301: ◆vfNQkIbfW2[saga]
2017/08/07(月) 23:07:52.07 ID:xZVyvk3/0
義経様は腕組みをしたまま考えていらっしゃったが、ポンと手を叩くと嬉しそうに叫んだ。
源義経「あれがあった……ぷにぷにクリスタル」
底野「ぷよぷよクリスタル?」
源義経「『ぷにぷに』クリスタルだ。ぷよぷよクリスタルと対を成す、鋼の如く堅固な水晶」
義経様が懐から取り出したそれは、雨粒のように透明で、仄かな光を放っていたのでござる。拙者は頭がくらくらした。弁太郎に続き、義経様も不思議な水晶体をお持ちになっている。自分だけ話についていけてない、妙な孤独感がぞわぞわ足元から這い上がってきた。
底野「ぷよぷよクリスタルで、何をするつもりなのです」
源義経「ぷにぷにクリスタル自体に特別な力はない。ただの媒介だ。強制的に共鳴し、秘めた力を覚醒させるためのね」
底野「まさか、それって……」
キィイイイイイイン
霊長の殺戮者「あううう……うああああああッ!!」ガクッ
底野「霊長の殺戮者ッ! どうしてここまで……。義経様、そのぷにぷにクリスタルを懐に隠してください!」
源義経「ぷにぷにクリスタルと共鳴した者は、史上最強の戦士『ぷにぷに君』となる。そう、最澄の守護国界章には書いてあった」
底野「早くそのクリスタルを止めろってんだよ!」
源義経「ひいッ」ビクッ
霊長の殺戮者「兄様……ぐッ……どうか怒らないで。兄様に助けられたこの命……元より使い道など悟っておりました……」ピキッピキピキピキィ
底野「お主、もうこんなに手足が硬くなってしまって……。やめろ、やめてくれ! お主はまだ拙者との約束を果たしていないだろう!」
霊長の殺戮者「や……く……そ……く……」
彼女の血の通った柔らかい身体が、無機質な冷たい水晶へと変わってゆく。拙者は魂だけは離すまいと、霊長の殺戮者を強く抱きしめた。
底野「そうだ。拙者がお主を娶るという約束だ。まさか忘れたわけではあるまい」
霊長の殺戮者「……に、い、さ、ま」
底野「なんだ」
霊長の殺戮者「ご、め、ん、な、さ、い」
底野「……!」
拙者が世界で最も愛した妹は、水晶の枝豆となり音もなく地面に転がり落ちた。
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