◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 22:43:49.51 ID:edeqr3Xo0<>モバマスssです
地の文ありです
たぶんハートフルラブコメディーです
<>モバp「抱いてしまった…」
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 22:44:57.99 ID:edeqr3Xo0<> 蜜のように甘く。
毒よりも強く。
間違っていると分かっていても、止められない。
背徳と快楽が離してくれない。
本能であなたを求めてしまう。
戻れない。
戻りたくても、もう。
抱いてしまったから。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 22:48:03.38 ID:edeqr3Xo0<> 「ぁっ!あんっ、い、いいですよっ!プロデューサーさん!!」
安っぽい手触りのシーツの上で、激しく乱れる女。
普段の彼女からは想像のできないその姿を見て、ひどく興奮する。
耳朶を震わせている荒い息が、彼女のものなのか自分のものなのかすら分からなくなるほど、その行為に熱中する。
汗ばんだ体を打ち付ける度に彼女は声を上げ、その声を聞くたびに俺の腰を振る速度は速くなる。
どうしようもない泥沼のようだった。
「あっ、あぁ!!んあっ、す、すきぃ!すきですよぉ!!」
蕩けた顔で愛の言葉を叫ぶ彼女。
なんて愚かなんだろうと思う。
彼女が、じゃない。
嘘だと分かっているその言葉を、信じてしまいそうになる俺が、だ。 <>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:05:19.13 ID:edeqr3Xo0<> 誰よりも、何よりも、理解しているはずだ。
俺と彼女のこの関係は、利害が一致しただけの紛い物だって。
ただ、買うと買われるの関係だって。
それなのに、彼女の嘘を信じてしまいそうになる。
「くっ、あっ、俺もっ!好きっ、ですよっ!」
嘘に、本気になってしまう。
紛い物でしか無いのに。
…俺の想いは、届かないのに。
「ちひろさんっ!!」
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:11:31.20 ID:edeqr3Xo0<>
彼女の名前を呼びながら、俺は快楽の絶頂に達した。
ビクンと体が痙攣して、下腹部から精力やら気力やらを含んだものが搾り取られていく。
その直後、強烈な脱力感に襲われる。
「はあ…」
同時に頭が冴えていき、冷静になっていく。
俺は一体何をやっているんだろう。
金を払ってまで、彼女を求めて。
何度買ったって、本当に欲しいものは手に入らないのに。
陰茎に纏わりつくゴムの感覚と、その中に満ちた自分の体液。そして彼女の温度。
その全てに急激に不快感を覚えて、俺は彼女の膣から陰茎を抜いた。
「あは、もう抜いちゃうんですかぁ?」
その声は蜜のように甘く俺を満たしていく。
だがしかし、その声によって俺は毒よりも強く蝕ばまれていく。
求められたことで喜び。
それも買ったことなんだと胸が痛み。
結果的に陥るのは自己嫌悪。
こんなことを体を重ねる度に、俺は繰り返している。
…本当に、愚かだ。 <>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:15:55.52 ID:edeqr3Xo0<> 事後になると、俺たちの間で会話はパッと無くなる。
彼女は、薄いシーツを抱き締めながら、蛍光色のライトをぼんやりと見上げている。
俺は、目に五月蠅い色のカーテンを開き、喧騒に包まれている街を見下ろしている。
夜でも留まることの無い人の行き交いに、この都市の大きさを改めて実感させられた。
窓の外を見つめる。
正直、その行為に意味なんて無かった。
ただ、怖かった。
目が会うことが。
俺の想いを覗かれてしまう気がして。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:21:05.87 ID:edeqr3Xo0<> なんでこんな形でしか、あなたを抱けないのだろう。
本心から好きと言い合えたら。
…あなたが、本心から好きだと言ってくれたら。
俺はあなたの何にも恐れはしなかったのに。
こんなにも俺は、自分に嫌気がさすことは無かったのに。
…分かってる。
ただの、八つ当たりだ。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:22:34.31 ID:edeqr3Xo0<>
そこに愛がないのに、俺たちは愛の形を作っている。
そんなの、どんなふうに作ったって歪にしかならないのに。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:31:46.56 ID:edeqr3Xo0<> 「…」
沈黙がこの狭い部屋を占めていた。
音が切り取られた訳ではない。
その証拠に、耳を澄ませれば、いろんな音が見つかる。
例えば、彼女が小さく身じろぎをする度にシーツの布ズレの音。
淀んだ空気を吐き出し続けるエアコンの低く鈍い機械音。
それに、遠くからの喧騒なんかも、この部屋には運ばれてきている。
多種多様。
雑多といっても差し支えないほど、音に溢れている。
なのに、その中に彼女の声はなく。
なのに、その中に俺の声はない。
いや。
だからこそ、こんなに色々な音が見つけられるのか。
ただただ二人とも押し黙っていた、そのせいだ。
「…」
沈黙。
それが占めるこの部屋は、決して音が切り取られた訳では無い。
けれどその代わり。
喧騒の止まないこの都市からは、取り残されているように感じた。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:34:29.63 ID:edeqr3Xo0<> その後、結局俺たちは一言も言葉を交わさなかった。
先に部屋を出たのは俺。
シャワーを浴びて、脱ぎ捨ててあった服を着て、机の上に一万円札を置いて、ついでに室料分の金も置いて、そして、部屋を出た。
その間、彼女は変わらずにルームライトを見上げていた。
