以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/17(金) 21:24:35.02 ID:yLybcxeho<>ようこそ、流入者の諸君
この世界は異世界からやって来た者、そして原住民たちの暮らす世界。

現代風の世界から訪れた者、SFやファンタジーなど非現実的な世界から訪れた者、はたまた戦国の世から訪れた者まで
ありとあらゆる世界からの流入者がこの世界に今もやって来ている。

もし、わからない事があれば以下に示す避難所の「雑談スレ」で、場合によってはこのスレで質問をしてみてくれ
きっと、この世界の住人が参加への手解きをしてくれる事だろう。

PC【http://yy703.60.kg/kokodaketasekai/】携帯【http://same.ula.cc/test/p.so/yy703.60.kg/kokodaketasekai/】

【注意事項】
・基本的に漫画やゲーム等の版権キャラの使用は禁止とします。
・パワーバランスはロールプレイに於いて大切な要素の一つです。
 他人のキャラを一撃で死に至らしめるような攻撃や時間操作、或いは他人の断りなしに神などを名乗るなど
 相手にとって絶対に勝てないようなキャラクターの運用は控えましょう。
・基本的な心構えとして「自分が楽んだ分だけ相手を楽しませる事」が大切です
・能力や設定上、有効な回避や防御の手段が思いついても時には空気を読んで攻撃を受けるのも大事
・描写は出来るだけ丁寧に、しっかりとお互いの状況の共有を心がけましょう

その他の細かいルールは以下のWikiの以下のURLのページに明記する。
【http://www35.atwiki.jp/kokodaketasekai/pages/28.html?guid=on】

次のスレは>>950が立てましょう。無理な場合は他の参加者の方に代行をしてもらってください<>【キミが取り戻す】ここだけ多世界の漂流者が集う世界【物語】 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(東京都)<><>2011/06/17(金) 21:31:18.67 ID:93heE4kEo<> この世界は、実に様々な世界と交錯し、色々な人々が訪れる。
その種類は、「多種多様」「十人十色」などと言う言葉では言い表せないほどだ。

当然ながら、人間や情報のやりとりだけではなく、物品の交流も生まれる。
無線機をエルフに売りつける者が居るかと思えば、武者から脇差を買い取ろうとするサイボーグが居る。


――――その『移動販売車』が膨大かつ広範な技術の結晶である事は、誰の目にも明らかだった。
ただの自動車には不釣り合いな駆動音は発達した科学の存在を匂わせ、周囲に放たれる強烈な魔翌力は魔道学的なポテンシャルの高さを伺わせる。
科学と魔術だけではない……どの世界の者も「ああ、これは自分の故郷の産物だな」と推測できる、何らかの技術の恩恵を受けていた。

『移動販売車』は、神出鬼没だった。街中に居る事もあり、平原に居る事もあり、砂漠に居る事もあり、海辺に居る事もあり、山頂に居る事もある。
同じ場所に一年近く居たかと思えば、全く唐突に姿を消し、一日に数百kmの距離をでたらめに移動する事が2年続く、という事もあった。

『移動販売車』が何を売るかは、店を持つオヤジの気分によって変わった。屋台で使うような“暖簾(のれん)”を車に着け、そこに売る物を書いた。
ある日、暖簾に「道具」とだけ書いてあった。兵糧丸や、油性ペンや、霊薬や、ナノマシンや、その他様々な物を売っていた。
違う日、暖簾に「武器」とだけ書いてあった。日本刀や、自動小銃や、魔剣や、レーザー砲や、その他様々な物を売っていた。
普通なものばかり売っている事も、奇異なものばかり売っている事も、それらが混ぜこぜになっている事もあった。

気まぐれなのはラインナップだけではなかった。品物の値段もよく変動する。
適正価格な事もあったし、物品の価値から想像もつかないような安値・高値で売る事もあった。
どうやら、オヤジは客を見て値段を操作するらしかった。

客が金持ちの場合や、客の出身世界に全く無い物を売る場合、値段は高騰した。
客が貧乏人の場合や、客の出身世界に沢山有る物を売る場合、値段は暴落した。
また彼は、どんな世界の通貨でも快く取り引きした。

その日『移動販売車』は、ある町の公園で営業していた。今日は屋台スタイルらしい。
良い匂いが立ち昇って来る……食欲をそそる匂いだ。
暖簾には、「らーめん」とある。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/18(土) 21:26:36.64 ID:gXQBc5H5o<> 久しぶりじゃあないか… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/19(日) 19:46:55.50 ID:5CC/QfHjo<> 【街、路地裏】

奮ッ!覇ァ!!

【ばきっ、どかぁ、という音ではない】
【ごきゃぁ!ぐしゃぁ!という音が路地裏に響きわたっている】

――漂流者よ。
何故、貴様らは我らに襲いかかる。

【地に倒れ伏す男が居た。顔からどくどくと血を流し、倒れこんでいて】
【そして、その男の向いていた方向には、一人の少女が居て】
【地面には一本の刀が落ちていた。ここまで書けば、何が起きていたか分かるだろう】
【強盗か、強姦か。少なくとも、暴力行為を振るっていたことは分かる筈だ】
【その男を殺し、少女を守ったのがこの人影であった】

【背丈は、おおよそでは180cmを越えるほど】
【体はマッチ棒の様に細長く、ゆったりとした服を着ているため、そのシルエットは掴みづらい】
【しかし、このひょろ長い男が、地面に倒れる刀を持った男を、素手で%|したのである】

【少女に目線を向けると、少女は逃げるように去っていって】

【男は一人、血にまみれた右拳を振るい、血を大地に振り下とした】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/19(日) 20:17:15.94 ID:HGtWGJxSO<> >>4
「そこの男」
スーツズボンにブレザーは無いがワイシャツ。ネクタイを締めたままの姿を見る限り、仕事帰りのサラリーマンのようだ。

「聞くまでも無いが、敢えて聞こう。――お前は何をしている?」
「俺の知っている常識から判断するなら、この状況は……そしてお前はあまりにも異常だ」
声をあげる男性。身長は180程で、細身だが体型はがっちりとしている

クソッ。と悪態を吐き出してから言葉を続ける。
「気がついたら此処に居たんだ。何がどうなっている?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/19(日) 20:22:34.90 ID:5CC/QfHjo<> >>5
あの男は、少女を強姦しようとしていた。
少女には男を打倒する力が無い故、私が代理に打倒した、それだけの話だ。

【振り向きながら、男は表情も変えずに、そう答える】
【足元に倒れる、刀を持つ男は見るものが見れば絶命していると分かるだろう】
【そして、男の言葉を聞き、顔を歪めて】

――漂流者か。
聞くぞ、男よ。

【くろぐろとした瞳が、キミに向けられる、人殺しをしたというのに、澄み切った、その瞳が】
【今は、剣呑な鋭い光を以てして、キミを貫こうとして】
【静かな苛烈、冷たき灼熱を宿した言の葉[コトノハ]、否、言の刃[コトノハ]をキミに向ける】


――――お前は、他者を害する事に躊躇いを覚えるか。


【其れは、おそらくこの男にとっては大切な問なのだろう】
【其の瞳は真剣であり、言い逃れや虚言は許さないという確固とした芯と信がそこにある】
【キミは、この問にどう答えるのか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/19(日) 20:37:43.61 ID:HGtWGJxSO<> >>6
「強姦」
チッと舌打ちをして
「……だが俺の立場としてお前を見逃す訳にはいかん。理由が理解できるが、これは人殺しだ」
男へ詰め寄ろうと足を進めかけたが、続く台詞に足をとめた。

「表裏者……? 何を言っている」

違和感。目の前の男の態度、初めて人殺しをした者のできるものではない。
投げ掛けられる質問、漂流者。


「……力の無い女の子に乱暴する奴はクソだと思っているし、どんなクソでも[ピーーー]のは駄目だと思っている。 」
「それが俺の答えだ」

「その男……まあ。[ピーーー]しか無かったのか?」

「質問、俺は一つ答えた。変わりに教えてくれ。漂流者ってなんだ」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/19(日) 20:46:39.97 ID:5CC/QfHjo<> >>7
悪は断罪せねばいかぬ、罪は正さねばならぬ。
其の刃を観ろ。俺が殺した男も、人殺しだ。
殺には死を以て返さねばいかぬ、俺を殺しに掛かってきた。
ならば、殺されるのもまた当然だろう。殺す以上殺される覚悟も指定なければならないのだから。

【朴訥と、言葉をつむぐ。見た目は普通の青年だというのに、その口調は古風な物】
【まるで機械のように、淡々と言葉をつむぐ様は、一種異様とも言える有様だろう】

……悪は断罪する、其れが一族の掟。
どうせ、あの男は少女を殺そうとしていた。ならば、ここで殺されるのは当然だろう。
放置していては、いくら犠牲が出たかも知れぬ。

【キミの問に、そう答えて、続く質問に、キミの瞳を見据える】
【この男、話すときに人と目をあわせるのが癖のようだ。また、淀みなき瞳が向けられる】

――答えよう。少なくとも、お前は殺さずに良さそうだから。


結論から言う。おそらく、お前は他の世界から来た。
理由は、わからんがな。この世界は良く他の世界から人が迷いこむ。
多分、となるが、お前もこの世界とは違う世界から来ていると思う。
この世界は、他の世界に比べて、死が近いからな。慣れていない様子から、予想した。

【淡々と答える、そしてもう一度キミの目を見据え】

――質問があれば答える。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/19(日) 20:58:33.19 ID:HGtWGJxSO<> >>8
「生と死は誰のもんでもねぇ。誰にでも生きる権利はある」
「……言ってみただけだ。俺にこんな台詞を吐く権利は無い。俺も人殺しだからな」

「さっきの台詞『見逃せない』ってのは、普通の人間を演じる必要があったから。似た者どうしならいい。正直なところ俺も誰かが死ぬのにはなれてるし」

「警戒すんなよ? 殺してきた理由は、おそらくお前と同じだ。」
何かを、守るために。


「他の世界から迷い込んだ……?」
「冗談だろ……」
【額に手をあてる】

「質問一、どうやったら帰れるんだ?」
「その二、お前も異世界人か」
「その三、とりあえずどうしたらいい」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/19(日) 21:06:18.75 ID:5CC/QfHjo<> >>9
ああ、そうだ。
だからこそ、その生命を摘む者は安らかに死ぬことを赦されない。
苦しみを、己が与えているのだ。その因果はいつか己に帰ってくる、必ず。

【己の行為が、道理に反することだというのは、この青年は知っている】
【そして、その行為が何時か巡り巡って己に戻ってくるという事も】
【だが、しかし】

しかし、牙無き者に喰らいつく獣が居る。
其れを救えるのは、牙のある物のみ。だからこそ、俺はこうして人を殺す。

守るために、己のために振るう拳に非ず、拳を振るうのは、何時だって守るときでなければならぬのだ。

【ふつふつ、と彼の瞳には熱い物が見えるかもしれない】
【静けさの奥には、しかし燃え盛る物が、確りとある】
【人の心の無い者ではないと、分かるだろう】
【そして、男のその言葉を聞いて、口元を僅かに、本当に数ミリ程度釣り上げて】

その程度、分からぬ身でも心でも無い。
お前の目は、澄んでいる。きっと、悪ではないと、俺には、分かる。

【その言葉にも、態度にも、隙は無くても警戒は無い】
【少なくとも、キミに害を向けるつもりはないのだろう】
【キミの、そんな困った様子を見て、思案しつつ、質問に答える】

