以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 20:59:31.11 ID:eu.DrfY0<>まとめ http://www5.ocn.ne.jp/~atelier/ss_top.html

キョン「…」ハァ

洗面台の鏡に映る自分を見て思わずため息が漏れた。正確に言えば、首筋を見て、だが。
ハルヒが付けた欲情の証がその存在をこれでもかと言うくらいに誇示している。
俺には、ちゃんと隠れる位置に付けるだけの分別はあったんだけどなあ。
ハルヒの肌の感触を思い出して顔が熱くなる。
それから慌てて蛇口を捻り、雑念を洗い流すように顔を洗った。

キョン「…おいハルヒ、どうしてくれるこれ」

朝の作業を一通り終えてから部屋に戻り、勉強机の椅子に跨り、くるくる回っていたハルヒに向かって俺は首筋を指差して言った。

ハルヒ「…あんた、肌弱い?」
キョン「いや、これはお前が強く吸い付きすぎだろ」
ハルヒ「あー、なんていうか、…ごめんね」ポリポリ
キョン「…これって絆創膏貼った方がいいか?」
ハルヒ「それだとかえって目立つんじゃない?」
キョン「かといって何もしないわけにもいかんだろう?」
ハルヒ「ん、じゃあファンデ塗ったげる。座って」
キョン「化粧か?」
ハルヒ「そ。いつもは使わないけど…、自然に隠せるし、ね」カァッ
キョン「お前のは、普通は隠れる場所のはずだが?」
ハルヒ「馬鹿。体育あるでしょ」カァッ
キョン「あ、そっか。すまん」カァッ
ハルヒ「…」ポンポン パタパタ
キョン「…」
ハルヒ「はい、できた。どう?」ニコ

化粧品のコンパクトを受け取って、その蓋についている鏡で首筋を見る。

キョン「おお、凄いな。わからないや」
ハルヒ「水を被るとか、我慢大会で大汗をかくとかしない限りは持つと思うわ」エヘン
キョン「便利だな」
ハルヒ「そうね」
キョン「じゃあ急いで飯喰ってくる」
ハルヒ「ん。いってらっしゃい」ヒラヒラ
キョン「…なんか家の中なのに出かけるみたいだな。…まあいいや、いってくる」パタン
ハルヒ「…なんか夫婦みたい」カァッ<>キョン「…」2 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:03:58.45 ID:eu.DrfY0<>古泉「…大丈夫ですか?」
朝倉「ん。平気」
古泉「やはり、今日は休んだ方がいいのでは?」
朝倉「なんで?具合が悪いわけじゃないんだし平気よ。体育は見学するけどね」
古泉「…すみません」
朝倉「それって凄く失礼」ムッ
古泉「いや、その…」ポリポリ
朝倉「私から誘ったんだから貴方が謝ることはないの。…それとも、後悔してる?」
古泉「後悔なんてありえません」キッパリ
朝倉「なら、いいじゃない」ニコ
古泉「…」
朝倉「それよりも、私、普通に歩いてるように見えるかな?」
古泉「どこか悪いのですか?」
朝倉「馬鹿!」カァッ

いきなり僕に罵声を浴びせたかと思うと、彼女はすばやく周りを見回してから、耳元でささやいた。

朝倉「…まだ違和感があるのよ」カァッ
古泉「!」カァッ
朝倉「あんな血が出るとは思わなかったし、ね」カァッ
古泉「う、あ、…すみません」カァッ
朝倉「…」
古泉「…」
朝倉「…ちょっとお薬貰うわね」スッ
古泉「…」
朝倉「…ん」チュッ
古泉「…」チュッ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:09:25.09 ID:eu.DrfY0<>キョン「どうした?わざわざ呼びに来るなんて珍しいじゃないか」
古泉「ちょっとお話しておきたいことがありまして…」
キョン「話?昨日休んだみたいだが、それに関することか?」
古泉「まあ、そうなりますね」
キョン「そういえば昨日、朝倉も休んでいたけど…」
古泉「…」カァッ
キョン「…おい、ちょっと待て。何故赤くなる」
古泉「…してしまいました」カァッ
キョン「は?」
古泉「涼子さんと、といえばわかりますよね?察してください」カァッ
キョン「う、え、あ…、そうか」カァッ
古泉「勿論、同意の上ですよ。というよりもむしろあちらから…」
キョン「待て待て待て!何でお前は俺が朝倉を普通に見られなくなるようなことを口走ろうとする!」カァッ
古泉「う、っと、そうですね…すみません」ショボン
キョン「…まあ、なんだ。とりあえず、おめでとう」
古泉「ありがとうございます」
キョン「…あのさあ、古泉」
古泉「はい」
キョン「初めてってやっぱり、アレか?上手くできなかったりする?」カァッ
古泉「挿入前に果てたり、場所がわからなかったりは、あると思います」カァッ
キョン「生々しいなおい!」カァッ
古泉「まあでも、何とかなりますよ。結構女性も導いてくれますし…」カァッ
キョン「だから!そう言うことは言うな!」カァッ
古泉「これはうかつでした」カァッ

…すまん朝倉。暫くお前のことは直視できそうにない。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:14:58.25 ID:eu.DrfY0<>長門「…」モグモグ
ハルヒ「朝倉さん、体育見学したのよね〜。まだ具合悪いなら休めばいいのに」ハイ、アーン。
キョン「…真面目だから無理して出てきたんだろ」パクッ。モグモグ。ウマイ。オカエシ。アーン。
ハルヒ「あたしなら休むけどなあ」パクッ。モグモグ。ハイ、アーン。
キョン「お前が休んだら昼飯がまずくなるなあ」パク。モグモグ。ホレ、アーン。
ハルヒ「ふふ。そんなに美味しい?」パクッ、モグモグ。ハイ、アーン。
キョン「三食ハルヒの弁当でも全然OKだ」パクッ、モグモグ。ゴチソウサマ。
ハルヒ「そ、そう。ありがとう」オソマツサマ。
キョン「いや、礼をいうのは俺の方だ」ニコ
ハルヒ「キョン…」
キョン「…」
長門「…」モグモグ。ゴソゴソ。
ハルヒ「…」
キョン「…」
長門「…」トテトテ、ガチャ、パタン。
ハルヒ「…」チュッ
キョン「…」チュッ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/23(月) 21:22:17.45 ID:LD49m9Qo<>移籍乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/23(月) 21:23:31.50 ID:LD49m9Qo<>移籍乙<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:24:15.06 ID:eu.DrfY0<>ハルヒ「今週の不思議探索パトロールは中止よ!」エヘン
長門「…」ペラリ
朝比奈「ふぇ?」
古泉「…」
キョン「…」
ハルヒ「以上!連絡終わり」チラッ

胸を張って宣言したハルヒが、俺の方をチラチラ見る。
何が言いたいんだ、ハルヒ。

ハルヒ「キョン!何か言いたそうね?」ニコ
キョン「…何でまた急に中止にしたんだ?」
ハルヒ「…」ムスッ
キョン「なに不貞腐れてるんだよ」
ハルヒ「しらないっ」プイッ

一体なんだっていうんだ?急に不機嫌になりやがって。
窓の外に視線を向けて外を眺めているポーズを決め込んでいるハルヒ。
窓側に俺がいるから、俺からはハルヒの顔が良く見えるのだが、あえて見えない振りをしているようだ。
やれやれ。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:32:10.72 ID:eu.DrfY0<>壁側に視線を向けると古泉と目が合った。

古泉「どうですか?一勝負?」ニコ
キョン「…そうだな」
ハルヒ「…」ムスッ
朝比奈「…」オロオロ
長門「…」ペラリ

オセロの準備をする古泉の前に座る。
やけに準備するのが遅いと思えば、古泉はハルヒの方を気にしながら、小さなメモ翌用紙に何かを書いていた。
きっとなにか伝えたいことがあるのだろう。そう判断した俺は、オセロ盤の横にあった石を取り出して準備をする。
まあ準備と言っても、4つの石をオセロ盤の中央に並べるだけだが。

古泉「僕からでいいですか?」スッ
キョン「ああ、構わない」チラリ

石を取る前にメモ翌用紙を俺の方へと置き、どこに石を置くか迷うような仕草をする。
いったいなんだ?

『おそらく不思議探索パトロールの中止は貴方と二人で出かけたいためだと推察します。』

メモから視線を外し、古泉を見る。
涼しげな笑みを口元に浮かべ、古泉は言った。

古泉「貴方の番ですよ」ニコ
キョン「ああ、…よっと」パタンパタン
古泉「ふむ…」パタンパタン

読み終わったメモをすばやくポケットに放り込み、不思議探索パトロールの中止を告げたときのハルヒを思い返してみる。
何かを期待するような目で俺を見ていた。
ああ、なるほど。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:34:23.90 ID:eu.DrfY0<>キョン「お前の観察眼にはいつもながら頭が下がるんだが、なんでゲームには弱いんだ?」パタンパタンパタンパタンパタン
古泉「おそれいります。しかしゲームは終わるまでまだわからないですよ?」パタンパタン
キョン「…俺はもう勝ちが見えているんだがな」パタンパタンパタンパタン
古泉「これは手厳しい…」ウーム
キョン「…ところで話は変わるが」
古泉「はい、なんでしょう?」

俺はハルヒに聞こえるようにこう尋ねた。

キョン「デートってどんなところ行くんだ?」
古泉「!」
朝比奈「!」
長門「…」ペラリ
ハルヒ「!」パアア
古泉「そうですね、お互いに行きたいところに行くのがよろしいんじゃないでしょうか」
キョン「うーん、そうだなあ」チラッ
ハルヒ「!」ジー

考えるように背もたれに体重をかけ、それからおもむろに後ろを向くと、予想通りというかなんというか、聞き耳を立てて俺の方を見ていたハルヒと目が合った。

キョン「なあ、ハルヒ」
ハルヒ「な、なに?」
キョン「土曜日、暇か?」ニコ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:42:16.72 ID:eu.DrfY0<>朝倉「…あ、涼宮さん。来てくれてありがとう」ニコ
ハルヒ「で、何の用?キョンを待たせてるから手短にお願いね」
朝倉「私も一樹さんを待たせてるからそんなにお時間はとらせないわ」ニコ
ハルヒ「…」
朝倉「キョン君と涼宮さんって、お付き合いしてるわよね?」
ハルヒ「ええ。恋人になってからはまだそんなに立ってないけど、なんだかんだで結構一緒にいるわね」
朝倉「え?恋人にはいつから?」
ハルヒ「…一週間くらい前かな」

本当は一週間もたってないんだけど。恋人になったのは、三日前だっけ?
キョンに言葉で伝えたのは三日前だけど、四日前はキスしたし。五日前には抱きしめられたっけ…。

朝倉「あのね、ちょっと聞きたいんだけど、さ」カァッ
ハルヒ「なに?」
朝倉「最初って、上手にキスできた?」カァッ
ハルヒ「は?はぁっ!?」カァッ
朝倉「いや、その、あれなんだけど、良く本とか見ると『歯がぶつかって痛かった』とかあるじゃない…。でもさ、私そういうのなかったのよね」カァッ
ハルヒ「あ、え、う…」カァッ
朝倉「それどころか、なんかいい気持ちになっちゃうっていうの?キスを不快に感じたことないんだけど、それって、相手が慣れてるとかあるのかな?」
ハルヒ「あ、あたしも、良くわからないけど…、少なくとも、不快に感じたことって、ないわ」カァッ
朝倉「舌を入れられたり、入れたり、絡ませたりすると、なんかもう凄い感じで…」カァッ
ハルヒ「そ、そうね!確かにアレは反則よね!全身の力が抜けちゃうってくらい」カァッ
朝倉「でも、ついつい求めちゃったりしてさ…」カァッ
ハルヒ「キスしてると、キスマーク付けたくなったりするよね。なんでだろう?」カァッ
朝倉「それは独占欲が強いからじゃないかしら?私は特に付けたいとは思わないけど…」
ハルヒ「そ、そう」カァッ
朝倉「それよりも触れられる方がいいかな」カァッ
ハルヒ「!」カァッ
朝倉「でもなんか慣れている感じがして不安。感じるところとか、触れる強さとか全てわかってるみたいで…」
ハルヒ「ちょ、ちょっと、朝倉さん!ストップ、ストーーーップ!」カァッ

な、何をいきなり言い出すのよこの人!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:51:14.57 ID:eu.DrfY0<>ハルヒ「そんな話、聞きたくない」カァッ
朝倉「え、あ、ご、ごめんなさいっ!」カァッ
ハルヒ「…暫く古泉君をまともに見られないわ。朝倉さんのこともね」カァッ
朝倉「え、どうして?」
ハルヒ「貴女が変な先入観を埋め込むからでしょ」カァッ
朝倉「そもそも、涼宮さんがキスマークとか言うから済んでると思ったのに」
ハルヒ「す、済んでるって何よっ。いや、言わなくていい!」カァッ
朝倉「…まだなんだ、そっか。ごめんね」
ハルヒ「…」
朝倉「本当にごめんなさい。でも、キスのことは参考になった。上手くできないっていうのは案外少数派なのかもしれないね」
ハルヒ「…あのっ」
朝倉「なに?」
ハルヒ「…やっぱ、その、痛い?初めてって」カァッ
朝倉「そうね。肉体的には凄く痛いよ。体の一部を突き破られるわけだし…」
ハルヒ「…!」
朝倉「でも、人によって感じ方も違うだろうから、一概にどうとも言えないかなあ…」
ハルヒ「どういうこと?」
朝倉「例えば、マゾヒストだったら痛みに快楽を感じるってこともあるし、相手のが自分のより大きかったら痛くてたまらないだろうし、小さかったら痛みを感じないかもしれないし…」
ハルヒ「いきなり生々しい例えは止めて」カァッ
朝倉「ふふ。ごめんなさい」
ハルヒ「…」カァッ
朝倉「でも、涼宮さんとこんな話してるなんて、少し前までは考えられなかったわ」ニコ
ハルヒ「言われてみれば、そうね」
朝倉「ふふ。これからもよろしく」ニコ

そう言って差し出された朝倉さんの手を、あたしは軽く握り返した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 21:57:19.36 ID:eu.DrfY0<>ハルヒ「ただいま」ガチャ
キョン「用は済んだか?」
ハルヒ「うん」
キョン「よし、帰るか」ニコ
ハルヒ「…そうね。でも、その前に…」チュッ
キョン「…ん」チュッ
ハルヒ「…へへ。ねえキョン、ぎゅってして?」ニコ
キョン「こ、こうか?」ギュッ
ハルヒ「…うん」ギュッ
キョン「…」ギュッ
ハルヒ「…大好き」ギュッ
キョン「…俺もだ」ギュッ
ハルヒ「…」ギュッ
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…」チュッ
キョン「…帰るか」
ハルヒ「うん」

部室を出て鍵をかけてから昇降口へと向かう。
校門を出る頃、俺の左腕はハルヒの右腕でしっかりと施錠されていた。

ハルヒ「…ねえ、キョン」
キョン「ん?どうした」
ハルヒ「キョンの初めてのキスの相手って、あたし?」
キョン「そうだ」カァッ
ハルヒ「そっか」パアア
キョン「ハルヒは?」
ハルヒ「あんたに決まってるじゃないの」カァッ
キョン「…ハルヒ」ギュッ
ハルヒ「な、なによキョン。こんなところでいきなり抱きついて!」カァッ
キョン「…嬉しくてつい、な」ギュッ
ハルヒ「ふふ」カァッ
キョン「…」ギュッ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 22:03:14.85 ID:eu.DrfY0<>ハルヒ「…ねえ、キョン」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「…あたしのこと抱きたい?」カァッ
キョン「なっ」カァッ

いきなり何を言い出すんだハルヒ。

キョン「…煽らないって約束しただろうが」カァッ
ハルヒ「場所なんてその気になれば用意できるし」
キョン「…どうした、ハルヒ?いきなりそんなこと言い出して」
ハルヒ「朝倉さんが…」カァッ
キョン「なあハルヒ、人は人、お前はお前だろ?」
ハルヒ「それはそうだけど…なんか悔しいじゃない」ブツブツ
キョン「なにがだ、この馬鹿」コツン
ハルヒ「いたっ。何するのよ」ムゥッ
キョン「捨て急いだもん貰っても嬉しくないぞ」
ハルヒ「なによそれ」ムゥッ
キョン「お前の、その、…純潔てやつか。どう見ても捨て急いでるようにしか見えん」
ハルヒ「ば、馬鹿っ」カァッ
キョン「状況が整えば嫌でも奪ってやるから、それまで待ってろ」
ハルヒ「…」カァッ
キョン「ハルヒ、耳貸せ」
ハルヒ「…好きにすれば」ムスッ
キョン「…意地っ張りが。…これは貸しだからな」カァッ
ハルヒ「なによ…」ムゥッ
キョン「…焦りすぎだ、馬鹿」
ハルヒ「…」
キョン「…愛してる」ギュッ
ハルヒ「!」カァッ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 22:07:55.64 ID:eu.DrfY0<>朝倉「お待たせ。一樹」ギュッ
古泉「もう、大丈夫なのですか?」
朝倉「そうね。少なくとも朝よりはましよ。違和感消えたし」ニコ
古泉「そ、そうですか」カァッ
朝倉「夕御飯、何が食べたい?」ギュッ
古泉「さすがに二日連続は…。シャツや下着も替えたいですし」
朝倉「夕御飯って言ってるのに何でそうなるのよっ!一樹のエッチ!」カァッ
古泉「う、いや、貴女の部屋に入ってしまえば出てこられないと思いますので、結果的にはそうなるでしょう?」
朝倉「否定できないのが悔しい!」ムゥッ
古泉「何気に凄いこと言ってますね」クスッ
朝倉「え?」
古泉「いえ、失礼。忘れてください」ニコ
朝倉「気になるんだけど?何よ?」ムゥッ
古泉「…暗に誘ってるじゃないですか」カァッ
朝倉「誘って…もうっ!馬鹿っ」カァッ

プルルルル、プルルルル…

古泉「ちょっと失礼」モシモシ、コイズミ?
朝倉「!」
古泉「はい、古泉です…はい、はい、わかりました」ピッ
朝倉「…」ムゥッ
古泉「すみません、急なバイトが入ってしまいました」
朝倉「バイト?」
古泉「はい、人手が足りないようでして、貴女をお送りしたら行かなくてはいけません」ニコ
朝倉「…何のバイトなの?急に呼び出しが来るなんて…っ!」
古泉「…」チュッ
朝倉「いきなり…なによ」カァッ
古泉「困らせないでください。本当に時間がないんですよ」ギュッ
朝倉「…だって」
古泉「…」
朝倉「…わかった。今は聞かないことにする」ムスッ
古泉「すみません」
朝倉「…」<> ◆utKauk8RmY<><>2009/11/23(月) 22:12:11.08 ID:eu.DrfY0<>そのまま、私の家のあるマンションの前までは無言で歩いた。
なんとなく解せない。
さっきの電話、百歩譲ってバイト先からの連絡だとしても、漏れて聞こえてきたのは女の人だった。
不安が、私の中を駆け巡る。

