報せを受け、袁胤の誘いを受けるかどうかで孫家の重臣たちは深刻な議論を重ねていたのである。 【深刻な議論】の【深刻】の内容は【誘いを受けるかどうか】なので重複してしまいますから
○ともあれ、その報せを受け、袁胤の誘いを受けるかどうかで孫家の重臣たちは議論を重ねていたのである。    単純に削るか
○ともあれ、その報せを受け、袁¥孫家の重臣たちは深刻な議論を重ねていたのである。ずばり、袁胤の誘いを受けるかどうかで。 後に回すことで強調するのが良いかな?
>>556
>>孫尚香の声に甘寧と呂蒙は声を喪う。  喉をやられて喋れなくなってしまったか
○孫尚香の声に甘寧と呂蒙は声を失う。  取り戻せなくなったなら【喪う】ですがそこまで重いものではないのでこちらですね
>>その声に併せ甘寧が孫尚香を瞬時に抱え込む。   違和感があって調べたところ【併せて】は英語で言うとミックスが近いようです
○その声に合わせ甘寧が孫尚香を瞬時に抱え込む。  対して【合わせて】はフィット…なのでこちらの方がいいと思います
>>「や!邪魔しないでよ思春!離しなさい!放しなさいってば!」  【離す】は基本的に物理的に離せって意味なので今回の尚香ちゃんの意思としては
○「や!邪魔しないでよ思春!放しなさい!放しなさいってば!」  一貫して《自由にしろ》、《解放しろ》という意味のこちらで良いと思います
>>轟、と響きが轟く。自然、卓は真っ二つに割れる。  【ゴウ】だと剣が空気を切り裂いた音としては良いとは思いますが
○断、と響きが轟く。自然、卓は真っ二つに割れる。  卓を割った音としては【ダン】の方がいいかな?
>>557
>>甘寧はその稲妻のような突撃に必死に食らいつき、兵を指揮する。 【食らいつき】だと迎え撃つ側と言うか敵対してる印象が
○甘寧はその稲妻のような突撃に必死に追いすがり、兵を指揮する。 まあ【縋る】って言うと違和感がありますが…追いつけないしこんな感じ?
>>だが、恐ろしく敵陣に甚大な被害を与えている。  【恐ろしく】はかかってるのか独立してるのか
○だが、恐ろしく、敵陣に甚大な被害を与えている。 独立してる(孫尚香が恐ろしい)ならこう
○だが、敵陣に恐ろしく甚大な被害を与えている。  《恐ろしいほど甚大な被害》として掛かってるならこっちの方がいいと思います
>>いや、自分が全力を振り絞ってようやく着いて行けるほど。  《着地》、《到着》と言う様に誤字ですね…目的地に着く感じです
○いや、自分が全力を振り絞ってようやく付いて行けるほど。  《付随》、《付き合う》と言う感じで付き従ってるのでこうですね
>>だが、接敵するや否や弾丸の如く飛び出す白い獣。 まだ弾丸はこの世界には無いと思うので
○だが、接敵するや否や矢の如く飛び出す白い獣。  それとも【流星】?いっそ後に尾を引くように兵たちが続くさまは【ほうき星】か
>>「当たらなれば、どうということはない!」   失礼、噛みました 違う、ワザとだ
○「当たらなければ、どうということはない!」  垣間見た? ワザとじゃない?
>>558
>>烈風は最大戦速で敵本陣に身を躍らせる。 基本的にこれは船でしか使わないので
○烈風は最高速度で敵本陣に身を躍らせる。 ついでに言うと【最大戦速】って安全に出せる速さの限界、で壊れることを覚悟すればそれ以上も出せるらしい
>>袁胤からすれば、甘いというよりは粗いと評されるべき一撃。 【袁胤からすれば】(袁胤にとっては)なので
○袁胤からすれば、甘いというよりは粗いと評すべき一撃。   の方がいいかな?
>>彼の最期の言葉、賞賛。 褒美に持ってた剣か軍配でもあげればこれでもいいですが
○彼の最期の言葉、称賛。 中国拳法と言えば動物の動きに肖ったものが多いですが…虫の動きをモチーフにしたものってあったかしら

>>孫家の義侠はシャオ一人で背負うんだから!  呂蒙「あの…あの!!」(’・ω・’)
>>袁胤様、死亡確認!  王大人さんが確認したなら真実はいつも一つ!!胸を貫いた?心臓を貫いてない可能性があるからセーフ!!最期の言葉?袁胤として死んだってことにすればセーフ!!!
来週からは水戸光圀とか名乗ればいいんじゃないかな(お目目キラキラ
孫家ある意味ギリギリだったな…そこで蝙蝠な動きしたら二郎ちゃんはともかく地獄の故郷を救ってもらったボルタックのトップたちがどうしていたことか
というか美羽様のピンチにそんなことしたら絡新婦さんのデスノートが捗っちゃうgkbr <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/13(水) 21:53:55.88 ID:AdZKUsBN0<> >>560
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

うおう。やはり圧倒的赤だぜがんばらんといかん。

> 失礼、噛みました 違う、ワザとだ
あららららららららららららららっらーい!

>中国拳法と言えば動物の動きに肖ったものが多いですが…虫の動きをモチーフにしたものってあったかしら
そら蟷螂でしょう。

>呂蒙「あの…あの!!」(’・ω・’)
おめーの出番ねーから(割くってる方ではありますな)

>来週からは水戸光圀とか名乗ればいいんじゃないかな(お目目キラキラ

某書房の言説を信じたこともあったんですよ!

>孫家ある意味ギリギリだったな…そこで蝙蝠な動きしたら二郎ちゃんはともかく地獄の故郷を救ってもらったボルタックのトップたちがどうしていたことか
尻が魅力な方については、結論はあったが台本をこしらえる暇がなかったという非常事態ではありました。

>というか美羽様のピンチにそんなことしたら絡新婦さんのデスノートが捗っちゃうgkbr
本作品屈指の強キャラですからね七乃さん。
執念深いし、粘着系ですし。
まあ、美人は八難隠すらしいしいけるいけるへーきへーき
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/03/14(木) 16:04:20.76 ID:yWSW9isM0<> ウワ…読み返したらミスってた
>>ともあれ、その報せを受け、袁胤の誘いを受けるかどうかで孫家の重臣たちは深刻な議論を重ねていたのである。 【深刻な議論】の【深刻】の内容は【誘いを受けるかどうか】なので重複してしまいますから
○ともあれ、その報せを受け、袁胤の誘いを受けるかどうかで孫家の重臣たちは議論を重ねていたのである。    単純に削るか
○ともあれ、その報せを受け、孫家の重臣たちは深刻な議論を重ねていたのである。ずばり、袁胤の誘いを受けるかどうかで。 後に回すことで強調するのが良いかな?

だって呂蒙さん助けに行こうって説得してたんだぜ?負けそうになってたけど…というか援軍に行かないって言ってた最右翼が援軍の副将(呂蒙はお留守番)って本当に彼女が不憫w <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/14(木) 21:54:47.00 ID:d1v/wdWl0<> 出来レースにシャオ激おこ という説を作ろう <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/18(月) 20:23:36.09 ID:1gt085pD0<> 総大将たる袁胤が討ち取られたことで兵たちは途端に逃散しだした。所詮借り物の兵、そんなものである。
それを見た如南の守備兵から歓声が上がる。勝った、勝ったのだ。守り切ったのだ、とばかりに。
ある者は歓喜の声を上げ、ある者は緊張の糸が切れへなへなとうずくまる。その場で眠りだす者すらいた。

ぎしり、と重い音を立てて城門が開こうとする。半壊したそれは容易には開かず、僅かずつその隙間を広げていく。
そして城外には軽い緊張が走る。共闘したとはいえ、さて、どう相対したものかと互いの軍をまとめながら袁家軍と孫家軍は微妙に距離を取る。

ばぎり!と大きな音が響き、いよいよ城門はその役割を放棄するがごとく崩壊する。土煙が舞い、その向こうには無傷の如南がのぞく。

誰が先に入城するか、先触れはどうするか。互いに互いを刺激するつもりはないにしても、必要以上にへりくだるつもりもない。
奇妙な沈黙、膠着が数秒、或いは数分続く。
土煙が晴れ、道が開ける。深まる緊張、張りつめる空気。

「美羽ー!」

そんなものに構わず、孫尚香は駆ける。役割は終えたとばかりに昼寝を決め込む白虎を置き、力の限り、駆ける。
虚を突かれ、甘寧ですら呆けたように見送ることしかできない。

孫尚香は瓦礫を飛び越え、或いはよじのぼり。如南の街にその身を躍らせていく。
かつてこれほどに一生懸命に走ったことがあったであろうか。いや、ない。幼い体躯に残された全身全霊を振り絞り、駆けるのだ。
そして門扉を越えて呼びかける。力の限り、声の限り。

「美羽ー!来たよ!来たよ!無事なの?返事をして!美羽!美羽?!」

その声に反応したのもまた幼い体躯に名家の誇り。振り絞り、叫び、駆け出す。

「シャオ!シャオ!妾(わらわ)はここじゃ!シャオ!シャオー!」

豪奢な衣装が汚れるのも構わずに砂塵の中に身を躍らせる。
二人はその勢いのままに抱き合い、無事を喜び合う。

「美羽!よかった!無事で!よかったよ!」
「シャオ!よう来てくれた!よう、来てくれた!」
「来るよお……。友達だもん!だって!美羽は友達だもん!来るよ!来るよぉ……」

互いの名を呼びあい、火が付いたかのように号泣する。

慌てて二人を追ってきた袁家と孫家の将兵はそれを見て、胸を打たれる。もらい泣きする者とて一人や二人ではない。

そしてそれは甘寧とて例外ではない。ツン、と鼻腔に込み上げるものを感じながら袁家に対するわだかまりが溶けていくのを感じていた。
嗚呼、と思う。主君たる孫権が袁家に隔意を持つ自分を派遣した理由が分かった気がする。
抱き合う彼女らのように、孫家と袁家は共に歩めるのではないか。
そんな甘い未来を幻視してしまうほどに、どうやら彼女は感動していたようである。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/18(月) 20:24:02.42 ID:1gt085pD0<>
「何とも、上手くこの場を表現することができんわが身を悔しく思うな。詩の一つも吟じたいくらいなのだが」

涼やかな声が甘寧にかけられる。空色の髪に純白の戦衣装。僅か五百の騎兵で七千を相手取り、単騎で敵陣に特攻し大将首を挙げた趙雲その人である。

「ああ、まったくだ。武骨を恥じることはなかったが、残念に思ったのは今日が初めてだ」

苦笑しつつニヤリ、と応え軽く拳を打ち付けあう。
らしくない。だが、たまにはいいだろうと甘寧は緩んだ口元から白い歯を覗かせる。

「なに、これからいくらでも学ぶ機会はあろうよ。
 ……何せ我等はまだ生きておるのだからな」
「そうだな。その通りだな」

再びニヤリ、と笑みを交わす。これ以上は無粋とばかりに趙雲は身を翻す。

「さて、かくも千両役者が揃っていてはこの身が霞むのも無理からぬというもの。ただまあ、美味しいところはいただくとしようか」

悠然と、袁術と孫尚香が抱き合い、号泣するその場に歩み寄る。
内心、苦笑する。随分、染められてしまったものだと。

「袁術様!孫尚香殿!戦勝まことにめでたい!袁家の将兵よ!孫家の将兵よ!そして如南の民よ!
 我等は勝った!勝ったのだ!如南の防壁は守られた!誇れ!誇るのだ!そなたらが立ち向かったのは紛れもない強敵!
 その手で掴んだ勝利を誇れ!そして祝おう!」

何千、何万の視線が集まるのを感じ、趙雲は昂揚し、戦慄する。なるほどなるほど。主はこのような中で見栄を切っていたのかと。
そして手にした愛槍龍牙を風車の如く舞わせ、自らも舞う。その動きに如南中の衆目は趙雲に集中する。
わずか数秒の舞を終わらせ、見栄を一つ。そして高らかに吠える。

「勝利を、誇れ!勝鬨上げろ!」

高まる熱気を練り上げ、吼える。
突き上げた拳。

「えい!えい!」
「「応!」」

「えい!えい!」
「「「応!!!」」」

「えい!えい!」
「「「応!!!!」」」

満足気に趙雲は頷き、場を鎮める。

「功ある者は袁家より褒賞が与えられる!明日よりは復興が始まる!だが!その前に!改めて戦勝を祝おうぞ!
 女衆は酒を!料理を!男衆は火を焚け!舞えい!今宵はお主らが主役ぞ!宴ぞ!」

わ!と如南の民は昂揚そのままに駆け出す。取って置きの美酒を、珍味を!
今宵こそが出番である。明日をも知れぬというのはたった今まで味わっていたのだ。なればこの瞬間に全てを注いで祝おうではないか、と。

この日、如南は夜が明けても喧噪、楽曲、歓声が絶えることはなかったという。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/18(月) 20:30:54.28 ID:1gt085pD0<> ふ、と李豊は目覚める。
喧噪は未だ如南を覆い、絶えそうにもない。
夜半を過ぎたというのに、と苦笑して身を起こす。
身体は疲れ切っているのに意識は覚醒している。まるで新兵の初陣のときのようだ。
それほどまでに彼は昂揚しているのだ。

如南は守られた。ついにその門扉は敵に粉砕されることはなかった。
彼の戦いは前線で戦う将兵のために食事を届けること。紀家軍でもずっとそうだった。
だが、このたびだけは手ずから槍を振るいたい、と思った。
だって、このたびの敵は、その黒幕は。

隻腕の、かつての戦友からもたらされた報に心は千々に乱れた。
伴侶が、妹が義勇兵に志願したのは如南の危機以上に自分の狼狽、激情故だったろう。
自分の代わりに戦場に立った伴侶と妹。
忸怩たる思いで、それでも厨房こそが戦場として全力を尽くした。

……どこかで響く万歳の声。
守れた、守れたのだと必死に自分に言い聞かせる。
どす黒いものを、湧き上がるものを押し殺そうとする。

不意に、ぎゅ、と温かいものに包まれる。

「んー」

寝ぼけたのであろうか。彼の伴侶が抱きついてくる。思いのほか力が込められており、振り払うわけにもいかず、大人しく抱きしめられたままになる。

「だーいすき!」

寝言であろうか。きっと寝言であろう。その声に、ふ、と心が軽くなる。

「ああ、俺もだ」

きゅ、と抱きしめかえす。
これでいい。これでいいのだと。


――如南防衛戦において特に奮戦した人物にはその貴賤を問わずに袁術から真名が授けられたと言う。
戦場で直接授けられた十名は特に十傑集と称され、語り継がれることになる。

だが、そのうち一人はあくまで固辞し、その名は伝わっていない。
その十傑集の最後の一人については諸説あり、講談の格好の魔都となることになる。
だが、それはまた別の話である。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/18(月) 20:32:22.25 ID:1gt085pD0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は思いつかないので大募集でございます

頑張るぞい

なんとか黄巾を連休までに終わらせたいんだよなあ……っ!
なお現在の進捗からしてかなりディフィカルト! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/19(火) 11:25:45.57 ID:2PDpkGUWO<> 乙です
美羽とシャオのこのシーン好きですわぁ…単純に感動だし、そもそも幼女二人が抱き合ってる光景ってだけでぐへへ(邪念)

題案は
『今宵、如南の美酒は嬉し涙に似て』
とかでどうでしょ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/03/19(火) 17:16:33.12 ID:ExA3fFfS0<> 乙でしたー
>>564
>>嗚呼、と思う。主君たる孫権が袁家に隔意を持つ自分を派遣した理由が分かった気がする。     【嗚呼】と【思う】?ちょっと違和感
○嗚呼、と零れる。主君たる孫権が袁家に隔意を持つ自分を派遣した理由が分かった気がする。    或いは【嗚呼、と漏れる】とか
○嗚呼、主君たる孫権が袁家に隔意を持つ自分を派遣した理由が分かった気がする、と思いを馳せる。 とかかなあ?
>>565
>>苦笑しつつニヤリ、と応え軽く拳を打ち付けあう。  笑いが二つ重なると凄い不思議な表情してそう
○嘆息しつつニヤリ、と応え軽く拳を打ち付けあう。  もちろん上でも意味は分かるんですが、【苦笑】と【ニヤリ】よりはこっちの方がいいかな?
>>「勝利を、誇れ!勝鬨上げろ!」   趣味と言うか好みのあれですが
○「勝利を、誇れ!勝鬨、上げろ!」  噛んで含むようにと言うかここに一拍置きたい気分
>>満足気に趙雲は頷き、場を鎮める。  鎮めた、のかなあ?
○満足気に趙雲は頷き、流れを作る。  筋道を付けたというか、熱狂を昇華させたと言うか…どう表現すべきか
>>566
>>だが、このたびだけは手ずから槍を振るいたい、と思った。 一瞬《旅》?と間違えた
○だが、此度だけは手ずから槍を振るいたい、と思った。   或いは【今回だけは】とか?
>>だって、このたびの敵は、その黒幕は。 【だって】と【このたび】が言葉遣いとして違和感が
○何故なら、此度の敵は、その黒幕は。  もしくは【なにしろ】とかかなあ?
>>守れた、守れたのだと必死に自分に言い聞かせる。  ここも好みの問題ですが
○守れた、護れたのだと必死に自分に言い聞かせる。  ちょっと漢字を変えてみたり
>>これでいい。これでいいのだと。             ちょっと違和感が
○そして思う、思える。これでいい、これでいいのだと。  【だと】で締めるならこうかな【想える】とかも良いですが
○これでいい。これでいいのだ。              単純に心情の吐露を地の文で出すならこうかな
>>その十傑集の最後の一人については諸説あり、講談の格好の魔都となることになる。  洛陽?上海?劉備のいる場所?
○その十傑集の最後の一人については諸説あり、講談の格好の的となることになる。   関係ないけど指パッチンが得意な人もいそう

孫家との間に確かな絆を感じる…こう言うのこそ断金と言えるんじゃなかろうか?(素朴な感想
真名位貰っとけばいいのに…どうせこれから先呼ぶこともないんだし、横着さんなら貰ったらいつか呼ばなきゃいけない立場だから固辞したのも分かるけど
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/19(火) 21:54:15.58 ID:7ycrp70F0<> >>568
自分が言うのもなんですが、個人的には五指の一つです
ええ場面ですよ

>>569
赤ペン先生いつもありがとうございます!
中々卒業できひんなあ

>孫家との間に確かな絆を感じる…こう言うのこそ断金と言えるんじゃなかろうか?(素朴な感想
正論である

>真名位貰っとけばいいのに…どうせこれから先呼ぶこともないんだし、横着さんなら貰ったらいつか呼ばなきゃいけない立場だから固辞したのも分かるけど

今後について、役立てないと思っているし、準拠とされるのも困るというやつですね
勘弁してください的な

なお見逃してくれるはずもないのですが、それはまた別のお話


<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/21(木) 23:30:28.55 ID:eLUrSifK0<> やっぱり如南防衛戦は久しぶりに見ても面白いなぁ…孫家に袁術周りにカッコいい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/23(土) 20:31:38.21 ID:w/8nhM1O0<> >>571
自分で言うのもなんですが、好きなシーンです

感想ありがとうございますー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/23(土) 20:32:10.24 ID:w/8nhM1O0<> 「お味方、勝利!お味方、勝利!被害は微少!
 孫尚香様、甘寧様、陸遜様、いずれも傷一つなく!
 如南は陥落せず、袁術殿もご無事のよし!」

戦勝の報。そこかしこで、わ、と歓声があがる。
孫権は表情一つ動かさずに、それでも内心ほっとする。

「やりましたね!蓮華様!」

無邪気に喜ぶ呂蒙に微笑み、ニヤリと笑う黄蓋に目礼で応える。
賭けに、とりあえずは勝ったのだ。勝ったのだ。
……もっとも、勝つべくして勝ったのではあるが。
孫家最精鋭を出した。絶大な人気を誇る孫尚香を将として派遣した。補佐には甘寧と陸遜。おそらく考えうる最強の布陣である。
無論、それだけがその陣構えの理由ではない。甘寧は是非ともに派遣せねばならなかった。袁家に隔意がある勢力を代表して論陣を張っていた甘寧。彼女を派遣することには大きな意味があった。
ここで甘寧以外の将を出せばしこりが残る。残ったと思う者が出てくる。ただでさえ豪族の抑えに苦慮しているのだ。内部に閥の対立なぞ論外。
残った豪族たちの抑えには黄蓋の武威、名声。そして呂蒙には実務の経験を積ませる。
むしろ、他に選択肢のない布陣ではあった。
勝ちが見えていたのが救いか。場に残った陸遜との会話を思い出す。

「お任せください〜。最高に美味しい瞬間に袁胤軍を横合いから殴りつけてやりますから」

「いい?袁術殿の無事が最優先よ。その前提が崩れれば戦略の土台が崩れてしまうのだから」

……陸遜のことだ。巧みに進軍速度を操り、これ以上ない機(タイミング)で参戦したのであろう。そこに疑いの余地はない。
だが、果たしてこれでよかったのかという思いは常に付きまとう。決断し、結果を受け止めるという責任。
なんと重いことか。

孫権が想いに耽るうちに室に残ったのは一人。
その人物が口を開く。

「お礼を、言うべきなのでしょうね」

虞翻。

母流龍九商会の大幹部にして孫家へのお目付け役である。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/23(土) 20:32:36.37 ID:w/8nhM1O0<> 「それには及ばないわ。これまで母流龍九商会……いいえ、袁家から受けた恩を考えれば当然のことなのよね」

その言に虞翻は苦笑する。
それを見て孫権もまた苦笑する。

「ああ……。まあ、姉さまたちの振る舞いを許せとも忘れろとも言わないわ。
 それは孫家当主たる私が引き受けねばならないことだから。
 代が変わったからと言って水に流せと言うのも虫のいい話だものね。
 でも、私の想いは行動で示すわ。孫家はけして口舌の徒ではない。
 袁家の信に値すると示して見せるわ」

苦笑を重ねる虞翻。
幾度となく孫策に勧誘され、恫喝され、脅迫された記憶が脳裏をよぎる。
進物は送り返し、宴席では一滴の酒すら飲まないようにせねばならぬほどにそれは狡猾で、周到で、油断ならなかった。
自分を抱き込もうというのは理にかなってはいるのだが、迷惑この上ない。幾度役目を返上して出奔しようとしたか。
それを思いとどまったのは一重(ひとえ)に江南の地が故郷であったからだ。
袁家の援助なしでは破綻が見えている。そんな故郷を虞翻は見捨てることなど出来なかったのだ。
かくして、ゴリゴリと神経を削られながらも最善を尽くす。尽くした。

……人、それを貧乏くじと言う。

ともかく、彼女の狷介なまでの公正さは高く評価され、長く孫家のお目付け役として赴任が延長されまくることとなったのである。

「……孫家の作法、意思決定の模様。それを見させて貰ったことについては思う所もあります」

如南への援兵を決したその席に虞翻はいなかった。だからこそあそこまで闊達に論戦が繰り広げられていたのである。
が、実際には室に建てらていた衝立(ついたて)の奥に虞翻は控えており、一部始終を耳にしていたのである。

「孫家の袁家に対する思いは複雑よ。それは見てもらった通り。でも、これからは歩みを共にしていきたいと思っているわ」

どうかしら、と小首を傾げる孫権に虞翻は答える。

「行動で示してくれるのでしょう?とりあえず、進物攻勢をやめてくれるとありがたいですね」

「あら、時候の挨拶でも駄目なのかしら」

「李下に冠を正さず、とまでは言いませんが、ひとまずは」

くすり、と孫権は笑って諾と頷く。
虞翻が進物を受け取るその時こそ、真に信頼を得た。ということなのであろう。
退室する虞翻を見送り、大きくため息を。

全く、決断するというのは、責任を負うというのはこんなにもしんどいものかと。
そして幾度も繰り返される検算。答えなぞないというのに。
今回の出兵もけして無理をしてまで送る必要はなかった。
既に長沙の太守をこの身が継ぐことは内定しており、危険(リスク)を冒す必要はこれっぽっちもなかった。
それでも決断したのは、きっと私情だ。この上なく、私情だ。
それを踏まえても最上の選択であったということは腹心たる陸遜が太鼓判を。
でも、それでも。
結局その決断は、あの、茫洋とした、掴みどころのない。
それでいて頼もしい男と一日でも早く並び立ちたいがためなのだろう。
守られるのではなく、対等の立場に立ちたいがためで。そんな勝手な思いのために将兵を死に追いやるなど。
幾度も繰り返した煩悶。そのたびに唱えた魔法の言葉を呟き、苦笑する。

「それが、どうした、かぁ……。なによ、開き直ってるだけじゃない」

それすら与えられたものではある。
で、あるからこそ孫権は思うのだ。

いつか、彼に与える立場になりたい、と。
胸を張って、横に立つに相応しくなりたい、と。

この、恋着すら飲み干して並び立って見せよう。
そのためであれば修羅ともなろう。

孫権は苛烈なる激情を胸に、静かに笑うのであった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/23(土) 20:33:07.22 ID:w/8nhM1O0<>
◆◆◆

「じろー!」
「二郎!」

俺が如南に到着したのは星に遅れること七日、であったらしい。黄巾を蹴散らした後、騎馬のない騎兵千五百のみで先行。
途中の村落で星が預けていた騎馬を回収しながらの行軍、急ぎに急ぎ如南に到着した俺を出迎えたのは。
いや、美羽様は分かるんだけど何でシャオまでいるのさ。わけわからん。

駆け寄ってくる美羽様とシャオ。美羽様については横合いから七乃が華麗にインターセプト。
盛大に泣きじゃくりながら抱きしめるのを美羽様が慰めるという、いつもとは逆の構図。
それを横目によいしょとばかりに俺に飛びつき、よじ登るシャオ。

「何でシャオがいるのん?」
「えー?ひみつー。いい女には謎めいたところがあるものなんだもん」

えへへ、と小悪魔チックに笑うシャオ。
くすくすと笑いながら穏が顔を見せる。穏までいるのか。

「孫家、ご助成に参りました。お久しぶりです、二郎さん」
「おうよ」

なし崩しに孫家を継いだ蓮華の補佐として結局穏も戻ってはこなかったからなあ。久しぶりだわ。

「これまで借りっぱなしでしたからね。利子分くらいはお返しできたかと」
「いやいや、そんなに高利じゃないはずだけどね。
いや、それにしても実際助かったよ」

実際、道中に風からは絶望的な展望しか聞けなかったからなあ。如南陥落は前提。星が美羽様の身柄だけでも確保できるかどうかが分水嶺。
それだって相当に分の悪い賭けだったのだ。それがまあ、如南は落ちずとは。シャオや蓮華には感謝せんといかんね。

とにもかくにも、よかったよかったと言うか今回は俺の脇の甘さが一番悪い。
ふう、とシャオを抱きかかえて如南へ。美羽様は流石に七乃の担当だ。……流石に藪を突つく気にはなれん。七乃の荒れようについては語ることもあるかもしれないしないかもしれない。お察しくださいというやつだ。

そして。
わ、と歓声が起こり、民が出迎えてくれる。どこか安堵したような空気が広がる。

「主よ、随分ごゆっくりだったようだな」

不敵な笑みを浮かべて星も出迎えてくれる。

「いや、星よ、よくやってくれた。流石は常山の――」

俺の讃辞を片手を上げて遮る星である。

「あいや待たれよ、今回は孫家軍なくば如南の防衛はかないませんでしたな。
 それがしの功なぞ微々たるもの。どうぞ正当に受け取るべき人物にお与えくだされ」

目を向けた先からはちりん、と鈴の音が。

「……大将首を挙げたのは趙雲殿。謙遜も過ぎれば嫌味になりましょう」

星が謙遜とか。珍しいものを見た。

「主よ、何か言いたげであるな?」
「いや、星が謙遜するとか珍しいな、と」
「……いつでも正直というのが美徳であると思うならばそれは大きな誤解ですぞ」
「ぐぬぬ。やはり徳などという茫洋としたものは俺には分不相応。聖人君子への道は諦めた方がいいかもわからんね。
 徳なぞなく、俺にあるのは銭のみよ……」
「悪銭、身に付かずと申しますが」
「だからじゃんじゃんばら撒いてるじゃん。所詮天下の回りもの、さ」
「ああ言えばこう言う……。武なり智なりを身に付けるとか言えばよろしいものを」
「だって武は星がいるし、智は風がいるじゃん。俺は胡坐をかいて高鼾(たかいびき)、と」

やれやれ、と言った星に何とも言えない顔つきの甘寧。

「ああ、甘寧殿。ご心配なく。孫家のご助成にはきっちりとお礼をするから。
 そこらへんは穏と風で擦り合わせてもらうけど、希望とかあったらどんとこい。
 銭に糸目はつけないから、さ」
「は、はあ……」

ひらひら、と手を振る俺に甘寧は応えるのだった。

※甘寧さんの悩ましい太ももとデルタゾーンは自重してチラ見に抑えました。

眼福というものである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/23(土) 20:33:58.92 ID:w/8nhM1O0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

今回の題名は何かなー

如南防衛戦あとしまつ

いまいち。

お知恵をオナシャス

オナシャス <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/24(日) 09:27:43.68 ID:M5eDHlhmO<> 乙したー
連華クッソ可愛いなぁ相変わらず

タイトル案は「あの人の隣に」とか <> 赤ペン<>sage saga<>2019/03/25(月) 14:13:20.72 ID:f27P9ebo0<> 乙でしたー
>>573
>>孫権が想いに耽るうちに室に残ったのは一人。  【想い】だと慕情とかそっちっぽく読めるので…もちろん妹の無事に喜んでるのは大きいでしょうが、ここではどちらかというと孫家の王として思考してるでしょうし
○孫権が思いに耽るうちに室に残ったのは一人。  個人として、というよりは公人として、の思索に耽ってるっぽいのでこっちかな?
>>574
>>袁家の信に値すると示して見せるわ」  これはこれでありですね
○袁家の信に値すると示してみせるわ」  【示してやる】と言い替えれる意味ならこちらですね
>>この、恋着すら飲み干して並び立って見せよう。  ここはこの程度では足りないな!!
○この、恋着すら飲み干して並び立って魅せよう。  個人的にはこちらが好み。もしくは【並び立ってみせよう。】でも良いけど
>>575
>>ふう、とシャオを抱きかかえて如南へ。美羽様は流石に七乃の担当だ。……流石に藪を突つく気にはなれん。七乃の荒れようについては語ることもあるかもしれないしないかもしれない。お察しくださいというやつだ。  うーん…長くて読みづらい
○ふう、とシャオを抱きかかえて如南へ。美羽様は七乃の担当だ。……流石に藪を突つく気にはなれん。    【流石に】はどちらか片方で良いかな?
 七乃の荒れようについては語ることもあるかもしれないしないかもしれない。お察しくださいというやつだ。  まあなろうの方ではこんなに横に長くはならないとは思うけど

ああ、虞翻に対するあれこれは逃げ出さないと直感して、受け取るまでゴリゴリ削っていけば最終的にはOKって考えだったのか
勘ピューターに全幅の信頼を置き過ぎというか…間違っちゃいないけど本当に断金()が足りない部分をしっかりと補っていればなあ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/25(月) 21:24:04.80 ID:KnnFyq680<> >>577
感想ありがとうございますー

>連華クッソ可愛いなぁ相変わらず
至高のお尻でございますことよ。
実際可愛い。

>タイトル案は「あの人の隣に」とか
詩的な、キュンキュンきそうなやつ、ありがとうございますー!
お尻様に言わせてみたいと思いました。

>>578
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うひゃあ

>ああ、虞翻に対するあれこれは逃げ出さないと直感して、受け取るまでゴリゴリ削っていけば最終的にはOKって考えだったのか
そう言うと、ブラック企業で搾取パワハラしてたっぽくなりますね。
いや、その通りか。
ひっでえの。

>勘ピューターに全幅の信頼を置き過ぎというか…間違っちゃいないけど本当に断金()が足りない部分をしっかりと補っていればなあ
作品にもよりますが、勘ピュータの時間的レンジは割と短いと思います。
先まで見通すのではなく、目の前の苦境を乗り切るためにとかね。
遠くを見据えるのは無理なんじゃないかなって。言っても数ヶ月に満たないんじゃないかな
短期利益しか見えないがそれで成功体験が積み重なって。とか

だって本編でどうやっても死にますものね。

という感じじゃないかなと思いました。



<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/26(火) 22:17:04.07 ID:aIur1WRz0<> 歓迎会送別会でしばらく身動きできませんのでごめんなさい

世に棲む日々よ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/30(土) 16:09:21.43 ID:pohRrLmx0<> やーらーれーたー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/31(日) 02:22:27.18 ID:QIK97XPzo<> 鹿かな? <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/31(日) 13:23:41.61 ID:msh94/Dv0<> さいDEATH <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/03/31(日) 13:32:55.56 ID:ovY95XRMo<> 追いつけたしセーフ(震え <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/31(日) 13:59:11.15 ID:msh94/Dv0<> おっ、そうだな

鹿自体は意識が高いので全てのタイトル取りに行ってるが
正直今期はリーグ戦に集中して欲しいという意識低い一ノ瀬です

けが人大杉なんじゃー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/03/31(日) 19:08:40.37 ID:msh94/Dv0<> さて明日元号が発表されますが、
勿体ぶったおかげで契約書からは元号が消えていきました
ビジネス文化の中で元号は絶滅危惧種となっていくでしょう

勿体ないなあと思いますが、そこまで考えてないんだろうなあ
もしくはそれでも、祝賀ムードを盛り上げる方が大事という短期的視野か

消費税だって長期的には影響はないというのが前回に、
結構権威ある研究所の考察としてありましたからねえ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/01(月) 23:19:57.52 ID:4AeequL00<> 乙ー(と言うには遅すぎですが)
タイトル的には「雨は過ぎて」とか?
もうちょっと豪雨の痕的なイメージがあるとそれっぽい

現在の元号法は立法当時の国民の78%が求めた結果だったとか
○○の儀〜とか山積みだろうから畏き辺りの皆様も大変なはずなのに今回の流れどうにかならんかったんでしょうかね <> 赤ペン<>sage saga<>2019/04/02(火) 10:02:44.54 ID:aCREF9zt0<> ふと思ったけど恋姫世界って胡椒はどういう位置づけなんだろう
同量の金と交換できるのかなんかふわっとそのへんで採れるから庶民の食卓にも普通に使われるのか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/02(火) 20:00:14.41 ID:FRTxGrig0<> >>587
感想ありがとうございますー

>タイトル的には「雨は過ぎて」とか?
ちょっとよろしいですね。お素敵。
小粋なその言葉の選びには嫉妬せざるを得ない。ちくせう。

>>588
>胡椒はどういう位置づけなんだろう
ほむ。
地域的には南蛮の特産品のような気もしますね。
珈琲なんかもしれっとありそうですし。

そして東南アジアの高級珈琲といえばコピ・アルク。
とうとう島耕作にさえ出てしまったほどのもの。

あれはジャコウネコのげふんげふん。

つまり、後は分かりますね(ニッコリ) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/02(火) 20:50:16.63 ID:lMGc9gSCO<> コピアルクは本当にうまい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/02(火) 20:53:49.67 ID:FRTxGrig0<> >>590
え、飲んだことあるんですか!

耳年増的なアレなので、よければどんな感じか教えてくだしあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/02(火) 20:58:10.60 ID:mmGhCU7HO<> ききたいかー期待はずれかもしれんが俺的にはまじうまい苦くてうまいコーヒーだったわ
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/02(火) 21:03:45.35 ID:FRTxGrig0<> 端的すぎぃ!
もうちょっと、こう、さあ……w <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2019/04/03(水) 09:01:30.73 ID:QB6Kypqm0<> 俺は飲んだこと無いからあれだが
逆に言えば作り方があれなのに高級品で、カツ愛飲者多数なあたりマジ作り方以外は隔絶していいモノなんじゃね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/05(金) 20:59:21.22 ID:zCyILYyq0<> やったぜ(鹿) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/05(金) 22:08:53.12 ID:uu8+8sEfo<> レオシルバやべー・・・ <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/05(金) 22:17:27.06 ID:zCyILYyq0<> レオ様はな、☆4が鹿島に来てサボって☆3相当だったのが、
☆5ジーコのバフで全盛期を迎えてしまったからね、やったぜ

やっぱジーコのブラジル人特攻バフってすごい、すごくない? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/08(月) 21:15:56.14 ID:OY/1oC++0<> GWに黄巾間に合わんな。

ここまででいったん投下しようかと思いますた。
分量的にもあるしです。

さて皆さん。
黄巾編(上)

としてもいいんですが、なんか気の利いたやつありますでしょうか。

いや、続きは投下しますが、それはそれとしてちゃうねんというか。
ここまでの題名が思いつかないのでお力に期待したいというか甘えたいというか。


よろしくオナシャス。
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/09(火) 00:04:16.00 ID:YZOBMd6e0<> 「蒼天已死 黄天當立」から「當立」とか、
連想して「蹶起」、ちと文字って「血飢」などと思いつきました
厨二成分入りすぎですかねww <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/09(火) 21:02:13.96 ID:itRm/vD/o<> あそこから勝つのか・・・(鹿) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/09(火) 21:06:26.24 ID:8ej10xTZ0<> びっくらぽん(鹿)

テキスト速報で諦めてたのだぜ。
すげえよ……! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/09(火) 21:07:48.11 ID:8ej10xTZ0<> >>599
ありがとうございますー!

決起編とかいいかもしれません。
黄巾編 決起の章

とかもありですね。
どないしょ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/11(木) 22:18:30.95 ID:NtMHY9Kr0<> よっしゃ4/28からあっちでやるやで

黄巾編。 決起の章です

ええ感じのタイトルあったらください。
これに関しては皆様のセンスがごっつええかんじなのですよ

今日から投下始めたら楽勝やろう(フラグ) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/11(木) 23:24:40.25 ID:UqLpRZcKo<> おっ、そうだな(頑張ってくだされ) <> 赤ペン<>sage saga<>2019/04/12(金) 09:07:44.48 ID:0ou6EnNf0<> 勝ったな!風呂入ってくる(無理はしないでね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/13(土) 11:11:43.54 ID:8i2i24e90<> >>604
頑張るぞい

>>605
ぼちぼちやってきます

いやー、なんだかんだで黄巾って長かったんだなってw <> 赤ペン<>sage saga<>2019/04/15(月) 17:18:30.10 ID:YcgSJSVk0<> 転生モノでよくある【突っ込んできたトラックから少女を救って身代わりになる】タイプの主人公ってロリコンっぽいよね
どこぞの霊界探偵もやってたけどああいうのって考えるよりも先に体が動いてた…とかつまり魂レベルのロリコン
というか周りが動けなかったのに一人だけ動けてしかも少女を救うことは出来るとか実は体力と言うか瞬発力がかなりのモノだったという逆説が <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/15(月) 17:59:54.06 ID:A0XBkdNl0<> >>607
唐突ぅ!
いや、どしたんすかなんかあったんすかという感想がまず湧きますw

>どこぞの霊界探偵もやってたけどああいうのって考えるよりも先に体が動いてた…とかつまり魂レベルのロリコン
つまり霊界探偵さんは魂レベルのロリコンだった……?

>というか周りが動けなかったのに一人だけ動けてしかも少女を救うことは出来るとか実は体力と言うか瞬発力がかなりのモノだったという逆説が
むしろ神速のインパルスで阿含さん並ってことかもしれませんね!
あれで、認識できてても動けないのが凡人なのでしょうねえ
見えてても動けない。動け、ボクの身体!というヨーン君的なのが走馬燈現象な超知覚なのかもしれません

なんとなくテリーマンが浮かびましたがあれはまた別の話ですな
死なねえし


<> 赤ペン<>sage saga<>2019/04/16(火) 13:20:54.83 ID:1LrGNO7s0<> いやあ、スコップが折れそうになってね
何故大抵の転生、転移俺ツエエ物はニートとかうだつの上がらない会社員だったくせに異世界に行くと日本刀とか銃とかゴムとかバネとかを作れるんだろう
多分赤ペンとして登場人物の行動を読んでるから違和感が強くなったんだろうなあ…昔はそんなの気にしなかったのに

しかもそのあと神様とかに孝行できなかった親の幸せ願ったりすると…なんかこう、さあ(まあ親の幸せ願う場合は大体高校生のイメージもあるけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/16(火) 19:22:04.81 ID:MN9OEy620<> >>609
スコップが折れるwww

>何故大抵の転生、転移俺ツエエ物はニートとかうだつの上がらない会社員だったくせに異世界に行くと日本刀とか銃とかゴムとかバネとかを作れるんだろう
どうせならハーバーボッシュ法とかやってもうたらええねんとかw
そこまでやったら凄いっすね

>多分赤ペンとして登場人物の行動を読んでるから違和感が強くなったんだろうなあ…昔はそんなの気にしなかったのに
目が肥えたっつうことですね
めでたくもあり、めでたくもなし

>しかもそのあと神様とかに孝行できなかった親の幸せ願ったりすると…なんかこう、さあ(まあ親の幸せ願う場合は大体高校生のイメージもあるけど
ほむ
最近はスコップしまっているので、最近のトレンドは全く分からないですがそんな感じなのですか

凡将伝は現代知識チートものに分類されるのだろうけど……
そこら辺は地味っすよね(と思っている)

そういう意味ではやる夫スレの 知恵の悪魔(だったかな?)は白眉でありました。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/16(火) 23:31:39.60 ID:1LrGNO7s0<> それにしても誰か私の名を騙る人はいないだろうか…
別に赤ペンとしての指摘をせずとも私のふりをして一ノ瀬さんに適当なこと言うだけでも反応が面白いと思うのだけど <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/16(火) 23:38:35.45 ID:1LrGNO7s0<> けものフレンズ2とかいう聳え立つ【ピー】な二次創作…じゃない存在 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/04/17(水) 10:21:18.72 ID:p0pCwnGe0<> 一時期…今でもそうなのかは知らないけど
トラックにひかれて死亡→神様のミスだったのでチート数個あげて異世界転生させます→チート1個分消費して両親に幸福あげてください→神様「感動した!チートとは別になんかもっと凄いものあげちゃう」
みたいなのがね…多分それなりに多いテンプレの一種だと思うけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/17(水) 22:30:44.74 ID:Lkf1lHiw0<> >>611


>>612
>けものフレンズ2とかいう聳え立つ【ピー】な二次創作…じゃない存在
1途中までのみの視聴なのでなんとも言えないのですが、見とこうという意思はあるのです
あれやこれやあるみたいですが
角川は駄目だなあという結論を最初に準備しときます

>>613
複数チートなんてあるのですか

なんだなあ、色々と類推できる仮説が切ないというか真顔になるものだなあと
やはり蕪農家として生きていこう <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/18(木) 00:31:27.11 ID:DU3axhELO<> 1見る前に2見た方がいいよ
ペットいるならなおさらオススメしない
本当に悲しくなったわ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2019/04/18(木) 09:38:59.37 ID:szZfG/X10<> イエイヌ…ウっアタマが <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/04/19(金) 21:33:12.20 ID:CyPKkzDg0<> コピルアクの話聞いたせいか、
最近ジャコウと李儒が重なりすぎて困る <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/04/19(金) 21:35:58.53 ID:GAqwCrpg0<> >>615
ほむ
なんか大変そうなので延焼を避けるべく護身完成やな!

いや、実際コンテンツに触れるのも躊躇うということはそういうことだよね

>>617
はよ麝香猫のうんうーん から抽出されたアレを存分にレポートするんや!
うんうーん!
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2019/05/02(木) 09:49:46.22 ID:BkCwhZzU0<> 遅ればせながら令和になりましたね
これからもよろしくです <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/02(木) 20:23:45.15 ID:MrAzje7U0<> こちらこそありがとうございますー!
今後ともよろしくお願いします。

明日からちょいと旅立ちます。
目指せ半田。 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/09(木) 09:34:57.43 ID:e6qJg7pi0<> ここの二郎ちゃんは気づいたら転生してたパターンだけど
よくある車に轢かれて死んだことを覚えてるタイプって死ぬことに対してやたらと怯えるか逆に今生ボーナスタイムな考えで命が軽くなるかの変化がありそうだけど
実際死んだことのない(死にそうな目にあったことのない)俺からするとそれが正しいのか間違ってるのかよく分からんなあ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/11(土) 09:04:59.69 ID:sMKgB+Y40<> でもトラウマの事とか考えると普通は死因に関わることは忌避しそうだし死ぬこととか痛いことを怖がりそうよね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/12(日) 07:23:17.10 ID:LQfhQgfW0<> >>621
交通事故とか落下死とか夢ではちょいちょい見ますが、
あれでいのちだいじに、となるかというと別にそんなこともないようなw

痛いのとかは普通にやですねえw

>気づいたら転生してたパターンだけど
そこの冒頭、考えるのめんどくさいし書くのはもっとめんどくさかったのが一番大きいです
そこ気にする人っているのかな?いないことはないか。
そういう人には事故補完してもらいませう <> 俯瞰者
◆e/6HR7WSTU<>sage saga<>2019/05/12(日) 16:04:58.16 ID:RJcssQkk0<> こちらには御無沙汰致しております、申し訳御座いません。

事故転生系ならこっちの業界だったらきっかけ山ほどwww(笑い事じゃねぇよ)
商売始めて、軌道に乗るまでは(打ち上げから軌道投入(違))死に掛けた事もありますが。転生もチートも無しwww
その代わり、私には勿体なさすぎる天女様女神様がそばに降臨あそばされましたが。

まぁ私自身は死因の塊と常に戦ってますので「いのちだいじに」より「今死んでたまるか」が勝ってますが。

>>621
>よくある車に轢かれて死んだことを覚えてるタイプって死ぬことに対してやたらと怯えるか逆に今生ボーナスタイムな考えで命が軽くなるかの変化がありそうだけど
実際死んだことのない(死にそうな目にあったことのない)俺からするとそれが正しいのか間違ってるのかよく分からんなあ

外的に「不死スキル」が付与されているかが分岐点だと考えます。
「甲賀忍法帳(バジリスクの方が有名かな?)」の薬師寺天膳が後者の典型。ただ本人は悠久の牢獄にうんざりしてましたが。


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/13(月) 20:32:03.30 ID:wr0djMhr0<> >>624
どもです。

色々とポジティブな意味でお忙しそうで、何よりでございます。

>事故転生系ならこっちの業界だったらきっかけ山ほどwww(笑い事じゃねぇよ)
ああ、そらそうですよね。なるほど。そらそうですわ。ご安全に!

>)死に掛けた事もありますが
やっぱりあるんですねえ。ほんと、大変だと思います。

>私には勿体なさすぎる天女様女神様がそばに降臨あそばされましたが
お仕事がきっかけなんでしたか。いや、ほんと良縁で、毎度ご馳走様ですw
人の惚気話は大好物なので、こちらでもあちらでも楽しみにしております。

>「今死んでたまるか」が勝ってますが。
これは格好いい。どっかで使わせてもらうかもです。

甲賀忍法帳、漫画のみですが、面白かったなあ。十兵衛の方も読もうかな
原作も読みたい

ああ、リソースが足りない! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/20(月) 21:27:47.25 ID:5npwc8tu0<> やっと終わった。
あれだけ余裕もって始めたのにやっぱりぎりぎりになるのはなんでなんだぜ、と。

まあそれはそれとして続き頑張るぞいっと。
本当は今回の更新で黄巾終わらせるつもりだったんだよなあ。

頑張るぞいっと。 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/24(金) 15:33:19.48 ID:MSwTkebO0<> ざっと見ましたが
>>434〜>>439のあたりが抜けてるっポイですな
あと181話 不穏の影 で「雷薄と張郃、 みたいになってますね
取りあえず気づいたところをちょこちょこと <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/24(金) 18:00:15.96 ID:MSwTkebO0<> ありゃ?
私が見た時は張の後が変になってましたよ、と書きたかったんですが <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/24(金) 20:41:47.47 ID:nISNfuKY0<> >>627
あえてのカットをいたしました。
流れの中でこんなもんかなーって

ご指摘ありがとうございますー

そして赤ペン先生いつもありがとうございますー!
赤ペン先生から頂いたやつ、工事中にのっけたら、
かなーり好評でしたよ!
メタとネタが素晴らしいバランスでしたものねえ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/24(金) 20:51:07.18 ID:nISNfuKY0<> よし <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/24(金) 20:51:33.52 ID:nISNfuKY0<> 「紀家軍より四千を如南防衛に充てる。これは決定である」

美羽様の身柄をピンポイントで奪取しようとした袁胤殿の着眼点は悪くなかった。いや、これ以上ないものでさえあったかもしれない。実際やばかったしね。紙一重もいいとこであった。
薄氷の勝利、実際こりごりである。楽勝こそが我が望みよ。
故に如南の防備を強化する。当然だよね。

「主将は雷薄。張?は補佐せよ」

紀家の予備戦力を動員して如南を守備させる。雷薄も張郃も如南に馴染みもあるし問題ない。
もっとも、クーデター起こしそうな不穏分子はもういないけどね。
ちなみに袁胤殿は首級を確認したものの、その参謀たる許攸は生死不明。まあ、乱戦の中で儚くなったというのが公式見解だ。まあ、その行方に興味がないではないが、リソースはいつだって限られている。

ちなみに、援軍に来た孫家の総大将たるシャオはこのまま如南に滞在することになった。
無論人質、という対外的な名目もある。以前もそうだったしね。だが、今回はシャオの強い要望によるところが大きかった。個人的には今回の功績でもう、孫家の首に鎖は不要と考えていたのだが。
まあ、穏が言っていたように、美羽様とシャオがいる如南に攻め寄せる勢力があったならば、袁家と孫家が総力をもって殲滅すること請け合いである。

……ああ、ぺんぺん草すら生えないほどに蹂躙してやろうよ。係累までも根絶やしにしてやるさ。

「主よ、お呼びと言うことだが」

そして星である。此度の乱において最も功績のあった、星である。

「うん、褒美、ほしいものある?」

は?とばかりに小首を傾げる星。やだ、可愛い。

「主よ、意味が分からんのだが」

「いや、此度の如南防衛戦において星は功績を挙げたしね。信賞必罰これ武家の倣いでしょでしょ。
 ほんでもって星は美羽様を救ったんだ。報いないといけないっしょ」

「ふむ。ならば、主の寵愛を頂きたい、と言いたいところだが。
 それは過分なほどに頂いておるし、な。 
 主よ、そうだな。馬を頂きたい。烈風を、と言いたいところだがな。流石にそれは某としても主張しかねる。
 ほら、いたろう。悍馬が。汗血馬が」

ニヤリ、と笑む星である。

「流星か。でもあれ、相当な暴れ馬だぞ?
 流琉だって手を焼いたくらいだし」

袁家の馬は大体白蓮のとこが供給元なんだが、流星については別ルートで入手した。いやまあ、母流龍九商会なんだけどね。波斯(ペルシャ)からの、まさに汗血馬ってやつだ。
褐色の馬体、額に星。故に流星。これまで乗りこなせる者はいなかったから死蔵に近かったのだが。

「頼んだよ、星」

俺の言葉に、星は珍しく頬を上気させて頷いた。
その仕草は楚々としており、痺れた。
可憐なその姿に、思う。改めて、思う。
彼女が忠誠を、まごころをくれていることのありがたさを。
ありがたい、というのは有り難い、ということ。その重さを。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/24(金) 20:52:03.21 ID:nISNfuKY0<> ◆◆◆

「二郎!二郎!」

えへへと笑いながらシャオが俺に抱きついてくる。よしよしと撫でくり、わしゃわしゃと撫でくり回す。

「あのね、頑張ったよ!シャオ、頑張ったんだよ?」

実際、シャオ……と言うか孫家の援軍がなければ悲惨な事態になっていたろう。感謝感激雨霰である。
いやさ、孫家については此方と敵対する可能性すらあったのだからして。

「ああ、シャオ。ありがとな」

ぎゅ、と抱きしめるとえへへ、と幸せそうに笑ってくれる。

「シャオね、頑張ったよ。頑張ったんだよ?美羽のためにも、二郎のためにも。シャオが頑張ったんだから!」

「そうだな、その通りだな。助かったよ」

「えへへ、じゃあね、二郎。ご褒美が欲しいな。いいでしょ?」

まあ、否やはない。孫家の助成がなくばこの如南は焦土と化していただろし、美羽様だってその身柄を奪われていたであろう。

「えへ。二郎。だからね。その、ね。抱いて?」

何を、お可愛いことを言ってるのだこの幼女は。と思って。
ぎゅう、と抱きしめてやる。

「ふぁ、二郎……。好き……。
 って違う!違うの!違うんだってば!」

じたばたと腕の中で何か言ってるけど、聞く耳などないのさ。
わしゃわしゃ、とかき混ぜてやるが、何か不満そうである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/24(金) 20:52:50.27 ID:nISNfuKY0<> 「もう!二郎!二郎ってば!」

「はいよ」

何故かぷんすかと怒ってるシャオを適当に宥める。なに、幼女の機嫌をとるなぞ、容易いことさ……。ってそれ、どうなんだ。
それでも、むーと少しむくれるシャオが逆に可愛かったりするのである。

「もう、冗談じゃないの。冗談じゃないのよ。
 孫家三の姫のわたしは二郎に抱かれないといけないの!抱かれたいの!誤魔化さないで、もう!」

いっそぷんすかと怒りながら、俺に迫ってくる。
うむ。うむ?つまりそういう意味で、か。

「とは言っても、なあ」

流石に幼すぎだろうて。
確かにまあ、俺とシャオが結びつくと言うのは悪くない。悪くないんだが、流石に、なあ。
そんな俺の表情を見て、シャオは笑う。
無邪気な少女の笑みではない。艶然とした、年齢に相応しくない笑み。まるで、小悪魔。

「なによ。だって二郎。二郎ってば。流琉は抱けて、私を抱けないってことはないよね?」

「な、に!」

何故知ってるんでぃすか!

「分かるよ。分かるよぉ。女だもん。
女だもん、ね?」

これまでになく。艶っぽく笑うシャオ。

「私のこと、大事に思ってくれてるっていうのは分かるよ。でも。でもね。
 蹂躙してほしいな、とも思うの」

くす、と。
妖艶な笑みに俺はくらり、と。ぐらり、と。
いつの間にか俺の背後に廻り込んでいた穏が耳元で囁く

「くす、大丈夫ですよ?二郎さんが懸念されてること。その獣欲が溢れ出た時は私が引き受けますし。
 それに、ご要望あらば、如何様にもお引き受けできますよ?お口でも、お尻でも。 
 ええ、悦楽をお約束できますとも」

「だからね、二郎?女に恥をかかせるものではないわよ?」

艶然としたシャオの笑みに戦慄を覚え、その隙に俺は穏にいいようにされ、シャオを……。

もはや孫家をないがしろにできなくなってしまったのだ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/24(金) 20:53:39.44 ID:nISNfuKY0<> 再会しますた

本日ここまですー感想とかくだしあー

「開城」

うむ。いつも通り今ひとつなので、エスプリの効いたタイトル、お願いいたします。 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/25(土) 14:52:55.39 ID:7GN2jZex0<> 乙でし…>>赤ペン先生から頂いたやつ、工事中にのっけたら なん…だと?
確認してきたよ、なんというか、ウン、気恥ずかしいと言うか身悶えしそうと言うか

取りあえず最後の一文【漫】の字が抜けてたよ
それと感想で後編後書きを〜ってあったけど今のところその予定はないなあ
書くとしたら凡将伝が終わってネタバレの心配が無くなった上で書きたくなった場合だからね
書こうとするとどうしても曹家についてとか大徳()とのやり取りとか必要になるだろうしね

ちなみにチョロットだけ考えたモノとしては惇姉と紀霊の出会いとかもあった【夏候惇には政治が分からぬ】から始まって十常待に邪魔されてなんやかんやあって紀霊と出会って、助けてもらって終わりは【これが夏候惇が生涯ただ一人真名を許した男、紀霊との出会いであった】で締める様なの
でもこれから先何かの間違いで種う…一刀に真名を許す可能性もあるし二郎の義兄弟にも許す可能性はあるから没ったけど <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/25(土) 15:27:55.06 ID:a6Ezwvoyo<> おつおつ
二郎君に幸あれ
題名は「江東に咲く赤き幼花」かな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/25(土) 17:18:39.52 ID:7GN2jZex0<> さてと…オツデシター
>>631
>>「主将は雷薄。張?は補佐せよ」  これの下では普通にできてるんだよなあ
○「主将は雷薄。張郃は補佐せよ」  何が悪いんだろ・・・
>>ありがたい、というのは有り難い、ということ。その重さを。 【重さを、有り難い(有ることが難しい)】という事…ふうむ
○ありがたい、というのは有り難い、ということ。その重さが。 【重さが、有ることが、難しい】と言う事でこの方がいいかな?
>>632
>>実際、シャオ……と言うか孫家の援軍がなければ悲惨な事態になっていたろう。感謝感激雨霰である。  間違いでは無いですが
○実際、シャオ……と言うか孫家の援軍がなければ悲惨な事態になっていただろう。感謝感激雨霰である。 の方が良さそうかな
>>まあ、否やはない。孫家の助成がなくばこの如南は焦土と化していただろし、 【助成金】とか言う様にこれは経済的に助けることですね
○まあ、否やはない。孫家の助勢がなくばこの如南は焦土と化していただろし、 物理的に助ける(手を貸す)場合はこちらです

戦は終わろうとも人の営みは続く…そしてこれで幼女3人のうち二人が花を散らせたか。張勲の事を本人以上に理解してた美羽様は違和感に気付きそうだけどどうなるかしら
自分の親友二人と母親代わりが父親?兄?みたいな人の女…かあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/26(日) 23:10:40.71 ID:xEBYBDQDo<> 更新乙したー
星ちゃんのデレっぷりはいつ見ても良いもんやなぁ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/27(月) 06:32:38.17 ID:dBddhCm50<> >>635
ティヒヒ

>取りあえず最後の一文【漫】の字が抜けてたよ
失礼。手直しいたしました。

>書くとしたら凡将伝が終わってネタバレの心配が無くなった上で書きたくなった場合だからね
まあそうですよね

>書こうとするとどうしても曹家についてとか大徳()とのやり取りとか必要になるだろうしね
ネタバレというかメタ満載でないといかんとこですな

>【夏候惇には政治が分からぬ】から始まって十常待に邪魔されてなんやかんやあって紀霊と出会って、助けてもらって終わりは【これが夏候惇が生涯ただ一人真名を許した男、紀霊との出会いであった】で締める様なの
なにそれすげえ見たいw

>でもこれから先何かの間違いで種う…一刀に真名を許す可能性もあるし二郎の義兄弟にも許す可能性はあるから没ったけど
ああ、その可能性もゼロではないですものね。

>>636
どもです。

>題名は「江東に咲く赤き幼花」かな
いいですねえ
うん、いい。

>>637
>戦は終わろうとも人の営みは続く…そしてこれで幼女3人のうち二人が花を散らせたか。
端的に事実を書かれるとこう、くるものがありますね。書いといてなんですけどw

>自分の親友二人と母親代わりが父親?兄?みたいな人の女…かあ
こじれそうなワード!それでも美羽様なら……美羽様ならきっと!

>>638
乙をありがとうございますー

>星ちゃんのデレっぷりはいつ見ても良いもんやなぁ
ほんと、ここまで遠かったですねえ。
星ちゃんはまだまだ見せ場のイベントがありますのでご期待くださいませませ。


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/27(月) 20:00:31.87 ID:dBddhCm50<> しかしこれ、ちょっと確認したらマジで赤ペン先生いつもありがとうございますな流れかもしれない
意識的にカットしたのではなくて、普通に漏れた可能性ががががが

あの時の私、いつも通り意識朦朧なので信頼性がない
ない

ちょっと考えよう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/27(月) 22:19:23.83 ID:dBddhCm50<> 「の、のう。シャオよ。ほんとうに噛んだりせんかや……?」

「あははー。
そんなことしないよー。ほら、こうだもん!」

ぼふ、と毛皮の塊に身を投げ出して孫尚香は笑う。
毛皮は白く、高貴。
孫家の守護獣たる白虎である。
孫尚香の突撃に何の反応もせずに丸く惰眠を貪っているその図は、まるで猫のよう。
……大きさ以外は、であるが。

「むむむ、流琉よ、どう思うかや?」

「ええと、とってもお利口さんっぽいですけどね。
 私は毛皮よりあの肉球をぐに、としてみたいです。ええ、ぐに、と。
 あ、でも。何かあれば美羽様には傷一つ付けさせません!
 まあ、シャオ様があそこまでくつろいでいるから大丈夫かなとは思いますけど」

くすりと笑いながらも典韋はその小さな体躯に闘気を巡らせる。何があっても親友たる二人を護れるように。
実際、彼女の戦働きは突出していたのである。
単身黄巾の将に突撃し、討ち取るという手柄を挙げている。
如南を攻めた総大将の袁胤を討ち取った趙雲。或いは如南の危機をこれ以上ないタイミングで救った孫尚香ほど噂にはならずとも。
戦場を同じくした兵(つわもの)たちはその勇姿を忘れることはないであろう。

「ふむ……」

恐る恐る、という風に近づき手を伸ばす袁術。

その瞬間、ぐわ、と白虎は口を大きく開ける。

「ぴい!」

「こら、驚かせたら駄目でしょ!」

ふが、ともひとつ大あくびをかまし、われ関せずと再び丸くなる。

「ごめんね、美羽。悪気は多分なかったと思うの」

がくがくと全身を震わせる袁術に笑いかける。
その姿に膝をプルプルとしながらも袁術は鷹揚に謝罪を受け入れる。

「わあ、もふもふだ……」

それを尻目に典韋は白虎の腹に顔を押し付け毛皮の感触を満喫する。

「おお、流琉よ、そこは妾も狙っておったのじゃ。とー」

ぽふ、と袁術は先ほどまでの恐れを毛ほども感じさせずに飛び込む。
そして毛皮の感触を満喫し、唸る。

「むむむ、これはいかん。いかんぞ。シャオよ。これはいかん。離れられんではないか」

「でしょでしょー?もう、最高だよね!」

屈託のない笑顔で孫尚香は笑う。

「だからさ、今日はここでお昼寝しよう!最高だよ!」

……一刻後、幼女たちを探しに来た女官は白虎の毛皮に顔を埋めて眠る三人であった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/27(月) 22:19:50.77 ID:dBddhCm50<> ◆◆◆

「じゃあ他に上奏なければ散会とするが」

如南でここまで足止め食らうとは思っていませんでした。
というか、危うく美羽様の身柄を奪われかけた二郎です。
取りあえずは如南防衛線に参加してくれた勇志への功労金を手配し、援軍たる孫家にもそれなりの褒賞を。

「すんまへん、よろしいか?」

挙手するのは真桜。袁家技術部のトップに登り詰めてしまった俊才である。
鷹揚に発言を許すと。

「これからも袁術様は如南にいはるやろ?
 そこで此度みたいな突発的遭遇戦にも完全対応した防衛計画、そしてそれを支える絡繰り防衛都市計画をお持ちしましたで!
 これが成れば千年は如南は安泰。難攻不落の城塞都市になりますわ!
 うちの、今の全てを振り絞った傑作やで!」

ふむ。

「却下」

「なんでやー!」

いや、事前に提出されてた君の計画書がすごすぎるからでしょが。

「あのなあ、三重の空堀に城壁の二重化、更に投石器と弩の設置に弾倉の強化と備蓄とかやりすぎというか、金掛り過ぎだろ」

「えー、お金なら余ってるんやろ?ええやん、ここはどーんと。
 ほら、ちょっと二郎はんのいいとこ、見てみたい!」

そーれイッキイッキってアホか!

「見せるか!つか、駄目に決まってるだろ!」

そもそも如南に袁家、いやさ美羽様が赴任したのは実務のため。
独立採算できちんと如南の収支をやらんといかんのよ。軍備ってな、設置で終わらないのよ。ランニングコストというものが発生するのよ。
がみがみと真桜にお説教を重ねる俺に美羽様が遠慮がちに声をかけてくる。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/27(月) 22:20:23.55 ID:dBddhCm50<> 「のお、二郎や。黄巾だけではなくいつ叛徒が来るか分からんじゃろ?
 妾はこの如南にいつまでも、そうじゃ。いつまでもおれるわけではないというのはわかっとるのじゃ。
 じゃから、そんなに城壁やらを強化でけんというのも分かるのじゃ。妾がいるうちに強化は終わらんじゃろし。
 じゃがの、それは悪いことかや?ここ如南の民と、妾が次に赴任する荊州の民に違いはあるかや?
 のう、二郎よ。思うのじゃ。妾がおるこの時こそこの如南の民を護るための城壁を築くべきではないのか、と。
 そも、あの時に妾を差し出せば如南の防壁とて荒れんかったのじゃ。
 何より、ここ如南の民に妾は真名を授けたぞ?
 じゃから、の?如南に安寧をと思うのじゃ」

たどたどしくも一生懸命に訴えかける美羽様の言に不覚にも目頭が熱くなる。ちなみに控えていた七乃に至っては滂沱である。わかりみ。

「ええと、そうですね。分かりました。分かりましたよ。悪いようにはしません」

まあ、なんだかんだ言って結局、俺も美羽様には甘いのだな、と。

「ほんとかや!じろう!ありがとうなのじゃ!」

まあ、この笑顔を見れただけでも、よしとしよう。ただし。

「真桜よ。来週には援軍が来る。それまでにお前と工兵隊がいなくても実現可能な防衛設備の計画書を出せよ。
 初期投資に関してはどんだけ費用が嵩んでもいい。が、維持費は如南単体で回るように計算しろよ」

その言葉に真桜が目を白黒させる。
うむ、こいつここまで他人事で見守っていたな?

「ええ!うち、そないな計算とか苦手や!」

「沙和がいるから頼れ。それで駄目ならまあ、仕方ないと諦めろ」

「あ、あほー!二郎はんのいけず!おたんこなす!見てや!キャン言わしたるくらいの完璧な計画作ったるさかいにな!
 二郎はんの!女たらし!甲斐性なし!」

ちょっと待て!何かどさくさに紛れて違うこと言ってないか!
むきー!と真桜を追おうとした俺の袖がちょん、と引かれる。

「のう、二郎よ」

「はあ、なんでしょか」

「妾の我儘を聞き入れてくれて、かたじけないのじゃ。ありがとうなのじゃ。
 じゃから、の?いいこにするから、の?の?」

ちょっと不安げに見上げてくる美羽様を抱きかかえてわしゃわしゃと撫でまくる。

「いや、俺こそ忠勤しまくりますし。お見捨てなきよう」

満面の笑みこそやはり美羽様には似つかわしいと俺は思うのだ。
とは言え、やることやらんとなあ。

なあ、七乃?
ちら、と見たら満面の笑みで手まで振ってきた。
こいつぅ!

※この後、ふつうにあれこれ有耶無耶にされつつめちゃくちゃ乱れました <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/27(月) 22:22:28.51 ID:dBddhCm50<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名についても、本当に募集しまくりんぐですよ本当に!本当に!

仮題
すらありません。むしろ助けてください助けてください

割と無条件で採用されます
ぼすけて <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/27(月) 22:57:32.77 ID:JGWozwRKo<> 白虎を枕に眠るとか、冷静に考えるとすごいことしてますよねここの幼女達はww
無論、それがいいのですが


題案はまあ、ストレートに
『凡人、娘のおねだりに勝てぬ父の心を知る』
なんて感じで <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/28(火) 13:07:21.37 ID:GGXu/Ngb0<> 乙でしたー
>>641
>>ふが、ともひとつ大あくびをかまし、われ関せずと再び丸くなる。  間違いでは無いですが
○ふが、ともひとつ大あくびをかまし、我関せずと再び丸くなる。   ここは漢字で統一した方がいいかな?
>>……一刻後、幼女たちを探しに来た女官は白虎の毛皮に顔を埋めて眠る三人であった。       女官が行方不明に
○……一刻後、幼女たちを探しに来た女官が目にしたのは白虎の毛皮に顔を埋めて眠る三人であった。 こうですよね
>>642
>>更に投石器と弩の設置に弾倉の強化と備蓄とかやりすぎというか、 弾倉(だんそう)?既に銃器の開発に成功してしまったか
○更に投石器と弩の設置に矢倉の強化と備蓄とかやりすぎというか、 矢などの武器を収めておく倉。という意味ならこちらですね【物見櫓】と音が同じなので漢字で区別するといいかな
>> ほら、ちょっと二郎はんのいいとこ、見てみたい!」  ああいうところには行ったこと無いのでイメージとテレビからの知識ですが
○ ほら、二郎はんのちょっといいとこ、見てみたい!」  《じろはんの》5、《ちょっといいとこ》7、《見てみたい》5、が人の耳に心地よいから川柳は流行ったとかなんとか
>>643
>>じゃから、そんなに城壁やらを強化でけんというのも分かるのじゃ。 【でけん】ってなーんとなく崩し言葉と言うか二郎とかが使うなら違和感ないんですが
○じゃから、そんなに城壁やらを強化できんというのも分かるのじゃ。 美羽様っぽくないような気がしますので
>> 「あ、あほー!二郎はんのいけず!おたんこなす!見てや!キャン言わしたるくらいの完璧な計画作ったるさかいにな!  【見てや】だと今この場っぽいかなあ?
○ 「あ、あほー!二郎はんのいけず!おたんこなす!見とれや!キャン言わしたるくらいの完璧な計画作ったるさかいにな! 【見ててや】だと甘えてるっポイし、【見てろや】だと逆に喧嘩っぽいし、【見とけや】とかならアリかな

イッチ―の!ちょっと良いトコ!見てみたい!それ投下!投下!…ワアアァァ(スタンディングオベーション
冗談はともかく、美羽様が尊過ぎる。二郎に迷惑かけて嫌われるかも、と分かってても如南の為に我儘()を言うとかそりゃ七乃も滂沱るよ
ところでこの1000年王国な防壁よりも凄まじいのが南皮にあるんじゃろか…ふふコワ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/28(火) 20:41:10.32 ID:e4Wq4n0+0<> >>645
感想ありがとうございますー

>白虎を枕に眠るとか、冷静に考えるとすごいことしてますよねここの幼女達はw
絵になる場面だと思います。なお絵心がないから脳内補完w

>『凡人、娘のおねだりに勝てぬ父の心を知る』
ほむ
参考にさせてくださいませ。これをベースになんか考えよう。頑張れ未来の自分

>>646
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>イッチ―の!ちょっと良いトコ!見てみたい!それ投下!投下!…ワアアァァ(スタンディングオベーション
くっ
そんな煽られたら、やるしかないじゃない!
おれはやるぜおれはやるぜ

>美羽様が尊過ぎる。
ほんに、いつの間にか尊さを振りまく!いい……っ!