その壱、不明。今のところ帰れたという話は聞かぬ。
その弐、俺はこの世界に古くから根を張って生きている旧家の者だ。
その参、俺の家の部屋が余っている。拠点を見つけるまでは軒下を貸してもいい。

牙なき者を守り、困りしものを救うのが、俺だ。
手を差し伸べよう、掴むかどうかはお前次第だ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/19(日) 21:21:05.22 ID:HGtWGJxSO<> >>10
「俺は宗教徒じゃない。正直な所、死ぬとか生きるとかの話は得意じゃないんだ」
「やった事は自分で責任とるだけだ」
このワイシャツの男も、人が死ぬことになれているようだ。

その目はどこか、無垢に見えた。

「んで……あまり聞かれたく無いだろうけど、この人どうするんだ?」
死体の方に歩み寄って
「いくらなんでも、このままには出来ないだろ?」

「刀なんて、今時珍しい。どういう人だったんだろう……」

「駄目だ、どういう態度したらいいのか解らん。」
困ったように死体から目をはなす。


「お前も、悪い奴じゃないんだな。」
「一人で背負って……あんま、無茶すんなよ」
異世界に置かれた身、妙な関係の男性。
……大変な事になった。と力無く笑って。

「じゃあ、遠慮なく掴ませてもらうよ。
 状況が解らなすぎて、頭が痛い」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/19(日) 21:31:05.48 ID:5CC/QfHjo<> >>11
……簡単に、考えられるのは、良い事だ。

【少し、その声色には、羨ましそうない色が、見え隠れしていて】
【感情が無い男ではない、決して。人である、人の心を持ったものなのだ】

本家の者が、処理に来るだろう。

【簡潔に答える。あまり詳しいことは話せないのだろう】
【そして、刀との言葉に、地に落ちる刀を拾い上げた、そして刀を見据え、口を開く】

――主の非は、お前には無い。
だが、お前の血は、きっとまた誰かを傷つけるだろう。

すまぬ、名も知らぬ刀よ、我が身を以て、打ち砕く。

【地に、刀を置き、ひゅっ、と拳を刃の峰に叩きつける】
【ず、ご、っ、と音が響き、峰に罅が入り、真っ二つに刃が折れた】
【その刀を、倒れ伏す男の元に置き、立ち上がり】

あまり観ないほうが良い事だ。
どうせ、見て楽しいものでもないのだから。

【普通の価値観を持ち合わせている様で、観なくても良いと、促した】

…………悪ではない。か。
その言葉、感謝の意を返そう。
しかし、無茶も背負うのも、俺の宿命。
退く事も逃げる事も、止まる事も出来はしない。

すまん、な。

【礼を返しつつも、そう言葉を紡ぎ、無茶を続けなければならないと言った】
【そして、男が此方の助力を了承したのを確認して、歩き出すだろう】
【暫く歩くと、巨大な日本家屋にたどり着き、中に入っていくはずだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/19(日) 21:51:38.55 ID:HGtWGJxSO<> >>12
「違う違う、馬鹿なだけだ。考えるなんて面倒臭いからな。
 理屈じゃ無く、行動を示す方が楽ってだけだ」
目の前の男が出した声色が意外だったらしい。その感情を隠すことなく、驚いたような表情を素直に顔に出して。
その後、理由は解らないが、笑う。心配事を吹き飛ばすような、優しい笑いだ。

「本家? そっか……そうしたほうがいいな」

「やっぱり、お前優しいんだな」
「刀……物にも敬意。大切なんだろうが、難しくて出来やしない」

「ただ、手で刀を割るなんて……
 お前も、特殊な何かを?」

「面白くなくても、見たくなくても、目を逸らしちゃ駄目な気がするんだ」
大きなため息を漏らす。

「背負うなら背負うで、負けんなよ。
 なんか、初対面でいうのも変だが、力は貸すからさ。」

男の後をついていき。
「すまん、色々と話はあると思うけどさ、なんか疲れちまって……悪いけど先に一度休ませてくれないか。悪いな」


//ちょっと時間が無いのでこれで
//絡みお疲れ様でした <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(不明なsoftbank)<>saga<>2011/06/19(日) 21:57:18.63 ID:5CC/QfHjo<> >>13
【その、驚いた様子に、わずかに口元を下げて】

……俺とて、人。
感情が無いわけじゃない。驚かずとも、良いだろう。

【そんなことを言う。割と、心を許しているのが分かるかも知れなかった】
【そして、いくつか雑談を経て、家に突き】

……構わん。
ゆっくりと、休め。

俺は、葉隠 閃。
この家の、次期当主。
困ることが、有れば。力になろう。

【そう言うと、閃はキミを部屋へ導き、自室へ戻っていった】

//乙でしたー! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/20(月) 20:53:06.59 ID:v2aiEY98o<> 森の中、小さな小川で一人の青年が釣りをしている
服装は紺のローブ、首には逆さ十字の飾りを下げていて
何故だか左側頭部に存在する大きなギアを時折弄っており

「………面白いものでも流れてこないかなぁ、とか。」

そんな事を呟きながら、自身の周囲に転がる鱗の剥げた魚を見やる
食べる気も川に返す気も持ち帰る気も無いのか、視線は如何にもどうでもよさそうで

ただもしかするとその光景は、猫なんかには天国のような光景かもしれないが <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 18:58:25.27 ID:I/Ium9Cvo<> 【草原】

奮ッ!覇ァ!!!

【ただひたすらに広い草原に、気合の入った掛け声が響く】
【どんっ!だんっ!ずぉっ!】
【風を切る音と、地面を踏み叩く音も、強く響いた】

【そこに居たのは――?】

【黒い髪に黒い目をして黒い服を着た男だ】
【其のシルエットは、針金を想起させるほどに細い】
【背丈は凡そ180cm後半程か。妙な威圧感を持っている】

【そんな男が、ひたすらに鍛錬をしていたのだった】
【彼の立つ場所を中心とした3m程の草は全て踏み潰され、円を描いており】
【しとしとと、水分をふくんでいる。それは全て汗である】
【どれだけ長く、彼は鍛錬を続けているのだろうか】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/21(火) 19:17:20.65 ID:qRZoQ0Obo<> >>16
【上空30m付近】
【銀色をした各部が特徴的な少女が浮翌遊飛行していた】
【右手には水晶玉のような物がついた杖を持っている】

「……なんだ、熊か?
 いや、それにしては小さへぼぁ!?」

【男と比較すれば、少女ははるかに小さく、幼い顔をしている】
【そんな少女は、白銀のように輝く狼の耳を下にして垂直落下した】
【少女がいた場所には燕が一匹、それは瞬く間に飛んでいく】

「何という事だ、私はここで死ぬのか。
 いや、諦めるのはまだ早い、『レヴィ』『リームス』」

【微妙に落下速度は遅くなったが、それでも地に落ちていることには変わりない】
【日に照らされ煌々と輝く尾は、左右に移動しながら重力に逆らい上を向いている】
【このまま地面に衝突すれば、間違いなく死ぬだろう】 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 19:26:57.74 ID:I/Ium9Cvo<> >>17
【修行を続けている最中、上空に人の気配を感じた】
【鍛錬により、ちょうど鋭くなっていた知覚は、キミを見つけるのを可能としたのだ】
【鍛錬の手を止め、男は上を観る】

……少女、か。
魔術師など珍しいものでもないが――――ッ!?

【顔を元に戻し、また修行を始めようとした直後、上空の少女が落ちて来るのを視認】

―――間に合うか……ッ!?

【落ちて行く少女の落下地点を、鷹の様に鋭い目を細め、精査する】
【予想は、完了。此の侭何か予想外の条件により着地地点がずれなければ、誤差は10〜20cm程】
【足をぐぅっ、と曲げる。腰が落ちる、重心が、地面にねばりつくように安定していき】

【直後】


――――フンッ!


【ど……ごぉんっ!】

【強く地面を蹴り、地面に衝突する直前≠フキミを真横から掻っ攫おうとするだろう】
【真上から受け止めては、衝撃が直で来る。故に、横から受け止め、勢いを地面を回転する事で殺すつもりだ】
【大分長身の彼は、キミを横から抱く事に成功すれば、地面にぶつからないように地面を転がり、7〜8回回転して、止まるだろう】
【衝撃が殺されているため、おそらく、キミには怪我がないはずだ】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/21(火) 19:42:29.45 ID:qRZoQ0Obo<> >>18
【見事に掻っ攫われ、眼を瞑った状態で男の腕の中に収まる】
【眼を瞑っていたのか二、三回、瞬きをした後】
【男に助けられた事を把握、そして男の顔から眼を背け】

「……救助なんて自らの得にならない事をするのだな、この世界の住人は。
 全く、面白い奴らだ」

【失笑した】
【なんて奴だ、助けられた身の癖に】
【男の眼からは見えないかもしれないが、尻尾が左右にゆらゆらと動いている】

「ほら、さっさと離せ。
 お礼を言うつもりは無いぞ、余計なお世話なのだからな」

【男が離そうとしたならば、即座に男から離れようとするだろう】
【自ら抜け出そうとしないのは、力では勝てないと理解しているからである】 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 19:49:50.09 ID:I/Ium9Cvo<> >>19
――力なき者の刃だ、俺は。

【答にならぬような、答えを男は返す】
【よく見れば、まだ青年と言えるほどの年齢であると分かるかも知れない】
【そして、助けられたのならどうでもいいとばかりに、男はキミを解放する】

別に、礼など求めてはいない。
だから、礼をしなくとも、構わん。

【激昂することも無く、男は淡々とキミのその態度に言葉を返す】
【そして、また修行を始めようとしたが、転がったときにシャツが大きく破れていたのを確認し】

……うむ、子細なし。

【そう言うと、拳を握り、突きを始めようとした、だが思い出したように男はキミの方を振り返る】
【感情の見受けられない、仏頂面を、キミに向けて。小柄なキミが此方の顔を確認しようとすれば、きっと見上げる形となるだろう――】
【そうして、重々しく口を開き、言葉をつむぐ】

…………空を飛ぶのは、構わん、が。
助けてほしくないのなら、助けるものの居ない所で落ちるか、落ちないように飛ぶか、どっちかをするといい。

【なんというか、とても不器用な言葉だったが、心配の調子がこもっていた】
【そうして、男は振り返るとまた鍛錬を始めだした】
【ずどん、どぉん、だぁん、ばぁん!どっっっ!】
【まるで重機の様な音を男の動きは響かせる。体は、むしろ一般人より遥かに細いというのに】
【しかし、先ほど男の腕の中に収まったキミは、分かったかも知れない】
【彼の体が、まるで鉄のように硬質な筋肉に覆われていたことを】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/21(火) 20:08:38.68 ID:qRZoQ0Obo<> >>20
「お前の素性等訊いていないが……。
 ふむ、成程。傭兵か」

【力なき者の刃→自分の身を守れない者を守る者→傭兵】
【脳内では、そのような解釈が行われた】
【然し少女は、当たっているか当たってないかなど別にどうでもいいような素振りで言う】

「大抵の者はそういう。
 素直に気持ちを吐き出せばいいものを」
【ゆっくりと地に足を下ろす】
【腕、足、身体そのものが男の力で簡単に折れてしまいそうなほど細く、白い】
【少なくとも、男よりは】