古泉「では、行ってきます」
朝倉「気をつけて…」ニコ
古泉「また、明日、迎えに来ますよ」ニコ
朝倉「うん」
古泉「…」チュッ
朝倉「…」チュッ
古泉「…おやすみなさい。では」タッタッタ…
朝倉「おやすみなさい」

もやもやとした気持ちで、彼の背中を見送る。
気が付くと涙がこぼれていた。

朝倉「…あれ、なんで?」ポロポロ<>
◆utKauk8RmY<><>2009/11/23(月) 22:15:25.69 ID:eu.DrfY0<>む、VIPと酉違うのか…。まあいいか。


プルルルル、プルルルル…

俺の腕にしがみついていたハルヒを数回にわけて開錠し、家に入るのを見送ってから駅の方へと歩き始めたとき、ポケットの携帯が鳴った。古泉からだ。

キョン「もしもし」
古泉「申し訳ありません。今からお迎えに上がりますのでお付き合いいただいてよろしいでしょうか?」
キョン「どうせ断れないんだろう?俺は今ハルヒの家から駅に向かって歩いているぞ」
古泉「だと思いました」
キョン「どういうことだ?」

俺が尋ねるのとほぼ同時に、黒塗りのハイヤーが横を通り過ぎ、俺の5メートルほど前で停車した。
後部座席の扉が開き、中から古泉が俺に笑いかける。

古泉「乗ってください、キョン」ニコ
キョン「ああ」バタン
森「お久しぶりです、キョンさん」
キョン「あ、お久しぶりです」
森「っていうか古泉、いつの間にキョンさんのことをあだ名で呼ぶようになったの?」
古泉「友情の賜物ですよ。ね、キョン」ニコ
キョン「間違ってはいないが、なんとなく誤解をされそうだから笑顔を向けるのはやめておけ古泉」
古泉「これは手厳しい」
キョン「で、俺に何の用だ?」
森「キョンさんには、つい先ほど発生した閉鎖空間へご足労頂きます。理由は、行けばわかるかと…」
古泉「…そういうことです」
キョン「俺は戦力にならないぞ?」
森「今回のケースは、非常に稀でして…、機関のものではなくキョンさんのお力が必要になると我々は判断いたしました」カァッ
キョン「…はあ、そうですか」

森さん、何故赤くなるんです?<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 22:19:15.38 ID:eu.DrfY0<>良く見たら酉違ってたorz これなら…


古泉「そろそろ、到着します」
森「古泉、頼んだわよ。私たちはここで待機しています」
古泉「お任せください。では、行きましょうか」ニコ
キョン「…」

車を降り、幹線道路脇の歩道を古泉と並んで歩く。

古泉「今回のケースは、今までにないパターンでしてね」
キョン「何で機関の人間はそう回りくどい言い方しかできないんだ?」
古泉「これは手厳しい。『まあ百聞は一見に如かず』です。目を閉じてください」
キョン「ああ」スッ
古泉「……もうけっこうですよ」
キョン「…」スッ

あたり一面が灰色の世界。街灯がぼんやりとした光を放っているだけで、他は全部、灰色。
街灯と空を包む燐光がかろうじて闇から世界を守っている。

古泉「こちらです」
キョン「…」

車の無い幹線道路の真ん中を古泉と二人で歩く。
真夜中に家出をしてこれから盗んだバイクで走り出すかのようなシチュエーションだなおい。
まあバイクの免許なんて持っていないんだが。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 22:26:13.18 ID:eu.DrfY0<>古泉「もう少し行ったところに交差点があります。そこを左に曲がってください」
キョン「は?お前は行かないのか?」
古泉「私は行かない方がよろしいと思います。それと、あくまでこれは涼宮さんの無意識が引き起こす現象ということだけ覚えておいてください」
キョン「ちょっと待て、一体なんなんだこの閉鎖空間は?」
古泉「ともかく、行ってみればわかりますよ。一度、確かめてから対策を検証しましょう。まあ検証の必要は無いと思いますけど」
キョン「…なんなんだよ。…じゃあ、まあ、行ってくる」ブツブツ
古泉「では、後ほど…」
キョン「…」

一体なんだっていうんだ。
釈然としないものを感じながら、俺は言われたとおり交差点を左に曲がり、進んでいく。
灰色の世界の中、真っ直ぐに伸びた道の先に、小さな、薄桃色の光がぼうっと瞬いている。
神人とは違う。神人は確か青白かった。それに大きさも学校の校舎より大きかったはずだ。物理法則を無視する大きさとか言っていたな。古泉の奴が。
近づくにつれ、その薄桃色の奴はどうやら人間と対して変わらない大きさであることがわかる。
形は、大きさこそ違えどのっぺりとした神人と良く似ている。
新種の神人か?
教室の端から端くらいの距離で、俺とそいつは対峙する。

キョン「…」

周りを破壊することも、動くこともなく、ただそこに立っているだけ。

キョン「…」

少しずつ間を詰める。だが相手に動きは無い。
なんなんだ、これ?

キョン「!!」

そのとき、何の前触れも無くそいつは仄かな光を放ち、俺の目の前に移動してきた。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 22:32:27.55 ID:eu.DrfY0<>キョン…キョン…

キョン「!?」

気のせいか?…いや、確かに聞こえた。俺を呼ぶ…ハルヒの声。

キョン…キョン…スキ…キョン…

キョン「…」

目の前の薄桃色の神人もどきから聞こえてくるハルヒの声。その声は発声器官からというよりは、頭の中に直接語りかけてくるように聞こえる。
実際、音は出ていないのかもしれない。目の前の奴には顔に当たる部分に口も何も無いのだから。

キョン…スキ…キョン…ドコナノ…キョン

キョン「…」

ハルヒの無意識が引き起こす現象。確か古泉はそう言った。
なら、こいつは、形は違うとはいえ、ハルヒということになる。

キョン…ドコ…キョン…サビシイ…キョン…キョン

キョン「…まったく、仕方ねえなあ」ハァ

俺は大きく息を吐くと、それから薄桃色の奴を両手でしっかりと抱きしめた。

キョン…キョンナノ…ウレシイ…キョン

奴の放つ光がだんだんと強くなり、抱きしめた奴はほんのりとした温かさを俺に感じさせた。

キョン…キョン…

俺を呼ぶ声がやけに鮮明に頭の中を響き渡る。
目を開けていられないほどに眩い光の中で、俺ははっきりとハルヒの声を聞いた。

愛してる。

暗灰色の空に亀裂が入り、それが蜘蛛の巣状にどんどん大きく広がっていき、やがて全体が砕け散る。
ほぼ同時に、街の喧騒、家々の灯、夜空の星々の煌き等が甦る。
街が息を吹き返すとでも言えばいいのか?まあそんな感じ。
歩道の真ん中で空を見上げたまま佇む俺の傍に黒塗りのハイヤーが止まる。
迎えに来たときと同じように、古泉が後部座席から俺に呼びかけてきた。

古泉「おみごとです。キョン」ニコ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 22:38:02.20 ID:eu.DrfY0<>キョン「…ハルヒ」ムニャムニャ
ハルヒ「キョン…キョン」ゆさゆさ
キョン「…」
ハルヒ「…おはよう。キョン」ニコ
キョン「おはよう、ハルヒ」ボー
ハルヒ「もう、早く支度しなさい!」
キョン「へいへい。行ってくる」
ハルヒ「いってらっしゃい」ニコ

パジャマのまま、俺は部屋を後にする。
ハルヒは、俺が朝の身支度を整えて食事を終わらせるまでの間、俺の部屋で待っているというパターンを確立させたようだ。
なるべく急いで戻らないと、勉強机の椅子が破壊されてしまう。まあそんなにすぐ壊れるものでもないのだろうが。
ハルヒの奴は、椅子に跨ってくるくる回るのがお気に入りのようだった。

キョン妹「キョン君おはよー」
キョン「おはよう」
キョン妹「もうすっかりハルにゃんと夫婦だね」ニコ
キョン「お兄ちゃんをからかうんじゃない」カァッ
キョン妹「からかってないよー。で、お式はいつ?」ニコ
キョン「からかってるじゃないか、こら!」
キョン妹「わー、キョン君が怒ったー」パタパタ
キョン「…」ハァ

妹にからかわれるのも最近の日課になっている気がするのだが、気のせいだよな?<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 22:47:22.83 ID:eu.DrfY0<>古泉「おはようございます」ニコ
朝倉「…おはよう」
古泉「どうかしましたか?元気が無いようですが?」
朝倉「あ、ごめんなさい。今日はちょっと用事があるので、先行くわ」スタスタ

冷たくあしらわれて困惑する。一体どうしたのでしょうか。
一人で先に行こうとする彼女を追いかける。

古泉「ちょっと待ってください。行き先は同じ学校でしょう?」
朝倉「ちょっと色々考えたいのよ」ハァ
古泉「どうしたんですか一体?」
朝倉「…昨日の電話」ボソ
古泉「アルバイトの呼び出しですか?」
朝倉「…聞こえたのが女の人の声だった」ムゥ
古泉「…上司が女性ですからね」
朝倉「どんなアルバイトなの?」
古泉「ちょっと説明が難しいのですが…」
朝倉「…もういい!」プイッ
古泉「あ、ちょっと」
朝倉「ついてこないで!」タッタッタ
古泉「…」ショボン<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 22:53:41.98 ID:eu.DrfY0<>キョン「おい古泉」
古泉「なんですか?キョン」ハァ
キョン「お前、自分で呼び出しておいて話すことを忘れたのか?」
古泉「そんなことは…」ハァ
キョン「なんなんだそのため息は」
古泉「申し訳ありません」ハァ
キョン「殴ってやろうか?すっきりするかもしれないぞ」
古泉「申し訳ありませんが遠慮させていただきます」ハァ
キョン「…で、どうした?」
古泉「…涼子さんとちょっと揉めましてね」ハァ
キョン「なんだ、痴話喧嘩か?」
古泉「…貴方のせいですよ」ハァ
キョン「何で俺のせいなんだ?」
古泉「原因は昨日の閉鎖空間ですからね」ハァ
キョン「それこそ俺のあずかり知らぬことじゃないか?文句はハルヒに言え」
古泉「…言えるわけないでしょう」
キョン「まあそうだな」ポリポリ
古泉「…参りました」ハァ
キョン「だから一体どうしたんだ」
古泉「機関からの連絡の電話、森さんからかかってくるんですよ。僕の直属の上司ですから」ハァ
キョン「それで?」
古泉「昨日涼子さんをご自宅まで送っているときに閉鎖空間発生の連絡がありましてね…」ジッ
キョン「そこで俺を見るな」
古泉「そのころ貴方は涼宮さんと一緒だったでしょう?ということは、…わかりますよね」
キョン「ハルヒに精神的ストレスを与えたのが俺ってことか」ハァ
古泉「一体何をしたんですか貴方は」ハァ
キョン「…」ウーム

ハルヒが精神的ストレスを感じること…。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:02:32.32 ID:eu.DrfY0<>キョン「もしかして、あれか?」カァッ
古泉「なんです?」
キョン「き、禁則事項だ」カァッ
古泉「なぜそこでその言葉を使うのですか」
キョン「待てよ、朝倉がハルヒにいらんこと吹き込んだからああなったんじゃないか」ウーム
古泉「なんですそれは」
キョン「…その前に古泉、これは絶対に誰にも言わないと約束しろ。いいか?」

俺の名誉ではなく、ハルヒの名誉に関わるからな。
俺じゃないぞ。ハルヒの名誉に、だ。

古泉「わかりました。約束しましょう」
キョン「…簡単に言えば、据え膳を断った」カァッ
古泉「…は?」
キョン「…察しろ」カァッ
古泉「貴方は、馬鹿ですか」ハァ
キョン「なんだと!?」
古泉「魅力的な女性、しかも彼女に迫られて断るなんて!」オーマイゴッド
キョン「…いいだろ別に」
古泉「良くありませんよ」
キョン「なんでだよ」
古泉「いいですか、男と違って女性は喪失するんですよ、色々な意味で」
キョン「お前の言うことはいちいち生々しい」カァッ
古泉「ああ、でもだからあんな神人が現れたのですね」カァッ
キョン「何故赤くなる」
古泉「赤くもなるでしょう、あんなの聞かされれば」
キョン「『淋しい、どこにいるの、キョン』ってやつか?」
古泉「私たちが聞いたのは『キョン、好き、抱きしめて』とかですよ」
キョン「聞くな!」カァッ
古泉「仕方ないでしょう、初めてのパターンでしたし。次回からは可及的速やかに貴方をお呼びしますよ」
キョン「やっぱ、そうなるか」
古泉「貴方しかあのタイプの神人は倒せないみたいですからね」ニコ

まったく、困ったものだな。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:09:12.31 ID:eu.DrfY0<>古泉「ところで、先ほど言っていた涼子さんのせい、と言うことについてもっと詳しく聞かせていただけますか?」
キョン「禁則事項だといっているだろうが」カァッ
古泉「いいじゃないですか、誰にも言いませんから」
キョン「しつこいな」
古泉「ここは譲れませんからね」

キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン…

キョン「!」
古泉「!」
キョン「おい、授業始まっちまったじゃねえか!」
古泉「これは参りました」ポリポリ
キョン「落ち着いている場合じゃねえ」
古泉「まあまあ」ガシッ
キョン「離せ古泉!」
古泉「手遅れです。あきらめましょう」ニコ
キョン「…」
古泉「さて、話してもらいましょうか」ニコ
キョン「…朝倉がハルヒにヤッたって吹き込んだらしいんだよ」
古泉「ヤッたって言い方はないでしょう」カァッ
キョン「知るか。ともかくそんな感じでさ、ハルヒの奴、焦ってたんだよ。だから捨て急いでるものは欲しくねえって、な」
古泉「…ああ、そういうことでしたか。失礼、それでしたら僕も貴方に同意します」ニコ
キョン「だよな」
古泉「ええ。…まあ僕は『いいよ』って言われたら耐えられませんでしたけどね」カァッ
キョン「だからそういうことは言うな!」カァッ
古泉「これは失礼」ポリポリ

いつも思うんだが、わざとじゃないだろうな?古泉。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:15:49.78 ID:eu.DrfY0<>キョン「…で、どうするんだ?アルバイトの件は?」
古泉「女性が上司でも怪しくない仕事ということにすると、やはり飲食業とかですか?」ウーム
キョン「…待て古泉。飲食業だと水商売と思われる危険性があるな。…ホストとか」

なにぶんイケメンだからな。古泉は。

キョン「朝倉のことだから、上司じゃなくて客から連絡が来たと勘ぐったんじゃないのか?」
古泉「僕はそんないかがわしいバイトはしていませんよ!」
キョン「まあ慌てるな古泉。あくまで可能性を言っているだけだ」
古泉「いや、でも、しかし…。女性の声ってところに拘っていた感じはありましたね…」ウーム
キョン「変な職業を言ってもかえって怪しまれるだけだしなあ。…機関でどこか適当なファーストフード店とか持ってないのか?そこで働いていることにすれば…」
古泉「それはいいアイデアですね」パアア
キョン「森さんもそこで働いている設定にしないと意味無いんだぞ」
古泉「あの人ならきっと喜んで乗ってくれますよ。そういうところで働いてみたいって言ってましたからね」
キョン「あ、そうなんだ。ちなみに何て店だ?」

古泉が口にしたのは、店数はそんなに多くは無いが、都市圏に展開しているファミレスチェーンだった。
そこの制服は可愛いということでファンも多かったと記憶している。
俺は思わず森さんがそこの制服を着ている姿を想像して、ありだと思った。

キョン「森さんなら似合いそうだなあ」
古泉「そうですね。しかし残念なことに上司となるとマネージャーの服になってしまうわけでして…」
キョン「…俺の夢を返せ、古泉」
古泉「そう言われましても…」ポリポリ
キョン「冗談だ。本気に取るな」
古泉「いやはやこれはこれは…」ピッピッ
キョン「…どこにかけてる」
古泉「森さんですよ。とりあえず、できるうちに準備はしておかないといけませんので…」モシモシ、コイズミ?
キョン「…」

古泉の携帯から漏れてくる森さんの声を聞いて、俺は肩をすくめて空を見上げた。
知らない若い女性から親しげに名前を呼ばれているんだから、そりゃあ、怒るわ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:23:02.66 ID:eu.DrfY0<>昼休みの開始を告げるチャイムの音を聞きながら、俺は屋上で一人佇んでいた。
古泉の奴は、チャイムが鳴る五分ほど前に、『こっそりと購買へ向かえばいつもは買えない人気のパンが買えるかもしれませんので失礼します』などとほざいて校舎内に消えていった。

キョン「そろそろか?」

そう呟くのとほぼ同時に、階段を駆け上ってくる足音がかなりの勢いで近づいてくる。
けたたましい音を立てて扉が開かれる音がする。それに被さるようにして近づいてくる足音。

ハルヒ「キョン!」
キョン「よう、ハルヒ」
ハルヒ「『よう』じゃないでしょ!なに授業サボってるのよ馬鹿キョン!」
キョン「ちょっとな、野暮用で」
ハルヒ「あんたが野暮用?どうせ覗きとかそういうのなんでしょ?」
キョン「天地神明にかけてそんなことはしねえ!」
ハルヒ「なにかっこつけてるのよ!…まあいいわ。よかった、無事で」ポス

右手作った拳を軽く俺の胸に当ててから、俺に寄りかかるように倒れこんでくる。

ハルヒ「心配、したんだから」ムスッ
キョン「すまん」ナデナデ
ハルヒ「…どっかいっちゃったかと思った」
キョン「ここにいるだろ」ナデナデ
ハルヒ「そりゃ、そうだけど…さ」ムスッ
キョン「なあ、ハルヒ」ナデナデ
ハルヒ「なによ」
キョン「腹減った。今日の弁当は何だ?」ニコ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:35:39.35 ID:eu.DrfY0<>キョン「ごちそうさま。やっぱりハルヒの弁当は最高だな!」ニコ
ハルヒ「おそまつさま。お世辞言ってもなにもでないわよ」ニコ
キョン「デザートくらいは出るだろ?」
ハルヒ「最近、果物高いのよね…」
キョン「…わかってるくせに」
ハルヒ「…もう」カァッ
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…ん」チュッ
朝倉「…」
キョン「…ん」チュッ
ハルヒ「…」チュッ
朝倉「ちょっと」
キョン「!」ビクッ
ハルヒ「!」ビクッ

いつの間にそこにいたんだ朝倉!
お互いの肩に手を置いたまま、俺たちは突然の闖入者に視線を向ける。

朝倉「お邪魔してごめんなさい。涼宮さんにどうしても聞きたいことがあって」
ハルヒ「な、なにかしら?っていうか今見たことは」アタフタ
朝倉「誰にも言わないから安心して」ニコ
ハルヒ「あ、ありがとう」カァッ
キョン「じゃ、じゃあ俺はこれで…」
朝倉「あ、いいのいいの。キョン君もいて」
キョン「俺が聞いてもいいのか」
朝倉「構わないわ。聞きたいのは古泉君のことなの」
ハルヒ「古泉君のこと?」
朝倉「彼、何のアルバイトしているか、わかる?」
ハルヒ「んー。ごめん、よく知らない。たまに呼び出されていなくなっちゃうけど…」
朝倉「そう。キョン君は知ってる?」
キョン「!」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:44:33.45 ID:eu.DrfY0<>これは千載一遇のチャンスかもしれない。
そう思った俺はなるべく古泉が有利になるような証言をしようと無い知恵を搾り出す努力をした。
あとでジュースでも奢ってもらおう。