二郎に迷惑かけて嫌われるかも、と分かってても如南の為に我儘()を言うとかそりゃ七乃も滂沱るよ

>ところでこの1000年王国な防壁よりも凄まじいのが南皮にあるんじゃろか…ふふコワ
そらもう全力でやっちまって随時更新されるくらいですよ!
公共事業の一環に違いない


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/28(火) 21:49:33.57 ID:e4Wq4n0+0<> 「久しいわね、二郎」
「ん、華琳も元気そうで何よりだ」

如南に美羽様を残し、再び俺たちは黄巾討伐に向かう。
袁胤殿の謀反を鎮圧し、事後処理をしていた間にもどんどん事態は進展していく。
まあ、各地で巻き起こった乱がどんどんと鎮圧されていっているのであるが。
目下のところ功ありと世に名高いのは禁軍を率いる朱儁が筆頭。続いて圧倒的な機動力の馬騰さん、白馬義従は伊達じゃない白蓮、万夫不当を率いる董卓ちゃん、続いて目の前の華琳となる。
華琳は地盤固めに主眼を置いてるみたいだからな。領内からの評判は鰻登りだ。……地味に義勇軍たる劉備の名が挙がるのが俺としては気に食わんがね。
全く。

「まあまあ、といったところね。二郎からは素敵な贈り物も頂いたし、私は満足してるわよ?」
「……まだ一緒に行動してると思ってたんだけどな」

劉備一行のことである。官軍に従わねば糧食を得られない彼らの身。どうせ三国志の覇者たる華琳のとこに身を寄せるであろうという俺の一手。
平たい話、劉備一行の人材紹介の手紙を送ったのさね。
人材コレクターたる華琳ならだれか一人くらいはその毒牙にかけててもおかしくないと思っていたんだけどな。

「ふふ、急いてはことをし損じるわ。まだその時ではない。そう思ったまでよ」
「そうかい」

くすり、と華琳が軽やかに笑う。

「あらあら、これでも感謝してるのよ。どうせ二郎が私のところに行くように示唆したのでしょう?
 ええ、素晴らしい人材を見たわ。そう、関羽。あれはいいわ。あれは私の下でこそ光り輝くわね。
 原石であの輝き。一体どう化けるのかと思うだけでたまらないわ」

いっそ淫蕩と言っていい恍惚とした表情で華琳は呟く。

「ま、長期戦だって嫌いじゃないわ。もう真名を交換したもの。いずれは私のものになるでしょうよ」
「相変わらず、すごい自信だなあ」

流石華琳である。このメンタルは見習えないからリスペクトに留めとくことにする。

「なによ。当然でしょ。私を誰だと思っているのかしら?」

フフン、と薄い胸を張ってふんぞり返る。いや、大したものだよ。ほんとに。

「いやいや、それでこそ華琳だよ。凡人たるこの身には眩しいったりゃありゃしないね」
「光輝に憧れるのは至極当然ね。
二郎、貴方ならばいつでも私は歓迎するわよ」

お決まりのヘッドハンティングのお言葉に苦笑で返す。

「まあ、関羽にご執心するであろうというのは分かっていたんだがな。意外と他の人材はお目に敵わなかったのか?」

俺の言葉に暫し考えてきっぱりと言う。

「ええ、そうね。あの集団で見るべき人材は関羽のみ、ね」

今のところは、だけれどもと捕捉をしながら華琳は茶を喫する。
白魚のような指先が軽やかに宙を舞う。

「そうね、私が言う前に二郎の人物評でも聞かせてもらおうかしら」

たまにはいいわよね、と華琳が目線で促してくる。

「いいけど大したこと言えんぜ?」

詩才の欠片もないこの身である。文才の塊たる華琳に向かって存念をとか、プレッシャー半端ないって。
と、構えても別に気の利いたこと言えるわけでもないしね。思いついたとこを、だらだらと述べるとしようか。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/28(火) 21:50:33.58 ID:e4Wq4n0+0<> 「まず劉備。ありゃなんだろうかね。
 うーん、天性の人たらしだな。理屈じゃない。常人なら魂抜かれるんじゃないかねえ」

俺も危なかったというのは内緒である。

「次に関羽……は省略して張飛。まあ、武の塊だな。俺なんて相対(あいたい)したら数合持たずに殺されそうだ」

俺の死亡フラグ最有力候補でもある。演義的な意味で、ね。

「諸葛亮はなんかもう笑えるくらいに天才。一を聞いたら八か九は知るんじゃねーの?鳳統も似たようなもんか」

自分より遥かに頭のいい子らを語る言葉を持っていません。この時代でもトップの人材だし。

「最後にそれをまとめるご主人様、か。あれは夷狄の類だな。礼も儀も知らんがそれだけに此方の発想の枠を超える可能性があるな」

以上だよ、とばかりに手をひらひらとする。

「二郎らしい評ね。二郎なら誰がほしいのかしら」

くすくすと笑いながら更にそんなことを聞いてくる。

「いや、いらんよ。俺ごときの手に余る。
 というか異常なほどの結びつきの強さ。それ華琳も見たろう?
 だから前提としても、ありえんだろうよ」

たはは、あるいはとほほと苦笑する。

「そうね、関羽以外で見るべきは諸葛亮と鳳統でしょうね。天稟は確かに凄い。でも天下国家を語るには十年早いわね。
 今のまま蒙を啓かないのであれば大樹となるべきその芽は根腐れを起こすでしょうね」

あらま。てっきり二人とも抱え込みたいとか言うと思ったんだけど。

「無論私の旗下にあれば大樹は天を衝くことになるでしょうね。実際末恐ろしいとは思うのだけれども」

今は即戦力が欲しいのよね、と華琳はくすりと笑う。

「まあ、劉備にしたって理想を語ればいいというものではないわ。その理想にしたってね。
 いえ、これ以上はやめておきましょう」

何とも手厳しい評である。ふう、とため息を一つ吐いてやれやれ、と。

「ああ、北郷一刀と言ったわね。アレ、天の御使いでしょう?」

そんな爆弾を事もなげに俺に投げつけてきやがった。

「二郎が殊更に警戒するのも分かるわね。
 そりゃあ、そうよね。そんな胡散臭いもの、どう動くか読めないもの。
 神仙でなく夷と言ったのは誉めてあげるわ。言い得て妙ね。
 ああ、本当に誉めてるのよ?」

くすくすと可笑しげに笑う。

「まあ、今のところ取り立ててどうということはないのではなくって?
 そりゃ、天の知識とか興味はあるけどね。それに、何か不思議な魅力はあったわね。 
 神通力というものかしらね」
「華琳……」
「ああ、勘違いしないでね。本当に今のところ劉備たちに関しては興味がないの。関羽以外では。
 それどころじゃないんだもの。
 役立たずの士大夫どもが右往左往している間にこちらは兵を自在に動かせるのだもの。
 こんな、飛躍の機会なんてないわよ。
 私はね、口舌の徒が大っ嫌いなの。口ばかり動かしてその身体を動かそうとしない者どもがね。
 だから、黄巾の乱。大いに結構よ。精々私の踏み台にしてあげるわ」

覇気、というのはこういうことを言うのだろうか。何進とも麗羽様とも、劉備とも違うその気迫に俺はなんとなく安心する。
天の御使いがどうあれ、乱が起ころうと、華琳は華琳なんだと。

「ま、とりあえずは共闘、よろしくな」
「ええ、お手並み拝見させてもらうわ」
「いやいや、楽させてくれよ。こっちゃ色々あって大変だったんだから」
「そうね。そのあたりの話も詳しく聞かせてもらおうかしら。今日は此方に泊まっていきなさいな。
 ご馳走するわよ?」
「どうせ食材は持ってこいとか言うのだろう?」
「そうね、察しのいいこと。そろそろ届くかしら?
なにせ二郎が此方に逗留するからそれなりの食材を寄越せと言ってやったから」
「お前な……」

マジかよ。

まあ、それに当たって、使者に立った親衛隊の幼女が流琉と生き別れた親友だったり、それで一悶着あったりしたのだがそれはまた別のお話である。
流石華琳の手料理はおいしかったです。まる。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/28(火) 21:52:01.95 ID:e4Wq4n0+0<> 頑張った

本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

仮題
凡人、はおーと語るのこと

ほらあ!あからさまに手抜き臭があると思うでしょ?
これで全力なのよ!

ぼすけて <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/28(火) 22:03:08.05 ID:HJbX+sxKO<> おつおつ
孟徳様はやはりすごい!本紹様や遂高翌様と違う王の器というのがみられる
この方が批評をいうならこれしかないしょ
「根なし草、ただ才のみ是れ挙げよ」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/28(火) 22:05:02.77 ID:HJbX+sxKO<> あーちとちがったかも
こちらでお願いします「天より遣われしものよ、ただ才のみ是れ挙げよ」かな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/29(水) 13:12:09.20 ID:kGcjxIp80<> 乙でしたー
>>648
>>袁胤殿の謀反を鎮圧し、事後処理をしていた間にもどんどん事態は進展していく。  間違いでは無いですがなんとなく読みづらいので
○袁胤殿の謀反を鎮圧し、事後処理をしている間にもどんどん事態は進展していった。 過去形の後に進行系だとなんとなく変なような気がします…なんとなく
>>続いて圧倒的な機動力の馬騰さん、白馬義従は伊達じゃない白蓮、万夫不当を率いる董卓ちゃん、続いて目の前の華琳となる。  バカな!地味様が董卓や曹操より名が売れるだと?
○続いて圧倒的な機動力の馬騰さん、白馬義従は伊達じゃない白蓮、万夫不当を率いる月ちゃん、そして目の前の華琳となる。  【続いて】が2回出るのは好みじゃないので…は冗談として董卓は真名で呼んでたしこうかな?
>>意外と他の人材はお目に敵わなかったのか?」  …メンチ切って逸らした方が負け。的な?
○意外と他の人材はお目に適わなかったのか?」  勝ち負けでは無く条件に当てはまる感じなのでこちらですね
>>649
>>「いや、いらんよ。俺ごときの手に余る。  ちょっと違和感が
○「いや、いらんよ。俺ごときの手には余る。 もしくは【俺ごときには手に余る。】の方がいいと思います
>>天の御使いがどうあれ、乱が起ころうと、華琳は華琳なんだと。     【どうあれ】と【だろうと】が一緒だとなんか違和感が
○天の御使いがどうであろうと、乱が起ころうと、華琳は華琳なんだと。  もしくは【御使いがどうであれ、黄巾がどうであれ】とかどうでしょう

この後滅茶苦茶蹂躙した。とか1文で済まされそうな予感がするw黄巾ナムー
才能だけで見れば確かに二郎より上ばかりなんだが如何せん頭が…いや、心か?
凡人の批評が恐らくはおーのそれと大差ない件…カンニングによるものだと知らないはおー様としてはやっぱりその鑑定眼が欲しくなっちゃうんだよなあ
武人としてはともかく座って面談とかできなそうな夏候惇、男性への評価が―100から始まっちゃう荀ケ、と考えると自分を除くと人事できそうなの夏侯淵くらいだしなあ
ぶっちゃけ二郎が自分のモノになるなら身体を許すぐらいはしそう…あくまで自分が上位なら、だけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/29(水) 21:03:37.53 ID:MrFH9Qhw0<> >>651
どもです。

>孟徳様はやはりすごい!
そら凡将伝最強キャラやし(断定)
ガチやで

>王の器というのがみられる
うむ。ありがとうございますー!
華琳様の偉大さが伝わっていたら大成功なのです

>ただ才のみ是れ挙げよ
素敵(トゥンク)

>>653
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

中々満点は貰えませんのう。頑張るぞい

>この後滅茶苦茶蹂躙した。とか1文で済まされそうな予感がするw黄巾ナムー
草w

>凡人の批評が恐らくはおーのそれと大差ない件…カンニングによるものだと知らないはおー様としてはやっぱりその鑑定眼が欲しくなっちゃうんだよなあ
パーフェクトだヲルター
みたいな!
はおーとしては今すぐ強奪したいくらいなのすね、どう考えても
はおーの琴線に触れまくる二郎ちゃんが悪いよー
いやほんと

>ぶっちゃけ二郎が自分のモノになるなら身体を許すぐらいはしそう…あくまで自分が上位なら、だけど
単にこれまで自分が認める人材が女子ばかりだったわけだからこれはそうだと思います
まあ、嗜好的に、「手を許すわ」とかで手の甲にキスみたいなプレイから始まる感じだな魏ルートは

やらんけど。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/29(水) 22:00:20.79 ID:MrFH9Qhw0<> 「ですから、季衣ったらひどいんですよ!」

ぷんすかと全身でその怒りをアピールしてくるのは流琉だ。幼女だ。
大鍋から汁物をよそいながら器用なことだ。無論その料理は流琉の手によるもの。
華琳の料理も美味いが流琉の料理も勝るとも劣らないと思うのだ。
あれだね、華琳の料理が素材と技術の粋を凝らした芸術品としたら、流琉のはあれだ。限られたコストで最善のパフォーマンスを得る家庭料理みたいなものか。
ベクトルの違いはさておき、絶対値の差はそれほどないと思うのよね。
何が言いたいかというと、流琉ってば本当に至高の料理人ってこと。
だって量産型と専用機を使い分ける俺のシェフなわけだからして。

「私があんなに一生懸命探していたのに、季衣ったらあっさりと仕官しちゃってたんです!
 どれだけ私が一人で苦労したか!」

まあ、なあ。幼女の身で流琉は一生懸命だったと思うよ。多分流琉以外じゃ俺が一番それを分かってると思う。
どうぞと渡された料理を胃袋に納めながらうんうんと頷く。うん、マジ美味い。

「流琉が一人で苦労してたのは俺もよく知ってるよ」

でしょ!とばかりにまた気炎を上げる。
それでも俺は思うのだ。

「でもさ、よかったじゃないか。また会えて、さ」
「……そりゃそうですけど」

どうも昼間に再会した折には随分と遣り合ったらしい。流琉と遣り合えるあたり季衣ってのもすごいんだろうなあ。肉体的なスペック的な意味で。
ふふ、怖い。
でも、と思う。

「それも、生きていればこそ、さ。生きてさえすりゃ、なんとかなるもんだ。
 逃げ出したっていい。生きてさえいりゃ、いいことだってあるさ」

死んじまったら、何も届かないしなあ。
ぐりぐり、わしゃわしゃと頭を撫で繰り回してやる。
そしたら。

「あ、あの。私、一杯ひどいこと言っちゃったんです。ちょっと、行ってきます!」

うん。子供は素直なのが一番。喧嘩してもすぐに仲直りできるというのは子供の特権なのだ。きっとね。
いつからだろうね。遺恨なんてものを引きずり出すのは。立場に縛られるようになったのは。

……明日には華琳と別行動。このまま華琳は可能な限り領内の安堵に努めるそうな。
黄巾賊の本拠地も分からぬうちに動くのは徒労でしかないとさ。まあ、それも一理あるさね。

各地で官軍勝利の報は相次いでいる。が、その本拠地は杳として知れない。
張家は相当密偵を喪い、また如南の守護にそのリソースを割くため、これまで以上に情報は集まりにくい。
商会ルートもなあ。
こればっかはどうしようもないか。さくっと本拠地を暴きたいんだけどね。

取りあえずは虫の如く湧き出る黄巾を虱潰していくしかないか。

やれやれ、である。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/29(水) 22:01:49.51 ID:MrFH9Qhw0<> 突然であるが、朱儁は自らを狂犬とわきまえている。
泰平の漢王朝においてひたすらに戦場を求めるなど狂気の沙汰。
平地に乱を起こし、殺戮と阿鼻叫喚の楽曲に目を細める。
彼にとって勝利と敗北は等価値。只管(ひたすら)に戦場を求め徘徊する。
そのような狂犬たる身を禁軍の、それも幹部に据えて使いこなそうとする何進を、朱儁は高く評価している。
なにせ、きちんと戦場(エサ)を与えてくれるのだ。これ以上いい上司などいないであろう。
かつての涼州戦役なぞ最高であった。弱兵を率い、敗走したのも実に、実にいい思い出だ。
今や禁軍最精鋭を率い、黄巾賊を蹂躙するその様はまるで翼を得た虎である。
その狂犬は、心底楽しそうに笑っていた。声を上げて笑っていた。

「これは傑作だな。傑作だとも。童女(わらわめ)が獣を御するか。いや、実に歪(いびつ)でいいな、うん、いいとも」

笑われた方は状況が理解できない。黄巾を討つ道程において禁軍と接触。連携を取ろうとする会談の席であるのだ。
場には董卓、賈駆、呂布、陳宮が礼を尽くしていたのだが。

「ああ、いいぞ、いい。危うい綱渡り、実に結構。そうでなくては面白くない。戦場はこうでなくてはいけない。
 いや、先の戦では貴様らと矛を交わすべきだったかもしらんな!」

哄笑。呵々大笑。そこに邪気なぞないのが混乱を招くのだ。

「え、ええと。朱儁様、あの――」
「皆まで言うな。いいとも。同じ戦場という舞台で死を振りまくのだ。互いに邪魔さえせねばよいだろうよ。
 無論、邪魔してくれても此方は一向に構わんとも」

にやり、と口を歪(ゆが)めるその体躯は矮躯なれども気迫は本物。

「残念なのは貴様らが馬騰の配下であるということだな。いや、貴様らにとっては僥倖か。 
 あれは、あの男は正道を歩む。なに、あの男の背中に従ううちは間違いなぞ起こりようもない。
 これまでも、これからも。
実に詰まらんことこの上ないがな」

「え、ええと……」

「明日正午に敵陣右翼に此方は攻撃をする。適当に合わせればいい」

それくらい、できるだろう?

ニイ、と口を歪めて朱儁は場を去る。

「な、何よあれ。い、いくら禁軍の実働部隊を率いているにしたって、あの態度はないわよ!
 月だって太守よ、太守!もうちょっとしかるべき態度があるでしょう!」

「え、詠ちゃん……。私はいいから。明日のことだけ、考えよう?」

「月はそれでいいけどね、これは厳重に抗議するわ。するわよ!二郎とか通じて解任要求してやるんだから!」

「へぅ……詠ちゃん、おおごとにしない方がいいよぅ……」

きゃいのきゃいのと騒ぐ主従。もう一つの主従は。

「恋殿、朱儁殿はいかが見られましたか?」

「……。どうでもいい。眠い。寝る……」

朱儁の立ち去った後の天幕はどうにも喧噪に包まれていたようである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/29(水) 22:02:15.39 ID:MrFH9Qhw0<> ◆◆◆

一陣の風が砂煙を馬車に叩きつける。
ぺ、と男は口内に侵入した砂を吐き出し竹筒から水を呷る。
そのぬるさに顔をしかめながら、大きくため息を。
道程はいつになく適当。荷台には食糧と水。それに酒、茶、塩などの生活必需品と嗜好品が積み込まれている。
いかにも流しの商人でござい、といった風で砂塵の中を彷徨(さまよ)う。
道に転がる岩を器用に手綱を捌いてやり過ごす。隻腕とはいえ、慣れたものである。

これでも歴戦ではある。勘は鋭い方だ。で、あるから嫌な予感がする方へ、気の進まない方へと馬車を進める。進めた。
付き合いの長い相棒もぶる、と幾度となく抗議の声を上げるのだが、それもこれまで。

「ようやくお出ましか」

ぼそり、と呟く男の前に三人の男が現れる。

「おう、ここから先は通行止めだ。命が惜しけりゃ馬車と荷物を渡すんだな」

黄巾を纏った三人組はニヤニヤと下品に笑い、粗末な槍を突きつける。
鎧というのもおこがましい装束に身を纏い、錆びてぼろぼろの槍を武威とする。黄巾がなければそこいらの賊の方がまだしもマシな恰好であろう。
やれやれ、とばかりに馬車を降り、ニヤリ、と笑う。

「おうおう、チビにデブにヒゲか。揃いも揃って不細工だなおい?
 あれかね。黄巾賊ってのは見た目も重要なのか?不細工限定って。
 あれだろ、女とまともに会話できないクチだろオタクら。
 金づくか力づくでしか――」
「てめえ!」

激昂した矮躯の男が飛びかかり、突き刺さんとする槍をさら、と躱して。

「う、あああ!」
「ほい、これで随分男前になったんじゃねえの?」

げらげら、と声を出しながら血に染まった短剣を片手で弄ぶ。
紅く染まった肉の塊――矮躯の男の耳であったもの――を踏みにじり、ぎろり、と睨みつける。ニヤリ、と笑みを重ねる。
先ほどまでの余裕は何処へやら。途端に縮まりかえる三人に苦笑する。

「は、冗談だ。冗談さね。俺としたことが道に迷ってね。八つ当たりしちまったよ」

ぶん、と手にした短剣を頭上に放り投げる。
ぽかん、とその金属の煌きに視線を取られ、再びそれを手にした隻腕の男はいつの間にか黄巾を身に付けていた。

「なに、最近は物騒でね。黄巾を身に付けているだけで官軍が襲ってきやがる。おかげでどこに向かえばいいか分かんなくなっちまったよ。
 食糧に酒、茶に塩をたんまり運んできた。さっさと案内してくれ」

事態の急変に付いていけない三人は呆けたままで。矮躯の男も流れる血もそのままに。

「ほら!さっさとせんか!そこのちっこいのの手当てもせんといかんだろうが!シャキっとせんか!」
「は、はひ!」

慌てて道を示す三人組に満足げに笑って男は再び手綱を握る。

「ほれ、さっさと行かんと踏みつぶすぞ」

ニヤニヤと酷薄な笑みを浮かべる隻腕の男に三人組は確信する。
さぞかし歴戦なのだろうと。自分たちとは格が違うのであろうと。最早彼らの心は折れ、三人がかりでも勝てる気は全くしない。

その様を見下ろしながら男は気を引き締める。ここからが本番。
百戦錬磨の張家の間諜が次々と消息を絶っているのだ。

「……ここまで深入りするつもりはなかったんだがなあ」

ぼそり、とぼやく。
どうにも、自分らしくない忠勤ぶりだ。
これはあれか。かつての同僚にあてられたか。
まあ、それもいい。天涯孤独のこの身である。

土産話を持ってまた、あの飯屋に行こう。
そうしよう。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/29(水) 22:05:31.89 ID:MrFH9Qhw0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

本日ここまですー感想とかくだしあー(大事なことなので)

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
現状では、なんだろうな

確率論
とか

とか
そんな感じでひとつ

ぐはあ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage saga<>2019/05/29(水) 22:07:35.35 ID:5QB3mVXz0<> お疲れ様でした
いい感じですぜ旦那 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/29(水) 22:11:39.98 ID:MrFH9Qhw0<> >>659
はやE <> 赤ペン<>sage saga<>2019/05/30(木) 18:01:41.65 ID:Z+P014w40<> 乙でしたー
>>655
>>肉体的なスペック的な意味で。  俺的に違和感的な物が有る的な
○肉体のスペック的な意味で。   チェケラッ(なんか違う
>>「それも、生きていればこそ、さ。生きてさえすりゃ、なんとかなるもんだ。 【すりゃ】だと《すれば》みたいな感じかな
○「それも、生きていればこそ、さ。生きてさえいりゃ、なんとかなるもんだ。 【生きてさえいれば】を崩すならこうかな
>>遺恨なんてものを引きずり出すのは。 これだと【穴倉から引きずり出す】みたいな感じですが
○遺恨なんてものを引きずりだすのは。 多分ですが【引きずり始めるのは】と言い替えられますよね?だったらひらがなの方がいいと思います
>>656
>>にやり、と口を歪(ゆが)めるその体躯は矮躯なれども気迫は本物。   【躯】の字を2回使うと変な感じが
○にやり、と口を歪(ゆが)めるその身は矮躯なれども気迫は本物。    それとも
○見かけは矮躯なれども、にやりと口を歪(ゆが)めるその気迫は本物。  この方が強キャラ感があるかな?
>>657
>>これでも歴戦ではある。勘は鋭い方だ。 【ではある】だと含むものがあると言うか、歴戦と言う良い所はあるけどそれを霞ませる悪い所がある。ように読めるので
○これでも歴戦である。勘は鋭い方だ。  の方がいいと思います
>>黄巾がなければそこいらの賊の方がまだしもマシな恰好であろう。    この言い方だと黄巾があるのでそこいらの賊よりはましな格好。のように読めますが
○黄巾こそ着けているがそこいらの賊の方がまだしもマシな恰好であろう。 そういや頭に巻いてるのか腕に巻いてるのか…どっちにしろ粗末な格好には変わりない
>>先ほどまでの余裕は何処へやら。途端に縮まりかえる三人に苦笑する。 《静まりかえる》と混じったかな?
○先ほどまでの余裕は何処へやら。途端に縮こまる三人に苦笑する。   さっきまで大きい態度だったのが小さくなるならこうかな
○先ほどまでの威勢は何処へやら。途端に静まりかえる三人に苦笑する。 ギャーギャー喚いてたのが口を閉じたならこっちかな?
>>ぶん、と手にした短剣を頭上に放り投げる。 擬音って扱いが難しいよね。音じゃない音なら保書く《ガギン、と剣が打ち合う》とかなんかアレだし
○手にした短剣を頭上高くに放り投げる。   まあ使っちゃいけないとか言うつもりは全くないんですが
>>土産話を持ってまた、あの飯屋に行こう。  間違いと言うほどでは無いですが
○土産話を持って、またあの飯屋に行こう。  付ける位置としてはこっちの方が良さそうかな?

色々な場所で色々と動いてますねえ
隻腕さん…天涯孤独をモノローグすることで少しマシだけど【土産話に〜】は死亡フラグでっせ
次の戦争の為に、次の次の戦争の為に、なお方はぶれないなあ。まだまだ死にそうにねえわ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/30(木) 21:13:53.95 ID:Zyo9JWRY0<> >>661
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いつもご指摘感謝なんやな

>色々な場所で色々と動いてますねえ
削ろうとも思いましたが、どれも必須なエピソードだなあと

>隻腕さん…天涯孤独をモノローグすることで少しマシだけど【土産話に〜】は死亡フラグでっせ

今一番死にそうなとこにいますw

>次の戦争の為に、次の次の戦争の為に、なお方はぶれないなあ。まだまだ死にそうにねえわ
人生エンジョイしてそうですw
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/31(金) 21:41:57.95 ID:zx68XvgP0<> 「久しぶりね、二郎」
「詠ちゃんも元気そうでなにより」

華琳の軍と別れたと思ったら次は月のとこと合流。なんでも朱儁の軍を追っかけてるとこらしい。
なにそれ状況がよくわからん。

「全く、とんでもない奴よ。こっちの言うことなんて聞きやしないし!
 好き勝手に進軍して!残敵掃討を担当するこっちの身にもなれってのよ!」
「そりゃまた……」

がーっと思いのたけをぶつけてくれる詠ちゃん。できればもっとラブっぽいものをぶつけてほしいものだが。

「好き勝手に逃散する黄巾を殲滅するとかもうね、恋はすぐに飽きちゃうし、霞も文句ばっかり言ってくるし!
 もう!ボクだって好きでそんな命令出してるんじゃないわよ!」

ぷんすかと愚痴る、愚痴る。

「へぅ……。詠ちゃん、ごめんね……。いつも嫌な役回りばかり……」
「月、いいのよ!ボクが好きでやってるんだから」

さっきの言と矛盾しまくりなのだが藪を突いて蛇に睨まれるのもアレなので紳士的にスルーすることにする。

「なによ、何か言いたいことありそうね」
「うん?分かる?実はお願いしたいことがあってさ」

これ幸いと話題を逸らす。

「星……趙雲って、知ってる?」
「知ってるわよ。どこぞの怨将軍が俸禄の半分で召し抱えた豪傑で名将なんでしょ?」
「うん。それ。
ほいでちょっと明日の戦闘でさ、張遼の部隊に編入してほしくってさ」
「はあ?なによそれ……って。そういうこと。涼州騎兵の凄さを見せて、その運用、指揮の妙技を掴ませたいってところかしら。
 そういうのはお仲のよろしい白馬義従にでも頼めばいいんじゃない?」

ツーン、と。
え、え?
なんか冷たいなあ。

「そう意地悪言うなってば。な、頼むよ」

ここで横にいる詠ちゃんの主君に目配せだ!土下座的なオーラで懇願すれば通じるのさ。通じて!

「詠ちゃん……?」

やったぜ。

「ああもう、月まで!いいわよ。二郎にはたくさん借りがあるしね。その代り借款の利子は差っ引いてもらうわよ!
 それでいいわね!」
「おうとも!」

ハイヨロコンデー!
神速の張遼。その指揮っぷりを金で見聞できるなら安いものだ。あ、俺とか多分見ても分かんないからね。念のため。
まあ、なんでこんなことを詠ちゃんにお願いしたかというと、星がね。珍しく……はないけどおねだりしてきたのである。
何でも、如南防衛戦において、紀家軍最精鋭の騎兵を率いたにもかかわらず袁胤殿の陣を抜けなかったことに責任を感じているらしい。
まあ、確かにシャオの援軍がなければ。若しくは孫家が敵であったなればどうなるかというのは散々風と検討して、実に肝を冷やしたものだ。あれはやばかった。
だから、張遼の指揮っぷりを見せてやろうということになったのである。全俺が決めただけだけどな!
それに……。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/31(金) 21:42:24.33 ID:zx68XvgP0<> 「かー、やってられんわー。散り散りな弱兵を殲滅とかやってられんで。賈駆っち、もちっと遣り甲斐あるお仕事ほしいわ」
「何よ、お望みだった恋との手合せ、ちゃんと実現したでしょうが。それでよしとしなさいよ」
「せやけどなあ。いや、この燻った火照りを含めて恋にぶつけるか……」

猫科の肉食獣の笑みを浮かべて張遼は去る。勿論俺みたいな凡将には一瞥すらくれない。実に妥当な反応である。

「……至強を見せておきたくて、な」
「何よ、どういうこと?」
「最強に至るには至強を見せんといかんだろ。だから、さ」

武の極みたる恋。騎兵を操る神速たる張遼。それらを見ることは星にとって大事なことだ。きっとね。
恋をけしかけるのに大量の食糧とかが消えて行ったけどまあ、それも安いものだ。

「知勇兼備の名将にするにゃ、実にお安い買い物ってこった」
「……相変わらずよくわかんないことに心血注いでるのね。ま、借りも相当返したし、ボクたちにとっても悪い取引じゃなかったわ。
 兵を合わせるのは明日だけになりそうね。無論目前の黄巾賊は明日で始末しちゃうんだけど」
「実に結構。まあ、後は賊の本拠地を探すだけさね」
「それが出来れば苦労はしないわよ……」

溜息を四方八方にまき散らす詠ちゃんを慰める月。
うん、今夜どうとか誘う雰囲気じゃないな。

「じゃ、よろしくな!」
「こら!二郎!こら!」

せめてもの思い出とばかりに尻を一揉みして俺は自陣に帰る。
なに、文句があるなら単身俺のとこまでくればいいのさ。

※来ました。

◆◆◆

どこぞの凡将が童女と戯れていたその時。朱儁はかつてない黄巾賊の抵抗に遭っていた。
軽く触れれば崩壊した戦線はいかなる策でも揺るぎなくその戦線を押し上げてくる。
何より。

「なんと。化け物というのはこういうものか。化け物を軍とするとこうまで厄介なのか。
 素晴らしい。うん、素晴らしい。何進もあれだな。こういうのは流石に未見だろうよ」

切り付けても怯まない、死なない幻影兵。それに討ち取った兵士が、討ち取られた戦友が向かってくる僵尸(キョンシー)。
控え目に言って朱儁率いる官軍がその士気を保っているのは奇跡に近い。
それを相対する将は理解している。

「くく、実に。実に健気ですねえ。それだけに心が折れた時の絶望の大きさが今から楽しみですねえ。
 さあ、踊りなさい。存分に踊りなさい。聖処女の為に、死をまき散らすのです……」

ギョロ目の男――波才――の声に物言わぬ躯が起き上がり、官軍に向かう。
中華に積み重なった死により、ありえないほど彼は力に満ちている。

「さあ、幻影兵よ、その真の力を!官軍とやらに見せてやるのです!
 殺しなさい、蹂躙しなさい。そして……更にこの大地に死をまき散らすのです」

当初の物見が二万と看破した波才の軍はその数を増やし、今や十万に迫る勢い。
流石の朱儁が笑みを深める。

「いいじゃないか。こうでなくてはな。五倍の兵との戦いなんぞ求めて得られるわけもない。
 ……各員、奮闘せよ」

愉悦をその矮躯に蓄え、朱儁はそれでもぎろりと敵陣を見据える。
この程度。五倍に囲まれたくらいで窮地と言うほど安穏な軍歴を送ってはいないのである。
本陣において悠然と腰掛け、戦況を見据える。
数の暴力に押される戦線に巧みに猛将、豪傑を派遣し、戦線の維持に努める。
じりじりとした、一進一退の攻防を見事に捌いて見せる。こと、戦術指揮においては官軍総指揮の皇甫嵩を凌ぐ軍才なのは万人が認めるほどのものである。
それでも。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/31(金) 21:43:17.75 ID:zx68XvgP0<> 「そろそろ潮時か」

官軍の奮戦により支えてきた戦線が崩壊しつつあるのをみて朱儁は呟く。
手元の護衛兵すら戦線に投入し、少しずつであるが防衛に適した密集陣形を。
それを好機と見たか黄巾賊は一気に包囲殲滅のために陣を広げる。
前面のみならず、側面から。やがては後背からも来るであろう圧力に禁軍は必死に抗う。
兵卒に至るまでの士気の高さ、その教育こそが禁軍の強み。ゴリゴリと削られながらも心が折れることは無い。
漢朝の守り手たる禁軍最精鋭がこんなところで負けるわけにはいかないのである。

「んー、思ったより粘りますねえ。まあ、包囲殲滅すればいい。それだけのことですねえええええええ」

更に僵尸を動かし、幻影兵を官軍の背後に召喚すべく意識を集中させる。
数の暴力で英傑を踏みつぶすなど、何と背徳的かと。実に愉悦であると。

黄巾賊の雑兵、幻影兵、僵尸。

それらに囲まれてなお、戦線を、士気を保つ朱儁というのは評価されるべきであろう。
そこにはこの世の地獄というものが顕現していた。
槍で突いても損傷を与えられない幻影兵。動きは鈍くとも、身体の損傷をものともせずに吶喊してくる僵尸。
いずれも厄介極まるものである。

「密集陣形を!固まれ!化け物を恐れるな!」

無茶な注文にそれでも禁軍精鋭は応える。なに、この状況で恐慌せずにあくまで哄笑を漏らす指揮官。
理解できない戦況に混乱するよりよほどいい。
じわり、と周囲を囲まれつつあっても動ぜずに目前の敵を討つ。

「いいじゃないか」

朱儁は戦場の推移に満足げに頷く。既にほぼ包囲されており、袋のネズミ。

「実に素晴らしい。素晴らしい戦場であった。人外と、奇奇怪怪と戯れるなぞ望んでも得られぬよなあ。
 だが、それも潮時。そろそろ撤退の刻」

だが、退路すら断たれてどうするのか。
そんな声を上げる参謀に朱儁はニヤリ、と笑いかける。

「なに、随分と退路が見えてきたというところだ。お膳立ては整った。
 では、撤退するぞ。人外の相手は野獣に任せるとしよう。
 全軍、撤退!前面に向け、撤退せよ」

包囲する黄巾。その本陣に朱儁は撤退。或いは突撃を。
包囲するために薄くなった正面の備えを容易く食い破り、朱儁は満足げに笑う。

「素晴らしい」
と。

世に言う、「朱儁の退き口」である。

包囲する敵陣の正面に突撃し、撤退するという空前絶後の行為は以後千年ほど模倣しようとする将帥あろうとも実現は果たせぬ幻影であった。
むしろ、この例を模倣した軍はほぼ壊滅している。
実に、狂犬たる朱儁に相応しい逸話である。

後世、余りにその有効性を疑問視され、捏造の類と断じようとする史家は多くあったが、覆すには至らなかったようである。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/05/31(金) 21:44:36.40 ID:zx68XvgP0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名なにかなー

退き口

とか?なんかちげーなー
いい感じの^やつ、オナシャス

ほんとにオナシャス <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/05/31(金) 23:21:12.92 ID:KU9Q2QRe0<> 乙でしたー
死中に活にもほどがあるわいw <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/01(土) 10:49:49.77 ID:0wrsipkm0<> 乙でしたー
>>663
>>「好き勝手に逃散する黄巾を殲滅するとかもうね、    好きで逃げてるんじゃないと思うなあ…詠ちゃんからすればそう愚痴りたくなるのも分かるけど
○「てんでバラバラに逃散する黄巾を殲滅するとかもうね、 【蜘蛛の子を散らすように】とか【無軌道に】とか…どれがいいかな
>>まあ、なんでこんなことを詠ちゃんにお願いしたかというと、星がね。珍しく……はないけどおねだりしてきたのである。  コレは一つの文っぽいかな
○まあ、なんでこんなことを詠ちゃんにお願いしたかというと、星がね、珍しく……はないけどおねだりしてきたのである。  【星がね】が【珍しく〜】にかかってるから【。】を使わない方が良さそうかな
>>全俺が決めただけだけどな!       言葉遊びの方向でいいのかしら
○全俺による賛成10割で決定されました! だとすればこうかな?或いは【全俺による賛成多数で可決されました!】とか?【全部俺が決めただけだけどな!】そう言った言葉遊びが無い感じならこう?
>>664
>>軽く触れれば崩壊した戦線はいかなる策でも揺るぎなくその戦線を押し上げてくる。 せんせんせんせせんせか〜ら
○軽く触れれば崩壊した戦線はいかなる策でも揺るぎなくむしろ押し返してくるほど。 【戦線】は1回で済むようにした方がいいかな?と
>>流石の朱儁が笑みを深める。     まちが…間違いじゃねえなこれ!
○流石の朱儁はむしろ笑みを深める。  とはいえもうちょっと読みやすい感じに
>>数の暴力に押される戦線に巧みに猛将、豪傑を派遣し、戦線の維持に努める。  戦線であることは2回言わなくても分かるので
○数の暴力に押される戦線に巧みに猛将、豪傑を派遣し、維持に努める。     【その維持に努める。】にしても良いかもしれませんね
>>665
>>兵卒に至るまでの士気の高さ、その教育こそが禁軍の強み。  間違いでは無いですが
○一兵卒に至るまでの士気の高さ、その教育こそが禁軍の強み。 の方がいいと思います

>>以後千年ほど模倣しようとする将帥あろうとも実現は果たせぬ幻影であった 千年後に実現させたのがいるのか…まあそれっぽい逸話もってる偉人?変人?に憶えがあるけどさ
波才と二郎ちゃんニアピンしたのか…というか人外の相手を任される野獣って多分彼女よね狂犬に野獣呼ばわりされるとかw
ところで黄巾の10万って内訳はどんなもんでっしゃろ?元々黄巾で現在キョンシーになってるのも含めて2万と、元は禁軍だけどキョンシーになったのが1万くらい?あと7万は召喚された幻影兵とかそんな感じかな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/01(土) 16:41:43.99 ID:6Y4HC9+6o<> 乙ですー

これでこそさすがの朱儁
当初のイメージ画像に恥じない狂いっぷりでやはり私はここの朱儁が大好きですww


題案は
『狂犬の鼻先に立つこと無かれ』
あたりで <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/02(日) 12:30:52.61 ID:k3EGAfXmo<> 乙したー
流石うぉーもんがーはやることがマジ○チだぜ!!

なんでこんなのが禁軍従えてんだろうなマジで・・・・・・ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:44:54.12 ID:rCfXuQOi0<> >>667
どもです。

>死中に活にもほどがあるわいw
たったひとつの冴えたやり方的なw
多分一当てしてからずっと撤退方法検討してたのだと思います

>>668
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>千年後に実現させたのがいるのか…まあそれっぽい逸話もってる偉人?変人?に憶えがあるけどさ
1400年だったかな?まあ誤差?

>…というか人外の相手を任される野獣って多分彼女よね狂犬に野獣呼ばわりされるとかw
多分戦力分析は当代有数だと思いますw

>ところで黄巾の10万って内訳はどんなもんでっしゃろ?元々黄巾で現在キョンシーになってるのも含めて2万と、元は禁軍だけどキョンシーになったのが1万くらい?あと7万は召喚された幻影兵とかそんな感じかな
ほむ?
定数10万で流民とか死体から補充されていくイメージです。
死体に貴賤はないんやなって。
幻影兵は旦那の頑張り次第。

>>669
乙をありがとうございますー

>これでこそさすがの朱儁
うむ!

>やはり私はここの朱儁が大好きですww
ありがとうございますー!
多分凡将伝の朱儁は相当尖ってると思います!
ここ以上に美味しい朱儁は見たことない。最近巡回してないですけどw

>『狂犬の鼻先に立つこと無かれ』
ほむ。素敵。お素敵倶楽部。どうやったらこういうの思いつくのかと問い詰めたい!嫉妬だ!

>>670
乙をありがとうございますー

>流石うぉーもんがーはやることがマジ○チだぜ!!
大丈夫!頭対魔忍よりはまともだ!

>なんでこんなのが禁軍従えてんだろうなマジで・・・・・・
大体何進が悪いよー何進がー

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:46:28.30 ID:rCfXuQOi0<> 陽は中天にあり、じりじり、と素肌を焼く。
ねっとりとした汗を感じながら男は隻腕で器用に馬を操る。水先案内人の三人は日差しにばて気味であり、歩みはだんだんと緩慢になっていく。
実に一週間。彼らと合流してからの時間である。
黄巾の本拠地にまっしぐらのはずであるというのに、これだけかかるというのには理由があるようである、
曰く、黄巾の内部での地位は供した物資、資金に比例する。
曰く、黄巾本拠の近隣には既に村落は存在しない。
故に彼らは遠くまで出稼ぎに出たということらしい。だるそうに歩く彼らも、当初の切迫感はない。なんとなればある程度の物資は彼らの取り分――案内の手数料として――になるというからである。
まあ、彼らの言うことを信用するのなら、だ。
ただ単に軽く迷っている。その方が説得力があるというものである。

「つ、疲れたんだな、アニキ」
「ばっきゃろう!娘娘(ニャンニャン)たちに会いたくないのかよ!」

ん?と男は彼らの雑談に引っ掛かりを覚える。

「おう、お前さんたちはどの娘っ子が好みなんだい?」

軽く問いかけながらも男は緊張に汗をかく。器用に目に見えないところにだけであるが。

「そりゃ……天和ちゃんにきまってまさね」
「かー!アニキは尊敬してるけどこればっかは譲れないなあ。そりゃ地和ちゃん一択でしょうが!」
「れ、人和ちゃんが一番かわいいんだな……」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:46:55.38 ID:rCfXuQOi0<> ぎゃあぎゃあと論争を始める三人組を顔に苦笑という表情を張り付けたままに男はその言葉を刻む。
何せ黄巾賊の内部事情については全くと言っていいほど知られていないのだ。あらゆる情報は黄金の価値。

「ほらほら、もうすぐ飯だからな。さて、あとどんくらいだ?」

このペースで三日ほど北上したくらいであるということらしい。
男は密かに戦慄する。なんとなれば、男が認識する地理においては、そこは南皮からほど近く、徒歩でも十日ほどの地点になってしまう。彼らの言い分を信じるのならば、だが。
そして。男を焦らせるのは、じわり、と纏わりつく視線のようなものである。
男はこれでも歴戦である。勘には自信がある。腕を喪ってからはなおのこと。
そして、一番自信があるのは逃げ足である。危機管理である。
まだ行けるは、もう危ない。

(こいつら、始末して引き返すか……?)

内心の呟きを苦笑と共に否定する。この、粘りつくような感覚は幾度も覚えがある。これを受けた後は決まって奇襲があったものだ。
目前で尚も論争を繰り広げる三人組を始末するのは悪手であると本能が訴えかけている。むしろ状況を悪化させそうな。
ならば、この、誰かに監視されているような感覚が徐々に強まる今が分水嶺。
大きくため息をつき、相棒たる馬の鬣(たてがみ)をやや乱暴に撫でつける。いよいよその時が来たのだ。
想えば、相棒と言いながらも名前を頑なに付けなかったのはこの時のため。

「じゃあな、相棒」

その言葉に想いの他湧き上がる感情に苦笑する。なんだ。名前などなくともこんなにも自分は愛着というものを感じていたようで、笑える。
まあ、それはそれとして、だ。

「おい、ちょっと先行っててくれ」

既に用意していた当座の食糧、水を背負って三人組に声をかける。

「へ?旦那、どうしたんで?」
「ん。お前らにゃ分からんかもな。見張られてる、ぜ。俺たち。 
 ここは俺が適当に煙に巻く。だからお前たちは先に行け。なに、すぐ追いつくさ」

にやり、と笑って馬車から器用に飛び降りる。

「へ?で、でも……」
「なに、娘娘たちのとこに官軍を連れてくわけにもいかんさね。こいつは預けるだけだからな。頼んだ」

返事も聞かずに男は悠然とこれまでの道を引き返す。
唖然としながら三人組は当惑を隠さない。

「ど、どういうことなんだな」
「わからん。が、まあ確かに敵を誘い入れちゃあなんねえ。今まで、誰の侵入も許していないんだから、な。
 俺たちがその尊い前例を破るこたあない。なにより……」

上手くいけばこの、満載された荷物は彼ら自身の功績になるのだ。

むずかる馬に鞭を入れながら三人組は意気軒昂。
これは幸運。降って湧いた幸運。ここのところめぼしい獲物を得られなかった自分たちに降って湧いた慈雨。僥倖。

彼らは足取りも軽く、本拠を目指すのであった。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:47:22.17 ID:rCfXuQOi0<>
「二郎さん、賈駆さんがおいでです〜」

へ、なんで?
事態を飲み込めてない俺をくすり、と笑いながら風はその場を去り、詠ちゃんを案内してくる。

「では、ごゆっくり〜」

相変わらず何を考えているのかよく分からん笑みを浮かべながら風はその場を去る。
それに遅れること数秒。うん、張家の監視も解かれたみたいだ。解せぬ。
そして俺の前にはどこか怒ったような詠ちゃんがいるのである。
あれ、怒ってる?
もしかして、お尻、揉んだの怒ってるの?いやそんなまさか。

「もう、あんな呼び方することないでしょ!
 ……まあ、ボクを内密に呼ぶにはああするしかなかったと思うけどね。
 でもね、ああいうのは金輪際やめてほしいな」

ええと。どういうことでしょうか。

「あの場では、密偵が入り乱れるあの場では言えないこと、明かせないこと。きちんとボクと打ち合わせたかったんでしょ?
 それくらい、分かるわよ。でも、ね。ボクは散々月にからかわれたんだから……。
 もうちょっと考えてほしかったな。うん、もうちょっと考えてほしかったな」

今度はどこか上機嫌に詠ちゃんは俺に向かって貴重な笑顔を向けてくれる。その笑顔の理由が読めないからなんか後ろめたい。

「ええと、あの、だな」
「そんな顔しないの。
いいわよ、言わなくても分かってるわよ。
 きちんとこれからの指針をボク達と……ボクと打ち合わせたかったんでしょ?
 そりゃ、月には聞かせられないこともあるもの、ね」

いやまあ、確かに詠ちゃん……と言うか董家軍とは歩調を揃えんといかんからな。
武では万夫不当の恋に神速の張遼という化け物。それを補佐するのも一流。敵にしたいという奴は変態どころか自殺志願者である。
アララーイというか来来。

「黄巾なんて所詮は雑魚よね。そのあと。戦後の趨勢をこそ今擦り合わせないといけない。今だからこそできる。
 言われなくっても、分かってるわよ」

な、なるほど。そういやそうだったね。黄巾なんて前座……というのは何か嫌な予感がするんだけんども。

「なによ。そんな顔して。何か不満なの?」
「いや、地顔だよ。気にしないでくれ」
「全く。袁家と董家は一蓮托生なんだから。
 ほら、もっとしゃきっとする!」

そっか。そだよね。巻き込んじまったんだもんな。ほいで、一緒に行くんだもんな。

「ああ、だらしないとこ見せちまったな」
「いいわよ、二郎がだらしないなんていつものことでしょ?
ボクは知ってるもの。そんなの、いいの。
 ちゃんと、ちゃんとしたところを見せてくれたら、いいの。
 格好いいとこ、見せてくれるんでしょ?」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:47:49.72 ID:rCfXuQOi0<> 詠ちゃんにそこまで言われたら、やるしかないじゃんよ。
いや、元々やる気はあったし。問題ないし。別にやる気追加されてるとかないし。

「だからね。きちんと、ちゃんとこの機会に二郎とこれからのことを話し合っとかないとね。
 まあ、もうちょっとマシな呼び方を考えてほしいんだけどもね?」

ほーんと、やめてよね。と肘でグリグリとしてきながら、微妙にもたれてくる。
うむ。あたってんのよ。

「黄巾後、その展望なんて衆目の中じゃあ語れないものね」

くすり、と詠ちゃんは笑ってうーんとばかりに伸びをする。あ、二の腕に感じてた柔らかな感触が名残惜しい。

そして俺の様子を見たのだろう。詠ちゃんは悪戯(いたずら)っぽく笑う。
そして、キリ、と顔を引き締めて。

「曹操と、会ったわ。あれは傑物なんてものじゃないわね。破格と言っても言葉は上滑りするわ。
 あんなのと打ち合うなんて、二郎。
二郎の正気を疑っちゃったわよ。ほーんと。
 そして朱儁。あれはあれで化け物ね。いえ、きちんと人間なんだけど、なんていうか、常軌を逸してるわ。
 アレを使いこなす何進って二郎が言うよりとんでもなくない?
 ま、ともかく。
 何進と曹操。この乱が治まったらあの二人と遣り合うんでしょ?」

いやいやいやいや。あの二人を敵に回すとかありえんってば。むーりーでーすー。

「違うって。当座の敵は……」
「十常侍。弁皇子を押さえた何進。それに対するは宦官の血縁たる曹操。
 袁家はそうね。その二者とは隔絶して国防を担うのかしらね」

ずばりそのとおり。何進と華琳の政争になんぞ麗羽様を巻き込ませてなるものかよ。

「ま、元から勝ちの見えてる何進に加えて曹操、そして袁家の支持。
 十常侍がいかにやり手であっても抗うすべはないわね。
 ボクが見るところ、十常侍の影響力を朝廷から滅するまでは三者は協調できるから、ね。
 そして、その後だって、ボクは、ボク達は二郎に、袁家に賭けてるんだから。
 少しはしゃきっとしてよね!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:48:17.08 ID:rCfXuQOi0<> なんとまあ、詠ちゃんは既に黄巾の戦後。そして俺の描くそれすら想定内であるようで、頼もしいことこの上ない。
でも袁家は基本、十常侍を排除したら中央からは去る予定であるのだがね。

「ま、どうせ二郎のことだから十常侍が排除されたら袁紹殿に太尉を返上させて北方守護に専念するとか思ってそうだけどね。
 それ、難しいわよ?その政治的空白にどんな魑魅魍魎が群がるか。それこそ困ったことになるでしょう」

おおう。流石である。つか、そこまで筒抜けとは思わなんだ。そこら辺は、俺からぶっちゃけてる沮授とか張紘くらいにしか知られてないと思ってたんですけどね。所詮凡人の思惑ですよね!

「うるへー。そこまで考えてないさね。とりあえずは十常侍排除。そこまでならばなんとかなりそうだろ?」
「ええ、そうね。勝ち目はあると思うわ。ううん。きっと勝つでしょ。なにせボクが味方してあげるんだからね。
 ま、それからも味方してあげるから。せいぜい恩に着なさいな」

なんたって、漢朝有数の武を誇る董家は袁家に与するのだから、と豊かな胸を張る詠ちゃん。

「うん、ありがとうな。助かるよ」

この借りはどう返したらいいのかな?と問う。

「知らない。精々考えることね!」

悪戯っぽく笑う詠ちゃんは本当に可愛い。刹那変わる表情の多彩さに、こんなにも目が離せない。いや、魅せられている。

「……とりあえず、飯食ってけよ。うちの飯は美味いぞ?」

気を取り直して夕食に誘う。
何せ流琉が監督しているからな!

「ふうん?じゃあ、お言葉に甘えようかな」

それがいい。食べて驚けばいいのさ。
陣中の食事とは思えないから。
ニヤリ、と笑う俺をフフン、と詠ちゃんは笑っていなす。
まあ、その余裕の態度もあと暫くである。

ククク。

◆◆◆

※おまけ

「なにこれ。ほんと、美味しい……」

「ふう、食べ過ぎちゃったかな」

「もう遅いし、泊まってけよ」
「え?」
「一応、月んとこにはそう使者を送ったし」
「え?
 って、こら、なにすんのよ。こら、駄目だってば。
 そんなつもりで来たわけじゃないんだから」

よいではないかよいではないか

「こ、こら。駄目だって。ば……。
 もう……、馬鹿……」
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/03(月) 21:49:12.85 ID:rCfXuQOi0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名についても、めがっさ(古い)募集中だにょろ!(特徴的な語尾) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/03(月) 22:06:19.43 ID:qKYKBHsso<> 乙です

詠ちゃんはほんとかわいいなぁ
原作の時から可愛いけど、ここの詠ちゃんは原作よりかわいいと思うww
有能なのにちょっとずれててでも愛が深いとか、惚れてまうやろー!(これも古い)


題案は
『未来を詠うのは白妙の枕の上で』
とかいかがでしょ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<><>2019/06/04(火) 13:07:51.09 ID:wKaY7B+k0<> ここの詠ちゃんダメ男に簡単に引っかかりそう… <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/04(火) 17:05:03.26 ID:cf6CklzN0<> 乙でしたー
>>672
>>陽は中天にあり、じりじり、と素肌を焼く。  これだと実際に音が出てるようですね。例えるなら【トントン、と扉がノックされる】みたいな
○陽は中天にあり、じりじりと素肌を焼く。   【ぼさぼさの髪】とか【ピカピカと光る宝石】みたいな擬音の場合は【、】は使わないですね
>>「そりゃ……天和ちゃんにきまってまさね」   喋り方だから間違いとは言いずらいですが
○「そりゃ……天和ちゃんにきまってまさぁね」  なんとなくここはちょっと伸ばすとような気がします
>>673
>>このペースで三日ほど北上したくらいであるということらしい。  英語ぅ
○この調子で三日ほど北上したくらいであるということらしい。   実は向こうでは結構普通に使ってるのは知ってるw
>>そして。男を焦らせるのは、じわり、と纏わりつく視線のようなものである。  【視線のようなもの】……まあ確定できないっちゃできないのかもだけど
○そして。男を焦らせるのは、じわり……と纏わりつくような視線である。    耳をそばだててたりもいるかもですが隻腕さんが感知しそうなのはやっぱり視線でしょうし
>>その言葉に想いの他湧き上がる感情に苦笑する。 この【想いの他】は【考えていたよりも】に置き換えられるので
○その言葉に思いの外湧き上がる感情に苦笑する。 になりますね
>>俺たちがその尊い前例を破るこたあない。なにより……」  意味は分かるのですが【前例】だと《こういう時はこうする》とかの何かをする事っぽい気がします
○俺たちがその尊い伝統を破るこたあない。なにより……」  伝統と言うほど歴史は無いですが、そこはまああれということで
>>675
>>「十常侍。弁皇子を押さえた何進。それに対するは宦官の血縁たる曹操。       この言い方だと十常待と何進が同じ勢力っぽいですね
○「十常侍ね。その後は弁皇子を押さえた何進。それに対するは宦官の血縁たる曹操。  こんな感じでどうでしょう
>>676
>>ま、それからも味方してあげるから。せいぜい恩に着なさいな」  意味は分かるんですよ
○ま、そのあとも味方してあげるから。せいぜい恩に着なさいな」  ただ微妙な違和感が

>>定数10万で流民とか死体から補充されていくイメージです。 ああいや、>>当初の物見が二万と看破した波才の軍はその数を増やし、今や十万に迫る勢い。 とあるから増えた8万はどこから湧いてきたのかな、と
死体が散乱してる場所で待ち構えてたとかなら…それでも8万もこの場に溜めといたら匂いも酷そうですが
>>敵にしたいという奴は変態どころか自殺志願者である。  朱儁「えっ?」…というか史実通りなら麗羽様が盟主になって連合組むんですが
相棒は多分乗るのに適さないから食用にされるんだろうな…黄巾をおとなしく乗せるとは思えん
「俺に任せて先に行け。なあにすぐに追いつくさ」死亡フラグ…いや、これは裏切りフラグだな!(なお元から黄巾ではない模様
二郎がまーた女をコマしていやがる…詠ちゃんは取らぬ狸の、とは言わんがあんまり先を見過ぎてると足元掬われるぞ。というか二郎もなぜか起こった黄巾のようになぜか反董卓連合が組まれる可能性を…凡人にはムリかな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/04(火) 20:19:35.29 ID:6Qfdbrem0<> >>678
乙をありがとうございますー!
やっtぜ

>詠ちゃんはほんとかわいいなぁ
きゃわわわわあわ

>原作の時から可愛いけど、ここの詠ちゃんは原作よりかわいいと思うw
ありがとうございますー!
まあ、原作は尖ってましたからね。あれ、月を口説きに行ったからなんですよね。
仔猫を守る親猫がフシャーって感じなのだと思います

しょっぱから詠ちゃんに行ってたらこんな感じになるんじゃないかなあと思います

>、惚れてまうやろー!(これも古い)
ちちしりふとももー!

>『未来を詠うのは白妙の枕の上で』
やだ、綺麗。
どうやったらこういうのさらっと出てくるのか、嫉妬権現ですよ

>>679
>ここの詠ちゃんダメ男に簡単に引っかかりそう…
爆笑w
しかし逆説的に凡将伝の詠ちゃんが引っかかったのは駄目男じゃないということになりませんか?
いや、別に二郎ちゃんが駄目男という主張をしたいわけではないですがw

>>680
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

> 朱儁「えっ?」…というか史実通りなら麗羽様が盟主になって連合組むんですが
メメタァw
いやまあそうなんですが現状、黄巾すら予想できてない凡人なので。なのでえ!

>相棒は多分乗るのに適さないから食用にされるんだろうな…黄巾をおとなしく乗せるとは思えん
oh
この発想はなかったが多分そうなりそうだが荷駄にワンチャン……っ!

>「俺に任せて先に行け。なあにすぐに追いつくさ」
言われてみれば草w

>二郎がまーた女をコマしていやがる…
既にこましてたからセーフ(せやろか)

>詠ちゃんは取らぬ狸の、とは言わんがあんまり先を見過ぎてると足元掬われるぞ。

大草原ですね。分かります。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/04(火) 20:58:16.09 ID:6Qfdbrem0<> 「何よ、これ……」

賈駆は目の前の光景に言葉を失っていた。そして断じて認めたくなかった。
万夫不当が、神速が将として率いて、神算鬼謀たる自分が軍師を務める董家軍。
それが、潰走している、などと。

「いや、負けた負けた。実に徹底的に負けたぞ。では後は任せた」

そんなことを言い残して朱儁は洛陽に帰還して行った。禁軍を再編するのだという。最精鋭の多くを喪い、ロクな軍にはなるまいがそれもまたよし。
そのような言を、哄笑と共に去る朱儁とその配下――確かに数は相当に減っていた――を唖然と、呆然と見送るしかなかった。
今から思えばもっと詳しい情報を吸い取るべきであったのだ。間違いなく朱儁が率いていた軍は中華でも最強を名乗る資格のある精鋭だったのであるから。

袁家軍と別れて――どうやら何か掴んだらしい――すぐに黄巾の大軍と接敵。
それはいい。数で上回る黄巾との戦いなど幾度も重ねている。最近は朱儁の打ち漏らした残敵の掃討のみであったが。
涼州騎兵の突撃を止められる軍なぞ存在せず、ただ蹂躙されるのみである。そう。そのはずであった。

「なんやねん!突いても切っても倒れへんとかありか!おまけにこっちの攻撃がすり抜けるとかなんやねん!」

前線からもたらされる悲鳴にも似た報告に董家軍は混乱する。
ただならぬ空気に従順かつ勇猛な軍馬も悍馬と化す。鉄の統制、団結が強みの董家軍にとってそれは致命的。
それでも戦線を維持していたのは将の有能さを示していたのであろう。だが、それも限界。ただ、数の暴力で押し寄せる黄巾。やがて蟻の一穴は波濤をもたらす。

「これはいかんのですぞ!支えきれないのです!」

悲痛な叫びは陳宮のもの。
もとより騎兵とはその突破力が持ち味。防衛なぞ不向きこの上ない。
兵と将の質で支えるにも限界が来る。

「これは……。
撤退するしかない、か」

むしろこのタイミングで決断した賈駆の戦術眼こそ誉められるべきであろう。彼女の命を受け、銅鑼が撤退の合図を董家軍に知らしめる。

「ちい!業腹やけどしゃあない!けったくそ悪いなもう!
 退け!退くで!こんなんで死んだらアホらしいしな!」

見切り千両とばかりに董家軍はたちまちに戦線を放棄し、撤退を開始する。死闘の最中にそれを成し遂げたのは将兵の非凡さ故のものであろう。
不気味に押し寄せる死霊の軍勢を尻目に見事に転進、撤退を果たすのである。

ただし、死霊の軍団は疲労など欠片も見せずに董家軍を追撃、追跡する。
無言で迫り死を撒き散らす。災厄そのものの姿。
きっとそれはいずれ中華全土を覆うであろう。そう思わせるほどに大地に死の気配を撒き散らしていた。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/04(火) 20:58:41.85 ID:6Qfdbrem0<> ◆◆◆

「流石と言うべきなのでしょうねえ」

ギョロ目の男――波才――はその貌に笑みと言われる表情を浮かべながらひとりごちる。
先日の官軍には包囲殲滅を確信したその瞬間に包囲網を突破された。しかも本陣すぐ横を。
そして董卓の軍勢に至っては見事な転進である。もっとも。

「逃(の)がしはしませんけどねえええええええええええええええええええ!」

制御下の幻影兵と僵尸(キョンシー)に更なる進軍を命じる。肉体的な疲労とは無関係な彼らは命令に従い行軍速度を速める。
……元々は黄巾の軍に幻影兵や僵尸を潜ませていたのだが、今やそれは逆転どころか。波才の操る傀儡のみの軍勢である。
士気に関係なく、犠牲を加味することなくただただ大地に死を振りまく。それもこれも。

「んー。いいですねえ。死の香り。絶望の呻き。生への渇望とその叫び。実に素晴らしい。
 ああ、素晴らしい。素晴らしいですねえ。ですが、物足りませんねえ」

足りないのだ。生者がいると。
嘆きが、怨嗟が。絶望が、諦観が。足りない。実に足りない。
ただ、それも積み重なった死こそが全てを癒やす
死者の軍を率いてから、連戦して負け無しである。

「なんとも健気ですねえ。無駄な抵抗というものですがねえ」

睥睨(へいげい)する先では何やら小細工を。

「ほう。中々に厄介ですねえ。流水の上では幻影兵は無力……。心外ですが僵尸の力押しといきますか……」

より一層深まる死の気配。常人ならばそれだけで発狂するであろうそれに目を細め、波才は命を下す。

「さあ、僵尸よ、蹂躙なさい。そしてその死を歌姫たちに捧げるのです……」

◆◆◆

「頼んだわよ、恋。ボクが軍を再編するまでの時間を稼いで!
ほんと、無理はしなくていいから!」

なんとも情けない言であるかと賈駆は自己嫌悪に身を焦がす。
何が軍師か、何が神算鬼謀かと。個の武に全軍の命運を託すことしかできないのかと。

「ん。任せて。本気、出す」

その煩悶を知ってか知らずか。
呂布は表情を変えずに宣言する。誰あろうと防衛線は越えさせないと。
常にない、呂布の表情。故に賈駆は最善を尽くす。
そして防衛線である。黄巾に対する防衛線を築く。
河を渡すその橋梁に築く。荷馬車、岩、枝なんでもいい。
障害物で進路を閉ざす。僅かに開く進路は呂布の支配下。数を頼みに押し寄せてくる僵尸を無感動に呂布は見渡す。

「皆は、恋が守る……」

殺到する僵尸。だが障害物のお蔭か精々同時に相対するのは十体ほど。手にした奉天画戟が風切り音を生ずるたびに灰は灰へ、塵は塵へと。
吹き荒れる暴風になすすべもなく僵尸たちはそれでも打ち寄せ、散っていく。それでも並みの武将が相手であればその数の暴力でいずれば奔流が呑みこんでいたであろう。
だが相手取るは万夫不当。淡々と奉天画戟を振るい、ひたすらに打ち据えていく。一撃必殺の連撃。圧倒的な数の暴力をものともせず、中華最強の武を遺憾なく発揮する。
中天にあった日輪が西の地平に墜ちる頃、呂布は軽く伸びをする。
撃滅した僵尸、実に三万余。
ただ個人の武によりそのすべてを打ち払い、ついに董家軍の撤退を完全以上に援護し、守護(まも)りきったのである。

「おなか、減った……」

呂布はとぼとぼと董家軍の陣を目指す。そこには敵を防ぎきったという達成感なぞ欠片もなく。
帰る先を探す迷い子のような儚い少女の姿しかなかった。

いずれにしろ、董家軍は呂布が稼いだこの半日で軍の再編に成功する。混乱と恐慌の色の濃い軍をまとめきったのは流石の手腕であろう。
そして、その戦力と士気をすり減らした彼らは袁家軍と行動を共にすることになる。

涼州騎兵と並び漢朝を守護してきた漢朝の防壁、武の要。いよいよ袁家軍が黄巾本隊と接敵することになるのである。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/04(火) 21:01:06.56 ID:6Qfdbrem0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

仮題「万夫不当」
なんですが、本当に色気もなんもないので、毎回恐縮ですが案をオナシャス。
オナシャス。

いやほんと毎回助かってますし助けてください助けてください。
うごごごごごご

あと、恋が黄巾散漫じゃない三万は公式設定でして、それを尊重したらむしろやべえ奴になった感
武の極みを目指したらここを越えないといけないゾ!
頑張れ星ちゃん! <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/05(水) 12:00:57.80 ID:+PY5lyaU0<> 乙でしたー
>>682
>>そんなことを言い残して朱儁は洛陽に帰還して行った。 【帰還して】と【行った】が別ならこれで良いんですが、例えば《食料を補給して、行った》【、】で分けられるかどうかで判断すればいいかな?
○そんなことを言い残して朱儁は洛陽に帰還していった。 【していった】と言う動詞なので漢字にはならないですね
>>今から思えばもっと詳しい情報を吸い取るべきであったのだ。  意味は分かるのですが違和感が
○今にして思えばもっと詳しい情報を吸い取るべきであったのだ。 の方がいいと思います
>>涼州騎兵の突撃を止められる軍なぞ存在せず、ただ蹂躙されるのみである。 文として間違ってるわけでも無いですしこれで良い気もしますが
○涼州騎兵の突撃を止められる軍なぞ存在せず、ただ蹂躙するのみである。  詠ちゃん視点の感じなので蹂躙する側かな?と
>>むしろこのタイミングで決断した賈駆の戦術眼こそ誉められるべきであろう。   【機を見るに敏】とかもありますが
○むしろこの退き時を逃さずに決断した賈駆の戦術眼こそ誉められるべきであろう。 【潮時】の方がいいかな?【潮時を見極めた】とかどうでしょう?
>>683
>>士気に関係なく、犠牲を加味することなくただただ大地に死を振りまく。それもこれも。  上の文で【傀儡のみ】って言ってるし
○士気に関係なく、犠牲を考慮する必要もなくただただ大地に死を振りまく。それもこれも。  【加味しない】だと発生するけど無視するみたいに読めるので
>>嘆きが、怨嗟が。絶望が、諦観が。足りない。実に足りない。  せっかくなので
○嘆きが。怨嗟が。絶望が。諦観が。足りない。実に足りない。  全部【。】にした方が力強い感じがします
>>ただ、それも積み重なった死こそが全てを癒やす   【足りない】わけですし
○ただ、それも積み重なった死こそが全てを満たす。  とかどうでしょう【。】は抜けてるのか次の文と続いてるのかちょっと分かりませんが一応
>>「ほう。中々に厄介ですねえ。流水の上では幻影兵は無力……。心外ですが僵尸の力押しといきますか……」      【心外】って思いもよらないこと、みたいな意味なので
○「ほう。中々に厄介ですねえ。流水の上では幻影兵は無力……。儘ならぬものですが僵尸の力押しといきますか……」   ここは思い通りにいかない、みたいな感じなので
○「ほう。中々に厄介ですねえ。流水の上では幻影兵は無力……儘ならないものですねえ。僵尸の力押しといきますか……」 いっそこれでどうでしょう
>>なんとも情けない言であるかと賈駆は自己嫌悪に身を焦がす。  敵が敵だけにこの場で再編してもどうしようもなさそうなのがホントもうね
○なんと情けない言であるかと賈駆は自己嫌悪に身を焦がす。   もしくは【なんとも情けない言だなと】でどうでしょう
>>手にした奉天画戟が風切り音を生ずるたびに灰は灰へ、塵は塵へと。 呂奉先だからこれっぽいですよね、ちなみに【奉天】は都市の名前らしいですな
○手にした方天画戟が風切り音を生ずるたびに灰は灰へ、塵は塵へと。 PUKIWIKI ?とか言うので調べてみても普通の三国志関連で調べてみても【方天画戟】でした
>>吹き荒れる暴風になすすべもなく僵尸たちはそれでも打ち寄せ、散っていく。 ちょっと違和感が
○吹き荒れる暴風になすすべもない僵尸たちはそれでも打ち寄せ、散っていく。 もしくは【なすすべもなく、僵尸たちは】の方がいいと思います
>>だが相手取るは万夫不当。淡々と奉天画戟を振るい、ひたすらに打ち据えていく。 【打ち据える】だと叩いて動けなくしてる感じですが…【塵は塵へと】だし
○だが相手取るは万夫不当。淡々と方天画戟を振るい、ひたすらに切り裂いていく。 それとも【打ち砕いていく】?首を落とせば動かなくなるイメージもありますが(そうなったら呪縛が解けて砂になるとかも)呂布が怪力で粉砕してるんだろうか
>>中天にあった日輪が西の地平に墜ちる頃、 世紀末を想起する暗喩とかならアリですが呂布が勝ったし…それなら《堕ちる》か
○中天にあった日輪が西の地平に落ちる頃、 墜落だとなんか真っ逆様な感じもありますし

死兵(物理的な意味で)を3万とか原作以上だよね…足を落としても這ってくる、腕を落としても噛みついてくる、腹を裂いても意に介さない
よーし二郎、今のうちに呂布に困ったことがあったらいつでも頼ってくれとか言っとけ。むしろ董卓含めて全員にリップサービスしとけ
詠ちゃんが【ボクは、ボク達は二郎に、袁家に賭けてるんだから。】って言ってるんだから <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/05(水) 18:23:25.19 ID:SiX+zhICo<> 乙したー
流石武力100は役者が違うぜぇ・・・ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/05(水) 21:37:04.60 ID:q3p1HjlC0<> >>685
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回多いな。。
精進せねば

>死兵(物理的な意味で)を3万とか原作以上だよね…
やべえよ……
まあ、多分ゾンビゲームみたいに一定以上のダメージで崩壊とかそういうことでしょうきっと

>よーし二郎、今のうちに呂布に困ったことがあったらいつでも頼ってくれとか言っとけ。むしろ董卓含めて全員にリップサービスしとけ
ifルートは実装されてますからご安心くださいませ
※構想は完成していますが書けるかどうかは別です

>>686
ステータス100とはそれほどまで別格なのです <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/05(水) 21:54:21.75 ID:q3p1HjlC0<> 「なん、だと……?」

朱儁と董卓ちゃんが黄巾に敗走させられたと知って絶賛パニックな二郎です。
いやいやいやいや。ないって、マジないって。朱儁が率いてるのは禁軍だぜ?禁軍!禁裏を守護する漢朝最精鋭と言っていい軍団だぜ?それが敗走とか冗談にしても笑えない。
それに董家軍だ。かの涼州騎兵が黄巾ごときに遅れをとるとかありえん。だって恋とかいるんだぜ?