【『リカージョン』、『レヴィ』】
【少女が呟くと、ふわり、という効果音が出るかのように数十cm身体が浮き上がる】

「……不意に後ろから突かれて、お前は倒れない自信があるか?
 それも足場が不安定な場所で、だ」

【顔のみ、男の方を向け、語りかける】
【詰まる所少女は「そんなもん無理だバカヤロー」と言いたいのである】
【ぶっちゃけ、只の言い訳でしかない】 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 20:15:19.30 ID:I/Ium9Cvo<> >>21
……傭兵ではない。

【傭兵ではないと否定をしても、己の素性を話そうとはしない】
【あまり、表には出せないような職業に付いている事が予想出来なくもないだろう】
【そして、嘘を付くのが、見るからに苦手そうであり、実際苦手であった】

俺の気持ちは、どうでもいい。
其れよりも、お前に怪我がなかったようで良かった。

【己のことを、人事の様に話し、キミの事を心配した様子】
【何処か、一般から外れている、と認識させる在り方だろう】

【そして、キミのその問に、ずどん、どん、と鍛錬を続けながら答える】

……不可能ではないだろう。
だがまあ、体幹が出来ていない、お前の様な子供ならば仕方がない事ともいえる。

とりあえず、重心という物に気をつければ、不意を突かれても体は崩れないものだ。

【冗談も言い訳も、この男には通じない】
【四角四面に、キミの言葉は彼なりに考えた見解と共に返された】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/21(火) 20:29:52.19 ID:qRZoQ0Obo<> >>22
「……、……。
 ……まあ、深くは訊かないでおいてやろう」
【大体は察した。雰囲気、表情、その他諸々から予測できる】
【相手の心を考えるなど、少女は気が遠くなるほどやってきた】
【最初に何か言いかけたようだが、気にするほどの事でも無いかもしれない】

「……変な奴だな。
 自分より、他人を優先するか……馬鹿げてる」
【憐れむかのような口調で少女は語る】
【しけた面で男を一瞥し、前を向く】

「……いや、その、これはだな。
 ただ単に平均的に見て成長が遅れているわけであってだな、つまりその……」
【かと思ったら男の方へ身体全体を向けて弁解した】
【何を弁解したのか、それは私にも分からないが、焦っているのは確かである】

「……子供って言うな。
 私のガラスの心に傷が付く」
【先述した話は既にどうでもよく、寧ろこちらの方を気にかける】
【自分でガラスの心というのはいささか妙な物であるが、この少女なのだから仕方ないと思った方がいい】 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 20:39:07.64 ID:I/Ium9Cvo<> >>23
―――痛み入る。

【簡潔に、しかし心からその配慮に男は感謝の意を示した】
【口調は簡潔、態度は無骨。だがしかし、感情が無いという訳ではないようだ】
【しかしながら、続くキミのその言葉に、男は初めて表情を動かした】
【眉を軽く立てた、そんな姿である】

……俺は、別にいい、他者の犠牲に成れと教えられてきたから。
何代も前から、ずっと他の人の為に戦っている。
今更、其れを変えることも出来ん、それに、変えるつもりもない。

【初めてかも知れない。キミと会ってから、ここまで長く話すのは】
【成れない程長く口を動かしたためか、少し微妙な表情を浮かべていた】

…………ああ、成程。
牛乳等のカルシウム類だけでは身長や女性らしい体は培われない。
好き嫌いをせず、日々良く寝て良く動き良く食べるのが、おそらくお前の悩みを解決するだろう。

【そして、ズレている返答を返す男】
【その手≠フ話題に対する配慮をこの男に求めるのはいけないと思われる】
【どんな話題であろうと、堅いままに返されるだろう、よっぽどのことがない限り】

……傷つけたというならば、謝罪しよう。
どうも、俺は言葉の選び方が悪いとよく言われるのでな。
悪気はないが、言い訳をするつもりもない。

【すっ、と男は背筋を45度に曲げ、お辞儀をするだろう】
【子供の様に見える物だとしても、彼は礼を確りとするようだ】 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 20:50:47.07 ID:I/Ium9Cvo<> >>23
//すいません。御飯作ってくるので、返信遅れます! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/21(火) 21:00:22.53 ID:wRGBdeulo<> 森の中、小さな小川で一人の青年が釣りをしている
服装は紺のローブ、首には逆さ十字の飾りを下げていて
何故だか左側頭部に存在する大きなギアを時折弄っており

「………面白いものでも流れてこないかなぁ、とか。」

そんな事を呟きながら、自身の周囲に転がる鱗の剥げた魚を見やる
食べる気も川に返す気も持ち帰る気も無いのか、視線は如何にもどうでもよさそうで

ただもしかするとその光景は、猫なんかには天国のような光景かもしれないが <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/21(火) 21:03:14.45 ID:qRZoQ0Obo<> >>24
「どうせ、薄汚い穢れたものだろ?
 そんな物を訊くぐらいなら、訊かないでいた方がいい」
【配慮を隠すかのように、少女は言葉を紡ぐ】
【何の事は無い、只の照れ隠しである】

「……他人の生き様にとやかく言うつもりはないがな。
 それを続けていくと、お前はいつか必ず後悔するぞ。
 私が断言する」

【断固として、その考えは譲れない】
【少女の眼を見れば、そんな事を考えているのが分かる筈である】
【男とは、様々な点について違う事も】

「……牛乳なんて単なる白濁乳だ。
 あんなもの飲めるわけがない。
 野菜についてもそうだ、苦味や酸味、その他諸々のハーモニーがなんとも不味い。
 何故生き物はあんなものを口に出来るのか、些か疑問だ」

【どれだけ嫌いなのか、流石にここまで好き嫌いしていては伸びる物も伸びない】
【そのような事は、誰でも考えるだろう】
【蛇足であるが、中の人はここまで言っていいほど野菜が嫌いである】

「ん……まあ許す。
 仕方がない、事だしな。この身体だと。
 実年齢より若く見られるのが少々不満だが……小さな身体も、悪くは無い」
【「顔を上げろ、その辞儀は美しすぎる」と目線を外しながら口にし】

「では、またいつか。
 もう逢う事もないだろうが、一応、礼儀なのでな」
【男に背を向け、ふわふわと上空へ上がっていく】
【尻尾はまた、左右にゆらゆら揺れていた】
【確か、犬は尻尾を振っていると……】

>>25
//んむ、こちらは落ちなのです
//とりあえず、絡みお疲れ様でした
//あと遅筆ですみませんでした <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 21:16:05.56 ID:I/Ium9Cvo<> >>27
……後悔か。
だが、俺は一族の長として、人の為の刃とならねばならん。
それだけは、譲れない。

【頑な、というのが之ほど似合う男もそうはいまい】
【しかしながら、その思いと忠告については、素直に感謝を覚える】
【だが、しかし、彼は頑として、この道を変えるつもりは無いようだ】

……牛乳は、搾りたての物が一番だろう、其れならば、きっとお前も飲めるはずだ。
あと、子供と言われたくないのならば、好き嫌いこそ無くすべきではないか。
野菜の旨み、滋味を知るこそ、大人、という物だと俺は思う。

武術を収める身なれど、日々は精進を主としている。
菜食を多めにするのは、健康にはいいことだがな。

【食に対しては、拘りがあるようで、長く語っていた】

……そうか、ならば、いいのだが。

【そして、キミに頭を上げろと言われて、無言で頭を上げる】
【仏頂面ながらも、その顔に有るのは善意だった】

……ああ、またいつか。

【去っていく、キミを男は見送り、そしてキミが消えると、ずん、どん!とまた鍛錬の音を響かせ始めたのだった】

//乙でした! <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 22:27:52.31 ID:I/Ium9Cvo<> 【路地裏】

――大丈夫、か。

【そう、しゃがみ込み問いかけるシルエットが、一つ】
【月の光が路地裏の暗闇に差し込んで、男の姿を顕とした】

【黒い髪に黒い目をして黒い服を着た男だ】
【其のシルエットは、針金を想起させるほどに細い】
【背丈は凡そ180cm後半程か。妙な威圧感を持っている】

【そんな、男が、一人、ここに居た】
【男の視線の前には、子供が一人。怯えた様子で、蹲っている】
【男が一歩を踏み出したとたん、慌てた様子で走り出し、転ぶ】

「ひぃ、あ……、あう、うう……、あ……ぁ……やめ、こないで……!」

【子供は、怯えている。いったいなぜか】

【其れは、路地裏を見れば誰もが分かる】

【男の背後に転がる3人の死体。そのどれもが、頭を砕かれていたり、首をちぎられていたり】
【容赦のない殺され方をしていた。それを、子供は目の前で観てしまったのだ】
【この場だけを見れば、この男こそ、一番の悪人に見えるだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/21(火) 22:32:51.69 ID:QQJw0L4no<> >>29
紅のコートを翻し、裏路地に駆け込んだ少年
ギッと鋭くなった紅い眼光が、男を射抜く

「……おい、何やってんだアンタ」

後腰から大振りのナイフを抜き取り、男へ切っ先を向けた <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 22:40:00.77 ID:I/Ium9Cvo<> >>30
【その、苛烈なる紅蓮を見つめ返すは、色の無い信念の瞳】
【決して揺れ動くことのない、不動がそこにはあった】

……誘拐犯が、子供を襲っていたから、殺した。

【男の両の拳は、血に染まっている】
【そう、男は素手≠ナ三人を殺したようだった】
【地面に転がる死体は、武器を持っていて、少なくとも堅気では無さそうだ】
【だが、キミがナイフを此方に構えるなら、と男も構えを取った】

……。

【ず、ん、と重心が地面に張り付いているかのような、安定感の有る型である】
【両の拳は、付かず離れずに構えられ、あまり観ない構えである】

…………、とりあえず、掛かってくるのは良い。
だが、そこの子には、危害を加えないようにしろ。

【子供は、よたよたと走り去っていこうとしているだろう】
【あくまでも人助けのために、殺した≠ニ言っている】
【そのやり方は、やりすぎ≠ニいえるだろう】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/21(火) 22:49:17.24 ID:QQJw0L4no<> >>31
子供が通り過ぎるのを確認し、ナイフをゆっくりと下ろす

「……」

バツの悪そうに、男から視線を外すと
ガリガリと髪を掻き毟った

「…それは本当なのか?」 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 22:52:12.74 ID:I/Ium9Cvo<> >>32
――嘘は、つかない主義だ、俺は。

【単純に、男はそう答えた】
【ナイフを下ろしたのを確認しても、警戒は解いていない】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/21(火) 22:56:24.58 ID:QQJw0L4no<> >>33
「…だからってやり過ぎだろ」

ナイフを後腰に戻すが、鋭い目付きは男へ向けられたままだ

「もっとやり方はなかったのかよ…
 それが本当だったとしたって!」 <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 23:01:51.40 ID:I/Ium9Cvo<> >>34
殺すつもりで、奴らは掛かってきた。
それに、ここで殺さずに終えたところで、きっとこいつらは同じことを何処かでやるだろう。

【足元の死体を見下ろしながら、そう言って】

…………他にやり方は知らぬ。
殺す気で掛かってきた以上、此方も殺すのは当然だろう。

【事も無げに、そう言った】
【理由は、善。しかし、行動は悪にも見えるほど、歌劇】 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/21(火) 23:08:55.60 ID:QQJw0L4no<> >>35
「…わかってんだよ、それぐらい」

