◆ynZMod9YMk<><>2013/11/15(金) 23:11:52.87 ID:9Ww7fnijo<>ルッカかわいいよルッカ<>クロノトリガー クロルカバージョン
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/15(金) 23:17:31.98 ID:a/a0Spdc0<> カッ…カッ…カッ…
一切の光がなかった。だが、なぜか目の前に巨大な振り子時計があることだけは視認できた。振り子だけが一定のリズムを刻み続けている。
クロノはなぜ自分がこんな所にいるのか全く分からなかった。
やがて一定のリズムを刻んでいた振り子のスピードが遅くなってきたのにクロノは気付いた。
やがて、振り子はその動きを止めた。 <>
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします<>sage<>2013/11/15(金) 23:21:59.14 ID:d1vbYeZDo<> 板違い <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/15(金) 23:25:06.29 ID:a/a0Spdc0<> 第1章:旅立ち!夢見る千年祭
港町トルースに高らかにリーネの鐘が鳴り響く。
「クロノ…… クロノ!
いつまで寝てるの? いいかげん起きなさい! ほら、リーネの鐘があんなに気持ちよさそうに歌ってる。」
ジナの声が飛んでくる。
「あんたのことだからどうせ夕べ興奮
して寝れなかったんでしょう。」
ジナは小さく苦笑する。クロノはようやく薄目を開けた。
「まぁ建国千年のお祭りだから無理もないけど…。
あんまり調子に乗ってハシャぎ過ぎるんじゃないわよ! さ、いいかげん起きなさい!」
そうだ、今日は待ちに待ったガルディア王国の千年祭。起きて支度をしなければ…
クロノはしばらくモゾモゾと動いていたが、押し寄せる睡魔に勝つことができず、再び深い眠りにつこうとしていた。
そんな息子の姿を見て、ジナは小さくため息を漏らす。
「そういえば、ルッカがカッコいい男の子にナンパされてたわよ。」 <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/15(金) 23:34:35.32 ID:a/a0Spdc0<> 部屋の中に沈黙が流れる。
ジナが最後に発した言葉から十秒ほど経った頃だろうか。クロノはガバッと飛び起きた。
「ウソだろ!?男って誰!?それでルッカはどうしたの!?」
寝起きとは思えない動きでクロノはジナに詰め寄る。
だが、ニヤニヤと目も口元も笑っている母親の顔を見てクロノは全てを理解した。
「嘘かよ…」
クロノは心底ホッとした。
「でも近い将来現実になるかもね。あの子、あんな格好してるからよく見ないと分からないけど
この町でも5本の指に入るくらい美人よ。まぁ、あんたが一番分かってるでしょうけど。
さ、朝ごはんの支度はできてるから早く食べちゃいなさい。」
ジナは笑いながら部屋を出ていった。
クロノはベッドに腰を下ろしふぅっと息を吐いた。おそらく顔は真っ赤になっていることだろう。
薄々感じてはいたが、母親にまでこんなにもはっきりと気持ちを見抜かれているとは…
クロノは思わず天を仰いだ。自分が隠し事をするのが苦手なタイプだというのは分かっている。
しかし、実の母親にあんな言われかたをされるとさすがに気恥ずかしいものがあった。
(…とりあえず飯だ!)