ただぼんやりと。
きっと彼女も、電球の形に興味がある訳では無いのだろう。
なら、その瞳が本当に映しているものは何なのか。
もちろん。
彼女の目を見ない俺に、分かるわけがなかった。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:41:12.61 ID:edeqr3Xo0<> こんな関係、どう考えたって間違っている。
彼女との関係は客観的に見ても、主観的に見ても、唾棄され、糾弾され、罵倒されるものだ。
これを肯定するのは、同じ立場の人間くらいだろう。
俺と彼女―――千川ちひろの関係。
それは、2つある。
1つは共に働く関係。
毎日のように顔を突き合わせ、隣合ったデスクで事務処理をして、暇があれば一緒に居酒屋なんかに向かう。
健全な同僚という関係。
もう1つは買うと買われる関係。
俺は彼女の体を買い。
彼女は俺に体を買われる。
不健全な援交という関係。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:44:35.95 ID:edeqr3Xo0<> あぁ、間違っている。
どう考えたって間違っているさ。
昼にはより正しい作業を求め合って、夜には嘘に塗れた言葉で求め合う。
そして明日になれば、今日も一日頑張りましょうね、なんて笑い合う。
間違っている。
誰に言われなくたって、俺が1番分かっている。
こんな関係、早く絶ってしまうべきだ。
たった1つ。
買わなければいい。
それだけなんだから。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:49:05.67 ID:edeqr3Xo0<>
それでももう、止められない。
きっと知ってしまったのがいけなかった。
過ちを犯す背徳感とそれがもたらす快楽を。
彼女の細い腕で抱きしめられる悦びを。
もう、離してはくれない。
俺の記憶に焼き付いた、彼女の首筋の味が、胸の谷間の匂いが、腕を回した腰の感触が、艶やかな声が、火照った頬の色が。
知覚できる全てが。
千川ちひろという女から、俺を離してはくれない。
ここまでくると、もはや本能的なものだ。
いや、むしろ本能でなくてはおかしいか。
雌の体を求める雄の欲望を本能と呼ばなければ、逆に何と呼ぶんだ。
…求めてしまうこの心を、本能と名付ける以外にどうすればいいんだよ。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:50:35.30 ID:edeqr3Xo0<>
いつからだっただろうか
そう思い、振り向いた。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:53:24.64 ID:edeqr3Xo0<> 俺たちが援交を行っているホテルは、事務所から二駅ほど離れている。
飲み屋街とも住宅街とも離れているそこは、知り合いと会う心配が少ないため、というのが理由だった。
一方、俺の自宅は事務所はホテルとは逆側に二駅離れている。
通勤のことを考えると、もっと事務所に近い場所に住めば良かったのだが、生憎良い物件が探せなかった。
つまり、俺の自宅からあのホテルまで4駅分ほど離れていることになる。
だから、自宅の前まで来た今、振り向いたところで、もうとっくにホテルは見えなくなっている。
なのにどうして俺は、そこを探してしまったのだろう。
戻れないのに。
戻りたくても、もう。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:53:57.00 ID:edeqr3Xo0<>
いつからだっただろうか。
戻れないと悟ったのは。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/18(日) 23:57:51.47 ID:edeqr3Xo0<> 戻り方を忘れてしまった訳ではなかった。
戻る場所が無くなった訳でも無かった。
ただ、きっと遠くに来すぎたのだと思う。
あまりにも離れすぎて、ここから戻ろうとしても、時間が邪魔をする。
時間は戻らない。
残酷でもなく、非情でもなく、ただただ絶対として、時間は流れていく。
遠く、元の場所すら見えなくなった今じゃ、過去になんて戻れやしない。
戻れるわけが、無かった。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/19(月) 00:00:53.78 ID:tEGSKj2l0<> 「本当に、いつからだったのかね……」
自嘲気味に笑いながら、黒革のビジネスバッグから、自宅の鍵を出す。
―――あぁ、そうさ。
鍵を差し込んだ。
―――戻れるわけが無い。
鍵を回した。
―――戻るつもりも、無い。
鍵が開いた。
―――だって俺はもう。
扉を、開けた。
あなたを抱いてしまったから。
―――パタン。
<>
◆3wmi.HUQIo<><>2018/02/19(月) 00:01:23.22 ID:tEGSKj2l0<> とりあえず今日はここまで <>
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします<>sage<>2018/02/19(月) 00:07:57.12 ID:+NwRKkUDO<> 乙 <>
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします<>sage<>2018/02/19(月) 00:48:29.24 ID:xcKaQGMSO<> スレタイも後悔で縮こまってるな <>
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします<>sage<>2018/02/19(月) 08:07:12.65 ID:EwAG8evDO<> ×自宅は事務所はホテルとは
○自宅は事務所からホテルとは <>
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします<>sage<>2018/02/20(火) 00:38:56.15 ID:qPK9ZwRCO<> 期待 <>