壁に、拳を叩きつける
ズンと鈍い音が静まり返った周囲に妙に響く

「それでも、それでも…それをアンタが決めるなよッ!
 悪人が悪人でしかない、みないな言い方は嫌いなんだ!」

怒りを吐き出すような叫び
彼自身、感情を制御出来ていないのだろう <> 愚直な武道家<>saga<>2011/06/21(火) 23:14:17.68 ID:I/Ium9Cvo<> >>36
俺は、俺が正義だとは欠片も思っていない。

只、あの子が助けてといったから助けたのみだ。

【キミとは対照的なほどに、変わらぬ態度で】

…………だが、まあ、殺すのは本意ではなかった、とだけ言わせてもらおう。
俺の習った戦い方は、殺すためのものだ、加減しようと、殺法は殺法に過ぎん、結局は殺すだけだ。

【拳に目を落として、そう小さく呟いた】

悪だから殺したのではない、助けを求められたから殺した。
それだけは、違えないでくれ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/21(火) 23:26:50.23 ID:QQJw0L4no<> >>37
「……」

自分自身、彼にどんな感情を持っているのか
それすら理解出来ない、といった表情で男を見つめるしか出来ない少年

「……アンタが悪人だったらどんなに楽だったか」

弱々しい呟き
言い分は充分に納得している
だた理解できても、納得できない感情が彼の中では渦巻いていた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/22(水) 05:58:12.20 ID:K72oKlM+o<> 言い分は充分に納得している
だた理解できても、納得できない感情が彼の中では渦巻いていた



言い分は充分に理解している
だた理解できても、納得できない感情が彼の中では渦巻いていた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 18:56:29.85 ID:1cmnqGl+o<> 裏路地
ガシャリ、ガシャリ、と鈍い音を立て黒色の鎧が蠢いている

『――ガ、い――ゥダ、――。』

その無骨な黒の足元に転がる人、人、人
いや、人とも言えない程に砕かれ、潰された肉

『―ジ――ト、――。』

闇の中、黒が蠢き、何か求め動き出す <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 19:06:13.51 ID:XFUzaBcSO<> >>40
「なんなんだよ、この世界は。
 路地裏で人[ピーーー]のが流行ってるのか?」

路地裏を通り掛かった影。この世界に漂流し、人が亡くなる瞬間に立ち会うのは二度目だ。
しかも、どちらも路地裏で。

元いた世界では、一般人が殺人の瞬間に立ち会う可能性は低い。
いや、その瞬間に立ち会わない人間の方が圧倒的に多かったはずだ。

「洒落になんねーな」
「んで? テメーは何もんなんだ?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 19:13:51.39 ID:1cmnqGl+o<> >>41
『オ――ヲ、―コセ―ッ!』

雑音混じりに、ブツブツと途切れながら鎧の中から漏れ出る篭ったような声
それを荒らげながら、黒い鎧は男に相対する

『―――ダ、ヤ――オ――ッ!』

鈍い音を立てながら開かれる胸の装甲
そこの腕を突っ込み、引き抜かれる大剣
巨大な鎧の、その身の丈を越えようかという大剣を両手で振り上げた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 19:25:12.03 ID:XFUzaBcSO<> >>42
「せめて言葉喋りやがれ!!」
騎士が剣を振り上げた、こちらへ向かって――

「理由も事情も知らないが……」
「こいよ、鎧。テメー多分悪い奴だ」

先手必勝、剣が持ち上げられている。
大剣敵の剣が届く距離は、こちらにもとっくに射程距離。

黒い光とともに、彼の腕に宿る槍。
「っ…だあ!!」
大きく踏み込み、槍を鎧に向かって突き出す。
彼の能力そのものである槍。今は刺す――壊すことより突き飛ばす事に特化させ、突風を起こしながら鎧目掛けて伸びてゆく…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 19:34:07.06 ID:1cmnqGl+o<> >>43
『―ノ―ゲキ―、ク――エサ――ッ!』

真っ直ぐ自身に向け、伸びる槍を確認すると
まるで恐怖心などないかのように、しっかりと目標を定め槍の切っ先めがけ大剣が振り下ろされる
それは防御であり、攻勢に転ずる一撃
酷く長い刀身は、鎧の恐怖心のない踏み込みと合わせ槍のみでなく男も射程へふくんでいる

鎧と同じ黒色の無骨な両刃剣、それには何かしらの魔翌力が含まれているのがわかる
それがそのようなものかは、」鎧と相対する男にそれを知る術があり、知ろうとするならば簡単にわかるものだ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 19:49:19.14 ID:XFUzaBcSO<> >>44
「くそ、少しはビビりやがれ!!」
足を大きく広げ、槍の向きを変える。

突進はフェイントであり、最初から外すつもりであった
……とはいえ、まさかそのまま攻撃を続けるとは

路地の幅一杯に足を広げて、頭上に槍を斜めに構える
押し返す必要も、弾く必要もない。
ただ、自分にダメージのこないよう、受け流す…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 19:55:31.29 ID:1cmnqGl+o<> >>45
技術も、何もなく力任せに振り下ろされた大剣は
槍に流されるように、地面にたたき落とされる

『――――ッ!』

大剣は地面を割り、埋まるように食い込む
グッと力を込め、剣を引き抜こうとするその瞬間、鎧に一瞬の隙が出来た <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 20:01:03.70 ID:XFUzaBcSO<> >>46
「!」
ここまでの流れはこちらの予測通り。
テンポはこちらにあるか……?

「……ぜあっ!!」
変わって足を大きく引き、その場で槍を大きく斜めに振るう

一撃、入るだろうという自信。
と同時に、これだけでは終わらないだろうという不安。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 20:09:46.07 ID:1cmnqGl+o<> >>47
斜めに振るわれた槍は、鎧の頭部を捉え、直撃
金属と金属のぶつかるような高く軽い音を周りに響かせながら、吹き飛んでいく兜

『…………』

沈黙
吹き飛んだ頭部、そこには有るべきものがない
カタカタ、揺れながら地面に落ちた兜はゆっくり鎧に近づいていき
鎧は大剣を地面から引き抜く

彼に魔翌力を感知する術があるなら鎧の中より溢れる高濃度の魔翌力を感じるだろう
そしてソレは鎧の中央へ行けば行くほど濃い
つまり、それは―― <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 20:17:41.75 ID:XFUzaBcSO<> >>48
「やっぱりな、中身は入ってねぇと思ってたけど……」
彼のいた世界には魔翌力という概念は無かった。彼の槍も、神秘を持った武器に含まれるが魔法というよりは科学寄りな物である。
……本当は、彼の世界にもあったのかも知れないが少なくとも彼は知らない。今、初めて対峙している。勿論力を察知することなど出来ない。

「なんだテメー。ロボットじゃねぇよな。機械じゃ頭はとばねぇ」
「……デュラハンみたいな奴か。参ったな。お化けってどうやれば倒せるんだっけ?」
槍を片手に持ち直す。
こちらから踏み込みは無い。どうせ戦うなら直線的で狭い路地の方が槍には有利なのだ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 20:30:31.14 ID:1cmnqGl+o<> >>49
『ガ―ガガガガ―――ガッ!』

雑音のような、暴音
甲を失った胴体からはまるで壊れたスピーカーのような爆音が響く

地面から抜いた勢いで高く構えられた大剣をまた力任せに振り下ろされる
学習能力がないのか、はたまた
またも、迷いのない踏み込みからの大地を砕く豪剣 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 20:37:09.78 ID:XFUzaBcSO<> >>50
「音、なんだ!!?」

「つっそ!!」
今度の攻撃は……回避しなければ!!
軽く飛躍、路地の片側の壁に槍を突き刺し、握力でその上に上る。
振り下ろす、たたき付ける攻撃なら自然と攻撃範囲から外れる筈だ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/25(土) 20:43:53.38 ID:1cmnqGl+o<> >>51
『―――――……。』

大剣が地面に触れるか触れないか、そんな時
全身が激しく蠢き、影のように地面に溶ける
まるで、白昼夢だったかのように、さっぱりと消え去った鎧

だがそれが夢でなかった、と証明するように
肉片がその地面に残ったままだった


//すみません落ちます… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<><>2011/06/25(土) 20:48:27.35 ID:XFUzaBcSO<> >>52
「なんだってんだ、全く……」

「クソッ、やってらんねぇ……」
「ちゃんと、弔ってやんねえと」

//お疲れ様でした <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 00:12:31.17 ID:AVR5nV9y0<> 昼時にかかわらず、長身の木に光遮ぎられて、不気味な雰囲気を漂わす森。
闇に溶け込みそうな彩色のドレスに身をつつみ、愚痴をもらす少女。

「ったく、なんだってのよ〜。 こんな話聞いてないわ!」
「そりゃ誰も言ってねぇからな」

苛立ちを隠すことをしようともせず、地の枝をガシガシと踏みつける少女に、あきれ返ったように答えたのは、彼女の隣を歩く、熊の人形。
肩耳がもげ、各所ほつれたその姿は、周囲の様子もあいまって一層ホラーを感じさせる。

「うるさいわね、なんとかしなさいよ!」
「無理だ。 そもそも何をすればいい」
「それはあれよ、家に帰すのよ私を!」
「どうやってだ」

甲高い声を響かせていた少女は、言葉がみつからず、眉を吊り上げて黙り込む。
突然迷い込んだこの森。
背負う剣は、解決策には何の役にも立ちやしない。

「あ〜も〜!!」

あてもなくふらふらと歩き、そしてわけもなく巨木を蹴って、痛みに脚をかかえた。
完全に途方にくれている様子だ。
  <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/26(日) 00:26:36.02 ID:uX0juD0Zo<> >>54
木の上から、少女を見下ろす人影。
枝に腰掛けて7mほど下の少女を見つめているのは、まだ若い男だ。
大鎌を肩に担いでいる姿は、さながら、獲物が力尽きるのを待つ死神、と言った風情がある。

「………フフフ」

巨木に八つ当たりするさまを見て、つい笑い声を上げる。
仕掛けるつもりで様子を見ているのか。
それとも、ただ面白いから見ているだけなのか。

恐らく―両方。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 00:34:47.83 ID:AVR5nV9y0<> >>55

「はぁ〜、どうしよう・・・お腹すいた、何か無い?」
「ん? 綿ならあるぞ」
「口がぱさつきそうね・・・」

脚が思った以上に痛んだのか、声を張り上げる気力を失って、大きく溜息をつく。
しかし、野宿だけは逃れたいと踏んでいた少女は、重りのを引きずるように足を動かし。

「・・・いるわねっ!」

その異形の存在を、察知した。
人形をかかえ、体を反転させ、感じた狂気を頼りに体を反転させ、見上げる。
高さと、その薄暗さからか、姿はまだ捉えられない。






<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/26(日) 00:46:35.97 ID:uX0juD0Zo<> >>56
「……締まりがないなぁ」

熊の人形を抱えて振り向いたとて、まるで迫力が無い。
呟いたと同時に、腰掛けている枝の上に立つ。

「さてさて、これ以上は見てられないかな」

そのまま、青年が飛び降りる。
まるで人形を放り投げたように力無く、そして呆気なく地表へと、重力に引かれて落ちる。
叩きつけられる直前、見えないクッションの上に飛び降りたかのように減速し、そのままゆっくり、少女の前に立つ。
――大気中の浮翌遊霊に干渉し、受け止めさせたのだ。

