14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/01(土) 21:59:38.52 ID:WMIgWMbh0
「……松山さん、少し変わりました?」
撮影をしているさなか、そんな質問が急に飛んできた。
「えっ?」
「なんだか以前よりも綺麗になってる気がします。凄くイイですよ」
「ホントですか? 嬉しいです。……でも、特に何かあったりはないですよ?」
「あれ、そうなんですか。……女性が磨かれるとなると……やっぱり恋かな、なんて。ちょっと思ったんですけど。すみません、邪推ですね」
口をつぐみ、あらためてファインダーを覗き込む彼女。
恋。
そんなまさか、と笑おうとした矢先に、どうしてか頭に浮かぶ姿があった。
彼の虚像が、頭の裏側で穏やかに微笑んでいた。
……いやいや、違う違う。
確かにプロデューサーと一緒にするお仕事は楽しいけれど。
そういう対象ではない。
ないはず。
……だよね?
「…………あの、松山さん?」
「はいっ!?」
脳内の自問自答を差し止めたのはカメラマンさんの声だった。
「……顔、ずいぶん赤いですけど」
「えっ、嘘っ……!?」
「……えーと、日焼け、ですかねえ? ちょっと休憩にしましょうか」
「す、すみません……」
小旅行のようで楽しい一週間ほどだったけれど、ちょっとだけ意地悪に笑う彼女に休憩中色々と尋ねられたことだけは、忘れたいかもしれない。
大切な人だった。もちろん好きだった。
私のためにと色んなことをしてくれる貴方が。私のことを思ってくれる貴方が。
だけど……それは、恋心ではなかったはずなのになあ。
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