キョン「あー、確かファミレスでバイトしてるみたいなこと言ってたな」
朝倉「ファミレスって、レストラン?」
キョン「なんでも急にシフトが変わるとかで大変だってぼやいてたな。急に呼び出しくらうとかなんとか」
ハルヒ「へぇ。初耳だわ」
朝倉「…レストランねえ」
キョン「上司の女マネージャーが怖いって言ってたな」
朝倉「ふぅん」
キョン「古泉、古泉って振り回されてるらしいぞ」
朝倉「…わかった。ありがとうキョン君」
キョン「どういたしまして」
朝倉「涼宮さんもありがとう。ごめんね、邪魔しちゃって」ニコ
ハルヒ「!」カァッ
朝倉「じゃあ、お邪魔虫は退散します。ごゆっくり」フリフリ

殆ど音を立てずに扉を開閉させ、朝倉は校舎内に消えていった。
俺とハルヒは肩に置いた手は下ろしていたものの、向かい合ったままの格好で朝倉の相手をしていたことに気が付く。

ハルヒ「…見られちゃった」カァッ
キョン「…だな」カァッ
ハルヒ「…まあ、いっか」
キョン「…だな」
ハルヒ「…」チュッ
キョン「…」チュッ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/23(月) 23:52:28.51 ID:wo3BIVYo<>移転乙
これでファミレスって話が流れてたらどうなることか<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/23(月) 23:52:58.79 ID:eu.DrfY0<>どうしよう、どうしよう。
胸を締め付ける後悔の念と、えもいわれぬ恐怖が私の中を駆け巡る。
一樹…。
どこにいるの?
今すぐに謝りたい。
今すぐに顔が見たい。
今すぐに声が聞きたい。
悲しそうな眼差しが私を貫いて傷つける。
一樹…。
どこにいるの?
とりあえず、彼の教室を目指す。
昼休みの喧騒の中、廊下から一年九組の中を覗き込むが、彼の姿を見つけることはできなかった。

朝倉「…あ」

とぼとぼと階段を降りながら、ある場所を思い出した。
知らないうちに足早になりながら、校舎内を歩いて進んでいく。
中庭の一角、まだ記憶に新しい思い出の場所。
そこに彼は佇んでいた。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 00:05:36.05 ID:BXki4O20<>古泉「…涼子」
朝倉「一樹…よかった…」ポロポロ
古泉「!」
朝倉「ごめんなさい。…ごめんなさいごめんなさい」ポロポロ
古泉「何故謝るのです?」
朝倉「…バイト…キョン君に…聞いたの…」ポロポロ
古泉「…」
朝倉「疑って、ごめんなさい…私、嫌な女ね」ポロポロ
古泉「貴女は、悪くありません」ギュッ
朝倉「…だって、親しげに名前呼んでるんだもん…」グスッ、グスッ
古泉「…」ナデナデ
朝倉「いっ、一樹が、慣れてるから…、他に誰かいるのかと思って…」グスッグスッ
古泉「僕には、貴女だけですよ涼子」ナデナデ
朝倉「キ、キスも、エッチも慣れてるみたいなんだもん…」グスッグスッ
古泉「な、なにを、何を言うんですか!」カァッ
朝倉「だって、気持ちいいんだもん、一樹とすると、気持ちいいんだもん」グスッグスッ
古泉「そんな言葉を連呼しないでください!ああ、もうっ」
朝倉「んむっ…ん…」チュッ
古泉「…」
朝倉「…」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 00:20:57.09 ID:BXki4O20<>古泉「…落ち着きましたか?」ニコ
朝倉「…ん」ウルウル
古泉「…良かった。あなたに嫌われていなくて」ハァ
朝倉「私も…」ウルウル
古泉「ところで、なぜいきなりあんなことを」カァッ
朝倉「電話の人と一樹が付き合ってると思ったんだもの」プィッ
古泉「なんてことを」ハァ
朝倉「だって、一樹、上手なんだもん」カァッ
古泉「相性がいいんですよ、きっと。上手いかどうかなんて僕にはわかりません。貴女しか知らないんだから」カァッ
朝倉「!」カァッ
古泉「…いいですか。良く聞いてください」
朝倉「…」コクリ
古泉「僕は今日、ついさっきまで失意のどん底にいたんです。貴女に嫌われたと思って」
朝倉「…」
古泉「おかげでお昼御飯も食べていません。思い出の場所で貴女を思っていたんです」
朝倉「…」カァッ
古泉「…貴女を誤解させてしまうようなことを今後もしてしまうかもしれませんが…」
朝倉「…」
古泉「僕は貴女しか愛せません」カァッ
朝倉「…」カァッ
古泉「愛してます。涼子」
朝倉「…うぇっうえええええええん」ポロポロ
古泉「…」ギュ
朝倉「私も、ひっ、私も、あいしてる。一樹っ」ギュッ

またひとつ、忘れられない思い出ができましたね。涼子。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 00:25:11.16 ID:BXki4O20<>今宵はこの辺で失礼します。
お休みなさい。

ちょっと修正
朝倉「私も、ひっ、私も〜」
       ↓
朝倉「私も、ひっく、私も〜」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/24(火) 00:45:47.14 ID:.slJACMo<>乙
ここはゆっくりできるからマイペースでやってくれ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/24(火) 11:11:23.40 ID:owRTAqw0<>>>1
移転乙。
おま、あの変態仮面もかいてたんかww<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 21:30:36.01 ID:BXki4O20<>古泉「まったく、貴方には驚かされてばかりですよ」ニコ
キョン「俺もまた呼び出されるとは思っていなかったからお前に驚かされているぞ」
古泉「これはこれは…。その、涼子のこと、感謝しています」
キョン「…ついに俺との話の中でも呼び捨てかよ」
古泉「貴方に飾る必要はないと思いましてね。それに貴方だって涼宮さんのこと普通に呼び捨てにするじゃないですか」
キョン「…そりゃそうだけど、あいつの呼び方はずっとああだぞ」

入学してから暫くの間は『涼宮』って呼んでいたけどな。気がついたら『ハルヒ』になっていた。まあどうでもいいことだが。

古泉「ふふ。そもそも名前で呼ぶということ事態が特別なのですよ」
キョン「…」
古泉「それはおいといて、いったいどんな魔法を使ったんですか?」
キョン「たまたまお前と話したバイトの内容を、朝倉に教えただけだ。急なシフト変更が入ったり、上司の女マネージャーに古泉、古泉ってこき使われてるってぼやいてたとな」
古泉「なるほど、それで…」フム
キョン「なんだよ?」
古泉「女マネージャーって言うのがリアルだったんですかね。『疑ってごめんなさい』って泣かれちゃいましたから」ポリポリ

授業をサボって適当に練り上げた設定が大いに役立ったようで何よりだ。

キョン「自己完結か?朝倉って意外と騙されやすいのか?」
古泉「純真と言ってください。まあ、おかげで助かったんですけどね」ニコ
キョン「…用件はそれだけか?さすがにまた授業をサボるわけにはいかないだろ。そろそろヤバい」
古泉「わかっています。では手短に…」
キョン「なんだよ?」
古泉「ありがとう。キョン」ニコ

やれやれ。相変わらずキザな奴だ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 21:40:11.84 ID:BXki4O20<>ハルヒ「古泉君は今日お休みよ!」エヘン
キョン「へ?」
朝比奈「ふぇぇ?」
長門「…」ペラリ
ハルヒ「朝倉さんが一緒に出かけたいって言うから、古泉君にはお休みをあげたのよ」エヘン
朝比奈「そうなんですか」
長門「…」ペラリ
キョン「古泉とチェスをする予定だったんだがなあ」

さて、何をするか。長門に本でも借りて読むか?

ハルヒ「キョン」チョイチョイ
キョン「なんだ?」
ハルヒ「一緒に調べるわよ!」
キョン「何をだ?」
ハルヒ「遊園地よ!」
キョン「なに?」
ハルヒ「土曜日、思いっきり騒ぎたい気分なのよ」ニコ
キョン「あー、そっかそっか」ポリポリ

席を立ってハルヒの後ろに回り、背中越しにパソコンのモニターを覗き込む。
ハルヒの両肩に手を置き、左手の上に顎を載せる。

ハルヒ「!」
朝比奈「!」
長門「…」ペラリ
キョン「こりゃ、楽だ」
ハルヒ「ひゃっ、もう、くすぐったい」
キョン「悪い」ポス
ハルヒ「…もう」
朝比奈「…」
長門「…」ペラリ

一瞬、目の前が揺れる。
仲良くパソコンのモニターを見つめている涼宮さんとキョン君の姿が、昔見た気のする似たような光景に重なり合って、溶けていく。

朝比奈「………」ボソッ
長門「…?」
ハルヒ「このジェットコースターは楽しそうねっ」
キョン「最大落差40メートル!?ちょっと凄すぎないかこれ?」
ハルヒ「だっらしないわねえキョン」
キョン「俺はお前と違って繊細なんだよ」
朝比奈「…」
長門「…」ペラリ

楽しそうなふたりの姿。
幸せそうなふたりの姿。
そんなふたりを見て、私は静かに微笑んだ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 21:51:43.18 ID:BXki4O20<>ハルヒ「おやすみなさい」ニコ
キョン「おやすみ、ハルヒ」ニコ

開錠にかなりの時間を費やし、ハルヒが家に入るのを見届けてから俺は駅に向かって歩き出した。
親指で軽く唇をなぞり、ハルヒの唇を思い出す。親指とは比べ物にならないほど柔らな感触。
やれやれ。すっかりハルヒ中毒だな。
夏が終わりを告げ、秋の訪れを予感させる空の色。
北口駅前広場の傍を通る頃には、あたりはもう夜の帳に包まれようとしていた。

???「やぁ、キョン」
キョン「!?」ビクッ

突然後ろから声をかけられて、俺は反射的に振り向いた。
この辺じゃあまり見かけない制服。だが、その顔には見覚えがある。

キョン「お前…佐々木か?」
佐々木「覚えていてくれて光栄だよ、キョン」ニコ
キョン「確か、市外の私立に行ったんだよな?道理でこの辺じゃ見かけない制服を着ているわけだ。元気か?」
佐々木「キミが僕のプロフィールを覚えていてくれて何よりだ。ああ、この通り元気にしているよ。まさかキミから調子を聞いてくるなんて意外だったけどね」クックック
キョン「なんだよそれ」
佐々木「いや、忘れてくれ。少し雰囲気が変わった気がしてね」
キョン「俺が?」
佐々木「ああ。なんとなくだけどね」ジッ

意味ありげにそう言うと、佐々木は俺の顔を真っ直ぐに覗き込むようにして見る。
初めて見る制服姿の佐々木は、私立の進学校の制服だからだろうか、少し大人びて清楚に見えた。
言葉遣いは相変わらず男っぽいが。

キョン「あー、制服、似合ってるぞ」
佐々木「ん?ああ、ありがとう。キミもお世辞が上手くなったね」クックック

なんとも形容しがたい独特の微笑を浮かべる。こういうところも変わっていないな。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 22:02:27.68 ID:BXki4O20<>佐々木「僕としては久しぶりに会った友と旧交を温めることに吝かではないのだけど、時間はあるかい、キョン」
キョン「そうだな、大丈夫だ」
佐々木「決まりだ。ではそこの喫茶店に入ろう」
キョン「ああ」

そこは我がSOS団御用達のいつもの喫茶店だった。

佐々木「ブレンド2つ」

ウェイトレスが水を持ってくるなり、佐々木は実に簡単に注文を済ませる。
特に反論することも無かったので、俺は黙ってグラスの水を口に含んだ。

佐々木「さて、キョン」

グラスをテーブルの上に置くと、佐々木は真っ直ぐに俺の目を見て言った。

佐々木「まず、最初に謝っておく。すまない」
キョン「何をだ?」
佐々木「…今日、キミに会ったのは、実は偶然ではないんだ」
キョン「なんだと?」
佐々木「あまり大きな声を出さないで欲しい。…いろいろとまずいことになる」
キョン「…どういうことだ?」
???「おまたせ〜。ちょっと奥に行ってくれるかな?」
キョン「な、何だお前は!?」
???「あはは、いいからいいから」グイグイ
キョン「!?…!」

いきなり現れた女が、有無を言わさぬ勢いで俺の横に半ば強引に体を滑り込ませてくる。
文句を言おうとした瞬間、テレビやドラマでしか見たことの無い黒光りする物体の先を、ブレザーの内側から俺の脇に押し付けているのが見えて、俺は顔を上げた。
佐々木は、苦々しい表情を浮かべて、呟いた。

佐々木「すまない。キョン」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 22:25:23.14 ID:BXki4O20<>古泉「…ん」チュクッ
朝倉「…ん」チュクッ

幾度と無くお互いの舌を絡め、吸い、唇を貪るように重ね合わせる。
夕食の後のスキンシップにしてはいささか度がすぎた行為。

古泉「涼子…駄目です…」チュッ
朝倉「ふっ、ん、どうして?」チュッ
古泉「食後すぐ、は…体への負担が…むぐっ」チュ
朝倉「んっ、だって、我慢、できない」チュッ
古泉「…涼子…」チュッ
朝倉「…ん…」チュクッ

プルルルルル、プルルルルルル…

古泉「…電話ですね」プルルルル…
朝倉「…だめ」チュッ プルルルル…
古泉「だめ…です…」チュッ プルルルル…
朝倉「今は、私だけを…見て」チュッ プルルルル…
古泉「…りょう…こ」チュッ プルルルル…
朝倉「…」チュクッ プルルルル…
古泉「…」ドサッ プッ…<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 22:33:03.37 ID:BXki4O20<>???「ふっくっく。以外と上手く攫ってきたじゃないか」
???「…とりあえず早く出しなさい」
???「わかったわかった」キュルルルル、ドウウウン…
キョン「な、なんなんだお前ら?」
???「黙って」スチャッ
キョン「!?」
???「暫くは、そうね、そのお嬢さんと一緒におとなしくしていてくれるかしら?【キョンの本名】君」
キョン「なんだと?」
???「もっとも、逃げようとしても、これがあるから止めといた方がいいわよ」スチャッ
キョン「…」
佐々木「すまない…」
キョン「佐々木、これはどういうことだ?」
佐々木「…今は、言えない。少し待ってくれ」
キョン「…」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 22:48:11.06 ID:BXki4O20<>長門「…古泉一樹とは連絡が取れない」
朝比奈「ふぇええっ。古泉君どうしちゃったの!?」オロオロ
長門「…閉鎖空間の発生は確認されない。従って機関の関係ではないと思われる」
朝比奈「禁則事項で禁則事項ですけどっ、キョン君が危ないのは確かなんですねっ」オロオロ
長門「彼が何者かによって拉致されたのは確か。迂闊だった」
朝比奈「主導しているのは機関の敵対勢力ですか?」
長門「その可能性は高い」
朝比奈「キョ、キョン君大丈夫ですよねぇ?」オロオロ
長門「彼の存在意義を考えれば彼に危害を加える可能性はきわめて低いと思われる」
朝比奈「よかったぁ」ホッ
長門「とりあえず今は推移を見守るしかないと判断」
朝比奈「そうです、ね」
長門「…」

長門有希は静かに朝比奈みくるを見つめる。

長門「…朝比奈みくる。あなたに聞きたいことがある」<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/24(火) 22:53:50.95 ID:QSrq/R6o<>がんばれ!!超がんばれ!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/24(火) 22:57:25.43 ID:6SzoaSwo<>続きのはずが思わぬ展開に<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/24(火) 23:00:04.59 ID:.6xxM.Ao<>超展開<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 23:10:13.80 ID:BXki4O20<>どのくらい車に揺られていただろうか。
走っている車内で銃口を向けられれば、早々に降参するしか手段は無い。
俺は言われるまま、佐々木の膝に頭を乗せ、おそらく道を見せないためだろう。後ろ、つまり佐々木の体へ目を向けることを強制された。
まあ、膝枕の格好になるわけだが、プリーツスカートと白いブラウスの境目を見て、さすがに俺は佐々木に悪いだろうと思い目を閉じた。

佐々木「キョン、頭が落ちそうだ、もっとこっちへ」
キョン「待て佐々木、俺の頭を引き寄せるな」カァッ
佐々木「どうしてだい?キョン。頭から落ちて僕のスカートの中をでも覗こうというのかい?」
キョン「いや、お前の大事なところに俺の鼻が当たってもいいなら止めはしないが」
佐々木「なっ…。くっくっく。こんな状況でもそれだけ軽口が叩けるなら大丈夫かな」
キョン「…なあ佐々木」
佐々木「なんだい、キョン」
キョン「…お前は、何をしたいんだ?」
佐々木「…どういうこと?キョン?」
キョン「拉致されているのにも関わらず、やけに落ち着いているからな」
佐々木「…」
キョン「…」
佐々木「…もうじき着く。それまでは何も聞かないでくれ」
キョン「わかった」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 23:32:22.55 ID:BXki4O20<>同じ場所を回っているような動きを繰り返して、車は停止した。
おそらくどこかの立体駐車場にでも止めたのだろう。

佐々木「キョン、暫く目隠しをさせてもらうよ」
キョン「好きにしろ」
佐々木「…すまない」

佐々木が俺にアイマスクを着け終わるのとほぼ同時に、扉の開く音がした。

???「降りなさい」
キョン「…ああ」
佐々木「キョン、まずは上半身を起こして。立ち上がるとルーフに頭をぶつける」
キョン「ああ」

佐々木に誘導されるまま俺は頭を上げ、身を捩って後部座席に座る。

???「さあ、降りろ」グイッ
キョン「…」

腕を引かれ、俺は半ば強制的に外に引きずり出される。だが、目隠しをされた状態で急に車から降りろといわれても無理がある。
当然というか、やっぱりというか、俺は手を引っ張った相手に向かって思い切り倒れこんだ。

???「ちょ、ちょっと!きゃあっ!」ドサッ
キョン「…いてててて。強引に引っ張るからこうなるんだ…。ええと…」ムニュ
???「え?え?え?」
キョン「?」ムニュムニュ
???「な、な、な」
???「ふっくっく。ずいぶん大胆じゃないか。【キョンの苗字】」
佐々木「笑ってる場合か、キョン、さあ手を」グイッ
???「あ、あ、あ、あ…」
佐々木「橘さん、今のはあなたが悪い。事故と思って、ね」
???「く、くく…」
佐々木「すまないねキョン。さあ行こう、こっちだ」ギュッ
???「く、悔しい…」