青年の姿は、血の滴る鎌、血で染まった白の前垂れと黒衣、そして似つかわしくない童顔。
顔には、張り付いたような微笑を浮かべていた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 00:54:28.71 ID:AVR5nV9y0<> 少女は、死神が舞い降りる様子を見届けて、瞳を鋭く光らせる。
闇に光る眼光は、常人には恐怖をさそう程度のもの。
しかし、怯えた様子は無い。
彼女も、人間ではない。
そして、同じく人間ではないものに、多く触れてきている。

「何よ、あんた? その鎌に見た目、死神?」
「ほぉ、見たこと無いな、こりゃ」

抱えられた人形は、緊張感なく感嘆の声をもらす。
少女の、死神へ向ける敵意は、見知らぬ他人に、声をかけられた不機嫌。
しかし、それは好奇心へと変わった。

「あんた、不の感情、一杯もってそうね」
「あ? 死神とやる気かよ・・・?」
「だってこいつ、怖くないんだもん」

張り付いた微笑みに、少女は不気味さを感じた様子は無い。
幼さゆえの油断・・・といより、勘繰る気がまったくないのだ。




<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2011/06/26(日) 01:05:11.11 ID:uX0juD0Zo<> >>58
「みぃんな、そう言うけど……僕は人間だよ」

見た目や能力はともかくとして、人間だ。
欲望のままに人を殺める、という点を除きさえすれば。
漂流前は、三桁の猟奇殺人犯。
漂流してきた後も、似たようなものだ。

「……怖くない、か。ダメだなぁ、最近たるんでるよ、僕は」

溜め息をついて、肩を落とす。
なんだかショックを受けたようだ。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 01:15:32.61 ID:AVR5nV9y0<> >>59
「人間・・・?人間だったら、あんなとこから落ちたら死んでるでしょ?」
「違いねぇ、少なくとも俺は死んでる」

少女は、どうも先ほどの現象ゆえ信用し切れていないようだ。
まぁ、相手が死神であろうと人間であろうと猟奇殺人犯であろうと、少女の対処は変らない。
彼女も、何人か人を殺めてきている。
ためらいではなく、苦痛もなく、しかし、望んで、ではないが。

「うぅん、でも人間でもあんたは特別だわ。 たくさん殺って来てるんでしょ? 私にかかれば一目瞭然。 せっかくだから、その狂気わけてよ」
「誰だって鎌見りゃわかるだろ」

人形を無視して、少女は、ネックレスの宝石を片手に握り、自称人間の死神、を見上げながら、ずい、と近寄る。
怯え、よりも共通点を確認し、むしろ若干表情をゆるめつつ。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 01:28:35.13 ID:uX0juD0Zo<> >>60
「生憎だけど、タダでは駄目だよ」

狂気を分ける、と言われ、左手を前に突き出し、少女を寄せ付けまいとした。
具体的に何をされるかは分かっていないが、どちらにせよ――警戒に値する。

「……交換、ならいいけどさ」

瞬間、少女に向かって突き出された左手に黒い靄が見え隠れする。
手放された鎌が空中に浮遊し、上空へと高く浮き上がった。
まるで奇跡のように――高く。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 01:38:00.94 ID:AVR5nV9y0<> 「え〜、ケチねぇ」

少女は、そんな言葉を漏らして、口を尖らせる。
相手が自分の行動を理解していないことで、警戒していることに気がついていない。

「切り掛かられるよりは良いだろ。 で、交換ってのは何とだ?」

人形は右手を突き出して、少女に抱えられながら、そう問う。
視線は、宙に舞い上がったその、大鎌。
そして、何かを察したのか、どこか乾いた笑い声を発し。

「はは・・・命と交換・・・ってのは無しだぜ・・・?」
「あれ? 戦うの?」

少女は、きょとんとした様子で、人形に答えた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 01:43:40.40 ID:uX0juD0Zo<> >>62
「……うーん、何にしようかな?」

空中高く舞い上がった鎌が、その場で所在無さげに踊る。
その間、下の青年は考え込む。
何となく怖がらせようとしたが、どうも効果が薄い。

「っていうか、キミ……今、何をしようとした?……それと、どうなるんだい?」

当然の疑問。
何となく穏やかじゃないものは感じ取ったが、別段殺意も、それに類するものも感じなかった。
何か仕掛けるとして、それを聞いてからでも遅くはないと思ったのだろう。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 01:58:23.89 ID:AVR5nV9y0<> 「何よ、考えてなかったの?」

少女は、宙に漂い、舞う鎌を興味深げに目で追う。
原理が分からず、魔法か何かだとでも考えているようだ。
死神の望む恐怖は、どうやら感じていないようだ。

「あ、簡単よ。 このネックレスを私が握って、あんたの不の感情を吸い取るだけ。
後始末が面倒なときは相手を処理しちゃうんだけど、あんたは大丈夫そうだし。
そこに突っ立っているだけで良いわ」

手に握るネックレスを突きつけて、そう言い放つ。
少女の言葉に嘘は無い。
ただ、感情の一時的な欠落からくる衝撃を、与える側の彼女は知らないのだ。

「でも交換条件を聞いてからだな。 やってから無理なもの要求されたんじゃこっちが困る」
「え? そのときはやっつければ良いじゃない?」
「お前なぁ・・・」

特殊な力を持つ死神を目の前にしての緊張感のなさに、人形はがっくりと頭を垂れた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 02:06:28.81 ID:uX0juD0Zo<> >>64
「…………なんだか分かんないけど、まぁ分かったよ」

感情を吸い取る、と言われてもぴんと来ないものだ。
恐らく、死にはしないのだろうが。

「……痩せっぽちで、どうにも物足りないな。第一……不気味だね、キミは」

どうにも、彼女の意図を測りきれない。
目的が分からない。
不気味、という点では似たようなものなのだが。

「そうだな。……いくつか、質問に正直に答えてもらおうかな?」

仕掛けたとしても、相応の反撃があるはずだ。
それよりは――死の危険がないのなら、彼女の手札を見ておく。
それが、彼の出す条件となった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 02:18:01.80 ID:AVR5nV9y0<> >>65
「あ、そう。 ならいいわ」

少年にいまいち疑念が残っていることを無視して、少女は満足げな顔になる。

「不気味? それならあんたの方がよっぽどそうよ。 死神よ死神」
「でもま、お前もそんな物騒な物背負ってるけどな」
「あんたにも言われたくないのよ!」

ダッ。
外見上あきらかに子供がなく人形は頭を小突かれて、小さく悲鳴をあげた。

「でも痩せてるっていうのは、見る目があるわね。 質問?
そんなのでいいの?」

思ったより軽い切り替えしに、なんだか、拍子抜けしたようだ。
相手が思慮の上、こちらの戦力を測ろうとしていることも気にせず。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 02:28:30.50 ID:uX0juD0Zo<> >>66
「……傷付くねぇ。僕は本当に、人間なんだけどなぁ。
 哀しいね。……哀しくて、誰かを殺したくなるよ」

傷付いた素振りも無く、軽く言ってみせる。
彼にしてみれば冗談なのだが、本音も僅かに混じる。

「とりあえず、あれは……もういいな」

左手を払い、空中の鎌を地へ下ろす。
何かの力から解き放たれた鎌は、引力に従い――青年のすぐ傍の地面に、刃を突き立てた。

「OKなら……そうだね。キミは――いや、キミ達は何者だい?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 02:44:23.72 ID:AVR5nV9y0<> >>67
「別にいいじゃない。 あんたが人間でも死神でも。 それと、八つ当たりはよくないわよ」
「どの口が言うんだ」
「何よ?何か文句あるわけ?」
「ここに、八つ当たりされた張本人がいるってんだよ・・・」

人形は、いままでで一番大きな溜息をつく。
なんで、こんなやつとつるんでいるんだろう、と深い後悔の念が込められていた。
再び、まるで従者のように地に戻った一瞥して、少年の言葉に説得力の無さを覚えつつ、

「私? 私は、キノ。 キノ・マヨイ。 魔獣っていう種族らしいわ、よく知らないけど。
で、こっちが、サーヴァント」
「よろしく、つっても、これから世話になるわけでも無いだろうけどな」

半ば適当に答えると、顔を俯かせて、腕の中の人形に目をやる。
人形は、口を開かないまま、軽口を叩く。
少女、思いついたように顔を上げると、

「で、あんたは何なのよ。 しにが・・えと、人間だったわね。 人間」

挑発の意思はないようで、言葉をいい直すと、首をわずかに傾けて、問い返した。



<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 02:54:48.17 ID:uX0juD0Zo<> >>68
「……へぇ、魔獣?それに……喋る人形か。そういう『世界』とも繋がっているみたいだねぇ。
 …全く、この世界は何でも起こるよ、フフ……」

耳を疑うような言葉を受け取るも、さしたる疑問を挟まずに飲み下す。
この世界には、人間以外の種族は珍しくない。
獣人、サイボーグ、亜人、人間、更に時代も何もかもがバラバラなのだ。

「ああ、そう。僕は一応人間。ウィルフレッド・”マカーブル”。
 ……普通の人間との違いといえば、そうだね。……ネクロマンサー、って言うのかな?巷では」

言って、指を鳴らす。
直後、木立ちの陰から無数の白い影が姿を見せる。
各々一瞬だけ姿を見せ、そしてまた、溶けるように消えていった。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 03:08:10.79 ID:AVR5nV9y0<> >>69
「世界? 繋がってる? なにそれ」

自分の知識にないことを知っているらしい少年の言葉に、思わず疑問府を浮かべる。
迷い込んだばかりの少女が理解していることは、現時点ではほぼ皆無だ。
迷い込んでいることでさえ。

「ふぅん、マカーブルね。 変な名前」
「そうでもねぇだろ。 それに、ネクロマンサーか・・・へぇ」

死体を操るもの。
人形の、サーヴァントの生前の知識にあるのはその程度のもの。
無数の白い影が何なのかも、具体的には分からない。
おそらく、霊的な何かか。
突然の現象に、一瞬目を丸くしていた少女は、はっと、我に帰り

「あ、あんたが、そのネクロなんとかなのは分かったわ。 で、質問には答えたわけだし、約束は守ってよね」

次は、自分の番か、と、ネックレスを握る。
先ほどの台詞と良い、この少年に、狂気、不の感情が多くあるのは把握していた。
少女は、帰還の保障すらできないのに、早まる気持ちを抑え切れてないようで。


<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 03:18:36.66 ID:uX0juD0Zo<> >>70
「……やっぱり漂流してきたのかい、キミ達は」

少女の様子を見て取り、察する。
この世界に溢れる因子にして、特異なる者達。
彼女は、それに加わった。

「…約束は約束か。……いいさ、好きにしなよ」

受け入れるように、大げさに両手を開く。
その様相は――自傷行為に至る、病質者にも似ている。
自らの体にもたらす悪影響を知りながらも、やめる気配は無い。

「それと……ようこそ、『漂流者の世界』へ」

そのまま、嘲笑うような微笑を浮かべ、歓迎の言葉を口にした。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 03:32:04.60 ID:AVR5nV9y0<> >>71
「漂流・・・?サーヴァント、私って船に乗ってたっけ?」
「さぁな、例えなんじゃねぇの。 今の状況なら遭難みたいなもんだ」
「え? あぁもうわかんないわかんない!」

