■■「島村卯月、頑張りますっ」
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14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:58:43.24 ID:tTAn3URP0
 人気のないビルの中に入り、階段を上ります。そうして、ちひろさんはとある部屋の前で止まります。
「さあ、どうぞ」
 そうして、部屋の扉を開けます。それに吸い込まれるように、私は部屋の中へと入っていきました。
「……」
 案内された部屋の中には、誰かがいました。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:59:49.79 ID:tTAn3URP0
 絞りだした言葉を聞くと、フードの人は諦めたようでした。

「私は――」

 そうして、ゆっくりとフードをめくりあげます。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:01:09.36 ID:JSGxJH370
 きっと、目の前に居る人が『島村卯月』であるのは本当なんでしょう。
 だって、私が『島村卯月』と言うには、あまりにも不出来だから……
 今日まで『島村卯月』をやっていた私は、どうしても『島村卯月』になりきれなかった。
 それは、私が本物ではなかったから。
「ちひろさん、あとはお願いします」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:02:07.34 ID:JSGxJH370
「でも、今『島村卯月』と言う存在が失われると、社会的に大問題になる」
 シンデレラガール、島村卯月。一週間の休養でさえ、大騒ぎだったとプロデューサーさんは言っていました。
 もし仮に、突然引退となれば、その影響は計り知れないでしょう。
「だから、ステージに立てなくなったあの子に代わって、あなたが作られた」
 無言で、ただ頷きました。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:04:14.70 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 ちひろさんに連れられてビルを降ります。そうして連れられた地下室からは、長い地下道が伸びていました。
 最初はいかにも無理やり掘ったような道でした。何度も何度も転びそうにありながら、ちひろさんが持つライトだけ頼りに進みます。
 やがて綺麗に整った通路に出ます。薄暗いけど僅かに明かりもある。明らかな人工の通路です。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:05:42.96 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 草の匂いが香ってきました。お花屋さんでお花や植物の匂いはよく嗅いでいましたが、それとは全く異質な匂いがします。
 整った人工物ではなくて、枠に収まらない生命の力が宿った香り。
 光の先にあったのは、何処までも広がる草原。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:07:19.01 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 ちひろさんに連れてこられたのは、何もないお部屋でした。
「――それでは、自分が二番目の『島村卯月』であることは知っているんですね」
 隠すこともないので、自分が知っていることを伝えました。もちろん、もう一人の『島村卯月』さんのことは伏せています。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:08:19.59 ID:JSGxJH370
「『島村卯月』たちは、旧世界の中でも一番幸せだった時代に生まれた少女です」
 人々が満足し、その先を求めなかった世界。枯れ始めていた地球に目も向けず、ただ娯楽をむさぼっていた時代。
「その時代、アイドルと言う存在は神にも等しいものでした。世界中の人が憧れ、彼女たちに夢中になっていた」
 それは、間違いなく人々にとって幸せな時代だった。
「その熱狂を再現して、人々を幸せだった時代に酔わせる。それが、『シンデレラ・プロジェクト』」
以下略 AAS



22:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:09:10.64 ID:JSGxJH370
 その言葉に、嫌な予感がしました。
 世界を管理しようという人間が、ただ娯楽を提供するだけで満足するのでしょうか。
 この世界そのものの管理――それが、役目だと言うのになら。
「私がシンデレラガールになったのも……かつて、居たアイドルがそうだったから」
「――そうです。すべては、予定されたプログラムです」
以下略 AAS



23:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:09:48.61 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 その後、私は何事もなかったかのように街へと戻されました。
 空……ドームの天井はすっかり暗くなって、星を模した照明がいくつか光ってます。
「お疲れ様です」
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:10:45.16 ID:JSGxJH370
 そのままちひろさんと別れると、私は女子寮に帰ります。
 もう、消灯時間は過ぎていて、誰ともすれ違わずに部屋に戻れました。
 部屋の中は真っ暗で、いっそこのまま眠ってしまおうかとも思いました。
 でも、眠る気もおきません。お友達に電話をしようかとも思ったけれど、とても楽しくお喋りは出来そうもありません。

以下略 AAS



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