…俺は何をしたんだ?教えてくれ、佐々木。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/24(火) 23:45:06.86 ID:BXki4O20<>佐々木「すまなかった、キョン」

そういうと佐々木は俺のアイマスクを外し、肩を叩いた。

佐々木「もう目を開けて、いいよ」
キョン「…」

そこは、全ての窓をブラインドカーテンで塞いだ、学習塾の教室くらいの広さのオフィスビルの一室だった。
事務机が無造作に端に追いやられ、部屋の真ん中にソファーとテーブルの簡単な応接セットみたいなものが儲けられていた。

佐々木「とりあえず、そこに座って」

促されるまま、俺はソファーへと腰を下ろす。
学校の応接間のソファーよりは高級品だな。これ。
俺の前のソファーに佐々木が座り、その後ろに銃を向けた女と、運転手だった男があらかじめ置いてあったパイプ椅子を広げて座った。

???「…」カァッ
???「…」

女の方は俺を見て赤くなって視線を逸らし、男の方は興味なさげに視線を外した。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/25(水) 00:10:00.78 ID:Qor3v8Yo<>C<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 00:10:36.42 ID:ISfdMuA0<>佐々木「まず、キミとこんな形で旧交を温めなくてはならなくなったことを謝らせてもらう。すまない、キョン」
キョン「…」
佐々木「まあ、やむにやまれぬ理由があったと、そう思ってくれると嬉しいのだが…。強制はしない」
キョン「…」
佐々木「とりあえず、彼女は橘さん、彼は…キミのお友達で言うと朝比奈みくるさんと立場が似ている…ありていに言えば、未来人だ」
キョン「…なんだって?」
佐々木「橘さんは、キミのお友達で言う古泉一樹君と立場が似ている、と言えばわかるかな?」
キョン「…機関の人間…超能力者か?」
橘「半分当たりで半分はずれ、ですね。【キョンの本名】君。超能力者と言えばそうなると思いますが、あなたの言う『機関』は我々の敵対勢力です」
キョン「で、その『機関の敵』と未来人とお前がつるんで何をしようって言うんだ?佐々木」
佐々木「くっくっく。慌てないでくれキョン。キミのお友達にはまだ彼女たちとは違う人がいるだろう?」
キョン「…なんだ、じゃあ佐々木、お前は自分が宇宙人の手先だとでも言うのか?」
佐々木「くっくっく。本当にキミは面白いことを言う。3年前、僕はキミと同じ中学校で勉学に励んでいたと思うんだけど?」
キョン「ああ、そうだな」
佐々木「キミのお友達の長門さんに立場が似ている人なら…九曜さん、こちらへ」
九曜「--了解---した」

ぞくっと、俺の背中を毛羽立った何かがなぞっていったような感覚に襲われた。
佐々木が手招いた場所にゆっくりと姿を現したそれは、ぼんやりと滲む靄のようなものにしか見えなかった。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 00:16:11.78 ID:ISfdMuA0<>今宵はここまで…
おやすみなさいませ…orz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/25(水) 00:20:18.30 ID:Qor3v8Yo<>乙<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 22:03:07.61 ID:ISfdMuA0<>そいつの着ているのが良く見かける女子高、光陽園女子の制服であると気がつくまでに数秒の時間を要した。
自らを全て覆いつくすような、長い漆黒の髪。
人外。そんな言葉がしっくりとくる。こいつは幽霊や化け物の類だ。人間じゃない。
なんだ。こいつは。

九曜「---私は---周防---九曜---」

えらく間延びした抑揚のない喋り方。

九曜「---宇宙の---意思が---遣わす---」
キョン「機関の言うTFEI端末と思って構わないのか?」
九曜「---機関は---人が創る---組織---」
キョン「いや、お前が機関の一員か尋ねているわけではなくてだな…」
九曜「---宇宙は---無限---それは---必然---」
キョン「宇宙論を聞いているわけでもなくてだな…」
九曜「---時は---巡る---人も---巡る---」
キョン「人の話を聞いているのか?」
九曜「--貴方の---瞳は---とても---綺麗ね---」ジッ
キョン「…」

まっすぐに俺の目を見つめる黒い瞳。えもいわれぬ恐怖を覚えて視線を逸らす。
頭が痛くなってくる。会話が成立しない。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 22:11:19.01 ID:ISfdMuA0<>佐々木「くっくっく。なかなかにエキセントリックだろう、キョン。僕も九曜さんと意思を疎通するのには結構苦労するんだ」
キョン「…」
佐々木「ああ、だからといって彼女が僕にとって大切な仲間であることに疑いの余地はないのだけどね」

友人は選んだほうがいいぞ。佐々木。

佐々木「現に今、僕たちがいるこの場所も、彼女の力によって守られているのだからね」
キョン「情報操作…か?」
佐々木「ご明察。…それがどういうことかはキミならわかるよね?キョン」
キョン「機関や他のTFEI端末に存在が隠匿されているということ、か?」
佐々木「くっくっく。話が早くて助かるよ」
キョン「…」

超能力者、未来人、宇宙人を大切な仲間と言う佐々木。

キョン「ちょっと待て、お前らの神は誰なんだ?」
佐々木「くっくっく。面白いことを言うね、キョン」
キョン「いや、真面目に聞いているんだが」
佐々木「この状況でわからないとは言わせないよ」
キョン「超能力者、未来人、宇宙人…」

声にして確認しながら、古泉、朝比奈さん、長門の姿が順に浮かんでくる。

キョン「…そして、鍵か?」

自分の胸に手を当て、同時にまっすぐに佐々木を見ながら、俺は対応するであろう言葉を口にした。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 22:19:47.14 ID:ISfdMuA0<>???「ふっくっく。確かにそう思うのが妥当だな」
キョン「なんだと?何が言いたい?」
???「さあな。ただ、あまりにも予想通りなのでつい、な」クックック
橘「…貴方は少し黙っていてください」
???「ふん。お前に指図される筋合いはない」
キョン「…仲間といっている割に、名前も知らないのか?」
橘「!それは今の話とは関係のないことでしょう?」
キョン「攫われた人間からすると、自分がどうなるかわからない中で誘拐犯が仲間割れして争い始めるのが一番恐ろしいんだ。せめて見えないところでやってくれ」
橘「なっ!」

真っ赤になって反論しようとする橘を、佐々木が手を上げて制した。すると橘はおとなしく引き下がる。
それを見た男は鼻に付く笑みを浮かべ橘を見る。周防九曜は、正直あまり目を合わせたくないので無視することにした。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 22:29:19.08 ID:ISfdMuA0<>佐々木「確かにキョンの言うとおりだ。お互いを認めるためには必要だと思う」
???「くだらん。名前などただの識別記号に過ぎない。ましてやこの時間世界ではな」フン
佐々木「しかし、その方が何をするにも意思疎通を図るには便利なんだ。何か呼称になるものを名乗ってはくれないだろうか?」
???「…藤原」

佐々木の提案にやや逡巡した後で、男は吐き捨てるようにそう言った。

藤原「とでも呼ぶがいい。別に源でも足利でも徳川でも構わないがな」
キョン「お前は征夷大将軍か」
藤原「ふっくっく。人並みの知恵はあるみたいだな。現地人」
キョン「…」ムカ
佐々木「まあ、何はともあれ、これで全員自己紹介は終わったわけだ」
キョン「あまり好意的とは言えないがな」
藤原「茶番だからな」フン
橘「くっ、貴方はどうしてそう協調性に欠けるのですか」
藤原「別にお前たちと協力しなくても問題は無い」フン

おいおい、ずいぶんと険悪だなお前ら。

佐々木「すまないキョン。話が逸れた」
キョン「…ああ、はやめに済ませてくれ」
橘「!」
藤原「…」フン
九曜「…」

明日はハルヒと出かける約束をしているからな。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 22:39:27.10 ID:ISfdMuA0<>佐々木「じゃあ、続けよう。まずは三年前の世界改変。これにより未来人は三年より前の過去へは行くことができなくなった。またその世界改変とほぼ時を同じくして超能力に
目覚める者が現れ、『機関』を組織し、次元断層の狭間にできる閉鎖空間及び、そこに現れる神人の狩人としての行動を開始することになる。正にダーヴィニズムも霞むほどの
突然変異だ。その世界改変の中心が、僕たちの住んでいるこの街であり、一人の人物が基点となっている」
キョン「…」
佐々木「その人物を中心として様々な要素が集まって世界を構成していく。であるならば、その人物を神と呼ばずしてなんと呼べばいい?」
キョン「また壮大な物語だな、佐々木」
佐々木「くっくっく。僕もそう思うよキョン」
キョン「で、その人物は誰なんだ?」
佐々木「くっくっく。わかっているだろう?」
キョン「…まあな」
佐々木「神一人に対して対抗する勢力が、今のところわかっているだけでも二グループある」
藤原「…」
橘「…」
九曜「…」

そのグループの一つを担っている共同体が目の前に揃っているってわけだ。
今頃、もう一つのグループも集まって作戦会議をしているんだろうか。

佐々木「一つのグループは出遅れた。仲間を集めるのに手間取り、意思疎通に手間取っている」
キョン「…」
佐々木「だけど、少なくとも今現在は相手より優位に立っていると、確信しているよ」

佐々木特有の笑みを見て、俺は形容しがたい不安に苛まれた。
なんだ、この感覚は…。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 22:52:08.09 ID:ISfdMuA0<>佐々木「キミの仲間は、キミを騙している」
キョン「馬鹿なことを言うな」
佐々木「くっくっく。そう思うのも無理は無い。彼らの言葉は99%真実なのだからね」
キョン「誰だって多少の虚言は弄するだろうが」
佐々木「確かに。真実を隠すための嘘もあれば、人を騙すための嘘もある」

次元断層の狭間で神人を狩る超能力者
未来の記憶を封印された未来人
情報統合思念体の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス
それらのプロフィールは、それぞれ行動や能力によって嘘でないことを証明してもらっている。

キョン「あいつらが俺に嘘を言っているとは思わないけどな」
佐々木「くっくっく。キミはいい仲間を持ったようだね。羨ましいよ。まあ僕も君達までとはいかなくても、それに近いくらいには仲良くなるつもりだがね」
キョン「健闘を祈る」
佐々木「ありがとう」
キョン「お前がこいつらと仲良くしたいと思うのは勝手だが、俺は謹んで辞退させてもらう」
佐々木「だろうね。キミならそう言うと思ったよ」
橘「そんな!佐々木さん」
佐々木「落ち着いて橘さん」
橘「…」

佐々木と橘は結構仲が良さそうだな。周防九曜は何を考えているかわからないし、藤原の野郎は友好的に振舞う気が始めからないようだが。

佐々木「キョン」

佐々木は俺を呼ぶと、ただ真っ直ぐに俺の目を覗き込んできた。
何もかも見透かすかのような透き通った輝きに吸い込まれそうになる。

佐々木「涼宮さんと同じ存在として僕がいる」

なんだって?
どくんっ。心臓の音がやけに大きく感じられた。

佐々木「…僕は、涼宮さんと同じ存在だ」

もう一度、同じことを佐々木は静かに告げた。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 23:07:32.72 ID:ISfdMuA0<>朝比奈「一体何を聞きたいのですか?長門さん」
長門「放課後、彼と涼宮ハルヒを見ながら呟いた言葉の意味を教えて欲しい」
朝比奈「…聞こえていたのですか」
長門「…」コクリ
朝比奈「…」ハァ

思わず大きなため息が漏れる。
キョン君と涼宮さんを見て浮かんだ光景。
遠い日の記憶の断片。

朝比奈「…言葉通りの意味…です」
長門「…そう」
朝比奈「信じられますか?」
長門「朝比奈みくるの存在、そのものが全てを物語っている」
朝比奈「えっ?」
長門「すべての事象において、それは涼宮ハルヒの力によるもの」
朝比奈「…」
長門「従って否定するための根拠も証拠も見出せない」
朝比奈「…」
長門「…私という固体は、…朝比奈みくると離れることを望んでいない」
朝比奈「…長門…さん」
長門「…」
朝比奈「…ありがとう」
長門「…」コクッ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 23:17:40.82 ID:ISfdMuA0<>佐々木「キョン。着いたよ」
キョン「…ああ」
佐々木「キミのご両親に説明をさせてもらっていいかな?僕がキミを引きとめて、こんなに遅くなってしまったのだから」
キョン「すまないな」
佐々木「いや…じゃあ一緒に行こう」

そう言うと佐々木は俺の家の玄関先に自転車を止め、インターホンを押した。

キョン妹「キョン君遅いよ〜。あれ?お姉さん誰?」
佐々木「こんばんは。妹ちゃん。お母さん、いるかい?」
キョン妹「うん、ちょっと待ってね。お母さーん。お客さーん、とキョン君」
キョン「おい」
佐々木「くっくっく。しかし僕のことは忘れてしまったみたいで少なからずショックだよ」

佐々木の横顔は少しだけ寂しそうに見えた。

キョン母「【キョンの名前】!お前こんな遅くまでどこにいたの!心配させて…あら、あなたは佐々木さん?あらあら、久しぶりね」
佐々木「ご無沙汰しております。すみません、私が久しぶりに会った【キョンの名前】君を引き止めてしまって、気がついたらこんな時間になってしまいまして…」
キョン母「まあまあ、そうだったの。あら、いいのよ佐々木さん。【キョンの名前】、遅くなったのは仕方ないから、ちゃんと佐々木さんを送ってきなさいよ」
キョン「わかってるよ」

佐々木が辞退しようとするのを横目に俺は庭においてあった自転車を引き出し、俺の母親と押し問答をしている佐々木に向かって声をかけた。

キョン「佐々木、行くぞ」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 23:31:27.06 ID:ISfdMuA0<>佐々木「ここでいいよ。キョン」
キョン「バス停、新しくなったんだな」
佐々木「くっくっく。僕たちが待ち合わせしていた時はボロボロだったよね」
キョン「…そうだな」

中学生の頃、佐々木とここで待ち合わせて塾へ通っていたのを思い出す。

佐々木「まだ、その自転車を使っているんだね」
キョン「ああ。結構頑丈だからな」
佐々木「くっくっく。そうだね。僕を乗せても壊れなかった」
キョン「お前そんなに重くないだろう」
佐々木「キョン。女性に向かって『重い』は禁句だよ」
キョン「そりゃ失礼」

俺は軽くおどけて見せる。

佐々木「キョン」
キョン「なんだ?」
佐々木「今日は、すまなかった」
キョン「もう過ぎたことだ」
佐々木「ショックだっただろう」
キョン「いや、思い当たることもあったからな」
佐々木「そう…。キミは強いな」
キョン「そんなことはない」
佐々木「いや、強いよ」

俺を真っ直ぐに見つめて、佐々木はそう断言した。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 23:40:19.30 ID:ISfdMuA0<>佐々木「じゃあ、僕はこれで」
キョン「ああ」
佐々木「…おやすみ、キョン」
キョン「…おやすみ、佐々木」

お互い軽く手を上げて別れる。
佐々木が見えなくなるまでその背中を見送ると、反転して家に戻るためにペダルを踏み込もうとして自転車を止めた。
セーラー服の少女が俺の行く手を遮るようにして立っているのが見えたからだ。

キョン「よう、長門」
長門「…?」
キョン「どうした?」
長門「…探した」
キョン「俺を?」
長門「…」コクリ
キョン「…大丈夫だ」
長門「…」
キョン「俺は、大丈夫だ」
長門「…ごめんなさい」
キョン「お前が謝ることじゃない」
長門「…」シュン
キョン「心配するな。俺は、大丈夫だ」
長門「…」コクリ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/25(水) 23:51:12.33 ID:ISfdMuA0<>ゆさゆさ、ゆさゆさ。

???「いい加減、起きてよキョン」

ん?朝か…。
目を開ける。見慣れた天上と、見慣れた同級生の姿。
すっかりこのパターンが定着してきたな。

キョン「おはよう」
佐々木「まったく。キミはねぼすけなんだから」
キョン「そう言うな」
佐々木「ほらほら、急いで支度してきてくれ」

椅子に座り、制服のスカートが皺にならないように気をつけながら、彼女は俺を急かした。

キョン「じゃ、行ってくる」
佐々木「はい、行ってらっしゃい」

なんだか、夫婦みたいだな。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 00:04:37.91 ID:bVdNPnY0<>--HR前、教室

国木田「おはよう、キョン。佐々木さん」
谷口「相変わらず熱いねえ、お二方」
佐々木「くっくっく。悔しかったらキミも彼女を作ればいいじゃないか」
キョン「それは禁句だ、佐々木。谷口が泣くぞ」
国木田「あはは。これは一本獲られたね、谷口」ニコ
谷口「バカップルなんか嫌いだああああああ」ダッ
佐々木「それにしても、何故谷口はあんなに打たれ弱いんだ?」
キョン「それだけお前の言葉が辛辣なんだろう」
佐々木「くっくっく。そんなつもりは無いんだがね」
キョン「自覚が無いのかよ」
佐々木「くっくっく。何気に失礼だね、キョン」

--放課後 文芸部室 兼 SOS団団室

九曜「---」ペラリ
藤原「フン。お前の番だ。早くしろ」
キョン「…まあ待て、ここをああすれば…」
橘「佐々木さん、お茶です」ニコ
佐々木「ありがとう、京子ちゃん」
橘「キョンさん、藤原さん、お茶です」ニコ
キョン「ありがとうございます」
藤原「…ああ」
橘「周防さんお茶です」ニコ
九曜「--あり--がと--う」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 00:16:09.26 ID:bVdNPnY0<>佐々木を送り届けてから家に戻る。変わらない日常。変わらない毎日。
でも…。
何かがおかしい。
俺は、こんな生活を送っていたか?
俺は、こんな仲間と過ごしていたか?
俺は、佐々木と付き合っていたか?

何かが違う。頭の中で何かが警鐘を鳴らしている。
誰かが俺を呼んでいる…。

キョン…キョン…

誰だ…

キョン…ドコナノ…

誰だ!

キョン…

強気な瞳、黄色いカチューシャ。

キョン…

甘い吐息、甘い香り。

キョン…

ハ…ル…ヒ…

光の洪水が俺の頭の中を駆け巡る。全てを真っ白に染める閃光。
その中で、はっきりと聞いた愛しい声。

愛してる。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 00:17:04.72 ID:bVdNPnY0<>今宵はここまで。オヤスミナサイorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/26(木) 00:19:44.11 ID:EX7y9lso<>乙です!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/26(木) 13:59:18.17 ID:qmvrSGw0<>なんか超展開だなww
イチャイチャ展開キボンヌ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:00:14.03 ID:bVdNPnY0<>キョン「!!」ガバッ
佐々木「!」
橘「!」
藤原「…」フン
九曜「---失敗---理解---不能---」

なんだ?何があった?