脳のキャパシティを完全にオーバーして、駄々っ子のように頭をかきむしる。
背中の剣がかちゃかちゃと、まるでおもちゃのように音を立て、う〜、と少女は唸り、

「好きにするわよ! えい!」

ネックレスを荒く首から外すと、それをマカーブルに突きつける。
闇にまぎれる、にごった宝石が、わずかにうずき、輝く。
不の感情。
少年の場合は、その狂気、を、吸い取っている。
感情の抜け落ちた、空っぽな状態。
自らの、”悪意”のかけたその心情を、少年はどう受け止めるだろうか。
少女は、そんなこと知るきも無く、知る由も無い。
そして、どこか妖艶で、幻想的で、残酷な光を失い、さらに身を漆黒に近づけた宝石を、愛おしい目で見る。

「うふふ、よくわからないけど、歓迎されるわ」

ぎゅっと、人形を強く抱きしめ、なんの悪意の無い、目的の達成に一歩近づいたことにただただ嬉々とした笑みを浮かべた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 03:44:16.14 ID:uX0juD0Zo<> >>72
「……っ!」

何かが心臓から吸い出されるような感覚。
衝撃が走り、心臓と脳髄から何かが引き剥がされ、一瞬虚脱しかける。
しかし――踏みとどまる。
心に蔓延り、埋め尽くす狂気と凶気を全開に保ち、耐える。

「………終わり?」

何かが欠けた。
全てを吸い取られはしないにせよ、何かを失った感覚がある。
自分が自分でない。
有り体に言えば、そうだ。
黒く滾るマグマの海が、一時的に凪いでいるように思えた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 03:53:35.30 ID:AVR5nV9y0<> >>73
「えぇ、終わりよ。 でもすごい、こんな狂気初めて。 あんた狂ってるわ、褒めてるのよ?」

少年の苦痛も知らず、少女は満面の笑顔を浮かべたまま。
何にせよ、これで彼女のこの場での目的は達成したのだ。

「しかも、対外のヤツは狂ったように暴れるんだけど、あんたはそれも無いみたい」
「・・・・ヒヤヒヤしたぜ」

少年との戦闘を望まない人形にとっては、それが一番の不安分子である。
どこか放心状態にも思えるその姿に、依然安堵できてはいないが。

「あ、別に今あんたの中にある狂気を吸い取っただけだから、しばらくすればまた沸いてくるわ。
アレくらい溜め込んでると、万全にはちょっと時間がかかるかもしれないけど」

上機嫌に、少女は説明を付け加える。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 04:05:36.18 ID:uX0juD0Zo<> >>74
「……そう、かい」

いまいち釈然とせず、何がどう変わったのかも分からない。
心中に狂気が渦巻いていた事すら、今はまだ思い出せない。

「…………魂が剥がされるかと思ったけど」

心臓と脳髄、次いで全身へまだ余韻が残る。
身体を動かす分に問題はないが、違和感は拭えない。

「…で、そんなのを吸い集めてどうするんだい?」

いつもの不敵な笑みを浮かべる事もできず、ただ訊ねる。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 04:17:50.74 ID:AVR5nV9y0<> >>75
「本当? よかったじゃないまだくっ付いてて」

原因が自分にあるのにかかわらず完全に他人事だった。
魔獣である、人の苦痛を共感することを、教えられていない。

「それはね・・・うふふ、内緒」
「可愛くねハブッ・・・!!」
「あんたになら教えて上げても良いかなとか思ったけど、やっぱりやめる」
「ちょっボフッやめ・・・フゴッ」

ドスドスッと、何度も人形の顔をへこませながら、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
少女は、しかし少年に目的への協力?といい、殺人においての共感、といい好印象を持っている。
深く問えば答えるだろうが。

「ね、あんたここがどこか分かる? よかったら道教えて」
「図々しいやヘブシッ・・・!」
「私、帰らなきゃいけないの」

少年の動揺を気遣いもせず、矢継ぎ早に喋る喋る。
自分のおかれた状況を、まだ理解していないようだ。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 04:23:46.14 ID:uX0juD0Zo<> >>76
「……まぁ、いいよ。今度にでも……無理やりにでも、聞く」

何とか通常の思考を巡らせる事ができる。
狂気が一時的にとはいえ抜けた事が、饒舌にさせるのか。
しゃべる人形へ殴打を加える彼女を見ても、特に面白げでもない。

「ここは……キミの世界じゃない。そして、僕の世界でもないさ」

どこか、という問いへの答え。
端的に言ってここは、漂流物の集まる島、とでも言えるだろうか。

「さっき言っただろ?……ここは、キミの知っている世界じゃないと」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/26(日) 04:34:35.79 ID:AVR5nV9y0<> >>77
「私の知ってる・・・世界じゃない?」

少年の、嘘をついているとは思えない、その言葉。
少女は、眉を潜め、人形を殴打する手をとめる。

「じゃぁどこよ? ってあんたも知らないのよね。 困ったわ。家に帰らないと保管が」
「いたた・・・んなこといったって仕方ないだろ。 とりあえずは、だ」

若干へこんだままの鼻をさすりながら、人形は息を漏らす。

「マカーブルさんよ。 あんた、なんか知ってるんだろ? よかったら、何でもいい、教えてくれねぇか?」
「うん、教えてよ。 ちょっと歩きながらでも。 森もでなくちゃいけないし」

少女は、人形の鼻を引っ張って元に戻すと、あても無いのになぜか先導して歩き出す。
少年が了承したならば、そのまま。
拒否したならば、彼に向けて、舌を出すだろう。
いずれにせよ、少女は、混沌の世界で最初に出会った、やさしい狂気の死神に、深い印象を残すことになった。

//すいません、落ちます。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>saga<>2011/06/26(日) 04:40:43.75 ID:uX0juD0Zo<> >>78
「………森を出るまでなら」

言って、少女と人形について歩き出す。
普段の彼なら絶対にしないであろう。
いつもなら、謎めいた言葉を残し、一人だけで消えたはずだ。
これもまた、狂気を一時的に封じられたせいか。

ともかく……今は、少女について、森を出るまで言葉を交わすとした。

//了解、お疲れ様です! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 18:34:43.60 ID:aEzmfjmAo<>
新世界───森林

視界一杯に広がる見慣れない樹木。慣れない気候。見知らぬ土地。
正しく“漂流”したと言うべきか、弓を構えつつ、獣道を歩く少女が一人────


赤を基調とした民族的な衣装。その隙間から覗く褐色の肌と、刺青の模様。
後ろへ提げた金色の髪が、足を踏み出す度にひょこりと揺れる。
しかし、何よりも特徴的であろうは、長く、尖った耳──少なくとも、人間とはまた違った種族なのだろう。


「はぁ……あとどれだけ歩けば……なんだかねぇ……」

嘆息気味の表情を湛え、奮わない足取りで一歩、また一歩。
手に握られた弓には矢がつがえられていて、その手は緊張のせいか震えていた。
もし他の誰かが偶然少女と出くわしたとすれば──彼女の顔よりも先に、その矢じりが飛び込んでくるはずだ。

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 18:39:53.05 ID:aEzmfjmAo<> >>80
/おおっと、今更ですが描写不足……ごめんなさ
/ラスト一行に補足ですが、矢は放ちません、視界に入ってくるという意味合いです <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 18:51:21.80 ID:PtiN1JQPo<> >>80
森の中、酷く目立つ紅のコートが風に舞い
少女から見れば左側、木々の間が揺れる

「…やれやれだな、まったくさ」

オーバーアクション気味に肩をすくめ大きな嘆息
獣道にはまるで散歩でもするかのような雰囲気で、少年は姿を表した <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 19:00:10.74 ID:aEzmfjmAo<> >>82

「誰ッ───!?」「……いや、本当に、誰?何物なの?」

反射的に狙いを気配の方向へと、尖った声を発しながら、身体を捩った。
その先に居る、件の少年の見慣れない風体を見て、もう一度。

そも、己以外の人──人間が、“エルフの領域”に居るのか。
表情にはそれが理解に苦しむ、といった風のものとして、露になっていた。


「……聞くけどさ、どうして人間が、こんな所に居るの?」

未だにここが新世界と気付いていないらしく、次から次へと、詰問の嵐。
矢を抓む指に力を込め、引き絞る。きりきりと、弦が悲痛な声を上げた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 19:10:18.24 ID:PtiN1JQPo<> >>83
「…難しい質問だなぁ
 自分が何者なのか、ねぇ…」

少女とは対照的に柔らかな笑みを浮かべる少年
彼女の風貌にも、彼に向く矢にも驚いた様子はない

「こんな所、って言ったって
 散歩ぐらい…いや、散歩じゃ来ないな
 理由があれば来ることぐらい有るさ、ってそんな話じゃないよな?」

ゆっくりと両手をバンザイのように上げてみせた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 19:19:12.96 ID:aEzmfjmAo<> >>84

「そ、そりゃそうだけど──職業とか、ほら、色々」

少年の顔を顎で指し示し、いかにも怪しいしと付け足す。
視線に含まれた懐疑の念、それを隠す事無く、言えと言わんばかりに向けた。


「当たり前、でしょう?どうして、“エルフの領域”に人間が───」
「──有り得ない、理由を教えてくれないなら───ッ!」

少年にとって、少女の言葉は違和感を覚えるものかもしれない。少なくとも、この森林の周辺にエルフは居なかった。
それでも語気を一層強くさせて、今にも放たれんとされる、矢。
彼女に起こっている事態に、少年は気付けるだろうか。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 19:32:48.06 ID:PtiN1JQPo<> >>85
「…職業?
 ああ、祓魔師…、いや今は何でもねぇよ」

納得が言ったといった様子でパン、と手を合わせる少年

「なるほどな
 理由なら知ってる、アンタも俺と一緒だよ
 だから、ソレ下ろしてくれね?」

少女の構える弓と矢を指差す、と小さく苦笑した <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 19:40:10.17 ID:aEzmfjmAo<> >>86

「何でもない……浮浪者、という奴ですか、ふむふむ」
「私から言う事は、何もありませんけど……両親には、迷惑かけちゃダメですよ?」

少年の言葉に、呆れたと息を吐き、首を左右に。
何やらネガティブな方向に誤解したらしく、少年へ白い視線を向けた。


「理由を、知っている、して……どういう訳でしょう?」
「それに、エルフでもないのに私と同じ“理由”、って……違和感、あるんですけど」

依然疑いの目を向けながらも、少女は矢の狙いを下へと逸らす。少年の足元だ。
動きがあればいつでも射ぬけるように配慮しつつ、少年の言葉の続きを待った。


/すいません、次遅れるかもです
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 19:49:25.61 ID:PtiN1JQPo<> >>87
「『聖堂教会』『悪魔』『魔術結社』…あとは『第二次魔術大戦』あたり、かな
 他にも細かい奴ならいくらでもあるけど、知ってる単語あるか?」

顎に手を当て、うーと低く唸る
彼女には言葉から意味は予想はできても本来の意味はわからないだろう
何故なら――

「わからないよな、だってアンタの『世界』にはそれはないんだから
 簡単に言っちまえば違うんだよ、アンタの『世界』とは…違う」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage saga<>2011/06/26(日) 20:00:26.26 ID:aEzmfjmAo<> >>88