「呂布将軍は単騎で三万に及ぶ黄巾を討ち取ったらしいです〜」

マジか。あれだな。一将功なりて万骨枯るを三倍にした感じか。言ってて実感わかんけどさ。
単騎で三万とかありえんって。それ人間やめてるだろうが。
それにしたって、なあ。

「さて、どうされます?此方の準備は万端とはいえ、正面から僵尸や幻影兵の相手をすることもないとは思いますが〜」

まあなあ。華佗の懸念そのままに僵尸とか幻影兵とか。慌てて華佗を呼んではいるが即断で来ても到着はまだまだ先であろう。
化け物退治なんぞ趣味じゃあないのだが。
だが。

「やるっきゃないだろうが」

気が進まない。僵尸とか幻影兵とかどう対処したらいいか分からん。が。

「禁軍、董家軍が敗走したんだ。漢朝を支える武の象徴が倒れたんだ。これ以上やらせるわけにはいかん。
 袁家軍までもが逃亡したとなれば再び黄巾が各地から湧くだろうよ。
 だから、やらねばならぬ。というやつだ」

禁軍最精鋭と董家軍を敗走させた化け物たちと遣り合い、勝たなくてはならないのだ。
ここで俺たちまでもが敗走することになれば、黄巾の火は漢朝全土に広がるであろうからに。

「なあに、俺たちは強い。黄巾なにするものぞ、だ。
 風よ、漢朝の興廃、この一戦にあり。何をしてもいい。勝つ算段を頼む」

いっそ悲壮な思いを込めて見やると、風はいつも通りつかみどころのない笑みを浮かべ、是、と応(こた)えてくれる。

「承ったのです〜。こう見えて風は一流ですから〜。
 黄巾撃滅、お安いご用です〜」

くふふ、と笑みを浮かべる風がいてくれてよかったと思うのである。

「ん、頼んだ」

言わずもがなのことをそれでも口にしてしまう。それでも風はにこりと笑い、あちこちに指示を飛ばすのだ。
頼んだぞ、風!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/05(水) 21:54:48.50 ID:q3p1HjlC0<> ◆◆◆

地平を僵尸(キョンシー)が埋める。埋めていく。大地が三分に僵尸が七分。圧倒的な存在と物量である。
命無き死体の群れ。その動きはぎこちなく、どこか人形を思わせる。それでも、白い大地を黒く浸食する彼奴らは控え目に言って不気味。
漂う死の気配にしょんべん漏らしそうである。いや、漏らさんけどね。
さて、この白い大地が赤く染まるのか……って。

「白すぎだろう……」

俺の独白に傍らに控える風がくふ、と笑う。

「何をしてもいいと二郎さんはおっしゃいましたし〜。
 しかし皆さまには申し訳ないかもしれませんねえ。見せ場もなく、盛り上がりもなく。 
 ただただ勝ち易きに勝つ。面白味のない戦いになるかと〜」

風の言葉にフン、と鼻を鳴らす。

「面白味のある戦いなんぞいらねえよ。やるなら楽勝、好きなのは殲滅戦。勝馬に乗れないならば自らが勝ち馬にならんといかん。
 勝ち易きを創ることが出来るならそれが最上。いやさ、戦わずして勝つまでは行かずとも、戦うときには必勝でありたいよね」

基本、辛勝とか興味ないんで。ギリギリの戦いとかいらないんで。

「くふ。準備は万端、後は結果をご覧くださいな」

ざく、ざくと足音が聞こえてくる。僵尸どもの足音が。この世ならざる存在が主張するのだ。最早日常などないと。
ごくり、と生唾を飲み込む音が配下の兵卒に聞こえているのではないかとびくびくする。将帥はいかなる時も悠然としなければならない。
将帥の混乱は兵の壊乱を生むのだからして。
緊張気味の俺を安心させようとするのか、風は更に語る。

「ですから、そんなに緊張することはないのです〜。あくまで厄介なのは幻影兵ですし〜。
 何の脈絡もなく発生するのですからそりゃ混乱しますよね。そして突いても切っても怯まない僵尸。これは士気が砕けますよ」
「だから、厄介なんだろ?」
「いえいえ。おそらく、幻影兵は気にしないでいいかと〜。
 そして、僵尸対策は既に果たされています。敵を知り、己を知る。この一戦ですが。
危ういことなぞ、なにもありません。
 戦とは、戦う前に勝敗は決しているものですしね〜」

押し寄せる敵軍。その前で俺と風が暢気にこういう馬鹿トークをするのにも意味はある。だが、一抹の不安もあったりする。

「でもさ、あれ、大丈夫なの?」

兵卒が抱える武器を見て俺は風に問う。幾度も繰り返された会話、半ばそれは配下に聞かせるためのものだ。

「槍の代わりに棍。特に問題はないと思いますが〜?」
「いや、殺傷能力が違うだろ」
「やですねえ。相手は既に死んでますし。結構苦労したんですよ?数を揃えるのには。主に張紘さんが、ですが〜」

くすくすと笑う風に俺も苦笑する。まあ、風の立てる絵図が駄目ならば仕方ない。

「ま、風が言うなら大丈夫なんだろうさ。で、俺は単騎で適当に突撃すればいいの?」
「ええ。星ちゃんと流琉ちゃんが続きます。配下のみなさんはそれに続くでしょうし、それでおしまいです」

そんなに簡単に片付くもんかねえ。

「くふふ。二郎さんは小難しいことを考えずに突撃してくれたらいいのですよ。
 重ねて言いますが、星ちゃん、そしてなにより流琉ちゃんが傍らにいる限り敗北はあり得ません」
「そうかい。じゃ、ま。いっちょいきますか」

戯言もこれまで。
丹田に力を込めて叫び、馬を走らせる。

「全軍!突撃!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/05(水) 21:55:14.85 ID:q3p1HjlC0<> ◆◆◆

「幻影兵よ、敵陣を切り裂くのです……」

恍惚とした表情で波才は術式を組上げる。幾度となく官軍を屠ったその式はここにきて発動しない。

「な!なんです?なぜ!」

暫しの狂乱。そして下す決断は自らの術に自信を持っている波才にとっては屈辱そのもの。

「許しません。許しませんよお!僵尸よ!蹂躙なさい!起き上がりなさい!」

蓄えた死体を起き上がらせる。幻影兵とは違い、僵尸は本来夜闇にこそ真価を発揮する。
が、ここで袁家軍を撃滅するというのは大きな意味を持つ。出し惜しみなどしない。持てるすべてで蹂躙してくれる。

「狂いなさい、祈りなさい、死になさい!その存在は彼女らのために。死を捧げるためにあるのですから……。
 さあ、奏でなさい!戦場ではない、屠殺場の即興曲。そして世界は私に、彼女らに跪くのですよ……」

ぐぎ、と次々に僵尸が動き出す。いかにも鈍重な動きであるが、その耐久力は折り紙つきだ。かの呂布の一撃でもない限りそう感嘆には散華しない。
そして白い大地は紅く染まるであろう。死は積み重なり、この中華を覆うであろう。

「白い、大地……?」

波才はざく、と踏みしめたその大地を改めて睥睨する。なんだ、これはと。

「これは、糯米(もちごめ)……!そして兵卒の棍は……桃木……!」

はめられた!いや、違う。これ以上なく対応された。これが袁家の強さか!恐ろしさか!
分かっていてもここまでできるものか!やろうと思うものか!やろうとしてもできはしない!

「これは……いけません、が。ここで押し切れば漢朝は崩壊……っ!
 僵尸よ、僵尸よ!来たれ!死よ!死よ!」

もはや幻影兵の召喚は諦め、舞い寄る死に任せて次々と僵尸を向かわせる。が、一歩ごとに僵尸は力を失っていく。
なんと、非常識な!僵尸の弱点が糯米であるからと言って戦場に糯米を散らすなど! 
桃の木剣が有効だからと言って兵卒の武装を桃の棍に統一するなど!

「ありえない!ありえません!」

次々と打ちのめされていく。これまでその耐久力で兵卒の心を折ってきた僵尸があっけなく散華する。散華していく。

「ヒャッハー!汚物は消毒だー!」

そんな言葉と共に敵軍は僵尸の群れを蹂躙する。その先頭を駆ける武将より、その脇を固める二人により陣は崩壊していく。
特に、騎乗せず、徒士の少女に至ってはその一撃、そしてその余波でで数十、数百の僵尸を霧散させる。

「これはいけませんねえ……」

狂乱も数瞬。たちまちに口元は半月に歪む。

「いいでしょう。お招きしましょう。その資格がある。資格を認めましょう。
 ですが、思い知らせてやりましょう。覚悟なさい。惑いなさい。散りなさい!それが。それこそが役割なのです。
 大地は死を、流血を求めているのですよ!それを理解しなさい!従いなさい!死になさい!」

波才は甲高く笑いながらその場を後にする。
哄笑を残して戦場を後にする。
なに、これからが本番であると。いつでも官軍なぞ撃滅できると。

受ける凡将は、これまたニヤリ、と笑う。

「妖術幻術、なに、お呼びじゃあ、ねえのさ」

世に言う黄巾の乱。いよいよ治まる時である。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/05(水) 21:55:48.91 ID:q3p1HjlC0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

明日とあさっては飲みがあるみたいなので更新ないっす
ねむ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/05(水) 22:08:11.71 ID:kk2E1mCuo<> しびれるくらいかっけえぜ怨将軍
『魔や幻想を破りしは人間の特権』 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/06(木) 14:30:56.67 ID:WbOXws4k0<> 乙でしたー
>>688
>>朱儁と董卓ちゃんが黄巾に敗走させられたと知って絶賛パニックな二郎です。  137話 凡人と万夫不当で>>「はい。私のことは月って呼んでください」となってるので
○朱儁と月ちゃんが黄巾に敗走させられたと知って絶賛パニックな二郎です。   こうですね
>>689
>>「ええ。星ちゃんと流琉ちゃんが続きます。 あれ?風って流琉の真名貰ってたっけ?読み飛ばしちゃったかな?自信ない
>>そしてなにより流琉ちゃんが傍らにいる限り まあ仮に書いて無くても行間で交換してるかもしれないし気にするほどじゃないか
>>690
>>かの呂布の一撃でもない限りそう感嘆には散華しない。  呂布の一撃は確かに感嘆に値したな
○かの呂布の一撃でもない限りそう簡単には散華しない。 こうですね
>>舞い寄る死に任せて次々と僵尸を向かわせる。 スリラー?突然のミュージカルが鳴り響く
○這い寄る死に任せて次々と僵尸を向かわせる。 多分こうですよね?キョンシーが踊りながら進軍するなら別ですが
>>そしてその余波でで数十、数百の僵尸を霧散させる。 余波で数百って凄すぎね?断空拳でも使ってるのかな
○そしてその余波で数十、数百の僵尸を霧散させる。  【で】が一つ多いですね

化け物を退治するのはいつだって人間だって!?知力と権力と金があれば弱点丸出しの化け物なんぞ鎧袖一触よ
たまにそういう合理を一切無視した英雄がいたりするけど
人、物、金、非日常は結局日常に勝てはしないんだなって <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/06(木) 21:58:10.06 ID:6ngqee6l0<> >>692
どもです。

>しびれるくらいかっけえぜ怨将軍
いやほほい

>『魔や幻想を破りしは人間の特権』
痺れる!

>>693
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>化け物を退治するのはいつだって人間だって!?知力と権力と金があれば弱点丸出しの化け物なんぞ鎧袖一触よ
傾向と対策は実際大事
まあ今回は風ちゃんと張紘君のコンビプレイですね
備えあれば嬉しいなー!

>人、物、金、非日常は結局日常に勝てはしないんだなっ
割と思うのですが、風ちゃんいなかったら詰むという状況なのです


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/10(月) 21:36:46.82 ID:k0e7lzj50<> 「しかし、あっけなかったなあ。ほんとにアレに禁軍や董家軍がやられたのかいな」

ぼそりと呟いた俺の声に風はくふ、と笑う。

「ええ、そうだと思いますよ?いきなりあの軍勢の相手をするのは流石に困難なのではないかと〜。
 今回は……事前に情報をもらってましたから。賈駆さんには感謝ですね。
 それに、僵尸(キョンシー)のみであったのも大きかったですね。神出鬼没の幻影兵に、並の損傷では倒れない僵尸。
初見で当たれば潰走は間違いなしかと〜」

そりゃあ、士気を保つのも難しいわな。言われてみればそらそうだ、と。
ふむ。幻影兵が出なかったのはラッキーだったってことか。

「にしてもまあ、よくも桃の棍とか糯米(もちごめ)とか準備してたな」

あ、大地に敷き詰められたもち米は戦後に母流龍九商会(スタッフ)が有効活用しました(意味深)。
まあ、ほっといても鳥獣に食われるだけだしね!詳しくは知らんけど!

「そもそも黄巾が邪法を扱うかもしれないというのは華佗さんから聞いていましたし。そうなればそれに備えるのが軍師の勤めというものです。
 彼(か)を知り己を知れば百戦危うからず。とは申しますが知るだけではいけないのですよね。
それをどう活かし、動くかが重要なのです」

孫子に無数の注釈書があるのはだからなのです、とふにゃりと笑う。

「そういう意味では曹操殿の注釈書は白眉ですね……と。
話が逸れてしまいました〜。
 李典さんの工兵隊に攻城兵器を備えているのもそのためでしょ?
備えあれば嬉しいな、とは常日頃二郎さんのおっしゃることですし。
 まあ、その分維持費はかかりますが……」

はん。

「金で勝利が買えるなら安いものさ。これ以上に活きた金の使い道はない」

俺の言葉にくふ、と風は笑みをこぼす。

「お仕えする方が二郎さんでよかったですよ〜」
「や、俺こそ風がいてくれてよかったさね」

メイン軍師――いや、他に軍師いないけど――が風でよかったなと思う今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
俺は元気です。
空はこんなにも青くて、風も爽快。ぽくり、ぽくりと馬の歩みにがらがらと馬車が揺れる。
荷を満載した馬車を揺らしながらのんびりと。

「そろそろですかねえ」

風はそう言って黄巾を身に付ける。うん、美少女は何をやっても美人さんだなあと思うのである。
俺はまあ、あれだ。適当に身に纏う。

「うし。まあ頼むわ」
「承りましたのです〜。それではよろしくお願いしますね〜」

風のその言葉に頷く間もなく、俺たちは黄巾賊に囲まれていたのである。
うし、釣れたぜ。
そして凄んでやろう。こういうのは最初が肝心だしね。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/10(月) 21:38:07.43 ID:k0e7lzj50<>
「あ?お前ら何?
なーに武器とか構えてんの?」

むくり、と身を起こして三尖刀を軽くしごく。
は、と下品に嘯(うそぶ)く。

「やんのか、あァ?」

死ねや、殺すぞとばかりに雑魚どもを睥睨する。今ここで殺してやるとばかりに威圧する。
実際こいつら皆殺しにしてもいいと思うの。社会の害悪ですよゴミですよ。うむ。それは正義だ。
そんなことを思う俺の視線を受けた先頭の黄巾賊の男がひ、と手にした棍を取り落す。
俺と風が操る馬車を取り囲んだのは三十ほどの黄巾賊。なに、これくらい本気を出さずとも瞬殺である。瞬殺である。瞬殺してやりたい。
今宵の虎徹は血に飢えておるわ。虎徹持ってないけど。昼だけど。

「おやおや、これはどしたのでしょうね〜。別に喧嘩を売りに来たのではないのですよ。どなたか、お話できませんかね〜」

ふん、と鼻息一つ荒くして三尖刀を収める。ぎろ、と睨みつける俺の視線に気圧されつつも黄巾賊の男は近づいてくる。おかしなことしようとしたら上半身を砕いてやるぞとばかりに隙なく視線を。

「もう、二郎さん、激しいのは夜だけでいいのですよ。
ほら、おじさん、怖がらなくていいのです。
 風たちは旅の行商。故あって黄巾に草鞋を預けることになりましたが〜」

……俺と風が商人に偽装して潜入すると言うのには紆余曲折があった。けして帰らぬ間諜、細作。辛うじて情報を持ち帰ったのは商会の末端である。
度重なる修羅場、死線を潜ったあいつがぎりぎりまで身を挺して、相棒たる馬を犠牲にしてまで持ち帰った情報には千金の値がある。
そして持ち帰ったあいつの言葉、単語を聞けば俺はいてもたってもいられなく。単身潜入を決意していたのである。
それを紀家軍のほぼ全幹部から抗議を受け、風を伴うことになった。星とか流琉とかは納得してなかったみたいだけどね。
ただ、ある意味これはきっと俺の落とし前になるはずなのだ。なるはずなのである。
風には「二郎さんがうまいこと潜入できるとは思いませんし、これまでの間諜、細作が潰えた前例を加味すると風がお供するしかないかと。流琉ちゃん、星ちゃん、ここは風にお任せくださいなのですよ」などと押し切られてしまった。のである。

「くふふ、うちの人が、ごめんなさいなのですね」

結局俺と風が二人で潜入することになったのだ。
まあ、流しの商人夫婦という設定には思う所もあったのではあるが、俺一人だとどうにもいけないということであるらしい。
珍しく風がお説教をくれた。要約すると「木乃伊(ミイラ)取りが木乃伊になる」とのこと。
まあ、自分に自信のない俺であるからして、風の同行については大歓迎したわけである。星ちゃんについては……商人夫婦ならともかく武人夫婦が黄巾に近づくなんて無理がありすぎるということで。

「目録と積荷は確認してくれて構わないのですよ。ほら、二郎さん、どいてくださいな〜」

風の声にのそりと居場所を移す。
にこやかに黄巾賊の対応をする風に舌を巻く。

「ええ、積荷は米と茶、酒に装飾品ですね〜。いずれも一級品と言っていいですよ?
 ほら、この髪飾りなどお兄さんのいい人には喜ばれますよ〜」

安物、とは言えない。持ち込んだ装飾品はいずれも一級。ことによったら国宝レベルである。
つまり、黄巾の最奥には女がいるのではないかという――。

「おう、こりゃいいや、てんほーちゃんも喜んでくれるか!」

「くふ、広がる天のような方にはこちらが、広がる大地のような方にはこちら、そこに集まる人を愛でる方にはこちらですかねー。
 ああ、おひとり様一点限りですよ?それ以上は、流石に商売に支障をきたしますしねー」

次々と用意していた装飾品を黄巾の下衆どもに渡していく。うう、分かっていても、実にもったいねえ。

「はい、というわけで風達はそれなりの待遇を求めるのですよ。きっと風達を優遇するといいことありますよ?」

まさに悪魔のささやき。利益供与そのもの。うむ、紀家の本懐であるな!

「ああ、風達を始末してこの積荷を総取りとか考えてる貴方、残念でした。風にはまるっとお見通しなのですよ。
 二郎さん、お願いしますね〜」

あらほらさっさー。

「悪、即、斬……!脳漿を!ぶちまけろ!」

一撃でその頭部を喪失した身体を蹴っ飛ばしてみたらじゃらりと銅銭やら銀子が零れ落ちる。

「さて、次は、誰だ?悪い子はいねが?」

ぎろりと目前の奴らを睥睨する。
うん、大丈夫みたい。
うん。臭い。アンモニア臭いわ。

そうして、俺たちは黄巾の本拠に潜り込んだのだ。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/10(月) 21:39:32.08 ID:k0e7lzj50<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名、
「潜入」

とかもうね「。ほんといつもみいたいに気の利いたのよろしくお願いします。
ほんとオナシャス。

な <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/11(火) 11:46:45.77 ID:dJz34HSq0<> 乙です〜
こっちではすっごい久しぶりです〜

個人的には黄巾からの風無双は好きな場面ですので楽しみです〜
流石俺の嫁!

しかし、この辺りの流れって風がいなかったらめちゃハード展開だったんじゃないかと
はおーの所に行っていたらはおーの無双が始まるよー!って流れだったのだろうか〜

さて、こっちもたまに覗いていますので
無理せず頑張って下さいませ〜 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/11(火) 17:29:06.55 ID:Pw3fAJDT0<> 乙でしたー
>>695
>>彼(か)を知り己を知れば百戦危うからず。とは申しますが知るだけではいけないのですよね。  普通に【彼(かれ)を知り】らしいですよ
○彼(かれ)を知り己を知れば百戦殆うからず。とは申しますが知るだけではいけないのですよね。 目の前の画面で調べると【殆(あや)うからず】と出ました
>>「そういう意味では曹操殿の注釈書は白眉ですね……と。 これは突っ込んどこうかな…もっと別の時代の故事からの言葉ならそこまで気にしなくてもいいと思いますけど
○「そういう意味では曹操殿の注釈書は秀逸ですね……と。 コトバンクより 《蜀(しょく)の馬氏の五人兄弟は みな秀才であったが、まゆに白毛のある馬良が最もすぐれていたという、「蜀志」馬良伝 の故事から》多数あるもののうち、最もすぐれているものや人のたとえ
>>696
>>そして持ち帰ったあいつの言葉、単語を聞けば俺はいてもたってもいられなく。 《単語にいてもたっても》って違和感が
○そして持ち帰ったあいつの言葉、想いを聞けば俺はいてもたってもいられなく。 二郎ちゃんが直で聞いたのかは知らんけど震える声やら睨むような目やらから受け取ったんでねえかしら
>>などと押し切られてしまった。のである。  間違いかな?間違いじゃ無いかな?微妙です
○などと押し切られてしまったのである。   おちゃらけた風に言うならアリな気もするし…ただ状況的に二郎ちゃん大分マジモードっぽいし
>>まあ、自分に自信のない俺であるからして、   例えば《風には自信がある》とは言わずその場合は《風の事は信頼してる》のように自信ってそもそも自分の事なわけで
○まあ、自信と言うもののない俺であるからして、 それとも【自分を信じられない俺】【自信を持てない俺】とかどうでしょう
>>ぎろりと目前の奴らを睥睨する。 【目前】って目の前じゃなくてもうすぐとかすぐ近くとか…なんか違和感が
○ぎろりと周りの奴らを睥睨する。 そこいらにいる奴らって言うならこの方がいいかな?

精神系に弱い二郎君だとアレが覿面だろうからねえ…一発KOしそう風ちゃんグッジョブ
こういう風にフラッと黄巾の仲間に加わった奴らってどのくらいいるんだろ?情報統制がしっかりしてるからそこまで多くなさそうだけど
まあ勝手に黄巾巻いて名乗ってればそのうち接触できれば…先に軍に潰されそうだな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/11(火) 22:27:10.87 ID:AgUM6pEl0<> >>698
どもです。

>こっちではすっごい久しぶりです〜
ほんまや!

>流石俺の嫁!
屋上w

>しかし、この辺りの流れって風がいなかったらめちゃハード展開だったんじゃないかと

泥仕合以下の消耗戦になってそうですねw
いやまあ、対策はあっても幻影兵がね。

>はおーの所に行っていたらはおーの無双が始まるよー!って流れだったのだろうか〜
これは黙秘w
ぶっちゃけたとこについてはあっちのDMでいただいたらぶっちゃけますw

>>699
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
やったぜ

>普通に【彼(かれ)を知り】らしいですよ
まじっすか
むしろ、「ちょ!待てよ!」的な衝撃

> これは突っ込んどこうかな
これはあえてですが、ありがとうございますー!
風ちゃんについてはメタにアクセスできそうなあれやこれや

>精神系に弱い二郎君だとアレが覿面だろうからねえ…一発KOしそう風ちゃんグッジョブ
一発です。
特攻ですわw

>こういう風にフラッと黄巾の仲間に加わった奴らってどのくらいいるんだろ?情報統制がしっかりしてるからそこまで多くなさそうだけど
どうでしょね。考察もなにもしませんが、普通に数千から数万は月間でいそうだなあと思ったりします

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/12(水) 22:44:57.98 ID:f08mCkly0<> 「わあ、これ、凄いよ?ちぃが貰ってもいい?ううん?もらいたい!」

はしゃぐ妹に張角は苦笑する。最近はこのような供物は久しくなかったのだ。妹がはしゃぐのも無理はない。
他にも、見事な細工物、装飾品が並べられている。
――もとより装飾品の優劣、華美具合で彼女たちの魅力が左右されるわけではない。だがそれでも。この中華でも一級品と言えるその装飾品についてはやはり心を奪われてしまう。
それは当たり前のことと思う。中華で屈指の才能が人生を賭けて作った装飾品。それに感じ入るのは、この芸を志した身にとって当たり前のことである。

「まあ、いいんじゃないかな?おねーちゃんにはそれ似合わないだろうし」
「ありがとー。でも、もうちょっと豪華なものを身に付けてもいいと思うんだけどなー」

妹の声にあはは、と誤魔化すのは長姉。どうにも落ち着かないのである。そんなそぶりは絶対に見せないが。

「姉さん、無理してない?」

だからそんな声にも躊躇なく答えられる。

「うん!美味しい物も食べられるし、みんな私たちの歌を、踊りを気に入ってくれている。
 これは凄いことだよ。私はこれを大事にしたい。それで、もっとみんなに喜んで、楽しんでほしいな!」

そう、と笑みを浮かべる妹にその思いを確かめる。
自分たちは、目の前の観客が喜んでくれればそれでいいのだ。
それでいいのだ。

それだけでいいはずだったのである。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/12(水) 22:45:24.67 ID:f08mCkly0<>
……通された室は思いのほか立派であった。

「黄巾も苦しいのでしょう。その本質は略奪、強奪です。官軍が本気になった今、ほぼすべての戦線で敗走が続いているでしょう。
 ですから、ですから。
風達の動きは慎重かつ大胆にいかねばならないのですよ。
 お分かりになりましたよね?つまり、ですね」

ふう、とやや大げさにその身をねじって。

「ここで風は二郎さんに身を捧げないといけないのですよー」

な、なんだってー!

「いや、なんでやねん」

びしり、とチョップを風に食らわす。そういう冗談とか今はいいから。

「うう、この痛みも二郎さんの愛情となれば風は喜んで受けるのですよ」

などといいながら、にんまりと微笑みながら俺に抱きついてくる。そして耳元で囁く言葉。

「くふふ、二郎さんは無防備すぎるのですよ。そこがいいとこでもあるのですが。
 ただし、今この時。注目を集め過ぎですねえ。
 え、何故ですって?それを真面目に聞いてくるところ、好きですよ?
 そういうとこを風は貴重と思うのですー」

くらりと世界が揺れる。揺らぐ。え、なんで?

「くふふ、どこまでも風は二郎さんにお付き合いするのですよ。
これも、惚れた弱み。というやつですねー」

横たわる俺の首筋をぺろり、と舐めあげてくる。
猛禽に捕食される草食獣というのはこういう気持ちであろうか。

そんなことを思いながら、俺は風にその全体を蹂躙された。
或いは蹂躙した。

◆◆◆

のそ、と程立は寝台から身を起こす。傍らの男は高鼾(たかいびき)である。
敵中ど真ん中というこの状況でのこの態度。自分が誘導したとは言え、豪胆というのか暢気と言うべきなのか。
それも全ては足跡により判断されるであろう。負ければ迂闊、粗忽。勝てば英雄豪傑である。
そう、結果こそが重視されるものである。
故に程立は傍らの、仕える男と身体を重ねたのである。

鈍痛は未だに消えないが、どうということはない。自らが望んだことではあるし。
無論、躊躇う主君をけしかける論拠である黄巾による監視なぞ嘘八百である。無論、監視の目はあるかもしれないが、それを文弱の徒である自分が看破できるはずはない。
だというのに、である。馬鹿正直に自分の言を容れた主君。なんともありがたくも危ういか。

そう、善戦しても負ければ意味はないのである。おそらくこの時代において程立はそれを最も認識している軍師である。
庶人の身からの立身。その過程においていくつも幸運を掴んできた。とはいえ紙一重の勝利であることも多かった。
運ではなく論理により勝利を手繰り寄せるのが軍師の使命。となれば「知る」ことは必須である。

彼を知るのは己を知るよりも困難。で、あれば己をより知らねばならない。仕える主を知らねばならない。

「その人を知るには肌を重ねるのが一番手っ取り早いですねえ」

陸遜の言葉である。けだし名言であろう。特に自分は仕える主を知ってはいない。のほほんとしながらも本質は激情家であり、一方で卓越した政治家でもある。
そんな彼の思考。特に窮地、極限での判断の思考を読むには身体を重ねるのが一番いい。
そして、悦楽に飲まれる自分についてもだ。常ならぬ悦楽に乱れ、疼痛に困惑する。
それらを味わいながらも客観視できるというのが程立という軍師の強み。

そう、既に程立は黄巾については終わったものと思っている。官軍が本腰を入れた時点で詰んでいる、と。
なに、多少苦戦する――朱儁や董卓のように――軍が出てもそれはごく一部。
戦術的勝利で戦略的勝利は覆すことは出来ないのだ。

それを、直感というより理性で理解している主君――無論紀霊のことである――をこれでも程立は高く評価しているのだ。でなければ仕えない。まして、その身を重ねたりしない。

「くふ、勝ち易きに勝つ。徹底させてもらいますよ〜」

誰にというわけでなく宣言したそれは、幾度となく繰り返されることになり、実現されることになるのである。
彼女の手により、実に幾度も面白味のない戦が織り成され、それがため、悪名をも受けることになるのであるが、それはまた別の話である。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/12(水) 22:45:51.33 ID:f08mCkly0<> 「ほ!ほ!ほあーーー!」

怒号が響く。熱気がうねる。
正直、ドン引きである。ないわー。マジでないわー。などと言えるはずもなく、引きつった笑みで迎合する。
一体何が始まるというのか、戦々恐々な俺である。

「くふ、どしたのですかー?」

風が横にいてくれてよかったなあと思う。マイペースなその声に平静さをいくらか取り戻せた気がする。

「や、なんかほら、周りがすごいからこう、ね」
「くふふ、二郎さんもおかしなことをおっしゃいますね〜。戦場に立つのに比べたらどうということはないと風は思うのですが」

あ、確かにそうか。別に生死を賭けてるわけじゃないしな。

「そりゃそうか。いや。その通りだな。みっともないとこ見せちゃったかな」
「いえいえ、そんなことはないですよー。二郎さんがどこに、何に注目するかとか色々参考になりましたし」

くふ、とほくそ笑む風に強張っていた力が抜けるのを感じる。
なんとも頼りになる。いやさ、そう思わせるために色々と気を使ってくれていたのであろう。にんまりとした表情に内心感謝感激雨霰の俺である。

通されたのは観客席の最前列だった。もはや要塞と言ってもいい建造物の内部の一角。そこの最重要であろう施設。それは一見劇場のように見える。
そして、俺は愕然とすることになる。唖然とすることになる。つまり、呆然、である。

「みんなー!あいしてるー!」

そんな言葉がなぜこの劇場に響くのだ。響き渡るのだ。

「みんなだいすきー!」

てんほーちゃーん!

ぞくり、と俺の魂魄が悲鳴を上げる。これ以上はいけない。これは毒だと。俺は俺でなくなってしまうと。染め上げられる。染められていく。その予感。もしくは確信。

「はいはいー、二郎さん。
とんとんしましょうねー。とんとんー」

忘我の俺。その耳朶に風の声が響く。

「や、すまん。ぼおっとしてた」
「くふふ、風はこう見えて一流ですから。まるっとお見通しなのですよ〜」

きゅ、と俺の手を握る風。そのぬくもりが俺を正気に戻す。だから、ぎゅ、と握り返す。
くふ、と笑みを浮かべて身を寄せてくる。

そして理解する。因果というものはあるのだと。
俺の目の前で踊る娘たちはいつかどこかで目にした、苦言を呈した娘たち。
その歌舞楽曲は俺が想定したものを上回り、魅了してくる。いや、控え目に言って素晴らしいステージではある。

「マジかよ」

漏らした呟きを傍らの風は聞いたろうか。俺にはそれすら気にする余裕はない。
いや、風なら間違いなく聞き逃さない。見逃さないだろうなあ。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/12(水) 22:46:36.14 ID:f08mCkly0<> ◆◆◆

どんよりと落ち込む男に程立は内心苦笑する。てっきり、吠えた激情のままに押し倒されるものと思っていたのだが。
どうやら本当に余裕がないようである。そんなにも気にすることかと程立は思うのである。
行きずりの芸人に、その芸の行く先を示唆したことがそんなにもいけないことか、と。
確かに彼の示唆なくばあの舞台はなかったかもしれない。だが、それを気に病むというのはいささか筋違いであろう。
実際、黄巾の乱が自分のせいであるとばかりに落ち込むその姿は程立の目には危うくすら映る。そんなにも人は全知全能ではいられないのだ。地上の事象をいちいち気に病む必要がどこにあろうか。
ふむ、と暫し程立は考え込む。この場合どのような言葉をかけるのが効果的であろうかと。

「はい、二郎さん、とんとんしましょうねー。とんとーん」

結局これだ。肌を重ねたというのに変わらぬ関係、変わらぬ立ち位置。いや、それは自分が望んだことではあるのだが。

「すまんな、風」

のそり、と男は身を起こし、天を仰ぐ。血走っていた眼は平静を取り戻しているように見える。が、さて。

「多少は落ち着かれましたか〜?」

「……乱なんて起こさせないって思ってたんだ。ああ。結局は乱なんて大概食い詰めた流民が起こすものだろう?
 だから、さ。食わせればいいと思っていたんだ。食い物に困らなければ乱なんて起こらないって思ってたんだ。
 ひたすらにそれを最優先に頑張ってきたんだよ」

どうも、黄巾の首魁のあれこれを思って落ち込んでいたのではないようである。もっと深い煩悶があるようだ。それを自分にぶちまけてくれようとしている。程立は黙って続きを促す。

「黄巾を見た。その中枢というか、真髄を見てよかったと俺は思う。あれだ。結局あいつらは暴徒だ。遊民だ。
 娯楽を求め、それに耽溺しているんだ。そして数を頼みに暴れているんだ。自らは何も生み出さず、消費するのみ。
 だから、奪うしかない。それがこの黄巾の乱の本質だ。本質なんだ」

顔を覆い、吐き出すその言は苦く響く。

「娯楽に耽溺する余裕を創ったのはきっと俺だ。食うに困らん奴がこんなにも増えたのは俺が、俺が……」

悲壮な色すら帯びるその声に程立はむしろ怒りを覚える。

「はいはいー。
二郎さん、とんとんしましょね。とんとーん」

そう言いながら程立はきゅ、と紀霊に抱きつく。そして耳元にその唇を寄せ。

「いってえ!」

がじり、と遠慮なくその耳朶を蹂躙する。

「痛い、痛いってば、風?痛いよ?」
「くふ、それはよかったのです。つまりはそういうことなのです」
「は?わけわかんねえよ」
「二郎さんの手はそこまで大きくないのです。中華の人民すべてを掬おうなぞ、所詮痴人の妄想。できることをできる範囲でやっていくのが二郎さんでしょう?
 ですから、気にするだけ無駄なのです。取りこぼしたものは切り捨てるが吉ですよ〜」

くふ、と笑って程立はちろり、と。耳朶を舐めあげるのだ。

「そ、か。そう、だな。そうだよな。いかんな。自分が何様と思いあがっていたかも知らん。
 短く持ってコツコツ当てる。そいつが俺のやり方。
うん、そうさ、みっともなくも這いずるのが本来の想定で……」

どうやら持ち直したようである。口元には不敵な笑みが宿り、目には勇気の炎。熱血にして不屈。激怒は闘志の現れ。それこそが紀霊という人物。
遠くを見据え、覚束ない足元を支えるのが自分の役割と程立は微笑む。

「では、まずは帰るとしましょか〜。二郎さんがその調子ならば黄巾なぞ有象無象に過ぎません」
「はは、そいつはいいや。風が言うなら心強い。ちゃっちゃと片付けるとしようか」

やがて来るであろう黄巾との決戦を脳裏に描きながらも程立はにこやかに勝利を宣言する。

「くふ、二郎さんがその調子ならば勝ったも同然です。仔細はお任せくださいな」
「ああ、任せた。頼んだ。責任は俺が。何をしてもいい。勝とう。勝て」

くふふ、と程立は笑みで応える。預けられた信頼の重さにその身を喜びにうちふるわせて。
その思索は既に戦後、を見据えてなお、遠く。
紀霊の傍らに常にあり、彼女がその真価を発揮するのはこれからのことである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/12(水) 22:47:26.34 ID:f08mCkly0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

前回のも含めって題名とかも欲しいんすよ
まじすよ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/13(木) 04:10:38.01 ID:+5tN/7oLo<> 乙したー
風ちゃんかわわわわわわわわ

題名案「日輪の隣に」いかがでしょう <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/13(木) 18:10:55.89 ID:v4B5GZRs0<> 乙でしたー
>>701
>>「わあ、これ、凄いよ?ちぃが貰ってもいい?ううん?もらいたい!」  【凄いよ】の後の【?】は間違いのようなそうじゃないような
○「わあ、これ、凄いよ?ちぃが貰ってもいい?ううん!もらいたい!」  とりあえず【ううん】の後は間違いかな
>>最近はこのような供物は久しくなかったのだ。 【最近】と【久しく】が両方とも時間感覚なので
○最近はこのような供物はとんと無かったのだ。 或いは【このような供物は久方ぶりなのだ】とかどうでしょう
>>この中華でも一級品と言えるその装飾品についてはやはり心を奪われてしまう。  ちょっと違和感
○この中華でも一級品と言えるその装飾品にはやはり心を奪われてしまう。     それとも【装飾品の美しさにはやはり】とかかなあ?
>>中華で屈指の才能が人生を賭けて作った装飾品。 そんなイチバチでやったんじゃねえんだよ!!芸人人生を賭けた大博打した娘ども
○中華で屈指の才能が人生を懸けて作った装飾品。 【命懸け】と言いますしこれかな?
>>この芸を志した身にとって当たり前のことである。 【この芸】って何?自爆芸?
○芸を志したこの身にとって当たり前のことである。 それとも煽り芸かしら
>>702
>>そんなことを思いながら、俺は風にその全体を蹂躙された。  【全体】って単体の逆っぽいですよね
○そんなことを思いながら、俺は風にその全身を蹂躙された。  の方がいいと思います
>>無論、躊躇う主君をけしかける論拠である黄巾による監視なぞ嘘八百である。無論、監視の目はあるかもしれないが、 【無論】が2回続くのをちょっと変えてみる
○無論、躊躇う主君をけしかける論拠である黄巾による監視なぞ嘘八百である。いや、監視の目はあるかもしれないが、 こんな感じでどうでしょう?

ちょっと待っててね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/13(木) 19:14:45.92 ID:VDWob1Rf0<> はい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/13(木) 23:16:37.58 ID:v4B5GZRs0<> 飲み会は悪い文明破壊する…お疲れ様の飲み会でなんでお手伝いせにゃならんのだ
>>702
>>なんともありがたくも危ういか。  ちょっと違和感
○なんとありがたくも危ういものか。 もしくは【なんとも、ありがたくも危うい。】とかどうでしょう
>>となれば「知る」ことは必須である。 「」だと話すのと混同することもあるかもしれないので
○となれば《知る》ことは必須である。 まあ【】でも『』でも良いですが
>>703
>>その歌舞楽曲は俺が想定したものを上回り、魅了してくる。 前スレでも言った様な
○その歌舞音曲は俺が想定したものを上回り、魅了してくる。 《歌や踊りや楽器演奏など、華やか な芸能・芸術活動の総称》ならこうですね
>>704
>>その思索は既に戦後、を見据えてなお、遠く。    ありっちゃありだな
○その思索は既に戦後、それを見据えてなお、遠く。 もしくは【その思索は既に戦後を、見据えてなお遠く。】とかどうでしょう

考えてみたら3人娘中華中に歌を届けたいとか言ってた気がするけどこのステージと言う名の鳥かごの中で完結してんだよなあ
地方巡業どころか首都で歌う事もせずに結局地方アイドル…それでいいのか? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/14(金) 22:35:10.75 ID:qRQXMXEM0<> >>706
感想ありがとうございますー

やったぜ

>風ちゃんかわわわわわわわわ
ただでさえ可愛い風ちゃんがもうえらいことになりました
これはもう鼻血ものやで

>題名案「日輪の隣に」いかがでしょう
雰囲気いいですね
これは多分採用

>>707
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>考えてみたら3人娘中華中に歌を届けたいとか言ってた気がするけどこのステージと言う名の鳥かごの中で完結してんだよなあ
そこに気付くとはやはり天才か

>地方巡業どころか首都で歌う事もせずに結局地方アイドル…それでいいのか?
目の前の充足で満足してしまう
彼女らはそうだと思います

世界制覇とか本気で狙ってるわけない。周りに乗せられて危ないとこに手を出している
あれだ、現代日本ならやべー動画あげてバズって炎上する感じ

もちろん、そんなつもりじゃなかったんですよ


<> 赤ペン<>sage<>2019/06/14(金) 23:56:12.67 ID:cRDmeeVw0<> ○角「歌で笑顔を・・・。3人の力で、世界に・・・みんなの未来に、笑顔を・・・」
○宝「ちょっとした若気の至りなんです、反省したので許してくださいよ」
○梁「世界はいつだってこんなはずじゃないことばっかりよ」

こんな感じですね、分かりますん <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/15(土) 00:06:27.95 ID:AL75j7Tfo<> まあ言い方は悪いけど、人間ってそういうものですよね、とは思う
当初の志を持ち続け、見据えた目標から目を反らさず、掲げた努力を継続し、目前の安寧から一歩を踏み出す、そんな武将達、恋姫達は本来稀有な人間であるのだから

だから個人的にここの三姉妹はどうしても嫌いになれない、やってることは物語的には悪役の片棒を担いではいるのだが
彼女達の弱さはある意味、どのキャラよりも読者に近い <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/17(月) 21:32:34.26 ID:ZeyTN7UFO<> 恋姫半額だって
ttp://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52815850.html <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/18(火) 07:07:21.81 ID:uf3+29UO0<> >>711
くさw

>>712
>まあ言い方は悪いけど、人間ってそういうものですよね、とは思う
そうですねえ

>だから個人的にここの三姉妹はどうしても嫌いになれない、やってることは物語的には悪役の片棒を担いではいるのだが
ありがとうございますー!
そう感じていただけたらありがたいですね

>>713
ぐは
半額かー
リソース、インプット……う、頭が!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/19(水) 22:11:28.93 ID:o2it+foh0<> 「父上!右翼の黄巾、壊滅させました!」

愛娘の力強い声に馬騰は重々しく頷く。やや遅れて明るい声が吉報を。

「おじさまー、左翼黄巾、潰走させたよー。たんぽぽ頑張りましたー!」

その声に馬騰は満足げに頷く。予想以上に早い展開、勝利。後は本陣が仕上げるのみ。

「よし。蒲公英。先陣を任せる。好きにしていい。蹂躙しろ。彼奴らを生かして還すな」

喜色満面に馬岱は黄巾に突撃していく。それを見送る馬超は抗議の声を上げる。

「父上、どうして蒲公英なんです?あたしならもっと……!」

馬騰は苦笑する。だが致し方ない。自分もこの年頃は目の前の戦場しか目に入っていなかった。

「翠よ。戦場全体を見据えるのだ。目の前の敵に目を奪われてはいかん。確かに此度の戦場においては戦場の勝利が戦局の勝利に結びつく」

だが、と馬騰は諌める。

「戦術的勝利では戦略的敗北を覆すことはできん。それを我らは知っているはずだ」

かつて漢朝に反旗を翻し連戦連勝。長安に迫りつつも敗北は見えていた。今こうしてあるのは奇跡に近い。
それを知っているはずなのではあるが、かえって誤った認識を植え付けてしまったのかもしれない。

「だって、父上は大将軍に向かって勇壮に立ち向かったじゃないですか!肉屋の倅なにするものぞと!
 乾坤一擲。それこそ馬家の本領でしょう?」

馬騰は苦笑する。そうではない、そうではないのだ。だがまだ若く潔癖な娘には理解できないのも致し方ないことであろう。
将帥たるものは武勇のみを誇っていればいいという訳ではないのだが。
馬騰はやや角度を変えて娘に向き合う。

「ふむ、翠よ。かの義勇軍の将と親しいようだが?」
「なななな、ち、父上、そ、そんなことありません。けして、けして職責を放り出して一刀と会ったりなんてしていません!」

馬騰はその言に苦笑する。全く、誰とどうしているなど言っていないのに、と。だが、武を重んじる娘が気に入るとは、とおかしさを覚える。

「二郎君は気に入らなかったようだが――」

かの北郷一刀とは親しいようだなと口にする前に馬超は反応する。

「だってあいつは軟弱じゃないですか!武門を統帥するというのに!個としても将としても貧弱、脆弱。かの袁家もたかが知れるというものです!」

激したそれに馬騰は苦笑する。なんとも強く意識したものかと。微笑ましくすらある。娘がこんなにも毀誉褒貶を明らかにすることなぞ珍しい。

「はっはは!随分だな!だがまあ、将としては翠よ、お前の方がはるかに上だろう。一人の武人としての武。それもお前は二郎君を凌駕している。
 それは確かだ」

その言に満足したように喜色を表す馬超に内心苦笑を深めながら馬騰は続ける。

「二郎君。
あれは将の将たる器、というものだ。
彼の前では翠よ。お前の武は匹夫の勇と化し、将としての才も封じられることになるだろうよ」

馬騰は抗議の声を上げようとする娘の頭を乱暴に抱え込み、わしゃ、と撫で上げる。

「お前にもいつか分かる時が来るさ、来てもらわんと困る。
だが、まあ」

取りあえずは目前の敵を滅するとしようか。
いずこからか湧き出した黄巾に目をやり、馬騰は獰猛な笑みを浮かべる。
目の前の獲物を見逃すほど耄碌してはいない。後陣の義勇軍には待機を重ねて命じ、槍をしごく。

「ただ、駆け抜けるのみ……」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/19(水) 22:11:55.17 ID:o2it+foh0<> 涼州騎兵の真髄。身をもって味わう黄巾は不幸としか言いようがない。
獰猛な笑みを浮かべ、馬騰は戦場を単騎疾走する。慌てて追随する娘すら意識からおいやり、存分に槍を振るい、蹴散らす。

「ふ、意気込みはよし……。だが所詮は雑魚か」

その言葉通り奇襲をかけてきた黄巾を逆撃する。単騎であっても戦果は変わらない。そう思わせるほどの苛烈な攻撃を受けた黄巾は不幸であったろう。
名将馬援の血を正しく受け継ぐ猛将を相手取るには役者不足も甚だしい。

その戦いぶりは後方に控えていた劉備軍の猛者をしても、感嘆せざるをえないほどであった。

「なんと……、無人の野を往くがごとく……。
なるほど、鎧袖一触とはこのことか……。にしても……」

目前の光景を目にして関羽は誰ともなく呟く。馬騰の本陣にどこともなく襲いかかった黄巾の奇襲は実に鮮やかであり、すわ、助成を!と身構えたものである。
しかし、あにはからんや。馬騰は陣を整えることすらせず単騎で突撃する。した。
その雄叫びは雷鳴がごとく戦場に響き渡り敵陣を切り裂く。槍を一度振るうたびに黄巾の兵は文字通り飛び散り、いささかの邪魔にすらならない。

「っしゃおらー!」

傍らにはいつしか馬超が。
馬騰に付き従い、時に離れる。これまた単騎で縦横無尽に黄巾を切り裂く。それは銀の閃きを纏い、変幻自在にして疾風怒濤。馬騰が穿った穴を面に広げ潰走を促す。

「まさに雷神の一撃か……」

関羽は雷を纏った斧を連想する。豪なる一撃を無数の雷撃が補佐し、面した敵は残らずひれ伏す。
いつしか彼らに涼州騎兵が追随する。それを率いるは馬岱。見事に先陣を駆ける彼らの征く道をならして行く。
まさに三位一体。必殺であったはずの黄巾の奇襲は正面からの一撃により壊滅も間近。
これが涼州騎兵。これが馬家の武威、その証左。呂布の武勇、張遼の神速、賈駆の鬼謀。
それを率いる馬家の真価に関羽は感嘆し、吐息を漏らす。これが名将馬援の末、北方にて匈奴を防ぐ馬家かと。

「――くっ!」

そして悔しさに歯噛みする。
目前で繰り広げられる、芸術と言ってもいい騎兵による戦闘機動とそれがもたらす破壊力。それに関羽は歯噛みする。
なんとなれば、馬家に従う劉家軍は一度たりとも黄巾と矛を合わせることは無かったのである。

「我らが武勇、如何様にもお使いくだされ!」

そう高らかな声のもと馬家軍に合流した劉家軍ではあるが――余談ではあるが、馬家軍に合流したころから単なる義勇軍ではなく、劉家軍と史書は記している――その役目は本陣の守り。
当主たる馬騰が陣頭にて兵を率いるのであるから本陣とはいえそれは単なる補給物資の集積場である。無論、長らく貧乏暮らしをしてきた劉家軍の苦労担当たる関羽がその重要性を分からぬはずはない。
だが、主たる北郷一刀は黄巾を相手の華やかな武勲を前提に未来を語り、それはけして手の届かぬものではないと思われるのだ。
とはいえ、万が一にもその物資を奪われては馬家軍の前に立つ瀬もない。
だが、だが、である。漢朝きっての武門、忠義の誉たる馬家がいてただ飯喰らいであることなぞ関羽にとっては無念の一言である。単騎であれ、お役に立ちたいと訴えるも。

「その意気やよし!だが、私と轡を並べるには君はまだ……未熟!」

馬騰直々に言われてしまってはどうしようもない。どうしようもないのである。おさおさ武勇では劣らないと思うのであるが、馬騰の前では劉家軍はあくまで「守るべき民」。それでしかないのだ。それを痛感する。
公孫と袂を分かち、袁家には黙殺された。曹家には取り込まれようとし、あわや解散の危機をすら乗り切った。そして馬家軍との道程は心地よくすらあったのではあるが。

一方馬騰にとってはやはり彼ら劉備一行は守るべき民草と変わることはない。どうやら豪傑が率いているようではあるが、それは大きな問題ではない。ないのだ。
まだ、女子供を動員するほど漢朝の威光、武威は落ちぶれてはいない。なんとなれば馬家は、涼州騎兵は、戦うための存在。死して屍拾う者なくともそれがお役目。
国を思い立つ意気やよし。だが、それは職業軍人の役割である。

困ったのは馬超である。次期馬家軍の当主として相手方の接待を仰せつかったのではある、それを受けたのではあるが。
従姉である馬岱が残している日記には彼女の言動嘆息交じりに記されている。

「かかかか可愛いだなんて、可愛いってそんなこと、言われたことない!」

「いや、人物という奴じゃあないか?あの劉備は」

「なに、槍を交わせばその人物が分かる。あの関羽。大した奴だ。何せあたしと互角に渡り合うんだ!
 それにその槍捌きも清冽この上ない!いいか、蒲公英も見習え!そもそも武というのはだな……」

急速に劉家軍に耽溺していく模様が赤裸々に記されているその日記は近代にて、とある商家に残されていたものである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/19(水) 22:12:30.48 ID:o2it+foh0<> ぎり、と幾度目か関羽は悔しげに歯を噛みしめる。
馬家の武威恐るべし。それはいい。だが、自分たちもそれに加勢できるはずだ。できるはずなのだ。
皮肉なことに、曹家傘下にあったころに吸収されようとしていた過程において経た経験がその自信の所以だ。
最初は兵卒として、やがては指揮官として転戦を繰り返した。それにより、兵卒に、指揮官に求められることが何かを叩きこまれた。
思えば諸葛亮たち軍師陣についてもあの経験は大きかったであろう。
それまで正規軍の運用なぞというものには無縁であったのだ。
兵卒の視点、将帥の視点、軍師の視点で曹家の洗練された運用を学べたのは大きい。
無論時期を逸せばその、大きな器に飲み込まれていたであろう。
が、我が主は最適な時期で離脱を命じた。
これはきっと劉家軍において必要な時期であったのだ。

関羽はこれまでの足跡を振り返りながらそう思う。
全く、我が主は天の時を弁えている、と。
だからこそ、主への忠誠あるがこそ。
ちり、と胸が痛む。痛むのだ。

何くれとなく世話をやいてくれたあの人物。馬超。その清冽な人格は好感を覚えてしかるべき。
……仕える主たちが評価するのも当然だ。

「なななな、なあ、関羽、いやさ愛紗!あああああ、あの、北郷一刀って、いや、なんでもない!可愛いって言われたから気になるとかそんなことはない!
 断じてない!いや、ちょっと気になっただけだ。邪魔した!」

決して彼女に思うところなぞない。実に気の合う人物であったのだ。自らが仕える主を評価するのも加点するところだ。
その由来において行動の自由を奪った浩瀚、程立を思えば、である。
だが。

「はーっはっは!」

高らかに、朗らかに。自らの正しさを疑わない笑い声が脳裏に甦る。
真名をすら交わした彼女。趙雲。きっと自分たちと道をいずれは同じくする。主のその言葉なくしても確信するであろうほどにその魂は共鳴を覚えていた。
人品卑しからず、その武は傑出。思いは一つ。で、あるからこそ主もその手を差し伸べたのである。

「趙雲さん、俺たちと一緒に、こないか」と。

それに頷く彼女を関羽は確信していた。そして確信は重なる。彼女がいる劉家軍に敗北はありえないと、さえ。
だから、彼女の答えは衝撃であった。しかも。

「お呼びじゃあ、ねえのさ」

いっそ獰猛といっていいほどの凄まじく下卑た、獰猛な笑みを浮かべた男の腕の中で手弱女(たおやめ)の如くその腕にすがりつく彼女を見ようとは。
認めたくなかった。認めてはいけなかった。
あの彼女がそれほどまでに陶酔する相手が北郷一刀以外にいるなぞ、あってはならないのだ――。

だから、勘違いしてはいけないと関羽は思うのだ。

かの趙子龍を片腕とする英傑。それがあの、汚濁と腐敗の根源……とまでは言えないまでも、そのただ中の袁家にあるなぞ。
きっとすべては流言。かの「怨将軍」の逸話は捏造。そのはずである。そのはずだ。諸葛亮もそう言っていた。
袁家の将帥である彼奴は仇敵と言っていいはずだ。そのはずだ。
その意識に馬超のふとした一言が突き刺さる、何かが切り裂かれる。

「何で父上はあいつを……。将の将たる器だなんて言うんだ……。
二郎なんて、そんな、そんなんじゃないよ、そんなんじゃない。なあ……」

誰ともなく呟くその言葉に関羽は凍りつく。

「二郎が、麗羽がこの私を認めてくれたんだ。頑張らないわけにはいかないさ!」
「へえ……二郎と会って、それでもそうなのね。
いいわ。その無垢を高く買ってあげる。
そこに跪きなさいな。家畜でないという目覚めは私がもたらすのだから。刻みなさい。この曹孟徳をその魂に」
「はあ?二郎ってばどうなのって?そんなのボクが言えるわけないでしょう!
いいから分不相応な思索はやめときなさい。
惨めになるわよ、貴女」
「えー?二郎さまー?おじさまに聞いた方がいいんじゃないかなー。
たんぽぽよくわかんなーい」

無数の声が脳内で甦る。
どうして敵対せねばいかないのであろう。いや、自分はあの男をどう見たのか。あの星がその身を預けるほどだ。

ずきり、とした痛みに関羽は意識を手放す。
どうやら今日も飲み過ぎたようだ。
ちり、と。ぞわり、と何か警戒すべしという感覚は既にほぼ麻痺しきって。

「あー、愛紗ちゃんも疲れてるんだねえ。
 もう、しょうがないなぁ……」

身近な、そして根源的な温もりがなにもかにもを塗りつぶしていく――。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/19(水) 22:13:18.19 ID:o2it+foh0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
仮では「馬家の武威ここにあり」です

ほら、もっとオシャンティな奴、オナシャス。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/19(水) 22:32:25.12 ID:vlA6ybRVo<> おつおつ
劉備軍もあのくそったれ事件の当時者になってみればいい
題名は『蟷螂の斧と千軍万馬』 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/20(木) 03:08:45.85 ID:EtvQJMtuo<> 乙したー
エロゲ主人公って怖いね!!

二郎ちゃんも良い男ではあるんだけど、ねぇ? <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/20(木) 15:46:54.39 ID:Dsp31Qds0<> 乙でしたー
>>716
>>名将馬援の血を正しく受け継ぐ猛将を相手取るには役者不足も甚だしい。  田中さんところの二男坊が使ったのでこの言葉があると勘違いした人も多いとか
○名将馬援の血を正しく受け継ぐ猛将を相手取るには力不足も甚だしい。   役不足は間違ってる、そういう意味で使いたいなら役者不足だ。だっけ?でもこれって「風が二郎の右腕なら私が左腕になろう」みたいな意味は分からなくもないけど誤用と言う(右腕には信頼できる部下と言う意味はあるけど左腕にはそういう意味は無い)
>>馬騰の本陣にどこともなく襲いかかった黄巾の奇襲は実に鮮やかであり、すわ、助成を!   【どこともなく】だと行き先が決まってない様な感じが
○馬騰の本陣にどこからともなく襲いかかった黄巾の奇襲は実に鮮やかであり、すわ、助勢を! 【助成】は経済的な援助の意味で使うのでこちらかな
>>劉家軍〜中略〜主たる北郷一刀 …北郷軍とか名乗らないのは一刀君としてはそれでいいんだろうけど彼を主としてる劉備その他はそれでいいのか?
>>万が一にもその物資を奪われては馬家軍の前に立つ瀬もない。 惜しい!
○万が一にもその物資を奪われては馬家軍の前に立つ瀬がない。 ですね
>>忠義の誉たる馬家がいてただ飯喰らいであることなぞ関羽にとっては無念の一言である。 文脈としては
○忠義の誉たる馬家にいてただ飯喰らいであることなぞ関羽にとっては無念の一言である。 【馬家に(自分が)いて】なのでこうですね
>>馬騰の前では劉家軍はあくまで「守るべき民」。それでしかないのだ。 声に出して言ってそうではある
○馬騰の前では劉家軍はあくまで【守るべき民】、それでしかないのだ。 次の文ともつながってるし【、】で良いかな?
>>まだ、女子供を動員するほど漢朝の威光、武威は落ちぶれてはいない。 これだとそのうち落ちぶれるとふんでる様で
○また、女子供を動員するほど漢朝の威光、武威は落ちぶれてはいない。 ところで蒲公英は…そう考えると恋姫世界は女子供が普通に動員されてるのよな
>>国を思い立つ意気やよし。   これだと【思い立つ】で読んでしまいそうなので
○国を思い、立つ意気やよし。  の方がいいと思います
>>従姉である馬岱が残している日記には彼女の言動嘆息交じりに記されている。  ちょっと一文字
○従姉である馬岱が残している日記には彼女の言動が嘆息交じりに記されている。 でどうでしょう
>>「いや、人物という奴じゃあないか?あの劉備は」  そういう意味もありますがちょっと分かり辛いので
○「いや、大器という奴じゃあないか?あの劉備は」  まあ器はでかいと思うよ?常に内容物をドロドロに溶かす毒がしみだしてそうだけど
>>717
>>無論時期を逸せばその、大きな器に飲み込まれていたであろう。 【その、】で切るとなんかドモってる様で
○無論時期を逸せば、その大きな器に飲み込まれていたであろう。 の方がいいと思います
>>その由来において行動の自由を奪った浩瀚、程立を思えば、である。  書物???
○その由来において行動の自由を奪った韓浩、程立を思えば、である。  でいいのかな?
>>どうして敵対せねばいかないのであろう。 【いかない】だと自由意思がある感じですがその前の【せねば】にはどうしようもない感じがあるので
○どうして敵対せねばいけないのであろう。 【しなきゃいけない】って感じなのでこうですね
>>あの星がその身を預けるほどだ。   地の文ですので
○あの趙雲がその身を預けるほどだ。  それとも上で使ってるし【趙子龍】?