佐々木「キョン…」
キョン「…佐々木、俺は…」
佐々木「…」
キョン「答えろ」
佐々木「キミと涼宮さんの絆の強さがそれほどとは思わなかったよ」
キョン「何を言っている?」
佐々木「くっくっく。僕の負けだ。認めよう」
キョン「だからお前は何を言っているんだ、佐々木」
佐々木「わからないのかい?」ジッ
キョン「まったくわからん」
九曜「---記憶---上書き---失敗---」
キョン「!」

記憶の上書き、だと?<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:08:13.48 ID:bVdNPnY0<>キョン「佐々木、お前…」
佐々木「…くっくっく。軽蔑してもらって構わないよ。キョン」
キョン「なんだと?」
佐々木「僕は涼宮さんに取って代わろうとしたんだ」
キョン「なぜそんなことを」
佐々木「くっくっく。本当にわからないのかい?キョン」
キョン「ああ、わからないね」
佐々木「まったく…キミは、変わらない」

佐々木は俺を真っ直ぐに見つめて口元を歪める。どことなく悲しそうな表情を浮かべて。

佐々木「くっくっく。自分が次元断層の狭間に世界を作ることができるのに、望んでも自分ではいけないなら意味が無いよね。キョン」
キョン「何を言っている」
佐々木「橘さん、九曜さん、藤原さん。悪いが暫く外してくれないか?」
橘「…わかりました」
九曜「---監視は---続ける---」
藤原「…ふん。好きにしろ」
九曜「---済んだら---呼んで---」
佐々木「ありがとう九曜さん」

周防九曜を先頭にして三人が部屋の端の方へと進んでいくと、彼女たちの前に扉が現れる。
…再構築。TFEI端末が得意とする物質変化だ。
三人が外に出ると再び扉は塗りつぶされるように壁の中へと消えていった。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:13:45.12 ID:bVdNPnY0<>佐々木「くっくっく。閉鎖空間に自分の意思で行けるのなら、キミを拉致するなんて回りくどいことをしなくて済んだのに」
キョン「佐々木、何を言っている」
佐々木「…キョン」チュッ
キョン「!」

不意に佐々木は身を乗り出し、電光石火の早業で俺にキスをした。
完全な不意打ちで、なすすべも無く唇を奪われる。

佐々木「キョン…君が好きだ」カァッ
キョン「さ…さき」
佐々木「高校に入ってから、気がつくとキミのことばかり考えていた」
キョン「…お前、恋愛は精神病の一種とか言っていなかったか?」
佐々木「くっくっく。思春期にはありがちな妄言だよ。キョン。キミが恋愛に興味なさそうだったから僕もそのふりをしていただけだ」
キョン「…」
佐々木「キミを思いながら僕は、何度も自分を慰めたよ。身体を持て余しもした」

言いながら佐々木は、今までに見せたことのない艶やかな表情を浮かべる。

キョン「な、なにを」カァッ
佐々木「少しは身体的にも成長したと思うが、どう思う?キョン」
キョン「やめろ、佐々木」
佐々木「なぜ?僕は女として見られないのかい?」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:25:01.04 ID:bVdNPnY0<>身を乗り出した佐々木が机の上に乗り膝を着く。そのまま俺の首に手を廻して耳元でささやいた。

佐々木「キミの好きにしてくれ」
キョン「…佐々木」
佐々木「今だけで構わない。好きだキョン」ギュッ
キョン「…めろ」
佐々木「…抱いてくれ」ギュッ
キョン「…やめろ」
佐々木「…愛してくれ」ギュッ
キョン「やめろ!」バッ

佐々木の両肩を掴み、体から引き離す。

キョン「お前は、俺の知っている佐々木じゃない」
佐々木「僕は僕だよ」
キョン「佐々木はこんなこと言わない」
佐々木「君が気付かなかっただけだ」
キョン「佐々木はこんな行動をとらない」
佐々木「身体が求めるんだ!」
キョン「黙れ」
佐々木「黙らない」
キョン「黙れ!」
佐々木「黙るものか!」
キョン「佐々木!」

肩を掴む手に力が入る。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:32:45.84 ID:bVdNPnY0<>キョン「すまん、佐々木。俺は…」
佐々木「…」
キョン「…俺は、ハルヒを…、愛しているんだ」
佐々木「…」
キョン「すまん」
佐々木「…」ポロポロ
キョン「…」
佐々木「…くぅっ、ふっ…うっ」ポロポロ
キョン「…すまん」
佐々木「うっうわあああああっ、うわああああああん」ポロポロ
キョン「すまん」

橘「彼は受け入れてはくれないでしょうね。佐々木さんのことを」
藤原「フン。遅すぎたからな」
橘「そうやって何もかもわかっているみたいな話し方はやめてくれませんか?」
藤原「仕方ないだろう。既定事項なのだから」
橘「…わかっていて何故貴方はこの時間世界にいるのですか?」
藤原「知りたかったからだ」
橘「何をですか?」
藤原「平行世界で、奴が誰を選ぶのか。それがどんな奴なのか」
橘「そうですか…」
藤原「フン。暇つぶしにはなる」
橘「…」
九曜「---種は---植えた---」
藤原「ふっくっく。もう一手、残っているみたいだな。さて、どうなるか」
橘「…」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:40:09.91 ID:bVdNPnY0<>佐々木「…すまなかった。キョン」
キョン「いや」
佐々木「こんなことなら、北高にしておけばよかったよ」
キョン「佐々木…」
佐々木「くっくっく。そんな顔をしないでくれキョン」
キョン「…」
佐々木「…できれば、これからも友人としての付き合いはしていきたい」
キョン「…暫くは、無理かもしれない」
佐々木「どうしてだい?」
キョン「奪われたからな」
佐々木「キョン、奪ったんじゃない。捧げたんだ」
キョン「!」
佐々木「くっくっく。初恋の人に初めてを捧げるのは特別な思い出になるからね」
キョン「…言うな」
佐々木「長い間想っていたんだ。そのくらいはいいだろう。キョン」
キョン「…」

佐々木は形容しがたい独特の笑みを浮かべ、それから何かを振り払うように踵を返し、周防の名を呼んだ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:47:25.14 ID:bVdNPnY0<>橘「もういいでしょう」
佐々木「そうだな。キョン、もう外しても構わないよ」
キョン「…」
佐々木「駅前に着くまで、もう少しこうしているかい?僕は一向に構わないが」
キョン「いや、起きるさ」
佐々木「そうか」
キョン「ああ」

アイマスクを外し、目を開けてゆっくりと身体を起こす。

藤原「…」キキキキッ、ブオオオオオン
キョン「うわっ」グラリ
佐々木「キョ、キョン、大丈夫かい」ギュッ

急ブレーキでバランスを崩し、前方に投げ出されそうになる。
慌てて佐々木が俺の腕を掴んで自分の方へと引き寄せる。
結果、俺は佐々木に抱きとめられる形でなんとか堪えた。

キョン「す、すまん」ポスッ
佐々木「いや…大丈夫」ギュッ
キョン「…」

身体を横にずらし、そのまま反転して前を向く。

キョン「ふう」
佐々木「…」

フロントガラスから見える景色を見て、北口駅前の近くと気付く。
止まってくれと声をかけるよりも早く、車は減速を始め、ウインカーを出して喫茶店の側で止まった。

藤原「着いたぞ。俺はこのまま橘を送っていく」
佐々木「頼みます。さ、キョン。降りよう」
キョン「ああ」
橘「…」
藤原「…」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/26(木) 23:56:38.67 ID:bVdNPnY0<>車から降り、佐々木が自転車に鍵を差し込みながら言った。

佐々木「キョン。…すまなかった」
キョン「…」
佐々木「少し歩こうか」
キョン「ああ」

佐々木と並んで歩く。何を話すでもなく、ただゆっくりと並んで歩く。
すっかり暗くなった駅前の道を、佐々木と並んで歩く。まるで中学生に戻ったかのような錯覚。
そのノスタルジックな空気を破ったのは、やはり佐々木だった。

佐々木「…キミは涼宮さんを選んだ。そうだろう?」
キョン「ああ」
佐々木「くっくっく。即答か。キミらしくない。けど、それだけ彼女を信頼している」
キョン「…」
佐々木「鍵穴は二つ、鍵は一つだ」
キョン「!」
佐々木「何を驚いているんだいキョン。キミはもう選んだんだ。なら、迷うことは無い」
キョン「待て、何を言っている」

おかしい、根本的な何かがおかしい。<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/26(木) 23:59:47.23 ID:h7UvhwDO<>続き待ってたーっ!!
超展開に驚いたけど、完結まで頑張って!応援してるよ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 00:02:51.56 ID:EzqqZKk0<>佐々木「キミは『涼宮さん』を選んだんだ。僕じゃなくて彼女のことを」
キョン「いや、待て。一人っていうのはハルヒのことだろうが?」
佐々木「くっくっく。何を言っているんだいキョン」

皮肉を塗した笑みを浮かべ、佐々木は足を止める。

佐々木「少し考えればわかるだろう。どうして今まで騙されていたんだ」
キョン「…」
佐々木「ああ、騙されてはいないのか。キミが『鍵』というのは正しいからね」
キョン「…」
佐々木「ただ、『神=鍵穴』ではなく、『神=鍵』と言われていたのかな」
キョン「…」
佐々木「キョン、涼宮さんの周りが非現実的な体験をしているわけじゃない」
キョン「…」
佐々木「キミと涼宮さんの周りが、非現実的な体験をしているんだ。考えてくれ。キミが非現実的な体験をしたのは高校に入ってからだろう?」
キョン「…ああ」
佐々木「なら、涼宮さんが中学生の頃に彼女の周りで非現実的な体験をしている人はいるのか?」
キョン「…」
佐々木「答えはNOだよ、キョン。『機関』の人間は神人と戦ったことがあるだろが、キミたちが体験したようなことを体験した人はいない」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 00:21:28.98 ID:EzqqZKk0<>キョン「いや、だが…」
佐々木「三年前、キミは未来人の力でその場所に行き、涼宮さんの力を解放したんだ」
キョン「…」
佐々木「そして僕は君と過ごした時間の中で力を解放された」
キョン「…」
佐々木「高校で再会したキミと涼宮さんは、友人としてお互いを認めるようになり、それに伴って周囲を巻き込むだけの力を発現させた」
キョン「…」
佐々木「鍵は、鍵穴に力を与えると同時に、鍵穴を制御する。そう僕は考えている」
キョン「…どういうことだ?」
佐々木「そのままの意味さ」
キョン「よくわからないが」
佐々木「キミと涼宮さんが傍にいることによって涼宮さんの無意識下の願望が非現実的な事象となって発現する」
キョン「…」
佐々木「二人がお互いを認めたとき、キミは涼宮さんの能力を制御できるようになるか、その力を打ち消せるようになると思う。あくまで予想だが」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 00:25:09.30 ID:EzqqZKk0<>>>77 ありがとうありがとう。

今宵はこの辺で失礼いたします。おやすみなさいませorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/27(金) 01:21:02.62 ID:V3.jyTYo<>おつ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/27(金) 08:23:57.43 ID:iyfYeYg0<>乙!!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/27(金) 16:56:18.51 ID:BZZ/u9g0<>続きが楽しみで仕方ない!!<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 22:56:14.19 ID:EzqqZKk0<>アア…大きな間違いが78に…orz

×佐々木「ただ、『神=鍵穴』ではなく、『神=鍵』と言われていたのかな」
○佐々木「ただ、『神=鍵』ではなく、『神=鍵穴』と言われていたのだね」

スマソorz<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 23:03:26.82 ID:EzqqZKk0<>キョン「お互いを認めたとき?」
佐々木「本当にお互いが相手を必要と認めたとき、何かが変わるんだと僕は思うよ」
キョン「…」
佐々木「鍵と鍵穴が揃って初めて扉が開くんだ。その扉とは何か?そう考えればわかりやすいんじゃないかな?キョン」

鍵と鍵穴が揃って初めて扉が開く…。

佐々木「ああ、言っておくけど、…純潔を奪うことが扉を開くってことじゃないよ」
キョン「!」カァッ
佐々木「くっくっく。もしかしてそうだとでも思っていたのかい?確かに鍵と鍵穴はその行為の隠語でもあるけどね」
キョン「…」

佐々木は面白そうに笑いながら、自然な動きで俺の耳元に唇を寄せる。

佐々木「もしそうだったら、さっき、僕はキミを犯していただろうね」クックック
キョン「なっ!?」カァッ
佐々木「だってそうだろう?キミと繋がれば世界を救うことができるってことなら、感情なんて関係ないんだ」
キョン「…佐々木」
佐々木「それでも、僕は嬉しかっただろうけど…、いや、これは失言だ。忘れてくれると嬉しい」
キョン「…」
佐々木「懐かしいな。中学生の時はここでキミと待ち合わせたね」
キョン「そうだったな」
佐々木「僕はキミの自転車の後ろに乗って、塾に行った。今思うと、あの頃が一番楽しかったよ」
キョン「…」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 23:12:40.20 ID:EzqqZKk0<>佐々木は涼しげな眼差しを空へと向け、そして呟いた。

佐々木「キョン。ひとつだけ忠告しておく」
キョン「なんだ」
佐々木「九曜さんに暗示をかけてもらった。効果があるのは一度きりだが強力な暗示を」
キョン「なんだと?」
佐々木「涼宮さんの反応次第では、世界が崩壊するかもしれない」
キョン「…」
佐々木「…そのときは、僕のところに来てくれ。キョン」
キョン「…」
佐々木「軽蔑してもらっても構わないよ。これが正真正銘、鍵穴としての僕の最後の切り札だ」
キョン「…佐々木」
佐々木「さようならキョン」
キョン「待てよ」
佐々木「…僕は一縷の望みに期待して待つとするよ」
キョン「待てよ!」
佐々木「…さようなら」
キョン「佐々木!」

俺の呼びかけに応えることなく佐々木は去っていった。
暗示ってなんだよ、佐々木。

キョン「馬鹿野郎…」ボソッ

聞こえるはずの無い言葉を佐々木に投げかけて、俺は方向転換をしてそのまま立ち止まった。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 23:21:09.37 ID:EzqqZKk0<>明らかに俺と佐々木が離れるのを見計らっていたかのように、無言のまま近づいてくる三つの影。

キョン「…お前ら」
長門「…」
古泉「…」
朝比奈「…」
キョン「聞いていたのか?」
古泉「はい」
キョン「佐々木の言っていたことは正しいのか」
古泉「…」
朝比奈「…」
長門「…」
キョン「答えろ、古泉」
古泉「…貴方がどう思うかは貴方の判断にお任せします。ただ、我々『機関』の見解はあくまでも涼宮さんが神であることに間違いはありません」
キョン「まあそうだろうな。神人と戦うのはお前らだ」
古泉「…」
キョン「朝比奈さん、貴女の、未来の見解は?」
朝比奈「…私の未来と敵対する勢力の未来は異なる世界であることが確認されました」
キョン「…」
朝比奈「未来は一つじゃない、これだけしか言えません。ごめんなさい」
キョン「長門」
長門「情報統合思念体は先ほどの貴方と佐々木【名前】との会話から涼宮ハルヒに関する情報の整合性及びシミュレーションを行った。その結果、彼女の言っていることは
検討に値すると判断。現在、検証作業中であり、明確な回答は得られない」
キョン「そうか」

『機関』の立場上、ハルヒを神とすることは仕方が無い。
しかし、朝比奈さんと長門の言葉を聞く限りでは、佐々木の言っていたことの信憑性が高いことに間違いはないようだ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 23:35:27.58 ID:EzqqZKk0<>長門「ごめんなさい。貴方を3時間28分42秒の間、見失った」
キョン「いや、お前のせいじゃない」
長門「…」
キョン「わざわざ、俺を見つけて来てくれたんだろう」
長門「…」
キョン「朝比奈さんも、古泉も、わざわざありがとう」
朝比奈「いえ、そんな…」
古泉「恐れ入ります」
キョン「もう時間も遅い。長門をマンションまで送ってから朝比奈さんを送って行きますよ。古泉、付き合ってくれるよな?」
古泉「もちろんですよ」ニコ
朝比奈「えぇ?大丈夫ですよ」
長門「…夜の女性の一人歩きは危険」
朝比奈「ありがとう。キョン君、古泉君」
キョン「いえ、そうと決まれば早く行きましょう」
朝比奈「はぁい」
長門「…」コクリ
古泉「…」

何事もなく長門をマンションに送り、朝比奈さんを下宿先まで送り届け、俺と古泉は再び駅前に向かって歩く。

キョン「古泉、お前こっちだったか?」
古泉「涼子の部屋に行くのですよ」
キョン「さらっと凄いことを言うな」
古泉「いえいえ、貴方がいなくなったということを伝えてくれる電話を無視してしまいまして。いやはや参りました」ポリポリ
キョン「…」
古泉「閉鎖空間の発生なら感じ取ることもできますのでそういったことはないんですけどね」
キョン「そうか」
古泉「はい。逆に閉鎖空間を感じなかったから電話を取らなかったというのもありますが」
キョン「古泉、そろそろやめておけ。また朝倉を正視できないことを言いそうだ」
古泉「これは手厳しい」ポリポリ

そんな取り留めのない話をしながら、俺たちは来る時に寄ったマンションへと歩くのであった。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/27(金) 23:49:03.11 ID:EzqqZKk0<>ゆさゆさ。ゆさゆさ。

心なしかいつもより優しい揺らし方。

ゆさゆさ。ゆさゆさ。

ハルヒ「…キョン。起きて?キョン」

ゆさゆさ。ゆさゆさ。

ハルヒ「キョンってば」ガバッ

勢い良く布団を剥がされて、俺は目を開ける。

キョン「もう少し眠らせてくれよ、ハルヒ」
ハルヒ「早く行かないと楽しめないじゃない」
キョン「元気だなあ」
ハルヒ「あんたが年寄り臭いのよ」
キョン「…臭うか」クンクン
ハルヒ「ば、馬鹿、そうじゃなくって」
キョン「冗談だ」
ハルヒ「もうっ!早く顔洗ってきなさい」ムゥッ
キョン「わかったわかった」

立ち上がり、扉に手をかける。

ハルヒ「いってらっしゃい」
キョン「いってきます」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 00:00:54.67 ID:D33Yxzg0<>キョン妹「やっと起きた〜」
キョン「おはよう」
キョン妹「おはよう〜。キョン君」
キョン「…」モグモグ
キョン妹「土曜日もハルにゃんに起こしてもらって、ラブラブだね、キョン君」
キョン「まあな」モグモグ
キョン妹「おおっ、否定しないなんて!」
キョン「ふふふ。デートだしな」
キョン妹「え〜、それなのに起こしてもらったの?ダメダメだよキョン君」
キョン「なんでだよ」
キョン妹「待ち合わせでドキドキするのも恋愛の醍醐味?だってテレビで言ってた」
キョン「…そうか」
キョン妹「そうだよ」
キョン「以後気をつける」
キョン妹「そうだね〜。あ、シャミ〜、ごはん?」
シャミセン「にゃあ」
キョン妹「わかった〜。ちょっと待ってね」
シャミセン「…」ゴロゴロ

妹とシャミセンのやり取りを横目に、俺はせっせと朝食を平らげるのだった。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 00:11:39.11 ID:D33Yxzg0<>キョン「ただいま」
ハルヒ「…」スースー
キョン「…」

俺が部屋に戻ると、ハルヒがベッドで横になっていた。
ご丁寧に布団に包まっている。

キョン「おいハルヒ、お前は普段寝るときもカチューシャを付けたままなのか?」
ハルヒ「…」スースー
キョン「急げって言うから急いできたのになあ」
ハルヒ「…」スースー
キョン「…こうして改めて見るとハルヒって可愛いなあ」ボソッ
ハルヒ「!」
キョン「おい、ハルヒ、起きろ」ユサユサ
ハルヒ「…」スースー
キョン「…」ナデナデ
ハルヒ「!」
キョン「すべすべだなあ、ハルヒのほっぺた」ナデナデ
ハルヒ「…」
キョン「もしかしてお姫様は毒林檎でもお召し上がりになりましたか?」
ハルヒ「!」ドキドキ
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…」チュッ
キョン「お目覚めですか?お姫様」ニコ
ハルヒ「馬鹿」カァッ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 00:20:01.88 ID:D33Yxzg0<>最悪だ。
すっかり忘れていた。こいつの存在を…。

キョン「…」ウップ
ハルヒ「だっらしないわねえ、キョン」
キョン「誰だって3回も乗ればこうなるわ!」ウップ
ハルヒ「あたしは全然平気だけどね」エヘン
キョン「化け物め…」ウップ

最大落差40メートルの絶叫マシーン。
ハルヒの奴はことのほかお気に入りのようで、何をとち狂ったか3回連続で列に並んでは乗るを繰り返した。
付き合わされる方は堪ったものじゃない。

ハルヒ「仕方ないわね、じゃあ休憩!観覧車に乗るわよ」ビシッ
キョン「はいはい」

観覧車なら高いだけで大したことはない。
やれやれ、やっと一息つけるな。

キョン「…」
ハルヒ「…」ピトッ

向かい合って乗るものだとばかり思っていた俺はまだまだ勉強不足だったようだ。
横に乗って密着してくるハルヒ。

キョン「…」
ハルヒ「…」ピトッ
キョン「なあハルヒ」
ハルヒ「なに?」ピトッ
キョン「傾いたりしないか?これ?」
ハルヒ「大丈夫でしょ」ピトッ
キョン「ならいいんだが…」
ハルヒ「…」ピトッ

まあ、いいんだけどな。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 00:21:07.61 ID:D33Yxzg0<>今宵はここまで。
おやすみなさいませorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/28(土) 21:04:36.61 ID:/MqwNYEo<>期待<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 22:56:10.46 ID:D33Yxzg0<>ハルヒ「あーっ、楽しかった」ニコ
キョン「…」ウップ

締めだとか言ってジェットコースターに乗せられたのには参った。
結局何回乗ったんだ…。6回か、7回か?