「……わかりません、『魔術』くらい?」「それと、『悪魔』」

少年の動作を真似るように、顎に手をやり、首を捻って一考。
部分部分に思い当たる節こそあるものの、大半は聞いた事も無い、変哲なものばかり。


「冗談は顔だけにして、ください……いえ、侮辱している訳ではないけど」
「『世界』が違う?馬鹿馬鹿しい、ここが、私の知らない世界な訳───」

言ってから、周囲を見回す。視界に在るのは、相も変わらず見慣れないものばかり。


「──訳無い、じゃないですかっ……!」

一瞬硬直した後に首を戻し、今現在の状況を否定するように言い放った。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 20:07:31.06 ID:PtiN1JQPo<> >>89
「やや、俺にしちゃ名推理だと思ったんだけど
 俺だって、最初は理解できなかったからなぁ」

指先で頬を掻き、なんだか遠い目で空を見上げた

「そういう場所なんだってさ、此処は
 何でもありだ、『人』だって『悪魔』だって
 えーっと、エルフ?だっけ?ソイツらだって自由に生きて良い
 俺は良い世界だと思ってる、素直に信じてみようと思える程さ」

少しだけ、寂しそうに笑いそう呟いた
まっすぐ、少女の目を見て <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<><>2011/06/26(日) 20:19:31.22 ID:aEzmfjmAo<> >>90

「ちょっと、待って……ちょっと待ってください、ね」

走る衝撃、今居る場所が違う世界だ、と言われて、誰が信じるだろう。
思わず弓の構えを解き、右の掌を突き出し、少年の言葉を制する。


「そういう、場所──じゃあ、つまりここは、私の居た“世界”とやらと違う場所で」
「あなたもまた、こことは違う……私の居た世界とも違う所から、やってきたとでも?」

少年のそれから要点だけを抜き出して、何度目かの問い。
口調に訛りこそ見えるものの理解力は十分らしく、その内容は正しく核心を突いていた。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 20:29:35.73 ID:PtiN1JQPo<> >>91
「ああ、俺は『人類の敵』…『悪魔』を救った罪
 その他諸々で処刑…されたと思ったら、此処に居た」

カラカラ、と軽い笑い声を上げながら、バツの悪そうに髪を掻く

「ああ、そういや名乗ってなかったな
 俺はヴァーヴェル聖堂所属…ではなかったな
 今の所『何でもない』ただの明弥 錬士
 で、アンタは?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 20:37:41.36 ID:aEzmfjmAo<> >>92

「ん、……サッパリわかりません、けど悪い人なんですね」
「そこらはいずれ、機会があれば聞かせて頂きます」「機会があれば、ですけど」

また、ネガティブな方向に曲解されたらしく、一瞬、眉根を顰めてみせた。
それでも彼の態度や様子から、今は悪い人間ではない──と判断したのか、すぐにそれを、笑みで隠す。


「レンシ、さん。とりあえずはそう呼ばせていただき……ます」
「あ、私は……セレナ ウィングロード。呼び名はご自由にどうぞ?」

「ダークエルフ、と呼ばれる種族で人間……ではありませんが、さしたる違いは無いのでご安心を」

名乗りを返しつつ、少女は背中へ弓を背負う。緊張は完全に打ち解けたようで。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 20:45:31.72 ID:PtiN1JQPo<> >>93
「ああ、極悪人らしい
 ま、機会あれば話すかな」

うんうん、と何度か頷き、人差し指をピンッと立てる

「ああ、レンシ、じゃなくてレンジ
 やっぱ発音しにくいのかね、別の世界の名前は…
 宜しくな、セレナ」

ダークエルフ、と言うのが彼には理解できなかったが、気にはしていないようで
軽く手を差し出す、握手を求めているようだ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 20:55:13.44 ID:aEzmfjmAo<> >>94

「ダークエルフの事も……機会があれば、ですかね」
「とりあえずは宜しくお願いします、レンジさん、でしたっけ?」

少年の顔を見上げ、その手を握り返す。


「そういえば、レンジさん、人間には森での……寝泊まりは辛いのでは」
「もしそうなら、この近くに何か……人の住める場所が、あったり?」

周囲の地形を見るに、少年はこの森を通過しているのだろう、と踏んで。
ならば、この辺りに集落、あわ良くば街がある──かもしれないと。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 21:07:00.56 ID:PtiN1JQPo<> >>95
「へぇ、楽しみにしておく」

セレナの手を握り、来た道を見つめる

「ああ、街は近くはねぇけど
 そうだな…日が暮れるまでには帰れるぜ
 森で寝泊りする必要はなさそうだな」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(大阪府)<>sage<>2011/06/26(日) 21:15:39.73 ID:aEzmfjmAo<> >>96

「では、レンジさん……あなたが来た道を辿れば、着きますかね?」
「何しろここ数カ月、ずっと森の中でしたから……」

乱れた髪、汚れた服、最後に腹と、順番に指先で指し示す。
それが意味する所は言うまでもなく、少女もまた、少年の行路を見遣った。

問いが是であれば少女は一歩、先へ足を踏み出すであろうし。
否であれば、少女は立ち止まったまま、その答えを待つであろう。


どちらにせよ、少女が寝床と食事を求めているのは、確かなようで。 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 21:24:44.04 ID:PtiN1JQPo<> >>97
「あー…そうだな…じゃ、街行くか?」

くるり、と反転しきた道を戻ろうと歩き出す
じゃ、行くか?とでも言いた気に、セレナを一瞥する

「ああ、腹減ってんのか
 ほら、口に合わねぇかも知れねぇけど」

ほら、と投げ渡されたのは紙の箱に入れられたショートブレッド
箱の口が空いており、中身が顔を覗かせている <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage saga<>2011/06/26(日) 21:41:56.95 ID:Eg+OfiQgo<> >>98

「良いんですか?真逆みたいです、けど……ありがとう」

幾分か申し訳なさそうな顔を見せつつも好意は享受するらしく、謝辞と共に頭を下げる。
上げると視界に入ってきたのが何やら見慣れぬ食べ物、見たところ、パンかクッキーのような印象。

少年の後に続きつつ、一口、口腔へと運び咀嚼。して、感想の方は―――


「―――――パッ〜サパサ、ですね」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage saga<>2011/06/26(日) 21:42:56.49 ID:Eg+OfiQgo<> /っと、 切って頂いても、キンクリして続けて頂いても構いませんです
/あと、遅れて申し訳ない <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/26(日) 21:55:29.94 ID:PtiN1JQPo<> >>99
「ああ、良いよ
 用事って言ったって大したことじゃないからさ」

ひらひら手を振りながら、少女に先行するように歩く
ぶっきらぼうに見えるが照れているらしい

「結構いけると思うんだけどなぁ…」

照れ隠しかショートブレッドを頬張りながら、小さく呟いた

//一旦落ちます
 お疲れ様です <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(長屋)<>sage saga<>2011/06/26(日) 22:01:05.86 ID:Eg+OfiQgo<> >>101
/了解です、街の入り口で別れた―――という事で
/お疲れ様でしたーっ、久々の絡み故、薄味で申し訳ない…… <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/29(水) 20:08:12.42 ID:HEKKxM6r0<> 若干赤みの帯びた空は、ちぎれた雲がちらほらと見えるほど。
吹き抜ける風は、黒と紫のドレスをなびかせる。

「ふぅん、ちんけな街ね。 それに、血の匂いもしない」
「それもそうだが、ここじゃ普通なんじゃねぇのか?」

隣を歩く、ほつれた茶色の熊の人形。
片耳が無く、口はチャックで閉じられている。
ドレスの少女と相まって、異様な雰囲気は、いっそう強調される。

「でも、不の感情は溢れてるわ」
「だろうな、俺らみたいなのばっかりだったら、そりゃおかしくなる奴もいるさ」
「あの死神みたいに?」
「あいつはもとからじゃないのか?」

漂流したばかりで、右も左もわからない少女は、街中をただただうろつく。
多くの不の感情の所有者を探しながら。







<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/29(水) 20:41:56.49 ID:9NCY+R0fo<> >>103
「……む?」

不思議そうに、歩く熊の人形を眺める少年
興味津々といった様子で、視線を向ければ
彼の着る紅いコートが風に舞った

「へぇ、この世界じゃ生きた人形もなんてのも居るのか?」

ボソリ、と呟いたつもりだろうが
声が大きかったのか、周りが静かすぎたのか嫌に声が響いた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/29(水) 20:54:40.84 ID:HEKKxM6r0<> >>104
「あ?」

人形は声に気づいて、くるりと身を反転させる。
ややこしい訳があってこの姿だが元は人間、若干機嫌をそこねた。

「あんた人形じゃない」
「誰のせいでこうなったと思ってるんだ・・・」
「どうでもいいわよそんなこと。 それにせっかくだし」

少女は、人形を抱え上げると、にやり、と口の端を吊り上げて、少年の元へ脚を進めていく。
人形は、少女の腕の中で、腕を組んで鼻を鳴らした。

「あんた、悪いことしたことある?」

少女は、少年の目の前までいくと、初対面の相手にふさわしくない口調で、そう問いた。
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/29(水) 21:00:18.03 ID:9NCY+R0fo<> >>105
「ああ、あるよ
 そのせいで処刑されたことすら有る」

あっけらかんと、そんな調子で答える
まるで今日の天気を聞かれ、答えるかのように

「それに今も君たちの気分を損ねたらしいしね
 あー…ごめんな」

ぺこん、と頭を下げてみせた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/29(水) 21:12:01.62 ID:HEKKxM6r0<> >>106
「へぇ、処刑ね。 十分じゃない」

満足そうに小さく頷く。
先日の出来事と良い、随分運が良い。
この調子なら、帰ったときには満タンになるほど溜まっているのではないか。
少女は都合よく解釈する。

「別に謝らなくてもいいわよ」
「よくねーよ。 俺はな、サーヴァントっていう名前があるんだ。 人形じゃねぇ」
「で、何したのよ? 処刑されそうになるなんて」

腕の中でぼやく人形を無視して、気ままに興味本位で尋ねる。
過ごしてきた環境も環境、相手を気遣う気はまったくないようで。



<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/29(水) 21:18:33.62 ID:9NCY+R0fo<> >>107
「ああ、ゴメンなサーヴァント
 俺は明弥 錬士、錬士で良い」

くまの人形の頭をポンポンと撫でる

「ん、まあ、俺の世界じゃ『人類の敵』が居た
 で、そいつを助けたり、その他諸々
 面白いような話でもねぇけどさ」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/29(水) 21:30:25.38 ID:HEKKxM6r0<> >>108
「ちっ」

撫でられて、舌打ちして顔を逸らす人形。
どこまでも可愛く無いゲテモノやろうである。

「『人類の敵』? それなら私もなるんじゃない? 何人も殺ってきてるし」
「組織名かなんかだろ」

腕を振り払うことは無く、頭を撫でられながら人形はぶっきらぼうに意見を述べる。
ふぅん、と少女は流すように相槌を打って、

「でも、その割にはあんまり感じないわね、不の感情」

少年の言語、雰囲気からは、これといって悪意を感じない。
つまらなそうに少女は呟いた。





<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/29(水) 21:36:01.91 ID:9NCY+R0fo<> >>109
「曲がりなりにも昔は教会に所属してたぐらいだぜ?
 いや、ま、今はそんなの関係ないけどな」