クロノは階段をかけ降りた。
<>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/15(金) 23:41:29.12 ID:a/a0Spdc0<> 朝ごはんを食べながらクロノは昨晩見た夢についてぼんやりと考えていた。
(なんで振り子時計の夢なんか見たんだろう…)
クロノの家には振り子時計は置いてない。そもそもここ最近振り子時計など見た記憶はなかった。
クロノは再び記憶を模索する。友達の家にも、ルッカの家にも振り子時計などなかったはず…
クロノが夢について考えていたのもそこまでだった。最愛の幼馴染みの家の中を考えているうちに、彼女自身の事について考えがシフトしていったからだ。
(ルッカ、今頃準備で忙しいんだろうなぁ) <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/15(金) 23:47:14.54 ID:a/a0Spdc0<> ルッカ・アシュティア。
クロノより2歳年上の19歳。
クロノにとって幼馴染みの親友であり、姉のような存在であり、そしてクロノが想いを寄せている人である。
大きな眼鏡がトレードマークで、機械をいじるのが大好きで、トルースのお騒がせ娘との異名を持つ彼女とは物心ついた時からの付き合いだ。
ただクロノ自身、いつの頃からか彼女の事を姉ではなく、異性として見るようになっていた。
しかしルッカ自身、クロノの事を弟のようにしか見ていない上に、色恋沙汰にとんと興味がないというのが、目下クロノの最大の悩みの種なのだ。
さらにここ何年かで、悩みはさらに増えつつあった。
ルッカがトルース町や隣町の若者に告白されるという事件(クロノは最早事件だと思っている)が一度ならず何回も起こったのだ。 <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 00:13:32.89 ID:iSAEoUQz0<> 中にはクロノ自身、逆立ちしても勝てないような容姿端麗な美男が彼女に想いを伝えたのだが、彼女の答えは一貫して決まっていた。
「ごめんなさい。そういう事に興味がないの。」
何人もの男を一刀両断してきた彼女だが、当の本人はというと
「こんな油臭い女のどこがいいのかしらねー?理解に苦しむわ」
と、自身の容姿が大きな眼鏡をかけていようと関係なく、男性を虜にできるレベルであることにすら気づいていないようなのである。
クロノが予想するに、ルッカの色恋沙汰に対するスタンスは当分変わることはないだろうと踏んでいた。
だが、人の心はいつ如何様に変わってもおかしくないものである。
ルッカ自身、
「“必ず”や“きっと”なんて断言できるものはこの世にない」
と常日頃から言っているくらいだ。
ジナの言う通りルッカの魅力は自分が一番よく分かってるつもりだ。
しかし、同じことを考えてるライバルは自分が思ってる以上に多いんじゃないだろうか。いや、きっと想像以上にいるはず。
いつからかそんな考えを抱くようになったクロノは、数ヵ月も前からある決心をしていたのだ。
千年祭の夜、ルッカに告白をしよう
と。
<>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 00:22:15.58 ID:iSAEoUQz0<> 自分がルッカにとって一番近しい位置にいることは紛れもない事実。
それでも勝算は数パーセントとクロノは踏んでいた。
だがしかし、このままではいつまで経っても関係は変わらないままだ。
自分は彼女の姉弟でいたいんじゃない。恋人になりたいのだ。
(フラレてもしょうがない。とりあえず俺の事を男として見てもらわないと話しにならない!)
ご飯を食べ終えたクロノはお茶を啜りながら自分に言い聞かせていた。
グズグズしてる暇はない。あれだけの器量持ちだ。誰に取られてもおかしくないんだ…
クロノにも勿論同年代の異性の友人は何人かいる。だが、息を飲むほどの美人には17年生きてきてルッカを含め二人しか会ったことがない。
クロノはボンヤリしながらいつの間にかルッカの事ではなく、違う事を考え始めていた。
自分が子供の頃の記憶を巡ってみる。おぼろげだがガルディアの森で、確かにクロノは可憐な女の子に目を奪われた事があるのだ。
(可愛かったよなぁ、あの子…
名前くらい聞いとけばよかったなぁ…)
物思いにふけって天井を見つめてるクロノの足に何かがすりよってきた。 <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 00:33:20.72 ID:iSAEoUQz0<> 我に返ったクロノはテーブルの下を覗く。
飼い猫のクロが気持ち良さそうに足に顔を擦り付けていた。
「クロ、おはよう。」
慣れた手つきでテーブルの下からクロを持ち上げて膝の上に乗せる。
クロは主人と目が合うとニャーと鳴きながらクロノの手に擦りよってきた。
「クロ、お前が教えてくれた場所で俺、今日頑張るよ。」
そうクロに話しかけた途端、クロは身を翻し、ピョンと飛んで床に華麗に着地した。そして今までくっついていたクロノには一瞥もくれず、颯爽と歩いていった。
(もうちょい空気読めよ!逃げることないだろ!)