ハルヒ「もう。あれだけ乗ったのにまだ慣れないの?」
キョン「俺はああいうの苦手なんだよ」
ハルヒ「あたしは好きなんだけどな」
キョン「!」ドクン
ハルヒ「どうかした?」ジッ
キョン「な、なんでもない…」

なんだ?今の感覚は?

ハルヒ「?ぼうっとしてないで帰るわよ」ギュッ
キョン「…ああ」

ハルヒが掴む腕が熱い。なんとなく眩暈がする。

好き。

その言葉が頭の中を回り始める。殷々と響き渡るように。朦朧とし始める頭の中で、佐々木の言葉が思い浮かぶ。
『暗示をかけさせてもらった』
これのことか…佐々木。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:13:29.89 ID:D33Yxzg0<>キョン「ハ…ルヒ」ハアハア
ハルヒ「ちょっとキョン、どうしたの?」
キョン「ハルヒ…ハルヒ」ハアハア
ハルヒ「!!」

ハルヒのことしか考えられなくなる。ここはどこなのか、今、何をしているのかもわからない。
ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ!!

ハルヒ「ちょっと、キョ…!」ムグッ
キョン「ふっ…ん…」クチュクチュ
ハルヒ「…あ…ん…」クチュ

甘い香り、甘い舌、甘い吐息、甘い表情。
その全てがたまらなく愛おしい。

キョン「ん…ふっ…」クチュクチュ
ハルヒ「…キョ…ン、ちょっと落ち着いて」ガバッ
キョン「ハルヒ…」ボー
ハルヒ「あんた、ちょっとおかしいわよ!いきなりこんなところで!」カァッ
キョン「ハルヒ…ハルヒ」ボー
ハルヒ「…キョン?」
キョン「ハルヒ…」ボー<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:21:48.73 ID:D33Yxzg0<>彼の肩に手を置いて戒めから逃れようとする涼宮ハルヒ。
焦点の定まらない瞳に言い知れない不安を感じながら、それでもなんとか彼を正気に戻そうと語りかける。

ハルヒ「しっかりしなさいよ!キョン」グググ
キョン「…ハルヒ…ハルヒ」グググ
ハルヒ「…キョン、きゃっ」ガバッ
キョン「…んっ…」クチュ
ハルヒ「…ん」クチュ
キョン「ふっ…ん」クチュクチュ

手を捕まれ、そのまま抱きしめられ、唇を奪われる。
段々と抵抗をする気力もなくなってくる。
そんなにジェットコースターが嫌だったのだろうか?確かに、嫌だって言うのを無視して一緒に乗ったけど。
だからってこんな人の多いところで執拗にキスなくてもいいのに。
7回乗ったから、あと3回、キスしてくるのかな?
そんなことを考えながら、涼宮ハルヒは唇が離れた時に呟いた。

ハルヒ「…もう…、いいよ。あんたがそうしたいなら、好きにして…」ボソッ
キョン「…んっ…」クチュ
ハルヒ「ん…ん」クチュ
キョン「…!」
ハルヒ「…」

目の前にあるハルヒの顔。おずおずと差し込まれるハルヒの舌。
気がつくとそんな状況。
一体どういうことだ?

キョン「…ハルヒ」
ハルヒ「…キョン」ボー

頬を染めて俺を見上げるハルヒ。その可愛らしさに思わず唇を重ねようとして、思い留まる。
ああ、そうか。暗示のせいか。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:29:52.90 ID:D33Yxzg0<>ハルヒ「…もう、いいの?」ボー
キョン「…」
ハルヒ「…お仕置き、なんでしょ?」ボー
キョン「え?」
ハルヒ「ジェットコースターの」ボー

待てハルヒ、何を言っている?いや、もしかして都合のいい勘違いをしてくれているのか?
潤んだ瞳で俺を見上げてくるハルヒ。

キョン「…まだ足りないか?」
ハルヒ「…ん」チュッ
キョン「…ん」チュッ
ハルヒ「…」

キスで返事をしてくるハルヒにキスを返し、それからそっと体を離す。
ハルヒの顎を伝う涎をハンカチで軽く拭って、それから俺は手を差し出した。

キョン「…帰るか」
ハルヒ「…ん」ギュッ
キョン「すまん」
ハルヒ「え?」
キョン「我を忘れた」
ハルヒ「え、うん。…いいよ。あたしも悪かったんだし」
キョン「…」
ハルヒ「…だって、一緒に乗りたかったんだもん」ムス
キョン「そうか」
ハルヒ「うん」

どうやらハルヒは罰ゲームか何かと勝手に思ったらしい。そんな風に思いつくのがなんともハルヒらしい気がした。
悪いな佐々木。
ハルヒの考えることはいつも、一般人が考えることの斜め上を行くみたいだ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:33:52.16 ID:D33Yxzg0<>九曜「---失---敗---」
佐々木「…そう」
九曜「---そ---う---」
佐々木「はは。参った。思っていたよりもずっと涼宮さんは彼のことが好きだったみたい」クックック
九曜「---好---き?---」
佐々木「そう。これで私が選ばれることはなくなった」
九曜「わから---ない---」
佐々木「九曜さんはもう少し人の心を学んだ方がいいかもしれないね」
九曜「人の---心---?」
佐々木「そうすれば、もっと仲良くなれる気がするんだ」
九曜「とも---だち---」
佐々木「そうだね。少なくとも私は九曜さんのことを友達だと思ってるよ」
九曜「---とも---だち---」

結局、キミとの関係は友達より先に進むことができなかったね。キョン。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:42:04.11 ID:D33Yxzg0<>ハルヒ「到着」ギュッ
キョン「そうだな」
ハルヒ「ねえ、キョン。まだ早いし寄ってかない?」ギュッ
キョン「え?」
ハルヒ「喉渇かない?お茶ぐらいご馳走するわよ」ギュッ
キョン「…じゃあ、ご馳走になるか」
ハルヒ「うん」ニコ

ハルヒが腕を外して玄関の鍵を外し、扉を開けてから振り返る。

ハルヒ「いらっしゃい、キョン」
キョン「お邪魔します」
ハルヒ「あ、鍵閉めてね。チェーンはいいから」
キョン「ああ」ガチャ
ハルヒ「とりあえず、こっち」

言われるままハルヒの後ろについていって階段を上る。
ハルヒは突き当たりの扉を開けると、扉の横で俺を手招いた。

ハルヒ「じゃ、ここで待ってて」
キョン「わかった」
ハルヒ「飲み物持ってくるね」ニコ
キョン「悪いな」
ハルヒ「あ、タンスとか漁るの禁止だからね、キョン」
キョン「漁るか!」
ハルヒ「冗談よ」

笑いながら階段を降りていくハルヒを見送って、俺は部屋に足を踏み入れた。
ベッドと掛け布団のないコタツ(テーブルとして使っているのだろう)にテレビ、勉強机に本棚、タンス、鏡台。
うん。質素だけど女の子の部屋だ。なんとなくいい匂いがする。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:49:29.22 ID:D33Yxzg0<>キョン「ハルヒの部屋か」

もっと怪しげな本だの奇怪な魔方陣だのがあると勝手に想像していたのだが。

キョン「…」

絨毯の上に座って足を伸ばして部屋の中を見回す。
勉強机の上に本が散乱しているものの、他は綺麗に片付けられていた。
以外と綺麗好きだな。ハルヒ。

ハルヒ「お待たせ〜」
キョン「おお、本格的だな」
ハルヒ「もう少し蒸らしたら飲み頃よ」エヘン
キョン「楽しみだ」
ハルヒ「ふふ」

テーブルにトレイを置いて床に座ると、ハルヒは部屋を見回して頷いた。

ハルヒ「うん。どこも弄ってないみたいね。関心関心」
キョン「お前なあ」
ハルヒ「ふふ。冗談よ」ニコ
キョン「…」

ハルヒは、頃合とみてティーポットを持ち上げると、慣れた手つきで紅茶をティーカップに注ぐ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/28(土) 23:58:27.93 ID:D33Yxzg0<>ハルヒ「お砂糖とか入れる?」
キョン「ひとつ入れてもらおうかな」
ハルヒ「はい」
キョン「…」
ハルヒ「お待たせ」
キョン「ありがとう」
ハルヒ「ふふ」
キョン「…」コクリ
ハルヒ「…」
キョン「うん、美味い」
ハルヒ「よかった」ニコ

紅茶を飲みながらとりとめのない話をする。些細な話でもハルヒとだと楽しく感じるから不思議だ。

キョン「以外と普通の部屋で安心した」
ハルヒ「なによそれ」
キョン「不思議探索で怪しいもの買ってそうな気がしてさ」
ハルヒ「失礼ね」
キョン「だってそういうの好きだろ?」
ハルヒ「ぐむ。否定できない…。でも、もし持っていても飾らないわよ」
キョン「そりゃまたどうして?」
ハルヒ「それが原因で変なことが起きたら困るじゃない」
キョン「まあそうだな」
ハルヒ「でしょ」エヘン
キョン「でもそうすると、お前が欲しがってる不思議を逃すことになるけどな」
ハルヒ「…それは、盲点だったわ」
キョン「仮定の話で悩むな」
ハルヒ「わからないわよ。もしかすると今度の不思議探索で何か見つけるかもしれないし」
キョン「あー、呪いとかそういうのはやめてくれよ」
ハルヒ「怖い?」
キョン「そうだな」
ハルヒ「まあ、気味悪いものは買わないわよ。もったいないし」
キョン「それなら安心だ」
ハルヒ「あ、でも」ニヤリ
キョン「何だその笑みは」
ハルヒ「あんたが私に逆らえなくなる呪いとかなら欲しいかもね」
キョン「…」

そんなものなくても、ジェットコースターで俺がお前に逆らえないことに気がつかなかったのか?ハルヒ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:10:27.39 ID:r5jjOZM0<>ハルヒ「…ねえキョン」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「あの、さ…」ジッ
キョン「どうした?」
ハルヒ「罰ゲーム、まだ残ってるよね?」ジッ
キョン「は?」
ハルヒ「5回しか、してないよ?」ジッ

ちょっと待てハルヒ。いきなりにじり寄ってくるな。

ハルヒ「…」ジー
キョン「な、なんだ」
ハルヒ「…ディープキス」
キョン「なっ」カァッ
ハルヒ「あんなところでいきなりするから凄い恥ずかしかった」カァッ
キョン「う、その、スマン」カァッ
ハルヒ「でもここなら、いっぱいできるよ?」チュッ
キョン「…ん」クチュ
ハルヒ「…んぅ…」クチュ
キョン「…」クチュ
ハルヒ「あ…ん」クチュ
キョン「…紅茶の味がする」チュッ
ハルヒ「ふふ…あんたも」チュッ
キョン「…ん」クチュ
ハルヒ「んぅ…ん」クチュ
キョン「…」クチュ
ハルヒ「…」クチュ
キョン「…んぅ」クチュ
ハルヒ「ん、…キョン」ダキッ
キョン「うわっ!?」ドサッ
ハルヒ「…」

ハルヒに抱きつかれてバランスを崩し、覆い被さるように倒れこむ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:23:25.29 ID:r5jjOZM0<>キョン「ご、ごめん」ガバッ
ハルヒ「…」

慌てて両腕を立てて身を起こす。

ハルヒ「…」スッ
キョン「!?」

ハルヒの両手が伸ばされ、俺の顔を包み込むように添えられた。

ハルヒ「いいよ…」
キョン「ハル…ヒ」
ハルヒ「…」スッ

ハルヒの両手が俺の顔を離れて、俺の両手首を掴む。
そして、そのまま持ち上げたかと思うと、彼女は小さく笑ってから、自分の胸に俺の両掌を導いた。
初めて触れる、ハルヒの胸。

キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「…」モミ
ハルヒ「!」カァッ

少しだけ手を動かしてみる。ハルヒの体が小さく震えたのがわかった。

キョン「ハルヒ…」モミモミ
ハルヒ「…ぅ…ん」カァッ

温かくて柔らかい。服の上からでもそう感じることができた。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:30:12.26 ID:r5jjOZM0<>キョン「…痛く…ないか?」
ハルヒ「…大丈夫…」
キョン「柔らかいな…」モミモミ
ハルヒ「馬鹿…ん」カァッ
キョン「…」モミモミ
ハルヒ「キョン…キス…して」ウルウル
キョン「…」チュッ
ハルヒ「んっ…ん」チュクチュク
キョン「…」チュクッ

ゆっくりと、俺はハルヒの着ている服のボタンに手をかけ、ひとつづつ外していく。
手が震えてなかなかうまくは外せないが、確実にひとつずづ外していった。

ハルヒ「…んぅ」チュク
キョン「ん…」チュク モミモミ
ハルヒ「…あっ」ビクン
キョン「…」チュクッ モミモミ

前をはだけさせ、ブラの上からハルヒの胸を揉む。露になった肌がとても扇情的だ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:39:25.71 ID:r5jjOZM0<>キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「キョン…」ウルウル
キョン「ベッドへ…」
ハルヒ「…うん」カァッ
キョン「…」
ハルヒ「…」

体を起こし、お互い、なんとなく目を合わせないようにして立ち上がる。
ハルヒは少し躊躇ってから、おもむろに上に来ていたシャツを脱いでベッドの上に座った。
俺は窓に近づいてカーテンを引き、それから薄暗くなった部屋の中でハルヒに向き直る。

ハルヒ「…キョンも、脱いでよ」
キョン「…ああ」

言われるまま俺はシャツを脱ぎ、上半身裸になってハルヒの横に座った。

ハルヒ「…恥ずかしいね」カァッ
キョン「まあな」カァッ
ハルヒ「今から、もっと恥ずかしくなるね」カァッ
キョン「そうだな」カァッ
ハルヒ「…好きよ、キョン」
キョン「俺もだ。ハルヒ」
ハルヒ「…んっ」チュッ
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…」チュクッ
キョン「…ハルヒ…その…」カァッ
ハルヒ「…なに?」
キョン「どうやって、外すんだ?」カァッ

我ながら情けないと思いながらも、外し方がわからないのでそう尋ねる。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:46:03.18 ID:r5jjOZM0<>ハルヒは一瞬、目を丸くして、それから小さく笑った。

ハルヒ「そっか、触ったこともないんだ」
キョン「…悪かったな」
ハルヒ「んーん。嬉しいよ、キョンの初めて」ニコ
キョン「…」
ハルヒ「背中の真ん中にあるホックで留まってるから…両側から内側に引っ張ってホックを外すの…」カァッ
キョン「…こう、か?」プツッ
ハルヒ「…うん。そしたら肩紐を腕に通して…、片方づつ…、そう…」スルッ
キョン「…綺麗だ…ハルヒ」
ハルヒ「…まじまじ見ないでよ」カァッ
キョン「じゃあ隠してやる」サワッ
ハルヒ「あっ、やっ…馬鹿っ…ん」ビクッ

え、円を描くように優しく包み込むように…。
服やブラの上から触るのとは全然違う感触。熱くて吸い付くようなとでも言えばいいのか。

ハルヒ「あっ…んぅ…くぅ…ん」ビクッ
キョン「…」チュッ…チュッ

首筋から鎖骨の上を跡が付かないよう軽く吸いながら唇を這わせ、ゆっくりと胸に舌を這わせる。
中央の突起を口に含み、軽く吸う。

ハルヒ「あぅ、キョン!」ビクッ
キョン「…」チュッ、チュパッ モミモミ
ハルヒ「…あぁんっ、や…ん」ビクッ

ハルヒの甘い声、口に含んだ汗ばんだ肌の味。手で触れる胸の柔らかさ。舌で転がす乳房の感触。
その全てが何もかも甘美で、狂おしいほどの感情が俺の中を駆け巡っていく。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:50:13.92 ID:r5jjOZM0<>キョン「くっ…ハルヒ…ハルヒ!」ビクッビクッ
ハルヒ「…あぁ…キョン…」ビクッ
キョン「…くっ…ふ」ガクガク
ハルヒ「…キョン」
キョン「…」カァッ
ハルヒ「…どうかした?」
キョン「…いや、すまん。イっちまった」カァッ
ハルヒ「え?」

穴があったら入りたいとは正にこのようなときに言う言葉なんだろう。
ハルヒの胸を感じていたらそれだけで達してしまうとは…。
多分、パンツの中は凄いことになってるだろう。

キョン「すまん…」シュン
ハルヒ「キョン」
キョン「…」シュン
ハルヒ「いいよ…。あたしで感じてくれたんでしょ?キョン」
キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「…あたしだって、結構感じてるし…」カァッ
キョン「!」
ハルヒ「…」スッ
キョン「!」