顔を逸らされようとお構いなしに、グリグリと頭を撫でる

「負の感情、か
 持ち合わせちゃいない、とは言わねぇけど持て余しちゃいないよ
 迷惑かけたお詫びに、出来ることがありゃ手伝いたいけどな」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/06/29(水) 21:46:21.73 ID:HEKKxM6r0<> >>110
「教会。 ふぅん、私にはあんなとこで長い間祈ってるなんて無理ね」
「一回行ってみりゃ、お前もちょっとは落ち着くんじゃねぇのか?」
「うっさいわね!」

腕を振り上げるが、人形が頭を撫でられているため、上からどつくことができない。
それを計算していた人形が不適な笑みを浮かべたところで、腹部に一撃。
うめき声を上げて、人形はがくりと首を垂れた。

「ふぅん、ないんだ。 つまんない」

事実、やはりどれだけ探っても不の感情は感じない。
これで何故処刑されそうになるのか、と、疑問を浮かべたが、なにしろ現在は身寄りの無い身。
ひとまず寝床を探す必要があることに、少女は気がついた。

「そうだ、あんた。 前の世界って言ってたわね。 ていうことはもしかして飛ばされてきたの?
じゃ、この世界でどうやって過ごしてるか教えてくれない?」

手伝いたい、という言葉に甘えて。
まぁ言わなくても少女のことだ、質問したであろうが。





<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/06/30(木) 04:32:16.32 ID:WVh8lcLRo<> >>111
「俺はあんまり、祈りとか好きじゃなかったけどな
 覚えるの、大変なんだぜ…あれ」

ヘラヘラ、と軽い笑みを浮かべ
やれやれ、と肩を竦めてみせる

「飛ばされてきてから?
 俺も最近来たばかりなんだけど…
 そうだな、此処は色んな人間かいるから、色んな問題が発生する
 色んな問題があるって事は、色んな仕事があるって事だろ?」

指をピンっと伸ばし、胸を張りながら自慢気に語る

「そんな仕事をしながらアッチへふらふらコッチへふらふら
 まあ、根無し草って奴だよ、あんまり『漂流者』ってのは好かれないみたいだから」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 18:56:41.33 ID:n0AubeKDo<> 夜の大通り
立ち並ぶ屋台と綺羅びやかな装飾から活気が溢れる

「……さて、これからどうするかな」

派手な紅いコートが目立つ少年が、その中の一つの屋台に座り込んでいた
和洋折衷、どころか世界が混在するこの屋台街の中で少年が選んだのはラーメン
ひどく気に入ったらしく、他の屋台に目をやりながらこの後の行動を低く唸りながら悩んでいた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 19:08:45.13 ID:1i0K4JEA0<> >>113

『うお、っラーメンじゃねか』

少年の隣に座った中途半端に長い黒髪の男
身なりはボロボロなうえ、ひどい体臭
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 19:35:26.07 ID:n0AubeKDo<> >>114
「…うおう、何々?」

突然、現れた男に焦り頬杖を付いていた肘がテーブルから落ち、大勢を崩す

「つうか、飯食に来る格好じゃないぜ…おっさん」

コートの襟で顔を半分、口と鼻を追いながら顔を背ける
やれやれ、とまた小さく呟くのだった

//反応遅れてすみません <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 19:50:39.29 ID:1i0K4JEA0<> >>115

『おっさんじゃねえ
 俺は坊主だ、二つの意味で』

みそひとつ、と屋台のおじさんに頼みながら
横目で相手の反応を見て困ったように笑い

『このよくわからない世界にきて
 二週間くらい風呂入ってないんだ』

がははと笑って
"まあ我慢してくれ"と相手の背中をばんばん叩き <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 19:55:43.48 ID:n0AubeKDo<> >>116
「ラーメン食う金があるんだったら宿ぐらいとりやがれってんだよ…」

はぁ、と深い溜息の後オーバーリアクション気味に肩を竦めた

「二週間、ねぇ
 やっぱ、此処はそういう奴が多いんだな
 俺だけじゃねぇってか」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 20:04:43.27 ID:1i0K4JEA0<> >>117

『元々宿を取るつもりだったんだけどな
 本当に久々にラーメンを見てしまったから』

自分の前におかれる湯気たつみそラーメン
ずるずると啜るように麺を口内へ
その間も相手の独り言に耳を傾けて

『うん? どういうことだ?
 そういうやつがおおいって』

麺を飲み込んでから尋ねてみる
呆れるほど察しが悪いみたいだ <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 20:11:35.58 ID:n0AubeKDo<> >>118
「あー…ここはアンタの居た世界じゃない、って言ったら信じるか?」

ラーメンを啜る男を尻目に、テーブルに深く頬杖を付き直す

「二週間気づかなかったのは異常だろ?
 俺の場合は…特殊だったけどな
 ああ、そういや最近森の中で何日も生活してた奴も居た…」

そしてまた、大きな溜息 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 20:23:29.94 ID:1i0K4JEA0<> >>119

『まあ、さすがに気づいてはいたけど……
 そういう目に合ってるのは俺だけだと思ってたよ……』

言ってることは理解できたようで――
というより、元々気づいてはいたが
言った通り、そういう境遇なのは自分だけと思ってたようだ

『で、お前もその一人なわけか
 どういう境遇であれ、同じ地球人だ、仲良くやろーぜ』

そして大きな勘違い
彼の知る世界はこの世界と地球がある世界
それ以外知らないし、あるとも思ってない
なので、相手を同じ地球人だと― <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 20:36:09.12 ID:n0AubeKDo<> >>120
「…同じ、『地球人』ねぇ」

彼の世界でも、母星は地球だ
だが、なんとなく、違和感
勘、と言い切てもいいよな、とてつもなく微妙なズレを感じる

「そうとは限らねェんじゃねぇの?
 前に出会ったのは俺とは別の世界の住人だったしさ
 1つだと思ってたら2つでした、って話があったんだ
 似た世界の3つ、4つ世界があってもおかしくないぜ?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 20:44:55.38 ID:1i0K4JEA0<> >>121

『そんなバカなー』

けらけらと笑って麺を口んなかに掻き込み
スープで口んなかの麺を飲み干して

『まあ、確かに違うかも知れないけど』
と言うのも、この世界に飛ばされるなんてこと起きた後じゃ
どんなことも否定しきれなくなる

『境遇はほとんど同じだ、仲良くしよーぜ』
と、何日も洗ってない脂の乗った顔で
爽やかとも言い切れない笑顔を見せた <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 20:50:02.10 ID:n0AubeKDo<> >>122
「ま、宜しく頼むよ
 俺は明弥 錬士
 今は根無し草だな」

軽く黒い皮の手袋をつけた手を伸ばす、握手を求めるように

「で、おっさんは?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 20:57:38.83 ID:1i0K4JEA0<> >>123

まず器の汁をすべて飲み干して
金をテーブルの上におき
相手へと向き直って

『俺は白樺 聖(しらかば ひじり)
 まだ20歳の修行僧だ』

20歳ってとこを強調した
自分はお兄さんだぞ、って意味で
その後に握手に応じて <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/02(土) 21:04:41.41 ID:n0AubeKDo<> >>124
「…見えねぇ
 身なりのせいか?」

軽く笑いながら、男の手を握る

「さて、と
 飯食ったなら、宿にでも行けよ
 マジでさ」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/02(土) 21:08:48.57 ID:1i0K4JEA0<> >>125

『俺もそう思っていたとこさ』

今手持ちのお金はぎりぎり宿泊まれる程度
で、"じゃ、またな"と、その店を後にした

/お疲れさまでした! <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 19:22:40.22 ID:Q6a1uv8D0<>
『分かっちゃいたが誰も乞食に応じやがらない!
 あいつら本当まじでもうちょっと思いやりを持てよ!……ったく、』

中途半端に伸びた黒髪の男
ぼろぼろの衣服を茶色い布を羽織るようにして隠し
そしてその布を風にたなびかせながら、ご立腹の様子で歩いている <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 19:33:33.76 ID:arKo3yERo<> >>127
近くを歩いていた少年が聞き覚えのある声に歩みを止め、振り返る

「……やれやれ、だな」

どうしたものか、と男を見つめ嘆息

「乞食って、…なんというか」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 19:59:29.15 ID:Q6a1uv8D0<>
>>128

『んっ!?』

聞こえた、聞いたことある台詞
――やれやれ、と言う言葉に反応して
ばっ、とそちらのほうを向き、だだー、と近寄る

/遅れましたすいません <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 20:10:53.03 ID:arKo3yERo<> >>129
「…うおう」

近寄ってきた坊さんに一歩、後ずさり
嘆息しつつ、目を伏せる

「よう、坊さん元気してたかよ」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 20:18:30.78 ID:Q6a1uv8D0<> >>130

『腹が減って死にそうだ!
 何か恵んでくれよ!』

元気ではない、という答え
そうして宿屋からパクった器を差し出して
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 20:24:43.04 ID:arKo3yERo<> >>131
「…オーキードーキー
 ほら、口に合うかは保証しねぇぜ?」

ぽい、と放り投げられたのは紙の箱に収められたショートブレッド

「アンタ、コッチに来る前は何してたんだ?
 前から乞食ってわけでもねぇだろ?」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 20:31:37.09 ID:Q6a1uv8D0<> >>132

『食えるなら何でもいいや』

かたじけない、とそれをものの数秒で食べ終えてしまい

『今も昔も坊さんだったけどな
 師匠は親だったし、食い物は全部親に任せてた』

生き返った、とでも言うような笑顔

<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 20:40:09.17 ID:arKo3yERo<> >>133
「なるほどな、この世界じゃ信じる神も星の数
 僧侶も、司祭も、生きにくい世界だな」

遠い目で空を見上げ、小さく呟く

「はたまた、神様なんていないのか」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 20:53:32.81 ID:Q6a1uv8D0<>
『空気みたいなもんだよ
 神も仏も、見えないだけでそこにいる

 信じるものは救われるってね』

彼の考え方
いるかいないかではなく
信じるか、信じないかのちがい

そして彼にとって仏や神は
いるかいないかではなく
いて当然という認識 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 21:03:26.46 ID:arKo3yERo<> >>135
「…どうにもな
 俺ァどうにも信じられないね」

コートの中から取り出したショートブレッドに齧り付く
一本を咀嚼しきると、ふぅ、と小さく息を吐き出した

「神がいるんだったら悪だって何だって
 漏れ無く救ってみろってんだ」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 21:15:54.67 ID:Q6a1uv8D0<>

『神が助けるのは神に救いを望むものだけさ
 逆に言えば悪人だって望めば救われるんだぜ?

 あくにんしょうきせつ、だっけか。そこは俺の宗派と外れちゃうからなんとも言えないけどな』

と、相手が出したショートブレッド見て

『ちょーだい』

また器を差し出して
<> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 21:27:13.16 ID:arKo3yERo<> 「それが胡散臭いと思うのさ
 俺は神様だって悪魔だって救いたかった」

ほら、ともう1箱投げ渡す

「相手が望んでなかったとしても、俺の我侭でもさ」 <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(チベット自治区)<><>2011/07/04(月) 21:34:20.01 ID:Q6a1uv8D0<>
『そっかなぁ
 まあ考え方は人それぞれだもんな』

受け取ったそれを嬉しそうにたべて <> 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
(岐阜県)<>sage<>2011/07/04(月) 21:36:56.75 ID:arKo3yERo<> >>139
「あー…悪ィ
 柄にもないこと言っちゃったかな?」

ヘラヘラ、と軽薄そうに笑うとくるりと反転

「さて、と
 俺はそろそろ行くかな…
 じゃ、またね坊さん」

//落ちます <>