1000歩ゆずって個人として一刀君を気に入ったとして彼のどこに将としてみる価値があるのだろうか?未来知識によるカンニング以外見るべきところは無いしそれだって有名どころの名前と人物評(笑)程度だろうに
実際一刀君には何進の評価を聞いてみたくはある…下手したら「誰?」とか返しそうではあるが
コレ関羽の槍って清冽と言うよりも真っ白に塗りつぶされて…いやなんでもない <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/24(月) 22:01:31.88 ID:U2xwf2YD0<> >>719
どもです。

>劉備軍もあのくそったれ事件の当時者になってみればいい
本当に、そうなったらどうなるかなあと。考察。
割と成長しそうでそれはそれで厄介ですな

>題名は『蟷螂の斧と千軍万馬』
やだ格好いい。
素敵すぎますよこれは

>>720
どもです。

>エロゲ主人公って怖いね!!
そらもう3クリックで褥よ

>二郎ちゃんも良い男ではあるんだけど、ねぇ?
ジャンルが違うーー

>>721
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

ちと遅れました。しんどいです。しんどくないです。これから頑張るぞいっと。

>1000歩ゆずって個人として一刀君を気に入ったとして彼のどこに将としてみる価値があるのだろうか?
ないですね(断言)
ほんと、どこに価値を見いだしたのやら……

>実際一刀君には何進の評価を聞いてみたくはある…下手したら「誰?」とか返しそうではあるが
いや、何進からしたら本当に誰それ案件っすw

>コレ関羽の槍って清冽と言うよりも真っ白に塗りつぶされて…いやなんでもない
潔白ですぞ(断言)
色々諫言してる感じです
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/24(月) 22:28:32.38 ID:U2xwf2YD0<> 眠いので続きは明日以降です
頑張るぞいっと。 <> 赤ペン<>sage<>2019/06/25(火) 00:24:48.89 ID:sxvB5rGq0<> あ、逆です
何進ってどういう奴?って一刀君に聞いてみたいな、と
あいつドヤ顔で曹操は覇王の器(キリッとか黄忠は劉表には過ぎたる将(確信とかいってそうだから <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/25(火) 21:35:25.03 ID:YGvRJfor0<> >>724
そりゃもう、肉屋の倅的な一般的な感想じゃないっすかねえ
知らないものを知ることはできないでしょう

何進の評価は、知る人ぞ知る <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/25(火) 21:36:48.77 ID:YGvRJfor0<> 「なんだと!」

馬騰がその報せを聞いた時には箸を取り落したと言う。それだけで逸話になる案件。
だがそれも無理からぬこと。皇甫嵩からの急使からもたらされたのは信じがたい報せであった。

――朱儁、董卓。黄巾により敗走。

「馬鹿な!ありえん!」

馬騰は彼らの武勇を知っている。あの朱儁が禁軍最精鋭を率いるのだ。
そして董家軍には神速の張遼が、鬼謀賈駆が。
なにより万夫不当。武においては自分を軽く凌ぐ呂布もいるのだ。
それが敗走などと、皇甫嵩よりの報せでなければ偽報であると断じていただろう。
だが、時に戦場にはありえないことがありえるというのも百戦錬磨の馬騰は知っている。僅かな自失の後に馬家軍全軍に出撃準備を命じる。
官軍の中でも有数の実力者が一敗地にまみれているのだ。戦線は混乱を極めているはずだ。実際皇甫嵩もそれを懸念し、後詰……というより矢面に立てと命じてきている。

「言われるまでもない!」

何より、官軍が敗れるなぞあってはならぬのだ。このままでは漢朝の権威は地に墜ちてしまうであろう。

「蒲公英!先行しろ!敵はどうやら、かなりやるようだ。鼻先をちょいと撫でる程度でいい。くれぐれも深追いは禁物。よいな!」

「はーい。じゃあ、五百ほど抜いてきますねー。
いってきまーす」

気楽な口ぶりで馬岱はその場を後にする。態度も腰も軽いが、これで馬家の重鎮。馬騰の信頼は篤い。

「父上!あたしは?」

真剣な面持ちの娘に内心満足げに頷く。最近緩んでいたかと思ったが杞憂のようだ。その気迫、いつでも総大将を任せられそうである。

「うむ。翠は私の傍らに。どうやら容易ではない敵のようだ」

経験を積ませる意味もあり、普段馬騰は娘の動きを事細かに指示することはない。先陣馬超。その破格の突破力により乱れた敵陣を馬騰と馬岱が殲滅するのが常である。
……勿論、突破力という意味では先の戦いのように三人同時に突撃するのが最も威力はあるのではあるが。
ともあれ、敬愛する父の側にいられるのが嬉しいのであろう。馬超は喜色満面でいたのだが、ふ、とその顔に蔭りを。

「む、翠よ。どうした。心配事か?」

裏表のない娘がちら、とこちらの表情を窺うにあたり馬騰は声をかける。どうした、らしくないぞと。

「う、うん。父上、あの。
 ……かず、劉備たち、どうしようかな、って。どうしたらいいかなって思って……」

ふむ、と馬騰はどうしたものかと検討する。嬉しさと共に。どうやら娘も少しは戦場に赴くにあたって視野が広くなってきてはいるようである。そういう意味では劉備一行に感謝すべきか。
だが、馬家軍の戦速に追随できるはずもない。ならば。

「そうだな。現在ある糧食は彼女らに任せよう。そして、それを食いつぶすまでは独自の行動を認めるとしようか」

なに、それなりに腕は立つ。おさおさ黄巾ごときにひけはとらぬであろう。

いわば足手まといと断じて切り捨てることを即断する。
これにより劉家軍は望外に行動の自由を得ることになる。
まさに水を得た魚。劉備の名が史書に現れるのはこの時以降。
諸葛亮、鳳統という希代の頭脳と関羽、張飛という破格の武勇が世に知れ渡るのはこれからなのである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/25(火) 21:37:14.18 ID:YGvRJfor0<> ◆◆◆

ここは如南。最前線。そしてその政務室である。
うんしょ、とばかりに太守の印を所定の位置にぺたり、とする袁術。それを補佐するのは雷薄と張?の二人。
勿論実際には多数の官僚が控えて実務に当たっているのだが、この場で袁術に直接話しかけられるほどの地位にあるのはこの二人のみである。
袁術が目前の書類の内容をきちんと理解しているかというともちろんそんなことはない。盲判もいいとこである。とはいえ、袁家配下の官僚、そして雷薄と張?がきちんと確認しているので問題はない。ということになっている。
本来政務よりも、もっと基礎的な勉学が妥当である時期ではあるが、その立場がそれを許さない
いや、袁術本人が言い出したことでもあったのだ。曰く、太守となった以上はせめて自らの責任で印くらいは、と。
なかなかの重量感がある印綬――実際相当重い――を書類に押し付けるだけでも幼い身には結構重労働で、その日の政務が終わると決まってぐったりとしている。
そしてその日決済をした案件の中から特に重要であると思われる案件について説明(レクチャー)が行われるのである。結構過酷(ハード)な毎日ではあるのだが、袁術本人は充実していると思っているようである。

「どうしたよ、不景気な顔して」

この日は昼前にはさしあたっての政務は終わってしまい、午後は自由時間、ということになった。
たまには骨休めもよかろうと雷薄が決めれば異を唱える者もいない。
たまには町に繰り出して一緒に飯でもどうだと張?を誘う。ちなみに袁術は午後全てをお昼寝に充てるとのことだ。

「いえ、大したことではないのですが」

実に気遣いが細やかなのだ、この雷薄という男は。
いかつい容貌と違って。

呷った酒の影響もあったのだろう。つい、抱える懊悩を口にしてしまう。自分という欠陥品のことを。
何をしても楽しいと感じない、生きる目的もない、と。同じく欠陥品であるはずの姉はあんなにも楽しそうに生きているのに。

「そりゃ、おめえ……」

雷薄が言葉に詰まるのを見て若干の自嘲を込めて苦笑する。

「いや、余計なことを言ってしまったようです。忘れてください」

ぼりぼり、と困ったように頭を掻く雷薄は不意に声を発する。

「おい、表へ出ろ」
「は?」
「表へ出ろ」
「ですが、まだ食事――」
「いいから表へ出ろ」

店主に会計は自分につけとけと声をかけ、さっさと雷薄は歩き出す。わけも分からずに張?が後に続く。四半刻ほど歩いて着いたのは練兵場。おもむろに雷薄が衣服を乱雑に脱ぎ捨て、上半身を晒す。
見事に鍛えられた、実戦向きの肉体には幾つも傷跡が走っており彼が歴戦の勇士であることを窺わせる。

「どうした、お前も脱がんか」

そう言いながらごり、と手にした棍で円を描く。その中心に仁王立ちし、招き入れる。

「この円から出るか、膝より上が地に着いたら負けだ」

いいな、とばかりに身構える。流石の迫力である。ふむ、とばかりに張?はあっさりと思考を放棄する。鍛錬と思えばどうということもない。雷薄ほどの猛者と遣り合えるというのはいい経験になるであろう。

「では、折角ですからお言葉に甘えて胸を借りるとしましょう。無論、全力でいかせてもらいますが」

夏の日差しが二人を照らす。ニヤリ、とした雷薄が裂帛の気合いと共にぶつかってくるのをがしり、と受け止める。
みしり、と骨が軋む音が聞こえた気がした。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/25(火) 21:37:50.94 ID:YGvRJfor0<> ◆◆◆

ばしゃり、と頭から水が浴びせられて張?は自らが意識を手放していたのだと知覚する。なんとも無様な有様だ。
中天にあった日輪は地平に沈もうとし、大地を朱く染め上げている。
ぜえぜえと酸素を取り込む張?をニヤリと見下ろす雷薄も呼吸は荒く、見ればあちこちから出血もしているようだ。
結局半日近く雷薄の気まぐれに付き合ったことになる。当初は戸惑ったものの、持ち前の膂力と戦闘技術を活かして雷薄を圧倒するようになるまでさほど時間はかからなかった。
これほどまでに消耗しているのは、させられたのは、闖入者があったからだ。それも多数の、である。
練兵場で本来の修練をしていた紀家軍の兵卒たちが二人の姿を認めて参加してきたからである。
無論、兵卒ごときに敗れる張?ではない。が、数が違った。一体のべ何人の相手をしたことか。千は軽く超えているだろう。さしもの張?も、ついには意識を手放すこととなったのである。
雷薄は、生真面目に兵卒の挑戦を受ける姿に大笑していたのではあるが。

「まあ、飲めや」

差し出した杯を受け取り一息に干す。冷たい水。それが五臓六腑に染み渡る。
ほう、と漏らした吐息に雷薄がそのいかつい顔を綻ばせる。

「美味いか?」
「ええ、甘露とはまさにこのことかと」

雷薄は嬉しそうに手にした水差しから再び杯に水を注ぐ。

「かたじけない」

礼もそこそこに張?はまた一息に杯を干す。渇いていた肉体に水分が行き渡る感触に身を委ねる。

「よかったよ。よかったなあ」

ばし、と雷薄は張?の肩を叩く。訝しげな張?が口を開く前に張?から杯を奪い、今度は自らが杯を干す。

「ん、美味い!
 これが酒ならもっと美味かったかもしらんがそこは許せ!」

がははと笑う巨漢に苦笑する。

「いや、練兵場でそれは流石にまずいかと」
「はっはは!どうにも生真面目だな!それがお前さんのいいとこではあるがね。
うちの若大将にも見習ってほしいところだな!」

呵々大笑。更に言葉を続ける。

「まあ、なんだ。
 俺には難しいことはよく分からん。学もないしな。だからお前さんの悩みもよく分からん。
 いや、全く分からんというのが正直なところだ。
 実際、兵になったのも食うためだからな。他に稼ぎようもない唐変木よ。
 それが、貧農の子倅がまさか将軍様だ。落ち着かんことこの上ない。
 今日だってそうだ。書類なんぞと睨めっこしているより身体を動かしている方が性に合っているのさ」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/25(火) 21:38:16.66 ID:YGvRJfor0<> 話がずれたな、と笑う。恥ずかしげに頭をぼり、と掻く。

「だからまあ、正直お前さんが何にそんなに悩んで一生懸命なのか分からん。
だがな、お前さんは水が美味い、と言った。いや、実際美味そうだったぜ?」

だったらさ、それでいいじゃねえか。雷薄は相変わらず照れたように言葉を紡ぐ。

「まあ、あれだ!暇だからそんな、余計なこと考えるんじゃねえか?今日みたいに疲れて立てないくらいになったら、水一杯で幸せになれるだろう?
 だったら、それでいいじゃねえか。なに、俺でよけりゃあいつでも付き合うぜ?」

お前さん、とんでもなく強いしな、と呵呵大笑する雷薄に張?は自分の口が笑みの形に歪んでいることに気づく。

「何だ、いい顔してるじゃねえか。いい顔できるじゃねえか。まあ、あれだ。生きる目的がないとか言うなら嫁でも娶れ。子を成せ」

特に、娘はいい、とだらしなく顔を緩める。強面で鳴らす面影なぞどこにもない。
その様子に、そう言えば、と。

「お孫さんができる、とか」

その声に更に顔をくしゃくしゃにして雷薄は照れ、笑う。

「おお、そうだ。孫だ、孫だぞ。嫁の来手すらなかった俺がいよいよ孫だ!孫が生まれる!これほど嬉しいことは無い!」

デレデレと、だらしないその顔に張?は思う。こういう所が上からも下からも信頼される所以なのかと。そして、自らも思いがけない言葉を口にする。

「雷薄殿、色々お気遣い感謝します。正直まだ割り切れないというのが正直なところです。が、色々とお気遣い、有難く。また、色々頼りにさせていただきたい」

雷薄は笑みを深めて首肯する。

「なに、お前さんならば俺を軽く使いこなすほどの将帥になるだろうさ。俺が保証するともよ。
 大歓迎というやつだ」
「では、その時は精々こき使って差し上げましょう」
「楽しみにしてるぜ」

コツン、と肩を叩いて去るその背は颯爽。
知らず張?は頭を下げていた。

いつしか日は沈み、満月のみが彼らを見守っていた。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/25(火) 21:39:19.65 ID:YGvRJfor0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

今回の題名案
「月は出ているか」

はい、コレジャナイ感満載ですのでご提案よろしくお願いします。
むしろぼすけて <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/06/26(水) 08:20:29.96 ID:0KXoVP5Eo<> 月下の導きは絆の名の下に

やり過ぎ? <> 赤ペン<>sage saga<>2019/06/26(水) 16:43:11.67 ID:L3T4iTTA0<> 乙でしたー
>>726
>>真剣な面持ちの娘に内心満足げに頷く。 内心が満足げってことは仏頂面してるのかな?
○真剣な面持ちの娘に満足げに頷く。   普通の喜んでるならこうかな?【内心の歓喜を押さえて頷く】状況が状況だけに娘の在り方は嬉しいけどそれを出すのは不謹慎だ、みたいな感じならこうかな
>>728
>>ばしゃり、と頭から水が浴びせられて張?は自らが意識を手放していたのだと知覚する。  これでも良い気もしますが
○ばしゃり、と頭から水を浴びせられて張郃は自らが意識を手放していたのだと知覚する。 何が原因で張さん?になるんだろう
>>729
>>コツン、と肩を叩いて去るその背は颯爽。  肩をこつんと叩くってちょっと想像しにくいと言うか
○バシリ、と肩を叩いて去るその背は颯爽。  どっちかって言うとこれだと肩と言うより背中を叩いてる感じですが
○コツン、と拳を合わせて去るその背は颯爽。 雷簿と張郃で右手をこう…する感じならこれ?

美味しいものをお腹いっぱい食べれば人はとりあえず幸せになれる…とは違うか
なーんも考える暇がない位体動かした後で失った水分を補給すれば真理が見える…お釈迦様も断食して腹ペコで倒れたところにおかゆを食べて悟りを開いたんだし逝けるイケる
お前の悩みを分かち合うことは出来ないが、俺の楽しみを分かち合おうぜ。って感じか…豪放磊落たる将、迷い人に手をさしのべる
黄金の王様も言ってたけど愉悦は別に悪しき事ではないからな、人の苦しむ顔や泣き叫ぶ顔に愉悦を覚える様に風呂上がりのキンキンに冷えたおビール様に愉悦を感じても良い、人間を殺すことに生の実感を覚える様に大地を耕すことに生きる喜びを知っても良い <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/06/29(土) 20:10:26.12 ID:dmK63ODF0<> >>731
いい感じの題名ありがとうございますー!

いあ、っやりすぎとかないんで

>>732
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は少なかったか?
満点目指すべ

>なーんも考える暇がない位体動かした後で失った水分を補給すれば真理が見える…お釈迦様も断食して腹ペコで倒れたところにおかゆを食べて悟りを開いたんだし逝けるイケる
立川の聖人とは違いますが、あれですねw
とりあえず喉渇いたら、そこで水飲んだら、美味しいじゃろうというお話ではあります

>お前の悩みを分かち合うことは出来ないが、
頭のいい奴はなんか知らんけどあれこれ悩んでるなあ、くらいの感じですね

>黄金の王様も言ってたけど
ここの雷薄の兄貴は物騒なのは止めると思いますw

ぐるるるる

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/03(水) 22:24:15.36 ID:gY7SXHog0<> さて。黄巾の本拠地から決死の脱出行を風とともに繰り広げた二郎です。襲い来る黄巾をちぎっては投げ、ちぎっては投げ……。
いや、嘘です。普通に外出したよ。「商売頑張ってお布施しにくるねー」で終わった。微妙に護衛を付けられる流れに焦ったくらいだ。うん、金のなる木を大事にするのは間違ってない。
で、黄巾の本拠地を暴いた俺らはそっから二日程度の場所に陣取っているのである。なにせ、単独では流石に兵力が違い過ぎる。
雷薄が常々言っているが、「戦いは数」なのである。いくら彼奴らにまともな装備なくとも数の暴力はそれだけで脅威。それに僵尸や幻影兵といったイレギュラーだって馬鹿に出来ない。
風に聞いたら。

「そですね。僵尸はともかく、幻影兵は大丈夫と思いますが、万全を期すとしましょうか。急いてはことをし損じる。ここはどっしりといきましょう」

とのことです。メイン軍師がそう言うのだから俺に否やがあろうはずもない。
まあ、単独での本拠地特攻はチキンな俺にとってありえない。だからして。

「二郎!久しいな!」

頼りになる援軍を各地から召集している最中なのである。
人脈(コネ)使うためにあるのだよ。

「おう、白蓮、お久。
聞いてるぞ、白馬義従の武名。向かう所敵なしってな!」

まあ、メイン軍師の案に従って主要な軍に書状を出して今はその集結している最中というところ。真っ先に合流してくれたのは襄平の太守にして白馬義従を率いる公孫賛……白蓮その人だ。
しかし流石は公孫家軍。連戦連勝で黄巾を蹴散らしまくっている。
流石北方で匈奴の脅威に備える軍は格が違った。まあ、うちの騎兵の中級士官も出向で経験積ませてもらってるから分かってはいたが騎兵強すぎワロタである。
うむ。敵にしたくはないものである。いあ、やらせはせんとも。
そう思いながら手放しの讃辞を。いや本心よ?多分涼州騎兵と互角以上に正面からやりあえるのは白馬義従くらいじゃないかな。むしろ他に騎兵がいないという説。

「そ、そうか?いや、いやー。な、何ほどのこともないとも。うん。部下たちが奮戦してくれたからこそだ。
 そ、そうだ。二郎にも感謝しないとな。いや、白馬義従なんて名前が独り歩きしてるんじゃないかと武名が広まって正直落ち着かないよ」

たはは、とそれでも朗らかに笑う白蓮。
きちんと自らの武威を、名を受け止めているようでなによりである。


「いや、相応だと思うさ。
元々実力の割に武威があまりにもなかったんだよ。だから地味って言われる」
「地味って言うな!」

まあそう揶揄されていたそれも過去のこと。最早白蓮の名を知らん奴はいないだろうさ。ちなみにそれならば、と。派手様と呼んでやったらなんとも言えない顔をしてくれた。
うん。似合わんね。そういう問題じゃない?そうねえ。

「しかしまあ、よくも黄巾賊の根拠地を突き止めたなあ。それも自ら潜入してきたんだって?無茶もいい加減にしないと麗羽が怒るぞ?」
「うん。ありがとね。
でもまあ、行ってよかったよ。
よかったのさ、色々とな」

ああ、本当に。色々と、ね。

「まあ、二郎がそう言うならそうなんだろうけどな。
後できちんと説明しとけよ?」
「ういうい」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/03(水) 22:24:41.92 ID:gY7SXHog0<> まあ、戦勝報告の後に感想戦が行われるのは確定的に明らか。沮授はともかく稟ちゃんの追求は……風に任せようそうしよう。
その場で麗羽様が色々言うとは思わんが……。ないよね?ないない。多分。
あったらまあ、その時はその時だ。頑張れその時の俺。

「しかし、賊徒のねぐらとは思えん要害だったな。
あれは」
「なにそれ。自分で見てきたの?」
「偵察がてら数騎でな。流石にあれは私でも単独で落とせはしないな。もとより攻城戦は不得手だ」

そりゃねえ。騎馬で壁に突撃とかする奴は馬鹿というか、無能の塊である。
つか、ものっそい贅沢な斥候であることよ。まあ、あれこれ説得する手間が省けたけど。

「まあ、そっちは任せてくれ。白蓮にお願いしたいのは野戦さ」
「ならば任せろ。白馬義従が伊達じゃないって、きちんと見せてやるさ」

いや、頼もしいことこの上ない。

「と、言うより流石に城壁にはどうしようもないからな」
「それを言うならばね。賊徒の討伐に攻城兵器を用意している二郎がおかしいのよ。全く」

苦笑と嘆息と揶揄と。何より親愛を込めてそんなことを言って近づいてきたのは華琳その人である。
呼んどいてなんだが、その目線やめてよね。実際背筋が寒くなるのよ。
フフ、怖い。

「よう、華琳。ごゆっくりだったみたいで」
「ええ、そろそろ私の力が必要かと思ってね。真打ち、という奴よ」
「全く。美味しいとこだけ掻っ攫おうって算段か?汚いさすが華琳きたない」
「やあね。自領の安寧が果たされたから外に目を向けただけよ?職責を全うしたというのに、ひどいこと言うのね。
 ……まあ、私が参戦した以上勝ちは決まったようなものね。安心しなさいな」

うわー。なんという上から目線。でもこれでこそ華琳である。
浮かべる笑みにはいささかの曇りもなく、自らの正当を疑う様子は全くない。少しは疑えよ……。
無理だね、知ってた速報。
全く。黄巾の本拠が明らかになるまでは自領の安寧に尽くし、いざそれが明らかになると途端に現れる。大したものだ。
いや、白蓮と華琳が同じタイミングで合流したのは風の手腕なんだけどね?
合流待ってうだうだしてたら不平不満も生まれるからな。特に華琳なんて……。

「二郎?何が言いたいのかしら。きちんと言ってくれないと分からないわ」
「えーと。まあ、なんだ。頼りにしてるってこった」

これは本当。いかに扱いづらくとも華琳、そして配下の能力に疑いはない。……春蘭はともかくネコミミをどうすればいいか誰か教えてくれ。風だって居眠りを決め込んだんだぞ。
くすん。

華琳の精神的波状攻撃が途切れるのは更にある人物の登場を待たねばならない。
というか。キマセリー!

「二郎君!久しいな!」
「二郎さま、おひさー!たんぽぽだよー」

この場にいる全員の武勲を束ねて倍しても及ばない英傑、馬騰さんの登場である。
いや、駄目で元々、当たれば儲けとばかりに声をかけたのは確かなんだけどね?
そりゃもう、現在位置さえ掴めなかったのですよ。推定だけ。それでも空振り上等でお声かけをしたのは確かなんだけど。

「うむ、皇甫嵩殿がな、ここらあたりに二郎君がいるであろうと推測したのだ。
 いや、たまには奴の知恵も役にたつ。おっと、彼奴(きゃつ)は私の上役であったか」

呵呵大笑。なんという豪傑。言う内容ではない。その存在感に流石の華琳も気圧されている模様。あの華琳が口を挟めないとか、マジか。
いやまあ、華琳が苦手なタイプなのかもしらんけどね。知らんけど。

「ともかくな、二郎君の武威武勲には私も驚いたとも。
かの朱儁、董卓。いずれも英傑と言っていい。配下とて並ではない。いや、一級品と言っていいだろう。
それを敗走させた黄巾を二郎君。君は打ち破ったのだ。
 喜んで君の指揮下に入ろうとも!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/03(水) 22:25:47.80 ID:gY7SXHog0<> その、馬騰さんの一言で華琳も白蓮も俺の指揮下に入ることになったのである。そりゃあね。馬騰さんが指揮下に入って自分は嫌だとかないわな。
白蓮はなんだか嬉しそうにあれこれ馬騰さんと会話をしている。きっと騎兵の運用で話が合うのだろう。華琳は……何かぶすっとしたまま去って行った。解せぬ。
そして俺の前には。

「えへへ、二郎様、お元気?たんぽぽは元気いっぱいだよー!」

知ってた。

「あのね!あのね!たんぽぽ頑張ったよー。横暴なお姉さまの影におびえながらもこの中華の平和に頑張ったー。誉めてほしいなー」

よしよしと撫でくり回してやる。わりとそれで満足らしい。安いよ!
そんなんでいいの?

「そういや、翠は?」

俺の疑問に蒲公英は朗らかに応える。

「お姉さまはね。今なんか頑張ってるよ?補給の差配とか、隊列の検討とか」

向いてないよねーと笑う蒲公英だが、馬鹿にしたニュアンスはない。きっと大好きなんだろうなあ。
うん、守りたいこの笑顔。
※守れるとは言ってない

◆◆◆

「はは!二郎君!
明日は先陣を頂きたいが如何に?」

流石の白蓮、華琳さえもが圧倒されて先陣を譲ってしまう……。
流石馬家の当主はその覇気化け物だね!
いや、頼もしいんですけどね。よろしゅう。

「うむ!まさか二郎君と轡(くつわ)を並べる時が来るとはな!
馬家軍の真髄、見せてやるとも!」

はっはは、と。
高笑いと共に去る馬騰さん。いや、そりゃ野戦もあるだろうけど、もう馬家軍だけでいいんじゃないかな。なんて思うほどの勢いである。
あれが武威、格というものだろうな。
見れば華琳も、白蓮も不敵な笑みを浮かべている。うん。うん?
あ、そりゃそうだ。自分らが一顧だにされないというのは流石に二人とも未経験だろうて。特に華琳。

うん。こりゃ明日は。

「勝ったな」

むしろ荒れるかな。
勝ち確定のBGMでもほしい俺であった。

いや、勝つのはいいけど事後処理揉めなかったらいいなあ、と。

尚、この思考が慢心であるのは把握しております。
でもさ、現実逃避だってしたい時もあるのよ。
だって凡人だもの。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/03(水) 22:27:06.15 ID:gY7SXHog0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

いつものことですが、題名募集しまくりんぐです

このままでは最悪無題になります
仮「凡将の準備期間」

これはない
ほら、いつものオシャンティな奴オナシャス。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/03(水) 23:56:19.11 ID:9Fp0jOHlo<> 乙です
蒲公英は可愛いなぁ…いやほんと可愛い
なんでだろ原作ではそこまでお気に入りじゃないんだけど、なぜかここの蒲公英はすごく可愛い(笑)


題案は
『破巾の布陣、その前日』
とか <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/04(木) 23:32:10.34 ID:azEHwZh60<> 乙でしたー
>>734
>>メイン軍師の案に従って主要な軍に書状を出して今はその集結している最中というところ。 ちょっと違和感
○メイン軍師の案に従って主要な軍に書状を出して今は集結している最中というところ。    もしくは【今はその集結の最中】とかどうでしょう
>>うむ。敵にしたくはないものである。いあ、やらせはせんとも。    【やらせはせん】って雷簿三が殿しちゃいそうw
○うむ。敵にしたくはないものである。いあ、頼まれても御免である。 それとも【むしろ全力で取り込む所存である。】とかどうでしょう
>>735
>>呵呵大笑。なんという豪傑。言う内容ではない。      分からなくはないけどちょっと変えてみたい
○呵呵大笑。なんという豪傑。その言はまさに豪放磊落。 本来は言ったらヤバいような内容でも問題にさせないような人柄って事でこんな感じ?
>>736
>>流石馬家の当主はその覇気化け物だね! ちょっと接続詞に違和感が
○流石は馬家の当主その覇気化け物だね! の方が良いと思います
>>はっはは、と。 この笑い方実際にやってみると変な感じが
○ははは、と。  それとも【はっはっは、と。】の方が良いかな?
>>あ、そりゃそうだ。自分らが一顧だにされないというのは流石に二人とも未経験だろうて。特に華琳。                 上で馬騰さんと会話してし白蓮は違うんじゃねーかな?
○あ、そりゃそうだ。馬騰さんは白蓮にとっては憧れだろうし、自分が一顧だにされないというのは華琳にとっては未経験だろう。 なので地味様は憧れの人と一緒に戦えることが嬉しくて【不敵な笑みを浮かべた】んじゃないかな
>>いや、勝つのはいいけど事後処理揉めなかったらいいなあ、と。   【いいけど〜いいなあ】だと変な感じが
○いや、勝つのは当然として事後処理揉めなかったらいいなあ、と。 慢心してるならこんな感じ?もしくは【いや、勝つのはいいけど事後処理揉めたらいやだなあ、と。】こうかな?
>>だって凡人だもの。      間違いじゃないですよ…単なる好みと言うかネタと言うか
○いいじゃない、凡人だもの。 みつを…じゃなかった、じろう

朱儁と董卓はまだ傷が癒えてないから不参加かな?あとこういう場に厚かましく顔出しそうな天の御使いはどこで何して…弱いもの虐めですね分かります
そういや袁家からの援軍は無いのかしら <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/05(金) 22:58:53.31 ID:YqhvOPti0<> >>738
どもです。

>蒲公英は可愛いなぁ…いやほんと可愛い
ありがとうございますー!

>なんでだろ原作ではそこまでお気に入りじゃないんだけど、なぜかここの蒲公英はすごく可愛い(笑)

そこまで言って頂けるのは本当にアリがたいです!
でも実際蒲公英は無理なく動きまくる感じで、一ノ瀬的にもオールオッケーです!
こいつ、動くぞ なんてとうの昔に乗り越えた蒲公英の活躍にご期待くださいませませ。

>『破巾の布陣、その前日』
かっけえ
こういうの、どうやったら思いつくのでしょうね。
本当に嫉妬ですよ。嫉妬でしょう。
とかイイながらしれっと使わせて頂く感じになろうかと、ゴニョゴニョ

>>739
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

コテを外してぇ!(富野節)

>朱儁と董卓はまだ傷が癒えてないから不参加かな?
流石にまだ、ということで一つ。
つか、参戦した方が違和感ですよねw

>そういや袁家からの援軍は無いのかしら
ないですw
だってそのために援軍呼んだし、援軍呼ばなかったのですから

という描写を挟んだほうがいいのかなあとか思ったり
ぐぬぬ
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:05:42.48 ID:tZEfMt7f0<> 「なんと……それは、邪法ではないか!そのようなことが本当にあるというのか!」

だん!と卓に拳を叩きつけたのは馬騰さん。やめてください卓が砕けてしまいます。

「信じがたい、というのが率直なところね。僵尸だの幻影兵だの、常軌を逸しているわ」

華琳が胡乱げにそう発言する。
いや、俺だってそう思うよ。黄巾本拠からは僵尸と幻影兵溢れてくるかもしらんから気を付けてねーなんて、さ。でもねえ。
本陣から正確な情報があるとないとでは前線の士気が段違いなのですよねえ。

そんなことを考えながら。
室内の面子(メンツ)を今更ながらに紹介しとく。
紀家軍からは俺と風と星。馬家軍からは馬騰さんと翠と蒲公英。曹家軍からは華琳と春蘭と荀ケ(ネコミミ)。公孫家軍からは白蓮。董家軍については一回お休みである。再編で大変らしいからね、仕方ないね。

そしてそれぞれ中心人物を集めて黄巾本拠を叩く前の作戦会議なわけだ。それにあたり情報の開示と共有化をしているのだが、そりゃ黄巾が妖術とか幻術使ってくるとか言っても現実味ないよね。
誰だってそう思う。多分俺だってそう思うよ。
だが。

「いや、私は二郎を信じる。戦場では何が起こっても不思議じゃない。
実際、禁軍最精鋭を率いる朱儁将軍、それに董家軍が痛撃を食らっているのだろう?
 だったら、予備知識は必要だろう。仮にそのような存在が現れなければそれでいい」

そうじゃないか?と見まわす白蓮である。うう、立派になって……。

「いや、そうだな。その通りだ。備えは必要だろう。
朱儁率いる禁軍、それに董家軍共に精鋭だ。それを退けるのであるから、いずれにしろ尋常な相手ではないであろう」

「では聞くけど二郎?
貴方はどうやってその、非常識な、この世にあってはならない軍勢を退けたのかしら」

華琳の疑問もごもっともである。ただ、それを語るにはその道のプロからの言葉の方がいいだろうて。
そして俺はその人物を紹介する。

「漢中において民のために尽くす医療集団。聞いたことがあるだろう。そこの専門家から説明してもらった方がいいと思う」

俺の言葉に華琳が反応する。知っているのか、華琳!

「漢中……。五斗米道かしら」
「違う!ゴッド!ヴェイドー!だ!」
「は?」

流石の華琳が目を白黒させるのが実に面白い。馬騰さん達が苦笑しているところを見ると知っているのだな。表も裏も。

「ゴッド・ヴェイドーの華佗を皆に紹介する」

以下、華佗から皆に所々の説明がありました。結論としては、とりあえずもち米と桃の木とが有効。銅銭もだっけか。
いや、華琳よ、お前がそういうの嫌いなの知ってるけどとりあえずはそういうもんだと納得してくれ。とりあえず馬騰さんは納得してくれたぞ。

「まあ、そういうわけで、野戦は馬家と公孫家。城塞には俺たち。突入は曹家を中心として総力戦という方針で。
 馬騰さん、先陣よろしく頼みます」
「うむ、望むところであるとも!」

威勢よく馬騰さんはそのまま翠と蒲公英を連れて室を後にする。にこやかに手を振る蒲公英とこちらを見ようともしない翠が対照的である。あれ、俺ってば翠に何かしたっけか。パンチラ見たくらいじゃねえかなあ。

「じゃあ、私もこれで失礼する。野戦であればどうとでもなる。後は任せた」

白蓮も明日に備えて陣に帰るみたい。
で、だ。

「で、突入する私たちに言うことがあるんじゃないのかしら?」

はい。あります。

じろりとこちらに視線を向ける華琳。それに増して刺々しい視線をくれやがる荀ケ(ネコミミ)。春蘭は……目が合ったけど小首を傾げるだけだ。くそう、可愛い。

「二郎。貴方黄巾の本拠に潜入したのでしょう?であればその首魁についても見知ったはずよね?」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:06:09.65 ID:tZEfMt7f0<> まあ、そうよね。その情報はできたら開示したくなかったんだが……。
しゃあねえ。開示だ。

「女が三人。芸人だ」

俺の言葉。流石に華琳でも言葉を喪うだけの衝撃でしょうね。

「……二郎。相違ないのね?」
「ああ」

こめかみをぐりぐりと。眉間に皺を刻みながら数瞬煩悶する華琳。気持ちは分かるぞー。ほらほら、もっと苦しんでもいいのよ?

「……三人の特徴を。流石にそれだけの情報では特定できないわ」

ごもっとも。
俺は手元にある情報全てを開示する。天和、地和、人和と呼ばれていること。長女のみ巨乳であること。三女は眼鏡っ子であることなど。

「……やるせないわね。中華を揺るがす黄巾の乱。それが芸人の信者が暴走したものだなんて」
「きっかけなんてそんなもんかもしれんさ。俺らは粛々と義務を果たすだけ、さ。頼りにしてるよ」
「あら、美味しいとこだけもらっていっていいのかしら?」
「そこいら辺に気を配るほど余裕がある訳じゃあ、ねえのさ。
そんかし、確実に頼むわ」

華琳はくすり、とほほ笑み、顔を近づけてきて……。

「痛い!痛いって!」

ぎりり、と俺の耳を掴み、えいやとばかりに引っ張り上げる。
盛大に抗議の声を上げる俺の耳元に口を寄せ。

「いいわ、それで納得してあげる。まだ隠していることがあるみたいだけどね。
 その代り、無様を晒したらただじゃおかないわよ」

がじり。

行きがけの駄賃とばかりに痛む耳に追い打ちをくれてその場を立ち去る。
いやはや。耳が痛いってば。

「くふふ。仲がおよろしいようで〜」

そんなんじゃねえっての。見たら分かるでしょうよ。

「主よ。まるで説得力がないぞ?いやはや。
厄介な御仁に引っ掛かってしまったようだな」

いや、そうじゃなくてって言うかそこは無実!無実だから!

「などと意味不明な供述を繰り返しているようですが、星ちゃん」
「全く困ったものだ」

ちょ、待てよ!
何この流れ。

「ちょっと待ってみようか。と言うか待ってくださいおねがいします」

すたすたと去る二人。しまった。こういう時に味方をしてくれそうな流琉も呼んどくべきだったか!

……それはそうとして、いよいよ明日。

決戦の刻、迫る。
のさ。

◆◆◆

「っしゃおらあああぁぁぁ!!」

雄叫びを上げて翠が、あれ?
あれは……指揮官先頭ってもんじゃない。あれは単騎特攻だ。陣構えの先頭に陣取っていた翠。それが兵を率いるのかと思いきや、後続の兵を置き去りにして独走態勢である。
後続の騎兵はそれでも必死に翠について行こうとしているが、ぐんぐんとその差は広がり、マジで単騎で接敵するぞあれ。あ、したわ。
幾筋も銀の閃光が走り、翠を囲もうとしていた黄巾がどさり、と倒れ落ちる。全てが一撃必殺の連撃。
黄巾の分厚い陣構えに楔を打ち込むどころか、真正面から切り裂いていく。錦馬超の武威の所以、恐るべしである。などと思っていたのだが、馬家軍の本領はそれだけではない。
先陣を任された兵たちが翠の開けた風穴に殺到し、陣構えを食い破る。当たるを幸いに暴虐の嵐が吹き荒れる。が、無論それは統率のとれた動きではなく、本能的なものだ。
自然、限界もすぐにくるし、機動に破綻も生じ、致命的な隙を見せてしまう。
そのままではやがてすぐにその勢いは潰えてしまい、かえって逆撃を喰らうであろう。そんな兵を包括的にまとめながら、翠が開けた突破口を面で制圧する将がいれば話は別である。そんな将がいるのか。いるのだ。

「ここにいるぞー!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:06:47.13 ID:tZEfMt7f0<> 将に置いてきぼりにされた兵を鼓舞し、再編し、面で制圧していく。これって、言葉にしたら普通に見えるかもしらんが、前線指揮官が実際にするとしたらありえんってば。少なくとも俺には無理。
ともかく、翠が穿った穴を蒲公英は面で拡大し、黄巾を蹂躙する。いや、すごいわ。
更に、である。

「ふむ、その数たるや圧巻である。だが。しかしな。この馬騰、私利私欲で戦う者なぞ敵ではない!私は義によって立っているからな!
 総員!吶喊せよ!」

馬騰さんの恐るべきは。圧倒的な士気と勢いで場当たり的に敵を押しつぶしているように見えるがその実、翠と蒲公英が穿った風穴を最大限に活かして効率的に薙ぎ払っているというところであろう。傍目八目だからであろうが、俺ですら分かるくらいに効率的に圧倒していく。
それでいて熱狂的な士気を理性的に振るっている。しかも馬家軍という精鋭をだ。こわやこわや……。
これぞ騎兵。これぞ用兵というものだ。背中でそれを語ってくださってる。
馬家、パねえ。


「二郎、そろそろ私も出るぞ」

内心ブルってた俺に白蓮が声をかける。いや、もう馬家軍だけでいいんじゃないかな。

「なに、馬家の取りこぼしを食ってくるだけだ。どうということもないさ。
二郎、見ててくれよ。二郎の、そして韓浩の好意はけして無為じゃあなかった。そう、確認させてやるよ。
 ああ、見ててくれ。私たちはこんなにも鍛えてきたぞ。こんなにも歴戦だぞ。そう、自慢させてもらおうか!
 白馬義従!出るぞ!」

咳(しわぶき)一つなく、一つの塊と化した軍勢が襲いかかる。黄色い塊が白い塊に接するとたちまちに消滅していく。溶けていく。広大な戦線を支える馬家軍の後背を護り、右翼から援護し、いつの間にか先陣をすら奪う。
その高機動戦たるや、横で控えていた華琳が感嘆のため息を漏らすほどである。
馬家軍の戦線を支えながら、援護しながらそのほかの戦場すべてを制圧するなぞ、ありえるものかよ。
騎兵の精強さはいい。だが、前線で戦闘しながらも戦場すべてを視野に入れて動くなんて。――なんて、出鱈目。

「二郎さん。それではそろそろ参りましょうか」

風の声で我に返る。

「せやで、いよいようちらの出番や。あの程度の城壁、どうということはあらへん。いよいようちの、うちの子たちの出番や。
 二郎はん。いつでもええで?」

無軌道な蹂躙に見えて城塞への最短はその実確保されている。攻城兵器の出番。
いよいよである。

「よし、往くぞ。なに、敵に墨家いようとも恐れることは無い。それだけの準備をしてきたからな。
 衝車、櫓車、投石機。粛々と前進せよ」

俺の言葉を合図に、後方にて控えていた軍勢は前進する。
響く重低音。まさか出番があるとは思っていなかった工兵部隊の出番である。俺たちはそれを護るための壁となる。ほら、攻城兵器なんて的もいいとこだからね!

「星には騎兵を預ける。攻城兵器は目立つからな。守備を突破されそうなとこの火消を頼む」
「承った。きっちりと果たして見せよう。いざ、参らん!」

「風、歩兵の指揮は任せる。俺と流琉を如何様にも使ってくれ」
「承知なのです〜。まあ、今回については、あまりお仕事はなさそうですが、ね」
「それならそれでいい。楽勝大いに結構。
 真桜!」
「はいな!」
「一番うまく運用できるんだろう?
自由にやってよし!必要なら袁家軍全てを使っても構わん。あの城壁を破れ!」

戦況は極めて順調に、問題なく推移している。僵尸も幻影兵もその姿はない。それがいっそ不気味であり、風の、華佗の表情を見ると俺も気を抜くなんてできない。
そう、ここは戦場。何が起こってもおかしくはないのである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:07:14.02 ID:tZEfMt7f0<> ◆◆◆

轟音が響く。門扉を衝車が襲う音である。その標的を打ち破るのにあと半刻もかからないであろうというのが真桜の見立て。
櫓車から城壁上に降り立った兵がじわり、と橋頭堡を確保する。その先頭には流琉。押し寄せる黄巾に対し最前線でよく持ちこたえている。櫓車からは無数の矢玉が放たれ、それを援護する。
陳蘭率いる長弓兵は風の指揮のもと、実に効率的に敵を打倒していっている。うん、流琉の援護だけじゃなく、こっちに迫る黄巾だったり、馬家、公孫家に対する援護だったりと四方八方に矢玉をばらまく。
攻城兵器に今のところ致命的な不具合は発生しておらず、真桜の整備、運用能力の高さがうかがい知れる。
そしてその指揮も実に理にかなっている。実に効率的に敵を薙ぎ払い、防衛設備にダメージを与えているのだ。
いや、真桜にここまで指揮能力を期待していなかったのだが……。
矢継ぎ早にあれこれ指示を飛ばし、不具合の出た兵器をその場で修理する。三面六臂の大活躍な真桜に労いの言葉をかけようとしたのだが。
どうにも顔色がよろしくない。

「おい、真桜、大丈夫か?」

自ら衝車の車軸に手を入れていた真桜にそう問いかける。
すると。

「ひっ!?」

こちらを見て悲鳴をあげる。
あ、そか。俺、返り血でちょっとえらいことになってるかもしらんね。

「ああ、すまんな。ちっとばかしみっともない姿ではある。
 だがまあ、真桜も疲れてるみたいだしな。ちょっと休憩しようぜ。どうせこれまで出ずっぱりだったんだろ?」

周囲に目で聞くと是、と応えが。

「ほれ、無理は身体に毒だ。飯食うぞ、飯。付き合え」
「な、何するのん!ちょお!う、うちはあの子らの面倒みんとあかんのや!こら、力づくとかありえへん!
 放してんか!この、ああもう!力じゃかなえへん!あほー!」

ずりずりと最初は引きずってたんだが、だんだんめんどくさくなってよっこいしょとばかりに抱きかかえる。
俗にいうお姫様抱っこである。いや、これ結構楽なのよ?ほら、暴れてた真桜も大人しくなったし。

「二郎はんの、あほ……」
「聞こえんなあ」

取りあえず飯だ飯。腹が減っては戦はできぬ、というやつである。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:08:48.66 ID:tZEfMt7f0<> 「腹が減っては戦はできぬ。ってね。
そりゃ工房で自分だけならいいよ?でも真桜の指揮に幾千、幾万の兵士の命がかかってるからな。
 ほら、おかわりもあるぞ?」

俺の声にびくり、と身を震わせて箸が止まる。食欲もあまりないようである。
これは……いかんな。

「うん、すんまへん。ほんま、ありえん暴言とかすんまへん。
うち、ちょっとわきまえてなかったわ」
「そんなのはいいんだよ。俺を罵って真桜が気持ちよく仕事できるんならそれでいいんだよ。
 それが俺の仕事だからな。だが、真桜、お前。
……大丈夫じゃないだろ」

俺の言葉に泣きそうな顔でいやいやとばかりに顔を横に振る。

「そんなこと、あらへん。うちは、うちはなんともあらへんのや……」

かっと頭に血が上り、怒鳴りつけようとしてそれを抑え込む。俺の苛立ちを真桜にぶつけても仕方がない。
思えば、真桜はこれが初陣なのだ。そして初陣で指揮官を任せてしまったのだ。

「……辛いか?」

俺の言葉に、びくり、と身を震わせ、雨に打たれた捨て猫のような瞳で俺を見上げてくる。

「二郎はん、ほんまごめん。
うち、あかん。ごめん、あかんわ。
二郎はんがうちを戦場に連れてくるの渋ったの、しゃあないわ。
 あかんねん。うちの命令で、人が死ぬねん。敵も味方も死ぬねん。
ほんでな、うちが心血注いだあの子ら、ほんまええ子らや。あの子らが人を殺すねん。
 分かってたはずやねん。でも、でもな。うち、それ見たら、あかんねん。うちが殺せっちゅうたらあの子ら、うちの望む以上に殺すねん。
 うち、人殺しのためにあの子ら作ったんちゃうねん。そんなつもりちゃうかってん。
 ちゃうねん……」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:09:58.97 ID:tZEfMt7f0<> べそ、べそと双眸から涙をこぼし、真っ赤な目で俺に訴えてくる。

「そんなつもりやなかってん。
うちがあの子らを一番うまく使える。それだけやってん。あの子らをうち以外の奴にいいようにされたなかってん。
 それだけやってん。それだけやってんで。
なあ、二郎はん。うちが、あの子らにひどいことさせてるんや。人殺しさせてるんや。
 うち、どうしたらええのん?」

もはや何を言っているか、自分でも分からないであろう。真桜は俺に縋り付いてわんわんと号泣する。

「あの子たち……攻城兵器たちは奴らの意思で人を殺してるのか?」

そんな俺の問いかけに、慟哭しながらも真桜は応える。

「そんなわけ、ないやん。そんなわけあらへんわ!
 うちが悪いねん。うちが命じてるねん。あの子ら、悪くないねん」

だったら、簡単なことだ。

「だったら!
真桜にそれを命じたのは俺だ!だから俺を恨め!俺のせいにしろ!
 俺がために真桜はあいつらに人殺しをさせてるんだ。
俺だ。俺が下した命令のためだ。 
 気に病むことは無い。俺が命じたからだ。
……だからさ、全部俺のせいだ。
ほら、今なら殴っても、噛みついてもいいぜ?
 今なら誰も見ちゃあ、いないしな」

ぎゅ、と真桜を抱き寄せる。その柳腰に戸惑いながら、強引に腕に抱きかかえる。
べそをかいている顔を正面から見据えて、いつでも殴っていいようにニヤリ、と笑ってやる。

「ええの?二郎はんのせいにして、ええのん……?」
「ああ、いいとも」

それが俺の役割だ。その責は俺のものだ。誰にも譲るものかよ。

「あほ……そんなん言われたら……。惚れてまうやろ……」
「それは嬉しいな。てっきり蛇蝎の如く嫌われ、恨まれるってのを覚悟してたからな」
「あほぉ……。そんなん、できひん。できひんわ……。
嫌いになんか、なれへん。
 あかん、あかんて。ほんまに、ほんま、あかん。もう、あかん……。
 二郎はん、うちをこんなにしたんよ?やから、な?」

うちをあんたのもんにして?

「うちの男は二郎はん、あんただけや。うちはあんたのもんや。そう、思わせて?
 お願いやから……。お願いや……」

「ああ、お前は俺のもんだ。蹂躙してやる。俺のもんだって、思い知らせてやる。
 真桜、お前は俺のもんだ。それを、分からせてやるよ」

そう言い捨てて真桜の衣服を剥ぎ取り、荒々しく口づける。
必死に目を閉じながらもびくり、と身を震わせる真桜に。柄にもなく嗜虐心をそそられて流される。
戦場であるということすら情事の悦楽を引き立たせる香辛料でしかなかった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/08(月) 22:12:05.49 ID:tZEfMt7f0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

初めての体験に真桜も動転、というか普通はそうよね、ということで一つ。
真桜ちゃんが乙女に見えてたら嬉しいです。

そしていつもの題名おねだりですが。が。
今回は割とよくあるノープランです。
ええ感じの奴、オナシャス。
採用確率めっちゃ高い他界ー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/08(月) 22:23:53.25 ID:E077O9FjO<> 乙です

ここの真桜ちゃんほんと乙女で可愛いし、化け物揃いの恋姫武将の中にあって、元々は戦の経験もない単なる(?)町娘である設定がすごい生きていてすごいなぁと思います(小並感)


題案は
『凡人、死に泣く乙女と肢体を重ねる』
みたいな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/08(月) 22:29:01.33 ID:/fYfwu/Uo<> 初戦で部下がいるなら辛いだろうな…
題名は「桜は男に想いを移して花散らす」かな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/07/09(火) 18:32:21.02 ID:WRv3K2yO0<> 乙でしたー
>>741
>>「違う!ゴッド!ヴェイドー!だ!」  その他下の方もこう書かれてますが
○「違う!ゴッド!ヴェイドウ!だ!」  148話の題名は【凡人とゴッドヴェイドウ】ですしこうですね
>>流石の華琳が目を白黒させるのが実に面白い。 これでも良い気もしますが
○流石の華琳も目を白黒させていて実に面白い。 の方がいい気がします
>>以下、華佗から皆に所々の説明がありました。 【所々】って場所として使うあちらこちら、みたいな感じが
○以下、華佗から皆に諸々の説明がありました。 あれやこれや、という意味ならこちらの方がいいと思います
>>743
>>「承った。きっちりと果たして見せよう。 【果たしてやろう】と言い替えられる言い方かな?
○「承った。きっちりと果たしてみせよう。 であればこう二郎を魅了する、的な意味を含むなら【果たして魅せよう】とかが好みですが
>>744
>>いや、真桜にここまで指揮能力を期待していなかったのだが……。   接続に違和感が
○いや、真桜にここまでの指揮能力を期待してはいなかったのだが……。 の方がいいかな?

ちなみにこれって何時ごろに…一応飯食って〜とか言ってるし夜なのか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/09(火) 21:04:58.53 ID:ZGeE426/0<> >>748
どもです。

>ここの真桜ちゃんほんと乙女で可愛いし
やったぜ

>元々は戦の経験もない単なる(?)町娘である設定がすごい生きていてすごいなぁと思います(小並感)
そこはね。嬉しいです。そこはやっぱり気合い入れたとこなので。
三人娘は、ね。やっぱりそうなんですよ。皆違った道を歩いていますが。
それぞれの意思で、それぞれの道を歩いているということが伝わったらすっげえうれしいです

>『凡人、死に泣く乙女と肢体を重ねる』
やだ、ロマンティック!
そしてエロい!こういうの、どうしたら浮かぶのでしょうね!ギリィ

>>749
どもです。

>初戦で部下がいるなら辛いだろうな…
人死に自体は目にしてたでしょうし、平気でしょう。
でも、自分の命令で人が死ぬ。これはまた別次元なんですよね。

>「桜は男に想いを移して花散らす」
うおう。美しい。これはちょっと加工させていただくかもしれませんが、こういうの、どうやったら考えられるんです?
野生の紀貫之とでも言うのか!

>>750
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は少なかった!やったぜ

いや、ゼロを目指しますともw

>ちなみにこれって何時ごろに…一応飯食って〜とか言ってるし夜なのか
夕刻以降でしょうけどあんまり考えてません
エロはあっち連載時にあそこで掲載できたらいいな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/12(金) 21:01:38.83 ID:tX1IcJLp0<> 轟音と共に門扉が倒れ込んでいく。幾度目か分からぬ衝車の一撃。真桜は見事にその仕事をやり遂げた。
そこを死守せんと殺到する黄巾守備兵。轟音と怒声、悲鳴を切り裂いて清冽な叫びが響く。轟く。

「よし!わたしに、続けえぇぇ!」

……指揮官に必要な要素の一つとして声、というものがある。戦場に響く様々な音響の塊。その中で配下に意思を伝えることができるかどうかというのは、非常に大きい。いくら戦術眼、判断力に優れていてもそれが配下に伝わらなければ匹夫の勇でしかない。
そういう観点から言えば、春蘭というのは名将の条件を非常に正しく備えている。
敵には威圧を、味方には鼓舞を。そして迸る戦意をその声に乗せて配下に伝えるのだ。

「うおおおおおおおおおお!」

そして指揮官先頭のお手本と言ってもいい。門前の瓦礫を軽やかに乗り越え、襲いかかる矢玉を避け、打ち返して城内に侵入していく。
それに配下の兵たちが追いすがっていく。春蘭の突破力に一時引き離されても問題ない。
清冽なる叫びが彼らを呼び寄せるのだからして。
以前春蘭配下の兵卒と呑んだ時に聞いたことがある。新兵で右も左も分からぬままに、戦場の空気に飲まれていたのだが。

「は、夏候惇様のお声のままにひたすらに戦場を駆けていました。ただひたすらにそのお背中を追っていました」

そしたら勝ってたんだってさ。
これは一例だけど、春蘭らしいと言うべきか。少なくとも真正面からぶつかりたくはないね。
それはともかく。
そろそろ俺たちも行くか、ね。

「星、留守は任せた。流琉は風と華佗の護衛な。
 いざとなったら二人を抱えて離脱。いいな」
「はい!わかりました!」

じゃあ。

「決着をつけに行こうか。散々やらかしてくれた落とし前、つけに行こうか」

災厄の種、元凶を刈り取ってやるさ。

「黄巾よ。お前らの罪を、数えろ……」



<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/12(金) 21:02:14.61 ID:tX1IcJLp0<> ◆◆◆

轟音、剣戟、悲鳴。それが徐々に近づいてくる。否が応でもそれに気づかないわけにはいかない。
黄巾賊の本拠地。要塞といっていい堅牢な防壁は官軍により破られてしまっている。
最も豪華なその最奥部で、その三人は震えていた。

「どうしよう。ね、どうしよう……。
 どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」

桃色の髪をした長女――張角――が誰ともなしにそう呟く。その声を受けて青色の髪の少女――張宝――は反論する。

「姉さんが悪いんでしょっ! 『わたし、大陸のみんなに愛されたいのー!』とか何とか……」
「えー。それだったら、ちーちゃんも『大陸、獲るわよっ!』とか言ってたじゃない!」
「そ、それは、歌で獲るわよって意味で……!」

そのやり取りを聞いて紫色の髪の少女――張梁――はため息をつく。

「はあ、姉さん。この期に及んでそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。
 波才さんが言ってた通りにさっさと逃げ出しましょう」
「うー。せっかく食べるにも困らないし、いっぱいの人たちに私たちの歌が届いてたのになあ。
 ちょっと、もったいないなあ」
「そうよ!この、『太平要術の書』があれば官軍の百人や千人……」

手元の書に目を落として張宝がニヤリ、と笑う。
半ば本気かと思わせるほどの論調に張梁がたしなめる。

「もう、折角波才さんが色々骨を折ってくれたんだから。
 ね。
 生きてさえいればなんとかなるわよ」

そうは言っても三人とも既に栄耀栄華をある意味極めた身である。中々に、ゼロからの再出発には抵抗があった。
だからこそここまで脱出を延ばし延ばしにしていたのである。
もしや黄巾が勝たないか、と。官軍をこれまで撃滅してきたではないか、と。

「まあ、仕方ないよ。一からまた頑張ろう?生きてさえいればなんとかなるよ!
 また私たち三人で、頑張ろう?」

ようやく身の回りの最低限のもの――にしては大荷物だが――だけを手にし、いよいよその時とばかりに室を出る。
だが、時すでに遅し。剣戟の音は間近に迫っていた。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/12(金) 21:02:40.65 ID:tX1IcJLp0<> ◆◆◆

「将軍!夏候惇将軍!こっちは抵抗が激しくて駄目です!
 一時後退を!もしくは迂回を!」

その言葉に夏候惇は激昂する。

「馬鹿者!駄目とはなんだ駄目とは!抵抗が激しいということはこの道が正しく黄巾の首魁に通じるということだ!
 それにな!
 私の辞書に後退やら迂回やらまどろっこしいものは載っておらん!前進あるのみよ!」

えへんとばかりに豊かな胸を張る。ちなみにこの台詞は後世の創作であるという説もあるが、実話である。実話であると確認されている。
その言葉に固まる部下たち。或いは頷く古参の部下たち。これあるかな我が主君とばかりに。

「まあ、それなりに休ませてもらったしな。いいだろう。ここからは私の仕事だ。
 曹家の大剣!その武威、思い知れ!
 唸れ、七星餓狼――!」

無茶なことも言う。無理も通す。だが兵卒から絶大な人気を誇る夏候惇。その真髄は有言実行、その分かり易さに尽きる。
手本を見せてやるからついてこいとばかりに単身槍衾に突撃し、粉砕する。

「そらそらどうした!今宵の七星餓狼は血に飢えておるぞ!」

今はまだ昼ですという部下の言葉もそこそこに血煙を巻き上げ、大喝する。

「さあさあ、死にたい奴からかかってこい!なに、痛いのは一瞬だ。
 来ないなら……こちらから行くぞ!」

語尾が響く間もあろうこそ、嵐が吹き荒れる。

「つ、つづけ!夏候惇将軍に続け!」

呆けていた部下が慌てて追随するのを満足げに見やる。これで呆けたままであったならば修正を加えないといけないところだ。
実戦のための訓練。そのためにしごいてきたのだ。
これまでは目立った出番がなかったものの、おさおさ馬家や公孫家にその武威劣るものではない。少なくとも夏候惇はそう思っているし、そう鍛えてきた。
――実戦経験だけは一歩譲るのはやむを得ないとしても、だ。
部下が切り開いた血路――文字通り――を悠然と歩み、目の端にぷるぷると震えるものを見つける。
どうやら、黄巾ではあるものの兵ではないようだ。身なりは、いい。

「ふん、幹部の妻妾の類か?」

置き捨てて更に歩みを進めようとして振り返る。
撒き散らされた血糊に怯えながらも、じり、じりと動いている。どうやら逃げ出す過程で修羅場に出会ったらしい。

「おい、貴様ら!」

声をかけたのは気まぐれだ。いかに逆賊とは言え、無抵抗の女子供を切り捨てて悦に入る趣味はない。

「は、はい?」

顔を確認し、その眉目秀麗さにふむ、と考え込む。

「貴様ら、踊り子の類か?」

……この時、彼女らは一目散に逃げるべきであった。或いはその妖術で抗うべきであった。
間違っても頷くべきではなかった。
だが、一介の踊り子として逃げ出せという波才の言葉が災いとなる。
何せ、夏候惇はその踊り子たちを捕縛するために出張ってきていたのだから。
是、と三人が頷いた瞬間、目にも止まらぬ一撃が彼女らを襲う。
どさりと倒れた彼女らに向かい、夏候惇はニヤリ、と笑う。

「安心しろ、峰打ちだ」

――史書には、夏候惇が黄巾の首魁たる三姉妹を捕縛したことのみが記されている。
曹家の武の象徴として名を馳せる、それは最初の一歩でもあった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/12(金) 21:04:08.22 ID:tX1IcJLp0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

黄巾もいよいよクライマックスシリーズかな

題名。
題名ね。
題名かあ。
題名ですわ。
題名ですって。


えと、オナシャス。
いつもより大募集でございまするる。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/12(金) 21:54:16.68 ID:4dNmqatJO<> 乙したー
二郎ちゃんの内偵が幸を奏したというところですかな
序盤の正念場、どうなることやら

タイトル案は「崩れるは壁、あるいは幻想」といったところで一つ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/13(土) 01:01:20.22 ID:FupARJDUO<> 乙です
うむ、これこそ春蘭である
同じ猪突猛進タイプなのになぜか真理にたどり着くのは、どこぞの馬家のお姉さんと何が違うんですかね…ww
あっちはなんか、目の前の真理をわざわざ迂回して迷子になるイメージでして


題案はそんな春蘭に敬意を表して
『惇突猛進、たどり着くは正着』 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/07/13(土) 22:59:10.12 ID:158dIQbl0<> 乙でしたー
>>752
>>そういう観点から言えば、春蘭というのは名将の条件を非常に正しく備えている。 ちょっと違和感が
○そういう観点から言えば、春蘭は名将の条件を非常に正しく備えている。      もしくは【春蘭という武将は】とかどうでしょう
>>襲いかかる矢玉を避け、打ち返して城内に侵入していく。 まあ石つぶてとかなら【打ち返して】もあるから間違いじゃないかもですが
○襲いかかる矢玉を避け、打ち払って城内に侵入していく。 もしくは【打ち落として】とか?無駄に洗練された無駄の無い無駄な動きでもなければ【返す】のは難しいと思うんだけど
>>753
>>否が応でもそれに気づかないわけにはいかない。 【否が応でも】は良くある誤用の1つですね《弥が上にも》と混じるそうです
○否が応にもそれに気づかないわけがない。     【わけにはいかない】だと嫌だけど自分の意志で立ち向かう。例えるなら『俺はここで退くわけにはいかない』みたいな感じがしますね
>>桃色の髪をした長女――張角――が誰ともなしにそう呟く。 【誰とはなしに】が混ざったのかな?ちなみに意味は誰が言ったか分からないという意味ですね
○桃色の髪をした少女――張角――が誰にともなくそう呟く。 ところで他の2人を【少女】って呼んでるし一応彼女もぎりぎりで…アイドルだし1人だけ特例だとbbッターン
>>中々に、ゼロからの再出発には抵抗があった。    ゼロから始める流離生活?
○中々に、全てを捨てての再出発には抵抗があった。 一応ゼロって英語になるのかなあ?
>>754
>>おさおさ馬家や公孫家にその武威劣るものではない。 この場合《全く》の意味で使ってるんでしょうけど
○けっして馬家や公孫家にその武威劣るものではない。 とかどうでしょう?
>>――実戦経験だけは一歩譲るのはやむを得ないとしても、だ。 この場合だと
○……実戦経験だけは一歩譲るのはやむを得ないとしても、だ。 の方が良さそうかな?と
>>……この時、彼女らは一目散に逃げるべきであった。或いはその妖術で抗うべきであった。 順番をちょっと変えてみたい
間違っても頷くべきではなかった。
だが、一介の踊り子として逃げ出せという波才の言葉が災いとなる。
何せ、夏候惇はその踊り子たちを捕縛するために出張ってきていたのだから。
○……この時、彼女らは一目散に逃げるべきであった。或いはその妖術で抗うべきであった。 文脈からするとこの方が良さそうかな?
何せ、夏候惇はその踊り子たちを捕縛するために出張ってきていたのだから。
間違っても頷くべきではなかった。
だが、一介の踊り子として逃げ出せという波才の言葉が災いとなる。

多分だけど惇ネエは二郎みたいな辞書に撤退yら迂回やら載ってる武将の強さを認めてるんだろうね
その上で自分には向かないと見切りをつけて迷いを捨てた気がする
曹操絶対で曹操の言う事は正しいと思ってるけどその曹操の言う事(勧誘)を断る二郎を認めてる辺り
自分が出来ない事は出来ない、それは他の人に任せよう。出来る事は全力でやりきろう。みたいな印象を受けたり <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/16(火) 21:17:39.15 ID:FXfWoGud0<> 感想返し他
ちとお待ちくださいませ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/19(金) 22:28:23.05 ID:mVpDX7080<> >>756
どもです。

>二郎ちゃんの内偵が幸を奏したというところですかな
これは必須ですw
だってこれがないとゲリラゾンビで国が滅びる手前になりますもの
対策?
ゾンビを供給できないほど人がいなくなればええんやで

>タイトル案は「崩れるは壁、あるいは幻想」といったところで一つ
お素敵!お素敵倶楽部です!
こういうの、もう、どうやっても身につかないのだろうから、今後ともよろしくお願いします。

>>757
>うむ、これこそ春蘭である
うむ

そうなんですよ。

>同じ猪突猛進タイプなのになぜか真理にたどり着くのは、どこぞの馬家のお姉さんと何が違うんですかね…w
一ノ瀬も聞きたいw
失禁さんにはお世話になったというのに!くそ!なんて時代だ!

>『惇突猛進、たどり着くは正着』
勢いが凄い!やってやるぜ的な勢い!
こういうの、こういうのを求めているのですよ。
思いつかないからね、求めて訴えるわけですよ。

>>758
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
変身じゃない返信遅れてすんません

>多分だけど惇ネエは二郎みたいな辞書に撤退yら迂回やら載ってる武将の強さを認めてるんだろうね
ほむ

>その上で自分には向かないと見切りをつけて迷いを捨てた気がする
なるほど。d姐強いわけだわw
しっくりきました。
二郎ちゃんをどうして認めているかというのはそこなのか、と。
って、なぜかd姐のヒロインちからが増していくぞ……っ!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/22(月) 22:20:28.93 ID:ccavofRU0<> 戦場の喧噪が次第に遠ざかっていく。そして歩みを進めるのは俺と風が黄巾の熱狂を目の当たりにした劇場の更に奥。その奥。
流石にここには見張りの兵もおらず、文字通り無人の野を往くが如しである。なぜこちらに歩を進めるかというと。いや、俺もよく分かってないんだけどね。
ただまあ、太平要術の書という奴がどれだけ厄介なものかというのは華佗から聞いている。
死を収集する書物。死を積み重ねるほどにその力を増大させていく。そしてやがては書自らが意思を持つかのように死を世にまき散らすという。
全くもって俺の天敵と言っていい存在だ。そんなものがあるとなると枕を高くして寝ることができん。それが黄巾の乱でどれだけ強化されてることやら。

「これほどまでに濃密な……!
 なんということだ!これほどに濃いとは!これは!
 完成されているではないか!」

華佗がなんか言ってるが、零感の俺もマジでなんかやばい気がするの。
空気が、重いというか、密度が濃いというか。目の前の建物。廟のようなそれに踏み込むのを躊躇してしまう。

「これならば、これほどの術……。
間違いない!太平要術の書を操る術者はこの中にいる!
 だが……。くっ!これほどまでに厳重な封がされているとなると、まずいな……」

まあ、廟の入り口には何かお札とか貼りつけられてたりして、こう、見るからに禍々しい。ホラーとか俺超苦手なんだけど。だけど。

「ですがここで時間をとられるわけにもいきませんしね。いいです。流琉ちゃん、どーんとやっちゃってくださいな〜」
「はい!わかりました!
 えーい!」

軽い!軽いよ!
いかにも、ちょっとあれとってきて!
みたいなおつかいクラスの気軽さで風が流琉に命じて、流琉が降魔杵をこれまたおおきく振りかぶり……。

「なん……だと……」

華佗もびっくりの一撃は厳重に封印されていた門扉を見事に粉砕していた。
流石流琉。えらいえらいと撫で繰り回してやろう。
えへへと照れる流琉をこれでもかと持ち上げる俺の背がちょいちょいとつつかれる。

「二郎さん?ここからが本番ですから、緩むには早いのですよ〜」

こりゃ失礼。そうだな。こっからが本番だよな。
正直気は進まんが、やるしかない。

力む身体をそのままに、見敵必殺だけを自らに命じて――。

「ちぇすとおおおおおおお!」

そしてその時、破滅を思わせる音曲が響いた。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/22(月) 22:20:55.27 ID:ccavofRU0<> ◆◆◆

無心で放った一撃は会心。故にまるで手応えがないことにすら気づくのが遅れる。

「さてさて、どうやって金城鉄壁たる封印を除いたのか興味もありますが……。まずはご挨拶をするべきですかねえ。
 私は波才。黄巾の軍を率いる最高責任者です……」

異相の男。ギョロ目の男が楽しそうに。実に楽しそうにこちらを見やる。
吐き気を催すくらいに濃密に血の……死の気配を纏って俺たちを嘲笑う。

「そして、貴方たちを死後使役する主です。ゆめ、お忘れなきよう……」

ゆらり、と懐から取り出したのは禍々しい、書!

「流琉!ぶちかませ!」

俺が命じるやいなや、青い閃光が波才を襲う。切り裂く。
が。

「んー。なかなかに思い切りがいいですねええ。ですが、ここは私の本拠。ここで私に伍するには、宝貝では足りませんねえ。ええ、足りません。全然足りませんとも。
 ですが、贄としては貴方たちは優秀です。合格です。さぞや聖処女のために力になるでしょう。なるでしょう。なりなさい。
贄と、なりなさい」

狂笑が辺りに響く。確かに流琉の一撃が彼奴(きゃつ)を打ち据えたはずなのに!

「訳が分からないという顔をしていますねえ。いいですよ。実にいい表情ですねえ。素晴らしい。実に素晴らしい。
 もっと。もっと絶望しなさい!聖処女のもたらす地上の救済を邪魔する蒙昧には相応しいでしょうとも……」

幾つも鬼火が漂い、波才はそこかしこに存在して俺を、俺たちを取り囲んでくる。

「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおお!」

気合い一閃。波才を捕えた一撃。それも手ごたえなくすり抜ける。
くそ!幻術、手妻かよ!厄介な!

「んー。他愛無いですねえ。いや、この程度なのでしょうかねえ。いや、もうちょっと死が積み重なれば聖処女たちの望みを叶えられたものを……。
 安心しなさい。宝貝はきちんと有効活用させていただきましょう。
いや、ようこそいらっしゃいませと言うべきでしょうかねぇ。
そして二度と会うこともないでしょう。輪廻の輪から外れて私に、聖処女に仕えることに喜びを覚えることになるでしょう――。ですから、さようなら」

闇が集まる、集まる。死の気配が本能を刺激する。逃げる。逃げろ、逃げたい! 
動かぬ身体が、凍った心が全力でこの場からの逃亡を命じる。
これは、まずい……!

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/22(月) 22:21:31.61 ID:ccavofRU0<> ――臨める兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く。

静謐な声が響く、轟く。それは炎のように熱く、広がり、貫くのだ!

「臨兵闘者 皆陣列前行!
光に!なれえええええええええ!」

華佗が黄金の光を背負って波才を貫く……それも幻体か!
だが、この場の闇が晴れ、轟く気合い!
さしもの波才も苦し紛れに叫ぶのだ。

「貴様!この術式!五斗米道か!」
「違う!ゴット・ヴェイドウだ!貴様のような邪知暴虐をこの世から打ち払うがお役目!
 急急如律令!」

華佗の手から放たれた札が乱舞する。そして幻体が消えゆき、人影を拘束する!

「く、この程度で封じたなどと思わないことですね!
 本来ならば聖処女への福音!それを呪詛としてこの大陸に大いなる災いを!
更なる流血を!
 稲穂は枯れ、雄鶏が産んだ卵は蛙に守護されて地に災厄をもたらす!」

明らかな呪詛。禍々しいそれを散らすのは。

「残念ですね〜。既にその卵は人により観測されています〜。
 いつだって、化け物は人の手により討たれると相場は決まっているのですよ。
 さて、二郎さん。今度こそお願いします」

いいぜ、俺の手で決着をつけてやる。三尖刀の刀身にぺろりと舌を這わせて高らかに唱える。

「南無八幡大菩薩!」

切り裂き、残心。
断末魔が廟に響き渡り。

「つ。疲れた……」

何か色々根こそぎ持ってかれた感があるがまあ、よしとしよう。

「二郎さん、お疲れ様でした〜」
「いや、俺は美味しいとこ、もってっただけだからな。あれでいいのん?」

にこり、と風は微笑む。

「ええ、出来すぎなくらいでした。後始末は華佗さんに任せて問題ないですしね〜」

どうにも。分からんことだらけではあるが、黄巾の乱は一応その根元を断てたようでなにより。

まあ、この直後に波才の手にしていた書が太平要術の書ではなかったと判明したり、それを見て風は華佗となにやら打ち合わせていたり。
盛大にため息を、と思う俺の袖がちょいちょいと引かれる。

「あの、二郎様。これで、いいんですよね?これで平和になるんですよね?」

「ああ、流琉はよく頑張った。ここからは俺の仕事だな」

この時俺は完全に戦後に思いを巡らしていた。官軍は禁軍のみならず諸侯の軍をも含む。
その影響に、厄介さに。或いは三国志へと続く流れに。

だから、厄介ごとが来るにしても、もう少し時間的な猶予があると思っていたのである。思い込んでいたのである。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/22(月) 22:22:22.49 ID:ccavofRU0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名はね、どうしようかねえ

どうしようかねえ

思いつかないのでオナシャス。
本当にオナシャス。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/23(火) 05:35:11.62 ID:BHTXBgWdo<> >>764
乙であります。
【黄天伏地、乱世開門】
(黄天地に倒れ伏し、乱世の門が開く)
とか?