ハルヒは俺の手を掴み、スカートの中に導いた。しっとりと濡れた布の感触。

ハルヒ「責任…取ってよ、キョン」カァッ
キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「…今日は、親、帰ってこないから…」カァッ
キョン「!」
ハルヒ「だから、大丈夫だよ。キョン」ニコ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 00:55:05.56 ID:r5jjOZM0<>今宵はここまで。お休みなさいませorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 01:10:20.81 ID:fxqugEDO<>乙!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/29(日) 02:15:37.30 ID:Dgfehvso<>こんなとこで寸止めかあああああああ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/29(日) 05:58:49.25 ID:ykE8NAMo<>寸止めかよおおおお<> ◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 22:57:11.30 ID:r5jjOZM0<>…。
なんか、温かいな…。

キョン「…ん」ムニュ

枕元にある時計を取ろうとして左手が何か柔らかいものに触れた。

キョン「!」

俺の隣でハルヒが眠っている。
ああ、そうか。
ここは、ハルヒの部屋だ。
薄暗い部屋の中のベッドの下には二人の洋服が散乱している。ハルヒの下着がやけに白く見えるのは内緒だ。
そっと眠っているハルヒの頬に触れる。
そのまま、首筋から鎖骨、そして胸の丘陵に手を滑り込ませた。
吸い付くような感触がなんともいえず心地よい。     

ハルヒ「…ん」
キョン「…」サワサワ
ハルヒ「あ…ん」
キョン「…」サワサワ
ハルヒ「キョンの…エッチ」カァッ
キョン「すまん」モミ
ハルヒ「あぁんっ」ビクッ
キョン「…」モミモミ
ハルヒ「…もうっ」カァッ
キョン「すまん。つい触り心地が良くってな」モミモミ
ハルヒ「エッチッ」カァッ
キョン「…すまん」

胸から手を離し、天井を眺める。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 23:07:16.97 ID:r5jjOZM0<>ハルヒ「…しちゃったね」
キョン「そうだな」
ハルヒ「幻滅した?エッチな女で…」
キョン「いや、嬉しかった」
ハルヒ「そ、そう」カァッ
キョン「お前こそ、幻滅したんじゃないか?…何度も失敗してさ…」カァッ
ハルヒ「…は、初めてだから仕方ないんじゃないかな…」カァッ
キョン「ごめんな。痛かっただろ?」
ハルヒ「んーん。優しい気持ち、伝わったから…」ニコ
キョン「ハルヒ…」
ハルヒ「以外と血も出なかったしね。まだ違和感あるけど…」
キョン「…」
ハルヒ「ねえ、キョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「へへ…」ガバッ
キョン「!」
ハルヒ「…襲うね」ニヤリ
キョン「ちょっと待てハルヒ。何故そうなる」カァッ
ハルヒ「あんたがおっぱい弄ったからいけない」
キョン「あ、う…」カァッ
ハルヒ「それにエッチな方が、嬉しいんでしょ?エロキョン」ニヤリ
キョン「…エロハルヒ」カァッ
ハルヒ「あんたのせいよ」
キョン「…」
ハルヒ「習うより慣れろって言うしね。さっきより痛くないかしら?」
キョン「…無理はするなよ。ハルヒ」
ハルヒ「ふふ…。わかってる。…好きよ」チュッ
キョン「…ん」チュク
ハルヒ「んふ…ぅ」チュク

ハルヒがゆっくりとキスをしながら俺の上に乗ってくる。
甘く痺れた頭で、俺はハルヒを受け入れた。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 23:17:57.04 ID:r5jjOZM0<>朝比奈「…」
藤原「…」
朝比奈「…あのぅ」オドオド
藤原「…」ジロリ
朝比奈「ふぇっ!?」ビクビク
藤原「フン。別に取って喰おうってわけじゃないんだ。そんなビクビクオドオドするな」
朝比奈「て、敵対している相手と二人きりっていうのは…その、怖いです」
藤原「安心しろ。もう敵対する理由もなくなった」
朝比奈「ふぇ?」
藤原「わかっているだろう?」
朝比奈「…」
藤原「疑っているのか?」
朝比奈「…」
藤原「僕は母親似だが、…お前は父親似だな」
朝比奈「!」
藤原「ふっくっく。そんな驚くな。既定事項だろう?」
朝比奈「…あの、じゃあ貴方は…」
藤原「世界は違うが、【禁則事項】兄妹ってことになるのか?少なくとも今の見た目では僕の方が上だな」
朝比奈「やっぱりそうなんですね…」
藤原「ふっくっく。本来なら会うはずのない兄妹がこうして話しているっていうのもおかしな話だな」

まったく、馬鹿げている。とんだ茶番だ。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 23:26:00.68 ID:r5jjOZM0<>朝比奈「…そうですね。あの、でも、どうして私と話そうと思ったのですか?」
藤原「記憶のロックが外されたのは最近だろう?僕は何がきっかけだったかはわからないが、お前には思い当たることがあるはずだ」
朝比奈「…はい」
藤原「この時間世界でやることは殆ど無くなったってことだろうな。少なくともお前とは違う世界の僕にとっては」
朝比奈「…」
藤原「そんな顔するな。既定事項だろう?」
朝比奈「でも、私は…」ウルウル
藤原「泣くな。僕が泣かせていると思われるのは不愉快だ」
朝比奈「…」グスッ
藤原「時間平面で何をしても未来は変わらないって知っているだろうが。すぐに帰って来いとは言われない」
朝比奈「えっ…」
藤原「僕の場合は、…多分通じるだろうが、『TPDD使用運行における甲種例外事項』だ。お前も奴の選択によっては例外事項になる可能性があった」
朝比奈「甲種、…そうでしたか」

甲種例外事項…。平行時間による同軸並列世界への時間遡行。
つまり彼は、この世界とは違う世界の未来から来たってことになる。

藤原「世界の分岐がお前たちの世界にシフトしたと確認が取れ次第、僕はシフト前の過去に戻って自分の世界へ戻る」
朝比奈「…」
藤原「わかるか?お前にもそれは言えるんだ。仮に帰還命令が出ても、無視して構わないってことだ」
朝比奈「あ!」
藤原「ふっくっく。わかったか?」
朝比奈「そうか…、そうよね」
藤原「じゃあ、僕は行くぞ。とりあえずもう暫くは、仲間の監視だ」ニヤリ
朝比奈「あ、あの、ありがとうございました」ペコリ
藤原「礼を言われる筋合いは無い」
朝比奈「私にはあるんです」ニコ
藤原「そうか」
朝比奈「はい」
藤原「じゃあな」

そう言って去っていく彼の背中に、私は小さくお礼を言った。

ありがとう。<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 23:35:36.94 ID:r5jjOZM0<>キョン「…」ハァ

いつもとは違う作りの洗面台の鏡を覗き込みながら、俺は一つため息をついた。
胸のあたりに数え切れないほどの痣が付いている。ハルヒのせいだ。
台所では今、シャワーを浴びて着替えたハルヒが夕飯を作っている。
夕食を作っている間に、着ていたものとシーツを洗濯しようということになり、俺がその役目を仰せつかったというわけだ。
『全自動洗濯乾燥機だから丸めて放り込んでおいてくれればいいわよ』なんて言っていたが、さすがにベタベタのパンツや血の付いたシーツをそのまま放り込むのは抵抗があったので、
シャワーを浴びる前に風呂場でシーツやパンツのベタベタしたものなんかを洗い流すことにした。

キョン「…」ゴシゴシ

裸でこんなことしているのって結構シュールだよな。


長門「…」モグモグ

世界は極めて安定している。敵対勢力の干渉も認められない。
涼宮ハルヒの精神もいつに無く安定している。
彼の存在を涼宮ハルヒと同一座標に確認。…涼宮ハルヒの自宅。
先ほどは二人ともに、心拍の上昇と興奮状態を確認したが、今は安定している。
何か運動をしていたと判断。

長門「…」モグモグ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 23:44:10.73 ID:r5jjOZM0<>キョン「…ああ、そういうことだから。うん。頼むな」ピッ

電話を切り、ほっと一息つく。

ハルヒ「どうだった?」
キョン「プリンとジュースを買っていくことで何とかなった」
ハルヒ「なにそれ」クスクス
キョン「まだ小学生だからな。相談相手は」
ハルヒ「で、どういうことにしたの?」
キョン「団長様が合宿って言い出したから今日は帰れないってことにした」
ハルヒ「ふぅん」
キョン「なんだよ?」
ハルヒ「ふたりだけで合宿?」ニコ
キョン「そうだ」
ハルヒ「ふふっ」
キョン「嘘は言ってないだろ?」
ハルヒ「そうね、確かに団長が合宿って言ってるもの」
キョン「そうだろ?」
ハルヒ「そうね」ニコ
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…」チュッ<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/29(日) 23:54:54.70 ID:r5jjOZM0<>ハルヒ「裸に布団って、結構気持ちいいわね。癖になりそう」
キョン「…そうだな」
ハルヒ「それに、キョンが隣にいるし」ニコッ
キョン「…」ナデナデ
ハルヒ「えへへ」
キョン「…体、大丈夫か?ハルヒ」
ハルヒ「ん。平気」
キョン「ならいい」ニコッ
ハルヒ「ふふ。なぁに、それ」
キョン「いや、結構、体に負担かかっただろ?」
ハルヒ「ん」カァッ
キョン「結構、したし」カァッ
ハルヒ「…」カァッ
キョン「…」カァッ
ハルヒ「ねえ、キョン」
キョン「ん?」
ハルヒ「あたし、幸せよ」
キョン「俺もだ」
ハルヒ「…ん」
キョン「ハルヒ」
ハルヒ「なぁに?」
キョン「愛してる」
ハルヒ「!」
キョン「お前は?」
ハルヒ「…愛してるわ。キョン」
キョン「ありがとう。言葉で聞きたかった」
ハルヒ「そっか」
キョン「ああ」<>
◆F/bQYgopwk<><>2009/11/30(月) 00:05:11.58 ID:f/oGWEk0<>ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「…ねえ」
キョン「ん?」
ハルヒ「さっきのもう一回、聞かせて?」
キョン「あまり連呼するものじゃないと思うんだが」
ハルヒ「減るもんじゃないしいいじゃないの」
キョン「…」
ハルヒ「それに、今度はいつこんな風に過ごせるかわからないし…」カァッ
キョン「それもそうだな…」
ハルヒ「うん…」
キョン「愛してる。ハルヒ」
ハルヒ「…愛してるわ。…【キョンの名前】」
キョン「!」
ハルヒ「へへ。どうせなら名前の方がいいでしょ?」
キョン「凄い嬉しいぞ。ハルヒ」
ハルヒ「うん」
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…」チュッ

愛してるぞ。ハルヒ。

おしまい

後はもうグダグダなイチャラブ展開くらいしか思い浮かばないのでここで終わらせた方が切りがいいかなと思いました。
読んでくださった皆様ありがとうございます。感謝!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/11/30(月) 00:54:26.31 ID:aDUwUrAo<>> 何か運動をしていたと判断。
>
> 長門「…」モグモグ

ここが好きだw
楽しかった、乙でした!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/30(月) 01:06:53.56 ID:MEstFxYo<>長い番外編乙!<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/11/30(月) 11:07:20.75 ID:y2Aj.ek0<>乙!

まだたくさん余ってるからなんか書いてくれww<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:18:14.76 ID:EtultDM0<>ふむ。さすがパー速。消えないんだな。
ここまで落ちてればわからないだろうwwちょびっと落書きを投下しよっとww



キョン「おはよう、ハルヒ」
ハルヒ「あっ、キョン君。おはよう」
キョン「え!?」
ハルヒ「な、なにか変かな?」
キョン「い、いや…」

またトンデモ能力発動したのか?あとで長門に確認しよう。

ハルヒ「よかった」ニコ
キョン「…」キュン

可愛いじゃねえか。ハルヒ。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:20:21.33 ID:EtultDM0<>休み時間

谷口「いいよなあ、キョンは。涼宮の側だし、部活も同じだし」
国木田「クラス一の美女と仲良しだもんねえ」ニコ
谷口「羨ましいぜ」
キョン「お前らも話しかければいいじゃねえか」
谷口「俺なんかが話しかけても会話にならねえんだよ」
国木田「そうそう。真っ赤になっておどおどしちゃうんだよ」
谷口「そこがまた守ってあげたくなるっていうか、最高なんだけどな」グッ!
国木田「その点キョンとは普通に話してるからね」ニコ
キョン「…じゃあお前らも一緒に部活やるか?」
谷口「断じて断る!」
国木田「悪いけど僕も断るよ」
キョン「なんでだ?」
谷口「魔女に引っ張り回されるのはゴメンだ」ブルブル
国木田「そういうこと」ウンウン

…魔女?<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/12/25(金) 16:21:48.92 ID:kR.Gixwo<>ハルヒかわいい、そしておひさー<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:22:18.65 ID:EtultDM0<>キョン「何だよ魔女って…」
谷口「おいおいキョン。完全に洗脳されちまったのか?団長さんに」
キョン「団長って、ハルヒだろ?」
谷口「おいキョン、言っていい冗談と悪い冗談があるぞ。なんで麗しの涼宮があのイカれたSOA団の団長なんだ」
キョン「SOA団…?」
谷口「お、それともあの魔女が引退して涼宮が新しい団長になったのか?それなら俺も入部するぞ」
国木田「あはは。そうだったら僕も入部するよ」
キョン「いや、悪い、それはないと思うぞ」

SOS団は「世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団」の略だから、必然的に頭文字がAの人が団長ということになる。
メンバーで頭文字がAの人は朝比奈さんだけだから…。


キョン「魔女って、朝比奈さんか?」
谷口「おいおい、そんな呼び方していいのか?」
キョン「何か問題でも?」
谷口「『キョンの癖に生意気よ』って言われるぞ。まあ俺はちくったりしないから安心しろ」グッ

いったいなんて呼べばいいんだ…?<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:25:22.63 ID:EtultDM0<>>>126
ま、まさかみつかるとはっ!?


キョン「なあハルヒ、朝比奈さんってなんて呼べばいいんだ?」
ハルヒ「えっ…キョン君、その呼び方は…」ブルブル
キョン「そんなにヤバいの?」
ハルヒ「キョン君はお姉様のことを『みくるさん』って呼ばないと…」ブルブル
キョン「…」

お姉様?みくるさん?
なんだかよくわからんがそういうことになっているのか…。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:27:52.86 ID:EtultDM0<>昼休み

よーし、メシメシ。

ハルヒ「キョン君…」
キョン「ん?どうした?ハルヒ」
ハルヒ「…あの、これ」スッ

ハルヒが差し出してくるのは可愛らしい袋に入った弁当箱。

ハルヒ「…お弁当、良かったら…」
キョン「マジで?ありがとうハルヒ」
ハルヒ「う、うん」カァッ
キョン「一緒に食べるか」
ハルヒ「うんっ」ニコ

何ですかこのかわいい娘は?

谷口「キョンの奴…羨ましい、羨ましすぎる」
国木田「でもアレで好意に気づいてないんだから、後ろから殴りたくなるよね」
谷口「まったくだ」<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:30:52.71 ID:EtultDM0<>放課後

ハルヒ「キョン君…一緒に…行こ」モジモジ
キョン「ん。わかった」
ハルヒ「…よかった」ニコ

ヤバいなこのハルヒは。可愛すぎるぞ。
半歩下がってついてくるなんて、まさに大和撫子じゃないか。

谷口「キョンの奴…羨ましい、羨ましすぎる」
国木田「あれだけ信頼されているのに気づいてないんだから、階段から突き落としたくなるよね」
谷口「まったくだ」


みくる「遅いわよハルヒちゃん!」ビシッ
ハルヒ「ご、ごめんなさいお姉様」ビクビク
みくる「早く着替えて!キョンは外!」
キョン「…」

扉を開けた早々まくしたてられて、俺は机の上に鞄を置くと回れ右をして部屋から出る。

ハルヒ「あっ…やっ、お姉様…自分でできます…」ジタバタ
みくる「だぁ〜め!遅れた罰よっ!お姉様に任せなさい」
ハルヒ「ふ、ふえぇぇぇん」

中ではかなり凄いことが行われているっぽいな。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:34:00.61 ID:EtultDM0<>長門「今のうちに貴方に確認したい」ヌッ
キョン「うわぁ!?」ビクッ! ガチャッ バッタアアン

いきなり目の前に長門が現れ、驚いてのけぞった俺は弾みでドアノブに手を置いて扉を開け、部屋の中に倒れこんだ。

キョン「いててて…」
長門「大丈夫?」
ハルヒ「…」
みくる「…」

目を開けるとそこには下着姿のハルヒとメイド服を手にした朝比奈さんが無言のままこっちを見ていた。

ハルヒ「…きゃああああああああああっっ!!」
みくる「このエロキョン!!」
キョン「うわわわわっ!!これは事故だ!スマン!!」ダッ! ガチャッ
長門「ユニーク」
キョン「お前なあ…」ガクリ


長門「不測事態はともかく、時間がないので要点だけ説明する」キリッ
キョン「…」
長門「貴方の言葉が原因で涼宮ハルヒ、朝比奈みくるの性格が入れ替わった」
キョン「なんだと」
長門「とはいえ、完全ではない。ゆえに各々、若干のオリジナルアイデンティが加味されている」
キョン「…」
長門「改変に気づいているのは私と貴方だけ」

俺の言葉が原因?
俺は何を言った?<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:38:18.87 ID:EtultDM0<>長門「昨日の放課後を思い出して欲しい」

昨日の放課後?

みくる「はい、お茶です」ニコ
キョン「ありがとうございます」
ハルヒ「ぷはーーーーっ!みくるちゃんもう一杯!」
みくる「はぁい」
キョン「…」
ハルヒ「なによ」
キョン「別に。…お前も朝比奈さんみたいだったら可愛いんだけどなあ」ボソ


キョン「…アレか」
長門「何気ない一言が涼宮ハルヒを傷つけた。その証拠に古泉一樹はあの後すぐに呼び出されている」
キョン「いや、でもアレは…。いや、確かに俺が悪いか」ショボン
長門「悪いことばかりでもない。今現在、涼宮ハルヒの精神は非常に安定している」
キョン「そ、そうか」
長門「ただし、先ほどの不測事態のせいで瞬間的に大きな閉鎖空間が…」
キョン「…スマン」ショボン
長門「いや、悪いのは貴方を驚かせてしまった私」ショボン
キョン「まあ過ぎたことは仕方ないということで…」
長門「了解」
みくる「キョン〜?入っていいわよ〜」
キョン「なんか変な感じだな、朝比奈さんに呼び捨てにされるのは」
長門「!!その呼び方は危険」
キョン「ああ、『みくるさん』って呼ばなきゃいけないんだな」
長門「お願いする」
キョン「はいよ」<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:45:06.04 ID:EtultDM0<>みくる「美味しいわ!腕を上げたわね!ハルヒちゃん」ニコ
ハルヒ「あ、ありがとうございますお姉様」
長門「…」
みくる「あら、有希ちゃんとキョン。一緒だったの?キョンは外で有希ちゃんにいたずらしてないでしょうね?」
キョン「してません!」
みくる「ならいいけど…」ススス…
   「ハルヒちゃんの下着姿、興奮したでしょ?エロキョン」ボソ
キョン「!!」カァッ
みくる「あはははは。真っ赤になっちゃって、可愛い、キョン」ムギュ
キョン「!!!」

胸が、胸が俺の顔を!!


