高垣楓「マイスタイル」
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9: ◆eBIiXi2191ZO[saga]
2017/06/14(水) 23:39:05.39 ID:XeQ2hXzAo

 午後。
 レッスンルームへとお届けされ、プロデューサーは事務所へと戻る。
 書類仕事などなど。事務所に帰れば帰ったで、仕事は山ほどあるそうな。
 ご愁傷さまと思いつつ、レッスン着に着替える。

 ひょっとして、私が普通に就職して普通に事務員をやっていたりしたら、プロデューサーのようにひいひいと書類まみれになっていただろうか。
 ないだろうなあ。
 そんな自分が想像できない。
 今の自分が本当に、すっぽりとピースにはまっている気がして、元々普通じゃなかったのかもなどと少し可笑しくなった。

 だからだろうか。
 シンデレラガールになった今であっても、私はなにか変わった気がしない。
 私はこれがたぶん、性に合っているのだ。ちひろさんにはなれない。

「高垣さーん、準備はいいですか?」
「はい、大丈夫です」

 トレーナーさんに呼ばれる。
 そう、こうして私は適所にいるのだから。楽しく真剣に今をこなせばよろしい。
 ある可能性の薄かった想像を片隅に追いやって、私はレッスンへと向かった。
 アイドルである私が、私。




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