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/24(水) 19:17:38.28 ID:Ctg/O7hF0<> てすと <> 赤ペン<>sage<>2019/07/24(水) 19:18:31.38 ID:Ctg/O7hF0<> 乙でしたー…何だったんだか
>>761
>>「これならば、これほどの術……。 【これならば】だとポジティブな印象があるような
○「こんなにも、これほどの術……。 《これならば、いける》みたいに使う気がするので
>>762
>>吐き気を催すくらいに濃密に血の……死の気配を纏って俺たちを嘲笑う。 間違いではないです
○吐き気を催すほどに濃密に血の……死の気配を纏って俺たちを嘲笑う。  《このくらい》というと表現できる大きさで《これほど》と言うと表現できない大きさな感じがするので
>>さぞや聖処女のために力になるでしょう。 一工夫
○さぞや聖処女のための力になるでしょう。 もしくは【聖処女の為に、力になるでしょう。】とかどうでしょう
>>763
>>それは炎のように熱く、広がり、貫くのだ!    槍のような感じで【貫く】なら《集まる》の方がありそう
○それは炎のように熱く、広がり、切り裂くのだ! 広範囲攻撃なら後は【押しつぶす】とか【薙ぎ払う】もありかな?
それともハリネズミのイメージで大量の光の槍を槍衾みたいにして貫く?この部分は【炎のよう】って言ってるし違うかな
>>稲穂は枯れ、雄鶏が産んだ卵は蛙に守護されて地に災厄をもたらす!」 お前ソレ1000年以上後のバジリスクだよな…未来に生きるな、二郎ちゃんの個性が薄れる
中略 「残念ですね〜。既にその卵は人により観測されています〜。 上を変えると此処も変えないとか…
 いつだって、化け物は人の手により討たれると相場は決まっているのですよ。 封神演義「えっ…まあ道士になる前は確かに人間か」
○屍山を築き、血河を流し、稲穂は奈落の王に捧げられる!」 とりあえず蝗害の神様に出張ってもらってみた
中略 「残念ですね〜。その御方の本質は慈雨と豊穣の神、敵対者に貶められただけの有名無実ですよ〜。
 いつだって、敗者は勝者によって都合よく歪められると相場は決まっているのですよ。 これでいいのか自信は無いなあ
>>盛大にため息を、と思う俺の袖がちょいちょいと引かれる。 思う?のかしら
○盛大にため息を吐いた俺の袖がちょいちょいと引かれる。 あるいは【画竜点睛を欠いたか、と思う】とかどうでしょう

戦争は、終わっただけじゃ、終わらない…失われたものは数え切れず、得たものは何も無い
精神支配されたのか殺された自国民が敵の大半とかやってらんねえわ。まあどんな戦争も基本やってらんねえけど
波才がもってたのは螺湮城教本だったんかな…見るだけでSAN値チェック必要そう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/24(水) 19:19:04.25 ID:sWdyKNiQ0<> てす <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/24(水) 22:11:35.03 ID:sWdyKNiQ0<> >>765
感想ありがとうございますー

>【黄天伏地、乱世開門】
(黄天地に倒れ伏し、乱世の門が開く)
かっけえ

こういうの。こういうのどうやったら思いつくのかなあ
基礎学力の差かそれともセンスなのか
精進しても無理だなという確信があるます

下の砲を加工させていいただくかもしれません
はあ、妬ましい

>>767
あちらで見ました。
なんだったんでしょうね

それはそれとしてありがとうございますー!

> お前ソレ1000年以上後のバジリスクだよな…未来に生きるな、二郎ちゃんの個性が薄れる

どっちかっつうとコカトリスですかねw
メタ的なネタバレですが、風ちゃん、魯粛、韓浩は未来知識のアクセス権限を持ってます

>戦争は、終わっただけじゃ、終わらない…失われたものは数え切れず、得たものは何も無い
勝利者なんていないのです
でも、勝利者がいないといけないんですよねえ

>波才がもってたのは螺湮城教本だったんかな…見るだけでSAN値チェック必要そう
炎で浄化が最適解です

ありがとうございました
次回は目指せ土曜です <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/24(水) 22:44:54.99 ID:Ctg/O7hF0<> >>769
いや、バジリスク…コカトリス?の作り方言ってるの波才さんですよ
まあこいつが実は15世紀のフランス辺りから転生した将軍と言う裏設定があるなら構わないんですが <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/25(木) 00:21:53.14 ID:2h9yCeKHo<> >>769
単純に【蒼天已死、黄天当立】をアレンジしただけです(苦笑)
黄天が死んだらどうなるのよ?を考えたときに乱世の始まりやんなぁ
と思ってあんな感じにしました <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/25(木) 21:36:27.07 ID:kJUp6YXm0<> >>770
>まあこいつが実は15世紀のフランス辺りから転生した将軍と言う裏設定があるなら構わないんですが
あるのですが、まあ、オミットした方がいいかもですねw
波斯どころか、というところから来てたという裏設定w
青髭的なサムワン

>>771
理論は分かったです

そんなんできひんやん普通。

パルパルパル
もうね、嫉妬ですよこれは

<> 赤ペン<>sage saga<>2019/07/26(金) 14:58:47.15 ID:XbSddgKi0<> あ〜なろうに投稿してるしオミットした方がいいかな
運命警察まで来るかは分からないけどそこまでやっちゃうと二次、というかクロスオーバーっぽい気がするし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/26(金) 21:45:10.02 ID:AT7EZY5u0<> そうですね、オミット対象ですね
こんなリスクを取るところではないですねw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/31(水) 21:48:55.60 ID:z4YEXjBE0<> 閑話休題。
黄巾の乱において武功第一は誰かというのは後世においても諸説ある。
だが、結局は黄巾の首魁を捕縛した夏候惇であろうというのが最有力である。
無論、即断で禁軍のみならず諸侯軍の投入を決断した何進や、官軍と諸侯軍を見事に御した皇甫嵩。更には連戦連勝の馬騰、公孫賛も候補には挙げられる。
とは言えやはり最終決戦において、こじ開けられた城門から真っ先に突入して首魁を捕縛した夏候惇。彼女はいかにも庶民の好きそうな逸話であり、曹操もそれを最大限活かして曹家軍の武威を喧伝した形跡が遺されている。
そしてその夏候惇は曹家軍の軍師たる荀ケに向けて怒りを露わにしていた。

「ふざけるな!お前は一体何様のつもりだ!」

まさに怒髪天を衝く。物理的な圧力すら感じさせるほどの気迫。それを気に留めることもなくいなして荀ケはニヤリと笑う。

「黙りなさいなこの脳筋。アンタは戦場で駆けずり回るのがお仕事。
そっから後は私の領分よ。
 何度も言うわ。張角たちには利用価値があるの。それもとびきりのね。アンタには分からないでしょうけども」

荀ケの主張はこうだ。
黄巾の残党はいまだに数万いると思われる。張角らを使えば容易くそれらを懐柔できる、と。

「いい?曹家百年の計はここから始まるのよ。曹家の武威、ここより天を衝くわ。その転換点にあるのよ?」

夏候惇も負けてはいない。

「は!語るに落ちるとはこのことだ!
天に唾するとはこのことだ!反逆の徒に掣肘を、裁きを与えずにその詐術を抱えるなぞ痴人の妄想だな!
 そもそも二郎とて馬鹿ではない。我が曹家にあの罪人があるのを見咎められたらどうするのだ!」
「さあ?世には極めて似た人物が複数いるというでしょう?
黄巾の首魁はアンタが討ち取った。それでいいじゃない。
 アンタの武名は上がる。曹家の飛躍も果たされる。
 アンタが討ち取った。それでいいのよ。一度それを認めさせればいいのよ。後になって蒸し返すようなことはできないしね」

クク、とほくそ笑む。

「いえ、むしろ共犯関係に持ち込んでもいいわね。そうなると袁家にもなにがしかの利益供与を考えないといけないけど、大したことじゃないわ。
 いい?曹家は、華琳様は宮中でこれから漢朝の中枢に切り込むわ。そのためには武威が必要よ。
 無論アンタの活躍はその一助でしょう。でもね。猪一匹の武威なんてね、屁の突っ張りにもならないわ。
 だから、明白なものが必要なのよ。兵力、っていう、ね」

十万の軍を背後に控えれば、我が主の言はどれほどの重みを持つか。
宦官勢力という世評を覆すのに武威がどれほど必要か。彼女とて必死なのである。
ここで問題になるのは袁家だ。だが、それも幾らかの妥協あれば抱き込めると荀ケは確信している。
そして一度巻き込めば共犯。政敵たる何進、或いは皇甫嵩、朱儁に対する牽制としてこれほどの一手はない。

それでも、夏候惇は激昂するのだ。

「ふざけるな!
謀(はかりごと)によって国が立つか!信義によってこそ国は立つ!
そうでなくて、何条以て兵に死ねと言えるものかよ!
 貴様はその誠忠、なんと心得るか!
 身命を張っている兵にどう報いるのだ!」

その熱情を受けてなおも荀ケは揺るがない。だが流石に数瞬口ごもる。
だが自らの責務を果たすべく口を開く。その寸前。

「そこまで」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/31(水) 21:49:31.51 ID:z4YEXjBE0<> 彼女らが一心に赤心捧げる人物。破格の才覚たる曹操が括目し、口を開いた。

「春蘭、その言やよし。此度は貴方の諫言容れるわ」

くす、と笑う主君の言に夏候惇は全身で喜びをあらわにする。

「はい!ありがとうございます!」

それまで浮かべていた鬼気迫る――殺気すら自軍の軍師にぶつけていたほどに――表情はどこへやら。
夏候惇は自らの進言が容れられたことに喜色を全身で表す。
戦場においては独断専行も大っぴらに認められている彼女ではあるが、その舞台を戦場外に向けると進言が容れられることは極めて少ない。
短絡的と言ってもいい彼女の判断は、先を見据えた政治の舞台にはそぐわないのだ。
無論、それは彼女の能力を貶めるものではない。
ただ、立つ舞台が違うだけ。それを荀ケもよく理解している。そして察する。未だ戦乱治まらず。
ここは未だ鉄火場。賢者の考察よりは餓狼の、猛禽の直感こそが必要なのだと。
そう主君が断を下したのだ。荀ケに否やはない。政争ではなく戦場の論理を身に纏い、問う。

「では、黄巾の首魁、更には太平要術の書を袁家……紀霊に預けるということでよろしいでしょうか」

その、張良の再来と言っていい俊才の言に曹操は満足げに頷く。

「ええ。黄巾討伐の功績第一は我が軍。これ以上を求めればそうね。皇甫嵩あたりから横槍が入るでしょうね。
 だから、厄介ごとは二郎に押し付けてやるわ。どうさばくか見てやるのよ。
あの、お気楽な男の本気というものを見極めてやるわ」

くす、と笑む曹操に夏候惇と荀ケは見惚れる。この覇気、これこそ我が主君。

「未だ曹家は雌伏の刻。何もかもが足りない。でも、五年後は違うわ。 
 せいぜい二郎には高く売りつけてやるのよ」

きっぱりと曹操は決別する。張三姉妹の持つ不可思議な力と、太平要術の書の淫靡なる妖力と。

――淫祠邪教、断つべし。

その生涯において曹操は常に現実主義者(リアリスト)であり、自らの理解の埒外の術式に手を出すことはなかった。
或いはここで三姉妹を取り込めば大陸に覇を唱える一助になったやもしれぬ。それを理解していても。彼女は人の手を離れた手妻を除外した。

「さて、あれらをどう扱うか。その魂胆、根底。見極めさせてもらうわ」

斬るにしても、利用するにしても実に興味深い。あの男の魂胆が見れるのであれば安い買い物だ。

「なるほど!二郎のしかめっ面が浮かびますな!」

呵呵大笑。夏候惇は紀霊の困惑を思い。

「あら、意外とほくそ笑むかもしれないわ。見事な隠し札が手に入ったと」

対して荀ケは紀霊の黒い怨念を知る。

「そうね。楽しみだわ」

「華琳様は二郎が彼奴らをどうすると思われるのです?」

それを躊躇なく聞けるというのは夏候惇故であろうと荀ケは思う。――幾分かの妬ましさを覚えながら。

「そう……。
そうねえ」

数瞬、曹操は茫洋とした、掴みどころがない癖にどこか信頼できる男を想う。

「――普通に、法に則り。斬るでしょうね。
ほんと、面白味のないこと」

くすり。

馬鹿正直にそれらの全てを夏候惇から伝えられて、紀霊は苦虫を噛み潰し、火酒を呷ったという。
その酒杯を夏候惇が奪い、いつの間にやら乱痴気騒ぎになったというのは後世の創作であるとされている。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/07/31(水) 21:51:21.61 ID:z4YEXjBE0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名は、ナンだろうなあ
<曹家会議とその結果>

あかんやつやね。
いつもですが、募集します。
センスがええやつオナシャス。オナシャス。オナシャス。

割と難産でしたのはどうでもいいですよね。遅れました。
明日からまた頑張ります。
お盆であっち更新いけるかなあと思っていた時期もあったのですが。

いけたらいく! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/07/31(水) 23:00:15.59 ID:JNstkYf+o<> おつおつ
俺的には「覇王の掌よりぬけれぬ猿は猛虎に酒を奪われる」かな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/01(木) 23:18:08.36 ID:3s2Wb2jEo<> >>777
乙乙乙。
鬼謀の片鱗、武勇の諫言

ですかねぇ。
<> 赤ペン<>sage<>2019/08/01(木) 23:30:26.18 ID:BwkxzoU20<> 乙でしたー
>>775
>> 何度も言うわ。張角たちには利用価値があるの。  間違いと言うほどではないですが
○ 何度でも言うわ。張角たちには利用価値があるの。 の方が良いと思います
>>でもね。猪一匹の武威なんてね、屁の突っ張りにもならないわ。 実際はそれなりの追い風になりそうだけど
○でもね。猪一匹の武威なんてね、独活の大木にもならないわ。  【屁の突っ張り】っていうかなあww?それはそれとして《でかいだけの役立たず》あたりを引き合いに出してみました
>>776
>>くす、と笑う主君の言に夏候惇は全身で喜びをあらわにする。 下の方で同じこと言ってますよね【夏候惇は自らの進言が〜】
○くす、と笑う主君の言に夏候惇は歓喜に全身を震わせる。    それとも【喜色満面になって声を張り上げた。】とか?とりあえずちょっと言葉を変えてみたり
>>「未だ曹家は雌伏の刻。何もかもが足りない。でも、五年後は違うわ。 【刻】だと時刻とかの刻む意味なのでさすがに5年を一刻とするのは違和感が
○「未だ曹家は雌伏の時。何もかもが足りない。でも、五年後は違うわ。 ある程度の《時間》を必要とするならこちらの方が良いですね
黄巾にイロイロ思うところのある二郎ちゃんがそう簡単に張角たちの生存を許すとは思えないなあ…
処刑したふりって言っても顔知ってる二郎ちゃんに影武者は効かないだろうしあの二郎ちゃんの嘆き『乱を起こさせないために頑張ってきた…まさか真逆その為に作った余裕が原因で乱が起こるとはな』を聞いていた風がそれを許すか…って思うけどね
惇ネエは…何と言うか人懐っこいドーベルマン?狼と言うにはきちんと人の中で生きられるし
華琳から見れば二郎はアレよね、何をしようとしてるかは大体わかるのに何でしようとしてるかが読み切れないという <> 赤ペン<>sage saga<>2019/08/02(金) 14:07:56.89 ID:dkJHW5BP0<> 全くの無意味でもないし
でもね。猪一匹の武威なんてね、独活の大木にしかならないわ。 とかの方がいいかな?まああの二人お互いを嫌いあってる感もあるし辛口評価してる可能性もあるけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/02(金) 22:23:42.89 ID:BMBwKk0g0<> >>778
どもです。

>俺的には「覇王の掌よりぬけれぬ猿は猛虎に酒を奪われる」かな
かっけー
ほむ、いいですね
覇王と猛虎の対比が素晴らしい
ネコミミも虎の中にありそうな、なさそうなそういうとこが特にいい!

>>779
どもです。

>鬼謀の片鱗、武勇の諫言
シンプルでいい!
むしろ尊いまである

こういうの、思いつくの凄いなあと

>>780
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

ほむ、今回も指摘が詩的でありがたい。
くそ、自分に清少納言クラスの詩才が欲しい!

>黄巾にイロイロ思うところのある二郎ちゃんがそう簡単に張角たちの生存を許すとは思えないなあ…
そらもうw

>惇ネエは…何と言うか人懐っこいドーベルマン?狼と言うにはきちんと人の中で生きられるし
大型犬であるのは激しく同意ですね。
ゴールデンレトリバーみたいな、と思いましたがよく考えたらドーベルマンですわw
愛嬌はごく一部の人しか知らぬし、その武威と血筋は特上ですからねえ。

>華琳から見れば二郎はアレよね、何をしようとしてるかは大体わかるのに何でしようとしてるかが読み切れないという
読み切れないとこがあるのが苛立ちだけでなく愉悦があるのかな、と。


関係ないけど、怪力乱神的なのをはおーは忌避する感じですからそういう感じでいきたい。
いや、題名含めてですけど。


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/06(火) 22:10:00.86 ID:+KDCDLzy0<> 「突撃!袁家の晩御飯!〜戦場にて〜
 臨時特派員の蒲公英だよー」

「ま た し て も お ま え か」

という訳で馬家の重鎮たる蒲公英が、はぐはぐとうちの糧食を食い荒らしてます。馬騰さん、ぼすけてー。

「うん、やっぱ美味しい。これ戦場で食べる味じゃないと思うの」

「ククク。母流龍九商会からの物資の輸送はまさに完璧……。
 張紘が渾身の思いで繰り出す補給計画は正に芸術……、戦争芸術……。
 故に!我が軍が餓えることは無く、ただの一度も食べ残しはない……」

「そりゃそうだよねー。叔父様のとこなんてひどいんだから。
 もちょっと袁家を見習ってほしいなあ」

待って!馬騰さんの耳に入ったらなんか理不尽な苦行が待ってる気がするから!

「で、でも補給が絶えたことはないんだろ?」

「んー。補給が追い付かないことはよくあるんだけどねー」

でもどうしようもないというか、仕方ないよねーと軽く笑うのが俺には分かんねえ。
どうすんのさ、そういう時。

「お腹と背中がくっついちゃいそうな時はね、こう、鬣の横をね。ぴ!とやってちゅる、とするの。
 ……まあ、これは匈奴の手法なんだけど、ね」

「なるほどなあ。涼州騎兵の強さの一因そこにあり、か。でもいいのか?結構な機密だと思うんだけんども。
 いやまあ、周知して一般化するにはアレな感じだけどさ」

「えへへー」

なんか知らんが蒲公英がぴっとりと寄り添ってくる。僅かにかけられた重み。

「どうしたよ」

重みを抱き、肩に手を回してひそひそ話的に前屈みにして問う。
ほんと馬家がどうかなったらマジで漢朝がやばいのですよ。だからこそ、馬騰さんとがっちりとスクラムを組む何進の凄味っていうのが再認識されるのですけどね。
やばーい。

「んー。いいの。分からなくていいんだよー。
 ただ、蒲公英、二郎様に骨抜きにされそうで困ってるんだよね。
 ほんと、詠姉さまが言ってた通り!
 油断がならないなー」

そこでなんで詠ちゃんの名前が出るんだってばよ。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/06(火) 22:10:28.89 ID:+KDCDLzy0<> 「えー、知らなーい」

いやいやいやいや。
更に問おうとしていた俺に蒲公英が。

「でもね。でもね。
 蒲公英より翠姉さまを構ってあげて欲しいんだ」

え。いやでもさあ。
でもさあ。

「だって翠ってば俺のこと嫌いだろ。常識的に考えて……」

「んー。詠姉さまの言った通りそこいらへん唐変木だー。
 あれだよー!嫌よ嫌よも好きのうち!って!」

「いやいやいや。嫌よ嫌よの視線だけで人死にが出そうなくらいの殺気だぞ?」

正直あの子がデレるとかありえないと思うの。反骨の士、馬超ここにありというか、いつか殺されそうというか。

「そうかなー?姉さまがあれだけ叔父様以外を意識してるってこれまでなかったんだよねー。
 ということは……。後は分かるよねー?」

「わ か ん ね え よ」

そんな、ニュータイプとかテレパスみたいなコミュ力を俺に求めるな!言われたことすらあんまり理解できんのに!
特に華琳、てめーは駄目だ!含意多すぎてまともに受け答えできねえよ!
手紙だって専ら風に代筆上等である。
ぐすん。

「えー?そうなの?うっわそれ洒落になんないなー。蒲公英困っちゃうな。
 はい、二郎さまは一度馬家の晩餐に来るべきと思うの。
 よし、明後日、お待ちしてますねー。
 大丈夫!蒲公英の仕切りだよー!」

……不安しかねえよ。
なんて言えるはずもなく、頷くしかできなかった俺を責めるなら代打よろしく。

ぐすん。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/06(火) 22:11:01.54 ID:+KDCDLzy0<> さて、蒲公英に招かれるままにホイホイと馬家にやってきた俺こと二郎です。
※画面には映りませんが、護衛としてさりげなく流琉がついてきてます。

「おねーさま!二郎様がいらっしゃったよー!」

能天気な声が羨ましいぜ。
そして、次期馬家当主たる翠は、ぎろり、と俺を見やる。うん。何かしらんけど許してくださいごめんなさい。
と、視線が泳ぎ、何か蒲公英に言ってるみたい。

「えー。駄目だよ。それって、駄目と思うなー。
 そういうのはきちんと自分の言葉で伝えないといけないって叔父様も言ってた気がするしー」

なんのこっちゃ。
それはともかく、やや上気した表情で翠がこちらに近づいてくる。
いつになく気合い十分で、目が据わっている気がする。え、俺、ここで死ぬのか?

「二郎!」
「ひゃい!」

ずい、とえらい剣幕で俺に近づいてきた翠はそこで言葉を断つ。
ええと、もはや死刑宣告でも驚きはしないんだけど。いや、その場合全力で逃げるけどね。
俺の眼前で、苦虫を噛み潰したような表情で、何やら口ごもる。なんだっての。

「そ、その……。
 済まなかった!」

えらい勢いで頭を下げられて俺の脳内は?で満載である。

「あ、あれだ。馬家に、色々便宜を図ってくれてたって聞いた。
 蒲公英と詠に聞いた。馬家が飢えずに済んだのは二郎のおかげだって。
 馬家次期当主として、感謝を」

びきり、と引き攣った笑みを見ると苦笑するしかない。いや、そんな無理せんでもいいのにね。
まあ、気は心である。

「馬家においては、匈奴の脅威より漢朝を守護する名家。その武勇は比類なく、その忠誠は地に轟いております。
 馬と袁。匈奴より漢朝を守護する護り手。窮状あれば援けるは当然。
 いや、むしろ、あの程度の窮状に差し出がましく動いたことを不問にしていただけるとは望外。
 こちらこそご寛恕願うのが筋でござる」

まあ、マジで馬家が崩れたらえらいことになるからな。
涼州の首魁が韓遂とか悪夢である。
翠の、似合わない口上を受けて適当にそれっぽいことを口にする。
ちなみに内容はないよう。即興でこんくらい空虚であってもそれっぽいことを吐き出せんと袁家内部でやってけん。
ここらへんは七乃とかありえんくらい上手い。

「あ、ああ……。いや、袁家のご厚意痛み入る。
 ええと、その……。ええと……」

なんか言葉に詰まってる翠がぷるぷると震えて。あ、これ爆発するかなと思ったんだが。

「もー、二郎様もそんないじわるしないの!お姉さまがそういうの苦手って知ってるくせにぃ」
「や、知らねえって」
「あ、そっか。ごめんなさーい。すっかり蒲公英自分と同じくらい馴染んでると思ってたー」

てへ、と笑いながら俺と翠に目線でごめんね、と訴える蒲公英に苦笑する。いいってことよ。

「と、とにかく!」

声を上げた翠。え。なんで愛槍たる銀閃を手にしてるのん?

「とにかく貴様は軟弱!それは確かだ!
だから、だから謝意をこの槍で返す!そら!得物を手にしろ!」
「ちょっと待て」

いやほんと待って。待って?

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/06(火) 22:11:28.16 ID:+KDCDLzy0<> 「待つとも。さあ、準備が整ったら言え!我が武技の全てを。
 名将馬援より伝わる馬家の秘伝、それを明かそうっていうんだ。
 感謝するよな。感謝しろよ」

ニヤリ、と。
いや、ちょ、待てよ。

咄嗟に三尖刀を……って、蒲公英、にっこりと受け渡しせんで、止めろよ。
いや、無理なんだろうなあ。苦労枠ですね、分かります。

「馬家の武威、その眼に焼き付けろ!
 っしゃおらーーーーー!」

銀色の閃光が幾条も走り、何が起こったか分からぬままに俺は意識を手放した。

……解せぬ。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/06(火) 22:11:54.67 ID:+KDCDLzy0<> 「あ……、う……。な、軟弱者め!」

言い捨てて去る馬超を諦観と親愛がミックスされた、なんとも言えない笑みで馬岱は見送る。
いや、これはない。流石にこの事態は想定外である。どうしてこうなったと馬岱は頭を抱える。
自分と、何より賈駆が馬家の置かれていた窮地、それを乗り切った大きな要因。即ち袁家、紀霊の援助について事細かに説明したのだ。
その甲斐あったはずなのだが、現実は非情である。

「二郎さま?」

つんつんと頬を突いてみる。
返事がない。完全に意識を失っているようだと確認する。

くすり、と馬岱はなんだか笑ってしまう。
そして改めて見やる。
お世辞にも美男子ではない。というか、間抜け面と言っていいだろう。
まあ、そこに愛嬌を感じる人もいるであろうと馬岱は思うのだが。

「ごめんなさいね。お姉さまってば素直じゃないから」

素直云々の話ではないというのは無論分かっている。
でも。それでも一生懸命な従姉が馬岱は大好きなのだ。
だからこそそのフォローのためにここにいる。そう。意識を失っている男を膝枕しているのだって他意はない。そう自分に言い聞かせるのだが。

「手遅れだよ。ほんと、この、この!」

えいとばかりに男の鼻を摘まんだり、頬にぴしりと衝撃を与えたりとするのだが。
緩い、だらしない、無防備な顔。どうにも愛おしく感じるようなのだ。

「もう!この、女たらし……なんてね」

馬岱は苦笑する。彼女は自分の価値を理解している。
馬家においては馬騰の、いや、馬超の補佐でしかない。いや、それに不満はないのだけれども。
それでも、思ってしまう。自分ならどうするだろうか。
馬家と袁家をどうするであろうか。
いや、それよりもだ。この、暢気に寝そべる青年とどう向き合うだろうか。

「うーん、駄目だなあ」

どうにも、いけない。太ももに感じる重みと温もりがきっといけないのだ。
だからこんなにも益体もないことを考えてしまう。
そう、従姉との仲を取り持つ。それだけだったはずなのに、こんなにも心乱れてしまう。
そりゃ、いい物件だと思う。これ以上はないほどに。だから従姉とくっついてほしい。そのために接近したつもりだったのに。

「あー、もう。
これは手遅れだなあ、多分」

嘆息しながら男の頬を撫でる。
そして思う。今自分はどんな顔をしてるのかな、と思いながら。

……結局馬岱は紀霊が目覚めるまで、何もできなかった。
むしろ、男が呻き声とともに覚醒した時には安堵の息を漏らした。
そしてとびきりの笑顔で。

「二郎さま、おはよー!」

事態を飲み込めず、目を白黒させているその表情がなんだかとってもおかしくて、馬岱は自ら一線を越えてしまう。

「ん……」

重ねた唇。漏れる声。

離れてなお火照る唇を指でなぞる仕草は艶めいていて。

だが、紀霊が口を開く前に馬岱はにこりと笑ってその場を後にする。束ねた髪が軽やかに舞いながら遠ざかるのを、紀霊は見送ることしかできなかった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/06(火) 22:14:14.03 ID:+KDCDLzy0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名はね、募集です。
ほんと苦手。

「馬家との交流」

ほら、これじゃないでしょ。
そうじゃないんだよなあ。
本当にお願いします。ギブミー。

もう少しで黄巾が終わるってのにさ!
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/08/07(水) 17:21:25.11 ID:Xra3ekk/0<> 乙でしたー
>>784
>>蒲公英より翠姉さまを構ってあげて欲しいんだ」  お姉ちゃんが欲しいだって?
○蒲公英より翠姉さまを構ってあげてほしいんだ」  《〜してほしい》の場合はひらがなですね、物理的に、というのも変ですが単純に何かが《欲しい》場合は漢字ですが
>>はい、二郎さまは一度馬家の晩餐に来るべきと思うの。   なんとなく《はーい》と伸ばしそうな気もしますがそれはおいといて
○はい、二郎さまは一度馬家の晩餐に来るべきだと思うの。  の方がいいと思います
>>785
>>びきり、と引き攣った笑みを見ると苦笑するしかない。いや、そんな無理せんでもいいのにね。  《ありがとう》と本気で思ってるならひきつらねーんじゃねーかなあ?
○悲壮と歓喜が入り混じったようなくしゃくしゃの顔を見ると苦笑するしかない。いや、そんな無理せんでもいいのにね。  実際彼女なりに理解はしてると思うんですよ、納得してるかとか飲み込めてるかは別にして
○いっぱいいっぱいと言ったかちこちに固い笑みを見ると苦笑するしかない。いや、そんな無理せんでもいいのにね。  引き攣るの意味を考えるならこんな感じかな?
>>787
>>言い捨てて去る馬超を諦観と親愛がミックスされた、なんとも言えない笑みで馬岱は見送る。   日本語変換…これは比較的簡単
○言い捨てて去る馬超を諦観と親愛が混ぜこぜになった、なんとも言えない笑みで馬岱は見送る。  もしくは【混ぜ合わさった】とか【ごちゃ混ぜになった】とかどうでしょう
>>だからこそそのフォローのためにここにいる。 「Follow Me This Way」
○だからこそその失敗を補うためにここにいる。 それとも【失態を挽回するために】とか?…いっそ【そう、大好きな姉の補佐としてここにいる。】とかも良いかもしれない
>>「手遅れだよ。ほんと、この、この!」  ちょっと違和感が
○「手遅れだよ、ほんと。この、この!」  の方がいいと思います
>>そして思う。今自分はどんな顔をしてるのかな、と思いながら。  【思う】が二重になってますが
○そして思う。今自分はどんな顔をしてるのかな、と。        もしくは【今自分はどんな顔をしてるのかな、と思いながら。 】…うーんさっきの奴の方がいいかな?
>>離れてなお火照る唇を指でなぞる仕草は艶めいていて。    唇が火照る…辛いモノでも食べたのかい?
○離れてなお熱を感じる唇を指でなぞる仕草は艶めいていて。  《火照る頬》とかなら分かりますが唇だと…ここは内からなのか外からなのかを曖昧にして熱でどうでしょう

バチョ―!さんはやってることはd姉と大して違わないはずなんだけどなあ…なにが違うんだろう。むしろネコミミが介抱するほどに顔中腫れあがらせたぐらいだからあっちの方がアレなはずなんだが
それにしても蒲公英…隣じゃなくて袁家限定とか完全に狙い撃ちじゃねーか…阿蘇阿蘇とかに1コーナーとしてありそうよね、今日の献立とか言って旬の食材とか調理法を広めるの
そう言えばさっき恋姫のオフィシャルページに行ったんだけど馬超の説明文に草生えた…猪武者で劉備軍に入ってからその傾向が加速したとかwww <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/08(木) 21:56:54.73 ID:kv88N2Bv0<> >>789
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

さて。中々満点にはならないなあ。いや、自分のせいなのですがw

>バチョ―!さんはやってることはd姉と大して違わないはずなんだけどなあ…なにが違うんだろう。
そう言われると確かにですね
確かになあ。

>そう言えばさっき恋姫のオフィシャルページに行ったんだけど馬超の説明文に草生えた…猪武者で劉備軍に入ってからその傾向が加速したとかwww
マジすか。

これは馬超さん、ヒロイン属性がありますぜw
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/10(土) 21:05:06.94 ID:W0ffpQAN0<> 「頭いてえ……」

みなさんこんばんわ。春蘭が持ってきた手土産に頭を抱えて自棄酒ではっちゃけた二郎です。
昨夜は春蘭となんやかんやあって、殴り倒されたような記憶があります。

「二郎様、お水です!」
「うん」

流琉が差し出してくれた水をぐびりと飲み干す。五臓六腑に染み渡るというのはこのことだな。

「あ、おかわりどうぞ」
「おう」

重い身体に活力が少しずつ満たされていく。
鼻腔を旨そうな香りが刺激する。

「あの、お粥、あります。よければ、どうかなって」

遠慮がちに言う流琉。多分俺の為に作ってくれたんだろうなあ。

「頼むわ。腹減ったけど粥くらいしか食えねえ」
「は、はい!分かりました!」

結論から言うと流琉の作ってくれた粥はものっそい美味かった。
多分色々と気遣いしてくれたんだろうなあと思う。
がつがつとおかわりを三度重ねて尚落ち着かない。
懸案に思考はシフトしている。

「風よ」
「はい〜。ここにおりますよ〜」

のほほんとした、穏やかな声が俺を落ち着かせる。滾らせる。

「あれらを、どうしたもんかね」

実際危険物だ。全く華琳ってば容赦ない。武勲だけは得といて後始末はこっちまかせとか。
いや、そこに何ら非難する余地はないんだけんども。むしろあれらを秘匿された時の方が怖いわ。

「そですね。まあ、太平要術の書。そしてその遣い手が掌中に来たのです。生殺与奪は二郎さんのお心一つですね〜。
 実際あの姉妹が黄巾賊の首魁だと把握しているのは風たちの他には曹家の幹部くらいでしょう。
 実際、暴徒を率いていたのは波才。妖術も彼の手妻ということにすれば、彼女らを助命することは不可能ではないかと〜。
 黄巾賊は未だ万単位で各地に散らばっておりますし、彼女らをその鎮圧に使うのもまあ、ありでしょう」

くふ、と思わせぶりに風は笑いかけてくる。

「それに太平要術の書です。まあ、怪しげな妖術書ですが、所詮力は力。それに取り込まれなければいいのです。
 一介の芸人ですらそれを扱えたのです。二郎さんが仮にその手にすれば、一助どころではないかと思いますが。
 上手く扱えば、かの万夫不当すら打倒せるかもしれませんね〜」

にこやかに、軽やかにそんなことを言ってくる。

「……俺に使いこなせるものかね」

「さあ?ただ、試してみる価値はあるかと〜。幸い、その道の権威の華佗さんがいらっしゃいます。
 なにかあったならば彼がなんとかしてくれますよ、きっと」

マジか。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/10(土) 21:05:36.58 ID:W0ffpQAN0<> 「なんと。凡人たる俺が恋に打ち勝っちゃったりするのか。そんなことができるのか……」

「ええ、二郎さんが望むのであればそれはもたらされますよ」

にんまりと笑みを深くして風が囁く。
ってね。

「ないから。そんな面倒くせえことしねえって」

何で俺がわざわざ乱の首魁たる三姉妹をかくまったり、妖術書を手に入れてあれやこれやしたりせんといかんのだ。

「あらら〜。目の前の力をみすみす手放されると?」

「おうよ。別にそんなもん必要でもないしな。三姉妹は法に則って処断するし、胡散臭い書物は華佗に任せる。
 もともとそれが目的だったろ。それを捻じ曲げていいことなんてねえさ」

黄巾賊百万人を扇動したアイドルグループとか、あの恋を圧倒するかもしれないくらいの手妻とか、俺の手に余るね。余しちゃうね。

「そんなもんに頼らんでいいように俺たちは頑張ってきたのさ。
そりゃあ、思惑からは外れたこともあるけどそりゃしょうがねえよ」

短く持ってコツコツ当てていくのが俺の生き様、さ。面白味なんていらねえよ。
安全第一、なのである。

◆◆◆

ぼりぼり、と頭を掻いてから紀霊は大きく欠伸をする。
恐らくこれから二度寝をするのであろう。戦後処理をする気はさらさらないようだ。
もっとも、彼の責務はたったいま果たされた。それはこれ以上ないほどに正道を往く。

「まあ、そうなるとは思っていましたが」

程立は誰となく呟く。
これ見よがしに煽ってみたのは面白半分である。無論それに乗せられたならば全力でそれを補佐したのではあるが。
軍師とは選択肢を主に提示し、選ばれた道の障害を除くのが役目である。
その道の正邪善悪なぞ関係ない。道を説くのなぞは腐れ儒者に任せておけばいい。
主の勝利こそがその使命。勝てば官軍とはよく言ったものである。

……いささか程立はそれが徹底され過ぎている面はあるが。

「中華の安寧。それが命題なれば風は其れに全力で挑むまでなのですよ」

なに、袁家は隆盛、配下には勇将能吏。
抱える財貨は果てしなく、育む兵は中華有数。

それでも程立は慢心しない。勝ち易きを創るこそが、楽勝こそが主に与えられた命題なれば。

「稟ちゃんとも相談しないといけないですね〜」

黄巾の乱は治まった。だがほどなく中華に激震は走るだろう。
それはちょっと目端の利く者であれば予想している。予感している。

黄巾の乱。

その首魁たる張三姉妹が捕縛されて間もなく中華は大きく揺らぐことになる。

今上帝、劉宏、崩御。

諡号を霊帝とされる。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/10(土) 21:07:20.42 ID:W0ffpQAN0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

さて、ふと思いましたが、ここまででまとまりがいい気もするのですな

ここで一区切り、してあっちへ投下もありか?

一応黄巾編これで終わって幕間というか繋ぎやって……

いける、か? <> 赤ペン<>sage<>2019/08/11(日) 23:38:06.18 ID:janM2LxO0<> 乙でしたー
>>791
>>上手く扱えば、かの万夫不当すら打倒せるかもしれませんね〜」  間違いではないですが最初【だとうせる】と読んでしまった
○上手く扱えば、かの万夫不当すら打ち倒せるかもしれませんね〜」 もしくは【打倒せしめるかも】とかの方が良いと思います
>>792
>>短く持ってコツコツ当てていくのが俺の生き様、さ。 間違いではないですよ
○短く持ってコツコツ当てていくのが、俺の生き様さ。 声に出すと【、】の位置はこの方が良さそうかな?と
>>もっとも、彼の責務はたったいま果たされた。それはこれ以上ないほどに正道を往く。     文章としてはちょっと物足りない気が
○もっとも、彼の責務はたったいま果たされた。そしてそれはこれ以上ないほどに正道を往く。 もしくは【果たされた……それはこれ以上】とかどうでしょう
>>……いささか程立はそれが徹底され過ぎている面はあるが。 【面はある】だと物事を多方面から見たときに使ってる気がします
○……いささか程立はそれが徹底され過ぎている節はあるが。 人の一面と言う見方もありますが、それなら【……いささか程立は軍師としての面が徹底され過ぎているようだが。】でどうでしょう
>>勝ち易きを創るこそが、楽勝こそが主に与えられた命題なれば。   ちょっと加えてみます
○勝ち易きを創ることこそが、楽勝こそが主に与えられた命題なれば。 の方が良いと思います

まあ二郎ちゃん凡人だからそんなもの手中に収めたら暴走不可避なんだが……そして邪魔者は排除するし風は後押しするし止めれる奴いなさそう
これが魔本でなくて太平の要の本として使えるなら使い道もあったけど(なおビビりの二郎ちゃんが使う確率 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/13(火) 22:26:34.17 ID:3Jct/gSq0<> >>794
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>まあ二郎ちゃん凡人だからそんなもの手中に収めたら暴走不可避なんだが……
信頼に草生えるw
制御できるはずないっすわ

>これが魔本でなくて太平の要の本として使えるなら使い道もあったけど(なおビビりの二郎ちゃんが使う確率
ご理解いただきまして大変ありがとうございますー!
ほんと、そういうとこなんですよねw
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/08/14(水) 17:11:36.52 ID:wTaFmtvr0<> ちなみに私の推理によると姐御が亡くならなければ「チート来たコレ」と言って不用意に近づく可能性が67%
なんだかんだで二郎ちゃんの近しい人で亡くなってるの彼女ぐらいだからね、凡人が調子に乗っても仕方ない
いやまあ先代様とかもいるけど老衰だからね(もしかしたら産後の肥立かもしれんけど) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/14(水) 21:59:20.87 ID:eJ4ACoDvo<> >>788
翠色の蒲公英〜西涼にて〜

>>793
黄巾の終焉、霊帝の罷世

なんか今回のはしっくり来ないけどとりま案として! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/15(木) 13:53:48.00 ID:xudpA40B0<> >>796
>ちなみに私の推理によると姐御が亡くならなければ「チート来たコレ」と言って不用意に近づく可能性が67%
ありそうw
俺ならできるとか考えそうw

>なんだかんだで二郎ちゃんの近しい人で亡くなってるの彼女ぐらいだからね、凡人が調子に乗っても仕方ない
確かに!
俺TUEEE的な凡将伝、良い感じで広がってどっかでデッドエンドやりそうですね

>>797
案ありがとうございますー!

いやほんと、ありがたい。

>黄巾の終焉、霊帝の罷世
城ノ内死す的な強さを感じるw


明日あたりからあっちでの投下作業に入ろうかにゃ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/17(土) 15:27:24.04 ID:erkghO090<> >>704
ここまで投下官僚

ちかれた

明日から27日までは連続投下になるはず
ちかれた <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/21(水) 11:32:39.35 ID:9fDPkkgZo<> >>799

あっちの投稿見たんですけど
208話、一文途中が欠けてるっぽい?

……一刻後、幼女たちを探しに来た女官は白虎の毛皮に顔を埋めて眠る三人であった。


……一刻後、幼女たちを探しに来た女官【が目にしたもの】は白虎の毛皮に顔を埋めて眠る三人であった。

じゃないのかな、と。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/21(水) 19:16:27.46 ID:4ZDheGmD0<> >>800
まじっすか。
確認してきます。
ご指摘感謝!ありがとうございますー! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/21(水) 19:31:37.40 ID:4ZDheGmD0<> ほんまやった。ありがとうございますー!
こういうの、助かるので素な。

徳を積まれましたな。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/21(水) 20:01:44.10 ID:c2hIiH/ao<> ここ数年は見なかった…大徳じゃ… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/21(水) 20:54:36.24 ID:4ZDheGmD0<> いずれは至るんやなって
俺たちは登り始めたばかりだからな……
この、大徳に至る坂道を……

完 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/21(水) 21:39:29.16 ID:c2hIiH/ao<> ちょw俺もしたけど男坂はあかんwwwww <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/21(水) 21:48:44.49 ID:4ZDheGmD0<> >>726
ここからがんばる <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/21(水) 21:51:09.76 ID:4ZDheGmD0<> >>805
昭和勢かな?
あれが全三巻とか凄いですよねえ。

まかせろ別に人気とか関係ないからモチベーションだけで完結させてみせるぞいっと
モチベーションだけだぞっと(強調) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/24(土) 02:27:29.42 ID:PvCrzYPZo<> >>802
所詮は名無しの戯れ言ですから。
とはいえきちんと確認してくださって感謝の極み。

(青で修正するか?(まて)) <> 赤ペン<>sage<>2019/08/24(土) 23:23:56.60 ID:Kji1eC7x0<> 最近見たアニメで思わず突っ込みを入れたくなったんだけど
ドラゴンのブレスをくらって外見はほぼ無傷、お腹の部分から出血してて吐血するって…
と思ったけど結構昔から似たような事はあったっけか…逆に剣で斬られてなぜか吐血したのに致命傷じゃないみたいなこともあったし <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/26(月) 12:50:40.33 ID:jHcmQXsh0<> きっと産卵ブレスでお腹から幼生が食い破ってバースデーだったのですよ

ふむ、産卵プレスとか新しいな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/08/26(月) 14:53:07.16 ID:/fsfcid30<> それだと喰らった体中から皮膚の下を蠢いていくのでは?皮膚下からか血中からかは知らんけど
ハンターハンターの蛭使いが傷口から侵入する寄生蛭を口から吐き出してたっけ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/30(金) 22:20:17.73 ID:SiE+J3iY0<> フルアーマーダブル雷薄を実装するか悩み中 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/30(金) 22:39:13.24 ID:uklzPFI4o<> なにそれぇ・・・ <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/30(金) 22:48:09.70 ID:SiE+J3iY0<> 真桜謹製やぞ
フルプレートアーマーに加えてバネ実装で機動力もアップするやつやぞ(妄想案件)
ビーム兵器は実装しないからセーフだよね <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/31(土) 08:42:57.58 ID:v1bMgLJxo<> その雷薄さんなら色んな悪いフラグを叩き折ってくれそう <> 赤ペン<>sage saga<>2019/08/31(土) 09:37:58.54 ID:EjLdetkt0<> ビームの代わりにクロスボウに自動装てん機能取り付けた武装とかで面制圧も可能にしてそう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/08/31(土) 09:48:44.99 ID:wAQb8pAt0<> 元ネタはフルアーマーダブルセイバーです
fate sn のデッドエンドフラグですな <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/08/31(土) 21:40:31.12 ID:Cl7P1XKUo<> やらせはせん!やらせはせんぞおおおおおおおおお <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/01(日) 22:31:15.38 ID:VabA+Jfk0<>   〈\ __「|__  __r┐__     /7__  lヽ, _}´l_      {`ヽ    _{ヽ___  t-、| }-'>
    \〉 r──┐ |__r───z__| l二二 ,-----' | く__`コ =,'  ,--'コ__,l `-┐ [_ ニ /=, =='  l二 _ 三、
  〈\  |___;!   [[ニニ]]       / 'ニ l   「゙| ト-'=  ̄ ̄} 7 |_| ロ l二'' ┌'__ ┬ ==`l  lニ,_r=、 \
    \〉 /〉| |〈\   「 ̄ ̄ ̄ ̄|  /,l 二 |   リ| |`T'l三l`T´/ ロ |  ▽/  | l7 く| == | __//== ニコ\\
    /〉(/,_| |. \〉 .| [二二二] ! ゙ー'´.| ,二 .|    | | | lニコ |/_,ィ_/ /> く__//彡>| == |`ーィ-゙= ニコ  ̄
  〈/.   ー┘   └───‐┘   Ll t'__ノ    Ll |__l´コ ,|   /_/-‐''ヽ---' l/ ノ/ヽ_}    ̄コ__j
                                 `ー'
 ̄ ̄ ̄ =====─-  ___ __   ,n
                       ̄.ノ /l    , ‐━━ミ                             _
                        |   レ')  ィ:.:.:.:.:.:.∠二_ヽ           __ - ── == ¨ ̄ ̄
                       r:t_/ にヌ:.:.:、/:. ィ:.:.:.:.:.i. rf「 7  ̄ ̄ ̄ ̄
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                       |i:i:i:i:i| 〈/ {:/:.:N == , =レ个 }--{
                       |i:i:i:i:i|/:.:.V:.:.:父ト  n .イ:.「 |i:i:i:i|
.         __  =====─  ̄|i:i:i:i:i|:才i:}:.:./lく. ≧=:.:.|:.:l___|i:i:i:i|
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                       ./ー…ミ:i:/:i:i:i:{:i:i:i:ヽi:i:/      ,   ヽ
                      Y  、___>x:i:i:i}:i:i:i:i:i:彡-- ─一    }
                  .     人   }i:i:i:i:i:i:i:≧===≦i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:} . イ
                       ≧=‐- :i:i:i:f77//{i:i:i:i:i:i:i:i:. -‐=≦
                             ̄|/ハ{// ̄ ̄ヽ//)
                              乂厶’       ̄

※特に意味はありません
 リツイートしたくなっただけです <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/01(日) 22:33:04.38 ID:hRrPkAcYo<> あはあ!ぎもぢいあぱぱぱぱぱ!!!(おうえんしてます) <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/02(月) 12:13:04.62 ID:KEOqw7w70<> ハルヒーンミキサーとかハルヒバスターとか風林火山とか色物AA豊富よね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/02(月) 19:14:26.55 ID:Mf9G94Fb0<> あれすごいですよねえ
職人さん、ほんとすごいですわw
風林火山は分からないから探しにいってみよう

ヤル夫スレとかやってみたかったこともあるけどAAいじるの無理すぎて断念しましたよw
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/02(月) 19:14:53.26 ID:Mf9G94Fb0<> >>820
さらっとその返しはゴウランガ! <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/03(火) 11:09:35.65 ID:yuP8kkor0<> 私が前に見たのは某やる夫DQ3ハーレム物の作者がやってたやる夫デビルサマナーの作品で再登場した時ですね>>風林火山ハルヒ
まあ探せばそれ以外の話でも使われてるとは思いますが <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/03(火) 19:16:45.97 ID:uv7KQ6ke0<> なろう運営様からえっちすぎるとイエローカードいただきました
改善されなければユーザー削除もありえるそうです
修正しても、十分じゃないって言われました

頑張って修正作業するぞい
ぞい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/03(火) 19:18:52.03 ID:uv7KQ6ke0<> なので、前に進む前に後ろを固める作業に頑張ります
※なろう運営様を非難するニュアンスは全くありません

まあ、せっかくだし一から読み返すかー <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/04(水) 00:19:10.32 ID:OmrBVjCo0<> いっそ一旦ノクターンの方に移す?
エロシーンと言うか元々の部分はハートマークとか入れて
それ以外の部分でここR18じゃね?って部分あったら教えてください、とか粗筋に入れといて <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/04(水) 04:05:01.56 ID:lzeak2ZWo<> 運営としては膨大な数を処理しないといかんからどこが悪いとかもはや個別対応できんのよねえ
その指摘自体アドセンス側のクソAI処理の可能性が捨てきれんし…

とはいえ修正はせんわけにはいかんしね、場所借りてる以上 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/04(水) 19:06:48.66 ID:05kJ2YUl0<> よし、運営様からOKもらったやで!
(今回修正したとこよりやばいとこもあったのだが、発生主義らしいのでそっとしておこう) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/04(水) 21:41:23.34 ID:05kJ2YUl0<> 勝ったぞ(鹿)
動画、動画…… <> 青ペン<>sage<>2019/09/04(水) 21:45:22.43 ID:e0MOG0E1o<> そーいやツイッター上でも
なろうから【死刑宣告受けた】とか話題になってやがりましたな…
とりま自分が思うところ変えて
運営チェックしてもらえばええんよね。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/04(水) 21:53:36.02 ID:05kJ2YUl0<> >>831
青、青?
アオハルかよ(適当)

まあ、逐一問い合わせしまくりました。
しかし、場所を借りといてあれはマナー違反かなあと個人的には思います。
とは言え、全部チェックとか厳しいので、あれこれやりとりはしましたわ。

まあ、ネゴシエートよりは改訂作業が生きた感じではありました。

やったぞ→できてない
やったぞ→できてない
やったか!?→やったかどうかはともかく問題は解決されたやで

そんな感じでございました

<> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/05(木) 17:32:38.08 ID:1YEP0QMc0<> 多分赤ペンは復習用で青ペンは予習用なんだよ
>>やったぞ→できてない
やったか!?→やったかどうかはともかく〜
はどっちかと言うと
やったか!?の方が出来てないフラグを感じますなw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/06(金) 07:13:31.82 ID:gizL8XSv0<> >>833
そんなとこに朱が入るとは思わなんだw <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/06(金) 22:12:36.86 ID:gizL8XSv0<> エゴサしたらモチベーション上がった
みてろよみてよろよ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/07(土) 14:49:55.78 ID:NlgxbLEp0<> ぼふ。
投げた書が音を立てる。ぺらり、とめくれ上がった頁(ページ)から禍々しいなにかが覗いている気がする。うん、ぶっちゃけた話、それは太平要術の書である。
 そして。

「これ、処分頼むわ」

正直それを目にしたとき、空間が歪んでたり、何かこう。語りかけられた気がするような。そんな危うい書であった。
曰く。「力が欲しいか……?」とかなんとか。知らんけど。

お断りします。お断りするっちゅうの。知るかボケの精神である。

そんなわけで、餅は餅屋という訳で華佗の出番である。やったぜ。

「これは、すごいな。ここまでとは……。
一体どれほどの死を積み重ねたのか。これは俺の手にも負えないかもしれん。
これを封印する術者なぞ、それこそ神仙の類でないと……」

マジか。
だったら。

「じゃ、燃やしちゃおうぜ」
「は?」
「所詮、紙切れだろ?だったら燃やしちゃえばいいじゃん。後顧の憂いなく、ぶわーっとやっちゃおうぜ」

華佗ですら扱いきれないならその存在含めて物理的に消去するのが一番、である。
ふむ、と考え込む華佗に畳み掛ける。

「焚書、その汚名は俺が受けるよ。
これほどまでに中華を揺らした書物。それが世に在ったら枕を高くして眠れないってね。ここはひとつ、俺の安眠のためにも燃やすべきそうすべき」

……いや、本を燃やすという行為については思う所もあるけど、今回は話が別だ。アレを放置していい結果が出るわけがない。

「二郎……。そうか、そうだな。それがいいかもしれん。
だが、これは自身が既に意識を持っている。破棄するというならば任せてもらいたい」

なにそれこわい。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/07(土) 14:50:23.02 ID:NlgxbLEp0<> 「そりゃ願ってもねえけどよ」

どうやら火にくべて終わりというものでもないようです。
いやあ、華佗がいてくれてよかったわ。美少女擬人化とかなくて重ねてよかったわ。

「よし。では承った。封印するという本来の任とは違った結末だがそれはいい。
 あくまで被害を減らすのがその最優先だからな」

ふう、とため息を一つ。それが大きく感じたのは俺の感傷かもしらん。
しかしまあ。

「光に、なれえええええええええええええええ!」

だからまあ、太平要術の書がだな。燃えたと言うより、光になったというのは目の錯覚だって信じてる。キラキラと、なんか光ってたのもまあ、ね。多少はね。

……とりあえず、人智を越えたものは俺の手に余る。それを使おうなんて奴の気が知れないね。
やれやれとばかりに伸びをした俺に急報がもたらされる。

今上帝、崩御。

マジか。
深くため息を一つ。
想定していなかったわけじゃあないがこのタイミングで来るかよ。
厄介な。
いや、ごめんなさい。かっこつけましたが、本当に想定外でした。どないしょ。

なので風と星を呼ぶ。どうやら黄巾の乱が治まってそれでめでたしとはいかないようだ。
 

「星は如南に。雷薄と入れ替えだ。いい機会だから政治に触れてこい。
 洛陽には風と雷薄を連れてく。出し惜しみはなしだ」

黄巾の乱で頑張った子らは一回お休み。特に星ちゃんには一度組織のトップに立ってもらう。
補佐には沙和……だけじゃアレだから顧雍も回そう。そんかし魯粛を洛陽に持ってく。
張?は南皮で張家を。七乃をこれ以上美羽様と引き離せんしな。洛陽行きだ。
というか、今上帝の葬儀だからして。
麗羽様、美羽様、それに武家四家の当主は洛陽に行かねばならん。まあ、それを奇貨として星に経験を積ませる。それが大事。
あの子は一介の指揮官に収まる器じゃないというか、政戦両略に秀でてもらわんと困る。
地位が人を育てるというのはあるのだ、実際な。
白蓮なんかはその最たる例だろうて。

「それでは南皮の守りが薄くなるかと〜。黄巾の残存にどう備えます?」

「基本、沮授がいれば大丈夫だろう。南皮の紀家軍は流琉に任せる」

流琉だってそろそろ指揮とか学んでもいい頃合いだしな。なに、有象無象ならば単騎でどうにでもできるさ。きっとね。
抗議の声を上げそうな流琉を抱き寄せて黙らせる。

「真桜は如南だな。如南の防壁の建設が滞っているらしいしそこらへんはきっちりやらせんといかん」

流石に自分がいなくなった後の作業効率までは計算できていなかったのだろう。如南の防壁強化は進捗が滞っているし。

「まあ、一旦南皮に寄ってからのことだけどな」

まずは麗羽様に顛末の報告をせんといかんし、美羽様が南皮にいらっしゃるのも待たんとな。
それで洛陽に行って、帰って終わりだ。

何進と華琳の政争。それが俺の描いた絵図。その前に宦官の無力化というのもあるが、華琳ならばうまいことやるだろうて。
我が袁家はそういう政争からは距離を置いて、北方の守護に。
雲の上の争いなんぞ、知ったこっちゃあねえのさ。

……結論から言うと、俺が描いた絵図は甘いなんてもんじゃあなかった。
黄巾なんぞ話にもならんくらいの動乱が中華を襲う。

そんなの、神ならぬ身には予知できるはずもないっちゅうの。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/07(土) 14:50:55.71 ID:NlgxbLEp0<>
「俄かには信じられませんわねえ。僵尸(キョンシー)に、幻影兵ですか……」

南皮に帰参し、麗羽様に顛末を報告している俺です。

「や、俺だってこの目で見なけりゃ一笑に付してたと思いますしね。
 それと、ご学友とのご歓談、お邪魔して申し訳ない。お邪魔虫は退散しますね」

そう、考えなしに麗羽様のとこに来たら、いたのよ。ご学友がね。
いや、普通はそんな席に麗羽様がいらしたら周囲が制止するもんなんだが、俺はいかんせん立場が偉かった。

「あら、お邪魔なんて誰も言ってないわよ。私は構わないわ。轡を並べた仲だもの。
 麗羽も、二郎が邪魔なんて言わないわよね?」

いや、華琳よ。お前さんがいるから帰るっていうのよ。

「そうですわね。二郎さん、ご苦労様でしたわ。
 お言葉どおり袁家の武威を示していらっしゃったのでしょう?お座りくださいな。わたくしがお茶を淹れてあげますわ」

「そ、そりゃ畏れ多いこって」

むしろ出直すので解放してくださいという思いを込めて放った必死の目線を受けてにっこりと頷いてくださる。
違う、違うんですよ麗羽様。とも言えず。

「遠慮なんて二郎さんらしくないですわね。わたくしのお願いした通りに黄巾をうち滅ぼしてくれたのですもの。
 これくらいどうということはないですわ」

わーい、ありがたいなー。

「あら、麗羽が部下のために動くなんてね。これは貴重なものを見れたわ」

「何をおっしゃるのかしら。二郎さんは袁家のために尽くしてくれたのですもの。これくらい当然ですわ」

微笑み合うお二人の友情の微笑ましいことよ。いやあ、友情って美しい。
しかしまあ、なんですねえ。同じく金髪ロールでもこう、持てるものと持たざるものの格差を感じてしまうなあ。主に胸部装甲的な意味で。
え、二人の言ってる内容?じゃれてるだけだろうから正直どうでもいいさね。
そういや、あのロールってなんか特別な機材が必要らしいけど、華琳ってば戦場まで持ち歩いていたのだろうか。

「ところで二郎?いささか視線が不躾だったと思うのだけれども?」

へ?

「はて、なんのことやら。
お二人。特に麗羽様はご幼少のみぎりから存じてるからこう、ね。
 時の流れというものに些か思いを馳せたということはあるけれども。やましいことはないぜ?」

言い張ってみる。まあ、男のチラ見は女子にとってはガン見だとどっかで聞いたこともあるから、基本言い逃れできないのだろうけれども。

「まあ、二郎さん。華琳さんみたいな貧相……お胸の不自由な方に視線をやることはありませんわ。
 ……ね?」

みなまで言わずに胸を張る麗羽様。
ありがたやありがたや。とは思うものの、流石に主君のおっぱいを凝視するわけにもいかんってばね。

「麗羽、貴女(あなた)ねえ……」

「おーほっほ。減るものでもあるまいし、なにを狼狽(うろた)えてらっしゃるのかしら?ど、こ、か、が、不自由な華琳さん?」

……なんとなく学び舎での二人のやり取りが想像できるなあと思いながら、どうにかしてこの場から逃げ出すことを考えていた俺なのだが。
思いもよらぬところからそれは叶うことになる。
いや、まあそれはそれで頭痛が痛いような案件をもたらすことになったのだが。

……七乃と風からの呼び出しである。

なにこの組み合わせ。

喧しくも微笑ましい言い争いを背に、俺は室を辞する。
心境としてはあれだ、前門のタイガー道場、後門の教えて知恵る先生みたいな!

いや、結構難儀な内容だったんだけどね?
いや、七乃と風の二人からの進言なんて俺に拒否権……はあるけど反論の余地があると思うのかいな。

二人が最善と言うなら俺に否やはない。ないんだってば。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/07(土) 14:52:19.89 ID:NlgxbLEp0<> 題名は
「黄金螺旋」

もしくは格差社会的なやつ

リライトは得たるとかいう法則をぶっ飛ばす。
だから感想とかくだしあー <> 赤ペン<>sage<>2019/09/10(火) 00:02:40.78 ID:63uuxNyX0<> 乙でしたー
>>836
>>正直それを目にしたとき、空間が歪んでたり、何かこう。語りかけられた気がするような。   【何かこう】の後も文は続いてるし
○正直それを目にしたとき、空間が歪んでたり、何かこう……語りかけられた気がするような。 と言うか【何かこう】の掛かり先は【語りかけられた】の様な気もしますね
>>曰く。「力が欲しいか……?」とかなんとか。 ここも【曰く】の掛かり先として
○曰く、「力が欲しいか……?」とかなんとか。 の方が良いと思います
>>837
>>本当に想定外でした。どないしょ。 喋り言葉としては有りかもですが
○本当に想定外でした。どないしよ。 《どうしよう》の崩し言葉で地の文ならこうかな?
>>どうやら黄巾の乱が治まってそれでめでたしとはいかないようだ。      間違いではないですが
○どうやら黄巾の乱が治まってそれでめでたしめでたしとはいかないようだ。 の方が良いと思います
>>洛陽には風と雷薄を連れてく。出し惜しみはなしだ」 読み違いをしやすいので
○洛陽には風と雷薄を連れてく。出し惜しみは無しだ」 の方が良いと思います
>>あの子は一介の指揮官に収まる器じゃないというか、 二郎って星の事【あの子】呼びだったっけ? 
○あいつは一介の指揮官に収まる器じゃないというか、 星くらいの女性をそう呼ぶと何かおじさん臭い様な
>>838
>>心境としてはあれだ、前門のタイガー道場、後門の教えて知恵る先生みたいな!  まあ念の為にね?石橋を叩いて渡る感じで
○心境としてはあれだ、前門の虎道場、後門の教えて知恵るティーチャーみたいな! 後は【タイガース道場】とか【教えて留美子先生】も考えつくけど
○心境としてはあれだ、前門のToLoveル(闇)、後門の人狼ゲームみたいな!      いや、微妙か?

リライトすると当時と考え方とかが変わるからキャラがぶれたりしてエタルトかなんとか
封印よりも消去の方が得意なんか…華佗
それにしてもこれほどの魔道書の精神攻撃を跳ね除けられるとか凄いよ二郎ちゃん <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/13(金) 09:15:25.52 ID:Icobgtfz0<> 昔のSF(少し不思議な)アニメでワープの原理を紙の上のA点とB点。二つの最短ルートは?って問題出して折りたたむのが正解。って言ってたんだけど
宇宙空間なら可能かもしれないけどあれ地球程度でやろうとした場合って【折りたたむ場所】をどう算出するんだろう
その理論を魔法で再現した主人公のアニメを見たんだが…公転とか自転とか計算した(できる)のか?DQのルーラみたいに行き先に高速で飛翔するとかならそんな面倒は無いだろうけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 17:24:27.17 ID:0hxId3uy0<> 馬鹿なので夏風邪ダウンしておりました。
多分汗かいて電車冷房で冷やされるの繰り返しが地味に効いたんやろうなあと

>>840
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>リライトすると当時と考え方とかが変わるからキャラがぶれたりしてエタルトかなんとか
ほむ、そういうものですかね。
まあ、考え方というか、リライトしながら前に書いた自分に戦慄したりします。
今ならこの表現思いつかないなあとか、この描写キレッキレやなあとか。

>封印よりも消去の方が得意なんか…華佗
爆弾は解体よりも爆破する方が簡単という危険物。じゃけん燃やしてしまいましょうね−的な

>それにしてもこれほどの魔道書の精神攻撃を跳ね除けられるとか凄いよ二郎ちゃん
0感だからね、仕方ないね。
中途半端に才能あったらやばかったやつですね。

>>841
そう考えると、ランスシリーズで、
時間の止まった異次元に突入してせっせと歩いてワープに見える
ってのは次元がどうのこうのよりも説得力がありますね!

ワープ論はほんとよく分からないですね。次元論もそうですけど。
スターウォーズよりはスタートレックを視聴しておりますが、ボーグVS BETA VS 宇宙怪獣
とかどうなるんでしょうねえ

そこにゲッター線とかビムラーを加えて……光の国とか…… <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/13(金) 18:34:02.60 ID:Icobgtfz0<> >>爆弾は解体よりも爆破する方が簡単という危険物。
いやあれ(太平要術の書)どっちかと言うとBC兵器とか迂闊なことすると呪いがふりまかれるタイプじゃないかしら <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 19:06:24.18 ID:0hxId3uy0<> >>843
光になったからセーフ
きちんとしたプロフェッショナル(CV影山)補正ということで一つ。
聖杯の泥でも勇者王ならなんとかしてくれそう <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 19:14:59.40 ID:0hxId3uy0<> まあ、書の呼びかけに応えるルートだったら、まんまデモンベインになってしまいますからねえ……
ネクストジェネレーションではその構想もございますたね
書かないけど構想だけはありましたすw

そいや恋姫世界には龍とかいるらしいですし、摩訶不思議ファンタジーいけるなとか、など

まあ、まずは目の前のことに集中します <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 19:18:37.09 ID:0hxId3uy0<> 全然関係ないけど、小泉ジュニアはあれですね。
ちょっと過大評価しておりました。そう考えると実務で揉まれて成長してほしかったなあと思います。
大臣はちょっと早かった気もします(結果論)。
まあ、先は長いし期待。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 21:20:02.20 ID:0hxId3uy0<> 夜天の月は満月。中天に差し掛かり地上を青白く照らし出す。
ここ南皮がいくら不夜城と言われていてもそれは歓楽街のごく一部に限定されている。
多くの民は日没とともに眠り、一番鶏の声で起きるのだ。
無論、この時刻に活動するものもいる。合法、非合法問わず。彼の場合はれっきとした役目である。
欠伸をかみ殺しながらとぼとぼと歩く彼はいわゆる獄卒であった。

「うーん……」

伸びを一つし、牢を見て回る。と言っても今歩いている牢の連なりは一室しか使われていない。
余程の大罪人なのか当初は不眠番が十名ほど付けられていたほどだ。だが、その態度は至って大人しく、三人揃って手弱女である。
そんなに警戒することも無かろうということか、どんどんその警戒度合いは軽くなり、最近の数日に至っては自分だけである。
まあ、三人とも相当の美少女であるからに。その寝顔を独占できるというのは中々に役得ではないかと男は思って夜警に志願した。
……牢内に月明かりが差しこまず、当てが外れたのにはがっかりしたものだが。
自然、勤務から熱意は奪われ、おざなりに牢の前を通るだけになってしまっている。

「ん……うん……」

そんな様子の男の耳に悩ましげな声が入る。
おや、と思い、近づくと、長い、水色の髪をした少女が声をかけてくる。

「ね、お役人さん!ちょっと来て!姉さんが、姉さんの様子がおかしいの!ひょっとしたら病気かも!」

「な、なんだと?」

先ほどまで全身を包んでいた眠気もどこへやら。慌てて三人に近寄る。無論易々と牢の鍵など開けはしない。
だからまあ、緊急事態なのだ。誰かを呼びに行く前に状況を確認するのがよいだろう。
そう判断する男に、桃色の髪の少女がどこか熱を含んだ声で訴えかけてくる。

「なんだか……身体が火照っているんです……。特に、ここ、胸のあたりが苦しくって……」

その豊満な胸をはだけて切なそうに。

これは思わぬ役得とばかりに生唾を飲み込み、その谷間に目を凝らす。ええい、もっと明かりを!