みくる「お姉さんの胸は気持ちいいでしょ〜?キョン」ムギュムギュ
キョン「は、はい、気持ちいいですから、止めて!」モガモガ
みくる「ふふん。ハルヒちゃんには負けないんだから」ボソ
キョン「…」ハアハア

な、なんだこの朝比奈さんは…。エロ過ぎる。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:49:24.81 ID:EtultDM0<>ハルヒ「…」ジッ
キョン「な、なんだよハルヒ」
ハルヒ「…キョン君の、えっち」プイッ
キョン「!!」ズキューン

こ、このハルヒは、可愛すぎる。

長門「…」

そんな目で見ないでくれ、長門。


みくる「あらあら、ハルヒちゃん。ジェ・ラ・シ・イかしら?」ススス
ハルヒ「そ、そんなこと…」カアッ
みくる「…ハルヒちゃんも抱いてあげればいいのよ」ボソ
ハルヒ「!!そんなこと…」アセアセ
みくる「あら、簡単よ。サイズも手ごろだし、ね」モミモミ
ハルヒ「やっ!お姉様っ!」ビクッ
みくる「うふふ。ハルヒちゃん可愛い」モミモミ
ハルヒ「ゃぁ!!」ビクッ
キョン「…」

なんていうか、エロいな。ふたりとも。
俺には刺激が強すぎます。朝比奈さん。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:51:55.81 ID:EtultDM0<>みくる「キョン〜?勃った?」ニヤリ
キョン「なっ!!」カアッ
みくる「うふふ〜。赤くなったってことは図星だ。エロキョンめ」ニヤニヤ
キョン「…」

否定できないのが悲しい。

みくる「ハルヒちゃんの可愛い声で勃っちゃったんだ。エロキョン」ニヤニヤ
ハルヒ「キョンくぅん…」ウルウル
キョン「…」ズキュウウウン

おいハルヒ、その言葉と上目遣いは反則だ。

みくる「ほら、ハルヒちゃんの声であんなになってるよ」ニヤニヤ

そう言って指差したのは俺の股間。

キョン「止めて!見ないで!」サッ
みくる「あはは。エロキョン。よかったねえ、今日のおかずに困らないだろ」ニヤニヤ
キョン「!!」カアッ
ハルヒ「…」カアッ

ハルヒ、そこで赤くなるな。逆効果だ。
その表情も貰った。…じゃねえ!<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 16:56:17.26 ID:EtultDM0<>キョン「…」ハァ
ハルヒ「…」
長門「…」ペラッ
みくる「はぁ、暇ねえ…」チラリ
ハルヒ「…」ビクビク
長門「…」ペラッ
キョン「…」
みくる「ふふ。決めた。ハルヒちゃん」ニコッ
ハルヒ「は、はい…お姉様…」ビクビク
みくる「ここに座りなさい」ポンポン
ハルヒ「は、はい」オズオズ
みくる「はい、後ろ向いて〜、ばんざーい」
ハルヒ「こ、こうですか?」バンザーイ
みくる「そのままそのまま」ニヤリ
ハルヒ「…ひゃぁっ!?ゃぁっ!」ピクン

な、なんだ!?って、おい!
朝比奈さんがハルヒの服の中に手を入れてハルヒの胸を揉んでいる。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 17:00:05.52 ID:EtultDM0<>みくる「おとなしくしないと脱がせちゃうぞ〜」モミモミ
ハルヒ「や、やだあっ」ビクン
みくる「んふふ〜。すっぽり収まってちょうどいいサイズねえ。ハルヒちゃん」モミモミ
ハルヒ「やぁぁぁぁ…」ビクン
キョン「…」カァッ
みくる「んふふ。キョンが見てるわよ」モミモミ
ハルヒ「やぁっ!見ないで!キョンくぅん…」ビクンッ カァァッ
キョン「ス、スマン」カァァッ
みくる「あら?乳首が勃っていたわよ」モミモミ
ハルヒ「やぁぁっ」ビクンッ カァァッ
キョン「!」カァッ
みくる「んふふ。気持ちいいのかな?ハルヒちゃん?」クリクリ
ハルヒ「んっ、お、お姉様ぁ…許して…やぁぁ…」ビクンッ
みくる「気持ちいいかちゃんと答えたら許してあげる」クリクリ
ハルヒ「…き、気持ちいいです…」カァァッ
キョン「!」
みくる「はい、よく言えました」ニコ
ハルヒ「は、恥ずかしいよぉ…」カァァァッ

そうか、ハルヒは乳首が弱いのか…。なるほど。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 17:04:55.03 ID:EtultDM0<>みくる「キョン」オイデオイデ
キョン「なんですか?」
みくる「帽子のプレゼント〜」パサッ カチリ
キョン「…小学校の紅白帽みたいですね。顎ひも付きなん…て!?」サワサワ

やけに丈夫な顎ひもにどう考えても頭を覆えない大きさの布の膨らみ。なんか生温かいし。
…あれ、これって…。
もしかして、いや、間違いない。
ハルヒのブラジャーだ。 ガーン

キョン「うわああああああ」カァァァッッ
ハルヒ「いやああああああああああ」カァァァッッ
みくる「あっはっは。そんなに嬉しい?キョン」ニヤニヤ
キョン「うわっ、なんだこれ!?外れない、くそっ!」グイグイ
ハルヒ「キョンくぅん…動かないで」カァッ
キョン「な?ハルヒ?」カァッ
ハルヒ「わたしが、外すね」ニコ
キョン「…すまん」
ハルヒ「…」
みくる「…えいっ」トンッ
ハルヒ「え?きゃっ」ムギュ
キョン「!!」ドサッ
みくる「あら、大胆」ニヤニヤ
ハルヒ「ご、ごめんなさい…キョン君」アセアセ
キョン「い、いや…」カァァッ
みくる「そのまま襲っちゃえハルヒちゃん」ニヤニヤ
ハルヒ「え、えええっ!!」カァァァッッ
キョン「…」ドキドキ<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 17:08:10.98 ID:EtultDM0<>なんていうか、これはその、事故だ。
ノーブラのメイド服ハルヒの胸が俺の胸の上で押しつぶされていて、なんかポッチが当ってる。
耐えろ、耐えるんだ俺。
たとえ太腿が俺の股間に乗っていようが、俺の耳元でハルヒが顔を真っ赤にして慌てていようが耐えるんだ俺。

ハルヒ「…」ビクンッ

…うん、無理。
健全な男子高校生なら美少女が自分の上で自分に抱きつくような格好で身悶えているのを見て勃たないでいるなんて、どう考えても無理。
たとえ猫耳よろしくハルヒのブラジャーを頭に装着した変態スタイルだろうと、体の奥からこみあげてくる感情はいかんともしがたい。

ハルヒ「…あの、キョン君…」カァァァッ
キョン「あー。スマン」カァァァッ
ハルヒ「…うん」カァァァッ
キョン「その、どいてくれると助かるんだが」カァァァッ
ハルヒ「あっ、そ、そうね」アタフタ
キョン「あ、慌てずゆっくりと、な」カァァァッ
ハルヒ「う、うん」アタフタ
みくる「ふふ〜ん。ハルヒちゃんのおっぱいの感触はどうだい?キョン」ニヤニヤ
キョン「!!」カァァァッッ
ハルヒ「えっ、あっ、やぁっ!」カアアアアアッ
キョン「あ、慌てるなハルヒ」カァァァッ
ハルヒ「で、でもぉ…」アタフタ
キョン「とりあえず俺の上から降りて、深呼吸だ」
ハルヒ「う、うん」スーハー
キョン「よし、そしたら俺も立ち上がって…んなっ!?」カァァァッ
ハルヒ「どうしたの?キョン君」キョトン
キョン「待てハルヒ!とりあえず胸元隠せ!見える」カァァァッ
ハルヒ「えっ!やっ、やだぁっ!」ガバッ
キョン「スマン」カァァァッ
ハルヒ「…えっち」カァァァッ

ズュキゥゥゥン
上目遣いは反則だハルヒ。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 17:11:09.04 ID:EtultDM0<>ハルヒ「…ん、これで外せたよ」ニコ
キョン「…サンキュ」
ハルヒ「…あの、ちょっと後ろ向いてくれる、かな?」カァァッ
キョン「え?」
ハルヒ「…付けるから」カァァッ
キョン「あ、そ、そうか。スマン」バッ
ハルヒ「…」
みくる「ハルヒちゃん?どうだった?……」コソコソ
ハルヒ「あっ、その……」カァァァッ
みくる「へぇ?ハルヒちゃんに欲情してたんだ」ニヤニヤ
ハルヒ「……そ、その……」カァァッ

…この朝比奈さんは敵に回してはいけないな。

長門「…」パタン
みくる「あら、もうそんな時間。じゃあ帰るわよ!ハルヒちゃん、鍵お願いね」
ハルヒ「はい、お姉様」
みくる「キョンはハルヒちゃんを送っていくこと」ビシッ
キョン「え?」
みくる「『え?』じゃないわよ。外に出て着替えるのを待ってハルヒちゃんを送っていくの!団長命令」
ハルヒ「…」ドキドキ
キョン「…わかりました」
ハルヒ「!」パァァァ
みくる「じゃあ解散、おつかれさま。ハルヒちゃん、襲われないようにね…」ニヤリ
ハルヒ「!」カァァッ
キョン「おつかれさまでした」

意味ありげな視線をハルヒに投げかけて、朝比奈さんは去っていった。
やれやれ、だ。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/25(金) 17:14:05.12 ID:EtultDM0<>キョン「…」
ハルヒ「…」
キョン「…」
ハルヒ「…」チラッ
キョン「…」
ハルヒ「…あのっ」
キョン「どうした?」
ハルヒ「…えっと、その、つまり…ですね」カァァッ
キョン「?」
ハルヒ「責任、取ってくださいっ!」
キョン「…は?」
ハルヒ「うう、恥ずかしいよぉ」カァァッ
キョン「…なあハルヒ、何を言っているんだ」
ハルヒ「おっぱい、見ましたよね」カァァッ
キョン「う、あ…うん」コクン
ハルヒ「責任、取ってください」カァァッ
キョン「あー、その、ハルヒ」カァァッ
ハルヒ「…はい」ドキドキ
キョン「それって、さ。要するに…」
ハルヒ「…」ドキドキ
キョン「俺でいいの?」カァッ
ハルヒ「…」コクン
キョン「…そっか。うん。…ありがと」カァッ
ハルヒ「…」パァァァッ
キョン「はは。なんか実感わかないな」ポリポリ
ハルヒ「とりあえず、手、つないでみませんか」ニコッ
キョン「…そうだな。うん。そうしよう」ニコ
ハルヒ「…言葉にして欲しかったな」ボソッ
キョン「…」キュッ
ハルヒ「あっ…」カァァッ キュッ
キョン「その、なんだ。ハルヒ」カァァァッ
ハルヒ「…」ドキドキ
キョン「好きだぞ」

おしまい

うん、なんだ。お淑やかハルヒとエロ親父系みくるを書いてみたかっただけなんだww
なんかすまないorz<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/12/25(金) 19:02:50.85 ID:SroksEY0<>乙乙!
スレはまだまだ残ってるぞ<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/12/25(金) 20:40:58.89 ID:kR.Gixwo<>乙!
さて、戻った後も描いてもらおうか<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2009/12/27(日) 12:58:35.87 ID:aLH7ap60<>期待<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/27(日) 23:21:03.78 ID:sC94yTA0<>も、戻った後か…。うむむむむ。デレハルヒだな。うん。

授業中

キョン「…」ハァ…

ハルヒの奴。可愛かったなあ。
あの上目遣いは反則だ。うん。

キョン「…」チラリ
ハルヒ「…なによ?」ムスッ
キョン「…なんでもない」
ハルヒ「あ、そう」

ハルヒはそのまま窓の外に視線を向け、グラウンドの真ん中当たりを意味も無く眺めている。
俺をキョン君と呼んで半歩後ろからおずおずと付いて来たハルヒ。
谷口に『麗しの涼宮』と呼ばれていたお淑やかなハルヒ。
そんなハルヒは、ここにはいない。

キョン「…」ハァ…

お淑やかなハルヒはそれはもう可愛いかった。
それはもう反則的なぐらいに。
朝起きてから学校に来て、元の世界に戻っていることに気がついたとき、がっかりした。
あの世界では、俺はハルヒと付き合うことになっていたのだから。
…まあ、俺がハルヒのことを好きだということに改めて気がついてしまったわけなんだが。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/27(日) 23:25:21.53 ID:sC94yTA0<>朝

キョン「ハルヒ。おはよう」ニコ
ハルヒ「おはよう」ムスッ
キョン「…どうした?元気ないみたいだけど」
ハルヒ「別に、なんでもない」ムスッ
キョン「…」

ハルヒの奴、なんか機嫌悪いな。

キョン「…なあ、谷口」
谷口「おう、どうした?キョン」
キョン「ハルヒって機嫌悪いのか?」
谷口「は?涼宮はいつもあんな感じだろ?」
キョン「そうか」ショボン
谷口「おいおい、なんだよ。喧嘩でもしたか?」
キョン「いや、なんでもない」
谷口「そうか。まあ、がんばれ」ニヤリ
キョン「…ああ」

元の世界に戻ってしまったのか…。
はぁ…。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/27(日) 23:28:29.45 ID:sC94yTA0<>昼休み

ハルヒ「キョン。ちょっと…」グイッ
キョン「なんだよ、引っ張るなハルヒ」
ハルヒ「うるさい。黙って付いて来る」グイッ
キョン「へいへい…」ポリポリ

チャイムが鳴るや否や、ハルヒは俺の腕を引っ張って教室を出ると、そのままずんずんと進んでいく。
階段を上り、屋上の扉の鍵を開け、屋上に出る。
そこで俺はやっと牽引ハルヒから解放された。
やれやれ、一体なんだっていうんだ?

ハルヒ「…」オイデオイデ
キョン「?」

ハルヒは俺を手招きする。すぐ目の前に立っているのにもかかわらずだ。

キョン「なんだよ…」テクテク
ハルヒ「…」トンッ
キョン「!」

…え!?
ハルヒが俺の胸に顔を埋めてきた。

ハルヒ「…馬鹿」ボソッ
キョン「なんだよ、いきなり」
ハルヒ「朝のことよ。微笑みかけるのは反則でしょう?あたしたち付き合ってるのばれちゃいけないんだから」ムスッ
キョン「!」パァァァ

やばい。顔がにやける。
俺たち付き合うことになってるのはそのままなんだ。<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/27(日) 23:31:50.18 ID:sC94yTA0<>ハルヒ「…なによ、にやけて」
キョン「スマン。嬉しくてな」ニコッ
ハルヒ「!な、なによ急に」カァッ
キョン「…いいだろ?ふたりきりだし」
ハルヒ「…それはそうだけど…」カァッ
キョン「屋上って穴場なんだな」
ハルヒ「うん」
キョン「そっちにいれば誰か来てもすぐには見つからないしな」
ハルヒ「あ、そうね」
キョン「とりあえずそっちに行くか」
ハルヒ「うん」ニコッ
キョン「…」ズキュゥゥゥン

おいハルヒ、その微笑みは可愛いすぎるぞ。

ハルヒ「でね、約束のお弁当、持ってきたよ」
キョン「楽しみだ」ニコッ
ハルヒ「ふふ。感謝しなさい」エヘン
キョン「めっちゃくちゃ嬉しいぞ。ハルヒ」ニコッ
ハルヒ「えへへ」ニコッ
キョン「じゃあ、いただきます」
ハルヒ「はい。召し上がれ」
キョン「…」モグモグ
ハルヒ「…」ジー
キョン「うん、うまい!」ニコッ
ハルヒ「…」パァァァッ
キョン「うまいうまい」パクパクモグモグ
ハルヒ「…よかった」ニコッ
キョン「ハルヒも食べないと」
ハルヒ「うん。いただきます」
キョン「うまいぞ〜」パクパクモグモグ
ハルヒ「…えへへ」ニコッ<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/27(日) 23:33:35.45 ID:sC94yTA0<>キョン「ごちそうさま」ニコッ
ハルヒ「おそまつさまでした」
キョン「…」ジー
ハルヒ「…」モグモグ
キョン「…」ジー
ハルヒ「…そ、そんな見ないでよ」カァッ
キョン「スマン。可愛くてな、つい」
ハルヒ「ば、馬鹿」カァァッ
キョン「ははは」
ハルヒ「…見られてると、食べられないじゃない」カァァッ
キョン「気にするな」ニコッ
ハルヒ「…もう」

…やばい。可愛い。

キョン「…あー、ハルヒ」
ハルヒ「…なによ」モグモグ
キョン「早く食べてくれ」
ハルヒ「むー。無茶言うな」モグモグ
キョン「それでも、がんばって食べてくれるところが可愛いぞ。ハルヒ」ニコッ
ハルヒ「…」カァッ
キョン「…」
ハルヒ「んぐ、んぐ…。ごちそうさまっ」
キョン「おお、頑張った」
ハルヒ「まあね」エヘン<>
◆F/bQYgopwk<>sage<>2009/12/27(日) 23:38:16.77 ID:sC94yTA0<>キョン「あー、それでだな、ハルヒ。ものは相談なんだが」
ハルヒ「なによ?」
キョン「俺としてはデザートが欲しいんだが」
ハルヒ「え?じゃあ購買で何か買ってくる?」
キョン「…わからないか?」
ハルヒ「だって甘いもの欲しいんでしょ?」
キョン「…あー、その、多分甘いものならあるんだ。…俺にとっては」
ハルヒ「は?」
キョン「…お前の唇」ボソッ
ハルヒ「は?はあああああっっ!?」カァァァァッ
キョン「いや、甘そうだなって思ってな」カァァッ
ハルヒ「な、何言ってるのよ!馬鹿キョン!!」カァァッ
キョン「うん、ちょっと調子に乗りすぎた。スマン」ショボン
ハルヒ「そうね。罰が必要だわ!歯を食いしばりなさい!」スッ
キョン「へいへい…」ギュッ
ハルヒ「…」チュッ
キョン「!」
ハルヒ「へへ。あたしが甘いもの貰った」ニコッ
キョン「…自分だけずるいぞ」
ハルヒ「…じゃあキョンもデザート、食べる?」
キョン「…ああ。いただくとするか」
ハルヒ「…はい」スッ
キョン「…」チュッ
ハルヒ「…」チュッ

おしまい

まあとりあえずこんなものかなww<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2009/12/28(月) 00:46:23.85 ID://0SS7so<>デレハルヒかわいい!<>