クロノは歩き去る猫の後ろ姿を見送ったあと、よしと呟きながら立ち上がり、出掛ける準備を始めだした。
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◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 00:52:23.98 ID:iSAEoUQz0<> 歯を磨いて顔を洗い、髪をセットする(寝癖を直してドライヤーをかけただけだが)。
鏡の前に立ち、己の顔をジッと見つめる。
(告白するって覚悟決めたからって急にかっこよくなるわけでもないよなぁ…)
クロノは心の中で苦笑し、鏡を鏡台から離れた。
「じゃあ母さん、行ってくる。」
キッチンで洗い物をしてる母親に声をかける。
「あ、クロノ!ちょっと待ちなさい。」
ジナはタオルで手をふくと、タンスの中から財布を取りだし、200Gをクロノに手渡した。 <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 01:10:04.41 ID:iSAEoUQz0<> 「少ないけど、ね。お祭り楽しんでらっしゃい。」
思わぬ臨時収入にクロノの心は小躍りした。
「いいの!?やったー!サンキュー母さん。」
「ああ、それとルッカがあんたが起きる前にうちに寄ってったんだけど、昨日言った通り木刀を持ってきてって」
そうだ。前日ルッカの家に遊びに行って帰り際にそんなことを言われてたのをクロノは思い出した。
木刀を取りに部屋に戻ろうとしたクロノを見てジナはクスクスと笑いながら続ける。
「「昨日伝えたけどきっとあいつは忘れてるだろうから」って。その通りすぎて可笑しくなっちゃった。」
クロノは苦い顔をする他なかった。
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◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 01:12:42.92 ID:iSAEoUQz0<> 木刀を腰に差し、出ていこうとする息子に再びジナは声をかける。
「あんまり遅くならないようにね。行ってらっしゃい。あ、クロノ!」
「んー?まだなんかあるの?」
「結果はどうなるか分からないけど、頑張ってらっしゃい。」
クロノの顔は一気に紅潮した。
「…行ってきます。」
<>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 01:15:19.41 ID:iSAEoUQz0<> 家を出てからクロノは深い溜め息をつく。
鏡の前に長いこと立ってたから気づかれたのか。いや、もっと前から気付かれてた可能性もあるが、まさか今日告白しようとしていることまで見抜かれているとは…
おっとりした人だと思っていたが、中々どうして鋭い人だったらしい。いや、自分が単純すぎるのか…?
色々と考えていたが、やがて気を取り直したクロノは千年祭広場へと足を動かした。 <>
◆ynZMod9YMk<><>2013/11/16(土) 01:25:02.80 ID:iSAEoUQz0<> 「おー、クロノ。おはよう!」
「ルッカが昼からリーネ広場の奥でなんかスゲー事するってさ」
「おっ、クロノじゃんか。最近港に来ねーなぁ。お前と一戦交えたいって奴が今でもたまに来てるぞ。」
すれ違う人達、同じように千年祭会場に進む人達がクロノを見かけては声をかける。
クロノも挨拶を返しながら歩みは止めず、ズンズンと進んで行った。
ルッカには及ばないとしても、この辺ではクロノもちょっとした有名人である。
一番の要因は数ヵ月前に港で大立ち回りをしたせいなのだが…
(あの時はルッカを悲しませちまったからなぁ…もうあんな顔なんて二度と見たくない…)
そんなことがあってか、クロノは港に行かなくなってしまった。
尤も、その出来事があった日にクロノはルッカに告白する決意を固めたわけだが。
それはまた別のお話である。
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