「お役人さん!」

最初に声をかけた少女がこちらを呼び、咄嗟に振り返る。ああ、この子も本当に美少女だ。胸の辺りがいささか寂しい気もするがそれもまたいい――

目と目が合った瞬間に彼が考えていたのはそんなことだった。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 21:20:28.01 ID:0hxId3uy0<> 「ちょろいもんね!」

久々の娑婆(しゃば)の空気は美味い。三人姉妹――言うまでもなく張角、張梁、張宝のことである――がほう、と息をつく。
太平要術の書がないとはいえ、彼女ら――特に張宝――の妖術は高い水準を維持している。鳥が飛び方を忘れないように、一度身に付いた技術というのは消えることはないものだ。
……牢番の彼は実によくやってくれた。鍵を開け、彼女らを先導し、同僚を欺くことすらしてくれたのだ。
門扉が明け放たれた時に見上げた月をきっと彼女らは忘れないであろう。
なにせ。

「姉さん、まだ油断はできない」

よくて死刑。どんな残虐な刑罰が待っているかも分からぬのだ。で、あればなんとか脱走を。
まあ、彼女らはどう見ても手弱女。警備が緩むのも時間の問題とは思っていたが。

「うん、でもでも、こんなに早く逃げ出せるなんて、ついてる!さ、慌てず急いで逃げ出しちゃおう!」

幸い南皮の街には土地勘もある。夜闇に紛れればどうとでもなる――

そう、思っていたのである。

「おやおや、脱走とは感心しませんねえ。ここは大人しく牢に戻ってほしいところなのですが〜」

視界にいつの間にか少女が一人。茫洋とした表情からは何も読み取れない。微笑んでいるようでもあり、無表情なようでもある。

「ええ?いつの間に?ち、ちいちゃん!」

「任せて!」

その眼を合わせ、魅了する。なに、かつては数万の信者を操ったのだ。太平要術の書がなくとも一人くらいどうとでもなる。
現に先ほどだって他愛なく。
そしてその期待は裏切られる。

「んー。抵抗は無意味です。そこを動かないでほしいですねえ」

ひたり、と一歩踏み出す。
淡々とした声にふさわしくその顔には表情などない。

「く!」

張宝は魅了で操るのを諦め、周囲に鬼火を呼び出す。冥府を思わせるその青い炎が連なるのを見ても、現れた少女――程立――はぴくりとも表情を変えず。
更に一歩踏み出す。

「も、燃えちゃえ!」

その歩にみに、怯(ひる)みながらも張宝は鬼火を。
呼び出したそれを一斉に叩き込む。幾十にも及ぶそれは程立を包み、その身を焼き尽くすかと思われた、のだが。

「な、なんでよ!」

程立を包んだと思ったが刹那、鬼火は忽然と消え果てた。

「さてさて、なんででしょうね〜。
残念ですが、その手の手妻は風には効きませんので〜。
 ああ、そうそう。こういう時に冥土の土産というのを持たせるのが作法らしいですが」

くふり、と笑みを深くする。

「風は二郎さんほど甘くありませんので〜」

今更牢に戻ると言っても遅い。

無慈悲な宣告が響きわたる。
三人は凍りつき。

どすり、と鈍い音が一つ響いた。

「え、なに?これなに?」

腹から生えた剣。そこから盛大に赤いものが噴き出す。驚愕の直後に灼熱を感じ、遅れて痛みがやってくる。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 21:20:54.72 ID:0hxId3uy0<> ごきり。

今度は、何か硬質の者がぶつかり合った音。それも自分の内部から。
それが何を意味するか分からぬまま、崩れ落ちた。

どさり、と音を立てて倒れ込む三人を尻目に程立は口を開く。

「いや、流石お見事なものですね〜」

どう聞いても音は一度ずつだったのに、三人それぞれの身体は二本の剣に貫かれている。一本は腹部。一本は頸椎を貫き、大地を染め上げる。
ゆらり、と闇を染め上げたような黒装束の男が姿を現す。

「他愛なし、と言いたいところだがね。
少女よ。君が動きを止めていてくれたおかげだとも」

「これはご謙遜を。いや、眼福ごちそうさまでした。
 ――後始末はお任せしても?」

す、と黒装束の男――張?――が手を挙げると同じく黒装束を纏った集団が現れる。張?と違うのはそれぞれ揃いの髑髏の面を身に付けていることであろうか。
彼らは無言で物言わぬ骸を袋に入れ、どこへともなく去っていく。

「しかし、思いのほか早く済んだな。正直もうちょっとかかると思っていたのだが」

「まあ、死出の旅路というのは彼女らも分かっていたでしょうからね〜。
 焦っていたのでしょうね」

実際はそうでもないのですけどね、と程立は苦笑する。

「ほう?姉上もそんなことを匂わせていたが……。大逆の大罪人。極刑以外にあるまいよ」

くふ、と程立は笑う。そうであればよかったのだが、と。

「あの三姉妹が民を魅了し、操り、扇動したのは間違いありません。が、この実態は知られていません。
 黄巾軍を率い、官軍と渡り合ったのはあくまで波才。なれば彼が首謀者とすることも可能です。
 ええ、彼女らの力、妖術には価値があるのですよ。とんでもない、ね。
 死一等を減じるのを考慮するほどの価値が。そして、その機会はあるのですよ。それもこれ以上ないという大義名分が」

ふむ、と張?は考え込む。そしてニヤリ、と口を歪ませる。

「恩赦、か」

「ご明察です。新皇帝即位なんてまあ、数十年に一度のこと。めぐり合わせがいいのやら、悪いのやら、ですよ。
 ……恐らく何進大将軍は黄巾に加担した民にこれを適用させるはずです。未だ雲霞の如く湧き出る黄巾賊。それらを全て討伐するには、漢王朝は疲弊しきっていますから」

何せ、黄巾賊。賊の討伐に諸侯の軍を動員しなければならないほどなのだから。黄巾賊に禁軍が敗走するほどなのだから。

「目端の利く者は欲しがるでしょうね。ええ。中華を揺るがした実績。手駒としては、魅力的でしょうよ」

くふふ、と意味深に笑う程立に張?は笑みを重ねる。

「何とも、業の深いことよな。御せるものかね」

「さあ?誰がその身柄を得るのか、それを御せるのか。全くもって未知数ですね〜。
 ですから」

後顧の憂い、断つべし。

◆◆◆

張?は嘆息する。この世の邪悪を具現化したあの男。六本指の義父。アレが世から除かれたくらいでは微塵も影響はないらしい。
その事実に至り、張?は声を上げて笑った。

いや、正邪聖俗のなんと虚しいことよ、と。

そして思ったのは全身傷だらけの男の、まぶしいばかりの笑顔であった。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 21:22:21.87 ID:0hxId3uy0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

張?とかあっちと張郃、どうにかせい!
頑張るぞいっと。

いけません、題名ください。
もとめる、えろいむえっさいむ

なんかええやつオナシャス。 <> 青ペン<>sage<>2019/09/13(金) 22:15:45.60 ID:Ajla9o1Go<> >>850

そうねぇ…張コウくんの笑顔に因んで
闇夜の破顔、とでも。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/13(金) 22:38:23.61 ID:0hxId3uy0<> >>851
キャーシャベッター

笑顔笑顔ね、っと(ここで文章は途切れている) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/14(土) 13:23:53.11 ID:2CruyetE0<> ドラクエGO!
おもしろいです

無限にやってられる気がする
音楽がVベースなのもよい

これ、化けるかもしれへんね <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/14(土) 17:43:55.16 ID:qRLYoEZe0<> 乙でしたー
>>847
>>夜天の月は満月。   悪くは無いですが【月】が重複してるのがちょっと気になる
○夜天に浮かぶは満月。 それとも【夜天の月は丸く。】…いや【月は真円を描き。】とかどうでしょう
>>おや、と思い、近づくと、長い、水色の髪をした少女が声をかけてくる。 んー?この時点でなんか妙な術でも使われました?でもこの前のは悩ましげな呻き声だけだしなあ
○おや、と思い近づくと、長い水色の髪をした少女が声をかけてくる。   【、】が多い気がしますが思考力が落ちてたりしたならそれもありですね
>>848
>>その歩にみに、怯(ひる)みながらも張宝は鬼火を。  【、】の位置はちょっと変えた方が良さそう?
○その歩みに怯(ひる)みながらも、張宝は鬼火を。   手直しも加えて
>>849
>>一本は腹部。一本は頸椎を貫き、大地を染め上げる。  【染め上げる】だとなんかこう一部の隙もなくと言うかそれこそ屍山血河な感じが
○一本は腹部、一本は頸椎を貫き、大地を赤黒く染める。 いや、新鮮だし【赤く染める】でも良いかな?
>>張?と違うのはそれぞれ揃いの髑髏の面を身に付けていることであろうか。 なんとなくですが【それぞれ】だと違いがあるような印象が。それぞれ色違いのマント。とか、それぞれ動物を模した仮面。とか
○張郃と違うのは皆が揃いの髑髏の面で顔を隠していることであろうか。  あと【身に付けている】だとお祭りの時のお面みたいに後頭部とか側頭部とかっぽいかも
>>正直もうちょっとかかると思っていたのだが」 私の個人的な印象ですが彼が【もうちょっと】って違和感あるような
○正直もう少しかかると思っていたのだが」   の方がらしいかな?
>>死一等を減じるのを考慮するほどの価値が。 細かい事ですが
○死一等を減ずるのを考慮するほどの価値が。 言葉としてはこうですね…《罪が減る》では無く《罪を減らす》と言う意味なので

掴んだ端から零れ落ちていく命に涙が出ますな(なお無理して掴もうとしなければそもそも零れなかった模様)
妖術師、因果によって命を落とす …いやホント、それまでのは彼女らある程度どうしようもなかったのに最後は自分たちで選んだ結果だからなあ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/14(土) 21:12:36.64 ID:2CruyetE0<> 首位決戦勝ったぜ(鹿)
しかしブエノがこんなに頼もしくなるとは思わなかった
今年は鈴木安部安西抜けてへろへろyearだと思っていたら……
フロントガチ有能やな

>>854
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>掴んだ端から零れ落ちていく命に涙が出ますな(なお無理して掴もうとしなければそもそも零れなかった模様)
カミーユじゃないけど、余計なことせんかったら普通にそれなりに幸せな人生だったはずなのに……
なおそのようなシナリオはなかった模様

>妖術師、因果によって命を落とす
これでいきたいっすね。題名ネタバレもたまにはよかろう。ろう。

> …いやホント、それまでのは彼女らある程度どうしようもなかったのに最後は自分たちで選んだ結果だからなあ
反省とか特にしてませんからね、メンタル鋼が裏目でござんした。

<> 赤ペン<>sage<>2019/09/14(土) 23:58:55.34 ID:qRLYoEZe0<> 飛ぶ斬撃の斬撃能力の低さは異常
岩とか山とかならスパスパ切れるけど人に当たると大体吹っ飛ばして壁に叩きつけるだけで終わる
偶に斬れるけど内臓まで届かない事が殆んどよな…でも倒せるんだから皮1枚って事は無い筈だけど <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:08:05.27 ID:9sHKnlhk0<> >>856
>飛ぶ斬撃の斬撃能力の低さは異常
ガイルさんが時代を制した感あるのでセーフじゃないですかねw

>岩とか山とかならスパスパ切れるけど人に当たると大体吹っ飛ばして壁に叩きつけるだけで終わる
どの作品だろう。最近チェック能力低下したるから、教えてくださいませ。

個人的には、FSSの真空斬りとダムドストロークが大好きです。格好いいから。

※夏風邪ダウンしておりました。しんどかたt。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:14:53.76 ID:9sHKnlhk0<> 真空かまい太刀 <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:15:23.73 ID:9sHKnlhk0<> 情事の後の気怠い空気。増す熱気と漂う湿気。
ふぁさ、と薄布を剥いで女は寝台から身を起こす。
水差しから注がれた冷水。既にぬるくなってしまったそれをこくり、と飲み干す。
中天に差し掛かった月が彼女の均整のとれた身体を青く照らす。
激しい情事で乱れた髪を手櫛で軽く整え、くすりと笑う。

「どうした?」

男の問いに極上の笑みで応える。

「いえ、もう、始末はついたころかな、と思いまして。
 ねえ、二郎さん?」

男――紀霊――は顔をしかめる。

「そうか、そうかい。そりゃ実に。実に結構なこった。
 それも七乃の思い通りなんだろう?」

投げられた言葉に女――張勲――は微笑む。
その笑みが何を意味するか紀霊には読み取ることはできない。
情事の痕跡も、上気した顔も夢幻ではないかと。

「どうもご不満のようですが……。いまさら、あの三人の助命とか言いませんよね?」

にんまりとした笑みを貼り付けたまま張勲は問う。あの三姉妹の処断を最終的に命じたのは紀霊だ。程立と張勲のその献策。それを彼は容れた。苦虫を幾重にも噛み潰しながら。

「そりゃ、ねえよ。今更だしな。吐いた唾の始末はつけるともよ」

けして本意ではないのだろう。だがそれに張勲は斟酌しない。

「ご不満ですか?」

にまり、と問い詰める表情は艶然と。

「……最善じゃあねえ。そうだろ?」

「ええ。最善は彼女らを取り込み利用する。それが私達の献策だったんですよねえ。
 未だ黄巾の乱は鎮まらず。その余勢を平らげて、袁家隆盛となる一手を拒んだのは……」

笑うその顔は清楚と淫靡を両立させていて。
そして反論の余地などない。

「二郎さんですよねえ」

その一言に紀霊は顔をしかめる。見ようによっては泣きそうなその表情に張勲は畳み掛ける。

「最善と言う意味では、そうですね。太平要術の書、でしたか。
あれを手にしながらの破棄。これはいかにも悪手ですよ。
 それでも、です。
それを二郎さんが決めたのであれば、私たちはそれに従いますよ。
ええ。喜んで、ね」

ねちょり、と首筋に舌を這わせながら張勲は紀霊を責めたてる。

「そりゃ、確保するなら簡単ですけどね。扱う人にその気がないのならば」

かえって、厄介ですよね。

ちゅるり、と首筋を吸い上げて印を刻む。
それが原罪だと言わんとするべく。

「無難な一手。誰はばかりますか。たかが三人の犠牲に慄いて、いいんですか?」

瞑目した顔。眉間に皺が深く。

「――可愛い、人」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:15:50.47 ID:9sHKnlhk0<> ◆◆◆

「どうした、二郎よ。珍しいな」

姉者こと春蘭です。なんでって、筋を通しに来ました。
だって春蘭が捕縛した三姉妹、今や物言わぬ骸になってしまったからして。

「何を言っとるのだ、二郎よ。
私が捕えた三姉妹。それが脱獄したからとして私の武勇に傷が付くものか。
 それよりもだな。それをきちんと討ち取ったことに賞賛をすべし、だな。
 なんでも、怪しげな手妻を使うのだろう?そんな不可思議なもの、いてはいけないものだ。
 だからな、二郎よ。よくやった!」

ばしばしと満面の笑みで背中を叩いてくる春蘭にほっこりしてしまう。

「や、別に俺がやったわけじゃないというか、彼奴らをきっちりと護送することこそお役目でだな……」

「馬鹿もん!」

怒号が俺を襲う。

「二郎よ、二郎。
貴様の信頼する配下が果たしたのだろう。
 だとすればそれを貴様が誇らずしてどうする!
 何条もってその功を誇るのだ!
 将たるものはな、部下の功績を誇るべきなのだ!誇らねばならんのだ!
 貴様がそれに疑念を持つのは、侮辱だぞ!それとも!」

貴様の配下は誇られぬことを果たしたのか?

春蘭の言葉に笑みが漏れる。

「何だ、いい顔をするじゃないか。もっと鬱屈すると思ったのだがな。
 ふん、桂花の出番はなさそうだな。
 いいか、二郎よ。
 人の上に立つのだ、我らは。だから、無様を晒すべからず、だ。
 ……特に私の前では、な」

にんまりとした顔で春蘭は拳を一つ。腹に。

「げほ……!」

ずしん、と重厚な一撃。
呼気が止まり、視界が緑に染まる。
遠くなる意識を必死でつなぎ止める。大地と接した膝に感じる重力が楔(くさび)となり、意識を留めるのに成功する。

「それでいい。それでいいんだ。
 みっともなく地を這うのが我らに相応しいのだろうよ、きっとな」

意気揚々とその場を去る春蘭に何か言おうとするも、そんな余裕もない。
だけど。だけれども。

見上げた空はどこまでも青くて。

「は、はっはは!」

何か、何故か湧き出る衝動を解放する。意味も分からぬままに。

明日からはきちんとしよう。だから今日は好き勝手しよう。
そう思う俺の目の端には陳蘭と、流琉。

ごめんな。あと少し、少ししたらしゃっきりするから、さ。
だから、あと少しだけ、ごめん。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:16:17.74 ID:9sHKnlhk0<> ◆◆◆

「いや、三人でこうして卓を囲むのも久しぶりですね」

ほんと、まったくだよ。
というわけで、春蘭にのされて暫く大地と仲よくしていた二郎です。
現在は義兄弟と一緒に飯食いながら飲んだくれてます。酒うめえ。

「まあ、おいらたちはともかく二郎はあちこちと忙しいからなあ。ま、なんにしてもお疲れ。
 大変だったみたいだな?」

ありがとうね張紘。癒されるわー。マジ心のオアシスだわー。

「おうよ、僵尸(キョンシー)だの幻影兵だの、やってられねえっちゅうの。槍で貫いても死なないとか、既に死んでいるとかもうね。
 そういうのは勘弁してほしいと思ったよ。ほんと」

以下俺の愚痴(迫真)を小一時間聞いてくれたことに感謝を。うん。結構鬱屈してたみたい。

「はは、死人の相手の次はいよいよ何進大将軍か。二郎も気苦労が絶えねえなあ」

ぐ。必死に逃避していたことを的確に抉(えぐ)りやがって、このこのー。

「ああ、今落ち込んだ。たった今酒が不味くなった。勘弁してほしいっつうの。ほんと。
 あんな政治的怪物と渡り合うとか俺の役目じゃないだろって」

「おやおや、今や袁家の全権代理人たる二郎君が何をおっしゃるのですか。いや、人も羨むその栄達、権力。
 あやかりたいものですねえ」

「おい、沮授よ。代わってやる。いつでも代わってやる。むしろ代わってくれ」

にこやかに笑って沮授は杯を干す。

「何をおっしゃいますやら。既に二郎君の権勢は揺るぎないじゃないですか。
 僕のような小才子にはとてもとても」

こんにゃろう。お前が小才子なら俺はなんだっての。

「まあ、此度の上洛が終わればひと段落なのでしょう?」

「ああ。次期皇帝は劉弁様。何進が後ろ盾だからな。これは揺るがない。
 そしてあの華琳がいよいよ朝廷に乗り込む。きっと宦官勢力をまとめてくれるだろうさ。
 自然、何進の対抗馬となるだろうて」

「次期皇帝を掌中にした何進大将軍を相手にどこまで食い下がれますかね?」

食い込むも何も。華琳ならばやるだろうさ。政治的な暗闘は望むところだろう。腹心のネコミミもいるしな。
表立っては春蘭の武勲だってモノを言う。言わせるだろう。

「食い込めるようにすればいいさ。なにせ、袁家は表舞台から去るんだからな」

そう。此度の乱。それが治まればまあ、漢朝に動乱は起こらない。下手に何進やら華琳と対立する前に中央の権力闘争からは離脱だ。
そして何進と華琳の政争をできるだけ長引かせる。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:17:16.88 ID:9sHKnlhk0<> 「袁家は武家よ。
あくまで北方の守護がその本分さ。それに茶々を入れないように多少は動くとしても、な」

「そして二郎は悠々自適に隠居を決め込むんだろ?」

ぎくり。てへぺろ。

「ああ、そうだ。晴耕雨読どころか、晴れた日も働くものかよ。怠惰に、余生を面白おかしく生きていくのだぜ」

「やれやれ、幾度二郎君のこの宣言を聞いたことやら。これで結構本人は本気というのが救えないですね」

うるへー。のんびりと余生を送るために頑張ってんだから、いいだろうがそれくらい!

「まあ、政治の表舞台、政争から距離を取るというのは賛成だしな。
 それと、二郎よ。
お前の目指すとこ、確認させてくれ」

いつになく真剣な目で張紘が俺に問う。
俺の心胆を、秘めていた絵図を問うてくる。
だから俺も向き合う。

「いいさ。何でも聞いてくれよ。いまさらお前らに隠すことは、ないしな」

プライバシーとかは勘弁な!

「茶化すなよ二郎……いいけどさ。
 中央は何進と曹操の政争に任せる。そして武門として北狄に備える。それはいいさ。それでいいさ。
 でも、それだけじゃないだろう?」

ぐびり、と杯を呷って喉を焼く感触。向けられた視線。刹那合った視線をそらす。
そんな俺に沮授が張紘の言葉を受けて続ける。

「袁術様は如南の太守から、荊州の州牧に。それが二郎君の絵図ですよね?
 さて、何故如南だったのでしょう。そして何故に荊州なのでしょうか。
 北方三州が隣接するその利を崩し、幽州を公孫へ。飛び地の荊州をなぜ望むか、というのは当然の疑問です。
 普通に見れば、袁家の勢力を削ぐ動きに他なりません。
 ……だからこそ何進大将軍より容易に内定を頂けたのでしょうけども、ね」

張紘が続ける。

「北方三州から荊州はいかにも遠い。その中継点として見れば如南はまさに要地。
 そして、荊州だ。大河をもって繋がる。如南を経由して北方と江南は繋がる。
 南船北馬。船は既にある。だから今、街道を整備して繋げてるんだろう?
 更には益州だ。劉璋殿との友誼。いずれは益州の州牧となるであろう彼女との繋がり。荊州から益州。
 そして、涼州だ。二郎よ。見事に、ぐるりと中華を包囲するな、道は、物流は。
 だから、きっと母流龍九商会のもたらす利でもって地方を押さえることができる」

沮授が珍しく真顔で続ける。

「街道、航路が整備されればどこか一地方が蛮族に攻められても救援が容易ですしね。
 それは如南において起こった乱、あれが証明しています」

「だからこそ、地方をぐるりと取り巻く道の中間にて要所。荊州に袁術様を据えるんだろ?
 そしてかの地。無論反発する勢力も多いだろう。そのための孫家だ。
 袁家がいかに武威あろうとも水上にては未知数。それを補って余りあるのが孫家だ。
 平時においても、大河の安全保障を任せておけばいい」

「中央の政争は捨て置き、地方の安寧をこういった形で練り上げる。
 いや、大したものです。それが実現すれば、その首座たる袁家を除くことは最早不可能……。
 漢朝を守護する防壁はそのまま、包囲する武威となるのですからね」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:18:14.98 ID:9sHKnlhk0<> 大きくため息を。
そして感謝を。

「それだけじゃない。食糧供給は北方から。江南、益州の特産品との交易で民も潤う。
 無論涼州の騎馬も南部に流せるだろうさ。そして上手くしたら波斯(ペルシャ)との交易も復活するだろう。
 絹の道の入り口が涼州になるか、益州になるかは知らん。が、どっちにしても、複雑に利権の絡み合った状況になれば戦乱を起こす馬鹿はいねえ。
 いたとしても周囲に掣肘される。その暗黙の了解があれば、成れば結構いい感じになるかなと思う」

経済の発達、複雑化する物資の流通と利権。それにより、武力の行使が極めて困難になる。いずれ来るであろう資本主義社会の先取りである。

「理ではなく、利によって安定を。そいつが俺の魂胆さ。ただ、それには武力の裏付けがないといかん
 商圏を広げるのはいい。だがその安全は担保されねばならない。それこそ漢朝に匹敵するだけの権威に、武威によってな」

だから、沮授と張紘。どっちが欠けてもいかんのだ。
今はまだ俺の個人的な人脈に頼った綱渡り。だが、それがこなれたらば、ほっといても機能するようになれば。

「英傑がもたらす平和じゃない。凡人が利により維持する、維持せねばならない仕組みをなんとか作り上げたい。
 沮授、張紘。お前らみたいな傑物なくしても回る仕組みをな。
 そしたらば、俺ものうのうと昼間から酒を呑んで、佳人と戯れられるってもんさ」

凡人の、凡人による、凡人のための仕組み。
それには個人の武威なぞ必要ない。人を、死骸を操る外法は必要ない。十万の民を操れる術者も必要ない。

俺が目指すそこには、そんなイレギュラーは必要ない。だから切り捨てた。これからも除外する。
それを俺はもう悩まない。幾度目の前にその選択肢があっても笑って切り捨てるだろう。

「まあ、なんだ。頼りにしてるよ。ほんと。なんか照れくさいけどさ。お前らがいてくれて、よかった。
 ほんと、頼りにしてる」

そっからは正直記憶がない。気づいたら俺の部屋で、沮授と張紘もいて。なんか、多分呑み過ぎたのだと思う。
その日のことを二人に聞いても、いい笑顔をするだけで俺が何したか、何を言ったかなんて全く教えてくれなかった。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/20(金) 22:20:01.74 ID:9sHKnlhk0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名、ほんとどうしよう。

腹案は「ヘドロ」です

なんでか?それを感じる前にいい感じの奴をオナシャス。
ふっつうに採用しますというか、お助けー。

お願いです筋肉(マッスル) <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/21(土) 06:12:45.92 ID:BWAJUo+7O<> 乙です

一ノ瀬氏のタイトル腹案を合わせて読むと、二郎ちゃんはここでようやく腹の中の底の底に残ってたヘドロまで吐き出せたのかなぁ、と思いました
見知ったものを切らねばならぬ悲嘆のヘドロも、自分の心中だけに秘めていた野望のヘドロも、それは本来凡人が一人で抱えるには重すぎるヘドロでありますれば

と、そんなことを思ったので『ヘドロ』の題はすごく有りじゃないかなぁ、と思う次第です
ただまあ何となく重苦しくて暗い印象を受ける言葉ではありますので、もう少し明るい題案も投げさせていただきましょう

『凡人、拳により笑を吐き献により望を吐く』 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/21(土) 12:01:18.35 ID:Z15aDOlC0<> 飛ぶ斬撃と言えばブリーチの月牙天衝とかワンピースの百八煩悩砲とか?相手を倒すことは出来ても真っ二つにしたり四肢を落としたりできないから…まあ少年漫画だし仕方ないか(鬼滅の刃を見ながら
>>859
>>それが原罪だと言わんとするべく。         原罪って祖先(アダムとイブ)から受け継いでるあれか、生まれながらの他の命を奪わなければ生きられないことを指したりするようなしない様な
○それがあなたの選んだ道(業)だと言わんばかりに。 運命とか宿業では無く【自業自得】…良い意味でも悪い意味でも、かなと。あと【言わんとするべく】だとだったら言えよ感が有るのでこんな感じで
>>860
>>それが脱獄したからとして私の武勇に傷が付くものか。   【〜として】だと仮定っぽいので
○それが脱獄したからといって私の武勇に傷が付くものか。  でどうでしょう
>> だとすればそれを貴様が誇らずしてどうする!  【だとすれば】も仮定っぽいかな
○ であればそれを貴様が誇らずしてどうする!   もしくは【であるならば】とかかな…どっちがd姉ぽいか
>>呼気が止まり、視界が緑に染まる。  なったことが無いから何とも言えませんが緑色の視界ってなんかヤバない?
○呼気が止まり、視界が明滅する。   あとは(涙で)【視界が滲む。】とか?でも頭叩かれたとかならともかく腹だとそっち方向にダメージ行くのかしら?教えてエロい人(マッスル的な意味で)
>>861
>>「まあ、此度の上洛が終わればひと段落なのでしょう?」  よくある誤用の一つですな
○「まあ、此度の上洛が終われば一段落つくのでしょう?」  (いちだんらく)と読みます、もしくは【一区切り】ですね。まあ話し言葉としてはよく使われますが
>>下手に何進やら華琳と対立する前に中央の権力闘争からは離脱だ。 【なんやかんや】か【なにやらかにやら】か
○下手に何進や華琳と対立する前に中央の権力闘争からは離脱だ。  もしくは【何進やら華琳やらと】ですね
>>862
>>それに茶々を入れないように多少は動くとしても、な」    (あいつらが)とか(奴らが)とかが入ってるんでしょうがちょっと分かり難いので
○それに茶々を入れられないように多少は動くとしても、な」  もしくは【茶々を入れないようにと】でどうでしょう

ああ、無駄に力がある才人?(少なくともそれなりの人数を率いる統率力のある盗賊)のせいで故郷を失った人と才能があるからそれを振るう事は構わないけど自分の策によって数千、数万の民を左右する重荷が辛い(権力欲が薄い)二人になんつーことをwww
これが自分が前に立って引っ張らねば、とか自分が上に立って導かねば、なタイプ相手なら道を違えたろうに
ついでに袁紹様は上に立って象徴にはなりたがってもあの人自分が正しくあれば周りも勝手に付いてくるだろうなタイプだからなあ(君臨すれども統治はせず。とまでは言わんけど)
ところで>>861の最後カッコつけた物言いだけど要は《腹の痛み引くまでもうちょっとこのままで》よねw
身体から白いドロッとしたものを吐き出して、心から黒いドロッとしたもの吐きだして、胸中から溜め込んでいたものも吐き出したか <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/22(日) 08:12:39.96 ID:pv2lMeNO0<> >>865
感想ありがとうございますー

>二郎ちゃんはここでようやく腹の中の底の底に残ってたヘドロまで吐き出せたのかなぁ、と思いました
根っこのところでは鬱々としとりましたからねー
ずいぶん楽になったのではないでしょうか

>『ヘドロ』の題はすごく有りじゃないかなぁ、と思う次第で
ありがとうございますー!でもぼしうちうです

>ただまあ何となく重苦しくて暗い印象を受ける言葉ではあります
これなんですよね

<『凡人、拳により笑を吐き献により望を吐く』
ほむ
参考にさせていただきます!ありがとうございますー!

>>866
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>(鬼滅の刃を見ながら
もうほんと終わるんじゃないかっていうテンションですよね
どうなるんやろあれ

>ああ、無駄に力がある才人?(少なくともそれなりの人数を率いる統率力のある盗賊)のせいで故郷を失った人と才能があるからそれを振るう事は構わないけど自分の策によって数千、数万の民を左右する重荷が辛い(権力欲が薄い)二人になんつーことをw
なんだかんだでここまできたなあと感慨です

>これが自分が前に立って引っ張らねば、とか自分が上に立って導かねば、なタイプ相手なら道を違えたろうに
そういう相手とは相性が……いや、普通に合わせていけそうかな?

>カッコつけた物言いだけど要は《腹の痛み引くまでもうちょっとこのままで》よねw
実はそうなのです。こういうの気付いていただけると嬉しい味付けです

>身体から白いドロッとしたものを吐き出して、心から黒いドロッとしたもの吐きだして、胸中から溜め込んでいたものも吐き出したか

心身共にすっからかんですな!
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/22(日) 23:44:44.48 ID:f3GmQN9Ko<> 乙したー
やっぱり春蘭は、この物語の清涼剤的な突破口を切り開いてくれる的な気持ちのいい人ですなぁ

タイトル案は「凡人の凡人による凡人のための。」でひとつ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/23(月) 13:41:42.00 ID:HGnIbS3A0<> >>868
感想ありがとうございますー

>やっぱり春蘭は、この物語の清涼剤的な突破口を切り開いてくれる的な気持ちのいい人ですなぁ
ありがとうございますー!本当に清涼感漂って、この人上司だったら仕事してて楽しいだろうなあだし身命平気で賭すだろうなあとか。
姉者はもうね、なんか疾風怒涛って感じでそれが爽やかなんですがなんでこうなったんでしょうね!

>タイトル案は「凡人の凡人による凡人のための。」でひとつ
なるほど!
なるほど感がすごい。
余韻が素晴らしいですこれはいけるな

頑張るぞいっと。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/25(水) 21:12:10.09 ID:d+Us14wc0<> 次回予告

唐突に凪のキャラクリ
凪はかわいいな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/09/28(土) 09:16:35.37 ID:bW4Tf2Ji0<> 可愛い系か綺麗系かの違いはあれど基本的に魅力的なキャラだからね>>エロゲの攻略対象
推しキャラの差はあっても本来そういう嗜好以外に優劣はないのだ…魏ルート・呉ルート・蜀ルートの優劣?それはエロ部分とは別だから <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/28(土) 13:59:32.98 ID:epYHY6090<> >>871
桃香さんと翠ちゃんには本当にお世話になったんです
シャオの使い回しにはもにょった <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/09/29(日) 10:33:02.60 ID:p/sxdlxno<> ジョインジョインナギィ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/09/30(月) 20:47:23.50 ID:TIY01eEA0<> ※創作においては全く意味ないと言うことを刻もう

ジョインジョインナギィ

だってそういうことでご飯食べて無くてそれがどうした的なね

ジョインジョインナギィ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/01(火) 09:32:43.48 ID:EIShDVv60<> 巣作りカリンの蜀陣営の扱いに草生えるwww <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/01(火) 18:28:53.56 ID:f7VFjKDm0<> >>875
あれ、あれれ?
どういうことだってばよ……(困惑)
そういうこと、なの……? <> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/02(水) 10:32:54.04 ID:VILweIYB0<> そういうことダゾ
昔のアニメで世界が気に入らないなら自分を変えろって言ってた人がいたけど
まあ警察官がテロリストに言ったから正論だとは思うけどお前が俺を気に入らないならそう思うお前自身を変えろって返したい台詞よな
正義の反対はまた別の正義だ、とかいう奴は大体正義の定義が間違ってる気がする今日この頃…別に北がどうこうとか恨がどうこうとか言うつもりはない <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/02(水) 21:37:22.21 ID:7wX0GSR10<> なんだろう。これは夢ではないのだろうか。夢ならば早く覚めてほしいという思いと、覚めないでほしいという相反した思いが一進一退でせめぎ合う。
なんでこんなことになっているのか。なんで自分はここにいるのだろうか。

「まあ、あれだなあ。うん、確実に凪の作った飯の方が美味いなこれ。
店選び、まずったかな。前はもうちっと美味かったんだが……」

「そそそそ、そんなことはありません!あの、私などが入れるようなお店でないと言うか、場違いと言うか。
 そ、それに、ええと、あの前菜の蒸し鶏は非常に洗練されていたと思います!」

正直味など覚えていない。だが、咄嗟に口から出た言葉は悪くないと思う。思うのだが。

「んー。まあ、凪が喜んでくれたなら嬉しい、な」

そんな言葉にまた頭が真っ白になる。折角、せっかくの機会なのに。粗相をしていないだろうか。
いや、自分などがこの方の側にいること自体が粗相なのではないだろうか。

いささか卑屈とも言えるほどに彼女――楽進――は混乱していた。

切っ掛けは数日前だ。偶然勤務中に楽進を見かけた紀霊が彼女を呼び止めたことに起因する。
憎からず――彼女はそう主張する――思っている男の呼びかけに喜びあれこれと言葉を交わす。
だが、勤務中ということもあり生真面目な彼女は男に詫びてその場を去ろうとする。

「ああ、仕事中に済まんな。じゃ、今度お詫びってわけじゃないけどご飯奢るわ。その後、気晴らしに付き合ってくれよ」

一も二もなく承諾し、浮かれる。浮かれた。親友も心から祝福してくれた。

「よかったなあ、凪。この際や。あの甲斐性なしをいてこましたろ。いつもと違って、女らしく、淑(しと)やかなとこを見せたったらええねん。
 もともと凪は別嬪(べっぴん)さんやからな!きっちりそれをあのすっとこどっこいに見せつけたろうや!」

「ま、真桜?いや、そ、それはいいよ。私なんかが着飾っても似合わないだろうし……」

「んなわけあらへん!きっちり着飾ったらあの鈍(にぶ)ちんかて――ってあかん」

頭を抱える李典。彼女は一体何に絶望したのか。

「沙和が、おらへんかった」

そう。南皮――どころか影響力は袁家領内全土に及ぶ――のファッションリーダーとして流行を仕掛けるほどまでにその地位を揺るがぬものにしている彼女。阿蘇阿蘇の服飾部門の責任者たる于禁がいないのだ。
如南にいる彼女に助言をもらうには時間的猶予があまりにもなさすぎる。李典とて、その能力は技術特化。普段は水着的衣装――しかもビキニスタイルである――に白衣という壊滅的なファッションセンス。
汚れても構わないという機能美を斜め上に発展させたその装いを是としている時点で色々と察しないといけない。

「ま、まあ。私なんかが着飾っても、似合わないし、二郎様もその、ご不快だろうさ……」

乾いた笑みを浮かべる楽進に李典は涙する。

「で、でもやな。ほら、きっちりしたお店にお願いしたら……」

「し、仕立てなんて間に合わんに決まってるだろう!」

――結局、普段着で臨むことになってしまったのである。
それで、紀霊に案内された食事処が、南皮でも屈指――というか実質トップ――の店の一室で。
恥ずかしいやら悔しいやらで、楽進は有り体に言っていっぱいいっぱいだったのである。
想いを寄せる男に恥をかかせたのではないか、気の利かない自分に落胆されたのではないかと、脳裏には悪い想像しか浮かばない。

「凪?」

「――は、はい!」

「なんか、ごめんな」

どうして自分などに謝るのか、楽進はそれをさせてしまった自らの不甲斐なさに泣きそうになる。

否。

ぽろぽろ、と双眸から涙が溢れていた。

「お、おい、凪。なんか怒らせたか?まずったか?あの、その、だな……」

自分などを気遣ってくれるそれが更に楽進の胸を切り裂く。苛(さいな)む。
この方は袁家の、中華の至宝だ。それなのに自分ときたらこの方に心労しか。

「ひ、く……!」

この期に及んで嗚咽が漏れてしまうこの肉体なぞ、滅びてしまえばいいのに。
申し訳なさで胸が張り裂けそうになる。いや、いっそ張り裂けてしまえばいい。ここから消えてしまえばいいのだ。

「凪……」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/02(水) 21:37:48.58 ID:7wX0GSR10<> だから、包まれる暖かさに言葉を喪う。
力強い腕に包まれていると認識する。
嗚呼、これは夢だ。夢に違いないと楽進は確信する。
色々あったけども、この感触を、夢と云えども味わえたならば上々。
これは夢。だから、もう、どうとでもなれ。

「二郎さま……」

「ん」

「お、お慕い、申し上げております……」

なんとも似つかわしくない言葉だ。自分には似つかわしくない言葉だ。
だが、思いを伝える時には、こうありたいと夢想していた言葉だ。

「武辺者です。武骨者です。粗忽です。ですから、お傍にいられるだけでいいのです。
 でも、浅ましいと思ってくださっていいです。
 その。お、女として、お慕いしております。
……二郎様」

夢でも、現(うつつ)でもいい。この身は今この瞬間に砕けてもいい。
生涯秘めようと思っていた。きっと迷惑だから。相応しくないから。
でもこの思いを知ってほしい。伝わって欲しい。
矛盾する想いも、これはきっと夢だからと。
だから、精一杯気持ちをぶつけよう。ぶつけてしまおう。

「お慕い、申し上げております」

◆◆◆

凪は泣き笑いで。その表情は俺の胸を打った。だから咄嗟に席を立ち、去ろうとした凪の腕を掴めたのは僥倖だったと思う。

「どこ行くんだよ」

くしゃり、と顔が歪む。嗚咽を堪える幼子のようなその表情が愛しい。

「わ、私は、その。分不相応な思いを抱いてしまって!本来ならばお暇をいただくべきなのですが!
 未練がましくそれでも二郎様のお傍にありたいと思っております!浅ましく、はしたない!
 ですから――」

何か囀る凪を。掴んだ腕を、身体を引き寄せて。

「あ……」

頬を紅潮させたのを可愛く思いながらくい、と顎を摘まむ。数瞬の空白。
観念したかのように凪は目を瞑る。
ぐい、と身体を抱き寄せながら唇を重ねる。

ほぅ、と熱いため息を漏らすその唇を蹂躙する。ちろり、と舐めあげる。
ぎゅ、と抱きしめると、強張っていた身体がくにゃり、となる。

「じ、二郎様……」

潤んだ瞳、その瞳に獣欲が刺激される。
ぐい、と更に抱き寄せる。
引き締まってなお女らしい柔らかさを主張する凪の身体が俺を誘う。

かける言葉をどうしようか。そんな俺の思いを察したのか、ぎゅ、と凪が回した手に力を込める。

「凪」

俺の呼びかけにびく、とする。

「お前が、欲しい」

視線は交わらず、ぎゅ、と込められた腕を諾として俺も回した腕に力を込める。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/02(水) 21:38:15.25 ID:7wX0GSR10<> ◆◆◆

ほぅ、という吐息は熱く、誘っているようであった。
とす、と安っぽい寝台に凪を押し倒す。
できればもっと高級な宿をと思ったのだが、これでもここいらへんではマシな方で。
それよりも凪との逢瀬を無駄にしたくなくて。
凪とのこの時を大切にしたくて。

押し倒した凪に口づける。たどたどしくも、応じようとする舌を可愛がり、蹂躙し、嬌声に満足する。
口腔を嬲って、悶える凪の衣服を剥ぎ取っていく。
びくり、としながらも凪は抵抗しない。
それでも、繋がっていた口腔を引き離して、不安げに、申し訳なさそうに。

「こ、こんな身体、興醒めかと思います。でも、二郎さまに差し出せるのはこんなに貧相な、醜悪なものでしかないのです。
 でも、私はこの身体以外に二郎さまに捧げるものは持っていません。なにも、ないのです。
 と、殿方に晒したことはありません。不愉快と言っていただいて結構です。
 わ、私の、私の……。

 身も、心も、貴方のものです……」

貫く。
凪の全ては俺のものだ。
歯を食いしばった凪から抑えきれない嬌声が響く。

「あ、や、やだ!違います!違うんです!
 だって、私、初めてで!痛いと、痛くないといけないのに!」

抽挿に悩ましい声を上げる自分に絶望しながら必死に凪が訴える。

「凪の初めては俺のもんさ。でも、初めてでも悦楽を覚えるってことはあるらしいぞ?」

激しい運動をしてたら、破瓜の証がなかったりするみたいね。つか、そんなの。
気にしないのに。凪が俺を好きで、俺も凪が好きで。そんなの、いいのに。
いやいやをする凪が、とてもいとおしくて。

「いけない子だ。いい子だ。好きだよ、凪」

「ん!」

必死に嬌声を押さえるその姿にぞくり、と込み上げる嗜虐の悦び。これはいけません……。

「あ、灯りを、せめて消してください……」

言いたいことは分かる。真桜からも聞いた。引き締まった身体に走る傷跡。それを凪はこの上なく気にしている。
こんなにも、綺麗なのに。

「凪よ。お前は、綺麗だ。だって、こんなにも俺は劣情を抑えきれない。抑えるつもりもない」

抽挿を激しくし、凪を苛む。
ぎ、と食いしばった口をちゅる、と吸い上げ、絶頂に導く。

「やあ、やです、ごめんなさい!好き!好きです!お慕い!してます!
 じろう、さま!」

びくり、と身を震わせる凪をきゅ、と抱きしめて唇を合わせる。

「きっとこれは夢です。夢なんです。でも、それでもいいんです。幸せです。
 お慕い、申し上げております。ずっと。ずっと」

「夢なんかじゃあねえよ。夏の夜の夢なんかじゃねえさ。
 俺は強欲だからな。一旦手に入れたもんは離さない。逃がさない」

ぎゅ、と抱きしめると、それ以上の力を込めて凪が腕に力を込める。

「これが夢なんかじゃあねえって、教えてやるよ」

再度、凪の身体を蹂躙しながら、ぢゅ、と痕跡を残す。お前は俺のものだと。それを刻み込んだのだ。
きっと明日、凪は困るのだろうなあと思う。身体に残る痕跡に、戸惑うのだろうなあと思う。

そこに思いが至り、俺は心行くまで凪の身体に所有印を刻み込んだのだった。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/02(水) 21:39:33.23 ID:7wX0GSR10<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

えっちいのはあっちでは隔離します

となると本文薄い?
まあええか <> 青ペン<>sage<>2019/10/03(木) 04:28:53.12 ID:hrCdPTpLo<> >>881
乙なのです

秘め足る想いは華開く…
にしときますか。

いじらしくてイイネ(*σ>∀<)σ <> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/03(木) 17:49:23.56 ID:ewjI5Q6A0<> 乙でしたー
>>878
>>「まあ、あれだなあ。うん、確実に凪の作った飯の方が美味いなこれ。  コマ?ルルの料理と比べてなら分かるけど凪ってそんなに上手いのか…とはいえデート中に他の女の名前出すとも思えんし
>>そう。南皮――どころか影響力は袁家領内全土に及ぶ――のファッションリーダーとして流行を仕掛けるほどまでにその   ファッション?リーダー?ウゴゴ
○そう。南皮――どころか影響力は袁家領内全土に及ぶ――における流行の最先端……どころか流行を仕掛けるほどまでにその 感覚的には最先端は流行に敏感な所謂受信側、仕掛ける側はその名の通り発信者って感じ?
>>普段は水着的衣装――しかもビキニスタイルである――に白衣という壊滅的なファッションセンス。            壊滅的って言うか未来的過ぎんだよぉ!!
○普段は水着的――しかも胸と局部のみを隠した下着と大差のない――衣装に白衣という着こなしと言っていいのか迷うもの。 でも肌色の露出っぷりでは于禁もなぁ
>>南皮でも屈指――というか実質トップ――の店の一室で。  二郎視点なら気にしなくていいんだけどなぁ(横文字)
○南皮でも屈指――というか実質最高――の店の一室で。   それとも【南皮でも一,二を争うほどの店の一室で。 】とかどうでしょう
>>880
>>押し倒した凪に口づける。たどたどしくも、応じようとする舌を可愛がり、蹂躙し、嬌声に満足する。     間違いでは無いです
○押し倒した凪と口づけを交わす。たどたどしくも、応じようとする舌を可愛がり、蹂躙し、嬌声に満足する。  【口づける】だとキスマーク付けるように体中にやってる感じがして
>>激しい運動をしてたら、破瓜の証がなかったりするみたいね。つか、そんなの。  破れると言うか少しずつ剥がれるとか聞いた気もするね
○激しい運動をしてたら、破瓜の証が無くなったりするみたいね。つか、そんなの。 特に馬に乗ってたり股間部分に衝撃が多いとなりやすいらしいけど
>>抽挿を激しくし、凪を苛む。  【苛む】だと本当に辛そうな気が
○抽挿を激しくし、凪を苛める。 好きな子ほど苛めたい、とは違うけどまあ困らせたい、くらいの感じで
>>ぎ、と食いしばった口をちゅる、と吸い上げ、絶頂に導く。 なんかクッコロっぽいw
○ぎゅ、と引き結んだ口をちゅる、と吸い上げ、絶頂に導く。 いや、これもどうだろう…【きゅ、と閉ざされた口をちゅる、と】、【固く結ばれた唇を舌でこじ開け】…耽美な表現とか管轄外にも程があるわ
>>ぎゅ、と抱きしめると、それ以上の力を込めて凪が腕に力を込める。         【きゅ】とか【ぎゅ】とかあやふやになるので
○想いを込めて、より強く抱きしめると、それ以上の力を込めて凪が腕に力を込める。  それとも【想いを伝えるように、しっかりと】とかどうでしょう

いやなんというかエロいと言うより耽美と言うか官能的と言うか甘美な響きと言うか…
二郎ちゃん全力で抱きしめられて骨折れたりしないかなぁ(笑) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/03(木) 21:41:02.16 ID:DeRtmIty0<> >>882
どもです。

>秘め足る想いは華開く…
お耽美でよき……
よき……

今回はハネムーンじゃなくてアフタヌーンでもなくて、あっちに完全版掲載します

>いじらしくてイイネ(*σ>∀<)σ
凪はかわいいのです
田舎から出てきた純朴なおにゃのこそのもの、みたいなー

>>883
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
わぁい

>コマ?ルルの料理と比べてなら分かるけど凪ってそんなに上手いのか…とはいえデート中に他の女の名前出すとも思えんし
凪はメシウマ上位勢です。
紅赤朱(いたみ)がなければ恋姫以外でもいけるのですや。
凡将伝では華琳と流琉と凪の料理の腕前は互角です
なお素材にこだわる華琳、大量生産な流琉、今ある材料で目の前の人員に、それなりに仕上げる凪
というイメージ

> ファッション?リーダー?ウゴゴ
実はここら辺から考えることをやめましたのですね。
もういいや的なw
ご検討本当にありがとうございますー!

>いやなんというかエロいと言うより耽美と言うか官能的と言うか甘美な響きと言うか…
久々のエロシーンでございました。
耽美とか官能的とか、嬉しいですよ本当に。
いつもよりpowerがいるのですよえろは。

>いやなんというかエロいと言うより耽美と言うか官能的と言うか甘美な響きと言うか…
耽美って耽美ですか!官能的で完備じゃなかったヵンビ甘美ね甘美

有頂天なんだえ

がんばゆ

<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/04(金) 00:02:52.43 ID:hUl9YluIo<> 乙したー
HP・・・実在していたのか

二郎くんやっぱもいだ方が良いよねそうすべき

でも好かれるのは分かっちゃうんだよなぁ・・・悔しいっ、けど(ry <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/04(金) 05:47:58.95 ID:FC9XTuP00<> >>885
どもです。
あったよHP!

>二郎くんやっぱもいだ方が良いよねそうすべき
キャーコワーイ

>でも好かれるのは分かっちゃうんだよなぁ・・・悔しいっ、けど(ry
ビクンビクン

ここまで広く手を出すつもりはなかったんですけどねえ(しみじみと)
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/04(金) 22:29:49.15 ID:FC9XTuP00<> さて、もうすぐ洛陽です。伏魔殿です。
なんと今回は特にトラブルもなく到着する見込みですよ。
道中、久しぶりな猪々子や斗詩とイチャイチャできたし、七乃は……まあいいや。
斗詩と同衾中に美羽様がやってきたとか絶対七乃の仕業だしね。これはぷんぷん案件ですよ。
閑話休題(それはさておき)。

「で、なんでお前さんがいるのよ」

「ほんと、アンタの顔なんて見たくもなかったわ。なんで存在がお粗末なのにそこまで存在が続いているのかしらね。小一時間問い詰めたいわね」

「そこまで言われる筋合いこそを、小一時間以上かけても聞き返したいものである」

誰かこのネコミミに有効な猫じゃらしを紹介してくだしあ。華琳以外で。
いや、紹介されても華琳クラスの難物だったらどうしようもないんだけんどもね。

……ネコミミがなんでここにいるかというと、洛陽に袁家と曹家が歩調を合わせて上洛するからだ。
これはまあ、袁家にとっては特に旨みはない。逆に曹家にとってみれば、袁家との関係を主張することができるお得なプラン。
宦官勢力の首魁といずれなる曹家との姦計を……じゃなく関係を主張してもこちらにはメリットはあまりないしね。宦官絶対殺すマンな俺がいるし。いるし。

しいて言えば何進にそこはかとなく圧力を加えるくらいか。おかしなことしたらこっちは宦官と組むこともできるぞ、と。
でもそんなこと何進大将軍におかれましては百も承知なのでございますよ確実に。
なので、ここでは麗羽様がかつてのご学友と歩調を合わせたという以上のことはない。
ということにする。した。

「フン、アンタなんかと言葉を交わしたら本来耳が腐ってしまうんだけどね。 
 いよいよ華琳様が飛躍される前祝いとしてももったいないけれども、その貧相を晒すことを見逃してあげましょう」

「喧嘩なら春蘭あたりが高く買ってくれるんじゃね?」

「あの脳筋の話はしないで!ちょっと武功を挙げたからって!あんなにも!」

むきーっとなるネコミミを生暖かく見守る俺なのです。あれか。そりゃ春蘭の武功は今回の黄巾の乱でも突出してるもんなあ。
そりゃあ、ご褒美をあげるだろうさ。となればワリを喰らう人も出てくるわなあ。
あっ(察し)。

「大体ね、あの脳筋が無茶な作戦行動に及んでもそれを補佐したのは誰と思ってるの。あの決戦でも直前までほんと、あの馬鹿は兵卒に無理を強いていたんだから。
 それを酷使しといて。ほんと、武がどうたら語っているけれど、一度くらい矢尽き刀折れ、食うに困ってみたらいいのよ!」

いやね、多分春蘭も後方支援の重要さとか承知していると思うのよ……多分ね。
いや。どうだろ。気合いでなんとかなるとか思ってるかも知らん。

「それを、ただ一度の幸運で華琳様の寵愛を独占しようっていうあの魂胆が気に食わないのよ!」

いやね。正直そういう痴話げんかというか、恋人が構ってくれないのー的な愚痴を俺にされても。
その、なんだ。困る。マジで。

「どうどう。時に落ち着け。そういう話を俺にされても困る。俺春蘭とも仲いいしな。
 それよりお前袁家の動きとか、そういうのを偵察に来たんじゃねえの?そういう話欠片もしてないと思うんだけど」

ぎろり。
ほんとこの子目つき悪いよね。黙ってたら美少女なのに。
昔はこの目つきで睨まれたらこう、自己を三省したものだが。いやはや、慣れとは怖いものでありますね。

「はん、アンタみたいな底の浅いの、探るまでもないわよ。
 それとも、何かとっておきの隠し玉なんてあるのかしら?」

そう言われると、その、なんだ。

「ないんだな、これが」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/04(金) 22:30:15.67 ID:FC9XTuP00<> 鋭い目つきが蔑むような色を帯びる。うん、別に嬉しくない。ここまでくると面白くはあるが。

「ふ、袁家は王道を行くのさ。そこに敢えて隠すような謀略なぞない。あるとすれば自らの影の濃さに怯える小人が――」

あれこれ適当なことを言ってやろうと思っていたのだが。

「似合わないからやめときなさいな。ふん。アンタごときが何を企んでも看破してやろうと思ったけども無駄足だったみたいね」

おいおい。死んだわ俺の精一杯の情報攪乱的な欺瞞とか。

「まあ、その間抜け面を見て確信したわよ。ええ。ほんと。拍子抜けと言ってもいいかもしれないわね。
 主従揃って、お気楽なこと。それで洛陽の闇を泳ぎ切れるのかしら。かえって心配になるわね」

「ふん。闇を操りそうな輩にお気遣い受けて有難い限り、さ。
 ああ、有難いね。
 なに、こっちゃ仕掛けられない限りは構わん。構わんともさ」

そうとも。
だから、精々、水槽の中で生存競争をすればいいのさ。

「フン!なによ、上から目線で!」

ニヤリと笑いながらツン、と頬を突っついてやる。気持ち強めに。
本気で嫌そうな顔に俺は爆笑するのだった。

いや、その後に凄い目つきで睨まれたけどね。
こわやこわや……。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/04(金) 22:30:43.57 ID:FC9XTuP00<> 「あ、これ美味(うめ)えっす」

上洛の道程でも袁家当主はこんなにも美味しいものを食べているのですね普通です。
いや、今回の上洛に付き従うのは近侍含め百名弱だから料理人とかいないと思ったんだけどねえ。
流石袁家は格が違った。きっと沈黙の料理人とかがいるに違いない。
いや、料理に不安があるなら凪とか流琉連れてけって話だけんども、如何せん彼女らは格が足りないので。

「もう、二郎さん、また心ここにあらず、ですわ」

「いや、そんなこたぁないですとも。口にした料理がこう、旅路に相応しくないくらいに美味くてびっくりしたんですよ」

下手な言い訳だけんども、嘘はついてないしな。いや、マジで美味いし。
一人旅の時はねえ。流琉か凪を連れてくべきだったと幾度も後悔したし。

「それはよかったですこと!」

え。俺なんか間違えた?
猪々子はに目をやると、俺に目もくれずにがっついているし、斗詩に目をやると、艶然とほほ笑んでくれる。うん。可愛いけど参考にならんと言うか、助けてよ。

「ええと、麗羽様?」

ふふん、とばかりに遮る声が俺を救ってくれる。多分。

「麗羽ねえさまは二郎にかまってもらえなくてご機嫌ななめなのじゃー。
 二郎よ、つったさかなにえさをやらんのはいかんということなのじゃ」

美羽様……。ってか七乃ー!
何を教えてる!お前の笑顔で胃が痛い!ぐはー!

「こほん。
 二郎さん。華琳さんの部下と何を楽しげに話してらっしゃったのかしら。
 わたくし、知る義務があると思うんですの」

困った。真面目に報告できる内容がないよう。いやさ、マジで華琳とはなにもないし!

「麗羽様……。
 彼奴(きゃつ)とは戯言(ざれごと)を交わしたのみです。そこに心情などなく、真意もなく。
 言葉の戯れで時を過ごしたのみ。けして、けして背信なぞありませんとも」

精一杯、引き締めた顔で言い訳する。いや。言い訳するまでもなくやましいことはないんだけんども。

「二郎さん、そういうことじゃないのですわ。
 華琳さんのみならず、その部下とまで親しくお話になって。
 そう、親しいご様子、お邪魔でしたか?」

え。なに。なんで?なんで俺。
よりによって麗羽様に問い詰められてるのだろうか。

「二郎さん?」

あれ。

斗詩が猪々子を連れていっていくー。七乃が美羽様を連れてこの場を去っていくー。

四面楚歌とはこのことか!
歌は聞こえないけどね!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/04(金) 22:31:09.66 ID:FC9XTuP00<> 針の筵、という言葉がある。
だが、実際今の俺は出来るなら針の筵に正座したい。そっちの方がマジマシである。
ツン、とした麗羽様を目の前にして俺にできることがあろうか、いやない(反語)。
いっそこの場から脱兎の如く逃げてしまいたいが、それって根本的な解決になりませんよねえ?

「二郎さん?」

じろ、と俺を見やる麗羽様。うん、少なく見積もって不機嫌そうである。さて、どうしたものか。

「いや、その、なんでしょ。麗羽様、もしかして怒ってます?」

そして柳眉がひそめられるどころか跳ねあがります。これはいけません……。

「怒ってなんていませんわ!」

「そりゃ、よかったです。いや、ほんと」

へらへらと笑いながら席を立ち、麗羽様の正面に立つ。
むー、と不満げな麗羽様に笑みが湧く。いや、久しぶりだと。
そんな俺の表情をご不満な麗羽様である。尊い。

「なにがおかしいんですの?」

「おかしいと言うか。こうして、二人きりってのも久しぶりだなあと思いまして。
 いや、ほんと。いつ以来でしょうかね」

「……二郎さんが出征なさった日、以来ですわ」

マジか。そうだったか。そう思うとこう、あれから色々あったというか、その、なんだ。

「麗羽様」

「……なんですの」

ツン、とした麗羽様。脳裏に浮かぶのは幼い頃の麗羽様。思えば遠くに来たもんだ。
南皮の城壁の上で極上の笑みを浮かべていた麗羽様、俺に無邪気に寄りかかる麗羽様。
時間軸が入り乱れて、目の前の麗羽様に収斂する。
やべ、涙腺がやべえ。
それを悟られないように、頭を下げて。
そして向かい合う。けじめをつける。

「麗羽様。
二郎、帰参いたしました。色々、ありました。お時間、ください。
 全部、俺からご報告します。だから、麗羽様のお時間、ください」

ぎゅ、と抱きしめる。
ほぅ……と漏れる吐息すら愛おしい。

「そんなこと、当り前ですわ。二郎さんがそうまでおっしゃるのですもの。
 聞かせてくださいな。何があったかを。
 ええ。わたくし、とっても嬉しいのですわ、今この瞬間が。
 ねえ、二郎さん」

艶然と笑む麗羽様がとっても可愛い。愛しい。

「お飾り、それはいいのです。袁家の当主と言っても、未(いま)だ未熟なのは自覚していますわ。
 そのままでいるつもりもありませんし。
 ですから、二郎さん。貴方はわたくしには眩しいのです。とっても眩しいのですわ。
 ねえ、二郎さん。幼少より重ねる実績。そしてあの田豊や麹義からの全幅の信頼を受けるだなんて。
 いえ、勘違いなさらないでくださいまし。妬みなんてないですの。
 抱きようがないですわ。だって。いつだって貴方は……」

きゅ、と俺に顔を擦り付けてそんなことを言う。

「いつだって憧れ、でした。今だってそうなのです。
 わたくしの英雄は、いつだって二郎さん。貴方その人なのですから」

……重ねた唇の熱さ。それを俺は、生涯忘れないだろう。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/04(金) 22:34:42.27 ID:FC9XTuP00<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名なんだろうね
麗羽様のヒロイン力はこんなもんじゃない!
いや、すごいんですけどね。

どうしたらいいのでしょうか助けてください助けてください。

なかったらなんだろうなあ、今回思いつかないなあ。
本当に助けてくdさい。

<> 青ペン<>sage<>2019/10/04(金) 23:35:56.65 ID:Mw9/Ij7Xo<> >>891
乙なんだよ

上洛〜主君との秘め事〜
かなぁ。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/05(土) 08:33:45.76 ID:J9WMQMglo<> 乙したー
やっぱ、れーは様がさいかわなんだよなぁ

麗羽様との関係は愛だけじゃなくて色んな感情が内包されてるのが好き <> 赤ペン<>sage<>2019/10/05(土) 23:59:03.20 ID:fj1QWMOM0<> 乙でしたー
>>887
>>宦官勢力の首魁といずれなる曹家との姦計を 接続詞に違和感が
○いずれ宦官勢力の首魁となる曹家との姦計を もしくは【宦官勢力の首魁にいずれなる】の方が良いと思います
>>889
>>いや、料理に不安があるなら凪とか流琉連れてけって話だけんども、如何せん彼女らは格が足りないので。           兵卒にまで格が必要なんですかね?
○いや、料理に不安があるなら凪とか流琉連れてけって話だけんども、如何せん彼女らはお偉いさんとは相性が悪いだろうし。 可愛いから声を掛けられる可能性とそうなったときに上手くあしらえるかどうかってことで
猪々子?2枚看板として有名なのに声かけるとか袁家にケンカ売ってるね
>>猪々子はに目をやると、  また俺何かやっちゃいました?
○猪々子に目をやると、   恋する乙女は最強なんだよ、愛する女は無敵なんだよ…なお麗羽様はまだヘンシンを残している…後は分かるな?
>>斗詩が猪々子を連れていっていくー。 【いっていく】って違和感が
○斗詩が猪々子を連れてってくー。   もしくは【連れて行ってしまう―】とかかな?
>>艶然と笑む麗羽様がとっても可愛い。愛しい。                         抱きしめてる状態だし顔が見えないんじゃないかな
○そっと背にまわされる手から麗羽様の温もりが伝わってくる。愛しさがあふれてくる。  こんな感じ?分からんので後は任せた

二郎の底は確かに浅いけど周りに高い壁やら落とし穴やら色々あるからなあ
浅い深いとか低い高いとかじゃなくて広いのが強みかな
そして麗羽様はいつも通り格が違ったな…考えてみたら二郎を僅かでも疑ったら粛清不可避よなあ
麗羽様の器もやっぱすげえっすわ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/06(日) 23:33:39.60 ID:eT/QEhVK0<> こんばんは。人生初めてコメントします。三国志は昔読んでたんですが、恋姫無双は知らなかったんですよね。
キャラがよくわからないまま読んでたんですけど、内容が非常に面白かったんで読み進めていくうちに、恋姫無双本体の方にも興味が出て買ってみようかなと思いました。
二郎君非常に好感が持てるいい青年だと思う一方で、恐らく本体の主人公であろう一刀君がなんかやばいやつって印象があって色々怖いです。
この展開だと蜀陣営が将来的には敵になるんですかね?リライトということは原作もあると思うのでそっちも是非読んで見たいと思います。
約三年書き続けられてて素直にすごいと思います。これからも頑張ってください!応援してます。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/07(月) 06:34:13.36 ID:HNDH3uP80<> >>892
感想ありがとうございますー

>上洛〜主君との秘め事〜
めっちゃいかがわしいw
いや、浪漫ポルノ臭(古い)

>>893
感想ありがとうございますー

>やっぱ、れーは様がさいかわなんだよなぁ
出てくると問答無用でかっさらっていきます
すごいお方でございますよ

>麗羽様との関係は愛だけじゃなくて色んな感情が内包されてるのが好き
なるほど。なるほどなあ。参考になります。
ほむ(何かを思いついたらしい)

>>894
赤ペン先生いつもありがとうございますー

>二郎の底は確かに浅いけど周りに高い壁やら落とし穴やら色々あるからなあ
なんだそれw
いや、なんか分かりますけどw

>浅い深いとか低い高いとかじゃなくて広いのが強みかな
おおう、素直に持ち上げてくれてはる。嬉しい。

>そして麗羽様はいつも通り格が違ったな…考えてみたら二郎を僅かでも疑ったら粛清不可避よなあ
勝手にどっかいくわ、ライバルから粉かけられてるわ、袁家幹部全員手を出すわ……(そこじゃないw)
麗羽様の器は六大陸に響き渡るで!

>>895
感想ありがとうございますー
うん、うん?うおう。
こっちではかなーり久々のご新規さんいらっしゃい!ゆっくりたのしんでいってね!

>三国志は昔読んでたんですが、恋姫無双は知らなかったんですよね。
うおう。これがすごい。
よければ読もうと思ったきっかけと好きなキャラと好きな場面イベントとか書いていただけると心のガソリンが有頂天になります

>キャラがよくわからないまま読んでたんですけど、内容が非常に面白かったんで
きゃあ、めちゃくちゃ嬉しいやつです

>恋姫無双本体の方にも興味が出て買ってみようかなと思いました
二次創作やってて嬉しく、ご本体に恩返しできたなと思えるやつです

>二郎君非常に好感が持てるいい青年だと思う一方で、恐らく本体の主人公であろう一刀君がなんかやばいやつって印象があって色々怖いです
いあいあ、普通に好漢ですよ。こちらでは利害関係もあってああいうことになってますが

>この展開だと蜀陣営が将来的には敵になるんですかね?
ネタバレ故黙秘しますw

>リライトということは原作もあると思うのでそっちも是非読んで見たいと思います。
原作というか前作といううかw
こっちが清書&リライトって感じです。あっちは推敲もせずダイレクト入力だったので結構やらかしております。
臨場感はある、かな?
ほぼ毎日更新とかようやっとったわ(序盤だけだけど)

>約三年書き続けられてて素直にすごいと思います。これからも頑張ってください!応援してます。
ありがとうございますー!
前作ふと見ると2011年4月からやっとるのだなw

清書して、赤ペン先生のチェックを加味したものが小説家になろうにて最終出荷されております。
よければあちらでコメントなり評価なりしてくれたら嬉しくて舞います
こちらこそよろしくお願いします。

頑張るぞいっと。



<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/10(木) 21:59:05.27 ID:GZgL3WT60<> さて、現在漢朝に君臨する皇帝は空位である。
霊帝――劉宏さま――がお隠れになり、そのお葬式のために袁家も首脳陣が割と総出で来たわけで。
そこいら編の描写はカットである。辛気臭いし。面白みもないしね。俺の記憶もあやふやだし。
で、それが終わっても俺たちが帰還しないのは無論、新皇帝陛下の即位の儀があるからだ。
ということで一つ。
ただ、時間もあるのでこう、そこらへん含めて忌憚のない馬鹿トークもしたい今日この頃であります。二郎です。

「だから、弁皇子はいかにも惰弱。故にここにきて異論噴出。心あるものは協皇子の即位を望んでいるそうよ。
 で、協皇子こそが玉座に相応しいという声を受けて袁家が動き出しているそうなんだけどね」
「は?」

寝耳に水というか、実にアホらしい。
いかに皇族である劉璋ちゃんであってもその言には全力でNO!であるのだ。忌憚なくNO!を伝えることに意義が出てくるレベルじゃねーのこれ。

「ないない。ないって。そんな生臭いことに袁家は関わりませーん。あくまで袁家は北方にて匈奴に備えるのみでーっす」

そうなの?
と首をかしげる劉璋ちゃんにひらひらと手を振り一笑に付す。

「大体だな、あの何進が後ろ盾の弁皇子を差し置いて即位とか無理です。
はい、論破」

「だから何進に匹敵するだけの権威と実権、それに武力を併せ持つ袁家であれば、ってことじゃないの?
 確かにね、弁君が頼りないのも事実なのよね……。
協君はほんと、聡明だしね。器ということで言えばそういう声が上がるのも無理はないかな、ってね」

そういや(改めて紹介するけど)劉璋ちゃんってば皇族に連なる、やんごとなき血筋でしたねー。皇子とため口で話してもあまり問題ない。いや、年の功を誇る年齢じゃないけど、皇帝候補がさらに若いというか幼いからねえ。
どっかの自称ご落胤の末裔とは格が違う、マジモンのロイヤルなのである。
ぶっちゃけ、弁皇子と協皇子がアレしたら皇位継承権とか絡んでくるレベル。しかもかわいい!道端で拾った時とは大違いである。

「声なき声は協君を推しているということかしら。そこんとこ、どうなの?」

どうって言われましてもねえ。特に隠すこともないのです。ないのよ。

「はん、何進と正面から遣り合う力量も覚悟もない有象無象の声なんぞ聞く耳持たんね。大体袁家は何進に与して漢朝を支えるというのは衆知の事実。
 離間工作にしても程度が低い。低すぎる。なあ、風?」

困ったときにはメイン軍師に聞くに限る。
俺の唐突な無茶ぶりにも動じることなくさらりと風は。

「そですね。まあ、この手の流言飛語は流された時点でどうしようもないのです。意図としては袁家と何進大将軍の間に溝を、というところでしょうか。
それにしても、です。二郎さんが仰るとおり程度が低すぎますね〜。
 まあ、誰が、どのような意図で放ったかというのを考えるには材料が少なすぎますので放置しておいてよろしいかと〜」

なるほど。

「だ、そうだ。まあ、そんなことより黄巾の乱の論功行賞でこっちゃ忙しいしな」

今回の乱の論功行賞は太尉たる麗羽様によって起案され、大将軍たる何進に承認される。これって割と重要イベントなのだぜ。

「なるほどねえ。となると、敵将波才と首魁の張角、だったかしら?
それを討ち取った袁家はますます隆盛になるのかしら」

「や、それはないな。袁家に関しては事前のお家騒動っていう失態がある。それと相照らして現状維持がいいとこかな。
 禁軍を率いた朱儁が一敗地にまみれていることもあるし。
 そだな、純粋に武勲による褒賞の対象は曹家、その一の将たる夏候惇。後は馬家、そして公孫かな」

白蓮に関しては州牧への就任を早めることになるだろう。馬家の扱いは何進次第。春蘭には官位かなあ。

「あら、思ったより謙虚なのね」
「フン、朝廷での立場を押し上げられて何進と遣り合うなんてまっぴらごめん、ということさ」

実際、陰謀渦巻く洛陽からは一秒も早く退散したいのである。

「まあ、そうよね、そうよね……。黄巾の乱が終息してから、いえ、その前からもね。
 うんざり、よ。どいつもこいつもお母様の権威、武力、それらをいかに引き込もうかとね。ほんとうっとおしいったら。
 今から思えば蔡邑先生は相当庇ってくれてたのね。出征されてからはもうね、毎日が苦痛だったわ。
 ……ある意味勉強になったけどね。これが今の漢朝の現実なんだなって」

遠い目の劉璋ちゃん。なんか、色々苦労したっぽい。いやまあ、ねえ。
多分同じ状況に俺が置かれたら多分、斬りはしないまでも、何人か殴ってたんちゃうかなと思う。


色々、疲れた。
後でメイン軍師に相談しようそうしよう。

……余計疲れそうな未来予想図。解せぬ。
なんだかなあ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/10(木) 21:59:32.10 ID:GZgL3WT60<> 「で、二郎もその一環でしょ?宮廷工作って奴かしら。
 いいわよ。色々借りもあるしね。お母様に紹介状書けばいい?口添えくらいならできるわよ」

ん?

「いあ、別にそんなのいらんけど」

ここで劉焉さんとか絡んできたらただでさえアレな朝廷がもっとカオスになるから正直益州で隠遁しといてほしい。
大体、あの人ってば地方で半独立勢力をでっちあげる方向だから、俺の打った手ってば相当恨まれてると思うのな。風に言われて気付いたんだけど。
盤石にした益州を劉表に一時とはいえ譲らないといかんとか、正直暗殺されてもおかしくないレベル。

「へ?
ち、違うの?てっきりそうだと思ってたのだけれども。
 じゃあ、何しに来たのよ」
「や、久しぶりだから久闊を除きに来たんだけんども」

何をきょとんとしてるのだこの子は。

「だって、袁家の武を担うんでしょ、二郎って。それが軍師を伴って来るんだもの。何かあるって思わない方がおかしいわよ!」

ああ、なるほど。確かにそうかも知らん。むしろそうか。

「なるほど、そりゃいいや。この混沌とした状況で俺がここに、全幅の信頼を置いている風を伴って!
 こりゃいい!あることないこときっと入り乱れて大変だぜきっと!なあ、風!」

いや、実際嫌がらせとしてはいいな。牽制としても。自称智者は勝手にあれこれ考えて自縄自縛だろうて、ククク。

「はいはい、てっきり二郎さんはそこまでお考えでこちらにいらっしゃたかと思った時もありましたけど、全然そういうことはありませんでしたね〜。
 ただまあ、効果は抜群かと思いますよ〜」

くふふ、とほくそ笑む風に劉璋ちゃんが顔を引き攣らせる。

「あれ、私って無駄に危ない橋を渡ってることになってるのかしら?」

「くふ、貴人というのは誰と会うかということすらそれは大きな影響があるのですよ。無論この場もそうですけどもね。
 ご安心くださいな。風は未だ無名ですから、いくらでも内密でご相談に応じますよ〜。
 無論、二郎さんの許可が頂ければ、ですが〜」

そこで俺に振るか。いや、そのだな。

「よ、よきにはからえ」

にんまりとした風と、ほっとしたような劉璋ちゃん。いや、いいんだけどね。
まあ、どうとでもなれ!

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/10(木) 22:00:38.79 ID:GZgL3WT60<>
さて、劉璋ちゃんを弄繰り回して(主に風が、と主張しておく)袁家の逗留する邸宅――麗羽様が一時洛陽に留学した時に使っていたらしい――に帰った俺に来客が告げられる。

「馬騰さん、いや、先日はお疲れ様でした。こちらからご挨拶に行かないといかんところ、ご足労いただきまして」

「なに、気にすることはないさ、二郎君。君が忙しいのは百も承知のこと。
 それに此度は二郎君に頼みがあって来たのだ」

あら、馬騰さんが頼みとかなんざんしょ。

「うむ、実は此度の黄巾の乱における論功行賞なのだがな」

なるほど、馬家への後押しか。それなら。

「そうですねえ。最終決戦ではお世話になりましたし。翠や蒲公英に適当な官位を出すか、それとも武具や名誉の方がいいですかね?
 そこに関してはちょっと検討いたしますんで、ご相談させてください」

思えば馬家が勢力を増すのは袁家にとっても好都合。そこらへん、もうちょっと積極的に援護してもいいか。華琳のとこがぶっちぎるというのもあまり好ましくはないし。つか、やばいし。
そんなことを考える俺に馬騰さんは笑って声をかけてくる。

「いや、二郎君、そうではない。そうではないのだ。いや、ご厚意は真にありがたいぞ?
 即時のその判断、翠にも見習わせたいものだな。だかしかし、馬家に関してはそれには及ばん。
 一度反旗をひるがえした身だ。当然の戦働きよ。誇るほどのこともない」

何この人無欲にもほどがあるんですけど。

「だから、というわけではないのだがな。恐らく名前が出ることもないであろう者たちがいてだな」

……馬騰さんが口にした名前に俺は内心で頭を抱えることになる。なった。ぐはあ。

「無位無官の身ながらも、世の為人の為に立ち上がった彼らに報いねばならんと思うのだよ。
 まあ、まだまだ未熟だが経験を積めばいずれは漢朝を支える存在になるやもしれん。
 文武ともに見るべき人材もいたぞ?いや、これは二郎君には釈迦に説法かもしらんな」

ええ、劉備ご一行のことです。知りたくなかった。

「なに、迷惑はかけんさ。涼州で適当な地位を見繕って用意してもいい。
 翠とも気が合っていたようだしな。まあ、私の独断で引き上げてもいいのだが、やはり功は功として評価せんといかんと思うのだよ」

いやいやいやいや。あいつらを涼州に放し飼いとかありえん。色々ありえん。
ただでさえややこしいんだから涼州。これ以上不確定要素を放り込んでたまるか。
……ここで断っても馬騰さんのことだから涼州でそれなりの地位を与えたりするんだろうなあ。

だったら。

「や、それには及ばんです。袁家領内で適当な地位を用意しましょう。
 そうですね、県令くらいが妥当ですかね」

手元に置いておくしかないだろうってばよ。

「うむ、まだ世事に慣れんようだからな。そのあたりで経験を積むがよかろう。
 しかしまあ、二郎君が断ったら手駒が増えたかと思ったのだが、なかなか上手くいかんものだな」

からから、と笑う。そんなこと言う必要ないと思うんですよ。

「まあ、人の使い方に関しては私よりも二郎君の方が巧みだからな、異存はないとも。
 いや、また君が軍を率いることがあれば末席に名を連ねたいものだ」

馬騰さんの評価で心が痛い!あっこらへん、全部風ちゃんが仕切ったの!

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/10(木) 22:01:05.22 ID:GZgL3WT60<> 「何をおっしゃいますか。まだまだ若輩の身。ご指導いただきたいくらいなんですが」

「はは、何を言うかね。君は、君こそは将の将たる器さ。君にならば使い潰されてもいいと思っているとも」

「いや、俺がどうこうは置いといて、そんな機会がないようにするのが俺たちのお仕事と思うのですが……」

「はは、これは一本取られたな。
まあ、一朝ことあらば私以下馬家全軍は君の指揮に従おうよ。
 いや、二郎君の言う通りそんな機会はない方がいいのだろうけどね。
 ただ、一介の武辺者としては君の指揮下で存分に槍を振るってみたいとも思うのだ。
 いや、度し難いものだな。笑ってくれて構わんよ」

笑えないです馬騰さん。色んな意味で笑えませんよ。

「ま、涼州に帰還するのは当分先になるだろうし、また色々話せればと思うよ。
 ああ、翠や蒲公英は弁皇子の即位の後に涼州に帰還する。よければ構ってやってくれ」

まあ、本拠地をあまりに空けとくのもなんですしね。

「はい、それまでに一度ごあいさつに伺えればと思います。
 ……ご令嬢には嫌われてるみたいなんで、ちょっと二の足を踏みますが」

呵呵大笑。ばし、と背中を叩いてくる馬騰さん。痛いっす。割とマジで。

「はっはは、確かに翠はな!御しがたいだろうさ。いかにも耳が痛いというものだ。 
 だが、二郎君ならばじゃじゃ馬も乗りこなせると思っているのだがね?」

いや、無理っす。
乗る前に蹴られて死んでしまいます。

「まあ、なんだ。これからもよろしくな!
 実際、君のような快男子がいるというのは嬉しいものだよ。
 いかんな、これでは私が年寄りのようだ」

ニヤリ、と笑って馬騰さんはとんでもないことを言う。

「そうだな。あのじゃじゃ馬を乗りこなせそうなら、押し倒してくれても構わんからな」

いやいやいやいや。

「はは!この場では冗談ということにしておこう!では、さらばだ!」

颯爽とした馬騰さんがカッコいいのは置いといて、何か疲れた。

なんだかなあ。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/10(木) 22:01:44.76 ID:GZgL3WT60<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

なければ「凡人と劉璋ちゃん」

ほらこれひどい
ぼすぼすけて

もやし <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/11(金) 03:53:05.86 ID:NCS/nMxno<> 乙したー
劉備が生き残ってしもうた・・・・・・
あと劉璋ちゃんモフモフしたい 

タイトル案は「凡人と二つの『劉』」で <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/12(土) 16:15:24.33 ID:JChfAXKD0<> >>902
感想ありがとうございますー

>劉備が生き残ってしもうた・・・・・・
栄達は防げたからセーフ

>あと劉璋ちゃんモフモフしたい 
prprしたい

>タイトル案は「凡人と二つの『劉』」で
これは良い感じですね
なうrほど

いけるな
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/12(土) 16:15:53.57 ID:JChfAXKD0<> ねんっがんの十二国記を手に入れたぞ!
読了したぞ!
来月が待ち遠しいぞ! <> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/16(水) 16:13:00.73 ID:lNsRLkLd0<> お久しぶりです
>>897
>>そこいら編の描写はカットである。 幼少編、立志編、黄巾編…みたいな?霊帝葬式編。始まり…ません!
○そこいら辺の描写はカットである。 まあ【描写はカット】って言ってるあたり既に大分メタいけど
>>ということで一つ。  建前としてはそういう事で、みたいな印象があるけど二郎本人としてはその裏に大して大きな謀とかしてない…よね
○と言うのが一つ。  そういうあれこれを考えて躍動してる人たちもいるだろうし、二郎もある程度分かってるだろうけど、二郎の目線としてはこの方が自然かな?(これなら建前じゃなくてそれなり以上に新皇帝即位の儀を重く見ているってことになるし)
>>禁軍を率いた朱儁が一敗地にまみれていることもあるし。 意味:二度と立ち上がれないほど、再起できないほど大敗してしまう、さんざんに負ける。…こんな意味なんやね(敵陣中央に向かって一心不乱の逃走を見て)せやろか?
○禁軍を率いた朱儁が苦汁を飲まされていることもあるし。 或いは【苦渋を味わわされ】、【苦杯をなめさせられ】とかどうでしょう
>>「まあ、そうよね、そうよね……。 とびますとびます、とかごめんねごめんね〜みたいな
○「まあ、そうね……そうよね。   ちょっと変えてみたけどこれで良いかは分からない
>>ほんとうっとおしいったら。   喋り言葉としては間違いと言いづらいですがちょっと読みづらい
○ほんと、うっとうしいったら。  もしくは【本当うっとうしい】むしろ【ほんと鬱陶しい】かな?
>>多分同じ状況に俺が置かれたら多分、 ちょっとアヤフヤ過ぎやしませんかねえw
○多分同じ状況に俺が置かれたら、   もしくは最初の【多分】を抜くかした方がいいと思います
>>898
>>「や、久しぶりだから久闊を除きに来たんだけんども」 【久闊を除く】ってちょっと聞いたこと無い…なんとなく意味は分かるけど
○「や、久しぶりだから久闊を叙しに来たんだけんども」 久しぶりに友情を温める、という意味で【久闊を叙する】と言いますね
>>899
>>「だから、というわけではないのだがな。          これだと馬家への褒美はイランから代わりに彼らにその分を回してくれ、みたいに聞こえますがそういう訳じゃないですよね?
○なかなかに光る者たちがいて、だな。報いてやりたいのだよ。 実際にどう光ってたのかとかどんな仕事をしてたかは知らんけどバトーさんが言うんだし、惰眠を貪ってたわけじゃないんだろうし自分と言う傷物よりは漢朝に認められた方が劉備たちには善いだろうと言う善意…ハハッ
>>からから、と笑う。 これだと実際に「からから」と笑ってるみたいな?【にっこり、と笑う】とか【ポトリ、と落ちる】みたいに
○からからと笑う。  【にやにやと笑う】とか【にこにこと笑う】とか【さめざめと泣く】みたいに擬音でなくて形容するものは【、】を付けない方がいいですね

劉璋ちゃんはクンカクンカのあの娘だからなあ…そうか劉姓の女性はピンク髪!これは劉備が末裔名乗りますわ
史実では劉備土地貰ってしばらくしてからおもむろに自分探しの旅に出るんだっけ?付いていけない住民は…
そうだ!曹操があそこに欲しい人材がいるって言ってたしパスしようぜ!論功第1位に土地とそこを治める人材をセット!きっといい感じに影響しあうよ(マジキチスマイル) <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/16(水) 21:28:13.84 ID:PW57NvNx0<> >>905
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>霊帝葬式編。始まり…ません!
やりませんw

>二郎本人としてはその裏に大して大きな謀とかしてない…よね
してませんw

> 実際にどう光ってたのかとかどんな仕事をしてたかは知らんけどバトーさんが言うんだし、惰眠を貪ってたわけじゃないんだろうし自分と言う傷物よりは漢朝に認められた方が劉備たちには善いだろうと言う善意…ハハッ
よかれと思って!

>劉璋ちゃんはクンカクンカのあの娘だからなあ…そうか劉姓の女性はピンク髪!これは劉備が末裔名乗りますわ
女子のみですがw
劉焉さんもピンクちゃんです!

>そうだ!曹操があそこに欲しい人材がいるって言ってたしパスしようぜ!論功第1位に土地とそこを治める人材をセット!きっといい感じに影響しあうよ(マジキチスマイル)
実際これをやると曹操陣営がマジで手が付けられなくなる可能性があるので……w


コロプラに騙された(意味浅)
野村!頑張れ野村!もう少しでプラテンや!

そんな感じの今日この頃であります。


<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/16(水) 22:23:11.01 ID:PW57NvNx0<> さて、馬騰さんから難題を投下された二郎ですこんばんわ。
困ったときのお二人さん。一人は俺のメイン軍師の風、もう一人は袁家情報部最高責任者の七乃です。

「まあ、そういうわけでな。袁家領内にて劉備ご一行様を預かることになった」

くふふ、とほくそ笑む風とにこやかな表情のままの七乃。なんとも頼もしいことである。
そして口火を切ったのは風だ。

「二郎さんはあのご一行を相当警戒されてますよね?風にはよくわかりませんけども〜。
ですが、それならば分割してしまえばいいのですよ〜。
 確かに個々に注目すればなんとも傑物揃いかもしれませんが、未だ世事慣れぬ方々。
 使い古された手ではありますが、誰か一人を厚遇し、後は冷遇。それも各地に分散させて日常業務に摩耗させるのはいかがでしょうか〜」

ふむ。常識的に考えれば一考の余地はあるかもしらんどころか妥当な策なのだろう。が。

「駄目だろうな。あいつら誓いで姉妹になってるし。分離工作はおそらく無意味だ」

ちょっとしか話してないけど、どう考えても誰も寝返ってくれそうにない。義理忠誠共に100ってとこだろう。

「では、その有能さを二郎さんは確信してますよね?では精々沮授さんや張紘さんのとこで酷使するというのはいかがですか?」

「そいつも勘弁だな。袁家、母流龍九商会の政務の深み、機密といっていいそれに近づけたくない。
 いずれあるであろう離別の後に彼奴らを飛躍させかねん」

ここまで沈黙していた七乃が口を開く。

「どうしてあのような義勇軍崩れに二郎さんがそこまで警戒するかが解(げ)せませんねえ。
 ですが、いいでしょう。二郎さんの方針に従うのみです。
 どうにも扱い辛いと思ってるみたいですし、ここはすぱっと殺しちゃいましょう!
 なに、いかに豪傑でも、張家秘伝の毒を盛れば一撃必殺です!」

あ、あほかー!

「馬騰さんが仲介したんだ。それをいきなり誅滅とかありえんだろう!
 何言ってんだお前は!」

「えー」

「えーじゃない!袁家と馬家の紐帯はこっからの生命線だっつーの!
 こう、もうちょっとこうだな、絶妙な策を……」

くす、と七乃が微笑む。あ、怖い笑みだ。

「まあ、確認しましょう。二郎さんは劉備ご一行様の卓越した人材を役立てる気は?」

「ねえよ」

あいつら、制御できるものかよ。少なくとも俺に扱えるものかよ。

「では、それぞれが敵に回ったとして」

「厄介極まりない。どこにあろうと一所に集まり頑強になるだろうさ」

こればっかりは確信できる。あいつらは群にして個。けして内部対立はないだろう。不思議とそれは確信できる。

「じゃあ、答えは出てます。厄介なもの、汚物はまとめておくに限ります」

それこそがセオリーと七乃は微笑む。そういえば。郭図を、孫策と周瑜を、袁胤と許攸をそうやって効率よく処分してきたのだ。彼女は艶然と笑う。

「あえて、苦難の道を選ぶならば、それはそれでお付き合いいたしますよ?」

そこまで言われて、俺に反論の余地などない。

「じゃあ、適当に領地選定も任す」

「困窮の地ですか?激戦の地ですか?どう、すり減らしますか?」

「どっちでもねえよ。普通に善政の敷かれていた地がいいな。
 頑張って成果出してもごく普通のことってくらいのとこが。なおかつ賊も近辺におらず、率いる兵が無駄になるくらいのとこだ。
 もっと言えば、匈奴の脅威なんぞないくらいがいいな」

ふむ、と考え込みながらも七乃は確約してくれる。

「二郎さんのご要望に応えるようなとこを厳選しますね。
 つまり、英傑を飼い殺しということで」

にんまりとした七乃に無言でうなずく。これは間違いなく人的資源の使い潰しどころか、浪費ですらある。
それを認識しながら異存なく動いてくれる二人に、感謝である。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/16(水) 22:23:43.90 ID:PW57NvNx0<>
◆◆◆

「全く、何進なんぞ所詮肉屋の倅よ!血にまみれた汚らわしい存在でしかない!」

気炎を揚げる男に劉協はにこやかにほほ笑む。
けして失望なぞ漏らさない。
このように直情径行であっても自らの支持者なのだ。むしろこの熱狂を使うことを考えるべきであろう。

……劉弁が漢王朝を継ぐ儀式を数日後に控えて劉協のもとには様々な者が押しかけていた。
まあ、兄たる弁の愚昧さを見れば、心ある士大夫は自分に付き従うのは至極当然のこと。
だが、いかにも頼りない。頼ることなぞありえない。
外戚の排除を叫び、宦官への掣肘を吠える。
そこに具体性なぞない。つまりは自らが重用されないことに対する不満でしかない。

「まあ、外戚が権力を握ったままというのは憂うべきですね」

そうなのだ。宦官の誅滅を内々に発して何進と袁家は結んだ。だが、より深刻なのは。

「弁皇子は卑賤な肉屋にべったりです。あれはいかにも不味いでしょう。
 汚濁にまみれた彼奴らと一線を画し、僕は<清流派>を立ち上げようと思います」

にこり、と皇甫嵩は笑う。それに劉協は内心安堵を覚える。
諸侯に、士大夫に送った招待状。憂う現状を率直に、あるいは隠喩で伝えて集めたこの集団。
その目玉は皇甫嵩。

黄巾の乱においては、官軍の最高責任者として声望高まった功労者である。

それでも苦い思いはある。

これで至尊の座を得たとしても、自分はお飾りにしかならないのではないか、と。
いや、権力闘争で争う術のない自分が今危惧する所ではないだろう。

まずは正当に権力を取り戻すべし。いっそ悲痛な覚悟で劉協は笑う。

「かくあるべし、そうあうるべし。
 この、非力な身。御身の加勢が生命線よ」

内心酷薄な笑みを浮かべる皇甫嵩はいささかも表情を動かさない。

「では、外戚などという漢朝の害虫に報いを。
 名家でありながら害虫におもねる蒙昧には裁きを」

劉協は無言で、それでも頷く。
何より、皇甫嵩と誼を結べたのが大きい。
だからこそ、それを察知されてはいけない。

嗚呼。どこかに。

どこかに、宦官にも、諸侯にも影響されない英傑はいないものだろうか。
武勇を誇り、智を携えるような英雄はいないものか。

ないものねだりと、その卓越した頭脳で自らを責めながらも、劉協は思う。

蒼天、支えるものはいないのか、と。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/16(水) 22:24:27.13 ID:PW57NvNx0<> 「清流派とはまた、大きく出たものだな」

ぐびり、と杯を干しながら何進はニヤリ、と笑う。

「なに、それくらいの方がいいのさ。実に大漁だったしね」

にこやかに笑みを返すのは皇甫嵩。何進の執務室で行われている密談を華雄は無表情に見守る。
彼女にとってこの密談の内容はもはや認識の外。ここに在るはただ、何進の護衛。それのみである。

「フン。まあ、やり過ぎないことだな。お前とて命は惜しいだろうが」

「もちろん僕だってまだ死にたくはないさ。だが、全力は尽くさせてもらうよ。
 外戚の専横は好ましくないからね。いや、実際国が乱れる元だよ。
 良識があれば誰だってそう思う。僕だってそう思うからね」

ニヤ、と何進は笑う。彼にこんな口を叩くのは皇甫嵩くらいのもの。
伏せた顔に毒を散らしながら追従されるよりはよほどいい。

「……時流の趨勢も見えない馬鹿どもをまとめるのはいい。個々に暴発されたら詰まらんからな。
 ついでに、精々お利口さんたちもまとめて面倒みてくれや。
 それとまあ、お山の大将にならんようにな」

塵芥はまとめるに限る。燃やすにしろ、埋めるにしろ、それこそが効率的じゃあないか。

「まあ、集まったと思うよ。相当ね。協殿下に期待する士大夫は随分とまあ、多いらしいね」

肩をすくめる皇甫嵩は苦笑気味。
なにせ、烏合の衆である。理想が高いのはいい。高潔の士気取りなのもいい。
だが、実行力が皆無とはどういうことなのか。現状を変える手立てなぞ何もなく、何もする気がない。
只嘆くのみ。これが漢朝の現状かと皇甫嵩も笑うしかなかった。

「まあ、精々励んでくれや。司空を用意したぜ」

その声に皇甫嵩は表情を変えない。
司空とは司法と治水を司る官である。その権力は三公の中でもある意味卓越している。
司徒、太尉よりも優越していると言っていいであろう。そこに潜在的――間もなくそれは顕在化するであろう――を据える何進の豪胆さとその思惑に皇甫嵩は思いを巡らせて、ぴくりとも表情を変えない。
そしてそんな皇甫嵩を見て何進はニヤニヤと笑うのだ。

「太尉、いけないかい」

漏らしたそれは痛恨であった。皇甫嵩の思いがその言葉に集約されている。
嗚呼、こいつは兵権がお望みらしい。やはり。だがな。
それを何進は思いながらも苦々しい口調で語る。

「既に袁紹にくれてやった。あの袁家を司空には置けんさ。知ってるか?
 紀霊が劉璋と親しいことを。ああ、つい先日、腹心を連れて深夜まで密談してたらしいぜ?」

クハハ、と何進は笑う。
それに皇甫嵩は僅かに表情を震わせる。

ふむ、と何進は訝しく思う。これほどまでに皇甫嵩は与しやすかっただろうかと。
どこまで素だ、どこから演技だ、と。
そしてそれは考えるほどに深みにはまると思い、苦笑する。
いや、それくらいでないと、清流派なんてものをち上げ、まとめきれんだろう。
清流派。要するに主流になれない士大夫どもの集まり。
何進から言わせると口だけの存在である。実に滑稽な存在である。……それを自覚する知能さえあれば叩き潰すものを。
まあ、それはいい。

「それは……初耳だね。いや、それを放置しててもいいのかい?
 益州に地歩を築く劉焉。その娘と、あの袁家の軍権を接近させたら、いかにもまずいだろう?
 いや、不味いなんてもんじゃない。それこそ……」

「なに、好きにすればいいのさ」

何進は笑う。それしき、どうということはない。
その程度、どうということはない。

「く……!」

皇甫嵩は自らが漏らした声を忌々しく振り払う。

「まあいい。僕はこれから清流派を束ねる。なに、僕が主流派になっても悪いようにはしないさ」

言い捨てて去る皇甫嵩をニヤ、と見送り何進は笑う。
そして華雄は揺るがない。この瞬間、どこから襲撃あっても一撃で屠るために。

「クハハ、踊れば、いいのさ。思う存分、な……」

直接酒壺から酒を呷り、何進は前を向く。歩き出す。
華雄は無言で付き従うのみであった。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/16(水) 22:25:11.12 ID:PW57NvNx0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

今回の仮題は「加護の中の鳥」です

代案どんどこ募集しまくってます
よろしこ <> 青ペン<>sage<>2019/10/17(木) 01:27:59.94 ID:htNSacTPo<> >>910
乙なんだよー
【見えざる神の手蜘蛛の糸】
でどないでそ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/17(木) 22:04:08.65 ID:USekx3fw0<> >>911
どもです。

>【見えざる神の手蜘蛛の糸】
素敵。素敵というか。センス万雷。やべえ。
刺さったので違うとこで使わせてもらいたい感じですやべえ。
妬ましい。
                    !               /
          ':,    ',    l                  \    __/_/_ ¨フ ̄
   \      ':,       l                   \  く_ノ  /| ̄|
 \  \\    ':,                      <.  .人.  |_|
          ' ,    _,.‐,=―                /
    \\         .i' /.-‐''¨¨¨¨==.、       /      -┼-
       \       ノ ¨           `ヾミ、      \      -┼-
 `' 、           ./               ヽ`ヽ.,___   ':, .     α^ヽ
.  ,、           ,' ,i   l、  ,、.,_/   ',.   >l   ヽ.  l    i
  l ヽ、 /´|   ,'   l. ―トヽ  l -rァ.''iT i! ./ .j  、   l  i    l
  ヽ、  Y  l    .l   ヽ,,i-rァT ヽ.l  '、,_,ノ  | j  /、 l',.ヽノ . ノ     ヽ_ノ
l ̄ ̄  .l   | ,....、. l   l '、_ノ      ⊂⊃レ .ノ,.==、ヽ. く.     l  、_
. ̄フ   l  (`, `ヽー.⊂⊃   _     ノ r.l、   `}   >   .l
 ヽ--ノi ` .,ノ l   i!ミ.= l.   i'´  `ヽ ._ノノ l  l.    } <.     ヽ
   ̄ `t‐' ´    i.!  ',`ー、z. ―=<´イ´ r゙i 、`   _j.  /   __| ,--、
      ',      ノl  l  /ヽ,............/ Y ヽ=、 .ノ i! . /       |/  l
      ヽ-r--<_.l   ,'  | l::::::::/   _',    ̄  l /     /|  ノ
 --―    ',    ,'  ,' l . l l::::/  ._,./ri` .     .ノ レァ       ├‐
           ',.  ノ  ノ_ノ __.',_|_/._/   .l, l. `ヽ---,シ  /      .__|
.          ゙ー'‐'''¨´ ir二====ミ、.  ', l、.,  `¨フ'    ̄|   (_丿\
           __,,.. 厂i______ `ヽ.,_〉l__>‐'´     /
        _,.-‐''"´      ノ ,'::l ヽ `"'''ヾ/九._      /     l 7 l 7
     /        / .ノ':::::'. ヽ、     "'''-._   /     |/ .|/
 l ̄ ̄ヽ        /  /,':::::::l',   ヽ、        ヽ、 フ     o  o

こんくらい妬ましい <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/18(金) 20:45:59.97 ID:t9qLVJp60<> 乙ー
邪道も全て飲み干した上での王道、かっこいいですね〜
二郎さんは凡人だから苦しんでるけどくろk(ryもとい何進さんは楽しんでる節さえあり流石英傑
タイトルは掌の上で踊ってるのもかけて「酒虫」くらいしか思いつきません

十二国記の話から昔のBL系アニメを思い出して張絋と沮授のイメージとかぶってしまった
あの類超絶苦手なんだけどなんでだ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/18(金) 22:33:42.49 ID:1O5Uq/Rz0<> >>913
どもです。

>邪道も全て飲み干した上での王道、かっこいいですね〜
これは嬉しい。嬉しいやつです。

>二郎さんは凡人だから苦しんでるけどくろk(ryもとい何進さんは楽しんでる節さえあり流石英傑
流石英傑w

>タイトルは掌の上で踊ってるのもかけて「酒虫」くらいしか思いつきません
これは、よき。
ご参考させてもらいまする

>十二国記の話から昔のBL系アニメを思い出して張絋と沮授のイメージとかぶってしまった
超絶無駄知識ですが、一ノ瀬がそこら辺に接したのは小学生のとき。
C翼案件でした

「いいだろ、小次郎……!」

そらもう、びっくらぽんよ。
※詳しく語るには余白が足りない


<> 青ペン<>sage<>2019/10/20(日) 00:47:09.81 ID:2KG0v9Fto<> >>912
思ったのですが
多分【言葉のチョイスが一ノ瀬さんに刺さりやすい】んだろうなぁっと。

今回のも
悪巧みする風と七乃
がキーフレーズで
七乃=蜘蛛の糸
んじゃ風は?
神算鬼謀だから見えざる神の手よね
って感じですし… <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 07:07:15.10 ID:HvLcre1o0<> >>915
ほむほむ。

なるほどにゃあ……
そういう連想かぁ
一ノ瀬には創出できないやつですね、羨ましい


それはそれとして今夜はやりたい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 21:59:42.60 ID:HvLcre1o0<> 荘厳。
その一言でいいかなと思う二郎ですこんばんわ。
もしくはおはようございます!ご機嫌いかが?俺の機嫌は極めて普通です。
そして弁皇子の即位の儀式でございます。
いや、色々と不穏な噂や怪文書の投げ込みとかあったけど、どうということもなく今日に至りました。いや、めでたいっすね。天災もなく、実行委員会の皆様については、安堵してるでしょうね。

ええと、儀式の模様とかはカットです。眠いし。
いやまあ、色々威儀とか考えたら必要なんでしょうともね。
偉そうなおっちゃんや、おばさんがあれこれ言ってるけどどうでもいいや、というのは袁家筆頭として失格であると思いながらも、そんなキャラじゃないしね、俺ってば!
※きちんと必要なあれこれは風におまかせというのは秘密なのです。

早く帰りたいなー。どうせ弁皇子が皇帝陛下となって俺ら文武百官がひれ伏して終わりだろうに。

いや、そうなのだ。そうだったのだ。それだけだったはずなのに。

弁皇子がいらした。そして至尊の座に昇る。その、それだけのはずなのに。
声にならない呻きが、場に漏れる。

「皆の者、ご苦労」

響く声は低く、重い。

思わず顔を上げてしまう。

「漢朝のために、これまで以上に尽くすがよい」

そこには、何進。
弁皇子。いやさ今上帝を腕に抱えた何進が立っていた。

声なき声が漏れる、場を埋め尽くす。
それを断つのが何進の言葉。

「貴様ら、御前である。頭が高かろうよ……」

ぎり、といずこからか。いずこからもか。歯ぎしりの音が俺の耳朶を叩く。
うわあ。
つまりまあ、平伏しているこの場の文武百官は今上陛下ではなく。何進に平伏をしているようなもの、となる。
いや、これはやりすぎだろう。自らの権威ならば十分だろう。これは、反感を招くのみだろう。

……それが目的か。惰弱たる弁皇子ではなく、自らを怨嗟の対象とする、ということかよ……!
見るともなく見れば、何進の後ろに控える武人――何進の愛人たる華雄――が場を睥睨している。
ほむ。

そして万が一、この場で切りかかる士大夫、武人あろうともその思いは果たせんだろう。それを分からせるほどに気迫が、やばい。

「ふぅ……」

それから弁皇子が至尊の座に就く儀式を見守り、それが終わって漸く俺は息をつく。

「しかし……あれは、すごいな。
 やれるものならやってみろ的な圧力がすげえよ……!」

漏らした声に七乃が笑う。

「やですねえ。何進大将軍(アレ)に歯向う蒙昧。どんどん出てきてほしいものです。
 いや、二郎さんが忌避するのも分かりますねえ。どう考えても敬して遠ざけるものです。
 ま、さっさと私たちは退散しましょう」

完全に同意である。
何進、その傑物。それとそれに歯向うアホに付き合いきれんさ。

よーし、俺、北方に引き籠るぞー。

◆◆◆
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 22:01:14.81 ID:HvLcre1o0<>
「しかし、清流派、か。まったく。そんなんの立ち上げとか分からんちゅうの」

即位の儀も終え、疲労困憊……なんてしてない俺こと二郎です。
今宵は華琳とこに押しかけてあれやこれやと馬鹿トークしています。まあ、とっかかりの馬鹿トークは割愛しました。深夜の会談内容については極秘ということで一つ。
そして話はどうしてもそこに話は収斂されるわけで。

「あら、ということは少なくとも二郎が仕掛けたという訳じゃないのね。てっきり資金援助くらいはしているかと思ったのだけれども」

ないって。

「ないわー。これはないです。ないね。
大体さぁ、俺がそんなめんどくさそうなことするように思う?」

ないって。

「そうね。まあ、ここぞと言うときには手間暇を惜しまないと思うのだけれども?」

買いかぶってくれてありがとうと言うべきなのだろうか。
……どうにも華琳の上から目線のドヤ顔を見ると意地でも感謝の言葉を放ちたくないと思ってしまうのだが。

「だろ?そういうことさ。
 流石華琳、俺のことをよく分かってて重畳」

でもないのか?
いやまあ、それは一旦おいとこう。そこが主眼じゃない。

「に、しても流石は何進。そつがないと言うか、流石だよ」

黄巾の乱の論功行賞による人事異動。それは驚くべきものだった。
おかしげに華琳が唱うように読み上げる。

「司空、皇甫嵩」

黙って頷く。袁家は此度の黄巾の乱による武功は返上している。お家騒動を引き起こしているし、中央での栄達とかいらんし。
まあ、皇甫嵩が官軍総指揮を洛陽で執っていたことを思えば、武功第一ではある。

「司徒、王允」

驚きではある。が、事務方として官庫からの補給が万全だったのは彼女の手腕が大きい。兵站なくして勝利なし。これを甘くみた軍隊が勝つことなぞない。

「太尉の麗羽は留任。
そして……尚書、蔡邑」

皇帝の秘書官筆頭たる地位にあの大学者たる蔡邑。皇帝はいかなる場合においても直言なぞない。とすれば実際に朝廷における諸事を取り仕切るのは彼女ってこった。
彼女の見識、経験あらばどんな事態があってもボロがでることはないだろう。

「まさに鉄壁の布陣だな。いや、隙がない。それを大将軍たる何進が後見するとか」

ハハ、ワロス。盤石ってレベルじゃねーぞ!つか、そういう陣容を整えた、整えることのできた何進はやはり政治的怪物だ。人材バンクの貯蔵は十分みたいですね!誰か欠けても普通に補充されそうですよ。

「それだけじゃないわ。いい?これで三公の座が埋まったのよ。
 これまで、売官のために敢えて空位だったその座を埋めてきたのよ。
 その意味、分かるでしょう?
 機能不全に陥っていた漢王朝はいよいよ再生するわ。
……何進の手に寄ってね」

なるほど。これまで漢王朝はあれだ。五臓六腑がまともに機能していなかったようなものだ。
そして、末端たる地方が乱れたのも、中央――心臓部――から血液が送られずに壊死しかかっていたというわけだ。

「ふむ。じゃあ、華琳は、さ。
何進が漢王朝を建てなおす、と見ているってことか」

ぎり、と一つ歯を食いしばり、俺を真正面から見やる。

「見てなさい。三十年。いえ、十年後を見てなさい。
 この、私が。
 曹孟徳が全知全能で渡り合うのよ。
 二郎。
 精々私の足を舐める心構えはしておくことね」

……いや、華琳の足ぺろぺろとか余裕だけどね!でもそれすると春蘭とかネコミミにぶち殺されそうですねえ。

「ま、華琳がそこまで本気ならば、と思うよ。何せ華琳だ。
 ああ。お前さんをこの中華で一番評価しているのはネコミミでも夏候家の英傑でもない。
 この俺さ。
 前にも言ったろ?華琳なら丞相くらいは余裕だって」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 22:02:11.91 ID:HvLcre1o0<> ニヤ、と笑って必死に言外のメッセージを送る。華琳の邪魔しないから存分に飼い殺してー。
領地に引き籠るから許してー。見逃してー。

体裁は整えて退散した俺に、風――華琳の横では一言も漏らさなかった――が口を開く。

「清流派。それは予期せぬ第三勢力。意外と、ことは深刻なのかもしれないのですよ」

む?そうかなあ。そうなの?

「所詮は協殿下とそれに権力の夢を描く俗物達だろう。
 皇甫嵩一人でどうにかなるとは思わんが」

「さて、そこです。果たして、清流派なるもの。現状……今上帝は即位したばかり。
 世情不安になってもおかしくはない時期です。いえ、そうなれば困る時期ですね。
 そこに降って湧いた清流派という要素。
 さて」

くふふ、と笑いながら風は問いかける。

「清流派、どうされます?」

「いや、どうもこうも。あれだろ。この時期にそんなのって何進の手心が加わってるに決まってるじゃんか。
 流石にそれくらい俺にも分かるってば。あんなのに加わるって、よっぽど思慮が足りない奴らだぜ?
 そんなんに巻き込まれてたまるかっての。
 どうせ何進がなんとかするだろう。ここは静観しかないだろうよ」

あの何進ならやろうと思えば清流派なんぞ叩き潰すことは容易だろうて。
それを、その存在を許しているんだからして。

「まあ、あれだ。何進と華琳がいずれ率いる宦官。そこに清流派が絡んでくれば三竦みになっていっそ平穏になるかもな」

ただし政局を読むのは相当めんどくさそうではあるが。

「風は、それでも引っかかるのです」

ん?そうなの?
マジでか。

「風がそう言うならばそうなんだろう。いいさ、何でも言ってくれ」

俺ごときがあれこれ思ったり測ったりとかすると思えばね。一応色々考えてるけど、考えてるけど(震え声)。
風が言うことならば耳を傾けまくるっつうの。

「いえ、未だ確信はないのです。ただ、風は憂慮するだけです。
 二郎さんの打ち筋。何進大将軍と、先ほど知見を得ました曹操さんの政争。それが二郎さんの描いた絵図。
 そこに第三勢力が割って入りました。その意図、見えないのが風としては引っかかりますね〜」

むむむ。
確かに当初描いていた戦略は修正するべきかもわからんね。

「まあ、ここでうだうだ言ってても仕方ありませんからね。
 稟ちゃんと話してみることにしますね〜」

そだな。

「俺も沮授と張紘に相談してみるよ。三人寄れば文殊の知恵ってな」

ああ、洛陽なんて伏魔殿にいるとあいつらと何も考えずに酒呑んでくだ巻いて馬鹿トークできてた南皮がものっそい懐かしい。
おうちかえりたーい。
そんな風に思ってた俺の袖をちょいちょい、と風が引く。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 22:02:44.18 ID:HvLcre1o0<> 「それはそれとしてですね。いささか二郎さんに苦言を呈したいと思うのですよ」

「おうよ。風の諫言は千金に勝るからな。どんどん、何でも言ってくれ」

はあ、と珍しく呆れたような表情で風は言う。

「あまり、思わせぶりな言動はしない方がいいと思うのですよ。特に袁家の外においては、ですが〜」

ほむ?
なるほど、わからん。つまりどういうことだってばよ、という俺に。

「……委細承知したのですよ。いえ、忘れてくださいな。
 ええ、そうですね。こう言うべきでした。
 失言になりかねない台詞がぽろぽろとこぼれる傾向にあるので、できるだけ風をお傍においてくださいな」

ほむ。

「勿論だとも。言うまでもなく全幅の信頼を寄せているとも。
 そして俺自身については全く信頼していないしな!頼りにしてるよ!」

やれやれ、と言わんばかりに苦笑する風を伴って袁家逗留地に戻った俺はまだ休むことができないらしい。

「何進大将軍様が、内々にお呼びとのことです」

えー。

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 22:04:53.90 ID:HvLcre1o0<> 「まあ、呑めや」

酒杯に注がれたそれに、まさか毒なんて盛ってないだろう。
どうせ目の前の政治的化け物――言うまでもなく何進大将軍サマのことである――が俺を謀殺しようと思ったらそれを凌ぎ切る自信はない。
いや、風や七乃には異論があるかもしらんけどね。

「あ、美味い」

流石は漢朝の実質最高権力者。いい酒呑んでるじゃねーか。遠慮なくぐびぐびいっちゃいましょう。ぐびぐびぐび。
マジ美味い。これは持ち帰って商会謹製のやつの反省会ですね。

「フン、口にあったなら何より。土産に持たせようか?」

うん、ふんぞり返ったままで言われてもなあ。でも貰うとも。めいっぱい。

「ありがたくいただきますよ。で、本日お呼び立てのご用件は?」

クハ、と何進は愉快気に笑う。半ば挑発に近い物言いだが背後に屹立する華雄すら反応しない。
ええい、やりにくいったら!暖簾に腕押しとはこのことよ。

「なに、袁家の黒幕に内々のご相談、ってやつだ。ああ、その前に黄巾討伐ご苦労だったな。
 見事な指揮っぷりだったらしいな。
 馬騰が誉めていたぞ?大したもんじゃあないか」

これ、誉められてるのかなあ。なんだか何を意図してるか俺の頭じゃよくわかんないや。

「や、馬騰さんはじめ、勇将猛将揃い踏みしたため。俺の采配なんぞ微塵も影響はなく」

「その辺にしとくんだな。過度の謙遜はかえって嫌味になる」

そう言われては黙るしかない。でも、だが。
本当に、あの最終決戦の手元戦力は、こう。どう動かすかを考えるだけでもワクワクしたものだ。
そんなことを考えていた俺に何進が爆弾を投下する。

「まあ、今日貴様を呼び出したのは他でもない。
 なに、縁談を一つ。
 くれてやろうかな、ってな」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 22:06:09.43 ID:HvLcre1o0<> ニヤリ。

実に楽しそうに何進は笑う。
そして俺は咄嗟に返す言葉もなく、ただ、立ち尽くすのみである。

「そ、それは以前お断りすると――」

馬騰さんの暴走で話が進みそうになった時に何進にも筋は通したのだ。
今更それを蒸し返してどうするつもりだ。

「勘違いすんじゃねえよ。
 ああ、勘違いすんじゃねえ。
 誰がお前の縁談だって言った?」

な、に……?

「クハ、貴様のその顔を見れただけでもよし、としたくなるがな。
 まあ、それは些事さね。
 俺が言うのはこうだ。

 袁術殿の、入内を、袁家に内々に打診する。

 平たく言うとだな、弁の正室に袁術殿を考えている、ってこった」

なん、だと……?

「そ、それは……」

まさかの声に俺は混乱しまくりである。
え、美羽様が今上帝の正室ってことは皇后?え?それって、なにがどうなってるの?
だって袁家はこれから領内に引き籠って美羽様は荊州に赴かれて……。
足元が崩れ落ちるような感覚に襲われる。なんだそれ。なんだよそれ!

「そ……」

辛うじて精神を立て直して、立て直そうとして、搾りだす。

「即答は、し、かねる。……俺の一存でどうこうできる問題じゃない……」

風に、七乃に。何より美羽様、麗羽様に相談しないといけない。俺ごときが判断するこっちゃない。
俺に、今の俺に正常な判断ができるわけもない。

「そうかい?まあ、お前さんがそう言うならそうなんだろうさ」

いい返事を期待しているぞ、とばかりにニヤリ、と口を歪めて何進はこの場を立ち去る。

取り残された俺は、自失し、暫く動くことすら敵わなかった。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 22:07:17.82 ID:HvLcre1o0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名案は
「縁談」
「縁は異なもの味なもの」

もうちっと尖ったのが欲しいです
頼りにしてますよ! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/21(月) 23:28:54.49 ID:7WyP0b3Zo<> 乙したー
・・・・・・もがれればいいのに(ボソッ

タイトル案は「蒼天の霹靂」で <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/21(月) 23:48:15.15 ID:HvLcre1o0<> 関係ないけど、美味しアルコールって大変なんです
蒸留してまぜものしたら呑みまくるとかありえへんからね!
それでコストが安いならとっととそうしてるわ!

割と語り合いたい <> 青ペン<>sage<>2019/10/22(火) 05:30:04.85 ID:gofeBMako<> >>923
乙なんだよー

蒼天の霹r…
既に出てたー!? <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/22(火) 13:28:31.74 ID:LE4isygJ0<> 万歳!万歳!万歳! <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/23(水) 15:20:50.29 ID:8NBhEyCpO<> 乙っしたー

縁談話(ラブ・ストーリー)は突然に <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/23(水) 21:24:47.99 ID:FwJg6HIk0<> >>924
どもです。

>・・・・・・もがれればいいのに(ボソッ
ありがとうございます!もげろ久々頂いた気がするます!

>タイトル案は「蒼天の霹靂」で
本当にこの発想がなかった。
実にシックりきます。これでいこう。

>>926
どもです。

>蒼天の霹r…
はやさがたりない!

>>928
どもです。

>縁談話(ラブ・ストーリー)は突然に
これはこれでいいですね。迷うわw
そして多分ミスリードもできるやつですね
素晴らしい <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/24(木) 21:50:50.96 ID:YLnbSupQ0<> しん、と静まりかえる室。
何進からの内々の打診。それを耳にして袁家首脳に緊急招集である。すなわち麗羽様、美羽様。猪々子に斗詩に七乃。それに風。
これだけの面子が夜半を過ぎているのに集まってくれた。
いや、集まらねばならない事態とも言える。
そして口火をきるのは麗羽様である。

「……とても、名誉なこと。ですわね」

そう。そうなのである。厄介なことに、これは本当に名誉なことである。
頷きながらも次に口を開いたのは斗詩。

「内々の打診、ということはお断りする、という選択肢もあるということですか……?」

「うーん。敢えてその選択肢を残すことでどっちにしろ袁家を抱き込むってとこですかねえ?
 いやー、困ったなあ。これ、もう詰んでるみたいなもんじゃないですかねー」

普段と全く違わないお気楽な表情の七乃。謀略においては袁家どころか中華でも屈指の七乃が言うのだ。つまりはそういうことなのだろう。うむ、状況は極めてよろしくないということだ。
さて、メイン軍師の風は……って。

「……ぐぅ」

「寝るな!」

びしり、と。

「おお!寝てました!」
「この状況でよくも居眠りができるもんだよ……」

どんな度胸だよ。いやまあ、重苦しい場の雰囲気が割と弛緩したのが救いか。

「いやいや、実に予想外の一手を打たれてしまいましたねえ。いや、実によく練られてます〜。
 これにより何進大将軍は袁家を取り込み、他勢力と袁家を隔絶させることに成功されてますね〜」

しれっとそんな解説を始める風である。いつも通りの眠たそうな表情である。マイペースだね。もう、ここまできたらいっそ頼もしいよ。

「ん?袁家を取り込むってのは分かる。どっちにしろ打診されてしまった時点で何進の思うつぼだってのは七乃の言った通りだ。
 受ければもう、今上陛下を奉じる何進と組まざるをえないし、断るというのも大きな借りになる」

だが、他勢力と隔絶させられるってどういうこった。却って他と組むとは思わんのかいね。

「そですね。袁家は宦官勢力と組むことはまあ、ないです。そして、清流派は『外戚』の排除を謳(うた)っていますね」

ほむ。
分かったような分からんような。そんな認識の俺に七乃は吐息一つ。にこり、と。

「つまり、です。袁家が新たな外戚になるならば清流派とは組めないってことですよ。
 そして、です。そもそも、このお話を断るならば中央からは距離を置くということ。
 どっちにしても何進大将軍の邪魔にはならない、ということになりますね。
 あは。これは、やられちゃいましたねえ」

そして、と七乃は言葉を続ける。

「美羽様が入内した後、袁家が中央から去るという手もありますが……」

ここまで沈黙を守っていた猪々子が声を上げる。

「論外だぜ!姫も斗詩も、何よりアニキもそんなことするわけないじゃんよ!」

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/24(木) 21:51:17.16 ID:YLnbSupQ0<> それはまさに咆哮。
そして。
だろ、とばかりに俺の顔をのぞき込む。

「猪々子さんの言う通りですわ。
 ですから、美羽さん。安心してくださいな。これからも、わたくしたちは貴女の一番の味方なのですから」

不安げな表情で俺らのやり取りを聞いていた美羽様がびす、びすと泣きだす。それを秒で抱きかかえる七乃。いつもの笑顔です。
うおっ!眩しいぜ!

「なに、今すぐ入内ってこともないです。とりあえずは婚約を公表してからということでもあります。
 荊州牧就任までは何進も了解してるし、それからでもいいでしょう。
 なんにせよ、ちょーっと予定が狂っちゃいましたけど、いいでしょう。
 どうせなら漢朝をまるっと平らかにしてやりましょうよ。
 なに、三公以下売りに出されていた官位全てを平らげようとした俺たちです」

ねえ、と麗羽様に笑いかける。我が意を得たりとばかり笑み。高らかに宣言する麗羽様。

「それでこそ、ですわ。
あまねく大地に袁家の威光を示しましょう。
ですからね。美羽さん、けして平坦な道ではないでしょう。
 ですが、袁家当主として、貴女の入内、お受けすることにします。
 二郎さん、委細はお任せいたしますわ」

俺に否やのあろうはずはない。

「承りました。なに、この程度を窮地なんて言ったら先代様に、師匠たちに怒られちまいます。
 やる以上は、徹底的に。
 ついでに、派手にやってやりましょうぜ」

こっちゃ大人しく引っ込んでやろうっていうのに。踏んだ尾の持ち主は、でっかいぞ?
何進さんよお!

◆◆◆

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/24(木) 21:51:43.57 ID:YLnbSupQ0<> さて。
閑話休題(それはともかく)。やることはやろう。やらねば。やるのだ。
とりあえずは人事体制の見直しだ。
くっそ。割と盤石を期していたのだが、やらねばならん。
洛陽には雷薄を袁家名代として残し、魯粛に実務を助けさせようと思ってたんだがなあ。こうなるとそうもいかん。

「麗羽様はひとまず政争がある程度決着がつくまで美羽様の後ろ盾として洛陽に。斗詩はその補佐。魯粛を付ける。使い倒してよし。
 猪々子は南皮に帰還して領内安堵を。北方も判断に任せる。事務方は陳琳に丸投げ推奨。
袁家は武家だ。それを第一義に振る舞えばそれでよし。
なに、陳琳はあれで実務能力は十分以上。言動に問題あるからそこら辺は補ってやれ」

陳蘭とは言動が似ても似つかんのだよなあ。胸部装甲はなるほど姉妹だと納得の薄さであるのだが。

そして腰を据えて取り組むために稟ちゃんを呼ぼう。如南には雷薄をやって星を呼ぶか。信頼できる護衛に流琉と……ええい、凪も呼ぶ。

「じゅ、入内に猶予はないということかや……。国母となるに否やはないぞ。
 じゃが二郎よ、如南はどうするのじゃ?流石に太守不在のまま袁家が治めるわけにはいかんじゃろ……?」

おおう、美羽様……。ご立派になられて……。

「後で考えます。が、名目上の責任者は美羽様のままでいこうかと思ってます。
天領として、です。飛び地になれども、あそこは要衝ですから」

投資しまくったし、手放すものかよ。それくらいは認めさせるとも。

「荊州はまあ、どうするか後で考えます。益州も。ちょっと絵図を見直します」

当初の目論見に拘泥しない。してはならない。
そのためにも本当は張紘と沮授に相談したいんだがな……。
まあ、こっそり南皮に行くなりあいつらを呼ぶなりすればいいか。

「そして、七乃。お前隠居しろ。跡目は張?な」

「あらら、まさか二郎さんがそう言うとは思ってませんでした。
 ああ、哀れ私はお払い箱なんですね。
このー、流石に薄情だぞー」

言いながらもにこり、と。今日一番の笑顔をくれる。嬉しそうですね。
いや、分かってるよね。分かってるよね?

「そして後宮がお前の戦場だ。宦官ども。そしてそれに繋がる華琳。そして君臨する何皇太后。
それらを平らげて美羽様に献上しろ。
 美羽様の侍女長として後宮に入れ。多分、ここが一番しんどい戦場だ」

何せ何皇太后、その背後の何進。そして華琳が政敵とか。ついでに十常侍もね。

「はいはーい。お安い御用……とまではいきませんが、長引かせても仕方ないですしね。
 そこが一番重要な戦場ですしね。
任されましょう。美羽様、七乃はいつだってお側におります。おりますとも。
 どーんと大船に乗ったつもりでいてくださいな」

「うむ、七乃が一緒に来てくれるなら怖いものはないのじゃ!」

まあ、考えることはまだまだあるが当座はこんなもんか。
見落としなんてたくさんあるだろうけどそれはメイン軍師に頼ろう。
途中で口を挟んでこなかったってことはそんなに悪手ってこともないはずだし。

まあ、まずはめでたい。慶事だ。盛大に祝うとしよう。その準備をしよう。うん。
七乃とか絶対納得してないだろうしね。

今回は根回し後回しにしてしまった感。
いや、しゃあないやろ今回は。

ねえ。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/24(木) 21:52:30.48 ID:YLnbSupQ0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

仮題は「入内」です

いつも通り、色気とか艶のあるやつ、オナシャス。
ぐは。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/24(木) 22:21:18.24 ID:WSp2isShO<> 乙したー
人的リソースがここにきてモノを言わせてる感

タイトル案は「哀家の愛」で <> 青ペン<>sage<>2019/10/25(金) 01:32:57.18 ID:Q0pe5PqIo<> >>933
乙なんだよー

【電光石火の十面埋伏】
かなぁ… <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/25(金) 09:10:38.24 ID:xK9Ne9dHo<> 乙ですー
政治的攻撃?受けてもどうにかできてしまう辺り、やはり人材の充実っぷりが良い意味でおかしなことになってますよねぇ
そしてなんだろう、後宮の七乃さん…もはや安心すら感じる信頼感があるwwww


題案は前話のタイトルが蒼天の霹靂になることを前提としますので、違かったら没にしてください
『霹靂に揺るがじ、深き袁の懐』 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/25(金) 12:06:56.73 ID:HKurlTF60<> 寒風吹き荒ぶ今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか
>>907
>>分離工作はおそらく無意味だ」  華北分離工作?
○離間工作はおそらく無意味だ」  《離間の計》とか言うし仲違いさせるならこうですね
>>「では、その有能さを二郎さんは確信してますよね?では  間違いでは無いですが【では〜では〜】となるとなんかしっくりこない気が
○「では、その有能さを二郎さんは確信してますよね?ならば 前を変えるか後を変えるかはどちらでも良さそうかな【ならば】よりも【なら】の方がいいかな?
>>「どうしてあのような義勇軍崩れに  まあ彼女ならこう言いそうだけどなんだかんだで戦果はあげてるわけだし
○「どうしてあのような義勇軍上がりに 《成り上がり》で義勇軍の括りで見るなら成功者なので……侮蔑も含むなら【義勇軍如き】とかどうでしょう
>>郭図を、孫策と周瑜を、袁胤と許攸を 孫策と周瑜を彼女が謀殺したって二郎君感付いてたっけ?そもそもあの二人が袁家に牙を剥きそうだってことすら気づいてなかったような
○郭図を、己の父親を、袁胤と許攸を  いや、勘違いしてたって言うなら勘違いしそうなあれこれは沢山あったけど
>>908
>>「かくあるべし、そうあうるべし。 売るべし?(難聴感
○「かくあるべし、そうあるべし。  こうですね
>>909
>>個々に暴発されたら詰まらんからな。 間違い?間違いじゃない?【詰まらん】だと愉しい愉しくないの意味が大きそうだけど
○個々に暴発されたら堪らんからな。  面倒で、とかうっとおしくて、とかで(一つ一つ対処するのは)【たまらない】ならこうかな?
>>そこに潜在的――間もなくそれは顕在化するであろう――を据える何進  潜在的を据える?
○そこに潜在的――間もなくそれは顕在化するであろう――敵を据える何進 こうかな?【な敵】の方がいいか?
>>清流派なんてものをち上げ、まとめきれんだろう。   【チアげ】……足ふりあげて応援する?
○清流派なんてものを立ち上げ、まとめきれんだろう。  こいつらがやったら軽くテロだな

とりあえずここまで
それにしても劉協さんや…あんたが欲してる英傑の条件ってどう考えても無頼漢の称号持ちじゃね?権力側と言うか統治側がそれを求めちゃいかんでしょ
いや、必要悪として認めるとかそういったものも飲み込めるって言うならまだしも【宦官も、諸侯の思惑も踏み躙れる武勇と知略の持ち主】…普通なら討伐不可避なんだよなあ(って言うかこう書いたらごく最近までいたじゃん…黄巾党がそのものずばり <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/25(金) 20:24:19.71 ID:X+lj8Oaj0<> 乙
美羽様もやっぱりあれだっただろうから心情的にはー、でしょうな
悪来の所属も気になるところ

そんなこんなで某BL風ロゴ
ttps://www.axfc.net/u/4008129
張絋と沮授のそれっぽいの途中まで落描いてて俺何やってんだろと悲しくなった <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/25(金) 20:27:00.68 ID:X+lj8Oaj0<> あっと忘れてたPASSはBLですww <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/25(金) 22:12:20.18 ID:jTTdV2sN0<> >>934
感想ありがとうございますー

>人的リソースがここにきてモノを言わせてる感
やっぱ三国志序盤の醍醐味って人材確保ですよね!
それが活きたなということで一つ。

>タイトル案は「哀家の愛」で
シンプルにして至高。
これはよい。

>>935
どもです。

>【電光石火の十面埋伏】
十面埋伏、それは袁家が食らったアレですよねw
厄払いかな?

>>936
どもです。

>政治的攻撃?
紐帯的なやつですよ。そこに悪意はほとんどないです

>やはり人材の充実っぷりが良い意味でおかしなことになってますよねぇ
ぶっちゃけますと、二郎ちゃんが。当初狙ってたところからしたら相当足りない。
え、知ってた?そですよね〜

>題案は前話のタイトルが蒼天の霹靂になることを前提としますので、違かったら没にしてください
大丈夫、ファミ通だよ的な安心感を得てくださいませませ。

>『霹靂に揺るがじ、深き袁の懐』
え。素敵。



<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/25(金) 22:16:29.83 ID:jTTdV2sN0<> >>937
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほんまありがったいんっよ

>それにしても劉協さんや…あんたが欲してる英傑の条件ってどう考えても無頼漢の称号持ちじゃね?権力側と言うか統治側がそれを求めちゃいかんでしょ
もしかして:劉皇叔

>>938
すき!

タイトルロゴありがとうございますー!
だがしかし、張紘と沮授の絡みとか。

そんなん期待するに決まってるやん
やん。 <> 赤ペン<>sage<>2019/10/25(金) 23:13:34.99 ID:HKurlTF60<> さてさて後半戦
>>917
>>実行委員会の皆様については、安堵してるでしょうね。    ちょっとベラ回ししてみるか
○実行委員会の皆様におきましては、安堵してるでしょうね。 もしくは【おかれましては】…なんとなく二郎ちゃんのテンションがこんな感じになってる気がする
>>弁皇子。いやさ今上帝を腕に抱えた何進が立っていた。    《玉座につく》とか言うし皇子様座ってそうなんだけど…これだとアスナロ抱きしてるのか赤ちゃん抱きしてるのかのイメージが(笑)
○弁皇子。いやさ今上帝の肩に手を置いた何進が立っていた。 イメージとしては玉座に座った皇子の横で肩をポン、としてるような
>>それを分からせるほどに気迫が、やばい。 間違いではないですがちょっと変えてみる
○それを確信させるほどに気迫が、やばい。 【分からせる】だとちょっと柔らかい感じがするので、強い言葉を使ってみる
>>918
>>そして話はどうしてもそこに話は収斂されるわけで。 大事な事じゃないので1回言いましょう
○そして話はどうしてもそこに収斂されるわけで。    前でも後でもどちらでも大丈夫ですが
>>武功第一ではある。   これだと武功(を)第一としてみる(一番重視する)みたいに読めるので
○武功第一位ではある。 の方が良いと思います
>>……何進の手に寄ってね」 手に近寄る?
○……何進の手によってね」 漢字を使う場合は【何進の手に依って(因って)】何進の手(腕)が要因なのでこうですね
>>920
>>「おうよ。風の諫言は千金に勝るからな。 千一金には劣るのかしら
○「おうよ。風の諫言は値千金だからな。  慣用句としてはこれですね、もしくは【風の諫言はまさに金言ってやつだからな。】とか?
>>922
>>ただ、立ち尽くすのみである。 酒の席だし座ってるんじゃないかしら
○ただ、瞠目するのみである。  もしくは【息を呑む】とか【絶句する】とかどうでしょう
>>まさかの声に俺は混乱しまくりである。 もしこれを言ったのが華雄だったら俺も混乱しそう
○まさかの言に俺は混乱しまくりである。 の方が良いと思います
>>暫く動くことすら敵わなかった。 負けちゃったかぁ
○暫く動くことすら叶わなかった。 【できなかった】と言い換えられる場合はこちらですね

それにしても華淋に心酔してるあの3人を知った上で「俺が一番お前を見てる」みたいなこと言っちゃうとか
華淋から見て二郎ちゃんって人を見る目がカンストしてそうよね…そんな男にココまで言われちゃうと…
そして恐らく二郎ちゃんの目線の凄さを分かってるだろうトップ3の一人何進さん…多分二郎ちゃんに対して(暖簾に腕押しとはこのことか)とか思ってる
全力で取り込もうと言うか「逃がさん、お前だけは」と言うか…味方にするためにあらゆる手を使おうとしてないかいww
どう考えても敬して近づく…敵対とか有り得んわ <> 赤ペン<>sage<>2019/10/26(土) 00:25:51.48 ID:VH3YlQZo0<> もうちょっとだけ続くんじゃ…
>>930
>>すなわち麗羽様、美羽様。猪々子に斗詩に七乃。それに風    そういえば…凛ちゃんは来てないのかしら
○すなわち麗羽様、美羽様。猪々子に斗詩に七乃。それに風と凛 麗羽様の軍師というか外付け知略回路と言うか、ココの麗羽様はいい意味で人に頼るのが得意だし連れてきてそうなんだけど
まあそうするとこの後に彼女のセリフも入れなきゃいけないのがなあ
>>932
>>見落としなんてたくさんあるだろうけどそれはメイン軍師に頼ろう。 ちょっとひらがなが長いので
○見落としなんて沢山あるだろうけどそれはメイン軍師に頼ろう。   の方が良いと思います

公人としての視点も持ってる袁姉妹…自分がどれだけの物を背負ってるか、自分の一挙手一投足がどれだけの力を持つか
その辺りをしっかりと理解してる感じがしますねえ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/28(月) 07:02:22.73 ID:fOMBmqAg0<> >>942
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
後半戦きたこれ

>それにしても華淋に心酔してるあの3人を知った上で「俺が一番お前を見てる」みたいなこと言っちゃうとか
>華淋から見て二郎ちゃんって人を見る目がカンストしてそうよね…そんな男にココまで言われちゃうと…
どう見ても口説いてますね
なお内心

>そして恐らく二郎ちゃんの目線の凄さを分かってるだろうトップ3の一人何進さん…多分二郎ちゃんに対して(暖簾に腕押しとはこのことか)とか思ってる
間違いなく分かってますねw

>「逃がさん、お前だけは」と言うか…味方にするためにあらゆる手を使おうとしてないかいw
なんだかんだで手札がないですからねえ。ネームドも華雄さんしかいないしw

>どう考えても敬して近づく…敵対とか有り得んわ
最大限尊重してもらっているというのは伝わるかと。なおその影響

>公人としての視点も持ってる袁姉妹…
お二人ともご立派になられて(ほろり
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/29(火) 22:17:23.02 ID:X5TyvPTF0<> 「てなわけで、まあ、袁家は何進大将軍様と組むことになったんだよね」

ずびび、と音を立てて茶をすする。あ、これマジで美味い。実に見事なお点前(てまえ)。やりますねえ。
対面の美少女はこめかみに手を当てて何やら苦悩しているようである。いかんね、あまり難しい顔をしていると皺がよるぞ。

「なんと言っていいやら分かんないわ……。
 っていうか、そんなことをボクに話していいの?」

じろ、とこちらを見やるのは詠ちゃんである。意外とまだ洛陽にいたからデートに誘ったった。意外と応じてくれた。嬉しい。
だからキャッキャうふふとイチャイチャしていたのですよ。
でもまあ、自然今の政局に話題が移って、ほいほいと情報を引き出された気もする俺です。だが俺は謝らない。

「詠ちゃんならいいさ。
なに、馬騰さんと何進大将軍様は義兄弟。そしてそこに袁家が加勢するというのは悪くない情報だろう?
 それより、まだ洛陽にいたんだ。てっきりもう安定に帰還したと思ってたってばよ」

盛大な感じで、今上陛下の即位の儀は滞りなく終了した。
だからまあ、領地の安定に帰還していると思っていたのだよ。
見知ったところでは、白蓮も襄平に帰還している。基本、根拠地を留守にしていいことはないのだよ。
劉備ご一行様も領地に向かったと聞いている。ちなみに華琳は朝廷内部に浸透工作を始めているみたいだ。きゃーこわーい。
いやマジで怖いわ。何するんやろ。

「うん、馬騰さんがね。『お前たちは漢朝を支えるべき器だ。しばらく中央にいて経験を積むがよかろう』って。
 だから、ボクたちはまだ洛陽にいるの。ありがたいことではあるんだけどね」

はにかみながら詠ちゃんは舞台裏を明かしてくれる。
なるほど、馬騰さんは董家に相当期待しているんだな。まあ、確かに人材の粒はものすごく揃ってるからなあ。

「そっか。期待されてるんだな」

「ま、まあね。勿論期待には応えるし、その上で恩も返すわよ。
 不穏な涼州を抑えきって、漢朝だって支えてやるわ。
 州牧となる翠は頼りないしね。なに、月とボクがいるから安心しなさいな」

不敵に笑う詠ちゃんはガチでかわいい!だから正義!
うん、現実逃避ですな。ごめんなさい。

「協殿下の器量は確かよ。
そりゃあ、何進と袁家が組めば怖いモノなしでしょうよ。
 でもね、協殿下。あの英邁に皇甫嵩が与するのだもの。それは警戒が必要よ。当然じゃない。
 でも、まあ。何進と袁家が組むなら話は別ね。お話にならないもの。
うん、そうね。
 清流派と宦官、束ねても及ぶはずないわ」

まあ、華琳に皇甫嵩マジご愁傷様って奴だ!うけけ。

「まあ、協殿下と月は親しいからね。仲介の類(たぐい)ができればいいのだけれども。
 ……思えばそれも枷となりなねないわね。むう、これは皇甫嵩にやられたかな。
 でも、先んじて二郎にこの情報を貰ったからには……」

ぶつぶつと思索にふける詠ちゃんに苦笑する。
そして戦慄する。思いの外、俺たち袁家は権力闘争(パワーゲーム)に巻き込まれていたのだと。
いや、七乃とか風が聞いたらば、ものっそい馬鹿にされそうだけども。今更、ってね。
とりあえず猪々子とかまだ南皮に派遣せんでよかったわ。
まだまだ色々打ち合わせないといかんかもしらん。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/29(火) 22:17:49.43 ID:X5TyvPTF0<> 「まあ、二郎の話がほんとなら、ちょっと清流派からは距離を置かないといけないわね。
 ほんと、ありがと」

詠ちゃんって、月が絡むと素直になるね。素直に笑顔を向けてくれるね。それとも逆か?
べ、べつにそんな時しか笑顔を向けてくれないのが寂しいなとか思ってないんだからね!

「しっかしまあ、難儀なことね。
そりゃあ、月は漢朝を支えるに相応しいけれども、余り世俗の汚辱に触れさせたくないわね」

詠ちゃんのその言葉には尊いものが込められていて、それを茶化す気にはならなかった。

「……ま、困ったことがあったら相談してくれ。なんとかするさ。するとも」

苦笑する詠ちゃんの表情はいつになく柔らかくて、抱きしめたくなる。
抱きしめた。

「やあね、もう。
二郎に相談したら大げさになりそうだもの。
……そんな顔しないの!」

弾ける笑顔。
それを守りたいと言ったならば、盛大に馬鹿にされるんだろうなあと思いながら、場を去る詠ちゃんを見送る。
去り際に重ねた唇の感触。抱きしめた柔らかい身体。
それはするりと手元から逃げ出してしまう。抱きかかえた腰。
ぺち、と頬に手形。

「もう……馬鹿……。知らない!」

身を翻して距離を取り、去り際に一度、振り返る。

「ばーか!」

それだけ言い残して走り去る。
残された俺は間抜け面を晒すのみだ。
いや、まあ、それでいいのかな。いいのだろう。多分。
無理やり自分を納得させるのであった。

◆◆◆

袁家二の姫、入内。

それは瞬く間に周知となった。まさか、との声もあったが、正式にそれが発表されると洛陽はお祭り騒ぎとなった。
慶事である。
黄巾の乱で離れつつあった民心はたちどころに漢朝を寿ぐ。
恩赦が発せられ、黄巾に与した者も苦役に就けば許されることとなり、多くの黄巾に参加した叛徒は漢朝に帰順する。
彼らとて、指導者なき今。官軍と、ことを構えて勝てるなぞという幻想を抱くほど現実が見えないわけではない。実際、憑き物が落ちたかのように多くの黄巾残党は投降した。
彼らの多くは鉱山などの厳しい苦役を課せられることになるのだが、問答無用で刑死に比べれば温情と言っていいだろう。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/29(火) 22:18:15.60 ID:X5TyvPTF0<> ◆◆◆

流石の手腕だな、と曹操は思う。
袁術入内という一手。それは曹操からしても会心の一手。
中央から距離を取ろうとする袁家。それを他勢力に与させず、取り込む。それにより北方の守りは安泰。そしてその兵力は比類ない。
曹家軍とて精鋭だが、流石に馬家、袁家、孫家を同時に相手にして勝てると思うほど自惚れてもいない。そんなものは痴人の妄想にもなりはしない。
だから。

「全く、まさか名門たる袁家が肉屋の倅ごときの軍門に降るとは!
 きゃつらには誇りというものがないようですな!」

「然り、然りよ!あのような下賤におもねるなぞ、汚らわしい!武家の名門が聞いて呆れるわ!」

何が誇りか。埃の間違いじゃないのかと内心嘲笑を浮かべながら曹操は杯を傾ける。
折角の美酒の味が損なわれてしまうな、と。
まあ、それは予想されていたことだ。構わない。それでも清流派のこの席に顔を出したのは、訳がある。
勿論無意味に気炎を上げる塵芥どものためではない。

皇弟たる劉協。そしてこの清流派を立ち上げ束ねる皇甫嵩。彼らを見極めるためである。
内心の思いたるやどれほどのものだろう。何進の専横阻もうと、忌み嫌う宦官勢力と渡りをつけてまで立ち上げた清流派。
だのに、結果を見れば、不穏分子がまとめて炙り出されたようなものである。いや、これには曹操も声を上げて笑ってしまったのだ。
不穏分子を皇甫嵩にまとめさせ、暴走を防ぐための清流派と思っていたら、どうだ。
まとめて叩き潰されるためにのこのこと光の当たる舞台に出てきてしまったようなものではないか。

まあ、宦官勢力を未だ掌握できていない自分が心配することでもないのだが。

なんにせよ、収穫はあった。
確かに劉協は秀才だろう。皇帝の座に相応しい器でもあろう。華もある。愚鈍そうな――不敬極まるな、と内心苦笑しながら、そう思う――今上陛下とは段違いだ。
そして場を手際よくまとめる皇甫嵩。あれも傑物。流石に宮中には人材がいるものだ。
だが、驚いたのはこの場に董卓がいることだ。

馬騰に引き立てられた彼女がなぜ、と思う。しかも劉協と親しく言葉を交わすではないか。それとなく会話を聞けばなかなかに明敏。

ふむ。なかなか面白そうではある。
このまま何進の独り勝ちでも面白くない。ならば、精々場をかき乱すべきか。

そう結論づけると、にこやかな笑みを張り付けて歩を進める。

ここは戦場。一挙手一投足が大きな意味を持つ。
そう言う意味ではあの旧友は大したものだと思う。背後にある袁家という大きなものを加味しても、気づけば華やかに場を支配しているのだから。
そしてその傍らの青年。
暢気に飲み食いしているようで如才ない。ごく自然に場を盛り上げ、自らは裏方にいつのまにか回っている。その気遣いが嫌味にならない程度に。

口惜しいが、なかなかにこういった場にて自分を補佐する人材はまだいない。
夏候惇はその陽性で人を惹きつけるが、暴走のきらいがある。

まあ、しばらくは自分が奔走するしかないか。

そんな懊悩を欠片も見せずに獲物に牙を剥く。

「ご歓談中失礼しますわ。
 こんな噂をご存知かしら」

自分が動くことによる影響、浴びる注目を全て認識して。曹操は微笑む。
他愛なし、と。

そしてその笑みを見つめる蜘蛛。その視線には気付くことはなかったのである。
<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/29(火) 22:19:33.94 ID:X5TyvPTF0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

仮案はなんだろ

「備えあれば憂いなし」

微妙以上にコレジャナイ感があるな

いいやつ頼みます
マジで。 <> 青ペン<>sage<>2019/10/30(水) 00:27:30.63 ID:sDV/5pvIo<> >>948
乙なんだよ

【清流に垂れる一滴の毒】かな <> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/30(水) 11:38:09.75 ID:qIdIbcm00<> 乙でしたー
>>945
>>
「協殿下の器量は確かよ。
そりゃあ、何進と袁家が組めば怖いモノなしでしょうよ。
 でもね、協殿下。あの英邁に皇甫嵩が与するのだもの。それは警戒が必要よ。当然じゃない。
 でも、まあ。何進と袁家が組むなら話は別ね。お話にならないもの。
あっちイッテこっちイッテとっ散らかった印象がありますね

「協殿下の器量は確かよ。
その上あの英邁に皇甫嵩が与するのだもの。それは警戒が必要よ。当然じゃない。
 でもね、何進と袁家が組めば怖いモノなしでしょうよ。
そうね、まあ。何進と袁家が組むなら話は別ね。お話にならないもの。
こんな感じでどうでしょう…協陛下は確かに凄い、皇甫嵩と組むなら猶の事。でも何進と袁家が組めば…みたいな
>>946
>>思いながら、場を去る詠ちゃんを見送る。        この後キスして抱きしめてホニャララしてるし
○思いながら、場を去ろうとする詠ちゃんに手を伸ばす。  で、最終的にほっぺにペチンされて、見送る…って感じで
>>官軍と、ことを構えて勝てるなぞという幻想を抱くほど現実が見えないわけではない。 ちょっと【、】の位置に違和感が
○官軍とことを構えて勝てる、なぞという幻想を抱くほど現実が見えないわけではない。 の方がいいと思います
>>947
>>袁術入内という一手。それは曹操からしても会心の一手。  【会心】って心にかなう事、思い通りに行くこと…まあ他にも納得することも含むけど
○袁術入内という一手。それは曹操からすれば痛恨の一手。  DQ的に考えても意味合いとしても曹操から見れば非常に手痛いと言う事で言い方を変えると《曹操からしても会心→曹操にとっても最高》《曹操からすれば痛恨→曹操にとっては最悪》な感じですから

何進の極上の一手にあっちもこっちも動かざるを得ないからのう…動かない場合?そんな愚鈍ならおそるるに足らずですわ
それにしても清流派…どいつもこいつも濁ってやがる気がしてならねえぜそれなりのビジョン持ってるの3人くらいしかいないよね <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/30(水) 21:16:14.56 ID:T0T8CBYK0<> >>949
どもです。
どもです。

>【清流に垂れる一滴の毒】かな
光るセンス。これはいいですね。参考させてもらいまする。
まあ、ほんとに清流か?っていう話なんですけどねw

>>950
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>DQ的に考えても
ドラクエかな?
いやマジであれ相当歩かないといけないやつ

>何進の極上の一手にあっちもこっちも動かざるを得ないからのう…動かない場合?そんな愚鈍ならおそるるに足らずですわ
まさにまさに。

>それにしても清流派…どいつもこいつも濁ってやがる気がしてならねえぜそれなりのビジョン持ってるの3人くらいしかいないよね
ええと、劉協さんと候補数さんとその他大勢ですね!
<> 赤ペン<>sage saga<>2019/10/31(木) 09:04:50.87 ID:BYI9XqYO0<> 劉協(トップ)、皇甫嵩(何進なんぞと言う肉屋の倅と手を組むわけないよね)、董卓(劉協と仲良さそうだし彼女も我らの同士だな)…彼らこそ清流派の中心よ! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/31(木) 17:33:13.92 ID:ns2Qcrj60<> >>952
あ、ゆえちゃんか!
納得ですわ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/31(木) 20:57:16.96 ID:ns2Qcrj60<> 雅な楽曲が流れる一室に袁術は足を踏み入れる。
どことなく緊張した彼女の背にそ、と張勲が触れる。かすかな所作ではあったが、顔をほころばせて先ほどまでとは打って変わって軽やかに、なおかつ優雅に歩を進める。
それを微笑ましくも満足げに見守る張勲は煌(きら)びやかに着飾った袁術にその目線を注ぎ、頬を緩ませているように見える。
いささか過保護気味の腹心と言った風ではあるが勿論実態は違う。室にいる人員の一挙手一投足を捉える。事あらば仕える主を庇えるよう、絶妙の間合いを測る。
彼女が些か軽装気味――無論それは袁家の名に恥じないほどに豪奢な仕立てではあるのだが――なのには主を引き立たせるためではない。
いざというときに動けないなどという愚を犯さないためである。

無論この場においては杞憂にも等しいことではあろうが、それでも五感全てを振り絞って糸を張り巡らす。
なんとなればここは戦場にも等しい。普段は天衣無縫たる袁術が些(いささ)か緊張気味だったのもむべなるかな。待ち構えるは今上帝、劉弁である。
入内するとはいえその時期はまだ未定。で、あるならば一度は顔を合わせておいた方がよかろうと何進、袁家が合意した一席である。
内々の一席でありながら、その事実は各方面に知られているという、なんとも思惑の絡み合ったそれを張勲はむしろ歓迎していた。
入内が内定しているとはいえ、そのまま洛陽を離れれば政略結婚という印象が強くなる。いや、それはそうなのであるが、その風評に本人たちが引きずられてしまうのはよくない。
良好な関係を内々にも築いておきたいところである。

無論、今上帝たる劉弁の為人(ひととなり)を知る上でもこの機会は逃せない。
袁術に付き従い後宮に入る身としては事前情報として、彼の人格がどのようなものかを知るは必須。
で、あるから五感を振り絞り場を感知しつつも主眼は劉弁の言動である。

……どうにも主よりも緊張しているようである。人が好さそうではあるが、いかにも落ち着きがない。品格がない。知性が感じられない。覇気なぞ存在しない。
途切れる会話。断たれる話題。
あれこれとその陽性な人格を遺憾なく発揮し、愛らしい主があれこれと話を振るのだが。

「ごめん、よく分かんないや」

申し訳なさそうに俯く劉弁。
これで幾度目かと嘆息する取り巻き。その所作の無礼さを誰も咎めないことに張勲はなるほど、と思う。
これだからこそ何進が専横振るっても朝廷は問題なく動くのであろう。それがいいことかどうかはさておいて。

重ねて発される主の問いにまた劉弁は困った顔をする。けして難解な問いではなかったのだが、それでも申し訳なさそうに応える。

「ううん。叔父上なら分かると思うんだけど、僕にはよくわかんないや」

張勲が驚いたことがもう一つある。
そう、一人称が『僕』なのだ。皇帝ともあれば一人称は『朕』たるべき。それはこの場が内々であっても、である。
さしもの張勲でさえも数瞬絶句してしまったほどの衝撃。それをさらりとかわした――或いはそれに気づかぬ――主に感銘を受けたものだ。

幾度目か、劉弁は気まずげに笑う。

「ほんと、わからないことばっかりで、さ」

困る。中華を支配する今上帝のそのような言葉に何と返せばいいかなど張勲でも困ってしまう。認めても、認めずとも不敬につながる。
背後で無表情に立っている王允に言質を与えぬかどうかで身動きが取れぬ。

だが、そのような懊悩なにするものぞ。光は満ちるのだ。

「それはいいことなのじゃ!」

その言葉に場が凍る……と言うより止まる。そして弛緩する。

張勲とて周囲に張り巡らした警戒の糸を途切れさせてしまいそうになる。
いや、先ほどまでの警戒を保てていたかというのには議論の余地があるが。

恐らく後日そのような問いにはそう答えざるをえないほどに張勲は動揺していた。

無論、彼女がそうなのだ。周囲に至っては、である。

張勲ですらそうなのだ。辛うじて表情を取り繕ったのは王允くらいのもの。
控える女官文官は呆気にとられていて。

<> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/31(木) 20:58:26.64 ID:ns2Qcrj60<> 「陛下が分からぬことはきっと妾も分からぬ!じゃから、陛下と妾は一つ賢くなったのじゃ。
 分からぬことが一つ分かったということは、二人で二つ賢くなったということなのじゃ。
 これまで幾つ陛下に分からぬと言われたか。それだけ妾たちは前に進めているということ。
 ……妾も太守とは言え、分からぬことばかりだったのじゃ。それを一つ一つ頑張っているとこなのじゃ。
 十三ある州のさらに細分化された太守においてもそうであったならば、漢朝統べるお立場いかほどか。
 この中華に安寧を、と望んでも何をすればいいかも分からぬ未熟者と認めるのは如何にも口惜しい。なれど、陛下と共に歩む覚悟はあるのじゃ!」

鼻息荒くまくしたてる袁術に、みっともなくぽかん、と口を開けて劉弁は絶句する。
三世において要職たる三公歴任した袁家の二の姫。いかほどに扱い辛いかというのは散々に吹き込まれていたことである。
だから、つい、漏らしてしまう言葉も威厳なぞない、素の言葉。

「そうだね。あの、玉璽の重さって凄いよ?持ち上げるのも大変なんだもん」

袁術はにぱ、と大輪の花を咲かせる。

「うむ。わかるぞ、わかるぞよ陛下。実際あのような重いのを百も捺せば書類の内容なぞ、どうでもよくなるというものじゃ」

だから、と袁術は笑うのだ。

「その重みというのはありがたいと思うのじゃ。妾もの、思うのじゃ。少なくともこの重みを担えるのは自らのみじゃと」

たとえ血筋のみの存在価値であろうと、触れることのできるのは自分のみ。そしてその役割に代役はいないのだ。

「そっか。そうか。そうなのか。
 そう、思ってもいいんだ。いや、ありがとう」

「こちらこそ、なのじゃ」

笑い合う二人を痛ましげに、微笑ましく、苦々しく。それぞれの思いで見守る意図。
それぞれの思いを汲み取り、絡め取り張勲は笑う。表情には浮かばなかったけれども。

それをきっかけとしてか、それまでよりは会話が弾む。

「そう言えば、袁術殿はお歌がお上手とか――」

「うむ。技量についてはともかく、よく歌っておるのじゃ。七乃、七乃!」

こんなこともあろうかと持ち込んでいた胡弓を一つ弾き張勲は笑う。
宮廷楽士ですら感嘆の息を漏らすであろうほどの技巧。その旋律を、軽やかに袁術の歌声が覆っていく。
劉弁はうっとりとその歌声に耳を傾けるのであった。

「ふぅ……」

袁術は楽曲を歌い終えて一つ息を漏らす。今上帝に聞かせるに相応しかったかどうかは自分では分からない。
が、全力は尽くしたと思う。
最後に歌ったのは『四面楚歌』。高祖たる劉邦の武勲を褒め称える楽曲。
それを軽やかに、それでいて虞美人を美しく表現してなお嫌味にならぬ袁術の歌唱力はいかなるものか。

「ねえ、どうして覇王たる項羽は負けたんだろうね」

いまだ頬を上気させる袁術に、いっそ平淡と言っていいような口ぶりで劉弁は問う。きっとそれは応えなんて求めていなかった。

「そうじゃのう。項羽は優秀じゃった。勇猛じゃった。じゃから、誰もいらなかったんじゃろう。
 自分でぜーんぶできるのじゃ。ならば他は足手まといじゃ。
 じゃから、一人で全てをしようとして、誰からも必要とされなくなったのじゃ」

その言葉に劉弁は笑う。たはは、と。

「だったら、少なくとも項羽のように四方を囲まれることはないかな。
 だって、僕は誰よりも皆に頼っているのだもの。
 ああ、そうだ。僕は項羽、覇王に遥かに及ばないけれど、かつての味方に四方を囲まれて君をどうしたらいいかと悩むことはないよ。
 それだけはないと言えるよ。きっとね」

「うむ?なに、例え四方囲まれようと袁家はきっと馳せ参じるのじゃ。
 それに、今宵は月が美しいと妾は思うのじゃ」

「うん?そうだね。あんなにも輝く月を見上げるのはいつぶりかなあ」

どこか噛み合わない、それでも根源にてお互いを認め合うそれを張勲はにこやかな顔のまま聞く。
……彼女の戦いは始まったばかりなのである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/10/31(木) 21:01:33.68 ID:ns2Qcrj60<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

一応「顔合わせ」もしくはなんだろうなあ「その時歴史が動いた」とか適当すぎるなこれ

オナシャス。
ほんと題名考えるの苦手。
いつも皆様の案見て踊ったりギリィしたりしてます。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/10/31(木) 23:42:04.02 ID:0pUyUGTFO<> 乙っしたー

美羽様いじらしいっすね

タイトル庵「無知の知」 <> 赤ペン<>sage saga<>2019/11/01(金) 17:23:48.58 ID:SaNupm4+0<> 乙でしたー
>>954
>>どことなく緊張した彼女の背にそ、と張勲が触れる。  間違いでは無いですが
○どことなく緊張した彼女の背に、そっと張勲が触れる。 の方が読みやすいかな
>>なのには主を引き立たせるためではない。  一応そういう意図もあるだろうし
○なのは主を引き立たせるためだけではない。 もしくは【なのには主を引き立たせるため以外にも理由がある。】接続詞としてはこっちも有りかな
>>良好な関係を内々にも築いておきたいところである。 これだと外には隠しておこうと言う感じがしますが今回の目当てってむしろ外部に知らしめるっぽいので
○良好な関係を前以て築いておきたいところである。  もしくは【先立って築いて】でどうでしょう《先立つ不孝》に良く使いますが他より先んじる、本来より早く、みたいな意味なので
>>皇帝ともあれば一人称は『朕』たるべき。 接続詞に違和感が
○皇帝ともなれば一人称は『朕』たるべき。 《皇帝になったのなら》ならこうで、《皇帝たるもの》なら【皇帝であれば】とかどうでしょう
>>
 無論、彼女がそうなのだ。周囲に至っては、である。

張勲ですらそうなのだ。辛うじて表情を取り繕ったのは王允くらいのもの。  張勲がそうなのは確かにレアだけど2回言うほど大事なことではないかな
控える女官文官は呆気にとられていて。

 無論、彼女がそうなのだ。周囲に至っては、である。

控える女官文官は呆気にとられていて。
辛うじて表情を取り繕ったのは王允くらいのもの。   文脈の繋がりとしてはこの方が座りが良いかな?これなら王允の凄さが伝わる

張勲ですらそうなのだ。辛うじて表情を取り繕ったのは王允くらいのもの。  或いは最初の一文をまるっと削ってみるのも有りかな?これなら空気の重さが伝わる
控える女官文官は呆気にとられていて。
>>955
>>それを一つ一つ頑張っているとこなのじゃ。  美羽様がのb…劉弁様に気安くなった描写ならアリか?でもちょっと早いかなとおとうs赤ペンは思う
○それを一つ一つ頑張っているところなのじゃ。 節度ある御付き合いと距離感ってあると思うなあ
>>三世において要職たる三公 四世三公でなかったっけ?と言うか今回の袁紹も含めれば五世三公?
○四世において要職たる三公 袁安→袁敞→袁湯→袁逢&袁隗→袁紹 でこのたび目出度く五世三公達成したけどまあ袁紹様はまだなり立てだからなあ

>>それに、今宵は月が美しいと妾は思うのじゃ」  おい次郎!夏目先生からパクリやがったな(決めつけ
昔から太陽は男を、月は女を象徴していました。そのため愛し合う男女(特に夫婦や婚約者)の間ではそれを自分たちに見立てた詩や歌や文が散見されます。
その中でも有名なものの一つが袁術が時の皇帝劉弁との婚約後の初顔合わせの折に睦言として交わしたとされる【今宵は月が美しいと、妾は思うのです】です
これは月を自分に見立て【今日のあなたとの出会いを自分はとても嬉しく思う】というのと同時に【このように月が美しく見えるなら明日の太陽(=あなた)も晴れやかにあるでしょう】と劉弁と自分が共にあることを宣誓した言葉でもあるわけです
それに対する劉弁の返しは【そうだね、あんなにも輝く月を見るのはいつ以来だろう】というものでこれは時期として黄巾党の躍動が鎮圧された頃であることから【今までは心を曇らせる事ばかりであったが、久しぶりに安らかに過ごせる】と言うもので、彼の朴念仁ぶりと言うか男女の機微に疎い所が窺えます
しかし同時に彼が婚約者との初顔合わせの場でそのように返したという事に劉弁皇帝の優しい人柄と実直さ……そして不器用さも感じさせるものです
劉弁皇帝は資料によると品性に悖る、赤子のように無知、人を導く覇気が感じられない、母の胎に皇帝としての資質を置き忘れた愚兄、などと揶揄されてますが
未だ成人前のいわばお飾りでしかなかった皇帝としては民を安んじ、民の嘆きに心を痛め、人に頼むことのできた劉弁は治世の世であればあるいは今に残る評価も変わっていたかもしれませんね 本文は某大学にて護・档案氏が教鞭をとった際に脱線した話をまとめ修正しました

はて?私は何を書いているんだろう…最初は>>どこか噛み合わない の部分に《月は綺麗ですね》かよぉってツッコミを入れるだけのつもりだったんだが <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/01(金) 21:19:43.40 ID:aDkGKnKA0<> >>957
どもです。

>美羽様いじらしいっすね
色々と覚悟完了されております。
なお。

>「無知の知」
ああ、これがあった。これやった。
まさにこれですね。なんか絡めてこれでいこうかな。ソクラテス!

>>958
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>はて?私は何を書いているんだろう…最初は>>どこか噛み合わない の部分に《月は綺麗ですね》かよぉってツッコミを入れるだけのつもりだったんだが
これまた素晴らしいやつですわw
設定資料集に掲載させてもらいまする。

どっちもそこまで考えてないだろうという解釈と、雅な解釈。
実に素敵です。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/01(金) 21:39:25.87 ID:7TpbJY8KO<> > ソクラテス
50代以上の人は哲学者を4人は言えるそうです
しかも順番は必ずソクラテス、プラトン、ニーチェ、サルトルの順番です
わかる人はおっさん確定です <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/01(金) 21:42:20.24 ID:aDkGKnKA0<> >>960
そ、そ、ソクラテスかプラトンか
みたいな歌は覚えが……
はっ!

おっさん認定して何をするのだ!
ヤメローヤメロー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/01(金) 21:44:12.96 ID:aDkGKnKA0<> 「ねえ、月。くれぐれも気を付けてね。大丈夫だとは思うけど、くれぐれも、ね」

賈駆は思う。そもそも送り出すべきではないのかもしれないと。
いや、董卓が迂闊な言動をするとも思いはしないのだが、ある意味敵地でもある清流派の首魁。劉協の呼び出しはこれが初めてではない。幾度もあったことである。
確かに劉協は英邁ではある。それは間違いないこと。だが董家はあくまで馬家、ひいては何進の閥である。あまり関わりたくないというのが賈駆の本音である。
無論、馬騰に全てを報告してはいるし、その報告についても馬騰は色々と評価はしてくれている。彼自身腹芸なぞできないからこそであろう。
ただ、あまりにもキナ臭い。間諜の真似事を主君にして親友の董卓にさせていることもそうだが、何より。
劉協からの使者たるこの女が気に食わない。

――李儒というこの女が気に食わない。

不気味な人物である。一体何が目的で動いているのかが、まるで見えないのだ。賈駆をして、である。
宦官勢力に近しいと思えば清流派にも名を連ねる。あれこれと暗躍しているという噂だが、その行動原理が見えない。見えないのだ。
智謀の士という世評に間違いはないであろう。だがそれは一体何を目指しているのか。それが見えない。
チリ、と胸を焦がす焦燥。ままよとばかりに賈駆は大上段に切り込む。

「何が目的よ」

にやり、と形容すべきであろう。李儒は間違いなく佳人である。だのに、なんとも品性を疑うような笑みを浮かべてこちらを見てくる。

「あら。漢朝の栄耀栄華に決まっているでしょう。
 とっても。とぉっっても賢い貴女にお尋ねするけどね。外戚の専横の善悪。英邁な人物が至尊にあることの善悪。
 いえ、一般論よ?さて。それで、どう思うのかしら?」

何が一般論かと思いながらも賈駆はぴくりとも表情を動かさない。

「――返答しないといけないのかしら?」

「いいえぇ。否、と言っておきましょう。それが既に返答ですよ。
まあ、当たり前の返答。そう。議論の余地なぞないわね」

哂いながら言い募る。だから清流派にいらっしゃい、と。
ねっとりとした湿度すら漂うその誘い。
賈駆は即座に応える。

「お断りよ。ボク達は武家。その責務は国土の守護。だから、まあ。そうね。
 こう言いましょう。お呼びじゃないわ、ってね」

「あら、随分な言い様ね。何がご不満なのかしら?」

気に食わない。目つきが気に食わない。こちらを見下すその目つきが気に食わない。
貼りつく笑顔が気に食わない。
垣間見える、下衆な品性が気に食わない。
なにか妬ましそうにこちらを見る目つきが気に食わない。吐き気すらもよおすほど。
嗚呼、そうだ。自分はこの女が気に食わないというより。生理的に受け付けないのだ。それを自覚する。自覚した。
賈駆はにまり、と笑う。
だったら遠慮なんてしなくていい。そうだ。喧嘩を高値で売りつけるのに長じている男がいたじゃないか。
高値で買い取る喧嘩上手がいたじゃないか。
彼ならばどうするかな、と思い、ほくそ笑む。いや。笑う。
くすり、と。

「何がおかしいのかしら?」

ああそうだ。余裕ぶっこいたこの麗人ヅラをひっぱたいてやろう。

「いえね、本当に前から思っていたのだけれどもね。
 流石に申し訳なくて今まで黙っていたことがあるのよ」

目線を下げ、賈駆は口を開く。にやり、と。

「貴女の口がとっても臭くって。
 ごめんなさいね。ほんと、正直何を言ってたかって。
実は覚えてないの。それどころじゃなくて、ね。
 そう、ほんとごめんなさいね?」

「――な!……!」

絶句した李儒を置き去りにして賈駆は室を辞する。
何一つ益のない会見ではあったが。

「ああ、すっきりした!」

あの顔!李儒の浮かべた顔はしっかりと脳髄に刻み込んでいる。なんとも愉快!
久々に安眠できそうだと賈駆の足取りは軽い。
だが、翌日より彼女の表情は険しくなってしまう。

◆◆

――董卓、還らず。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/01(金) 21:45:30.71 ID:aDkGKnKA0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

断章、ではないな
いよいよですな

題名募集しまくりんぐですよ本当に!
毎回これ言ってますけどほんとなんです


タイトル案「破滅の足音」 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/01(金) 22:12:56.68 ID:saPfXcpKo<> もう、泣く

終わりが始まっちゃった・・・ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/02(土) 01:05:04.95 ID:RxKOhH/5o<> 乙です
あぁ、とうとうここまで来てしまった…この先を思って胃薬を準備したくなるが、しかしそれも一ノ瀬氏の筆力による感情移入の成せる業


題案は
『黒雲はいつも青空の後に忍び寄る』
とか <> 赤ペン<>sage saga<>2019/11/02(土) 11:20:31.96 ID:cwQBuzS/0<> 乙でしたー
>>962
>>ただ、あまりにもキナ臭い。 言葉として結構近代らしいのよなあ…カタカナ語って訳でもないし気にしなくてもいいか?
○ただ、あまりにも胡散臭い。 もしくは【どうにも胡乱だ。】とか?でもどれにしても微妙に時期が…
>>目線を下げ、賈駆は口を開く。にやり、と。      口を開いたのかにやりと笑ってるのか
○目線を下げ、賈駆は口を開く。いっそ朗らかなほどに。 いわゆる目だけ笑ってない、みたいな感じで

立ち位置としてはグレーの…限りなくあっちよりの董卓を随分強引な手段で引き込んだな、いやまあそうでもしないとじり貧だけど
ただ何進、袁家、馬家、董家、曹家、孫家、劉家、公孫家…と考えるとどうなんだろパッと見中立の孫家、劉家、公孫家の方が(特に孫家は先代の死に袁家の影が見えるし劉家は劉璋はあっちよりだけど母親の現当主は同じ劉姓として話しやすいだろうに(何進の専横の事を軸にすれば劉協よりになってくれそうだし)…歴史の修正力か?
<> 青ペン<>sage<>2019/11/03(日) 01:41:42.84 ID:VoM0o+D5o<> >>962
乙だよー

嫌な展開ながら
【月は出ているか】 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 21:21:16.22 ID:ksPXZJ0A0<> >>964
どもです。

>終わりが始まっちゃった・・・
まだまだですぞ

>>965
どもです。

>あぁ、とうとうここまで来てしまった…この先を思って胃薬を準備したくなるが、しかしそれも一ノ瀬氏の筆力による感情移入の成せる業
業が深いというやつですね
どんどこいきます

>『黒雲はいつも青空の後に忍び寄る』
おおう、いいです。
不穏でいいよね……

>>966
赤ペン先生いつもありがとうございますー!

>立ち位置としてはグレーの…限りなくあっちよりの董卓を随分強引な手段で引き込んだな、いやまあそうでもしないとじり貧だけど
ここは動かないと負け確定ですからねえ。

>ただ何進、袁家、馬家、董家、曹家、孫家、劉家、公孫家…と考えるとどうなんだろ
ほむ?

>パッと見中立の孫家、劉家、公孫家の方が(特に孫家は先代の死に袁家の影が見えるし劉家は劉璋はあっちよりだけど母親の現当主は同じ劉姓として話しやすいだろうに(何進の専横の事を軸にすれば劉協よりになってくれそうだし)…歴史の修正力か?
ほむほむ。
ぶっちゃけ劉協と組んでくれそうなとこって、劉焉くらいでしょう。
そして劉協からしたら地方軍閥で独立しそうな劉焉は潜在的な敵ですらありますし
うん、理想に実力(能力じゃなくて権力、影響力)が追いついてないから博打うつしかなかったんかな、と

>>967
どもです。
>【月は出ているか】
サテライトキャノンを撃てればよかったのに! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:06:00.88 ID:ksPXZJ0A0<> 情事の後の気怠い空気。
何進は酒壺から酒杯に酒を注ぎ、ぐびりと飲み干す。
熱い塊が喉を焼くのが心地いい。
袁家より贈られたそれは火酒というそうだ。なんとも言い得て妙である、などと埒もないことを思う。

「呑むか?」

未だ余韻に浸っている華雄に問うと否と応える。
強い酒を呑むつもりはない、との応(いら)え。

「お前さんも真面目だねえ」

苦笑し、灼熱の喉越しを味わう。

「……随分上機嫌なようで。
実に珍しい」

贅肉の欠片もない、鍛え抜かれた裸身を晒しながら華雄が問うでもなく呟く。

「は、そうか。そう見えるかよ。まあ、そうかもしらんな」

カカ、と声を上げて何進は笑う。ぐびり、と響こうほどの飲みっぷり。

「以前の貴方はそういう風に声を上げて笑うことなど滅多になかった。
言ってみれば、もっと殺伐としていた」

近寄りがたく、殺伐としていたというのが実態。それからすれば随分丸くなったものだなと華雄は思う。

「そうか。そうかい」

そうかもしれないと何進は思う。
昔のように触れるものを全て切り裂くような、壊してしまいようなあの衝動。あの苛立ち。そういうものはとんとなくなってしまった。
そして思い定めたところは手に届くところまで来ている。はずだ。

「……むかついたのさ」

何進の独白。

「ああ、そうだ。
生まれが士大夫やら皇族やら。実にご立派なことさ。
それで奴らは頭が足りないのさ。その日の買い物の支払いにすら文句をつける。
 自分が購った代金すら頷かず、そしてそれが通る。通っていたのさ。
 それが政治的手腕ならいいさ。だが、単なる餓鬼の駄々以下というのはな、正直むかついたものさ。
そしてそんなのばっかりでな、嫌気がきた」

だから、と何進は吐き捨てる。
そしてぐびり、と幾度目か杯を干す。

「気づけば大将軍さ。
別にな。
真っ当に商売できりゃあ、それでよかったんだがなあ」

それからは暗闘の日々だ。まあ、幾度刺客に襲われたことか。傍らに華雄が来るまではそれこそ日常茶飯事。
抱いた女が刺してくるなぞありふれていて。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:06:30.14 ID:ksPXZJ0A0<> まあ、それも今となってはいい思い出。
なに、これから渡り合うは袁家と曹家。
どちらも俊英を抱えて迫ってくる。なんとも心地よいことよ。
そうだ。これからの政争。勝とうが負けようが何進の根源たる思いは果たされるのだ。

無論、唯々諾々と譲るつもりはこれっぽっちもない。
真正面から応じるさ、と笑う。
むしろ挑んで来いと笑う。

「追いかけてもな、届きっこないと思っていたのさ。
そうでもない。ああ、そうでもないようさ。
 蜃気楼を。虹の根元のお宝を。掴むのはただの人間さなぁ……」

栄耀栄華極めている何進だからこその言葉の重み。
それでも問いたいことがあると華雄は口を開こうとするのだが。

裸身そのままに扉の脇に寄りて身体を瞬時に練り上げる。
闖入しようとする存在を認識して得物を掴み、構える。
例え刺客が十人でも討ち取れると確信しながら弛緩していた筋肉を引き締めていく。静かな闘気は高まり、牙を研ぐ。

「王允です。至急のお知らせが」

張りつめていた空気が僅かに弛緩する。

細く開かれた扉には確かに王允。護衛が抱き込まれたということもないようである。
華雄は闘気を緩めて目線で何進に問う。如何、と。

「フン、とりあえず。そこで用件を言えばいいさ」
「それでよろしいのですか」

非常の時である。それでもいいのかという問いに何進は眉一つ動かさずに重ねる。

「そこで言え。できないなら帰ればよかろうよ」

震え声。それは屈辱故か。それでも王允は口に昇らせる。

「皇太后様が、大至急にとお呼びです……」

ギロリ、と何進は王允を睨みつける。
それでも王允は揺るがない。
だとすれば本当に緊急事態なのであろう。これまで妹が自分を呼びつけることなぞなかったのだから。
ならば是非もなし。

「お気をつけて」

華雄の声にフンと一瞥で答えて身づくろいを最低限に整える。
ただし腰には七星刀。漢朝伝家の宝刀である。
宮中にて佩刀できるのは大将軍である何進のみである。

◆◆◆ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:06:56.67 ID:ksPXZJ0A0<> またぞろ蒙昧どもが厄介ごとを起こしたのかと思いつつ何進は馬車に乗り込む。
執金吾に呂布を宛てたが、目立った効果はない。順当に董卓、もしくは賈駆に与えるべき地位であったかと思いながら思索にふける。

――風切り音一つ。僅かな身じろぎ一つで躱して続く矢を二本の指で掴みとる。

「ハ、舐められたものだ――」

後宮に於いて佩刀できるのは大将軍たる何進のみ。そして腰にあるは七星刀。
馬車から飛び出し、抜く手も見せず射手を切り捨てる。その運足は神速。

「いいぜ、遊んでやるよ」

刺客に囲まれ尚、何進は不敵に笑った。
そして七星刀を無造作に構える。

「クハ、多少は腕に覚えがあるようだがな!」

潜(くぐ)った修羅場の数が違うとばかりに何進は刺客を次々と切り捨てていく。
十数人ほどいた刺客は最早数えるばかり。ニヤリと凄絶な笑みを浮かべながらたじろぐ刺客に自ら歩み寄る。
血に酔ったような表情を浮かべながらも内心は氷のように冷たく澄んでいる。

(――フン、刺客は全員が宦官。となれば首謀者は曹操か?いや、それにしてはお粗末そのもの。
 彼奴が首謀者ならば夏候惇を全面に押し出して夏侯淵の狙撃という必殺を繰り出さないわけはない。
 とすればこれは欺瞞工作か。しかしこれだけとすればいかにも浅薄。奥の手こそが本命か。
 まあいい。なんにせよ目の前のこいつらを始末すりゃあ――)

殺気を新たに手にした七星刀を無造作に振るう。やれやれとばかりに最後の数人に向き合い、歩を進める。
なんだ、浅薄な暴走か。

そう、気を緩めた一瞬。

閃光が落ちた。

「ぐ!」

楼台より落ちた閃光は何進の脳天を割ろういう鋭さ。
それを咄嗟に受けた何進こそ流石と言っていいだろう。

だが、その代償は大きく。

からん、とあっけないほどに軽い音を立てて転がる七星刀。そして、利き腕より吹き出る鮮血。

返り血を浴びてその闖入者はなお無言。
夜目にも鮮やかな赤毛。浅黒く焼けた肌。刻まれる刺青。肩に担ぐは奉天画戟。
彼女こそは三万の黄巾を独りで退けた中華最強。万夫不当。

「呂布、かよ……!」

無表情に、無感動に。無言で佇む呂布は無造作に歩を進める。

「く!」

咄嗟に後退する何進。奉天画戟の間合いを外すべく飛び退く。

「逃がさ……ない」

必殺。振るう奉天画戟はあっけなく何進の胴を割る。それは間違いなく致命的な一撃。
ごぼり、と口から赤い塊を吐き出して何進はむしろ憐れむような視線を呂布に向ける。

「馬鹿……めら、が、よ……」

漢朝を間違いなく支配していた希代の英傑の、それが最期の言葉。

それを呂布は無感動に見下ろすのであった。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:08:27.94 ID:ksPXZJ0A0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

一ノ瀬案
「そして時は動き出す」
「破綻のはじまり」
「大将軍」


どれも今ひとつなので、よろしくお願いします。
まじでオナシャス。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/05(火) 22:08:35.50 ID:AJbfTQxSo<> うわあああああああああああ!うそだ!!!何進さあああああああん!!!! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:10:49.00 ID:ksPXZJ0A0<> >>973
はえーよ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:11:36.49 ID:ksPXZJ0A0<> ホセが抜けていた <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:15:01.10 ID:ksPXZJ0A0<> >>973
惜しんでくれてありがとうございますー!
正直、この作品のいわば象徴みたいな人でしたので。
ありがとうございますー!

よかったらもっと語ってってくだしあー <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/05(火) 22:40:23.93 ID:ksPXZJ0A0<>         | / ィ/  /  / ∨ イ:|  | ト、 | ヽ  ∨  |
        ∨. //    ' !l /´    !|: ,ハ!| Y.  V  | ̄ ̄ ̄¨ヽ
        /乂 〃    |.l |! |    |イ::.ム仕≧!|  ∨ |       \
      , ィ´/¨7' i  | |::|:l !|:匕   //::/ィ'チ无勹 | | | \    /
     / .l.,'  ,'.| | ::! !::!从弍≧、/ レ' 弋::::::リ リ .,' | |ハ     /
     \ .|l  ! | | ::::いレ/「::::└!       `辷, イ / :: | |∧   i        本日ここまで、とのことじゃ
      \|  |ハ | ::::いト、弋‐リ_       ノイ:::: | | W  |
        W Vハ! | ハ \ ''"´   ′  '´´ l::::. | ト、| l\ l        今後もよろしく、の?
         ヽク  ハ  ヽ >-     rヽ    ノ:::.  |   い! `┘
         /  /ハ   :::> 、     ┘  イ/:::.  :|   ヽヽ
        / _/:::::::::::\   ::::.≧ー ‐「 W7 レ::::.  ハ   \\
  _,, -iイ>'"..::::::::::::::::::::::≧: 、 .:::::マ‐┤ |ノ_!:::.   /:: ハ:..   ヽ > 、
./ , イ /  ..::::::::::::::::://    \ .:::} _| 「  ` く / ̄`ヽ:::::..   \:::::...> 、_
 / //  .:::::::::::::::::::::l ̄ ̄ ̄|⌒ヽ', .::「J      )     V::::::::... >、:::::::::..`>-
/ / /  .:::::::::::::::::/ ̄\   |  い .:|∧      |ニ, -‐ァ⌒):::::::::::::....:::\::::::::::::::..
.. / /  .::::::::::>' ̄`>_」―‐-、   い :| _>――-、j ! レ´ /  / 〉-┐:::::::::::::::\:::::::::::
:/ /  ..:::::::::└‐ '"´ノ |    \  !厂       \| /  /  | :::::::::::::::::::\::::::: <> 青ペン<>sage<>2019/11/06(水) 01:07:32.43 ID:EZ3X0NMho<> >>971
乙なんだよー
【鮮血の奉天画戟】かねぇ…
<> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/06(水) 09:04:21.76 ID:H7JA5J7FO<> 乙したー
虎牢関待ったなし!!! <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/06(水) 21:49:40.15 ID:pnt7K/Jj0<> >>978
どもです。

>【鮮血の奉天画戟】かねぇ…
鮮血は素敵ですね。
鮮血の巨星乙じゃねえ堕つとかかなあ

>>979
どもです。

こら、ネタバレは駄目って言ったでしょ!
なお第一話w <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/07(木) 22:23:29.39 ID:KTyQt1Jw0<> やったぜ(拳闘) <> 一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/08(金) 21:32:02.14 ID:AvRe8lYF0<> 「……む」

どうやらつけられている。それも少数ではない。
まあ、それはよい。不埒な輩の心底は身体に聞けばよかろう。まあ、これから面会する賈駆には少しばかり退屈させるやもしれんが。
刹那の逡巡すらなく馬騰は歩を人気のない方に進める。なに、戦場から舞い戻ってみれば再び鬱屈する日々だ。いささか溜まった鬱憤を不埒者で晴らしたとて、誰が責めるものか――。

月明かりが青く照らし出す中庭で馬騰は不敵に笑う。なるほど、中々に歯ごたえのありそうな相手だ。

「――こそこそとせずに出てくるがよかろうよ。
それとも、まさかとは思うが。
ことここに至って怖じ気づいたかな?」

ニィ、と口を歪めて煽る。誘う。
いつしか辺りを囲む気配は百を越えたろうか。多勢に無勢。だがそれがいい。昂ぶる血潮に自然とまた頬が緩むというものだ。

ざ、と無造作に歩を進めた人物を見て馬騰はその顔を引き締める。

「霞、か……」

愛用の飛龍偃月刀を肩に担ぎ、張遼はいつになく苦虫を噛み潰したような顔で口を開く。

「馬騰はん。
ほんますんまへんけど。
腰の物を預けてもろて、一緒に来てくれへんやろか」

す、と上げた手を合図にがしゃ、と音を立てて完全武装の兵達が取り囲む。

「ほう、なかなか立派な口を叩くようになったではないか。
いや、ぴいぴい泣いていた小娘が立派になったものだ」

「……馬騰はんはうちらの恩人やさかい、手荒なことはしたない。やから、腰の物を預けたってほしいねん」

「はは、これはしたり。恩人に対する態度ではないな。そちらこそ控えるがよかろう?」

濃密な殺気を爆発的に放って馬騰は場を支配する。
これが馬騰。半生をほぼ単身で涼州の防衛に捧げ、果たしてきた英傑の持つ凄味。
味方であった時には頼もしく感じたそれにさしもの張遼が一歩後ずさる。

「霞よ。答えよ。いかなる所存か」

むしろその声色は優しく響く。娘を気遣う父親のそれですらある。

「しゃ、しゃあないねん!月が!帰ってけえへんねん!李儒のクソアマが!
やから!うちらは!
 あのクソアマが!それでも……!それでも月のためにはしゃあないねん……!」

いっそ泣きそうな顔の張遼に馬騰はフム、と頷く。

「とすれば詠の差配か」

「せ、せや。やからな?不自由はさせまへんから。
やから、うちと一緒に、な?」

むしろ哀願するような張遼に馬騰は苦笑する。

「それはできん。できんのだ」

そう言ってすらり、と腰に差していた剣を抜き放つ。
その言葉には哀しみすら込められていた。

「な、なんでや!うちかて馬騰はんをどうこうしたいわけやない。
 むしろ、月を救うために手を貸してほしいんや。
なあ、お願いや……」

張遼のその哀願に悲しげに馬騰は頭を振る。

「霞よ、既に私は一度天に仇なした身よ。
それを何進の……義兄弟の差配によってこうしてここにいる。
 だからな」

もう、天に叛くことはできんよ。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/08(金) 21:32:33.46 ID:AvRe8lYF0<> 「そ、そんなん!」

言い募ろうとする張遼を静かに制する。

「それに、霞がここにいるということは。そういうことだろう?
 ああ、こう聞こうか」

 ――恋はどこにいる?

その問いにびくり、と張遼は身を震わせる。

「少し考えれば分かる。まあ、恋に説得工作なぞできぬであろうからな。
 まあ、なんだ。義兄弟というものは、同じ日に死すべきものさ。
 分かるかな?まあ、分からんかもしれんな。だが、男とはそういうものだ。
 さて、一つ伝言を頼もうか」

再び膨れ上がる馬騰の気迫。今度は張遼も一歩も引かずに渡り合う。
それをにこり、見守って馬騰は剣を振りかぶる。

「霞よ、預けたぞ。我が遺言!
 翠よ、万里を駆けよ!
 
 済まんな、霞よ、この身が愛娘の重しになるなぞ、耐え難い!そして!
 
 武人たるもの最期はこうあるべし!」

さらばだ!

その声を最期に馬騰は剣を自らの首に振るい、それを落とす。

「な……。何してはんねん!馬騰はん!大将!あ、あほぉぉ――!」

ごろり、と落ちたそれを掻き抱いて張遼は慟哭する。
けして、けして彼女が望んだのはこんなことじゃなかったのに。

物言わぬ亡骸を掻き抱いて、張遼は胸も張り裂けよとばかりに慟哭するのであった。

◆◆◆ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/08(金) 21:33:00.42 ID:AvRe8lYF0<> 「ふふふ、すっかり袋の鼠というやつなのですぞ……」

ニヤリ、とほくそ笑んで陳宮は屋敷を見る。
この屋敷の主は朱儁。禁軍を率いる朱儁その人である。
洛陽における最大戦力は間違いなく禁軍。黄巾に一敗地にまみれたとはいえ、その武威は無視できるものではない。
だからこそ利用価値がある。

「軍権はこちらにあるのですぞ!朱儁よ!抵抗は無意味。大人しく降るがよかろうなのですぞ!」

いささか以上に誇張しながら陳宮は投降を呼びかける。
朱儁はそれほど権勢に興味はなく、自らの、指揮官たる地位こそが最重要なのであろうというのが賈駆と陳宮の推察であった。
なればこそ失態あり、名誉を損ねてなお地位に拘ったのであろうと。

だが、そこには悲しい齟齬があった。

「は、ははははは!素晴らしい、素晴らしいぞ!」

屋敷を囲む董家軍を目に朱儁は笑う。楽しげに笑う。そして感慨深げに呟く。

「なんだ、あの童女(わらわめ)、やればできるのじゃあないか」

にま、と笑い、家人が止めるのも聞かず楼台に身を晒す。
それはもう、にこやかに、楽しげに口を開く。

「ああ、素晴らしい。素晴らしいぞ。こんなにも貴様らに気概があると見抜けなかったのはわが身の失態よ。
 深く詫びよう。いかにも、詫びよう」

ならば、と陳宮が声を放つ前に朱儁は高らかに宣言する。

「よろしい、ならば戦争だ。
 殺したり、殺されたりしよう。死んだり死なせたりしよう。
 戦場楽曲を奏でよう。素晴らしい。
 実に素敵だ。全部、台無しだ」

そして屋敷に火の手が上がる。

「折角最後の戦場だ。精々煉獄を楽しむとしよう。いや、無論逃げてもいいのだよ?
 その場合は、洛陽そのものを煉獄としてくれようよ。
いやいや、自制しなくていいというのは実に愉快だ。ああ、愉快だとも。
 さあ、存分に殺し合おうじゃあないか」

朱儁、凄絶に斬り死に。
最期の一人まで降伏せず。

◆◆◆ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/08(金) 21:33:26.74 ID:AvRe8lYF0<> 「季衣、いいわね。
任せたわよ」

「はい華琳様!
お任せください!」

小さな五体に気合いを込めて許?は主の命に頷く。
脱兎の如く駆け出したその様を満足げに見守り、す、と手を挙げる。

「春蘭」

「はい!」

「秋蘭」

「ここに」

「桂花」

「なんなりと」

股肱と頼む臣に艶やかに笑いかける。三者ともにうっとりと敬愛する主の目線を全身で味わう。

「洛陽は血に塗れるわ。いえ、それは幾度も繰り返されたこと。それ自体はよくあることよ。
 でも、その事象は漢朝を揺るがすわ。止めることもできたかもしれない。でも私はこれを機に飛躍する道を選ぶ。
 不服あるならばこの場で述べなさい」

いっそ不遜とも傲岸とも言える口調で曹操は配下を見下ろす。

「華琳様のご決定、ご意志!臣たるこの身、異論なぞございません!」

裂帛の気合いをもって夏候惇が声を振り絞る。何条以って主の決定に異を唱えようか。
その声に夏侯淵も、荀ケもが頷く。

「よろしい。では次なる舞台に身を移しましょう。もう、この洛陽には用はないわ。
 そして、次に訪れる時は、凱旋の時でしょうね」

くすり、と笑う曹操。三者がうっとりと眺める。そして、す、と向けられた目線を受けてそれぞれがその場を去る。
そう、いつまでもここにぐずぐずとしてはいられないのだ。それが分からぬ者に曹操の側近は務まらない。

そして、残された曹操は艶やかに笑う。独白する。

「ふふ、ちょっと薬が効きすぎたかしら、ね」

それとなく振りまいた何進と袁家の同盟による脅威。どうにも好評だったようで予想外の勢いで広まった。広まってしまった。まあ、それはいい。
だが、こうもあっさりと軽挙妄動するとは、というのが曹操の感想である。

――今回の暴挙を曹操が事前に察知していたのには無論理由がある。後宮内での暗殺をするとなれば宦官の協力は必須。
なれば宦官勢力を手中に収めつつあった曹操が察知できぬはずはない。
いや。今回に限れば、未だ曹操の息のかからぬ宦官のみを選別した手腕を誉めてもいいだろう。だが、それで隠し通せるなどと思うなぞ、甘く見られたものだ。
いや、そうではない。知られたら知られたでよかったのであろう。

「確かに、何進は目の上の瘤……だったもの」

瘤どころではない。宮中を支配するその政治力には流石の曹操も十年単位での政争、暗闘を覚悟したほどだ。それが除かれるというのであれば否やはない。だが。

「舐められたものね……」

刺客の主力が宦官となれば主犯は誰であれ、曹操の関与は疑われてしかるべき。いや、実行犯と思われても不思議はない。
そしてこの絵図を描いた人物はそうやってこの自分を取り込もうとしたのであろう。
実にいい手である。何進を除き、袁家と自分を抱き込む。
言ってみれば何進その人が占めていた座に董卓を据えるというだけ。これでは董卓の、或いはその後ろにいる人物の思うがまま。そしてそれが曹操には気にくわない。実に気にくわない。
碁石のように、路傍の石のようにひょいと立ち位置を決められるなぞ、看過できるものではない。
そのようなものを甘受するほど曹操は人間ができていない。

「ええ、賈駆。貴女は凄いわ。打つその手、機を見るに敏。配下に欲しいくらいよ。でもね」

この私の意思を無視した報いは、大きいわよ。

曹操の一手。それが賈駆の思惑を大きく狂わせていくことになるのである。 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/08(金) 21:34:57.41 ID:AvRe8lYF0<> 本日ここまですー感想とかくだしあー

題名募集しまくりんぐですよ本当に!

仮案はなんだろ

「終わりの始まり、始まりの終わり」

これもなんだかなあ
昭和臭がそこはかとなくあって、オシャレなやつ。
オナシャス。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/09(土) 10:46:55.01 ID:rGn1akFyo<> 乙したー
石が坂を転がり始めた・・・!!

タイトル案は「朋の為に、悦楽の為に」でー <> 赤ペン<>sage saga<>2019/11/11(月) 17:04:40.73 ID:cid2VOvL0<> お久しぶりです
>>968
>>そして劉協からしたら地方軍閥で独立しそうな劉焉は潜在的な敵ですらありますし
うん、理想に実力(能力じゃなくて権力、影響力)が追いついてないから博打うつしかなかったんかな、と
うん、だから史実&原作では袁家と敵対してたしここでもパッと見は対袁家で手を組めそうな孫家と公孫家に目もくれずに董家(何進と仲のいい馬騰さんの部下)に強硬手段まで使ったなりふり構わないっぷりに違和感があるんですよ…こう言っちゃなんだけどそう(董卓を人質)する前にイロイロとできることはあっただろうし、そうするくらいなら袁紹とか狙ったほうが効果的だったろうに、と
そりゃまあ袁家には裏の護衛とかいるけど、逆になんで董卓には護衛がいないと思ったのか(まあそれが正解なんですけど)

>>969
>>昔のように触れるものを全て切り裂くような、壊してしまいようなあの衝動。 はてどっちだろう
○昔のように触れるものを全て切り裂くような、壊してしまうようなあの衝動。 もしくは【壊してしまいそうな】ですね。衝動を自覚してるならこっちの方がいいかな?
>>971
>>楼台より落ちた閃光は何進の脳天を割ろういう鋭さ。   その野生の勘で董卓を護れよ『人類最強』
○楼台より落ちた閃光は何進の脳天を割ろうという鋭さ。  もしくは【割ろうといわんばかりの鋭さ】、【割ろうとせんばかりの鋭さ】とかの方がいいかな?

呂布は無感動と言うかこうすることで何がどうなるのか考える頭が無いと言うか…頑として「董卓の直接の命令以外聞く気はない」とか言えばまだよかったのに下手に考えちゃうから <> 赤ペン<>sage saga<>2019/11/11(月) 17:32:27.99 ID:cid2VOvL0<> さて続きを
>>983
>>それをにこり、見守って馬騰は剣を振りかぶる。 間違いでは無いけど
○それに微笑を浮かべ、馬騰は剣を振りかぶる。 形はどうあれ自分を超える娘に向ける感じ?或いは【それを見て、僅かに口の端を上げた馬騰は】自分の気迫にも怯まないことに喜んだって言うならこうか?
>>ごろり、と落ちたそれを掻き抱いて張遼は慟哭する。      この後でほぼ同じ分があるのでちょっと変えてみるテスト
○ごろり、と落ちたそれに張遼は思わず武器を放りだし駆け寄る。  そもそも何進はまあ信用できないのも分かるけど馬騰さんには先に相談すべきだったよね(なおどうにかなるとは言っていない)、上手くやれば八百長して目がそっち向いてるうちに別働隊とか一発逆転の目もあったろうに
>>984
>>この屋敷の主は朱儁。禁軍を率いる朱儁その人である。   間違いでは無いですが名前を2度言うのはちょっともったいない
○この屋敷の主は朱儁。禁軍を率いる戦狂いその人である。  共通認識かは知らんけど一緒に戦ったことのある人なら彼の事はこう呼びそうかな

ちょっと待って、続きはまた後で <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/11(月) 21:44:17.14 ID:cid2VOvL0<> えーさてさて
>>984
>>黄巾に一敗地にまみれたとはいえ、その武威は無視できるものではない。 【一敗地にまみれた】=再起できないほど大敗する。なので
○黄巾に一度は敗れたとはいえ、その武威は無視できるものではない。        《無視できない武威》というならこのくらいの方が良いと思います
>>こんなにも貴様らに気概があると見抜けなかったのはわが身の失態よ。 間違いではないです
○こんなにも貴様らに気概があると見抜けなかったのはわが身の不徳よ。 彼の価値観としてはこのくらいは言いそう
>>深く詫びよう。いかにも、詫びよう」 【いかにも、詫びよう】だと文章として違和感が
○深く詫びよう。いかにも。詫びよう」 の方が良いと思います
>>985
>>脱兎の如く駆け出したその様を満足げに見守り、す、と手を挙げる。 間違いではないです
○猛然と駆け出したその様を満足げに見守り、す、と手を挙げる。    ただ何となく【脱兎】だと逃げだすイメージが付くので
>>そう、いつまでもここにぐずぐずとしてはいられないのだ。 接続詞に違和感が
○そう、いつまでもここでぐずぐずとしてはいられないのだ。 でどうでしょう
>>そのようなものを甘受するほど曹操は人間ができていない。 この場合は嘲りが言葉に混ざってそうかな
○そのようなものを甘受するほど曹操は出来た人間ではない。 もしくは【曹操は博愛精神も持ち合わせていなければ自己犠牲を良しともしない。】の方が良いと思います

幾度もの劉協の呼び出しに護衛を付けなかったのがなあ…董卓<馬騰<何進<劉弁で潜在的(顕在的)敵なんだから
堂々と呂布を横において良かったのに…それで拗れてもより劉弁派閥に傾倒するだけで済んだだろうに <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/15(金) 20:52:51.18 ID:V4qJYoLE0<> >>987
感想ありがとうございますー

>石が坂を転がり始めた・・・!!
ローリング・ストーンズですよ!

>タイトル案は「朋の為に、悦楽の為に」でー
ほむ
これ、割と深いですねありがとうございますー!

>>988
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
そろそろ次スレのl季節ですね

>呂布は無感動と言うかこうすることで何がどうなるのか考える頭が無いと言うか…
>頑として「董卓の直接の命令以外聞く気はない」とか言えばまだよかったのに下手に考えちゃうから
詠ちゃんとの信頼関係、それが裏目に出たのかもしれませんね

>>989
>幾度もの劉協の呼び出しに護衛を付けなかったのがなあ…董卓<馬騰<何進<劉弁で潜在的(顕在的)敵なんだから
>堂々と呂布を横において良かったのに…それで拗れてもより劉弁派閥に傾倒するだけで済んだだろうに
そりゃまあ、刺青万歳な娘さんをお上品なとこには連れて行けないですよ。
これまでは単身でも無事でしたしね
と考えると李儒の策略はすごいな

次スレやるかな <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/15(金) 20:59:24.85 ID:V4qJYoLE0<> 次スレなんやなって

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1573818977/ <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/16(土) 14:46:53.54 ID:1bLC/zqEo<> ヒャッハー!!新鮮なスレ建てだああああ!! <> 赤ペン<>sage saga<>2019/11/18(月) 18:32:00.50 ID:ib875aHT0<> 冷戦状態の893の事務所に幹部のお嬢様が一人で来るとかどう見てもカモネギなんだよなあ
>>刺青万歳な娘さんをお上品なとこには連れて行けないですよ。
>>971>>執金吾に呂布を宛てたが
文句は言えない(それとなく促すことは出来るけど)の呂布護衛をしないとか…ねえ
と言うか策略も何も単身で武力の無い重要人物送り出してる時点で賈駆が無能っすわ <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/18(月) 21:16:03.43 ID:MAElKcUL0<> >>994
>執金吾に呂布を宛てたが
絶対仕事してないしさせてないでしょうねえw

>と言うか策略も何も単身で武力の無い重要人物送り出してる時点で賈駆が無能っすわ
これには反論できないですね
割と慢心というか安心しきってたんでしょうね
岳父的な馬騰さんと、何進の作り出した安定にあぐらをかいていたのかもしれません

結果論ではありますが、平和ボケをしてたのかなって <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/18(月) 21:21:00.24 ID:MAElKcUL0<> 董卓(月)

                     ィ≦ニ}三}三}三}≧、.._
                   ≦三}三}三}三}三}三}三l
                  〈ニ/ ヽ三lニ|=='`={三l三!
                 , <¨>‐>イ´ィ'"⌒ヾ`二ヽ"_>
               <__... -≠' '--イ ヾ ヽ  ¨':, ヽ:. ()
               ()  ,:/  ,:  /<"_´(``¨)ヽ `、 ': l
                l .: {  ,:  /j   ` o '"´ ヽ\ノ.':,
               〈〉:' ':  (.! { l ' ´ ̄  ´¨`゙ }  {\ :,
                :  j ヽ{ l ィxャュ´   rャュ -..._ { _ヽ:.,
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            .:     . :'"三 <::::::::::::ヽ::::::}:::::::::::::≧ 、ン }  :,
           .:  ,: イ !..ィ:´::::::::::::::::::::::/l―{ト::、::::::::::::::::7ノヽ  ;
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          ;     ヽ:    ヽ::::::::::/::::::{::_:::-'}(  >ヽ:::Y    ':,:
          ;     ,..:'、 .._  ヽ::::::/ヽ::::l   ( - .ノ{ ヽ:!    .:
         :    .,:' (r   )   V ( ヾ   } ) ノ三!  :    .,:
        ,:    ,:' ` 、,:ノ   ノ人  (  ':  } /三ニj  :  .,:'
        .,:   .,.:'   ノ `丁三三三三≧、(!  !/三ニニ!l ≧、,:'
       .,:  .,.:'   /  ノ .!三ヘ三三三ニニヽト j!三三ニl.! )⌒ヽ
       .: .,.:'   r'    )j三三V三三三三> j―、三=!.j ( ―ヽ
      ,: ,.:'   Y    ) .!三ニニヘ三三三'/ ヽ. ヽ':三j三! ( }-'.)
      ,:/     { ( ) ノ .l三三三ヘ:ニニ/ ハ、 ミ'/ /ハ}ニ!三j、.._ ノ.;
     ./'     ( {、 _..ノ .l三三三ニヘ_///_`-l/∠イヽ}!三ニl } )ソ
    /       {ヽ (、   l三三三三ニV三三l'". ': !三三ニニ:,ノ.ノ
    ,:        ヾ ( ヽ l!三三三三三三三 j!  ':j三三三ニノ
    {          ヽン j.l三三三三三三三 !ハ  ':三三三ニ
    ':         .! `¨l l三三三三三三三!l/ハ  l三三三ニ
     ヽ        l   l .l三三三三三三三!//ハ  l三三三三
       <     l   l .l三三三三三三jニ!///ハ l.l三三三三 <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/18(月) 21:23:08.74 ID:MAElKcUL0<> 詠ちゃん(かわいい)
       , <::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ト.\、
   ,. <::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{\ヽヽ、
  .,ィ::::::::::::::::::::::::::::::,r==<:::::::::::::::::::::::::::::八 .\i:::::>、
.r:::::::::::::::::::::::::/ ̄:.|:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ̄:.:.`.<::::::::( ̄`ノ
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. V:::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.||:.:.:|:ハ:.:.|i:.:.:|i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ./\   ハ
 レ:..:.:.:.:.:.;/:.:.:..:/>-… ̄V:.|:.:.:|i:.:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.ハ  ヾ  リ
/:.:.:.:/:.:.:.:/:.:/:./        ...|.:|、:|:.:i:∧:.:∧\:.:.:.:.::ハ  リノノノ
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:.| Vi V:.:.:ト、:..|ゝ\::::ら) )= ゝー・ ´ |:.|リ:.:.:.:リ:.:.:/  月がうっかりしてたみたいね
ゞ、Vi/V.::.:ト ゞ、 ゞ ´ノ        .|リ|レ:.:.リ:.:.:/
 ヽ /V N/|{:.:.:.`>¨¨    `_  '   ノ/ {,イ:.:.:}::.{   次スレはこっちよ
   {/{:.:| |:{:.:.:.:.:.:.ノ>o。     _。< リ/{:.:.:.:.:}八
   { {:.| {:{:.:.:.:./:./:.:.:.:.:.:/>r三ri i ̄{:{入:>`- ハ     ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1573818977/
   { レ  ゝ:.:V:.:/:.:.:.:.:/:.ノ:::>、 | |i  ゞ`|::::::::::::r:三ニヽ、
   {    |:::ヽ;::{:.:..:/,イ:.> ´⊂○⊃ ノ.|::::::::::::::::::::::::::::ハ
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◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/18(月) 21:25:49.12 ID:MAElKcUL0<> 華雄
                / ̄¨<「 ̄`丶        `ヽ
.             /     .|        `'' ‐- 、  \
            ,´/     |             い 、_ \
.           //       .l    ..!   \    |   >┐
          /イ     /    !    :::|     ヽ   !     |
          〃!   .:|  .:| .ハ    ::|:. |,...   ∨ |    |
         ,'/ | |   !  l ハ:ハ    .!Yヽト、  ∨ |     l
         l| | |  .ハ チ十‐-廴  | ヽL.廴辷::」V|     l
           l !  | l マT≠rミト、 .|  Xz≧ニこV    .〃
.           Y  |!ヽト! 弋込i ヽ\!  ´b込リ 》′   イ  いや、現状。割と立場がないのだが
             \! | "¨¨´      ``"´ '/    /リ
               !| \ハ       ′        /    / !
               !|    ヽ     , 、      //   ./::::|
               从   !| \   `¨     .ィ/   ./|∧|
.             /  !  !レ!l::: ト 、     イ:/イ   // :|'
            /  ∨ .:|从!:::ト、` ‐ ´  !:::/   /イ: ::|
         ,.. -  、. V !_! W `> 、   l /../イハ!、 :!
.   ∧    /     ``\!‐ヘ、    `Y´レイ!//´ |! `|
   ハ ぃ  /          、  `丶、 ` 个イ`丶/
.  ハ  ぃ/           ``'' ‐<`>.、/ >、 `'' ‐- 、
  ハ   ぃ           , <   ,>'´ `<  >、 ̄ `ヽ
.  ハ     ぃ       , <  ,> '´       ` < ヽ、  l  ,ィ、
  ハ .∧   ぃ     /'´ > '´            `ヽ \  !/ハ l
 ハ//∧   .い   /  /                 \ 」  | ∨| | <> 一ノ瀬
◆lAEnHrAlo.<>saga<>2019/11/18(月) 21:38:11.93 ID:MAElKcUL0<>                     。
                __△_
              //   `ヽ
                 /// y−、 ',
              {. 〉〉 弋__ノ. }
              乂____,ノ__
           _    \`/. __ ,f´ /               ¬
            | `ー、- .〉 / \∠___                太
            | |\ヽ/ //ヽ   `ヽ ` 、       私   陽
            | |ミミ.\//// \.    |   \  こ   は   と
            | |_,r-,  r-、___.| |  |     \の.   そ   は
.          / .|¨ '′  し'`‐-| |  |       手.   の    `
         /  i ̄`  ´ ̄ ̄| |  |      で.  英   こ
.        /  ‐t―ァ   .r―‐‐- |  |      日  雄   の
       /   / 乂ノ    乂::ノ | / .ハ.     輪  に   世
     /  ,.イ          iイ / \     を.   仕.  に
.     〈.  / `ー-...,,____ ノ_l ヽ   \.  支.   え   輝
     \ {   /,-‐=‐-、`ヽ/:.:|   \  ヽ. え    `   .く
       } ヽ {  `ー--‐′ .}〃:.:|    }  .|. た      英
.      /  |. `ー.//--一 '´: _,.:.:|.     ,'   |. い      雄
     /   .|_/: //r/ュ::::): _「: : /   /   |i の      の
    /   /___//ヽミ::/: /: : :./   /    ハ.で       こ
.   /   /|r-、 i!r-、 ̄ ̄.: :.:/   /     /   す         と
   ヽハ / /ヽ: :八γ⌒ヽ:.: :/   /_    / .   |          ゚
.     }八: :(: ノ:/ l.\)_ノ: :j/l  〈: : \ /     |
   /: : : : /l /   \: : : : :|.   ヽ:. :.:\   |
  /: : : : /  ト--rヘ_ノ \: : :ヽ    |: : : : :\ └‐

二郎「割と表情と言ってる内容乖離してるよね?」
風 「さてはて、なんのことやら〜」
二郎「いや、あのさあ……。まあ、いいけどね」
風 「よいということなので次スレのご案内ですね〜。
   よいしょっと。
   ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1573818977/ 
   ということでよろしくおねがいします〜」
二郎「マジかよ、この流れでそれする?」
風 「お仕事ですので〜」
二郎「マジかよ」
風 「1000を残す手腕。評価してほしいものです」
二郎「いや、それは評価するけどさあ。って誰からの仕事だよ」
風 「それは、秘密です」

秘密ならしょうがない。
そういうことになった。 <> 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします<>sage<>2019/11/20(水) 00:28:20.32 ID:6PtlhvXC0<> >>1000なら月、詠は二郎達に助け出される <> 1001<><>Over 1000 Thread<> _,,..i'"':,  @    @   @
|\`、: i'、   @   @
.\\`_',..-i @   @ @
  .\|_,..-┘                    SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
                          http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/

<> 最近建ったスレッドのご案内★<><>Powered By VIP Service<>渋谷凛「就職活動を」本田未央「してみたい?」 @ 2019/11/20(水) 00:07:43.98 ID:qoXxFcO/0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574176063/

凛「we are fish(私たちは魚です)」 @ 2019/11/19(火) 23:50:04.81 ID:L+oyX6LV0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574175003/

博多弁女「うちは今、幸せやけん」関西弁彼女「もちろんうちも幸せや」 @ 2019/11/19(火) 23:37:48.00 ID:t1qd9MMpO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574174268/

ライラ「大好きな背中」 @ 2019/11/19(火) 22:40:06.68 ID:gbdzVW420
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574170806/

【ミリマス】静香「ユートピア」 @ 2019/11/19(火) 20:23:09.49 ID:6s/A4gNC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574162589/

西住みほ「赤ちゃんできちゃった....」 @ 2019/11/19(火) 19:53:32.32 ID:pWzKMw3sO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574160812/

【バンドリ】市ヶ谷有咲「隣でりみが寝てる」 @ 2019/11/19(火) 17:51:11.02 ID:i75xN+h90
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574153470/

蘭子「混沌電波第192幕!(ちゃおラジ第192回)」 @ 2019/11/19(火) 06:12:20.16 ID:nI191EuFO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574111540/



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